死神の騎士 (えみ(piplup))
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序章 舞い降りし少女
第一話 天女様
セイバーリリィちゃんが主人公です。
その日も私、アルトリア・ペンドラゴンは魔術師のマーリンと、義兄のサー・ケイと共に諸国を旅をしていました。
選定の剣 カリバーンの担い手として、そしてブリテンの理想の王を目指す者として、私は国中を周り、沢山の経験を積まねばならなかったのです。
そしてあれは、ちょうど滞在していた村でのちょっとした問題を無事解決し終えて、次の村へ旅立つ、そんな所でした。
次の村では何があるのだろうと、心が弾み、思わず軽やかな一歩を踏み出したその瞬間に、私は強い光に包まれていました。
その眩しさに耐えきれず、目を閉じた私の後ろで、サー・ケイとマーリンの必死な声が聞こえた、ような気がしました。
***
瞼から感じる光が収まったので、恐る恐る目を開いてみると、そこは今までの旅路で見たことの無い風景でした。
町並みから見るに、村というよりはもっと発展した、街のようです。
といっても、近くからは賑わっているような声が、音が、ありませんでした。
こんなにも文化が進んでいるのに活気が無いなんて変だなと、よくよく周りを見てみれば、疎らではあるがちゃんと人はいました。
いたのですが……。
全員が全員、一様として口をぽっかり開けて、呆然と私を見つめているのです。
でも、何か私は注目を受けるようなことをしたのでしょうか?
……あっ。
もしかして、私は光に包まれたと思ったら、この場に居ました。
…それはこちらの人からも同じなのではないでしょうか。
つまり一般的に、光から出てきた人をどう思うのか。
…とんでも無い誤解が生まれてしまうような気がします。
ですが、一体どうすればいいのでしょう?
あぁ、助けて下さい。サー・ケイ!マーリン!
…そう振り返りましたが、何時も後ろにいる2人はいませんでした。
どうにもここに居るのは、私ひとりだけだったのでした。
目の前が暗くなったかのように、クラクラしています。
今までの諸国を巡る旅の間も、ずっと3人でいたので、私がひとりになることなど初めてだったのです。
「全く、お前は何をやってるんだ」と言って私をなんやかんや助けてくれるサー・ケイや、「花の魔術師に任せなさい」と得意げに胸を張るマーリンが、どれほど私を助けてくれていたのか、身に染みてわかりました。
ひとりになっただけで狼狽してしまう自身が嫌になるのと、やはり2人がいない心細さから、自然と私の顔は俯いてしまいます。
きっとその時の私の顔が、酷いものだったのでしょう。
呆然と座り込んでいたはずの街の人々は、泣きそうな私を励ますように声を掛けてくれました。
***
優しい人々のおかげで落ち着いた私は感謝を述べたのですが、皆さんは「テンニョサマからお礼なんてとんでもない!」「テンニョサマを助けるのは、当たり前のことですよ。」と受け取ってくれないのです。
そして私が、「私はテンニョサマという人ではありませんよ。」と言っても、「あぁ、テンニョサマは謙遜もなさる素晴らしい御人だ!」と、取り付く島がありませんでした。
テンニョサマは天からきたから、地上のことは知らないだろうと町の人は色々なことを教えてくれました。テンニョサマでも、天から来たわけでも無いのですけれど。
ここは
尸魂界には貴族の住む瀞霊廷と、この場所である流魂街に別れている。
流魂街は更に地区で別れていて、番号が大きいほど治安が悪くなること、ここは第1地区で一番平和であること。
大まかに重要そうなところはこんな所でした。まさか死後の世界に居るとは思わないです。自分があの光で死んだとは思えませんが…。
情報を集めるため真剣に話を聞いていることが、気を良くさせたのか、もともと噂好きだったのかは分かりませんが、ピンキリな噂話も聞きました。
どのどこの地区はアレが美味しいとか、あの地区の何さんは浮気性だとか、更木と呼ばれる地区には鬼がいるだとか。
その話の流れのままに、もう遅いからと私は話してくれた女性のお家で休むことになりました。
***
一晩お世話になりましたが、やはり元の世界に戻る気配は無く、2人の気配も近くに感じることが出来ませんでした。
でも、もしかしたら、2人もこの世界に来ているかもしれない。ゆっくり休んだことで、そんな希望が生まれてきました。
そして私は、2人を探すため、この世界を知るために、流魂街を巡ることにしました。
リリィちゃん「旅に出ます!」
1話投稿したので失踪します。
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