【未完】遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~ (嘘つき熊さん)
しおりを挟む

原作10年前 転生
第一話 プロローグ


初投稿です。よくある神様転生オリ主物です。衝動的に書いた物でプロットとかもありません。

更新速度もそこまで早くないと思います。それでも良ければ、暇つぶしにどうぞ。

本作は遊戯王GXタッグフォースの世界をベースに、その世界の原作10年前からスタートのお話となります。

GXタッグフォースにオリ主と漫画版GXとArc-Vキャラなどの他遊戯王シリーズのキャラクターを突っ込み、のんびり時折ワンキルな感じでやっていくつもりです。

今回はプロローグで、世界観や転生特典の説明などの説明でほぼ終わりです。

2021/4/2 本文を加筆修正しました。


ふと目が覚めると、そこは辺り一面が白い部屋だった。

 

はて?ここは何処でしょう?私はどうしてこんな場所に居るのでしょうか?

 

周囲を見回そうとして気付いたが、30歳を過ぎたオジサンである私の体は何故か半透明状態でフワフワと宙に浮いており、気が付けばいつの間にか目の前には美しい白銀の翼を携えた絶世の美女が立っていた。

 

これは…天使?私は夢でも見ているのでしょうか?いえ、頬の痛覚はあるようですね。

 

自身の体が半透明になるという異常事態であると言うのに、不思議なことに私の心はそこまで混乱していないようだ。頬に感じる痛みはそのままに、私は目の前の存在からのアプローチを待ってみた。

 

「私は転生の女神。そして、貴方は死にました」

 

「えっ?」

 

「なので、貴方には遊戯王GXの世界に転生してもらいます」

 

「あ、はい」

 

女神を名乗る絶世の美女は、開幕一番によく分からないことを真顔で言い放って来た。

 

女神に、転生?中二病というものでしょうか?正直、漫画やアニメの見過ぎだと思います。現実的に有り得ないでしょう。

 

そう返したかったが、今のこの非現実的な現状がそれを許してはくれなかった。

 

 

彼女の言う遊戯王GXとは、正式名称:遊☆戯☆王という漫画を基にしたアニメの続編に当たるカードゲームを題材とした作品だ。

 

作中では、カードゲームのことをデュエルモンスターズ、デュエルモンスターズで対戦することをデュエル、デュエルモンスターズで対戦するプレイヤーをデュエリストと呼ぶ。

 

遊戯王GXと言うアニメの話の流れをざっくり説明すると、主人公である遊城十代がデュエルアカデミアと呼ばれるデュエリスト養成学校に入学して、そこで様々な事件に巻き込まれる。

 

時には命の危険もありつつもなんとかしていき、最終的に卒業するまでの3年間を描いたハートフルかつバイオレンスなお話だ。

 

 

さて、自称転生の女神様の話を要約すると私の今の状況は以下の通りだそうだ。

 

①30代前半の日本人オジサンだった私は、火災に巻き込まれた挙句、あっさり逝ったこと。

 

②死後の選択肢は2択。地獄で生前の罪を償うか、転生して女神様を楽しませるかを選べること。

 

③転生先には前世の知識や記憶、生前所持していたカードを持ち込めること。

 

これは、少し前に流行った神様転生、異世界転生と言う物でしょうか。まさか自身がその転生者に選ばれることになるとは夢にも思いませんでしたね。

 

私は元々天涯孤独の身、友人は少しは居たものの、配偶者はおろか恋人すらいなかった。

 

それほど前世に未練はなく、地獄行きは流石に嫌なのでもう転生一択しか選ぶ余地がない。

 

唯一の救いなのは、デュエルモンスターズは私の前世では遊戯王オフィシャルカードゲーム(以降はOCGと略す)と呼ばれ、前世での私の趣味だった。多少の知識や心得があることだ。

 

「転生の女神である私は、転生者である貴方の転生先の行動に制限を設けるつもりはありません」

 

「はぁ…」

 

「俺TSUEEE!するも良し。ハーレムを作るもヨシッ!です」

 

「そうですか…」

 

未だ状況を完全に呑み込めていない私に対し、転生の女神様は楽しそうに転生した先の話について語り始めた。

 

女神と言う職種は非常にストレスが溜まるものらしく、時々私のような人間をランダムに選んで、異世界に転生させてそのifストーリーを見て楽しむのが数少ない娯楽だそうだ。

 

そして今回、たまたまその女神様の娯楽の為の転生者として、私に白羽の矢が立ったらしい。

 

まぁ、地獄一択ではないだけラッキーと思っておきましょう。前世の記憶を保持したままで第二の人生を歩めるのなら、きっと寂しい独り身だった前世よりは良い人生を送れるでしょうからね。

 

これから訪れるらしい二度目の新たな人生に対し、私は少し楽しみになってきていた。

 

「ただ、そのまま遊戯王GXの世界に送っても面白味がないので、世界観に少々味付けをさせて貰いました♪」

 

「味付け?」

 

長い金髪を弄りながらこちらを見て悪戯っ子の様に笑う美女。

 

前言撤回だ。もう嫌な予感しかしない。

 

「遊戯王GXの世界ですが、ベースはタッグフォースの世界で、そこに漫画版GXや別シリーズの登場人物も大勢加えてみました!きっと本来の世界よりも遥かに波乱万丈な人生があなたを待っていますよ!」

 

「なるほど…何と言うことをしてくれたのでしょう」

 

正式名称:遊☆戯☆王デュエルモンスターズGXタッグフォース。遊戯王GXを舞台とするならばそのシリーズの1~3に該当するゲームソフトの名称だ。

 

話の大筋は原作アニメと同じですが、プレイヤーは赤帽子の少年(通称:コナミ君)を操作し、原作主人公の遊城十代の同級生としての生活を送る。

 

原作のキャラクターに加え、多数のゲームオリジナルキャラクターが登場し、プレイヤーの介入により原作ストーリーも変化する。

 

無口なコナミ君として色んな女の子と交流して女の子たちとイチャイチャすることもできる為、カードもできるギャルゲーとも呼ばれたりもする。

 

 

遊戯王シリーズのアニメは基本的に前半は普通のカードアニメだが、後半になればなるほど世界の危機が訪れたり登場人物が死亡したりする危険な世界だ。

 

そんな世界が混ざり合ったらどうなるか…どうやら来世はより命の危険がある危ない世界になったようだ。下手したら私は途中で死んでしまう。

 

本来の世界の人物に加えて他の世界から様々な人物がやってくるのであれば、遊戯王GXアニメの原作知識もあまりアテに出来なさそうになさそうだ。

 

ふぅむ、基本的に無茶なことはしない方が良さそうですね…。

 

そうか!原作主人公たちと関わらないようにひっそりと生きればいいのではないだろうか…!我ながら名案じゃないか!

 

「それはダメです」

 

「えっ??」

 

「貴方には少なくとも、原作主人公と同時期にデュエルアカデミアには入学して貰いますし、彼と同時期に卒業することを目標として貰います」

 

「もし、その目標を達成できなかっあ場合はどうなりますか?」

 

「死にます♪」

 

「あ、はい」

 

凄い良い笑顔で女神様はハッキリとそう答えた。

 

もう色々とダメでした。私が来世で生き残るには一筋縄では行かなささそうですね…。

 

「それでは!夢と冒険と!遊戯王GXタッグフォースの世界へ!レッツゴー!」

 

転生の女神様がそう声高に叫ぶと、急激に私の意識は遠のいていった…。

 

~~~

 

はい、こんにちは、こんばんは。私はさきほど女神様の気まぐれで転生することになった者です。

 

私の今の表向きの見た目はごく一般的な背丈と容姿の5歳男児ですが、中身は30代のオジサンでもあります。

 

私はこれから遊戯王GXタッグフォースの世界、しかもその改変世界と言うとんでもない世界の騒乱の中心付近で生き残っていかなくてはなりません。

 

ふむ、子供っぽくない話し方ですね。生まれ変わったわけですし、今後は年相応の話し方に切り替えていきましょう。

 

 

さて、今世での俺の名前は【白河クロト】。こんな名前だが黒目黒髪の純粋な日本人だ。

 

先日、交通事故により両親と死別して俺自身も一度死んだらしいが、その翌日に生き返ったそうだ。霊安室から這い出た俺を見つけたナースが悲鳴を上げてナースセンターへ駆け込んだそうだが、俺の知ったことではないな。

 

恐らくその生き返ったと言うタイミングで、こちらの世界の『白河クロト君』と前世の『私』が融合して、今の『俺』と言う存在が生まれたのだろう。女神様がちらっとそんなようなことを言っていた気がする。

 

俺はその時の交通事故の怪我が原因で昨日までは病院に入院していたんだが、今日無事に退院することが出来て、後遺症も無しに完治して入院前に住んでいたアパートに帰って来ているぞ。

 

ただ、今はこの世界の生前の両親と暮らしていたアパートに居るが、どうやら両親が亡くなったことで親戚もいない天涯孤独の身となってしまったようで、近々孤児院に入れられることになったらしい。

 

いきなり人生ハードモードじゃないか!

 

そもそも、普通に考えて両親を失ったばかりの5歳児を1人にして身辺整理なんてさせるか?この世界は前世と良く似てはいるが妙なところが狂っていると思う。

 

幸い、両親の遺産はそこそこあったので、女神様のご要望通りデュエルアカデミアに入学することはできそうだ。前世での記憶や知識もあるので、この前世によく似た異世界でも義務教育レベルでなら学力も多分大丈夫だろう。

 

そして、俺の最大の武器がコレ。このキャリーケースに入っている前世で持っていたカードだ。

 

俺が生きていた時代の最新のカードと比べると、遊戯王GXの時代で主に使用されているカードはかなり古いので、この時代においてはほぼ最強のデッキが構築できると思われる。

 

キャリーケースの中を見て所持しているカードを確認したが、よく見たら持ってなかったカードも結構入っていた…と言うより、前世のOCG次元に存在したカード全てを所持しているんじゃないかこれ?

 

そして、俺の記憶しているよりも遥かに強力なカードテキストが掛かれているこの2枚と、漫画で見たことのある古代神官文字っぽいテキストが掛かれた1枚。これってアニメ仕様の三幻神じゃないか?あっ、OCG版のヲーも達のカードもあるな。

 

更に、『このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。』なんて効果が追加されたカードも混じっている。俺はどうやらOCG版『No.』とアニメ版『No.』の両方を所持しているらしい。

 

デュエルモンスターズは、モンスター・魔法・罠の三種類のカードを使うゲームだ。

 

そしてこの世界の遊戯王GXの時代だと、モンスターカードは大きく分けて通常モンスター、効果モンスター、儀式モンスター、融合モンスターの4種類が存在する。

 

俺の持っているカードにはその他にもシンクロモンスター、エクシーズモンスター、ペンデュラムモンスター、リンクモンスターがあるが、これらを何の下準備も無しに使うと悪目立ちしてしまうだろう。

 

だが、これらのカードは他の人々に比べて圧倒的なアドバンテージでもある。これらを上手く利用することで今後俺を待ち受ける困難から生き延びていきたい。

 

 

さて、前世と今世で最も違うものは何だろうか?言葉は通じるし、文化体形も前世とほぼ変わらないように見える。

 

答えは簡単だ。デュエルモンスターズがもたらす世界への影響度だろう。

 

この世界では、デュエルモンスターズのカード1枚が数十万~数千万で取引されたりすることもあるし、争いごとはデュエルの勝敗で決めて解決するなんてことも良くある。

 

前世の観点で考えると本当にトンデモない世界だよな。

 

これらの条件を踏まえて、俺が生き残るためにまず俺のやるべきことは、原作の流れをある程度維持して利用できるように、遊戯王GX世界に追加されたらしい要素の調査から始めようかな。

 

~~~

 

俺は子供用の鞄に財布、後は両親の形見の懐中時計と家の鍵だけを入れて、アパートを出た。

 

ちなみにこの世界にはまだ携帯電話は存在しないので、当然俺は所持していない。

 

さて、ここで収集すべき必要な情報は以下の3つだ。

 

①時代背景・・・今はアニメGX原作から何年前か?過去にどのような事件があったか?

 

②登場人物・・・原作重要人物の所在、原作以外の要注意人物の洗い出し。

 

③制限カード・・・リミットレギュレーションは存在するのか?

 

 

①時代背景について

 

遊戯王GXは、前作遊戯王DMの終了から数年後に本編が始まる。前作から何年後の話なのかは明言されていなかったはずだが、今後の行動の目安にはなるだろう。

 

アニメGX主人公の遊城十代は中学卒業後にアカデミア高校に入学する。女神様が言うには俺の同年代らしいので恐らくはアニメGX原作10年前が妥当だろうが、念には念を入れて調べておきたい。

 

②登場人物について

 

遊戯王GXは、前作キャラが登場することがあり、同時に重要なポジションであることが多い。事前に調べておくことで彼らの動向を把握し、うまく立ち回ることが出来るかも知れない。

 

他にも原作以外の要注意人物になりえる人物も把握しておきたいが、そもそもどのシリーズから何人増えているかが分からないからこちらは参考程度だな。

 

③制限カード

 

デュエルモンスターズのルールは時代によって所々異なるが、基本的にはデュエルで使用するカードのデッキ枚数は40~60枚まで自由に選べ、同じカードは3枚まで投入できる。EXデッキ(この時代だと融合デッキ)は最大15枚までだ。

 

だが、中には性能が高すぎるカードな為に投入枚数を制限されたり、デッキに入れることが禁止されているカードもある。これらの情報が記載されているリミットレギュレーションは絶対に確認しておきたい。

 

~~~

 

アパートから約5分ほど歩き、近所のネットカフェで調査を始めたが、成果はそこそこって所だ。

 

まず、今はアニメ遊戯王デュエルモンスターズGXの約10年前だ。これはほぼ確定だろう。

 

よくよく考えたら、遊城十代の同級生になるらしい俺が5歳なんだから、デュエルアカデミア入学が15歳であることを考えると、自然と今がアニメGX原作10年まであることは分かる。

 

そして、アニメ遊戯王DM本編終了から約5年後であることもほぼ間違いないだろう。今から5年前の新聞記事に原作王国編、バトルシティ編、KCグランプリ編のことが記載されていることが決め手だ。

 

だが、乃亜編とドーマ編の情報は全く無かった。KCグランプリ編が存在する以上、前作もアニメ寄りの展開がされたようだな。

 

そうなると、アニメ遊戯王DMとは別の世界線である原作漫画版や遊戯王R、劇場版DSODの事件やそれらにのみ登場した人物は存在しない可能性がある。セラちゃんとか藍神ぃ…には出会ってみたかったので残念だ。

 

 

次に、前作主人公の武藤遊戯、ライバルの海馬瀬人、王国編のボスであるペガサス・J・クロフォード。彼らは原作終了後にも姿が確認されているので恐らく存命だと思われる。

 

特に、デュエルモンスターズの生みの親でもあるペガサスとは何とかしてGX原作開始前に接触しておきたいところだ。

 

プロデュエリストは、DD、エックス、カブキッド、ドクターコレクターと覚えているGX関係者が既に有名になってるんだな。

 

プロデュエリストの中には、期待の新人と評された漫画版GXに登場した響紅葉の名前もあった。流石にアカデミアのアメリカ校の校長の名前なんかは分からなかった。どちらにしても、漫画版GXに登場した人物はこの世界に登場しそうだ。

 

そして、プロデュエリストの種類の一つであるエンタメデュエリストの名前の中に榊 遊勝の名前を発見した。彼は遊戯王ARC-Vシリーズの人物だ。そうなると遊戯王ARC-Vシリーズの人物がこの世界に登場する可能性は高い。

 

遊戯王ARC-Vにはアニメ版と漫画版の2種類が存在するので、どちらの遊戯王ARC-Vのキャラクターとして登場しているか、他にどんなキャラクターが登場するかによって、危険度が大きく変動する。どちらも最終的には世界が滅びかけていたりするのでどちらがいいとは言い難い。

 

遊戯王ZEXAL&遊戯王ARC-Vの舞台となるハートランドシティと舞網市は存在しているが、遊戯王5D'sの舞台となるネオドミノシティと遊戯王VLAINSの舞台となるデンシティと遊戯王SEVENの舞台となるゴーハ第7小学校は無さそうだった。

 

遊戯王GXタッグフォースと言うからには遊戯王GXメインの世界だろうだろうから、遊戯王5D'sの約200年後の未来からの襲撃、遊戯王ZEXALのバリアン世界、遊戯王ARC-Vの次元戦争などの危険なイベントは流石に無いと考えていいはずだ。

 

人物と地名だけが登場している感じだろう。そうであってくれ。心からそう願いたい。

 

 

最後にリミットレギュレーションだが、有名なカードはちらほら情報があるが、それ以上の情報がまるでない。カードパックやその収録情報などが一切ない。全くない。公式HPどころかWikiや個人ブログすらない。

 

これは困るな。この世界のプロデュエリスト達はどうやってカード情報集めているんだろう。

 

 

おっと、もうこんな時間か。そろそろ切り上げて孤児院に向かうための荷物整理をしないとな。

 

~~~

 

ネットカフェでの調査から数日後、俺は住んでいたアパートを引き払い、必要最低限の荷物を残して他の荷物は全て売り払った後、今後お世話になる孤児院方面へ向かう電車に乗っていた。

 

とりあえず孤児院がある場所は遊戯王シリーズに所縁ある町にはなかったようで一安心していた。これで入学するまではトンデモ事件に巻き込まれるようなことは無いだろう。

 

間違っても童実野町だけは御免だ。あの町の治安は最悪だからな。

 

 

電車を降り、駅から徒歩30分ほど歩いいて孤児院に着いた俺は、そこで黒いシスター服に身を包んだ金髪のシスターと、特徴的な赤帽子と赤いジャケットを着た少年と出会った。

 

俺はこの瞬間、短すぎる平穏は終わったことを確信した。

 

「いらっしゃい。白河クロト君よね?これからよろしくね」

 

「はい。シスターセシリア。今後ともよろしくお願いします。」

 

まずは今後お世話になるであろう孤児院の経営者であるシスターセシリアに挨拶をした後、彼女の隣に立っている少年へと向き合う。

 

「オレは赤羽コナミ!よろしくな!」

 

「俺は白河クロト。クロトって呼んでくれ」

 

タッグフォースの主人公のコナミ君じゃないか!君、喋れるんだな!ゲームじゃないから当然か!子供の頃からその恰好なんだな!

 

心の中は混乱状態が続いていたが、なんとか平静を装ったまま会話できていたと思う。

 

そんな俺の心情とは裏腹に、コナミは心底嬉しそうな笑顔を向けていて、孤児院のシスターは微笑ましいものを見るように俺たちを見守っていた…。




初投稿ゆえ、本文の内容よりも、ちゃんと投稿できているかとか違反行為をしていないか辺りがきになります。

筆者としては、遊戯王GXはアニメ遊戯王終了(戦いの儀)から何年後っというのははっきり明記されてなかったと記憶していますので、今作はアニメ遊戯王終了から約5年後、原作遊戯王GXの約10年前と言うつもりでこの本作を書いています。

オリ主の氏名も適当ですが、コナミ君の苗字も適当です。

オリ主はシンクロの『白』とエクシーズの『黒』を氏名に入れてみました。

オリ主の苗字に『白』と入れたから、コナミ君は帽子や服の色を兼ねて『赤』とつく苗字にしました。

今後、元々苗字のないキャラクターたちは作者の残念なネーミングセンスの被害者になるでしょう。

神移様、gsころりん様、メイン弓様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 赤帽子

事前の説明回も終えたことだし、そろそろデュエルをしていきたいですね。

元々無口なキャラを話させるのって難しいので、早めにもう1~2人くらい、話せる登場人物を出したいですね。

2021/6/18(金) 文面を最新フォーマットに変更しました。


 孤児院に着いてコナミと知り合った翌日、荷解きを終えた後に幼少期に使用予定のデッキを組んでみた。前世の幼少期に使用していたデッキに近いくらいのデッキパワーに出来たと思う。

 

「クロト!デュエルしよう!」

「いいよ」

 

 そんな時、丁度デュエルディスクを二つ抱えてやってきたコナミにデュエルを挑まれた。主人公である彼の力を見れば、同年代の子供たちの実力も図れるかもしれないと言う思惑もあり、俺はそのデュエルの誘いを受けた。なんてのは建前で、なにより組んだデッキを使いたい衝動を抑えきれなかったというのが本音だ。

 

 孤児院の中でもそこそこ広い部屋に移動してコナミと距離をとって向かい合い、左腕にデュエルディスクを装着する。ディスクに自分のデッキをセットするとディスクがやんわりと光る。

 ディスクの自動シャッフル機能によりデッキがシャッフルされ、デッキから初期手札となるカードを5枚引き抜く。

 どうやらこの孤児院のあるデュエルディスクは初代遊戯王やアニメ遊戯王GXで使用されていた物より何故か良い物らしく、自動シャッフル機能がついていたようだ。

 ここに来て今まさに自分がデュエルディスクを付けてデュエルをしようとしている実感が湧いてくる。気分がどんどん高揚して、顔がニヤけていくのを我慢しきれない。

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆クロト LP:4000、手札;5枚。

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札;5枚。

 

 

 なるほど。タッグフォースの世界がベースとはいえルールはアニメGX順守のLP4000制なのかな。前世でのマスタールール2に近い感じだな。つまり先攻ドローがあり、フィールド魔法張替時の処理もマスタールール3以降と異なる。その辺りは後でちゃんと確認しておこう。

 

「先攻は貰う!オレのターン、ドロー!」

コナミ 手札:5→6枚

 

 コナミがデッキからカードを引く。そのままドローフェイズからスタンバイフェイズを経てメインフェイズに移行する。先攻・後攻の決め方は言ったもの勝ちらしい。うん、アニメっぽい。

 

「オレは手札からフィールド魔法【海】を発動!」

コナミ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【海】

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在する魚族・海竜族・雷族・水族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。

フィールド上に表側表示で存在する機械族・炎族モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントダウンする。

 

 コナミがフィールド魔法を発動したその瞬間、俺達のいる孤児院の一部屋がソリットヴィジョンの水で満たされる。

 おぉっ!リアルで見ると本当に凄いな!どう見ても腰まで水に漬かっているのに濡れてないし冷たくない!

 

「更にオレは【トビペンギン】を攻撃表示で召喚する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<コナミのフィールド>

トビペンギン ★4 ATK1200

 

【トビペンギン】

通常モンスター

星4/水属性/水族/攻1200/守1000

耳のようにも見える頭についた羽で空を飛ぶ、珍しいペンギン。

 

 コナミの前方の空間から目つきの悪いペンギンが現れ、こちらを威嚇してきた。

 前世だと結構レアなカードだったよなアレ。

 

「【トビペンギン】の種族は水族!フィールド魔法【海】の効果を受けて攻守が200ポイントアップする!」

 

<コナミのフィールド>

トビペンギン ★4 ATK1200 → 1400

 

 それにしても、凄い質感だ。本当にそこに居るんじゃないかと思うほどの存在感。これがこの世界のデュエルか。

 凄いな…。さっきから凄いしか言っていない気がする。落ち着け。冷静になれ。にやけた顔を引き締めるんだ。

 

「先攻1ターン目はまだ攻撃ができない。オレはカードを1枚伏せる」

コナミ 手札:4→3枚、伏せカード:0→1枚。

 

 コナミが魔法・罠ゾーンにカードをデュエルディスクに一枚セットした後、コナミとトビペンギンの中間に伏せられた状態のカードが一枚表示される。

 へぇ~。あんな感じで表示されるのか。

 

「特にもうやることが無いな。これでオレはターンエンドだ」

 

 そしてターンエンド宣言。このエンド宣言を行うことによってターンが相手へと切り替わる。

 つまり、今度はこちらのターンと言うわけだ。

 

 

◆クロト LP:4000、手札;5枚。

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札;3枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

トビペンギン ★4 ATK1400

 

 

 コナミのデッキはタッグフォース1で彼の初期デッキであった【水属性】のようだな。

 フィールド魔法【海】で能力が上昇するモンスターでビートダウンするシンプルなデッキだが、将来性はあるデッキだよな。

 

「俺のターン、ドロー。そのままドローフェイズからスタンバイフェイズ、メインフェイズへ移行する」

クロト 手札:5→6枚。

 

 よし、悪くない手札だ。まずは伏せカードを除去しておこう。

 

「俺は手札より速攻魔法【サイクロン】を発動。コナミの伏せカードを破壊する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

 俺の前方に現れたカードから竜巻が発生し、コナミの伏せカードが効果を発動することなく破壊され、墓地に送られる。

 

「あっ!【落とし穴】が!」

コナミ 伏せカード:1→0枚

 

【落とし穴】

通常罠

(1):相手が攻撃力1000以上のモンスターの召喚・反転召喚に成功した時、

そのモンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃力1000以上のモンスターを破壊する。

 

 罠カードか。危なかったな。【落とし穴】はこちらが攻撃力1000以上のモンスターを召喚したら破壊する効果を持つ。モンスターを召喚する前にサイクロンを使っておいて正解だったな。

 これで相手の伏せカードは無し。攻めさせてもらおう。

 

「俺は【バードマン】を通常召喚する」

クロト 手札:5→4枚。

 

 俺の前方の赤い翼が生えた青年が現れる。

 前世の幼少期では【ヂェミナイ・エルフ】や【ブラッド・ヴォルス】、【メカ・ハンター】などの次に採用された通常モンスターだな。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK1800

 

【バードマン】

通常モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1800/守 600

マッハ5で飛行する鳥人。

その眼光は鷹より鋭い。

 

「更に装備魔法【悪魔のくちづけ】をバードマンに装備する」

クロト 手札:4→3枚。装備魔法:0→1枚。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK1800→2500

 

【悪魔のくちづけ】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は700アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、500LPを払って発動できる。このカードをデッキの一番上に戻す。

 

 赤い翼が生えた青年が現れ、その彼の頬に緑色の美女が口づけを与える。

 とても嬉しそうだ。ソリットヴィジョンであることを忘れそうだ。

 

 装備魔法とは、自身の魔法・罠ゾーンに配置してフィールド上のモンスターを強化することができる種類の魔法カードだ。

 その効果は様々で、わざと相手モンスターに装備したりすることもある。

 

「攻撃力2500!?」

 

 コナミがバードマンの攻撃力に驚いているがこれは無理のないことだろう。

 攻撃力2500と言えばモンスター一体をリリースして行うアドバンス召喚で呼び出せる上級モンスターと同レベルの攻撃力だからだ。

 

「バトルフェイズへ移行。【バードマン】で【トビペンギン】を攻撃する!」

 

バードマン ATK2500

vs

トビペンギン ATK1400 ※戦闘破壊

 

 ウキウキの【バードマン】にぶん殴られ、【トビペンギン】は遠く彼方へ飛んで行った。

 この戦闘によりコナミの【トビペンギン】は戦闘破壊されてフィールドから墓地へ送られ、バードマンの攻撃力2500とトビペンギンの攻撃力1400の差分、1100がコナミのLPから失われる。

 

「ぐっ!効いた~!」

 

コナミ LP:4000 → 2900

 

「メインフェイズ2に移行。カードを2枚伏せてターンエンド」

クロト 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚

 

 

◆クロト LP:4000、手札;1枚。伏せカード:2枚。装備魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500 ※【悪魔のくちづけ】装備。

 

VS

 

◆コナミ LP:2900、手札;3枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し

 

 

「よし、オレのターンだな!ドロー!」

コナミ 手札:3→4枚。

 

「オレはモンスターを一体裏側守備表示で伏せる」

コナミ 手札:4→3枚。

 

<コナミのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「更にカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

コナミ 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚

 

 

◆クロト LP:4000、手札;1枚。伏せカード:2枚。装備魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500 ※【悪魔のくちづけ】装備。

 

VS

 

◆コナミ LP:2900、手札;2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

 裏側守備表示モンスターにまた伏せカードか。裏側守備モンスター【アクアマドール】あたりだろうか?

 

「俺のターン、ドロー。そのままドローフェイズからメインフェイズへ移行」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は【魔法剣士ネオ】を通常召喚」

クロト 手札:3→2枚。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500

魔法剣士ネオ ★4 ATK1700

 

【魔法剣士ネオ】

通常モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1700/守1000

武術と剣に優れた風変わりな魔法使い。

異空間を旅している。

 

 俺の目の前に金髪のイケメン魔法剣士が現れる。チラッとこちらを振り向いた際、若干ドヤ顔なのが妙に気になる。

 

「更に装備魔法【黒いペンダント】を魔法剣士ネオに装備」

クロト 手札:2→1枚。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500

魔法剣士ネオ ★4 ATK1700 → 2200 ※【黒いペンダント】装備。

 

【黒いペンダント】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。相手に500ダメージを与える

 

 金髪のイケメン魔法剣士の首に黒いペンダントが装着され、強化された。イケメンは何つけても似合うとかズルいよな。

 

「また攻撃力2000超えてきた!?」

「バトルフェイズへ移行。魔法剣士ネオで裏側守備モンスターを攻撃!」

 

ネオが剣を振りかぶった途端、コナミの伏せモンスターが現れる。

 

魔法剣士ネオ ★4 ATK2200

vs

黄泉へ渡る船 ★3 DEF1400 ※戦闘破壊

 

 裏側守備モンスターは【黄泉へ渡る船】か。コイツはやられたな。

 

【黄泉へ渡る船】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 800/守1400

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

このカードを破壊したモンスターを破壊する。

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し。

 

「伏せモンスターは【黄泉へ渡る船】!このモンスターは自身を戦闘破壊したモンスターを道連れにする!」

 

 哀れ。ネオは突如現れた木製の船に体当たりを受けて破壊され、そのまま一緒に墓地へと運ばれていった。

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500

 

「だが、この瞬間。ネオに装備されていた【黒いペンダント】もフィールドから墓地に送られて効果を発動する!その効果によりそちらに500ポイントのダメージを与える!」

 クロト 装備魔法:2→1枚。

 

「ぐっ!…そんな効果があったんだな」

コナミ LP:2900 → 2400

 

「更にバードマンでコナミにダイレクトアタック!」

 

 これが通れば俺の勝ちだが…伏せカードがあるよな。

 

「オレは伏せていた罠カード【砂塵の大竜巻】を発動!バードマンに装備された【悪魔のくちづけ】を破壊する!」

コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【砂塵の大竜巻】

通常罠

(1):相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。その後、手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。

 

 こちらの攻撃力を下げて更に伏せカードを伏せるつもりか。

 それなら俺も伏せカードを使うか。

 

「そのカードにチェーンして、俺も伏せていた速攻魔法【突進】を発動!【バードマン】の攻撃力をターン終了時まで700ポイントアップ!」

クロト 伏せカード:1→0枚。

 

【突進】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。

 

「やっべ」

 

 コナミの手札は2枚あるが、フィールドは彼を守るモンスターはおらず、伏せカードも使用してしまった。手札誘発などもなさそうだ。

 もう成す術がないのだろう。とても慌てているように見える。

 

チェーン②突進

チェーン①砂塵の大竜巻

 

<クロトのフィールド>

バードマン ★4 ATK2500→3200→2500

 

クロト 装備魔法:1→0枚。

コナミ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 【悪魔のくちづけ】が外された【バードマン】が【突進】に描かれたイノシシに跨りながら悲しそうな顔をしている。

 お前、本当にソリッドヴィジョンだよな?

 

「【バードマン】の攻撃はまだ終わっていない!行け!」

 

 バードマンが怒りの表情を浮かべながら、イノシシの跨ってそんなコナミに突撃する。

 そんなに悔しかったのか…。

 

バードマン ATK2500

 

「うわぁぁぁ!」

コナミ LP:2400 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

「あぁっ!負けた!面白かった!ありがとな!」

「あ、はい」

 

 勝負に負けたのに、爽やかな笑顔を向けてきて親指を立てるコナミ。なんだが俺が負けた気になってくる。これが陽キャ主人公の力か。とんでもない。

 久しぶりにこういう、先攻制圧も手札誘発もない環境でデュエルしたなぁ。 体に心が引っ張られてきている影響もあるだろうけど、凄く楽しかった!これはコナミや十代をデュエル馬鹿なんて言えないわ。病みつきになりそう。

 

 そして、このあとも滅茶苦茶デュエルした。




本作のコナミ君は普段の口数は少ないけど、デュエル中は良く喋ります。
ちなみに、子供たちの中ではこれでもかなり強い方です。
世間はまだ通常モンスターのエビルナイトドラゴン(★7)ATK2300が強いと思われている時代です。

この時代だと、
・アドバンス召喚 → 生贄召喚
・リリース    → 生贄に捧げる
・EXデッキ    → 融合デッキ
だったと思いますが、誤記の元になりそうですねぇ。

ゲーム設定を流用し、コナミ君の初期デッキは【水属性】。
オリ主ことクロト君は【装備ビート】もどきになります。
この二人はストーリー進行とともにデッキがコロコロ変わると思います。



マクロ様、あんぴしりん様、四季式様、メイン弓様、amppppp様、おひつじのシン様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定資料(三幻神・三邪神・三幻魔・三極神)

本作に登場するかもしれない神のカードに関する設定資料です。

三幻神や三幻魔に関してはなるべく原作漫画やアニメを再現した効果になればいいと思っているので、特にOCGに存在するサポートカードとのシナジーなどについては考慮していません。

きっと突っ込みどころは満載なので、指摘を受けたら、適宜直すなり本作独自設定!とかにしていこうかと思います。

5/23 カードテキストを今風に変更しました。あと効果を微?調整しています。
6/2 更に効果を微調整しました。


<三幻神>

 

【オベリスクの巨神兵】

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードが特殊召喚されている場合、このカードは攻撃宣言できず、エンドフェイズにこのカードを墓地へ送る。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):1ターンに1度、自分フィールドからこのカード以外のモンスター2体をリリースする事で発動できる。相手モンスター全てを破壊し、相手プレイヤー全てに4000ポイントの効果ダメージを与える。この効果の発動と効果は無効化されず、相手ターンでも発動できる。

 

その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん。

 

【オシリスの天空竜】

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードが特殊召喚されている場合、このカードは攻撃宣言できず、エンドフェイズにこのカードを墓地へ送る。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):このカードの攻撃力・守備力は自分の手札の数×1000アップする。

(7):相手モンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。そのモンスターが攻撃表示なら攻撃力を、守備表示なら守備力を2000ポイントダウンする。この効果によって攻撃力または守備力が0になったモンスターは破壊される。この効果の発動と効果は無効化されない。

 

天空に雷鳴轟く混沌の時、連なる鎖の中に古の魔導書を束ね、その力無限の限りを誇らん。

 

【ラーの翼神竜】

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードは特殊召喚した場合、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、「ラーの翼神竜」のカード名が記されていない、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):このカードはアドバンス召喚に成功した場合、その元々の攻撃力・守備力は、そのアドバンス召喚のためにリリースした時のモンスターの攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。

(7):自分フィールドの他のモンスターを任意の数だけリリースして発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、リリースしたモンスターの攻撃力の合計分アップする。

(8):このカードが特殊召喚に成功した場合、100LPになるようにLPを払って発動できる。このカードの攻撃力・守備力は、払った数値分アップする。このターン、このカードは相手フィールド上に存在する全てのモンスターに1回ずつ攻撃する事ができる。

(9):自身をリリースして発動できる。その攻撃力分だけ自分のLPを回復する。

(10):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。自分は1000LPを失う。その後、自分は相手フィールドのモンスターを全て墓地に送らなければならない。この効果の発動と効果は無効化されない。

(11):このカードのコントロールは、先に「古代神官文字」である呪文を唱えたプレイヤーが得る。「古代神官文字」でコントロールを得なければ攻撃及び効果の発動ができず、攻撃対象にもならない。

 

精霊は歌う。大いなる力、すべての万物を司らん。その命、その魂、そしてその骸さえも。

 

「神は三体の生贄を束ねてその力を得る ただし神を従えし者 古の呪文を天に捧げよ」

「神は地より蘇生する 再生の術と従者の命を与えよ 時はひとつであろうとも戦場の敵は炎によって屍と化す」

「時ひとつとして神は不死鳥となる 選ばれし魔物は大地に眠る」

 

【光の創造神 ホルアクティ】

効果モンスター

星12/神属性/創造神族/攻 ?/守 ?

このカードは通常召喚できない。自分フィールド上の、元々のカード名が「オシリスの天空竜」「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」となるモンスターをそれぞれ1体ずつリリースした場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードの特殊召喚は無効化されない。

(2):このカードを特殊召喚したプレイヤーはデュエルに勝利する。

 

<三邪神>

 

【邪神アバター】

最上位の神・効果モンスター

星10/神属性/邪神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードはフィールド上に存在する限り、上級呪文・最上位の神のカードを除く罠・効果モンスターの効果を受けず、それ以外の罠・効果モンスターの効果及び魔法の効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):このカードはフィールド上に存在する限り、コントロールを変更する事はできない。

(3):このカードは特殊召喚したターンに攻撃する事ができない。

(4):このカードは幻神獣族としても扱う。

(5):このカードの攻撃力・守備力は、「邪神アバター」以外のフィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+100の数値になる。

 

【邪神イレイザー】

神・効果モンスター

星10/神属性/邪神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードはフィールド上に存在する限り、上級呪文・神のカードを除く罠・効果モンスターの効果を受けず、それ以外の罠・効果モンスターの効果及び魔法の効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):このカードはフィールド上に存在する限り、コントロールを変更する事はできない。

(3):このカードは特殊召喚したターンに攻撃する事ができない。

(4):このカードは幻神獣族としても扱う。

(5):このカードの攻撃力・守備力は、相手フィールドのカードの数×1000になる。

(6):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。フィールドのカードを全て墓地に送る。

 

【邪神ドレッド・ルート】

神・効果モンスター

星10/神属性/邪神獣族/攻4000/守4000

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードはフィールド上に存在する限り、上級呪文・神のカードを除く罠・効果モンスターの効果を受けず、それ以外の罠・効果モンスターの効果及び魔法の効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):このカードはフィールド上に存在する限り、コントロールを変更する事はできない。

(3):このカードは特殊召喚したターンに攻撃する事ができない。

(4):このカードは幻神獣族としても扱う。

(5):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、神属性以外のフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

 

<三幻魔>

永き封印は解き放たれた──。

魔の眷属を従え、混沌が全てを覆い尽くす。

 

【神炎皇ウリア】

効果モンスター

星10/炎属性/炎族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。自分フィールドの罠カード3枚を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):このカードの攻撃力は、自分の墓地の罠カードの数×1000アップする。

(3):1ターンに1度、相手フィールドにセットされた罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを破壊する。

(4):1ターンに1度、手札の罠カードを1枚捨てて発動できる。このカードを墓地から召喚条件を無視して特殊召喚する。このターン、自分フィールド上に他のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃をすることができない。

 

【降雷皇ハモン】

効果モンスター

星10/光属性/雷族/攻4000/守4000

このカードは通常召喚できない。自分フィールドの魔法カード3枚を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受け付けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):このカードがモンスターゾーンに守備表示で存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。相手に1000ダメージを与える。

(4):自分フィールドの表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる。

 

【幻魔皇ラビエル】

効果モンスター

星10/闇属性/悪魔族/攻4000/守4000

このカードは通常召喚できない。自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受け付けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(2):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドのモンスター2体までリリースして発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、リリースしたモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(3):相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。自分フィールドに「幻魔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)1体を特殊召喚する。このトークンは攻撃宣言できない。

 

【混沌幻魔アーミタイル】

融合・効果モンスター

星12/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

「神炎皇ウリア」+「降雷皇ハモン」+「幻魔皇ラビエル」

このカードは「次元融合殺」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):1ターンに1度、相手モンスター1体に10000ポイントの戦闘ダメージを与える事ができる。

(3):自分のメインフェイズに、このターンのエンドフェイズまでこのカードのコントロールを相手に移す事ができる。

(4):エンドフェイズ時に、このカードを除くフィールド上の全てのモンスターをゲームから除外する。

 

<三極神>

 

【極神聖帝オーディン】

シンクロ・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守3500

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、幻神獣族モンスターへの魔法・罠カードの効果を無効にする事ができる。

(2):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、エンドフェイズ時に墓地から自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚に成功した時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。

 

【極神皇トール】

シンクロ・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻3500/守2800

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の効果を無効にし、その効果をこのカードの効果として使用する事ができる。

(2):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、エンドフェイズ時に墓地から自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚に成功した時、相手ライフに800ポイントダメージを与える。

 

【極神皇ロキ】

シンクロ・効果モンスター

星10/闇属性/幻神獣族/攻3300/守3000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードが攻撃を行う時、相手の魔法&罠カードゾーンに存在するカード1枚の発動と効果を無効にし破壊する事ができる。

(2):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、エンドフェイズ時に墓地から自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する罠カード1枚を選択して手札に加える事ができる。




公式で原作で登場した神のカードの効果とかを公開してくれると助かるんですけどね…。

三邪神はついでに載せましたが、上級呪文って何?ってなりそうなので、使用するかどうかは微妙です。

三幻神の特殊召喚したターンは攻撃できないについては、バトルシティでのルールなのか神の効果の一部なのかが不明なんですが、とりあえず原作遵守にする予定です。

【ラーの翼神竜】も大概謎ですが、一番よく分からないのが【オベリスクの巨神兵】ですね。アニメだと自分フィールド上のモンスター2体を生け贄に捧げる事で、相手モンスターを全て破壊したり、相手プレイヤーに4000ダメージを与えたり与えなかったり、それら全部をやったり、自身の攻撃力が∞になったりしているように見えます。社長、オベリスク君の効果を気分で変えてません?

どうしても原作やらアニメならOCGやらで乖離が生まれそうなら、タグに<三幻魔(アニメ風)>みたいなのを入れて、本作オリジナル効果にしてしまおうかな?などと考えています。

gsころりん様、ファイネス1様、誤記報告及びカードテキストへのアドバイスを頂きましてありがとうございました。修正・変更しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定資料(ライディングデュエルについて)

ライディングデュエルの特殊ルールのまとめと本作に登場する予定のオリカのスピードワールドをある程度は纏めておこうと思ったので記載した設定資料です。

ついでに本編に登場するかもしれないアニメ原作のライディングデュエルに関するカードの一部も載せて見ました。

スピードワールドに関しては、アニメ5D'sで登場した物を使うとスピードスペル以外の魔法カードが死に札になるのなんかもったいないなと思い、かといってアニメArcVで登場したネオは効果テキストが寂しいと感じたので、両者をそれっぽくくっつけたものをオリカとして登場させることにしました。本編に登場次第、タグに追加予定です。オリカと言ってもただ単に、従来の魔法カードも使えるスピードワールド2のようなものですけどね。


<原作で登場したスピードワールド>

 下記が遊戯王シリーズにて使用されたスピードワールドと主なスピードスペルとなります。使い勝手の良さそうなエンジェルバトンやオーバーブースト辺りは本作の本編にもいくつか登場させてみたいですね。

 

【スピード・ワールド】

フィールド魔法

(1):このカードはカードの効果を受けず、フィールド魔法カードをセット及び発動できない。

(2):お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを1つ置く(最大12個まで)。

(3):「Sp(スピードスペル)」魔法カード以外の魔法カードをセット及び発動した場合、そのコントローラーは2000ポイントのダメージを受ける。

お互いがダメージを受ける時、1000ポイント単位にスピードカウンターを1つ取り除く。

 

【スピード・ワールド2】

フィールド魔法

(1):このカードはカードの効果を受けず、フィールド魔法カードをセット及び発動できない。

(2):お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを1つ置く(最大12個まで)。

(3):「Sp(スピードスペル)」 魔法カード以外の魔法カードをセット及び発動した場合、そのコントローラーは2000ポイントのダメージを受ける。

お互いのプレイヤーは、自身のメインフェイズに

(4):自分用スピードカウンターを以下の数だけ取り除いて発動できる。

●4個:手札の「Sp(スピードスペル)魔法カード1枚につき、相手に800ポイントのダメージを与える。

●7個:自分のデッキからカード1枚ドローする。

●10個:フィールド上のカード1枚選んで破壊する。

 

【スピード・ワールド-ネオ】

フィールド魔法

(1):このカードは破壊されない

 

 

<原作Spの一部>

 

◆Spカウンター2つ以上で発動可能

 

【Sp-エンジェルバトン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。

デッキからカードを2枚ドローし、 その後手札1枚を墓地に送る。

 

【Sp-ハイスピード・クラッシュ】

通常魔法

自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。

フィールド上に存在するカード1枚と、自分フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。

 

【Sp-ライトニング・ロッド】

通常魔法

自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して破壊する。

 

 

◆Spカウンター3つ以上で発動可能

 

【Sp-ハーフ・シーズ】

通常魔法

自分用スピードカウンターが3つ以上ある場合に発動する事ができる。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の攻撃力を半分にし、ダウンした攻撃力の数値だけ自分のライフポイントを回復する。

 

【Sp-スピードストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターが3つ以上ある場合に発動する事ができる。

1000ポイントダメージを相手ライフに与える。自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在する場合、自分用スピードカウンターを3つ取り除く事で、このカードを手札に戻す事ができる。

 

【Sp-オーバー・チューン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが3つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、そのモンスターと同じレベルのチューナー1体を手札から特殊召喚する。

 

◆Spカウンター4つ以上で発動可能

 

【Sp-ソニック・バスター】

通常魔法

自分用スピードカウンターが4つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力の半分のダメージを相手プレイヤーに与える。 (この効果で相手のライフポイントが0になる場合、この効果は発動できない。)

 

【Sp-ダッシュ・ピルファー】

通常魔法

自分用スピードカウンターが4つ以上ある場合に発動する事ができる。

相手フィールド上に存在する表側守備表示モンスター1体のコントロールを得る。 この効果でコントロールを得たモンスターは、ターン終了時に相手フィールド上に戻る。

 

【Sp-スピード・フュージョン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが4つ以上ある場合に発動する事ができる。

手札またはフィールド上から、融合モンスターカードによって決められたモンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする。)

 

◆Spカウンター5つ以上で発動可能

 

【Sp-シルバー・コントレイル】

通常魔法

自分用スピードカウンターが5つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上に存在する風属性モンスター1体の攻撃力をこのターンのバトルフェイズの間1000ポイントアップする。

 

【Sp-ラピッド・ショットウィング】

通常魔法

自分用スピードカウンターが5つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上のモンスター1体を選択する。このターン選択したモンスターの攻撃力は、自分用のスピードカウンターの数×100ポイントアップする。

 

【Sp-シンクロ・リターン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが5つ以上ある場合に発動する事ができる。

ゲームから除外されているシンクロモンスター1体を特殊召喚する。またこのシンクロモンスターは、そのターンのエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 

◆Spカウンター6つ以上で発動可能

 

【Sp-パワー・バトン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが6つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分のデッキからモンスターカード1枚を選択して墓地へ送る。自分フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力は、ダメージステップ時に、このカードの効果で墓地へ送ったモンスター1体の攻撃力分アップする。次の自分のターン、ドローする事ができない。

 

◆Spカウンター7つ以上で発動可能

 

【Sp-シンクロ・パニック】

通常魔法

自分用スピードカウンターが7つ以上ある場合に発動する事ができる。

このデュエル中に自分フィールド上にシンクロ召喚したモンスターと同名モンスターをエクストラデッキから可能な限り特殊召喚する事ができる。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効となり、攻撃力は0となる。

 

◆Spカウンター8つ以上で発動可能

 

【Sp-ファイナル・アタック】

通常魔法

自分用スピードカウンターが8つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上のモンスター1体の攻撃力を2倍にする。この効果で攻撃力を2倍にしたモンスター1体は、相手プレイヤーを直接攻撃する事はできない。また、このターン終了時に破壊される。

 

◆Spカウンター10つ以上で発動可能

 

【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターが10個以上ある場合に発動する事ができる。

フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する。この効果で破壊し墓地へ送られたモンスター1体につき、そのモンスターのコントローラーは、300ポイントのダメージを受ける。

 

【Sp-タイラント・フォース】

通常魔法

自分用スピードカウンターが10個以上ある場合に発動する事ができる。

このターン自分フィールド上に存在するカードは破壊されない。相手フィールド上に存在するカードが破壊された時、相手ライフに300ポイントダメージを与える。

 

 

◆発動条件が特殊

 

【Sp-アクセル・ドロー】

通常魔法

自分用スピードカウンターが12個ある場合で、相手用スピードカウンターが12個でない場合に発動する事ができる。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

【Sp-ギャップ・ストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターと相手用のスピードカウンターが10個以上離れている時に発動する事ができる。

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

◆特に発動条件なし

 

【Sp-シフト・ダウン】

通常魔法

自分用スピードカウンターを6つ減らして発動する。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

【Sp-オーバー・ブースト】

通常魔法

このターン自分用スピードカウンターを4つ増やす。

エンドフェイズに自分用スピードカウンターを1つにする。

 

 

<JRDG(Japan Riding-Duel Grand Prix)>

 本編の130話くらいに行われるライディングデュエル大会の特殊ルールについてのまとめです。かなり大雑把に書いてありますが。細かい点に関しては大体アニメ5D'sのWRGPと同じような感じなので、雰囲気で察して頂けると幸いです。

 

<JRDG(Japan Riding-Duel Grand Prix)>

①D・ホイールのオートパイロットモードがカットされ、マニュアルモードで操作する。

②参加チームは32チーム。予選は8つのブロックに分けられ、4チームでリーグ戦を行う。本戦のトーナメントに進めるのは予選上位2チーム、合計8チームになる。

③デュエルの先攻は最初のカーブを制した者が取る。

④相手ターンが終了した場合、自分がドローする前までなら後継プレイヤーにバトンタッチが可能。この際フィールド上のカード、スピードカウンターを継承し、LP4000にリセットしてスタートされる。

⑤プレイヤーが敗北した場合でも、そのターンのエンドフェイズまでは処理が続行される。

このときカードを手札からプレイすることはお互いに出来ないが、手札以外の場所で発動するスピードスペル・罠・モンスター効果は、発動条件さえ満たしていれば走者の意思で発動することができる。

もちろん発動条件のないカードも任意のタイミングで発動可能。その後敗北したプレイヤーは前述と同じ形式でバトンタッチを行う。

⑥第2戦以降は先攻1ターン目の概念が存在せず、最初のターンからスピードカウンターが貯まり、バトルフェイズを行うことも可能。

⑦試合中にピットイン等の理由で相手チームに1周差をつけられた場合、相手チームのスピードカウンターが1つ増える。相手チームのスピードカウンターが12個の状態で1周差をつけられた場合、自分チームのスピードカウンターが1つ減る。

⑧上記のルールでスピードカウンターが減って0になった場合、そのチームは棄権とみなされる。

⑨デュエル開始時に【スピード・ワールド-ネオプラス】が発動する。

 

<JRDG参加チームについて> 

①チームのDーホイーラーの人数は最大で3人までとする。3人に満たなくてもよい。

②使用デッキは最新版のリミットレギュレーションに準じたものを人数分用意すること。

③同名カードは1チームで3枚までであること。

 

 以下のような裁定がややこしくなりそうなカード類は本編には出しませんしこれ以上詳しく書くこともありません。

 

<ルール説明(おまけ)>

①無限ループ処理が発生した場合、ループ処理は一回のみ適用。

②特殊勝利条件を満たした場合はその時の相手プレイヤーのみにだけ勝利となる。※ウィジャ盤を揃えて相手プレイヤーAに勝っても、相手プレイヤーBとはそのまま対戦が始まる。特殊勝利に使用されたカードは全て除外されてそのデュエル中は使用できない。

 

<オリカのスピードワールド>

フィールドの相手のカードでも自分のカードでもない場所に一枚のフィールド魔法として表側表示で存在する。その上にそれぞれのチームが持ち主となるスピードカウンターが乗る。

なので、冥府の使者ゴーズ等の「自分フィールドに何もカードが無い」が条件のカードも使用可能と言う裁定。

 

【スピード・ワールド-ネオプラス】※本作オリジナルカード

フィールド魔法

(1):このカードはフィールドから離れず効果を受けない。

(2):他のフィールド魔法が発動してもこの効果は適用され続ける。

(3):お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを2つ置く(最大12個まで)。

(4):このカードが存在する限り、このカード及び「Sp(スピードスペル)」魔法カード以外の効果ダメージは半分となる。

(5):お互いのプレイヤーは、自身のメインフェイズに自分用スピードカウンターを以下の数だけ取り除いて発動できる。

●4個:手札の「Sp(スピードスペル)魔法カード1枚につき、相手に800ポイントのダメージを与える。

●7個:自分のデッキからカード1枚ドローする。

●10個:フィールド上のカード1枚選んで破壊する。

 

 三幻神のカードに続くオリカであるこのカードを導入する狙いとしては以下の通りです。

(1)ライディングデュエルっぽさを出す為。※最重要。

(2)スピードワールドとスピードスペル以外の効果ダメージのナーフ。

(3)スピードスペルと通常の魔法カードとの両立。

(4)フィールド魔法ゾーンに置かれるわけではないので、既存のフィールド魔法と併用可能にする。またゴーズなどの効果発動条件を阻害しない。

(5)フィールド魔法である為、維持コストとしてフィールド魔法を要求するモンスターを召喚・特殊召喚できる。

 

 




 一度くらいは本格的にライディングデュエル回を入れて見ても良いかな?なんて思って色々と検討中でしたが、情報量が多くて結構難航しています。ただでさえ誤記修正やら本編更新が遅くなっているのに何やっているんだか…。きっと全てドン・サウザンドのせいです。

 スピードスペルに関しては本編で登場させる場合はアニメ5D'sで登場した物のみを使用予定です。DSでゲームオリジナルのスピードスペルとかもあったみたいですが、そちらは恐らく登場しないと思います。

gsころりん様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作9年前 地方大会編
第三話 ハノイの騎士(偽)1


前回は昔の一般的なビートダウンデッキにしましたが、今回から少し変則的なデッキを使用します。

こう言うときの為にリミットレギュレーションが無い世界にしたようなものです。

6/22 表記を最新フォーマットに変更しました。


 孤児院に住み始めてから1年半ほど経過し、俺こと白河クロトは7歳となり、小学校に通い始めていた。

 俺達を世話してくれているシスターや同じ孤児院に住むコナミを含む他の子どもたち、近所に住む同年代の子供たちともうまくやれていると思う。

 

「デュエル大会?」

 

 そんな中、小学校からの帰宅途中に同じクラスの友人3人である鈴木、佐藤、田中から興味深い話を聞くことができた。

 

「おぅ!小学生から出られるこの町で一番大きい大会だぜ!」

 

 テンション高めに語る鈴木。ガキ大将のような見た目だが、明るく面倒見のいい少年だ。

 

「ボク達も出るつもりなんだけど、クロト君も一緒に出ない?」

 

 緩い感じに同意を促す佐藤。あの細目が開いたところを見たことがない、何を考えているかよく分からない小柄な少年だ。

 

「誰が相手でも、最後には私が勝つ!」

 

 変なポーズを取りながらキメ顔で話す田中。根は良い奴なんだが、プライドが高く、ナルシスト気味なのが玉に瑕だ。

 

「どうしようかな~」

 

 そう呟くと、鈴木が大会の詳細が書かれたチラシを渡してくる。どうやらかなり大きめの大会のようで、他の地域からの参加者もいるようだ。

 参加者の年齢制限は…小学生以上なら上限は無しか。これ、小学生が出ても予選で消えるんじゃない?

 

「う~む」

「出ないつもりなのか?」

「参加賞も貰えるらしいよ?」

「ふっ、白河よ。ビビってんのか?」

 

 恐らくコナミや孤児院の他の子どもたち、近所の他の子どもたちも参加するだろう。鈴木たちも俺が参加を渋るのが不思議そうに見える。

 なになに…参加賞として参加者全員にカード一枚を配布し、優勝者には更にカードを配布か。

 

「ジャッジマンが貰えるかもしれないんだぜ!」

「ガルヴァスかファイアーウイングペガサスが貰えると嬉しいな」

「牛鬼や闇魔界の覇王は私にこそふさわしい」

 

 参加賞はリリース一体で召喚できる攻撃力2000~2300くらいの上級モンスターをランダムで配布されるわけか。

 未だにモリンフェンをアドバンス召喚する子もたまにいるくらいだし、確かにこれなら子供たちには喉から手が出るほど欲しいだろうな。

 

「…ん?」

 

 登録名や恰好は特に規制はなく…優勝者は副賞としてペガサス・J・クロフォードと会える!?

 マジか。この大会で優勝すれば未来への大きな布石を打てるな。

 

「悪い、俺は参加しない。コナミや孤児院の他の子どもたちの応援をすることにする」

「そうか。それじゃしょーがねーな」

「白河君がそう決めたのならしょうがないね」

「ふっ、臆病風に吹かれたか」

 

 参加しても子供たちが持つカードでは、勝ち上がるのは至難の業だろう。

 普通ならね。

 

「じゃ、早速あいつらに教えてくることにするよ。またな」

「おぅ、また明日な」

「ばいばーい」

「さらばだ!」

 

 悪いな本当に。この大会は勝ちに行かせてもらう。

 かなり相手の心を折るようなデッキを使うことになるだろうから不要なヘイトを稼がない様に変装は必須だな。

 

~~~

 

 案の定、孤児院に帰って皆にチラシを見せると参加可能な子供たちは全員参加するらしい。

 特にコナミは不定期にカードを拾ってきてデッキ強化が進んでいる為、大会で出会うと油断ならない相手になるだろう。

 

「大会参加希望者だが、受付はここで合っているか?」

「え、あ、はい。ここで合っています」

 

 そして大会当日。孤児院の皆とは別行動を取り、俺こと白河クロトは変装して大会参加申請を行っているところだ。

 受付のお姉さんは変装した俺を見て少々引いているように見える。わからなくはないけど少し凹むね。

 

「デュエリスト名【ハノイの騎士】様ですね。はい、登録完了です」

「うむ、ありがとう」

 

 はい。今俺は遊戯王VRAINSに登場する一般的なハノイの騎士のコスプレをしている。

 灰色の仮面に頭まで覆う白いローブ。なんとボイスチェンジャーまで完備だ。…前世であれば不審者確定だ。

 

「まもなく大会の予選が開始されます。少々お待ちください」

「分かった」

 

 大会参加者は500人を超えるらしい。別大会などで実績がある者は本選へのシード権が認められている。

 その他の俺のような普通の参加者はこの会場で行われる予選にて5回デュエルして勝ち進めば本選に出場可能とのことらしい。

 手札事故さえなければ何とかなるだろう。

 

~~~

 

「お前が卑怯なデッキで勝ち進んでいるというハノイの騎士か?」

「あぁ、そうだ。私がハノイの騎士だが、最後の対戦者はお前か?」

 

 大会が開始後に既に4人抜きしていた俺は、最後の対戦者と向き合っている。田中じゃん。

 

「その通りだ。お前のような卑怯者に勝っても自慢にもならんが、相手をしてやる」

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆田中 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰うぞ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「ふふっ、最高の手札だ…!」

 

「私は手札より【強欲な壺の精霊】を通常召喚!」

ハノイ 手札:6→5枚

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 ATK100

 

【強欲な壺の精霊】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 100/守 100

このカードがフィールド上に表側攻撃表示で存在する時に「強欲な壺」を発動した場合、「強欲な壺」を発動したプレイヤーはカードをもう1枚ドローする事ができる。

 

 さぁ、前世での禁止カードの力をとくと受けるといい!

 

「私は手札より魔法カード【強欲な壺】を発動!私はデッキからカードを2枚ドローする!」

ハノイ 手札:5→4→6枚

 

【強欲な壺】

通常魔法

デッキからカードを2枚ドローする。

 

「ここで私は【強欲な壺の精霊】の効果発動!デッキより更に1ドロー!」

ハノイ 手札:6→7枚

 

「私は続いて手札より魔法カード【天使の施し】を発動!私はデッキからカードを3枚ドローして2枚を墓地に送る!」

ハノイ 手札:7→6→9→7枚

 

【天使の施し】

通常魔法

自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる。

 

<ハノイの騎士が墓地に送ったカード>

①処刑人マキュラ

②黄泉ガエル

 

「更に魔法カード【いたずら好きな双子悪魔】を発動!発動コストとしてLPを1000支払う!」

ハノイ LP:4000→3000 手札:7→6枚

 

【いたずら好きな双子悪魔】

通常魔法

1000ライフポイントを払って発動する。相手は手札をランダムに1枚捨て、さらにもう1枚選択して捨てる。

 

「貴様は手札を1枚はランダムに捨て、更に1枚を選択して捨てるがいい!」

 

「くそっ!ハンデスとは卑怯な!」

田中 手札:5→3枚

 

「更に更に!魔法カード【いたずら好きな双子悪魔】を発動!発動コストとしてLPを1000支払う!」

ハノイ LP:3000→2000 手札:6→5枚

 

「くくくっ。もう一度、手札を1枚ランダムに捨て、更に1枚を選択して捨てよ!」

 

「おのれ!またかっ!」

田中 手札:3→1枚

 

「駄目押しだ!魔法カード【押収】を発動!発動コストとしてLPを1000支払う!」

ハノイ LP:2000→1000 手札:5→4枚

 

【押収】

通常魔法

1000ライフポイントを払って発動する。相手の手札を確認し、その中からカードを1枚捨てる。

 

「私は貴様の手札を確認し、その中からカードを1枚捨てる!貴様のその最後の手札1枚をな!」

 

「私の…手札が…0枚に…」

田中 手札:1→0枚

 

「そして私は先ほどの【天使の施し】で墓地に送った【処刑人-マキュラ】の効果により、このターン手札からトラップカードを使用できる!」

 

【処刑人-マキュラ】※エラッタ前

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200

このカードが墓地へ送られたターン、

このカードの持ち主は手札から罠カードを発動する事ができる。

 

「手札からトラップだと!?」

 

「そして私は手札よりトラップカード【刻の封印】を発動!次の相手ターンのドローフェイズをスキップする!」

ハノイ 手札:4→3枚

 

【刻の封印】

通常罠

次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。

 

「なん…だと…!?」

 

「私は手札より永続魔法【波動キャノン】を発動!」

ハノイ 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【波動キャノン】

永続魔法

自分のメインフェイズ時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、このカードの発動後に経過した自分のスタンバイフェイズの数×1000ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

「!?」

 

「私は最後にカードを1枚伏せてターンエンドだ」

ハノイ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1000、手札:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆田中 LP:4000、手札:0枚。

 

<田中のフィールド>

モンスター無し

 

 このデッキはこの世界のルール上は何の問題もないのだが、間違いなく嫌われるデッキだ。このデッキを知り合いに使うと友達を失いかねないからな。他の人間からのヘイトも買うだろう。そのための変装だ。

 原作でもハノイの騎士ならこんなデッキ使ってても不思議じゃないだろう。

 

「私のターン…。刻の封印の効果によりドローフェイズはスキップ…ターンエンドだ」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1000、手札:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 ATK100

 

VS

 

◆田中 LP:4000、手札:0枚。

 

<田中のフィールド>

モンスター無し

 

 スマンな田中。恨むなら白河クロトじゃなくてハノイの騎士を恨んでくれよ。

 

「私のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:1→2枚。

波動キャノン 現在ダメージ:0→1000

 

「私は手札より【八汰烏】を通常召喚!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 ATK100

八汰烏 ★2 ATK200

 

【八汰烏】

スピリットモンスター

星2/風属性/悪魔族/攻 200/守 100

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする。

 

 俺のフィールドに青黒い球体に乗った紫のカラスが現れる。

 

「攻撃力200…何だあの雑魚モンスターは?」

 

「更に【強欲な壺の精霊】を守備表示に変更!」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 ATK100→DEF100

八汰烏 ★2 ATK200

 

「そしてこのままバトルフェイスへ移行する!【八汰烏】で貴様にダイレクトアタック!」

 

八汰烏 ATK200

 

「ちっ!」

田中 LP:4000 → 3800

 

 紫のカラスが田中に飛び掛かり、鋭い嘴で田中を突く。地味に痛そう。

 

「この瞬間、【八汰烏】の効果発動!このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた場合、次の相手ターンのドローフェイズをスキップする!」

 

「…は?」

 

 これがいわゆるヤタロック。田中には、手札なし、フィールドにカード無し、墓地発動できるカード無し。

 これで終わりだよ。

 

「私はこのままターンエンド。そして八汰烏はスピリットモンスターの為、召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に手札に戻る」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 DEF100

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1000、手札:2枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 DEF100

 

VS

 

◆田中 LP:4000、手札:0枚。

 

<田中のフィールド>

モンスター無し

 

 

「…私のターン。…八汰烏の効果によりドローフェイズはスキップ。…ターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1000、手札:2枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

強欲な壺の精霊 ★1 DEF100

 

VS

 

◆田中 LP:4000、手札:0枚。

 

<田中のフィールド>

モンスター無し

 

 

 いやはや、本当にスマンな田中。

 

「私のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:2→3枚。

波動キャノン 現在ダメージ:1000→2000

 

「手札より魔法カード【デス・メテオ】発動!貴様のLPに1000ダメージを与える!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

【デス・メテオ】

通常魔法

相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

相手ライフが3000ポイント以下の場合このカードは発動できない。

 

「チェーンして伏せていた罠カード【メテオ・プロミネンス】を発動!手札を2枚墓地に送り、貴様のLPに2000ダメージを与える!」

ハノイ 手札:2→0枚。伏せカード:1→0枚。

 

【メテオ・プロミネンス】

通常罠

相手ライフが3000ポイントよりも多い場合、手札を2枚墓地へ送って発動する事ができる。相手ライフに2000ポイントダメージを与える。

このカードが墓地に存在する場合、自分のドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに、このカードを手札に加える事ができる。

 

チェーン②メテオ・プロミネンス

チェーン①デス・メテオ

 

「…」

田中 LP:3800→1800→800

 

「最後にフィールドの永続魔法【波動キャノン】効果発動!このカードを墓地に送り、貴様のLPに2000ダメージを与える!」

 

「…」

田中 LP:800→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「…」

 

 本気ですまんな田中。今度アイスでも奢るよ。

 俺は田中の顔を見ず、足早にその場を立ち去る。田中はその後もしばらく呆然としていたようだ。

 

~~~

 

 大会受付まで戻ってきた俺は、試合結果を受付のお姉さんに報告した。

 

「はい。結果はこちらも確認しております。本選参加おめでとうございます」

「あぁ」

 

 受付のお姉さんは引きつった笑顔で事務的な社交辞令を述べてくれた、少し凹む。

 

「ハノイの騎士さんは7歳とのことなので、もう一人の参加者と一緒で大会最年少ですね」

「そうか」

 

 もう一人の大会最年少とはコナミのことらしい。流石は主人公だな。

 

「先ほどの試合で大会予選は終了となります。大会本選は後日、別の会場で2日に分けて開催されます」

「あぁ。それは大会のチラシでも確認している」

「それは良かったです。本日はお疲れさまでした」

「うむ、サラバだ」

 

 受付のお姉さんは最後まで引きつった笑顔だった。

 それはさておき、何とか本戦までは勝ち残れたな。本選まで時間もあるし、デッキの見直しはしておくべきだな。このまま油断せずに行こう。




今回使用した主なOCG禁止カードは、悪名高いハンデス3種の神器、【処刑人マキュラ】(エラッタ前)、そして【八汰烏】。リミットレギュレーション無し、エラッタ無しとくれば、使いますよね。リアルで使うと交友関係に亀裂が入るでしょうが、ハノイの騎士だから問題なし!

現在、コナミ&オリ主が7歳。原作約8年前くらいですね。同級生の十代、翔、明日香、万丈目さん、三沢は同い年の7歳。亮と吹雪が2つ上の9歳。エドとティラノ剣山が十代の1つ下だったと思うので6歳。レイちゃんが5つ下の2歳(十代が1年生15~16歳の時に小学5年生10~11歳のはず)

次回の更新はは11/11 AM8:00予定です。

kubiwatuki様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 ハノイの騎士(偽)2

今作の自称ハノイの騎士(偽)の対戦相手は大体酷いデッキに出くわすので、1発限りのオリキャラが犠牲になることは仕方ないことでしょう。

6/23 表記を最新フォーマットに変更しました。


<アナザー視点>

 

 1週間前の大会予選で敗退した鈴木、佐藤、田中の三人は、鈴木の家に集まって大会本選のテレビ中継を見ていた。

 

「お、コナミじゃん。相変わらず赤い帽子とジャケット来てて分かりやすいな」

「周りにいるのは同じ孤児院の先輩たちみたいだね」

「…」

 

 ブラウン管のテレビ画面には、大会出場が決まっていたシード枠の選手の紹介が終わり、大会予選を突破した選手が紹介されていた。

 そしてそれら代表選手16人の中でも一際目立つ異色の少年が映される。

 

「あいつがハノイの騎士か」

「不気味な仮面に白一色のローブ。田中の言っていた通りだね」

「ハノイ…」

 

 テレビ画面をにらみつける田中。

 あの惨敗から1週間が経ち、多少は落ち着いたものの当時の無力感を思い出し、胸中穏やかにはいられなかった。

 

「気にするなって!デュエリストは負けるときもあるさ」

「そうそう」

 

 そんな田中を励ます鈴木と佐藤。その言葉に、落ち込んでいた田中の気持ちは随分と和らぐ。

 そんな中、代表選手全員の紹介が終わり、大会本選1戦目の試合が開始されようとしていた…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 ハノイスタイルで顔は隠れているとはいえ、大勢の人達の前に出るのは流石に緊張するな。

 前世ではありえなかった体験だし、元々目立ちすぎるのは好きじゃないんだよね。

 

「ハノイの騎士さん、本大会に対する意気込みを教えてください」

「優勝。それ以外にあるか?」

 

 小学校低学年の背丈しかないハノイスタイルのコスプレ変人が放つ不遜な物言いに、他参加者が不快感を示す。

 この格好をしていると何故か無意識に本来のハノイの騎士のロールプレイみたいな台詞やしぐさをしてしまう。

 

「生意気なガキが」

「ふん」

「泣かしてやる」

 

 案の定、ヘイトを稼ぐことに成功してしまったようだ。

 

~~~

 

 本戦の参加者は16人でトーナメント形式の勝ち抜き戦だ。つまり、4回勝ては優勝だ。

 参加者を見る限り、原作キャラはコナミと…約一名見覚えのある髪型の少年がいるな。

 

「それでは第一試合を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

 いきなり第一試合からで驚いていたが、その動揺を見せないように対戦コートに入る。

 対面するガラの悪そうな中学生くらいの少年には見覚えがない。

 ただ、先ほどの俺の発言がよほど気に入らなかったらしく、やる気満々のようだ。

 

「クソガキ!最初の脱落者にして赤っ恥をかかせてやるぜ!」

「ほう?やれるのならやってみるがいい。やれるのならな」

「舐めやがってぇ!」

 

「両者いい感じに盛り上がっていますね!それでは第一試合、開始して下さい。」

 

 大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「ボコボコにしてやるぜ!」

「対戦、よろしくお願いいたします。」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆少年 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻はオレが貰う。ドロー!」

少年 手札:5→6枚。

 

 先攻は取られてしまったか。

 

「オレは手札から【グレート・アンガス】を召喚!」

少年 手札:6→5枚。

 

赤みを帯びた筋肉隆々の体を持つ、怒り狂った表情の牛が現れる。

 

<少年のフィールド>

グレート・アンガス ★4 ATK 1800

 

【グレート・アンガス】

通常モンスター

星4/炎属性/獣族/攻1800/守 600

狂ったように暴れ続けている、非常に凶暴な獣。

おとなしい姿を見た者はいないと言う。

 

「更に!オレは手札から装備魔法【一角獣のホーン】発動!グレート・アンガスに装備する!」

少年 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚。

 

牛の頭に鋭く大きな角が生えてきた。

 

<少年のフィールド>

グレート・アンガス ★4 ATK 1800 → 2500

 

【一角獣のホーン】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は700アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

「伏せカードを2枚セットして、オレはターンエンド!」

少年 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆少年 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。装備魔法:1枚。

 

<少年のフィールド>

グレート・アンガス ★4 ATK2500

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 危ない、ほぼ手札事故だな…。でもこの手札なら、ギリギリでアレが狙えるか。

 

「私は手札より魔法カード【サイクロン】を2枚発動!貴様の伏せカード2枚を破壊する」

ハノイ 手札:6→5→4枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

「【援軍】と【落とし穴】が!」

少年 伏せカード:2→1→0枚。

 

 戦闘補助の罠カードと通常召喚に反応する罠カードか。

 魔法・罠カードへのカウンター罠はなくて助かったな。

 

「更に魔法カード【いたずら好きな双子悪魔】を発動!発動コストとしてLPを1000支払う!」

ハノイ LP:4000→3000、手札:4→3枚。

 

「その効果により貴様は手札を1枚はランダムに捨て、更に1枚を選択して捨てる。貴様の手札は2枚、つまり全て手札を捨てろ」

 

「ちっ、嫌な野郎だ」

少年 手札:2→0枚

 

「そして、LPを2000ポイント支払うことにより、手札より魔法カード【終焉のカウントダウン】発動」

ハノイ LP:3000→1000、手札:4→3枚。

 

【終焉のカウントダウン】

通常魔法

2000ライフポイントを払う。

発動ターンより20ターン後、自分はデュエルに勝利する。

 

「この効果により、発動ターンより20ターン後、私はデュエルに勝利する」

「はっ!そんなゴミカード何の役に立つ!20ターン経つ前にオレがお前に勝ってるよ!」

 

 そうだな。決着はもっと早いよ。

 

「私は手札より【昇霊術師 ジョウゲン】を通常召喚」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

 昇霊術師 ジョウゲン ★4 ATK 200

 

【昇霊術師 ジョウゲン】

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 200/守1300

手札をランダムに1枚墓地へ捨てて発動できる。

フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

お互いにモンスターを特殊召喚できない。

 

「このモンスターには2つの効果がある。1つ目は手札を1枚ランダムに墓地に捨てて、フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する効果」

「オレのモンスターは通常召喚モンスターだぞ?」

「2つ目の効果として、このカードがフィールド上に存在する限り、モンスターを特殊召喚できない」

「関係ないね」

 

「最後に私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

 昇霊術師 ジョウゲン ★4 ATK 200

 

VS

 

◆少年 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。装備魔法:1枚。

 

<少年のフィールド>

グレート・アンガス ★4 ATK2500

 

 

「ははっ!偉そうなことを言ってた割には大したことないな!そんな雑魚壁モンスターを攻撃表示とはよぉ?」

「…」

 

「…ちっ。俺のターン。ドロー!そのままメインフェイズだ」

少年 手札:0→1枚。

 

「私はこのタイミングで伏せていた罠カード【ラストバトル!】発動」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【ラストバトル!】

通常罠

自分のライフポイントが1000以下の場合、相手ターンにのみ発動する事ができる。

発動後、自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、そのモンスター以外のお互いの手札・フィールド上のカードを全て墓地へ送る。

その後、相手はデッキからモンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚し、自分が選択したモンスターと戦闘を行う。

この戦闘によって発生するお互いのプレイヤーへの戦闘ダメージは0になる。

このターンのエンドフェイズ時、どちらかのプレイヤーのみがモンスターをコントロールしていた場合、そのコントローラーはデュエルに勝利する。それ以外の場合は引き分けになる。

 

「このタイミングで罠カードだと?」

 

 効果が通ったか。勝ったな。

 

「ラストバトル!は、自分LPが1000以下の時、相手ターンに発動可能」

「面倒な条件だな」

「自分フィールド上モンスターを1体選び、他のお互いのフィールドと手札のカードを全て捨てる」

「…」

「その後、相手はデッキからモンスター1体を特殊召喚し、戦闘を行う。この際、プレイヤーへの戦闘ダメージは無視」

「…ん?」

 

 ふふっ、気付いたかな?

 

「ターン終了時にモンスターが残ったプレイヤーをデュエルの勝者とする。その他の場合は引き分けとする」

「おい、お前のフィールドのジョウゲンの効果って…」

「このカードがフィールド上に存在する限り、モンスターを特殊召喚できない。つまりお前はラストバトル!の効果でモンスターを特殊召喚できない」

「つまり…」

「貴様はモンスターを特殊召喚できず、バトルは発生しない。そして貴様の手札・フィールド・伏せカードは0枚。墓地のカードに発動できるものはない」

「はぁぁぁっ!?…くそっ!ターンエンドだ!」

 

「エンドフェイズ時、【ラストバトル!】の効果により、私がデュエルの勝者となる」

「ふざけんなぁぁぁ!」

 

 恨むならこのカードを作った製作者と、このコンボを考えた前世の人達に頼む。

 

「…はっ!デュエル終了!勝者、ハノイの騎士!」

 

 デュエルの合間に実況をしていた実況者が場の空気からいち早く復帰してデュエルの結果を発表する。流石はプロ。

 一方、同じように解説をしていたらしい解説者はまだ驚愕しているようだ。

 

 俺は唖然とする敗者の少年と会場の観客たちに背を向け、悠々と選手控室に戻っていった。

 選手控室が個室でよかった。本来は一般人の俺は、他人からの視線と罵倒なんかを浴びたら心がもたないかもしれないからな。




今回使用した禁止カードは【ラストバトル!】。

ジョウゲンなどで相手のモンスターの特殊召喚を封じなくても、クリッターなどで後続を確保したり、異次元の戦士などで両者モンスターを除外すると強制的に引き分けまで持っていけます。

アニメでも使われたカードだったと思いますが、エラッタでもされない限りは禁止カードから帰ってくることはないでしょうね。

次回の更新は11/14 AM8:00予定となります。

あんぴしりん様、四季式様、椎名真白様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 ハノイの騎士(偽)3

今回もオリ主と1発限りのオリキャラとのデュエルになります。

今回も禁止カード満載。そろそろ観客から「インチキ効果もいい加減にしろ」とか言われそうですね。

6/23 表記を最新フォーマットに変更しました。


<アナザー視点>

 

 大会本選のテレビ中継を見ていた鈴木、佐藤、田中は、準々決勝第1試合が始まる待ち時間の間に、先ほどまで行われていたデュエルを思い返していた。

 

「コナミの試合は迫力あって見応えあったよな!」

「【海】として扱う【アトランティス】と【海竜-ダイダロス】の組み合わせと効果はいつ見ても圧巻だね」

「あの二枚は厄介すぎる。アイツは何処であんなカードを拾ってきたんだ」

 

 コナミの水属性デッキのエース、【海竜-ダイダロス】は、フィールド魔法【海】を墓地に送ることで自身以外のカードを破壊するという強力なリセット効果を持ったモンスターカードである。

 ダイダロス自身の迫力も伴い、ソリットヴィジョンで見るその姿は少年たちの心を鷲掴みにしていた。

 

「真ん中くらいの試合で出てきた【サイバー・ドラゴン】ってのも格好良かったよな!」

「トラップカードで別形態に変化してバリアを貼ったりもしていましたね」

「デメリット無しで攻撃力2000超えの上級モンスターがノーコストで特殊召喚されることだけでも破格の性能だろう」

 

 コナミよりも2歳ほど年上に見える少年が繰り出していたのは機械の竜。

 この世界における子供のカードプールはおろか、大人でもなかなか入手できないであろうパワーカードだった。

 その性能に見合ったデザイン、その使い手のデュエルセンスにより、こちらも少年たちの心を熱くした。

 

「で、次の試合は…誰が出るんだっけ?」

「次は準々決勝第一試合ですから、トーナメント表を見るに…」

「…ハノイの騎士だな」

 

 苦虫を嚙み潰したような表情でつぶやく田中。だが、そこに嫌悪感のようなものは殆どなかった。

 

 先ほど話題に上がった2人ほどの派手さはないものの、変則的なデュエルを繰り広げるハノイの騎士。

 その戦い方は、今までモンスターでの殴り合いばかりを繰り返してきた少年たちにとっては未知との遭遇。

 ハノイの騎士は、少年たちにとって興味深いデュエリストの一人となりつつあった。自分が対戦したいかどうかは置いてだが。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 心を落ち着かせ、選手控室から会場に戻ってきた。

 残る本戦の参加者は8人。あと3回勝ては優勝だ。次からは準々決勝。その後の試合は明日に持ち越しだ。

 やっぱりコナミとサイバー流の少年は勝ち進んでいるみたいだ。流石は原作キャラたち。

 

「それでは準々決勝第一試合を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

 ハノイの騎士っぽく、まるで強そうな選手の様に堂々と対戦コートに入る。

 そこそこ大きめのドーム状の会場の中央、対戦コートにスポットライトが照らされる。

 

 今回の対戦相手は真面目そうな青年。大会参加者の紹介では他の地域からやってきた大学生らしい。

 ここまで勝ち上がってきただけあり、その顔には自分への自信が伺える。

 

「少年。ボクも優勝したいから、手加減はできないよ?」

「必要ない。貴様が何をしようとも私が勝つのでな」

「言ってくれるね!」

 

「両者の闘志がここまで届いてきそうな掛け合いです!それでは準々決勝第一試合、開始して下さい。」

 

 大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆大学生 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「僕は大人だからね。先攻は譲ってあげるよ」

「では遠慮なく」

 

 どうやら前回の俺のデュエルを見ていなかったらしい。後悔しないようにね。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 さっきまではいつものほぼ手札事故だったが、最初のドローで珍しく【強欲な壺】を引けた。これなら後はこのデッキに入っているパワーカードでいくらでも進んで行けそうだ。

 

「私は手札から【壺魔神】を通常召喚する!」

ハノイ 手札:6→5枚

 

<ハノイの騎士のフィールド>

壺魔神 ★3 ATK1200

 

【壺魔神】

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻1200/守1300

手札から「強欲な壺」1枚を墓地へ送る。自分のデッキからカードを3枚ドローする。

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】を墓地に送って【壺魔神】の効果を発動!私はデッキからカードを3枚ドローする!」

ハノイ 手札:5→4→7枚 墓地カード:0→1枚。

 

「私は手札から魔法カード【天使の施し】を発動!私はデッキからカードを3枚ドローして2枚を墓地に送る!」

ハノイ 手札:7→6→9→7枚 墓地カード:1→2→4枚。

 

 良し、来た!この時代には手札誘発が飛んでくることはほぼ無い。どんどん行かせてもらおうか!

 

「私は手札から永続魔法カード【王家の神殿】を発動!」

ハノイ 手札:7→6枚

 

【王家の神殿】※エラッタ前

永続魔法

このカードのコントローラーは、罠カードをセットしたターンでも発動できる。

また、自分のフィールド上のこのカードと「聖獣セルケト」を墓地へ送る事で、手札・デッキ・融合デッキからモンスターカードを1枚選択し、特殊召喚できる。

 

「そのカードは確か、数年前のバトルシティで使われた【聖獣セルケト】を生贄に捧げてモンスターを特殊召喚するカード!」

「その通り。だが今回私が使用する効果は、このカードのコントローラーは、罠カードをセットしたターンでも発動できる効果だ!」

「そんな効果もあったのか…」

 

 エラッタ前の【王家の神殿】の恐ろしさをたっぷり知るといい。

 

「私はカードを1枚伏せ、伏せた罠カード【強欲な瓶】発動!デッキからカードを1枚ドローする!」

ハノイ 手札:6→5→6枚 墓地カード:4→5枚。

 

【強欲な瓶】

通常罠

(1):自分はデッキから1枚ドローする。

 

「私はカードを1枚伏せ、伏せた罠カード【八汰烏の骸】発動!デッキからカードを1枚ドローする!」

ハノイ 手札:6→5→6枚 墓地カード:5→6枚。

 

【八汰烏の骸】

通常罠

次の効果から1つを選択して発動する。

●自分のデッキからカードを1枚ドローする。

●相手フィールド上にスピリットモンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

「私はカードを1枚伏せ、伏せたトラップカード【無謀な欲張り】発動!デッキからカードを2枚ドローする!その後の自分ドローフェイズは2回スキップされる」

ハノイ 手札:6→5→7枚、墓地カード:6→7枚。

 

【無謀な欲張り】

通常罠

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後の自分ドローフェイズは2回スキップされる。

 

「そんなデメリットのある罠カードを!?それ以前にも、1枚カードを使って1枚ドローするカードばかりを使って何を…」

 

 もう少ししたら分かるよ。長くて退屈だとと思うだろうけれど、すまないがもう少し待っていてくれ。すぐにこのデュエルを終わらせてあげるからさ。

 

「私は魔法カード【成金ゴブリン】を発動!デッキからカードを1枚ドローする!その後、相手は1000LPを回復する」

ハノイ 手札:7→6→7枚、墓地カード:7→8枚。

大学生 LP:4000→5000

 

【成金ゴブリン】

通常魔法

(1):自分はデッキから1枚ドローする。その後、相手は1000LP回復する。

 

「更に私は魔法カード【成金ゴブリン】を発動!デッキからカードを1枚ドローし、相手は1000LPを回復する」

ハノイ 手札:7→6→7枚、墓地カード:8→9枚。

大学生 LP:5000 → 6000

 

「馬鹿にしているのか!」

 

「私は魔法カード【強引な番兵】を発動!相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す」

ハノイ 手札:7→6枚、墓地カード:9→10枚。

 

【強引な番兵】

通常魔法

相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す。

 

「むっ…ほら、選びなよ」

 

<大学生の手札>

①マハー・ヴァイロ

②メテオストライク

③磁力の指輪

④執念の剣

⑤鎖付きブーメラン

 

 マハー・ヴァイロ軸の装備ビートか。…いやいやいや。

 初手の手札にマハーヴァイロと装備カード両方握ってるとか…油断ならないな。

 

「私は【マハー・ヴァイロ】を選択。デッキに戻してもらおうか」

 

「むむっ」

大学生 手札:5→4枚。

 

「私はカードを1枚伏せ、伏せた罠カード【針虫の巣窟】発動!自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る!」

ハノイ 手札:6→5枚、墓地カード:10→15枚。

 

【針虫の巣窟】

通常罠

(1):自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。

 

「っ!墓地にカードが15枚…まさか!」

 

 バトルシティのデュエルを知っているなら、このカードの存在にも気づくよな。

 でも遅い。準備完了。これでトドメだ。エラッタ前の理不尽なパワーカードの力を見るといい。

 

「私はカードを1枚伏せ、自分の墓地にカードが15枚以上ある時、1000ライフを払って伏せた罠カード【現世と冥界の逆転】発動する!」

ハノイ LP:4000→3000、手札:5→4枚

 

【現世と冥界の逆転】※エラッタ前

通常罠

自分の墓地にカードが15枚以上ある時、1000ライフを払い発動。

お互いに自分の墓地と自分のデッキのカードを全て入れ替える。

その際、墓地のカードはシャッフルしてデッキゾーンにセットする。

 

「くそっ!やられたっ!」

「お互いに自分の墓地と自分のデッキのカードを全て入れ替える。その際、墓地のカードはシャッフルしてデッキゾーンにセットする!」

 

ハノイ デッキ:20→15枚、墓地:15→20枚。

大学生 デッキ:36→0枚、墓地:0→36枚。

 

「私はこのままターンエンド」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

壺魔神 ★3 ATK1200

 

VS

 

◆大学生 LP:4000、手札:5枚。

 

 

 さぁ、デッキからカードを引くといい。引くカードがあればなぁ!

 

「…僕のターン。ドローフェイズ…負けました」

 

「対戦、ありがとうございました。」

「…対戦、ありがとうございました。」

 

「デュエル終了!勝者、ハノイの騎士!」

 

 デュエルの合間に実況をしていた実況者がデュエルの結果を発表する。流石はプロ。もうこのデュエルスピードに慣れたらしい。

 

「1ターンデッキ破壊…!?」

 

 一方、同じように解説をしていたらしい解説者はまだ驚愕しているようだ。早く慣れてくれ。

 

「まいったな。相手を侮っていたのは僕の方だったみたいだ」

「そうかもな」

 

 そそくさと選手控室に戻ろうとしていると、悔しそうだが晴れやかな表情の大学生が話しかけてきた。

 

「あんな戦術があったなんてね。いい勉強になったよ。機会があればまたデュエルしてくれるかい?」

「…機会があればな」

 

 性格イケメンな大学生が握手を求めてきたので応じてみた。照れくさいうえに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 俺自身が強いのではなく、カードパワーとそれらのコンボを考え付いた先人の力なのだ。ホント申し訳ない。

 

 こんな人の良さそうな人にハノイの騎士での鬼畜ロールプレイという失礼な態度を取ってしまった。

 自分の器の小ささが露呈したようで恥ずかしすぎる。早く控室に逃げたい。というか逃げた。

 

~~~

 

 ハノイの恰好のまま、選手控室で悶えていると、部屋のドアからノックが聞こえた。

 相手をするのが面倒なので無視していたが、延々とノックしてきたので渋々対応することにしたのだが…。

 

「なんだ、やっぱり居るんじゃないかクロト。準決勝出場おめでとう!」

 

 そこには普段からよく見る赤帽子&赤ジャケットの少年が、とんでもないセリフを吐きながら無邪気な笑顔で立っていた。




今回使用した主なOCG禁止カードは【現世と冥界の逆転】(エラッタ前)。

エラッタ前だと発動条件が「自分の墓地にカードが15枚以上ある時」なので、ドロー加速や墓地肥やしカードを乱発して先攻1ターン目で発動できると相手のデッキが無くなります。

オリ主は前世のカードと前世の知識が無ければ、デュエルの腕前は今回登場した大学生とほぼ変わらないレベルです。パワーカードを使用しなければ原作キャラにはほぼ勝てません。メンタルも強くないです。ハノイの変装は、動揺が顔や挙動に現れるのを隠す為でもあります。

ハノイの騎士に変装時はハノイの騎士になりきるいわゆるロールプレイ状態なので、若干ゲスいです。相手が同レベルくらいのゲスであれば調子に乗ってゲスプレイングを披露しますが、相手が性格イケメンだと途端に小物になります。

コナミ君にはオリ主の変装は最初から(大会予選から)バレていました。

次回の更新は11/14(土) AM9:00の予定です。

四季式様、まこちー様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 カイザー亮(幼)

ようやく原作キャラとのデュエルです。

幼少期の丸藤亮戦です。性格やら口調やらに違和感があった場合はご容赦を…。

また、今作に登場する遊戯王GX原作キャラは基本的にピンチ時にデスティニードローが発動します。オリ主は一般人なので出来ません。

6/24 表記を最新フォーマットに変更しました。


<アナザー視点>

 

「【赤き剣のライムンドス】を生贄に捧げ、【ジャッジ・マン】を召喚するぜ!」

 

 フィールドから赤き炎の剣を持った異形の戦士が姿を消し、青い仮面を付けて両手に棍棒を持った老戦士が姿を現す。

 

<鈴木のフィールド>

ジャッジ・マン ★6 ATK2200

 

【ジャッジ・マン】

通常モンスター

星6/地属性/戦士族/攻2200/守1500

勝ち負けのない勝負が嫌いな戦士。

こん棒の攻撃は強いぞ!

 

「なら僕は伏せカード【落とし穴】を発動!ジャッジマンを破壊するよ」

佐藤 伏せカード:2→1枚。

 

【落とし穴】

通常罠

(1):相手が攻撃力1000以上のモンスターの召喚・反転召喚に成功した時、そのモンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃力1000以上のモンスターを破壊する。

 

 老戦士は姿を現した瞬間、足元に空いた大きな穴に吸い込まれて消えていった…。

 

「ジャッジ・マァァァーン!」

「うるさいぞ鈴木。そろそろ大会の準決勝が始まるが、お前ら見なくていいのか?」

 

「「見る!」」

 

 大会準決勝開始までの時間まで時間潰しのためにデュエルしていた鈴木と佐藤だったが、田中の一声でデュエルを中断してテレビの前に集まった。

 

「準決勝は誰と誰が対戦するんだっけ?」

「ハノイの騎士とサイバードラゴンの人、コナミと…中年のオジサンだね」

「オッサンには悪いが、コナミが負けるとは思えんな」

 

 中年のおっさん、酷い言われようである。

 

「1回戦はハノイがよく分からん戦い方が勝つか、サイバードラゴンがごり押しするかだな」

「サイドデッキ10枚と入れ替えて、まったく別のデッキになってる可能性もあるよ」

「なんでもいい。私を満足させてくれよ?」

 

 すっかり調子を取り戻して変なポーズでキメ顔する田中を放置しつつ、鈴木と佐藤はテレビ画面を注視するのであった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 準々決勝を終えた翌日、同じ会場の同じ選手控室にてハノイの騎士こと白河クロトは試合開始時間を待っていた。

 昨日突然現れたコナミには一応ハノイの騎士の正体に対して口止めをしておいたが、正直不安が残る。何故バレたのか?と問うと「いや、分かるだろ?」という謎の答えが返ってきた。大会予選で直接対戦した田中にはバレている節はなかったので、原作主人公の直感という奴だろうか。

 そちらはもう気にしてもどうしようもないので、次の対戦相手のことを考えておこう。

 

 次の対戦相手はサイバー流の少年。選手紹介でも名前を呼ばれていたので間違いなくあの【丸藤亮】だろう。

 原作では幼少時に校長鮫島が師範を務めるサイバー流道場に通っていて、9歳で免許皆伝となっていたはず。俺やコナミが7歳で十代と同級生なら、2つ上の丸藤亮は現在9歳。もう免許皆伝じゃん。

 準々決勝までの試合を見る限り、原作の表サイバー流そのものを使ってくる可能性が高いな。「サイバー流積み込み」から初手ツインやエンドもありそうだ。怖すぎる。

 互いのデュエリストが全力を出しきることをよしとする「リスペクトデュエル」を信条としていたはずだ。だが、サイバー流を使ってLP4000制だとほぼ後攻1ターンキルになるだろ。このくらい防げないのが悪いという意味だろうか。

 彼なら先攻を譲ってくれそうなものだが、念には念を入れて昨日のうちにサイドデッキからカードを入れ替えてデッキは防御カードを盛ってある。先攻1ターンキル出来なかった場合に備えておく必要があるだろうしな。

 

 さて、もうこれ以上の対策はできなさそうだし、そろそろ会場に向かおう。

 

~~~

 

「それでは準決勝第一試合を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

 相手に舐められてないように自信満々を装って対戦コートに入る。スポットライトが照らされた対戦相手はどうみても丸藤亮だ。

 

「お互い全力を尽くした良いデュエルにしよう」

「あぁ、そうだな」

 

 冷静沈着ながら温厚な性格で優れた人格者、こんな性格イケメンを相手に威圧的なハノイスタイルは無理だ。俺はそこまで神経太くないんだ。一応、舐められないように口数少なめに返答しておく。恐らくあまり意味はない。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは準々決勝第一試合、開始して下さい」

 

 大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000

 

 

「先攻は譲るよ」

「では遠慮なく貰うとしよう」

 

 この時代のサイバー流でも後攻1キルが恐ろしい。油断はできないな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 うん、この手札じゃ先攻1ターンキルどころではないな。そもそもそう言ったコンセプトのデッキでもないから当然か。

 むしろ後攻1ターンキルされるのを防ぐ為と後の布石を打っておく為に手堅く動くか。

 

「私は魔法カード【押収】を発動。発動コストとしてLPを1000支払う!私は君の手札を確認し、その中からカードを1枚捨てさせてもらう」

ハノイ LP:4000 → 3000、手札:6→5枚。

 

 丸藤亮を相手に貴様とか言いづらい、と言うか無理。

 

「ボクの手札を?分かった」

 

<丸藤亮の手札>

①サイバー・ドラゴン

②サイバー・ドラゴン

③融合

④プロト・サイバー・ドラゴン

⑤強化支援メカ・ヘビーウェポン

 

 なぁにこれぇ。これは積み込みだろ。ほぼどれもヤバいカードじゃないか。

 【サイバー・ドラゴン】を戻しても2枚あるんじゃ次出てくるのは確定だろうし…。

 

「魔法カード【融合】を墓地に送ってくれ」

「あぁ」

丸藤亮 手札:5→4枚。

 

 丸藤が【融合】の魔法カードを墓地に送る。

 恐らく融合は3枚積みだろうけど、これで開幕サイバーエンドの恐怖は少し遠のいたかな。

 

「私はモンスターを裏側守備で伏せる」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

 

「私は更にカードを3枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:4→1枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3000、手札:1枚、伏せカード:3枚。デッキ:34枚。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:1枚。デッキ:35枚

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

丸藤亮 手札:4→5枚。デッキ:35→34枚

 

 そう言えば、幼少期は一人称が「ボク」なんだっけ。

 髪型はまんまだし、顔は青年時を幼くしただけのハンサム顔だから結構違和感あるなぁ。

 

「魔法カード【強欲な壺】を発動!ボクはデッキからカードを2枚ドローする!」

丸藤亮 手札:5→4→6枚、デッキ:34→32枚

 

「魔法カード【天使の施し】を発動!ボクはデッキからカードを3枚ドローして2枚を墓地に送る!」

丸藤亮 手札:6→5→8→6枚、デッキ:32→29枚

 

 やっぱりあるよな手札増強カード。俺も使ってたけどさ。

 だが、今回ばかりはそれが仇となるかもよ?

 

「手札より速攻魔法【サイクロン】を発動。君の伏せカードを破壊する」

丸藤亮 手札:6→5枚

 

「むっ、ミラーフォースが割られたか」

ハノイ 伏せカード:3→2

 

 ミラフォだから仕方ないか。

 

「ミラーフォースか。厄介なカードを除去できたな」

「ホントだよ」

 

「ボクは。【サイバー・ドラゴン】を自身の効果で特殊召喚!」

丸藤亮 手札:5→4枚

 

 フィールドに手足のない長い体に背ビレと髭を携えた、全身銀色の美しい機械竜が現れる。

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2100

 

【サイバー・ドラゴン】

効果モンスター

星5/光属性/機械族/攻2100/守1600

(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

 来たな。融合はするなよ?振りじゃないぞ?融合はするなよ?

 

「更に手札から【強化支援メカ・ヘビーウェポン】を通常召喚!そして効果発動!このモンスターをサイバー・ドラゴンに装備する」

丸藤亮 手札:4→3枚

 

 赤と黒の塗装が施された戦闘機が現れ、サイバー・ドラゴンの背に装着される。

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK 2100 → 2600

 

【強化支援メカ・ヘビーウェポン】

ユニオン・効果モンスター

星3/闇属性/機械族/攻 500/守 500

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの機械族モンスター1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

 

 ユニオンモンスターは他モンスターに装備することで、装備したモンスターに効果を与えることができる。

 俺の残りの伏せカードを警戒して破壊耐性を付与してきたのか。

 

「バトルフェイズに移行!サイバー・ドラゴンで伏せモンスターに攻撃!エヴォリューション・バースト!」

 

 機械竜から激しい稲光が放出され、俺のフィールドの裏側守備モンスターを襲う!

 

「私は伏せカード【和睦の使者】を発動!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。

 

【和睦の使者】

通常罠

(1):このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

「そして、私の伏せモンスターは【メタモルポット】だ」

 

茶色の壺の中心にある黒一色の部分に目のみある不気味なモンスターが現れる。

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

 

【メタモルポット】

リバース・効果モンスター

星2/地属性/岩石族/攻 700/守 600

(1):このカードがリバースした場合に発動する。お互いの手札を全て捨てる。その後、お互いはデッキから5枚ドローする。

 

「戦闘によりリバースして効果発動!効果によりお互いは手札を捨てて、新たに5枚ドローする」

ハノイ 手札:1→0→5枚、デッキ:34→29枚

丸藤亮 手札:3→0→5枚、デッキ:29→24枚

 

「【和睦の使者】の効果で【メタモルポット】は破壊できずか。ならボクはカードを2枚セットしてターンエンド」

丸藤亮 手札:5→3枚、伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3000、手札:5枚、伏せカード:1枚。デッキ:29枚。

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。装備カード:1枚。デッキ:24枚

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2600

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚、デッキ:29→28枚

 

「私はモンスターを裏側守備表示で伏せる」

ハノイ 手札:6→5枚

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

裏側守備モンスター

 

「更にカードを3枚伏せてターンエンドだ」

ハノイ 手札:5→2枚、伏せカード:1→4枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3000、手札:2枚、伏せカード:4枚。デッキ:28枚。

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

裏側守備モンスター

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。装備カード:1枚。デッキ:24枚

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2600

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

丸藤亮 手札:3→4枚。デッキ:24→23枚

 

「この瞬間、私は伏せカード【ダスト・シュート】発動!相手の手札を確認してモンスターカード1枚を選択し、そのカードを持ち主のデッキに戻す!」

ハノイ 伏せカード:4→3枚。

 

【ダスト・シュート】

通常罠

相手の手札が4枚以上の場合に発動する事ができる。

相手の手札を確認してモンスターカード1枚を選択し、そのカードを持ち主のデッキに戻す。

 

「分かった」

 

<丸藤亮の手札>

①プロト・サイバー・ドラゴン

②タイムカプセル

③融合

④サイバー・フェニックス

 

 引きが強すぎる。サイバー・ドラゴン関連を握りすぎだろ…。

 

「私は【プロト・サイバー・ドラゴン】を選択。デッキに戻してくれ」

「あぁ」

丸藤亮 手札:4→3枚、デッキ:23→24枚

 

「手札より魔法カード【タイムカプセル】を発動。ボクはデッキからこのカードを裏側表示でゲームから除外する。【タイムカプセル】発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、除外したカードを手札に加える」

丸藤亮 デッキ:24→23枚

 

【タイムカプセル】

通常魔法

自分のデッキからカードを1枚選択し、裏側表示でゲームから除外する。

発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを破壊し、そのカードを手札に加える。

 

 アニメでもよく使っていたサーチカードだな。除外したカードはパワー・ボンドか融合ってところか。

 

「バトルフェイズに移行!サイバー・ドラゴンで…」

 

「この瞬間、私は伏せカード【マインドクラッシュ】発動!宣言するカードは【融合】!宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる」

ハノイ 伏せカード:3→2枚。

 

【マインドクラッシュ】

通常罠

(1):カード名を1つ宣言して発動できる。

宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる。

宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚選んで捨てる。

 

 手札にあることはさっきの【ダスト・シュート】で確認しているから確実にあるんだけどな。

 

「…手札にある【融合】を墓地に捨てる」

丸藤亮 手札:3→2枚

 

 これで【融合】は2枚墓地に落ちた。

 恐らくデッキにあと1枚あるだろうな。それと【パワー・ボンド】か。

 

「バトルフェイズに移行!【サイバー・ドラゴン】で【メタモルポット】に攻撃!エヴォリューション・バースト!」

 

「この瞬間、私は伏せていた永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】を発動!この効果でレベル5の【サイバー・ドラゴン】は攻撃できない!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】

永続罠

フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない。

 

 機械竜は水色の半透明な球体に包まれ、その上から緑色の網に捕らわれる。

 

「くっ!…ターンエンド」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3000、手札:2枚、伏せカード:1枚。永続罠:1枚。デッキ:28枚。

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

裏側守備モンスター

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。装備カード:1枚。タイムカプセル:1枚。デッキ:23枚

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2600

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:2→3枚、デッキ:28→27枚

 

「私は手札より【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

ハノイ 手札:3→2→4枚、デッキ:27→25枚

 

「私はフィールドの伏せモンスター【カオスポッド】を反転召喚!リバースして効果発動!」

 

<ハノイのフィールド>

メタモルポット ★2 DEF 600

カオスポッド ★3 ATK800

 

【カオスポッド】

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻 800/守 700

リバース:フィールド上のモンスターを全て持ち主のデッキに加えてシャッフルする。

その後、お互いのプレイヤーはそれぞれのデッキに加えた数と同じ数のモンスターが出るまでデッキをめくり、その中からレベル4以下のモンスターを全て裏側守備表示で特殊召喚する。それ以外のめくったカードは全て墓地へ捨てる。

 

「フィールド上のモンスターを全て持ち主のデッキに加えてシャッフル」

「!?」

 

 俺のモンスター2体と丸藤のサイバー・ドラゴンがデッキに戻る。

 ユニオンモンスター【強化支援メカ・ヘビーウェポン】は今は装備カード扱いだ。そのまま墓地に送られる。

 

「その後、お互いのプレイヤーはそれぞれのデッキに加えた数と同じ数のモンスターが出るまでデッキをめくり、その中からレベル4以下のモンスターを全て裏側守備表示で特殊召喚する。それ以外のめくったカードは全て墓地へ捨てる」

 

 俺は3枚めくってフィールドに2体のモンスターを裏側守備表示で特殊召喚した。

 良いモンスターを引けたな。

 

ハノイ デッキ:25→22枚

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

裏側守備モンスター

 

 丸藤は3枚めくって1体のモンスターを裏側守備表示で特殊召喚した。

 彼のデッキにリバース効果モンスターは居ないと思うが…どんなモンスターだろう。

 

丸藤亮 デッキ:23→20枚

 

<丸藤亮のフィールド>

裏側守備モンスター

 

 さて、準備は大体整ったな。

 そろそろ本格的に仕掛けていこうじゃないか。

 

「私は手札より【太陽の書】を発動!選択したフィールドの伏せモンスター【ニードルワーム】を反転召喚する!」

ハノイ 手札:4→3枚

 

【太陽の書】

通常魔法

フィールド上に裏側表示で存在するモンスター1体を選択し、表側攻撃表示にする。

 

フィールドに不気味なピンクの芋虫が現れる。

 

<ハノイのフィールド>

ニードルワーム ★2 ATK 750

裏側守備モンスター

 

【ニードルワーム】 効果モンスター

星2/地属性/昆虫族/攻 750/守 600

リバース:相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ捨てる。

 

「リバースした【ニードルワーム】の効果発動!相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ捨てる!」

 

 フィールドにピンクの芋虫が現れ、相手のデッキに食らいつき、デッキからカードを墓地に送っていく。

丸藤亮 デッキ:20→15枚

 

「こちらのデッキ枚数を減らす?これは…この戦術は…」

 

「私は手札より【月読命】を通常召喚。そして効果発動!【ニードルワーム】を裏側守備表示にする!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

 フィールドに何処か儚い印象を与える、髪の長い美人が現れ、ニードルワームが姿を消す。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

裏側守備モンスター

月読命 ★4 ATK 1100

 

【月読命】

スピリット・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1400

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚・リバースした場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを裏側守備表示にする。

(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

「やはりこれは…デッキ破壊!?」

 

 気付いたな。だがもう遅い!

 

「私はカードを1枚伏せて、伏せカード【砂漠の光】発動!自分フィールド上に存在するモンスターを全て表側守備表示にする!」

ハノイ 手札:2→1枚、伏せカード:1→2→1枚。

 

 先ほど裏側守備となった【ニードルワーム】が再びリバースされてその姿を現す。

 更にもう一枚の裏側守備モンスターがリバースされ、【メタモルポット】がその姿を現す。

 

<ハノイのフィールド>

ニードルワーム ★2 DEF 600

メタモルポット ★2 DEF 600

月読命 ★4 ATK 1100

 

「伏せモンスター2体は【ニードルワーム】と【メタモルポット】!それぞれのリバース効果が発動する!」

 

チェーン②ニードルワーム

チェーン①メタモルポット

 

 先日の試合とは違い、露骨にデッキ破壊を狙いに行く動きを避けたからな。

 今気づいたとしてもここまで進行すれば、いくら丸藤亮でもこの流れは止められまい!

 

「【ニードルワーム】の効果により、相手のデッキの上からカードを5枚墓地へ捨てる!」

 

「…だ。…けたくない」

丸藤亮 デッキ:15→10枚

 

「更に【メタモルポット】の効果によりお互いは手札を捨てて、新たに5枚ドローする!」

 

ハノイ 手札:1→0→5枚、デッキ:22→17枚

丸藤亮 手札:2→0→5枚、デッキ:10→5枚

 

「決めさせてもらう!先ほど伏せた魔法カード【手札抹殺】発動!手札を全て捨て、その後、捨てた枚数分デッキからドローする!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

「そちらの手札は5枚!デッキ残数も5枚!これでトドメだ!」

 

「負けたくないっ!」

「!?」

 

「リバースカードオープン!【サンダーブレイク】発動!手札を1枚捨て、フィールドの【月読命】を破壊する!」

丸藤 手札:5→4枚、伏せカード:2→1枚。

 

【サンダー・ブレイク】

通常罠

(1):手札を1枚捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する

 

「な、何ぃ!?」

 

チェーン②サンダーブレイク

チェーン①手札抹殺

 

 雷撃に撃たれ、月読命は破壊されて消滅する。

 

<ハノイのフィールド>

ニードルワーム ★2 DEF 600

メタモルポット ★2 DEF 600

 

 サンダーブレイク!?そんなカード入ってたのかよ!

 はっ!…マズい!丸藤の手札が減って4枚になるからドローする数も…。

 

ハノイ 手札:5→0→5枚、デッキ:17→12枚

丸藤亮 手札:4→0→4枚、デッキ:5→1枚

 

「カードを4枚伏せて…ターンエンド」

ハノイ 手札:5→1枚、伏せカード:0→4枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3000、手札:1枚、伏せカード:4枚。永続罠:1枚。デッキ:12枚。

 

<ハノイのフィールド>

ニードルワーム ★2 DEF 600

メタモルポット ★2 DEF 600

 

VS

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:4枚。伏せカード:1枚。タイムカプセル:1枚。デッキ:1枚

 

<丸藤亮のフィールド>

裏側守備モンスター

 

 

 やばいやばいやばい!デッキに1枚残してしまった!調子に乗ってたせいで最後の1枚を落とすカードがなかった!

 グラヴィティバインドもあるし、【メタモルポット】も【ニードルワーム】も守備表示だが、相手には手札が4枚もある!

 表サイバーの火力なら一撃逆転もあるじゃん!

 

「オレの!タァァァーン!ドロォォォー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!!」

丸藤 手札:4→5枚。デッキ:1→0枚

 

 一人称も「オレ」になってるよ!?これは本当にヤバい奴じゃん!デッキの最後の1枚が無くなってもう後がない状況とか、主人公側の逆転劇が始まりそうな展開じゃん!

 きっと画面の向こうがあったなら丸藤側の勝ちBGMが流れ始めてるよ!

 

「手札より魔法カード【大嵐】発動!フィールド全ての魔法・罠カードを破壊する!!」

丸藤 手札:5→4枚

 

【大嵐】

通常魔法

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「させるか!私はチェーンして伏せていたカウンター罠【神の宣告】発動!LPを半分払い、【大嵐】の発動を無効にし破壊する!」

ハノイ LP3000→1500、伏せカード:4→3枚。

 

【神の宣告】

カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 

「オレもチェーンして伏せていたカウンタートラップ【神の宣告】発動!LPを半分払い、そちらの【神の宣告】の発動を無効にし破壊する!!」

丸藤 LP4000→2000、伏せカード:1→0枚。

 

 げっ!俺と同じ【神の宣告】!?他のカウンター罠は…【盗賊の七つ道具】とかは…しまった!墓地に沈んでる!【大嵐】が発動してしまう!!

 

チェーン③神の宣告

チェーン②神の宣告

チェーン①大嵐

 

 丸藤の神の宣告により、俺の髪の宣告が無効化&破壊され、大嵐の効果によりお互いのフィールドの魔法罠は破壊されて墓地に送られる。

 

丸藤亮 手札:4枚、伏せカード:0、タイムカプセル:1→0枚。

ハノイ 手札:1枚、伏せカード:3→0枚。

 

 【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】が…!ついでに【魔法の筒】と【炸裂装甲】と【次元幽閉】が!全部墓地に流されてしまった!

 やはり攻撃反応型トラップはイマイチ信用できない…。

 

「手札より魔法カード【死者蘇生】発動!墓地の【サイバー・ドラゴン】1体を蘇生させる!」

丸藤 手札:4→3枚

 

【死者蘇生】

通常魔法

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

 フィールドに墓地より蘇った機械竜、【サイバー・ドラゴン】が現れる。

 

<丸藤亮のフィールド>

裏側守備モンスター

サイバー・ドラゴン ★5 ATK 2100

 

「手札より【プロト・サイバー・ドラゴン】を通常召喚!このカードのカード名は、フィールド上に表側表示で存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う!」

丸藤 手札:3→2枚

 

フィールドに黒ずんた小型の機械竜が現れる。

 

<丸藤亮のフィールド>

裏側守備モンスター

サイバー・ドラゴン ★5 ATK 2100

プロト・サイバー・ドラゴン ★3 ATK 1100

 

【プロト・サイバー・ドラゴン】

効果モンスター

星3/光属性/機械族/攻1100/守 600

このカードのカード名は、フィールド上に表側表示で存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う。

 

「更にフィールドの伏せモンスター【プロト・サイバー・ドラゴン】を反転召喚!!」

 

フィールドに2体目の黒ずんた小型の機械竜が現れる。

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK 2100

プロト・サイバー・ドラゴン ★3 ATK 1100

プロト・サイバー・ドラゴン ★3 ATK 1100

 

 カオスポッドで呼び出したモンスターもプロト・サイバー・ドラゴンかよ!だが、このまま総攻撃を受けても、ギリギリこちらのLPは残る。

 ならこれは、出てくるよな。ツインだと2回攻撃だが俺の壁モンスター2体に攻撃するだけで終わる。ならば…。

 

「オレは手札より魔法カード【パワー・ボンド】発動!この効果で融合召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする!」

丸藤 手札:2→1枚

 

【パワー・ボンド】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、

機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。

このカードを発動したターンのエンドフェイズに自分はこの効果でアップした数値分のダメージを受ける。

 

 ちぃ!タイムカプセルで除外したのはパワー・ボンドではなかったのか!

 

「オレはフィールドの【サイバー・ドラゴン】1体とフィールドの【プロト・サイバー・ドラゴン】2体を融合!現れよ!【サイバー・エンド・ドラゴン】!!」

 

 三体の機械竜が交わり、巨大な三つ首の機械竜が現れ、【パワー・ボンド】の効果で更に巨大化する!

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK 4000→8000

 

【サイバー・エンド・ドラゴン】

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻4000/守2800

「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」+「サイバー・ドラゴン」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

 貫通効果を持った攻撃力4000オーバーの脳筋!LP:4000制で出ていいモンスターじゃないだろ!

 

「手札より速攻魔法【リミッター解除】発動!自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる!」

丸藤 手札:1→0枚

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK 8000→16000

 

【リミッター解除】

速攻魔法

(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

 元々大きいサイバー・エンド・ドラゴンが更にドンドン膨れ上がり、会場ギリギリのサイズになる。

 

「バトルフェイズに移行!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【メタモルポット】に攻撃!!エターナル・エヴォリューション・バースト!!!」

 

 何という威圧感。これが攻撃力1万オーバーの迫力か…!

 

「オレの【サイバー・エンド・ドラゴン】の攻撃力は16000!お前の【メタモルポット】の守備力は600!!その差15400のダメージを受けろ!これで終わりだ!!」

 

 はっ!終わらねえよ!

 

「私は手札より【クリボー】の効果発動!相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる!」

ハノイ 手札:1→0枚

 

【クリボー】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200

(1):相手モンスターの攻撃で自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にする。

 

「!!」

 

 三つ首の機械竜が放つ銀色の閃光は、茶色の壺に直撃し、壺は跡形も残らずに消え去る。

 だが、俺の前に出現した黒い毛玉モンスターによりその余波は俺には届かない。

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK16000

vs

メタモルポット DEF 600 ※戦闘破壊

 

 危なかった…最後の手札が装備魔法の【エターナル・エヴォリューション・バースト】なら負けていたな…。

 

「くぅっ!…ターンエンド。エンドフェイズ時にオレは【パワー・ボンド】の効果でアップした数値分のダメージを受ける…」

丸藤 LP2000→0

 

「対戦、ありがとうございました」

「…対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

「デュエル終了!勝者、ハノイの騎士!」

 

 デュエルの合間に実況をしていた実況者がデュエルの結果を発表する。流石はプロ。どんなデュエルにも対応するその胆力は流石の一言だ。

 

「攻撃力16000!これはデュエル史上最高の数値なのでは!!」

 

 一方、同じように解説をしていたらしい解説者はまだ興奮しているようだ。コイツいる?

 

「いいデュエルだった。こんなデュエルは初めてだ。オレも持てる全力を出せたと思う」

「そうか」

 

 この強さでまだ成長途中の10歳未満とか、怖すぎる。将来きっと彼に敗れる日が来るだろう。

 チートオリ主なのに負けるとか、情けなさ過ぎて認めたくないなぁ。

 

「ただ、負けたのは悔しいな。負けるのがこんなに悔しいなんて知らなかった。悔しいなぁ…」

「勝ち負けは勝負しているんだから当然ついてくる。次は勝てるようにすればいいんだよ」

 

 滅茶苦茶偉そうなことを言っているが、俺も先ほどまでは負けそうな状況にヒヤヒヤだったんだよなぁ。

 こうやってたまに負けることで、闇堕ちヘルカイザー状態にならずに済むといいんだけど…。

 

「またデュエルをしよう。ハノイの騎士。そして次はオレが勝つ!」

「あぁ、喜んで」

 

 爽やかな笑顔で握手を求めてきたので応じてみた。握手はいつしても慣れない。照れくさい。

 そして今回の件は俺の心に深く刻んだことがある。原作キャラは追い詰めると後が怖い。

 あと、ちゃんと【超電磁タートル】は入れておこう。




オリ主はデュエリストの腕前はあくまで一般人の為、毎回1ターンキルできる手札を引き込むことができません。なので今回は、ハンデスにより表サイバーの主力であるサイバードラゴンの融合を阻止すること、そして防御カードで時間を稼いで気付かれる前に一気にデッキ破壊を決める戦術を取りました。セコいのではなく、慎重なのです。なお…。

カオスポッド、メタモルポット、月読命、押収、とかなりのパワーカードを使ってこの様です。オリ主君さぁ…。

最後、ギリギリの勝利となりましたが、最後の一体はサイバーエンド(ATK16000貫通)ではなく、プロトサイバー×2でサイバーツイン(パワボン)を出し、サイバーツインと蘇生したサイバードラゴンでリミッター解除してサンレンダァすれば、オリ主は消し炭になっていました。

今回、手札に都合よくクリボーが居ましたが、更に墓地に都合よくネクロガードナーが2枚落ちているような運命力はオリ主にはありません。超電磁タートルはオリ主が「流石に強すぎるかな?」と思って入れていませんでした。

丸藤亮の使用カードは【サンダーブレイク】【大嵐】【神の宣告】以外は原作アニメで使用、または所持していたカードに収まっていたと思います。ヘルカイザー時代のカードも含めた場合だと、デッキ破壊=墓地肥やしとなるため、オリ主は惨敗だったでしょうね。

次回の更新は11/18(水) AM8:00の予定です。


マクロ様、戦車様、kubiwatuki様、四季式様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 赤帽子2

コナミとの再戦です。

デュエル狂人と言えそうな彼が、約一年半の間、同レベルでデュエルができる人間がいて、カードも拾ってデッキ強化できる環境に居れば…。

6/25 表記を最新フォーマットに変更しました。


<アナザー視点>

 

 大会決勝戦が開始されるまでまであと数分。

 

「とうとう大会も決勝戦だな」

「だね」

「そのセリフはもう三回目だぞ」

 

 知り合いが出場することもあって、鈴木、佐藤、田中はそわそわして落ち着かない様子だった。

 

「対戦カードはハノイとコナミだよな」

「コナミってそんなに強かったんだな」

「クロトと同じくらいだと思っていたな」

 

 実際、白河クロトと赤羽コナミの最近の戦歴は半々くらいである。

 

 コナミが新たなカードを拾ってデッキを強化してクロトに勝利した場合、クロトは新たに『この時代では強すぎるか?』と思っていたカードを解禁してデッキを強化してコナミに勝利する。

 そしてまたコナミが…と言うループが彼らの中で形成されている為、彼ら2人は同じ学校の中ではとびぬけて強い2人となっている。

 

「そう言えば、クロトは会場にいるんだよな?」

「そのはずだよ。コナミの応援に行っているはず」

「会場にいるからって画面に映るとは限らないだろ」

 

 『一人だけ会場で生の試合を見れるのが羨ましい』と口に出すのは何となく悔しい3人。

 それ以上何も言わず、テレビモニタから決勝戦開始の合図を聞いていた…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 ついに決勝戦か。ギリギリ戦いだった先ほどの準決勝での疲労は何とか回復出来ている。

 対戦相手はコナミ。良く知る相手であるが、それは正体がバレている以上、向こうも同じ条件だろう。

 

 今回のアイツのデッキは水属性特化、その中でも【伝説の都 アトランティス】によるビートダウンデッキだ。

 ただ、除去カードや妨害カードもある程度は積んでいたはずなので、コンボカードを止められる可能性は高い。

 一撃必殺ではなく、連撃を心がけよう。

 

「それでは決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

 正体がバレている相手に虚勢を張っても仕方ない。悠々と対戦コートに入ることにしよう。

 スポットライトが照らされた対戦相手は満面の笑顔を浮かべたコナミ。コイツに関しては今更語ることもないだろう。

 ここで負けるわけにはいかない。死力を尽くそう。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい!」

 

 大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【アトランティスの戦士】を墓地に捨てて効果発動!デッキから【伝説の都 アトランティス】1枚を手札に加える!」

コナミ 手札:6→5→6枚。

 

【アトランティスの戦士】

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻1900/守1200

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「伝説の都 アトランティス」1枚を手札に加える。

 

 早速か。相変わらず驚異のドロー力だな。

 

「そして手札からフィールド魔法【伝説の都 アトランティス】を発動!」

コナミ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

 会場全体が水で覆われ、その中心に空想上の伝説の都が出現する。

 

【伝説の都 アトランティス】

フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

 【伝説の都 アトランティス】に備わっている攻守アップはオマケみたいなものだ。

 厄介なのは「海」として扱う効果とレベルを下げる効果、どちらも使い方によっては厳しい戦いを強いられそうだ。

 

「オレはモンスターを裏側守備でセット!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<コナミのフィールド>

裏側守備モンスター

 

「更にカードを2枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

裏側守備モンスター

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 まずは厄介なフィールド魔法と伏せカードを諸共消す!

 

「私は手札から【大嵐】を発動!フィールド全ての魔法・罠カードを破壊する!」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

【大嵐】

通常魔法

(1):フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「リバースカードオープン!カウンター罠【魔宮の賄賂】発動!【大嵐】の発動を無効にして破壊し、相手はデッキから1枚ドローする」

コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【魔宮の賄賂】

カウンター罠

(1):相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。相手はデッキから1枚ドローする。

 

チェーン②魔宮の賄賂

チェーン①大嵐 ※効果無効化

 

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 流石に防がれたか。なら次の手を打つ!

 

「私は手札から【苦渋の選択】を発動!さぁ、この5枚から好きなカードを選ぶといい!」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

【苦渋の選択】

通常魔法

自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。相手はその中から1枚を選択する。

相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。

 

<ハノイが選択したカード>

①キラー・スネーク

②キラー・スネーク

③キラー・スネーク

④クリッター

⑤黒き森のウィッチ

 

 カーッ!辛いわー!相手に1枚選ばせるなんて辛いわー!(棒読み)

 

「どう考えてもオレが苦渋の選択を強いられているじゃないか!全く…オレは【クリッター】を選択する!」

 

「ならば私はデッキから【クリッター】を手札に加え、他のカードをデッキから墓地に送る」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「そして墓地に送られた【黒き森のウィッチ】の効果発動!私は【魔導サイエンティスト】を手札に加える!」

ハノイ 手札:6→7枚。

 

【黒き森のウィッチ】※エラッタ前

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1200

このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。

 

 エラッタ前の【キラー・スネーク】、【クリッター】、【黒き森のウィッチ】の性能はぶっ壊れすぎだな。

 

「私は手札から【名推理】を発動!さぁ、レベルを選ぶといい!」

ハノイ 手札:7→6枚。

 

【名推理】

通常魔法

(1):相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。

通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。

違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

「やなこった!リバースカードオープン!カウンタートラップ【マジック・ドレイン】発動!【名推理】の発動を無効にして破壊する!」

コナミ 伏せカード:1→0枚

 

【マジック・ドレイン】

カウンター罠

相手が魔法カードを発動した時に発動する事ができる。

相手は手札から魔法カード1枚を捨ててこのカードの効果を無効にする事ができる。

捨てなかった場合、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

「ただ、手札から魔法カード1枚を捨ててこのカードの効果を無効にする事ができるぞ」

「私は【マジック・ドレイン】の効果を…無効化しない」

 

チェーン②マジック・ドレイン

チェーン①名推理

 

 さっき【苦渋の選択】を発動した時、何か考えているように見えたけど、防ぐか迷っていたわけか。

 どちらも厄介なカードだから仕方ないな。

 

「まだまだ行くぞ!私は手札から永続魔法【王家の神殿】を発動!」

ハノイ 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【王家の神殿】※エラッタ前

永続魔法

このカードのコントローラーは、罠カードをセットしたターンでも発動できる。

また、自分のフィールド上のこのカードと「聖獣セルケト」を墓地へ送る事で、手札・デッキ・融合デッキからモンスターカードを1枚選択し、特殊召喚できる。

 

「私はカードをセットして、【王家の神殿】の効果により今伏せた永続罠【血の代償】を発動する!」

ハノイ 手札:5→4枚。永続罠:0→1枚。

 

【血の代償】※エラッタ前

永続罠

1体につき500ライフポイントを支払うことで、通常の召喚とは別にモンスターを召喚できる。

 

 使っていてお前が言うなと言われそうだが、どちらも早くエラッタした方がいいと思うな。

 今の環境でもそこそこ悪さできるし、今後カードプールが充実して来たら間違いなく暴れ回るカードだぞ。

 

「私は手札より【キャノン・ソルジャー】を通常召喚!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

 フィールドに大砲を背負った機械兵士が姿を現す。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

キャノン・ソルジャー ★4 ATK 1400

クリッター ★3 ATK 1000

 

【キャノン・ソルジャー】

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1400/守1300

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事で、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

「更に【血の代償】の効果により【クリッター】を召喚!」

ハノイ LP:4000→3500、手札:3→2枚。

 

 フィールドに毛玉に包まれた三つ目の悪魔が姿を現す。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

キャノン・ソルジャー ★4 ATK 1400

クリッター ★3 ATK 1000

 

【クリッター】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

このカードが墓地におかれた時、自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、デッキを切り直す。

 

「【キャノン・ソルジャー】の効果発動!私は【クリッター】をリリースして相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

キャノン・ソルジャー ★4 ATK 1400

 

「その効果にチェーンして、オレは手札の【ハネワタ】を墓地に送って効果発動!このターン自分が受ける効果ダメージを0にする!」

コナミ 手札:2→1枚

 

【ハネワタ】

チューナー・効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 200/守 300

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「なん…だと…!?」

 

チェーン②ハネワタ

チェーン①キャノン・ソルジャー

 

 おぃぃぃ!ハネワタってチューナーモンスターじゃないか!お前そのカードを何処で拾ってきたんだよ!!

 何にしても、このターンでの効果ダメージは無効化されたか。なら次の布石だ。

 

「【クリッター】が墓地に送られたことにより効果発動!私はデッキから【カタパルト・タートル】を手札に加える!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「バトルフェイズに移行!【キャノン・ソルジャー】で裏側守備モンスターに攻撃!」

 

「掛かったな!伏せモンスターは【ペンギン・ナイトメア】だ!」

「ちっ!」

 

 フィールドにシルクハットをかぶった邪悪そうなペンギンが姿を現す。

 

<コナミのフィールド>

ペンギン・ナイトメア ★4→3 DEF 1800→2000

 

【ペンギン・ナイトメア】

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻 900/守1800

このカードがリバースした時、相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。

また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の水属性モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。

 

キャノン・ソルジャー ATK 1400

vs

ペンギン・ナイトメア DEF 2000

 

「【キャノン・ソルジャー】の攻撃力は1400、【ペンギン・ナイトメア】の守備力は2000。その差分600ダメージを受ける」

ハノイ LP:3500 → 2900

 

「そしてオレはリバースした【ペンギン・ナイトメア】の効果発動!対象は【キャノン・ソルジャー】だ!手札に戻ってもらう!」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

「むぅ」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

 反射ダメージをうけた上にモンスターを手札にバウンスされたか。あのエ〇ペンギンめ…。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:4→3枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:2900、手札:3枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

ペンギン・ナイトメア ★3 DEF 2000

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:1→2枚。

 

「オレは魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

コナミ 手札:2→1→3枚。

 

「オレは魔法カード【天使の施し】を発動!デッキからカードを3枚ドローして2枚を墓地に送る!」

コナミ 手札:3→2→5→3枚。

 

「オレは魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

コナミ 手札:3→2→4枚。

 

 おいおいおい!ドローカード引きすぎだろ。どんな引きしてるんだよ!

 

「オレは速攻魔法カード【サイクロン】を発動!そちらの伏せカードを破壊する!!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

「私はその効果にチェーンしてトラップカード【和睦の使者】発動!このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【和睦の使者】

通常罠

(1):このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

チェーン②和睦の使者

チェーン①サイクロン

 

「攻められなくなったか。オレはモンスターを裏側守備でセット!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミのフィールド>

ペンギン・ナイトメア ★3 DEF 2000

裏側守備モンスター

 

「更にカードを2枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:2→0枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:2900、手札:3枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:2枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

ペンギン・ナイトメア ★3 DEF 2000

裏側守備モンスター

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイへ移行」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

 良し!良い引きだ!あの裏側守備のモンスターが気にはなるが、これなら…!

 

「スタンバイフェイズに私の墓地に眠る【キラー・スネーク】3体は手札に帰ってくる!…そのままメインフェイズに移行」

ハノイ 手札:4→7枚。

 

【キラー・スネーク】※エラッタ前

効果モンスター

星1/水属性/爬虫類族/攻 300/守 250

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在している場合、このカードを手札に戻す事ができる。

 

「私はカードを1枚伏せ、【王家の神殿】の効果で罠カード【第六感】発動!私は5と6を選択する」

ハノイ 手札:7→6枚。

 

【第六感】

通常罠

自分は1から6までの数字の内2つを宣言する。

相手がサイコロを1回振り、宣言した数字の内どちらか1つが出た場合、その枚数自分はカードをドローする。

ハズレの場合、出た目の枚数デッキの上からカードを墓地へ送る。

 

「どう転んでも使用者にメリットしかない効果じゃん!?とりあえずサイコロを振るぞ…うげっ、5だな」

 

「私は5枚カードをドローする」

ハノイ 手札:7→12枚。

 

「インチキ効果もいい加減にしてくれ!」

 

 ふははっ、何とでも言うがいい!

 

「私は手札より【キラー・スネーク】1枚を墓地に送り、【ライトニング・ボルテックス】発動!相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する!」

ハノイ 手札:12→11→10枚。

 

【ライトニング・ボルテックス】

通常魔法

(1):手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

 

 シルクハットを被ったペンギンが電撃で焼き尽くされる。

 

<コナミのフィールド>

裏側守備モンスター

 

「私は手札より【カタパルト・タートル】を墓地に送り、【死者への手向け】発動!そちらの裏側守備表示モンスターを破壊する!」

ハノイ 手札:10→8枚。

 

【死者への手向け】

通常魔法

(1):手札を1枚捨て、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「あちゃー、これでオレのフィールドは丸裸かー」

 

 破壊したカードは【ペンギン・ソルジャー】か。リバースすることでフィールドのモンスターを2体戻す極悪モンスターだな。危なかった。

 

「私は手札より【死者蘇生】発動!墓地の【カタパルト・タートル】を蘇生させる!」

ハノイ 手札:8→7枚。

 

 フィールドに大きなカタパルトを背負った緑亀が出現する。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5→4 DEF2000→2200

 

【カタパルト・タートル】※エラッタ前

効果モンスター

星5/水属性/水族/攻1000/守2000

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースして発動する。

リリースしたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

 

「私は手札より【魔導サイエンティスト】を通常召喚!」

ハノイ 手札:7→6枚。

 

 フィールドにゴーグルをつけた髪の薄いオッサンが出現した。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★4 DEF2200

魔導サイエンティスト ★1 ATK300

 

【魔導サイエンティスト】

効果モンスター

星1/闇属性/魔法使い族/攻 300/守 300

1000ライフポイントを払う事で、融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。

この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、ターン終了時に融合デッキに戻る。

 

「そして【魔導サイエンティスト】の効果発動!LPを1000ポイント払う事で、融合デッキから【コアラッコアラ】を特殊召喚!」

ハノイ LP:2900 → 1900

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★4 DEF2200

魔導サイエンティスト ★1 ATK300

コアラッコアラ ★6 ATK2800

 

【コアラッコアラ】

融合・効果モンスター

星6/地属性/獣族/攻2800/守 200

「コアラッコ」+「ラッコアラ」

手札から獣族モンスター1体を墓地へ送り、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊する。

 

「オレはこの瞬間、リバースカードオープン!罠カード【激流葬】発動!モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時、フィールドのモンスターを全て破壊する!」

コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【激流葬】

通常罠

(1):モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動できる。フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

「ここで!?」

 

 筋肉質のコアラが出現した瞬間、フィールドに鉄砲水がなだれ込み、コアラとカメとオッサンが流されていく…。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

 げっ!最悪だ!LP払った上に俺のフィールドのモンスターが全滅した!!

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

ハノイ 手札:6→4枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1900、手札:4枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から【ギガ・ガガギゴ】を召喚!」

コナミ 手札:1→0枚。

 

 様々な肉体改造をほどこした二足歩行のトカゲ戦士が現れる。

 

<コナミのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★5→4 ATK 2450→2650

 

【ギガ・ガガギゴ】

通常モンスター

星5/水属性/爬虫類族/攻2450/守1500

強大な悪に立ち向かうため、様々な肉体改造をほどこした結果

恐るべきパワーを手に入れたが、その代償として正義の心を失ってしまった。

 

 これがアトランティスの厄介なところだ。

 水属性であれば★5モンスターをリリース無しで召喚でき、★7モンスターをリリース一体で召喚できる。おまけに攻守200ポイントアップ付きだ。

 

「バトルフェイズへ移行!【ギガ・ガガギゴ】でダイレクトアタック!」

 

「伏せていた罠カード【魔法の筒】発動!【ギガ・ガガギゴ】の攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを相手に与える!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。

 

【魔法の筒】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「なぁ!?嘘だろぉ!?」

コナミ LP4000→1350

 

 良し良し、LPは追い付いたな。

 

「ぐぬぬ、ターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1900、手札:4枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆コナミ LP:1350、手札:0枚。伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK 2650

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイへ移行」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「スタンバイフェイズに私の墓地に眠る【キラー・スネーク】は手札に帰ってくる!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 手札の枚数は潤沢だが、そのうち3枚は【キラー・スネーク】、1枚は【キャノン・ソルジャー】だ。今は動けないな。

 あまり時間をかけるわけにはいかないんだが…。仕方ない。

 

「モンスターを裏側守備で伏せる」

ハノイ 手札:5枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

裏側守備モンスター

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1900、手札:5枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

裏側守備モンスター

 

VS

 

◆コナミ LP:1350、手札:0枚。伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<コナミのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK 2650

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!…良し!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

 何を引いた…まさか!

 

「俺は【ギガ・ガガギゴ】を生け贄に捧げ、【海竜-ダイダロス】召喚!」

コナミ 手札:1→0枚。

 

 青く長大な体をしならせ、鋭い牙と爪にて獲物を切り裂く海の支配者が姿を現す。

 

<コナミのフィールド>

海竜-ダイダロス ★7→6 ATK 2600 → 2800

 

【海竜-ダイダロス】

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2600/守1500

自分フィールド上に存在する「海」を墓地に送る事で、このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。

 

 【海竜-ダイダロス】!ここで引くのか!?

 

「オレは【海竜-ダイダロス】の効果発動!【海】の名称となっている【伝説の都アトランティス】を墓地に送り、ダイダロス以外のフィールドの全カードを破壊する!」

 

 【海竜-ダイダロス】が雄叫びを上げた途端、伝説の都が崩壊し、会場に満たされた水に流されるように、海竜以外の全てがフィールド外へ流されていく。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

ハノイ 伏せカード:1→0枚。永続魔法:1→0枚。永続罠:1→0枚。

コナミ 伏せカード:1→0枚、フィールド魔法:1→0枚。

 

 【サイバーポッド】も【次元幽閉】も流されてしまったか。これはちょっとヤバいかもな。

 

「バトルフェイズへ移行!【海竜-ダイダロス】でダイレクトアタック!」

 

「手札から【クリボー】を墓地に送って効果発動!戦闘ダメージを一度だけ0にする!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【クリボー】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200

(1):相手モンスターの攻撃で自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。

その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にする。

 

「躱したか。でも次はないぞ!ターンエンドだ!」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:1900、手札:5枚。伏せカード:0枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆コナミ LP:1350、手札:0枚。伏せカード:0枚、フィールド魔法:0枚。

 

<コナミのフィールド>

海竜-ダイダロス ★6 ATK 2800

 

ハノイ LP1900、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

コナミ LP1350、モンスター:1、伏せカード:0、手札:0枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は魔法カード【貪欲な壺】を発動!自分の墓地のモンスター5体をデッキに加えてシャッフルしてデッキから2枚ドロー!」

ハノイ 手札:6→5→7枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。

そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<ハノイが戻したモンスター>

①サイバーポッド

②カタパルト・タートル

③クリボー

④魔導サイエンティスト

⑤コアラッコアラ

 

「私は手札より【キャノン・ソルジャー】を通常召喚!そして効果発動!自身1体をリリースする事で、相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

ハノイ 手札:7→6枚。

 

「オレのライフを削りきるにはまだ足りないぞ!」

コナミ LP1350 → 850

 

 これで全ての準備が整った。今、俺の墓地には闇属性の【クリッター】、【黒き森のウィッチ】、【キャノン・ソルジャー】が眠っている。

 

 つまり、ボチヤミサンタイ!

 

「自分の墓地の闇属性モンスターが3体の場合のみ、手札よりこのモンスターを特殊召喚できる!現れろ!【ダーク・アームド・ドラゴン】!」

 

 俺のフィールドに、全身が黒で覆われて体の各所に刃がついた禍々しき竜がその姿を現す。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK 2800

 

【ダーク・アームド・ドラゴン】

特殊召喚・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守1000

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の闇属性モンスターが3体の場合のみ特殊召喚できる。

(1):自分の墓地から闇属性モンスター1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「ここでダムドォ!?」

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】の効果発動!自分の墓地から【キャノン・ソルジャー】を除外!【海竜-ダイダロス】を破壊する!」

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「お、Oh…」

 

「バトルフェイズへ移行!【ダーク・アームド・ドラゴン】でダイレクトアタック!」

 

ダーク・アームド・ドラゴン ATK 2800

 

「うわぁぁぁ!!」

 

コナミ LP850 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

「デュエル終了!優勝は、ハノイの騎士!」

 

 デュエルの合間に実況をしていた実況者がデュエルの結果を発表する。これぞプロ。

 

「ダーク・アームド・ドラゴン!あの緩すぎる召喚条件は反則なのでは!?」

 

 一方、同じように解説をしていたらしい解説者はまだ興奮しているようだ。コイツ本当にいる?

 

「今日は負けたけど、次はオレが勝つからな!」

「あぁ、そうかもな」

 

 負けたばかりなのに、相変わらずの鋼メンタル。羨ましい。

 

「ハノイの騎士さん。ペガサス会長がお待ちです」

「はい、今行きます」

 

 コナミと別れ、いよいよ本来の目的であるペガサス・J・クロフォード氏との対面だ。

 …胃がキリキリしてきたな。




クリッター、黒き森のウィッチ、キラー・スネーク、キャノン・ソルジャー、遺言状、苦渋の選択、第六感、魔導サイエンティスト。

名だたる禁止カード、エラッタ被害者の全盛期を使用したにもかかわらず、普通のダイダロスデッキに負けそうになるオリ主。トドメもダムドと完全にカードパワーに助けられている。あのさぁ…。

とりあえず、地方大会編はこれでほぼ終了です。次回はペガサス会長との会談。上手く言いくるめて何処まで自分の望みを叶えられるかは気分次第です。

次回の更新は11/18 AM9:00の予定です。

グレガー様、さか☆ゆう様、arash様 四季式様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

【強欲で金満な壺】って思っていた以上に使うタイミングとその後のデメリットがシビアですね。今回はシンプルに【強欲な壺】へ差し替えました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 幕間:白河クロトとペガサス会長

今回はストーリー進行のみ。デュエルはないです。

原作キャラであるペガサスとの初対面。ペガサスさんは口調が独特すぎて、上手く再現できている気がしないです。多分、再登場はないでしょう。


俺は今、大会優勝者として、とある人物と直接会談する機会を得たため、彼の待つ大会会場内に用意されたこの来賓室にやってきていた。

あちこちに嫌味にならない程度の装飾を施し、シックな木製の家具と革張りのふかふかソファー、その中央にこれまた高そうなテーブルが置いてある。

 

「ペガサス会長。本大会の優勝者、ハノイの騎士さんをお連れいたしました」

 

「分かりマシター。アトはコチラで対応しマース。アナタは業務に戻ってくだサーイ」

 

「はっ!かしこまりました。では、失礼いたします」

 

そういって、俺をペガサス会長の元に連れてきてくれた大会関係者の偉いオジサンは部屋から退出していく。

そしてこの部屋には俺、ペガサス会長の2人だけとなった。

 

ペガサス・J・クロフォード。アメリカ人男性の24歳(『遊戯王GX』の前作である『遊戯王』開始時の為、今は30歳前後と思われる)。

かつては千年アイテムの一つである千年眼を所有しており、その力で『遊戯王』主人公である武藤遊戯と死闘を繰り広げた人物である。

 

デュエルモンスターズ(原作漫画だとマジック&ウィザーズ)の生みの親にしてI2社(インダストリアル・イリュージョン社)の会長でもある。

『遊戯王』ストーリー開始前に亡くなった恋人のシンディアをソリッドビジョン化させるため、海馬コーポレーションを乗っ取ろうと画策したが、色々あって敗北して今に至る。

続編の『遊戯王GX』にも登場しており、笑顔の絶えない変わった口調の人物ではあるが、決して油断できない原作の重要人物の1人である。

 

「始めまシテ、ハノイボーイ!ワタシは【ペガサス・J・クロフォード】。インダストリアル・イリュージョン社の会長をしていマース」

 

「初めまして、ペガサス会長。私はハノイの騎士と名乗っている者です。そして…」

 

そういって俺はハノイの騎士の仮面を取り、頭に被っているフードを取って素顔を晒す。

今後の話を信じて貰うためにも、偽名と仮面では失礼だろうと考えたからだ。

 

「本名を白河クロトと申します」

 

「Oh!ではクロトボーイとお呼びしマース!」

 

そう言うと握手を求めてくる。この世界の人は握手好きなんだろうか?とりあえず笑顔で応じる。

うん、流石に慣れてきた。

 

「この度は大会優勝おめでとうございマース!」

 

「はい、ありがとうございます」

 

それから少し、世間話に付き合い、キリの良さそうなところでこちらの本題をぶつけてみることにした。

 

「ペガサス氏、このカード達を見ていただけませんか?」

 

「What?…えぇ、分かりまシタ。………!?クロトボーイ、このカードは…」

 

「はい、三幻神と呼ばれるカードです。そしてこちらが…」

 

「!?アンビリーバボー!ありえまセーン!ナイトメーアー!」

 

「えぇ、三邪神と呼ばれる、貴方がデザインしたものの、その創造を躊躇った為にカードとしては存在していなかったはずのカードです」

 

三幻神。

神属性と幻神獣族で統一された神のカード【オシリスの天空竜】【オベリスクの巨神兵】【ラーの翼神竜】の総称である。

前作『遊戯王』のバトルシティ編と呼ばれるシナリオでこれらのカードを巡る戦いがあり、それぞれが破格の性能を持つ。

 

前世でOCG(オフィシャルカードゲーム)化にてカード化された際は酷い弱体化を受けていたが、俺の持っているそれはまさに原作再現。

原作再現すぎて【ラーの翼神竜】は古代神官文字(ヒエラティックテキスト)と言う言語で書かれているらしく、俺は読めないし使えない。

『遊戯王GX』でラーの翼神竜のコピーカードをI2社社員がオリジナルのフィールド魔法で縛って使用するシナリオがあるが、この言語はどうやって解決したのだろう?

 

三邪神。

「邪神獣」と呼称されたもう一組の神のカードであり、元々は神のカードの暴走を抑止するために作られたとされている。

漫画『遊戯王R』に登場し、【邪神ドレッド・ルート】【邪神イレイザー】【邪神アバター】の3体の邪神はそれぞれ三幻神に対となるデザインと効果を持っている。

 

この世界はアニメ遊戯王の世界でもある為、この三邪神とこれらを完成させた漫画『遊戯王R』のキャラクターは存在しない、もしくは原作とは別の人生を歩んでいるはずである。

漫画『遊戯王R』の事の発端はペガサス氏の暗殺によるものの為、ペガサス氏が生存しているこの世界では彼らも平和に暮らしているのではないだろうか。

 

「何故これらのカードをユーは持っているのデスカ?…クロトボーイ、ユーは一体…」

 

「…信じがたい話でしょうが、私は異世界から転生してこの世界に生まれ落ちたものです」

 

『この世界が、『遊戯王』または『遊戯王GX』と言うアニメを元にした世界であること』は伏せておき、それ以外の経緯を全てペガサス氏には伝えた。

誰しも自身の生きる世界が異世界の創作物であるだなんて言われていい気はしないだろうし、女神様の介入により正確な情報でもなくなっているだろうしな。

 

「私の前世では、三幻神も三邪神も普通に買えるカードパックに封入されているカードになっています」

 

「アンビリーバボー…!にわかには信じられまセーン…。ですが、これらのカードを見せられると…」

 

…さて、個人的な本題はこれからなんだが、上手くいけるかな~

 

「ペガサス氏、私の前世ではこのようなカードも登場しているですが…」

 

「What?…ふむ、カード枠が白いカードと黒いカードですカ…クロトボーイ、これハ?」

 

「私の前世では、シンクロモンスターとエクシーズモンスターと呼ばれていたカードです」

 

「ほう、なるホド。シンクロはチューナーと呼ばれるモンスターが必要で、エクシーズはレベルを揃える必要がアルト…」

 

「はい。ここからが相談なのですが。ペガサス氏、これらのカードをこちらの世界でも流通させてみるつもりはありませんか?」

 

~~~

 

「本日はお忙しい中、ありがとうございました」

 

「トンでもありまセーン。私としても実に有意義な時間だったデース」

 

再び握手をし、上機嫌なペガサス氏に別れを告げ、帰宅する最中に今回の成果を振り返る。

 

あの後、色々と相談や交渉を続けた結果、シンクロモンスターとエクシーズモンスターは、効果の弱いモンスターから順に流通させてもらえることになった。

賄賂と言うわけでもないが、ペガサス氏が使う【トゥーン】デッキと【サクリファイス】デッキの新規カード(こちらではまだ存在しないカード)を渡すととても嬉しそうにしていた。

多分、今のペガサス氏には俺は勝てんな。

 

シンクロとエクシーズが流通すれば、俺も気兼ねなくそれらを使ったデッキが使える。それズルじゃんとか言われたくないからね。

一応、ペンデュラムモンスターやリンクモンスターとそれぞれの召喚方法やそれに基づくルールについて説明をしたが、現代環境に著しく影響を与えそうだということで保留となった。

ペンデュラムとリンクについては全くの同意だったので問題はない。あの二つは強すぎるんや…。この世界にいるであろう榊遊矢には涙を呑んでカバを使い続けて貰おう。

 

成果と言えば、ペガサス氏から後日カードを貰えることになった。

好きなカードを聞かれたので、パンドラ仕様のブラック・マジシャンと答えたのだが、その後にカードを貰えるという話になった。

恐らくパンドラ仕様のブラック・マジシャンか、それに類するカードを貰えるのではないかと推測している。ありがたい話だ。

 

さて、『遊戯王GXタッグフォース』の世界を生き抜く目的の為、最大の手段ともいえるシンクロやエクシーズの解禁は達成できたと思っていいだろう。

最悪の場合、闇のゲームを仕掛けられた時には容赦なく俺だけペンデュラムやリンクを使おう。命が掛かっているからね、しょうがないね。

 

そして、シンクロやエクシーズを解禁させた場合の影響を考えるに懸念点は3つある。

① 歴史の変化

② ①によるイリアステルの介入

③『遊戯王GX』原作キャラと、追加された漫画版GXキャラや(恐らく追加されている)アークファイブのキャラのパワーバランス

 

①歴史の変化は確実に起こるだろう。本来のこの世界の時代のカードだけでは大したことのない【六武衆】なんかも新規シンクロ・エクシーズが解禁されたことで超強化されて化ける。

それらシンクロやエクシーズを使った強力なテーマデッキを持つ、本来の歴史には存在しない強力なデュエリストが増えていくだろう。

『遊戯王GX』原作ストーリー中に出てくるプロデュエリストが消えたり、別の人がアカデミアに現れたりすることもあるだろう。エドや丸藤は…何とかなるでしょ。

 

ちなみに、俺は『遊戯王GX』の敵キャラに相当する人物に、原作前に接触するつもりは毛頭ない。

俺は一般人なので、リアルファイトやら闇のゲームやらを仕掛けられるとほぼ確実に死ぬ。原作が始まっても、十代かコナミの金魚の糞みたいな位置をキープするつもりだ。

 

②イリアステルとは、『遊戯王GX』の続編である『遊戯王5D's』に登場した組織で、「世の安寧をもたらす『星の民』の力を受け継ぐ者」だそうだ。その目的の為、過去の世界にたびたび介入していたはずだ。

彼らの目的とは「未来に訪れる終末(モーメントの暴走による人類の滅亡)」から世界を救うことだが、俺の行動がこの目的に悪影響を与えるか否かにより、俺の行動に介入されるかが決まるだろう。

少なくとも、監視者は送り込まれてきそうだ。下手を打てばパラドックスやアポリア辺りにあっさり殺害される可能性もある。困ったなぁ。

 

③『遊戯王GX』登場キャラクターのデッキははっきり言うと総じて弱い。えっ、この前子供の丸藤亮に実質負けてたって?そこは置いておいて?

単純に作品の登場時期の問題で、『遊戯王GX』終了から数年後に登場した漫画版GXやアークファイブでは、『遊戯王GX』ではありえないようなパワーカードがゴロゴロと登場する。

アームドドラゴンLv5を出して喜んでいるようなプレイングでは、【レイドラプターズ】や【プレデタープランツ】のような殺意にまみれたテーマデッキに瞬殺されるだろう。

俺の目的だけを考えるなら気にすることでもないかも知れないが…。原作キャラで死人とか出ると後味悪くなりそうだしなぁ。

 

元々俺や追加キャラと言うイレギュラーがいる時点で①や②の問題は起こりえるし…と開き直っておこう。

とまぁ、懸念点を上げたところで俺がどうこうできる問題は③くらいのものである。

というわけで、今後の方針は『遊戯王GX』原作キャラの強化(という名のお節介)と、追加キャラの動向調査だな。

とはいえ、何処にいるのやら。丸藤亮だけは会ったけど、連絡先とか聞かなかったし、そもそも向こうは『ハノイの騎士』として俺を認識しているだろうしな。

 

色々と動き回っているうちにヤバイ連中に目を付けれられるかも知れないので、なるべくコナミを連れ回そう。

デュエルするといえば着いてきてくれるだろうし、アイツなら何が起こっても何とかしてくれそうな気がするからな。




地方大会編はこれにて終了。目的であるペガサスとの会合とシンクロ・エクシーズの解禁の下準備も達成。

次の目的は、他の原作キャラや追加キャラと出会うことですが、何処にいるのやら。

既にオリ主の頭からは抜けていますが、追加キャラのうち、漫画版GXのラスボスやアークファイブのラスボスに対しての警戒する気持ちは必要なんじゃないですかね?

次回の更新は11/21(土) AM6:00の予定です。

kubiwatuki様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作8年前 各地奔走編
第九話 先攻1キルデッキ破壊


新章突入。オリ主はようやく8歳。

ハノイスタイルでオリジナルモブをぶっ飛ばして、クロトスタイルで原作キャラに関わっていく。そんな流れになっていくと思います。


ペガサス氏との会談から1年後、俺は8歳となり、小学二年生になった。

 

「クロト、今日も出かけるのか?」

 

「出かけるけど…今日は別件だ。ハノイ案件」

 

「あぁ、春の大会に出るのか。オレも…」

 

「やめてくれ」

 

大会の後、正体がバレていたコナミには大体の事情は話した。前世とか転生なんかの話もしたが、「そうなんだ~」くらいの反応だった。コイツ大物過ぎない?

 

「ならオレは学校の友達とデュエルしに行こうかな」

 

「シンクロとエクシーズを使うなら、効果なしモンスターだけにしておけよ?」

 

「わかってるよ」

 

分かっていたことだが、コナミは非常にモテる。去年の大会にも応援団とか来ていたし、今も孤児院に時折コナミを訪ねてくる子がいる。凄いのは、男も女も関係なくモテるところだ。あと、布団が吹っ飛んだクラスのギャグで毎回大笑いを取れるのは前世を含めて探してもコナミくらいだろう。

 

そうそう。コナミには手持ちのシンクロやチューナー、それとエクシーズのカードも少し分けてあげた。メチャクチャ喜んでいて、その日は一日中デュエルに付き合わされた。楽しかったけどさ。

 

「今日の大会は…このあたりの地域か。まだ行ったことのない地域だし、もしかしたら…」

 

大会後も色々と調査を繰り返してきたのだが、GX原作キャラはほぼ今の俺と同年代であるため、捜索は難航している。そもそも、元々有名であったり、特に実績があったりするわけでもない小学生をピンポイントで探すのは絶望的だろう。

 

ただ、丸藤亮の件もあるので、デュエル大会に出ていればそのうち会えるのでは?と言ういい加減な思考の元、今日も大会に参加しているのだった。

 

俺に足りないこの世界のデュエリストとしての経験を積む為、つまりはデュエルセンスとドロー力を鍛えるためだ。その為に固定のデッキではなく、様々なデッキを使うことでより多くの経験を積んでいくつもりだ。

 

もちろん。負けるのは嫌いなので、前世の禁止カード満載デッキを使用するハノイの騎士としてな!

 

~~~

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、見覚えのない高校生くらいの少年と対峙する。外れか。

 

「お前が最近有名なハノイの騎士か。まだガキじゃないか。オレの実力を見て腰を抜かすなよ?」

 

「あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」

 

「!?てめぇ!」

 

とりあえず、煽りの定型文で煽っておこう。うん、いい反応だな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「クソガキが!ぶっ飛ばす!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

高校生 LP:4000

 

「先攻は貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

高校生 手札:5→6枚。

 

「…ん?ぶわっはっはっは!おいクソガキィ!なんだその分厚いデッキは!デッキは40枚ギリギリにするなんて常識だろうが!」

 

「…」

 

「ははははは。そんなことも知らなかったのか。しょうがないなぁ、このお兄さんがこの試合でボコボコにして身の程を教えてやるぜ」

 

早くしてくれないかなぁ。

 

「それじゃあ行くぜ!オレは手札から【火炎木人18】を攻撃表示で召喚!」

高校生 手札:5枚。

 

大人と同じくらいのサイズの木で出来た人型の燃える人形が現れる。

火炎木人18 ★4 ATK 1850

 

「そして手札から儀式魔法【灼熱の試練】を発動!手札から【ドラゴン・エッガー】を生贄に捧げる!現れよ!【伝説の爆炎使い】!」

高校生 手札:2枚。

 

 

頭まで覆う紫のローブを着込んだ赤髪の魔法使いが炎を纏って現れる。

伝説の爆炎使い ★7 ATK 2400

 

儀式魔法とは、手札かフィールドから指定されたレベル以上のモンスターをリリース(生贄に捧げ)し、手札から儀式モンスターを特殊召喚するものである。

 

召喚権を使用せずに特殊召喚できる上、基本ステータスも高めなのがメリットだが、手札消費が激しいデメリットもある。

 

「最後にカードを二枚伏せてターンエンドだ!どうだ!クソガキが!驚いただろう!ははは!」

高校生 手札:0枚。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚、デッキ:55枚、墓地:0枚。

高校生 LP4000、モンスター:2、伏せカード:2、手札:0枚、デッキ:34枚、墓地:2枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「くくっ、最高の手札だ…!」

 

じゃ、ちゃちゃっとこのデュエルを終わらせるか。

 

「私は魔法カード【隣の芝刈り】発動。自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動でき、デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る」

ハノイ 手札:5枚。

 

「なんだ?今更オレと同じデッキ枚数にしてもおせーぞ?」

 

「貴様のデッキは40枚だったな?であれば、今の貴様のデッキ34枚と、私のデッキの54枚の差、20枚をデッキ墓地に落とす」

ハノイ デッキ:34枚、墓地:21枚。

 

マキュラは…落ちたな。準備完了。

 

「先ほど墓地に送られた【処刑人-マキュラ】は、墓地へ送られたターン、私はは手札から罠カードを発動する事ができる」

 

「へぇ~」

 

「私は手札よりトラップカード【転生の予言】発動。お互いの墓地のカードを合計2枚対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。私は貴様の墓地のカード2枚を貴様のデッキに戻す」

ハノイ 手札:4枚、墓地:22枚。

 

「わざわざ墓地のカードを戻してくれるのか?ありがとよ」

高校生 デッキ:36枚、墓地:0枚

 

「自分の墓地にカードが15枚以上ある時、1000ライフを払って手札のトラップカード【現世と冥界の逆転】発動!」

ハノイ LP4000 → 3000 手札:3枚

 

「は?」

 

「お互いに自分の墓地と自分のデッキのカードを全て入れ替える。その際、墓地のカードはシャッフルしてデッキゾーンにセットする!」

 

「はぁぁぁぁぁ!?」

 

ハノイ モンスター:0、伏せカード:0、手札:3枚、デッキ:22枚、墓地:35枚。

高校生 モンスター:2、伏せカード:2、手札:0枚、デッキ:0枚、墓地:36枚。

 

「私はこのままターンエンド」

 

さぁ、デッキからカードを引くといい。引くカードがあればなぁ!

 

「…オレのターン。ドローフェイズ…負けました」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

さて、さっさと次の大会を探しに行くか。

 

~~~

 

大会を終え、旅行用のキャリーケースを転がしながら、人気の無さそうな公園に移動して近くにあったベンチに座る。

 

「ふぅ~疲れた~」

 

ハノイの仮面を外して膝の上に置き、頭のフードを取り払って一休みしていた。公園の外周は木々で覆われ、中心部には噴水がある。癒し空間だな。存分に癒されて行こう。

 

始めてハノイの騎士を名乗ってから既に1年。ハノイの騎士ロールプレイは慣れたものだ。煽りセリフは過去の知識からそれっぽいものを引用している。何故煽るか?その方がハノイの騎士っぽくない?(偏見)

 

もっと突き詰めるなら【クラッキングドラゴン】とか使えばいいんだろうけど、この世界の人達には伝わらないだろうから別にいいかな。

 

そんな馬鹿なことを考えながら思考の海に沈んでいると、後ろから肩を叩かれた。かなりビックリして身震いしたのは内緒だ。後ろを振り返ると、何故か右手の人差し指を空に掲げた少年と、それを少し離れたところで呆れた表情で見る少女がいた。…なんか見覚えのある顔だな。

 

「君の瞳に、何が見える?」

 

「え…?…空?…天?」

 

「天~~~~~~join!!」

 

「へ…?」

 

残念なイケメンが親指を立てながらウインクをしてくる。その後ろで美少女が頭を抱えて居た。…あー!この子ら天上院兄妹か!さっきのって天上院兄である吹雪の決め台詞だ!

 

「ごめんなさい、いきなり兄さんが…」

 

「あ、いえ、お気になさらず…」

 

突然の遭遇と恐らく天上院吹雪と思われるイケメンの奇行に動揺を隠せず、恐らくは天上院明日香であろう美少女からの気遣いにまともな受け答えができていない。

 

「ボクはブリザードプリンスこと天上院吹雪!こっちは妹のアスリンさ!」

 

「明日香。妹の天上院明日香よ」

 

「あ、うん」

 

ようやく落ち着いてきた。うん、やはり天上院兄妹のようだな。

アニメで見た通り、美男美女の兄妹だな。容姿レベル★3くらいの俺もレベルアップの魔法が欲しいです。

 

「君がなかなかに素敵な格好をしていたのでね。つい声をかけてしまったよ!」

 

「え、あっ」

 

やっべ。仮面外して素顔が見えている状態で、他はハノイスタイルのままだわ。とはいえ、これは千載一遇のチャンスという奴なのでは?ここで縁を作っておき、2人にそれぞれのテーマ強化カードを渡すことができれば目的の達成に一歩近づくだろう。

 

とはいえ、どうやって切り出せばいいんだ?教えてくれコミュ強のコナミ!…今日は別行動だったなチクショウ!

 

「ここで会ったのも何かの縁。どうだい?ボクとデュエルしないかい?」

 

「あ、はい」

 

割とあっさり気付いたら勝手に上手くいってた!!




エラッタ前の【現世と冥界の逆転】は強い(確信)

天上院兄こと吹雪がどのタイミングでアカデミアに入学するか分からなかったので、明日香とセットで早めに登場。

通常の吹雪は【獣戦士族】デッキ、ダークネス仮面状態だと【レッドアイズ】デッキを使っていましたが、てこ入れするなら【獣戦士族】の方です。ドラゴン族強化とか征竜デッキになってしまう気がしますからね。

ダークネス仮面状態も格好いいですが、アロハシャツでギャグシーンをこなす残念イケメンの吹雪の方がGXの空気にあっていて個人的に好きでした。

次回の更新は11/21(土) AM7:00となります。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 天上院吹雪(幼)

幼少期の天上院吹雪戦です。

思い返してみれば、今作の登場人物は八割以上男性ですね。

天上院明日香以外に原作GXの女性キャラって、レイちゃんくらいしか思いつかないんですよね。

明日香の取り巻きの二人(モモエとジュンコだっけ?)、保健の先生(名前忘れた)とトメさん、あとはアカデミアショップのお姉さん(名前忘れた)くらいでしたっけ?



<白河クロト 視点>

 

ハノイの仮面と装束を脱いでキャリーバックにしまい、公園の噴水の近くで天上院吹雪と向き合う。デュエルディスクを構え、正面を見据えると喋らなければ最高クラスのイケメンが微笑んでいる。

 

「おや?その恰好はやめてしまうのかい?…えっと」

 

「自己紹介がまだでしたね。白河クロトと言います。あの恰好は言わばステージ衣装なので、あまり人目に付きたくはないんですよ」

 

「そうなのかい?それは残念だね」

 

そう言うと少し困ったかのように笑うイケメン。丸藤亮といい天上院吹雪といい、イケメンは何をやっても見栄えするのは本当にズルいと思う。

 

「じゃぁ、そろそろ始めましょうか。天上院さん」

 

「吹雪でいいよ」

 

「では吹雪さんと呼ばせていただきます。では、行きますよ!」

 

「It's show time!!このブリザードプリンスがお相手しよう!」

 

天上院吹雪。丸藤亮と同年代で、彼のライバルでもある青年(原作時)だ。原作アニメの戦歴は5戦5敗であり、放送時には彼を侮る視聴者も居たかもしれない。だが、彼のデュエルは全てシナリオ上勝ってはいけないデュエルだったのだ。彼は犠牲になったのだ…。

 

その汚名を返上するかのごとく、漫画版の戦歴は3戦2勝1敗。主人公の十代にも勝っているし、唯一の敗北も第三者の介入によるオカルトパワーのせいである。原作アニメでの使用デッキは【獣戦士族】。決して油断できない相手なのだ。

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

白河クロト LP:4000

 

VS

 

天上院吹雪 LP:4000

 

~~~

 

<天上院明日香 視点>

 

始めはいつもよくある兄さんの奇行が切っ掛けだったわ。

 

兄さんと2人で近所の公園に遊びに来てみると、公園の入り口から白いローブに仮面を付けた不審者がキャリーバックを引いて現れたの。不審者はこちらに気付かず、公園のベンチに座り、仮面とローブを外してくつろぎ始めた。中身は私と同年代の少年のようだったわ。

 

「ほぅ…!」

 

どうやらあの恰好は兄さんの興味を大いに引いたらしく、声を掛けるつもりのようね。…確かあの恰好は、最近話題になっている『アマチュア大会荒らし』と呼ばれる【ハノイの騎士】の物よね。

 

傲岸不遜な態度で相手の神経を逆撫でし、そのくせ高確率で1ターンキルを決めてくる驚異のデュエリスト。『デッキ破壊の鬼畜野郎』『白衣の変態』『ニードルワームだけがお友達』などとも呼ばれていたけれど、これは置いておきましょう。

 

「君の瞳に、何が見える?」

 

「え…?…空?…天?」

 

兄さんがいつもの挨拶をやるみたい。

 

「天~~~~~~join!!」

 

「へ…?」

 

ハノイの少年は呆気にとられている。こちらはとても恥ずかしいから止めて欲しいのだけれど。

 

~~~

 

少し話してみたけど、ハノイの騎士と呼ばれる人物と目の前の白河クロトと言う少年が同一人物とは思えないわ。白河クロトは何処にでもいそうな平凡な少年に見えたのよ。少なくともこの時点では。

 

なんだかんだで兄さんと白河クロトがデュエルをすることになった。私としても、ハノイの騎士のデュエルが間近で見れるのは楽しみではあったので特に何も言わなかった。

 

「「デュエル!」」

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆天上院吹雪 LP:4000

 

「先攻はボクが貰うよ。ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

吹雪 手札:5→6枚。

 

「おやおや、運命の女神はご機嫌斜めなのかなぁ」

 

兄さんがまた変なことを言い出した。恐らく手札がそれほど良くないのでしょうね。

 

「ボクは手札より【漆黒の戦士 ワーウルフ】を召喚!」

吹雪 手札:5枚。

 

漆黒の剣を握りしめた二足歩行の黒き狼が姿を現す。兄さんが愛用する獣戦士族のモンスターね。

漆黒の戦士 ワーウルフ ★4 ATK 1600

 

あのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はバトルフェイズに罠カードを発動できない効果があるわ。ハノイの騎士であればデッキ破壊を仕掛けてくるはずだけど、白河クロトはどう対処してくるのかしら?

 

「ボクはカードを2枚伏せてターンエンド!」

吹雪 手札:3枚。

 

◆クロト LP4000、モンスター:0、手札:5枚、伏せカード:0

vs

◆吹雪  LP4000、モンスター:1、手札:3枚、伏せカード:2

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の戦士 ワーウルフ

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!EXデッキ…じゃなくて融合デッキから6枚裏側表示でモンスターを除外して2ドロー。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない」

クロト 手札:6→5→7枚。

 

「俺は手札を1枚捨て、魔法カード【死者への手向け】を発動!フィールドのモンスター1体をそのモンスターを破壊する」

クロト 手札:7→6→5枚。

 

「くっ!やるね!」

吹雪 モンスター:1→0

 

兄さんの漆黒の戦士ワーウルフがアッサリ破壊される。やるわね。

 

「俺は死者への手向けのコストで墓地に送った【シールド・ウィング】を墓地から除外し、手札から【風の精霊 ガルーダ】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

突如、空から鳥の頭と翼をもつ男が舞い降りた。

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK 1600

 

「自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札より【ガーディアン・エアトス】を特殊召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

鳥を模した被り物をした白き翼を持つ、民族衣装のような物を着た美しい女性が、金の髪を靡かせながら地に降り立つ。

ガーディアン・エアトス ★8 ATK 2500

 

綺麗…。ってそうじゃなくて!2体の攻撃力の合計は4100!既に1ターンキル圏内じゃない!

 

「俺は装備魔法【女神の聖剣-エアトス】をガーディアン・エアトスに装備!装備モンスターの攻撃力は500アップする。」

クロト 手札:3→2枚。

ガーディアン・エアトス ★8 ATK 2500→3000

 

「バトルフェイズへ移行!風の精霊ガルーダでダイレクトアタック!」

 

「ボクは伏せていたトラップカード【炸裂装甲】発動!相手モンスターの攻撃宣言時、その攻撃モンスター1体を破壊する!」

 

ガルーダが攻撃を仕掛けた途端、胸元から爆発が起こり、ガルーダは消滅していった。

 

「むっ」

クロト モンスター:2→1

 

ふぅっ、これでひとまずは一安心ね。でもまだ【ガーディアン・エアトス】の攻撃が残っているわ。

 

「続いて【ガーディアン・エアトス】でダイレクトアタック!…聖霊のオペラ!」

 

白河クロトは少し恥ずかしそうにガーディアン・エアトスの攻撃名を宣言する。何故恥ずかしそうなのかしら?

 

「ボクは伏せていた速攻魔法カード【スケープ・ゴート】発動!自分フィールドに「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)4体を守備表示で特殊召喚する」

 

兄さんのフィールドに4体の羊トークンが現れ、そのうちの1体が【ガーディアン・エアトス】の攻撃を受けて消滅する。

 

何とか凌いだわね…。

 

「防がれたか。メインフェイズ2に移行。カードを1枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:2→1枚。

 

◆クロト LP4000、モンスター:1、手札:1枚、伏せカード:1、装備カード:1

 

<クロトのフィールド>

ガーディアン・エアトス

 

vs

◆吹雪  LP4000、モンスター:3(羊)、手札:3枚、伏せカード:0

 

<吹雪のフィールド>

羊トークン

羊トークン

羊トークン

 

「ふっ、盛り上がっただろう?これも演出のうちさ。ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

吹雪 手札:3→4枚。

 

演出って、ホントかしら?

 

「ボクは手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

吹雪 手札:4→3→5枚。

 

「俺はこの瞬間、伏せていた永続トラップ【便乗】発動!相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動する事ができる。その後、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に、自分のデッキからカードを2枚ドローする。」

クロト 手札:1枚。

伏せカード:1→0、永続罠:0→1

 

ドローカードやサーチカードを牽制するためのカードかしら?兄さんは多分気にせずに使いそうね。

 

「おっと…いや、ボクは手札から魔法カード【天使の施し】を発動!デッキからカードを3枚ドローして2枚墓地に捨てる!」

吹雪 手札:5→4→7→5枚。

 

「なら俺も【便乗】の効果で2枚ドロー」

クロト 手札:1→3枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【地割れ】を発動!相手フィールドの攻撃力が一番低いモンスター1体、つまり【ガーディアン・エアトス】を破壊する!」

吹雪 手札:5→4枚。

 

「くっ!エアトスが…!」

クロト モンスター:0

 

「ボクは手札から永続魔法カード【一族の結束】を発動!自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする!」

吹雪 手札:4→3枚。

 

「更にボクは手札より【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】を召喚!」

吹雪 手札:3→2枚。

 

大きな曲剣を握りしめ、緑のマントを付けた二足歩行の黒き豹が姿を現す。

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー ★4 ATK 2000 → 2800

 

兄さんが一番愛用している獣戦士族のモンスターの登場ね。あのモンスターは攻撃宣言の際に、自身以外の自分フィールドのモンスター1体を生け贄に捧げなければならないけれど、今は羊トークンが居るわ。

 

「バトルフェイズへ移行!羊トークンを生け贄に捧げ、【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】でダイレクトアタック!」

吹雪 羊トークン:3→2

 

漆黒の豹戦士が金の天使を切り裂き、撃破する!

 

「ぐぅっ!」

クロト LP4000 → 1200

 

「ボクはカードを1枚伏せてターンエンド!」

吹雪 手札:2→1枚。

 

◆クロト LP1200、モンスター:0、手札:3枚、伏せカード:0、永続罠:1(便乗)

vs

◆吹雪  LP4000、モンスター:1+2(羊)、手札:1枚、伏せカード:1、永続魔法:1(一族の結束)

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー

羊トークン

羊トークン

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺は手札から魔法カード【天使の施し】を発動!デッキからカードを3枚ドローして2枚墓地に送る!」

クロト 手札:4→3→6→4枚。

 

「俺は墓地の【風の精霊 ガルーダ】を除外し、手札から【シルフィード】を特殊召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

風を纏った白き天使が空から舞い降りる。

シルフィード ★4 ATK1700

 

「更にシルフィードをリリー…生け贄に捧げ、【疾風鳥人ジョー】を召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

風の天使がフィールドから去り、緑髪の筋肉質な鳥人間が現れる。

疾風鳥人ジョー ★6 ATK 2300

 

「召喚に成功した【疾風鳥人ジョー】の効果発動!風属性モンスターを生け贄にして生け贄召喚に成功した場合、フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す!」

 

「えぇっ!…手札を1枚捨てて、チェーンして伏せたトラップカード【ホーリーライフバリアー】発動!このターン、自分のモンスターは戦闘破壊されず、相手から受ける全てのダメージを0にする!」

吹雪 手札:1→0枚。伏せカード:1→0

 

チェーン②ホーリーライフバリアー

チェーン①疾風鳥人ジョー

 

「効果処理を行う。チェーン②ホーリーライフバリアーが発動し、その後、チェーン①疾風鳥人ジョーの効果が発動する」

 

鳥人間が旋風を巻き起こし、フィールド上の全ての魔法・罠カードが持ち主の手札に戻る。今の場合だと、兄さんの魔法罠ゾーンにある永続魔法【一族の結束】が手札に戻るわね。

 

「ありぁあ、なんだかピンチだなぁ」

吹雪 手札:0→1枚。永続魔法:1→0、伏せカード:0

 

危なかったわね…。兄さんのフィールドにはモンスターは居るけれど、伏せカードは無し。発動した通常トラップの【ホーリーライフバリアー】は手札に戻らずに墓地に送られるけれど、発動していなければデュエルが終わっていたかも知れないわね。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」

クロト 手札:2→1枚。

 

◆クロト LP1200、モンスター:1、手札:1枚、伏せカード:1、永続罠:1

 

<クロトのフィールド>

疾風鳥人ジョー

 

vs

◆吹雪  LP4000、モンスター:1+2(羊)、手札:1枚(一族の結束)、伏せカード:0

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー

羊トークン

羊トークン

 

「ははっ、容赦ないなぁ…ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

吹雪 手札:1→2枚。

 

「ボクは手札からもう一度、永続魔法カード【一族の結束】を発動!自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする!」

吹雪 手札:2→1枚。永続魔法:1

 

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー ★4 ATK 2000 → 2800

 

「更にボクは手札より【不屈闘士レイレイ】を召喚!」

吹雪 手札:1→0枚。

 

土のような色の肌を持つ獣戦士がフィールドに現れる。

不屈闘士レイレイ ★4 ATK 2300 → 3100

 

あれは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり次の自分のターン終了時まで表示形式を変更できないモンスターね。

 

「バトルフェイズへ移行!【羊トークン】を生け贄に捧げ、【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】で【疾風鳥人ジョー】に攻撃!」

羊トークン:2→1

 

「俺は【疾風鳥人ジョー】をリリースし、【不屈闘士レイレイ】と【一族の結束】を対象にして、伏せていたトラップカード【ゴッドバードアタック】発動!対象とした2枚のカードを破壊する!」

クロト モンスター:1→0、伏せカード:1→0

 

「むむっ!」

吹雪 モンスター:4→3、永続魔法:1→0

 

鳥人間が墓地へと消え、土色の獣戦士と永続魔法も墓地に送られる。

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー ★4 ATK 2800 → 2000

 

「攻撃対象が居なくなったけれどバトルは続行する!【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】でダイレクトアタック!」

 

漆黒の豹戦士がプレイヤーである白河クロトを切り付ける!

 

彼のLPはわずか1200!【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】の攻撃力は元に戻ったけれど、攻撃力2000!この攻撃が通れば兄さんの勝ちね!

 

「俺は墓地から【クリアクリボー】を除外して効果発動!相手モンスターの直接攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。そのドローしたカードがモンスターだった場合、さらにそのモンスターを特殊召喚できる。その後、攻撃対象をそのモンスターに移し替える!」

 

「墓地からモンスター効果を発動しただって!?」

 

あれは、【天使の施し】で墓地に送ったカード!そんな効果があったなんて!

 

「【クリアクリボー】の効果によりドロー!…良し!俺はドローした【ソニック・シューター】をフィールドに特殊召喚!【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】は【ソニック・シューター】を攻撃対象とする!」

手札:1→2→1枚

クロト モンスター:0→1

 

両腕に翼を生やした鳥人間がフィールドの現れる。

ソニック・シューター ★4 DEF600

 

漆黒の豹戦士が風の悪魔を切り裂く!

クロト モンスター:1→0

 

「ボクはこれでターンエンド!」

 

◆クロト LP1200、モンスター:0、手札:1枚、伏せカード:0、永続罠:1

vs

◆吹雪  LP4000、モンスター:1+1(羊)、手札:0枚、伏せカード:0

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー

羊トークン

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:1→2枚。

 

「俺は手札から魔法カード【マジック・プランター】を発動!自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。俺は自分フィールドの永続トラップ【便乗】を墓地に送ってデッキから2枚ドロー!」

クロト 手札:2→1→3枚、永続罠:1→0

 

両者ともにもうカードが少ない。そろそろ決着ね。それに彼のあの表情、仕掛けてくるわね。

 

「俺はLP800を払って、手札より装備魔法【早すぎた埋葬】発動!墓地の【ハンター・アウル】を対象として、対象を墓地より特殊召喚する!」

クロト LP1200→ 400、手札:3→2枚。

 

「【ハンター・アウル】の効果発動!自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスター1体につき、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。」

 

墓地より鋭い鎌のような刃物を持ったフクロウ頭?の鳥人間が出現する。

ハンター・アウル ★4 ATK1000→1500

 

「このカードは相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚された時に発動できる」

 

「ハンター・アウルが特殊召喚成功時、手札より速攻魔法【地獄の暴走召喚】発動!」

クロト 手札:2→1枚。

 

「そのカードは!?」

 

【地獄の暴走召喚】ですって!?確かあのカードって…!!

 

「その特殊召喚したモンスターの同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から可能な限り攻撃表示で特殊召喚し、相手は自身のフィールドの表側表示モンスター1体を選び、そのモンスターの同名モンスターを自身の手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚する!」

 

「…ボクは【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】を選ぶよ」

 

白河クロトのフィールドに更に2体の【ハンターアウル】が、天上院吹雪のフィールドに2体の【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】が出現する。

 

<クロトのフィールド>

ハンター・アウル ATK 1000

ハンター・アウル ATK 1000

ハンター・アウル ATK 1000

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー ATK 2000

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー DEF 1600

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー DEF 1600

羊トークン DEF 0

 

兄さんが苦い顔をしているけど、どういうこと?この状況は兄さんが有利なんじゃないのかしら?【ハンター・アウル】の攻撃力では【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】に届かないはずよね?

 

…いえ、確か【ハンター・アウル】の効果は、自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスター1体につき、このカードの攻撃力は500ポイントアップする!?

 

<クロトのフィールド>

ハンター・アウル ATK 1000 → 2500

ハンター・アウル ATK 1000 → 2500

ハンター・アウル ATK 1000 → 2500

 

<吹雪のフィールド>

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー ATK 2000

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー DEF 1600

漆黒の豹戦士パンサーウォリアー DEF 1600

羊トークン DEF 0

 

「バトルフェイズへ移行!【ハンター・アウル】で【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】に攻撃!」

 

豹戦士たちが鳥人間の群れに襲われて姿を消していく…!

 

吹雪  LP4000 → 3500

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

◆クロト LP400、モンスター:3、手札:1枚、伏せカード:0、装備魔法:1

 

<クロトのフィールド>

ハンター・アウル ATK 2500

ハンター・アウル ATK 2500

ハンター・アウル ATK 2500

 

vs

 

◆吹雪  LP3500、モンスター:1(羊)、手札:0枚、伏せカード:0

 

<吹雪のフィールド>

羊トークン DEF 0

 

「…ははっ、参ったなぁ。ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行。」

吹雪 手札:0→1枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【迷える仔羊】を発動。自分フィールドに「仔羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない」

吹雪 手札:1→0枚。

 

フィールドにいる羊トークンをそのまま小さくしたような子羊が2体、フィールドに現れる。

吹雪 モンスター:2→4枚。

 

「ボクはこれでターンエンド」

 

◆クロト LP900、モンスター:3、手札:1枚、伏せカード:0、装備魔法:1

 

<クロトのフィールド>

ハンター・アウル ATK 2500

ハンター・アウル ATK 2500

ハンター・アウル ATK 2500

 

vs

 

◆吹雪  LP3500、モンスター:3(羊)、手札:0枚、伏せカード:0

 

<吹雪のフィールド>

羊トークン DEF 0

仔羊トークン DEF 0

仔羊トークン DEF 0

 

ここで白河クロトがモンスターを引かなければまだ逆転の可能性はあるけれど…。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:1→2枚。

 

「俺は【魅幽鳥】を召喚!このカードがメインモンスターゾーンに存在する限り、その位置によって以下の効果を得る。モンスターゾーン右端に召喚したこのカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる!」

クロト 手札:2→1枚。

 

周囲にいくつもの霊魂を漂わせる白き鳥人がフィールドに舞い降りる。

魅幽鳥 ★4 ATK 1300

 

「バトルフェイズへ移行!【魅幽鳥】で【羊トークン】へ攻撃!」

 

羊トークンが白き鳥に襲われ、姿を消す…。

羊トークン:1→0

 

「更に【魅幽鳥】で【仔羊トークン】へ攻撃!」

 

仔羊トークンが白き鳥の追撃を受け、姿を消す…。

仔羊トークン:2→1

 

「続いて、【ハンター・アウル】で【子羊トークン】へ攻撃!」

 

今度は【仔羊トークン】たちが鳥人間の群れに襲われて姿を消していく…!

仔羊トークン:1→0

 

「トドメ!2体の【ハンター・アウル】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

吹雪  LP3500 → 1000 → 0

 

 

「うーん、負けちゃったか」

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

久し振りに兄さんが負けるところを見たわね…。そしてこんな熱いデュエルを見せられて、私もただ黙っているわけにはいかないわ!

 

~~~

 

<白河クロト 視点>

 

危なかったわ~。危うく小学生に負けるところだったわ。一応今は俺も小学生だけど。振り返ってみると、ゴッドバードアタックの対象は、プレイングミスだよなぁ。本来ならあと1ターン早く決着ついていた。

 

地獄の暴走召喚は相手がトークンだけでも発動できるはず!なんだけど、少し記憶に自信がなかったってのもあるけどね。

 

「いいデュエルだったね。またやろう!」

 

「はい。こちらこそ、宜しくお願い致します」

 

本当に、黙っていれば隙のないイケメンだよなこの人。おっ、そうだ忘れてた。せっかく会えたんだし、吹雪さんにいくつかカードを渡しておこう。

 

「うん?これは…獣戦士族や獣族に鳥獣族とそのサポートカードかい?それに…THE Suppression PLUTO?」

 

「えぇ、俺は使わなそうなカードなので、吹雪さんのお役に立てて頂ければ嬉しいです」

 

「えぇ!?本当に、こんなにカードを貰ってもいいのかい!?」

 

「はい。カード達も使われることを望んでいるでしょう」

 

と言うことで、吹雪さんの【獣戦士族】デッキに相性良さそうな獣戦士族&獣族&鳥獣族の汎用モンスター&魔法&罠カードを進呈してみた。漫画版で使用していたスフィアの名を持つ鳥獣族やプラネットシリーズも一緒に渡した。実際、俺が持っていても多分使わないしな。

 

これでダークネスに攫われたり、ヘルカイザーに負けたりすることはなくなるかも?

 

「ねぇ」

 

「うん?どうしたんですか、天上院さん?」

 

天上院明日香が話しかけてきた。なんだか闘争心みたいなものを感じる。

 

「私も明日香でいいわよ。それで、どう?私ともデュエルしてくれない?」

 

「あ、はい」

 

むしろどうやってデュエルを持ち掛けようか考えていたので、渡りの船ですねぇ!




原作キャラとはいえ、原作数年前の子供時代に負けるわけにはいかないですね。

吹雪さんとデュエルと言うことで、漫画版吹雪さんが風属性鳥獣族の【スフィア】デッキだったため、オリ主のデッキは【風属性】を使用しました。少し他の属性も入っていますが…。

時代に合わせて初期のシムルグとか使えればよかったんですが、結局はアウルでオラァ!するデッキになってしまった。無力な私を許してくれ…。

吹雪さんに「思い出のブランコ」を使ってもらったり、オリ主にスフィアモンスターを使わせたりもしたかったのですが、私のデュエル構成力では不可能と判断。諦めました。無力な私を…以下略。

原作でダークネスではない吹雪さんが使ったカードは5枚くらいしかなく、今回はそれらに汎用魔法罠を加えただけのデッキを使用してもらいましたが、デッキパワーがそこそこ上回っているはずのオリ主はそれでも辛勝。オリ主くんさぁ。

原作が始まって、ダークネス吹雪さんになってカードパワーが追い付いてきたら…お察しです。

ダークネス仮面時のレダメは原作かOCGどちらの効果にするべきでしょうか。OCG版だとぶっ壊れ性能なので、十代が普通に負けてダークネスに飲まれそうです。

次回の更新は11/21(土) AM8:00となります。

さか☆ゆう様、魚肴様、カカン様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話 天上院明日香(幼)

今回は幼少期の天上院明日香とのデュエルです。

彼女の融合軸デッキのエースであるサイバー・ブレイダーはうまく使えば優秀なモンスターですが、それ以外のカードが正直そんなに強くないのが困りもの。
儀式モンスターはOCG版にするととんでもなく強いんですけどね。


<白河クロト 視点>

 

先ほどのデュエルを見ていて火が付いたのか、やる気満々と言う様子の天上院明日香。

そしてその様子を少し離れた位置から嬉しそうな様子で眺める天上院吹雪。

 

「用意は良いですか明日香さん」

 

「貴方、私と同年代でしょ?敬語もさん付けも要らないわ」

 

「じゃあ、俺もクロトでいいよ。…始めようか明日香ちゃん」

 

「ちゃんは止めて!ともかく!クロト、貴方の実力、見せてもらうわ!」

 

好きな子をからかって弄りたくなる子供の気持ちと言うのはこういうものだろうか。

返ってくる反応が面白くてついつい意地悪したくなるが…そろそろ気を引き締めよう。

 

天上院明日香。原作GX主人公の同級生にしてメインヒロイン?な女の子。使用デッキは融合軸の【サイバーガール】と儀式軸の【サイバーエンジェル】

融合モンスターのサイバー・ブレイダーはなかなか厄介な効果を持っており、儀式モンスターのサイバーエンジェル達は前世ではOCG化されたタイミングの影響でどれもかなり強めだ。

 

原作2期の途中で洗脳され、白い制服を着ていた時は【白夜】デッキと言う、水と言うか氷をテーマにしたデッキを使用していた。

漫画版では白夜デッキに近い【氷】デッキ。アイスカウンターを駆使して戦うテクニカルなデッキだ。

 

けど、恐らく現在の彼女は上記のどのデッキも使ってこないと思われる。原作アニメでの幼少期の回想シーンではミノタウロスとかを使っていたはずだ。

だがそれでも原作キャラだ。先ほどの吹雪さんの例もあるし、俺の知らないカードを使用してくる可能性は高い。油断はできないな。

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

白河クロト LP:4000

 

VS

 

天上院明日香 LP:4000

 

~~~

 

<天上院吹雪 視点>

 

クロト君とのデュエルが終わり、何やらたくさんのカードを譲り受けて困惑している中、愛しの妹の声が聞こえた。

 

「ねぇ」

 

「うん?どうしたんですか、天上院さん?」

 

「私も明日香でいいわよ。それで、どう?私ともデュエルしてくれない?」

 

「あ、はい」

 

どうやら明日香も彼にデュエルを挑むらしい。あの子の勝気な性格上、あり得る話だったし、この勝負の結末には興味がある。

ボクはこの試合を静観することに決めた。

 

「「デュエル!」」

 

白河クロト LP:4000

 

VS

 

天上院明日香 LP:4000

 

「先攻は私が貰うわ!さぁ、行くわよ!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「魔法カード 【強欲な壺】を発動! デッキよりカードを2枚ドローする!」

明日香 手札:5→7枚。

 

「私は手札より【鎧蜥蜴】を召喚!」

明日香 手札:6枚。

 

フィールドに全身を青い鎧で覆われたような蜥蜴人が現れる。

鎧蜥蜴 ★4 ATK 1500

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

明日香 手札:4枚。

 

クロト LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

明日香 LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、手札:3枚

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は速攻魔法【サイクロン】を発動!フィールドの伏せカードを破壊する」

クロト 手札:5枚。

 

「くっ!」

明日香 伏せカード:1

 

ふむ、破壊されたカードは通常罠の【挑発】か。

そこまで重要なカードじゃないし、サイクロンを使わせたと思えるカードだ。

 

「俺は手札より【コールド・エンチャンター】を召喚!」

クロト 手札:4枚。

 

フィールドに、氷を思わせる冠を被り白を基調とする装束を纏う青年が現れる。

コールド・エンチャンター ★4 ATK 1600

 

おや?ボクの時とは別のデッキみたいだね。

 

「手札を1枚捨ててコールド・エンチャンターの効果発動!コールド・エンチャンターを指定してアイスカウンターを1つ置く」

クロト 手札:4→3枚。

 

「アイスカウンター?」

 

「そう。コールド・エンチャンターの攻撃力はフィールド上のアイスカウンターの数×300ポイントアップする」

コールド・エンチャンター ★4 ATK 1600 → 1900

 

「バトルフェイズへ移行!コールド・エンチャンターで鎧蜥蜴に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!通常トラップ【援軍】発動!鎧蜥蜴の攻撃力をターン終了時まで500ポイントアップする!」

鎧蜥蜴 ★4 ATK 1500 → 2000

明日香 伏せカード:0

 

青き蜥蜴は白き妖術師の攻撃を搔い潜り、見事な腹パンを決める。白き妖術師はたまらず崩れ落ち、そのまま墓地に送られる。

クロト LP4000 → 3900

 

良いぞ明日香!いい調子だ!

 

「おっと…メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

クロト LP3900、モンスター:0、伏せカード:2、手札:3枚

明日香 LP4000、モンスター:1、伏せカード:0、手札:3枚

 

「私のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:3→4枚。

 

「私はフィールドの鎧蜥蜴を生け贄に捧げ、【インフェルノ・ハンマー】召喚!」

明日香 手札:3枚。

 

フィールドに全身が赤い筋肉質な体の頭がガイコツな悪魔が巨大なハンマーを持って現れる。

インフェルノ・ハンマー ★6 ATK 2400

 

「バトルフェイズへ移行!インフェルノ・ハンマーでダイレクトアタック!」

 

赤い悪魔が猛進し、巨大なハンマーをクロト君に振り下ろす!

 

「ぐぉぉぉっ!」

クロト LP3900 → 1500

 

「良し!決まった!」

 

明日香が嬉しそうに握り拳を作る。可愛い!

それはさておき、良し!大ダメージだ!明日香、このまま行けばきっと勝てるよ!

 

「俺はこの瞬間、伏せカードのトラップ【ダメージ・ゲート】発動!自分が戦闘ダメージを受けた時に発動でき、その時に受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つ、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する」

クロト 伏せカード:1

 

「このタイミングで発動する蘇生カード!?」

 

「俺は墓地の【クリスタル・ガール】を選択して特殊召喚!」

 

フィールドに、白と青のメインとした衣装に身を包む青髪の少女が現れる。

クリスタル・ガール ★1 ATK 200

 

わざわざ攻撃力200のモンスターを出す為だけにあれだけのダメージを受けるとは思えない。

きっとあのモンスターには何か効果があるだろうね。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

明日香 手札:2枚、伏せカード:1

 

「エンドフェイズ時にクリスタル・ガールの効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動でき、エンドフェイズにデッキからレベル5以上の水属性モンスター1体を手札に加える」

 

「なるほど、そんな効果があったのね」

 

「そういうこと。俺はデッキから【ブリザード・プリンセス】を手札に加える」

 

レベル8のモンスターか、召喚されたら厄介そうだ。

 

クロト LP1500、モンスター:1、伏せカード:1、手札:3枚

明日香 LP4000、モンスター:1、伏せカード:1、手札:2枚

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:3→4枚。

 

「このカードは魔法使い族モンスター1体をリリースして表側攻撃表示でアドバンス召喚する事ができる。俺はクリスタル・ガールをリリース!【ブリザード・プリンセス】をアドバンス召喚!」

クロト 手札:3枚。

 

フィールドに、クリスタル・ガールに似た衣装の青髪の女の子が、巨大な氷で出来たモーニングスター?を持って現れた。

ブリザード・プリンセス ★8 ATK 2800

 

「私はこの瞬間…」

 

「あ、ちょっと待って。先にブリザード・プリンセスのもう一つの効果を説明させてくれ」

 

「えっ?分かったわ」

 

「このカードが召喚に成功したターン、相手は魔法・罠カードを発動する事ができない。つまり、このターン、落とし穴やミラーフォースは使えないんだ」

 

「えぇっ!?そうなの…凄い効果ね」

 

リリース?アドバンス召喚?生贄のことなのかな?

彼の地元ではそういう独自の呼び方があるのかも知れないな。

 

それにしても確かに凄い効果だ。この前テレビで見た【大寒波】ってカードに近い感じかな。

 

「じゃあデュエルを再開しようか。俺は手札より魔法カード【天使の施し】を発動!デッキからカードを3枚ドローして2枚捨てる!」

クロト 手札:2→5→3枚。

 

「俺はLP800を払い、墓地の【アイス・ブリザード・マスター】を対象として、手札より装備魔法カード【早すぎた埋葬】発動!対象を墓地より特殊召喚!」

クロト LP1500→ 700、手札:2。

 

フィールドに、これまたクリスタル・ガールに似た衣装の金髪の美形青年が、氷の杖を片手に持って現れる。

アイス・ブリザード・マスター ★8 ATK 2500

 

「フィールドに攻撃力2000超えのモンスターが2体!?」

 

「バトルフェイズへ移行!ブリザード・プリンセスでインフェルノ・ハンマーで攻撃!」

 

青髪の少女は赤肌の悪魔に巨大な氷のフルスイングをお見舞いする!悪魔は空高く舞い上がり、星となって消えていった…。

 

明日香 LP4000 → 3600

 

「続いてアイス・ブリザード・マスターでダイレクトアタック!」

 

「きゃぁぁぁぁ!」

明日香 LP3600 → 1100

 

これは…明日香は窮地に立たされたね。

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

クロト 手札:0、伏せカード:3

 

クロト LP700、 モンスター:2、伏せカード:3、手札:0枚

明日香 LP1100、モンスター:0、伏せカード:1、手札:2枚

 

「私のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:2→3枚。

 

恐らく明日香の伏せカードは召喚反応系の罠。きっと【落とし穴】だろう。

なら、逆転の手があの手札にあるかどうかだけど…。

 

「私は魔法カード 【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。私が加えるのはエトワール・サイバー!」

明日香 手札:2→3枚。

 

「私は魔法カード 【融合】を発動!自分の手札からエトワール・サイバーとブレード・スケーターを墓地に送り、融合モンスター1体を融合デッキから融合召喚する!!」

明日香 手札:0枚。

 

「真のプリマは自らの光で舞台を照らし踊り続けるのよ! 融合召喚!来なさい!【サイバー・ブレイダー】!」

 

フィールドに、長き黒髪を靡かせる美しき女性が姿を現す。

サイバー・ブレイダー ★7 ATK 2100

 

「サイバー・ブレイダーの効果は、相手フィールドのモンスターの数によって決まるわ!貴方のフィールドのモンスターは2体!よって…攻撃力は倍になる効果を得る!!」

サイバー・ブレイダー ★7 ATK 2100 → 4200

 

「バトルフェイズへ移行!サイバー・ブレイダーでアイス・ブリザード・マスターに攻撃!グリッサード・スラッシュ!!」

 

この攻撃が通れば明日香の勝ちだ!

 

「俺はこの瞬間、伏せカードのトラップ【和睦の使者】発動!このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる」

クロト 伏せカード:2

 

「くっ!私はこれでターンエンド!」

 

クロト LP700、 モンスター:2、伏せカード:2、手札:0枚

明日香 LP1100、モンスター:1、伏せカード:1、手札:0枚

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:0→1枚。

 

「俺はアイス・ブリザード・マスターの効果発動!1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、アイスカウンターを1つ置く事ができる。俺はサイバー・ブレイダーにカウンターを置く」

 

サイバー・ブレイダー ★7 ATK 4200 アイスカウンター:1

 

「何を…」

 

「俺はアイス・ブリザード・マスターのさらなる効果発動!このカードをリリースする事で、アイスカウンターが乗ったモンスターを全て破壊する!」

 

黒髪の美女は金髪の美形青年と共に吹雪の中へと消えていった…。

 

「あっ…」

 

「バトルフェイズへ移行!ブリザード・プリンセスでダイレクトアタック!」

 

青髪の少女が放つ巨大な氷が明日香へと放たれていく…。

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

明日香 LP1100 → 0

 

 

「くっ、…私の、負けね」

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

実にいい勝負だった。クロト君には感謝しないといけないな。

 

~~~

 

<白河クロト 視点>

 

危なかったわ~。【サイバー・ガール】持ってるじゃん。危うく小学生に負けるところだったわ(2回目)。

 

「また今度デュエルしましょう。その時は私が勝つわ!」

 

「うん。いいよ」

 

晴れ晴れとした表情で笑う明日香ちゃん。この年でもう凛々しさに溢れる女子とか、さぞかし異性同性問わずにモテるだろう。

おっ、また忘れるところだった。吹雪さんに渡したように、明日香ちゃんにもいくつかカードを渡しておこう。

 

「えっ?私にもカードをくれるの?これは…サイバー・エンジェル?」

 

「うん。サイバー・エンジェルって言う儀式モンスターが中心となるテーマのカード群とそのサポートカードだよ明日香ちゃん」

 

「ちゃんは止めて」

 

と言うことで、明日香ちゃんには原作アニメで使用していた【サイバー・エンジェル】カードを一式プレゼントした。

原作アニメだとそこまで強くなかったけど、さっき渡したのは前世のOCG版性能の方。

 

もしこれを使うとなると、十代の明日香ちゃん戦の初戦は惨敗になるだろうけど…別に死ぬわけじゃないからヨシ!

 

「そういえば…クロト、貴方がハノイの騎士の正体なの?」

 

あ、そういやハノイスタイルで居た時の姿を見られちゃったんだっけ。

…いいか、この2人ならわざわざ言いふらしたりはしないだろう。

 

「そうだよ。ハノイの騎士で使用しているデッキはどうしても悪目立ちしちゃうからね。素性は隠すことにしているんだ」

 

「なるほどね。じゃあボク達も黙っていることにするよ」

 

「えぇ、そうね」

 

「助かります」

 

即答、即決とか、この兄妹、良い人すぎでしょ。




はい。明日香ちゃんが相手と言うことで、彼女が漫画版で使用していた【氷】デッキを使用してみました。
ただ、OCG化していないカードが多く、一部のカードパワーでごり押しになってしまいました。アイスカウンター関係を上手く行かせなかったですね。

次回は日常回となり、本格的なデュエルはありません。

次回の更新は11/25(水) AM6:00となります。

四季式様、天導 優様、gsころりん様、緋石 橙様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話 幕間:白河クロトの日常1

日常回です。本格的なデュエルはしません。

一応原作キャラと呼んでいいキャラクターが名前だけ登場します。
本格的な登場は次回以降。多分、デュエルはしません。


天上院兄妹とは連絡先を交換して別れた。いずれコナミも紹介しておこう。

 

天上院兄妹と出会ってから約3か月が経過し、小学校は夏休みに入っていた。

孤児院の食堂で朝食を食べた後、リビングで夏の朝によくあるアニメの再放送を見てまったりしていると、シスターに手紙を渡された。

 

「天馬夜行さんから貴方へ手紙が来ていたわよ」

 

「お、ありがとシスター。…どれどれ」

 

どうやら去年ペガサス会長が約束してくれたカードが出来たので、都合のいいタイミングでI2社日本支部へ取りに来て欲しいとのこと。

郵送でもいいのでは?とも思ったが、この世界のカードはプレミアが付くと数十万を軽く超えることもある貴重品だ。

取りに行く日もこちらで決めて良いそうなので、大会後に寄って取りに行けそうな日を確認して返信しておこう。

 

「あら、去年貴方が大会で優勝した時の記念カードが出来たの?良かったわね」

 

「ありがとう…って、人の手紙を横から見るの止めてくれない?」

 

「あはは、ゴメンゴメン」

 

【シスターセシリア】。俺が孤児院に来た頃からお世話になっている女性である。

普段は修道服に隠れて分かりづらいが絶世の美女である彼女は、教会に併設されたこの孤児院の子供たちも面倒も見てくれている。

優しく面倒見のいい女性で彼女が目当てで教会を訪れる参拝者も多いそうだ。ちなみに、前世であった宗教は一切この世界には存在しないようだ。

 

ただ、俺はこの人が少し苦手だ。何故なら、俺を転生させた某女神様に瓜二つなのだ。

あの白銀の翼こそないものの、声や仕草、時折長い金の髪を弄る癖など、ほぼ同一人物に見える。

 

そもそも彼女が仕切る教会が祭る女神像はその女神様そのもので、俺以外の誰もシスターと女神像の類似に気付かない。

この前コナミに指摘してみたが、「何言ってんの?」って顔をされた。どう考えてもホラー案件である。

 

更に、彼女は俺にだけ妙に馴れ馴れしい。まるで自分のペットや玩具を愛でるような感覚に見える。

本人に確認しないのかって?いやいや、「貴方はあの時の女神様ですか?」って聞くのか?誰かに聞かれたら俺が憤死しちゃう。

 

「あ、そうそう。あの娘が衣装の修繕が終わったらしいから取りに来て欲しいって言ってたわよ?」

 

「そうなんだ、分かった。今から取りに行くよ」

 

当然というか、ハノイの騎士ロールプレイは開始当時どころか開始前からバレバレである。

第一、ハノイの騎士の衣装は彼女の知人に頼んで用意してもらったものなので当たり前なのだが。

 

~~~

 

孤児院から歩いて約30秒。教会から道路を挟んだ正面にある服屋の暖簾をくぐる。

何で服屋に暖簾があるかは…知らん。エアコンの冷気が逃げるため、急いで扉を閉じる。

 

「柳さん、来たよ」

 

「おう、来たかクロト。お前の身長に合わせて調整もやっておいたから早速着てみて確認してくれ」

 

「うん、分かった」

 

店主の女性に連れられ、店内の従業員控室にて修繕されたハノイのコスチュームに袖を通す。

うん、ピッタリだ。仮面のクオリティもどんどん精密になってきている。その恰好のまま、店主の元に戻る。

 

「うむ、我ながらいい仕事だな。キツいところとかないか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

「別にハノイ口調で喋らなくてもいいぞ」

 

服屋の女性店主、【相沢 柳】さんは苦笑いしながら腕を組んでいる。

この服屋(店の名前は知らない)の店主である柳さんは、シスターセシリアと小学生からの幼馴染らしい。

 

綺麗な黒髪をポニーテールにしてラフな格好のスレンダーな体形の彼女は、姉御肌という言葉がしっくりくる女性である。

夏なので服が汗で透けている時があり、目のやり場に困ることもあるが、役得である。

 

特殊な衣装をオーダーメイドできる店をシスターに聞いたところ、彼女を紹介されたのだ。

灰色の仮面も白いローブも、更には仮面に内蔵されたボイスチェンジャーも彼女のお手製である。スペック高過ぎ。

 

一応、製作費や修繕費も払っているのだが、前世の量産品を買うくらいの金額しか受け取ってもらえていない。

なんでも作るのが楽しかったからこれ以上は受け取らなくていいとのこと。聖人君子かな?いずれ纏めて受け取ってもらおう。

 

「何度も修繕して頂いて、本当にありがとうございます」

 

「ははっ、良いってことよ!」

 

勿論彼女にもハノイの騎士の正体はバレている。…身内の7割くらいにバレているのに顔隠す意味ある?…ある!

 

「これ、修繕費とさっき作ってきたオハギです」

 

「お、いつも悪いな…金はこんなに要らねえから、残りは持って帰りな」

 

「あ、はい」

 

やはりダメだったか。お菓子は受け取ってもらえるので、ここに来るときにはなるべく持ってくるようにしている。

 

「おぉ、なかなか美味いなコレ」

 

「お口に合ってよかったです。では、俺はこれで失礼します」

 

「なんだ?ゆっくりしていってもいいぞ?」

 

「そろそろ営業時間でしょ?また来ますよ」

 

「おぅ、気を付けて帰れよ~」

 

そういってヒラヒラ手を振って見送ってくれる柳さん。今後もきっとあの人には頭が上がらないな。

 

「はい。では失礼しました」

 

柳さんの服屋を出て、一度ハノイの衣装を孤児院に置きに戻る。

後は夜行さんへの返事の手紙を書いて、郵便局に持っていくか。

 

~~~

 

孤児院を出て、強い日差しにウンザリしながら徒歩で郵便局を目指す。大体1時間くらいでかかるので、麦わら帽子と麦茶の入った水筒は持ってきている。

周囲の景色に映る建物が徐々に高くなっていき、ようやく郵便局にたどり着いた。節約のつもりで歩いたが、バスを使えばよかったかな?

 

郵便局で手紙を出し、屋外に出ていたところ、いつもの3人に出くわした。

 

「お、クロトか。手紙出すなんて珍しいじゃねえか…何かの懸賞に応募でもしたのか?」

 

「クロト君、こんちわ~」

 

「ふっ」

 

鈴木、佐藤、田中である。

鈴木は白のTシャツに紺の短パン、佐藤は青のTシャツに緑の短パン、田中は…全身黒いローブで身を包んでいる。暗〇面に堕ちたのかな?

 

「知り合いから手紙が来たから返事を書いただけだよ」

 

嘘は言っていない。

 

「お前、今日暇か?これから佐藤の家近くの空き地でデュエルやるんだが、来るか?」

 

「どうせなら一緒にやろうよ」

 

「今日こそお前に勝つ!」

 

この炎天下の中、外でやるのか?熱中症って知ってるかい?

既に汗だくの田中は、きっと生きて帰ってくることはできないのでないだろうか?

 

「いいけど、今持ってるデッキだと…【八汰烏】と【マキュラ】入ってるぞ?」

 

「帰れ」

 

「やっぱりいいや」

 

「八汰烏は止めろぉぉぉ!!」

 

彼らは去っていった。アイスだけでは田中のトラウマが軽減することはなかったようである。

一応、こまめに水分補給するように忠告だけはしておいたので、きっと大丈夫だろう。

 

 

~~~

 

「やっほー、クロト~」

 

「コナミか。お前、今日用事あるんじゃないのか?」

 

道すがらハンバーガーで昼食をすませ、にじみ出る汗をタオルで拭きながら歩く孤児院への帰り道、ばったりと会ったコナミに話しかけられた。

普段はなかなか起きないくせにシスターに起こしてもらってまで朝早くから出かけたはずだが…。

 

「今もその途中だよ。さっきまで友達と映画を見に行ってて、これから遅めのお昼をその娘の家でご馳走になりに行くんだ」

 

「へぇ、デートかよ」

 

よく見ると、少し離れたところでこちらを…と言うか俺を怒りの表情で睨んでいる同年代の女子が見える。恐ろしい形相である。まるで俺がデートの邪魔をしているように見えているのだろう。

おいやめろ。なんてことをしやがるコナミ。夏とは関係ない汗が出てくるだろうが!

 

「え、違うよ。映画と食事とボーリングを一緒にするだけだよ」

 

それを世間一般ではデートと言うんだよなぁ。そして、お前先週は別の娘と一緒にそれやってたよなぁ?

 

「じゃ、後でね~。おぉ、カード拾った!…ダーク・キメラか。もう持ってるなぁ」

 

「おー、(夜道に)気を付けてな」

 

コナミはいつでも平常運転である。原作ストーリー終わったら爆発しろ。

 

~~~

 

家に到着し、空になった水筒を洗って乾燥機に突っ込み、麦茶をガブ飲みしていたところ、シスターにデュエルを挑まれた。そして、彼女の天使主体の【宣告者パーミッション】デッキに一方的にボコられて完封負けした。

【神光の宣告者】と【大天使クリスティア】を先攻で立てられた俺は、【サンダー・ボルト】や【ブラック・ホール】を墓地に送る作業を繰り返しただけで終わった。手札の【怒炎壊獣ドゴラン】は心なしか悲しそうな眼をしていたように見えた。

シンクロやエクシーズは置いていて、平然と手札誘発まで握って特殊召喚封じまでしてくるんじゃないよ。…何ニヤニヤしてんだよ、チクショウめぇぇぇ!

 

「さて、と」

 

気持ちを切り替えて、夕食前にブログの更新を行う。このブログでは、俺がこの世界で実際に見たカードの紹介を不定期に行っている。

閲覧数はそこそこ。【八汰烏】、【処刑人-マキュラ】、【ラストバトル!】、【現世と冥界の逆転】、【第六感】を取り扱った記事は反響の数が凄かった。

 

今日は…【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】にするか。

ちなみに、広告などは一切載せていないので、何時間かけても収入は0円である。

 

ちなみにハノイの騎士として、大会で稼いだ賞金は全て孤児院と柳さんの服屋に入れている。入手したカードの大半はコナミや他の孤児院の子供たちにプレゼントしている。

コナミも俺とは別の大会に参加して優勝をかっさらっている為、ファイトマネーをわんさか持っていてるが、孤児院に7割くらい寄付している。残りのお金は友達と遊びに行く(デート代)で消えるらしい。弾けろリア充。

 

俺達はまだバイトできる年齢ではないので、親の遺産を少しずつ使って細々とやりくりしているのが現状だ。まだまだあるんだけどさ。

 

この前、天上院兄妹と出会えたが、まだまだ原作の登場人物は居るし、ある程度いる場所が絞れている人たちもいる。

夜行さんからカードを受け取ったら、こちらの方面に出向いてみるのもアリだな。念のため、コナミにはついて来てもらおう。

 

「クロト~。ご飯出来たわよ~」

 

「は~い、今行く~」

 

今後のことは、夕食を食べてから考えよう。今日はカレーだ!モウヤンではないぞ。




オリジナルキャラクターを少し出して、オリ主の日常を描いてみました。

平日は小学校に通い、時々いつもの3人と遊ぶ。
休日は情報収集とハノイスタイルで大会荒らし。

オリ主やコナミはシスターに勝ったことがありません。彼女は自重を知らない為、平然とリンクモンスターも使ってきます。禁止制限もないため、先行ドラグーンくらいは優しいくらいです。コナミですら半泣きになり、彼女とはあまりデュエルをしたがりません。

服屋の柳さんも一般人ですが当然デュエリストで、使用デッキは【ベン・ケイ1キル】。完全に一般人の彼女に、転生チート持ちのはずのオリ主は時々負けます。オリ主くんさぁ。

いつもの3人のデッキは以下の通りとなっております。なお、本格的なデュエルは今後ありません。
鈴木は【戦士族】、エースはジャッジマン。
佐藤は【獣族】、エースはファイアーウイングペガサス。
田中は【悪魔族】、エースは闇魔界の覇王。

コナミはいつもの【水属性】に加え、地属性寄りの【獣族】、地属性寄りの【戦士族】とタッグフォース1~3で使用したデッキ構築を始めた模様。既にコナミ君はシンクロとエクシーズを使えてしまうので、そのまんまにはなりません。ペンデュラムとリンクはオリ主に考慮して自重してくれています。

次回の更新は11/25(水) AM7:00の予定です。

四季式様、メイン弓様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話 コントロール奪取

今回は、原作GXではなく前作遊戯王の外伝である遊戯王Rに登場する人物と出会います。

遊戯王GXがアニメ版遊戯王からの続編とはいえ、ペガサスが存命しているのなら彼や彼の仲間たちも存在して存命しているだろうと思い登場させました。

いわゆる偉い人ポジションなので、彼らがデュエルをして活躍することはないです。裏方としてはオリ主はとてもお世話になっております。


夏休みが終わり、過ごしやすい季節に入ってきた。

読書の秋?スポーツの秋?いやいや、俺は食欲の秋です。

 

そんな中、休みの日を利用して、今日も大会に参加してくる予定だ。

サイフ、良し。デッキ、良し。キャリーバック、良し。そろそろ行こうかな。

 

「クロト~、デュエルしよ~う」

 

「悪いけど、俺は今日大会の日だ」

 

「そういえばそんなこと言ってたね」

 

「ならコナミ。私が相手をしてあげようか?」

 

「アソビニイテキマース!」

 

コナミは全速力で離脱した。まだ10代未満なのに既に中学生陸上部並の逃げ足だ。

シスターはニマニマしている。こんな顔してても美人なのがなんとなくムカつく。

 

「今日は日帰り?」

 

「うん。帰りに夜行さんに挨拶してくるけど、夜には帰ると思う」

 

「ならハンバーグを用意しておくから早めに帰ってきなさい」

 

オカンかな?

 

「あ、お土産のワインを忘れないでね?」

 

ただの飲ん兵衛だった。

 

~~~

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

ハノイスタイルの俺はゆっくりと対戦コートに入り、見覚えのない紫の派手なドレスを来た大人の女性と対峙する。

 

「おーっほっほっほ!仮面舞踏会のおつもりかしら?子供は早くお家へお帰りあそばせ?」

 

口元に手の甲を当てて高笑いする金髪ロールの女性。黙っていれば美人なのにもったいないな。

 

「…」

 

変な人だけど、悪い人には見えないし、わざわざ煽る気はしないかな。

 

「無口なおチビちゃんですわねぇ」

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは準々決勝第一試合、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

派手な女性 LP:4000

 

「先攻は貰いますわ!わたくしのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

派手な女性 手札:5→6枚。

 

「行きますわよ!わたくしは手札から【トロイホース】を攻撃表示で召喚しますわ!」

派手な女性 手札:5枚。

 

フィールドに体の節々に継ぎ目のある大きな馬が現れる。

トロイホース ★4 ATK 1600

 

「このモンスターは地属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができますのよ!」

 

「そして手札から通常魔法【二重召喚】を発動!このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができますわ!」

派手な女性 手札:4枚。

 

「これがどういうことか分かりまして?答えはこれですわ!私はトロイホースを自身の効果により2体分の生け贄として捧げ、【百獣王 ベヒーモス】を生け贄召喚ですわ!!」

派手な女性 手札:3枚。

 

フィールドから大きな馬が消え、代わりにピンクの肌と紫の背ビレを持つ巨大な獣が姿を現す!

百獣王 ベヒーモス ★7 ATK 2700

 

「百獣王 ベヒーモスの効果発動!生け贄召喚に成功した時、生け贄に捧げた数だけ自分の墓地の獣族モンスターを持ち主の手札に戻す事ができますわ!」

 

「わたくしが捧げた生贄は1体!墓地のトロイホースを手札に加えますわ!」

派手な女性 手札:3→4枚。

 

「そして、フィールド魔法【ガイアパワー】発動ですわ!フィールド上に表側表示で存在する地属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンします!」

百獣王 ベヒーモス ★7 ATK 2700 → 3200

派手な女性 手札:3枚。

 

「わたくしはカードを1枚伏せてターンエンドですわ!さぁ、おチビちゃんのターンですわよ?」

派手な女性 手札:2枚。伏せカード:1

 

今までの大会参加者と比べて、堅実なプレイングだな。最上級を先攻1ターンで出しつつ、手札を残して伏せカードもある。

 

ハノイ   LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

派手な女性 LP4000、モンスター:1、伏せカード:1、手札:2枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

ギリギリ足りるかな…?

 

「私は魔法カード【ハリケーン】発動。フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す」

ハノイ 手札:5枚。

 

「させませんわ!伏せカードオープン!カウンタートラップの【マジック・ジャマー】発動!魔法カードが発動した時、手札を1枚捨ててその発動を無効にし破壊しますわ!」

派手な女性 手札:1枚。伏せカード:0

 

チェーン②マジック・ジャマー

チェーン①ハリケーン

 

やはりハリケーンは無効化されたか。最近はカードの研究も進んできて、カウンタートラップを採用するデュエリストも増えてきた。いいことだ。

だが、ご婦人よ。伏せカードは無くなりましたなぁ!

 

「私はLP800を払い、魔法カード【洗脳-ブレインコントロール】発動!相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、エンドフェイズ時までコントロールを得る」

ハノイ LP4000 → 3200 手札:4枚。

 

「な、なんですってぇ!」

 

「【百獣王ベヒーモス】はターン終了時まで私の僕となる!」

 

マジック・ジャマーのコストで墓地に送っていたのは既にこちらにバレているトロイホース。

最後の手札1枚が分からないが、ここは臆せず攻める!

 

「私は手札より【キャノン・ソルジャー】を召喚!」

ハノイ LP4000 手札:3枚。

 

フィールドに大砲を背負った機械兵士が現れる。

キャノン・ソルジャー ★4 ATK 1400

 

「バトルフェイズへ移行!キャノン・ソルジャーでダイレクトアタック!」

 

機械兵士の放った砲弾が紫ドレスの女性に迫る!

 

「きゃあ!」

派手な女性 LP4000 → 2600

 

この女性なら手札に【クリボー】か【ゴーズ】を握っている可能性もあったが、何とかなりそうだな。

 

「フィナーレだ!百獣王 ベヒーモスでダイレクトアタック!」

 

洗脳されたピンクの百獣王が本来の主に突進し、牙を向く!

 

「きゃぁぁぁぁ!!」

派手な女性 LP2600 → 0

 

「あ、ありえませんわぁ…」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「た、対戦、ありがとうございましたぁ」

 

さて、残りの用事を済ませて帰りますか。

 

~~~

 

大会を終え、旅行用のキャリーケースを転がしながら、I2社日本支部へとやってきた。

 

「こんにちわ~」

 

「いらっしゃいませ。あら、ハノイ君。天馬支部長にご用事かしら?」

 

「誰が聞いているかもわからないので、素顔の時にハノイ君は止めて下さいよ」

 

I2社日本支部の受付嬢と会話をする。去年、大会予選でも受付をしていた女性だ。

元々はこちらの社員だったらしく、時折この支部を訪れている時に正体がバレた。正体ばれすぎ問題だ。

 

「天馬さんに用事ですが、天馬夜行さんの方に用事ですよ」

 

「あぁ、副社長ではなく社長にですか。…確かにアポを取ってありますね。少々お待ちください」

 

近くのソファーに座って休憩していると、社長室に通された。

 

「やぁ久しぶり白河君。元気そうだね」

 

「はい。天馬社長もお元気そうで何よりです」

 

天馬夜行。原作遊戯王の外伝に当たる【遊戯王R】にラスボスとして登場する人物である。原作ではね。

今作ではペガサス・J・クロフォードが自身の後継者を確保する為に世界中から集め育てた孤児「ペガサスミニオン」の1人でI2社の現社長だ。

 

兄の天馬月行と比較されることが多かったようだが、ペガサス会長が存命の為、原作のような勘違いからのコンプレックスを抱くことはなかった。

他のペガサスミニオンのメンバーも公私ともにペガサス会長を支え、充実した毎日を送っているらしい。

 

時々彼や他のペガサスミニオンのメンバーとデュエルをする機会があったが、いずれも生半可なデッキでは彼らに傷1つ付けることはできなかった。

敵対関係になっていなくて本当によかった。

 

ちなみに、全員イケメンである。この世界のデュエルスキルは顔面偏差値に比例するのか?

なるほど、モブ顔の俺が実はクソザコナメクジなのも納得いく…言ってて悲しくなってくるのでこれ以上は止めておこう。

 

「これがペガサス様から預かったカードだ。大切に使ってあげてくれ」

 

「えぇ、大切にさせていただきます…!!」

 

ま、まさか!このカードは!!

 

「そう。君風に言うならば、パンドラ仕様の【ブラック・マジシャン・ガール】だ。その1枚しか刷っていないから、間違いなく世界に1枚のカードだよ。」

 

お、お、おぉぉぉぉぉっ!格好いいなぁ!!原作コミックで初登場した際の、まだ可愛さよりも格好良さを感じさせるブラック・マジシャン・ガールだ!

パンドラ仕様と言うことで、髪の色は銀髪だし!肌の色は少し浅黒い感じがまた強者感あって強そう!ありがてぇ!ありがてぇなぁ!!

 

「気に入ってもらえたようで何よりだ」

 

天馬社長が微笑ましいものを見る目でこちらを見てくるが、感動を抑えきれないな!これは!!

 

「さて、今日は君に1つ話しておきたいこともあったんだ。今の状態で構わないから聞いていてくれ」

 

…はっ!危ない危ない。トリップしかけていた。流石にこれ以上は失礼にあたる。

このカードは大切に保管しておくとして、まずは彼の話を聞こう。

 

「君が以前から言っていた、カードの禁止・制限。いわゆるリミットレギュレーションと、カード効果のエラッタを近いうちに採用することが決定した」

 

「そうですか。私としてもあった方がいいと思いますので賛同しますよ」

 

と言うか、無いと先攻1ターンキルが横行するからね。大会では俺が1番やっている気がするが。

 

「君がペガサス様に提出していたリストとその判断理由を見せてもらったが、納得の一言だったよ」

 

前世で実際に結果、と言うか惨状を引き起こした実績があるカードばかりだからね。そうだろうね。

 

「海馬コーポレーションと連携し、プロデュエリストやデュエル大会の関係者各位、各地の主だったカードショップと話を詰めていくとして、恐らく来年には第一弾が発表されることになるかな」

 

「来年ですか。それまでは私も大会で実際に使用してその危険度を周知していくようにしてみますね」

 

それでもいずれはカードパワーのインフレが起こっていくんだろうけど、それはその都度対応していけばいいからな。

などと珍しく真面目なことを考えていたのだが、思わぬ宝を入手したことで舞い上がっており、家に着く頃には忘れていた…。




今回は【ブレインコントロール】を使用しましたが、今回に限ってはエラッタ後の性能でも同じことができますね。

【ハーピィの羽箒】が許されて、【大嵐】が許されない理由は、実は私はよく分かっていません。一部の魔法罠の再利用できてしまう【ハリケーン】がヤバいのはよく分かるんですけどね。


まだ使ってなくて、本作の現環境で使えそうな禁止カードは【サンダーボルト】【心変わり】【強奪】【悪夢の蜃気楼】【突然変異】【大寒波】【マジカル・エクスプロージョン】あたりでしょうか。
これらもそのうち使用していきたいので、恐らくまた無実のオリジナルモブキャラクターが犠牲になるのだ。

次回の更新は11/25(水) AM8:00の予定です。

四季式様、白銀神雅魅様、メイン弓様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話 エンタメトマト君

今回、ヘイト要素ありです。ご注意ください。

今回は何処かで見覚えのある対戦者のようですが、現在は関わるつもりがないのでハノイスタイルのオリ主はスルーします。ペンデュラムモンスターが居ない彼のデッキは今後活躍する可能性があろうのでしょうか…。


2021/6/12 誤記修正ついでに表記フォーマットを最新版に変更しました。


 秋が過ぎ、吐く息も白くなってきた今日この頃。太陽もまだ出たばかりの早朝、俺はキャリーバックを片手に孤児院を出発しようとしていた。

 

「クロト、今日は出発早いんだね」

「あぁ、今日の会場がある舞網市は結構近いんだけど、参加者が多くて大会開始時間が早いから、家を早めに出ないと大会に間に合わないんだ」

「へぇ~」

 

 そんな話をしていると、先ほどまで朝食の片づけをしていたシスターが話しかけてきた。

 

「クロト、コナミ。前にも言ったけど、明日から新しい子達が来ることになっているから、仲良くしてあげてね」

「新しい子?」

「童実野町のコモンズエリアって所の孤児院が経営難で潰れちゃったからから、そこで暮らしていた子供2人がこっちにやってくるんだってさ」

「貴方たちより1つ年下の元気な子達よ。会えばきっと仲良くなれると思うわ」

 

 そして何故かシスターはこちらを見てニコニコしている。原作の登場人物に日本の孤児は居なかったはずだが…。

 

「分かったよ。今日も何とか日帰りで帰れると思うから、大丈夫だ」

 

 半年ほど前に俺とコナミ以外の子供たちは独り立ちをして孤児院から出ていったため、空き部屋はいくつかあるはずだ。

 帰ってきたら少し片づけておかないとな。

 

「あ、お土産のシャンパンを忘れないでね?」

 

 飲み過ぎるとアルコール中毒になるぞ?

 

「オレはドローパンがいいな!」

 

 あれは売ってるところが限られるから無理かなぁ。

 

~~~

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

 ハノイスタイルの俺はゆっくりと対戦コートに入り、何処かで見覚えのあるトマト頭の少年と対峙する。

 

「ハノイの騎士!アンタをオレのエンタメデュエルで笑顔にしてみせるよ!」

「そうか」

 

 あぁ、アニメ版の性格なのか。

 観客席を見まわしてみると、ピンクの少女、暑苦しそうなおっさん、リーゼントの少年、シルクハットのおっさん、気の強そうなお姉さんが見えた。

 赤髪の魚が好きそうな少女、青髪の賢そうな少年、黄色のぽっちゃりボーイは…流石にまだ居ないか。

 

 とりあえず、父親は行方不明になっていないようで少し安心したな。

 なら、多少は凹ませても大丈夫だよな?

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは準々決勝第一試合、開始して下さい」

 

 大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「今回のアクションフィールドは、【マジカル・ブロードウェイ】!リアルソリッドヴィジョン、展開!」

 

 会場が、煌びやかなネオンがに包まれた劇場街へと姿を変えていく…!

 

【マジカル・ブロードウェイ】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、アクションカードを使用できる。アクションカードは1枚しか手札に加える事ができない。

 

 アクションフィールドとは、デュエル開始時に自動的に発動されるフィールド魔法である。

 どちらのプレイヤーのデュエルディスクにセットされているわけでもないので魔法罠の全体除去効果でも除去は不可能。張り替えもできない。

 

 アクションカードとはアクションデュエルにのみ使用されるカードで、デュエル開始時にフィールドにばらまかれる。見た目はカード裏面に「A」の文字が書かれている。

 アクションマジックとアクショントラップの2種類があり、前者が入手者にメリットをもたらし、後者が入手者にデメリットをもたらす。

 

 これが非常に厄介で、自分・相手のどのフェイズだろうが入手することができて、どのタイミングでも使用できるセットしなくてもいい速攻魔法のようなものである。

 入手するためには触れられるソリッドヴィジョンであるリアルソリッドヴィジョンが展開された会場を走りまわり、隠された「A」と書かれたカードを見つける必要がある。

 地元民は自分のモンスターに乗って探すらしい。アグレッシブだよな。運動音痴の俺には無理そうだ。

 

 更に、アクションフィールドによって固有のアクションマジックも存在するため、慣れ親しんだアクションフィールドで戦うととても有利になる。

 そもそも、アクションデュエル自体がこの舞網市でのみ唯一行われているデュエルの為、地元民以外は俺を含めてみんな初見さんなので完全にアウェーである。実際、一度も拾えたことがない。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」

 

 トマト少年が、大きな声でアクションデュエルを始める前の前口上を喋り始めた。

 そして大会実況者より台本を渡される俺。…え、やっぱり俺もこれ言わないとだめなの?

 

「も、モンスターとともに地を蹴り、宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆トマト LP:4000、手札:5枚。

 

 

 今日何度目かになるが、めちゃくちゃ恥ずかしかった。

 流石は舞網市。他の地域とは文明と精神の持ち様が違うな。

 

「先攻はオレが貰うよ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

トマト 手札:5→6枚。

 

 俺のプレイングを見た相手は、ほぼ俺に先攻をくれないのだ。

 先ほどの言動を鑑みるに、恐らく彼は決勝戦までの俺のデュエルを見て憤慨していたのだろう。

 デッキ破壊なんて…あれが本当のエンタメだなんてオレには思えない…!っと、そんなことを言ってそう。

 だが安心してもらっていい。今のデッキは、準決勝まで使用していたデッキ破壊系メインではない。 サイドデッキのカードと入れ替えて、ごく一般的なバーンデッキにしてあるのだ。

 

「俺は手札から通常魔法【EMキャスト・チェンジ】発動!」

トマト 手札:6→5枚。

 

【EMキャスト・チェンジ】

通常魔法

「EMキャスト・チェンジ」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札の「EM」モンスターを任意の数だけ相手に見せ、デッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数+1枚をデッキからドローする。

 

「手札交換カードかな」

 

「その通り!俺は手札の【EMジンライノ】、【EMアメンボート】、【EMプラスタートル】を見せてデッキに戻しシャッフル!戻したモンスターは3体、よって3枚に加えて1枚、つまり4枚デッキからドローする!」

トマト 手札:5→2→6枚。

 

 見事に非ペンデュラムモンスターモンスターばかりだ。

 良かった。謎の力でペンデュラムモンスターとペンデュラムルールを生み出したりはしていないようだな。

 

「俺は手札から通常魔法【強欲な壺】発動!デッキから2枚カードをドローするよ!」

トマト 手札:6→5→7枚。

 

 アニメ主人公は全員がドローソースを引き込む才能が有ったりするのだろうか?

 

「俺は手札から【EMディスカバー・ヒッポ】を攻撃表示で召喚だ!」

トマト 手札:7→6枚。

 

フィールドにシルクハットを被ったピンクのがカバが現れ、トマト少年がカバに乗る。

 

<トマト君のフィールド>

EMディスカバー・ヒッポ ★3 ATK 800

 

【EMディスカバー・ヒッポ】

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻 800/守 800

(1):このカードが召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに、レベル7以上のモンスター1体を表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。

 

「【EMディスカバー・ヒッポ】の効果は!このカードが召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにレベル7以上のモンスター1体を表側攻撃表示でアドバンス召喚できる!」

 

 カードの説明をしながらフィールドを走りまわるカバとトマト少年。あっという間にアクションカードを見つけたようだ。

 カバにはカードテキストには書かれていないがアクションカードの匂いをかぎ分け、見つける能力があるらしい。それズルじゃん。

 

トマト Aカード:0→1枚。

 

「そして、自分がこのカード以外のEMモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時、この【EMヘルプリンセス】を手札から特殊召喚できるのさ!」

トマト 手札:6→5枚。

 

フィールドに黒髪のツインテールに羽飾りを付けた、黒いドレスの少女が現れた。手には先端が白い手袋のような形の杖を持っている。

 

<トマト君のフィールド>

EMディスカバー・ヒッポ ★3 ATK 800

EMヘルプリンセス ★4 ATK 1200

 

【EMヘルプリンセス】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1200/守1200

(1):自分が「EMヘルプリンセス」以外の「EM」モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

 

「レディースエーンドジェントルメーン!今日は僕のワンマンショーへようこそ!さぁ!お楽しみはこれからだ!!」

 

 トマト少年がカバから降りてわざわざ高台に上り、両手を空に向けながら高らかに宣言する。

 何の意味があるのだろう。遅延行為かな?

 

「私はフィールドのヒッポとヘルプリンセスをリリース!さぁ、拍手でお迎えください!本日の主役、世にも珍しい二色の目をもつ龍!【オッドアイズ・ドラゴン】をアドバンス召喚!」

トマト 手札:5→4枚。

 

フィールドにオッドアイの赤いドラゴンが現れ、トマト少年がその背に乗る。

 

<トマト君のフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7 ATK 2500

 

【オッドアイズ・ドラゴン】

効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

 

 アニメ放送前情報では主人公の代表的なカード扱いされていたのに、アニメ1話でいきなり【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】に書き換わって完全に出番がなくなったと言う悲しき運命を背負ったドラゴンだ。

 それにしても、彼は一人称がコロコロ変わるなぁ。

 

「このモンスターは戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、その相手モンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える効果を持ちます!」

 

 【E・HERO フレイム・ウィングマン】に近い効果だ。決まればLP4000環境だと厄介な効果だよな。

 

「私はカードを3枚伏せてターンエンドです!さぁ君のターンだよ!」

トマト 手札:4→1枚。

 

 大したことやってない割には長い先攻1ターンだったな。とはいえ、フィールドには最上級モンスター1体に伏せカード3枚。手札とAカードがそれぞれ1枚か。

 彼のデッキには攻守増減や防御カードはあれど、相手の行動を妨害をするようなカードは入っていないんだろうなぁ。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆トマト LP:4000、手札:1枚、伏せカード:3、Aカード:1枚。

 

<トマト君のフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7 ATK 2500

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

 あ、良い引きだわ。トマト君のことは言えないな。多分勝ったなコレ。

 

「私は魔法カード【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドローする」

ハノイ 手札:6→5→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【ハーピィの羽根帚】発動。相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する」

ハノイ 手札:7→6枚。

 

【ハーピィの羽根帚】

通常魔法

(1):相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「あぁ!俺の伏せカードが!」

トマト 伏せカード:3→0枚。

 

 破壊できたのは【イリュージョン・バルーン】【エンタメ・フラッシュ】【ドタキャン】か。

 墓地発動できる効果のカードは無いな。あと怖いのはアクションカードだが、どんな効果の物があるかあまり知らないんだよな。とにかく気にせず攻めてみようか。

 

「私は魔法カード【強引な番兵】発動!相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

【強引な番兵】

通常魔法

相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す。

 

「えっ!?」

「それでは、手札を拝見させてもらおうか」

 

 手札を確認すると言ってもトマト君の手札は1枚だけだ。さて、その手札は…なんだ。これか。

 

「私は貴様の手札の【スマイル・ワールド】を選択して貴様のデッキに戻す」

トマト 手札:1→0枚。

 

「オレの手札が…父さんのスマイル・ワールドが…デッキに戻されてしまったぁぁぁ…!」

 

 手札からデッキに【スマイル・ワールド】を戻しただけでいきなり頭を抱えだすトマト少年。

 怖い。動揺することでもないだろうに。キラートマト化したりしないよな?

 

 それにしても、あれが例の笑顔洗脳カードか。流石に原作のような強烈な洗脳効果は多分無いと思う。

 だが、万が一の可能性もあるし、発動させずに済んで良かった。一応、墓地には送ってないんだから許してくれ。

 

「私は魔法カード【強奪】発動!装備対象は【オッドアイズ・ドラゴン】だ。そしてそのコントロールを得る!」

ハノイ 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚。

 

【強奪】

装備魔法

このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。

相手のスタンバイフェイズ毎に相手は1000ライフポイント回復する。

 

「うわっ!オッドアイズ!?」

 

トマト少年はオッドアイズの背から振り落とされて尻もちをつく。そして、オッドアイズは俺の足元に跪く。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7 ATK 2500

 

<トマト君のフィールド>

モンスター無し

 

「そんな…」

 

 トマト君、良いドラゴンだな!少し借りるぞ!すぐに返すからさ!

 なぁに、その分、次の君のスタンバイフェイズにはLP1000回復する効果があるじゃないか。次がくればなぁ。

 

「私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから2枚目の【トゥーンのもくじ】を手札に加える!」

ハノイ 手札:4→3→4枚。

 

【トゥーンのもくじ】

通常魔法

(1):デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。

 

「更に私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから3枚目の【トゥーンのもくじ】を手札に加える!」

ハノイ 手札:4→3→4枚。

 

「そして私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから【トゥーン・キャノン・ソルジャー】を手札に加える!」

ハノイ 手札:4→3→4枚。

 

「一体、何をしているんだ!」

 

 デッキ圧縮だよ。もしこのコンボが防がれて次のターンが回った時の布石みたいなものだ。

 

「私は手札から【トゥーン・キャノン・ソルジャー】を召喚!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

【トゥーン・キャノン・ソルジャー】

トゥーンモンスター

星4/闇属性/機械族/攻1400/守1300

このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃する事ができない。

自分フィールド上に「トゥーン・ワールド」が存在し、相手フィールド上にトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

フィールド上の「トゥーン・ワールド」が破壊された時、このカードを破壊する。

また、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事で、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

「【トゥーン・キャノン・ソルジャー】の効果発動!自身をリリースする事で、相手ライフに500ポイントダメージを与える」

 

「なっ!?させない!俺は手札からアクションマジック【フレイム・ガード】発動!自分が受ける効果ダメージを0にする!」

トマト Aカード:1→0枚。

 

【フレイム・ガード】※アニメオリジナルカード

通常魔法

①:効果ダメージを0にする。

 

チェーン②フレイム・ガード

チェーン①トゥーン・キャノン・ソルジャー

 

 トマト少年へ砲弾となったキャノンソルジャーが通過していくが、直前で彼の前を炎の壁が展開され、防弾を焼き尽くした。

 防いだか。でもアクションカードは使わせた。そして、このタイミングでそれを使っても良かったのかな?

 

「私は魔法カード【遺言状】発動!私はデッキより【カタパルト・タートル】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

【遺言状】

通常魔法

このターンに自分フィールド上のモンスターが自分の墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

「更に私は手札から魔法カード【連続魔法】発動!発動コストとして手札を全て墓地に捨て、私はデッキより【魔導サイエンティスト】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:2→1→0枚。

 

【連続魔法】

速攻魔法

自分の通常魔法発動時に発動する事ができる。

手札を全て墓地に捨てる。このカードの効果は、その通常魔法の効果と同じになる。

 

チェーン②連続魔法

チェーン①遺言状

 

 フィールドに白衣を着たサングラスの禿げたオッサンが現れ、続いてカタパルトを背負った大きな緑亀が現れる。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7 ATK 2500

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

 

【魔導サイエンティスト】

効果モンスター

星1/闇属性/魔法使い族/攻 300/守 300

1000ライフポイントを払う事で、融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。

この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、ターン終了時に融合デッキに戻る。

 

【カタパルト・タートル】(※エラッタ前)

効果モンスター

星5/水属性/水族/攻1000/守2000

自分のフィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる。

そのモンスターの攻撃力の半分をダメージとして相手に与える。

 

 すかさず周囲を見回しながらフィールドを走りまわるトマト少年。そしてまたもやあっという間にアクションカードを見つけたようだ。

 

「良し!」

トマト Aカード:0→1枚。

 

 早すぎる。ほぼ迷わず一直線にアクションカードを見つけて取られたぞ。

 原作の敵キャラがアクションカードを取れない理由の一端が見えた気がするな。

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。自分フィールドのモンスターを生け贄に捧げ、捧げたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える」

 

「ま、まさか!!」

「当然、生け贄は【オッドアイズ・ドラゴン】だ」

「や、やめろー!こんなのデュエルじゃない!オレが信じるデュエルは、みんなを幸せに…!」

「発射」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

 

 カタパルトにセットされたオッドアイズが発射される!

 そうら、返すぞ!

 

「あ、アクションマジック【アンコール】発動!オレはさっき使った【フレイム・ガード】の効果を発動する!自分が受ける効果ダメージを0にする!」

 

【アンコール】

通常魔法

①:以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地のアクション魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果を発動できる。

●このカードを破壊する。

 

チェーン②アンコール

チェーン①カタパルトタートル

 

 砲弾となったオッドアイズはトマト少年の腹部に直撃してめり込む!

 だが、直前で彼の前を炎の壁が展開され、ダメージを受けなかったようだ。

 

 それにしても、まるで必要なカードがどこにあるのか知っているくらいに的確なカードを手に入れてくるな。

 流石は…いや、ハノイの騎士にとっては、彼はただのトマト君だ。深入りすべきでないな。

 

「こんな…こんなの…」

 

「【魔導サイエンティスト】の効果発動。LP1000を払い事で、融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する」

ハノイ LP4000 → 3000

 

「融合の魔法カードなしで融合モンスターを特殊召喚だって!?」

 

「【魔導サイエンティスト】の効果により、私は融合デッキより【紅陽鳥】を特殊召喚」

 

フィールドの紫の翼を持った赤い鳥が現れる。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

紅陽鳥 ★6 ATK 2300

 

【紅陽鳥】

融合モンスター

星6/炎属性/鳥獣族/攻2300/守1800

「セイント・バード」+「スカイ・ハンター」

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。【紅陽鳥】を生贄に捧げ、その攻撃力の半分の1150ダメージを相手ライフに与える」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

 

 すまんな。エラッタ前の【カタパルトタートル】なんで、名称ターン1制限なんてないんだ。

 

 カタパルトにセットされた紅陽鳥が発射され、赤い砲弾となりトマト少年の胸部に突き刺さる!

 

「うわぁぁぁ!」

トマト LP4000 → 2850

 

「魔導サイエンティストの効果発動。LP1000を払う事で、融合デッキから【アクア・ドラゴン】を特殊召喚」

ハノイ LP3000 → 2000

 

フィールドの青い体のドラゴンが現れる。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

アクア・ドラゴン ★6 ATK 2250

 

【アクア・ドラゴン】

融合モンスター

星6/水属性/海竜族/攻2250/守1900

「フェアリー・ドラゴン」+「海原の女戦士」+「ゾーン・イーター」

 

「また!?」

 

 すまんな。【魔導サイエンティスト】の効果には、そもそも名称ターン1制限なんてないんだ。

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。【アクアドラゴン】を生け贄に捧げ、その攻撃力の半分の1125ダメージを相手ライフに与える」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

 

 カタパルトにセットされたアクアドラゴンが発射され、青い砲弾となりトマト少年の臀部に突き刺さる!

 

「ぐわぁぁぁ!」

トマト LP2850 → 1725

 

「【魔導サイエンティスト】の効果発動。LP1000を払う事で、融合デッキから【金色の魔象】を特殊召喚」

ハノイ LP2000 → 1000

 

フィールドの金色のマンモスの骨が現れる。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

金色の魔象 ★6 ATK 2200

 

【金色の魔象】

融合モンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻2200/守1800

「メデューサの亡霊」+「ドラゴン・ゾンビ」

 

「そんな…」

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。【金色の魔象】を生け贄に捧げ、その攻撃力の半分の1100ダメージを相手ライフに与える」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

魔導サイエンティスト ★1 DEF 300

 

カタパルトにセットされた金色の魔象が発射され、金色の砲弾となりトマト少年の胸部に突き刺さる!

 

「あぁぁぁぁ!」

トマト LP1725 → 625

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。【魔導サイエンティスト】を発射」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カタパルト・タートル ★5 DEF 2000

 

カタパルトにセットされたオッサンが発射され、トマト少年の胸部に突き刺さる!

 

「がはぁっ!」

トマト LP625 → 475

 

「【カタパルトタートル】の効果発動。自身を発射」

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

光輝いたカタパルト・タートルが自身を砲弾となり飛翔。トマト少年の胸部に突き刺さる!

 

「うわぁぁぁぁ!!」

トマト LP475 → 0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 試合後は、曇った表情でゴーグルをかけて体育座りを始めたトマト少年に背を向け、さっさと家に帰った。

 トマト少年に限らず、このデッキを相手にすると大体似たような状態になるからね。気にしない気にしない。

 

「ただいま~。お~、家の中は暖かいなぁ」

「お帰りクロト。新しい子たちの部屋の掃除はやっておいたよ」

「そうなのか?ありがとう。手伝えなくてすまなかったな」

「別にいいよ」

「お詫びと言っては何だが、ほれ。お土産のドローパンだぞ」

「ヒャッホー!」

 

 何とか見つけた土産のドローパンをコナミに渡した後、同じく土産のシャンパンをシスターに渡した。何やらそこそこ珍しい銘柄だったらしく結構喜んでもらえたようだ。

 そしてその後、三人で遅めの夕食を摂る。今日はスパゲティか。良いね。

 

「聞き忘れていたけど、明日来る子達の名前は?」

「そう言えば、オレも聞いてなかったな」

「速見ユーゴ君と風祭リンちゃんよ」

 

 頭にバナナ乗っけていそうな少年と、緑の髪の美少女っぽい名前だな。




ついに出てしまった【サイエンカタパ】。遺言状2枚が通ればばそのまま先行1ターンキルが完成してしまうこのデッキは、他のデッキと比べても完成度高いですよね。

トマト少年は原作と違い、父親が失踪する原因がないため、特に挫折することなく緩く育っていると思ったので、早めに一度曇らせておくべきかと思って1ターンキルの犠牲者に抜擢されてしまいました。いつになるかはわかりませんが、次回登場時にはきっと名前も明かされることでしょう。

そしてアークファイブの登場人物でありユーゴとリンが次回登場予定。苗字がなかったはずなので、それっぽいのを付けておきました。
合わせてシンクロ召喚も解禁し始める予定。【SR】や【WW】でシンクロが使えないとか厳しすぎますからね。

次回の更新は11/28(土) AM6:00予定です。

四季式様、gsころりん様、メイン弓様、誤字報告およびデュエル展開ミスのご指摘ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五話 ユーゴ&リン

タッグしちゃいましたね。

【WW】も【SR】も本来この時代の存在しているデッキとはかけ離れた高性能の為、オリ主やコナミ君もそれに合わせたデッキ構成をしています。


朝食を食べ終わり、シスターの代わりにコナミと二人で片づけを終えた。真冬の水仕事は堪えるな。リビングでくつろぐこと数十分後、シスターの車が最寄りの駅から戻ってきたようだった。

 

「おっ、戻ってきた」

 

「じゃあ行こうか」

 

コナミと2人、玄関にシスター達を出迎えに行くと、孤児院の玄関にはシスターの他に二人の子供が立っていた。子供二人の近くには大きめのリュックサックが2つ置いてある。彼らの私物だろうか。

 

「おかえりシスター。そっちの子たちがそうかい?」

 

「えぇ、そうよ。さぁ二人とも。初めましてのご挨拶しましょう?」

 

「は、初めまして。風祭リンといいます。よ、よろしくお願いします」

 

緑の髪に、青と白の服を着た少女が丁寧かつ控えめに挨拶をする。緊張してるのかな。

 

「おー、お前らがシスターの言ってた奴らか。オレは速見ユーゴ!よろしくな!」

 

青の髪に前髪だけバナナのような形状の金髪という変わった髪型の、白メインの服を着た少年が元気に挨拶をする。こちらは緊張とは皆無のようだ。

 

「こ、こらユーゴ!失礼でしょ!相手は年上なのよ!」

 

「なんだよリン。こまけーなぁ」

 

どうやら今日からくる子供たち二人に間違いないようだ。

 

「はじめまして。俺は白河クロト。よろしく。言葉遣いとかは誰も気にしないから適当でいいよ」

 

「はじめまして。オレは赤羽コナミだ。クロトの言う通り、好きに喋ればいいと思う」

 

「はい。みんなよくできました。ユーゴとリンにはこれから孤児院の中を案内するわね。クロト、コナミ。二人の荷物を二人の部屋に運んでおいてもらえるかしら?」

 

「いいよ」

 

「分かった」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「運んでくれるのか、サンキューな!」

 

そういうとシスターは二人を連れて孤児院の奥へと向かっていった。俺とコナミは二人の荷物をそれぞれの部屋まで運んで行ったのだが、重い。何が入ってるんだこのリュック…。

 

「ふいー疲れた~」

 

「だらしないなぁクロト。外で運動しないからだぞ?」

 

仮に外で運動しても、お前の様に格闘ゲームのキャラクターみたいな動きはできないと思うぞ。本当に小学校低学年なの?孤児院のリビングでゴロゴロしていると、シスターの案内が終わったのか、先ほどの二人がリビングに入ってきた。

 

「おー、荷物ありがとな!…えっと」

 

「もう、ユーゴ!クロトさんにコナミさんよ」

 

「おぅ、そうだったなサンキュー!クロトにコナミ!」

 

「だから呼び捨ては…」

 

「いや、ホントに呼び方は適当でいいよ。本当に誰も気にしないから」

 

「そんなことより、二人とも!デュエルしようぜ!」

 

早速かコナミ。昨日から今日に向けたデッキ調整してたもんな。

 

「おっ!デュエルか!いいぜ、俺のスピードロイドをみせてやるよ!なぁリン!」

 

「えっと…」

 

「じゃあ中庭に移動しよう!クロトもリンも早く来なよ!」

 

「あぁ、分かった」

 

コナミはユーゴを連れて孤児院の中央にある中庭へと向かっていった。

 

「じゃ、行こうかリンちゃん」

 

「は、はい」

 

ユーゴ君はもう大丈夫そうだけど、リンちゃんは少し緊張しているみたいだな。これはコナミの親睦デュエル計画が上手く機能してくれそうだな。流石は天然人たらし。こういう場を和ます技術は天下一品だ。

 

~~~

 

「ルールはタッグフォースルール。LPはお互い8000。まずはオレとクロト、ユーゴとリンのタッグだ」

 

「おう!リン、よろしく頼むぞ!」

 

「う、うん」

 

どうしてこうなった。タッグデュエル?聞いてないんだが?真冬の中庭は冷えるんだが?部屋に戻って炬燵に突撃したいんだが?そう思いながらコナミを軽く睨むが、「どうした?」などと返してきた。

 

「ターン順番は、先攻はリン、後攻はオレ。その後にリンのフィールドと墓地を引き継いでユーゴ、最後にオレのフィールドと墓地を引き継いでクロトだ」

 

あ、この野郎。全然聞く気ないな。この状況で俺だけ抜けるのは流石に空気読めないやつだよなぁ。仕方ない、やりますか。

 

「最後の俺のターンが終わったら、またユーゴ君のフィールドと墓地を引き継いだリンちゃんのターンになり…とその繰り返しだな」

 

「わ、わかりました」

 

「タッグデュエルなんて初めてだぜ!くぅ~腕が鳴るなぁ!」

 

ん?…気付けばシスターが自室からこちらを見てニコニコしていた。自分だけエアコンの効いた室内で…。初めからこうなることを知っていて、俺にだけは黙っていたなあの人。

 

「よし、じゃあ始めようか」

 

「「「「対戦、よろしくお願いいたします」」」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆コナミ&クロト LP:8000

 

VS

 

◆リン&ユーゴ  LP:8000

 

 

タッグフォースルールとは、まさに遊戯王タッグフォースで使用されているタッグフォースのルールのことである。先ほどの説明の通り、LP8000、手札は個別、フィールドと墓地はタッグ同士で共有する。当然、デッキコンセプトは寄せている方が有利だ。

 

「私のターン!ドロー!」

リン 手札:5→6枚。

 

子供同士&身内同士なので、フェーズ宣言は省略している。

 

「自分フィールドにモンスターが居ない場合、【WW-アイス・ベル】を手札から特殊召喚!」

リン 手札:5枚。

 

氷の箒にまたがった青髪の魔女が現れる。

WW-アイス・ベル ★3 ATK1000

 

これはWWデッキの基本的な動きだ。だが、このデッキはとても強力で恐ろしい。手札誘発が無い場合、この時点でレベル7以上のシンクロ召喚が確定しているようなものだ。

 

「その後、デッキから「WW」モンスター1体を特殊召喚できる。私は【WW-グラス・ベル】を特殊召喚!この効果でデッキから特殊召喚したモンスターはリリースできず、この効果を発動するターン、自分はレベル5以上の風属性モンスターしか融合デッキから特殊召喚できない」

 

氷の箒にまたがった緑髪の魔女が現れる。

WW-グラス・ベル ★4 ATK1500 チューナー 

 

「【WW-アイス・ベル】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動でき、相手に500ダメージを与える!」

 

「いてて」

コナミ&クロト LP:8000 → 7500

 

「そして、【WW-グラス・ベル】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動でき、デッキから「WW-グラス・ベル」以外の「WW」モンスター1体を手札に加える。私は【WW-スノウ・ベル】を手札に加える!この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない」

リン 手札:5→6枚。

 

「回るなぁ!」

 

コナミはご機嫌だ。既に結構マズい状況なのを分かっているのだろうか?分かっているんだろうなぁ。

 

「更に!自分フィールドに風属性モンスターが2体以上存在し、風属性以外のモンスターが存在しない場合に発動でき、【WW-スノウ・ベル】を手札から特殊召喚する。このカードをS素材として風属性SモンスターをS召喚した場合、そのSモンスターは相手の効果では破壊されない」

リン 手札:5枚。

 

1対の翼のアクセサリーのようなものを頭に付けた青目の球体のベルが姿を現す。

WW-スノウ・ベル ★1 ATK100 チューナー

 

これがWW(ウィンドウィッチ)デッキの恐ろしさの一端。召喚権を使わず、一気にモンスターとチューナーを並べる展開力。風属性縛りの制約があるが、WWは全て風属性魔法使い族。この制約はあってないようなものだ。

 

「そして私は手札から【幸運の笛吹き】を通常召喚!」

リン 手札:4枚。

 

茶色の帽子と緑の服を身に着けた白き翼を持つ少年がフィールドに現れる。

幸運の笛吹き ★4 ATK1500 デュアル

 

デュアルモンスター。フィールドと墓地では通常モンスター扱いとなり、フィールドに召喚後、もう一度召喚権を使って召喚しなおすデュアルという方法で効果を得るタイプのモンスターだ。

 

それにしても、WWモンスターをあれだけ並べておいてシンクロ召喚しないんだな。てっきり★7シンクロモンスター【WW-ウィンター・ベル】が出てくると思ったんだが…。

 

「私はカードを3枚伏せてターンエンド!」

リン 手札:1枚。

 

 

◆コナミ&クロト LP:7500 モンスター:0、伏せカード:0

コナミ 手札:5枚

クロト 手札:5枚

 

vs

 

◆リン&ユーゴ  LP:8000 モンスター:4、伏せカード:3

リン  手札:1枚

ユーゴ 手札:5枚

 

<リン&ユーゴのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 ATK1000

WW-グラス・ベル ★4 ATK1500 ※チューナー 

WW-スノウ・ベル ★1 ATK100 ※チューナー

幸運の笛吹き ★4 ATK1500 デュアル

 

 

「何故シンクロ召喚をしないか、聞いてもいいかい?」

 

「私達、シンクロモンスターを持っていなくて…」

 

なるほど。メインデッキはある程度完成しているものの、シンクロモンスターは持っていないのか。この世界でシンクロモンスターが姿を見せ始めたのは去年からだからな…。しかたないことではあるな。…もったいないな。

 

「オレのターン!ドロー!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【大嵐】発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する」

コナミ 手札:5枚。

 

フィールドにセットされたカードがすべて破壊される。

 

「あぁ!伏せカードが!」

リン&ユーゴ  伏せカード:0

 

「インチキ効果も大概にしろ-!」

 

「容赦ないな」

日常から【ハーピィの羽根箒】を使っている奴のセリフ。

 

墓地に送られたのは、【迷い風】と【スキル・サクセサー】か。結構厄介なカード持ってるな。そして、その全てが墓地から効果を発動できるタイプだな。

 

「オレは手札から魔法カード【サンダーボルト】発動!相手フィールドのモンスターを全て破壊する」

コナミ 手札:4枚。

 

フィールドのモンスターがすべて破壊される。

 

「あぁ!私のモンスターたちが!」

リン&ユーゴ  モンスター:0

 

「インチキ効果もいい加減にしろ-!」

 

「ひでぇ。年下の女の子にやることじゃないな」

昨日、年下の少年に後攻1キル決めた奴のセリフ。

 

「クロト、お前だけには言われたくないぞ」

 

いいんだよ。あれはハノイの騎士の仕業なんだから。さて、コナミのデッキは確か地属性獣族よりのデッキだったはずだな。【モジャ】とか【キング・オブ・ビースト】辺りかな?

 

「オレは手札から【召喚僧サモンプリースト】を召喚!」

コナミ 手札:3枚。

 

「おい」

 

「【召喚僧サモンプリースト】が召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない」

 

白の頭巾に黒いローブを身に着けた老人が現れる。

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

 

「【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動でき、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。オレは【召喚僧サモンプリースト】を特殊召喚。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。」

コナミ 手札:2枚。

 

「【召喚僧サモンプリースト】が召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない」

 

2体目のサモンプリーストが現れる。

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

 

「【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動でき、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。オレは【レスキューキャット】を特殊召喚。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。」

コナミ 手札:1枚。

 

黄色の安全メットを被った(見た目だけは)可愛らしい白猫が現れる。

レスキューキャット ★4 ATK300

 

「かわいい!」

 

「かわいいな!」

 

「この流れは…アカン」

 

コイツ、初対面の年下の女の子相手に後攻1キルやるつもりだ。

 

「【レスキューキャット】の効果発動!フィールドのこのカードを墓地へ送って発動でき、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。俺は2体の【X-セイバー エアベルン】を特殊召喚!この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される」

 

軽鎧を着込んだ金の髪を持つ獣が2体現れ、その腕に装着したかぎ爪をギラつかせる。

X-セイバー エアベルン ★3 ATK1600 チューナー

 

「かわいくなくなった…」

 

「かわいくないぞ!」

 

「サモサモキャットベルンベルン…」

 

「俺はレベル4の【召喚僧サモンプリースト】にレベル3の【X-セイバー エアベルン】をチューニング!」

 

「「シンクロ召喚!?」」

 

「あーあ」

 

「闇から出でよ、鉄血の翼! 黒き暴風となりて、全ての敵に死を与えん! シンクロ召喚! 現れよ!【ダーク・ダイブ・ボンバー】!!」

 

焦げた茶色の装甲を身に纏い、背中の翼で大空を舞い飛ぶ鋼の爆撃兵士が現れる。

ダーク・ダイブ・ボンバー ★7 ATK2600

 

「更に俺はレベル4の【召喚僧サモンプリースト】にレベル3の【X-セイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!2体目の【ダーク・ダイブ・ボンバー】」

 

2体目のダーク・ダイブ・ボンバーが現れる。

ダーク・ダイブ・ボンバー ★7 ATK2600

 

「バトル!2体の【ダーク・ダイブ・ボンバー】でダイレクトアタック!マックス・ダイブ・ボム!!」

 

「きゃぁぁぁぁ!」

リン&ユーゴ  LP:8000 → 5400 → 2800

 

「なんとか…耐えられたわね…」

 

「ふぃーヤバかったなー」

 

いや、ここからが本当の地獄なんだよなぁ。

 

「メインフェイズ2に移行!【ダーク・ダイブ・ボンバー】の効果発動!自分フィールドのモンスター1体を生け贄に捧げて発動でき、生け贄にしたモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。俺が生け贄に選ぶのはダーク・ダイブ・ボンバー!そのレベル7×200!つまり1400ダメージを与える!」

 

「そんなのありかよ!インチキすぎるぜ!【ダーク・ダイブ・ボンバー】はフィールドに2体!2体ともの効果を受ければ俺たちのLPが無くなっちまう!」

 

「!?させない!手札から【ハネワタ】を墓地に送って効果発動!このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる!」

リン  手札:1→0枚

 

「防がれたか。ならカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

当然エラッタ前だよな。そして、よく防いだなリンちゃん。

 

 

◆コナミ&クロト LP:7500 モンスター:1、伏せカード:1

コナミ 手札:0枚

クロト 手札:5枚

 

<コナミ&クロトのフィールド>

ダーク・ダイブ・ボンバー ★7 ATK2600

 

vs

 

◆リン&ユーゴ  LP:2800 モンスター:0、伏せカード:0

リン  手札:0枚

ユーゴ 手札:5枚

 

 

「オレのターン!ドロー!」

ユーゴ 手札:5→6枚。

 

「ユーゴ、ごめん。足を引っ張っちゃった…」

 

「気にすんなリン!あとはオレが何とかしてやるからさ!」

 

あれは仕方ないと思うな。

 

「だが、どうする?今のオレの手札にあのモンスターを2体とも倒すことはできない。くっ、オレにもシンクロモンスターがいれば…!」

 

その時、ユーゴのデュエルディスクの融合デッキが光り輝く!

 

「えっ、なに…?」

 

「なんだ?」

 

「な、何の光ぃ!?」

 

俺は突然起こる怪奇現象に驚くばかりだが、リンちゃんもコナミも困惑しながらも余裕がありそう。君ら、神経太いな…。ユーゴ君は原作における準主人公のような立ち位置だったはず。その主人公のピンチには大体謎の力によりEXデッキにカードが加わるのだ!(偏見)

 

「これは…そうか、お前を呼べって言うんだな!分かった!」

 

これは恐らく…いや、これは確定だな。EXデッキにきっとクリアなドラゴン辺りが増えたな。

 

「オレは手札から魔法カード【サイクロン】発動!相手フィールドの伏せカード1枚を破壊する」

ユーゴ 手札:5枚。

 

「オレのミラフォが!」

コナミ&クロト 伏せカード:0

 

ミラフォだからね。しょうがないね。

 

「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、【SRベイゴマックス】は手札から特殊召喚できる!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動でき、デッキから「SRベイゴマックス」以外の「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える!俺は【SRタケトンボーグ】を手札に加える」

ユーゴ 手札:4→5枚。

 

両端に刃の付いた無数のベイゴマがフィールドに現れる。

SRベイゴマックス ★3 ATK1200

 

「自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、【SRタケトンボーグ】は手札から特殊召喚できる!」

ユーゴ 手札:4枚。

 

空より飛来して現れた竹トンボが変形し、二腕二足の小型ロボットへと変形した

SRタケトンボーグ ★3 ATK600

 

「そして、手札から【SR赤目のダイス】を召喚!」

ユーゴ 手札:3枚。

 

上空から金色のサイコロが飛来した。そのダイスの目は生き物の瞳のようであり、サイコロの周囲には6つの赤く光る小衛星が飛んでいる。

SR赤目のダイス ★1 ATK100 チューナー

 

SR(スピードロイド)もWWと同じように高速特殊召喚に秀でた風属性機械族に統一されるデッキだ。玩具をモチーフとしたであろうそのモンスターたちは、そのユニークな見た目とは裏腹に凶悪な展開力を誇り、高速シンクロを可能とする。

 

「チューナーモンスター…来るか!」

 

コナミが警戒を強くした。そうだろうな。これから出てくるモンスターは予想が正しければかなり厄介な奴だ。

 

「オレはレベル3の【SRベイゴマックス】とレベル3の【SRタケトンボーグ】にレベル1の【SR赤目のダイス】をチューニング!」

 

「ユーゴがシンクロ召喚!?うそ、私と一緒でシンクロモンスターなんて持っていなかったのに…」

 

「その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ、レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

半透明で水晶のような碧の翼にて空を縦横無尽に駆ける白を基調とする美しき竜が降臨した。

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK2500

 

「綺麗…」

 

「これは、強そうだな!」

 

「嬉しそうに言うな。強そうではなく、強いぞ」

 

「オレは手札から魔法カード【ハイ・スピード・リレベル】発動!自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を除外し、自分フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、除外したモンスターと同じレベルになり、攻撃力は除外したモンスターのレベル×500アップする」

ユーゴ 手札:2枚。

 

いよいよヤバくなってきたな。

 

「オレは墓地の【SRタケトンボーグ】を除外してフィールドのクリアウィング・シンクロ・ドラゴンを選択!クリアウィングのレベルは★3となり、攻撃力は500×3、つまり1500ポイントアップする!」

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7→3 ATK2500 → 4000

 

「攻撃力4000!凄いな!」

 

クリアウィングは、レベル5以上の効果モンスターの効果発動を無効にして破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ更に攻撃力を上げることもできる。相手フィールドにいると厄介なモンスターだよな。

 

「更にオレは墓地からトラップ【スキル・サクセサー】を2枚除外して発動!自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動でき、選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする!2枚合わせて1600ポイントアップだ!」

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★3 ATK4000 → 4800 → 5600

 

「私が最初のターンに伏せて、墓地に送られていたトラップカードね!」

 

「攻撃力5600!?」

 

このタイミングで使ってきたか。確かに墓地にある状態のあのカードは自分のターンでしか発動できない。このタイミングで一気にLPを削ってくる気だな。

 

「こいつもおまけだ!フィールド魔法【デザートストーム】発動!フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする。

ユーゴ 手札:1枚。

 

「攻撃力6100!?」

 

「凄いわユーゴ!」

 

「バトルだ!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】で【ダーク・ダイブ・ボンバー】を攻撃!旋風のヘルダイブスラッシャー!」

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ATK6100

vs

ダーク・ダイブ・ボンバー ATK2600

 

高速で飛翔するクリアウィングの動きにダーク・ダイブ・ボンバーは翻弄され、風を纏った体当たりを食らい粉砕される!

 

「くぅぅぅぅぅっ!」

コナミ&クロト LP:7500 → 4000

 

「良し!オレはカードを1枚伏せてターンエンド!」

ユーゴ 手札:1→0枚。

 

「ターン終了時に【ハイ・スピード・リレベル】と【スキル・サクセサー】の効果が切れて、【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】のレベルと攻撃力は元に戻り、【デザートストーム】による上昇分のみ加算されて攻撃力は3000となる」

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK6100 → 3000

 

 

◆コナミ&クロト LP:4000 モンスター:0、伏せカード:0

コナミ 手札:0枚

クロト 手札:5枚

 

vs

 

◆リン&ユーゴ  LP:2800 モンスター:1、伏せカード:1、フィールド魔法:1

リン  手札:0枚

ユーゴ 手札:0枚

 

<リン&ユーゴのフィールド>

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK3000

 

 

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン。以下の三つの効果を持つ強力なドラゴンだ。除去するには魔法罠を使用するか、クリアウィングの効果無効の範囲外から攻めるか、クリアウィングの効果を無効化してしまうか、だな。

 

(1):1ターンに1度、このカード以外のフィールドのレベル5以上のモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

(2):1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

(3):このカードの効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

「俺のターン!ドロー!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は墓地から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】を除外して発動。フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。俺は【デザート・ストーム】を破壊する」

リン&ユーゴ フィールド魔法:1→0

 

「墓地の魔法カード!?…コナミのサモンプリーストの効果のコストか!」

 

「そのとーり」

 

タッグデュエルにおいて、コナミほど頼りになる相棒は居ないな。

 

「相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、このモンスターは手札から特殊召喚できる。来い!【ヴェルズ・マンドラゴ】!」

クロト 手札:5枚。

 

刺々しい葉を2枚頭に乗せ、腕のような葉を持つ人型に近い植物が現れる。

ヴェルズ・マンドラゴ ★4 ATK1550

 

「俺は手札から【魔導戦士 ブレイカー】を召喚!このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを1つ置く。このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×300アップする。」

クロト 手札:4枚。

 

赤みを帯びた鎧とマントに包まれ、剣と盾で武装した魔導の戦士が現れる。…なんとなく、緑髪のオカッパ少年をオーバーキルしそうなモンスターだ。

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600 → 1900 魔力カウンター:0 → 1

 

「【魔導戦士ブレイカー】効果発動。このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードを破壊する。俺はその最後の伏せカードを破壊する」

魔導戦士 ブレイカー ATK1900 → 1600 魔力カウンター:1 → 0

 

「その効果にチェーンして伏せていた速攻魔法【収縮】を発動!対象は【魔導戦士ブレイカー】だ!」

リン&ユーゴ 伏せカード:1→0

 

チェーン②収縮

チェーン①魔導戦士ブレイカー

 

「効果処理を行うぞ。チェーン②【収縮】により、【魔導戦士ブレイカー】の攻撃力を半分になる。そしてチェーン①【魔導戦士ブレイカー】の効果により【収縮】は破壊されるが、効果は適用された後だな」

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600 → 800

 

【収縮】か。この時期の子供がもっているカードじゃないな。さっきの【ダーク・ダイブ・ボンバー】に使わなかったのは、戦闘ダメージの増量よりもこのターンを凌いでリンちゃんに繋ぐことを選んだのか。熱くなっているように見えて、冷静な判断だな。

 

「俺はLP1000を支払い、手札から魔法カード【簡易融合】発動!レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとして融合デッキから特殊召喚する」

コナミ&クロト LP:4000 → 3000 手札:3枚。

 

「融合じゃねえ!ユーゴだ!」

 

様式美だね。

 

「俺は【サウザンド・アイズ・サクリファイス】を融合召喚。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される」

 

体中に目玉の付いた、腹部に巨大な口のあり、頭部にウジャト眼を持つモンスターが現れる。

サウザンド・アイズ・サクリファイス ★1 ATK 0

 

「怖い…」

 

「うげぇ、なんだそいつ…」

 

「そいつを使うのか、容赦ないな」

 

お前が言うな。

 

「ユーゴ!墓地のカード!」

 

「あ、そうか。俺はこの瞬間に墓地の【迷い風】効果発動!このカードが墓地に存在し、相手の融合デッキからモンスターが特殊召喚された場合に発動でき、このカードを自分フィールドにセットする!この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される」

 

リンちゃんの残した最後のカードか。惜しいな、それはセットしたこのターンでは使用できない。間に合わないよ。そして、クリアウィングが効果無効できるモンスターはレベル5以上。サウザンドアイズの効果は防げまい。…いや、違うな。レベル5以上のモンスターを対象とする効果も無効化の対象だったな。危ない危ない。

 

「【サウザンド・アイズ・サクリファイス】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動でき、その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。対象は【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】だ」

 

「甘いぜ!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】の効果発動!1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する!【サウザンド・アイズ・サクリファイス】は破壊されるぜ!」

 

「その効果にチェーンして手札から速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動する!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。 対象は【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】だ」

コナミ&クロト 手札:2枚。

 

チェーン③禁じられた聖杯

チェーン②クリアウィング・シンクロ・ドラゴン

チェーン①サウザンド・アイズ・サクリファイス

 

「効果処理を行うぞ。チェーン③【禁じられた聖杯】により、チェーン②【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】の攻撃力は400アップするが効果は無効化される。よって、チェーン①【サウザンド・アイズ・サクリファイス】の効果が適用される。【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】を【サウザンド・アイズ・サクリファイス】に装備させる」

 

「クリアウィング!?」

 

抵抗むなしく、【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】は【サウザンド・アイズ・サクリファイス】の腹部にある口へと吸いこまれ、吸収されてしまう。

 

「【サウザンド・アイズ・サクリファイス】の攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になり、このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。簡易融合で出したから攻撃できないけどな」

 

これで、相手フィールドにモンスターは無し、伏せカードの迷い風はこのターン発動できず、手札もなく、墓地のカードは発動条件を満たすものはない。ただこのままだとLPを削りきれないな。なら、削り切れるモンスターを出すだけだ。その前に【サウザンド・アイズ・サクリファイス】が居ると攻撃できないし、退けておくか。

 

<コナミ&クロトのフィールド>

ヴェルズ・マンドラゴ ★4 ATK1550

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK800

サウザンド・アイズ・サクリファイス ★1 ATK2500

 

「俺は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動!手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキより【ガード・オブ・フレムベル】を特殊召喚!」

コナミ&クロト 手札:2→1枚。

 

<コナミ&クロトのフィールド>

ヴェルズ・マンドラゴ ★4 ATK1550

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK800

サウザンド・アイズ・サクリファイス ★1 ATK2500

ガード・オブ・フレムベル ★1 DEF2000

 

「自分フィールドにチューナーが存在する場合、墓地の【ボルト・ヘッジホッグ】の効果発動!このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される」

 

<コナミ&クロトのフィールド>

ヴェルズ・マンドラゴ ★4 ATK1550

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK800

サウザンド・アイズ・サクリファイス ★1 ATK2500

ガード・オブ・フレムベル ★1 DEF2000

ボルト・ヘッジホッグ ★2 DEF800

 

「俺はレベル1の【サウザンド・アイズ・サクリファイス】とレベル2の【ボルト・ヘッジホッグ】にレベル1の【ガード・オブ・フレムベル】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル4【アームズ・エイド】!」

 

<コナミ&クロトのフィールド>

ヴェルズ・マンドラゴ ★4 ATK1550

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK800

アームズ・エイド ★4 ATK1800

 

「フィールドから離れた【ボルト・ヘッジホッグ】は自身の効果により除外される」

 

「俺はレベル4の【ヴェルズ・マンドラゴ】と【魔導戦士ブレイカー】をオーバーレイ!2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【カチコチドラゴン】!」

 

体中が鉄でできているような鈍色のドラゴンが姿を現す。

 

<コナミ&クロトのフィールド>

アームズ・エイド ★4 ATK1800

カチコチドラゴン ☆4 ATK2100 ORU:2

 

「「エクシーズ召喚!?…って何?」」

 

「チューナーと非チューナーのレベルを合計したモンスターを呼び出すのがシンクロと違い、エクシーズは素材となるモンスターのレベルを合わせて呼び出すんだ」

 

「素材となったモンスターはそのモンスターのORU(オーバーレイユニット)となり、エクシーズモンスターの効果を使用するときはこのオーバーレイユニットを消費するんだよ」

 

「「なるほど~」」

 

言われたことをきちんと聞いてそのまま信じるとか、素直ないい子たちだなぁ。素直すぎるとは思うけど。コナミとは大違いだ。『Over Lay Unit』なら、なんで『ORU』じゃなくて『OLU』って略さないの?とか、コナミみたいに聞いてこなくてよかった。『恐らく公式が決めた固有名詞だよ』なんて答えずに済む。

 

「俺は【アームズ・エイド】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。また、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える!俺は【カチコチドラゴン】に【アームズ・エイド】を装備する!」

 

<コナミ&クロトのフィールド>

カチコチドラゴン ☆4 ATK2100 → 3100

 

「バトルフェイズへ移行!俺は【カチコチドラゴン】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁ!」

リン&ユーゴ  LP:2800 → 0

 

 

 

「「「「対戦、ありがとうございました」」」」

 

~~~

 

試合後もすっかり打ち解けた俺達は色々とチームを変えてデュエルを続けた。流石にシンクロモンスター無しだと厳しいだろうと思い、ユーゴ君とリンちゃんにはそれぞれのテーマのカードをいくつかプレゼントしておいた。

 

「私はシンクロ召喚した【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果発動!墓地の【WW-ウィンター・ベル】を対象とし、そのモンスターの攻撃力2400の半分である1200のダメージを相手に与える!」

 

「うわぁぁぁ!」

クロト&ユーゴ LP:1000 → 0

 

やはり【WW】デッキはタッグのLP8000制でもバーン火力高すぎる。ちなみに、ユーゴ君には【SR】のカードは渡したけどクリスタルウィングは渡していない。ああいった特別なカードはそのうちEXデッキを光らせて気付いたら手に入れているだろうと思うからね。なくても無制限ベイゴマックスありの【SR】は強い。(確信)

 

この後、シスターが乱入してきてユーゴ君&リンちゃんvsシスターとなったのだが、相変わらず自重しないシスターは平然と先攻制圧布陣を展開、圧勝した。

 

呆然としている2人に、ペンデュラムモンスターを見せておいた。きっとそのうちトマト君が作ってしまうだろうからね。そのうえでこのカードのことは口外しないように約束した。彼らはいい子だから多分大丈夫だろう。コナミ?あいつはこういうことに関しては口が堅いからきっと大丈夫。

 

この後、滅茶苦茶タッグデュエルをした。

 

~~~

 

今日だけで1年分くらいタッグデュエルをした気がする。そう思えるような日の夜、俺は一人で夕食後の孤児院のリビングでソファーを占拠していた。コナミや他の二人は既に風呂に入った後、自分の部屋に戻っている。

 

「う~む」

 

今日のデュエルで分かったこと、と言うか感じたことがある。俺は今、パワーカードによるごり押しで他のデュエリストに優位に立っている。だが、今回の様に同レベルに近いカードを使用されるとやはりどうしても勝敗が怪しくなる。

 

前世でもそうだったし、当たり前と言えば当たり前だ。同じカードを使うなら、当然より使い方が上手い奴が強い。それだけだと思っていたんだが…今日対戦したあの三人は明らかに、ピンチの時に逆転の可能性があるカードを引く確率が高い。

 

ドロー力とでも言えばいいのか、タッグフォースのゲームで言うところの【デスティニードロー】システムだ。もちろん、俺にはできないから普通に負ける。だが、彼らは劣勢で、次のターンでほぼ確実に負ける!っていうタイミングになると凄まじい引きを確実に起こす。

 

「流石に100戦とかやったわけじゃないから、試行回数が少ないか?偶然か?」

 

いや、コナミとはそれこそ1000回はデュエルしているが、明らかに最後のドローカードで逆転されることが多かった。この世界にはデスティニードローが存在すると考えていいだろう。

 

そうなるとマズい。今は命をかけるデュエルではないから問題ないが、原作シナリオに入った場合、十代やコナミの金魚の糞ポジションをやっていてもデュエルする機会がないとは思えない。むしろ敵のボスの強さを図るため、モブキャラポジションの俺が先にデュエルをして、俺が負けることで敵の強さが際立つみたいな嚙ませ犬ポジションをやって闇のデュエルの犠牲になる流れになるかもしれない。嫌すぎる。

 

「どうしたものかなぁ」

 

「おやクロト、お悩みですか?」

 

ソファーで頭を抱えていると、風呂上がりと思われるシスターが話しかけてきた。中身はアレでも見た目は美女なので、いきなり話しかけられるとびっくりする。そんなこちらの動揺に気付いているのかいないのか、俺の正面のソファーに腰掛け、話の続きを促してきた。

 

「えぇ、まぁ。白河クロトとして、ハノイの騎士として、デュエリストの壁に直面しているというか…」

 

なんだか言っていて恥ずかしくなってきた。説明下手か。口下手か?美人にドギマギしている思春期の子供か俺は!その通り子供だったな。

 

「ふむ。クロトはパワーカードに頼るだけではなく、デュエリストとして更に強くなりたいということですね?」

 

「はい」

 

よくあの説明で分かったな。女神様なら何でもわかるのだろうか。

 

「ならこれを貴方にあげましょう」

 

「…これは、入浴剤ですか?」

 

「はい。『精霊の湯』と言います。恐らくこれを入れてお風呂に入れば、貴方の望みが叶う切っ掛けになると思いますよ」

 

「はぁ」

 

そう言って微笑むと、シスターはソファーから立ち上がり、自分の部屋に戻っていった。すれ違いざま、若干あの意地の悪い表情をしていたのが少し気になるが…。あの人は俺にだけ妙ないたずらをしかけてくることがある。ただ、それはどれも結果的に俺にとってプラスとなることばかりだった。今回もそうであることを祈ろう。

 

~~~

 

そして、俺に出来ることはシスターから貰った入浴剤『精霊の湯』を浴槽にぶち込み、風呂を満喫することだった。風呂の湯は、瞬く間に透明からエメラルドグリーンに近い色へ変色していき、なんとも表現しづらいがとてもいい匂いもしてきた。これは、入るしかあるまい!突撃ぃ!

 

「…はぁ~生き返るわ~」

 

何だこれ。気持ち良すぎぃ。思考能力が欠如していく…。やべえよ。脳が溶けそう。力が抜けていく…。

 

「ふへぇ~なんだこの入浴剤~。滅茶苦茶リラックスするぅ~」

 

意識が…落ちる…。ヤバいここで落ちたら『驚愕!異世界チート転生したくせに風呂場で溺死する奴が居たらしい!』とか一部で笑いものになりそうだ!それは…何か嫌だな!でも…だめだ…意識が…とお…の…く………。

 

 

~~~

 

 

「おい、起きろ貴様」

 

「…ん?…んん!?」

 

目覚めた俺の目の前には、ブルーアイズの模した鎧を着込んだ変人、もとい【正義の味方 カイバーマン】が不遜な表情でこちらを見ていた…。




ユーゴ君とリンちゃんを孤児院にシュート!超エキサイティング!【WW】と【SR】をシンクロモンスターありでタッグやるとオリ主にターンが回ってこない可能性がありましたので、最初は手加減してもらいました。

新規のWWを手に入れたリンちゃんや初手クリアウィングしてきそうなユーゴ君。これ、小学校低学年の子供なんですよ?同年代、泣いちゃいますね。

タッグ戦は初めての試みでしたが、やはりLP4000制度は無理そうですね。ゲームでもそうでしたが、LP8000制でもプレイヤーにターンが回ってこない時がありましたからね。主に六武衆相手とかで。ようやくターンが回ってきた時には既にシエンが立っていて伏せカードガン伏せなんて言うほぼ無理ゲーみたいな盤面になっていることもありましたし。

タッグデュエルにおいてはコナミ君は本作の最強と言っても過言ではないでしょう。今のオリ主程度ならどんなデッキを使ってもオカルトパワーで瞬コロです。タッグフォースプレイ後だと、コナミ君がタッグデュエルで負ける姿が想像できませんからね。(ゲーム上、負けても勝つまで再戦ですからね)

次からは新章突入。精霊界修行編となります。オリ主をいつまでも三流デュエリストにしておくと、そのうちポックリ逝ってしまうかもしれませんからね。

次回の更新は11/28(土) AM7:00となります。

komoru様、四季式様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十六話 幕間:精霊界

ストーリー進行のみ。デュエル無しです。

オリ主の強化プランとして、精霊界(ユベル編の異世界ではない)での修行編に突入する前振りです。

次回より新章突入。人間界でハノイスタイルの大会荒らし、精霊界での修行(人助け)と言う構成になる予定です。


まさか孤児院の風呂から精霊界に来ることになるとは思わなかったな…。風呂に入っていたはずなのに、いつの間にか普段着を着てるし…。

 

さて、とりあえず目の前にいる海馬瀬人にそっくりな正義の味方に事情を説明してみますか。

 

「ふぅん、異世界から転生した存在か」

 

「にわかには信じがたいかもしれませんが…」

 

「いや、分からなくもない。貴様は普通の人間に比べて魔力(ヘカ)が低すぎる。皆無と言ってもいい」

 

「皆無って…マジですか」

 

「デッキ構成はまぁまぁだが、デュエリストとしては三流。この状態で魔力が0となると、貴様はこの先の戦いでは生き残れんだろうな」

 

「死にたくはないですね」

 

はっきりと言われてしまったなぁ。魔力がほぼ無いのはきっと俺が転生者だからだろう。

遊戯王の世界では、人間には大なり小なり生まれつき魔力が備わっていて、専用の修行をすることにより強化できるはず。俺は5歳からの生まれ変わりだし、魔力の修行なんてやったことないからな。

 

「闇のデュエルとやらが恐ろしいのか?フン……意気地のないことだ……恥を知れ!」

 

「そんなことを言われましても…」

 

「貴様の歩んできたデュエル道など、まだ入口だ。世界にはまだ未知のデュエルがある。見えるはずだ。果てなく続く闘いのロードが。なのに貴様はここで立ち止まるのか?」

 

デッキは、前世の知識(と言う名の前世での先人たちの知恵の結晶)を元にしているからこちらの世界でも通用するレベルなのだろう。

 

デュエリストとしての腕前と言うのは、デッキを上手く使いこなすだけでなく、デッキと心を通わせるとデッキが力を貸してくれるらしいが、この辺りは正直よく分かっていない。ドローが良くなるんだろうか?

 

魔力に関しては、闇のデュエルやら破滅の光やら異世界やらダークネスやらが出てくる今後の展開において、敵のオカルトパワーに対する攻撃力&守備力と思われる。魔力0(攻撃力&守備力0)とか、そりゃ死ぬだろうな。

 

「魔力を高める方法について、何かご存じであれば教えていただけませんか?」

 

「人間が魔力を高める為の修行方法など知らん。オレに分かる方法と言えば…そうだな。この精霊界の住民の手助けをしてやることだ。そして、貴様が手助けをした精霊から僅かずつでも魔力を分けてもらうがいい」

 

なるほど。無いなら他の持っている人たちから、協力した対価として分けてもらえってことか。

 

「ありがとうございました。カイバーマンさん」

 

「ふぅん、気にするな馬の骨よ。迷える民を導くのも王たるものの務めよ。フハハハハハッ!」

 

そういうと、カイバーマンさんは何処かへと消えていった。俺は特に精霊界の民ってわけでもないんだけど…敵視されてないならいいか。

それにしても、馬の骨か~。せめて凡骨くらいに格上げしてもらえるよう、頑張ってみますか。

 

~~~

 

その後、数時間ほど彷徨い歩いたが精霊は見当たらず、疲れたので近くにあった木にもたれかかるように眠ると、孤児院の風呂場にて目を覚ました。

向こうには半日くらい居たはずだが、どうやらこちらでは10分ほどしか経過していないらしい。

 

それから俺は、人間界で普通の生活を送る傍らで、精霊界の住民の手助けをすることになった。

 

 

【キーメイス】が道に迷っていたら村を一緒に探してあげた。

 

「おぉ、ニンゲンだー!」

 

「うん、人間だ。こんにちわ。どうした?迷子か?」

 

「そう。このあたりだったと思うんだけど…」

 

「なら俺も一緒に探そう」

 

「ありがとう!ニンゲン!」

 

「白河クロトっていうんだ」

 

「ありがとうクロトー!」

 

 

【ダンシングエルフ】が踊り相手を探していたら一緒に踊った。

 

「あら、ニンゲンなんて珍しいわね。どう?一緒に踊らない?」

 

「こんにちわ。白河クロトだ。ダンスは…苦手だな。だが、付き合おう」

 

「そう。よろしくねクロト。さぁ行くわよー」

 

「おぉぉぉぉ!早い早い早い!」

 

 

【ダーク・プラント】が水を欲していたら川から水を汲んできて与えた。

 

「み、水…」

 

「こんにちわー…って、大丈夫か?」

 

「ニンゲン?…なんでもいい。水を…」

 

「分かった、水だな。近くに川とかあるか?」

 

「この道をまっすぐ行ったところに川がある…ニンゲンで言うと距離は5kmくらい」

 

「結構遠いな!?」

 

 

【バニーラ】が人参を探していたら一緒に探して見つけてあげた。

 

「バニー!」

 

「おー、こんにちわ。俺は白河クロト、よろしくな」

 

「バニニー!」

 

「なんだ?さっき拾ったこの人参が欲しいのか?ほらよ」

 

「バニー♪」

 

 

【ワイト】が骨折していたら接ぎ木をして歩けるようにした。

 

「何たる失態…ワイトが骨を折るなど…」

 

「おー、こんにちわ。俺は白河クロト、よろしくな。骨折か?」

 

「おぉ、ニンゲンとは、珍しいことですな。うむ、その通りですぞ」

 

「接ぎ木とかで直るかな?」

 

「ワイトもそう思いますぞ」

 

 

ただ、精霊界はなかなか物騒なところのようで、道中色々なモンスターに襲われたりもした。

 

 

【火炎草】に炎を浴びせられそうになったりした。

 

「ニンゲンめー焼けろー!」

 

「あっち!うぉぉぉぉぉ!焼けてたまるかぁ!」

 

 

【仮面道化】にカマで切り付けられそうになったりもした。

 

「くくくくくっ!ニンゲン!切り刻まれなさーい!」

 

「危なっ!だが断る!」

 

 

【デーモン・ビーバー】にでかいドングリを投げつけられたりもした。

 

「ニンゲン発見!そぉい!」

 

「いって!なんだこれ、ドングリか?でっけー」

 

 

そういう時は、全力で逃げた。魔力0(攻守0)の俺が、下級とはいえモンスターに勝てるわけがないのだ。

よくよく考えると、逃げ切れる可能性も低いはずなので、恐らく向こうも本気でこちらを害そうとしたわけではないのだろう。多分、きっと、そう願いたい。

 

どうやら俺は、戦士族、魔法使い族、獣戦士族、獣族、天使族、あとは何故かアンデット族と相性がいいらしい。人型だからだろうか。

それとは逆に、ドラゴン族、悪魔族、昆虫族、爬虫類族、鳥獣族、植物族には嫌われているらしい。出会うと大体襲われる。

 

精霊界での修行(手助け)を始めてから約3か月が経過し、人間界では真冬から春の訪れが近づいてきていた。

そんな中、俺は精霊の村の一つで【牛魔人】と【ガルーザス】の喧嘩の仲裁をしていると、森の中で暮らす魔術師の師弟の話を聞いた。

魔術師の師弟と言うことは、魔力を高める方法も恐らく知っているだろう。ダメもとで行ってみるか。

 

【斬首の美女】と【伝説の剣豪 MASAKI】が案内してくれたその場所には、そこそこ大きめの木製の家が建っていた。

 

「ここみたいだな」

 

「お主一人で大丈夫かのぉ?」

 

「お主は非力でゴザルからなぁ」

 

「話を聞くだけだし、大丈夫だよ。じゃ、行ってくる」

 

2人とはそこで別れ、家の扉をノックすると、銀の長髪に褐色の肌を持つワインレッドのローブを着た鋭い目つきの魔術師が現れた。

 

「何者だ?」

 

「人間界から来ました白河クロトと申します」

 

「何用だ?」

 

「人間の身で魔力を高める修行法を知るために各地を回っていまして…何かご存じではないでしょうか?」

 

「帰れ。お主には秘められた才能も奥底に眠っている魔力もない。その程度では無駄死にするのがオチだ」

 

そういうと、魔術師は扉を閉めてしまう。その言い方だと、方法は知っているけど、まだまだ実力不足だから無理ってことだよな?

口は悪いけど、やはり悪い人物ではなさそうだ。

 

「強くなったらまた来ます」

 

「もう来なくてもいいぞ」

 

現状これ以上は何を言っても無駄だろう。ここに留まっていても仕方ないし、村に帰るか。

そう思い、先ほどの村に帰る。ちなみについて来てくれた【斬首の美女】と【伝説の剣豪 MASAKI】の2人は小屋の近くで待っていてくれたようだ。良い人すぎる。

 

次に来るときは、あの銀髪の魔術師、パンドラ仕様の【ブラック・マジシャン】の目に叶うような強さを身に付けておかないとな。

弟子の方には会えなかったな…。実体で見てみたかったな。パンドラ仕様の【ブラック・マジシャン・ガール】。




デュエルがないと地の文ばかりになるので地味ですね。

カイバーマンにはロードと馬の骨と高笑いをして欲しかっただけです。

ブラック・マジシャン(パンドラ仕様)に出会ったのは、魔力向上&魔導波などの技の習得、そして弟子の参戦フラグを立てる為です。
(遊戯王GXでは、ブラック・マジシャン・ガールは遊戯のデッキにしか入っていないと言われてしまっていますので、その辺りのアレコレを解消するため)

しばらくは精霊界での修行風景(ただのお手伝い)も少しずつ描写していくつもりなので退屈かも知れません。

次の更新は11/28(土) AM8:00予定です。

四季式様、メイン弓様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作7年前 精霊界修行編
第十七話 射出バーン


新章突入。精霊界での修行内容を詳細に書くことは多分ないです。

日常でデュエルで1キルしながらも裏では修行している感が出せていればいいのです。


精霊界での修行も約半年続けており、俺は9歳となり、小学3年生になった。

大型連休も明け、雨が多くてジメジメする時期になってきた

 

「クロト~デュエル~」

 

「今日は大会だ」

 

「そっか~、ユーゴ~デュエル~」

 

「おぅ!いいぜ!」

 

「ユーゴ、コナミさん。朝ご飯を食べ終わってからね。クロトさん、行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

「お土産よろしくね~」

 

「オレはドローパン!」

 

「じゃあオレも!」

 

「地ビールやドローパンは近くに売っていたらだからな。リンちゃんには何かお菓子でも買ってくるよ」

 

「うん!」

 

孤児院の皆に挨拶をした後、俺は大会へ向かう為、最寄り駅へと歩いて行った。

 

~~~

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、見覚えのない茶髪ショートカットの高校生くらいの少女と対峙する。

 

「アンタがアタシの相手かい?ハノイの騎士なんて大層な名前の割にまだ子供じゃないか」

 

「貴様もその胸は子供だろう」

 

「…殺す」

 

反射的に煽ってしまった。うん、いい反応だな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「ガキだからって容赦しないよ!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

女子高生 LP:4000

 

「先攻はアタシが貰った!アタシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

女子高生 手札:5→6枚。

 

「アタシは手札から【デビルズ・サンクチュアリ】発動!自分フィールドに「メタルデビル・トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する!」

女子高生 手札:5枚。

 

地面に魔法陣が出現し、その中心から悪魔像が姿を現す。

メタルデビル・トークン ★1 DEF0

 

「アタシはメタルデビルトークンを生け贄に捧げ!【人造人間-サイコ・ショッカー】を召喚!」

女子高生 手札:4枚。

 

黒いボディスーツを着て鋼鉄の肩アーマーを付けたハゲた人造人間が姿を現す。

人造人間-サイコ・ショッカー ★6 ATK 2400

 

「こいつの効果は知ってるよなぁ!コイツがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにフィールドの罠カードの効果を発動できず、フィールドの罠カードの効果は無効化される!アンタのお得意なデッキ破壊はさせねーぜ?」

 

なるほど。こちらに対応したメタカードを使用してきたわけか。

 

「アタシはカードを2枚セットしてターンエンド!」

女子高生 手札:2枚。

 

ハノイ  LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

女子高生 LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、手札:2枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

惜しかったな。このデッキはデッキ破壊の方じゃないんだよ。

 

「私は手札を1枚捨て、魔法カード【ツインツイスター】発動。フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動でき、そのカードを破壊する。私は貴様の伏せカード2枚を破壊する」

ハノイ 手札:4枚。

 

「ちっ、伏せカードが割られたか」

女子高生 伏せカード:0

 

破壊したカードは、【収縮】【禁じられた聖杯】か。危なかったな。

 

「私は魔法カード【名推理】発動。相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る」

ハノイ 手札:3枚。

 

「最上級モンスターを呼んでサイコ・ショッカーを処理するつもりか?宣言するのはレベル8だ!」

 

つまり、レベル8以外の通常召喚可能なモンスターが出れば俺のフィールドに特殊召喚できるわけだ。

 

「1枚目!【遺言状】か。魔法カードなので墓地に送る」

 

「2枚目!【連続魔法】だな。魔法カードなので墓地に送る」

 

「3枚目!【モンスターゲート】だな。魔法カードなので墓地に送る」

 

「4枚目!【カタパルト・タートル】だな。通常召喚可能なモンスターなのでフィールドに特殊召喚」

 

「ちっ、外れたか」

 

フィールドにカタパルトを背負った大きな緑亀が現れる。

カタパルト・タートル ★5 ATK 1000

 

「私は手札からモンスター1体を墓地へ送って魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキより【魔導サイエンティスト】を特殊召喚」

ハノイ 手札:1枚。

 

フィールドに白衣を着たサングラスの禿げたオッサンが現れる。

魔導サイエンティスト ★1 ATK 300

 

「私は魔法カード【心変わり】発動!相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。このターンのエンドフェイズ時まで、選択したモンスターのコントロールを得る。対象は【人造人間-サイコ・ショッカー】だ」

ハノイ 手札:0枚。

 

人造人間-サイコ・ショッカーはゆったりとした足取りで俺の前へと足を運び、振り返って女子高生と対峙する。

 

「アタシのサイコ・ショッカーが!?」

 

そんな顔をするな女子高生君!すぐに返すからさ!砲弾としてだがなぁ!

 

「カタパルトタートルの効果発動。自分フィールドのモンスターを生け贄に捧げる。捧げたモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える」

 

「!?てめぇ!」

 

「当然、生贄は人造人間-サイコ・ショッカーだ。その攻撃力の半分、1200のダメージを受けよ!」

 

「くそがぁ…!」

 

わざわざ砲弾を用意してくれてありがとう。これは僅かだが心ばかりのお礼だ、とっておきたまえ。

 

「発射」

 

カタパルトにセットされたサイコ・ショッカーが発射され、黒い砲弾となり女子高生の胸部に突き刺さる!

 

「ぐあぁっ!」

女子高生 LP4000 → 2800

 

「魔導サイエンティストの効果発動。LP1000を払う事で、融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃する事はできず、ターン終了時に融合デッキに戻る。私は融合デッキより【コアラッコアラ】を特殊召喚」

ハノイ LP4000 → 3000

 

フィールドの筋肉質のコワモテなコアラが現れる。

コアラッコアラ ★6 ATK2800

 

「カタパルトタートルの効果発動。コアラッコアラを生け贄に捧げる。攻撃力の半分の1400ダメージを受けよ」

 

カタパルトにセットされたコアラッコアラが発射され、黒い砲弾となり女子高生の腹部に突き刺さる!

 

「ちぃっ!」

女子高生 LP2800 → 1400

 

「魔導サイエンティストの効果発動。LP1000を払う事で、融合デッキから2体目の【コアラッコアラ】を特殊召喚」

ハノイ LP3000 → 2000

 

フィールドの2体目のコアラが現れる。

コアラッコアラ ★6 ATK2800

 

「…ちぃ、やられたぜ。汚ねえ手を使いやがって…」

 

「カタパルトタートルの効果発動。コアラッコアラを生け贄に捧げる。攻撃力の半分の1400ダメージを受けよ」

 

カタパルトにセットされたコアラッコアラが発射され、黒い砲弾となり女子高生の腹部に突き刺さる!

 

「うわぁぁぁ!」

女子高生 LP1400 → 0

 

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「…対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

大会後、天馬社長と現在までの進捗と今後の方針について話をするためにI2社日本支部にやってきた。

 

「あっ、ハノイ君。社長から話は伺っていますので、このセキュリティカードを使って社長室へどうぞ」

 

「ありがとうございます。…I2社日本支部の皆さんにはもうバレていますから何も言いませんよ」

 

I2社はこの受付嬢をクビにするべきだと思う。この人、プライベートだと口が軽すぎる。ハノイの騎士の正体はあっという間に拡散したらしい。

一応、社外にだけは話していないようだけど…。

 

「お、怒らないでよ~飲み会の席だったのよ~酔っていたのよ~」

 

「…俺の件以外にも機密情報が漏洩する可能性があるので、貴方は外での飲酒は本当に気を付けた方がいいですよ」

 

申し訳なさそうな受付嬢に対し、忠告兼嫌味を言いつつ社長室へやってきた。

 

「ご無沙汰しております。天馬社長」

 

「あぁ、久しぶりだね。まず頼まれていた調査の進捗を伝えようか」

 

「はい」

 

人間界と精霊界を行き来できるようになった際、ペガサス会長と天馬社長にはそのことを伝えておいた。

更に、精霊界で見聞きしたことという建前で、下記の2つの件についての調査を依頼したのだ。どちらも世界規模の影響がある事件なので、I2社としてもメリットがないわけではないはずだ。

 

調査①孤島にあるデュエルアカデミア本校の校舎地下には【三幻魔】と呼ばれる危険なカードが封印されていて、何者かがその封印を破ろうとしている。

 

調査②ミズガルズ王国が現在建造しているレーザー衛星「ソーラ」を、【光の結社】と言う勢力が狙っている。

 

①については、原作GXの1年目シナリオである【セブンスターズ編】についてだ。

理事長(原作GX開始時点)の影丸という人物が元凶なので【セブンスターズ】という組織を結成し、デュエルアカデミアに眠る三幻魔を復活させて世界が大混乱に陥るという話だ。これは十代が何とかする。

 

だが、影丸の目的や今現在も行われている悪事について、それを信じさせる為の物証が存在しない為、あえて何者かがという表現で伝えてある。原作数年前からセブンスターズの黒蠍盗掘団が潜入しているはずなので、何か物証が発見できれば事件そのものを封殺できるかもしれない。

 

②については原作GXの2年目シナリオである【光の結社編】についてだ。

こちらは斎王琢磨という人物が【破滅の光】というオカルト存在に洗脳されて【光の結社】という組織を結成し、レーザー衛星「ソーラ」を使って世界の滅亡を狙うという話だ。これも十代が何とかする。

 

斎王自身は本来温厚な人物の為、破滅の光による洗脳さえ未然に防げればいいのだが、そのためのイベントであるプロデュエリストDDとの接触タイミングが良く分からないのでこちらはスルー。

とにかく、最悪レーザー衛星さえ奪わせなければいいのだ。

 

原作GXの3年目シナリオである【異世界編】と【ダークネス編】は対処方法がさっぱり分からないのでなるようにしかならないだろう。

 

俺は死にたくないので自分だけでも生き延びられるようにデュエルの腕と魔力(精霊の力と同一?)を期限ギリギリまで鍛えて備えようとしている。

 

これらも十代が何とかしてくれるとは思うが、この世界は if 世界であり不確定要素が多すぎる為、下手すれば俺だけ死ぬかもしれないからね。

 

「結果から言うと、何も分からなかったよ」

 

「…そうですか」

 

原作の数年前だからね。セブンスターズに関しては、デュエルアカデミアの校長が既に鮫島校長の場合だと隠ぺい工作されているだろうし。光の結社についてはまだ組織すらされていない可能性の方が高い。

 

ただ、一応こういう情報もあるよってことを伝えておくだけでも、I2社で警戒してくれるかもしれないからね。

 

「正直、申し訳ないがペガサス様も私自身も信憑性の薄い話だと思っている為、そこまで大掛かりな調査はしていないんだ」

 

そうでしょうね。

 

「いえ、こんな妄言のような話に対して調査して頂いただけでもありがたいです。ありがとうございました」

 

「力になれなくて済まないね」

 

仕方ないと思いますよ。

 

「あぁ、そうだ。話は変わるが、夏からようやくリミットレギュレーションが制定されることが決定したよ」

 

「来ましたか。これで先攻1キルが抑制できるといいんですが」

 

「君が言うのかい?まぁいい。君には先行してリストを渡しておこう。…これだ」

 

そういうと、天馬社長は一枚の紙を渡してきた。…なるほど。

やはりドローロック、ハンデス三種の神器、現冥、ラストバトル!、第六感は許されなかったか。

 

<禁止カード>

【八汰烏】

【心変わり】

【いたずら好きな双子悪魔】

【押収】

【強引な番兵】

【現世と冥界の逆転】

【ラストバトル!】

【第六感】

【刻の封印】

 

他の俺が使ってきたパワーカードは軒並み制限カードのようだな。

俺が使っていないポッド系も、誰かが使ったのだろう。やはり許されなかったようだな。

 

<制限カード>

【処刑人-マキュラ】

【キラー・スネーク】

【カオスポッド】

【サイバーポッド】

【ファイバーポッド】

【メタモルポット】

【キャノン・ソルジャー】

【魔導サイエンティスト】

【強欲な壺】

【天使の施し】

【遺言状】

【苦渋の選択】

【死者蘇生】

【サンダー・ボルト】

【ブラック・ホール】

【ハーピィの羽根帚】

【大嵐】

【ハリケーン】

【強奪】

【早すぎた埋葬】

 

エラッタは…当然カメが入るか。年末年始で使いまくったしな。これで【サイエンカタパ】は終了かな。

 

<エラッタ(名称ターン1制限)>

【カタパルト・タートル】

 

「あと、以前君が提案していた『生け贄』という言葉についてや『融合』デッキと言う名称についても変更になることが決まったよ」

 

<名称変更>

①生け贄に捧げる → リリース

②生け贄召喚   → アドバンス召喚

③融合デッキ  → EXデッキ

 

そうそう。この名前だよ。この名前じゃないとシックリこない。咄嗟の時に呼び間違える。

前世でこの名前に変更された時は違和感あったけれど、結構すぐに慣れるんだよな。

融合デッキなんて、シンクロやエクシーズが出始めているから違和感しかないわけだし。

 

リミットレギュレーションについては、クリッター、黒き森のウィッチは全く規制&エラッタ無しですか。

キャノン・ソルジャーは規制されたけど、トゥーンの方やマスドライバーは無事そうだな。

 

「(まだまだ悪用できそうで)いい感じだと思います」

 

「そうか。そう言ってもらえると心強いな」

 

「いえ。それでは失礼いたします」

 

「あぁ」

 

そうして俺はI2社を出て孤児院へ帰る。調査については期待はしていなかったからそこまでガッカリ感はないな。俺自身、前世の記憶と知識が無ければ一笑に付す内容だろう。

 

だが、これでほぼ確実に原作GXのシナリオに巻き込まれることが確定してしまったな。今のうちに修行を進めておくしかないか。

 

「ただいま~」

 

「おかえり~お土産は?」

 

「はいはい」

 

こうして、孤児院の皆にお土産を渡し、夕食を摂った後、日課となった精霊界での修行へと繰り出していった…。




今作で初めてのリミットレギュレーション&エラッタ&用語変更。

リミットレギュレーションが成立したことにより、【ヤタロック】【現世と冥界の逆転】【ラストバトル!】【サイエンカタパ】の出番はこれで終了です。

次からは【エクゾディア】関連か【ガエル】辺りでしょか。

【ドグマブレード】は私の力量で小説に文章として落とし込めるとは思えませんし、何より【D-HERO】は遊戯王GXで特別なカードなので、オリ主は使用しません。

原作を順守するならば生贄召喚や融合デッキのままの方がいいのでしょうが、今後の誤記を軽減するためにも現在の環境に合わせました。

今作の世界は【人間界】【精霊界】【墓守世界】【砂漠世界】【覇王世界】【牢獄世界】の6つがあると思っています。

私の勘違いで、実はどれかの世界が共通なのかも知れませんし、公式とは名称が違ったりするかも知れません。

とりあえずこれらの世界があるものと言う前提で話を進めていく予定です。

次回の更新は12/2(水) AM6:00となります。

四季式様、Skazka Priskazka様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十八話 万丈目準(幼)

まだサンダーじゃない万丈目さん登場。

よくあの【ヘル】デッキを使ってオベリスクブルーで大きな顔出来てましたね…。


小学校に入って3回目の夏休み、宿題など夏休み前に終わらせている俺は、ユーゴ君とリンちゃんの夏休みの宿題を見ていた。

 

「あぁー!終わらねー!漢字の書き取りがー!」

 

「はいはい、喋っている暇があったら手を動かす!」

 

「今日はそのページまで終わればいいから、もうちょっとじゃん」

 

詳細に言えば、ユーゴ君の宿題をリンちゃんと2人でフォローしている。

コナミ?アイツはデートだよ。マスドライバーで発射されろ。

 

「お、終わったー」

 

「ふふ、お疲れユーゴ」

 

「じゃ、勉強後のアイスでも持ってくるよ」

 

「オレ、チョコ味!」

 

「OK。リンちゃんはバニラ味だよね?」

 

「うん!ありがとうクロトさん」

 

平和だ…。あと数年で地獄のような3年間が訪れるなんて誰が想像できるだろうか…。

日々の平穏を嚙み締めつつ、俺は冷蔵庫へ向かった。

 

~~~

 

そしてその翌日、いつものようにハノイスタイルで大会に参加していたが、今回の対戦相手は見覚えがあるな…。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、見覚えのある刺々しい黒髪の少年と対峙する。

 

「お前がハノイの騎士か。この万丈目準の最初の踏み台にしてやろう!」

 

サンダーになる前の万丈目か。

 

「弱い奴ほどよく吠えるな?オジャ万丈目くん」

 

「誰がオジャ万丈目だ!」

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「叩き潰してやる!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

万丈目 LP:4000

 

「先攻はオレが貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【切り込み隊長】を召喚!このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。また、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない!」

万丈目 手札:5枚。

 

全身を鎧で包み込み、赤のマントを靡かせた、2つの剣を両手に持つ金髪の熟年戦士が召喚される。

切り込み隊長 ★3 ATK1200

 

「オレは切り込み隊長の効果で、手札から【地獄戦士】を特殊召喚!」

万丈目 手札:4枚。

 

大きな剣を持った人相の悪い戦士が召喚される。

地獄戦士 ★4 ATK1200

 

初期の万丈目のデッキである【ヘル】デッキかな。

 

「このモンスターは相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、この戦闘によって自分が受けた戦闘ダメージを相手ライフにも与える。どうだ!恐ろしいだろう!」

 

「アマゾネスの剣士を使った方がいいぞ」

 

「黙れ!オレはカードを2枚伏せてターンエンド!」

万丈目 手札:2枚。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

万丈目 LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、手札:2枚

 

原作通りだと、伏せカードは【リビングデッドの呼び声】と【地獄の暴走召喚】だろうか。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【大嵐】発動。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「なにっ!おまえぇぇ!」

万丈目 伏せカード:0

 

破壊したカードは、予想通りの【リビングデッドの呼び声】【地獄の暴走召喚】か。昔からそのコンボ好きだったんだな。

 

 

「私は手札から【粋カエル】を墓地へ送って魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキより【イレカエル】を特殊召喚」

ハノイ 手札:3枚。墓地のガエル:1 ※粋カエルが墓地へ落ち、イレカエルがフィールドへ。

 

左半分がピンクで天使の翼を持ち、右半分が黒で悪魔の翼を持つカエルがデッキより現れる。

イレカエル ★1 DEF200

 

「ハハハッ!なんだその雑魚モンスターは!」

 

イレカエルが雑魚?HAHAHA!面白いジョークだ。

 

「私は手札から【デスガエル】を墓地へ送って、手札より【鬼ガエル】を特殊召喚!このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキ及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル2以下の水族・水属性モンスター1体を選んで墓地へ送る。私はデッキの【黄泉ガエル】を墓地へ送る」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:3

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【鬼ガエル】を墓地に送り、デッキから【鬼ガエル】を特殊召喚!鬼ガエル特殊召喚成功時、デッキから【黄泉ガエル】を墓地へ送る!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:5

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【鬼ガエル】を墓地に送り、デッキから【鬼ガエル】を特殊召喚!鬼ガエル特殊召喚成功時、デッキから【黄泉ガエル】を墓地へ送る!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:7

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【鬼ガエル】を墓地に送り、デッキから【引きガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:8

 

※大体LP4000ライフ消滅ライン。

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【引きガエル】を墓地に送り、デッキから【引きガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:9

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【引きガエル】を墓地に送り、デッキから【引きガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:10

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【引きガエル】を墓地に送り、デッキから【魔知ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:11

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【魔知ガエル】を墓地に送り、デッキから【魔知ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:12

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【魔知ガエル】を墓地に送り、デッキから【魔知ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:13

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【魔知ガエル】を墓地に送り、デッキから【貫ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:14

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【貫ガエル】を墓地に送り、デッキから【貫ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:15

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【貫ガエル】を墓地に送り、デッキから【貫ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:16

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【貫ガエル】を墓地に送り、デッキから【裏ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:17

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【裏ガエル】を墓地に送り、デッキから【裏ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:18

 

※大体LP8000ライフ消滅ライン。

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【裏ガエル】を墓地に送り、デッキから【裏ガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:19

 

「私は【イレカエル】の効果発動!フィールドの【裏ガエル】を墓地に送り、デッキから【デスガエル】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1枚。墓地のガエル:20

 

「お前!いい加減にしろ!」

 

ちょっと楽しくなってきて、ノリノリでLP8000分オーバーまで落としてしまったな。

まぁいい。そろそろ終わらせようか。

 

<墓地のガエル>

①粋カエル : 1 ※他の墓地のガエルを除外して蘇生。回数制限なし。

②デスガエル : 1

③黄泉ガエル : 3

③鬼ガエル : 3

④引きガエル : 3

⑤魔知ガエル : 3

⑥貫ガエル : 3

⑦裏ガエル : 3

 

「私は手札より永続魔法カード【マスドライバー】発動。自分フィールド上のモンスター1体をリリースする度に、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:0枚。

 

「たった400ポイントで何ができる!」

 

「私は【マスドライバー】効果発動。【イレカエル】をリリース、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:0枚。墓地のガエル:21

 

「ちっ、こざかしい!」

万丈目 LP4000 → 3600

 

「私は【マスドライバー】効果発動。【デスガエル】をリリース、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:0枚。墓地のガエル:22(粋カエル含む)

 

「くっ!だがこれでお前のフィールドはがら空き!手札も無し!無駄な努力だったな!」

万丈目 LP3600 → 3200

 

 

「私は墓地の【粋カエル】効果発動。墓地のガエルを除外して自身を特殊召喚」

ハノイ 手札:0枚。墓地のガエル:20、フィールド:粋カエル

 

「…は?」

 

「私は【マスドライバー】効果発動。【粋カエル】をリリース、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:0枚。墓地のカエル:20 + 粋カエル

 

「ぐおぉぉぉ!」

万丈目 LP3200 → 2800

 

「私は墓地の【粋カエル】効果発動。墓地のガエルを除外して自身を特殊召喚」

ハノイ 手札:0枚。墓地のガエル:19、フィールド:粋カエル

 

「なん…だと!?」

 

「私は【マスドライバー】効果発動。【粋カエル】をリリース、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:0枚。墓地のガエル:19 + 粋カエル

 

「ぐおぉぉぉ!」

万丈目 LP2800 → 2400

 

 

「もう気付いていると思うが、【マスドライバー】と【粋カエル】に名称ターン1制限はない。粋カエルの蘇生に必要な墓地のガエルはあと19体。この意味が、分かるな?」

 

「あ、あぁぁぁぁ!!」

 

 

これがお前の言う雑魚モンスターの力さ。さぁて、オジャ万丈目くぅん?貴様の罪を数えろぉぉぉ♪

 

 

「粋カエル蘇生、発射! 粋カエル蘇生、発射! 粋カエル蘇生、発射! 粋カエル蘇生、発射! 粋カエル蘇生、発射! 粋カエル蘇生、発射!」

墓地のガエル:19 → 18 → 17 → 16 → 15 → 14 → 13

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

万丈目 LP2400 → 2000 → 1600 → 1200 → 800 → 400 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「そんな…馬鹿なぁ…」

 

~~~

 

大会後、精霊界のとある村でキーメイスと腕相撲してみた。

 

「むむむむむむ!」

 

「ぐぎぎぎぎぎぎぃ!」

 

「キーメイス!頑張れー!」

 

「クロト!今度こそ勝てよー!」

 

「バニー!」

 

これまでの戦歴は60戦0勝。初めの頃は開始と同時に負けていたが、今ではなかなか白熱した戦いを繰り広げている。

 

「むぅ~!」

 

「うぉぉぉぉぉ!らぁっ!!」

 

「負けちゃった~」

 

「おぉ!クロトが勝った!」

 

「初勝利!おめでとう!」

 

「バニー♪」

 

「ワイトもそう思いますぞ!」

 

修行を始めてそろそろ1年に近づいてきた今日この頃、ようやくキーメイス(★1 ATK400)に勝利した。




特に理由のない【ガエルドライバー】が万丈目さんを襲う!

アニメ版の万丈目さんは、十代や三沢に負けて、ノース校でのし上がって万丈目サンダーになるまでは微妙なデュエリストのままだとオリ主は判断し、現在の万丈目さんに【光と闇の竜】を渡す必要はないと判断しました。多分、万丈目サンダーになっても彼の使用デッキを考えると使われることはないでしょうから渡さないと思います。

修行も一歩前進。先はまだまだ長いです。

次回の更新は12/2(水) AM7:00予定です。


ロック様、四季式様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十九話 無限ループバーン

無限ループって怖い。そんなお話です。


夏が終わり、秋が来た。時間が経てば変わるものもある。そう、まさか田中に彼女ができるとは…!!

 

「こちら鈴木。対象はいまだ一人で駅前にいる。強いて言えば変なポーズをしている。どうぞ」

 

「こちら白河。田中のアレは普段の病気だから異常なしだと思うぞ。どうぞ」

 

「こちら佐藤。対象に近付く同年代の女子を目視で確認。どう見ても親しい仲に見える。どうぞ」

 

俺たちはスマートフォンに付属するアプリを使用してスパイごっこに興じている。

決して田中が羨ましくて尾行しているわけではない。ないのだ!

 

「こ、こちら鈴木!対象は女子と手を組みだしたぞ!ちくしょう!ちくしょう!!」

 

「田中……この裏切り者ぉぉぉぉぉ!!」

 

「二人とも落ち着いて。どうぞ」

 

これが落ち着いていられるか!まるで意味が分からんぞ!

コナミならともかく、なんでよりにもよってあの田中に彼女が出来るんだよ!

 

「オレたちは、奴に負けたというのか…」

 

「こんなんじゃ……満足…出来ねぇぜ……」

 

「(田中の隣にいる女の子、田中の妹なんだけど、面白いから黙っておこう)」

 

俺たちは楽しそうな奴の姿を目に焼き付けさせられてしまい、失意のままそれぞれの家に帰った…。

 

~~~

 

そしてその翌日、いつものようにハノイスタイルで大会に参加していたが、今回の対戦相手は見覚えがあるな…。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、どこかで見覚えのあるオッサンと対峙する。誰だっけこの人。

 

「ハノイの騎士。以前の大会では対戦できなかったけど、地方大会本選出場者のオジサンの実力を見せてやろう!」

 

あっ、思い出した。地方大会の時、コナミにアッサリ負けてたオッサンだわ。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

オッサン LP:4000

 

「オジサンは大人だからね。先攻は譲ってあげるよ。オジサンだからね」

 

「では遠慮なく」

 

一人称オジサンなのかこの人。ともかく、珍しく先攻を手に入れたのでサクサク始めましょうか。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

あ、この手札ならあのコンボが出来そうだな。狙ってみるか。

 

「私はモンスターを伏せ、カードを3枚伏せてターンエンド!」

ハノイ 手札:2枚、伏せカード:3枚。

 

 

ハノイ  LP4000、手札:2枚 ※手札:暗黒のマンティコア

 

<ハノイのフィールド>

伏せモンスター(デーモン・イーター)、伏せカード:3

 

オッサン LP4000、手札:2枚

 

 

「オジサンのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行!」

オッサン 手札:5→6枚。

 

「オジサンは手札から【黄金の天道虫】を見せて効果発動!自分は500ライフポイント回復するのだ。この効果を使用した場合、エンドフェイズ時まで手札のこのカードを公開するのだ!」

オッサン LP:4000 → 4500、手札:6枚。

 

キュアバーンデッキとかなのか?それよりもあの語尾、何とかならないのかなぁ。

 

「オジサンはメインフェイズへ移行!」

 

「ここで私は伏せカードの速攻魔法【手札断殺】発動。お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする」

ハノイ  手札:2→0→2枚、伏せカード:3→2 ※【暗黒のマンティコア】を墓地に送る

オッサン 手札:6→4→6枚。

 

これで仕込みの第一段階はクリア。さて、上手く行ってくれるかな?

 

「オジサンは手札から【お注射天使リリー】を召喚!この娘の効果は、このカードが戦闘を行うそのダメージ計算時に1度、2000LPを払って発動できて、このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ3000アップする効果を持つのだ!」

オッサン 手札:5枚。

 

白い翼に白衣のピンク髪少女がでっかい注射器を持って現れる。

お注射天使リリー ★3 ATK400

 

「うははははぁ!凄いぞー!可愛いぞー!」

 

うわきつ。いきなりなんだこのオッサン。

 

「オジサンは永続魔法【暗黒の扉】発動!このカードがある限り、お互いのプレイヤーは、バトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃する事ができないのだ!」

オッサン 手札:4枚。

 

「オジサンは永続魔法【レベル制限B地区】発動!フィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になるのだ!」

オッサン 手札:3枚。

 

「オジサンは装備魔法【メテオ・ストライク】発動!リリーちゃんに装備!装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与えるのだ!」

オッサン 手札:2枚。

 

まさかこのオッサン、リリー特化の美少女デッキなのか?さっきの【黄金の天道虫】はライフ回復手段でリリーの効果コストを補うための物か。

いや、うん。悪いとは言わないけどさぁ。

 

「バトルフェイズ!オジサンの【お注射天使リリー】で君の隠された…」

 

「バトルフェイズ開始直前に、私は伏せカードの通常罠【威嚇する咆哮】発動。このターン相手は攻撃宣言できない」

ハノイ 伏せカード:2→1

 

「おや、オジサンのリリーちゃんを見せつけたかったんだけど、残念だねぇ。メインフェイズ2に移行。…う~ん」

 

ここまでで仕込みの第二段階もクリアと言っていいかな。だから、頼むから伏せカードを割ってくるなよ…。頼むぞ~。

 

「良し、オジサンはカードを1枚伏せてターンエンド!」

オッサン 手札:1枚、伏せカード:1枚。

 

「エンドフェイズ前に、私は伏せカードの永続罠【バックファイア】発動。自分フィールドの表側表示の炎属性モンスターが破壊され墓地へ送られる度に発動する。相手に500ダメージを与える」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

はい、仕込みの最終段階まで完了!良し、勝った。お疲れさまでした~。

 

「おや?このタイミングでトラップカードかい?」

 

もうオレのターンもオッサンのターンねえから。

 

 

「エンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、自分の手札・フィールド上から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。俺はフィールドの【デーモン・イーター】を墓地に送る」

 

黒い翼に金の体とライオンの頭を持つ獣が墓地から蘇る。

暗黒のマンティコア ★6 ATK2300

 

「ほう、そんな効果があったのかい!」

 

オッサンのターンねえから。

 

「エンドフェイズに墓地の【デーモン・イーター】効果発動!相手エンドフェイズにこのカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、このカードを墓地から特殊召喚する。俺はフィールドの【暗黒のマンティコア】を破壊する」

 

悪魔のような翼を持った茶色の獣が墓地から蘇る。

デーモン・イーター ★4 ATK1500

 

「この瞬間、永続トラップ【バックファイア】効果発動。自分フィールドの表側表示の炎属性モンスターである【暗黒のマンティコア】が破壊され墓地へ送られる度に発動する。相手に500ダメージを与える」

 

「うわっちゃ!」

オッサン LP:4500 → 4000

 

 

「エンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、自分の手札・フィールド上から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。俺はフィールドの【デーモン・イーター】を墓地に送る」

 

「エンドフェイズに墓地の【デーモン・イーター】効果発動!相手エンドフェイズにこのカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、このカードを墓地から特殊召喚する。俺はフィールドの【暗黒のマンティコア】を破壊する」

 

「この瞬間、永続トラップ【バックファイア】効果発動。自分フィールドの表側表示の炎属性モンスターである【暗黒のマンティコア】が破壊され墓地へ送られる度に発動する。相手に500ダメージを与える」

 

 

「うわっちゃちゃ!…これは、まさか無限ループ!?」

オッサン LP:4000 → 3500

 

Exactly!(その通りでございます)

 

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁ!!」

オッサン LP:3500 → 3000 → 2500 → 2000 → 1500 → 1000 → 500 → 0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「オジサンのリリーちゃんが…」

 

リリーちゃんは無事だったろ。

 

~~~

 

大会後、精霊界のとある平原で【無敗将軍ジェネラル フリード】の連合軍部隊で手伝いをしていた。

 

「クロト!この剣を【切り込み隊長】へ持っていってくれ!」

 

「了解ー」

 

「クロト!この薬箱を【衛生兵マッスラー】へ持っていってくれ!」

 

「はいよー」

 

「クロト!この大剣を【戦士ダイ・グレファー】へ持って行ってくれ!」

 

「クロト!この包帯を【荒野の女戦士】へ持って行ってくれ!」

 

「クロト!この杖を【エルディーン】へ持って行ってくれ!」

 

「クロト!この槍を【ならず者傭兵部隊】へ持って行ってくれ!」

 

「クロト!この鎧を【戦士ラーズ】へ持って行ってくれ!」

 

「やることが!多い!」

 

「敵の大群が来たぞー!全員迎撃用意ー!」

 

「クロトは退避していてくれ!正直、邪魔だ!」

 

「了解ー!」

 

今日も精霊界は争いが絶えないが、何とか生きています。




鈴木、佐藤、田中、田中妹に関しては、ニンテンドー3DSのソフト『最強カードバトル』に登場する小学生四天王がモデルです。本人ではなくあくまでモデルなので、特に彼らは重要人物ではありませんが。

今回のデュエルは…マキュラが便利すぎるのが悪いのです。

【暗黒のマンティコア】はそのうちまた悪用します。

次回の更新は12/2(水) AM8:00予定です。


ファイネス1様、四季式様、読み専です様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十話 大逆転クイズ

先行1キル vs 先行1キル。たまにはこういうのもいいかなと思います。

LP4000制だと1ターンで倒しきる手段が多すぎて選別に困りますね。


今日から小学校3度目の冬休みが始まったので、ユーゴ君やリンちゃんと一緒の服屋の柳さんの店へと足を運んでいた。

 

「予算はそこそこあるから、1着だけ好きなのを選んでいいぞ」

 

「おー!太っ腹だな!」

 

「わー!ありがとう!」

 

ユーゴ君とリンちゃんは嬉しそうに店の奥へと進んでいった。

 

「クロト、衣装のサイズ直し終わったから渡しておくな」

 

「ありがとうございます。お代は…」

 

「いつもと同じでいいぞ」

 

「いつもすいません」

 

「アタシの趣味も兼ねてるからいいんだよ」

 

柳さんにお代と一緒に差し入れの羊羹を渡す。

この人は和菓子に目がないからお金と違ってこちらは受け取ってくれる。

 

「アンタ、料理上手いよね」

 

「シスターほどじゃないですよ」

 

「アイツは昔から完璧超人だったからね…」

 

柳さんは昔を懐かしむように目を細めて呟く…。

俺もこの世界で昔を懐かしむような年齢まで生きられるだろうか…いや、そのためにも、色々と頑張ろう。

 

~~~

 

今年最後の大会に出場し、今日もハノイスタイルで選手控室から会場へとやってきた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、見覚えのない貴婦人と対峙する。

 

「坊やがあのハノイの騎士ね?お互いいいデュエルにしましょう」

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

久し振りに丁寧な対応をされたため、普通に敬語で返してしまった。

まぁいいか。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

マダム LP:4000

 

「先攻は私が頂きますわ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

マダム 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【連弾の魔術師】を召喚しますわ。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分が通常魔法を発動する度に、相手ライフに400ポイントダメージを与えますわ」

マダム 手札:5枚。

 

先ほどまでのデュエルを見る限り、これは…危険な状況だな。

 

黒のローブに二対の杖を両手に持つ魔術師が現れる。その周囲には様々な色の魔力弾がいくつも浮いている。

連弾の魔術師 ★4 ATK1600

 

「私は永続魔法【悪夢の拷問部屋】発動。相手ライフに戦闘ダメージ以外のダメージを与える度に、相手ライフに300ポイントダメージを与えます。「悪夢の拷問部屋」の効果では、このカードの効果は適用されませんわ」

マダム 手札:4枚。

 

やはり連弾の魔術師軸の【フルバーン】か!向こうも先攻1キル狙いかよ!

 

「私は通常魔法【デス・メテオ】発動。相手ライフに1000ポイントダメージを与えますわ。相手ライフが3000ポイント以下の場合このカードは発動できないのですわ」

マダム 手札:3枚。

 

「ぐおぉぉぉっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:4000 → 3000

 

「更に!【デス・メテオ】の効果処理後に【連弾の魔術師】の効果発動!通常魔法を発動する度に、相手ライフに400ポイントダメージを与えますわ!」

 

「ぐぅっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:3000 → 2600

 

「そして!拷問部屋の効果が発動しますわ!【デス・メテオ】で1回、【連弾の魔術師】で1回。300LPダメージ×2回分を受けていただきますわ!」

 

「これ以上は思い通りにさせるわけにはいきませんね!手札より【森の聖霊 エーコ】の効果発動!相手のカードの効果によって自分がダメージを受けた時に発動でき、このカードを手札から特殊召喚し、受けたダメージと同じダメージを相手ライフに与える。さらに、このターンお互いが受ける効果ダメージは0になる!」

ハノイ 手札:4枚。

 

チェーン③森の聖霊 エーコ 400ダメージ

チェーン②悪夢の拷問部屋 300ダメージ

チェーン①悪夢の拷問部屋 300ダメージ

 

体中に緑の葉を茂らせた木人が姿を現す。

森の聖霊 エーコ ★4 DEF1000

 

「効果処理に入ります。【森の聖霊 エーコ】の効果により、【連弾の魔術師】の効果で発生した400LPダメージを与え、その後の【悪夢の拷問部屋】のダメージは無効となります」

 

「あらあら。用意周到な坊やねぇ」

マダム LP:4000 → 3600

 

決勝戦までのデュエルを見ていなかったら瞬殺されていたな。

 

「このターンにこれ以上の効果ダメージは見込めないですわね。なら手札から通常魔法【悪夢の鉄檻】を発動。全てのモンスターは(相手ターンで数えて)2ターンの間攻撃できませんわ。そして、2ターン後にこのカードを破壊しますわ」

マダム 手札:2枚。

 

「本来ならこの魔法でも連弾の魔術師の効果が発動し、悪夢の拷問部屋の効果も誘発しますが、森の聖霊 エーコの効果によりダメージはありませんね」

 

「えぇ、そうね」

 

やはり防御カードも入っているな。このご婦人はこれまでの大会の中でも格段に強いな。

 

「私は手札から通常魔法【封印の黄金櫃】を発動。デッキからカード1枚を選んで除外しますわ。私が選び、除外するのは魔法カード【火炎地獄】。封印の黄金櫃の発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外した【火炎地獄】を手札に加えますわ」

マダム 手札:1枚。

 

「この魔法でも連弾の魔術師の効果が発動し、悪夢の拷問部屋の効果も誘発しますが、森の聖霊 エーコの効果によりダメージはありません」

 

「えぇ、惜しかったわ」

 

少なくとも黄金櫃が開く前に終わらせないと敗北が決まるわけか。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド。さぁ、坊やの番よ?」

マダム 手札:0枚、伏せカード:1枚。

 

ハノイ LP2600、モンスター:1、伏せカード:0、手札:4枚

マダム LP3600、モンスター:1、永続魔法:1+鉄檻、伏せカード:1、手札:0枚

 

連弾の魔術師を軸とするならあの伏せカードが速攻魔法のバーンカードである可能性は低めだ。このターンで負けることはないはず。

だが、このターンに決着を付けなければ、次のドローで通常魔法を引かれると焼かれて負ける可能性が極めて高い!

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「私は手札から通常魔法カード【大嵐】発動。フィールドの魔法・罠カードを全てを破壊させてもらう」

ハノイ 手札:4枚。

 

「私はチェーンして伏せカードオープン。カウンタートラップ【魔宮の賄賂】発動ですわ。相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できます。その発動を無効にし破壊し、相手はデッキから1枚ドローしますわ」

マダム 伏せカード:0枚。

 

チェーン②魔宮の賄賂

チェーン①大嵐

 

「【魔宮の賄賂】の効果により【大嵐】の効果は無効化されますが、その代わりにデッキより1ドローさせてもらう」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「私は通常魔法【強欲な壺】を発動。デッキからカードを2枚ドローする」

ハノイ 手札:4→6枚。

 

危なかったが、ギリギリ必要なパーツは揃ったな!

 

「私は手札から永続魔法【亡龍の旋律】を発動し【トゥーンのもくじ】を宣言する。【亡龍の旋律】が魔法&罠ゾーンに存在する限り、宣言されたカードの効果が発動する度に、その効果を発動したカードの元々の持ち主のLPは半分になる。この効果を適用したターンのエンドフェイズにこのカードは墓地へ送られる。相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードは効果では破壊されない」

ハノイ 手札:5枚。永続魔法:0→1

 

「私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーンのもくじ】。【亡龍の旋律】の効果によりLPが半分になる」

ハノイ LP:2600 → 1300、手札:4→5枚。

 

「更に私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーンのもくじ】。【亡龍の旋律】の効果によりLPが半分になる」

ハノイ LP:1300 → 650、手札:4→5枚。

 

「そして私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーン・キャノン・ソルジャー】。【亡龍の旋律】の効果によりLPが半分になる」

ハノイ LP:650 → 325、手札:4→5枚。

 

「…何を狙っているのかしら?」

 

「私は手札を一枚捨てて、【鳳凰神の羽根】発動!自分の墓地のカード1枚を選択して発動でき、選択したカードをデッキの一番上に戻す。私は【強欲な壺】を選択してデッキの一番上に戻す」

ハノイ 手札:3枚。

 

良し、準備完了!

 

「私はカードを1枚伏せる。そして…」

ハノイ LP:325、手札:2枚、伏せカード:1枚。

 

「私は魔法カード【大逆転クイズ】発動!自分の手札とフィールド上のカードを全て墓地に送る。自分のデッキの一番上にあるカードの種類(魔法・罠・モンスター)を当てる。当てた場合、相手と自分のライフポイントを入れ替える!」

ハノイ 手札:1→0枚、モンスター:1→0、伏せカード:1→0枚。永続魔法:1→0

 

「な!ここに来てそんな博打を…先ほどの【鳳凰神の羽根】はこの為の布石ですの!?」

 

「私は【魔法カード】を選択!デッキトップをめくる!デッキトップは魔法カード【強欲な壺】!デッキトップを当てたことにより【大逆転クイズ】の効果で互いのライフは入れ替わる!」

ハノイ LP:325 → 3600

マダム LP:3600 → 325

 

「で、ですがこれで坊やの手札は0枚、フィールドはがら空き。この後はどうするつもりですの?」

 

「最後に、【大逆転クイズ】の効果処理後、大逆転クイズにより墓地に送られた【風魔手裏剣】効果発動!このカードがフィールド上から墓地に送られた時、相手ライフに700ポイントダメージを与える」

 

「…完敗ですわ」

マダム LP:325 → 0

 

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

「世の中には色々なデッキがありますわね…」

 

「だからデュエルは面白いんですよ」

 

~~~

 

大会後、精霊界のとある砦で、【異次元の戦士】から非常に面倒な頼まれごとをされていた。

 

「クロト!この手紙を【異次元の女戦士】に持って行って、返事を聞いて来てくれ!」

 

「えぇ…ラブレターは流石に自分で渡した方がいいと思うよ」

 

確か、前世に発売されていたマスターガイドの1によると、

【異次元の戦士】は【異次元の女戦士】に片思いしているが、女戦士の方は友達としか見ていなかったはず。

 

一応、言われたとおりに手紙を渡して確認したところ、マスターガイドそのままの回答が返ってきた。

そして言われたままの内容を伝えると、【異次元の戦士】は静かに時空の彼方へ消えていった…。

 

~~~

 

精霊界のとある集落の学び舎で、【ギゴバイト】に学芸会の手伝いを頼まれていた。

 

「クロト!この水を【プチリュウ】へ持って行って!」

 

「OK」

 

「クロト!このハンカチを【もけもけ】へ持って行って!」

 

「了解~」

 

「クロト!この肥料を【きのこマン】へ持って行って!」

 

「任せろ~」

 

「クロト!この粘土を【はにわ】へ持って行って!」

 

「へいよっと~」

 

「クロト!この板を【ギゴバイト】へ持って行って!」

 

「あいあい~」

 

ギゴバイトってことは、ここから水霊使いエリア、放浪の勇者フリード、切り込み隊長などと会ったり別れたりするドラマがあるんだろうな…。

 

なんて考えていたら学芸会は無事に終わったようだ。その後はギゴバイト達にお礼を言われながら集落を後にした。

 

~~~

 

精霊界のとある王国の城下町で、【逃げまどう民】、【弾圧される民】たちの物資搬入を手伝っていた。

本当にこの名前のまま呼ばれていることがとてもシュールだったが、もう慣れた。

 

「クロト!この食料はあっち!」

 

「アイアイサー」

 

「クロト!この武器はこっち!」

 

「すたこらさっさー」

 

「クロト!この樽はそっちだ!」

 

「へいへいほー」

 

暴君となり民に圧政を敷くようになってしまったこの国の王を打倒するために、彼らは【団結するレジスタンス】に進化した!

確か、この後は【大革命】を起こすんだけど、【大革命返し】されて革命失敗して一度捕まるんだよね…。

 

大革命時の忠告だけしておいて、騒ぎに巻き込まれる前に俺は家に帰ろう。




【連弾フルバーン】は、LP8000でも焼き切る火力を持っている為、LP4000制で使われるとほぼ反則級です。どこかの胸の薄い委員長みたいなデッキだな…。

【大逆転クイズ】は、今回使用したデッキよりも遥かに精度の高い【緑一色】型がありますが、本文の通り相手のバーンカード対策を盛り込んだ為、ギリギリの勝利となっております。(魔宮の賄賂による1ドローが無ければ負けていました)

精霊界での出来事は適当です。修行により魔力よりも体力や筋力が付き始めてきたオリ主。デュエルマッスルまでの道のりは遠い。

次回の更新は12/5(土) AM6:00予定です。

カカン様、四季式様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十一話 黒炎弾1キル

5D'sである意味では大人気のキャラが使った、アニメオリジナルモンスターが登場します。

使い手はただのそっくりさんですが、先行1ターンキルのフルバーンと言えばコイツでしょう。


小学校三年の三学期も今日で終わり、明日から春休みに突入しようとする今日この頃、学校の校舎裏でリンちゃんが告白されているシーンに出くわした。近くの壁の陰にはユーゴ君が張り付いてソワソワしている。

青春してるなぁ。リンちゃんは学校でもずば抜けての美少女だしな。こういった告白も初めてのことではなさそうだ。

 

あぁ、やはり断ったか。少年、気落ちするなよ。君は立派に戦ったと思うよ。ユーゴ君はあからさまに安堵している。

自分が好きな子が告白されているシーンなんて、気が気じゃないだろうからな。良かったね。

 

どうやらリンちゃんはユーゴ君が傍にいることに気付いていたようだ。どうやらこちらには気づいていなさそうだ。

ユーゴ君はリンちゃんと何か話した後、リンちゃんに手を引かれながら一緒に帰っていった。青春ですねぇ。

 

俺?…止めてくれ、その言葉は俺に効く。止めてくれ。

 

~~~

 

いつものように大会に出場し、今日もハノイスタイルで選手控室から会場へとやってきた。。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、見覚えのないコワモテと対峙する。

 

「なんだぁ?変な仮面しやがって…ごっこ遊びなら他所でやんな」

 

「貴様の不細工な面ほど面白い仮面ではないのだがな」

 

「てめぇ…痛い目にあいたいようだなぁ!」

 

うーん、この反応。この手の相手は反応が面白くていいな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「瞬殺してやるぜ」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

コワモテ LP:4000

 

「先攻はオレが貰うぜ。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コワモテ 手札:5→6枚。

 

「オレは伏せカードを5枚セット!」

コワモテ 手札:5枚。

 

「オレは【ガトリング・オーガ】を召喚!自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を墓地へ送って発動できる。相手ライフに800ポイントのダメージを与える!」

コワモテ 手札:0枚。

 

紫のコートを着て弾倉と化した左腕を持つ腹部にガトリング・ガンを持つ悪魔がその姿を現す。

ガトリング・オーガ ★3 ATK800 ※遊戯王5Dsアニメオリジナルモンスター

 

リアリスト御用達のインチキバーン効果モンスター。改めて見てもぶっ壊れてるなぁ。

準決勝の時も使っていたが、あのカードがこの時代に既に存在しているんだな。

 

「オレは【ガトリング・オーガ】効果発動!自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を墓地へ送って相手ライフに800ポイントのダメージを与える!」

コワモテ 伏せカード:4枚。

 

「ぐぅっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:4000 → 3200

 

「はははっ!どんどん行くぞ!【ガトリング・オーガ】効果発動!自分の魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を墓地へ送って相手ライフに800ポイントのダメージを与える!」

コワモテ 伏せカード:3枚。

 

「ぐぅぅっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:3200 → 2400

 

「発射ぁ!」

コワモテ 伏せカード:2枚。

 

「ちぃっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:2400 → 1600

 

「発射ぁ!」

コワモテ 伏せカード:1枚。

 

「ぐぁぁっ!」

ハノイの騎士(クロト) LP:1600 → 800

 

「クソガキが!口だけ大したことなかったなぁ!トドメだ!発射ぁ!ハハハハハッ!」

コワモテ 伏せカード:0枚。

 

「手札から【ハネワタ】を墓地に送って効果発動。このターン、自分が受ける効果ダメージは0になる。この効果は相手ターンでも発動できる」

ハノイ LP:800、手札:4枚

 

「ハハ…はぁ!?」

コワモテ 伏せカード:0枚。

 

墓地に送られたカードは【スキル・サクセサー】【ギャラクシー・サイクロン】【大寒波】【サイクロン】【黒いペンダント】か。

なかなかのラインナップだな。

 

「最後に貴様のフィールドから墓地へ送られた【黒いペンダント】の効果ダメージも、【ハネワタ】の効果でダメージ無しだ」

ハノイ LP:800

 

「て、てめぇ!オレの伏せカードが無くなるまでワザと効果を使わせてダメージを食らいやがったな!」

コワモテ 伏せカード:0枚。

 

そうだよ。この時点でお前は次の俺のターン、何もできないからなぁ!絶好のチャンスだぁ!

 

「クソが!ターンエンドだ!おらっ、てめぇのターンだ!」

 

ハノイ  LP800、 モンスター:0、伏せカード:0、手札:4枚

コワモテ LP4000、モンスター:1、伏せカード:0、手札:0枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「私は手札から通常魔法【真紅眼融合】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う!」

ハノイ 手札:4枚。

 

「デッキからも融合素材を使えるだと!ふざけんな!てめぇそれでもデュエリストか!」

 

えぇ?ガトリング・オーガを使うお前が言うのか?仕方ない、テンプレ返しておくか。

 

「リアリストだ。【真紅眼融合】の効果処理を継続する。私はデッキの【真紅眼の黒炎竜】【真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン】を墓地に送り、【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】を融合召喚!」

 

上空より全身が炎で包まれた漆黒の竜がその姿を現す。

流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン ★8 ATK3500 ※真紅眼融合の効果によりカード名を「真紅眼の黒竜」として扱う。

 

「いきなりレベル8のモンスターを召喚する…だと!!」

 

「【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】効果発動!このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える」

 

「なぁ!」

 

「私はデッキの【真紅眼の黒竜】を墓地に送る!その攻撃力の半分、1200ダメージを受けろ!」

 

「ぐあぁぁぁぁ!」

コワモテ LP:4000 → 2800

 

トドメだ。

 

「私は手札から通常魔法【黒炎弾】発動。このカードを発動するターン、「真紅眼の黒竜」は攻撃できない。自分のモンスターゾーンの「真紅眼の黒竜」1体を対象として発動!その「真紅眼の黒竜」の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!!」

ハノイ 手札:3枚。

 

「はっ、馬鹿め!てめえのフィールドにいるのは【流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン】のみ!対象のいない【黒炎弾】は不発だ!」

 

「馬鹿は貴様だ。【真紅眼融合】で融合召喚されたモンスターは【真紅眼の黒竜】として扱う。今、フィールドにいるのは【真紅眼の黒竜】だ」

 

「ふ、ふざけんなぁぁぁ!!」

 

「フィールドの【真紅眼の黒竜】の攻撃力は3500。その攻撃力分3500のダメージを受けろ!!」

 

「あ、あぁっ!ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

コワモテ LP:2800 → 0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「あ、ありえねぇ。このオレがぁ…」

 

~~~

 

精霊界での修行(手助け)を始めてから約1年が経過し、俺の魔力もそこそこマシになってきていた。それ以上に体力と筋力が付いた気もするが。

そして、去年も訪れたブラック・マジシャン(パンドラ仕様)が住む森の奥の小屋へ、【斬首の美女】と【伝説の剣豪 MASAKI】と一緒に再訪していた。

 

「とりあえずまた来たが、今回はなんとかなるんじゃないかと思っている」

 

「去年と比べてお主は強くなった。それは間違いないと思うのぉ」

 

「我らもウカウカしておると追い付かれてしまうかもしれぬでゴザルなぁ!」

 

「ありがと。じゃ、行ってくる」

 

2人とはそこで別れ、家の扉をノックすると、銀髪の美形魔術師が現れた。

 

「またお主か。どうやら修行を積んだようだな。以前とは見違えるほどに魔力を感じる」

 

「精霊たちの手助けをしていただけですよ」

 

「うむ、良かろう。今のお主になら魔力の強化方法を伝授しよう」

 

「ありがとうございます」

 

「敬語はよせ」

 

「…分かった」

 

鋭かった目つきをしていた顔は、朗らかに笑っていた。そんな顔もできるんだな。

そんな話をしていると銀髪の魔術師の後ろから、銀髪の女の子が顔を見せた。

 

「その子が以前に言っていた少年ですか?」

 

「うむ、まだまだヒヨッコだが、伸びしろはあると思っている。お前も手伝ってやるといい」

 

「はい師匠」

 

銀髪の女の子が魔術師の後ろから出てきてこちらに手を伸ばしてくる。こうして目の前に現れるとその容姿がよく分かる。

銀の髪に褐色の肌、ワインレッドのローブなのは師匠の魔術師と同じだが、ローブは動きやすいように各所で肌が露出している。

小柄な割にグラマラスな体形をしている美少女な為、彼女が動くたびに、その、正直、思春期の少年としては目のやり場に困る。

 

「私はこの方の弟子をしている魔術師。よろしく」

 

「俺は白河クロト。よろしくおねがいします姉弟子」

 

「姉弟子か…ふふっ、よろしく、弟弟子のクロト」

 

差し出された手を握って握手すると、銀髪の美少女が微笑みながら優しく握り返してきた。今年一番いいものを見れた気がする。




原作アークファイブで他の登場人物と絡みの少なかったリンちゃんと、それを一途に追いかけたユーゴ君には幸せになってほしいですね。あまり原作を批判したくはないのですが、あのエンディングは許容できなかったですね。

ガトリング・オーガ、アニメ5D'sを視聴した方ならきっと覚えがあるのではないでしょうか。この前ロットン専用カードとしてリンクスにも出演していましたね。

私はパっと思いつきませんが、コイツがそのままOCG化したら環境が変わるかも…いや、現環境だと手札誘発一枚で終わりですね。LP8000制環境だとそこまで強くないのかもしれませんが、LP4000制では投獄対象となります。

精霊界の修行に関しては、ようやく一段落と言ったところですね。黒魔術師の師弟と縁を結び、オカルトパワーとオカルトテクニックを磨いていけば、いずれはオリ主も一般人から逸般人へと進化できるかもしれません。

次からは新章に入ります。

次回の更新は12/5(水) AM7:00となります。

四季式様、戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作6年前 プロリーグ介入編
第二十二話 響紅葉


新章突入です。

アニメGXには登場しなかった人物に接触していき、余計なお世話を焼いて、原作のシナリオブレイク(光の結社編が発生しないように)を狙っていきます。


春休みが明け、小学校四年生になった10歳の春、俺はとあるデュエル大会の会場で試合を観戦していた。

 

響紅葉。漫画版GXにて、第三回世界デュエル大会のチャンピオンであり、主人公の遊城 十代が漫画において十代がデュエルを始めるきっかけとなったプロデュエリストである。

 

闇のデュエルを仕掛けられて呪いを受け、デュエルを続けることが困難になり、プロ引退を決意して十代に、ペガサスから託されたハネクリボーと己のE・HEROデッキを託すことになる。

 

原作漫画だと十代にデッキを渡す時期は、十代が6~7歳だったはずなので、今世の彼は恐らく呪いがかけられていないのだと思う。

 

ただ、デッキパワーの影響なのか、今は世界大会で優勝できるほどのデュエリストには見えない。ヒーローバリア要る?

 

今回の目的である、『漫画版GXのラスボスは存在するのか?また、今世でどれほどの人物に影響を与えているのか?』という確認はある程度は達成できた。

 

このまま帰ってもいいのだが…せっかくだから少しお節介を焼くことにしよう。

 

~~~

 

大会会場の通路でハノイスタイルで待ち伏せし、真っ赤なコートを着た赤みかかった黒髪の青年に話しかける。

 

「貴方が響紅葉さんですね?」

 

「君は…確かハノイの騎士だったな。オレに何か用か?」

 

「私とデュエルしていただけませんか?」

 

「君と?う~ん…OKだ」

 

「ありがとうございます」

 

案外、アッサリとOKを貰えたな。闇のデュエルを受けていないから、心に余裕があるのかもしれない。さて、彼の気が変わる前にデュエルを開始してしまおう。

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆紅葉 LP:4000

 

「先攻はオレが貰うよ。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

紅葉 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【天使の施し】発動!デッキからカードを3枚ドローして墓地に2枚捨てる!」

紅葉 手札:5→8→6枚。

 

墓地に送ったのは、【E・HERO クノスペ】と【E・HERO ボルテック】か。

 

「オレは【E・HERO エアーマン】を召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。オレは【E・HERO ザ・ヒート】を手札に加える!」

紅葉 手札:5→6枚。

 

背中にプロペラの付いた翼を持つ、青色のヒーローが現す。

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

便利なヒーローだよな。

 

「カードを3枚伏せて、オレはターンエンド」

紅葉 伏せカード:3枚、手札:3枚

 

◆ハノイ LP4000、手札:5枚、モンスター:0、伏せカード:0

◆紅葉  LP4000、手札:3枚、モンスター:1、伏せカード:3

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

ハノイ 手札:5→7枚。

 

「私は手札から【儀式の下準備】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。私が選ぶのは【リヴェンデット・ボーン】と【リヴェンデット・スレイヤー】!」

ハノイ 手札:6→8枚。

 

「儀式デッキか!」

 

「私は手札から速攻魔法【ツインツイスター】発動。手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する」

ハノイ 手札:7→6枚。【ヴェンデット・アニマ】を墓地に送る。

 

「チェーン発動させてもらうぜ!リバースカードオープン!【ヒーローバリア】発動!自分フィールド上に「E・HERO」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

紅葉  伏せカード:3→2

 

チェーン②ヒーローバリア

チェーン①ツインツイスター

 

「効果処理に移る。【ヒーローバリア】は効果を発揮する。【ツインツイスター】も効果を発揮するが、対象としていた1枚は【ヒーローバリア】だったので、もう片方の対象とした伏せカード1枚を破壊する」

 

「くっ!」

紅葉  伏せカード:2→1

 

破壊したのは【サイクロン】だけで【ヒーローバリア】は発動されてしまったか。【ヒーローバリア】ってフリーチェーンで発動できたんだな…ただ、【攻撃の無力化】や【和睦の使者】を持っていないのだろうか。

 

「私は手札から速攻魔法【ヴェンデット・チャージ】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、アンデット族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「ヴェンデット」モンスター1体を特殊召喚する。手札からモンスターを1枚墓地に送り、デッキから【ヴェンデット・レヴナント】特殊召喚!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

フィールドに体の一部が変化した異形のゾンビが姿を現す。

ヴェンデット・レヴナント ★4 ATK1800

 

「私は手札から儀式魔法【リヴェンデット・バース】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりにデッキから「ヴェンデット」モンスター(1体まで)を墓地へ送り、自分の手札・墓地から「ヴェンデット」儀式モンスター1体を儀式召喚する。この効果で儀式召喚したモンスターは、次のターンのエンドフェイズに破壊される。デッキから【リヴェンデット・スレイヤー】をリリースして墓地に送り、墓地の【リヴェンデット・スレイヤー】を儀式召喚!」

ハノイ 手札:3枚。

 

黄色のマフラーを靡かせ、墓地より青のダークヒーローが姿を現す。

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400

 

「デッキから儀式の生贄を使って墓地から儀式召喚!?なんてカードだ!」

 

「バトルフェイズへ移行!【リヴェンデット・スレイヤー】で【E・HERO エアーマン】へ攻撃!」

 

不死者のダークヒーローが風のエレメンタルヒーローに殴りかかる。

 

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400

vs

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

「だがこの攻撃はさきほどの【ヒーローバリア】の効果によって、そのモンスターの攻撃は一度だけ無効だぜ!」

 

「攻撃を無力化されたことにより、このカードの発動条件を満たす。手札から速攻魔法【ダブル・アップ・チャンス】を発動。モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を対象として発動できる。このバトルフェイズ中、そのモンスターはもう1度だけ攻撃できる。この効果でそのモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力は倍になる 」

ハノイ 手札:2枚。

 

「攻撃力を倍にしてもう一度攻撃する!?」

 

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400 → 4800

vs

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

不死者のダークヒーローが風のエレメンタルヒーローに勢いを殴りかかる。腹部にめり込むように入った拳を受け、風のヒーローは倒れ伏す。

 

「ぐぁぁぁっ!【E・HERO エアーマン】は戦闘破壊されたか…!」

紅葉 LP4000→1000、

 

「だがここで伏せカード【ヒーロー・シグナル】発動!自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。オレはデッキから【E・HERO レディ・オブ・ファイア】を特殊召喚!」

紅葉 伏せカード:1→0

 

フィールドに赤を基調とする衣装の女性ヒーローが現れる。

E・HERO レディ・オブ・ファイア ★4 DEF1300

 

「【ヴェンデット・レヴナント】で【E・HERO レディ・オブ・ファイア】へ攻撃!」

 

ヴェンデット・レヴナント ★4 ATK1800

vs

E・HERO レディ・オブ・ファイア ★4 DEF1300

 

異形のゾンビの攻撃を受けた炎の女性ヒーローは膝から崩れ落ちる。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド。エンドフェイズ時に【リヴェンデット・バース】の効果で儀式召喚した【リヴェンデット・スレイヤー】は破壊されて墓地に戻る」

ハノイ 手札:1枚。

 

「最後に、儀式召喚された【リヴェンデット・スレイヤー】が墓地に送られたことにより効果発動。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加え、デッキから「ヴェンデット」モンスター1体を墓地へ送る。デッキから【リヴェンデット・ボーン】を手札に加え、【ヴェンデット・コア】を墓地に送る」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

◆ハノイ LP4000、手札:2枚、モンスター:1、伏せカード:1

◆紅葉  LP1000、手札:3枚、モンスター:0、伏せカード:0

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

紅葉 手札:3→4枚。

 

「オレは手札から【融合派兵】発動!EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。オレはEXデッキの【E・HERO フレイム・ブラスト】を見せ、デッキの【E・HERO レディ・オブ・ファイア】を選択してデッキから特殊召喚する!」

紅葉 手札:3枚。

 

フィールドに赤を基調とする衣装の女性ヒーローが現れる。

E・HERO レディ・オブ・ファイア ★4 DEF1300

 

手札・フィールドにザ・ヒートとレディ・オブ・ファイアが揃った。来るか?

 

「オレは手札から【融合】発動!手札の【E・HERO ザ・ヒート】と【E・HERO レディ・オブ・ファイア】を墓地に送り、EXデッキから【E・HERO フレイム・ブラスト】を融合召喚!!」

紅葉 手札:1枚。

 

フィールドに、手が赤熱している火炎の戦士が姿を現す。

E・HERO フレイム・ブラスト ★8 ATK2300

 

「このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。水属性モンスターと戦闘を行う場合、ダメージステップの間、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする!」

 

「更に!オレは手札から【ミラクル・フュージョン】発動!墓地の【E・HERO クノスペ】と【E・HERO ザ・ヒート】と【E・HERO レディ・オブ・ファイア】を除外し、EXデッキから【E・HERO Core】を融合召喚!!」

紅葉 手札:0枚。

 

フィールドに、白の体に赤の宝玉が埋め込んだ大地の戦士が姿を現す。

E・HERO Core ★9 ATK2700

 

「バトルだ!【E・HERO フレイム・ブラスト】で【ヴェンデット・レヴナント】を攻撃!」

 

「くっ!だが、相手によって破壊された【ヴェンデット・レヴナント】効果発動!このカードを特殊召喚する!この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される!」

ハノイ LP4000→3500、モンスター:1→0→1

 

ヴェンデット・レヴナント ★4 DEF200

 

「【E・HERO Core】で【ヴェンデット・レヴナント】を攻撃!!」

 

「【ヴェンデット・レヴナント】は墓地に行かず除外される」

ハノイ LP3500、モンスター:1→0

 

「これでオレはターンエンド」

 

◆ハノイ LP3500、手札:2枚、モンスター:0、伏せカード:1

◆紅葉  LP1000、手札:0枚、モンスター:2、伏せカード:0

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私は手札から【強欲で貪欲な壺】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。」

ハノイ 手札:2→4枚。

 

【ヴェンデット・キマイラ】と【ヴェンデット・バスタード】は除外されたか。

 

「私は手札から【闇の誘惑】発動。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。私は手札の【ヴェンデット・ヘルハウンド】を除外」

ハノイ 手札:2→4枚。

 

「私は手札の【ヴェンデット・ストリゲス】を通常召喚。更に墓地の【ヴェンデット・アニマ】を除外して効果発動!墓地のこのカードを除外し、「ヴェンデット・アニマ」以外の除外されている自分の「ヴェンデット」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。私は除外されている【ヴェンデット・レヴナント】を特殊召喚!この効果の発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない!」

ハノイ 手札:3枚。

 

フィールドに、体の一部が変化した異形の鳥とゾンビが姿を現す。

ヴェンデット・ストリゲス ★2 ATK500

ヴェンデット・レヴナント ★4 ATK1800

 

「私は手札から儀式魔法【リヴェンデット・ボーン】発動。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地のアンデット族モンスターを除外し、自分の手札・墓地から「ヴェンデット」儀式モンスター1体を儀式召喚する。フィールドの【ヴェンデット・ストリゲス】【ヴェンデット・レヴナント】を墓地に送り、墓地の【リヴェンデット・スレイヤー】を除外し、手札の【リヴェンデット・エグゼクター】を儀式召喚!」

ハノイ 手札:1枚。

 

「今度は墓地から儀式の生贄を!?」

 

青のマフラーに背中から生える異形の腕を振るうダークヒーローが姿を現す。

リヴェンデット・エグゼクター ★8 ATK3000

 

「墓地に送られた【ヴェンデット・ストリゲス】は、手札から「ヴェンデット」カード1枚を相手に見せて発動できる。このカードを特殊召喚する。私は手札の【リヴェンデット・ボーン】を見せて、【ヴェンデット・ストリゲス】を特殊召喚!この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される」

 

ヴェンデット・ストリゲス ★2 DEF2000

 

「儀式召喚された【リヴェンデット・エグゼクター】は、フィールドから【ヴェンデット・ストリゲス】と【ヴェンデット・レヴナント】を儀式召喚の為にリリースしたことで以下の効果を得る!」

 

①ストリゲス効果

このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる。

 

②レヴナント

1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「私は【リヴェンデット・エグゼクター】が得た【ヴェンデット・レヴナント】の効果を発動!E・HERO Core】を除外!」

 

「くっ!しまった!」

 

【E・HERO Core】には以下の3つの効果がある。モンスターでの攻撃で倒そうとすると攻撃力が倍になり、戦闘または効果破壊すると墓地から別の融合モンスターが現れる。除外かバウンスするのが一番いい。

 

①1ターンに1度、このカードが攻撃対象になった時に発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージステップ終了時まで倍になる。

 

②このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

③このカードが戦闘・効果で破壊された時、自分の墓地のレベル8以下の「E・HERO」融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「バトルフェイズに移行!【リヴェンデット・エグゼクター】で【E・HERO フレイム・ブラスト】を攻撃!」

 

リヴェンデット・エグゼクター ★8 ATK3000

vs

E・HERO フレイム・ブラスト ★8 ATK2300

 

「ぐはぁぁぁっ!…まだだ!」

紅葉  LP1000 → 300

 

「私は【リヴェンデット・エグゼクター】が得た【ヴェンデット・レヴナント】の効果を発動!このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる」

ハノイ 手札:1→2→1枚。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

◆ハノイ LP3500、手札:2枚、モンスター:2、伏せカード:1

◆紅葉  LP 300、手札:0枚、モンスター:0、伏せカード:0

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

紅葉 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

紅葉 手札:0→2枚。

 

「オレは手札から【禁じられた聖杯】発動!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される!オレは【リヴェンデット・エグゼクター】を選択する!」

紅葉 手札:1枚。

 

リヴェンデット・エグゼクター ATK3000 → 3400

 

儀式魔人リリーサーと違い、ヴェンデットは儀式モンスターに効果を付与する為、儀式モンスターそのものの効果を無効にすれば誘発即時効果のモンスター除外は使えなくなる。

 

だが、手札1枚でこの状況をひっくり返したりは…いや、HEROにはあのカードがあったか!

 

「更に!オレは手札から【平行世界融合】発動!除外されている【E・HERO クノスペ】と【E・HERO ザ・ヒート】をデッキに戻し、EXデッキから【E・HERO ガイア】を融合召喚!!」

紅葉 手札:0枚。

 

フィールドに、全身を黒き鋼鉄の体に包んだヒーローが姿を現す。

E・HERO ガイア ★6 ATK2200

 

「ガイアの効果発動!このカードが融合召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力を半分にし、このカードの攻撃力はその数値分アップする!オレは【リヴェンデット・エグゼクター】を選択!」

リヴェンデット・エグゼクター ATK3400 → 1700

E・HERO ガイア      ATK2200 → 3900

 

「バトルだ!【E・HERO ガイア】で【リヴェンデット・エグゼクター】を攻撃!」

 

「私は伏せカード【陰謀の盾】発動!発動後このカードは装備カードとなり、自分フィールド上のモンスター1体に装備する。装備モンスターは表側攻撃表示で存在する限り、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。また、装備モンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる!私は【陰謀の盾】を【リヴェンデット・エグゼクター】に装備する!」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

「っ!戦闘破壊耐性だけでなく、戦闘ダメージも無しか!」

 

リヴェンデット・エグゼクター ATK1700 ※陰謀の盾装備。戦闘耐性付与

vs

E・HERO ガイア      ATK3900

 

「【陰謀の盾】の効果により、エグゼクターは破壊されず、戦闘ダメージも発生しない!」

ハノイ LP3500

 

耐えきった。返しのターンで手札の【リヴェンデット・ボーン】を使えば俺の勝ちだ。

 

「オレはこれでターンエンド…いや、サレンダーだ」

 

そういい、彼はデッキの上へと手のひらを置いた。サレンダー、降参の意を示す行為だ。

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

「ははっ、参ったな。今まで姉以外には負けたことがなかったんだけどなぁ」

 

言葉では軽く言っていながらも、彼の表情は悔しいのを押さえつけているように見える。

 

デッキパワーが明らかに差があった中、善戦したのだから凄いと思う。俺が弱いだけ?気のせいだ。

 

「…どうして私とのデュエルをアッサリ受けて頂けたのですか?」

 

「今までの公式大会も、負けはしなかったものの常にギリギリでね。自身を変える切っ掛けになるかもって思ったんだ」

 

やはりデッキからヒーローバリアを抜くべきだと思う。俺ならそうする。このままだと俺の目的を達成してもらうためにはデッキパワー不足だよな…。よし、やはりここは一つ、当初の予定通りにお節介を焼いちゃいますか。

 

「そういうことですか。それなら、これらのカードを見ていただけませんか?」

 

「これは…HEROのカードか…!?ジ・アース…アブソルートZero…!サンライザー…!!なんだこのカードたちは!強すぎる!」

 

さっきアンタがエアーマンやガイアもかなり強めのカードだけどな。HEROは下級モンスターも融合体も強力なカードが多いからね。

 

「それらのカードを貴方に譲渡します」

 

「っ!本当か!?でも、なんで初対面のオレにこんな強力なカードをくれるんだ?」

 

「それを渡す代わりに、貴方には世界最強のプロデュエリストであるDDを倒して世界最強のプロデュエリストになっていただきたい」

 

「DDを!?」

 

「はい」

 

 

そう。これこそが俺の本当の狙い。原作が始まった後にDDを経由して斎王が破滅の光に洗脳されるのを防ぐ為、それ以前にDDを叩きのめしてチャンピオンの座から引き摺り下ろす。

 

そうなるとDDは追い詰められて【D-HERO Bloo-D】を使わざるを得なくなる。そうなれば後はエド・フェニックスがなんとかしてDDを倒して【D-HERO Bloo-D】を取り返すだろう。そうなれば『光の結社編』は起こらないはずだ。是非ともエドには頑張ってもらって何とかして欲しい。

 

他にも細々とアニメGX原作シナリオに影響を与えると思うけど、そのくらいは良いでしょ。誤差だよ誤差。

 

 

「…分かった。ここまで協力されて出来ませんなんて言いたくないし、何より元々オレはプロデュエリストのトップを目指していたんだ。DDだって倒して見せるさ!」

 

「期待しています」

 

 

ヨシッ!アニメ版では使用されることのないプラネットシリーズのカードも漫画版での所持者である響紅葉本人に渡すことができた。ジ・アースには師匠に魔力を込めて貰ったから、破滅の光対策も完璧だし、彼なら間違いなくトップクラスのデュエリストになるだろう。

 

漫画版GXの響紅葉は、漫画版ラスボスが倒されたことで呪いが解け、十代に預けていたデッキを返却された後に世界チャンピオンとなっている。今渡したOCG版のHEROカード群は、どれも彼が漫画版で使用した時よりも遥かに強力なカードとなっている上に漫画版GX終了後に販売されたカードも渡してある。

 

これで万が一にアークファイブの登場人物たちとデュエルすることになったとしても、互角に渡り合えるデッキパワーを有しているはずだ。まして、アニメ版GXのプロデュエリストなら問題なく倒せるだろう。アニメ版GXのプロデュエリストって、世界で10本の指に入る人たちでもデュエルアカデミアの学生に負けているからね。

 

さて、響紅葉と言えば、あと一つだけ気になっていることがあるんだよな。

 

「最後に一つ、マッケンジーと言う人物に心当たりはありますか?」

 

「マッケンジーと言うと、アメリカ・デュエルアカデミアの校長のMr.マッケンジーのことか?」

 

「はい。面識があったのですか?」

 

「あぁ、アメリカの大会に出場した時にちょっとね。娘さんにサインを頼まれたよ」

 

普通にいいお父さんだなMr.マッケンジー。この調子だと、娘のレジー・マッケンジーも含めて闇の力の影響を受けていない可能性が高いな。

 

トラゴエディアはこの世界には存在しないのかもしれない。そうだといいな。そうであってくれ。




響紅葉はアニメ版には登場しない。
→アニメ版ではプロとしてそこまで有名ではない?
→そこまで強いHEROカードを持っていない?
→なら、強いHEROカードを渡せば、アニメで見たDDくらいなら倒せるでしょ。

と言うオリ主の短絡思考の元、強化されることになった響紅葉。彼と接触できれば漫画版GXのシナリオの変化についてもヒントを得られるだろうから、一石二鳥だったわけです。

そして本作の響紅葉は何故か闇のデュエルを仕掛けられていません。理由はそのうち明かされると思います。

響紅葉と漫画版十代の決着は読み切りで描かれたことがあるそうですが、私は内容をWikiでしか知りません。なんとかして見たかったですね。

次回の更新は12/5(土) AM8:00予定です。

戦車様、四季式様、gsころりん様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十三話 エクゾディア

とうとうエクゾディア解禁。

ジャンケンで先行を取ったら勝ちみたいなクソゲーにならないように、ある程度は相手もこちらへの対策を仕込んできますが、まぁモブですからねぇ。


小学校四年生のGWの最中、新たなリミットレギュレーションが発表された。俺はその結果に納得だったのだが、コナミ、ユーゴ君、リンちゃんは不満があるようだ。

 

「【封印されしエクゾディア】が封印されてないぞ…」

 

「【苦渋の選択】はそのまま制限なのに、【クリッター】と【黒き森のウィッチ】がノータッチなのが気になるな!」

 

「【生還の宝札】や【蝶の短剣-エルマ】の危険性は、あまり知られていないのかしら?」

 

ちなみに、前回と変動があったものは以下の通りだ。

 

<禁止カード>

【イレカエル】 New!

【魔導サイエンティスト】 New!

【ファイバーポッド】 New!

【カオスポッド】 New!

【サイバーポッド】 New!

【処刑人-マキュラ】 New!

【ガトリング・オーガ】 New!

【サンダー・ボルト】 New!

【ハーピィの羽根帚】 New!

【遺言状】 New!

【マスドライバー】 New!

【王家の神殿】 New!

 

<制限カード>

【トゥーン・キャノン・ソルジャー】 New!

【お注射天使リリー】 New!

【聖なる魔術師】 New!

【大寒波】 New!

【光の護封剣】 New!

【リミッター解除】 New!

【団結の力】 New!

【魔導師の力】 New!

【手札抹殺】 New!

【聖なるバリア -ミラーフォース】 New!

【落とし穴】 New!

【死のデッキ破壊ウイルス】 New!

【破壊輪】 New!

【血の代償】 New!

【王宮の勅命】 New!

【リビングデッドの呼び声】 New!

【魔法の筒】 New!

 

<エラッタ(名称ターン1制限)>

【レスキューキャット】 New!

 

俺が大会で禁止カードを中心に使用していたのは、勝ちやすいのもあるが、禁止制限カードの重要性を世間に認知させるのが第一目的だ。今まで使ってきたカードは入手難度もそこそこ低いからな。

 

この世界において、エクゾディア関連のカードは超が付くレアカードだからな。所持者が少ない分、使用者も少ないわけで、前世の様にデュエル廃人たちの研究材料になる機会も少なかった。規制が必要ないと考えられているのかも知れない。この三人には容赦なく使っていたが、俺も大会での使用を今までは控えてたからな。

 

そして、この世界で入手難度が低いくせに危険なカード達の禁止制限化は大体終わった。そろそろエクゾディアを解禁しよう。リミットレギュレーション更新は一年毎だし、その期間は好きに使わせてもらおう。

 

~~~

 

そして数日後の大会に、俺はいつものようにハノイスタイルで大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手と対峙…子供?

 

「ハノイの騎士!このオレサマがお前をぶっ飛ばす!」

 

俺よりも2歳は低い少年が居た。俺が言うのもなんだが、良く勝ち上がってこられたな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「さぁ!覚悟しろよ!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

少年 LP:4000

 

「先攻はオレサマが貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

少年 手札:5→6枚。

 

「オレサマは手札から【増援】発動!デッキから【ダーク・ヒーロー ゾンバイア】を手札に加える!」

少年 手札:5→6枚。

 

「オレサマは手札から【融合賢者】発動!デッキから【融合】を手札に加える!」

少年 手札:5→6枚。

 

まさか、【異星の最終戦士】を立てるデッキか?先攻で特殊召喚封じしてくるのなら、結構厄介なデッキだが…。

 

「オレサマは手札から【ダーク・ヒーロー ゾンバイア】を召喚!」

少年 手札:5枚。

 

アメリカンコミックのヒーローのようなモンスターが召喚される。

ダーク・ヒーロー ゾンバイア ★4 ATK2100

 

「オレサマはカードを4枚伏せてターンエンドだ!」

少年 手札:1枚。

 

ガン伏せか…嫌な感じだな。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

少年 LP4000、モンスター:1、伏せカード:4、手札:1枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【大嵐】発動。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「伏せカードのカウンタートラップ【マジック・ジャマー】発動!手札を墓地に送り、【大嵐】を無効にする!」

少年 伏せカード:3

 

チェーン②:マジック・ジャマー

チェーン①:大嵐

 

防がれたか。意地でも最終戦士を立たせる為に、こちらの行動をカウンタートラップをガン積みして阻害しまくってくる可能性があるな…。

 

「私は手札から【魔導戦士 ブレイカー】召喚。召喚成功時…」

ハノイ 手札:4枚。

 

「伏せカードのトラップ【落とし穴】発動!相手が攻撃力1000以上のモンスターの召喚・反転召喚に成功した時、そのモンスター1体を対象として発動できる。その攻撃力1000以上のモンスターを破壊する!」

少年 伏せカード:2

 

ブレイカーもダメか。だが、徐々に相手の伏せカードも減ってきている。もう少しだ。

 

「私は手札から魔法カード【天使の施し】発動。デッキから3枚ドローして2枚墓地に送る」

ハノイ 手札:3枚。

 

「伏せカードのカウンタートラップ【マジック・ドレイン】発動!相手が魔法カードを発動した時に発動する事ができる。相手は手札から魔法カード1枚を捨ててこのカードの効果を無効にする事ができる。捨てなかった場合、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する!」

少年 伏せカード:1

 

嫌なカードを使ってくるな…。

 

「私は【マジック・ドレイン】の効果を無効にするための魔法カードを墓地に、送らない」

 

チェーン②:マジック・ドレイン

チェーン①:天使の施し

 

さて、相手の伏せカードはあと1枚だが…いや、待て。アイツは最初に【融合賢者】で【融合】をサーチしたはずだ。先ほどの【マジック・ジャマー】のコストを払って手札は0枚。

 

そして、先ほどのコストにしたカードは【融合】ではなかったから…あの伏せカードは【融合】か!ならこちらの行動を阻害することはもう出来まい!

 

「私は手札から魔法カード【苦渋の選択】発動。自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。相手はその中から1枚を選択する。相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる」

ハノイ 手札:2枚。

 

<ハノイがデッキから選んだカード>

・クリッター ※エラッタ前の最初期版

・クリッター ※エラッタ前の最初期版

・黒き森のウィッチ ※エラッタ前の最初期版

・黒き森のウィッチ ※エラッタ前の最初期版

・黒き森のウィッチ ※エラッタ前の最初期版

 

「なんだそのチョイス…オレサマは【クリッター】を選択する!」

 

「では私の手札に【クリッター】が加わり、他は墓地に送る」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

やはりアイツは妨害してこなかったな。そして、これで俺の勝ちは確定した。

 

「墓地に送られた【クリッター】効果発動!自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加える。私が加えるのは【封印されし者の右足】」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「…ん?」

 

「墓地に送られた【黒き森のウィッチ】効果発動!自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加える。私が加えるのは【封印されし者の左足】」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「…おい」

 

「墓地に送られた【黒き森のウィッチ】効果発動!自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加える。私が加えるのは【封印されし者の右腕】」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「おいおい」

 

「墓地に送られた【黒き森のウィッチ】効果発動!自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加える。私が加えるのは【封印されし者の左腕】」

ハノイ 手札:6→7枚。

 

「おいおいおい!まさか!」

 

「そして、元から持っていた【封印されしエクゾディア】と合わせ、5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った!」

 

手札を公開し、エクゾディアパーツが全て揃っていることを相手に見せる。

 

「馬鹿な!早すぎる!何が【苦渋の選択】だ!オレサマが苦渋の選択をさせられたじゃねーか!」

 

そうだよ。【遺言状エクゾ】とどっこいなくらいクソだよなこの戦術。

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する。私の勝ちだ」

 

「ふざけんな!なんなんだこれはぁ!!」

 

「現れよ【封印されしエクゾディア】!」

 

「あ、あぁ…!」

 

俺の前に五つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる…!

 

「さぁ放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

エクゾディアが放った膨大な熱量は会場全体を包み込み、対戦相手のフィールドのカードが全て破壊され、特殊勝利が確定する。

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「オレサマの…負け…」

 

~~~

 

大会後、俺はとある町にある寂れたペットショップを訪れていた。ハノイスタイルで。

 

そこには数々のペットがケージの中に入れられていた。犬、猫、リス、ハムスター、カナリア、フェレット、そして昆虫類。

 

「いらっしゃいませ。どのようなペットをお探しですか?」

 

「デュエルモンスター元日本チャンピオンのインセクター羽蛾さんですね?」

 

「…えぇ、そうですが、私になにか御用でしょうか?」

 

そのペットショップにいた唯一の店員は、緑色の髪をオカッパにして、虫を模した特徴的な眼鏡をかけた鋭い目つきの青年だった。今はこちらに不審な目を向けている。

 

「貴方にデュエルを申し込みたいと思い、訪問させていただきました」

 

「私はもう、デュエルモンスターズと関わるのを止めました。デュエリストを卒業したんです」

 

そういうと、羽蛾は近くにあった椅子に座って、うつむきながらもポツポツとこれまでの経緯と心情を話しはじめた。

 

 

ペガサスに招かれた王国にて、武藤遊戯のエクゾディアを海に捨てる暴挙に出て、自分の有利なフィールドに誘い込んだのにも関わらず敗れたこと。

 

各地の有名なデュエリストが集まるバトルシティで、当時は素人同然だった城之内克也のデッキに子供を使ってまで細工し、万全を期して挑んだにもかかわらず敗れたこと。

 

世界を滅ぼしかねなかったダーツ事件において、ダーツ側について強力なカードを手に入れたにもかかわらず、またもや武藤遊戯に敗れたこと。など。

 

 

「そうして…己の才能の限界を感じ、自分のことを誰も知らないようなこの場所で新たな生活を始めたわけですね」

 

「えぇ、まぐれで一度だけでも日本チャンピオンになってしまったことで勘違いしてしまったのですよ。お笑いですね」

 

羽蛾の行った盤外戦術に関しては擁護できることではないが、王国ルールでのエクゾディアなんて、多分誰も勝てなかっただろう。だから漫画的には何とかしてエクゾディアを遊戯の手から手放させる必要があったのだと思う。

 

遊戯が自発的にエクゾディアを手放すことはないだろうから、失くすか盗まれるかもしくは…といったところでちょうどそれらを実行しそうな理由を持つ人物を登場させたのだと推測する。つまり、羽蛾は犠牲になったのだ。その後のシナリオが盛り上がるための犠牲にな…。なんて。

 

「私はそうは思いませんね。武藤遊戯とのデュエルも、城之内克也とのデュエルも、失礼とは思いますが貴方には慢心があったから敗れたのだと思います」

 

「慢心、ですか」

 

「エクゾディアさえ無ければ勝てるだろう、パラサイトを仕込んだから素人に負けるわけがない、このように考えていたはずです。そしてそれは正しくもあるでしょう」

 

「…」

 

王国編でもバトルシティ編でも、インセクター羽蛾は決して弱いデュエリストではなかったと思う。相手が悪すぎたんだ。大会序盤の遊戯と城之内相手とか、漫画的に勝っちゃダメな相手だしな。

 

「そもそも、デュエルに絶対などありはしないのです。当時は無敵と思われていたペガサス氏のトゥーンや世界最高の攻撃力を持つ青眼の白龍も武藤遊戯に破れ、その武藤遊戯も敗北したことがある」

 

「…そうですね」

 

デュエルしていれば負けることもあるよ。それに『通常モンスターなのに実は攻撃回避率35%の特殊能力がある』とか『月を攻撃したら引き潮が起こって攻撃力が下がる』とかいきなり言い出されたら、そんな勝負で俺は勝てる気がしない。

 

「マグレだったのかもしれませんが、貴方には日本チャンピオンになったという実績があります。それは、決して誰もがなれるというものではありません」

 

「…そうだ。私は、オレは、ボクは、確かに勝ったんだ。あの日、あの場所で…」

 

「私は、貴方にもう一度チャンスを与えたくてやってきました」

 

説得って苦手だな。上手く口が回らない。自分で言っておいてなんだが、チャンスを与えるだってさ。上から目線すぎる。

 

「チャンス…」

 

「貴方にこのカードたちを譲ります。ご覧ください」

 

「…これは、インゼクター?このカードは…進化の繭?いや、違うな。…っ!このカードは、女王の…!!」

 

「あと一度だけ、チャレンジしてみようと思いませんか?」

 

瞳に光を取り戻しつつある彼に、最後の一押しを仕掛けてみる。

 

慢心のない状態の羽蛾の、言ったもの勝ち俺ルールのない状態で、カードパワーの十分なデッキを使ったデュエル。この条件であれば、彼は世界に通じるデュエリストになれると思う。DDにも届きうるかもしれない。

 

そんな俺個人の目的を達成させるため、抜け殻となっていた彼をそそのかす俺は、きっとゲス野郎なのだろう。でも、上手く行ったらWin-Winだし、この話の乗るかどうかは彼自身の意思に任せるわけだから、別に問題ないよな?




最初に流行ったエクゾディアは、確か【遺言状エクゾディア】だったと思います。
回数制限のないエラッタ前の【遺言状】を発動して、【クリッター】と【黒き森のウィッチ】で自爆特攻。エクゾディア完成。クソゲーすぎますね。

虫野郎ことインセクター羽蛾は、卑怯な盤外戦術をしない&慢心しない状態であれば結構強いのでは?と思い、DDへの刺客2号になってもらいました。前作での戦歴も、竜崎以外が絶対に勝ってはいけない対戦相手への噛ませ犬にされただけでしょうし。

【インゼクター羽蛾】とか、多分過去に何人もの人が考えたであろうことでしょうが、別に被っても問題ないし、ヨシッ!

過去の出来事を改心した綺麗な羽蛾になるか、またも調子に乗り始めて過去より汚い羽蛾になるかは気分次第です。


次回の更新は12/9(水) AM6:00となります。次回の更新からは2話ずつになります。

四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十四話 エクゾディア2

エクゾディア無双その2。

後半にはDM時代の恐竜使いが登場。オリ主からの評価は低めなので、多少彼に対するヘイト要素があります。


小学校四年生の梅雨が明け、夏真っ盛りな中、今までも何度か連絡を取っていた天上院兄妹から伝えたいことがあるということなので、コナミと一緒に彼らに会いに行った。

 

どうやら二人ともデュエルアカデミアの中等部入学を目指すらしい。もし入学できればあの孤島に住むことになるだろうからしばらくは会えなくなるだろうとのこと。

 

明日香ちゃんには俺やコナミは目指さないのか?と聞かれたが、俺は高等部での編入を考えていることを伝えた。どうやらコナミもそれに倣うらしいことも。

 

彼らは残念そうにしていたが、『中等部から入学して万が一にも優秀な生徒候補に任命されるようなことがあれば旧校舎でセブンスターズやダークネス関連に消されかねないから仕方ないんだ』とは伝えられない為、ハノイの活動の為と言うことにしておいた。

 

吹雪さんが丸藤亮や藤原といつ知り合うのかは不明だが、吹雪さんが藤原にダークネスの仮面を渡されて失踪してしまうのが原作から2年前、恐らく高等部1年でのことのはず。

 

その時にオベリスクブルーの制服を着ていることから考えて、原作GXでも中等部から入学してそこであの三人は知り合うのだろうと推測する。

 

中等部入学を止めた方がいいのは分かっているのだが、入学を目指すのは彼らの自由意志の為、止める為の方便が思いつかない。なので、吹雪さんたちにはデュエルアカデミアの怪しい噂(後に事実となるが)をいくつか捏造して伝えておいた。

 

だが、彼らはその噂を訝しんでくれてはいたが、彼らの入学を止めることが出来なさそうだ。仮に俺がコナミを誘って中等部から入学したとしても、恐らく吹雪さんの失踪を防ぐことはできないだろう。

 

今の俺ではオカルトパワーに対する対応力がまだまだ低すぎる…歯がゆい、無力だな俺は。

 

 

ちなみに、その話の後で行ったデュエルでは、タッグデュエルでは俺達が勝ったが、シングルでのデュエルの勝率は五分五分くらいだった。

 

渡したカードを使いこなしてくれていることを喜ぶべきか、転生者チートを使って強力なカードを使っているくせに既に小学生に追い付かれている自分自身の実力を嘆くべきか…。

 

 

~~~

 

 

そして数日後の大会に、俺はいつものようにハノイスタイルで大会に参加していた。今はせめて俺にできることをやろう。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の糸目の青年と対峙した。

 

「オレの硬い意思はオレのモンスターにも現れる。硬くて我慢強い!そう!使うのは岩石族ばっかりだ!」

 

いきなりデッキの内容を明かしてきた。それになんだか聞いたことがあるようなセリフだ。彼も誰かのロールプレイなのだろうか。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「ふはは!負けるとわかって戦うか!デュエリストのサガだな!いいだろう!かかってこい!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

糸目の青年 LP:4000

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

糸目の青年 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から速攻魔法【手札断殺】発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする」

糸目の青年 手札:5→3→5枚。

ハノイ   手札:5→3→5枚。

 

墓地に送ったのは【守護者スフィンクス】と【伝説の柔術家】か。【バウンス・コントロール】デッキなのかもな。

 

「オレは手札から通常魔法【テラ・フォーミング】発動!デッキからフィールド魔法を手札に加える。オレはデッキから【岩投げエリア】を手札に加える!」

糸目の青年 手札:4→5枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【岩投げエリア】発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分のモンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに自分のデッキから岩石族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。この効果は1ターンに1度しか適用できない」

糸目の青年 手札:4枚。フィールド魔法:1。

 

フィールドにいくつもの投石機が現れる。

 

「オレは手札から【干ばつの結界像】を通常召喚!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いは地属性モンスターしか特殊召喚できない!」

糸目の青年 手札:3枚

 

フィールドに浮かび上がった魔法陣の上に、サイのような顔を持つ二足歩行の魔物の石像が現れる。

干ばつの結界像 ★4 ATK1000

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

糸目の青年 手札:1枚。

 

ハノイ   LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

糸目の青年 LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、フィールド魔法:1、手札:1枚

 

【干ばつの結界像】でこちらの展開を阻害して【岩投げエリア】で結界像を守りつつ、体制を整えた後に結界像をリリースして上級モンスターを展開し、【守護者スフィンクス】や恐らくは【メガロック・ドラゴン】などのモンスターで一気にこちらのLPを消し去る戦法だろう。

 

この時代はまだ除去カードがそこまで多くなく、モンスター同士の殴り合いが多い。疑似的な戦闘耐性を持つこのデッキ相手だと、他の大会参加者は苦戦を強いられるのだろう。俺にはあまり関係ないが。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【死者蘇生】発動。対象は私の墓地の【鉄の騎士 ギア・フリード】。このモンスターは地属性だ。【干ばつの結界像】の特殊召喚制限の影響を受けない」

ハノイ 手札:5枚。

 

「むっ」

 

「【死者蘇生】の効果により【鉄の騎士 ギア・フリード】を墓地より特殊召喚。このカードに装備カードが装備された場合、その装備カードを破壊する効果を持つ」

 

黒い全身鎧に身を包む騎士が墓地より姿を現す。

鉄の騎士 ギア・フリード ★4 ATK1800

 

「更に私は手札から【王立魔法図書館】を通常召喚。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする」

ハノイ 手札:4枚。

 

フィールドに広大な広さを持つ図書館が姿を現す。

王立魔法図書館 ★4 ATK 0

 

「オレは伏せカードの永続トラップ【群雄割拠】発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのフィールドにそれぞれ1種類の種族のモンスターしか表側表示で存在できない。お互いのプレイヤーは自身のフィールドの表側表示モンスターの種族が2種類以上の場合には1種類になるように墓地へ送らなければならない!」

糸目の青年 伏せカード:2→1

 

「その効果にチェーンして、私は手札から通常トラップ【タイフーン】発動!相手フィールドに魔法・罠カードが2枚以上存在し、自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。対象は【群雄割拠】だ」

ハノイ 手札:3枚。

 

チェーン②:タイフーン

チェーン①:群雄割拠

 

「くっ、手札から他のカードのサポート無しで発動できる罠カードがあるとは…防がれてしまった」

 

本当に危ないところだった。もし、残りの伏せカードが【岩投げアタック】で彼のデッキに【タックルセイダー】が採用されていれば更に厄介だが…いや、ここは攻め時だろう!

 

「私は手札から装備魔法【蝶の短剣-エルマ】を【鉄の騎士 ギア・フリード】に装備。魔法が発動したことにより、【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る」

ハノイ 手札:2枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

 

「ん?ギア・フリードには装備魔法は装備できないんじゃなかったのか?」

 

「正確には、装備はできるがその瞬間に破壊されるのだ。【鉄の騎士 ギア・フリード】の効果により、装備魔法である【蝶の短剣-エルマ】は破壊され、墓地に送られる」

 

「何がしたいんだ?」

 

これからわかるさ。

 

「【蝶の短剣-エルマ】効果発動。モンスターに装備されているこのカードが破壊されて墓地に送られた時、このカードを持ち主の手札に戻す事ができる」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「…!?まさか、これは…!?」

 

 

「手札から装備魔法【蝶の短剣-エルマ】を【鉄の騎士 ギア・フリード】に装備。魔法が発動したことにより、【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る」

ハノイ 手札:2枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2

 

「【鉄の騎士 ギア・フリード】の効果により【蝶の短剣-エルマ】は破壊され、墓地に送られる」

 

「【蝶の短剣-エルマ】効果発動。持ち主の手札に戻る」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

 

「む、無限ループ…!だ、だが、これに何の意味があるんだ…!?」

 

 

「【蝶の短剣-エルマ】を【鉄の騎士 ギア・フリード】に装備。【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る」

ハノイ 手札:2枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3

 

「【鉄の騎士 ギア・フリード】の効果により【蝶の短剣-エルマ】は破壊され、墓地に送られる」

 

「【蝶の短剣-エルマ】効果発動。持ち主の手札に戻る」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「【王立魔法図書館】の魔力カウンターを3つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

 

「これは、デッキからの無限ドローループだと!!」

 

 

正解だ。ここからは少し長くなるから早送りだ。

 

 

~ループによるドロー12回目~

 

 

「【王立魔法図書館】の魔力カウンターを3つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:14→15枚。

 

「長い…いつ終わるんだ…」

 

「待たせたな。終わったぞ。【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った!」

 

「エクゾディアだと!」

 

手札を公開し、エクゾディアパーツが全て揃っていることを相手に見せる。

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する。私の勝ちだ」

 

「無限ドローが成立した時点でオレの負けは決まっていたのか…」

 

「現れよ【封印されしエクゾディア】!」

 

「あ、あぁ…!」

 

俺の前に五つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる…!

 

「さぁ放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

「イワァァァァァァク!」

 

エクゾディアが放った膨大な熱量は会場全体を包み込み、対戦相手のフィールドのカードが全て破壊され、特殊勝利が確定する。

 

「オレの…負け…だな」

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

大会後、会場の通路を歩いていると、一人の青年に呼び止められた。誰だこの人?

 

「お前がハノイの騎士か?」

 

「そうだが?」

 

茶髪のセミロングに前髪だけ違う色。深い帽子を被った鋭い目つき…。まさかコイツ…。

 

「ダイナソー竜崎か?」

 

「そうや。羽蛾からお前の話を聞いてな」

 

「そうか。だが、私にはお前に用はない」

 

「ま、待てや!」

 

そのまま立ち去ろうとすると更に呼び止められた。言いたいことはわかるんだけどさぁ。

 

「なら早く要件を言え」

 

「ワイにも、ワイにも再起するチャンスをくれ!…この通りや!」

 

そういうと彼は深々と頭を下げる。ただなぁ…。

 

「断る」

 

「なっ!なんでや!なんで羽蛾は良くてワイはアカンのや!」

 

本来、インセクター羽蛾かダイナソー竜崎か。どちらか片方にテコ入れしてプロリーグを荒らしてもらおうと考えていたところ、思っていたより簡単にインセクター羽蛾が復帰してくれたので、ダイナソー竜崎には特に接触するつもりはなかったんだよな。恐竜って、ティラノ剣山と被るしさ。

 

「羽蛾さんには将来性を感じたから私から依頼させていただいたが、お前には特に将来性を感じないからだ」

 

「な、なんやそれ!依怙贔屓や!ワイはまだ羽蛾と違ってデュエルモンスターズを辞めてない!デッキとデュエルディスクだってこの通り持ってる!」

 

しつこく食い下がってくるダイナソー竜崎。ダイナソー竜崎なぁ…。原作だと漫画でもアニメでも力押し一辺倒な感じが強くて、正直強そうに見えなかったからなぁ。インセクター羽蛾の様な狡猾さもなく、孔雀舞や梶木漁太のような確たる戦術もない。当然、城之内克也のような勝負強さも無いだろう。だが…。

 

「ならば、お前の可能性を私に示してみろ」

 

俺はダイナソー竜崎と対峙して、デュエルディスクを構える。

 

「お、おう!ワイの実力を思い知らせたるわ!」

 

元・全国大会準優勝者の実力を教えて貰おうじゃないか。




丸藤亮や天上院吹雪の世代がデュエルアカデミアに入学しはじめる時期に近付いてきました。彼らが中等部から入学していた、と言うのはあくまで推測です。

エクゾディアは専用カードもそこそこ出ているのですが、その辺りはあまり使わずに昔流行った型を流用する方式にしています。以前に遺言状は禁止としたので、残るは【宝札エクゾディア】くらいでしょうか。

オリ主にとって、姑息ながらも手段を選ばずに勝利を目指したインセクター羽蛾と違い、原作では魔法カードの一つも使わずに負けたダイナソー竜崎の評価は低めです。アニメ版だと少し使っていましたが、バーサーカーソウル事件の所為でダイナソー竜崎が思いのほか善戦していたという記憶が曖昧です。

次回の更新は12/9(水) AM7:00予定です。

四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十五話 羽蛾&竜崎

インセクター羽蛾&ダイナソー竜崎のお話。

デュエル相手はダイナソー竜崎。

多少のヘイト要素注意です。


ダイナソー竜崎。

 

原作遊戯王および遊戯王GMの前作であるアニメ遊戯王DMの登場人物で、西日本代表の全国大会準優勝の実力者である(武藤遊戯や海馬瀬人は参加していない)。だがその戦歴は悲惨の一言。

 

王国編では王国に辿り着く前に孔雀舞の噛ませ犬としてデュエル描写無しで敗北、王国に到着後も当時ほぼ素人の城之内克也に敗北。しかもこの際、自身の勝利寸前にアンティルールを提案しており、敗北後に【真紅眼の黒竜】を手放す羽目になる。そして、その後は描写もなく王国編から姿を消す。

 

バトルシティ編では、詳しいデュエル描写も無くエスパー絽場に敗北。このデュエルにおいてはエスパー絽場がインチキして相手プレイヤーの手札をピーピングしていたのも敗因ではある。原作漫画だとここで出番終了。原作ではモンスターを召喚するだけで魔法・罠カードを使用することさえしない。酷すぎる。

 

アニメ版オリジナルストーリーではその後の登場シーンもあるが、無かった方が良かったのでは?と思えるくらいに性格が改悪されている。負けが増えて世間の目が厳しくなり、性格が荒んでいったのかもしれない。

 

ドーマ編では敵の首領に魂を奪われるものの武藤遊戯らに助けられたくせに、恩を仇で返す形で敵側に寝返り、城之内に命を懸けたデュエルを挑み、負ける。その後は武藤遊戯の活躍により助かる。

 

KCグランプリ編では羽蛾と共にジーク・ロイドに挑み、一蹴。記憶編では羽蛾と共に遊戯の自宅に侵入して三幻神のカードを盗む(原作ではモブキャラが行う行為で、原作同様に闇バクラに倒される)。

 

これの何処に期待すればいいのか?と思わなくもないが、原作の王国編で他の敵デュエリストは俺ルールやらインチキを仕掛けてきた中、彼は唯一まともにデュエルを仕掛けてきた人物でもある。タッグフォースの前に発売している遊戯王のゲームでは、しつこいが誠実な人物として描かれていることもある。

 

今回はその本来の性格?に可能性を見出したわけだ。ただし、そこまで期待はしていない。

 

さて、ダイナソー竜崎は俺に何を見せてくれるかな?

 

 

~~~

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

ダイナソー竜崎 LP:4000

 

「先攻はワイが貰う!ワイのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

竜崎 手札:5→6枚。

 

「ワイは手札から【バルーン・リザード】を召喚!更に手札から通常魔法【超進化薬】発動!自分フィールド上の爬虫類族モンスターである【バルーン・リザード】を生け贄に捧げ、手札から恐竜族モンスターである【暗黒恐獣】を特殊召喚や!」

竜崎 手札:5→4→3枚

 

黒き巨体を持つ、獰猛なティラノサウルスが出現する。

暗黒恐獣 ★7 ATK2600

 

これって確かジーク・ロイド戦で使用した戦術そのままだな。まさか、何も成長していない…?

 

「ワイの【暗黒恐獣】は、相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない場合、このモンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できるんや!」

 

嬉しそうにモンスターの効果を説明する竜崎。ティラノ剣山が使ったダークティラノ(アニオリ)の下位互換モンスターだな。

 

「仕上げや!ワイは手札から【融合】発動!手札の【二頭を持つキング・レックス】と【屍を貪る竜】を融合!【ブラキオレイドス】を融合召喚や!」

竜崎 手札:0枚

 

青き巨体を持つ、おっとりとしたブラキオサウルスが出現する。

ブラキオレイドス ★6 ATK2200

 

コイツ、マジか?手札なし、伏せカードなし、墓地発動カード無し。先攻で何の耐性もないモンスターを出しただけ。まるで成長していない…。

 

「へへっ!これでワイはターンエンドや!どやっ!この布陣は!」

 

「見るに堪えない。近所の小学生の方がまだマシな動きをする」

 

「な、なんやと!」

 

「お前はこの数年何をやっていたんだ?…まぁ、いい。さっさとこのデュエルを終わらせよう」

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

竜崎  LP4000、モンスター:2、伏せカード:0、手札:0枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【ブラック・ホール】発動。フィールドのモンスターを全て破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「あっ」

 

「魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動。手札よりモンスターを一体墓地に送り、デッキから【ジュラック・アウロ】を特殊召喚」

ハノイ 手札:3枚。

 

卵の殻に入った火を噴く小さな恐竜が現れる。

ジュラック・アウロ ★1 ATK200

 

「恐竜デッキ!?それもワイが見たことないカードやと!?」

 

ジュラックシリーズは最近パックが発売されたよ。

 

「フィールドの【ジュラック・アウロ】をリリースして魔法カード【大進化薬】発動。この効果により、【ジュラック・タイタン】をリリース無しで召喚」

ハノイ 手札:2枚。

 

フィールドに赤い体を持つ炎を纏った巨大なティタノサウルスが姿を現す。

ジュラック・タイタン ★9 ATK 3000

 

「攻撃力3000!?」

 

「このモンスターは罠・効果モンスターの効果の対象にならない。更に【ジュラック・タイタン】の効果発動。墓地の【ジュラック・アウロ】を除外して攻撃力1000アップ」

ジュラック・タイタン ATK 3000→4000

 

「攻撃力4000!?」

 

「バトルフェイズに移行。【ジュラック・タイタン】でダイレクトアタック」

 

「う、うわぁぁぁ!」

竜崎  LP4000 → 0

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「ワイの…負けや」

 

「消えろ、二度と姿を見せるな」

 

あ~あ、時間の無駄だったな。さっさと帰ろ。

 

俺は地面に膝をついて項垂れる竜崎を無視して家に帰った。

 

 

~~~

 

 

それから少し経った別の大会後、会場の通路を歩いていると、一人の青年に呼び止められた。…またか。

 

「いい加減にしろ」

 

「頼む!ワイにも、ワイにも再起するチャンスをくれ!」

 

「チャンスは与えた。そしてお前はこちらの予測を遥かに下回った。それだけだ」

 

「もう一度!もう一度だけチャンスをくれ!あれから羽蛾にも協力してもらって初心に帰ってデュエルモンスターズを勉強しなおしたんや…この通りや!」

 

床に頭を付けて土下座を始め、みっともなくこちらに懇願するダイナソー竜崎。

 

この必死さは今の俺には無いものだ。執念と言ってもいいかもしれない。

 

「…ラストチャンスだ。もう一度だけデュエルをして、お前が負ければ二度目はない。いいな?」

 

「!お、おう!よろしく頼むで!今度こそワイの可能性を示したる!」

 

話は簡単だ。根負けした。前世ではこんなに必死になっている人間を見たことがなかった。俺も適当に生きていたしな。正直に言うと、少し羨ましかったんだ。

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

ダイナソー竜崎 LP:4000

 

「今度は先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

2度目のチャレンジなんだ。1度目ほど手加減してやると思うなよ?

 

「私は手札から【レスキューラビット】を召喚して効果発動。フィールドのこのカードを除外して発動でき、デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。私は2体の【メガロスマッシャーX】を特殊召喚」

ハノイ 手札:5枚。

 

フィールドに安全帽とゴーグルを付けたウサギが現れては消え、ワニのような口の持つ巨大な水棲恐竜が2体姿を現す。

メガロスマッシャーX ★4 ATK2000

 

「いきなり攻撃力2000超えが2体!」

 

「2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4!【エヴォルカイザー・ラギア】」

 

6つの翼を持つ、恐竜から進化した緑のドラゴンが姿を現す。

エヴォルカイザー・ラギア ☆4

 

「こ、これがエクシーズ召喚…!」

 

エクシーズ召喚を知っていたか。インセクター羽蛾と一緒に勉強しなおしたっていうのは本当らしいな。それにしても、仲いいな彼ら。

 

「このモンスターは、X素材を2つ取り除き、魔法・罠カードが発動を無効にし破壊するか、モンスターの召喚・特殊召喚を無効にして破壊するかの効果を選択して発動できる」

 

「なんやて!まるで【神の宣告】の効果を内蔵したモンスターやないか!」

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:3枚。

 

さて、お手並み拝見と行こうか。

 

ハノイ LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、手札:3枚

竜崎  LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

 

「ワイのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

竜崎 手札:5→6枚。

 

「ワイは手札から【俊足のギラザウルス】を特殊召喚!」

竜崎 手札:5枚。

 

フィールドに茶色い体のディノニクスみたいなモンスターが現れる。

俊足のギラザウルス ★3 ATK1400

 

考えたな。今、俺の墓地にはモンスターが居ない。この状態なら【俊足のギラザウルス】のデメリット効果である、「自身の効果で特殊召喚成功時に相手は自身の墓地のモンスター1体を選んで特殊召喚できる」効果は発動しない。

 

「ワイは手札を1枚捨てて、魔法カード【死者への手向け】発動!【エヴォルカイザー・ラギア】を破壊するで!」

竜崎 手札:3枚。

 

「その効果に【エヴォルカイザー・ラギア】効果発動。【死者への手向け】を無効にして破壊する」

 

チェーン②エヴォルカイザー・ラギア

チェーン①死者への手向け

 

墓地に送ったのは【カーボネドン】か。確かに先日と同一人物とは思えないプレイングだな。

 

「ちぃ!ならワイは魔法カード【地割れ】発動!【エヴォルカイザー・ラギア】を破壊する!」

竜崎 手札:2枚。

 

エヴォルカイザー・ラギアは割れた地面に飲まれて消えていった。翼で飛んで逃げればいいのに…。

 

「おっしゃぁ!なら次は…ワイは魔法カード【化石調査】発動!デッキよりデッキからレベル6以下の恐竜族モンスター1体を手札に加える。ワイはレベル6の【フロストザウルス】を手札に加える!」

竜崎 手札:1→2枚。

 

良いカードを手に入れたな。レベル6の通常モンスターの中では最高の攻撃力だったはずだ。

 

「よっしゃ!攻めるでぇ!ワイは【俊足のギラザウルス】をリリース!【フロストザウルス】をアドバンス召喚!」

竜崎 手札:1枚。

 

フィールドに氷漬けになりつつも悠然と歩く恐竜が出現する。

フロストザウルス ★6 ATK2600

 

「バトルや!【フロストザウルス】でダイレクトアタック!」

 

「伏せカードオープン。トラップカード【万能地雷グレイモヤ】発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの内、攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。【フロストザウルス】を破壊!」

ハノイ 伏せカード:2→1。

 

フロストザウルスは地雷の大爆発に巻き込まれ、消滅した。

 

「フロストザウルス!?くっ、メイン2に移行して、墓地の【カーボネドン】を除外して効果発動!手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。ワイは【エビルナイト・ドラゴン】をデッキから守備表示で特殊召喚!」

 

青い翼と青く細長い体に鋭い爪を持つ邪悪な騎士の心に宿るドラゴンが実体化して現れる。

エビルナイト・ドラゴン ★7 DEF2400

 

あれってエスパー絽場にアンティルールで奪われたカードじゃなかったっけ?インチキデュエルだったから返してもらったのかな?

 

「ワイはカードを1枚伏せてターンエンドや」

竜崎 手札:0枚。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:1、手札:3枚

竜崎  LP4000、モンスター:1、伏せカード:1、手札:0枚

 

手札は尽きたが、最上級モンスターを壁に残し、伏せカードもある。悪くないプレイングだよな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「私は手札から儀式魔法【高等儀式術】発動。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、デッキから通常モンスターを墓地へ送り、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。デッキから2体のレベル4モンスター【セイバーザウルス】を墓地に送り、手札からレベル8の【輝神鳥ヴェーヌ】を儀式召喚」

ハノイ 手札:2枚。

 

フィールドに光り輝く鳥のような天使が降臨する。

輝神鳥ヴェーヌ ★8 ATK2800

 

「儀式召喚のコストをデッキから払うやと!?」

 

「このモンスターは1ターンに1度、このカード以外の自分の手札・フィールドのモンスターがリリースされた場合、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える 」

 

「私は手札から通常魔法【黙する死者】発動。墓地の【メガロスマッシャーX】を蘇生。そして速攻魔法カード【突撃指令】発動。【メガロスマッシャーX】をリリースして【エビルナイト・ドラゴン】を破壊する」

ハノイ 手札:0枚。

 

突撃指令を出されたメガロスマッシャーXは、相手のエビルナイト・ドラゴンに突撃し、ともに墓地へと消えていく…。

 

「エビルナイト・ドラゴンが!」

 

「【輝神鳥ヴェーヌ】の効果発動。墓地の【メガロスマッシャーX】を手札に加える」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「更に伏せカード【凡人の施し】発動。デッキからカードを2枚ドローし、手札の通常モンスターを除外する。私は【大くしゃみのカバザウルス】を除外」

ハノイ 手札:1→3→2枚。

 

哀れ。巨大な体を持つカバの化け物が除外されて消えていく…。

 

「私は手札から【メガロスマッシャーX】を通常召喚」

ハノイ 手札:1枚。

 

フィールドにワニのような口の持つ巨大な水棲恐竜が姿を現す。少々うんざりしているようだ。

メガロスマッシャーX ★4 ATK2000

 

「バトルフェイズに移行。【メガロスマッシャーX】でダイレクトアタック」

 

「ぐあぁぁぁぁっ!」

竜崎  LP4000 → 2000

 

これで終わりか?まだ終わりじゃないだろ?お前の可能性を見せてくれ!

 

「バトルフェイズに移行。【輝神鳥ヴェーヌ】でダイレクトアタック!」

 

「ここや!伏せカード【ガード・ブロック】発動!相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

竜崎  LP2000、手札:0→1、伏せカード:0

 

戦闘ダメージを防いでカードをドロー。いいじゃないか!

 

「メインフェイズ2に移行。手札から魔法カード【馬の骨の対価】発動。通常モンスターの【メガロスマッシャーX】を墓地に送りデッキからカードを2枚ドロー」

ハノイ 手札:0→2枚。

 

メガロスマッシャーXがこちらをジト目で睨みながらも墓地に戻る。忙しくてすまんな。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:1枚、伏せカード:1

 

ハノイ LP4000、モンスター:1、伏せカード:1、手札:1枚

竜崎  LP2000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:1枚

 

さぁ、どうする?どうなる?

 

「ワイのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

竜崎 手札:1→2枚。

 

「ワイは魔法カード【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

竜崎 手札:1→3枚。

 

「ワイは手札から【二頭を持つキング・レックス】を召喚!」

竜崎 手札:2枚。

 

フィールドに紫色の体と翼を持つ、2頭を持つ恐竜が現れる。当時のダイナソー竜崎を象徴するカードと言ってもいいカードだ。

二頭を持つキング・レックス ★4 ATK1600

 

「更に!ワイは魔法カード【魂の開封】発動!相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドに通常モンスターが存在する場合に発動できる。デッキから通常モンスター5体を選ぶ。その内の1体を手札に加え、残りのカードを除外する 」

竜崎 手札:1枚。

 

<竜崎が選択したカード>

・剣竜

・屍を貪る竜

・トラコドン

・ワイルド・ラプター

・メガザウラー

 

「ワイは【屍を貪る竜】を手札に加え、他のモンスターは除外する!」

竜崎 手札:1→2枚。

 

これで除外されている恐竜族は5枚か。デュエルリンクスならあのモンスターの可能性が出てきたな。

 

「ワイは【天使の施し】発動!デッキから3枚ドローして、2枚墓地に送る!…よっしゃ!ええ引きや!」

竜崎 手札:1→4→2枚。

 

何かキーカードを引いたようだな。

 

「このカードは通常召喚できないが、除外されている自分の恐竜族モンスター5体をデッキに戻した場合のみ特殊召喚できるんや。ワイは除外されている【カーボネドン】【剣竜】【トラコドン】【ワイルド・ラプター】【メガザウラー】【剣竜】をデッキに戻し、手札から【オーバーテクス・ゴアトルス】を特殊召喚!」

竜崎 手札:1枚。

 

鋭い嘴とかぎ爪をを持つ漆黒の翼竜が姿を現す。

オーバーテクス・ゴアトルス ★7 ATK2700

 

「このモンスターは1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。自分の手札・フィールドの恐竜族モンスター1体を選んで破壊し、その発動を無効にし破壊するんや!」

 

だが、ソイツでは【輝神鳥ヴェーヌ】には攻撃力が届かない。さぁどうすんだ?

 

「ワイは【下克上の首飾り】を【二頭を持つキング・レックス】に装備!通常モンスターにのみ装備可能。装備モンスターよりレベルの高いモンスターと戦闘を行う場合、装備モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみレベルの差×500ポイントアップするで!!このカードが墓地へ送られた時、このカードをデッキの一番上に戻す事ができるんや!」

竜崎 手札:0枚。

 

「ほぅ…!」

 

「バトルや!【二頭を持つキング・レックス】で【輝神鳥ヴェーヌ】に攻撃や!」

 

「伏せていたトラップカード【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動でき、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

 

「無駄やで!【オーバーテクス・ゴアトルス】効果発動!自身を破壊して【聖なるバリア -ミラーフォース-】の発動を無効にして破壊する!」

 

チェーン②:オーバーテクス・ゴアトルス

チェーン①:聖なるバリア -ミラーフォース-

 

聖なるバリアはオーバーテクス・ゴアトルスの捨て身の一撃により破られる!

 

ミラフォだしな。しょうがないな。

 

「効果で墓地へ送られた【オーバーテクス・ゴアトルス】の効果発動!デッキから「進化薬」魔法カード1枚を手札に加える!ワイは【超進化薬】を手札に加えるで!」

竜崎  LP2000、手札:0→1枚

 

「バトル続行や!レベル4の【二頭を持つキング・レックス】でレベル8の【輝神鳥ヴェーヌ】に攻撃や!ダイナソー・フット・スタンプ!!」

 

「そして、【二頭を持つキング・レックス】の攻撃力は、【下克上の首飾り】の効果により、2体のレベル差×500、つまり2000ポイント上がるわけか」

 

「そうや!」

二頭を持つキング・レックス ★4 ATK1600 → 3600

 

輝神鳥は二頭持つ恐竜の踏み付けを受け、ぺったんこになって墓地に送られた。

 

「くぉぉぉっ!」

ハノイ LP4000 → 3200

 

「どうや!ワイはこれでターンエンド!」

 

ハノイ LP3200、モンスター:0、伏せカード:0、手札:1枚

竜崎  LP2000、モンスター:1、装備カード:1、伏せカード:0、手札:1枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「私は手札から【レスキューキャット】召喚、そのまま効果発動。フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。私はデッキから2体の【ペロペロケルペロス】を特殊召喚」

ハノイ 手札:1枚。

 

三つの頭があり、それぞれ舌を長く伸ばしている犬が現れる。

ペロペロケルペロス ★3 DEF1800

 

「またデッキから2体のモンスターを特殊召喚やって!?」

 

「2体のレベル3モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク3!【虚空海竜リヴァイエール】」

 

水色の翼と体を持つ海竜が姿を現す。

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800

 

「【虚空海竜リヴァイエール】効果発動。1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、除外されている自分または相手のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。除外されている【レスキューラビット】を特殊召喚」

 

「またそのウサギか!」

 

「効果は覚えているな?【レスキューラビット】効果発動!デッキから2体の【二頭を持つキング・レックス】特殊召喚!」

 

「二頭を持つキング・レックスが2体…」

 

「2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4!【エヴォルカイザー・ドルカ】」

 

白き翼を持つ、恐竜から進化した白のドラゴンが姿を現す。

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 ATK2300

 

「このモンスターは、このカード以外のモンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動でき、その発動を無効にし破壊する効果を持つ」

 

「また別のエヴォルカイザー!?」

 

「バトルフェイズへ移行。【エヴォルカイザー・ドルカ】で【二頭を持つキング・レックス】を攻撃。エクシーズモンスターはレベルを持たない為、【下克上の首飾り】は何の効力も持たない装備カードとなる」

 

白きドラゴンの爪に切り裂かれ、二頭を持つ恐竜は地にひれ伏す。

 

「ぐわぁっ!キングレックス…すまんなぁ」

竜崎  LP2000 → 1300

 

「【虚空海竜リヴァイエール】でダイレクトアタック」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

竜崎  LP1300 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「…対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルを終え、前回と同じように床に膝をついているダイナソー竜崎。ただ、その顔は以前と違って少し晴れやかな気がする。

 

「負けたか…」

 

「あぁ、お前の負けだ。…それで?いつまでそこで見ているんです?」

 

そういうと俺は奥の通路にある柱の影を見る。

 

「気付かれていたのかい」

 

「羽蛾!見ていたんかい…。悪いな羽蛾。色々と手伝ってもらったのに…」

 

「いや、いいよ。さて、ハノイの騎士」

 

「なんですか?」

 

羽蛾はこちらに向き直ると深々と頭を下げてきた。

 

「確かに竜崎は負けた。けど、実力は示せていたと思う。頼む!彼にももう一度チャンスを与えてやってくれ!」

 

「羽蛾!お前…」

 

誰だこれ…。羽蛾、綺麗になりすぎだろ…。

 

「竜崎。確かにお前は負けたが、私は『次はない』とは言ったが、負けたら手を貸さないとは言っていないぞ?」

 

「「えっ」」

 

呆ける二人をよそに、竜崎さんに恐竜族のカードをいくつか渡す。流石にアルティメットなコンダクターさんは渡さない。この時代だと相手が可哀想すぎる。

 

「これは…この前使っていた【ジュラック】カードに、さっき使っていた【エヴォル】か。それに…【炎霊神パイロレクス】に…【究極進化薬】!?なんやこれぇ!?」

 

「ボクが貰ったカードと遜色ない強さのカード達だな…」

 

「竜崎さん、先ほどまでは失礼いたしました。今回のあなたの可能性、確かに見させていただきました。それらのカードが今後の貴方の力になれれば幸いです」

 

「ハノイの騎士…ありがとう!ありがとうなホンマにぃ!」

 

竜崎が涙と鼻水でグシャグシャになった顔で感謝を告げてくる。

 

「改めてボクからもお礼を言わせてくれ。ハノイの騎士、こんなボクたちに再起のチャンスをくれて…本当にありがとう」

 

羽蛾も瞳に涙を浮かべながら感謝の言葉を告げてくる。

 

「私は、俺の目的のためにあなた方を利用しているだけです。そこまで感謝して頂かなくてもいいです。感謝の言葉よりも、結果を見せて欲しいですね」

 

「あぁ!任せとき!今度こそ必ずプロデュエリストになって活躍したる!」

 

「もちろん、そうするつもりさ。竜崎と一緒に過去の清算をし終えたら、プロデュエリストになるよ」

 

そうして、その後は彼らとそれぞれ握手をした後、二人は一緒に帰っていった。これから武藤遊戯と城之内克也に数年前の詫びを入れに行くらしい。今のあの二人ならきっと武藤遊戯たちも許してくれるだろう。

 

 

俺としてはDDを何とかする一手として、丁寧な態度を取って敵視されないようにしつつ助力して利用しているだけで、別に目的を達成した後に羽蛾や竜崎がどうなろうと知ったことではないのだが…なんだかまるで俺が良い人みたいな扱いを受けているのが少しモヤモヤしたが、結果的に彼らがやる気になったから、ヨシッ!と言うことにしておこう。

 

 

~~~

 

 

そうして、夏休みが明けた秋のある休日。孤児院でコナミ達とテレビを見ていると、映し出されるプロリーグの会場の中央にプロデュエリストの資格を得た彼らの姿があった。彼らに対する世間の評価はかなり悪かった。会場はブーイングの嵐だ。彼らの過去の悪行による軽蔑の視線に晒される中、過去の悪行についてのコメントを求められたりもしていた。

 

『確かにボクたちの数年前の所業は悪辣でありました。言い訳もしませんし、できません』

 

『そうやな。ワイらのせいで被害を被った人たちも多いやろう。許してくれと言えた身じゃないやろうけど、今後のワイたちについては、その行動で示していきたいと思うてます』

 

『正々堂々、誠実に、ボクたちはデュエルとデュエルモンスターズに向き合っていきたい、そう思っています』

 

『今更ホントにムシのいい話やろうけど、今後ともワイたちをよろしくお願いします』

 

そうして彼らはテレビカメラに向かって深々と頭を下げて礼をする。いつの間にか会場のブーイングは収まっていた…。

 

 

誰だコイツら。どうやら本当に心を入れ替えたようだ。響紅葉が本命で、羽蛾は保険、竜崎はオマケのつもりだったんだが、この分だと意外とワンチャンあるかも知れないな。




気付いたら綺麗な羽蛾と竜崎になっていました。

羽蛾のデッキは【インゼクター】をメインに昆虫族汎用カードをいくつか使用。
竜崎のデッキは【ジュラック】と【エヴォル】の2つを状況に応じて使い分ける。

そんな感じです。今後の出番は、恐らく原作2年目に出るかどうかですね。

オリ主としては、DDへの刺客として響紅葉を焚きつけ、保険として潜在能力は高そうな羽蛾、オマケとして竜崎と考えています。別に彼らを救済する意図は一切なく、プロの世界で挫折しても別にいいかと思っています。

オリ主は本作の主人公ではありますが、十代のような良い人ではありませんので。

今回、羽蛾や竜崎が世間から少し許されたような感じになりましたが、同じ前作キャラでもマリクやリシドが許される日は来ないでしょう。何故彼らが平然と太陽の下を歩けているのかが不思議です。

次回の更新は12/12(土) AM6:00予定です。


戦車様、四季式様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十六話 エクゾディア3

エクゾディア無双その3。

有名なエクゾディアの型もこれで終わりだったと思うので、エクゾディアも今後はちゃんと封印されるでしょう。

※12/11 章タイトルの年数が間違っていた為、修正しました。


小学校四年生の秋が過ぎ、雪が降り積もる今日この頃、孤児院のリビングではコナミ、ユーゴ君、リンちゃんがバイクの雑誌を見ていた。

 

「なるほど、ここの部分を弄ることでスピードを保ちつつ燃費を向上させているのか」

 

「おー!すげーな!格好いいな!」

 

「確かにね。この白いバイクは特にいい感じよね」

 

彼らは原作ではDホイール搭乗者だから、バイクそのものにも興味を惹かれるものがあるのだろう。俺は原付で十分だ。ただ、ここでそんなことを言うほど空気を読めないわけはないぞ。

 

「将来的には自転車やバイクに乗りながらデュエル出来るような物が出てくるかもな」

 

「おっ、いいなそれ!」

 

「オレも乗りてー!」

 

「風を切り裂きながらのデュエル。面白そうね!」

 

現状だと、Dホイールが出る頃には彼らは年老いてしまう可能性が高いが、実はペガサス会長たちにはDホイールとライディングデュエルの話はしてあるため、上手く行けば近いうちにDホイールが世間に出回る可能性もある。

 

そうなると、スピードワールドに合わせてスピードスペルが必要になるだろうが、そうなった時はそうなった時に考えよう。

 

~~~

 

そして今日も今日とて、俺はいつものようにハノイスタイルで大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の金髪のガタイのいい軍服男と対峙した。

 

「ヘーイ!リトルキッド!ユーのハンパなパワーでは戦場じゃ生き残れないネ!ミーは戦争でエレクトリックモンスター使って生き延びたネ!」

 

何言ってんだコイツ。戦場でデュエルしてたのか?正気か?プロフェッサー・コブラの同類だろうか?いや、彼も戦場でデュエルしていたわけではないか。

 

「皆ビリビリ シビレて動けナーイ!ユーも同じ道辿る 違いナーイ!」

 

やはりどこかで聞いたことがあるようなセリフだ。彼も誰かのロールプレイなのだろうか。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「ヘーイ!カモーン!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

軍服男 LP:4000

 

「先攻はミーが貰うネ!ミーのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ネ!」

軍服男 手札:5→6枚。

 

「ミーは手札から【サンダー・ドラゴン】を手札から捨てて発動ネ!デッキから【サンダー・ドラゴン】を2体まで手札に加えるネ!」

軍服男 手札:5→7枚。

 

「ミーは手札から【融合賢者】の効果発動ネ!デッキから【融合】1枚を手札に加えるネ!」

軍服男 手札:6→7枚。

 

「ミーは手札から魔法カード【融合】発動ネ!手札の2枚の【サンダー・ドラゴン】を融合ネ!カモーン!【双頭の雷龍】!」

軍服男 手札:4枚。

 

周囲に電撃をまき散らす、赤めの体を持ち、頭の後ろにもう一つの口がある異形の雷獣が現れる。

双頭の雷龍 ★7 ATK2800

 

パワー自慢なだけあって、そこそこ攻撃力の高いモンスターを出してきたな。リメイク後の奴なら凶悪だが、コイツなら何とでもなるな。

 

「ミーは手札から【ライオウ】を通常召喚ネ!このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできないネ。また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊するネ!」

軍服男 手札:3枚

 

周囲に電撃を放つ機械のようなモンスターが現れる。

ライオウ ★4 ATK1900

 

ちっ、ライオウか。ただのパワー馬鹿じゃないのかよ。厄介なモンスターを出してきたな。サーチ封じに特殊召喚封じ。攻撃力も高めでしかも光属性。相手に手札がある時にはうかつに攻撃すると【オネスト】を切られる可能性がある。

 

「ミーは手札から永続魔法【一族の結束】発動ネ!自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップするネ!」

軍服男 手札:2枚。

 

双頭の雷龍 ★7 ATK2800 → 3600

ライオウ ★4 ATK1900 → 2700

 

一族の結束を採用していることを考えると【雷族】デッキって所か。オネストはない…か?

 

「ミーはカードを一枚伏せて、ターンエンド!」

軍服男 手札:1枚。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

軍服男 LP4000、モンスター:2、伏せカード:1、永続魔法:1、手札:1枚

 

【ライオウ】でこちらのサーチと特殊召喚を封じ【一族の結束】で自軍を強化して【双頭の雷龍】のパワーで殴り勝つ戦法かな。伏せカードが気になるところだが…。雷に拘るなら【サンダー・ブレイク】や【雷の裁き】か?

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

流石にサーチと特殊召喚が出来ないのは邪魔すぎる。早々に退場頂こうか!

 

「私は手札から【ならず者傭兵部隊】を通常召喚。このカードをリリースして発動できる。フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「リバースカードオープン!【サンダー・ブレイク】発動ネ!手札を1枚捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できるネ。そのカードを破壊するネ。ミーは【ならず者傭兵部隊】を破壊するネ!」

軍服男 手札:0枚、伏せカード:0

 

ならず者たちで構成された傭兵部隊は、空から降り注いだ雷撃により黒焦げになって消滅した。

 

 

ならず者もの傭兵部隊の起動効果を使う前に消されたか。伏せカードは【サンダー・ブレイク】か。だが召喚権は使ったものの伏せカードは無くなった。好きにやらせてもらうぞ。

 

 

「私は手札から速攻魔法【死者への供物】発動。フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターを破壊する。次の自分ドローフェイズをスキップする。私は【ライオウ】を破壊!」

ハノイ 手札:4枚。

 

「Oh Shit!」

 

これでサーチも特殊召喚もできるようになったな。

 

「私は手札から永続魔法【生還の宝札】発動。自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる」

ハノイ 手札:3枚。

 

「私は手札から通常魔法【おろかな埋葬】発動。デッキからモンスター1体を墓地へ送る。私はデッキから【暗黒のマンティコア】を墓地に送る」

ハノイ 手札:2枚。

 

OK。準備完了。さて、終わりだよ。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:1枚。

 

ハノイ LP4000、モンスター:0、伏せカード:1、永続魔法:1、手札:1枚 ※墓地に【暗黒のマンティコア】

軍服男 LP4000、モンスター:1、伏せカード:0、永続魔法:1、手札:0枚

 

「ミーのターンだネ!ドロー…」

 

「待て。私のエンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】の効果が発動する。このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、自分の手札・フィールド上から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。私は手札の【暗黒のマンティコア】を墓地に送り、元々墓地に居た【暗黒のマンティコア】をフィールドに特殊召喚する」

ハノイ モンスター:0→1、手札:1→0枚

 

「この瞬間、【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「今度こそミーのターンだネ!ドロー…」

 

「待て。私のエンドフェイズに先ほど墓地に送った【暗黒のマンティコア】の効果が発動する。私はフィールドの【暗黒のマンティコア】を墓地に送り、墓地の【暗黒のマンティコア】をフィールドに特殊召喚する」

ハノイ モンスター:1→0→1、手札:1枚

 

「What?」

 

「この瞬間、【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「マサカ…」

 

 

「エンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】効果発動。フィールドの【暗黒のマンティコア】を墓地に送り、墓地の【暗黒のマンティコア】を特殊召喚」

ハノイ モンスター:1→0→1、手札:1枚

 

「【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドロー」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「エンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】効果発動。フィールドの【暗黒のマンティコア】を墓地に送り、墓地の【暗黒のマンティコア】を特殊召喚」

ハノイ モンスター:1→0→1、手札:1枚

 

「【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドロー」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「エンドフェイズに墓地の【暗黒のマンティコア】効果発動。フィールドの【暗黒のマンティコア】を墓地に送り、墓地の【暗黒のマンティコア】を特殊召喚」

ハノイ モンスター:1→0→1、手札:1枚

 

「【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドロー」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

 

「2体の【暗黒のマンティコア】の無限ループ…!いや、無限ドロー…」

 

 

正解だ。ここからは少し長くなるから早送りだ。

 

 

~ループによるドロー20回目~

 

 

「【生還の宝札】の効果により、デッキよりカードを1枚ドロー。ふむ、揃ったな」

ハノイ 手札:19→20枚。

 

「What?」

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った」

 

「!?」

 

手札を公開し、エクゾディアパーツが全て揃っていることを相手に見せる。

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する。私の勝ちだ」

 

「オーマイガ! オーマイガァァ~~!!」

 

「現れよ【封印されしエクゾディア】!」

 

「Oh Nooo!」

 

俺の前に五つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる…!

 

「さぁ放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

「Nooooooooo!」

 

エクゾディアが放った膨大な熱量は会場全体を包み込み、対戦相手のフィールドのカードが全て破壊され、特殊勝利が確定する。

 

「…ユーの強さトゥルース。つまり本物ネ」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

 

~~~

 

帰宅後、玄関でコナミが話しかけてきた。

 

「クロト、年明けにタッグデュエル大会があるんだけど、一緒に出ないか?」

 

「タッグデュエルの大会か。珍しいな」

 

そういうと大会のチラシをこちらに渡してくる。なになに…来年プロ試験を受ける予定の将来有望な双子少女デュエリスト達も参戦!か。

 

…この哀れなほど薄っぺらな胸部の双子は…。【アマゾネス】デッキとか使ってきそうな双子ですねえ。

 

「いいぞ。俺も出よう」

 

「おっ!そうこなくっちゃな!」

 

「出るからには優勝するからな」

 

「もちろんさ!」

 

そういって闘志を燃やすコナミ。コイツが居れば負けることは無いだろうな。

 

そもそもこの世界では負けたらカード化!なんてこともないし、ハノイスタイルの時の様にほぼ負けが許されないデュエルでもない。久しぶりに楽しめるだけの大会になりそうだ、楽しみだな。

 

~~~

 

その日の夜、精霊界のとある森にて。

 

「あーめ、あーめ、ふーれ、ふ-れ」

 

「さぁ!この雨の中、ボクの擬態能力を見破れるかな?」

 

【ウェザー・コントロール】が周囲の天気を雨に変え、【メカレオン】が得意の擬態能力で姿を隠す。

 

「全然見えねー!」

 

「リュー!」

 

俺と【プチリュウ】が鬼で、【メカレオン】が隠れるかくれんぼ勝負を挑まれたわけだが、全く見えん。そもそも森の中の時点で勝負は決まっているようなものなのだが…。

 

「…ん?どうしたプチリュウ?」

 

「リューン!」

 

俺の腰に体を巻き付けて小さな翼を懸命に動かすプチリュウ。…やりたいことは分かったが、全力で止めて欲しいぞ。

 

「リュリューン!」

 

「のわぁぁぁぁぁぁ!」

 

見事プチリュウは俺を体で固定したまま空高く舞い上がった!そして、空から見た森からメカレオンを探そうというのだろうが…。

 

「やっぱり全然見えねえ…」

 

「リューン…」

 

「気にするな、お前の所為じゃないさ」

 

気落ちするプチリュウ。今回は勝負内容とその相手が悪かったんだと思うぞ。…ん?あれは…。

 

「プチリュウ、一度地上に降りてくれ。その後でちょっと手伝ってくれ」

 

「リューン!」

 

その後、地面に戻った俺はメカレオンの声が聞こえる方向に向かい、プチリュウに周囲へ風を放ってもらったところ、必死に枝にしがみついているメカレオンを見つけた。

 

どうやら雨で立っていた枝から滑り落ちていたらしい。そのおかげで上空からならよく見える不自然に揺れる枝を見つけ、俺達は見事勝利したのだった。




今回使用したのは【宝札エクゾディア】と呼ばれる型です。【暗黒のマンティコア】2体を蘇生ループさせ、禁止カードの【生還の宝札】で無限ドローするデッキです。

このデッキが使われていた当時は【サイエンカタパ】と熾烈を極めた戦いを繰り広げたそうですが、安定した挙動が出来て1キル性能を持つ【サイエンカタパ】には一歩及ばなかったようですね。

さて、次はアークファイブの登場人物が出てきます。この世界は原作ほど殺伐としていないので、娯楽もたくさんあり心の余裕もあるでしょうし、彼女たち、と言うか彼女もエンタメ堕ちすることはないでしょう。多分。

次回の更新は12/12(土) AM7:00予定です。

四季式様、天導 優様、gsころりん様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十七話 タイラー姉妹

アニメ版アークファイブの登場人物、タイラー姉妹とのタッグ戦です。

彼女たちが使う【アマゾネス】がそこまで強くない上、コナミとクロトが使うデッキがかなり凶悪なのでそこまで長いデュエルにはなりません。

※『閃珖竜』と『琰魔竜』に関しては、機種依存文字を使用している為、ひらがな表記にしています。問題なさそうであればそのうち漢字に変更します。


<クロト視点>

 

年が明けて正月が過ぎ、小学校4年の冬休みもそろそろ終盤。タッグデュエル大会の会場に向かう電車の中、今回の大会の注目株となっているタイラー姉妹について考える。

 

 

タイラー姉妹。アニメ版の遊戯王アークファイブに登場した双子?の美女デュエリストである。姉が金髪ロング紫目のグロリア・タイラー、妹が銀髪ロング緑目のグレース・タイラー。アークファイブにおいて融合次元所属の戦闘狂のタッグデュエリストで、次元戦争での侵略戦でエクシーズ次元のデュエルスクールのスペード校を壊滅寸前まで追い詰めた実績がある。

 

使用デッキは共に【アマゾネス】。フィールド・墓地共有ルールで同テーマを使うシナジー効果は凄まじく、主人公と戦うまでは圧倒的な実力を見せつけていたのだが…主人公の【スマイル・ワールド】の洗脳効果(誇張)によりエンタメ堕ち。それ以降はエンタメデュエルの虜になってしまい、ただの観客に成り果てた。もったいない。

 

アークファイブの融合次元では一定の年齢に達すると強制的にアカデミアに入学させられ、兵士としての訓練を受け続ける毎日を送り、その後は侵略戦争に駆り出されることになるため、彼女たちを含む融合次元の住人は娯楽に飢えていたのだろうと推測する。この世界では娯楽はその辺りに溢れているのでその心配はないだろう。

 

タッグデュエリストなので、DDへの刺客となりえない彼女たちに接触するメリットは特にない。正直に言おう、ただの興味である。エンタメ堕ちする前の性格はドSの一言だが、見た目は美人だからね。胸は…アレだが。

 

「クロト、そろそろ着くみたいだよ」

 

「ん?あぁ、分かったサンキュー」

 

コナミはともかく俺にはエンタメデュエルなんて出来ないし、そもそもタッグデュエルなのでハノイ仮面なしで来ている。エンタメなんて恥ずかしくてできん。普通に相手をしよう。

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

例えタッグデュエルであっても、コナミがパートナーである以上、負ける確率はほぼ無いといってもいい。順調に決勝戦まで勝ち進んできた。当然と言わんばかりにタイラー姉妹も勝ち上がってきたようだ。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

コナミと対戦コートに入り、対戦相手チームの金髪と銀髪の美人たちと対峙した。やはり二人とも、とある部分が、哀れなほど薄っぺらな…。

 

「ふん、プロに挑む前の最後のアマチュア大会の決勝戦がお前たちのような子供とはな。なぁグレース?」

 

「いいじゃないグロリア姉さん。子供でも決勝戦まで勝ち進んでくる相手よ?ふふっ、楽しみね」

 

確かに俺達は10歳の子供だけど、君らも今は12歳くらいでしょ。

 

「おー、よろしくな」

 

コナミが軽い感じで挨拶を返す。コイツが緊張している姿なんて想像できんな。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「私たちの事を知らないのか?」

 

「フフッ、知らないなら教えてあげる」

 

「私たちタイラー姉妹の・・・」

 

「「タッグデュエルの恐ろしさを!!」」

 

二人の背中に紫のオーラのようなものが漂っているように見えるほどの気迫を感じる。

 

 

「両チームとも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

 

「「「「 デュエル! 」」」」

 

コナミ&クロト LP:8000

 

VS

 

グロリア&グレース LP:8000

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドロー!」

グロリア 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【スローライフ】発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分メインフェイズ1開始時にこのカードを発動できる。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、以下の効果を適用する。(1)モンスターを通常召喚したプレイヤーは、そのターンモンスターを特殊召喚できない。(2)モンスターを特殊召喚したプレイヤーは、そのターンモンスターを通常召喚できない」

グロリア 手札:5枚。

 

アニメでも使っていたカードだな。通常召喚すれば特殊召喚が出来ず、特殊召喚すれば通常召喚が出来ない、か。また面倒なカードを使ってくるなぁ。

 

「私は手札からマジックカード【融合】発動!手札の【アマゾネス女王】と【アマゾネスの剣士】を融合!密林の女王よ、勇猛なる剣士の力を取り込みすべてを統べる帝国を築け!融合召喚!現れろ!レベル8【アマゾネス女帝】!」

グロリア 手札:2枚。

 

褐色の肌に動物の骨と皮で作った衣装を纏うアマゾネスの女帝が姿を現す。

アマゾネス女帝 ★8 ATK2800

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

グロリア 手札:1枚。

 

コナミ&クロト   LP8000、モンスター:0、伏せカード:0

コナミ 手札:5枚

クロト 手札:5枚

 

グロリア&グレース LP8000、モンスター:1、伏せカード:1、永続魔法:1

グロリア 手札:1枚

グレース 手札:5枚

 

フェイズ宣言もモンスター効果の説明はしてくれないのか。大会でも最近増えてきたよな。こういう人。確かにいちいちフェイズ宣言や効果を説明していたらテンポ悪いけどさぁ…。

 

アマゾネスの女帝の効果は以下の3つ。攻撃できない最初のターンに出すには悪くないモンスターだ。

(1)自身以外のアマゾネスカードに戦闘・効果両面の破壊耐性付与。

(2)アマゾネス全体に貫通効果を付与する永続効果。

(3)融合召喚された自身が相手によって除去された場合に手札・デッキ・墓地から【アマゾネス女王】を特殊召喚できる効果。

 

「オレのターンだな?ドロー!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

コナミ 手札:5→7枚。

 

「オレは手札から【天使の施し】発動!デッキからカードを3枚ドローして2枚墓地に送る!」

コナミ 手札:6→9→7枚。 ※レベル・スティーラーを墓地に送る。

 

「オレは手札から【大嵐】発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

コナミ 手札:6枚。

 

「ちっ、やってくれる!」

グロリア&グレース LP8000、モンスター:1、伏せカード:0、永続魔法:0

 

さすコナ。初手から爆速ドロー&大嵐とか、コイツのドロー力はとんでもないな。

 

【スローライフ】以外に破壊された伏せカードは【アマゾネス謁見の間】か。アニメオリジナルカードだな。確か【儚無みずき】みたいな効果だったかな。

 

「オレは手札から【コール・リゾネーター】発動!デッキから「リゾネーター」モンスター1体を手札に加える。オレが加えるのは【レッド・リゾネーター】!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「そして【レッド・リゾネーター】通常召喚して効果発動!手札から【スカーレッド・ファミリア】特殊召喚!レベル4の【スカーレッド・ファミリア】にレベル2の【レッド・リゾネーター】をチューニング!紅き竜よ、炎魔を呼び起こす道を照らし出せ!!シンクロ召喚!現れよ!レベル6!【レッド・ライジング・ドラゴン】!」

コナミ 手札:4枚。

 

全身を炎に包まれたドラゴンが姿を現す!

レッド・ライジング・ドラゴン ★6 ATK2100

 

「ほぅ、なかなかのモンスターだな。だがその攻撃力では私の【アマゾネス女帝】には及ばんぞ?」

 

「慌てるなよ。デュエルはまだ始まったばかりだ。【レッド・ライジング・ドラゴン】の効果発動!【レッド・リゾネーター】を墓地より蘇生し、【レッド・ライジング・ドラゴン】を対象として効果発動!【レッド・ライジング・ドラゴン】の攻撃力2100分のLPを回復する!」

コナミ&クロト LP8000 → 10100

 

墓地より全身を炎に包まれた音叉を持った悪魔が姿を現す!

レッド・リゾネーター ★2 ATK600

 

「墓地の【スカーレッド・ファミリア】を除外して効果発動!【レッド・ライジング・ドラゴン】のレベルを7にする!レベル7となった【レッド・ライジング・ドラゴン】にレベル2の【レッド・リゾネーター】をチューニング!深淵の闇より解き放たれし魔王よ!!その憤怒を爆散させよ!!シンクロ召喚!現れよ!レベル9【琰魔竜 レッド・デーモン・アビス】!!」

 

腕に刃が付いた黒き体と翼を持つ禍々しいドラゴンが姿を現す!

琰魔竜 レッド・デーモン・アビス ★9 ATK3200

 

「おぉぉ!なんとも猛々しいモンスターではないか!そうでなくてはな!」

 

「ね、姉さん?」

 

琰魔竜 レッド・デーモン・アビスの効果は以下の2つ。それぞれターン1制限だ。

(1):相手フィールドの表側表示のカード1枚の効果をターン終了時まで無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、自分の墓地のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。

 

仮に【アマゾネス女帝】の効果を無効にしても、墓地で発動するサルベージ効果は無効化できない。さぁどうするんだコナミ?

 

「バトルだ!【琰魔竜 レッド・デーモン・アビス】で【アマゾネス女帝】を攻撃!アビス・レイジ・バスター!!」

 

琰魔竜 レッド・デーモン・アビス ★9 ATK3200

アマゾネス女帝 ★8 ATK2800

 

女帝の刃は炎の黒竜に受け止められ、逆に黒竜の爪の一撃を受けて女帝は地に伏した。

 

「ぐぁぁぁぁっ!だが戦闘破壊された【アマゾネス女帝】の効果発動!墓地より【アマゾネス女王】を特殊召喚する!」

グロリア&グレース LP8000 → 7600、モンスター:1 → 0 → 1

 

褐色の肌に動物の骨と皮で作った衣装を纏うアマゾネスの女王が姿を現す。

アマゾネス女王 ★6 ATK2400

 

アマゾネスの女王は自身を含めたアマゾネスへの戦闘破壊耐性付与の効果を持つ。これ以上の戦闘による追撃は効果が薄いだろう。

 

「オレも戦闘ダメージを与えたことで【琰魔竜 レッド・デーモン・アビス】の効果発動!墓地より【レッド・リゾネーター】を守備表示で特殊召喚する!」

 

墓地より全身を炎に包まれた音叉を持った悪魔が姿を現す!

レッド・リゾネーター ★2 DEF200

 

「【レッド・リゾネーター】の特殊召喚成功時のLP回復効果は名称ターン1制限だ。よって効果発動しない。オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ」

コナミ 手札:4→2枚。

 

コナミ&クロト   LP10100、モンスター:2、伏せカード:2

コナミ 手札:2枚

クロト 手札:5枚

 

グロリア&グレース LP7600、モンスター:1、伏せカード:0

グロリア 手札:1枚

グレース 手札:5枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

グレース 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【戦士の生還】発動!自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象として発動できる。その戦士族モンスターを手札に加える。私が加えるのは【アマゾネスの剣士】」

グレース 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【死者蘇生】発動!墓地の【アマゾネス女帝】を特殊召喚!」

グレース 手札:5枚。

 

褐色の肌に動物の骨と皮で作った衣装を纏うアマゾネスの女帝が姿を現す。

アマゾネス女帝 ★8 ATK2800

 

「私は手札から通常魔法【融合】発動!手札の【アマゾネスペット虎】と【アマゾネスの剣士】を融合!牙剥く密林の野獣よ。獲物を狙う戦士の目を得て、新たな猛獣となりて現れよ。融合召喚!出現せよレベル7【アマゾネスペット虎獅子】!」

グレース 手札:2枚。

 

アマゾネスに付き従う隻眼の虎獅子がその姿を現す。

アマゾネスペット虎獅子 ★7 ATK2500

 

ライガーって、確かライオンの父とトラの母のハーフだよな?アマゾネスの剣士はライオンの雄だった…?

 

アマゾネスペット虎獅子は以下の3つ。単体でもまぁまぁ強いが、他のアマゾネス、特に女帝と並ばれると面倒だな。今がまさにそうだが。

(1):ダメージ計算時に攻撃力が一時的に500アップ効果。

(2):「アマゾネス」モンスターが相手モンスターに攻撃したダメージ計算後に相手モンスター1体の攻撃力を永続的に800ダウンさせる。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の「アマゾネス」モンスターを攻撃できない効果。

 

「私は永続魔法【アマゾネスの魔鏡】発動!自分フィールドに「アマゾネス」モンスターが存在しない場合、このカードは破壊される。相手の効果で自分がダメージを受ける場合にこの効果を発動できる。その効果ダメージは代わりに相手が受ける!」

グレース 手札:1枚。

 

またアニメオリジナルカードか。こういうのってどこのカードショップでも見たことないんだが、何処で手に入るんだろうか。それはさておき…。

 

「コナミ、向こうは戦闘耐性を盾に攻撃を仕掛け、戦闘ダメージをこちらに押し付けつつアビスの攻撃力を下げに来るぞ」

 

「なるほど。このままじゃライガーは凌げても次の女帝や女王の攻撃でアビスはやられるってわけか」

 

「ふっ、気付いたようだがもう遅いな。グレース!」

 

「えぇ。分かっているわグロリア姉さん。さぁ、バトルよ!【アマゾネスペット虎獅子】で【えん魔竜 レッド・デーモン・アビス】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン!【スカーレッド・レイン】発動!自分フィールドにレベル8以上のSモンスターが存在する場合に発動でき、フィールドの、レベルが一番高いモンスター以外のモンスターを全て除外する!この効果で除外されなかったフィールドの表側表示モンスターはターン終了時まで、自身以外のカードの効果を受けない!!」

コナミ&クロト 伏せカード:2→1

 

「…えっ?」

 

「な、なにぃ!!」

 

「うわぁ…」

 

ひでぇ。フィールドのレベルが一番高いモンスターは★9のアビス。それ以外のモンスターは全て除外。そう除外である。効果破壊耐性しか持たない向こうのアマゾネスは…。

 

グロリア&グレース LP7600、 モンスター:3→0

コナミ&クロト   LP10100、モンスター:2→1

 

「わ、私たちのモンスターが、全滅…!?」

 

「そんな…馬鹿な…」

 

「しかも、死者蘇生で特殊召喚した【アマゾネス女帝】は【アマゾネス女王】を特殊召喚する効果は使えず、フィールドにアマゾネスが居なくなったから【アマゾネスの魔鏡】は破壊される、と」

グロリア&グレース 永続魔法:1→0

 

「オレの【レッド・リゾネーター】も除外されたけどな!」

 

もう全部コイツ一人でいいんじゃないかな?

 

タイラー姉妹も効果破壊耐性をつけてから攻撃に移っていたし、伏せカードを警戒しなかったわけではないだろう。この時代でメジャーなトラップってミラフォとか炸裂装甲とかだし。ただ、相手と言うか相手のカードパワーが強すぎたな。

 

「わ、私はカードを1枚伏せてターンエンドよ…」

グレース 手札:0、伏せカード:1

 

コナミ&クロト   LP10100、モンスター:1、伏せカード:1

コナミ 手札:2枚

クロト 手札:5枚

 

グロリア&グレース LP7600、モンスター:0、伏せカード:1

グロリア 手札:1枚

グレース 手札:0枚

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から速攻魔法【サイクロン】発動!そちらの伏せカードを破壊する」

クロト 手札:5枚。

 

「あっ…」

グロリア&グレース 伏せカード:1→0

 

破壊したカードは【アマゾネスの呪鏡】、アニメオリジナルカードか。墓地発動効果は…無しと。これは勝ったな。

 

「俺は手札からモンスター1体を墓地に送って【ワン・フォー・ワン】発動!手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキから【チューニング・サポーター】を特殊召喚」

クロト 手札:3枚。

 

フライパンの様な物を被り黄色のマフラーをまいたロボットが現れる。

チューニング・サポーター ★1 DEF 300

 

「オレは手札から【ライティ・ドライバー】召喚!召喚成功時に効果発動!デッキから【レフティ・ドライバー】1体を選んで特殊召喚して効果発動!自身のレベルを3にする」

クロト 手札:2枚。

 

フィールドに、ドライバーを持つ黄色のロボットが現れ、更にドライバーを持つ青色のロボットが現れる。

ライティ・ドライバー ★1 ATK100 ※チューナー

レフティ・ドライバー ★2→3 DEF100

 

前世だとハリファイバーコースなんだろうが…。ここでは使えないからな。

 

「俺はレベル1の【チューニング・サポーター】にレベル1の【ライティ・ドライバー】をチューニング!集いし願いが新たな速度の地平へ誘いざなう。光さす道となれ!シンクロ召喚!希望の力、レベル2!シンクロチューナー【フォーミュラ・シンクロン】!」

 

F1のレーシングカーのような姿のロボットが姿を現す。

フォーミュラ・シンクロン ★2 DEF1500

 

「【フォーミュラ・シンクロン】がシンクロ召喚に成功したことで効果発動!効果により1ドロー!更に【チューニング・サポーター】がシンクロ召喚に使用されたことにより効果発動!効果により1ドロー!」

クロト 手札:2→3→4枚。

 

このカードは…。チラッとコナミの方を見るとニカッ!と笑顔を返された。俺の好きにしろって意味だろうか…。なら、俺もたまには魅せプレイでも試してみるか!

 

「俺はレベル3の【レフティ・ドライバー】にレベル2の【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング!!シンクロ召喚!レベル5シンクロチューナー【アクセル・シンクロン】!!」

 

赤いF1のレーシングカーに頭と手足がついたのような姿のロボットが姿を現す。

アクセル・シンクロン ★5 DEF 2100

 

「【アクセル・シンクロン】効果発動!1ターンに1度、デッキから「シンクロン」モンスター1体を墓地へ送り、自身のレベルをそのモンスターのレベル分だけ上下させる。俺はレベル2の【サテライト・シンクロン】を墓地に送り、【アクセル・シンクロン】のレベルを2つ下げる!」

アクセル・シンクロン ★5→3

 

「バトルフェイズに移行。【えん魔竜 レッド・デーモン・アビス】でダイレクトアタック!アビス・レイジ・バスター!!」

 

「きゃぁぁぁぁっ!」

グロリア&グレース LP7600 → 3200

 

「だがこれでお前たちのフィールドに攻撃表示モンスターは居ない!次のターンでなんとか巻き返して…」

 

何勘違いしてるんだ?まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ!ってな。

 

「俺は手札から速攻魔法【リミットオーバー・ドライブ】発動!自分フィールドのSモンスターのチューナー1体とチューナー以外のSモンスター1体をエクストラデッキに戻して発動できる。そのモンスター2体のレベルの合計と同じレベルのSモンスター1体を、召喚条件を無視してエクストラデッキから特殊召喚する!」

 

「な、なんだと!」

 

「俺はフィールドのレベル9【琰魔竜 レッド・デーモン・アビス】に、レベル3となっているシンクロチューナー【アクセル・シンクロン】をチューニング!古の天空を彩る星々よ!!神雨となりて世界を祓え!!シンクロ召喚!!レベル12超来迎!!【聖珖神竜 スターダスト・シフル】!!!」

 

幾多の翼を織り成す白く輝くドラゴンが姿を現す。

聖珖神竜 スターダスト・シフル ★12 ATK4000

 

「攻撃力4000!?バトルフェイズ中にレベル12のモンスターを特殊召喚するだと!?なんて奴だ!」

 

「でも、綺麗なモンスターね…」

 

「バトル!【聖珖神竜 スターダスト・シフル】でダイレクトアタック!シューティング・ノヴァ・ブラスト!!」

 

「あぁぁぁぁぁっ!」

グロリア&グレース LP3200 → 0

 

 

 

 

「「「「対戦、ありがとうございました」」」」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「今回は完敗だ。上には上がいるということか」

 

「私たちもまだまだってことね、グロリア姉さん」

 

タイラー姉妹はデュエル前に比べて少し角が取れたような表情をしていた。もう少し怒ったり悔しがったりするかと思ったんだけどな。

 

「いいデュエルだったな!また今度会ったらタッグデュエルしよう!」

 

「あぁ、今度は私たちが勝ってやるさ」

 

そういって俺達はタイラー姉妹と握手をした。コナミのコミュ力の高さは本当に頼りになるな。俺だけだとここまで会話が続かないだろう。

 

「ここで会ったのも何かと縁だということで、お二人にこのカードを上げます」

 

「あら?アマゾネスのサポートカードね。見たことないカードもあるわね…いいの?」

 

「えぇ。これからプロを目指すお二人にささやかながらのプレゼントです。お二人のプロリーグでのタッグデュエルに役立てて下さい」

 

「ふむ、そういうことであればその善意と共に受け取っておこう」

 

せっかく出会ったので、まだ彼女たちがもっていなさそうなアマゾネスのカードをいくつか渡しておいた。

 

「では、さらばだ強者たちよ。私たちのプロリーグでの試合、楽しみにしているといい」

 

「じゃあね、クロト、コナミ。また今度、綺麗なモンスターを見せてね?」

 

「おー、またなー」

 

「はい。お二人もお気をつけて」

 

そういって、彼女たちとは別れた。一応、連絡先も交換しておいた。念のためな。

 

デュエルを終えて話してみた感じだと、デュエル中は強気な性格になりがちだけど、普段の彼女たちはアークファイブ原作とは違ってそこまで好戦的と言うわけではなさそうだ。

 

一般常識もちゃんと持っているし、娯楽にも多少触れてはいるようだから、エンタメ堕ちすることはなさそうだ。

 

ちなみに、アークファイブ原作でアカデミア軍の総司令補佐だった野呂は、彼女たちの親戚になっているらしい。なんでも彼女たちがタッグデュエルのプロリーグに参加することになったらマネージャーをやらされるらしい。大変だなー。

 

「じゃあ、帰るか」

 

「おっ、そうだな。帰りにドローパンを買って帰ろう」

 

「会場の売店に売っていたらな」

 

タイラー姉妹との邂逅も終わり、のんびり帰途につく俺達。正直、この時点では俺は今回のやらかし具合に一切気付いていなかった…。

 

 

 

~~~

 

 

 

<ZONE視点>

 

なかなかの広さを誇るドーム状の建物の一室、彼はその一室にいる友人の様子がおかしいことに気付いた。

 

「おや?どうしたんですかアンチノミー?そんなモニターを見つめて…これは、過去の世界の召喚反応をサーチしている端末の映像ですね」

 

宙に浮く卵のような装置に乗りながら、モニター画面を食い入るように見つめる青い髪の男に話しかける。

 

「ZONEか。いや、この数値を見てくれ。これをどう思う?」

 

「…ほう、かなり強いシンクロの召喚反応ですね」

 

「あぁ、そして更にそのすぐあとにこれだ」

 

そうしてモニターに映る画面が切り替わったので目を凝らす。そこには一際大きな召喚反応とあり得ないはずの数値が表示されていた。

 

「…!?馬鹿な!この数値はアクセルシンクロとほぼ同等の数値ではないですか!」

 

「そうなんだ。そしてこの反応、どうやらゼロリバースが起こる20年以上前の時代で発生しているんだ」

 

「な!あり得るはずがありません!その時代では遊城十代が活躍し始める時代です。まだシンクロ召喚自体が生まれていないはずです!」

 

「そう、あり得ないんだ。一体、この時代に何が起きているのか…」

 

そういうと頭を抱えて考え出すアンチノミー。

 

「話は聞かせてもらったぞ二人とも」

 

そこに、全身機械の体の大男が部屋に入ってきた。こちらも姿は変われど自身の長年の友人だ。

 

「アポリアですか。どうですかその体は」

 

「素晴らしいな。この体なら君の役に立つことが出来そうだ。そして、その時は近いようだな」

 

そうしてアポリアはアンチノミーが凝視していたモニターに目を通し、厳しい表情を浮かべる。

 

「先ほどの話ですか。確かに不可解ではありますが、不動遊星やダークシグナー達の監視を緩めるわけにも行きません」

 

「そう言えば、パラドックスはどうしたんだい?一緒じゃなかったの?」

 

「パラドックスは既に行動を開始した。過去に戻って歴戦のデュエリストからエースカードを奪い、デュエルモンスターズの生みの親、ペガサスの始末に向かうらしい」

 

「そうですか…。あの作戦は成功すれば破滅の未来を回避するために大きな影響を与えることが出来ますが、不安要素が多すぎて成功率が極端に低い。パラドックス、無事に戻ってきてください…」

 

私はここにはいない共通の友の姿を思い浮かべる。強力なカードを入手できるとはいえ、あの全盛期のデュエルキングが相手では心配だ…。

 

「話を戻そう、ZONE。この反応の発信源はボクがこの時代に向かって調査してこようと思う」

 

「いや、アンチノミーには不動遊星と接触する任務があったはずだ。ここは私が行こう」

 

「それを言うならアポリアにもネオ童実野シティでやることが多いはずだよ」

 

「…いえ、ここで二人のどちらかを向かわせられるほどの余裕はありません」

 

「ではどうする?このまま放置するには大きすぎる反応だ」

 

アポリアとアンチノミーは不思議そうにしているが、私には1つ考えがあった。

 

「少し前にゴーストの量産が完了したのは覚えていますね?その後、人間と全く見分けのつかないハイエンドモデルの個体を新たに何体か作りました」

 

「なるほど、そいつを調査に向かわせるのだな?」

 

「えぇ、調査して危険度が低そうであれば良し。高そうであれば貴方達に排除を頼むことになるかも知れません」

 

「わかったよ。ならこちらの調査も一緒に頼んでもいいかい?」

 

そういうとまた新たなモニターは新たな画面を映し出す。これは…。

 

「なんですか?…ふむ、微弱ですが融合でもシンクロでもない召喚反応がありますね」

 

「アンチノミー、なんだこれは?」

 

「わからないんだ。さっき偶然見つけたばかりなんだけど、先ほどの召喚反応の数年前から時々発生しているみたいで…」

 

「そうですね。そちらの調査も含めておきましょう。さぁ、二人とも。本来の任務に戻りましょうか」

 

「ええ」

 

「あぁ、そうだな」

 

二人を伴って、過去の監視している部屋の一つから移動する。過去に送る監視者を選別するために…。




コナミのデッキは【レッドデーモン】、クロトは【シンクロン】でした。

流石にアニメ版5Dsで使用したカードはあまり使わないようにしたところ、コナミが大暴れしてしまい、ほとんど一人で倒してしまいました。

そして、余裕が出てきたことにより魅せプレイと言う舐めプに走ったオリ主。この時代でアクセルシンクロ(もどき)は不味いですよね~。【フォーミュラ・シンクロン】使ってしまっていますからね~。

当然、未来組からのサーチに引っかかり、ロックオン間近になってしまいました。

原作シナリオが始まった際、コナミの周りにいるタッグフォースのモブ女子は、時代に合わせたキャラのみにしようと思っていましたが、未来組のあの子が出そうなので、シンクロ時代のピンクの悪魔も追加になりそうですね。

門無制限のこの時代、オリ主は全力で彼女から逃げるでしょう。

次回の更新は12/16(水) AM6:00予定です。

四季式様、attribute様、かまぼこ豆腐様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作5年前 各地奔走編2
第二十八話 ヘルカイザー亮(幼)


新章突入。

丸藤亮、二戦目です。

ただ、前回とはどうやら様子が違う様子…。


<アナザー視点>

 

小学校4年生最後の授業も終わり、春休みも明けて小学校5年生となったある日の休日。鈴木、佐藤、田中、田中妹は今日開催されているデュエル大会の中継を田中の家に集まって見ていた。

 

最近、彼の親が奮発して購入した40インチの液晶テレビの画面には、様々な戦士族シンクロモンスターを駆使して戦うコナミと、強力な機械族融合モンスターを繰り出す黒いコートに身を包む少年が激しい戦いを繰り広げていた。

 

「良しコナミ!そのダイレクトアタックが通ればお前が決勝戦進出だ!…!?なんだアレ!!」

 

「相手の選手がデッキからカードをばら撒いた!?」

 

「【パワー・ウォール】か。とんでもないカード効果だな」

 

コナミの【ギガンテック・ファイター】が相手選手の少年に直接攻撃を決める瞬間、相手の選手は伏せカードを発動してデッキのカードを何枚か空高く投げ放つ。

 

負けじとコナミは伏せカードの【バスター・モード】を発動して【ギガンテック・ファイター/バスター】で追撃を行うがライフを削りきれず、相手選手の少年が召喚した無数の首を持つ禍々しい機械竜に破壊され、このデュエルはコナミの負けに終わった。

 

「あ~、コナミは準決勝で敗退か~。惜しかったなぁ」

 

「1週間前のボク達みたいに予選敗退じゃなくて、ちゃんと本選に出場してる時点で凄いよ」

 

「ふっ、流石は我がライバル一人。そのくらいの実力は見せてもらわねば困るな」

 

「「田中も予選敗退だろ」」

 

自分の戦歴を棚に置き、変なポーズを決めながらコナミに偉そうなことを言っている田中に対し、鈴木と佐藤は呆れながらも指摘した。

 

一緒にソファーに座って観戦していた田中妹は、冷蔵庫に全員分の飲み物を取りに行ったようだ。

 

「それにしてもまたこの大会が開催されるとは思わなかったよな~」

 

「前回から大体4年くらいぶりだからね。この前の大会の盛り上がりを更に超えてきたね」

 

「うむ。この我の目をもってしても読めなかった!」

 

そう。今回の大会は以前クロトやコナミが住んでいる地域が開催した大規模なデュエル大会の第二回目なのである。もちろん、前回と同じく参加賞も貰えるので老若男女問わず多くの参加者が集った。

 

「見ろよこの【チューン・ウォリアー】と【大地の騎士ガイアナイト】を!これでオレもクロトやコナミたちみたいにシンクロ召喚が出来るぜ!」

 

「その【チューン・ウォリアー】は全員同じ配布でしょ。ボクも【ナチュル・ガオドレイク】を貰ったよ」

 

「くくくっ!我も【スクラップ・デスデーモン】を授かったぞ!」

 

配布カードの選定は前回優勝者の仮面の少年が監修したらしいが、彼はシンクロ召喚を世に広めている自覚があるのだろうか。

 

「佐藤さん、お兄ちゃん、ポッチャリさん、そろそろ決勝戦が始まるけど、見なくていいの?」

 

「いい加減、オレのことをポッチャリさんと呼ぶのは止めてくれ!」

 

「はいはい。良いから早くテレビを見よう。対戦カードは、前回優勝者のハノイの騎士と、前回3位の機械竜の人だね」

 

「ハノイか…。それはともかく妹よ。何故に我よりも先に佐藤の名前を呼ぶ!お兄ちゃん許しませんよ!」

 

田中妹の一声により再びテレビの前に集まる少年たち。田中妹より飲み物を受け取った彼らが注視するその液晶テレビの画面には、3年越しのリベンジマッチが開始されようとしていた…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

前回優勝者と言うことでシード権を得ていた俺は、大会優勝者と最後に戦う1戦のみの為、大会会場の選手控室から対戦コートまでやってきていた。

 

ちなみに少し前に11歳になったぞ。コナミには勝てんが、精霊界での修行によって魔力も体力も筋力も同年代とは比較にならない強さだぞ。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

コナミと対戦コートに入り、対戦相手の黒いコートに身を包む怖い顔をした少年と対峙する。

 

「懐かしいな丸藤亮。随分と様子が変わったようだな?」

 

「ハノイの騎士!今度こそオレが勝たせてもらうぞ!」

 

どうみてもヘルカイザー亮です。どうもありがとうございました。…何で?

 

「どんな形でもいい、俺は勝ちたい…!オレは!勝利をリスペクトするぅぅぅぅ!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

 

「「 デュエル! 」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

ヘルカイザー亮 LP:4000

 

~~~

 

<ヘルカイザー亮 視点>

 

ハノイの騎士!今日こそ、その陰気な仮面に引導を渡してくれる!

 

「先攻はくれてやる!」

 

「では遠慮なく貰おう」

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【天使の施し】発動。デッキから3枚ドローして2枚を墓地に送る」

ハノイ 手札:5→8→6枚。

 

「私は手札から【クリッター】を召喚。そしてカードを4枚伏せる」

ハノイ 手札:1枚。

 

フィールドに三つ目の悪魔が姿を現す。

クリッター ★3 ATK1000

 

攻撃力1000のモンスターを攻撃表示だと?そして1ターン目に伏せカードが4枚。奴に限って【ハーピィの羽根箒】や【大嵐】を警戒していないはずはないが…。

 

「私は永続魔法【悪夢の蜃気楼】発動。相手のスタンバイフェイズ時に1度、自分の手札が4枚になるまでデッキからカードをドローする。この効果でドローした場合、次の自分のスタンバイフェイズ時に1度、ドローした枚数分だけ自分の手札をランダムに捨てる」

ハノイ 手札:0枚。

 

「これで私はターンエンド」

 

ハノイの騎士  LP4000、モンスター:1、伏せカード:4、永続魔法:1、手札:0

ヘルカイザー亮 LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5

 

「行くぞ!オレのターン、ドロー!スタンバイフェイズに移行!」

ヘルカイザー 手札:5→6枚。

 

「この瞬間、【悪夢の蜃気楼】の効果により私は自分の手札が4枚になるまでデッキからカード」

ハノイ 手札:0→4枚。

 

ちっ、不気味な立ち上がりだな。

 

「ふん、ではメインフェイズに移行!オレは手札から【大嵐】発動!お前のその邪魔な伏せカードを全て破壊してやる!」

ヘルカイザー 手札:5枚。

 

「では、その効果にチェーンして伏せカードの永続罠【王宮の勅命】発動。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の魔法カードの効果を無効にする。このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に700LPを払う。または、700LP払わずにこのカードを破壊する(エラッタ前テキスト)」

ハノイ 伏せカード:4→3、永続罠:1

 

チェーン② 王宮の勅命

チェーン① 大嵐

 

「【王宮の勅命】の効果により、【大嵐】は無効だ」

 

なるほどな。全ての魔法カードの効果を無効化とは、厄介なカードを使ってきたな。だが、舐めるなよ!

 

「ちっ、オレは手札から【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!更に、【融合呪印生物-光】を通常召喚!【融合呪印生物-光】効果発動!フィールドから自身と【サイバー・ドラゴン】をリリースしてEXデッキから【サイバー・ツイン・ドラゴン】を特殊召喚!」

ヘルカイザー 手札:3枚。

 

フィールドに2つ首の機械竜が姿を現す。

サイバー・ツイン・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「バトルだ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】で【クリッター】を攻撃!エヴォリューション・ツイン・バースト!!」

 

「この瞬間、伏せカード【死のデッキ破壊ウイルス】発動。自分フィールド上の攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。私はフィールドの【クリッター】をリリース。相手フィールド上のモンスター、相手の手札、相手のターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、攻撃力1500以上のモンスターを破壊する(エラッタ前テキスト)」

ハノイ モンスター:1→0、伏せカード:3→2、永続罠:1

 

「【死のデッキ破壊ウイルス】だとぉ!?」

 

ウィルスカードはあの【真紅眼の黒竜】などと並ぶ超レアカード!まさかオレよりも若そうな奴が持っているとは…!

 

「【死のデッキ破壊ウイルス】の効果によりフィールドの【サイバー・ツイン・ドラゴン】、手札の【サイバー・ドラゴン】は破壊される」

 

「ぐぅぅっ!ハノイィィィ!」

ヘルカイザー モンスター:1→0、手札:3→2枚。

 

くっ!【サイバー・ツイン・ドラゴン】をやられただけでなく、手札をピーピングされた上にモンスターを破壊された!やってくれる!

 

「更に墓地に送られた【クリッター】の効果により、私はデッキから【異次元の女戦士】を手札に加える」

ハノイ 手札:4→5

 

「っ!メインフェイズ2に移行!カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

ヘルカイザー 手札:2→0枚。

 

奴にはこの伏せカードは既に筒抜けだ。どう仕掛けてくる…!

 

ハノイの騎士  LP4000、モンスター:0、伏せカード:2、永続魔法:1、永続罠:1、手札:5

ヘルカイザー亮 LP4000、モンスター:0、伏せカード:2、手札:0、◆死のデッキ破壊ターン:1

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「【王宮の勅命】により、【悪夢の蜃気楼】の手札を捨てる効果は無効化。そしてその後に私は【王宮の勅命】の維持コストを払わずに破壊、そのままメインフェイズへ移行」

ハノイ 永続罠:1→0

 

そういうことか。奴らしい狡猾な手口だ。

 

「私は手札から【サンダー・ドラゴン】を捨てて効果発動。デッキから【サンダー・ドラゴン】2体を手札に加える」

ハノイ 手札:5→7枚。

 

「私は手札から【沼地の魔神王】を捨てて効果発動。デッキから【融合】を手札に加えてそのまま魔法カード【融合】発動。【サンダー・ドラゴン】2体を融合して【双頭の雷龍】を融合召喚」

ハノイ 手札:4枚。

 

周囲に電撃をまき散らす、赤めの体を持ち、頭の後ろにもう一つの口がある異形の雷獣が現れる。

双頭の雷龍 ★7 ATK2800

 

最上級モンスターを出してきたか、だがまだ行ける!

 

「私は【ホルスの黒炎竜LV4】を通常召喚。更に手札から通常魔法【レベルアップ!】発動。フィールド上に表側表示で存在する「LV」を持つモンスター1体を墓地へ送り発動する。そのカードに記されているモンスターを、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する。私は【ホルスの黒炎竜LV4】を墓地に送り、デッキから【ホルスの黒炎竜LV6】を特殊召喚」

ハノイ 手札:2枚。

 

鳥のような頭と体を持つ白きドラゴンが姿を現す。

ホルスの黒炎竜LV6 ★6 ATK2300

 

「このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法の効果を受けない。このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜 LV8」1体を手札またはデッキから特殊召喚する」

 

LVモンスター!?しかも【ホルスの黒炎竜】だと!?LV8まで上がるとこちらの魔法カードの発動を無効にし破壊するモンスター!くっ!奴はこちらの魔法カードを封殺するつもりか!

 

「バトルフェイズに移行。【双頭の雷龍】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!【パワー・ウォール】発動!自分への戦闘ダメージが0になるように500ダメージにつき1枚、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る!【双頭の雷龍】の攻撃力は2800!よってオレはデッキからカードを6枚墓地に送る!」

 

「更に【ホルスの黒炎竜LV6】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!【ガード・ブロック】発動!自分への戦闘ダメージを0して、デッキからカードを1枚ドローする!」

ヘルカイザー亮 手札:0→1

 

「【死のデッキ破壊ウィルス】の効果により、ドローしたカードを確認させてもらおう…ドローしたカードは【強欲な壺】か。確認した」

 

ウィルスカードのピーピング効果が厄介すぎる!

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

ハノイの騎士  LP4000、モンスター:2、伏せカード:4、永続魔法:1、手札:0

ヘルカイザー亮 LP4000、モンスター:0、伏せカード:2、手札:1、◆死のデッキ破壊ターン:2

 

「行くぞ!オレのターン、ドロー!…ドローしたカードは【リミッター解除】だ。スタンバイフェイズに移行!」

ヘルカイザー 手札:1→2枚。

 

「この瞬間、【悪夢の蜃気楼】の効果により私は自分の手札が4枚になるまでデッキからカード」

ハノイ 手札:0→4枚。

 

さっきからなんだあのカードは!毎ターン4ドローだと!?

 

「メインフェイズに移行!オレは手札から【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドロー!…ドローしたカードは【オーバーロード・フュージョン】と【サイバーダーク・インパクト!】だ」

ヘルカイザー 手札:1→3枚。

 

「この瞬間、伏せカード【マインドクラッシュ】発動。カード名を1つ宣言して発動でき、宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる。宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚選んで捨てる。私は【オーバーロード・フュージョン】を宣言」

ハノイ 伏せカード:4→3

 

「…【オーバーロード・フュージョン】を墓地に送る」

ヘルカイザー 手札:3→2枚。

 

またあのカードか!ピーピングした後だと確定ハンデスではないか!だが、【サイバーダーク・インパクト!】はまだ残っているぞ!そして、先ほどの【パワー・ウォール】で発動条件は整っている!

 

「オレは手札から【サイバーダーク・インパクト!】発動!自分の手札・フィールド・墓地から、「サイバー・ダーク・ホーン」「サイバー・ダーク・エッジ」「サイバー・ダーク・キール」を1枚ずつ持ち主のデッキに戻し、【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】1体をEXデッキから融合召喚する!EXデッキから呼び出されるモンスターはウィルスの効果の影響外だ!」

ヘルカイザー 手札:1枚。

 

無数の刃が付いた黒い鎧を纏うようなドラゴンが姿を現す。

鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン ★8 ATK1000

 

「このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のドラゴン族モンスター1体を対象として発動する。そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分、及び自分の墓地のモンスターの数×100アップする!更に、このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する! 」

 

「ほぅ…」

 

「効果により自分の墓地の【比翼レンリン】を装備!この攻撃力1500分の攻撃力アップ!更に自分の墓地のモンスターの数は5体!よって攻撃力500アップ!」

鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン ★8 ATK1000 → 2500 → 3000

 

「【比翼レンリン】…。確かそのモンスターの効果は…」

 

「そう!【比翼レンリン】はユニオンモンスター!装備モンスターの元々の攻撃力は1000になり、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる!」

 

「そして、【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】は元々攻撃力が1000、自身の効果により強化された攻撃力3000の2回攻撃というわけか」

 

「その通りだ!バトル!【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】で【ホルスの黒炎竜LV6】に攻撃!フル・ダークネス・バースト!!」

 

「この瞬間、伏せカード【魔法の筒】発動。相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを相手に与える」

ハノイ 伏せカード:3→2

 

「何ぃ!ぐわぁぁぁぁっ!」

ヘルカイザー亮 LP4000 → 1000

 

おのれぇ!嫌な予感がして手札の【リミッター解除】は温存しておいて九死に一生を得たか…。

 

「だが、まだもう一撃ある!【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】で【ホルスの黒炎竜LV6】に攻撃!フル・ダークネス・バースト!!」

 

鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン ATK3000

ホルスの黒炎竜LV6 ATK2300

 

鎧黒竜は黒炎竜の炎をものともせず、鎧黒竜の返しの一撃で黒炎竜は地表に落下した。

 

「くっ…」

ハノイの騎士  LP4000 → 3300

 

良し!これでいい!これで奴の魔法封じは防げた!

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

「エンドフェイズに伏せていた速攻魔法【非常食】発動。このカード以外の自分フィールドの魔法・罠カードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。自分はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードの数×1000LP回復する。私はコストに【悪夢の蜃気楼】を墓地に送る」

ハノイの騎士  LP3300 → 4300、伏せカード:2→1、永続魔法:1→0

 

【悪夢の蜃気楼】のデメリット効果を発動させない為か。良く思いつくものだ。

 

ハノイの騎士  LP4300、モンスター:1、伏せカード:1、手札:4

ヘルカイザー亮 LP1000、モンスター:1、伏せカード:1、手札:0、◆死のデッキ破壊ターン:2

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「私は手札より速攻魔法【ツインツイスター】発動。手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。そちらの伏せカードと装備カードとなっている【比翼レンリン】を破壊する」

ハノイ 手札:3枚。

 

「っ!それにチェーンしてリバースカードオープン!【リミッター解除】発動!自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる!この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される!」

 

チェーン② リミッター解除

チェーン① ツインツイスター

 

ヘルカイザー亮 伏せカード:1→0

鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン ATK3000 → 1500 → 3000

 

ぐっ、リミッター解除を使わされてしまったか。

 

「私は手札より【同族感染ウィルス】召喚」

ハノイ 手札:2枚。

 

何かの病気に苦しむような様子の魚人たちが姿を現す。

同族感染ウィルス ★4 ATK1600

 

「【同族感染ウィルス】の効果発動。手札を1枚捨て、種族を1つ宣言して発動できる。フィールドの宣言した種族のモンスターを全て破壊する。宣言する種族は『機械族』」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

「ちっ!サイバー・ダークが破壊されたか!」

ヘルカイザー亮 モンスター:1→0

 

「バトルフェイズに移行。【双頭の雷龍】でダイレクトアタック」

 

「墓地の【超電磁タートル】を除外して効果発動!相手バトルフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。そのバトルフェイズを終了する!」

 

【パワー・ウォール】でデッキから墓地に送られて居なければ敗北していた…。いや、奴は【パワー・ウォール】で墓地に送られたカードを確認していた。【超電磁タートル】を使わされたというわけか。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

ハノイの騎士  LP4300、モンスター:2、伏せカード:1、手札:1

ヘルカイザー亮 LP1000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:0、◆死のデッキ破壊ターン:3

 

前回のデュエルよりも遥かに状況が悪い。手札、フィールドにカードは無く、死のデッキ破壊ウィルスにより攻撃力1500以上のモンスターを引けば敗北は必至…。…だが!負けたくないんだ!

 

「オレは飢えている!渇いている!勝利に!お前の懐にある勝利を奪い取ってでも!オレは!!!」

 

「ならば、次のドローでこの状況を一変させてみるがいい」

 

「行くぞ!オレのターン!ドロォォォー!!…ドローしたカードは【天使の施し】だ!スタンバイフェイズに移行!」

ヘルカイザー 手札:0→1枚。

 

「メインフェイズに移行!オレは手札から【天使の施し】発動!デッキからカードを3枚ドロー!…ドローしたカードは【貪欲な壺】と【ヘル・ドラゴン】と【ボマー・ドラゴン】だ。そして2枚墓地に送る!」

ヘルカイザー 手札:0→3→1枚。

 

「オレは手札から【貪欲な壺】発動!墓地からモンスターを5枚戻し、その後デッキから2枚ドロー!…ドローしたカードは【未来融合-フューチャー・フュージョン】と【オーバーロード・フュージョン】!」

ヘルカイザー 手札:0→2枚。

 

<ヘルカイザー亮が墓地からデッキに戻したカード>

①サイバー・ドラゴン

②サイバー・ドラゴン

③サイバー・ドラゴン

④サイバー・ツイン・ドラゴン → 融合モンスターなのでEXデッキに戻る

⑤鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン → 融合モンスターなのでEXデッキに戻る

 

「っ!まさかこの土壇場でその2枚を引き当てるとはな!」

 

「このターンでケリを付けてやるぞ!オレは【未来融合-フューチャー・フュージョン】発動ぉぉぉ!オレのEXデッキから【キメラテック・オーバー・ドラゴン】を見せ、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る!発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚する!(エラッタ前テキスト)」

ヘルカイザー 手札:1枚、永続魔法:1。

 

「だが、そのカードでの融合召喚は発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時だ」

 

「お前はこの後の展開に気付いているはずだ!白々しいぞ!【キメラテック・オーバー・ドラゴン】の融合素材は【サイバー・ドラゴン】と【機械族モンスター1体以上】!オレは融合素材としてデッキに眠るサイバー・ドラゴンと全ての機械族モンスターを墓地に送る!」

 

<ヘルカイザー亮がデッキから墓地に送ったカード 20枚>

①サイバー・ドラゴン×3

②サイバー・ダーク・エッジ×3

③サイバー・ダーク・キール×3

④サイバー・ダーク・ホーン×3

⑤サイバー・フェニックス

⑥サイバー・ジラフ

⑦サイバー・ヴァリー

⑧サイバー・ウロボロス

⑨プロト・サイバー・ドラゴン×3

⑩アーマード・サイバーン

 

「オレは手札から【オーバーロード・フュージョン】発動!!自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し!その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!オレは融合素材として墓地の全ての機械族を除外!出でよ!【キメラテック・オーバー・ドラゴン】!!」

ヘルカイザー 手札:0枚、永続魔法:1。

 

フィールドの数多の頭と首を持つ異形の機械竜が出現した。

キメラテック・オーバー・ドラゴン ★9 ATK?

 

「【キメラテック・オーバー・ドラゴン】の効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを全て墓地へ送る!このカードの元々の攻撃力・守備力は、このカードの融合素材としたモンスターの数×800ポイントになる。このカードは融合素材としたモンスターの数だけ相手モンスターを攻撃できる!融合素材モンスターの数は20!よって…【キメラテック・オーバー・ドラゴン】の攻撃力は16000だ!」

 

ヘルカイザー 永続魔法:1→0。

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK?→ 800×20 → 16000

 

「バトルだ!【キメラテック・オーバー・ドラゴン】で【同族感染ウィルス】に攻撃!エヴォリューション・レザルト・バースト!ニジュウレンダァ!!」

 

「私は伏せていた【ガード・ブロック】発動!自分への戦闘ダメージを0して、デッキからカードを1枚ドローする!」

 

「だがモンスターは破壊される!消えろ!ウィルスがぁ!!」

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK16000

同族感染ウィルス ATK1600

 

同族感染ウィルスが何かする間もなく、キメラテック・オーバー・ドラゴンから放たれる20本の光の奔流が辺りを包み込み、光が収まった頃にはそこになにも存在しなかった。

 

ハノイの騎士  モンスター:2→1、伏せカード:1→0、手札:1→2

 

「まだだ!【キメラテック・オーバー・ドラゴン】は融合素材としたモンスターの数だけ相手モンスターを攻撃できる!言っただろ、このターンでケリをつけると!オレは!勝ぁつ!!【キメラテック・オーバー・ドラゴン】で【双頭の雷龍】に攻撃!エヴォリューション・レザルト・バースト!ニジュウレンダァ!!」

 

「私は手札より【クリボー】を墓地に送り効果発動!相手モンスターが攻撃した場合、そのダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」

ハノイの騎士  手札:2→1

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK16000

双頭の雷龍 ATK2800

 

双頭の雷龍の抵抗も虚しく、キメラテック・オーバー・ドラゴンから放たれる20本の光の奔流が辺りを包み込み、光が収まった頃にはそこになにも存在しなかった。

 

ハノイの騎士  モンスター:1→0

 

「またお前かクリボォォォォォォォォォ!!」

 

「私のフィールドにもうモンスターは居ない。もう攻撃を続行することはできまい」

 

「くっ!オレはこれでターンエンドだ!」

 

「このターンのエンドフェイズに【死のデッキ破壊ウィルス】の効果は切れる」

 

ハノイの騎士  LP4300、モンスター:0、伏せカード:0、手札:1

ヘルカイザー亮 LP1000、モンスター:1、伏せカード:0、手札:0

 

オレのフィールドには攻撃力16000のキメラテック・オーバー・ドラゴン、奴のフィールドにはカードは無く、あるのは手札が1枚のみ、次のドローでも2枚だ。オレへのウィルス効果も切れた。オレが有利のはずだ。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行。墓地の【黄泉ガエル】の効果発動。このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「黄泉ガエル」が存在しない場合、自分スタンバイフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果は自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動と処理ができる」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

あれは、最初のターンに【天使の施し】で墓地に送っていたモンスターだろうか。そしてあの程度のモンスターではキメラテック・オーバー・ドラゴンには及ばない。

 

「そして、メインフェイズへ移行」

 

だが、何故に奴はああも落ち着いていられる?負けるのが怖くないのか?勝ちたいと思っていないのか?オレには、奴が何を考えているのかがわからない…。

 

「私の考えていることが分からない…そのような顔をしているな?」

 

「なに?」

 

「分かるはずがないだろう。私とお前は他人だ。以前のお前ならまだしも、今のお前では分かるまいよ」

 

「…何を言っている?」

 

「今のお前のデュエルは、独り善がりだ」

 

「!?」

 

「終わりにしよう。自分の墓地の光属性【異次元の女戦士】と闇属性モンスター【クリッター】を1体ずつゲームから除外して、【混沌帝龍-終焉の使者】を特殊召喚する」

 

「カ、カオス・エンペラー・ドラゴン…!?まさか、あの海馬瀬人が使用したという超レアカード!?」

 

「【混沌帝龍-終焉の使者】の効果発動!1000LPを払う事で、お互いの手札とフィールド上に存在する全てのカードを墓地に送る。この効果で墓地に送ったカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える!(エラッタ前テキスト)」

ハノイ LP:4300 → 3300

 

「オレと奴の手札とフィールドのカードの合計は…」

 

「お前のキメラテック・オーバー・ドラゴン、私の手札1枚、フィールドの【混沌帝龍-終焉の使者】と…先ほど現れた【黄泉ガエル】で4枚」

 

「!?」

 

「合計で1200のLPダメージを受けろ!セメタリー・オブ・ファイヤー!!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!!」

ヘルカイザー亮 LP1000 → 0

 

 

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「負けた…?オレが、負けた…」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

試合も無事に勝利で終わり、俺は会場の選手控室にて帰宅準備をしていた。帰宅準備とはいっても元々大したものは持ってきていない。せいぜいデッキとハノイの衣装を仕舞うキャリーケースくらいだ。

 

いやぁ危なかったなぁ。魔法にメタ張って、罠でウィルス仕掛けて、混沌帝龍まで使って結構ギリギリの戦いだった。まさかヘルカイザー化してるとは思わなかったから、普通のサイバー流対策のデッキで挑んだらあの様よ。デュエルの腕はまるで成長していない。

 

今回勝てたのは、デュエルの途中から彼が精神的に不安定だったことが大きい。こちらが墓地に落としたカードの確認や、こちらが伏せカードガン伏せ状態から平然と攻撃を仕掛けてくるし。

 

原作アニメでも【酸のラスト・マシン・ウィルス】なんてアニオリのメタカード使われてヘルカイザー化してたよな。ウィルスカードに弱いのかな?いや、普通に誰でも嫌だな。

 

 

そんなことを考えていると、選手控室の扉がノックされた。誰だ?

 

「ハノイの騎士、オレだ。丸藤亮だ。少し話をしたいのだが、いいだろうか?」

 

ヘルカイザー?なんで?…話があるねぇ。

 

「あぁ、構わない。入るといい」

 

そう返すと、選手控室の扉が開かれて先ほどまでデュエルしていたヘルカイザーこと丸藤亮が姿を見せる。なんだか少し、顔色が良くなった気がする。そしてその顔は少しずつ困惑の表情になっていった。…何で?

 

「ハノイの騎士、…でいいのだろうか?」

 

「何を………あっ」

 

やっべ、衣装はそのままで、フードと仮面外してたわ。あーあ、またバレた。仕方ない、切り替えていこう。

 

「あー、そうです。俺がハノイの騎士こと白河クロトと言います。それで、丸藤さん。話とは?」

 

「あ、あぁ。話とは先ほどのデュエルで最後にお前が言ったことだ」

 

何か言ったっけ?………あぁ、あれか。なんか会話したそうな顔をしていたから、デュエル中にしそうなそれっぽい会話をしてみただけなんだけど…。

 

「アレがどうかしたんですか?」

 

「『お前のデュエルは独り善がりだ』、その言葉を少し考えてみた。確かに今回のデュエル、オレは自分のデッキを回すことばかりを考えて、相手のことをよく見ていなかったと思う」

 

「そうですね」

 

今更だが、めっちゃ偉そうなこと言ってるな俺。

 

「鮫島師範から教わった『相手をリスペクトするデュエル』、それは4年前のあのデュエルで疑惑に変わった。勝敗に拘らない、相手の全力を出し切ってもらうデュエル。オレの目指したものはそれだったのか?と」

 

「…」

 

なんだか難しい話になってきたな…。12~13歳でこんな難しいこと考えて生きている人もいるんですねえ。

 

「4年前も今回のデュエルも、ハノイの騎士は『相手に何もさせずに倒す』デュエルを仕掛けてきた。そして分かった。オレは、相手の全力を出しあいたいだけではなく、その上で勝ちたいのだと」

 

「勝負する上で、勝ちたいと思うことなんて当たり前でしょう」

 

そもそも相手に全力を出させるってどういうことなんだ?野球なら投手陣は全部ど真ん中に投げろってことか?それ面白いか?フェイントや搦め手含めて戦術っていうんじゃない?

 

「そう、当たり前なんだ。そんな当たり前のことすらオレは分かっていなかった」

 

「…つまり、何が言いたいんです?」

 

「オレはまだまだ道半ばってことだ。原点に戻ってリスペクトデュエルを目指すのか、それともやはり勝利に拘るのか、それともそれ以外の道か…それを探していこうと思う」

 

「はぁ…」

 

「だから、オレが言いたいのは…ありがとうハノイの騎士。いや、白河クロト。オレに当たり前を気付かせてくれて、オレに改めて考える機会をくれてありがとう」

 

「えっと、どういたしまして?」

 

ヤバい。頭の良いクソ真面目な人がよく分からないことを言ってる。極端なんだよなぁ。デュエルは楽しい。でも負けたら悔しい。やるからには勝ちたい。それだけでいいと思うよ?あ、闇のゲームだけは死にたくないので全力でつぶしに行くけどさ。

 

「それだけだ。邪魔をしたな。…あぁそうだ。実はオレは今年の春からデュエルアカデミアに通っているんだ。今日はこの大会の為に特別に学園に都合を付けて貰ってきていたんだ。再来年度、お前が入学してくれて再会出来たら嬉しく思う」

 

やっぱり丸藤亮もこのタイミングで入学しているんだな。天上院吹雪と同タイミング。俺は再来年度も入学するつもりはないし、セブンスターズ編も原作の流れは変わら無さそうだなぁ。

 

そして丸藤亮は、そう言い残して閉じていた控室の扉を開こうとした瞬間…。

 

「こっちから亮様の声が!亮様~ここですか~!」

 

「レイ?」

 

扉から5~6歳くらいの小さな女の子が飛び込んで丸藤亮に抱き着く。ちっ、おいおい、そういうのは他所でやってくれよな~。

 

「良かった。見つけましたよ亮様!…あれ?こちらの方は…ハノイの騎士さんですか?」

 

はーあ、またバレた。あの子は多分、丸藤亮の追っかけの自称恋する乙女の早乙女レイちゃんだろうな。

 

「白河、すまん」

 

「いえ、良いですよ別に」

 

丸藤亮が謝ってくる。ここまでバレたらもう彼らには隠すは必要ないだろう。

 

「こんにちわ。ハノイの騎士こと白河クロトだ」

 

「こ、こんにちわ!亮様の恋人候補の早乙女レイです!」

 

「レイ…だからオレは…」

 

「何がダメなんですか?年齢なら時が解決してくれます!私の想いを受け取ってください!」

 

目にハートを浮かべてそうな表情のレイちゃんに迫られて、丸藤亮が困った顔でこちらを見てくる…。もうヘルカイザーじゃなくて普通の丸藤亮だな。仕方ない。助け舟を出してみるか。

 

「レイちゃん。彼はデュエリストだ。彼と恋人になりたいならデュエルで話し合わないといけないよ」

 

「白河!?」

 

「そうなんですか!?でも私、デッキ持っていないし…」

 

まだ恋する乙女デッキを持っていないのか。なら、あのデッキを渡しておくか。

 

「じゃあ、君にこのデッキを上げるよ。ラッキーカードだ、このデッキが君の元へ行きたがっているってね」

 

「このカードは…ライトロード?いいの?」

 

「いいのか白河?」

 

「いいですよ。俺は使いませんからね。レイちゃん…このデッキを使うかどうかは任せるけど、上手く想いを伝えられるといいね」

 

「はい!ありがとうございます、白河さん!…亮様!私、デュエリストになります!その時、改めて想いを伝えに来ますから!では、失礼します!」

 

そういって、部屋を飛び出していくレイちゃん。元気だねぇ。青春だねぇ。

 

「白河…」

 

「ま、いいんじゃないですか?デュエルの方が話しやすいでしょう?」

 

「それはそうだが…」

 

困った顔押してる丸藤。ふむ、そうだな。どうせ顔がバレてしまったのなら、彼にもサイバーのカードを渡しておくか。

 

「ところで丸藤さん」

 

「亮でいい。それで、なんだ白河?」

 

「じゃあ、亮さん。俺のこともクロトで良いですよ。貴方にもこれらのカードを渡しておきます。上手く使ってく下さい」

 

「オレにもカードをくれるのか?悪いな…こ、これは!サイバー流のカード!しかもオレの知らないカード!こんなカードが存在していたのか…!」

 

「サイバーのカードはサイバー流の人達が持っていることが多いですが、別にそれ以外の人が持っていないわけではないんですよ」

 

「しかし、これらは貴重なカードだろう。本当にいいのか?」

 

「えぇ、俺よりも亮さんの方が上手く使えるでしょう」

 

「何から何まで、本当にありがとうクロト。大事に使わせてもらう」

 

そういうと深々と頭を下げる丸藤亮。うわぁ、凄い優しそうないい笑顔。綺麗すぎる。クソ真面目すぎる。眩しすぎる。善意に惹かれて光堕ちしそうだ…。ヘルカイザーだった頃のお前は(ある意味)もっと輝いていたぞ!

 

 

そんな話をして、お互いの連絡先を交換した後、俺たちは分かれてそれぞれの帰途について行った…。




はい、今回はヘルカイザー亮こと【サイバー・ダーク】とのデュエルでした。

4年前に負けてから、時々負けるようになり、ヘルカイザー病を発症。原作アニメより相当早く鮫島師範をぶっ飛ばして裏サイバー流デッキこと【サイバー・ダーク】を入手しました。

対するオリ主は【カオス】です。ドローソースに禁止級カード【悪夢の蜃気楼】、ヘルカイザーの魔法封じに【王宮の勅命】と【ホルスの黒炎竜】、表サイバー対策に【死のデッキ破壊ウィルス】と【マインドクラッシュ】、と今回もなかなかメタ張ったにも関わらず結構際どいデュエルでした。オリ主くんさぁ…。

一部の人に大人気な早乙女レイちゃんも登場。と言うかこのあたりのタイミングで出しておかないとオリ主との接点を作るのが難しい娘でしたからね。主に年齢的に。5歳で【ライトロード】とか、周りの子供はきっと泣く。

ヘルカイザーは浄化しました。このままだとドM装置使って寿命を縮めそうですからね。ドM装置じゃなくて裏サイバー流を使うと寿命が短くなる?HAHAHA。そんなわけないでしょう。渡したカードはエクシーズ以外の表&裏サイバーカード全般。デュエルアカデミアで藤原が彼に勝てる要素が消し飛びました。

次回の更新は12/16(水) AM7:00予定です。

戦車様、四季式様、かまぼこ豆腐様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十九話 勲章おじさん

アークファイブの勲章おじさんとのデュエルです。

アニメオリジナルカードばかりな上に、初登場時に使ったカードがイマイチすぎて、今回はそんなに強くないです。


小学校5年生の夏休みも間近に迫った頃ある日の休日。今で約3年続けている精霊界での修行もある程度の成果が出始めていた。

 

「ふぅ…魔導波!」

 

言葉と共に黒い球体が出現し、人間サイズの岩の3割ほどを砕く。

 

「ふむ、なかなか腕を上げたようだ」

 

「威力も速度も悪くない感じ」

 

魔術の師と姉弟子がそれぞれの感想を述べる。

 

「更に…幻想の呪縛!」

 

半壊した岩の周囲に三角星の魔法陣が現れる。

 

「おぉ、とうとう拘束の魔術も習得したか」

 

「発動速度に少々難ありですが、効果はいい感じですね」

 

仕上げとばかりに少し時間をかけて魔力を高める。

 

「…魔連弾!」

 

先ほどの黒い球体が複数出現して岩に着弾していき、岩は粉々になった。

 

「うむ、問題なしだな」

 

「うん、クロトはちゃんと成長してる」

 

魔術の師と姉弟子がそれぞれの賛辞を送ってくれる、がそろそろバーが尽きてきた。

 

「ふぃ~。なんとか形にはなったかな?」

 

「あぁ、悪くない成果だ。それぞれ威力にはまだ難があるが、1年ほどでここまでの技術を身に着けられるとは思わなんだ」

 

「魔力視、魔力探査、魔力障壁、物質浮遊に関しては特に問題なかったし、少し頼りなかった魔導波もギリギリ実践レベルに達したと思う」

 

どの術も魔力の強さによって効果が変動するから、この2人のそれと比べれば児戯のようなものだが、どうやら見習いくらいには成れたらしい。

 

「あとは呪縛と連弾の発動速度の改善をしながら、今までの様に元々の魔力の研鑽を積んでいればよい」

 

「おめでとうクロト」

 

「ありがとう、師匠、姉弟子」

 

今までの修行で筋力や体力もついてきているし、これで多少のリアルファイトや闇のゲームにも対応できるだろう。なるべくしたくはないけど。

 

「では食事にするか。キラートマトがまだ余っていたはずだ」

 

「ならパスタがいいです」

 

「エジプト由来の精霊なのに、イタリアのパスタ料理なのか…」

 

約2年の魔力強化の修行と約1年の成果も確認出来て、少々浮かれながら師匠や姉弟子と一緒にゆるりとパスタを食べるのであった…。

 

~~~

 

そして数日後のデュエル大会に、俺はいつものようにハノイスタイルで大会に参加していた。あとはデュエルの腕を上げないとな~。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の男性と対峙した。顔には大きな火傷の痕が残っており、左目には眼帯を身につけていて…って、勲章おじさんじゃん…。

 

「私は戦士だ。勲章の数は戦士の栄誉の証!」

 

「よほど勲章が好きと見える」

 

確か勲章おじさんことバレットのデッキは【獣闘機】と言うアニオリデッキだったな。どちらかと言うとモンスターよりも勲章の名が付いた罠カードが危険だった気がする。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

バレット LP:4000

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

バレット 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【獣闘機融合装置】発動!1ターンに1度、自分の手札・フィールドから、「獣闘機」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。このカードが自分の魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分は通常召喚できない」

バレット 手札:5枚。

 

アニメオリジナルカードだったな。【融合】で良いだろって言いたくなるレベルのカードだな…。

 

 

「私は【獣闘機融合装置】の効果により、手札の【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】と【ダーク・センチネル】を融合!獰猛なる黒豹よ、聖なる闇の番人と交じり合いて、新たな雄叫びを上げよ!融合召喚!現れ出でよ!【獣闘機パンサー・プレデター】!」

バレット 手札:3枚。

 

左半分が機械化した豹戦士が姿を現す。

獣闘機パンサー・プレデター ★6 ATK1600

 

「【獣闘機パンサー・プレデター】の効果発動!1ターンに1度、このカードの攻撃力の半分のダメージを相手に与える事ができる!」

 

「っ!」

ハノイ LP:4000 → 3200

 

手札あれだけ使ってこの効果とか…堅実と言うかなんというか。やはり警戒すべきは勲章の罠カードの方だな。

 

「私ははカードを2枚伏せてターンエンド!」

バレット 手札:1枚。

 

ハノイ  LP3200、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5

バレット LP4000、モンスター:1、伏せカード:2、永続魔法:1、手札:1

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札より通常魔法【手札抹殺】発動。手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする」

 

「手札交換カードか、いいだろう」

ハノイ  手札:5→0→5

バレット 手札:1→0→1

 

向こうの墓地に落ちたのは【キャリア・センチネル】。アニメオリジナルカードのモンスターだな。効果は…獣戦士専用のエアーマンか、少し欲しいな。

 

「このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性【ブレイドナイト】と闇属性モンスター【霊滅術師 カイクウ】を1体ずつゲームから除外して、【カオス・ソーサラー】を特殊召喚する」

ハノイ  手札:4

 

「カオスモンスター!?」

 

黒いローブに身を包み、両手からそれぞれ光と闇の力を放つ魔術師が出現する。

カオス・ソーサラー ★6 ATK2300

 

「【カオス・ソーサラー】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。私が除外するのは当然【獣闘機パンサー・プレデター】」

 

「くっ、除外か!破壊されなければ『融合素材としたモンスター一組を自分の墓地から特殊召喚する』効果が使えない!」

 

バレット モンスター:1→0

 

「私は手札よりチューナーモンスター【ジェット・シンクロン】を通常召喚。レベル6【カオス・ソーサラー】にレベル1【ジェット・シンクロン】をチューニング。シンクロ召喚。レベル7【アーカナイト・マジシャン】!」

ハノイ  手札:3

 

白いローブに身を包む、緑の杖を持った魔術師が姿を現す。

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800

 

「【アーカナイト・マジシャン】効果発動。このカードがS召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを2つ置く。このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×1000アップする。自分フィールドの魔力カウンターを1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。私は魔力カウンターを2つ取り除き、そちらの伏せカード2枚を破壊する」

アーカナイト・マジシャン 魔力カウンター:0→2→0

 

「な、なにぃ!」

バレット 伏せカード:2→0

 

墓地に落ちたカードは【鉄盾の獣闘機勲章】【白刃の獣闘機勲章】。アニメオリジナルカードの勲章罠だが、そこまで強くないか。墓地発動できる防御カードは…無しか。勝ったな。

 

「私は手札を1枚墓地に送って墓地の【ジェット・シンクロン】の効果発動。自身を特殊召喚する。そして、レベル7【アーカナイト・マジシャン】にレベル1【ジェット・シンクロン】をチューニング。光と闇は表裏一体!!混沌の支配者よ!!その光と闇は暴なる力を曝せ!シンクロ召喚!レベル8【混沌魔龍 カオス・ルーラー】!!」

ハノイ  手札:2→1

 

黒い翼と黒い上半身、白い尻尾と白い下半身を持つドラゴンが姿を現す。

混沌魔龍 カオス・ルーラー ★8 ATK3000

 

この召喚口上を言わないといけない風潮、何とかならないかなぁ。OCG次元出身の身としては、恥ずかしいんだよなぁ。

 

「更なるカオスモンスターだと!?」

 

「【ジェット・シンクロン】は自身の効果により除外される」

 

それにしても、カオスモンスターだから一応入れておいたけど、カオス・ルーラーはやりすぎたかな~。

 

「【混沌魔龍 カオス・ルーラー】効果発動。このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを5枚めくる。その中から光・闇属性モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。残りのカードは墓地へ送る。私は【カオス・ソルジャー -開闢の使者】を手札に加える」

ハノイ  手札:1→2

 

「!?」

 

<ハノイが墓地に送ったカード>

①暗黒竜 コラプサーペント

②輝白竜 ワイバースター

③スケープ・ゴート

④突然変異

 

「このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性【輝白竜 ワイバースター】と闇属性モンスター【暗黒竜 コラプサーペント】を1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。…天地開闢!!光と闇の魂を生け贄に捧げ混沌(カオス)(フィールド)に降臨せよ!!伝説の最強戦士!!【カオス・ソルジャー -開闢の使者】!!」

ハノイ  手札:1

 

金と青の装飾が施された鎧に身を包み、剣と盾を構える混沌の戦士が姿を現す。

カオス・ソルジャー -開闢の使者 ★8 ATK3000

 

この召喚口上を考えた奴、正気かよ…。きっと田中みたいな奴だ…。言わないと空気読めないみたいだから言うけどさ、メチャクチャ恥ずかしい…。

 

「カオス・ソルジャー…」

 

「バトルフェイズに移行。【混沌魔龍 カオス・ルーラー】でダイレクトアタック!」

 

「うおぁぁぁぁっ!!」

バレット LP4000 → 1000

 

「トドメだ。【カオス・ソルジャー -開闢の使者】でダイレクトアタック!開闢双破斬!!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!!」

バレット LP1000 → 0

 

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

 

~~~

 

試合後、俺が会場の通路を歩いていると、後ろから先ほどの対戦相手であるバレットが声を掛けてきた。

 

「ハノイの騎士、先ほどは見事なデュエルだった。見上げたものだな。お前も勲章ものだ」

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

そういうと本当に何か立派な装飾が施されたメダルを手渡された。え、何これ?

 

「ハノイの騎士、そのデュエルの腕を見込んで頼みたいことがある」

 

「…内容にもよりますが」

 

この人はアニメのアークファイブで融合次元の侵略部隊であるオベリスクフォースの隊長を務めていた男だ。こちらの世界にはオベリスクフォースは無いと思うんだが、何の用だろうか?

 

「まずは、私の今の職場の名刺を渡しておこう。さぁ、受け取ってくれ」

 

「あっ、ハイ」

 

なになに…『葉月家執事兼ボディーガード バレット・メダルハーツ』。名前にも勲章入ってんよ~。…で、葉月家ってなんだ?

 

「そこに書いている通り、以前はとある警備会社に勤めていたのだが、今の私は葉月家の執事だ」

 

「えぇ、そうみたいですね」

 

「そこで、だ。お前のデュエルの腕を見込んで頼みたい。葉月家の一人娘、葉月セレナ様の家庭教師の任をな」

 

葉月…セレナ?バレットでセレナってことは、あのアークファイブのセレナか。あぁ、葉月ってそういう…。もしかして、紫キャベツ君も何からの形で関わっていたり…?

 

「私は家庭教師できるような年齢ではありませんし、家庭教師に向いた性格とも思えませんが…」

 

「いや、端的に言えば、セレナお嬢様とデュエルしてもらえればそれでいい。屋敷では一番強い私でも全く歯が立たなくてな。今回、大会に出た理由は強いデュエリストを探すことなのだ」

 

相変わらずのデュエル脳なんですねぇ。そして、相変わらずセレナ関連で苦労しているなバレット。アニメだとそこそこ仲が良さそうに見えたけど、今回もそんな感じかな?

 

「デュエルするだけでいいのであれば…いいですよ」

 

「本当か!助かるぞ!」

 

先ほどまでの戦士の顔と違い、子供を持つ親のような表情になるバレット。うん、どうやらいい関係を築けているみたいだな。

 

そう話が纏まったところで、お互いの連絡先を交換し、ついでにハノイの仮面を外して自己紹介を済ませておき、家庭教師に訪れる日を決めた後、それぞれの帰途についた…。

 

 

~~~

 

<???視点>

 

クロトがバレットから家庭教師の話を持ち掛けれらる数十分前、海外のとある倉庫内にて…。

 

「強力なシンクロ召喚反応…検知。場所…前回と同じく日本。…調査…開始」

 

とある人物が何らかの目的のために動き出していた…。




精霊界での修行により、どんどん逸般人へと成長していくオリ主。身体能力だけでもそろそろ満足同盟に追い付くくらいの性能になりつつあります。オカルトパワー対策の魔術もそこそこ充実してきているので、今でもユベルの謎パワーによる一撃分くらいならなんとか耐えられるくらいです。

いくらオリ主が【カオス】を使ったとはいえ、バレットの【獣闘機】デッキは、もう少しカードが追加されないと【鉄鎖の獣闘機勲章】と【紅鎖の獣闘機勲章】以外の使い道が思いつかないです。というかこの二つだけ凄く強いですよね。

柚子シリーズの一人、セレナさんは次回登場。ポジションは深窓の令嬢と言った感じですが、中身は…。

オリ主が調子に乗って強力なシンクロモンスターを使えば使うほど、未来組からの脅威は迫ってきます。あと二回くらい使えば居場所と素顔を特定されそうですね。

次回の更新は12/16(水) AM8:00予定です。

四季式様、Skazka Priskazka様、gsころりん様、paddy様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十話 セレナ

アークファイブのセレナ戦です。

デュエルアカデミアに監禁されておらず、ごく一般的な深窓の令嬢な彼女は現在どんな状態なのか…。

2021/6/14 誤記修正ついでに表記方法を最新のフォーマットに統一しました。


 小学校5年生の夏休み初日。孤児院のリビングで俺達は先日公開されたリミットレギュレーションを確認していた。

 

<禁止カード>

【強奪】 New!

【洗脳-ブレインコントロール】 New!

【蝶の短剣-エルマ】 New!

【生還の宝札】 New!

 

<制限カード>

【封印されしエクゾディア】 New!

【封印されし者の左足】 New!

【封印されし者の左腕】 New!

【封印されし者の右足】 New!

【封印されし者の右腕】 New!

【混沌帝龍-終焉の使者-】 New!

【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】 New!

【闇の仮面】 New!

【悪夢の蜃気楼】 New!

【未来融合-フューチャー・フュージョン】 New!

 

<エラッタ(OCG順守)>

【クリッター】 New!

【黒き森のウィッチ】 New!

 

「ようやくエクゾディアが封印されたか。これでしばらくは先攻エクゾディアを見なくて済みそうだ」

「クリッターとウィッチもフィールドから送られた場合のみになったな。それでも【苦渋の選択】が生き残ってる理由はわかんねーな」

「エルマと宝札も無事に収容されたみたいね。【闇の仮面】は何をしたのかしら?」

「【悪夢の蜃気楼】や【未来融合-フューチャー・フュージョン】は流石に危険度が伝わっただろうけど、【カオス】の封印が早いな…」

 

 コナミやユーゴ、リンはそれぞれ苦い思い出のあるカードが禁止カード指定にされたことに安堵しているようだ。

 カオス・ソルジャーに関してはアニメGXでも禁止指定を受けているカードだって三沢が発言していたし、元々目を付けられていたんだろう。だが制限ならまだ使えそうだな。

 

「さて、そろそろ行ってくる」

「家庭教師のバイトだっけ?お土産よろしく~」

「よろしく~」

「車に気を付けてね」

「りょ~かい~」

 

 コナミ達に一言声を掛けてから見送られてからリビングを出て玄関で靴を履いていると、休憩するために教会の方から孤児院へと移動してきたらしいシスターに声を掛けられた。

 

「葉月家のお屋敷に行くんでしょう?」

「あぁ、そうだよ」

「葉月家の当主と奥方は数年前から海外で仕事をしているらしくて、今住んでいるのは執事と使用人以外だと一人娘だったセレナお嬢様だけみたいよ」

「マジか、初耳なんだけど」

 

 バレットさん、そういう地雷発言になりそうな事情はは事前に教えておいて欲しかったよ。

 報連相って大事だと思わない?いや、彼と俺は別に上司と部下の関係じゃないけどね?

 

「セレナお嬢様とは一度会ったことがあるわ。気難しいけれど根は優しい娘さんよ。寂しくしているだろうから仲良くしてあげてね?」

「あ~、善処はするよ」

 

 仲良くねぇ。俺ってそんなにコミニュケーション能力は高くないから自信ないぞ…。

 いきなり大きく上がったハードルに内心溜息をつきながら、リュックを背負って葉月家のお屋敷へと徒歩で向かった。

 

~~~

 

 炎天下の中を孤児院から徒歩15分ほど歩いて葉月家のお屋敷に辿り着いた。暑い…早く中に入れてくれ。

 通っている小学校がいくつか入りそうな広さの敷地を持つその屋敷の門の前には、直立不動のバレットが居た。

 真夏の炎天下委の下で棒立ちとか、熱射病にならないのかな?

 

「おぉ、クロトか。待っていたぞ。よく来てくれたな。さぁ、中に入ってくれ」

「はい、お邪魔しま~す」

 

 門を潜ってから約5分ほど歩いた先に、これまた通っている小学校とほぼ変わらないくらいのお屋敷に着いた。

 今更だが、狭い島国の日本にこんな家が存在しているのが驚きだ。まるでアニメやゲームだな。あっ、そう言う世界だったわここ。

 

「おや、バレットさん。お疲れ様です…そちらの少年は?」

「お疲れ様だ、メイド長。彼は白河クロト。今回、お嬢様の家庭教師役として屋敷に招いたのだ」

「あぁ…なるほど…」

「は、初めまして。白河クロトです」

 

 屋敷に入ると、バレットさんがメイド服を着た高齢の女性と話していた。この玄関を掃除していたこの屋敷のメイド長らしい。

 なにやら鋭い視線を送られたのでとりあえず挨拶と会釈だけしておいた。対応はこれであっているのだろうか?

 

「セレナお嬢様なら今は自室にいらっしゃいます」

「ふむ?お嬢様が部屋から抜け出していないとは珍しいこともあるものだな」

「いえ、先ほどまで抜け出していたので先ほど私が捕まえて部屋に連れ戻しておきました」

 

 この世界のセレナもなかなかアグレッシブな性格の様だ。アニメArc-Vだと次元を超えて脱走したりしていたよな。

 玄関から見えていたアーチ状の階段を上ってからまた数分ほど歩いていると、他の部屋より少し大きめな扉が見えてきた。その扉には『控えろバレット』と殴り書かれた紙が貼り付けてある。

 危うく吹きそうになったぞ。こちらの腹筋への先制攻撃は止めて欲しいな。

 

「セレナお嬢様、バレットです」

「控えろバレット。私は今忙しい」

「先日お話しした家庭教師を連れて参りました」

「…ふむ、そうか。なら入っていいぞ」

 

 話が終わってバレットにより部屋の扉が開かれると、そこには黄色のリボンで長い青紫の髪をポニーテールにした黒いTシャツに白い短パン、その上に赤いジャケットを着たセレナお嬢様と思われる少女が、何故か腕を組んで仁王立ちしていた。

 少々幼さがあるがまんまアニメArc-Vのセレナだな。

 

「よく来たな、白河クロトとやら!わざわざ遠くから私に叩きのめされに来たらしいな!」

「初めまして葉月セレナ様。白河クロトと申します」

 

 こちらへ人差し指を向け、いきなり叩きのめす宣言を繰り出すセレナに対し、俺は大人の対応を返して見せた。子供相手に大人げない挨拶はしないんだぜ。

 俺達が挨拶を交わす頃にはいつの間にかバレットはセレナの部屋から退出していた。控えたなバレット。

 

「ふん、敬語は止せ。様付けもやめろ。お前の方が年上だろう」

「じゃあ、そうさせてもらおうかな、セレナ」

 

 セレナ本人から許可が出たのでため口で話すことにした。一応、家庭教師となるらしいが同年代に敬語とかモヤモヤするから助かるわ。

 そして、俺がそう言い終わる頃には、セレナは口元を楽しそうに歪ませながらデュエルディスクを構えていた。う~ん、この脳筋。

 

「ふふっ、これ以上の能書きは良い。あとはお前のデュエルで語れ!」

「実に分かりやすくていいな。それでは、対戦、よろしくお願いいたします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆クロト LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆セレナ LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

セレナ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【月光黒羊】を墓地に送って効果発動!デッキから【融合】1枚を手札に加える」

セレナ 手札:6→5→6枚。

 

【月光黒羊】

効果モンスター

星2/闇属性/獣戦士族/攻 100/守 600

(1):このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●「月光黒羊」以外の自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。

●デッキから「融合」1枚を手札に加える。

(2):このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。「月光黒羊」以外の、自分のエクストラデッキの表側表示の「ムーンライト」Pモンスターまたは自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「私は【月光白兎】を通常召喚!」

セレナ 手札:6→5枚。

 

<セレナのフィールド>

月光白兎 ★2 ATK800

 

【月光白兎】

効果モンスター

星2/闇属性/獣戦士族/攻 800/守 800

(1):このカードが召喚に成功した時、「月光白兎」以外の自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの「ムーンライト」カードの数まで、相手フィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。

 

「【月光白兎】の効果発動!墓地の【月光黒羊】を特殊召喚!」

 

<セレナのフィールド>

月光白兎 ★2 ATK800

月光黒羊 ★2 DEF600

 

「更に手札から【融合】発動!フィールドの【月光白兎】と【月光黒羊】を融合!」

セレナ 手札:5→4枚。

 

おぉっ、アークファイブの融合召喚特有の胸の前で手を合わせるポーズだ!アークファイブ次元の出身者はみんなやるんだな!

 

「現れ出でよ!月明かりに舞い踊る美しき野獣!【月光舞猫姫】!」

 

月の光の下に赤い髪と踊り子のような衣装を纏う猫のような獣人が現れる。

 

<セレナのフィールド>

月光舞猫姫 ★7 ATK2400

 

【月光舞猫姫】

融合・効果モンスター

星7/闇属性/獣戦士族/攻2400/守2000

「ムーンライト」モンスター×2

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズ1にこのカード以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体をリリースして発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。

(3):このカードの攻撃宣言時に発動する。相手に100ダメージを与える。

 

なかなか強いな。この世界のこの時代では破格の融合モンスターだ。

 

「そして【月光黒羊】は融合素材となったことで墓地から手札に戻る、か」

 

「良く知っているな、その通りだ!」

セレナ 手札:4→5枚。

 

何で融合召喚しておいて手札が1枚しか減っていないんだか。融合体もシンプルに強い。月光(ムーンライト)は良いテーマだな。

 

「私はこれでターンエンドだ!」

「えっ?」

 

◆クロト LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆セレナ LP:4000、手札:5枚。

 

<セレナのフィールド>

月光舞猫姫 ★7 ATK2400

 

 

 えぇ…手札5枚あって伏せカード無し?【月光舞猫姫】は確かに攻撃面で強いモンスターだが、現状は何かの耐性を持っているわけでも妨害効果があるわけでもない。

 一体何を考えているんだ…?

 

「何をしている?お前のターンだぞ?」

 

「あ、あぁ、すまん。俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札より【ゼンマイマジシャン】を通常召喚」

クロト 手札:6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

ゼンマイマジシャン ★4 ATK600

 

【ゼンマイマジシャン】

効果モンスター

星4/炎属性/魔法使い族/攻 600/守1800

「ゼンマイマジシャン」以外の「ゼンマイ」と名のついたモンスターの効果が発動した場合、自分のデッキから「ゼンマイ」と名のついたレベル4以下のモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 

「ここで手札の【ゼンマイシャーク】を自身の効果により特殊召喚する」

 

<クロトのフィールド>

ゼンマイマジシャン ★4 ATK600

ゼンマイシャーク ★4 DEF1300

 

【ゼンマイシャーク】

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1500/守1300

(1):自分フィールドに「ゼンマイ」モンスターが召喚・特殊召喚された時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカードのレベルをターン終了時まで1つ上げる。

●このカードのレベルをターン終了時まで1つ下げる。

 

「【ゼンマイシャーク】の効果が発動したことにより【ゼンマイマジシャン】の効果発動、デッキから2体目の【ゼンマイマジシャン】を守備表示で特殊召喚する」

 

<クロトのフィールド>

ゼンマイマジシャン ★4 ATK600 ※効果使用済

ゼンマイシャーク ★4 DEF1300

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800

 

「なかなかの展開力だな!」

 

「ありがと。【ゼンマイシャーク】効果発動、自身のレベルを1つ下げて3にする」

 

<クロトのフィールド>

ゼンマイマジシャン ★4 ATK600 ※効果使用済

ゼンマイシャーク ★4→3 DEF1300 ※効果使用済

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800

 

【ゼンマイシャーク】の効果が発動したことにより2体目の【ゼンマイマジシャン】効果発動、デッキから【ゼンマイネズミ】を守備表示で特殊召喚する」

 

<クロトのフィールド>

ゼンマイマジシャン ★4 ATK600 ※効果使用済

ゼンマイシャーク ★3 DEF1300 ※効果使用済

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800 ※効果使用済

ゼンマイネズミ  ★3 DEF600

 

【ゼンマイネズミ】

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻 600/守 600

自分のメインフェイズ時に発動できる。

自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードを表側守備表示に変更し、自分の墓地の「ゼンマイ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する。

この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 

「まだまだ行くよ。レベル4の【ゼンマイマジシャン】の2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク4【フォトン・バタフライ・アサシン】!」

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:2

ゼンマイシャーク ★3 DEF1300 ※効果使用済

ゼンマイネズミ ★3 DEF600

 

【フォトン・バタフライ・アサシン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2100/守1800

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、フィールド上に守備表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを表側攻撃表示にし、その攻撃力を600ポイントダウンする。

 

「エクシーズ召喚!?なんだかよく分からないが、どんどんモンスターが出てくるな!」

 

「【フォトン・バタフライ・アサシン】の効果発動、ORUを1つ使い、【ゼンマイネズミ】を攻撃表示にしてその攻撃力を600ポイントダウンする!」

フォトン・バタフライアサシン ORU:2→1

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

ゼンマイシャーク ★3 DEF1300 ※効果使用済

ゼンマイネズミ ★3 DEF600→ATK600→0

 

「自分のモンスターの攻撃力を下げる?何の意味があるんだ?」

 

「更に!ここで【ゼンマイネズミ】効果発動、自身を守備表示にして墓地から【ゼンマイマジシャン】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

ゼンマイシャーク ★3 DEF1300 ※効果使用済

ゼンマイネズミ ★3 DEF600 ※効果使用済

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800

 

「更に更に!レベル3となっている【ゼンマイシャーク】と【ゼンマイネズミ】の2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク3【発条空母ゼンマイティ】!」

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

発条空母ゼンマイティ ☆3 ATK1500 ORU:2

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800

 

【発条空母ゼンマイティ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/水属性/機械族/攻1500/守1500

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。手札・デッキから「ゼンマイ」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):フィールドの表側表示の「ゼンマイ」モンスターが戦闘以外で破壊され自分の墓地へ送られた時、このカードのX素材を1つ取り除き、その「ゼンマイ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「またエクシーズ召喚!?」

 

「【発条空母ゼンマイティ】の効果発動、ORUを1つ使い、デッキから【ゼンマイシャーク】を特殊召喚する!」

発条空母ゼンマイティ ORU:2→1

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

発条空母ゼンマイティ ☆3 ATK1500 ORU:1 ※効果使用済

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800

ゼンマイシャーク ★4 DEF1300

 

「「ゼンマイ」の効果が発動したことにより墓地から蘇生させた【ゼンマイマジシャン】効果発動、デッキから【ゼンマイシャーク】を守備表示で特殊召喚する」

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

発条空母ゼンマイティ ☆3 ATK1500 ORU:1 ※効果使用済

ゼンマイマジシャン ★4 DEF1800 ※効果使用済

ゼンマイシャーク ★4 DEF1300

ゼンマイシャーク ★4 ATK1500

 

「もう訳が分からないぞ!」

 

「これで最後だから頑張って!レベル4の【ゼンマイシャーク】と【ゼンマイマジシャン】の2体でオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!ランク4【鳥銃士カステル】!」

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 ※効果使用済 

発条空母ゼンマイティ ☆3 ATK1500 ORU:1 ※効果使用済

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000 ORU:2

ゼンマイシャーク ★4 ATK1500

 

【鳥銃士カステル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/鳥獣族/攻2000/守1500

レベル4モンスター×2

「鳥銃士カステル」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

(2):このカードのX素材を2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。

 

「そして【鳥銃士カステル】の効果発動、ORUを2つ使い、セレナの【月光舞猫姫】をEXデッキに戻す」

鳥銃士カステル ORU:2→0

 

<クロトのフィールド>

フォトン・バタフライアサシン ☆4 ATK2100 ORU:1 

発条空母ゼンマイティ ☆3 ATK1500 ORU:1

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000 ORU:0

ゼンマイシャーク ★4 ATK1500

 

<セレナのフィールド>

無し

 

「よく分からないうちに私の【月光舞猫姫】が居なくなってしまったぞ!?」

 

「とりあえずこれでいいかな。バトルフェイズに移行。【鳥銃士カステル】でダイレクトアタック!」

 

鳥銃士カステル ATK2000

 

「うわぁっ!」

セレナ LP4000 → 2000

 

「続けて【フォトン・バタフライアサシン】でダイレクトアタック!これでフィニッシュだ!」

 

フォトン・バタフライアサシン ATK2100

 

「うわぁぁぁぁっ!」

セレナ LP2000 → 0

 

 

「負けた…。なんだかよく分からないうちに負けた…」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 デュエル後、先ほどのセレナの行動に違和感を覚えて考え事をしていた俺に、セレナは楽しそうに笑いながら話しかけてきた。

 

「やはりデュエルは楽しいな!あんなにモンスターが出たり消えたりするのは初めて見たぞ!もう一度やろう!」

「それはいいけど…セレナ、デッキを見せて貰ってもいいかな?」

「いいぞ!だけどクロトのデッキも見せてくれないとダメだぞ!」

「じゃあ、はい」

「おぉ、これがさっきのデッキか!おぉ~!」

 

 先ほど俺が使った【ゼンマイ】デッキをEXデッキごとセレナに渡し、代わりにセレナのデッキを預かってデッキ構成を確認する。

 なぁにこれぇ。

 

「セレナ、デッキの中に【月光】モンスターと【融合】魔法カードしか見当たらないんだけど、他の魔法カードや罠カードは入れないのかい?」

「罠カード?なんだそれは?…おぉ!クロトのデッキになにやらピンク色のカードがあるぞ!なんだこれは!」

 

 おいバレットォォォ!お前、セレナが仕える主だからってワザと負けていやがったなぁ!なんで罠カードすら知らないんだよぉ!

 

~~~

 

「すまんなクロト。良かれと思ってやったことなんだが…」

「その言葉を聞いて安心できるデュエリストは居ないんだよ!…まぁ、いいや。もしかして家庭教師ってこういう意味か?」

「実はその通りだ。我々が教えようとするとセレナお嬢様はあまりいい顔をされないからな」

「クロト、話は終わったか?そろそりもう一戦しよう!」

 

 申し訳なさそうな表情のバレット、嬉しそうにデュエルディスクを構えるセレナ。頭を抱える俺。

 仕方ない。一度受けた依頼だし、ここに来た本来の目的である家庭教師のお仕事をのんびりやるとしますか。

 

~10分後~

 

「おいクロト!この【マシュマロン】って奴は戦闘で破壊できないぞ?どうやって倒すんだ?」

「あぁ、それはセレナの手札にある魔法カード【地割れ】を使って戦闘ではなく効果破壊をすればいいんだよ」

「なるほど!」

 

~20分後~

 

「なぁクロト!この永続魔法【レベル制限B地区】ってカードのせいでフィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になってしまって攻撃表示に出来ないぞ?」

「あぁ、それはセレナの手札にある速攻魔法カード【サイクロン】を使って破壊するか、レベルを持たないエクシーズモンスターを使えばいいんだよ」

「なるほどー!」

 

~30分後~

 

「なぁなぁクロト!この永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】があるとフィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できないから、【サイクロン】を使えばいいんだよな?」

「本来はそれで突破できるんだけど、隣にある永続罠【王宮の勅命】があるから魔法の効果は無効化されるんだ。だから、それはセレナの手札にある【賢者ケイローン】を召喚してモンスター効果で破壊するか、レベルを持たないエクシーズモンスターを使えばいいんだよ」

「なるほどー!!」

 

~1時間後~

 

「なぁなぁクロト!モンスターで攻撃した時に相手が【万能地雷グレイモヤ】を発動した後に【サイクロン】で【万能地雷グレイモヤ】を破壊してもなんで意味がないんだ?」

「あぁ、それは【サイクロン】は魔法罠ゾーンのカードを破壊することが出来るけど、効果を無効にすることはできないからだよ。ロケットランチャーと放った敵を爆☆殺しても、発射されたロケット弾は飛んでくるだろう?」

「なるほどー!じゃあ魔法罠ゾーンで残って効果を発揮し続ける永続魔法や永続罠なら【サイクロン】で破壊すれば効果を発揮させずに済むんだな!」

「そうそう」

 

~1時間半後~

 

「なぁなぁクロト!この魔法カード【強欲で金満な壺】って、使いづらくないか?自分メインフェイズ1開始時にしか使えずに、その後はカードの効果でドローできないんだろ?」

「あぁ、それは同意だな。確かに手札枚数は増えるけど、壺を使ったことを忘れがちになるからその後にカード効果でドローしそうになる」

「だよなー。まさかわざわざメインフェイズ1開始時にしか使えないって書いてあるのに、ターンの途中に使う奴とかも居そうだよなー」

「HAHAHA!そうだな!そんな奴もいるかもな!」

 

~2時間後~

 

「なぁなぁクロト!この魔法カード【天使の施し】って、3枚ドローして2枚捨てるだろ?天使の施しの分を考えると3:3交換になるから意味ないんじゃないか?」

「あぁ、それは確かに手札枚数は増えないけど、今の手札からドローした3枚ドローして、その中から不要なカードを墓地に送れるから、手札損失のない手札交換カードになるんだよ」

「なるほどー!この効果で墓地にカードを送る時、墓地に送ることで発動するカードや、後で墓地から発動できるカードを送っておくのもいいんだな!」

「そうそう」

 

~3時間後~

 

「私は速攻魔法【ツインツイスター】発動!クロトの伏せカードを破壊する!」

「げっ!【聖なるバリア -ミラーフォース-】と【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】が!」

「何だミラフォか。でもこれで伏せカードは無いな…いや待てよ。手札から魔法カード【魂の解放】発動!クロトの墓地の【超電磁タートル】と【虹クリボー】を除外!」

「げげっ!さっきのターンで使った【手札断殺】で墓地に落とした【超電磁タートル】に気付いていたか!」

「手札は…なし。ならこれで終わりだな!【月光舞獅子姫】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

クロト LP3000 → 0

 

「よぉし!勝ったぞ!」

「お見事です!セレナお嬢様!」

「数時間前まで罠カードの存在すら知らなかった年下の娘にパーフェクト負けした…嘘だろ?」

 

~数時間後~

 

 最初のデュエルが終わってから、俺はセレナとデュエルをしながら魔法・罠カードの使い方や融合以外のEXデッキのモンスターについての解説を行った。

 彼女は非常に物覚えが良くこちらの知識をスポンジのように吸収していき、あっという間に俺を打倒するほどの腕前となってしまった。

 彼女の才能とその成長スピードに教える喜びとわずかながらの嫉妬を覚えながらもデュエルを続けていると、ふと日が暮れていたことに気付いた。

 

「今日は楽しかったぞ!クロト!またデュエルしような!」

「あぁ、今度来るときは友達も連れてくるよ。色んな人たちとデュエルした方が勉強になるからね」

 

 流石にそろそろ帰ることにした俺は、セレナと今後のことについて話していた。

 最低限の知識は得た彼女に足りないものと言えば経験だ。幸い、俺の周りには同年代でもとびぬけて強い子たちがいるからね。

 ほぼ初心者の彼女の相手には荷が重いかも知れないが、彼女ならばその分早く成長できると睨んでいる。

 

「楽しみだな!…そう言えば、さっきのカード、本当に貰っていいのか?」

「いいよ。俺が持っていても使わないだろうし、プレゼントするさ」

「そうか。なら大切に使わせてもらおう」

「そうしてくれ」

 

 色々と教えている最中でセレナには【月光】テーマのカードや獣戦士族のサポートカードを多く渡しておいた。

 揚力の良い彼女はそれらのカードをあっという間に使いこなすようになり、そのおかげで結構負けたが家庭教師と言うのはそう言う者だろうと納得することにした。

 

「じゃあ、またなクロト!」

「あぁ、セレナもな」

 

 今度来るときはユーゴ君やリンちゃん、ついでにコナミも連れてこよう。セレナは世間知らずのお嬢様っぽいところがあるが、決してコミニュティ能力が低いわけではない。

 同年代かつ同性のリンちゃん相手ならきっと友達になったできるだろう。上手く行けばユーゴやコナミとも友達になり、より一層デュエリストとして、何より人として成長できるだろう。

 そんなことを考えながら、俺はセレナと別れて帰路に着いた。




リミットレギュレーション更新です。主に【エクゾディア】の規制ですね。【カオス】は禁止ではないのでまだ時々使われます。最終的にはあの2枚は禁止になりますけどね。

世間知らずに拍車のかかったセレナちゃんでした。アニメ時よりもかなり素直な性格です。そして、元々のポテンシャルの高い娘と【月光】と言う殺意高めなデッキなので、知識をスポンジのように吸収していくと、アッサリとオリ主を撃破できました。オリ主くんさぁ。【ゼンマイ】使ってほぼ素人に負けるとか…恥ずかしくないの?

次回の更新は12/19(土) AM6:00予定です。

四季式様、gsころりん様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十一話 デニス

前々回から続いてアニメ版アークファイブの登場人物とのデュエルです。

この世界にペンデュラム召喚が実装されていない為、彼自身は優秀なデュエリストですがカードパワーが若干足りていないです。ヒグルミ…こんな時に君がいてくれたら…。


小学校5年生の夏休みも中旬、夏休みの宿題はとうに終わらせている俺は、コナミ、ユーゴ君、リンちゃんと一緒にセレナの屋敷にやってきていた。

 

「融合召喚!現れ出でよ!月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣!【月光舞豹姫】!そして効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる!」

 

セレナがエースモンスターの1体を融合召喚する。

 

「また効果破壊無効のモンスターかよー」

 

「あ、これは…まずいな」

 

「良し!やっちゃってセレナ!」

 

「分かっている、リン!【月光舞豹姫】で【スクラップ・デスデーモン】を攻撃!」

 

この攻撃が通ると【月光舞豹姫】の効果が発動し、【スクラップ・デスデーモン】は再度攻撃を受けることになる。

 

「ユーゴ!墓地のカードを!」

 

「おう!墓地から【ネクロ・ガードナー】を除外して攻撃を無効化する!」

 

やはりあの二人が何の対策もしていないわけはないか。さて、どうするセレナ?

 

「セレナ!こっちも伏せカードを!」

 

「あぁっ!モンスターの攻撃が無効化された時、伏せカード発動!【ダブル・アップ・チャンス】!」

 

「「な、なんだってー!」」

 

なんだってー!なんてピンポイントなカードを入れているんだ!

 

「このバトルフェイズ中、そのモンスターはもう1度だけ攻撃できる!この効果でそのモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンスターの攻撃力は倍になる!【月光舞豹姫】で【スクラップ・デスデーモン】を攻撃!」

 

「「うわぁぁぁ!」」

コナミ&ユーゴ LP2500 → 0

 

「良し!やったぞ!」

 

「やったわねセレナ!」

 

「あぁ!」

 

「はい、デュエル終了。さぁ、挨拶をしようか」

 

「「「「対戦、ありがとうございました」」」」

 

セレナもすっかり腕を上げたな。もうあの3人とほぼ互角と言っていいだろう。さて、俺はそろそろ向かうとするか。

 

「お、時間か?」

 

「あぁ。行ってくる」

 

「なぁ、本当に付いて行ったらだめなのか?」

 

「クロトは一応正体を隠しているつもりだから…」

 

「もう結構色んなところでバレてるよな~」

 

そうなんだけどさー。知り合い以外にはそんなにバレてないからな。一応は隠しておかないと。

 

「とりあえず今日は我慢してくれ」

 

「むぅ、分かった」

 

納得はしていないけど了解はしてくれたようだ。じゃ、行ってきますかね~。

 

~~~

 

ハノイの騎士として今日も大会に参加している俺は、ハノイらしく堂々と対戦コート前で佇んでいた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の少年と対峙した。オレンジ色のワカメみたいな髪型に、白のカッターシャツ、オレンジのジャケット、黒のズボン。うん、デニスだなコレ。

 

「ボクは君を倒して会場をデニスコールを響かせてみせるよ」

 

「お前には無理だな」

 

デニス・マックフィールド、アニメアークファイブでは融合次元のデュエリストで使用するデッキは【Em(エンタメイジ)】。ランク4エクシーズに適したデッキだが、ペンデュラムモンスター無しではそこまで脅威ではないだろう。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

デニス LP:4000

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

デニス 手札:5→6枚。

 

「ボクは永続魔法【バリア・バブル】発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの全ての「EM」モンスター及び「Em」モンスターは、それぞれ1ターンに1度だけ戦闘・効果では破壊されない。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの「EM」モンスター及び「Em」モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」

デニス 手札:5枚。

 

「派手な水風船だな」

 

「ショーは派手じゃないとね!」

 

派手なだけではなく、専用テーマらしくなかなか面倒な効果を持っているようだな。

 

「ボクは通常魔法【おろかな埋葬】発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。【Emダメージ・ジャグラー】を墓地に送る。その後、墓地の【Emダメージ・ジャグラー】効果発動!自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから【Emダメージ・ジャグラー】以外の「Em」モンスター1体を手札に加える。ボクはデッキから【Emトリック・クラウン】を手札に加える!」

デニス 手札:4→5枚。

 

「ボクは速攻魔法【手札断殺】発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする」

ハノイ 手札:5→3→5枚。

デニス 手札:4→2→4枚。

 

「ボクは先ほど墓地に送られた【Emトリック・クラウン】効果発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「Em」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。その後、自分は1000ダメージを受ける。ボクは墓地から【Emフレイム・イーター】を特殊召喚!」

デニス LP:4000 → 3000

 

「ボクは特殊召喚した【Emフレイム・イーター】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。お互いのプレイヤーは500ダメージを受ける…が、ボクは手札にいる2枚目の【Emフレイム・イーター】効果発動!自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その効果で自分が受けるダメージを0にする。このターン、自分は「Em」モンスターしか特殊召喚できない。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。そして2枚目の特殊召喚した【Emフレイム・イーター】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。お互いのプレイヤーは500ダメージを受ける!」

デニス LP:3000 → 3000 → 2500、手札:3枚。

ハノイ LP:4000 → 3500 → 3000

 

フィールドに青のとんがり帽子をかぶった黒い球体に目と口が付いてマントを付けたモンスターが2体現れる。

Emフレイム・イーター ★4 DEF1600 × 2体

 

「ボクのフィールドにフィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。手札から【Emハットトリッカー】特殊召喚!自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。このカードにEmカウンターを1つ置く(最大3つまで)。その後、その効果で自分が受けるダメージを0にする。このカードにEmカウンターが3つ置かれた時にこのカードの攻撃力・守備力は3300になる!」

デニス 手札:2枚。

 

フィールドに紫のとんがり帽子をかぶり黄色の眼鏡と白の手袋、緑のマントを付けたモンスターが現れる。

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

<デニスのフィールドのモンスター>

Emフレイム・イーター ★4 DEF1600

Emフレイム・イーター ★4 DEF1600

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

「そして、ボクは2体のレベル4【Emフレイム・イーター】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!ショーマストゴーオン!天空の奇術師よ 華やかに舞台を駆け巡れ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【Emトラピーズ・マジシャン】!」

 

フィールドに白のとんがり帽子と白のピエロ衣装を身につけ、赤の仮面と赤のマントを付け、空中ブランコの手すりにぶら下がるモンスターが現れる。

Emトラピーズ・マジシャン ☆4 ATK2500

 

「ボクの舞台の花形であるこの【Emトラピーズ・マジシャン】のモンスター効果をご紹介しておこうか!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はこのカードの攻撃力以下の戦闘・効果ダメージを受けない。自分・相手のメインフェイズ1に1度、このカードのX素材を1つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動でき、このターンそのモンスターは2回攻撃でき、バトルフェイズ終了時に破壊される。このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動でき、デッキから「Em」モンスター1体を特殊召喚するのさ!」

 

「なかなか変わった能力を持っているな」

 

「ふふ、そうだろう?他の人達と同じことをしても面白くないからね!ボクはカードを1枚伏せてターンエンドさ!」

デニス 手札:1枚。

 

トラピーズマジシャンとハットトリッカーにより効果ダメージはほぼ防ぎ、バリアバブルで自身のモンスターへ1度だけ戦闘・効果破壊耐性付与か。あの伏せカードは、【Em】デッキなら【トリック・ボックス】だろうか。数少ない【Em】のカードプールを考えればなかなか強力な布陣だな。

 

クロト LP3000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5

デニス LP2500、手札:1、伏せカード:1

 

<デニスのフィールド>

Emトラピーズ・マジシャン ☆4 ATK2500 ORU:2

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

バリア・バブル[永続魔法]

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

まずはあの正体の分からない伏せカードから切り崩していくしかないな。

 

「私は手札より【魔導戦士 ブレイカー】召喚。召喚成功時、このカードに魔力カウンターが1つ乗る。そして魔力カウンターを取り除いて効果発動。お前の伏せカードを破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

<ハノイのフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600

 

「おっと!これは参ったね」

デニス 伏せカード:1→0

 

やはり伏せカードは【トリック・ボックス】だったか。Emモンスターを破壊して墓地に送るとターン終了時までこちらのモンスターのコントロールを奪われ、更に相手は墓地のEmを特殊召喚できる厄介なカードだ。使われる前に除去できてよかったな。

 

「私は通常魔法【苦渋の選択】を発動。自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。相手はその中から1枚を選択する。相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードを墓地へ捨てる。さぁ選ぶといい」

ハノイ 手札:4枚。

 

<ハノイが選択したカード>

①混沌の黒魔術師

②混沌の黒魔術師

③混沌の黒魔術師

④異次元の女戦士

⑤黄泉ガエル

 

「これはまさに苦渋の選択だね…ボクにとってだけど。ボクは【黄泉ガエル】を選択するよ」

 

「分かった。私は【黄泉ガエル】を手札に加え、他のカードは墓地に送る」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

いやー辛いわー。選んだカードのうち1枚だけしか手札に加えられなくて、他のカードは墓地に送らないといけないなんて、辛いわー。

 

「私は墓地の光属性【異次元の女戦士】と闇属性【霊滅術師 カイクウ】を除外し、手札から【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を特殊召喚する」

ハノイ 手札:4枚。

 

「カオス・ソルジャーだって!?」

 

<ハノイのフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

「【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】効果発動。フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。私が選択するのは【Emトラピーズ・マジシャン】」

 

「そうはさせない!ボクは手札から【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送り、【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を対象として効果発動!その効果をターン終了時まで無効にする!」

デニス 手札:1→0

 

カオス・ソルジャーの効果は無効化されたか。効果は発動したため、このターン攻撃はできない。ならば…。

 

「私は通常魔法【死者蘇生】を発動。墓地の【混沌の黒魔術師】を蘇生させる」

ハノイ 手札:3枚。

 

黒と紫の帽子とレザースーツに身を包む、強力な杖を持った青白い肌の魔術師が姿を現す。

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

「さっき墓地に送っていたモンスターだね…」

 

「私は【混沌の黒魔術師】が召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かずゲームから除外される。このカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される(エラッタ前テキスト)。私は墓地の【死者蘇生】を手札に加える」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「なんだって!?」

 

「私は通常魔法【死者蘇生】を発動。墓地の【混沌の黒魔術師】を蘇生させる。【混沌の黒魔術師】の特殊召喚成功時に墓地の【死者蘇生】を回収。そして【死者蘇生】発動。墓地の【混沌の黒魔術師】を蘇生させる。【混沌の黒魔術師】の特殊召喚成功時に墓地の【死者蘇生】を回収する。」

ハノイ 手札:3→4→3→4枚。

 

<ハノイのフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600 魔力カウンター:0

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000 ※効果無効化中。攻撃不可状態。

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

「なぁ!?そんな効果が許されるのかい!」

 

「そうテキストに記されているのだから問題あるまい」

 

「こういう効果って大体1ターンに1度のはずだろう!?」

 

「はて?そのようなテキストは記されていないな?」

 

「そんなバカな…」

 

先ほどのまでの余裕を失い、デニスは焦り表情を浮かべながら頭を抱え始めた。

 

このままではカオス・ソルジャーが攻撃できないな。なら、こうするまでだ。

 

「私はレベル8の【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】と【混沌の黒魔術師】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク8【聖刻神龍-エネアード】!」

 

燃えるような赤い翼と体を持つドラゴンが姿を現す。

聖刻神龍-エネアード ☆8 ATK3000

 

「ランク8のエクシーズモンスター!?」

 

<ハノイのフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600 魔力カウンター:0

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

聖刻神龍-エネアード ☆8 ATK3000 ORU:2

 

「私は【聖刻神龍-エネアード】の効果発動。1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分の手札・フィールドのモンスターを任意の数だけリリースし、その数だけフィールドのカードを選んで破壊する!私は手札の【黄泉ガエル】をリリース!そちらの【バリアバブル】を破壊する!」

ハノイ 手札:4→3枚。

聖刻神龍-エネアード ☆8 ATK3000 ORU:2→1

 

「くぅっ!」

 

<デニスのフィールド>

Emトラピーズ・マジシャン ☆4 ATK2500 ORU:2

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

「私は通常魔法【死者蘇生】を発動。墓地の【混沌の黒魔術師】を蘇生させる。【混沌の黒魔術師】の特殊召喚成功時に墓地の【死者蘇生】を回収する」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

<ハノイのフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600 魔力カウンター:0

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

聖刻神龍-エネアード ☆8 ATK3000 ORU:1

 

「バトルフェイズに移行。【混沌の黒魔術師】で【Emトラピーズ・マジシャン】に攻撃!滅びの呪文!」

 

「うわっ!だけど戦闘破壊されて墓地に送られた【Emトラピーズ・マジシャン】の効果が…いや、確か【混沌の黒魔術師】の効果は!」

デニス LP2500 → 2200、モンスター:2→1

 

「そうだ。【混沌の黒魔術師】は戦闘で相手モンスターを破壊したダメージ計算後に効果発動!その相手モンスターを除外する!【Emトラピーズ・マジシャン】は墓地に送られずに除外されるため、効果を発動できない!」

 

「そんな…」

 

<デニスのフィールド>

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

「バトルフェイズを継続する。2体目の【混沌の黒魔術師】で【Emハットトリッカー】に攻撃!滅びの呪文!ダメージ計算後に除外」

 

「うぅっ…!」

デニス モンスター:1→0

 

「フィニッシュだ。3体目の【混沌の黒魔術師】でダイレクトアタック!滅びの呪文!」

 

「うわぁぁぁぁ!」

デニス LP2200 → 0

 

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

試合後、帰宅のために会場の通路を歩いていると声を掛けられた。と言うか、黒服の男たちに取り囲まれた。俺は転生者ではあるが、宇宙人ではないんだが…。

 

「ハノイの騎士、いや白河クロト。先ほどのデュエルは見事だったよ」

 

声の主は先ほどの対戦者であるデニス・マックフィールドであった。彼はモーゼの海割りのように黒服たちが避けて作った道を歩きながら、拍手をしながらこちらに近付いてくる。良い表情だな。まるで本気を出してハンティングゲームでも始めそうな顔だ。

 

「それはどうも。それで?この黒服たちは?デュエルで負けたからって俺からリアルファイトでカードを奪おうしているとか?」

 

どうせ正体が割れているならと、仮面を外して負けじとそれっぽい顔を作り、魔力を少し解き放って威圧を掛ける。デニスや黒服たちは何かを感じ取ったのか少々おののいているな。

 

カードを奪いに来た、それだけならまだマシだな。その場合だと今の身体能力ならこの場はやり過ごせるだろうし、魔力を使えば殲滅も容易だ。全員を全身骨折コースくらいで病院に叩き込んで、記憶を奪って終わりだ。

 

万が一、俺をカード化しようとしそうな動きを見せたら容赦なくこいつらを潰そう。遺体は精霊界に埋めれば完全犯罪だ。そんなことをしたら今度は俺がカイバーマンに殺されそうだが。

 

「そんな暴力的な話じゃないよ。だから、その殺意を抑えてもらえるかな?」

 

「…いいだろう」

 

「用件は単純な話さ。ボクたちの上司が君に会いたがっている。今から一緒に付いて来てくれないかな?」

 

「用件があるならそちらから出向いて土産でも持って来いと伝えろ。ではな」

 

「葉月セレナと関係がある件、だったとしてもかい?」

 

「…」

 

セレナ?話が読めない…。俺は前世の知識で学校の成績とかはかなり良い方だが、元々の頭はそんなに良くないんだ。もっとわかりやすく言ってくれよ。駆け引きって奴か?めんどくせえな。

 

「ボクたちの上司、葉月ユーリに会ってもらいたい。ただそれだけさ」

 

あ、「頂きます」のポーズで散々弄られてたあの紫キャベツ頭の少年のことか。ならいいか。会ってみようじゃないか。




セレナは順調にコナミ、ユーゴ、リンとの交流を深めていっています。彼ら三人は使用してくるカードの質も高いため、セレナ自身もどんどん強くなっていっています。オリ主?奴は四天王の中でも最弱…。

デニスは融合次元のアカデミアとの関りが無くなった分、原作よりも心に余裕がある反面、実戦経験が少し足りていない為、オリ主でもまだ勝てます。これ幸いとイキリ倒していますね。勝てそうな相手にはやたらと強気なオリ主。う~ん小物っぽい。

ユーリとセレナの苗字は、ユーリの植物関連の「葉」とセレナの植物関連の「月」を組み合わせました。

次回の更新は12/19(土) AM7:00更新予定です。

戦車様、四季式様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十二話 ユーリ

アークファイブの登場人物、ユーリ戦です。

アニメ原作では最強格の一人だった彼ですが、この世界では…。


デニスとのデュエルの後、半ば拉致されるような流れで葉月ユーリと会うことになった俺は、左右を黒服に挟まれながら車に乗って移動しながらユーリのことを考えていた。

 

 

ユーリ。アニメ版アークファイブ及び漫画版アークファイブの登場人物である。今までの登場人物の状態から考えて、今から会いに行くユーリはアニメ版順守の人物と推測される。

 

アニメ版のユーリは融合次元の刺客の中でも破格のデュエルの腕前を持っており、性格は冷徹、残酷、自分本位とまぁそんな感じだった。この世界でも同じような性格なら全力で逃げよう。

 

今ならまだ勝てるかも知れないが、彼のデッキである【捕食植物(プレデタープランツ)】と彼のエースカードである【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】の性能を考えれば、LP4000制で戦うにはリスクが大きすぎる。

 

そんなヘタレた考えをしていると、ふと車に取り付けられているテレビが付けられる音がした。なんだ?と思って画面を覗き込んでみると、どうやらリアルタイムでどこかのデュエル大会の中継をやっているようだ。

 

「すまないね。この試合はどうしても見ておきたかったんだ」

 

「そうか」

 

リアルソリッドビジョンシステムを使用したその大会で、対峙したデュエリスト達は何故かモンスターに跨ってデュエルをして、今しがた決着がついたようだ。そして…。

 

『これで終わりか? もうオレと戦おうとする者はいないのか?オレはまだ満足していない!もっと強く! もっと激しく戦いたい!』

 

「ズァークゥ!?なぜズァークがあそこに……逃げたのか?自力で脱出を?ズァーク!」

 

「びっくりした…いきなり叫んでどうしたんだい?」

 

「あ、いや。すまない。知り合いによく似た人物が映っていたものだからつい…」

 

「そうなのかい?今勝ったこの選手名はさっき言っていた通りズァーク。本名は分からないけど…恐らく今一番の注目を浴びているプロデュエリストだよ」

 

そうデニスが説明してくれた。その話を聞きつつもテレビ画面を見ると、逆立った灰色の髪をした白メインで青が混じった変わった服装をしている青年が、赤いオッドアイのドラゴンに跨り、満足民みたいなことを言っていた。よく見ると若干顔立ちは榊遊矢に似ているようなそうでもないような。

 

ズァークが榊遊矢たち4人とは別の存在として同じ世界にいる?それならあの4人が覇王化することもない?…それならユーリの性格も多少和らいでいて…何だ、ユーリっていい奴じゃん!の可能性が出てきたな!そうであって欲しいな!

 

そうこう考えている間に、どうやら車は目的地に到着したようだ。そして目の前には純和風の広大なお屋敷が…。これっていわゆるアブナイ人達の拠点では?どうやらやはり楽観視は出来なさそうである。

 

~~~

 

「遅いよデニス」

 

「ゴメンゴメン。待たせたねユーリ。彼がハノイの騎士、白河クロトだ」

 

「ふぅ~ん、君がねぇ」

 

屋敷の奥に通されてデニスや黒服たちと共に障子を開いた先に向かうと、そこには純和風な家にはミスマッチなスーツ姿の紫キャベツ…もとい、紫髪の少年が不機嫌そうに待っていた。

 

「白河クロトだ。俺になにか用事があるって聞いたが、早速用件を聞いてもいいか?」

 

「そうだね。話は早い方がいい。なら、君たち、邪魔だよ」

 

「「「はっ!失礼いたしました」」」

 

そういうと黒服たちはこの畳が敷き詰められた部屋から退出していく。そして残されたのは俺、デニス、そしてユーリの三人だけだ。

 

「じゃぁ早速始めようか。君がセレナの家庭教師を名乗るに足る実力かどうか、今ここでボクに見せてもらうよ」

 

そういうとデュエルディスクを構えるユーリ。少し距離を取ってデュエルを見届けるらしいデニス。ここまできたらやるしかないかな。

 

「話は良く見えないが、やるってんなら相手になる」

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

クロト LP:4000

 

VS

 

ユーリ LP:4000

 

「先攻はボクが貰うよ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ユーリ 手札:5→6枚。

 

「ボクは永続魔法【プレデター・プランター】発動!このカードのコントローラーは、自分スタンバイフェイズ毎に800LPを払う。またはLPを払わずにこのカードを破壊する。1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地からレベル4以下の「捕食植物」モンスター1体を選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。効果により手札から【捕食植物モーレイ・ネペンテス】を特殊召喚する」

ユーリ 手札:5枚。

 

青色の葉の先端がオレンジ色になった蔦を手足の様にして立つ植物が姿を現す。

捕食植物モーレイ・ネペンテス ★4 ATK1600

 

「ボクは【捕食植物フライ・ヘル】を通常召喚し、手札から【融合】を発動する!魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今ひとつとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!現れろ!飢えた牙持つ毒龍。レベル8!【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】!」

ユーリ 手札:3枚。

 

紫の体に長い尻尾、鋭い牙を持つドラゴンが姿を現す。

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

 

おぉ、ちゃんと融合召喚の時に「頂きます」のポーズをしたな。セレナと言い、タイラー姉妹と言い、元融合次元の人達はよくもまぁ格好いいポーズを思いつくもんだ。そして、もう持っていたかスターヴ・ヴェノム。ユーゴ君の件を考えるとまだ持っていない可能性もあったんだけどな。

 

「このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする。1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。エンドフェイズまで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する」

 

「先攻1ターン目に召喚せずに、別の…キメラフレシア辺りを召喚すればよかったんじゃないか?」

 

「キメラフレシア?何だいそれは?…まぁいいや。ボクはカードを2枚セットしてターンエンド」

ユーリ 手札:1枚。

 

キメラフレシアを知らない?あぁ、そう言えばあれって漫画版が初登場で、アニメでは使用していないんだっけ?

 

クロト LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5

ユーリ LP4000、モンスター:1、手札:1、伏せカード:2

 

<ユーリのフィールドのモンスター>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

伏せカードを除去するカードがないな。ならこれを使うか。

 

「俺は手札より通常魔法【大寒波】発動。メインフェイズ1の開始時に発動する事ができる。次の自分のドローフェイズ時まで、お互いに魔法・罠カードの効果の使用及び発動・セットはできない」

クロト 手札:5枚。

 

「ふふっ、伏せカードが怖かったのかい?」

 

「あぁ、こう見えて小心者なんでね」

 

ユーリが若干煽るような顔で聞いてくるが、乗ってはいけない。あのデッキに採用している可能性は高くないけど、モンスター出した途端に【奈落の落とし穴】くらいは飛んできそうだしな。

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。俺は手札より【フォトン・スラッシャー】を特殊召喚。自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない」

クロト 手札:4枚。

 

<クロトのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

 

「相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターがレベル4モンスターのみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札より【トラブル・ダイバー】を特殊召喚。この方法による「トラブル・ダイバー」の特殊召喚は1ターンに1度しかできない。このカードをエクシーズ召喚の素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない」

クロト 手札:3枚。

 

<クロトのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

トラブル・ダイバー ★4 ATK1000

 

「俺は手札から【星因士 ベガ】を通常召喚して効果発動。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「星因士 ベガ」以外の「テラナイト」モンスター1体を特殊召喚する。そして、その効果にチェーンして【幻蝶の刺客オオルリ】の効果発動。このカードは通常召喚できない。自分が戦士族モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない」

クロト 手札:2枚。

 

<クロトのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

トラブル・ダイバー ★4 ATK1000

星因士 ベガ ★4 ATK1200

 

チェーン②幻蝶の刺客オオルリ

チェーン①星因士 ベガ

 

「テラナイト?ボクとデュエルした時のデッキとは違うようだね」

 

デニスが疑問視するのも分からなくはないが、【カオス】デッキを使った場合、ユーリにカオスモンスターの効果を利用されかねないからな。今回は封殺させてもらう。

 

「効果処理を続けるぞ。まずは【幻蝶の刺客オオルリ】を自身の効果で特殊召喚。そしてベガの効果で手札の【星因士 デネブ】を特殊召喚。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「星因士 デネブ」以外の「テラナイト」モンスター1体を手札に加える。俺がデッキから加えるのは【星因士 アルタイル】」

クロト 手札:2→1→2枚。

 

<クロトのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

トラブル・ダイバー ★4 ATK1000

星因士 ベガ ★4 ATK1200

星因士 デネブ ★4 DEF1000

幻蝶の刺客オオルリ ★4 DEF1700

 

「レベル4のモンスターがフィールドに5体!?来るよユーリ!」

 

「エクシーズ召喚のようだね」

 

「ご名答。レベル4のモンスター3体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【星守の騎士 プトレマイオス】!」

 

人間の上半身と馬のような下半身を持つ、白の体の戦士が姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

星守の騎士 プトレマイオス ☆4 DEF2600 ORU:3

 

「【星守の騎士 プトレマイオス】のORUを3つ取り除いて効果発動。「No.」モンスター以外の、このカードよりランクが1つ高いXモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。エクシーズ・チェンジ!現れよランク5【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

白の翼と体に一部黒い部分が混じる機械竜が姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

サイバー・ドラゴン・ノヴァ ☆5 ATK2100 ORU:1

トラブル・ダイバー ★4 ATK1000

幻蝶の刺客オオルリ ★4 DEF1700

 

「…「No.」って何?」

 

「そんな!ランクアップマジック無しでランクアップするだって!?」

 

「そんなに凄いのそれ?」

 

「メチャクチャだよ!本来、エクシーズモンスターのランクアップには専用の魔法カード、もしくはエクシーズ元のモンスターがエクシーズ先のモンスターの条件を満した状態で重ねる必要があるんだ!あのモンスターはその条件をすべて無視している!」

 

良し。なんかデニスが興奮して良く喋ってくれているおかげで「No.」への言及は免れたな。

 

「そして、1ターンに1度、このモンスターは自分フィールドの【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】の上に重ねてX召喚する事ができる。更にエクシーズ・チェンジ!現れよランク6【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

白と黒の入り混じった翼と体を持つ機械竜が姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100 ORU:2

トラブル・ダイバー ★4 ATK1000

幻蝶の刺客オオルリ ★4 DEF1700

 

「更に重ねてエクシーズ召喚しただって!?」

 

「デニス、うるさいよ」

 

「効果説明を続けるぞ。このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×200アップする。1ターンに1度、フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。1ターンに1度、カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する」

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100→2500 ORU:2

 

「…モンスター吸収効果!?」

 

「これは…まずいかもね」

 

「【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】効果発動!そちらの【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】を自身のX素材とする!」

 

「スターヴ・ヴェノム!?くっ、やってくれるね」

ユーリ モンスター:1→0

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2500→2700 ORU:2→3

 

「更に、レベル4のモンスター2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【深淵に潜む者】!このカードが水属性モンスターをX素材としている場合、自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500アップする。1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる」

 

暗がりに潜む体の一部が青く発光する海竜が姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2700 ORU:3

深淵に潜む者 ☆4 ATK1700 ORU:2

 

「【深淵に潜む者】のORUを1つ取り除いて効果発動!このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない」

 

ユーリの手札は1枚、【捕食植物セラセニアント】を手札に握っている可能性はあるが、フィールドの伏せカードと墓地で発動する効果は封じた。墓地発動のカードは無かったと思うが、念のためだ。…これで行けるか?

 

「バトルフェイズへ移行!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】でダイレクトアタック!」

 

「そう易々とボクがダイレクトアタックを通すと…いや、あのモンスターの効果は…!?ちぃっ!手札から【捕食植物セラセニアント】効果発動!相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する!」

ユーリ 手札:1→0枚。

 

「カードの効果が発動した時、【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】のORUを1つ取り除いて効果発動!その発動を無効にし破壊する!」

 

チェーン②サイバー・ドラゴン・インフィニティ

チェーン①捕食植物セラセニアント

 

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2700→2500 ORU:3→2

 

「やはりこうなるのか…!」

 

「まずいよユーリ!伏せカードは【大寒波】の効果で使えない!」

 

「ぐぅっ!」

ユーリ LP4000 → 1500

 

「更に【深淵に潜む者】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

ユーリ LP1500 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

デュエル後、驚愕の事実が判明する。

 

「えっ、ユーリって今回がデニスを除くと初めてのデュエルなのか?」

 

「あぁ、そうだよ。こう見えてなかなかに忙しくてね?ルールは覚えてカードは40枚揃えたんだけど、デニス以外とデュエルする暇がなかったんだ」

 

「それでセレナの所に遊びに…じゃなくて家庭教師に来ている君のことを聞いてね。どんな人間か確認するついでにデュエルを挑んでみようって話になったのさ」

 

そこがよく分からないんだよな。ユーリとセレナの関係性が。葉月家の一人娘がセレナって話だから兄弟ではないだろうし。…途中でデュエルに夢中になって忘れてたけど、俺って今結構ヤバい状態の可能性があるんだよなぁ。逃げたい。

 

「デニス、言ってなかったのかい?ボクとセレナは従兄妹だよ。ボクの父親の弟がセレナの父親さ」

 

「ユーリは幼くして両親の事業の一部を引き継ぐくらいの天才児でね。セレナの両親は海外に出張中でしょ?その間の財産の整理をしたり、執事兼用心棒としてバレットを雇ったのもユーリだよ。ちなみにこの家はユーリの趣味、それ以外に特別な意味はないよ」

 

「先に言えよ!大会終わって帰ろうと思ったらいきなり黒服に囲まれて、そのまま車に乗せられて純和風の豪邸に連れてこられる人間の気持ちを考えろ!」

 

マジでふざけんな!俺の心労は完全に無駄だったってことじゃないか!

 

「デニス、君さぁ…そんなことしたのかい?」

 

「黙っていて後でバラした方が面白いと思ったんだよ。良かれと思って!」

 

「こいつは…マジでキレそうだ」

 

呆れるユーリ、おどけて笑いで誤魔化そうとするデニス。何にしても、当初思っていたほどの危険な状況ではなく、割と緩い状況なようで安心した。

 

とりあえず、この騒動については解決したので、いつも通りユーリには手持ちの【捕食植物】のカードを渡しておいた。もちろんリンクモンスターは渡していない。

 

スターヴ・ヴェノムの進化体であるグリーディも渡していない。スターヴ・ヴェノム自身も、気付いたらデュエルディスクに入ってたとか言ってたし、多分そのうちまた入っていることだろう。

 

「へぇ…これがさっき言っていたキメラフレシアか。確かに使いやすそうだね。スターヴ・ヴェノム1枚しか融合モンスターを持っていなかったから困っていたんだ」

 

「ぼ、ボクにはないのかいクロト…」

 

「【Em】の専用カードは今は諸事情によって渡せん。そのうち渡せるようになったらあげるよ。代わりにランク4エクシーズの汎用カードを上げるよ」

 

「ホントかい!やったね!」

 

そして、新しいカードを渡して何度かデュエルをすると、デュエル経験を増やした後のユーリは既にデニスを軽く倒せるようになっていた。コイツら成長早すぎだろ。

 

「クロト、今日は色々と迷惑をかけたね」

 

「ユーリが気にすることじゃないさ」

 

「機会があったらまたデュエルしてくれ。それと、セレナのことはよろしく頼むよ」

 

「あぁ、分かっているよ」

 

そうしてユーリに挨拶をして別れ、デニスと黒服に送られて孤児院の前まで帰ってきた。もうとっくに陽は暮れている。長かった~。

 

「クロト、今日はありがとう。ユーリのあんな楽しそうな姿を見たのは久しぶりだったよ」

 

「こちらも途中からは楽しかったから、いいさ」

 

「じゃあ、またね」

 

「あぁ、またな。機会があったら孤児院の連中を連れて会いに行くよ」

 

最後にデニスや黒服と挨拶をして別れ、孤児院へと帰ってきた。早く晩御飯を食べて風呂に入ってベッドで眠りたい…何故リビングに普段の4人以外にセレナとバレットが居るんですかねぇ…。

 

「クロト!お前、今日はわざわざ私を置いていったくせにユーリと遊んでいたそうじゃないか!お前は私の家庭教師だろう!私に構え!デュエルだ!」

 

「スマンなクロト。ユーリ様とデニスの所へ向かったことは聞かされていたからつい話してしまった」

 

「頼んでいたウィスキーボンボンは?…え~ないの~」

 

「ドローパンもないのか…」

 

「クロト~宿題手伝ってくれ~」

 

「ユーゴ!ほら、今日のノルマまであと3ページよ!」

 

元気いっぱいにデュエルディスクを構えるセレナに申し訳なさそうなバレット。お土産がないことに不満げなシスターとコナミ。夏休みの宿題に追われて助けを求めてくるユーゴ君にそれを手伝っているリンちゃん。…今日はまだ眠るには早かったようだ。




ズァークさんがちらっと出ました。この世界ではあの4人とは別人間です。本人も恐らくそのうち出ると思います。覇王龍になる前の性格は分からないのでどんな人物になるかは未定です。

ユーリとのデュエルは短めでした。この世界のユーリには両親も居ますし、友人兼有能な部下のデニスもいる為、原作のように性格が歪むことなく成長しました。

本人のポテンシャルそのものは原作譲りで超優秀なので親の事業の手伝いをしていたりもします。そのおかげでデニス以外の友人を作りづらい環境に身を置いてしまったので、デュエルに関しては素人に近い状態でした。今後は孤児院メンバーとの絡みも出来て原作に近い実力を得ていくことでしょう。


次回の更新は12/19(土) AM8:00予定です。

四季式様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十三話 カオス

普通の大会でのモブ戦です。

そろそろモブキャラのネタが尽きてきました…。


小学校5年生の夏休みも終わり、秋も過ぎて2学期が終わりを迎えようとしているとある休日、珍しく時間の取れたユーリとデニスと合流して、セレナの屋敷にやってきていた。

 

「おークロト達も来たか」

 

「おせーぞクロト!もう始めちまうところだったんだからな!」

 

「悪い悪い。コナミもユーゴ君も早かったね。セレナやリンちゃんは?」

 

「さっきこの部屋に入る前に隣の部屋から微かに声が聞こえたし、隣の部屋に居るんじゃない?」

 

「なるほど」

 

先に来ていたコナミとユーゴ君に、この場に居ないセレナやリンちゃんのことを聞くとデニスからそれらしい回答が返ってきた。

 

などと考えていると、隣の部屋との扉が開いて二人が入ってきた。原作だと瓜二つと言われていた二人だが、この世界ではそんなことはない。二人とも美少女と言う意味では同じだが。

 

「来たかクロト。お前たちを入れると七人になるから、クロトは審判な」

 

「仕方ないな。そちらのチームはセレナとリンちゃんか」

 

「ええそうよ」

 

まだ出会って数か月ほどなのだが、性格は真逆のような二人は同年代の女の子同士で話が合うのか、かなり仲良くなったようだ。

 

「…ふと思ったんだけれど、どうしてクロトはセレナを呼び捨てにしている割に、ユーゴは君付けで、リンはちゃん付けなんだい?」

 

「あっ!それはオレも気になっていたぞ!そろそろ君付けとか止めてくれよなー!」

 

「そうね。なんだか子ども扱いされている気分になるわ」

 

ユーリに言われて初めて気が付いた。そう言えばそうだったな。そしてユーゴ君にリンちゃん、君らはまだ小学校4年生だよね?

 

「理由か…特に意識していなかったな。なんとなくセレナはセレナって感じだったし」

 

「おい、どういう意味だ?」

 

「分かったよ。これからは呼び捨てでいく。改めてよろしく、ユーゴにリン」

 

「おぉ!」

 

「えぇ!」

 

「おい!無視するなコラ!」

 

セレナが何やら言っているが、こういうのは濁した方が反応が面白くなるので適当に濁しておいた。そして、そのままデュエルが始まると彼女もすぐに忘れていた。頭は良いのに何処か抜けている娘だよなセレナって。

 

~~~

 

数日後、いつものようにハノイスタイルで大会に参加している。正直、リミットレギュレーションも世の中にかなり浸透してきたので、そこまでこういったアマチュアの大会に出る必要はないんだよな。

 

時々強いデュエリストもいるけど、未だに【シャイン・アビス】(ATK1600)を1体召喚してカード2枚伏せてターンエンド!なんていうレベルの人の方が多い。この時代的にはそれでも悪くはないんだろうけどさ。

 

「おーい、クロ…ハノイー。頑張れよー」

 

「ハノイ、勲章物のデュエルを期待しているぞ」

 

「ボクに勝ったんだからあんまり負けないでよ~」

 

そして、今日はギャラリーが来てるんだよな。最近は名前も知られてきたから俺への声援も珍しいことではないんだが…頼むから大声で本名を呼んだりとかはしないでくれよ?

 

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手と対峙する。見覚えのないやたらとテカテカしたイケメン…を必死に装おうとしているフツメンだな。

 

「あそこで声援を送っているプリティなガールは君のフレンドかな?そのセンスのない恰好の君にはもったいないね。そうだ!オレが君に勝ってオレのファンになって貰おうかな?」

 

顔は普通だが、喋り方とか中身は気持ち悪い奴だな。とりあえず煽り返しておくか。

 

「なるほど完璧な作戦だな。 不可能だという点に目をつぶればだがなぁ」

 

「な!なんだとこのクソガキがぁー!」

 

「コラッ!暴力はいけませんよ!デュエリストならデュエルで語りなさい!…さぁ、両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「陰気な仮面のチビ助が!オレが勝ったらその仮面を剝いでやるぜ」

 

お前はもう化けの皮が剝がれて来ているな。なんか喋り方も髪についている大量のワックス?もネットリしてるし、もうコイツの名前はキモメンでいいか。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

キモメン LP:4000

 

「先攻はオレが貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

キモメン 手札:5→6枚。

 

「オレサマは手札から【手札抹殺】発動だぜ!手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てるぜ。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローするぜ!」

キモメン 手札:5→0→5枚。

ハノイ  手札:5→0→5枚。

 

「どうせクソガキは手札が事故ってたんだろぉ?優しいお兄さんに感謝しろよぉ?」

 

「早くプレイを続行しろキモメン」

 

「あぁっ!?ぶっ飛ばすぞクソガキィ!」

 

「こらっ!暴力行為を働くなら即刻失格としますよ!」

 

「ちっ、オレは手札から永続魔法【前線基地】発動だぜ!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚する事ができるぜ!オレは手札からユニオンモンスター【ドイツ】を特殊召喚だぜ!」

キモメン 手札:3枚。永続魔法:1

 

紙飛行機の上で静かに弁当を食べている茶色いオッサンが現れた。

ドイツ ★4 DEF200

 

また珍しいモンスターを出してきたな。アイツと対応しているユニオンがコイツで、ソイツと対応しているのが今出たドイツだっけ?

 

「ユニオンモンスターなんてクソガキは知らねぇだろ?土下座するんなら教えてやってもいいぜぇ?」

 

「早くプレイを続行しろブザメン」

 

「誰がブザメンだゴルァ!」

 

「いい加減にしなさい!次やったら失格ですからね!ハノイの騎士、君もですよ!」

 

やっぱり煽った俺もか?コレを相手に失格負けは嫌だな~。

 

「ちっ、オレは手札から【ソイツ】を通常召喚だぜ!そして【ドイツ】の効果を発動して【ソイツ】に装備だぜ!【ドイツ】の効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに装備カード扱いとして自分の「ソイツ」に装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができるぜ。この効果で装備カード扱いになっている時のみ、装備モンスターの攻撃力は2500ポイントアップするぜ!1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊するぜ!」

キモメン 手札:2枚。

 

紙飛行機の上で両手で力こぶを作るポーズをしてアピールする緑色のオッサンが現れた。

ソイツ ★3 ATK0 → 2500 ※戦闘破壊耐性

 

「ちっ、オレは手札から装備魔法【早すぎた埋葬】発動!800LPを払い、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。オレは墓地の【アイツ】を特殊召喚するぜ!」

キモメン LP:4000 → 3200、手札:1枚。

 

紙飛行機の上で耳に手を当てる赤いオッサンが現れた。

アイツ ★5 ATK100

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

キモメン 手札:0枚。伏せカード:1

 

<キモメンのモンスター>

ソイツ ★3 ATK2500 ※戦闘破壊耐性 (ドイツ装備効果)

アイツ ★5 ATK100

 

ハノイ  LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

キモメン LP3200、モンスター:2、永続魔法:1、伏せカード:1、手札:0枚

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行。墓地の【黄泉ガエル】効果発動。自身の効果で特殊召喚する。そしてメインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

<ハノイのモンスター>

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

「この瞬間、オレはトラップを使うぜ?【ゲットライド!】発動!自分の墓地のユニオンモンスター1体を選択し、自分フィールド上の装備可能なモンスターに装備する。オレは墓地の【コイツ】をフィールドの【アイツ】に装備するぜ!」

キモメン 伏せカード:1→0

 

「【コイツ】の効果により、【コイツ】が装備された【アイツ】の攻撃力は3000ポイントアップするぜ!更に!守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与えるぜ!1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで、装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊するぜ!」

 

<キモメンのモンスター>

ソイツ ★3 ATK2500 ※戦闘破壊耐性 (ドイツ装備効果)

アイツ ★5 ATK100 → 3100 ※戦闘破壊耐性、戦闘ダメージ貫通効果 (コイツ装備効果)

 

あの4種類を後攻1ターン目で見れるとは、少し驚きだな。ただ、それで手札も伏せカードも尽きてしまってはなぁ。さて、メインフェイズを続けるか。

 

「私はフィールドの【黄泉ガエル】をリリース。【氷帝メビウス】をアドバンス召喚。アドバンス召喚に成功した時に効果発動。フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。私は装備カードとなっている【ドイツ】と【コイツ】を破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「あ?」

 

<ハノイのモンスター>

氷帝メビウス ★6 ATK2400

 

<キモメンのモンスター>

ソイツ ★3 ATK2500 → 0

アイツ ★5 ATK3100 → 100

 

「て、てめぇ!」

 

「私は墓地の光属性【天帝従騎イデア】と闇属性【冥帝従騎エイドス】を除外して、手札から【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を特殊召喚」

ハノイ 手札:4枚。

 

<ハノイのモンスター>

氷帝メビウス ★6 ATK2400

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

相手に手札無し、墓地発動できるカード無し。フィールドの2体は低ステータスのバニラモンスター。終わりだな。

 

「バトルフェイズに移行。【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】で【ソイツ】を攻撃!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

キモメン LP3200 → 200

 

<キモメンのモンスター>

アイツ ★5 ATK100

 

「【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】の効果、このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。」

 

「な、なにぃぃぃ!」

 

この効果を使わなくても勝てるんだけどさ。

 

「【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】で【アイツ】を攻撃!」

 

「うぐあぁぁぁぁっ!」

キモメン LP200 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「負けた…?オレが、負けた…」

 

 

~~~

 

試合後、俺はハノイの衣装を脱いでキャリーバッグに仕舞い、会場の出口でセレナ、バレット、デニスと合流した。

 

「相手、弱かったな」

 

「あの相手では勲章を与えるわけにはいかんな」

 

「でも面白いモンスターを使ってたよね。ああいうエンターテイメントを追求する気持ちは評価したいな」

 

あのキモメン…試合が終わったからフツメンでいいか。あのフツメンも散々な評価を受けているな。せめて防御カードの一つでもあれば多少はマシだったんだろうがなぁ。

 

「ねぇ、君がハノイの騎士よね?白河クロト君?」

 

そんなことを考えていると、赤茶色の髪をツインテールにした青紫の瞳を持つ美人の女性に声を掛けられた。…俺の正体、バレ過ぎじゃない?

 

「確かに俺は白河クロトですが、ハノイの騎士?人違いではないでしょうか?」

 

「何言っているんだクロト。ハノイの騎士はお前だろう」

 

「おい」

 

「あら、やっぱり合っているんじゃない」

 

セレナには後で守秘義務とか、そういう感じのことをちゃんと教えておこう。

 

「それでお嬢さん、彼にどのような用事で?」

 

「そう怖い顔をしないで下さいよ。そちらはバレットさん、で合っていますよね?そして、セレナちゃんとデニス君よね?」

 

「どうしてボクたちの名前まで知っているんですか?」

 

バレットやデニスも警戒の色を浮かべ、セレナを背中に隠しながら前に出る。ただ、俺の予想が正しければそこまで警戒する必要のある人ではないんだよな。めっちゃ見覚えあるし、どう見てもあの人だろう。

 

「自己紹介をしておきましょうか。私の名前は赤馬レイ。舞網市にあるレオ・コーポレーションの元社長にしてリアルソリッドビジョンシステムの生みの親である赤馬零王の娘よ」

 

知ってた。この人は原作アークファイブの柊柚子、黒咲瑠璃、セレナ、リンの4人が分かたれる前の存在だ。この世界では覇王龍ズァークによる次元分断が発生していないだろうから赤の他人なんだろうけど、この人とあの4人なら確かに何処となく似ている部分があるんだよな。

 

それはともかく、どうしてここにいて俺の正体を知っていたり、ここで俺を待ち伏せしていたように現れたりしているんだ?

 

「貴方の正体や他の人達の名前についてはユーリ君に聞いたわ。今日この大会に来ることもね」

 

おいあの紫キャベツ!従兄妹ともども守秘義務とか知らないんですかねぇ!

 

「それで?俺たち…いや俺にかな。俺に何の用です?」

 

「父から頼まれたのよ。我が研究所の警備部門の人間にデュエルを教えられる人間を探してきてくれってね」

 

レオ・コーポレーションの警備部門…?いや、さっき確か『元社長』で『我が研究所』って言っていたな。

 

「気付いているみたいだけど、レオ・コーポレーションの警備部門じゃないわ。今の父はリアルソリッドビジョン研究所の所長なのよ」

 

「そのリアルソリッドビジョン研究所の警備部門の人間にデュエルを教えて欲しいと?お断りします」

 

面倒くさそうなんでな。赤馬零王なんて、アークファイブの登場人物の中で関わりたくないベスト3に入る危険人物じゃないか。あー、娘が無事なこの世界ならそれほどでもないか?

 

「セレナちゃんやリンちゃんと関わる貴方には他人事ではないのよ。『Dr.ドクトル』と言う研究者のことはご存じかしら?」

 

あー!あー!聞きたくないー!聞きたくなぁいー!アークファイブの登場人物の中で関わりたくないベスト1ぶっちぎりのマッド野郎の話は聞きたくないー!…聞かないと逆に怖いから聞くしかないかぁ。

 

俺が非常に嫌な顔をしたのを見るとレイも苦笑いをしながら話を続ける。

 

「やはり知っているのね。貴方の情報収集能力はとても一般の小学生とは思えないわね…。ともかく、その男が最近になって人間を操ることのできるリアルソリッドビジョンで出来た虫を開発したそうなのよ」

 

パラサイトなフュージョナーですよねきっと。

 

「そしてどうやらそれを一般人を操って誘拐することに使用し始めたのよ。それも若い女の子限定でね。既に舞網市では何人かの女学生が行方不明になる事件が発生しているわ」

 

そういうのは別の世界でやってくれ。ここはR18指定じゃないんだぞ。

 

「クズだな」

 

「ホントな」

 

そこまで聞くとセレナが怒りの表情を浮かべながらつぶやく。それには同意するが、ドクトルの最終目的が分からないな。ただの少女趣味なのか?それとも、原作に何からの関りがあるのか…。

 

「捕縛はしないんですか?そこまで分かっているのなら物的証拠もあるのでしょう?警察に届けを出すなりすれば終わりでは?」

 

「その男は事件が発覚した直後に行方をくらませたのよ。そして、Dr.ドクトルが好んで攫うのは十代前半の少女、それも腕の立つデュエリストだそうよ」

 

なんだか話が見えてきたな。流石は遊戯王の世界だ。デュエルが絡むと警察が役に立たなすぎる。

 

「元プロデュエリストの私が警備部門の人間のデュエル顧問をしようとも思ったのだけれど、私は弟の零児や零羅と一緒にレオ・コーポレーションの方からDr.ドクトルの行方を追う作業に専念したいの。そして、居場所を突き止めたら地元の警察と協力して、研究所の警備部門に突入させて確保させる予定よ」

 

「そして、その突入して敵のデュエリストと戦うであろう警備部門のデュエルの顧問を、俺が貴方の代わりにやってくれというわけですか。大企業のレオ・コーポレーションなら俺よりも相応しい講師がいるでしょうに」

 

「行き過ぎた謙遜は嫌味よ?貴方はレオ・コーポレーションのどの講師よりも、恐らく私や弟の零児よりも強いわ。それは、ハノイの騎士が登場してから全ての試合データを確認した私が保証するわ」

 

「分かりましたよ…。幸いもうすぐ冬休みですから、その期間だけでいいですよね?」

 

「えぇ、それでいいわ。詳しくは後日改めて孤児院の方に向かわせてもらうわね」

 

「はい、それでいいです」

 

そういうと赤馬レイは去っていった。その途中、物陰から何人かのボディガードが出てきたが、一応は魔力探知で存在には気付いていたので驚きはしない。

 

「バレットさん、セレナのことは…」

 

「分かっている。屋敷と通学時の警備体制を強化しておこう」

 

「ボクもユーリから詳しく話を聞いてみるよ。できるだけ協力するようにするよ」

 

「私のところにやってきたら、みんなまとめてやっつけてやる!」

 

なんだか逆にやる気になっているセレナのことはバレット、ユーリ、デニスに任せておけばいいだろう。リンのことはユーゴとコナミに任せよう。

 

それにしても、赤馬零王の所属している場所の警備員ねぇ…。青いスーツに変な仮面付けてそう。




モブのデッキはアイツとかコイツとかソイツとかドイツとかを使うデッキでした。モブの性格が昭和終盤のアニメに出てきそうなチンピラその1みたいな感じになってしまいましたが、ある意味では時代背景にはあっているのかもしれません。

【カオス】デッキもそろそろ見納めですね。【変異カオス】にする手もありますが、最終的にはカオス・ソルジャーか混沌の魔術師でオラァ!するデッキになりそうですからね。次は何を使ってもらいましょうかね。

前回ズァークさんが出たので、対となる赤馬レイも登場です。彼女も性格がよく分からないんですよね。彼女については使用デッキすら不明なので裏方確定です。4人のデッキを混ぜる?HAHAHA。私のデュエル構成力では無理です。

そして、アークファイブで一番ヤバい人が名前だけ登場しました。ハゲの方じゃないです。虫野郎の方です。今のところは十代前半の少女を虫で洗脳して集めるただの変態です。この作品は健全なので、そのあたりの細かい描写とかはないです。

次回の更新は12/23(水) AM6:00予定です。

四季式様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十四話 無限連弾バーン

赤馬零王との邂逅、そして彼の部下の育成。そして、とある町に忍び寄る悪意…。

今回もオリ主が無駄に俺TUSEEE!しながらイキリまくります。

少々、ヘイト注意です。


小学校5年生の冬休み前日の昼過ぎ、学校の終業式を終えた俺はリアルソリッドビジョン研究所の警備部門のデュエル顧問として年末年始を使った強化合宿へと向かう準備をしていた。

 

「明日からデュエル合宿か、楽しみだなクロト!」

 

「コナミは呑気だなぁ。俺は憂鬱だよ…」

 

小学校5年生に社会人の研修講師を頼むか普通?ハゲもとい赤馬零王にも挨拶しないといけないだろうし、大人が俺みたいなガキの講義を真面目に聞くだろうか?話を聞かなければ、とりあえず魔導波でぶっ飛ばしてから考えるか。今から胃がキリキリするわ~。…報酬がおいしくてついつい引き受けちゃったんだけどさ。

 

孤児院の近くの服屋、柳さんの店でそんな話をしていると、店の奥から柳さんに呼ばれた。やり遂げたぜ!みたいな凄くいい笑顔をしている。どうやら出来たみたいだな。

 

「柳さん、出来ましたか?」

 

「おーよ、会心の自信作だぜ?細かい調整をしておきたいから一度着てみてくれ」

 

「はい」

 

見た目はいつものハノイスタイル。だが、灰色の仮面と白いローブの素材には防弾・防刃効果の高い素材が使われ、左腕の部分からは強靭なワイヤーが飛び出す仕掛けが、右腕の部分からは頑丈なブレード(全く切れないし刺さらないコケ脅し)とスタンガン(ブレードから電流が流れる)が飛び出す仕掛けが追加されている。

 

ローブの内側にはスタングレネードとフラッシュバンが1つずつ隠されている。こういうのはあると安心するよな。

 

うん、注文通りだ。全く使う予定はないけれど、こういう武装はロマン溢れてて良いよね。魔導波のように見えない力よりも、こう言った一般人にも見える脅威があった方が牽制になるだろうし。銃刀法違反?はて?僕は子供だから難しい言葉は分からないなぁ~。

 

そして、それらの装備を追加して重量は以前より増加してしまったが、それでもとんでもない性能だ。精霊界での修行のおかげでこの手の荒事にはある程度慣れているし、この程度の重さが増えたぐらいであれば普段通りに動ける。

 

俺は一体何をしに向かうんだろうと考えてしまう装備だが、相手はDr.ドクトルと奴に洗脳されたデュエリストだ。出来るだけリアルファイトにも適した装備を整えるのは必須だ。俺は死にたくないんでね。

 

日本だから防弾とか要らないのではないか?いやいや、DM世界の続きですよここ?時々町中に不自然にいる黒服の懐からいつ拳銃が飛び出してきても俺は驚かない自信がある。最近はマシになったらしいが、あの悪名高き童実野町には普通に居たらしい。よくとあるゲーム屋の老人が拉致されていたとか。怖いわ~。

 

「うん、サイズはピッタリだし、重量もほぼ変わらないと思う。流石は柳さんですね」

 

「止せ止せ。おだてても何も出ねーぞ。アタシも作ってて楽しかったからいいんだよ」

 

「相変わらずですね。では、はい。お礼のイチゴ大福です」

 

そう言ってウェストポーチから袋詰めしておいたイチゴ大福をいくつか手渡す。凄く嬉しそうな表情で受け取ってくれる柳さん。この人はホントに無類の和菓子好きだな。

 

「お前も相変わらずだな。これも手作りなんだろ?」

 

「えぇ、彼氏さんと一緒に召し上がってください」

 

「なぁっ!なんでそれを知ってんだよ!」

 

危うくイチゴ大福を手から落としそうになる柳さん。普段凛々しい姿の美人が動揺する様はいつ見てもいいものだ。ここまで話題を出すのを引っ張った甲斐があったな。

 

「シスターから聞きました」

 

「セシリア、あのアマ~!」

 

顔を真っ赤にしながら憤っているが、怒っているわけではなく気恥ずかしいんだろうな。

 

「お二人が上手く行くことを祈っていますよ」

 

「お、おう。ありがとなクロト」

 

お相手の方はまだ見たことがないんだが、シスターは知っているみたいだし、悪い人間ではないだろう。普段お世話になっている彼女には幸せになって貰いたいものだ。

 

そう思いながら、衣装の件を改めてお礼を告げ、コナミを引っ張って帰路に着いた。

 

~~~

 

そして翌日の冬休み初日、ハノイの騎士姿の俺、コナミ、セレナ、バレットと共にリアルソリッドビジョン研究所の所長室を訪れていた。

 

「君がハノイの騎士こと白河クロト君か。今回の件、急な依頼で申し訳なかったが、引き受けてくれて本当に助かった。ありがとう」

 

「いえ、こちらも無関係では行かなさそうでしたかね」

 

そう言いつつ、思ったよりも遥かに温和そうな赤馬零王の姿を見て内心驚愕している。誰だよこれ。朗らかながらも少し申し訳なさそうにこちらを見るその顔は、とても個人的な理由で4つの次元を戦争状態にした戦犯には見えなかった。

 

「おー、この人が所長さんか。白衣の似合うナイスミドルって感じだな」

 

「この男が赤馬零王か。本当に研究者といった姿だな」

 

「お嬢様の見立て通り、荒事には無縁の男の様ですね」

 

俺の後ろで小声でそれぞれの見解を話す3人。言い方は悪いかもしれないが、その辺にいる普通のオジサンみたいなんだよなぁ。

 

ただ、その姿からは想像しがたいが、目の前にいるこの人物は、この世界において、あの海馬コーポレーションに次ぐ国内第2位の影響力を持つレオ・コーポレーションを1代で作り上げ、今や舞網市の枠を超えて世界に浸透し始めているリアルソリッドビジョンシステムの生みの親でもある。

 

「早速だが本題に入ろうか。君に頼みたいのは我がリアルソリッドビジョン研究所に所属する警備部門の人間50人のデュエル顧問。期間は本日から10日間。場所はこの研究所から少し離れた舞網市内にある合宿施設。ここまではよろしいかな?」

 

「えぇ、問題ありません」

 

問題しかありません。場所って舞網市内かよ。ハノイスタイルのままトマト君に接触するようなことになる事態だけは避けたい。以前のあのデュエルが彼にどんな影響を与えているか確認するのを忘れていたので、正直どうなっているのか想像するのが怖いんだよな。

 

「最終日までの最上目標としては、Dr.ドクトルとその協力者であるジャン・ミシェル・ロジェ、そして彼らの擁するデュエル戦闘集団『オベリスクフォース』約100名と対等に戦える戦力に育て上げることだ」

 

「そのためにはどのような手段を取っても構わない、でしたよね」

 

「あぁ、そのとおりだ」

 

Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェが組んでいること、そして彼らがオベリスクフォースの部隊を擁していることは事前に赤馬レイから話は聞いていた。Dr.ドクトルだけでも厄介なのに…。Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェの夢のタッグ、吐きそう。

 

まずは軽く、『ジャン・ミシェル・ロジェ』と『オベリスクフォース』について、前世の記憶から引き出して整理しておこう。

 

 

ジャン・ミシェル・ロジェ、アニメ版アークファイブのシンクロ次元においてシティの治安を守る「治安維持局」の長官に就いていた人物で、その実は融合次元の手先だった人物だ。俺の中ではアークファイブの登場人物の中で関わりたくないベスト4くらいの奴だ。使用デッキは【古代の機械】。

 

融合次元のプロフェッサー赤馬零王の支配を嫌い、シンクロ次元に自分の「王国」を創るという野望を抱いていたが、シンクロ次元にやってきた主人公の榊遊矢や赤馬零児を含むランサーズにその野望を阻止され、最後には次元転送装置を暴走させて巻き込まれて消息不明となった。

 

コイツのヤバいところは、Dr.ドクトルとは異なる方法ではあるが、奴と同じように人間を洗脳して使役する点にある。アニメだと元・犯罪者のセルゲイ・ヴォルコフを半ばサイボーグの様に改造して己の支配下に置いて手駒として使用していた。更に、監禁した榊遊矢に同様の処置を施そうとしていた節がある。融合次元はヤバイ奴らばっかりでホント怖い。

 

 

そして、オベリスクフォース。いかつくてダサい変な仮面と青色のスーツみたいな衣装をお揃いで着ている融合次元の変人集団、もとい融合次元のアカデミアの中でも特に優秀なデュエル戦士だけを集めて結成された赤馬零王直属の精鋭部隊である。使用デッキはこちらも【古代の機械】。と言うより、融合次元の連中は大体【古代の機械】デッキを使う。エクシーズ狩りは楽しいノーネ!…なんて、何処かの教師に対する風評被害が広がりそう。

 

高い身体能力を持ってスリーマンセルで行動しており、3人の連携で相手を封殺して優位に立つスタイルのデュエルを挑んでくるリアリスト。ハングライダーによる移動やジャミングによる通信妨害など、デュエル以外でもかなり有能な連中だが、性格は他次元の人々をカードに変えることを「ハンティングゲーム」として楽しむ悪癖を持っている者が多い。やべぇよ、やべぇよ。

 

そしてデュエルに関して何より厄介なのが、一人一人が【古代の機械混沌巨人】と言う【古代の機械】デッキの切り札と呼べるカードを所持している可能性が高いということだ。融合召喚でしか特殊召喚できないが、攻撃力は破格の4500、魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できず、相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、更に貫通効果も持つ。LP4000環境だとこれ1枚でゲームエンドもあり得る。アニオリの融合犬も結構強いしな。

 

こいつらの所為でエクシーズ次元のハートランドは壊滅、スタンダード次元の優秀なデュエリストの大半も敗北。そして、敗北者は全員カードにされるという鬼畜仕様。なぁにこれぇ。

 

 

こんな奴らに勝てるデュエリストを10日で用意できるわけないだろ!と思うのだが…。やるしかないか。報酬がおいしすぎるのが悪い。

 

~~~

 

赤馬零王への挨拶が終わり、俺達は舞網市の合宿施設に来ていた。山奥にあり周囲を木々で覆われており、かなり広めの敷地がある施設のようで、小さな小学校なら運動会とか出来そうだ。

 

で、ハノイスタイルの俺の目の前にはリアルソリッドビジョン研究所に所属する警備部門の大人50人がやる気無さそうに立っていた。男女比4:1くらいかな。

 

「これより10日間のデュエル研修を開始する。私はこの研修の講師であるデュエル顧問のハノイの騎士だ。よろしく頼む」

 

そう挨拶すると、辺りにざわめきが起こる。そりゃそうだ。警備員がいきなりデュエルを学んで来いなんて言われて、年末年始の貴重な休みを潰して合宿を行い、終いには講師が子供とか、俺でも戸惑う。

 

「ちっさwせんせー。お幾つですか~(笑)」

 

「ここは子供が来る場所じゃありませんよ~w」

 

「草生えるwあほくさw」

 

「もう帰ろうぜ」

 

「私ドラマの再放送見たいのよね~」

 

とまぁ、こういう反応が返ってくるのは目に見えていたので、とりあえず一番近くに立っていた舐め腐った態度の20歳くらいの男を魔導波でふっ飛ばした。

 

「ぐっはぁぁぁぁぁぁ!」

 

その男は弧を描いて空を飛び、50メートルくらい先にある施設にフェンスに直撃した。一応手加減はしたのでピクピクしてはいるが生きているようだ。流石は警備員、ある程度は鍛えているようだ。

 

そうすると、騒いでいた49名のモブどもは一瞬にして静かになり、俺の後ろでは「おおー」「おおー!」「なんだ今のは!?」なんて声も聞こえる。こっちは無視。

 

「ちなみに諸君に拒否権はない。私が許すまで発言権も認めない。当然、異論も認めない。あと、言葉を発する場合は前後に『サー』とつけろ」

 

そうして、さっき俺に暴言を吐いたアホどもを魔導波でぶっ飛ばす。近くにいた何人かも一緒に吹っ飛ぶ。綺麗に弧を描いて空を舞う姿は、まるでゴルフだな。良かったな。生身で空を飛ぶなんて滅多にない機会だぞ。テーマパークに来たみたいで、テンション上がるだろう?

 

この時点で他の約40名は恐怖一色の表情となっていた。後ろから「ヒュー!派手にやるなぁ!」「おいクロト!私にもそれを教えろ!」「私の常識が崩れていく…」なんて声も聞こえるが、こちらも無視だ。

 

「貴様らが戦うことになる相手は並大抵の敵ではない。この10日で貴様らをそれらと戦える戦士にしてやる。分かったか ウジ虫ども。今すぐ返事をしろ」

 

「「「「「さ、サー、ハノイ!」」」」」

 

 

Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェの陣営に対抗できる集団を短期間で育成するため、俺は前世の記憶を頼りに、映画でやっていた新兵訓練術をうろ覚えの記憶から取り出して真似てみた。舐められて煽られてムカついたからでは決してないのだ。

 

舐められたままだと話が進まないと思い、最初に分かりやすく暴力を使用し、上下関係をはっきりさせておいた。やはり暴力・・・・!!暴力は全てを解決する・・・・!!どんな手段を使ってもいいんだから、別にいいよな?

 

~~~

 

翌日、彼ら50人を合宿施設前にある広場に集め、それぞれのデュエルの腕を確認していた。ちなみに前日はあの後にバレットに講師を代わってもらい、軍隊式の肉体強化訓練を夜遅くまで叩き込んでもらった。昼過ぎまでデュエル、少し休憩を挟んで夕方から夜までリアルファイトをそれぞれ10日間みっちり鍛えるのが今回の合宿内容だ。

 

あと、あれから一日経って冷静になり、『サー』を付けるのは止めさせた。なんか恥ずかしいし、しっくり来なかった。俺自身が本物の兵士や軍人ではないしな。彼ら自身がデュエルに強くなり、リアルファイトにも強くなって、オベリスクフォースだけでも何とかしてくれれば御の字って所だと思っている。

 

そして、肝心の彼らのデュエルの腕は…。

 

「弱っ…。これなら鈴木や佐藤の方がマシだな…」

 

「シンクロやエクシーズは出来なくてても仕方ないと思うけど、伏せカード無しでモンスター立たせるだけなのは不味いな」

 

「これはひどい」

 

コナミやセレナも同じ意見のようだ。コナミに来てもらったのは俺以外にデュエルを叩き込める人材が欲しかったからだ。バレットには午後の肉体強化訓練の担当として同行してもらった。セレナは『面白そうだから』とついてきた。

 

「A班、一人ずつここにいるコナミとデュエル、B班はそこに居るセレナとデュエル、バレットさんはセレナのフォローを頼みます。…貴様ら班員4人のうち、誰か1人でも1対1で彼らに勝利できれば休憩後に昼食に入ることを許可する」

 

暇そうだったので彼ら2人にも仕事を振っておく。彼らがこいつらに負けることは万が一にも無いだろう。こいつらにはまず、上位のデュエリストの実力を目の当たりにさせることが必要そうだからなぁ。

 

 

「お、ようやくオレの出番か。任せとけ」

 

「あの赤帽子の少年が相手ならもしかしたら何とかなるかも知れないぞ!」

 

「昼飯は貰ったぁ!」

 

そう言いながら、少し離れた場所でデュエルを開始するコナミとA班所属の4人。コイツらは今日の昼食にありつけるこはない。コナミがデュエルで手加減をすることはないからだ。南無…。

 

 

「私の出番だな!全員やっつけてやる」

 

「お嬢様、私も微力ながらサポートいたします」

 

「可愛い…」

 

「オレ、B班でよかった…」

 

そう言いながら、A班とは別の場所でデュエルを開始するセレナとA班所属の4人、それを見守るバレット。コイツらも今日の昼食にありつけるこはない。セレナがデュエルで手加減をすることなどできないからだ。彼女の使うデッキ的に4人まとめて戦っても後攻1ターンキルすらあり得る。南無…。

 

 

「C班は私と4対1でデュエルだ。他の者は観戦していろ。C班が片付いたら順次相手をしてやる」

 

「顧問といえど、4人がかりなら…!」

 

「やってやる、やってやるぞ!」

 

意気込みは十分のようだ。だが、勝手な私語は慎んで貰いたいな。時間が惜しいので、この私語に対する罰は夕方以降、バレットにやってもらおう。

 

「4対1の変則ルールの為、私のみ初期手札は10枚、LP8000とする。お前たちはそれぞれ手札5枚、LP4000だ。さぁ、先攻は譲ってやろう。かかってくるがいい」

 

「やるぞ!」

 

「「「おおっ」」」

 

これはデュエリスト同士の戦いではなく、あくまで訓練の為、挨拶は大事だが省略する。

 

 

「「「「「デュエル!」」」」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:8000

 

VS

 

C班リーダー LP:4000

C班サブリーダー LP:4000

C班ムードメーカー LP:4000

C班紅一点 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

C班リーダー 手札:5→6枚。

 

「オレは【キラー・トマト】を召喚!」

C班リーダー 手札:5枚。

 

<C班リーダーのフィールド>

キラー・トマト ★4 ATK1400

 

「そして、オレは永続魔法【墓守の使い魔】発動!相手はデッキの一番上のカード1枚を墓地へ送らなければ、攻撃宣言をする事ができない」

C班リーダー 手札:4枚。

 

「更に、オレは永続魔法【通行税】を発動!お互いのプレイヤーは500LPを払わなければ、攻撃宣言をする事ができない」

C班リーダー 手札:3枚。

 

「最後にオレはカードを2枚伏せてターンエンド!」

C班リーダー 手札:1枚。

 

 

ハノイの騎士(クロト) LP:8000 手札:10枚

 

VS

 

C班リーダー LP:4000 手札:1枚、モンスター:1、永続魔法:2、伏せカード:2

C班サブリーダー LP:4000 手札:5枚

C班ムードメーカー LP:4000 手札:5枚

C班紅一点 LP:4000 手札:5枚

 

 

【トマハン】かな?と少し期待したが、なんだこれは?リクルーターを用意したのに先攻1ターン目で攻撃表示?戦闘破壊がトリガーなんだから裏側守備で良いだろ。そして、リクルーターを出しているのに露骨な攻撃抑制の為の永続魔法。何がしたいんだこのデッキは…。そして、C班の他メンバーや待機中の他の連中が妙に自慢げなのが気になる。もしかして、コイツが強い方なのか?これで?そうだとしたら前途多難だな…。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

C班サブリーダー 手札:5→6枚。

 

「私は【ピラミッド・タートル】を召喚!」

C班サブリーダー 手札:5枚。

 

<C班サブリーダーのフィールド>

ピラミッド・タートル ★4 ATK1000

 

「そして、私は通常魔法【融合】発動!手札の【メデューサの亡霊】と【暗黒の竜王】を融合!融合召喚!出ろ!【スケルゴン】!」

C班サブリーダー 手札:2枚。

 

<C班サブリーダーのフィールド>

ピラミッド・タートル ★4 ATK1000

スケルゴン ★6 ATK1700

 

周囲に歓声が上がる。はっ?効果なしの低攻撃力モンスターを融合召喚しただけだよな?コイツら、マジか?

 

「更に、オレはフィールド魔法【荒野】を発動!全ての恐竜・アンデット・岩石族モンスターの攻撃力と守備力は、200ポイントアップする!」

C班サブリーダー 手札:1枚。

 

<C班サブリーダーのフィールド>

ピラミッド・タートル ★4 ATK1000 → 1200

スケルゴン ★6 ATK1700 → 1900

 

「最後に私は装備魔法【紫水晶】を【スケルゴン】に装備!これで攻撃力2000越えだ!これで私はターンエンド!」

C班サブリーダー 手札:0枚。

 

<C班サブリーダーのフィールド>

ピラミッド・タートル ★4 ATK1200

スケルゴン ★6 ATK1900 → 2200

 

 

ハノイの騎士(クロト) LP:8000 手札:10枚

 

VS

 

C班リーダー LP:4000 手札:1枚、モンスター:1、永続魔法:2、伏せカード:2

C班サブリーダー LP:4000 手札:0枚、モンスター:2、フィールド魔法:1、装備魔法:1、伏せカード:0

C班ムードメーカー LP:4000 手札:5枚

C班紅一点 LP:4000 手札:5枚

 

 

仮にあの【ピラミッド・タートル】を戦闘破壊したところで、デッキから【ヴァンパイア・ロード】や【龍骨鬼】辺りが出てくることはなさそう。そしてこの布陣でハンドレスってお前…これで満足か?そして、C班の他メンバーや待機中の他の連中がなんだかもう勝ったような表情なのが少しムカつく。

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

C班ムードメーカー 手札:5→6枚。

 

「ボクは通常魔法【レッド・ポーション】発動!自分は500LP回復する!」

C班ムードメーカー LP:4000 → 4500、手札:5枚。

 

「ボクは儀式魔法【踊りによる誘発】を発動!手札のレベル2【ララ・ライウーン】、レベル2【ディッグ・ビーク】、レベル2【コピックス】を生贄に捧げる!儀式召喚!来てくれ!【ダンシング・ソルジャー】!」

C班ムードメーカー 手札:0枚。

 

<C班ムードメーカーのフィールド>

ダンシング・ソルジャー ★6 ATK1950

 

周囲に大きな歓声が上がる。…もう何も言うことはない。

 

「ボクはこれでターンエンド!」

C班ムードメーカー 手札:0枚。

 

 

ハノイの騎士(クロト) LP:8000 手札:10枚

 

VS

 

C班リーダー LP:4000 手札:1枚、モンスター:1、永続魔法:2、伏せカード:2

C班サブリーダー LP:4000 手札:0枚、モンスター:2、フィールド魔法:1、装備魔法:1、伏せカード:0

C班ムードメーカー LP:4000 手札:0枚、モンスター:1、伏せカード:0

C班紅一点 LP:4000 手札:5枚

 

 

こいつらは拾ったカードでデッキを組む縛りとかしているんだろうか?そして、C班の他メンバーや待機中の他の連中が最初の頃の様にこちらを舐め腐ったような表情と態度に変わっている。キレそう。

 

「アタイのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

C班紅一点 手札:5→6枚。

 

「アタイは【聖鳥クレイン】を召喚!」

C班紅一点 手札:4枚。

 

<C班紅一点のフィールド>

聖鳥クレイン ★4 ATK1600

 

「アタイは手札から【手札抹殺】発動!手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする!」

ハノイ   手札:10→0→10枚。

C班リーダー 手札:1→0→1枚。

C班サブリーダー 手札:0枚

C班ムードメーカー 手札:0枚

C班紅一点 手札:4→0→4枚。

 

「アタイは【エアーズロック・サンライズ】を発動!自分の墓地の獣族モンスター1体を対象として発動する。その獣族モンスターを特殊召喚し、相手フィールドのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分の墓地の獣族・植物族・鳥獣族モンスターの数×200ダウンする。レベル1【横綱犬】を墓地から特殊召喚!今はアタイの墓地には獣族・植物族・鳥獣族モンスターは居ないから攻撃力ダウンの効果は発動しない」

C班紅一点 手札:3枚。

 

<C班紅一点のフィールド>

聖鳥クレイン ★4 ATK1600

横綱犬 ★1 DEF600

 

「アタイはレベル4【聖鳥クレイン】にレベル1【横綱犬】をチューニング!シンクロ召喚!来い!レベル5【旋風のボルテクス】!このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからレベル4以下の鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する事ができる!」

C班紅一点 手札:3枚。

 

<C班紅一点のフィールド>

旋風のボルテクス ★5 ATK2100

 

「アタイはカードを2枚伏せてターンエンド!」

C班紅一点 手札:1枚。

 

ハノイの騎士(クロト) LP:8000 手札:10枚

 

VS

 

C班リーダー LP:4000 手札:1枚、モンスター:1、永続魔法:2、伏せカード:2

C班サブリーダー LP:4000 手札:0枚、モンスター:2、フィールド魔法:1、装備魔法:1、伏せカード:0

C班ムードメーカー LP:4000 手札:0枚、モンスター:1、伏せカード:0

C班紅一点 LP:4000 手札:1枚、モンスター:1、伏せカード:2

 

 

最後の一人は割といい動きをするなぁ。【手札抹殺】はデッキ破壊かと思って少し焦ったぞ。鳥獣族のシンクロモンスターに伏せカードが2枚。鳥獣族を立たせるならアレがありそうだな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行。墓地の【黄泉ガエル】効果発動。自身の効果で特殊召喚する。そしてメインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:10→11枚。

 

<ハノイのモンスター>

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

「私は通常魔法【ハリケーン】発動。フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す」

ハノイ 手札:10枚。

 

 

「うおっと!」

C班リーダー LP:4000 手札:1→5枚、モンスター:1、永続魔法:2→0、伏せカード:2→0

 

「むむっ!」

C班サブリーダー LP:4000 手札:0→2枚、モンスター:2、フィールド魔法:1→0、装備魔法:1→0、伏せカード:0

 

「伏せカードとかないから関係ないな!」

C班ムードメーカー LP:4000 手札:0枚、モンスター:1、伏せカード:0

 

「あちゃー…」

C班紅一点 LP:4000 手札:1→3枚、モンスター:1、伏せカード:2→0

 

 

【ハリケーン】が通ってしまったぞ。じゃ、幕引きだな。

 

「私は【連弾の魔術師】を通常召喚。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分が通常魔法を発動する度に、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

ハノイ 手札:9枚。

 

<ハノイのモンスター>

連弾の魔術師 ★4 ATK1700

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

 

「私は、手札を2枚捨てて、通常魔法【魔法石の採掘】を発動。自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。私は墓地の【魔法石の採掘】を手札に戻す」

ハノイ 手札:8→6→7枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:7→8枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:8→9枚。

 

「通常魔法【魔法石の採掘】が発動したことにより【連弾の魔術師】の効果発動。自分が通常魔法を発動する度に、相手ライフに400ポイントダメージを与える」

 

 

「うわっ!アタイかよ!」

C班紅一点 LP:4000 → 3600

 

 

「私は、手札を2枚捨てて、通常魔法【魔法石の採掘】を発動。自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。私は墓地の【魔法石の採掘】を手札に戻す」

ハノイ 手札:8→6→7枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:7→8枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:8→9枚。

 

「通常魔法【魔法石の採掘】が発動したことにより【連弾の魔術師】の効果発動。相手ライフに400ポイントダメージを与える」

 

 

「またアタイかよぉ!!」

C班紅一点 LP:3600 → 3200

 

 

「なぁ、これって…」

 

「あぁ、間違いない…」

 

「嘘だろ…?」

 

「そんな…無限ループコンボ…!?」

 

 

ハイ、正解です。無限ループによる無限バーンで俺の勝ちです。対戦ありがとうございました。

 

 

「では、弾け飛べ。連弾の魔術師よ、撃ちまくれ!!」

 

「キャァァァァァ!」

C班紅一点 LP:3200 → 2800 → 2400 → 2000 → 1600 → 1200 → 800 → 400 → 0

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!」

C班リーダー LP:4000 → 3600 → 3200 → 2800 → 2400 → 2000 → 1600 → 1200 → 800 → 400 → 0

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

C班サブリーダー LP:4000 → 3600 → 3200 → 2800 → 2400 → 2000 → 1600 → 1200 → 800 → 400 → 0

 

「ぬわぁぁぁぁぁん!」

C班ムードメーカー LP:4000 → 3600 → 3200 → 2800 → 2400 → 2000 → 1600 → 1200 → 800 → 400 → 0

 

~~~

 

デュエル後、倒れ伏したC班4人に向かい、今回の反省点を指摘する。周囲の連中も呆然としながらも多少は俺の実力を認めてくれたようで、しっかりと話を聞いているようだ。

 

「C班、貴様らの負けだ。貴様らの敗因はいくつもあるが、最たる原因は、『私の行動を一切妨害しなかった』こと。これに尽きる」

 

「妨害…ですか?」

 

「そう。いくら私が手札10枚あったところで貴様らは4人、更に手札がそれぞれ5枚あり、しかも先攻だ。いくらでも後攻の私の行動を阻害することが出来たはずだ」

 

「でも、そんな卑怯な真似…」

 

「卑怯?貴様らは馬鹿か?貴様らは『敗北すれば敵対者を洗脳またはカードに変える犯罪者集団』を相手に『卑怯な真似をされたから負けてカードにされました』とでも言うつもりか?いや、カードにされたら口も出せんか」

 

「それは…」

 

「いいか?デュエルモンスターズにおいて、必ず勝つ方法が1つだけある。それは『相手に一切の行動を起こさせない』ことだ」

 

「行動を起こさせない?」

 

「今のデュエルであれば、例えば1人が相手の手札を破壊し、1人が相手の墓地からカードを除外またはデッキに戻し、1人が相手の特殊召喚を封じ、1人が相手のLPを削る。これで相手に何もさせずに勝利することが可能だった」

 

「「「「…」」」」

 

デッキバウンスはともかく、除外に関してはカードによっては再利用されたりもするんだが、今は良いか。

 

「それが、貴様らはどうだ?自慢げに攻撃力の高いモンスターを並べただけの2人は論外」

 

「「うぅ…」」

 

「カードを伏せた2人も、私がターンの最初に発動した【ハリケーン】さえ止められていれば、私の先ほどのコンボを防ぐことが出来ただろう」

 

ちなみに、伏せていたカードはそれぞれ、リーダーが【闇からの呼び声】と【ねずみ取り】、紅一点が【ゴッドバードアタック】と【盗賊の七つ道具】だったそうだ。前者はともかく後者は割とヤバかったな。

 

「これが実戦だったならば、貴様たちは敵の足元に散らばるカードになってその生涯を終えることになっただろう。それが貴様たちの望みか?」

 

「「「「違います!」」」」

 

「ならば、勝て。他の有象無象の話など気にするな。相手の弱点を突き、相手の行動を妨害して、相手に何もさせぬうちに、迅速に倒せ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「可能であればデュエルすらせずに物理で倒せ!奴らは犯罪者だ!こちらは国家権力を味方につけ、法の名の元に物理で鎮圧しろ!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「仮にデュエルになっても可能な限り奴らを複数相手にする状況を作らせるな!こちらは逆に可能な限り奴らを複数で相手1人を鎮圧しろ!!」

 

「「「「はい!」」」」

 

「よろしい。では、敗北者のC班は敷地内を10周ランニングだ。行け。そして、D班、前に出てデュエルディスクを構えろ」

 

「「「「はい!」」」」

 

C班はランニングに向かい、D班はデュエルディスクを構える。コナミやセレナたちの方を見ると、それぞれの対する班員をデュエルでボコボコにしているようだ。コナミよ、タイマンで【儀式魔人リリーサー】を使った【神光の宣告者】を立てるのは流石にひどくないか?

 

こちらの預かる人数はあと38人…今日も長い一日になりそうだ…。

 

 

~~~

 

<???視点>

 

同日の同時刻、とある場所にて…。

 

「何?シティ全域で行方不明事件が増えてきている?本当なのかユート?」

 

「あぁ、間違いない。オレの知り合いは今のところ無事だが、スペード校以外のデュエルスクールに所属している生徒が何人かが行方不明らしい」

 

「警察は動いていないのか?」

 

「いや、警察に知り合いのいるアレンの話によると、かなりの人数を割いて調査しているらしいが、暴行や誘拐の痕跡が見当たらないらしい」

 

「そう言えばサヤカも連絡の取れない友達が何人かいるって言っていたわね…」

 

彼らが所属するデュエルスクールの室内で、授業後の休み時間を利用し、彼らは自分たちの住んでいる町に起こっている謎の行方不明になる事件について話していた。

 

「そして、ここからが本題なんだが、被害者と思われる人物全てに共通する特徴として、10代前半のデュエリストの少女、だそうだ」

 

「そんな!?」

 

「なんだと!?それは本当か!」

 

この言葉を聞いて、彼の妹と彼は冷静さを保っていられなかった。彼の妹はその行方不明になった少女の特徴と一致してしまうからだ。それはつまり、今後の行方不明者となる可能性が高いことを示唆する。

 

「本当だ。そしてこの事件が目立ち始める前後から、不気味な仮面と青いスーツを着た不審な男たちの目撃情報が増えてきているようだ」

 

「その男たちの噂なら聞いたことがあるわ。その男たちは舞網市にあるレオ・コーポレーション、通称LDSと呼ばれるデュエルスクールの関係者じゃないかっていう噂よね」

 

「LDSか、そいつらが行方不明事件を…。それが本当のことであれば許せん!」

 

「落ち着け隼!まだそうと決まったわけではない!」

 

頭に血が上りかけていた彼を、彼の友人が拳を握りながら諫める。まだ腹パンはしていない。

 

「そうよ兄さん。でも、警戒はしておいた方がいいわよね。私、これから帰る時はサヤカと一緒に帰ることにするわ」

 

「オレも付き合おう。瑠璃とサヤカには指一本たりとも触れさせはしない!」

 

「ユート…」

 

「瑠璃…」

 

「おい、ユート、瑠璃。お前たち、顔が近いぞ!こらっ、何をしている!手を握り合うな!潤んだ瞳で見つめあうな!離れろ!!」

 

『LDSの調査および殲滅』と言う物騒な言葉が彼の脳裏をよぎったが、今現在で彼の目の前で行われようとしている友人と妹の突発性ラブコメの所為で、シスコンの彼の頭からはその言葉は一瞬で消え去った…。




今までユルユルで適当だった本作が、若干シリアスな展開へと向かおうとしています。

Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェと言う、アークファイブで断トツにヤバい奴らをとりあえずまとめてみました。そして、ロジェが居るなら、あのドMでドSなサイボークさんも居るかも知れません。

ついでにオベリスクフォースも敵として登場が確定しました。何故オベリスクフォースが赤馬零王ではなく彼ら二人に従うかは、彼ら二人が部下に対してどんな行動を取っていたかで大体わかるかと思います。

最近、オリ主がイキリ過ぎでは?とお思いになるかも知れませんが、内心ぼとんど余裕がない状況です。コナミを引っ張ってきたのも小心者な彼なりの保身です。

ちなみに、オリ主の魔導波は一般人には見えていないので、オリ主が手を振り上げたら地面が炸裂して人が空を舞っていた…。みたいに見えています。コナミには魔導波の生成から着弾までばっちり見えてますので「へー」くらいには驚いています。

そして、とあるシティで起こる行方不明事件…。一体、何ランドシティなんだ…。

次回の更新は、12/23(水) AM7:00予定です。

戦車様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十五話 赤帽子3

強化合宿はあっさり終わります。

その後は何故かまさかのライディングデュエルです。

対戦相手はいつものデュエル好きな赤帽子の超人です。


小学校5年生の冬休みも終盤、年も明けて強化合宿も最終日を迎えていた。

 

「わざわざ入口まで迎えに来てもらって済まないな」

 

「ありがとうねクロト君」

 

「いえ、遠いところをようこそいらっしゃいました」

 

事前に話していた通り、今回の強化合宿の成果を確認する為、赤馬零王と娘の赤馬レイが合宿施設にやってきた。施設の入り口から広間に案内したところ、ちょうど警備員同士で最後の仮想デュエルをしているようだった。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

 

「私はこの瞬間!カウンター罠【強烈なはたき落とし】発動!相手がデッキからカードを手札に加えた時に発動できる。相手は手札に加えたそのカード1枚を捨てる!」

 

 

「ボクは手札から【融合】発動!手札の…」

 

「アタイはこの瞬間!永続罠【融合禁止エリア】発動!お互いのプレイヤーは融合召喚をする事ができない!」

 

 

「私はそのモンスターの攻撃に対してトラップ発動!【パワー・ウォール】!貴方の【同族感染ウィルス】の攻撃力1600を相殺できるだけ、デッキからカードを墓地に送るわ!」

 

「なら、オレはメインフェイズ2に移行!そして【システム・ダウン】発動!1000LPを払う。相手フィールド上と相手の墓地の機械族モンスターを全てゲームから除外する!」

 

 

「アタイは【異次元の偵察機】をリリース!【炎帝テスタロス】をアドバンス召喚!召喚成功時…」

 

「ボクはこのタイミングで伏せカード【禁じられた聖杯】発動!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として【炎帝テスタロス】に発動!そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される! 」

 

 

うん、良い感じだな。

 

「よくここまで強くなったものだな」

 

「凄いわね…素人同然だった以前と比べ物にならない…」

 

「皆さんの努力の賜物ですよ」

 

本当によく頑張っていたと思う。特に夜のバレットによる肉体強化訓練。今の俺でも魔力なしだとかなりキツめの内容だったからな。

 

「先日依頼されて支給したカードの中でも、特に相手の行動を妨害するカードを多く使用しているようだな」

 

「なるほど。オベリスクフォース対策として、機械族メタと融合メタを徹底的に貼っていくスタイルに特化したわけね」

 

「えぇ、Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェが彼らのトップとはいえ、現場に出てくるような人物でもなさそうでしたからね。現場に出てくるであろうオベリスクフォース対策を重点的にやりました」

 

「以前渡した元オベリスクフォースのデッキレシピを用いたデッキとの勝率はどれくらいだろうか?」

 

「あぁ、彼らがLDSの保安部に所属していた頃から使い続けていたって言うデッキレシピね」

 

「多少の個人差はありますが、現時点でここにいる50人全員が勝率7割を超えています。今後も日々の訓練を続けていけば決戦の日が来ても上手く立ち回れると思います」

 

「7割!?…素晴らしいな」

 

「徹底的にメタったとはいえ、凄まじい勝率ね…」

 

 

最初の3日でデュエルに対する認識を改めて貰った。具体的には、全員をひたすらデュエルでボコボコにして、自分たちが弱いことを徹底的に認識させ、どうすれば勝てるのかを延々と考えさせた。

 

次の3日で赤馬所長に依頼して大量に用意してもらったカードを全員に配布して、オベリスクフォース対策のメタカードを大量投入したデッキを渡し、【古代の機械】デッキを使う俺とコナミを相手にひたすらデュエルさせた。

 

次の3日で【古代の機械】デッキを班ごとに1つずつ渡し、デッキ内のカードの説明やその役割、回し方などを叩き込んだ。その後に班同士で対戦させた。その際、片方の班は【古代の機械】デッキ、もう片方はメタデッキで戦うようにして、そのデュエルを他のメンバー全員で観戦し、デュエル後に勝因、敗因についてディスカッションさせた。

 

そして最終日の今日、【古代の機械】デッキの相手に対して3連勝した者から合格と言う勝ち抜け戦を実施している。この合宿を乗り越えた彼らは、タイマンなら高確率でにオベリスクフォースを打倒できるだろうし、相手にチーム戦をさせないように物理的に邪魔をするダーティな部分もしっかり強化してある。正直、かなりの成果を上げられたのではないかと自負している。

 

 

「唯一懸念点があるとすれば、彼らは奴らよりも人数が少ないのが少し不安ですね」

 

「その点は心配ない。この数日で各界に話を付け、後日新たに人数を増やせる目途が立った。数日後には元オベリスクフォースの3倍の人間を確保できる予定だ」

 

「追加メンバーの教育も、貴方が用意してくれた教材とバレットさんに手伝ってもらえるように約束は取れているからそちらの心配も無用よ?」

 

「流石ですね」

 

大体今の50人+元オベリスクフォース100人×3として、350人か。それだけの人数差があれば強引に複数戦を強いられる可能性も低くなるだろう。

 

「どうやら向こうの最終訓練もケリがついたようですね。赤馬所長、彼らに一言お願いできますか?」

 

「私がかね?…分かった」

 

俺が赤馬所長にそう告げると、警備員50人は整列して俺や赤馬所長の前に立つ。

 

「諸君、今日までの強化合宿、ご苦労だった。諸君はこの厳しい訓練を乗り越えた。これから起こるである騒乱にもきっと打ち立てるであろうと私は信じている。…ハノイ、締めを頼む」

 

「任されました。…貴様らは今日をもってウジ虫を卒業して戦士となる!おめでとう!よく頑張ったな!」

 

警備員たちの中でざわめきとすすり泣く声が聞こえる、ホントによく頑張ったよ君たちは。俺なら逃げてるわ。

 

「この合宿を乗り越えた君たちには、後日、所長から直々に開発なされた特別なデュエルディスクが授与されることとなっている!」

 

このデュエルディスクには、味方同士の現在位置がわかるGPS、味方同士でのみ可能な近~中距離通信などの機能が搭載されており、アップデートによる拡張機能も用意されている優れモノだ。敵のデュエルディスクの解析が出来れば、カード化を相殺して無効化することも可能だとか。流石は元黒幕。技術力が半端ない。

 

「そして、このデュエルディスクを持つ君たちは、今この瞬間より『ランス・ディフェンス・ソルジャーズ』、略して『ランサーズ』と名乗るが良い!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉっ!ランサーズ!」」」」」

 

アニメで主人公たちが次元移動する際に所属することになったチーム名だが、どうやらお気に召したらしい。この世界では使われることのない名前だろうし、別に勝手に使っても問題ないだろう。

 

「おぉっ!良かったなお前たち!」

 

「「「「「セレナちゃーん!ありがとー!!」」」」」

 

俺の挨拶の時よりも遥かに大きな声援がセレナに向かう。嬉し泣きしているオッサンも多数いる。うーむ、流石は原作での槍サーの姫。老若男女問わずに人気あるなぁ。大半が20~50歳のオッサンが、10歳の少女相手に嬉し泣きとか、色々と不安は残るが、気にしない気にしない。

 

こうして強化合宿は終わりを告げ、俺達はそれぞれの帰路に着いた。別れ際になんとかセレナと連絡先を交換しようとする連中も居たが、ことごとくバレットに邪魔されて地面に寝かされていた。その様子を見てセレナが笑い、バレットや寝かされていた男たちもその笑顔を見て笑う。なんだこれ、怖い。関わり合いにならないでおこう。

 

そして、ちゃっかりランサーズの女性陣と連絡先を交換していたコナミ。こんな所でも人誑しの才能を発揮するとは、流石はコナミ。さすコナ。

 

~~~

 

合宿終了後の翌々日、冬休みの最終日に俺は久し振りにI2社の管理するサーキットへとやってきていた。コナミ、セレナ、バレット、ユーゴ、リンも一緒だ。

 

「あっ、ハノイ君。お久し振り~」

 

「お久しぶりです受付さん。何処に行っても受付してますね」

 

「それが仕事だからね~。ところで、後ろの皆さんは話にあったお連れさんね?。こほん、社長から話は伺っていますので、このセキュリティカードを使って競走路の方へどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

セキュリティカードを受け取り、皆を連れて競走路の方に向かう。…この受付のお姉さんとはもう知り合って何年になったやら。そう言えば、俺ってあの人の名前を知らないな…。

 

~~~

 

セキュリティカードを使い、通路を抜けてスタジアムの中央部へと出る。前世で見たことのある競馬場を大体10倍くらいにしたようなどデカいコースが目の前に広がっている。…これは凄いな。この国でこれだけの敷地を確保するとかお金かかってそうだな~。

 

「うおぉぉぉ!すげー広いぞー!」

 

「うわぁ!凄い景色ねー!」

 

ユーゴとリンは大はしゃぎだ。セレナも周囲を見回してそわそわしている。バレットはその横で周囲を警戒しながらも微笑ましそうにその様子を見ている。

 

「よく来たねクロト。そしてコナミ君、だったかな」

 

「お久しぶりです。天馬社長、天馬支部長」

 

I2社の天馬夜行社長(弟)と天馬月行支部長(兄)が俺とコナミを出迎えてくれた。こうして並んで立たれると良く似ている兄弟だと改めて思う。

 

「初めまして。オレのことはコナミでいいよ」

 

「ではコナミ。ようこそ。I2社が管理するこのサーキットへ!」

 

普段通りのテンションで挨拶するコナミだが、天馬兄弟の後ろに置いてある2つのシートが掛かった物体が気になっているようだ。

 

「早速だが紹介しよう。我が社と海馬コーポレーションで共同開発した、試作型Dホイールだ」

 

「クロトから色々とアイディアやアドバイスを貰いながら試行錯誤して、ようやくここまで形になったのだ」

 

そういうと、天馬社長は近くにあった物体から被さっていたシーツを取り払い、そのシーツに隠されていた物の正体を明らかにした。そこには、5D'sの主人公である不動遊星が乗っていたDホイール『遊星号』に良く似た形のバイクのような乗り物が2台、そこに鎮座していた。

 

「おぉぉぉぉ!これがDホイールかー!」

 

「格好いいわねー!」

 

「わ、私も乗りたいぞ!」

 

「お嬢様、落ち着いてください!」

 

ユーゴ、リン、セレナの興奮具合が凄いことになっている。バレットは必死にセレナを抑えている。

 

「素晴らしい出来ですね」

 

「格好いいな!」

 

俺とコナミも率直に感想を述べる。俺に関しては設計図から組み立て段階の状態やらエンジンに初めて火が入る瞬間までこの目で見ているのだが、それでもちゃんとした形になったのを見ると心を奪われる。

 

「クロトの言うモーメントエネルギーと言うのがまだ解明、開発に至っていない為、今はまだ太陽光エネルギーで走るバイクに近い構造だ」

 

「一応、自動運転モードと手動運転モードに切り替えられるんだが、まだまだ開発段階で走っている最中に乗り手に凄まじい衝撃が加わってしまうのが難点であり、最重要の改良点だな」

 

「そのために俺達が来たんですよ」

 

「そうだな。オレたちなら乗りこなせるだろうし、仮に事故っても死にはしないだろう」

 

バイクや自動車とは違う、完全自動運転する乗り物ということで、海馬コーポレーションとI2社のゴリゴリのゴリ押しにより、将来的にはなんと13歳から専用の免許が取得できるようになるそうだ。

 

例外的に俺とコナミはその免許取得の為の試験を事前にクリアしている為、今から行う試運転のテストドライバーを務めることになっている。

 

「じゃあ、早速始めますか」

 

「あぁ、まずは手動運転でDホイールを発進させて、デュエル開始前後からはオートパイロットによる自動運転、最後にデュエル終了後の強制停止機能の正常動作確認だな」

 

ライダースーツに着替えてきた俺達は、ヘルメットを被って俺達の身長に合わせた専用のシートに跨ってエンジンを起動させる。

 

「よし、行くぞコナミ!」

 

「おうよ!」

 

アクセルを踏むとDホイールが独特の起動音と共に走り出す!すぐさま景色が流れるような映像と化す。

 

「「対戦、よろしくお願いいたします!」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

『デュエルが開始されます。ただちに退避してください。繰り返します…』

 

サーキット内にアナウンスが流れ、ユーゴ達は観客席へと移動していく。

 

『デュエルモードオン、オートパイロットスタンバイ』

 

Dホイールから、マニュアル操作からオートパイロットモードに切り替わったことを告げる音声が聞こえる。そして、デッキから初期手札を引き抜いて、ハンドルの横に付いたスタンドに置く。

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

クロト LP:4000

 

VS

 

コナミ LP:4000

 

『フィールド魔法【スピード・ワールド2】発動』

 

デュエル開始とともにフィールド魔法【スピード・ワールド2】が発動される。何故1ではなく2なのかと言うと、今回は俺が2にするように頼んだからだ。スピード・ワールド1だと大きなダメージを受けるごとにスピードカウンターが減少するから、スピードスペルの動作確認をするのに不便なんだよな。

 

今回使用しているこの世界の【スピード・ワールド2】の効果は以下の通り。

 

①このカードは他のカード効果を受けず、リリースもできない。

 

②スピードスペル(以降、Spと表記する)と名のつく魔法カード以外の魔法カードをプレイしたとき、自分は2000ポイントのダメージを受ける。

 

③お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、自分用スピードカウンター(以後、Spカウンター)をこのカードの上に1つ置く(最大12個まで)。※先攻1ターン目のスタンバイフェイズではSPカウンターは増加しない。

 

④自分用スピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。

●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数×800ポイントダメージを相手ライフに与える。

●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。

●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。

 

開幕スタートダッシュを決め、爆走を始める俺とコナミのDホイール。第1コーナーを先に曲がったのはコナミだ。

 

「先攻はオレが貰った!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト Sp:0

コナミ 手札:5→6枚、Sp:0

 

それぞれのDホイールが最高速度の時速150kmに到達した。速すぎる!景色なんて見ている余裕ない!事前に訓練は受けていたものの、実物に乗るとやっぱり結構怖いわコレ!

 

相手の声は、俺の様に魔力による身体強化をしていなければDホイールからの通信音声以外に聞き取りようがないだろうな。アニメ5D'sのDホイーラー達は全員が超人か何かなのか?コナミは…楽しそうで何よりですね…。

 

「オレは手札の【星見獣ガリス】を相手に見せて発動する。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、そのカードがモンスターだった場合、そのモンスターのレベル×200ポイントダメージを相手ライフに与えこのカードを特殊召喚する。そのカードがモンスター以外だった場合、このカードを破壊する」

 

「…どうせそのデッキ、フルモンなんだろ?」

 

「その通り!効果によりデッキトップを墓地に送る!!…オレが墓地に送ったカードは…【冥府の使者ゴーズ】!レベル7だ!」

 

「げっ!レベル7…!」

 

「【冥府の使者ゴーズ】のレベル7×200、つまり1400のLPダメージをクロトに与えて、オレは手札の【星見獣ガリス】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:6→5枚

 

「くっそぉ!」

クロト LP:4000 → 2600

 

<コナミのフィールド>

星見獣ガリス ★3 DEF800

 

「オレは手札から【魔界発現世行きデスガイド】を通常召喚!召喚時に効果発動!このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない!オレはデッキから【クリッター】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:4枚

 

「させるか!手札から【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送って効果発動!相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする!」

クロト 手札:5→4枚

 

チェーン②エフェクト・ヴェーラー

チェーン①魔界発現世行きデスガイド

 

<コナミのフィールド>

星見獣ガリス ★3 DEF800

魔界発現世行きデスガイド ★3 ATK1000

 

「デスガイドの効果は無効か。それなら、フィールドのレベル3【星見獣ガリス】と【魔界発現世行きデスガイド】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク3!【彼岸の旅人 ダンテ】!」

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:2

 

「【彼岸の旅人 ダンテ】の効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする!」

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:2→1

 

墓地に送られたカードは…うわぁ、これはキツイな。

 

「他にもダンテは墓地へ送られた場合、ダンテ以外の墓地の「彼岸」カード1枚を手札に加える効果があるんだよな?」

 

「その通り!オレはこれでターンエンド!」

 

 

クロト LP:2600、手札:4、モンスター:0、伏せカード:0、Sp:0

コナミ LP:4000、手札:4、モンスター:1、伏せカード:0、Sp:0

 

 

なんでエクシーズ召喚までしたのにほとんど手札が減っていないんですかねぇ。フィールドにはモンスターが1体だけ。だが手札には他にも【ゴーズ】が居る可能性があるし、他の手札誘発も控えていそうだ。でも、フルモン相手に慎重に行くなんて選択肢はないよな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚、Sp:0→1

コナミ Sp:0→1

 

この後攻1ターン目からスピードカウンターが溜まり始める。このカウンター数によってスピードスペルの発動条件を満たせるかが決まる。スピードカウンター1個だと…使えるカードはなさそうだな。

 

「俺は手札から【魔轟神レイヴン】召喚。そして効果発動。1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分の手札を任意の枚数捨て、その枚数分このカードのレベルをエンドフェイズ時まで上げる。このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、この効果によって捨てた手札の枚数×400ポイントアップする。俺は手札から【暗黒界の武神 ゴルド】を捨てる。更に【暗黒界の武神 ゴルド】効果発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、このカードを墓地から特殊召喚する」

クロト 手札:4→3枚

 

「ここでオレは【増殖するG】を手札から墓地へ送って発動!このターン、相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない」

コナミ 手札:4→3枚

 

チェーン②増殖するG

チェーン①暗黒界の武神 ゴルド

 

「増G!?めんどくさいカード使ってくれる!」

 

「照れるなぁ。効果処理をするぞ。【暗黒界の武神 ゴルド】特殊召喚成功時、オレは【増殖するG】の効果で1ドロー」

コナミ 手札:3→4枚

 

<クロトのフィールド>

魔轟神レイヴン ★2→3 ATK1300→1700

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2300

 

当然、妨害して来るか。このターンのこれ以上の特殊召喚は、特殊召喚するたびにコナミに手札を与えることになる。流石に厳しいな…。

 

「俺は手札の【魔轟神グリムロ】の効果発動。自分フィールド上に「魔轟神」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。デッキから「魔轟神グリムロ」以外の「魔轟神」と名のついたモンスター1体を手札に加える。俺はデッキから【魔轟神クシャノ】を手札に加える」

クロト 手札:2→3枚

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド。エンドフェイズ時、【魔轟神レイヴン】のレベルと攻撃力は元に戻る」

クロト 手札:3→1枚

魔轟神レイヴン ★3→2 ATK1700→1300

 

 

クロト LP:2600、手札:1、伏せカード:2、Sp:1

 

<クロトのフィールド>

魔轟神レイヴン ★2 ATK1300

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2300

 

コナミ LP:4000、手札:4、伏せカード:0、Sp:1

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:1

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト Sp:1→2

コナミ 手札:4→5枚、Sp:1→2

 

「オレは手札の【サンダー・ドラゴン】を手札から捨てて効果発動!デッキから「サンダー・ドラゴン」を2体まで手札に加える!」

コナミ 手札:4→6枚

 

「オレは手札の【サンダー・ドラゴン】【サンダー・ドラゴン】【可変機獣 ガンナードラゴン】を墓地に送り、【モンタージュ・ドラゴン】を特殊召喚!このカードは通常召喚できない。手札からモンスター3体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。このカードの攻撃力は、墓地へ送ったそのモンスターのレベルの合計×300ポイントになる。墓地に送った三体のレベルの合計は17!よって攻撃力は300×17で5100だ!」

コナミ 手札:6→2枚

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:1

モンタージュ・ドラゴン ★8 ATK5100

 

「【彼岸の旅人 ダンテ】の効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする!」

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:1→0

 

まだこの伏せカードは使えない。もう少し待つしかないな。

 

「オレは手札から【デブリ・ドラゴン】を召喚!このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。このカードをS素材とする場合、ドラゴン族モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材モンスターは全てレベル4以外のモンスターでなければならない。オレは墓地から【ライトロード・ハンター ライコウ】を特殊召喚」

コナミ 手札:1枚

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:0

モンタージュ・ドラゴン ★8 ATK5100

デブリ・ドラゴン ★4 ATK1000

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

 

「オレはレベル2【ライトロード・ハンター ライコウ】にレベル4【デブリ・ドラゴン】をチューニング!シンクロ召喚!来い!レベル6【瑚之龍】!」

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:0

モンタージュ・ドラゴン ★8 ATK5100

瑚之龍 ★6 ATK2400

 

「オレは手札を1枚捨て、【瑚之龍】の効果発動!1ターンに1度、手札を1枚捨て、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。クロトの左の伏せカードを破壊する!」

コナミ 手札:1→0枚

クロト 伏せカード:2→1

 

掛かった!

 

「俺はセットされていた【やぶ蛇】が相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた為、効果発動!デッキ・EXデッキからモンスター1体を特殊召喚する。来い!【異星の最終戦士】!このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する事はできない!」

 

<クロトのフィールド>

魔轟神レイヴン ★2 ATK1300 → 効果破壊

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2300 → 効果破壊

異星の最終戦士 ★7 DEF2300 → 効果により特殊召喚

 

「召喚・反転召喚・特殊召喚全てを封じるモンスター!?」

 

SPしか使えないライディングデュエルにおいて、お前がフルモンデッキで来ることは何となく想像できたしな。EXデッキにモンスターに除去手段を頼りがちなフルモンデッキだと、特殊召喚を封じられると途端に相手カードの除去手段が激減する。さぁ、どうするよ!

 

「くっ!バトルだ!【瑚之龍】で【異星の最終戦士】を攻撃!」

 

そう。【異星の最終戦士】はそこまでステータスが高くない上に戦闘・効果耐性もない。召喚、特殊召喚両方を封じられたフルモンなら当然、戦闘による破壊を考えるだろう。だがな!

 

「俺は伏せていた罠【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

クロト 伏せカード:1→0

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:0

モンタージュ・ドラゴン ★8 ATK5100 → 効果破壊

瑚之龍 ★6 ATK2400 → 効果破壊

 

「ここでミラフォー!?…だけど、S召喚した【瑚之龍】が墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする!」

コナミ 手札:0→1

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:0

 

「…ターンエンド!」

 

 

クロト LP:2600、手札:1、伏せカード:0、Sp:2

 

<クロトのフィールド>

異星の最終戦士 ★7 DEF2300

 

コナミ LP:4000、手札:1、伏せカード:0、Sp:2

 

<コナミのフィールド>

彼岸の旅人 ダンテ ☆3 DEF2500 ORU:0

 

 

万が一に備えてにダンテは守備表示のまま残しておいたか。今はあの守備力を突破できないが…。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:1→2枚、Sp:2→3

コナミ Sp:2→3

 

「俺は手札から【Sp-エンジェル・バトン】発動!自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合に発動する事ができる。自分のデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚墓地へ送る」

クロト 手札:1→3→2枚

 

「俺はカードを1枚伏せて、手札から【Sp-ハイスピード・クラッシュ】発動!自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合に発動する事ができる。フィールド上に存在するカード1枚と、自分フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。俺はさっき伏せた自分の伏せカードとコナミの【彼岸の旅人 ダンテ】を破壊する!」

クロト 手札:1→0枚

 

「墓地に送られた【彼岸の旅人 ダンテ】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、このカード以外の自分の墓地の「彼岸」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。オレは墓地の【彼岸の悪鬼 グラバースニッチ】を手札に加える」

コナミ 手札:1→2枚

 

「【異星の最終戦士】を攻撃表示に変更してバトルフェイズに移行。【異星の最終戦士】でダイレクトアタック!」

 

<クロトのフィールド>

異星の最終戦士 ★7 ATK2350

 

「くあぁぁぁっ!」

コナミ LP:4000 → 1650

 

手札にあるかもしれない【冥府の使者ゴーズ】や【バトルフェーダー】は【異星の最終戦士】の効果で特殊召喚できない!この勝負、貰ったぞ!

 

「ターンエンドだ!」

 

 

クロト LP:2600、手札:0、伏せカード:0、Sp:3

 

<クロトのフィールド>

異星の最終戦士 ★7 DEF2300

 

コナミ LP:1650、手札:2、モンスター:0、伏せカード:0、Sp:3

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト Sp:3→4

コナミ 手札:2→3枚、Sp:3→4

 

「オレはモンスターを裏守備表示で伏せてターンエンドだ」

コナミ 手札:2枚

 

伏せたのはさっきの彼岸モンスターか?彼岸モンスターは墓地に送ると効果を発揮するモンスターが多いはず。用心しておくか。

 

 

クロト LP:2600、手札:0、伏せカード:0、Sp:4

 

<クロトのフィールド>

異星の最終戦士 ★7 DEF2300

 

コナミ LP:1650、手札:2、伏せカード:0、Sp:4

 

<コナミのフィールド>

伏せモンスター

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:0→1枚、Sp:4→5

コナミ Sp:4→5

 

「俺は手札から【Sp-オーバー・ブースト】発動!このターン自分用スピードカウンターを4つ増やす。エンドフェイズに自分用スピードカウンターを1つにする」

クロト 手札:0枚、Sp:5→9

 

「俺は【スピード・ワールド2】の効果発動!自分用スピードカウンターを7つ取り除く事で、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

クロト 手札:0→1枚、Sp:9→2

 

良し!これならいける!

 

「俺は手札から【Sp-ディフェンス・バスター】発動!自分のスピードカウンターが2つ以上存在する場合に発動する事ができる。相手フィールド上に存在する守備表示モンスター1体を表側攻撃表示に変更する!」

クロト 手札:0枚

 

太陽の書などによる裏側守備表示のモンスターを表側攻撃表示にする効果は『カードの効果によるリバース』であるため、反転召喚を封じる【異星の最終戦士】の効果の対象外だ。

 

「かかったなクロト!【ライトロード・ハンター ライコウ】のリバース効果発動!このカードがリバースした場合に発動する。フィールドのカード1枚を選んで破壊できる!自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る!オレは【異星の最終戦士】を選んで破壊する!」

 

2枚目!だけどなコナミ!俺のターンでの発動なら何とかなるんだよ!

 

「俺は墓地の【ブレイクスルー・スキル】を除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない!」

 

「…それはどうかな?」

 

「何!?」(カン☆コーン)

 

「オレは相手の墓地で魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札の【スカル・マイスター】を手札から墓地へ送って発動!その効果を無効にする!」

コナミ 手札:2→1

 

なん…だと…!?

 

チェーン③スカル・マイスター

チェーン②ブレイクスルー・スキル

チェーン①ライトロード・ハンター ライコウ

 

「【スカル・マイスター】の効果により、墓地で発動した【ブレイクスルー・スキル】の効果は無効!よって、【ライトロード・ハンター ライコウ】の効果は無効化されない!【異星の最終戦士】を破壊だ!そしてオレは自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る!」

 

「マジかー!…ターンエンド!エンドフェイズ時、【Sp-オーバー・ブースト】の効果により俺のスピードカウンターは1になる…」

 

 

クロト LP:2600、手札:0、モンスター:0、伏せカード:0、Sp:1

コナミ LP:1650、手札:1、モンスター:0、伏せカード:0、Sp:5

 

<コナミのフィールド>

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズ時に墓地の【黄泉ガエル】効果発動!墓地より特殊召喚する!そしてメインフェイズへ移行!」

クロト Sp:1→2

コナミ 手札:1→2枚、Sp:3→5

 

<コナミのフィールド>

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

黄泉ガエル ★1 DEF0

 

コナミの墓地にはアイツが居る。流石に厳しいな…。

 

「オレは墓地より【亡龍の戦慄-デストルドー】効果発動!このカードが手札・墓地に存在する場合、LPを半分払い、自分フィールドのレベル6以下のモンスター1体を対象として発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、レベルが対象のモンスターのレベル分だけ下がり、フィールドから離れた場合に持ち主のデッキの一番下に戻る。オレはフィールドのレベル1【黄泉ガエル】を選択して、【亡龍の戦慄-デストルドー】のレベルを1下げてレベル6にする」

コナミ LP:1650 → 825

 

<コナミのフィールド>

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

黄泉ガエル ★1 DEF0

亡龍の戦慄-デストルドー ★7→6 DEF3000

 

ですよねー。コイツが墓地に落ちたのが見えたから全力で特殊召喚封じに走ったんだけどな~。やはりライコウの時に焦りすぎた?いや、結局は一緒だったかな。

 

「オレはレベル1【黄泉ガエル】とレベル2【ライトロード・ハンター ライコウ】にレベル6となった【亡龍の戦慄-デストルドー】をチューニング!破壊神より放たれし聖なる槍よ 今こそ 魔の都を貫け!シンクロ召喚!出ろ!レベル9!【氷結界の龍 トリシューラ】!」

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

 

出ちゃったートリシューラ。つーかその召喚口上…まぁいいか。そして、わざわざコイツをシンクロ召喚するってことは…。

 

「そして【亡龍の戦慄-デストルドー】は自身の効果によりフィールドから離れた場合に持ち主のデッキの一番下に戻る、か」

 

「そうだな。そして【氷結界の龍 トリシューラ】効果発動!このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる!手札、フィールドにカードは無いから、オレはクロトの墓地の【超電磁タートル】を除外する!」

 

「やっぱり気付かれているよな~」

 

「【Sp-エンジェル・バトン】の時に送ったカードだろ?流石に見てたよ。…バトル!【氷結界の龍 トリシューラ】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

クロト LP:2600 → 0

 

俺のLPが0になったことにより、Dホイールの前面からから煙が噴き出し、Dホイールが急停止する。うおぉっと!確かに結構な衝撃だな!

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

 

デュエルは俺の負けだったが、Dホイールの性能確認はしっかりできたと思う。スタート時のマニュアル操作も、途中からのオートパイロットも、デュエル終了時の強制停止機能も正常に稼働したからな。…決して負け惜しみではない。いいね?

 

スピードスペルを入れたデッキ構成は難しいな。普通の魔法カードで回すデッキだと辛そうだが、たまにはライディングデュエルも普段と違うデュエルになるから面白そうだよな。

 

【スピード・ワールド】の仕様を5D's仕様にするか、アークファイブ仕様にするかでデッキ構築が大きく変わりそうだな…。これは天馬兄弟と要相談だな。

 

~~~

 

<???視点>

 

同日の同時刻、とある場所にて…。

 

「非常に強力なシンクロ召喚反応…検知。場所…前回と同じくこの日本。…同地域の周囲に、この1年で…中頻度で強力なシンクロ召喚反応多数…調査…続行」

 

とある人物が何らかの目的のために日本の何処かで動き出していた…。




オベリスクフォースと戦う人たちならランサーズで良くない?と思い、強化合宿クリア者はランサーズとなりました。モブキャラしかいませんけどね。セレナはこの作品でも槍サーの姫みたいになりました。

何となくライディングデュエルを試してみましたが、スピードカウンターの管理とスピードスペルの運用がメチャクチャ難しいですね。今後しばらくはやらないと思います。

コナミは【フルモン】、オリ主は【魔轟神&暗黒界(メタ寄り)】な感じです。

魔法カードが使えない状況をどう対応するかをそれぞれ検討したところ、コナミは魔法罠を入れずにフルモンにして、除去や妨害効果はEXデッキのモンスター効果を使用し、スピード・ワールドはその効果のみを利用する形を取りました。

オリ主は付き合いの長いコナミの思考を読んでそれを逆手に取り、伏せカードが相手に破壊されると発動するカードを多めに入れて、異界の最終戦士で召喚封じを掛ける算段でしたが、結果は御覧のありさまでした。

そろそろ強力なシンクロを使うと未来組にロックオンされます。

次回の更新は12/23(水) AM8:00予定です。

戦車様、四季式様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十六話 エクゾディア4

忘れた頃にまたやってくるエクゾディア無双。

そして、DM世代の凡骨ことあの人が登場します。


小学校5年生で最後の授業が終わり、明日からは春休みだ。鈴木、佐藤、田中の3人は一緒に何処かへ遊びに行ったようだ。

 

 

Dr.ドクトルとジャン・ミシェル・ロジェの一味については、現在も潜伏場所を調査しているそうだが、日本どころか海外でもオベリスクフォースの姿が見かけられるようになったらしく、LDSやリアルソリッドビジョン研究所の面々も調査が難航しているとぼやいていた。

 

時間が経てば経つほどに行方不明事件が起こり、事件が起こるたびに敵組織のデュエリストが増えていく図式になっている為、早めに見つかって欲しいところである。…俺?俺が世界中に散らばる犯罪組織の調査に役立つとは思えないなぁ。

 

 

と言うわけで、俺に出来ることと言えばと言うことで、今日もこうしていつもの通り精霊界での修行を行っているわけだ。今はすっかり顔なじみとなった村の手伝いをしている。

 

「バニー!」

 

「ん?なんだバニーラ?またニンジンを探すのを手伝って欲しいのか?」

 

「バニニー!」

 

「違うのか?スマンが俺にはお前の言葉は分からないんだよなぁ。キーメイス、バニーラはなんて言っているんだ?」

 

「えっとね~『どうしてクロトには精霊が付いていないの?』だってさ。そう言えばどうして?」

 

いつものように村の近くにある森から果物や木の実を見つけて村まで運んでいる最中に、バニーラとキーメイスにそんな質問を受けた。いや、なんでって言われてもな…。

 

「分からないな。逆に聞きたいんだが、精霊ってそんなに簡単に人に付くものなのか?」

 

「バニー!」

 

「うん。人間界でデュエリストがデッキに入れて長くそのカードを大切に使っていると、そのカードに対応した精霊が自然に宿るんだ。他には、元々力の強い精霊が人間界のカードに自分から宿ることもあるんだって!」

 

そういうものなのか。前者が遊戯のクリボーやヨハンの宝玉獣、後者がユベル、例外として井戸の底に眠るオジャマトリオなのかな?

 

「へー。それなら納得だな。俺ってあんまり特定のデッキを使ったりしないからな」

 

「バニニー!」

 

「そうなんだ。それでね?バニーラが自分の精霊のカードをクロトにあげたいってさ。せっかくだからボクのカードもあげるよ」

 

そういうとバニーラとキーメイスは自身の精霊のカードを手渡してくる。精霊界に行き来できる人間なんて珍しいわけだし、これも例外枠なんだろうな。何にしてもありがたいな。

 

「おぉ、ありがとな」

 

そんな話をしながら村に帰って果物と木の実を村の皆に配っていると、話を聞きつけたワイト、プチリュウ、メカレオンが自身のカードを渡してくれた。

 

魔力の修行が目的で精霊界で色々な手伝いをしてきたが、こういう純粋な好意はとても嬉しいものだ。ちなみに、今の俺の魔力ではレベル3までのモンスターカードしか上手く扱うことが出来なかった。まだまだ先は長いなぁ。

 

 

~~~

 

 

春休みも終盤になった頃、俺はいつものようにハノイスタイルでデュエル大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の筋肉ムキムキの半裸のオッサンと対峙した。服着ろよ。

 

「人もモンスターも戦い鍛えればどこまでも強くなる!オレはそんな鍛え抜かれた戦士族モンスターと共に生きてきた!そして、これからもな!」

 

あぁ、またロールプレイの人か。流行っているのかな?なんで半裸なんだ?だれも止めなかったんだろうか…とりあえず、この人はキンニクと呼ぼう。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「ハノイよ…!オレたちのスーパーパワーを受けてみるがいい!ウー!ハーッ!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

キンニク LP:4000

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

キンニク 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【ゴブリンドバーグ】を手札に加える!」

キンニク 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【ゴブリンドバーグ】を通常召喚!このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動した場合、このカードは守備表示になる。オレは手札から【投石部隊】を守備表示で特殊召喚する!」

キンニク 手札:4→3枚

 

<キンニクのフィールド>

ゴブリンドバーグ ★4 ATK1400

投石部隊 ★4 DEF2000

 

へぇ~、結構いいカード持ってるなぁ。この世界だとこんなカードも市場に出回っているんだな。似たような性能の【切り込み隊長】が居るわけだから不思議ではないのかな。

 

「オレは手札から【同胞の絆】発動!このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。2000LPを払い、自分フィールドのレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターと同じ種族・属性・レベルでカード名が異なるモンスター2体をデッキから特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。オレはレベル4地属性の【ゴブリンドバーグ】を対象とし、デッキから【ゴブリン穴埋め部隊】と【ゴブリン突撃部隊】」

キンニク LP:4000 → 2000、手札:2枚。

 

<キンニクのフィールド>

ゴブリンドバーグ ★4 ATK1400

投石部隊 ★4 DEF2000

ゴブリン穴埋め部隊 ★4 ATK1500

ゴブリン突撃部隊 ★4 ATK2300

 

レベル4のモンスターが4体、来るぞUMA!…なんてな。それにしても、【同胞の絆】も世の中に出回っているんだな。シンクロやエクシーズが流行りだしてくるとなかなか厄介なカードだよな。

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

キンニク 手札:1枚。

 

ハノイ  LP4000、モンスター:0、伏せカード:0、手札:5枚

キンニク LP2000、モンスター:4、伏せカード:2、手札:0枚

 

【ゴブリン突撃部隊】の火力に任せた戦術だと思うが、【投石部隊】を用意していることから戦闘耐性を持つモンスターはこちらで除去するんだろな。伏せカードは恐らく【同胞の絆】で消費したLPを回復する【ドレインシールド】などのLP回復手段か、魔法罠に対応するためのカウンター罠【マジック・ドレイン】辺りだろうか。

 

【ゴブリン突撃部隊】の攻撃力は今の時代だと多くの上級モンスターを上回る。アイツを最大限に利用しようとするなら、【最終突撃命令】や【スキルドレイン】辺りの可能性もあるか。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【ナイト・ショット】発動!相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを破壊する。このカードの発動に対して相手は対象のカードを発動できない」

ハノイ 手札:5枚。

 

「ぬおっ!おのれぇ…」

キンニク 伏せカード:2→1

 

破壊したのは【王宮の号令】か。全てのリバース効果モンスターの発動と効果を無効にする効果だっけ?デッキ破壊を多用していた頃の俺のデッキならぶっ刺さっていたな。

 

「私は手札から通常魔法【ギャラクシー・サイクロン】発動!フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する」

ハノイ 手札:4枚。

 

「ぐぬぅっ!だが、破壊された【リ・バウンド】の効果発動!セットされたこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからカードを1枚ドローする」

キンニク 手札:0→1、伏せカード:1→0

 

除去したのはカウンター罠の【リ・バウンド】か。なかなか危なかったな。使用したのが【ハリケーン】だったら無効化されて逆にこちらがハンデスを受けていたところだ。1ドローを許してしまったがまだマシな方だろう。

 

「私は手札から通常魔法【天使の施し】発動。デッキからカードを3枚ドローして、2枚墓地に送る」

ハノイ 手札:3→6→4枚。

 

良し、ギリギリ揃ったな。

 

「私は手札から【王立魔法図書館】を通常召喚。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする」

ハノイ 手札:3枚。

 

<ハノイのフィールド>

王立魔法図書館 ★4 ATK0

 

「ぬわっはっは!攻撃力0とは!鍛え方が足らんな!」

 

アンタには、柔よく剛を制すって言葉を教えてやろうじゃないか。

 

 

「私は、手札を2枚捨てて、通常魔法【魔法石の採掘】を発動。自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。私は墓地の【魔法石の採掘】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→0→1枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「魔法が発動したことにより、【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る」

ハノイ 手札:3枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

 

 

「私は、手札を2枚捨てて、通常魔法【魔法石の採掘】を発動。自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。私は墓地の【魔法石の採掘】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→0→1枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「魔法が発動したことにより、【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る」

ハノイ 手札:3枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2

 

 

「私は、手札を2枚捨てて、通常魔法【魔法石の採掘】を発動。自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。私は墓地の【魔法石の採掘】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→0→1枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「【魔法石の採掘】のコストで墓地に送ったもう1枚の【深淵の暗殺者】の効果発動。このカードが手札から墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するリバース効果モンスター1体を手札に戻す。私は【魔法石の採掘】のコストで墓地に送った【深淵の暗殺者】を手札に戻す」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「魔法が発動したことにより、【王立魔法図書館】に魔力カウンターが1つ乗る。そして魔力カウンターを3つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:3→4枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3→0

 

 

「無限ループ…いや、無限ドローなのか!?」

 

 

はい。正解だ。ギア・フリードのエルマよりも手間と手札が多くかかるが、カード効果を柔軟に使えばこういうこともできるんだよ。ここからは少し長くなるから早送りだ。

 

 

~ループによるドロー15回目~

 

 

「【王立魔法図書館】の魔力カウンターを3つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:17→18枚。

 

「むぅ…」

 

「待たせたな。終わったぞ。【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った!」

 

「エクゾディア…途中からそうではないかとは思っていたが…」

 

手札を公開し、エクゾディアパーツが全て揃っていることを相手に見せる。

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する。私の勝ちだ。さぁ現れよ【封印されしエクゾディア】!」

 

「お、おぉ…!」

 

俺の前に5つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる…!

 

「解き放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

「ぬわぁぁぁぁぁっ!」

 

エクゾディアが放った膨大な熱量は会場全体を包み込み、対戦相手のフィールドのカードが全て破壊され、特殊勝利が確定する。

 

「負けた…か」

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

大会後、デュエル会場の通路を歩いていると、2人の男女に呼び止められた。またか…おや?この人たちは…。前世で何度も見たな。

 

「よぉっ!お前がハノイの騎士って奴か?」

 

「そうですね」

 

「初めまして」

 

溢れんばかりの笑顔で陽気に話しかけてくる金髪のに茶色の瞳で緑のジャケットを着た男性、10代前半の子供相手に丁寧な応対をする長めの茶髪に動きやすそうなピンクのシャツと短パンを履いた女性…恐らくは…。

 

「城之内克也さんとその妹の川井静香さんですか?」

 

「おうよ。羽蛾と竜崎の件で礼を言いたくてな。試合が終わるまで待ってたんだ」

 

「そうですか。しかし、特に礼を言われるようなことはしていませんよ」

 

まさか、本当にそれだけの理由でわざわざアマチュアの大会にやってきて、この時間まで待っていたのかこの2人は…。

 

「お兄ちゃん、そろそろ本題を言わないと」

 

「そうだな。なぁハノイ。竜崎とデュエルしたんだろ?」

 

「えぇ」

 

静香の言葉を聞き、本題を話し始めた城之内。あの、これから楽しいことが起こるぞ!って顔。デュエリスト特有の顔だよな。もうどんな話になるか大体想像がついてきたな。

 

「じゃぁさ、オレともデュエルしようぜ」

 

「いいですよ」

 

「やったねお兄ちゃん!」

 

「おぅ!言ってみるもんだな!ありがとよハノイ!」

 

そう言ってデュエルディスクを構える城之内と、通路の端に移動する静香。やる気満々って感じだ。せっかくだし、DM世代で神のカードと渡り合った実力を見せて貰おうかな。




オリ主も一応は主人公なので、精霊を付けてみました。バニーラは筆者の好みですが、他のチョイスは過去に登場した低レベルモンスターから適当に抜粋しました。

今回は【深淵の暗殺者】を大会で使うために【エクゾディア】にリターンしてきてもらいました。そろそろオリ主も大会に出る余裕がなくなってきているので、今後しばらくは大会でのデュエルは減ってくると思います。

アニメGXで遊戯と海馬は出たのに城之内出てなかったな、と思い出したので緊急参戦してもらいました。妹ちゃんはお付きです。何処までのカードプールで戦ってもらうかはまだ考えていません。

次回の更新は12/24(木) AM6:00予定です。

ストックが溜まってきたので、次回から1/3(日)までは毎日1話ずつAM6:00更新です。

戦車様、読み専マークII様、四季式様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十七話 城之内克也

DM世代からお越しの城之内戦です。

カードパワーの差を埋める可能性を秘める彼のギャンブルデッキを相手に、オリ主は勝利することが出来るのであろうか!

やめて!時の魔術師の特殊能力で、ガトリングドラゴンを消し飛ばされたら、
闇のゲームでモンスターと繋がってはいないオリ主のLPまで燃え尽きちゃう!
お願い、死なないでオリ主!
あんたが今ここで倒れたら、コナミのお土産はどうなっちゃうの?
ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、城之内に勝てるんだから!

次回!オリ主、死す!デュエルスタンバイ!


小学校5年生の春休み終盤、俺はDM世代のデュエリスト、城之内克也と対峙していた。すぐ近くには彼の妹の川井静香が兄の戦いを見守っている。

 

 

城之内克也。遊戯王デュエルモンスターズの漫画、アニメのどちらかでも見たことがあれば語る必要のないくらい有名な人物である。

 

主人公にしてデュエルキングである武藤遊戯の親友で、本編の王国編、バトルシティ編、KCグランプリ編で好成績を残したデュエリストだ。特にバトルシティ編では神のカードであるラーの翼神竜を持つマリク・イシュタールにもほぼ勝っている。オカルトパワーには勝てなかったようだ。

 

DMの続編であるGXの世界では、彼の所在や行動は一切明らかになっていなかったはずだ。もう一つの世界線であるTHE DARK SIDE OF DIMENSIONSの世界では、将来の夢はプロデュエリストだが町内大会の優勝すら出来ていなかったらしい。童実野町はやはり魔境か…。

 

~~~

 

「では、始めましょうか」

 

「あぁ、いつでも良いぜ!」

 

「お兄ちゃん、頑張ってー!」

 

年季の入ったデュエルディスクを構える城之内に、彼を応援する妹の静香。原作でもそうだったが、この2人って仲良過ぎじゃない?…ゼアルの神代兄弟ほどではないか。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

城之内 LP:4000

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする!」

城之内 手札:6→5→7枚

 

「オレは手札から魔法カード【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

城之内 手札:7→6→8枚

 

「オレは手札から魔法カード【天使の施し】発動!デッキからカードを3枚ドローして手札を2枚捨てる!」

城之内 手札:8→7→10→8枚

 

伝説のデュエリストっていうのは、ドローソースは必ず初手に握っているものなんだろうか…。

 

「オレは手札から儀式魔法【黒竜降臨】発動!手札からレベル4【漆黒の豹戦士パンサーウォリアー】をリリース!儀式召喚!【黒竜の聖騎士】!」

城之内 手札:8→7→5枚。

 

<城之内のフィールド>

黒竜の聖騎士 ★4 ATK1900

 

「オレは【黒竜の聖騎士】の効果発動!このモンスターをリリースし、デッキから【真紅眼の黒竜】を特殊召喚!」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

「オレはモンスターを裏側守備で伏せ、カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

城之内 手札:4→2枚。

 

 

ハノイ LP4000、手札:5枚、モンスター:0、伏せカード:0

 

城之内 LP4000、手札:2枚、伏せカード:2、

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

伏せモンスター

 

 

やはり悪くない動きをするよな。【黒竜降臨】は次のターンにレッドアイズと名の付く魔法罠をサーチできるし、最上級モンスターを立てて伏せモンスターも居るし、伏せカードも2枚あって手札も2枚残っている。俺の地元だと彼より強い奴なんて数人くらいだろう。これで町内大会に勝てないとか、やはり童実野町は魔境か…。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【鋼鉄の襲撃者】発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分の機械族・闇属性モンスターは、それぞれ1ターンに1度だけ戦闘では破壊されず、その戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた場合、その数値分だけ攻撃力がアップする。1ターンに1度、自分フィールドの元々の種族・属性が機械族・闇属性のモンスターが、戦闘または自身の効果でフィールドのカードを破壊した場合に発動できる。手札から機械族・闇属性モンスター1体を特殊召喚する」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

「私は手札から永続魔法【機甲部隊の最前線】発動!1ターンに1度、機械族モンスターが戦闘で破壊され自分の墓地へ送られた時に発動できる。墓地のそのモンスターより攻撃力が低い、同じ属性の機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

「私は手札から永続魔法【補給部隊】発動!1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

「私は手札から【A・ジェネクス・クラッシャー】召喚。自分フィールド上のこのカードと同じ属性のモンスターが自分フィールド上に召喚された時、相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊できる。この効果は1ターンに1度しか使用できない」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

「この瞬間!リバースカードオープン!【落とし穴】発動!相手が攻撃力1000以上のモンスターの召喚・反転召喚に成功した時、そのモンスター1体を対象として発動できる。その攻撃力1000以上のモンスター【A・ジェネクス・クラッシャー】を破壊するぜ!」

城之内 伏せカード:2→1

 

<ハノイのフィールド>

A・ジェネクス・クラッシャー ★4 ATK1000 → 効果破壊

 

「モンスターが破壊されたことにより【補給部隊】効果発動。デッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「だけどこれで召喚権は使っちまったぜ!」

 

「やったわねお兄ちゃん!」

 

たかだか召喚権を使っただけだ。喜ぶのはまだ早いな。

 

「そして、自分フィールドの機械族・闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。現れよ!【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

デスペラード・リボルバー・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「リボルバー・ドラゴン!?それって昔、キースの野郎が使っていたモンスターか!」

 

「そのリボルバー・ドラゴンのリメイクカードですよ。【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の効果は自分フィールドの機械族・闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する効果。1ターンに1度、自分・相手のバトルフェイズに発動できる。コイントスを3回行う。表が出た数までフィールドの表側表示モンスターを選んで破壊する。3回とも表だった場合、さらに自分はデッキから1枚ドローする。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない効果。このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。コイントスを行う効果を持つレベル7以下のモンスター1体をデッキから手札に加える効果です」

 

リメイクカードゆえに、その効果はもっと強力になっているんだよな。

 

「バトルフェイズに移行。【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】で【真紅眼の黒竜】を攻撃!!」

 

「この瞬間!リバースカードオープン!【悪魔のサイコロ】発動!サイコロを1回振る。

相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、ターン終了時まで出た目の数×100ダウンする。ダイスロール!…よし、ダイスの目は5!つまり【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】の攻撃力は500ポイントダウンだ!」

城之内 伏せカード:1→0

 

デスペラード・リボルバー・ドラゴン ★8 ATK2800 → 2300

 

「ぐっ!しかし、【鋼鉄の襲撃者】の効果により【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】は破壊されず、受けた戦闘ダメージ分だけ攻撃力がアップする」

ハノイ LP:4000 → 3900

 

デスペラード・リボルバー・ドラゴン ★8 ATK2300 → 2400

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

「エンドフェイズ時に【悪魔のサイコロ】で下がった攻撃力は元に戻るぜ」

 

デスペラード・リボルバー・ドラゴン ★8 ATK2400 → 2900

 

 

ハノイ LP4000、手札:1枚、伏せカード:1、フィールド魔法:1、永続魔法:2

 

<ハノイのフィールド>

デスペラード・リボルバー・ドラゴン ★8 ATK2900

 

城之内 LP4000、手札:2枚、伏せカード:0、

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

伏せモンスター

 

 

ホント、ギャンブル強いな!

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:2→3枚。

 

「オレは【鉄の騎士 ギア・フリード】を召喚!」

城之内 手札:3→2枚

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

伏せモンスター

鉄の騎士 ギア・フリード ★4 ATK1800

 

「オレは魔法カード【拘束解除】発動!自分フィールド上の【鉄の騎士 ギア・フリード】1体を生け贄に捧げる事で、自分の手札またはデッキから【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】1体を特殊召喚する!オレはフィールドの【鉄の騎士 ギア・フリード】をリリース!デッキより【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】を特殊召喚!」

城之内 手札:2→1枚。

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

伏せモンスター

剣聖-ネイキッド・ギア・フリード ★7 ATK2600

 

「オレは手札から魔法カード【ヘルモスの爪】発動!ヘルモスの爪の効果でのみ特殊召喚できる融合モンスターカードに記された種族のモンスター1体を自分の手札・フィールドから墓地へ送る(そのカードがフィールドにセットされている場合、めくって確認する)。その後、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。オレはフィールドにセットしていた戦士族【ロケット戦士】を墓地に送り【ロケット・ヘルモス・キャノン】を特殊召喚!」

城之内 手札:1→0枚。

 

あれば、ドーマ編で使用していたオカルトチックなカードか。確かドーマ編解決後には消滅していたような…。でもオカルトな力は感じられないから、オカルトな力だけが消滅して、実はカードは残っていたんだろうか。

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

剣聖-ネイキッド・ギア・フリード ★7 ATK2600

ロケット・ヘルモス・キャノン ★4 ATK1500

 

「いくぞ!【ロケット・ヘルモス・キャノン】効果発動!このカードが特殊召喚に成功した場合、このカード以外のフィールドのモンスター1体を対象として発動する。このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。このカードの効果でこのカードを装備したモンスターは、1度のバトルフェイズに2回攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。そのカードを【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】に装備する!」

 

「そしてこの瞬間!【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】効果発動!このカードが装備カードを装備した時、相手フィールド上モンスター1体を破壊する。【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】を破壊するぜ!」

 

<ハノイのフィールド>

デスペラード・リボルバー・ドラゴン → 効果破壊

 

「むっ。だがモンスターが破壊されたことにより【補給部隊】効果発動。デッキからカードを1枚ドローする。更に【デスペラード・リボルバー・ドラゴン】効果発動。このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。コイントスを行う効果を持つレベル7以下のモンスター1体をデッキから手札に加える。私がデッキから手札に加えるのは【リボルバー・ドラゴン】」

ハノイ 手札:1→2→3枚。

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

剣聖-ネイキッド・ギア・フリード ★7 ATK2600 【ロケット・ヘルモス・キャノン】装備

 

「バトルだ!【真紅眼の黒竜】でダイレクトアタック!黒炎弾!」

 

「ぐおぁぁぁっ!…この瞬間!伏せカード【ダメージ・コンデンサー】発動!自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てて発動できる。受けたそのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体をデッキから表側攻撃表示で特殊召喚する。私はデッキから【人造人間-サイコ・ショッカー】を特殊召喚!」

ハノイ LP4000 → 1600、手札:3→2、伏せカード:1→0

 

<ハノイのフィールド>

人造人間-サイコ・ショッカー ★6 ATK2400

 

「今度はエスパー絽場のサイコ・ショッカーかよ!?…バトルを続ける!【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】で【人造人間-サイコ・ショッカー】に攻撃!」

 

「ぐぅっ!しかし、【鋼鉄の襲撃者】の効果により【人造人間-サイコ・ショッカー】は破壊されず、受けた戦闘ダメージ分だけ攻撃力がアップする」

ハノイ LP1600 → 1400、

人造人間-サイコ・ショッカー ★6 ATK2400 → 2600

 

「【ロケット・ヘルモス・キャノン】を装備した【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】はもう一度攻撃が出来る!そして【鋼鉄の襲撃者】の戦闘耐性は一度だけだ!【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】で【人造人間-サイコ・ショッカー】に攻撃!」

 

「攻撃力は互角。【剣聖-ネイキッド・ギア・フリード】と【人造人間-サイコ・ショッカー】は両方破壊される…が、【機甲部隊の最前線】効果発動!デッキから【BM-4ボムスパイダー】を特殊召喚」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

剣聖-ネイキッド・ギア・フリード ★7 ATK2600 → 戦闘破壊

 

<ハノイのフィールド>

人造人間-サイコ・ショッカー ★6 ATK2600 → 戦闘破壊

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200 → 効果により特殊召喚

 

「ソイツがあったな…メインフェイズ2に移る。オレは墓地の【黒竜降臨】を除外して効果発動!デッキから【レッドアイズ・スピリッツ】を手札に加える」

城之内 手札:0→1枚。

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

城之内 手札:1→0枚。

 

 

ハノイ LP1400、手札:3枚、伏せカード:0、フィールド魔法:1、永続魔法:2

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200

 

城之内 LP4000、手札:0枚、伏せカード:1

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

 

フィールドは圧倒的に俺が有利なんだが、彼のギャンブルカードはマジで一発逆転があるからな…。このターンで終わらせる!

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「私は手札から通常魔法【闇の誘惑】発動!自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。私はデッキからカードを2枚ドローし、闇属性モンスター【リボルバー・ドラゴン】1枚を除外する!」

ハノイ 手札:4→3→5→4枚。

 

「私は手札から装備魔法【D・D・R】発動!手札を1枚捨て、除外されている自分のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。私は除外されている【リボルバー・ドラゴン】を特殊召喚してこのカードを装備する!」

ハノイ 手札:4→3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200

リボルバー・ドラゴン ★7 ATK2600

 

「【リボルバー・ドラゴン】!確かそいつの能力は…!!」

 

「【リボルバー・ドラゴン】効果発動!1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。コイントスを3回行い、その内2回以上が表だった場合、そのモンスターを破壊する!対象は【真紅眼の黒竜】!」

 

コイントス!…裏!…裏!…裏!…おい!

 

「外れたようだな!」

 

「こういうときもあるさ。続けて私は【BM-4ボムスパイダー】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの機械族・闇属性モンスター1体と相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。対象は【真紅眼の黒竜】と【リボルバー・ドラゴン】!」

 

「くっ!自分から【リボルバー・ドラゴン】を破壊するだって!」

 

「モンスターが破壊されたことにより【補給部隊】効果発動。デッキからカードを1枚ドローする!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「更に【BM-4ボムスパイダー】のもう一つの効果発動!自分フィールドの元々の種族・属性が機械族・闇属性のモンスターが、戦闘または自身の効果で相手フィールドのモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動できる。その破壊され墓地へ送られたモンスター1体の元々の攻撃力の半分のダメージを相手に与える。【真紅眼の黒竜】の攻撃力は2400、その半分の1200ダメージを与える!」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400 → 効果破壊

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200

リボルバー・ドラゴン ★7 ATK2600 → 効果破壊

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

城之内 LP4000 → 2800

 

「お兄ちゃん!」

 

「私は手札より【可変機獣 ガンナードラゴン】をリリース無しで召喚!この方法で召喚した場合、元々の攻撃力・守備力は半分になる」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200

可変機獣 ガンナードラゴン ★7 ATK2800→1400 ※妥協召喚

 

「私は手札より通常魔法【オーバーロード・フュージョン】発動!自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。私は墓地の【リボルバー・ドラゴン】と【ブローバック・ドラゴン】を除外し、【ガトリング・ドラゴン】を融合召喚!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 DEF2200

可変機獣 ガンナードラゴン ★7 ATK1400

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「またリボルバー・ドラゴンみたい奴が出てきやがった!」

 

「【ガトリング・ドラゴン】は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる効果で、コイントスを3回行い、表が出た数だけ、フィールド上のモンスターを破壊することが出来る。効果はまだ使用しない」

 

伏せカードは【レッドアイズ・スピリット】。墓地のレッドアイズを蘇生させるカード。ガトリングとガンナーだけだとLPを削りきれないか。ならば…。

 

「【BM-4ボムスパイダー】を攻撃表示に変更!そしてバトルフェイズに移行」

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 ATK1400

可変機獣 ガンナードラゴン ★7 ATK1400

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800

 

あ、そう言えば最初のターンの【天使の施し】で…。いやもう行くしかないから!

 

「【BM-4ボムスパイダー】でダイレクトアタック!」

 

「ぐはぁっ!」

城之内 LP2800 → 1400

 

「【ガトリング・ドラゴン】でダイレクトアタック!」

 

「まだだぜ!ハノイ!墓地の【ネクロ・ガードナー】を除外!このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

 

随分古いカードなのに優秀なカードだよなアレ。

 

「【ガトリング・ドラゴン】の攻撃は無効化されたか。ならば【可変機獣 ガンナードラゴン】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!【レッドアイズ・スピリッツ】発動!墓地から【真紅眼の黒竜】を特殊召喚する!」

城之内 伏せカード:1→0

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 DEF2000

 

「攻撃宣言後に攻撃対象数が変化したことで戦闘の巻き戻しが起こる。私はならば【可変機獣 ガンナードラゴン】での攻撃を止める」

 

「ひゅー!危ねえ危ねえ!」

 

「メインフェイズ2に移行。ここで【ガトリング・ドラゴン】効果発動!」

 

どうせ表なんて出ても1枚か2枚だろうさ。さぁコイントスだ!…表!…表!…表!…おいぃぃぃ!

 

「…表が出た数だけ、フィールド上のモンスターを破壊する。つまり3体だ。【真紅眼の黒竜】【BM-4ボムスパイダー】【可変機獣 ガンナードラゴン】を破壊する。モンスターが効果破壊されたが【補給部隊】効果は1ターンに1度、効果は発動しない」

ハノイ 手札:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

BM-4ボムスパイダー ★4 ATK1400 → 効果破壊

可変機獣 ガンナードラゴン ★7 ATK1400 → 効果破壊

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 DEF2000 → 効果破壊

 

「自分のモンスターも強制で破壊するのか…」

 

<ハノイのフィールド>

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:1→0枚。伏せカード:0→1

 

 

ハノイ LP1400、手札:0枚、伏せカード:1、フィールド魔法:1、永続魔法:2

 

<ハノイのフィールド>

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800

 

城之内 LP1400、手札:0枚、モンスター:0、伏せカード:0

 

 

仕留めきれなかったか…。だが向こうは手札、フィールドともにカード無し。流石にここから逆転は無いだろう…。なんだろうか、この胸騒ぎは…。

 

「多分これがオレのこのデュエルの最後のターンになるだろうから、その前に1つだけ言っておきたいんだ。実はこういうギリギリのデュエルは本当に久々だったんだ。ありがとうなハノイ」

 

「お兄ちゃん…」

 

「…いえ、こちらも楽しんでいますから礼は不要です」

 

なんだ?心理フェイズか?

 

「よっし!行くぜ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から魔法カード【カップ・オブ・エース】を発動!コイントスを1回行う。表が出た場合、自分はデッキからカードを2枚ドローする。裏が出た場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする。…コイントス!…良し、表だ!オレはデッキから2枚ドローする!」

城之内 手札:1→0→2枚。

 

「オレは更に手札から魔法カード【カップ・オブ・エース】を発動!コイントスを1回行う。表が出た場合、自分はデッキからカードを2枚ドローする。裏が出た場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする。…コイントス!…良し、表だ!オレはデッキから2枚ドローする!良し、来た!」

城之内 手札:2→1→3枚。

 

いやいや、城之内専用の【強欲な壺】かよ。それにしても…なんだ?この状況をひっくり返すようなカードが来たっていうのか?嫌な予感がしてきた…。

 

「オレは【時の魔術師】を通常召喚!」

城之内 手札:3→2枚。

 

<城之内のフィールド>

時の魔術師 ★2 ATK500

 

…ゲゲーッ!時の魔術師!?こちらの手札は…なし!伏せカードはネタで入れた【時の機械-タイム・マシーン】!【時の魔術師】の効果を無効化することはできない!ヤバい!!外れろー!!

 

「【時の魔術師】の効果発動!コイントスを1回行い、裏表を当てる。当たった場合、相手フィールドのモンスターを全て破壊する。ハズレの場合、自分フィールドのモンスターを全て破壊し、自分は表側表示で破壊されたモンスターの攻撃力を合計した数値の半分のダメージを受ける。…コイントス!…表!成功だ!よっしゃあ!タイム・マジック!!」

 

ちょ、おま!ふざけんなぁぁぁ!

 

<ハノイのフィールド>

ガトリング・ドラゴン ★8 ATK2800 → タイムマジックによる破壊。

 

「私のモンスターが…全滅…」

 

「オレは手札から【融合】発動!手札の【ベビードラゴン】とフィールドの【時の魔術師】を融合!来い!レベル7【千年竜】!」

城之内 手札:2→1→0枚。

 

<城之内のフィールド>

千年竜 ★7 ATK2400

 

「バトルだ!【千年竜】でダイレクトアタック!サウザンド・ノーズ・ブレス!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

ハノイ LP:1400 → 0

 

 

 

「よっしゃー!勝ったぜー!!」

 

「お兄ちゃん、やったね!」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

帰宅後、俺は孤児院でリビングでカードの整理をしていた。その横では勝手に出てきたバニーラが人参を齧りながら興味深そうにカードを眺めていた。かわいい。癒されるわ~。

 

そんなことをやっていると、風呂から上がってきたらしいコナミがふらっとやってきた。そして、テーブルの端に並べてあった使用予定のないとあるカード群を見て、突然こんなことを言ってきた。

 

「クロトさぁ、この『No.』ってカード達は何で使わないんだ?」

 

「そりゃ強力すぎるからな」

 

エクシーズモンスターで統一された『No.(ナンバーズ)』を冠するカード群。こいつらが活躍する遊戯王ZEXALの世界では、こいつらを巡って命の奪い合いとかしてたんだぜ。ちなみにアニオリで『NO(ニューオーダーズ)』というカテゴリも存在するが、そちらは俺は持っていない。

 

「強い?…そんなに?」

 

そう言ってコナミはテーブルに並べていた『No.』の一つである【No.56 ゴールドラット】を手に取る。おいやめろ。ゴールドラット=サンをバカにするんじゃない。そのカードが原因で魂を奪われたデュエリストもいるんだぞ。

 

【No.56 ゴールドラット】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/獣族/攻 500/守 600

レベル1モンスター×3

このカードは「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない ← アニメオリジナル効果。

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキからカードを1枚ドローし、その後手札を1枚デッキに戻す。

 

「同じエクシーズモンスターでもこっちの方が使いやすいよな?」

 

そう言ってコナミは自分の部屋から持ってきたエクシーズモンスター【森羅の姫芽宮】を見せてくる。止めたげて。

 

【森羅の姫芽宮】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/植物族/攻1800/守100

レベル1モンスター×2

「森羅の姫芽宮」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが魔法・罠カードだった場合、そのカードを手札に加える。違った場合、そのカードを墓地へ送る。

(2):手札及びこのカード以外の自分フィールドの表側表示モンスターの中から、植物族モンスター1体を墓地へ送り、自分の墓地の「森羅」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する

 

「獣族と植物族との違いや、効果を微妙に違うだろ?名称や種族で受けられるサポートも変わってくるしさ。それに、ゴールドラット=サンのテキストをよく見ろ」

 

「えっ?…『このカードは「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない』か。なるほど、こんな効果もあったんだな」

 

「そういうことだ。ちなみに『No.』には全員その効果が共通で付いているんだ」

 

「なるほどね。確かにこれなら…いやいやいや。それでもそんなに強くないでしょ」

 

「バレたか」

 

確かに、よく考えてみれば『No.』のカードは【三幻神】や【三幻魔】、【地縛神】や【三極神】などと違って本来この世界には存在しないカードだ。どうやら闇の力だとかは込められていなさそうだしな。…バリアンの力とかは俺には感知できないと思うから多分としか言えないけどさ。

 

「確かにそうかもな。じゃあ今度から使ってみようかな?」

 

「それでいいんじゃない?あ、でもコイツは大会で使ったらリミットレギュレーション更新時に監獄へ直行だと思うな」

 

そう言って、テーブルの上からとあるカードを手に取る。あー、そいつはな…。

 

【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】

エクシーズ・効果モンスター(禁止カード)

ランク4/光属性/天使族/攻2300/守1600

レベル4モンスター×3

このカードは「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない ← アニメオリジナル効果。

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。次の相手ターン終了時まで、宣言した種類のカードをお互いに発動できない。

 

「デッキにもよると思うけど、コイツ強すぎじゃない?」

 

「それは俺もそう思う」

 

この世界にはナンバーズハンターとかバリアンとか居ないだろうし、世間一般でも【ジェムナイト・パール】【グレンザウルス】【始祖の守護者ティラス】など、エクシーズは普及し始めてきたからな。『No.』のカードはそろそろ解禁してもいいかな。




DM時代からほぼ変わっていないデッキに負けるオリ主が居るらしい。オリ主君さぁ。静香ちゃんはただの観客でしたね。DM時代からそうだからそちらは特に問題ないですね。

次回からは新章に突入です。今までと違い、少々シリアスが入ってきてしまいます。ハノイの騎士による大会巡りも一時中断です。

ナンバーズ解禁。流石にヌメロン系やオーバーハンドレット辺りは自重すると思います。


次からは新章突入です。

次回の更新は12/25(金) AM6:00予定です。


世繋様、四季式様、フィアー様、タツタ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

ご指摘を頂きました『ティマイオス』『クリティウス』『ヘルモス』のカードはドーマ編で消滅していたのでは?という件ですが、キャラクター固有のカードって持ってて使うだけで何となく格好いいので、本編に追記した通りにOCG次元と同効果の普通のカードになって貰いました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作4年前 舞網チャンピオンシップの裏側編
第三十八話 エクスプロージョン1キル


新章突入です。

今回はいつものモブ戦です。


小学校6年生の春の休日。12歳となった俺は孤児院のリビングで先日公開されたリミットレギュレーションを確認していた。

 

<制限カード>

【混沌の黒魔術師】 New!

【深淵の暗殺者】 New!

 

「あれだけ大会で多用すればこうなるよな」

 

「あまり大会で使わないからって【ダーク・ダイブ・ボンバー】が無制限なのはどうかと思うけどなー」

 

「よく見たら【突然変異】や【ダーク・アームド・ドラゴン】もないわね?そんなに知られていないのかしら?」

 

「この前使われた【次元融合】や【異次元からの帰還】が入っていないぞ!あんなパワーカードが許されているのか!」

 

「そう言えば、【大寒波】はまだ制限だし、【マジカル・エクスプロージョン】なんて無制限じゃん。なんだ!リミットレギュレーションっていい奴じゃん!」

 

コナミが呆れ、ユーゴ、リン、セレナが過去に使われたパワーカードが入っていないことに憤っている。この時代じゃあまりコンボカードは使われないんだよな。

 

「さて、そろそろ行ってくる」

 

「大会か。土産はドローパンがいいな!」

 

「オレはバナナパンな!」

 

「気を付けて行って来てね」

 

「早めに帰るんだぞ。帰ってきたらデュエルだからな!」

 

 

~~~

 

春休みも終盤になった頃、俺はいつものようにハノイスタイルでデュエル大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の全身を黒装束に身を包んだ忍者風のオッサンと対峙していた。

 

アイエエエ!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?コワイ!ゴボボーッ!!…よくよく考えたらこの世界にも月影とか日影みたいな忍者が居たわ。

 

「…ファファファ!拙者は今に生きる忍びよ!拙者の戦い方、一筋縄ではいかんぞ!戦闘だけでなくモンスターを除外させる…まさに変幻自在、妖しの技よ!」

 

いやいや、本当に凄いロールプレイの人のが来たな。なんで忍者が大会に出て来てるんだよ。忍べよ。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「…ファファファ!力だけでは及ばないデュエルモンスターズの奥深さ、たっぷりと味わうが良い!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

ニンジャ LP:4000

 

「先攻は拙者が貰う!拙者のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ニンジャ 手札:5→6枚。

 

「拙者は手札から【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【D.D.アサイラント】を手札に加える!」

ニンジャ 手札:5→6枚。

 

「拙者は手札から【切り込み隊長】を通常召喚!このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。拙者は2体目の【切り込み隊長】を特殊召喚!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない!」

ニンジャ 手札:5→4枚

 

<ニンジャのフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200

切り込み隊長 ★3 DEF400

 

『切り込みロック』か。懐かしいな。どちらの【切り込み隊長】も『相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない』効果を持つため、こちらはモンスターに攻撃できくなるんだよな。

 

「拙者は手札からフィールド魔法【混沌空間】を発動!モンスターが表側表示で除外される度に、1体につき1つこのカードにカオスカウンターを置く。1ターンに1度、自分フィールドのカオスカウンターを4つ以上取り除き、取り除いた数と同じレベルを持つ、除外されている自分または相手のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。フィールドのこのカードが相手の効果で墓地へ送られた時に発動できる。このカードに置かれていたカオスカウンターの数以下のレベルを持つ、光・闇属性のモンスター1体をデッキから手札に加える!」

ニンジャ 手札:4→3枚

 

「拙者は手札から永続魔法【次元の裂け目】を発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いの墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される!」

ニンジャ 手札:3→2枚

 

厄介なカードを貼られてしまったな。

 

「拙者はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

ニンジャ 手札:1枚。

 

ハノイ  LP4000、手札:5枚、モンスター:0、伏せカード:0

ニンジャ LP4000、手札:1枚、伏せカード:1、永続魔法:1 (手札は【D.D.アサイラント】) 

 

<ニンジャのフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200

切り込み隊長 ★3 DEF400

 

 

【D.D.アサイラント】をサーチしてたし、【次元の裂け目】を発動していることから考えると、相手のデッキは【次元斬】かな?伏せカードが【マクロコスモス】なら俺のデッキは詰むんだが…どうなるかな?

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「ここで拙者は伏せカード永続罠【虚無空間】を発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。デッキまたはフィールドから自分の墓地へカードが送られた場合に発動する。このカードを破壊する!」

ニンジャ 伏せカード:1→0枚

 

そちらか。確かに危険なカードではあるけど、こちらのデッキとの相性は悪かったな。

 

「私は手札から通常魔法【隣の芝刈り】発動!自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。私のデッキは60枚、そちらのデッキは40枚、増援でサーチしている分を考えると、21枚の差だな。その枚数分、デッキからカードを墓地に送る」

ハノイ 手札:5枚。

 

「ファファファ!自らデッキのモンスターを除外させるとは…血迷うたか!」

 

墓地に送られたカードのうち、モンスターは2枚、魔法カードが17枚、罠カードが1枚。そのうちモンスターは除外されるけどな。

 

「この瞬間!拙者のフィールド魔法【混沌空間】にお主のモンスターが除外された分だけカウンターが乗る!モンスターは2体!よってカウンターは2つ乗る!」

混沌空間 カオスカウンター:0→2

 

「私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーンのもくじ】」

ハノイ 手札:4→5枚。墓地の魔法カード:17→18枚

 

「更に私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーンのもくじ】」

ハノイ 手札:4→5枚。墓地の魔法カード:18→19枚

 

「そして私は魔法カード【トゥーンのもくじ】発動!デッキから「トゥーン」カード1枚を手札に加える。私が加えるのは【トゥーン・キャノン・ソルジャー】」

ハノイ 手札:4→5枚。墓地の魔法カード:19→20枚

 

「…お主、何をしておる…!?」

 

「私はカードを5枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:0枚。

 

仕込みは完了。後は発火させるだけだ。

 

 

ハノイ  LP4000、手札:0枚、モンスター:0、伏せカード:5、墓地の魔法カード:19→20枚

 

ニンジャ LP4000、手札:1枚、モンスター:2、伏せカード:0、永続魔法:1、永続罠:0 (手札は【D.D.アサイラント】) 

 

<ニンジャのフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200

切り込み隊長 ★3 DEF400

 

 

「拙者のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ニンジャ 手札:1→2枚。

 

「この瞬間!私は伏せカード【マジカル・エクスプロージョン】発動!自分の手札が0枚の時に発動する事ができる。自分の墓地に存在する魔法カードの枚数×200ポイントダメージを相手ライフに与える。私の墓地の魔法カードは20枚。よって200×20で4000LPダメージを与える!」

ハノイ 伏せカード:5→4

 

「な、なんとぉぉぉぉぉっ!」

ニンジャ LP4000 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

孤児院に帰り、土産を渡してセレナとのデュエルに付き合った後、舞網市で行われていたエキシビションマッチの中継を見ていて、それは起こった。

 

『オレはスケール1の【星読みの魔術師】とスケール8の【時読みの魔術師】でペンデュラムスケールをセッティング!これでオレはレベル2から7までのモンスターが同時に特殊召喚可能!」

 

「「こいつ何言ってるんだ?」」

 

ユーゴとセレナの言葉がハモる。うん、初見だとそう思うよね。リンは怪訝な表情をしている。

 

『揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!』

 

そう画面内の少年が叫ぶと、手札に居たモンスターが一気にフィールドに並び立つ!

 

「「な、なんだってー」」

 

ユーゴとセレナの言葉がまたハモる。うん、初見だとそうなるよね。リンは開いた口が塞がらないようだ。

 

「アイツ、さっきカードを、いやルールを書き換えたのか?」

 

コナミはなんとなく何が起こっているのかを把握しているみたいだな。それにしても、作っちゃったかペンデュラムモンスター、書き換えちゃったかルール。

 

どうやら前世のマスタールール3の時の様に5つの魔法罠ゾーン以外にペンデュラムゾーンがあるわけではなく、前世のマスタールール4の時の様に5つの魔法罠ゾーンのうち、左右端の2つのゾーンがペンデュラムゾーンとなっているみたいだな。ただ、エクストラモンスターゾーンなんてないから環境的にはマスタールール3のまま。これヤバいな。

 

テレビ画面内では、少年の呼び出した【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】が対戦者の【バーバリアン・キング】を倒して勝利を収めたようだ。

 

「それじゃあセレナ、今日はペンデュラム召喚とペンデュラムモンスターについて勉強しようか」

 

「「「えっ?」」」

 

そう言ってセレナに声を掛ける。久し振りに家庭教師らしいことでもしておこうと思い、未だ困惑しているセレナ、ユーゴ、リン、ワクワクしているコナミの4人にペンデュラム召喚について説明していく。どうせこれから世界に広まっていくだろうし、早めに教えてあげた方がいいだろう。

 

そして一通りの説明が終わった後、セレナにペンデュラムモンスターである【月光狼】と【月光虎】を渡し、リンに手伝ってもらって実践演習をしてもらった。これで大体は4人にもペンデュラム召喚の概要が伝わったと思う。その結果…。

 

「「「これズルじゃん」」」

 

3人の見解はほぼ同じようだ。そうだよな。ペンデュラムモンスターだけだが、毎ターン最大5体まで特殊召喚されるとか反則だと思うわ。

 

コナミは自分の部屋にデッキを取りに行ったようだが…戻ってきたな。そして…やっぱりコイツはペンデュラムモンスターを持ってやがった!しかも持っているのは【マジェスペクター・ユニコーン】!さすコナと言っておこう。

 

 




リミットレギュレーション更新。

【マジカル・エクスプロージョン】。有名なバーンカードですね。魔法カードを墓地に貯める手段は様々ですが、LP4000制のこの環境だと適当にデュエルしていて中盤にこのカードを引くだけで逆転の可能性があるカードです。

そして、ペンデュラム召喚、解禁です。

<ご連絡>
アンケートを設置しました。今後の展開にそこそこ影響すると思います。
設置期間は本作の時間軸で言うと原作開始時点くらいまでの予定です。

次回の更新は12/26(土) AM6:00予定です。

四季式様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三十九話 赤マフラー

アニメ版アークファイブの赤馬零児戦です。

ペンデュラム召喚が解放されてようやく【DD】デッキが真の力を見せ始める…。はずだったのですが…。

赤馬零児が好きな人はヘイト要素注意です。


<クロト視点>

 

小学校6年生の春が過ぎ、GWが終わったくらいの段階で、海馬コーポレーションとI2社合同の通達によりマスタールール3(前世OCG次元の元とは違い、先攻ドローできる)とペンデュラム召喚が正式に発表された。対応早いな…。ペガサスにはペンデュラム召喚のことは初めて会った時に伝えてあったし、いつでもルールを変更できるように準備をしていたのかもしれないな。

 

そして更に時は過ぎて、梅雨に入ったばかりの休日。俺は舞網市の中央付近に建つ超高層ビル、LDSビルの社長室に呼び出されていた。一応、事前に用意されていた客間でハノイの騎士の衣装に着替えてある。ハゲや赤馬レイから俺の正体は聞いているとは思うし、そもそもビルの監視カメラに映っているとは思うけど、気分だよ気分。

 

一緒に付いてきたコナミ、ユーゴ、リン、セレナ、バレットは、俺が客間に案内される前に赤馬社長の部下である黒服の中島から紹介されたLDSのデュエリスト4人と(沢渡シンゴ、光津真澄、志島北斗、刀堂刃)とこの社長室とは別の施設で交流デュエルをしている。

 

「ハノイの騎士、改めて自己紹介をしよう。私は赤馬零児、このレオ・コーポレーション(LDS)の社長を任されている」

 

「ハノイの騎士だ。そちらのことは赤馬レイからある程度のことは聞いている。それで、私に用があると聞いたが?」

 

目の前に、俺と1、2歳しか変わらないはずの長身イケメンが立っている。その身長を20cmほど寄越せば話だけは聞いてやってもいいぞ(謎の上から目線)。

 

紺の長袖のシャツ、白のズボンと靴下を履かずに履かれる白い靴、そして異常に長い特徴的な赤のマフラーを身につけた、灰色の短髪で赤い眼鏡の青年だ。

 

「単刀直入に言おう。ハノイの騎士、LDSに入る気はないか?」

 

「ない」

 

アクションデュエルだとか、エンタメデュエルにあまり興味がないのもあるが、俺はデュエルアカデミアに入学して卒業しないと女神様から消されてしまうんだ。考慮の余地などない。

 

「…随分はっきりと即座に断ってくれるじゃないか」

 

「わざわざ入塾して学ぶことがあるように見えないのでな」

 

そう言って俺は横目で社長室の側面の壁に設置されたモニターを見る。そこにはリンに後攻1ターンキルされる沢渡シンゴの姿があった。

 

「LDSで学ぶのはアクションデュエル、およびエンタメデュエルなのだろう?お前の父が開発したリアルソリッドビジョンシステム、それを活かして観客を魅了するという触れ込みの榊遊勝が提唱したアクションデュエル。それを昇華したエンタメデュエル。ハッキリ言って私は興味がない」

 

「…父と彼の功績を愚弄するのか?」

 

原作アニメとは違って父親が失踪していない影響か、父親を尊敬しているようだな。この辺りは漫画版に近いのかもしれない。経歴だけ見れば、リアルソリッドビジョンの祖にしてLDSの初代社長だからな。すげー人だよな。

 

そして、"彼"ね。原作アニメと同様に榊遊勝のことも尊敬しているようだ。こちらも原作アニメと違って失踪していない為、舞網市でプロデュエリストと言えば榊遊勝かストロング石島の名前が挙がるくらいには有名だからな。数年前に見た彼は息子を案じる普通のお父さんだったし、そのまま平和に暮らしていてくれればいいんだが…。

 

「興味がないと言っているだけだ。スポーツで言う選手の卓越した技術があって初めて出せる魅せプレイとは違う、ただ派手なだけのカードを使って騒いだり、アクションカードなんていうデュエルの根底を覆すルール無視のカードを使って何が楽しいのか、私には理解できない」

 

「貴様、言わせておけば…!」

 

アクションデュエルやエンタメデュエルが好きな人には悪いが、勝ち筋を放棄して観客を沸かせるためのプレイングをするとか、俺には舐めプしているようにしか見えない。トマト君の勝ち確定時にやらかす煽りプレイに関しては、俺も対戦相手を煽ることは多いのでノーコメントだ。

 

「あと、これが最大の理由だが、LDSと言う組織が信用できない」

 

「何…?」

 

「目下捜索中の犯罪者であるDr.ドクトルの一味であるジャン・ミシェル・ロジェとそれに従うオベリスクフォースはこのLDSの負の遺産だったという話ではないか。しかも私にはその事実を黙っていたな?そんな組織に良い印象があるとでも思っているのか?」

 

「…耳が痛いな」

 

最近、ユーリから知らされたことだが、ジャン・ミシェル・ロジェは元々はこのLDSの所属だったそうだ。オベリスクフォースもLDSの警備部門だったとのこと。何でもデュエルアカデミアでの派閥争いに敗れたロジェは、約3年前に当時のLDS社長だった赤馬零王に拾われて以降は警備部門のトップとして活躍していたそうだ。

 

だが近年になり不穏な動きが見られるようになったので社長直下の部下が調査に入ったところ、オベリスクフォースのメンバー全てを引き連れて脱出した後だったらしい。その後は何らかの手段でDr.ドクトルと連絡を取ったらしく、以後は行動を共にしているようだ。

 

なんだ、やっぱりこの世界でも赤馬零王が元凶じゃん。しかもあのハゲ、俺に黙っていやがったな?この時点で俺のハゲへの印象は最悪である。娘のレイには悪いが、この世界の零王は原作のような外道ではない代わりに研究以外に関してはかなり無能のようだ。この騒動にケリがつけば二度と関わりたくない人物である。

 

ちなみに、娘のレイがLDSに所属していた頃にはロジェはまだ居なかったようで、LDSを卒業してプロデュエリストになり、一定の活躍をしたあとに引退した後はそのままリアルソリッドビジョン研究所に入社したため、ロジェとLDSの関係を深くは知らないようだ。言いづらいのか、ハゲが黙っているらしい。そのうち色々とバラしてやろう。散々娘に怒られろ。

 

「Dr.ドクトルは赤馬零王が所長を務めるリアルソリッドビジョン研究所から離脱して犯罪者となった。ジャン・ミシェル・ロジェは赤馬零王がLDS社長時代の時に雇われて後に犯罪者となった」

 

「何が言いたい?」

 

「はっきり言おう。今の事件の大半は、赤馬零王の責任ではないか?その男が作り出した組織に魅力を感じると思うか?お前たちがやらかしたせいで起こった騒動の尻拭いを私にやらせようとするな」

 

「…」

 

「責任を感じて彼らの行方を捜索しているのか、過去の負の遺産を知られずに処分したいのかは知らん。ある程度の協力はしてやるが、あまり深入りしてこようとするな、迷惑だ」

 

なんだか真面目な話をしている風に感じるかも知れないが、俺はただLDSに入りたくないだけなので、それっぽい理由を語っているだけである。それと、ハゲのことが個人的に嫌いなだけである。

 

別に赤馬零王がどれだけやらかしていようが、それでどれだけの被害が出ようが、実はあまり興味がない。ただ、その被害が知り合いに及ぶ可能性があることと、その騒動の尻拭いをさせようとしているような動きが気に入らないだけである。

 

「それでは仕方がないな。今回の話は諦めるとしよう」

 

「ああ」

 

「では、彼らに協力を頼むとしよう」

 

そういうと赤馬零児は側面の壁のモニターに映る、志島北斗を後攻1ターンキルするセレナの姿を見た。

 

「…あ?」

 

「彼らのような善良な市民に協力を依頼するのは心苦しいが、恐らく彼らなら義憤に駆られて協力してくれるだろう」

 

「おい」

 

「なんだ?まだ居たのか?君には関係ないのだろう?」

 

へーぇ、ほーう、ふーん。そういうことをやるんだなお前は。なるほどいいだろう、その挑発に乗ってやろうじゃないか。

 

「赤馬零児、デュエルだ。お前が勝ったら今後LDSこの件に協力してやる。だが、お前が負けたら金輪際、彼らに関わるな」

 

「そのデュエルを私が受ける理由は…!?」

 

これ以上、薄ら笑いを浮かべる赤馬零児がふざけたことを抜かす前に殺意と魔力を全開で解放する。赤馬零児の顔色が一気に悪くなる。十代中盤の少年にはキツいだろうが知ったことではない。

 

「黙れ。さっさと構えろ」

 

「!?…いいだろう。先ほどの約束、違えるなよ?」

 

「そちらこそ」

 

そういうと赤馬零児はデュエルディスクを構える。このような相手に礼儀など無用だ。全力で叩き潰してやる。

 

~~~

 

<零児視点>

 

ハノイの騎士、本名:白河クロト。現在12歳の少年だ。

 

彼がこれまで参加している大会は全てアマチュアの大会で、記録には残るもののテレビ放送などは殆どされておらず、アマチュア大会がテレビ放送やデュエル雑誌で取り扱われることは稀であるため、彼は知る人ぞ知るミステリアスな存在である。

 

そのデュエルの戦術は、一言で言うならば変幻自在。デッキ破壊、バーン、特殊勝利。多くのデュエリストがビートダウン戦術を好むなか、彼のデュエルは異質だった。だが、彼のアマチュア大会での優勝率は90%を超えている。彼が唯一大会で敗れた相手は彼の同居人である赤羽コナミのみである。

 

そして、そのデュエル内容は、一言で言うならば苛烈。後攻1ターンキル率は50%を超え、先攻1ターンキルを成功させたことも多い。彼の相手はまさに『何もさせて貰えずに敗れる』。

 

 

数か月前、そんな彼と自身の姉が接触したことで間接的な関りが出来たため、彼の人物像の確認とあわよくば自身の手駒として戦力に加え入れられれば…と言う思惑もあり、今回呼び出してみた。父のことを非難する様に怒りを覚え、こちらも挑発交じりに彼の弱点と思われる部分を攻撃した。だが、今はそのことを後悔している。どうやら彼の逆鱗に触れてしまったらしい。

 

今、私が目の前にしているのは12歳の少年ではない!なんだ、この見えない重圧は…!?これが…本物の殺意と言うものなのか!?全身から冷や汗が止まらない!心が全力で警鐘を鳴らしている!この男には深入りするべきではなかった!…だが、私はまだここで終わるわけにはいかない!父の不始末は息子の私が付けなければいけないのだから!

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤馬零児 LP:4000

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

赤馬零児 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【地獄門の契約書】を2枚発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから「DD」モンスター1体を手札に加える。自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける!私はデッキから【DDケルベロス】と【DDリリス】を手札に加える!」

赤馬零児 手札:4→6枚。

 

「私は更に手札から永続魔法【魔神王の契約書】を発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、悪魔族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。「DD」融合モンスターを融合召喚する場合、自分の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける!」

赤馬零児 手札:5枚。

 

「私は手札の【DDケルベロス】と【DDリリス】を融合!今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ!レベル6!【DDD烈火王テムジン】!」

赤馬零児 手札:5→3枚。

 

<赤馬零児のフィールド>

DDD烈火王テムジン ★6 ATK2000

 

「【DDD烈火王テムジン】がモンスターゾーンに存在し、自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動でき、そのモンスターを特殊召喚する効果!そして、このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動でき、そのカードを手札に加える効果を持つ!」

 

「そうか」

 

ハノイが心底興味のない様子で言葉を零す。舐められたものだな!

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

赤馬零児 手札:1枚。

 

私はセットしたカードは、相手ターンの間だけ自身の悪魔族の攻撃力1000アップさせる【戦乙女の契約書】、自身の「契約書」カードを破壊することでドロー&LP回復を行う【契約洗浄】!容易に突破などさせはしない!

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤馬零児 LP:4000、手札:1、モンスター:1、伏せカード:2、永続魔法:3

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「伏せカードは…【戦乙女の契約書】と【契約洗浄】と言ったところか」

 

「!?」

 

な、何故私の伏せカードが分かる!?私のデッキである【DDD】は殆ど世に出回っていないテーマのデッキだ!その1ターンでデッキどころかその戦術まで知られていただと!?奴はどれだけのカード知識を擁しているんだ!?

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から通常魔法【大嵐】発動。フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「リバースカードオープン!チェーンして通常罠【契約洗浄】発動!自分の魔法&罠ゾーンの「契約書」カードを全て破壊する。破壊した数だけ自分はデッキからドローする。その後、自分はドローした数×1000LP回復する!」

赤馬零児 伏せカード:2→1

 

「私は【地獄門の契約書】2枚、【魔神王の契約書】、伏せカードの【戦乙女の契約書】の4枚を破壊して4ドロー!そして1000×4、つまり4000LPを回復する!」

 

「チェーンして私は手札からカウンター罠【レッド・リブート】を発動」

ハノイ LP:4000 → 2000、手札:5→4

 

「手札からカウンター罠だと!?」

 

「【レッド・リブート】はLPを半分払って手札から発動する事もできる。相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない」

 

チェーン③レッド・リブート

チェーン②契約洗浄

チェーン①大嵐

 

「効果処理をする。【レッド・リブート】により【契約洗浄】の発動は無効、そのままセットされる。そしてお前はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできるが、お前の魔法罠ゾーンは埋まっている為、無効。そしてお前はこのカードの発動後、ターン終了時まで罠カードを発動できない」

 

「ぐっ!」

 

「効果処理を継続する。【大嵐】により、フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊される」

 

赤馬零児 伏せカード:1→0、永続魔法:3→0

 

奴もライフを半分失ったが、私の伏せカードは全て破壊され、フィールドには【DDD烈火王テムジン】のみ。墓地にもこのターンに発動できるカードは無い…。頼みの綱は手札のこのカードだけか…。

 

「私はスケール5の【竜剣士ラスターP】と【Emヒグルミ】をペンデュラムスケールにセッティング」

ハノイ 手札:4→2、Pゾーン:0→2

 

「なっ!馬鹿な!ペンデュラムカード!?そのカードは榊遊矢と…」

 

「ペンデュラムカードを研究して新たに作り上げた自分しか持っていない…なんて言いたいのか?」

 

「!?」

 

「デュエルを続行するぞ。【竜剣士ラスターP】のペンデュラム効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる。

そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。私は【Emヒグルミ】を破壊して、デッキから2体目の【Emヒグルミ】を手札に加える」

ハノイ 手札:2→3、Pゾーン:2→1

 

「更に破壊された【Emヒグルミ】の効果発動。フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

手札・デッキから「Emヒグルミ」以外の「Em」モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから【Emダメージ・ジャグラー】を特殊召喚」

 

<ハノイのフィールド>

Emダメージ・ジャグラー ★4 DEF1000

 

「私は手札より【EMドクロバット・ジョーカー】を通常召喚。このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「EMドクロバット・ジョーカー」以外の「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターの内、いずれか1体を手札に加える。私はデッキから【EMモンキーボード】を手札に加える」

ハノイ 手札:2→3

 

「『EM』モンスター!?それは榊遊矢が使用している…」

 

「デュエルを続行するぞ?レベル4【EMドクロバット・ジョーカー】と【Emダメージ・ジャグラー】でオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【ラヴァルバル・チェイン】!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:2

 

「【ラヴァルバル・チェイン】のORUを1つ消費して効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。私が墓地に送るのは【BF-精鋭のゼピュロス】」

ラヴァルバル・チェイン ORU:2→1

 

「墓地の【BF-精鋭のゼピュロス】の効果発動。このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ダメージを受ける。私がフィールドから手札に戻すのは【竜剣士ラスターP】」

ハノイ LP:2000 → 1600、手札:3→4、Pゾーン:1→0

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

 

「先ほどORUとして墓地に送った【Emダメージ・ジャグラー】を墓地から除外しての効果発動。自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「Emダメージ・ジャグラー」以外の「Em」モンスター1体を手札に加える。私がデッキから手札に加えるのは【Emミラー・コンダクター】だ」

ハノイ 手札:4→5

 

「私は再びスケール5の【竜剣士ラスターP】と2体目の【Emヒグルミ】をペンデュラムスケールにセッティング」

ハノイ 手札:5→3、Pゾーン:0→2

 

【竜剣士ラスターP】の効果は『1ターンに1度』、名称ターン1制限ではない為、フィールドから離れると同一ターンでも再度の使用を許してしまう!

 

「【竜剣士ラスターP】のペンデュラム効果発動。1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる。

そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。私は【Emヒグルミ】を破壊して、デッキから3体目の【Emヒグルミ】を手札に加える」

ハノイ 手札:3→4、Pゾーン:2→1

 

「更に破壊された【Emヒグルミ】の効果発動。フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

手札・デッキから「Emヒグルミ」以外の「Em」モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから【Emトリック・クラウン】を特殊召喚」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

Emトリック・クラウン ★4 DEF1200

 

「フィールドにモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【Emハットトリッカー】を特殊召喚」

ハノイ 手札:4→3

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

Emトリック・クラウン ★4 DEF1200

Emハットトリッカー ★4 DEF1100

 

「私はレベル4【Emハットトリッカー】と【Emトリック・クラウン】と【BF-精鋭のゼピュロス】でオーバーレイ!3体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、『No.16』!ランク4!【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

 

「『No.』!?なんだあのモンスターは!?」

 

「さっきからいちいちうるさいぞ。お前が世の中全てのカードを知っているとでも思っているのか?」

 

そういうとハノイの騎士は淡々とデュエルを進める。だが、あの『No.』というカードは明らかにおかしい。あのモンスターが出てから体の震えが止まらない…!

 

「私はスケール3の【Emミラー・コンダクター】をペンデュラムスケールにセッティング。スケール5の【竜剣士ラスターP】と合わせ、これでレベル4モンスターが同時に召喚可能となる。ペンデュラム召喚!手札から【アステル・ドローン】を特殊召喚!更にEXデッキから2体の【Emヒグルミ】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:3→2、Pゾーン:1→2、Pスケール:3-5

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

アステル・ドローン ★4 DEF1000

Emヒグルミ ★4 DEF1000

Emヒグルミ ★4 DEF1000

 

「私はレベル4【アステル・ドローン】と【Emヒグルミ】でオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、『No.39』!白き翼に望みを託せ。光の使者!ランク4!【No.39 希望皇ホープ】!!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

Emヒグルミ ★4 DEF1000

No.39 希望皇ホープ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「私はエクシーズ素材となった【アステル・ドローン】の効果発動!フィールドのこのカードを素材としてX召喚に成功した場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。効果により私はデッキからカードを1枚ドローする」

ハノイ 手札:2→3

 

「続いて私は【No.39 希望皇ホープ】1体でオーバーレイネットワークを再構築、カオス・エクシーズ・チェンジ!現れよ、『CNo.39』!混沌を光に変える使者!ランク4!【CNo.39 希望皇ホープレイ】!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

Emヒグルミ ★4 DEF1000

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

 

「『CNo.』!?…いや、1体のモンスターだけでランクアップマジックも使用せずにランクアップした!?」

 

「更に私は【CNo.39 希望皇ホープレイ】1体でオーバーレイネットワークを再構築、ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!一粒の希望よ!今、電光石火の雷となって闇から飛び立て!!現れろ、ランク5!【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】!!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

Emヒグルミ ★4 DEF1000

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング ☆5 ATK2500 ORU:4

 

「『SNo.』!?更に1体のモンスターだけでランクアップした…!?」

 

「ここで【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】のORUを1つ消費して効果発動!1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。次の相手ターン終了時まで、宣言した種類のカードをお互いに発動できない。私は『魔法カード』を選択する」

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ORU:3→2

 

次の私のターン終了時まで魔法カードの使用を封じる!?このターンで仮に【DDD烈火王テムジン】が破壊され、その効果で墓地の『契約書』カードを手札に加えても、次のターンでは使用できないということか!?

 

「先ほどORUとして墓地に送った【Emトリック・クラウン】効果発動。このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「Em」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になる。その後、自分は1000ダメージを受ける。私は墓地の【Emトリック・クラウン】を特殊召喚し、1000LPダメージを受ける」

ハノイ LP:1600 → 600

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

Emヒグルミ ★4 DEF1000

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング ☆5 ATK2500 ORU:4

Emトリック・クラウン ★4 DEF1200

 

「私はレベル4【Emトリック・クラウン】と【Emヒグルミ】でオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【フレシアの蟲惑魔】!!」

 

<ハノイのフィールド>

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング ☆5 ATK2500 ORU:4

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500

 

「【フレシアの蟲惑魔】の効果は、X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない効果。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない効果。1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる効果。この3つの効果を持つ」

 

『落とし穴』罠カードをデッキから直接、しかもモンスター効果として発動できる…!?これでは私が次のターンで召喚するモンスターも…!

 

「お前、何か勘違いしていないか?」

 

「…?」

 

「お前に次のターンなど回ってこない」

 

「!?」

 

「【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】で【DDD烈火王テムジン】を攻撃」

 

「手札から【ジュラゲド】の効果発動!自分または相手ターンのバトルステップに発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分は1000LP回復する!そして、このカードをリリースし、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターの攻撃力を次のターンの終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる!」

 

「それはどうかな?」

 

「何っ!?」 カン☆コーン!

 

「【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】が戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時までカードの効果を発動できない」

 

「!?」

 

「【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】が「希望皇ホープ」モンスターをX素材としている場合、このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ5000になる!」

SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング ATK2500→5000 ORU:4→2

 

「ぐあぁぁぁっ!」

赤馬零児 LP:4000 → 1000

 

「【SNo.39 希望皇ホープ・ザ・ライトニング】の効果により、【DDD烈火王テムジン】は戦闘破壊されたが、自分の墓地の「契約書」カード1枚を手札に加える効果は発動できない」

 

「くっ!」

 

「【ラヴァルバル・チェイン】でダイレクトアタック」

 

「手札から【ジュラゲド】の効果発動!自分または相手ターンのバトルステップに発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分は1000LP回復する!」

赤馬零児  LP:1000 → 2000、手札:1→0

 

<赤馬零児のフィールド>

ジュラゲド ★4 DEF1300

 

「【ラヴァルバル・チェイン】で【ジュラゲド】を攻撃」

 

「…【ジュラゲド】は戦闘破壊される」

 

「【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】でダイレクトアタック」

 

「うわあぁぁぁぁぁぁっ!」

赤馬零児 LP:2000 → 0

 

 

 

「赤馬零児、約束は守ってもらうぞ?」

 

奴はそう言い残すと、何事もなかったかのように社長室を後にした…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

ヒグルミと『No.』の恐怖を赤馬のアホに叩き付けてやったら放心していた。うーん、すっきり爽快!

 

この世界のコイツはどうも原作と比べて少々子供っぽいというか、負けず嫌いと言うか。冷静ではあるが冷酷ではない感じだ。どうせさっきのセリフも売り言葉に買い言葉と言った感じでそんなことをやる気もないのに勢いでポロっと言ってしまったセリフなんだろう。でもまぁ、言っていいことと悪いことがあるよなぁ?

 

という建前の元、初めてのペンデュラムデッキ&『No.』実践投入の犠牲者第一号になって貰った。彼も他のペンデュラムデッキが見れたことで勉強になっただろうし、満足しているだろうきっと。

 

その後、俺はコイツとこれ以上関わるのは面倒なので放置して社長室を後にした。事前に用意されていた客間でハノイの騎士の衣装を脱いだ後にビルの1階にある受付エリアでコナミ、ユーゴ、リン、セレナ、バレットと合流した。皆、デュエルを堪能したようで楽しそうに笑っている。

 

「お前らなぁ、LDSの本拠地でそのトップエース3人を全員倒すとか、空気読めよ…」

 

「だって、あの沢渡っていう人は他の3人と比べるとそんなに強くなかったし…」

 

「私はどんな時でも全力で戦う!【セイクリッド】デッキを使う志島北斗とかって奴もそこそこだったが、私の敵ではなかったな!」

 

「流石です、セレナお嬢様!」

 

「【X-セイバー】ってデッキを使ってきた刀堂刃って奴はなかなか強かったぜ!」

 

「【ジェムナイト】デッキを使ってきた光津真澄って娘も結構強かったよ」

 

リン、セレナ、ユーゴ、コナミはそれぞれの相手の感想を言っている。バレットはもう親馬鹿の父親にしか見えない。

 

「俺の用事は済んだし、そろそろ帰るか」

 

「そうだね。あの娘とも連絡先も交換できたし」

 

おい、俺が赤馬零児とギスギスやっている間にそんなことをしてやがったのかコナミよ…。う、羨ましくなんかないからな!

 

「いやー、たまには違う相手とデュエルするのも楽しいよな!」

 

「えぇ、そうね」

 

「クロトに付いてきてよかったな!」

 

「お嬢様、お荷物は私が…」

 

ユーゴ、リン、セレナは満足そうにしている。バレットも久し振りにセレナが気分転換できたことで嬉しそうだ。今日は色々とあったけれど、彼らを連れて来て良かったな。




特に理由のない禁止カードの嵐が赤馬零児を襲う!

赤馬零児が酷い目にあった理由は以下の三つです。
①コナミの言葉により、オリ主が『No。』を解放してしまったこと。
②榊遊矢の行動により、ペンデュラム召喚が解放されてしまったこと。
③本気でやるつもりもないのに、赤馬零児が一般人?であるオリ主の友人をオベリスクフォースとの戦いに巻き込むような言動をしたこと。

これらによりOCG次元の第9期の悪夢の片鱗を見せることになりました。

猿はまたいずれ別の機会に使用します。

本作とOCG次元のマスタールール3の違いはザックリ言うと以下の通りです。
①本作では先行ドローがある。
②本作では魔法罠ゾーン5つのうち、左右端の2つがペンデュラムゾーンと兼用。

ペンデュラムゾーンが魔法罠ゾーンと共有とはいえ、エクストラゾーンの概念が存在しない為、ペンデュラム召喚がかなり有利なルールですね。

リンクモンスターは(ややこしすぎるので)出したくないので、ルールは多分このまま最後まで行きます。あまりにも変なところがあれば直します。

次回の更新は、12/27(日) AM6:00予定です。

戦車様、クロト・オルタ様、響鬼装甲様、とあるカルデアのマスター様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十話 レイン恵

いつものモブ戦…ではなくなってしまったようです。

タッグフォースのキャラ、レイン恵戦です。


<クロト視点>

 

小学校6年生の夏休みのある日の早朝、俺は舞網市に3泊4日の旅行に出かけるコナミ、ユーゴ、リン、シスター、セレナ、バレットの見送りに来ていた。…決して仲間外れにされたわけではない。決してだ。

 

先日、赤馬レイから彼らの元に舞網市で開催されるデュエル大会『舞網チャンピオンシップ』のジュニア部門(中学生以下)への出場券と当日の新幹線のチケットが封入された封筒が届いたのだ。LDS本社ビルでのデュエルの記録映像を見て、彼らなら参加条件を満たせる実力だと判断したのだそうだ。

 

ちなみに、俺には届かなかった。多分恐らく何の確証もないが、きっと赤馬零児からの嫌がらせである。あの陰険な赤マフラーめ!【Emヒグルミ】を使ったことを根に持っているのだろうか…。

 

「じゃあクロト、行ってくるよ。お土産はドローパンでいいか?」

 

「他の食べ物にしてくれ」

 

コナミよ、なんでわざわざドローパンをチョイスした?あんなギャンブル性の高い土産は要らん。

 

「じゃあ行ってくるぜクロト!お土産はバナナパンでいいいいよな?」

 

「お土産と言えば、定番のクッキーでいいのかしら?」

 

「日本ナシで頼む。品種は『幸水』か『二十世紀』な」

 

ユーゴ、バナナパンとか何処の土産か分からんだろう?リン、せっかくだから地元の名産品にしてくれ。

 

「クロト、ちゃんとこちらへの道順は分かる?ハンカチとティッシュは持った?私も付き添おうか?」

 

「俺は初めてのお使いを任された子供か!分かるわ!」

 

シスターが苦笑いながらこちらを心配しているような振る舞いで声を掛けてくる。嘘だな!俺には分かる!あの顔は絶対この状況を楽しんでいやがる!ちなみにシスターはコナミ、ユーゴ、リンの3人の保護者として付き添うそうだ。

 

「クロト!この大会で私が優勝して、お前に優勝トロフィーを見せつけてやるからな!」

 

「あぁ、うん。頑張ってな」

 

「クロト、なんだかすまないな」

 

セレナは大会へのやる気を漲らせている。バレットはまるで置いて行かれるような俺の状況に同情しているようだ。止めてくれ、その視線は俺に効く。

 

「最終日には俺も現地に行けるから、観客席で観戦することにするよ。皆、せっかくだから優勝を目指せよ」

 

「もちろんだ」

 

「当然だぜ!」

 

「やるからには私も勝ちに行くわ!」

 

「私は勝つ!」

 

やる気とワクワクに満ちた表情を浮かべた彼ら4人と保護者役の2人は楽しそうに新幹線へと乗り込んで行き、その新幹線は目的地へと走って行った…。

 

「さて、俺も別の大会に向かうとするか」

 

そう、なんだかんだで俺も今日は別の大会があるのだった。

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

コナミたちを見送ってから数時間後、俺はいつものようにハノイスタイルでデュエル大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の…見たことある少女と対峙していた。

 

「…勝敗を」

 

レ、レイン恵…。間違いない、あの特徴的なツインテールではないが、あの髪型になる前のショートカットの銀髪、無表情の割に整った顔、そして…どう見ても未来のデュエルアカデミアの赤紫の制服!いやいや、せめて服は変えて来いよ…!もうちょい創意工夫しろよ!

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆レイン恵 LP:4000

 

「先攻は私、私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

レイン恵 手札:5→6枚。

 

 

待て待て待て待て待て!落ち着け!冷静になれ俺!KOOLになるんだ!こういう時は素数を数えるんだ!1、3,5,7,9,11ってこれは奇数だ!アホか!!

 

レイン恵だと!?彼女が登場するのは少なくともあと20年以上は先だろう!!それに何よりも、彼女の正体がタッグフォース4~6と同様である場合はかなり不味い!!

 

 

「手札から、魔法カード【闇の誘惑】、発動。デッキより2枚ドロー」

レイン恵 手札:5→7→6枚。

 

「手札から、魔法カード【天使の施し】、発動。デッキより3枚ドロー、2枚を墓地へ送る」

レイン恵 手札:5枚。

 

「墓地に送られた【牛頭鬼】の効果、発動。墓地の【シノビネクロ】を除外。手札から、【ゾンビ・マスター】特殊召喚」

レイン恵 手札:5→4枚。

 

<レイン恵のフィールド>

ゾンビ・マスター ★4 ATK1800

 

「効果の発動の為に除外された【シノビネクロ】の効果、発動。自身を特殊召喚」

レイン恵 手札:5→4枚。

 

<レイン恵のフィールド>

ゾンビ・マスター ★4 ATK1800

シノビネクロ ★2 DEF0

 

「手札から、フィールド魔法【アンデットワールド】、発動。フィールドの表側表示モンスター、及び墓地のモンスターは、全てアンデット族になる。お互いはアンデット族モンスターしか、アドバンス召喚できない」

レイン恵 手札:3枚。

 

 

あー、間違いなさそう。アレって【シンクロアンデット】だろ?しかも本来のこの世界のこの時代のカードプールに合わせたものでなく、未来のデッキをそのまま持ってきているっぽい。下手すると全盛期のデッキの可能性がある、と言うか多分そうだ。

 

それに加えて、彼女の前でシンクロデッキを使うのは非常に不味い。イリアステルに俺と言うイレギュラーの存在を知られることになる。ドクトルやらロジェやらで手一杯なのに、未来組の相手までしてられないぞ…。

 

 

「【ゾンビ・マスター】の効果、発動。手札の【ソンビキャリア】を墓地へ送り、墓地の【ソンビキャリア】を蘇生」

レイン恵 手札:2枚。

 

<レイン恵のフィールド>

ゾンビ・マスター ★4 ATK1800

シノビネクロ ★2 DEF0 ※チューナー

ゾンビキャリア ★2 DEF0 ※チューナー

 

「【シノビネクロ】の効果、発動。デッキより1枚ドロー、その後1枚捨てる」

レイン恵 手札:2→3→2枚。

 

確か、【シノビネクロ】がフィールドにいるときに墓地からモンスターが特殊召喚された時の効果だな。無口だから効果の説明が分かりにくいぞ…。チート知識が無ければ即死だった。

 

「レベル4【ゾンビ・マスター】に、レベル2【ソンビキャリア】をチューニング、シンクロ召喚。来て、レベル6【蘇りし魔王 ハ・デス】」

 

<レイン恵のフィールド>

蘇りし魔王 ハ・デス ★6 ATK2450

シノビネクロ ★2 DEF0 ※チューナー

 

「レベル6【蘇りし魔王 ハ・デス】に、レベル2【シノビネクロ】をチューニング、シンクロ召喚。来て、レベル8【ダークエンド・ドラゴン】」

 

<レイン恵のフィールド>

ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

 

「【シノビネクロ】の効果、フィールドから離れた為、自身を除外」

 

シンクロ召喚を滅ぼすためにやってくるメンバーがシンクロ召喚使うのってどうなんだと思う…。

 

「私は、カードを1枚セット、ターンエンド」

レイン恵 手札:1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆レイン恵 LP:4000、手札:1、伏せカード:1、フィールド魔法:1

 

<レイン恵のフィールド>

ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【ハリケーン】発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻す!」

ハノイ 手札:5枚。

 

「チェーンして、伏せカード【和睦の使者】、発動。このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる」

レイン恵 伏せカード:1→0

 

チェーン②和睦の使者

チェーン①ハリケーン

 

ちっ、和睦の使者のチェーン発動を許してしまったか。このターンでの決着は無理そうだ。

 

「効果処理に入る。【和睦の使者】の効果は発動する。その後に【ハリケーン】の効果によりフィールドの【アンデットワールド】はそちらの手札に戻る。墓地送りが確定している【和睦の使者】はそのまま墓地に送られる」

 

「…分かった」

レイン恵 手札:1→2、フィールド魔法:1→0

 

ともかくあの【ダークエンド・ドラゴン】をフィールドに残したままターンを渡すのは危険だ。さっさと退場してもらおう。

 

「貴方の、力を、私に、見せて?」

 

試されているんだろうか…?だが、このまま何もせずに負けるのは癪だよな!

デュエルに熱が入ってきているので、あまりシンクロ召喚を使用しない方がいいことを忘れ始めている。

 

「私は手札から【召喚僧サモンプリースト】を召喚!」

ハノイ 手札:4枚。

 

「【召喚僧サモンプリースト】が召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない」

 

<ハノイのフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

 

「【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動でき、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから2体目の【召喚僧サモンプリースト】この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない」

ハノイ 手札:3枚。

 

「【召喚僧サモンプリースト】はこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない」

 

<ハノイのフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

 

「【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動でき、デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから【レスキューキャット】この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない」

ハノイ 手札:2枚。

 

<ハノイのフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

レスキューキャット ★4 ATK300

 

「【レスキューキャット】の効果発動!フィールドのこのカードを墓地へ送って発動でき、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体を特殊召喚する。俺は2体の【X-セイバー エアベルン】を特殊召喚!この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される」

 

<ハノイのフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

X-セイバー エアベルン ★3 ATK1600 チューナー

X-セイバー エアベルン ★3 ATK1600 チューナー

 

「サモサモキャットベルンベルン…」

 

未来にもその忌まわしい呪文が残っているのか…。

 

「私はレベル4の【召喚僧サモンプリースト】にレベル3の【X-セイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!出でよレベル7!【PSYフレームロード・Ζ】!」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

X-セイバー エアベルン ★3 ATK1600 チューナー

 

「私は【PSYフレームロード・Ζ】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚された表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとフィールドのこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで除外する。この効果は相手ターンでも発動できる!私は【PSYフレームロード・Ζ】とそちらの【ダークエンド・ドラゴン】を除外!」

 

「…そう」

 

<ハノイのフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

X-セイバー エアベルン ★3 ATK1600 チューナー

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

 

ホント無口な娘だなー。このまま進めていいんだよな?

 

「私はレベル4の【召喚僧サモンプリースト】にレベル3の【X-セイバー エアベルン】をチューニング!シンクロ召喚!出でよレベル7!【月華竜 ブラック・ローズ】!」

 

「…ブラック・ローズ・ドラゴン!?」

 

<ハノイのフィールド>

月華竜 ブラック・ローズ ★7 ATK2400

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

 

「【月華竜 ブラック・ローズ】が特殊召喚に成功した時、 または相手フィールド上にレベル5以上のモンスターが特殊召喚された時に発動する。 相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。「月華竜 ブラック・ローズ」の効果は1ターンに1度しか使用できない」

 

「…これは」

 

ふふふ、驚いているようだな!これで次のターンの相手の特殊召喚の牽制になると共に、次の俺のターンで帰還する【PSYフレームロード・Ζ】と共に帰還する【ダークエンド・ドラゴン】は【月華竜 ブラック・ローズ】によってバウンスされる!完璧だな!ヨシッ!

レイン恵の驚いている理由を勘違いしているアホの図。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

ハノイ 伏せカード:1

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:1、伏せカード:1

 

<ハノイのフィールド>

月華竜 ブラック・ローズ ★7 ATK2400

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

 

VS

 

◆レイン恵 LP:4000、手札:2、伏せカード:0、フィールド魔法:0

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

 

 

アンデット族は展開力に優れているが、除去手段に乏しい。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

レイン恵 手札:2→3枚。

 

「手札から、魔法カード【強欲な壺】、発動。デッキより2枚ドロー」

レイン恵 手札:2→4枚。

 

「手札から、フィールド魔法【アンデットワールド】、発動。フィールドの表側表示モンスター、及び墓地のモンスターは、全てアンデット族になる。お互いはアンデット族モンスターしか、アドバンス召喚できない」

レイン恵 手札:3枚。フィールド魔法:1

 

「私の墓地には、【ゾンビ・マスター】、【ソンビキャリア】、【蘇りし魔王 ハ・デス】。ボチヤミサンタイ…」

 

やっべ。【シンクロアンデット】とデュエルしているのに、墓地の闇属性モンスターのカウント忘れたな。う~ん、ヤバいかな?

 

「手札から、【ダーク・アームド・ドラゴン】、特殊召喚」 ※特殊召喚:1

レイン恵 手札:2枚。

 

<レイン恵のフィールド>

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

 

「相手フィールド上にレベル5以上のモンスターが特殊召喚された時に【月華竜 ブラック・ローズ】の効果は発動する。 相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す。「月華竜 ブラック・ローズ」の効果は1ターンに1度しか使用できない」

レイン恵 手札:2→3枚。

 

「それなら、また手札から、【ダーク・アームド・ドラゴン】、特殊召喚。【月華竜 ブラック・ローズ】の効果は、1ターンに1度のみ。もう発動できない」 ※特殊召喚:2

レイン恵 手札:2枚。

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

 

知ってた。【ダーク・アームド・ドラゴン】の特殊召喚には名称ターン1制限とかないからな。【月華竜 ブラック・ローズ】では【ダーク・アームド・ドラゴン】の登場を防ぐことはできないよな…。やっべー。やっべーよコレ。

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】の効果、発動。墓地の【蘇りし魔王 ハ・デス】を除外、発動。【月華竜 ブラック・ローズ】、破壊」

 

「ちっ!」

 

<ハノイのフィールド>

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

 

「手札から、【ユニゾンビ】、召喚。」

レイン恵 手札:1枚。

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

ユニゾンビ ★3 ATK1300 ※チューナー

 

「【ユニゾンビ】、効果発動。手札の【馬頭鬼】を墓地に送り、自身のレベルを1上げる」

レイン恵 手札:1→0枚。

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

ユニゾンビ ★3→4 ATK1300 ※チューナー

 

「墓地から、【馬頭鬼】を除外して、効果発動。墓地から【牛頭鬼】を蘇生」 ※特殊召喚:3

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

ユニゾンビ ★4 ATK1300 ※チューナー

牛頭鬼 ★4 ATK1700

 

「【牛頭鬼】の効果、発動。デッキから、【グローアップ・ブルーム】を墓地へ送る」

 

【グローアップ・ブルーム】!?いやいやいや!そんなカード、原作で君は持ってなかっただろうが!

 

「【アンデットワールド】がフィールドに存在した状態で、墓地に送られた【グローアップ・ブルーム】、効果発動。自身を除外して、デッキから【死霊王 ドーハスーラ】を、特殊召喚」 ※特殊召喚:4

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

牛頭鬼 ★4 ATK1700

ユニゾンビ ★4 ATK1300 ※チューナー

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

 

【死霊王 ドーハスーラ】!?せめて【真紅眼の不死竜】とかにしとけよ!?

 

【死霊王 ドーハスーラ】の効果は以下の通りだ。【アンデットワールド】影響下では、フィールドと墓地のモンスターは全てアンデット族となるので、フィールドと墓地で発動するモンスター効果は全て【死霊王 ドーハスーラ】に無効化される可能性があるわけだ!キツイねぇ!

 

<死霊王 ドーハスーラ>

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「死霊王 ドーハスーラ」以外のアンデット族モンスターの効果が発動した時に発動できる。以下の効果から1つを選んで適用する。このターン、自分の「死霊王 ドーハスーラ」の効果で同じ効果を適用できない。

●その効果を無効にする。

●自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を選んで除外する。

(2):フィールドゾーンに表側表示でカードが存在する場合、自分・相手のスタンバイフェイズに発動できる。このカードを墓地から守備表示で特殊召喚する。

 

「レベル4【牛頭鬼】に、レベル4となった【ユニゾンビ】をチューニング、シンクロ召喚。来て、レベル8【スクラップ・ドラゴン】」 ※特殊召喚:5

レイン恵 LP:4000→3000、手札0

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

スクラップ・ドラゴン ★8 ATK2800

 

【スクラップ・ドラゴン】!?…なーんてなぁ。くくくっ…特殊召喚を5回、したよなぁ?

 

「【スクラップ・ドラゴン】の効果、発動。自身と貴方の伏せカードを選択。そして破壊」

 

「くそっ!ミラーフォースが!(棒)」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

 

「貴方のフィールドに、カードは無い。墓地のカードも、使用できるものはない。これで、終わり?」

 

「…」

 

勝ち誇ってる勝ち誇ってる。だ…駄目だ。まだ笑うな…。こらえるんだ…。し…しかし…。

 

「貴方の全力、見せて欲しかった。…仕方ない、バトルフェイズに…」

 

そんなに見たいのかぁ?見せてやろうじゃないか!このインチキカードをなぁ!

 

「この瞬間!手札のモンスターの効果発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず!相手が5体以上のモンスターの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに発動できる!」

 

「…えっ!?」

 

「キミのデュエルは素晴らしかった!コンビネーションも戦略も!だが、しかし、まるで全然!この俺を倒すには程遠いんだよねぇ!」

 

「…なっ!?」

 

「自分・相手フィールドの表側表示モンスターを全てリリースし、私は手札から【原始生命態ニビル】を特殊召喚する!その後、相手フィールドに「原始生命態トークン」(岩石族・光・星11・攻/守?)1体を特殊召喚する。このトークンの攻撃力・守備力は、この効果でリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる!この効果は相手ターンでも発動できる!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

原始生命態トークン ★11 DEF3000

 

【原始生命態ニビル】の効果発動は手札からだ。そして【原始生命態ニビル】は岩石族。アンデット族の効果しか無効化できない【死霊王 ドーハスーラ】では対処できまい!くくくくく、あはははは!あーっはっはっはっはー!

 

「あれだけ展開しておいて、最後に残ったのは守備表示のトークンだけ!俺の消費カードは1枚のみ!悔しいでしょうねぇ!」

 

「なに…このモンスター…」

 

「ふっ、その驚く顔が見たかった!登場を引っ張った甲斐があったというものだぁ!」

 

無表情だった美形の顔は、驚愕の表情に変わっている…。…ヒャッハァー!たまんねぇなあー!!【原始生命態ニビル】を使うときは、この瞬間がたまんねぇんだよなぁ!

 

「どうした?バトルフェイズに入るのか?」

 

「…!?…ターンエンド」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:0、伏せカード:0

 

<ハノイのフィールド>

(PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500) ※除外中

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

 

VS

 

◆レイン恵 LP:4000、手札:0、伏せカード:0

 

<レイン恵のフィールド>

(ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600) ※除外中

原始生命態トークン ★11 DEF3000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「この瞬間!【PSYフレームロード・Ζ】の効果により除外されていたモンスターが帰還する!」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

 

<レイン恵のフィールド>

ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

原始生命態トークン ★11 DEF3000

 

「私も、墓地から【死霊王 ドーハスーラ】、効果発動!墓地から守備表示で蘇生!」

 

<レイン恵のフィールド>

ダークエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

原始生命態トークン ★11 DEF3000

死霊王 ドーハスーラ ★8 DEF1000

 

おーおー、最初の無表情が嘘のようだな。ムッとしているのが顔を見ればよく分かる。とはいえ、【死霊王 ドーハスーラ】が厄介なことには変わりない…。どうしたものかな。…そう言えば、前の俺のターンで運よく墓地に落としたあれがあったな。

 

「メインフェイズへ移行」

 

「私は墓地から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】を除外して効果発動!墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。私はそちらの【アンデットワールド】を破壊する!」

 

「…むっ」

レイン恵 フィールド魔法:1→0

 

これで【死霊王 ドーハスーラ】は俺にとってはただの置物だな。【死霊王 ドーハスーラ】はそれぞれの効果を1ターンに1回、アンデット族の効果発動をトリガーに、アンデット族効果無効化とフィールド・墓地のモンスター1体を選んで除外する効果があるが、俺のデッキにアンデット族は手札誘発の妖怪少女くらいだ。問題ないだろう。

 

「私は手札から魔法カード【天使の施し】発動!デッキから3枚ドローして2枚墓地に送る!」

ハノイ 手札:0→3→1枚。

 

良し、これにどう対応するかな?

 

「墓地に送られた【ダンディライオン】の効果発動!自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する!このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない」

 

【アンデットワールド】を残していたら、この効果にチェーンされて【死霊王 ドーハスーラ】の効果発動され、効果を無効化されていただろうな。

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

 

「私は手札のチューナーモンスター【斬機ナブラ】を通常召喚!」

ハノイ 手札:1→0

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

斬機ナブラ ★4 ATK500 ※チューナー

 

「…サイバース族?」

 

「レベル1【綿毛トークン】2体にレベル4【斬機ナブラ】をチューニング!シンクロ召喚!レベル6!シンクロチューナー!【瑚之龍】!!」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

瑚之龍 ★6 ATK2400 ※シンクロチューナー

 

「…シンクロチューナー!?」

 

「墓地の【レベル・スティーラー】の効果発動!このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。このカードはモンスターゾーンに存在する限り、アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。俺はレベル11の【原始生命態ニビル】を対象として発動!対象のレベルを下げて墓地の【レベル・スティーラー】を特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★11→10 ATK3000

瑚之龍 ★6 ATK2400 ※シンクロチューナー

レベル・スティーラー ★1 DEF0

 

「レベル1【レベル・スティーラー】にレベル6【瑚之龍】をチューニング!シンクロ召喚!招来せよ!レベル7!シンクロチューナー!【シューティング・ライザー・ドラゴン】!!」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★10 ATK3000

シューティング・ライザー・ドラゴン ★7 DEF1700 ※シンクロチューナー

 

「…シンクロチューナーの、シューティング・スター…!?」

 

「S召喚されて墓地に送られた【瑚之龍】の効果発動!自分はデッキから1枚ドローする!」

ハノイ 手札:0→1

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★10 ATK3000

シューティング・ライザー・ドラゴン ★7 DEF1700

 

「【シューティング・ライザー・ドラゴン】このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。フィールドのこのカードより低いレベルを持つモンスター1体をデッキから墓地へ送り、そのモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを下げる!このターン、自分は墓地へ送ったそのモンスター及びその同名モンスターのモンスター効果を発動できない!」

 

「私はデッキからレベル4【斬機シグマ】を墓地に送り、【シューティング・ライザー・ドラゴン】のレベルを4下げる」

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★10 ATK3000

シューティング・ライザー・ドラゴン ★7→3 DEF1700

 

「墓地の【レベル・スティーラー】の効果発動!このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。このカードはモンスターゾーンに存在する限り、アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。俺はレベル10の【原始生命態ニビル】を対象として発動!対象のレベルを下げて墓地の【レベル・スティーラー】を特殊召喚する!」

 

【レベル・スティーラー】は忘れちまったぜ。名称ターン1制限なんて言葉はよぉ…!

 

<ハノイのフィールド>

PSYフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

原始生命態ニビル ★10→9 ATK3000

シューティング・ライザー・ドラゴン ★3 DEF1700

レベル・スティーラー ★1 DEF0

 

さぁ、このデュエルもフィナーレだ!せっかくだから、ド派手なモンスターを見せてやろうじゃないか!

調子に乗って完全にイリアステルのことを忘れているアホの図。

 

「レベル1の【レベル・スティーラー】とレベル7【PSYフレームロード・Ζ】にレベル3となった【シューティング・ライザー・ドラゴン】をチューニング!シンクロ召喚!出でよ!レベル11!【氷結界の還零龍 トリシューラ】!!」

 

<ハノイのフィールド>

原始生命態ニビル ★9 ATK3000

氷結界の還零龍 トリシューラ ★11 ATK2700

 

「レベル11のトリシューラ…」

 

「【氷結界の還零龍 トリシューラ】がS召喚に成功した時に効果発動!相手フィールドのカードを3枚まで選んで除外する。私は【ダークエンド・ドラゴン】【原始生命態トークン】【死霊王 ドーハスーラ】を除外!」

 

「私の、フィールドが、がら空きに…」

 

「バトルフェイズに移行。【原始生命態ニビル】でダイレクトアタック!」

 

「うぅっ!」

レイン恵 LP:4000 → 1000

 

「【氷結界の還零龍 トリシューラ】でダイレクトアタック!」

 

「あぁぁぁぁっ!」

レイン恵 LP:1000 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

大会が終わったので孤児院へ一度帰ろうと思い、俺はハノイの衣装を脱いで会場の通路を歩いている。今回のデュエルはかなり楽しかったので意気揚々と歩いていると、ふと思い出してしまった。今日やらかした内容を…。

 

やっべー!レイン恵の目の前でシンクロ召喚を!しかも【月華竜 ブラック・ローズ】とか!【シューティング・ライザー・ドラゴン】とか!如何にも訳ありなモンスターを出しまくってしまったぁぁぁ!!

 

 

レイン恵。遊戯王タッグフォースシリーズにて、ナンバリング4以降に登場するモブキャラの1人である。そうただのモブキャラである。遊戯王5D'sにて、主人公の最後の敵として立ちはだかる組織イリアステル、その手先のサイボーグと言う点を除けば、だが!

 

絶望の未来が訪れるのを未然に防ぐ為、シンクロ召喚やネオドミノシティを亡き者にするため、過去の歴史の改竄を平気でやってのける連中である。俺と言う歴史のイレギュラーが存在が居るなんて知ったら…。

 

 

ざんねん!!わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!

 

 

ヤバすぎる!というか本当に何でこの時代に居るんだよ!ここってGX時代だぞ!お前が出るのは5D's時代!20~30年くらい時間間違えているから!絶対に俺と言うイレギュラー存在がバレたー!

 

そんなことを考えながら歩いていると、見たことのある銀髪ショートの少女が待っていた。…全力で回れ右をして逃げた!

 

「ハノイの騎士、いえ白河クロト。貴方に言っておきたい、ことがある」

 

「なぁー!」

 

この女!魔力で脚力を限界まで強化した俺と並走しているだとー!しかも無表情で怖い!もうだめだ!おしまいだぁー!勝てるわけがない!や、やられる!?

 

「次は、私が、勝つから」

 

「…えっ?」

 

そういうと、彼女は俺との並走を止め、どこかへ走り去っていった。た、助かった…のか?

 

~~~

 

<レイン視点>

 

日本の何処かにある安アパートの1つ、妙な色のカーテンと謎めいた大型の機械を除けば家具が冷蔵庫とベッドしかないその5畳半のワンルームで大型の通信端末を起動し、彼女は自らのマスターたるZONEとその仲間たちへ定期報告を実施していた。

 

「…以上が、現在までの、報告です」

 

「なるほど。シグナーの竜と酷似したシンクロモンスターを操る少年か…」

 

「白河クロト…今まで過去を変えてきたけど、こんな人物はどんな世界線にもいなかったはずだよ」

 

「決まりだな。その者がその時代のイレギュラー。どんな小さな障害でも、異物は排除せねばならん」

 

彼女のマスターとその仲間たちは、彼こと白河クロトの処遇について話し合っている。

 

「いや、まだ障害となると決まったわけじゃないよ。もしかしたらこちらの有利に働く人物になるかも知れない」

 

「お前はいつも甘いのだアンチノミー。その考えは破滅を招くぞ!」

 

どうやら、処分するか様子を見るかで意見が分かれているようだ。

 

「レイン、一つ確認したいのですが、その白河クロトは貴方を見て動揺していたと言っていましたね?」

 

彼女のマスターが私に問いかける。私は事実のみを返答するだけ。

 

「…肯定。…デュエルが始まる前、彼は私の顔を見て、明らかに動揺していた」

 

「どういうことだZONE?」

 

「まさか、レインの正体を知っていた…?」

 

「馬鹿な!今の奴はゼロリバースから約20年前の人間だ!私たちの様に未来から来たものでない限り、そのようなことに気付けるはずが…!」

 

「未来から来た…まさか、そういうことなのでしょうか?」

 

「ZONE?」

 

「有り得ない話ではないのかもしれません。私たちはこれまで幾度となく歴史改変を行ってきました。その消えたはずの歴史の中で、我々とは別の未来を辿った並行世界があるとしたら…」

 

「そんな、馬鹿な!」

 

「いや、アポリア。確かに、あながちあり得ない話でもないかも知れないよ。ほら、シグナーの竜に近いシンクロモンスター以外にも、ボクたちの知らないモンスターがいる」

 

「【原始生命態ニビル】、【氷結界の還零龍 トリシューラ】か。確かに我々のデータベースにはこのようなモンスターは居ない…」

 

「エクシーズ召喚やエクシーズモンスターなども、白河クロトがI2社と共同してシンクロと同時期に世に広めたのでしたね?」

 

「…肯定」

 

「異なる召喚方法、我々の知らないモンスターを駆使する存在か…」

 

「数か月前にペンデュラム召喚なんてのも出てきている。明らかにボクたちの生きた世界とは異なる歴史になってきているよ」

 

話し合いはなかなか終わらないようだ。

 

「レイン」

 

「…はい」

 

「貴方には、引き続き白河クロトの監視を命じます」

 

「…了解」

 

「ゴースト達には、ペンデュラム召喚とその生みの親とされる榊遊矢、そして我々の歴史には存在しないオベリスクフォースと言う組織の調査を命じます」

 

「なるほど…。下手に始末してしまえば、藪をつついて蛇を出す可能性があるということだな」

 

「そうだね。この一件に関しては慎重に対応した方がいいね」

 

「最後にレイン、貴方や貴方の仲間の体調に不備は見られませんか?」

 

「…はい、問題ありません」

 

「よろしい。ご苦労様でしたレイン。引き続き、任務を遂行してください」

 

「…了解」

 

そういうと未来からの通信は途絶えた。

 

「白河クロト、次に戦うことがあれば、今度こそ、私が勝つ」

 

~~~

 

<???視点>

 

とある場所にて…。

 

「おや?この大会で使用されているモンスター、【ダンディライオン】…?これは確か、十代が昔に書いていた絵がモデルになったモンスターじゃあ…」

 

イリアステルとは別のところで、新たな騒乱の種が生まれようとしていた…!?




舞網チャンピオンシップ、開幕です。オリ主は参加できません。

そして、レイン恵戦です。彼女の持つ【シンクロアンデット】デッキは、オリ主を監視しているうちに、ゲームで登場した時の現状のデッキでは彼の実力を測るには力不足と考え、未来のカードを利用して大幅に強化されています。

負けず嫌いなオリ主はそれに対して全力で応戦。【原始生命態ニビル】、【氷結界の還零龍 トリシューラ】だけでなく、GX本編でも重要な意味を持つ【ダンディライオン】を使用してしまいました。

それにより、イリアステルに妙な勘違いをされたり、遊戯王史上トップ5に入るであろうヤバイ存在に気付かれ始めました。


次回の更新は12/28(月) AM6:00予定です。

戦車様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十一話 無限ループバーン2

今回は普通のモブ戦です。

そして普通の無限ループバーンです。


翌日、とりあえずはまだ生きているようなのでまずはホッとした。また勝手に出てきていたバニーラに挨拶をして顔を洗い、朝食を作って食べながら昨日のことを考える。

 

昨日はイリアステルのレイン恵に発見されてしまったので、今後は確実に監視が付くだろう。面倒だなー。これからは町中でふと振り返ると物陰からチラッとゴースト(イリアステル製のアンドロイド)が見えちゃったりするのかな。嫌すぎる。

 

そもそも最悪のパターンだと物理的に排除されるかもしれないが、その時は全力で逃げよう。ただ、レイン恵一人に追い詰められていたので、なるべく逃げなければならない状況にはなってほしくないけどな。逃げ切れる自信がない。

 

昨日の深夜、世界が数秒歪んだように見える現象が起こり、もしやと思って今朝方に昨日の大会受付へ連絡してみたところ、俺の対戦相手の名前欄にレイン恵の名前はなく全く知らないオッサンの名前があった。デュエル内容も俺が【大寒波】と【ダーク・ダイブ・ボンバー】で後攻1ターンキルしたという内容に変更されていた。

 

恐らく、昨日の世界が歪む現象が過去改変時に起こるものなのだろう。それを俺が認識できたのは、俺が転生者だからなのか、オカルトパワーを身に付けたからなのか、あるいは別の要因なのかは分からない。もう分からないことだらけだった。

 

…さて、いつまでも過去のことをクヨクヨしていても仕方ないよな。気持ちを切り替えていこう。分かんねーことは考えても分かんねーんだよ!

 

 

今日で舞網市で開催されているデュエル大会『舞網チャンピオンシップ』は2日目を迎えており、ジュニア部門は昨日と今日で予選トーナメントが終わり、明日と明後日で決勝バトルロイヤルという日程だ、とリンが言っていた。

 

ちなみに昨日の予選は皆アッサリと勝ち上がったようだ。いくらデュエルが舞網市限定で流行しているアクションデュエルだからと言って、心身ともに優れる彼らが負ける相手が出てくるとは思えないのでそこまで意外でもないかな。

 

~~~

 

コナミたちを見送ってから数時間後、俺はいつものようにハノイスタイルでデュエル大会に参加していた。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の…腹出しノースリーブTシャツに、サスペンダー付きのショートパンツという露出度の高い服を着ている茶髪サイドポニーの少女と対峙していた。

 

「あのね君!デュエルモンスターズにもポリシーがあるやつだけがプロになれるの!あなたはデッキを組む時、何を考えてる?」

 

今度のロールプレイの人の元ネタは俺でも分かるぞ。完成度高いなおい。この世界って変に前世に近い部分があるから、販売会社は違うけどゲーム〇ーイとか、ポ〇モンのゲームあるんだよなぁ。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「私のポリシーはね…水属性のモンスターで攻めて攻めて…攻めまくることよ!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆サイドポニー LP:4000

 

「先攻は私よ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行よ!」

サイドポニー 手札:5→6枚。

 

「私は手札から速攻魔法【手札断殺】を発動するわ!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローするのよ!」

サイドポニー 手札:5→3→5枚。

ハノイ    手札:5→3→5枚。

 

「私は手札から永続魔法【水神の護符】発動するわ!このカードがフィールド上に存在する限り、自分フィールド上の水属性モンスターは相手のカ-ドの効果では破壊されないわよ!発動後3回目の相手のエンドフェイズ時にこのカードは墓地へ送られるわ!」

サイドポニー 手札:4枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【ウォーターワールド】を発動よ!フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする!」

サイドポニー 手札:3枚。

 

「私は手札から永続魔法【ウォーターハザード】を発動するわ!この効果は1ターンに1度しか使用できないけど、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できるわ!」

サイドポニー 手札:2枚。

 

「【ウォーターハザード】の効果で、私は手札から【アビス・ソルジャー】を特殊召喚するわ!この子は1ターンに1度、手札から水属性モンスター1体を墓地へ捨て、フィールド上のカード1枚を選択して発動できで、選択したカードを持ち主の手札に戻すことが出来るわ!」

サイドポニー 手札:1枚。

 

<サイドポニー>

アビス・ソルジャー ★4 ATK1800 → 2300

 

「そして私は手札からモンスターを裏側守備表示で伏せるわ!」

サイドポニー 手札:0枚。

 

<サイドポニー>

アビス・ソルジャー ★4 ATK1800

伏せモンスター

 

「私はこれでターンエンドよ!」

サイドポニー 手札:0枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆サイドポニー LP:4000、手札:0、伏せカード:0、永続魔法:2、フィールド魔法:1

 

<サイドポニー>

アビス・ソルジャー ★4 ATK2300

伏せモンスター

 

 

最初に墓地に送ったのは今は制限カードの【キラー・スネーク】か。少し攻撃寄りだけど、【アビスコントロール】なのかな?

 

攻めまくるデッキって言っていたとおり、フィールド魔法による攻撃力上昇、永続魔法による展開補助と破壊耐性付与だな。手札は次のターン以降は【キラー・スネーク】でコストを賄うんだろうけど、伏せカードが無いのはマズいんじゃないかな?

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【おろかな埋葬】発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。私は【アマゾネスの射手】を墓地に送る」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【おろかな副葬】を発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。私はデッキから【神剣-フェニックスブレード】を墓地に落とす」

ハノイ 手札:5枚。

 

「私は手札から【終末の騎士】を召喚。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。私はデッキから【混沌の黒魔術師】を墓地に送る」

ハノイ 手札:4枚。

 

<ハノイのフィールド>

終末の騎士 ★4 ATK1400

 

「私は手札から永続魔法【魔力倹約術】を発動。魔法カードを発動するために払うライフポイントが必要なくなる」

ハノイ 手札:3枚。永続魔法:1

 

「私は手札から【ソウル・チャージ】を発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。自分の墓地のモンスターを任意の数だけ対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚し、自分はこの効果で特殊召喚したモンスターの数×1000LPを失う。私は墓地の【アマゾネスの射手】と【混沌の黒魔術師】を特殊召喚し、ライフを1000×2、つまり2000LP失う」

ハノイ LP:4000 → 2000、手札:2枚。

 

【ソウル・チャージ】はライフポイントを失う効果だから、【魔力倹約術】ではコストの踏み倒しが出来ないんだよなぁ。

 

<ハノイのフィールド>

終末の騎士 ★4 ATK1400

アマゾネスの射手 ★4 ATK1400

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

「【混沌の黒魔術師】が召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。私は墓地の【増援】を手札に加える」 ※エラッタ前

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「先に【アマゾネスの射手】の効果を説明しておこう。このモンスターは自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。相手に1200ダメージを与える効果を持つ」

 

「そしてもう一つ、【神剣-フェニックスブレード】は、戦士族モンスターにのみ装備可能で、装備モンスターの攻撃力は300ポイントアップする効果と、自分のメインフェイズ時、自分の墓地に存在する戦士族モンスター2体をゲームから除外する事で、このカードを自分の墓地から手札に加える効果を持つ」

 

最後に手札の【次元融合】の効果は、2000LPを払い。お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する効果だ。 ※永続魔法【魔力倹約術】によりノーコスト。

 

 

さて、これで準備は整ったかな?

 

 

~無限ループ開始~

 

 

工程①

「私は【アマゾネスの射手】の効果発動!【混沌の黒魔術師】と【終末の騎士】を射出して相手に1200ダメージを与える」

 

「【混沌の黒魔術師】はフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される」

 

<ハノイのフィールド>

アマゾネスの射手 ★4 ATK1400

 

工程②

「私は手札の魔法カード【次元融合】発動!2000ライフポイントを払う。除外されている【混沌の黒魔術師】を特殊召喚する」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

「【次元融合】発動に必要な『2000LPを払う』コストは、永続魔法【魔力倹約術】により不要となっている」

 

<ハノイのフィールド>

アマゾネスの射手 ★4 ATK1400

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

「そして【混沌の黒魔術師】が特殊召喚されたことにより墓地から【次元融合】を手札に加える」 ※エラッタ前

ハノイ 手札:2→3枚。

 

工程③

「私は【アマゾネスの射手】の効果発動!【アマゾネスの射手】と【混沌の黒魔術師】を射出して相手に1200ダメージを与える」

 

「【混沌の黒魔術師】はフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される」

 

工程④

「私は墓地の【神剣-フェニックスブレード】の効果発動。【アマゾネスの射手】と【終末の騎士】を除外し、墓地の【神剣-フェニックスブレード】をサルベージする」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

工程⑤

「私は手札の魔法カード【次元融合】発動!2000ライフポイントを払う。除外されている【アマゾネスの射手】と【終末の騎士】と【混沌の黒魔術師】を特殊召喚する」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

「【次元融合】発動に必要な『2000LPを払う』コストは、永続魔法【魔力倹約術】により不要となっている」

 

<ハノイのフィールド>

終末の騎士 ★4 ATK1400

アマゾネスの射手 ★4 ATK1400

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

「そして【混沌の黒魔術師】が特殊召喚されたことにより墓地から【次元融合】を手札に加える」 ※エラッタ前

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私は【神剣-フェニックスブレード】を【アマゾネスの射手】に装備する」 ※装備されている【アマゾネスの射手】が射出される工程③にて再び墓地に送られる。

 

<ハノイのフィールド>

アマゾネスの射手 ★4 ATK1400 → 1700

終末の騎士 ★4 ATK1400

混沌の黒魔術師 ★8 ATK2800

 

 

~ここより工程①に戻る~

 

「【アマゾネスの射手】の効果発動!」×5

 

「きゃぁぁぁっ!」

サイドポニー LP:4000 → 2800 → 1600 → 400 → 0

 

 

 

「うーん…!私の負けね!」

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

大会が終わったので孤児院へ帰ってニュース番組を見ていると、どうやら皆は全員が本選に出場が確定したらしい。

 

「バニー!」

 

「なんだバニーラ。ニンジンならさっきやっただろ…ん?」

 

バニーラをよく見たらニンジンの代わりに結構前に買った開閉式の携帯電話(ガラケー)を咥えていた。先端部にあるLEDが点滅していることから、メールを受信しているようだ、どうやら持ってきてくれたらしい。

 

バニーラを誉めてから携帯を受け取って開いて画面を開くとやはりいつくかメールが来ていた。メールはコナミ、ユーゴ、リン、セレナ、シスターからのようだな。

 

「…ん?」

 

メールの確認と返信を終えて携帯電話を仕舞おうとしたところ、着信があった。相手は…赤馬レイか。

 

「もしもし」

 

『もしもしクロト君!?そっちは無事!?』

 

随分と慌てた様子だ。どうやらよからぬことが起こっているらしい。今日は疲れたから早く寝たかったんだけどなぁ…。

 

「えぇ、無事ですよ。何かあったんですか?」

 

『さっきリアルソリッドビジョン研究所がオベリスクフォースと思われる集団に襲撃を受けたわ!なんとか私とランサーズで対応できたのだけれど、父が怪我をしてしまってね…』

 

この約1年間、国内の勢力は息を潜めていたはずだけれど、とうとう動き出したのか。

 

「分かりました。明日の朝、そちらに向かわせていただきます。詳しいお話はその時に聞きましょう」

 

『そうね…ごめんなさいね、貴方のような子供に頼りっきりになってしまって』

 

ホントな。苦労してそうな美人に頼られるのは悪い気はしないけど、命が掛かっているとなると悩みどころだ。

 

「そういうのは全部終わってから聞きますよ。では、おやすみなさい。良い夢を」

 

『えぇ、良い夢を。ごきげんよう』

 

そうして着信を切る。明日は柳さんの手伝いや鈴木たちとの用事があったんだが、流石にこれは無視できないか…。そう思うとしぶしぶ彼らに断りの連絡を入れ始めた…。




今回のデッキは【アーチャーブレード】と呼ばれるものです。

ダメージ源を【アマゾネスの射手】が稼ぎ、そのリリース要員を【神剣-フェニックスブレード】で除外し、【次元融合】を発動事ストを踏み倒しながら帰還させ、エラッタ前の【混沌の黒魔術師】で【次元融合】回収して再利用するデッキです。

そしてようやく今まで息を潜めていたオベリスクフォースがその姿を見せ始めました。LDSやリアルソリットビジョン研究主のランサーズの調査では、主力部隊は既に国外逃亡しており、国内に残る勢力はごくわずかだと思われていましたが…徐々にきな臭い空気になってきました。

四季式様、CHRONOS様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十二話 エクゾディア5

とうとうオベリスクフォースとの戦いです。

前置きが長いのと、デュエル内容はアッサリとしたものになっています。


<クロト視点>

 

『舞網チャンピオンシップ』も今日で3日目、ジュニア部門は今日と明日で本選まで勝ち上がったデュエリスト達でバトルロイヤルを行うらしい。

 

なんでも、街のあちこちに投影されたリアルソリッドビジョンで火山や氷山、ジャングルや遺跡などを再現し、その広大なフィールドをデュエリスト達は移動し、一番多くの勝利数を得たものが優勝らしい。

 

どうやらフィールドのあちこちに試作型のペンデュラムカードが落ちているらしく、それを上手く入手してデッキに組み込むことで勝利に近付ける、だそうだ。

 

中学生はともかく、小学生にまで広大な町中を走りまわれとは、過酷な大会だな。出られなくてよかった。

 

 

さて、出かける準備も出来たし、そろそろ戸締りをして舞網市近くのリアルソリッドビジョン研究所に向かうとするか。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

リアルソリッドビジョン研究所に到着し、受付嬢に挨拶をして所長室に通されると、その部屋には赤馬親子3人が居た。

 

所長の机の椅子に座る赤馬零王は怪我を負った頭と腕に包帯を巻いている。その机の前にある2つのソファーにそれぞれ娘の赤馬レイと息子の赤馬零児がソファーの間にある机を挟んで対面して座っている。奥さんの赤馬日美香と末弟の赤馬零羅には会ったことがない。と言うか、会う機会も用事も理由もないんだけどさ。

 

「白河クロト…!」

 

赤マフラーこと弟の赤馬零児が忌々しそうに睨みつけてくる。そんな真剣な目で見られると照れるなぁ。この前、ペンデュラムカードを手に入れて天狗になっていたところを後攻1ターンキルしてやったのでめっちゃ嫌われているようだ。喧嘩を売ってきたのはそちらなのだから自業自得だと思うぞ。

 

「いらっしゃいクロト君」

 

姉の赤馬レイは友好的な態度で接してくる。美人に微笑みかけられるのは嬉しい限りだ。ただ、この笑顔でたまに凄い無茶ぶりをしてくるので要注意だ。昨日はオベリスクフォースの襲撃を受けた際に迎撃に参加していたらしいので気になっていたが、特に怪我などはなさそうだ。

 

「よく来てくれた」

 

父親の赤馬零王が声を掛けてくる。なに爽やかな笑みを浮かべているんだかこの元凶のハゲが。ロジェやオベリスクフォースが元LDSであるのを黙っていた件があるため、俺は赤馬零王を信用していない。詳しい話を知れば知るほどお前が元凶の一端を担ってるじゃないか。いい加減にしろよ?

 

「それで、話とは?昨日、オベリスクフォースに襲撃されたらしいですが、その話ですか?」

 

「えぇ。昨日の夜、この研究所が仮面を付けたマジシャン風の男が率いるオベリスクフォースの集団に襲われた。その時のリーダーは恐らく、元グールズのブラック・マジシャン使いのパンドラだと思われるわ」

 

「パンドラ?確か、グールズは数年前に解散し、首謀者や関係者たちは今も独房の中だと聞いていますが?」

 

赤馬レイが昨日の話の続きを始める。それにしても、今更なんでDM時代のパンドラが出てくるんだよ。グールズなんて、俺がこの世界に転生する前にほぼ全員が捕まったんじゃなかったのか?

 

「その通りだ。だが、パンドラは洗脳されていただけの被害者ということになっていてね。警察機構の管理する病院で治療と監視が行われていたそうだ」

 

「けれど、先日その病院がオベリスクフォースに襲撃されたらしくてね。その際にパンドラが拉致されたそうなのよ」

 

「つまり、以前はグールズに、今回はドクトルかロジェのどちらかに洗脳されている可能性が高いと。彼も悲惨ですね」

 

本当に同情するよ。わざわざ警察の管理する病院を襲撃してまで入手したい、それだけ有能な人物と思われているのだろうな。

 

「警察には既に話をしているのだが、彼らの実力ではオベリスクフォースを捕縛することが困難らしい」

 

「オベリスクフォースはデュエルの腕もそうだけど、高い身体能力を持ち、ゲリラ戦や情報戦にも精通している者が多いわ。海外ならともかく、この国の警察機構では手が余るわ」

 

そんなもんを育成していたLDSは一体どういう目的で彼らを育てていたんですかねぇ?…いや、育成方針を決めていたのはロジェか。あの変な鼻のオッサン、結構前から今のような状況を想定していたってことなのか?

 

「我々の見解だが、昨日の襲撃はただの牽制で、本命は別のところにあると思っている」

 

「…舞網チャンピオンシップでしょうね」

 

「えぇ、私たちも同意見よ。小学生が参加しているジュニア、中学生が参加しているジュニアユース、高校生から20歳までが参加しているユース。戦力と言う意味ではユースメンバーを狙ってくるのでしょうけど…」

 

「ドクトルは少女趣味らしいですからね。どの年齢層が狙われても不思議ではないですね」

 

面倒なことになったな。本来ならLDSや舞網市の警察機構の仕事なんだが、今回は友人が巻き込まれかねない。流石に放っておくことはできないな。…こいつら、襲撃があることを予想して俺を巻き込むために、俺の知り合いに参加状を送ったりしなんじゃないだろうな?いや、流石に邪推かな。

 

「父さん、姉さん。この男の助力など無くても、私とLDSがこの大会を無事に終えて見せます。協力者だってあの人が居るじゃないですか。なぜわざわざこんな男を…」

 

そんな話をしていると、今まで黙っていた赤馬零児がようやく口を開いた。協力者のあの人、ねぇ。

 

「つまらない意地を張るな、零児。今は一人でも多くの有力な人材が必要なのだ」

 

「そうよ零児。一度負けたからって拗ねないの」

 

「私は拗ねてなどいない!」

 

赤馬零児は感情的になりながら反論した。…どうもこの赤馬零児には違和感があるな。原作アニメだともっと冷静沈着な人間だったはずだ。

 

恐らくだが、原作では幼いころに父が行方不明になり、尊敬していた榊遊勝も半ば自分の所為で行方不明になり、ようやく見つけた父が異世界で侵略戦争を仕掛けようとしていたせいで、実年齢よりも遥かに高い実力が求められ、それ相応の力を身に着けていったのだろう。

 

この世界では、父が行方不明になっていないことと、原作登場時より彼が若いことが、彼を年相応の性格となっている要因なのだろう。こちらの性格の方が見ていて飽きないな。違和感もそのうち消えるだろう。

 

「それで?私に何をやらせたいのですか?」

 

「単刀直入に言おう。君にはジュニアメンバーを守ってもらいたい」

 

「貴方の友人たちだけでなく、舞網市に住んでいる子供たちや、他の地域から招待した子供たちもいるの」

 

「流石に町中全てを私一人で守ることなどできませんよ。私は私の友人を守ることを優先します。そのついでに、近くに居た子供たちが襲われそうであれば助けます。この条件であれば引き受けましょう」

 

見ず知らずの他人よりも友人を優先するのは当たり前だ。余裕があれば他もついでに助けてやる。こうでも言っておかないと好きに動けないからな。

 

「それでいい。助かる」

 

「ありがとうクロト君」

 

「…感謝する」

 

赤馬親子3人が感謝の言葉と共に頭を下げてくる。赤馬零児も状況は呑み込めているようだ。なら、さっきの態度は本当に拗ねていただけか。随分と面白い奴になったなぁ。

 

結局、ユースメンバーはある程度は自分自身に守らせ、ジュニアユースメンバーはLDSがメインで守り、ジュニアメンバーは俺とランサーズで守ることになった。

 

~~~

 

<瑠璃視点>

 

舞網チャンピオンシップのジュニア部門に招待された私とユート、ジュニアユース部門に招待された兄の隼の3人は、今日の試合が終わって会場の近くのレストランで夕食を済ませた後、物陰から現れた謎の仮面の男たちの襲撃を受けていた。

 

ユートと兄が私を庇って逃がしてくれたおかげで私は何とか逃げ切れて近くの公園までやってこられたけれど、他に友人も知り合いも居ないこの舞網市でこの後どうすればいいのか…。さっきまで全力で走っていた為、息が荒い。まずは呼吸を整えないと…。

 

「はぁっ、はぁっ…。ふぅっ。…ユート、兄さん。無事でいるかしら…」

 

「さぁ?どうだろうなぁ?」

 

「そもそも他人の心配をしている余裕があるのか?」

 

「お前たち。無駄口を叩いてないでさっさと仕事を終わらせるぞ」

 

その声を聴いて慌てて振り返ると、さっき襲ってきた仮面の男たちと同じ仮面を付けた男たちに、いつの間にか囲まれていた。

 

「そんな…」

 

「抵抗してもどうせ拉致られるんだから大人しくしとけよ」

 

「面倒だからカードにしてしまえばいいんじゃね?」

 

「馬鹿者。ドクターに少女はカード化せずにそのまま連れてくるように言われているだろう」

 

状況は最悪だ。1対3なんて、普通のデュエリストじゃ勝ち目がない。どうすれば…。

 

「そこまでにしてもらおうか?」

 

「えっ?」

 

「「「何者だ!」」」

 

突如、空から声が聞こえた。…空から?そう思っていると、白いローブを身に着けた少年が空から現れて私の前に着地した。その顔には、仮面の男たちとは別の灰色の仮面を付けていた。

 

「私はハノイの騎士。お前たちを屠る者だ。さぁ構えろ変質者たちよ。デュエルの時間だ」

 

「「「誰が変質者だ!我々の名は、オベリスクフォースだ!」」」

 

そういうと彼は私に背を向けて、オベリスクフォースと名乗る仮面の男たちと対峙する。まさか、1人で3人と戦おうっていうの!?

 

「大丈夫か?」

 

「えっ?え、ええ。私は大丈夫よ」

 

私は大丈夫なのだけれど、貴方は大丈夫なの?その、色々と。この子、間違いなく空から飛んできたわよね?

 

「1対3の変則デュエルだ。その代わり、私は先攻と初期手札を10枚貰う。LPは4000でいいぞ」

 

少年は明らかに相手を見下したように話す。どうしてそんなに自信があるのだろう。

 

「舐めた口を利くガキだな!」

 

「大人の力を見せてやろう」

 

「時間の無駄だ。さっさと始末してカードにしてしまうぞ」

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:4000、手札:5枚

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:5枚

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:5枚

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:10→11枚。

 

「私は手札から魔法カード【手札抹殺】を発動。手札があるプレイヤーは、手札を全て捨てて捨てた枚数分デッキからドローする」

ハノイ   手札:11→10→0→10枚。

オベフォA 手札:5→0→5枚。

オベフォB 手札:5→0→5枚。

オベフォC 手札:5→0→5枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

「私は手札から魔法カード【成金ゴブリン】発動。私はデッキからカードを1枚ドローし、相手は1000LP回復する」

ハノイ 手札:10→9→10枚。

オベフォA LP:4000 → 5000

 

【成金ゴブリン】

通常魔法

(1):自分はデッキから1枚ドローする。その後、相手は1000LP回復する。

 

「私は手札から2枚目の魔法カード【成金ゴブリン】発動。デッキから1枚ドロー、相手は1000LP回復」

ハノイ 手札:10→9→10枚。

オベフォA LP:5000 → 6000

 

「私は手札から3枚目の魔法カード【成金ゴブリン】発動。デッキから1枚ドロー、相手は1000LP回復」

ハノイ 手札:10→9→10枚。

オベフォA LP:6000 → 7000

 

アレは一体何をしているのかしら?あれだけの手札があって手札事故とは思えないし…。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で謙虚な壺】を発動。効果により私は【封印されし右腕】を手札に加える」

ハノイ 手札:10→9→10枚。

 

【強欲で謙虚な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。

 

<ハノイがめくったカード>

①封印されし右腕

②強欲で金満な壺

③ソウルテイカー

 

「「「【封印されし右腕】!?」」」

 

「こ、コイツ!」

 

「【エクゾディア】使いか!」

 

「初期手札10枚はそのための物か!おのれぇ!誰か、奴のドローを止めろ!」

 

エクゾディア!?彼はこの1対3という非常に不利な状況で特殊勝利を狙おうというの!?

 

「私は手札からフィールド魔法【チキンレース】を発動」

ハノイ 手札:10→9枚、フィールド魔法:0→1

 

【チキンレース】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、相手よりLPが少ないプレイヤーが受ける全てのダメージは0になる。

(2):お互いのプレイヤーは1ターンに1度、自分メインフェイズに1000LPを払って以下の効果から1つを選択して発動できる。この効果の発動に対して、お互いは魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

●デッキから1枚ドローする。

●このカードを破壊する。

●相手は1000LP回復する。

 

優秀な防御効果のフィールド魔法ね…。

 

「私はカードを5枚セットして、私は手札から【カードカー・D】を召喚」

ハノイ 手札:9→4→3枚。

 

【カードカー・D】

効果モンスター

星2/地属性/機械族/攻 800/守 400

このカードは特殊召喚できない。

このカードの効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功した自分メインフェイズ1にこのカードをリリースして発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、このターンのエンドフェイズになる。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

カードカー・D ★2 ATK800

 

「私【カードカー・D】の効果発動!このカードをリリースしてデッキより2ドロー。そしてエンドフェイズとなる。ターンエンドだ」

ハノイ 手札:3→5枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5、伏せカード:5枚、フィールド魔法:1

 

<ハノイの騎士のフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:7000、手札:5

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:5

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:5

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォA 手札:5→6枚。

 

「私は伏せカード【ギフトカード】を発動。相手は3000LP回復する」

ハノイ 伏せカード:5→4

オベフォA LP:7000 → 10000

 

【ギフトカード】

通常罠

相手は3000LP回復する。

 

「私は伏せカード、2枚目の【ギフトカード】を発動。相手は3000LP回復する」

ハノイ 伏せカード:4→3

オベフォA LP:10000 → 13000

 

「さっきから訳のわからんことを!舐めているのか!」

 

確かに先ほどから執拗にあの仮面の男のLPだけを回復させていっているけれど、一体何の目的があるのかしら…。

 

「私は伏せカードの通常罠【活路への希望】を発動。1000LPを払い、お互いのLPの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする」

ハノイ LP:4000→3000、伏せカード:3→2

オベフォA LP:13000

 

【活路への希望】

通常罠

(1):自分のLPが相手より1000以上少ない場合、1000LPを払って発動できる。お互いのLPの差2000につき1枚、自分はデッキからドローする。

 

「私とお前とのLP差は10000。よって私はカードを5枚ドロー」

ハノイ 手札:5→10枚

 

「私は伏せカード、2枚目の【活路への希望】を発動。私とお前とのLP差は11000。よって私はカードを5枚ドローする」

ハノイ LP:3000→2000、手札:10→15枚、伏せカード:2→1

オベフォA LP:13000

 

「私は伏せカード、3枚目の【活路への希望】を発動。私とお前とのLP差は12000。よって私はカードを6枚ドローする」

ハノイ LP:2000→1000、手札:15→21枚、伏せカード:1→0

オベフォA LP:13000

 

 

これは、自分と相手のLP差を利用した大量高速ドロー戦術!?なんてドロー…。後攻1ターン目にして既にデッキのほどんどを引き切っているわ…。

 

 

「そして、この瞬間!【封印されしエクゾディア】5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った!」

 

「「「し、しまった」」」

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する」

 

「こんなのありかよ!」

 

「ふざけんな!ふざけんなぁ!」

 

「くそっ!終わった…」

 

「現れよ【封印されしエクゾディア】!」

 

「「「あ、あぁ…!」」」

 

彼の前に5つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる…!

 

「さぁ放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

 

「「「うわぁぁぁぁ!」」」

 

リアルソリッドビジョンのエクゾディアが放った膨大な熱量は公園全てを包み込み、仮面の男は吹き飛ばされ、彼の特殊勝利が確定した。

 

エクゾディア…まさか、この目でその召喚を見ることが出来る日が来るなんて…。

 

 

「終わったな」

 

そして、彼は何事もなかったかのようにデュエルディスクをしまい、どこかへ連絡を取り始めた…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

俺はハノイスタイルで町の巡回中に、小さな公園で黒髪の少女を仮面の男たちが追い回すという事案に遭遇してしまったため、プチリュウに頼んで空から介入を開始した。そして横目で後ろの少女をよく見ると…。

 

瑠璃!なぜ瑠璃がここに……逃げたのか?自力で脱出を?瑠璃!…なんてな。

 

「…こちらハノイの騎士、ランサーズへ連絡。E地区の公園にてオベリスクフォースに襲われていた少女を保護、オベリスクフォースは撃破した。回収を頼む」

 

『了解しました。直ちに現場へ向かいます』

 

「頼んだ」

 

もう一度横目で彼女の姿を盗み見るが、どう見てもアークファイブの登場人物である黒咲瑠璃だよなこの子。とりあえず助けておいたが、黒咲やユートも近くにいるのだろうか?

 

「もう少ししたら救護部隊が来る」

 

「あ、はい」

 

黒咲瑠璃と思われる黒髪の少女は何処か呆けたような返事を返してきた。一体どうしたというんだろう。

 

「では、私は行く」

 

「あ、ありがとうございました」

 

お礼を言ってくる黒咲瑠璃。しかし、こんな夜道に一人で出歩くなんて…。

 

「1つ忠告しておこう。この町に限らず、君の様に容姿に恵まれた少女は1人で出歩かない方がいい。家族や友人と行動していないと、また今回のような男どもに言い寄られることになるぞ」

 

そう言い残してさっさとその場を離れた。全く、美少女のくせに危機感が足りないんじゃないか?




赤馬親子に対してチクチク嫌味を言うオリ主。ただ、長男の性格の変化は割と面白いなと思っている様子。おちょくりがいがあるとしか思っていませんが。

黒咲瑠璃がチラッと登場です。ただ、今回は活躍とかは特にしないですね。と言うか、今後の展開的に登場しても大体酷い目に遭っていそうです。

今回使用したデッキは【活路エクゾ】と呼ばれるエクゾディアデッキの1種です。【成金ゴブリン】や【ギフトカード】で相手のLPを上昇させ、【チキンレース】などで手札を減らさずに自身のLPを削り、最後に【活路への希望】を発動させ、相手とのLP差を利用した大量ドローを行ってエクゾディアを揃えるデッキです。


次回の更新は12/30(水) AM6:00予定です。

戦車様、ノリ様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十三話 奇術師

DM時代の登場人物、中ボスのパンドラ戦です。

デュエルは短いです。


<クロト視点>

 

『舞網チャンピオンシップ』も今日で最終日の4日目、ジュニア部門は昨日から本選まで勝ち上がったデュエリスト達でバトルロイヤルを行っている。俺は昨日から宿泊している舞網市にあるビジネスホテルの食堂で、朝食を食べながら備え付けのテレビに映る舞網チャンピオンシップのニュースを見ていた。と言うか、舞網チャンピオンシップのニュースしかしていない。

 

…ふむふむ。コナミ、ユーゴ、リン、セレナも順調に勝ち星を挙げているみたいだ。参加選手リストをよく見ると、デニス、ユート、瑠璃の名前があった。なるほど、だからこの町に居たんだな。と言うかデニスも居たのか。ならばユーリも会場には来ていそうだな。

 

この町からの参加者は、LDSメンバー以外だと知っている名前は榊遊矢、柊柚子、権現坂、紫雲院素良、日影、月影、茂古田未知夫、大漁旗鉄平、三沢大地くらいか。

 

…ん?三沢大地?マジか。あの男、アクションデュエルとかやれるのか?と言うかこの町の出身になっているのか…?あの原作アニメでの全裸ダッシュはエンターテインメントだった?

 

紫雲院素良はこの町の出身で、今は遊勝塾の所属になっているみたいだな。この平和な世界を満喫しているようで何よりだ。あの顔芸を披露するような展開にはなって欲しくないな。方中 ミエル、九庵堂 栄太、暗黒寺、勝鬨は見当たらないな…。あっ、一昨日の予選で敗退してるな。

 

朝食を食べ終わり、宿泊しているホテルの部屋に戻って来た。またもや勝手に出てきたバニーラを弄りながら、前日より町中にて情報収集をしてもらっていたワイトたちから調査結果を聞いている。

 

「そういうことか。先日のパンドラの襲撃にはそういう理由があったんだな。そっちの件は赤馬レイとランサーズに連絡して任せておくのがいいかな。本命は…俺が行くしかないかぁ」

 

「バニー!」

 

「「「ワイトもそう思います!」」」

 

目の前でウサギと骨の集団が騒いでいる。楽しそうでなりよりだ。ただ、俺みたいに精霊が見える人間にしか聞こえない声とはいえ、朝っぱらから騒ぎ過ぎだ。

 

それにしても、嫌な事件になりつつあるなぁ…。この調子だと既に被害は出ていそうだな…。一応、赤馬レイには他言無用と言うことで今の状況を伝えておくか。ハゲは信用ならないし、赤マフラーは俺に敵愾心があるから連携とか無理だろうしな…。

 

俺は携帯端末で赤馬レイに今の状況をまとめたメッセージを送り、ワイト達に町の調査の再開を頼みつつ、出かける準備を整えて舞網チャンピオンシップの会場へと向かった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

舞網チャンピオンシップの会場に到着すると、会場中は当たり前だが人だらけだった。空席など存在せず、通路にも人が居る始末だ。バニーラは小型化して俺の肩に乗りながら会場を興味深そうに眺めている。お前、そんなことも出来たのか…。

 

会場を見回すとここから向かい側の観客席に榊遊勝と榊洋子の榊夫婦が座っているのが見える。その横にいるのは柊塾長か。いや、この世界だと榊遊勝が普通に居るから講師の1人だろうか。よく見ればピンク髪の幼女と青髪のショタ、金髪の痺れデ…ポッチャリ君も隣に座っている。もう入塾したんだな。

 

会場に備え付けられている超巨大モニターの画面は4分割され、それぞれのエリアで戦うデュエリストたちの雄姿が映し出されていた。

 

 

おっ、火山エリアで榊遊矢がペンデュラム召喚をやる準備を整えてレディース(略)をやり始めたな。相手は…セレナか。セレナの場には伏せカードが2枚か…うん、多分無理だぞトマト君。

 

…あーあ、EXデッキからペンデュラム召喚した【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】と手札からペンデュラム召喚した【EMヘイタイガー】と【EMシルバー・クロウ】が【奈落の落とし穴】でまとめて破壊&除外されてしまったな。トマト君の表情が一気に曇ったな。

 

…あーあ、返しのターンで逆にセレナにペンデュラム召喚されてトマト君は敗北しちゃったな。めっちゃ凹んでるな。口の動きを読んだところ、「オレだけのペンデュラム召喚が…」とか言ってそうだな。

 

ここでコナミが来たか。コナミとセレナはもう何度もデュエルしているが、コナミは毎回デッキを変えてくるからな。今回はどうなることやら。

 

 

今度は氷山エリアで柊柚子&権現坂ペアと別のタッグ(ハリルとオルガだっけ?)がデュエルしてるな。柊柚子は融合を、権現坂はシンクロを使いこなしているようだし、これはほぼ原作アニメ再現の結果に終わりそうだな。そのデュエルをユーゴとリンが近くで見ている以外は原作通りだな。

 

このデュエルの勝者タッグが恐らく【SR】と【WW】のタッグに襲われることになるのか…。南無…。

 

 

遺跡エリアでは、ユート&瑠璃ペアと鎧を着た男2人のペアがデュエルしてるな。…鎧、弱いな。お、残ってる鎧2人と乱入してきて2対4になったぞ。…それでも負けるのか。

 

ただ、遺跡の柱の上から日影と月影がその様子を窺っているところを見るに、この後はまた混戦になるんだろうな。

 

 

密林エリアでは茂古田未知夫と大漁旗鉄平が原作通りタッグを組んでいるみたいだな。勝負を仕掛けた相手は、紫雲院素良か。彼に原作通りの実量があるなら、1対2でも勝敗は分からないだろうな。

 

その近くでペンデュラム召喚を駆使するデニスと、ウォータードラゴンを繰り出している三沢がデュエルしているから、もしかしたら一波乱あるかも?

 

 

原作みたいにモニターが故障して映像が見られなくなる(原作ではLDSが意図的にやっていた)ようなことにはならず、会場は大盛り上がりのようだ。向かい側の観客席に榊遊勝は息子だけでなく色々なデュエリストの姿を真剣に確認している。…何を考えているんだか。出来ればそのまま観客をやっていて欲しいが…。

 

…おや、着信か。相手は…俺はどうやら用事が出来たみたいだからこれ以上は見られないのが残念だ。

 

 

~~~

 

陽が落ち始めた夕暮れ時、舞網市のとある倉庫にその集団は居た。

 

「パンドラ様、全員出動準備完了しています」

 

「よろしい。では、総員出動!舞網チャンピオンシップとやらを悲劇のショーに塗り替えて差し上げましょうか!」

 

「「「イエッサー!」」」

 

仮面を付けた黒スーツの男を筆頭に、別の仮面を付けた青スーツの集団が倉庫からワラワラと出てくる。そこへ…。

 

「目標を目視で確認した。ランサーズ、突撃!奴らを普通に拘束しろ!」

 

「「「おぉぉぉぉぉぉ!」」」

 

ハノイの騎士の号令により、物陰に潜んでいたランサーズがオベリスクフォースたちに突撃し、次々に彼らを物理で普通に拘束し始めた。

 

「おやおや、待ち伏せですか。少年、貴方が彼らのリーダーかな?」

 

「今はそのようなところだ」

 

派手な赤紫のスーツを纏い、顔には黒と水色の縞模様があしらわれた変な大きい仮面にシルクハットという、いかにもなマジシャン風の装いの男が、手がプルプルしているので怒っているのは明白だが、余裕ありげにこちらへと視線を移してきた。

 

そして、彼の傍らには赤紫の衣装と褐色肌に白銀の髪を持つ最上級魔術師の精霊が、己の主を見て心苦しそうにしている。

 

「お初にお目にかかります。私、奇術師のパンドラ。不肖ながらオベリスクフォースの部隊長を務めております」

 

「私はハノイの騎士だ。短い間だがよろしく頼む」

 

一応、挨拶をされたのでちゃんと返しておく。挨拶は大事だからな。

 

 

奇術師パンドラ。自身を「マスター・オブ・マジシャン」と称する、DM時代に存在したレアカード強奪集団「グールズ」に所属するレアハンター。別名「ブラック・マジシャン使いの奇術師」。

 

DM時代に千年アイテムの一つを持つレアカード強奪集団「グールズ」首領マリク・イシュタールに洗脳され、レアハンターにされてしまった元奇術師の男である。溺愛していた母の死、奇術の失敗による恋人の死により過去に二度強い自殺願望に駆られた時期があるそうだ。あっ、アニメ版の続きなら、恋人は別れただけで生きているんだっけ?

 

使用デッキはその別名通り【ブラック・マジシャン】。【ブラック・マジシャン】単体の運用だけであればデュエルキング武藤遊戯を凌駕する腕前である。バトルシティではバーンカードや破壊カードは禁止されていたようだが、グールズにとっては知ったことではなかったようで、モンスター除去系の魔法罠を搭載しており、デッキ自体の完成度も当時にしては高めだ。当時にしては、ね。

 

黒魔術師の弟子の存在を知らなかった理由は…洗脳の所為で新たなカードの情報を仕入れる行為を怠ったためではないかと俺は推測している。後付け設定の犠牲者ではきっとないはずだ。

 

境遇的には同情の余地があるオッサンだが、その辺りはぶっ飛ばしてから考えよう。

 

 

「あぁ、貴方が昨日我々の邪魔をしたという子供ですか。では貴方を始末すればこの者たちも烏合の衆となるのでしょう」

 

「どうだろうな」

 

「ご謙遜を。では、デュエルと参りましょうか」

 

「望むところだ」

 

なんというか、まるで自然な流れっぽくデュエルが始まってしまう。流石はifとはいえ遊戯王ワールド。

 

 

「あなたは私のショーを楽しんでいただけるたった一人の観客…」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆奇術師パンドラ LP:4000

 

 

今のデュエルディスクはオートシャッフル機能があるため、本場のマジシャンのショット・ガン・シャッフル(OCG次元だとマシンガンシャッフルと言う)が見られないのは少し残念だ。

 

「先攻は私が頂きますよ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

パンドラ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【怨念のキラードール】を召喚。このカードが永続魔法の効果によってフィールド上から墓地に送られた場合、自分のターンのスタンバイフェイズ時に墓地から特殊召喚できます」

パンドラ 手札:5枚。

 

<パンドラのフィールド>

怨念のキラードール ★4 ATK1600

 

「私は手札から永続魔法【エクトプラズマー】を発動!お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のエンドフェイズ時に1度だけ、自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選び、そのモンスターをリリースし、リリースしたそのモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える!」

パンドラ 手札:4枚。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

パンドラ 手札:2枚、伏せカード:2

 

「エンドフェイズに永続魔法【エクトプラズマー】の効果により【怨念のキラードール】を生贄に捧げる!その攻撃力の半分、800LPダメージを受けなさい!」

 

「くっ!」

ハノイ LP:4000 → 3200

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3200

 

VS

 

◆奇術師パンドラ LP:4000、手札:2、伏せカード:2、永続魔法:1

 

 

DM時代と変わらない戦術。この程度ならオベリスクフォース1人の方が強いぞ。コイツをわざわざ洗脳して戦力にしないといけないほどにオベリスクフォースは弱っていると思えばいいのだろうか?

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【六武の門】発動。「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに武士道カウンターを2つ置く。自分フィールドの武士道カウンターを以下の数だけ取り除き、その効果を発動できる。●2つ:フィールドの「六武衆」効果モンスターまたは「紫炎」効果モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップする。●4つ:自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。●6つ:自分の墓地の「紫炎」効果モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する」

ハノイ 手札:5枚。

 

「私は手札から永続魔法【六武衆の結束】発動。「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに武士道カウンターを1つ置く(最大2つまで)。武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする」

ハノイ 手札:4枚。

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。私は手札から【フォトン・スラッシャー】を特殊召喚。自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない」

ハノイ 手札:3枚。

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

 

「私は手札から【真六武衆-カゲキ】召喚。このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下の「六武衆」モンスター1体を特殊召喚する。自分フィールドに「真六武衆-カゲキ」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードの攻撃力は1500アップする」

ハノイ 手札:2枚。門の武士道カウンター:0→2、結束の武士道カウンター:0→1

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

真六武衆-カゲキ ★3 ATK200

 

「【真六武衆-カゲキ】の効果により【六武衆の影武者】を特殊召喚する」

ハノイ 手札:1枚。門の武士道カウンター:2→4、結束の武士道カウンター:1→2

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

真六武衆-カゲキ ★3 ATK200 → 1700

六武衆の影武者 ★2 DEF1800 ※チューナー

 

「私は永続魔法【六武衆の結束】の効果発動。このカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする。私は武士道カウンターの数、つまり2枚ドローする」

ハノイ 手札:1→3枚。

 

「私はレベル3【真六武衆-カゲキ】にレベル2【六武衆の影武者】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル5!【真六武衆-シエン】!」

ハノイ 門の武士道カウンター:4→6

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

 

「シンクロ召喚!?バカな…!マジシャンのこの私ですら知らない召喚方法があるというのか!?」

 

アンタの情報って数年前の物だからなぁ。知らないのも無理ないかもしれないけどさ…。

 

「私は永続魔法【六武の門】発動。自分フィールドの武士道カウンターを4つ取り除き、自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。私はデッキから【六武衆の師範】を手札に加える」

ハノイ 手札:3→4枚、門の武士道カウンター:6→2

 

「自分フィールドに「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【六武衆の師範】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:3枚、門の武士道カウンター:2→4

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

 

「私は永続魔法【六武の門】発動。自分フィールドの武士道カウンターを4つ取り除き、自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。私はデッキから【真六武衆-キザン】を手札に加える」

ハノイ 手札:3→4枚、門の武士道カウンター:4→0

 

「自分フィールドに「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【真六武衆-キザン】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:3枚、門の武士道カウンター:0→2

 

<ハノイのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

真六武衆-キザン ★4 ATK1800

 

「私はフィールドのレベル4【フォトン・スラッシャー】と【真六武衆-キザン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【H-C エクスカリバー】!」

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000

 

モンケッソクカゲキカゲムシャシエンシハンキザンキザンエクスカリバー!マガタマケイコクセンコクセット までは出来なかったな。

 

「エクシーズ召喚!?し…知らね~~!」

 

オベリスクフォースは融合しか使わないからな。新たに登場した召喚方法を覚える暇もなく洗脳されて実践投入されたと思うと同情してしまうな。

 

「自分フィールドに「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【真六武衆-キザン】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:2枚、門の武士道カウンター:2→4

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000

真六武衆-キザン ★4 ATK1800

 

「私は永続魔法【六武の門】発動。自分フィールドの武士道カウンターを4つ取り除き、自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。私はデッキから【真六武衆-キザン】を手札に加える」

ハノイ 手札:2→3枚、門の武士道カウンター:4→0

 

「自分フィールドに「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【真六武衆-キザン】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:2枚、門の武士道カウンター:0→2

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000

真六武衆-キザン ★4 ATK1800

真六武衆-キザン ★4 ATK1800

 

「私はフィールドのレベル4【真六武衆-キザン】と【真六武衆-キザン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【六武衆の影-紫炎】!」

ハノイ 手札:2枚、門の武士道カウンター:2→4

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK2500

 

「私は永続魔法【六武の門】発動。自分フィールドの武士道カウンターを4つ取り除き、自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。私はデッキから【六武衆の露払い】を手札に加える」

ハノイ 手札:2→3枚、門の武士道カウンター:4→0

 

「自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【大将軍 紫炎】を特殊召喚!このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠カードを発動できない。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できる」

ハノイ 手札:2枚

 

「私は手札から永続魔法【一族の結束】を発動。自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。私の墓地のモンスターは全て戦士族だ」

ハノイ 手札:1枚

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK2500 → 3300

六武衆の師範 ★5 ATK2100 → 2900

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000 → 2800

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK2500 → 3300

大将軍 紫炎 ★7 ATK2500 → 3300

 

「【H-C エクスカリバー】のORUを2つ取り除いて効果発動。このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる」

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK3300

六武衆の師範 ★5 ATK2900

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2800 → 4000

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK3300

大将軍 紫炎 ★7 ATK3300

 

「…に、2倍っ!?」

 

「バトルフェイズに移行。【H-C エクスカリバー】でダイレクトアタック」

 

「…なーんちゃって!ふふふ、奇術師の罠にかかりましたね!リバースカードオープン!【マジシャンズ・ナビゲート】!手札から【ブラック・マジシャン】1体を特殊召喚します!その後、デッキからレベル7以下の魔法使い族・闇属性モンスター1体を特殊召喚する!私は更にデッキから2枚目の【ブラック・マジシャン】を特殊召喚しますよ!」

パンドラ 手札:2→1、伏せカード:2→1

 

…【真六武衆-シエン】の効果で無効化するか?…いや、もう一つの伏せカードがミラフォのような攻撃反応型だった場合、こちらのモンスターが全滅する可能性がある。【マジシャンズ・ナビゲート】のカード効果を通せば【大将軍 紫炎】の効果により、奴はこのターンこれ以上の魔法罠を発動できない。…ここは通すか。

 

<ハノイのフィールド>

真六武衆-シエン ★5 ATK3300

六武衆の師範 ★5 ATK2900

H-C エクスカリバー ☆4 ATK4000

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK3300

大将軍 紫炎 ★7 ATK3300

 

<パンドラのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

 

「やれやれ、危ないところでした…そして、自分が相手ターンに魔法・罠カードの効果を発動した場合に発動でき、このカードを手札から特殊召喚します!現れよ!【マジシャン・オブ・ブラック・イリュージョン】!」

パンドラ 手札:1→0

 

<パンドラのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

マジシャン・オブ・ブラック・イリュージョン ★7 DEF2500

 

「攻撃対象が増えたことで戦闘の巻き戻しが起こる。【H-C エクスカリバー】で【マジシャン・オブ・ブラック・イリュージョン】を攻撃」

 

H-C エクスカリバー ☆4 ATK4000

vs

マジシャン・オブ・ブラック・イリュージョン ★7 DEF2500

 

「くっ!せっかく呼び寄せた【マジシャン・オブ・ブラック・イリュージョン】が戦闘破壊されてしまった…」

 

<パンドラのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

 

「【六武衆の師範】で【ブラック・マジシャン】を攻撃」

 

六武衆の師範 ★5 ATK2900

vs

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

 

「ぐぬぬっ!【ブラック・マジシャン】まで戦闘破壊されてしまった…」

 

「【真六武衆-シエン】で【ブラック・マジシャン】を攻撃」

 

真六武衆-シエン ★5 ATK3300

vs

ブラック・マジシャン ★7 DEF2100

 

「【ブラック・マジシャン】たちが、全滅…」

 

「【大将軍 紫炎】でダイレクトアタック」

 

大将軍 紫炎 ★7 ATK3300

 

「ふはははっ!馬鹿め!リバースカードオープン!…何故!?何故この伏せカードが発動しない!?」

 

「馬鹿め。【大将軍 紫炎】がフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠カードを発動できない」

 

「へ?」

 

「お前に次のターンなど回ってこない。やれ、紫炎」

 

お前はさっき【マジシャンズ・ナビゲート】を発動しただろう?

 

「しまっ…ぎゃぁぁぁぁっ!」

パンドラ LP:4000 → 700

 

「【六武衆の影-紫炎】でダイレクトアタック」

 

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK3300

 

「うぎゃぁぁぁぁっ!」

パンドラ LP:700 → 0

 

 

 

「これで終わりだな」

 

俺の勝ち!なんで負けたか明日まで考えといてください!…なんてな。

 

答えは簡単だ。【六武衆】の効果を知らなかったからだ。昔は凄腕と呼ばれていても、数年間のブランクがあるデュエリストが、現役のデュエリストに勝てるなんて、相当努力と知識の習得をしないと無理だぞ?

 

~~~

 

デュエルが終わると周囲のオベリスクフォースもランサーズによって捕縛されていた。そして…。

 

『名も知らぬデュエリストよ。我が主を忌まわしき洗脳から一時的に解放してくれたこと、礼を言わせてくれ』

 

奇術師パンドラの精霊のカード、絵違いのブラック・マジシャンが話しかけてきた。カードを切り刻まれてもエクトプラズマーの生贄にされても主人を見捨てないなんて主人想いの精霊だな。遊戯戦で裏切ったように見えたのは、ただのモンスター効果だしなぁ。

 

「気にするな。アンタと同じ顔の精霊には世話になっているしな。そもそも洗脳を解けたわけではないんだから…。ところで、アンタの主を洗脳した人物についてだが…」

 

『あぁ、それは…』

 

やはりそうか。おかしいと思っていたんだよな。今の奇術師パンドラがオベリスクフォースを率いるに値する人物にはとても見えないからな。今回の黒幕はやはりアイツか…。気が重いなぁ。

 

「ハノイ顧問、別動隊から連絡がありました。監視していたターゲットが行動を起こしたようです」

 

「そうか、分かった。C班、D班、E班、ここは任せるぞ!私は別動隊と合流する!」

 

「「「イエッサー!」」」

 

それはもうやらなくていいから…。俺は内心苦笑いしながら、今回の騒動の黒幕の元へ急行した…。




舞網チャンピオンシップも最終日。何故か三沢が居ますが今回は特に関わりません。

奇術師パンドラの【ブラック・マジシャン】デッキは数年前からほぼ変化がありません。それを何となく予想していたにも関わらず【六武衆】を使用するオリ主は鬼ですね。

次回で舞網チャンピオンシップ(の裏方)編の黒幕との戦いとなり、この章の大筋は完結となります。

次回の更新は、12/31(木) AM6:00以降です。

戦車様、必殺雷撃人様、四季式様、メイン弓様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十四話 エンタメ親父

本章の黒幕とのデュエルです。

初めてのボス戦と言うことで、デュエルは少し長めです。


<零児視点>

 

舞網チャンピオンシップも今日で最終日の4日目の夜、舞網チャンピオンシップの会場ではジュニア部門のデュエリスト達の戦歴が読み上げられている。

 

その会場から約50mの位置にあるLDSが所有する、周囲のビルよりも一際高いビルの屋上へと、赤馬零児はやってきていた。

 

この場所に配置していたLDSの警備メンバーとの連絡が途絶え、更にその状況確認に向かったメンバーとも連絡が途絶えた為、1部隊を率いて調査に来たのだ。他のメンバーは階下の調査をさせている

 

「おかしい…。もし仮にここでオベリスクフォースとの戦闘が発生した後に敗北して連れ去られたとして、一切争ったような形跡がない…」

 

そう。本来この場所は人目にあまりつかないが、今は舞網チャンピオンシップが開催されている真っ最中である。いくら高層ビルとはいえ、屋上でデュエルが行われれば会場から見える位置にある。それに会場にあるLDS本部のメンバーが見落とすとは思えない。

 

「これは…一体…」

 

思考を巡らせていると、背後から扉の開く音がして、何者かが屋上へとやってきたようだ。

 

「誰だ!…あぁ、貴方でしたか」

 

「お疲れさまだね、零児君。調査の方が順調かい?」

 

そこには父の親友であり、自身が最も尊敬し、信頼するデュエリストがいた。今回の件にも色々と協力してもらっている。彼は周囲を見回しながら、ゆっくりとこちらへ歩を進めてくる。

 

「いえ、今のところは全く痕跡すら見つけられていませんね」

 

「そうか。ところで、ここに上がってくる前に10人ほどLDSのメンバーと会ったけれど、君とそのメンバー以外にもここには来ているのかい?」

 

「ん?いえ、私とその10人のメンバーだけですが…」

 

何故そんなことを聞くのだろうか…?そもそも、彼はどうしてここにいるのだろう?確か、彼には万が一のために会場の護衛を依頼していたはずなのだが…。

 

「そうか。それは好都合だな」

 

「えっ、それはどういう…うぐっ!?」

 

彼と私の距離がほぼゼロ距離となった時、腹部に鋭い痛みと体全体に痺れるような感覚が襲う!…そして、そのまま私はコンクリートの地面に膝をつき、そのままうつ伏せに倒れこむ。

 

「な、なにが…」

 

「おや、まだ喋れるのかい?見た目に寄らず頑丈だね?」

 

彼が何か言っているが、ほとんど声が聞こえない。意識も朦朧としてきた…。

 

「君には感謝しているよ。君のおかげで有用なデュエリストを多く確保できた。君もそのうちの1人となるがね」

 

「…そこで何をしている?榊遊勝よ」

 

そんな時、あのいけ好かない白ローブに灰色の仮面を付けた少年が空から舞い降りたのだった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

ランサーズの別動隊の連絡を受け、ビル伝いに現場に急行した俺は、上空から赤馬零児が榊遊勝によって気絶させられるのを目撃した。お前、スタンガンとか、お前もリアリストかよ…。

 

「…そこで何をしている?榊遊勝よ」

 

そう言い放ってビルの屋上の出入り口の扉前に降り立つ。榊遊勝は俺の言葉に反応し、不敵な笑みを浮かべながらゆっくりとこちらを振り返る。

 

『リューン♪』

 

『お疲れプチリュウ』

 

最近、プチリュウを酷使しすぎている気がするが、気のせいだ。本人も楽しそうだしな。

 

「おや?空からの登場とは粋な演出だね。お初にお目にかかる。エンタメデュエリストの榊遊勝と言う者だ」

 

「私はハノイの騎士と名乗っている者だ。それで?貴様はここで何をしている?確かスタジアムで家族や知人と一緒に試合を観戦していたはずでは?」

 

「このビルの方が試合をよく見れると思ってね。ほら、君もこちらに来てみるといい。ここからならスタジアムが良く見える」

 

「黙れ。面倒だから白々しい嘘をつくな。それとも、貴様のこれまでの行動を私の口から説明しなければ白状しないのか?」

 

正直、このオッサンもアクションデュエルもエンタメデュエルも好きではないのだ。早く用事を済ませて帰りたい。

 

「これまでの…行動…だと?」

 

赤馬零児が息も絶え絶えと言った状態でこちらに問いかけてくる。コイツ、まだ意識があったのか。

 

「奇術師パンドラを病院から連れ出したのも、彼を洗脳して尖兵として囮に使ったのも貴様の差し金だろう?」

 

「…なっ!?」

 

「…ほう?」

 

赤馬零児が驚愕の表情に、榊遊勝が興味深そうな表情に変わる。…推理小説じゃないんだから、あとは自白してくれよ面倒だなぁ。

 

「パンドラが病院から連れ出される前日、それにパンドラ率いるオベリスクフォースがリアルソリッドビジョン研究所を襲撃する前日に、貴様とオベリスクフォースが接触している姿が市街の監視カメラに映っていて、記録に残っていた」

 

「…馬鹿な!そんな情報は私の元には上がって来ていない!」

 

「LDSの監視員の数名も洗脳されていたからな。私も別口の情報源から情報を得ていなければ気付かなかっただろう」

 

「…」

 

赤馬親子の話を聞いてこの町に付いた時点で、ワイトの集団を町に放って情報収集してもらっていたのが功を為した。おかげで今の俺のバーはほぼカラカラだ。

 

洗脳されていたLDSの監視員が監視カメラの映像を消しておかなかったのは、恐らく洗脳にかけた時間が短いと簡単な命令しか出せず、映像を消すまでの指令を与えられなかったのだろう。

 

「今日の昼頃、スタジアムに居る貴様は一見すると普通に息子の試合を観戦しているように見えたが、周囲の様子を探るような視線の動きと、他の選手の試合を見る目が尋常じゃなく真剣だったたからな。少し周囲から浮いていたぞ」

 

「良く見える目を持っているね」

 

魔力で視力を底上げしただけだ。コナミじゃないんだからさ。

 

「その後は、念のためと言いつつもランサーズの別動隊にお前を監視させ、パンドラが騒動を起こそうとするタイミングで貴様がスタジアムから移動を開始したと言う報告を受けて確信したよ。パンドラは囮で貴様が本命だとな」

 

「ふふっ…」

 

赤馬零児が驚愕から絶望の表情に変わっていく。彼は今まさに、今明かされる衝撃の事実~!を食らっている状況なんだろうな。可哀そうに。対してオッサンは微笑んでいるだけ。

 

「そして、ようやく現場に到着してみれば、貴様の雇い主であろう赤馬零児を貴様がスタンガンで昏倒させている現場に出くわしたわけだ」

 

「…ふふふ。あははははは!いやいや、お見事だなハノイの騎士。あっぱれだよ」

 

「っ!榊さん!今の話は本当のことなんですか!」

 

「零児君、君から聞いたLDSの内部情報や警備体制の情報は非常に利用価値があった、君は実に私の思惑通りに踊ってくれたよ」

 

「そんな…」

 

話が進まないな…。なるほど、こういう時にアレをすればいいんだな?

 

「ならば、あとはデュエルで決着を付けるとしようか」

 

「あぁ、そうしようか」

 

俺と榊遊勝は対峙してデュエルディスクを構える。赤馬零児は少し回復してきたのか、少し離れた位置に移動して壁を背にして座って見ている。

 

…毎回思うけど、舞網市に普及しているあのデュエルディスクは格好いいよな…。俺のはソフトこそ最新版だけど、ハードはシャッフル機能こそあるけど初期の方の型だからな…。そういやセレナやユーリのもあの新型に近いよな。カードを置く場所が剣の形になってるけど。

 

 

榊遊勝。アニメ版アークファイブ及び漫画版アークファイブでの主人公である榊遊矢の父親で、リアルソリッドビジョンシステムを応用したアクションデュエルを利用したエンタメデュエルの祖であるエンタメデュエリストである。

 

アニメ版だと物語開始数年前にストロング石島とのデュエルの試合の直前に、次元戦争を仕掛けようとする友人の赤馬零王を説得するためにスタンダード次元から融合次元へ移動しようとするが、装置トラブルによりエクシーズ次元に移動することになり、そこで数年間教師をしていた。後に融合次元の侵略者のトップのエド・フェニックスとデュエルし、その際に次元移動に巻き込まれて足を負傷して融合次元へと移動する。

 

その後、同じく融合次元へ飛ばされてきた柊柚子と再会して息子たちの近状を聞き、改めて赤馬零王を説得するためアカデミアに向かう。そこで遊矢の暴走を不正カードで止めてユーリにデュエルで敗北してカードにされる。次元戦争解決後はスタンダード次元に戻った。

 

漫画版は、リアルソリッドビジョンシステムとエンタメデュエル両方の祖で、赤馬零王とは友人&研究員仲間。物語10年後の世界では遊矢の他にユート、ユーゴ、ユーリ全員の父親でもあり、彼らを世界の崩壊から守るために過去に送ろうとして行動し、命を落とす。ちなみに漫画版の彼の嫁は柊柚子。遊矢は泣いていいと思う。

 

使用デッキは息子と同じ【EM】。ただしペンデュラム召喚は使えない。アニメの物語数年前はプロのエンタメデュエリストであり、ユーリとも割と良い勝負を繰り広げていたように見えた。何故か足が治っていたようにも見えたが、気合で立っていたのだろうきっと。

 

アニメ版と漫画版共に主人公の敵側に回るような人物ではなかったはずなのだが…やはり洗脳されていると考えるのが自然かな?

 

 

「レディース・アンド・ジェントルメン!今夜はこの榊遊勝のエンタメデュエルで皆様を笑顔にして御覧に入れましょう!」

 

マジで止めて?

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆榊遊勝 LP:4000

 

 

「先攻は私が貰うよ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

榊遊勝 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

榊遊勝 手札:6→5→7枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【エンタメデュエル】を発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは1ターン中に以下の条件をそれぞれ満たす度に、1つの条件につき1ターンに1度ずつデッキから2枚ドローする!」

榊遊勝 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【エンタメデュエル】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは1ターン中に以下の条件をそれぞれ満たす度に、1つの条件につき1ターンに1度ずつデッキから2枚ドローする。

●レベルの異なるモンスター5体を同時に特殊召喚した。

●自身のモンスター1体が5回戦闘を行った。

●チェーン5以上でカードの効果を発動した。

●サイコロを振った回数及びコイントスの回数が合計5回になった。

●自身のLPが500以下になるダメージを受けた。

 

これはまた珍しいフィールド魔法を使用してきたな…。正直、俺のデッキじゃどの条件も満たすのが難しそうだ。最後の条件を満たす状況にはなりたくないしな。

 

「私は手札から永続魔法【ワンダー・バルーン】を発動!その効果を発動し、私は1枚手札を墓地に送る」

榊遊勝 手札:6→5→4枚。バルーンカウンター:0→1

 

【ワンダー・バルーン】

永続魔法

(1):1ターンに1度、手札を任意の枚数墓地へ送って発動できる。墓地へ送ったその枚数分だけ、このカードにバルーンカウンターを置く。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力は、このカードのバルーンカウンターの数×300ダウンする。

 

墓地の送ったのは【EMレビュー・ダンサー】か。

 

「私は手札から永続魔法【魔術師の再演】を発動!私は墓地の【EMレビュー・ダンサー】を特殊召喚する!」

榊遊勝 手札:4→3枚。

 

【魔術師の再演】

永続魔法

(1):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分の墓地のレベル3以下の魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「魔術師の再演」以外の「魔術師」永続魔法カード1枚を手札に加える。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMレビュー・ダンサー ★3 DEF1000

 

【EMレビュー・ダンサー】

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 800/守1000

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):「EM」モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。

 

「【EMレビュー・ダンサー】を2体分のリリースとしてリリース!手札から【EMスカイ・マジシャン】をアドバンス召喚させてもらおうか!」

榊遊勝 手札:3→2枚。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2500

 

【EMスカイ・マジシャン】

効果モンスター

星7/風属性/魔法使い族/攻2500/守2000

「EMスカイ・マジシャン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、自分が魔法カードを発動した場合に発動する。このカードの攻撃力は300アップする。

(2):自分フィールドの永続魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。その後、手札から「魔術師」永続魔法カード1枚を発動できる。この効果は相手ターンでも発動できる。

(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

出てきたか。【EMスカイ・マジシャン】。あのエンタメ野郎のエースモンスターであり、専用構築するとなかなか厄介なモンスターだ。

 

「私は手札から魔法カード【カップ・オブ・エース】を発動!コイントス!…『表』だな。私はデッキから2枚ドローする」

榊遊勝 手札:2→1→3枚。コイントス:0→1

 

【カップ・オブ・エース】

通常魔法

コイントスを1回行う。

表が出た場合、自分はデッキからカードを2枚ドローする。

裏が出た場合、相手はデッキからカードを2枚ドローする。

 

博打カードか。その効果の為と言うよりも【エンタメデュエル】のコイントス効果による条件達成を狙っているのだろうか?

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2500 → 2800

 

【EMスカイ・マジシャン】は自分が魔法カードを発動した場合に攻撃力は300アップする。1ターンに1度とはいえ永続強化か。効果の1つとしては悪くないよな。

 

「更に私は手札から永続魔法【セカンド・チャンス】を発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか適用できない。自分がコイントスを行う効果を適用する際に、コイントスを最初からやり直す事ができる」

榊遊勝 手札:3→2枚。永続魔法:3

 

【セカンド・チャンス】

永続魔法

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか適用できない。

(1):自分がコイントスを行う効果を適用する際に、コイントスを最初からやり直す事ができる。

 

コイントスの補助カードだな。さっきのドローで引いてきたのか。

 

「私は手札から2枚目の【カップ・オブ・エース】を発動!コイントス!…また『表』だ!デッキから2枚ドロー!」

榊遊勝 手札:2→1→3枚。コイントス:1→2

 

今引いてきた2枚目の【カップ・オブ・エース】を連続で表を出すとか、やるなぁ。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

榊遊勝 手札:3→2枚、伏せカード:0→1枚。

 

流石に【エンタメデュエル】の条件達成とはならなかったようだな。

 

 

◆ハノイ LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆榊遊勝 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚、永続魔法:3枚、フィールド魔法:1枚、バルーンカウンター:1

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2800

 

 

榊遊勝の【EM】デッキは【EMスカイ・マジシャン】の効果による、相手ターンに永続魔法を切り替えて魔法罠の発動を無効にして破壊する戦術を取ってくるはずだ。特に魔法の発動はペンデュラムモンスターのペンデュラム効果にも適用されるから、結構厄介なんだよな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

「なら私はそれにチェーンして【EMスカイ・マジシャン】の効果を発動させてもらおう。私は自分フィールドの永続魔法【魔術師の再演】を手札に戻し、永続魔法【魔術師の右手】を発動!」

 

チェーン②EMスカイ・マジシャン

チェーン①テラ・フォーミング

 

「チェーン②【EMスカイ・マジシャン】の効果により、永続魔法【魔術師の再演】を手札に戻し、手札より永続魔法【魔術師の右手】を発動させてもらおう」

榊遊勝 手札:2→3→2枚、永続魔法:2→1→2枚。

 

【魔術師の右手】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、相手が発動した魔法カードの効果を無効にし破壊する。

 

「そして永続魔法【魔術師の右手】の効果により、チェーン①【テラ・フォーミング】の効果を無効にして破壊させてもらうよ」

 

やはり魔術師の永続魔法を手札に握っていたか。だが、【EMスカイ・マジシャン】の効果も【魔術師の右手】の効果も1ターンに1度だよなぁ?

 

「私は手札から魔法カード【ナイト・ショット】を発動!そちらの伏せカードは破壊させてもらう!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【ナイト・ショット】

通常魔法

(1):相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを破壊する。このカードの発動に対して相手は対象のカードを発動できない。

 

「くっ!これは、困ったね…」

榊遊勝 伏せカード:1→0枚。

 

破壊したのは…永続罠【スカイ・イリュージョン】。確か、アニメオリジナルカードだったな。

 

【スカイ・イリュージョン】※アニメオリジナルカード

永続罠

①:自分フィールドに「EMスカイ・マジシャン」とそれ以外の魔法使い族モンスターが存在する場合にこのカードを発動できる。

このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの魔法使い族モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手は「EMスカイ・マジシャン」以外の魔法使い族モンスターを攻撃対象に選択できない。このカードはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

さて、相手手札と墓地はほぼ情報入手済みだし、手札誘発とかはないだろうから、そろそろ攻めに行くか。

 

「私は手札から永続魔法【ブリリアント・フュージョン】を発動!私はデッキから【ジェムナイト・ラズリー】と【ギャラクシーサーペント】を墓地に送り、レベル5!【ジェムナイト・セラフィ】を融合召喚!」

ハノイ 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ブリリアント・フュージョン】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時に、自分のデッキから「ジェムナイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を、攻撃力・守備力を0にしてEXデッキから融合召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

(2):1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を捨てて発動できる。このカードの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は相手ターン終了時まで元々の数値分アップする。

 

<ハノイのフィールド>

ジェムナイト・セラフィ ★5 ATK2300 → 0

 

【ジェムナイト・セラフィ】

融合・効果モンスター

星5/地属性/天使族/攻2300/守1400

「ジェムナイト」モンスター+光属性モンスター

このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにモンスター1体を通常召喚できる。

 

「デッキから融合召喚とは…魅せてくれるねぇ」

 

「私は融合素材となった【ジェムナイト・ラズリー】の効果発動!私は墓地から【ギャラクシーサーペント】を手札に加える!」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

【ジェムナイト・ラズリー】

効果モンスター

星1/地属性/岩石族/攻 600/守 100

(1):このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「私は手札からチューナーモンスター【ギャラクシーサーペント】を通常召喚」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

<ハノイのフィールド>

ジェムナイト・セラフィ ★5 ATK0

ギャラクシーサーペント ★2 ATK1000→700 ※チューナー

 

【ギャラクシーサーペント】

チューナー・通常モンスター

星2/光属性/ドラゴン族/攻1000/守 0

宵闇に紛れて姿を現わすと言われるドラゴン。

星の海を泳ぐように飛ぶ神秘的な姿からその名が付けられた。

その姿を見た者は数えるほどしかないと伝えられるが、見た者は新たな力を得られるという。

 

「【ワンダー・バルーン】の効果により、そちらのモンスターはバルーンカウンターの数だけ攻撃力が300ポイントダウンすることを忘れないようにね」

 

<ハノイのフィールド>

ジェムナイト・セラフィ ★5 ATK0

ギャラクシーサーペント ★2 ATK1000→700 ※チューナー

 

地味にうっとおしい効果だな。

 

「私はレベル5【ジェムナイト・セラフィ】にレベル2【ギャラクシーサーペント】をチューニング!太古の森よりフィールドを制圧する精霊よ、かりそめの姿にその身をやつし降臨せよ。シンクロ召喚!!現れよ!レベル7!【妖精竜 エンシェント】!」

 

<ハノイのフィールド>

妖精竜 エンシェント ★7 ATK2100→1800

 

【妖精竜 エンシェント】

シンクロ・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2100/守3000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分のターンにフィールド魔法カードが発動した場合、デッキからカードを1枚ドローする。「妖精竜 エンシェント」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

また、1ターンに1度、フィールド魔法カードが表側表示で存在する場合、フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して破壊できる。

 

「融合召喚から連続してシンクロ召喚とは!」

 

そちらのフィールド魔法【エンタメデュエル】があるおかげでこちらの効果発動条件は整っている!

 

「私は【妖精竜 エンシェント】の効果発動!【EMスカイ・マジシャン】を選択して破壊する!」

 

「おっと、私はチェーンして手札の【EMスカイ・ピューピル】の効果発動!私はフィールドの【EMスカイ・マジシャン】を手札に戻し、手札の【EMスカイ・ピューピル】を特殊召喚するよ!」

榊遊勝 手札:2→3→2枚

 

【EMスカイ・ピューピル】

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 800/守 800

「EMスカイ・ピューピル」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのレベル5以上の「EM」モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、ダメージステップ終了時までそのモンスターの効果は無効化される。

(3):自分フィールドに他の「EM」モンスターが存在する場合、このカードが相手モンスターに攻撃するダメージ計算前に発動できる。その相手モンスターを破壊する。

 

チェーン②EMスカイ・ピューピル

チェーン①妖精竜 エンシェント ※対象を失い、不発。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・ピューピル ★3 DEF800

 

「そしてフィールドを離れた【EMスカイ・マジシャン】の効果発動!私は【妖精竜 エンシェント】を破壊する!」

 

「ちっ!【妖精竜 エンシェント】は効果破壊される…」

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し。

 

最後の手札は【EMスカイ・ピューピル】だったか。【妖精竜エンシェント】は囮だったとはいえ、ちょっとやらかしてしまったな。それにしても、初手からかなり理想の手札を揃えていたんだな。【魔術師の左手】があれば完璧だっただろうな。

 

ところで、あのフィールド魔法、要る?

 

「私は手札からフィールド魔法【ドラゴニックD】を発動!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

【ドラゴニックD】

フィールド魔法

(1):フィールドの「真竜」モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、アドバンス召喚した「真竜」モンスターはそれぞれ1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。このカード以外の自分の手札・フィールドのカード1枚を選んで破壊し、デッキから「真竜」カード1枚を手札に加える。

 

「私は【ドラゴニックD】の効果発動!私はフィールドの永続魔法【ブリリアント・フュージョン】を破壊し、デッキから【真竜の継承】を手札に加える!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「そして私は手札から今手札に加えた永続魔法【真竜の継承】を発動!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

【真竜の継承】

永続魔法

「真竜の継承」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このターンにフィールドから墓地へ送られた「真竜」カードの種類(モンスター・魔法・罠)の数だけ、自分はデッキからドローする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。「真竜」モンスター1体を表側表示でアドバンス召喚する。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「私は【真竜の継承】をリリースし、手札から【真竜拳士ダイナマイトK】をアドバンス召喚!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜拳士ダイナマイトK ★5 ATK2500→2200→2500

 

※バルーンカウンター:1つで300ダウンし、【ドラゴニックD】により300アップする。

 

【真竜拳士ダイナマイトK】

効果モンスター

星6/水属性/幻竜族/攻2500/守1200

このカードを表側表示でアドバンス召喚する場合、モンスターの代わりに自分フィールドの永続魔法・永続罠カードをリリースできる。

(1):1ターンに1度、アドバンス召喚したこのカードが存在し、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。デッキから「真竜」永続罠カード1枚を選び、手札に加えるか自分フィールドに発動する。

 

「ほう…幻竜族とは珍しい。それよりも、アドバンス召喚のリリースを永続魔法や永続罠で補うことが出来るのか。そちらも珍しい効果だね」

 

「まだだ!墓地に送られた【真竜の継承】の効果発動!私は【魔術師の右手】を破壊する!」

 

「むぅっ!【魔術師の右手】を破壊されたか!まさかリリースされた後の墓地効果まであるとはね!」

榊遊勝 永続魔法:3→2枚。

 

さっきからオッサンが妙に楽しそうにデュエルしている。このオッサン、本当に洗脳されているんだろうか?

 

「バトルフェイズに移行。【真竜拳士ダイナマイトK】で【EMスカイ・ピューピル】に攻撃!」

 

真竜拳士ダイナマイトK ATK2500

vs

EMスカイ・ピューピル DEF800 ※戦闘破壊。

 

「【EMスカイ・ピューピル】は戦闘破壊されてしまったな…」

 

<榊遊勝のフィールド>

モンスター無し

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイ LP:4000、手札:0枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜拳士ダイナマイトK ★5 ATK2500

 

VS

 

◆榊遊勝 LP:4000、手札:2枚、モンスター:0枚、伏せカード:0枚、永続魔法:2枚、フィールド魔法:1枚、バルーンカウンター:1

 

<榊遊勝のフィールド>

モンスター無し

 

 

オッサンの手札は【EMスカイ・マジシャン】と【魔術師の再演】。間違いなく【EMスカイ・マジシャン】をアドバンス召喚して来るだろう。

 

改めて思うが、あのカードって特化するとこんなに手強いカードになるんだな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

榊遊勝 手札:2→3枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外してデッキから2枚ドロー!」

榊遊勝 手札:3→2→4枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私は手札から3枚目の【カップ・オブ・エース】を発動!」

榊遊勝 手札:3枚。

 

マジかよ。3枚目の【カップ・オブ・エース】を先攻2ターン目で使ってくるのか。どんなドロー力だよ。遊城十代かよぉ!

 

「私はその効果にチェーンして【真竜拳士ダイナマイトK】の効果を発動!私はデッキから永続罠【真竜皇の復活】を発動する!」

 

チェーン②真竜拳士ダイナマイトK

チェーン①カップ・オブ・エース

 

「まずはチェーン②【真竜拳士ダイナマイトK】の効果により永続罠【真竜皇の復活】が発動する」

ハノイ 永続罠:0→1枚。

 

【真竜皇の復活】永続罠

「真竜皇の復活」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、

(1)(2)の効果は同一チェーン上では発動できない。

(1):自分の墓地の「真竜」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

(2):相手メインフェイズに発動できる。「真竜」モンスター1体を表側表示でアドバンス召喚する。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

「今度は墓地に送られるとモンスターを破壊するのか。厄介だね」

 

「そうだな。優秀なカードだ」

 

「さて、それじゃチェーン①の効果を処理するか。チェーン①【カップ・オブ・エース】発動するよ。このコイントスが成功すれば、3連続で表が出ることになるんだ。どうかな?ワクワクするかい?」

 

「いや、別に。むしろ外れろと願っている」

 

むしろヒヤヒヤするわ。外れろ!外れろ!外れろ!

 

「コイントス!…『裏』だな。残念。君はデッキから2枚ドローする…」

榊遊勝 コイントス:0→1

 

流石にようやく裏が出たか。もし表が出ていたら、イカサマコインなんじゃないかと思ってデュエルが終わったら確認していただろうな。

 

「だがこの瞬間、永続魔法【セカンド・チャンス】の効果発動。自分がコイントスを行う効果を適用する際に、コイントスを最初からやり直す事ができる。 さっきのコイントスの結果は白紙に戻るのさ」

 

【セカンド・チャンス】で保管を掛けてあるくせにワクワクなんてするかよ。

 

「さて、それでは改めて、コイントス!…『表』だな。私はデッキから2枚ドローする」

榊遊勝 手札:3→5枚。コイントス:2

 

あのコイン、表出すぎだろ。やっぱりイカサマコインなんじゃないか?デュエルが終わったら確認しておこう。

 

「私は手札から魔法カード【透視】を発動。自分は相手の魔法&罠ゾーンにセットされたカード1枚を選び、カードの種類(魔法・罠)を宣言して発動できる。選んだカードをお互いに確認する。そのカードの種類が宣言した種類と同じだった場合、そのカードを相手のデッキに戻し、自分はデッキから2枚ドローできる。違った場合、そのカードを相手フィールドにセットし、相手はデッキから2枚ドローできる」 ※アニメオリジナルカード

榊遊勝 手札:5→4枚。

 

【透視】※アニメオリジナルカード

通常魔法

①:自分は相手の魔法&罠ゾーンにセットされたカード1枚を選び、カードの種類(魔法・罠)を宣言して発動できる。選んだカードをお互いに確認する。

そのカードの種類が宣言した種類と同じだった場合、そのカードを相手のデッキに戻し、自分はデッキから2枚ドローできる。

違った場合、そのカードを相手フィールドにセットし、相手はデッキから2枚ドローできる。

 

「また博打めいたカードを…」

 

「当たるも八卦当たらぬも八卦。運試しと行こうじゃないか。私は、君のその伏せカードは【罠カード】だと宣言する」

 

「宣言して発動するんだから、このタイミングでチェーン発動は出来るんだよな?」

 

「出来るとも」

 

「ちっ、当たりだ。チェーンして伏せていた通常罠【幽麗なる幻滝】を発動だ。デッキから幻竜族モンスター1体を手札に加える効果を使う」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【幽麗なる幻滝】

通常罠

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから幻竜族モンスター1体を手札に加える。

●手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、幻竜族モンスターを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。自分は墓地へ送ったモンスターの数+1枚をデッキからドローする。

 

チェーン②幽麗なる幻滝

チェーン①透視

 

「効果処理をする。まずチェーン②【幽麗なる幻滝】の効果により、私は【真竜導士マジェスティM】を手札に加える」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「そしてチェーン①【透視】の効果により、自分はデッキから2枚ドローする」

榊遊勝 手札:4→6枚。

 

「【幽麗なる幻滝】が既に発動して「墓地に送られることが確定しているカード」の為、デッキに戻す効果は適用されず、【幽麗なる幻滝】は墓地に送られる」

 

「ふっ、手品みたいで楽しかっただろう?」

 

「それなりに面白いとは思ったが、ただの博打ではないか。いや、そうでもないのか」

 

カードを透視する特殊なアイテムでも持っているのか?とかも考えたが、このデッキのコンセプトを考えれば、伏せてあるカードが速攻魔法の類じゃないのは分かるか。なら実質は罠カード一択だ。面白いかどうかはさておき、上手いプレイングだとは思う。

 

「ふっ、デュエルを続行しよう。私は手札から永続魔法【魔術師の再演】を発動!私は墓地の【EMレビュー・ダンサー】を特殊召喚する!」

榊遊勝 手札:6→5枚。永続魔法:2→3枚。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMレビュー・ダンサー ★3 DEF1000

 

「私はこのタイミングで、【真竜皇の復活】の効果発動。私は【真竜皇の復活】をリリースして手札の【真竜導士マジェスティM】をアドバンス召喚!」

ハノイ 手札:1→0枚、永続罠:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜拳士ダイナマイトK ★5 ATK2500

真竜導士マジェスティM ★5 ATK2300→2000→2300

 

「相手ターンにまでアドバンス召喚してくるとは、面白いデッキだね。そして、【真竜皇の復活】の墓地効果が発動するのかな?」

 

「その通りだ。【真竜皇の復活】の効果発動!私は【EMレビュー・ダンサー】を破壊する!」

 

<榊遊勝のフィールド>

モンスター無し。

 

「【EMレビュー・ダンサー】は効果破壊されたか…」

 

これで【EMスカイ・マジシャン】のアドバンス召喚は阻止できたな。

 

「私は手札から魔法カード【サモン・ダイス】を発動!1000LPを払って発動できる。サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する!」

榊遊勝 LP:4000→3000、手札:5→4枚、ダイスロール+コイントス:2→3

 

【サモン・ダイス】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):1000LPを払って発動できる。サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する。

●1・2:モンスター1体を召喚できる。

●3・4:自分の墓地からモンスター1体を選んで特殊召喚できる。

●5・6:手札からレベル5以上のモンスター1体を特殊召喚できる。

 

「また博打カードか。今度はサイコロだが、どの効果が適用されても嫌だな」

 

「ダイスロール!…『3』だな。【サモン・ダイス】の効果により、私は墓地から【EMレビュー・ダンサー】を特殊召喚する!」

 

<榊遊勝のフィールド>

EMレビュー・ダンサー ★3 DEF1000

 

「【EMレビュー・ダンサー】を2体分としてリリース!手札から【EMスカイ・マジシャン】をアドバンス召喚しよう!」

榊遊勝 手札:4→3枚。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2500

 

「私は手札から速攻魔法【サイコロン】を発動!サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する!」

榊遊勝 手札:3→2枚、ダイスロール+コイントス:3→4

 

【サイコロン】

速攻魔法

(1):サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する。

●2・3・4:フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する。

●5:フィールドの魔法・罠カード2枚を選んで破壊する。

●1・6:自分は1000ダメージを受ける。

 

「このタイミングで発動したら、デメリット効果を引く確率の方が高くないか?」

 

「でも、メリット効果が出たら面白そうだろう?…それ!ダイスロール!…むぅ、『1』だな。効果により自分は1000LPダメージを受ける…ぐっ!」

榊遊勝 LP:3000→2000

 

確立は収束するんだ。流石に博打カードのメリット効果を成功率8割越えで引かれたら笑えないからな。相手からすれば溜まったものじゃない。

 

「ここで私は【EMスカイ・マジシャン】の効果発動。このカードの攻撃力は300アップする!」

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2500 → 2800

 

「そして私は手札から速攻魔法【サイコロン】を発動!サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する!」

榊遊勝 手札:2→1枚、ダイスロール+コイントス:4→5

 

「2枚目とか、正気か?」

 

「でも、メリット効果が出たら面白そうだろう?…それ!ダイスロール!…『6』だな。効果により自分は1000LPダメージを受ける…ぐぅっ!」

榊遊勝 LP:2000→1000

 

城之内克也ほどのギャンブル能力があるわけではなく、たまたま序盤にメリット効果が出続けただけっぽいな。

 

「そういうこともある。だが、これでダイスロールとコイントスの合計は5回か」

 

「そうさ!私はフィールド魔法【エンタメデュエル】の効果を発動!『サイコロを振った回数及びコイントスの回数が合計5回になった』条件を満たした為、デッキから2枚ドローする!」

榊遊勝 手札:1→3枚。

 

まさかあのロマンカード条件を達成して来るとはな…。

 

「さぁ、そろそろバトルと行こうか!【EMスカイ・マジシャン】で【真竜導士マジェスティM】を攻撃!」

 

EMスカイ・マジシャン ATK2800

vs

真竜導士マジェスティM ATK2300 ※戦闘破壊耐性。

 

「フィールド魔法【ドラゴニックD】の効果によりアドバンス召喚した「真竜」モンスターはそれぞれ1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない!」

ハノイ LP:4000→3500

 

「だが、戦闘ダメージは受けて貰おう!」

 

「うぐっ!」

ハノイ LP:4000→3500

 

「メインフェイズ2に移行。私は手札より永続魔法【魔術師の左手】を発動!1ターンに1度、自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、相手が発動した罠カードの効果を無効にし破壊する」

榊遊勝 手札:3→2枚。永続魔法:3→4

 

【魔術師の左手】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、相手が発動した罠カードの効果を無効にし破壊する。

 

ちっ、さっきのドローで引いてきたか。

 

「そして私はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

榊遊勝 手札:1枚。

 

 

 

◆ハノイ LP:3500、手札:0枚、伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚

 

<ハノイのフィールド>

真竜拳士ダイナマイトK ★5 ATK2500

真竜導士マジェスティM ★5 ATK2300

 

◆榊遊勝 LP:1000、手札:1枚、伏せカード:1枚、永続魔法:4枚、フィールド魔法:1枚、バルーンカウンター:1

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・マジシャン ★7 ATK2800

 

 

もし手札に2枚目の【魔術師の右手】を握っているのなら、魔法罠は1度ずつ止められてしまう。だが、あの永続魔法と永続罠の発動条件は『フィールドに魔法使い族モンスターが居ること』。

 

であれば、モンスター効果で【EMスカイ・マジシャン】を処理してやればいいだけのことだな!

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「私はフィールドのレベル5【真竜拳士ダイナマイトK】と【真竜導士マジェスティM】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ『No.61』!ランク5!【No.61 ヴォルカザウルス】!」

 

「エクシーズ召喚…『No.』?」

 

<ハノイのフィールド>

No.61 ヴォルカザウルス ☆5 ATK2500 ORU:2

 

【No.61 ヴォルカザウルス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/炎属性/恐竜族/攻2500/守1000

レベル5モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターを破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果を発動するターン、このカードは直接攻撃できない。

 

「私は【No.61 ヴォルカザウルス】の効果発動!ORUを1つ取り除き、【EMスカイ・マジシャン】を破壊する!」

No.61 ヴォルカザウルス ORU:2→1

 

「これはまずいね、私はチェーンして手札の2枚目の【EMスカイ・ピューピル】の効果発動!【EMスカイ・マジシャン】を手札に戻し、手札の【EMスカイ・ピューピル】を特殊召喚!」

榊遊勝 手札:1→2→1枚

 

チェーン②EMスカイ・ピューピル

チェーン①No.61 ヴォルカザウルス ※対象を失い、不発。

 

<榊遊勝のフィールド>

EMスカイ・ピューピル ★3 DEF800

 

2枚目を握っていたか。これは、さっきの焼き回しになるか。

 

「そしてフィールドを離れた【EMスカイ・マジシャン】の効果発動!【No.61 ヴォルカザウルス】を破壊する!」

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し。

 

ちっ!【No.61 ヴォルカザウルス】は効果破壊されたか…!だが手札の情報は割れた!今のあちらにはこちらの魔法カードを防ぐ手段がない!

 

そろそろ攻めさせてもらうぞ!

 

「私は手札から永続魔法【真竜凰の使徒】を発動!自分の墓地の「真竜」カード3枚をデッキに加えてシャッフルし、デッキから1枚ドロー!」

ハノイ 手札:1→0→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

【真竜凰の使徒】

永続魔法

「真竜凰の使徒」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地の「真竜」カード3枚を対象として発動できる。そのカードをデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。「真竜」モンスター1体を表側表示でアドバンス召喚する。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

<ハノイが墓地からデッキに戻したカード>

①真竜導士マジェスティM

②真竜の継承

③真竜皇の復活

 

「私はフィールド魔法【ドラゴニックD】の効果発動!私はフィールドの永続魔法【真竜凰の使徒】を破壊し、デッキから【真竜の継承】を手札に加える!」

ハノイ 手札:1→2枚。永続魔法:1→0枚。

 

「更に!墓地に送られた永続魔法【真竜凰の使徒】の効果発動!私は永続魔法【魔術師の左手】を破壊する!」

 

「むぅっ!」

榊遊勝 永続魔法:4→3枚。

 

「私は永続魔法【真竜の継承】の効果発動!このターンに墓地に送られた「真竜」カードはモンスターと魔法!よって2枚ドローする!」

ハノイ 手札:2→1→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【真竜の継承】

永続魔法

「真竜の継承」の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このターンにフィールドから墓地へ送られた「真竜」カードの種類(モンスター・魔法・罠)の数だけ、自分はデッキからドローする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。「真竜」モンスター1体を表側表示でアドバンス召喚する。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

良しっ!壺来たー!

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドロー!」

ハノイ 手札:3→2→4枚。

 

OK、OK!良い引きだ!これなら、いけそうだな!

 

「私は手札の【真竜皇バハルストスF】の効果発動!私は手札の2枚目の【真竜皇バハルストスF】と【真竜凰マリアムネ】を破壊!1枚目の【真竜皇バハルストスF】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:4→3→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜皇バハルストスF ★9 DEF3000

 

【真竜皇バハルストスF】

効果モンスター

星9/水属性/幻竜族/攻1800/守3000

「真竜皇バハルストスF」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカード以外の手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、水属性モンスターを含むモンスター2体を破壊し、このカードを手札から特殊召喚し、水属性モンスター2体を破壊した場合、相手のフィールド・墓地から魔法・罠カードを2枚まで選んで除外できる。

(2):このカードが効果で破壊された場合に発動できる。デッキから水属性以外の幻竜族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 

「破壊された墓地の【真竜凰マリアムネ】の効果発動!私はデッキから地属性【真竜皇リトスアジムD】を手札に加える!」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

【真竜凰マリアムネ】

効果モンスター

星9/風属性/幻竜族/攻2700/守2100

「真竜凰マリアムネ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカード以外の手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、風属性モンスターを含むモンスター2体を破壊し、このカードを手札から特殊召喚し、風属性モンスター2体を破壊した場合、相手のデッキの上からカードを4枚除外できる。

(2):このカードが効果で破壊された場合に発動できる。デッキから風属性以外の幻竜族モンスター1体を手札に加える。

 

「破壊された墓地の【真竜皇バハルストスF】の効果発動!私はデッキの風属性【真竜凰マリアムネ】を特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

真竜皇バハルストスF ★9 DEF3000

真竜凰マリアムネ ★9 ATK2700→2400→2700

 

「私はフィールドのレベル9【真竜皇バハルストスF】と【真竜凰マリアムネ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク9!【真竜皇V.F.D.】!」

 

<ハノイのフィールド>

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000→2700→3000 ORU:2

 

【真竜皇V.F.D.】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/闇属性/幻竜族/攻3000/守3000

レベル9モンスター×2体以上

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。このターン、以下の効果を適用する。この効果は相手ターンでも発動できる。

●フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる。

 

「ランク9のエクシーズモンスター…!」

 

「バトルフェイズに移行。【真竜皇V.F.D.】で【EMスカイ・ピューピル】を攻撃!」

 

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000

vs

EMスカイ・ピューピル DEF800 ※戦闘破壊

 

<榊遊勝のフィールド>

モンスター無し。

 

「メインフェイズ2に移行!私は手札から魔法カード【九字切りの呪符】を発動!手札の【真竜皇リトスアジムD】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

ハノイ 手札:2→1→0→2枚。

 

【九字切りの呪符】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル9モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私はこれでターンエンド!」

 

 

◆ハノイ LP:3500、手札:2枚、伏せカード:0枚、永続魔法:1枚、フィールド魔法:1枚

 

<ハノイのフィールド>

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2

 

◆榊遊勝 LP:1000、手札:1枚、モンスター:0枚、伏せカード:1枚、永続魔法:3枚、フィールド魔法:1枚、バルーンカウンター:1

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

榊遊勝 手札:1→2枚。

 

「このタイミングで私は【真竜皇V.F.D.】のORUを1つ取り除いて効果発動!私が選択する属性は『光』だ!」

真竜皇V.F.D. ORU:2→1

 

「相手ターンにこちらのモンスターの攻撃の抑制とモンスター効果を無効!?…むぅ、モンスターを伏せてターンエンドだ」

 

 

◆ハノイ LP:3500、手札:2枚、伏せカード:0枚、永続魔法:1枚、フィールド魔法:1枚

 

<ハノイのフィールド>

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:1

 

◆榊遊勝 LP:1000、手札:1枚、モンスター:1枚、伏せカード:1枚、永続魔法:3枚、フィールド魔法:1枚、バルーンカウンター:1

 

<榊遊勝のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私は【真竜皇V.F.D.】のORUを1つ取り除いて効果発動!私が選択する属性は『水』だ」

真竜皇V.F.D. ORU:1→0

 

「私はフィールド魔法【ドラゴニックD】の効果発動!私は手札の【真竜皇アグニマズドV】を破壊し、デッキから【真竜凰の使徒】を手札に加える!」

ハノイ 手札:3→2→3枚。

 

「破壊された墓地の【真竜皇アグニマズドV】の効果発動!私は墓地の【真竜皇バハルストスF】を手札に加える」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

【真竜皇アグニマズドV】

効果モンスター

星9/炎属性/幻竜族/攻2900/守1900

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカード以外の手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、炎属性モンスターを含むモンスター2体を選んで破壊し、このカードを手札から特殊召喚し、炎属性モンスター2体を破壊した場合、相手のフィールド・墓地からモンスター1体を選んで除外できる。

(2):このカードが効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地から炎属性以外の幻竜族モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「私は手札から永続魔法【真竜凰の使徒】を発動!自分の墓地の「真竜」カード3枚をデッキに加えてシャッフルし、デッキから1枚ドロー!」

ハノイ 手札:4→5枚。永続魔法:1→2枚。

 

<ハノイが墓地からデッキに戻したカード>

①真竜拳士ダイナマイトK

②真竜皇アグニマズドV

③真竜凰マリアムネ

 

「私はフィールドの【真竜皇V.F.D.】、永続魔法2枚をリリース!手札から【真竜機兵ダースメタトロン】をアドバンス召喚!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜機兵ダースメタトロン ★9 ATK3000

 

【真竜機兵ダースメタトロン】

効果モンスター

星9/光属性/幻竜族/攻3000/守3000

このカードを通常召喚する場合、モンスター3体をリリースして召喚しなければならず、

モンスターの代わりに自分フィールドの永続魔法・永続罠カードをリリースできる。

(1):このカードは、このカードのアドバンス召喚のためにリリースしたカードと元々の種類(モンスター・魔法・罠)が同じカードの効果を受けない。

(2):アドバンス召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。地・水・炎・風属性のいずれかの融合・S・Xモンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

「私は手札から魔法カード【星遺物の胎導】を発動!デッキから【機怪神エクスクローラー】と【星遺物の守護竜メロダーク】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

【星遺物の胎導】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●手札からレベル9モンスター1体を特殊召喚する。

●自分フィールドのレベル9モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとは元々の種族・属性が異なるレベル9モンスター2体をデッキから特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

 

<ハノイのフィールド>

真竜機兵ダースメタトロン ★9 ATK3000

機怪神エクスクローラー ★9 DEF3000

星遺物の守護竜メロダーク ★9 DEF3000

 

【機怪神エクスクローラー】

リバース・効果モンスター

星9/地属性/昆虫族/攻2000/守3000

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):裏側表示のこのモンスターを対象とする魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、このカードを表側守備表示にして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):リバースしたこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターが発動した効果は無効化される。

(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードとは元々の種族・属性が異なるレベル9モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

【星遺物の守護竜メロダーク】

効果モンスター

星9/風属性/ドラゴン族/攻2600/守3000

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・墓地から通常モンスター2体を除外して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールドのドラゴン族モンスターの数×500ダウンする。

(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードとは元々の種族・属性が異なるレベル9モンスター1体を自分の墓地から選んで手札に加える。

 

「私は手札の【真竜皇バハルストスF】の効果発動!手札の2枚目の【真竜皇バハルストスF】とフィールドの【機怪神エクスクローラー】を破壊し、自身を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

真竜機兵ダースメタトロン ★9 ATK3000

星遺物の守護竜メロダーク ★9 DEF3000

真竜皇バハルストスF ★9 DEF3000

 

フィールドのモンスターは全て【真竜皇V.F.D.】の効果で水属性だ。よって水属性2体を破壊して特殊召喚した【真竜皇バハルストスF】の効果には続きがある。

 

「よって水属性2体を破壊して特殊召喚した【真竜皇バハルストスF】の効果により私はそちらの伏せカードと【魔術師の再演】を除外する!」

榊遊勝 伏せカード:1→0、永続魔法:2→1

 

「墓地に送られず除外された【魔術師の再演】はデッキから『魔術師』永続魔法カード1枚を手札に加える効果は使用できない…」

 

除外した伏せカードの方は…【スマイル・ワールド】か。何だ、ブラフだったわけか。

 

「更に!破壊された【機怪神エクスクローラー】の効果発動!私はデッキの炎属性【真竜皇アグニマズドV】を手札に加える!」

 

「まだあるぞ!破壊された【真竜皇バハルストスF】の効果発動!私はデッキの風属性【真竜凰マリアムネ】を特殊召喚する!」

 

チェーン②真竜皇バハルストスF

チェーン①機怪神エクスクローラー

 

<ハノイのフィールド>

真竜機兵ダースメタトロン ★9 ATK3000

星遺物の守護竜メロダーク ★9 DEF3000

真竜皇バハルストスF ★9 DEF3000

真竜凰マリアムネ ★9 ATK2700

 

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私はフィールドのレベル9【真竜皇バハルストスF】と【星遺物の守護竜メロダーク】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク9!【幻子力空母エンタープラズニル】!」

 

<ハノイのフィールド>

真竜機兵ダースメタトロン ★9 ATK3000

真竜凰マリアムネ ★9 ATK2700

幻子力空母エンタープラズニル ☆9 ATK2900→2600 ORU:2

 

【幻子力空母エンタープラズニル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/風属性/機械族/攻2900/守2500

レベル9モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドのカード1枚を選んで除外する。

●相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。

●相手の墓地のカード1枚を選んで除外する。

●相手のデッキの一番上のカードを除外する。

 

「私は【幻子力空母エンタープラズニル】のORUを一つ取り除いて効果発動!私はそちらの裏側守備表示モンスターを除外する!」

幻子力空母エンタープラズニル ORU:2→1

 

「うっ!…参ったねこれは…」

榊遊勝 手札:1→0

 

除外された裏側守備表示モンスターは【EMインコーラス】か。

 

確か、戦闘で破壊された場合にデッキからデッキからPモンスター以外の「EM」モンスター1体を特殊召喚するモンスターだったな。

 

呼びされるモンスターが何であれ【真竜皇V.F.D.】の効果でモンスター効果は使えないから、そのまま攻撃しても特に問題は無かったか。

 

さて、彼の最後の手札は【EMスカイ・マジシャン】であることは分かっている。終わりだな。

 

「バトルフェイズに移行。【真竜機兵ダースメタトロン】でダイレクトアタック!」

 

真竜機兵ダースメタトロン ATK3000

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

榊遊勝 LP:1000 → 0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わるとビル屋上の出入り口からランサーズの別動隊がやってくる。どうやら階下のオベリスクフォースの捕縛は終わったようだな。

 

それにしても、榊遊勝のエンタメデュエルの楽しさはよく分からんが、榊遊勝との普通のデュエルは…悪くないデュエルだったな。

 

「ふぅ、どうやらこちらの負けのようだね」

 

「そうだな」

 

榊遊勝は困ったような表情をしている。それを見た赤馬零児は複雑そうな表情だ。そういや居たなキミ。デュエル中は無口だったから忘れていたよ。

 

「ハノイ顧問!誘拐されたと思われる数名の子供たちはこの付近では発見できませんでした!」

 

「そうか…榊遊勝、子供たちは何処へやった?」

 

「今頃はオベリスクフォースの別動隊が本隊へ連れて行っていると思うよ。済まないが、本隊の場所は知らされていなくてね」

 

榊遊勝は何げなく返答してくる。マジシャンのポーカーフェイスを見破れるほど俺は読心術に秀でていないので、専門家に頼むことにした。

 

『…キーメイス』

 

『うん。…クロト、この人は嘘は言っていないみたいだよ。あと、この人もさっきのシルクハットのオジサンみたいに、心の中に変なモヤモヤがあるよ』

 

『分かった。ありがとう』

 

『どういたしましてー』

 

キーメイスには、フレーバーテキストにあるように誰でも心を開いてしまう力がある。その姿を見たものは…って条件が書いてある気がするが、常人には見えていない状態でも何故か心が読めるらしい。マインドスキャンかな?

 

デュエルでは使わないが、常時相手の心を読むこともできる。あと何故か鍵の掛かった扉を開けることが出来る。鍵穴のない電子ロックも開けられた。オカルトパワーの力ってスゲー!

 

パンドラと榊遊勝に共通する心の中の変なモヤモヤとは、恐らく洗脳処置によるものなのだろう。ただ、それが虫によるものか、機械的な洗脳かは分からないし、洗脳を解除できるわけでもない。もどかしい話だ。

 

「良し!撤収だ!赤馬零王と赤馬レイへの連絡は済んでいるな?」

 

「イエスサー!」

 

「ならばF班とG班で榊遊勝を拘束して特別留置所に放り込んでおけ!H班は念のため周囲の索敵、I班はそこでぐったりしている赤馬社長の介抱でもしてやれ」

 

「「「イエスサー!」」」

 

ようやく一段落かな?と思ったその時、更なる乱入者が姿を見せる。

 

「父さん!」

 

「遊矢か…」

 

ビル屋上の出入り口から榊遊矢が飛び込んできた。何で入口を固めておいたのに入ってこれたんだが。身体能力高いなー。

 

「お前は、ハノイの騎士!どういうことだ!なんで父さんが捕まっているんだよ!説明しろ!」

 

「断る」

 

面倒。その1点に尽きる。放っておいてくれ。死ぬほど疲れているんだ…。そうだ!後処理は赤馬零児に丸投げしよう。それがいい。

 

「ハノイの騎士、お前ぇ!」

 

「遊矢、いいんだよ」

 

「父さん…良くないよ!ハノイの騎士、オレはお前を絶対に許さないからな!」

 

「おやおや?デュエルで皆を笑顔にしてくれるのでは?私も笑顔にしてもらいたいものだな?」

 

「黙れ!」

 

事情も知らない奴に八つ当たりで怒鳴り散らされたので、ムカついてつい煽ってしまった。案の定、火に油を注いでしまったようだ。

 

「詳しい話はそこに転がっている赤馬社長からでも聞くといい。では、失礼する」

 

そういうと俺は柳さん印の閃光玉を取り出して地面に叩き付けた。訓練を受けているランサーズは咄嗟に目を覆って免れたが、榊親子と赤馬零児は閃光の直撃を食らったようだ。可哀想…。

 

「うわっ!」

 

「おわっ!」

 

「うおっ!」

 

三者三様の悲鳴が聞こえるが、無視だ。今のうちに…。

 

『メカレオン、光学迷彩を頼む』

 

『任せろクロト。それ~!』

 

メカレオンがそう言うと、俺の周りに不可視の膜が出来上がる。この膜は周囲の景色に溶け込み、何故か匂いや足音を消す効果がある。オカルトパワーの力ってスゲー!

 

「何処だハノイ!逃げるな!オレと、オレとデュエルしろぉぉぉ!」

 

トマト君が何やら騒いでいるが、疲れている俺は彼を無視してビルから脱出し、ハノイの衣装を着替えてからコナミ達と合流するのだった…。




中学生とはいえ赤馬社長はあまり活躍できていないです。榊遊勝は顔が黒幕っぽいのと、平和なの世の中だと舞網市で一番強いのは彼なんじゃないか?と思ってこのポジションになりました。

榊遊勝のエンタメデュエルがよく分からなかったので、原作アニメで使用したカード以外には、フィールド魔法【エンタメデュエル】の効果のうち、ダイスロールやコイントスに関する効果を狙う戦術を取ってもらいました。おかげで凄まじいドロー力を手に入れることになり、デュエルがかなり長引きました。【スマイル・ワールド】?奴は死んだよ…。

ハノイの騎士は順調に赤馬社長と榊遊矢に嫌われて行っています。

精霊のカードの力も相まって、オリ主は順調に逸般人になっていますね。

次回の更新は12/31(木) AM7:00です。

必殺雷撃人様、戦車様、四季式様、イーディス好き増えて様、gsころりん様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十五話 万丈目(幼)2

万丈目の2戦目です。

1戦目で惨敗し、彼は一体何を思ったのか…。


小学校6年生の夏休みを利用した舞網チャンピオンシップから月日が経ち、春休みも終盤に差し掛かる頃、俺は郵便局からの帰り道である近所の駅前通りを歩いていた。

 

あれ以来、国内のオベリスクフォースは影を潜めているが、LDSやリアルソリッドビジョン研究所、ユーリの組織などが全力で捜索しており、そろそろ尻尾が掴めそうらしい。

 

一度洗脳されたと思われる人々は、特別な収容所に送られ、不自由な生活を送ることを余儀なくされている。洗脳を完全に解く方法が見つかっていないためだ。周囲の人間には行方不明と説明されているようだが、家族や恋人などの近しい人間のみ第三者立会いの下で面会を許されている。

 

おかげで、榊遊勝の面会に訪れる度に榊遊矢がハノイの騎士に向けるヘイトがとんでもないことになっているらしい。なんで俺やねん…。洗脳したのはオベリスクフォースだろう。恨む相手を間違えているぞ。と俺が言っても火に油を注ぐだけだろうしなぁ。

 

そうそう。この約半年間の間に、I2社経由で『ハノイの騎士』宛にプロリーグへの推薦状と、デュエルアカデミア中等部への推薦状が届いていたが、両方断った。

 

プロデュエリストになってもそうそう負けはしないだろうが、今後の行動がかなり制限されるだろう。デュエルアカデミア中等部への入学は、ハッキリ言って旨味がないと判断した。未だにアドバンス召喚、融合召喚、儀式召喚しか扱っていない時代遅れなデュエル授業とか、聞くに値しないと思ったからだ。

 

 

そんなことを考えると孤児院の近くまで戻ってきた。そして、世界の景色が歪む。これは、未来改編が起こる時の現象だな…。また何処かで未来が改変されたのだろう。…そして、気付いた。柳さんの服屋の隣に見慣れないカードショップが出来ていた。…今朝までこんなところにカードショップなんてなかったはずだ。嫌な予感がしつつも店を訪れてみると…。

 

「…いらっしゃいませ」

 

銀髪ショートの未来のアカデミアの制服を着た無表情の美少女がカウンターに座って挨拶を返してきた。

 

俺は全力で逃げだした。しかし、回り込まれてしまった!

 

~~~

 

「私は、貴方の監視者」

 

「監視者ねぇ…なんで俺なんて監視するんだか。身元バレを防ぐ為に変装してデュエル大会に出ていただけの一般人だろ?」

 

「ごく一般的な小学生が、私と並走出来るとは思えない」

 

結局、身体能力で勝てない俺はこの場からの離脱を諦めてレイン恵の話を聞くことにした。カードショップの扉には『CLOSE』の看板が下げられ、入り口付近と奥の倉庫にはどう見てもゴースト(未来世界の人型ロボット)がこちらを注視している。

 

「この数年の貴方のことは大体調べ終わった。約6年前からハノイの騎士と名乗って活動していること、I2社に接触してシンクロ召喚やエクシーズ召喚を世に広めたこと、この6年間で身長が20cmしか伸びておらずもうすぐ中学生になるのに身長が135cmしかないこと」

 

「なぁ、最後の情報、要る?話す必要あった?」

 

何て失礼な奴だ。たまにリンどころかセレナにまで頭を撫でられる屈辱を思い出してしまったじゃないか。そういやコイツ、前に会った時より話し方が流暢になったな。

 

「貴方が何者で、私たちの組織の目的にとって、プラスと働くか、マイナスと働くかを、見極めるのが、私の仕事」

 

「ふーん。それがなんでカードショップの店員に繋がるんだ?」

 

「それが一番、近くで監視するのに適したポジションと、判断したから」

 

いつも何処かで監視されて居るんじゃないか?と思い続けるよりは、ずっとここで監視してるんだと分かった方がいいか。そして、何気なくカードショップを見回すと、ショップに置いてあるパックが目に入る。これはまた…。

 

「ところでさぁ、このパックは流石に今だと売れなくないか?」

 

「…何故?」

 

何故ってそりゃなぁ。シンクロやエクシーズが既に流通しているのに、

 

「いや、確かに本来のこの時代のパックとしては正しいものかもしれないけどさ、今のこの世界だとこのパックじゃ力不足なんじゃないか?」

 

「…本来のこの時代?…今のこの世界?…その辺りを詳しく聞かせて?」

 

…あっ、やっべ。やらかした。

 

「あー、いや、そんな情報を知ったとしても、お前らイリアステルの役に立つ情報とは…」

 

「…私はまだ、私たちの所属する組織の名前を、言っていない」

 

「あっ」

 

終わった。ここに来て痛烈にやらかした。もう俺は喋らない方がいいと思う。

 

~~~

 

昨日、あの後のレイン恵からの追及を逃れる為、咄嗟にそれっぽい作り話をすることにした。

 

『俺は並行世界からやってきたバリアン警察と言う組織の調査員で、20年ほどの潜入調査を命じられている。イリアステルは俺の世界でも存在する組織でそこに居るゴーストに見覚えがあった。俺の世界だと普通に広まっているので、良かれと思ってシンクロとエクシーズは世に広めた』

 

なんて話をしたら割とあっさり信じだ。もちろん流石に100%信じたわけではないだろう。…よくこれで信じたな。

 

 

さて、済んだことは仕方ない。気持ちを切り替えていこう。今日は小学生としては最後のデュエル大会だ。だからと言って何があるわけでもないんだが、何となくいつもと違う雰囲気がある。ハノイの衣装もいつもより軽い気がする。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手と対峙する。相手は…万丈目じゃん。

 

「ハノイの騎士!オレは貴様を倒すために、地獄の底から帰ってきたぞ!」

 

「久し振りだな、おジャ万丈目君」

 

「誰がおジャ万丈目だ!貴様への借りは、デュエルアカデミア中等部に入学する前にキッチリ返させてもらう!!」

 

あぁそう言えば、コイツとデュエルしたときに使用したデッキって【ガエルドライバー】だっけ。周囲の人間から、何もできないまま雑魚モンスターに惨敗した、なんて言われたりしてるのかもな。

 

「準ー!頑張れよー!」

 

「準ー!オレたちが付いてるぞー!」

 

あれは、万丈目の兄2人か。長作(長兄)と正司(次兄)って名前だったと思うが、どっちがどっちか分からんな。応援されている万丈目は少し気恥ずかしそうだ。

 

アニメで見た時と違って高圧的な感じじゃないな。元々弟の為に高額なお金を使ってレアカードを集めてあげる人たちだったわけだから、原作数年前の今だとこれくらい良好な関係だったのかも。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆万丈目準 LP:4000

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする!」

万丈目 手札:5→7枚

 

「オレは手札から魔法カード【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

万丈目 手札:6→8枚

 

「オレは手札から魔法カード【天使の施し】発動!デッキからカードを3枚ドローして手札を2枚捨てる!」

万丈目 手札:7→10→8枚

 

ドロー半端ないな…。俺もこれくらいできたら楽なんだけどなぁ。

 

「オレは手札からフィールド魔法【竜の渓谷】発動!1ターンに1度、手札を1枚捨て、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。オレはデッキの【ミンゲイドラゴン】を墓地に送る!」

万丈目 手札:7→6枚。フィールド魔法:1

 

【ドラゴン族】デッキ?漫画版に近い構成なのかな?

 

「オレは手札から魔法カード【復活の福音】発動!自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。オレは先ほど手札から墓地に送った【竜の騎士】を特殊召喚!」

万丈目 手札:5枚。

 

<万丈目準のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

 

「オレは【暗黒の竜王】を召喚!」

 

<万丈目準のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

暗黒の竜王 ★4 ATK1500

 

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

万丈目 手札:4→2枚。

 

 

◆ハノイ LP:4000

 

VS

 

◆万丈目 LP:4000、手札:2、伏せカード:2

 

<万丈目準のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

暗黒の竜王 ★4 ATK1500

 

 

性格はアニメ版のままだが、以前よりは小物感が薄れたな。サンダー時代に近い気がする。幼い段階で挫折を経験したおかげで兄たちと上手く仲良くなれて立ち直れたのかな。なんだ、俺のおかげじゃん!

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【凡骨の意地】発動!ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる」

ハノイ 手札:5枚。永続魔法:1

 

「私は手札から魔法カード【予想GUY】を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキから【戦士ダイ・グレファー】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:4枚

 

<ハノイのフィールド>

戦士ダイ・グレファー ★4 ATK1700

 

「私は手札から【レスキューラビット】を召喚。フィールドのこのカードを除外して効果発動!デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。私はデッキから2体の【戦士ダイ・グレファー】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:3枚

 

<ハノイのフィールド>

戦士ダイ・グレファー ★4 ATK1700

戦士ダイ・グレファー ★4 ATK1700

戦士ダイ・グレファー ★4 ATK1700

 

「私は3体のレベル4【戦士ダイ・グレファー】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【武神姫-アマテラス】!」

 

<ハノイのフィールド>

武神姫-アマテラス ☆4 ATK2600 ORU:3

 

「これが、エクシーズ召喚…!」

 

「私は【武神姫-アマテラス】の効果発動!自分ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、除外されている自分のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターを特殊召喚する。私は除外されている【レスキューラビット】を特殊召喚!」

 

<ハノイのフィールド>

武神姫-アマテラス ☆4 ATK2600 ORU:3 → 2

レスキューラビット ★4 DEF100

 

「【レスキューラビット】の効果は1ターンに1度しか使用できないと言う名称ターン1制限があるため、このターンはもう効果を発揮できない」

 

「バトルフェイズに移行。【武神姫-アマテラス】で【暗黒の竜王】を攻撃」

 

「甘い!リバースカードオープン!カウンター罠【攻撃の無力化】発動!相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。その後、バトルフェイズを終了する」

万丈目 伏せカード:2→1

 

「メインフェイズ2にて、カードを2枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:1枚

 

 

◆ハノイ LP:4000、手札:1、伏せカード:2

 

<ハノイのフィールド>

武神姫-アマテラス ☆4 ATK2600 ORU:2

レスキューラビット ★4 DEF100

 

VS

 

◆万丈目 LP:4000、手札:2、伏せカード:1

 

<万丈目のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

暗黒の竜王 ★4 ATK1500

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:2→3枚。

 

「オレはフィールド魔法【竜の渓谷】の効果を発動!1ターンに1度、手札を1枚捨て、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。オレはデッキの【輪廻竜サンサーラ】を墓地に送る!」

万丈目 手札:3→2枚

 

「オレは手札から【ゴーレム・ドラゴン】を召喚!」

万丈目 手札:1枚

 

<万丈目のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

暗黒の竜王 ★4 ATK1500

ゴーレム・ドラゴン ★4 ATK200

 

「オレは手札から魔法カード【ドラゴニック・タクティクス】発動!自分フィールド上に存在するドラゴン族モンスター2体をリリースして発動する。自分のデッキからレベル8のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する!オレはフィールドの【暗黒の竜王】と【ゴーレム・ドラゴン】をリリース!デッキから【トライホーン・ドラゴン】を特殊召喚!」

万丈目 手札:0枚。

 

<万丈目のフィールド>

竜の騎士 ★7 ATK2800

トライホーン・ドラゴン ★8 ATK2850

 

「おぉっ!アレはこの前に私が準にプレゼントしたレアカードじゃないか!」

 

「よぉーし!行けー!準ー!」

 

万丈目は少し恥ずかしそうにしながらも嬉しそうだ。

 

「バトルだ!【トライホーン・ドラゴン】で【武神姫-アマテラス】を攻撃!」

 

トライホーン・ドラゴン ATK2850

vs

武神姫-アマテラス ATK2600

 

「くっ!【武神姫-アマテラス】が破壊されたか。伏せカードを警戒せずに突っ込んでくるとはな」

ハノイ LP:4000 → 3750

 

「ふっ!まだまだだ!【竜の騎士】で【レスキューラビット】を攻撃!」

 

竜の騎士 ATK2800

vs

レスキューラビット DEF100

 

「【レスキューラビット】は戦闘破壊されるが、私にダメージはない」

 

「まだ終わりじゃない!リバースカードオープン!【竜の転生】発動!自分フィールドのドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。その自分のドラゴン族モンスターを除外し、自分の手札・墓地からドラゴン族モンスター1体を選んで特殊召喚する。!フィールドの【竜の騎士】を除外して、墓地から【創世竜】を特殊召喚!」

 

<万丈目のフィールド>

トライホーン・ドラゴン ★8 ATK2850

創世竜 ★6 ATK2200

 

「追撃だ!【創世竜】でダイレクトアタック!」

 

創世竜 ★6 ATK2200

 

「ぐおぉぉぉっ!」

ハノイ LP:3750 → 1550

 

「押してるぞー!準ー!」

 

「良し!行けるぞ準ー!」

 

「オレはこれでターンエンドだ!」

 

 

◆ハノイ LP:1550、手札:1、伏せカード:2

 

VS

 

◆万丈目 LP:4000、手札:0、伏せカード:0

 

<万丈目のフィールド>

トライホーン・ドラゴン ★8 ATK2850

創世竜 ★6 ATK2200

 

 

危なかったな。手札が事故っていたから伏せカードは2枚とも攻撃抑制できるカードじゃなかったんだよなぁ。もう少しで負けるところだった。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!私がドローしたカードは通常モンスター【バニーラ】!」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「私は【凡骨の意地】の効果でカードをもう1枚ドローする事ができる。ドロー!私がドローしたカードは通常モンスター【ワイト】!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私は【凡骨の意地】の効果でカードをもう1枚ドローする事ができる。ドロー!私がドローしたカードは通常モンスター【キーメイス】!」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「私は【凡骨の意地】の効果でカードをもう1枚ドローする事ができる。ドロー!私がドローしたカードは通常モンスター【プチリュウ】!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は【凡骨の意地】の効果でカードをもう1枚ドローする事ができる。ドロー!私がドローしたカードは通常モンスター【メカレオン】!」

ハノイ 手札:6→7枚。

 

「私は【凡骨の意地】の効果でカードをもう1枚ドローする事ができる。ドロー!私がドローしたカードは…通常モンスターではない。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:7→8枚。

 

とんでもない事故り方をしていたな。しかし、精霊のカードがドローしやすくなるっていうのは本当みたいだ。おかげでアッサリ負けるところだった。

 

「私は手札から【ダーク・ドリアード】を召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから地・水・炎・風属性モンスターを1体ずつ選び、好きな順番でデッキの上に戻す」

ハノイ 手札:7枚。

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 ATK1800

 

「あれが最近噂になっているペンデュラムモンスターか…」

 

「私は伏せカードの魔法カード【魔の試着部屋】発動!800ライフポイントを払う。自分のデッキの上からカードを4枚めくり、その中のレベル3以下の通常モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。それ以外のカードはデッキに戻してシャッフルする」

ハノイ LP:1550 → 750、手札:3枚。伏せカード:2→1

 

<【魔の試着部屋】でめくったカード>

①弾圧される民

②逃げまどう民

③団結するレジスタンス

④チューン・ウォリアー

 

「めくられたカードは全て通常モンスターだ。よって全てのモンスターを特殊召喚!」

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 ATK1800

弾圧される民 ★1 DEF2000

逃げまどう民 ★2 DEF600

団結するレジスタンス ★3 DEF600

チューン・ウォリアー ★3 ATK1600

 

【ダーク・ドリアード】の効果でデッキトップを変更しているから、4枚が全て任意のカードなのは確定なんだよなー。

 

「はっ!そんな雑魚モンスターを並べたところで何が出来る!」

 

「こういうことが出来るな。伏せカードの通常罠【大革命】発動!自分のメインフェイズで自分フィールド上に「逃げまどう民」「弾圧される民」「団結するレジスタンス」が表側表示で存在する時のみ発動する事ができる。相手の手札を全て墓地に送り、フィールド上の相手がコントロールするカードを全て破壊する!」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

「な、何ぃぃぃ!【トライホーン・ドラゴン】と【創世竜】が破壊された!?」

万丈目 モンスター:2→0

 

「そして、お前の言う雑魚モンスターは、こうやって力を合わせることもできる。レベル1【弾圧される民】とレベル2【逃げまどう民】とレベル3【団結するレジスタンス】にレベル3【チューン・ウォリアー】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル9【飢鰐竜アーケティス】!」

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 ATK1800

飢鰐竜アーケティス ★9 ATK1000

 

「レベル9モンスターのくせに攻撃力1000ではないか!」

 

「それはどうかな?」

 

「何っ!?」 カン☆コーン

 

「【飢鰐竜アーケティス】がS召喚に成功した場合に発動できる。そのS素材としたモンスターの内、チューナー以外のモンスターの数だけ、自分はデッキからドローする。私がS素材としたモンスターの数は3体。よって3枚ドロー!」

ハノイ 手札:7→10枚。

 

「そして、【飢鰐竜アーケティス】のカードの攻撃力・守備力は自分の手札の数×500アップする!私の手札は10枚!よって攻撃力が10×500、つまり5000アップする!」

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 ATK1800

飢鰐竜アーケティス ★9 ATK1000 → 6000

 

「こ、攻撃力6000!?」

 

「バトルフェイズに移行。【飢鰐竜アーケティス】でダイレクトアタック!」

 

飢鰐竜アーケティス ★9 ATK6000

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

万丈目 LP:4000 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

デュエル後、その場に四つん這いになる万丈目に話しかけてみた。

 

「どうだ?少しは雑魚モンスターの力を思い知ったかな?」

 

「…あぁ、悔しいが今回はオレの完敗だ。だが、次はオレが勝つ!」

 

なんか、俺とデュエルした奴って大体こういうこと言うよな。よほど悔しいんだろうなぁ。…おっ、そうだ。小物っぽさが消えた今の万丈目にならこのカードを渡してもいいかもな。

 

「お前にこれらのカードをやろう」

 

「ん?なんだ?…【光と闇の竜】…とんでもない効果だ!…こっちは【ライトエンド・ドラゴン】に【ダークエンド・ドラゴン】…シンクロモンスターか!」

 

漫画版GXの万丈目が使用していたカードだ。漫画版みたいなドラゴン族デッキを使うのなら、持っていて損は無いだろう。原作通り精霊のカードになっていたら良かったんだけど、贅沢は言えないか。

 

「どれも一癖あるモンスターたちだ。使うかどうかはお前に任せる」

 

「…だが、何故オレにこんなカードを渡す?お前に何のメリットがある?」

 

特にないよ。強いて挙げればロマンかな!…なんて言えないしなぁ。

 

「正直に言うとお前はまだそこまで強くない。だが、これからもそうだとは限らないからな。これは先行投資と言う物だ。早く私を満足させられるようなデュエリストになれ、万丈目」

 

「偉そうなことを言ってくれる。だが、後悔するなよ!オレは必ずお前よりも強くなって見せる!」

 

「良し!良く言ったぞ準!」

 

「それでこそ万丈目一族の男だ!」

 

闘志に満ちた瞳でこちらに宣言してくる万丈目。その姿を見て感動している万丈目兄弟。ホント、随分人が変わったなぁ。

 

でもまぁ、これなら本当に期待できるかもな。…原作GXストーリーが始まったら十代とオジャマトリオたちが酷いことになりそうな気もするが、何とかなるだろう。

 

~~~

 

夜も更けた頃、ようやく孤児院の前まで帰ってきたのだが、門の前に黒塗りの高級車が止まっている。近寄りたくない…。そう思っていると中からユーリとデニスが現れた。もう嫌な予感しかしないな。

 

「お帰りクロト、遅かったじゃないか」

 

「あぁただいまデニス、ユーリも。中に入らないのか?」

 

「世間話をしに来たわけじゃないのは分かっているんだろう?彼らの行方が掴めたよ」

 

あー、やっぱりな。ユーリの組織もLDSに協力してDr.ドクトル一味の行方をずっと追っていたからな。ここにいるってことは俺に教えに来てくれたんだろう。これ絶対巻き込まれる奴じゃん。

 

「ちなみに、どのあたりに居たんだ?」

 

「そろそろ流石に国外へ逃亡しているかと思ったら、思いのほか近くに潜伏していたよ。本当、図太い連中さ」

 

「国外にいるメンバーは確認できているメンバーはほぼ全員捕獲済みだけど、全員が囮だったよ。本命がいるのは…ハートランドシティさ」

 

この世界でもあの町は戦場になるのか…。悲惨すぎるな。ユートと瑠璃ちゃんはまた巻き込まれるんだな…。この町とも結構近いし、放置するよりかは協力者がいるうちに早めに潰しておくのがいいだろうな。連中には手加減する必要はないだろうし。

 

「当日はボクたちも参加することになってね。バレットさんも声が掛かっていたよ」

 

「ボクなんてランサーズの現場総指揮官に抜擢されてしまったよ。いくらボクが超有能だからって、普通小学校5年生に現場指揮を任せるかい?」

 

「他に出来そうな人が居なさそうだからなぁ」

 

「あ、当然のことだけど、君の参加は確定だからね?」

 

「知ってた。あれだけランサーズに関わった身だからな。覚悟はできていたさ」

 

流石にこのまま『あとはよろしく!』って言えるほど、神経太くないからね…。

 

「ならいいよ。今はシティ内外の調査や仕込みを作っているところさ。作戦開始の当日は、LDSはもちろんのこと海馬コーポレーションやI2社とも連携して事に当たることになるだろうね」

 

「ボクたちもバレットさんたちもそれぞれ準備があるし、それらの準備を踏まえると恐らく本格的な作戦開始日はGW前後になるかな?クロトもそれまでに準備を整えておいてくれ」

 

「了解だ」

 

せっかく新しい世界で新しい生活を送っているであろうユートや瑠璃や黒咲たちが原作と同じように不幸な目に合うのは、ちょっと気に入らないからな。俺の為にも彼らの為にも災厄を撒き散らすような連中には退場してもらおうかな。




前半は舞網チャンピオンシップ前後での出来事のまとめのような回です。オリ主は気が緩むと危機管理能力が著しく低下します。普通、未来改変後に突然現れた建物くらい警戒しそうなものです。

万丈目2戦目です。お兄さんたちとはなんだか仲良くなれたようです。むしろ若干ブラコン気味になっています。漫画版万丈目のカードは殆どカード化されていないので、残念ながら今回も大して強くないです。オリ主も【凡骨大革命】なんていう意味不明のロマンデッキを使いました。先行1ターン目で仕込みが完了すれば、後攻1ターン目には相手を全ハンデスできますが、そこまでうまくは行かなかったみたいですね。

次回の更新は12/31(木) AM8:00予定です。次回はこれまでの設定集のような感じになります。

戦車様、ストロー様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクター設定&世界設定(~第45話まで)

本作の今まで登場した主なキャラクター設定まとめ。

未登場のキャラクターも少し書いてあります。

※【遊戯十代】の項目に関しては、今後の展開に関するネタバレを含む可能性がありますのでご注意ください。

筆者のメモの様な物なので、思い出したかのように時々追加、修正、更新されるかもしれません。


◆登場キャラクター紹介(プロローグ~第45話まで)>

 

 

<オリジナル主人公>

 

【白河クロト】

 

■初登場:1話(5歳)

カードパワー :EX

カード知識 :EX

デュエルセンス :C

カードドロー力 :E

総合身体能力 :F

オカルトパワー :F

ギャンブル能力 :F

対人会話能力 :E

 

 

■第45話終了時点(12歳)

カードパワー :EX

カード知識 :EX

デュエルセンス :B

カードドロー力 :B

総合身体能力 :A

オカルトパワー :A

ギャンブル能力 :E

対人会話能力 :D

 

<目安>

EX: インチキチート

S: 反則級。逸般的な決闘者

A: 超人級。優秀な決闘者

B: 一般的な決闘者

C: 凡骨

D: 馬の骨

E: 負け犬

F: 雑魚

 

<備考>

神様転生者。原作10年前(DM変終了直後くらいに約5歳の子供として転生した。

元OCG次元のリアリスト。転生前の性格は事なかれ主義のサラリーマンタイプ。

転生特典① OCG次元の全カード、アニメ仕様の神のカード、アニメ仕様『No。』を持つ。

転生特典② OCG次元のカード知識、DM~VLAINSまでの原作知識。

現時点で12歳。誕生日は4月4日。転生後は幼い肉体に精神を引っ張られており、

年相応の性格となった。お気楽だけど負けず嫌い。時々調子に乗る。でも強敵からは逃げる。

VLAINSで登場した『ハノイの騎士』の恰好をして暗躍する。

様々な大会に色々なデッキを使って出場することにより、

不足気味だったデュエルセンスとドロー力の大幅な向上に成功する。

精霊界での修行により、絶望的だったオカルトパワーを高水準まで高めることに成功する。

そのついでに身体能力もかなり向上した。現状、満足同盟一歩手前くらいである。

魔力による身体強化を行えば、満足同盟以上、プロフェッサーコブラ未満くらいである。

修行の成果により、様々な技能とサイコデュエリストもどきの技能も入手した。

カードを手にして掲げ、【レッドポーション】発動!とかやると体力が少し回復する。

ギャンブルカードとの相性は最悪の一言。基本的に外れる。昔よりはマシになった。

大会や修行に時間を注いでいた為、コナミ達以外の交友関係はあまり広くないので、

コミニュケーション能力は低め。他者を説得したり誤解を解いたりするのは苦手。

同年代に比べて絶望的に低い身長を非常に気にしている。毎日の牛乳は欠かさない。

最近はよくDホイールの操縦練習をしている。魔力を使えば短時間だが空も飛べる。

世界の異物であり、そこに居るだけで世界改変を起こす迷惑な存在。

シンクロやエクシーズを世界に広める、原作キャラに介入して意識改革を図る。

など、目立たないところから少なからず世界に影響を与えている。

使用デッキは色々。

オカルト技能:身体強化、魔導波、魔導弾、魔力視、魔力探知、魔力障壁、幻想の呪縛、物質浮遊

精霊のカード:【バニーラ】【キーメイス】【ワイト】【プチリュウ】【メカレオン】

 

<精霊のカードの特殊能力>

バニーラ:誘発即時効果。自動防御。気付いたら勝手に実体化している。かわいい。

キーメイス:起動効果。マインドスキャンもどき。開錠。

ワイト集団:起動効果。低コストによる人海戦術が取れる。ワイトからはオリ主の位置がわかる。

プチリュウ:起動効果。飛行能力。魔力をより込めれば自動車並みの高速移動も可能。

メカレオン:起動効果。光学迷彩。音や匂いも消せる。

 

<オカルトパワー用語解説(原作DMとは細かいところが似て非なるオリジナル設定です)>

魔力(ヘカ)

→簡単に言うと、RPGで言うところの魔法攻撃力・魔法防御力です。

 

魔力量(パー)

→簡単に言うと、RPGで言うところのMP(マジックパワー)です。

 魔力を必要とする行動を取ると消費し、時間経過で回復します。

 

精霊(カー)

→主にカードの精霊や魔物のことを示します。

 

 

<タッグフォースキャラクター>

 

【赤羽コナミ】

 

■第45話終了時点(12歳)

カードパワー :S

カード知識 :A

デュエルセンス :S

カードドロー力 :S

総合身体能力 :S

オカルトパワー :EX

ギャンブル能力 :A

対人会話能力 :S

 

遊戯王タッグフォースシリーズの主人公。赤帽子に赤ジャケット。

公式チート(身体能力、デュエリスト技能、Dホイール操縦技能、オカルトパワー)

オリ主と同い年。原作とは違い無口ではない。

ドローパンが好きなのとデュエル狂なのは変わらず。男女問わずもモテる。

使用デッキは色々。デッキは拾った。

 

【レイン恵】

遊戯王タッグフォースシリーズ4以降の登場人物。ZONEの部下。

原作だと5D’s主人公の不動遊星が所属するチーム5D’sの監視をしている

ゴーストと呼ばれるサイボーグの1体。

本作だと居るだけで世界改変を起こす迷惑な存在であるオリ主の監視をしている。

初対面時に煽られて敗北したことで闘争心が芽生えてしまった。

使用デッキは【シンクロアンデット】。

 

<DMの主なキャラクター>

 

【武藤遊戯】

原作及びアニメ版DMの主人公。本作未登場。登場するかも未定。

使用デッキは【ハイランダー】

 

【海馬瀬人】

原作及びアニメ版DMの登場人物。本作未登場。多分、そのうち登場する。

使用デッキは【青眼】

 

【城之内克也】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその1。

本作だとプロリーグの中間くらいの順位でくすぶっていたところ、オリ主と出会う。

オリ主からレッドアイズや戦士族カード、ギャンブルカードを貰って使いこなしている。

ギャンブルに強く、彼にとって【カップ・オブ・エース】はただの強欲な壺である。

昔の友人や妹の静香、孔雀舞との関係は良好。

使用デッキは【真紅眼】

 

【孔雀舞】

原作及びアニメ版DMの登場人物。本作未登場。登場するかも未定。

使用デッキは【ハーピィレディ】【アマゾネス】

 

【海馬モクバ】

原作及びアニメ版DMの登場人物。海馬瀬人の弟。本作未登場。多分、そのうち登場する。

使用デッキは【サンダー・ドラゴン】

 

【河合静香】

原作及びアニメ版DMの登場人物。城之内克也の妹。

 

【インセクター羽蛾】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその2。

本作だとデュエルモンスターズから離れてペットショップを経営していてオリ主と出会う。

オリ主からインゼクターや昆虫族カードを貰って使いこなしている。

竜崎と共に遊戯や城之内へ謝罪し、過去の自分と決別した真人間。どうしてこうなった。

使用デッキは【インゼクター】

 

【ダイナソー竜崎】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその3。

本作だとプロリーグの試験すら通らずに腐っていたところを、オリ主と出会う。

オリ主からジュラック、エヴォルや恐竜族族カードを貰って使いこなしている。

羽蛾と共に遊戯や城之内へ謝罪し、過去の自分と決別した真人間。どうしてこうなった。

使用デッキは【ジュラック】【エヴォル】

 

【ペガサス・J・クロフォード】

原作及びアニメ版DMの登場人物。王国編のボスキャラ。I2社の会長。

本作だとアマチュアデュエリスト大会にゲストとして来ていたところをオリ主と出会う。

この世界で唯一、オリ主のこの世界への来歴を知っている。

シンクロ、エクシーズをオリ主の提案で世に解き放つ。

オリ主からトゥーン関連のカードを貰っている為、デュエル自身もかなり強い。

使用デッキは【トゥーン】

 

【パンドラ】

原作及びアニメ版DMの登場人物。バトルシティ編の中ボスキャラ。元奇術師。

本作だとDM時代にグールズとして働いていた悪行の生産の為に刑務所内の病院に入院していた。

そこをオベリスクフォースによって拉致されて洗脳され、オリ主の前に立ちはだかることとなる。

つい最近まで刑務所に居たため、シンクロ、エクシーズなどの知識はほぼ皆無。

デッキも変化がないため、相対的には弱くなっている。

使用デッキは【ブラック・マジシャン】

 

<遊戯王Rのキャラクター>

 

【天馬兄弟】

原作外伝である遊戯王Rの登場人物。I2社の社長、支部長。

本作だとペガサスの養子。兄が『月行』、弟が『夜行』

ペガサスに紹介されてをオリ主と出会う。

オリ主から話を聞いて、この世界にリミットレギュレーションを考案した。

更に、Dホイールを開発した。試作型1号機はオリ主にレンタル中。

使用デッキは特になし。

 

<GXの主なキャラクター>

 

【遊城十代】

 

■第45話終了時点(12歳)

カードパワー :?

カード知識 :C

デュエルセンス :A

カードドロー力 :EX

総合身体能力 :B

オカルトパワー :?

ギャンブル能力 :A

対人会話能力 :C

 

アニメ版GXの主人公。本作未登場。強すぎて本編までずっと出られない。

「正しき闇の力を持つ者」であり、幼いころから精霊の姿が見える。インチキドロー使い。

原作では、幼少期にユベルとの関係が上手く行かず、彼女をネオスと共に宇宙へと送っている。

だが「正しい波動を取り込むことで清くなって欲しい」という願いとは裏腹に破滅の光を浴び、

その力を取り込んでしまう結果を生んでしまい、アニメ第三期の事件へと繋がっていく。

本作では…。

使用デッキは【E・HERO】【?-????】【???】

 

【丸藤翔】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【ロイド】

 

【前田隼人】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【オーストラリア】

 

【万丈目 準】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその1。

幼少期にオリ主に雑にボコられて謎の自信と慢心が無くなる。

凹んでいたところを慰められて兄2人と和解して仲良くなる。

打倒オリ主と言う目標が出来て向上心が増す。遊城十代の黒星候補その1。

使用デッキは色々。今は【ドラゴン族】

 

【天上院 明日香】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその2。

幼少期にオリ主とデュエルして【サイバーエンジェル】を早期から入手する。

オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来て闘争心が増す。遊城十代の黒星候補その2。

使用デッキは【サイバーエンジェル】

 

【    】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場?原作開始後はラーイエローの生徒。

舞網チャンピオンシップに出場していたらしい?

使用デッキは色々。主に【ウォーター・ドラゴン】

 

【天上院 吹雪】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその3。

幼少期にオリ主とデュエルして【獣戦士族】のカードを大量入手する。

オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来て闘争心が増す。遊城十代の黒星候補その3。

使用デッキは【獣戦士族】

 

【丸藤 亮】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその4。

幼少期にオリ主とデュエルして【サイバー流】のカードを大量入手する。

オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来てデュエル中の殺意が増す。

LPが2000を下回ると温厚なカイザー亮から勝利をリスペクトするヘルカイザー亮に変身する。

遊城十代の黒星候補の筆頭。

使用デッキは【表サイバー流】【裏サイバー流】

 

【エド・フェニックス】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。

オリ主の世界改変の影響をモロに受けそうな人。そのおかげで助かった命もある…かも?

プロリーグで【D-HERO】を使わない舐めプをすると響紅葉や綺麗な強化虫野郎あたりに

瞬殺されると思われる。

使用デッキは【D-HERO】だが、今は別のデッキ。

 

【斎王 琢磨】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。

アニメ第二期で破滅の光に洗脳されて光の結社を作ることになる黒幕兼被害者。

オリ主の世界改変の影響をモロに受けそうな人。

オリ主やコナミのことを占うと謎の力に邪魔されそう。

使用デッキは【アルカナフォース】。

 

【ティラノ剣山】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【恐竜族】

 

【早乙女 レイ】

アニメ版GXの登場人物。丸藤亮の追っかけ。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその5。

オリ主より5歳年下。【恋する乙女】のカードを入手する前にオリ主より【ライトロード】を

渡された為、同年代で彼女に勝てる小学生は居ない。遊城十代の黒星候補その4。

使用デッキは【ライトロード】

 

【ヨハン・アンデルセン】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアークティック校チャンピオン。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【宝玉獣】

 

【オースチン・オブライエン】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのウエスト校生徒。本作未登場。

そのうち出るかも知れない。

使用デッキは【ヴォルカニック・バーン】

 

【ジム・クロコダイル・クック】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのサウス校チャンピオン。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。OCG化の時期の関係により、留学生の中では頭一つ抜けて強い。

使用デッキは【化石融合】

 

【アモン・ガラム】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのイースト校チャンピオン。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。OCG化の時期の関係により、留学生の中では頭一つ抜けて残念。

使用デッキは【雲魔物】

 

【クロノス・デ・メディチ】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの講師。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

女神による世界改変における被害者の一人。よりにもよって自身と同じデッキが世界規模の

テロリストにシンボルデッキとして使用されてしまう。

使用デッキは【古代の機械】

 

【鮫島】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの校長。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【サイバーオーガ】

 

【大徳寺】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの講師。セブンスターズの一人。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【錬金術】

 

【他セブンスターズ】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第一期にて【三幻魔】の復活を狙う【影丸】の手下。

本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは個人ごとに異なる

 

【影丸】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第一期にて【三幻魔】の復活を狙う黒幕。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【三幻魔】

 

【DD】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までに出る。

アニメ第二期にて【D-HERO Bloo-D】を巡ってエドと争うことになる。

原作だとエドの父親を殺害して【D-HERO Bloo-D】を強奪した張本人。

今作では…。

使用デッキは不明。

 

【コブラ】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。本作未登場。多分、そのうち出る。

アニメ第三期にてデュエルアカデミアにやってくる講師。

原作だと死んだ息子のリックを生き返らせようとして暗躍するが今作では…。

使用デッキは【ヴェノム】。

 

【ユベル】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場?いつ出てきても不思議ではない。

アニメ第三期にて【遊城十代】を巡る戦いで世界の融合を狙うことになる黒幕。

元【遊城十代】の精霊のカード。前世からの【遊城十代】の守護者。

遊戯王史上ベスト5には入るであろうやべー奴。オリ主は絶対に自分から関わらない。

原作だと、「破滅の光」により邪心を与えられてしまったが今作では…。

使用デッキは【三幻魔】【ユベル】

 

【藤原 優介】

アニメ版GXの登場人物。丸藤亮や天上院吹雪と同期生。

アニメ第四期のキーパーソン。

本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【クリアー】

 

【ミスターT】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第四期の【ダークネス】の手下。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは色々。

 

【ダークネス】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第四期の黒幕。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

遊戯王史上、最大のオカルトパワーの持ち主。オリ主にとって最大の悩みの種。

使用デッキは【ダークネス】

 

<漫画版GXの主なキャラクター>

 

【響紅葉】

漫画版GXの登場人物。現役のプロデュエリスト。

漫画GXシリーズにおける本作の魔改造キャラ。

原作だと黒幕の襲撃を受けて昏睡状態に陥っていたが本作だと普通に元気。

オリ主からOCG版【E-HERO】を大量に渡されたのでかなり強い。

DDの王座陥落は間近。

使用デッキは【E・HERO】

 

【響みどり】

漫画版GXの登場人物。響紅葉の姉。

原作だとデュエルアカデミアのオシリスレッド1年生担当の講師。

本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【堕天使】

 

【レジー・マッケンジー】

漫画版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアメリカ校の生徒。

原作だと紅葉と「闇の決闘」を行った本人で黒幕に操られていた。

本作未登場。多分、そのうち出る。

使用デッキは【天使族】

 

【デイビッド・ラブ】

オイオイこれじゃ・・・Meの勝ちじゃないか!

 

【トラゴエディア】

漫画版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアメリカ校の校長であるレジー・マッケンジーの

父親の体を乗っ取った精霊。原作だと漫画版GXの黒幕。本作未登場。多分、そのうち出る。

使用デッキは不明。

 

<5D’sの主なキャラクター>

 

【ZONE】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だとアニメ版5D’sの黒幕。

本作だと過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたり監視したり話し合いしたりする人。

使用デッキは【時戒神】。

 

【アンチノミー】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だとアニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。

本作だと過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたりフォローしたりしている人。

使用デッキは【テックジーナス】。

 

【アポリア】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だとアニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。

本作だと過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたり怒ったりしたりする人。

使用デッキは【機皇】。

 

【パラドクス】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だとアニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。

使用デッキは【Sin】。

 

【牛尾 哲】

原作漫画の遊戯王、遊戯王5D’sの登場人物。武藤遊戯や城之内克也の同級生。

原作漫画だと第一話に登場して最初に罰ゲームを受ける人。

アニメ版5D’sだと主人公の不動遊星と最初にデュエルする人物でもある。

あの【ゴヨウ・ガーディアン】の使い手。

本作だとまだ二十代半ばなので、【ゴヨウ】デッキは持っていないだろうし、

登場もするはずがないのだが…。

使用デッキは【ゴヨウ(戦士族シンクロ)】。

 

【不動博士】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

5D’s本編開始時点では故人。

原作だとアニメ版5D’sの物語の根幹をなすモーメントの開発者。

使用デッキは不明。

 

【ルドガー・ゴドウィン】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

原作だとアニメ版5D’sの第一部のボスキャラ。

使用デッキは不明。

 

【レクス・ゴドウィン】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

原作だとアニメ版5D’sの第一部のボスキャラ。

使用デッキは不明。

 

<アークファイブの主なキャラクター>

 

【榊遊矢】

アニメ版アークファイブの主人公。榊遊勝の息子。ペンデュラム召喚の祖。オリ主より1つ年下。

本作だと榊遊勝を尊敬する一人のエンタメデュエリスト見習い。

彼の視点からでは、謎の言いがかりをつけて父親を逮捕したオリ主がとても憎い。

使用デッキは【EM】

 

【柊柚子】

アニメ版アークファイブのヒロイン。榊遊矢の幼馴染。柊修造の娘。オリ主より1つ年下。

使用デッキは【幻奏】

 

【権現坂昇】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の幼馴染。オリ主より1つ年下。

使用デッキは【超重武者】

 

【紫雲院素良】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の友人。オリ主より2つ年下。

使用デッキは【デストーイ】

 

【葉月ユーリ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと唯我独尊な性格だったが、本作はそれほどでもない。

本作では葉月グループの御曹司にしてセレナの従兄妹。

この年で既に両親から経営と統率者としての手腕を認められ、財閥の一端を担う会社の経営者。

ハイスペックな人間が多いオリ主の周りでも特に頭一つ抜けて優秀だが好き嫌いの激しく毒舌。

友人兼部下にデニスが居る。

使用デッキは【捕食植物】

 

【葉月セレナ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと好戦的な面が強かったが、今回はそれほどでもない。

本作ではオリ主と同じ地域に住むお嬢様。世間知らずで素直な娘となっている。

オリ主とはデュエルの家庭教師と教え子の関係。身体能力・知力ともに高水準。

国内トップクラスの富を持つ葉月グループ分家の一人娘。護衛兼執事にバレットが居る。

使用デッキは【月光】

 

【速水ユーゴ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だとDホイールの修理は出来るのに文字を書くのは苦手だった。

本作では義務教育を受けているので成績はかなり良い。身体能力も学校内ではスバ抜けて高い。

元々は童実野町の施設出身。今はオリ主と同じ孤児院に住む。

使用デッキは【SR】

 

【風祭リン】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だとユーゴ以外との絡みがほとんど無く、あまり出番がなかった。

本作だと日常パートにちょくちょく出てくる。常識人枠。

強気な性格で、容姿端麗・スポーツ万能・頭脳明晰で対人会話能力も高い為、学校の人気者。

元々は童実野町の施設出身。今はオリ主と同じ孤児院に住む。

使用デッキは【WW】

 

【デニス・マックフィールド】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユーリの友人兼部下。オリ主より1つ年下。

今作はユーリの幼馴染。ユーリの両親の部下がデニスの両親と言う関係。

使用デッキは【Em】

 

【バレット】

アニメ版アークファイブからの登場人物。元軍人。現執事。

本作でもセレナの護衛。兼任して執事もしている。

使用デッキは【獣闘機】

 

【黒咲隼】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユートの友人。瑠璃の兄。オリ主より2つ年上。

原作では次元戦争により荒んだ性格になっていたが、今作では少しだけマシ。

そのかわりシスコン具合が進行している。

使用デッキは【RR】

 

【ユート】

アニメ版アークファイブの登場人物。黒咲隼&瑠璃の友人。オリ主より1つ年下。

原作では次元戦争により荒んだ正確になっていたが、今作では少しマシ。

本作では不幸体質となっているため、苦労性が悪化している。苗字がまだ決まっていない。

使用デッキは【幻影騎士団】

 

【黒咲瑠璃】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユートの友人。黒咲隼の妹。オリ主より1つ年下。

原作では次元戦争で誘拐されたり洗脳されたりしたが、今作ではかなりマシ。

本作ではシスコン具合が悪化した兄と不幸体質の友人と一緒にいることが多いため、

トラブルに巻き込まれやすいのは変わらない。

使用デッキは【LL】

 

【ズァーク】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現プロデュエリスト。

本作だと今のところ一般的なプロデュエリスト。今のところオリ主との直接的な接触はない。

使用デッキは未定。

 

【榊遊勝】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の父親。

原作だとスタンダード、エクシーズ、融合次元を渡り歩いて次元戦争を止めようとしていた人物。

今作では洗脳されて敵になる。

使用デッキは【EM】スカイマジシャン軸。

 

【榊洋子】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の母親。

原作だとよく凹みがちな息子を励ます良い母親。息子に【スマイル・ワールド】を渡した張本人。

今作では特に出番はなさそう。

使用デッキは不明。

 

【柊修造】

アニメ版アークファイブの登場人物。柊柚子の父親。

原作だとスタンダード次元で遊勝塾の塾長を代行している男性。

今作では特に出番はなさそう。

使用デッキは不明。

 

【赤馬零児】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年上。赤馬零王の息子。

LDS(レオ・コーポレーション)の現社長。

本作は親と榊遊勝を尊敬する有能な経営者。色々あってオリ主がかなり嫌い。

いつかデュエルで倒して凹ましてやろうと考えている。

使用デッキは【DD】

 

【赤馬零王】

アニメ版アークファイブからの登場人物。ハゲ。

原作だと娘を蘇らせる為に全次元世界に次元戦争を引き起こした元凶。

本作は元LDS社長にしてリアルソリットビジョン研究所の所長。ただの親馬鹿な科学者。

リスクマネジメントはそこまで上手くない模様。ある意味ではやはり元凶なオッサン。

 

【赤馬レイ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の娘。

原作だと最初の世界に出現した覇王龍ズァークを封印した後に次元と共に4人に別れる。、

本作は赤馬零王の長女にしてリアルソリットビジョン研究所の所員。元プロデュエリスト。

親孝行な科学者。特撮趣味と言う謎の属性が追加されている。

 

【赤馬日美香】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の嫁。赤馬零児と赤馬レイの母親。

本作未登場。多分このままずっと出ない。

 

【赤馬零羅】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の次男。

本作未登場。多分このままずっと出ない。

 

【アレン&サヤカ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。エクシーズ次元の住人。

本作未登場。多分そのうち出るけれど、会話だけのモブキャラ。

 

【タイラー姉妹】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現タッグプロデュエリスト。マッタイラー。

本作だと仲のいい姉妹。姉がグロリア、妹がグレース。本作でもマッタイラー。

使用デッキは【アマゾネス】

 

【ジャン・ミシェル・ロジェ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現テロリスト。

本作だと元デュエルアカデミアの講師、元LDSの警備部門長。現テロリスト。

機械による催眠にて手駒を増やすリアリスト。原作と同様に、自らの王国を作ろうと目論んでいる。

使用デッキは【古代の機械】

 

【Dr.ドクトル】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現テロリスト。

本作だとリアルソリットビジョン研究所の科学者。

虫による催眠にて手駒を増やすリアリスト。その目的は不明。

使用デッキは不明。

 

<精霊界の住人>

 

【正義の味方カイバーマン】

精霊界の王様。精霊の湯を使って精霊界にやってきたオリ主に道を説く。

オリ主への評価は今のところ凡骨くらい。

 

【ブラック・マジシャン】

精霊界の住人。オリ主が良くお世話になる村の近くにある森の奥で弟子と二人で住んでいる。

見た目はパンドラ版。性格は穏やかだが、魔術に関しては厳しめ。オリ主の魔術の師匠。

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

精霊界の住人。オリ主が良くお世話になる村の近くにある森の奥で師匠と二人で住んでいる。

見た目は幻想の見習い魔導師に近い。性格はダウナー系だが心配性。オリ主の魔術の姉弟子。

 

【バニーラ】

精霊界の住人。修行中のオリ主にニンジンを貰った縁で懐いた。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【キーメイス】

精霊界の住人。修行中のオリ主に迷子になっていたところを手伝ってもらった縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【ワイト】

精霊界の住人。修行中のオリ主に骨折していたところを手助けしてもらった縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【プチリュウ】

精霊界の住人。修行中のオリ主とかくれんぼ対決をした縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【メカレオン】

精霊界の住人。修行中のオリ主とかくれんぼ対決をした縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【斬首の美女】

精霊界の住人。修行中のオリ主が良くお世話になる村の用心棒の一人。

村で雑用をこなすオリ主の姿を見て声を掛けたことが縁で仲良くなる。

 

【伝説の剣豪MASAKI】

精霊界の住人。修行中のオリ主が良くお世話になる村の用心棒の一人。

村で雑用をこなすオリ主の姿を見て声を掛けたことが縁で仲良くなる。

 

【無敗将軍 フリード】

精霊界の住人。切り込み隊長などを含む戦士族軍主体の連合軍を率いる将軍。

ハ・デス率いる悪魔族軍、タイラント率いるドラゴン族軍と日夜戦っている。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に精霊界の勢力図に付いて教えてくれる。

 

【切り込み隊長】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に野外料理の方法を教えてくれる。

 

【戦士ダイ・グレファー】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に因縁のある女戦士について楽しく語る。

 

【荒野の女戦士】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主にストーカー被害について愚痴をこぼす。

 

【エルディーン】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に魔術の手ほどきをしてくれる。

 

【戦士ラーズ】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に剣術の手ほどきをしてくれる。

 

【衛生兵マッスラー】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に応急手当の手ほどきをしてくれる。

 

<オリジナルキャラクター>

 

【シスターセシリア】

孤児院の経営者&責任者。

オリ主が神様転生時に出会った女神&教会の女神像に瓜二つ。お酒好き。

この世界の創造主のお告げが聞こえ、創造主から不思議なアイテムを授かることがある。

 

【相沢 柳】

孤児院の近所にある服屋の女性店主。

ハノイの騎士コスチュームの製作者。甘党。シスターセシリアと小学生からの幼馴染。

 

【鈴木】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人A。

モデルはドラ〇もんのジャ〇アン。

 

【佐藤】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人B。実は田中妹の彼氏。

モデルはドラ〇もんの出〇杉。

 

【田中】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人C。

モデルはドラ〇もんのの〇太。中二病時はポ〇モンのグラ〇オ。

 

【田中妹】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人D。実は佐藤の彼女。田中の1つ下の妹。

モデルはドラ〇もんのし〇かちゃん。

 

◆この世界における各町の情報

 

<主人公たちが住んでいる町>

日本の中部~関西エリアにある。名前はまだない。方言も特になし。

特別栄えても居ないし、錆びれてもいない町。

最近、Dホイール専用のスタジアムと大型のデュエルレーンが完成した。

 

<魔境・童実野町>

日本の関東エリアにある、全世界でも有数の犯罪多発エリア。ここ数年でかなり改善されている。

数年前より完成した埋立地に最新のエネルギー発生施設を建造中。

  

<舞網市>

日本の関東エリアにある、現在、世界で唯一アクションデュエルが行われている地域。

市の中心にLDSの本社ビルが建っており、市外にはリアルソリットビジョン研究所が存在する。

町のあちこちにデュエル塾があり、アクションデュエル特化の独自の流派が多数存在する。

 

<ハートランドシティ>

日本の中国エリアにある、現在、日本で最大の化学力で栄えている町。方言は特になし

町の至る所に清掃用ロボが配置されており、あちこちにデュエルスクールがある。

デュエルゲイザーなるアイテムを取り付けた新型デュエルディスクの開発も行われている。

 

◆この世界における各世界の情報

遊戯王GXの世界は、宇宙が1枚のカードから生まれたというトンデモ設定。

オリ主たちが住まう人間界以外にも11の世界があり、合計12の世界がある。

世界の名称は仮称。

 

【人間界】

オリ主たちが住んでいる世界。

 

【精霊界】

カードの精霊のカイバーマンが治める世界。

 

【墓守界】

カードの精霊の墓守の一族が住まう世界。セブンスターズ編で訪れる世界。

 

【砂漠界】

カードの精霊の住まう世界。ユベル編の異世界転移先その1。

 

【覇王界】

カードの精霊の住まう世界。ユベル編の異世界転移先その2。

 

【牢獄界】

暗黒界の罠により、万丈目や明日香たちが幽閉されていた世界。

 

【他の世界×6】

どのような世界かは不明?

 

◆一般デュエリスト達の実力具合の目安。※あくまで目安。

高校生未満デュエリストの初動 → モンスター召喚+伏せ2枚くらい。

高校生以上デュエリストの初動 → 上級モンスター召喚+伏せ1枚くらい。

大会出場デュエリストの初動 → 上級モンスター召喚+伏せ2~3枚くらい。

 

基本的に『LIGHT OF DESTRUCTION』までのカードを使用。

 

◆一般デュエリスト達への各召喚方法の浸透具合

アドバンス召喚 → 99%

融合召喚 → 90%

儀式召喚 → 80%

シンクロ召喚 → 50%

エクシーズ召喚 → 40%

ペンデュラム召喚 → 10%

リンク召喚 → 0%

 

◆三幻神のカード(アニメ)について。

・効果はアニメ遵守。

・ラーのみ古代神官文字を読む必要あり。※オリ主は通常状態では読めない。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生しない。

・コピーカードを使うと神の怒りを買う?→詳細は不明なのでスルー。

・本来の物はアテム帰還と共に地下深くへ落下して消失。

・オリ主のみ所持。効果こそ同じだが本来の物とは別物。

 

◆三幻神(OCG)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆三邪神(原作)のカードについて。

・効果は原作遵守。

・所持者なし。

 

◆三邪神(OCG)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆三幻魔(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・世界中のカードを白紙にする?

・所持していると若返る?

・オリ主は未所持。

 

◆三幻魔(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆超融合(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・世界を融合したり、人と精霊を融合したりできる。

・オリ主は未所持。

 

◆超融合(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆プラネットシリーズのカードについて。

・効果はOCG遵守。

・所持者不明。

・オリ主のみ所持。効果こそ同じだが本来の物とは別物。

 

◆シグナーの竜(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・所持者なし。

 

◆シグナーの竜(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆決闘竜(原作)のカードについて。

・効果は原作遵守。

・所持者なし。

 

◆決闘竜(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆地縛神(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・召喚には人々の魂を捧げる必要がある。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・究極の地縛神(強い)

・オリ主は未所持。

 

◆地縛神(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

・究極の地縛神(笑)

 

◆三極神(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・現時点では何処かに封印されている。

・所持者なし。

 

◆三極神(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆イリアステル(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・所持者はイリアステル。

 

◆イリアステル(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆No.(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ順守。『No.以外には戦闘破壊されない』効果は共通効果。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生しない仕様。

・オリ主のみ所持。

 

◆No.(OCG)のカードについて。

・効果はOCG版順守。

・オリ主のみ所持。

 

◆覇王(アニメ)・魔術師(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ順守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・所持者なし。

 

◆覇王(OCG版)・魔術師(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG版順守。

・オリ主のみ所持。

 

◆リンクモンスターのカードについて。

・出す予定がないのでスルー。

 

 

◆この世界における現状のリミットレギュレーション

 

<禁止カード>

【八汰烏】

【イレカエル】

【魔導サイエンティスト】

【ファイバーポッド】

【カオスポッド】

【サイバーポッド】

【処刑人-マキュラ】

【サンダー・ボルト】

【ハーピィの羽根帚】

【遺言状】

【マスドライバー】

【王家の神殿】

【苦渋の選択】

【いたずら好きな双子悪魔】

【押収】

【強引な番兵】

【心変わり】

【強奪】

【洗脳-ブレインコントロール】

【蝶の短剣-エルマ】

【生還の宝札】

【現世と冥界の逆転】

【ラストバトル!】

【第六感】

【刻の封印】

 

<制限カード>

【封印されしエクゾディア】

【封印されし者の左足】

【封印されし者の左腕】

【封印されし者の右足】

【封印されし者の右腕】

【混沌帝龍-終焉の使者-】

【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】

【キラー・スネーク】

【メタモルポット】

【キャノン・ソルジャー】

【トゥーン・キャノン・ソルジャー】

【混沌の黒魔術師】

【お注射天使リリー】

【聖なる魔術師】

【闇の仮面】

【連弾の魔術師】

【深淵の暗殺者】

【強欲な壺】

【天使の施し】

【死者蘇生】

【ブラック・ホール】

【苦渋の選択】

【大寒波】

【光の護封剣】

【リミッター解除】

【団結の力】

【魔導師の力】

【手札抹殺】

【デス・メテオ】

【火炎地獄】

【大嵐】

【ハリケーン】

【早すぎた埋葬】

【悪夢の蜃気楼】

【未来融合-フューチャー・フュージョン】

【聖なるバリア -ミラーフォース】

【落とし穴】

【死のデッキ破壊ウイルス】

【破壊輪】

【血の代償】

【王宮の勅命】

【リビングデッドの呼び声】

【魔法の筒】

 

<準制限カード>

【悪夢の拷問部屋】

 

<エラッタ(名称ターン1制限)>

【カタパルト・タートル】

【レスキューキャット】

 

<エラッタ(OCG順守)>

【クリッター】

【黒き森のウィッチ】




今回は本作の設定資料です。

登場人物が多すぎて、この手の物がないと筆者の頭では覚えきれません。

次回からは新章突入。

次回の更新は、1/1(金) AM6:00予定です。

辛麺焼き様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作3年前 ハートランドシティ騒動編
第四十六話 オベリスクの巨神兵


新章突入です。

対戦相手はオベリスクフォース三人です。

2021/6/15 誤記修正ついでに表記方法を最新のフォーマットに統一しました。誤記・デュエル展開ミスの修正に関しては後日対応予定です。


 とうとう中学校1年生となったGW前日の夜、13歳となった俺は精霊界にて黒魔術師の師弟と会っていた。

 

「クロトよ。何度も言うようだが、無理をするでないぞ?」

「弟弟子は無茶ばかりするから心配」

「俺も死にたくないから程々に頑張りますよ」

 

 そうして以前から黒魔術の師弟と共に制作していた腕輪型の千年アイテムの紛い物を握りしめる。

 恐らく本物ほどではないのだろうが、少なくない闇の力が溢れてくる。

 

「そのブレスレットは過去に存在した千年アイテムを模倣して作った品、模造品とはいえ闇の力を発していることに変わりはないのだ」

「それさえあれば、今の弟弟子にも一時的に神のカードが使えるようになる」

「ええ、本来だと今のオレでは神のカードを扱うには実力不足ですが、このブレスレットがあればラーの召喚に必要な古代神官文字を読むことが出来ます」

「それに加えて、このブレスレットには他人からの悪意ある干渉を抑える力もある」

「弟弟子が言っていた人間をカード化するという力を無効化することもできるはず」

「これだけで助かりますよ」

 

 これさえあれば例えデュエルで敗北したとしてもカードにされることはなくなる。一日に何度もは使えないが、カード化された人間を元に戻すことも可能だろう。それだけで十分だ。

 

「バニー!」

「リューン!」

「どうやら迎えが来たようだな」

「弟弟子、武運を祈ってる。必ず無事で帰ってきなさい」

「了解です。それでは行ってきます」

 

 黒魔術の師弟にお礼を言って別れ、俺は迎えに来たバニーラとプチリュウを連れて人間世界へと戻っていく。

 明日からは激動のハートランドシティ。俺の平穏の為に、奴らにはさっさと駆逐されてもらおう。

 

~~~

 

 本来は賑やかで楽しげな声が響くであろうハートランドシティの広間は黒煙と硝煙の匂いに満ちていた。

 町の至る所でビルが半壊し、人々の悲鳴が聞こえる。

 

「バレットはランサーズA班からE班までを連れてシティ東側の調査を頼むよ。デニスはランサーズF班からJ班までを連れてシティ西側の調査だ。いいね?」

「了解した。お嬢様の敵となりえる組織など、我が勲章にかけて殲滅してくれよう」

「了解、了解。こういう息苦しくてつまらないことは早めに終わらせて、エンターテインメントの勉強に戻りたいからね」

 

 現場指揮者として現地にやってきているユーリの命令を受け、臨時の支援要請を受けたバレットとユーリの部下であるデニスが命令を受諾してランサーズを連れて動き出す。

 

「LDSのデュエリスト達もスリーマンセルを組んでシティのあちこちを調査しているみたいだね。そちらの指揮はLDSの若社長がやっているみたいだ」

「他には、警察や自衛隊が出動して市民の救助に当たっているみたいだな。あとは海馬コーポレーションとインダストリアル・イリュージョン社の人間が町の救援に来ているらしいな」

「あの2社は君からの情報を受けて独自で行動しているみたいだね。彼らのことは彼らの自己責任に任せるとして…クロト、君は部下を付けずに単独行動でいいんだね?」

「あぁ、このハノイの騎士の姿とDホイールは色んな意味で人目を引くだろうからな」

 

 ユーリは護衛のランサーズ数名と共にこの場所に待機してデュエルディスクの通信機能とGPSを使用した作戦司令として行動する。

 俺は単独で他のメンバーが向かっていない重要ポイントへI2社から借用しているDホイールで急行する役割だ。

 

 場慣れしていない赤馬親子はシティから少し離れた位置でランサーズの護衛と一緒に情報統制を行っている。他にも彼らが雇ったプロデュエリストも何人かこの町の騒動の鎮圧に来ているらしい。

 ちなみに、優秀な戦力になるであろうコナミとユーゴは連れてきていない。同じく連れてきていないセレナとリンに付いてもらっている。そもそも彼らには巻き込まないように今日の作戦について話していないからな。

 一応、バレットの部下の監視が付いている為、向こうに何かあったらバレット経由で連絡が入るだろう。

 

「クロト、早速連絡が入った。Cー4エリアにて何者かがオベリスクフォース数名と交戦中みたいだ。急行してくれ」

「了解だ」

 

 そういうとヘルメットを被り直してDホイールを走らせる。今日は長い一日になりそうだ…。

 

~~~

 

 高層ビルが立ち並ぶそのエリアでは、テロリストによる暴虐がその場を支配していた。

 

「うわぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」

「くっくっく!これで7人目だ!」

 

 そういって青スーツの仮面男たちがデュエルディスクを空に掲げると、デュエルディスクから発せられた桃色の光が逃げようとしていたLDSのデュエリスト数名を包み込む…。

 そして、数秒後にそこに残ったカードを仮面の男たちは楽しそうに拾い上げた。

 

「弱すぎてつまらんなぁ」

「ハンティングゲームにしても、もう少し難易度が高い方が面白いというものだ」

「仕方あるまい。我々が強すぎるのだから!はははははっ!」

 

 高笑いを続ける青いスーツに奇妙な仮面男が3人。そこへ…。

 

「そうか。じゃあ今度は私の相手をしてもらおうか?」

 

 Dホイールで爆走してきた白いスーツで別の仮面を付けた少年が到着する。

 

「なんだ貴様は?」

「またカモがやってきたみたいだな」

「はははっ!貴様もカードにしてやろう!」

「御託は良い、デュエルディスクを構えろ雑魚ども。時間がもったいないのでまとめて相手をしてやろう」

 

 Dホイールを降りてデュエルディスクを構える。すぐさま魔力探査を起動して、周囲500mに他の人間が居ないことを確認する。

 そして、黒魔術師の師弟から授かったブレスレットをみると正常に機能しているようだ。この条件下でならば…。

 

「変則デュエルだ。三人まとめてかかってくるといい。私は初期手札を10枚貰うが、LPは4000でいいぞ」

「なんだと貴様ぁ!」

「我々を前にして生意気な!」

「後悔しろよ変な仮面のガキィ!」

 

 こんな連中にかける挨拶は必要ないだろう。早めに片付けよう。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:4000、手札:5枚

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:5枚

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:5枚

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォA 手札:5→6枚。

 

「オレは【古代の機械猟犬】召喚!効果発動!お前に600LPダメージを与える!」

オベフォA 手札:6→5枚。

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

 

【古代の機械猟犬】

効果モンスター

星3/地属性/機械族/攻1000/守1000

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。相手に600ダメージを与える。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、「アンティーク・ギア」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「…」

ハノイ LP:4000 → 3400

 

「無反応か、不気味なガキだ」

「ビビッてるんじゃねえのか?」

 

「オレは【古代の機械猟犬】の更なる効果発動!オレは手札の【古代の機械猟犬】2体を融合!【古代の機械双頭猟犬】を融合召喚!」

オベフォA 手札:5→3枚。

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

古代の機械双頭猟犬 ★5 ATK1400

 

【古代の機械双頭猟犬】※アニメオリジナルカード

融合・効果モンスター

星5/地属性/機械族/攻 1400/守 1000

「古代の機械猟犬」+「古代の機械猟犬」

(1):このカードが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードを発動できない。

(2):1ターンに1度、相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。そのモンスターにギア・アシッドカウンターを1つ置く(最大1つまで)。この効果は相手ターンでも発動できる。

(3):ギア・アシッドカウンターが置かれているモンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

オベフォA 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3400、手札:10枚

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

古代の機械双頭猟犬 ★5 ATK1400

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:5枚

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:5枚

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォB 手札:5→6枚。

 

「オレは【古代の機械猟犬】召喚!効果発動!お前に600LPダメージを与える!」

オベフォB 手札:6→5枚。

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

 

「…」

ハノイ LP:3400 → 2800

 

「くっくっく!震えているのか?」

「さっさと片付けてやれよ?」

 

「オレは【古代の機械猟犬】の更なる効果発動!オレはフィールドの【古代の機械猟犬】と手札の【古代の機械猟犬】2体を融合!【古代の機械参頭猟犬】を融合召喚!」

オベフォB 手札:5→3枚。

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械参頭猟犬 ★7 ATK1800

 

【古代の機械参頭猟犬】※アニメオリジナルカード

融合・効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻 1800/守 1000

「古代の機械猟犬」+「古代の機械猟犬」+「古代の機械猟犬」または「古代の機械猟犬」+「古代の機械双頭猟犬」

(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる。

(2):このカードが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードを発動できない。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

オベフォB 手札:3→1枚。伏せカード:0→2

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3400、手札:10枚

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

古代の機械双頭猟犬 ★5 ATK1400

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械参頭猟犬 ★7 ATK1800

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:5枚

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォC 手札:5→6枚。

 

「オレは【古代の機械猟犬】召喚!効果発動!お前に600LPダメージを与える!」

オベフォC 手札:6→5枚。

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

 

「…」

ハノイ LP:2800 → 2200

 

「くっくっく!もうLPが残り少ないぞ?」

「チビッちまったかぁ?」

 

「オレは【古代の機械猟犬】の更なる効果発動!オレはフィールドの【古代の機械猟犬】と手札の【古代の機械合成竜】と【古代の機械騎士】と【古代の機械兵士】を融合!【古代の機械混沌巨人】を融合召喚!」

オベフォC 手札:5→2枚。

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500

 

【古代の機械混沌巨人】

融合・効果モンスター

星10/闇属性/機械族/攻4500/守3000

「アンティーク・ギア」モンスター×4

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは魔法・罠カードの効果を受けず、相手はバトルフェイズ中にモンスターの効果を発動できない。

(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

オベフォC 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:3400、手札:10枚

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 ATK1000

古代の機械双頭猟犬 ★5 ATK1400

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械参頭猟犬 ★7 ATK1800

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:10→11枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【神縛りの塚】発動!」

ハノイ 手札:11→10枚、フィールド魔法:0→1枚。

 

【神縛りの塚】

フィールド魔法

(1):フィールドのレベル10以上のモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールドのレベル10以上のモンスターが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。破壊されたモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける。

(3):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから神属性モンスター1体を手札に加える。

 

「私は手札から通常魔法【大嵐】発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する」

ハノイ 手札:10→9枚。

 

「…」

ハノイ 手札:10枚、フィールド魔法:1→0枚

 

「くっくっく!無駄なあがきを!」

オベリスクフォースA 伏せカード:2→0

 

「伏せカードにビビっちまったかぁ!!」

オベリスクフォースB 伏せカード:2→0

 

「無駄な時間を使わせるんじゃない!」

オベリスクフォースC 伏せカード:1→0

 

「私は破壊された【神縛りの塚】発動!デッキから神属性モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは【オベリスクの巨神兵】!」

ハノイ 手札:9→10枚

 

「「「お、【オベリスクの巨神兵】だと!」」」

 

「私は手札から再度フィールド魔法【神縛りの塚】発動!」

ハノイ 手札:10→9枚、フィールド魔法:0→1枚。

 

「私は手札から速攻魔法【交差する魂】発動!私は貴様たちのフィールドの【古代の機械双頭猟犬】、【古代の機械参頭猟犬】【古代の機械猟犬】を生贄に捧げる!」

ハノイ 手札:9→8枚。

 

【交差する魂】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。幻神獣族モンスター1体をアドバンス召喚する。その際、自分フィールドのモンスターの代わりに相手フィールドのモンスターをリリースする事もできる。相手フィールドのモンスターをリリースしてアドバンス召喚した場合、以下の効果を適用する。

●このカードの発動後、次のターンの終了時まで自分は幻神獣族モンスター以外の魔法・罠・モンスターの効果を1ターンに1度しか発動できない。

 

「なっ!?」

「オレたちのモンスターを生贄に!?」

「ふざけるな!」

 

 

その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん。

 

 

「我が領域に降臨せよ!そして天地を揺るがす全能たる力によって我に勝利をもたらすのだ!出でよ!【オベリスクの巨神兵】!!」

 

<ハノイ>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

<オベフォA>

モンスターなし

 

<オベフォB>

モンスターなし

 

<オベフォC>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500

 

【オベリスクの巨神兵】※アニメ版効果

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードは特殊召喚した場合、このカードは攻撃する事ができず、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):1ターンに1度、自分フィールドからこのカード以外のモンスター2体をリリースする事で発動できる。相手モンスター全てを破壊し、相手プレイヤー全てに4000ポイントの効果ダメージを与える。この効果の発動と効果は無効化されず、相手ターンでも発動できる。

 

 軽い気持ちで人々を狩るテロリスト風情では、現代に蘇った古代エジプトの神の一柱オベリスクの巨神兵の威容の前には委縮するしかなかった。

 周囲の高層ビルとほぼ同じ全長を持ち、その体からは凡人の彼らですら理解できてしまう力の差を感じさせていたのだ。

 

「どうした?仮にもお前たちの名前の由来となったモンスターに出会えたのだ。何か反応してもらいたいものだがな?」

「ば、馬鹿な!?神のカードは全て失われてたはずだ!」

「そ、そうだ!」

「こ、このカードは偽物に違いない!」

 

 この世界に在った唯一の物は確かに失われたね。俺のこのカードはそういう意味では本物ではないんだよな。

 

「バトルフェイズに移行。【オベリスクの巨神兵】でダイレクトアタック!ゴッド・ハンド・クラッシャー!!」

 

「ぐはぁぁぁぁぁっ!?」

オベフォA LP:4000 → 0

 

 【オベリスクの巨神兵】のダイレクトアタックを受けて、オベリスクフォースの一人が凄い勢いで吹っ飛んでいく…!

 あ、頭から壁にぶつかってめり込んで突き刺さってた。気絶したらしくピクピク痙攣しているけれど、一応生きてはいそうだな。

 

「なぁぁぁ!」

「こ、これは…!?」

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを3枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:8→5枚。伏せカード:0→3枚

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:2200、手札:5枚。伏せカード:3枚

 

<ハノイ>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500

 

 

「び、ビビってなんかいねえぞ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォB 手札:1→2枚。

 

「オレは手札から【死者蘇生】を発動!墓地の【古代の機械猟犬】を特殊召喚!」

オベフォB 手札:2→1枚。

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械猟犬 ★3 DEF1000

 

「神だからなんだってんだ!先にお前のLPを削り取ってやるだけだ!【古代の機械猟犬】の効果発動!お前に600LPダメージを与える!」

 

「このタイミングで、私は伏せていた速攻魔法【ゴッド・ハンド・クラッシャー】を発動!【古代の機械猟犬】の効果を無効にして破壊する!」

ハノイ 伏せカード:3→2

 

【ゴッド・ハンド・クラッシャー】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

このカードの発動と効果は無効化されない。

(1):自分フィールドに元々のカード名が「オベリスクの巨神兵」となるモンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールドの効果モンスター1体を選び、効果を無効にし破壊する。

このターン、この効果で破壊したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。このカードを自分メインフェイズに発動した場合、さらに以下の効果を適用できる。

●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

チェーン②ゴッド・ハンド・クラッシャー

チェーン①古代の機械猟犬 ※効果無効化&破壊。

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

「無効化された!?…くそ!伏せカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

オベフォB 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:2200、手札:5枚。伏せカード:2枚

 

<ハノイ>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500

 

 

「こっちが負けて早く終わるなんて御免だ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

オベフォC 手札:1→2枚。

 

「な、何が神のカードだ!オレの【古代の機械混沌巨人】の方が攻撃力は上!このまま戦闘破壊してやるぞ!バトルフェイズに…」

 

「このタイミングで、私は伏せていた速攻魔法【終焉の焔】を発動する。自分フィールドに「黒焔トークン」2体を守備表示で特殊召喚する」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。

 

【終焉の焔】

速攻魔法

このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

(1):自分フィールドに「黒焔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは闇属性以外のモンスターのアドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

<ハノイ>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

黒焔トークン ★1 DEF0

黒焔トークン ★1 DEF0

 

「愚か者め!そんなトークンを出したところで【古代の機械混沌巨人】の攻撃対象が増えるだけだ!」

「馬鹿!違う!【オベリスクの巨神兵】の効果を忘れたか!」

「効果…?…はっ!?」

 

「【オベリスクの巨神兵】の効果発動!【黒焔トークン】2体を生け贄に捧げる。そして相手モンスターを全て破壊し、相手プレイヤーに4000ダメージを与える!ソウルエナジーMAX!」

 

<オベフォCのフィールド>

モンスター無し

 

「相手ターンにこちらモンスターを効果破壊して、更にバーンダメージだと…!?」

「こ、こんなモンスターが存在していいはずがない…!」

 

「モンスターではない、神だ!さぁ神の一撃をその身に受けろ!ゴッド・ハンド・インパクト!!」

 

「ごぶぁっ!」

オベフォC LP:4000 → 0

 

 【オベリスクの巨神兵】の拳を垂直に受けて潰れたカエルの様になったオベリスクフォースの一人。

 地面にめり込んで気絶しているが…こちらも一応生きてそうだな。

 

「あ、あぁぁぁ…!」

「このターンをプレイする者が居なくなったため、エンドフェイズに移行」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:2200、手札:5枚。伏せカード:2枚

 

<ハノイ>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースC LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚

 

<オベフォCのフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「そのままバトルフェイズに移行。【オベリスクの巨神兵】でダイレクトアタック!」

 

「くそ!リバースカードオープン!罠カード【万能地雷グレイモヤ】発動!【オベリスクの巨神兵】を破壊する!」

オベフォB 伏せカード:1→0

 

【万能地雷グレイモヤ】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの表側攻撃表示モンスターの内、攻撃力が一番高いモンスター1体を破壊する。

 

「分かっているのだろう?神に罠など効かん!ゴッド・ハンド・クラッシャー!!」

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁっ!」

オベフォB LP:4000 → 0

 

 【オベリスクの巨神兵】のダイレクトアタックを受けて、オベリスクフォースの最後の一人が凄い勢いできりもみ回転しながら地面と平行に吹っ飛んでいく…!

 あ、また壁にぶつかって最初に壁にめり込んだ奴の隣で壁にめり込んでる。こちらも気絶してピクピクしているけど、一応生きてそうだな。

 そもそも【神縛りの塚】があるから効果破壊できないんだけどなぁ。

 

「ふぅ、片付いたか」

 

~~~

 

 デュエル後、気絶しているオベリスクフォース3名と、そいつらが所持していたカード化されたLDSデュエリストのカードを近くにいたランサーズに引き渡した。

 千年アイテムもどきで補助しているとはいえ、神のカードを使用するとかなりの魔力を消耗することが分かった。もう少し休まないとこのデッキは使えないな。これを同じデュエルで3枚使ったアテムはやはり格が違ったんだな。

 

『バニー♪』

 

 ビルの瓦礫の上に腰を下ろして休憩している俺のところに、勝手に出て来て周囲を探索していたバニーラが返ってくると、口になにかカードの様な物を加えていたので受け取った。

 どうやら先ほど回収し忘れていたカード化された元LDSデュエリストのカードのようだ。

 

 これに写っているのって…アニメ版アークファイブに出てきていた『志島北斗』じゃん。

 わざわざ舞網市から助っ人にハートランドシティへ来ていたようだ。それにしても、この世界でもカードにされてしまったのか、可哀想に。

 後でカード化を解いてやるか。

 

「お前もLDSか?」

 

 驚いて後ろを振り返れば、ロングコートにマスク・ゴーグル着用した不審者が立っていた。これは間違いなく黒咲隼だわ。

 休憩する際に魔力探知を切っていたことで接近に気付かなかった。敵地で油断しすぎだな俺…。

 

 そんなことを考えていると、彼の視線が俺の持っているカードへと移り…。

 

「貴様!そのカードは!!そうか、貴様が連続行方不明事件の犯人!オベリスクフォースだな!!」

 

 そういうとデュエルディスクを構える黒咲隼。

 やっべ。この状況は俺がこのカードに写る人物をカード化させた張本人にしか見えないよな。とんでもない勘違いを生んでしまったようだ…。

 

「違う」

「言い訳をするな!その胡散臭い仮面が何よりの証拠!オレは失った皆を貴様らから必ず取り戻す!デュエルだ!」

 

 否定をしても話を聞いてくれません…。それにしても誰かに会うたびに人の仮面をバカにしやがって…。最近愛着が湧いて来て結構気に入っているんだぞこれ!

 とりあえず、デュエルして黙らせよう。今持ってきているデッキってヤバいカードばかりなんだが、黒咲隼なら頑丈そうだし多分大丈夫だろう。




ようやく中学生になり、原作から3年前までやってきました。

オベリスクフォースと戦うんなら【オベリスクの巨神兵】を出したいなと思い、オベリスクフォースの皆さんには犠牲になって貰いました。三幻神の効果は漫画・アニメ順守にしているつもりです。多分合っているはず、です。

オベリスクフォースばかりとの戦闘になりそうだったので黒咲さんには勘違いしてもらいました。

次回の更新は1/2(土) AM6:00予定です。

四季式様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十七話 黒咲さん

アニメ版アークファイブの黒咲戦です。

セレナやデニスと同じく、原作ほどカードプールは充実していないようですが…。


<???視点>

 

ハノイの騎士こと白河クロトがオベリスクフォースとのデュエルを行っていたと同時期、ハートランドシティの南エリアに…海馬モクバは居た。

 

DMのストーリーが終わって数年が経過し、当時小学生だった海馬モクバは青年となっていた。腰まで伸びていた長髪を肩近くまでで切りそろえ、白のスーツに青のネクタイと言う出で立ちの彼の周囲には、長身な彼よりもさらに背の高い直属の黒スーツの部下たちが控えている。

 

「磯野、河豚田。市民の救助活動の経過状況を報告しろ」

 

「はっ!Dー8地区、D-9地区の避難・救助活動は完了しております。幸いにも死者や重傷者はなく、現在は仮設の救護施設にて数百名が治療中です」

 

「Eー8地区、E-9地区も同様です。ただ、Fー8地区とF-9地区はまだ敵勢力とLDSの有志のデュエリスト達が交戦中です」

 

「そうか、分かった」

 

Dr.ドクトルがリアルソリッドビジョンシステムを持ち出し、それをオベリスクフォースが使用して暴れている影響でハートランドシティは戦場さながらの様相を呈していた。シティ内に存在していた海馬コーポレーションの支部も半壊しており、そこを活動拠点の1つとしていたモクバはI2社と合同でハートランドシティの救助活動を実施していた。そんな時…。

 

「…なに?それは本当か?…分かった、持ち場に戻れ」

 

「…はっ!失礼いたしました!」

 

「どうした磯野?なにか問題があったのか?」

 

部下の磯野がなにやら緊急の報告を受けたらしい。その内容を問うと…。

 

「はい、モクバ様。つい先ほどのことですが、ハートランドシティ中央部付近で強大なアドバンス召喚反応があったということです。現在、詳細は解析中とのことですが…」

 

「アドバンス召喚反応か…」

 

アドバンス召喚反応で強大と評されるものと言えば、彼の兄である海馬瀬人の持つ【青眼の白龍】くらいのはずなのだが…。

 

「ほ、報告します!先ほどのアドバンス召喚反応の解析結果が出ました!アドバンス召喚されたモンスターは…【オベリスクの巨神兵】とのことです!!」

 

「【オベリスクの巨神兵】だと!?そんな馬鹿なことがあるか!」

 

部下の報告を受けた河豚田がすぐさまそう叫んでいた。確かにあり得ないはずだ。三幻神のカードは間違いなく数年前にこの世界から失われたことは、自身も自身の兄もその目で確認している。となれば…。

 

「ペガサスが言っていた、白河クロトだな…。磯野!すぐに兄様に報告を入れろ!河豚田は【オベリスクの巨神兵】を召喚したデュエリストの位置を割り出せ!」

 

「「はっ!了解いたしました!」」

 

白河クロト。I2社と懇意にしている謎の多いデュエリストだが、海馬コーポレーションと関わることはなく、また悪影響もなかったために放置していたが、そろそろ一度会っておくべきだろうか?海馬モクバは自身のデッキを再確認しながら、そんなことを考えていた…。

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

ハートランドシティ中央付近に位置するこの場所で、路地裏で逃げ惑うハートランドシティの住人やLDSのデュエリストをカード化していたオベリスクフォースを倒した俺は、何故か今度はハートランドシティの住人である黒咲隼というデュエリストに勝負を挑まれていた。どうしてこうなった?

 

「始めはそうだった。圧倒的な敵に対してオレたちは、とにかく自分を守るのだけで精一杯だった。だがもはやオレたちは無抵抗で打倒されるえものではない!」

 

だから、俺じゃねえ!俺の所為じゃねぇぇぇ!話を聞けやぁぁぁ!

 

「貴様らオベリスクフォースがどれだけ居ようが…オレ一人で殲滅してやる!」

 

「…対戦、よろしくお願いいたします」

 

こんな時でも挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

黒咲隼 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

黒咲隼 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【RR-バニシング・レイニアス】召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する!効果で手札から【RR-トリビュート・レイニアス】を特殊召喚!」

黒咲隼 手札:5→4枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

RR-トリビュート・レイニアス ★4 ATK1800

 

「オレは【RR-トリビュート・レイニアス】の効果発動!デッキから【RR-ミミクリー・レイニアス】を墓地に送る!墓地の【RR-ミミクリー・レイニアス】効果発動!自身を除外してデッキから【RR-ネスト】を手札に加える!」

黒咲隼 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から永続魔法【RR-ネスト】発動!自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上存在する場合にこの効果を発動できる。自分のデッキ・墓地の「RR」モンスター1体を選んで手札に加える。オレはデッキから【RR-アベンジ・ヴァルチャー】を手札に加える!」

黒咲隼 手札:4→5枚。

 

「オレはレベル4【RR-バニシング・レイニアス】と【RR-トリビュート・レイニアス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【鳥銃士カステル】!」

 

<黒咲のフィールド>

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000、ORU:2

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ」

黒咲隼 手札:3枚。

 

 

ハノイ LP:4000、手札:5

 

黒咲隼 LP:4000、手札:3、伏せカード:2

 

<黒咲のフィールド>

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000、ORU:2

 

 

改めて思うが、展開力と手札補充力がとんでもないな。どうやらレイドラプターズのエクシーズモンスターを手に入れていないようだな。そうでないとあの布陣でフォース・ストリクスを出さない理由が分からない。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【異次元の古戦場-サルガッソ】発動!エクシーズ召喚に成功する度に、そのプレイヤーは500ポイントダメージを受ける。また、エクシーズモンスターをコントロールしているプレイヤーは、それぞれ自分のエンドフェイズ毎に500ポイントダメージを受ける」

ハノイ 手札:5枚、フィールド魔法:0→1

 

「エクシーズ封じだと!させん!オレは伏せカード【ラプターズ・ガスト】発動!自分フィールドに「RR」カードが存在し、魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する!」

黒咲隼 伏せカード:2→1

 

チェーン②ラプターズ・ガスト

チェーン①異次元の古戦場-サルガッソ

 

「【異次元の古戦場-サルガッソ】は破壊されたか。なら私は手札から通常魔法【精神操作】発動!相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。対象は【鳥銃士カステル】」

ハノイ 手札:4枚。

 

「なに!オレのモンスターを!?貴様ぁ!」

 

<ハノイのフィールド>

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000、ORU:2

 

「【鳥銃士カステル】の効果発動。ORUを2つ取り除き、このカード以外のフィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。対象は【RR-ネスト】」

 

「どこまでもオレのモンスターを利用するつもりか!そうはさせん!伏せカード【禁じられた聖杯】発動!【鳥銃士カステル】はターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される!」

黒咲隼 伏せカード:1→0

 

チェーン②禁じられた聖杯

チェーン①鳥銃士カステル

 

<ハノイのフィールド>

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000、ORU:2→0

 

「【鳥銃士カステル】の効果を封じられたか。私は【ザ・キャリブレーター】召喚。このカードの攻撃力は、相手フィールド上のエクシーズモンスターのランクの合計×300ポイントアップする」

ハノイ 手札:3枚。

 

<ハノイのフィールド>

鳥銃士カステル ☆4 ATK2000、ORU:0

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

 

「バトルフェイズに移行。【ザ・キャリブレーター】でダイレクトアタック!」

 

「ぐぅっ!だがこの瞬間!手札の【RR-アベンジ・ヴァルチャー】の効果発動!自分が戦闘・効果でダメージを受けた場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「RR」モンスターしかエクストラデッキから特殊召喚できない!」

黒咲隼 LP:4000 → 2500、手札3→2

 

<黒咲のフィールド>

RR-アベンジ・ヴァルチャー ★4 ATK1700

 

「メインフェイズ2に移行。私は手札から速攻魔法【神の写し身との接触】発動!自分の手札・フィールドから「シャドール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!フィールドの【鳥銃士カステル】と手札の【シャドール・リザード】を融合!現れよ!【エルシャドール・ウェンディゴ】!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

 

「融合!やはり貴様はオベリスクフォース!」

 

「違う。【エルシャドール・ウェンディゴ】の効果は、このカードは融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのモンスターは特殊召喚された相手モンスターとの戦闘では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える」

 

「そして、墓地に送られた【シャドール・リザード】効果発動!このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「シャドール・リザード」以外の「シャドール」カード1枚を墓地へ送る。私はデッキから【シャドール・ビースト】を墓地に送る。更に墓地に送られた【シャドール・ビースト】の効果発動。自分はデッキから1枚ドローする」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

ハノイ 手札:0枚。

 

 

ハノイ LP:4000、手札:0、伏せカード:2

 

<ハノイのフィールド>

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

 

黒咲隼 LP:2500、手札:2、伏せカード:0、永続魔法:1

 

<黒咲のフィールド>

RR-アベンジ・ヴァルチャー ★4 ATK1700

 

 

「やはり貴様らのデュエルには…鉄の意志も鋼の強さも感じられない!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

黒咲隼 手札:2→3枚。

 

「オレは魔法カード【天使の施し】発動!デッキから3枚カードをドローして2枚墓地に送る!」

黒咲隼 手札:2→5→3枚。

 

「オレは手札から【RR-バニシング・レイニアス】召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの自分メインフェイズに1度だけ発動できる。手札からレベル4以下の「RR」モンスター1体を特殊召喚する!効果で手札から【RR-ネクロ・ヴァルチャー】を特殊召喚!」

黒咲隼 手札:2→1枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

RR-アベンジ・ヴァルチャー ★4 ATK1700

RR-ネクロ・ヴァルチャー ★4 DEF1600

 

「この瞬間、私は伏せカード【狡猾な落とし穴】発動。自分の墓地に罠カードが存在しない場合に発動できる。フィールド上のモンスター2体を選択して破壊する。フィールドの【RR-アベンジ・ヴァルチャー】と【RR-ネクロ・ヴァルチャー】を破壊する」

ハノイ 伏せカード:2→1

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

 

RRモンスターがフィールドに2体揃った時点で永続魔法【RR-ネスト】の発動を許すことになるし、そもそもエクシーズ主体のデッキを相手に同レベルモンスターを並べさせるわけがないだろう?

 

「くそっ!カードを一枚伏せてターンエンドだ!」

黒咲隼 手札:1→0枚、伏せカード:0→1。

 

 

ハノイ LP:4000、手札:0、伏せカード:1

 

<ハノイのフィールド>

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

 

黒咲隼 LP:2500、手札:0、伏せカード:1、永続魔法:1

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「私は通常魔法【強欲で貪欲な壺】発動。このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする」

ハノイ 手札:0→2枚。

 

「私は【エクシーズ・アヴェンジャー】を召喚。このカードはエクシーズモンスターの効果を受けない。また、このカードがエクシーズモンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカードを破壊したエクシーズモンスターのランクによって、以下の効果を発動する。●ランク3以下:相手はエクストラデッキのカード1枚を選んで墓地へ送る。●ランク4:自分は相手のエクストラデッキのカード1枚を選んで墓地へ送る。●ランク5以上:相手はそのエクシーズモンスターのランクの数だけ、エクストラデッキのカードを選んで墓地へ送る」

ハノイ 手札:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

エクシーズ・アヴェンジャー ★4 ATK1800

 

「バトルフェイズに移行。【ザ・キャリブレーター】で【RR-バニシング・レイニアス】を攻撃」

 

「伏せカード【RR-レディネス】発動!このターン、自分フィールドの「RR」モンスターは戦闘では破壊されない!」

黒咲隼 伏せカード:1→0

 

「だが戦闘ダメージは受けて貰う」

 

「ぐっ!」

黒咲隼 LP:2500 → 2300

 

「更に【ザ・キャリブレーター】で【RR-バニシング・レイニアス】を攻撃」

 

「ぐぅっ!」

黒咲隼 LP:2300 → 1800

 

「メインフェイズ2に移行。私はレベル4モンスター2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【ガガガガンマン】!」

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

ガガガガンマン ☆4 DEF2400 ORU:2

 

「今度はエクシーズ召喚だと!?」

 

「【ガガガガンマン】のORUを一つ取り除いて効果発動!相手に800ダメージを与える」

ガガガガンマン ORU:2→1

 

「ぐぉぉっっ!」

黒咲隼 LP:1800 → 1000

 

「私はこれでターンエンド」

 

 

ハノイ LP:4000、手札:1、伏せカード:1

 

<ハノイのフィールド>

ザ・キャリブレーター ★4 ATK1500

エルシャドール・ウェンディゴ ★6 DEF2800

 

黒咲隼 LP:1000、手札:0、伏せカード:0、永続魔法:1

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

 

 

「オレは…仲間を必ず奪い返す!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

黒咲隼 手札:0→1枚。

 

「オレは【強欲な壺】発動!自分はデッキから2枚ドローする!…くっ!」

黒咲隼 手札:0→2枚。

 

散々展開を邪魔したからな。万策尽きたのだろう。墓地の【RR-レディネス】の効果があるのであと1ターンは耐えられるだろうが、それで終わりだ…。

 

「なんだ…?このカードは…!これなら行ける!」

 

なんて思っていたんだけど、まーたなんか相手のEXデッキが光り輝いているんだよなぁ…。

 

「自分フィールドに「RR-ファジー・レイニアス」以外の「RR」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。オレは【RR-ファジー・レイニアス】を特殊召喚!」

黒咲隼 手札:1枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

RR-ファジー・レイニアス ★4 DEF1500

 

「オレは永続魔法【RR-ネスト】発動!自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上存在する場合にこの効果を発動できる。自分のデッキ・墓地の「RR」モンスター1体を選んで手札に加える。オレはデッキから【RR-ペイン・レイニアス】を手札に加える!」

黒咲隼 手札:1→2枚。

 

「オレは【RR-ペイン・レイニアス】の効果発動!このカードをX召喚の素材とする場合、鳥獣族モンスターのX召喚にしか使用できない。このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「RR」モンスター1体を対象として発動できる。自分はそのモンスターの攻撃力か守備力の内、低い方の数値分のダメージを受け、このカードを手札から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは、対象のモンスターのレベルと同じになる。オレは【RR-ファジー・レイニアス】を選択し、その攻撃力500分のLPダメージを受けて【RR-ペイン・レイニアス】を特殊召喚し、そのレベルを【RR-ファジー・レイニアス】と同じ4とする!」

黒咲隼 LP:1000 → 500、手札:2→1枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-バニシング・レイニアス ★4 ATK1300

RR-ファジー・レイニアス ★4 DEF1500

RR-ペイン・レイニアス ★1→4 DEF100

 

手札と伏せカードがあるから大丈夫だとは思うが…。何で俺がピンチの時には全く起きないくせに、相手のピンチには時々こういう展開が待っているんだろうか…。理不尽だ…。

 

「オレはレベル4【RR-バニシング・レイニアス】、【RR-ファジー・レイニアス】【RR-ペイン・レイニアス】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!【RR-ライズ・ファルコン】!」

 

<黒咲のフィールド>

RR-ライズ・ファルコン ☆4 ATK100、ORU:3

 

「だが、そのモンスターでは私の布陣を崩すことは…」

 

「まだだ!手札から【RUM-レイド・フォース】発動!自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターよりランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する!オレはランク4【RR-ライズ・ファルコン】を対象とする!獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し 寄せ来る敵を打ち破れ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク5!【RR-ブレイズ・ファルコン】!」

黒咲隼 手札:0枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-ブレイズ・ファルコン ☆5 ATK1000、ORU:4

 

増えたEXデッキモンスターって1枚じゃないのかよ!それズルじゃん!第一、なんでRRモンスターがEXデッキに入っていないのにRR専用RUMがデッキに入っているんだよ!

 

「オレは【RR-ブレイズ・ファルコン】のORUを1つ消費して効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ダメージを相手に与える!貴様のフィールドの特殊召喚されたモンスターは2体!よって500×2で1000LPダメージだ!消えろぉ!!」

RR-ブレイズ・ファルコン ☆5 ATK100、ORU:4→3

 

「ぐぁぁぁぁっ!」

ハノイ LP:4000 → 3000

 

エルシャドール・ウェンディゴは戦闘破壊耐性しかないからな。だけどあのシャドールですぜ?

 

「…だが、ここで【エルシャドール・ウェンディゴ】効果発動!自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える!私は墓地の【神の写し身との接触(エルシャドール・フュージョン)】を手札に加える!」

ハノイ 手札:1→2

 

「オレも墓地に送った【RR-ファジー・レイニアス】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから【RR-ファジー・レイニアス】1体を手札に加える!」

黒咲隼 手札:0→1枚。

 

RUM-レイド・フォースが墓地に落ちたが、もう流石にランクアップマジックはあったとしてもその先のエクシーズモンスターが居ないだろ?三度目の正直って言うだろ?二度あることは三度ある?馬鹿、止めろ。フラグを立てるな!

 

「そして!!墓地の【RUM-レイド・フォース】効果発動!墓地のこのカードと手札の「RR」カード1枚を除外し、「RUM-レイド・フォース」以外の自分の墓地の「RUM」魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える!墓地の【RUM-レイド・フォース】と手札の【RR-ファジー・レイニアス】を除外し!墓地から【RUM-レヴォリューション・フォース】を手札に加える!」

黒咲隼 手札:1→0→1枚。

 

あ、これはダメな奴ですね…。

 

「バトルだ!【RR-ブレイズ・ファルコン】でダイレクトアタック!」

 

「手札より【虹クリボー】効果発動!相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターは攻撃できない!対象は【RR-ブレイズ・ファルコン】だ」

ハノイ 手札:2→1

 

「まだ終わらん!手札より速攻魔法【RUM-レヴォリューション・フォース】発動!自分フィールドの「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。ランクが1つ高い「RR」モンスター1体を、対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する!対象はランク5【RR-ブレイズ・ファルコン】!誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し 革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク6!【RR-レヴォリューション・ファルコン】!!」

黒咲隼 手札:1→0枚。

 

<黒咲のフィールド>

RR-レヴォリューション・ファルコン ☆6 ATK2000、ORU:4

 

ランクアップマジックで虹クリボーの効果をすり抜けてきた!?…知ってた。もう突っ込まんぞ!

 

「バトルだ!【RR-レヴォリューション・ファルコン】でダイレクトアタック!レヴォリューショナル・エアレイドォ!」

 

「ぐぶぉぉぉっ!」

ハノイ LP:3000 → 1000

 

「メインフェイズ2に移行…ターンエンド」

 

結構なダメージを貰ってしまったが…使ったよなぁ?最後のその速攻魔法をよぉ!!

 

「ここで私は伏せカードの永続罠【影依の偽典】発動!自分・相手のメインフェイズに発動できる。自分のフィールド・墓地から、「シャドール」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。その後、この効果で特殊召喚したモンスターと同じ属性を持つ相手フィールドのモンスター1体を選んで墓地へ送る事ができる。この効果で特殊召喚したモンスターは直接攻撃できない!」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

「な、なに!?このタイミングでトラップだと!」

 

「私は墓地の【エルシャドール・ウェンディゴ】と闇属性【エクシーズ・アヴェンジャー】を除外して、EXデッキより【エルシャドール・ミドラーシュ】を融合召喚!そして【エルシャドール・ミドラーシュ】と同じ属性を持つ相手フィールドのモンスター【RR-レヴォリューション・ファルコン】を選んで墓地へ送る!」

 

「【RR-レヴォリューション・ファルコン】を墓地に送る…!?」

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

 

「【エルシャドール・ミドラーシュ】は融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。フィールドのこのカードは相手の効果では破壊されない。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、その間はお互いに1ターンに1度しかモンスターを特殊召喚できない。このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「シャドール」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える」

 

「今度は特殊召喚制限だと…くっ!ターンエンドだ!」

 

 

ハノイ LP:1000、手札:1、伏せカード:0、永続罠:1

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

 

黒咲隼 LP:1000、手札:0、モンスター:0、伏せカード:0、永続魔法:1

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「私は通常魔法【おろかな埋葬】発動。デッキからモンスター1体を墓地へ送る。私はデッキから【影依の巫女 エリアル】を墓地に送る。墓地に送られた【影依の巫女 エリアル】効果発動。このカードが効果で墓地へ送られた場合、お互いの墓地のカードを合計3枚まで対象として発動できる。そのカードを除外する。私は【RR-ファジー・レイニアス】【RR-レディネス】【RUM-レヴォリューション・フォース】を除外する」

ハノイ 手札:1枚。

 

「させん!チェーンして墓地から【RR-レディネス】効果発動!自分の墓地に「RR」モンスターが存在する場合に墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、自分が受ける全てのダメージは0になる!」

 

チェーン②RR-レディネス

チェーン①影依の巫女 エリアル

 

発動条件があるとはいえフリーチェーンで墓地発動できる防御カードとか反則だよなぁ。

 

「永続罠【影依の偽典】発動。私は墓地の【シャドール・リザード】と水属性【影依の巫女 エリアル】を除外して、EXデッキより【エルシャドール・アプカローネ】を融合召喚」

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

エルシャドール・アプカローネ ★6 ATK2500

 

「【エルシャドール・アプカローネ】が特殊召喚に成功した場合、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果を無効にする。私は【RR-ネスト】の効果を無効化する」

 

「ぐっ…」

 

「更に【エルシャドール・アプカローネ】は戦闘では破壊されない。このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「シャドール」カード1枚を選んで手札に加える。その後、手札を1枚選んで捨てる効果を持つ」

 

「私はカードを1枚伏せてこれでターンエンドだ」

ハノイ 手札:1→0、伏せカード:0→1

 

 

ハノイ LP:1000、手札:0、伏せカード:0、永続罠:1

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

エルシャドール・アプカローネ ★6 ATK2500

 

黒咲隼 LP:1000、手札:0、モンスター:0、伏せカード:0、永続魔法:1(効果無効)

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

黒咲隼 手札:0→1枚。

 

「私はここで伏せカード【はたき落とし】発動。相手のドローフェイズ時に、相手が通常のドローをした時に発動する事ができる。相手はドローしたカード1枚をそのまま墓地へ捨てる」

ハノイ 伏せカード:1→0

 

「くっ!ぐぅぉぉぉっ!…ターンエンド」

黒咲隼 手札:1→0枚。

 

 

先ほど墓地に送ったカードはモンスターカード、レディネスは除外した。もう何も出来まい…とか言ってたらまたなんか起こりそうだし、これ以上は何かされる前に封殺して倒すよ。

 

 

ハノイ LP:1000、手札:0、伏せカード:0、永続罠:1

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

エルシャドール・アプカローネ ★6 ATK2500

 

黒咲隼 LP:1000、手札:0、モンスター:0、伏せカード:0、永続魔法:1(効果無効)

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「私は墓地の光属性【ザ・キャリブレーター】と闇属性【シャドール・ビースト】を除外して手札から【混沌の創世神】を特殊召喚!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

エルシャドール・ミドラーシュ ★5 ATK2200

エルシャドール・アプカローネ ★6 ATK2500

混沌の創世神 ★8 ATK2300

 

「バトルフェイズに移行。【混沌の創世神】でダイレクトアタック!」

 

「すまない、瑠璃、ユート。どうやらオレはここまでのようだ…」

黒咲隼 LP:1000 → 0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエル後、項垂れている黒咲を無視して近くに止めてあるDホイールに向かって歩く。本来なら意味のないデュエルだっただろうが、黒咲が多少強化されただけでも成果があったと思いたい。

 

「ま、待て!貴様、何故オレをカード化しない!貴様らオベリスクフォースは…」

 

「俺はオベリスクフォースではない(怒りの腹パン)!」

 

「うぼぁっ!」

 

あ、ついムカついたので腹パンしちゃった…。黒咲は凄い表情をしながら膝から崩れ落ちて気絶したが…生きてるよな?うん、生きてるな。ヨシッ!あー、でもこれどうしよ?…せや!

 

~~~

 

 

<黒咲視点>

 

 

「…ん?ここは…ぐっ!!」

 

オレはどうやら眠っていたらしい。起き上がって周囲を確認しようとすると謎の腹痛が襲ってきた。まるで何者かに全力で腹部を殴打されたような痛みだ。

 

「おっ、目を覚ましたようだね」

 

「!?誰だ!!」

 

突然、背後から声が聞こえたので、オレは跳ね起きてバク転をしながらその声の主と距離を取る。

 

「凄い身体能力だな…まずは自己紹介をしておこうか。ボクは志島北斗。ハートランドシティの救護活動を支援しているLDS所属のデュエリストの一人だ」

 

「…黒咲隼だ」

 

声を掛けてきた男、志島北斗が言うには、奴自身も先ほどまで意識を失っており、意識を失う前の記憶が曖昧らしい。そして気が付けばこの路地裏に居て、すぐ傍にオレが倒れていたそうだ。オレの服装がオベリスクフォースでは無かった為にハートランドシティの住人と判断した奴は、LDS本隊に連絡を入れた後にオレが目を覚ますまで周囲の警戒をしていたらしい。

 

「一応、礼を言っておこう」

 

「一応、受け取っておくよ。もう少ししたらLDS本隊から救助部隊が到着するから少しだけ待っていてくれ」

 

そういうと奴は周囲の警戒に戻っていった。…おかしい。何かを忘れている気がする…。だが、そんなことを考えている暇はない。戦闘の最中にはぐれてしまった瑠璃とユートを探さなければ!

 

 

そうして、北斗が救助部隊を連れて戻ってきた頃には、そこに黒咲の姿はなかった…。




海馬コーポレーションの人間も来ているので、モクバに登場してもらいました。社長も出てくるのか、このままモクバと何かしらの接触があるのか、それとも何も起こらずに終わるのかは今後の展開次第ですね。

アークファイブの黒咲は、原作エクシーズ次元だとカイトのそっくりさんと並んで最強クラスのデュエリストです。最強クラスのエクシーズ使いならカードを創造するくらいできるでしょ?という適当な感じでエクストラデッキにカードが増えました。当然、オリ主には出来ません。

最初は「思ったほど強くないな?」と思って余裕をかましていましたが、追い詰められてからは必死でした。ギリギリで踏み留まってネフィリムは使いませんでした。いずれは出ると思います。

北斗はオリ主がオカルトパワーでカードから元に戻しました。そしてオリ主は気絶した黒咲を北斗に押し付けて逃げました。

次回の更新は1/3(日) AM6:00予定です。

戦車様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十八話 オシリスの天空竜

アニメ版アークファイブの準主人公、ユートとの共闘デュエルです。

相手はまたもやオベリスクフォース三人衆。

2021/6/15 誤記修正ついでに表記方法を最新のフォーマットに統一しました。誤記・デュエル展開ミスの修正に関しては後日対応予定です。


<クロト視点>

 

 小学校6年生のGW初日の昼頃、俺はビルの瓦礫が散乱するハートランドシティの道路をDホイールで疾走していた。

 しばらく走っていると進行方向に見知った姿の集団が見えたので停車して近寄る。

 ようやく着いたか。結構飛ばしたんだがそこそこ時間画家掛かってしまった。ハートランドシティはメチャクチャ広いな。

 

「ユーリ、状況は?」

「クロトかい、お帰り。状況は、一言で言うと芳しくないね。バレットが担当する東側エリアは激戦区で連絡が付かず、デニスが担当する西側は住人の避難完了達成度は50%ってところかな?」

「この北側エリアはまだマシみたいだな」

「ここはランサーズの本陣だからね。北側エリアはボクとランサーズで対応して、住人の避難完了達成度は90%くらいだね。南側は海馬コーポレーションとI2社からの情報だと60%くらいらしいよ」

 

 バレットが指揮するランサーズがそうそう敗れるとは思い難いが…もしかしたらそのあたりにロジェ辺りが居るのかもしれないな。

 

「なるほどな。それで、どこか緊急を要するエリアはあるのか?」

「今のところは…ん?ちょっと失礼…うん、うん、分かった。現場に戻っていいよ」

「どうした?」

「この北側エリアで唯一の残存部隊が市民を襲っているらしい。【古代の機械】デッキじゃなくて【剣闘獣】デッキを使う精鋭が居るらしくて苦戦しているみたいだから、ボクが直接行ってくることにしたよ。と言うわけで、後ろに乗っけて行ってくれ」

「わかった。道中の露払いは任せておけ」

 

 【剣闘獣】か。相手はB.B.(バトルビースト)君かな?本来なら強力な相手ではあるが、今のユーリなら取るに足らない相手だろう。

 さっさと行って片づけてこよう。

 

~~~

 

<???視点>

 

「ふははははっ!最初の威勢はどうした?」

「女の前で良い恰好したところで、3人に勝てるわけねーだろ?」

「ほら、サレンダーしたらどうだ?そうすれば苦しまずにカードにしてやろう!」

「ふざけるな!お前たちを瑠璃の元に行かせるわけにはいかない!オレたち幻影騎士団は倒れない!」

 

 黒い衣装に身を包んだゴーグルを付けた黒と青の髪を持つ少年が、オベリスクフォース3人を相手に戦っていた。

 だが多勢に無勢。戦況は圧倒敵的な劣勢であった。

 

 

◆黒服の少年 LP50、手札:0、伏せカード:0、永続罠;1(グラビティバインド)

 

<黒服の少年のフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:2000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械兵士 ★4 ATK1300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械合成獣 ★6 ATK2300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械砲台 ★2 DEF500

古代の機械工兵 ★5 ATK1500

 

 

「ふん、強がりよって。お前など我らの誰かが【サイクロン】を引いた時点で負けが決まり状況ではないか」

「どうやらお前が得意としている罠戦術は、我々と相性が良くないようだしなぁ」

「そもそも、我のターンがやってくれば【古代の機械砲台】の効果ダメージでお前は終わりよ」

 

「ふっ、お前らには、刃のごとき鋭さも、弾丸のごとき威力も感じられない。かけらもな…」

 

「な、なにを言っている!」

「訳わかんねーことぬかすな!」

「まるで意味が分からんぞ!?」

 

 強がっては見るものの状況は最悪だ。頼りになる親友とは騒動中にはぐれてしまっていてこの場には居ない。

 親友の妹とその友人たちは先に逃がしたが、自分が敗れれば追い付かれてしまうだろう。ここで敗れるわけにはいかない!

 

「さぁ行くぞ!オレのター…?ん?なんだアレは?空飛ぶ…バイク?」

 

 逆転の一手を掛けた渾身のドローをする直前、一瞬少年たちに影が差し込んだ。ふと空を見上げると上空を飛翔するかのように何者かが通り過ぎた。

 そしてそれは彼とオベリスクフォース3人の前に着地し、バイクのような乗り物に乗った少年が2人文字通り空から現れたのだった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「クロト、運転が荒いよ?」

「悪かったよ。でも、どう見てもピンチだろこれ?」

「そうだね。ただボクは…」

「分かってるよ。Dホイールの乗り方は分かるんだろ?これ持って行っていいから本来の目的地に向かってくれ」

「そうさせてもらうよ。こちらの居場所はデュエルディスクで分かると思うから、そいつらを片付けて早めに来なよ?遅かったらこのDホイールはもらうからね」

「それは困るな。早めに合流するとしよう。ではな」

 

 そういってDホイールを降りると、ユーリが座席に座りDホイールを走らせて行った。

 こちらに軽く手を振るくらいには余裕がありそうだ。…さて。

 

「何だ貴様は!」

「援軍のつもりってかぁ?」

「まるで訳が分からんぞ!?」

 

「君は…?オベリスクフォースではないようだが…」

 

 オベリスクフォースの話は無視してそれらに対峙していたらしき黒服の少年の方へ顔を向ける。

 ゴーグルとマスクで顔が確認できないが、その出で立ちは見覚えがある。恐らくエクシーズ次元の榊遊矢ことユートだろう。ダーク・リベリオン使ってるしな。

 

「私はハノイの騎士、ハートランドシティの住人である君の味方で、オベリスクフォースの敵だ」

 

 そう言ってデュエルディスクを構えた。アニメ版アークファイブの原作ではよくあったデュエルの乱入行為だ。

 相手が既に展開している状況でLP半分で乱入とか、下手したらドローした瞬間にバーンで焼かれて終わる。

 今回はどう見てもピンチっぽいので仕方なしやってみたものの、今後はなるべくやりたくないなぁ。

 

『乱入ペナルティ。2000ダメージ』

ハノイ LP:4000 → 2000

 

「さぁ、デュエルの時間だ。デュエル!」

 

 

◆ハノイの騎士 LP2000、手札:5

 

◆ユート LP50、手札:0、伏せカード:0、永続罠;1(グラビティバインド)

 

<黒服の少年のフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:2000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械兵士 ★4 ATK1300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械合成獣 ★6 ATK2300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

◆オベリスクフォースC LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械究極猟犬 ★9 ATK2800

古代の機械砲台 ★2 DEF500

古代の機械工兵 ★5 ATK1500

 

 

 なるほど。状況は大体分かった。

 【古代の機械究極猟犬】は融合召喚に成功した場合、相手のLPを半分にする効果があり、更に1度のバトルフェイズ中に3回まで攻撃できて、ダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードを発動できない効果を持つ。

 【古代の機械究極猟犬】の後、ユートは【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】でフィールド上のレベル4以上のモンスターの攻撃をカット。

 ダーク・リベリオンで反撃するも、その後は相手の攻撃を凌ぎ切るのに精いっぱいだった感じだな。むしろ3対1で良くここまで耐えたと思う。

 だが、流石の彼ももう瀕死だ。ここは力を出し惜しみしている場合じゃないな。これから出すモンスターに関しては、彼に黙っていてもらうしかないかな。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキから2ドロー!」

ハノイ 手札:6→5→7枚、フィールド魔法:0→1枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【神縛りの塚】を発動!」

ハノイ 手札:7→6枚、フィールド魔法:0→1枚。

 

【神縛りの塚】

フィールド魔法

(1):フィールドのレベル10以上のモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールドのレベル10以上のモンスターが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。破壊されたモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける。

(3):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから神属性モンスター1体を手札に加える。

 

「神縛りの塚…神属性モンスター…まさか!?」

 

 デュエルディスクに表示された【神縛りの塚】の効果を確認したのだろう。ユートは有り得ないと言った表情で驚いている。

 勘がいいな少年。流石はナストラル。来るぞUMA!とか言ってくれてもいいんだぞ?

 

「少年、少しドラゴンを借りるぞ?」

「えっ?」

 

「私は手札から通常魔法【精神操作】発動!私は少年の【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】を選択してそのコントロールをエンドフェイズまで得る!」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

<ユートのフィールド>

モンスター無し

 

【精神操作】

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

 

「な、何をするんだ!」

 

 俺の突然の裏切り(に見える)行為に少年は激怒した。

 そりゃそう思うよな。ちょっと借りるだけだからさ。ちゃんと返すって。そこに居ると邪魔なんだよなぁ。

 

「はははっ!仲間割れか!」

「笑える」

「まるで訳が分からんぞ!?」

 

「私は手札から速攻魔法【交差する魂】発動!私は貴様たちのフィールドの【古代の機械究極猟犬】3体を生贄に捧げる!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【交差する魂】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。幻神獣族モンスター1体をアドバンス召喚する。その際、自分フィールドのモンスターの代わりに相手フィールドのモンスターをリリースする事もできる。

相手フィールドのモンスターをリリースしてアドバンス召喚した場合、以下の効果を適用する。

●このカードの発動後、次のターンの終了時まで

自分は幻神獣族モンスター以外の魔法・罠・モンスターの効果を1ターンに1度しか発動できない。

 

「何っ!?」

「我々のモンスターを生贄に!?」

「まるで訳が分からんぞ!?」

 

「3体の生贄…やはり…!」

 

 

天空に雷鳴轟く混沌の時、連なる鎖の中に古の魔導書を束ね、その力無限の限りを誇らん。

 

 

「降臨せよ!【オシリスの天空竜】!!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

<ハノイのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

オシリスの天空竜 ★10 ATK?

 

【オシリスの天空竜】

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻 ?/守 ?

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードは特殊召喚した場合、このカードは攻撃する事ができず、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):このカードの攻撃力・守備力は自分の手札の数×1000アップする。

(7):相手モンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。そのモンスターが攻撃表示なら攻撃力を、守備表示なら守備力を2000ポイントダウンする。この効果によって攻撃力または守備力が0になったモンスターは破壊される。この効果の発動と効果は無効化されない。

 

「「「【オシリスの天空竜】だと!?」」」

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK?→3000

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械兵士 ★4 ATK1300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

<オベフォBのフィールド>

古代の機械合成獣 ★6 ATK2300

古代の機械獣 ★6 ATK2000

 

<オベフォCのフィールド>

古代の機械砲台 ★2 DEF500

古代の機械工兵 ★5 ATK1500

 

 

「私は手札から速攻魔法【超電導波サンダーフォース】を発動!相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

【超電導波サンダーフォース】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

このカードの発動と効果は無効化されない。

(1):自分フィールドに元々のカード名が「オシリスの天空竜」となるモンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

このカードを自分メインフェイズに発動した場合、さらに以下の効果を適用できる。

●この効果で破壊され相手の墓地へ送られたモンスターの数だけ、自分はデッキからドローする。

このターン、自分はモンスター1体でしか攻撃できない。

 

「「「な、何ィー!?」」」

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

<オベフォCのフィールド>

モンスター無し

 

「私が【超電導波サンダーフォース】の効果で破壊したモンスターは6体!よってデッキから6枚ドローする!」

ハノイ 手札:2→8枚。

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK2000 → 8000

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

「な、なるほど。この効果に巻き込まない為の【精神操作】か…!」

 

 理解が早くて助かる。さて、蹂躙を始めようか…。

 

「バトルフェイズに移行。【オシリスの天空竜】でダイレクトアタック!超電導波サンダーフォース!!」

 

オシリスの天空竜 ATK8000

 

「え、なんで…ごぴゅぁぁぁぁぁっ!」

オベフォC LP:4000 → 0

 

 おー、オベリスクの時違って地面と水平に飛んで行って…壁に突き刺さったな。ピクピクしてるから生きてるだろう。ヨシッ!

 壁尻状態って奴か。オベリスクフォースの壁尻tか需要はなさそうだな。

 

「な…馬鹿な!何故攻撃が出来る!?」

「ふざけるな!【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】がある限り、レベル4以上のモンスターが攻撃できるわけが…」

 

「モンスターではない、神だ!神は罠カードの効果など受け付けはしない!」

「凄まじいな…」

 

 原作漫画だとオシリスの攻撃が【魔法の筒】で跳ね返されていた?

 いやいや、アレは「神の攻撃に対して罠を使ったのさ!」みたいな俺ルール効果だから…。

 

「私はカードを3枚伏せてターンエンド」

ハノイ 手札:8→5枚、伏せカード:0→3枚

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK8000→5000

 

「そしてエンドフェイズ時に【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】は本来のプレイヤーの元へ戻る」

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK5000

 

<ユートのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

 

◆ハノイの騎士 LP2000、手札:5枚、伏せカード:3枚、フィールド魔法:1

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK5000

 

◆ユート LP50、手札:0枚、伏せカード:0枚、永続罠;1(グラヴィティバインド)

 

<ユートのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:2000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースB LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォBのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースC LP:0

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ユート 手札:0→1枚。

 

「バトルだ!【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】でダイレクトアタック!反逆のライトニング・ディスオベイ!!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ATK4000

 

「ひでぶぅ!」

オベフォB LP:4000 → 0

 

 黒竜の突進アゴ攻撃がオベフォBの腹に突き刺さり、オベフォBは膝から崩れ落ちた。これが本家の腹パンか。怖い怖い。

 エクシーズモンスターはレベルを持たない為、【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】の影響を受けないんだよな。

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンド!」

ユート 手札:1→0枚。伏せカード:1

 

 

◆ハノイの騎士 LP2000、手札:5枚、伏せカード:3枚、フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK5000

 

◆ユート LP50、手札:0枚、伏せカード:1枚、永続罠;1(グラビティバインド)

 

<ユートのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:2000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1枚。

 

<オベフォAのフィールド>

モンスター無し

 

◆オベリスクフォースB LP:0

 

◆オベリスクフォースC LP:0

 

 

「我々オベリスクフォースが敗れるはずがない!我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

オベフォA 手札:1→2枚。

 

「我は速攻魔法【サイクロン】発動!小僧の【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】を破壊する!」

オベフォA 手札:2→1枚。

 

「くっ!」

黒服の少年 永続罠:1→0枚。

 

「黒髪の小僧!こうなったら貴様だけでも道連れにしてやる!我は魔法カード【古代の機械廃棄融合】発動!」

 

【古代の機械廃棄融合】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):自分・相手の墓地から、融合モンスターカードによって決められた「古代の機械」モンスターを融合素材とし、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

「我は墓地の「古代の機械」モンスター4体を除外して【古代の機械混沌巨人】を融合召喚!」

オベフォA 手札:1→0枚。

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500 ※【古代の機械廃棄融合】の効果により、モンスター効果無効。

 

「フィールドにモンスターが特殊召喚されたことで【オシリスの天空竜】の効果発動。そのモンスターの攻撃力を2000ダウンさせる。食らえ、召雷弾!」

 

「なん…だと…!」

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500 → 2500

 

「…ターンエンド」

オベフォA 手札:0枚。

 

 

◆ハノイの騎士 LP2000、手札:5枚、伏せカード:3枚、フィールド魔法:1

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK5000

 

◆ユート LP50、手札:0枚、伏せカード:1枚

 

<ユートのフィールド>

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ☆4 ATK4000 ORU:0

 

VS

 

◆オベリスクフォースA LP:2000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<オベフォAのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK2500 ※効果無効化。

 

◆オベリスクフォースB LP:0

 

◆オベリスクフォースC LP:0

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

<ハノイのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK5000 → 6000

 

「バトルフェイズに移行。【オシリスの天空竜】で【古代の機械混沌巨人】に攻撃!」

 

「我々オベリスクフォースが、こうも簡単に…これは悪夢だ。何かの間違いだ…」

 

「超電導波サンダーフォース!!」」

 

オシリスの天空竜 ATK6000

vs

古代の機械混沌巨人 ATK2500 ※戦闘破壊

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

オベフォA LP:2000 → 0

 

 

「終わったな」

 

「…生き残ることが出来たか」

 

~~~

 

<ユート視点>

 

「助けてくれてくれたこと、感謝する」

「気にするな。仕事だ」

 

 絶体絶命の最中、突如として謎の乗り物で現れた異形の仮面の少年は、こちらの礼の言葉に対してそっけない返事を返してきた。

 

「そういえばこちらの自己紹介がまだだったな…オレは…」

「それよりも、急いでいるのではなかったのか?」

「!」

 

 そうだ!ここの敵が片付いたところで、他の敵が彼女たちを襲わないとは限らない。

 急いで瑠璃たちと合流しないと!

 

「ここの処理はこちらでやる。お前が先ほどのことを借りと感じるならば…先ほどのデュエルのことを黙っておいてくれればそれでいい」

 

 先ほどのこととは、間違いなく【オシリスの天空竜】のことだろう。やはり訳アリなのだろうな。

 

「…そうだ、これを持っていくといい」

 

 そういうと彼はこちらに手に持っていた大きめのリュックを投げ渡してくる。…なんだろうか?

 

「これは…地図と食料、サバイバルセットに…【幻影騎士団】のカード!?【RR】や【LL】のカードまで…!?知らないカードも…こんなカードが!?何故!?いや、いいのか?」

「今のお前には必要なのだろう?どうせ私はそのカード達を使わん。お前が上手く使ってやってくれ。渡した地図には今ハートランドシティの救助に来ている部隊の詳細と主な救助活動ポイントが記されている。友人?と合流したらそこを目指すといい」

「何から何まで…すまない!恩に着る!では、また会おう!」

「あぁ、縁があればな」

 

 そういうと彼は何処かへ連絡を取り始めた。恐らく彼の仲間に先ほど倒したオベリスクフォースを回収させるのだろう。そちらはもう彼に任せるべきだろう。

 彼がオレのデッキである【幻影騎士団】のカード以外に黒咲の【RR】や瑠璃の【LL】のことを知っていたのは気になるが、先ほどの言葉はその辺りも含めて訳アリで黙っておけと言う意味だったのだろう。

 

 そして、今のオレにとっての最優先は瑠璃と合流して黒咲を探すことだ。待っていてくれ瑠璃、今向かう!




せっかくユーリの【捕食植物】を強化したので一度くらい強化状態で戦わせてみたいと思い、戦場に向かってもらいました。副官が居るので少しくらいならユーリが抜けても指揮系統に乱れはありません。

ユートvsオベフォ3人の現場に遭遇し、上を走っていた道路から飛び降りてきて参戦。ユーリにはDホイールを渡して先に行ってもらいました。

原作でよくやっていた乱入ペナルティによる参戦も、一度くらいはやっておこうかと思って取り入れてみました。途中からいきなり攻撃できる状態で手札5枚から参戦するので一見有利の様に見えますが、LP2000状態で相手の伏せ罠にいきなりかかる可能性もあるのでむしろ不利だと思います。

次回の更新は1/6(水) AM6:00予定です。

ストロー様、四季式様、タツタ様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四十九話 ユーリとBB

恐らく初めてオリ主が戦わないデュエルです。

そして、このハートランド編ではそういうデュエルが結構増えると思います。


<???視点>

 

GW初日の昼頃、一昨日に海外で開催されていたデュエル大会を優勝で終えて昨日の夜に帰国したボクは、普段のプロデュエリストの激務を中にようやく訪れた久し振りの休暇を満喫しつつ、購入したばかりのソファーに身を委ねながら寝ぼけ眼で随分と型落ちとなったテレビの電源を入れる。

 

モニターに映ったのは何処かの地元メディアが生放送していたニュース番組で、とある町で今も行われているテロ行為について解説していた。そう言えばそんな話を向こうで聞いた気がする…って、この町って日本の大都市じゃないか。しかもかなりの近場だ。

 

『約1週間前から続いているこのテロ行為についてですが、犯人側の目的は何なのでしょか?』

 

『今のところ、犯人グループからの犯行声明などは特に出されていないようですね』

 

1週間前か、ちょうどボクたちが飛行機で海外に渡った後のようだ。大会期間中はテレビなどを極力見ないようにしているから気付かなかったも無理のない話か。

 

『テロ行為が開始された直後、全員が青のスーツに奇妙な仮面をつけた犯人グループは自身を【オベリスクフォース】と名乗り、いきなり周囲の人間を謎の装置でカードに変えていきました』

 

『当然、町はパニックに陥ってしまい、人々は逃げ出す間もなく次々とカードにされて行きました』

 

人間のカード化か、嫌なことを思い出させてくれる。もし仮にあの時のボクと会う機会があれば遊戯がやったように徹底的に叩きのめしてやりたい。

 

『しかし、テロ行為から約15分後、とある研究所の警備部隊がテロリストの鎮圧に現れ、テロリストを次々とデュエルとリアルファイトで拘束していきました』

 

『これに驚いたテロリストたちは分散して町の各地に移動、潜伏して隙あらば町の人間を襲う行動にシフトしていきます。そして、テロ開始から約1時間後には海馬コーポレーションやI2社の共同で住民の避難活動を始めていた為、町からは順次住民が避難できています』

 

随分と早く鎮圧部隊が出てきたんだな。まるで近々このような事態が発生することを予知していたかのような動きだ。海馬コーポレーションやI2社も同様だな。

 

そう考えながら、飼っている虫たちに餌を上げ、自身の朝食を作っている。今日はトーストと目玉焼きとサラダでいいか。…それにしても朝にシャワーを浴びるなんて、昔のボクからすれば考えられないな。

 

『そこから約1週間、膠着状況が続いていましたが、今日の早朝よりテロリストたちはリアルソリッドビジョンシステムを用いて超巨大なモンスターを実体化させて町の破壊を始めました』

 

リアルソリッドビジョンシステムか。デュエルモンスターズのモンスターに直接触れることが出来るなんて、全デュエリストの夢だっただろうに、こんな使われ方をしてしまえば技術の封印もあり得るかも知れない。迷惑な話だ。

 

そう考えながら、軽めの朝食を済ませて食後のカフェオレを口に含む。うん、悪くない出来だな。

 

『この行動による被害者の救護活動をテロリスト鎮圧と同時に始めた警備部隊。次第に押され始めますが、突如としてバイクのような乗り物に乗った白いローブに灰色の仮面を付けた少年が現れ、テロリストたちを次々と物理で鎮圧していきました』

 

 

ぶふー!

 

 

…あまりの衝撃映像に口に含んだカフェオレを吹き出してしまった。何をやっているんだハノイ…。小学生が首を突っ込む案件じゃないぞ…。

 

『少年に続いて続々と現れるテロリストの鎮圧部隊の活躍によってテロリストたちは散り散りになりながら逃走していきました。現在は逃げた彼らの掃討戦に移行しているようですが、テロリストたちがあまりにも多いため、今も戦いが続いているのが現状です』

 

ハノイは今もなお戦っているのか…。冷たい言い方だが、テロが行われている町に知り合いは住んでいない為、街の復興になら資金援助などで協力しようとは思っていたが、今現在のテロ行為をどうこうするのを自分が手伝うなんて考えていなかった。対岸の火事と言うやつだ。だけど…。

 

そんな時、この前買ったばかりのスマートフォンと言う板状の携帯電話から着信音が鳴り始めた。相手は…やっぱりアイツか。

 

「やぁ、竜崎。こんな朝早くにどうしたんだい?」

 

「アホ、もう昼や。それより見てるか?今やっているテロの生放送」

 

「あぁ、さっきハノイらしき人物が2人乗りしたバイクで道路から飛んだところまでは見たよ」

 

「アイツも大概アホやったみたいやな。ま、見たのなら話は早いわ。なら…」

 

「もうボクの準備は出来ている」

 

「流石やな。さっき城之内とも話したんやけど、アイツも来るらしいで?」

 

「そうだろうね」

 

「ワイらの合流地点を考えると…ここやな。この〇〇駅に集合や」

 

「OK。じゃあ行こうか、ハートランドシティへ」

 

さようなら休日。虫たちに多めに餌を上げると、デッキとデュエルディスクの最終確認をした後、ボクは家から飛び出した。デュエリストとして、彼への借りを返すために。

 

~~~

 

<瑠璃視点>

 

「はぁ、はぁ、はぁ…アレン!サヤカ!早く!」

 

「分かってるよ!」

 

「はぁ、はぁ、早く、逃げないと…!はぁ、はぁ…」

 

オベリスクフォースの集団に襲われた際、足止めをユートが引き受けてくれたけど、すぐに別の方向から同じような敵がやってきて追われている。

 

アレンは光り輝くローラースケートを足に付けていて素早く移動できているが、私やサヤカは同じようなものは持っていないし、持っていても多分使えないので、敵に追い付かれつつあった。

 

「くそっ!アイツらなかなか足が速いな!しょうがねぇ、今度はオレが足止めを…!」

 

「はぁ、はぁ。待って!それなら足の遅い私がやるわ。正直言うと、これ以上走れなさそうなの…」

 

「…残念だけど2人とも、足止めは要らなくなったみたいよ?」

 

「「えっ?」」

 

私たちが向かっている方向からも青いスーツの仮面男たちが現れる。瓦礫の通路の間で完全に挟まれてしまった。

 

「鬼ごっこはもう終わりかな?」

 

「ドクターからの指示を忘れるなよ?男のガキはどうなってもいいが、女のガキは捕縛するんだからな?」

 

「カードになってしまった方がまだ救いがあるな?ひゃっひゃっひゃ!」

 

仮面男たちは、仮面越しでもわかりそうなぐらい下卑た笑顔を浮かべている。私は進行方向からやってきた連中に対峙した。

 

「こっちのは私がやるわ!その隙に2人は向こう側から上手くやって逃げて!」

 

「瑠璃!馬鹿なこと言ってるんじゃねえ!オレはお前のことをユートから頼まれてるんだよ!」

 

「そうよ!やるならみんなでやりましょう!」

 

こちらの抵抗が無駄になるだろうと考えているのだろう。敵対者の仮面男たちはゆっくりとデュエルディスクを構え…何かに気付いて構えを解く。何なの?…そう考えていると、瓦礫の山の上から半裸の男が降ってきた…。

 

~~~

 

<ユーリ視点>

 

クロトと別れて約5分、Dホイールを走らせて救難信号が出ていた指定のポイントに到着したけど、どうやら間に合ったみたいだね。

 

オベリスクフォースの集団に囲まれた民間人らしき3人が、上半身裸の赤髪ジーンズ男にデュエルで負けた直後らしい。ゆっくりと先頭にいる黒髪の少女へと近づく半裸の変態。少し急ぐか。

 

「ギャッ!」

 

「グェッ!」

 

「グフォッ!」

 

すぐさまこちらに背を向けてニヤニヤ笑っている無能たちに接近して不意打ちで黙らせる。そしてデュエルディスクの機能で周囲のランサーズを招集する命令を発信させる。これで少しすればランサーズの連中がここに駆け付けるだろう。

 

ボクのデュエルディスクは特別製でね?オベリスクフォースのデュエルディスクを解析して、彼らの使用する通信妨害機能を無効化できるのさ。さて…。

 

「キミたちはハートランドシティの住人であっているかい?ボクはユーリ。一応、キミたちを助けに来た人間だよ」

 

「一応って…」

 

「でも、仮面男たちを倒してくれたし…」

 

手前で倒れていた少年少女は渋い顔をしている。どうやらオベリスクフォースたちを不意打ちで物理的に処理したのが気になるらしい。だが、ボクにはそんなことはどうでもいい。早く逃げてくれると手間が減って助かるんだけどねぇ。

 

「キミたちにこれを渡しておこう。この地図には現在位置とランサーズの救助部隊の位置が記されている。上手く逃げて彼らと合流するといい」

 

「あ、ありがとう。でも…」

 

そう言う奥に居た黒髪の少女の近くを見ると、ショックから立ち直った上半身裸の赤髪ジーンズ男とオベリスクフォースたちがそこに居た。

 

「ユーリだと!?ここ数日、この辺りの同胞たちを倒し回っている奴か!」

 

「だが、ここにはBBが居る!BBが相手ならこれで奴もおしまいさ。奴が倒れたら他の連中を狩ればいい」

 

そんなことを言っている間に逃げるなり攻撃してくればいいのに…。

 

「お前も敵だな!?」

 

「くっくっく!コイツの名前はバトル・ビースト!通称BB!我々オベリスクフォースの切り札だ!さぁBB!この生意気そうなチビがお前の敵だ!やってしまえ!」

 

「そうだぞBB!この変な眉毛の小僧がお前の敵だ!」

 

「そうだBB!そこの紫キャベツがお前の敵だぞ!」

 

あとでアイツらは殴り倒すとして、民間人3人の前に出てデュエルディスクを構え、BBと呼ばれている上半身裸の赤髪ジーンズ男を対峙する。なるほど?確かに他のオベリスクフォースとは一味違いそうだね。ところで、ボクの後ろにいる3人はいつまで見ているんだい?早く避難しなくていいのかい?馬鹿なのかな?

 

「キミ、邪魔だよ」

 

「敵は倒す!」

 

どうやら自分の意思ではなく噂の洗脳処置を施されているようだ。虫か、改造か、どちらも胸糞悪い話だが、とりあえずデュエルで叩きのめしてから考えよう。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

ユーリ LP:4000

 

VS

 

BB LP:4000

 

 

「オレが先攻だ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

BB 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【剣闘訓練所】発動!デッキからレベル4以下の「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を手札に加える。オレは【剣闘獣ベストロウリィ】を手札に加える」

BB 手札:5→6枚

 

「オレは手札から永続魔法【剣闘排斥波】発動!自分フィールドの「剣闘獣」モンスターは、バトルフェイズ以外では相手の効果の対象にならない。1ターンに1度、自分のデッキから「剣闘獣」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。同じ種族のモンスターが自分フィールドに存在しない「剣闘獣」モンスター1体をデッキから守備表示で特殊召喚する」

BB 手札:5枚。

 

「オレは手札から【剣闘獣アンダル】を召喚!」

BB 手札:4枚。

 

<BBのフィールド>

剣闘獣アンダル ★4 ATK1900

 

「自分フィールドに「剣闘獣」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。オレは手札から【スレイブ・タイガー】を特殊召喚!このカードをリリースし、自分フィールドの「剣闘獣」モンスター1体を対象として発動できる。その自分の「剣闘獣」モンスターを持ち主のデッキに戻し、デッキから「剣闘獣」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、「剣闘獣」モンスターの効果で特殊召喚した扱いとなる。オレは【スレイブ・タイガー】をリリース!【剣闘獣アンダル】をデッキに戻して、デッキから【剣闘獣サジタリィ】を特殊召喚!」

BB 手札:3枚。

 

<BBのフィールド>

剣闘獣サジタリィ ★3 ATK1400

 

「【剣闘獣サジタリィ】が「剣闘獣」モンスターの効果で特殊召喚に成功した場合、手札から「剣闘獣」カード1枚を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする」

BB 手札:3→2→4枚。

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンド!」

BB 手札:2枚。

 

 

何故だ?何故【剣闘排斥波】の効果を発動しない?【剣闘獣サジタリィ】が特殊召喚された時点で発動条件を満たしているはずなんだけど…。

 

 

◆ユーリ LP:4000

 

VS

 

◆BB LP:4000、手札:2、伏せカード:2、永続魔法:1

 

<BBのフィールド>

剣闘獣サジタリィ ★3 ATK1400

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ユーリ 手札:5→6枚。

 

「ボクは【ローンファイア・ブロッサム】を通常召喚。そして効果発動。自身をリリースしてデッキから【捕食植物オフリス・スコーピオ】を特殊召喚。そして効果発動。特殊召喚に成功した場合、手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「捕食植物オフリス・スコーピオ」以外の「捕食植物」モンスター1体を特殊召喚する。ボクは手札のモンスターを1体墓地に送り、デッキから【捕食植物ダーリング・コブラ】を特殊召喚。そして効果発動。このカードが「捕食植物」モンスターの効果で特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。ボクはデッキから【融合】を手札に加える」

ユーリ 手札:5→4→5枚。

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物オフリス・スコーピオ ★3 DEF800

捕食植物ダーリング・コブラ ★3 DEF1500

 

「ボクは魔法カード【融合】を発動。魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今ひとつとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!現れろ!レベル7【捕食植物キメラフレシア】!」

ユーリ 手札:4枚。

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物キメラフレシア ★7 ATK2500

 

「バトルフェイズに移行」

 

「バトルフェイズ直前に、オレは伏せカードの永続罠【剣闘海戦】発動!このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、自分フィールドに「剣闘獣」モンスターが存在する限り、攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない。1ターンに1度、自分の手札・墓地から「剣闘獣」モンスター1体をデッキに戻し、自分フィールドの「剣闘獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の守備力分アップする。魔法&罠ゾーンのこのカードが効果で破壊された場合に発動できる。このターン、自分の「剣闘獣」モンスターは戦闘では破壊されない!」

BB 伏せカード:2→1

 

「オレは永続罠【剣闘海戦】の効果発動!手札の【剣闘獣ラニスタ】をデッキに戻し、【剣闘獣サジタリィ】の攻撃力を自身の元々の防御力分、つまり1000ポイントアップさせる!」

BB 手札:2→1

剣闘獣サジタリィ ATK1400 → 2400

 

「オレは更に伏せカード【剣闘獣の底力】を発動!自分フィールド上の「剣闘獣」と名のついたモンスター1体を選択し、その攻撃力をエンドフェイズ時まで500ポイントアップする!また、このカードが墓地に存在する場合、自分のメインフェイズ時にこのカード以外の自分の墓地の「剣闘獣」と名のついたカード2枚をデッキに戻す事で、墓地のこのカードを手札に戻す!」

BB 伏せカード:1→0

剣闘獣サジタリィ ATK2400 → 2900

 

「さぁ!バトルを仕掛けてこい!」

 

「バトルだ。【捕食植物キメラフレシア】で【剣闘獣サジタリィ】に攻撃!このカードが相手の表側表示モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に効果発動。ターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力は1000ダウンし、このカードの攻撃力は1000アップする」

 

捕食植物キメラフレシア ATK2500 → 3500

剣闘獣サジタリィ ★3 ATK2900 → 1900

 

「うわぁぁぁっ!」

BB LP:4000 → 2400

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド」

ユーリ 手札:2枚。

 

 

◆ユーリ LP:4000、手札:2、伏せカード:2

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物キメラフレシア ★7 ATK2500

 

VS

 

◆BB LP:2400、手札:2、伏せカード:0、永続魔法:1、永続罠:1

 

 

報告ほどの強さを感じないな。デッキが空回りしているのか?それとも、やはり洗脳されていて自分の本来の思考が出来ない状態では上手く自分のデッキを扱えないのか…。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

BB 手札:1→2枚。

 

「オレは…ぐっ!うぅっぐぅぅぅぁぁあ!?」

 

なんだ?様子がおかしいな?

 

「おい!まさかBBの奴、洗脳が解けかけているんじゃ…」

 

「まずいぞ!洗脳装置は別エリアにいるサンダース教官が持っているんだぞ!」

 

「あ、馬鹿!大きな声でそんな重要な話をする奴があるか!」

 

「へぇ~。やっぱりその男は洗脳されていて、しかも洗脳装置なんてものもあって、サンダースって人が持っているんだ~。なるほどね~」

 

「「「あっ」」」

 

あぁ、やはり洗脳による影響で本来のプレイングが出来ていないのか。おかしいと思ったよ。本来ならきっと後ろの民間人を3人纏めて相手に出来る実力者なんだろうからね。最初のターンの【剣闘排斥波】の効果発動忘れもこれが原因かな?…惜しい人材だね。

 

「お、オレは【剣闘獣ベストロウリィ】を、召喚!」

BB 手札:1枚。

 

<BBのフィールド>

剣闘獣ベストロウリィ ★3 ATK1400

 

「このタイミングでリバースカードオープン!通常罠【砂塵の大嵐】発動!このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。対象は【剣闘排斥波】と【剣闘海戦】」

ユーリ 伏せカード:2→1

 

「ぐっ!ぐぅぅぅっ!!」

BB 永続魔法:1→0、永続罠:1→0

 

厄介な永続効果を持つカードは早めに排除しておかないとね。ただ、【剣闘海戦】を破壊したことでこのターンは「剣闘獣」モンスターは戦闘では破壊されなくなったか。

 

「ぐぅぅ、バトルフェイズに移行!お、オレは!速攻魔法【団結する剣闘獣】を、発動!【剣闘獣ベストロウリィ】と、墓地の【剣闘獣アウグストル】を、デッキに戻し、【剣闘獣ガイザレス】を、特殊召喚する!」

BB 手札:0枚。

 

<BBのフィールド>

剣闘獣ガイザレス ★6 ATK2400

 

「【剣闘獣ガイザレス】が特殊召喚に成功した時、効果発動!フィールドのカードを、2枚まで対象として破壊する!【捕食植物キメラフレシア】と、伏せカードを、破壊!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【捕食生成】発動!手札の「プレデター」カードを任意の数だけ相手に見せ、見せた数だけ相手フィールドの表側表示モンスターを対象として発動できる。そのモンスターに捕食カウンターを1つずつ置く。ボクは手札の【捕食植物サンデウ・キンジー】を見せて【剣闘獣ガイザレス】に捕食カウンターを置く!捕食カウンターが置かれたレベル2以上のモンスターのレベルは1になる。自分の「捕食植物」モンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる」

ユーリ 伏せカード:1→0

 

剣闘獣ガイザレス ★6→1 ATK2400 捕食カウンター:1

 

「ちっ、だが【捕食植物キメラフレシア】は、破壊!」

 

「【捕食植物キメラフレシア】が墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズに発動できて、デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える効果があるよ」

 

「バトル!【剣闘獣ガイザレス】で、ダイレクトアタック!」

 

「相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。この【捕食植物セラセニアント】を手札から特殊召喚する」

ユーリ 手札:2→1

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物セラセニアント ★1 DEF600

 

「ならば、【剣闘獣ガイザレス】で、【捕食植物セラセニアント】を攻撃!」

 

「【捕食植物セラセニアント】が相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動できる。その相手モンスターを破壊する。【剣闘獣ガイザレス】を破壊」

 

「ぐぅっ!」

 

【剣闘獣】は戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に効果を発揮するモンスターだ。このタイミングで破壊してしまえば脅威ではないのさ。

 

「ターン、エンド」

 

 

◆ユーリ LP:4000、手札:1、モンスター:0、伏せカード:0

 

VS

 

◆BB  LP:2400、手札:0、モンスター:0、伏せカード:0

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行。【捕食植物キメラフレシア】の効果によりデッキから【再融合】を手札に加える」

ユーリ 手札:1→2→3枚。

 

「メインフェイズへ移行。ボクは手札より魔法カード【再融合】発動。800LPを払い、自分の墓地の融合モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時にそのモンスターは除外される。墓地の【捕食植物キメラフレシア】を対象として特殊召喚する」

ユーリ LP:4000 → 3200、手札:2

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物キメラフレシア ★7 ATK2500

 

「更に手札から【捕食植物サンデウ・キンジー】を召喚。そして効果発動。闇属性の融合モンスターカードによって決められた、フィールドのこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド及び相手フィールドの捕食カウンターが置かれたモンスターの中から選んで墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。【捕食植物サンデウ・キンジー】と【捕食植物キメラフレシア】で融合!魅惑の香りで虫を誘う二輪の美しき花よ!今ひとつとなりて、その花弁の奥の地獄から、新たな脅威を生み出せ!融合召喚!出でよ!レベル8【捕食植物ドラゴスタペリア】!」

ユーリ 手札:1枚。

 

<ユーリのフィールド>

捕食植物ドラゴスタペリア ★8 ATK2700

 

「バトル!【捕食植物ドラゴスタペリア】でダイレクトアタック!」

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」

BB LP:2400 → 0

 

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「お、おぉ…」

 

「次にデュエルする機会があるなら、万全の状態の君と対戦してみたいね」

 

 

~~~

 

<ユート視点>

 

「はぁ、はぁ、はぁ…見えた!瑠璃たちだ!…なんだ?誰かがデュエルしているのか?」

 

ハノイの騎士と別れた後、そこら中にあるガレキを迂回しつつも休みなく全力で走ってきてようやく瑠璃たちに追い付くことが出来た。地面に倒れている3人の横には苦悶の表情を浮かべて気絶しているオベリスクフォースが数名、それに紫の髪に同じく紫の軍服にワインレッドのマントを羽織った少年が居た。確か、先ほどハノイの騎士と行動を共にしていた少年だ。

 

「「「ユート!」」」

 

「皆、何とか無事だったようだな」

 

瑠璃たち3人を介抱しているとデュエルの決着がついたようだ。上半身裸の赤髪ジーンズ男が地面に倒れ伏す。紫の髪の少年が勝ったようだ。少年はすぐさま移動し、デュエルを観戦していたオベリスクフォースの懐に入り込み、彼らを物理的に制圧した。今も思いっきり顔を踏んで嗜虐的な笑みを浮かべている。

 

「おや?キミは確か…クロ、ハノイの騎士が助けに入っていた少年だね?キミがここにいるということは、向こうのデュエルも終わったようだね」

 

「あぁ、彼には世話になったよ。そうだ、自己紹介がまだだったな。オレは…」

 

ハノイの騎士にも助けてもらったし、彼もまた瑠璃たちを助けてくれたようなので、オレが自己紹介をしようとすると…。

 

「あぁ、いい、いい。そういうのはこれからやってくるランサーズの救護部隊にしてくれればいいから…ってやっと来たのかい?」

 

「すまないな。向こうの撤収が遅くなってしまった」

 

そういうと紫髪の少年は空を見上げて誰かに挨拶している。…空を見上げると、いつの間にかハノイの騎士が空を飛んでやってきていた。…何故か生身で空を飛びながら。

 

「「「と、飛んでるー!」」」

 

リアルソリッドビジョンを使用せずとも、人間とは空を飛べるものなのか!?

 

「あの人、また飛んでる…ん?背中に小さな竜みたいなのが見えるような…」

 

オレ、アレン、サヤカとは対照的に、瑠璃はそれほど驚いていないようだ。まるで以前、見たことがあるような感じだ。なんだか少しモヤモヤするな…。

 

「キミたち、うるさいよ。じゃ、ハノイ。帰りの運転はよろしく」

 

「はいはい。プチリュウ、もういいぞ。そろそろ降ろしてくれ」

 

オレたちの渾身の突っ込みは完全に無視され、ゆったりと着地したハノイの騎士は、近くに隠してあったらしいバイクのような乗り物を持ってきて、それにハノイの騎士と紫髪の少年の2人が跨ったところで、こちらに近付く集団が目に入った。

 

赤を基調とした制服の方の部分に騎士を模したマークが記されている。なるほど、槍を持つ騎士の集団でランサーズと言ったところなのだろう。

 

「では、サラバだ」

 

「じゃあね」

 

ランサーズと思わしき集団がこちらに合流するのを見届けてから、彼ら2人は風の様に走り去った。

 

~~~

 

<???視点>

 

ハートランドシティのとある場所にて。

 

「なに?BBがやられただと?」

 

「はっ!どうやらデュエルの最中に催眠が解けかけてしまったらしく、普段通りの実力を発揮できなかったようです」

 

「そうか、下がってよいぞ」

 

「はっ!失礼いたします」

 

黒の軍服に身を包む髭面の男は、オレンジの髪をした部下のオベリスクフォースからの報告を聞いてもさほど驚きを見せなかった。

 

それにしても、先ほどの部下の背丈は少年と言っても差し支えない程度には小柄だったな。それに、あの特徴的なオレンジ色の髪。あんな個性的な部下は自分の元に居ただろうか…?

 

「仕方がないでしょう。本来の彼は戦いに怯える臆病者だったのですからね。それでも実力は確かでしたから、バトルビーストとして洗脳したのですが、無理が祟りましたねぇ」

 

「やはりこの洗脳装置だけでは限界がありますな。早急にドクターの持つ洗脳虫の所在と扱い方を聞きださなければなりませんな」

 

「えぇ、イカれたドクターの少女趣味に使われるだけでは、あの虫も物足りないでしょう。我々が有効に利用してあげましょう」

 

黒服の軍人と話していた紫の服を着た椅子に座る鼻の高い灰色の髪の男性は、机の上で指を組んでそこに顎を乗せ、醜悪な笑みを零す。

 

「それでサンダース教官、ドクターの潜伏先は掴めたのですか?」

 

「えぇ、ほぼ確実と思われる目星は付きました。これから私自ら向かう予定です」

 

「頼みましたよ。あの虫さえ確保できれば私の王国の実現に一歩近づくのですからね」

 

「心得ておりますよ、ロジェ長官殿」

 

薄暗い部屋でサンダースとロジェはニヤニヤしていた…。この頃には、変わった色の髪の部下のことはサンダースの頭からは完全に消えていた…。




続々とハートランドに人が集まってきます。敵の強そうなネームドキャラの数が足りない…!

今回は【捕食植物】vs【剣闘獣】でした。

B.B.は、本来そこまでデュエルが好きではなく、『機械洗脳された人物は通常時よりも少し弱くなる』と言う2つの設定により、アニメ版の設定よりも【剣闘獣】デッキを有効に回せない状態になっています。

今回もユートや瑠璃はもう踏んだり蹴ったりです。この戦いを乗り越えればあとはしばらくは騒動から離れられるかも知れませんから、彼らには頑張って生き残って欲しいものです。

軍服のヒゲ親父と紫服の鼻の長いオッサン。まるで強者感溢れる感じで会話しようとしていますが、所詮は中ボスです。

次回の更新は1/6(水) AM7:00予定です。

戦車様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十話 ダイナソー竜崎と竜牙

強化ダイナソー竜崎vs洗脳デュエリストその1です。

今回、デュエルが始まるまでの前置きがそこそこ長いです。

ジュラック、エヴォル、除外恐竜を駆使する竜崎を相手に、洗脳デュエリストはまともに相手をすることが出来るのだろうか?


<クロト視点>

 

GW初日の夕方頃、ハートランドシティの北側に位置するランサーズの本営に戻ってきていたクロトとユーリは、同じく作戦区域から一時的に帰還したバレットとデニスの報告を聞いていた。

 

「じゃあデニス、バレット。作戦経過を聞こうか?」

 

「じゃあまずはボクからかな。ボクが担当していた西エリアは住民の避難はほぼ完了したよ。現在はランサーズがスリーマンセルで残党狩りをしているところさ。ちなみに、ユーリから頼まれていたもう1つの件、敵本拠地の調査も重要拠点が1つ判明したよ。今は連中を泳がせて、もう1つの本拠地を探っているところさ」

 

デニス、有能すぎだろ。コイツ、普段はユーリと緩い話をしたりマジシャンのバイトをやってはっちゃけているイメージしかないけど、裏の仕事でも敵組織への潜入調査とかスパイ活動とかを任されると凄まじいスピードで成果を上げてくるからなぁ。俺にはこういう作業は出来ん。

 

「では次は私だな。私が担当していた東エリアは敵の抵抗が激しかったが、住民の避難は約70%完了している」

 

バレットの方も順調にことが進んでいるっぽいな。やはり元本職は一味違うな。抵抗が激しかったってのが気になるけど…。

 

ちなみに、この北エリアは住民の避難は完了し、敵残党もほぼ片付いている。BBが倒れて捕縛されてからはオベリスクフォースも一目散に逃げていったから各個撃破されていた。

 

「抵抗が激しかったっていうのは、単にオベリスクフォースの数が多かったのかい?」

 

「いや、それもあるが一番の原因は洗脳されたデュエリストだ」

 

「さっきユーリが言っていたBBって人以外にも居たんだね。でも、洗脳されるとデュエルの腕が落ちるって話じゃなかったっけ?」

 

「洗脳方法が違ったり、洗脳の進行具合が進んでいたりするのかもな。俺達はまだ数人しか知らないわけだし」

 

ユーリの疑問にバレットが答え、デニスが疑問点を補足する。俺も思いつくことを挙げてみるけど正直分からんな。言い方はアレだが洗脳された人間のサンプルが増えてくれば判明して来るんだろうなぁ。

 

「それで、どんなデュエリストがいるの?」

 

「1人目は眼鏡を掛けた長身の男だ。使用デッキは【恐竜族】ただ、こいつは後の2人に比べれば大きく劣る」

 

恐竜族を使う長身眼鏡…そういえば漫画版GXでこちらのデュエルディスクに干渉してきてこちらだけ魔法カードを使用できなくしてくる一発キャラのインチキ野郎がそんな容姿をしていたような…。

 

「2人目はガタイのいい警官風の男だ。使用デッキは【戦士族シンクロ】。ゴヨウと名の付くモンスターを多用する」

 

何処の牛尾だよ。あの人はこの時代だとまだ20代中盤くらいだろ。何でゴヨウなんて…あ、ロジェが敵に居たんだっけ…。下手したら融合ゴヨウも使ってきそうだな。

 

「3人目が桁外れに強い。3つのテーマを混ぜた【融合使い】の少年だ。青い髪をポニーテールのような髪型にして、いつもキャンディーを舐めていたな」

 

紫雲院素良だな。舞網チャンピオンシップに出場した後の消息が不明だった1人だ。恐らくあの時に榊遊勝の策略によりに洗脳されていたのだろう。あのヒゲ野郎、洗脳されていたとはいえ、ロクなことしねーな。

 

洗脳による能力低下が無いのであれば、今のランサーズだと荷が重い相手だ。と言うか、さっきの黒咲さんレベルだから、俺も積極的に戦いたくないレベルの相手だな。融合使いだからEXデッキも原作並みに充実してそうだしな。誰か何とかしてくれないかな~。ユーリとかさ~。

 

「じゃあクロト、早めに片付けて来てね?」

 

「え、マジ?」

 

「マジでしょ。最後の1人に関してはデュエルデータがあったから見させてもらったけど、正直言うと今のボクじゃ手に余る相手だよ。勝てなくはないかも知れないけど、負ける可能性もかなりあるくらいには強そうだ」

 

「スマンが私も同感だ。あの少年は他のデュエリストに比べて圧倒的に強い。情けない話だが、私では歯が立たないだろう」

 

「ボクはここの指揮があるから流石に東エリアまでは行けないからね」

 

マジっぽいな。ユーリめ、軽く言ってくれる。デニスはペンデュラム召喚を身に付けたとはいえ相手が悪いし、バレットはデッキ構成上仕方ない感じかな。

 

融合デッキって明確なメタカードが少ないからなぁ。シンクロにおける機皇帝、エクシーズにおける紋章獣くらいのメタデッキがあればいいんだけど…征竜や魔導、オーバーハンドレッドナンバーズやヌメロンを解禁すれば何とか安定して勝てるか…?覇王龍は…余計な騒乱を招きそうだしなぁ…。

 

「仕方ないな、行くか」

 

「そう来なくっちゃね」

 

「他の2人はどうするんだい?」

 

「それは私とランサーズで抑えておこう。あの少年さえ押さえて貰えれば何とかなると思うのでな」

 

「ならボクもそっちの援護に向かうよ。西エリアは他のランサーズで対応できるだろうしね」

 

「助かる。では行こうか」

 

じゃあ、デッキを選別してさっさと現場に向かいますか!

 

~~~

 

<ユーリ視点>

 

クロトがDホイールで先行し、デニスとバレットもそれぞれの部隊を率いて東エリアに向かってから約1時間が経過した。そろそろ陽も沈む頃だ。彼らが次に帰還したら一度休憩を入れるべきだろう。

 

それまでは、ボクも他エリアの状況の再確認や後方に控えている赤馬親子への情報共有をしつつ、海馬コーポレーションやLDSとの連携を取らないとね。

 

「ようやく着いたね」

 

「ここがハートランドシティで合ってるみたいやな」

 

「こんな状況じゃなければ、テーマパークに来たみたいでテンション上がるんだろうなぁ」

 

どうやらハートランドシティの外側から来訪者が来たらしい。こんな状況って分かっててて来るなんて、よほどの馬鹿か身の程知らずの馬鹿なんだろうなぁ。

 

「誰だい?ここから先は現在立ち入り禁止だよ?」

 

「なんやこの子供は?」

 

「よぅ!少年!聞きたいことがあるんだけどよ~」

 

「何故こんなところに子供が?」

 

失礼な帽子男とアホっぽい金髪と一番まともそうな緑髪の眼鏡男が話しかけてくる。でも、立ち入り禁止って言っているよね?

 

「ランサーズ、不審者3名を確保しろ」

 

「イエス、サー!」

 

「わー、待て待て!」

 

「ワイたちは怪しいもんやないで!」

 

「確かに、いきなり現れたボクたちって怪しい不審者だよね…」

 

不審者3人はアッという間にランサーズに拘束される。本当に、何をしに来たんだこの3人は…。なんて騒動があったので…。

 

 

ボンッ!

 

 

近くで爆発音がするまで敵の接近に気が付けなかったのはまずかったと思う。

 

「ランサーズ、そいつらは置いて先に爆発音の調査をしろ」

 

「イエス、サー!」

 

何人かの護衛を残して爆発音の調査に向かわせたが、それとは別方面の道路からこちらに歩いてくる3人の人物が目に入った。どうやらバレットの報告にあった3人のようだ。クロト達の行動の裏をかかれた形になったな。流石にボクも3人同時相手は厳しそうだ。

 

「キミたち、何者だい?オベリスクフォースの手下かな?」

 

「キミがランサーズっていう連中の親玉ぁ?へぇ?狩り甲斐がありそうじゃないか」

 

こちらの質問を無視して、飴玉を嚙み砕きながら青髪の少年が挑発してくる。こいつらは人の話を聞かないな。

 

「牛尾!?」

 

「あぁ?誰だてめぇ?」

 

「オレだよ!城之内だよ!人のこと散々殴っておきながら、忘れたのかよお前!」

 

「覚えてねぇな」

 

「くぉの!てめぇなぁ!」

 

アッサリ拘束を解いた金髪が敵側の黒髪のガタイのいい男に話しかけている。

 

城之内?確か数年間に活躍したデュエリストがそんな名前だったような…。いや、コイツの連れも確かに見覚えがあるな。緑髪の眼鏡男が羽蛾で…帽子を被った男が…誰だっけ?梶木だったっけ?

 

「紫の少年、ここはボクたちに任せて貰えないかな?」

 

「ワイらでオベリスクフォースって奴を倒せば、少しはハノイの騎士の役に立つんやろ?」

 

「そうだね。ハノイの騎士の知り合いだったのかい?」

 

あぁ、確かに聞いたことがあったな。羽蛾に城之内に…帽子男。彼がテコ入れしたデュエリストか。ちょっと実力を見てみたいな。

 

「分かった。ここで彼らに勝てば立ち入り禁止エリアに入ったことは見逃してあげよう。だけどいいのかい?彼らに負けるとカードにされてしまうかも知れないよ?」

 

「そのくらいの修羅場なら、数年前にも味わったさ」

 

「せやせや」

 

「オレ達は全員、その手の経験者だぜ」

 

なんでちょっと誇らしげなんだろう…。いいか。彼らが上手くやれれば良し、上手くやれなければ残りはボクがやるか。

 

「じゃあ任せるよ。じゃ、よろしくね」

 

「あぁ!」

 

「任しとき!」

 

「おう!」

 

「彼らはテロリスト集団のオベリスクフォースに洗脳されたデュエリスト達だと思われる。普段よりは弱くなっているとは思うけど、油断しないようにね」

 

こうして、ボクは初対面の人間に大事な場面を丸投げした。

 

~~~

 

<竜崎視点>

 

「ボクが青髪の少年とやる」

 

「じゃあオレは牛尾をコテンパンにしてやるぜ!」

 

「じゃあワイはこの眼鏡の兄ちゃんやな」

 

そういうとワイたちはそれぞれの相手の元へと歩き、対峙する。

 

「くくくっ。私の相手は一番弱そうな君かい?」

 

「やかましいわい!」

 

いけ好かないやっちゃなー、この眼鏡。

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

これでもプロやからな?挨拶はちゃんとせんとな!

 

「「デュエル!」」

 

 

◆竜崎 LP:4000

 

vs

 

◆竜牙 LP:4000

 

 

「先攻は私が貰う!私のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行」

竜牙 手札:5→6枚

 

「私は【首領亀】を召喚。そして通常魔法【超進化薬】発動!自分フィールド上の爬虫類族モンスター1体を生け贄に捧げる。手札から恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。出でよ!【超古代恐獣】!」

竜牙 手札:5→4→3枚

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

 

相手も恐竜デッキか。それにして、なんやろうか、このもどかしい気持ちは…これがデジャヴって奴なんかなぁ。

 

「私はカードを2枚伏せてターンエンド」

竜牙 手札:1枚

 

 

◆竜崎 LP:4000

 

vs

 

◆竜牙 LP:4000、手札:1、伏せカード:2

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

 

 

「ワイのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行や!」

竜崎 手札:5→6枚

 

「ワイは通常魔法【化石調査】を発動!デッキから…なんや?デュエルディスクが反応せーへんぞ!?」

竜崎 手札:5枚

 

「おいおい、デュエルディスクの管理も出来ていないのかい?これが私の相手とはねぇ?」

 

「なんやとー!」

 

これは絶対におかしいで。デュエルディスクの管理なんてデュエリストの基本や。ワイももちろんハートランドシティ到着寸前に正常動作することを確認しとる。

 

でもタネが分からんなぁ。しゃーないなぁ、また昔みたいに魔法無しでやってみるしかないで。…罠は使えるんやろなぁ?

 

「ワイはモンスターをセット、カードを3枚伏せてターンエンドや!」

竜崎 手札:2枚

 

 

◆竜崎 LP:4000、手札:2、伏せカード:3

 

<竜崎のフィールド>

伏せモンスター

 

vs

 

◆竜牙 LP:4000、手札:1、伏せカード:2

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

 

 

「私のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行」

竜牙 手札:1→2枚

 

「私は【ハイパーハンマーヘッド】を召喚」

竜牙 手札:1枚

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

ハイパーハンマーヘッド ★4 ATK1500

 

「バトル!【ハイパーハンマーヘッド】で伏せモンスターに攻撃!」

 

「伏せモンスターは【ジュラック・スタウリコ】!戦闘破壊された【ジュラック・スタウリコ】の効果発動!自分フィールド上に「ジュラックトークン」(恐竜族・炎・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚や。このトークンは「ジュラック」と名のついたモンスター以外のアドバンス召喚のためにはリリースできないで!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラックトークン ★1 DEF0

ジュラックトークン ★1 DEF0

 

「ふん、小賢しい!【超古代恐獣】で【ジュラックトークン】に攻撃!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラックトークン DEF0

 

「私はターンエンド」

竜牙 手札:1枚

 

 

◆竜崎 LP:4000、手札:2、伏せカード:3

 

<竜崎のフィールド>

ジュラックトークン ★1 DEF0

 

vs

 

◆竜牙 LP:4000、手札:1、伏せカード:2

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

ハイパーハンマーヘッド ★4 ATK1500

 

「ワイのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行や!」

竜崎 手札:2→3枚

 

不味いで…。思った以上に魔法カードが使えんのは痛いわ。でも、その逆境を跳ね返してこそワイの成長につながるんや!見とれよ~!

 

「ワイは【レスキューラビット】召喚!そして効果発動や!フィールドのこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。ワイはデッキから【セイバーザウルス】2体を特殊召喚!」

竜崎 手札:2枚

 

<竜崎のフィールド>

ジュラックトークン ★1 DEF0

セイバーザウルス ★4 ATK1900

セイバーザウルス ★4 ATK1900

 

「この瞬間!私は伏せカードの罠カード【狩猟本能】発動!相手フィールド上にモンスターが特殊召喚された時に発動する事ができる。手札から恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。私は手札から【暗黒恐獣】を特殊召喚!」

竜牙 手札:1→0、伏せカード:2→1

 

「じゃあワイもチェーンして伏せカードを発動させてもらうで!罠カード【おジャマトリオ】発動や!…よし、発動できるな!相手フィールドに「おジャマトークン」(獣族・光・星2・攻0/守1000)3体を守備表示で特殊召喚するで。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできないで。「おジャマトークン」が破壊された時にそのコントローラーは1体につき300ダメージを受ける!」

竜崎 伏せカード:3→2

 

チェーン②おジャマトリオ

チェーン①狩猟本能

 

「【おジャマトリオ】!?」

 

「効果処理するで?まずは【おジャマトリオ】の効果でそちらのフィールドに【おジャマトークン】を3体プレゼントや」

 

<竜牙のフィールド>

超古代恐獣 ★8 ATK3000

ハイパーハンマーヘッド ★4 ATK1500

おジャマトークン ★2 DEF1000

おジャマトークン ★2 DEF1000

おジャマトークン ★2 DEF1000

 

「私のフィールドに不細工なトークンが!?」

 

「効果処理を続けるで。次に【狩猟本能】の効果やけど、空いているモンスターゾーンが無いから不発やな!」

 

「なにぃ!?」

 

ええ反応するなぁこの眼鏡の兄ちゃん。こんな反応されたらこっちもテンション上がってくるやんけ!

 

「更にワイは伏せカード【生存境界】発動や!フィールドの通常モンスターを全て破壊し、破壊した数までデッキからレベル4以下の恐竜族モンスターを自分フィールドに特殊召喚するんや。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊されるで。また、墓地の【生存境界】を除外し、自分フィールドの恐竜族モンスター1体と相手フィールドのカード1枚を対象として発動できて、そのカードを破壊できるで!」

竜崎 伏せカード:2→1

 

「一気にモンスターを並べる気か!だがレベル4程度のモンスターがいくら並んだところで…」

 

「フィールドの通常モンスターの数は、トークンを合わせて6体!デッキから5体のレベル4以下の恐竜族モンスターを特殊召喚させてもらうで!【ジュラック・グアイバ】【ジュラック・ヴェロー】【ジュラック・ガリム】【魂喰いオヴィラプター】【プチラノドン】を特殊召喚や!」

 

「そして、【おジャマトークン】が破壊されたことで1体につき300、3体破壊されたから900LPダメージを受けや!」

 

「ぐっ!バーンダメージを与えた上に、一気にモンスターを5体並べた!?だが、そんな雑魚モンスターではな!」

竜牙 LP:4000 → 3100

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・グアイバ ★4 ATK1700

ジュラック・ヴェロー ★4 DEF1000

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

魂喰いオヴィラプター ★4 ATK1800

プチラノドン ★2 DEF500

 

「【魂喰いオヴィラプター】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから恐竜族モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。ワイは【怒炎壊獣ドゴラン】を手札に加えるで!」

竜崎 手札:2→3枚

 

「更にワイは【魂喰いオヴィラプター】のもう1つの効果発動や!このカード以外のフィールドのレベル4以下の恐竜族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、自分の墓地から恐竜族モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。ワイは【ジュラック・ヴェロー】を破壊して【ベビケラサウルス】を特殊召喚や!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・グアイバ ★4 ATK1700

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

魂喰いオヴィラプター ★4 ATK1800

プチラノドン ★2 DEF500

ベビケラサウルス ★2 DEF500

 

「雑魚モンスターが何をやろうとも結果は変わらん!」

 

「雑魚には雑魚なりの戦い方があるんやで?ワイはレベル4【ジュラック・グアイバ】と【魂喰いオヴィラプター】にレベル2【ジュラック・ガリム】をチューニング!シンクロ召喚!出てこいや!レベル10【ジュラック・メテオ】!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・メテオ ★10 ATK2800

 

「シンクロ召喚!しかもレベル10モンスターだと!?」

 

「驚くのはここからやで?【ジュラック・メテオ】はこのカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊する。その後、自分の墓地からチューナー1体を選んで特殊召喚できる!」

 

「フィールドのカードをすべて破壊だと!?」

 

「そちらのチェーンは無いんやな?じゃあワイは伏せカードを発動させてもらうで!伏せカード【亜空間物質転送装置】発動!自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その自分の表側表示モンスターをエンドフェイズまで除外する。対象は【ジュラック・メテオ】や!」

竜崎 伏せカード:1→0

 

チェーン②亜空間物質転送装置

チェーン①ジュラック・メテオ

 

「効果処理するで?【亜空間物質転送装置】で【ジュラック・メテオ】は除外される」

 

「その後、【ジュラック・メテオ】の効果でフィールドのカードは全て破壊される。その後、ワイは墓地からチューナーモンスター【ジュラック・ガリム】を特殊召喚するで!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

 

「だがお前のフィールドもほぼ空になっているではないか!お前はこのターンの通常召喚権は消費している!これ以上は何も出来まい!」

 

「それはどうやろな?」

 

「何っ!?」 カン☆コーン!

 

「効果破壊された【ベビケラサウルス】の効果発動!このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。デッキからレベル4以下の恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。ワイはデッキから【ジュラック・プティラ】を特殊召喚や!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

ジュラック・プティラ ★3 DEF1500

 

「まだあるで?効果破壊された【プチラノドン】の効果発動!このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。デッキからレベル4以上の恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。ワイは【ジュラック・イグアノン】を特殊召喚!」

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

ジュラック・モノロフ ★3 ATK1500 ※チューナー

ジュラック・イグアノン ★4 ATK1700

 

「フィールドの全破壊からモンスターを3体まで並べた…!?」

 

「ワイはレベル4【ジュラック・イグアノン】にレベル3【ジュラック・モノロフ】をチューニング!シンクロ召喚!出てこいや!レベル7【ジュラック・ギガノト】!」

 

「【ジュラック・ギガノト】がフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の「ジュラック」と名のついたモンスターの攻撃力は、自分の墓地の「ジュラック」と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする」

 

<墓地のジュラック>

ジュラック・スタウリコ

ジュラック・グアイバ

ジュラック・ヴェロー

ジュラック・モノロフ

ジュラック・イグアノン

 

<竜崎のフィールド>

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

ジュラック・ギガノト ★7 ATK2100 → 3100

 

「攻撃力3100!?」

竜牙 LP:3100

 

本当なら手札にいる【炎霊神パイロレクス】も出せるんやけど、出す必要なさそうやなぁ。

竜崎 手札:3枚

 

「バトルや!【ジュラック・ギガノト】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

竜牙 LP:3100 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「私が…負けた…」

 

「どうやってるんかは知らんけど、相手の魔法カードを使えなくするなんてインチキ、やらん方がええで?ズルをすればするほど、人間は弱くなっていくんやからな」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

ようやくバレットから聞いていたポイントに到着したは良いだけど…。

 

「洗脳されているデュエリストなんていない件について」

 

「ボクに言われてもねぇ」

 

俺はデニスに筋違いと分かっていても文句を入れるが、当然流される。

 

「ユーリから連絡が入った。どうやらランサーズ本陣に出現したらしい。クロトは至急戻ってくるように。だそうだ」

 

「やってらんねぇ…」

 

バレットがユーリから追加の情報を得たらしい。俺は今来た道を全速力で戻り始めた…。




オリ主側の戦力が過多すぎるので、敵側に少しテコ入れしてみました。

【恐竜族(ジュラック+α)】vs【恐竜族】となりました。

漫画版GXの最初の方に出てきた竜牙と言うデュエルアカデミア教育実習生が今回の対戦相手です。序盤に一回出て終わりのキャラだったので使用カードが非常に少なく、適当に恐竜族を突っ込みました。本来の彼の切り札は【サイバーダイナソー】ですが、OCG版だと機械族なんですよね…。

オリ主はしばらく帰ってきません。

次回の更新は1/9(土) AM6:00予定です。

戦車様、四季式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十一話 城之内と牛尾

強化城之内vs若かりし頃の牛尾です。

城之内のデッキもかなり強化されていますが、アークファイブ時代のゴヨウカードを持つ牛尾もなかなか侮れない相手だと思います。


<モクバ視点>

 

GW初日の夕方頃、ハートランドシティの南エリアに拠点を構える海馬コーポレーションを従える海馬モクバは、次々に挙げられる報告に頭を悩ませていた。

 

「磯野、河豚田。念のため、もう一度だけ先ほどの報告を復唱しろ」

 

「はっ!本日の昼過ぎ頃に新たなアドバンス召喚反応が確認されました」

 

「その強大なアドバンス召喚反応の正体は99%以上の確率で【オリシスの天空竜】とのことです」

 

これで2体目の神、万が一にこの神を従えるデュエリストが敵側に居たとすれば、我が海馬コーポレーションで雇っているデュエリストでは到底歯が立たないだろう。

 

アテムが冥界に旅立ってから数年、自身もデュエルの腕を磨いてきたが、神のカードを相手に自身がどこまでやれるかは分からない…。何より、この混迷とした状況で自身がこの持ち場を離れることが出来そうになかった。

 

「召喚した者の正体も判明しているんだったな?」

 

「はっ!召喚者はオベリスク、オシリスともに『ハノイの騎士』と呼ばれる白いローブに灰色の仮面を付けたデュエリストです」

 

「実際、彼がデュエルしたと思われる場所の一部では、ビルの間から青い巨人が見えた、瓦礫の隙間から巨大な赤い竜を見た、などの目撃情報も少ないながらも存在しています」

 

正体の隠匿よりもオベリスクフォースを倒す時間を短縮するための実利を優先したのだろうが、もう少し周りに気を付けられなかったのだろうか。

 

「この情報はパニックの元になる。情報統制を忘れるなよ」

 

「「はっ!」」

 

磯野、河豚田は報告を終えると各々の部下を引き連れて業務に戻った。それを見届けたモクバは、拠点内にある移動式拠点の中に設置された椅子に腰かけ、現状をまとめる資料を作成して兄へと転送した。

 

…この町に失われし神のカードを持つデュエリストが居る。こんな情報が住民に出回ればせっかく落ち着きを取り戻し始めた住民が恐慌状態に陥る可能性がある。神のカードが味方かどうかなんて誰にも保証できないのだからな。

 

敵にこの情報が洩れても不味い。仮にハノイの騎士が襲撃され、神のカードを強奪された場合、敵側に神のカードが落ちることになる。敵のデュエリストが使用できるかは問題ではない、所持しているという情報のみでこちらの士気が大きく低下するのは間違いないだろう。海馬コーポレーションの社員は殆どがバトルシティの情報を持っているのだから。

 

「唯一、神のカードに対抗できるであろう兄様がこちらに到着できるのは早くても明日の早朝、それまでに面倒なことにならなければいいけどな…」

 

拠点内にあるコーヒーメーカーで淹れたコーヒーで疲労による睡魔を誤魔化しながら、彼は部下たちの指揮を再開した。

 

 

~~~

 

<城之内視点>

 

ハートランドシティの北エリア、ランサーズの拠点があるこの場所で、オレはオベリスクフォースに洗脳されたと言われるデュエリスト、かつて通っていた高校で風紀委員をしていた同期生と対峙していた。

 

ガタイのいい引きしまった体に特徴的な太い眉毛、相手を射抜くような鋭い眼光、対峙している警察の制服を身に纏う男には、そんなかつての牛尾哲の面影が色濃く残っている。

 

「お前が誰かは知らないが、オレの前に立ちはだかるのなら容赦はしねえ。オレの権力の前にひれ伏せ!」

 

「なーにが権力だよ!昔は金、金、金!とか言ってたくせによぉ」

 

「金はもうこりごりだ、これからは権力が物と言う時代よ!」

 

「権力ねぇ。そんなにいい物か?」

 

「当然よ。それを得るためにその為にコツコツと努力を積み重ねていき、上へ上へと目指していたんだ…だが、何故オレはこんなところに…?いや、そんなことはどうでもいいな!」

 

当時から特に親しかったわけでもないオレとの会話で簡単に洗脳が解けるわけないよな。やっぱり遊戯は凄かったんだな。

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

こんな時でも挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆城之内 LP:4000

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

牛尾哲 手札:5→6枚。

 

「オレはモンスターをセット!伏せカードを2枚セットしてターンエンド!」

牛尾哲 手札:5→3枚。

 

 

◆城之内 LP:4000

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:2

 

<牛尾のフィールド>

伏せモンスター

 

 

「権力だなんだっていいながら静かな立ち上がりじゃねえか、牛尾!」

 

「ケッ、吠えてろ」

 

「じゃあ行くぜ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】を召喚!1ターンに1度、このカードに装備カードが装備された場合に発動できる。その装備カードを破壊すると相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊出来るぜ!また、1ターンに1度、このカードに装備されている自分フィールドの装備カード1枚を墓地へ送り、自分の墓地のレベル7以下の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚出来るぜ!」

城之内 手札:5枚。

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 ATK1800

 

「オレは手札の【黒鋼竜】の効果発動!自分メインフェイズに自分フィールドの「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを攻撃力600アップの装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。オレは【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】を対象として、【黒鋼竜】を装備する!あとは、このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できで、デッキから「レッドアイズ」カード1枚を手札に加えられるぜ」

城之内 手札:4枚。

 

「オレは装備カードが装備された【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】の効果発動!その装備カード【黒鋼竜】を破壊し、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する!牛尾から見て右の伏せカードを破壊だ!」

 

「ちっ、調子に乗りやがって!」

牛尾哲 伏せカード:2→1

 

破壊できたのはカウンター罠の【ディスコード・カウンター】、相手のシンクロモンスターのシンクロ召喚を無効にして、召喚・反転召喚・特殊召喚を封じるカードか。

 

「フィールドから墓地に送られた【黒鋼竜】の効果発動!デッキから「レッドアイズ」カード1枚を手札に加える!オレは【レッドアイズ・インサイト】を手札に加える!」

城之内 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から魔法カード【レッドアイズ・インサイト】発動!「レッドアイズ・インサイト」は1ターンに1枚しか発動できない。手札・デッキから「レッドアイズ」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「レッドアイズ・インサイト」以外の「レッドアイズ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。オレはデッキの【真紅眼の黒炎竜】を墓地に送って、デッキから【真紅眼融合】を手札に加える!」

城之内 手札:4→5枚。

 

「よし、バトルだ!【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】で伏せモンスターに攻撃!」

 

「伏せモンスターは【アサルト・ガンドッグ】だ。このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に効果発動!デッキから「アサルト・ガンドッグ」を任意の数だけ特殊召喚する!」

 

<牛尾のフィールド>

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

 

「ゲゲッ、倒したのに増えやがったぞ!?」

 

確か、【戦士族シンクロ】ってデッキなんだよな。次のターンで強力モンスターを呼ばれるだろうから、伏せカードで対処するしかねーな!

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド」

城之内 手札:3枚。

 

 

◆城之内 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:2枚

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 ATK1800

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:1

 

<牛尾のフィールド>

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

牛尾哲 手札:3→4枚。

 

「オレは魔法カード【増援】発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。オレは【ジュッテ・ナイト】を手札に加える」

牛尾哲 手札:3→4枚。

 

「オレは【ジュッテ・ナイト】を召喚!そして効果発動!相手フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスター1体を選択して表側守備表示にする。【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】を守備表示にする」

牛尾哲 手札:3枚。

 

<牛尾のフィールド>

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

ジュッテ・ナイト ★2 ATK700

 

「なにぃー!?」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

 

「オレはレベル4【アサルト・ガンドッグ】にレベル2【ジュッテ・ナイト】をチューニング!見やがれ これが権力だぁ!出合え!レベル6!【ゴヨウ・ガーディアン】!」

 

<牛尾のフィールド>

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

ゴヨウ・ガーディアン ★6 ATK2800

 

「レベル6で攻撃力2800だと!?…やってくれるじゃねえか牛尾!」

 

「はっ!まだまだこれからよ!手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動!手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。オレは手札から1枚墓地に送り、デッキからレベル1【ヘル・セキュリティ】を特殊召喚!」

牛尾哲 手札:2→1枚。

 

<牛尾のフィールド>

アサルト・ガンドッグ ★4 DEF800

ゴヨウ・ガーディアン ★6 ATK2800

ヘル・セキュリティ ★1 DEF600

 

「オレはレベル4【アサルト・ガンドッグ】にレベル1【ヘル・セキュリティ】をチューニング!さぁ出動だ!泣く子も黙る双子の野獣刑事!レベル5!【ヘル・ツイン・コップ】!」

 

<牛尾のフィールド>

ゴヨウ・ガーディアン ★6 ATK2800

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

 

「ってそいつ悪魔族じゃねーか!【戦士族シンクロ】じゃねーのかよ!?」

 

「そんなこと言った覚えがねえよ!バトルだ!【ゴヨウ・ガーディアン】で【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】に攻撃!ゴヨウ・ラリアット!」

 

「この瞬間、リバースカードオープン!永続罠【モンスターBOX】発動だ!相手モンスターの攻撃宣言時、コイントスを1回行い裏表を当てる。当たった場合、その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで0になるぜ!このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。または、500ライフポイント払わずにこのカードを破壊するぜ!」

城之内 伏せカード:2→1

 

「甘ぇんだよ!リバースカードオープン!カウンター罠【ギャクタン】発動!罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す!」

牛尾哲 伏せカード:1→0

 

チェーン②ギャクタン

チェーン①モンスターBOX

 

「ゲゲー!カウンター罠!!」

 

「はっ!効果処理を行うぜ?【ギャクタン】により【モンスターBOX】の効果は無効!そしてデッキに戻る!」

 

「やべー!」

 

「はん!【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】破壊!更に【ゴヨウ・ガーディアン】の効果発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。そのモンスターを自分フィールドに守備表示で特殊召喚する!」

 

「なんだと!?」

 

「テメェの【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】がオレが頂いたぜ!これが権力!オレが求めていた力!」

 

<牛尾のフィールド>

ゴヨウ・ガーディアン ★6 ATK2800

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

 

「次のバトルだ!【ヘル・ツイン・コップ】でダイレクトアタック!」

 

「させるか!リバースカードオープン!速攻魔法【ルーレット・スパイダー】発動だ!」

城之内 伏せカード:1→0

 

「【ルーレット・スパイダー】だとぉ!」

 

「相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。サイコロを1回振り、出た目の効果を適用する!行くぜ!ダイスロール!…出た目は2!やべえ!!」

 

<ルーレット・スパイダーの効果一覧>

1・自分のLPを半分にする。

2・その攻撃を自分への直接攻撃にする。

3・自分フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターに攻撃対象を移し替えてダメージ計算を行う。

4・攻撃モンスター以外の相手フィールドのモンスター1体を選び、そのモンスターに攻撃対象を移し替えてダメージ計算を行う。

5・その攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

6・その相手モンスターを破壊する。

 

「じゃあ攻撃は素通りだな!【ヘル・ツイン・コップ】でダイレクトアタック!」

 

「グワァァァァァク!」

城之内 LP:4000 → 1800

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

牛尾哲 手札:1→0枚。

 

 

◆城之内 LP:1800、手札:3枚、伏せカード:0枚

 

<城之内のフィールド>

なし

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:4000、手札:0枚、伏せカード:1

 

<牛尾のフィールド>

ゴヨウ・ガーディアン ★6 ATK2800

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

 

 

ルーレットは外れちまったか…。しゃーなし!切り替えていこう!

 

「気を取り直して行くぜ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:3→4枚。

 

「オレは手札から【真紅眼融合】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う!」

城之内 手札:3枚。

 

「デッキのモンスターだけで融合召喚するだと!?」

 

「オレはデッキから【真紅眼の黒竜】と【フェニックス・ギア・フリード】を融合!来い!【真紅眼の黒刃竜】!」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒刃竜 ★7 ATK2800 ※カード名を【真紅眼の黒竜】として扱う。

 

「へっ!なかなかやるじゃねえかお前!」

 

「行くぜ!バトルだ!【真紅眼の黒刃竜】で【ゴヨウ・ガーディアン】に攻撃!

 

「攻撃力は互角!相打ち狙いのつもりか!」

 

「ここからがコイツの本領発揮だ!「レッドアイズ」モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の戦士族モンスター1体を対象として【真紅眼の黒刃竜】の効果発動!そのモンスターを攻撃力200アップの装備カード扱いとしてこのカードに装備する。オレは墓地の【フェニックス・ギア・フリード】を対象とし、【真紅眼の黒刃竜】に装備する!」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒刃竜 ★7 ATK2800 → 3000 ※【フェニックス・ギア・フリード】装備中。

 

「ぐぉっ!【ゴヨウ・ガーディアン】が戦闘破壊されたか…!」

牛尾哲 LP:4000 → 3800

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

城之内 手札:1枚。

 

 

◆城之内 LP:1800、手札:1枚、伏せカード:2枚

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒刃竜 ★7 ATK3000 ※【フェニックス・ギア・フリード】装備中。

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:3800、手札:0枚、伏せカード:1

 

<牛尾のフィールド>

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

牛尾哲 手札:0→1枚。

 

「オレは【トラパート】を召喚!このカードをシンクロ素材としたシンクロモンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない。このカードをシンクロ素材とする場合、戦士族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない」

牛尾哲 手札:1→0枚。

 

<牛尾のフィールド>

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

トラパート ★2 ATK600 ※チューナー

 

「オレはレベル4【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】にレベル2【トラパート】をチューニング!荒ぶる獣の牙もて捕獲せよ!レベル6!【ゴヨウ・プレデター】!」

 

<牛尾のフィールド>

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

ゴヨウ・プレデター ★6 ATK2400

 

「あ、てめぇ!オレのギア・フリードをよくも!」

 

「まだだぜ?オレは伏せカード【ミラクルシンクロフュージョン】発動!自分のフィールド・墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、Sモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!」

 

「墓地から融合素材を調達するだと!?」

 

「お前のデッキからよりはマシだろうが!オレはフィールドの【ゴヨウ・プレデター】と墓地の【ゴヨウ・ガーディアン】を融合!融合召喚!出でよ、荘厳なる捕獲者の血統を受け継ぎし者!レベル10!【ゴヨウ・エンペラー】!」

 

<牛尾のフィールド>

ヘル・ツイン・コップ ★5 ATK2200

ゴヨウ・エンペラー ★10 ATK3300

 

「レベル10!?新たなゴヨウモンスターか!」

 

「バトルだ!【ゴヨウ・エンペラー】で【真紅眼の黒刃竜】を攻撃!」

 

「おっと!ここでリバースカードオープン!速攻魔法【天使のサイコロ】発動!サイコロを1回振る。自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、ターン終了時まで出た目の数×100アップする!」

城之内 伏せカード:2→1

 

「またサイコロ魔法か!さっさと振りな!」

 

「おうよ!ダイスロール!…ダイスの目は3!よって攻撃力300アップだ!」

 

<城之内のフィールド>

真紅眼の黒刃竜 ★7 ATK3000→3300 ※【フェニックス・ギア・フリード】装備中。

 

「ちっ!【ゴヨウ・エンペラー】と【真紅眼の黒刃竜】で相打ちか!」

 

「【真紅眼の黒刃竜】が破壊されたことで効果発動!装備中だった【フェニックス・ギア・フリード】を特殊召喚する!」

 

<城之内のフィールド>

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

「くそっ!【ヘル・ツイン・コップ】を守備表示に変更して、オレはこれでターンエンドだ!」

 

 

◆城之内 LP:1800、手札:1枚、伏せカード:1枚

 

<城之内のフィールド>

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

VS

 

◆牛尾哲 LP:3800、手札:0枚、伏せカード:0

 

<牛尾のフィールド>

ヘル・ツイン・コップ ★5 DEF1800

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

城之内 手札:1→2枚。

 

「オレはリバースカードオープン!罠カード【戦線復帰】発動!自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。オレは墓地の【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】を守備表示で特殊召喚する!」

 

<城之内のフィールド>

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

 

「オレは魔法カード【簡易融合】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。1000LPを払って発動できる。レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。オレはレベル5【魔導騎士ギルティア】を融合召喚!」

城之内 LP:1800 → 800、手札:1枚。

 

<城之内のフィールド>

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード ★4 DEF1600

魔導騎士ギルティア ★5 DEF1500

 

「オレは魔法カード【融合】を発動!フィールドの【真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード】と【魔導騎士ギルティア】を融合!レベル8【鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード】を融合召喚!!」

城之内 手札:0枚。

 

<城之内のフィールド>

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード ★8 ATK2700

 

「【鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード】は、1ターンに1度、このカードを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できてその効果を無効にし、フィールドのカードを1枚を選んで破壊する効果。フィールドのモンスターのみを素材として融合召喚したこのカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる効果。1ターンに1度、このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、自分の墓地から魔法カード1枚を除外して発動できてこのカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの守備力の半分アップする効果を持つぜ!」

 

「殺意たけぇな…」

 

「バトル!【鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード】で【ヘル・ツイン・コップ】を攻撃!」

 

「くっ!【ヘル・ツイン・コップ】が戦闘破壊されたか…!」

 

「続けて!【鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード】でダイレクトアタック!」

 

「ぐおぉぉぉっ!」

牛尾哲 LP:3800 → 1100

 

「トドメだ!【フェニックス・ギア・フリード】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

牛尾哲 LP:1100 → 0

 

 

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

<城之内視点>

 

「はっ!…しばらく見ないうちにチンピラから卒業したみたいじゃねぇか、城之内よぉ」

 

「う、牛尾!お前、洗脳が解けたのか!?」

 

「あ?洗脳だ?何言ってやがるお前?…痛っ!なんか頭が痛え…んあ?そういや何で城之内が俺の目の前にいるんだ?そもそもここは何処だ!?オレは確か…同僚と一緒に飲みに行った帰りで…」

 

なんだかよく分からねえが、少し混乱はしているみてーだが、牛尾の洗脳は解けた見てえだな!ならこっちは一件落着だ。他の2人は…竜崎の方はもう決着が付いたみたいだな。羽蛾の方は…まだ戦っているな。

 

「おい、城之内!ここ何処だよ!今まで皆勤賞だったのに、これじゃ無断欠勤になっちまうじゃねえか!」

 

「落ち着けよ。ここはハートランドシティだぜ。で、なんでお前がここにいるかっつーとだなぁ…」

 

今の羽蛾ならなんとかするだろう。とりあえず、牛尾に事情を説明しながら向こうに合流しよう。




モクバ副社長のハノイに対する怒りのボルテージが徐々に上がっていっています。

城之内は【レッドアイズ+戦士族】、牛尾は【ゴヨウ+ポリス】でした。牛尾は未来の世界ではセキュリティになれるレベルのデュエリストではあるので、ロジェからカードさえ渡されればある程度は戦えると思います。オベリスクフォースより強いかと言われれば微妙ですが。

洗脳がアッサリ解けた理由はBBと大体同じです。元々DM時代に遊戯に罰ゲームを受けてある程度は精神が落ち着いている物と判断しています。未来でのサテライト民に対する反応も警察機構の人間として、スラム街で暮らす住人には警戒を抱く物だと思いますから納得できなくはないかな?と。遊星個人に関してはやりすぎでしょうけどね。

次回の更新は、1/9(土) AM7:00予定です。

四季式様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十二話 インゼクター羽蛾と素良

強化羽蛾vs洗脳素良戦です。

洗脳されたデュエリストは本来の力を発揮できずに弱体化している設定なので、結果はお察しです。


<零児視点>

 

GW初日の夕方頃、ハートランドシティの北東エリアに仮拠点を構えるLDSを従える赤馬零児もまた、次々に挙げられる報告に頭を悩ませていた。

 

「中島、私は少し耳がおかしくなっていたようだ。念のため、もう一度だけ先ほどの報告を復唱してくれ」

 

「はっ!本日の午前中、および昼過ぎ頃に新たなアドバンス召喚反応が確認されました」

 

「その強大なアドバンス召喚反応の正体は99%以上の確率で【オベリスクの巨神兵】と【オリシスの天空竜】だった、か?」

 

「はっ!その通りです」

 

ようやくLDSの負の遺産を清算できるめどが見えてきたと思えばこれだ。何故、今更になって失われたはずの神のカードが出てくる状況になるのだ!

 

「使用者は特定できているのか?」

 

「いえ、反応が検知された地域はどれもLDS有志、ランサーズ、オベリスクフォース、現地民が入り混じっていたエリアの為、こちらの検知装置では特定が困難と思われます」

 

「先ほど海馬コーポレーションやI2社へ問い合わせたあとの回答は?」

 

「いえ、まだ返ってきていません」

 

「そうか」

 

神のカードか。それらと相対した場合、果たして私でも太刀打ちできるかどうか…。

 

「あと、これは現地民からの情報なのですが…」

 

「歯切れが悪いな、どうした?」

 

「はっ!神のカードが召喚されたエリアでは、神の召喚前後にあのハノイの騎士の目撃例があります」

 

「…ハノイが?…2か所ともか?」

 

「はっ!その通りです」

 

奴か、いけ好かない男ではあるが、奴ならばあるいは神を使役していたとしても、また神と敵対していたとしても不思議と納得してしまうな。

 

「…この件は今はこれ以上の進展がなさそうだ。調査は継続しておけ」

 

「はっ!」

 

「LDS有志の状況はどうなっている」

 

「現在、4割が行動中です。残り6割は…」

 

「オベリスクフォースに敗れたか…」

 

去年の舞網市チャンピオンシップの時点で分かっていたことだ。オベリスクフォースは手強い。我らLDSのメンバーでは1対1で相手取ることは困難だということだ。だからこそ奴らと同様にスリーマンセルという方法を取ったわけだが…。

 

「カードにされた者はこちらの命令を無視して1人で奴らに挑んだ者がほとんどです」

 

「…カード化された者は、元に戻った後に特別カリキュラムを組むことにしよう」

 

「いっそのこと、記憶を改竄してしまうのはいかがでしょうか?」

 

「馬鹿者!それではオベリスクフォースの奴らと変わらんだろう!それに、そのような手法を取ればLDSを託してくれた父や姉に顔向けが出来ん!」

 

「はっ!申し訳ございませんでした!」

 

目の前の中島も、意識改革が必要かもしれんな…。

 

正体不明の神のカードを扱う謎のデュエリスト、各地で暗躍するハノイの騎士、オベリスクフォースに勝てないLDSメンバーの実力の低さ、赤馬零児の受難は続く…。

 

 

~~~

 

 

<羽蛾視点>

 

ハートランドシティの北エリア、ランサーズの拠点があるこの場所で、ボクはオベリスクフォースに洗脳されたと言われるデュエリスト、去年まで舞網市でデュエルスクールに通っていた子供と対峙していた。

 

水色の髪をポニーテール気味に纏め、愛嬌のある顔立ちに小柄な体、口元にはキャンディーを咥えている。だがその眼光は鋭く、対峙しているこちらへの殺意はひしひしと伝わってくる。この紫雲院素良という少年、何者なのだろう。

 

「君がボクの相手?もう少し強そうなのは居なかったのかな?」

 

「ボクもまさかこんな子供と戦うことになるとは思わなかったよ」

 

「子供だと思って手加減なんてしたら怪我するよ?」

 

「そうか。気を付けるとするよ」

 

「…君ってなんかムカつくなぁ。それじゃボクも。ちょこっとだけ本気出しちゃおうかな?」

 

そう言うと、少年からの圧が上がる。どうやら本当に油断できない相手のようだ。遊戯やハノイを相手にするような気持ちで臨もう。

 

「君に僕は狩れない。狩られるのは常に君たちだ!これからもずっとね!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

こんな時でも挨拶は大事だ。と、ハノイの言う古事記にそう書いてあるらしい。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆インゼクター羽蛾 LP:4000

 

VS

 

◆紫雲院素良 LP:4000

 

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

素良 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から【ファーニマル・ベア】の効果発動。このカードを手札から墓地へ送って発動できる。デッキから「トイポット」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットする!」

素良 手札:5枚。伏せカード:1

 

「そして、セットした永続魔法【トイポット】を発動!1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。確認したカードが「ファーニマル」モンスターだった場合、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。違った場合、そのドローしたカードを捨てる。このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える!」

素良 永続魔法:1

 

「永続魔法【トイポット】の効果発動!1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。確認したカードが「ファーニマル」モンスターだった場合、手札からモンスター1体を特殊召喚できる。違った場合、そのドローしたカードを捨てる。ボクは手札から【ファーニマル・ウィング】を墓地に送り、1枚ドロー!ドローしたカードは【ファーニマル・オウル】。よってそのまま手札に加えて特殊召喚する!」

素良 手札:5→4→5枚。

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

 

「ボクは【ファーニマル・オウル】の効果発動!このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える!」

素良 手札:5→6枚。

 

「墓地の【ファーニマル・ウィング】の効果発動!「ファーニマル・ウィング」の効果は1ターンに1度しか使用できない。自分フィールドに「トイポット」が存在する場合、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外し、自分はデッキから1枚ドローする。その後、自分フィールドの「トイポット」1枚を選んで墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする」

 

「ボクは墓地の【ファーニマル・ウィング】と【ファーニマル・ベア】を除外して1枚ドロー!その後、自分フィールドの「トイポット」1枚を選んで墓地へ送り、ボクはデッキから1枚ドロー!」

素良 手札:6→7→8枚。

 

「更に、墓地に送られた【トイポット】の効果発動。このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える」

 

「ボクはデッキから【エッジインプ・シザー】を手札に加える!」

素良 手札:8→9枚。

 

「ボクは【ファーニマル・ドッグ】を通常召喚!そして効果発動!ファーニマル・ドッグ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「エッジインプ・シザー」1体または「ファーニマル・ドッグ」以外の「ファーニマル」モンスター1体を手札に加える。ボクは2枚目の【エッジインプ・シザー】を手札に加える!」

素良 手札:8→9枚。

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

ファーニマル・ドッグ ★4 ATK1700

 

「手札が尽きないデッキテーマだね…」

 

「ボクは手札の魔法カード【融合】発動!【エッジインプ・シザー】と【ファーニマル・ベア】で融合!悪魔の爪よ!野獣の牙よ!今、神秘の渦で一つとなりて新たな力と姿を見せよ! 融合召喚!現れ出ちゃえ、すべてを切り裂く戦慄のケダモノ、【デストーイ・シザー・ベアー】!」

素良 手札:9→6枚。

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

ファーニマル・ドッグ ★4 ATK1700

デストーイ・シザー・ベアー ★6 ATK2200

 

「【デストーイ・シザー・ベアー】には、このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。そのモンスターを攻撃力1000アップの装備カード扱いとしてこのカードに装備する効果があるよ」

 

「へぇ、そんな効果があるんだね」

 

「ボクはカードを3枚セットしてターンエンド!」

素良 手札:3枚。伏せカード:3枚。

 

 

◆インゼクター羽蛾 LP:4000

 

VS

 

◆紫雲院素良 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:3枚。

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

ファーニマル・ドッグ ★4 ATK1700

デストーイ・シザー・ベアー ★6 ATK2200

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

羽蛾 手札:5→6枚。

 

破壊耐性のないモンスターが3体、伏せカードが3枚、手札が3枚か。なんとかなるかな。

 

「ボクは手札から魔法カード【天使の施し】の効果発動。デッキから3枚ドローして2枚墓地に送る!」

羽蛾 手札:5→8→6枚

 

「ボクは手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。ボクはデッキから【甲虫装機 ホーネット】を墓地に送る!」

羽蛾 手札:5枚

 

「ボクは手札から【甲虫装機 ダンセル】を召喚!効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。ボクは墓地の【甲虫装機 ホーネット】を装備させる!」

羽蛾 手札:4枚

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000 +【甲虫装機 ホーネット】装備

 

「墓地から装備された【甲虫装機 ホーネット】の効果発動!モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。ボクは【甲虫装機 ホーネット】を墓地に送り、君の伏せカード1枚を破壊する!」

 

「何ぃ!?…ちっ!リバースカードオープン!【デストーイ・カスタム】発動!自分の墓地の、「エッジインプ」モンスターまたは「ファーニマル」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターを融合素材とする場合、「デストーイ」モンスターとして扱う事ができる。ボクは墓地の【エッジインプ・シザー】を特殊召喚!」

素良 伏せカード:3→2

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

ファーニマル・ドッグ ★4 ATK1700

デストーイ・シザー・ベアー ★6 ATK2200

エッジインプ・シザー ★3 DEF800

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

 

「ボクは【甲虫装機 ダンセル】の効果発動!このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「甲虫装機 ダンセル」以外の「甲虫装機」モンスター1体を特殊召喚する。ボクはデッキから【甲虫装機 センチピード】を特殊召喚!」

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

 

「ボクは【甲虫装機 センチピード】の効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。ボクは墓地の【甲虫装機 ホーネット】を装備させる!」

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600 +【甲虫装機 ホーネット】装備

 

「墓地から装備された【甲虫装機 ホーネット】の効果発動!モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。ボクは【甲虫装機 ホーネット】を墓地に送り、君の伏せカード1枚を破壊する!」

 

「またっ!?」

素良 伏せカード:2→1

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

 

墓地に送られたのは【デストーイ・マーチ】。デストーイモンスターを守るカウンター罠か。悪くないカードを撃ち抜いたね。

 

「ボクは【甲虫装機 センチピード】の効果発動!このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「甲虫装機」カード1枚を手札に加える。ボクは【甲虫装機 ダンセル】を手札に加える!」

羽蛾 手札:4→5枚

 

「くそっ!こんな奴に…!」

 

「余裕がないね」

 

「はァ?余裕が無い?冗談言うなよ。こんなデュエル、キャンディー舐めながらだってボクには出来る!」

 

そう言いながら咥えていたキャンディーを噛み砕く。舐めるんじゃなかったのか…。

 

「遊びさ。本気でやるわけないじゃん。ボクの仲間たちだってそう。みんな遊びでボクたちを狩ってるんだ!」

 

まるで自分の意思でハートランドシティの住民をカード化していたように聞こえる。洗脳とはそこまでのものなのだろう。

 

「だって君達は、ボクらにとってハンティングゲームの獲物なんだから!」

 

少年が酷く歪んだ笑顔を作る。…ボクたちの時の様に自分の意思でやるなら自己責任だけど、他人に操られた状態の彼にこれ以上の罪を重ねさせるわけにはいかないな!

 

「ボクは通常魔法【二重召喚】を発動!このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる!」

羽蛾 手札:4枚

 

「ボクは手札から【甲虫装機 ダンセル】を召喚!効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。ボクは墓地の【甲虫装機 ホーネット】を装備させる!」

羽蛾 手札:3枚

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000 +【甲虫装機 ホーネット】装備

 

「またか!いい加減にしろよ!!」

 

「墓地から装備された【甲虫装機 ホーネット】の効果発動!モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。ボクは【甲虫装機 ホーネット】を墓地に送り、君の伏せカード1枚を破壊する!」

 

「くっ!だけどねぇ!墓地に送られたのは【魔玩具厄瓶】!このカードが墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。対象は【甲虫装機 センチピード】だ!」

素良 伏せカード:1→0

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600 → 800

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

 

「ボクは【甲虫装機 ダンセル】の効果発動!このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「甲虫装機 ダンセル」以外の「甲虫装機」モンスター1体を特殊召喚する。ボクはデッキから【甲虫装機 センチピード】を特殊召喚!」

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK800

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

 

「ボクは【甲虫装機 センチピード】の効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地から「甲虫装機」モンスター1体を選び、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。ボクは墓地の【甲虫装機 ホーネット】を装備させる!」

 

「しつこいんだよぉ!」

 

「墓地から装備された【甲虫装機 ホーネット】の効果発動!モンスターに装備されているこのカードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。ボクは【甲虫装機 ホーネット】を墓地に送り、君のフィールドの【デストーイ・シザー・ベアー】を破壊する!」

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 DEF1000

ファーニマル・ドッグ ★4 ATK1700

エッジインプ・シザー ★3 DEF800

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK800

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

 

「ボクは【甲虫装機 センチピード】の効果発動!このカードが自分フィールドに存在し、このカードに装備されたカードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「甲虫装機」カード1枚を手札に加える。ボクは【甲虫装機 ギガマンティス】を手札に加える!」

羽蛾 手札:3→4枚

 

「今、ボクの墓地には、闇属性【甲虫装機 アーマイゼ】【甲虫装機 ウィーグ】【甲虫装機 ホーネット】の3体が居る」

 

「それがどうしたって言うんだ!…ボチ、ヤミ、サンタイ?」

 

「このカードは通常召喚できない。自分の墓地の闇属性モンスターが3体の場合のみ特殊召喚できる。ボクは手札から【ダーク・アームド・ドラゴン】を特殊召喚!」

羽蛾 手札:3枚

 

<羽蛾のフィールド>

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK800

甲虫装機 ダンセル ★3 ATK1000

甲虫装機 センチピード ★3 ATK1600

ダーク・アームド・ドラゴン ★7 ATK2800

 

「あっ」

 

「まさか、昆虫族使いがドラゴンを使うな!なんて言わないよね?」

 

【ダーク・アームド・ドラゴン】はドラゴン族である前に、闇属性サポートカードだよね?

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】の効果発動!自分の墓地から闇属性モンスター1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。墓地の【甲虫装機 アーマイゼ】を除外して【ファーニマル・ドッグ】を破壊」

 

<素良のフィールド>

ファーニマル・オウル ★2 ATK1000

エッジインプ・シザー ★3 DEF800

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】の効果発動。墓地の【甲虫装機 ウィーグ】を除外して【ファーニマル・オウル】を破壊」

 

<素良のフィールド>

エッジインプ・シザー ★3 DEF800

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】の効果発動。墓地の【甲虫装機 ホーネット】を除外して【エッジインプ・シザー】を破壊」

 

<素良のフィールド>

モンスター無し

 

「あぁ…ボクのフィールドのモンスターが、全滅…」

 

手札は3枚残っているけれど、フィールドのモンスターは無し、伏せカードも無し。こちらのターンに墓地発動できるカードは無し。

 

「【甲虫装機 センチピード】でダイレクトアタック」

 

甲虫装機 センチピード ATK800

 

「うわっ!」

素良 LP:4000→3200

 

「【甲虫装機 ダンセル】でダイレクトアタック」

 

甲虫装機 ダンセル ATK1000

 

「ぐわぁっ!!」

素良 LP:3200→2200

 

手札が3枚残っているから、てっきり防御系の手札誘発を握っているのかと思ったけれど、取り越し苦労だったようだね。

 

「【ダーク・アームド・ドラゴン】でダイレクトアタック」

 

ダーク・アームド・ドラゴン ATK2800

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

素良 LP:2200→0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

洗脳さえなければ、本来ならもっと強い相手なんだろうな…。

 

手札に【寄生虫パラノイド】や【超進化の繭】を温存していたとはいえ、今日も慢心せずに堅実なデュエルが出来たと思う。

 

~~~

 

<羽蛾視点>

 

デュエルが終わると、少年は力尽きたかのように地面に倒れこむ。

 

「キミ!…気絶しているのか」

 

息はしているし、心音も聞こえる。洗脳が解けたかどうかは分からないけれど、ひとまずは片付いたのかな?

 

他の2人は…2人とも戦い終わってるな。こちらのデュエルが終わったのに気付いたのかこちらへ歩いてくる。

 

「おう!そっちも終わったみたいやな!」

 

「あの水色の髪のガキ、かなり強そうだったのに、やるなぁ羽蛾!」

 

「彼は本調子じゃなさそうだったからね。今回はそれほどでもなかったよ」

 

いつか本気の彼ともデュエルしてみたいものだ。さて、こちらは片付いたし、あの紫髪の少年に報告に行くかな。




本作の赤馬零児は何故こんなに苦労人体質になってしまったのやら。

【インゼクター】vs【ファーニマル】です。

【ファーニマル】はほぼ純構成に融合サポートのみです。

【インゼクター】は羽蛾がハノイの思想の影響を受けている為、相性のいいカードは軒並み入っています。【虚空海竜リヴァイエール】【恐牙狼 ダイヤウルフ】【シャーク・フォートレス】【セイクリッド・トレミスM7】辺りは平然と出てくるので、プロリーグではその度に「虫じゃねぇじゃん!」と、観客がオーバーリアクションします。

次回の更新は、1/13(水) AM6:00予定です。

四季式様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十三話 ラーの翼神竜

ハートランドシティ騒動編。黒幕のデュエルです。

デュエルの強さ的には黒幕よりお供の中ボスの方が強いです。

とはいえ2対1ですからね。当然インチキカードを使用します。


<クロト視点>

 

GW初日の夕暮れ時頃、ハートランドシティの東エリアからランサーズの拠点に戻ろうとDホイールを走らせていたして俺に、ユーリから連絡が入る。

 

「えっ、洗脳デュエリストは3人とも倒した?」

 

「そっ。君の知り合いだっていう3人が協力してくれてね。今も避難民の誘導や近くのオベリスクフォース残党の処理を手伝ってくれているよ」

 

へー、誰だろ。鈴木、佐藤、田中…ではないよな。

 

「それよりも、敵の親玉ドクトルの位置が特定できたよ。デニスが敵に扮して潜入したら、アッサリとロジェやサンダースのいるアジトまで案内してもらえて、その後の奴ら側の情報も筒抜けで得られたらしいね」

 

「おっ、マジか。デニスもやるねぇ」

 

さっきの報告で言ってた内容だな。もう裏付けも取れたのか。泳がせてもう1つの拠点を探すっていう話だったけれど、ドクトルが居るであろうそっちの拠点も見つかったのか。早いな…。

 

「今Dホイールに位置座標を転送したから、今からロジェを潰してきてね。ドクトルはこちらで押さえておくからさ」

 

ロジェか。他で目撃情報もないし、恐らくあの変態サイボーグもロジェと一緒にいるんだろうなぁ。2対1になることは覚悟しておいた方がいいな。

 

「…戻るよりは早く着くし、今日で終わらせられるならそれでいいか」

 

「そういうこと。もちろん他のランサーズも向かわせてるよ。君が着く頃にはロジェ以外は大体捕まえていると思うよ」

 

「OK」

 

じゃあ、さっさと行きますか。

 

~~~

 

<ロジェ視点>

 

夕日が沈み、夜の帳が下りた頃、ジャン・ミシェル・ロジェは自身の側近であるセルゲイのみを連れて、ハートランドシティの路地裏を駆け抜けていた。

 

「くそっ!どうなっているんだ!何故あの場所がバレた!」

 

Dr.ドクトルの位置を特定出来たため、サンダースに部下を預けて捕縛を命じたところ、あっという間にランサーズに囲まれて捕まってしまった。おかげでいい囮となったため、自らは別ルートで逃げられたのだが。

 

「あのランサーズを指揮していたオレンジの髪の少年、先ほど私たちに状況を報告しにきた兵士ではなかったか?…くそっ!スパイが紛れ込んでいたとはな!」

 

路地裏を抜けて、ようやくハートランドシティの東側出入口が見えてきた。あそこを抜ければこの町を脱出したも同然だ。

 

「Dr.ドクトルと虫のことは諦めるしかあるまい。幸いまだこちらには機械式の洗脳装置が残っている。チップを脳内に埋め込む手間はあるが、これを上手く使えば組織の再建は可能だ」

 

「いや、それは無理だな」

 

出入口付近に到達した瞬間、周囲からスポットライトに照らされる!そして、くぐもった合成音声のような声が聞こえてきた。

 

「何者だ!この私に向かって無礼な真似は許さんぞ!」

 

そう言葉を返すと、出入り口の陰から白いローブに灰色の仮面を被った少年と、顔に火傷跡がある眼帯を付けた軍人が現れる。

 

「ランサーズだ。お前たちは完全に包囲されている。諦めろ」

 

「黙れ!もう少しで私の王国が完成するのだ!その邪魔をさせるわけにはいかん!セルゲイ、片づけるぞ!」

 

「…了解」

 

眼帯の男がふざけたことを抜かすが、知ったことか!そして、私の号令に従い、セルゲイが戦闘モードへ移行する。

 

「サイボーグか。その男、元は人間だろう」

 

「アルコール中毒の囚人さ。そんな男がサイボーグになり私の忠実な僕として私の役に立てるのだ。こいつも本望だろう」

 

「バレットさん、ここは私が片づける。念のため、周囲の警戒を」

 

「分かった。頼んだぞハノイ」

 

眼帯の男が1歩下がり、仮面の少年が前に出てくる。コイツ、1人で私とセルゲイ両方を相手取るつもりか?

 

「2対1の変則ルールだ。初期手札は10枚貰うぞ。LPは4000で十分だ」

 

「ふざけた小僧だ!叩き潰してやるぞ!」

 

「…デュエルモード、スタンバイ」

 

私とてデュエルアカデミアではクロノスと並ぶ【古代の機械】デッキの使い手と呼ばれた男だ。

 

そしてセルゲイは私とオベリスクフォースの技術の粋を集めて製造したデュエルマシーン!勝てるわけが無かろう!

 

 

「「「デュエル!」」」」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「「「デュエル!」」」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆ジャン・ミシェル・ロジェ LP:4000

◆セルゲイ・ヴォルコフ LP:4000

 

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ロジェ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】発動。自分のデッキからカードを2枚ドローする!」

ロジェ 手札:5→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【融合賢者】発動。自分のデッキから「融合」魔法カード1枚を手札に加える!」

ロジェ 手札:6→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動。デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのはフィールド魔法【歯車街】だ」

ロジェ 手札:6→7枚。

 

「私は手札よりフィールド魔法【歯車街】発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する」

ロジェ 手札:6枚。フィールド魔法:1

 

「ここで私は手札から【儚無みずき】を墓地に送り、効果発動。相手がメインフェイズ及びバトルフェイズに効果モンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はそのモンスターの攻撃力分だけLPを回復する。この効果で自分のLPが回復しなかった場合、エンドフェイズに自分のLPは半分になる」

ハノイ 手札:10→9

 

「ふん、小賢しい。私は手札より魔法カード【古代の機械射出機】を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する!」

ロジェ 手札:5枚。

 

「【古代の機械射出機】の効果で【歯車街】を破壊!【古代の機械射出機】の効果で【古代の機械熱核竜】を特殊召喚!更に、破壊された【歯車街】の効果で【古代の機械巨竜】を特殊召喚する!」

ロジェ フィールド魔法:1→0

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3000

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000

 

ハノイ LP:4000 → 7000 → 10000

 

「私は永続魔法【古代の機械城】を発動!フィールドの「アンティーク・ギア」モンスターの攻撃力は300アップする。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、モンスターが通常召喚される度に、このカードにカウンターを1つ置く。自分が「アンティーク・ギア」モンスターを表側表示でアドバンス召喚する場合、必要なリリースの数以上のカウンターが置かれたこのカードを代わりにリリースしてアドバンス召喚できる」

ロジェ 手札:4枚、永続魔法:1

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3000 → 3300

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000 → 3300

 

「そして私は【古代の機械飛竜】を召喚!効果発動!「古代の機械飛竜」の1ターンに1度、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「古代の機械飛竜」以外の「アンティーク・ギア」カード1枚を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできない。私はデッキから【古代の機械箱】を手札に加える!」

ロジェ 手札:3→4枚、古代の機械城カウンター:1

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3300

古代の機械巨竜 ★8 ATK3300

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700 → 2000

 

「【古代の機械箱】の効果発動!このカードがドロー以外の方法でデッキ・墓地から手札に加わった場合に発動できる。「古代の機械箱」以外の攻撃力または守備力が500の機械族・地属性モンスター1体をデッキから手札に加える。私はデッキから【古代の機械騎士】を手札に加える!」

ロジェ 手札:4→5枚

 

「ここで私は手札の魔法カード【融合】を発動!手札の【古代の機械兵士】と【古代の機械騎士】を融合!いにしえの魂受け継がれし機械仕掛けの兵士たちよ。今、隊列を組み交じり合い、新たな力とともに生まれ変わらん!融合召喚!現れろ!レベル8!機械仕掛けの魔神!【古代の機械魔神】!」

ロジェ 手札:4→2枚

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3300

古代の機械巨竜 ★8 ATK3300

古代の機械飛竜 ★4 ATK2000

古代の機械魔神 ★8 DEF1800

 

ハノイ LP:4000 → 7000 → 10000 → 11000

 

「【古代の機械魔神】は他のカードの効果を受けない!誰であろうと絶対に打ち破ることなど出来ない鉄壁の耐性なのだ!」

 

「デュエルに絶対などない」

 

「黙れ小僧!【古代の機械魔神】の効果発動!自分メインフェイズに発動できる。相手に1000ダメージを与える!」

 

「…効果ダメージを受けたことで、私は手札から【ガーディアン・スライム】を特殊召喚する!」

ハノイ LP:11000→10000、手札:9→8

 

<ハノイのフィールド>

ガーディアン・スライム ★10 DEF0

 

「ふん、悪あがきを…私はこれでターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:10000、手札:8

 

<ハノイのフィールド>

ガーディアン・スライム ★10 DEF0

 

VS

 

◆ジャン・ミシェル・ロジェ LP:4000、手札:2、伏せカード:0

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3300

古代の機械巨竜 ★8 ATK3300

古代の機械飛竜 ★4 ATK2000

古代の機械魔神 ★8 DEF1800

 

◆セルゲイ・ヴォルコフ LP:4000

 

 

いやー。LP回復ウマー。バカスカ特殊召喚してくれて助かるわー。

 

「…お、お、オレのターンだぁ!ヒィヤァァァァ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

セルゲイ 手札:5→6枚。

 

「強化しすぎたか…」

 

既に狂っているじゃん…。これはリハビリ大変そうだな。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】発動ぉ!自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動ぉ!デッキから2枚ドローだぁ!」

セルゲイ 手札:5→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動ぉ!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える!オレが手札に加えるのはフィールド魔法【地縛牢】だぁ!」

セルゲイ 手札:6→7枚。

 

「そして!オレは手札からフィールド魔法【地縛牢】発動ぉ!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、フィールドの表側表示モンスターの攻撃力を変化させるカードの効果は無効化される!フィールドゾーンのこのカードが破壊された場合に発動する!このカードを破壊したプレイヤーのLPは半分になり、そのプレイヤーのフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される!」

セルゲイ 手札:6枚。フィールド魔法:1

 

「なっ!?セルゲイ、貴様!何をする!」

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3300 → 3000

古代の機械巨竜 ★8 ATK3300 → 3000

古代の機械飛竜 ★4 ATK2000 → 1700

古代の機械魔神 ★8 DEF1800

 

「うるせぇ!変な鼻しやがって!黙ってろ!モミアゲ野郎!」

 

「何だと貴様ぁぁぁ!」

 

なんで内輪揉めしてるんだよ…。セルゲイのデッキ組んだのお前だろロジェ…。【地縛牢】か、確かもう1つ【地縛原】っていうアクションカードをメタるフィールド魔法があったよな。俺やランサーズには効果がないからそっちは使わないか。

 

それにしても、【地縛戒隷】デッキか。アニオリだから詳しく知らないんだよな…。地縛神のシンクロモンスターとか、イリアステル的にはどうなんだろ、今度会ったらレイン恵にでも聞いておくか。

 

「フィールドゾーンにカードが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できるぅ!オレは【地縛囚人ストーン・スィーパー】を特殊召喚だぁ!」

セルゲイ 手札:5枚。

 

<セルゲイのフィールド>

地縛囚人ストーン・スィーパー ★5 DEF1600

 

「そしてオレは【地縛囚人ライン・ウォーカー】を召喚だぁ!」

セルゲイ 手札:4枚。

ロジェ 古代の機械城カウンター:1

 

<セルゲイのフィールド>

地縛囚人ストーン・スィーパー ★5 DEF1600

地縛囚人ライン・ウォーカー ★3 ATK800 ※チューナー

 

「ヒャッハァァァ!ここでオレは魔法カード【異界共鳴-シンクロ・フュージョン】を発動だぁ!」

セルゲイ 手札:3枚。

 

「【異界共鳴-シンクロ・フュージョン】は自分フィールドから、Sモンスターカードによって決められたS素材モンスターであり、

また融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターでもある一組のモンスターを墓地へ送って発動する。

そのSモンスター1体と融合モンスター1体をエクストラデッキからそれぞれS召喚・融合召喚する効果を持つのだ! 」

 

「黙ってろって言ってんだろ!この鼻モミアゲ野郎がぁ!」

 

「セルゲイ、貴様ぁぁぁ!」

 

案外、仲がいいのかな?

 

「【異界共鳴-シンクロ・フュージョン】により、オレはレベル5【地縛囚人ストーン・スィーパー】にレベル3【地縛囚人ライン・ウォーカー】をチューニングゥ!地の底から蘇れ、戒め放つ翼持つ巨獣よ!シンクロ召喚!現れよ、レベル8!【地縛戒隷ジオグリフォン】!」

 

<セルゲイのフィールド>

地縛戒隷ジオグリフォン ★8 ATK2500

 

「更に!【異界共鳴-シンクロ・フュージョン】により、オレは【地縛囚人ストーン・スィーパー】と【地縛囚人ライン・ウォーカー】を融合ぉ!地を這う囚人よ、刑場への道を歩き続ける囚人と一つとなり、戒め与える巨獣となれ!融合召喚!現れよ、レベル8!【地縛戒隷ジオクラーケン】!!」

 

<セルゲイのフィールド>

地縛戒隷ジオグリフォン ★8 ATK2500

地縛戒隷ジオクラーケン ★8 ATK2800

 

「【地縛戒隷ジオグリフォン】は自分フィールドの「地縛」モンスターが破壊された場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できてその相手モンスターを破壊する効果を持ち、【地縛戒隷ジオクラーケン】は自分ターンに1度、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合に発動できて、このターンに特殊召喚された相手フィールドのモンスターを全て破壊し、その破壊したモンスターの数×800ダメージを相手に与える効果を持つのだ!」

 

「しつこいって言ってんだろ!この鼻ゲ野郎がぁ!」

 

「人が親切に説明してやっているのに!セルゲイ、貴様ぁぁぁ!その呼び名だけは止めろぉ!」

 

目の前のコントは置いておいて、なかなか厄介な効果だな。特にイカの方。

 

「オレは魔法カード【地縛救魂】を発動だぁ!フィールドゾーンにカードが表側表示で存在する場合に発動できる!自分の墓地から「地縛」モンスター1体と魔法カード1枚を選んで手札に加える!オレは【地縛囚人ストーン・スィーパー】と【異界共鳴-シンクロ・フュージョン】を手札に加えるぜぇ」

セルゲイ 手札:2→4枚。

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだぁ!」

セルゲイ 手札:2枚。伏せカード:2

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:10000、手札:8枚

 

<ハノイのフィールド>

ガーディアン・スライム ★10 DEF0

 

VS

 

◆ジャン・ミシェル・ロジェ LP:4000、手札:2、伏せカード:0

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3000

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700

古代の機械魔神 ★8 DEF1800

 

◆セルゲイ・ヴォルコフ LP:4000、手札:2、伏せカード:2

 

<セルゲイのフィールド>

地縛戒隷ジオグリフォン ★8 ATK2500

地縛戒隷ジオクラーケン ★8 ATK2800

 

 

ロジェのフィールドは攻撃力が高いだけでこちらへの影響力が少ない布陣なので正直なところ脅威ではない。問題はセルゲイのフィールドと伏せカードだ。

 

セルゲイのデッキが【地縛戒隷】デッキなら、あの伏せカードは、相手の魔法カードの発動と効果を無効にし破壊するカウンター罠【地縛魔封】と、自分のLPが3000以下の場合、相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動し、戦闘ダメージを半減させてデッキからフィールド魔法を発動させる【地縛開闢】あたりか。魔法カードを封じられるのは困るな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:8→9枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】発動。自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。私はEXデッキから6枚除外して、自分のデッキからカードを2枚ドローする!」

ハノイ 手札:8枚。

 

「甘いぜぇ!リバースカードオープン!カウンター罠【地縛魔封】発動ぉ!相手の魔法カードの発動と効果を無効にし破壊するぜぇ!」

セルゲイ 伏せカード:2→1

 

「自分のフィールドゾーンにカードが表側表示で存在し、相手の魔法カードが発動した場合に発動できるカウンター罠だ!」

 

「うるせぇっつってんだろうがハナゲェ!」

 

「その呼び名を止めろと言ってるのが分らんのか貴様ぁぁぁ!」

 

はいはい。仲がいいのは分かったから、チェーンの効果処理しますよ~。

 

チェーン②地縛魔封

チェーン①強欲で金満な壺

 

「効果処理をする。チェーン②の【地縛魔封】の効果により、チェーン①の【強欲で金満な壺】の発動は無効となり破壊される」

 

あるよなそりゃ。でも、発動を無効にしてくれたおかげで、カード効果でのドローは出来るな。

 

「私は手札から魔法カード【天使の施し】発動。デッキから3枚ドローして、2枚を墓地に送る」

ハノイ 手札:7→10→8枚。

 

 

「私は手札から魔法カード【古の呪文】発動。自分のデッキ・墓地から「ラーの翼神竜」1体を選んで手札に加え、このターン自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる。私はデッキより【ラーの翼神竜】を手札に加える!」

ハノイ 手札:7→8枚。

 

「【ラーの翼神竜】だと!?失われし神のカードを…何故貴様が!…セルゲイ!先ほどのカウンター罠をもう一度使え!…早くしろ!タイミングを逃すぞ!」

 

「うるせぇなぁ。ねぇよ。さっき使っただろ?」

 

「そんな…」

 

2枚目の伏せカードも【地縛魔封】かと少し不安だったが、大丈夫そうだな。

 

「私は手札から【リアクター・スライム】を召喚。そして効果発動。自分フィールドに「スライムモンスタートークン」(水族・水・星1・攻/守500)2体を特殊召喚する。このターン、自分は幻神獣族モンスターしか召喚・特殊召喚できない」

ハノイ 手札:7枚。

 

<ハノイのフィールド>

ガーディアン・スライム ★10 DEF0

リアクター・スライム ★4 ATK500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

 

「このモンスターは自分フィールドの攻撃力0の水族・レベル10モンスター1体をリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる。私はフィールドの【ガーディアン・スライム】をリリース!EXデッキから【神・スライム】を特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

リアクター・スライム ★4 ATK500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

神・スライム ★10 ATK3000

 

「モンスターをアドバンス召喚する場合、この【神・スライム】は3体分のリリースにできる。このカードは戦闘では破壊されず、相手は「神・スライム」以外の自分フィールドのモンスターを、攻撃対象に選択できず、効果の対象にもできない」

 

「オベリスクの巨神兵の形をしたスライム…3体分のリリースだと…!」

 

「へぇ…」

 

「私は【神・スライム】を3体分のリリースとしてリリース!手札から【ラーの翼神竜】をアドバンス召喚する!」

ハノイ 手札:6枚。

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜(球体) ★10 ATK?

リアクター・スライム ★4 ATK500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

 

古代神官文字?あぁ、アイツなら千年ブレスレットで翻訳できるんだよ。流石は元古代神官の師匠の作品だ。絵違いだけどな!そして今、周りには俺がぶつぶつ言ってるだけにしか聞こえないだろうけど、今も呪文を唱えているんだぜ!

 

…良し、終わり!さぁ、本来の姿を見せてやるといい!ラーの翼神竜よ!

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK?

 

【ラーの翼神竜】が召喚された瞬間、周囲から夜の闇が消え去り、地上に現れた太陽の神が大地を照らし出す。

 

「ラーの…翼神竜…」

 

「う、美しい…!」

 

「【ラーの翼神竜】の攻撃力と守備力はこのカードの生贄召喚のために生贄にしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる」

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK? → 3000

リアクター・スライム ★4 ATK500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

 

うわぁ、目立つなぁ…。これは絶対に召喚したことが周囲にバレただろうな。

 

「【ラーの翼神竜】の効果発動!1000LPを支払うことで、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!」

ハノイ LP:10000 → 9000

 

「なんだとぉ!ぬうぉぉぉっ!ば、馬鹿な!私の【古代の機械魔神】はモンスター効果を含むカード効果を受けないはず…」

 

「モンスターではない、神だ。ゴッドフェニックス発動!」

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3000

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700

古代の機械魔神 ★8 DEFK1800

 

<セルゲイのフィールド>

地縛戒隷ジオグリフォン ★8 ATK2500

地縛戒隷ジオクラーケン ★8 ATK2800

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!…な、なんだこの熱さは!」

 

<ロジェのフィールド>

モンスター無し

 

「イワァァァァァク!」

 

<セルゲイのフィールド>

モンスター無し

 

そう言えばこの効果を使うと、原作だと城之内君の精神が焼け死んじゃうとかって話だったっけ?今回は二人いたから精神ダメージも半減したのかな?

 

「【ラーの翼神竜】の効果発動!自分フィールド上に存在するモンスターを生贄にする事で、このカードの攻撃力・守備力は生贄にしたモンスターのそれぞれの数値分アップする!私は【リアクター・スライム】と【スライムモンスタートークン】2体を生贄に捧げる!」

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK3000 → 3500 → 4000 → 4500

 

「バトルフェイズに移行。【ラーの翼神竜】で、セルゲイ、お前にダイレクトアタックだ。ゴッド・ブレイズ・キャノン!」

 

「美しい。…実に美しい戦い…このまま美しくフィニッシュだ…お前の『敗北』でエェッ!!」

 

「おぉっ!セルゲイ!何が秘策が…!」

 

「リバースカードオープン!【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動ぉ!相手モンスターの攻撃宣言時に発動ぉ!。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊するぅ!!」

セルゲイ 伏せカード:1→0

 

「神に罠カードなど効かん」

 

「ヒャーッハッハッハッハァァァァ…」

セルゲイ LP:4000 → 0

 

神の一撃を受けたセルゲイは、上半身と下半身が千切れて離れ離れになりながら、どこか遠くまで吹き飛んで行った…。

 

セル/ゲイになっちまった…。生きてるよなアレ?…あとはきっとバレットがなんとかしてくれるだろう。

 

「セルゲイ…」

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを3枚セットしてターンエンド」

ハノイ 手札:3枚、伏せカード:3

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:9000、手札:8枚

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK4500

 

VS

 

◆ジャン・ミシェル・ロジェ LP:4000、手札:2、伏せカード:0

 

◆セルゲイ・ヴォルコフ LP:0

 

 

さて、厄介な方は倒した。あとは消化試合だろう。

 

「…わ、私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ロジェ 手札:2→3枚。

 

「私は手札から速攻魔法カード【リロード】発動。自分の手札を全てデッキに加えてシャッフルする。その後、デッキに加えた枚数分のカードをドローする!」

ロジェ 手札:2→0→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【古代の機械廃棄融合】発動!自分・相手の墓地から、融合モンスターカードによって決められた「古代の機械」モンスターを融合素材とし、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される!」

ロジェ 手札:1枚。

 

アニメオリジナルカードか。良いよなアレ。俺も欲しいわ。

 

「私は墓地の【古代の機械兵士】、【古代の機械騎士】、【古代の機械飛竜】、【古代の機械魔神】を融合!古の魂受け継ぎし機械仕掛けの猟犬どもよ!その10の首混じり合わせ混沌にして絶大なる力とならん!融合召喚!現れろ!レベル10!【古代の機械混沌巨人】!」

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500 ※効果無効

 

「私は手札から装備魔法【古代の機械戦車】発動。「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は600ポイントアップする。このカードが破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに600ポイントダメージを与える!」

ロジェ 手札:0枚。

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK4500 → 5100 ※効果無効+【古代の機械戦車】装備

 

なるほど。効果無効状態だから本来は魔法罠の効果を受けない【古代の機械混沌巨人】に装備カードを付けられるわけか。考えたなぁ。

 

「如何に神のモンスターといえども!攻撃力で勝れば何の問題もないのだ!バトル!【古代の機械混沌巨人】で【ラーの翼神竜】を攻撃!クラッシュ・オブ・ダークネス!」

 

正論だけどさ、伏せカードが3枚もあって、その攻撃を通すと思う?

 

「私は伏せカードの永続罠カード【光の護封霊剣】を発動。相手モンスターの攻撃宣言時に1度、1000LPを払って発動できる。その攻撃を無効にする!」

ハノイ LP:9000→8000 伏せカード:3→2

 

「何っ!?くそっ!…ターンエンドだ!」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:8000、手札:3枚、伏せカード:2、永続罠:1

 

<ハノイのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK4500

 

VS

 

◆ジャン・ミシェル・ロジェ LP:4000、手札:0、伏せカード:0

 

<ロジェのフィールド>

古代の機械混沌巨人 ★10 ATK5100 ※効果無効+【古代の機械戦車】装備

 

◆セルゲイ・ヴォルコフ LP:0

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「【ラーの翼神竜】の効果発動!1000LPを支払うことで、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!ゴッドフェニックス発動!」

ハノイ LP:8000 → 7000

 

不死鳥形態となった【ラーの翼神竜】に飲まれ、【古代の機械混沌巨人】の巨体は見る見るうちに焼け溶けていき、原形を失くして大地に還った。

 

「ぎぃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

あ、そう言えば、精神ダメージの件を忘れていたな。2回目食らって今度は1人とか、城之内の時よりも酷いことになっている。それでも生きているのは、俺の魔力がまだまだ低いか仮の千年アイテムだからかな?

 

「そして、【古代の機械戦車】が破壊されたことで私は600LPダメージを受ける」

ハノイ LP:7000 → 6400

 

「わ、私はまだ、終わるわけには…私の、王国を…」

 

うわぁ、めっちゃ意識混濁してそう。さっさと終わらせてあげるか。

 

「聞こえているか分からんが、バトルフェイズに移行する。【ラーの翼神竜】で、ロジェ。お前にダイレクトアタックだ。ゴッド・ブレイズ・キャノン!」

 

ラーの翼神竜 ATK4500

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ロジェ LP:4000 → 0

 

 

ラーの一撃を受けたロジェはピンボールの如くビルの壁に叩き付けられて跳ね飛んで行った…。多分、生きてるでしょ。うん。ヨシッ!

 

アニメだと次元の狭間に消えていったわけだし、それよりはマシな終わり方だろう。でも、もう一生、牢屋からは出られない思うゾ!死ぬまでゆっくり反省していってね!

 

「終わり終わり。さー帰ろっと」

 

近くにいるバレットに連絡して、俺はこのままDホイールで家に帰ろっと。

 

~~~

 

<ユーリ視点>

 

夜になり、視界も悪い中でユーリ率いるランサーズとその手伝いをしている羽蛾、竜崎、城之内は、ハートランドシティの北エリアでガレキの撤去作業をを手伝っていた。そしてそんな時…夜空に太陽が出現した。

 

「な、なんだアレは!」

 

「眩しい!夜なのに、あの距離からなんて光の強さだ!」

 

精鋭ぞろいのランサーズたちも突然のことに慌てている。

 

「アレは…【ラーの翼神竜】!?なんであのモンスターがこんなところに!あれはアテムの帰還と一緒にこの世界から失われたはずじゃねーのか!?」

 

「アレが、【ラーの翼神竜】か…」

 

「ドエライ光やなぁ…殆ど何も見えへんで…」

 

ユーリは手で光を遮りながら城之内、羽蛾、竜崎の呟き聞いていた。

 

「ふーん、アレがねぇ。綺麗な光だよね、デニス?」

 

「うん…ユーリはあまり驚かないんだね?」

 

「ボクも驚いているさ。でも、彼ならあのくらいはやってのけるんじゃないかと思ってね」

 

デニスが驚きながらユーリに問いかけ返すが、ユーリはただ面白そうなショーを見るような眼でその光景を見続けていた…。

 

~~~

 

<モクバ視点>

 

ユーリたちが夜空に現れた光に目を奪われている中、ハートランドシティの南エリアで作業を継続していたモクバと海馬コーポレーションの社員たちも同様にその景色を目撃していた。

 

「あれは…もしかして、【ラーの翼神竜】か!?」

 

「最後に見たのはもう何年前になるか…改めて見ても体に震えが来る…」

 

過去にその光景を目の当たりにしたことのある海馬コーポレーションの社員たちも騒然としている。

 

「まさかまたあの太陽神の姿を見ることになるとはな…」

 

「モ、モクバ様!今しがた本日最大のアドバンス召喚反応がありました!」

 

「恐らくはあの強い光源から発せられたものと思われます!」

 

「分かっている。測定器の一部は電源を切るかリミッターを設定しておけ。召喚反応が高過ぎて計器が焼き切れて壊れるかも知れない」

 

「「りょ、了解しました!」」

 

モクバは手で光を遮りながら磯野と河豚田の報告を聞いて即座に指示を飛ばす。そんな中、光の強さが徐々に薄れていき、光の玉は変形して翼を持つ黄金の竜の形を取り始める…。

 

「白河クロトだろうな…【ラーの翼神竜】か…」

 

懐かしいその姿に、モクバはかつてのバトルシティのデュエルキングとグールズ首領のデュエルを思い出していた…。

 

~~~

 

<零児視点>

 

同時刻、北東エリアにいるLDSのメンバーは大混乱に陥っていた。

 

「なんだあの光は!?一体何が起こっている!」

 

「分かりません!突如現れて…!」

 

「アドバンス召喚反応増大!なおも増大…!け、計測器の測定範囲を超えました!計測不能!」

 

「不味い!計器の電源を切れ!」

 

「はいっ!…うわぁ!」

 

「おわっ!計測器が爆発したぞ!」

 

赤馬零児は頭を抱えていた。恐らくはオベリスク、オシリスに続く第3の神であるラーの翼神竜が現れたのであろう。だが、今はそれよりもこの混乱を収めなければ…。

 

「中島!計測器は破棄して構わん!今までのデータだけ抜き取って火災を止めろ!」

 

「了解しました!さぁ、聞いていたなお前たち!さっさと作業に移るぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

ようやく冷静さを取り戻したLDSの人間を見て少し安堵し、遠くの空に浮かぶ黄金の竜へ視線を移しながら、零児は本日何度目かも分からない溜息を吐くのだった…。

 

~~~

 

<ユート視点>

 

同時刻、南西エリアの避難民が集められたキャンプにいるユートたちは周囲の避難民たちと共にその光景に魅入っていた。

 

半壊したハートランドシティのビルの隙間から現れた2体のモンスター、その一体である光り輝く黄金の竜が炎の不死鳥へ姿を変えていき、光の剣に動きを封じ込められたもう一体の悪夢の巨人に襲い掛かる…!

 

「オレたちの町を破壊したあの巨人が…」

 

「不死鳥の炎に焼かれて消えていく…」

 

傍に居たアレンとサヤカがそう呟く。隣にいる隼や瑠璃は言葉を発さずにその光景を見続けていた…。

 

アレは恐らく、失われたはずの三幻神、その頂点に君臨するという【ラーの翼神竜】だろう。そして、それを従えるのは昼に見たあの【オシリスの天空竜】を従える仮面の少年だろうな。

 

「これで、オレたちの町は…救われたんだろうか…」

 

「分からないわ…でも、あの光景を見ていると、何故だかそんな気がするわね…」

 

「…そうだといいな」

 

隼がそんなことを呟き、瑠璃が同意する。そうして炎の不死鳥はその役目を終えたかのようにゆっくりと消えていった…。

 

~~~

 

<??視点>

 

同時刻、南エリアの高台に座り込んで太陽神が巨人を焼き払う姿を見ている緑と金のオッドアイの瞳を持つ少年と、それに付き従う黒い精霊が居た。彼らのやってきた方向には、無数のオベリスクフォースが横たわっていた。

 

「あれが【ラーの翼神竜】かー。くぅー!めちゃくちゃ強そうじゃねーか!オレもアイツとデュエルしてーなー!」

 

「ダメだよ十代。今はまだ、ね?」

 

強そうなデュエリストを見てワクワクを抑えきれない少年に対し、黒い精霊はそんな少年を優しく窘める。

 

「分かってるさユベル。あの仮面の少年が俺達と同じように正しき闇の力を持つ奴か、それとも破滅の光を浴びてしまった奴か、見極める必要があるって言いたいんだろ?」

 

「そうだよ。分かっているならいいさ。恐らく彼がこの世界では失われたはずの【ダンディライオン】の使い手だ。ボクはあの魔力には覚えがあるからね。それに三幻神を従えるほどの魔力を持つ存在でもあることが分かった以上、迂闊な真似は避けないとね」

 

「あぁ」

 

そう言うと、少年は立ち上がり、太陽神がその姿を消そうとする方向に腕を伸ばして指を差し…。

 

「ガッチャ!良いデュエルだったぜ、ハノイの騎士!いつか、オレともデュエルしてくれよ?」

 

不敵な笑顔でそう言い残すと、少年と精霊は闇夜へと消えていった…。




デニスが3時間でやってくれました。どう書いていてもデニスが有能ムーブする展開になっていました。そもそも原作でも有能でしたからね。

セルゲイの【地縛戒隷】テーマはOCG化をずっと待っています。

ロジェ?今回は良いところがなかったですね。再登場は無いと思います。

ラーの翼神竜の効果は遊戯王原作カードwikiを参考にしました。OCGでも他カードで介護を重ねれば本作と似たような動きは大体できるようになりましたね。

ラーの翼神竜は多くの人間に目撃されてしまいました。ただ、誰が使用していたかまではごく少数の人間にしか知られていません。

次回の更新は、1/13(水) AM7:00予定です。

必殺雷撃人様、カカン様、白銀神雅魅様、 四季式様、gsころりん様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十四話 三幻神と海馬瀬人

ハートランドシティ騒動のエピローグです。

そして、DM世代の一番のトンデモ人物とのデュエルとなります。

※筆者の勘違いにより、闇のゲーム状態でなくてもラーの効果でリアルダメージが入る表現となっていたので、内容を修正しました。

※ハートランドシティでのデュエルによるリアルダメージはは全てリアルソリットビジョンによるものとしているので、あちらへの修正はありません。


怒涛のGW初日が終わり、深夜過ぎに帰ってきた俺に、シスターは何も聞かずに「おかえり」と出迎えてくれた。事前に帰りが遅くなることは伝えていたとはいえ、ありがたい話である。そのまま温め直してもらった遅い晩御飯を食べ、風呂に入ってそのまま就寝した。

 

今しがた目覚めて携帯端末に入っていたユーリからの連絡メールに目を通す。どうやらあのデュエルの後すぐにロジェとセルゲイは捕縛されたようだ。この年で殺人者にはなりたくないからな。生きていてよかった。

 

そして、つい先ほどDr,ドクトルも捕縛されたらしい。洗脳されていた少女たちは全員半透明のカプセル状の入れ物で眠らされており、外傷はないらしい。どうやらR18タグは付けなくて済みそうだ。

 

今はオベリスクフォースたちの搬送、主犯格たちの事情聴取、ハートランドシティの復旧作業、カード化された人間の回復方法の樹立、洗脳された人間の洗脳解除方法の確立、ハートランドシティの住民の心身のケア、食料・医療物資の搬入と支給、情報統制とメディアへの記者会見など、様々な作業が継続中らしい。完全に復旧するには約3年はかかる見込みだそうだ。

 

ユーリたち葉月財閥は、主に食料・医療物資の搬入と支給とハートランドシティの住民の心身のケアに協力していくとのこと。他の作業はLDSやランサーズに引継ぎ済みで、ユーリやデニスたち本人も部下に引継ぎを終わるであろう本日の昼頃にはこちらに戻ってくるっぽい。

 

コナミ以外には昨日何処に言っていたかを説明していなかったので色々と聞かれたがスルーした。だが、テレビ番組で昨日のハートランドシティの様子が放映され、そこでDホイールを走らせるハノイの騎士が映った時点でバレた。リンにすごく怒られた。ホント、オカンみたいな娘だ。

 

 

そして、昼頃にバレットを伴って孤児院へやって来たセレナにあーだこーだと文句を言われまくった数分後、ユーリやデニスもこちらに帰って来たらしく、帰るついでに孤児院に寄って行った。

 

「昨日はお疲れ様。クロトのおかげで随分と早く事件が一段落したよ」

 

「そう言ってもらえると手伝った甲斐があったな」

 

「ランサーズも早くリーダーシップを取れる人材を育てていかないと、なんて赤馬所長が言っていたよ」

 

「うむ。ランサーズの今後の重要課題だろう。本来は部外者の我々に部隊指揮を頼むくらいだからな」

 

デニスの労いの言葉にしんみり言葉を返し、ユーリの言葉にバレットが同意を示す。

 

「おっ、またクロトのDホイールが映ったぞ」

 

「おー!すげー!クロトのDホイールが空を飛んでるー!」

 

「Dホイールってあんなにスピードが出ても安定した運転が出来るほどに完成されてきているのね」

 

「おい!クロトの後ろに乗っているのはユーリじゃないか?ズルいぞ!次は私が後ろに乗るからな!」

 

コナミ達は昨日のハートランドシティのニュース映像に釘付けである。暗い話題は文字だけで放送され、ピックアップされるのは復旧活動にいそしむランサーズやLDSの職員や海馬コーポレーション&I2社の社員、住民のケアを行う葉月財閥の医療チームたちである。それに…。

 

『見たんですよ!本当ですって!バイクみたいな乗り物に乗って空を飛ぶ白いローブの少年が居たんです!』

 

『ビルの合間から青い巨人が見えたんですよ!ビックリしましたね!』

 

『ガレキの隙間から赤い巨大な竜が見えたんだー』

 

『夜を吹き飛ばすかのような黄金の太陽みたいな竜が居たんだよ!』

 

現場に居たアナウンサーが現地の人間にインタビューしている。テレビ画面には、うっすらと三幻神の姿が映っていた。ついでにDホイールで空を飛ぶ白ローブの仮面男の姿もぼやけながらも映っている。この世界のネットワークがもう少し発展していたならハノイの騎士の偽物がわんさか出てきただろう。

 

テレビを見ていた全員がこちらを振り返ってこちらをジト目で見てくるが、無視である。我関せずのスタンスで昼食後のコーヒーを飲んでいると、孤児院のチャイムが鳴らされる。誰だよ…なんて思いながら扉を開けると、そこには…。

 

「お前が白河クロトで間違いないな?」

 

DM時代から数年で大きく成長した、海馬モクバらしき人物が、黒服2人を連れて孤児院の玄関に立っていた…。

 

~~~

 

海馬モクバに連れられてやってきたのは海馬コーポレーションが保有する童実野町にある巨大なデュエル会場であった。プロリーグが行われている会場並みに大きいんじゃないかな?…この会場って、劇場版で使用された会場か?

 

そして、言われたとおりに会場の中央にあるデュエルフィールドへ向かうと、そこには予想通りの人物が立っていた。例の白銀色の針金コートに黒のインナーを着用している鋭い目をした男性。首元にはデュエルモンスターズのカードを模したペンダントをぶら下げており、人を殴ったら殴殺できそうな鋼鉄製のアタッシュケースが彼の足元に置かれている。どうみても海馬瀬人である。海馬モクバが出てきたらそう来るよな…。

 

「ふぅん、貴様がハノイの騎士、いや白河クロトか」

 

「あっ、はい」

 

今はハノイの騎士の恰好はしていない。ペガサス経由で正体はバレバレだったらしい。ペガサスなら必要以上の人間以外には喋らないだろうと思ったので特に口止めしていなかったし、海馬コーポレーションにはいずれバレていただろうから、別にいいかな。それは置いておいて、まずは目の前のこの男のことを少し詳しく思い出すとしよう。

 

 

海馬瀬人。彼の説明は次の一文で大体あっていると思う。童実野町の支配者である。

 

【青眼の白龍】と言うDM時代では4枚しか存在しない最高クラスのレアカードを3枚組みこんだデッキを愛用する、海馬コーポレーションの現社長。DMの主人公、武藤遊戯とは何度も死闘を繰り広げた。

 

登場時は卑劣な優等生と言った感じだったが、遊戯に闇のゲームで敗れて罰ゲームを受ける。その後に再登場した後は遊戯の祖父を誘拐してデュエルで倒し、彼が持つ最後の【青眼の白龍】を目の前で破り捨ててソリッドビジョンによる死の体験をさせたことで遊戯の怒りを買い、再び闇のゲームで敗北した後、マインドクラッシュという罰ゲームを受けて心を砕かれる。

 

王国編の中盤で心を取り戻し、弟モクバへの兄弟愛を思い出して弟を取り戻すために王国へ乗り込み、遊戯を(インチキな方法で)倒した後に、王国の主でモクバを誘拐した犯人ペガサスへ挑むが、マインドスキャンと【トゥーン】の前に敗れる。

 

その後、イシズ・イシュタールからエジプトの石板を見せられた後に神のカード【オベリスクの巨神兵】を託され、全ての神のカードを集める為にバトルシティを開催、その準決勝戦で遊戯に敗れた。そして、武藤遊戯がグールズ首領であるマリク・イシュタールの操る【ラーの翼神竜】を打倒するのを見届けることになる。原作の漫画版だとここで彼の出番は終わる。

 

アニメ版DMだと、バトルシティの最中に起こる乃亜編、バトルシティ編後に起こるドーマ編、KCグランプリ編に登場し、漫画版では登場しない記憶編にも登場し、闇遊戯ことアテムが冥界に旅立つのを見届けることになる。目の前にいる海馬瀬人は恐らくこの後者であると思われる。

 

 

「御託は良い。さぁデッキからカードの剣を抜け!!ハートランドシティで見せたお前の力、俺に示して見せろ!」

 

デュエルしろって意味だよな?海馬瀬人とのデュエルか。武藤遊戯に並ぶ彼を倒すことが出来れば、今後のデュエルにも自信が付くよな。良し、俺の今までの修行の成果を確認するチャンスだと思ってデュエルを受けてみるか!…デュエルを受けないと家に帰してくれなさそうだしな!

 

「分かりました。…では、参ります!」

 

海馬瀬人は見たこともないデュエルディスクを構えて俺にデュエルを迫ってくる。…見たこともない?いや、アレって漫画版の続編と言われる劇場版『遊戯王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』(以後DSOD)』で開発していた新型デュエルディスクか。この世界でも開発に成功したんだな。…つまり、海馬瀬人のデッキはDM時代の物ではなく、DSOD世界のデッキか、DSOD世界とDM世界の混合デッキである可能性も出てきたな…。

 

それにしても、ハートランドシティで見せた力か。やはり三幻神のことはバレていたか。そりゃそうか。ソリッドビジョンシステムに関わる全ては海馬コーポレーションには筒抜けだろうし。リアルソリッドビジョンですら、海馬コーポレーションの特許が…とかなんとかって言ってたしな。(ハゲの話は半分聞き流していたので詳しくは覚えていないオリ主)

 

ちなみに、俺をここまで連れてきた海馬モクバとその部下たちはここにはいない。俺に付いてきたコナミ、ユーゴ、リン、セレナ、バレット、ユーリ、デニスを連れて、会場を見渡せる貴賓席へ招いていたようだ。完全に見世物状態である。コナミ以外には神のカードを所有していることは伝えていないんだが、彼らになら俺の出自も含めて説明してもいいかもしれないな。もちろん、そうなった場合はこの世界がアニメやゲームの世界であることは黙っておく。いい気分はしないだろうしね。

 

「デュエル開始の宣言をしろ!磯野!」

 

俺の後ろに向かってなにやら命令している海馬瀬人。振り返るといつの間にか先ほど海馬モクバが連れていた黒服の1人が立っていた。そうか、この人がある意味で有名なあの磯野だったか。

 

「はっ!デュエル開始ー!」

 

黒服の磯野が謎のポーズを取りながらデュエル開始の宣言をする。リアルで見ると本当に謎のポーズだ。

 

「真の勝者はただ1人! いくぞ!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆海馬瀬人 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

海馬瀬人 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【強欲な壺】発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

海馬瀬人 手札:5→7枚

 

「オレは手札から魔法カード【ドラゴン・目覚めの旋律】発動!手札を1枚捨てて発動できる。攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体までデッキから手札に加える。オレは手札を1枚捨て、デッキから【青眼の白龍】2枚を手札に加える!」

海馬瀬人 手札:6→5→7枚

 

墓地に送ったカードは…【エメラルド・ドラゴン】か。青眼はさっきサーチした2枚で最低2枚。なんとなーくもう手札に3枚揃える手段を持ってる気がするな。伝説のデュエリストのドロー力ってやべーからな…。

 

「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。オレは手札から【カイザー・ブラッド・ヴォルス】を特殊召喚する!」

海馬瀬人 手札:6枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

 

「更にオレは手札から【アサルトワイバーン】を召喚する!」

海馬瀬人 手札:5枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

アサルトワイバーン ★4 ATK1800

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ」

海馬瀬人 手札:3枚

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆海馬瀬人 LP:4000、手札:4枚。伏せカード:2枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

アサルトワイバーン ★4 ATK1800

 

 

静かな立ち上がりだな…。海馬瀬人の伏せカードは厄介な物が多い。警戒して挑むべきか、神のカードによるごり押しでいくか…悩ましいな。

 

「俺のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚

 

「俺は手札から魔法カード【古の呪文】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキ・墓地から「ラーの翼神竜」1体を選んで手札に加え、このターン自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる。俺はデッキから【ラーの翼神竜】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚

 

「オレは手札から永続魔法【千年の啓示】発動!手札から幻神獣族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分のデッキ・墓地から「死者蘇生」1枚を選んで手札に加える!」

クロト 手札:5→4→5枚

 

「ラーを墓地に送ったか…」

 

やっぱりラーの戦いを間近で見ていた人間ならこの意味を理解するか。ただ、伏せカードが気になるから、まだライフちゅっちゅさせるわけにはいかないよな。

 

「俺は手札から【リアクター・スライム】を召喚する!そして効果発動!自分フィールドに「スライムモンスタートークン」(水族・水・星1・攻/守500)2体を特殊召喚する。このターン、自分は幻神獣族モンスターしか召喚・特殊召喚できない!」

クロト 手札:4枚

 

<クロトのフィールド>

リアクター・スライム ★4 ATK500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

スライムモンスタートークン ★1 DEF500

 

「【古の呪文】の効果により、このターン俺は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにアドバンス召喚できる。【リアクター・スライム】と【スライムモンスタートークン】2体をリリース!降臨せよ!【オシリスの天空竜】!」

クロト 手札:3枚

 

会場を覆い尽くすような雄々しい赤き天空竜が姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK?

 

「出たか、【オシリスの天空竜】…!」

 

「言うまでもないとは思うが、【オシリスの天空竜】の攻撃力と守備力はコントローラーの手札×1000ポイントになる。俺の手札は今3枚。よって…攻撃力は3000だ」

 

<クロトのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK? → 3000

 

「バトルフェイズに移行!【オシリスの天空竜】で【アサルトワイバーン】を攻撃!超電導波サンダーフォース!!」

 

「甘いぞ小僧!リバースカードオープン!速攻魔法【コマンド・サイレンサー】発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。相手ターンのバトルフェイズを終了し、デッキから1枚ドローする!」※アニメオリジナルカード

海馬瀬人 手札:3→4枚、伏せカード:2→1

 

ちっ!DMでもオシリスの攻撃を防いだアニオリの速攻魔法か!

 

「メインフェイズ2、俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

クロト 手札:2枚

 

<クロトのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK3000 → 2000

 

オシリスのステータスは手札に依存する。あまり防御カードを伏せられないのが困りものだな。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1

 

<クロトのフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK2000

 

vs

 

◆海馬瀬人 LP:4000、手札:4枚。伏せカード:1枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

アサルトワイバーン ★4 ATK1800

 

 

召喚・特殊召喚したモンスターを襲うオシリスの召雷弾の存在は知っているはず。どう立ち回ってくる?

 

「小僧、貴様がどれほどのデュエリストかは知らん。だが大事な事をひとつ忘れているぞ。貴様は今、オレという、地上で最強のデュエリストを敵にしているという事だ!」

 

「…?」

 

妙に格好いいポーズでそんなことを言ってくる海馬瀬人。いきなりなんだ?手札も4枚あるし、この状況で勝算があるって意味だろうけど…。

 

「オレのターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

海馬瀬人 手札:4→5枚

 

「オレは手札から魔法カード【トレード・イン】発動!手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする!」

海馬瀬人 手札:4→3→5枚

 

墓地に送ったのは【青眼の白龍】か。前のターンにサーチしていたカードだな。

 

「オレは手札から魔法カード【天使の施し】発動!デッキから3枚ドローして2枚墓地に送る!」

海馬瀬人 手札:4→7→5枚

 

どんな引きだよ。墓地に送ったのは…儀式魔法の【カオス・フォーム】?墓地から発動できるタイプのカードじゃないはずだけど…。

 

「オレは手札から魔法カード【天声の服従】発動!

海馬瀬人 手札:4枚

 

「ゲッ!そのカードは…まさか!?」

 

「ふぅん、気付いたか。だがもう遅い!2000LPを払い、モンスターカード名を1つ宣言して発動できる。相手は自身のデッキを確認し、宣言されたモンスターがあった場合、その内の1体をお互いに確認し以下の効果から1つを選択して適用する。確認したカードを、このカードを発動したプレイヤーの手札に加える!」

海馬瀬人 LP:4000→2000

 

「あばばばば…」

 

「オレは【オベリスクの巨神兵】を宣言する!」

海馬瀬人 手札:4→5枚

 

お、【オベリスクの巨神兵】をデッキから奪われたぁー!?そういやDMでもあのカードで遊戯からオシリスを奪ってたっけ…。

 

「オレは手札から魔法カード【黙する死者】発動!自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できない!俺が墓地から【青眼の白龍】を守備表示で特殊召喚する!出でよ!【青眼の白龍】!!」

海馬瀬人 LP:4000→2000、手札:3枚

 

海馬瀬人のフィールドに、海馬瀬人の代名詞である青き眼を持つ最強の白龍が降臨する。

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

アサルトワイバーン ★4 ATK1800

青眼の白龍 ★8 DEF2500

 

「この瞬間!【オシリスの天空竜】の効果発動!召雷弾が【青眼の白龍】を襲う!」

 

「しかし!オレの【青眼の白龍】は神の効果すら耐えきる!」

 

<海馬瀬人のフィールド>

カイザー・ブラッド・ヴォルス ★5 ATK1900

アサルトワイバーン ★4 ATK1800

青眼の白龍 ★8 DEF2500 → 500

 

ヤバイ、海馬のフィールドの3体の生贄が揃ってしまった…。

 

「貴様にも神を見せてやる!オレはフィールドのモンスター3体を生贄に捧げる!我が絶対の神となりて、我が領域に降臨せよ!天地を揺るがす全能たる(パワー)によってオレに勝利をもたらすのだ!【オベリスクの巨神兵】召喚!!」

海馬瀬人 手札:2枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

地面から青き巨神兵が姿を現し、赤き天空竜と対峙する。

 

「この瞬間!【オシリスの天空竜】の効果発動!召雷弾が【オベリスクの巨神兵】を襲う!」

 

「だが!同じ神たる【オベリスクの巨神兵】は当然その効果に耐える!」

 

<海馬瀬人のフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000 → 2000

 

「バトルだ!【オベリスクの巨神兵】で【オシリスの天空竜】に攻撃!ゴッド・ハンド・クラッシャー!!」

 

「迎え撃て!【オシリスの天空竜】!超電導波サンダーフォース!!」

 

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK2000

vs

オシリスの天空竜 ★10 ATK2000

 

青き巨神兵の拳を受けた赤き天空竜が地に伏し、赤き天空竜の雷光を浴びていた青き巨神兵も大地に還る。

 

「【オベリスクの巨神兵】と【オシリスの天空竜】は相打ちか」

 

「ふぅん。フィールドからオレのモンスターが居なくなって安心したか?甘いぞ小僧!リバースカードオープン!【緊急儀式術】発動!自分フィールドに儀式モンスターが存在しない場合、自分の手札・墓地から儀式魔法カード1枚を除外して発動できる。このカードの効果は、その儀式魔法カード発動時の儀式召喚する効果と同じになる!」

海馬瀬人 伏せカード:1→0

 

「儀式魔法…?…このデュエルで儀式なんて…あっ」

 

さっき墓地に送っていたあのカードか!

 

「オレは墓地の【カオス・フォーム】を除外し、その効果を【緊急儀式術】の効果として発動!レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地から「青眼の白龍」または「ブラック・マジシャン」を除外し、手札から「カオス」儀式モンスター1体を儀式召喚する。オレは墓地の【青眼の白龍】を除外する!」

 

最悪だ!このタイミングで【カオス・フォーム】から出てくるレベル8なんてアイツしかいねーじゃん!?

 

「オレは手札のこの儀式モンスターを儀式召喚する!出でよ!【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】!フハハハハハッ!!」

 

海馬瀬人の高笑いと共に青黒い体ながらも所々発光している刺々しい感じになったブルーアイズが姿を現す。

 

<海馬瀬人のフィールド>

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン ★8 ATK4000

 

「バトルフェイズは継続している!やれ!【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】!混沌のマキシマム・バーストォ!!」

 

それは…流石に食らうわけにはいかないな!

 

「俺は伏せカードの永続罠【光の護封霊剣】を発動!相手モンスターの攻撃宣言時に1度、1000LPを払って発動できる。その攻撃を無効にする!」

クロト LP:4000→3000、伏せカード:1→0、永続罠:1

 

【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】は、効果対象に取れず効果では破壊されない貫通効果を持った攻撃力4000のモンスターだ。しかも守備表示モンスターを攻撃した場合の貫通ダメージは2倍。彼を相手に守備表示でモンスターを出すのは愚策だろうな。

 

「ふぅん、悪あがきを…オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

海馬瀬人 手札:2→1、伏せカード:1

 

 

◆白河クロト LP:3000、モンスター:0、手札:2枚。伏せカード:0枚、永続魔法:1、永続罠:1

 

<クロトのフィールド>

無し

 

vs

 

◆海馬瀬人 LP:2000、手札:1枚。伏せカード:1枚

 

<海馬瀬人のフィールド>

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン ★8 ATK4000

 

 

フィールドの状態は向こうの方が優勢だけど、LPはこちらがわずかに有利。ラーは墓地に眠っていて俺の手札には【死者蘇生】がある。向こうの墓地には墓地発動のカードは無く、手札誘発は神には効かない。罠も効かない。それは海馬瀬人も良く知っているはずだ。ただ、あの自信に満ち溢れた顔が、何か有るんじゃないかと思ってしまう。

 

【屋敷わらし】は彼の性格的にデッキに入って無さそうだから大丈夫だとは思うけど、伏せカードが【抹殺の指名者】なら神ではなく【死者蘇生】の効果を無効化されるからヤバいか?いや、そもそもこの世界のこの時代には存在しないか。ともかく、あの伏せカードが気になって仕方ない。アレは除去したいなぁ。

 

ラーに全体除去させた後でライフちゅっちゅさせても相手のライフは1残るな…。【強欲な壺】か【天使の施し】、来い!

 

「俺のターン!ドロー!…無難なカードを引いたなぁ。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:2→3枚

 

「俺は手札から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する!俺はそちらの伏せカードを破壊する!」

クロト 手札:2枚

 

「フハハハハハッ!掛かったな小僧!伏せカードは【やぶ蛇】!セットされているこのカードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。デッキ・EXデッキからモンスター1体を特殊召喚する!」

 

「はぁっ!?」

 

あれだけ自信満々の顔をしておいて、ただのブラフかよ!?どんな強心臓してるんだよ!

 

「【やぶ蛇】の効果によりオレはデッキからこのドラゴンを呼び出す!出でよ!【青眼の亜白龍】!」

 

<海馬瀬人のフィールド>

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン ★8 ATK4000

青眼の亜白龍 ★8 DEF2500

 

ここで【青眼の亜白龍】?…カード名をフィールド・墓地に存在する限り「青眼の白龍」として扱う効果とターン1で相手モンスターを破壊できる効果があるはずだが…。迷っていても仕方ない。ここは臆せず攻める!

 

「俺は手札から魔法カード【死者蘇生】発動!自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する!俺が対象とするのは当然、墓地の【ラーの翼神竜】!甦れ、【ラーの翼神竜】!」

クロト 手札:1枚

 

会場の中空に、突如光り輝く太陽の神が金の球体姿で現れ、少年が唱える呪文により、徐々に黄金の竜の姿へと姿を変える。

 

<クロトのフィールド>

ラーの翼神竜 ★10 ATK?

 

このラーはヲーとは違い、ちゃんと【死者蘇生】で墓地より舞い戻るのだ。出すたびに古代神官文字を読む必要があるのが難点だな。ブレスレット無しだと俺は古代神官文字を読めないからなぁ。

 

「【ラーの翼神竜】の効果発動!1000LPを支払うことで、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!神の効果破壊を前に、【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】が持つ破壊耐性など意味を成さない!ゴッドフェニックス発動!」

クロト LP:3000→2000

 

「ぐっ!【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】!」

 

<海馬瀬人のフィールド>

モンスター無し

 

あれ?城之内が瀕死になった神の効果を受けて、苦しそうにながらも平然と立ってるよこの人。セルゲイやロジェも満身創痍になったんだけどなぁ。

 

いや、よく考えたら城之内が瀕死になった不死鳥は闇のゲームでモンスターと精神が繋がっていたからか。セルゲイやロジェの時はリアルソリッドビジョンだったからかな?。もしかしてこのブレスレットで魔力を消費するのって、常時防御術を張っている消費分以外だと古代神官文字を翻訳している分だけなのか?

 

「神のカードを用いたとはいえ、よくぞオレのブルーアイズたちを倒した。それだけは誉めてやろう」

 

「…どうも」

 

「だが!それもここまでだ!自分フィールドの表側表示の「ブルーアイズ」モンスターが戦闘または相手の効果で破壊された時に効果発動!オレは手札のこのドラゴンを特殊召喚する!」

 

この条件下で特殊召喚できるドラゴン…あっ。これは終わりましたねぇ…。

 

「無窮の時、その始原に秘められし白い力よ!鳴り交わす魂の響きに震う羽を広げ、蒼の深淵より出でよ!【ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン】!」

海馬瀬人 手札:1→0

 

後光に照らされながら、その女性的とも言える流線型のフォルムを持った光の輪を背負う白き竜は空よりゆっくりとフィールドに舞い降りる。

 

<海馬瀬人のフィールド>

ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン ★10 ATK0

 

ディープ(深い)、アイズ(愛)の白竜ねぇ…。彼の前世であると思われる神官セトと深い関りを持つ、白き竜を内包する女性キサラのイメージが強く表に出たデザインなのかもな。

 

さて、問題はここから起こる効果処理なんだよな…。問題と言うか、もう終わったというか…。

 

「そして、【ディープアイズ・ホワイト・ドラゴン】の特殊召喚と同時に、オレは自分の墓地のドラゴン族モンスターの種類×600ダメージを相手に与える!」

 

墓地のドラゴン族の種類は、【アサルトワイバーン】、【エメラルド・ドラゴン】、【青眼の白竜】、【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】、【青眼の亜白龍】の5体。つまり、600×5で3000LPダメージだ。

 

手札誘発の効果ダメージ無効カード?…今はねぇよそんなもん!

 

「小僧!貴様は墓地のドラゴンの怒りを受けろ!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

クロト LP:2000 → 1400 → 800 → 200 → 0

 

「強靭!無敵!最強ぉ!ワハハハハハハハハッ!屈辱の重さで 地を這いつくばるがいい!!」

 

 

「…対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

海馬瀬人、強すぎぃ!マジかよ!アニメ仕様の三幻神を全て使ったデッキで負けるとか…凹むわ~。オベリスクフォースとの戦いで『あれ?俺ってもしかして強くね?』とか思っていたけど、勘違いっぽいな。俺もまだまだってことなんだねぇ。

 

「未来とは無限。過去は一筋の足跡でしかない。オレにとって過ぎ去った過去など何の意味も持たない。よって、小僧!貴様が別世界からの転生者だろうがオレにはどうでもよい!」

 

「はぁ…」

 

「三幻神を操った腕前については一応誉めておいてやろう。だが!それだけではこのオレには勝てん!もっと精進するがいい!ワハハハハハッ!」

 

そう言い残して海馬瀬人と言う名前の暴君はアタッシュケースを手に、会場から立ち去って行った…。もしかして、三幻神を持った俺とデュエルがしたかっただけ?

 

そうして彼の背中を見送っていると、入れ違いに弟の海馬モクバが会場の中央へやってきた。さて、何を言われることやら。

 

「兄様は行ってしまったか…今日は苦労を掛けたな、白河クロト」

 

「…いえ。色々とありましたけど、【青眼の白龍】デッキを持つ海馬瀬人とデュエル出来る機会なんてそうそうありませんし、楽しかったですよ」

 

これは本音だ。やはりデュエルモンスターズのファンなら海馬瀬人とデュエルしてみたいとは思うわけよ。結果は御覧の有様だけどさ!

 

「そうか、そう言ってもらえると助かるな。兄様はお前が神のカードを所持していることを気にしなかったみたいだし、オレや海馬コーポレーションとしてもこれ以上そのことでお前に言及することはない」

 

「ありがとうございます」

 

海馬コーポレーションとはこれからも仲良くさせてもらいたいものですねぇ。…そうだな。海馬瀬人はDSOD時代のデッキは持っていても、他のサポートカードは持っていないだろうし、一応渡してみようかな。

 

「モクバさん。良ければこれをどうぞ。お兄さんに渡してください」

 

「ん?あぁ、ありがとう。…なるほど。これがペガサスが言っていた異世界のカードか。異世界にはブルーアイズのシンクロモンスターもいるんだな…。うん?これは…?サンダードラゴン?」

 

「えぇ、そちらのサンダードラゴンたちはモクバさんへ差し上げます。貴方も最近デッキを組んでいるとペガサス氏から聞きましたので、お役に立てていただければ幸いです」

 

これは嘘である。ペガサスからそんな話は聞いていない。ただ、デュエルリンクスで海馬モクバが【サンダードラゴン】デッキのカードを使っていたのを思い出したから渡しただけである。

 

「ペガサスにデッキコンセプトまでは話していなかったんだけど…いいか。ありがとうな!大切に使わせてもらう」

 

嫌味のない爽やかな笑みを浮かべる高身長のイケメンであるモクバ副会長。…くっ!原作漫画の初登場時の見た目はただのクソ生意気なガキだったのに、成長するとこんなにイケメンになるのか…!その身長を30cmだけでいいから寄越せ!

 

「クロト~!そのデッキで次はオレとデュエルしようぜ~」

 

「クロト!お前そんな格好いいカード持ってたのかよ~!黙ってるなんて酷いぜ!また見せてくれよな!」

 

「さっきのカードって、テレビで話題になっていた三幻神っていうカードよね?」

 

「おいクロト!海馬社長とばかりデュエルしてズルいぞ!私ともデュエルしろ!」

 

「やっぱりあの時に見た夜の太陽はクロトのカードだったんだね~」

 

「ユーリの言ってた通りだったね」

 

どうやら付いてきた彼らも降りてきたようだ。俺が三幻神のカードを持っていることを知っても、面白がってはいるが、そんなに驚いていないようだ。せっかくだし、ここいらでこのメンバーには俺の来歴も合わせて説明しておくか…。

 

 

その後、俺が転生者であることや、前世のカードを持っていることなどを話したが、まともに驚いてくれるのはリンとバレットだけで、他のメンバーは「ふ~ん」って感じだった。お前ら心が広くて強すぎない?

 

ちなみに、その後に三幻神デッキでコナミやユーゴやセレナとデュエルし、一応は勝った。ただし使用したのはOCG版の方だ。それでも【神縛りの塚】で守られた先攻オシリスの制圧力は突破しがたいものだからな。

 

そう言えば、【光の創造神ホルアクティ】は使わなかったな。わざわざ神のカードを並べなくても、神のカード単体で使用した方が強いからなんだけど、いずれ機会があったら使用してみようかな。

 

そして、デュエルを観戦していたモクバが、OCG版の神のあまりの弱さに驚いていた。特にラー。バトルシティで本物を見て、兄と一緒に延々と対策を練っていたことのある彼からすると、ラーの弱体具合は受け入れ辛い内容だったらしい。

 

~~~

 

GW中頃、俺はとある地域にある警察機構とLDSが共同で管理する特別収容所に来ていた。オベリスクフォースを率いてテロ行為を行っていた主犯の一人、Dr.ドクトルの事情聴取に随伴するためだ。ヤツは今、マジックミラーの先にある事情聴取を行うための尋問室で尋問官2人に質問を受けている。

 

「何故、あのようなテロ行為に走った?理由はなんだ?目的は?あれだけの災厄を引き起こしたんだ。なにか理由があるだろう?さぁ、言え!」

 

「…ウヒヒヒヒィ!光が!破滅の光が!ウヒャヒャヒャッ!…4人の、同じ顔の、少女を、集めなくては…ヒャヒャヒャー!!」

 

「おい黙れ!ちゃんと質問に答えろ!…くそっ!今日もダメか!おい!鎮静剤を注射して特別牢に戻しておけ!」

 

「はっ!さぁ来い!」

 

「ヒャヒャヒャー!!」

 

虚空を見つめて涎を垂らしたDr.ドクトルを、尋問官2人が嫌そうに引きずりながら尋問室を退出していく。これは酷い。まるで会話になっていない。そう考えながら、横で嫌そうな顔をして立っている赤マフラーに話しかける。

 

「それで?これを見て一般人の俺に何をしろと?」

 

「お前が一般人なわけがあるまい。寝言は寝てから言うがいい。それで?何かわかったことはないのか?」

 

この嫌味ったらしいクソ赤マフラー野郎には本格的に嫌われているらしい。好かれるようなことは一切してないし、俺もコイツとはなんとなく馬が合わないような気がするし、コイツと初めて会った時にボロクソに叩きのめしてやったから嫌われて当然と言えば当然だな。

 

「そうだな…。キーワードとしては『破滅の光』、『4人の同じ顔の少女』あたりだろうか」

 

「そのワードは時々だがヤツが口にしているな。もしかしたら何か意味があるんだろうが…現状はまるで分らんな」

 

俺は大体分かってきたけどね…。ここで話すとその理由を説明しないといけなくなるだろ?『前世で見て聞いたから知っていた』とか言えるわけがない。あと、根本の原因がまだ特定できていない。

 

「そうだ、奴が所持していた虫のカードは今どこにある?」

 

「奴を捕縛する前にお前が気にしていた【パラサイト・フュージョナー】のことだな?今はこの箱に封印してある」

 

そう言って、電子ロックされたうえで物理的にガチガチに固められた鋼鉄の箱を渡される。箱の表面にはお札みたいなものが貼ってあるが…特に魔力は感じない。とりあえず、赤マフラーとは距離を取って、魔力で強化した腕で強引に箱の蓋を開けた。バキィ!なんて音がして箱が変形したが、開け方が分からなかったからね、仕方ないね。

 

「ハノイ…普通にちゃんと開けろ。重機でも使わない限り強引には開けられなくなっていた状態の箱を、腕力だけで力づくで開けられる中学生が一般人なわけがないだろう」

 

赤マフラーが文句を言ってくるが、無視だ無視。さてさて、お目当てのカードは…あーこりゃダメだわ。真っ黒。いや、真っ白と言うべきか。これが元凶ですわ。どうみても破滅の光ちゃんです。こんな禍々しい強力な光の魔力は初めて見たわ。精霊界での修行が無ければ本当に即死だったかも知れん。ランサーズにも素手ではなく専用に作った機械を使って回収&封印をさせておいて正解だったな。

 

「このカードから禍々しい強烈な光の魔力を感じる。恐らくこれが『破滅の光』だろうな。この破滅の光がヤツの精神異常の原因だろう。間違っても俺以外の人間がこのカードを素手で触れるなよ?気が狂うぞ」

 

「頼まれても触るか。私にはオカルトチックな話は分からんが…リアルソリッドビジョン研究の一環としてそのカードを奴が制作したのは今から約7~8年前だそうだ。そのカードを作る前のヤツは、それほど真面目ではなかったが今のような狂った性格はしていなかったそうだ」

 

今は幻覚症状が出ている薬物中毒者みたいだからな。それにしても7~8年前か…。GXアニメで、カードデザイナーのフェニックス氏が制作した【D-HERO Bloo-D】に破滅の光が取り憑いた時期と近いな。ユベルとネオスが宇宙に打ち上げられた時期とも結構近いはずだ。

 

破滅の光に影響されたユベルが、コブラではなくドクトルを利用した?いや、それならユベルが関わった影響がどこかに残っているはずだ。…ユベルの方が俺よりも遥かに格上だし、俺が何かを見落とした可能性もあるけどさ。

 

考えられる筋書きとしては、【D-HERO Bloo-D】に取り憑くはずだった破滅の光が、何故かこの【パラサイト・フュージョナー】に憑依し、破滅の光の影響を受けたドクトルが発狂した、とかかな。下手したら、【D-HERO Bloo-D】と【パラサイト・フュージョナー】両方に憑依している可能性も…。考えたくないなぁ。

 

4人の同じ顔の少女を集めるってのは、アニメ版アークファイブでヤツがプロフェッサーの命令で行っていた行為だ。破滅の光を受けたのが原因で、その記憶が思い出されてそれを実行するためにあのテロ行為を起こした、とかかなぁ。

 

赤マフラーこと赤馬零児には、念のためDr.ドクトルの尋問は続けておいた方がいいことを助言しておいた。そして、破滅の光が宿った【パラサイト・フュージョナー】に関しては焼却処分すること、出来なければ今までと同じように人の手の届かないところに封印した方がいいことも助言した。一応、赤馬零児も俺の言うことでも納得はしたようだ。

 

先ほどの仮説が正しいのか間違っているのかを確かめるためには…行きたくはないんだが、近いうちにアメリカに行って直接確かめるしかないな。エド・フェニックスか、DDか。恐らくどちらかが持つであろう【D-HERO Bloo-D】のカードそのものをさ。




祝日の深夜残業を終えて帰宅して翌日ゆっくりしていたら、関係会社の副社長にいきなり自宅訪問されて仕事を押し付けられる中学生と言う、労働基準法を鼻で笑うような行為にオリ主はドン引きです。

三幻神を操るデュエリストが現れて、久し振りに歯ごたえのありそうな敵が出てきたことで内心ウキウキで新型デュエルディスクとDSOD時代のデッキを用意した海馬社長に、祝日に会社に呼び出されてデュエルでボコられた中学生オリ主が居るらしい。

オベリスクはパクるわ、ラーの効果によるリアルダメージも当たり前のように耐えるわと、やりたい放題された挙句に負けたそうです。えっ、アニメ神のカード使って負けるの?オリ主君さぁ。

そして、ドクトルがこの世界でもやらかした原因を調査開始。一応、ただの変態ロリコンだったというわけでなく、それなりの理由があったみたいですね。次の章へのフラグも立てたので、次の次くらいに新章に突入します。

次回の更新は、1/13(水) AM8:00予定です。

戦車様、倫太郎様、四季式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

Ээ様、きりぼし様、ラーに関するご指摘ありがとうございました。加筆修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十五話 幕間:白河クロトと友人たち

日常回です。デュエルはありません。


<クロト視点>

 

GW最終日、俺は以前にセレナとの約束を果たすために、セレナを連れてI2社のサーキットへとやってきていた。

 

「いつ見ても巨大なサーキットだなぁ…」

 

「楽しみだな!」

 

セレナは今日会ってからずっとニコニコしている。2人乗りとはいえ、よほどDホイールに乗れるのが楽しみなのだろう。ユーゴやリンも誘ったのだが、どうやら先約があるらしく、断られた。コナミ?奴はトリプルデートだとさ。一般的に男1人に女3人のデートをトリプルデートと呼ぶのかは知らん。

 

家を出る際になにやらセレナとリンが内緒話をしていたようだが、流石に女の子同士の内緒話を盗み聞きするほどデリカシーの無い人間ではない。ユーゴも珍しくニヤニヤしていた。先約と言うのは、ユーゴとリンとでデートでもするのだろうか?う、羨ましくなんてないんだからね!

 

一度セレナと別れ、男性更衣室でDホイール用のライダースーツに着替える。セレナは俺について来てそのまま男子更衣室までついてこようとしたが、流石に止めた。貸し切りとはいえ、俺の心臓に悪い。着替えが終わり、再びサーキットに戻ってくると、シートがかけられた新型ホイールと思われる物が鎮座していた。

 

「これが新型Dホイールか…シートが大型になっていて、(小柄な)俺とセレナなら充分に2人で乗れるサイズだな」

 

当然、俺にI2社のサーキットを貸し切れるほどの財力はない。天馬兄弟に今回の件を相談したところ、新型Dホイールのテスト走行と言う名目でサーキットを走行する許可を得ることが出来たのだ。本当にあの二人には頭が上がらない。

 

「クロト!待たせたな!」

 

「いや、俺も今来たばかりだ」

 

後ろから掛けられた声に反応して振り返ると、アニメ版アークファイブで着用していた時にそっくりなライダースーツに身を包んだセレナが居た。ボディラインが強調されて少し色気があるように見える。気のせいだろう。

 

『クロト君、こちらの準備は出来ている。そちらの準備が出来次第、テスト走行を開始してくれ』

 

新型Dホイールの開発者の人からテスト開始の合図が送られてくる。

 

「了解しました。じゃ、セレナ。行こうか?」

 

「あぁ!」

 

俺がDホイールの前の座席に乗って、セレナが俺の背に抱き着くようにしてDホイールに乗る。僅かな膨らみが背中に当てられるが、平常心、平常心。

 

「じゃ、ゆっくり走り始めるけど、最初は俺の背中を見ていればいいよ。慣れてきたら横を見て景色を見てみると良い。この景色はDホイールのようにスピードの中でしか見られない景色だからな。色々と勉強になると思う」

 

「あぁ、分かった」

 

アクセルを踏むとDホイールが独特の起動音と共に走り出す!すぐさま景色が流れるような映像と化す。

 

「うわわっ!」

 

俺がDホイールのスピードを上げていくと、驚いたセレナが俺の背に抱き着く力を強くしていく。僅かな膨らみが強く背中に当てられるが、平常心だ、平常心を保てよ俺。

 

「大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫だ。私はクロトを信頼しているからな」

 

嬉しいことを言ってくれるね。万が一にDホイールが転倒したり、Dホイールから転落したりしてもセレナの保護はバニーラに任せてあるからほぼ問題ない。俺自身はDホイールから落ちたくらいなら何の問題もないからな。

 

『デュエルが開始されます。ただちに退避してください。繰り返します…』

 

サーキット内にアナウンスが流れ始める。今回は対戦相手は居ないのだが、様式美という奴だ。

 

『デュエルモードオン、オートパイロットスタンバイ』

 

Dホイールから、マニュアル操作からオートパイロットモードに切り替わったことを告げる音声が聞こえる。そして、デッキから初期手札を引き抜いて、ハンドルの横に着いたスタンドに置く。

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

俺とセレナは声を合わせてデュエル開始を宣言する。相手は居ないけどな。

 

『フィールド魔法【スピード・ワールドネオプラス】発動』

 

現在開発中のフィールド魔法【スピード・ワールドネオプラス】が発動する。このスピードワールドは、アニメ版アークファイブのなんちゃってスピードワールドに加えて、スピードワールド2で使用されていたスピードカウンターを加えたものだ。

 

スピードスペルでなくても魔法カードが発動できるので、スピードカウンターを何処で使用するかを考える要素が増えた以外は普通の勝ち抜き戦に近い。

 

「おぉー!世界が流れて行っているみたいだな、クロト!」

 

そんなことを考えていると、後ろのセレナがようやくスピードに慣れてきたのか、景色を眺め始めて感嘆の声を上げる。

 

「クロト、ありがとうな」

 

セレナはそう言うと頭を俺の背中に押し当ててそう言う。いきなりなんだ?

 

「何の話だ?」

 

「色々だ。クロトは家庭教師として色々なことを私に教えてくれた。デュエルのことや、リンたちと引き合わせてくれたこと、一般常識なんかもそうだな」

 

一般常識に関しては、まだまだ教えておかないことが多いんだけどな。原作と違い、手の掛かる妹みたいな感じだ。

 

「オベリスクフォースとの戦いの時だってそうだ。私たちを巻き込まないように自分一人で現場に向かって、万が一にも私たちに危害が加わらないようにとコナミを置いて行ったんだろ?」

 

「さて、何のことやら」

 

普段、俺達といるときはゆるキャラのようなセレナだが、この娘は身体能力が高くて頭の回転も速い。色々と気付かれているようだな。でも、肯定はしてやらない。照れくさいし。

 

「クロト。私はお前に、本当に感謝している…クロトと出会うまでは、私はあの大きな家で独りぼっちだった。でも、クロトと出会えたおかげで今は毎日が楽しい!」

 

「そうか…」

 

俺達といるときは底抜けに明るいから忘れがちだが、彼女はこの国有数の財団の令嬢なのだ。そして、両親は彼女が幼い時から海外にいる為、彼女は幼少期は寂しい思いをしていたのだろう。そういや彼女の両親を俺は見たことがないな。

 

「クロトには、これからも色々と私に教えて欲しいし、できれば、この先も、ずっと一緒に居て欲しい」

 

「うん、いいよ。君の為になるのなら、俺に出来ることなら何でもするし、何でも教えてあげるさ」

 

「うん、ありがとう」

 

セレナは安心したような声をあげて、俺の背中に力いっぱい強く抱き着いてきた。僅かな膨らみが強く強く背中に当てられるが、平常心。平常心だ、平常心を保てよ俺ぇ!

 

俺の回答に満足したらしく、彼女は強く抱き着いたままの状態で景色を眺め、その度に嬉しそうに感想を教えてくれた。…俺は割とそれどころではなかったが、なんとか誤魔化せたようである。今日は終始セレナが嬉しそうにしていたので、俺としても楽しいGW最終日を過ごせて良かったな。

 

~~~

 

<リン視点>

 

クロトとセレナが孤児院を出たことを確認した後、ユーゴを連れてI2社のサーキットへ先回りし、事前に話を通しておいた天馬兄弟に案内されたサーキットの屋内にある観戦室から、備え付けのモニター越しにクロトとセレナがサーキット前でテスト走行を始めようとしている様子を見ていた。

 

「うーん、もどかしいわね…」

 

「クロトは普段は優秀なくせに、変なところで鈍いからなぁ」

 

私は、セレナがクロトに今までのお礼を伝えたいと相談を受けており、今回のDホイール2人乗り計画を立案し、色々と準備をしてきたのだ。

 

クロトの方はよく分からないが、セレナの方は明らかにクロトへ好意を抱いている。私以外は気付いていないと思うけど、セレナがわがままを言うことなんて、クロトに関わることだけなのよね。それなら、友人である私が一肌脱いであげようと思ったんだけれど…。

 

「おや?君たちも覗き見かい?いい趣味してるね?」

 

「やっほー、ユーゴにリン」

 

「あら?ユーリにデニスじゃない。いい趣味しているのはお互い様でしょ?」

 

「よーっす」

 

私たちがサーキットに視線を釘づけにしていると、観戦室にユーリとデニスがやってきた。やはりユーリにはこの計画はバレていたようね。今しがたやってきた二人にユーゴが緩く挨拶を返している。

 

「クロトにセレナが執拗にDホイールの乗り方についてレクチャーを受けていると思ったら…やはりこの件はリン、君の差し金だったか」

 

「やっぱ、セレナが『クロトと二人でDホイールに乗りたい』なんて思わないよな。言った本人はあまり意味を分かっていないみたいだったし、言われた当人は娘を見る父親とか、妹の成長を喜ぶ兄みたいな表情だったけどさ」

 

デニスがやっぱりな、なんて顔をしてこちらを見て来て、ユーゴが同意する。サーキット場では、クロトとセレナが2人でDホイールに乗り込んで走り始めた。クロトの挙動が少し怪しい。ふふっ、セレナにくっつかれて照れているわね。密着すればセレナも女の子だって意識しちゃうわよね。

 

「それで?進捗は?」

 

ユーリがニヤニヤしながら現在の計画の進捗を聞いてくるが、まだあまり上手く行っていない。これからが本番なのだ。

 

「悪くはないけれど、まだまだいつもの二人って感じよ…ん?おやおや?」

 

そんな時、私の最高傑作であるセレナのライダースーツに仕込んである盗聴器から、声が漏れてきた。

 

『クロト、ありがとうな』

 

『何の話だ?』

 

「「「「おやおやぁ…」」」」

 

「お前ら、趣味悪いなぁ…」

 

良い感じに話が盛り上がってきたようだ。私の近くでユーリとデニスがニヤニヤしている。ユーゴもクールを装いつつもちらちらと盗聴器の方に視線を寄せている。この年頃の男女は私を含めて友人の恋愛話に興味津々なのよ。今のクロトとセレナでそのような話になるかは微妙だけどね。

 

『オベリスクフォースとの戦いの時だってそうだ。私たちを巻き込まないように自分一人で現場に向かって、万が一にも私たちに危害が加わらないようにとコナミを置いて行ったんだろ?』

 

『さて、何のことやら』

 

オベリスクフォースの件については私も同意ね。あの変な仮面男たちに負けるつもりはないけれど、クロトが私たちを危険にさらさないように色々と裏で私たちを助けてくれていることは知っている。

 

『クロト。私はお前に、本当に感謝している…クロトと出会うまでは、私はあの大きな家で独りぼっちだった。でも、クロトと出会えたおかげで今は毎日が楽しい!』

 

『そうか…』

 

セレナの両親に関しては、私はその両親に頭に来ていた。孤児の私達からすれば親が居るだけで羨ましい。子供がいるのにその子供をおざなりにしているなんて、本当に頭に来る。

 

「セレナの両親は財閥でも最上位の幹部だからね。娘の顔を見る為だけに帰国するなんて時間は取れないだろうね」

 

「親が居るのに会えないなんて、なんかもったいないよな」

 

「そうねぇ。それでも頭には来るわね」

 

なんだかしんみりしてきたわね。今回の件は、セレナにとってはクロトにお礼を言いたかっただけだろうし、面白そうな展開になると期待していたのは私たちの勝手なのよね…。

 

『クロトには、これからも色々と私に教えて欲しいし、できれば、この先も、ずっと一緒に居て欲しい』

 

『うん、いいよ。君の為になるのなら、俺に出来ることなら何でもするし、何でも教えてあげるさ』

 

『うん、ありがとう』

 

「「「「…ん?今、何でもするって言ったよね?」」」」

 

モニター越しで映るセレナがクロトに後ろから嬉しそうに抱き着いている。クロトも満更ではなさそうだ。まるで仲の良い兄妹のような感じだ。今はまだ、ね。

 

いつも通りクロトはいつも通り迂闊なことを言っているが、彼はそろそろ自分が何を言おうとしているのか考えて口を開いた方がいいと思うわね…。

 

今後、彼らがどうなるかは私にも分からないけれど、私としてはクロトとセレナにはくっ付いて欲しいわね。だっけ、その方が面白そうじゃない!




ある意味、セレナ回と言える話です。

オリ主のお節介は、オリ主に深く関わってきた彼らにはちゃんと感謝されていることを描いておきたかったので書きました。

次回の更新は、1/16(土) AM6:00予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十六話 幕間:白河クロトの日常2

日常回&リミットレギュレーション更新回です。前回と合わせると長くなりそうだったので分けました。

デュエルはありません。


<クロト視点>

 

GWが過ぎ去り、梅雨のシーズンがやって来た。最近ようやくスマートフォンらしき携帯電話が市場に出回るようになってきてから個人HPが急増し、様々なブログなども増えてきた。今、俺が食べているソフトクリームはそんな個人用HPのオヤツ教室にて紹介されていた方法で制作したものだ。出来栄えは…まぁまぁだな。費用対効果がそこまで良いものではないな…。

 

リミットレギュレーションも公式HPに記載されるようになり、何処からでも見やすくなった。今までカードショップにしか記載が無かったのがおかしな話だったのだが、そこは置いておこう。早速、使い古したデスクトップPCを起動して更新された内容に目を通す。

 

<禁止カード>

【大寒波】 New!

 

<制限カード>

【ダーク・アームド・ドラゴン】 New!

【ダーク・ダイブ・ボンバー】 New!

【突然変異】 New!

【次元融合】 New!

【異次元からの帰還】 New!

【マジカル・エクスプロージョン】 New!

 

<準制限>

【サイクロン】 New!

 

<エラッタ(OCG順守)>

【混沌の黒魔術師】 New!

 

大体は予想通りだな。最近は色々あってあまり大会にも出てないが、ブログは開設してから毎週欠かさずに更新しているからな。俺が特に使っていない【突然変異】辺りは誰かが使ったんだろうな。【サイクロン】が準制限なら、そろそろ【大嵐】か【ハリケーン】が禁止に行きそうだな。なによりも、【強欲な壺】や【天使の施し】がまだ制限で、禁止じゃないのが一番信じられない。

 

そうしてソフトクリームを食べながら膝の上に居るバニーラを弄りつつ自分の開設したデュエリストブログを更新していると、最近増えてきた書き込みに目が行く。

 

『〇〇県の大会にてハノイの騎士を名乗るデュエリストが数人エントリーしていた』

 

『△△県でハノイの騎士を名乗るデュエリスト達が万引きをしていた』

 

『□□県でハノイの騎士を名乗るデュエリスト達がバイクでレースをしていた』

 

などなど。俺は1人しかいない上に、わざわざハノイの衣装を来て万引きやらレースやらをするほど奇特な性格でもない。

 

ではなぜこんなことが書き込まれているかと言うと、GW以降にハノイの騎士の知名度が急速に上昇してから偽物がわんさか増えることになったのだ。しかも民度の低い連中が多いのが困りものだ、

 

「夏休み頃にはリアルソリットビジョン研究所に依頼していた例の物も完成する頃合いらしいし、『ハノイの騎士』も潮時かな…」

 

「バニー?」

 

【ダーク・ダイブ・ボンバー】の記事を書き上げた後、一人ポツリと呟くと、俺はバニーラの頭を一撫でした後、HPのウィンドウを閉じ、デスクトップPCの電源を落とした。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

梅雨が終わり、夏がやって来た。ハノイの騎士の偽物はまだまだ各地に出没している。流石にこの状態で俺がハノイの騎士として大会に出ると俺も偽物扱いされて不快な思いをしようなので、しばらくは大会はお休みだな。

 

今日は、少し前に受験したデュエルアカデミアが主催するデュエル全国模試(中学一年生の部)の結果発表を確認するために、休日を利用して使い古したデスクトップPCを起動してデュエル全国模試の結果が確認できるHPへとアクセスしていた。

 

<デュエル全国模試 順位発表>

1位 … 三沢大地

2位 … アモン・ガラム

3位 … 天上院明日香

4位 … 万丈目準

5位 … ツァン・ディレ

6位 … レイン恵

7位 … 白河クロト

8位 … 原麗華

9位 … 加藤友紀

10位 … オースチン・オブライエン

11位 … 藤原雪乃

12位 … ジム・クロコダイル・クック

18位 … 吉光俊輔

20位 … 風見吹子

22位 … 地原岩夫

24位 … 温田熱巳

26位 … 水城流次

28位 … 黒川唯一

30位 … 白石光一

54位 … 山谷理恵

67位 … 石原法子

78位 … 石原周子

89位 … 宇佐美彰子

99位 … ヨハン・アンデルセン

123位 … 高田純二朗

161位 … 海野幸子

165位 … 桐岡麻季

226位 … 宮田ゆま

230位 … 清水季也

234位 … 清水剛

250位 … 樋口桜

276位 … 田中奈津代

345位 … 山路康平

387位 … 山本百合

 

456位 … 田中康彦

498位 … 吉澤由美

555位 … 高橋秀行

567位 … 野畑義賢

573位 … 赤羽コナミ

678位 … 北條礼博

752位 … 瓶田武司

789位 … 打田英人

891位 … 遊城十代

919位 … 丸藤翔

1000位 … 初心守

 

 

受験人数は約30000人で、上位1000人までが公式HPに表示されるわけだ。この模試は現役デュエルアカデミア全校生徒約2000人も受験するので、デュエルアカデミアの入学試験の目安にもなる。ランキング内なら合格圏内と思っていいだろう。俺もいずれ受験する身としては模試の方も受けておこうかと思ったわけだ。

 

上位1万人の中にはちらほらと見知った名前があるな。大体はTF3でオベリスクブルーに所属しているメンバーと、TF6に登場しているアカデミア生徒だな。遊城十代や丸藤翔もなんとかランクインしている。現役オシリスレッドとラーイエローの生徒はこのランキングに入らなくても大丈夫なのだろうか。中学受験者が有利過ぎるだろ…。

 

俺の順位は…思ったよりも順位が高いな。チート知識で通常モンスターのフレーバーテキストすら分かるから、むしろ満点じゃないことを恥じるべきなのかもな…。逆に遊城十代や丸藤翔はよく1000位以内に入ったな。この辺りも歴史の改変の影響何だろうか。

 

1位から4位は順当。大体こうなるとは思っていた。5位は…やはり居るのかツァン・ディレ。レインが居る時点で居るんじゃないかと思ってたけどさ。と言うかレイン恵め、お前は平均点ピッタリを取る設定だろうが。なんでちょうど俺より1つ上に居るんだよ。狙ってやったとしたらすげえな。

 

コナミは…あの順位は間違いなく狙ってやっているんだろうな。流石は公式チート。俺とは別格だな。鈴木、佐藤、田中たちも受験したようだが、彼らのデュエルアカデミア合格は難しそうだな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

夏休みも終盤に差し掛かる頃、毎年恒例の夏休みの宿題終わっていない問題に直面しているユーゴと、それに毎年付きっきりになっているリンに出かけてくる旨を伝えておく。コナミ?デートだってよ。

 

「クロト、出かけるのか?じゃあフルーツ味のアイスキャンディーセットよろしく!」

 

「昨日言っていた件ね?車と不審者に気を付けてね」

 

「あぁ、帰りは遅くなると思うけど、今日中には帰るから晩御飯は残しておいてくれると助かる」

 

結構余裕のありそうなユーゴと、いつもながらオカンみたいなリンに言葉を返しながら、キャリーケースを転がしながら近所の駅まで徒歩で向かう。真夏の直射日光など、魔導障壁を使えば暑さなどほぼ感じないのさ!

 

『クロト、また振られた…相談に乗ってくれ』

 

『緊急!年下の女の子へのプレゼントについて!』

 

『俺の妹がこんなに反抗期なわけがない』

 

『兄が最近とても鬱陶しいので何とかする方法ありませんか?』

 

『ドローパンよろしく!』

 

『こんなコンボはどうだろうか?』

 

『お嬢様が薄着で町を歩くのを何とかやめさせたいんだが…』

 

駅で新幹線を待っている時間を利用して携帯端末を開くと、なんかいっぱいメッセージが届いていた。なんで俺の携帯端末は相談窓口みたいになっているん?

 

『返信:女の子との初デート先が牛丼屋なのがマズいことくらいは、この白河クロトの眼をもっててしても容易に分かる。お前はアホだと思う』

 

『返信:日常でのプレゼントならかさばらないお菓子系、特別な日のプレゼントなら安物に見えない小物系とかでいいんじゃね?と言うか、何故それを彼女いない歴=年齢の俺に聞いた?締めるぞ?うん?』

 

『返信:反抗期は誰にでも大体訪れるものらしいぞ。諦めろ』

 

『返信:田中なりに妹ちゃんが心配なんだと思う。鬱陶しいとは思うけど、構ってあげているくらいの気持ちで接すれば多少はマシになるかも?』

 

『返信:ドローパン~?売っていたらな~』

 

『返信:決まると効果的だとは思うが、今のセレナのデッキではコンボのキーパーツをサーチする手段がほぼ無いから、今のデッキのギミックの一部を変更する必要があるな。その取捨選択を考えるべきだと思う』

 

『返信:セレナは美少女としての自覚が薄いからな…。この前も買った水着を見せてやるとか言っていきなり脱ぎ始めたし…とりあえずリン辺りに相談したらどうだろうか?』

 

返信終了、と。なんだかバレットから追加のメッセージが来ていた気もするが、もう目的地に着いたし気にしない気にしない。

 

「遠いところをはるばるようこそ、本物のハノイ君?」

 

「ハノイは(世間的に)死にましたよ。もう居ません」

 

リアルソリットビジョン研究所で受付を済ませ、赤馬レイの研究室に到着し、世間話を交わす。最初は子供に警備員の訓練を頼んでくるトンデモ姉ちゃんだと思っていたが、当時は余裕がなかっただけで、今は茶目っ気のある症状ファザコン気味の美人のお姉さんって感じだ。

 

「苦節、1年かかったけれど、ようやく完成したわ!名付けて、『変身ブレスレット』よ!」

 

「まんまじゃないですか」

 

「いいからいいから。じゃあ早速試してみる」

 

「ええ」

 

変身ブレスレットを受け取り、腕に装着する。腕の太さを調節できるので成長期の俺にも安心設計だ。これならこれからどれだけ身長が伸びても対応できるな!

 

「良し、行きますよ…『バリアルフォーゼ!』」

 

腕を天に掲げて合言葉を言うと、俺の体をまばゆい光が包み込んでいく…。光が収まった頃には…そこにはバリアンの(面)白き盾、ドルベの姿があった。一応、決め台詞も言っておくか。

 

「バリアンの(面)白き盾、ドルベ!」

 

うろ覚えの決めポーズと共に高らかに今の姿の名を宣言する!ビシィ!って感じの効果音が流れてそう!

 

「キャー!格好いいわクロト君!やっぱり特撮はこういう伝統的な名乗りとポーズを決めるのが常識よね!」

 

普段のクールな様子は消し飛び、顔を高揚させて両手を握りしめ、年甲斐もなく…もとい嬉しそうに跳ね回る残念系美人。そう、この人は生粋の特撮マニアだったのだ。

 

「ラフ画とも呼べないような俺の下手くそな絵から、よくもまぁここまで完成度の高い衣装を作り出せたものですね」

 

「その分の手間と時間は掛けたからね!どう?動きづらさとかは大丈夫?」

 

そう言われてから体の状態を確認する。全身タイツのような状態なので若干恥ずかしさはあるが、動き自体に制限はなさそうだ。

 

「大丈夫そうです。このブレスレットについているダイヤルを弄れば他のバリアンの姿にもなれるわけですか」

 

「そういうこと。結構大変だったのよ?バリアン七皇だっけ?その特撮ヒーローの衣装をリアルソリットビジョンで再現して、音声入力と共に瞬時に体の周りに展開させたわけ。入力する音声を変えることでハノイの騎士にも成れるし、音声入力のパターンを追加すれば更に別の姿にも成れるわ!」

 

改めて聞くと凄い技術なのが分かる。このブレスレット一つで瞬時に容姿を変化させられるのだ。何より、身長も変化するのがいい。ただ…。

 

「音声入力機能、必要ですか?かなり恥ずかしいんですが…」

 

「絶対必要。変身時に掛け声をあげて、変身ポーズを決めて、光と共に変身!変身完了後の名乗り!ここまでやって初めて『変身』という工程は完了するのよ!」

 

ビシィ!っと人の顔に向けて指を突き付けてくる。失礼だから止めなさい。その指を手で除けつつ彼女の興奮が収まるのを待つ。

 

「オベリスクフォースの件では色々と頼みごとを引き受けてくれたからね。これくらいのお礼なら喜んでさせてもらうわ。久し振りに創作意欲もわく作品だったし、次回作もちゃんと既に開発段階なのよ?次の掛け声は『フォトンチェンジ』ね!」

 

そう。この変身ブレスレットは、オベリスクフォースの一件で色々と頼まれごとをこなした報酬の一つである。

 

ハノイの騎士の知名度が格段に上がり、大会に出る度にマスメディアに囲まれるようになるのは想像できる範疇だったので、そんな面倒を躱す為、舞網チャンピオンシップ終了後に新たな衣装の開発を依頼していたのだ。でも、まさか全員分に変身できるとは思わなかった。

 

「貴方の孤児院の近くに住んでいる服屋の柳さんにもデザイン面で協力してもらえたからね。流石はあのハノイの騎士の衣装を作り上げた逸材なだけはあるわ。もう意気投合しちゃって、ついつい完成度が甘いところがあると気に入らなくなってきて、どんどん完成度は上がって行っちゃったわ!」

 

「色々と協力ありがとうございました」

 

俺の知らないところで苦労したようなのでお礼を言っておく。こういう時、お礼は大事なのだ。

 

「いいのいいの。こっちの依頼の方が明らかにきつかったし、そもそも本来なら子供に頼ることじゃないのよ。私たちは本当に無力だったわ…でも、今後はそんなことが無いようにしていくつもりよ」

 

そもそも、1企業からテロリストが出てしまったとしても、その企業が社会的信頼を失うのは仕方ないにしても、本来ならばテロリストなどはその国の警察機構が何とかしてしかるべきなのだ。

 

だが、この世界の警察機構は本当に頼りにならないのだ。海馬瀬人が支配する前の童実野町とか犯罪者の巣窟だったからな…。前世の警察はかなり優秀だったのが今ならわかる。

 

「それにしても、特撮を理解してくれる子って貴重だわ。零児や零羅は一切興味を持ってくれないもの」

 

「嫌いではないだけですよ」

 

彼らがポーズを決めながら変身ポーズをとる姿も見てみたいけどな。そして、もしその姿を動画に取れたら舞網市中に流してやろう。きっとウケるだろう。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

赤馬レイに改めてお礼を言って別れた後、家に帰る前にユーリの屋敷へと足を運んでいた。

 

「へぇ、今度は仮装じゃなくて特撮をやるんだ」

 

「そういえば昔みてたな~仮面ラ〇ダー」

 

「そういうのとは少し違うけどな」

 

ギラグの姿を解除してユーリやデニスと向き合う。やはり高身長から他人を見下ろすのは快感だな。

 

「じゃ、そろそろ本題に入ろうか」

 

「まずは洗脳被害者の処置についてだけど、機械による洗脳の方は大体解除できたよ」

 

「それは良かった。その言い方だと虫の方は上手く行っていないのか?確か、榊遊勝と10代の女の子全員が虫洗脳で、他全てが機械洗脳だったんだよな?」

 

ここの来た目的は4つ。そのうちの1つである洗脳被害者の回復状況について確認しているところだ。デュエルで倒せば洗脳は解ける、なんて甘い話はなく、洗脳されたと思われる人物はいまだに拘束中なのが実情だ。家族や親戚以外には行方不明扱いになっているからマスメディアでも時々ニュースとして挙げられている。

 

「虫洗脳の方は、ドクトルからの聴取が上手く行っていなくて、体内の虫を除去しきれていないのが実情さ」

 

「リアルソリットビジョン研究所に協力してもらって、一時的には取り除くことには成功したんだけど、しばらくすると体内で復活するんだよ」

 

「それはまた厄介な話だ」

 

原作アニメだと、遊矢の体内に入った虫は逆鱗状態の榊遊矢の謎パワーに焼かれて消えていたが、4人の少女の体内の虫は結局どうなったか一切説明がなかったから不明なんだよな。下手したら統合した後の世界でも体内に残っていた可能性すらある。4人に統合された時に消えていたと思いたいね。

 

「ドクトルの残してあった研究資料は何故か数年前から後の分が存在していなくてね」

 

「ドクトル本人に聞くしかないんだけど、会話にならないからねぇ」

 

アニメGXでは正しき闇の力を持つ十代がデュエルで明日香たちを倒して破滅の光の洗脳を解いていた。Dr.ドクトルがまだ会話できる状態であれば、魔力を持った俺がデュエルであのクソ野郎を叩きのめせば洗脳を解くことも可能なんだろう。本当に手間ばかりかけてくれる。

 

「…虫洗脳については、被害者たちには悪いが、やれることをやっていくしかないさ。アメリカのカードデザイナーの件はどうなった?」

 

ここに来た2つの用事に付いて聞く。こちらは今後の予定に関わる件なので個人的にはこちらの方が重要だ。

 

「調査の結果、数年前に強盗に襲われて死亡したと思われていたカードデザイナー、フェニックス氏については生存が確認されたよ」

 

「理由は不明だけど、強盗に襲われた後から意識が回復していない植物人間状態のまま、世間から隠されるように生かされているようだね」

 

「それはなんとも…コメントしづらいな」

 

強盗と言うのは恐らく現プロリーグ1位のプロデュエリストDDのことで間違いないだろう。アニメの史実だとそうなっていたはず。でも、生きているのか。俺がこの世界に転生した前後くらいには事件が発生して殺害されているものだと思っていたが…。

 

「フェニックス氏の一人息子のエド・フェニックスは、現在プロデュエリストDDに保護されているそうだね。キミの言っていた斎王琢磨?って子とも接触済みだね」

 

「フェニックス氏の入院費もDDが支払っているらしいね。もう何か事情があるのは確定なんだろうけど、その掘り下げまではまだ済んでいないよ」

 

「ふむ、そうか…調べてくれて助かったよ、ありがとう」

 

「どういたしまして。どうせこの件も、この前行っていた未来に起こる大事件に繋がるんでしょ?」

 

「そうだね。あの話に繋がってくるなら、他人事じゃないからね」

 

GWで自身を転生者であることを明かし、カード知識やカードそのものの話は他の皆にもしたけれど、今後の未来をある程度知っている件については、ここにいるユーリとデニス、バレット、モクバ副社長にしか話していない。あとは、過去に話したペガサス会長とペガサス会長から直接話されたであろう天馬兄弟くらいかな。

 

「あと3年で世界を揺るがす大事件が1年周期でやってくるなんて、普通は信じないよね」

 

「クロトは色々と実績があるからねぇ。会ったこともないはずのボクらやオベリスクフォースたちの戦術を熟知していたし、ロジェの目的や切り札として隠していたあのサイボーグにも心当たりがあったみたいだしね」

 

「今は俺の知る情報とは結構食い違いが出てきているから、完璧にはいかないんだけどね…3つの件、海馬コーポレーションが打ち上げた衛星の件はどうなった?」

 

ここに来た3つの用事に付いて聞く。こちらも今後の展開に関わる件なので個人的にはこちらの方も重要だ。

 

「この件に関しては、クロトが海馬社長に直接聞いた方が早かったと思うんだけどねぇ」

 

「まぁまぁ」

 

海馬瀬人は苦手なんだよ。会う度に無理難題を押し付けられそうでさ。

 

「数年前にカードに宇宙の波動を取り込ませるために打ち上げられた人工衛星のうちの一つが、打ち上げられた2~3年後に事故で墜落して日本近海に落ちたことは知っているよね?」

 

「えっ、なにそれ?」

 

「おいおい…クロト、ニュースくらい見なよ…当時はこの話は結構話題になったよ?」

 

ユーリが当たり前の確認のように人工衛星の事故について教えてくれるが、知らねー!…デニスの呆れた表情を見る限り、割と有名な事件らしい。いや、人工衛星が落ちることは原作知識で知っているんだけど、日本近海に落ちたんだっけ?墜落場所って明確になっていたっけ?

 

「最近、海馬コーポレーションがその墜落した人工衛星をサルベージしたらしいんだけど、衛星内に収納されていたカードは焼き切れていたらしいよ」

 

「焼き切れていたか…収納されていたカード全てか?」

 

「カードの表紙どころか、枚数を判別できるほどの状態ではなかったらしいからね。もしかしたら何枚か紛失しているかもしれないけれど…」

 

アニメGXでは、その墜落した人工衛星にユベルが収納されていたはずなんだが…。もしかして、この世界からユベル消えた?もしそうなら…十代の覇王化もユベルと一体化も出来ないな。超融合のカードは俺の持っているのを渡せばいいけれど、流石にユベルの精霊のカードなんて持っていないぞ…。

 

十代がオカルトチックに強化されないと、ダークネスをどう対処すればいいのか…。一応、ダークネスに敵視されそうなのはこの世界では俺やコナミも該当すると思うけど…最悪の場合、俺がダークネスの相手をすることになるのか?それは、ヤバいかもな。俺には強化十代ほどのオカルトパワーなんて多分無いぞ…。あっさりミスターT辺りに消されかねん。

 

「とりあえず、状況は分かったよ。なら、最後の件はどうだった?」

 

そして、ここに来た最後の用件について確認する。正直、俺にとっても彼らにとっても些末な内容だ。ただの自己満足にすぎないんだけど、放っておくのもモヤモヤするからな…。

 

「奇術師パンドラの元恋人、カトリーヌさんの行方について、だったね。もちろん見つけたよ」

 

「別れてから約10年は経過しているみたいで、随分と容姿は変わっていたし、既に別の男性と結ばれていて既婚者になっていたのがちょっと気まずかったねぇ」

 

「…そうだよな。知る限りではまだ若い女性だったし、容姿も整っていたからなぁ」

 

最後の用件とは、去年の夏頃に舞網チャンピオンシップで襲い掛かってきた元グールズの奇術師パンドラ、その元恋人であるカトリーヌについてである。

 

「一応、彼女にはパンドラの件は伝えておいたけど、本当にそれでよかったのかな?」

 

「いいんだよ。こればかりは本人たちにしか解決できないだろう。喧嘩別れした元恋人と復縁したかったけど、既に別の男性と結ばれていた、なんて珍しい話でもないだろ」

 

デニスの問いに、俺はそう返した。洗脳が原因で別れたのならともかく、事故の後で精神が弱っていたとはいえ恋人と別れることになったのは本人の自業自得である。そんなところまで助けてやる気にはならん。復縁は無理でも、知り合いに戻ることや、過去の気持ちを吹っ切るきっかけにはなるだろう。第一、本来ならそこまでしてやる義理もないのだ。あとは当人たちで何とかしてくれ。

 

聞きたいことは全部聞けたので、別れの挨拶をしてから二人と別れ、無事に帰宅した。頼まれていたアイスキャンディーをユーゴとリンに渡して、晩御飯を食べてお風呂に入って寝る。

 

…いくら俺がチート持ちの転生者であっても、全知全能の神様と言うわけではない。俺に出来ることなんてたかが知れているのは海馬社長とのデュエルで改めて思い知らされた。でも、それでも出来ることをやって俺にとってよりよい未来にするために行動することは間違っていないはずだ…。その為には、力が足りない。もっと、色々な理不尽を乗り越えられるような力を手に入れなければ…。

 

~~~

 

<ZONE視点>

 

私はレインより報告を受け、今後の方針について仲間たちと話し合っていた。

 

「失われし三幻神をも操るか、彼の異常性はやはり別格ですね。何度過去を修正しても消えない、ただデュエルを求めるだけの存在であるコナミに近い存在と見るべきでしょう」

 

「排除か、協力体制を敷くか、それともまだ監視を続けるか…難しいところだね」

 

「奴の世界への影響は良し悪しに関わらずどんどん大きくなってきている。何らかの手は打つべきだ」

 

アンチノミーとアポリアも判断に迷っているようだ。前代未聞の人物の出現で困惑しているのが見て取れる。

 

「幸いなことに、彼が与える影響は本来の歴史に存在しない騒乱を鎮めようとする物が多いようですね」

 

「オベリスクフォースか…技術力はそれなりだったけれど、デュエリストとしての腕前はゴーストに匹敵する存在だったね」

 

「私は、その者たちを相手にあのインセクター羽蛾やダイナソー竜崎が圧倒していたことが驚きだった。あの者たちは本来、歴史の渦に飲まれて表舞台から消えゆく存在だったはずだ」

 

そう。彼の影響により。本来の歴史では光を失っていた者たちが再起することが多くなり、必然的に本来の歴史上の強者たちは駆逐されつつあった。

 

「遊城十代と同じく、ハネクリボーの精霊を持つHERO使いの響紅葉は、とうとうプロリーグ10位まで食い込んできましたね」

 

「彼の姉はデュエルアカデミアで講師をやっているみたいだね。これも本来の歴史には存在しないはずだよ」

 

「響紅葉は白河クロトが初めて積極的に介入を始めた人物でもある。ならば、白河クロトの狙いは恐らく、プロデュエリストDDの持つあのカードなのだろうな」

 

響紅葉は確かに本来の歴史でもそれなりのデュエリストとして生涯を終えることになる人物だが、彼の介入により急激のその実力とランクを上げてきている。これがどのような未来をもたらすのか…。

 

「やはり、どう見ても白河クロトは本来の未来を知っていますね」

 

「そうだね。恐らく他のプロデュエリストを誘導してDDからあのカードを失わせることにより、破滅の光がもたらす『光の結社』事件を未然に防ごうとしているんだろう」

 

「だが、あの事件は遊城十代が解決して彼の成長を促さない限り、その後に起こる精霊ユベルの異世界融合事件やダークネスの引き起こす世界消失事件を止めることが困難になるのは明白だ。事実、遊城十代が成長できなかった世界線は世界が滅びている」

 

「その遊城十代も既に本来の歴史とは大きく異なる状況になってきていますね」

 

「まさかこの時期に既にユベルと行動を共にしているとはな…」

 

「これも今までの歴史改変に無い事象だね」

 

幸いにも、監視者レインは彼と上手い距離を取って彼に強い敵意を持たれることなく監視できているようです。少々、レイン自身が彼に拘っているように見えるのが気になりますね。

 

「それに、白河クロトならば、もしかすると行方不明のパラドックスのことについて何か情報を持っているかもしれません」

 

「まさか…!?パラドックスが消息を絶ったのは奴の仕業と言うことか!?」

 

「そう考えるのは流石に早計なんじゃないかな。彼はボクたちイリアステルとは極力関わらないように行動していたように見えるよ」

 

「そう、ですね。すいません。希望的憶測で話してしまいました…」

 

「ZONE、気に病むな。君のせいではないのだから」

 

「そうだよ。パラドックスのことが気になっているのは皆同じなんだからさ」

 

「えぇ、ありがとうございます。アポリア、アンチノミー」

 

何にしても、彼は何者なのか?何が目的なのか?そして、彼は我らにとっての希望足りえる存在となりえるのか、はたまた絶望を届ける存在となるか…。どちらにしても、近いうちに直に確認してみるとしましょう。




ハノイの騎士の偽物が出てきているそうです、世も末ですね。

全国模試はノリでやりました。順位も受験人数も適当です。アニメGXに登場する他の人物もランキングに入っていますが、オリ主は見落としています。

※流石に適当に名前を入れ過ぎたので順位表を少し修正しました。

ハノイの騎士の恰好で滅茶苦茶やらかして動きづらくなったので、別のコスプレをすることにしたようです。今回のコスプレ風評被害の被害者はバリアン七皇の皆さまです。

順調にフラグを立てられていると思うので、次回からは新章突入できそうですね。

次回の更新は、1/16(土) AM7:00予定です。

戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作2年前 デュエルアカデミア・アメリカ校来訪編
第五十七話 バリアン七皇(偽)1


新章突入。

ハノイの騎士(偽)は少しお休みです。

これからはバリアン七皇(偽)が多く出てきます。


中学校2年生となったGW前日の夜、14歳となった俺は精霊界にて黒魔術師の師弟と会っていた。

 

「クロトか。よく来たな。千年ブレスレットのことであれば、まだまだ修復には時間がかかるぞ?」

 

「弟弟子は本当に無茶ばかりするからとても心配」

 

「いやぁ、あの時は流石に三幻神を連続で召喚しすぎましたね…」

 

黒魔術師の師は、はにかみながらこちらの来訪を歓迎してくれた。初対面とは大違いだが、恐らく本来のこの人の性格はこちらなのだろう。

 

そして、話しかけながら俺の頭を撫でる姉弟子。流石にもう中学生なので、恥ずかしいんだが…。そんなことを考えながら、去年の今頃に黒魔術の師弟と共に制作した腕輪型の千年アイテムの紛い物を遠目に見やる。以前と違い、所々にヒビが入っており、闇の力はほとんど感じられない。

 

「あのブレスレットは過去に存在した千年アイテムを模倣して作った品だが、模造品なのでな。ストックしている魔力が切れればただの腕飾りと変わらんのだ」

 

「去年から地道に直しているけれど、あと数年は使い物にならないと思う」

 

「そうでしょうね。あのブレスレットの防御機能には未練がありますが。こればかりはどうしようもないです」

 

オベリスクフォースは壊滅したし、主犯格のドクトルやロジェは独房の中。残党が居たとしてもごく少数だろうからランサーズで対処できるはず。カード化された人間もオベリスクフォースの使用していたデュエルディスクを解析して全員が元に戻っている。

 

「バニー!」

 

「リューン!」

 

「どうやら出迎えが来たようだな」

 

「弟弟子、日々の修行を欠かさないようにしなさい。早く、私たちの精霊のカードを使いこなせるようにね」

 

「了解です。それでは行ってきます」

 

黒魔術の師弟にお礼を言って別れ、俺は迎えに来たバニーラとプチリュウを連れて、精霊の村へと戻っていく。

 

これから【カラテマン】や【隼の騎士】たちと戦闘訓練の予定だ。なにせ遊戯王GXには『異世界編』というリアルファイト技能必須のイベントが待っている。こればかりはデュエルだけで切り抜けられる可能性は低いので、ある程度は戦えるようになっておかないとな。

 

 

~~~

 

 

GWも中盤になった頃、俺は久し振りにデュエル大会に参加していた。今までは『ハノイの騎士』スタイルであったが、今は頭を覆える白のマントにクロのインナーを身に纏う『バリアン』スタイルである。仮面のことは完全に忘れていたので、柳さんに頼んでムジ〇ラの仮面もどきを作ってもらった。完全に不審者である。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の白ローブに灰色の仮面を付けた人物と対峙していた。…まだ居るのか偽ハノイ。

 

「オレはハートランドシティを救った英雄!その名もハノイの騎士だ!」

 

俺の真似だろうが本家の真似だろうが、やるならちゃんとロールプレイをやれ。ローブの出来が甘い、仮面の模様が違う。せめて一人称くらい変えろ。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!会場内の観客のテンションは上がり、多くの歓声が聞こえ始め、盛り上がりを見せる。

 

…このタイミングでやっておくか。俺はマントから手を出して天にかざし、高らかに叫ぶ!

 

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

「「「!?」」」

 

俺の周囲をまばゆい光が包み込み、胡散臭い『バリアン』共通の姿から、とあるバリアンの姿へと変化していく…!さぁ、威風堂々と名乗りを上げよう!

 

「バリアンの白き盾、ドルベ!」

 

左胸に付けた赤い宝石を輝かせ、左手に握り拳を作って右手を払うように前へと出す。完璧なドルベポーズである。宝石の光が収まる頃には、俺は全身白っぽい肌のドルベの姿になっている。…会場はシーンとしてしまった。

 

しゃーないんや。デュエル大会でこれをやることを条件で赤馬レイと柳さんにこの衣装を作ってもらったんだからさ。…見るな!そんな目で俺を見るなー!

 

「…さ、さぁ、俺にコテンパンにされな!」

 

偽ハノイはいち早く正気を取り戻したようだ。やるな、偽ハノイ。同じ偽物の先輩として、そこだけは誉めてやろう。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆バリアンの面白き盾ドルベ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆偽ハノイ LP:4000

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

偽ハノイ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【メカファルコン】を召喚!」

偽ハノイ 手札:5枚。

 

<偽ハノイのフィールド>

メカファルコン ★4 ATK1400

 

「オレは手札から通常魔法【トランスターン】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。墓地のそのモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する!オレはフィールドのレベル4、風属性、機械族の【メカファルコン】を墓地に送ってレベル5、風属性、機械族の【マジック・キャンセラー】を特殊召喚!」

偽ハノイ 手札:4枚。

 

<偽ハノイのフィールド>

マジック・キャンセラー ★5 ATK1800

 

「【マジック・キャンセラー】がフィールド上に表側表示で存在する限り魔法カードは発動できず、全てのフィールド上魔法カードの効果は無効になる!」

 

ちっ、【ジャマキャン】か。なかなか厄介なデッキを使ってくるじゃないか。偽ハノイの後輩君よ!

 

「オレは手札を3枚伏せてターンエンドだ!」

偽ハノイ 手札:1枚、伏せカード:3

 

 

◆バリアンの面白き盾ドルベ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆偽ハノイ LP:4000、手札:1、伏せカード:3

 

<偽ハノイのフィールド>

マジック・キャンセラー ★5 ATK1800

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ドルベ 手札:5→6枚。

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。私は手札から【フォトン・スラッシャー】を特殊召喚する。自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない」

ドルベ 手札:5枚。

 

<ドルベのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

 

「私は手札から【光天使セプター】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「光天使セプター」以外の「光天使」モンスター1体を手札に加える」

ドルベ 手札:4枚。

 

<ドルベのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

光天使セプター ★4 ATK1800

 

「オレはその効果にチェーンしてオレは伏せカード【おジャマトリオ】発動!相手フィールドに「おジャマトークン」(獣族・光・星2・攻0/守1000)3体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。「おジャマトークン」が破壊された時にそのコントローラーは1体につき300ダメージを受けるぜ!」

偽ハノイ 伏せカード:3→2

 

「ならば私もその効果にチェーンして手札の【光天使スローネ】の効果発動!自分が「光天使」モンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分はデッキから1枚ドローする。そのドローしたカードが「光天使」モンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚できる」

ドルベ 手札:3枚。

 

チェーン③光天使スローネ

チェーン②おジャマトリオ

チェーン①光天使セプター

 

「効果処理を行う。チェーン③【光天使スローネ】の効果により自身を特殊召喚し、デッキより1ドロー。ドローしたカードは【光天使ブックス】!光天使モンスターの為、効果により特殊召喚する!」

ドルベ 手札:4→3→4→3枚。

 

<ドルベのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

光天使セプター ★4 ATK1800

光天使スローネ ★4 DEF2000

光天使ブックス ★4 ATK1600

 

「効果処理を継続する。チェーン②【おジャマトリオ】はおジャマトークンを3体特殊召喚する効果だが、モンスターゾーンに三体分の空きがないため、不発」

 

「マジかよ…」

 

「そして最後にチェーン①【光天使セプター】の効果を処理する。【光天使セプター】の効果により、私はデッキから。私はデッキから【光天使ウィングス】を手札に加える!」

ドルベ 手札:3→4枚。

 

【光天使セプター】の効果で【光天使スローネ】をサーチした方が良かったかもしれないが、【光天使ブックス】が来たなら別にいいかな。

 

「私は【光天使ブックス】の効果発動!1ターンに1度、手札の魔法カード1枚を墓地へ送って発動できる。手札から「光天使」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。私は手札の【ギャラクシー・サイクロン】を墓地に送り、手札から【光天使ソード】を特殊召喚する!」

ドルベ 手札:4→2枚。

 

<ドルベのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

光天使セプター ★4 ATK1800

光天使スローネ ★4 DEF2000

光天使ブックス ★4 ATK1600

光天使ソード ★4 ATK1400

 

「1ターンにモンスターが5体も並んだ…!だが!伏せカードの永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】発動!フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない」

偽ハノイ 伏せカード:2→1、永続罠:1

 

【ジャマキャン】ならあってもおかしくない罠カードだな。

 

「私はレベル4の【光天使セプター】と【光天使スローネ】と【光天使ソード】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【ヴェルズ・ウロボロス】!」

 

<ドルベのフィールド>

フォトン・スラッシャー ★4 ATK2100

光天使ブックス ★4 ATK1600

ヴェルズ・ウロボロス ☆4 ATK2750 ORU:3

 

「エクシーズ召喚…!」

 

「エクシーズ素材となった【光天使セプター】の効果発動!フィールドのこのカードを含むモンスター3体以上を素材としてX召喚に成功した時、このカード以外のフィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローできる。私はそちらの伏せカードを破壊してデッキから1ドローする」

ドルベ 手札:2→3枚。

 

「くそっ!」

偽ハノイ 伏せカード:1→0

 

【ジャマキャン】なら、破壊した伏せカードは…【光の護封壁】か。【拷問車輪】辺りかとも思ったけど、割と防御寄りなんだな。

 

「【ヴェルズ・ウロボロス】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す!私が選択するのは【マジック・キャンセラー】だ!」

ヴェルズ・ウロボロス ORU:3→2

 

「オレのフィールドががら空きに…!」

 

「私はレベル4の【フォトン・スラッシャー】と【光天使ブックス】!でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【輝光子パラディオス】!」

 

<ドルベのフィールド>

ヴェルズ・ウロボロス ☆4 ATK2750 ORU:2

輝光子パラディオス ☆4 ATK2000 ORU:2

 

「バトルフェイズへ移行。【輝光子パラディオス】でダイレクトアタック!」

 

「馬鹿め!永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】発動!フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できないのを忘れたのか!」

 

「エクシーズモンスターはレベルを持たない。よって効果は無効」

 

「な、なにぃー!…ぐわぁっ!」

偽ハノイ LP:4000 → 2000

 

この説明、結構な頻度でしてるんだけど、まだエクシーズモンスターってそんなに普及してないのかな?

 

「バトルフェイズを継続する。【ヴェルズ・ウロボロス】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

偽ハノイ LP:2000 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「負けた…ハノイの騎士なのに、負けた…」

 

相手の妨害をしながら戦う方法だけは俺っぽかったと思うぞ。

 

~~~

 

久し振りのデュエル大会から数日経過したGW最終日の昼、俺は何故か海馬コーポレーションの社長室に呼び出されていた。…何で?バリアルフォーゼが不味かったか?やはりドルベは無能…。

 

「ふぅん、来たな小僧。聞けばお前はアメリカに渡りたいそうではないか」

 

「あっ、はい」

 

確かに俺はあのカードの調査の為にアメリカに渡りたいとは思っていた。けれど、そのことはそんなに多くの人間に話はしてないんだが、何処から聞きつけたんだろう?海馬コーポレーション、凄まじい情報収集能力だ。

 

「そんなお前にとっておきの仕事を用意してやったぞ。モクバ、アレを見せてやれ」

 

「OK、兄様。クロト、まずはこの書類を渡しておくぞ」

 

「あっ、はい」

 

海馬瀬人の言葉を聞いて、弟のモクバが俺に数枚の書類を渡してくる。…この人たち、マイペース過ぎて口を挟む暇がない…!

 

「その書類に書いてある通り、デュエルアカデミアのアメリカ校近辺では、デュエルする際にカードが白紙に見えてしまうという症状に陥る人間が多発するという事件が発生しているそうだ」

 

「海馬コーポレーションやI2社の調査ではその原因は今のところ全く分からなくてな。科学的アプローチでダメならオカルト的アプローチってことで、クロトに白羽の矢が立ったんだぜ」

 

「つまり、アメリカに飛んでデュエルアカデミアのアメリカ校で発生しているその怪奇事件?を調査して来いってことですか?」

 

「違う。解決して来い」

 

「えぇ…」

 

やはりとんでもないわこの社長。確かにオカルトならそこそこ専門分野になりつつはあるけど、俺って社会的にみると普通の中学生だよ?

 

「流石に今のは兄様なりの冗談だぞ。解決は難しくても、原因の特定くらいは出来て欲しいってのが本音だぜ。解決方法の手掛かりを掴めればベターってところだ」

 

「それなら、なんとかなるかな?」

 

「ふぅん、ならば決まりだ。詳細は追って知らせるが、アメリカへ向かう時期は今年の夏季休暇あたりと心得ておけ」

 

「こっちから依頼しているわけだし、飛行機のチケットや宿泊先の予約や滞在時の費用は当然こっちで受け持つから、事件のことは頼んだぜ!」

 

そう言うと今日の用件は済んだのか、黒服(磯野だっけ?)に退出を命じられたので、とっとと出てとっとと家に帰った。

 

アメリカ渡航に関しては渡りに船だけど、カードが白紙に見える事件ねぇ。破滅の光を無意識化で浴びていたエド・フェニックスに遊城十代が敗北した後の症状と酷似しているよな。多分、そのあたりの関係だと思う。あのカード以外にも破滅の光が憑りついている可能性があるのか。要注意だな。

 

それにしても、アメリカ校か…。ついでに学園長のMr.マッケンジーの状態でも確認しておこうかな?




三幻神を使ってまで海馬瀬人に負けたのが相当堪えた様で、ブレスレットの修理はしつつも、自分の力を高める為に必死なオリ主。なお、努力の方向性は少し間違っている模様。

去年のハートランドシティ騒動から半年くらいまでは、偽ハノイの騎士がわんさか出て世の中を騒がせていましたが、1年も経つとブームは過ぎており、時々見かけるくらいになっています。

そんな偽ハノイのデッキは【ジャマキャン】。対するドルベ(オリ主)のデッキは【光天使(ホーリーライトニング)】でした。

順調にアメリカへ行く準備が整っていきますが、果たしてオリ主は海外に行くことの意味を何処まで深く考えているのやら。

次回の更新は1/20(水) AM6:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十八話 バリアン七皇(偽)2

モブ戦です。

その後、ついに遊戯王GXでも有名な彼が出ます。


中学校2年生となったGWが過ぎ、中間試験や期末試験が終わって夏季休暇も間近と言った頃、海馬コーポレーションから連絡があった。どうやらアメリカ渡航の詳細が決まったらしい。

 

「なになに…出発は8月の初日、戻りは最長で最終日直前くらいだな。夏季休暇の宿題はもう終わらせてあるし、そっちの問題はないか」

 

「クロト、何を読んでいるんだ?…へー。前に言っていたアメリカ旅行か。…おまけで何人か付いて行ってもいいのか。オレも行ってもいいかな?」

 

「アメリカか~。行ってみたいとは思うけど、オレはパスだな!せっかくクロトから貰ったDホイールを寝かせておくのはもったいない!」

 

「私も興味はあるけどパスね。今年は部活でやることが多いからね」

 

「私は行ってみたいけど、私も部活があるからなぁ…」

 

孤児院のリビングで海馬コーポレーションから届いた書類に目を通していると、いつものメンバーがやってきた。コナミは興味津々で付いてきたそうにしているが、ユーゴ、リン、セレナは立ち上げたばかりの部活で忙しそうだ。

 

GW期間中にDホイールの免許を取得していた中学1年生となっていたユーゴとリンには、以前に俺がハートランドシティ騒動での活躍の報酬としてもらったDホイールをあげた。そのDホイールを使った部活を立ち上げたらしい。名前はまんまDホイール部。

 

部員はユーゴとリン、そして中学から同じ学校に通うことになったセレナの3人だ。部活参加希望者は(リンやセレナ目当てが大半だろうが)山のように居たが、Dホイールの免許を取得できていたのが、学校で俺とコナミを除けば3人しかいなかったので、しばらくメンバーが増えることは無いだろう。

 

I2社のテストホイーラーの手伝いをする代わりに時々借りられているサーキットでDホイールの操縦技術を実機で磨きながらメンテナンスの勉強をしているそうだ。何でも来年あたりに第1回JRGP(ジャパン・ライディング・デュエル・グランプリ)が開かれるらしく、この大会の参加に向けて頑張っているみたいだ。

 

その参加資格は免許を持っている3人以上のチームであることらしい。まんまWRGPの日本版みたいだな。俺も機会があったら出てみたいな。

 

「それ以前の問題として、英語が喋れるかどうかよね…」

 

「…えっ?」

 

リンのある意味で最も重要な発言は、俺の予想外の言葉でもあった。やっべー。英語か。俺って殆ど喋れないんだよなぁ。チラッとコナミを見ると…。

 

「さー、今のうちに夏季休暇中の宿題でもやるかー」

 

コナミは逃げだした。そう言えば、アイツは英語の成績は並くらいなんだよな。多分、英語を喋ることが出来ないのだろう。これは…困ったな。アメリカ校内だけならともかく、校外の探索の必要性が出てきた場合、俺一人だと不安しかないぞ…。

 

~~~

 

翌日の休日、俺は久し振りにデュエル大会にバリアンスタイルで参加していた。今までは『ハノイの騎士』スタイル一辺倒であったが、今は準決勝までを『バリアン』スタイル、決勝戦のみその場で姿を変えるスタンスを取っている。もちろん、ただの演出である。スポンサーの要望でね…。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の…なぁにあれぇ?白を基調とした全身装甲に身を包んだ男がそこに居た。胴体だけ前に突き出たボディ、アンテナみたいなのを付けた頭部、右手にはデッキを持ち、左手にはデュエルディスクが取り付けてあった。前世で…アー〇ード・コアで見たことあるなあの機体。

 

「これは警告だ。今のうちに手を引け。貴様ごときがこのオレに勝てる訳が無い。いいか?俺は面倒が嫌いなんだ」

 

…思い出した。アレ、多分だけどステ〇ンガーのヴィ〇センだわ。懐かしいな。なんでこの世界のデュエル大会にそれを模したコスプレイヤーが出て来てるのかが分からないけど。…呼び方は、レイヴンでいいかな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!会場内の観客のテンションは上がり、多くの歓声が聞こえ始め、盛り上がりを見せる。

 

…このタイミングでやっておくか。俺はマントから手を出して天にかざし、高らかに叫ぶ!

 

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

「「「!?」」」

 

俺の周囲をまばゆい光が包み込み、胡散臭い『バリアン』共通の姿から、とあるバリアンの姿へと変化していく…!さぁ、威風堂々と名乗りを上げよう!

 

「全てのものは我が手の中!ギラグ!」

 

胸の中央に付けた緑の宝石を輝かせ、両手で握り拳を作る。完璧なギラグポーズである。宝石の光が収まる頃には、俺は黒っぽい肌に『G』と言う文字が刻まれたベルトを付けたギラグの姿になっている。…会場はシーンとしてしまった。

 

しゃーないんや。デュエル大会でこれをやることを条件で赤馬レイと柳さんにこの衣装を作ってもらったんだからさ。…見るな!そんな目で俺を見るなー!

 

「やはり簡単にはいかんな…面倒な事になった」

 

レイヴンはいち早く正気を取り戻したようだ。心底面倒くさそうに溜息をついた…のだろう。装甲が邪魔で顔とか表情が良く見えないので憶測だ。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ギラグ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆レイヴン LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

レイヴン 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から速攻魔法【手札断殺】を発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする」

レイヴン 手札:5→3→5枚。

ギラグ  手札:5→3→5枚。

 

墓地に送ったのは…マシンナーズのカードか。

 

「オレは手札から【レッド・ガジェット】を召喚。このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「イエロー・ガジェット」1体を手札に加える」

レイヴン 手札:4→5枚。

 

<レイヴンのフィールド>

レッド・ガジェット ★4 ATK1300

 

「オレは手札から魔法カード【二重召喚】を発動!このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる」

レイヴン 手札:4枚。

 

「オレは手札から【マシンナーズ・ギアフレーム】を召喚。このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マシンナーズ・ギアフレーム」以外の「マシンナーズ」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【マシンナーズ・フォートレス】を手札に加える」

レイヴン 手札:3→4枚。

 

<レイヴンのフィールド>

レッド・ガジェット ★4 ATK1300

マシンナーズ・ギアフレーム ★4 ATK1800

 

「この手札の【マシンナーズ・フォートレス】はレベルの合計が8以上になるように手札の機械族モンスターを捨てて、手札・墓地から特殊召喚できる(自身を捨てた場合、墓地から特殊召喚する)。オレは手札の機械族【グリーン・ガジェット】と【マシンナーズ・フォートレス】を捨て、墓地の【マシンナーズ・フォートレス】を特殊召喚」

レイヴン 手札:4→2枚。

 

<レイヴンのフィールド>

レッド・ガジェット ★4 ATK1300

マシンナーズ・ギアフレーム ★4 ATK1800

マシンナーズ・フォートレス ★7 ATK2500

 

「オレは手札を1枚伏せてターンエンドだ」

レイヴン 手札:1枚、伏せカード:1

 

 

◆ギラグ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆レイヴン LP:4000、手札:1、伏せカード:2

 

<レイヴンのフィールド>

レッド・ガジェット ★4 ATK1300

マシンナーズ・ギアフレーム ★4 ATK1800

マシンナーズ・フォートレス ★7 ATK2500

 

 

正当な【マシンガジェ】だな。最近は結構強力なデッキを使ってくる人が増えたな。伏せカードは防御カードじゃなければ【血の代償】かな?

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ギラグ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【ブラック・コア】を発動!自分の手札を1枚捨てる。フィールド上の表側表示のモンスター1体をゲームから除外する。オレは手札の【ジャジメント・ザ・ハンド】を墓地に送って【マシンナーズ・フォートレス】を除外する!」

ギラグ 手札:5→4枚。

 

「面倒な…」

 

<レイヴンのフィールド>

レッド・ガジェット ★4 ATK1300

マシンナーズ・ギアフレーム ★4 ATK1800

 

【マシンナーズ・フォートレス】は戦闘で破壊すると相手フィールドのカードを破壊、相手モンスター効果の対象になると相手手札のピーピング&ハンデスを仕掛けてくる敵に回すと厄介な奴だ。魔法で除去、この手に限る。

 

「オレは手札から永続魔法【補給部隊】を発動!1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする」

ギラグ 手札:3枚。永続魔法:1

 

「オレは手札から【アイス・ハンド】を召喚!」

ギラグ 手札:2枚。

 

<ギラグのフィールド>

アイス・ハンド ★4 ATK1400

 

「自分フィールドに「マジック・ハンド」「ファイヤー・ハンド」「アイス・ハンド」のいずれかが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。オレは手札から【プロミネンス・ハンド】を特殊召喚!」

ギラグ 手札:1枚。

 

<ギラグのフィールド>

アイス・ハンド ★4 ATK1400

プロミネンス・ハンド ★4 ATK600

 

「バトルフェイズに移行。【アイス・ハンド】で【マシンナーズ・ギアフレーム】に攻撃!」

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃を仕掛けてくる…?面倒なことをする…」

 

アイス・ハンド ATK1400

vs

マシンナーズ・ギアフレーム ATK1800

 

「ぐぉっ!…だがこのタイミングで永続魔法【補給部隊】の効果発動!自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする!」

ギラグ LP:4000 → 3600

 

「更に!【アイス・ハンド】が相手によって破壊され墓地へ送られた時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。その後、自分のデッキから「ファイヤー・ハンド」1体を特殊召喚できる。オレはそちらの伏せカードを破壊して、デッキから【ファイヤー・ハンド】を特殊召喚する! 」

 

「更に更に!【サンダー・ハンド】が手札・墓地に存在し、元々の攻撃力または守備力が1600の自分フィールドの表側表示モンスターが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。【サンダー・ハンド】を特殊召喚し、相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。オレは墓地より【サンダー・ハンド】を特殊召喚してそちらの【レッド・ガジェット】を破壊する!! 」

 

チェーン③サンダー・ハンド

チェーン②アイス・ハンド

チェーン①補給部隊

 

「効果処理をする。チェーン③【サンダー・ハンド】の効果により墓地から自身を特殊召喚して、そちらの【レッド・ガジェット】を破壊する!」

 

<ギラグのフィールド>

プロミネンス・ハンド ★4 ATK600

サンダー・ハンド ★4 ATK1600

 

<レイヴンのフィールド>

マシンナーズ・ギアフレーム ★4 ATK1800

 

「効果処理を継続する。チェーン②【アイス・ハンド】の効果によりそちらの伏せカードを破壊して、デッキから【ファイヤー・ハンド】を特殊召喚する!」

 

<ギラグのフィールド>

プロミネンス・ハンド ★4 ATK600

サンダー・ハンド ★4 ATK1600

ファイヤー・ハンド ★4 ATK1600

 

「面倒な…」

レイブン 伏せカード:1→0

 

破壊した伏せカードは【血の代償】か。【代償マシンガジェ】だったわけだな。

 

「効果処理を継続する。チェーン①【補給部隊】の効果によりオレはデッキから1ドロー!」

ギラグ 手札:1→2枚。

 

「バトルフェイズを継続する。【ファイヤー・ハンド】で【マシンナーズ・ギアフレーム】に攻撃!」

 

ファイヤー・ハンド ATK1600

vs

マシンナーズ・ギアフレーム ATK1800

 

「ぐぅっ!…だがこのタイミングで【ファイヤー・ハンド】の効果発動!このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを破壊する。その後、自分のデッキから「アイス・ハンド」1体を特殊召喚できる!オレは【マシンナーズ・ギアフレーム】を破壊してデッキから【アイス・ハンド】を特殊召喚する!」

ギラグ LP:3600 → 3400

 

「【マシンナーズ・ギアフレーム】が効果破壊されたか…いつまで面倒をかけさせるつもりだ!!」

 

<ギラグのフィールド>

プロミネンス・ハンド ★4 ATK600

サンダー・ハンド ★4 ATK1600

アイス・ハンド ★4 ATK1400

 

「バトルフェイズを継続する。【プロミネンス・ハンド】でダイレクトアタック!」

 

「うぉっ!」

レイブン LP:4000 → 3400

 

「更に【アイス・ハンド】でダイレクトアタック!」

 

「ぐぉっ!」

レイブン LP:3400 → 2000

 

「更に!更に!【サンダー・ハンド】でダイレクトアタック!」

 

「ぐぁぁぁっ!…だが、これで貴様のモンスターは全て攻撃済みだ!」

レイブン LP:2000 → 400

 

「メインフェイズ2に移行。オレはレベル4【プロミネンス・ハンド】と【サンダー・ハンド】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【ガガガガンマン】!」

 

<ギラグのフィールド>

アイス・ハンド ★4 ATK1400

ガガガガンマン ☆4 DEF2400 ORU:2

 

「それがどうした!既にバトルフェイズは終了している!」

 

「オレは【ガガガガンマン】のORUを一つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの表示形式によって以下の効果を適用する。守備表示の場合、相手に800ダメージを与える!」

ガガガガンマン ☆4 DEF2400 ORU:2→1

 

「何ぃ!?…ぐわぁぁぁぁっ!」

レイブン LP:400 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「これは…面倒な…事に…なっ…た……」

 

~~~

 

英語が話せない問題を先送りにしてデュエル大会に出てみたが、やはり問題は解決していない。どうしたものか…。

 

大会が終わったので控室でバリアン衣装から着替えた後、そんな考え事をしながら控室の扉を開けて控室から会場の通路へと出よういていると、同年代の少年に声を掛けられた。

 

「やぁ。君がバリアン選手だね?」

 

「チ、チガウヨ?」

 

即座に否定したが、あまりにもいきなりだったため、少し声が震えてしまったようだ。コイツが後ろを振り返ったら後ろから殴って逃げたらダメかな?模擬刀の先制攻撃だべ!…そんなことをしたら変な熊にオシオキされちゃうかもな。

 

「済まないが、バリアンの姿をした君が選手控室に入っていくのが見えた。その後、少ししてから控室から君が出てきた。あの控室はバリアン選手の個人用に宛がわれた部屋だ。そして、オレが見ていた限り、キミ以外に出入りした人間は居ない」

 

「…」

 

バレバレであった。おかしいな。部屋を出る前に周囲を魔力探知した際には、半径500mには人間は居ないはずだったんだけど…ん?コイツ、よく見たら、三沢大地か?もしかして、未来で身に着ける気配遮断の能力をここで発揮したのか?まさかな、俺の見落としだろう。俺もまだまだだなぁ。

 

「自己紹介がまだだったな。オレの名前は三沢大地。バリアン選手、オレとデュエルしないか?」

 

「…白河クロトだ。デュエルだけなら受けてやろうじゃないか。もし俺が勝ったら…」

 

「デュエルさえ受けてくれれば、君が勝っても負けても、君の素性を吹聴したりしないことは約束しよう」

 

「…言質は取ったぞ」

 

俺はデュエルディスクを構える。三沢大地もそれに応えるようにデュエルディスクを構える。

 

お前…勝っても負けてもとか言ったよね?ふーん、俺に勝つつもりなんだ?…俺って結構、負けず嫌いなんだぜ?




前世の記録と知識を持っていても、そもそも前世で喋れなかった英語が喋れるようになるわけがありません。

オリ主のデッキは【ハンド】。遊戯王ZEXALⅡで、バリアン七皇の一人、ギラグが使用したカード群です。

モブキャラが使用したのは【代償マシンガジェ】。ガジェットモンスターで手札アドを稼ぎ、【マシンナーズ・ギアフレーム】と【マシンナーズ・フォートレス】で相手を倒す。モンスターの展開速度は【血の代償】で補うという、堅実なデッキです。

そしてついにあの三沢が登場。まだ存在感は消えていない状態です。

次回の更新は1/20(水) AM7:00予定です。

戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五十九話 三沢大地

GXにてある意味で人気キャラクターの三沢大地戦です。


デュエル大会が終わった会場の通路で、俺は三沢大地と対峙していた。そうして、前世の記憶から三沢大地の情報を思い出す。

 

 

三沢大地。アニメ版、または漫画版GXの登場人物である。

 

デュエルアカデミアのラーイエロー生徒トップの実力者で主人公である遊城十代の同級生の友人。その立ち位置はアニメ版と漫画版で大きく異なってくる。

 

アニメ版だと、放送一年目の初登場の第1話からセブンスターズ編の途中くらいまでは出番があり、恐らくこの辺りが彼の黄金期である。だが、その後は徐々にその存在感が消えていく。

 

放送二年目、光の結社編になると更に出番が減り、十代の友人からは「三沢君、居たの?」なんて痛烈な弄りが発生するような事態になる。本人もそのことを気にしており、その心の弱い部分を突かれて敵組織に敗れて洗脳される。だが、敵組織には「恐るべき頭脳を持つ男」などと警戒されるくらいには有能な人物であり、洗脳自体も作中メンバーで唯一自力で解除する。その後、素っ裸で学園内を走り回り、とある物理学者の弟子となる。どうしてそうなった?

 

放送三年目、異世界編では十代達とは別ルート(実験に巻き込まれて)で異世界に到達しており、仲間との仲や覇王の力に悩む十代に活を入れて励ましたりするなど、デュエル以外で目を引く活躍をすることがある。ただ、異世界編解決後の詳細は不明だったはず。異世界に残ったんだっけ?

 

アニメ版のデッキは六つあったとされるが、結局はその属性デッキはその全貌をほぼ現すことが無くアニメ本編が終了してしまった。水属性デッキのウォータードラゴンと対を成していた、OPで登場していた炎の龍の正体が今でも少し気になる。水属性以外のデッキで明らかになっていたのは確か、【リトマスの死の剣士】を使ったデッキは地属性デッキだっけ。

 

漫画版だと、最初から最後まで十代の友人兼ライバルポジションにあり、アニメ版の万丈目に近い立ち位置になる。とはいえ、登場キャラクターが増えてくると出番は減り、最後はデュエルによるダメージで保健室で寝ていた気がする。

 

漫画版で使用するデッキは【妖怪族】と言う漫画独自の種族をメインとしたもので、OCG版で言うところのアンデット族だ。和風な妖怪を操るその姿はなかなか見応えがあった。こちらのデッキはアンデット族としてOCG化も多くされている。

 

遊戯王GXタッグフォースはアニメ版の設定を引き継いでいる為、彼の今後には暗雲が立ち込めている。ライバルキャラとしては『ジョウ』の名前を持つ万丈目が居るし、優等生キャラクターとしてはカイザー亮が居るし、使いづらかったんだろうな…。

 

 

そんな思考を巡らせていると、三沢大地から声を掛けられた。

 

「オレは色んなデュエルを体験するために、様々なデュエル大会へ参加してきた。最近だと、舞網市で開催されたアクションデュエルの大会にも参加した」

 

してたね。ウチの孤児院の子たちがトップ層を独占していたらしいので、地元の参加者は可哀そうな立場になっていたよな。…ん?つまり、三沢大地は舞網市出身ではなかったのか。

 

「そんなオレが昔から注目していたデュエリストが居たんだ。その名は、ハノイの騎士」

 

正体を言い当てられたわけでもないのにビックリしてしまった。昔からインチキパワーカードと先人の知恵で無双していたとはいえ、地方のマイナー大会ばかりに参加していた俺のことを良く知っていたな。有名になったのってハートランドシティ騒動辺りからなんだけどな。

 

「そして、ハノイの騎士が登場する前後から、突如としてネット上に現れたブログ。そのブログは、本来は個人や団体で秘匿しておくであろうカード情報やデュエル戦術をデパートの安売りセールの如く無料で公開していた」

 

「へ、ヘェー」

 

やっぱりこの世界ではデュエルに関する知識は秘匿するのが当たり前なんだな。初めてその事実を他人から聞いた気がする。

 

「オレはこの大胆なブログの製作者とハノイの騎士が同一人物だと推測している」

 

「ソウナンダー」

 

前世では公式HPやwikiはもちろん、色んな個人用HPやブログに乗せてあるコンボやらを参考にさせて貰ったからな。世界は違うけれど、その恩返しの意味もあったんだよ。

 

「登場時期もそうだが、戦術に関する考察や姿勢が似通っている。とてもそれぞれが別人とは思えない」

 

「スゴーイ。キミはスイリがトクイなフレンズなんだネー」

 

なぁにこれぇ?何で俺にこんな話をするのかなー?まるで尋問を受けているみたいだー。

 

「つい最近まではハノイの騎士を名乗るつまらない偽物デュエリストが増えていたが、先日妙な格好をするデュエリストが見事な戦術でデュエルを制したという情報を得てね。今回の大会は、そんな君を見張らせてもらったのさ」

 

…ストーカーかな?もしもしポリスメン?

 

「オレは君が本物のハノイの騎士の中身だとなかば確信しているが、本当のところはどうなんだい?」

 

「…さてね。どうしても知りたければ、デュエリストならそれ相応の方法があるんじゃないか?」

 

「それもそうだな」

 

キリッ!とした表情を作ってなんか格好いいことを言って誤魔化そうとする俺と、改めてデュエルディスクを構える三沢大地。全然全く誤魔化し切れていないが、なんとかこれ以上の追及は免れたようだ。

 

 

「準備OK!君のタクティクス、拝ませてもらうよ!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆三沢大地 LP:4000

 

 

「楽しませてもらうよ。先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢大地 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキから2枚ドローする」

三沢大地 手札:5→7枚。

 

知ってた。こいつらいっつも壺ドローしてんな…。

 

「オレは手札から魔法カード【化石調査】を発動!デッキからレベル6以下の恐竜族モンスター1体を手札に加える。オレはデッキからレベル4の【オキシゲドン】を手札に加える」

三沢大地 手札:6→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。オレはデッキから【カーボネドン】を墓地に送る」

三沢大地 手札:6枚。

 

「オレは墓地の【カーボネドン】を除外して効果発動!自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。オレはデッキから【ダイヤモンド・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

「オレは手札から【マスマティシャン】を召喚。召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル4以下のモンスター1体を墓地へ送る。オレはデッキから【ブラッド・ヴォルス】を墓地に送る」

三沢大地 手札:5枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

マスマティシャン ★3 ATK1500

 

「オレは手札を3枚伏せてターンエンドだ」

三沢大地 手札:2、伏せカード:3

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:2、伏せカード:3

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

マスマティシャン ★3 ATK1500

 

 

恐らく【ウォータードラゴン】を特殊召喚するためのデッキだと思うんだけど、所々チグハグなデッキだな。まだ原作開始まで2年近くあるし、デッキが完成していないのかな?

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【ドラゴンメイド・ティルル】を召喚!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから【ドラゴンメイド・ティルル】以外の【ドラゴンメイド】モンスター1体を手札に加える。その後、手札から【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで墓地へ送る。俺はデッキから【ドラゴンメイド・エルデ】を手札に加え、手札から【ドラゴンメイド・フランメ】を墓地に送る」

クロト 手札:5→6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

 

「ドラゴンメイド!?可愛い…ではなく!アイドルカードなんてものをデッキに入れているなんてな!」

 

お前もピケル入れてたじゃん…。でもこの反応、奴のムッツリな性格には効果抜群のようだな。だが一つ勘違いがあるな。ドラゴンメイドはただのアイドルカードではない。

 

「俺は手札から【ドラゴンメイド・エルデ】を墓地に捨てて効果発動!このカードを手札から捨てて発動できる。手札からレベル4以下の【ドラゴンメイド】モンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。俺は手札の【ドラゴンメイド・チェイム】を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4→3枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

 

「俺は【ドラゴンメイド・チェイム】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから【ドラゴンメイド】魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【ドラゴンメイド・リラクゼーション】を手札に加える」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺は手札から通常魔法【ドラゴンメイドのお召し替え】を発動!自分の手札・フィールドから、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。俺は手札のレベル7【ドラゴンメイド・フルス】とレベル3【ドラゴンメイド・パルラ】を融合!レベル10【ドラゴンメイド・シュトラール】を融合召喚!」

クロト 手札:3→1枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500

 

「レベル10!?攻撃力3500!?」

 

「バトルフェイズに移行。【ドラゴンメイド・シュトラール】で【マスマティシャン】へ攻撃!」

 

「甘いな!リバースカードオープン!【破壊輪】発動!フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊し、お互いにその攻撃力分のダメージを受ける。 【ドラゴンメイド・シュトラール】を破壊だ!」

三沢大地 伏せカード:3→2

 

エラッタ前の破壊輪か。怖い怖い。メイドには効かないけどな。

 

「無駄だ!その効果にチェーンして【ドラゴンメイド・シュトラール】の効果発動!相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。このカードを持ち主のEXデッキに戻し、EXデッキから【ドラゴンメイド・ハスキー】1体を特殊召喚する!」

 

「何っ!?」

 

チェーン②ドラゴンメイド・シュトラール

チェーン①破壊輪

 

「効果処理をする。チェーン②【ドラゴンメイド・シュトラール】の効果により、チェーン①【破壊輪】の効果は無効&破壊となり、その後、【ドラゴンメイド・シュトラール】を持ち主のEXデッキに戻し、EXデッキから【ドラゴンメイド・ハスキー】1体を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000

 

「バトルフェイズを継続する。【ドラゴンメイド・ハスキー】で【マスマティシャン】へ攻撃!」

 

ドラゴンメイド・ハスキー ATK3000

vs

マスマティシャン ATK1500

 

「まだだ!リバースカードオープン!永続罠【スピリットバリア】発動!自分フィールド上にモンスターが存在する限り、このカードのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる!」

三沢大地 伏せカード:2→1

 

「だが【マスマティシャン】は戦闘破壊される!」

 

「ふっ。【マスマティシャン】が戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動!自分はデッキから1枚ドローする!」

三沢 手札:2→3枚。

 

優秀なカードだよな、あの爺さん。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

クロト 手札:1→0、伏せカード:1

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚、伏せカード:1枚

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000

 

VS

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:1枚、永続罠:1枚

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢大地 手札:3→4枚。

 

「おっと、そちらのスタンバイフェイズに【ドラゴンメイド・ハスキー】の効果を発動させてもらう」

 

「何ッ!?このタイミングでモンスター効果を使用する!?」

 

「【ドラゴンメイド・ハスキー】効果発動!自分・相手のスタンバイフェイズに、このカード以外の自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターよりレベルが1つ高い、またはレベルが1つ低い【ドラゴンメイド】モンスター1体を自分の手札・墓地から選んで守備表示で特殊召喚する。俺はフィールドのレベル4【ドラゴンメイド・チェイム】を対象として、墓地のレベル3【ドラゴンメイド・パルラ】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000

ドラゴンメイド・パルラ ★3 DEF1700

 

「更に、【ドラゴンメイド・パルラ】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる効果を発動!デッキから【ドラゴンメイド・パルラ】以外の【ドラゴンメイド】カード1枚を墓地へ送る。俺はデッキからレベル8【ドラゴンメイド・ルフト】を墓地に送る!」

 

「…終わりか?ならスタンバイからメインフェイズへ移行!」

 

「オレは手札から魔法カード【天使の施し】を発動!デッキから3枚ドローして、墓地へ2枚送る!」

三沢大地 手札:3→6→4枚。

 

本当にネームドキャラクターのドロー力は半端ないわ。俺も壺とかを引きたい。

 

「オレは手札から【オキシゲドン】を召喚!更に【ダイヤモンド・ドラゴン】を攻撃表示に変更!」

三沢大地 手札:3枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800 → ATK2200

オキシゲドン ★4 ATK1800

 

「更にリバースカードオープン!永続罠【リビングデッドの呼び声】発動!自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。オレは墓地の【ハイドロゲドン】を特殊召喚!」

三沢大地 伏せカード:1→0枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 ATK2200

オキシゲドン ★4 ATK1800

ハイドロゲドン ★4 ATK1600

 

「そして手札から装備魔法【リビング・フォッシル】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。装備モンスターの攻撃力・守備力は1000ダウンし、効果は無効化される。オレは墓地の【ハイドロゲドン】を特殊召喚してこのカードを装備する!」

三沢大地 手札:2枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 ATK2200

オキシゲドン ★4 ATK1800

ハイドロゲドン ★4 ATK1600

ハイドロゲドン ★4 ATK1600 → 600 ※リビング・フォッシル装備

 

「そして手札から魔法カード【ボンディング-H2O】発動!自分フィールド上に存在する【ハイドロゲドン】2体と【オキシゲドン】1体を生け贄に捧げる。自分の手札・デッキ・墓地から【ウォーター・ドラゴン】1体を特殊召喚する。静かなること水の如く…… だが! 水は時として濁流となって全てを飲みこむ! 俺のデッキから出でよ! ウォーター・ドラゴーーーン!」

三沢大地 手札:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 ATK2200

ウォーター・ドラゴン ★8 ATK2800

 

「ダメ押しだ!オレは手札よりフィールド魔法【ウォーターワールド】発動!フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする!」

三沢大地 手札:0枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 ATK2200

ウォーター・ドラゴン ★8 ATK2800 → 3300

 

手札と伏せカードを全て使い切ったか。仕掛けてくる気だな。

 

「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン】で…」

 

「悪いが、バトルフェイズ開始時、【ドラゴンメイド・パルラ】の効果を発動する!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル8の【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで特殊召喚する。俺は【ドラゴンメイド・パルラ】を手札に戻し、墓地より【ドラゴンメイド・フランメ】を特殊召喚する!」

クロト 手札:0→1

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ティルル ★3 ATK500

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

 

「なっ!?…だがそのモンスターは炎属性!ウォータードラゴンががモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの炎属性モンスター及び炎族モンスターの攻撃力は0になる!敵ではない!」

 

「そして、【ドラゴンメイド・ハスキー】の効果発動!このカード以外の自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスターが自分の手札に戻った時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。俺は【ダイヤモンド・ドラゴン】を破壊する!」

 

「くっ!?【ダイヤモンド・ドラゴン】が効果破壊された…!?…だが!このくらいは必要経費だ!」

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★8 ATK3300

 

ウォータードラゴンを破壊すると墓地から素材三体が蘇生するからな。まずは効果を持たない方から破壊して数を減らす。

 

「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン】で【ドラゴンメイド・ティルル】に攻撃!アクア・パニッシャー!」

 

「俺は伏せカードの永続罠【ドラゴンメイド・リラクゼーション】を発動!自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスター1体を対象とし、対象のモンスターを持ち主の手札に戻し、デッキから【ドラゴンメイド・リラクゼーション】以外の【ドラゴンメイド】カード1枚を手札に加える。俺は【ドラゴンメイド・ティルル】を手札に戻し、デッキから【ドラゴンメイドのお心づくし】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3→4、伏せカード:1→0、永続罠:1

 

「そして、【ドラゴンメイド・ハスキー】の効果を発動できるが…が、俺はその効果を今回は使わない!」

 

今は素材が3体出てくる方が邪魔くさいからな。今は我慢だ。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

 

「ならば、まだバトルフェイズは継続している!攻撃対象が居なくなったため、別の攻撃対象を選ぶ!【ウォーター・ドラゴン】で【ドラゴンメイド・ハスキー】に攻撃!アクア・パニッシャー!!」

 

ウォーター・ドラゴン ATK3300

vs

ドラゴンメイド・ハスキー ATK3000

 

「くっ!【ドラゴンメイド・ハスキー】は戦闘破壊される…!すまんな…」

クロト LP:4000→3700

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

 

「バトルフェイズを終了。メインフェイズ2に移行…ターンエンドだ」

 

 

◆白河クロト LP:3700、手札:1枚、伏せカード:0枚、永続罠:1枚

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・チェイム ★4 DEF1800

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

 

VS

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:0枚、伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚、永続罠:1枚

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ATK3300

 

 

相手の手札、伏せカードは無し。墓地発動カードも無し。永続罠は少し邪魔だけど、大局にはほぼ影響なし。これはこのターンで終わらせられるな。さぁ、懺悔の時間は出来ているか?

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:1→2枚。

 

おっ、珍しく良い引きだな。

 

「俺は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。俺はEXデッキから6枚をランダムに裏側表示で除外してデッキからカードを2枚ドロー!」

クロト 手札:2→1→3枚。

 

「俺は墓地の【ドラゴンメイドのお召し替え】の効果発動!このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札に加え、そのモンスターを持ち主の手札に戻す。俺は墓地の【ドラゴンメイドのお召し替え】を手札に戻し、更にフィールドの【ドラゴンメイド・チェイム】を手札に戻す」

クロト 手札:3→4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

 

「俺は【ドラゴンメイド・チェイム】を通常召喚して効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから【ドラゴンメイド】魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【ドラゴンメイドのお出迎え】を手札に加える」

クロト 手札:5→4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

ドラゴンメイド・チェイム ★4 ATK 500

 

「俺は手札から通常魔法【ドラゴンメイドのお心づくし】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分の手札・墓地から【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。その後、特殊召喚したモンスターと同じ属性でレベルが異なる【ドラゴンメイド】モンスター1体をデッキから墓地へ送る事ができる。俺は手札から【ドラゴンメイド・ラドリー】を特殊召喚し、デッキから【ドラゴンメイド・フルス】を墓地に送る」

クロト 手札:5→4→3枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700

ドラゴンメイド・チェイム ★4 ATK 500

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600

 

「更に!【ドラゴンメイド・ラドリー】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる効果を発動!自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る」

 

「俺は手札から永続魔法【ドラゴンメイドのお出迎え】を発動!自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスターの数×100アップする。1ターンに1度、自分フィールドに【ドラゴンメイド】モンスターが2体以上存在する場合、自分の墓地の【ドラゴンメイドのお出迎え】以外の【ドラゴンメイド】カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。このカードが墓地へ送られた場合に発動する。このターン、自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスターは相手の効果の対象にならない」

クロト 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・チェイム ★4 ATK 500 → 800

ドラゴンメイド・フランメ ★8 DEF1700 → 2000

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600 → 1900

 

「俺は永続魔法【ドラゴンメイドのお出迎え】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドに【ドラゴンメイド】モンスターが2体以上存在する場合、自分の墓地の【ドラゴンメイドのお出迎え】以外の【ドラゴンメイド】カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。俺は墓地の【ドラゴンメイドのお見送り】を手札に加える」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は速攻魔法【ドラゴンメイドのお見送り】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドの【ドラゴンメイド】モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとはカード名が異なる【ドラゴンメイド】モンスター1体を手札から守備表示で特殊召喚し、対象のモンスターを持ち主の手札に戻す。この効果で特殊召喚したモンスターは次のターンの終了時まで、戦闘・効果では破壊されない。俺はフィールドの【ドラゴンメイド・フランメ】を手札に戻し、手札から【ドラゴンメイド・パルラ】を特殊召喚する!」

クロト 手札:3→4→3枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・チェイム ★4 ATK 500 → 800

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600 → 1900

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2000

 

「更に!【ドラゴンメイド・パルラ】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる効果を発動!デッキから【ドラゴンメイド・パルラ】以外の【ドラゴンメイド】カード1枚を墓地へ送る。俺はデッキから【ドラゴンメイドのお片付け】を墓地に送る!」

 

「俺は手札から通常魔法【ドラゴンメイドのお召し替え】を発動!自分の手札・フィールドから、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。俺は手札のレベル8【ドラゴンメイド・フランメ】と自分フィールドのレベル4【ドラゴンメイド・チェイム】を融合!レベル10【ドラゴンメイド・シュトラール】を融合召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600 → 1900

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2000

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 3800

 

「俺は墓地の【ドラゴンメイドのお片付け】を除外して効果発動!墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地から【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに持ち主の手札に戻る。俺は墓地の【ドラゴンメイド・ナサリー】を守備表示で特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600 → 2000

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2100

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 3900

ドラゴンメイド・ナサリー ★2 DEF1600 → 2000

 

「更に!【ドラゴンメイド・ナサリー】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる効果を発動!【ドラゴンメイド・ナサリー】以外の自分の墓地のレベル4以下の【ドラゴンメイド】モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地の【ドラゴンメイド・ティルル】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・ラドリー ★2 DEF1600 → 2100

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2100

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 4000

ドラゴンメイド・ナサリー ★2 DEF1600 → 2100

ドラゴンメイド・ティルル ★3 DEF1700 → 2200

 

「更に!【ドラゴンメイド・ティルル】が召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる効果を発動!デッキから【ドラゴンメイド・ティルル】以外の【ドラゴンメイド】モンスター1体を手札に加える。その後、手札から【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで墓地へ送る。俺はデッキから【ドラゴンメイド・エルデ】を手札に加えて、手札から【ドラゴンメイド・エルデ】を墓地に送る」

クロト 手札:2→3→2枚。

 

「一気にフィールドにモンスターが5体も…!?だが、【ドラゴンメイド・シュトラール】以外は守備表示!それではオレのLPを削りきることはできないぞ!」

 

「それはどうかな?」

 

「何ッ!?」 カン☆コーン!

 

「バトルフェイズへ移行」

 

「くそっ!何かがおかしい…!…バトルフェイズ開始?確かさっきのターンで…しまった!そういうことか!」

 

「バトルフェイズ開始時に【ドラゴンメイド・ラドリー】の効果発動!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル7の【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで特殊召喚する。俺はフィールドの【ドラゴンメイド・ラドリー】を手札に戻し、墓地の【ドラゴンメイド・フルス】を特殊召喚する!」

クロト 手札:2→3枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2100

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 4000

ドラゴンメイド・ナサリー ★2 DEF1600 → 2100

ドラゴンメイド・ティルル ★3 DEF1700 → 2200

ドラゴンメイド・フルス ★7 ATK2600 → 3100

 

「バトルフェイズ開始時に【ドラゴンメイド・ナサリー】の効果発動!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル7の【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで特殊召喚する。俺はフィールドの【ドラゴンメイド・ナサリー】を手札に戻し、墓地の【ドラゴンメイド・エルデ】を特殊召喚する!」

クロト 手札:3→4枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・パルラ  ★3 DEF1700 → 2100

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 4000

ドラゴンメイド・ティルル ★3 DEF1700 → 2200

ドラゴンメイド・フルス ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・エルデ ★7 ATK2600 → 3100

 

「バトルフェイズ開始時に【ドラゴンメイド・パルラ】の効果発動!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル8の【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで特殊召喚する。俺はフィールドの【ドラゴンメイド・パルラ】を手札に戻し、墓地の【ドラゴンメイド・ルフト】を特殊召喚する!」

クロト 手札4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 4000

ドラゴンメイド・ティルル ★3 DEF1700 → 2200

ドラゴンメイド・フルス ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・エルデ ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・ルフト ★8 ATK2700 → 3200

 

「バトルフェイズ開始時に【ドラゴンメイド・ティルル】の効果発動!自分・相手のバトルフェイズ開始時に発動できる。このカードを持ち主の手札に戻し、自分の手札・墓地からレベル8の【ドラゴンメイド】モンスター1体を選んで特殊召喚する。俺はフィールドの【ドラゴンメイド・ティルル】を手札に戻し、墓地の【ドラゴンメイド・フランメ】を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→6枚。

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・シュトラール ★10 ATK3500 → 4000

ドラゴンメイド・フルス ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・エルデ ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・ルフト ★8 ATK2700 → 3200

ドラゴンメイド・フランメ ★8 ATK2700 → 3200 → 0 ※ウォータードラゴンの効果により炎属性は攻撃力0

 

「ば、馬鹿な…こんなことが…!?」

 

「【ドラゴンメイド・フルス】、【ドラゴンメイド・エルデ】、【ドラゴンメイド・ルフト】、【ドラゴンメイド・フランメ】は、自分フィールドに融合モンスターが存在する限り、このカードは効果では破壊されない効果を持つ」

 

三沢ぁ、お前ぇ、俺に勝つとか言ってたよなぁ?その気概に敬意を表してお前に地獄のハーレムを体験させてあげようじゃないか!たっぷりと堪能していってくれたまえよ?

 

「バトル!【ドラゴンメイド・シュトラール】で【ウォーター・ドラゴン】を攻撃!」

 

ドラゴンメイド・シュトラール ATK4000

vs

ウォーター・ドラゴン ATK3300

 

「ぐおぉぉぉっ!…だが!永続罠【スピリットバリア】で戦闘ダメージは0だ!そして【ウォーター・ドラゴン】の効果発動!このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の【ハイドロゲドン】2体と【オキシゲドン】1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する!」

 

「【ウォーター・ドラゴン】の効果などぉ、無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!その効果発動にチェーンして【ドラゴンメイド・シュトラール】の効果発動!相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する!このカードを持ち主のEXデッキに戻し、EXデッキから【ドラゴンメイド・ハスキー】1体を特殊召喚する!」

 

チェーン②ドラゴンメイド・シュトラール

チェーン①ウォーター・ドラゴン

 

「効果処理を行う!チェーン②【ドラゴンメイド・シュトラール】の効果により、チェーン①【ウォーター・ドラゴン】の効果は無効!更に【ドラゴンメイド・シュトラール】をEXデッキに戻し、EXデッキから【ドラゴンメイド・ハスキー】1体を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

ドラゴンメイド・フルス ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・エルデ ★7 ATK2600 → 3100

ドラゴンメイド・ルフト ★8 ATK2700 → 3200

ドラゴンメイド・フランメ ★8 ATK2700 → 3200

ドラゴンメイド・ハスキー ★9 ATK3000 → 3500

 

「バトル!【ドラゴンメイド・ハスキー】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

三沢 LP:4000 → 500

 

「トドメだ!【ドラゴンメイド・フランメ】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁぁっ!」

三沢 LP:500 → 0

 

 

「くっ!そんな…計算は完壁だったはずなのに…!」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わった直後は悔しそうな姿を見せていた三沢は、思いのほか早めに復活した。

 

「ここまで一方的にやられるとはな…流石はハノイの騎士だ」

 

「今回はデッキがよく回ってくれたからな…あっ」

 

最近、この手の誘導尋問多くない?三沢を見るとしてやったりと言った顔をしている。

 

「やはり君がハノイの騎士か。顔を隠しているのは素性を隠す為か?まぁ、いい。今回は勉強させてもらったよ」

 

爽やかな笑顔で握手を求めてきたので握手を返した。なんか久しぶりだなこういうの。…あっ、そうだ。

 

「知り合った記念と言ってはアレだけど、お前にこのカードをあげよう。上手く使ってやってくれ」

 

「うん?貰えるものなら貰うが…こ、これは、オレの知らないウォーター・ドラゴンの専用カード!?…それにこれは磁石の戦士…いや、少し名前が違うが、なんだこのカードは…!?」

 

三沢はしきりに驚いている。明日香や吹雪にカードをあげた時もそうだけど、こう嬉しそうに驚いてくれると渡す甲斐があるなぁ。

 

「しかし、これほどのカードをただ貰うだけと言うのも…」

 

「俺が持っているだけよりも、お前が上手く使ってくれる方が、カード達も喜ぶさ」

 

とりあえず格好いいことを言っておく。実際、俺が持っていてもキャリーケースに眠らせておくことになりそうだしなぁ。…ん?待てよ?コイツ、今、何でもするって言ったよね?(言ってない)

 

「それでももし、何か手伝ってくれるというのなら…三沢、夏休みの期間中だけ、俺と一緒にデュエルアカデミアのアメリカ校に行ってみない?」

 

いきなりの提案に驚いている三沢。そりゃそうだろうな。でも、秀才設定の三沢なら英語も堪能だろう!案外いい考えじゃないか?そうして俺は三沢大地の回答を待った…。




出番が少ないとその分、使用しているカードも少ないわけで…。その割には結構凶悪な魔法罠を使っている三沢。第一話で【破壊輪】とか使ってましたね。

三沢のデッキは【ウォーター・ドラゴン(未完成気味)】。

オリ主のデッキは【ドラゴンメイド】でした。他の候補としては【ワルキューレ】、【霊使い】、【アロマ】、【マドルチェ】がありましたが、ダイスを振って出た目で決めました。

そして、アメリカ渡航の為の道連れ(翻訳係を兼務)のスカウトは成功するのでしょうか?上手く行けば次の回からは、部隊がアメリカに移ります。

次回の更新は1/23(土) AM6:00予定です。

タカツアザラシ様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十話 幕間:アメリカ渡航

アメリカへ到着です。

今回はストーリー経過のみの為、デュエルはありません。


デュエル大会と三沢大地とのデュエルを終えた翌日、俺は孤児院の近くにあるカードショップへとやってきていた。あのレイン恵が経営する店である。

 

「8月からアメリカに行くことになったから、一応挨拶をしておこうと思って顔を出したんだ(キリッ!)」

 

嘘である。俺はそんな殊勝な心を持ち合わせてはいない。

 

店の中に入り、カウンター越しにレイン恵に挨拶をした後、話を切り出した。現状、なりふり構っていられない状態だが、イリアステル相手に弱みを見せるわけにはいかない。如何にも特に困っていませんと言った様子で話をして、隙を見てこちらのペースに引き込むのだ!

 

「嘘。つまらない見栄を張りすぎ」

 

レイン恵にアッサリ見破られた。無表情ながらも、どこか呆れているようにも見える。何故だ?虚勢だとバレた?俺の演技は完璧だったはずだ。

 

「私は、貴方の監視者。昨日の出来事も、昨日までの出来事も、把握している」

 

なるほど。どうやらこれまでのことも、昨日のことも大体バレているらしい。三沢大地とのデュエルは、魔力探知で周囲には誰も居ないことを確認してから始めたんだけど…。

 

「私たちの、光学迷彩は、優秀」

 

こちらの驚きの感情を察知したらしく、無表情ながらもどこか誇らしげにVサインをしてくるレイン恵。イリアステルの科学力ってスゲー!…ぐぬぬ、まだまだ俺のオカルトパワーでは、イリアステルの科学力には遠く及ばないらしい。

 

「貴方が、海馬コーポレーションから依頼を受けたことも、その内容も知っている」

 

「そうか」

 

「貴方が、アメリカに行く必要があるのに、実は英語を喋ることが出来ないことも知っている」

 

「いや、少しは喋れるんだ。ただ、念には念を入れようと思ってだな…」

 

「貴方が、人望が無くて英語が話せそうな知り合いにアメリカへの同行を断られたことも知っている」

 

「ち、違うぞ?人望がないのではなくでだな、たまたま知り合いの用事が重なっただけだぞ?」

 

「貴方が、英語が話せそうな三沢大地に、昨日知り合ったばかりなのにアメリカへの同行を依頼して、無様にも断られたことも知っている」

 

「ぶ、無様って…。あれは、急な話だったし、向こうにも用事があったわけで、そもそも、あわよくばと思っていただけだから…」

 

「貴方が、英語が話せそうな私に最後の望みを託して、同行を求めようとしていることも知っている」

 

「…はい」

 

自称監視者と名乗るストーカーにはこちらの事情は筒抜けのようであった。言葉の端々に妙なトゲがあることや、そのトゲの言葉に対するこちらの反応を見て楽しんでいるように見えるのは気のせいか?

 

「結論から言うと、同行するのは構わない」

 

「おっ!マジか!」

 

「マジ」

 

こちらの問いに無表情で頷くレイン恵。良かった。これで言葉の通じない地域に単身乗り込む無謀をせずに済む。

 

「ただし、条件がある」

 

「デスヨネー」

 

当然、タダではないよな。今、俺とイリアステルとの関係性は曖昧なところが多い。向こうは俺を監視しているがそれ以上は何もせず、俺は向こうの監視に気付いているけれど何も対処していない(と言うかできない)状況だしな。

 

「アメリカから戻ってきたら、会って貰いたい人たちがいる」

 

「…その人たちに会うことが条件か。それくらいなら別にいいかな」

 

とうとう未来組のトップメンバー何人かと直接会うことになりそうだな。この件が無くても、向こうがその気になればいつでも出来たと思うけれど、貸しを作ってからという考えなのかもしれない。

 

「それともう一つ。…ついて来て」

 

そう言うと、彼女は彼女の背後にある扉を潜って店の奥へと向かう。店の中にいるゴースト達が目線で「早く着いていけ」と急かしているように見える。とりあえず、付いて行ってみるか。

 

彼女の後を追い、扉を潜るとそこには地下への階段があった。どうやら彼女はこの階段を下って行ったらしい。白のLEDライトに照らされた階段を下っていくと、巨大な地下空間が現れ、そこかしこに今の時代では考えられないSFチックな機械が乱立している。

 

「こっち」

 

周囲の様子を見回していると、部屋の奥に居たレイン恵が声を掛けてくる。そちらへ歩いていくと、人一人が入れそうな半透明のケースが付いた装置があった。その中にはベットの様な物がある。SF映画で出てきそうな冷凍睡眠装置の様に見える。

 

「…これは?」

 

「睡眠学習装置。貴方には、出立までの間で1週間これに入ってもらい、英語を含む5か国語を話せるようになって貰う」

 

イリアステルの科学力ってスゲー!1週間で5か国語を話せるようになるとか、未来では学校制度とか無くなってそうだな。でもさぁ…。

 

「1週間で5か国語を話せるようになるなら、同行してもらう必要なくない?」

 

「なくない」

 

俺の問いを無表情で否定するレイン恵。監視するなら近くに居た方がいいってことかな?旅は道連れ世は情けって言うし、彼女は見た目は美少女だから、俺の目の保養にもなるし別にいいか。

 

「じゃあ、これからしばらくは協力者ってことだな」

 

「…?なに、この手は?」

 

レイン恵に向けて右手を差し出す。無表情で首をかしげるレイン恵。

 

「協力関係を結ぶのであれば、握手くらいするべきかなっと思ってな。嫌なら別にやらなくてもいいけど」

 

「…やる」

 

レイン恵は俺の手を取って握手をする。提案しておいてアレだが、照れくさいな。それにしても、小さくてめっちゃ柔らかい暖かな手だな。生きている人間との差が分からん。この娘、本当にアンドロイドなんだろうか?

 

 

こうして俺は、レイン恵およびイリアステルと一時的な協力関係を結ぶことに成功し、謎の装置によってアメリカ出立前に5か国語を話せるようになった。ホント、イリアステルの科学力はとんでもないな。ダークネスとは別の意味で勝てる気がしないぞ…。

 

~~~

 

8月1日。太陽が高く昇る昼時に、俺とレインはデュエルアカデミアのアメリカ校へと辿り着いていた。飛行機に長時間乗っていたせいで、体の節々が少し痛い。

 

俺は現在通っている中学校の制服姿だが、レインは眼鏡を掛けてスーツを着用している。身長差を考慮すると、面接を受けに来た受験生とそれを心配して付いてきた姉のように見えるのかもしれない。

 

広大なアメリカ校の入り口にある大きな門の前で、金髪でガタイのいい門番のオッサンに海馬コーポレーションから預かった身分証明書を見せる。レインは俺の同行者と言う立ち位置だ。

 

『あの海馬コーポレーションからの紹介か。坊主に嬢ちゃん、お前たち何者だよ?』

 

『ただの中学生だよ』

 

『…ん。そう』

 

少し不審な目で見てくる門番のオッサンの問いに対して返答をする。いまいち納得できていなかった門番は何処かに問い合わせをしていたようだが、少しすると軽くこちらに謝りながら道を開けてくれた。一応、信じてくれたらしいな。

 

それにしても、睡眠学習すげーな。俺自身、こんなに流暢に英語を話せるとは思っていなかった。この科学力があっても未来の世界は滅びるのか…。

 

「…クロト、そっちの道じゃない。こっち」

 

「え、あぁ、すまん」

 

考え事をしながら歩いていると、どうやら道を間違えたらしい。レインが正しい道を示してくれる。校内マップがあるとはいえ、よくこんな広大な場所の道を把握できるものだ。

 

ちなみに、お互いの呼び方に関しては変更することにした。流石にフルネームで呼び合うのは変だろうし。せっかく協力関係を結べたわけだからな。

 

「…?なぁ、レイン。アレは何かわかるか?」

 

「…あれは競技場。ここの生徒はあの中でデュエルをする」

 

アメリカ校の本校舎に向かう途中にある巨大な建造物に目を向けてレインに聞くと、ほぼ間髪入れずに返答が返ってくる。よく見ると校内マップにも書いてあった。

 

「ここが本校舎か…デカいな」

 

「…ん。大きい」

 

門から10分ほど歩いてようやく4階建ての本校舎に到達する。アカデミア本校のような孤島ほどではないが、アメリカ校もかなりの敷地を有しており、本校舎もスタジアムくらいの大きさがある。こんなに大きい必要があるのだろうか?

 

「クロト、ここが校長室」

 

「校舎、広すぎだろ…」

 

校舎に着いてから更に10分ほど歩いて校長室前に到着する。レインのナビゲートが無ければあと10分は掛かっただろう。…校長との待ち合わせ時間まであとわずか3分ほどだ。遅刻は間違いなしだっただろうな。

 

『海馬コーポレーションの依頼でやってきました白河クロトと同行者1名です』

 

『そうか。入り給え』

 

『『失礼します』』

 

校長室の扉をノックして校長室へ入室する。レインもそれに倣い、俺の後ろに付きながら同じく入室する。校長室には、オールバックの髪型の金髪の目つきの鋭い中年の男性がいた。漫画版GXで見た容姿と共通点が多い。恐らく彼が…。

 

「ようこそ。アメリカ・デュエル・アカデミア校へ。私はここの校長のマッケンジーだ。あぁ、日本語で構わないよ」

 

「お心遣いに感謝いたします。海馬コーポレーションより派遣されました白河クロトです。短い間ですが、よろしくお願いいたします」

 

「…レイン恵、です」

 

マッケンジー校長の挨拶に、俺とレインは挨拶を返す。…参ったな。これは、黒だわ。破滅の光の波動ではないが、彼からは僅かながら闇の魔力を感じる。レインも気付いたようだな。無表情ながらも彼を警戒している。

 

『おい、マッケンジー。この小僧たち、オレの存在に気付いているぞ?』

 

「おや、そうなのかい?」

 

突如、Mr.マッケンジーの背後に巨大な黒い精霊が姿を現す。カードイラストで何度か見たことがあるその姿は、間違いなく【トラゴエディア】そのものであった。その姿を現した瞬間から、トラゴエディアの周囲から膨大な闇の魔力が渦巻き始める。…ヤバいな。俺の魔力量を遥かに超えている。

 

「バニー!」

 

俺の危険を察したのか、バニーラが俺の盾となるべく俺の前で実体化する。バニーラには悪いが、流石に相手が悪い。あの存在は、漫画版GX原作のラスボスだからな。オカルトパワーならユベルに並ぶかも知れない。

 

「トラゴエディア…」

 

『ほう?オレの名まで知っているのか、小僧。…くくっ。小僧、それに小娘も。そんなに警戒しなくてもいいぞ。オレからお前たちに危害を加えるつもりはねーよ』

 

「だ、そうだよ。彼はともかく、私は一般人でね。白河君もレイン君も、その殺気を抑えてくれると助かるかな。少々辛い」

 

つい、名を呟いてしまったが、トラゴエディアはそれを面白そうに笑いつつも周囲に撒き散らしていた魔力を抑え始める。Mr.マッケンジーは少し顔色が悪そうだ。どうやらトラゴエディアと俺の魔力、レインの殺気に当てられたようだ。レインと目線で会話し、こちらも魔力と殺気を抑える。

 

『小僧ども、なかなかの力を持っているじゃねーか!面白ぇなぁオイ!』

 

「済まないね二人とも。彼は少し悪戯好きでね。でも、そのおかげで君たちの実力の一端を知ることが出来たようだ」

 

悪戯なんかであんな魔力を出されたら、俺みたいな魔力持ち以外は瞬時に気絶するぞ。バニーラが相手を警戒しつつ、俺の足元へやってきて実体化を解除する。また俺の身に危険が迫っていたら実体化して助けてくれるだろう。やはりかわいい。

 

「…ふぅ。その悪戯とやらが終わったのなら、本来の話を始めてもよろしいですか?」

 

「あぁ、そうしようか」

 

目つきが悪い割には穏やかに笑うMr.マッケンジーと、邪神のような見た目ながら悪戯小僧の様に笑うトラゴエディア、未だに警戒を崩さないレイン。このままだと話が進まないので、強引に話を方向転換させた。

 

「事件の発祥は今年の春頃、何人の生徒から『デュエルをして負けたらデッキのカードが全て白紙になった』と言う相談があったことからだ」

 

「確か、町の人間にデュエルを仕掛けられて、応じたという話でしたね」

 

「そうだ。悪戯かとも思ったが、あまりにも相談数が多く、また街中でも同じような被害に遭う市民が多く確認されてね。海馬コーポレーションやI2社と相談し、調査してもらったのだが…」

 

「科学的アプローチでは解決どころか、原因の究明には至らなかった」

 

「その通りだ。私はトラゴエディアと言う非常識な存在を知っているからね。オカルト的な要素が絡んでいるでは?と睨んだわけさ」

 

『くくっ!おいおい、非常識な存在とは失礼な話だな?』

 

事件の推移を話しあう俺とMr.マッケンジー。後ろで無表情で話を聞きいるレイン。楽しそうに笑うトラゴエディア。

 

「科学的アプローチが不発に終わったそんな時、ペガサス会長から提案があったのさ。科学的アプローチがダメならオカルト的アプローチを試そう。幸い、専門家に知り合いがいる、とね」

 

「それが私と言うわけですか」

 

普段なら、迷惑な話だな。と思うところだが、今回はまさに渡りに船だった。少なくとも、こうやってこの世界にトラゴエディアが存在していることを知れたからな。

 

「あぁ、ここからが本題だが、君たちには夏季休暇期間を利用して、この事件の調査を頼みたい。出来れば解決してもらいたいが、それが難しい場合は手がかりだけでも掴んでもらいたい」

 

「えぇ、海馬社長にも頼まれていますので引き受けさせていただきますよ」

 

「助かるよ。本来なら君のような子供に依頼することではないのだろうが…」

 

『この時代の連中は、精霊や魔物の力に関する知識はおろか、その力や存在を感じ取ることすらできない連中ばかりだからなぁ』

 

それが出来そうなのは、この世界でなら、武藤遊戯、遊城十代、万丈目準、ヨハン・アンデルセンくらいだろうな。

 

「他に伝えておくことがある。実は、君たち以外にもこの事件の解決に動いている者たちが2組ほど居る」

 

「…そうなんですか?」

 

「あぁ、1組目は私の娘であるレジー・マッケンジーと娘に協力しているプロデュエリストの響紅葉だ」

 

原作では被害者兼黒幕だったマッケンジー親子に、その被害者だった響紅葉が協力しているとはね。なんだか変な気分だ。

 

「こういっては何ですが、危険ではないですか?」

 

「レジー1人であれば止めたがね。響紅葉は君と同じように精霊が見えるらしい。それにお供に精霊を連れていたよ。贔屓になってしまうが、彼と一緒に行動しているのであれば、一人で行動させるよりは娘への危険は少なくて済むと判断している。彼らに会うのなら、午前中に競技場に行けば会えるだろう」

 

『くくっ!懐かしい精霊を連れていやがったな。あの白き体と羽根を持つ精霊。数千年前に見た姿のまんまだったぜ』

 

ハネクリボーだな。原作では彼の精霊のカードだったからな。俺が響紅葉と出会った時にその存在に気付けなかったのは、当時の俺の魔力不足だろうな。…白き体?

 

「もう一組は、日本からの留学生たちの中の3名だ」

 

「…留学生?」

 

Mr.マッケンジーの発言に、レインが問う。アメリカ校への留学生か。原作からの流れを考えると…。

 

「デュエルアカデミア本校から夏季休暇を利用して、向こうの成績上位者が何名かこちらに留学に来て居てね。その中の【丸藤亮】、【天上院吹雪】、【天上院明日香】の三名だ」

 

明日香も来ているのか。原作だと丸藤亮と天上院吹雪だけだったんだけどな。そして、レインはかなり驚いているようだ。そりゃそうだろうな。アニメ版GXではアメリカ校への留学なんて話はそもそもなかったし。

 

「調査を行う前に、彼らに接触して彼らが得ている情報を聞いておいた方がいいだろう。彼らには既に私から君を手伝うように伝えてある。彼らに会うのであれば、彼らが活動の拠点としているらしい校内にある喫茶店を訪れるといいだろう」

 

「ありがとうございます。後ほど会いに行ってみたいと思います」

 

アメリカで起こる破滅の光による事件、犯人の目星は大体ついているけれど、念のために彼らに接触して情報を得ておいた方がいいな。それに…。

 

『くくっ!どうした小僧?オレの方をちらちらと見ているが…オレを疑っているのか?』

 

「いえ、それはありませんね。貴方の魔力の波動は古代エジプトの物だ。今回、私が疑っている力の物とは違いますからね」

 

『…くくくっ!やはり面白い小僧だ!…良し、お前がこの事件を進展させることが出来たら、お前の気にしている質問に答えてやるぜ?』

 

「それは助かりますね」

 

この世界におけるMr.マッケンジーとトラゴエディアの関連性は気になるところではあるが、まずは破滅の光事件と思われるこの一件を片付けてしまうとしよう。俺とレインは一礼して校長室を後にする。さて、まずはどちらと接触するべきかな?




三沢に断られ、断られることを前提でイリアステルに協力を要請すると、アッサリOK。ついでのように5か国語が喋れるようになったオリ主。科学の力ってスゲー。ただし、事件解決後には未来組との対面が不可避になった模様。

ようやくアメリカ校へ到着。そしてMr.マッケンジー&トラゴエディアとの接触。漫画版GX原作のように、トラゴエディアに完全に乗っ取られている様子はなさそうです。

そして、漫画版GXの2人とアニメ版GXの3人は別々に今回の事件を調査している様子。どちらのメンバーとも面識があるため、敵対することはなさそうです。

次回の更新は1/23(土) AM7:00予定です。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十一話 藤原雪乃

久し振りにGXキャラの再登場です。

そして、ようやくタッグフォースキャラ2人目の登場&デュエルです。

対戦相手は肉まん好きのあの娘です。


アメリカ校の校長室を後にした俺とレインは、明日香たちが良く集まっているという校内にある喫茶店へと辿り着いた。サ店に行くぜ!という奴である。

 

道中、アメリカ校の生徒と思われる人間にレインが何度か話しかけられそうになったが、その度に光学迷彩を使用して姿を消していた。目立つのが嫌なのだろうが、俺が言うのもなんだが、その方法はどうかと思うぞ。そのおかげでよく俺が声を掛けられる羽目になった。お姉さんは何処に行ったのか?知らん。俺の管轄外だ。そもそも誰が姉で誰が弟だよ。泣かすぞ?

 

「…クロト?クロトじゃない!久しぶりね!」

 

「おぉ!本当にクロト君じゃないか!」

 

「ふっ、クロトか。久しいな」

 

明日香たちを探していると向こうが先にこちらを見つけたらしい。周りは金髪の高身長ばかりだから、黒髪の俺は逆に目立つのだろう。身長は関係ないはずだ。そうに違いない。そして、どうやら彼女らと接触はしたくないらしく、レインは光学迷彩を使って隠れているらしい。アレを使われると今の俺では彼女の現在位置は分からない。

 

「明日香ちゃん、久し振り。吹雪さんに亮さん、お久しぶりです」

 

電話や電子メールでのやり取りは時々やっていたが、直接会うのは数年ぶりだ。皆、デュエルアカデミアのブルー制服を着ている。それにしても、う~ん、デカい。本当に中学生か?グラビアモデルみたいだな…身長の話だぞ。

 

「もう、ちゃんは止めてって言ってるでしょ」

 

「校長先生から話は聞いていたけれど、本当にクロト君が来ているなんてね」

 

「お前は昔から不思議な奴だったからな。今回のような件で呼ばれていても不思議とは思わないな」

 

「それはどうも。早速だけど、今回の事件について話を聞いてもいいかな?」

 

「えぇ、もちろんよ」

 

そうして明日香たち3人から彼らの現状の調査結果を聞くことになった。ただ、彼女たちもこちらに到着してから日が浅く、持っている情報は多くはなかった。ただ…。

 

「襲われる時間帯は今まで全て昼頃だそうよ。標的となった生徒たちへの犯行手口も共通していて、いつの間にか後ろを尾行されていて、逃げようとしたところを路地裏に誘い込まれてデュエルを仕掛けられるらしいわ」

 

「そうしてそのデュエルに負けるとデッキのカードを真っ白にされてしまうそうだよ。その後は被害者は昏倒してしまい、当時の記憶が曖昧になるみたいだね」

 

「そして、被害者がうっすらと覚えていることと言えば、その犯人と思われるデュエリストは光属性のモンスターを使うらしい。お蔭でサイバー・ドラゴンを使うオレや、サイバー・エンジェルを使う明日香はあまりいい顔をされないんだ」

 

「光属性のモンスターを使うデュエリストねぇ…」

 

アニメ版GX原作で破滅の光がデュエリストたちを洗脳して作り上げた組織が光の結社、使用されていたモンスターは全て光属性だった。まだ断言はできないけれど、少しずつは真相に近付いているかな。

 

そして、今度は俺が破滅の光についての情報を明日香たちに話しておくことにした。もちろん、話が大きくなりすぎるので全てではない。ハートランドシティでの件を少し話すだけだ。

 

「あのハートランドシティの事件でハノイの騎士である貴方が関わっていることはニュースで知っていたけれど…」

 

「あの事件の裏に破滅の光って言うのが関わっていて、今回の事件も同じようにその破滅の光が関わっていると思われているということか」

 

「お前以外から聞いたらオカルトチックな作り話だと思ってしまいそうな話だな」

 

まさか最初から全部信じて貰えるとは思わなかった。俺ってどれだけとんでもない奴だと思われているんだろう。

 

 

「あら?明日香じゃない。こんなところでどうしたの?…そのボウヤはお友達かしら?」

 

3人とそんな話をしていると、背後から声を掛けられた。振り返ると、紫髪をツインテールにした妙に色気のあるナイスバディな美少女が立っていた。この娘は、タッグフォースシリーズで恐らくトップ3くらいに有名な儀式使いの肉まん娘だ。話し方からすると、タッグフォース4以降の性格のようだ。

 

「彼は白河クロト、私の友人よ。クロトにも紹介しておくわね?彼女は藤原雪乃。私の同級生よ」

 

「白河クロトだ。藤原、よろしく頼む」

 

「藤原雪乃よ。よろしくねボウヤ」

 

色っぽい話し方とポーズで挨拶を返してくる藤原。そう言えば、成績優秀者が留学に来ていると言っていたな。なら、彼女がここに居るのもわからなくはないな。

 

「それにしても、貴方が明日香がいつも楽しそうに話しているボウヤなのね?ねぇ、ボウヤ。私とデュエルしてみない?」

 

「ちょっ、雪乃!?」

 

「ほう…」

 

「これはこれは…」

 

面白そうな玩具を見つけた童女の様に俺を見つめる藤原、何やら焦っている明日香。その様子を楽しそうに眺める吹雪と亮。なんだかもうデュエルする流れになってきているな…。

 

『クロト。私は先行して、この辺りを調査しておく』

 

『…分かった。済まないが、頼んだレイン』

 

『頼まれた。合流できそうになったら、端末に連絡して。それじゃ、頑張ってね。くれぐれも、私以外の相手に負けないように』

 

光学迷彩状態のレインと、他の彼らに気付かれないように通信越しで連絡を取る。どうやらレインは先行して光属性のデュエリストを調査してくれるらしい。ありがたい話だ。最後の一言は妙に力が入っていたように聞こえたが気のせいだろう。

 

「デュエルを挑まれたら、受けるしかないな」

 

「そう。明日香のお気に入りとのデュエル。楽しみね」

 

「もう!雪乃ったら…」

 

さっきから妙に明日香が恥ずかしがっている。…あれか?『友達に噂とかされると恥ずかしいし…』的な奴か?…泣けるぜ。

 

 

藤原雪乃。遊戯王タッグフォースシリーズの登場人物である。タッグフォース2からの参戦で、タッグフォース2~3とタッグフォース4以降で性格が少し異なる。

 

タッグフォース2~3の彼女は、女帝のようにプライドが高く、強者感溢れる性格をしている。使用デッキは【推理ゲート】。上手く回るとこちらを1ターンキルしてくる豪快なデッキだ。

 

タッグフォース4以降の彼女は、こちらを試すような、妙な色気を放つような話し方をする性格となっている。使用デッキは【サクリファイス】【デミスドーザー】【デミスゾーク】【リチュア】など、儀式デッキを多用する。特にLPコストを支払ってこちらのフィールドを一掃する【終焉の王デミス】は彼女のデッキの中でもトップクラスに危険なカードだ。

 

どの彼女にも共通するのは、整った容姿と、主人公および男性陣を全て『ボウヤ』と呼ぶところだろう。もし名前を呼ばれることがあれば、恐らくは彼女に認められたということだろう。

 

~~~

 

「ふふ…ボウヤの立派なところ、見せてもらおうかしら?」

 

言い方ぁ!いちいち変な言い回ししないでくれますかねぇ…。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆藤原雪乃 LP:4000

 

 

「先攻は譲るわ。どこまで魅せてくれるのかしらね?」

 

「それじゃ、遠慮なく貰おうかな。俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【儀式の下準備】発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。俺は儀式魔法【ネフティスの輪廻】を選び、そこに記された【ネフティスの蒼凰神】を手札に加える!」

クロト 手札:5→7枚。

 

「儀式モンスターのネフティス…そんなモンスターも居るのね」

 

「俺は手札から【マンジュゴッド】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから儀式モンスター【ネフティスの繋ぎ手】を手札に加える!」

クロト 手札:6→7枚。

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

 

「俺は手札から儀式魔法【ネフティスの輪廻】発動!レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「ネフティス」儀式モンスター1体を儀式召喚する。「ネフティスの祀り手」または「ネフティスの蒼凰神」をリリースして儀式召喚した場合には、さらにフィールドのカード1枚を選んで破壊できる。俺は手札のレベル2【ネフティスの導き手】をリリースして、手札からレベル2【ネフティスの繋ぎ手】を儀式召喚する!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

 

「儀式召喚に成功した【ネフティスの繋ぎ手】の効果発動!このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキから「ネフティスの繋ぎ手」以外の「ネフティス」儀式モンスター1体を儀式召喚扱いで特殊召喚する!俺はデッキから【ネフティスの祀り手】を儀式召喚する!」

 

「儀式魔法を使わず、デッキから儀式モンスターを儀式召喚するですって!?」

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

 

「儀式召喚に成功した【ネフティスの祀り手】の効果発動!このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ネフティス」モンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動したターンのエンドフェイズにこのカードは破壊される。俺はデッキから【ネフティスの鳳凰神】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

ネフティスの鳳凰神 ★8 ATK2400

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ時に【ネフティスの祀り手】で特殊召喚された【ネフティスの鳳凰神】は破壊される」

クロト 手札:2枚。伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:2、伏せカード:2

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

 

VS

 

◆藤原雪乃 LP:4000

 

 

「私のターンね。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

藤原雪乃 手札:5→6枚。

 

「ふふっ、ボウヤ。【ネフティスの鳳凰神】は効果破壊された場合、次のターンのスタンバイフェイズに帰還してフィールドの魔法罠を全て破壊するモンスターであることくらい、私も知っているわ」

 

「そうか」

 

「でも、甘いわね。ボウヤに次のターンは無いわよ?」

 

「どうだろうな?」

 

「私は手札から魔法カード【ハリケーン】を発動よ。これでフィールド上に存在する魔法・罠カードを全て持ち主の手札に戻すわ」

藤原雪乃 手札:5枚。

 

「俺はその効果にチェーンして、伏せカードの通常罠【威嚇する咆哮】を発動する。このターン相手は攻撃宣言できない」

クロト 伏せカード:2→1

 

チェーン②威嚇する咆哮

チェーン①ハリケーン

 

「効果処理を行う。チェーン②【威嚇する咆哮】の効果は適用され、君はこのターン攻撃できない。そしてチェーン①【ハリケーン】の効果により、俺の残りの伏せカードは俺の手札に戻る」

クロト 手札:2→3、伏せカード:1→0

 

「あら、そういうこと。つれないボウヤねぇ」

 

「悪いね」

 

「ふふっ、デュエルを継続するわよ。私は手札から【センジュ・ゴッド】を召喚よ。そして効果を発動するわ。このカードが召喚・反転召喚された時、デッキから儀式モンスターカード1枚を選択して手札に加える事ができる。私ははデッキから儀式モンスター【終焉の王デミス】を手札に加えるわ」

藤原雪乃 手札:5→6枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

センジュ・ゴッド ★4 ATK1400

 

ちっ、やはりデミスか。なら彼女の【デミスドーザー】もしくは【デミスゾーク】辺りか。効果破壊をトリガーとして効果を発動させる【ネフティス】のデッキにしておいて正解だったかな。

 

「私は手札から儀式魔法【高等儀式術】を発動よ。手札の儀式モンスター1体を選択し、そのカードとレベルの合計が同じになるように自分のデッキから通常モンスターを選択して墓地に送る。選択した儀式モンスター1体を特殊召喚する。私はデッキからレベル4【デュナミス・ヴァルキリア】とレベル4【デーモン・ソルジャー】を墓地に送り、手札のレベル8儀式モンスター【終焉の王デミス】を儀式召喚するわ!」

藤原雪乃 手札:5→4枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

センジュ・ゴッド ★4 ATK1400

終焉の王デミス ★8 ATK2400

 

「このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性モンスターを1体ずつゲームから除外して特殊召喚する。墓地の光属性【デュナミス・ヴァルキリア】と闇属性【デーモン・ソルジャー】を除外して、私は手札から【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を特殊召喚するわ」

藤原雪乃 手札:3枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

センジュ・ゴッド ★4 ATK1400

終焉の王デミス ★8 ATK2400

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

カオス・ソルジャー搭載型だったか。面倒なモンスターが出てきたな。

 

「攻撃が出来ないのなら、そちらのモンスターを減らしておこうかしらね」

 

「出来れば止めて欲しいものだな」

 

「ふふっ、私は【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】の効果発動。1ターンに1度、フィールド上に存在するモンスター1体をゲームから除外する。この効果を発動する場合、このターンこのカードは攻撃する事ができない。私はボウヤの【ネフティスの祀り手】を除外するわ」

 

「俺はその効果にチェーンして、手札の【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送って効果発動!相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする!対象は【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】だ!」

クロト 手札:3→2

 

チェーン②エフェクト・ヴェーラー

チェーン①カオス・ソルジャー -開闢の使者-

 

「効果処理を行う。チェーン②【エフェクト・ヴェーラー】の効果が適用され、【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】の効果はターン終了時まで無効となり。。そしてチェーン①【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】の効果は、【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】が無効となっている為、無効だ」

 

「あらあら…相手ターンに手札から効果を発動できるモンスターなんているのね…伏せカードを伏せても、次のターンでネフティスで破壊されてしまうわね。なら、私はこれでターンエンドよ」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:2、伏せカード:0

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

 

VS

 

◆藤原雪乃 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:0

 

<藤原雪乃のフィールド>

センジュ・ゴッド ★4 ATK1400

終焉の王デミス ★8 ATK2400

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

 

相変わらず、殺意の高い割には防御面に難がある漢らしいデッキだな。【儀式魔人リリーサー】を搭載しているデッキじゃなくて助かったな…。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、このタイミングで墓地の【ネフティスの鳳凰神】が蘇生する。メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:2→3枚。

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

ネフティスの鳳凰神 ★8 ATK2400

 

この手札なら、相手に伏せカード及び墓地発動できるカードは無いし、相手モンスターはこちらのターンで妨害出来るモンスターではない。手札誘発も無いだろう。このターンで終わりだな。

 

「俺は手札からチューナーモンスター【宣告者の神巫】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキ・EXデッキから天使族モンスター1体を墓地へ送る。このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターのレベル分だけ上がる。俺はEXデッキのレベル4【虹光の宣告者】を墓地に送り、そのレベル分、【宣告者の神巫】のレベルを上げる!」

クロト 手札:2枚。

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの祀り手 ★2 DEF1200

ネフティスの鳳凰神 ★8 ATK2400

宣告者の神巫 ★2→6 ATK500 ※チューナー

 

「墓地に送られた【虹光の宣告者】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから儀式魔法【ネフティスの輪廻】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は手札から儀式魔法【ネフティスの輪廻】発動!レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「ネフティス」儀式モンスター1体を儀式召喚する。「ネフティスの祀り手」または「ネフティスの蒼凰神」をリリースして儀式召喚した場合には、さらにフィールドのカード1枚を選んで破壊できる。俺はフィールドのレベル2【ネフティスの祀り手】とレベル6となった【宣告者の神巫】をリリースして、手札からレベル8【ネフティスの蒼凰神】を儀式召喚する!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの鳳凰神 ★8 ATK2400

ネフティスの蒼凰神 ★8 ATK3000

 

「【ネフティスの祀り手】をリリースして儀式召喚したため、【ネフティスの輪廻】の効果によりフィールドのカード1枚を選んで破壊できる。俺はフィールドの【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を破壊する!」

 

「あん♪酷いことをするのね」

 

<藤原雪乃のフィールド>

センジュ・ゴッド ★4 ATK1400

終焉の王デミス ★8 ATK2400

 

モンスターを効果破壊したくらいで妙な声を出すのは止めて貰えないですかねぇ…。

 

「更に、【宣告者の神巫】をリリースした為、効果発動!このカードがリリースされた場合に発動できる。手札・デッキから「宣告者の神巫」以外のレベル2以下の天使族モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキからチューナーモンスター【ハイ・キューピット】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの繋ぎ手 ★2 ATK2000

ネフティスの鳳凰神 ★8 ATK2400

ネフティスの蒼凰神 ★8 ATK3000

ハイ・キューピット ★1 DEF600 ※チューナー

 

「俺は【ネフティスの蒼凰神】の効果を発動!自分メインフェイズに発動できる。手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ネフティス」カードを任意の数だけ選んで破壊する。 その後、破壊した数だけ相手フィールドのモンスターを選んで破壊する。俺はフィールドの【ネフティスの繋ぎ手】と【ネフティスの鳳凰神】を破壊し、君の【センジュ・ゴッド】と【終焉の王デミス】を破壊する!」

 

「ああん♪大胆ね♪」

 

何故か明日香が凄い表情でこっちを睨んで来てるから、いちいち色気のある声を出すの、マジで止めて貰えません?

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの蒼凰神 ★8 ATK3000

ハイ・キューピット ★1 DEF600 ※チューナー

 

「俺は【ハイ・キューピット】の効果発動!自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードのレベルをターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数だけ上げる。俺はデッキから3枚墓地に送り、【ハイ・キューピット】のレベルを3あげる!」

 

<クロトのフィールド>

マンジュゴッド ★4 ATK1400

ネフティスの蒼凰神 ★8 ATK3000

ハイ・キューピット ★1→4 DEF600 ※チューナー

 

「俺はレベル4【マンジュゴッド】にレベル4となった【ハイ・キューピット】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル8【PSYフレームロード・Ω】!」

 

<クロトのフィールド>

ネフティスの蒼凰神 ★8 ATK3000

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

 

「シンクロ召喚…ボウヤは色んな召喚方法を使いこなすのね」

 

「バトルフェイズへ移行!【PSYフレームロード・Ω】でダイレクトアタック!」

 

「うぁぁっ!…いけない子ね」

藤原雪乃 LP:4000→1200

 

「フィニッシュだ!【ネフティスの蒼凰神】でダイレクトアタック!」

 

「あぁぁぁぁっ!」

藤原雪乃 LP:1200→0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

デュエルが終わるともう夕方だった。そして、それまで静かだった周りが一斉に騒ぎ出す。

 

「久し振りに見たけど、やっぱりクロトのデュエルは他の同年代やアカデミアの講師の人達と比べても一味違うわね…」

 

「クロト君も藤原さんもナイスデュエルだったね!」

 

「くくくっ!クロト!それでこそ倒し甲斐があると言うものだ!」

 

明日香と吹雪がさっきのデュエルの感想を言っている。今回は儀式デッキを使ったので、今後の明日香のデッキ構成の役に立てば良いな。…約一名、ヘルカイザーっぽくなっているけど、スルー安定だな。

 

『おい、あのチビ、留学生の藤原を倒したぜ?』

 

『マジかよ!留学生の藤原って、オレ達アメリカ校の男子生徒の大半を後攻1ターンキルした女じゃん!』

 

『あのチビやるなぁ!オレもあんないい女とやりあいてぇぜ!』

 

アメリカ校の生徒らしき野次馬連中が英語でガヤガヤ言って騒いでいる。ちびちびうるせーよ!これでも去年よりは10cmくらい身長が伸びたんだよ!お前らは無駄に背がデカいだけだろうがー!

 

そんなことを思っていると、藤原雪乃がデュエルディスクを仕舞いながらゆっくりとこちらに歩いてきた。

 

「あら…負けちゃったわ」

 

「勝負事なんだから負けることもあるだろ…むぐぐっ!」

 

『『『「「「な、なにぃー!」」」』』』

 

藤原雪乃が近付いてきたかと思うと、いきなり抱きしめてきた。身長差があるので、彼女の豊満な胸に顔をうずめる形になっている。柔らかい感触に包まれて、とても良い匂いがする…とか言っている場合ではなく!真面目に息苦しくなってきた!HA☆NA☆SE!

 

怪我をさせないくらいのギリギリの力で抵抗するが、身長差があるせいで上手く抜け出せない…!端から見たら、両手をバタバタさせているだけの間抜けに見えるだろなコレ…。周りがさっきより騒がしくなっている気がするが、そんなことを気にしている余裕がない!

 

「ボウヤ、確か白河クロトと言ったわね?なら、クロ坊ね。今日のデュエルは久し振りにゾクゾクして楽しかったわ。クロ坊、またいつかヤりあいましょう?」

 

「むぐぐ…!藤原…!ちょっ…!離せ…!」

 

言い方ぁ!…文句を言うどころか返事すら出来ねぇから離してくれませんかねぇ!

 

「貴方なら雪乃って呼んで良いわよ。貴方がもっと成長して大きくなったら、私が求めている真の男になってくれるかしら?ふふっ、楽しみね?」

 

そう言うと、ようやく俺の頭を胸から解放した藤原雪乃。彼女はそのまま何事もなかったかのように何処かへ歩き去って行った。嵐のような美少女だったな。アレと付き合うことになるかも知れないコナミは大変だろうな。

 

ふと振り返ると、まるでゴミを見るような視線を送ってくる明日香、ニマニマと興味深そうに見つめてくる吹雪、ヘルカイザー化が解けて呆れた表情の亮。そして、嫉妬の視線を叩きつけてくるアメリカ校の男子生徒たち。なぁにこれぇ?

 

『協力者の私が、真面目に仕事をしていたのに、貴方は何をしていたの?』

 

『…色々あったんだよ。それで、そちらの首尾は?』

 

いつの間にか戻ってきて、一連の騒ぎを見ていたらしいレインと通信越しに話し合う。妙に言葉尻が刺々しく感じるのは俺の気のせいだろう。嫉妬かな?なんて思うほど、俺は自意識過剰ではないのだ。

 

『完璧。ターゲット集団は複数発見したので、それぞれに発信機を取り付けてきた。今はゴースト達が監視している』

 

『早すぎる上に完璧すぎて怖えーよ。あとはターゲットを追尾して、事件を起こす直前に叩きのめして捕縛すれば終わりだな』

 

『そう』

 

イリアステルやべーわ。それにしても、ターゲットが複数か。俺とレインで手分けしても複数同時にコトを起こされると対処が遅れるポイントが出てくるな。ゴースト達だけのポイントだと、オカルトに対応できないかも知れいないし…どうしたものかな。

 

「クロト、どうしたの?」

 

怒りが収まったらしい明日香が声を掛けてくる。そうか、手の足りないところは彼女たちに手伝ってもらえば…いや、危険だ。彼女たちを巻き込んで協力を頼んでいいものか…。

 

「クロト君、思っていることが表情に出ているよ?」

 

少し困った顔の吹雪が話しかけてくる。どうやら俺が遠慮して今の事情を話さないことがバレたらしい。

 

「クロト、オレ達をあまり見くびるな。元々はオレたちも独自で調査して解決しようとしていた事件だ。巻き込まれたんじゃない。オレ達自身が首を突っ込んだんだ」

 

亮が少し怒りながら声を掛けてくる。ふむ、そこまで言うなら手伝ってもらおうかな。ヤバくなったら助けに行けばいいしな。

 

少し悩んだ末、協力者がいること(レイン側の事情もあるので名前は伏せた)、その協力者からターゲットを発見した報告を受けたこと、そのターゲットが複数いることを伝えた。

 

「あら、それなら簡単じゃない。明日の昼に、手分けしてそのターゲットを見張って、事件を起こしそうになったらデュエルで叩きのめせばいいのね!」

 

「そうだな。ターゲットは4組。ならばこちらも、オレ、クロト、クロトの協力者、吹雪と明日香の4組に分かれてバラバラに対処すればいいだろう」

 

「そうだね。ボクは明日香が心配だから、亮の言う通り明日香と行動するよ」

 

「そうしてくれると助かる。じゃあこの作戦で行くか」

 

『悪くないと思う』

 

そうと決まれば話は早い。彼女らのデッキから彼女たちの愛用するモンスターカードに魔力を吹き込んでおき、更に師匠と姉弟子から預かった魔力が宿ったネックレスを彼らに渡すことで、一時的に破滅の光に対抗できるようにしておいた。師匠と姉弟子も大概チートだよな。

 

作戦決行日は明日。当日の朝、この喫茶店で集まり、作戦完了後にまたこの喫茶店に集合することとし、俺とレインは、明日香、吹雪、亮と別れた。

 

この時間帯から響紅葉と接触することは難しそうなので、俺達は海馬コーポレーションが用意してくれたホテルへと向かい、チェックインを済ませた後、それぞれの部屋で明日に備えて眠りにつくのだった…。




アークファイブのゴタゴタを先に済ませたので、大体30話ぶりくらいに明日香、吹雪、亮の再登場です。そして、ようやくタッグフォースらしい登場人物が出始めてきました。

今回のデッキは【ネフティス(リンク無し儀式主体)】vs【デミスドーザー】です。

デミスの効果を使う機会が無かったので、1キル要員のデビルドーザーはお預け。代わりに彼女がゲーム内で使用する禁止デッキに入っていた【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を登場させました。

ちなみに、雪乃はオリ主のことを『将来いい男になる可能性のある年下の少年』だと思っていて、同年代だということに気付いていません。

オリ主は、雪乃に強化カードを渡すことを忘れています。思い出して、その時に渡そうと思う気分だったら渡すと思います。

レイン、と言うかイリアステルと共闘状態だと、話の展開がサクサク進んでいい感じです。次回からはまたオリ主以外の視点も増えてくるでしょう。

次回の更新は1/23(土) AM8:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十二話 明日香と機械天使

ここからしばらくはオリ主以外の視点が増えます。

今回は、イーストエリア。強化明日香vs破滅の光の手下戦です。


<クロト視点>

 

8月2日早朝。俺は、海馬コーポレーションが用意した最高級のホテルの1室で、これまた最高級の布団を堪能していた。日本人の俺にモクバ副社長が配慮してくれたらしく、純和風なつくりだ。備え付けの冷蔵庫の中身は何故かコーヒーだっだがな。

 

「バニー!」

 

「グェッ」

 

堪能していたのだが、勝手に実体化したバニーラが布団の上へ思いっきりダイブしてきた。ちょうど腹部にいい感じに決まり、変な声が出てしまった。

 

「クロトー、そろそろ起きないと朝ご飯を食べそこなうと思うよー?」

 

「ワイトもそう思います」

 

ベットの横を見ると、ソファーに腰掛けるキーメイスとワイトが居た。その手にはUNOのカードが握られていた。こいつら、バニーラのように勝手に実体化したな。

 

「あんまり勝手に実体化しないでくれよ。一応、俺の魔力を消費するんだからさ~」

 

「ボクたちくらいのレベルの精霊なら、今の君の魔力量なら微々たるものでしょ」

 

「「「ワイト達もそう思います」」」

 

「増えてるんじゃねーよ」

 

気付いたらワイトが三体に増えていた。ワイト三体とキーメイスでUNOをしているらしい。いや、まぁ、お前らくらいならほぼ影響ないけどさぁ…。

 

「バニー!」

 

「グェェッ!」

 

無視されたのが気に入らなかったのか、バニーラが布団の上で更に激しくダイブした。だから、そこはちょうと腹部だから止めてくれない?…ん?布団の真上の天井が少し歪んで見えたような…。

 

「ふふふ。クロト、ボクの擬態能力を見破れなかったようだね」

 

「うぉぉっ!」

 

突如、ベットの真上の天井からメカレオンが姿を現した。お前もかい!

 

「リューン!」

 

「うぉぉぉぉっ!?」

 

さらに、ベットの布団の中からプチリュウが出てきた。お前ら自由だな!

 

「クロトよ。この『こーひー』と言う飲み物はなんじゃ?苦すぎるではないか。緑茶は無いのかのぅ」

 

「拙者は、朝は冷たい麦茶を飲みたいでゴザルなぁ」

 

もう驚かないが、備え付けの冷蔵庫の前には、冷蔵庫の中身を物色している斬首の美女と伝説の剣豪MASAKIが居た。彼らは最近ようやく力を認めてくれたらしく、精霊のカードを預かったばかりだ。

 

ただ、彼らはレベル4なので、魔力の消費もそこそこあるから勝手に実体化は勘弁してほしいなぁ。

 

「はぁ、とりあえず起きるか」

 

「バニー♪」

 

「リューン♪」

 

なんだかんだで俺が寝坊しないように起こしてくれたらしいな。俺は彼らに礼を言いつつ、服を着替えて朝食を食べる為、にホテルのロビーへと向かうのだった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

同日朝、デュエルアカデミア・アメリカ校内にある喫茶店へと集まった俺達。今日は破滅の光関連の敵と対峙することになるので、その事前打ち合わせをしているところだ。

 

「俺はノースエリアに居るターゲットを見張ることにする。あの辺りは高層ビルが多く、死角が生まれやすい。敵を探知できる俺が行くべきだろう」

 

「なら私と兄さんはイーストエリアにしようかしら」

 

「そうだね。あの辺りはショッピングモールがある。人混みに紛れて見失わないように2人組のボクらが行くのが妥当かな」

 

「ではオレはサウスエリアに行こう。あの辺りはアメリカ校の生徒や留学生が良く集まる公園がある。ターゲットが獲物を探すとすればあの辺りだろう」

 

『私は、ウエストエリア』

 

俺が北(ノース)エリア、明日香&吹雪が東(イースト)エリア、亮が南(サウス)エリア、残った西(ウエスト)エリアをレインが担当することになった。破滅の光対策はしているし、チームごとにトランシーバーも渡してある。

 

ターゲット集団は、レインが事前に仕掛けてある発信機の信号を、チームごとに渡してある受信機で確認できる。見つけるのも容易だし、見失っても再度発見することも簡単だろう。

 

オカルトパワー持ちの集団相手に気付かれずに発信機を付けるとか、とんでもない美少女である。…ん?オカルトパワー持ちの相手って俺も該当するよな?もしかして、俺にも発信機が付いてたりするのか?…今度確認しておこう。

 

そして、破滅の光を浴びたであろうカードを見つけても、事前に渡してあるネックレスで破滅の光からの浸食を防御し、破滅の光が宿ったカードを特定することが出来る。カード所持者とデュエルを行って勝利すれば一時的に破滅の光の影響は弱まるだろう。

 

…何故そんな状態になるのかだって?本来の世界のことは分からないが、この世界ではデュエルは儀式なんだ。勝利者への服従とか、勝利者の欲求への強制力とか、そういう力が世界規模で働くんだよ。俺も最近思い知った。

 

最後に、これまた事前に渡してある特殊なカードケースに入れて回収して貰うことで、明日香たちが持ち歩いている時に周囲の人間へ危害が加わらないように出来る。どれもイリアステルから借りた特殊な機材と素材で、師匠や姉弟子と合わせた魔力を使って作ったアイテムだ。全てのアイテムの効力は破滅の光に侵された【パラサイド・フュージョナー】で実証確認済みだ。

 

…師匠たちが凄いのは間違いないが、イリアステルも半端ないわ。なんとかこのまま協力体制を維持できればいいんだけどなぁ。

 

「俺の協力者にはウエストエリアを探索してもらうことにする。あの辺りは道が入り組んで居るだろうから、俺と同じく敵を探知できる彼女に頼んでおく」

 

俺がそう発言した途端、明日香の目が据わる。心なしか不機嫌そうに見える。…なんだ?

 

「…協力者って女性だったの?」

 

「ん?そうだが?」

 

「ほほう、クロト君も罪作りな男だねぇ」

 

「ふっ」

 

しばらく会わないうちに明日香は怒りっぽくなったような気がする。今は思春期で多感な時期だろうから、細かなことで気分が変動したりするのかな?吹雪や亮はなにやら心当たりがあるらしいが…。

 

「犯行時間は今までの傾向を考えると昼時。ターゲットを撃破する、または3時になってもターゲットに動きが見られない場合は尾行を中断してこの喫茶店へ戻ってくること。これでいいかな?」

 

「…えぇ、それでいいと思うわ」

 

「今日でカタが付いて欲しいところだね」

 

「そう上手く行くとも限らんが…そうであることを願いたいな」

 

『今回のターゲットは、恐らく端末。今日で事件が解決することは、恐らくない』

 

そうだろうな。たが、破滅の光が宿ったカードさえ確保できれば、その分の被害は減らせるし、今後の手掛かりにもなるだろう。無駄にはならないさ。

 

「じゃ、作戦開始だな。各自、自分の担当エリアへ向かってくれ」

 

「ええ」

 

「OK」

 

「分かった」

 

『了解』

 

そうして俺達は、別行動を開始した。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

クロトと亮と別れ、私と兄さんはイーストエリアにやってきていた。それなりに歩いたから、時間はちょうど昼前くらい。犯行時間と合致する。

 

「クロトから預かったこの受信機を見る限りだと、この辺りに居るはずなんだけど…」

 

「明日香、あの集団がそうじゃないかな?」

 

兄さんの視線の先に目を向けると、虚ろな表情をした男性3名が、デュエルアカデミア本校の留学生の少年一人を尾行しているように見えた。

 

「…そうね、あの集団で当たりだと思うわ。早速尾行しましょう」

 

「あぁ」

 

ターゲット集団を目視でギリギリ確認できる距離を保ちつつ、尾行を開始する。ショッピングモールに入ると人混みが増えて来て見失いそうになるが、私より背が高くて目のいい兄さんのお蔭で何とか見失うことなく尾行を続けられている。

 

「明日香、標的にされていると思われる学生に動きがある。恐らく、ターゲット集団の尾行に気付いたようだね」

 

「彼の性格なら、逆に相手を誘い込んで返り討ちにしようとするでしょうね…兄さん、動いたわよ!」

 

「あぁ、分かっている。追うよ明日香!」

 

「えぇ!」

 

留学生の少年は足早に人気のない路地裏へと移動し、ターゲット集団もそれに続く。そして…。

 

『貴様ら、オレをつけ回して何のつもりだ!このオレを万丈目準と知っての行動か!』

 

『デュエル・アカデミアの学生…デュエルだ』

 

私と兄さんが路地裏へ辿り着くと、万丈目君とターゲット集団の3人がデュエルを開始しようとしていた。流石の彼でも1対3では厳しいだろう。

 

「万丈目君、助太刀するわ!」

 

「ボクもそろそろ格好いいところを見せておかなとね!」

 

「天上院君!?吹雪さんも!?」

 

万丈目君は私たちのことまでは気付いていなかったようで驚いていたが、ターゲット集団の男たちは特に驚いた様子はない。気付かれていたのか、気にも留めていないのか…。

 

『『デュエル・アカデミアの学生…デュエルだ』』

 

男たちがそれぞれ私たちの相手をするようだ。これで全員1対1。兄さんが負けるとは思えないし、万丈目君も結構強い方だ。恐らく大丈夫だろう。私は彼以外に負けるつもりは毛頭ない。

 

~~~

 

『光…破滅の光…』

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。クロトが言うには古事記にそう書いてあるらしい。…そんなこと、書いてあったかしら?

 

「「デュエル!」」

 

 

◆天上院明日香 LP:4000

 

VS

 

◆破滅の光の男A LP:4000

 

 

『先攻はこちらが貰う。我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男A 手札:5→6枚。

 

『我は手札から【天空の使者 ゼラディアス】を墓地に送り効果発動!デッキから【天空の聖域】1枚を手札に加える!』

破滅の光の男A 手札:5→6枚。

 

『我は手札からフィールド魔法【天空の聖域】を発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、天使族モンスターの戦闘で発生するそのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる!』

破滅の光の男A 手札:5枚。

 

『我は手札から通常魔法【コストダウン】を発動!手札を1枚捨てて発動できる。このターン、自分の手札のモンスターのレベルを2つ下げる!』

破滅の光の男A 手札:4→3枚。

 

『我は手札から【天空騎士パーシアス】を召喚!このモンスターはレベル5だが、【コストダウン】の効果によりこのターンはレベルが2下がっている為、リリース無しで召喚できる!』

破滅の光の男A 手札:2枚。

 

<破滅の光の男Aのフィールド>

天空騎士パーシアス ★5 ATK1900

 

『我は手札から永続魔法【天空の泉】を発動!光属性モンスターが戦闘によって破壊され自分の墓地へ送られた時、そのモンスター1体をゲームから除外する事で、そのモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する!』

破滅の光の男A 手札:1枚。

 

『我はこれでターンエンドだ』

破滅の光の男A 手札:1枚。

 

 

◆天上院明日香 LP:4000

 

VS

 

◆破滅の光の男A LP:4000、手札:1枚、伏せカード:0、フィールド魔法:1、永続魔法:1

 

<破滅の光の男のフィールド>

天空騎士パーシアス ★5 ATK1900

 

 

フィールドは【天空騎士パーシアス】のみ、伏せカード無し、墓地発動カード無し。【天空の聖域】と【天空の泉】で戦闘破壊された後のケアをしているつもりなんでしょうけど…手札の1枚が気になるところではあるけれど、大したことのない相手のようね。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。私はEXデッキから6枚ランダムに裏側表示で除外し、デッキからカードを2枚ドローするわ!」

明日香 手札:5→7枚。

 

「私は手札から【サイバー・プチ・エンジェル】を召喚!召喚成功時に効果発動!デッキから【サイバー・エンジェル】モンスター1体または【機械天使の儀式】1枚を手札に加える。私はデッキから儀式魔法【機械天使の儀式】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:6→7枚。

 

<明日香のフィールド>

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

 

『ふふふ、そのような雑魚モンスターでは我の【天空騎士パーシアス】には及ばんぞ?』

 

「まだまだこれからよ!私は手札から儀式魔法【機械天使の儀式】を発動!【サイバー・エンジェル】儀式モンスターの降臨に必要。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から【サイバー・エンジェル】儀式モンスター1体を儀式召喚する。(2):自分フィールドの光属性モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる!私は手札の【サイバー・エンジェル-弁天-】をリリース!そして手札から【サイバー・エンジェル-韋駄天】を儀式召喚するわ!」

明日香 手札:6→5→4枚。

 

<明日香のフィールド>

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-韋駄天 ★6 ATK1600

 

『くくくっ!儀式召喚したところでその貧弱なモンスターでは我の【天空騎士パーシアス】には…』

 

「リリースされた【サイバー・エンジェル-弁天-】及び儀式召喚された【サイバー・エンジェル-韋駄天】の効果発動!」

 

チェーン②サイバー・エンジェル-韋駄天

チェーン①サイバー・エンジェル-弁天-

 

「まずは【サイバー・エンジェル-韋駄天】の効果により自分のデッキ・墓地から儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える。私はデッキから儀式魔法【高等儀式術】を手札に加える!」

明日香 手札:4→5枚。

 

「そして【サイバー・エンジェル-弁天-】の効果によりこのカードがリリースされた場合に発動できる。デッキから天使族・光属性モンスター1体を手札に加える。私はデッキから【サイバー・エンジェル-荼吉尼-】を手札に加える!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「私は手札から儀式魔法【機械天使の絶対儀式】を発動!【サイバー・エンジェル】儀式モンスターの降臨に必要。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地から天使族または戦士族のモンスターをデッキに戻し、手札から【サイバー・エンジェル】儀式モンスター1体を儀式召喚する!私は手札のレベル8【サイバー・エンジェル-伊舎那】を墓地に送り、手札のレベル8【サイバー・エンジェル-荼吉尼-】を儀式召喚するわ!」

明日香 手札:5→4→3枚。

 

『なにぃ!?』

 

<明日香のフィールド>

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-韋駄天 ★6 ATK1600

サイバー・エンジェル-荼吉尼- ★8 ATK2700

 

「儀式召喚に成功した【サイバー・エンジェル-荼吉尼-】の効果発動!相手は自身のフィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない!」

 

『ぐっ!我はフィールドから【天空騎士パーシアス】を墓地に送る…』

 

<明日香のフィールド>

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-韋駄天 ★6 ATK1600

サイバー・エンジェル-荼吉尼- ★8 ATK2700

 

「バトルよ!【サイバー・エンジェル-韋駄天】でダイレクトアタック!」

 

『ぐおぉぉぉぉっ!』

破滅の光の男A LP:4000 → 2400

 

「これで終わりよ!【サイバー・エンジェル-荼吉尼-】でダイレクトアタック!」

 

『ぐわぁぁぁぁっ!』

破滅の光の男A LP:2400 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

<明日香視点>

 

私がターゲットの一人を倒した少し後に、他の二人のデュエルも佳境を迎えたみたいね。

 

「行け!【獣神王バルバロス】!ダイレクトアタックだ!」

 

『うわぁぁぁっ!』

破滅の光の男B LP:1500 → 0

 

「止めをさせ!【光と闇の竜】!ダイレクトアタックだ!ダークバプティズム!」

 

『ぬわぁぁぁっ!』

破滅の光の男C LP:2000 → 0

 

兄さんと万丈目君も無事にターゲットの撃破に成功したみたい。あんな相手に負ける2人じゃないのは知っているけれど、ひとまずは一安心ね。

 

「兄さん、万丈目君。お疲れ様」

 

「あぁ、明日香も無事に勝ったようだね」

 

「えぇ」

 

兄さんは私にねぎらいの言葉を送ってくれた後、周囲を見回している。どうやら他に人が居ないことを確認しているようね。

 

「天上院君、吹雪さん、これは一体…」

 

成り行きで尾行されていた相手を返り討ちにしただけの万丈目君は状況を呑み込めていないようだけれど、まずはやるべきことをしましょう。

 

「兄さん、万丈目君への説明を任せてもいい?私は破滅の光のカードを探すわ」

 

「分かったよ。クロト君から太鼓判が出ているとはいえ、気を付けるんだよ?」

 

「もちろんよ」

 

兄さんに万丈目君への説明を任せて、私は破滅の光が宿っていると思われるカードを探す。クロトがくれたこのネックレスを近づけると、破滅の光が宿るカードが近づけばネックレスが激しく振動するみたい。…どういう仕組みなのかしら?

 

そうして私は彼らのデッキのカードへネックレスを近づけていくと、とあるカードにネックレスは反応した。

 

「このカードは…【天空の聖域】ね。これが破滅の光を宿したカード…。早速、クロトから預かっているカードケースにしまってしまいましょう」

 

私はネックレスを腕に巻き、その腕で【天空の聖域】のカードを掴んで特殊なカードケースに収納して封をする。これで大丈夫なはずだ。

 

「兄さん、こちらは終わったわ」

 

「あぁ、お疲れ様。まさかターゲット全員が【天空の聖域】を使用してきて、その全てが破滅の光を宿したカードだなんてね」

 

「この調子だと、まだまだ出回っていそうね。じゃあ、こちらの用事も終わったことだし、そろそろ集合場所に戻りましょうか」

 

「そうだね」

 

「ま、待ってくれ天上院君!」

 

私と兄さんがそんな話をしながらその場を立ち去ろうとすると、万丈目君が声を掛けてきた。流石にこのままさようならとは行かなかったわね。

 

「吹雪さんから事情は聞いた!出来ればボクもその作戦に協力させて欲しい!」

 

万丈目君の提案に、私と兄さんは顔を合わせる。まさかそんな提案をしてくるとは思わなかったわ。

 

「明日香、どうしようか?」

 

「どうしようって言われても…とりあえず、クロトに相談しましょうか」

 

「…天上院君、さっきから呼んでいるその『クロト』っていう男は、君にとってどんな存在なんだい?まさか、君の恋人なのかい!?」

 

「なっ!?違うわよ!わ、私はデュエルに恋をしているの!クロトは…そう!幼馴染よ!」

 

いきなりなんてことを言うのよ!私とクロトはそんな関係じゃないわよ!…兄さんが隣でニヤニヤしているのが見えるのが少し頭に来るが、無視よ無視!

 

「とにかく、破滅の光の件も万丈目君の件も、クロト君に直接会って話せばいいじゃないか」

 

「そ、それもそうね!じゃあ、今度こそ戻りましょう!」

 

「…クロトとかいう奴、天上院君と幼馴染とは、羨ましい奴め!どんな奴か、この万丈目準がこの目で見極めてやるぞ!」

 

少しだけ予定外のこともあってけれど、今日の作戦に関しては成功と言っていいでしょう。私と兄さんは、新たに万丈目君を加えて、集合場所であるアメリカ校の喫茶店へと向かっていった…。




色々あって、手分けして雑魚狩りをすることになりました。

まずは強化された後にデュエルする機会が無かった明日香の【サイバー・エンジェル】です。【サイバー・エンジェル】デッキは儀式モンスターそのものの種類も多く、様々なデッキと組み合わせられるので、今後色々と試していけそうで楽しみです。

破滅の光のモブは【天空の聖域】使いです。こちらもデッキタイプがいくつか存在するので、出る度に別のデッキを使えそうで面白そうですね。

吹雪はアニメ本編でも必須の出番が多そうなので今回はお休みです。

万丈目と合流しましたが、彼はオリ主とは嚙み合いが悪そうですので、素直に協力体制を取れるかどうか…。

次回の更新は1/27(水) AM6:00予定です。

メイン弓様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十三話 カイザー亮と機光竜

今回は、サウスエリア。

強化カイザー亮vs破滅の光の手下3人戦です。


<亮視点>

 

クロト、吹雪、明日香と別れ、オレはサウスエリアにある公園へとやってきていた。なかなかの距離があったため、時刻は昼を少し過ぎたところだが、まだターゲット集団は公園から移動してはいなかったらしく、それらしい集団を発見した。受信機の反応も彼らがターゲット集団であることを示している。どうやら間に合ったようだ。

 

近くにあったパン屋でコッペパンとミルクを買い、公園にあるベンチに座って元々持ってきていたデュエル雑誌を読み始めた振りをして、彼らの動向を探っていると、一人のアメリカ校生徒の尾行を始めた。…動き出したか。

 

オレは不自然な動きにならないようにデュエル雑誌を仕舞いながら、残っていたコッペパンをミルクで流し込んで完食して近くのゴミ箱へゴミを捨て、ターゲット集団の尾行を開始した。アメリカ校生徒が人気の少ないポイントへ移動しようとしているのが分かったのか、ターゲットは二手に分かれた。どうやら留学生を挟み撃ちにする算段のようだ。

 

『デュエルアカデミアの生徒、止まれ』

 

『あっ?な、なんだお前たちは!?』

 

『貴様にも、光の洗礼をくれてやろう』

 

『なっ!?なんだんだよ!?うわぁぁぁ!や、やめろぉぉぉっ!』

 

「そこまでだ」

 

オレはアメリカ校の生徒と、ターゲット集団との間に割り入った。

 

『今のうちに早く逃げろ!』

 

『あ、あぁ!すまない!お、お前も早く逃げろよ!』

 

アメリカ校の生徒の生徒を逃がすと、ターゲット集団三人と向かい合った。

 

『貴様も、アカデミアの生徒か。良いだろう。まずは貴様から光の洗礼をくれてやる』

 

「ふっ、3対1か。面白い、相手になってやろう。変則ルールだ。先攻はお前たちにくれてやるが、オレは初期手札を10枚貰うぞ」

 

ハノイの騎士をやっていたクロトも、オベリスクフォース相手に3対1のデュエルを仕掛けて制したらしいじゃないか。ならば、奴に追い付くためにはこの状況くらい切り抜けて見せないとな!

 

~~~

 

『『『破滅の光の洗礼を受けよ!』』』

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。クロトが言うには古事記にそう書いてあるらしい。

 

『『『「デュエル!」』』』

 

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆破滅の光の男D LP:4000、手札:5枚

◆破滅の光の男E LP:4000、手札:5枚

◆破滅の光の男F LP:4000、手札:5枚

 

 

『先攻はこちらが貰う。我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男D 手札:5→6枚。

 

『我は手札から【天空の使者 ゼラディアス】を墓地に送り効果発動!デッキから「天空の聖域」1枚を手札に加える!』

破滅の光の男D 手札:5→6枚。

 

『我は手札からフィールド魔法【天空の聖域】を発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、天使族モンスターの戦闘で発生するそのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる!』

破滅の光の男D 手札:5枚。

 

『我は手札から【ホーリー・ジェラル】を召喚!フィールド上に「天空の聖域」が存在する場合、このカードが戦闘によって破壊される以外の方法で墓地に送られた時、自分は1000ライフポイント回復する』

破滅の光の男D 手札:4枚。

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK1000

 

『我は手札から装備魔法【銀の弓矢】を発動!天使族モンスターのみに装備可能。装備モンスターの攻撃力・守備力を300ポイントアップする。我は【銀の弓矢】を【ホーリージェラル】に装備!』

破滅の光の男D 手札:3枚。

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK1000 → 1300

 

『我は手札から装備魔法【エルフの光】を発動!光属性モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップし、守備力は200ポイントダウンする。我は【エルフの光】を【ホーリージェラル】に装備!』

破滅の光の男D 手札:2枚。

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK1300 → 1700

 

『我は手札から装備魔法【シャイン・キャッスル】を発動!光属性モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は700アップする。我は【シャイン・キャッスル】を【ホーリージェラル】に装備!』

破滅の光の男D 手札:1枚。

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK1700 → 2400

 

『我はカードを1枚伏せてターンエンドだ』

破滅の光の男D 手札:0枚、伏せカード:1枚。

 

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆破滅の光の男D LP:4000、手札:0、伏せカード:1、フィールド魔法:1、装備魔法:3

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK2400

 

◆破滅の光の男E LP:4000、手札:5枚

◆破滅の光の男F LP:4000、手札:5枚

 

 

『我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男E 手札:5→6枚。

 

『我は手札からフィールド魔法【シャインスパーク】を発動!フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする』

破滅の光の男E 手札:5枚。

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK2400 → 2900

 

『我は手札から【シャインエンジェル】を召喚!このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚できる』

破滅の光の男E 手札:4枚。

 

<破滅の光の男Eのフィールド>

シャインエンジェル ★4 ATK1400 → 1900

 

『我は手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【慈悲深き修道女】と【堕天使マリー】を融合!レベル7!【聖女ジャンヌ】を融合召喚!』

破滅の光の男E 手札:3→1枚。

 

<破滅の光の男Eのフィールド>

シャインエンジェル ★4 ATK1900

聖女ジャンヌ ★7 ATK2800 → 3300

 

『我はターンエンドだ』

破滅の光の男E 手札:1枚、伏せカード:0枚。

 

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆破滅の光の男D LP:4000、手札:0、伏せカード:1、フィールド魔法:1、装備魔法:3

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK2900

 

◆破滅の光の男E LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<破滅の光の男Eのフィールド>

シャインエンジェル ★4 ATK1900

聖女ジャンヌ ★7 ATK3300

 

◆破滅の光の男F LP:4000、手札:5枚

 

 

『我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男F 手札:5→6枚。

 

『我は手札から【コーリング・ノヴァ】を召喚!このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから攻撃力1500以下の天使族・光属性モンスター1体を特殊召喚する。フィールドに【天空の聖域】が存在する場合、代わりに【天空騎士パーシアス】1体を特殊召喚できる』

破滅の光の男F 手札:5枚。

 

<破滅の光の男Fのフィールド>

コーリング・ノヴァ ★4 ATK1400 → 1900

 

『我は3枚カードを伏せてターンエンドだ』

破滅の光の男F 手札:1枚、伏せカード:3枚。

 

 

◆丸藤亮 LP:4000、手札:10枚

 

VS

 

◆破滅の光の男D LP:4000、手札:0、伏せカード:1、フィールド魔法:1、装備魔法:3

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK2900

 

◆破滅の光の男E LP:4000、手札:1、伏せカード:0、フィールド魔法:1

 

<破滅の光の男Eのフィールド>

シャインエンジェル ★4 ATK1900

聖女ジャンヌ ★7 ATK3300

 

◆破滅の光の男F LP:4000、手札:1枚、伏せカード:3枚。

 

<破滅の光の男Fのフィールド>

コーリング・ノヴァ ★4 ATK1900

 

 

1人1人はそれほど強くない相手のようだが、全員が光属性天使族を扱うため、フィールド魔法の効果を共有しているな。光属性ならば手札に【オネスト】を握っている可能性がある。そして伏せカードが計4枚。さて、どう切り崩していこうか。

 

「オレのターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

丸藤亮 手札:10→11枚。

 

「オレは手札から魔法カード【天使の施し】を発動!自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる!」

丸藤亮 手札:10→13→11枚。

 

「オレは手札から魔法カード【エマージェンシー・サイバー】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから【サイバー・ドラゴン】モンスターまたは通常召喚できない機械族・光属性モンスター1体を手札に加える。オレは【サイバー・ドラゴン・コア】を手札に加える!」

丸藤亮 手札:10→11枚。

 

「オレは手札から【サイバー・ドラゴン・ネクステア】の効果発動!手札からこのカード以外のモンスター1体を捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する!」

丸藤亮 手札:9→8枚。

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK200 → 700

 

「【サイバー・ドラゴン・ネクステア】のカード名は、フィールド・墓地に存在する限り【サイバー・ドラゴン】として扱う。そして、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、攻撃力または守備力が2100の、自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない!オレは【サイバー・ドラゴン・ネクステア】の効果を発動して、墓地から【サイバー・ファロス】を特殊召喚する!」

 

<丸藤亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK700

サイバー・ファロス ★1 DEF2100 → 1700

 

「オレは手札から魔法カード【エヴォリューション・バースト】を発動!自分フィールド上に「サイバー・ドラゴン」が存在する場合に発動できる。相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。このカードを発動するターン、【サイバー・ドラゴン】は攻撃できない!オレはそちらのフィールド魔法【天空の聖域】を破壊する!」

丸藤亮 手札:7枚。

 

『させん!我はリバースカードオープン!カウンター罠【マジック・ジャマー】を発動!魔法カードが発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。その発動を無効にし破壊する。我は手札を一枚捨てて、【エヴォリューション・バースト】の発動を無効にして破壊する!』

破滅の光の男F 手札:1→0、伏せカード:3→2

 

「その効果にチェーンして、オレは手札からカウンター罠【レッド・リブート】を発動!このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!」

丸藤亮 LP:4000→2000、手札:6枚。

 

『『『手札からカウンター罠だと!?』』』

 

チェーン③レッド・リブート

チェーン②マジック・ジャマー

チェーン①エヴォリューション・バースト

 

「効果処理を行う!チェーン③【レッド・リブート】により、チェーン②【マジック・ジャマー】の発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!そしてチェーン①【エヴォリューション・バースト】の効果は発動され、フィールド魔法【天空の聖域】は破壊される!」

 

『【天空の聖域】が…!?』

破滅の光の男D フィールド魔法:1→0

 

『むぅ…』

破滅の光の男F 伏せカード:2→3→4 ※このターン終了時まで罠カードを発動できない。

 

『だが、これで貴様のLPは半分だ。もうあとがないのではないか?』

 

「オレのLPが半分を切ったか。ふっ…フハハハハハッ!だが、それがどうした!オレは、必ず、勝利するっ!オレは、勝利をリスペクトするぅぅぅ!!」

 

『『『!?』』』

 

「オレは手札から【サイバー・ドラゴン・コア】を召喚!このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り【サイバー・ドラゴン】として扱う。このカードが召喚に成功した場合に発動する。デッキから【サイバー】魔法・罠カードまたは【サイバネティック】魔法・罠カード1枚を手札に加える。オレはデッキから【サイバーロード・フュージョン】を手札に加える!」

ヘルカイザー亮 手札:6→7枚。

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK700

サイバー・ファロス ★1 DEF1700

サイバー・ドラゴン・コア ★1 ATK400 → 900

 

「オレは手札から魔法カード【パワー・ボンド】を発動!自分の手札・フィールドから、機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。このカードを発動したターンのエンドフェイズに自分はこの効果でアップした数値分のダメージを受ける。オレはフィールドの【サイバー・ドラゴン・コア】と、手札の【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】と【サイバー・ドラゴン・ドライ】を融合!現れよレベル5!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】!」

ヘルカイザー亮 手札:6→4枚。

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK700

サイバー・ファロス ★1 DEF1700

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK2100 → 4200

 

「融合召喚した【キメラテック・ランページ・ドラゴン】の効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、このカードの融合素材としたモンスターの数までフィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。そのカードを破壊する!融合素材としたモンスターは3体!よってそちらのフィールド魔法【シャインスパーク】と伏せカード2枚を破壊する!」

 

『ならば!我はリバースカードオープン!速攻魔法【突進】を発動!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。我は我のフィールドの【ホーリー・ジェラル】を対象とする!』

破滅の光の男D 伏せカード:1→0

 

チェーン②突進

チェーン①キメラテック・ランページ・ドラゴン

 

「効果処理を行う!チェーン②【突進】により【ホーリー・ジェラル】の攻撃力はターン終了時まで700アップする」

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK2900 → 3600

 

「そしてチェーン①【キメラテック・ランページ・ドラゴン】の効果により、フィールドの魔法罠三枚を破壊する!そのうちの一枚は【突進】の為、意味はないが、残り2枚は破壊させてもらおう!」

 

『新たに伏せたカウンター罠【盗賊の七つ道具】が破壊されたか!』

破滅の光の男F 伏せカード:4→3 ※このターン終了時まで罠カードを発動できない。

 

『こちらは我の【シャインスパーク】が破壊されたか…!』

破滅の光の男E フィールド魔法:1→0

 

<破滅の光の男Dのフィールド>

ホーリー・ジェラル ★4 ATK3600 → 3100

 

<破滅の光の男Eのフィールド>

シャインエンジェル ★4 ATK1900 → 1400

聖女ジャンヌ ★7 ATK3300 → 2800

 

<破滅の光の男Fのフィールド>

コーリング・ノヴァ ★4 ATK1900 → 1400

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK700 → 200

サイバー・ファロス ★1 DEF1700 → 2100

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200

 

「オレは【キメラテック・ランページ・ドラゴン】の更なる効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地へ送る。このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。オレはデッキから機械族・光属性モンスターの【サイバー・ドラゴン・フィーア】と【サイバー・ドラゴン・ヘルツ】を墓地に送る!このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる!」

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK200

サイバー・ファロス ★1 DEF2100

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

 

『『『攻撃力4000越えモンスターの三回攻撃だと!?』』』

 

「墓地に送られた【サイバー・ドラゴン・ヘルツ】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキ・墓地からこのカード以外の「サイバー・ドラゴン」1体を選んで手札に加える。オレはフィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う【サイバー・ドラゴン・フィーア】を墓地から手札に加える!」

ヘルカイザー亮 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から魔法カード【機械複製術】を発動!自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスター1体を対象として発動できる。デッキからその表側表示モンスターの同名モンスターを2体まで特殊召喚する。オレはフィールド・墓地に存在する限り【サイバー・ドラゴン】として扱う【サイバー・ドラゴン・ネクステア】を対象とし、デッキから【サイバー・ドラゴン】2体を特殊召喚する!」

ヘルカイザー亮 手札:4枚。

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ドラゴン・ネクステア ★1 ATK200

サイバー・ファロス ★1 DEF2100

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

サイバー・ドラゴン ★5 2100

サイバー・ドラゴン ★5 2100

 

「オレは【サイバー・ファロス】の効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、機械族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!オレはフィールドの【サイバー・ドラゴン】2体とフィールド・墓地に存在する限り「サイバー・ドラゴン」として扱う【サイバー・ドラゴン・ネクステア】の3体で融合!出でよ!レベル10【サイバー・エンド・ドラゴン】!」

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ファロス ★1 DEF2100

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000

 

「オレは手札から装備魔法【エターナル・エヴォリューション・バースト】を発動!機械族の融合モンスターにのみ装備可能。このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分バトルフェイズ中に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。オレは【エターナル・エヴォリューション・バースト】を【サイバー・エンド・ドラゴン】に装備する!」

ヘルカイザー亮 手札:3枚。

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

サイバー・ファロス ★1 DEF2100

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000 ※自分バトルフェイズ中に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

「オレは手札から魔法カード【オーバーロード・フュージョン】を発動!自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。オレは墓地の【プロト・サイバー・ドラゴン】、【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】、【サイバー・ドラゴン・ドライ】を除外して融合!2体目の【キメラテック・ランページ・ドラゴン】を融合召喚!」

ヘルカイザー亮 手札:3→2枚。

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK2100

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000 ※自分バトルフェイズ中に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

「融合召喚した【キメラテック・ランページ・ドラゴン】の効果発動!このカードが融合召喚に成功した時、このカードの融合素材としたモンスターの数までフィールドの魔法・罠カードを対象として発動できる。そのカードを破壊する!融合素材としたモンスターは3体!よってそちらの伏せカード3枚を破壊する!」

 

『我の伏せカードがすべて破壊された!?』

破滅の光の男F 伏せカード:3→0 ※このターン終了時まで罠カードを発動できない。

 

伏せていたカードは…【ソーラーレイ】と【救援光】か。完全に光属性特化だな。

 

「オレは【キメラテック・ランページ・ドラゴン】の更なる効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから機械族・光属性モンスターを2体まで墓地へ送る。このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。オレはデッキから機械族・光属性モンスターの【超電磁タートル】と【サイバー・ドラゴン・コア】を墓地に送る!このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で墓地へ送ったモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる!」

 

<ヘルカイザー亮のフィールド>

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK4200 ※三回攻撃

キメラテック・ランページ・ドラゴン ★5 ATK2100 ※三回攻撃

サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000 ※自分バトルフェイズ中に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

『な、なんだこれは…』

 

『こんなことが…』

 

『終わった…』

 

 

「バトルだ!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】で【ホーリー・ジェラル】に攻撃!」

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン ATK4200 ※残り三回攻撃

vs

ホーリー・ジェラル ATK3100

 

『うぉぁぁぁっ!』

破滅の光の男D LP:4000 → 2900

 

「食らえ!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】でダイレクトアタック!消えされぇ!」

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン ATK4200 ※残り二回攻撃

 

『うわぁぁぁっ!』

破滅の光の男D LP:2900 → 0

 

 

「次はお前だ!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】で【シャインエンジェル】に攻撃!」

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン ATK4200 ※残り一回攻撃

vs

シャインエンジェル ATK1400

 

『ぐぉぉっ!』

破滅の光の男E LP:4000 → 1200

 

【シャインエンジェル】の効果は、装備魔法【エターナル・エヴォリューション・バースト】により発動できない!

 

「終わりだ!【サイバー・エンド・ドラゴン】で【聖女ジャンヌ】に攻撃!これで終わりだ!エターナル・エヴォリューション・バーストォ!!」

 

サイバー・エンド・ドラゴン ATK4000

vs

聖女ジャンヌ ATK2800

 

『ぐわぁぁぁっ!』

破滅の光の男E LP:1200 → 0

 

 

「最後はお前だ!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】で【コーリング・ノヴァ】に攻撃!」

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン ATK2100 ※残り三回攻撃

vs

コーリング・ノヴァ ATK1400

 

『ぬはぁっ!』

破滅の光の男F LP:4000 → 3300

 

【コーリング・ノヴァ】の効果も、装備魔法【エターナル・エヴォリューション・バースト】により発動できない!

 

「トドメだ!【キメラテック・ランページ・ドラゴン】でダイレクトアタック!ニレンダァ!!」

 

キメラテック・ランページ・ドラゴン ATK2100 ※残り二回攻撃

 

『ぬわぁぁぁぁっ!』

破滅の光の男F LP:3300 → 1200 → 0

 

 

「フハハハハハッ!…ふぅ、対戦、ありがとうございました」

 

オレはデュエル終了の宣言を終えた後、事前にクロトから聞いていた手順で彼らの所持していた破滅の光が宿る【天空の聖域】のカードを回収した。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

目的地に移動中、明日香と亮から連絡があり、無事にターゲットを倒して破滅の光が宿るカードを回収したと言う連絡を受けた。流石だな。

 

『レイン、そっちはどうだ?』

 

『ん。今終わった』

 

どうやらレインの方もターゲットの撃破が完了したようだ。あちらはゴースト(イリアステル製のデュエルロイド)を投入したらしい。本来の歴史通りなら、ゴーストのデッキは対光属性特化の【A・O・J】。…ムゴい。

 

『こちらももう少しで目標地点に到達する』

 

『了解。こちらは先に、集合場所に移動しておく』

 

『OK。また後で』

 

『また後で』

 

俺はレインとの通信を切り、目標地点の上空へと到達した。【メカレオン】と【プチリュウ】の合わせ技による光学迷彩&飛翔によるビルの屋上間を飛び移って来たわけだ。この方が目撃者も出ないし道に拘らずに進めるので移動が速い。

 

「さて、ターゲットはこの辺りのはずだけど…」

 

受信機を頼りに、ターゲット集団に取り付けられている発信機の反応を探すと、ビルの合間にある路地裏で、1人の日本人アカデミア留学生がターゲット集団に囲まれているのが見えた。

 

「あの~、私になにか御用でしょうか?」

 

『デュエルアカデミアの生徒だな?』

 

「えっ?あ、はい。そうですけど…」

 

あの危機感の薄そうな茶髪の美少女は、宮田ゆまだな。こういっては何だが、ここにいるってことは彼女って成績優秀者なんだな。意外だ。彼女は性格も穏やかだし、何より『ゆま焼き』のイメージが強いから、そんなに強そうに見えないんだよな…。

 

『貴様にも、光の洗礼をくれてやろう』

 

「…えっ!?も、もしかして貴方たちが最近噂になっているカード白紙事件の…!?あぅ…に、逃げないと…!」

 

そんなことを考えていると、割とピンチっぽいな。助けに入るか。だけど、このまま空から降りたら姿がバレバレだし、後々面倒なことになりそうだな。なら、格好も少し弄って…。これでヨシ。じゃ、行くか。

 

そうして俺は、バリアンの姿をした状態でターゲットの一人にアンブッシュを仕掛け、飛び蹴りで鎮圧した。そして、宮田ゆまとターゲット集団の残り2人との間に降り立った…。




本作の丸藤亮は、普段はクールで穏やかなですが、デュエルになると好戦的になり、LPが半分を切ると一時的にヘルカイザー化します。デュエルが終わると元に戻ります。リスペクト精神は多分持っていると思います。

今回は【表サイバー】vs【光属性】でした。

【表サイバー】と言いつつキメラテックが入っていますがご愛敬。リンクモンスター以外は現環境とほぼ変わらないカードプールでのデッキです。

【光属性】は天空の聖域を使いつつ、光属性サポートを思いつく限り投入しました。ジャンヌは融合モンスターの天使族を入れて見たくなったので入れました。今回の三人とも大して強くないです。

レインは最近出番が多めなので、デュエルはカット。そもそもドーハスーラなんて出したらこの時代だとイジメになりますからね…。

チラッと登場した宮田ゆまは、タッグフォース2からの登場人物です。

次回の更新は1/27(水) AM7:00予定です。

戦車様、ストロー様、タツタ様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十四話 宮田ゆま

破滅の光の手下とのデュエルです。

タッグフォースキャラの宮田ゆまとのタッグデュエルとなります。


<ゆま視点>

 

夏季休暇を利用したデュエルアカデミア・アメリカ校へ短期留学して十数日経ったある日、宮田ゆまは久し振りの休日だったのでグループメンバーの原麗華と樋口桜と一緒に社会見学と言う名目の元、ノースエリアにあるという人気のカフェテリアへと向かっていた。

 

「あぅ…二人とはぐれてしまいました…」

 

カフェテリア近くの大通りに辿り着いた際、予想以上の人混みに呆気に取られていたところ、運悪く人波に飲まれて2人とはぐれてしまい、何とか脱出して高層ビルの壁沿いに移動していると、人気のない路地裏のような場所に来てしまっていた。

 

「ここは…何処でしょうか…」

 

なかなかに入り組んだ地形らしく、来た道が分らなくなって立ち往生していると、虚ろな目をした男性が3人ほど現れた。

 

「…」

 

『あの~、私になにか御用でしょうか?』

 

こちらを注視して来るのでつい声を掛けてしまった。だがここは日本ではない為、慣れない英語で話しかけている。私と樋口さんは流暢な英語は話せないので原さんが率先して現地の人達と会話してくれていたのだ。

 

『デュエルアカデミアの生徒だな?』

 

男性の一人がこちらに問いかけるように話しかけてくる。恐らくだが、デュエルアカデミアの生徒か?と問われているのだと思う。

 

『えっ?あ、はい。そうですけど…』

 

我ながらお世辞にも上手くない英語で何とか返事を返すが、どうも男性たちの様子がおかしい。視線はこちらに向けているが、なんというか、意思を感じないのだ。

 

『貴様にも、光の洗礼をくれてやろう』

 

「…えっ!?」

 

そういうと彼らはデュエルディスクを構える。私も咄嗟にデュエルディスクを構える。そう言えば聞いたことがある。最近、デュエルアカデミアの生徒を狙った野良デュエリストが勝負を仕掛けてくることを。そしてその結果…。

 

「も、もしかして貴方たちが最近噂になっているカード白紙事件の…!?あぅ…に、逃げないと…!」

 

そのことを思い出して何とか逃げようとするが相手は三人。あっさりと通路を防がれてしまった。ど、どうすれば…!?

 

「えいっ」

 

ボコォ!

 

『ブゲラッ!』

 

突如、男性たちの1人の近くから少年のような声が聞こえ、なんだが凄い音がした。

 

『ブゲラッ!』

 

男性たちの一人は苦悶に満ちた表情をしながらお腹を押さえ、そのまま膝をついて地面に倒れこんだ。残り2人の男性たちは目を丸くして驚いていたが、ハッと思い出したかのように周囲を確認している。

 

な、何が起きているの!?私も周囲を見回してみると、突如、私の目の前に全身に白いローブを纏った仮面を付けた小柄な人物が現れて、私と男性たちの間に割って入った。

 

「ふむ、やはり俺が魔力を込めて物理的に殴るだけでは破滅の光の影響を消し去ることはできないか…」

 

ローブの人物は私に背を向け、私に視線を送ることなく正面に居る男性二人と対峙していた。倒れこんだ男性は時折ピクピクと痙攣している。そして、ローブの人物が腕を空高くに翳した。

 

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

『『「!?」』』

 

そうローブの人物が叫ぶと、彼の周囲からまばゆい光が放たれる!今度は一体何が!?光が収まったらしく、目を開けるとそこには…。

 

「唸る拳が神をも砕く!アリト!」

 

両手で握り拳を作った全身が赤い肌に覆われた青年が、胸についた赤い宝石を光らせてそこに立っていた。もう訳が分からない。

 

「破滅の光の手下ども!俺が相手になってやる!掛かってきな!」

 

アリトと名乗ったその人物は、1人で2人まとめて相手をしようとしている。彼がどのくらい強いのかは分からないが、無茶だ!

 

「…はっ!?ま、待ってください!私も戦います!」

 

咄嗟に声が出ていた。状況に付いていけずにほとんど理解できていなかったが、勢いでそう言ってしまったが、アリトと名乗った人物には好意的に映ったようだ。こちらを振り返り…。

 

「いいだろう!俺とお前で、奴等とタッグデュエルだな!」

 

そう言い終わると、彼は男性たちに向き直って改めてデュエルディスクを構えた。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

宮田ゆまがターゲット連中に襲われている現場に居合わせたので、とりあえず不意打ちで一人を腹パンして沈黙させた。魔力を込めて殴ったが破滅の光の洗脳は解けていないようだ。その男はピクピクしながら地面に転がっているが、多分生きているだろうから、ヨシッ!

 

勢いのままにバリアルフォーゼ(偽)を行い、アリト(偽)の姿に変化して残った二人をさっさと倒そうとすると、宮田ゆまから共闘の誘いがあった。彼女の現状のデッキも知っておきたかったのでOKを出しておいた。さて、あとは目の前の男2人をデュエルでぶっ飛ばすだけだな。

 

「ルールはタッグフォースルール!ライフ、フィールド、墓地を共有するLP8000制だ!文句はないな!」

 

この世界では、こういうのは言ったもの勝ちだ。何故か破滅の光の手下になると日本語もわかるようになるようなので日本語でもOK。オカルトのパワーってスゲー。

 

『いいだろう』

 

ほぼノータイムでOKと返ってくる。オベリスクフォースの時も思ったが、もう少し考えて返答した方がいいと思うけどな。

 

『『破滅の光の洗礼を受けよ!』』

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

『『「「デュエル!」」』』

 

 

◆アリト(クロト)&宮田ゆま LP:8000

アリト  手札:5枚

宮田ゆま 手札:5枚

 

VS

 

◆破滅の光の男たち LP:8000

破滅の光の男G 手札:5枚

破滅の光の男H 手札:5枚

 

 

『先攻はこちらが貰う!我のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男G 手札:5→6枚。

 

『我は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。我はデッキから【天空の聖域】を手札に加える!』

破滅の光の男G 手札:5→6枚。

 

『我は手札からフィールド魔法【天空の聖域】を発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、天使族モンスターの戦闘で発生するそのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる!』

破滅の光の男G 手札:5枚。

 

『我は手札から【ゼラの戦士】を召喚!』

破滅の光の男G 手札:4枚。

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

ゼラの戦士 ★4 ATK1600

 

『このカードは通常召喚できない。このカードは「天空の聖域」がフィールド上に存在し、自分フィールド上に表側表示で存在する【ゼラの戦士】1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。我は自分フィールドの【ゼラの戦士】をリリース!手札から【大天使ゼラート】を特殊召喚する!』

破滅の光の男G 手札:3枚。

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

大天使ゼラート ★8 ATK2800

 

『我はカードを2枚伏せてターンエンドだ!』

破滅の光の男G 手札:1枚

破滅の光の男たち 伏せカード:1枚。

 

 

◆アリト(クロト)&宮田ゆま LP:8000

アリト  手札:5枚

宮田ゆま 手札:5枚

 

VS

 

◆破滅の光の男たち LP:8000、伏せカード:2、フィールド魔法:1

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

大天使ゼラート ★8 ATK2800

 

破滅の光の男G 手札:1枚

破滅の光の男H 手札:5枚

 

 

【大天使ゼラート】を軸とした【天空の聖域】デッキか。手札の光属性モンスター1枚をサンダーボルト効果に変えてくる厄介なモンスターだが、先攻で立たれても大した脅威じゃないな。

 

「オレから行かせてもらうが、構わないか?」

 

「は、はい!大丈夫です!」

 

一応、宮田にタッグ順を確認しておく。それにしても、なんだか怖がられているような気がするな。やはりバリアンの顔は怖いのだろうか…。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アリト 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【BK スイッチヒッター】を手札に加える!」

アリト 手札:5枚。

 

『それは通さん!我はリバースカードオープン!カウンター罠【八式対魔法多重結界】を発動!手札から魔法カード1枚を墓地に送る事で魔法の発動と効果を無効にし、そのカードを破壊する!』

破滅の光の男G 手札:1→0、伏せカード:2→1

 

チェーン②八式対魔法多重結界

チェーン①増援

 

「ちっ。効果処理を行う。チェーン②【八式対魔法多重結界】により、チェーン①【増援】は無効となり破壊される」

 

『フフフフフッ。無駄なあがきは止めて光の洗礼を受けよ』

 

「調子に乗るなよ?オレは手札から【BK ヘッドギア】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから「BK」と名のついたモンスター1体を墓地へ送る事ができる。フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードは、1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。オレはデッキからから【BK スイッチヒッター】を墓地に送る!」

アリト 手札:4枚。

 

<アリト&ゆまのフィールド>

BK ヘッドギア ★4 ATK1000

 

「更にオレは手札から魔法カード【バーニングナックル・スピリッツ】を発動!デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動できる。自分の墓地の【BK】と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する。【バーニングナックル・スピリッツ】は1ターンに1枚しか発動できない。オレは墓地から…【BK グラスジョー】を表側守備表示で特殊召喚する!」

アリト 手札:3枚。

 

<アリト&ゆまのフィールド>

BK ヘッドギア ★4 ATK1000

BK グラスジョー ★4 DEF0

 

【バーニングナックル・スピリッツ】でデッキトップに居た【BK グラスジョー】が墓地に送られたのはラッキーだったな。コストとして墓地に送られたから効果は発動できなかったけどさ。

 

「オレはレベル4の【BK ヘッドギア】と【BK グラスジョー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!魂に秘めた炎を、拳に宿せ!現れよ!ランク4【BK 拘束蛮兵リードブロー】!」

 

<アリト&ゆまのフィールド>

BK 拘束蛮兵リードブロー ☆4 ATK2200 ORU:2

 

「エクシーズ召喚…初めて見ました…」

 

「オレは手札から魔法カード【ブラック・ホール】を発動!フィールドのモンスターを全て破壊する!」

アリト 手札:2枚。

 

『何っ!?自分のモンスターを召喚してから【ブラック・ホール】だと!?』

 

「オレは【BK 拘束蛮兵リードブロー】のORUを1つ墓地に送って効果発動!自分フィールド上の「BK」と名のついたモンスターが戦闘またはカードの効果によって破壊される場合、その破壊されるモンスター1体の代わりにこのカードのORUを1つ取り除く事ができる。また、このカードのORUが取り除かれた時、このカードの攻撃力は800ポイントアップする!」

BK 拘束蛮兵リードブロー ☆4 ATK2200→3000 ORU:2→1

 

『破壊耐性か…!ならば【ブラック・ホール】で破壊されるのは我が【大天使ゼラート】のみ…!』

 

「そして、【BK グラスジョー】が【BK 拘束蛮兵リードブロー】の効果によって墓地へ送られた時、自分の墓地から【BK グラスジョー】以外の【BK】と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。オレは墓地から【BK スイッチヒッター】を手札に加える!」

アリト 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から魔法カード【鬼神の連撃】を発動!自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体を選択し、そのエクシーズ素材を全て取り除いて発動する。このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。オレは【BK 拘束蛮兵リードブロー】を選択する!」

アリト 手札:2枚。

BK 拘束蛮兵リードブロー ☆4 ATK3000→3800 ORU:1→0

 

『『「攻撃力3800の2回攻撃!?」』』

 

「バトルフェイズに移行!【BK 拘束蛮兵リードブロー】でダイレクトアタック!ライトニング・ファースト!」

 

『うごぁぁぁっ!』

破滅の光の男たち LP:8000 → 4200

 

え、嘘だろ?攻撃、通るのか。あの残った伏せカード、なんなんだ?ブラフか?1キル用にフィールドを調整すれば良かったな…。

 

「追撃を行う!【BK 拘束蛮兵リードブロー】でダイレクトアタック!ライトニング・ファースト!!」

 

『ごはぁぁぁっ!』

破滅の光の男たち LP:4200 → 400

 

「メインフェイズ2に移行。オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ」

アリト 手札:1枚。

アリト(クロト)&宮田ゆま 伏せカード:1

 

 

◆アリト(クロト)&宮田ゆま LP:8000、伏せカード:1

 

<アリト&ゆまのフィールド>

BK 拘束蛮兵リードブロー ☆4 ATK3800 ORU:0

 

アリト  手札:1枚

宮田ゆま 手札:5枚

 

VS

 

◆破滅の光の男たち LP:400、伏せカード:1、フィールド魔法:1

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

モンスター無し

 

破滅の光の男G 手札:0枚

破滅の光の男H 手札:5枚

 

 

『我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男H 手札:5→6枚。

 

『我は手札から永続魔法【フィールドバリア】を発動!このカードがフィールド上に存在する限り、お互いにフィールド魔法カードを破壊できず、フィールド魔法カードの発動もできない。「フィールドバリア」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない!』

破滅の光の男H 手札:5枚。

 

フィールド魔法【天空の聖域】を守りに来たか。

 

『我は手札から【天空聖者メルティウス】を召喚!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手がカウンター罠カードを発動する度に、自分は1000LP回復し、フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、さらに相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する』

破滅の光の男H 手札:4枚。

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

天空聖者メルティウス ★4 ATK1600

 

こっちの男は【天空聖者メルティウス】を軸とした【天空の聖域】の【パーミッション】デッキか。…こっちの方が先攻の方が良かったんじゃないか?

 

『我はリバースカードオープン!通常罠【裁きの光】発動!フィールドに「天空の聖域」が存在する場合に手札から光属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。相手フィールドのカード1枚を選んで墓地へ送る。我が選ぶのは【BK 拘束蛮兵リードブロー】だ!』

破滅の光の男H 手札:4→3枚。

破滅の光の男たち 伏せカード:1→0

 

対象を取らない墓地送り効果の罠カードか。これは防げないな。なるほど、さっきの奴がこれを使わなかったのは、手札コストが無くて使えなかっただけか。

 

「あぅ…【BK 拘束蛮兵リードブロー】が墓地に送られてしまいました…」

 

「そういうこともある」

 

『バトルだ!【天空聖者メルティウス】でダイレクトアタック!』

 

「ぐっ!!」

アリト(クロト)&宮田ゆま LP:8000 → 6400

 

このタイミングで【BK ベイル】が手札にあればLP回復と特殊召喚につなげられたんだがな。今手札に居るのは【BK スイッチヒッター】だ。

 

『我はカードを2枚伏せてターンエンドだ』

破滅の光の男H 手札:1枚

破滅の光の男たち 伏せカード:2

 

 

◆アリト(クロト)&宮田ゆま LP:6400、伏せカード:1

 

<アリト&ゆまのフィールド>

モンスター無し

 

アリト  手札:1枚

宮田ゆま 手札:5枚

 

VS

 

◆破滅の光の男たち LP:400、伏せカード:2、フィールド魔法:1、永続魔法:1

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

天空聖者メルティウス ★4 ATK1600

 

破滅の光の男G 手札:0枚

破滅の光の男H 手札:1枚

 

 

【パーミッション】デッキの男が伏せたカードか。ほぼ間違いなくカウンター罠はあるよな。だが2枚か…宮田のデッキ次第だけど、なんとかなるだろう。

 

「わ、私のターンです!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行します!」

宮田ゆま 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【増援】を発動です!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加えます!私は…」

宮田ゆま 手札:5枚。

 

『ダメだな!我はリバースカードオープン!カウンター罠【神罰】を発動!フィールドに「天空の聖域」が存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する!』

破滅の光の男H 伏せカード:2→1

 

チェーン②神罰

チェーン①増援

 

「あぅぅぅ。効果処理を行います…。チェーン②【神罰】により、チェーン①【増援】は無効となり破壊されます…」

 

『フフフフフッ』

 

「相手の雰囲気の飲まれる必要はない。相手のカウンター罠を使わせてやったと思えばいいんだ」

 

「は、はい!」

 

やはり怯えられているようだ。やはりバリアン顔はダメなのか…。

 

『カウンター罠が発動したことにより、【天空聖者メルティウス】の効果発動!自分または相手がカウンター罠カードを発動する度に、自分は1000LP回復し、フィールドに【天空の聖域】が存在する場合、さらに相手フィールドのカード1枚を選んで破壊する。我はそちらの伏せカードを破壊する!』

破滅の光の男たち 伏せカード:2→1

 

「させません!リバースカードオープン!速攻魔法【禁じられた聖杯】発動です!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できます。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化されます!対象は 貴方の【天空聖者メルティウス】です!」

アリト(クロト)&宮田ゆま 伏せカード:1→0

 

チェーン②禁じられた聖杯

チェーン①天空聖者メルティウス

 

「効果処理を行います!チェーン②【禁じられた聖杯】により、貴方の【天空聖者メルティウス】はターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化されます!つまり、チェーン①【天空聖者メルティウス】の効果は無効となります!」

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

天空聖者メルティウス ★4 ATK1600 → 2000

 

『何ぃ!?』

 

「良し!」

 

これで【天空聖者メルティウス】はただの置物だな!この状況で【禁じられた聖杯】にチェーンして伏せカードを使ってこなかったことを考えると、あの伏せカードは魔法に対するカウンター効果を持たないカードってことか。

 

「私は手札から魔法カード【ブラック・コア】を発動です!自分の手札を1枚捨てて、フィールド上の表側表示のモンスター1体をゲームから除外します!対象は貴方の【天空聖者メルティウス】です!」

宮田ゆま 手札:4→3枚。

 

『我の【天空聖者メルティウス】が除外されただと!?』 ※除外カード:1

 

「私は手札から【異次元の女戦士】を召喚です!このカードが相手モンスターと戦闘を行った時、そのモンスターとこのカードをゲームから除外する事ができます!」

宮田ゆま 手札:3枚。

 

<アリト&ゆまのフィールド>

異次元の女戦士 ★4 ATK1500

 

「バトルです!【異次元の女戦士】でダイレクトアタック!」

 

『通さん!我はリバースカードオープン!カウンター罠【攻撃の無力化】を発動!相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。その後、バトルフェイズを終了する!』

破滅の光の男H 伏せカード:1→0

 

「あぅぅ…。メインフェイズ2に移行します。カードを2枚伏せてターンエンドです!」

 

 

◆アリト(クロト)&宮田ゆま LP:6400、伏せカード:2

 

<アリト&ゆまのフィールド>

異次元の女戦士 ★4 ATK1500

 

アリト  手札:1枚

宮田ゆま 手札:1枚

 

VS

 

◆破滅の光の男たち LP:400、伏せカード:0、フィールド魔法:1、永続魔法:1

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

モンスター無し

 

破滅の光の男G 手札:0枚

破滅の光の男H 手札:1枚

 

 

うーん、これは勝ったな。ドロー後の手札1枚でこの局面をひっくり返すのは困難だ。それに、彼女のデッキは間違いなく【次元斬】だ。伏せカードも無い相手が何を出しても除外される未来しか見えない。

 

『我のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

破滅の光の男G 手札:0→1枚。

 

『我は手札から【ジェルエンデュオ】を召喚!』

破滅の光の男G 手札:0枚。

 

<破滅の光の男たちのフィールド>

ジェルエンデュオ ★4 ATK1700

 

天使族・光属性モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる効果、戦闘破壊耐性効果、戦闘・効果でダメージを受けた自壊する効果を持つモンスターだな。【天空の聖域】影響下ではモンスター同士での戦闘ダメージは受けないから相性が良いわけだ。宮田のあのモンスターとは相性最悪だろうけどな。

 

『バトルだ!【ジェルエンデュオ】で【異次元の女戦士】を攻撃!』

 

「このタイミングで!リバースカードオープン!罠カード【次元幽閉】発動です!相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を選択して発動できて、選択した攻撃モンスターをゲームから除外します!対象は【ジェルエンデュオ】です!」

アリト(クロト)&宮田ゆま 伏せカード:2→1

 

『馬鹿な…!?【ジェルエンデュオ】が除外された…!?』 ※除外カード:2

 

哀れ。攻撃して最後の抵抗を示すことすら許されないとは…。それにしても、デュエルアカデミアの生徒ともなれば、あのくらいのカードを持っているもんだな。【異次元の女戦士】なんかも鈴木が言うにはかなりのレアカードらしいんだけどなぁ。

 

『くっ!ターンエンドだ!』

 

「エンドフェイズ時に!リバースカードオープン!罠カード【D.D.ダイナマイト】発動です!相手が除外しているカードの数×300ポイントダメージを相手ライフに与えます!貴方が除外しているカードは2枚!よって600ポイントのダメージです!」

アリト(クロト)&宮田ゆま 伏せカード:1→0

 

そう言えば原作でデッキに入れてたな。この娘、優しそうな見た目からは想像できないカードを使ってくるよな…。

 

『『な、何ぃ!?ぐわぁぁぁっ!』』

破滅の光の男たち LP:400 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

倒し終わったターゲット連中のデッキを確認し、破滅の光が宿ったカードを見つけた。やっぱり【天空の聖域】か。今までと同じ手口だな。

 

「あの~」

 

「ん?あれ?君、まだ居たの?」

 

【天空の聖域】を専用カードケースに仕舞いながら後ろを振り向くと、困り顔の宮田ゆまがそこに立っていた。デュエルが終わったから勝手に帰るかと思ったけど、そうもいかないっぽいなぁ。

 

「はい。まずは、助けてくれてありがとうございました!」

 

「えっ、あぁ、うん」

 

90°くらいの綺麗なお辞儀をされた。むしろ君を囮にして連中を釣り上げたようなものだから、正面切ってお礼を言われるとモヤモヤするなぁ。

 

「それで、その、お恥ずかしい話なんですが、大通りに戻るにはどの道から戻ればいいでしょうか?」

 

「へっ?…あぁ、迷子だったのか」

 

「あぅぅ…はい…」

 

顔を真っ赤にして恥ずかしがる宮田。こういうタイプの娘ってこの世界で初めて会ったかもしれない。なんか新鮮だな。

 

「大通りに出るには、そこの道を壁沿いに歩いていけばそのうち着くよ」

 

「あ、ありがとうございました!」

 

上空から見て道は知っていたので教えてあげると、満面の笑みでお礼を言ってくる宮田。この世界でのセレナに近い感じだな。好感が持てる娘だ。…そうだなぁ。せっかく会ったことだし、この娘にもカードを渡してみるのも面白いかもな。

 

「君、もし良ければだけど、このデッキを使ってみる気はない?」

 

「えっ?これは…【E・HERO】ですか?…うん?ちょっと違う?…【M・HERO】?…それにエクシーズモンスター!?」

 

漫画版【E・HERO】と【M・HERO】のごちゃ混ぜデッキだ。あと、この娘はTF6で【No.39 希望皇ホープ】も使ってたので戦士族のエクシーズモンスターもサイドデッキに少し入れておいた。『No.』は持っていると面倒なことに巻き込まれそうなので渡さない。

 

「恐らく君ならそれらのカードを使いこなせるんじゃないかと思ってね。要らなければ売ってしまっていいよ。じゃあね」

 

「えぇっ!?ちょ、ちょっと待ってくださいよ~!って、壁を走ってるー!?」

 

ああいう相手になら、とりあえず押し付けておけば使うなり保管しておくなりするだろうからな。俺は相手の返事を待たずにさっさとその場から立ち去って集合場所へと向かっていった…。




今回はタッグフォースキャラの一人である宮田ゆまとのタッグデュエルでした。

一般人&常識人枠っぽい彼女にとって、オリ主はどういう存在に見えたのか…。

今回、オリ主のデッキは【BK(バーニングナックラー)】と呼ばれるZEXALで登場したデッキテーマです。

宮田ゆまが使用したのはTF3で使用していた【次元斬】と呼ばれる除外デッキです。

敵モブキャラは【天空の聖域】デッキの派生です。

宮田ゆまはTF4以降は【E・HERO】デッキを使います。彼女の強化案としては、そのまま【E・HERO】だと十代や響紅葉と被るので、ダークロウゆまになって貰いました。

次回の更新は1/27(水) AM8:00予定です。

魚肴様、メイン弓様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十五話 幕間:白河クロトの打ち合わせ

現状の中間報告会です。

デュエルはありません。


8月2日夕方。デュエルアカデミア・アメリカ校内にある喫茶店へと再び集まった俺達。それぞれのエリアで破滅の光の手下を倒し、破滅の光が宿ったカードを入手したのは通信機での連絡で知ってはいるのだが、会って話した方が新たな発見があるかも知れないだろ?

 

「今日の目標であるターゲット集団は全て撃破して、その全てのデュエリスト達が所持していたのがこの【天空の聖域】のカードなわけだが…」

 

今、俺の手元には合計12枚の【天空の聖域】が握られている。もちろん専用のカードケースに入れて魔力を抑えている状態でだ。剥き出しのまま12枚も持ったらオカルト耐性がついた俺でも一発アウトで洗脳されるだろう。おお、怖い怖い。

 

「それで、何か分かったの?」

 

もったいぶる俺に明日香が急かすように問う。

 

「これら全てのカードから漏れ出る魔力の波長は全て同じだと思う」

 

「なるほど。つまり、これらのカードは全て同一人物によってばら撒かれた可能性が高いってわけね」

 

「そして、その人物が今回の事件の主犯格だろうね」

 

「では残りの解決すべき問題は、①主犯格の正体とその目的、②主犯格の現在位置、③他に同じようなカードを所持している人間がいるか、この辺りだろうか」

 

『…校長の精霊の件もある』

 

明日香、吹雪、亮がそれぞれ簡単に話をまとめてくれた。頭が良い連中が集まると話が早くて助かるな。

 

「おい、お前」

 

そして、レインの言う通り、Mr.マッケンジーに憑りついているトラゴエディアの件もある。こちらに関しては明日香たちには伝えていないんだけどな…。

 

「おい、聞いているのかそこのチビ」

 

アメリカで起こる破滅の光の事件について、原作設定を考慮するならばまず疑わしいのはDDだ。だが、彼は原作だと破滅の光が宿った【D-HERO Bloo-D】のカードを殆ど使用していないはずだ。この世界でのプロリーグでの試合記録を確認しても【D-HERO Bloo-D】が使用されたデュエルは一度もなかったらしい。

 

ずっと所持していることを隠しているカードを、あんな大人数を洗脳するために使用するか?破滅の光で洗脳するためには、Dr.ドクトルがやっていたように破滅の光が宿ったカードを洗脳対象に見せる、もしくは触れさせる必要があるはずだ。そんなことをしていたら、【D-HERO Bloo-D】を所持していることがバレる可能性が高くなるだろう。

 

「おい!無視をするな貴様!」

 

何かを見落としている気がする。そもそも前提条件が間違っているのか?原因、犯人、手段…それとも他に何か見落としが…。

 

「おい!いい加減にしろ!!」

 

「うるっせぇな!さっきからよぉ!誰だよお前ぇ!」

 

なんだか面倒くさそうな状況になりそうな人物が居るので放置していると、その人物が騒ぎ始めて考え事どころじゃなくなってきた。目の前の彼とはハノイの騎士としては何度か会っているが、白河クロトとしては初対面なのでそれらしい対応をしておく。

 

「合流した時に教えたじゃない。私たちと同じく、アメリカ校に留学に来ている万丈目君よ」

 

「明日香の同期で、アカデミア校内の成績も常にトップ5に入るオベリスクブルーの生徒だそうだよ」

 

明日香と吹雪が改めて説明してくれる。うん、一応聞いてたんだけどさ。

 

「そのオベリスクブルーの万丈目君が、何でここに居るんだ?」

 

「それも話していただろう。我々に協力してくれるそうだぞ」

 

亮が呆れながら二人の話の補足をしてくれる。うん、それも聞いてたけどさ…。

 

「貴様ぁ、もう許さん!白河クロトと言ったな?オレとデュエルしろ!」

 

散々無視したせいでとうとう万丈目がキレてしまったようだ。デュエルディスクを構えてやる気満々だ。

 

『…どうするの?』

 

とうとうレインにもせっつかれてしまった。お前の問題だろ?早く何とかしろよ?みたいな呆れたような視線が送られてくる。君、最近特に表情豊かになったね…。

 

確かにこれ以上放置しても、わざわざ相手しても、どちらにしても今日はこれ以上の話は無理そうだし、話の相手をした方がいいかな。デュエルはやってもいいんだけど、勝っても負けても話が進まなさそうだしなぁ。

 

~~~

 

万丈目に破滅の光に関する情報を伝える。もちろん、明日香たちに伝えた情報と同レベルくらいまでだ。

 

「なるほど、ハートランドシティで起こったテロ事件にはそんな真相があったのか…」

 

「そ。今回の事件はハートランドシティで起こった事件に関わりがありそうだからな。だから俺が解決役に呼ばれたわけだ」

 

万丈目は決して馬鹿ではない。むしろ優秀な部類だ。ちゃんと説明すればキッチリ理解してくれる。

 

「だから、何故そこで貴様なのだ!今の話をまとめると、ハートランドシティの件はハノイの騎士とその一味が元凶の大本を解決したのだろう?ならハノイの騎士を呼べばいいではないか!」

 

「「「…」」」

 

明日香、吹雪、亮が察したような視線をこちらに送る。そう、この件をしっかり説明しきるには、俺がハノイの騎士であることまでちゃんと説明しないといけないんだよな。一応、正体を隠してるんだぜ?言えるわけないじゃん。

 

「ハノイの騎士は別件で忙しいらしいからな。本人から俺が代理を頼まれたんだ」

 

「ハノイの騎士が出張るような事件に、お前のようなチビに代理が務まるのか?そもそも、本当にお前がハノイの騎士に代理を頼まれたのかも怪しい」

 

…腹パンして、顔だけ残して首から下を地面に埋めてやろうか?それとも、もう面倒だから正体を明かすか?いや、多分明かしたとしても信じないだろうなぁ。…ん?待てよ?

 

「オジャ万丈目君はしつこいなぁ」

 

「誰がオジャ万丈目君だ!…お前、どうしてその呼び名を…!」

 

「ハノイから聞いたよ。これで納得したかい?」

 

「…納得はしていないが、ここは引いてやる」

 

とりあえず追及はこれで終わりのようだ。いやぁ、会う度におちょくって呼んでいたアダ名がこんな風に役立つとは思わなかったなぁ。

 

~~~

 

結局、万丈目を説得するのに随分時間がかかってしまい、明日以降の方針を決めるだけで夜になってしまった。響紅葉に会いに行くのはまた明日だな。

 

「つまり、明日以降は私達だけで見回りをすればいいわけね」

 

「そうだ。表立って動いていた連中は今日の時点で全員捕まえた。他にも破滅の光のカードを所持する人間が居るのであれば、渡してあるネックレスが反応してくれるだろう」

 

「あとは人海戦術しかないわけだね」

 

「そして、その間にお前はもう1組の情報提供者と会って話を聞くわけか」

 

「ふん、今日のような連中ならオレ一人でも十分だ。貴様が担当していた分はオレが代わりに担当しておいてやろう」

 

明日香からの問いを返せば、吹雪、亮、万丈目が話を補足する。話が早くて助かる。ちなみに万丈目にも予備のネックレスを渡してある。魔力は既に【光と闇の竜】に込めてあるから問題ない。

 

「言うまでもないと思うが、油断はしないように。あと、一人で行動しないようにな」

 

「えぇ、分かっているわ」

 

「そうだね。ボクは引き続き明日香と行動することにするよ」

 

明日香と吹雪は、ノースエリア→イーストエリア→サウスエリアと見回った後にこの喫茶店へ戻ってくるルートを巡回するようだ。

 

「ならオレは万丈目と一緒に行動しよう」

 

「宜しくお願い致します。カイザー亮」

 

亮と万丈目は、サウスエリア→ウエストエリア→ノースエリアと見回った後にこの喫茶店へ戻ってくるルートを巡回するようだ。

 

『私は、貴方と一緒に行動する』

 

『姿を隠したいのなら、俺が持っているバリアン変装セットを貸そうか?』

 

『要らない』

 

俺とレインは、響紅葉に会って事件についての情報共有を行うつもりだ。恐らく一緒に行動しているであるレジー・マッケンジーにも会うことになるだろう。

 

『響紅葉との話が終わったら、一度校長に会うのも手』

 

『そうだな。一応、進展はあったわけだからな』

 

Mr.マッケンジー本人がどれくらい知っているのかは分からんが、恐らくトラゴエディアはこの件について何かを知っている気がする。何となくだが、俺達の実力を試しているような気がする。あちらにも早めに話を聞いておくべきだろう。原作だと、確かトラゴエディアがMr.マッケンジーの前に憑りつけていた人物こそエド・フェニックスの父親、つまり破滅の光に関する最重要人物だからな…。

 

そして、今後の方針が決まったので、俺とレインは、明日香、吹雪、亮、万丈目と別れ、ホテルのそれぞれの部屋で明日に備えて眠りにつくのだった…。




明日香、吹雪、亮に続いて万丈目が合流しました。合流はしましたが、万丈目はこの章では特にデュエルすることはありません。

破滅の光の設定に関しては、アニメGX本編でも曖昧な部分が多く、本作オリジナル設定っぽいことになって行っています。情報タグに『独自解釈』や『独自設定』や『原作崩壊』タグをつけるべきか迷ってます。

そして次は漫画版GXの登場人物との話になります。

次回の更新は1/30(土) AM6:00予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十六話 レジー・マッケンジー

今回からは漫画版GXの登場人物がちらほら増えてきます。

早速、レジー・マッケンジー戦です。


<クロト視点>

 

8月3日早朝。俺は、海馬コーポレーションが用意した最高級のホテルの1室で、これまた最高級の布団を堪能していた。備え付けの冷蔵庫の中身はホテルの受付さんに頼んで緑茶と麦茶に変えて貰った。

 

「バニー!」

 

「グェッ」

 

昨日で味を占めたのか、またもやバニーラが腹部にダイブしてきた。楽しそうで何よりだ。可愛いから許す。

 

「リューン!」

 

「ブブッ」

 

今度はプチリュウが人の顔にシッポを軽く叩きつけてきた。地味に痛い。こちらも微笑ましいから許す。

 

「はぁ、とりあえず起きるか」

 

「バニー♪」

 

「リューン♪」

 

布団から這い出て服を着替える。バニーラとプチリュウは小型化して俺の両肩にそれぞれが乗る。いや、歩きづらいんだが…。

 

「ウノですな」

 

「じゃあドロー4だね」

 

「ワイトもですぞ」

 

「ワイトもですぞ」

 

「…」

 

相変わらずUNOをしているキーメイスとワイト3体。ウノ状態のワイトに対し、無慈悲なドロー4が繰り出されているように見えたが気のせいだろう。

 

「…そこだな、メカレオン?」

 

「むむ、ボクの光学迷彩を見破るとは…成長したねクロト」

 

ホテルの部屋の出入り口の扉に張り付いたメカレオンの擬態を見破る。正確には見破ったわけではないけどさ。

 

「姿や形、匂いも全く見えなかったけど、魔力だけは完全に隠せなかったみたいだな」

 

「なるほど、盲点だったね。今後の改善案とさせてもらうよ」

 

そう言うと、メカレオンは実体化を解除して姿を消した。結構悔しかったようだ。

 

「ふはははっ、王手ですなぁ」

 

「ふぁっ!?MASAKI、待ったじゃ!」

 

「待ったはもう4回目。出来ない相談ですなぁ」

 

「ぐぬぬ」

 

俺が冷蔵庫から麦茶を取り出して飲んでいると、備え付けのテーブルで斬首の美女と伝説の剣豪MASAKIは将棋をしていた。何処からその将棋盤と駒を取り出したんだよ。

 

「さて、そろそろ行くか」

 

「バニー♪」

 

「リューン♪」

 

俺は朝食を食べる為にホテルのロビーへと向かった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

同日朝、俺はデュエルアカデミア・アメリカ校内にある、アメリカ校の本校舎に向かう途中にある巨大な競技場へとやってきていた。

 

「遅い」

 

「遅くない。集合時間15分前だろ」

 

競技場の入り口付近にはレインが待っていた。遅いって、何時から待っていたのやら。さて、響紅葉には事前に連絡を入れていたのでこの中に居ると思うけど…。

 

『クリクリ~』

 

「ん?あれは…」

 

競技場に入ると、白い体に白い羽根を付けたクリボーに酷似した精霊が頭上を飛んでいた。

 

「あぁ!それってハネクリボー?」

 

「…何を言ってるの?」

 

ちょっとボケただけなのにこの反応よ。やはりこの話術は宝玉獣使いにしか使いこなせないのかもな。

 

ところでレイン?いい加減、馬鹿なの?みたいな視線でこちらを見るのを止めてくれませんかねぇ。

 

「よう、クロト!久し振りだな!お前も相棒が見えるようになったんだな!」

 

「お久し振りです。響さん。色々ありましてね。あと、初めまして、ハネクリボー」

 

『クリクリ~♪』

 

相変わらず赤い服を着ている響紅葉と挨拶を交わす。その横には白いハネクリボーが飛んでいる。初めて会った時が確か10歳くらいだから、直接会うのは4年ぶりだ。ちなみに、直接会わずとも時々連絡は取りあっており、ハノイの騎士が俺であることは知らせてある。

 

それにしても、響紅葉の相棒である精霊ハネクリボーか。以前から多分響紅葉の近くに居たんだろうけど、響紅葉と初対面の時は魔力が低すぎて見えてなかったんだよな。精霊のカードを認識出来るようになってから見るのは初めてになるが、トラゴエディアが言っていた通り白い体をしている。漫画版のストーリーでは、古代エジプト時代に白い体がOCG版のカードイラストの様に黒くなったはずなんだが…。

 

「お前が無茶苦茶な奴なのは前から知っているつもりだったけど、ハートランドシティでの一件には驚いたぜ!」

 

「そちらも色々と事情がありましてね」

 

爽やかな笑みを浮かべながら笑う響紅葉。恐らくだが、遊城十代がユベルと融合せずにそのまま成長していったならこんな好青年になるのだろう。

 

「ん?そっちの子は?」

 

「…レイン恵」

 

「今回の事件の解決のために、俺の協力者をしてもらってます」

 

レインの存在に気付いた響紅葉にレインが名乗る。一応、協力者であることも補足しておく。

 

『コウヨウ!そろそろ私の紹介もして欲しいのだけれど?』

 

『あぁ、すまんなマック』

 

響紅葉の後ろから、小さめの白い帽子を被り真っ白な服を着た金髪の少女が現れた。俺の記憶にある姿よりも少し幼いが、漫画版GXに登場するレジー・マッケンジーだろう。そういえば、関係ないだろうけど前世には同名のアメフト選手が居たな。

 

「クロト、レイン。こちらはレジー・マッケンジー。アメリカ校の校長であるMr.マッケンジーの娘さんだ」

 

『よろしくね二人とも』

 

『よろしく頼む』

 

『…よろしく』

 

やはりレジー・マッケンジーだったようだ。そして、それぞれ挨拶を交わしたので、そろそろ本題に入りたい。

 

「響さん、そろそろ本題に移ってもいいですか?」

 

「あぁ、カード白紙事件の件だな。そのことなんだが…」

 

『ねぇ、クロト。まずは貴方の実力を試させてもらえないかしら?』

 

俺が話を切り出すと、響紅葉が微妙にバツの悪そうな顔をしたかと思えば、レジー・マッケンジーがなにやら雲行きの怪しげな発言をした。

 

『デュエルか、いいぞ。俺とマッケンジーで1対1でいいな?』

 

『OK。じゃ、決まりね。こっちよ、付いて来て』

 

そう言うと、レジー・マッケンジーは競技場の中央へと向かう。そこでデュエルをしようと言うのだろう。

 

「悪いな、クロト。マックがどうしても腕試ししておきたいって言うからさ…」

 

「なんとなく、こういう展開もあるかと思っていましたので問題ありませんよ」

 

響紅葉が困った顔で謝ってくるが、この世界では話し相手がデュエリストの場合だとなんだかんだと理由を付けてデュエルを挑まれるのは良くあることなのだ。

 

小学校時代に給食のプリンの余りを掛けてデュエルしたり、道を歩いていて目があったらデュエルを挑まれたり、学校帰りに不良に因縁を付けられてデュエルを挑まれたりな。ある意味では平和な世界だ。

 

「クロト、私たちは観客席で見てる。負けないように」

 

「分かってるよ」

 

レインが釘を刺してくるが、オカルトパワーもインチキドローもギャンブルパワーもない使用デッキの分かっている相手に後れを取るつもりはない。

 

 

レジー・マッケンジー。先ほど響紅葉から紹介が合った通り、アメリカ校の校長であるMr.マッケンジーの娘である。

 

漫画版GXの登場人物であり、使用デッキは【天使族】。漫画版では特別な意味を持つプラネットシリーズの1枚である【The splendid VENUS】を持つ少女だ。

 

登場当時はカードの精霊であるトラゴエディアに父の人格を乗っ取られて、トラゴエディアの操り人形となっていた。その時の彼女は冷静沈着で合理的な性格であり、デュエルの腕も高い。

 

幼い頃に闇のゲームで響紅葉と戦い、成長後はデュエルアカデミアで天上院明日香を破っている。三沢大地にも実質的には勝利していたが、後の展開を考えてワザと敗北するような行動も取っていたりする。

 

 

ちなみに、仲のいい人物からの愛称は『マック』だったはずだ。現に響紅葉がそう呼んでるしな。由来はファミリーネームのマッケンジーからだろうか。海外の愛称の付け方はよく分からないな。

 

この世界の彼女はプラネットシリーズを所持していないだろうし、持っていても正直そこまで脅威ではない。今回はどんなデッキで行こうかな…。最近は儀式とエクシーズを使ったから、融合かシンクロか。たまにはペンデュラムでもいいな…。

 

俺はそんなことを考えながら、レジー・マッケンジーの後を追って競技場の中心へと向かった。

 

~~~

 

<紅葉視点>

 

観客席に移動して席に座った俺は、クロトとマックのデュエルを観戦していた。少し離れた席で、クロトの協力者である銀髪の少女レイン恵も座って観戦している。

 

『「対戦、よろしくお願いします」』

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。って、クロトが言ってたっけ。

 

『「デュエル!」』

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆レジー・マッケンジー LP:4000

 

 

『先攻はこちらが貰うわ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

レジー・マッケンジー 手札:5→6枚。

 

『私は手札から【ヘカテリス】を墓地に送って効果発動!自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「神の居城-ヴァルハラ」1枚を手札に加える!』

レジー・マッケンジー 手札:5→6枚。

 

『私は手札から永続魔法【神の居城-ヴァルハラ】を発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動と処理ができる!私は手札から【アテナ】を特殊召喚!』

レジー・マッケンジー 手札:5→4枚。

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

アテナ ★7 ATK2600

 

出たな、マックの切り札である【アテナ】。あのモンスターに立たれると面倒なんだよな。

 

『【アテナ】か。確か、1ターンに1度、【アテナ】以外の自分フィールドの表側表示の天使族モンスター1体を墓地へ送り、「アテナ」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として特殊召喚する効果。それに、【アテナ】が既にモンスターゾーンに存在する状態で【アテナ】以外の天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合に相手に600ダメージを与える効果の2つを持つモンスターだったか』

 

『あら、コウヨウの言った通り、デュエルモンスターズに関する知識は豊富のようね。でも、それだけじゃ私には勝てないわ!』

 

やっぱりクロトは【アテナ】の効果も把握しているか。一体、あの年齢でどれだけの知識を持っているんだろう。

 

『それはやってみればわかるさ』

 

『それもそうね。私は手札から【勝利の導き手フレイヤ】を召喚!自分フィールド上に「勝利の導き手フレイヤ」以外の天使族モンスターが表側表示で存在する場合、このカードを攻撃対象に選択する事はできない。このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に表側表示で存在する天使族モンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップする!』

レジー・マッケンジー 手札:3枚。

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

アテナ ★7 ATK2600 → 3000

勝利の導き手フレイヤ ★1 ATK100 → 500

 

『そして【アテナ】の効果発動!【アテナ】が既にモンスターゾーンに存在する状態で【アテナ】以外の天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合に相手に600ダメージを与える!』

 

「ぐぅっ!」

クロト LP:4000 → 3400

 

『私は手札から永続魔法【コート・オブ・ジャスティス】を発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。自分メインフェイズに発動できる。手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は自分フィールドにレベル1の天使族モンスターが存在する場合に発動と処理ができる!私は手札から【光神テテュス】を特殊召喚!』

レジー・マッケンジー 手札:2→1枚。

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

アテナ ★7 ATK3000

勝利の導き手フレイヤ ★1 ATK500

光神テテュス ★5 ATK2400 → 2800

 

『そして【アテナ】の効果発動!【アテナ】が既にモンスターゾーンに存在する状態で【アテナ】以外の天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合に相手に600ダメージを与える!』

 

「くっ!」

クロト LP:3400 → 2800

 

『私はカードを1枚伏せてはこれでターンエンドよ!』

レジー・マッケンジー 手札:0枚。

 

 

◆白河クロト LP:2800、手札:5枚。

 

VS

 

◆レジー・マッケンジー LP:4000、手札:0、伏せカード:1、永続魔法:2

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

アテナ ★7 ATK3000

勝利の導き手フレイヤ ★1 ATK500

光神テテュス ★5 ATK2800

 

 

この状況だけ見るとレジーが大量展開を決めて優位に見える。伏せカードは恐らく攻撃反応型。多分ミラーフォース辺りだな。

 

「クロトはこの状況を打開できるかな?」

 

「問題ない」

 

オレの独り言に対して、隣に座っていたレイン恵が律儀に言葉を返してくる。

 

「クロトを倒すのは、私」

 

表情を変えずにそう宣言するレイン恵。どうやら、クロトは色んな人たちに発破をかけているようだな。本人は無意識なんだろうけどさ。

 

 

『俺のターンだな。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

白河クロト 手札:5→6枚。

 

さて、オレとデュエルしたときは儀式デッキ使いだったが、ハノイの騎士は様々なデッキを使うことで有名だ。今回はどんなデッキを使うんだろうな。

 

『俺は手札から【電脳堺姫-娘々】を召喚!』

白河クロト 手札:5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500

 

なんだあのモンスターは?【電脳堺姫-娘々】?サイキック族は珍しいし、全く知らないモンスターだな。レイン恵を見ると彼女は食い入るようにデュエルを見ている。恐らく彼女も知らないモンスターなのだろう。

 

『俺は手札のチューナーモンスター【電脳堺媛-瑞々】の効果発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「電脳堺」カード1枚を対象として発動できる。そのカードとは種類(モンスター・魔法・罠)が異なる「電脳堺」カード1枚をデッキから墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。その後、対象のカード及び墓地へ送ったカードとは種類が異なる「電脳堺媛-瑞々」以外の「電脳堺」カード1枚をデッキから手札に加える事ができる。このターン、自分はレベルまたはランクが3以上のモンスターしか特殊召喚できない』

 

『俺はフィールドのモンスターカード【電脳堺姫-娘々】を対象として、デッキから【電脳堺姫-娘々】とはカード種類が異なる永続魔法【電脳堺門-青龍】を墓地に送り、【電脳堺媛-瑞々】を特殊召喚する!その後、【電脳堺姫-娘々】と【電脳堺門-青龍】とはカード種類が異なる永続罠【電脳堺門-玄武】を手札に加える!』

白河クロト 手札:5→4→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500

電脳堺媛-瑞々 ★3 DEF600 ※チューナー

 

『俺は墓地の【電脳堺門-青龍】を除外して効果発動!墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「電脳堺」モンスター1体を手札に加える。その後手札を1枚選んで墓地へ送る。俺はデッキから【電脳堺悟-老々】を手札に加えて、手札の【電脳堺門-玄武】を墓地に送る!』

白河クロト 手札:5→6→5枚。

 

『俺はレベル3【電脳堺姫-娘々】にレべル3【電脳堺媛-瑞々】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル6!【電脳堺獣-鷲々】!』

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺獣-鷲々 ★6 ATK2400

 

今回のデッキはシンクロ召喚デッキか!それにしてもなんとも複雑なデッキだな。

 

『俺は手札のチューナーモンスター【電脳堺悟-老々】の効果発動!このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「電脳堺」カード1枚を対象として発動できる。そのカードとは種類(モンスター・魔法・罠)が異なる「電脳堺」カード1枚をデッキから墓地へ送り、このカードを特殊召喚する。その後、墓地へ送ったカードとはカード名が異なる「電脳堺」モンスター1体を自分の墓地から選んで効果を無効にして守備表示で特殊召喚できる。このターン、自分はレベルまたはランクが3以上のモンスターしか特殊召喚できない』

 

『俺はフィールドのモンスターカード【電脳堺獣-鷲々】を対象として、デッキから【電脳堺獣-鷲々】とはカード種類が異なる永続罠【電脳堺門-朱雀】を墓地に送り、【電脳堺悟-老々】を特殊召喚する!その後、墓地に送ったカードとカード名が異なる【電脳堺姫-娘々】を効果を無効にして守備表示で特殊召喚!』

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺獣-鷲々 ★6 ATK2400

電脳堺悟-老々 ★6 DEF2400 ※チューナー

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500

 

『俺はレベル3【電脳堺姫-娘々】にレべル6【電脳堺悟-老々】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル9!【灼銀の機竜】!』

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺獣-鷲々 ★6 ATK2400

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

 

『俺は墓地の【電脳堺門-玄武】を除外して墓地の【電脳堺媛-瑞々】を対象に効果発動!自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「電脳堺」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。その後、手札を1枚選んで墓地へ送る!』

白河クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺獣-鷲々 ★6 ATK2400

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

電脳堺媛-瑞々 ★3 DEF600 ※チューナー

 

『このタイミングで俺は墓地の【電脳堺姫-娘々】の効果発動!このカードが墓地に存在し、自分フィールドにレベル3モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードはチューナーとして扱い、フィールドから離れた場合に除外される。このターン、自分はレベルまたはランクが3以上のモンスターしか特殊召喚できない!』

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺獣-鷲々 ★6 ATK2400

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

電脳堺媛-瑞々 ★3 DEF600 ※チューナー

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500 ※自身の効果によりチューナー扱い。フィールドから離れた場合に除外。

 

『俺はレベル6【電脳堺獣-鷲々】にレべル3【電脳堺媛-瑞々】をチューニング!電脳界の都九竜を守護せし最高神!!九つの箒星焔光を宿して九尾を得ん!!シンクロ召喚!現れよレベル9!【電脳堺狐-仙々】!』

 

<白河クロトのフィールド>

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500 ※自身の効果によりチューナー扱い。フィールドから離れた場合に除外。

電脳堺狐-仙々 ★9 ATK2800

 

『【電脳堺狐-仙々】の効果を説明しておく。①フィールドから墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。②1ターンに1度、自分のモンスターの攻撃宣言時に発動できる。除外されている自分または相手のモンスター1体を選んで墓地に戻す。③1ターンに1度、このカード以外の、元々の種族・属性が異なるモンスター2体を自分の墓地から除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない』

 

フィールドに存在しているだけでフィールドから墓地へ送られるカードを除外する効果も厄介だが、他の二つの効果もかなり厄介なモンスターだ!

 

『俺は【灼銀の機竜】の効果発動!1ターンに1度、自分の手札・墓地及び自分フィールドの表側表示モンスターの中からチューナー1体を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。俺は墓地の【電脳堺媛-瑞々】を除外して、そちらの伏せカードを破壊する!』

 

『くっ!』

レジー・マッケンジー 伏せカード:1→0

 

やはり伏せカードは【聖なるバリア -ミラーフォース-】だったようだな。

 

『俺は墓地の【電脳堺門-朱雀】を除外してフィールドの【電脳堺狐-仙々】を対象に効果発動!自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの「電脳堺」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルまたはランクをターン終了時まで3つ上げる、または下げる。俺はレベル9【電脳堺狐-仙々】のレベルを3下げてレベル6にする!』

 

<白河クロトのフィールド>

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

電脳堺姫-娘々 ★3 DEF1500 ※自身の効果によりチューナー扱い。フィールドから離れた場合に除外。

電脳堺狐-仙々 ★9→6 ATK2800

 

『俺はレベル6となった【電脳堺狐-仙々】にチューナー扱いとなっているレべル3【電脳堺姫-娘々】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル9!【浮鵺城】!』

 

<白河クロトのフィールド>

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

浮鵺城 ★9 DEF3000

 

『フィールドから離れた【電脳堺姫-娘々】は自身の効果により除外される。そして、このカードが除外された場合、このカード以外の除外されている自分のカード1枚を対象としてそのカードをデッキに戻す効果があるが、俺はこの効果を使わない』

 

『そして、シンクロ召喚された【浮鵺城】の効果発動!このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のレベル9モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地の【電脳堺狐-仙々】を特殊召喚する!』

 

<白河クロトのフィールド>

灼銀の機竜 ★9 ATK2700

浮鵺城 ★9 DEF3000

電脳堺狐-仙々 ★9 ATK2800

 

『俺はレベル9【灼銀の機竜】と【浮鵺城】でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク9【真竜皇V.F.D.】』

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺狐-仙々 ★9 ATK2800

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2

 

エクシーズ召喚!?シンクロ召喚するデッキじゃなかったのか!?しかも、これまでの展開で手札を殆ど消費していない!?

 

『【真竜皇V.F.D.】の効果を説明しておく。①1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。②このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる』

 

『俺は手札から魔法カード【電脳堺都-九竜】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから「電脳堺門」カード1枚を自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。俺はデッキから永続罠【電脳堺門-朱雀】を表側表示で置く!』

白河クロト 手札:4→3枚。

 

『そして【電脳堺狐-仙々】の効果により【電脳堺都-九竜】は墓地に送られずに除外される』

 

『俺は、永続罠【電脳堺門-朱雀】の効果発動!フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。除外されている自分の「電脳堺」カード2枚を選んでデッキに戻す(同名カードは1枚まで)。その後、対象のカードを破壊する』

 

『そちらの【勝利の導き手フレイヤ】を対象にして、除外されている【電脳堺門-青龍】と【電脳堺門-玄武】を選んでデッキに戻し、その後、【勝利の導き手フレイヤ】を破壊する!』

 

『フレイヤが破壊された!?』

 

『それだけはない。【電脳堺狐-仙々】の効果により【勝利の導き手フレイヤ】は墓地に送られずに除外される』

 

『そんな…』

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

アテナ ★7 ATK3000 → 2600

光神テテュス ★5 ATK2800 → 2400

 

『バトルフェイズへ移行!【電脳堺狐-仙々】で【アテナ】を攻撃!攻撃宣言時、【電脳堺狐-仙々】の効果により除外されている【電脳堺姫-娘々】を墓地に戻す』

 

電脳堺狐-仙々 ★9 ATK2800

vs

アテナ ATK2600

 

『あぁぁっ!』

レジー・マッケンジー LP:4000 → 3800

 

『【電脳堺狐-仙々】の効果により【アテナ】は墓地に送られずに除外される』

 

『なんてこと…【アテナ】が…』

 

『バトルフェイズを継続する!【真竜皇V.F.D.】で【光神テテュス】を攻撃!』

 

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000

vs

光神テテュス ATK2400

 

『くぁぁっ!』

レジー・マッケンジー LP:3800 → 3200

 

『【電脳堺狐-仙々】の効果により【光神テテュス】は墓地に送られずに除外される』

 

『【光神テテュス】まで除外されるなんて…』

 

『メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚伏せてターンエンド』

白河クロト 手札:1枚。伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:2800、手札:5枚、伏せカード:2、永続罠:1

 

<白河クロトのフィールド>

電脳堺狐-仙々 ★9 ATK2800

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2

 

VS

 

◆レジー・マッケンジー LP:3200、手札:0、伏せカード:0、永続魔法:2

 

<レジー・マッケンジーのフィールド>

モンスター無し

 

 

なんてデッキだ…。あれだけ並んでいたマックのフィールドのモンスターが全滅し、しかも除外されている。そして、相手ターンに効果を発動できるあのエクシーズモンスターと永続罠…。気の毒だが、このデュエルでマックに勝ち目はないだろう。

 

「…」

 

ふとレイン恵の方を見ると、やはり一瞬も目を離さないようにデュエルを見続けている。彼を倒すつもりならば、このデッキと相対することもあるだろう。オレならこのデッキにどう対応する?…どう対応すればいいんだ?

 

 

『わ、私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行』

レジー・マッケンジー 手札:0→1枚。

 

『俺はこのタイミングで【真竜皇V.F.D.】と永続罠【電脳堺門-朱雀】の効果を発動する』

 

『え、えぇ。どうぞ…』

 

『永続罠【電脳堺門-朱雀】の効果発動!そちらの永続魔法【神の居城-ヴァルハラ】を対象にして、除外されている【電脳堺媛-瑞々】と【電脳堺門-朱雀】を選んでデッキに戻し、その後、【神の居城-ヴァルハラ】を破壊する!』

 

『【神の居城-ヴァルハラ】が…』

レジー・マッケンジー 永続魔法:2→1

 

『【電脳堺狐-仙々】の効果により【神の居城-ヴァルハラ】は墓地に送られずに除外される』

 

『そして【真竜皇V.F.D.】の効果発動!ORUを一つ取り除き、闇属性を宣言する。フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない』

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2→1

 

『…私はこのデュエル、サレンダーするわ』

レジー・マッケンジー LP:3200 → 0

 

『分かった』

 

 

『「対戦、ありがとうございました」』

 

オレもプロリーグの順位が10位以内に入ったことを喜んでいるだけじゃ駄目だな…。

 

『クリクリ~!』

 

「相棒、励ましてくれるのか。ありがとうな」

 

流石は相棒。オレのことをよく分かってるな。そう、オレはこのデュエルで彼の実力に戦慄したのだ。もし彼とデュエルしていたのがマックではなくオレであっても惨敗しただろう。

 

彼に比べれば、俺はまだまだ弱い。将来、彼のようなデュエリストがプロリーグに現れた時に対等に戦えるよう、もっと強くならないと…!

 

~~~

 

<クロト視点>

 

彼女のデッキがこの時代のデッキでは強めだとは言え、【電脳堺】デッキを使うのはやりすぎたかな?まだ【電脳堺凰-凰々】とか【電脳堺甲-甲々】とか【電脳堺龍-龍々】とか、色々と出したいモンスターも居たんだけどなぁ。

 

『これで実力を示せたかな?』

 

『えぇ、完敗だわ。クロト』

 

なんとか彼女の信頼は得られたようだ。早く事件を解決しないといけないんだが、レジー・マッケンジーとは初対面だしな。こういう寄り道も仕方ないだろう。

 

『とりあえず、君にはこれらのカードを渡しておこうかな?恐らく君なら俺よりも使いこなしてくれると思うからね』

 

『えっ、カードをくれるの?…これは、【The splendid VENUS】?それに、天使族のサポートカードね…サンキュー、クロト!』

 

プラネットシリーズは何となく原作で所持していたデュエリストに持っていて欲しいからな。俺が持っていても多分使わないしな…。

 

「お疲れマック、クロト。見事なデュエルだったな」

 

「…お疲れ」

 

ちょうど観客席から響紅葉とレインが降りてきたようだ。さて、いよいよこれからが本題だ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

響紅葉とレジー・マッケンジーから、彼らが集めた情報を聞くことが出来た。結論から言うと、あまり新しい情報は得られなかった。ただ…。

 

「端的に纏めると、Mr.マッケンジーは、今回の事件が起こることを予見していた、と言うことですか…」

 

「あぁ、事件が起こり始める数か月前からオレに連絡をしてきて、『7~8月頃に頼みたい仕事がある』なんて言われていたよ。詳細は時期が近づいてから話すなんて言われたから、当時は受けるかどうか迷ったんだよな」

 

なんだそりゃ。滅茶苦茶怪しいじゃん。そんな仕事、良く受けたな。

 

「そして、いざここにやって来たら、今回の件の解決を依頼された、と」

 

「その通りだ。Mr.マッケンジーとはもう7~8年ほどの付き合いになる。当時から色々と便宜を図って貰ったりして世話になっていたからな。力になりたいとは思っているんだがな…相棒の存在にも以前から気付いていたみたいだし、何かを知っていて、何かを隠しているのことは確実だと思う」

 

『クリクリ~』

 

8年前か、ちょうど俺がこの世界に転生してきた頃に近いな。そして、カードデザイナーであるフェニックス氏の殺人未遂事件の発生時期にもかなり近い。これは偶然なのだろうか?

 

『マッケンジーからは、Mr.マッケンジーに何か聞けなかったのか?』

 

『今回の事件について私から父に問いただしてみても『お前には何も教えられない』の一点張りなのよ。事件の調査をしたいって言っても、なかなか折れてくれなくて、許可する条件として、期間は8月中で、その間はコウヨウと一緒に行動することだったのよ』

 

「なるべく娘を巻き込みたくない…ということでしょうか?」

 

「そうかもしれない。Mr.マッケンジーはマックを大切にしていることはオレが長年見てきたから間違いないと思う。今回、マックと一緒に行動しているのも、彼女が1人で事件の調査を始めようとしたから、それを抑制するためにオレと行動させたんだと思っている」

 

やはりMr.マッケンジーは本人の意思が残っていると考えていいだろう。ならば、トラゴエディアと行動を共にしている理由はなんだ?…一度、漫画版GXのトラゴエディアの設定を思い出してみよう。

 

 

トラゴエディア。古代エジプトの時代、アクナディンによって滅ぼされたクル・エルナ村出身の占星術師の男が、クル・エルナ村で行われた惨劇を知り、その憎悪により自身の心に宿した邪悪な魔物(カー)である。

 

その邪悪な魔物の力の源である心臓を白き羽の精霊【ハネクリボー】に取り込まれ、神官達に石版へ封印された。この時、白き羽の精霊【ハネクリボー】はトラゴエディアの心臓を取り込む際、トラゴエディアの憎悪の影響により体が黒く変色している。

 

封印から約3000年間はエジプトの神殿の地下深くに眠る石板に封印されていたが、現代になって遺跡発掘が原因で封印が解けて復活。遺跡発掘に訪れていた探検家の体を、人間に憑依する能力を使用して意識を乗っ取ることに成功する。

 

その後は、カードデザイナーであるフェニックス氏に憑依してプラネットシリーズを創造した後にフェニックス氏を殺害、アメリカ・デュエル・アカデミアの校長、Mr.マッケンジーに憑依して自身の完全復活と白き羽の精霊【ハネクリボー】の抹消のために暗躍を始める。

 

生命力を収集する力を持つプラネットシリーズを様々なデュエリストに持たせ、後に回収することで力を得て完全復活を遂げるが、最終的には遊城十代と万丈目準に破れ、「マアトの羽」の力を宿す白き羽の精霊【ハネクリボー】と、【ハネクリボー】から「マアトの羽」の力を渡されていた【光と闇の竜】に封印された。

 

トラゴエディア、冷酷な性格ではあるのだが長く封印されていた影響で退屈を嫌う為、行動が「楽しむ」ことを重視する傾向にある。完全復活後はジ・アースとハネクリボーを十代に返却したりしている。

 

…こんなところか。

 

 

そして、漫画版GX原作とこの世界での相違点を挙げてみようか。

 

①白き羽の精霊【ハネクリボー】の体が白いまま → 古代エジプトでトラゴエディアは力を封印されていない?もしくは力を【ハネクリボー】に取り込まれずに封印された?…校長室で会ったトラゴエディアが力を封印された状態とは思えなかった。恐らく力(心臓)をハネクリボー吸収されずにそのままの状態で石板に封印されたのだろう。

 

②響紅葉やレジー・マッケンジーがプラネットシリーズの存在を知らない → この世界ではプラネットシリーズが創造されていない?もしくはプラネットシリーズの所持者が変化している?…力を封印されていない状態であれば、そもそもプラネットシリーズを創造する意味がないので、恐らくこの世界では本来プラネットシリーズは存在しないのだろう。

 

③カードデザイナーのフェニックス氏が生存している → フェニックス氏に憑依していない?もしくはフェニックス氏に憑依していたが何らかの理由により憑依が解かれた?…この世界はアニメ版と同じ世界だ。そしてこの世界には破滅の光を宿した【D-HERO Bloo-D】が存在しているはずだ。破滅の光とトラゴエディアが敵対関係になったとか?

 

④Mr.マッケンジーに憑依しているが、Mr.マッケンジーの意識がはっきり残っている → なんからの理由で共闘もしくは共存関係にある?…何らかの原因で破滅の光と敵対関係になったトラゴエディアがMr.マッケンジーを利用していると考えるのがしっくりくるが、その割には彼らはなんだか仲良さそうな感じだったんだよな…。

 

⑤女神様のせいで世界が色々とくっ付いている → 根本の原因はこれなのは確定だけどな。問題はこれの影響でどれだけの物語がどれだけ影響しあっているかなんだよな。

 

⑥俺が居る → いやいや、俺の所為なわけないじゃん?アメリカとか前世から含めても初めて来たしさ?バタフライエフェクト?はて、なんのことやら?そんなもんにまで責任もてねーよ。

 

 

これらの情報に加えて、Mr.マッケンジーが今回の事件(破滅の光が原因)が起こることを予見していたことを考えると…大体の推測はまとまったかな。会っているかどうかは本人たちに確認した方が早そうだ。

 

「お話は分かりました。俺はこれからMr.マッケンジーに事件の調査の中間報告に行こうと思います」

 

「それなら、オレも付いて行っていいか?」

 

『もちろん、私もコウヨウと一緒に付いていくわ』

 

『クリクリ~!』

 

「ではここにいる全員で行きましょうか」

 

彼らと一緒にMr.マッケンジーに会いに行くことになった。響紅葉には白い体のハネクリボーが付いている。あのハネクリボーが一緒に居れば、何かあった時に彼らを守ってくれるだろう。

 

「クロト、もしかして、今回の件、何か知ってる?」

 

「いや、何も知らん。少し心当たりがあるだけだ。じゃあ、校長室に向かおうか」

 

「…分かった」

 

彼らと、今まで黙っていたレインが声を掛けてくる。俺達が話している間は何やら考え事をしていたようだが…何か気になることでもあるのだろうか。

 

さて、響紅葉たちと話し込んでいたらもう昼を超えて夕方に近い時間帯だが、今から向かえば夕暮れ前には校長室に辿り着くだろう。そこでどんな話が聞けるかは分からないが、簡単に話してくれるとは思えない。気を引き締めて向かうとしよう。




オリ主は和食派ですが、別に洋食や中華が嫌いなわけではありません。

響紅葉との再会と、レジー・マッケンジーとの出会いです。レジーは、オリ主のことは響紅葉から事前に聞いていましたが、彼があまりにもオリ主を誉めるので、第一印象は実は内心イマイチ良くありませんでしたが、今回評判以上の実力(デッキパワー)でコテンパンにされたのでかなり認識は改まったようです。

オリ主の使った【電脳堺】でした。サイキック族を使わせてみたかったので、他の候補としては【ガスタ】、【PSYフレーム】、【ジャックナイツ】、【メタルフォーゼ】がありましたが、ダイスを振って出た目で決めました。

レジーの【天使族】の方は、【神の居城-ヴァルハラ】や【コート・オブ・ジャスティス】を使ったシンプルな天使デッキです。事態的にはかなり強いのですが、今回は流石に相手のデッキが悪すぎました。

次回の更新は1/30(土) AM7:00予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十七話 トラゴエディア

今回の事件の真相に一歩近づく話ですので、少し前置きが長いです。

今回は大ボス戦その1。タッグ戦です。


夕暮れ時、校長室に入室を許可された俺達は、デュエルアカデミアのアメリカ校校長Mr.マッケンジーと対面していた。

 

「いらっしゃい、白河君。レインさんだけでなく、響君や私の娘まで連れて来て、私に何か用なのかな?」

 

「はい。今回の事件の進捗に付いて現状を報告させて頂こうかと思いまして。今、お時間よろしいでしょうか?」

 

Mr.マッケンジーが丁寧に対応してくる。トラゴエディアはまだ姿を隠しているようだ。

 

「まず、昨日までのことですが、アカデミアの生徒を襲ってデュエルを仕掛け、デュエル後にカードを白紙にしていると思われる犯人グループの目撃情報から彼らの行動パターンを分析し、実行犯の彼らの発見および撃破に成功しました」

 

「ほう…」

 

「犯人たちは全て正気を失っているように見えました。そして彼らは全員がこの【天空の聖域】カードを所持しており、このカードを犯人たちから引き離すことによって彼らは自我を取り戻したように見えました。ちなみに犯人たちは全員この国の警察機構に身柄を引き渡してあります。ただ、まだ犯人グループが残存している可能性があるのでそちらの対処は今も協力者の天上院兄妹、丸藤亮、万丈目準に頼んでいます」

 

「ふむ…」

 

昨日までに回収した破滅の光を宿した【天空の聖域】カードを見せる。ここまでは特に驚く様子はなさそうだな。俺と一緒に来たメンバーは俺の後ろで静かに俺の報告を聞いているようだ。

 

「この回収した【天空の聖域】カードには特殊な魔力が宿っており、その魔力の波長は去年日本で発生したハートランドシティでのテロ事件の主犯格を洗脳していた通称『破滅の光』の魔力が宿ったカードと同じ波長です。この『破滅の光』の魔力には人間を洗脳して操る力があります」

 

 

現時点で人間を洗脳する力を持つと判明しているのは以下の三点。その中で、デュエル後に相手のカードを白紙にするようなオカルトパワーを持つ物は限られる。現物のカードも存在しているし、今回使用されたのは間違いなく①だろう。

 

①破滅の光。人間またはデュエルモンスターズのカードに宿るオカルトチックなパワー。人間に宿った場合は魔力を持った人間がデュエルで勝利すれば洗脳可能。カードに宿っている場合は洗脳された対象からカードを取り上げれば洗脳解除可能。だが、洗脳回避すること自体が非常に困難。

 

②Dr.ドクトルが制作した【パラサイド・フュージョナー】と言うリアルソリットビジョンシステムで作り出した昆虫型のモンスター。人間の耳から入り脳内に寄生するやべー奴。現在、完全な洗脳解除の方法は確立出来ていない。

 

③ジャン・ミシェル・ロジェ一派(オベリスクフォース)が制作した洗脳装置。人間の耳から入り脳内に寄生するやべー奴。人間の脳内に特殊な電波を送るタイプと人間の脳に特殊なチップを埋め込んで操作するタイプの2種。どちらも現在は科学的or医学的アプローチで解除可能。これらを制作した奴はイカレてると思う。

 

恐らくダークネスも①と同様のことが出来るだろうが、今はまだその痕跡を見つけることが出来ていないのでとりあえずそちらの可能性は保留。この時代では名前すら出てこないが、少し未来の世界でならサイコデュエリストも①と似たようなことが出来るだろう。サイコデュエリストの真似事が出来る俺も、多分出来るだろうからな。やらないけど。

 

 

「恐らく、この【天空の聖域】カードに破滅の光を宿した主犯格たる存在がいます。その主犯格を排除しない限り、事件の解決は出来ないと思われます」

 

「なるほど。それで、主犯格の目星は付きそうなのかい?」

 

おっ、とぼけるねぇ。お前らなら知ってるんじゃないのかい?知っているはずだよなぁ?

 

「まだ直接は確認できていませんが既に目星は付いています。そして、Mr.マッケンジー。俺は、貴方ならその主犯格が誰を指しているのかを理解していると確信しています」

 

「…ふふっ、やはり君は不思議な少年だな」

 

俺がMr.マッケンジーを睨みつけながらそう言うと、それに応じるようにMr.マッケンジーは笑顔を作る。目が笑ってねえんだよ。怖いわ。響紅葉とレジー・マッケンジーは動揺しているようだ。レインはいつも通りだ…本来の歴史から主犯格が誰なのかを推測できているだろう。

 

「そろそろそちらから種明かしをしてもらいたいんですが…いいでしょう。主犯格と思われる人物は2人。カードデザイナーのフェニックス氏、もしくは現在意識不明のフェニックス氏を世話しているプロデュエリストDD。このどちらかだと思われます」

 

「その根拠は?」

 

「勘です」

 

「…!…ふふふ、あははははっ!そうか、勘か!あははははっ!」

 

Mr.マッケンジーはその答えを聞くと一瞬目を丸くしたが、すぐさま笑い出した。失礼なオッサンだ。後ろを少し見ると響紅葉とレジー・マッケンジーがガックリしていた。レインにはジト目で見られている。仕方ないだろ、まだ直接彼らの現状を確認したわけじゃないんだよ。『前世の記憶で知っているから』なんて言えないしな。

 

『くくくっ!おいマッケンジー。そろそろ良いだろう。数日でここまで辿り着くなんてなかなかやるじゃねぇか』

 

「ふふふっ、そうだな」

 

誰も居ないはずのMr.マッケンジーの背後の空間から低い男性の声が聞こえてくると、次の瞬間にはそこに巨大な黒い悪魔の精霊が姿を現す。圧倒的な存在感と周囲を渦巻く魔力。トラゴエディアだ。そして、特に驚いた様子もなく後ろを振り返って彼に同調するMr.マッケンジー。

 

直接見るのは2度目だが、やはり強大な存在だ。リアルファイトなら絶対に勝てないな。俺とレインはいつでも動けるよう身構える。

 

「な、なんだアレは!?あれもカードの精霊なのか!?」

 

『クリクリー!』

 

カードの精霊が目視できる響紅葉の表情が驚愕に染まり、彼を守るべく白き羽根の精霊ハネクリボーが彼の前に現れる。彼女は精霊を目視できないレジー・マッケンジーも何からの異変が起こっていることは肌で感じているようで沈黙を守りながら冷や汗を流している。

 

『響紅葉、こうしてお前の前に姿を現すのは初めてだったな。では、初めまして。トラゴエディアだ。よろしく頼むぞ?』

 

「トラゴエディア…」

 

『クリクリー!』

 

『白き羽根の精霊か。約3000年ぶりくらいか。お前も久し振りだな。あの時は世話になったなぁ!』

 

響紅葉とハネクリボーに視線を移したトラゴエディアが魔力を高めると、魔力耐性の低いレジー・マッケンジーが苦しそうに膝をつく。レインは警戒を解かずにレジー・マッケンジーを介抱している。トラゴエディアの隣にいるMr.マッケンジーも少し顔色が悪い。

 

「トラゴエディア。力を抑えてくれ。その状態を続けられると私と娘がキツイ」

 

『む、そうだったな。すまんな』

 

Mr.マッケンジーの苦言を受けて魔力を抑えるトラゴエディア。やはり憑依されて乗っ取られているわけではなく、Mr.マッケンジーとトラゴエディアの間には協力関係の様な物が伺える。

 

『さて、小僧。約束通りに事件の調査を進めて進展させたみてーじゃねぇか。流石にここまで早いとは思わなかったぜ?』

 

「そりゃどうも。なら約束通り、こちらの質問に答えてくれるんだろうな?」

 

舐められないように周囲に魔力を展開し、奴の雰囲気に呑まれない様に言葉を返す。

 

『くくっ!まだ駄目だな!すぐに話しちゃ面白くねぇ!小僧、オレとデュエルをしろ!オレに勝ったらお前に質問に答えてやるよ』

 

トラゴエディアは黒い魔物の姿から、全身真っ黒の背の高い男性のようなシルエットを取って実体化する。腕にはデッキがセットされたデュエルディスクを装着している。最初からこのつもりだったようだ。俺も応じるようにデュエルディスクを構える。

 

「いいだろう。その余裕そうな面を涙目にしてやる」

 

「抜かせ、小僧。せいぜいオレを楽しませてみろ!」

 

この状態だとレジー・マッケンジーにも見え、声も聞こえるようだ。初めて彼女の視線がトラゴエディアを捉えた。

 

「クロト、オレもやるぞ!」

 

「流石に1対2になるのならば、私も参戦するとしよう」

 

響紅葉が俺の横に立ってデュエルディスクを構えると、トラゴエディアの横にMr.マッケンジーが立ってデュエルディスクを構える。タッグデュエルをやろうってわけか。

 

「ならルールはタッグフォースルール。俺と響さん、Mr.マッケンジーとトラゴエディアでのタッグデュエルだ。LP8000制で、LP&フィールド&墓地をパートナー間で共有する。当然だがパートナーへのアドバイスなどは無しだ」

 

「いいだろう」

 

「OKだ」

 

「ではそれで行こうか」

 

レインはレジー・マッケンジーと共に部屋の隅に移動しつつこちらのデュエルを見届けるようだ。さて、タッグデュエルになるのもMr.マッケンジーとデュエルになるのも予想外だが、トラゴエディアとデュエルすることになることは予想範囲内だ。こちらの準備は出来ている。負けるつもりはないぞ?

 

 

~~~

 

 

「「「「対戦、よろしくお願いします」」」」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&響紅葉 LP:8000

白河クロト 手札:5枚

響紅葉 手札:5枚

 

vs

 

◆トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:8000

トラゴエディア 手札:5枚

Mr.マッケンジー 手札:5枚

 

 

「こちらが先攻を貰うよ。私のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

Mr.マッケンジー 手札:5→6枚

 

原作ではトラゴエディアがデュエルしたのみであり、憑依されていたMr.マッケンジーは一切デュエルの描写がない。とはいえアメリカ・デュエル・アカデミアの校長でもある彼がそこいらのデュエリストより弱いとは考えづらい。どんなデッキで来るのやら。

 

「私は手札から魔法カード【手札抹殺】を発動。手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする」

Mr.マッケンジー 手札:5→0→5枚

白河クロト 手札:5→0→5枚

 

タッグフォースルールの場合、【手札抹殺】などの効果は現在フィールドでプレイしているデュエリスト2人にしか効果を発揮されない。今回の場合だとMr.マッケンジーと俺のみに適用されるわけだ。

 

「私はカード効果で墓地に送られた【暗黒界の術師 スノウ】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、自分のデッキから「暗黒界」と名のついたカード1枚を手札に加える。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手の墓地に存在するモンスター1体を選択し、自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。私はデッキから【暗黒界の龍神 グラファ】を手札に加える」

 

「更に私はカード効果で墓地に送られた【暗黒界の狩人 ブラウ】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、自分のデッキからカードを1枚ドローする。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらにもう1枚ドローする」

 

なるほど。【暗黒界】デッキか。グラファまで搭載しているデッキか。なかなか手強そうだな。

 

チェーン②暗黒界の狩人 ブラウ

チェーン①暗黒界の術師 スノウ

 

「効果処理をしようか。チェーン②【暗黒界の狩人 ブラウ】の効果により、自分のデッキからカードを1枚ドローする。そしてチェーン①【暗黒界の術師 スノウ】の効果により、私はデッキから【暗黒界の龍神 グラファ】を手札に加える」

Mr.マッケンジー 手札:5→6→7枚

 

「私は手札から魔法カード【天使の施し】を発動。自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる」

Mr.マッケンジー 手札:6→9→7枚

 

「私はカード効果で墓地に送られた【暗黒界の尖兵 ベージ】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、このカードを墓地から特殊召喚する」

 

「更に私はカード効果で墓地に送られた【暗黒界の導師 セルリ】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、このカードを相手フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。このカードが「暗黒界」と名のついたカードの効果によって特殊召喚に成功した時、相手は手札を1枚選択して捨てる」

 

チェーン②暗黒界の導師 セルリ

チェーン①暗黒界の尖兵 ベージ

 

「効果処理をしようか。チェーン②【暗黒界の導師 セルリ】の効果により、このカードを相手フィールド上に表側守備表示で特殊召喚し、相手は手札を1枚選択して捨てる。私は手札から【暗黒界の龍神 グラファ】を墓地に捨てる。そしてチェーン①【暗黒界の尖兵 ベージ】の効果により、このカードを墓地から特殊召喚する」

Mr.マッケンジー 手札:7→6枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の尖兵 ベージ ★4 DEF1300

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

暗黒界の導師 セルリ ★1 DEF300

 

ややこしい効果だが【暗黒界の導師 セルリ】が召喚されるのは俺のフィールド。そして俺のフィールドで効果を発動するので、『相手は手札を1枚選択して捨てる』効果は俺が発動した効果となり、Mr.マッケンジーが手札を捨てることになったわけだ。そしてグラファの効果は…。

 

「私は相手のカード効果で墓地に送られた【暗黒界の龍神 グラファ】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。相手のカードの効果によって捨てられた場合、さらに相手の手札をランダムに1枚確認する。確認したカードがモンスターだった場合、そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。私は君のフィールドの【暗黒界の導師 セルリ】を破壊、更に君の手札をランダムに1枚確認する。…ふむ、モンスターだね。確認したカードがモンスターだった場合、そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。私は君の手札の【紅蓮魔闘士】を私のフィールドに特殊召喚する」

白河クロト 手札:5→4枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の尖兵 ベージ ★4 DEF1300

紅蓮魔闘士 ★6 ATK2100

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

モンスター無し。

 

こちらが手札誘発を握っていない方が悪いとはいえ、事故率の高い【暗黒界】でよくもまぁここまで回せるもんだな。

 

「私は墓地の【暗黒界の龍神 グラファ】の効果を発動。このカードは【暗黒界の龍神 グラファ】以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「暗黒界」と名のついたモンスター1体を手札に戻し、墓地から特殊召喚する事ができる。私は自分フィールドの【暗黒界の尖兵 ベージ】を手札に戻し、墓地の【暗黒界の龍神 グラファ】を特殊召喚する!」

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK2700

紅蓮魔闘士 ★6 ATK2100

 

「私は手札から魔法カード【暗黒界の取引】を発動。お互いのプレイヤーはデッキから1枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる」

Mr.マッケンジー 手札:5→6→5枚

白河クロト 手札:4→5→4枚

 

「私はカード効果で墓地に送られた【暗黒界の武神 ゴルド】の効果を発動。このカードがカードの効果によって手札から墓地へ捨てられた場合、このカードを墓地から特殊召喚する」

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK2700

紅蓮魔闘士 ★6 ATK2100

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2300

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。私はデッキから2枚ドローし、その後に手札の闇属性【The suppression PLUTO】を除外する」

Mr.マッケンジー 手札:4→6→5枚

 

「プラネットシリーズ…!」

 

「ほう、これも知っているのか。世に出回っていないプラネットシリーズの存在を…」

 

「くくっ!面白ぇ小僧だぜ」

 

ちっ、この世界では存在していないと思っていたけれど、当てが外れたな。そうなるとトラゴエディアもプラネットシリーズを所持している可能性が高い。そして、原作通りのカードを所持しているならアレはなかなか厄介なカードだぞ…。

 

「私は手札からフィールド魔法カード【暗黒界の門】を発動。フィールド上に表側表示で存在する悪魔族モンスターの攻撃力・守備力は300ポイントアップする。1ターンに1度、自分の墓地に存在する悪魔族モンスター1体をゲームから除外する事で、手札から悪魔族モンスター1体を選択して捨てる。 その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする。 私は墓地の悪魔族【暗黒界の導師 セルリ】を除外して自分のデッキからカードを1枚ドローする」

Mr.マッケンジー 手札:4→5枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK2700 → 3000

紅蓮魔闘士 ★6 ATK2100

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2300 → 2600

 

「私はこのターンまだ通常召喚をしていないので、モンスターをセット。そしてカードを三枚伏せてターンエンド」

Mr.マッケンジー 手札:1枚、伏せカード:3

 

 

◆白河クロト&響紅葉 LP:8000

白河クロト 手札:4枚

響紅葉 手札:5枚

 

vs

 

◆トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:8000、伏せカード:3、フィールド魔法:1

トラゴエディア 手札:5枚

Mr.マッケンジー 手札:1枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

紅蓮魔闘士 ★6 ATK2100

暗黒界の武神 ゴルド ★5 ATK2600

伏せモンスター

 

 

流石はアメリカ・デュエル・アカデミアの校長ってところか。すげードロー力だな。フィールドのモンスターは大したことはないが、あの伏せモンスターは多分【メタモルポット】。伏せカードは【暗黒界】なら高確率でウィルス系だろう。ちょうどリリースできそうなモンスターも居るしな…。

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚

 

「この瞬間、リバースカードオープン。罠カード【闇のデッキ破壊ウイルス】を発動。自分フィールドの攻撃力2500以上の闇属性モンスター1体をリリースし、カードの種類(魔法・罠)を宣言して発動できる。相手フィールドの魔法・罠カード、相手の手札、相手ターンで数えて3ターンの間に相手がドローしたカードを全て確認し、その内の宣言した種類のカードを全て破壊する。私は【暗黒界の武神 ゴルド】をリリースするよ」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:3→2

 

「やっぱりか、させるかよ!その効果にチェーンして俺は手札からカウンター罠【レッド・リブート】を発動!このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!」

クロト 手札:4枚

白河クロト&響紅葉 LP:8000 → 4000

 

よりによって【闇のデッキ破壊ウイルス】の方かよ。俺はまだマシだが、【融合】を始めとした魔法カード主体の響紅葉に刺さりまくるじゃねーか!そんなもん絶対に通すか!

 

「ウィルスカードかよ!危なかったな…」

 

「手札からカウンター罠とは…!」

 

「くくくっ!とんでもねぇな小僧!」

 

チェーン②レッド・リブート

チェーン①闇のデッキ破壊ウイルス

 

「効果処理を行う。チェーン②【レッド・リブート】の効果により、チェーン①【闇のデッキ破壊ウイルス】の発動は無効にしてそのままセットしてもらう!そのカードをそのままセットする。その後、そちらはデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。そしてこのカードの発動後、ターン終了時までそちらは罠カードを発動できないからな」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:2→3→4 ※このターン、罠カード使用不可。

 

まずいな。やはりデュエルモンスターズは先攻有利過ぎる。LP8000環境だと【レッド・リブート】が決まっても1キルは無理そうだな。ともかく、最低限あのウィルスカードだけは除去しておかないとな。せっかく墓地を肥やしてくれたことだしな。

 

「俺は手札から魔法カード【闇の量産工場】を発動!自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。俺は墓地に通常モンスター【イグナイト・マスケット】と【イグナイト・ドラグノフ】を手札に加える!」

クロト 手札:3→5枚

 

「俺は手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動!デッキからレベル5以上の通常モンスター1体を手札に加える。俺はレベル5【イグナイト・デリンジャー】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚

 

「俺は手札から【サンダー・ドラゴン】を捨てて効果発動!このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「サンダー・ドラゴン」を2体まで手札に加える!」

クロト 手札:4→6枚

 

「俺はスケール2の【イグナイト・マスケット】とスケール7【イグナイト・ドラグノフ】をペンデュラムスケールにセッティング!」

クロト 手札:4枚、Pスケール:2~7

 

「ほう、ペンデュラムかね。私も初めて見るが、珍しいデッキを使う物だ」

 

「俺はペンデュラムゾーンの【イグナイト・ドラグノフ】のペンデュラム効果発動!もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。自分のPゾーンのカードを全て破壊し、自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。俺はデッキから【E・HERO ブレイズマン】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚

 

「くくっ!わざわざ揃えたペンデュラムスケールを破壊するとは、何を考えているんだぁ?」

 

「俺はスケール2の【イグナイト・デリンジャー】とスケール7【イグナイト・ライオット】をペンデュラムスケールにセッティング!これにより、俺はレベル3からレベル6までのモンスターを手札・EXデッキからペンデュラム召喚が可能となる!」

クロト 手札:3枚、Pスケール:2~7

 

「ペンデュラム召喚!手札より【サンダー・ドラゴン】2体と【E・HERO ブレイズマン】、EXデッキより【イグナイト・マスケット】と【イグナイト・ドラグノフ】をペンデュラム召喚する!」

クロト 手札:0枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

サンダー・ドラゴン ★5 ATK1600

サンダー・ドラゴン ★5 ATK1600

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

イグナイト・マスケット ★4 DEF1900

イグナイト・ドラグノフ ★4 ATK1700

 

「一気にフィールドに5体のモンスターを並べるとは…!」

 

「俺は特殊召喚された【E・HERO ブレイズマン】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える!」

クロト 手札:0→1枚

 

「俺はレベル5【サンダー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!現れよランク5【セイクリッド・プレアデス】!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

イグナイト・マスケット ★4 DEF1900

イグナイト・ドラグノフ ★4 ATK1700

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:2

 

「今度はエクシーズ召喚か!引き出しの多い小僧だぜ!」

 

「俺は【セイクリッド・プレアデス】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。俺はそちらの【紅蓮魔闘士】を手札に戻す!俺のカードだから戻るのは俺の手札にだけどな」

セイクリッド・プレアデス ORU:2 → 1

クロト 手札:1→2枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

 

「俺はレベル4【イグナイト・マスケット】と【イグナイト・ドラグノフ】の2体でオーバーレイ!二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【竜巻竜】!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:2

 

「俺は【竜巻竜】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。俺はそちらの伏せカード【闇のデッキ破壊ウイルス】を破壊させてもらう!」

竜巻竜 ORU:2→1

 

「むっ、せっかくのウィルスカードが破壊されてしまったか」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:4→3 ※このターン、罠カード使用不可。

 

「俺はペンデュラムゾーンの【イグナイト・デリンジャー】のペンデュラム効果発動!もう片方の自分のPゾーンに「イグナイト」カードが存在する場合に発動できる。自分のPゾーンのカードを全て破壊し、自分のデッキ・墓地から戦士族・炎属性モンスター1体を選んで手札に加える。俺はデッキからチューナーモンスター【焔聖騎士-オリヴィエ】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚

 

「俺はまだこのターン通常召喚していない。俺はチューナーモンスター【焔聖騎士-オリヴィエ】を召喚!」

クロト 手札:2枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:1

焔聖騎士-オリヴィエ ★4 ATK1000 ※チューナー

 

「俺はレべル4【E・HERO ブレイズマン】にレベル4【焔聖騎士-オリヴィエ】をチューニング!王者の決断、今赤く滾る炎を宿す、真紅の刃となる!熱き波濤を超え、現れよ、炎の鬼神!シンクロ召喚!レベル8【クリムゾン・ブレーダー】!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 ATK2800

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:1

 

「今度はシンクロ召喚とはね…」

 

「【クリムゾン・ブレーダー】の効果を説明しておく。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。次の相手ターン、相手はレベル5以上のモンスターを召喚・特殊召喚できない!」

 

「なっ!?」

 

「次の相手のターンって、オレのターンじゃねぇか!おいマッケンジー!絶対に何とかしろよ!」

 

「俺は墓地の【焔聖騎士-オリヴィエ】の効果発動!このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの戦士族モンスター1体を対象として発動できる。このカードを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。このカードの装備モンスターは相手の効果の対象にならない。俺は【焔聖騎士-オリヴィエ】を【クリムゾン・ブレーダー】に装備する!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 ATK2800 ※効果の対象にならない。

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:1

 

「良し!これで【クリムゾン・ブレーダー】は効果の対象にならない!【レッド・リブート】の効果で相手はこのターン罠カードを使用できない!行けるぜクロト!」

 

『クリクリー!』

 

ちょっ!?響さん!変なフラグ立てるの止めてくれません!?墓地発動できるカードは向こうには無いが…速攻魔法カードなら発動できるんだよなぁ。…えぇい、ここまで展開した後だともうどうしようもないな!ここは臆せず攻める!

 

「俺はカードを1枚伏せて、バトルフェイズへ移行!」

クロト 手札:1枚

 

「【クリムゾン・ブレーダー】で伏せモンスターに攻撃!レッドマーダー!」

 

「この瞬間!リバースカードオープン!速攻魔法【皆既日蝕の書】発動!フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示にする。このターンのエンドフェイズに、相手フィールドの裏側守備表示モンスターを全て表側守備表示にし、その後、この効果で表側守備表示にしたモンスターの数だけ相手はデッキからドローする!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:3→2 ※このターン、罠カード使用不可。

 

何ぃ!?対象を取らない速攻魔法!?くそっ!こんなピンポイントでデメリットの大きいカードをよくもこのタイミングで…!

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 ATK2800  → 裏側守備表示

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 → 裏側守備表示 ORU:1

竜巻竜 ☆4 ATK2100 → 裏側守備表示 ORU:1

 

「惜しぃ!これさえ決まっていればかなり有利になったのに…!」

 

『クリクリィ…』

 

「良し!いいぞマッケンジー!良く凌いだ!」

 

響紅葉とハネクリボーが悔しがっていて、Mr.マッケンジーとトラゴエディアが安堵の表情を浮かべる。

 

マジかよ…【クリムゾン・ブレーダー】が裏側守備になったことで装備カード扱いの【焔聖騎士-オリヴィエ】が対象を失って墓地送りになったぞ。

 

「メインフェイズ2に移行。そのままターンエンドだ。エンドフェイズに移行し【皆既日蝕の書】の効果が適用される俺のフィールドの裏側守備表示モンスターを全て表側守備表示にし、その後、この効果で表側守備表示にしたモンスターの数だけ俺はデッキからドローする!俺のフィールドのモンスターは3体。よってデッキからカードを3枚ドローする!」

クロト 手札:1→4枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 裏側守備表示 → DEF2600

セイクリッド・プレアデス ☆5 裏側守備表示 → DEF1500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 裏側守備表示 → DEF2000 ORU:1

 

「私もこのエンドフェイズにカードを発動させてもらおう。リバースカードオープン。速攻魔法【終焉の焔】発動。このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。自分フィールドに「黒焔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは闇属性以外のモンスターのアドバンス召喚のためにはリリースできない」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:2→1 ※このターン、罠カード使用不可。

 

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

黒焔トークン ★1 DEF0→300

黒焔トークン ★1 DEF0→300

 

 

◆白河クロト&響紅葉 LP:4000、伏せカード:1 (融合)

白河クロト 手札:4枚 (1枚は紅蓮魔闘士)

響紅葉 手札:5枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 DEF2600

セイクリッド・プレアデス ☆5 DEF1500 ORU:1

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:1

 

vs

 

◆トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:8000、伏せカード:1、フィールド魔法:1

トラゴエディア 手札:5枚

Mr.マッケンジー 手札:1枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

黒焔トークン ★1 DEF300

黒焔トークン ★1 DEF300

 

 

ヤバいな。伏せカードは【融合】だ。デッキからサーチしたことは情報公開済みだし、これを伏せた時の手札は全てバレていたからな。間違いなく向こうもこちらの伏せカードが何か気付いているだろう。今の俺の手札には手札誘発はあるものの、手札にも墓地にも防御カードがない。トラゴエディアがどんなデッキによるが、かなり不味い状態だ。さっきMr.マッケンジーが発動した【終焉の焔】は恐らくあのプラネットシリーズを召喚するための布石だろうしな。

 

「ようやくオレのターンか!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

トラゴエディア 手札:5→6枚

 

「この瞬間、俺は【竜巻竜】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。俺はそちらの伏せカードを破壊させてもらう!」

竜巻竜 ORU:1→0

 

「ちっ、そういや相手ターンにも発動できるんだったな!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:1→0

 

破壊したのは…【スキルドレイン】か。なかなか嫌なカードを伏せているな。確かに【暗黒界】モンスターは墓地発動の効果ばかりだから影響が少ないもんな…。

 

「オレは手札から装備魔法【D・D・R】を発動!手札を1枚捨て、除外されている自分のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する!このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。オレは手札から【茫漠の死者】を墓地に送り、除外されている【The suppression PLUTO】を特殊召喚する!」

トラゴエディア 手札:5→4枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

黒焔トークン ★1 DEF0

黒焔トークン ★1 DEF0

The suppression PLUTO ★8 ATK2600→2900

 

来たか、プラネット(惑星)シリーズ!さりげなく【暗黒界の門】で攻撃力が上昇している!このタイミングで一番嫌なモンスターだ!俺の手札に【紅蓮魔闘士】があることは先ほどまでのデュエルを見ていたら分かることだ。必ず効果を発動してくるはずだ!

 

「プラネットシリーズか…オレもジ・アースを持っているけど、敵対したのは初めてだぜ…」

 

『クリクリー!』

 

プラネットシリーズは召喚しづらいのが難点だが、召喚出来た後の癖の強いモンスター効果は侮れないんだよな。…ちなみに、冥王星(PLUTO)って惑星じゃないかも?とか前世で言われていたような気がするんだが…?

 

「オレは【The suppression PLUTO】の効果発動!1ターンに1度、カード名を1つ宣言して相手の手札を全て確認し、その中に宣言したカードがあった場合、①相手フィールドのモンスター1体を選んでコントロールを得る効果、②相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊その魔法・罠カードを自分フィールドにセットできる効果、①②のどちらかの効果を使用できる!オレはカード名【紅蓮魔闘士】を宣言する!さぁ小僧!手札を見せな!」

 

「だが断る!その効果にチェーンして手札から【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送って効果発動!相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする!対象は【The suppression PLUTO】だ!」

白河クロト 手札:4→3枚

 

チェーン②エフェクト・ヴェーラー

チェーン①The suppression PLUTO

 

「くくっ!躱されたか!効果処理を行うぞ。チェーン②【エフェクト・ヴェーラー】の効果により、【The suppression PLUTO】の効果は無効。そしてチェーン①【The suppression PLUTO】の効果は無効されているので不発だ」

 

危ない危ない【The suppression PLUTO】の効果で地味に厄介なのが相手の手札を全て確認する効果だ。伏せカードは【融合】であることはバレているだろうし、これをされると防御札がないことがバレてしまうからな。

 

「ならオレはフィールドの2体の【黒焔トークン】をリリース!手札から【The supremacy SUN】をアドバンス召喚するぜ!」

トラゴエディア 手札:3枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3000→3300 

 

一応、プラネット(惑星)シリーズの頂点と言われるモンスターが召喚されたか。やっぱり【暗黒界の門】で攻撃力が上昇しているが、効果は…OCG順守か、微妙だな。コイツは破壊された場合に次のスタンバイフェイズに蘇生する効果を持つ。強いというより面倒なんだよな。…ちなみに、SUN(太陽)って恒星だよな?プラネットシリーズとは…。

 

「オレは手札から魔法カード【生者の書-禁断の呪術-】を発動!自分の墓地のアンデット族モンスター1体と相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。その自分のアンデット族モンスターを特殊召喚する。その相手のモンスターを除外する。オレはオレの墓地の【茫漠の死者】とお前の墓地の【焔聖騎士-オリヴィエ】を対象とする!【茫漠の死者】を特殊召喚して【焔聖騎士-オリヴィエ】を除外だ!」

トラゴエディア 手札:2枚

 

「特殊召喚された【茫漠の死者】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。 このカードの攻撃力は相手のLPの半分の数値になる。小僧たちのLPは4000!つまりこのモンスターの攻撃力はその半分の2000だ!」

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

伏せモンスター

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK?→2000

 

「オレは手札を1枚伏せて、フィールドの伏せモンスターを反転召喚!【メタモルポット】のリバース効果発動!このカードがリバースした場合に発動する。お互いの手札を全て捨てる。その後、お互いはデッキから5枚ドローする!」

トラゴエディア 手札:1→0→5枚

白河クロト 手札:3→0→5枚

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:0→1

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

メタモルポット ★2 ATK700

 

「オレはさっき伏せた魔法カード【強制転移】を発動!お互いはそれぞれ自分フィールド上のモンスター1体を選び、そのモンスターのコントロールを入れ替える。そのモンスターはこのターン表示形式を変更できない。オレは【メタモルポット】を選択するぜ!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:1→0

 

「俺は…【竜巻竜】を選択する」

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

暗黒界の龍神 グラファ ★8 ATK3000

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 DEF2600

セイクリッド・プレアデス ☆5 DEF1500 ORU:1

メタモルポット ★2 ATK700

 

「攻撃力2000超えのモンスターが4体か、かなりヤバい状態だな…」

 

『クリクリィ…』

 

大丈夫、大丈夫。さっきの【メタモルポット】で手札が補充できたし、多分何とかなるよ。

 

「バトルだ!【The supremacy SUN】で【メタモルポット】に攻撃!SOLAR FLARE!」

 

The supremacy SUN ATK3300

vs

メタモルポット ATK700

 

「ぐぅっ!」

白河クロト&響紅葉 LP:4000 → 1400

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

クリムゾン・ブレーダー ★8 DEF2600

セイクリッド・プレアデス ☆5 DEF1500 ORU:1

 

「続けて【暗黒界の龍神 グラファ】で【クリムゾン・ブレーダー】に攻撃!」

 

「このタイミングで俺は【セイクリッド・プレアデス】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。俺はそちらの【暗黒界の龍神 グラファ】を手札に戻す!」

セイクリッド・プレアデス ORU:1→0

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

 

「グラファはオレの手札に戻ったか…」

トラゴエディア 手札:5→6枚

 

墓地に送ったり、Mr.マッケンジーの手札に戻すと厄介なことになりそうだったんでね。

 

「だが、まだモンスターは居るぞ!【茫漠の死者】で【クリムゾン・ブレーダー】に攻撃!」

 

茫漠の死者 ATK2000

vs

クリムゾン・ブレーダー DEF2600

 

「こちらのモンスターの守備力より、攻撃力の低いモンスターで攻撃してくる…?【クリムゾン・ブレーダー】の効果は相手モンスターを破壊しないと発動しないが戦闘ダメージが発生して…まさか!」

 

「くっ!だが戦闘ダメージが発生したことにより、オレはこのカードを手札から特殊召喚できる!出てこいオレ自身!【トラゴエディア】特殊召喚!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:8000→7400

トラゴエディア 手札:6→5枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 ※このターン、効果無効

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

トラゴエディア ★10 ATK3000

 

「オレ自身こと【トラゴエディア】の攻撃力・守備力は自分の手札の数×600アップする!オレの手札は5枚!よって攻撃力と守備力は3000だ!」

 

「バトルを続行するぞ!【The suppression PLUTO】で【クリムゾン・ブレーダー】に攻撃!Three Satellites!」

 

「【クリムゾン・ブレーダー】が戦闘破壊されたか…!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

セイクリッド・プレアデス ☆5 DEF1500

 

「バトル!【トラゴエディア】で【セイクリッド・プレアデス】に攻撃!」

 

トラゴエディア ATK3000

vs

セイクリッド・プレアデス DEF1500

 

「【セイクリッド・プレアデス】が戦闘破壊されて、俺のフィールドのモンスターは全滅か…!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

モンスター無し

 

「仕留めきれなかったか……まぁいい。オレはカードを2枚伏せてターンエンド」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:0→2

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

The suppression PLUTO ★8 ATK2900

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

トラゴエディア ★10 ATK3000 → 1800

 

手札が減少したことで【トラゴエディア】の攻撃力が下がったか。

 

 

◆白河クロト&響紅葉 LP:1400、伏せカード:1 (融合)

白河クロト 手札:5枚

響紅葉 手札:5枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:7400、伏せカード:2、フィールド魔法:1

トラゴエディア 手札:3枚

Mr.マッケンジー 手札:1枚

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

The suppression PLUTO ★8 ATK2900

The supremacy SUN ★10 ATK3300 

茫漠の死者 ★5 ATK2000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

トラゴエディア ★10 ATK1800

 

 

相手モンスターはこちらのターンだと効果を発揮できない攻撃力が高いだけのモンスターとはいえ、数が多い。【トラゴエディア】と【The suppression PLUTO】は相手ターンでのモンスター効果が厄介だし、手札1枚でスタンバイフェイズに蘇生する【The supremacy SUN】も面倒なモンスターだ。

 

なかなかに劣勢状態で響紅葉にターンを回してしまったな。伏せカードと墓地のHEROが役に立てば良いが…。

 

「すいません、響さん。こんな状況ですが、後をお願いします」

 

「気にするなよクロト!HEROってのは逆境を跳ね返して勝利するもんだぜ!なぁ相棒!」

 

『クリクリー!』

 

「良し!オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

響紅葉 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【ヒーローアライブ】を発動!自分フィールドに表側表示モンスターが存在しない場合、LPを半分払って発動できる。デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。オレはLPを半分支払い、デッキから【E・HERO エアーマン】を特殊召喚する!」

響紅葉 手札:5枚

白河クロト&響紅葉 LP:1400→700

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

「特殊召喚された【E・HERO エアーマン】の効果発動!デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【E・HERO フォレストマン】を手札に加える!」

響紅葉 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!デッキから「E・HERO」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【E・HERO オーシャン】を手札に加える!」

響紅葉 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。オレはデッキから【E・HERO シャドー・ミスト】を墓地に送る!」

響紅葉 手札:5枚

 

「墓地に送られた【E・HERO シャドー・ミスト】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「E・HERO シャドー・ミスト」以外の「HERO」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【E・HERO リキッドマン】を手札に加える!」

響紅葉 手札:5→6枚

 

「オレは手札から【E・HERO リキッドマン】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚に成功した時、「E・HERO リキッドマン」以外の自分の墓地のレベル4以下の「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。オレは墓地の【E・HERO ブレイズマン】を特殊召喚する!」

響紅葉 手札:5枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO リキッドマン ★4 ATK1400

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

 

「小僧が使っていたモンスターか」

 

「トラゴエディア、妨害せずに見ているだけでいいのかい?」

 

「さてな」

 

「特殊召喚された【E・HERO ブレイズマン】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える!」

響紅葉 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【R-ライトジャスティス】を発動!自分フィールドの「E・HERO」カードの数だけ、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。オレのフィールドには「E・HERO」カードが三枚!よってそちらのフィールドの魔法・罠カード3枚を破壊する!」

響紅葉 手札:5枚

 

「その効果にチェーンしてオレはリバースカードオープン!速攻魔法【アンデット・ストラグル】発動!フィールドのアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は1000アップ、または1000ダウンする。オレはフィールドの【茫漠の死者】の攻撃力を1000アップする!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:2→1、フィールド魔法:1

 

チェーン②アンデット・ストラグル

チェーン①R-ライトジャスティス

 

「効果処理を行う!チェーン②【アンデット・ストラグル】によって【茫漠の死者】の攻撃力を1000アップ。そしてチェーン①【R-ライトジャスティス】によってそちらの伏せカード1枚とフィールド魔法を破壊させてもらうぜ!」

 

『クリクリ~!』

 

「くくっ!参ったなこりゃ!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー 伏せカード:1→0、フィールド魔法:1→0

 

「そんなことを言ってる場合かね?」

 

破壊された残りの伏せカードは【リターン・オブ・アンデット】か。

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

The suppression PLUTO ★8 ATK2900 → 2600

The supremacy SUN ★10 ATK3300 → 3000

茫漠の死者 ★5 ATK2000 → 3000

竜巻竜 ☆4 DEF2000 ORU:0

トラゴエディア ★10 ATK1800

 

「オレは伏せていた魔法カード【融合】を発動!自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。オレは手札の【E・HERO フォレストマン】と【E・HERO オーシャン】の2体を融合!来い!【E・HERO ジ・アース】!」

響紅葉 手札:5→3枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO リキッドマン ★4 ATK1400

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

E・HERO ジ・アース ★8 ATK2500

 

「【E・HERO ジ・アース】…だと!?」

 

「馬鹿な…あのカードは失われたはずのプラネットシリーズのはずだ!それに、ジ・アースがE・HEROモンスターであるはずがない…!」

 

「何を驚いているんだ…?確かにジ・アースはプロリーグでもそれほど使っていないモンスターだが…」

 

『クリクリ~?』

 

「いえ、俺には分りませんね」

 

失われたはずのプラネットシリーズねぇ…。

 

「とにかく、デュエルを続けるぞ。オレは手札の魔法カード【融合】を発動!自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。オレはフィールドの【E・HERO リキッドマン】と【E・HERO ブレイズマン】の2体を融合!来い!【E・HERO サンライザー】!」

響紅葉 手札:2枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ジ・アース ★8 ATK2500

E・HERO サンライザー ★7 ATK2500

 

「融合召喚された【E・HERO サンライザー】の効果発動!このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。1ターンに1度、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ミラクル・フュージョン」1枚を手札に加える!」

響紅葉 手札:2→3枚

 

「【E・HERO サンライザー】の効果で自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分フィールドのモンスターの属性の種類×200アップする!オレのフィールドには光、風、地の三種類のモンスターが存在しているので600アップだ!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ジ・アース ★8 ATK2500

E・HERO サンライザー ★7 ATK2500 → 3100

 

「オレは手札の魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動!自分のフィールド・墓地から、「E・HERO」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!オレは墓地の【E・HERO フォレストマン】と【E・HERO オーシャン】の2体を融合!来い!【E・HERO アブソルートZero】!」

響紅葉 手札:2枚

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ジ・アース ★8 ATK2500

E・HERO サンライザー ★7 ATK3100 → 3300

E・HERO アブソルートZero ★8 ATK2500

 

あー、こりゃ勝ったな。【E・HERO】は殺意高いなぁ。

 

「オレは【E・HERO ジ・アース】の効果発動!このカード以外の自分フィールドの表側表示の「E・HERO」モンスター1体をリリースして発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、リリースしたモンスターの攻撃力分アップする!オレは【E・HERO アブソルートZero】をリリースする!」

 

<白河クロト&響紅葉のフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ジ・アース ★8 ATK2500 → 5000

E・HERO サンライザー ★7 ATK3300 → 3100

 

「くくっ!攻撃力…5000とはな!やるじゃねーか、紅葉!」

 

「【E・HERO アブソルートZero】をリリース…?…不味いぞトラゴエディア!」

 

「更にフィールドから離れた【E・HERO アブソルートZero】の効果発動!このカードがフィールド上から離れた時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!」

 

「何だとぉ!?…オレのモンスターが全滅ぅ!?」

 

<トラゴエディア&Mr.マッケンジーのフィールド>

モンスター無し

 

「バトルだ!【E・HERO サンライザー】でダイレクトアタック!」

 

E・HERO サンライザー ★7 ATK3100

 

「ぐおぉぉぉぉっ!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:7400→4300

 

「これで終わりだ!【E・HERO ジ・アース】でダイレクトアタック!地球灼熱斬!!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

トラゴエディア&Mr.マッケンジー LP:4300→0

 

 

「言ったろ?HEROってのは逆境を跳ね返して勝利するんだぜ!」

 

『クリクリー!』

 

 

「「「「対戦、ありがとうございました」」」」

 

 

~~~

 

「いやぁー負けた負けた!あっはっはっはっは!」

 

「やれやれ、相手が海馬コーポレーション所属のデュエリストとプロリーグ10位のプロデュエリストとはいえ、デュエルでの敗北はアメリカ・デュエル・アカデミアの校長としては悔しい限りだ」

 

タッグデュエル終了後、トラゴエディアは晴れやかに笑い、Mr.マッケンジーも悔しそうにしながら苦笑いしていた。…待った待った。俺は海馬コーポレーション所属じゃないぞ!?どういう話になってるんだ!?

 

「良いデュエルだったな、流石だなクロト!」

 

「ありがとうございます。響さんも見事な腕前でした」

 

「ははっ!お前に言われると少し自信が付くな!」

 

『クリクリ~!』

 

パァン!と俺と響紅葉はハイタッチを決める。確かに、破滅の光とか闇のデュエルとかじゃない楽しいデュエルだったな。

 

「負けちまったものは仕方ねぇ。話してやるか」

 

「あぁ、彼らなら問題ないだろう。長い話になるから応接室を使おう。こちらに来てくれ」

 

そう言うとトラゴエディアとMr.マッケンジーは校長室の隣にある応接室に移動していった。

 

~~~

 

夕日が沈み、夜になった。応接室に通されてソファーに座った俺達はそこで対面に座っているMr.マッケンジーとトラゴエディアが語る過去話を聞いていた。

 

「始めに、オレが今から約3000年前の古代エジプト時代を生きていた人間だったことは知っているんだよな?」

 

「そうだな。クル・エルナ村の出身で、村に起こった惨劇のことで古代エジプトの神官たちを憎悪し、邪悪な魔物をその身に宿して神官に封印されたんだったか」

 

トラゴエディアが語りながらこちらがどこまで知っているのかを確認して来るので、俺も前世の記憶で覚えていることを元に語られた内容を補足していく。

 

「そうか、なら話は早い。オレは自身に宿った魔物と同化してエジプトの神官たちや神官たちが使役していたそこにいる白き羽根の精霊と約7日に渡って戦い続けた。そして激闘の末、力を使い果たしたオレはそのまま神官たちにエジプトの神殿の地下深くに封印されて3000年間眠りについた」

 

『クリクリ~!』

 

懐かしそうに語るトラゴエディア。その姿にあまり憎悪と言う感情は感じられない。ハネクリボーも話を聞いて同意しているように見える。恐らく語られた内容はこの世界での真実なのだろう。

 

それにしても、神官たちと7日間戦った?封印されて眠りについた?なんだか俺の知っている情報と少し食い違いがあるな。

 

「そして目が覚めたら、遺跡発掘に訪れていた探検家の体に憑依していたってわけさ。探検家はオレの存在に気付いていなかったけどな。それから色々と憑依する人間を変えていったが誰もオレのことを認識出来ねぇ。話し相手が居なくて滅茶苦茶退屈だったそんな時、マッケンジーと出会ったのさ」

 

「最初は驚いたよ。今から大体10年くらい前だろうか。校長室から登校してくるアメリカ校の生徒を眺めていたら、その中に背中に巨大な黒い何かを背負った学生が居たのが見えてね。最初は自分の目や正気を疑ったものさ」

 

「マッケンジーがこちらの存在を認識できると分かったオレはすぐにマッケンジーに憑依することにした。ようやく出来た話し相手だ。今までの退屈な日常ともオサラバ出来たってわけさ」

 

「トラゴエディアは凶悪な外見だったが、話してみるとただのお喋りな青年だと気づいてね。聞かれるままに色々なことを話したよ。この時代のことや古代エジプトの歴史、デュエルアカデミアやデュエルモンスターズのことなんかをね」

 

「くくっ!まさかオレたちや当時の魔物や精霊を題材にしたカードゲームが作られているなんて思わなかったぜ!」

 

そう思い出話を語るトラゴエディアとMr.マッケンジー。その表情は楽しそうであり、やはり憎悪や恐怖などの感情は見当たらない。一応、その辺りも確認しておくか。

 

「もう古代エジプトの神官たちを恨んではいないのか?」

 

「そりゃ神官の連中は今でも恨んでいるさ。もし仮に目の前に現れたらまた戦うことになるだろうが、もう居ないからなぁ。色々と聞いているうちに、とっくの昔に死んだ連中のことに拘るが馬鹿らしくなったのさ。そこにいる白き羽根の精霊とは以前に戦った間柄だが、別にソイツ自体を恨んでいたわけじゃねえしな」

 

『クリクリー』

 

力を奪われて何も出来ずに封印されて意識があるまま3000年を過ごすことになって不完全なまま復活することになった原作と、暴れ回った後にそのまま封印されて眠りについて気付いたらすぐさま現代で完全復活していたこの世界との違いが、彼の中の憎悪を全てではないだろうが上手く消化したようだな。

 

「色々とトラゴエディアと話しているうちに、彼がデュエルモンスターズに興味を抱いてね。『オレ専用のオリジナルカードが欲しい!』なんて言い出した時は本当に面倒だったよ」

 

「くくっ!いいじゃねぇか。その方が面白そうだったんだからよ」

 

「毎日のように言う物だから、トラゴエディアのそんな頼みを叶える為に仕方なく旧知のカードデザイナーであるフェニックス氏に協力を依頼したのさ」

 

ここでカードデザイナーのフェニックス氏が登場してくるわけか。

 

「彼に頼みこんだ結果、色々あってプラネットシリーズと言うカード群を制作してくれることを約束してもらってね。先ほど使用した2枚がそのプラネットシリーズさ。この世に出ていないこのシリーズを何故白河君が知っていたのかは疑問だけどね?」

 

「その話はいずれお話ししますよ。話を続けて貰ってもよろしいですか?」

 

話の矛先が俺に向きそうだったので方向転換させた。転生だの前世の記憶だのの話を今ここで語るのは面倒だしな。

 

「先ほどの2枚を先行して受け取っていたんだけど、今から7~8年前くらいにようやく残りのカードも完成したと聞いたんで受け取りに行ったのさ。そうしたら…」

 

「その時のフェニックスは、最初に会った時とは様子がおかしくてまるで別人だったな。妙な魔力を帯びていたし、今思えばあれが破滅の光って奴に憑りつかれた状態だったんだろうよ。そして、マッケンジーとフェニックスの野郎が会っている最中に、フェニックスの家に強盗がやってきてフェニックスに襲い掛かったのさ」

 

「フェニックス氏と強盗が接触した瞬間、フェニックス氏の体がまばゆく光り輝いたかと思うと私は気を失ってしまったらしく、次に目が覚めた時は病院のベットの上だったよ」

 

「大変だったぜ?フェニックスの野郎から凄まじく禍々しい白い魔力が噴出したかと思ったら、マッケンジーと強盗は吹き飛ばされているわ、フェニックスの家は燃え始めるわでよ?仕方ないから気絶したマッケンジーの体を使って気絶していたフェニックスと強盗を家の外に放りだして、まだ家に残っていたフェニックスのガキを家から連れ出したのさ」

 

「その時の火災で残りのプラネットシリーズと当時フェニックス氏が別口で制作していたDシリーズは行方不明となり、フェニックス氏は意識不明のまま。私が意識を取り戻した時には、何故かその時の強盗にフェニックス氏やその息子であるエドともども私も助け出されたことになっていたよ。強盗も、当時4~5歳くらいのエドも、当時の記憶は完全に忘れてしまっていたよ」

 

『エドにそんな過去があったなんてね…彼ったら、そんな話は幼馴染の私にはしてくれなかったのに…』

 

なるほどね。アニメGXでフェニックス氏が強盗DDに襲われて命を落とすシーンにMr.マッケンジーとトラゴエディアが立ち会う状況になり、結果としてフェニックス氏は一命を取り留めたわけか。意識不明っぽいけどさ。そして、どうやら当時のエド・フェニックスと交流があったらしいレジー・マッケンジーが思いつめたような顔をしている。

 

「強盗も何も覚えていないようだったけれど、心の奥底で良心の呵責に苛まれたのか、意識不明のフェニックス氏とその息子のエドの面倒を見ることにしたみたいだよ」

 

「それで、その強盗が現在プロリーグ1位のDDというわけですね?」

 

「おいおい、せっかくここまで名前を伏せて引っ張ったのに、先にネタバレするんじゃねーよ。と言うか小僧、やっぱり知ってんじゃねーか」

 

「マジかよ…あのDDが過去に強盗だったなんてな…」

 

『そんな話は噂話でも今まで聞いたことがないわね…』

 

Mr.マッケンジーとトラゴエディアの回想に俺が口を挟むとトラゴエディアがムッとしていた。恐らく大々的に名前を教えて驚かそうとか思っていたのだろう。そして、DDの前科を知ってしまってショックを受けている響紅葉とレジー・マッケンジー。プロの頂点を目指しているデュエリストにとってはショッキングな内容だったようだな。

 

「その後も何度かフェニックス氏の見舞いには行ったんだけど、彼は意識不明のまま。そうして7年ほど過ぎたある日、今から大体半年前くらいかな」

 

「オレが当時フェニックスに感じた禍々しい白い魔力を町中で感じてな。気になって追いかけてみたら、いきなり襲い掛かって来てオレ達にデュエルを挑まれたのよ。まさかオレのことを認識していたのには驚いたが、もちろんそのデュエルには勝ったぜ?」

 

「その際、私達を襲った連中が持っていたカードが【天空の聖域】。そして、気付いた頃にはもう町のあちこちでその気配を感じるようになっていたのさ」

 

そう話すと、トラゴエディアが懐から【天空の聖域】カードを取りだす。彼の魔力によりその【天空の聖域】は破滅の光の力をほとんど失っているようだが、わずかに俺の持っているカードと同じような魔力を感じる。

 

「その数日後だったか。生徒が何者かに襲われて、デュエルで敗北した後に所持していたデッキのカードが白紙にされた事件が起こったわけよ。そりゃ関連性を疑うだろ?」

 

「私はトラゴエディアと調査を進める傍ら、デュエルアカデミア本校に相談したのだが相手にされなくてね。仕方なしに忙しいであろう旧知の響君や、海馬コーポレーションやI2社に相談したわけだ」

 

「そうして、今ここに海馬コーポレーションから派遣された俺や、Mr.マッケンジーに依頼された響さんが居るわけですか…」

 

ようやく話の全容が見えてきたな。元凶は破滅の光なのは変わらないが、その影響具合が所々変化してきている。やはり、当初の予定通り、DDかエド・フェニックスに会う必要があるな。一応、フェニックス氏の容態も見ておいた方が良さそうだ。

 

「俺がDDかエド・フェニックスに会ってきます。フェニックス氏の容態も一応確認しておきたいですね」

 

「フェニックス氏が入院している病院や、DDやエド・フェニックスが住んでいる住居はこの町から丸一日電車に乗らないといけないほどに距離が離れている。今日はもう遅い。向かうなら明日にした方が良いだろう。向こうには私の方から連絡を入れておこう」

 

「ありがとうございます」

 

その後、色々と話し合った結果、俺とレインでDDやエド・フェニックスに会いに行き、響紅葉とレジー・マッケンジーはこの町で明日香たちと同じように町中に居る破滅の光のメンバーの調査、Mr.マッケンジーとトラゴエディアがそれらの情報の統括をすることになった。

 

話が終わった後は、全員と別れ、ホテルで就寝した。明日は出発が早いうえに丸一日は移動で潰れてしまうからな。今のうちに休んでおかないと…。




事件の調査についての中間報告をするだけだったのに、何故かデュエルをすることになっているのは、デュエルモンスターズの世界なら不思議ではありませんよね。

Mr.マッケンジーのデッキは【暗黒界】にしました。デュエルアカデミアの校長ならデュエルも強いだろうと思ったので、彼は結構強めです。

トラゴエディアのデッキは【アンデッド族】です。原作で使用したカードが殆どなくて、ほぼオリジナルデッキです。もっと原作っぽくエジプトっぽいアンデット族を使っても良かったのですが、プラネットシリーズを使えるようにしました。

オリ主のデッキは【イグナイト】です。響紅葉に種族を合わせました。

響紅葉は【E・HERO】ですが以前より遥かに強化されています。

トラゴエディアには、完全に綺麗にはなっていないものの、憎悪の心は封印される前に暴れ回って発散したので殆ど残っていません。今は第二の人生みたいなものを満喫しています。

Mr.マッケンジーは巻き込まれただけですが、暇な時にいつでも話が出来る友人が出来たことで割と満足しているようです。

タッグ戦はどうしても本文が長くなってしまいますね。1話3000~5000字くらいに収めてサクサク読めるようにしたいのですが、まだまだ工夫が必要ですね…。

次回の更新は1/30(土) AM8:00予定です。

必殺雷撃人様、三崎龍我様、魚肴様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十八話 デイビッド・ラブ

列車での旅のはずが…。

今回のデュエルの相手は漫画版GXのデイビッド・ラブです。


8月4日。早朝。普段より早めに起きた俺は、出発する準備を整えていた。今日でとりあえずこのホテルとこの最高級の布団とお別れなのがもったいないんだが、しょうがないことだ。

 

「忘れ物はなさそうか?」

 

「バニー!」

 

「リューン!」

 

「こっちは大丈夫そうだよ」

 

「ワイトもそう思います」

 

バニーラ、プチリュウ、キーメイス、ワイトに忘れ物の確認を手伝ってもらい、問題なさそうであることを確認する。こういう時にオレ一人じゃなく他人の視点を頼れるのが助かる。

 

「そうか、じゃあ行くか。遅れるとレインがまた文句を言ってきそうだ」

 

俺はいつものキャリーバッグを持って部屋を出で、ホテルの受付でチェックアウトの処理を済ませ、駅へと向かった。これから丸一日は列車の中とか気が滅入るなぁ。

 

~~~

 

集合時間の30分前に駅に到着すると、案の定レインが先に着いていた。この娘は本当に何時から待っているのだろうか。

 

「…今日は、普通」

 

「そうかい」

 

「…はい、切符」

 

「おっ、サンキュー。じゃ、早速乗り込むか」

 

「…ん」

 

レインが既に切符を買っていてくれたらしく、俺達は特に何事もなく、少し年季が入っているもののかなり大きい列車に乗り込む。

 

明日香たちには俺達がこの町を離れてDDやエド・フェニックスに会いに行くことは伝えていない。彼女たちは一般人だからな。万が一に荒事になった場合、自分自身の身を守るのが難しいだろうし、それらの騒動が原因で彼女らがアカデミアを退学になったりすると流石に気が引けるしな。

 

~~~

 

8月4日。昼。列車内の食堂で昼食を済ませた後、俺達は列車内のそれぞれの個室に戻った。

 

そういやレインも昼食を取っていたが、アイツってご飯も食べられるアンドロイドなんだろうか。正直、アンドロイドにそんな機能を付ける意味があるのだろうか?未来の人間の思考はよく分からんな。

 

今頃向こうでは明日香たちが俺達の行動と行き先についてMr.マッケンジーから説明を受けている頃だろう。今から聞いても流石にどうにもならないだろうから、大人しく向こうで自分の役割を果たしてくれることだろう。明日香と亮だけならともかく吹雪が居るので、彼らの無茶を止めてくれるはず。

 

それにしても、暇だな。トランプでもやろうかな。

 

「キーメイス、ワイト、トランプでもやらない?」

 

『ん?いいよ』

 

『『『ワイトもそう思います』』』

 

キーメイスとワイトはそう返事した後に実体化してトランプをシャッフルし始めた。せっかくだから、隣の部屋にいるレインも誘おうかな。恐らく暇を持て余しているだろうし。

 

思い立ったが吉日と言うので、早速レインの部屋に向かい、トランプのお誘いをしてみた。最初は難色を示していたが…。

 

「おやおやぁ?レインさんともあろうものが、勝負から逃げるのかなぁ?」

 

「…やる」

 

とまぁ、少し煽ったらアッサリと釣れた。チョロいぜ。俺の話術も多少は向上したのかもしれないな!

 

~~~

 

8月4日。夕方。列車内の食堂で夕食を済ませた後、俺達は列車内の個室に戻ってトランプの続きに興じていた。。

 

特別な力など使わなくても人の感情を何となく理解できるキーメイスと、そもそも表情が存在しないワイトはともかく。レインがあれほどトランプに強いとは思わなかった。おかげで俺は毎回ワイトの誰かと最下位争いをすることになった。

 

「…クロト、弱すぎ」

 

「クロトはもう少しポーカーフェイスを覚えた方がいいね~」

 

「「「ワイトもそう思います」」」

 

「ぐぬぬ…」

 

ここぞとばかりにレインたちが煽ってくるが、既に30戦25敗(最下位数)だ。ここまで負けが込んでいると言い返せねぇ…。

 

とまぁ、ここまでは緩い感じの列車の旅だったんだが…。

 

~~~

 

8月4日。夜。列車は順調に目的地に向けて進んでいる。…列車内に奇妙な魔力の反応を感じさえしなければ、レインを彼女の部屋まで送った後に、この自分の部屋そのまま就寝していただろう。

 

「…クロト」

 

「分かってる。キーメイスたちはカードに戻っておいてくれ」

 

『了解~。クロト、気を付けてね~』

 

『『『ワイトもそう思います』』』

 

そう言い残して彼らは実体化を解除してキャリーバック内の自身のカードへと戻る。

 

「反応は、列車の先頭の乗客用車両付近から」

 

「ここが最後尾の乗客用車両だから少し距離があるな。一体何者で、何が目的なんだか」

 

俺とレインは周囲を警戒しつつ、部屋から出て先頭車両へと向かう。道中にいた人たちは全員就寝しているようだ。まだそんなに遅い時間じゃないのでこの時点でかなり異常事態ではある。そして列車の先頭車両に到着するとそこには…。

 

『キミが白河クロトで、隣の娘がその協力者なのかい?オイオイ、こんな子供が相手じゃ、ミーの勝ちじゃないか!』

 

漫画版GXで見たことのある高身長の金髪の青年が立っていた。その体には破滅の光を宿し、体から禍々しい魔力を放っている。どうやら、俺達と同時刻に電車に乗り込み、このタイミングまで身を隠して魔力を抑えていたのだろう。

 

『キミたちに恨みはないが、これも破滅の光のお導き!君達にはここで消えて貰おうか。さぁ、デュエルだ!』

 

見たことのある高身長の金髪の青年、デイビッド・ラブはデュエルディスクを構える。やる気満々って感じだ。デュエルで来るなら話は早い。早々に眠って貰おうかな。

 

「レイン、コイツの相手はオレ一人で十分だ。そっちは周囲の警戒を頼む」

 

「…了解。クロト。負けたら許さないから」

 

そう言うとレインは少し後ろに下がり。周囲を警戒しながら何処かへと連絡を取り始める。恐らく周囲に待機させていたであろうゴーストと連携を取って情報収集を行うつもりなのだろう。

 

その姿を確認した後、俺はデイビッド・ラブと対峙してデュエルディスクを構える。さて、この世界の彼の実力を拝ませてもらうとしようか!

 

~~~

 

『「対戦、よろしくお願いします」』

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

『「デュエル!」』

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆デイビッド・ラブ LP:4000

 

 

『先攻はミーが貰う!ミーのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

デイビッド・ラブ 手札:5→6枚。

 

『ミーは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動する!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする!』

デイビッド・ラブ 手札:5→7枚。

 

『ミーは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動する!自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。ミーはデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性【The big SATURN】を除外する!』

デイビッド・ラブ 手札:6→8→7枚。

 

「プラネットシリーズ…だと!?」

 

『おやぁ?何故その名前を君が知っているのかな?…あぁ、校長に聞いたのか』

 

この世界のプラネットシリーズは殆ど失われたんじゃなかったのかよ。と言うかコイツ、今までの破滅の光に洗脳されたデュエリストとは少し様子が違うな。ある程度の自我を保っている。

 

『ミーは手札から永続魔法【機甲部隊の最前線】を発動する!機械族モンスターが戦闘によって破壊され自分の墓地へ送られた時、そのモンスターより攻撃力の低い、同じ属性の機械族モンスター1体を自分のデッキから特殊召喚する事ができる。この効果は1ターンに1度しか使用できない!』

デイビッド・ラブ 手札:6枚。

 

『ミーは手札から装備魔法【D・D・R】を発動する!手札を1枚捨て、除外されている自分のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。ミーは手札を1枚捨て、除外されている【The big SATURN】を特殊召喚する!』

デイビッド・ラブ 手札:5→4枚。

 

<デイビッド・ラブのフィールド>

The big SATURN ★8 ATK2800

 

『この【The big SATURN】は手札またはデッキからの特殊召喚はできないが、1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに手札を1枚捨てて1000LPを払うことでエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は1000ポイントアップすることが出来る!更に相手がコントロールするカードの効果によってこのカードが破壊され墓地へ送られた時、お互いにその攻撃力分のダメージを受ける効果を持つ!』

 

あのプラネットシリーズから強くて禍々しい光の魔力を感じる。なるほど、コイツの場合は【天空の聖域】ではなく【The big SATURN】によって洗脳されているわけか。

 

そして、墓地に送ったカードは…うげぇ【マシンナーズ・フォートレス】かよ。この時代で機械族を使うデッキなら入っていても不思議ではないカードか。

 

『ミーは手札から【KA-2 デス・シザース】を通常召喚する!このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターのレベル×500ポイントダメージを相手ライフに与える効果を持つ!』

デイビッド・ラブ  手札:3枚

 

<デイビッド・ラブのフィールド>

The big SATURN ★8 ATK2800

KA-2 デス・シザース ★4 ATK1000

 

『更にミーは手札から魔法カード【トランスターン】を発動する!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。墓地のそのモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する!ミーは自分フィールドのレベル4・闇属性・機械族【KA-2 デス・シザース】を墓地に送り、デッキからレベル5・闇属性・機械族【ニードルバンカー】を特殊召喚する!』

デイビッド・ラブ 手札:2枚。

 

<デイビッド・ラブのフィールド>

The big SATURN ★8 ATK2800

ニードルバンカー ★5 ATK1700

 

『この【ニードルバンカー】が戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターのレベル×500ポイントダメージを相手ライフに与える効果を持つ!』

 

「レベル8以上のモンスターを戦闘破壊した場合、効果ダメージによって一撃でゲームエンドまで持っていけるってことだな」

 

『そういうことだよ!』

 

LP4000制の環境だと油断ならない効果を持っているモンスターだな。何より機械族ってのが厄介だ。あの種族には【リミッター解除】と言う自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる効果を持つインチキめいた速攻魔法がある。そして、あのモンスターを全体除去効果を持つカードで破壊すると今度は【The big SATURN】の互いに2800ダメージを与えるバーン効果が発動する。面倒な組み合わせだ。

 

『ミーはカードを2枚伏せて、ターンエンド!』

デイビッド・ラブ 手札:0枚。伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆デイビッド・ラブ LP:4000、手札:0枚、伏せカード:2、装備魔法:1、永続魔法:1

 

 

でもまぁ、このくらいならレジーと大差ないくらいだろう。明日香や吹雪、亮たちとは比べるまでもない。つまり、俺が勝つ。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。俺はデッキから【霊魂の降神】を選び、そこに記されたスピリットモンスターの儀式モンスター【霊魂鳥神-姫孔雀】を手札に加える!」

クロト 手札:5→7枚。

 

『儀式デッキか』

 

「俺は手札からスピリットモンスター【和魂】を召喚!」

クロト 手札:6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

和魂 ★4 ATK800

 

「【和魂】の効果を説明しておく。このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。このカードが召喚・リバースしたターン、自分は通常召喚に加えて1度だけスピリットモンスター1体を召喚できる。また、このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上にスピリットモンスターが存在する場合、デッキからカードを1枚ドローする」

 

『ほーう。スピリットとは珍しいモンスターを使う物だ』

 

「珍しいだけじゃないんだぜ?」

 

「【和魂】の効果により俺は通常召喚に加えて1度だけスピリットモンスター1体を召喚できる。俺は手札から【荒魂】を召喚!」

クロト 手札:5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

和魂 ★4 ATK800

荒魂 ★4 ATK800

 

「召喚された【荒魂】の効果発動!このカードが召喚・リバースした時に発動できる。デッキから「荒魂」以外のスピリットモンスター1体を手札に加える。俺はデッキからスピリットモンスターの儀式モンスター【霊魂鳥神-彦孔雀】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から儀式魔法【霊魂の降神】を発動!「霊魂鳥神-姫孔雀」「霊魂鳥神-彦孔雀」の降臨に必要。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地のスピリットモンスターを除外し、手札から「霊魂鳥神-姫孔雀」または「霊魂鳥神-彦孔雀」を儀式召喚する。俺はフィールドのレベル4【和魂】とレベル4【荒魂】をリリース!手札よりレベル8【霊魂鳥神-姫孔雀】を儀式召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

霊魂鳥神-姫孔雀 ★8 ATK2500

 

「リリースされた【和魂】の効果発動!このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上にスピリットモンスターが存在する場合、デッキからカードを1枚ドローする!今、俺のフィールドにはスピリットモンスター【霊魂鳥神-姫孔雀】が存在する為、効果発動条件を満たしている!」

 

「更に儀式召喚に成功した【霊魂鳥神-姫孔雀】の効果発動!このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの魔法・罠カードを3枚まで選んで持ち主のデッキに戻す。その後、デッキからレベル4以下のスピリットモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる!」

 

『何っ!?』

 

チェーン①和魂

チェーン②霊魂鳥神-姫孔雀

 

「効果処理を行う。チェーン②【霊魂鳥神-姫孔雀】の効果により、俺は相手フィールドの魔法・罠カードを3枚まで選んで持ち主のデッキに戻し、デッキからレベル4のスピリットモンスター【霊魂鳥-巫鶴】を召喚条件を無視して特殊召喚!更にチェーン①【和魂】の効果によりデッキより1ドロー!」

デイビッド・ラブ 伏せカード:2→0、装備魔法:1、永続魔法:1→0

クロト 手札:4→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

霊魂鳥神-姫孔雀 ★8 ATK2500

霊魂鳥-巫鶴 ★4 ATK1500

 

「【霊魂鳥-巫鶴】の効果を説明しておく。このカードは特殊召喚できない。1ターンに1度、このカードがモンスターゾーンに存在し、このカード以外のスピリットモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする」

 

それにしても、デッキバウンスされるのに伏せカードをチェーン発動しなかったが、フリーチェーンのカードではなく攻撃反応型とか永続罠だったんだろうか?それとも…。

 

「手札もなく、墓地発動できるカードもないのに伏せカードをチェーン発動して使わなかったとはな。まさか、もしかして、フィールドのモンスターだけでこのターンを凌げるとでも思っているのか?」

 

『当然だ!ミーの【The big SATURN】の攻撃力の前ではお前の儀式モンスターなど遠く及ばない!』

 

「はっ!とんだロマンチストだな!」

 

『なんだと!?』

 

「手札の儀式モンスター【霊魂鳥神-彦孔雀】を相手に見せて、手札の【魔神儀-タリスマンドラ】の効果発動!1ターンに1度、手札の儀式モンスター1体を相手に見せて発動できる。【魔神儀-タリスマンドラ】以外のデッキの【魔神儀】モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する!俺はデッキの【魔神儀-キャンドール】と手札の【魔神儀-タリスマンドラ】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

霊魂鳥神-姫孔雀 ★8 ATK2500

霊魂鳥-巫鶴 ★4 ATK1500

魔神儀-タリスマンドラ ★6 DEF0

魔神儀-キャンドール ★4 DEF0

 

「デッキから特殊召喚された【魔神儀-キャンドール】の効果発動!1ターンに1度、このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから儀式魔法【霊魂の降神】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札から儀式魔法【霊魂の降神】を発動!【霊魂鳥神-姫孔雀】【霊魂鳥神-彦孔雀】の降臨に必要。レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地のスピリットモンスターを除外し、手札から【霊魂鳥神-姫孔雀】または【霊魂鳥神-彦孔雀】を儀式召喚する。俺はフィールドのレベル6【魔神儀-タリスマンドラ】とレベル4【魔神儀-キャンドール】をリリース!手札よりレベル8【霊魂鳥神-彦孔雀】を儀式召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

霊魂鳥神-姫孔雀 ★8 ATK2500

霊魂鳥-巫鶴 ★4 ATK1500

霊魂鳥神-彦孔雀 ★8 ATK3000

 

「【霊魂鳥-巫鶴】の効果発動!1ターンに1度、このカードがモンスターゾーンに存在し、このカード以外のスピリットモンスターが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする!」

 

「更に儀式召喚に成功した【霊魂鳥神-彦孔雀】の効果発動!このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスターを3体まで選んで持ち主の手札に戻す。その後、手札からレベル4以下のスピリットモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚できる!」

 

『ば、馬鹿な!?』

 

チェーン①霊魂鳥-巫鶴

チェーン②霊魂鳥神-彦孔雀

 

「効果処理を行う。チェーン②【霊魂鳥神-彦孔雀】の効果により、俺は俺はそちらのフィールドの【The big SATURN】と【ニードルバンカー】を手札に戻し、手札からレベル4のスピリットモンスター【天岩戸】を召喚条件を無視して特殊召喚!更にチェーン①【霊魂鳥-巫鶴】の効果によりデッキより1ドロー!」

クロト 手札:4→3→4枚。

デイビッド・ラブ 手札:0→2枚

 

<デイビッド・ラブのフィールド>

モンスター無し

 

「装備魔法【D・D・R】は対象を失ったことで墓地に送られる」

デイビッド・ラブ 装備魔法:1→0

 

<白河クロトのフィールド>

霊魂鳥神-姫孔雀 ★8 ATK2500

霊魂鳥-巫鶴 ★4 ATK1500

霊魂鳥神-彦孔雀 ★8 ATK3000

天岩戸 ★4 ATK1900

 

「【天岩戸】の効果を説明しておく。このカードは特殊召喚できない。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにスピリットモンスター以外のモンスターの効果を発動できない!」

 

『こ、これは…』

 

「バトルフェイズへ移行。【霊魂鳥神-姫孔雀】でダイレクトアタック!」

 

『うおぉぉぉっ!』

デイビッド・ラブ LP:4000 → 1500

 

「追撃。【霊魂鳥神-彦孔雀】でダイレクトアタック!」

 

『Nooooo!』

デイビッド・ラブ LP:1500 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わると、デイビッド・ラブはその場に崩れ落ちた。俺は彼のデッキから破滅の光が宿った【The big SATURN】を回収して破滅の光対策を施した専用のカードケースにしまう。そして、俺の元々所持していた何の力もない普通のカードの【The big SATURN】を回収したカードの代わりに彼のデッキへと戻しておいた。

 

「クロト、お疲れ様」

 

「あぁ、そっちもお疲れ。状況は分かったか?」

 

「…分かった。けど、かなり良くない」

 

レインから現状を確認すると、既に先頭車両の乗客は全て破滅の光の洗脳を受けており、俺達がやってきた方向の後部車両方面の乗客も徐々に洗脳され始めているようだ。

 

「ちっ、コイツは俺達をここに誘い出すための囮かよ。このままじゃ囲まれるな。流石にこの列車全員を相手にするのは厳しいぞ」

 

「…この列車を脱出すべき。付いて来て」

 

そう言うとレインは全力で最後尾の乗客用車両の後ろに接続されている貨物用車両に移動する。ここに何があるんだ?

 

「…これ」

 

「これって、Dホイールか?」

 

「…そう」

 

そこには恐らくイリアステル製のDホイールが置いてあった。アニメ5D'sでゴーストが乗っていた奴に近い。Dホイールを眺めていた俺に、レインが近くに置いてあったヘルメットを投げ渡す。既に彼女はヘルメットを装着済みだった。

 

「…これに乗って。脱出する」

 

「何でこんなのがここにあるんだ?」

 

「…こんなこともあろうかと」

 

「俺が運転するのか?」

 

「…そう」

 

「まぁいいか、レインは後ろに乗ってくれ」

 

「…ん」

 

俺がDホイールの前の座席に乗って、レインが俺の背に抱き着くようにしてDホイールに乗る。セレナの時とは違い、なかなかの膨らみが背中に当てられるが、平常心、平常心。

 

貨物室内に付いてある後部扉の開閉スイッチを押して荷物搬入・搬出用の扉を開ける。普通、こういう扉は列車が走っている時は開かないようにロックが掛かっていると思うんだが、レインがハッキングとかして何とかしたんだろう。そちらの知識に関しては俺も年相応にしか分からんから何とも言えん。…ところで。

 

「なぁ」

 

「…なに?」

 

「俺達ってさ。今は走行中の列車の中じゃん?」

 

「…そう」

 

「そこからDホイールで飛び出そうとしてるんだよな?」

 

「…?…何か問題が?」

 

心底、不思議そうな顔でこちらを見てくるレイン。いやまぁ、今の俺なら多分出来るよ?普通の学生がやったら高確率で死ぬと思うけどさ。

 

「まぁいいや。じゃ、行くぞ」

 

「…うん」

 

アクセルを踏むとDホイールが独特の起動音と共に走り出す!すぐさま貨物室の扉からDホイールで飛び出し、そのままタイヤを垂直に地面に上手く接地させることが出来たが、その瞬間から凄まじい衝撃がDホイール越しに襲ってくる!

 

「んぎぎぎぎぃっ!」

 

「…」

 

歯を食いしばりながら衝撃に耐えつつ、魔力を周囲に放出して出来る限り衝撃を殺して行き、スピードを落としていく。レインは無言だ。流石、肝が据わってる。余裕なんですねぇ!

 

「ぎぎぎっ…!…ふぅ、止まった」

 

「…お疲れ様」

 

何とかうまく止まれたようだ。一度Dホイールから降りて伸びをする。少し深呼吸などをして落ち着いた。辺りを見回すと建物も何もない荒野が続いている。それにもう深夜のようで、肉眼のみで遠くまで見回してもほとんど何も見えない。こういう時はオカルトパワーは便利でいいな。夜でもよく見える。

 

流石にこの時間だとMr.マッケンジーも起きていなさそうなので、一応、現状をメールで連絡を入れておく。これで明日にはメールの内容を確認して向こうでもこちらの状況を把握することが出来るだろう。…と思ったが圏外のようだ。電話も通じ無さそう。こういう時は文明の利器は無力だなぁ。

 

「とりあえず、ここに居ても仕方ないし、少し仮眠を取ったら、このままDホイールで目的地まで向かうか」

 

「…ん」

 

その後、少し仮眠を取った後、またDホイールで2人乗りになり、Dホイールを走らせ始めた。元々は列車で丸一日かかって明日の朝には着く予定の距離だったから、休憩を混ぜつつ交代でDホイールで走らせて行けば、明日の夕方くらいには着くんじゃないかな?




目的地に到着するまでは列車内でのんびり過ごすだけのはずだったのですが、よくよくトラブルに巻き込まれるオリ主です。

デイビッド・ラブのデッキは闇属性・機械族が主体の【シザースバンカー】です。戦闘破壊した相手のレベルに応じてバーンダメージを与えるという、決まればなかなか殺意の高いデッキです。このデッキにプラネットシリーズを搭載しています。

オリ主のデッキは風属性のスピリットモンスターが主体の儀式デッキ【霊魂(エスプリット)】です。儀式デッキと相性が良いので少し【魔神儀】も入っています。

デイビッド・ラブは倒れたままの状態で放置されています。このままだとまた洗脳されてしまうのでは?どうなるかはまだ決めてません。

ゆったり列車の旅のはずが、アメリカの荒野をバイクで旅することになってしまいました。1人じゃないだけまだマシですね。

次回の更新は2/3(水) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、荒魂マサカド様、神薙改式様、誤字報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六十九話 ディアブロ

アメリカの荒野に放り出された後も受難は続くようです。

今回はディアブロ2体とのライディング・デュエルです。


8月5日。朝。昨日までの高級ホテル生活とは一変して荒野のど真ん中で寝ることになった俺は、体のあちこちが痛いのを我慢してDホイールをマニュアルモードにして走らせていた。早朝から先ほどまではレインが運転していたのだが、流石にずっと運転してもらっているのも気が引けるのでドライバー交代したのだ、だが…。

 

「あー、眠い」

 

「…事故は止めて」

 

後ろからレインが文句を言ってくるが、眠いものは眠いのだ。イリアステル製のDホイール(D・ファントムと言う名前らしい)は色々と優秀で、オートパイロットモードに切り替えればであればそうそう事故を起こすことは無いだろう。

 

「それにしても凄まじいスペックのDホイールだな。この悪環境の中をまるでサーキット場を走るかのように動かせるぞ」

 

「…ミサキのメンテのおかげ」

 

俺がDホイールの性能を誉めると、レインは少し嬉しそうな声で呟く。

 

ミサキねぇ。確かPSPのタッグフォースとは違い、ライディング・デュエルをメインとしたDSの遊戯王のゲーム『WORLD CHAMPIONSHIP 2011 OVER THE NEXUS』の登場人物だったか。

 

確か、クラッシュタウン出身の主人公が祖父の誘いでシティに進出してすぐに出会った青髪の変わった髪型をした少女で、主人公・トオル(主人公の幼馴染)らと一緒にWRGP(ワールド・ライディング・デュエル・グランプリ)に出場して優勝する【エレキ】デッキ使いだよな。

 

そしてその正体は、先端が異様に長いD・ホイール「オメガホーク」を駆って主人公をサポートする謎のDホイーラーであり、そしてイリアステルと同様に未来から来た可能性が高い娘、だっけ?

 

俺自身はプレイしたことが無くてうろ覚えだが、前世で動画で見た限りだと、エンディング後も詳しい正体は明かされないまま終わったんだよな。妥当に考えるならイリアステルのデュエル・ロイドで、本編のアンチノミーポジションの代役だったんだろうな。

 

ただ、あのシナリオだと後のイリアステルの設定に矛盾が生じるはずだから、アニメ5D's本編やタッグフォースとはパラレルな世界線だと思ってたんだが…どうやらこの世界ではレインの同僚?の可能性があるな。

 

…女神様?俺、DSソフトのキャラがこの世界に居るなんて聞いてないんですけど?…レインが居る時点で今更か。

 

 

さて、考え事はこれくらいにして、今の状況を打破することを考えよう。まずは俺たちの後方から感じる存在たちについて、俺の勘違いかどうかをレインにも確認を取っておこうかな。

 

「なぁ、レイン。俺達、尾行されてない?」

 

「…されてる。近くに2台、更に後方に1台」

 

俺の質問にレインが即答する。どうも少し前から少し後方よりこちらを追いかけてきているDホイールらしき影が見えていた気がしたんだよな。

 

3台か。この速度で走っていると、今の俺の魔力探知ではあまり役に立たないから、数までは分からなかったんだよな。味方の時のイリアステルの科学力は本当に頼りになるな。

 

この世界のこの時代ではDホイールそのものが珍しく、とてもこんなアメリカの荒野で出会うような偶然は無いだろう。走行ルートを変更してもそのままついて来ているみたいだし、間違いなく、俺達を尾行していると考えていいだろう。

 

「振り切れるかな?」

 

「…難しいと思う」

 

尾行してきているDホイールもなかなか優秀なようで、こちらの速度に難なく付いてくる。こちらは2人乗りとはいえ、現在市販されているDホイールなどでは追従など難しい速度で走っているんだけどなぁ…。

 

そんなことを考えていると、後ろの2台が速度を上げてこちらに追い付いてきた。こちらを挟み込むように並走すると、通信機能を介して合成音声のような声で話しかけてきた。

 

『白河クロトだな?』

 

「人違いだな」

 

何で俺の名前を知っているのかは知らないが、この手の連中に名前を聞かれてロクな目に遭ったためしがないのでとりあえず噓をつく。あまり意味はないと思うが…。

 

『音声確認。照合開始…白河クロトの物と一致。我々に嘘など無意味だ』

 

「やっぱりバレるか」

 

「…バレないわけがない」

 

あっさりバレた。俺の嘘は大体バレるからな…。それは置いておいて、このDホイールのモニターに表示された相手側の顔にメチャクチャ見覚えがあるんだよなぁ。

 

「なぁレイン。アイツらってライディング・ロイド、と言うよりゴーストだよな?もしくはディアブロか?何でこっちを襲ってくるんだよ?」

 

「…不明。少なくとも、私の知っているタイプではない」

 

ゴーストおよびディアブロは

 

なら、レイン以外のイリアステルが近くにいるとか?いや、そうだとしてもディアブロを俺達にけしかけてくる理由が分からない。そして、もしイリアステル製でないのであれば、何処で作られたんだ?そもそもこの時代にディアブロを作れるような技術力があるか?…海馬コーポレーションなら行けそうだけど。

 

『これよりデュエルで対象の拘束を開始する!フィールド魔法【スピードワールド2】発動!』

 

『デュエルモードオン、オートパイロットスタンバイ!』

 

少し考え事をしていると、Dホイールから、マニュアル操作からオートパイロットモードに切り替わったことを告げる音声が聞こえてきた。そして、Dホイールにセットしてあったデッキから初期手札を引き抜かれたので、仕方なくハンドルの横に着いたスタンドに置く。

 

「ちょっ、問答無用かよ!しかも平然と【スピードワールド2】を発動した上で1対2を強要して来るんじゃねーよ!」

 

【スピードワールド2】影響下でスピードスペル以外の魔法カードを使用すると2000ダメージを受けてしまう。当然、今セットしているデッキは【スピードワールド2】専用の構築にしているはずもなく、スピードスペルなど一切積んでいない。

 

デッキの2割以上がセルフ2000バーンダメージ付与の魔法カードとなったわけだ。泣けるぜ。

 

「…やるしかないと思う」

 

後ろに座っているレインが少し緊張気味な声で呟く。こちらは1台、向こうは2台。流石に時速100km超えの速度でドライバー交代は出来ないし、俺が相手をするしかない。

 

まるで訳が分からんぞ!?状態だが、とにかく、降りかかる火の粉は払うに限る!

 

~~~

 

「あー、もう!…対戦、よろしくお願いします!」

 

どんな時でも挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

『『「ライディングデュエル!アクセラレーション!」』』

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆ディアブロA LP:4000

◆ディアブロB LP:4000

 

 

『先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行』

ディアブロA 手札:5→6枚。

 

『私は手札から【A・O・J ガラドホルグ】を通常召喚。このカードは光属性モンスターと戦闘を行う場合、

ダメージステップの間、攻撃力が200ポイントアップする』

ディアブロA 手札:5枚。

 

<ディアブロAのフィールド>

A・O・J ガラドホルグ ★4 ATK1600

 

『私はカードを3枚伏せて、ターンエンド』

ディアブロA 手札:1枚。伏せカード:3

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚、Spカウンター:0

 

VS

 

◆ディアブロA LP:4000、手札:1枚、伏せカード:3、Spカウンター:0

 

<ディアブロAのフィールド>

A・O・J ガラドホルグ ★4 ATK1600

 

◆ディアブロB LP:4000、手札:5枚、Spカウンター:0

 

 

やっぱりディアブロなら【A・O・J】デッキか。伏せカードは3枚。1枚は高確率で【DNA移植手術】だろうな。残りは…【スピードワールド2】環境下で通常の魔法カードは考えづらいから、こちらの行動を阻害するカウンター罠の可能性があるな。

 

『私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行』

ディアブロB 手札:5→6枚。

白河クロト Spカウンター:0→1

ディアブロA Spカウンター:0→1

ディアブロB Spカウンター:0→1

 

『私は手札から【A・ボム】を通常召喚。このカードが光属性モンスターとの戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、フィールド上のカード2枚を破壊する』

ディアブロB 手札:5枚。

 

<ディアブロAのフィールド>

A・ボム ★4 ATK1600

 

『私はカードを3枚伏せて、ターンエンド』

ディアブロB 手札:1枚。伏せカード:3

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚、Spカウンター:1

 

VS

 

◆ディアブロA LP:4000、手札:1枚、伏せカード:3、Spカウンター:1

 

<ディアブロAのフィールド>

A・O・J ガラドホルグ ★4 ATK1600

 

◆ディアブロB LP:4000、手札:5枚、、伏せカード:3、Spカウンター:1

 

<ディアブロAのフィールド>

A・ボム ★4 ATK400

 

 

やっぱりもう一人も【A・O・J】デッキか。こちらも伏せカードは3枚。合計6枚の伏せカード相手に通常の魔法カード無しで相手をするのは正直キツイな…。一番の問題は、今セットしてあったデッキって光属性メインなんだよな…。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

白河クロト Spカウンター:1→2

ディアブロA Spカウンター:1→2

ディアブロB Spカウンター:1→2

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札から【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

クロト 手札:5枚。

 

『カウンター罠【神の宣告】発動!LPを半分払って効果を発動できる。自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する!【サイバー・ドラゴン】は破壊される!』

ディアブロA LP:4000→2000、伏せカード:3→2

 

「それくらいは織り込み済みなんだよ!その効果にチェーンして、俺も手札からカウンター罠【レッド・リブート】発動!このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる!相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない!」

クロト LP:4000→2000、手札:5→4枚。

 

『その効果にチェーンして、カウンター罠【神の宣告】発動!LPを半分払って効果を発動できる。魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する!【レッド・リブート】を無効にして破壊する!』

ディアブロB LP:4000→2000、伏せカード:3→2

 

「なっ!?2枚目!?」

 

「…これは、危険」

 

チェーン①神の宣告

チェーン②レッド・リブート

チェーン③神の宣告

 

「マジかよ…効果処理を行う。チェーン③【神の宣告】によりチェーン②【レッド・リブート】の発動は無効となり破壊される。そしてチェーン①【神の宣告】により、俺の【サイバー・ドラゴン】のを特殊召喚は無効化されて破壊される」

 

「俺は手札の光属性モンスター【銀河眼の光子竜】を墓地へ送って手札の【銀河戦士】の効果発動!このカードを手札から守備表示で特殊召喚!」

クロト 手札:4→3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

銀河戦士 ★5 DEF0

 

良し!やっと特殊召喚が通ったな!恐らく奴らに特殊召喚を妨害するカードは残っていない!どんな手段を使ってもこのタイミングで確実に仕留める!

 

「特殊召喚された【銀河戦士】の効果発動!デッキから「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える!俺はデッキから【銀河騎士】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「自分フィールドに「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。俺は手札の【銀河騎士】を自身の効果でリリース無しで召喚!」

クロト 手札:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

銀河戦士 ★5 DEF0

銀河騎士 ★8 ATK2800

 

「このカードが自身の効果でリリースなしで召喚に成功した場合、自分の墓地の「銀河眼の光子竜」1体を対象として発動する。このカードの攻撃力はターン終了時まで1000ダウンし、対象のモンスターを守備表示で特殊召喚する。俺は墓地より【銀河眼の光子竜】を守備表示で特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

銀河戦士 ★5 DEF0

銀河騎士 ★8 ATK2800→1800

銀河眼の光子竜 ★8 DEF2500

 

「…レベル8のモンスターが2体」

 

「俺はレベル8【銀河騎士】と【銀河眼の光子竜】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク8!【No.97 龍影神ドラッグラビオン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

銀河戦士 ★5 DEF0

No.97 龍影神ドラッグラビオン ☆8 ATK3000 ORU:2

 

「俺は【No.97 龍影神ドラッグラビオン】のORUを1つ取り除き効果発動!このカードのORUを1つ取り除いて発動できる。自分のEXデッキ・墓地から「No.97 龍影神ドラッグラビオン」以外のドラゴン族の「No.」モンスター2種類を選ぶ。その内の1体を特殊召喚し、もう1体をそのモンスターの下に重ねてORUとする!この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できず、この効果で特殊召喚したモンスターでしか攻撃宣言できない!俺はEXデッキからドラゴン族の【No.107 銀河眼の時空竜】と【CNo.107 超銀河眼の時空龍】を選び、【No.107 銀河眼の時空竜】を【CNo.107 超銀河眼の時空龍】のORUとする!」

No.97 龍影神ドラッグラビオン ☆8 ATK3000 ORU:2→1

 

<白河クロトのフィールド>

銀河戦士 ★5 DEF0

No.97 龍影神ドラッグラビオン ☆8 ATK3000 ORU:1

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

 

「俺は手札の【銀河の修道師】の効果発動!自分フィールドの、「フォトン」Xモンスターまたは「ギャラクシー」Xモンスター1体を対象として発動できる。手札のこのカードをそのモンスターの下に重ねてORUとする!俺は【CNo.107 超銀河眼の時空龍】を対象とし、手札の【銀河の修道師】を【CNo.107 超銀河眼の時空龍】のORUとする!」

クロト 手札:2→1枚。

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1→2

 

「俺は【CNo.107 超銀河眼の時空龍】のORU(銀河の修道師)を1つ取り除き効果発動!1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン相手はフィールドで発動する効果を発動できず、このカード以外のフィールドの全ての表側表示のカードの効果はターン終了時まで無効化される!」

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:2→1

 

『その効果にチェーンして、通常罠【レアメタル化・魔法反射装甲】発動!フィールド上の機械族モンスター1体を選択して発動できる。このカードがフィールド上に存在する限り、その機械族モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、そのモンスターを対象にする魔法カードの効果を1度だけ無効にする。選択したモンスターがフィールド上から離れた時、このカードを破壊する!私は【A・O・J ガラドホルグ】に【レアメタル化・魔法反射装甲】を装備する!』

ディアブロA 伏せカード:2→1

 

『その効果にチェーンして、永続罠【DNA移植手術】発動!発動時に1種類の属性を宣言する。このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の全ての表側表示モンスターは自分が宣言した属性になる!私が宣言するのは『光属性』だ!』

ディアブロB 伏せカード:2→1、永続罠:1

 

チェーン①CNo.107 超銀河眼の時空龍

チェーン②レアメタル化・魔法反射装甲

チェーン③DNA移植手術

 

効果発動を制限される前にフリーチェーンの伏せカードを使って来たか。【DNA移植手術】に関しては、【CNo.107 超銀河眼の時空龍】自身が光属性だからあまり意味はないと思うけどな。

 

「効果処理を行う。チェーン③【DNA移植手術】の効果によってフィールド上の全ての表側表示モンスターは光属性となる。次にチェーン②【レアメタル化・魔法反射装甲】の効果によってそちらの【A・O・J ガラドホルグ】の攻撃力は500ポイントアップし、そのモンスターを対象にする魔法カードの効果を1度だけ無効にする。最後にチェーン①【CNo.107 超銀河眼の時空龍】の効果によってこのターン相手はフィールドで発動する効果を発動できず、このカード以外のフィールドの全ての表側表示のカードの効果はターン終了時まで無効化される!」

 

<ディアブロAのフィールド>

A・O・J ガラドホルグ ★4 ATK1600 → 2100

 

「【CNo.107 超銀河眼の時空龍】のもう一つの効果を説明しておこう。このカードが「No.107 銀河眼の時空竜」をX素材としている場合、このカード以外の自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる!」

 

『『攻撃力4500の3回攻撃!?』』

 

「【CNo.107 超銀河眼の時空龍】の効果発動!フィールドの【銀河戦士】と【No.97 龍影神ドラッグラビオン】をリリース!このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる!」

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1 ※3回攻撃

 

「バトルフェイズに移行!【CNo.107 超銀河眼の時空龍】で【A・O・J ガラドホルグ】に攻撃!」

 

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ATK4500 ※3回攻撃

vs

A・O・J ガラドホルグ ★4 ATK2100

 

『ぐわぁぁぁぁぁぁっ!』

ディアブロA LP:2000 → 0

 

「これで終わりだ!【CNo.107 超銀河眼の時空龍】で【A・ボム】に攻撃!」

 

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ATK4500 ※残り2回攻撃

vs

A・ボム ★4 ATK400

 

『うわぁぁぁぁぁぁっ!』

ディアブロB LP:2000 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わると、ディアブロたちのDホイールの前面からから煙が噴き出し、Dホイールが急停止した。これでしばらく奴らは俺達を追ってこれないだろう。

 

「…お疲れ様」

 

「あぁ。そう言えば、後ろに居た最後の1台はどうなった?

 

「…こちらに迫ってくる様子はない」

 

「そうか。…ふぃー!今回はかなり焦ったぞ…。いきなりデュエルを仕掛けられるのは勘弁してもらいたいな」

 

【スピードワールド2】による通常の魔法カード制限はメチャクチャキツイわ。ヤバかったから虎の子のオーバーハンドレッドナンバーズを切ることになってしまった、本来なら少なくとも今回の黒幕までは取っておきたかったんだけどなぁ。

 

「それで?あのディアブロっぽい奴等の正体とかは分かったのか?」

 

「…今は、言えない」

 

えぇ…。割と困るんだけど…。そんなしょんぼりした声で言われるとなんだかこっちが悪いことをしている気分になるじゃん…。でもまぁ、レインってイリアステルだと下っ端だろうし、上の判断を仰いでからってことなんだろうな。

 

「じゃあ、しゃーねーな」

 

「…いいの?」

 

「ここで俺がゴネたら話せるようになるわけじゃないだろ?別にいいよ」

 

「…うん」

 

そもそも、心当たりがないわけじゃないからな。今のイリアステルがどれだけの人数になっているかは正確には知らんが、物語最終盤まではZONE、アポリア、アンチノミーは残っているわけで、物語後半ならこの時代の俺に構っている暇はないだろう。つまり、この時代で既にリタイアしているイリアステルの幹部であるサイボーグ、パラドックス関連だろうな。

 

何でパラドックスが生存しているのか、何で俺を攻撃して来るのかは知らないが、これ以上は考えても推測にしかならないし、保留だ。保留!

 

「さっさとこの場から距離を取りたいから、飛ばすぞ!」

 

「…了解」

 

俺はDホイールの速度を上げてなるべく早くこの場所から去ることを優先した。さっきのデュエルでかなり時間をロスしたが、俺はなるべく今日中に町に着いてベットで寝たいんだよ!

 

~~~

 

8月5日。夜。ようやく当初の目的地に到着した俺達は、Mr.マッケンジーに連絡を取ることにした。早速、アンテナが立った状態に戻った携帯電話からMr.マッケンジーへ電話を掛ける。コール音の3回目が鳴り終わる頃には彼の声が聞こえてきた。

 

『もしもし、白河君か。どうやら無事のようで何よりだ』

 

「えぇ、道中に色々とありましたが、なんとか目的の町に到着できました」

 

話してみるとなにやらこちらの事情を知っていそうなMr.マッケンジー。そう言えば、脱出した後の列車がどうなったとか気にしてなかったな。

 

『君たちが乗っていた列車が駅に到着していないことがニュースになっていてね。つい先ほど荒野の真ん中で停車している列車と、意識を失っている乗客たちが発見されたと報道されたところだよ』

 

「昨日の夜辺りに列車内で破滅の光に洗脳された集団に襲われましてね。俺達は何とか脱出したのですが、あの後そういう状況になっていたのですね」

 

『今は救急隊員たちが列車内から乗客たちを降ろして病院へ移送しているところみたいだね』

 

「俺達が買った切符は個人を特定できるようなものではないでしょうから、意識不明の乗客の中に俺達が居なくてもそれがバレることはないと思いますが…気付かれると不審に思われるでしょうね」

 

『なるほど。状況だけ見れば君たちが乗客昏睡事件の犯人と疑われても仕方ない状況だね。分かった。こちらでも少し手を回しておくことにするよ

 

「助かります」

 

列車の貨物室の荷物(Dホイール)が減っていたり、貨物室の扉が開けっ放しになっていたりするはずなので、妙な疑いを掛けられそうではあるが、その辺りはMr.マッケンジーの手腕に期待するしかないか。

 

『目的の人物に関してだが、エド・フェニックスに関してはプロリーグの試合日がちょうど重なったらしく、今はその町を離れているそうだ』

 

「そうですか」

 

『もう一人の人物であるDDには何とかコンタクトが取れたよ。明日の夕方ならば時間が取れるそうだから、後で送る住所に向かってくれ。私の紹介だと言えば会ってくれるだろう』

 

「了解です」

 

その後、こちらの状況の詳細や明日のDDとの邂逅について少し話した後、電話を切った。

 

「明日の夕方頃に、DDに会うことになった」

 

「…そう」

 

俺の電話を横で聞いていたレインにも、聞こえていただろうけど一応伝えておく。

 

明日が本番だ。エド・フェニックスに会えないのは残念だが、本命のDDには会えるのだ。恐らく彼が破滅の光を宿した【D-HERO Bloo-D】のカードを所持している今回の事件の主犯格だろう。気を引き締めて、油断せずに対応しよう。

 

そして、町の適当なホテルにチェックインし、そこそこのバスルームで体を洗い、そこそこのベットで眠りについた…。初日の高級ベットが恋しい…。




本編では、イリアステル側のライディング・ロイドと、別勢力のライディング・ロイドを区別するために、それぞれ前者をゴースト、後者をディアブロと呼んでいますが、本来は大体似たようなものです。

久々のライディングデュエルですが、毎回スピードカウンターやスピードスペルを上手く有効活用できないまま終わってしまうのが悩みどころです。

ディアブロの使用デッキは【A・O・J】です。ライディングデュエルだった為、魔法カードが使用できなかった分はスタンディングデュエルの時より弱体化しています。

オリ主のデッキは【ギャラクシー】です。魔法カードが無くても、何とかダークマターを出すくらいは出来るようになっています。

次回の更新は2/3(水) AM7:00予定です。

必殺雷撃人様、戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十話 DD

アメリカ校来訪編の黒幕戦です。

オリ主にとって、アニメGXのボスキャラで恐れるのはそのオカルトパワーのみであり、アニメGX時代のデッキに後れを取る可能性は…。

2021/6/12 【D-フォース】がOCG化したので、文面を一部変更しました。また、表記方法を最新のフォーマットに統一しました。


<クロト視点>

 

 8月6日。昼過ぎ。

 昨日は思っていた以上に疲れていたらしく、かなり深く寝入っていたようだ。眠い…だが、レインとの待ち合わせ時間はもうまもなくだ。

 

「バニー!」

「リューン!」

「おぉ、おはよう」

 

 バニーラとプチリュウは今日も元気だ。洗面所に行って顔を洗い、歯を磨き、うがいをする。その頃には眠気はかなり収まっていた。時間もかなり不味いことになっている。

 

「忘れ物はなさそうか?」

「「「「「ワイトもそう思います」」」」」

 

 ワイトたちに忘れ物の確認を手伝ってもらい、問題なさそうであることを確認する。人海戦術とは便利なものだよな。戦いは数だよ。

 

「そうか、じゃあ行くか。遅れるとレインがまた文句を言ってきそうだ」

 

 俺は日本から持ってきているいつもの白と黒の服に着替えて、これまたいつものキャリーバッグを持って部屋を出で、ホテルの受付でチェックアウトの処理を済ませ、待ち合わせ場所の公園へと向かった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 8月6日。夕方。

 時間ギリギリに到着してレインと合流すると、レインから無言で冷たい視線が飛んでくる。

 

「待たせたな」

「…かなり待った」

「スマンな、悪かったよ。じゃ、早速向かおうか」

「…了解」

 

 まだ少し文句を言いたげなレインはとりあえず置いておき、俺達はDDが待つ屋敷へと足を運んだ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 8月6日。夕暮れ時。

 DDの巨大な屋敷の門には大きな南京錠で施錠がされており、チャイムを鳴らしても何の応答も無かった。

 

「おかしいな。一応、Mr.マッケンジーから指定された時間通りに来ているんだが…」

「…入る?」

「ちょっと待っててくれ。…うん、屋敷の中には誰か一人はいるみたいだ。入っちゃうか」

「…うん」

「メカレオン、光学迷彩を頼む」

『ふふふっ!ボクの出番だな!任せろ!』

「…ステルスモード起動」

 

 俺は門から少し離れて門の上部に設置された監視カメラから映らない場所に移動した。その後、メカレオンに頼んで光学迷彩を展開し、レインも手元の装置を起動させてその姿を消した。これで家に勝手に入ったとしても、他の人間にはバレないだろう。

 門に掛かっている鍵を魔導波で吹っ飛ばして俺達は屋敷の敷地内へと歩を進めた。巨大な門を抜けると、そこには門と同じく、広大な庭が広がっており、その先にはこれまた巨大な屋敷が見える。よく見るとそこら中に一台数十万はするだろうと思われる監視カメラがある。

 金持ってんなぁ…。それとも、アメリカじゃあこのサイズの家が普通なのか?俺んちの孤児院の5倍くらいあるぞ…そういや、これって不法侵入になるよな。監視カメラとか見つけたら、コッソリとメカレオンに破壊しておいて貰おう。

 

「さて、何事もなく、屋敷の入り口の扉まで辿り着いたな」

「…うん」

 

 今更だが、屋敷の扉をノックする。屋敷の中からは間違いなく人間が一人いる気配がするのだが、何の反応もないな。

 

『君たちがMr.マッケンジーが言っていた少年たちだろう?その扉から入ってきたまえ』

 

 何の反応もないと思っていたのだが、扉の横についているスピーカーからから男性の声が聞こえてきた。恐らくDDの声なのだろう。こちらに合わせたのか日本語で話しかけてきた。俺達は扉を開けて屋敷へと入り、周囲に監視カメラがないことを確認してからそれぞれ光学迷彩とステルスを解除し、屋敷のそこら中から聞こえるDDの声に促されるままに屋敷の奥へと進んでいく。

 

「よく来たな。待っていた。Mr.マッケンジーから話は聞いているぞ。何やらオレに確認したいことがあるそうじゃないか」

 

 恐らく屋敷の中心部辺りに到達した時、大広間のような場所に辿り着いた。そして、その奥にはグレーのスーツを着てスクエア型の眼鏡を掛けた黒髪の男が立っていた。前世で見たアニメGXに登場したDDそのままの姿だ。左右に広がるように尖った髪型がとても分かりやすい。

 

「初めまして、プロデュエリスト、DD。私は白河クロトと申します」

「…レイン恵です」

「初めまして。俺はDDだ。さて、どんなことが聞きたいのかな?」

 

 DDは薄く笑いながらこちらに話を促してくる。その懐からはアメリカに来訪してから最も強く禍々しい光の波動の魔力を感じる。どうやら予想通り、大当たりのようだ。

 

「話は単純明快です。貴方の持つ究極のDを本来の持ち主に返して貰いたいのです」

「…ほう?究極のD?何のことかなぁ?」

 

 DDは口元を歪ませながら凄みのある笑みを見せる。ニタニタと言った表現がピッタリくるような見ていて不快な笑みだ。

 気に入らないな。デュエルで犯罪を行う強盗犯の分際で何を笑っていやがる。さっさと話を進めてしまおう。

 

「手間を掛けさせるな、とぼけるなよ?貴方がフェニックス氏の家に強盗に入り、究極のDのカードを奪ったことは、Mr.マッケンジーから話を聞いて分かっている。さっさとその懐にしまってある【D-HERO Bloo-D】を渡せ」

「ハハハッ!やはりあの男、当時の記憶を思い出していたのか!オレのことを言及してこなかったから見逃してきてやったのに…そうさ、オレがこの究極のDの所持者!デスティニーオブデュエリスト!プロリーグの頂点に立つ男!DDだ!」

 

 そう言うと、DDは自身の懐からカードを取り出して天に掲げる。間違いなく、【D-HERO Bloo-D】だ。カードを掲げた瞬間から【D-HERO Bloo-D】を中心に光の魔力が強くなり、DDの体を覆う。

 

「オレは『英雄』になりたかった。だから世界で最も栄光と栄誉を得られるプロデュエリストを目指した…」

 

 頼んでも居ないのにDDが勝手に一人語りを始めた。長いので略すると、以下の通りだ。ほぼアニメと同じ展開だな。

 

 ①プロデュエリストを目指したけど無理だった。

 ②たまたまカードデザイナーのフェニックス氏が制作していた究極のDの存在を知って強盗しようとしたが、フェニックス氏と偶然居合わせたMr.マッケンジーに発見された。

 ③そんなタイミングで【D-HERO Bloo-D】に宿った破滅の光に洗脳され、破滅の力によりフェニックス氏の家があるビルは全焼し、その力の衝撃によりDDは気絶した。

 ④DDは何故か助かったが、フェニックス氏とMr.マッケンジーは意識不明の昏睡状態となっていた。事件は大事になって自身の逮捕を恐れたDDは、警察の動きを知るためにフェニックス氏の息子であるエドを利用することを思いつき、彼の保護者として彼を預かることにした。同時にフェニックス氏の容態も監視する為に彼の看護を願い出た。

 ⑤後日、Mr.マッケンジーは目を覚ましたが、DDが強盗に入ったことを覚えていなかったのか、彼を告発することはなかった。

 ⑥【D-HERO Bloo-D】を手に入れたDDには幸運と勝機が舞い込んできて、スポンサーも見つかり、プロリーグも全戦全勝。DDはプロデュエリストのチャンピオンに君臨し、10年以上その王座を譲るすることは無かった。

 ⑦表舞台で【D-HERO Bloo-D】を使うことはなかったが、裏の世界でのデュエルでは頻繁に使い、その度に倒した相手の魂を吸収させてきた。

 

「…そして、お前もこの【D-HERO Bloo-D】に魂を吸収される一人となるのだ!」

「はいはい。じゃ、デュエルするか…レイン」

「…分かってる。私は手出ししない。負けたら承知しない」

「俺がこの程度の奴に負けるかよ」

「ハハハッ!舐められたものだな!良いだろう!一人ずつ順番に消し去ってやろう!」

 

 【D-HERO Bloo-D】は確かに強力なカードだよ。でもな?それだけで本当に勝てると思っているのかな?

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「始めようか!死のデュエルを!」

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆DD LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

DD 手札:5→6枚。

 

「オレは手札より魔法カード【天使の施し】を発動!自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる!」

DD 手札:6→5→8→6枚。

 

 墓地に送ったのは、【ネクロ・ガードナー】と【不死武士】か。墓地効果を持つカードばかりとは、流石はプロリーグのチャンピオンって感じの引きだな。

 

「オレは手札より魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドローする!」

DD 手札:6→5→7枚。

 

 たまには俺も初手から壺!施し!とかやりたいな…。

 

「オレは手札より魔法カード【増援】を発動!オレはデッキからレベル4【ダーク・グレファー】を手札に加える!」

DD 手札:7→6→7枚。

 

「オレは手札の【ダーク・グレファー】の効果を発動!手札から【The grand JUPITER】を捨てて、手札の【ダーク・グレファー】を特殊召喚する!」

DD 手札:7→6→5枚。

 

<DDのフィールド>

ダーク・グレファー ★4 ATK1700

 

【ダーク・グレファー】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1700/守1600

(1):このカードは手札からレベル5以上の闇属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、手札から闇属性モンスター1体を捨てて発動できる。デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

 あのカードは…プラネットシリーズか。なるほど、火事の土壇場でMr.マッケンジーが回収しそこなった残りのプラネットシリーズも回収していたのか。

 

「デイビッド・ラブにプラネットシリーズを渡していたのはお前か」

「ディビットぉ?誰のことだぁ?」

 

 コイツじゃないのか?じゃあ誰がデイビッドに【The big SATURN】を渡したんだ?

 

「オレは【終末の騎士】を召喚!」

DD 手札:5→4枚。

 

<DDのフィールド>

ダーク・グレファー ★4 ATK1700

終末の騎士 ★4 ATK1400

 

【終末の騎士】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1200

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

「【終末の騎士】の効果発動!オレはデッキから闇属性【D-HERO Bloo-D】を墓地に送る!」

 

 来たか。【D-HERO Bloo-D】。OCG次元において様々なカードが出てもなお厄介なモンスターだよな。

 

「オレは手札より魔法カード【戦士の生還】を発動!当然、オレは墓地の戦士族【D-HERO Bloo-D】を手札に加える!」

DD 手札:4→3→4枚。

 

 あーあ、こんな時に手札に【D.D.クロウ】でも握っていれば、このタイミングで墓地の【D-HERO Bloo-D】を除外!みたいな面白いことになったのになぁ。

 俺のドロー力はまだまだだな。

 

「オレは手札より魔法カード【デビルズ・サンクチュアリ】を発動!自分フィールドに「メタルデビル・トークン」1体を特殊召喚する!」

DD 手札:4→3枚。

 

【デビルズ・サンクチュアリ】

通常魔法

(1):自分フィールドに「メタルデビル・トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

このトークンは攻撃できず、このトークンの戦闘で発生するコントローラーへの戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。

このトークンのコントローラーは自分スタンバイフェイズ毎に1000LPを払う。または、LPを払わずにこのトークンを破壊する。

 

<DDのフィールド>

ダーク・グレファー ★4 ATK1700

終末の騎士 ★4 ATK1400

メタルデビル・トークン ★1 DEF0

 

「フィールドに三体のモンスターが揃えたか」

「くくくっ。どうやらその口ぶりだと【D-HERO Bloo-D】のことを少しは知っているようだな?」

 

 DDはニヤニヤしている。なら、来るだろうな。さっき【戦士の生還】で手札に加えたのは見ているわけだしな。

 だが、【D-HERO Bloo-D】を最初のターンに出す理由は…あぁ、アニメ版の方なのかな?

 

「見せてやろう少年!フィールドの三体のモンスター・トークンを生贄に捧げる!出でよ【D-HERO Bloo-D】!」

DD 手札:3→2枚。

 

 フィールドのモンスター三体が赤い渦に飲み込まれて消え去り、赤い渦から零れた水滴がフィールドに赤い波紋を作り、やがて大きな渦を作る。そして、その中から究極のDがその姿を現す!

 

<DDのフィールド>

D-HERO Bloo-D ★8 ATK1900

 

【D-HERO Bloo-D】※アニメ版効果

効果モンスター

星8/闇属性/戦士族/攻1900/守 600

このカードは通常召喚できない。3体の生け贄を捧げる事で特殊召喚する事ができる。

(1):相手モンスター1体を指定してこのカードに装備する(この効果は1ターンに1度しか使用できず、同時に装備できるモンスターは1体のみ)。このカードの攻撃力に装備したモンスターの攻撃力の半分を加える。また、装備したモンスターのモンスター効果を得る。

(2):「D-フォース」が自分のデッキの一番上に表側表示で存在する時、相手フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て効果が無効化される。さらに、自分フィールド上のカードを対象とする相手の魔法・罠カードの発動と効果を無効にし破壊する。

 

 アニメ版効果の方だな。今のままだとちょっと強いサクリファイスみたいなもんだな。いや、相手モンスターの効果も吸収できるんだっけ?

 ともかく、次の行動はアニメ版【D-HERO Bloo-D】の真の力を発揮するために必要なあの魔法カードの発動だろう。

 

「このカードの前では、何もかも無力であることを教えてやる!オレは手札より魔法カード【D-フォース】を発動!このカードを表側表示でデッキの一番上に置く!」

DD 手札:2→1枚。

 

【D-フォース】※アニメ版効果

通常魔法

このカードを表側表示でデッキの一番上に置く。

このカードが自分のデッキの一番上に表側表示で存在する時、自分のドローフェイズにドローする事はできない。

 

 アニメ版の【D-フォース】、本当に効果少ないよな。

 OCG版だと確か【D-HERO Bloo-D】のサーチ効果とか付いていたはずだ。

 

「このカードが自分のデッキの一番上に表側表示で存在する時、自分のドローフェイズにドローする事はできないが、これで【D-HERO Bloo-D】の真の力が解放される!」

 

 【D-フォース】が発動すると同時に部屋の天井付近に黒い渦が現れ、DDと【D-HERO Bloo-D】を禍々しい光の波動が包み込んでいく。

 その瞬間から強烈な光の魔力がヒシヒシと伝わってくる。どうやら破滅の光がその力を発揮し始めたようだ。

 

「くくくっ!この【D-HERO Bloo-D】に魂を奪われた者たちの呻きが聞こえるだろう?」

「…」

「もうすぐお前たちもその仲間に入れてやるぞ?ハハハハハッ!」

「…」

 

 確かに聞こえるし、見えるな。【D-HERO Bloo-D】の羽根の辺りから何人もの人間っぽいシルエットの影が映ったりしている。これが全てこの男の被害者と言うわけだ。

 アニメGXだとこの男は【D-HERO Bloo-D】を裏世界でのデュエルでしか使っていなかったはずだから、エド・フェニックスの父親以外に取り込まれている人間は大体訳アリか悪党が殆どなんだろうな。

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

DD 手札:1→0枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆DD LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1。デッキトップ:表側表示の【D-フォース】

 

<DDのフィールド>

D-HERO Bloo-D ★8 ATK1900

 

 

 アニメオリジナルカードの【D-フォース】が相手のデッキトップに表側で存在する限り、相手はドローできない代わりにアニメオリジナル効果の【D-HERO Bloo-D】により、相手フィールド上に表側表示で存在する効果モンスターは全て効果が無効化され、自分フィールド上のカードを対象とする相手の魔法・罠カードの発動と効果を無効にし破壊する。

 確かアニメでは、エド・フェニックスがデッキトップの【D-フォース】を相手にドローさせることでその戦術を破ったはずだ。オレも同じ方法を取ってもいいが…。吸収効果は自分ターンにしか使えず、フィールド上のモンスター効果しか防げない、対象を取らない魔法・罠には無力なモンスター1対のみとか、別に脅威ではないからな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

 【D-フォース】が存在する限り、普通の方法ではデッキからカードをドローできない。

 ならばあの伏せカードは恐らくアニメでも使用していたアニオリカードの手札増強カードの通常罠【D-ブースト】だろう。

 

「俺は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札から【怪粉壊獣ガダーラ】を捨てて、デッキから2枚ドロー!」

クロト 手札:6→5→4→6枚。

 

良し、ギリギリ引けたな。

 

「俺は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法【KYOUTOUウォーターフロント】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚。

 

「俺は手札からフィールド魔法【KYOUTOUウォーターフロント】を発動!」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:1

 

【KYOUTOUウォーターフロント】

フィールド魔法

(1):フィールドのカードが墓地へ送られる度に、1枚につき1つこのカードに壊獣カウンターを置く(最大5つまで)。

(2):1ターンに1度、このカードの壊獣カウンターが3つ以上の場合に発動できる。自分はデッキから「壊獣」モンスター1体を手札に加える。

(3):このカードが効果で破壊される場合、代わりにこのカードの壊獣カウンターを1つ取り除く事ができる。

 

「俺は手札から魔法カード【妨げられた壊獣の眠り】を発動!」

クロト 手札:5→4枚。壊獣カウンター:0→1→2

 

【妨げられた壊獣の眠り】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):フィールドのモンスターを全て破壊する。その後、デッキからカード名が異なる「壊獣」モンスターを自分・相手のフィールドに1体ずつ攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更できず、攻撃可能な場合は攻撃しなければならない。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「壊獣」モンスター1体を手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「この効果によりフィールドのモンスターを全て破壊!その後、そちらのフィールドに【多次元壊獣ラディアン】を、こちらのフィールドに【壊星壊獣ジズキエル】を特殊召喚する!」

 

「何ぃ!?この【D-HERO Bloo-D】を破壊するだと!?」

 

「…くくくっ!そんなことをしていいのかぁ?もしこの【D-HERO Bloo-D】が破壊されれば、【D-HERO Bloo-D】に奪われた魂は…」

「効果処理開始。消え去れ【D-HERO Bloo-D】」

 

 フィールド全体に突風が吹きすさび、フィールド上のモンスターは例外なく全て破壊され、その後、お互いのフィールドに1体ずつ巨大な壊獣が現れた。

 

<DDのフィールド>

多次元壊獣ラディアン ★8 ATK2800

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

 

「馬鹿な!?オレの【D-HERO Bloo-D】が破壊された!?こんなことが…!?お前!人の心が無いのか!?」

「既に死んだ人間の魂とか、どうしろっていうんだよ。さっさと介錯してやる方が優しさだろう?」

「く、狂っている!」

 

 お前に言われたくねーよ。

 

「俺は手札から【妖精伝姫-カグヤ】を召喚!そして効果発動!デッキから【妖精伝姫-シラユキ】を手札に加える!」

クロト 手札:4→3→4枚。

 

【妖精伝姫-カグヤ】

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1850/守1000

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから攻撃力1850の魔法使い族モンスター1体を手札に加える。

(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。相手はそのモンスターの同名カード1枚を自身のデッキ・EXデッキから墓地へ送ってこの効果を無効にできる。墓地へ送らなかった場合、このカードと対象のモンスターを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

妖精伝姫-カグヤ ★4 ATK1850

 

「俺は【妖精伝姫-カグヤ】の更なる効果発動!このカードとお前のフィールドに居る【多次元壊獣ラディアン】を持ち主の手札に戻す!」

 

「何ぃ!?」

「ほら?どうした?デッキから同名カードを墓地に送れば効果を無効にできるぞ?お前のデッキに壊獣がいればの話だけどなぁ!?」

「ぐぐぐっ!オレは、効果を無効にはしない!」

 

「ならば効果処理を行い、【妖精伝姫-カグヤ】と【多次元壊獣ラディアン】は俺の手札に戻る」

クロト 手札:4→5→6枚。

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

 

<DDのフィールド>

モンスター無し

 

「バトルフェイズに移行。【壊星壊獣ジズキエル】でダイレクトアタック!」

 

壊星壊獣ジズキエル ATK3300

 

「させるか!オレは墓地から【ネクロ・ガードナー】を除外して効果発動!相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!【壊星壊獣ジズキエル】の攻撃は無効だ!」

 

【ネクロ・ガードナー】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:6→4枚。伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズにリバースカードオープン!罠カード【D-ブースト】を発動!デッキトップの「D-フォース」の下からカードを2枚ドローする!」

DD 手札:0→2枚。伏せカード:1→0

壊獣カウンター:2→3

 

【D-ブースト】※アニメオリジナルカード

通常罠

自分のデッキの一番上に表側表示の「D-フォース」が存在する場合に発動できる。

「D-フォース」の下のカードを2枚ドローする。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:4枚、伏せカード:2

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

 

VS

 

◆DD LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0。デッキトップ:表側表示の【D-フォース】

 

<DDのフィールド>

モンスター無し

 

 

 【D-HERO Bloo-D】は除去したし、ヤツはアニメ版【D-フォース】の影響で通常のドローが出来ない。

 だが先ほどの【D-ブースト】の効果で手札を増強した。まだ油断はできないな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ…そのままスタンバイフェイズに移行!このタイミングで墓地の【不死武士】の効果発動!墓地から特殊召喚する!」

DD 手札:2枚。

 

【不死武士】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻1200/守 600

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。

この効果は自分の墓地に戦士族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。このカードは戦士族モンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

 

<DDのフィールド>

不死武士 ★3 DEF600

 

「メインフェイズへ移行!オレは手札より魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!オレはEXデッキからカード6枚ランダムに除外して、デッキからカードを2枚ドローする!」

DD 手札:2→1→3枚。

壊獣カウンター:3→4

 

 【D-フォース】をドローしたことでセルフドローロックを解除したか。

 【D-HERO Bloo-D】が居なくなった今、デッキトップでドローロックするだけのカードになっていたから当然か。

 

「オレは手札より魔法カード【死者蘇生】を発動!オレの墓地より蘇り、出でよ!【The grand JUPITER】!」

DD 手札:3→2枚。

壊獣カウンター:3→4

 

<DDのフィールド>

不死武士 ★3 DEF600

The grand JUPITER ★8 ATK2500

 

【The grand JUPITER】

効果モンスター

星8/闇属性/戦士族/攻2500/守2000

(1):1ターンに1度、手札を2枚捨て、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(3):自分・相手のエンドフェイズに、このカードの効果で装備したモンスターカード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「【D-HERO Bloo-D】の次はプラネットシリーズか。多芸なことだ」

「舐めた口を利くガキめ!プラネットシリーズの力を見るがいい!」

 

 発動コストは重いもののなかなかの効果を持ったモンスターだよな。

 効果が通るといいね。

 

「オレは手札を2枚捨てて【The grand JUPITER】の効果発動!【壊星壊獣ジズキエル】を吸収する!さぁ、コイツの装備カードにしてやるぞ!」

DD 手札:2→0枚。

 

「無駄だ。その効果にチェーンして【壊星壊獣ジズキエル】の効果発動!カード1枚のみを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、自分・相手フィールドの壊獣カウンターを3つ取り除いて発動できる。その効果を無効にし、フィールドのカード1枚を選んで破壊できる」

壊獣カウンター:4→1

 

「なん…だと!?」

 

「当然、【The grand JUPITER】の効果を無効にして、【The grand JUPITER】を選んで破壊する!」

 

チェーン②壊星壊獣ジズキエル

チェーン①The grand JUPITER ※効果無効。破壊される。

 

壊獣カウンター:1→2

 

<DDのフィールド>

不死武士 ★3 DEF600

 

「…ターンエンド」

 

「エンドフェイズに伏せカードの罠カード【強制脱出装置】を発動!対象はお前のフィールドの【不死武士】だ。手札に戻れ」

クロト 伏せカード:2→1

壊獣カウンター:2→3

 

【強制脱出装置】

通常罠

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「あっ、あぁ…」

DD 手札:0→1枚。

 

<DDのフィールド>

モンスター無し

 

 手札は墓地効果しか持たない【不死武士】、伏せカード無し、墓地発動のカードは今はもう無い。

 ヤツはもう終わりだな。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:4枚、伏せカード:1

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

 

VS

 

◆DD LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0。

 

<DDのフィールド>

モンスター無し

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札から【妖精伝姫-カグヤ】を召喚!そして効果発動!俺はデッキから【妖精伝姫-シンデレラ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

壊星壊獣ジズキエル ★10 ATK3300

妖精伝姫-カグヤ ★4 ATK1850

 

「バトルフェイズに移行。【妖精伝姫-カグヤ】でダイレクトアタック!」

 

妖精伝姫-カグヤ ATK1850

 

「ぐはぁ!」

DD LP:4000 → 2150

 

 カグヤの腹パンを受けたDDが愉快な表情をしながら膝をつく。痛そう。

 このデュエルは奴自身が展開している闇のゲームだ。当然、LPダメージを受ければ奴もリアルダメージを受ける。自業自得だ。

 

「バトルフェイズはまだ継続している。【壊星壊獣ジズキエル】で…」

 

「ま、待て!【D-HERO Bloo-D】のカードの中には多くの人間の魂があるんだぞ!?今はまだ意識不明で昏睡状態のあのフェニックスの魂もだ!」

「…」

「オレを倒せばその魂は失われるぞ!それでもオレにトドメを刺せるのか!?」

 

 そう言えばそうだった。アニメGXでもそんな状態だったな。でもさぁ…。

 

「何かと思えば命乞いか?情けない…」

 

 お前、それでも中ボスなのか?

 

「お前のようなガキに罪も無い人間を犠牲にすることなど出来るはずがない!」

 

 そりゃ俺だってセレナたちや明日香たちが人質に取られていれば躊躇するけどさぁ?

 

「関係ねぇよ!お前が奪った魂たちと一緒にあの世へ逝け!【壊星壊獣ジズキエル】でダイレクトアタック!」

 

壊星壊獣ジズキエル ATK3300

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」

DD LP:2150 → 0

 

 

 赤の他人の命と俺自身の命、天秤に掛けたらどちらを優先するかなんて決まってるだろう?

 

「ぐあぁっ…」

「対戦、ありがとうございました」

 

 これがプロリーグ1位の実力か。大したことなかったな。コナミの方が圧倒的に強い。そして、セレナたちや明日香たちに比べても、彼女たちの方が遥かに強い。

 破滅の光を浴びた人間は性格が攻撃的になるデメリットがあるものの、全体的な能力も向上するメリットがある。そのおかげでDDはプロリーグトップになれたみたいだが、俺みたいにチートだよりだったんだろうな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 デュエルが終わると同時に【D-HERO Bloo-D】の中から破滅の光の意思のような物が出てきたかと思えば、あえなく爆散した。

 そして、破滅の光が爆散した瞬間、凄まじい爆炎と衝撃が周囲に撒き散らされた!

 

「うおっ!」

 

 俺は突然の衝撃に身構えることが出来ず、宙へと吹き飛ばされた!

 やばっ!すっかり忘れてたわ!アニメGXではこの力が原因でスタジアムやら船やらが燃えたんだったな!

 

「…ん!」

「おぉっ!?」

 

 宙へ投げ出された俺をレインが何とか地面へと引き寄せてくれた。どうやら彼女は爆発を予期していたらしく、爆発の瞬間に身をかがめることによって衝撃を最小限に食い止めたようだな。

 危なかった…。危うく黒焦げになるところだった。

 

「助かった~。レイン、ありがとな」

「…うん」

 

 レインに感謝を述べつつ、周囲の状態を確認する。

 先ほどの衝撃で部屋の窓は全壊、周囲は炎に包まれている。早くこの屋敷を脱出しないと今度こそ黒焦げになってしまいそうだ。

 

「…これ」

「ん?これは、【D-HERO Bloo-D】に【The grand JUPITER】か。さっきの爆発の衝撃でこちらに吹き飛んできたのかな」

 

 【D-HERO Bloo-D】のカードテキストをよく見ると、効果がアニメ版からOCG版に変化していた。アニメ版効果は破滅の光の影響による変化だったのかな?

 

「オレは、オレは英雄だ!選ばれた人間なのだぁぁぁー!」

 

 前方から声がしたのでそちらを振り向くと、燃え盛る炎の中、訳の分からないことを叫ぶDDが居た。このままだと炎に呑まれて死んでしまうだろう。

 なら、やることは一つだな。

 

「お前は選ばれた人間ではない(全力の腹パン)」

「ゴフォッ!」

「…痛そう」

 

 ボコォッ!と言う、人のお腹から聞こえてはいけない音がしたが、一応生きてるので問題ない。当身(腹パン)で気絶させただけだ。

 コイツには自分で犯した罪を償って貰わなければ困る。死に逃げは許さない。

 

「…クロト」

「分かってる。早くここから離れよう」

 

 ピクピクしているDDを左手で抱えると、部屋の出口へ移動を開始した。

 その際、何故か【D-HERO Bloo-D】から弱々しい男性の声が聞こえてきた。…破滅の光の力がまだ残っているのか?

 

『うぅ…エド、済まない…』

「これは…もしかしてフェニックス氏の魂…とかか?」

「…そう、みたい」

 

 これは、アレか?他の魂を奪われた人間と違い、フェニックス氏は肉体が残っているから、魂が解放されずにカードに残留した…とかか?

 なんだか知らんが、運と都合がいいな。

 

「この後に行くところが出来たな」

「…彼の入院している病院は、既に調査済み」

「流石、仕事が早いな」

「…うん」

 

 俺とレインは早々に屋敷の正門とは逆の方向から脱出した。

 脱出中にレインがこの国の警察機構と消防機構に連絡を入れたらしく、正門の方向には既にパトカーや消防車が見えたからだ。

 

「とりあえず、DDは炎に巻き込まれない位置に適当に放置しておくか」

「…ん」

 

 俺はDDをポイッとその辺に放り投げると、顔から地面に落ちたDDからグェッ!っと言った呻き声がしたような気がしたが、気のせいだろう。

 さぁ、ここから先はアフターサービスだ。上手く行くかは分からないが、ハッピーエンドの可能性を掛けた最後の一仕事を片付けに行くか!

 

~~~

 

<エド視点>

 

 8月7日。昼過ぎ。

 プロリーグの試合が終わったボクは、ボクのマネージャーを務めてくれている親友の斎王琢磨と一緒に、生まれ育った町へと帰ってきた。

 

『フン、昨日の相手は大したことが無かったな』

『フフッ、エドが相手ではどのようなデュエリストでも勝ち目はありませんよ』

『いや、ボクはまだまださ。もっと努力して、強くなって、そして、父さんが残してくれた【D-HERO】に相応しいデュエリストになってやるさ!』

『なら、エドが【D-HERO】にふさわしい人間になるまで、私が君の隣で傘を差していよう。あの時の約束のようにね』

『…ありがとう』

 

 ボクは斎王にとっての法皇、救いを与える存在らしいが、ボクにとっての斎王こそ、ボクを救ってくれた存在だと思う。

 もし彼に破滅の未来が待っているのならば、今度はボクは彼の傍に立ち、大きな傘を差して助けよう。

 

『おや?エド、携帯が鳴っていますよ?』

『本当だ…誰だ?…病院!?』

 

 ボクは懐に仕舞っておいた呼び出し音の鳴り続く携帯電話を取り出して掛けてきた相手を確認すると、そこには父さんが入院している病院の名前が記されていた。

 まさか、父さんの身に何かがあったのか!?

 

『もしもし!エド・フェニックスです!父に何かあったんですか!?』

『エド君!落ち着いて聞いてくれ!君のお父さんが、目を覚ましたんだ!』

『父さんが!?分かりました!今からすぐに向かいます!』

 

 ボクは電話を切ると、すぐさま駅前のタクシー乗り場から斎王と一緒に病院へ向かった。

 

~~~

 

<エド視点>

 

 8月7日。夕方。

 タクシーの運転手が飛ばしてくれたお陰でなんとか面会時間までに病院へ辿り着くことが出来た。 父さんが入院しているのは特別病棟の4階だ!

 

『エド!私のことは良いですから、早く先に行って下さい!』

『済まない!』

 

 足のあまり早くない斎王に一言謝ってから、ボクは病院内を全力で走った。看護師の方に注意されるが、あえて無視した。

 非常識だとは分かっているが、気持ちが抑えきれない!そして、父さんの入院する部屋の前に辿り着き、その扉を開けた!

 

『おぉ…エド、エドだろう?大きくなったなぁ!』

『父さん!…本当に、父さんなんだよね!?』

『あぁ、そうだよ。エド、長らく迷惑をかけた様で済まなかったね』

『いいんだよ、そんなことは!ずっと、ずっと会いたかった!』

 

その後のことはあまり覚えていない。今まで会えなかった父さんと色んなことを話した。事件当時のこと、眠っている間のボクのこと、そして父さんが目覚める直前に見た夢に出てきたという、黒髪の少年デュエリストのことを。

 

父さんは、きっとその少年が自分を助けてくれたのだという。本当にそうであるのなら、いつか出会えた時、こう言いたい。父さんを救ってくれて、ありがとう、と。

 

 

~~~

 

<斎王視点>

 

 数年間昏睡状態だった父の元へ向かう友人エドを見送りつつ、私はこの病院に忍ばせておいた配下から今回の事件についての情報を受け取る。

 私は友人を追う為に病院の通路を歩きながら、今回の顛末について考え始めた。

 

「破滅の光の力を検証するために放った者たちや、隠れ蓑として利用していたDDはあっさりやられてしまいましたか。まぁ、あの【D-HERO Bloo-D】に残っていた力は抜け殻も同然。運命が彼に味方しなかったのは、仕方のないことなのかもしれませんね」

 

 予想よりも遥かに早く【D-HERO Bloo-D】がエドの手に渡ってしまいましたが、所詮は人の子。運命を操る私の敵にはなりえないでしょう。ただそれよりも…。

 

「DDを倒したであろう黒髪の少年と銀髪の少女については気になりますね。そして、その前日に起こった列車の事件。あれも私の預かり知らぬこと。どうやら私以外にも破滅の光の影響を受けた勢力が存在しているようです」

 

 少なくとも、私が作り始めている勢力以外に、DDを倒せる少年とその協力者と思われる少女の勢力、それに敵対する勢力が存在するわけだ。

 

「行動を起こすにはまだ早いと思っていましたが、少し調べておく必要がありそうですね」

 

 頭の中で今後のプランを立てつつ、追い付いた友人に気取られないように思考を中断し、普段の斎王琢磨を演じることに注力するのだった…。




内心気に入らない相手とは言え、姿を隠して平然と他人の家に不法侵入するオリ主。こんな行動ばかりしている主人公補正が付かないのでしょう。

DDのデッキは【闇属性・戦士族】。アニメGXで彼が使用したカードは少なく、大半がアニオリカードなので、【D-HERO Bloo-D】以外に唯一召喚したモンスターの属性と種族に合わせたデッキにしてみました。闇属性の時点でこの時代の相手とならば適当に戦ってもそこそこ戦えます。

オリ主のデッキは【壊獣】。デュエルで人の命を奪う輩に対して、オリ主は容赦の欠片もありません。神でも食える壊獣を相手に、DDは成す術もありませんでした。

そして、本作でやりたかったことその1、エド・フェニックスとその父親の救済ですが、一応なんとか形になったと思います。

次回の更新は2/6(土) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、戦車様、荒魂マサカド様、 メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十一話 アポリア

今回でアメリカ渡航編は終わり!

そのはずだったのですが、なにやらもう1波乱ありそうですね…。


8月8日。早朝。

 

 

俺はレインと共にデュエルアカデミアのアメリカ校がある町に向かう列車の食堂で朝食を食べていた。昨日はついつい昼まで寝てしまい、列車に乗るのが夜になったので、アメリカ校がある町に到着するのは今日の夕方になるだろう。

 

「おっ、今日の新聞でDDの屋敷のこととフェニックス氏のことが載ってるな。何々…DDの屋敷が全焼したが本人はその前後30分ほどの記憶を失っていた、か。これは助かったな。そうでなければ俺達のことを話されていた可能性が高いし。あとは、数年振りに意識を取り戻したフェニックス氏の証言により、DDの犯行が明るみになり、事件の再調査が始まるってよ」

 

「…そう」

 

レインはあまり興味が無さそうで、朝食に出たミルクをチビチビ飲んでいる。

 

「再調査と言っても形式的なものらしく、DD本人も犯行を認めていることから、既にプロデュエリストの資格は剥奪され、近々裁判になった後に有罪が確定するだろうってさ。ははっ、ザマァ(笑)」

 

「…クロトは、性格が悪い」

 

俺を殺そうとしてきたヤツに掛ける情けは無いからな。せいぜい牢獄で罪を償ってくるといいのさ。

 

「それにしても、まさか【D-HERO Bloo-D】のカードをフェニックス氏の口に咥えさせたら、【D-HERO Bloo-D】に宿っていた魂が、フェニックス氏の肉体に移動して意識を取り戻すとは思わなかったな」

 

「…あの時は、クロトは狂ったのかと思った」

 

俺には物体に宿った魂の移動なんて超高等魔術は出来ないからな。色々と試そうと思っていたけど、一発目で上手く行って良かったよ。

 

魂の操作なんてアニメDMでマハードやマナがやっていたようなレベルの魔術だ。つまり師匠や姉弟子なら出来るんだろうが、その彼らを人間界に呼んで実体化させることすら今の俺には出来ないのだ。まだまだ俺は未熟だ。

 

「DDの犯罪の証拠として【D-HERO Bloo-D】と【The grand JUPITER】もフェニックス氏の枕元に置いてきたが、必要なかったかもな」

 

「…他にも、何か置いていた」

 

「あぁ、俺が持っている【D-HERO】のカードを何枚か置いてきた。やはり、【D-HERO】を使うのはエド・フェニックスであって欲しいからな?」

 

「…どうして、クロトが【D-HERO】のカードを?」

 

世界で唯一、フェニックス氏が【D-HERO】のカードを、何故赤の他人の俺が持っているのかを問うレイン。うん、良い質問だね!だが答えない!

 

「さーて、そろそろ朝食を頂くとしよう。冷めると味が落ちてしまうからな!」

 

ジト目のレインの質問をスルーして朝食を食べることにする。俺のこのうっかり口を滑らせてしまう癖もそのうちなんとかしないとな…。

 

~~~

 

8月8日。夜。俺はレインと共にデュエルアカデミアのアメリカ校にある校長室へとやってきていた。

 

「お疲れ様。ニュースは見たよ。どうやら、上手くやってくれたみたいだね」

 

『くくっ!やるじゃねえか小僧』

 

そう話してくるMr.マッケンジーとトラゴエディアに今回の事件の顛末を説明する。

 

「【D-HERO Bloo-D】か。そのカードを普段からDDが持ち歩いており、そこから漏れ出る光の波動が周囲の人間を破滅の光が洗脳していったわけか」

 

『デュエルで勝利した時に見えたってのは恐らく、破滅の光の意思と呼べる物だろうな。それが爆散して光の魔力がカードから失われたのなら、とりあえずは今回の事件は解決だな』

 

そうだな。【D-HERO Bloo-D】に宿った破滅の光の意思が引き起こした事件はここで解決と言っていいだろう。

 

「えぇ、ですが謎はいくつか残っています」

 

「列車内に居た破滅の光に洗脳されたウチの生徒デイビッド・ラブが何故プラネットシリーズを所持していたかと言うことと、荒野で襲ってきた人型ロボットの正体か」

 

『ニュースを見る限りだと、列車内の乗客もそのデイビッド・ラブとか言うガキも列車に乗る前後のことは何も覚えていないと証言していたな』

 

デイビッド・ラブに関してはさっぱり分からん。人型ロボットについてはほぼ間違くなくディアブロだし、レインたちイリアステル関連だろうが、ここでは流石に言えないな。

 

「これらに関しては君への依頼の範囲外でしょうから、こちらで調べておくことにしよう。もちろん、何か分かったら連絡するよ」

 

『感謝しろよ小僧』

 

「ありがとうございました。では私たちはこれで失礼します」

 

「…失礼します」

 

「えぇ、今回の件については本当に助かったよ。こちらが数か月近く解決できなかった事件を約1週間で解決してしまうとはね…。海馬コーポレーションには私から事件の詳細を伝えておこう。白河君、ありがとうございました」

 

『ククッ!またな小僧。またアメリカに来いよ。今度デュエルする時はオレが勝つからな!』

 

今回の依頼内容であるカード白紙事件の顛末についての報告を終え、Mr.マッケンジーとトラゴエディアに別れの挨拶も告げて校長室を後にする。

 

ヨシッ!あとは久し振りの高級ホテルで1泊した後、明日香たちと響紅葉たちに別れの挨拶をすれば、懐かしの日本へ帰れるぞ!

 

「…クロト。今回の事件の件で、私が助力する際の条件、覚えてる?」

 

夜の校舎を歩いていると、すぐ後ろを歩いていたレインから声がかけられた。なにやら不穏な予感が…。

 

「…クロト、今から、時間取れる?」

 

どうやら一眠りするにはまだ早そうだ…。

 

~~~

 

8月8日。深夜。俺はレインと共にデュエルアカデミアのアメリカ校から少し離れた場所にある、人気のない荒野に佇んでいる。

 

「…今からクロトには、私の上司と会って貰う」

 

「まぁ、そうなるな」

 

知ってたよ。でもてっきり日本で会うのかと思ってたよ。

 

そんなことを考えていると、レインが俺と少し距離を取った後に振り返って対峙する形となる。そして少しすると彼女の少し横に円形状の光の門の様な物が現れ、そこから三人の男が姿を現す。

 

「初めまして、白河クロト。私の名前はZONE。イリアステルのリーダーを務めています」

 

「私の名はアポリアだ」

 

「ボクはアンチノミー。よろしくね」

 

白い浮遊する乗り物に乗った灰色の仮面の男、白い金属のような体を持つ大男、青髪の青年がそれぞれの自己紹介をする。間違いない。イリアステル滅四星のメンバーだ。

 

コードネーム:無限界帝Z-ONE、絶望のアポリア、戦律のアンチノミー。やはりと言うか、逆刹のパラドックスは居ないようだ。

 

「白河クロトだ。さて、俺に会いたいって話だけど、何か聞きたいことがあるのかな?」

 

既に知っているとは思うが、一応俺も自己紹介を返す。そうして侮られないように余裕のありそうな不敵な笑顔の顔を作る。…作れているよな?

 

「白河クロト。貴方にはこれから色々と質問させてもらいますが、まずはこの2つを聞いておかなければなりません」

 

「何だ?」

 

「我々イリアステルのことを知っているようですが、どの程度まで知っているのですか?」

 

うわっ、直球だな。経験上、俺が嘘を言うとロクなことにならないことはレインとのやり取りで経験済みだ。今回、イリアステルの連中には色々と協力してもらったし、ある程度は話してしまおうかな?

 

「大体は知っているかな。今から約200年後の未来にてシンクロ召喚を発端としたエネルギー機関モーメントの暴走で機皇帝の襲撃に遭い、荒廃した未来の世界を変えるため滅亡した世界の生き残りたちが、破滅を回避する方法を探るべく結成した、歴史干渉・歴史改竄を行う組織」

 

「やはり破滅の未来のことを知っているのか!?」

 

「ある程度は予想していたとはいえ、ここまでの情報を持っているとは驚いたね…」

 

「…続けて下さい」

 

「表向きは、世の安寧をもたらす「星の民」の力を受け継ぐ者で、星護主と呼ばれる指導者の下で政治・経済・軍事、世を統べるあらゆるものを操る組織」

 

「「「…」」」

 

「『星の民』とそれにまつわる赤き竜と冥界の王の戦いの伝説にも通じており、今から20~30年後に不動遊星らシグナーと敵対するダークシグナーの戦いを通じて世界の破滅と再生を試みようとしている。そろそろモーメント開発チームMIDSのメンバーであるレクス・ゴドウィン、ルドガー・ゴドウィン辺りに接触する予定なのかな?」

 

「破滅の未来までの歴史を知るのならば、当然その前に起こるシグナーとダークシグナーの戦いについても知っているわけか」

 

「しかも、その戦いにボクたちが干渉しようとしていることまで知っているのか」

 

「…続けて下さい」

 

「そちらのメンバーを見る限りだと、イリアステル滅四星の一人である『逆刹のパラドックス』は、既に過去の時代に飛んで武藤遊戯、遊城十代、不動遊星の3名に倒された後のようだな…ザッと話すならこんなところかな?」

 

「パラドックスが、伝説のデュエリストたちに倒されただと!?」

 

「帰還しないのではなく、帰還できなくなってしまったわけだね…」

 

「分かりました。話してもらって感謝します」

 

「どういたしまして」

 

俺の持っている情報がこの世界でも正しいのかを確認するために色々と話してみたが、大体は合ってそうだな。パラドックスに関しては彼らにとっては消息不明扱いだったのが気になるな。アニメ5D'sだとパラドックスのその後にはあまり触れなかったはずだ。

 

負けると死ぬデュエルであの伝説のデュエリスト3人と戦ったはずだし、やはりもう亡くなっているのだろうか。でも、パラドックスってアンドロイドだよな?機能停止しているだけで、実はもしかして修理が終われば再稼働できたりするんじゃないのか?

 

「ではもう一つの質問です。我々が今から8年前より過去に歴史干渉できなくなったのは、貴方の仕業ですか?」

 

…Why?何のこと?歴史干渉出来なくなった?

 

「何の話だ?」

 

「言葉の通りです。ある日を境に我々が今から8年前より過去に歴史干渉できなくなっています。そしてこの過去に歴史干渉できなくなった日は、貴方が事故に遭って両親を失った後、孤児院に行くことになった日にとても近い」

 

「…」

 

当時の俺は所持カードと原作知識を持つだけの一般人の子供だぞ。俺にそんなことが出来るわけないだろ。…心当たりと言えば、女神様による世界改変だろうな。

 

本来の世界から切り離され、他の世界からの住人を移住させ、しかもそれがあたかも初めから会ったように世界中に思わせる。イリアステルの歴史介入の規模拡大版みたいなものだ。上位存在(女神様)による世界改変に対して、下位存在(俺達のようなこの世界の住人)による更なる改変は受け付けないのかもな。

 

でも、これってどうやって答えればいいんだろう?面倒になってきたし、彼らにも転生者であることをバラした方が早いんじゃないか?…いや、イリアステルは破滅の未来を救うための手段は選ばない組織だ。俺の存在が未来にとって危険と判断された場合、消される可能性もあるな。

 

「話せませんか?それとも、その沈黙は肯定と取ればいいんですか?」

 

「ZONE、もういいだろう。この少年は危険だ。ここで排除した方がいい」

 

「ZONE、悪いけど今回ばかりはボクも同意見だ。彼が、と言うより彼の持っている情報が危険すぎる」

 

不味い、これ以上の沈黙は状況を悪化させるだけだ。否定しつつも詳しい話は話さなくて済む、そんな何かいい方法は無いか?………そうだ!アレがある!いや、この場を凌ぐにはアレしか無い!

 

「俺自身には過去干渉を妨害する力はない」

 

「貴方自身は、と言いましたか。では、貴方以外でこのようなことが出来る存在に心当たりがあるのですか?」

 

「言いたくないね」

 

「…ほう」

 

「お前たちもデュエリストなのだろう?どうしても聞きたいことがあり、俺が嫌と言う。それでも聞きたいのなら、デュエルで俺を打ち負かしてみるがいい。もしお前たちが俺に勝てたなら話してやってもいい」

 

どうよ!この作戦は!困った場合の解決法はデュエル!この世界での常識なんだろう?

 

「なるほど。良いでしょう。では、私が…」

 

「いや、ZONE。ここはボクが…」

 

「ZONE、アンチノミー。済まないが二人とも。ここは私が行く」

 

ZONE、アンチノミーが名乗りを上げる中、それを押し切ってアポリアが前に出てくる。【機皇】か。なんとかなるかな。

 

「アポリア…」

 

「ZONE、アンチノミー。君はまだ彼の処遇を決めかねている。そんな状態では万が一があるかも知れない。ここは、排除しかないと思っている私が行く」

 

ヤる気満々ですか。怖すぎ。だがな、俺は自身に害を為そうとしてくる敵には容赦しないと決めているんだ。破滅の未来の話とか、知ったことか。俺は俺自身が生き残るために戦い、そして勝つ!

 

~~~

 

「アポリア、気を付けて下さい。彼が破滅の未来を知っているということは、貴方のデッキを知っている可能性があります」

 

「分かっているさZONE」

 

機皇帝メインか機皇兵メインか、もしくはOCG版なのかは分からんけどな。

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆アポリア LP:4000、手札:5枚

 

 

「先攻はこちらが貰う!私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アポリア 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲な壺】を発動!デッキからカードを2枚ドローする!」 

アポリア 手札:5→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【未来破壊】を発動!自分の手札の枚数分だけ、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:6枚。

 

「私は手札から【グランド・コア】を召喚!このカードがこのカード以外のカード効果で破壊された時、自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊して、自分のデッキ・手札・墓地から「機皇帝グランエル∞」「グランエルT」「グランエルA」「グランエルG」「グランエルC」を1体ずつ特殊召喚する!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:5枚。

 

フィールドに茶色い機械仕掛けの卵のような物が出現する。

 

<アポリアのフィールド>

グランド・コア ★1 ATK0

 

「私は手札から魔法カード【カオス・ブラスト】を発動!自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。フィールド上に存在するレベル4以下のモンスター1体を破壊する!私は自分フィールドの【グランド・コア】を破壊する!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:4枚。

 

「効果破壊された【グランド・コア】の効果を発動!私のフィールドに出でよ!【機皇帝グランエル∞】!【グランエルT】!【グランエルA】!【グランエルG】!【グランエルC】!そして合体せよ!【機皇帝グランエル∞】!」

 

フィールドに茶色い機械仕掛けの機皇帝のパーツが次々に出現していく。無限を意味する『∞』のマークがついた胸部、天に向かって細長く伸びた頭部、ビーム砲を備えた腕部、攻撃を防ぐ為の盾、そして浮遊移動するための脚部。そしてそれらが合体し、1体の巨大な戦闘兵器へと変化する。

 

<アポリアのフィールド>

機皇帝グランエル∞ ★1 ATK0 ※元々の攻撃力が、自分のLPと同じになる。1ターンに1度、相手シンクロモンスターを吸収。

グランエルT ★1 DEF0 ※機皇帝攻撃時に相手シンクロモンスターの効果無効。

グランエルA ★1 ATK1300 ※戦闘破壊したシンクロモンスターを機皇帝に装備。機皇帝に貫通付与。

グランエルG ★1 DEF1000 ※敵攻撃対象を自身の装備するシンクロモンスターに変更。

グランエルC ★1 DEF700 ※1ターンに1度、自身のモンスターに戦闘破壊耐性付与。

 

「【機皇帝グランエル∞】の効果により、元々の攻撃力が自分のLPと同じになる!」

 

<アポリアのフィールド>

機皇帝グランエル∞ ★1 ATK0 → 4000

グランエルT ★1 DEF0

グランエルA ★1 ATK1300

グランエルG ★1 DEF1000

グランエルC ★1 DEF700

 

「私はカードを3枚伏せて、手札から魔法カード【オーロラ・ドロー】を発動!手札がこのカードしかない場合に発動する事ができる。デッキからカードを2枚ドローする!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:4→1→0→2枚。伏せカード:0→3

 

「私はこれでターンエンド」

アポリア 手札:2枚。伏せカード:3

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆アポリア LP:4000、手札:2枚、伏せカード:3

 

<アポリアのフィールド>

機皇帝グランエル∞ ★1 ATK4000

グランエルT ★1 DEF0

グランエルA ★1 ATK1300

グランエルG ★1 DEF1000

グランエルC ★1 DEF700

 

 

清々しいまでのアニメオリジナルカード連打。しかし、アニメ版機皇帝か。シンクロデッキでもない限りは大したこと無さそうだな。TF版じゃなくて助かったな。

 

TF版なら既に【機皇神マシニクル∞³】がフィールドに立っている上に、伏せカードがTF版【ゴースト・コンバート】と言う機皇帝がフィールドにいる場合にモンスター効果、魔法、罠の発動を無効化して破壊するカウンター罠(しかも1ターンに1度使える)を構えられるという絶望状態だろう。アニメ版で心底良かったと思うよ。

 

さて、ではこちらは絶望の未来を変えようとする彼に対して、希望の名を持つカードでお相手しようじゃないか。

 

「俺のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【システム・ダウン】を発動!1000LPを払う。相手フィールド上と相手の墓地の機械族モンスターを全てゲームから除外する!」

クロト LP:4000→3000、手札:5枚。

 

「くっ!リバースカードオープン!罠カード【ハイレート・ドロー】を発動!自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊して墓地に送る。破壊したモンスター2体につき1枚カードをドローする!私のフィールドのモンスターは5体!よって2枚ドローする!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:2枚。伏せカード:3→2

 

「更にリバースカードオープン!永続罠【無限牢】を発動!自分の手札を1枚捨てる事で、自分の墓地に存在するモンスター1体を自分の魔法&罠カードゾーンに魔法カード扱いとしてセットする事ができる!私は手札を一枚捨てて、墓地の【グランド・コア】を魔法罠ゾーンにセットする!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:2→1枚。伏せカード:2→1、永続罠:1

 

チェーン③無限牢

チェーン②ハイレート・ドロー

チェーン①システム・ダウン

 

「効果処理を行う。チェーン③【無限牢】の効果によりそちらの墓地の【グランド・コア】をそちらの魔法罠ゾーンにセットする。チェーン②【ハイレート・ドロー】の効果によりそちらのフィールドのモンスターはすべて破壊された後にそちらは2枚ドローする。そしてチェーン①【システム・ダウン】の効果によりそちらのフィールド上とそちらの墓地の機械族モンスターを全てゲームから除外する。この場合、魔法罠状態でセットされている【グランド・コア】は除外されない」

アポリア 手札:1→3枚。伏せカード:1→2、永続罠:1

 

絶望を象徴するはずの茶色の戦闘兵器が、全身からスパークを放ち始めて動きを停止し、連結が解除されてそのまま地面へと沈んでいく…。

 

<アポリアのフィールド>

モンスター無し

 

「私のフィールドと墓地が廃墟と化してしまった…」

 

ライディングデュエルがメインになるアニメ版だと相手の魔法罠カードによる除去に対して防御が薄いからな。大方、墓地の機皇帝パーツを除外することで自身の破壊を無効にできる【機皇神マシニクル∞³】の効果発動コストの為に大量に機皇帝パーツを墓地に送ったんだろうが、無駄になったな?

 

【無限牢】で慌ててコアだけは回収したようだし、残りの伏せカードはアニメ版の【機皇創世】かも知れないな。

 

「自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札から【ZS-昇華賢者】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

ZS-昇華賢者 ★4 DEF300

 

「俺は手札から永続魔法【エクシーズ・チェンジ・タクティクス】を発動!「エクシーズ・チェンジ・タクティクス」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。自分フィールドに「希望皇ホープ」モンスターがX召喚された時、500LPを払って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする!」

クロト 手札:3枚。永続魔法:1

 

「俺は手札から永続魔法【オノマト選択】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードの発動時の効果処理として、デッキから「オノマト選択」以外の「オノマト」カード1枚を手札に加える事ができる。1ターンに1度、自分フィールドの「ズババ」、「ガガガ」、「ゴゴゴ」、「ドドド」モンスターの内、いずれか1体を対象として発動できる。自分フィールドの全てのモンスターのレベルはターン終了時まで対象のモンスターと同じレベルになる!」

クロト 手札:2枚。永続魔法:1→2

 

「俺は【オノマト選択】の発動時の効果処理として、デッキから【オノマト連携】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は手札の【ドドドドワーフ-GG】を墓地に送って、手札から魔法カード【オノマト連携】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。手札を1枚墓地へ送って発動できる。デッキから以下のモンスターの内1体ずつ、合計2体までを手札に加える。●「ズババ」モンスター●「ガガガ」モンスター●「ゴゴゴ」モンスター●「ドドド」モンスター」

クロト 手札:3→2→1枚。

 

「俺は【オノマト連携】の効果で【ズバババンチョー-GC】と【ガガガシスター】を手札に加える!」

クロト 手札:1→3枚。

 

「自分フィールドのモンスターが「ZS-武装賢者」以外のレベル4モンスター1体のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札から【ZS-武装賢者】を特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<クロトのフィールド>

ZS-昇華賢者 ★4 DEF300

ZS-武装賢者 ★4 DEF900

 

「俺はレベル4【ZS-昇華賢者】と【ZS-武装賢者】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【No.39 希望皇ホープ・ダブル】!」

 

俺のフィールドに二刀流の構えを取る希望の象徴、ホープがその姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

No.39 希望皇ホープ・ダブル ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「これがエクシーズ召喚。希望皇、か…」

 

「俺は永続魔法【エクシーズ・チェンジ・タクティクス】の効果発動!自分フィールドに「希望皇ホープ」モンスターがX召喚された時、500LPを払って自分はデッキから1枚ドローする!」

クロト LP:3000→2500、手札:2→3枚。

 

「【ZS-昇華賢者】をORUとした「希望皇ホープ」モンスターがエクシーズ召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「RUM」通常魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【RUM-ゼアル・フォース】を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「【ZS-武装賢者】をORUとした「希望皇ホープ」モンスターがエクシーズ召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ZW」モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから【ZW-阿修羅副腕】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札からフィールド魔法【希望郷-オノマトピア-】を発動!このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドに「希望皇ホープ」モンスターが特殊召喚される度に、このカードにかっとビングカウンターを1つ置く。自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、このカードのかっとビングカウンターの数×200アップする。1ターンに1度、このカードのかっとビングカウンターを2つ取り除いて発動できる。デッキから「ズババ」、「ガガガ」、「ゴゴゴ」、「ドドド」モンスターの内いずれか1体を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。フィールド魔法:1

 

「俺は【No.39 希望皇ホープ・ダブル】のORUを1つ取り除いて効果発動!このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「ダブル・アップ・チャンス」1枚を手札に加える。その後、「No.39 希望皇ホープ・ダブル」以外の「希望皇ホープ」Xモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は倍になり、直接攻撃できない。この効果は相手ターンでも発動できる。エクシーズチェンジ!現れよランク4!【No.39 希望皇ホープ】!」

クロト 手札:4→5枚。かっとビングカウンター:0→1

No.39 希望皇ホープ・ダブル ORU:2→1

 

俺のフィールドのホープ・ダブルが光り輝き、光が収まる頃にその場に居たのはいつものホープだった。はいはいホープホープ。

 

<クロトのフィールド>

No.39 希望皇ホープ ☆4 ATK2500→5000→5200 ORU:2

 

「俺は永続魔法【エクシーズ・チェンジ・タクティクス】の効果発動!自分フィールドに「希望皇ホープ」モンスターがX召喚された時、500LPを払って自分はデッキから1枚ドローする!」

クロト LP:2500→2000、手札:5→6枚。

 

「俺はランク4【No.39 希望皇ホープ】1体でオーバーレイ!カオス・エクシーズチェンジ!現れよランク4!【CNo.39 希望皇ホープレイ】!」

クロト かっとビングカウンター:1→2

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500→2900 ORU:3

 

「俺は永続魔法【エクシーズ・チェンジ・タクティクス】の効果発動!自分フィールドに「希望皇ホープ」モンスターがX召喚された時、500LPを払って自分はデッキから1枚ドローする!」

クロト LP:2000→1500、手札:6→7枚。

 

「俺はフィールド魔法【希望郷-オノマトピア-】の効果を発動!1ターンに1度、このカードのかっとビングカウンターを2つ取り除いて発動できる。デッキから「ズババ」、「ガガガ」、「ゴゴゴ」、「ドドド」モンスターの内いずれか1体を特殊召喚する!俺はデッキから【希望皇オノマトピア】を特殊召喚!」※【希望皇オノマトピア】のカード名はルール上「ズババ」、「ガガガ」、「ゴゴゴ」、「ドドド」カードとしても扱う。

クロト かっとビングカウンター:2→0

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2900→2500 ORU:3

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

 

「このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「ドドドドワーフ-GG」以外の、「ゴゴゴ」モンスターまたは「ドドド」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。俺は墓地から【ドドドドワーフ-GG】を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ドドドドワーフ-GG ★4 DEF1800

 

「このカードが手札に存在し、自分フィールドに「ズバババンチョー-GC」以外の、「ズババ」モンスターまたは「ガガガ」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。俺は手札から【ズバババンチョー-GC】を特殊召喚!」」

クロト 手札:7→6枚。

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ドドドドワーフ-GG ★4 DEF1800

ズバババンチョー-GC ★4 DEF100

 

「俺は【ドドドドワーフ-GG】の効果発動!自分メインフェイズに発動できる。手札から「ズババ」モンスターまたは「ガガガ」モンスター1体を特殊召喚する。俺は手札から【ガガガガードナー】を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ドドドドワーフ-GG ★4 DEF1800

ズバババンチョー-GC ★4 DEF100

ガガガガードナー ★4 DEF2000

 

「俺はレベル4【ドドドドワーフ-GG】と【ズバババンチョー-GC】と【ガガガガードナー】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】!」

 

俺のフィールドにOCG次元に恐怖を嘆きをもたらした禁止級ナンバーズが姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

 

「あのモンスターは報告にあった…!?アポリア!」

 

「分かっているアンチノミー!永続罠【無限牢】のもう一つの効果を発動!このカードを墓地へ送る事で、このカードの効果で魔法&罠カードゾーンにセットしたモンスターを自分の手札に戻す事ができる!私は【無限牢】を墓地に送り、セットされていた【グランド・コア】を手札に加える!」

アポリア 手札:2→3枚。伏せカード:1、永続罠:1→0

 

【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】の効果を知っている…?赤馬零児以外には使用していないんだが…もしかしてあのデュエルも見られていたのか?イリアステル怖すぎだろ…。

 

「俺は【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。次の相手ターン終了時まで、宣言した種類のカードをお互いに発動できない!俺は『罠』カードを宣言する!」

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:3→2

 

「その効果にチェーンしてリバースカードオープン!罠カード【機皇創世】を発動!手札から「スカイ・コア」「ワイズ・コア」「グランド・コア」を1枚ずつ墓地へ送り、自分の手札・デッキ・墓地から「機皇神マシニクル∞³」1体を特殊召喚する!」 ※アニメオリジナルカード

アポリア 手札:3枚。伏せカード:1→0

 

チェーン①No.16 色の支配者ショック・ルーラー

チェーン②機皇創世

 

「効果処理を行うのだろう!ではまずは私のチェーン②【機皇創世】の効果から処理させてもらおう!【機皇創世】の効果によって私は手札の「スカイ・コア」「ワイズ・コア」「グランド・コア」を墓地に送る!三つの絶望よ、新たなる最強の力を降臨させよ!デッキより現れろ!絶望の魔神!【機皇神マシニクル∞³】!」

アポリア 手札:3→0枚。

 

アポリアのフィールドに、スキエル、ワイゼル、グランエルと言う3つの絶望を宿した白き機械仕掛けの魔人が降臨する。

 

<アポリアのフィールド>

機皇神マシニクル∞³ ★12 ATK4000

 

①シンクロモンスターを吸収する効果。②手札の機皇帝パーツを墓地に送ってそのモンスター効果を得る効果。③墓地の機皇帝パーツを除外することで自身の破壊を免れる効果。④吸収したシンクロモンスターを射出してバーンダメージを与える効果、の4つの効果を持つモンスターだ。だが、手札無し。墓地に機皇帝パーツ無し。今の俺のデッキはシンクロを使わないことから、ただの攻撃力4000のモンスターだ。

 

「効果処理を続けるぞ。チェーン①【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】の効果により、次の相手ターン終了時まで、『罠』カードをお互いに発動できない!」

 

「自分フィールド上に「ガガガクラーク」以外の「ガガガ」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札の【ガガガクラーク】を特殊召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ガガガクラーク ★2 DEF800

 

「俺は手札から【ガガガシスター】を召喚!そして効果発動!このカードが召喚に成功した時、デッキから「ガガガ」と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える事ができる。俺はデッキから装備魔法【ガガガリベンジ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ガガガクラーク ★2 DEF800

ガガガシスター ★2 ATK200

 

「俺は【ガガガシスター】の効果発動!このカード以外の自分フィールド上の「ガガガ」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターとこのカードは、エンドフェイズ時までそれぞれのレベルを合計したレベルになる。「ガガガシスター」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない!俺はレベル2【ガガガクラーク】を選択して、【ガガガシスター】と【ガガガクラーク】のレベルを4にする!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ガガガクラーク ★2→4 DEF800

ガガガシスター ★2→4 ATK200

 

「俺はレベル4となった【ガガガクラーク】と【ガガガシスター】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【ラヴァルバル・チェイン】!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:2

 

「俺は【ラヴァルバル・チェイン】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る!俺はデッキから【ガガガマジシャン】を墓地に送る!」

ラヴァルバル・チェイン ORU:2→1

 

「俺は手札から装備魔法【ガガガリベンジ】を発動!自分の墓地の「ガガガ」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターを破壊する。また、装備モンスターがエクシーズ素材になる事によってこのカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上の全てのエクシーズモンスターの攻撃力を300ポイントアップする!俺は墓地の【ガガガマジシャン】を特殊召喚して【ガガガリベンジ】を装備!」

クロト 手札:5→4枚。装備魔法:1

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

ガガガマジシャン ★4 ATK1500

 

「俺は【ガガガマジシャン】の効果発動!1ターンに1度、1~8までの任意のレベルを宣言して発動できる。このカードのレベルはターン終了時まで宣言したレベルになる。俺は【ガガガマジシャン】のレベルを7にする!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4 ATK1500

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

ガガガマジシャン ★4→7 ATK1500

 

「俺は永続魔法【オノマト選択】の効果発動!自分フィールドの「ズババ」、「ガガガ」、「ゴゴゴ」、「ドドド」モンスターの内、いずれか1体を対象として発動できる。自分フィールドの全てのモンスターのレベルはターン終了時まで対象のモンスターと同じレベルになる。俺はレベル7【ガガガマジシャン】を選択する!」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

希望皇オノマトピア ★4→7 ATK1500

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

ガガガマジシャン ★7 ATK1500

 

「俺はレベル7となった【希望皇オノマトピア】と【ガガガマジシャン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク7!【No.11 ビッグ・アイ】!」

 

俺のフィールドに巨大な逆円錐の形に巨大な一つ目を持つナンバーズが姿を現す。

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.11 ビッグ・アイ ☆7 DEF2000 ORU:2 

 

「俺は【No.11 ビッグ・アイ】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターのコントロールを得る。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない!俺はそちらの【機皇神マシニクル∞³】を選択してそのコントロールを得る!」

No.11 ビッグ・アイ ORU:2→1

 

「なん…だと!?」

 

<クロトのフィールド>

CNo.39 希望皇ホープレイ ☆4 ATK2500 ORU:3

No.16 色の支配者ショック・ルーラー ☆4 ATK2300 ORU:2

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:1

No.11 ビッグ・アイ ☆7 DEF2000 ORU:1 

機皇神マシニクル∞³ ★12 ATK4000

 

<アポリアのフィールド>

モンスター無し

 

「また私に絶望を与えようというのか…」

 

まだまだホープをエクシーズチェンジして手札を増やせるが、やる必要もなさそうだな。そろそろ終わりにしよう。

 

「バトルフェイズに移行。【機皇神マシニクル∞³】でダイレクトアタック!ザ・キューブ・オブ・ディスペアー!!」

 

3つの絶望を宿した白き機械巨人は、その無慈悲な銃口をかつての主に向け、その力を解き放つ。

 

機皇神マシニクル∞³ ★12 ATK4000

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

アポリア LP:4000 → 0

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わると四つん這いになって落ち込んでいるアポリアと、先ほどのデュエルを見て呆然としているZONE、アンチノミー、レインが居た。

 

「あのアポリアを、後攻1ターンキル…!?」

 

「まさか、これほどの力を秘めているなんて…!?」

 

「…」

 

ZONEとアンチノミーは先ほどのデュエルが信じられないようだ。前世(OCG次元)に比べれば普通くらいのターン時間だったと思う。二人とは対照的に、何故かレインは満足げだ。アポリアが嫌いなんだろうか…。

 

「約束だ。アンタたちの過去干渉を妨害する存在についての詳細は聞かないこと。いいね?」

 

「我々はデュエルに敗れました。良いでしょう」

 

「ZONE…すまない」

 

「アポリア、君のせいではないよ。あの相手ならボクがやっても似たような結果になったかもしれない」

 

割とあっさりとOKを出すZONE。思ったよりも早めに立ち直ったアポリアが謝り、アンチノミーが励ましている。

 

納得は出来なくとも約束は守るようだ。流石はデュエルモンスターズの世界だな。でも、一応今回は協力してもらったし、多少ボカしながらであれば理由を話してもいいかな。

 

「詳しくは言えないが、俺は別の世界からの転生者だ。俺の前世の世界では、儀式召喚、融合召喚、シンクロ召喚に加え、エクシーズ召喚やペンデュラム召喚やその他の召喚方法も存在していて、今いるこの世界に関する歴史や知識も前世で学んだ。その前世の知識と記憶が俺があるんだよ」

 

「ほう…やはり以前にレインに話していたバリアン警察やらと言う話は作り話でしたか」

 

「そういうこと。そして、アンタたちの過去干渉を妨害する存在とは、恐らく俺をこの世界に転生させて送り込んだ俺の上司に当たる存在と同一人物だと思う。あの人以外にそんなことが出来る存在が思いつかない」

 

「ふむ。人間一人を別世界に転送させるのではなく、転生させる能力を持つとは…その人物は一体…いえ、詳細は聞かない約束でしたね。では、その目的は?やはり我々の過去干渉を防ぐ為ですか?」

 

「分からん。あの人の考えていることは俺には理解できないんでね。俺がこの世界に送り込まれた理由すらよく分かっていない。ただ、デュエルアカデミアに遊城十代と同時に入学して卒業しろ!だとさ」

 

「単純に考えるなら、遊城十代のサポートをしろって言う指令なのかもしれないね」

 

「俺もそういう意味だと捉えたので、将来的に遊城十代の障害となる存在を取り除く為に色々と暗躍することにしたわけさ」※嘘です。自分の保身の為です。

 

「なるほどな。ハートランドシティや今回の破滅の光の事件に関わったのはそれが理由か」

 

ついつい話が弾み、女神様の存在と、この世界の原作がアニメであること、リンク召喚のこと以外は大体素直に話してしまった。でも、恐らく問題は無いだろう。多分ね。

 

話が終わると彼らは何処かへ転移して消えてしまった。残された俺とレインはさっさとホテルに戻り、それぞれの部屋に向かった。ようやく寝られると思うと、シャワーを軽めに浴びた後、一流ホテルの一流ベットへダイブし、俺はそのまま眠りについたのだった…。




アメリカで起こった事件を解決したと思ったら、その為に借りた力の代償を支払うときが来たようです。

アポリアのデッキは【機皇】。アニメ仕様なので、シンクロモンスター相手でのメタ性能は高くとも、それ以外の相手への耐性が低めです。アニメを見ていた時も【システム・ダウン】のようなメタカードに対するカウンター罠くらいは積んでおいた方が良かったのでは?と思いましたね。

対するオリ主のデッキはかなり本気の【希望皇ホープ】でした。LP4000制の状況で、ショックルーラー、チェイン、ビッグアイは流石にやりすぎたかもしれませんね。
最新のゼアルウエポンシリーズをフル投入するのは惨いことになるので最小限に留めました。

次回の更新は2/6(土) AM7:00予定です。

必殺雷撃人様、戦車様、荒魂マサカド様、 メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十二話 幕間:日本帰国

アメリカ渡航編のエピローグです。

デュエルはありません。


8月9日。早朝。今日はアメリカに滞在する最終日だ。早めに起きて顔を洗い、ホテルの食堂で朝食を済ませ、歯を磨き、最後の朝風呂を楽しんでいる最中だ。

 

「ふぃ~。生き返るわ~。既に生まれ変わって転生してるけど~」

 

「バニ~」

 

「リュ~ン」

 

我ながらオッサンみたいだと思うが、前世の頃から風呂は好きなのだ。好きなものは仕方ないよな。バニーラとプチリュウも湯船にぷかぷか浮いている、どうやら彼らも風呂を満喫しているようだ。バニーラはともかくプチリュウは爬虫類(変温動物)じゃないのか?風呂とか大丈夫なんだろうか。カードの精霊は何でもアリってことなのかもな。

 

部屋を出る時間まではまだ時間があるので、肩まで湯船に浸かりながらリラックスした状態で今回のアメリカ渡航の成果について考えるとしよう。

 

「今回の依頼のおかげで、アメリカでやっておくべきことはそこそこ終わった。ハートランドシティの時の様に何の関係もない一般市民や町に被害を出すことは防げた。多少は成長できているのかもな。ただ、今回の事件はまだ懸念点はいくつかあるんだよなぁ」

 

 

<今回のアメリカ渡航で解決した(と白河クロトが思っている)項目>

 

①カードが白紙に見えてしまう事件の原因の根絶。

 

②漫画版GXのラスボス(トラゴエディア)の対処。

 

③アニメGXの中ボス(DD)の処理。

 

④【D-HERO Bloo-D】に宿った破滅の光の意思の処理

 

⑤イリアステルとの邂逅と一時休戦。

 

「カードが白紙に見えてしまう事件の原因は、プロデュエリストDDの所有する【D-HERO Bloo-D】に宿った破滅の光の意思だっただろうから、その意思を消滅させることが出来たので根本対策は完了だ。あとはまだ結構残っていそうな残党を処理して、それ以上被害が増えなければ終わりと思っていいだろう。残党の討伐についてはMr.マッケンジーとトラゴエディアが自分たちでやると言っていたから問題ないな」

 

この世界のトラゴエディアは、秘めた魔力は膨大なものの中身はお喋りとデュエルが好きなただの悪ぶったオッサンだったから恐らく問題ないだろう。Mr.マッケンジーとの関係も良好のようだしな。

 

イリアステルとは昨日のデュエルの後に一時休戦条約を結んである。パラドックス関連の情報を得たら連絡することを条件にしている以上、俺がよほどのことをやらかさない限りは向こうから約束を破ることは無いだろう。

 

 

<今回のアメリカ渡航で解決していない(と白河クロトが思っている)項目>

 

①破滅の光の力が宿ったままの【天空の聖域】カードの処理とカードが白紙に見えてしまう症状の被害者の回復方法。

 

②残りのプラネットシリーズの行方(列車で戦ったデイビッドに誰が渡したのか?

 

③列車を降りた後で襲ってきたディアブロと、それらを仕向けてきた勢力。

 

④【D-HERO Bloo-D】に宿った破滅の光の意思が抜け殻であった可能性の確認(既に斎王に憑依している可能性あり)

 

⑤自身の実力不足(トラゴエディアがデュエルに応じなかった場合、あっさりやられていた可能性が高い)

 

「破滅の光の力が宿ったままの【天空の聖域】カードはどう処理したらいいのやら。破滅の光の力そのものをどうやって除去すればいいのかが分からないんだよな。日本に帰ったら師匠と姉弟子に相談してみるしかないだろうな」

 

一応、師匠たちに協力してもらって作った専用カードケースに封印しているが、長期間の耐久性具合を確認していないので、こんなのを持ち歩きたくない。こうすればよかったんだ!って海に投げ捨てたらダメかな?…駄目だろうな。

 

「襲い掛かってきたタイミングを考えると、デイビッドを差し向けてきたヤツとディアブロを押し付けてきたヤツは同一勢力だと思う。正直、この時代の人達にとってプラネットシリーズは脅威だろうが、俺としては大したことない敵だ。問題はディアブロだ。【スピードワールド2】環境を押し付けられるのがキツイ」

 

漫画版GXの敵勢力はトラゴエディアのみだったからこちらの可能性は除外でいいと思う。アニメ5D'sの敵勢力であるダークシグナーは登場があと20~30年は先だろうし、イリアステルではなさそうだった。アークファイブの敵勢力は、ハゲはこの世界だとただの天才親馬鹿ハゲだし、Dr.ドクトルとロジェは処理済みだ。なら後は、アニメGXの敵勢力が考えられる。

 

アニメGXの敵勢力と言えば、影丸理事長率いるセブンスターズ、斎王琢磨率いる光の結社、ユベルが操るコブラ一派と異世界の精霊たち、そしてダークネスだな。あとは大穴でガラム財団。

 

影丸は除外していいかな。あの爺さんはアカデミアの孤島に眠る三幻魔による若返りにしか興味無さそうだ。斎王もエド・フェニックスのお付きをしている段階ならまだ大丈夫だろう。ユベルは…分からん。アカデミアごと異世界転移、デュエルゾンビ、人体憑依などなどと、彼女は何でもアリだからな。ダークネスはそんなものに頼らずとも闇磯野ことミスターTの軍団を使えばいいからな。…大穴の様な気がしてきた。

 

「【D-HERO Bloo-D】そのものに宿った破滅の光の意思については完全に消滅させられたことは何度も確認したから大丈夫だとは思うが、元々の力を知らないから、既に抜け殻かどうかなんて確認できなかったんだよなぁ」

 

アニメGXだと、エド・フェニックスとDDがデュエルしている際、【D-HERO Bloo-D】に魂を取り込まれていたエドの父がその事実と新たな憑依先(斎王)のことを教えてくれるんだが、赤の他人の俺には何も教えてくれなかったぜ…。

 

 

「バニー!」

 

「リューン!」

 

「ん?そうだな。そろそろ風呂から出るか」

 

流石にこれ以上湯船に浸かっているとのぼせてしまうだろう。俺は風呂から出て服を着た後、カードの精霊たちに手伝ってもらいながら忘れ物の最終確認をして部屋を出た。

 

~~~

 

8月9日。朝。明日香たちがアメリカ校に留学中に良く利用している喫茶店へとやってきた。レインも姿を隠しながらついて来ている。やはりこの時期に原作キャラクターと遭遇するのはよろしくないらしい。

 

「おはよう明日香」

 

「おはようクロト」

 

「おはようございます吹雪さん、亮さん」

 

「おはよう!クロト君!」

 

「あぁおはようクロト」

 

「おっすオジャ万丈目君」

 

「誰がオジャ万丈目だ!万丈目さんだ!」

 

喫茶店に居た明日香、吹雪、亮、万丈目と挨拶を交わしながら、彼らの今回の事件が解決したことと、事件の真相やそれまでの経緯についてを説明した。

 

列車で襲ってきた連中とディアブロに関しては、伏せておいた。せっかく事件が解決したと思っているんだから、わざわざ水を差す必要も無いだろう。彼らが襲われる可能性も低いはずだしな。もし話す必要があればMr.マッケンジーから説明するだろう。

 

「私たちもニュースで見て驚いたわよ。まさか『Destiny of Duelist』と呼ばれ、プロリーグの頂点に10年近く君臨したあのDDが強盗殺人未遂犯だったなんてね…」

 

「ニュースを見た後にマッケンジー校長に呼ばれて簡単に事件の説明もされたからね。それにしても、彼が逮捕されたタイミングで、偶然にも意識不明だった被害者が数年ぶりに意識を取り戻したのは不幸中の幸いだったね」

 

「被害者の息子であるエド・フェニックスと言えば、最近セミプロからプロへと昇格してプロリーグの順位を怒涛の勢いで駆け上がっている、現在最も注目を集め居ている若手のプロデュエリストだったな」

 

「そんな彼を10年近く騙して利用し続けていたって言うじゃないか。罪を認めて緊急逮捕されたDDは、仮に良心の呵責に苛まれていたとしても自業自得だな」

 

既に彼らはニュースやMr.マッケンジーから説明を受けていたらしく、明日香、吹雪、亮、万丈目がそれぞれの感想を述べていた。

 

「よぉ!待たせたなクロト!」

 

『待たせたわねクロト』

 

『クリクリ~』

 

声がした方を振り返ると、手を振りながらこちらに近付いてくる紅葉とレジー、紅葉の横でフワフワしている白いハネクリボーが居た。

 

「「「「響プロ!?」」」」

 

「あれ?言ってなかったっけ?君らとは別の協力者って響さんたちのことだぞ」

 

「「「「言ってない!」」」」

 

そうか。言ってなかったか。それにしても面白い反応をするなぁ。全員がいきなり驚愕の表情を浮かべたと思ったら、全員席を立つんだもんな。

 

「クロト~。ちゃんと紹介しておいてくれよ~」

 

『あら、コウヨウ。貴方だってよくパパにうっかりしたところを指摘されていたじゃない』

 

「マック、それは昔の話だろ?今は違うぞ?」

 

驚いて固まっている明日香たちをよそに、紅葉とレジーは夫婦漫才のようなやり取りをしている。

 

『クリクリ~』

 

『バニ~』

 

『リュ~ン』

 

ふと横を見れば、白いハネクリボーがバニーラやプチリュウと遊んでいる。実体化していないなら迷惑にはならないだろうし、好きにさせておこう。

 

「確かマックとは既に知り合いなんだよな。じゃあオレだけか。なら、改めて自己紹介をしようか。初めましてデュエル・アカデミア本校の生徒たち。オレは響紅葉。プロデュエリストだ」

 

「は、初めまして。天上院明日香です」

 

「明日香の兄の天上院吹雪です」

 

「丸藤亮です。…ふふふっ、強者の気配がするぞ…!」

 

「亮、ステイ」

 

自己紹介を終えた紅葉に対して、明日香、吹雪、亮がそれぞれ自己紹介を返す。一部ヘルカイザー化しようとした人が居るが、吹雪がなんとか抑えたようだ。

 

「ぼ、ボクは万丈目準って言います!響プロ!昔から大ファンでした!よろしければサインをお願いできないでしょうか!」

 

万丈目は何処からか取り出したサイン色紙と油性ペンを紅葉に渡してサインを書いてもらっている。つーかボクって似合わねぇ…。そういや、漫画版GXの万丈目は響紅葉の大ファンだったな。

 

『クリクリ~』

 

うん?紅葉のハネクリボーが万丈目の持っている【光と闇の竜】のカードに何かやっているな。あぁ、自分の中にある「マアトの羽」を【光と闇の竜】の中に転送しているのか。

 

確か漫画版GXであった展開だな。これで万丈目の持っている【光と闇の竜】に精霊の力が宿ることになるんだっけ。

 

「マックも人が悪いわよ?会いに行く人が居るって、響プロのことだったのね」

 

『フフッ、ごめんなさいねアスカ。皆を驚かせたかったのよ』

 

明日香たちとレジーは仲良く話をしているようだ。これは原作にはなかった光景だろうな。漫画版GXでは敵対していたようなものだったし。

 

そうして一通り落ち着いた後に、合流した紅葉とレジーにも事件のことについて、明日香たちに話した情報をそのまま説明した。彼らもニュースやMr.マッケンジーから説明を受けていたようでそれほど驚いた様子も無かった。

 

「DDか。出来ればオレ自身の手で倒して頂点を取りたかったんだけど、残念だな」

 

『あら?それならそのDDを倒したであろう人物を倒せば解決じゃない。ねぇ、クロト?』

 

寂しそうな眼をしながら言葉を零す紅葉に、レジーが意味深な目をこちらに向けながら話す。

 

「何の話だ?確かに俺はDDに話を聞きに行ったけれど、到着したころにはDDの屋敷が火事になっていて近寄れなかったし、そのまま会えずじまいになっていたところをニュースで真相を知っただけだぞ」

 

「へぇ~」

 

「ふぅ~ん」

 

「ほ~う」

 

「フン、そんなことだろうと思ったぞ」

 

明日香、吹雪、亮がなにやら言いたげな視線を送ってくるがこちらはスルー。この嘘を信じてくれたのは万丈目だけだった。意外と素直な奴だな。

 

「そう言えばクロト。彼女は一緒じゃないのか?」

 

『確かに、レイ「あーあーあーあーあー」…どうしたの?』

 

彼らにはレインが明日香たちに姿を隠していることを説明してなかったな。

 

「彼女は正体を明かせない事情があるらしくて、響さんやMr.マッケンジー以外には姿と名前を公開したくないらしいです」

 

「なるほど、そういうことになっているのか。なら黙っていた方がいいか」

 

『私は会ったけれど…』

 

「Mr.マッケンジーには公開するから娘のレジーにはバレるだろうから止む無し、だそうだ」

 

『OK。分かったわ』

 

何とか納得してもらえたようだ。そしてその後も彼らといろんな話をしていると、そろそろ空港へ向かう時間がやってきた。

 

「そろそろ時間だから、俺は空港に向かうことにするよ。明日香、吹雪さん、亮さん、万丈目、響さん、レジー。今回の事件の解決に協力してくれてありがとう。俺達だけだとここまで早く解決することは出来なかったと思う。助かった」

 

「元々私たちも首を突っ込んでいた事件よ。お礼を言われることじゃないわ。むしろ私たちも手伝ってもらったわけだから、私達からもお礼を言わせてもらうわ。ありがとう、クロト」

 

「そうだね。ボクたちだけじゃ破滅の光が宿ったカードをどうこうすることは出来なかったと思うよ」

 

「ふっ。こちらもお前には感謝している。礼など不要だ」

 

「フン、オレは天上院君たちが困っていたから彼女たちを手伝っただけだ。お前に礼を言われることではない」

 

「オレもMr.マッケンジーに事件の解決を依頼されていた側だ。クロト、こちらこそ助かったぞ。ありがとな」

 

『私も知っている情報を話しただけだしね』

 

改めて、明日香、吹雪さん、亮さん、万丈目、響さん、レジーに礼を言う。実際、彼らが居なければ情報を集めたり破滅の光の手下となった連中を倒して回るのにもっと時間がかかった頃だろう。かなり助かった。

 

『あと、お前もありがとな。白いハネクリボー』

 

『クリクリ~』

 

もちろん、紅葉の横に浮いている彼の小さな相棒にもお礼を言っておく。この子が居なければ、トラゴエディアの話を素直に信じられたかどうか怪しかったからな。

 

「ところで吹雪さん、亮さん。最後に一つ聞いておきたいことがあるんですが…」

 

「うん?なんだい?」

 

「オレたちに聞いておきたいこと?」

 

「『藤原優介』って人、知っていますか?」

 

「あぁ、知っているも何も同級生だよ。ただ、このアメリカ留学には彼自身が断った為に来ていないな」

 

「吹雪の言う通りだ。藤原はオレ達と変わらない実力の持ち主で、オレ達と同じく今年の春から特待生用のブルー寮に所属しているぞ。…それがどうかしたのか?」

 

「いや、アカデミア本校にそんな名前の強いデュエリストが居るって聞いたから、会ってみたいなと思っただけですよ」

 

吹雪がここに居る時点でそうだとは思ったが…まだ藤原優介はこの世界に居て、この世界の人々から彼の記憶が失われてはいないんだな。藤原優介がオネストと一緒にアメリカに来ていてくれれば両者に対して対処のしようがあったんだが、仕方ないな。

 

本来の歴史の時系列で言えば、そろそろ藤原優介がダークネスの研究を始め、ダークネスの仮面を作ってその力でダークネスの世界に飲み込まれる時期のはずだ。そしてその後に吹雪がその仮面を渡されてセブンスターズのダークネスに変貌する。ダークネスとなった吹雪が、墓守の世界に行くタイミングは分からないが、その後に影丸やアムナエルに利用され、今から大体2年後くらいに遊城十代に敗れてダークネスから解放される。

 

ただ、ダークネスで居る期間はロクな目に遭わないらしいし、知り合いをそんな目に遭わせるのも嫌だな。

 

「吹雪さん、俺が渡したネックレスを少し貸してもらえますか?」

 

「あぁ、分かった」

 

俺は吹雪からネックレスを受け取り、そこに今持てる全ての魔力を集約して防御魔術を施す。これである程度は闇の魔力にも抵抗力が増すはずだ。ダークネスの仮面のようなヤバそうなアイテムにどれほどの効果があるかは分からないが、何もしないよりはマシだ。

 

「少し壊れていたように見えたのですが、気のせいでした。はい、お返しします」

 

「あぁ。でも、本当にこのネックレスをボクたちが貰っていいのかい?」

 

「いいですよ。いつまた破滅の光のような理不尽な存在に出会うかも知れません。そんな時に少しでも役に立てば幸いです」

 

「そうか、ありがとう」

 

これでセブンスターズ事件が未然に防ぐことが出来れば…いや、悔しいがダークネスの力は俺よりも遥か強いだろうし、多分無理だろうな。

 

「それじゃ、また縁があれば会おう。じゃあな!」

 

俺は彼らに別れの挨拶をして、空港に向かった。明日香たちとは1年半くらい先にデュエルアカデミアで再開することになるだろうが、恐らくプロデュエリストを目指さない俺は、紅葉やレジーとはもう会うことはないかもしれないな…。

 

~~~

 

8月11日。夜。あの後、結構な時間を列車で揺られてロサンゼルスの空港に到着し、これまた結構な時間をかけて日本に到着し、そこから更に電車に揺られて数年住んでいる故郷の町に帰ってきた。

 

「ようやくこの町に着いた~長かったな~」

 

「うん…」

 

隣のレインも少し疲れたように見えた。デュエルロイドでも疲れたりするのだろうか?

 

他愛無い話をしながら駅から個人まで徒歩で帰ってきた。レインはこのまま孤児院の正面にあるカードショップに戻るのだろう。じゃあその前に…。

 

「レイン、これやるよ」

 

「…?なに、これ?」

 

「デュエルモンスターズのカード」

 

「それは、見ればわかる」

 

当たり前のことを言うな、とばかりに睨まれる。

 

「アンデットワールド軸で使えそうなカードを集めてみた。【屍界のバンシー】とか【ジャック・ア・ボーラン】とか持って無さそうだったしな」

 

「これは…?」

 

「【黄金卿エルドリッチ】。アンデットワールドとは関係なかったかも知れないけど、使えそうだからついてで渡した」

 

「ついでに渡されるような性能じゃない…」

 

エルドリッチに頼っているようじゃ俺のプレイングの改善にならないからな。この前、【ドラゴンメイド】とか【電脳堺】 とか使った気がするが、そこは置いておこう。

 

「あとは、シンクロとエクシーズを少し入れてみた」

 

「何故、私に?」

 

理由が分からない、と言いたそうな不思議そうな顔をしている。そんなに不思議か?

 

「わざわざアメリカまでついて来てくれたからな。他の人達にも感謝しているけど、レインには一番感謝してる。ありがとうな」

 

「…うん」

 

「それで、そのカードはそのお礼。もしかして、要らない?」

 

「貰う」

 

「そうか、それならいい。受け取ってくれ」

 

「…うん」

 

レインは大切そうに渡したカードをカードケースに仕舞った。ふふふっ、今回渡したカードは前世のOCG次元でもかなり凶悪な実績を残したカードが多いからな!デュエリストなら気に入ってくれるだろうと思っていたぞ!

 

「…クロト、一つ聞いてもいい?」

 

「いいぞ」

 

「…この前、抱き着かれてた」

 

「えっ?あぁ、藤原のことか」

 

「…ああいう(髪型)のがいいの?」

 

「あ~、男として生まれたからにはああいう(ハグ)のは好きだよ」

 

えっ、何これ?気軽な質問かと思いきや、答えづらい内容をぶっ込んできたな。めっちゃ恥ずかしいんだけど。

 

「そう…分かった」

 

それだけ言うと、レインはそのままカードショップへと入っていった。一体、何のための質問だったんだろう?

 

~~~

 

8月11日。深夜。孤児院に帰るとシスターが遅めの晩御飯を用意してくれていた。コナミ、ユーゴ、リンも起きていて、何故かセレナも居た。どうやら俺が帰ってくるのを待っていてくれたらしい。

 

お土産を渡してアメリカに居た頃の話を話すとコナミが「やっぱりオレも付いて行けばよかった!」と悔しそうに言っていた。コナミが居たらトラゴエディアやDDの相手は押し付けていただろうな…。

 

夜も遅くなり、皆は就寝するために自分たちの部屋に向かっていった。セレナは今日はリンの部屋に泊まるらしく、そのままリンにくっついて行った。

 

俺は最後の一仕事を終える為に、そのまま精霊界へ向かい、師匠たちに計30枚近くに増えた破滅の光の力を宿した【天空の聖域】と【The big SATURN】カードを見せていた。

 

「これが破滅の光の力か。確かに、眩い光の中に禍々しい力を感じる」

 

「この光の波動、嫌い」

 

俺でも分かることは、この2人なら当然分かるので特に詳しい説明はしていない。そのカード達を封印する方法を聞いてみたが…。

 

「このくらいであれば、封印なんて手間のかかることはせずに、破滅の光の力そのものを払ってしまった方が早いな」

 

「えっ?」

 

俺が数日掛けても払えなかった破滅の光に対して、師匠は何でもないことの様に言う。そして、姉弟子がカードに手をかざすと…。

 

「もう払った」

 

「えっ?」

 

あっさり解決した。解決時間は約2秒とか…この人たち、ポテンシャル高すぎない?それとも、俺の魔力と技量、低すぎ?これでも人間界では色んな修羅場を乗り越えてきた自信があったんだけどなぁ。

 

カードを見ると確かに破滅の光は跡形もなく消えていた。流石は最上級魔術師とその弟子。彼らと比較すれば、俺はまだまだ雑魚だ。流石にこれだけの実力差を見せられると凹むなぁ。

 

「もしかして、師匠たちの精霊の力があれば、もっと強い破滅の光でも何とかなったりするの?」

 

「うむ。お前が私たちの力を完全に引き出せるようになれば可能だろう」

 

「私たちの精霊のカードが入ったデッキで、破滅の光のカードを所持している相手とデュエルして、勝てばいい。あとは私たちが何とかする」

 

その翌日、Mr.マッケンジーから連絡が入り、カードが白紙に見えてしまう事件の被害者全員の症状が回復したとの報告を受けた。なるほど、破滅の光の影響は距離が離れれば消え去れるのだろう。もしくは俺が精霊界に持ち込んだから次元を超えてまで影響を与えることが出来なかったのかもな。

 

あれ?これってもしかして、舞網チャンピオンシップやハートランドシティの騒乱の原因となった【パラサイト・フュージョナー】の方も何とかなる?虫洗脳された女の子たちの完全回復や、榊遊勝やDr.ドクトルたちの回復も何とかなるかも?いや、Dr.ドクトルはどうでもいいや。

 

だが、その為には師匠たちの精霊のカードを使いこなせるようになる必要があるな。なら、俺のやることは決まりだな。またしばらくは精霊界での修行を再開するとしますか。目標達成の期限は、デュエルアカデミア入学まで、いや、来年末までには師匠たちの力を引き出せるようにすることとしよう。

 

~~~

 

夏休みも終盤に差し掛かった8月下旬頃、朝から珍しく丸藤亮から電話が掛かってきた。正直、嫌な予感しかしないが、無視するわけにも行かないので応対することにした。

 

「クロト。落ち着いて聞いて欲しい。吹雪が、天上院吹雪が行方不明になった」

 

嫌な予感が的中したようだ。そう。この時期だとはある程度予測していたが、やはり天上院吹雪の失踪事件が起こってしまったようだ。渡しておいたネックレス程度では、彼の運命を変えることは出来なかったようだ。

 

「行方不明、ですか。悪い冗談…と言うわけではなさそうですね」

 

「あぁ、残念ながら事実だ」

 

その後、亮から事のあらましを聞いたところ、次のことが判明した。

 

①丸藤亮や天上院吹雪たちは今年の春からオベリスクブルーの中でも特別優秀な物だけが住まうことを許されるという特別寮に住んでいて、日々を過ごしていた。

 

②ただ、この特別寮からは行方が分からなくなる生徒が数十名出てきており、アカデミア本校の鮫島校長に問い合わせても『海外留学に出ている』と言う回答しか得られなかった。

 

③今年の夏、実際に亮と吹雪は勉学の為以外にも、この行方不明になった生徒たちのことを調べるつもりで海外留学してアメリカ校へ向かったが、先に海外留学にしていると言われていた生徒は誰1人として見つからなかった。

 

④アメリカ校校長(Mr.マッケンジー)に問い合わせても、『君たちが初の海外留学生であり、君たち以外の生徒をを受け入れたことはない』とのことだった。

 

⑤海外留学先で発生していた『カードが白紙に見えてしまう』事件を解決後、海外留学期間が終了したので帰国してアカデミア本校に戻った。

 

⑥本校に戻って数日後、天上院吹雪が行方不明となり、鮫島校長に問い合わせても『分からない』『書類上は海外留学に言っていることになっている』『私の方でも調べてみる』と言う回答を貰うのみだった、

 

⑦もしかすると、吹雪を含む行方不明者はアメリカ校で経験したようなオカルトチックな事件に巻き込まれたのかもしれないと思い、その道に詳しい俺に連絡を入れた。

 

なるほど。今回、彼らが海外留学していたのはそういう理由もあったわけか。

 

それにしても、鮫島校長は原作と同じであてにならなさそうだな。その行方不明事件に影丸理事長が関わっているだろうことは薄々気付いているだろうに。

 

「申し訳ないですが、現状の情報だけでは力になれそうにありませんね」

 

「そうか…」

 

明らかに落胆した亮の声が電話越しに聞こえてくる。済まないな。力になってやりたいんだが、今の俺が出来ることはほぼ無いんだ。そして、今の段階で亮に事情を説明することもできない。亮が影丸やアムナエルに消される可能性があるからな。

 

「明日香にはまだこの件は黙っているが、気付くのは時間の問題だろう」

 

「彼女自身が気付くよりも、こちらから教えてあげた方がまだマシでしょう。話しづらいなら、俺から話しましょうか?」

 

「いや、オレから話そう。一番吹雪の近くに居たのはオレだ。オレが話すべきだろう」

 

「念のために言っておきますけど、今回の吹雪さんの件は、ほぼ間違いなく亮さんの責任ではないですからね?あまり自分を責めるのは止めて下さいよ」

 

「…フッ、オレの心配をしてくれているのか?その気持ちだけ受け取っておこう」

 

俺なりに励ましたつもりだが、多少の効果はあったようだ。さて、状況的にはほぼ確定なんだが、確認しておくか。

 

「最後に一つ確認しておきたいのですが、行方不明者の中に『藤原優介』と言う生徒は居ませんでしたか?」

 

「藤原優介?いや、そんな名前はオレがアカデミア中等部に入学してからこれまで一度も聞いたことが無いな。知り合いなのか?」

 

「えぇ、そんなところです」

 

亮の問いに対して適当に濁しつつ、亮との電話を終えた。亮はこれから明日香に事情を説明するのだろう。親友を失った彼も相当参っているだろうに…。

 

先日まで友人だと言っていた藤原優介を覚えていないか。確定だな。藤原優介はダークネスに呑まれて、彼の記憶はこの世界の住人全てから失われたのだろう。俺がその影響を受けずに覚えている理由は、オカルトに耐性が出来ている為か、元々この世界の人間ではない上に女神様による前世知識チートのお蔭だろう。

 

天上院吹雪は、藤原優介がダークネスと契約を結んだ後に彼からダークネスの仮面を受け取り、影丸理事長の指示を受けたアムナエルの特別寮での実験にてその仮面を使用してしまい、その仮面の力でダークネス世界に飲み込まれてしまったのだろう。今頃はダークネスの仮面の力を借りて必死に生き延びようとしているはずだ。

 

彼とは親交もある。助けに行ってやりたいのはやまやまだが、仮にアカデミア本校の特別寮に辿り着けたとして、ダークネスの世界に行く方法も、ダークネスの世界から彼を救出する方法も思いつかない。彼を助けられるのは今から1年半後、アニメGXの原作ストーリーが開始されてからになるだろう。

 

 

亮との電話が終わった数時間後、亮から兄が行方不明であることを知らされた明日香から電話があって先ほど亮から聞いた話をもう一度聞かされることになった。

 

明日香は普段の冷静な態度からは想像もつかないほど酷く混乱し、取り乱していた。電話から聞こえる声はすっと涙声で、時折嗚咽が聞こえる。それに対して俺は在り来たりな慰めの言葉を掛けることしかできなかった。こういう時は自分の口下手振りには本当に腹が立つ。俺の力はやはり無力だ。もどかしいな。

 

アニメ原作通りに順当に行けば、遊城十代によって天上院吹雪は救われるだろう。だが、この世界は俺と言う異物の所為で色々と変化している。原作の本筋に影響を与えない程度に俺が介入して軌道修正していくのがベターだろう。その為には、やはり力が必要だ。この世界の理不尽を跳ね返せるだけの力が…。




明日香たちや紅葉達と別れ、ようやく日本に帰ってきました。

帰ってくる際にレインを強化してみました。この時代でエルドリッチとか、相手は泣いていい。

ここでようやく、今まで人の手の届かないように封印して放置するしかなかった破滅の光に対する根本対策もようやく形が見えてきました。

そして、天上院吹雪の失踪事件。恐らく発生タイミングはアニメ原作よりも少し遅いくらいです。

あと一話の幕間を挟んだら新章突入です。

次回の更新は2/6(土) AM8:00予定です。

戦車様、メイン弓様、神薙改式様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十三話 幕間:白河クロトの日常3

日常回&精霊界での修行回です。

デュエルはありません。


夏休みが終わり、2学期も過ぎて、冬休みも終わった。そして、今は中学二年生の三学期となっていた。

 

本日の授業がすべて終わった放課後に、俺は所属する料理部で作ったクレープの試食をコナミ、ユーゴ、リン、セレナに頼んで、その感想を待っているところだ。

 

「小豆入りのクレープなんて初めて食べたけど、美味いなこれ」

 

「うめー!クレープと言えばバナナだよな!」

 

「美味しい!中のイチゴとクリームの組み合わせは反則級ね!」

 

「美味いぞ!チョコレートの甘みとクリームは相性抜群だな!」

 

ふふふっ。長年一緒にいる彼らの好みなど、既に把握済みよ!なので、この感想は嬉しいが予想の範囲内だ。

 

「副部長!俺達の分はないんですか!?」

 

「副部長!私たちの分は何処ですか!?」

 

俺の後ろでコナミ達の試食を見ていた後輩たちが騒ぎ出したので、適当にベリーやマンゴーをトッピングしたクレープを渡しておいた。ちなみに、2年生は俺を除くと幽霊部員しかいない。

 

料理部で使用する材料は全て経費で落ちるので俺の懐は痛くない。生地の元さえ作ってしまえば何個作ろうが、その後の手間はそれほどかからないのもいい。

 

「うめー!やっぱり副部長はお菓子なら部長よりも美味いよな!」

 

「美味しいー!副部長のお菓子はいつ食べても美味しいわー!」

 

お菓子はシスターに習って昔から作っているからな。コナミやリンへの賄賂やユーゴやセレナへの餌付け、柳さんへのお礼など、使用用途が幅広いからな。

 

料理も練習しているのだが、そちらの腕前は、シスターはもちろんのことながらこの料理部の部長にも遠く及ばないんだよな。

 

その後、料理部のルールである『他の人の料理を貰ったら、自分たちが作った料理を返す』と言うルールに則り、後輩たちからクレープと交換と言うことで色々とお菓子を貰った。

 

そのお菓子を食べ、そのお菓子の改善案を後輩たちと話していると、料理部の部屋の扉を開けてこの料理部の部長がやってきた。

 

「高橋部長、こんにちわ。クレープ食べます?」

 

「白河君、こんにちわ。私はもう部長じゃないわよ。クレープは後で貰うわ。もちろん、メープルシロップ味はあるのよね?」

 

「ありますよ。お返しはたい焼きがいいですね」

 

「分かったわ。あとで作っておくわ。それで、この前の相談の続きをしたいんだけど…」

 

部長はあの話の続きをしたいようだが、他の後輩たちの目が気になるようだ。分からなくもないな。

 

「大丈夫ですよ高橋先輩!ボクたちはそろそろ帰りますから!」

 

「卒業デュエル、頑張ってくださいね高橋先輩!」」

 

気を利かせた後輩たちがいそいそと帰り支度を済ませて部屋から出ていく。

 

「もう、あの子たちったら…あら?そちらの方達は料理部の部員じゃないわよね?」

 

「高橋部長。彼らは俺の友人ですが、デュエルに精通している者ばかりなので、多分一緒に聞いてもらった方がいい結果になりますよ」

 

「そうなの?ならお願いしようかしら。そう言えば自己紹介がまだだったわね。私は高橋愛。この料理部の元部長よ」

 

「赤羽コナミだ」

 

「速水ユーゴだぜ!」

 

「風祭リンです」

 

「葉月セレナだ」

 

高橋元部長の自己紹介の後、コナミ、ユーゴ、リン、セレナがそれぞれ自己紹介をする。

 

俺と同じ2年のコナミは既にどんな話なのかを把握したようだが、まだ1年のユーゴ、リン、セレナはよく分かっていないようだ。一応、説明しておこうか。

 

「『かがやき市』の中心に立っているこの『かがやき中学校』には、とある伝説があってね」

 

「「「伝説って?」」」

 

条件反射的に、あぁ!って返しそうになった。危ない危ない。

 

「『卒業式の日に、校庭の外れにある伝説の樹と呼ばれる桜の樹の下で、女の子からデュエルを挑まれて、デュエル後に告白されて生まれたカップルは永遠に幸せになる』って言う伝説よ」

 

部長が話を引き継いて説明してくれた。流石はカードもできるギャルゲーの世界と言うべきか。同じ会社が出している某恋愛ゲームとほぼ同じような設定の伝説だよな。デュエルと告白に何の関係があるのかは知らん。

 

「オレも去年の卒業式はめちゃくちゃデュエルしたなぁ」

 

コナミが去年の思い出を零す。ちなみにコナミは、当日は連続で30戦くらいデュエルして、全部勝利した後に全員をそれとなく振ったらしい。コイツ、いつか嫉妬に狂った男子か怒り狂った女子刺されるぞきっと。

 

俺?聞くなよ、悲しくなるだろ…。当日は『何でわざわざ樹の下でデュエルしてんの?』なんて話を鈴木や田中としながら普通に帰宅したよ。佐藤?奴はこの件に関しては裏切り者だからな…。

 

「へぇ~」

 

ユーゴは他人事のように興味無さそうにしているが、君は今回間違いなく樹の下に呼ばれるイケメンの一人だからな?

 

「そんな伝説があるのね…」

 

リンはチラッとユーゴの方を見たが、俺の視線に気付いたらしくすぐに目を逸らした。少し顔が赤いが、指摘しない方が良さそうだ。不興を買って腹に膝蹴りを受けて顔芸をする羽目になるのはユーゴだけで良い。

 

「何でわざわざ樹の下でデュエルする必要があるんだ?」

 

「知らない」

 

セレナは単純にデュエルする理由が分からなくて困惑しているようだ。だからと言って俺に聞かれても困るが、分かる、分かるぞその気持ち。俺も最初はそう思った。

 

「それで、その伝説にあやかってデュエルすることをいつしか『卒業デュエル』と呼ぶようになったわけだ。ここまで言えば大体わかるだろう?」

 

「高橋先輩が誰かに卒業デュエルを仕掛けようとしているけれど、その前のデッキ調整の手伝いと助言あたりをクロトに頼んだわけね」

 

「正解」

 

察しの良いリンが話を纏めてくれた。高橋元部長も彼らと話すうちに次第に打ち解けていた。これが陽キャの力か…。

 

「なるほど。それならオレも参加させてもらおうかな」

 

「オレもオレも!」

 

「もちろん、私も参加するわよ」

 

「良く分からないけど、私も参加するぞ!」

 

全員のOKが得られたので、その日は部長の卒業デュエルを成功させる為、帰宅時間ギリギリまで部室で高橋元部長のデッキ調整に付き合った。

 

後日、卒業デュエルが成功して告白した男子と付き合えるようになったこと。そして、その相手がまさかの鈴木であったことが判明した。う、羨ましくなんてないさ…。

 

~~~

 

三学期が終わり、春休みに入った頃、俺は精霊界で【ダンシング・エルフ】に連れられてエルフの森にやってきていた。

 

「人間って不便よね。もう何度もこの森に来ているのに、未だに私の案内が無いと道が分からないなんてね」

 

「俺にはそもそも道が見えないんだよなぁ」

 

人間界の様に舗装された道など無く、生い茂った植物の間を縫うようにうねうね進んでいる為、道が全く覚えられない森だ。それから1時間くらい歩いた後、ようやくエルフの集落へと辿り着いた。

 

「ほら、クロト。着いたわよ。迎えはまた半日後で良いわね」

 

「あぁ、助かったよ【ダンシング・エルフ】」

 

「良いわよ。でも、帰ったら約束通り私のダンスに付き合ってよね」

 

「ダンスは…苦手なんだよなぁ。やるけどさ」

 

道案内に付き合ってもらった【ダンシング・エルフ】と別れ、集落の奥へと進んでいく。

 

「あらクロト。今日も回復魔術のお勉強?」

 

「そんなところだよ【ダーク・エルフ】」

 

「クロトじゃない!また魔術勝負しましょうよ!」

 

「【エンシェント・エルフ】か。今日は別件があるから、今度ならいいよ」

 

「「クロト~。お酒~」」

 

「ほらよ。君ら、酒に強くないんだし、飲み過ぎるなよ【ヂェミナイ・エルフ】」

 

「クロト!お菓子ちょうだい!」

 

「ほらよ。今日はクッキーな。【フルエルフ】、食べた後はちゃんと歯を磨けよ」

 

到着するまでに色んなエルフに話しかけられる。ファンタジーの設定では、『エルフは人間嫌い』みたいな設定が多いが、そもそも精霊界には人間が居ないので、ここのエルフは割と緩い。

 

「来たかクロト。彼女はもう広場で待っているぞ」

 

「お勤めお疲れ様です。【エルフの剣士】」

 

集落の奥にある広場への入り口に居た【エルフの剣士】に挨拶をして、彼女の待つ広間へと到着した。

 

「待っていましたよクロト。さぁ、早速始めましょうか」

 

「えぇ。【ホーリー・エルフ】。今日も回復魔術の指南、よろしくお願い致します」

 

夏休みに会ったトラゴエディアや、残滓とはいえ破滅の光をアッサリ消し去った師匠たちを見て、改めて実力不足を悟った俺は、修行の一環でこうしてエルフの森で【ホーリー・エルフ】に回復魔術を習っている。

 

彼女が居ないや彼女に用事がある時は【エンシェント・エルフ】と魔力弾を使った的当て勝負をしたり、【ダーク・エルフ】の魔力攻撃を防御する訓練をしたり、【エルフの剣士】と剣術の練習をしたりしている。

 

ちなみに、どれも勝ったことはない。誰だよ【エルフの剣士】が弱いとか言った奴。あんなバトル漫画みたいな動きに付いて行けるわけがないだろ!そりゃ翻弄されるわ!10mは離れた場所から一呼吸のうちに目の前に居る相手に一介の中学生が勝てるか!

 

「また魔力が乱れていますね。もう一度最初からやってみましょう」

 

「はい」

 

ちなみに、優しそうな顔をしている【ホーリー・エルフ】が一番厳しい。そして、回復魔術の指南を頼んだ際に、才能はほぼ無いと最初に言われた俺は、なかなか上達できていないので結構な頻度で怒られている。

 

「またまた魔力が乱れていますね。もう一度最初からやってみましょう」

 

「…はい」

 

この女、実はドSなのでは?と思わなくもないが、彼女の指導はかなり上手いのだろう。才能の無い俺でも徐々に成長は出来ているようで、半年間修業した今なら何とか擦り傷くらいなら瞬時に治せるようになった。もっと上達すれば異世界編で早乙女レイが負傷した際の傷の治療などに役立つだろう。当然、女の子が怪我をする事態なんて未然に防ぐつもりではあるが、念のためだ。

 

転生してから今まで色々と手を尽くしてみたものの、GX原作が始まるまでに対処できたのは、本来GX原作に関係のない勢力の排除のみ。光の結社にはある程度の邪魔は出来たと思うが、影丸、コブラ、ユベル、ダークネス。どの勢力にも有効打を与えられていないことから、恐らく今後俺がどれだけ手を出してもGX原作通りの事件は発生してしまうだろう。

 

三幻魔事件、光の結社事件、ユベルによる異世界事件、これら全てが発生してしまった場合、アカデミア本校がある島の次元に負荷をかけてしまい、ダークネスが発生する。ダークネスが発生してしまうともう人間の力では解決できない。全ての事件を十代に丸投げすることも、世界の全てを十代に賭けるなんて博打を行うこともしたくないし、させたくない。

 

せめて、ダークネス以外の事件のどれかに介入して潰してしまえるように、俺自身の力を高めるしか方法はないだろう。今は貪欲に様々な力を求めるべきだ。

 

「またまたまた魔力が乱れていますね。もう一度最初からやってみましょう」

 

「……はい」

 

とはいえ、まだまだ先は長そうである。今日も俺は使い慣れない回復のための魔力を手の平に集中させるのであった…。




説明するまでもないかもしれませんが、卒業デュエルの元ネタはアニメGXのアレと、コナミが発売した超有名な某恋愛ゲームです。

オリ主の精霊界修行再開です。魔導波を出せるようになった後は日々魔力を高める修行だけを継続していましたが、元々魔力が無く才能もないオリ主では大した効果を得られませんでした。破滅の光の対処と今後起こりそうなリアルファイト対策として本格的な修行を再開しました。

次回からは新章突入。ようやく原作一年前です。

次回の更新は2/10(水) AM6:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作1年前 嵐の前の暗躍編
第七十四話 ツァン・ディレ


新章突入。

今回の相手はタッグフォースシリーズで多分一番有名なモブキャラ、ツァン・ディレです。

TF6のあの容姿でモブキャラとは、当時のタッグフォースシリーズの開発スタッフの本気具合が伺えますね。


中学校3年生となった春、15歳となって身長も160cmを超えた俺は、今年から春開催になったデュエルアカデミアが主催するデュエル全国模試(中学三年生の部)の筆記試験を終えて、実技試験の会場へと向かっていた。

 

今回の筆記試験はチート知識に頼らずに自分の実力のみで受けてみたが、去年・一昨年とそれほど順位は変わらないだろう。OCG次元の人間でデュエルモンスターズに触れていればそんなに難しい問題じゃない。

 

魔法カードのタイプを全て答えよ(5点)とかだもんな。OCG次元のストラクチャーデッキに付属してくるルールブックの内容を覚えていたら100点中90点は取れるだろう。

 

そんなことを考えていると実技試験会場に到着した。俺の番号は…あそこだな。…あの非常に見覚えのあるピンク頭の少女が今回の実技試験の対戦相手かな?あ、髪色はTF5以降のピンクだけど、髪型はTF4時の地味なツインお下げ型だな。この娘の相手なら、同じ会場にいるコナミにしろよ…。

 

「へぇ…アンタが私の対戦相手?ボクはツァン・ディレ。あんたなんかでボクの相手になるとは思えないけど…相手してあげる」

 

そう言えば、確かこの娘って声優が遊戯王DMのキサラと同じ声の人なんだっけ。聞いてもよく分からないけどさ。

 

「そうか。俺は白河クロトだ。よろしく頼む」

 

凄い不機嫌そうだ。前世ではツンデレと言う言葉はあったが、ツンデレと呼ばれる人種に会ったことが無かったので、これがその人種特有の状態なのか、それとも単に俺が気に入らないだけなのかが判断できない。まぁ、いいや。どうせコナミのヒロイン候補の一人だ。俺がわざわざ仲良くなる必要もないしな。

 

そんな話は置いておいて、試合が始まる前に【真六武衆-シエン】と【六武の門】のメタカードをデッキに大量投入しておこうかな!

 

~~~

 

「それでは実技試験を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

ギリギリだがデッキの調整は間に合った。メタカードを引けるかどうかは運次第だけどな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは実技試験デュエル、開始して下さい!」

 

「よぉし、準備OK!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆ツァン・ディレ LP:4000

 

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ツァン・ディレ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える!ボクはデッキから【六武衆-イロウ】を手札に加える!」

ツァン・ディレ 手札:5→6枚。

 

サーチ先がキザンやカゲキじゃない?どういう意図だ?

 

「次にボクは手札から永続魔法【六武衆の結束】を発動!「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに武士道カウンターを1つ置く(最大2つまで)。武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする!」

ツァン・ディレ 手札:5枚。永続魔法:1

 

「更にボクは手札から魔法カード【予想GUY】を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する!ボクはデッキから通常モンスター【六武衆の侍従】を特殊召喚!」

ツァン・ディレ 手札:4枚。武士道カウンター:0→1

 

<ツァン・ディレのフィールド>

六武衆の侍従 ★3 DEF2000

 

「そしてボクは手札から【六武衆-ザンジ】を召喚!」

ツァン・ディレ 手札:3枚。武士道カウンター:1→2

 

<ツァン・ディレのフィールド>

六武衆の侍従 ★3 DEF2000

六武衆-ザンジ ★4 ATK1800

 

「ここでボクは永続魔法【六武衆の結束】を発動!武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送り、このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする!武士道カウンターは2つ!よってボクはデッキから2枚ドローする!」

ツァン・ディレ 手札:3→5枚。永続魔法:1→0、武士道カウンター:2→0

 

「自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。さぁ来て!【大将軍 紫炎】!」

ツァン・ディレ 手札:4枚。

 

<ツァン・ディレのフィールド>

六武衆の侍従 ★3 DEF2000

六武衆-ザンジ ★4 ATK1800

大将軍 紫炎 ★7 ATK2500

 

「【大将軍 紫炎】がフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠カードを発動できない!また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できるわ!」

 

「ボクは手札からフィールド魔法【紫炎の霞城】を発動!「六武衆」と名のついたモンスターを攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする!」

ツァン・ディレ 手札:3枚。フィールド魔法:1

 

「ボクは手札を2枚伏せてターンエンド!」

ツァン・ディレ 手札:1枚、伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆ツァン・ディレ LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2

 

<ツァン・ディレのフィールド>

六武衆の侍従 ★3 DEF2000

六武衆-ザンジ ★4 ATK1800

大将軍 紫炎 ★7 ATK2500

 

 

なるほど。タッグフォース4のツァン・ディレはまだ真六武衆シリーズのカードを所持していなかったからな。その状態のデッキなんだろう。なら、伏せカードは【六尺瓊勾玉】や【六武衆の荒行】ではなく、【諸刃の活人剣術】や【六武衆推参!】、あったとしても【究極・背水の陣】辺りだろうか。

 

ただ、【大将軍 紫炎】のモンスター効果はこのデッキにかなり刺さる。早めに除去してしまいたいところだな。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【聖騎士アルトリウス】を召喚!」

クロト 手札:5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

聖騎士アルトリウス ★4 ATK1800

 

「俺は手札から装備魔法【聖剣カリバーン】を発動!戦士族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする!俺は【聖騎士アルトリウス】に【聖剣カリバーン】を装備する!」

クロト 手札:4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

聖騎士アルトリウス ★4 ATK1800→2300 ※【聖剣カリバーン】装備中。

 

「一応言っておくけど、【大将軍 紫炎】の効果のことを忘れてないわよね?アンタはもうこのターンは魔法罠を発動できないわよ」

 

「分かってるよ。わざわざ教えてくれるなんて優しいじゃん?」

 

「なっ!?べ、別にアンタの為に言ったんじゃないわよ!」

 

生ツンデレとか初めて見たけど、可愛いというより微笑ましいな。

 

「自分フィールドに「聖剣」装備魔法カードが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札から【聖騎士コルネウス】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

聖騎士アルトリウス ★4 ATK2300 ※【聖剣カリバーン】装備中。

聖騎士コルネウス ★4 DEF2000

 

「俺はレベル4の【聖騎士アルトリウス】と【聖騎士コルネウス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【神聖騎士王コルネウス】!」

クロト 手札:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

神聖騎士王コルネウス ☆4 DEF2500 ORU:2

 

「エクシーズ召喚…!?初めて見た…」

 

「【聖騎士コルネウス】をORUとした召喚した「聖騎士」モンスターは以下の効果を得る。この特殊召喚に成功した場合に発動できる。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにモンスター1体を召喚できる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「聖騎士」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。俺はこの効果を発動して手札から【伝説の預言者マーリン】を召喚!」

クロト 手札:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

神聖騎士王コルネウス ☆4 DEF2500 ORU:2

伝説の預言者マーリン ★3 DEF500

 

「俺は【神聖騎士王コルネウス】のORUを2つ取り除いて効果発動!このカードのORUを任意の数だけ取り除き、その数だけ相手フィールドのカードを対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す!対象は【大将軍 紫炎】と伏せカード1枚だ!」

神聖騎士王コルネウス ☆4 DEF2500 ORU:2→0

 

「破壊じゃなく、手札に戻す効果!?…【大将軍 紫炎】と伏せカード1枚を手札に戻すわ」

ツァン・ディレ 手札:1→3枚、伏せカード:2→1

 

<ツァン・ディレのフィールド>

六武衆の侍従 ★3 DEF2000

六武衆-ザンジ ★4 ATK1800

 

良し!これで魔法カードが使えるようになったな!

 

「俺は【伝説の預言者マーリン】をリリースして効果発動!デッキから「聖騎士」モンスター1体を特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は「聖騎士」モンスターしか特殊召喚できない。俺はデッキから【魔聖騎士ランスロット】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

神聖騎士王コルネウス ☆4 DEF2500 ORU:0

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK2000

 

「俺は【魔聖騎士ランスロット】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールド上の「聖騎士」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。デッキから「聖剣」と名のついたカード1枚を手札に加える!俺は【神聖騎士王コルネウス】をリリースして【聖剣アロンダイト】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK2000

 

「俺は手札から装備魔法【聖剣アロンダイト】を発動!戦士族モンスターにのみ装備可能。俺は【魔聖騎士ランスロット】に【聖剣アロンダイト】を装備する!」

クロト 手札:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK2000 ※【聖剣アロンダイト】装備。

 

「俺は【聖剣アロンダイト】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。装備モンスターの攻撃力を500ダウンし、そのセットされた相手のカードを破壊する!」

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK2000→1500 ※【聖剣アロンダイト】装備。

 

「させない!チェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【六武ノ書】!自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター2体をリリースして発動!自分のデッキから「大将軍 紫炎」1体を自分フィールド上に特殊召喚する!ボクは自分フィールドの【六武衆の侍従】と【六武衆-ザンジ】をリリースしてデッキから【大将軍 紫炎】を特殊召喚!」

ツァン・ディレ 伏せカード:1→0

 

<ツァン・ディレのフィールド>

モンスター無し

 

「なら俺もその効果にチェーンして手札から【アヴァロンの魔女モルガン】を墓地に送って効果発動!自分フィールドに「聖騎士」モンスター及び「聖剣」装備魔法カードが存在し、相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。自分フィールドの「聖剣」装備魔法カード1枚を選んで破壊し、その発動を無効にする!俺は自分フィールドの【聖剣アロンダイト】を破壊して【六武ノ書】の発動を無効にする!」

クロト 手札:2→1枚。

 

「手札からカード効果の発動を無効化するモンスター!?」

 

チェーン①聖剣アロンダイト

チェーン②六武ノ書

チェーン③アヴァロンの魔女モルガン

 

「効果処理を行う。【アヴァロンの魔女モルガン】の効果により【聖剣アロンダイト】は破壊されてチェーン②【六武ノ書】の発動を無効にする。チェーン②【六武ノ書】の発動は無効化されているが、発動コストとして墓地に送られた2体はそのまま墓地だ。最後にチェーン①【聖剣アロンダイト】の効果はセットカードだった【六武ノ書】が発動された為、対象を失って不発だが、効果処理時に攻撃力をダウンするので攻撃力は500下がったままだ。【聖剣アロンダイト】が破壊された後でもな」

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK1500

 

「俺は手札から【貪欲な壺】の効果発動!自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする!」

クロト 手札:1→0→2枚。

 

<クロトが墓地からデッキに戻したモンスター>

①聖騎士アルトリウス

②聖騎士コルネウス

③神聖騎士王コルネウス

④伝説の預言者マーリン

⑤アヴァロンの魔女モルガン

 

ギリギリ来たな…。さて、相手フィールドにモンスター無し、伏せカード無し。手札も【大将軍 紫炎】と【六武衆-イロウ】と伏せカードだった1枚。伏せカードが手札誘発でもある可能性は非常に低い。墓地発動できるカードも無し。…行けるな。

 

「俺は手札から装備魔法【アサルト・アーマー】の効果発動!自分フィールドのモンスターが戦士族モンスター1体のみの場合、そのモンスターに装備できる。装備モンスターの攻撃力は300アップする。俺はフィールドの【魔聖騎士ランスロット】に【アサルト・アーマー】を装備する!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK1500 → 1800 ※【アサルト・アーマー】装備

 

「装備されている【アサルト・アーマー】を墓地へ送って効果発動!このターン、このカードを装備していたモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK1800 → 1500 ※2回攻撃

 

「俺は手札から装備魔法【聖剣ガラティーン】の効果発動!戦士族モンスターにのみ装備可能。「聖剣ガラティーン」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。装備モンスターの攻撃力は1000アップし、自分スタンバイフェイズ毎に200ダウンする。1ターンに1度、フィールドの表側表示のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、自分フィールドの戦士族の「聖騎士」モンスター1体を対象として発動できる。その自分の戦士族の「聖騎士」モンスターにこのカードを装備する!俺はフィールドの【魔聖騎士ランスロット】に【聖剣ガラティーン】を装備する!」

クロト 手札:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔聖騎士ランスロット ★5 ATK1500→2500 ※2回攻撃。※【聖剣ガラティーン】装備

 

「バトルフェイズに移行。【魔聖騎士ランスロット】で1回目のダイレクトアタック!」

 

魔聖騎士ランスロット ATK2500 ※2回攻撃。

 

「あうぅっ…」

ツァン・ディレ LP:4000 → 1500

 

防御札は無いっぽいな。ならこれで終わりだな。

 

「バトルフェイズに続行。【魔聖騎士ランスロット】で2回目のダイレクトアタック!」

 

魔聖騎士ランスロット ATK2500 ※残り1回攻撃。

 

「きゃあぁぁぁ!」

ツァン・ディレ LP:1500 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「負け、ちゃった…」

 

~~~

 

実技試験デュエルが終わると、ツァン・ディレは悔しそうな顔をしていた。

 

「ぐ、偶然とは言え…たいしたものじゃない。まあ、次はこうはいかないけどね!」

 

うーん。今の【六武衆】もこの時代なら悪くはないんだろうけどなぁ。このままだとタッグフォース3にも居る【六武衆】使いの生徒とデッキ被るだろうし…素直に受け取ってくれるか分からないけど、テコ入れしてみるか。

 

「君、【六武衆】使いなんだろ?このカード達を見たことある?」

 

「何よこれ。えっ、なに、これ?真・六武衆に影・六武衆!?こんな六武衆もあるんだ…って、これは【六武衆】の融合!?【六武衆】のシンクロ!?【六武衆】のエクシーズ!?」

 

良い反応だなぁ。毎回この反応を見るのもカードを渡す時の楽しみの一つだな。

 

「そうだよ。あとは適当に戦士族のサポートカードとかだな。使ってみる?あげるよ?」

 

「こ、これを全部くれるの!?」

 

「うん」

 

「あ、ありがとう…」

 

「どういたしまして」

 

どうやらちゃんと受け取ってくれたみたいだ。リンク環境なら軍団長やらイゾルテやらも渡したんだけどな。少なくともこれで、モンケッソクカゲキカゲムシャシエンシハンキザンキザンくらいは出来るようになるだろうな。

 

「ねぇ」

 

「うん?」

 

「やっぱりこんなカードをタダで貰えないわよ。何か代わりとなる物をあげないと…」

 

「えぇ…」

 

なんか面倒くさいことを言い出した。なんだかんだで律儀な娘だ。でも、カードとか貰ってもなぁ。俺はOCG版なら全てのカード持っているからなぁ。最近は時々知らないカードも増えてるし…何かいい方法は…おっ、そうだ。

 

「確か、ツァン・ディレは去年・一昨年含めて模試の成績上位者だよな?」

 

「何でいちいちフルネームで呼ぶのよ。ツ、ツァンで良いわよ!」

 

「えぇ、あぁ、うん」

 

顔を真っ赤にしてそう言うツァン・ディレ、もといツァン。口下手なんだろうか。

 

「確かにボクは成績上位者よ。去年も4位だったし。でも、アンタも確か去年の順位は5位だったじゃない。それで?」

 

去年はレインが元のスタンスに戻したらしく、上位500位になっていたからな。繰り上げになって俺が5位だった。確か1位からだと三沢、アモン、明日香、ツァン、俺、万丈目…だったな。万丈目を抜いてやったぜ。上三人は抜くの無理でしょ。

 

「俺、歴史苦手なんだよね。だからさ、歴史の勉強を手伝ってくれない?」

 

これは本当。この世界の歴史は基本的に前世と同じなんだが、所々微妙に違っているから、前世の記憶を継承したチート能力が逆に足を引っ張ることになるんだよな。

 

「えぇっ!?ボ、ボクと!?そ、それってもしかして、ボクに友達になってくれってこと!?」

 

「ん?まぁそうかな」

 

要は、一緒に受験勉強しようぜ!って言ってるわけだからな。大体同じような意味だろう。

 

「しょ、しょうがないわね!と、友達になってあげるわよ!」

 

「おぉ。今後時々で良いから、歴史の勉強を手伝ってくれればいいよ」

 

こうして、ツァンと友達関係になった。久し振りに同年代と電話番号やらメールアドレスの交換とかしたな…。

 

成績優秀な彼女なら、俺の知らない歴史の知識を知ってたりしそうだし、今後はかなり助かるだろうな。




元々タッグフォース4以降の新規キャラクターはアカデミア高等部からの入学と言う設定にするつもりだったので、ようやくツァン・ディレが出せました。

オリ主はわざわざ仲良くなる必要はないとか言っていますが、やっていることはカード(プレゼント)を大量に上げていますので、今までカードを配った人たちの友好度は結構高めです。

ツァン・ディレのデッキは【六武衆】でした。ただし、タッグフォース4時代のデッキなので、真・六武衆も居ませんし、門や勾玉もありません。

オリ主のデッキは【聖騎士】でした。侍相手なら忍者か騎士をぶつけようと思っていたので、ダイスで騎士になりました。

次回の更新は2/10(水) AM7:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十五話 友人たち1

数年振りの地元デュエル大会。予選は省略。

本戦第一試合~順々決勝までの3戦を一気に行きます。


<クロト視点>

 

中学校3年生となったGW、俺は今回初めて変装無しで地元のデュエル大会の本戦に出場していた。予選?ダーク・ダイブ・ボンバーで雑に倒したよ。

 

今年度で中学を卒業すれば、来年からはデュエルアカデミア本校で3年を過ごすことになる。それまでに一度くらいは実名でこの大会に出ておきたいと思ったんだよな。

 

今大会はデッキ登録を5つまでしてもいいと言う、何処かの仮面男に配慮したようなルールになっていたので、決勝戦までの全5戦全てを別のデッキで戦うことも可能だ。

 

そして今年はもう一つ今までと違うことがある。なんと、鈴木たちが全員本戦まで勝ち上がったのである。俺とは別会場だったし、今回コナミは予選大会で寝坊して不戦敗になっていたので可能性は無くはなかったのかもな。

 

今日は3試合して、明日に準決勝と決勝戦の2試合する日程だ。さて、今日はどんなデッキを使おうかな?

 

~~~

 

<田中視点>

 

数年に一度だけ開催される地元最大のデュエル大会、オレは今まで全ての大会に参加してきたが、予選突破して本戦までこれたのは初めてだ。

 

今年はデュエルアカデミアへの受験があり、筆記試験の他にデュエルの実技試験がある。この大会で成果を残すことが出来れば、その実技試験への大きな自信になる!

 

今年こそ、必ず優勝してやるぞ!

 

「それではデュエル大会本戦第一試合を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

審判の声を聞き、オレは対戦コートへと入る。相手は同じくらいの背丈の少年のようだ。

 

「ふふふっ!ここからこの田中進の華麗なるデュエルの物語が幕を開けるのだ!さぁ、我が闇魔界デッキに最初に敗れる犠牲者の顔を拝んでやろう!」

 

ビシィッ!とポーズを決めてちゃんと考えてきたセリフを放つ!良し、噛まずに言えたぞ!

 

「おっ、田中じゃーん。おーっす。もしかして、初戦の相手ってお前か?」

 

近付いて対戦相手がはっきり見えるようになると、良く見知った顔があった。『かがやき中学校』のやべー奴2トップの1人、『辻斬りデュエリスト』白河クロトの姿が見えた。

 

「初戦の相手がクロト…だと!?」

 

終わった…。オレの物語、終わった。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それではデュエル大会本戦第1試合!デュエル、開始して下さい!」

 

いや、まだだ!確かにオレの対クロトの戦歴は大体300戦300敗くらいだが、この1戦が初勝利になるかも知れないからな!

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。ってクロトが良く言っていたな。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆田中進 LP:4000

 

 

クロトが相手なら、出し惜しみしていると瞬殺される!最初から全力だ!

 

「先攻は我が貰う!我のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

田中進 手札:5→6枚。

 

「我は手札から魔法カード【古のルール】を発動!手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する!我が前に出でよ!【闇魔界の覇王】!」

田中進 手札:5→4枚。

 

<田中進のフィールド>

闇魔界の覇王 ★5 ATK2000

 

「更に我は手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【闇魔界の戦士 ダークソード】と【漆黒の闘龍】を融合!我が前に出でよ!【闇魔界の竜騎士 ダークソード】!!」

田中進 手札:4→3→1枚。

 

<田中進のフィールド>

闇魔界の覇王 ★5 ATK2000

闇魔界の竜騎士 ダークソード ★6 ATK2200

 

「我は手札を1枚伏せてターンエンドだ!ふふふっ!我のフィールドは我が眷属たちにより盤石!さぁ!何処からでも掛かって来るがよいぞ!」

田中進 手札:0枚、伏せカード:1

 

顔を斜め45°に向けて手のひらで隠し、片足立ちをしながらクロトに向けて指を差す。完璧なポーズだ!

 

「人を指さすな。それと、そろそろそのノリもその奇妙なポーズと動きも卒業しないと、後々恥ずかしいぞ?そんなんだから妹の楓ちゃんに『キモイ』って言われるんだぞ」

 

「ち、違う!我が妹のアレは愛情表現だ!」

 

「はいはい。この試合の動画は後でセレナからコピーを貰っておこう。後々イジるネタになりそうだ」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆田中進 LP:4000、手札:0枚、伏せカード:1

 

<田中進のフィールド>

闇魔界の覇王 ★5 ATK2000

闇魔界の竜騎士 ダークソード ★6 ATK2200

 

 

オレのフィールドには上級モンスターが2体、伏せカードが1枚。同じ学校の奴らになら大体勝てる布陣だ。だが、クロトはデッキによって強さが変わる。何が出てくる…!?

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から永続魔法【ブリリアント・フュージョン】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。このカードの発動時に、自分のデッキから「ジェムナイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体を、攻撃力・守備力を0にしてEXデッキから融合召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。俺はデッキから【ジェムナイト・ラズリー】と【ギャラクシーサーペント】を墓地に送り、【ジェムナイト・セラフィ】を融合召喚!」

クロト 手札:5枚。永続魔法:1

 

<白河クロトのフィールド>

ジェムナイト・セラフィ ★5 DEF0

 

「効果で墓地へ送られた【ジェムナイト・ラズリー】の効果発動!自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。俺は墓地の【ギャラクシーサーペント】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「何で融合召喚したのに手札が減ってないんだよ!ズルじゃん!」

 

「そう言うコンボなんだよ。あと田中、地が出てるぞ」

 

「【ジェムナイト・セラフィ】がモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにモンスター1体を通常召喚できる。俺は手札からチューナーモンスター【ギャラクシーサーペント】を召喚」

クロト 手札:5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

ジェムナイト・セラフィ ★5 DEF0

ギャラクシーサーペント ★2 ATK1000 ※チューナー

 

「俺はレベル5【ジェムナイト・セラフィ】にレベル2【ギャラクシーサーペント】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【F.A.ライトニングマスター】!」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK0

 

「【F.A.ライトニングマスター】の効果を説明しておこう。このカードの攻撃力はこのカードのレベル×300アップする。このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。「F.A.」魔法・罠カードの効果が発動した場合に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。 このカードのレベルを1つ上げる。1ターンに1度、相手が魔法・罠カードの効果を発動した時に発動できる。 このカードのレベルを2つ下げ、その発動を無効にし破壊する」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK0 → 2100

 

「魔法罠の発動をカウンターするモンスター!?」

 

「俺は手札から【レスキューラビット】を召喚!」

クロト 手札:4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

レスキューラビット ★4 ATK300

 

「俺は【レスキューラビット】を除外して効果発動!「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードはデッキから特殊召喚できない。フィールドのこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。俺はデッキから2体の【ジェムナイト・ラピス】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ジェムナイト・ラピス ★3 DEF100

ジェムナイト・ラピス ★3 DEF100

 

「俺は2体のレベル3【ジェムナイト・ラピス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク3!【ゴルゴニック・ガーディアン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:2

 

「【ゴルゴニック・ガーディアン】の効果を説明しておこう。1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。ターン終了時まで、選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。また、1ターンに1度、フィールド上の攻撃力が0のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊する」

 

「今度はモンスター効果を無効にして攻撃力を0にするモンスター!?」

 

「【ゴルゴニック・ガーディアン】の効果を発動しておこうか。ORUを1つ取り除き、【闇魔界の竜騎士 ダークソード】を選択。ターン終了時まで、攻撃力を0にしてその効果を無効にする」

ゴルゴニック・ガーディアン ORU:2→1

 

<田中進のフィールド>

闇魔界の覇王 ★5 ATK2000

闇魔界の竜騎士 ダークソード ★6 ATK2200→0

 

「オレのダークソードがへなちょこモンスターになってしまった!?酷い!」

 

「そう言う効果なんだよ。あと田中、地が出てるぞ」

 

「俺は手札から魔法カード【闇の量産工場】を発動!自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える!俺は墓地の【ジェムナイト・ラピス】と【ギャラクシーサーペント】を手札に加える!」

クロト 手札:3→5枚。

 

「俺は手札から魔法カード【ジェムナイト・フュージョン】を発動!自分の手札・フィールドから、「ジェムナイト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する!俺は手札の【ジェムナイト・ラピス】と【ジェムナイト・オブシディア】で融合!神秘の力秘めし碧き石よ。今光となりて現れよ! 融合召喚! レベル5!【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】!」

クロト 手札:5→4→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトレディ・ラピスラズリ ★5 ATK2400

 

「【ジェムナイト・オブシディア】が手札から墓地へ送られた場合、自分の墓地のレベル4以下の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地の【ジェムナイト・ラズリー】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトレディ・ラピスラズリ ★5 ATK2400

ジェムナイト・ラズリー ★1 DEF0

 

「俺は【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】の効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキ・エクストラデッキから「ジェムナイト」モンスター1体を墓地へ送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数×500ダメージを相手に与える!俺はデッキから【ジェムナイト・ガネット】を墓地に送る。フィールドの特殊召喚されたモンスターの数は6体!よって3000ダメージをお前に与える!」

 

「ぐわぁぁっ!」

田中 LP:4000 → 1000

 

くそっ!俺の伏せカードは【万能地雷グレイモヤ】。クロトが攻撃してこないと使えない上に、【F.A.ライトニングマスター】が居る限り魔法罠は無効化されてしまう!

 

「俺は墓地の【ジェムナイト・フュージョン】の効果を発動!このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地の「ジェムナイト」モンスター1体を除外して発動できる。墓地のこのカードを手札に加える!俺は墓地の【ジェムナイト・ラピス】を除外して、墓地から【ジェムナイト・フュージョン】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「はっ?」

 

「俺は手札から魔法カード【ジェムナイト・フュージョン】を発動!俺は手札の【ジェムナイト・アレキサンド】とフィールドの【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】と【ジェムナイト・ラズリー】で融合召喚!現れよ!全てを照らす至上の輝き!レベル9!【ジェムナイトマスター・ダイヤ】!」

クロト 手札:3→2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトマスター・ダイヤ ★9 ATK2900

 

「墓地の魔法カードを回収して再利用するとか、卑怯!卑怯だぁ~!!」

 

「そう言うカードなんだよ。あと田中、地が出てるぞ」

 

なんなんだよあのカードは!?オレの【融合】にも同じ効果くれよ!!

 

「【ジェムナイトマスター・ダイヤ】の効果を説明しておこう。このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。このカードの攻撃力は、自分の墓地の「ジェム」モンスターの数×100アップする。1ターンに1度、自分の墓地のレベル7以下の「ジェムナイト」融合モンスター1体を除外して発動できる。エンドフェイズまで、このカードは除外したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る」

 

<墓地のジェムモンスター>

①ジェムナイト・セラフィ

②ジェムナイトレディ・ラピスラズリ

③ジェムナイト・ラズリー

④ジェムナイト・アレキサンド

⑤ジェムナイト・ガネット

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトマスター・ダイヤ ★9 ATK2900→3400

 

「墓地のモンスターと同じ効果を得る…?…はっ!まさか!」

 

「【ジェムナイト・ラズリー】がカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。俺は墓地から【ジェムナイト・ガネット】を手札に加える!」

クロト 手札:1→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトマスター・ダイヤ ★9 ATK3400→3300

 

「【ジェムナイトマスター・ダイヤ】の効果発動!自分の墓地のレベル5【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】を除外して、エンドフェイズまで、このカードは除外したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る!」

 

<白河クロトのフィールド>

F.A.ライトニングマスター ★7 ATK2100

ゴルゴニック・ガーディアン ☆3 ATK1600 ORU:1

ジェムナイトマスター・ダイヤ ★9 ATK3300→3200

 

「【ジェムナイトレディ・ラピスラズリ】となった【ジェムナイトマスター・ダイヤ】の効果発動!デッキから【ジェムナイト・ルマリン】を墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの数5体×500ダメージ!つまり2500ダメージをお前に与える!」

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

田中 LP:1000 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「…対戦、ありがとうございました」

 

こうして、オレの物語は、始まった直後に後攻1ターンキルされて終わった。

 

~~~

 

<佐藤視点>

 

この数年に一度だけ開催される地元最大のデュエル大会、ボクはガールフレンドの田中楓ちゃんと一緒に参加してみたが、まさか予選突破して本戦までこれるとは思わなかった。

 

せっかくここまで勝ち残れたんだから、行けるところまで行ってみたいと思うのは無理もないよね?

 

「それではデュエル大会本戦第17試合を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

審判の声を聞き、ボクは対戦コートへと入る。相手は同じくらいの背丈の少年のようだ。

 

「なんだかとても見たことのあるシルエットだなぁ…嫌な予感がする」

 

デュエルするにあたり、ボクが最大限に警戒する相手は2人。『かがやき中学校』のやべー奴2トップの1人である『人たらし』赤羽コナミとそして…。

 

「おぉっ、今度は佐藤じゃん。よっす。2戦目の相手ってお前か?」

 

近付いて対戦相手がはっきり見えるようになると、良く見知った顔があった。『かがやき中学校』のやべー奴2トップのもう1人、『腹パンデュエリスト』白河クロトの姿が見えた。

 

「2戦目の相手がクロトか」

 

ゴメン、楓ちゃん。ボクは、佐藤守はどうやらここまでの様だよ…。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それではデュエル大会本戦第17試合!デュエル、開始して下さい!」

 

相手がクロトでも、デュエルから逃げることだけはしない!せめて一撃でもダメージを与えて見せる!

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。ってクロトが良く言っていたな。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆佐藤守 LP:4000

 

 

クロトに先攻を取らせるとボクのターンが回ってきても何もできない状態になる!絶対に先攻は譲らない!!

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

佐藤守 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動!デッキからレベル5以上の通常モンスター1体を手札に加える!ボクはデッキからレベル6【ファイヤー・ウイング・ペガサス】を手札に加える!」

佐藤守 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から儀式魔法【ライオンの儀式】を発動!「スーパー・ウォー・ライオン」の降臨に必要。手札・自分フィールド上から、レベルの合計が7以上になるようにモンスターをリリースしなければならない!ボクは手札のレベル6【ファイヤー・ウイング・ペガサス】とレベル1【キーマウス】をリリース!手札から【スーパー・ウォー・ライオン】を儀式召喚だ!!」

佐藤守 手札:6→5→3枚。

 

<佐藤守のフィールド>

スーパー・ウォー・ライオン ★7 ATK2350

 

「ボクは手札からチューナーモンスター【エレファン】を召喚!」

佐藤守 手札:3→2枚。

 

<佐藤守のフィールド>

スーパー・ウォー・ライオン ★7 ATK2350

エレファン ★2 ATK500 ※チューナー

 

「ボクはレベル7の地属性【スーパー・ウォー・ライオン】にレベル2の地属性【エレファン】をチューニング!野性の血流交わりしとき、大地を切り裂くパワーが目覚める!咆哮せよ!シンクロ召喚!大自然の力、レベル9【ナチュル・ガオドレイク】!」

 

<佐藤守のフィールド>

ナチュル・ガオドレイク ★9 ATK3000

 

「ボクは手札を1枚伏せてターンエンドだ!」

佐藤守 手札:1枚、伏せカード:1

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆佐藤守 LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1

 

<佐藤守のフィールド>

ナチュル・ガオドレイク ★9 ATK3000

 

 

ボクなりにベストを尽くせたはずだ。フィールドには攻撃力3000の【ナチュル・ガオドレイク】。【ナチュル・ガオドレイク】を効果破壊すると、手札の【森の番人グリーン・バブーン】が特殊召喚される。そして、それらを突破しても伏せカードの【スケープ・ゴート】で凌げるはずだ。

 

本来、【森の番人グリーン・バブーン】は墓地に置いていてもいいんだけど、相手はクロトだ。墓地情報として見えている罠は容赦なく除去して来るだろう。恐らく手札に隠しておくのがは正解のはずだ。いや、ボクが【獣族】デッキを使うことは彼は知っている。このバブーンも読まれるかもしれないな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から永続魔法【セイクリッドの星痕】を発動!自分フィールド上に「セイクリッド」と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドローできる。この効果は1ターンに1度しか使用できない」

クロト 手札:5枚。

 

「俺は手札から【セイクリッド・ポルクス】を召喚!」

クロト 手札:4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・ポルクス ★4 ATK1700

 

「【セイクリッド・ポルクス】が召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「セイクリッド」モンスター1体を召喚できる。俺は手札から【セイクリッド・カウスト】を召喚!」

クロト 手札:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・ポルクス ★4 ATK1700

セイクリッド・カウスト ★4 ATK1800

 

「【セイクリッド・カウスト】の効果発動!フィールドの「セイクリッド」モンスター1体を対象として以下の効果から1つを選択して発動できる。この効果は1ターンに2度まで使用できる。俺は【セイクリッド・ポルクス】のレベルを1つ上げる!」

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・ポルクス ★4→5 ATK1700

セイクリッド・カウスト ★4 ATK1800

 

「【セイクリッド・カウスト】の効果をもう一度発動!俺は【セイクリッド・カウスト】のレベルを1つ上げる!」

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・ポルクス ★5 ATK1700

セイクリッド・カウスト ★4→5 ATK1800

 

「俺はレベル5の【セイクリッド・ポルクス】と【セイクリッド・カウスト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5!【セイクリッド・プレアデス】!」

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:2

 

「俺は永続魔法【セイクリッドの星痕】の効果発動!自分フィールド上に「セイクリッド」と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドロー!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「【セイクリッド・プレアデス】のORUを1つ取り除いて効果を発動!1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる!俺は【ナチュル・ガオドレイク】を手札に戻す!」

セイクリッド・プレアデス ORU:2→1

 

くっ!【ナチュル・ガオドレイク】はシンクロモンスターだ。手札には戻らずにEXデッキに戻る。

 

<佐藤守のフィールド>

モンスター無し

 

「バトルフェイズに移行。【セイクリッド・プレアデス】でダイレクトアタック!」

 

「させないよ!リバースカードオープン!速攻魔法【スケープ・ゴート】発動!このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。自分フィールドに「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)4体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない!」

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

「むっ、仕方ない。【セイクリッド・プレアデス】で【羊トークン】に攻撃!」

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

「メインフェイズ2へ移行。俺は永続魔法【セイクリッド・テンペスト】を発動。デュエル中に1度、自分エンドフェイズに自分フィールドのORUを持った「セイクリッド」Xモンスター2体を対象として発動できる。そのXモンスター2体のX素材を全て取り除き、相手LPを半分にする。自分スタンバイフェイズに自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスター1体と自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を対象として発動できる。その墓地のモンスターを、そのXモンスターの下に重ねてORUとする」

クロト 手札:3枚。

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:3→1枚。伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:1

 

VS

 

◆佐藤守 LP:4000、手札:1枚、伏せカード:0

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

 

【セイクリッド・プレアデス】の効果は相手ターンでも使用できる。そして、まだORUが1つ残っている。…だけど、ボクはボクなりの全力を尽くすだけだ!

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

佐藤守 手札:1→2枚。

 

「ボクは手札から【おとぼけオポッサム】を召喚!」

佐藤守 手札:2→1枚。

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

おとぼけオポッサム ★2 ATK800

 

「ボクは【おとぼけオポッサム】の効果発動!自分のメインフェイズ時、このカードの攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスターが相手フィールド上に表側表示で存在する場合、フィールド上に存在するこのカードを破壊する事ができる。クロト、君のフィールドには攻撃力2500の【セイクリッド・プレアデス】が居る!よって発動条件を満たす!【おとぼけオポッサム】を自身の効果で破壊する!」

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

「なるほど。最後の手札はバブーンか」

 

「ははっ、お見通しのようだね!このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの表側表示の獣族モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時、1000LPを払って発動できる。このカードを特殊召喚する。手札から【森の番人グリーン・バブーン】を特殊召喚だ!」

佐藤守 LP:4000→3000、手札:1→0枚。

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

森の番人グリーン・バブーン ★7 ATK2600

 

この先の結果は見えているけれど、ボクはデュエリストとしての意地を通すよ!

 

「バトルだ!【森の番人グリーン・バブーン】で【セイクリッド・プレアデス】を攻撃!ハンマークラブ・デス!!」

 

「ここで【セイクリッド・プレアデス】の効果発動。ORUを1つ取り除き、【森の番人グリーン・バブーン】を手札に戻す」

セイクリッド・プレアデス ORU:1→0

佐藤守 手札:0→1枚。

 

「くっ!…ターンエンドだ!」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・プレアデス ☆5 ATK2500 ORU:0

 

VS

 

◆佐藤守 LP:3000、手札:1枚、伏せカード:0

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:1→2枚。

 

「俺は【セイクリッド・プレアデス】1体でオーバーレイ!エクシーズチェンジ!現れよ!ランク6!【セイクリッド・トレミスM7】!」

 

<白河クロトのフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

 

「モンスター1体でエクシーズ召喚した!?」

 

「【セイクリッド・トレミスM7】は「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできるんだよ。ただ、この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できないけどな」

 

エクシーズ召喚か。ボクはまだ使えないけれど、今後覚えておくべきだろうね。

 

「俺は永続魔法【セイクリッドの星痕】の効果発動!自分フィールド上に「セイクリッド」と名のついたエクシーズモンスターが特殊召喚された時、デッキからカードを1枚ドロー!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「更に俺は【セイクリッド・トレミスM7】1体でオーバーレイ!エクシーズチェンジ!現れよ!ランク7!【迅雷の騎士ガイアドラグーン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

 

「更なるエクシーズ召喚…!」

 

「【迅雷の騎士ガイアドラグーン】は自分フィールド上のランク5・6のエクシーズモンスターの上にこのカードを重ねてエクシーズ召喚する事もできる。このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える」

 

「貫通効果持ち…!」

 

「俺は手札から【セイクリッド・グレディ】を召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★4 ATK1600

 

「【セイクリッド・グレディ】が召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4の「セイクリッド」モンスター1体を特殊召喚する。俺は手札の【セイクリッド・ソンブレス】を特殊召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★4 ATK1600

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

 

「【セイクリッド・ソンブレス】の効果発動!自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を除外し、自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。俺は墓地の【セイクリッド・ポルクス】を除外して、墓地の【セイクリッド・カウスト】を手札に加える!」

クロト 手札:1→2枚。

 

「【セイクリッド・ソンブレス】が先ほどの効果を適用したターンのメインフェイズに発動できる。「セイクリッド」モンスター1体を召喚する。俺は先ほど手札に戻した【セイクリッド・カウスト】を召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★4 ATK1600

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

セイクリッド・カウスト ★4 ATK1800

 

「俺は手札から魔法カード【ティンクル・セイクリッド】を発動!自分フィールドの「セイクリッド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つまたは2つ上げる。俺は【セイクリッド・グレディ】のレベルを2上げる!」

クロト 手札:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★4→6 ATK1600

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

セイクリッド・カウスト ★4 ATK1800

 

「俺は【セイクリッド・カウスト】の効果を発動!俺は【セイクリッド・カウスト】のレベルを1つ上げる!」

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★6 ATK1600

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

セイクリッド・カウスト ★4→5 ATK1800

 

「俺は【セイクリッド・カウスト】の効果をもう一度発動!俺は【セイクリッド・カウスト】のレベルを1つ上げる!」

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・グレディ ★6 ATK1600

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

セイクリッド・カウスト ★5→6 ATK1800

 

「俺はレベル6の【セイクリッド・グレディ】と【セイクリッド・カウスト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!眩き光もて降り注げ!エクシーズ召喚!ランク6!【セイクリッド・トレミスM7】!」

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2600 ORU:2

 

「さっきのモンスターか!」

 

「さっきと違って今度はこのターンにモンスター効果が使えるんだぜ。【セイクリッド・トレミスM7】のORUを1つ取り除いて効果発動!【羊トークン】を手札に戻す。だが、トークンは場から離れる場合は消滅する」

 

<佐藤守のフィールド>

羊トークン ★1 DEF0

羊トークン ★1 DEF0

 

「俺は墓地の魔法カード【ティンクル・セイクリッド】の効果発動!1ターンに1度、このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地の「セイクリッド」モンスター1体を除外して発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。俺は墓地の【セイクリッド・グレディ】を除外して墓地から【ティンクル・セイクリッド】を手札に加える!」

クロト 手札:0→1枚。

 

「更に俺は【セイクリッド・トレミスM7】1体でオーバーレイ!エクシーズチェンジ!現れよ!ランク7!【迅雷の騎士ガイアドラグーン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

セイクリッド・ソンブレス ★4 ATK1550

迅雷の騎士ガイアドラグーン ☆7 ATK2700 ORU:2

 

「貫通効果持ちモンスターが2体…!」」

 

「バトルフェイズに移行。1体目の【迅雷の騎士ガイアドラグーン】で【羊トークン】に攻撃!このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える!」

 

迅雷の騎士ガイアドラグーン ATK2700

vs

羊トークン DEF0

 

「うぐぁっ!」

佐藤 LP:3000 → 300

 

「バトルフェイズを続行する。2体目の【迅雷の騎士ガイアドラグーン】で【羊トークン】に攻撃!このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える!」

 

迅雷の騎士ガイアドラグーン ATK2700

vs

羊トークン DEF0

 

「うわぁぁぁぁっ!」

佐藤 LP:300 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました。やっぱりあの三人の中だと佐藤が一番強いな」

 

「…対戦、ありがとうございました。そう言われるのは嬉しいけど、それでも負けるのは悔しいよ」

 

結局、一矢報いることも出来なかったな。悔しい…!次は絶対に勝つ!!

 

~~~

 

<鈴木視点>

 

この数年に一度だけ開催される地元最大のデュエル大会、少し前から付き合い始めた高橋先輩に連れられて、オレは大会に参加した。高橋先輩は予選で負けてしまったが、オレは予選突破して本戦までこれたのだ。

 

オレは高橋先輩と同じ高校に進学するつもりだからデュエルアカデミアの受験は受けないんだが、アカデミアへの未練を断ち切るためにも、この大会で悔いの無いように全力を尽くすぜ!

 

まさかオレも高嶺の花と思われた憧れの高橋先輩に告白されるとは思っていなかったけど、この晴れ舞台で高橋先輩に男を見せて、このオレ、鈴木剛が先輩にふさわしい男であることを証明してやるぜ!

 

「それではデュエル大会本戦準々決勝第一試合を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

審判の声を聞き、オレは対戦コートへと入る。相手は同じくらいの背丈の少年のようだぜ。

 

「剛くーん!頑張ってねー!」

 

「高橋先輩!ありがとうございます!よっしゃー!力が漲って来たー!相手が誰だって構わねえ!高橋先輩の声援を得たオレに敵はねぇぜ!」

 

観客席にいる高橋先輩の激励を受けて、ガッッ!とポーズを決めて気合を入れる!今なら誰が相手でも負ける気がしないぜ!

 

「3戦目は鈴木か。オッスオッス。なんか今日は顔見知りばかりと当たるなぁ~」

 

近付いて対戦相手がはっきり見えるようになると、良く見知った顔があった。『かがやき中学校』のやべー奴2トップの1人、『大体1ターンキルデュエリスト』白河クロトの姿が見えた。

 

「クロト…だとぉぉぉ!?」

 

「つ、剛君…。結果が全てじゃないからねー!」

 

クロトの実力は元々同じ部活だった高橋先輩も知っているみたいで、せっかくの声援も弱気だ。

 

確かに誰でもとは言ったけどよ、何でラスボスみたいな奴にエンカウントしなけりゃならないんだよー!

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それではデュエル大会本戦準々決勝第一試合!デュエル、開始して下さい!」

 

逆に考えるんだ!ここでクロトを倒すことが出来れば優勝は貰ったようなもんだ!高橋先輩が見てるんだぜ!気合を入れろよオレ!

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。ってクロトが良く言っていたな。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆鈴木剛 LP:4000

 

 

全力全開!強化されたオレのデッキをクロトに見せつけてやるぜ!

 

「先攻はオレが貰うぞ!オレターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

鈴木 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える!オレはデッキからレベル3【切り込み隊長】を手札に加えるぜ!」

鈴木 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から速攻魔法【手札断殺】を発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローするぜ!」

鈴木 手札:5→3→5枚。

クロト 手札:5→3→5枚。

 

「俺は手札から【切り込み隊長】を召喚!」

鈴木 手札:5→4枚。

 

<鈴木剛のフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200

 

「【切り込み隊長】が召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。出番だぜ!【バルキリー・ナイト】!」

鈴木 手札:4→3枚。

 

<鈴木剛のフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200

バルキリー・ナイト ★4 ATK1900

 

「【切り込み隊長】がモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できないぜ!」

 

「そして、【バルキリー・ナイト】がモンスターゾーンに存在する限り、相手は「バルキリー・ナイト」以外の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。2体が並ぶことでロックが完成したわけだな」

 

やっぱりクロトは知っているか。『他のモンスターを攻撃対象に選択できない』モンスターが2体並ぶと、どちらにも攻撃できずに攻撃宣言にロックが掛かるんだぜ!

 

「【バルキリー・ナイト】にはもう一つ効果があるぜ!このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地から戦士族モンスター1体とこのカードを除外し、自分の墓地のレベル5以上の戦士族モンスター1体を対象として発動できて、その戦士族モンスターを特殊召喚するぜ!」

 

「オレは手札から永続魔法【一族の結束】を発動!自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする!」

鈴木 手札:3→2枚。永続魔法:1

 

「オレの墓地のモンスターは全て戦士族!フィールドのモンスターも全て戦士族!つまりオレのフィールドのモンスターは全員攻撃力800アップだぜ!」

 

<鈴木剛のフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK1200 → 2000

バルキリー・ナイト ★4 ATK1900 → 2700

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド」

鈴木 手札:2→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆鈴木剛 LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1、永続魔法:1

 

<鈴木剛のフィールド>

切り込み隊長 ★3 ATK2000

バルキリー・ナイト ★4 ATK2700

 

我ながら悪くない布陣だぜ。【切り込み隊長】と【バルキリー・ナイト】の二体で相手モンスターの攻撃をシャットアウトして、魔法カードでモンスターの除去を狙ってきても、伏せカードのカウンター罠【マジック・ジャマー】で防ぐ。仮にカウンター罠を突破されても【バルキリー・ナイト】が戦闘破壊されれば、墓地からオレのフェイバリット【ジャッジ・マン】が出てくるぜ!次のターンまで回れば【一族の結束】で強化されたオレの戦士たちが相手を薙ぎ払うぜ!

 

「剛くーん!頑張ってねー!」

 

会場に高橋先輩の声援が届く。あぁ、励まされるなぁ!ふとクロトの方を見ると、チラッと高橋先輩の方を見ている。はっはーん?

 

「クロト、羨ましいか?」

 

「…あ?」

 

「ププッ!クロト、お前には居ない彼女の声援を受けるオレが羨ましいんだろ?」

 

何せクロトも昔から女っ気が無かったからな。葉月さんや風祭さんは妹みたいな感じだったしな。

 

「…へぇ?言うようになったねぇ鈴木く~ん?」

 

おや?クロトの様子が…。それになんだか、空気が重たくなったような…。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【XX-セイバー ボガーナイト】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー ボガーナイト ★4 ATK1900

 

「【XX-セイバー ボガーナイト】が召喚に成功した時に発動できる。 手札からレベル4以下の「X-セイバー」モンスター1体を特殊召喚する。オレは手札からチューナーモンスター【XX-セイバー フラムナイト】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー ボガーナイト ★4 ATK1900

XX-セイバー フラムナイト ★3 ATK1300 ※チューナー

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「X-セイバー」モンスターが2体以上存在する場合のみ特殊召喚できる。俺は手札から【XX-セイバー フォルトロール】を特殊召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー ボガーナイト ★4 ATK1900

XX-セイバー フラムナイト ★3 ATK1300 ※チューナー

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

 

「更に、俺は手札からもう一枚の【XX-セイバー フォルトロール】を特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

「俺はレベル4【XX-セイバー ボガーナイト】に【XX-セイバー フラムナイト】をチューニング!光差する刃持ち屍の山を踏み越えろ!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【X-セイバー ソウザ】!」

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

 

「俺は【XX-セイバー フォルトロール】の効果発動!1ターンに1度、自分の墓地のレベル4以下の「X-セイバー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地の【XX-セイバー フラムナイト】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

XX-セイバー フラムナイト ★3 ATK1300 ※チューナー

 

「俺はレベル6【XX-セイバー フォルトロール】に【XX-セイバー フラムナイト】をチューニング!白銀の鎧輝かせ刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!現れよ!レベル9!【XX-セイバー ガトムズ】!!」

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

 

「俺は【XX-セイバー フォルトロール】の効果発動!1ターンに1度、自分の墓地のレベル4以下の「X-セイバー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。俺は墓地の【XX-セイバー レイジグラ】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

 

「【XX-セイバー レイジグラ】の効果発動!【XX-セイバー レイジグラ】が召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「X-セイバー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。俺は墓地の【XX-セイバー フォルトロール】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

 

「【XX-セイバー ガトムズ】の効果発動!自分フィールドの「X-セイバー」モンスター1体をリリースして発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで捨てる。俺はフィールドの【XX-セイバー フォルトロール】をリリースして、相手の手札をランダムに1枚選んで捨てる!お前の手札は1枚だけどなぁ!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

 

「ゲゲッ!」

鈴木剛 手札:1→0枚

 

【マジック・ジャマー】の手札コストが無くなっちまった!?

 

「【X-セイバー ソウザ】の効果発動!俺は自分フィールドの【XX-セイバー レイジグラ】をリリースする!自分フィールドの「X-セイバー」モンスター1体をリリースし、このカードがモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動してそのモンスターを破壊する効果を得る!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

 

「俺は手札から【XX-セイバー フォルトロール】を自身の効果で特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

 

「俺は【XX-セイバー フォルトロール】の効果発動!墓地の【XX-セイバー レイジグラ】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

 

「【XX-セイバー レイジグラ】の効果発動!特殊召喚に成功した時、墓地の【XX-セイバー フォルトロール】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「この動きはさっきと同じ…まさか、無限ループ!?」

 

「俺が先攻ならこの流れで初手から全ハンデス出来たんだが、過ぎたことはしょうがないな」

 

「だ、だがまだオレには【切り込み隊長】たちの攻撃ロックと伏せカードが残っている!お前が何をしても無駄だぜ!」

 

「それはどうかな?」

 

「何っ!?」カン☆コーン!

 

「俺は手札より魔法カード【セイバー・スラッシュ】の効果発動!自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「X-セイバー」と名のついたモンスターの数だけ、フィールド上に表側表示で存在するカードを選んで破壊する!俺のフィールド上に表側攻撃表示で存在する「X-セイバー」は3体!つまり3枚まで破壊させてもらう!」

クロト 手札:3→2枚。

 

「3枚破壊!?」

 

「俺が選択するのは【切り込み隊長】、【バルキリー・ナイト】、ついでに【一族の結束】だ!」

 

「オレのモンスターたちが、全滅!?」

鈴木剛 永続魔法:1→0

 

<鈴木剛のフィールド>

モンスター無し

 

「どうせ伏せカードはいつもの【マジック・ジャマー】だろうけど、念には念を入れて、【X-セイバー ソウザ】の効果発動!【XX-セイバー レイジグラ】をリリースして、このカードは罠カードの効果では破壊されない効果を得る!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。罠カードの効果では破壊されない

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

 

「俺は手札から【XX-セイバー フォルトロール】を自身の効果で特殊召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。罠カードの効果では破壊されない

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

 

「俺は【XX-セイバー フォルトロール】の効果発動!墓地の【XX-セイバー レイジグラ】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。罠カードの効果では破壊されない

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー フォルトロール ★6 ATK2400

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

 

「【XX-セイバー レイジグラ】の効果発動!特殊召喚に成功した時、墓地の【XX-セイバー ボガーナイト】を手札に加える!」

クロト 手札:1→2枚。

 

「俺はレベル6の【XX-セイバー フォルトロール】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク6!【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。罠カードの効果では破壊されない

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:2

 

「【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】のORUを1つ取り除いて効果発動!1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る!対象はお前のフィールドの伏せカードだ!」

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ORU:2→1

 

「伏せカードの【マジック・ジャマー】が!?」

鈴木剛 伏せカード:1→0

 

「念のために除去したが、やっぱり【マジック・ジャマー】か。お前のデッキの防御札ってそれくらいだしな」

 

<白河クロトのフィールド>

X-セイバー ソウザ ★7 ATK2500 ※ダメージステップ開始時に相手を効果破壊。罠カードの効果では破壊されない

XX-セイバー ガトムズ ★9 ATK3100

XX-セイバー レイジグラ ★2 DEF1000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:1

 

「さて、鈴木君。君のフィールドにはモンスター無し。手札無し。伏せカード無し。墓地発動できるカード無し。一方俺は今ではフィールドにモンスターが4体、手札もある。随分と差がつきましたぁ。悔しいでしょうねぇ(笑)」

 

「てめぇ!?ぐぬぬぬぬ…!む、ムカつくぜ~!!」

 

クロトの野郎~!あのにやけた面をぶん殴ってやりてぇぜ!!

 

「おやおや?どうしました?そんなに握り拳を振るわせて?暴力はいけませんよ。フッハハハハハ…ふぅ、これくらいで勘弁してやるか」

 

ムカつくけど、この盤面じゃもうどうしようもないぜ…。

 

「じゃ、バトルフェイズに移行。【X-セイバー ソウザ】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁっ!」

鈴木剛 LP:4000 → 1500

 

「バトルフェイズを続行。【XX-セイバー ガトムズ】でダイレクトアタック!」

 

「ぬわぁぁぁぁぁっ!」

鈴木剛 LP:1500 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「…対戦、ありがとうございました」

 

あ~!くそ~!先輩の前で恰好付けるどころかケチョンケチョンにされちまったぜ。クロトの野郎~!次こそは勝ってやるからな~!!

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエル大会の本戦の1日目が終了したので、近くの図書館でツァンと合流して歴史の勉強を手伝ってもらいつつ、世間話として今日の試合の話をしていた。

 

「…ということがあったんだ」

 

今思い出せばプレイングミスが酷いな。勝敗には影響はなかったが佐藤とのデュエルでは【セイクリッド・テンペスト】の効果を使い忘れている。

 

「白河、前にも思ったけど、アンタ性格悪いわね…」

 

ありのまま今日起こったことを話すとツァンに呆れられてしまった。心外だな!

 

「デュエリストにとって、煽られたら煽り返すのが基本だろ?心理フェイズのレスバトルで後れを取るわけにはいかないじゃん?」

 

「アンタ何言ってんの?馬鹿なの?」

 

説得しようと思ったら更にツァンに呆れられてしまった。何でだ…。アニメだとデッキ構築と並んで重要な要素じゃないのか…。

 

「そういや、ビスケット作ってきたんだった。食べる?」

 

「えっ?良いの?うわあ、おいしそう!これが好きだって、よく知ってたじゃない!偉いわよっ!」

 

すげぇ喜んでる。アイデンティティのツン部分が消えているぞ。ビスケットに関しては前世でタッグフォースやっていた時に散々渡したからな。特にやりこんだTF3とTF6の登場人物の君らの好みは大体覚えたわ。

 

「あっ、そこの問題だけど間違ってるわよ。正解はこっち」

 

「マジで?…ホントだ」

 

リスのように頬を膨らませてビスケットを食べ終わった後、一目見ただけで問題集の解答欄から間違い部分を見抜くとは…この娘、出来るな!この娘、俺より遥かに地頭が良いわ。

 

「あ~、アメリカやらイギリス辺りなら日本と関りがあるから覚えやすいけど、中世ヨーロッパ辺りの歴史とか覚えきれないぜ…」

 

「確かにね~。ヴァンパイア一族だけの国があったり、その国の吸血鬼を討伐したり…なんて根も葉もない噂を書き留めた歴史書みたいなのもあるから、余計に紛らわしいのよね」

 

ホント詳しいな。…ん?今のって、アニメGXでセブンスターズのカミューラの話に出てきた国のことか?

 

「その話、詳しく聞かせて貰えるか?」

 

「えっ?テスト勉強に関係ないと思うけど…しょうがないわねぇ」

 

ツァンは不思議そうな顔をしていたが、その歴史書に書いてあったという情報を色々と教えてくれた。もしかしたら、この情報を元にセブンスターズの結成に少し干渉できるかもしれないな。




オリ主の気まぐれにより、モブたちの青春が苦い思い出に変わってしまいました。

田中のデッキは【悪魔族】です。融合と儀式を組み合わせたデッキです。【闇魔界の竜騎士 ダークソード】が入っていますが、本人曰く【悪魔族】デッキです。

佐藤のデッキは【獣族】です。儀式とシンクロを組み合わせたデッキです。この時代では強力なバブーンなどのモンスターも少しいます。

鈴木のデッキは【戦士族】です。アドバンス召喚とシンクロを組み合わせたデッキです。ガイアナイトとかが入っています。

オリ主のデッキは【ジェムナイト】【セイクリッド】【Xーセイバー】です。アークファイブのLDS3人組のデッキですね。

次回の更新は2/13(土) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、えくぼ.様、ストロー様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正いたしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十六話 友人たち2

地元大会の準決勝戦です。

相手はオリ主の友人その4、田中の妹戦です。


<クロト視点>

 

地元のデュエル大会の本戦2日目、鈴木、佐藤、田中と言う顔見知りばかりの対戦相手を蹴散らした俺は、準決勝戦へと進んでいた。

 

大会会場の選手控室に備え付けれらている椅子に座りながら、いつものように勝手に出てきたバニーラを膝の上に乗せてその頭を撫でながら、昨日ツァンから聞いた話を思い出していた。

 

「セブンスターズのヴァンパイア、カミューラか。幻魔の扉さえ使われなければ大した相手じゃないんだが…明日香たちの魂を人質に取られたら、流石に俺でも躊躇するからな…。デッキの内容を見られるピーピングも厄介か」

 

丸藤翔や前田隼人辺りならアッサリ見捨てるかも知れないが。コナミ?アイツが幻魔ごときのオカルトで死ぬわけないじゃん。アイツはきっとダークネスに呑まれても向こうの世界でデュエルしてるよ。

 

『バニー?』

 

難しそうな顔をしていたらしい俺にバニーラが心配そうな目でこちらを見ている。良い子だ。可愛い。

 

昨日ツァンに聞いた情報は既にユーリに伝えており、現在その調査に手を貸してもらっている。交換条件としてハートランドシティ復旧の手伝いをすることになったが、安いものだ。

 

その調査が終わるまではこれと言って特に緊急の用事はないはずなので、今はのんびりとこの大会を楽しむことにしよう。

 

『まもなく、デュエル大会本戦、準決勝第一試合が開始されます。選手の皆様は本会場中央の対戦コートまでお越しください』

 

そんなことを考えていると、室内に取り付けられているスピーカーから大会主催者側からのアナウンスが流れてきた。

 

「良し、じゃあ行きますか!」

 

『バニー!』

 

俺の声を聞き、バニーラが俺の膝から飛び降りたのを確認した後、椅子から立ち上がって忘れ物が無いことを確認した後に控室の扉へと向かう。

 

今回の大会に限っては相手選手の情報は一切調査していない。今回の大会は俺が出たとこ勝負でどれくらいやれるのかを確認する良い試金石になるだろう。さて、今日はどんな相手が来るのかな?

 

~~~

 

<田中楓視点>

 

数年に一度だけ開催される地元最大のデュエル大会、アタシは今までテレビでその様子を見ているだけだったけど、今年は守さんが中学校を卒業する為、思い出作りのために一緒に参加することにした。

 

2人とも本戦に残れたことに喜んでいたのだけれど、守さんは運悪く途中でクロトさんと当たってしまい、2回戦敗北となってしまった。兄貴?あのクソ兄貴はクロトさんに第一試合で瞬殺されてたよ。

 

そして、今日は準決勝まで勝ち進んだアタシがクロトさんとデュエルすることになる。クロトさんはアタシにデュエルを教えてくれた人だけれど、守さんの敵を討つためにも、今日は全力で戦って勝ちに行きますからね!

 

「それではデュエル大会本戦、準決勝を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

審判の声を聞き、アタシは対戦コートへと入る。相手はシルエットで分かる。アタシより少し背の高い背丈の黒髪の少年、クロトさんだ。去年まではアタシの方が背が高かったからよくからかって怒られたっけ。

 

「クロトさん!アタシはあの兄貴の様には行きませんからね!今日は勝ちに行くので、覚悟してください!」

 

ビシィッ!クロトさんに向けて右手の指を差す!これは宣戦布告。デュエルでは一度も勝ったことのない相手に気後れすることのないようにするために必要な行動だ。

 

「楓ちゃんか。言われなくても、楓ちゃんがあの三人よりも強いことは知ってるからね。油断はしないよ」

 

近付いて対戦相手がはっきり見えるようになると、良く見知った顔があった。『かがやき中学校』のやべー奴2トップの1人、『バニーラ大好き』白河クロトの姿が見えた。

 

いつものように白と黒を基調としたシンプルな服装だ。特別格好良くもないけれど格好悪くもない落ち着いた感じだ。ウチのクソ兄貴にもあれくらい落ち着いた服装をして欲しい。

 

「楓ちゃん頑張って!」

 

「守さん!ありがとうございます!」

 

アタシが周りには隠してこっそり付き合っている佐藤守さんが声援をくれる。あのいつもの優しい笑顔を見ると…良し!やる気が漲ってきた!

 

「おい佐藤、俺は?」

 

「クロトは負けていいよ」

 

「おい」

 

守さんがクロトさんといつものようなやり取りをしている。守さんはクロトさんや赤羽さん、鈴木さんや兄貴と話す時だけは少し意地悪になる。昔からの同性の幼馴染、私にもリンやセレナがいるけれど、彼らのその特別な関係が少しだけ羨ましい。

 

「楓ー!お兄ちゃんが付いてるぞー!」

 

「黙ってろクソ兄貴。あと変なポーズをとるな、キモイ」

 

「そんな…酷い…」

 

いつものように全身真っ黒な痛々しい服装の兄貴が気持ち悪いポーズを取りながら大声で私の名前を呼ぶので黙らせた。ちょっと文句を言うだけで項垂れて泣きそうな顔になりながら頭を抱えている。アレと身内と思われるなんて恥以外に有り得ない。

 

「剛君、どっちが勝つと思う?」

 

「楓に悪いけど、クロトだろうな」

 

「剛君…。私は名字で呼ぶのに、あの子は名前で呼び捨てなの?どうして?ねぇどうして?」

 

「い、いや、特別な意味は…」

 

「ねぇ、どうして?」

 

「さ、佐藤、助けてくれ!」

 

「こ、こっちに振らないでよ!」

 

「た、田中ぁ!」

 

「楓ちゃんは反抗期なだけなんだ…時間が経てば元の優しいあの娘に戻るはずさ…そうさ、そうなるはずさ…」

 

鈴木さんの方をチラッと見ると、最近出来たらしい彼女と何やら揉めているようだ。彼女さんが凄い顔で睨んで来て、正直なところ少し怖かったし、巻き込まれたくないのでこちらは放置だ。クソ兄貴はどうでもいいが、守さんを巻き込むのは止めて欲しい。

 

鈴木さんは、初デートの時は白いTシャツに短パン、行き先はゲーセン、昼食は牛丼とやらかしていた人なのだが、良く彼女が出来たなとは思う。少し面倒くさそうな彼女っぽいけど、今後も上手く行くことを祈っておこう。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それではデュエル大会本戦、準決勝第1試合!デュエル、開始して下さい!」

 

ちなみに、この会場にリンやセレナたちがクロトさんの応援に来て居ないのは『クロトが出るなら優勝はクロトだろうし、それなら何度も見ているから当日はテレビで見ればいいかな』なんて言っていたからだ。

 

アタシは、速水君や赤羽さんには勝ったことないけど…1回ずつだけれどリンやセレナにだって勝ったことがあるのだ。上手くやればきっとクロトさん相手でも勝機はあるはず!

 

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。ってクロトさんが口癖のように良く言っていたなぁ。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆田中楓 LP:4000

 

 

まずは先攻を取る!クロトさんは脳内でイマジナリーフレンドのバニーラを育てているやべー人だけど、デュエルに関しては先攻を取られると絶対に勝てない!

 

「先攻はアタシが貰います!アタシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

田中楓 手札:5→6枚。

 

「アタシは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。【森羅の霊峰】を手札に加える!!」

田中楓 手札:5→6枚。

 

「アタシは手札から【ローンファイア・ブロッサム】を召喚!!」

田中楓 手札:6→5枚。

 

<田中楓のフィールド>

ローンファイア・ブロッサム ★3 ATK500

 

「アタシは【ローンファイア・ブロッサム】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。アタシはフィールドの【ローンファイア・ブロッサム】をリリース!来なさい!【森羅の仙樹 レギア】!」

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

 

「アタシは手札からフィールド魔法カード【森羅の霊峰】を発動!自分のメインフェイズ時に手札または自分フィールド上に表側表示で存在する、植物族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「森羅」と名のついたカード1枚を選んでデッキの一番上に置く。「森羅の霊峰」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。また、相手のエンドフェイズ時に1度だけ、自分のデッキの一番上のカードをめくる事ができる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのカードを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番上または一番下に戻す!」

田中楓 手札:5→4枚。

 

「アタシは【森羅の霊峰】の効果で、手札の【にん人】を墓地に送ってデッキから【森羅の実張り ピース】をデッキの一番上に置きます!」

田中楓 手札:4→3枚。

 

「アタシは【森羅の仙樹 レギア】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す」

 

「アタシは【森羅の仙樹 レギア】の効果で自分のデッキの一番上のカードをめくる!めくったカードは当然【森羅の実張り ピース】!この【森羅の実張り ピース】を墓地に送ってデッキからカードを1枚ドロー!」

田中楓 手札:3→4枚。

 

「アタシは墓地に送られた【森羅の実張り ピース】の効果発動!デッキの【森羅の実張り ピース】がカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、自分の墓地からレベル4以下の植物族モンスター1体を選択して特殊召喚できる。「森羅の実張り ピース」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない」

 

「更に手札の【森羅の賢樹 シャーマン】の効果発動!「森羅」と名のついたモンスターが墓地へ送られた時、このカードを手札から特殊召喚できる!」

田中楓 手札:4→3枚。

 

チェーン①森羅の実張り ピース

チェーン②森羅の賢樹 シャーマン

 

「効果処理を行います!チェーン②【森羅の賢樹 シャーマン】の効果により、自身を手札から特殊召喚します!来なさい!【森羅の賢樹 シャーマン】!」

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

森羅の賢樹 シャーマン ★7 ATK2600

 

「続けてチェーン①【森羅の実張り ピース】の効果により、自分の墓地からレベル4以下の植物族モンスター1体を選択して特殊召喚します。墓地から【ローンファイア・ブロッサム】を特殊召喚!」

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

森羅の賢樹 シャーマン ★7 ATK2600

ローンファイア・ブロッサム ★3 ATK500

 

「アタシは【ローンファイア・ブロッサム】の効果発動!1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。アタシはフィールドの【ローンファイア・ブロッサム】をリリース!来なさい!【森羅の仙樹 レギア】!」

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

森羅の賢樹 シャーマン ★7 ATK2600

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

 

「アタシは【森羅の賢樹 シャーマン】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送る。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す」

 

「アタシは【森羅の賢樹 シャーマン】の効果で自分のデッキの一番上のカードをめくる!めくったカードは…魔法カード【森羅の施し】。植物族モンスターではないので、このカードをデッキの一番下に戻します」

 

「アタシは2体目の【森羅の仙樹 レギア】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す」

 

「アタシは【森羅の仙樹 レギア】の効果で自分のデッキの一番上のカードをめくる!めくったカードは…【森羅の番人 オーク】!この【森羅の番人 オーク】を墓地に送ってデッキからカードを1枚ドロー!」

田中楓 手札:3→4枚。

 

「アタシは墓地に送られた【森羅の番人 オーク】の効果発動!デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、自分の墓地からこのカード以外の植物族モンスター1体を選択してデッキの一番上に戻す事ができる。アタシは墓地の【ローンファイア・ブロッサム】をデッキトップに戻します!」

 

「アタシはカードを2枚セットしてターンエンドです!」

田中楓 手札:4→2枚。伏せカード:1

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆田中楓 LP:4000、手札:2枚、伏せカード:2

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

森羅の賢樹 シャーマン ★7 ATK2600

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

 

 

アタシのフィールドには上級モンスターが3体、伏せカードが2枚。伏せカードはフリーチェーンの速攻魔法【狂植物の氾濫】と植物族専用の万能カウンター罠【ポリノシス】。アタシの中でもかなり良い感じの布陣だ。

 

次のクロトさんのターンを凌げれば、デッキトップの【ローンファイア・ブロッサム】が手札に加わり、手札の【森羅の姫芽君 スプラウト】でデッキトップを操作して更なる展開が出来る!その後はレギア2体でランク8【森羅の守神 アルセイ】、もしくはシャーマンと手札のコピープラントでランク7【森羅の鎮神 オレイア】をエクシーズ召喚して一気に勝負を付けに行く!

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【リチュア・アビス】を墓地に送って、速攻魔法【ツインツイスター】を発動!手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。楓ちゃんの伏せカード2枚を破壊!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

「させませんよ!リバースカードオープン!カウンター罠【ポリノシス】発動!自分フィールド上の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・特殊召喚のどれか1つを無効にし破壊する。アタシは自分フィールド上の【森羅の賢樹 シャーマン】をリリースして、【ツインツイスター】の発動を無効にして破壊します!」

田中楓 伏せカード:2→1

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

 

チェーン①ツインツイスター

チェーン②ポリノシス

 

「効果処理を行う。チェーン②【ポリノシス】の効果により、チェーン①【ツインツイスター】の発動は無効化されて破壊される」

 

マズイ。いきなり【ポリノシス】を使わされてしまった。アタシのデッキはほぼクロトさんから貰ったカードで構成されているし、デュエルを教えてもらう際にクロトさんとは何度もデュエルしている。今回はアタシの伏せカードが読まれたわね…。

 

「やっぱり【ポリノシス】があったか、危ない危ない。じゃ、デュエルを続行するよ」

 

「えぇ、どうぞ」

 

それにしても、【リチュア】か。出来ればもう一枚【ポリノシス】が欲しかったわね…。

 

「俺は手札から魔法カード【強欲なウツボ】を発動!手札の水属性モンスター2体をデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキから3枚ドローする。手札の水属性【リチュア・エリアル】と【スノーマンイーター】をデッキに戻してシャッフルし、デッキから3枚カードをドローする!」

クロト 手札:4→3→1→4枚。

 

「俺は手札から【リチュア・ビースト】を召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リチュア・ビースト ★4 ATK1500

 

「召喚に成功した【リチュア・ビースト】の効果発動!このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下の「リチュア」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。墓地より現れよ!【リチュア・アビス】!」

 

<白河クロトのフィールド>

リチュア・ビースト ★4 ATK1500

リチュア・アビス ★2 DEF500

 

「特殊召喚に成功した【リチュア・アビス】の効果発動!このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「リチュア・アビス」以外の守備力1000以下の「リチュア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。俺はデッキから【シャドウ・リチュア】を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「手札の【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「手札の【ヴィジョン・リチュア】を墓地に送って効果発動!手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから【イビリチュア・ジールギガス】を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺は手札から魔法カード【サルベージ】を発動!自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を対象として発動できる。その水属性モンスターを手札に加える。墓地の【ヴィジョン・リチュア】と【シャドウ・リチュア】を手札に加える!」

クロト 手札:3→5枚。

 

「手札の【ヴィジョン・リチュア】を墓地に送って効果発動!手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから2枚目の【イビリチュア・ジールギガス】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。自分の手札・フィールド上から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。また、自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す!」

クロト 手札:5→4枚。

 

「俺は手札の【イビリチュア・ジールギガス】をリリース!手札から2枚目の【イビリチュア・ジールギガス】を儀式召喚する。現れよ!レベル10【イビリチュア・ジールギガス】!」

クロト 手札:4→3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リチュア・ビースト ★4 ATK1500

リチュア・アビス ★2 DEF500

イビリチュア・ジールギガス ★10 ATK3200

 

「俺は【イビリチュア・ジールギガス】の効果発動!1ターンに1度、1000LPを払って発動できる。デッキからカードを1枚ドローし、お互いに確認する。確認したカードが「リチュア」と名のついたモンスターだった場合、フィールド上のカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。デッキからカードドロー!俺が引いたカードは【シャドウ・リチュア】!「リチュア」と名のついたモンスター!フィールド上のカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!デッキに戻すのは【森羅の仙樹 レギア】だ!」

クロト LP:4000→3000、手札:2→3枚。

 

アタシの伏せカードを警戒していない!?やはり伏せカードを読まれているわ!私が良く使う【棘の壁】や今伏せている【狂植物の氾濫】は、フィールドに植物族モンスターが居なければ十全に効果を発揮できないからね…!

 

<田中楓のフィールド>

森羅の仙樹 レギア ★8 ATK2700

 

「俺は墓地の【リチュアの儀水鏡】を発動!自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す!俺は墓地の【リチュアの儀水鏡】をデッキに戻し、【イビリチュア・ジールギガス】を手札に戻す!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「手札の【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!俺はフィールドの【イビリチュア・ジールギガス】をリリース!手札から2枚目の【イビリチュア・ジールギガス】を儀式召喚する。現れよ!レベル10【イビリチュア・ジールギガス】!」

クロト 手札:3→2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リチュア・ビースト ★4 ATK1500

リチュア・アビス ★2 DEF500

イビリチュア・ジールギガス ★10 ATK3200

 

「同じモンスターを儀式召喚?一体、何の意味が…」

 

「さっきの【イビリチュア・ジールギガス】は効果を使ってしまったからね。今出した【イビリチュア・ジールギガス】はまだ効果を使っていない状態だ」

 

「…あっ」

 

「俺は1000LPを払って【イビリチュア・ジールギガス】の効果発動!デッキからカードドロー!俺が引いたカードは【リチュア・エリアル】!フィールドの【森羅の仙樹 レギア】をデッキに戻す!」

クロト LP:3000→2000、手札:1→2枚。

 

<田中楓のフィールド>

モンスター無し

 

「バトルフェイズに移行。【リチュア・ビースト】でダイレクトアタック!」

 

「きゃぁっ!」

田中楓 LP:4000→2500

 

「バトルフェイズを継続。【イビリチュア・ジールギガス】でダイレクトアタック!」

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

田中楓 LP:2500→0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わると観客席から声がかけられる。

 

「こら、クロト。なんで勝ってるんだよ。こういう時は後輩に花を持たせてあげるべきだろ?」

 

楓ちゃんの彼氏である佐藤が文句を言ってくるが、知らん知らん。アイツもからかい半分で、本気で文句を言っているわけじゃないだろうしな。

 

「アホか。勝負は非情なんだよ」

 

とりあえず適当に一言返しておく。佐藤と楓ちゃん本人たちは付き合っていることを隠しているらしいが、地元の駅前でデートとかしていたらバレるだろ。田中以外は全員知っているくらいだ。

 

デュエルが終わって対戦コートから出ると、楓ちゃんがこっちに歩いてきて話しかけてきた。

 

「クロトさん、決勝進出おめでとうございます。正直、今回はアタシが勝てると思ったんですけどね」

 

「【森羅】のデッキを上手く使いこなしていたと思うよ。楓ちゃんのデッキに【ポリノシス】がもう一枚あったり、【禁じられた聖杯】辺りがあったら厳しかったかな」

 

結構昔に楓ちゃんからデュエルを教えて欲しいって頼まれた時に【森羅】デッキを渡してルールの説明とかカード効果の説明とか色々したけれど、前世のデュエルリンクスで当時の俺が使っていた以上に使いこなせていたと思う。良くあのややこしい効果を使いこなせるものだ。

 

「クロトさんの金銭感覚がおかしいのは昔から知っていますけど、このデッキや【禁じられた聖杯】みたいなレアカードが中学生に買えるわけないじゃないですか。1枚だけでもかなりハイスペックなパソコンが買えますよ?」

 

「そんなに?」

 

「えぇ。クロトさんは気に入った相手にはカードをポンポン渡していますけど、渡された相手が驚いているのは何もカード効果の話だけじゃないんですよ?」

 

「なるほどねぇ」

 

自分でカードを買うことが無いから、この世界のカードの資産価値を忘れがちなんだよな…。

 

「そうそう。決勝戦の相手ですけど、多分あの娘になりますよ。あの娘の準々決勝の試合を見ていましたけど、あっという間に相手を倒していましたからね。悔しいですが、少なくともアタシより強いですね」

 

そう言うと、楓ちゃんは対戦コートに視線を送る。それにつられて対戦コートを見てみると、そこには数年前に丸藤亮と会っていたこの会場で【ライトロード】デッキを上げたあの黒髪の少女が立っていた…。




セブンスターズ編への介入を考えているオリ主ですが、来年にもアニメGX原作が始まるこのタイミングで間に合うかは微妙なところです。

オリ主のデッキは【リチュア】です。リチュアにはレベル6軸で組んで聖刻モンスターと組み合わせる【聖刻リチュア】の方がメジャーだと思いますが、今回のデッキはレベル10軸です。上手く回せばメイン2でグスタフオラァ!が出来ます。

相手の田中妹こと楓のデッキは【森羅】です。デュエルリンクス経験者は散々見たことがあると思います。他三人の友人たちと違い、オリ主がデッキを渡してデュエルを教えているのでエクシーズ召喚も使えますので、他三人の友人たちより遥かに強いです。

次回の更新は2/13(土) AM7:00予定です。

戦車様、えくぼ.様、ストロー様、非人型無人兵器様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十七話 早乙女レイ

地元デュエル大会の決勝戦です。

相手は以前にデッキを渡したことのあるアニメGXキャラの早乙女レイ戦です。


地元のデュエル大会の本戦2日目、鈴木、佐藤、田中、田中の妹の楓ちゃんと言う顔見知りばかりの対戦相手を蹴散らした俺は、決勝戦へと進んでいた。

 

大会会場の選手控室に備え付けれらている椅子に座りながら、いつものように勝手に出てきたバニーラを膝の上に乗せてその頭を撫でながら、決勝戦で使用するデッキをサイドデッキを使って調整していた。

 

「相手は恐らくレイちゃんだろうからな。レイちゃんの仮想敵であるカイザー亮と似たようなデッキを使ってあげた方が彼女の為になるんだろうが…デッキは既に登録した分しか使えないからなぁ」

 

今回俺が使うデッキは機械族メインだ。サイドデッキにはサイバードラゴンとその融合体が投入してある。出す機会があるかどうかは分からないが、一応入れておこうかな。

 

そもそも、【ライトロード】相手だと、油断するとあの龍が出て来て負ける可能性もあるからな。流石に8~9歳に負けたくはない。

 

『まもなく、デュエル大会本戦、決勝戦が開始されます。選手の皆様は本会場中央の対戦コートまでお越しください』

 

そんなことを考えていると、室内に取り付けられているスピーカーから大会主催者側からのアナウンスが流れてきた。

 

「良し、じゃあ行きますか!」

 

『バニー!』

 

俺の声を聞き、バニーラが俺の膝から飛び降りたのを確認した後、椅子から立ち上がって忘れ物が無いことを確認した後に控室の扉へと向かう。

 

ここまで来たらもうなるようにしかならないか。じゃあ、のんびりデュエルを楽しむことにしようかな。

 

~~~

 

控室を出て、選手用通路を歩き、大会会場の中央付近にやってきた。観客席には今回の大会に参加して、本選で敗れていった鈴木、佐藤、田中、田中の妹の楓ちゃんと、鈴木の付き添いの高橋先輩が居た。

 

「クロトー。ここまで来たら優勝しろよー」

 

「おー」

 

「ボクたちに勝ったんだから、ちゃんと優勝してよー」

 

「はいはい」

 

「フン、我に勝っておいて、負けることは許さんぞ!」

 

「クソ兄貴は黙ってて。クロトさん、優勝したら何か奢ってくださいね?」

 

「なんでだよ」

 

「白河君、頑張ってね」

 

「了解で~す」

 

観客席にいるギャラリーからの声援?に適当に返事をする。

 

「それではデュエル大会準決勝を開始いたします。受験者は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

審判の声を聞き、俺は対戦コートへと入る。相手はシルエットで分かる。俺よりかなり背の低いの黒髪ロングの少女、というより幼女。早乙女レイだ。

 

「白河さん、お久し振りです!私のこと、覚えていますか?」

 

「レイちゃん、久し振り。ここまで勝ち上がって来たってことは、【ライトロード】デッキを上手く使いこなしているようだね」

 

「はい!最初は難しいデッキでしたけど、今はなんとか使いこなせていると思います!これも恋する乙女の底力と、白河さんがデッキに入れておいてくれたデッキメモのお蔭です!」

 

凄い元気だ。若いっていいね。ん…?デッキメモ?あぁ、そうか。【ライトロード】デッキに入れていたカードの効果とか展開例とかをメモしてデッキに挟んでおいたっけ。

 

「あはは。レイちゃんは相変わらずだね。その想いが亮さんに届くといいね」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

凄いキラキラして見えるな。それにしても、数年会っていない人をずっと一途に想い続けられるなんて凄いな。このデュエル大会に参加したのも、俺が『彼と恋人になりたいならデュエルで話し合わないと』なんて言ったことが原因だろう。

 

これで原作のアニメGX通りにいかず、彼女が亮とも十代ともデュエルしないような状況になったら、もしかして余計な手出しをした俺の所為か?もしそうなったら、ヤバイ。罪悪感がヤバい。亮には何としても彼女とデュエルしてもらわないと困るな!その後の展開は…流石に読めないがな。

 

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それではデュエル大会本戦、決勝戦!デュエル、開始して下さい!」

 

「「対戦、よろしくお願いいたします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

VS

 

◆早乙女レイ LP:4000

 

 

「先攻は私が貰います!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

早乙女レイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【光の援軍】を発動!自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。デッキからレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を手札に加える。私はデッキから【ライトロード・サモナー ルミナス】を手札に加えます!」

早乙女レイ 手札:6→5→6枚。

 

「私はデッキから墓地に送られた【ライトロード・ビースト ウォルフ】の効果発動!このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカードがデッキから墓地へ送られた時に発動する。このカードを墓地から特殊召喚する!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

 

「更に私はデッキから墓地に送られた装備魔法【ライトロード・レイピア】の効果発動!「ライトロード」と名のついたモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップする。このカードがデッキから墓地に送られた時、このカードを自分フィールド上に存在する「ライトロード」と名のついたモンスター1体に装備する事ができる。私は自分フィールドの【ライトロード・ビースト ウォルフ】に【ライトロード・レイピア】を装備!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100 → 2800 ※【ライトロード・レイピア】装備

 

彼女の墓地のライトロードモンスターは【ライトロード・ウォリアー ガロス】が1体か。なかなか理想的な墓地肥やし状態だな。

 

「私は手札から魔法カード【ソーラー・エクスチェンジ】を発動!手札から「ライトロード」モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る!私は手札の【ライトロード・ドラゴン グラゴニス】を墓地に送り、デッキから2枚ドロー!」

早乙女レイ 手札:6→5→4→6枚。

 

「私はデッキから墓地に送られた【ライトロード・ビースト ウォルフ】の効果発動!このカードを墓地から特殊召喚する!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2800 ※【ライトロード・レイピア】装備

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

 

今の【ソーラー・エクスチェンジ】で彼女の墓地には【ライトロード・モンク エイリン】と手札コストの【ライトロード・ドラゴン グラゴニス】が落ちたか。なかなか理想的な墓地肥やし状態だな。

 

「私はモンスターを裏側守備でセット、更に3枚カードを伏せてターンエンドです!」

早乙女レイ 手札:6→5→2枚。伏せカード:3

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2800 ※【ライトロード・レイピア】装備

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

伏せモンスター

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆早乙女レイ LP:4000、手札:2枚、伏せカード:3、装備魔法;1

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2800 ※【ライトロード・レイピア】装備

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

伏せモンスター

 

 

墓地が肥えまくった上に手札を残したままでこの状態か。やはり【ライトロード】はシンプルに強いよな。あの伏せモンスターは十中八九、ライコウだろうな。

 

防御が薄くなりがちで継戦能力も低いデッキではあるが、レイちゃんは結構伏せカードをセットしてきたな…。デッキを渡したのが随分前だから、彼女に渡したライトロード以外の汎用カードが思い出せない…。もし相手のターンに回ると一気に決められる可能性が高い。なるべくこのターンで倒してしまいたいところなんだが…。

 

彼女の墓地のライトロードモンスターは【ライトロード・ウォリアー ガロス】、【ライトロード・モンク エイリン】、【ライトロード・ドラゴン グラゴニス】。あと一種類で【裁きの龍】の特殊召喚条件が整うわけだしな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から永続魔法【カラクリ解体新書】を発動!「カラクリ」と名のついたモンスターの表示形式が変更される度に、このカードにカラクリカウンターを1つ置く(最大2つまで)。また、フィールド上に存在するこのカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っているカラクリカウンターの数だけ自分のデッキからカードをドローする」

クロト 手札:6→5枚。

 

「俺は手札から【カラクリ商人 壱七七】を召喚!このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、このカードの表示形式を守備表示にする。このカードが召喚に成功した時、自分のデッキから「カラクリ」と名のついたカード1枚を手札に加える」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ商人 壱七七 ★2 ATK500

 

「そして召喚に成功した【カラクリ商人 壱七七】の効果発動!自分のデッキから「カラクリ」と名のついたカード1枚を手札に加える!俺はデッキから魔法カード【借カラクリ蔵】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

この効果を通すか。なら伏せカードにモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を無効にし破壊するカウンター罠【ライト・バニッシュ】は無い、かな?

 

「俺は手札の魔法カード【借カラクリ蔵】の効果発動!自分フィールド上に表側表示で存在する「カラクリ」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。自分のデッキからレベル4以下の「カラクリ」と名のついたモンスター1体を手札に加え、選択したモンスターの表示形式を変更する。俺はフィールドの【カラクリ商人 壱七七】の表示形式を変更し、デッキから【カラクリ忍者 参参九】を手札に加える!」

クロト 手札:5→4→5枚。カラクリカウンター:0→1

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ商人 壱七七 ★2 DEF1500

 

「手札の【カラクリ法師 九七六参】の効果発動!このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「カラクリ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更し、このカードをチューナー扱いとして特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族・地属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。俺はフィールドの【カラクリ商人 壱七七】の表示形式を変更し、手札の【カラクリ法師 九七六参】をチューナー扱いで特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。カラクリカウンター:1→2

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ商人 壱七七 ★2 ATK500

カラクリ法師 九七六参 ★5 DEF1500 ※自身の効果でチューナー扱い

 

「俺は永続魔法【カラクリ解体新書】の効果発動!フィールド上に存在するこのカードを墓地へ送る事で、このカードに乗っているカラクリカウンターの数だけ自分のデッキからカードをドローする。このカードに乗っているカラクリカウンターは2個!よって2枚デッキからカードをドロー!」

クロト 手札:4→6枚。

 

良し、悪くない引きだ。このカードがあれば、最悪の可能性である【裁きの龍】の降臨を許してもなんとかなる。

 

「俺は手札からフィールド魔法【風雲カラクリ城】を発動!自分フィールド上に表側表示で存在する「カラクリ」と名のついたモンスターが、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを攻撃対象に選択した時、その相手モンスター1体の表示形式を変更する事ができる。また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するレベル4以上の「カラクリ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1

 

「俺はレベル2【カラクリ商人 壱七七】にチューナー扱いのレベル5【カラクリ法師 九七六参】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【カラクリ将軍 無零】!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK2600

 

「シンクロ召喚!…初めて見た!」

 

レイちゃんが驚きの声を上げた。そう言えば、あげたデッキはこの時代でギリギリ行けそうなカードで統一してたから、チューナーとかシンクロモンスターとか渡していなかったっけ。

 

「【カラクリ将軍 無零】がシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキから「カラクリ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。俺はデッキからチューナーモンスター【カラクリ蝦蟇 四六弐四】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK2600

カラクリ蝦蟇 四六弐四 ★1 DEF1000 ※チューナー

 

「【カラクリ将軍 無零】の残りの効果を説明しておこう。1ターンに1度、フィールド上に存在するモンスター1体を選択し、表示形式を変更する事ができる」

 

「俺はレベル7【カラクリ将軍 無零】にレベル1【カラクリ蝦蟇 四六弐四】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル8!【カラクリ大将軍 無零怒】!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大将軍 無零怒 ★8 ATK2600

 

「連続シンクロ召喚!?」

 

「【カラクリ大将軍 無零怒】がシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキから「カラクリ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。俺はデッキからチューナーモンスター【カラクリ蝦蟇 四六弐四】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大将軍 無零怒 ★8 ATK2600

カラクリ蝦蟇 四六弐四 ★1 ATK200 ※チューナー

 

「【カラクリ大将軍 無零怒】の残りの効果を説明しておこう。1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の「カラクリ」モンスターの表示形式が変更された場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする」

 

「墓地の【カラクリ蝦蟇 四六弐四】を除外し、フィールドの【カラクリ蝦蟇 四六弐四】を対象に効果発動!このカード名のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの「カラクリ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大将軍 無零怒 ★8 ATK2600

カラクリ蝦蟇 四六弐四 ★1 DEF1000 ※チューナー

 

「この瞬間、【カラクリ大将軍 無零怒】の効果発動!デッキから1枚ドローする!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】を発動!フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。また、墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。俺はレイちゃんの伏せカード1枚を破壊!」

 

「きゃあっ!…【聖なるバリア -ミラーフォース-】が!」

早乙女レイ 伏せカード:3→2

 

危ねぇー!この時代の汎用カードなら、入れてても不思議じゃないな!この調子だと【魔法の筒】とか【破壊輪】とか【万能地雷グレイモヤ】とか入ってたりするのか!?【カラクリ】は伏せカード除去苦手なんだよ~。

 

「俺はレベル8【カラクリ大将軍 無零怒】にレベル1【カラクリ蝦蟇 四六弐四】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル9!【カラクリ大権現 無零武】!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

 

「レベル9のシンクロモンスター…」

 

「【カラクリ大権現 無零武】がこのカードがシンクロ召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「カラクリ」モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキから【カラクリ忍者 九壱九】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 DEF1500

 

「【カラクリ大権現 無零武】の残りの効果を説明しておこう。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の守備表示モンスターは戦闘では破壊されない。1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の「カラクリ」モンスターの表示形式が変更された場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する」

 

「【カラクリ忍者 九壱九】も効果を説明しておこう。このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。フィールド上に表側表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、このカードの表示形式を変更する。このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分の墓地に存在するレベル4以下の「カラクリ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する」

 

「俺は手札から装備魔法【カラクリ蝦蟇油】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分の墓地の「カラクリ」モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の「カラクリ」モンスターの表示形式が変更された場合に発動する。装備モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。俺は墓地の【カラクリ将軍 無零】を対象とし、【カラクリ将軍 無零】を特殊召喚し、【カラクリ蝦蟇油】を装備する!」

クロト 手札:6→5枚。装備魔法:1

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 DEF1500

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK2600 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

 

「【カラクリ将軍 無零】の効果発動!【カラクリ忍者 九壱九】の表示形式を変更する!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 ATK1700

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK2600 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

 

「この瞬間、【カラクリ大権現 無零武】の効果発動!レイちゃんのフィールドの伏せカード1枚を除外する!」

 

「私の伏せカードが…!」

早乙女レイ 伏せカード:2→1

 

「更に【カラクリ蝦蟇油】の効果により、【カラクリ将軍 無零】の攻撃力が500アップする!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 ATK1700

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK2600 → 3100 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

 

「俺は手札から永続魔法【機甲部隊の防衛圏】を発動!自分フィールドにレベル7以上の機械族モンスターが存在する限り、相手は自分フィールドのレベル6以下の機械族モンスターを、攻撃対象に選択できず、効果の対象にもできない。1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の機械族モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える」

クロト 手札:5→4枚。永続魔法:1

 

彼女の手札は2枚。そのうち1枚は【ライトロード・サモナー ルミナス】。伏せカードは1枚。墓地発動できるカードは…無いな。情報が無い手札1枚が【オネスト】ならヤバいが…。行くしかないか!

 

「バトルフェイズに移行。【カラクリ忍者 九壱九】で【ライトロード・ビースト ウォルフ】を攻撃!」

 

カラクリ忍者 九壱九 ATK1700

vs

ライトロード・ビースト ウォルフ ATK2800 ※【ライトロード・レイピア】装備

 

「攻撃力の低いモンスターで攻撃!?…いや、白河さんのフィールドには…!」

 

「俺はフィールド魔法【風雲カラクリ城】の効果を発動!自分フィールド上に表側表示で存在する「カラクリ」と名のついたモンスターが、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを攻撃対象に選択した時、その相手モンスター1体の表示形式を変更する事ができる!【ライトロード・ビースト ウォルフ】を守備表示に変更!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 DEF300 ※【ライトロード・レイピア】装備

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

伏せモンスター

 

カラクリ忍者 九壱九 ATK1700

vs

ライトロード・ビースト ウォルフ DEF300 ※【ライトロード・レイピア】装備

 

「【カラクリ忍者 九壱九】で【ライトロード・ビースト ウォルフ】を戦闘破壊!そして【カラクリ忍者 九壱九】が戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分の墓地に存在するレベル4以下の「カラクリ」と名のついたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する。俺は墓地より【カラクリ商人 壱七七】を表側守備表示で特殊召喚!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

伏せモンスター

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 ATK1700

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK3100 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

カラクリ商人 壱七七 ★2 DEF1500

 

「バトルフェイズを続行する。【カラクリ大権現 無零武】で【ライトロード・ビースト ウォルフ】を攻撃!」

 

「この瞬間!リバースカードオープン!永続罠【ライトロード・バリア】発動!自分フィールド上の「ライトロード」と名のついたモンスターが攻撃対象に選択された時、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、攻撃モンスター1体を選択し、その攻撃を無効にする。私は自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送り、【カラクリ大権現 無零武】を対象とし、その攻撃を無効にします!」

早乙女レイ 伏せカード:1→0、永続罠:0→1

 

なるほど。【機甲部隊の防衛圏】の効果でレベル6以下の【カラクリ忍者 九壱九】は効果の対象に取れず、【ライトロード・バリア】を発動しても攻撃を止められなかったのか。

 

「防がれたか…メインフェイズ2に移行!俺はカードを2枚伏せてターンエンド!」

クロト 手札:4→2枚。伏せカード:2

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:2枚、伏せカード:2、フィールド魔法:1、装備魔法:1、永続魔法:1

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 ATK1700

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK3100 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

カラクリ商人 壱七七 ★2 DEF1500

 

VS

 

◆早乙女レイ LP:4000、手札:2枚、伏せカード:0、永続罠;1

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

伏せモンスター

 

 

結構ヤバいな。あの伏せモンスターはほぼライコウだ。アレは倒しておきたかった。最低でもリバース効果は使わせておきたかった。

 

こちらの伏せカードを破壊してから【裁きの龍】降臨はかなり不味い。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

早乙女レイ 手札:2→3枚。

 

「私は裏側守備表示の【ライトロード・ハンター ライコウ】を反転召喚して効果発動!このカードがリバースした場合に発動する。フィールドのカード1枚を選んで破壊できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。私は白河さんの伏せカードを破壊します!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

 

ちっ、やはりライコウだよな。そして、よりにもよってこっちか!良い読みしてるな!

 

「伏せカード【借カラクリ旅籠蔵】は破壊される…」

白河クロト 伏せカード:2→1

 

「私は手札から魔法カード【ソーラー・エクスチェンジ】を発動!手札から【ライトロード・サモナー ルミナス】を捨ててデッキから2枚ドローします!その後、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送ります!」

早乙女レイ 手札:3→2→1→3枚。

 

ここで手札交換か。【借カラクリ整備蔵】が引けていれば止められたんだが…唯一判明していた【ライトロード・サモナー ルミナス】が墓地に送られたから、残りの手札が読めないな…。

 

「行きますよ白河さん!私の墓地の「ライトロード」モンスターが4種類以上います!私は手札から【裁きの龍】を特殊召喚します!!」

早乙女レイ 手札:3→2枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

裁きの龍 ★8 ATKF3000

 

出たか!そして、今の俺に【裁きの龍】の効果を止める術は…あるんだなぁこれがぁ!

 

「墓地の【カラクリ蝦蟇 四六弐四】を除外し、フィールドの【カラクリ忍者 九壱九】を対象に効果発動!そのモンスターの表示形式を変更する!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

カラクリ忍者 九壱九 ★4 DEF1500

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK3100 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

カラクリ商人 壱七七 ★2 DEF1500

 

「この瞬間、【カラクリ大権現 無零武】の効果発動!レイちゃんの【裁きの龍】を除外する!」

 

【裁きの龍】の効果は起動効果!発動される前に除外してしまえばいいのさ!

 

「その効果のことは覚えていますよ!この効果にチェーンして私は手札から速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動です!フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。対象はもちろん、【カラクリ大権現 無零武】です!」

早乙女レイ 手札:2→1枚。

 

「何…だと!?」

 

チェーン①カラクリ大権現 無零武

チェーン②禁じられた聖杯

 

「効果処理をします。チェーン②【禁じられた聖杯】によって【カラクリ大権現 無零武】の攻撃力が400アップし、効果は無効となります!そして、チェーン①【カラクリ大権現 無零武】の効果は無効です!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000 → 3400

カラクリ忍者 九壱九 ★4 DEF1500

カラクリ将軍 無零 ★7 ATK3100 ※【カラクリ蝦蟇油】装備

カラクリ商人 壱七七 ★2 DEF1500

 

そう言えば入れてたな聖杯!そして、今の俺に【裁きの龍】の効果を止める術は…無い!

 

「私は1000LPを払って【裁きの龍】の効果発動!このカード以外のフィールドのカードを全て破壊します!」

早乙女レイ LP:4000→3000

 

だが!その後の攻撃を止めることはできるぜ!

 

「その効果にチェーンして、墓地の罠カード【借カラクリ旅籠蔵】を除外して効果発動!自分フィールドに「カラクリ」モンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する!レイちゃんの【裁きの龍】は守備表示に変更だ!」

 

「えぇっ!?墓地から罠カード!?」

 

チェーン①裁きの龍

チェーン②借カラクリ旅籠蔵

 

「こ、効果処理をします。チェーン②【借カラクリ旅籠蔵】の効果により、私の【裁きの龍】は守備表示に変更」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100

ライトロード・ハンター ライコウ ★2 ATK200

裁きの龍 ★8 DEF2600

 

「そしてチェーン①【裁きの龍】の効果により、このカード以外のフィールドのカードを全て破壊です!」

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

<早乙女レイのフィールド>

裁きの龍 ★8 DEF2600

 

白河クロト 伏せカード:1→0、フィールド魔法:1→0、装備魔法:1→0、永続魔法:1

 

早乙女レイ 伏せカード:0、永続罠;1→0

 

「うわ~。あれだけ居た俺のモンスターが全滅したよ…でもまだ手はあるんだ。【風雲カラクリ城】が破壊されて墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するレベル4以上の「カラクリ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。俺は墓地から【カラクリ大権現 無零武】を特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

カラクリ大権現 無零武 ★9 ATK3000

 

「もちろん覚えていますよ!私の墓地の「ライトロード」モンスターが4種類以上います!私は手札から2体目の【裁きの龍】を特殊召喚します!!」

早乙女レイ 手札:1→0枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

裁きの龍 ★8 DEF2600

裁きの龍 ★8 ATK3000

 

「2体目!?」

 

「私は1000LPを払って2体目の【裁きの龍】の効果発動!このカード以外のフィールドのカードを全て破壊します!」

早乙女レイ LP:3000 → 2000

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

<早乙女レイのフィールド>

裁きの龍 ★8 ATK3000

 

「マジか~」

 

「バトルです!【裁きの龍】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

クロト LP:4000 → 1000

 

「ターンエンドです!」

 

 

◆白河クロト LP:1000、手札:2枚、伏せカード:0

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆早乙女レイ LP:2000、手札:0枚、伏せカード:0

 

<早乙女レイのフィールド>

裁きの龍 ★8 ATK3000

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「レイちゃん、攻めを焦ったね」

 

「えっ?」

 

「さっきのターンの場合、わざわざ2体目の【裁きの龍】の効果を使う必要はなかったんだ。1体目の効果をもう一度使い、その後で2体目を召喚していれば、今のレイちゃんのフィールドには【裁きの龍】が2体残ったんだ」

 

「あっ!」

 

2体残っていても、勝敗は変わらなかったんだけどね。

 

「それでも【裁きの龍】は攻撃力もその効果も強力だ。次のターンまで回れば、もう一度効果を使用して君の勝ちだろう。…次があればだけどなぁ!」

 

「!?」

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。俺は手札から【サイバー・ドラゴン】を特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2100

 

「サ、サイバー・ドラゴン!?亮様のモンスター!?」

 

「君は一度その身で対峙しておいた方がいざと言うときに気後れしなくていいかなと思ってデッキに入れてみたんだ。これが君の戦おうとする相手、丸藤亮の切り札の一つだ!」

 

「俺は手札から魔法カード【オーバーロード・フュージョン】を発動!自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。俺はフィールドの【サイバー・ドラゴン】と墓地のカラクリモンスター6体、合計7体を除外して融合!融合召喚!現れよ!レベル9【キメラテック・オーバー・ドラゴン】!!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<墓地のカラクリモンスター>

①カラクリ商人 壱七七

②カラクリ法師 九七六参

③カラクリ忍者 九壱九

④カラクリ将軍 無零

⑤カラクリ大将軍 無零怒

⑥カラクリ大権現 無零武

 

<白河クロトのフィールド>

キメラテック・オーバー・ドラゴン ★9 ATK?

 

「【キメラテック・オーバー・ドラゴン】は融合召喚でしか特殊召喚できない。このカードが融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを全て墓地へ送る。【キメラテック・オーバー・ドラゴン】は融合素材としたモンスターの数だけ相手モンスターを攻撃できる。」

 

「そして【キメラテック・オーバー・ドラゴン】の攻撃力はこのカードの元々の攻撃力・守備力は、このカードの融合素材としたモンスターの数×800ポイントになる。俺が融合素材としたモンスターは7体。よってその攻撃力・守備力は5600!」

 

<白河クロトのフィールド>

キメラテック・オーバー・ドラゴン ★9 ATK5600

 

「攻撃力5600!?」

 

「バトルフェイズに移行。【キメラテック・オーバー・ドラゴン】で【裁きの龍】に攻撃!エヴォリューション・レザルト・バースト!7連打!」

 

キメラテック・オーバー・ドラゴン ATK5600

vs

裁きの龍 ATK3000

 

「キャアァァァァッ!」

早乙女レイ LP:2000 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

ヤバかったー!ギリギリだったぞさっきのデュエル!相手は小学生だぜ…?俺もまだまだなんだなぁ。

 

デュエルが終わると観客席から声がかけられる。

 

「クロト、お前、最後の方はマジだったろ。小学生相手に酷ぇなぁ」

 

「うるさい」

 

「クロト、大人げないよ?」

 

「やかましい」

 

「そんなことでは我がライバルは…」

 

「クソ兄貴は黙ってろ。クロトさん、約束通りなにか奢ってくださいね!」

 

「約束はしてないと思うけど…」

 

「白河君、優勝おめでとう!」

 

「ありがとうございます。まともにそう言ってくれるのは高橋先輩くらいですよ」

 

デュエルが終わって対戦コートから出ると、レイちゃんがこっちに歩いてきて話しかけてきた。

 

「白河さん、優勝おめでとうございます!」

 

「ありがとうレイちゃん」

 

「私も強くなったつもりだったんですけど、白河さんにはまだ及びませんでした。流石は亮様を倒した人ですね!」

 

「レイちゃんは強かったよ。あとはもう少し落ち着いてデュエルをすれば俺に勝てるようになるさ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

いやいや、マジで強かったわ。【ライトロード】がってのもあるだろうけど、良く使いこなしていたと思う。…そうだな。どうせだからもう少しテコ入れをしてみようか。

 

「じゃあ、今日は頑張ったレイちゃんにご褒美としてこのカードをあげよう」

 

「うわぁ!ありがとうございます!」

 

前に渡し損なっていたライトロードのチューナーやシンクロ、エクシーズなどのカードをあげると、感極まったレイちゃんが抱き着いてきた。

 

「ちょ、ちょ、レイちゃん!?」

 

「あっ!ごめんなさい!つい…」

 

声を掛けると我に返ったレイちゃんが離れてくれた。…後方の観客席から冷たい視線が突き刺さるが、無視だ無視。

 

「うわぁ、クロトってロリコンだったのか…」

 

「だから同年代の彼女が居なかったのか…」

 

「流石の我でもこれは引くな…」

 

「クロトさんがロリコンか~。面白そうな情報だからリンやセレナにメールで送っておこう」

 

「確かに白河君は、同年代の同じ部の後輩たちには興味無さそうでしたからねえ」

 

観客席でとんでもない誤解が広まっている気がする。とりあえず、楓ちゃん。セレナはともかくリンに妙な情報を送るのは止めてくれ。あの娘から周囲にドンドン嘘情報が拡散されて行きそうで嫌だ。

 

「そういえば白河さん。白河さんは来年度のデュエルアカデミアの入試を受けるんですか?」

 

「クロトで良いよ。みんなそう呼んでるし。…そうだね。一応受けるつもりだよ」

 

「私も来年度の編入試験を受けようと思っているんです!じゃあ、クロト先輩ですね!」

 

「来年度の編入試験を受けるなら、同学年だろ。…いやいや、君って確かまだ小学4年生でしょ」

 

「こっそり受けて、デュエルアカデミアに行こうと思いまして…てへっ♪」

 

「てへっ、じゃないよ」

 

舌を出して片眼を閉じ、額に手を当てるレイちゃん。あざとい…。

 

とりあえずは原作通りの流れになりそうだな。ただ、結構無茶をはずだから、一応アドバイスをしておこう。

 

「編入試験を受けて、こっそりデュエルアカデミアに乗り込んで亮さんに会おうって魂胆だと思うけど、家をしばらく留守にするんだから、出発する前にちゃんと親御さんと話をするんだよ?」

 

「そんなの、反対されますよ!」

 

「反対されると思うけど、親御さんに了承を取るか、せめて置手紙でも作って置いておくんだ。そうしないと、親御さんが君が行方不明になったと思ってしまうからね。君は親御さんを悲しませたいのかい?」

 

「あっ!そこまで考えていませんでした…。分かりました。まずは一度、両親と話してみたいと思います。クロト先輩、ありがとうございました!」

 

この娘は、アニメGXの原作通りなら、原作開始から20話目くらいで、アカデミア編入試験を受けて、こっそりデュエルアカデミアに乗り込んでくる。そして、しばらくの間は誰にも気づかれずにレッド寮で生活することになる。恋する乙女の行動力と言うのは凄まじい限りだ。

 

だが、常識的に考えれば、事情を知らない彼女の親たちは家出か誘拐の可能性を考えて彼女を探し回るだろう。そんな不要な不安を与えるくらいなら、まずはちゃんと親と相談してからにすればいい。もしかしたら、他のまっとうな方法で一時的にアカデミアの島に来る方法が見つかるかもしれないしな。

 

どうしても無理そうなら、俺が手伝うしかないかな。

 

「クロト先輩!あの…厚かましいお願いなんですが、今後もこう言った相談に乗って貰ってもいいですか?」

 

「いいよ。知らないところで無茶される方が怖いからね」

 

「やったぁ!ありがとう!…じゃなかった。ありがとうございます!」

 

相談することを了承すると、また感極まったレイちゃんが抱き着いてきた。…観客席からの視線がとても痛い。

 

そうして、落ち着いて俺から離れたレイちゃんと連絡先を交換し、彼女が亮と会う為の手助けをすることを約束することになり、大会の閉会式が終わった後、彼女は帰路に着いた。

 

亮とレイちゃんが上手く行く可能性は現状低いと思うが、もし上手く行った場合は俺が在学中にレイちゃんがアカデミアに現れることはなくなるだろう。寂しくなるが、それはそれでハッピーエンドだろう。まだ、どう転ぶかは分からないんだけどさ。




【ライトロード】と言うガチデッキに対し、相手が小学生なのもお構いなしに結構本気で相手をする中学生のオリ主。なお、辛勝の模様。オリ主くんさぁ…。

オリ主のデッキは【カラクリ+サイバー】です。早乙女レイが対戦相手だと知って、大急ぎでサイバー・ドラゴンと関連パーツをデッキに入れて調整しました。

レイのデッキは【ライトロード】です。チューナーやシンクロ、エクシーズも無い、シンプルな方ですが、それでも【裁きの龍】はLP:4000制だと反則級です。

デュエル後はレイに更なる強化が入りました。万丈目がジェネクスで優勝できるかが怪しくなってきました。

次回の更新は2/13(土) AM8:00予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十八話 黒咲瑠璃

リミットレギュレーション更新回&ハートランドシティでのデュエル回です。

今回の相手は、アークファイブの登場人物の瑠璃とのデュエルになります。

緩くデュエルするだけのつもりが、少々長めの話になってしまいました。

※遅くなりましたが、デュエル後の後半部分は、アンチ・ヘイト要素注意です。


<クロト視点>

 

地元のデュエル大会が終わり、GWが過ぎ去って梅雨に時期がやってきた。

 

俺は先ほどまで休日を利用してツァンと駅近くの図書館で歴史の勉強をしていたが、今は息抜きに少し前にようやく購入したスマートフォンを片手にとあるサイトを確認していた。

 

「あっ、それって最新モデルの携帯電話じゃない」

 

「スマートフォンって言うらしいぞ。これがあれば今までの携帯電話よりもより快適に屋外でも、インターネットで調べ物が出来るんだ」

 

「へぇ~。携帯電話なんて電話機能とメール機能さえあればいいと思うけど…それで、何のサイトを見てるのよ。まさか、エッチなサイトじゃないでしょうね!」

 

「こんな公共の場でそんなもん見るか。デュエルモンスターズ公式HPで少し前に更新されていたリミットレギュレーションを見てるんだよ。ほら」

 

「あっ、ホントだ。何々…。ちょっと!【増援】が準制限になっているじゃない!」

 

「あのカードは制限でもおかしくない強さだから仕方ない」

 

<禁止カード>

【キャノン・ソルジャー】 New!

【トゥーン・キャノン・ソルジャー】 New!

【混沌帝龍-終焉の使者-】 New!

【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】 New!

【サウザウンド・アイズ・サクリファイス】 New!

【苦渋の選択】 New!

【次元融合】 New!

【悪夢の蜃気楼】 New!

【強欲な壺】 New!

【天使の施し】 New!

【血の代償】 New!

【停戦協定】 New!

【破壊輪】 New!

【王宮の勅命】 New!

【マジカル・エクスプロージョン】 New!

 

<制限カード>

【月読命】 New!

【マシュマロン】 New!

【同族感染ウイルス】 New!

【魔導戦士 ブレイカー】 New!

【異次元の女戦士】 New!

【ドル・ドラ】 New!

【ならず者傭兵部隊】 New!

【魔鏡導士リフレクト・バウンダー】 New!

【人造人間-サイコ・ショッカー】 New!

【Emヒグルミ】 New!

【星守の騎士 プトレマイオス】 New!

【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】 New!

【ギャラクシー・サイクロン】 New!

【ライトニング・ボルテックス】 New!

【サイクロン】 New!

【スケープゴート】 New!

【ツインツイスター】 New!

【激流葬】 New!

【魔のデッキ破壊ウイルス】 New!

 

<準制限カード>

【アビス・ソルジャー】 New!

【暗黒のマンティコア】 New!

【強制転移】 New!

【増援】 New!

【成金ゴブリン】 New!

【非常食】 New!

【高等儀式術】 New!

【レベル制限B地区】 New!

【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】 New!

【ゴブリンのやりくり上手】 New!

 

<エラッタ(OCG順守)>

【キラー・スネーク】 New!

【処刑人-マキュラ】 New!

【死のデッキ破壊ウイルス】 New!

 

よっしゃ!【強欲な壺】と【天使の施し】が逝った!俺がデッキに入れていてもほぼ来ないくせに相手はガンガン使ってくるインチキカードなんて禁止されてしまえばいいんだよ!

 

それにしても、結構な量が更新されているな。【キラー・スネーク】と【死のデッキ破壊ウイルス】はエラッタされたか。彼らはもう終わりですね…。おぉっ、【ダーク・ダイブ・ボンバー】はまだエラッタ無しで制限止まりか、良いねぇ!…ん?

 

「【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】が制限になっているな…」

 

あのカードは赤馬とアポリアくらいにしか使っていないはずなんだが…アポリアがわざわざこんなことをするとは思えないし…あの赤マフラーめ、公式サイトに密告しやがったな?

 

「【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】?聞いたことのないカードね?」

 

「これ」

 

不思議そうな顔をしているツァンに【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】を見せる。効果テキストを呼んでいるツァンの顔色がみるみる青くなっていき、それから次第に赤くなっていく。面白い奴だ。

 

「何これ!こんなの禁止でしょ!ばっかじゃないの!」

 

「俺に言うなよ…。公式が制限カードで良いって言うんだから、制限カードで1枚は使用していいんだよ」

 

「信じられない…」

 

ツァンはまだ文句が言い足りないようだ。気持ちはわかるけどな。

 

それにしても、くくくっ!馬鹿な赤マフラーめ!【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】なんて1枚使えればゲームエンドまで行けるから、禁止じゃなければそれでいいんだよ!

 

俺はリミットレギュレーション更新の確認を終えて、スマートフォンを鞄に仕舞った。

 

「さて、そろそろ勉強を再開しようかな。来週は出かける用事があるからここに来れない分、今日のうちに進めてしまわないとな」

 

「そう言えばそんなことを言っていたわね。何処に行くのよ?」

 

「ハートランドシティ。知り合いに頼まれて、復興活動のボランティア活動だよ」

 

「そう…。じゃ、じゃあボクも一緒に付いて行っても…」

 

「えっ?」

 

「な、何でもないわよ!馬鹿!さっさと勉強するわよ!」

 

「えぇ…」

 

何か言いかけたから聞き直しただけなのにこれだ。思春期の女の子は気難しいな。セレナはもっとシンプルなんだけど、あの娘が特殊なだけかな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

それから次の週の休日の昼前時、俺はハートランドシティにある、葉月財閥の系列会社のビルにある社長室にやってきていた。なんでも復興活動をするためにユーリが自ら新たに会社を興したんだとさ。とても年下とは思えない。行動力の化身かよ。

 

「いらっしゃいクロト。今日も働いてもらうよ?」

 

「いらっしゃい。今日もクロトの働きに期待しているからね?」

 

入室するなりいきなりこれである。ニヤニヤしているユーリとデニスは気楽に言ってくれるけど、今日の作業はなかなかの重労働である。こんなもん中学生にやらせんなよ…。

 

ちなみにユーリとデニスは通信制の学校に通っていて、既に超一流と言われる高校の卒業資格まで取っているそうで、今は超一流の大学レベルの講義を受講しているらしい。年齢は俺の方が1つ上だが、学歴だけで言えば俺より遥かに上だ。そもそも、ユーリとデニスはこの会社の社長とその直属の部下だしな。15歳未満でも就労していいんだなこの世界。

 

「クロトの担当エリアはいつも通りここだよ。君が【ラーの翼神竜】のリアルソリットビジョンを出して壊しまくったエリアだ」

 

「わ、悪かったとは思っているよ?」

 

「でも、その顔は反省はしているけれども後悔はしていないよね?まぁ、当時は状況が状況だったし、仕方ないとは思うけどね。幸いにも民間人には人的被害も出ていないからね」

 

ここハートランドシティでは、俺ことハノイの騎士は一種の英雄扱いを受けているが、当時のハノイの騎士の行動に対して批判されている部分もあるのが実情だ。

 

実のところハートランドシティの建物の被害のいくらかは、調子に乗ってリアルソリットビジョンで神を召喚しまくった俺の所為だったそうだ。その情報は俺自身も事件のしばらく後で知ったのだが、住民に対して隠していい情報ではないので彼らへの情報公開をした結果、彼らの怒りの一部を買うことになったわけだ。そりゃそうだよな。

 

俺が破壊した建物の被害総額は億単位にも昇っていたらしく、そのお金の建て替えをしてくれたのがユーリたち葉月財閥、海馬社長たちの海馬コーポレーション、ペガサス会長のI2社だ。この負い目があるので、基本的に俺はユーリたちの依頼は断りづらいのだ。なので、あのテロ事件の日から時折こうしてボランティア活動を手伝っている。

 

この辺りの事情に関してはユーゴ、リン、セレナには話していない。コナミは勝手に把握しているだろうけどな。俺が自主的にボランティア活動に参加していると思っているはずだ。

 

「そう言えば、セレナたちはどうしたんだい?彼女のことだから、君の後ろを子犬の様について回っているかと思ってたんだけど?」

 

「セレナたちは、このビルに入る前に舞網チャンピオンシップの時に知り合った友人たちを見つけたらしくてな。コナミ、ユーゴ、リンたちと一緒にそっちに向かったぞ」

 

「あぁ、LDSの赤馬社長に嫌われているクロトだけ仲間外れにされたって言うあの大会か」

 

「うるせーよ。とにかくそういうことだ。俺はもう作業に向かうぞ。現場にはバレットさんが居るんだろ?」

 

「そうだよ。作業の詳細は彼に聞いてくれ」

 

「OK」

 

さて、久しぶりに会った友人への挨拶も終わったことだし、そろそろボランティア活動を開始するとしよう。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

バレットの指示に従って作業をしていたら、気が付けばもう夕暮れ時になっていた。長時間の作業のおかげでこの辺り一帯にある瓦礫はほぼ取り除くことが出来た。これで俺がハートランドシティに与えてしまった被害に対して、少しでも贖罪出来ているといいんだけどな。

 

「クロト、今日はもういいだろう。お疲れさまだな」

 

「バレットさんもお疲れ様です。それにしても流石の指揮でしたね。とても作業がしやすかったです」

 

「それを言うならお前の力の方こそ凄まじいものだったぞ。オカルトのことはよく分からないが、お前が片手で重機を使わないと運べないような瓦礫の塊を軽々と持ち上げた時は我が目を疑ったぞ。だが、お前のおかげで本来の日程よりかなり早く終わることが出来た。礼を言わせてくれ」

 

「いえ、この辺りが荒れているのは俺の所為でもありますからね。気にしないでください」

 

「そうは言うがな、お前は民間人に危害を加えていたテロリストを鎮圧したんだ。それは世間一般で言えば褒められる行為だ。あまり気負うな」

 

「ありがとうございます」

 

そう言ってもらえると多少は気が楽になるな。この町を見る度に、もっと俺が上手くやっていれば…なんて身の程を知らない後悔を覚えるからな。

 

「残りの作業はこちらでやっておく。葉月財閥への報告も含めてな。お前はセレナお嬢様たちと合流して先に帰っていてくれ。あぁ、そうだ。セレナお嬢様はお前がちゃんと屋敷まで送り届けてくれよ?」

 

「分かっていますよ。彼女の容姿だと良からぬことを考える馬鹿が絡んでこないとも限りませんからね。ボディーガード役は必要でしょう」

 

「はぁ…。君は共に戦場に立つ時はこれほど頼もしい味方は居ないと思えるほどの人物なのだが、こういうことに関しては本当に鈍いな」

 

「こういうこと?何の話です?」

 

いや本当に何の話だ?オベリスクフォースは殲滅して久しいし、今更彼女を狙うような勢力は居ないと思うんだけど…まさか、見落としがあるのか?

 

「まぁいい。では、お嬢様を頼んだぞクロト」

 

「頼まれました。では、お疲れさまでした」

 

何だがよく分からないが、とにかく今日の作業は終わりだ。また時間が取れたら手伝いに来よう。そう思いながらこの場所を後にして、コナミたちとあらかじめ決めていた集合場所に向かった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

もうすぐ夕日が沈みそうな時間帯に、復旧したハートランドシティの広間にやってきた。いつもの様に勝手に出てきて肩や腰に引っ付いているバニーラやプチリュウを撫でつつ、コナミ達との集合場所に向かう。どうやらコナミ達は既にやってきていて俺を待っていたようだ。

 

「お~、クロト。お勤めご苦労様~」

 

「おぅ、今日もボランティア活動に勤しんできたぜ」

 

こちらに気付いたコナミが手を挙げながらこちらに声を掛けてきたので、同じように手を挙げながら返事を返し、すれ違いざまになんとなくパシーン!とハイタッチをする。

 

「あの、貴方が白河クロトさん?」

 

リンとセレナの後ろに隠れていて見えなかったが、コナミ達の他にもう一人女の子が居たようだ。黒に近い紫色の長髪を後ろでまとめ、羽のヘアアクセサリー、イヤリングをつけている少女。先ほど見かけた黒咲瑠璃だ。そもそも彼女を見かけたからセレナやリンが反応して話しかけに言っていたから特に不思議なことはないけどな。

 

「うん?そうだけど、君は?」

 

「初めまして。私は黒咲瑠璃よ」

 

「そうか。君が黒咲瑠璃さんか。ではこちらも初めまして。白河クロトだ」

 

瑠璃が自己紹介をしてきたので同じように俺も自己紹介を返す、白河クロトとしては初対面だし、わざわざ第一印象を悪くする必要問題だろう。

 

「うん、やっぱり見間違いじゃない…。あの時にうっすらと見た羽が、今ならはっきり見える…」

 

瑠璃が何か呟いたようだったが、周りの話し声にかき消されてよく聞き取れなかった。口の動きから、羽がどうとか言っていた気がするが…ん?瑠璃の視線が、俺の肩や腰に向いて固まっているが、もしかしてバニーラたちが見えているのか?

 

「あの、突然だけど、私とデュエルしてもらえないかしら?」

 

そんなことを考えていたら、瑠璃からいきなりデュエルを挑まれた。この世界では、挑まれたデュエルを断るのはとても失礼な行為だ。それに、以前彼女に渡したカードをどれくらい使いこなせているか、また俺が考えもしないようなコンボや戦術を見せてくれるのではないか?と期待しているのもある。こちらの期待に関しては、過去にカードを渡したことのある子達全員に共通するものだけどさ。

 

「いいよ」

 

俺は肯定の言葉を返す。正直に言うと、俺は彼女やハートランドシティの住人には町を破壊してしまった負い目があるため、断りづらかったというのが一番の理由だ。

 

アニメアークファイブでは、アカデミアに侵略された後のエクシーズ次元の住人はアカデミアが侵略行為に使用したリアルソリットビジョン、と言うかデュエルそのものを嫌う傾向があったが、この世界ではオベリスクフォースのテロ行為は原作に比べるとそこまで長い期間ではなく、なおかつ他の町からすぐに救助が来てオベリスクフォースたちがデュエルによって殲滅された為、そこまでデュエルに対して悪印象はないようだ。

 

「そう。良かった。じゃあ少し移動しましょうか」

 

そう言うと彼女は広場の端の方に移動し始めたので、俺も追従することにした。確かにこんな広場の真ん中でデュエルのするのは他の通行人の邪魔になるだろうからな。

 

視線を感じたのでふと横を見ると、コナミ、ユーゴ、リンは面白そうなものを見る目をしているが、セレナは少し複雑そうな顔をしている。そんなに早く帰りたかったのか、済まないな。

 

「瑠璃、クロトは強いわよ。油断しちゃだめよ」

 

「瑠璃~。頑張れよ~」

 

「分かってるわリン、ユーゴ。ただ、私だってハートランド・デュエル・スクール「スペード校」に所属するデュエリスト。簡単に負けるつもりはないわよ!」

 

ユーゴとリンは瑠璃側の応援に付くようだ。舞網市でどんな出会いをしてどのような話をしたのかは知らないが、アニメ原作では殆ど会話が無かった彼らが仲良く話しているのを見ると、なんだか少し嬉しいな。

 

アニメ原作では、エクシーズ次元にあるハートランド・デュエル・スクール「スペード校」に兄の黒咲やユートが所属していたが、瑠璃が所属しているかは不明だったはずだが、この世界では兄たち同様の道を歩んでいるようだな。

 

「クロト、瑠璃とデュエルが終わったら、次はオレとデュエルな!」

 

「ズルいぞコナミ!瑠璃の次は私がクロトとデュエルするんだからな!」

 

コナミとセレナはマイペースだ。俺と瑠璃のデュエルの勝敗自体にはあまり興味がなさそうだ。ちなみに瑠璃の次のデュエルはどちらともしない。そろそろ帰らないと孤児院の晩御飯に間に合わなくなるからな。

 

 

デュエルの前に、黒咲瑠璃について改めて考えておこう。

 

アニメ版アークファイブには最初に1つの世界があり、その世界は高度な科学力を有しており、リアルソリットビジョンもその世界で生まれた技術だ。ただ、この世界はズァークと言う青年が覇王龍ズァークとなって滅ぼしてしまい、赤馬零王とその娘であるレイが覇王龍ズァークを封印することに成功するものの、世界&ズァーク&レイは4つに分かれてしまう。

 

黒咲瑠璃はレイが4つに別れた際の1人であり、4つの次元に別れた世界の1つであるエクシーズ次元で生きていた少女だ。他の3つの次元にそれぞれ存在する、柊柚子、セレナ、リンと同じ顔を持つ。(視聴者的にはそれほど似ているようには見えなかったが)。

 

同じエクシーズ次元で生まれた黒咲隼の妹として育ち、兄妹ともにユート、神月アレン、笹山サヤカと言った同年代の友達と一緒に日々を楽しく過ごしていたが、融合次元のアカデミアと呼ばれる組織のトップとなったプロフェッサー赤馬零王の指示により、エクシーズ次元は次元戦争と言う名の侵略行為を受けてしまう。

 

エクシーズ次元の人々がアカデミアの手先であるオベリスクフォースや侵略者たちによって次々とカード化される中、瑠璃だけはデニス・マックフィールドの手引きを受けたユーリ自らの手によってカード化されることなく拉致されてしまう。

 

融合次元に連れ去られた後、Dr.ドクトルのパラサイト・フュージョナーにより洗脳され、融合次元まで助けに来た兄の隼と戦ったり、同じく洗脳されたセレナと共に榊遊矢と戦ったりしたが、最終的には4つの次元が1つの次元に戻ろうとしている最中に、娘のレイを蘇らせようとしている赤馬零王の手によって柚子シリーズの4人は1人に統合されてしまう。

 

その後、復活した覇王龍ズァークが倒されて世界に平穏が戻った後、瑠璃、リン、セレナの3人は、柊柚子の精神の中で生きるだけの存在となっており、アニメ最終回が終了してもその状態から変化することはなく、世界からは実質消滅したような感じになっていた。

 

 

アニメ最終回が彼女にとって救いだったのかどうかは彼女自身にしか分からないが、あの結末に納得がいかなかった当時の視聴者の俺としては、今のこの状態の方が好きだな。この世界ではオベリスクフォースもDr.ドクトルも処理したので、あとはユート辺りと末永く幸せに爆発して欲しい。

 

デュエリストとしての彼女はレベル(ランク)1・風属性・鳥獣族で統一された【LL(リリカルルスキニア)】と言うカテゴリのテーマを使用する。意味は「叙情的な」「サヨナキドリ」だそうだ。レベル1モンスターの高速展開による高速エクシーズ召喚でダイレクトアタッカーのエクシーズモンスターを呼び、相手を瞬殺してくるなかなかに怖いデッキだ。決して油断はできない。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

通行人の邪魔にならないように、広場の端に寄ってデュエルディスクを構える。俺がデュエルをする様子を見せると、肩や腰に引っ付いていたバニーラとプチリュウはゆっくりと俺の体から離れて俺と距離を取る。

 

『バニー!』

 

『リュ~ン!』

 

どうやら応援してくれるようだ。その心遣いに感謝しつつ、対面にいる対戦相手、黒咲瑠璃と向き合う。

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆黒咲瑠璃 LP:4000、手札:5枚

 

 

「先攻は私が貰うわ!私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

黒咲瑠璃 手札:5→6枚。

 

「自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。私は手札から【LL-ターコイズ・ワーブラー】を特殊召喚!」

黒咲瑠璃 手札:6→5枚。

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-ターコイズ・ワーブラー ★1 DEF0

 

「【LL-ターコイズ・ワーブラー】の効果発動!このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分の手札・墓地から「LL」モンスター1体を選んで特殊召喚する。私は手札から【LL-コバルト・スパロー】を特殊召喚!」

黒咲瑠璃 手札:5→4枚。

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-ターコイズ・ワーブラー ★1 DEF0

LL-コバルト・スパロー ★1 DEF100

 

「【LL-コバルト・スパロー】の効果発動!このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから鳥獣族・レベル1モンスター1体を手札に加える。私はデッキから【LL-サファイア・スワロー】を手札に加える!」

黒咲瑠璃 手札:4→5枚。

 

「私はレベル1の【LL-ターコイズ・ワーブラー】と【LL-コバルト・スパロー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来て!ランク1【LL-リサイト・スターリング】!」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:2

 

「【LL-リサイト・スターリング】がX召喚に成功した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる、そのモンスターの攻撃力・守備力は、このカードのX素材の数×300アップする効果があるけれど、今回は発動させないわ」

 

「【LL-リサイト・スターリング】が持つ効果の1つ、X召喚したこのカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは相手も受ける効果を使う為かな?」

 

「あら?まだ説明していないのに良く知っているわね?」

 

そりゃ、この世界だと俺が君にあげたカードだしな。

 

「そして、【LL-コバルト・スパロー】をエクシーズ素材としてエクシーズ召喚した【LL-リサイト・スターリング】は相手の効果の対象にならない効果を得るわ」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:2 ※相手の効果の対象にならない。

 

これで【LL-リサイト・スターリング】には、モンスター効果を無効化する【禁じられた聖杯】や【デモンズ・チェーン】などの対象を取るカードを使えず、戦闘で破壊するとその戦闘ダメージがこちらにも発生するようになる。当然、向こうはその戦闘ダメージを自分だけ回避する手段を用意するだろうな。

 

そして、『エクシーズ素材としているエクシーズ召喚した』ではなく、『エクシーズ素材としてエクシーズ召喚した』と言うテキストなので、例え【LL-コバルト・スパロー】をORUとして消費して取り除いたとしても、その付与した効果は失われないのだ。

 

「そして【LL-リサイト・スターリング】のORUを1つ消費して効果発動!1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除いて発動できる。デッキから鳥獣族・レベル1モンスター1体を手札に加える。私はデッキから2枚目の【LL-ターコイズ・ワーブラー】を手札に加える!」

黒咲瑠璃 手札:5→6枚。

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:2→1

 

ORUとして墓地に送ったのは…【LL-コバルト・スパロー】だな。

 

「自分フィールドに鳥獣族モンスターが存在する場合に発動できる。このカードと鳥獣族・レベル1モンスター1体を手札から特殊召喚する。私は手札から【LL-サファイア・スワロー】と、2体目の【LL-ターコイズ・ワーブラー】を特殊召喚!」

黒咲瑠璃 手札:6→5→4枚。

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-サファイア・スワロー ★1 DEF0

LL-ターコイズ・ワーブラー ★1 DEF0

 

「【LL-ターコイズ・ワーブラー】の効果発動!このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分の手札・墓地から「LL」モンスター1体を選んで特殊召喚する。私は墓地から【LL-コバルト・スパロー】を特殊召喚!」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-サファイア・スワロー ★1 DEF0

LL-ターコイズ・ワーブラー ★1 DEF0

LL-コバルト・スパロー ★1 DEF100

 

「私は手札から【愚かな埋葬】を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。私はデッキから2枚目の【LL-コバルト・スパロー】を墓地に送るわ!」

黒咲瑠璃 手札:4→3枚。

 

「私はレベル1の【LL-サファイア・スワロー】【LL-ターコイズ・ワーブラー】と【LL-コバルト・スパロー】でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!麗しき翼を持つ鳥たちよ。戦場に集いて気高く輝け!エクシーズ召喚!舞い降りよ!ランク1【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】!」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-アセンブリー・ナイチンゲール ☆1 ATK0 ORU:3

 

「【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】の効果により、このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×200アップする。そして、【LL-コバルト・スパロー】をエクシーズ素材としてエクシーズ召喚したことでは相手の効果の対象にならない効果を得る」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-アセンブリー・ナイチンゲール ☆1 ATK0→600 ORU:3 ※相手の効果の対象にならない。

 

「そして【LL-サファイア・スワロー】をエクシーズ素材としてエクシーズ召喚したX召喚した風属性モンスターは、X召喚に成功した場合、自分の墓地の「LL」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードの下に重ねてORUとする。私はこの効果を発動して、墓地の【LL-コバルト・スパロー】を【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】のORUとするわ!」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-アセンブリー・ナイチンゲール ☆1 ATK600→800 ORU:3→4

 

「更に、このカードは直接攻撃でき、X素材を持ったこのカードは、その数まで1度のバトルフェイズに攻撃できる効果。1ターンに1度、ORUを1つ取り除いて発動でき、ターン終了時まで、自分フィールドの「LL」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる、この効果は相手ターンでも発動できる効果を持つ。だったかな」

 

「えぇ、その通りよ。私はカードを2枚セットしてターンエンド」

黒咲瑠璃 手札:3→1枚。伏せカード:2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆黒咲瑠璃 LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2枚。

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

LL-アセンブリー・ナイチンゲール ☆1 ATK800 ORU:4 ※相手の効果の対象にならない。

 

 

俺の知る限りだと【LL】のテーマはモンスターのみOCG化され、専用サポートなどは存在しないはず。ならばあの伏せカードは汎用魔法罠。もしくは種族サポートカード辺りか。わざわざエクシーズ召喚したモンスターを【ゴッドバードアタック】のリリースにするとは考えづらい。となれば、専用補助系か、フリーチェーンの除去系だろうか。ともかく、破壊しても問題は無いだろう。

 

「俺のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メイン…」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

「このタイミングで【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】のORUを1つ消費して効果発動!ターン終了時まで、自分フィールドの「LL」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる!」

LL-アセンブリー・ナイチンゲール ATK800→600 ORU:4→3

 

誘発即時効果の【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】の効果を発動されたか。こちらの妨害札を警戒してこのタイミングで発動したのかな?ともあれ、このターンでの戦闘・効果破壊無効+戦闘ダメージ0にされてしまうので、このターンで倒し切るにはバーンダメージか何らかの特殊勝利条件を満たす必要があるが、至難の業だな。ここは素直に相手フィールドの処置に専念するとしよう。

 

「デュエルを継続するぞ。メインフェイズへ移行!俺は手札から永続魔法【闇の護封剣】を発動!このカードは発動後、2回目の自分スタンバイフェイズに破壊される。このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに表側表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て裏側守備表示にする!」

白河クロト 手札:6→5枚。永続魔法:0→1

 

「そうはさせない!リバースカードオープン!速攻魔法【サイクロン】発動!フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する!私は永続魔法【闇の護封剣】を対象として発動し、【闇の護封剣】を破壊させてもらうわ!」

黒咲瑠璃 伏せカード:2→1枚。

 

チェーン①闇の護封剣

チェーン②サイクロン

 

むっ、裏側守備にして効果破壊耐性を無効化しようと思ったんだが、防がれてしまったな。

 

「効果処理を行うぞ。チェーン②【サイクロン】により永続魔法【闇の護封剣】は破壊される。チェーン①【闇の護封剣】の効果だが、永続魔法は効果処理時に破壊されるなどして場に存在しない場合、その効果処理は適用されない為、不発だな」

白河クロト 永続魔法:1→0

 

効果の対象にならず、効果で破壊されないモンスターの対処は本当に難しいよな。リンク環境なら【星鍵士リイヴ】や【グラビティ・コントローラー】でそこまで苦労せずに対処できるんだが…【サイバース・クアンタム・ドラゴン】使うか?いや、確かアレにはテキストにリンクモンスターの文字が書かれているし、余計な混乱を招きそうだから止めておいた方がいいか…。

 

「俺は手札から儀式魔法【影霊衣の万華鏡】を発動!このカード名のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、またはリリースの代わりにEXデッキのモンスター1体を墓地へ送り、手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。俺はEXデッキのレベル4【虹光の宣告者】を墓地に送り、手札からレベル4【ユニコールの影霊衣】を儀式召喚する!」

白河クロト 手札:5→4→3枚。

 

「EXデッキのモンスターを儀式召喚のリリースに使用する!?」

 

<白河クロトのフィールド>

ユニコールの影霊衣 ★4 ATK2300

 

今、瑠璃がチラッと自分の伏せカードを見たな。なら、伏せてあるのは召喚反応系かな?【LL】デッキなら激流葬辺りだろうか。

 

「墓地に送られた【虹光の宣告者】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【クラウソラスの影霊衣】を手札に加える!」

 

「この効果の処理の前に、【ユニコールの影霊衣】がフィールドに居る時のモンスター効果を説明しておこう。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、EXデッキから特殊召喚された表側表示モンスターの効果は無効化される」

 

「なっ!?エクストラモンスターの効果封じ!?」

 

「【ユニコールの影霊衣】の儀式召喚成功時に何か効果を発動するか?」

 

「…リバースカードオープン!罠カード【激流葬】発動!モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動でき、フィールドのモンスターを全て破壊する!流石にそのモンスターはフィールドに残しておけないわ!」

黒咲瑠璃 伏せカード:1→0枚。

 

やはり召喚反応系か。こちらの今後の展開を考えて発動させるかを悩んだんだろうが、発動させたか。【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】の効果でこのターンは「LL」モンスターは戦闘・効果では破壊されないから、破壊されるのは俺のフィールドのモンスターだけだからな。

 

チェーン①虹光の宣告者

チェーン②激流葬

 

「効果処理を行う。チェーン②【激流葬】により、フィールドの全てのモンスターは破壊される。だが、そちらの「LL」モンスターは効果破壊耐性持ちだからそのままだな。そしてチェーン①【虹光の宣告者】の効果によって俺はデッキから【クラウソラスの影霊衣】を手札に加える」

白河クロト 手札:3→4枚。

 

これで瑠璃の伏せカードは全て無くなったな。このターンは戦闘ダメージを与えられないから倒しきれないが、あの厄介なエクシーズモンスターには退場してもらっておこう。

 

「俺は手札から魔法カード【儀式の準備】を発動!デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。その後、自分の墓地の儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える事ができる。俺はデッキのレベル6儀式モンスター【ブリューナクの影霊衣】を手札に加え、更に墓地の儀式魔法【影霊衣の万華鏡】を手札に加える」

白河クロト 手札:3→5枚。

 

「俺は手札から【クラウソラスの影霊衣】を捨てて効果発動!このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「影霊衣」魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【影霊衣の降魔鏡】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札から【ブリューナクの影霊衣】を捨てて効果発動!このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「ブリューナクの影霊衣」以外の「影霊衣」モンスター1体を手札に加える。俺はデッキから【トリシューラの影霊衣】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

「トリシューラの儀式モンスター!?まさかその効果は…!」

 

「俺は手札から儀式魔法【影霊衣の降魔鏡】を発動!影霊衣の降魔鏡」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地の「影霊衣」モンスターを除外し、手札から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。俺は墓地のレベル3【クラウソラスの影霊衣】とレベル6【ブリューナクの影霊衣】を除外し、手札からレベル9【トリシューラの影霊衣】を儀式召喚する!」

白河クロト 手札:5→4→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

 

「【トリシューラの影霊衣】儀式召喚に成功時に効果発動!このカードが儀式召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚選び(手札からはランダムに選ぶ)、その3枚を除外する!この効果は対象を取らない効果だ。そちらの耐性をすり抜けるぞ!俺はフィールドの【LL-アセンブリー・ナイチンゲール】!墓地の【LL-コバルト・スパロー】!そしてそちらの手札1枚を除外する!」

 

「くぅっ!やってくれるわね!」

黒咲瑠璃 手札:1→0枚

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

LL-リサイト・スターリング ☆1 ATK0 ORU:1 ※相手の効果の対象にならない。

 

「俺はまだ通常召喚を行っていない。俺は手札より【マンジュ・ゴッド】を召喚!」

白河クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

マンジュ・ゴッド ★4 ATK1400

 

「【マンジュ・ゴッド】召喚成功時に効果発動!このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから儀式魔法【影霊衣の反魂術】を手札に加える!」

白河クロト 手札:3→2枚。

 

「三種類目の儀式魔法!?」

 

「俺は手札から儀式魔法【影霊衣の反魂術】を発動!「影霊衣の反魂術」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、自分の手札・墓地から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。俺はフィールドのレベル4【マンジュ・ゴッド】をリリースし、墓地のレベル4【ユニコールの影霊衣】を儀式召喚する!」

白河クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

ユニコールの影霊衣 ★4 ATK2300

 

「エクストラモンスターの効果封じの儀式モンスターの儀式召喚を許してしまうなんて…」

 

「このカードは通常召喚できない。自分の手札・フィールド・EXデッキからカード5枚以上を裏側表示で除外した場合のみ特殊召喚できる。俺はEXデッキからカードを5枚裏側表示で除外して、手札より【百万喰らいのグラットン】を特殊召喚!」

白河クロト 手札:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

ユニコールの影霊衣 ★4 ATK2300

百万喰らいのグラットン ★1 ATK?

 

「【百万喰らいのグラットン】の攻撃力・守備力は、裏側表示で除外されているカードの数×100アップする。このカードはモンスターゾーンに存在する限り、リリースできず、融合・S・X召喚の素材にもできない。1ターンに1度、このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。その相手モンスターを裏側表示で除外する!この効果も対象を取る効果じゃないぞ」

 

<裏側表示で除外されているモンスター>

①外神ナイアルラ

②旧神ヌトス

③虹光の宣告者

④バハムート・シャーク

⑤餅カエル

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

ユニコールの影霊衣 ★4 ATK2300

百万喰らいのグラットン ★1 ATK?→500

 

「バトルフェイズに移行。【百万喰らいのグラットン】で【LL-リサイト・スターリング】を攻撃!ダメージステップ開始時に【LL-リサイト・スターリング】を裏側表示で除外する!」

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

モンスター無し

 

「そんな…」

 

このターンに与えられる戦闘ダメージは0だ。これ以上攻撃しても意味ないな。

 

「メインフェイズ2に移行。…ターンエンドだ」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚

 

<白河クロトのフィールド>

トリシューラの影霊衣 ★9 ATK2700

ユニコールの影霊衣 ★4 ATK2300

百万喰らいのグラットン ★1 ATK500

 

VS

 

◆黒咲瑠璃 LP:4000、手札:0枚、伏せカード:0枚。

 

<黒咲瑠璃のフィールド>

モンスター無し

 

 

調子に乗って儀式召喚しまくった挙句、手札無し、伏せカード無し、墓地発動カード無し。やりすぎだ、俺はアホだな。

 

瑠璃が【ブラック・ホール】のような全体除去の魔法カードを引くだけで俺のフィールドは壊滅する。

 

「私のターン!ドローフェイズ、ドロー!…駄目ね。私はこのデュエル、サレンダーするわ」

黒咲瑠璃 手札:0→1枚。

 

た、助かった~!危ねぇ~!!

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わると、瑠璃はデュエルディスクを片付けながらゆっくりとこちらに歩いてきた。

 

「悔しいけれど、私の負けね。どうかしら?私は貴方に渡されたこの子達の力をちゃんと活かしきれていたかしら?」

 

「あぁ、俺が使った時よりもはるかに使いこなしていたように見えたよ」

 

瑠璃の問いに俺は思ったことをそのまま答えた。実際、俺は知識はあれど【LL】のようなピーキーなデッキを上手く使いこなせる自信は無いからな。前世でも時々使っていた【影霊衣】ですらあのザマだったわけだからな。

 

「あーあ」

 

「やっぱりこうなるのね」

 

「こうなるんじゃないかと思ったぜ」

 

コナミ、リン、ユーゴがなにやら言っている。セレナは何も言わないが少し不機嫌そうに見える。何だ?何の話だ?…あっ。さっきの話か。

 

「ふふっ。仮面と衣装が無い時の貴方って、少し抜けたところがあるのね?ハノイの騎士さん?」

 

悪戯が成功した時の子供の様に、楽しそうに笑う瑠璃。やられた。『貴方に渡されたこの子達』って、そういう意味だよな。瑠璃に【LL】デッキを渡したのって俺だけど、ハノイの騎士の姿の時だからなぁ。どうやら俺がハノイの騎士の正体だということがバレてしまったようだ。と言うより、思えば出会った直後くらいから気付いていたような様子だったな。

 

「はぁ~。なるほどな。やはり黒咲さんはこの子たちが見えるのか」

 

『バニー!』

 

『リュ~ン!』

 

デュエルが終わったことを察したのか、バニーラとプチリュウがやって来て、特等席と言わんばかりに肩や腰に引っ付く。引っ付くと言っても、重さがあるわけではないから歩きづらいわけではない。

 

「貴方の方が年上なんだし、瑠璃で良いわ。…えぇ、私自身も驚いてはいるけれど、以前はハッキリとは見えなかった貴方の腰に引っ付いているそのプチリュウの姿が、今ならはっきり見えるわ。貴方の肩に乗っているバニーラの姿もばっちり見えるわ」

 

「ハノイの騎士と一緒に居たこの子が、こうやって俺と一緒にいることでハノイの騎士=俺、と言う感じに結びつけたわけか」

 

「えぇ、その通りよ」

 

カードの精霊が見える子なんて珍しいから油断していたな。コナミは例外だから置いておくとして、ユーゴ、リン、セレナ、ユーリ、デニス、バレット。今日会った人間は全員カードの精霊を見ることが出来ない。1流のデュエリスト=カードの精霊が見えるというわけではないのだ。

 

「私、もしまたハノイの騎士に会えたなら言いたいことがあったのよ」

 

「何だ?オベリスクフォースとの戦いで俺も町を破壊したことか?それとも、君のお兄さんを叩きのめしたことか?」

 

先ほどとは打って変わって真剣な表情を作る瑠璃。やはり恨み節を言われてしまうのだろうか。あぁ、逃げたい。前者は俺の非であることは間違いないので申し訳ない気持ちはあるが、後者は正当防衛だと思うんだが…。

 

「違うわ!」

 

俺が少し皮肉気味に言い放つと、瑠璃は凄い勢いで否定してきた。うん、流石に言い方がハノイの騎士の時っぽく嫌味ったらしかったね。スマンな。

 

「ハノイの騎士、いえ白河クロトさん。兄さんを、ユートを、アレンやサヤカを、この町を、そして私を助けてくれて、本当にありがとうございました!」

 

瑠璃はそう言うと頭を下げてきた。えっ?どういうこと?

 

「俺が君たちを助けたのは、そういう依頼だったからだ。礼を言われることはしていないと思うんだが…むしろ、町を破壊したことで恨まれているんじゃないのか?」

 

「確かに町を壊されたことに対しては良い気分じゃないわ。少しだけどハノイの騎士のことを悪く言う人が居ることも確かよ。『もっと上手くやれなかったのか』ってね」

 

そりゃそうだろうな。俺も自分の家や町が壊されたらそう思う。

 

「でもね?それでも私たちが助けられたのは事実なの。貴方やあの紫の髪の少年があの場所に居なければ、私やサヤカは攫われていたでしょうし、兄さんやユートたちはカードにされていたと思う」

 

「だが…」

 

「だが、じゃない!他の一部の人達はともかく、私たちは貴方に感謝しているの!…それだけは貴方本人に伝えたかったの」

 

少し涙目になりながらそう言ってくる瑠璃。でも、そうか、こんなちっぽけな俺の行動でも、少しは人の役に立ったんだな。

 

「そう言ってもらえると、俺も少しだけ肩の荷が下りた気がするよ。ありがとう、瑠璃」

 

「えぇ、どういたしまして。クロト」

 

そう言って彼女は微笑む。綺麗な笑顔だな。本当に俺に感謝してくれているようだ。俺の内にある負い目の気持ちが少しだけ和らいだ気がした。

 

「クロト~。そろそろ話は終わったか~?なら早く帰ろうぜ?今日は色んな瓦礫を運んだおかげでクタクタだ~」

 

話が一段落したのを見計らって、俺達から少し離れていたコナミが歩いてくる。…ん?瓦礫を運んだ?

 

「クロトには黙っていたけれど、私たちがこのハートランドシティに来た理由は貴方と同じよ?」

 

「そうだぜ。オレ達だってこの町のボランティア活動してたんだぜ」

 

コナミと同じく、ユーゴやリンもそんな話をしながら歩いてくる。

 

「クロトがハートランドシティのニュースがテレビで流れる度に難しい顔をしていたからな。ユーリに事情を問いただしたんだ」

 

最後にゆっくりとセレナが歩いてくる。やはり少し怒っているように見える。

 

「事情を知ったら居ても立っても居られなくなったんだ。その後リンたちに相談して私達にもできることをしようって話になって、今日こうやってボランティア活動を手伝っていたんだ」

 

そしてセレナは俺の正面に立つ。こちらをまっすぐに見つめてくるセレナに、俺は少し気後れした。

 

「なぁクロト。私たちはそんなに頼りないか?昔はともかく、私たちはもうクロトに守ってもらうばかりの子供じゃない。私だって、クロトの力になりたいんだ。だから、もっと私を頼って欲しい」

 

そして言い終わったセレナは俺の手を握ってこちらを見つめてくる。ずっとこの子達を下らない争いに巻き込みたくなくて、争いから遠ざけて一人で色々とやってきたけれど、俺が知らなかっただけでこの娘達はこんなに強かったんだな。

 

「いやぁ、わざわざ俺の心配をしてくれるなんて、セレナも成長したんだなぁ。よしよしいい子だな~。撫で撫で~」

 

「あ、頭を撫でるな!この馬鹿者が!だから、そうやって子ども扱いするなって言ってるんぞ!分かっているのか!もう!」

 

セレナの真剣な表情を見ているうちに非常に照れ臭くなってきた俺は、その雰囲気を誤魔化そうと茶化してセレナの頭を撫でると、セレナに頭を撫でていた腕を思いっきり弾かれた後に烈火のごとく怒られた。

 

「うわぁ、あれは無いわねぇ」

 

「最低」

 

リンや瑠璃からはゴミを見るような眼で見られた。コナミやユーゴも呆れ返ったような視線を送ってくる。

 

済まないが、素面でシリアスは苦手なんだよ…。

 

~~~

 

<榊遊矢視点>

 

今日も夕暮れが沈み、一日が終わる。

 

オレは舞網市から少し離れた警察機構とLDSが共同で管理する特別収容所から家に帰る途中の電車で、ボーっと窓の外の景色を眺めていた。

 

父さんが舞網チャンピオンシップの日に何人もの人間を誘拐する事件が発生してからもう2年が経とうとしていた。

 

オレの尊敬する父さんがそんなことをするはずがない!これはハノイの騎士やLDSの陰謀だ!と、当時のオレは声を上げてLDSに抗議していて、父さんを慕う多くの人たちもこの意見に賛同してくれていた。

 

だが時の流れは残酷で、オレの主張が世間に通ることが無いことがわかると、1人また1人とオレの傍から離れていった。今や母さんや幼馴染の柊柚子とその父親の柊修造、権現坂昇以外にオレの味方は居ないと言ってもいいかも知れない。

 

父さんの事件から大体半年後、ハートランドシティでテロ事件が発生し、それを解決した立役者の中にハノイの騎士やLDSが含まれていたというニュースが流れると、世間はとうとうオレの主張に耳も貸さなくなった。それどころか、オレのことを『犯罪者の息子』だと蔑んでくる始末!

 

「何で誰もオレの言うことを信じてくれないんだ。何で父さんに無実の罪を着せたハノイの騎士なんかがもてはやされるんだ!オレも父さんも何も間違ったことはしていないのに!」

 

オレ以外に誰も乗っていない電車の車両内にオレの怒りの声が響く。許せない!父さんをあんな目に遭わせたハノイの騎士も!それを匿うLDSも!アイツらをもてはやす世間の人間も!全員、許せない!

 

「でも、今日は久し振りに父さんと話すことが出来た」

 

そう。今日だけは何も悪いことばかりではなかった!数か月振りに父である榊遊勝と話すことが許されたのだ。今日は色んなことを父さんと話した。楽しかったなぁ!

 

「そうだ。父さんから受け取った伝言の解読がまだだったっけ。電車が駅に到着する前に解読してしまおう」

 

オレと父さんとで決めた秘密の合言葉。存在自体がオレと父さんしか知らないこの合言葉を理解できる奴なんてオレ達以外には居ない。何気ない会話の中でオレはしっかりと父さんの伝言を受け取っていた。暗号形式になっているので、オレもその場では意味が分からないのが難点だけどさ。

 

「えっと、何々…。家の、裏にある、大きな木の、下に、オレへの、プレゼントの、カードが、ある?」

 

どうやら父さんが無実の罪で捕まってしまう前日に、嫌な予感がして大切なカードを家の庭に埋めていたらしい。それをオレに託すとのこと。

 

「やった!父さんからのプレゼントだ!どんなカードなんだろう。何々…。そのカードは、闇属性昆虫族の、【パラサイト・フュージョナー】…?」

 

 

オレは電車が駅に到着すると後に急いで家に帰り、母さんが用意してくれていた晩御飯も食べずに、すぐさま家の裏にある大きな木の傍まで駆け寄ってその根元をスコップで掘り起こした。そしてオレは、父さんがくれた大切な禍々しく光り輝くそのカードを手にするのだった…。




リミットレギュレーション更新です。最終的に、タッグフォース1開始時点にかなり近い状態にするつもりです。

ハートランドシティは順調に復興していっていますが、完全に復旧するのは原作開始と同時期くらいになります。ハートランドシティの住民のハノイの騎士の功罪についての受け取り方は人それぞれですが、オベリスクフォースと真っ向から戦っているハノイの騎士の姿を見た人間が多いため、概ね好意的です。

瑠璃のデッキは【LL(リリカルルスキニア)】でした。優秀な展開力となかなかの耐性を持ったモンスターを駆使する強デッキです。LP4000制で連続攻撃できるダイレクトアタッカーとか恐ろしすぎます。

対するオリ主のデッキは【影霊衣】です。本来はかなり強いデッキなのですが、オリ主の精神が少し不安定で攻勢を急いでしまったため、結果的に勝ちましたが相手ターンに無防備を晒す少し無様な結果となっています。

オリ主やLDSから一切フォローされずに放置されていたトマト君こと榊遊矢が、期間は原作よりも短いですが原作より酷い状況に陥っています。原作同様に彼自身の行動については最適解ではないものの非難されるような謂れが無いことが特に酷い話です。そしてどうやら危ない物を手に入れてしまったようです。

次回の更新は2/17(水) AM6:00予定です。

戦車様、必殺雷撃人様、コダマ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七十九話 赤帽子とカミューラ

今回は少し前置きが長いです。

対戦カードはコナミとカミューラです。


今日は中学三年生の梅雨も真っただ中の6月の休日。

 

6月と言えば学生・社会人にとって祝日の無い悪夢の期間だが、一部のハッピーな人たちにとってはジューンブライドと言う言葉が出てくるだろう。ジューンブライドと言うのは元は古くからヨーロッパで「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」とされる言い伝えのことで、この月に結婚をすると生涯幸せに暮らせると言われているらしい。

 

何故いきなりこんなことを話し始めたかと言うと、俺は今まさに結婚式会場で知り合いの披露宴に参加しているからである。そして、現在進行形で会場に新郎新婦が入場してきているところである。

 

「おぉ~」

 

「柳さん、綺麗ね~」

 

「確かにな。普段はラフな格好をしていることが多いから気付きにくいけど、あの人って美人だからな」

 

セレナとリンは俺達5人の席から少し離れた場所にある檀上に居る新婦の柳さんをマジマジと見ている。俺としては新婦の柳さんよりも、あの何処かで見たことのあるイケメン顔の新郎が少し気になっている。

 

新郎の名前は【渡辺 新】。名前の方には聞き覚えが無いんだが、あの顔は何処かで見たことがあるような…。

 

『お二人の馴れ初めを教えてください』

 

「ボクが彼女と出会ったのはもう8年前になります。地元から遠出してこの町のデュエル大会に参加していたんですが、本選で仮面の少年にあっさり負けてしまって近くの公園で落ち込んでいたボクを、見ず知らずの彼女が声を掛けてくれて、慰めてくれたんですよ」

 

「ちょっ!止めろ!恥ずかしいだろ!」

 

新郎新婦紹介が始まり、進行役の男性が新郎新婦の2人へ色々と質問を受けていく。新郎新婦の二人は照れながらもそれに対応していっている。仲睦まじい様子でなりよりだな。

 

それにしても、この町のデュエル大会?8年前?仮面の少年?…あっ、思い出した。ハノイの騎士の姿の時に【現世と冥界の逆転】でデッキキルして倒したあの時のイケメンだ!

 

そんなことを考えていると、主賓スピーチ、乾杯発声者挨拶・乾杯、ケーキ入刀・ファーストバイトが終わり、料理提供がスタートされ、歓談タイムとなった、

 

「モグモグ…この肉、美味ぇ~!むしゃむしゃ…このエビも、美味ぇ~!!結婚式って最高だな!」

 

「ユーゴ今日は結婚式じゃなくて披露宴だぞ」

 

「おいユーゴ!その肉はオレが確保していた肉だぞ!勝手に人の皿から持っていくなよ!」

 

「コナミ、お前もそんなことを言いながら俺の皿からチキンを持っていこうとするな」

 

「硬いこと言うなよクロト!ってあぁー!オレのとっておきのプリンがー!」

 

「硬いこと言うなよコナミ!美味しく頂かせてもらいました~!ってあぁー!オレのとっておきのバナナがー!」

 

「やられたらやり返す! それが孤高なるサメの流儀だ!スカッとするぜ!」

 

「子供か」

 

「コナミ!てめぇ、表に出ろぉ!デュエルだ!」

 

「おっ、デュエルか!望むところだ!」

 

「おいやめろ。これ以上騒ぎを大きくするな」

 

ユーゴとコナミは歓談など一切せずにテーブルの食料を食い漁って食い意地を競い合っている。俺の注意も完全に無視だ。ちなみに俺の皿の料理は既にコナミに奪われているのでもう存在しない。コナミめ、あとではっ倒す。

 

「もう!三人とも!恥ずかしいじゃない!いい加減にして!」

 

「ぐえっ!」

 

「おごぉっ!」

 

「ぐふぅ!な、何故俺まで…」

 

小声で怒ったオカンもといリンに腹パンされて床に沈むユーゴとコナミ、ついでに俺。だが、これで少しは静かになるだろう。この間に俺はコナミの皿から先ほど奪われた俺のフルーツケーキを奪還しておいた。既にチキンは骨だけになっており、ケーキも半分食われていた。コナミめ、あとで埋める。

 

「…」

 

セレナはずっと新婦の柳さんを…と言うよりウェディングドレスを見つめている。よほど気に入ったのかもしれない。

 

「セレナやリンもいずれああいったドレスを着て、誰かと結婚するんだろうなぁ」

 

「あぁ、そうだな」

 

腹パンの痛みを我慢しつつ席に戻ってそんなことを言ってみたが、セレナは空返事をするだけでずっとウェディングドレスを見つめている。もしかしたら、既に誰か意中の相手でもいるのかもしれない。こんな美少女に想われるとは幸せな奴だな。

 

俺はシスターにこっそり分けて貰った果実酒をちびちび飲みながら、セレナやリンの結婚式に参加している自分を想像して少し寂しい気分になった。前世で同期たちが結婚していった時とはまるで違う感情。そうか、これが娘を嫁に出す親の気持ちという奴だろうか。

 

『柳ちゃんは昔から優しい子で…』

 

考え事にふけっていると、気付けば新郎新婦は退場していて、彼らのプロフィールムービーが流れていた。映像の中で柳さんのことを語るシスターは本当に嬉しそうだ。

 

その後はお色直しを終えた新郎新婦が会場に戻って来て、テーブルラウンド、余興、花嫁の手紙、花束贈呈、代表謝辞、閉宴の言葉などが順調に終わり、俺達は新郎新婦らが並んで待つ出口へ進み、新郎新婦がプチギフトを貰いながら会場を後にした。

 

「今日は誓いの言葉とか指輪交換とか、その後の誓いの…誓いのシーンとか見られるかと思ったんだが、少し惜しかったな」

 

「そうね~。後学の為に見ておきたかったんだけど…」

 

「今日は披露宴だからな。挙式(結婚式)は今日より前の日にやっていて、誓いのキスなんかはそこで終わっているはずだぞ」

 

セレナとリンの言葉に俺は前世の知識で言葉を足しておいた。前世の場合だと、挙式→披露宴の順番で行うのが殆どで、それぞれを別の日に開催することもあった。俺達の立ち位置は、新婦の柳さんの友人のシスターが預かる子供たちだからな。そりゃ挙式には呼ばれないだろう。

 

「いやぁ、今日は珍しい物を腹いっぱい食えて満足だったな!」

 

「でも、味はシスターの料理の方が美味かったな」

 

「ふふっ、ありがとう」

 

コナミとユーゴも満足気味だ。シスターもユーゴの何気ない一言で嬉しそうだ。

 

結婚か。前世では結婚どころか恋愛にすら縁が無かったが、この世界で無事にアカデミア卒業まで生き延びることが出来れば、俺も第二の人生を探してみるのもいいかも知れないな。何にしても、こういった平和な日常を過ごすことが出来るように、今は色々と頑張るとしようかな。

 

~~~

 

柳さんたちの披露宴から1週間後の休日、俺とコナミはヨーロッパのある地方にある森に囲まれた洞窟へとやってきていた。本来は俺一人で来るつもりだったが、とある目的のためにコナミも付いてくることになった。去年のアメリカの時と違い、翻訳は俺が出来るからな。

 

「なぁクロト。本当にこんなところにヴァンパイア一族の生き残りなんているのか?」

 

「ユーリに頼んで葉月財閥の情報網を駆使して調べて貰って確認しているから、居るはずだぞ。と言っても、棺桶の中で眠っている状態らしいけどな」

 

「へぇ~。でも、本当に居たら面白そうだよな!」

 

用意していた大きめの懐中電灯2つのうちの1つをコナミに渡し、洞窟を奥へと進んでいくこと約10分。葉月財閥の調査員の報告通り、洞窟の行き止まり部分に古びた黒い棺桶が置いてあった。

 

「棺桶か。確かにヴァンパイアっぽいな!」

 

「調査員も身の危険を感じて棺桶の蓋を開けてはいないらしい。さて、それじゃあ、開けるぞ。コナミ、手伝ってくれ」

 

「OK!」

 

コナミと力を合わせて棺桶の蓋を外す。思ったよりも蓋は軽くあっさりと開いた。そして、棺桶の中には緑の長髪の美人が眠りについていた。

 

『貴方たちは…人間!?』

 

緑髪の美女はすぐさま目を見開き、棺桶の中から飛び出して俺達と距離を取る。寝起きとは思えない機敏さだ。

 

『この憎たらしい人間共!とうとう永遠の眠りについているだけの私を殺しに来たのね!』

 

『違う』

 

『嘘を言わないで!人間共は私達ヴァンパイア一族をモンスターと呼び、次々に殺して回っていたじゃない!』

 

『その辺りの昔話は知らん』

 

この辺りの地元の言い伝えにしか残っていないような昔の話のことを持ち出されても、詳しくは知らないんだよ。

 

チラッとコナミの方を見ると美女の方を見つめている。日本語ではないので、コナミは彼女が何を言っているのかを理解できていないようだ。

 

「彼女はなんて言ってるんだ?」

 

「簡単に言うと、人間はヴァンパイア一族を滅ぼした敵だから憎くて嫌いだってさ」

 

「ふ~ん」

 

コナミの問いに簡潔に回答しておく。

 

『自己紹介がまだだったな。俺は白河クロト。こっちは赤羽コナミだ』

 

『人間に名乗りたくないんてないけれど、相手に名乗られてしまってこちらが名乗らないなんて誇り高きヴァンパイア一族のすることではないわね。私の名はカミューラ。よく覚えておきなさい』

 

「ん?自己紹介か?オレはコナミだ。よろしくな!」

 

『異国語?それに、よく見ると貴方たちは黒髪…どうやら貴方たちは、この国の人間ではないようね』

 

そう言うと、少しだけ警戒心を解く美女。俺は美女ことヴァンパイア一族のカミューラに、ヴァンパイア一族の国が滅びてから現代までの歴史を軽く説明した。彼女は驚いたようだったが、こちらに敵意が無いことを感じ取ったのか、案外素直に話を聞いてくれた。

 

『そう。あれからもうそんなに月日が流れたのね』

 

『えぇ。時代は変わりました。貴方の時代で走っていた馬車は、馬を必要としなくなり、船は木製から鋼鉄製に変わり、そして人は鳥を模した鋼鉄の乗り物で空を舞うことを覚えました』

 

カミューラは驚いていたが、持ち込んで来ていた資料を見せると次第に納得していった。

 

『それで、そんな時代の移り変わりに取り残された私に、貴方たちは何の用があってここに来たのかしら?』

 

『人類の総数は増え、科学は進歩してきています。俺達が見つけなくとも、恐らく遠くない将来に貴方は他の人間に発見されていたでしょう。そんな時、貴方はどういう行動を取るのか興味がありました』

 

アニメ原作だと、影丸理事長に発見されて幻魔復活に利用されてしまうんだよな。

 

『私の目的、と言うより願望は、今は無きヴァンパイア一族の復活ね』

 

『それを実現する具体的な方法はあるのですか?』

 

『分からないわ。でも、邪魔をする相手には容赦しないわよ』

 

そう言うと、こちらを睨んでくるカミューラ。何やら勘違いされていそうだが、俺の狙いはここで闇のアイテムを持たない今のカミューラをセブンスターズ編開始前に事前に処理することではない。

 

『今の時代は、勝負を付けるときは剣や槍のような武器を使った殺し合いではなく、これを使うことが多いですよ』

 

俺はデュエルモンスターズのカードとデュエルディスクをカミューラに見せる。

 

実際は銃を使った紛争も起こっているのだが、この世界はデュエルモンスターズで物事を決めることも多いので嘘は言っていない。

 

『なによこれ?トランプ?いえ、魔術の札にも見えないことはないけれど…そしてこれは、手甲かしら?』

 

不思議がるカミューラにデュエルモンスターズとデュエルの説明を行い、デッキが組めるように何枚かカードを渡す。ついでとばかりにコナミもカミューラに何枚かカードを渡していた。これでカミューラも一介のデュエリストだな。

 

『ちょうどそこにいい対戦相手が居るので、まずは彼と対戦してみましょうか』

 

『待ちなさい。私はまだ勝負を受けるとは言っていないわ!人間が私に命令しないで!』

 

『貴方の目的が何であれ、この時代を生きるのであれば、デュエルは出来た方がいいですよ』

 

『ふん。デュエルだろうがなんだろうが、私達誇り高きヴァンパイア一族が人間に後れを取ることはないわ!掛かってきなさい!』

 

何とか説得?出来たようだ。これでカミューラにデュエルをやってもらえることになった。

 

「待たせたなコナミ。じゃあ、カミューラの対戦相手になってやってくれ」

 

「おう!オレはわざわざそのためだけに付いてきたからな!長く生きているヴァンパイア一族とのデュエル!楽しみだな!」

 

コナミが早速デュエルディスクを構えようとするが、この洞窟はデュエルするには狭すぎるので、一度洞窟の外まで移動して洞窟の入り口付近デュエルすることになった、

 

~~~

 

洞窟を出ると既に日は暮れており、大きな丸い満月が辺りを照らしていた。この明るさなら懐中電灯は必要なさそうだ。

 

『月はいつの時代も変わらないわね』

 

『そうなんですか?』

 

『えぇ、月だけはあの頃の、ヴァンパイア一族の国に居た頃のままね』

 

昔の月とか見たことないからコメントに困るな。カミューラはさっきまでの険しい表情から穏やかな表情に変わり、懐かしそうにひとしきり月を眺めた後、再び険しい表情に戻った後、無言でコナミの対面に立つ。さぁ、デュエルが始まるな。

 

 

『人間が。蹴散らしてあげるわ!』

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

『「デュエル!』

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆カミューラ LP:4000、手札:5枚

 

 

『先攻は私が貰うわ!私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

カミューラ 手札:5→6枚。

 

『私は手札から永続魔法【ミイラの呼び声】を発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動と処理ができる。私は手札から【ヴァンパイア・ロード】を特殊召喚!』

カミューラ 手札:6→5→4枚。永続魔法:0→1

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイア・ロード ★5 ATK2000

 

『このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に存在する「ヴァンパイア・ロード」1体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。私は手札から【ヴァンパイアジェネシス】を特殊召喚!』

カミューラ 手札:4→3枚。

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

 

『私は手札から永続魔法【ジェネシス・クライシス】を発動!1ターンに1度、自分のデッキからアンデット族モンスター1体を手札に加える事ができる。自分フィールド上に「ヴァンパイアジェネシス」が存在しない場合、このカードと自分フィールドのアンデット族モンスターを全て破壊する。私はデッキから【ヴァンパイア・バッツ】を手札に加える!』※アニメオリジナルカード

カミューラ 手札:3→2→3枚。永続魔法:1→2

 

えっ、俺はそんなカード渡した覚えがないんだが…そのカードってアニメオリジナルカードだよな?何処から出したんだ?…あぁ、コナミが渡したのか。

 

『私は手札から【ヴァンパイア・バッツ】を召喚!このカードが破壊される場合、デッキから同名のカードを墓地へ送る事で破壊を無効にする事ができる。このカードがフィールド上に存在する限り、自分フィールド上の全てのアンデット族モンスターの攻撃力は200ポイントアップする!』※アニメオリジナルカード

カミューラ 手札:3→2枚。

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000 → 3200

ヴァンパイア・バッツ ★2 ATK800 → 1000

 

『私は伏せカードを1枚セットしてターンエンド!』

カミューラ 手札:2→1枚。

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:5枚

 

VS

 

◆カミューラ LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1、永続魔法:2

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3200

ヴァンパイア・バッツ ★2 ATK1000

 

 

最初の手札消費は激しかったが、この状態を上手く維持できれば毎ターンの蘇生の為の手札コストが用意できる。【ヴァンパイア・バッツ】は場持ちが良いし、もしフィールドが開いてしまっても【ミイラの呼び声】で上級モンスターをすぐに呼べる。もしあの伏せカードが【ヴァンパイアの支配】とかなら悪くない布陣だとは思う。

 

ただ、相手がコナミだからなぁ。アイツ、初心者相手でもトリシューラ並べる鬼畜野郎だからなぁ。

 

「オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。オレは自分のEXデッキの裏側表示のカード6枚をランダムに裏側表示で除外して2ドロー!」

コナミ 手札:6→5→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【隣の芝刈り】を発動!自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る!オレのデッキの残り枚数は52枚!そっちのデッキの残り枚数は33枚!その差分19枚を墓地に送る!」

コナミ 手札:7→6枚。

 

墓地に送れているのは…うわぁ、インフェルノイドじゃん。

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。オレはデッキからフィールド魔法【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】を手札に加える!」

コナミ 手札:6→5→6枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】を発動!フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできる。自分・相手のエンドフェイズに発動する。このターンにこのカードが表側表示で存在する状態でリリースされたモンスターの数まで、ターンプレイヤーのフィールドに「シャドウトークン」(悪魔族・闇・星3・攻/守1000)を可能な限り守備表示で特殊召喚する」

コナミ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1

 

「オレは手札から魔法カード【モンスターゲート】を発動!自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。残りのめくったカードは全て墓地へ送る!オレは【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】の効果で、そっちの【ヴァンパイアジェネシス】をリリースして効果発動!デッキからカードをめくる!………良し!通常召喚可能なモンスター、チューナーモンスターの【インフェルノイド・デカトロン】を特殊召喚し、その他にめくった6枚のカードを墓地に送る!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・デカトロン ★1 DEF200 ※チューナー

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイア・バッツ ★2 ATK1000

 

『くっ!私のフィールドから【ヴァンパイアジェネシス】が居なくなったことで、永続魔法【ジェネシス・クライシス】は自壊して自分フィールドのアンデット族モンスターを全て破壊するわ。でも、【ヴァンパイア・バッツ】はデッキから同名のカードを墓地へ送る事で破壊を無効にしたわ!』

カミューラ 永続魔法:2→1

 

「【インフェルノイド・デカトロン】が特殊召喚に成功したので効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「インフェルノイド・デカトロン」以外の「インフェルノイド」モンスター1体を墓地へ送る。このカードのレベルをそのモンスターのレベル分だけ上げ、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る」

 

「オレはデッキからレベル1【インフェルノイド・シャイターン】を墓地に送ってそのレベル分だけこのカードのレベルを上昇させ、更にその名前と効果を得る!」

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・デカトロン→インフェルノイド・シャイターン ★1→2 DEF200 ※チューナー

 

「【インフェルノイド・シャイターン】となった【インフェルノイド・デカトロン】の効果発動!1ターンに1度、フィールドにセットされたカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。この効果の発動に対して対象のカードを発動できない。そっちの伏せカードをデッキに戻してもらうぜ!」

 

『伏せカードのチェーン発動すら許さないなんて…!』

カミューラ 伏せカード:1→0

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター1体を除外した場合のみ手札から特殊召喚できる。オレは墓地から【インフェルノイド・アシュメダイ】を除外して、手札からレベル2【インフェルノイド・ベルゼブル】を特殊召喚!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・シャイターン ★2 DEF200 ※チューナー

インフェルノイド・ベルゼブル ★2 DEF2000

 

「【インフェルノイド・ベルゼブル】の効果発動!1ターンに1度、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。【ヴァンパイア・バッツ】には手札に戻ってもらうぜ!」

 

『これで私のフィールドにはモンスターが居ない…!』

カミューラ 手札:1→2

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター1体を除外した場合のみ手札から特殊召喚できる。オレは墓地から【インフェルノイド・ベルフェゴル】を除外してレベル4【インフェルノイド・アスタロス】」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・シャイターン ★2 DEF200 ※チューナー

インフェルノイド・ベルゼブル ★2 DEF2000

インフェルノイド・アスタロス ★4 ATK1800

 

「【インフェルノイド・アスタロス】の効果発動!1ターンに1度、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。永続魔法【ミイラの呼び声】を破壊させてもらう!」

 

『これで私のフィールドにはカードが無い…』

カミューラ 永続魔法:2→1

 

「オレはレベル2【インフェルノイド・ベルゼブル】とレベル4【インフェルノイド・アスタロス】にレベル2の【インフェルノイド・シャイターン】となっている【インフェルノイド・デカトロン】をチューニング!シンクロ召喚!出でよレベル8【PSYフレームロード・Ω】!」

 

<コナミのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

 

『これがシンクロ召喚というものなのね…』

 

「【PSYフレームロード・Ω】の効果発動!1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。手札を1枚除外させてもらうぜ!」

 

<コナミのフィールド>

モンスター無し

 

『この上、私の手札まで持っていこうなんて、強欲な人間ね!』

カミューラ 手札:2→1

 

除外された手札のカードは、フィールド魔法【不死の王国-ヘルヴァニア】。手札のアンデット族モンスター1体を墓地に送る事でフィールド上の全てのモンスターを破壊するが、この効果を発動したターンはモンスターを通常召喚する事はできなくなるという効果を持ったアニメオリジナルカードだな。本当に何処から出したのやら。

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター2体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。オレは墓地の【インフェルノイド・ルキフグス】と【インフェルノイド・ベルフェゴル】を除外し、墓地より【インフェルノイド・ヴァエル】を特殊召喚!

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・ヴァエル ★7 ATK2600

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター2体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。オレは墓地の【インフェルノイド・デカトロン】と【インフェルノイド・シャイターン】を除外し、墓地より【インフェルノイド・アドラメレク】を特殊召喚!

 

<コナミのフィールド>

インフェルノイド・ヴァエル ★7 ATK2600

インフェルノイド・アドラメレク ★8 ATK2800

 

「バトルだ!【インフェルノイド・ヴァエル】でダイレクトアタック!」

 

『あぁぁっ!』

カミューラ LP:4000 → 1400

 

「続けて攻撃だ【インフェルノイド・アドラメレク】でダイレクトアタック!」

 

『きゃぁぁぁぁぁっ!』

カミューラ LP:1400 → 0

 

 

『「対戦、ありがとうございました」』

 

 

~~~

 

デュエルが終わると、二人はデュエルディスクを片付けてこちらに歩いてくる。それにしても、今更だがお互い言葉が分からないのにデュエルなんて出来たな。この世界のデュエリスト特有の能力なんだろうか。

 

「楽しいデュエルだったな!」

 

「そりゃあお前はそうだろうな」

 

コナミは楽しいに笑っている。そりゃあ、あれだけ一方的に勝てれば楽しいだろうな。

 

『これがデュエル。話し合いや殺し合い以外で、勝敗を決める方法として覚えておいて損はないと思いますよ』

 

『今の時代ではこのような形で決闘するのね。確かに時代は変わったわ』

 

対するカミューラは少し悔しそうではあるが、落ち着いていた。

 

『そうだ。先ほどお渡ししたカードとデュエルディスクはそのまま差し上げますよ。そして、これらのカードも追加でお渡ししておきます』

 

『あら?気前がいいわね。貰っておいてあげるわ。…この黒いカードは、さっき説明していたエクシーズって言う種類のモンスターのカードね?』

 

『えぇ。今後、貴方がデュエルに慣れてきたら使いこなせるようになると思います』

 

俺はカミューラに先ほどまで渡していなかった残りのヴァンパイアカードを渡した。これでもし、カミューラが影丸理事長の誘いを断ったとしても、デュエルで決着をつけることになった場合なら何とか切り抜けられるようになるかも知れない。

 

『貴方たちは変わっているわ。わざわざこんなことまで教えて、何故ヴァンパイアの私に絡んでくるの?一体、何が狙いなの?』

 

『恐らく近いうちに、貴方の人間への復讐心を利用しようとする人間がやってきます。貴方が望む、人間を打倒してヴァンパイア一族を復活させる為の手伝いをさせてくれ、とね』

 

『…それで?その人間からの誘いを断れと言いたいのかしら?』

 

『その人間に協力するかしないかは貴方の自由意志ですが、その人間の言葉を鵜吞みにすることだけは止めて貰いたい。それだけですよ』

 

嘘である。実は、公式チートのコナミとデュエルすればなんやかんやでカミューラが人間への復讐を止めて、コナミと一緒にヴァンパイア一族を復活させるだけに行動するのでは?と思っただけだ。そうなればセブンスターズに参加することもなくなるだろうからな。

 

タッグフォースでそんなようなシナリオが存在していたので、案外うまくいくんじゃないかと期待していたのだが、ゲームのようにうまくは行かなかったみたいだ。これで三幻魔復活を阻止は出来ずとも邪魔くらいはできるかと思ったんだけどな~。

 

『ふん。人間は今でも憎いわ。でも、人間の中にも貴方たちのような変わり者が居ることだけは、覚えておくわ』

 

どうやら悪印象だけは与えずに済んだようだな。それでも敵対する可能性は低くはないんだけどさ。

 

『えぇ、ありがとうございます。…それで、これからどうするんですか?』

 

『誰かさんたちに起こされてしまったし、既に場所が知られている状態でもう一度眠りにつく気にもなれないし、今のこの時代を見て回ろうかと思っているわ』

 

『そうですか…』

 

『この時代を見て回ってみて、その上で誇り高きヴァンパイア一族の唯一の生き残りとして、どのような生き方をすべきか考えることにするわ』

 

これで影丸理事長がカミューラの居場所を特定することが出来なくなるといいけれど、難しいだろうな。

 

『じゃあね、白河クロト。貴方のお節介、悪くなかったわ。そして、赤羽コナミ。今日は、久し振りに楽しかったわ。またいずれデュエルしましょう?』

 

『えぇ、さようなら。今度会うときに、貴方が敵でないことを祈りますよ』

 

「おぉっ!なんだかよく分からないけど、じゃあな!」

 

そう言い残すとカミューラは闇夜に消えていった。残念。説得フェイズ、失敗である。そもそも説得になっていたのかも怪しいんだけどさ。

 

最悪の場合は強化版カミューラとアカデミアの人達が戦うことになってしまうかもな。そうなった場合は、カミューラには悪いが俺が倒すしかないかな…。




一話を挟むほどではなかったので、日常回を少し本編前に入れてみました。

カミューラのデッキは【ヴァンパイア】。まだセブンスターズに入っていないので、闇のアイテムも【幻魔の扉】のカードも持っていません。この時代のデッキとしては悪くはないのですが、相手が悪かったです。

対するコナミは【芝刈りインフェルノイド】です。シャドウ・ディストピアやディアボロス、悪魔嬢も搭載したデッキです。

カミューラが今後敵対するかどうかはまだ決めていませんが、敵対した場合はクロノス先生が人形にされる事態は避けられないでしょう。

※第七十二話の内容を少し追記しました。具体的には万丈目の【光と闇の竜】がオカルト的に強化されました。

次回の更新は2/17(水) AM7:00予定です。

荒魂マサカド様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十話 ネオスペーシアンズ

少し出番が早くなったネオスペーシアンたちの登場です。

ただ、どうやら様子がおかしい模様。

※『閃珖竜』と『琰魔竜』に関しては、機種依存文字を使用している為、ひらがな表記にしています。問題なさそうであればそのうち感じに変更します。


<クロト視点>

 

カミューラと別れ、チェックインしているホテルに向かう俺とコナミ。さっさと森から出たい俺はまっすぐ森の出口を目指していたが、ふとコナミが足を止めて空を見上げた。

 

「どうしたコナミ?」

 

「来る」

 

コナミはずっと空を見上げている。時間は既に深夜に差し掛かろうとしている。当然空は真っ暗で何も見えない、はずなんだが。

 

「えっ?何が?何も見えないが…」

 

「来た!」

 

コナミがそう叫んだ瞬間、俺とコナミの前方5メートル辺りに凄まじい速度で何かが空から降ってきた。隕石か!?その何かの着地の衝撃により砂塵が舞い上がって視界が塞がれ、更に小さな木の枝が無数に飛んで来ている上に衝撃により少し足を取られた。

 

『プチリュウ!突風を起こして砂塵を晴らしてくれ!』

 

『リューン!』

 

プチリュウの起こす突風により砂塵が晴れて地面の揺れが収まった頃に、空からの落下物の姿がようやく確認できた。

 

「やぁ、君たちが闇のデュエリストかい?」

 

「隠しても無駄だぜ?その体から溢れる闇の魔力が何よりの証拠だ」

 

森の中に半径5メートルはありそうなクレータが出来ており、その中心に居たのは、全身が白い人型の姿をした【N・グロー・モス】。そして、全体的に赤色で、頭が鳥で背中に白い羽根があり首から下が筋肉質の男性のような姿をした【N・エア・ハミングバード】。アニメGX中盤から遊城十代が使用するネオスデッキの『ネオスペーシアン』と呼ばれるモンスター群6体のうちの2体でカードの精霊だ。

 

共にあの衝撃の爆心地に居たにも拘らず彼ら2体の精霊は無傷であり、クレーターを昇って来て俺達の目の前まで歩いてきた。

 

ネオスペーシアン!?何故ネオスペーシアンここに!?まさか、自力で木星の衛星イオから脱出を!?…なんて言っている場合ではない。彼らの体からは正しき闇の力ではなく強烈な光の波動を感じるからだ。迅速にこの状態への理解を深めなければ命に関わるかも知れない。

 

「おい見ろよクロト!カードの精霊だぜ!しかも喋っているしこんなにはっきりと実体化している!初めて見るモンスターだな!」

 

コナミは嬉しそうだ。空から降ってきたカードの精霊に対して一切の驚きが見えない。対するネオスペーシアンたちもコナミの態度に少々困惑しているようだ。

 

コイツの強心臓は一体どうなっているんだろう?コイツを分解したら医学の進歩に大きく貢献できるんじゃないだろうか?メスの刃がコイツの体を切り裂けるのかは知らない。

 

「人に物を訪ねる時は、まず自己紹介をするものだぞ?」

 

彼らのことは知識としては知っているが、実際に出会うのは初めてなのでちゃんと確認しておきたい。

 

「そうだね。まずは自己紹介をしておこうか。ボクの名前は【N・グロー・モス】。ネオスペーシアンだ」

 

「オレの名前は【N・エア・ハミングバード】。同じくネオスペーシアンだ。ま、短い間になるだろうが、よろしくな」

 

「おぉ!オレはコナミ!こっちはクロトだ!」

 

「おい、勝手に人の名前をバラすな」

 

駄目だ。コナミが居るとシリアスになりきれない。どう見ても不味い状況なのに、どうしたものか。

 

「コナミにクロト。君たちは闇の魔力を秘めた闇のデュエリスト、そうだね?」

 

「違う」

 

【N・グロー・モス】が殆ど確信しているようにそんな質問をしてきたので否定しておいた。

 

コナミは知らないが、俺は『正しき闇の力を持つ者』でも『闇のアイテムを持つ闇のゲームを仕掛けるデュエリスト』でもない。後者は微妙に違うと言い切れないけどな。

 

「さっきも言ったが隠しても無駄だぜ?お前たちの体から常人とはかけ離れた光の波動ではない魔力を感じる。特に赤帽子。お前の魔力量は異常だ」

 

「失礼な鳥だな~」

 

【N・エア・ハミングバード】の言い分は正しい。自慢じゃないが、俺の魔力量は常人の100倍くらいはあるだろう。その俺の100倍以上の魔力をコナミは有している。自分で言っていて悲しくなるなぁ。

 

「やはり彼らの言った通りだ。君たちは危険だ。偵察だけのつもりだったけどここで排除しておこう」

 

「大人しく忌まわしい闇の魔力を捨て去れば光の波動を享受できたものを、馬鹿な奴らだぜ!」

 

そう言うと彼らは何処から取り出したかは不明だがデュエルディスクを構えた。どうやらやる気らしい。

 

「やるというのなら相手になる」

 

「おぉっ!デュエルか!オレもやるぜ!」

 

俺とコナミもデュエルディスクを構える。コナミが一緒に居る時に仕掛けて来てくれて運が良かった。こう言った本来の歴史では有り得ない未知の敵に対してメタを張ることが出来ないからな。ここは防御とサポートに徹して、攻撃はコナミに丸投げすることにしよう。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「ルールはタッグフォースルールを採用するよ。ボクと【N・エア・ハミングバード】、黒髪君と赤帽子君とでタッグだ」

 

「分かった」

 

「闇のデュエリストどもめ。オレたち光の使徒の正義の力で倒してやるぜ!」

 

「ヴァンパイア一族だけじゃなくて見たことも無いカードの精霊とのデュエルが出来るなんて、今日はなんて運の良い日だ!やっぱりクロトについて来て正解だったな!」

 

【N・グロー・モス】の提案に頷く。向こうの相棒【N・エア・ハミングバード】もやる気十分で、コナミはデュエルならいつでもやる気満々だ。

 

 

「「「「対戦、よろしくお願いいたします」」」」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000

白河クロト、手札:5枚

赤羽コナミ、手札:5枚

 

VS

 

◆N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:8000

N・エア・ハミングバード、手札:5枚

N・グロー・モス 手札:5枚

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

N・エア・ハミングバード 手札:5→6枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【ネオスペース】を発動!このカードがフィールド上に存在する限り、「E・HERO ネオス」及び「E・HERO ネオス」を融合素材とする融合モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。また、「E・HERO ネオス」を融合素材とする融合モンスターは、エンドフェイズ時にエクストラデッキに戻る効果を発動しなくてもよい!」

N・エア・ハミングバード 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1

 

「オレは手札から魔法カード【コンバート・コンタクト】を発動!自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。手札及びデッキから「N(ネオスペーシアン)」カードを1枚ずつ墓地へ送る。その後、自分はデッキから2枚ドローする。オレは手札とデッキからオレの分身【N・エア・ハミングバード】を墓地に送ってデッキから2枚ドローするぜ!」

N・エア・ハミングバード 手札:5→4→3→5枚。

 

「オレは手札から魔法カード【コクーン・パーティ】を発動!自分の墓地に存在する「N(ネオスペーシアン)」と名のついたモンスター1種類につき、「C(コクーン)」と名のついたモンスター1体を自分のデッキから特殊召喚する。オレの墓地には【N・エア・ハミングバード】が居る。よって1種類、1体のCモンスターを特殊召喚する!オレはデッキから【C・チッキー】を特殊召喚するぜ!」

N・エア・ハミングバード 手札:5→4枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

C・チッキー ★2 DEF400

 

「オレはフィールドの【C・チッキー】の効果発動!フィールド上に「ネオスペース」が存在する時、このカードを生け贄に捧げる事で手札またはデッキから「N・エア・ハミングバード」1体を特殊召喚する。オレはフィールドの【C・チッキー】リリース!デッキからオレの分身【N・エア・ハミングバード】を特殊召喚するぜ!」

N・エア・ハミングバード 手札:4→3枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

N・エア・ハミングバード ★3 DEF600

 

「オレはフィールドの【N・エア・ハミングバード】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分は相手の手札の数×500LPを回復する!お前の手札は5枚!よってオレ達のLPを2500回復するぜ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:8000 → 10500

 

先攻1ターン目で発動できると優秀な効果だよな。

 

「オレは手札から【ハンター・アウル】を召喚するぜ!自分フィールド上に表側表示で存在する風属性モンスター1体につき、このカードの攻撃力は500ポイントアップする。また、自分フィールド上に他の風属性モンスターが表側表示で存在する限り、相手はこのカードを攻撃対象に選択する事はできないぜ」

N・エア・ハミングバード 手札:3→2枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

N・エア・ハミングバード ★3 DEF600

ハンター・アウル ★4 ATK1000 → 2000

 

「オレはカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

N・エア・ハミングバード 手札:2→0枚。

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス 伏せカード:0→2枚

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000

白河クロト、手札:5枚

赤羽コナミ、手札:5枚

 

VS

 

◆N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:10500、フィールド魔法:1枚、伏せカード:2枚

N・エア・ハミングバード、手札:0枚

N・グロー・モス 手札:5枚

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

N・エア・ハミングバード ★3 DEF600

ハンター・アウル ★4 ATK2000

 

 

ネオスペーシアンと鳥獣族の混合デッキと言った感じだろうか。【鳥獣族】ならあの伏せカードは【ゴッドバードアタック】を警戒すべきだな。

 

「俺のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

【脆刃の剣】は引けなかったか。ならこのターンに仕留めきるのは難しそうだな。じゃあ後続のコナミの為にフィールドの整理をしておこうかな。

 

「俺は手札から魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、2つの効果から1つを選択して発動できる」

白河クロト 手札:6→5枚。

 

「俺は『相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する』効果を使用する。そちらのフィールド魔法と伏せカードは全て破壊させてもらう!」

 

「うぉっ!オレのフィールド魔法や伏せカードが全部破壊されちまった!?」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:10500、フィールド魔法:1→0枚、伏せカード:2→0枚

 

【ライトニング・ストーム】が通ってしまうとは思わなかったな。墓地に送られたカードは【ゴッドバードアタック】と【スワローズ・ネスト】か。鳥獣族の定番だな。

 

「俺は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。俺は手札の【ガスタ・グリフ】を墓地に送ってデッキからレベル1チューナーモンスター【ガスタ・イグル】を特殊召喚する!」」

白河クロト 手札:5→4→3枚。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ガスタ・イグル ★1 ATK200 ※チューナー

 

「【ガスタ・グリフ】が手札から墓地へ送られた場合、デッキから「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。「ガスタ・グリフ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。俺はデッキから【ガスタの疾風 リーズ】を特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ガスタ・イグル ★1 ATK200 ※チューナー

ガスタの疾風 リーズ ★5 ATK1900

 

「俺はレベル5【ガスタの疾風 リーズ】にレベル1【ガスタ・イグル】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル6!【ダイガスタ・スフィアード】!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

 

「【ダイガスタ・スフィアード】がシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたカード1枚を選択して手札に加える事ができる。俺は墓地から【ガスタ・イグル】を手札に加える」

白河クロト 手札:3→4枚。

 

「【ダイガスタ・スフィアード】の他の効果を説明しておく。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上の「ガスタ」と名のついたモンスターの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。また、このカードは戦闘では破壊されない」

 

「俺は手札からチューナーモンスター【ガスタ・ガルド】を召喚!」

白河クロト 手札:4→3枚。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ガスタ・ガルド ★3 ATK500 ※チューナー

 

「【ガスタ・ガルド】はフィールド上から墓地へ送られた時、デッキからレベル2以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる」

 

残念ながら、このモンスターの効果は『フィールド上から墓地へ送られた時』に発動するので、シンクロ素材やリリース等を行うと効果発動のタイミングを逃すのだが、【ダイガスタ・スフィアード】がフィールドに存在している場合はなかなか面白い動きが出来る。

 

「バトルフェイズに移行!【ダイガスタ・スフィアード】で【N・エア・ハミングバード】を攻撃!」

 

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

vs

N・エア・ハミングバード ★3 DEF600

 

「【N・エア・ハミングバード】を撃破!フィールドの風属性モンスターの数が減少したことで【ハンター・アウル】の攻撃力は500ダウンする」

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK2000 → 1500

 

これでフィールドの風属性は【ハンター・アウル】だけになったから、ようやく【ハンター・アウル】に攻撃できるな。

 

「だけど、お前のフィールドの残りのモンスターじゃあオレの【ハンター・アウル】の攻撃力には及ばないぜ!」

 

「それでいいんだよ。バトルフェイズを続行する。【ガスタ・ガルド】で【ハンター・アウル】に攻撃!」

 

「馬鹿な!攻撃力の低いモンスターで攻撃してくるだと!」

 

「そうか、そう言うことか!エア・ハミングバード、あのモンスターの攻撃を止めるんだ!」

 

「んなこといっても、オレの伏せカードは全部破壊されちまったから出来ねぇよ!」

 

ガスタ・ガルド ATK500

vs

ハンター・アウル ATK1500

 

「【ガスタ・ガルド】は戦闘破壊されるが、その戦闘ダメージは【ダイガスタ・スフィアード】の効果によりそちらが受ける」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:10500 → 9500

 

「【ガスタ・ガルド】がフィールド上から墓地へ送られた時、デッキからレベル2以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。俺はデッキからチューナーモンスター【ガスタ・イグル】を特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ガスタ・イグル ★1 ATK200 ※チューナー

 

「【ガスタ・イグル】が戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキからチューナー以外のレベル4以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる」

 

「ちぃっ!そう言うことか!…だが、この攻撃を防ぐ手段が無ぇ!」

 

「バトルフェイズを続行する。【ガスタ・イグル】で【ハンター・アウル】に攻撃!」

 

ガスタ・イグル ATK200

vs

ハンター・アウル ATK1500

 

「【ガスタ・イグル】は戦闘破壊されるが、その戦闘ダメージは【ダイガスタ・スフィアード】の効果によりそちらが受ける」

 

「うわぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:9500 → 8200

 

「【ガスタ・イグル】が戦闘によって破壊され墓地へ送られたので、デッキからチューナー以外のレベル4以下の「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。俺はデッキから【ガスタの巫女 ウィンダ】を特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ガスタの巫女 ウィンダ ★2 DEF400

 

「【ガスタの巫女 ウィンダ】が相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「ガスタ」と名のついたチューナー1体を特殊召喚できる」

 

このモンスターは『相手モンスターの攻撃によって』破壊されて墓地に送れた時に効果を発揮するので、先ほどの様に自爆特攻は出来ないんだよな。

 

「バトルフェイズを終了し、メインフェイズ2に移行。カードを2枚セットしてターンエンドだ」

白河クロト 手札:3→1枚。

白河クロト&赤羽コナミ 伏せカード:0→2枚

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000、伏せカード:2枚

白河クロト、手札:1枚

赤羽コナミ、手札:5枚

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ガスタの巫女 ウィンダ ★2 DEF400

 

VS

 

◆N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:8200、フィールド魔法:0枚、伏せカード:0枚

N・エア・ハミングバード、手札:0枚

N・グロー・モス 手札:5枚

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

 

 

「ボクのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

N・グロー・モス 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札からフィールド魔法【ネオスペース】を発動!」

N・グロー・モス 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1

 

またか。何であのカードで強化されるのはネオスだけなんだろう。素のステータスが貧弱なネオスペーシアン達の能力こそ底上げしておきたいと思うんだけどな。

 

「ボクは手札から【クロス・ポーター】を召喚!」

N・グロー・モス 手札:5→4枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

クロス・ポーター ★2 ATK400

 

「ボクはフィールドの【クロス・ポーター】の効果発動!自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターを墓地へ送り、手札から「N(ネオスペーシアン)」モンスター1体を特殊召喚する。ボクはフィールドの【クロス・ポーター】を対象とし、【クロス・ポーター】を墓地に送って手札からボクの分身【N・グロー・モス】を特殊召喚するよ!」

N・グロー・モス 手札:4→3枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

N・グロー・モス ★3 DEF900

 

「そして、ボクは墓地に送られた【クロス・ポーター】の効果発動!このカードが墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「N(ネオスペーシアン)」モンスター1体を手札に加える。ボクはデッキからボクの分身【N・グロー・モス】を手札に加えるよ!」

N・グロー・モス 手札:3→4枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。ボクはデッキからレベル4戦士族の【E・HERO アナザー・ネオス】を手札に加えるよ!」

N・グロー・モス 手札:4→3→4枚。

 

ネオスか。ネオスペーシアンが光の波動を浴びているのならば、当然ネオスもってことか。光の結社編を十代はネオスなしで挑むことになるのか?衛星ソーラの破壊とか大丈夫かなぁ。

 

ん?待てよ?アナザーネオス?普通のネオスじゃないのか?

 

「ボクは手札から魔法カード【融合】を発動!自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。ボクは手札のデュアルモンスター【E・HERO アナザー・ネオス】と【ギガプラント】を融合!レベル8【超合魔獣ラプテノス】を融合召喚するよ!」

N・グロー・モス 手札:4→3→1枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

N・グロー・モス ★3 DEF900

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

 

デュアルモンスター2体を素材とすることで融合召喚出来るモンスターだな。今はコイツよりも墓地の【ギガプラント】が少々厄介なモンスターだが、あの手札枚数や墓地状態を見る限りだと今はそれほど脅威でもないだろう。

 

「【超合魔獣ラプテノス】には、このモンスターがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドのデュアルモンスターはもう1度召喚された状態として扱う効果があるよ」

 

「更にボクは手札から魔法カード【NEX】を発動!分フィールド上に表側表示で存在する「N(ネオスペーシアン)」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、墓地へ送ったカードと同名カード扱いのレベル4モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。ボクはフィールドの【N・グロー・モス】を墓地に送り、EXデッキから【N・ティンクル・モス】を特殊召喚するよ!」

N・グロー・モス 手札:1→0枚。

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

N・ティンクル・モス ★4 ATK500

 

【N・ティンクル・モス】か。場に維持できればと言う前提の話だが、【NEX】前の素体とは違って戦闘を行う度に1ドローできる優秀なモンスターだ。

 

「【N・ティンクル・モス】の効果だけど、このカード名はルール上「N・グロー・モス」としても扱い、このカードは「NEX」の効果でのみ特殊召喚できるモンスターだ。このカードが戦闘を行う場合、自分はカードを1枚ドローして、この効果でドローしたカードをお互いに確認し、そのカードの種類により得る効果が変わるんだ。モンスターカードなら、このターンのバトルフェイズを終了させる。魔法カードなら、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。罠カードなら、このカードは守備表示になるという風にね」

 

「バトルだ!【N・ティンクル・モス】で【ガスタの巫女 ウィンダ】に攻撃!ティンクル・フラッシュ!」

N・グロー・モス 手札:0→1枚。

 

「慌てるな。バトルフェイズ開始時に伏せていた罠カード【風霊術-「雅」】発動!自分フィールドの風属性モンスター1体をリリースし、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを持ち主のデッキの一番下に戻す。俺は【ガスタの巫女 ウィンダ】をリリースし、【N・ティンクル・モス】を持ち主のデッキの一番下に戻す。だが【N・ティンクル・モス】はEXデッキのモンスターだ。なのでEXデッキに戻る」

白河クロト&赤羽コナミ LP:8000、伏せカード:2→1枚

 

「何だって!?」

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

 

この世界に来てからは俺も殆ど確認しないけど、今更ながらバトルに入る前にこちらにカード発動の有無を確認して欲しいよな。攻撃宣言前であれば【N・ティンクル・モス】の効果は発動しないから、このタイミングで発動させないと不味いんだよ。

 

「これは参ったね。これ以上攻撃してもそちらのフィールドのモンスターが入れ替わるだけみたいだし、ボクはこれでターンエンドだよ」

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000、伏せカード:1枚

白河クロト、手札:1枚

赤羽コナミ、手札:5枚

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

 

VS

 

◆N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:8200、フィールド魔法:1枚、伏せカード:0枚

N・エア・ハミングバード、手札:0枚

N・グロー・モス 手札:0枚

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

 

 

こいつ等、大して強くないな。さっきのターンでもう少し強気に攻めても良かったかもしれない。だけどその必要もないか。次のターンはコナミだしな。

 

「コナミ、あとは頼むぞ。残りの伏せカードはお前も使えるカードだろうから、上手い具合に使ってくれ」

 

「任せとけ。別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」

 

「いきなり不安になるからそのセリフは止めてくれ」

 

「オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

赤羽コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【調和の宝札】を発動!手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。オレは手札の【ドラグニティ-アキュリス】を墓地に送ってデッキから2枚ドロー!」

赤羽コナミ 手札:6→5→4→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【ドラグニティ・グロー】を発動!1ターンに1度、自分のデッキ・墓地からレベル5以上の「ドラグニティ」モンスター1体を選んで手札に加える。オレはデッキからレベル8【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】を手札に加える!」

赤羽コナミ 手札:6→5→6枚。

 

「オレは手札から【ドラグニティ-レムス】を墓地に送って効果発動!1ターンに1度、デッキから「竜の渓谷」1枚を手札に加える!」

赤羽コナミ 手札:6→5→6枚。

 

「そしてオレは手札からフィールド魔法【竜の渓谷】を発動!」

赤羽コナミ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1

 

「1ターンに1度、手札を1枚捨て、【竜の渓谷】の効果発動!デッキからレベル4以下の「ドラグニティ」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキから【ドラグニティ-レガトゥス】を手札に加える!」

赤羽コナミ 手札:5→4→5枚。

 

墓地に送ったのは【ドラグニティ-ファランクス】か。良い感じにデッキが回っているみたいだな。

 

「自分フィールドに「ドラグニティ」モンスターまたは「竜の渓谷」が存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。オレは手札から【ドラグニティ-レガトゥス】を特殊召喚!」

赤羽コナミ 手札:5→4枚。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティ-レガトゥス ★4 ATK1800

 

 

 

 

「1ターンに1度、自分フィールドに「ドラグニティ」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。オレは墓地からチューナーモンスター【ドラグニティ-レムス】を特殊召喚!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティ-レガトゥス ★4 ATK1800

ドラグニティ-レムス ★2 DEF800 ※チューナー

 

「ただし、この効果で特殊召喚した【ドラグニティ-レムス】は、フィールドから離れた場合に除外され、このターン中はオレはドラゴン族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できなくなる」

 

「オレはレベル4【ドラグニティ-レガトゥス】にレベル2【ドラグニティ-レムス】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル6!【ドラグニティナイト-ガジャルグ】!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

 

「【ドラグニティ-レムス】はフィールドから離れたので除外される」

 

「オレは【ドラグニティナイト-ガジャルグ】の効果発動!1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル4以下の、ドラゴン族または鳥獣族のモンスター1体を手札に加える。その後、手札からドラゴン族または鳥獣族のモンスター1体を選んで捨てる。オレはデッキから【BF-精鋭のゼピュロス】を手札に加え、【BF-精鋭のゼピュロス】を墓地に送る!」

赤羽コナミ 手札:4→5→4枚。

 

「墓地の【BF-精鋭のゼピュロス】の効果発動!このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ダメージを受ける。オレは自分フィールドの表側表示のカード【竜の渓谷】を手札に戻し、墓地の【BF-精鋭のゼピュロス】を特殊召喚して400LPダメージを受ける!」

白河クロト&赤羽コナミ LP:8000→7600、手札:4→5枚。フィールド魔法:1→0枚

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

 

「そしてオレは手札からもう一度フィールド魔法【竜の渓谷】を発動して効果を使用する!手札を1枚捨て、【竜の渓谷】の効果発動!デッキからレベル4以下の「ドラグニティ」モンスター1体を手札に加える。オレはデッキからチューナーモンスター【ドラグニティ-クーゼ】を手札に加える!」

赤羽コナミ 手札:4→3→2→3枚。フィールド魔法:0→1枚

 

墓地に送ったのはさっきサーチしていた【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】か。

 

「オレはこのターン、まだ通常召喚をしていない。オレは手札からチューナーモンスター【ドラグニティ-クーゼ】を召喚!フィールドのこのカードをS素材とする場合、このカードのレベルを4として扱う事ができる!」

赤羽コナミ 手札:3→2枚。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

ドラグニティ-クーゼ ★2 ATK1000 ※チューナー。S素材時、レベル4としても扱える。

 

「オレはレベル4【BF-精鋭のゼピュロス】にレベル4として扱う【ドラグニティ-クーゼ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル8!【ドラグニティナイト-バルーチャ】!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-バルーチャ ★8 ATK2000

 

「オレは【ドラグニティナイト-バルーチャ】の効果発動!このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のドラゴン族の「ドラグニティ」モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。オレは墓地の【ドラグニティ-クーゼ】と【ドラグニティ-ファランクス】をこのカードに装備する!」

 

「【ドラグニティナイト-バルーチャ】に装備されている【ドラグニティ-クーゼ】の効果発動!このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。装備されているこのカードを特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-バルーチャ ★8 ATK2000

ドラグニティ-クーゼ ★2 ATK1000 ※チューナー。S素材時、レベル4としても扱える。

 

「【ドラグニティナイト-バルーチャ】に装備されている【ドラグニティ-ファランクス】の効果発動!1ターンに1度、このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。装備されているこのカードを特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

ダイガスタ・スフィアード ★6 ATK2000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-バルーチャ ★8 ATK2000

ドラグニティ-クーゼ ★2 ATK1000 ※チューナー。S素材時、レベル4としても扱える。

ドラグニティ-ファランクス ★2 DEF1100 ※チューナー

 

「オレはレベル6【ダイガスタ・スフィアード】にレベル2【ドラグニティ-ファランクス】をチューニング!漆黒の闇を裂き天地を焼き尽くす孤高の絶対なる王者よ!!万物を睥睨しその猛威を振るえ!!シンクロ召喚!現れよレベル8!【琰魔竜 レッド・デーモン】!」

 

【レッド・デーモンズ・ドラゴン】の亜種である黒竜がフィールドに降り立つ。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-バルーチャ ★8 ATK2000

ドラグニティ-クーゼ ★2 ATK1000 ※チューナー。S素材時、レベル4としても扱える。

 

「オレはレベル8【ドラグニティナイト-バルーチャ】にレベル2【ドラグニティ-クーゼ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル10!【ドラグニティナイト-アラドヴァル】!」

 

複数の翼を持つ風の龍とその背に跨る竜騎士がフィールドに現れる。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-アラドヴァル ★10 ATK3300

 

「【ドラグニティナイト-アラドヴァル】の効果を説明しておくぞ!相手がモンスターの効果を発動した時、自分の墓地から「ドラグニティ」モンスター1体を除外して発動できる。その発動を無効にし除外する。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したダメージ計算後に発動できる。その相手モンスターを除外する。S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

 

「ここでリバースカードオープン!罠カード【戦線復帰】を発動!自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。オレは墓地の【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】を特殊召喚!」

白河クロト&赤羽コナミ 伏せカード:1→0枚

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-アラドヴァル ★10 ATK3300

ドラグニティアームズ-レヴァテイン ★8 ATK2600

 

ここであの伏せカードを使うのか。コナミは完全にこのターンで決着をつける気だな。

 

「【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、「ドラグニティアームズ-レヴァテイン」以外の自分の墓地のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのドラゴン族モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。オレは墓地の【ドラグニティ-クーゼ】をこのカードに装備する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-アラドヴァル ★10 ATK3300

ドラグニティアームズ-レヴァテイン ★8 ATK2600

 

「【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】に装備されている【ドラグニティ-クーゼ】の効果発動!装備されているこのカードを特殊召喚する!」

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-アラドヴァル ★10 ATK3300

ドラグニティアームズ-レヴァテイン ★8 ATK2600

ドラグニティ-クーゼ ★2 ATK1000 ※チューナー。S素材時、レベル4としても扱える。

 

「オレはレベル8【ドラグニティアームズ-レヴァテイン】にレベル2【ドラグニティ-クーゼ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル10!【ドラグニティナイト-アスカロン】!」

 

幾多の翼を持つ風の金龍とその背に跨る竜騎士がフィールドに現れる。

 

<白河クロト&赤羽コナミのフィールド>

琰魔竜 レッド・デーモン ★8 ATK3000

ドラグニティナイト-ガジャルグ ★6 ATK2400

ドラグニティナイト-アラドヴァル ★10 ATK3300

ドラグニティナイト-アスカロン ★10 ATK3300

 

「【ドラグニティナイト-アスカロン】の効果を説明しておくぞ!自分の墓地から「ドラグニティ」モンスター1体を除外し、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。1ターンに1度、S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。EXデッキから攻撃力3000以下の「ドラグニティ」Sモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する」

 

そろそろオーバーキルだから、その辺で止めてあげて欲しい。エア・ハミングバードもグロー・モスも、さっきから開いた口が塞がっていないからな。

 

「【ドラグニティナイト-アスカロン】の効果発動!自分の墓地から「ドラグニティ」モンスター1体を除外し、相手フィールドのモンスター1体を対象とし、そのモンスターを除外する!オレは墓地の【ドラグニティ-レガトゥス】を除外して、そっちの【超合魔獣ラプテノス】を除外する!」

 

<N・エア・ハミングバード&N・グロー・モスのフィールド>

ハンター・アウル ★4 ATK1500

 

「エア・ハミングバード…。ボクは、どうすれば…」

 

「オ、オレに聞くなよ…」

 

「バトルだ!【ドラグニティナイト-アラドヴァル】で【ハンター・アウル】に攻撃!竜騎鉾牙突!!」

 

ドラグニティナイト-アラドヴァル ATK3300

vs

ハンター・アウル ATK1500

 

「うわぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:8200 → 6400

 

「そしてダメージ計算後、【ドラグニティナイト-アラドヴァル】の効果により【ハンター・アウル】は除外されるな」

 

「そうだな。そしてバトルはまだまだこれからだ!【ドラグニティナイト-ガジャルグ】でダイレクトアタック!」

 

ドラグニティナイト-ガジャルグ ATK2400

 

「あぁぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:6400 → 4000

 

「追撃だ!【ドラグニティナイト-アスカロン】でダイレクトアタック!」

 

ドラグニティナイト-アスカロン ATK3300

 

「わぁぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:4000 → 700

 

「これで終わりだ!【琰魔竜 レッド・デーモン】でダイレクトアタック!アブソリュート・ヘル・ジャッジ!!」

 

えん魔竜 レッド・デーモン ATK3000

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

N・エア・ハミングバード&N・グロー・モス LP:700 → 0

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

「オレ達が負けた…」

 

「手も足もでなかったね…」

 

やはりコナミがタッグパートナーだと心強いな。そのドラグニティデッキをこの時代の何処から入手したかは聞かない方がいいんだろうなぁ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わると、対戦相手だった2体は満身創痍の状態だった。俺達はダメージを殆ど受けなかったから分かりづらかったが、どうやら闇のデュエルだったらしい。破滅の光なのに闇のデュエル?細かいことは気にしてはいけない。いいね?

 

「ぐっ、流石だね。彼らが警戒するだけのことあるよ」

 

「忌々しい闇の力め!」

 

そう悪態をつく2体。何故俺に言うんだ?ダメージの文句ならコナミの方にして欲しい。

 

「でも、どうやらネオスは君たちの所に逃げたわけじゃなさそうだね」

 

「あぁ、コイツらからは奴の力は一切感じられない。恐らくは…」

 

何やら不穏な単語が聞こえてくる。コナミが近くに居る今が好機だろう。ここで取り押さえて情報を引き出すべきだな。

 

「疲労しているところを悪いが拘束させてもらうぞ」

 

「いや、ここは引かせてもらうよ!」

 

「何っ!?」

 

拘束魔術を展開する直前、N・グロー・モスの体が光り輝き視界が奪われる。咄嗟に拘束魔術の展開を解除して魔力障壁に切り替えて展開し、後に来るであろう衝撃に備える。

 

「うおっ!まぶしっ!」

 

光の波動の奔流が辺りを包み込む。魔力障壁に少なくない衝撃が加わっているが、どうやら障壁を超えるほどでは無さそうだ。コナミは眩しがっているだけだしな。

 

「奴らは、逃げられたか」

 

光が収まる頃には2体のネオスペーシアンの姿は何処にもなかった。話し振りからするとネオスとは袂を分かっていて行方を捜しているようだったな。

 

彼らの黒幕であろう『彼ら』と言うのも気になる。破滅の光の影響を受けていそうなのは斎王かユベルくらいだろうが、どちらもアニメ原作ではネオスペーシアンの協力を得た十代が撃退している。それが逆に敵に回るとなると…この先はあまり考えたくないな。

 

「おっ、カードが落ちてるぞ。ラッキー!」

 

そんなことを考えていると、コナミがあのネオスペーシアンたちが落としていったであろうカードを拾っていた。そのカード達にはかなりの破滅の光の力を感じた気がしたが、コナミがカードに付いた汚れをふき取る動作と共にその力は跡形もなく消滅していた。俺はもう考えるのを止めた。

 

「【ダンディライオン】、【星見獣ガリス】、【星見鳥ラリス】か。って何だこれ?子供の書いたカードサイズのサイン色紙が一緒に落ちているな。『遊城十代』?」

 

ネオスペーシアン達と一緒に宇宙に飛ばされていたカードか。【星見獣ガリス】と【星見鳥ラリス】が一緒に飛ばされていたかは知らないが、遊城十代のサイン色紙なんかは同封されていなかったはずだ。色々と原作と食い違う部分があるな。

 

「恐らくその『遊城十代』と言う子供の落とし物なんだろう。縁があってお前が会うことがあればお前の手で返してやればいいさ」

 

「そうだな。本来の持ち主に帰すその時まではオレが保管しておこうかな」

 

この世界では【星見獣ガリス】と【星見鳥ラリス】は既に量産されているのでコナミも持っている。

 

【ダンディライオン】も原作だと十代以外にも所持者が居たから量産されていたんだろうが、この世界では俺がペガサス会長に前世のリミット・レギュレーションの話をした時に話題になって【ダンディライオン】だけは量産されていないはずだ。

 

「ところで、このパトカーのサイレンみたいな音はなんだ?」

 

「この国のパトカーのサイレンだろう。事情を知らない人間から見れば隕石が落ちてきたような物だからな」

 

気が付けば遠くから日本のパトカーとは少し異なるが、パトカーのサイレンっぽい音が聞こえてきた。ここに長居は無用だろう。

 

「じゃ、面倒に巻き込まれないうちに逃げるか」

 

「そうだな。合流先はホテル前で良いな?」

 

「OK。じゃあまたあとで~」

 

そう言ってコナミは走り出す。その姿は一瞬で見えなくなり、一陣の風の様だった。さて、俺もメカレオンに頼んで姿を消した後はさっさとこの場所から退散するとしよう。

 

~~~

 

<???視点>

 

『ユベル!今、この星の遠くの方でネオスペーシアン達の力を感じた!』

 

『ネオス。十代は今は授業中なんだ。そんな分かりきったことで騒ぐのは止めてくれないか?」

 

遊城十代が通う中学校の教室で、ユベルとネオスは話し合っていた。十代は授業中にも関わらず居眠りをしていたので彼らの会話に気付いていない。そして、カードの精霊である彼らを認識できる人間はこの教室に遊城十代しかいない為、周囲に彼らの話を聞いている者はいない。

 

『どうやら2人ほどがこの地球にやってきていたみたいだね。人間の誰かと交戦していたような波動を感じたよ』

 

『今の彼らは正しき闇の力と破滅の光の力を両方兼ね備える存在。悔しいが今の私では彼らに太刀打ちできないだろう。そんな彼らを相手取るなんて一体何者なんだ?』

 

『片方の魔力には覚えがある。恐らくは【ダンディライオン】を所持するハノイの騎士。もう片方の膨大な魔力の持ち主の正体は分からないな。こちらの人間には本来の力のボクよりも強力な力を感じる』 

 

ハノイの騎士は魔力のON/OFFが上達したらしく、最近はなかなか感知することが出来なかったが、破滅の光との戦闘では魔力を隠しきることが出来なかったようだ。そしてもう片方の魔力は強大すぎてこちらの認識を超えている為に感知できない。どちらも厄介だが、敵に回したくないのは当然後者だ。

 

『破滅の光以外にもそんな存在が居るとは、数年ぶりの地球だが随分と様変わりしたようだな』

 

『それについては同感だね。けれど、どんな存在だろうと十代の邪魔をするなら容赦はしないよ』

 

『もちろんだ。正しき闇の力を持つ者、遊城十代を守り助けて共に戦うことが私の使命だからな!』

 

『それはボクの役目だよ。新参者があまり大きな顔をしないで欲しいな?』

 

使命に燃えるネオスのセリフを聞いてユベルが彼を睨みつける。両者の目的は合致しているが、それぞれの仲はあまり良くないようだった。




ユベルが味方側?なら、ネオスペーシアン達は敵側でしょ。と思って、ネオスペーシアン達には破滅の光の中で日光浴してもらいました。ですが、ネオスは立派な光属性になるチャンスを逃してしまったようです。

エア・ハミングバードのデッキは【鳥獣族&ネオス】、グロー・モスのデッキは【植物族&ネオス】です。偵察が主な目的だった上に破滅の光がまだなじんでいない為、今はそこまで強くありません。ネオス本体には逃げられてしまったのでアナザーネオスを使用しています。

オリ主のデッキは【ガスタ】、コナミのデッキは【ドラグニティ】です。先攻でオリ主が防御しつつ盤面を整えて、後攻のコナミが殲滅する戦術を取りましたが、恐らくコナミ一人でも倒せたでしょう。

次回の更新は2/20(土) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、荒魂マサカド様、戦車様、ストロー様、タカツアザラシ様、attribute様、タツタ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十一話 氷室仁

進捗報告&久し振りの適当な大会戦。

今回の相手はアニメ5D'sに出てきた氷室です。


今日は中学三年生の梅雨も過ぎ、夏休みも間近となった7月の休日。

 

俺は海馬コーポレーション本社の応接室で高級なソファーに座り、同じく対面のソファーに座った海馬モクバ副社長に会っていた。異世界のカードの情報を渡す代わりにある調査を依頼していて、今日はその結果を聞きに来たのだ。

 

「待たせたなクロト。早速用件に入ろうか」

 

「えぇ。それで、どうでした?約1年前に行方不明になった天上院吹雪と言う生徒は見つかりましたか?」

 

俺がそう言うと、モクバ副社長は難しい表情を作った。この表情を見る限り、結果は芳しくないようだ。

 

「結論から言うと、何も分からなかった。済まないな」

 

「いえ。ある程度は予想していたことなので大丈夫です。詳しく窺ってもよろしいですか?」

 

「あぁ、この資料を見てくれ。これがここ数年のデュエルアカデミア本校の入学生と卒業生の名簿で、こっちがアカデミアの船着場の入港と出港の記録だ」

 

モクバ副社長が応接室に備えられているスクリーンにいくつかのグラフが表示され、モクバ社長が手元のレーザーポインターでグラフを指し示す。

 

「これを見て分かる通り、天上院吹雪と言う生徒がアカデミア本校に出入りしている船に乗って島の外に出た記録はない」

 

「では、彼はまだ島の中にいる可能性が高いということですね?」

 

「恐らくはそうだろう。もしくは、いや止めておこう」

 

言いかけたセリフは、もしくは既に死亡していて死体が処理されている可能性が高い。辺りかな?他の生徒はともかく、天上院吹雪に関してはその部分は大丈夫だと思う。

 

太平洋の孤島に設立された全寮・寄宿制のデュエリスト養成学校なんて、用事でもない限り行くことが無いだろうから捜索とか難航したんだろうな。アカデミアに常駐している警備員とか居ないんだろうか。あの出番の少ない上に役に立たなさそうなアカデミア倫理委員会がそれにあたるのかな?

 

「そして、今回の調査の際に、明らかに入学生の数に対して実際に卒業した生徒の数が少なすぎることが判明した」

 

「デュエルアカデミアにはいくつか姉妹校がありましたよね?そちらに移籍した可能性はないんですか?」

 

「その実例はあるが、これだけの人数が一度に移籍することは有り得ない。また卒業できずに退学者となる者も居るが、その人数を考慮しても数が合わないんだ」

 

「本校の校長や理事長に問い合わせてみたんですよね?」

 

「もちろんだ。だが彼らからの回答は、『行方不明とされている学生は皆が海外留学していて、留学先で行方不明になった』の一点張りだ」

 

「良くそれで話が済みますね。仮にも親御さんから預かった大切な未成年の生徒でしょうに…」

 

「それに関しては返す言葉も無いな。これは言い訳になってしまうが、アカデミアのオーナーの兄様、もとい海馬瀬人社長はアカデミアの運営は各校長に全て委任していたからな。オレも別件の仕事をメインでやっていたからアカデミアに関しては殆ど関わっていなかった。今までは彼らの報告以外に情報が無かったのが現状だ」

 

何ともお粗末な話だと思う。習熟度別学習による制度を取り入れたりしてある程度の方針はあらかじめ決めていたみたいだけど、その後の対応が適当過ぎない?

 

「それに、どうやら海馬コーポレーションへ提出されている報告書には巧妙に偽造が施されていたようだ。恐らくこの偽装には校長か理事長辺りが絡んでいるだろう。だが、現状だと物的証拠がない」

 

「もどかしいですね。やはり証拠が無いと彼らを解任することは出来ないんですか?」

 

「校長はともかく、あの影山理事長は各界に影響力を備えた大物だ。海馬コーポレーションの影響力を以てしても、現状では難しいだろうな」

 

「そうですか…」

 

どうやら思っていた以上にデュエルアカデミアは治外法権の場所なようだ。数十人単位で未成年が行方不明とか、ハートランドシティでの事件と同レベルでヤバイ内容だと思うんだけどなぁ。

 

「ともかく、この件に関してはこちらでもう少し調査を進めておく。またオカルト案件になりそうな場合はクロトの力を借りることになるかも知れないな」

 

「その時はもちろん協力させてもらいますよ」

 

「済まないな」

 

モクバ副社長は深々とソファーに身を委ね、ため息をつきながら苦笑いをしている。あの海馬瀬人のフォローをし続けてきたこの人の能力を疑うことは有り得ないが、流石に心労は溜まってきているようだな。

 

「そうそう。お前に提案されていた、アカデミアの補修授業制度の件については少し前にアカデミア本校で採用されたそうだぞ」

 

「ホントですか?それはありがたい話ですね」

 

個人的には俺以外の生徒がどうなろうと知ったことではないのだが、以前モクバ副社長やI2社のペガサス会長と会談した時に、話の流れでデュエルアカデミアの改善案を聞かれたことがあった。

 

その時に『習熟度別学習自体がイマイチ』だとか『出来る人間と出来ない人間を同じ部屋で同時に教えること自体が非効率』だとか『レッド寮の扱いは児童虐待に当たるのでは?』だとか、ついついボロクソに言いまくったことがあった。

 

さっきも話にあったが、アカデミアの運営は各校長に全て委任している為、成果を出している限りはオーナーである海馬コーポレーションはその運営方針に口出しできないらしい。この世界に下請法のようなまともな法律があることが驚きだった。

 

だが、提案くらいは出来るらしく、それなら『学習意欲のある学生には、申請さえすれば通常の授業以外に補修を受けられる制度を作ってはどうか?』と伝えてみたところ、どうやら採用されたらしい。

 

そもそも、デュエルと言う専門知識を教える学校なんだから、一応、入学試験と言うボーダーラインはあるが、中学生時点から入学している学生と高校生から入学した学生で習熟度に差があることは明白だ。それらを全員纏めて同じ授業を行うことがどうかしている。極端な言い方だが、小学生と高校生を同じ部屋に入れて中学生クラスの授業をするようなものだと思う。

 

その入学時点での知識不足を補うために、補修授業をやればいいんじゃね?を提案したわけだが、よくこんな素人意見が通ったな。アカデミアは本格的に適当な場所なのだと改めて実感した。

 

「これで生徒の質が上がってくれればいいんだがな」

 

モクバ副社長はそう言葉を漏らすが、それは恐らく無理だ。モクバ副社長も内心は気付いていると思う。デュエルアカデミアの大半の生徒や教師にはそもそもそのやる気が無いからな。こんな改善じゃ全然足りないだろう。

 

アニメ開始時点では、エリート意識だけが高くて大した実力も無いブルー生徒、なぁなぁで生きているくせに妙にレッド生徒を見下すイエロー生徒、上昇意識が無くやる気がないレッド生徒、ブルー生徒などの一部生徒だけを優遇する教師陣、やる気はあるように見えるけどはっきり言って校長としては無能な鮫島、セブンスターズ編の元凶である理事長の影丸。と言うのが俺の印象だ。

 

もちろんあくまで俺個人の印象なので、これらに該当しない人間も居るだろう。だが、遊城十代による意識改革が無ければずっとこんな感じだったんだろうな。遊城十代自体も真面目で他の生徒の目標となる生徒とは言い難いけどさ。

 

「モクバ副社長。今日はお時間を取っていただきましてありがとうございました」

 

「いや、こちらこそ力になれなくて済まなかったな」

 

俺のような若輩者に大人の対応をするモクバ副社長。高身長のイケメンで頭脳明晰で性格も良くなって海馬コーポレーションの副社長とか無敵かよ。

 

「そう言えば、とうとうハートランドシティで起こった事件で残っていた問題に解決方法が見いだせたんだろ?」

 

「えぇ。彼ならば破滅の光が宿った【パラサイト・フュージョナー】の対処と、それによって洗脳された被害者たちの治療が出来ることは既に確認済みです。今、LDSの赤馬社長に治療できた洗脳被害者以外の被害者たちを1か所に集めるよう動いてもらっているところです」

 

一見何の問題も無いようにしか見えない洗脳被害者たち全員をいつまでも隔離施設に入れておくわけにも行かず、監視付きと言う条件で彼女たちには日常生活に戻って貰っている。被害者は日本人だけでなく海外の少女たちも大勢いて、1か所に集めるとなると時間がかかるとのことらしい。

 

一応コナミにも日常があるのでアイツの意思を無視して世界各地に飛んでもらうわけにはいかないからな。そもそもコナミが最初から破滅の光の件について自分の能力を自己報告をしてくれていればもう少し早くこの事件は終息したんだが、アイツはデュエルが絡まないと俺以上にドライなところがあるし、アイツにそんな感情を求めるのは無駄かな。

 

ちなみに日本に居た被害者の少女や榊遊勝、Dr.ドクトルの洗脳解除は完了している。念のため、少女たちの監視はしばらく続くそうだが時期を見て監視は解除されるらしい。

 

そして、他の人間よりも洗脳時期が長かった為か、榊遊勝とDr.ドクトルは洗脳解除後に昏睡状態に陥っている。身体機能には異常は見られないそうなのでいずれは意識を取り戻すことだろう。

 

洗脳が解除できたので、既に舞網市での事件における榊遊勝についての行動は『洗脳されていて彼自身の意思で行ったわけではない。彼も被害者の一人である』と言う事実が公表されている。後は彼自身が公の場に出て話が出来ればあの事件から彼に付きまとっていた悪評も落ち着くはずだ。ドクトル?アイツはもうお日様の下に出ることは二度とないよ。

 

赤馬零児もようやく大手を振って榊遊勝や彼の家族に対するフォローが出来るようになると喜んでいた。俺?知らん。管轄外だ。そこまで親しくも無い彼らに俺がこれ以上何かをするつもりはない。洗脳解除方法を見つけてきただけでも十分貢献しているだろうしな。

 

「そうか。やっとあの陰鬱な事件にも終わりが見えるんだな。良かった」

 

「はい。本当に」

 

結局その日はその後に大きな進展もなくモクバ副社長との話し合いは終わった。

 

~~~

 

翌日の休日、俺は久し振りにデュエル大会にバリアンスタイルで参加していた。ただ、正直今回に限ってはあまり乗り気ではない。だが、スポンサーの要望でね…。

 

「これより決勝戦を開始いたします。両選手は対戦コートの内側へお入り下さい」

 

対戦コートに入り、対戦相手の顔が見えるようになる。あれは、見覚えが有るような無いような、誰だっけ?あのポケ〇ンのハリ〇センみたいな頭、誰だっけ?牛鬼とか使ってきそうな顔だよな。

 

「オレにデュエルを挑むとは、自分がどれほど身の程知らずか思い知るんだな!」

 

あ、思い出したわ。コイツ、多分アニメ5D'sに出てくる氷室の若い時の姿だ。今の俺と同年代っぽいから全然気づかなかったな。

 

「両者とも準備はよろしいでしょうか!それでは決勝戦、開始して下さい」

 

大会実況者の一声の後、デュエルが開始される!会場内の観客のテンションは上がり、多くの歓声が聞こえ始め、盛り上がりを見せる。

 

このタイミングでやっておくか。俺はマントから手を出して天にかざし、高らかに叫ぶ!

 

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

「「「!?」」」

 

俺の周囲をまばゆい光が包み込み、胡散臭い『バリアン』共通の姿から、とあるバリアンの姿へと変化していく…!さぁ、威風堂々と名乗りを上げよう!

 

「灼熱の太陽すら瞬間凍結、氷の剣!メラグ!」

 

胸の中央に付けた赤の宝石を青白く輝かせ、自然体を作る。我ながらなかなかのメラグポーズの再現である。宝石の光が収まる頃には、俺は白いドレスの様な衣装に青紫の長髪の女性型バリアン、メラグの姿になっている。やはり、会場はシーンとしてしまった。

 

あぁ、とうとうやってしまった。大衆の面前で女装とか、人間として何かを失ってしまった気がする。でも仕方ないんだ。大会に出る度に別のバリアンで変身を決めることを、強いられているんだ!

 

「なんだ、あれ」

 

氷室らしき青年は呆然としている。そりゃそうだわ。俺だっていきなりこんなのが出てきたらビビる。

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

「あ、あぁ。対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆メラグ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆氷室仁 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

氷室仁 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。オレはEXデッキから6枚を裏側表示で除外してデッキから2枚ドローする!」

氷室仁 手札:6→5→7枚。

 

ネームドキャラクターなら準レギュラークラスで無くとも初手壺を引き込めるドロー力があるのか?羨ましい。だが俺も最近は5回に1回くらいなら初手に引き込めるようになってきた。昔の俺は【強欲な壺】と【天使の施し】各3積みなのに全てデッキボトムだったりとかザラだったしな!我ながら成長してこの世界に順応出来てき始めていると思う。

 

「オレは手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動!デッキからレベル5以上の通常モンスター1体を手札に加える。オレはデッキからレベル6の通常モンスター【牛鬼】を手札に加えるぜ!」

氷室仁 手札:7→6→7枚。

 

「オレは手札から【地雷蜘蛛】を召喚!」

氷室仁 手札:7→6枚。

 

「【地雷蜘蛛】の攻撃宣言時、コイントスで裏表を当てる。当たりの場合はそのまま攻撃する。ハズレの場合は自分のライフポイントを半分失い攻撃する効果を持つぞ!」

 

<氷室仁のフィールド>

地雷蜘蛛 ★4 ATK2200

 

大きすぎるデメリットだ。俺なら絶対に使いたくない。だけど、この時代なら初手に壁モンスター代わりにするのには十分機能する性能だ。

 

「オレは手札から魔法カード【古のルール】を発動!手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚する。オレは手札からレベル6の通常モンスター【牛鬼】を特殊召喚するぜ!」

氷室仁 手札:6→5→4枚。

 

<氷室仁のフィールド>

地雷蜘蛛 ★4 ATK2200

牛鬼 ★6 ATK2150

 

【召喚師のスキル】と【古のルール】のおかげで随分と通常モンスターも使いやすくなったよな。あとは凡骨シリーズとかな。

 

「このカードは通常召喚できず、自分フィールド上の「牛鬼」モンスターをリリースした場合にのみ特殊召喚できる。オレは自分フィールドの【牛鬼】をリリース!手札から【大牛鬼】を特殊召喚するぜ!」※アニメオリジナルカード

氷室仁 手札:4→3枚。

 

<氷室仁のフィールド>

地雷蜘蛛 ★4 ATK2200

大牛鬼 ★6 ATK2600

 

「【大牛鬼】は、このカードの攻撃でモンスターを破壊した時に発動できる。このバトルフェイズ中、このカードはもう1度だけ攻撃できる効果を持つぞ!」

 

アニメオリジナルカードだな。確かタッグフォース4以降には収録されていて、タッグフォース版では特殊召喚制限は取り払われていたはずだ。

 

「オレは手札を2枚伏せてターンエンドだ」

氷室仁 手札:3→1枚。、伏せカード:0→2枚

 

 

◆メラグ(クロト) LP:4000

 

VS

 

◆氷室仁 LP:4000、手札:1枚。、伏せカード:2枚

 

<氷室仁のフィールド>

地雷蜘蛛 ★4 ATK2200

大牛鬼 ★6 ATK2600

 

 

この時代の動きとしては悪くない感じだな。アニメ5D's時代だと、ジャックに負けるまではプロデュエリストだったらしい。

 

さて、アニメだと伏せカードは【聖なるバリア -ミラーフォース-】と【落とし穴】だったか。なら効果破壊耐性を付けておけばなんとかなるかな?

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

メラグ 手札:5→6枚。

 

おっ、噂をすれば俺も壺引いた。このデッキはあまりうまく回す自信が無いから助かったな。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分のデッキの上からカードを10枚裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする!」

メラグ 手札:6→5→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る。私はデッキから【ブリザード・ファルコン】を墓地に送る!」

メラグ 手札:7→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【水神の護符】を発動!このカードがフィールド上に存在する限り、自分フィールド上の水属性モンスターは相手のカ-ドの効果では破壊されない。発動後3回目の相手のエンドフェイズ時にこのカードは墓地へ送られる!」

メラグ 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚

 

「何ぃ!効果破壊耐性を付与するだと!?」

 

あの反応だと本当に効果破壊する魔法罠を張っていたみたいだな。

 

「私は手札から【ブリザード・サンダーバード】を召喚!」

メラグ 手札:5→4枚。

 

<メラグのフィールド>

ブリザード・サンダーバード ★4 ATK1600

 

「私は手札の【ガード・ペンギン】を墓地に送ってフィールドの【ブリザード・サンダーバード】の効果発動!手札を1枚捨てて発動でき、「ブリザード・サンダーバード」以外の鳥獣族・水属性モンスターを自分の手札・墓地からそれぞれ1体ずつ選んで特殊召喚する。その後、フィールド上のこのカードを持ち主の手札に戻す!ただし、「ブリザード・サンダーバード」の効果は1ターンに1度しか使用できない」

メラグ 手札:4→3枚。

 

「私は手札の【オーロラ・ウィング】、墓地の【ブリザード・ファルコン】を特殊召喚して、フィールドの【ブリザード・サンダーバード】を手札に戻すわ!」

メラグ 手札:3→2→3枚。

 

<メラグのフィールド>

ブリザード・ファルコン ★4 ATK1500

オーロラ・ウィング ★4 DEF1600

 

「【ブリザード・ファルコン】の効果を説明しておくわ。このカードの攻撃力が元々の攻撃力よりも高い場合に発動できる。相手ライフに1500ポイントダメージを与える。この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できず、「ブリザード・ファルコン」の効果は1ターンに1度しか使用できない」

 

「そして私は手札から速攻魔法【スワローズ・ネスト】を発動!自分フィールドの表側表示の鳥獣族モンスター1体をリリースして発動できる。リリースしたモンスターと同じレベルの鳥獣族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。私は自分フィールドのレベル4【オーロラ・ウィング】をリリース!そしてデッキからレベル4【聖鳥クレイン】を特殊召喚するわ!」

メラグ 手札:3→2枚。

 

<メラグのフィールド>

ブリザード・ファルコン ★4 ATK1500

聖鳥クレイン ★4 ATK1600

 

「特殊召喚された【聖鳥クレイン】の効果を発動!このカードが特殊召喚した時、このカードのコントローラーはカードを1枚ドローする!」

メラグ 手札:2→3枚。

 

「私は手札から永続魔法【一族の結束】を発動!自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップするわ!」

メラグ 手札:3→2枚。永続魔法:1→2枚

 

「私の墓地に居る【ガード・ペンギン】、【オーロラ・ウィング】は鳥獣族。そして私のフィールドのモンスターも全て鳥獣族。よって【一族の結束】の効果が適用されるわ!」

 

<メラグのフィールド>

ブリザード・ファルコン ★4 ATK1500 → 2300

聖鳥クレイン ★4 ATK1600 → 2400

 

「ここで【ブリザード・ファルコン】の効果を発動!このカードの攻撃力が元々の攻撃力よりも高い場合に発動、相手ライフに1500LPダメージを与える!」

 

「うぉぉぉっ!」

氷室仁 LP:4000 → 2500

 

「私は手札から魔法カード【おろかな副葬】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。私はデッキから【エクシーズ・リバイブ・スプラッシュ】を墓地に送る!」

メラグ 手札:2→1枚。

 

「そして私はレベル4【ブリザード・ファルコン】と【聖鳥クレイン】をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【零鳥獣シルフィーネ】!」

 

<メラグのフィールド>

零鳥獣シルフィーネ ☆4 ATK2000 → 2800 ORU:2

 

「エクシーズ召喚か!【大牛鬼】の攻撃力を超えてきやがった!」

 

「まだよ!墓地の【エクシーズ・リバイブ・スプラッシュ】を除外して効果発動!墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの水属性Xモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターよりランクが1つ高い水属性Xモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する!私が対象とするのは【零鳥獣シルフィーネ】!」

 

「何っ!?」

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れよランク5!【零鳥姫リオート・ハルピュイア】!」

 

<メラグのフィールド>

零鳥姫リオート・ハルピュイア ☆5 ATK2500 → 3300 ORU:3

 

「連続エクシーズ召喚だと!?」

 

「更に【零鳥姫リオート・ハルピュイア】のORUを1つ取り除いて効果発動!このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力を0にする。私は貴方の【大牛鬼】を選択してその攻撃力を0にするわ!アーム・フリージング!!」

零鳥姫リオート・ハルピュイア ORU:3→2

 

<氷室仁のフィールド>

地雷蜘蛛 ★4 ATK2200

大牛鬼 ★6 ATK2600 → 0

 

「オレの【大牛鬼】の攻撃力が0に!?」

 

「バトルフェイズに移行!【零鳥姫リオート・ハルピュイア】で【大牛鬼】に攻撃!」

 

零鳥姫リオート・ハルピュイア ATK3300

vs

大牛鬼 ATK0

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

氷室仁 LP:2500 → 0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

 

~~~

 

今日も精霊界で修行している俺は今、山奥にある大きな泉の真ん中で浮遊して精神統一をしている。俺の目の前にはバスケットボールサイズの水の球が浮いている。

 

「今日はいつもよりは良い感じねクロト。20点くらいの出来だわ」

 

泉の中からワンピースを着た青いショートカットの髪型で青白い肌の少女が現れた。今日の修練のコーチを頼んでいる【水の精霊アクエリア】だ。

 

「それって褒められてないよね?」

 

今日も毒舌な【水の精霊アクエリア】にボロクソに貶されながら修行を続けている。どの辺りが水の精霊なんだよ。毒の精霊だろこの娘。

 

「はい。今、余計なことを考えたわね?集中力が乱れたわよ。そんなことじゃ水を自在に操れるようになるにはまだまだねぇ~♪」

 

眼を開けて見ると、水の球が大きく振動して球状を維持できなくなっている。これは失敗だな。

 

「またか。上手く行かないもんだな」

 

瞑想とか精神統一とか、凄く苦手だ。雑念が多いと良く言われるが、何も考えないで座っているだけとか難易度高すぎない?

 

「貴方は魔力を操る才能はゼロの落ちこぼれのゴミクズなんだから、ひたすら修練あるのみよ」

 

「いちいち毒を吐いてくるなぁ」

 

【ホーリー・エルフ】と言いこの娘といい、清楚に見えるカードの精霊は大体ドSだからな。もう慣れた。

 

「そう言えば貴方、少し前に霊使いのエリアちゃんから頼み事をされていたでしょ?何を頼まれたのよ?」

 

「あぁ、なんでも自分の相棒である【ジゴバイト】の兄貴の【ガガギコ】を探してくれだとさ。しばらく行方不明らしい」

 

この世界では【ジゴバイト】と【ギコバイト】は兄弟で、旅に出た【ギコバイト】が旅先で【ガガギコ】に成長したところまでは分かっているがその後の消息が不明らしい。

 

その行方の調査を頼まれたわけだが、【コザッキー】の実験で【ギガ・ガガギゴ】とかになっていたら、今の俺の手には余る強さだろう。そうなっていたら依頼者の【水霊使いエリア】には悪いが彼の現状報告することになりそうだな。俺だって命は惜しいのだ。

 

「なるほどね。それで『精霊界の何でも屋』の貴方に白羽の矢が立ったわけか」

 

「そんなものになった覚えはないんだけどな」

 

この数年間、様々な精霊たちの悩みを解決したり、手伝いをしていたことで、何故か俺は『精霊界の何でも屋』と呼ばれるようになっていた。

 

「この前、暗黒海で【ジェノサイドキングサーモン】に襲われていたのも何かの依頼だったの?」

 

「暗黒海の近くで【屈強の釣り師】のオッサンに釣り勝負を挑まれたんだよ。それで【屈強の釣り師】のオッサンが釣り上げた【ジェノサイドキングサーモン】がいきなり襲い掛かってきてな。お前に助けられる直前くらいに、【屈強の釣り師】のオッサンは俺を見捨てて逃げていったな」

 

あの時はハートランドシティの事件なんかとは比較にならないくらいに身の危険を感じたね。と言うか死ぬかと思ったね。偶然通りかかったアクエリアが助けてくなかったら死んでいた可能性が高い。【屈強の釣り師】のオッサン許すまじ。

 

「私より弱いザコのくせにあんな危険地帯で何やってるんだか」

 

「一応、お前よりは魔力だけなら高いんだが?」

 

「私より高い魔力を持っているくせに私より弱いんだ?ザァーコ♪」

 

「い、言わせておけば…!」

 

「ププッ。ほら。また思考が乱れているわよ。はい残念!精神統一、やり直し!」

 

眼を開けて見ると、水の球ははじけ飛んでしまっていた。これは失敗だな。この女、こうなるようにわざと煽ったな?精神を乱す効果的な修行だとは思うが、性格悪いなぁ。

 

「ぐぬぬ、いつか泣かせてやるからな。覚えていろよ」

 

「はいはい。ザコザコ君はさっさと修練に戻りましょうね~♪」

 

カードイラストからは想像もできないくらいに見る者の神経を逆なでするような笑みでニヤニヤ笑っている【水の精霊アクエリア】。ホント、いつか泣かす。

 

そして今日も修行と言う名の苦難の日々は続く…。




海馬コーポレーションに問い合わせても天上院吹雪の失踪事件は解決せず。現場責任者の校長と理事長がグルで隠ぺい工作を行っている為、外側からだけでは解決が難しいようです。

【パラサイト・フュージョナー】の件についてはオリ主が自分で何とかするまでもなくコナミのインチキパワーで解決しそうなのでそちらの方法を採用した模様。ただ、コナミが居ない状況の対応策の為、オリ主の修行は継続しています。

今回のバリアン、メラグのデッキは【水属性鳥獣族】。OCG化している水属性鳥獣族が少なすぎてデッキとして成立しているかは微妙です。今回の展開も壺によるごり押しです。早く新規が欲しいですね。

今回のお相手はアニメ5D'sでダークシグナー編までは登場していた氷室。デッキは【大牛鬼】です。【大牛鬼】は特殊召喚制限さえなければ、この時代ではそこまで悪くないモンスターなんですけどね。

オリ主は魔力量だけなら最上級魔術師の師弟に並ぶ実力を身に着けていますが、技量はまだまだ未熟です。現状のオリ主は学校のプールくらいの魔力消費で100円ショップの水鉄砲くらいの出力しか出せませんが、アクエリアはバケツくらいの魔力消費でチタン合金を加工できるくらいの出力を出せます。水の多い場所で戦闘を行う場合、2秒でオリ主の首が飛びます。

次回の更新は2/20(土) AM7:00予定です。

戦車様、ストロー様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十二話 ズァークさん

そろそろアークファイブの最後にして最大の懸念要素、覇王龍ズァークに関する問題の対処が始まります。

今回の対戦相手はアニメアークファイブのラスボス格、ズァークさんです。


中学三年生の夏休みが始まった7月下旬の早朝、俺は舞網市の近くにあるリアルソリットビジョン研究所の待合室のテレビでニュースが垂れ流されているのをボーっと見ていた。

 

先日、セレナたちにせがまれてソフトクリームを自作していたところ、赤馬レイからスマートフォンに連絡があり、その用事を果すためにわざわざここに足を運んだのだが、ちょうど職員同士の緊急の打ち合わせの時間と被ってしまったらしく、こうして暇を潰しているのだ。

 

『新エネルギー発生装置モーメントの完成は順調!童実野町にて、数年前に遊星粒子を発見して一躍有名になった不動博士主導により進めている新エネルギー開発…』

 

『カード産業に革命をもたらしたルブラン氏に突撃インタビューを開始!先日新たな会社を興したルブラン氏が、日本の葉月財閥と提携してカード産業を震撼させるような…』

 

『ガラム財閥当主のゴア・ガラム氏がD-ホイール産業に乗り出すことを発表!年末にも株式会社ガラムモータースとして、今までとは時代が違うD-ホイールを発表すると豪語しているとのこと。詳しくは…』

 

『ハートランドシティにおけるテロ事件による負傷で意識不明の重傷だった若き天才科学者Dr.フェイカー氏とその共同研究者であるバイロン・アークライト氏の両名の容態が快方に向かってきているという…』

 

『プロリーグで連戦連勝を重ねるHERO使い達!リーグランク4位まで上り詰めたプロデュエリストの響紅葉と、破竹の勢いでランキングを駆け上がる新人プロデュエリストのエド・フェニックスに迫る!その素顔に…』

 

なんだが気になるようなニュースが流れていたような気がするか、呼び出しのアナウンスを受けて移動を開始していた為に聞き逃してしまった。

 

所員室を訪れると赤馬レイが事務机に座って待っていた。もう数日は寝不足なのだろう。目の下に隈が出来ており、本来の端麗な容姿は鳴りを潜めている。

 

「いらっしゃいハノイ君。急に呼び出したりしてごめんね?」

 

「良いですよ。どうせ俺は暇でしたからね。それで、用件は先日仰っていた件で合っていますか?」

 

「えぇ。彼ももう実験場でスタンバイしているわ。貴方の準備は大丈夫かしら?」

 

「もちろんですよ。さぁ、行きましょうか」

 

そうして俺と赤馬レイはリアルソリットビジョン研究所の敷地内にある大きな実験場へと足を運んだ。デュエルアカデミアのアメリカ校で見たようなサイズではないが、それに近い大きさの建物だ。

 

実験場内に入り、ハノイの騎士の姿を取る。この先に居る人物が用があるのはハノイの騎士だからな。

 

「ここは普段はリアルソリットビジョンの設定を詳細に変更したり測定したりするのに使っているわ。そして今日は、あそこに居る彼と貴方のデュエル場ね」

 

実験場の中央に居たのは、この世界だと直接会うのは初めてになる銀髪の男性。舞網市のエンタメデュエリストの1人であり、アニメ原作ではアークファイブ世界が4つの次元に分かたれることになった元凶の1人。

 

「君はハノイの騎士か。初めましてだな。オレの名前はズァーク。今日はよろしく頼む」

 

覇王龍ズァークの前身、プロデュエリストのズァークが俺の目の前に居た。だが顔色があまり良くない。理由は不明だが疲労しているようだ。

 

「こちらこそよろしく頼む。確か、数年前からカードの精霊のドラゴンたちの声が聞こえるようになり、それから不定期に謎の破壊衝動に襲われるようになったと聞いたが、合っているか?」

 

「あぁ、その通りだ。そしてその衝動は5月頃から急激に強くなってきて、今では日常生活やプロデュエリストの仕事に支障をきたすような状態になってきている」

 

ユーリやデニスと初めて会った時、たまたまテレビで彼の姿を見たことがあったが、その時にはもう破壊衝動に悩まされていたのだろう。

 

「彼のことは昔からよく知っているけれど、今まではこんなことなかったのよ。医者に診てもらっても原因が全く分からない状態なのよ。だから、オカルトの専門家の貴方に来てもらったわけ」

 

彼女には個人的に大きな借りがあるので協力するのは別に構わない。それとは別に、この世界のズァークの様子を見ておきたかったのもある。ちなみに、赤馬のハゲと赤マフラーは認めていないらしいが、ズァークとレイは幼馴染でプロデュエリストの元同期で恋人同士らしい。爆発すればいいのに。

 

俺はズァークをじっと観察する。特に破滅の光を纏っているわけでもなく、闇のアイテムを持っていそうでも無く、洗脳されているようにも見えない。いや、デッキの中に2枚だけ怪しい魔力を放っているカードがあるな。恐らくアレが原因だな。

 

「ズァーク、デッキのそのカード2枚を見せて貰ってもいいか?」

 

「これか?いいぞ」

 

ズァークに了承を取ってそのカードを手に取って確認する。間違いない。この【オッドアイズ・ドラゴン】と【アストログラフ・マジシャン】から破滅の光に近い力を感じる。なら、いつもの方法で試してみるか。

 

「ズァーク、このネックレスを付けてみてくれ」

 

【オッドアイズ・ドラゴン】と【アストログラフ・マジシャン】のカードを返すついでに、いつものオカルトネックレスをズァークに渡す。彼は不思議そうにネックレスを見ながらもネックレスを身に着けた。

 

「こうか?…おぉ?なんだか少し安らいだ気分になったぞ!」

 

「ズァークの顔色もみるみる良くなっていくわね!」

 

オカルトネックレスのおかげで2枚のカードの力の影響を受けなくなったためか、ズァークの顔色も改善されていった。

 

ただ、【オッドアイズ・ドラゴン】と【アストログラフ・マジシャン】の力の原因がよく分からないな。【アストログラフ・マジシャン】だけならアニメ原作のいわく付きカードだから何となくわかるし、【オッドアイズ・ドラゴン】だけでなく他の三匹の竜も同じ状態ならやはりアニメ原作のいわく付きカード繋がりで分からなくはないんだが…。

 

どちらにせよ、今の俺のこの力を払う手段はない。魔力を込めたネックレスをいくつか渡しておいて、師匠たちの精霊のカードを使いこなせるようになったらもう一度だけ彼にカードを見せて貰い、払えるかを試してみよう。コナミの予定が空いてきたらそちらの方面でも試してみたいところだ。さて、その前に…。

 

「今の状態でデュエルをするとどうなるかを試してみよう。準備は良いか?」

 

「あぁ!これでもプロのエンタメデュエリストだ!いつでもデュエルの準備は出来ているさ」

 

オカルトネックレスを付けた状態で破壊衝動をデュエル中でも抑えきれることが証明できれば、水際対策としてOKが出せる。ついでにこの世界のズァークの力量も見れるから一石二鳥だ。

 

~~~

 

実験場の中央で、対戦相手のズァークと対峙する。デュエルディスクを構えながらデュエルルールを確認しておく。舞網市だと当たり前のようにアクションデュエルさせられるからな…。

 

「ルールは通常のデュエル方式だ。リアルソリットビジョンは使用してもいいし、モンスターに乗るなりは構わないが、アクションカードを使用したアクションデュエルはやらないからな」

 

「OKだ。じゃあ始めようか。ハノイの騎士、オレを満足させてくれよ?」

 

そう言ってズァークはデュエルディスクを構える。そのセリフは別の人のだろう。盗用はいけませんなぁ。

 

それにしても、人の好みもあるだろうけど、やはり舞網市のデュエルディスクは良い感じだな。最初からペンデュラムに対応しているし、少し大きいけどデザインはシンプルで格好いいよな。ハートランドシティ特有のDパッドとDゲイザーも個性的で面白いし、俺のデュエルディスクもそろそろどちらかに買い替えようかな…。

 

 

「「対戦、お願いします」」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆ズァーク LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ズァーク 手札:5→6枚。

 

「オレは手札を1枚捨てて、手札から魔法カード【ペンデュラム・コール】を発動する!「ペンデュラム・コール」は1ターンに1枚しか発動できず、「魔術師」PモンスターのP効果を発動したターンには発動できない。手札を1枚捨てて発動できる。カード名が異なる「魔術師」Pモンスター2体をデッキから手札に加える。このカードの発動後、次の相手ターン終了時まで自分のPゾーンの「魔術師」カードは効果では破壊されない。オレはデッキから【竜脈の魔術師】と【竜穴の魔術師】を手札に加える!」

ズァーク 手札:6→5→4→6枚。

 

墓地に送ったのはチューナーモンスター【貴竜の魔術師】か。

 

「オレは手札からスケール1の【竜脈の魔術師】とスケール8の【竜穴の魔術師】をペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル2から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

ズァーク 手札:6→4枚。Pスケール:1ー8

 

【竜脈の魔術師】は1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊するペンデュラム効果を持つ。

 

【竜穴の魔術師】は1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊するペンデュラム効果を持つ。

 

どちらも手札コストを用意できれば優秀なモンスターだ。それはさておき、ペンデュラムスケールが揃ったなら、来るかな?

 

「揺れろ、魂のペンデュラム! 天空に描け光のアーク! ペンデュラム召喚!手札より現れよ!オレのモンスターたち!」

ズァーク 手札:4→1枚。

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7 ATK2500

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン ★7 ATK2800

オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン ★7 ATK2500

 

また豪快に手札を消費したな。そしてお前もその口上を言うのか。そう言えば、アニメアークファイブで最初にペンデュラム召喚をした時の榊遊矢は後の覇王龍ズァークっぽい喋り方をしていたな。榊遊矢の最初のペンデュラム召喚時の意識はトマト君ではなく彼の物だったのかも知れないな。

 

「このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル7以上の「オッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを3つ下げ、このカードを特殊召喚する。オレはフィールドの【オッドアイズ・ドラゴン】のレベルを3下げて、墓地からチューナーモンスター【貴竜の魔術師】の魔術師を特殊召喚する!」

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・ドラゴン ★7→4 ATK2500

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン ★7 ATK2800

オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン ★7 ATK2500

貴竜の魔術師 ★3 DEF1400

 

「【貴竜の魔術師】には、このカードをS素材とする場合、ドラゴン族モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材に「オッドアイズ」モンスター以外のモンスターを使用した場合、このカードを持ち主のデッキの一番下に戻す効果がある」

 

オッドアイズモンスターをもう片方のシンクロ素材にして、ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚をすれば回避できるデメリットなんだよなぁ。

 

「そしてオレはレベル4となった【オッドアイズ・ドラゴン】にレベル3【貴竜の魔術師】をチューニング!その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!シンクロ召喚!現れろ、レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・セイバー・ドラゴン ★7 ATK2800

オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン ★7 ATK2500

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK2500

 

「【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】は、1ターンに1度、このカード以外のフィールドのレベル5以上のモンスターの効果が発動した時に発動でき、その発動を無効にし破壊する効果。1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動でき、その発動を無効にし破壊する効果。このカードの効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする効果を持つ」

 

クリスタルウィングよりは遥かにマシだが、この時点でもなかなか厄介な効果を持つモンスターだよな。

 

「更に、オレはレベル7の【オッドアイズ・セイバー・ドラゴン】と【オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン】をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク7!【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】!」

 

<ズァークのフィールド>

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK2500

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン ☆7 ATK2800 ORU:2

 

「【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】は、自分または相手のモンスターの攻撃宣言時に、このカードのORUを1つ取り除いその攻撃を無効にし、その後、自分の手札・墓地から「オッドアイズ」モンスター1体を特殊召喚できる効果。X召喚されたこのカードが墓地へ送られた場合にエクストラデッキから「オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン」以外の「オッドアイズ」モンスター1体を特殊召喚する効果を持つ!」

 

戦闘以外の方法で墓地に送らずに処理すればいいわけだが、クリアウィングと並ばれると面倒だな。特にEXデッキから特殊召喚出来る【オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン】や【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】は特殊召喚時に効果を発動するからな。

 

「オレはこれでターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆ズァーク LP:4000、手札:1枚、伏せカード:0枚。Pスケール:1ー8

 

<ズァークのフィールド>

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK2500

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン ☆7 ATK2800 ORU:2

 

 

さて、相手に伏せカードは無いが、フィールドのモンスターはなかなか崩しづらい布陣だな。手札の1枚も気になる。【ペンデュラム・コール】の効果でこのターンはペンデュラムゾーンのカードは破壊できないし、どう攻めておこうか。

 

だが、この世界に転生してから覇王龍対策のデッキは準備してあるんだよ。恨むならドラゴン族であることを恨んでくれ。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【竜破壊の証】を発動。自分のデッキ・墓地から「バスター・ブレイダー」1体を選んで手札に加える」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「【バスターブレイダー】!?あの伝説のデュエリスト武藤遊戯が使用していたというドラゴン殺しの剣士か!?」

 

その通り。覇王龍をぶった切るために用意したんだけど、何となく覇王龍は出てこなさそうな気がする。

 

「私は手札からチューナーモンスター【破壊剣士の伴竜】を召喚」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

<ハノイのフィールド>

破壊剣士の伴竜 ★1 ATK400

 

「【破壊剣士の伴竜】の効果発動。このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「破壊剣士の伴竜」以外の「破壊剣」カード1枚を手札に加える。私はデッキから速攻魔法【破壊剣士融合】を手札に加える」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

さて、このまま普通に展開していくとそのうち【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】の効果を受けてしまうな。ならまずはそちらの対処からかな。

 

「私は手札から速攻魔法【破壊剣士融合】を発動。自分の手札及び自分・相手フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「バスター・ブレイダー」を融合素材とするその融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

「私は手札の【バスターブレイダー】と相手フィールドの【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】を融合!現れよ!レベル8!【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】!」

 

<ハノイのフィールド>

破壊剣士の伴竜 ★1 ATK400

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK2800

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン ★7 ATK2800 ORU:2

 

「オレのフィールドのモンスターを融合素材にした!?」

 

「【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】の効果を説明しておこう。このカードは直接攻撃できない。このカードの攻撃力・守備力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×1000アップする。このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのドラゴン族モンスターは守備表示になり、相手はドラゴン族モンスターの効果を発動できない。このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える」

 

「オレのフィールドのモンスターは1体、墓地のドラゴンは2体!つまり攻撃力は3000アップ!?」

 

<ズァークの墓地のドラゴン族>

①クリアウィング・シンクロ・ドラゴン

②オッドアイズ・ドラゴン

 

<ハノイのフィールド>

破壊剣士の伴竜 ★1 ATK400 ※チューナー

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK2800→5800

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン ☆7 DEF2500 ORU:2

 

「【破壊剣士の伴竜】の効果発動。このカードをリリースして発動できる。自分の手札・墓地から「バスター・ブレイダー」1体を選んで特殊召喚する。私は墓地の【バスターブレイダー】を特殊召喚する」

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800

バスターブレイダー ★7 ATK2600

 

「【バスターブレイダー】の攻撃力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする」

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800

バスターブレイダー ★7 ATK2600 → 4100

 

「私は手札の【破壊剣-ドラゴンバスターブレード】の効果発動!このカードをフィールドの【バスターブレイダー】の装備カードとする!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【破壊剣-ドラゴンバスターブレード】

チューナー・効果モンスター

星1/闇属性/ドラゴン族/攻 400/守 300

「破壊剣-ドラゴンバスターブレード」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「バスター・ブレイダー」1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。

(2):このカードが装備されている場合、相手はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(3):このカードが装備されている場合に発動できる。装備されているこのカードを特殊召喚する。

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800

バスターブレイダー ★7 ATK4100 ※【破壊剣-ドラゴンバスターブレード】装備

 

「更に私は【破壊剣-ドラゴンバスターブレード】の効果発動!装備されているこのカードを特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800

バスターブレイダー ★7 ATK4100

破壊剣-ドラゴンバスターブレード ★1 DEF300 ※チューナー

 

「私はレベル7【バスターブレイダー】にレベル1【破壊剣-ドラゴンバスターブレード】をチューニング!シンクロ召喚!現れよレベル8!【破戒蛮竜-バスター・ドラゴン】!」

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ★8 DEF2800

 

「【破戒蛮竜-バスター・ドラゴン】の効果を説明しておこう。相手フィールドのモンスターは、このカードが表側表示で存在する限りドラゴン族になる。自分フィールドに「バスター・ブレイダー」モンスターが存在しない場合、1ターンに1度、自分の墓地の「バスター・ブレイダー」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。相手ターンに1度、自分フィールドの「バスター・ブレイダー」モンスター1体を対象として発動できる。自分の墓地の「破壊剣」モンスター1体を装備カード扱いとして対象のモンスターに装備する」

 

破戒蛮竜「お前、ドラゴンな?」

相手モンスター「あっ、はい」

 

竜破壊の剣士「ドラゴンなの?じゃあ守備表示になって。モンスター効果は使うなよ?」

相手モンスター「あっ、はい」

 

とこうなるわけだ。酷い話である。

 

「墓地の【破壊剣士融合】の効果発動。このカードが墓地に存在する場合、手札を1枚墓地へ送って発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。私は手札から【破壊剣-アームズバスターブレード】を墓地に送って、墓地の【破壊剣士融合】を手札に加える」

ハノイ 手札:4→3→4枚。

 

「私は手札の【破壊剣-ウィザードバスターブレード】の効果発動。自分メインフェイズに自分フィールドの「バスター・ブレイダー」1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。私は自分フィールドの【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】に【破壊剣-ウィザードバスターブレード】を装備する」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

「【破壊剣-ウィザードバスターブレード】の残りの効果を説明しておこう。このカードが装備されている場合、相手は墓地のモンスターの効果を発動できない。装備されているこのカードを墓地へ送り、「破壊剣-ウィザードバスターブレード」以外の自分の墓地の「破壊剣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える」

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800 ※破壊剣-ウィザードバスターブレード装備。相手は墓地のモンスターの効果を発動できない。

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ★8 DEF2800

 

そろそろ良いかな。あの手札のカードが妨害系の手札誘発では無さそうなのは分かったが、【アストログラフ・マジシャン】の可能性もある。これ以上無理に展開しても、このターンで倒しきるのは難しいだろうな。

 

「バトルフェイズに移行。【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】で【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】を攻撃!」

 

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ATK5800

vs

オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン DEF2500

 

「【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】の効果により【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】の攻撃無効効果は使用できない。更に【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】には貫通能力がある。破壊剣の切れ味を受けて貰うぞ!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

ズァーク LP:4000→700

 

「【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】の効果により【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】の墓地に送られた際のモンスター特殊召喚効果は使用できない。更に相手の墓地にドラゴン族の数が増えたことにより、【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】の攻撃力が上昇する」

 

<ズァークの墓地のドラゴン族>

①クリアウィング・シンクロ・ドラゴン

②オッドアイズ・ドラゴン

③オッドアイズ・セイバー・ドラゴン

④オッドアイズ・ウィザード・ドラゴン

⑤オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK5800→7800 ※破壊剣-ウィザードバスターブレード装備。相手は墓地のモンスターの効果を発動できない。

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ★8 DEF2800

 

「攻撃力7800!?」

 

ただ、【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】はダイレクトアタックが出来ないからな。相手がモンスターを出さないと動きづらいんだよ。

 

「だが、こちらも手札から【アストログラフ・マジシャン】の効果を発動させてもらうぞ!自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。現れよ!【アストログラフ・マジシャン】!」

ズァーク 手札:1→0枚

 

<ズァークのフィールド>

アストログラフ・マジシャン ★7 DEF2000

 

「本来ならば、【アストログラフ・マジシャン】を特殊召喚後に、このターンに破壊された自分または相手のモンスター1体を選び、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える事ができるんだが、このターンに破壊されたのは【オッドアイズ・アブソリュート・ドラゴン】のみ。EXデッキのモンスターだから手札に加えることは出来ない」

 

やはり手札に持っていたか。さっきも見たが、効果を見る限りはOCG仕様で安心したぞ。アニメ版でもこの盤面が整っている状態なら何もさせないけどな。

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを2枚セットしてターンエンド」

ハノイ 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2枚

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK7800 ※破壊剣-ウィザードバスターブレード装備。相手は墓地のモンスターの効果を発動できない。

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ★8 DEF2800

 

VS

 

◆ズァーク LP:700、手札:1枚、伏せカード:0枚。Pスケール:1ー8

 

<ズァークのフィールド>

アストログラフ・マジシャン ★7 DEF2000

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ズァーク 手札:0→1枚。

 

「このタイミングで伏せカードの速攻魔法【揺れる眼差し】発動!お互いのPゾーンのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊したカードの数によって以下の効果を適用する。1枚以上:相手に500ダメージを与える。2枚以上:デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。3枚以上:フィールドのカード1枚を選んで除外できる。4枚:デッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える事ができる。破壊されるのはそちらの2枚。よって1枚以上と2枚以上の効果が適用される!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚

 

「くっ!ペンデュラム召喚メタカードか!」

 

「1枚以上の効果で相手に500ダメージを与える!」

 

「うわぁぁっ!」

ズァーク LP:700→200

 

「2枚以上の効果でデッキからPモンスター1体を手札に加える事ができるが、私のデッキにはペンデュラムモンスターが居ないから不発だ」

 

彼がこの盤面を返せる可能性があるかは分からないが、ペンデュラム召喚を許すわけにはいかない。確実に相手の勝機を潰す。ズァークのデッキには入っていないだろうが、【サイバー・ドラゴン】一枚で【キメラテック・メガフリート・ドラゴン】を呼ばれてアッサリ返されるからな。

 

「このカードはレベル5以上のモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。オレはレベル7【アストログラフ・マジシャン】をリリース!手札から【オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン】をアドバンス召喚する!」

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン ★8 ATK3000 → DEF2500

 

本来ならば、【オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン】の効果は次の通りだ。このカードがアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。このカードが戦闘でモンスターを破壊した時に発動できる。自分の手札・墓地から「オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン」以外のレベル5以上のモンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。

 

【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】の効果で効果発動が出来ないのでただの守備力2500モンスターだが、今回以外の状況だとLP4000環境でこの効果は油断ならないモンスターだ、メタっておいてよかった。

 

「…ターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1枚

 

<ハノイのフィールド>

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ★8 ATK7800 ※破壊剣-ウィザードバスターブレード装備。相手は墓地のモンスターの効果を発動できない。

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン ★8 DEF2800

 

VS

 

◆ズァーク LP:200、手札:0枚、伏せカード:0枚

 

<ズァークのフィールド>

オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン ★8 DEF2500

 

 

さっきのターンのメインフェイズに【破戒蛮竜-バスター・ドラゴン】の効果で【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】に更なる破壊剣を装備することも出来たが、流石に必要ないだろう。手札無し、伏せカード無し、墓地発動無し(そもそも封じられている)。サレンダーしてもおかしくない状況だか、プロとして、エンタメデュエリストとして、最後までデュエルは続けるという意思表示かな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

「バトルフェイズに移行。【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】で【オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン】を攻撃!」

 

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー ATK7800

vs

オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン DEF2500

 

「【竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー】に備わる貫通能力により、再び破壊剣の切れ味を受けて貰う!」

 

「うわぁぁぁっ!」

ズァーク LP:200→0

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

デュエルが終わってデュエルディスクを片付けていると、デュエルディスクを仕舞ったズァークと解析室でデュエルを見学していた赤馬レイが俺の立っている実験場の中央にやってきた。

 

「いやぁ完敗だ!ここまで封殺されて何も出来なかったのは久し振りだ!世の中にはまだまだ強い奴が居るんだな!このデュエル、負けはしたが満足したぜ!」

 

結構酷い負け方をした割には楽しそうなズァーク。その表情は活き活きとしていてとても破壊衝動に苛まれているようには見えない。オカルトネックレスが上手く機能してくれているようだ。

 

「相変わらずの腕前ねハノイ君。こう見えてもズァークは舞網市のエンタメデュエリストの中でも三指に入る実力者なのよ?」

 

彼氏がボロ負けした割には赤馬レイも楽しそうに見える。恐らくズァークの表情が晴れ晴れとしていることに気付いているのだろう。

 

「先ほど渡したネックレスが上手く機能してくれているみたいだな。予備のネックレスもいくつか渡しておくので、なるべく肌身離さず着用するように生活してくれ」

 

「分かった。助かるぜ」

 

「それはつまり予防と言う意味なのよね?原因については何か分からないのかしら?」

 

ズァークはある程度納得したようだが、やはり赤馬レイは根本原因を何とかしたいようだ。

 

「恐らく先ほど借用した2枚のカードに何らかの悪影響を及ぼす作用が働いているようだが、その悪影響を及ぼしている原因がまだ解明できていないというのが実情だな。その2枚の入手経路を聞いてもいいか?」

 

「入手経路ねぇ。ズァークは何故かシンクロやエクシーズが世間に広まる前から【オッドアイズ・ドラゴン】、【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】、【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】、【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】の4枚は昔から持っていたわよね」

 

「そうだな。レイも言った通り、【オッドアイズ・ドラゴン】に関しては子供の頃からいつの間にかずっと持っていたんだよ。【アストログラフ・マジシャン】はつい最近、オレのファンからの贈り物だってことでオレが所属するプロデュエリストの事務所宛に届いたんだよ」

 

「でも昔は破壊衝動なんて無かったんでしょ?」

 

「あぁ、数年前から自分のエンタメデュエルスタンスに疑問を抱いたり試行錯誤したりしていたけど、破壊衝動なんてものはなかった。そんなものが沸き上がってきたのは、多分5月の終わりくらいからだな。…ちょうど【アストログラフ・マジシャン】を貰った時期からだな」

 

そうなると十中八九、【アストログラフ・マジシャン】が怪しいな。【オッドアイズ・ドラゴン】にも影響があるのを考えると、彼らの前世と言うかアニメアークファイブ時代の影響があるのかも。

 

【オッドアイズ・ドラゴン】ってことは榊遊矢か。数年前に榊遊勝が逮捕された影響で何らかの変化があったのかもしれない。あとで赤馬零児に榊遊矢の様子を確認しておくか。

 

「なるほど。こちらでも調査を進めておこう。何か判明次第、連絡することにする」

 

「そうか。助かるよ」

 

その後は、こちらの今後の調査方針を伝えたり、連絡先の交換などをして彼らとは別れた。

 

その後、赤馬零児に連絡を取って榊遊矢の様子を確認すると、どうも最近様子がおかしいらしいことが分かった。今日あった出来事を伝えた後、榊遊矢の身辺調査を依頼しておいた。

 

彼らにも関わりのある案件のはずなのに、何故か依頼料を要求されたので、面倒だったから【DD】カードで奴が持っていなさそうなカードを渡す約束をしてスマートフォンからカード情報のデータを送っておいた。そのデータを見たらしく、電話越しに感嘆の声を上げていたのが新鮮で面白かったな。

 

~~~

 

思ったよりも早く地元に帰ってこれたので、俺は駅近くの図書館で受験勉強をしていたツァンと合流して彼女の息抜きに付き合うことにした。

 

「そう言えば、最近はこの町から3つほど電車で移動した駅の周辺でまた闇のデュエリストが出たらしいね。く~、かき氷特有の頭痛がぁ~」

 

「闇のデュエリスト?なんだそれ?」

 

館内で会話・飲食がOKなスペースに移動した俺は、宇治金時味のかき氷を食べて頭を押さえているツァンから噂の闇のデュエリストについて情報を得ていた。

 

「何でも依頼主の給料の三か月分の依頼料で仕事をして、ターゲットのデュエリストを闇のアイテムを使った闇のデュエルで瞬く間に倒してしまうんだってさ」

 

「うさんくせえ」

 

何処のタイタンだよ。アニメGXに登場する自称闇のデュエリストのタイタンじゃん。

 

「ターゲットにされて生き残ったデュエリストの証言では、夜の路地裏に誘い込まれた後、不思議な霧の中から全身を黒のスーツと黒の帽子で覆った2m近い大男が現れて、その男が首からぶら下げていた千年アイテムが光った瞬間から闇のゲームが始まったらしいわ」

 

「闇のゲームって、伝説のデュエリスト武藤遊戯が巻き込まれたって言う眉唾な奴だろ?確か闇のゲームの敗者は命を落とすとか言われているはずだ。襲われたターゲットが生きているわけないんじゃない?」

 

俺がそう返すと、かき氷を食べ終えて、追加注文をするか迷っているツァンがメニューから目を離して噂の続きを話し始めた。

 

「そんなのボクだって知らないよ。ただ、その生き残ったターゲットはレアカードをごっそり奪われていたらしいわ」

 

「レアカードの強奪って、昔の犯罪組織のグールズかよ」

 

結局、追加の杏仁豆腐を頼み始めたツァンを横目に見つつ、ユーリにタイタンの調査を依頼するメールを送っておいた。アイツにはどんどん借りが増えていくな。

 

その闇のデュエリストの正体がタイタンならば、セブンスターズ編に介入するのにちょうど良い。適当にボコって失業してもらおう。




この世界では特に悪いことは何もしていないのに、メタデッキでタコ殴りにされる綺麗なズァークさん。覇王龍を必要以上に恐れ、リア充がなんとなくムカついたオリ主の所為です。

ズァークさんのデッキは【オッドアイズ魔術師】です。とはいえ覇王龍の力を得ていないクリーンな魔術師なので、今回のデッキの性能は大人しめです。

オリ主のデッキは【バスターブレイダー】です。相手を一方的にドラゴン族呼ばわりしてモンスター効果の発動を許さず、おまけにEXデッキからの特殊召喚を封じたりも出来る鬼畜デッキです。

次回の更新は2/20(土) AM8:00予定です。

蟹の見習い様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十三話 タイタン

原作介入できそうなところはなるべくちょっかいを掛けます。

今回の被害者は、アニメGXのタイタン戦です。


中学三年生の夏休みが始まった8月中旬、俺はI2社の管理するサーキットへとやってきていた。

 

今日は第1回JRDG(ジャパン・ライディング・デュエル・グランプリ)に出場しているユーゴ、リン、セレナの3人のチーム・YRSの臨時ピットクルーとして、こうしてコナミやデニスと一緒にピットレーンに待機している。ユーリはウォーワゴンで俺達ピットクルーに指示を出している。俺達だけだとピットクルーが人数不足なので、ホイーラーが戻って来たらラストホイーラーのユーゴ含めて4人全員でタイヤ交換することになっている。

 

「決勝の相手もユーゴ達の相手じゃなさそうだな」

 

「準決勝もユーゴが3人抜きしていたから、ボク達ピットクルーの出番はなかったくらいだからね~」

 

「確かに。でもライディングデュエルのチーム戦か~。ユーゴ達を見ていると本当に面白そうだよな~。オレもメンバーを集めて参加すればよかったな~」

 

俺の意見にデニスやコナミも同意のようだ。コナミは普段から女の子と遊んでばかりいるので、こういう情報に疎い。コナミがJRDGの情報を知った時には既に参加者募集期間は過ぎていたのだ。ザマァw。リア充は弾け飛んでどうぞ。

 

「それにしても、3人以上のチームで良いのなら、クロトもユーゴ達のチームに入れて貰えばよかったじゃん」

 

「俺はDホイール部じゃなくて料理部だしな。ピットクルーとして手伝うならともかく、当たり前のように彼らの中に入るのは図々しいだろ」

 

Dホイール部の三人は、俺が去年譲ったD-ホイールを3人で1台を使い回して乗っている。そう言うチームの絆がある場所に部外者が入るのは気が引ける。

 

「ボクもあの子たちは気にしないと思うよ。むしろセレナとか喜びそうだと思うな」

 

「去年の春からずっとこの大会に向けて勉強と練習をしてきたあの三人と比べると、俺はそれほどの熱意を持っていない。昔はともかく、今はもうライディングデュエルだと彼らには勝てないだろうしな」

 

そんなことを話ながら試合の状況を見ると、ファーストホイーラーのリンが相手選手2人抜きした後に相手のラストホイーラーに敗れ、セカンドホイーラーのセレナにチェンジするためにそろそろこのピットレーンに戻ってくる。

 

「ほら、リンが帰って来るよ。ピットクルー、ホイール交換準備」

 

「「「了解!」」」

 

ユーリの指示を受け、各員が配置に付く。ユーゴもホイール交換を手伝うためにピットレーンに入ってくる。そしてそのすぐ後にリンの乗ったD-ホイールがピットレーンに戻ってきた。

 

「よっしゃー!良い感じだったぞーリンー!」

 

「ふふっ。ありがと。でも流石に決勝戦で三人抜きは無理ね」

 

「お疲れリン。ほら、これで水分補給しておくといい」

 

ホイール交換に入る直前、すれ違いざまにファーストホイーラーとしての役目を終えてきたリンへ水を渡す。

 

「ありがとクロト。セレナは?」

 

「私の準備は完了している」

 

ピットレーンには既にセカンドホイーラーのセレナが待機している。

 

「コナミ、ユーゴ、デニス、そっちの作業は終わったか?」

 

「こっちはOKだ」

 

「おぅ、バッチリだぜ!」

 

「ボクの方も何とか終わったよ」

 

「ユーリ、準備完了だ」

 

「了解。皆ご苦労だったね。セレナ、準備はいいかい?」

 

「あぁ。行ってくる」

 

ホイール交換も終わり、セカンドホイーラーのセレナがD-ホイールに乗り、デッキをセットする。

 

「クロト、約束は覚えているだろうな?」

 

「ん?あぁ、覚えているぞ」

 

「良し!じゃあ勝ってくるから、ちゃんと私の勝つ姿を見ているんだぞ!」

 

「おぉ、見てる見てる。なに、お前なら勝てるさ」

 

「当然だ!」

 

やる気も十分となったセレナがD-ホイールを走らせてコースに躍り出る。そしてあっという間に相手のラストホイーラーと並走を始める。

 

相手のラストホイーラーは前2人と比べてなかなか優秀なデュエリストだったようだが、ファーストホイーラーのリンが残した布石も上手く使いこなしたセレナの敵ではなく、アッサリとセレナの勝利に終わった。

 

こうして、第1回JRDG(ジャパン・ライディング・デュエル・グランプリ)の記念すべき最初の優勝チームは、参加者最年少のチームYRSに決まり、この後しばらくはテレビや新聞を大いに賑わせたのだった。

 

~~~

 

JRDGの開催日から数日後の夜、俺はツァンが言っていたタイタンの出現場所にやってきていた。もちろん、顔を隠す為にバリアンスタイルだ。

 

「こ、これが闇のゲーム…うわぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」

 

そんな時、路地裏の奥の方から男性の悲鳴が聞こえてきた。どうやら現れたようだな。俺はその声の元へ急行した。

 

駆けつけてみると、腰を抜かしたサングラスをかけたスキンヘッドの青年の前に全身を黒のスーツと黒の帽子で覆った2m近い大男が立っていた。見覚えのある仮面も付けているし、コイツがタイタンで間違いないだろう。

 

「愚か者めぇ。この闇のデュエリストからぁ、逃れられるとでも思ったのかぁ?」

 

アニメで見た通りの特徴的な声と喋り方だ。原作ファンの一人としては少し感動を覚えつつ、青年と大男の間に割り込む。

 

「き、君は…」

 

「早くここから逃げな。時間稼ぎくらいはしてやるよ」

 

「あ、ありがとう!君も気を付けてくれよ!」

 

そう言うと青年は全力で逃げだす。

 

「ま、待てぃ!」

 

「おっと。ここを通りたければ、このオレを倒してから行くんだなぁ?」

 

逃げた青年を追おうとする大男の前に立ち、行動を妨害する。

 

「貴様ぁ!何者だぁ!この私を闇のデュエリスト、タイタンと知っての行動かぁ!?」

 

「オレの正体を知りたいってか?教えてやるよぉ!今明かされる衝撃の真実ぅ!」

 

このタイミングでやっておくか。俺はマントから手を出して天にかざし、高らかに叫ぶ!

 

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

「!?」

 

俺の周囲をまばゆい光が包み込み、胡散臭い『バリアン』共通の姿から、とあるバリアンの姿へと変化していく…!さぁ、威風堂々と名乗りを上げよう!

 

「ジャジャーン!オレ、ベクター!」

 

胸の中央に付けた赤の宝石を紫色に輝かせ、胸の宝石を抑えていた両手を左右に振り払う。我ながらそこそこのベクターポーズの再現である。宝石の光が収まる頃には、俺は灰色の肌に胸元にバリアンの紋章を付け、腰に同じく黒の布を巻いた背中に黒い翼を持つ白髪の男性型バリアン、ベクターの姿になっている。

 

「バリアン?ベクタァ?馬鹿にしおって!貴様などの用はない!とっとと片付けてやるわぁ!」

 

怒りながらもデュエルディスクを構えるタイタン。意外と動揺していないな。向こうも変な格好をしている分、この手の相手に耐性があるのかもしれないな。

 

俺もデュエルディスクを構えながら、タイタンと少し距離を取る。

 

 

「「対戦、お願いします」」

 

バリアンであっても挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ベクター(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆タイタン LP:4000

 

 

タイタンか。使用デッキは【デーモン】。セブンスターズ加入前の状態だと、サイコロデーモンだのチェスデーモンと呼ばれるモンスター群を使用するはずだ。サイコロデッキか。嫌な記憶が蘇りそうだ。

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

タイタン 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ジェネラルデーモン】を墓地に送って効果発動!このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「万魔殿-悪魔の巣窟-」1枚を手札に加える。」

タイタン 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【インフェルノクインデーモン】を召喚!」

タイタン 手札:6→5枚。

 

<タイタンのフィールド>

インフェルノクインデーモン ★4 ATK900

 

【インフェルノクインデーモン】の効果は自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う効果。このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する効果。このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのスタンバイフェイズ毎に「デーモン」という名のついたモンスターカード1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップする効果がある。

 

アニメだと召喚した瞬間(メインフェイズ)に攻撃力が増加していた気がするが、アニメ版の効果なのだろう。目の前のこのモンスターはOCG版みたいだな。

 

「そして私は手札からフィールド魔法【万魔殿-悪魔の巣窟-】を発動!」

タイタン 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

「【万魔殿-悪魔の巣窟-】の効果により、「デーモン」という名のついたモンスターはスタンバイフェイズにライフを払わなくてよい。戦闘以外で「デーモン」という名のついたモンスターカードが破壊されて墓地に送られた時、そのカードのレベル未満の「デーモン」という名のついたモンスターカードをデッキから1枚選択して手札に加える事ができる」

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

タイタン 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚

 

 

◆ベクター(白河クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

VS

 

◆タイタン LP:4000、手札:2枚、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<タイタンのフィールド>

インフェルノクインデーモン ★4 ATK900

 

 

この時代の一般的デュエリストくらいの初動だな。伏せカードは恐らく【血の刻印】か【デスカウンター】辺りだろう。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

ベクター 手札:5→6枚。

 

「おおっとぉ!ここで【インフェルノクインデーモン】の効果が発動する!お互いのスタンバイフェイズ毎に「デーモン」という名のついたモンスターカード1体の攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイントアップするぅ!私は【インフェルノクインデーモン】の攻撃力をアップさせる!」

 

<タイタンのフィールド>

インフェルノクインデーモン ★4 ATK900 → 1900

 

「メインフェイズへ移行」

 

「オレは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。オレはデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター【アンブラル・ゴースト】を除外する!」

ベクター 手札:6→5→7→6枚。

 

「オレは手札から【アンブラル・グール】を召喚するぜ!」

ベクター 手札:6→5枚。

 

<ベクターのフィールド>

アンブラル・グール ★4 ATK1800

 

「オレは【アンブラル・グール】の効果発動!1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。このカードの攻撃力を0にし、手札から攻撃力0の「アンブラル」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。オレは手札から【アンブラル・アンフォーム】を特殊召喚!」

ベクター 手札:5→4枚。

 

<ベクターのフィールド>

アンブラル・グール ★4 ATK1800 → 0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

 

「この瞬間!オレは手札から速攻魔法【地獄の暴走召喚】を発動!相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚された時に発動できる。その特殊召喚したモンスターの同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から可能な限り攻撃表示で特殊召喚し、相手は自身のフィールドの表側表示モンスター1体を選び、そのモンスターの同名モンスターを自身の手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚する!」

ベクター 手札:4→3枚。

 

「オレはデッキから【アンブラル・アンフォーム】の同名モンスター2体を特殊召喚するぜ!」

 

<ベクターのフィールド>

アンブラル・グール ★4 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

 

「何を考えているかは知らんがぁ、私もデッキから【インフェルノクインデーモン】を2体特殊召喚させてもらうぞぉ!」

 

<タイタンのフィールド>

インフェルノクインデーモン ★4 ATK900

インフェルノクインデーモン ★4 DEF1500

インフェルノクインデーモン ★4 DEF1500

 

「オレは手札から魔法カード【タンホイザーゲート】を発動!自分フィールド上の攻撃力1000以下で同じ種族のモンスター2体を選択して発動できる。選択した2体のモンスターは、その2体のレベルを合計したレベルになる。オレは攻撃力0のレベル4【アンブラル・グール】と【アンブラル・アンフォーム】のレベルを2体のレベルを合計したレベル8にする!」

ベクター 手札:4→3枚。

 

<ベクターのフィールド>

アンブラル・グール ★4→8 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4→8 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4 ATK0

 

「オレはレベル4の【アンブラル・アンフォーム】2体ででオーバーレイ!2体にモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4【No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル】!」

 

<ベクターのフィールド>

アンブラル・グール ★4→8 ATK0

アンブラル・アンフォーム ★4→8 ATK0

No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル ☆4 DEF800 ORU:2

 

「ほぅ、エクシーズ召喚かぁ」

 

「オレはレベル8となった【アンブラル・グール】と【アンブラル・アンフォーム】でオーバーレイ!2体にモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク8【No.23 冥界の霊騎士ランスロット】!」

 

<ベクターのフィールド>

No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル ☆4 DEF800 ORU:2

No.23 冥界の霊騎士ランスロット ☆8 ATK2000 ORU:2

 

「更に【No.23 冥界の霊騎士ランスロット】をエクシーズ・チェンジ!現れよランク11!【No.84 ペイン・ゲイナー】!」

 

「連続エクシーズ召喚だとぅ!?」

 

<ベクターのフィールド>

No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル ☆4 DEF800 ORU:2

No.84 ペイン・ゲイナー ☆11 DEF0 ORU:3

 

「【No.84 ペイン・ゲイナー】は、自分フィールドのX素材を2つ以上持ったランク8~10の闇属性Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。このカードの守備力は、自分フィールドのXモンスターのランクの合計×200アップする。X素材を持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手が魔法・罠カードを発動する度に相手に600ダメージを与える。1ターンに1度、このカードのORUを1つ取り除いて発動できる。このカードの守備力以下の守備力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する」

 

<ベクターのフィールド>

No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル ☆4 DEF800 ORU:2

No.84 ペイン・ゲイナー ☆11 DEF0→3000 ORU:3

 

「そして【No.84 ペイン・ゲイナー】のORUを1つ取り除いて効果発動!このカードの守備力以下の守備力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する!今の【No.84 ペイン・ゲイナー】の守備力は3000!よって守備力3000以下のお前のモンスターは全て破壊だ!」

No.84 ペイン・ゲイナー DEF3000 ORU:3→2

 

この効果は対象を取る効果ではないので、【インフェルノクインデーモン】の効果は発動できない。お前にサイコロを振らせてなんてやらねぇよ。

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

「何ぃ!?私のモンスターが全滅だとぉ!?」

 

「更に更にぃ!【No.84 ペイン・ゲイナー】をエクシーズ・チェンジ!化天を司る糸よ!儚き無幻となりて我が滅び行く魂を導け!!エクシーズ召喚!!現れろ!!【No.77 ザ・セブン・シンズ】!」

 

<ベクターのフィールド>

No.66 覇鍵甲虫マスター・キー・ビートル ☆4 DEF800 ORU:2

No.77 ザ・セブン・シンズ ☆12 ATK4000 ORU:3

 

「攻撃力4000だとぅ!?」

 

良いリアクションだな。君、闇のデュエリスト(笑)なんて止めて、リアクション芸人になろうよ。

 

「【No.77 ザ・セブン・シンズ】は、自分フィールドのランク10・11の闇属性Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚したターンは、1ターンに1度、このカードのORUを2つ取り除いて発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て除外し、除外したモンスターの中から1体を選んでこのカードの下に重ねてORUとする効果を使用できないがな」

 

「更に【No.77 ザ・セブン・シンズ】には、フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのORUを1つ取り除く事ができる」

 

「ば、馬鹿なぁ…」

 

「バトルフェイズに移行。【No.77 ザ・セブン・シンズ】でダイレクトアタック!ジェノサイドスパイダーシルク!!」

 

No.77 ザ・セブン・シンズ ATK4000

 

「ぬわぁぁぁぁっ!」

タイタン LP:4000→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「こんな、ことがぁ…」

 

 

~~~

 

デュエルが終わった後、そそくさと逃げようとするタイタンが見えた。そう言えば金にならないデュエルだとすぐに逃げようとしてたっけ。

 

「幻想の呪縛、発動」

 

「ぬぉぁっ!か、体が、動かん!?」

 

咄嗟に呪縛の魔術で動きを封じ、倒れ込んだタイタンに歩み寄み、見下ろしながら問いかけた。

 

「よぉ。お前が自称闇のデュエリスト、タイタンだよなぁ?」

 

「い、如何にも!だが自称ではぬわぁい!私こそ千年アイテムに選ばれた闇のデュエリスト、タイタンだ!」

 

そう言うとタイタンは懐から取り出した千年アイテム(笑)を自慢げに掲げる。千年パズルのつもりなんだろうが、パズルにしては接続部が一切なく、表面がツルツル過ぎる。

 

「へぇ?そうかい」

 

「あぁっ!何をする貴様!返せ!」

 

タイタンから千年アイテム(笑)を取り上げて地面に叩き落とす。少し角の部分が欠けた。千年アイテム(笑)。

 

「お前みたいな催眠術と幻覚で相手を精神的に追い込んで失神させる程度の詐欺師が、これからもでかい顔をされると迷惑なんだよなぁ?」

 

「なぁっ!何故それを知っている!?…ではなく、私は詐欺師ではなぁい!本物の闇のデュエリストだぁ!」

 

まだタイタンが何か言っているが、俺は気にせずに千年アイテム(笑)の上に足を置く。

 

「さぁ、良からぬことを始めようか?」

 

「貴様、何を…まさか!止めろぉぉぉっ!」

 

「半端な気持ちで入ってくるなよ デュエルの世界によォ!!」

 

俺は魔力を込めて千年アイテム(笑)を踏み抜く。グシャッ!と言う音と共に千年アイテム(笑)はバラバラに砕け散り、中から機械のパーツが転がり出てきた。分かりきっていたことだが、やはり偽物だった。

 

「あぁぁぁぁっ!製作費数十万もした傑作がぁ!?貴様ぁ、弁償しろぉ!」

 

タイタンからの非難を無視して、更に俺は霧を発生させるアタッシュケースを踏み抜く。ゴシャッ!と言う音と共にやはり中から機械の部品が飛び散る。

 

「アタッシュケースまで!?おのれぇ!ぜぇったいにゆぅるさんぞ!ヴェクトゥアー!!」

 

凄い巻き舌で怒っている。う~ん。これ以上はあまり意味がなさそうだし、帰るか。

 

「似非デュエリスト。これに懲りたら詰まんねぇ真似をするんじゃねぇぞ?恨むならドン・サウザンドって奴を恨むんだな?」

 

動けなくなっているタイタンを放置して、俺はその場を立ち去った。ついでに警察に不審者がいると連絡しておいた。運が良ければタイタンはレアカード強盗の罪でそのまま投獄されるだろう。

 

しかし、計算が狂ったな。怒らせるのではなく、恐怖を与えることでインチキ稼業から足を洗わせるつもりだったんだが、ただ怒らせて恨みを買っただけになってしまった。良からぬ計画は失敗だな。これもきっと全てドン・サウザンドって奴の所為なんだ…!絶対に許さねぇドン・サウザンドォォォ!

 

さて、憂さ払いの八つ当たりも済んだし、とっととお家に帰ろう。今日の晩御飯はハンバーグらしいからな。

 

~~~

 

夏休みも終わりが近くなった8月下旬、俺は駅近くの図書館でツァンと受験勉強をしていた。今は昼食後のまったりタイムだ。

 

「そう言えば、この前話した自称闇のデュエリストが警察に捕まったらしいよ」

 

「へぇ~。自称とはいえ闇のデュエリストって警察に捕まるもんだったんだな」

 

ツァンが飲食スペースで抹茶味のアイスキャンディーを舐めながらタイタンの末路について教えてくれた。関係ないけど、君は抹茶味ばかり食べているな。侍かな?

 

だが、タイタンに関しては本来の予定とは少し違うけど目論見が成功したな。これでタイタンが投獄されたままセブンスターズ編開始まで釈放されなければ、セブンスターズ編のメンバーが揃わなくなるはずだ。タイタンの代わりにもっと強いデュエリストが増えるかも知れないけれど、その時はその時だ。

 

「何でも路地裏で金縛りにあっているところを近所の住人が見つけて通報したらしいよ」

 

「笑えるw」

 

「ただ、闇のデュエルに関しては警察でも何も分からなかったみたいで、あくまでレアカード強奪の窃盗罪での逮捕みたい。初犯らしいから案外すぐに釈放されちゃうかもね」

 

「噂で名前が知られている時点で初犯ではないと思うけど、それは仕方のないことかもな。警察からすれば『闇のゲームって何?どういう罪に該当するの?』って話になるだろうしな」

 

ありゃりゃ。目論見は上手く行ったものの、成果はそこまで上がらなかったみたいだな。タイタンに襲われていたスキンヘッドの青年が証言してくれていれば暴行罪辺りも追加されたのかもしれないが、それでも多分あまり変わらないか。

 

「そう言えばアンタ、サイコデュエリストって知ってる?」

 

「うん?確かリアルソリットビジョンを使わずにカードの効果を実在の現象に変換できる人たちのことだっけ?」

 

ツァンが二本目の抹茶味アイスキャンディーを頬張りながら、タイタンとは別の話を振ってくる。それにしてもこの娘、噂とか事件とかに詳しいな。親とか親族に情報に携わる知り合いでもいるのだろうか。

 

「そ。なんでも童実野町付近でサイコデュエリストを自称する変な髪型の少年が居るんだってさ」

 

それは何処のサイコおじさんのことなんだろうな。今から20~30年後のアニメ5D'sに登場するあのディヴァインのことであれば、この時代だとまだ生まれて間もないくらいだと思っていたけれど、この世界だと意外と俺と同年代なのかも知れないな。

 

「闇のデュエリストだのサイコデュエリストだのと、最近は中二病ブームなのか?」

 

「さぁ?ただこっちの噂でも怪我人が出ているって話だから、アンタも童実野付近に用事がある時は気を付けなさいよ?」

 

「へぇ?心配してくれるんだ?ありがとうな」

 

「なっ!馬鹿じゃないの!?そんなわけないでしょ!あぁ、もう!休憩終わり!勉強するわよ!」

 

「了解~」

 

ツァンは残っていたアイスキャンディーを強引に口の中に放り込むと怒っていますと言わんばかりの態度で飲食スペースから移動していった。

 

いやぁ、あの手の娘をからかうのは楽しいなぁ。さて、俺も勉強に戻りますか。ディヴァインの処置は、ユーリたちに相談してからどうするかを決めるとしようかな。




以前少しだけ話題にしていたJRDG(ジャパン・ライディング・デュエル・グランプリ)編は丸々カット。これ以上重要でないオリジナル展開を入れて原作突入を遅くするのもイマイチですし、ライディングデュエルをメインにするのはGXタッグフォースと名乗っている以上、微妙かな?と思いました。

今回の被害者タイタンのデッキは【デーモン】。当時のデッキではなかなか完成度の高いデッキですが、相手が悪かったですね。

今回のオリ主のデッキは【アンブラル】。アニメZEXALでバリアン七皇のベクターが使用したデッキです。テーマカードとしては少なめですが、最低限の動きは出来ます。ただテーマ用のエクシーズモンスターくらいは欲しかったですね。

今回のオリ主は『タイタンを事前にデュエルでボコって千年アイテム(笑)を破壊しておけば、アカデミアに来ないんじゃね?』と言う安直な考えで行動しています。ゲスプレイをするのでちょうどいいと思いベクターの姿を取りました。結果は、後のお楽しみと言うことで。

次回の更新は2/24(水) AM6:00予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十四話 パラドックス

またもや海外で活動しているオリ主。

今回の対戦相手は、劇場版に登場したパラドックスです。


中学三年生の夏休みが終わって2学期が始まった。俺は9月の連休を利用して南米にあるとある国の秘密工場付近へとやってきていた。

 

イリアステルからの依頼で『パラドックスの所在がつかめたから協力して欲しい』とのこと。報酬も悪くないし、以前協力してもらった手前もあるので了承し、わざわざこんな山奥まで来たわけだ。

 

大きな山の森と岩陰に隠れるように佇むその工場の周辺には多くのディアブロの姿が見える。そいつらに見つからないように、事前に決めてあった集合場所へと向かうと、そこにはアンチノミーとレインが待っていた。

 

「やぁ、待っていたよ白河クロト」

 

「…クロト、遅い」

 

こちらを見るとわずかに微笑みながら声を掛けてくるアンチノミー、それに対して時間ギリギリの到着に少しご立腹のレイン。よく見れば、髪型がタッグフォース6のようにツインテールになっていた。

 

「待たせて済まないな二人とも。それはともかくレイン、髪型変えたんだな。似合ってるじゃん」

 

「…そう」

 

素直に似合っていると思ったのでそう声を掛けるとプイッと顔を逸らされた。何か不味いことを言っただろうか?

 

「オホン。さて、世間話はここまでにしておいて、そろそろ作戦内容の確認をしておこうか」

 

「あぁ、そうだな」

 

アンチノミーが上手く話を戻してくれたのでそれに便乗する。流石は未来のチーム5D'sの陽キャラムードメーカー。

 

作戦は結構単純だ。レイン率いるゴーストが囮となって工場前のディアブロと交戦を開始した後、俺とアンチノミーがそれぞれ別ルートで工場内に侵入する。

 

俺達の侵入を確認出来たらレインたちは撤退、俺とアンチノミーのどちらかが工場内のパラドックスを発見した後に確保する。もし確保が難しい場合は破壊しても構わないとのこと。

 

イリアステルは覚悟決まっている奴らが多すぎてシリアス展開にしかならなさそうだ。

 

「じゃあ、準備はいいかい?今から10分後に作戦を開始するよ。作戦完了時間までに作業を完了できない場合は撤退すること。いいね」

 

「OKだ」

 

「…了解」

 

俺達はそれぞれの作戦開始位置に付き、俺はハノイの騎士の姿を取る。流石に素顔で工場内に侵入するつもりはない。その後、作戦は開始された。

 

~~~

 

作戦開始から1時間後、俺は無事に工場内に侵入を果たしていた。警報とアナウンスを聞く限り、どうやらアンチノミーも潜入に成功したようだな。

 

『流石に施設内だと人間が多いな。メカレオン、頼む』

 

『任せろクロト!そ~れっと』

 

メカレオンの光学迷彩のおかげで、俺はすれ違う軍服姿の兵士たちや白衣の研究者たちに一切気付かれずにスイスイと工場奥まで侵入していく。

 

『電子ロックか。キーメイス、頼む』

 

『お任せあれ~』

 

金属錠だろうが電子ロックだろうが指紋認証だろうが網膜認証だろうが、鍵のついた扉であればキーメイスに頼めば1秒と掛からずに開錠できる。

 

『この距離だと俺の跳躍だけだと届かないか。プチリュウ、あそこまで飛べるか?』

 

『リュ~ン!』

 

多少距離が離れた場所でも、プチリュウが居れば飛翔して移動できる。

 

『ワイト、ターゲットは見つかった?』

 

『ここから北東1.5km先に大広間のような大部屋がありましたな。そこにそれらしき人物が拘束されていましたぞ?』

 

『『『『『ワイトもそう思います!』』』』』

 

魔力探知で認識しきれないような複雑で巨大な施設でも、ワイトたちが居れば人海戦術で十数分もすればに施設内のマップが完成する。

 

『あの兵士たちは邪魔だな。斬首の美女、伝説の剣豪MASAKI。エルフの剣士。俺は正面をやるから、左右の兵士を頼めるかい?あっ、斬首は無しで。峰打ちで頼むよ』

 

『腕が鳴るのう!』

 

『承知!』

 

『任せて貰おう!』

 

重要施設を警護している兵士たちも1個中隊規模くらいであれば、斬首の美女と伝説の剣豪MASAKI、そして最近協力して貰えるようになったエルフの剣士に協力を頼めば応援を呼ばれる隙を与えずに無力化できる。

 

『バニー!』

 

『あぁ~♪バニーラは可愛いなぁ♪』

 

バニーラが俺の肩の上に乗りファイティングポーズを取っている。可愛い。この子は癒しだ。この殺伐とした環境で荒んだ俺の心を癒してくれる。それだけで十分だ。

 

~~~

 

作戦開始から2時間後、俺はワイトたちから聞いていた大広間へと到着した。どうやらアンチノミーの到着はまだのようだ。

 

「あれ、だな」

 

部屋の奥には様々な機械が並べられており、その中心には無数のケーブルに接続されて吊るされた金髪の男パラドックスがぶら下がっていた。アニメ5D'sの終盤で【機動要塞フォルテシモ】と合体したアポリアみたいになっている。

 

周囲に監視カメラが無いこと、この部屋にパラドックス以外がいないことを確認してからメカレオンの光学迷彩を解除する。あまり長時間使用していると、帰り道分の魔力量が足りなくなるからな。しかも帰り道はこのパラドックスを抱えるか引きずるかして持って帰る必要があるかも知れない。ここであまり魔力の無駄遣いは出来ない。

 

俺は念のため周囲を警戒しつつ、パラドックスに近寄っていく。やがて目の前までやってくると、コイツをどうやってこの装置から剝がすのかという問題が出てくる。

 

「ケーブルを引きちぎるか」

 

一般的な機械なら何となく想像も付くが、パラドックスの周囲にある機械はどんなものか全く分からない。俺はメ蟹ックではないのだ。あまり時間もかけられないので適当に力技で解決しようとすると…。

 

「貴様、何者だ?」

 

目の前のパラドックスから声を掛けられた。よく顔を見ると先ほどまで閉じられていた目を開けて、顔を上げている。

 

えっ、お前って今も稼働していたのか?伝説のデュエリスト3人にボコられて機能停止したままデータだけ吸い出されているのかと思っていたが、まさか再稼働させるまでに至っているなんてな。

 

「私はハノイの騎士と名乗っている者だ。お前の知り合いから頼まれて、お前をここから運び出しに来た」

 

嘘は言っていない。だが少し言葉を濁しておいた。だってなんだか嫌な予感がするんだよな。

 

「なるほど。つまりは侵入者と言うわけだな?ならば、ここで朽ち果てるがいい!」

 

パラドックスの言葉と同時に部屋全体にアラーム音が発生し、この部屋唯一の扉が鉄格子などで厳重に閉じられる。ヤバイ、閉じ込められた。

 

「どういうつもりだ?」

 

「どういうつもりだと?馬鹿め!貴様もこの個体の秘密を探りに来た侵入者であろう!ならば侵入者は排除するのみ!」

 

パラドックスがデュエルディスクを構え、一枚のカードをディスクにセットすると、サイバーエンドドラゴンに似た機械の竜である【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】が実体化し、その三つの首から光線が吐き出される!

 

「っ!バニーラ!ホーリー・エルフ!!」

 

「バニー!」

 

「お任せを!」

 

咄嗟にバニーラとホーリー・エルフを実体化させて、彼女らの防御魔術のおかげで光線が分散して直撃は免れて事無きを得る。目の前と後方で凄まじい爆発が起こり、それに吹き飛ばされた上に結構な衝撃に襲われたが一応は生きている。ふと振り返ると、今の衝撃でこの部屋の入り口が吹き飛んで瓦礫まみれになっていた。帰りはあの道以外のルートを探さなければならなさそうだ。

 

だが、良かった。劇場版アニメ原作と同様で、実体化した時の力量は、カード時の攻撃力・守備力と同じではないようだ。劇場版アニメだと、遊城十代が【Sin スターダスト・ドラゴン】の攻撃2500を【E・HERO ネオス】の守備力2000で凌ぎ切っていたしな。

 

それにしても、パラドックスの様子がおかしい。劇場版後であれば、伝説のデュエリスト三人にボコられて多少丸くなったと思うんだが、恐らくは体中についたケーブルを見る限りだと、パラドックス内部のデータは書き換えられてしまい、この工場の主に操られているのだろう。自分のことをこの個体とか呼んでいたしな。

 

だけどさぁ、お前は今、俺を物理的に殺そうとしたよね?なら、操られていたとしても、お前もやり返されても文句は言わないよね?修復されたところを悪いが、もう一度スクラップにしてやる!

 

~~~

 

「ちっ!貴様も遊城十代と同様にカードの精霊を操る者か!ならばデュエルで決着をつけてやろう!」

 

そう言うとパラドックスは背後の機械との接続を解除してこちらに歩いてくる。そして改めてデュエルディスクを構える。

 

「望むところだ!」

 

こちらもデュエルディスクを構える。残念だが、今回は挨拶をしている余裕がない。遺憾ながら挨拶は省略だ。早くケリを付けないと、このアラームやさっきの爆発音などで遠くに居た兵士たちがこの部屋に向かってきているだろうからな。

 

「「デュエル!」」

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆パラドックス LP:4000

 

 

パラドックスの使用デッキは【Sin】。遊戯王DM、遊戯王GX、そして遊戯王5D'sの歴代のエースモンスターたちの力を吸収して作られたSinモンスターを操る強敵だ。劇場版アニメだと武藤遊戯、遊城十代、不動遊星と三対一で死闘を繰り広げている。

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

パラドックス 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【惑星探査車】を召喚!」

パラドックス 手札:6→5枚。

 

【惑星探査車】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1000/守1000

(1):このカードをリリースして発動できる。デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

<パラドックスのフィールド>

惑星探査車 ★4 ATK1000

 

「私は【惑星探査車】の効果を発動する!このカードをリリースし、デッキからフィールド魔法【Sin World】を手札に加える!」

パラドックス 手札:6→5→6枚。

 

<パラドックスのフィールド>

モンスター無し

 

「私は手札からフィールド魔法、罪深き世界【Sin World】を発動する!」

パラドックス 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【Sin World】※アニメ効果

フィールド魔法

ドローフェイズ時にドローしない代わりに「Sin」と名のついたモンスターを自分のデッキからランダムに1枚選択し手札に加える事ができる。

自分フィールド上に「Sin」と名のついたモンスターが存在する場合、「Sin」と名のついたモンスター以外のモンスターは攻撃する事ができない。

 

「私はEXデッキから【スターダスト・ドラゴン】を1体墓地に送り、手札から【Sin スターダスト・ドラゴン】を特殊召喚する!」

パラドックス 手札:5→4枚。

 

【Sin スターダスト・ドラゴン】※アニメ効果

効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻 2500/守 2000

このカードは通常召喚できない。

自分のエクストラデッキから「スターダスト・ドラゴン」1体を墓地へ送る事でのみ、手札のこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

「フィールド上のカードを破壊する効果」を持つ魔法・罠・効果モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースする事でその発動を無効にし破壊する。

この効果を適用したターンのエンドフェイズ時、この効果を発動するためにリリースされ墓地に存在するこのカードを、自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

パラドックスのフィールドに【スターダスト・ドラゴン】に酷似した黒いモンスターが現れる。

 

<パラドックスのフィールド>

Sin スターダスト・ドラゴン ★8 ATK2500

 

「私はEXデッキから【サイバー・エンド・ドラゴン】を1体墓地に送りして、手札から【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】を特殊召喚する!」

パラドックス 手札:4→3枚。

 

【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】※アニメ効果

効果モンスター

星10/闇属性/機械族/攻 4000/守 2800

このカードは通常召喚できない。

自分のエクストラデッキから「サイバー・エンド・ドラゴン」1体を墓地へ送る事でのみ、手札のこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

パラドックスのフィールドに【サイバー・エンド・ドラゴン】に酷似した黒いモンスターが現れる。

 

<パラドックスのフィールド>

Sin スターダスト・ドラゴン ★8 ATK2500

Sin サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000

 

やはり劇場版に登場したパラドックスの使用したアニメ版の効果のようだな。OCG版と違い、『「Sin」モンスターはフィールドに1体しか表側表示で存在できない』制約と、『このカードがモンスターゾーンに存在する限り、他の自分のモンスターは攻撃宣言できない』制約が無い。殆ど手札1枚から【スターダスト・ドラゴン】や【サイバー・エンド・ドラゴン】を出しているような物だ。そりゃ強いわ。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

パラドックス 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆パラドックス LP:4000、手札:2枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

Sin スターダスト・ドラゴン ★8 ATK2500

Sin サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000

 

 

さて、OCG版だとあの伏せカードは、墓地のSinモンスターを召喚条件を無視して1ターンのみ蘇生できる速攻魔法【Sin Cross】、自分フィールドのSinが破壊された場合に手札を補充できる通常罠【Sin Tune】、Sinモンスターがいる場合にモンスター除去を行える通常罠【Sin Claw Stream】、もしくはSinモンスターのデメリット効果を打ち消す【スキルドレイン】辺りが妥当なんだがな。

 

アニメオリジナルカードの、「Sin パラドクス・ドラゴン」が破壊された時、自分の手札・デッキ・墓地から「Sin トゥルース・ドラゴン」1体を自分フィールド上に特殊召喚する【Sin Paradigm Shift】、「Sin」と名のついたモンスター1体に装備して装備モンスターは相手の魔法・罠カードの効果を受けなくなる永続罠【Sin Force】も考えられる。

 

【Sin】デッキ相手に攻撃力で競うなんて、サイバー流と攻撃力を競うくらいに無駄だ。やはり当初の予定通り、Sinモンスターは破壊せずに処理することにしよう。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

なかなかいい感じの手札だ。最近はドロー力も上がってきたかもしれないな。

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!自分はデッキから2枚ドローし、手札から【雙極の破械神】を除外する!」

ハノイ 手札:6→5→6→5枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「私は手札から魔法カード【ダーク・オカルティズム】を発動!私は手札の【カース・ネクロフィア】を墓地に送り、デッキから【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】を手札に加える!」

ハノイ 手札:6→5→4→5枚。

 

【ダーク・オカルティズム】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。自分のデッキ・墓地から「ウィジャ盤」1枚または悪魔族・レベル8モンスター1体を選んで手札に加える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地の「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードの中から、任意の数だけ選び(同名カードは1枚まで)、好きな順番でデッキの一番下に戻す。その後、戻した数だけ自分はデッキからドローする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「ラヴァ・ゴーレムだと!?」

 

「私はお前のフィールドの【Sin スターダスト・ドラゴン】と【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】をリリースし、お前のフィールドに【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】

特殊召喚・効果モンスター

星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。

相手フィールドのモンスター2体をリリースした場合に相手フィールドに特殊召喚できる。このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。

(1):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

 

パラドックスの背後からドロドロの溶岩で出来た魔人が現れ、パラドックスを鉄の檻で閉じ込める。

 

「私のSinモンスターたちが!?」

 

「このモンスターのコントローラーは自分スタンバイフェイズに自分は1000LPダメージを受ける。だが、喜べ。お前は攻撃力3000のモンスターを操ることが出来るんだぞ?フハハハッ!」

 

「くっ!貴様ぁ!」

 

攻撃力4000の【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】をリリースしたんだけどな。そして奴は【Sin World】の効果で「Sin」と名のついたモンスター以外で攻撃宣言する事ができない。せいぜいその溶岩のペットちゃんと仲良くしてやってくれ。

 

「私は手札からフィールド魔法【ダーク・サンクチュアリ】を発動!!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

【ダーク・サンクチュアリ】

フィールド魔法

(1):自分の「ウィジャ盤」の効果で「死のメッセージ」カードを出す場合、そのカードを通常モンスター(悪魔族・闇・星1・攻/守0)として特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したカードは「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない(この効果が適用されたモンスターしか自分フィールドに存在しない状態での相手の攻撃は自分への直接攻撃になる)。

(2):相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。コイントスを1回行う。表だった場合、その攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

 

「【ダーク・サンクチュアリ】…!?あのフィールド魔法は…貴様、まさか!【ウィジャ盤】による特殊勝利を狙っているのか!」

 

「ふっ、私はカードを3枚セットしてターンエンド!」

ハノイ 手札:3→0枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:0枚、伏せカード:3枚。

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆パラドックス LP:4000、手札:2枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、そしてこのタイミングで【Sin World】の効果発動!自分のデッキから「Sin」と名のついたモンスター1体をランダムに手札に加える。私はデッキから【Sin 真紅眼の黒竜】を手札に加える!そしてそのままスタンバイ…」」

パラドックス 手札:2→3枚。

 

「このタイミングでお前の【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】の効果が発動し、お前は1000LPダメージを受ける」

 

「ぐおぉぉぉっ!…メインフェイズへ移行!」

パラドックス LP:4000→3000

 

「私はデッキから【青眼の白龍】を1体墓地に送り、手札から【Sin 青眼の白龍】を特殊召喚する!」

パラドックス 手札:3→2枚。

 

【Sin 青眼の白龍】※アニメ効果

効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻 3000/守 2500

このカードは通常召喚できない。

自分のデッキから「青眼の白龍」1体を墓地へ送る事でのみ、手札のこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

パラドックスのフィールドに【青眼の白龍】に酷似した黒いモンスターが現れる。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

「バトルだ!【Sin 青眼の白龍】でダイレクトアタック!放て、滅びの爆裂疾風弾!」

 

「このタイミングで【ダーク・サンクチュアリ】の効果が発動する!相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。コイントスを1回行う。表だった場合、その攻撃を無効にし、その相手モンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える!さぁ、覚悟は良いか!」

 

「ふん。そんな博打が通用するものか!」

 

「コイントス!…裏だ」

 

はー、つっかえ。止めたらこの防御効果?

 

「愚か者め!滅びの爆裂疾風弾を受けよ!」

 

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

「ぐぅぅぅぅっ!」

ハノイ LP:4000→1000

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

パラドックス 手札:2→1枚。

 

「エンドフェイズに伏せていた永続罠【ウィジャ盤】を発動!」

ハノイ 伏せカード:3→2枚。永続罠:0→1枚。

 

【ウィジャ盤】

永続罠

このカードと「死のメッセージ」カード4種類が自分フィールドに揃った時、自分はデュエルに勝利する。

(1):相手エンドフェイズにこの効果を発動する。手札・デッキから、「死のメッセージ」カード1枚を「E」「A」「T」「H」の順番で自分の魔法&罠ゾーンに出す。

(2):自分フィールドの「ウィジャ盤」または「死のメッセージ」カードがフィールドから離れた時に自分フィールドの「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードは全て墓地へ送られる。

 

俺の背後に【ダーク・ネクロフィア】の幻影が現れ、ウィジャ盤を操作して「D」の文字を浮かび上がらせる。

 

「私はデッキから【死のメッセージ「E」】を自分の魔法&罠ゾーンに呼び出す!」

ハノイ 永続魔法:0→1枚。

 

【死のメッセージ「E」】

永続魔法

このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

「そして【ダーク・サンクチュアリ】の効果により、【ウィジャ盤】の効果で「死のメッセージ」カードを出す場合、そのカードを通常モンスター(悪魔族・闇・星1・攻/守0)として特殊召喚できる」

ハノイ 永続魔法:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

「更に伏せていた永続罠【死の宣告】を発動!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。永続罠:1→2枚。

 

【死の宣告】

永続罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、自分フィールドの「ウィジャ盤」及び「死のメッセージ」カードの数まで悪魔族モンスターを対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

(2):魔法&罠ゾーンのこのカードを墓地へ送って発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「死のメッセージ」カード1枚を選び、「ウィジャ盤」の効果扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに出す。

 

【ウィジャ盤】の効果で死のメッセージを出す際は「E」「A」「T」「H」の順番で出さねばならないので、【死の宣告】の効果で途中の文字を出しても飛ばすことはできない。【死の宣告】で死のメッセージを出す場合は「H」「T」と本来出す順と逆に出せば【ウィジャ盤】の効果と合わせて素早く揃えられるわけだ。

 

「そして永続罠【死の宣告】の効果を発動!このカードを墓地に送り、私はデッキから【死のメッセージ「H」】を自分の魔法&罠ゾーンに呼び出す!」

ハノイ 永続罠:2→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

【死のメッセージ「H」】

永続魔法

このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

「そして【ダーク・サンクチュアリ】の効果により、【死のメッセージ「H」】を通常モンスター(悪魔族・闇・星1・攻/守0)として特殊召喚する!

ハノイ 永続魔法:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

「1ターンに3枚まで【ウィジャ盤】の効果を進行させるとは…!」

 

「これで私のターンは終了だ」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:1000、手札:0枚、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

VS

 

◆パラドックス LP:3000、手札:1枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

おぉっ!壺じゃん!謙虚な方だけど、十分だな!

 

「私は手札から魔法カード【強欲で謙虚な壺】を発動!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

【強欲で謙虚な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、

このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。

 

<ハノイがデッキの上からめくったカード>

①抹殺の邪悪霊

②怨念の邪悪霊

③カードカー・D

 

引きは悪くないか。【ダーク・サンクチュアリ】の防御効果はイマイチ信用できないし、防御カードが欲しかったからな。【カードカー・D】は惜しいが、相手の伏せカードは今まで発動させていないことから恐らくこちらのモンスターを破壊するカードだろうと思われる。召喚した後にリリースする前に破壊されてしまうだろう。

 

「私は【抹殺の邪悪霊】を手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻してシャッフルする」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:1000、手札:1枚、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

VS

 

◆パラドックス LP:3000、手札:1枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、【Sin World】の効果は発動しない!…ドロー!そしてそのままスタンバイ…」

パラドックス 手札:1→2枚。

 

「このタイミングでお前の【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】の効果が発動し、お前は1000LPダメージを受ける」

 

「がぁぁぁっ!…おのれぇ!メインフェイズへ移行!」

パラドックス LP:3000→2000

 

「私は手札から速攻魔法【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外してデッキから2枚ドロー!」

パラドックス 手札:2→1→3枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私は手札から速攻魔法【ツインツイスター】を発動!私は手札の【Sin 真紅眼の黒龍】を墓地に送り、貴様のフィールドの【ウィジャ盤】と伏せカードを破壊する!」

パラドックス 手札:3→2→1枚。

 

【ツインツイスター】

速攻魔法

(1):手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

魔法罠の除去カードも入れて、しかも素引きしたのか。とんでもないドロー力だが、甘いな!

 

「私はその効果にチェーンして伏せていた罠カード【スターライト・ロード】を発動!【ツインツイスター】の効果を無効にし破壊し、【スターダスト・ドラゴン】をEXデッキから特殊召喚する!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【スターライト・ロード】

通常罠

(1):自分フィールドのカードを2枚以上破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その効果を無効にし破壊する。その後、「スターダスト・ドラゴン」1体をEXデッキから特殊召喚できる。

 

【スターダスト・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。

 

「何っ!?」

 

チェーン②スターライト・ロード

チェーン①ツインツイスター ※効果無効化&破壊

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

スターダスト・ドラゴン ★8 DEF2000

 

「【スターダスト・ドラゴン】!?何故、貴様のようなシグナーでもないものがそのモンスターを所持している!?」

 

「その問いに答える必要はないな」

 

「だがそちらの【スターダスト・ドラゴン】には早々に退場してもらう!」

 

何か仕掛けてくる気だな。

 

「リバースカードオープン!魔法カード【Sin Selector】発動!私は墓地の【Sin サイバー・エンド・ドラゴン】と【Sin 真紅眼の黒龍】を除外し、デッキからチューナーモンスター【Sin パラレルギア】と【Sin Paradigm Shift】を手札に加える!」

パラドックス 手札:1→3枚。伏せカード:1→0枚。

 

【Sin Selector】※アニメ効果

通常魔法

自分の墓地に存在する「Sin」と名のついたモンスター2体をゲームから除外する。

自分のデッキから「Sin」と名のついたカード2枚を手札に加える。

 

あの伏せカード、発動条件を満たしていないブラフの魔法カードだったのかよ!?どうりで発動しなかったわけだ!しかも厄介なカードをサーチしてきたな!

 

「私は手札よりチューナーモンスター【Sin パラレルギア】を召喚!」

パラドックス 手札:3→2枚

 

【Sin パラレルギア】※アニメ版

チューナー(効果モンスター)

星2/闇属性/機械族/攻 0/守 0

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000

Sin パラレルギア ★2 ATK0 ※チューナー

 

あのモンスターをシンクロ召喚するためにはSinモンスターのチューナーと非チューナー1体以上が必要だ。ラヴァ・ゴーレムをシンクロ素材にされることはないが、ヤバいことには変わりないな。

 

「私はレベル8【Sin 青眼の白龍】にレベル2【Sin パラレルギア】をチューニング!次元の裂け目から生まれし闇よ、時を越えた舞台に破滅の幕を引け!シンクロ召喚!レベル10【Sin パラドクス・ドラゴン】!」

 

【Sin パラドクス・ドラゴン】※アニメ版

シンクロ・効果モンスター

星10/闇属性/ドラゴン族/攻 4000/守 4000

「Sin」と名のついたチューナー+チューナー以外の「Sin」と名のついたモンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力は、自分フィールド上に存在するこのカード以外のシンクロモンスターの攻撃力の合計分だけダウンする。

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

 

「私は【Sin パラドクス・ドラゴン】の効果発動!このモンスターがカードがシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地に存在するシンクロモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する事ができる」

 

「墓地に眠るのは…」

 

「そう、貴様と同じこのモンスターだ!墓地より現れよ!【スターダスト・ドラゴン】!」

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

スターダスト・ドラゴン ★8 DEF2000

 

「更に私は手札から魔法カード【Sin Cross】発動!私は墓地の【Sin 青眼の白龍】を召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する!」

パラドックス 手札:1→3枚。伏せカード:1→0枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

スターダスト・ドラゴン ★8 DEF2000

Sin 青眼の白龍 ★8 ATK3000 ※エンドフェイズにゲームから除外される。

 

【Sin Cross】※アニメ版

速攻魔法

自分の墓地に存在する「Sin」と名のついたモンスター1体を召喚条件を無視して自分フィールド上に特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 

「バトルだ!私の【Sin 青眼の白龍】で貴様の【スターダスト・ドラゴン】を攻撃!放て、滅びの爆裂疾風弾!」

 

「このタイミングで【ダーク・サンクチュアリ】の効果が発動する!」

 

「やってみるがいい!」

 

「コイントス!…裏だ」

 

はぁっ?キレそう。

 

「愚か者め!滅びの爆裂疾風弾を受けよ!」

 

Sin 青眼の白龍 ATK3000

vs

スターダスト・ドラゴン DEF2000

 

「ちぃ!私の【スターダスト・ドラゴン】は破壊されたか!」

 

「止めだ!【Sin パラドクス・ドラゴン】でダイレクトアタック!!」

 

「まだだ!まだ終わらんよ!私は手札から【抹殺の邪悪霊】の効果発動!!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

【抹殺の邪悪霊】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1600/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターが攻撃するダメージステップ開始時に、自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の悪魔族・レベル8モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う。

(2):このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを手札に加える。

 

「何だと!?」

 

「私は墓地の【カース・ネクロフィア】を選択!そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、攻撃対象をそのモンスターに移し替えてダメージ計算を行う!」

 

【カース・ネクロフィア】

特殊召喚・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守2200

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):除外されている自分の悪魔族モンスター3体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、対象のモンスターをデッキに戻す。

(2):モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。その後、自分フィールドの魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

カース・ネクロフィア ★8 DEF2200

 

「そしてこのタイミングで【ダーク・サンクチュアリ】の効果が発動する!」

 

「何度でもやってみるがいい!」

 

「コイントス!…裏だ」

 

あー、もう!これだからギャンブルカードは嫌いなんだよー!

 

「消え去れ!」

 

Sin パラドクス・ドラゴン ATK4000

vs

カース・ネクロフィア DEF2200

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

「せっかく出した【カース・ネクロフィア】は戦闘破壊されたか」

 

【抹殺の邪悪霊】には、このカードが墓地に存在し、悪魔族・レベル8モンスターが自分の墓地へ送られた場合にこのカードを手札に加える効果があるが、ダメージステップ時には発動できない。つまり戦闘破壊には対応してないんだよな。流石に戦闘破壊に対応していたら強すぎだと思われたのかもしれない。

 

「私はカードを1枚セットしてこれでターンエンドだ」

パラドックス 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【Sin Cross】で特殊召喚した【Sin 青眼の白龍】は除外される」

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

スターダスト・ドラゴン ★8 DEF2000

 

「こちらもエンドフェイズに永続罠【ウィジャ盤】の効果発動!私はデッキから【死のメッセージ「A」】を【ダーク・サンクチュアリ】の効果で自分のモンスターゾーンに出す!」

 

【死のメッセージ「A」】

永続魔法

このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

「あの1ターンか。だが次の私のターンのエンドフェイズ前に貴様を葬れば済むことだ!」

 

「更にエンドフェイズに墓地の【カース・ネクロフィア】の効果発動!1ターンに1度、モンスターゾーンのこのカードが相手によって破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。その後、自分フィールドの魔法・罠カードのカード名の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる!」

 

「!?」

 

「まずは墓地から【カース・ネクロフィア】を特殊召喚する。そして私の魔法・罠カードのカード名の種類の数は、【ダーク・サンクチュアリ】と【ウィジャ盤】の2種類。よって2枚のカードを破壊できる!破壊する対象は【Sin World】と伏せカードだ!」

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

カース・ネクロフィア ★8 DEF2200

 

「無駄だ!その効果にチェーンして、私は【スターダスト・ドラゴン】の効果発動!【カース・ネクロフィア】の発動を無効にし破壊する!」

 

チェーン②スターダスト・ドラゴン

チェーン①カース・ネクロフィア ※無効化&破壊

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

 

防がれたか。だがこれでいい。奴の【スターダスト・ドラゴン】はシンクロ召喚で正規召喚されていない蘇生条件を満たしていない状態だ。よって【スターダスト・ドラゴン】のもう一つの効果である『エンドフェイズにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する』効果は使用できないからな。

 

「私はこのタイミングで墓地の【抹殺の邪悪霊】の効果発動!自身を手札に加える!」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:1000、手札:0枚、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

 

VS

 

◆パラドックス LP:2000、手札:0枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

 

 

あの伏せカードは間違いなく【Sin Paradigm Shift】。【Sin パラドクス・ドラゴン】を破壊した場合、ライフポイントを半分払って自分の手札・デッキ・墓地から「Sin トゥルース・ドラゴン」1体を特殊召喚するカードだ。【Sin トゥルース・ドラゴン】はバーン効果と破壊耐性を持つ攻撃力5000のモンスター。これを召喚されると辛すぎる。絶対に出させん。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:1→2枚。

 

良し!このカードならば…!

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンドだ!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:1000、手札:1枚、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

VS

 

◆パラドックス LP:2000、手札:0枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、そしてこのタイミングで【Sin World】の効果発動!自分のデッキから「Sin」と名のついたモンスター1体をランダムに手札に加える。私はデッキから【Sin レインボー・ドラゴン】を手札に加える!そしてそのままスタンバイ…」」

パラドックス 手札:0→1枚。

 

「このタイミングでお前の【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】の効果が発動し、お前は1000LPダメージを受ける」

 

「がぁぁぁっ!…メインフェイズへ移行!」

パラドックス LP:2000→1000

 

「このカードは通常召喚できない。手札・デッキから「究極宝玉神 レインボー・ドラゴン」1体を除外した場合のみ特殊召喚できる。私はデッキから【究極宝玉神 レインボー・ドラゴン】を1体墓地に送り、手札から【Sin レインボー・ドラゴン】を特殊召喚する!」

パラドックス 手札:1→0枚。

 

【Sin レインボー・ドラゴン】※アニメ版

効果モンスター

星10/闇属性/ドラゴン族/攻 4000/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分のデッキから「究極宝玉神 レインボー・ドラゴン」1体を墓地へ送る事でのみ、手札のこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

自分フィールド上に存在するこのカード以外のモンスターを全て墓地へ送る。墓地へ送った「Sin」と名のついたカード1枚につき、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

自分の墓地に存在する「Sin」と名のついたモンスターを全てゲームから除外する事で、フィールド上に存在するカードを全て持ち主のデッキに戻す。

フィールド上に「Sin World」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

パラドックスのフィールドに【究極宝玉神 レインボー・ドラゴン】に酷似した黒いモンスターが現れる。

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

Sin パラドクス・ドラゴン ★10 ATK4000

Sin レインボー・ドラゴン ★10 ATK4000

 

ここで【Sin レインボー・ドラゴン】!?デッキバウンス効果は…まだ使わないか。バトルフェイズ終了後のメインフェイズ2で俺を仕留めきれなかった場合に効果を使う気か。それならばまだ可能性はある!

 

それにしてもアイツがエクシーズ召喚を使えなくて助かった。もし使えているならばこの時点でグスタフオラァ!でサヨナラだったな。

 

「お前を守るモンスターは居ない!さらばだ。見知らぬ謎のデュエリストよ!バトル!【Sin レインボー・ドラゴン】でダイレクトアタック!オーバー・ザ・レインボー!!」

 

【Sin レインボー・ドラゴン】からまばゆい光が押し寄せてくる…!

 

掛かった!【Sin レインボー・ドラゴン】の効果を使わなかった判断を後悔するんだな!

 

「さぁ、最後の【ダーク・サンクチュアリ】の効果を使うがいい!それともその伏せカードで私のモンスターたちを破壊するか!?」

 

「惜しいがどちらも外れだ!伏せていた罠カード【波紋のバリア -ウェーブ・フォース-】発動!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【波紋のバリア -ウェーブ・フォース-】

通常罠

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て持ち主のデッキに戻す。

 

「何…だとぉ!?」

 

「元の居場所に戻るがいい!Sinモンスターたちよ!!」

 

Sinモンスターたちは自らの放った攻撃を水の障壁によって跳ね返され、それぞれのデッキへと戻っていく…!

 

<パラドックスのフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

 

「馬鹿な…ターンエンドだ…」

 

「エンドフェイズに永続罠【ウィジャ盤】の効果発動!私は相手エンドフェイズにデッキから【死のメッセージ「T」】を【ダーク・サンクチュアリ】の効果で自分のモンスターゾーンに出す!」

 

【死のメッセージ「T」】

永続魔法

このカードは「ウィジャ盤」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

<ハノイのフィールド>

死のメッセージ「E」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「A」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「T」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

死のメッセージ「H」 ★1 DEF0 ※「ウィジャ盤」以外のカードの効果を受けず、攻撃対象にされない。

 

「この瞬間!永続罠【ウィジャ盤】の効果発動!このカードと「死のメッセージ」カード4種類が自分フィールドに揃った時、自分はデュエルに勝利する!」

 

俺の背後に【ダーク・ネクロフィア】の幻影が、ウィジャ盤を操作して最後の文字を浮かび上がらせる…!

 

 

「D」「E」「A」「T」「H」

 

 

「このデュエル、私の勝ちだ」

 

 

「こんなことが…」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

やはり挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

~~~

 

デュエルが終わってデュエルディスクを仕舞った俺は、意気消沈しているパラドックスを呪縛の魔術で拘束しておいた。またビームとか出されたらたまらないからな。

 

「さて、どうやって運んだらいいものか」

 

そう考えていると。部屋の左の壁から爆発が起こり、壁に大穴が開いた。そこからレインとゴースト達が部屋に入ってくる。俺があの壁の近くに居たらと思うとゾッとするな。

 

「…見つけた」

 

「レインか。ちょうどよかった。パラドックスは見つけて無力化しておいたぞ。あとはゴースト達に運んでもらっていいか?」

 

「…うん」

 

元々そのつもりだったらしく、動けないパラドックスの腹部にあった四角い穴に何かの装置を挿入すると、ゴースト達たちはパラドックスを担ぎ上げた。パラドックスは先ほど挿入された装置の影響か意識を失っているようだ。

 

「アンチノミーはどうなった?」

 

「…この部屋の扉が爆破された後、その前でディアブロたちと、交戦してる」

 

他のゴースト達はパラドックスが接続されていた装置から何かのデータを吸い上げ終わったようだ。そしてなにやら箱状の物を装置に取り付け始めた。

 

「じゃあそっちに合流してディアブロを蹴散らしてから脱出だな」

 

「…うん」

 

装置に取り付けられた箱状の物体を目を凝らしてよく見ると表面に『TNT』と書いてある。良し、一刻も早く!この部屋から脱出しよう!

 

ゴースト達は既にパラドックスを部屋の大穴から搬出し終えたみたいだ。俺とレインも部屋を大穴から脱出して屋外に出て、また別の穴から建物に再侵入してアンチノミーと合流した。彼の足元には10数体の機能停止したディアブロが倒れていた。こちらも激戦だったようだ。

 

「パラドックスは!?」

 

「確保したよ。とっとと脱出しよう」

 

「あぁ、分かった!」

 

部屋から脱出した後、アンチノミーは自身のD-ホイールを呼び出して建物から遠ざかる。俺はそんな都合のいいD-ホイールは持っていないので、レインのD-ホイールの後ろに乗っけてもらっている。彼女のお腹辺りに腕を回して後ろから抱き着いている体勢になっているのでかなり恥ずかしい。

 

D-ホイールに乗って工場からそこそこの距離が離れた後、後ろの方から凄まじい爆発音が連続して起こっている。振り返るのが怖い。イリアステルは歴史改変出来なくともこれだけの破壊工作をあっさりやってのけるんだな。恐ろしや。

 

ともかく、これでイリアステルから依頼された案件はクリアで良いだろう。報酬が楽しみだ。

 

さて、こちらはいいとして、舞網市に向かってもらったコナミはちゃんと赤マフラーもとい赤馬零次と合流できただろうか。上手く行っていれば今頃は赤馬零次が保管している【パラサイト・フュージョナー】の破滅の光を浄化し、集められた虫洗脳の被害者たちの洗脳を解除できていると思うんだが…。後で落ち着いたら確認してみよう。




何処のスパイ映画だよと思うような状況が多いですが、これはカードゲームの世界です。合言葉は『遊戯王ならよくあること』。

パラドックスのデッキは【Sin】です。OCG版と違い、サポートカードが無くてもフィールドに数体並べられる火力の高いデッキです。主人公三人を相手にするならこでも足りないくらいでしょう。

オリ主のデッキは【ウィジャ盤】です。相手のデッキが破壊をトリガーに起動する効果や相手モンスターを除去するカードが多いことを考え、なるべくもんすたーによる戦闘を行わないデッキを選びました。コイントスの結果は、ある意味凄いですね。

次回の更新は2/24(水) AM7:00予定です。

戦車様、魚肴様、paddy様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十五話 カイバーマン

前回に続いてボスラッシュが続きます。

今回の対戦相手は、精霊界王の正義の味方カイバーマンです。


<クロト視点>

 

中学三年生の9月下旬、俺とコナミは孤児院のリビングにあるテレビを使い、中古ゲーム屋で見つけたレトロゲーム機本体とソフトを買って来て遊んでいた。

 

『ソニックブーム、ソニックブーム、ソニックブーム、サマソ!』

 

『ヌワァァァッ!』

 

2P WIN!

 

『くにへ かえるんだな。おまえにも かぞくがいるだろう・・・』

 

画面上では俺の操作する金髪の軍人男性が、コナミの操作するモヒカンのプロレスラー男性をボコボコにした後の勝利シーンに映っていた。

 

「おいクロト。ザン〇エフ相手に画面端から待ちガ〇ル戦法で飛び道具連発は酷くない?これハメでしょ?オレのシマじゃノーカンだから」

 

「酷くないし、ハメじゃないし、同じシマだから。飛び道具なんてジャンプで避ければいいだろ?」

 

「そうしたらお前、対空攻撃して来るじゃん」

 

「当たり前だよなぁ」

 

コナミは俺の完璧な戦術に文句があるようだが、これは作戦勝ちなのだ。ハメとか言われてもな。くくくっ!負け犬の遠吠えにしか聞こえないんだよなぁ!

 

「そう言えば、昨日で赤馬零次との海外ツアーは終わったんだっけ」

 

「うん?あぁそうそう。終わったよ。いやー、世界中回って色んな国の女の子と握手してデュエルするとか、なかなか面白い体験だったな!」

 

コナミと赤馬零次は、休日を利用して7月から定期的に世界中を回り、舞網市とハートランドシティで起こった【パラサイト・フュージョナー】による洗脳事件の被害者を回復する為の旅行に出かけていた。

 

そして、昨日の休日にてようやく確認されている全ての洗脳被害者の治療を終えたのだ。長かったが、これで多くの人間が救われたのだから結果オーライだろう。

 

「赤馬とも何度かデュエルしたけれど、クロトから借りていたショックルーラーやプトレマイオスを出すたびに凄い嫌な顔をしていたな」

 

「赤マフラーめ。マスタールール3環境で、全盛期【DD】使いのくせに何を甘えたことを言っているんだか」

 

赤馬零次はコナミの洗礼を受けてしまったらしいが、この世界だと良くあることなのでセーフ。

 

これで赤馬親子の肩の荷も少しは降りたんじゃないかな。Dr.ドクトルは事件を起こす直前まで赤馬零王が所長を務めるリアルソリットビジョン研究所の職員だったため、事件が起こったことの責任を感じていたようだったからな。

 

『ソニックブーム、ソニックブーム、ソニックブーム、サマソ!』

 

『ウワァァァッ!』

 

2P WIN!

 

『くにへ かえるんだな。おまえにも かぞくがいるだろう・・・』

 

画面上では俺の操作する金髪の軍人男性が、コナミの操作するちょんまげの相撲力士男性をボコボコにした後の勝利シーンに映っていた。

 

「だから、待ちガ〇ル戦法はやめろって言ってるだるぉぉぉ!」

 

「HAHAHA!どんな手を使おうが…最終的に…勝てばよかろうなのだァァァ!」

 

0勝20敗の結果を前に、流石のコナミもキレた。こちらの胸ぐらを掴んでぐわんぐわんと揺らしてくる。ちなみにコナミは俺と違って滅多に人に対して暴力を振るうことはない。先ほどの結果はよほど頭に来たのだろう。

 

だがなコナミよ。お前はパワーファイターのキャラクターしか使わないから動きが鈍いんだよ。そもそもこのゲームは前世でやりつくしたしな。経験の差だよ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

その日の夜、俺は精霊界の森深くにあるにて黒魔術師の家にて、木製のテーブルを挟んで黒魔術師の師弟と話をしていた。

 

「良し、最終確認だ。クロト、もう一度やってみてくれ」

 

「了解です」

 

テーブルの対面に座る師匠に言われて、俺はテーブル上置かれた精霊のカード【ブラック・マジシャン】と【ブラック・マジシャン・ガール】に魔力を込める。

 

「うん、良い感じ。私のカードの方は問題なし。流石は私の弟弟子」

 

「うむ。魔力総量も魔力制御も問題ない。これでクロトは私たちの精霊のカードを使いこなせることが出来るな。おめでとう」

 

「ありがとうございます」

 

修行を始めて大体7年くらいだっただろうか。ようやく一端の魔術師クラスの実力は身に付けられたようだ。師匠も姉弟子も嬉しそうだ。

 

「では改めて。クロト、いえ我がマスターよ。どうかこのカードをお受け取り下さい」

 

「お受け取り下さい」

 

そう言うと黒魔術師の師弟は自身の精霊のカードを渡してくる。俺はその2枚のカードを受け取る。これで破滅の光や闇のデュエリスト達のオカルトパワーを操るデュエルに引けを取ることはなくなるだろう。

 

「ありがとうございます。でも、なんだかしっくりこないんで、話し方とかは今まで通りでお願います」

 

「む、そうか?では今まで通りで行こう」

 

「分かった。今後ともよろしくね弟弟子」

 

「えぇ。お二人ともよろしくお願いします」

 

これまで非常にお世話になった2人にマスター(主人)なんて呼ばれたくないので、今まで通りに接してもらうことにした。

 

「あとこれも渡しておこう」

 

そう言うと師匠は家の奥から一つの金のブレスレッドを持ってきた。その腕輪に秘められた魔力には覚えがある。以前、ハートランドシティで使用して損傷してしまったあの【ラーの翼神竜】の召喚を補助する腕輪だ。

 

「これは、修復が終わったんですね」

 

「うむ。先日ようやく終わってな」

 

「頑張った」

 

師匠から受け取って腕に装着した金のブレスレッドは以前と変わらない完璧な状態に戻っていた。本来ならあと1年くらいは修復に掛かるはずだ。ここまで早く治るのは師匠と姉弟子が頑張って修復してくれたお陰だろう。

 

「今のお主なら魔力が足りずに腕輪が破損することはないだろう」

 

「成長したね」

 

ブレスレッドの状態を観察していると、いつの間にか目の前に居た姉弟子が頭を撫でてくる。流石に気恥ずかしいので止めて欲しい。

 

「今日は祝いの日だな。せっかくだから何か作ろうか」

 

「私はパスタが良い。ミートソースたっぷりで」

 

「姉弟子はいつもそれですね…」

 

祝いの席で出されたミートソーススパゲティは普段よりも格別に美味しかった。師匠も嬉しそうだし姉弟子も満面の笑みだ。イケメンと美少女の笑顔とか、癒されるなぁ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

そして数時間後、精霊界から人間界に帰る途中にキーメイスたちの村に立ち寄っていた俺は、精霊界にてカイバーマンに呼び出され、村の広間で彼と対峙していた。

 

一体何が始まるんです?とばかりに広間の端から何人かの精霊がこちらの様子をのぞき込んでいる。むしろ俺が聞きたいです。

 

「ふぅん、小僧。昔はその路傍の石のような力しか持たなかった貴様が、最近はなかなかの力を付けたようではないか」

 

「ありがとうございます」

 

腕を組み、いつもの上から目線の偉そうな態度でそう言い放つカイバーマン。恐らく、一応、誉めてくれているんだろうとは思う。

 

「今後、貴様が戦っていくことになるであろう敵は強大だ。今からオレがその敵と戦っていけるかどうかをこの手で見てやろう。さぁ、小僧。デュエルディスクを構えろ!」

 

「アッ、ハイ」

 

彼には俺の前世に関わる情報はほぼ伝えてある。恐らく彼なりにこちらの今後の戦いに対して気を使ってくれているのだろう。そしてこの有無を言わせぬフリーダムな行動こそ彼らしさと言える。

 

カイバーマンとのデュエルか。確かに今の俺の実力を試すには願っても無い相手で、この世界において最強クラスのデュエリストだろう。相手にとって不足はない。このデュエル、受けて立つ!

 

「おぉっ!王様がクロトとデュエルするって!」

 

「マジかよ!おーい、みんなー!王様とクロトがデュエルするってさー!」

 

「み、水…。水をクレメンス…」

 

「正気かクロト!止めとけって!無謀だぞ!村に来たばかりの頃に挑んで瞬殺されてたじゃんか!」

 

「でも最近のクロトは強くなったよ!いつもそばで見ているボクたちは良く知ってる!もしかしたら…!」

 

「バニー!」

 

「リューン!」

 

「「「ワイトもそう思います!」」」

 

「のうMASAKIよ?賭けるか?クロトが勝つか否か?」

 

「では拙者はクロトが勝つ方に今日の羊羹を賭けるでゴザル!」

 

「馬鹿者!クロトが勝つに掛けるのはわらわじゃ!この『よぉいお茶』も賭けるぞ!」

 

「王様ー!頑張ってー」

 

「クロトも負けるなー!」

 

カイバーマンのカリスマは本物のようで、彼がデュエルするとなっただけであっという間に村の精霊たちが広間に集まってきた。そんな中で俺を応援する声もあるのが少し嬉しいな。

 

「昔一度だけ挑んだ時は瞬殺されましたが、今日は勝たせてもらいますよ!」

 

広場の中央にてカイバーマンと十分に距離を取ってデュエルディスクを構える。師匠や姉弟子に認められた以上、無様な姿は見せられないからな!

 

「ほざけ小僧!我がブルーアイズは強靭!無敵!最強!貴様の僕など蹴散らしてくれるわ!フハハハハハッ!」

 

対するカイバーマンもデュエルディスクを構える。彼に勝てれば人間界の海馬瀬人を打倒したような物だと思う。間接的に彼へのリターンマッチにも繋がる。絶対に勝つために、あのデッキを解放させてもらう!

 

 

「真の勝者はただ一人!」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:4000

 

 

正義の味方カイバーマン。ブルーアイズの仮面を付けた海馬瀬人のような容姿の彼が使用するデッキはもちろん【青眼の白龍】。厄介な点は彼がこの精霊界の王であるということだ。

 

この精霊界は他の異世界と違って人間界と密接な関係にあり、人間界に存在するカードは全てこの精霊界にも存在し、精霊たちは全員が自身に関係のあるデッキを持っている。

 

何が言いたいかと言うと、人間界に存在するカードとは俺が所有するカードも含むのだ。つまり、彼はOCG次元の全てのカード+アニメ仕様の神のカードを使用してくる可能性もある。

 

そして、精霊界の王たる彼のオカルトパワーは精霊界随一の実力であり、恐らくだが人間界のしがらみに囚われる海馬瀬人よりも強いかも知れない。俺が今まで対峙してきたデュエリストの中でも最強格の一人と言えるだろう。決して油断はできない。

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カイバーマン 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【調和の宝札】を発動!手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。オレは手札の【伝説の白石】を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドロー!」

カイバーマン 手札:6→5→4→6枚。

 

「墓地の【伝説の白石】の効果発動!このカードが墓地へ送られた場合に発動する。デッキから「青眼の白龍」1体を手札に加える!」

カイバーマン 手札:6→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。オレは手札の【青眼の白龍】を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドロー!」

カイバーマン 手札:7→6→5→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【竜の霊廟】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。オレはデッキからドラゴン族の通常モンスター【青眼の白龍】を墓地に送り、更にデッキから【太古の白石】を墓地に送る!」

カイバーマン 手札:7→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【ビンゴマシーンGO!GO!】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキからカードを合計3枚選んで相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。そのカード1枚を自分の手札に加え、残りのカードはデッキに戻す。さぁ小僧!この中から好きなカードを選ぶがいい」

カイバーマン 手札:6→5枚。

 

<カイバーマンが開示したカード>

①対峙する宿命

②カオス・フォーム

③強靭!無敵!最強!

 

カイバーマンが開示したカードを裏側にして、俺がその中から選んだカードを1枚を手札に加えるわけだが…。

 

【対峙する宿命】は絶対に選びたくないし、【カオス・フォーム】も嫌だな。かといって【強靭!無敵!最強!】は論外だし、ってどれも選びたくねぇなぁ。

 

「う~ん、これでお願いします」

 

俺はカイバーマンに選んだ裏側のカード1枚を教える。

 

「良かろう!では残りのカードはデッキに戻してシャッフルする!」

カイバーマン 手札:5→6枚。

 

カイバーマンは俺が選んだカードを手札に加えた後、残りの2枚をデッキに戻してシャッフルした。

 

「オレは手札から魔法カード【ドラゴン・目覚めの旋律】を発動!手札を1枚捨てて発動できる。攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体までデッキから手札に加える。オレは手札のチューナーモンスター【青き眼の巫女】を墓地に送り、デッキから【青眼の白龍】と【青眼の亜白龍】を手札に加える!」

カイバーマン 手札:6→5→4→6枚。

 

「このカードは通常召喚できない。手札の「青眼の白龍」1体を相手に見せた場合に特殊召喚できる。オレは手札の【青眼の白龍】を公開し、手札から【青眼の亜白龍】を特殊召喚する!」

カイバーマン 手札:6→5枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の亜白龍 ★8 ATK3000

 

「オレは手札からオレの分身【正義の味方 カイバーマン】を召喚!」

カイバーマン 手札:5→4枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の亜白龍 ★8 ATK3000

正義の味方 カイバーマン ★3 ATK200

 

「オレは【正義の味方 カイバーマン】をリリース!このカードをリリースして発動できる。手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する!出でよ!【青眼の白龍】!」

カイバーマン 手札:4→3枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の亜白龍 ★8 ATK3000

青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

「このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「ブルーアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主のデッキに戻し、このカードを墓地から特殊召喚する。オレはフィールドの【青眼の白龍】をデッキに戻し、墓地からチューナーモンスター【青き眼の巫女】を特殊召喚する!」

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の亜白龍 ★8 ATK3000

青き眼の巫女 ★1 DEF0 ※チューナー

 

「オレはレベル8【青眼の亜白龍】にレベル1【青き眼の巫女】をチューニング!シンクロ召喚!出でよ!レベル9【青眼の精霊龍】!」

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の精霊龍 ★9 DEF3000

 

「このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いに2体以上のモンスターを同時に特殊召喚できない。1ターンに1度、墓地のカードの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にする。S召喚したこのカードをリリースして発動できる。エクストラデッキから「青眼の精霊龍」以外のドラゴン族・光属性のSモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。そのモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。この効果は相手ターンでも発動できる」

 

「そしてオレは【青眼の精霊龍】の効果発動!エクストラデッキから「青眼の精霊龍」以外のドラゴン族・光属性のSモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。そのモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。EXデッキより出でよ!【蒼眼の銀龍】!」

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000 ※次のターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

 

「このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。自分フィールドのドラゴン族モンスターは次のターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。自分スタンバイフェイズ毎に自分の墓地の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する」

 

「オレは手札から速攻魔法【超再生能力】を発動!このカードを発動したターンのエンドフェイズに、このターン自分の手札から捨てられたドラゴン族モンスター、及びこのターン自分の手札・フィールドからリリースされたドラゴン族モンスターの数だけ、自分はデッキからドローする」

カイバーマン 手札:3→2枚。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド」

カイバーマン 手札:2→0枚、伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズ時に墓地の【青眼の精霊龍】の効果が発動するが、【蒼眼の銀龍】は自身の効果により効果では破壊されない」

 

「更にエンドフェイズ時に墓地の【太古の白石】効果発動!このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「ブルーアイズ」モンスター1体を特殊召喚する。デッキより出でよ!【ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン】!」

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000 ※次のターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン ★8 ATK2500

 

「相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。フィールドのこのカードを持ち主のデッキに戻し、デッキから「青眼の白龍」1体を特殊召喚する」

 

「そしてエンドフェイズに速攻魔法【超再生能力】の効果が発動する!このターン自分の手札から捨てられたドラゴン族モンスター、及びこのターン自分の手札・フィールドからリリースされたドラゴン族モンスターの数だけ、自分はデッキからドローする。オレはデッキから3枚ドロー!」

カイバーマン 手札:0→3枚。

 

<このターンで手札から捨てられたドラゴン族モンスター>

①伝説の白石

②青眼の白龍

 

<このターンで手札・フィールドからリリースされたドラゴン族モンスター>

青眼の精霊龍

 

「更にオレは手札から2枚目の速攻魔法【超再生能力】を発動!オレはデッキから3枚ドロー!」

カイバーマン 手札:3→2→5枚。

 

1枚目の【超再生能力】の効果によるドローで2枚目の【超再生能力】を引いたのか!?インチキドローすぎる!

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:4000、手札:5枚、伏せカード:2枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000 ※次のターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン ★8 ATK2500

 

 

墓地に【青眼の白龍】が2体、デッキに【青眼の白龍】が1体か。手札にあるのは先ほど【ビンゴマシーンGO!GO!】で加えたカードだろうか。増えた手札は流石に分からないな。と言うか手札増えすぎだろ。

 

あの伏せカードはフィールドに通常モンスターが居ないから【王者の看破】は無いか?いや、デッキの【青眼の白龍】はソリッドの効果でいつでも出せる。【無力の証明】辺りもあるかも知れない。

 

とにかく、次の彼のターンに【蒼眼の銀龍】を残しておくのはマズイ。…普通のデッキならな。カイバーマンには是非ともゴッドジョウゲンシステムを味わってもらいたいなぁ!

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【魔導書士 バテル】を召喚!このカードが召喚・リバースした場合に発動する。デッキから「魔導書」魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【魔導書の神判】を手札に加える!」

白河クロト 手札:6→5→6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導書士 バテル ★2 ATK500

 

「俺は手札から速攻魔法【魔導書の神判】を発動!このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの枚数分まで、自分のデッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」と名のついた魔法カードを手札に加える。その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる。「魔導書の神判」は1ターンに1枚しか発動できない」

白河クロト 手札:6→5枚。

 

「俺は手札から速攻魔法【コズミック・サイクロン】を発動!1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。俺はそちらの伏せカード一枚を対象として除外する!」

白河クロト LP:4000→3000、手札:5→4枚。※発動した魔法カード:0→1

 

「甘いぞ小僧!その効果にチェーンして速攻魔法【銀龍の轟咆】を発動!「銀龍の轟咆」は1ターンに1枚しか発動できない。自分の墓地のドラゴン族の通常モンスター1体を対象として発動できる。そのドラゴン族の通常モンスターを特殊召喚する。オレが対象とするのは当然、墓地の通常モンスター【青眼の白龍】だ!」

正義の味方カイバーマン 伏せカード:2→1枚。※発動した魔法カード:1→2

 

ちぃっ!躱されたか!しかも【銀龍の轟咆】を除外しても大した旨味が無いな!

 

チェーン②銀龍の轟咆

チェーン①コズミック・サイクロン

 

「効果処理を行う。チェーン②【銀龍の轟咆】の効果によりそちらのフィールドに【青眼の白龍】が特殊召喚される。そしてチェーン①【コズミック・サイクロン】によりフィールドに存在する【銀龍の轟咆】は除外される」

 

「出でよ!オレのプライド!そしてオレの魂!それら受け継ぎし我がしもべの姿!【青眼の白龍】!!」

 

カイバーマンのフィールドに、海馬瀬人の代名詞である青き眼を持つ最強の白龍が降臨する。

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000 ※このターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン ★8 ATK2500

青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

これで向こうのフィールドにはレベル8の通常モンスターが存在することになる。あの伏せカードが【王者の看破】の場合、発動条件を満たさせてしまったな。

 

「俺は手札から永続魔法【魔導書廊エトワール】を発動!このカードがフィールド上に存在する限り、自分または相手が「魔導書」と名のついた魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。自分フィールド上の魔法使い族モンスターの攻撃力は、このカードに乗っている魔力カウンターの数×100ポイントアップする。また、魔力カウンターが乗っているこのカードが破壊され墓地へ送られた時、このカードに乗っていた魔力カウンターの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる!」

白河クロト 手札:4→3枚。

 

「小賢しい!その効果にチェーンしてカウンター罠【王者の看破】を発動!自分フィールドにレベル7以上の通常モンスターが存在する場合、2つの効果の内の1つを発動できる。オレは『魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する』効果を適用して発動する!【魔導書廊エトワール】の発動を無効にして破壊する!」

正義の味方カイバーマン 伏せカード:1→0枚。

 

早速使ってくるか。でもまだマシな方だな。看破を使わせたと思えばいいか。ただ、発動を無効化されたので発動した魔法カードのカウントが増えないのが残念だな。

 

チェーン②王者の看破

チェーン①魔導書廊エトワール

 

「効果処理を行う。チェーン②【王者の看破】の効果により、チェーン①【魔導書廊エトワール】の発動を無効にして破壊される。チェーン①【魔導書廊エトワール】は効果を無効化されているので不発だ」

 

「俺は手札から【グリモの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから「グリモの魔導書」以外の「魔導書」カード1枚を手札に加える。俺はデッキから魔法カード【セフェルの魔導書】を手札に加える!」

白河クロト 手札:3→2→3枚。※発動した魔法カード:2→3

 

「俺は手札から魔法カード【セフェルの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、このカード以外の手札の「魔導書」カード1枚を相手に見せ、「セフェルの魔導書」以外の自分の墓地の「魔導書」通常魔法カード1枚を対象として発動できる。このカードの効果は、その通常魔法カード発動時の効果と同じになる。俺は手札の速攻魔法【ゲーテの魔導書】を公開し、墓地の【グリモの魔導書】の効果と同じになった【セフェルの魔導書】の効果によりデッキからフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】を手札に加える!」

白河クロト 手札:3→2→3枚。※発動した魔法カード:3→4

 

「俺は手札からフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】を発動!自分フィールドまたは自分の墓地に魔法使い族モンスターが存在する場合、自分スタンバイフェイズに発動できる。自分の墓地から「魔導書院ラメイソン」以外の「魔導書」魔法カード1枚を選んでデッキの一番下に戻し、自分はデッキから1枚ドローする。このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分の墓地の「魔導書」魔法カードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する」

白河クロト 手札:3→2枚。※発動した魔法カード:4→5

 

「俺は手札から魔法カード【ルドラの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。「ルドラの魔導書」以外の自分の手札・フィールドの「魔導書」カード1枚または自分フィールドの魔法使い族モンスター1体を墓地へ送り、自分はデッキから2枚ドローする!俺はフィールドの【魔導書士 バテル】を墓地に送ってデッキから2枚ドローする!」

白河クロト 手札:2→1→3枚。※発動した魔法カード:5→6

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

「俺はカードを3枚伏せてターンエンド」

白河クロト 手札:3→0枚。伏せカード:0→3枚。※1枚は速攻魔法【ゲーテの魔導書】

 

「エンドフェイズ時に【魔導書の神判】の効果が発動する!このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの枚数分まで、自分のデッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」と名のついた魔法カードを手札に加える。その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる」

 

「俺が発動させた魔法カードは6枚。よって俺はデッキから【グリモの魔導書】、【セフェルの魔導書】、【ゲーテの魔導書】、【アルマの魔導書】、【ルドラの魔導書】、【ネクロの魔導書】を手札に加え、デッキから【昇霊術師 ジョウゲン】を特殊召喚する!」

白河クロト 手札:0→6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導書士 バテル ★2 ATK500

昇霊術師 ジョウゲン ★3 DEF1300

 

「【昇霊術師 ジョウゲン】の効果を説明しておく。手札をランダムに1枚墓地へ捨てて発動できる。フィールド上の特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない」

 

「ふぅん。特殊召喚を封じるモンスターか、相変わらずつまらぬ小細工が好きと見える」

 

「つまらないかどうかはこの布陣を突破してから言って欲しいね」

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:6枚、伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

昇霊術師 ジョウゲン ★3 DEF1300

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:4000、手札:5枚、伏せカード:0枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000 ※ターンの終了時まで、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン ★8 ATK2500

青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

 

それにしても【魔導書の神判】と同レベルのドロー力とか、本当にネームドキャラクターのドロー力は凄いな。これで主人公じゃないんだよなぁ。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カイバーマン 手札:5→6枚。

 

【蒼眼の銀龍】の自分スタンバイフェイズ毎に自分の墓地の通常モンスター1体を特殊召喚する効果は【昇霊術師 ジョウゲン】の効果により発動できない。まずはこれ以上の展開を抑制で来ているな。

 

「まずはその目障りな雑魚モンスターどもを消してやろう!オレは手札から魔法カード【滅びの爆裂疾風弾】発動!このカードを発動するターン、自分の「青眼の白龍」は攻撃できない。自分フィールドに「青眼の白龍」が存在する場合に発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

カイバーマン 手札:6→5枚。

 

「させないよ!伏せていたカウンター罠【神の宣告】を発動!LPを半分払って2つの効果の内1つを発動できる。俺は『魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する』効果を適用し、【滅びの爆裂疾風弾】の発動を無効にして破壊する!」

白河クロト LP:3000→1500、伏せカード:3→2枚。

 

チェーン②神の宣告

チェーン①滅びの爆裂疾風弾

 

「効果処理を行う。チェーン②【王者の看破】の効果により、チェーン①【滅びの爆裂疾風弾】の発動を無効にして破壊される。チェーン①【滅びの爆裂疾風弾】は効果を無効化されているので不発だ!」

 

「なかなかやるではないか。だが、それならば戦闘破壊すればいいだけの話だ!バトル!【ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン】で【昇霊術師 ジョウゲン】を攻撃!」

 

「やらせるわけにはいかない!伏せていた罠カード【神風のバリア -エア・フォース-】を発動!相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て持ち主の手札に戻す!」

白河クロト LP:3000→1500、伏せカード:2→1枚。

 

「何っ!?効果破壊ではなくバウンスだと!?」

 

白龍の放つ光弾を風の障壁が跳ね返し、攻撃体勢だった白竜たちをフィールドから押し出す…!

 

<カイバーマンのフィールド>

蒼眼の銀龍 ★9 DEF3000

 

「やってくれるではないか」

カイバーマン 手札:5→7枚。

 

危なかったな。【和睦の使者】を引けていなかったから少しヒヤヒヤしていたんだが、なんとか凌いだか。

 

「オレはカードを3枚伏せてターンエンド」

カイバーマン 手札:7→4枚。伏せカード:0→3枚。

 

「エンドフェイズに俺は伏せていた速攻魔法【ゲーテの魔導書】を発動!「ゲーテの魔導書」は1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、自分の墓地の「魔導書」と名のついた魔法カードを3枚までゲームから除外して発動できる。このカードを発動するために除外した魔法カードの数によって以下の効果を適用する!」

白河クロト 伏せカード:1→0枚。

 

「俺は墓地の【魔導書廊エトワール】、【グリモの魔導書】、【セフェルの魔導書】の3枚を除外して、相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する。これは対象を取らない非破壊の除去効果だ。俺は【蒼眼の銀龍】を選んでゲームから除外する!」

 

「何っ!?」

 

<カイバーマンのフィールド>

モンスター無し

 

良し!これで向こうのモンスターはすべて処理した!

 

 

◆白河クロト LP:1500、手札:6枚、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

昇霊術師 ジョウゲン ★3 DEF1300

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:4000、手札:4枚、伏せカード:3枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

モンスター無し

 

相手の伏せカードが3枚あるが、このタイミングで仕掛けないとこのままだとジリ貧だ。このターンで猛攻を仕掛ける!

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズに移行」

白河クロト 手札:6→7枚。

 

「スタンバイフェイズにフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】の効果を発動する。自分の墓地から「魔導書院ラメイソン」以外の「魔導書」魔法カード1枚を選んでデッキの一番下に戻し、自分はデッキから1枚ドローする。俺は墓地の【魔導書の神判】をデッキの1番下に戻して1枚ドローする!」

白河クロト 手札:7→8枚。

 

「メインフェイズへ移行。俺は手札から【魔導書士 バテル】を召喚!このカードが召喚・リバースした場合に発動する。デッキから「魔導書」魔法カード1枚を手札に加える。俺はデッキから【魔導書の神判】を手札に加える!」

白河クロト 手札:8→7枚。

 

<白河クロトのフィールド>

昇霊術師 ジョウゲン ★3 DEF1300

魔導書士 バテル ★2 ATK500

 

「その手は読めておるわ!その効果にチェーンしてリバースカードオープン!カウンター罠【天罰】を発動!手札を1枚捨てて発動する。効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。オレは貴様の【魔導書士 バテル】の効果を無効にして破壊する!」

正義の味方カイバーマン 手札:4→3枚、伏せカード:3→2枚。

 

手札から墓地に送ったカードは【白き霊龍】か。残る手札は【青眼の白龍】、【ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン】。そしてここまで使用していないことを考えると残りは【カオス・フォーム】かな。

 

チェーン②天罰

チェーン①魔導書士 バテル

 

「効果処理を行う。チェーン②【天罰】の効果により、チェーン①【魔導書士 バテル】の発動を無効にして破壊される。チェーン①【魔導書士 バテル】は効果を無効化されて破壊されているので不発だ」

 

<白河クロトのフィールド>

昇霊術師 ジョウゲン ★3 DEF1300

 

伏せカードが三枚もあったんだから当然こうなることもある。切り替えていこう。

 

「俺は手札から【グリモの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキから「グリモの魔導書」以外の「魔導書」カード1枚を手札に加える。俺はデッキから魔法カード【魔導書の神判】を手札に加える!」

白河クロト 手札:7→6→7枚。

 

おっ、今度は効果が通ったな。次の本命が通ればかなり有利になるが…。

 

「俺は手札から速攻魔法【魔導書の神判】を発動!このカードを発動したターンのエンドフェイズ時、このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの枚数分まで、自分のデッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」と名のついた魔法カードを手札に加える。その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる。「魔導書の神判」は1ターンに1枚しか発動できない」

白河クロト 手札:7→6枚。

 

カウンター罠は、発動なしか。良し、これでエンドフェイズへの布石も出来たな。

 

「俺は手札から魔法カード【ルドラの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。「ルドラの魔導書」以外の自分の手札・フィールドの「魔導書」カード1枚または自分フィールドの魔法使い族モンスター1体を墓地へ送り、自分はデッキから2枚ドローする!俺はフィールドの【昇霊術師 ジョウゲン】を墓地に送ってデッキから2枚ドローする!」

白河クロト 手札:6→5→7枚。※発動した魔法カード:0→1

 

良し!ドローしたカードは、【魔導冥士 ラモール】と【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】!

 

「手札の「魔導書」魔法カード3枚を相手に見せて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。俺は手札の【セフェルの魔導書】、【ゲーテの魔導書】、【アルマの魔導書】を公開し、手札から【魔導法士 ジュノン】を特殊召喚する!」

白河クロト 手札:7→6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK2500

 

「【魔導法士 ジュノン】の効果発動!1ターンに1度、自分の手札・墓地から「魔導書」魔法カード1枚を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。俺は墓地の【ルドラの魔導書】を除外して、そちらの伏せカードを破壊する!」

 

「その効果にチェーンしてリバースカードオープン!罠カード【のどかな埋葬】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。デッキからモンスター1体を墓地へ送る。このターン、自分はこの効果で墓地へ送ったカード及び同名カードの効果が発動できない。オレはデッキから【青眼の白龍】を墓地に送る!」

正義の味方カイバーマン 伏せカード:2→1枚。

 

チェーン②のどかな埋葬

チェーン①魔導法士 ジュノン

 

「効果処理を行う。チェーン②【のどかな埋葬】の効果により、そちらはデッキから【青眼の白龍】を墓地に送る。チェーン①【魔導法士 ジュノン】の発動は、対象の伏せカードだった【のどかな埋葬】を破壊して墓地に送る」

 

これで手札に1枚、墓地に2枚の【青眼の白龍】が居ることになる。

 

「俺は手札から【アルマの魔導書】を発動!「アルマの魔導書」以外のゲームから除外されている自分の「魔導書」と名のついた魔法カード1枚を選択して手札に加える。「アルマの魔導書」は1ターンに1枚しか発動できない。俺は除外されている【魔導書廊エトワール】を手札に加える!」

白河クロト 手札:6→5→6枚。※発動した魔法カード:1→2

 

「俺は手札から永続魔法【魔導書廊エトワール】を発動!このカードがフィールド上に存在する限り、自分または相手が「魔導書」と名のついた魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。自分フィールド上の魔法使い族モンスターの攻撃力は、このカードに乗っている魔力カウンターの数×100ポイントアップする。また、魔力カウンターが乗っているこのカードが破壊され墓地へ送られた時、このカードに乗っていた魔力カウンターの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる!」

白河クロト 手札:6→5枚。※発動した魔法カード:2→3、永続魔法:0→1枚。

 

「ここでリバースカードオープン!永続罠【正統なる血統】を発動!自分の墓地の通常モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。 オレは墓地から、手札・墓地に存在する限り通常モンスターとして扱う効果を持つ【白き霊龍】を特殊召喚する!」

正義の味方カイバーマン 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

白き霊龍 ★8 ATK2500

 

【昇霊術師 ジョウゲン】を呼び戻す前に【白き霊龍】を特殊召喚されてしまったか。【白き霊龍】は特殊召喚された「時」に効果を発動するモンスターだ。チェーン②以降のカード効果で特殊召喚された場合は効果発動タイミングを逃す。こちらが伏せ除去や【昇霊術師 ジョウゲン】を特殊召喚しなおす前に呼び出したわけだ。

 

「【白き霊龍】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。オレは貴様の【魔導書廊エトワール】を選択して除外する!」

 

「その効果にチェーンは…特にない。【魔導書廊エトワール】は除外される」

白河クロト 永続魔法:1→0枚

 

「【白き霊龍】の更なる効果発動!相手フィールドにモンスターが存在する場合、このカードをリリースして発動できる。手札から「青眼の白龍」1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。オレの手札より出でよ!【青眼の白龍】!」

正義の味方カイバーマン 手札:3→2枚

 

<カイバーマンのフィールド>

青眼の白龍 ★8 ATK3000

 

「永続罠【正統なる血統】の効果で呼び出した【白き霊龍】がフィールドから離れた為、【正統なる血統】は破壊される」

正義の味方カイバーマン 永続罠:1→0枚。

 

あちらの残る手札は【ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン】、【カオス・フォーム】かな。

 

「俺は手札から魔法カード【セフェルの魔導書】を発動!俺は手札の速攻魔法【ゲーテの魔導書】を公開し、墓地の【グリモの魔導書】の効果と同じになった【セフェルの魔導書】の効果により、俺はデッキから魔法カード【魔導書庫ソレイン】を手札に加える!」

白河クロト 手札:5→4→5枚。※発動した魔法カード:3→4

 

「俺は手札から魔法カード【魔導書庫ソレイン】を発動!自分の墓地の「魔導書」と名のついた魔法カードが5枚以上の場合に発動できる。自分のデッキの上からカードを2枚めくる。その中の「魔導書」と名のついた魔法カードを全て手札に加え、残りのカードをデッキに戻す。「魔導書庫ソレイン」は1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は「魔導書」と名のついたカード以外の魔法カードを発動できない!俺は【ヒュグロの魔導書】を手札に加え、残りのカードをデッキに戻してシャッフルする」

白河クロト 手札:5→4→5枚。※発動した魔法カード:4→5

 

<クロトの墓地にある「魔導書」魔法カード>

①ルドラの魔導書

②ゲーテの魔導書

③グリモの魔導書

④魔導書の神判

⑤アルマの魔導書

⑥セフェルの魔導書

 

<クロトがデッキからめくったカード>

①ヒュグロの魔導書

②魔導天士 トールモンド

 

「俺は手札から魔法カード【ヒュグロの魔導書】を発動!このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールドの魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのモンスターの攻撃力は1000アップし、そのモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時にデッキから「魔導書」魔法カード1枚を手札に加える効果を得る。俺は【魔導法士 ジュノン】を対象とする」

白河クロト 手札:5→4枚。※発動した魔法カード:5→6

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK2500 → 3500

 

「ちぃ!オレの【青眼の白龍】の攻撃力を超えてきたか!」

 

<カイバーマンのフィールド>

白き霊龍 ★8 ATK2500

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

 

「俺は手札から装備魔法【ネクロの魔導書】を発動!自分の墓地の魔法使い族モンスター1体をゲームから除外し、このカード以外の手札の「魔導書」と名のついた魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。自分の墓地の魔法使い族モンスター1体を選択して表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。また、装備モンスターのレベルは、このカードを発動するために除外した魔法使い族モンスターのレベル分だけ上がる。「ネクロの魔導書」は1ターンに1枚しか発動できない。俺は墓地の【魔導書士 バテル】を除外して、墓地の【魔導書士 バテル】を特殊召喚して【ネクロの魔導書】を装備する!」

白河クロト 手札:5→4枚。装備魔法:0→1 ※発動した魔法カード:6→7

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

魔導書士 バテル ★2→3 ATK500

 

「このカードは通常召喚できない。自分フィールドの魔法使い族モンスター1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。俺は自分フィールドの魔法使い族モンスター【魔導書士 バテル】をリリースして手札から【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】を特殊召喚する!」

白河クロト 手札:4→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK1000

 

「【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】の攻撃力は自分の手札の数×500アップする。俺の手札は3枚。よって攻撃力が1500アップする!」

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK1000 → 2500

 

「【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】の残りの効果を説明しておく。1ターンに1度、魔法カードが発動した時にその発動を無効にする効果とフィールドのこのカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に手札・デッキから「沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン」以外の「サイレント・マジシャン」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する効果を持つ」

 

「ふぅん、なかなかのモンスターだな」

 

強がりを言っているが、彼のデッキにはかなり刺さるはずだ。

 

「バトルフェイズに移行する!【魔導法士 ジュノン】で【青眼の白龍】を攻撃!」

 

魔導法士 ジュノン ATK3500

vs

青眼の白龍 ATK3000

 

「くっ!許せ、ブルーアイズ!」

正義の味方カイバーマン LP:4000 → 3500

 

<カイバーマンのフィールド>

モンスター無し

 

これで墓地に【青眼の白龍】が三枚。【龍の鏡】があれば融合体が出てくるが、今は魔法カード封じが機能している。まだ大丈夫だろう。

 

「俺は【ヒュグロの魔導書】の効果発動!【ヒュグロの魔導書】の効果が適用された【魔導法士 ジュノン】が戦闘で相手モンスターを破壊した時にデッキから「魔導書」魔法カード1枚を手札に加える!俺はデッキから【魔導書の奇跡】を手札に加える!」

白河クロト 手札:3→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK2500 → 3000

 

「追撃だ!【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】でダイレクトアタック!」

 

「ぐあぁぁっ!!」

正義の味方カイバーマン LP:3500 → 500

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを3枚セットしてターンエンド」

白河クロト 手札:4→1枚。伏せカード:0→3枚。※【ゲーテの魔導書】、【トーラの魔導書】【魔導書の奇跡】

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK3000 → 1500

 

「エンドフェイズ時に【魔導書の神判】の効果が発動する!このカードの発動後に自分または相手が発動した魔法カードの枚数分まで、自分のデッキから「魔導書の神判」以外の「魔導書」と名のついた魔法カードを手札に加える。その後、この効果で手札に加えたカードの数以下のレベルを持つ魔法使い族モンスター1体をデッキから特殊召喚できる」

 

「俺が発動させた魔法カードは7枚。よって俺はデッキから【グリモの魔導書】、【セフェルの魔導書】、【ゲーテの魔導書】、【アルマの魔導書】、【ルドラの魔導書】、【ネクロの魔導書】、【ヒュグロの魔導書】を手札に加え、デッキから【魔導教士 システィ】を特殊召喚する!」

白河クロト 手札:1→8枚。

 

【昇霊術師 ジョウゲン】はデッキに1枚しか入っていない。【霊滅術師 カイクウ】で更なるメタを貼るのもアリかも知れないが、そしてそろそろデッキが無くなる。次のターンで決められるようにフィールドを強化してべきだろう。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK3000 → 1500

魔導教士 システィ ★3 ATK1600

 

「更にエンドフェイズ時に【魔導教士 システィ】の効果を発動!自分が「魔導書」と名のついた魔法カードを発動した自分のターンのエンドフェイズ時、フィールド上のこのカードをゲームから除外して発動できる。デッキから光属性または闇属性の魔法使い族・レベル5以上のモンスター1体と、「魔導書」と名のついた魔法カード1枚を手札に加える。「魔導教士 システィ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。俺はデッキから【ウィッチクラフトゴーレム・アルル】と【魔導書庫ソレイン】を手札に加える」

白河クロト 手札:1→8枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK3000 → 5000

 

「そして手札制限により、手札が6枚になるように手札からカードを墓地へ送る」

白河クロト 手札:8→6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK5000 → 4000

 

墓地に送ったのは【魔導冥士 ラモール】と【ヒュグロの魔導書】だ。

 

 

◆白河クロト LP:1500、手札:6枚、伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK4000

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:500、手札:2枚、伏せカード:0枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

モンスター無し

 

 

あちらの残る手札は【ブルーアイズ・ソリッド・ドラゴン】、【カオス・フォーム】で確定のはず。伏せカードは無く、墓地発動できるカードは、条件付きだが【青き眼の巫女】があるか。

 

ブルーアイズデッキに限らず、大体のデッキはモンスターと魔法カードによるサーチと特殊召喚をメインとするデッキだ。手札情報が洩れている今、魔法カードの使用制限はきついだろうな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カイバーマン 手札:2→3枚。

 

「俺はカードを一枚セットしてターンエンドだ」

カイバーマン 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

流石のカイバーマンも息切れか?いや、もしかしたらあの伏せカードがミラーフォースのような逆転のカードの可能性もあるな。最後の伏せカードに可能性を託すつもりだろうが、容赦はしない!

 

「エンドフェイズに俺は伏せていた速攻魔法【ゲーテの魔導書】を発動!「ゲーテの魔導書」は1ターンに1枚しか発動できない。自分フィールド上に魔法使い族モンスターが存在する場合、自分の墓地の「魔導書」と名のついた魔法カードを3枚までゲームから除外して発動できる。このカードを発動するために除外した魔法カードの数によって以下の効果を適用する!」

白河クロト 伏せカード:3→2枚。

 

「俺は墓地の【アルマの魔導書】、【ルドラの魔導書】、【ネクロの魔導書】の3枚を除外して、相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する。これは対象を取らない非破壊の除去効果だ。俺はその伏せカードを選んでゲームから除外する!」

 

「ふぅん。やるではないか」

カイバーマン 伏せカード:1→0枚。

 

カイバーマンに驚いた様子は見られない。いや、後攻1ターン目のエンドフェイズに2枚目の【ゲーテの魔導書】をサーチして手札に加えてたことは開示してある。そしてまだ使用していなかったことは彼も把握済みだったのだろう。あれだけ似たような魔法カードを乱発したのにも関わらず、よく見ているものだな。

 

 

◆白河クロト LP:1500、手札:6枚、伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK4000

 

vs

 

◆正義の味方カイバーマン LP:500、手札:2枚、伏せカード:0枚。

 

<カイバーマンのフィールド>

モンスター無し

 

 

相手フィールドにカード無し。墓地発動カードは条件を満たさない。手札は把握済みで誘発効果を持つカードはない。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズに移行」

白河クロト 手札:6→7枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK4000 → 4500

 

「スタンバイフェイズにフィールド魔法【魔導書院ラメイソン】の効果を発動する。自分の墓地から「魔導書院ラメイソン」以外の「魔導書」魔法カード1枚を選んでデッキの一番下に戻し、自分はデッキから1枚ドローする。俺は墓地の【魔導書の神判】をデッキの1番下に戻して1枚ドローする!」

白河クロト 手札:7→8枚。

 

<白河クロトのフィールド>

魔導法士 ジュノン ★7 ATK3500

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ★4 ATK4500 → 5000

 

「勝たせてもらうぞ!カイバーマン!」

 

「御託は良い!掛かってくるがいい!」

 

「バトルフェイズに移行!【沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン】でダイレクトアタック!」

 

沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン ATK5000

 

「うおぉぉぉっ!!」

正義の味方カイバーマン LP:500 → 0

 

 

 

「「対戦、ありがとうございました」」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

「おぉぉぉぉっ!クロトが勝ったぞー!」

 

「マジかよー!スゲー!」

 

「み、水…。水をクレメンス…」

 

「王様でも負けることがあるんだなぁ。初めて見たぜ」

 

「クロト、やったね!」

 

「バニー!」

 

「リューン!」

 

「「「ワイトもそう思います!」」」

 

「のうMASAKIよ?この賭けの結果はどうなるのじゃ?」

 

「拙者が先にクロトが勝つ方に賭けたので拙者の勝ちでゴザルな!」

 

「馬鹿者!元々わらわとてクロトが勝つに掛けるつもりだったわ!この羊羹も『よぉいお茶』もわらわのものじゃ!」

 

「良いデュエルだったなー!」

 

「今度はいつやるんだー!」

 

デュエルが終わるとギャラリーから歓声が沸き起こる。俺はデュエルディスクを仕舞いながらもまだ勝利の実感が湧かないでいた。

 

「ふぅん。マグレとはいえこの俺を倒すとは、見事だな。白河クロト」

 

「あっ、はい」

 

同じくデュエルディスクを仕舞ってこちらへ歩いてきたカイバーマンの声にようやく実感が湧いてきた。

 

「だが、このまま敗北で終わるオレではない!次はオレのブルーアイズたちが貴様を完膚なきまでに叩き潰してやるぞ!楽しみにしているといい!フハハハハハッ!」

 

カイバーマンはそのまま楽しそうに広間から出ていった。彼と海馬瀬人との一番の違いはその心の持ち様だと思う。カイバーマンは人間界でのしがらみなどに囚われない悠久を生きる存在だしな。

 

カイバーマンは常に楽しんでデュエルをする。その姿と言動により相手を奮い立たせ、全力を出させたうえで叩きのめす。そしてほぼ無いことだが、彼が負けた時は心から敵の腕前を評価する。もしかしたらこれがリスペクトデュエルの1つなのかもしれない。俺には辿り着けそうにない境地だ。

 

とりあえず、さっきから水を切らして死にそうな顔をしている【ダーク・プラント】に水をあげよう。

 

~~~

 

<赤馬零次視点>

 

クロトがカイバーマンとデュエルした翌日の早朝、赤馬零次は舞網市にあるLDSが管理している病院から連絡を受けて急行した。

 

榊遊勝が目を覚ましたらしい。そしてなにやら緊急で伝えたいことがあるらしい。病院に辿り着いた赤馬零次は、お供の中島を連れて彼の運転する車で榊遊勝の入院している病院へと急ぐ。

 

「赤馬社長。榊遊勝さんが入院しておられるのは、特別病棟の4階の一番奥の部屋です」

 

「分かっている。それよりも中島、先ほどの話は本当か?」

 

「はい。昨日の夜、榊遊矢が彼の知人数名と共に姿をくらませました」

 

何かが起ころうとしている。嫌な予感がする。数年前に舞網市やハートランドシティで起こった事件を思い出してしまう。

 

「分かった。LDSの職員たちに探させろ。研究所の姉さんやランサーズたちにも連絡して、いつでも出動できる状態にしておけ」

 

「はっ!かしこまりました!」

 

「それと…」

 

「?」

 

赤信号で停止している車の中で彼に指示を出していた私が言い淀むと、中島は不思議そうな顔をする。恐らくは私が普段彼に見せないような苦々しい表情をしているのだろう。

 

ランサーズは精鋭部隊だ。例えオベリスクフォースの残党が残っていたとしても彼らだけで鎮圧できるほどに強くなった。だが…。

 

「業腹だが奴らの、ハノイの騎士と赤羽コナミの力を借りる必要があるだろう。彼らにも連絡を入れておけ」

 

「はっ!了解しました!」

 

非常に、非常に腹立たしいが、オカルトが絡むと私では手に負えない状況が多い。そして、今回の事件は恐らくハノイの騎士こと白河クロトか、デュエル狂いの赤羽コナミか、出来ればその両方の力が必要になるだろう。

 

病院に到着してから中島と別れ、特別病棟に入院している榊さんの元へと辿り着いた。久し振りに見る榊さんの顔はやつれ、以前のような活力溢れる姿はなく、何かに恐れるような表情をしている。そして彼は私の顔を見るなりこう言った。

 

「赤羽君!頼む!息子を!遊矢を助けてくれ!」

 

その言葉と共に、彼はふらつく体を何とか動かして土下座をしながら懇願して来る。その後、彼が話す事情を聴いているうちに、私や白河クロトは大きな勘違いをしていたことを知ることとなった。

 

~~~

 

<????視点>

 

同時刻、彼が中学校に行く準備をしている時にそれは起こった。かなり遠くの方からだが、禍々しい破滅の光の波動を強く感じる。これは、以前ハートランドシティで感じた物と同じ波長だ。

 

『十代、今の魔力を感じたね?』

 

「もちろんだユベル。主人格には悪いが、今日の学校は欠席だな」

 

『破滅の力を見逃すのは世界の危機に通じる。HEROたるものとしては心苦しいが、仕方ないだろう』

 

先ほどまでの子供のような軟らかい表情から一変し、顔つきも凛々しくなり瞳の色が緑と金のオッドアイの瞳へと変化する。その隣には白と黒の精霊が付き従う。

 

「アイツは来るかな?」

 

『あの仮面の少年は来るだろうさ。彼もあの破滅の光には因縁めいたものを感じてるだろうからね』

 

『以前言っていたハノイの騎士と名乗っている少年か。一度会ってみたいと思っていたところだ』

 

「そう言えば、あの時ネオスはまだ居なかったな」

 

彼は先ほどまで手にしていた中学校のカバンを部屋のベットへと放り投げ、学生服を脱ぎ捨てる。その代わりにと、部屋の隅に置いてある旅用のリュックを手に取り、その中に今の状態の彼のデッキとデュエルディスクを入れて、ラフな普段着に着替えた後、破滅の光との戦いの場へと赴く準備を整える。

 

「そうだ。この前に主人格が作っていたネオスの仮面も持っていこう」

 

『えっ?何故?』

 

「ヒーローは姿を隠して戦う者なんだぜ」

 

『流石だな!素晴らしいぞ!十代!』

 

『はぁっ。君の好きにしなよ』

 

ノリノリの白い精霊に対し、黒い精霊は呆れ顔だ。そんな彼らの反応を気にせずに、彼はリュックに手作り感溢れるHEROの仮面を入れて今度こそ出かける準備を完了させる。あとは現地に向かうだけだが…。

 

「また電車代がかかるな…。オレもD-ホイールが欲しいぜ」

 

『君たちはどちらも免許を取れていないだろう?光の波動を感じたのはこの辺りだ。地図を見る限りだと舞網市からだから、この町からの電車代だと…このくらいかな?』

 

黒の精霊が器用にスマートフォンを叩いて地図と電車を調べてくれたらしい。そこに表示されている金額を見る彼の表情はどんどん暗くなっていく。

 

「うげぇ。往復を考えるとギリギリだな。貯金していたお年玉を使っても100円すら残らないじゃん」

 

『破滅の力を見逃すのは世界の危機に通じる。仕方ないだろう』

 

少ない小遣いからやりくりしている彼に対し、人間の金銭感覚に疎い白の精霊が無常の一言を放つ。中学生にとって、新幹線の往復代を払うことなど死活問題なのだ。

 

「これでまた主人格がしばらくエビフライ定食を食べられなくなるな…」

 

そしてそれは、彼の決して豊かではない懐事情にもダイレクトアタックが決まった瞬間だった。




今回で(オリ主たちが)確認できている限りの洗脳被害者は全員治療が完了しました。オリ主たちはこれで一安心だと思っているでしょう。

【ブラック・マジシャン】デッキもようやく解禁です。お披露目は次話となります。OCG次元的には中堅くらいでしょうが、本作では貴重なオカルトパワー対策となるため、オカルトパワー満載なボス相手には時々登場すると思います。

カイバーマンの使用デッキは海馬瀬人と同じく【青眼の白龍】です。海馬瀬人との違いはアニメオリジナルカードが無いことと、シンクロモンスターの使用有無くらいでしょうか。オリ主は誤解していますが、神のカードは持っていません。紙のカードは持っていますが使用することはないでしょう。

オリ主の使用デッキは悪名高き【征竜】と互角の力を見せた【神判魔導】です。オリ主としては今回の相手にはどうしても勝ちたかったので使用しました。

次の話でようやくトマト君関連の話が一段落する予定です。サブタイトルは『トマト君と圧迫面接』みたいな感じでしょうか。歴代のボスも経験したことだし、多少はね?

次回の更新は2/24(水) AM8:00予定です。

必殺雷撃人様、戦車様、暁 大和様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十六話 キラートマト君

ようやくトマト君編。完結です。

戦うデュエリスト達もなかなか混沌としています。

4人もデュエリストが居るとどうしても長文になってしまいますね。


<クロト視点>

 

中学三年生の9月下旬の早朝、カイバーマンとの激戦を終えた翌日、学校に向かう準備は昨日のうちに済ませてある俺は、シスターとリンを手伝って朝食の準備をしていた。

 

コナミは孤児院のリビングにあるテレビから流れているニュースを見ているようだ

 

「うん?今、遠くでそこそこ強めの破滅の光の力を感じたな。まぁいいか」

 

コナミが何か独り言を呟いたが、料理していたので殆ど聞こえなかった。本当に重要そうならコナミが後で教えてくれるだろうから別にいいかな。

 

『今まで49連勝を続けていたプロデュエリストのエド・フェニックス氏、ついに敗北!相手は元日本チャンピオンまで上り詰めたインゼクター羽蛾氏!フィールドを更地にされ…』

 

『日本が誇る三ツ星パティシエ、とうとう自身の最高傑作ブリューナク・プリンを完成させる!そのあまりの美味しさに販売店舗には女性客が殺到しているとの…』

 

『ドイツでゲームデザイナーとして活動中だった元キングオブデュエリストの武藤遊戯氏が先日帰国しているとの情報が…』

 

『舞網市とハートランドシティで起こった事件について、最近まで主犯の一人と思われていた榊遊勝氏が本日午後に緊急会見を行うとの…』

 

『童実野にあるカフェテリアが海馬コーポレーションとコラボして生まれた逸品!その名もブルーアイズ・マウンテン!1杯3000円という高額ではありますがその味わいは…』

 

何やら重要なことを言っていた気もするが、料理していたので殆ど聞こえなかった。本当に重要そうならコナミが後で教えてくれるだろうから別にいいかな。

 

「リン。配膳はこっちでやっておくから、寝坊助のユーゴを起こしてきてくれ」

 

「OK~」

 

「シスター。こっちの皿は俺が持っていくから、残りの皿を頼むよ」

 

「分かったわ」

 

「コナミ~。朝食が出来たぞ~」

 

「おぉ、分かった~。テレビを消してから食堂に行く~」

 

食堂に皿を並べていき、トーストの準備をしていると、2階からリンたちの声が聞こえてきた。

 

『ほらユーゴ!起きなさい!』

 

『むにゃむにゃ。あと5時間~』

 

『そんなに待ったら遅刻しちゃうでしょ!ほら!布団を取り上げるからね!』

 

『えっ、いや、リン。ちょっ、まっ…』

 

『…きゃぁぁぁ!もう、ユーゴ!なんで全裸なのよ!信じられない!』

 

『だから待てって言ったのに…ぐえぇぇっ!腹を、腹を蹴るのは止めて!』

 

『もう!知らない!』

 

いつも通りの声が聞こえてきたから、そろそろ二人とも降りてくるだろう。そんなことを考え居ているとチャイムが聞こえてきた。

 

『お~い。クロト~。リン~。来たぞ~!』

 

『お嬢様。みっともないので早朝から大声で騒ぐのは止めて頂きたい』

 

どうやらセレナがバレットを伴ってやってくる時間だったようだ。食堂の朝食の準備はほぼ完了しているし、セレナたちを出迎えに行きますかね。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

朝食を採り、後片付けをし終えたところでスマートフォンに電話が掛かってきた。相手はLDSの中島?あぁ赤マフラーの部下の人だっけ。こんな朝から何の用だ?とりあえず出るか。

 

「もしもし」

 

『やっと通じたか。こちらはLDSの中島だ。そちらはハノイの騎士で間違いないな?』

 

「そうだが、こんな朝っぱらから何の用だ?」

 

『至急、協力して貰いたいことがある。当然、報酬は出す』

 

「内容によるな」

 

LDSの中島から詳しい話を聞くと、どうやら洗脳状態から解放された榊遊勝が昏睡状態から回復したらしい。そしてその彼からもたらされた情報によると、以下のことが判明したという。

 

①Dr.ドクトルが所持していた【パラサイト・フュージョナー】はコピー品。本物には遠く及ばない代物。

 

②オリジナルの【パラサイト・フュージョナー】はDr.ドクトルから榊遊勝に手渡されており、万が一自分が捕まった場合でも誰にも気づかれないように、事前に彼が自宅の庭に埋めておいた。

 

③以前、Dr.ドクトルが【パラサイト・フュージョナー】と同時期に制作していた【アストログラフ・マジシャン】と言うカードがあり、その試作品と完成品のカード2枚も、オリジナルの【パラサイト・フュージョナー】と一緒に埋めていた。

 

④本来の予定だと、【アストログラフ・マジシャン】は舞網チャンピオンシップ終了後にエンタメデュエリストのズァークを洗脳するために使用する予定だった。その計画書はカードと共に埋めておいた。

 

⑤オリジナルの【パラサイト・フュージョナー】と【アストログラフ・マジシャン】は既に何者かの手によって榊家の庭から掘り出されており、遊勝を除けばその場所を知るのは息子の遊矢だけ。

 

⑥榊遊矢は現在行方をくらませている。

 

いやいやいや。なぁにこれぇ。もうトマト君がヤバいカード達を手に入れてしまったことはほぼ確定じゃん。オカルト耐性無さそうだったし、破滅の光の洗脳されてキラートマトになっているんじゃない?

 

【アストログラフ・マジシャン】をズァークに送ったのも洗脳されたトマト君だろう。【アストログラフ・マジシャン】から破滅の光に似た波動を感じたのは試作品の方だったからかな?

 

オリジナルの【パラサイト・フュージョナー】がどれほどの物かは分からないが、コピー品ですらDDの持っていた【D-HERO Bloo-D】に近い破滅の光の力を宿していたんだ。本物はかなりヤバそうだ。

 

正直、厄介ごとでしかないけれど放置すると非常に不味いことになりそうだ。オリジナルの【パラサイト・フュージョナー】を持っていそうなトマト君が行方不明なのが特に不味い。

 

ズァーク本人を破滅の光で洗脳なんてされたらこの世界に【覇王龍ズァーク】が誕生しかねない。

 

「内容は把握した。それで?何かプランはあるのか?」

 

『LDSの職員や研究所のランサーズを総動員して榊遊矢の行方を捜索しているところだ。お前たちもすぐにこちらに合流して欲しい』

 

「お前たち?あぁ、コナミにも話を通しているのか。ならコナミだけ先行させてそちらに合流させてくれ。俺はまず別行動を取ってズァークに会っておく」

 

『分かった。赤馬社長から、お前が何か方針を提案してきたのならばそちらを優先するように言われている。そちらの行動については任せる。頼んだぞ』

 

そう言って中島からの電話は途切れた。今日は学校は自主休学だな。とりあえずシスターに事情を説明して、学校には腹痛と言うことにしておいて貰おう。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

昼過ぎ、赤馬レイを通してズァークとリアルソリットビジョン研究所にて合流し、師匠たちの力を借りて【オッドアイズ・ドラゴン】と【アストログラフ・マジシャン】の破滅の光の力を消しておくことに成功した。

 

「これで一安心だが、まだお前は狙われている可能性が高い。少なくとも今日一日は赤馬レイと行動を共にした方が良いだろう」

 

「分かった」

 

「こちらも了解よ。ハノイ君、零次の方も助けてあげてね?」

 

「その分の報酬は確約済みだ。報酬分の働きはさせて貰おう」

 

ズァークと赤羽レイにはこれまでの事情を説明した後、何人かランサーズの護衛を付けて貰って絶対に榊遊矢と接触しないように頼んでおいた。これでとりあえずこちらの対処は良いだろう。

 

先ほど、コナミが赤馬零次と合流してランサーズと共に舞網市にて破滅の光に洗脳されたデュエリストと交戦を始めたという連絡を受けている。恐らくその周辺にトマト君は居るのだろう。俺もそちらに合流することにした。

 

~~~

 

<遊矢視点>

 

夕暮れ時、オレは父さんから託された【パラサイト・フュージョナー】に秘められた力を使い、周囲の人間を洗脳して笑顔にすることで、かつて舞網チャンピオンシップが開かれたスタジアムを占領することに成功した。

 

「この大舞台でなら、父さんから引き継いだオレのエンタメデュエルで皆を笑顔にすることが出来る!」

 

オレはスタジアムの中央に立ち、スタジアム全体を眺めながらそう呟く。オレの周囲には今誰もおらず、この独り言を聞いている者はいない。

 

【パラサイト・フュージョナー】と一緒に埋めてあった【アストログラフ・マジシャン】は、埋められていた計画書通りズァークと言う人に送っておいた。今頃はそのズァークと言う人物もエンタメデュエルで皆を笑顔にしていることだろう。

 

「あとは父さんの無実を証明するために、奴を!ハノイの騎士を倒すだけだ!!」

 

オレから父さんを奪い!父さんから自由と栄光を奪った奴を、オレは絶対に許さない!

 

「なんだお前たちは!…うわぁぁぁっ!」

 

「こ、こいつ等!ぐわぁぁぁっ!」

 

「ラ、ランサーズだ!…おわぁぁぁっ!」

 

スタジアムの入り口周辺から洗脳した人間たちの悲鳴が聞こえ、そちらを振り返ると入口辺りに見覚えのある制服を身に纏った集団が集まっていた。ハートランドシティで有名になったリアルソリットビジョン研究所お抱えの警備部門ランサーズだ。

 

その先頭に立つのは筋肉質の眼帯の男、確か舞網チャンピオンシップに出場していたセレナって言う女の子の護衛をしていた男性だ。何故ここに?

 

「やぁトマト君。久し振りだな」

 

「おーす、遊矢。久し振り~」

 

その時、突如2人の少年の声がする。一人は舞網チャンピオンシップで戦ったことのあるデュエリスト、赤帽子のコナミだろう。そしてもう一人は…!

 

「ハノイの騎士ぃぃぃ!」

 

その声を聞き、反射的に叫ぶと同時に空を見上げると、赤帽子の少年と共に、白いローブに奇妙な仮面を付けた少年が空から舞い降りてきた…!

 

~~~

 

<クロト視点>

 

夕暮れ時、赤馬零次やコナミと合流して榊遊矢の居場所を突き止めた際の詳細を聞き、協力して貰ったバレットにランサーズを率いて貰って入り口で彼らに囮として頑張ってもらい、ハノイの騎士の衣装を身に纏った俺といつものスタイルのコナミはスタジアムの上空から侵入した。

 

プチリュウに運んでもらっている俺とは対照的に、コナミはまるで空を歩くかの如く後ろから付いてきた。これでも軽自動車並みの速度で飛んでいるんだが…いや、もうコイツの非常識さに関して考察するのは止そう。時間の無駄だ。

 

スタジアムに着地できそうな距離まで近づくと榊遊矢の姿が見えたので軽く挨拶をしてみた。コナミも同じノリのようだ。そうすると…。

 

「ハノイの騎士ぃぃぃ!」

 

凄まじい形相の榊遊矢がこちらを睨みつけてきた。緑と赤の髪を逆立てて、周囲に白と黒のオーラを身に纏っている。俗にいうキラートマト状態である。逆恨みも甚だしいのだが、相当俺に対してブチ切れているようだ。

 

そして、あの白い方のオーラからはかなりの破滅の光の波動を感じる。DDやコピー品の【パラサイト・フュージョナー】の10倍くらいの出力はあるだろうか。これが本物か。今すぐ逃げ帰りたい。だが先ほどの約束があるからなぁ。

 

「おいおい、何をそんなに怒っているんだ?」

 

「お前が!お前さえいなければ!父さんがあんなことになることはなかった!オレが犯罪者の息子呼ばわりされることも無かった!全部お前の所為だ!」

 

彼の中では俺は諸悪の根源のような扱いらしい。俺はLDSに頼まれて洗脳されて犯罪行為に身を染めている洗脳されていた榊遊勝を捕縛しただけなんだけどなぁ。

 

正直、俺は彼に宿った破滅の光の波動を何とかできればよく、彼自身に対して思うことは特にない。ただ、ここに来るまでにあの娘に頼まれた以上、最低限の仕事はするつもりだ。

 

対して彼は俺に対して殺意すら滲ませている。さしずめ、俺を倒して父親の無実を証明するとか思っていそうだ。彼と俺の中の温度差が凄いことになっていると思う。

 

「柊柚子や権現坂昇、紫雲院素良たちから頼まれて、君をぶちのめしに来た。そう言うわけなのでトマト君、大人しく私にぶちのめされてくれ」

 

「クロト、ちょっと違うと思うぞ」

 

コナミから突っ込みが入るが、大体あっているはずなのでスルーだ。と言うか本名で呼ぶな。この格好の時はハノイの騎士と呼べと何度も言っているんだけど今後も改善することはなさそうだ。

 

「柚子!?お前、今度は柚子にまで何かしたのか!絶対に許さない!ハノイの騎士、デュエルだ!」

 

権現坂や紫雲院のことは別に良いのか?何はともあれ、とりあえずデュエルに持ち込めそうだな。

 

破滅の光の洗礼を受けた人間は、自身の心の奥底にあるコンプレックスに付け込まれる。彼の場合は、ハノイの騎士(俺)に対する憎悪と父親への冤罪、そして父親から受け継いだ自身のデュエルスタイルに関する物だろうか。彼に洗脳されていた連中は皆が『笑顔』しか喋らなかったしな。

 

そして、破滅の光の波動を受けた人間に説得なんて無駄だ。ユベルですら人格が歪み、強靭な精神力を持つ斎王琢磨でさえ意識を乗っ取られているからな。今の榊遊矢に榊遊矢の意思は存在しない。俺の目の前に居るのは榊遊矢の体を奪ってその記憶を元にそれらしく喋っている破滅の光の意思だ。

 

破滅の光を消す手段を手に入れた今ならばやることは簡単だ。アニメGXの斎王琢磨の時と一緒で、まずはデュエルでぶちのめして破滅の光を消滅させてから、彼に親しい人間にアフターケアを丸投げすればいい。

 

「やるというなら相手になろう」

 

「クロト、オレもやるからな?」

 

「お前はダメだと言っても勝手に参入するだろう」

 

コナミもやる気満々だ。正直、コナミ一人で十分なんじゃないかな?と思わなくもない。コイツが負けてはいけないデュエルで負ける姿が思いつかないしな。

 

「そのデュエル、ちょっと待ったー!」

 

「「「!?」」」

 

今からデュエルが始まろうとしている時にスタジアムの観客席から跳躍して来る人影が居る。何だあの身体能力!?観客席からここまで50mはあるぞ!?

 

「そのデュエル、オレも混ぜて貰おうか!」

 

スタッ!と言う着地音と共に、俺達と榊遊矢との間に俺達と同年代くらいの茶髪の少年が降り立つ。顔には何故か【E・HERO ネオス】と思われる手作り感満載な仮面を付けている。どう見ても遊城十代ですね。ただ、体に纏う魔力は半端な量ではなく、こちらも今の俺の20倍はありそうだ。これが正しき闇の魔力を持つ者の実力か~。もう俺が帰っても問題なさそう。

 

「何だお前は!」

 

「破滅の光との戦いに身を置くさすらいのHERO!その名も!…え~っと、そうだ!オレの名はネオス仮面だ!シャキーン!」

 

「まんまじゃん」

 

「絶対に今考えたな」

 

榊遊矢の当然の質問に遊城十代もといネオス仮面が香ばしいポーズと共にそれに応え、コナミの的確なつっこみが入る。

 

『そして私がネオス仮面の右腕、【E・HERO ネオス】だ!』

 

『新入りがしゃしゃり出るんじゃないよ』

 

そうしてネオス仮面の左右には白い筋肉質のHEROと黒い体と翼を持つ悪魔の精霊が並び立つ。

 

ア、アイエエエ!ネオス!?そしてユベル!?ユベルナンデ!??コワイ!オゴゴーーッ!!

 

…危うく急性ユベルリアリティショックを起こして腰を抜かして失禁するところだった。

 

いやいやいや、いやいやいやいやいや!ま、待って待って。何でユベル居るの!?ネオスはこの前のネオスペーシアン襲来事件で何となく有り得るかもと思っていたけど、ユベルは聞いてないんですけど!?

 

「ど、ドーモ、ネオス仮面=サン。ハノイの騎士です」

 

「おぅ!初めましてだな、ハノイの騎士!それに、えっと…」

 

「オレか?オレはコナミだ!」

 

「そうか。よろしくなコナミ!」

 

俺のぎこちない挨拶を気にした様子もなく、ネオス仮面とコナミは挨拶をしている。お前ら強心臓過ぎるだろう。

 

それにしても、ふぅ~。何とか落ち着いてアイサツを返すことが出来たな。アイサツを欠くことは相手にとって実際シツレイ!俺は詳しいんだ!

 

…そろそろ本当に落ち着こう。目の前に居るこのネオス仮面を名乗る人物は間違いなく遊城十代だ。他にネオスとユベルを連れている人物なんて考えられないしな。明らかに登場時期が早いが、これも世界改変の影響なのだろう。つまり、転生の女神様とドン・サウザンドの所為だ。

 

それに、気のせいかも知れないがあのネオスとユベルにはそれほど強力な魔力を感じない。それこそDDの持っていた【D-HERO Bloo-D】のような、まるで抜け殻のような感じだ。

 

今は、目の前のこの状況を打破することだけを考えよう。

 

「何人増えようが変わりない!オレが全て倒してやる!」

 

「おっ!ようやく始めるのか!」

 

「このネオス仮面はいつでも準備OKだぜ!」

 

コナミと十代。この2人が揃えば本当に俺が必要なのか疑わしいのだが、トマト君が憎悪を向けるのは俺だろうし、俺もやるしかないかな。

 

「ルールはバトルロイヤルルール、アクションデュエルは無しでよろしいかな?」

 

「構わない!ただし、お前たち3人はチームみたいなものだろう!オレはライフを3人分の12000にさせてもらうぞ!」

 

「いいぜ!」

 

「OKだ!」

 

俺の提案にトマト君がライフの上乗せを要求する。ネオス仮面とコナミもそれに同意する。

 

だが、良いのかトマト君?君、このメンバーにライフだけのハンデで三対一を挑もうとしているんだぞ?せめて手札も多めに要求した方がいいんじゃないか?俺ならばデュエルせずに逃げるぞ?でも、本人が良いと言うんなら別にいいか。

 

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル」」」」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:4000

 

VS

 

◆キラートマト(榊遊矢) LP:12000

 

 

キラートマトこと榊遊矢のデッキは【EM】。場合によってはオッドアイズシリーズや魔術師シリーズが混合していることもあるだろう。そして、破滅の光が宿っている場合、彼の所持するカードのテキストが変更されていたり(アニメ版になる)、この世界の彼が本来所持していなかったカードが加わっている可能性が高い。

 

アニメで最終的に所持していた4天の竜や覇王シリーズを所持していることも考えられる。いや、【アストログラフ・マジシャン】を所持しているだろうから【覇王龍ズァーク】を出してくる可能性が高い。と言うより出してくるだろう。

 

流石に漫画版のファントム君のカードは持っていないと願いたい。総合的にはあちらの方が厄介だからな。

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

キラートマト 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外してデッキから2枚ドローする!」

キラートマト 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「オレは手札のスケール1の【EMモンキーボード】をペンデュラムスケールにセッティングして、そのペンデュラム効果を発動!オレはデッキから【EMリザードロー】を手札に加える!」

キラートマト 手札:7→6→7枚。

 

【EMモンキーボード】

ペンデュラム・効果モンスター

星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

【Pスケール:青1/赤1】

「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは4になる。

(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。

 

出たよクソ猿。過ちの猿は〇ね。明日を作るのは憎しみなんかじゃない。とっとと投獄されろ。そして二度と出てくるな。

 

猿こと【EMモンキーボード】には、もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは4になるという効果があるが、あのデッキでEMが尽きることはないだろう。

 

「なんだあの猿!?アドバンテージの塊じゃん!」

 

「永続魔法の【増援】みたいなカードだな」

 

コナミとネオス仮面がそれぞれの感想を述べる。彼らもあの猿の力の一端を思い知ってしまったようだ。

 

「オレは手札のスケール6【EMリザードロー】をペンデュラムスケールにセッティングして、そのペンデュラム効果を発動!このカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする!」

キラートマト 手札:7→6→7枚。

 

【EMリザードロー】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/地属性/爬虫類族/攻1200/守 600

【Pスケール:青6/赤6】

「EMリザードロー」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズにもう片方の自分のPゾーンに「EMリザードロー」以外の「EM」カードが存在する場合に発動できる。このカードを破壊し、自分はデッキから1枚ドローする。

【モンスター効果】

「EMリザードロー」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカード以外の自分フィールドの表側表示モンスターが相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分フィールドの「EM」モンスターの数だけ自分はデッキからドローする。

 

「オレは手札から【EMドクロバット・ジョーカー】を召喚!召喚成功時に効果発動!オレはデッキから【慧眼の魔術師】を手札に加える!」

キラートマト 手札:7→6→7枚。

 

<キラートマトのフィールド>

EMドクロバット・ジョーカー ★4 ATK1800

 

【EMドクロバット・ジョーカー】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守 100

【Pスケール:青8/赤8】

(1):自分は「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「EMドクロバット・ジョーカー」以外の「EM」モンスター、「魔術師」Pモンスター、「オッドアイズ」モンスターの内、いずれか1体を手札に加える。

 

「オレは手札の【慧眼の魔術師】をペンデュラムスケールにセッティングして、そのペンデュラム効果を発動!自身を破壊してオレはデッキからスケール8の【竜穴の魔術師】をペンデュラムゾーンにセットする!」

キラートマト 手札:7→6枚。

キラートマト Pスケール:1-8

 

【慧眼の魔術師】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻1500/守1500

【Pスケール:青5/赤5】

(1):もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードまたは「EM」カードが存在する場合に発動できる。このカードを破壊し、デッキから「慧眼の魔術師」以外の「魔術師」Pモンスター1体を選び、自分のPゾーンに置く。

【モンスター効果】

(1):このカードを手札から捨て、自分のPゾーンの、Pスケールが元々の数値と異なるカード1枚を対象として発動できる。そのカードのPスケールはターン終了時まで元々の数値になる。

 

【竜穴の魔術師】

ペンデュラム・通常モンスター

星7/水属性/魔法使い族/攻 900/守2700

【Pスケール:青8/赤8】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードが存在する場合、手札のPモンスター1体を捨て、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

【モンスター情報】

若くして竜の魂を呼び覚ます神通力を体得した天才魔術師。

その寡黙でストイックな魔術への姿勢から人付き合いは苦手だが、弟子の「竜脈の魔術師」にいつも振り回され、調子を狂わされている。

 

これでレベル5からレベル7までのモンスターが同時に召喚可能になったか。

 

「オレは手札からフィールド魔法【天空の虹彩】を発動!そして効果発動!フィールドの【EMモンキーボード】を破壊してデッキから【オッドアイズ・ドラゴン】を手札に加える!」

キラートマト 手札:6→5→6枚。

 

【天空の虹彩】

フィールド魔法

「天空の虹彩」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分のPゾーンの、「魔術師」カード、「EM」カード、「オッドアイズ」カードは相手の効果の対象にならない。

(2):このカード以外の自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「オッドアイズ」カード1枚を手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドローし、手札の【オッドアイズ・ドラゴン】を除外する!」

キラートマト 手札:6→5→7→6枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。

手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「オレは手札のスケール0【ペンデュラムーチョ】をペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル1からレベル7までのモンスターが同時に召喚可能!」

キラートマト 手札:6→5枚。

キラートマト Pスケール:0-8

 

【ペンデュラムーチョ】

ペンデュラム・効果モンスター

星1/地属性/鳥獣族/攻 0/守 0

【Pスケール:青0/赤0】

(1):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに1度だけ、自分の墓地のモンスターまたは除外されている自分のモンスターの中から、「ペンデュラムーチョ」以外のPモンスター1体を対象として発動できる。そのPモンスターを自分のエクストラデッキに表側表示で加える。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のエクストラデッキから、「ペンデュラムーチョ」以外の表側表示のレベル1のPモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!!出でよ!オレのモンスターたち!手札より【パラサイト・フュージョナー】、【虹彩の魔術師】、EXデッキより【慧眼の魔術師】、【EMリザードロー】を特殊召喚する!」

キラートマト 手札:5→3枚。

 

<キラートマトのフィールド>

EMドクロバット・ジョーカー ★4 ATK1800

パラサイト・フュージョナー ★1 DEF0 ※アニメ版

虹彩の魔術師 ★4 ATK1500

慧眼の魔術師 ★4 DEF1500

EMリザードロー ★3 DEF600

 

【パラサイト・フュージョナー】※アニメ版効果

効果モンスター

星1/闇属性/昆虫族/攻 0/守 0

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、融合モンスターカードに記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。融合モンスターカードによって決められた、このカードと自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材として墓地へ送り、その融合モンスターを1体をエクストラデッキから融合召喚する。その後、墓地のこのカードを装備カード扱いとして、この効果で融合召喚したモンスターに装備する。

(3):このカードを装備したモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

 

【虹彩の魔術師】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1000

【Pスケール:青8/赤8】

(1):1ターンに1度、自分フィールドの魔法使い族・闇属性モンスター1体を対象として発動できる。このターンそのモンスターが相手モンスターとの戦闘で相手に与える戦闘ダメージは倍になる。その後、このカードを破壊する。

【モンスター効果】

このカードはルール上「ペンデュラム・ドラゴン」カードとしても扱う。

(1):このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ペンデュラムグラフ」カード1枚を手札に加える。

 

破滅の光の意思っぽい白いオーラが【パラサイト・フュージョナー】から噴き出している。かなり強力な力だな。本来、俺一人だとかなり苦戦するだろうなぁ。

 

「おぉ。これがペンデュラム召喚かぁ」

 

ペンデュラム召喚を始めてみたらしいネオス仮面が呟く。

 

「出たか【パラサイト・フュージョナー】。相変わらず気持ちの悪いモンスターだな」

 

「またあの虫かぁ。あの薄気味悪いオッサンが持っていたカードだっけ?」

 

「そうだな。Dr.ドクトルが所持していたカードのオリジナルだそうだ」

 

カードそのものに罪はないのだが、散々【パラサイト・フュージョナー】とその元々の持ち主のDr.ドクトルを見てきた俺達にとっては、あのモンスターにあまりいい印象を持っていない。

 

「そして【パラサイト・フュージョナー】の効果発動!このカードを「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」の代わりとして扱い、このカードとフィールドの【EMドクロバット・ジョーカー】を融合素材として墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!融合召喚!」

 

オッPと魔法使い族が融合素材なら出てくるのは恐らく…。

 

「出でよ!秘術ふるいし魔天の龍!【ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!そして、その後に墓地の【パラサイト・フュージョナー】を装備カード扱いとして、この効果で融合召喚したモンスターに装備する!」

 

<キラートマトのフィールド>

虹彩の魔術師 ★4 ATK1500

慧眼の魔術師 ★4 DEF1500

EMリザードロー ★3 DEF600

ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン ★8 ATK3000 ※【パラサイト・フュージョナー】装備

 

【ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」+魔法使い族モンスター

(1):このカードは、「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」以外の融合素材としたモンスターの元々のレベルによって以下の効果を得る。

●レベル4以下:このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

●レベル5以上:このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる。

(2):フィールドのP召喚されたモンスターを素材としてこのカードが融合召喚に成功したターン、このカードは相手の効果を受けない。

 

「おぉっ。今度は融合召喚か」

 

「うげぇ、【パラサイト・フュージョナー】がルーンアイズの首にへばりついたぞ」

 

「あれが装備状態なんだろうな」

 

夕方のアニメのくせに女性型モンスターの胸部へ張り付くようなモンスターだしなぁ。

 

「更に手札から永続魔法【寄生工場】発動!永続魔法【寄生工場】の効果発動!【ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】と【パラサイト・フュージョナー】を墓地へ送り、【パラサイト女王】を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。出でよ!【パラサイト女王】!!」

キラートマト 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【寄生工場】※アニメオリジナルカード

永続魔法

(1):「パラサイト・フュージョナー」を装備したフィールドのモンスター1体と自分フィールドの「パラサイト・フュージョナー」1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送り、「パラサイト女王」1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。その後、墓地へ送った「パラサイト・フュージョナー」を装備カード扱いとして、この効果で融合召喚したモンスターに装備する。

(2):フィールドの「パラサイト女王」は相手モンスターの効果を受けない。

(3):お互いのプレイヤーは、それぞれ自分ターンに1度、相手フィールドの「パラサイト女王」1体を対象としてこの効果を発動できる。自分のデッキから「パラサイト・フュージョナー」1体を墓地へ送り、対象のモンスターのコントロールを得る。

 

「その後、墓地へ送った「パラサイト・フュージョナー」を装備カード扱いとして、この効果で融合召喚したモンスターに装備する!」

 

<キラートマトのフィールド>

虹彩の魔術師 ★4 ATK1500

慧眼の魔術師 ★4 DEF1500

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK1800→2100 ※【パラサイト・フュージョナー】装備 ※【寄生工場】の効果で相手の効果を受けない。

 

【パラサイト女王】※アニメオリジナルカード

融合・効果モンスター

星8/闇属性/昆虫族/攻1800/守1800

(1):このカードの攻撃力は、フィールドの「パラサイト・フュージョナー」の数×300アップする。

(2):「パラサイト・フュージョナー」を装備しているこのカード以外のフィールドのモンスターの攻撃力は、装備している「パラサイト・フュージョナー」の数×800ダウンする。

(3):このカードが相手モンスターに攻撃されたダメージ計算時に1度発動できる。このカードに装備された「パラサイト・フュージョナー」1枚を相手モンスターに移し替える。

 

破滅の光の意思みたいな白いオーラが【パラサイト・フュージョナー】から【パラサイト女王】へと移ったみたいな。穏やかな心を持ちながら激しい怒りにお寄って目覚める伝説の戦士みたいになっている。シュインシュインって音が鳴ってそう。

 

「【インセクト女王】みたいなのが出てきたな」

 

「事前に伝えておいただろう。【インセクト女王】より遥かに強いから気を付けろよ」

 

アニメオリジナルカードの魔法カード【複蘇生寄生】や罠カード【パラサイト・マジック】により、こちらのモンスターのコントロールを奪ってくる可能性もあるからな。

 

「そして、レベル4魔術師モンスターの【虹彩の魔術師】と【慧眼の魔術師】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!出でよ!ランク4【星刻の魔術師】!!」

 

<キラートマトのフィールド>

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK2100 ※【パラサイト・フュージョナー】装備 ※相手の効果を受けない。

星刻の魔術師 ☆4 DEF1200 ORU:2

 

【星刻の魔術師】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1200

レベル4「魔術師」Pモンスター×2

このカードは上記のカードをX素材にしたX召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキ・墓地のモンスター及び自分のエクストラデッキの表側表示のPモンスターの中から、魔法使い族・闇属性モンスター1体を選んで手札に加える。

(2):1ターンに1度、自分のモンスターゾーン・PゾーンのPモンスターカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分のデッキから魔法使い族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

「おぉっ!今度はエクシーズ召喚かぁ!」

 

ネオス仮面君、一人で楽しそうで羨ましいな。

 

「【星刻の魔術師】のORUを1つ取り除いて効果発動!オレはデッキから【アストログラフ・マジシャン】を手札に加える!」

キラートマト 手札:2→3枚。星刻の魔術師 ORU:2→1

 

【アストログラフ・マジシャン】をサーチしてきたか。【パラサイト・フュージョナー】を見る限り、あの【アストログラフ・マジシャン】はアニメ効果の可能性が高い。

 

アニメ版【覇王龍ズァーク】の効果はコナミには伝えてあるがネオス仮面には伝えられていない。バトルロイヤル形式を取っている以上、詳細な助言はNG。ネオス仮面が主人公補正で乗り切ってくれることを祈ろう。

 

「バトルロイヤルルールの場合、全員1ターン目は攻撃することが出来ない。オレはカードを1枚伏せてターンエンド」

キラートマト 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:4000

 

VS

 

◆キラートマト(榊遊矢) LP:12000、手札:2枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。装備カード:1枚。Pスケール:1-8

 

<キラートマトのフィールド>

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK2100 ※【パラサイト・フュージョナー】装備 ※相手の効果を受けない。

星刻の魔術師 ☆4 DEF1200 ORU:1

 

 

トマト君の手札には既に【アストログラフ・マジシャン】が握られている。あのカードがアニメオリジナルカードの場合、リリースするだけで自分のデッキ・エクストラデッキ・フィールド・墓地から素材を除外してエクストラデッキから【覇王龍ズァーク】1体を特殊召喚出来る。次のターンに間違いなく召喚されるだろう。

 

アニメオリジナルカードの【覇王龍ズァーク】には特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのモンスターを全て破壊してその効果でモンスターを破壊されたプレイヤーに、破壊した全てのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを与える効果がある。この時点でフィールドの破壊されたモンスターの攻撃力が合計4000を超えていた時点で負け確定となる。

 

ついでに破壊耐性や融合・S・Xモンスターの効果を受けなかったり、こちらのサーチ効果を潰して来たりするが、この辺りはどうとでもなる。ネオス仮面のデッキは読めないし、タッグデュエルではないときのコナミはもっと読めない。俺が率先して潰していくしかないかなぁ。

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動!相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

コナミ 手札:6→5枚。

 

【ライトニング・ストーム】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「な、何っ!?」

 

酷い…。

 

「だが【星刻の魔術師】の効果発動!オレはデッキから【クロノグラフ・マジシャン】を墓地に送ってPゾーンのカード破壊を無効化する!」

 

「だけど、他の魔法罠ゾーンのカードは破壊される!」

 

「ぐぅっ!」

キラートマト 伏せカード:1→0枚、フィールド魔法:1→0枚。永続魔法:1→0枚、装備カード:1→0枚

 

<キラートマトのフィールド>

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK2100→1800

星刻の魔術師 ☆4 DEF1200 ORU:1

 

破壊された伏せカードは永続罠【連成する振動】か。ついでの様に【パラサイト・フュージョナー】と【寄生工場】が消されたな。これで【パラサイト女王】はただの雑魚だ。【アストログラフ・マジシャン】はまだ温存するようだな。

 

「オレは手札から速攻魔法【揺れる眼差し】を発動!お互いのPゾーンのカードを全て破壊する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

【揺れる眼差し】

速攻魔法

(1):お互いのPゾーンのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊したカードの数によって以下の効果を適用する。

●1枚以上:相手に500ダメージを与える。

●2枚以上:デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。

●3枚以上:フィールドのカード1枚を選んで除外できる。

●4枚:デッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える事ができる。

 

「なん…だと!?」

キラートマト Pスケール:無し

 

鬼かな?

 

「破壊したPゾーンカードのカードは2枚!相手に500ダメージを与え、オレはデッキからPモンスター【マジェスペクター・ユニコーン】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→5枚。

 

「ぐあぁぁぁっ!」

キラートマト LP:12000→11500

 

【マジェスペクター】か。あのテーマは共通してペンデュラム効果を持たない代わりに『このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない』モンスター効果を持つ強力なテーマだ。主にユニコーンが。

 

もうアイツ一人でいいんじゃないかな?

 

「オレは手札のスケール2【魔装戦士 ドラゴディウス】とスケール7【魔装戦士 ドラゴノックス】をペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル3から6までのモンスターが同時に召喚可能!」

コナミ 手札:5→3枚。

コナミ Pスケール:2ー7

 

【魔装戦士 ドラゴディウス】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1500/守1500

【Pスケール:青2/赤2】

(1):自分のモンスターが相手の表側表示モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に手札を1枚捨てて発動できる。その戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力は半分になる。

【モンスター効果】

(1):自分のモンスターゾーンのこのカードが相手モンスターの攻撃または相手の効果で破壊された場合に発動できる。このターンのエンドフェイズに、デッキから「魔装戦士 ドラゴディウス」以外の攻撃力2000以下の、戦士族または魔法使い族モンスター1体を手札に加える。

 

【魔装戦士 ドラゴノックス】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1500/守1500

【Pスケール:青7/赤7】

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。このカードを破壊し、そのバトルフェイズを終了する。

【モンスター効果】

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、自分の墓地の攻撃力2000以下の、戦士族または魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示で特殊召喚する。

 

【魔装戦士 ドラゴディウス】と【魔装戦士 ドラゴノックス】。戦闘が苦手な【マジェスペクター】の欠点を補えるいい効果だよな。

 

「ペンデュラム召喚!手札からレベル6【マジェスペクター・ユニコーン】、レベル3【マジェスペクター・ラクーン】、【マジェスペクター・クロウ】を特殊召喚!」

コナミ 手札:3→0枚。

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2000

マジェスペクター・ラクーン ★3 DEF900

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1500

 

【マジェスペクター・ユニコーン】

ペンデュラム・効果モンスター

星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

【Pスケール:青2/赤2】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・ユニコーン」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のモンスターゾーンのPモンスター1体と相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

【マジェスペクター・ラクーン】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/風属性/魔法使い族/攻1200/守 900

【Pスケール:青5/赤5】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・ラクーン」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マジェスペクター」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

【マジェスペクター・クロウ】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/魔法使い族/攻1000/守1500

【Pスケール:青5/赤5】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・クロウ」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マジェスペクター」魔法カード1枚を手札に加える。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

「おぉっ!こっちもペンデュラム召喚か!」

 

ネオス仮面だけがこの殺伐とした場の癒しだな。

 

「【マジェスペクター・ラクーン】の効果発動!オレはデッキから【マジェスペクター・フォックス】を手札に加える!」

 

「【マジェスペクター・クロウ】の効果発動!オレはデッキからフィールド魔法【マジェスティックP】を手札に加える!」

 

チェーン②マジェスペクター・クロウ

チェーン①マジェスペクター・ラクーン

 

コナミ 手札:0→1→2枚。

 

ペンデュラム召喚は全てのモンスターを1度に特殊召喚するため、複数のモンスターをペンデュラム召喚してもタイミングを逃すことはない。同時に発動した効果を自分の好きな順にチェーンを組んで全て発動させることが出来る。

 

「オレは手札から【マジェスペクター・フォックス】を召喚!そして効果発動!オレはデッキからカウンター罠【マジェスペクター・テンペスト】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→1→2枚。

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2000

マジェスペクター・ラクーン ★3 DEF900

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1500

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1500

 

【マジェスペクター・フォックス】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/魔法使い族/攻1500/守1000

【Pスケール:青2/赤2】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・フォックス」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マジェスペクター」罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

「オレは手札からフィールド魔法【マジェスティックP】を発動!」

コナミ 手札:2→1枚。

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2000 → 2300

マジェスペクター・ラクーン ★3 DEF900 → 1200

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1500 → 1800

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1500 → 1800

 

【マジェスティックP】

フィールド魔法

「マジェスティックP」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの「マジェスペクター」モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):自分フィールドの魔法使い族・風属性モンスター1体をリリースして発動できる。デッキからレベル4以下の「マジェスペクター」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「オレはフィールド魔法【マジェスティックP】の効果を発動!オレはフィールドの【マジェスペクター・ラクーン】をリリースして、デッキから【マジェスペクター・キャット】を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800

マジェスペクター・キャット ★3 DEF1800 → 2100

 

【マジェスペクター・キャット】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/風属性/魔法使い族/攻 100/守1800

【Pスケール:青2/赤2】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・キャット」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。このターンのエンドフェイズに、デッキから「マジェスペクター」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

「マジェスペクター」モンスターは全て魔法使い族・風属性モンスターのペンデュラムモンスターだ。フィールドでリリースされることでEXデッキに置かれ、次のターンにまたペンデュラム召喚で帰って来て、もう一度効果を使用できる。

 

「【マジェスペクター・キャット】の効果発動!エンドフェイズにデッキから「マジェスペクター」カード1枚を手札に加えるからね」

 

「バトルロイヤルルールの場合、全員1ターン目は攻撃することが出来ない。オレはカードを1枚セットしてターンエンド」

コナミ 手札:1→0枚。

 

「エンドフェイズ時に【マジェスペクター・キャット】の効果によりオレはデッキから速攻魔法【マジェスペクター・サイクロン】を手札に加える」

コナミ 手札:0→1枚。

 

「そしてオレは手札から速攻魔法【マジェスペクター・サイクロン】を発動!オレは【マジェスペクター・キャット】をリリースして、そちらの【星刻の魔術師】を破壊する!」

コナミ 手札:1→0枚。

 

【マジェスペクター・サイクロン】

速攻魔法

(1):自分フィールドの魔法使い族・風属性モンスター1体をリリースし、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800

 

「くっ!やってくれる!」

 

<キラートマトのフィールド>

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK1800

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:2-7

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800   ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:4000

 

VS

 

◆キラートマト(榊遊矢) LP:11500、手札:2枚。伏せカード:0枚。永続魔法:0枚。装備カード:0枚。Pスケール:無し

 

<キラートマトのフィールド>

EMリザードロー ★3 DEF600

パラサイト女王 ★8 ATK1800

 

既にトマト君のフィールドはボロボロだ。それにコナミのフィールドにはあの【マジェスペクター・ユニコーン】が居る。もう彼は終わりですね…。

 

そしてネオス仮面のターンか。中身は遊城十代だろうから使用デッキは【E・HERO】だろうけど、隣にネオスとユベルが居るのが気になるんだよなぁ。

 

「おっ、オレのターンか!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ネオス仮面 手札:5→6枚。

 

『そろそろ真面目にやりなよ?』

 

『仮にも相手は破滅の光だ!油断してはいけないぞ!』

 

「あぁ、分かっているさ。デュエルを楽しむ子供の時間はいったん終わりだ。ここからは、本気で行く!」

 

ユベルとネオスの言葉を受けて、ネオス仮面から感じる雰囲気が変わった。今まではわざと明るい雰囲気を作っていたようだな。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】の効果発動!デッキの上からカード10枚を裏側表示で除外してデッキから2枚ドロー!」

ネオス仮面 手札:6→5→7枚。

 

当たり前のように壺を引き込むスタイル。敵じゃなければ嫌いじゃないな。

 

「オレは手札から【E-HERO アダスター・ゴールド】の効果発動!このカードを手札から捨てて、オレはデッキからフィールド魔法【覇王城】を手札に加える!」

ネオス仮面 手札:7→6→7枚。

 

【E-HERO アダスター・ゴールド】

効果モンスター

星4/光属性/悪魔族/攻2100/守 800

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。「E-HERO アダスター・ゴールド」以外の「ダーク・フュージョン」のカード名が記されたカードまたは「ダーク・フュージョン」1枚をデッキから手札に加える。

(2):自分フィールドに融合モンスターが存在しない場合、このカードは攻撃できない。

 

イービルヒーロー!?エレメンタルヒーローじゃないのか!?

 

しかも、アニメで使ってないイービルヒーローのカード使ってない!?

 

「オレは手札からフィールド魔法【覇王城】を発動!」

ネオス仮面 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【覇王城】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分は「ダーク・フュージョン」の効果でのみ特殊召喚できる融合モンスターを「ダーク・フュージョン」の効果以外でも融合召喚できる。

(2):1ターンに1度、自分の悪魔族モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、デッキ・EXデッキから「E-HERO」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はターン終了時まで、墓地へ送ったモンスターのレベル×200アップする。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!オレは手札の【E-HERO マリシャス・エッジ】と【E-HERO シニスター・ネクロム】を融合!現れろ!【E-HERO マリシャス・ベイン】!!」

ネオス仮面 手札:6→5→3枚。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3000

 

【E-HERO マリシャス・ベイン】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守3000

「E-HERO」モンスター+レベル5以上のモンスター

このカードは「ダーク・フュージョン」の効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

(2):自分メインフェイズに発動できる。このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊し、このカードの攻撃力は破壊したモンスターの数×200アップする。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「HERO」モンスターでしか攻撃宣言できない。

 

本来ならば【ダーク・フュージョン】の効果でのみ融合召喚出来るモンスターだが、フィールド魔法【覇王城】の効果で【ダーク・フュージョン】以外の効果でも融合召喚が可能になっている。

 

「【E-HERO マリシャス・ベイン】の効果発動!このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊し、このカードの攻撃力は破壊したモンスターの数×200アップする!」

 

「私はまだモンスターをフィールドに出していない」

 

「オレのフィールドの「マジェスペクター」モンスターは効果では破壊されない」

 

「つまり、オレのモンスターだけが破壊効果を受ける!?」

 

ギャァァァァァァァァッ!

 

あっ、【パラサイト女王】に憑りついていた破滅の光ちゃんが【E-HERO マリシャス・ベイン】の効果で断末魔を上げながら消し飛んだ。アッサリ過ぎる。正しき闇の力って怖ぇ~。

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

トマト君に纏わりついていた破滅の光の波動と白いオーラも消滅して、あとは黒いオーラだけだが、こちらも殆ど霧散して消えたな。髪の毛が少し逆立っているだけだ。

 

あれ?もうデュエルを続ける必要なくない?

 

「【E-HERO マリシャス・ベイン】の効果で破壊したモンスターは2体!よって攻撃力が400アップする!」

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3000→3400

 

【E-HERO マリシャス・ベイン】の攻撃力アップ効果は永続効果だ。これからどんどん攻撃力が上がって破壊されるモンスターも増えていく。

 

「オレは手札から魔法カード【イービル・マインド】を発動!オレはデッキから【E・HERO エアーマン】を手札に加える!」

ネオス仮面 手札:3→2→3枚。

 

【イービル・マインド】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに悪魔族モンスターが存在する場合、相手の墓地のモンスターの数によって以下の効果から1つを選択して発動できる。

●1体以上:自分はデッキから1枚ドローする。

●4体以上:デッキから「HERO」モンスター1体または「ダーク・フュージョン」1枚を手札に加える。

●10体以上:デッキから「融合」魔法カードまたは「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。

 

<榊遊矢の墓地のモンスター>

①パラサイト・フュージョナー

②ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

③星刻の魔術師

④虹彩の魔術師

⑤慧眼の魔術師

⑥パラサイト女王

 

「オレは手札から【E・HERO エアーマン】を召喚!そして効果発動!デッキから【E-HERO アダスター・ゴールド】を手札に加える!」

ネオス仮面 手札:3→2→3枚。

 

【E・HERO エアーマン】

効果モンスター

星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。

●デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

「オレは手札から魔法カード【ネオス・フュージョン】を発動!オレはデッキの【E・HERO ネオス】と【ユベル】を融合!現れろ!【E・HERO ネオス・クルーガー】!!」

ネオス仮面 手札:3→2枚。

 

【ネオス・フュージョン】

通常魔法

(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「E・HERO ネオス」を含むモンスター2体のみを素材とするその融合モンスター1体を召喚条件を無視してEXデッキから特殊召喚する。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

(2):「E・HERO ネオス」を融合素材とする自分フィールドの融合モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、または自身の効果でEXデッキに戻る場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

【E・HERO ネオス・クルーガー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/魔法使い族/攻3000/守2500

「E・HERO ネオス」+「ユベル」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。手札・デッキから「ネオス・ワイズマン」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「オレは手札から魔法カード【貪欲な壺】の効果発動!自分の墓地のモンスター5体をデッキに加えてシャッフルし、デッキから2枚ドロー!」

ネオス仮面 手札:2→1→3枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<ネオス仮面が墓地からデッキに戻したモンスター>

①E-HERO アダスター・ゴールド

②E-HERO マリシャス・エッジ

③E-HERO シニスター・ネクロム

④E・HERO ネオス

⑤ユベル

 

1ターン目に2種類の壺を発動させる奴なんて久し振りに見たな…。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

ネオス仮面 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:2-7

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800   ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400 ※戦闘・効果では破壊されない。

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000 ※墓地に【ネオス・フュージョン】あり。

 

VS

 

◆榊遊矢 LP:11500、手札:2枚。伏せカード:0枚。永続魔法:0枚。装備カード:0枚。Pスケール:無し

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

 

これって苛めじゃない?絵面的に大丈夫?

 

まだ俺のターンが残っているのに、彼のフィールド空っぽなんだけど。ライフは1万以上あるけど、アイツらが攻撃可能になったらあの程度はすぐに吹き飛びそう。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から速攻魔法【魂のしもべ】を発動!私はデッキから【永遠の魂】を選んでデッキトップに置く」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

【魂のしもべ】

速攻魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・デッキ・墓地から、「魂のしもべ」以外の「ブラック・マジシャン」のカード名または「ブラック・マジシャン・ガール」のカード名が記されたカード、「ブラック・マジシャン」の内、いずれか1枚を選んでデッキの一番上に置く。

(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。お互いのフィールド・墓地の、「守護神官」モンスター、「ブラック・マジシャン」、「ブラック・マジシャン・ガール」の種類の数だけ自分はデッキからドローする。

 

「私は手札から永続魔法【黒の魔導陣】を発動!自分のデッキの上からカードを3枚確認する。私は【永遠の魂】を手札に加える!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【黒の魔導陣】

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、自分のデッキの上からカードを3枚確認する。その中に、「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カードまたは「ブラック・マジシャン」があった場合、その内の1枚を相手に見せて手札に加える事ができる。残りのカードは好きな順番でデッキの上に戻す。

(2):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が召喚・特殊召喚された場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

<ハノイの騎士がめくったカード>

①永遠の魂

②ティマイオスの眼

③師弟の絆

 

「私は手札から魔法カード【真紅眼融合】を発動!私はデッキの【ブラック・マジシャン】と【真紅眼の黒竜】を墓地に送って融合!融合召喚!現れよ!レベル8!【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】!!」

ハノイ 手札:4→3枚。

 

【真紅眼融合】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・特殊召喚できない。

(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「レッドアイズ」モンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのカード名は「真紅眼の黒竜」として扱う。

 

俺のフィールドに、ゴテゴテとした衣装を身に纏った最上級魔術師が現れる。視線だけで人を〇せそうなくらい目が鋭い。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK3000

 

【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】

融合・効果モンスター(禁止カード)

星8/闇属性/魔法使い族/攻3000/守2500

「ブラック・マジシャン」+「真紅眼の黒竜」またはドラゴン族の効果モンスター

(1):このカードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):自分メインフェイズに発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果は1ターン中に、このカードの融合素材とした通常モンスターの数まで使用できる。

(3):1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。その発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする。

 

リンクモンスター【捕食植物ヴェルテ・アナコンダ】が居ないから、【真紅眼融合】の召喚制限を無視できないのでこれ以上の展開は出来ないんだよな。

 

「うわ、出た」

 

コナミが心底嫌そうな顔をして俺のフィールドのモンスターを見ている。俺も相手のフィールドにこのモンスターが立っていたら同じ顔をするかもしれないな。

 

「【ブラック・マジシャン】と【真紅眼の黒竜】の融合!?格好いい…!」

 

『十代!そんなことを言っている場合じゃないよ!ちゃんとデュエルディスクを見てあのモンスターの効果を確認したのかい!?』

 

『不味いぞ十代!あのモンスターは危険だ!』

 

ネオス仮面はコナミとは対照的に俺のフィールドのモンスターを見て興奮気味だ。後ろに居る二人の精霊は逆の意味で興奮気味だ。ところで、名前呼んじゃっていいのか?

 

「なんなんだあのモンスター!?カードテキストに頭おかしいことしか書いてないぞ!?」

 

トマト君は驚愕の表情を浮かべている。そうだよな。こんなモンスター相手にしたくないよな。俺も相手フィールドにコイツが居たらサレンダーしたくなるな。

 

「私は伏せカードを2枚セットしてターンエンド」

ハノイ 手札:3→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK3000 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:2-7

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800   ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400 ※戦闘・効果では破壊されない。

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000 ※墓地に【ネオス・フュージョン】あり。

 

VS

 

◆榊遊矢 LP:11500、手札:2枚。伏せカード:0枚。永続魔法:0枚。装備カード:0枚。Pスケール:無し

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

 

改めて見ると、酷い状態だな。俺のドラグーンとコナミの伏せカードで妨害札が2枚は確定。ネオス仮面も1枚は妨害札の可能性がある。無理ゲーすぎるな。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

榊遊矢 手札:2→3枚。

 

「オレは手札のスケール1の【EMモンキーボード】をペンデュラムスケールにセッティングして、そのペンデュラム効果を発動!オレはデッキから【EMリザードロー】を手札に加える!」

榊遊矢 手札:3→2枚。

 

「私はその効果にチェーンして【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】の効果発動。手札を1枚捨ててその発動を無効にして破壊し、このカードの攻撃力を1000アップする」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

俺が墓地に送ったカードは【守護神官マナ】。手札・墓地から特殊召喚出来てレベル7以上の魔法使い族モンスターに耐性を与えることが出来るモンスターだ。

 

チェーン②超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ

チェーン①EMモンキーボード ※効果無効&破壊。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK3000→4000

 

「相変わらず頭おかしい効果だなぁ」

 

「ゲッ!とんでもないモンスターだな…!」

 

効果をよく知るコナミと初めて効果を見るネオス仮面はどちらも微妙な顔をしている。

 

「くそっ!だけどこの瞬間!手札の【アストログラフ・マジシャン】の効果を発動できる!このカードが手札に存在し、自分フィールドのカードが破壊された場合、その破壊されたカードを対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚する!」

榊遊矢 手札:2→1枚。

 

<榊遊矢のフィールド>

アストログラフ・マジシャン ★7 ATK2500

 

【アストログラフ・マジシャン】※アニメ効果

効果モンスター

星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2000

(1):このカードが手札に存在し、自分フィールドのカードが破壊された場合、その破壊されたカードを対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードがこのカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカードの(1)の効果で対象としたカードを、そのカードが破壊された時に存在していた元々のゾーンに表側表示で置く。

(3):このカードをリリースして発動できる。自分のデッキ・エクストラデッキ・フィールド・墓地から、「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」を1体ずつ除外し、エクストラデッキから「覇王龍ズァーク」1体を特殊召喚する。

 

やはりアニメオリジナルカードの方か。

 

チラッとコナミがこちらを見てくる。コナミのフィールドには【マジェスペクター・ユニコーン】、伏せカードはカウンター罠【マジェスペクター・テンペスト】。コナミはいつでも彼の展開を止めることが出来る。『止めるか?』と聞きたいのだろう。俺は首を横に振る。

 

榊遊矢を倒すだけならばそれでもいいのだろうが、彼を救うとなると本命を出させてそれを潰して心を折る工程が必要となる。と思う。説得フェイズなんて成功したことが無いからなぁ。

 

「【アストログラフ・マジシャン】の効果発動!【EMモンキーボード】をペンデュラムスケールに再セッティングする!」

 

便利な効果だよな。

 

「【アストログラフ・マジシャン】の効果発動!このカードをリリース!自分のデッキ・エクストラデッキ・フィールド・墓地から「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン」「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン」「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」を1体ずつ除外する!」

 

さぁ、出してみろよ。

 

「時空を司るアストログラフ・マジシャンよ…その深遠なる力で彼らの望みを重ね合わせよ!!今こそひとつに!四天の龍を統べ、第5の次元に君臨する究極龍よ!今こそ一つとなるのだ!統合召喚!出でよ【覇王龍ズァーク】!!」

 

榊遊矢のフィールドに、スタジアムの半分を覆い尽くすかのような巨大な黒竜が現れる。

 

<榊遊矢のフィールド>

覇王龍ズァーク ★10 ATK4000

 

【覇王龍ズァーク】

融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・効果モンスター

星12/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分フィールドの「覇王」モンスター1体をリリースして発動できる。Pゾーンのこのカードを召喚条件を無視して特殊召喚する。

【モンスター効果】

ルール上、このカードは融合・S・Xモンスターとしても扱う。その際、このカードのランクはそのレベルと同じとする。

このカードは「アストログラフ・マジシャン」の(3)の効果でしか特殊召喚できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。その後、この効果でモンスターを破壊されたプレイヤーに、破壊した全てのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを与える。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

(2):融合・S・Xモンスターが自分・相手の墓地に存在する限り、または除外されている限り、このカードは破壊されず、フィールドから離れる効果を受けない。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドのモンスターは相手の融合・S・Xモンスターの効果を受けない。

(4):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動できる。エクストラデッキから「覇王眷竜」モンスターを2体まで守備表示で特殊召喚する。

(5):相手がドローフェイズ以外でカードを手札に加えた場合に発動できる。そのカードを破壊する。

 

アニメ版の【覇王龍ズァーク】は、よく見ると分かると思うがメインデッキのモンスター及び魔法罠に対する耐性が破壊耐性しか存在せず、ガバガバである。

 

それにしても、どうしてズァークと合体しないんだ…。見たかったのになぁ。

 

「ペンデュラムにしてエクシーズ。シンクロにして融合。すべてを司る究極の存在!」

 

いやー。調子に乗ってるなぁ。今の状態でもいつでも消せるんだけどなぁ。トマト君が敵キャラなら容赦なく機皇帝で吸収したり、時戎神でバウンスしてやるんだけどなぁ。

 

「おぉ~でかいな~」

 

「これがアイツのエースモンスターか!」

 

『十代。怖気づいたのかい?』

 

「ユベルめ。また減らず口を…」

 

『十代!強力なモンスターだぞ!』

 

「分かっているさネオス」

 

「【覇王龍ズァーク】の効果発動!特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのモンスターを全て破壊する。その後、この効果でモンスターを破壊されたプレイヤーに、破壊した全てのモンスターの攻撃力の合計分のダメージを与える!!」

 

さて、まずはここかな。

 

「その効果にチェーンして伏せていた速攻魔法【月の書】を発動!【覇王龍ズァーク】を裏側守備表示にする!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。

 

【月の書】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

 

「何っ!?だが【覇王龍ズァーク】の効果発動を止めることはできない!」

 

チェーン②月の書

チェーン①覇王龍ズァーク

 

<榊遊矢のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「私のフィールドの【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】は効果では破壊されない」

 

「オレのフィールドの「マジェスペクター」モンスターは効果では破壊されない」

 

「【E-HERO マリシャス・ベイン】は戦闘・効果では破壊されない。そして墓地から【ネオス・フュージョン】を除外して【E・HERO ネオス・クルーガー】の破壊を無効化する!」

 

「だが残りのモンスターは破壊だ!」

 

【E・HERO エアーマン】だけは破壊されてしまうのでその攻撃力分のダメージは受けてしまうわけだ。

 

「ぐあっ!」

ネオス仮面 LP:4000→2200

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400 ※戦闘・効果では破壊されない。

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

「オレは手札から魔法カード【貪欲な壺】の効果発動!自分の墓地のモンスター5体をデッキに加えてシャッフルし、デッキから2枚ドローする!」

榊遊矢 手札:1→0枚。

 

良し!手札を全て吐き出したな!ならばまずはその厄介な覇王龍には退場してもらおう!このタイミングであれば防ぐ手段はあるまい!

 

「この効果にチェーンして伏せていた永続罠【永遠の魂】を発動!墓地より蘇れ!【ブラック・マジシャン】!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

チェーン②永遠の魂

チェーン①貪欲な壺

 

【永遠の魂】

永続罠

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の手札・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。

●デッキから「黒・魔・導」または「千本ナイフ」1枚を手札に加える。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「ブラック・マジシャン」は相手の効果を受けない。

(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK4000 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

 

榊遊矢 手札:0→2枚。

 

<榊遊矢が墓地からデッキに戻したモンスター>

①パラサイト・フュージョナー

②ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

③星刻の魔術師

④虹彩の魔術師

⑤慧眼の魔術師

 

フィールドに銀の長髪に褐色の肌を持つワインレッドのローブを着た鋭い目つきの魔術師が姿を現す。

 

「これが【ブラック・マジシャン】…父さんの持つ【EMスカイ・マジシャン】とはまた違う力強さを感じる!」

 

「おぉっ!絵違いか!珍しいな!」

 

「【ブラック・マジシャン】だ!でもなんだか遊戯さんの【ブラック・マジシャン】と違うな。だけどこっちも格好いい!」

 

『絵違いだが、あれがキングオブデュエリストが持つ最上級魔術師か』

 

『良き闇の力を感じる。あのモンスターもただ者ではないだろう』

 

師匠はイケメンで強いからねぇ。

 

「そして【ブラック・マジシャン】が特殊召喚されたことにより、永続魔法【黒の魔導陣】の効果が発動する!」

 

「!?」

 

「1ターンに1度、自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が召喚・特殊召喚された場合、相手フィールドのカード1枚を除外できる!対象はもちろん、裏側守備となっている【覇王龍ズァーク】だ!!」

 

「何だって!?覇王龍が、消える!?」

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

覇王龍がフィールドを離れた途端、トマト君の逆立っていた髪の毛が元に戻り、わずかに残っていた黒いオーラも消滅する。後はとりあえずこのデュエルに勝利すればオカルト的には解決かな?

 

「どうした?まだお前のターンだぞ?」

 

「分かっている!オレは手札から儀式魔法【オッドアイズ・アドベント】を発動!」

榊遊矢 手札:2→1枚。

 

【オッドアイズ・アドベント】

儀式魔法

ドラゴン族の儀式モンスターの降臨に必要。

「オッドアイズ・アドベント」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのPモンスターをリリースし、自分の手札・墓地からドラゴン族の儀式モンスター1体を儀式召喚する。相手フィールドにモンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分のエクストラデッキの「オッドアイズ」モンスターもリリースの代わりに墓地へ送る事ができる。

 

「悪いがそれは通せないな!リバースカードオープン!カウンター罠【マジック・ドレイン】発動!手札から魔法カード1枚を捨てなければ相手の魔法カードの発動を無効にし破壊するぜ?」

ネオス仮面 伏せカード:2→1枚。

 

【マジック・ドレイン】

カウンター罠

相手が魔法カードを発動した時に発動する事ができる。

相手は手札から魔法カード1枚を捨ててこのカードの効果を無効にする事ができる。

捨てなかった場合、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

「なっ!?」

 

上手いな。手札2枚で片方が儀式魔法ならもう片方は儀式モンスターだろう。手札に【マジック・ドレイン】を無効化できる魔法カードがあるはずがない。流石は十代。所々でガチカードを積んでくるな。

 

「手札の魔法カードは…捨てない!」

 

チェーン②マジック・ドレイン

チェーン①オッドアイズ・アドベント ※無効化&破壊。

 

「くそっ!ターンエンドだ!」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK3000 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500 ※永続罠【永遠の魂】の効果で、相手の効果を受けない。

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:2-7

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・クロウ ★4 DEF1800   ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:2200、手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400 ※戦闘・効果では破壊されない。

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

VS

 

◆榊遊矢 LP:11500、手札:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:0枚。装備カード:0枚。Pスケール:1のみ

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

「オレはフィールド魔法【マジェスティックP】の効果を発動!オレはフィールドの【マジェスペクター・クロウ】をリリースして、デッキから【マジェスペクター・フロッグ】を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フロッグ ★4 ATK1300 → 1600 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

【マジェスペクター・フロッグ】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/魔法使い族/攻1300/守 500

【Pスケール:青5/赤5】

【モンスター効果】

「マジェスペクター・フロッグ」の(1)のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マジェスペクター」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはこのターン発動できない。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

「【マジェスペクター・フロッグ】の効果発動!オレはデッキから速攻魔法【マジェスペクター・ソニック】をフィールドにセットする!」

コナミ 伏せカード:1→2枚。

 

【マジェスペクター・ソニック】は自分フィールドの「マジェスペクター」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力・守備力が倍になり、相手に与える戦闘ダメージは半分になる戦闘補助のカードだ。

 

「ペンデュラム召喚!EXデッキからレベル3【マジェスペクター・ラクーン】、【マジェスペクター・キャット】を特殊召喚!」

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フロッグ ★4 ATK1600 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・ラクーン ★3 DEF900 → 1200 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・キャット ★3 DEF1800 → 2100 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

「【マジェスペクター・ラクーン】の効果発動!オレはデッキから【マジェスペクター・ユニコーン】を手札に加える!」

コナミ 手札:1→2枚。

 

「【マジェスペクター・キャット】の効果発動!エンドフェイズにデッキから「マジェスペクター」カード1枚を手札に加えるよ」

 

 

「バトルだ!【マジェスペクター・フロッグ】でダイレクトアタック!」

 

マジェスペクター・フロッグ ATK1600

 

「くっ!」

榊遊矢 LP:11500 → 9900

 

「追撃!【マジェスペクター・フォックス】でダイレクトアタック!」

 

マジェスペクター・フロッグ ATK1800

 

「うぐっ!」

榊遊矢 LP:9900 → 8100

 

「もう一発!【マジェスペクター・ユニコーン】でダイレクトアタック!」

 

マジェスペクター・ユニコーン ATK2300

 

「あぐっ!」

榊遊矢 LP:8100 → 5800

 

「オレはこれでターンエンド」

 

「エンドフェイズ時に【マジェスペクター・キャット】の効果により、オレはデッキから罠カード【マジェスペクター・トルネード】を手札に加える」

コナミ 手札:2→3枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<ハノイの騎士のフィールド>

超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ ★8 ATK3000 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500 ※永続罠【永遠の魂】の効果で、相手の効果を受けない。

 

VS

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:2-7

 

<コナミのフィールド>

マジェスペクター・ユニコーン ★6 ATK2300 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フォックス ★4 ATK1800 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・フロッグ ★4 ATK1600 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・ラクーン ★3 DEF1200 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

マジェスペクター・キャット ★3 DEF2100 ※相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

VS

 

◆ネオス仮面(遊城十代) LP:2200、手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ネオス仮面のフィールド>

E-HERO マリシャス・ベイン ★10 ATK3400 ※戦闘・効果では破壊されない。

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

VS

 

◆榊遊矢 LP:5800、手札:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:0枚。装備カード:0枚。Pスケール:1のみ

 

<榊遊矢のフィールド>

モンスター無し

 

「オレのターンだな。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ネオス仮面 手札:1→2枚。

 

「バトル!【E-HERO マリシャス・ベイン】でダイレクトアタック!」

 

E-HERO マリシャス・ベイン ATK3400

 

「ぐあぁぁぁっ!」

榊遊矢 LP:5800 → 2400

 

「これで終わりだ!【E・HERO ネオス・クルーガー】でダイレクトアタック!」

 

E・HERO ネオス・クルーガー ATK3000

 

「うわぁぁぁっ!」

榊遊矢 LP:2400 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わると、榊遊矢は腰が抜けたようにその場にへたり込む。だがその表情はデュエル開始前とは全く違って少し晴れやかだ。【パラサイト女王】や【覇王龍ズァーク】がフィールドから離れる度に顔の険が取れて言った気がする。

 

それにしても酷い光景だった。【覇王龍ズァーク】はラスボス級とはいえ、アニメ主人公(十代)とゲーム主人公(コナミ)とおまけの俺と言うサンドバック状態だったな。多分、誰か一人でも勝てたぞ。

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!たまにはこういうバトルロイヤルルールも面白いな!じゃ、またな!ジュワッ!!」

 

『今日も破滅の光を撃破することが出来たな!』

 

『十代の昼食がしばらく犠牲になったけどね』

 

そう言うと、ネオス仮面と2人の精霊は空へと消えていった。まるで嵐のような奴らだな…。

 

「クロト。オレもデュエルが終わったから帰るぞ」

 

「分かった。もしかしたらランサーズがまだ苦戦しているかもしれない。暇ならそっちも手伝ってやってくれ」

 

「まだデュエルが出来るのか!?OK!今すぐ行く!」

 

コナミは次のデュエルに向けて走り去った。そしてこのスタジアムの中央に残るのは俺とトマト君だけになった。しまった。去り際を間違えたか。トマト君もこちらの様子を窺っているようだし、仕方ない。説得フェイズは苦手なんだが、少し話してみるか。

 

「トマト君」

 

「トマト君!?オレのことか!?」

 

そう呼ばれたトマト君は反射的に起き上がる。

 

あっ、しまった。心の中で呼んでいたあだ名をそのまま言ってしまった。まぁいいや。そのまま行こう。

 

「知らないだろうから教えておく。まず、君の父親である榊遊勝のことだが、先ほどメディアを通じて発表があった」

 

「発表?」

 

「昨日意識を取り戻した榊遊勝とLDSの現社長である赤馬零次が並び立って記者会見を行い、数年前の事件において彼は洗脳されていただけの被害者であり、彼自身の意思ではなかったとして無罪であることがLDSより正式に公表された。これで君が犯罪者の息子などと呼ばれることは無いだろう」

 

「父さんが!?そうか、やっぱり父さんは無実だったんだ!良かった!」

 

自分のことは二の次か。分かっていたことではあるが、本来は優しい少年のようだ。

 

「そして君は、Dr.ドクトルの策略により破滅の光と言うオカルトチックな力が宿っていた【パラサイト・フュージョナー】を手にしてしまい、それが生み出した【パラサイト女王】によって洗脳されていたのだ。数年前の榊遊勝と同じようにな」

 

「【パラサイト・フュージョナー】か。確かにあのカードを手にした時から自分が自分でなくなるような感じがしたな」

 

「破滅の光にはカードに宿った際にその効果を書き換えてしまうこともあるし、所有者やその周囲の人間の精神を蝕む力もある。そのカードは危険なので回収しておきたい。渡してもらえるか?」

 

「父さんからのプレゼントではないみたいだし、別にいいよ。はい、どうぞ」

 

トマト君はデッキから【パラサイト・フュージョナー】と【パラサイト女王】を投げ渡してくる。カード投げるの上手いな。マジシャンの息子だから練習とかしたのかな?受け取ったカードからは破滅の光の力はみじんも感じられない。彼のデッキにまだ眠っているであろう覇王カードからも特に何も感じない。そもそも十代たちが見逃すわけがないか。

 

と言うか、さっきから妙に素直だな。もう少し突っかかって来るかと思っていた。

 

「あと、一つ謝罪をしておこう」

 

「謝罪?」

 

トマト君は不思議そうにしている。確かに謝罪するようなことではないかも知れないし、むしろ思い上がりのような気もするが、ここまで来たらとりあえず行くべきか。

 

俺はハノイの衣装を解除して普段着に戻る。

 

「えっ?」

 

トマト君は驚いているが、これから言う言葉はハノイの騎士としてではなく俺個人の意思として話さなければ意味がないことだからな。そう言えば、トマト君に顔を見せるのはこれが初めてかな。

 

「数年前、君の父親を逮捕した際に少しでも事情を説明しておけばここまで大事にはならなかったかもしれない。その点についてはこちらにも落ち度があると思う。すまなかった」

 

トマト君に対して頭を下げる。

 

「俺があの時もう少しうまくやっていたら…なんて思うことは人間誰しも有るだろうが、傲慢な考えだだろう。俺一人の力なんて大したものではないからな。だが、やはりあの時に君にだけは事情を説明しておけば君への負担は減ったはずだ。申し訳ない」

 

「…いや、オレの方こそゴメン。操られていたとはいえ父さんがやってしまったことはとんでもないことだ。その行為の被害に遭った人たちも居たはずだ。それらを考えることも無くただ闇雲に父さんの無実を叫び続けたのはオレの落ち度だ」

 

そう言うとトマト君もこちらに頭を下げてくる。その話については俺に謝られても仕方ないんだけどな。

 

とりあえず、このまま両者ともに頭を下げ続けるのは不毛なのでお互い頭を元の位置に戻す。

 

「あっ、あとついでだから言っておこう。恐らく君にとっては余計なお世話で、君にとっては不快なことだと思うので怒ってくれてもいい」

 

「なんだ?」

 

「俺は君のエンタメデュエルが嫌いだ」

 

「なっ!?」

 

トマト君は先ほどまでの穏やかな顔から一変して険しい表情になっていく。でも、腹のうちに溜め込んでおくよりちゃんと伝えておこうと思ったんだ。

 

「君は勝利が確定してから『レディースエーンドジェントルメーン』などと人を小馬鹿にしたような演出を挟んでデュエルを遅延させて対戦者を煽るだろう?俺はそれが嫌いだ」

 

「ち、違う!オレは対戦相手をバカになんて…」

 

「もしかすると観客はそれで盛り上がるのかもしれない。だが君がどう思おうとも、対戦相手はそんな行為をされて楽しいと思うのか?君の言う笑顔になれるのか?はっきり言おう。俺がやられるとムカつくだけだ」

 

「オレはただ、父さんのデュエルを…」

 

「恐らくだが、君が言う『父さんのデュエル』とは、『君が観客の視点から見た榊遊勝のデュエル』だ。そもそもそのまんま誰かの猿真似なんて意味があるのか?第一、笑顔って何?それは空腹よりも優先されることなのか?」

 

「…」

 

とりあえず、前世でネットでよく言われていた評価は伝え終わった。後は俺個人の意見だけ伝えておこう。

 

「本当に君が榊遊勝のデュエルを受け継ぐのであれば、君自身のオリジナリティを組み込まない限り、いずれ限界が来るだろう。だって君は榊遊勝ではなく榊遊矢なんだからな」

 

「…」

 

トマト君は黙り込んでしまった。先ほどまでの怒りの表情は消えて、何やら考えているようだ。

 

「そして、今話したのはあくまで俺の主観だ。もしかしたら今の君のデュエルが観客にとってはより良いのかもしれない。俺が言うまでもないがどう受け止めるかは君の好きにすればいい。俺にエンタメデュエルの頂点なんてわからないからな」

 

言いたいことは大体言った。エンタメデュエルの正解なんて俺は知らん。榊遊勝のエンタメデュエルがどれほどのものか、今のトマト君のエンタメデュエルが世間からどれほどの評価なのかも知らん。

 

これ以上俺から言えることはない。これで彼が何も変わらなければ、俺と彼は合わなかったというだけの話だ。これで柊柚子との約束が果たせたかどうかは分からないが、あとは騒動が落ち着いたスタジアムの入り口からこちらへ向かって来ている彼女たちが何とかしてくれるだろう。

 

言いたいことを言いきった俺は踵を返してスタジアムを出ようとする。もうこれ以上彼と会うことは無いかも知れないな。

 

「待ってくれ。まだ君の名前を聞いていない。オレの名前は榊遊矢。君の名前は?」

 

そう言えば名乗ってなかったな。俺は振り返り、自分の名前を彼に伝える。

 

「俺の名前は白河クロト。ただのデュエリストだよ」

 

そう伝えると、俺は再びハノイの衣装を身に纏い、二度と彼を振り返らないまま、彼を残してスタジアムを去った。

 

~~~

 

<遊矢視点>

 

ネオス仮面、コナミ、ハノイの騎士こと白河クロトが立ち去り、スタジアムにはオレだけが残っていた。

 

「誰もが凄いデュエリスト達だったな」

 

オレは誰も居なくなったスタジアムに寝転がる。とにかく疲れた。

 

それにしても、なんであんなデュエリスト達に三対一で勝てるとか思いこんでいたんだろう。オレはふと手元に残っている【覇王龍ズァーク】と【アストログラフ・マジシャン】のカードを見る。

 

「あれ?カードテキストが変わっている」

 

そう言えば白河がさっき言っていた気がする。破滅の光を浴びたカードは一時的に性能が変化することがあると。先ほどのデュエルでは出す機会が無かった覇王眷竜と呼ばれるカード達も少し見た目と効果が変わっている。

 

「遊矢~!」

 

「お~い、遊矢~!」

 

「遊矢~!」

 

スタジアムの入り口付近からオレの名前を呼ぶ声がする。そちらを向かずとも、柊柚子、権現坂昇、紫雲院素良の三人であることが分かる。

 

「父さんのデュエルじゃなく、オレ自身のデュエルか」

 

オレのデュエルを楽しめていない人が一定数居るのはオレも気付いていた。そもそもエンタメデュエルは万人受けすることが少ない。勝負の勝敗を優先する人たちにはあまり受けが良くないのだ。父さんのデュエルはそう言った人たちも魅了していることが多いんだけど。

 

「どうすればいいかなんて、全く分かんないや」

 

これからどうなるかなんて全然想像できないけど、ゆっくり考えていけばいいか。オレは1人じゃない。柚子たちや父さんたちも居るからね。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

スタジアムから離れた近くの森で、俺は姉弟子に土下座して平謝りしていた。

 

『せっかくのデビュー戦なのに、私の出番が無かった』

 

「申し訳ございませんでしたー!」

 

バトルロイヤルルールになんてならなければもう少しデュエルが長引いて十分に出番はあったはずだが、先ほどのデュエル展開上どうしようもなかった。

 

『クロトもこう言っていることだし、そろそろ許してあげても…』

 

『師匠は出番あった』

 

『むぅ…』

 

師匠にも説得を頼んだが、どうやら望み薄のようだ。

 

褐色銀髪の美少女に対して、足元で土下座している黒髪中学生とその横で困り顔の褐色銀髪のイケメン。周囲から見れば、俺が一人で森に土下座しているように見えるんだろうなぁ。

 

『普段から『俺は誰も助けない。俺自身の命を優先するからな!(キリッ)』とか言っているくせに、あのピンクの女の子のお願いは聞いてあげたよね?私の出番は作ってくれなかったのに』

 

「いや、あれは、まさかいきなり泣きつかれて『遊矢を助けて!』なんて言われたから…」

 

『うむ。あの時はまだ赤馬君たちと合流してクロトも状況をよく呑み込めていなかったのもあるだろうし…』

 

『師匠は出番あった』

 

『むぅ…』

 

かなり珍しいことだが、姉弟子はかなり怒っているようだ。珍しいというより初めて見たかもしれない。

 

『弟弟子は、あの子に抱き着かれてデレデレしてた』

 

「し、していませんよ?」

 

『クロトよ。そこで目を逸らしたら肯定しているような物だぞ…』

 

なんだか非常に怒っている。とりあえず、何か食べ物で釣るしかない!

 

『仕方ない。パスタ大盛りで手を打つ。ミートソース多めで』

 

「ははー!仰せの通りにー!!」

 

この後、ずっと機嫌を損ねていた姉弟子に対し、30分ほど謝り続けた。

 

~~~

 

<赤馬零次視点>

 

私は榊さんと一緒の記者会見を終え、スタジアムの騒動も片付いた後、その辺りの情報操作をしながらLDSの社長室のスクリーンで先ほどのデュエル結果を見ていた。

 

私の隣にはお供の中島が立っている。

 

「ふむ。なるほど」

 

どうやらハノイの騎士とコナミは上手くやったようで、榊遊矢の表情も穏やかになっている。彼には我々も迷惑をかけた。今後も彼のフォローは続けていこう。

 

「それはともかく」

 

なんだ!?この【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】というモンスターは!?ぶっ壊れじゃないか!

 

あの【EMモンキーボード】というサル!ペンデュラムゾーンに置くだけで万能サーチとかズル過ぎない!?【DD】にも欲しいぞ!

 

よく見たらこの【マジェスペクター・ユニコーン】というモンスターの効果テキストも狂っているとしか思えないほど強いことしか書いていないぞ!?

 

表の表情は平常心を保って隣に立っている中島に心の中の動揺を隠しつつ、私は非常に驚愕していた。

 

「中島。この映像を至急I2社に送り、この3枚のカードの禁止制限申請をしておくように」

 

「はっ!かしこまりました!」

 

そう返事をすると中島は早足で部屋から出ていく。これで来年にはあのカード達を見ることはなくなるだろう。私の心に平穏がもたらされるな。

 

~~~

 

<遊城十代視点>

 

夜遅く、オレは自分の部屋のベットの上で目を覚ました。数年前から時々自分の意識が飛んで気付いたら数時間経っていることが増えた。

 

ユベルが言うには、オレの中には数年前にユベルと出会った際に現れたもう一人のオレの人格が居て、オレの意識が無い時はそのもう一人のオレがオレの体を使ってHERO活動をしているらしい。

 

「それはいいんだけどさ。何で毎回財布の中身が減っているんだよー!」

 

『それはボクに言われてもね』

 

『破滅の光と討伐するためのささやかな犠牲だ。致し方あるまい』

 

「ささやかじゃねー!明日はオレの楽しみにしていたエビフライ定食が食べられると思っていたのにー!!」

 

もう一人のオレに対して言いたいのは一つだけだ。勝手に財布の中身を使うのを止めてくれ!!

 

~~~

 

<???視点>

 

とある国のとある施設にて、円柱状の半透明なカプセルに浮かぶその異形は、遠くの国で起こった破滅の光に関する事件の情報を掴んでいた。

 

『ふふふっ。ようやく見つけたよ十代。どうやら『ダンディライオン』の持ち主も一緒に居たようだね。そして、忌まわしいボクの半身やネオスペーシアンの一味まで一緒とはね』

 

施設内に何処からともなく不気味な声が響くが、この施設には誰も居ない。この施設を利用している者は今、デュエルアカデミアのウエスト校で慣れない教鞭をとっているからだ。

 

『十代。あぁ、ボクだけの十代。早く君に会って、痛みを分かち合いたいよ…』

 

不気味な声は響き続けるが、その声に答える者は誰も居なかった…。




ようやくトマト君編、完結です。

オリ主&原作主人公&ゲーム主人公vsトマト君。トマト君は泣いていい。綺麗に終われたかどうかは微妙ですが、トマト君をとりまく環境やトマト君自身の心はある程度は改善されたと思います。

コナミのデッキは【マジェスペクター】です。ユニコーンを搭載した状態なので、時間が経てば経つほど敵側とのリソース差が開きます。ユニコーンで毎ターンパうんスしてくるのは本当に凶悪なムーブだと思いますね。

ネオス仮面のデッキは【E-HERO】です。最新のイービルヒーロー達に加えてネオスやユベルが入っているヘビーデッキですが、持ち前のドロー力があるので普通に回せます。

トマト君のデッキは【覇王魔術師】です。EMも少し入っています。本文には出てきませんでしたが、覇王門や覇王眷竜も全て搭載済みです。もっとも、覇王龍以外は出す前に主人公勢に封殺されてしまいました。三対一なんてやるから…。

オリ主のデッキは【ブラック・マジシャン】です。ドラグーンは今回限りです。相性のいいカードは軒並みサイドデッキに入っているので、ウィッチクラフトやフォーチュンレディが出てきたりもします。

※【パラサイド女王】の正規融合素材、属性、種族、守備力に関してはアニメで確認できなかったため、仮の物となっています。

次回の更新は2/27(土) AM6:00予定です。デュエルはない日常編です。

metamoln様、シュテ様、コダマ様、戦車様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘を頂きましてありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十七話 幕間:学園祭

日常回です。デュエルは有りません。

ほのぼのを目指した結果、ギャグ回のような何かになってしまいました。


<クロト視点>

 

舞網市の覇王龍騒ぎから1か月が経った中学三年生の10下旬休日の早朝、俺は母校であるかがやき中学校のグラウンドで屋台の準備を行っていた。今日は学園祭なのだ。

 

『バニー!』

 

「こーらバニーラ。その人参は売り物だから食べちゃダメだぞー」

 

『バニィ…』

 

焼きそば用の人参をつまみ食いしようとしていたバニーラをそっと窘めるとシュンとしてしまった。

 

「しょうがないなぁ」

 

『バニー!』

 

あまりに可哀そうな表情をするので1番美味しそうな人参を選んで1本あげた。バニーラはとても喜んでいる。うんうん。良い感じだ。いつ見ても可愛い。

 

売り物用の人参が少し減ってしまったが、客にはこのイマイチそうな人参を細かく刻んで出そう。じっくりと火を通せばなかなか味にうるさいセレナ以外は多分気付かないだろう。

 

「白河先輩、また何もない場所に話しかけてる…」

 

「しっ!見ちゃいけません!」

 

別の屋台の準備をしていた料理部の後輩たちが何やら言っていたようだが、距離があったのでよく聞き取れなかったという振りをした。もう今更だからね…。

 

~~~

 

<ツァン視点>

 

10下旬休日の朝、ボクは隣町にある『かがやき中学校』で開かれる学園祭にやってきていた。ここの学生である白河クロトに体育館で行われるコンサートのチケットを貰ったからだ。それ以上に他意は無い。

 

ちなみに誰も連れがおらず1人で来ているのは訳がある。渡されたチケットは3枚あったのだが、そもそも誘う友達が居ないゲフンゲフン、孤高の存在足るボクが誰かを誘うなんてしたら依怙贔屓になってしまうからね。それ以上の他意はない。

 

「よぉ、ツァン。来たか。アレ?1人か?」

 

「1人だけど?何か悪い!?」

 

わざわざ白河がやっている屋台を見つけて見に来てあげたのに、なんて失礼な奴なのかしら!あの言い方だとまるでボクがボッチみたいじゃない!

 

「い、いや、悪くはないが…まぁいいや。焼きソバかタコ焼き食う?綿アメやリンゴ飴、水あめに羊羹、ビスケットにクッキーもあるぞ」

 

「じゃあビスケットを1袋貰うわ。と言うか白河、アンタ1人で3つも屋台やっているの?」

 

「4つだぞ。後ろのカレー屋も俺がやってる。お勧めは冷やしカレードリンクだ。何処かのツインテ銀髪美少女のお墨付きだぞ」

 

よく見ると、白河は屋台4つに囲まれている状態だった。コイツ、馬鹿なのかな?

 

 

   屋台

 

屋台 クロト 屋台 ツァン

 

   屋台

 

 

「アンタ、馬鹿でしょ?」

 

「ツァン、そういうことは思っていても口に出さないものだぞ」

 

白河本人も多少の自覚はあるようだ。

 

『バニー!』

 

そんな時、何も居ないはずの足元からウサギのような鳴き声が聞こえた。

 

「うひゃぁ!えっ、何っ!?」

 

「どうした?」

 

「今、ウサギみたいな鳴き声がしなかった?」

 

「うん?視えていないのに声は聞こえたのか?」

 

「えっ?」

 

「いや、何でもない」

 

そう言うと白河は首を振って誤魔化す。でも、確かにウサギのような鳴き声がしたと思ったんだけど、ボクの気のせいなのかなぁ。

 

「あの娘たちのライブまではまだ時間があるし、ゆっくり校内を見て回るといい。お勧めは屋上だな」

 

「そうするわ。じゃ、校内を一通り回ったらまた寄ってあげるわ」

 

「おぉ。あぁそうだ。質の悪いナンパには気を付けろよ。ツァンは黙っていると美少女に見えるからな」

 

「なっ!余計なお世話よ!」

 

突然、恥ずかしげもなく恥ずかしいセリフを吐く白河。コイツ、自分の容姿がちゃんと整えれば結構悪くない感じなのを気付いていないせいか、こう言う迂闊な発言が多くて心臓に悪いわ!

 

~~~

 

<三沢視点>

 

10下旬休日の朝、オレは以前知り合った『かがやき中学校』の友人が居る学園の学園祭にやってきていた。ここの学生である白河クロトに体育館で行われるコンサートのチケットを貰ったからだ。

 

友人たちにも声を掛けて校門までは一緒だったのだが、なんでも美少女がたくさんいる!ナンパして来る!などど言って何処かへ行ってしまった。嘆かわしいことだ。

 

「よぉ、三沢。来たか。アレ?1人か?」

 

「よぉ、白河。校門までは2人ほど連れが居たんだが、はぐれてしまってな」

 

「ソイツは災難だったな。焼きソバかタコ焼き食う?」

 

「じゃあタコ焼きを貰おうかな。モグモグ…おぉ、美味いなコレ!」

 

「だろう?自信作だからな。とある黒髪ロングの美少女小学生たちにも好評だったぞ」

 

よく見ると、白河は屋台4つに囲まれている状態だった。彼はアホなのかな?

 

「そう言えば、試験勉強は順調なようだね。ずっとツァン・ディレと言う子と4位争いをしているじゃないか」

 

「まぁな。でもずっと1位のお前が言うと本来嫌味に聞こえそうなものだが、意外とそうでもないな」

 

こう見えて白河は以前オレを完膚なきまでに破った凄腕のデュエリストだ。あれから何度か会ってその度にデュエルしているが、毎回違うデッキを使用するので対策が取れず、一度も勝てたことが無い。

 

そして何故か毎回アイドルカードを主軸としたデッキを使ってくる。何か意味があるのだろうか?

 

「あの娘たちのライブまではまだ時間があるし、ゆっくり校内を見て回るといい」

 

「そうさせてもらおう」

 

「あぁ、そうだ。時間があるなら屋上にあるデュエルスペースに居る赤帽子にデュエルを挑んでみるといい。アイツは俺よりも強いからきっと勉強になると思うぞ」

 

「お前よりも強いデュエリストか。それを聞いて挑まないなんてデュエリストじゃないな!早速行ってみるぞ!」

 

「おぉ~。自然災害みたいなやつだから、負けても気にするなよ~」

 

白河が失礼なことを言っているが、オレは勝って見せるさ!そしてオレは意気揚々と屋上に向かい、数十分後には何度もボロボロに負けた後で屋上に四つん這いになっていた。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

10下旬休日の昼前、私は昔なじみの『かがやき中学校』の友人が居る学園の学園祭にやってきていた。ここの学生である白河クロトに体育館で行われるコンサートのチケットを貰ったからだ。

 

兄さんのことで色々と参っていたのだけれど、気分転換にはいいかも知れないと思い、3枚あったチケットをアカデミアでの友人たちである枕田ジュンコと浜口ももえにも渡して一緒に来た。

 

校門辺りでしつこいナンパをしてくる連中が居たが、とりあえずデュエルで黙らせた。

 

「よぉ、明日香。来たか。その2人は友達か?」

 

「こんにちわ、クロト。えぇ、そうよ。私の友人の枕田ジュンコと浜口ももえよ」

 

「枕田ジュンコよ。それよりもアンタ、男子のくせに明日香さんに馴れ馴れしくない?」

 

「すまんな」

 

「浜口ももえですぅ。あら、あなた。う~ん、磨けば光ると言ったところでしょうかぁ」

 

「はははっ、そいつはどうも」

 

ジュンコやももえに対するクロトの受け答えは結構適当だ。彼は自分の興味の引く相手以外にはへらへらしながら適当に相手をすることが多い。彼女たちはまだ彼にとって興味の引く人間ではないのだろう。

 

「とりあえず、それぞれにクッキーを1袋ずつあげよう。1袋目はタダだ。気に入ったら次は金を出して買っていってくれ」

 

「あらっ、ありがとう。モグモグ…美味しい!」

 

「モグモグ…やだ、私が作るのより遥かに美味しい!」

 

「モグモグ…あらぁ、美味しいですわぁ!これはポイント高いですわね!」

 

本当に美味しい。私も料理は嗜むけれど、悔しいけれどここまでの味は出せないわね。

 

「気に入って貰えたなら何よりだ。うちのシスターも絶賛してくれた自信作だ。良ければ買っていってくれ」

 

「シスター?あんたってお姉さんか妹さんが居るの?」

 

「いや、うちの孤児院のシスターの話だ」

 

「ちょっとジュンコ!」

 

「あっ、ごめんなさい」

 

「うん?何がだ?」

 

人によっては孤児であることを気にする人が居るが、クロトは特に気を悪くした様子は無さそうで安心した。

 

「白河さんと言ったかしら?もしかしてその周囲にある屋台全部をあなたが一人でやっているのですか?」

 

「そうだぞ」

 

よく見ると、白河は屋台4つに囲まれている状態だった。彼は変人で性格が悪いけれど、馬鹿ではなかったと思っていたんだけれど…。

 

「あの娘たちのライブまではまだ時間があるし、ゆっくり校内を見て回るといい」

 

「えぇ、そうさせてもらうわ」

 

「あぁ、そうだ。時間があるなら屋上にあるデュエルスペースに居る赤帽子にデュエルを挑んでみるといい。アイツは俺よりも強いからきっと勉強になると思うぞ」

 

「アナタよりよりも強いデュエリスト?興味あるわね早速行ってみるわ!」

 

「あぁ。もしかしたら運命に出会うかもな」

 

運命?何の話かしら?

 

「あ、明日香さーん待ってくださーい」

 

「では白河さん。私たちはこれで失礼しますわ」

 

「あぁ、じゃあな」

 

彼をして自分より強いとはっきり言わせるほどの実力者!腕が鳴るわね!そして私は意気揚々と屋上に向かい、数十分後には何度もボロボロに負けた後で屋上のベンチで頭を抱えることになった。

 

~~~

 

<瑠璃視点>

 

10下旬休日の昼前、私は『かがやき中学校』の友人が居る学園の学園祭にやってきていた。ここの学生である風祭リンと葉月セレナが体育館で行うと言うコンサートのチケットを貰ったからだ。

 

チケットは3枚あったので暇そうにしていた兄さんとユートを誘って学園にやって来たのだ。校門辺りでしつこいナンパをしてくる連中が居たけれど、兄さんとユートがデュエルで黙らせていたわ。

 

「よぉ、瑠璃。来たか。その2人は彼氏か?」

 

「こんにちわ、クロト。何で彼氏が2人いるのよ。私の兄の隼と、友人の黒鉄ユートよ」

 

「瑠璃の兄の黒咲隼だ。お前が、瑠璃が時々話す白河クロトか。とんでもない女たらしらしいな?」

 

「えぇ…人違いだと思うなぁ。多分、赤い帽子被ってる奴だろそれ」

 

「そんなはずはない!数か月前から瑠璃は貴様の名前ばかりを…ぐはぁっ!!」

 

いつも通り余計なことを言いつつ暴走する兄さんは拳で黙らせておいた。

 

「黒鉄ユートだ。ところで、気のせいかも知れないが以前何処かで会ったことが無いか?」

 

「…同性愛については否定しないけれど、悪いが俺はノンケなんだ。そう言うのは赤い帽子を被っている奴に言ってくれ!」

 

「なっ!?ち、違う誤解だ!!」

 

相変わらず妙な誤解を受けて苦労が絶えない幼馴染を見て和みつつ、屋台で売っている綿アメを購入しようとした。

 

「知り合いサービスだ。とりあえず、それぞれに1個ずつあげよう。1個目はタダだ。気に入ったら次は金を出して買っていってくれ」

 

「あらっ、ありがとう。モグモグ…!この綿アメ、甘くて美味しい!」

 

でもどうやって作っているのかしら…。あっ、屋台の後ろの方でプチリュウが風を起こして一生懸命に綿あめを作ってる。可愛いわね。

 

「むしゃむしゃ…おぉ、この羊羹もイケルな!」

 

「モグモグ…焼きソバも悪くはないけど、なんだか人参が少し硬めだな」

 

「気に入って貰えたなら何よりだ。特に綿アメはリンやセレナにも好評だったから自信作だ。良ければ買っていってくれ」

 

「白河、もしかしてその周囲にある屋台全部をあなたが一人でやっているのか?」

 

「そうだぞ」

 

よく見ると、クロトは屋台4つに囲まれている状態だった。彼は鈍感で変人で性格が悪いけれど、ここまで変な人だとは予想外だったわね。

 

「あの娘たちのライブまではまだ時間があるし、ゆっくり校内を見て回るといい。瑠璃なら控室にも通してもらえるだろうし、控室の場所を教えておこう」

 

「えぇ、そうさせてもらうわ」

 

「あぁ、そうだ。時間があるなら屋上にあるデュエルスペースに居る赤帽子にデュエルを挑んでみるといい。アイツは俺よりも強いからきっと勉強になると思うぞ」

 

「アナタよりよりも強いデュエリスト?って言うか赤帽子ってコナミのことでしょう?まぁいいか。後で行ってみることにするわ」

 

「強いデュエリストか。興味があるな。ソイツが鉄の意志と鋼の強さを兼ね備えたデュエリストか、この目で確かめてやろう!行くぞユート!」

 

「おい!待て、隼!」

 

兄さんとユートは先に行ってしまった。この広い校舎で道に迷わなければいいけれど…。

 

「はい。これがこの校舎の見取り図な。人混みの少なそうな屋上へのルートやリンたちの控室も書いておいた」

 

「ありがとう、クロト。帰る前にまた寄らせてもらうわ。じゃあ、またね」

 

「あぁ、またな」

 

リンたちの控室に言って少し談笑した後に屋上に向かうと、屋上のフェンスに頭を押し付けてどんよりした感じになっている2人を発見した。よく見ると屋上の奥のデュエルスペースでコナミが大活躍していた。

 

他にも屋上の隅でイジけている同年代の少年、ベンチで頭を抱えて友人2人に励まされている同年代の少女が居た。何この地獄絵図…。

 

~~~

 

<丸藤翔視点>

 

10下旬休日の昼前、ボクはあの悪名高き『かがやき中学校』の学園祭にやってきていた。友人たちも誘ったけど、あの2人の狂人が居る中学校と言うことで断られてしまったが、ボクはつい怖いもの見たさでやって来てしまった。

 

校門に辿り着くと、校門にもたれかかってブツブツ呟く少年、校門前で体育座りをしてブツブツ呟く少年、校舎の片隅で半分壁に埋まって顔にバニーラの仮面を付けられているチンピラ風の男性数名など、恐ろしい光景が広がっていた。何故誰もこの光景に違和感を覚えないのだろう。

 

「いらっしゃい。何にしますか?」

 

「えっと、じゃあタコ焼き1箱8個入をお願いするッス。これ、料金の200円っす」

 

「OK…へいお待ち」

 

「早っ!?」

 

目にも留まらぬ早業でタコ焼きを仕上げたこの目の前の黒髪の少年はどうやら同年代のようで、身長は170cmほど。ボクのお兄さんより少し低いくらいかな?

 

「モグモグ…熱っ!?でも美味しい!!」

 

「そりゃ良かった。…ん?もしかして、君って丸藤亮の弟の翔か?」

 

「そうっスけど、お兄さんを知ってるんスか?」

 

「あぁ、数年くらい前にデュエル大会であったことがある」

 

あぁ、確かにお兄さんは何年か前にこの町のデュエル大会に参加したことがあったっけ。

 

「彼の弟なら少しだけサービスしてやろう。ホレ、2つおまけだ」

 

「わぁ、ありがとうっす!」

 

オマケしてもらったタコ焼きは通常のよりも少し大きく、彼が言うにはタコの代わりにチーズが入っているらしい。あとで美味しく頂かせてもらおう。

 

「このチケットもおまけであげよう。午後からここの学生でコンサートをやるんだよ。そのチケットだ」

 

「えっ!いいの!?」

 

「もちろん。本来来るはずの人が来れなくなったらしくて余っていたんだ。むしろ貰ってくれると助かる」

 

「じゃあ貰っておくね」

 

コンサートか。そういうの行ったことなかったから楽しみだなぁ。

 

「あぁ、そうだ。亮さんの弟ならデュエリストだろう?時間があるなら屋上にあるデュエルスペースに居る赤帽子にデュエルを挑んでみるといい。きっと勉強になると思うぞ」

 

「えっ、でもボクそんなに強くないし…」

 

「それならなおさら挑んだ方が良いだろ。強くなるには実践あるのみ。俺の恩人が言っていた言葉だが『負けて勝て』だってさ」

 

「『負けて勝て』か。良し!ボクもその強いデュエリストに挑んでみるよ!ありがとう、屋台の人!」

 

「あぁ、健闘を祈る」

 

ボクは意気揚々と屋上に向かい、デュエルスペースに居る赤い帽子の少年にデュエルを挑み、数十分後には何度もボロボロに負けた後で屋上の壁に手をついて反省のポーズを取り続けるのだった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

昼過ぎ、ようやく屋台の客が全員いなくなって落ち着いた。午後はコンサートの手伝いがあるので、そちらが終わるまでは料理部の後輩たち4人と交代だ。それにしても流石に屋台4つ掛け持ちはキツかったな。

 

レイン、ツァン、レイちゃん、三沢、明日香、瑠璃と色んな知り合いが来てなかなか面白かったな。トマト君たちも誘っても良かったが、舞網市はそこそこ遠いからな…。そしてまさか丸藤翔がこの学校に来るとは思わなかったな。

 

とりあえず全員をかがやき中学校の学園祭名物、通称『NTRの屋上』へ送っておいた。

 

毎年、学園祭になるとコナミが屋上を占拠してデュエルコーナーを勝手に作って、やってきた人間を次々にデュエルで叩きのめすというとんでもないイベントを開催するのだ。

 

同性同士で来た者たちは敗北の後、お互いの敗北の傷を舐めあって慰めあうだけで済むが、カップルできた場合は悲惨だ。彼氏がほぼ100%デュエルで負けて、その後そこそこの確率で彼女がコナミに靡いてしまうのだ。恐ろしや~。

 

この学校の生徒である鈴木、佐藤、田中は当然知っているので、進めても絶対に行こうとはしない。

 

「モグモグ…くっそ~!2回も負けた~!」

 

そして、目の前で悔しがりながら焼きそばの余りを頬張っているのがその元凶、通称『デュエルお化け』のコナミである。

 

「あの銀髪ちゃんの【黄金卿エルドリッチ】とか言うモンスター強すぎるだろ~!」

 

「あぁ、レインか。どうやら上手くエルドリッチを使いこなしているようだな」

 

「クロト~やっぱりお前の仕業か~!じゃああの六武衆のピンクちゃんもそうか?」

 

「ツァンのことか。なんだ、【六武の門】を2枚くらい貼られたのか?」

 

「やっぱりそっちもか~」

 

他のデュエリストには全勝しているくせによく言う。デッキ相性的にレイちゃんなら勝てるかと思ったが、まだコナミの相手は厳しかったか。

 

「どうせ【機械天使】の娘や【ライトロード】の娘、【LL】の娘もクロトの知り合いだろ~」

 

「バレたか。【ウォータードラゴン】使いも俺の知り合いだな。彼女たちも強かっただろ?」

 

「何度か挑まれたけど毎回ギリギリで勝ったよ。いやぁ、楽しかったな~!」

 

デュエルになると理由が無い限り一切手加減無しで相手をボコボコにする上、スタミナが半端なく何連戦しても疲れを見せないその姿からこいつは『デュエルお化け』と呼ばれてこの界隈では恐れられてる。

 

そして、幼女であろうが彼氏持ちであろうが人妻であろうが熟女であろうが男であろうが構わず自前のコミュ力で攻略してしまうことから別名『人たらし』『赤帽子』とも呼ばれている。現在学園内だけでも50股くらいしているクソ野郎である。

 

「コナミ、この後の予定は分かっているよな?」

 

「ユーゴ達のコンサートを手伝うんだろ?分かってるよ」

 

そう。俺達は昼食後に行われるユーゴ、リン、セレナのコンサートのキーボードとドラム担当にされてしまっているのだ。以前、JRDGでセレナたちと約束した件の内、ユーゴとの約束である。

 

「良し。食べ終わったぞ」

 

「こっちも後輩たちへの引き継ぎは終わった。後はお前が歯を磨いたらセレナたちに合流するか」

 

「おぅ!」

 

そうして俺達は屋台を後にして体育館へと向かった。

 

~~~

 

<ツァン視点>

 

昼食を白河に奢ってもらったタコ焼きで済ませたボクは、本来の目的であるコンサートを見る為に体育館へとやってきていた。体育館内はパイプ椅子が整然と並べられており、席も既に8~9割ほど埋まっていた。壇上には暗幕が下りていて、その奥を見ることは出来なくなっている。

 

今日ここでコンサートを行うのは5組のグループ。そしてそのトップバッターは少し前にJRDGで優勝した最年少チームYRSのメンバーだ。どうやら白河は彼らの知り合いらしく、そのツテで本日行われるコンサートの観客席チケットを貰うことが出来たと言っていた。

 

「ここ、結構いい席よね」

 

ボクの席は壇上のステージより少し前、体育館の真ん中あたりに位置するその場所はステージ全体が見渡しやすく声も十分聞こえる場所だった。ここが白河から貰ったチケットの場所である。恐らく、白河からチケットを貰った人たちは全員この列なのだろう。

 

左右を見てみれば、落ち込んでいるオールバックの髪型の少年と別の理由で落ち込んでそうな彼の友人と思われる2人の少年、落ち込んでいる茶髪の少女を慰める2人の少女たち、屋台で売っていた冷やしカレードリンクをちびちび飲んでいる銀髪の少女、友達2人とおしゃべりに興じている小学生くらいの黒髪の少女、落ち込んでいる少年二人を慰めている黒髪の少女、落ち込んだ様子で眼鏡を拭いている小柄な青髪の少年と個性的なメンツが揃っていた。

 

もしかして、この人たちって全員が白河の知り合い?アイツって意外と顔が広いのね。…可愛い女の子が多いのが気になるけれど。

 

そんなことを考えていると、コンサート開始のアナウンスが放送され、体育館の照明が落とされる。そしてステージ上の暗幕が上がり、ステージ上のみに照明が照らされて、今は壇上に置いてあった3つのマイクのみがその照明を浴びている。いよいよコンサートが始まるようだ。

 

そして、ステージ奥から、金髪の少年、緑髪の少女、青髪の少女がそれぞれの楽器を持って現れる。その瞬間、観客席が歓声に包まれる。

 

「みんなー!今日はわざわざここに集まってくれてありがとうー!」

 

『ユーゴくーん!!』

 

『キャー!ユーゴくーん!素敵ー!!』

 

『こっち向いてー!』

 

『ユーゴくーん!新しいバナナよー!!』

 

チームYRSのリーダーである速水ユーゴが挨拶をする。メンバー唯一の男子で金髪のイケメンだ。チームの女性ファンの大半は彼推しらしい。以前、白河から見せて貰ったチームYRSのファンサイトでは、『普段の緩い感じも可愛くて良いけれど、デュエルする時にはキリッと表情が引き締まり、熱い心を持ちながら冷静に高度な戦術を披露するギャップがたまらない!』『黙っていればイケメン、喋ってもまた別のタイプのイケメン』『バナナで釣れる』だそうだ。

 

「今日は私たちのステージを存分に楽しんでいってねー!」

 

『リンちゃーん!今日も可愛いー!』

 

『リンちゃーん!結婚してくれー!』

 

『やっぱりデケェ!!』

 

『ユゴリン、キテル…』

 

続いてチームYRSの風祭リンが挨拶をする。メンバーのまとめ役である緑髪の美少女だ。チームの男性ファンの多くは彼女推しらしい。ファンサイトでは、『コミュ力が高くて誰とでも友達のように接することが出来る正統派美少女で、明るく強気な性格の中にある面倒見の良さがたまらない』『同じチームのユーゴと話している時は普段とまた違った魅力が見え隠れする』『オッパイが大きい』だそうだ。…誰だ最後の記事を書いた奴は。

 

「待たせたな!!」

 

『セレナお嬢様ー!ファイトですよー!!』

 

『キャー!セレナちゃーん!!』

 

『セレナちゃーん!付き合ってくれー!』

 

『俺を罵ってくれー!』

 

『ブヒュィィィ!』

 

最後にチームYRSの葉月セレナが挨拶をする。メンバーのムードメーカーと呼ばれている青髪の美少女だ。ファンは男女ともに多めらしい。ファンサイトでは、『普段強くては格好いい感じの小柄なクール系美少女だが、たまにポンコツをやらかすところが尊い』『同じ学校のあの狂人と話す時は犬耳と尻尾が幻視できる』『オッパイが小さい』だそうだ。…誰だ最後の記事を書いた奴は。

 

「よっと。流石にドラムはそこそこ重いな…」

 

彼ら三人が所定の位置に立った後、更にステージ奥から自分が使用するであろうドラムを担いで現れた赤帽子の少年が現れて、チームYRSの後方で機材のセッティングを始めた。

 

ドラムを担いできた少年を見ると、それまでの歓声はピタリと止まり、辺りがざわつき始めた。

 

『おい、あれって…』

 

『キャー!!コナミ先輩ー!!』

 

『あの赤帽子は間違いない!かがやき中学校のやべー奴の1人『デュエルお化け』だ…!』

 

『コナミ先輩ー!好きですー!』

 

『ひぃぃぃ!、『人たらし』だ!男も女も関係ねえ!ね、寝取られるぞ!!』

 

あれがあの有名なかがやき中学校の2大狂人の1人『赤帽子』。卒業式の日、男女問わずに50人以上の生徒に告白されて、全員をデュエルでボコボコにした後で振ったって言う女の敵。今日初めて見たけれど、噂通りだったわ。屋上の惨状は思い返したくない…。

 

「「「「「うわ、出た」」」」」

 

隣の席の人達は恐ろしい物を見たかのような表情で言葉を漏らしていた。あぁ、彼らも屋上のアレに挑戦してしまったんだね…。

 

「おいコナミ。お前の場所はもう少し奥だろ」

 

「あれ?そうだっけ?」

 

そして、ステージ奥から更に自分が使用するであろうキーボードを担いで現れたウサギ仮面を付けた黒髪の少年がやって来て、赤帽子と話しながら隣で機材のセッティングを始めた。

 

キーボードを担いできたウサギ仮面の少年が現れると、ざわめきがさらに大きくなり、各所から悲鳴まで聞こえ始めた。会場は阿鼻叫喚と言った感じだ。

 

『うわぁぁぁ!『バニーラ卿』だー!!』

 

『あれが『バニーラ卿』!?かがやき中学校のやべー奴の1人の!?嫌だぁぁぁ!死にたくないー!!』

 

『辻斬りコワイ辻斬りコワイ辻斬りコワイ』

 

『校庭の隅で壁に突き刺さったチンピラどものように、腹パンされて壁に埋められるぞ!!』

 

『助けてママー!!』

 

あれがあの有名なかがやき中学校の2大狂人の1人『バニーラ卿』!?アレが一年で市の不良全てを駆逐し、その全員にバニーラの仮面を付けて回ったという伝説の狂人!?でもなんだろうこの既視感。何処かで見たことがあるような…。

 

「白河、彼は一体何と戦っているんだ…」

 

「クロト、貴方って人は…」

 

「…中身はともかく、仮面は可愛い」

 

「先輩ー!結構似合ってますよー!!」

 

「あっ、足元でバニーラとプチリュウが機材のセッティングを手伝ってる。可愛いわねぇ」

 

「ギャー!『バニーラ卿』っす!ボクまだ死にたくないっすー!!」

 

隣の席からは意味深なセリフが聞こえてくる。えっ、もしかしてアレって白河?アイツ、何やってんの?

 

「良し!メンバーも揃ったことだし、早速始めていくぜ!」

 

「最初の曲はこの曲よー!!」

 

「トップバッターは私だな!良し、行くぞ!!」

 

会場の空気を一切気にせずにコンサートを開始するチームYRSのメンバーたち。まるでこの混沌とした状況はいつも通りかのような振る舞いだ。

 

「♪~」

 

曲が流れ、歌が始まるとそれまでの悲鳴飛び交う喧騒は次第に止んでいき、徐々に歓声が戻ってきた。

 

あれ?この曲って少し前に白河が図書館で口ずさんでいた曲ね。確か、GXの第二期OPとかって言ってたっけ。何のことか分からなかったけれど。

 

壇上で歌う青髪の少女の表情はとても楽し気で、その歌声は透き通っており、会場を魅了していった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

夕方前、コンサートを終えたユーゴ達とコナミはD-ホイール部の部室に集まって打ち上げを行っているが、俺は屋台の引き継ぎと片付けをするために校庭へ戻ってきていた。

 

「どの曲もいい曲でしたね!」

 

「ははっ、ありがとうレイちゃん。彼らも喜ぶと思うよ。はい、羊羹をあげよう。友達みんなと分けて食べてね」

 

「わぁっ!ありがとうございます!」

 

早速屋台にやって来たレイちゃんたちに余っていた羊羹を渡す。どうやらコンサート中は体育館に人が集中してしまい、屋台の売れ行きはイマイチだったようだ。

 

「はぁ~ユーゴ先輩、格好良かった~」

 

「コナミ先輩もね~」

 

レイちゃんの友達たちはユーゴやコナミに夢中のようだな。

 

「先輩!チケットをくれてありがとう!」

 

「楽しんでもらえたなら何よりだよ。じゃあまた今度ね」

 

「はい!」

 

そう言うとレイちゃんは友達2人を連れて屋台を去っていく。彼女たちの地元はここからそこそこの距離がある。キャンプファイヤーに参加できないのは残念そうにしていたが、今から帰らないと日が暮れて親御さんを心配させてしまうから仕方ないね。

 

「…クロト」

 

「おぉ、レインか。コンサートはどうだった?」

 

「…面白かった」

 

そんな会話をしながら、レイちゃんたちと入れ替わりに屋台へやって来たレインに大量に余っている冷やしカレードリンクを渡す。売れると思ったんだけど、そこそこ残ってしまったので在庫処分を手伝ってもらうつもりだ。幸い、彼女には好評だからなコレ。

 

「…クロト達のグループの曲は、歴史上存在しない曲ばかりだった」

 

「あぁ、俺の前世で聞いたことのある曲をこちらで再現したからな。そりゃ聞いたことないんじゃないか?」

 

今日コンサートで彼らが歌ったのは、GXの第二期OP、DMの第五期OP、5D'sの第五期OPの3つだったかな。なるべく明るめの曲をチョイスしたつもりだ。ZEXALやArc-V、VRAINZやSEVENの曲も再現してあるので、やろうと思えばもっと色々と出来たが今回は他のグループも居たからな、

 

「…ズルい。著作権って知ってる?」

 

「ズルくない。この世界に存在しないものだからその辺りもセーフ」

 

冷やしカレードリンクをちびちび飲みながらジト目で睨んでくるレインを華麗にスルーし、余っていた材料でタコ焼きを作ってレインに渡す。

 

「ほら、出来たぞ。キャンプファイヤーは参加しなくても見物はしていくんだろ?」

 

「…うん。ありがとう」

 

タコ焼きを受け取るとレインも屋台から去っていく。あの娘はせっかく学生として過ごしているのにイベント事は全て不参加していたからな。今日は結構楽しんでいたみたいだし、今回は無理にでもチケットを渡した甲斐があったかな。

 

「白河、アンタねぇ…」

 

「よぉ、ツァン。コンサートは楽しめたか?」

 

レインが居なくなって少しすると特徴的なピンク頭の少女ツァンがやって来た。なにやら呆れている様子。さて、どれのことだろうね。

 

「アンタがあの悪名高い『バニーラ卿』だったなんてね」

 

「その話か。自分で名乗った覚えはないんだけどな」

 

この中学校に入学した際のここの治安は最悪だった。タバコや酒は当たり前、暴力沙汰もそこそこの頻度で起こり、それらに対してここの教師は見て見ぬふりだった。童実野町かと思ったぞ。

 

こんなところにセレナやユーゴたちを通わせるわけにはいかないと思い、バレットやユーリたちに手伝ってもらって、様々な方法を使って丸1年かけてこの地域の不良と呼ばれる生き物を全て駆逐した。毎回彼らの顔が『見せられないよ!』って具合になるのでそれを隠す為に俺が付けていた可愛らしいバニーラの仮面の予備を被せておいたのだが、それが名前の由来らしい。

 

教師たちには特に何もしていないのだが、料理部の顧問を除く教師全てが俺の顔を見る度に怯え震えるようになってしまった。失礼な話だ。結局、毒にも薬にもなら無さそうなので彼らにはノータッチ。正直どうでもいい。今日も何人か校舎に埋めたけど、あのクソ教師共は何も言ってこないしな。

 

『バニー!』

 

「うわわっ!ちょっと、白河!変なイタズラしないでよ!」

 

ツァンの足元に居るバニーラが一鳴きすると、ツァンが驚いてこちらに抗議して来る。どうやら俺が何らかの方法でバニーラの声を出しているのだと思っているのだろう。

 

「やっぱり聞こえるんだな」

 

「はぁ?そりゃあれだけ大きな声なら聞こえるでしょ」

 

彼女は気付いていないだろうが、今バニーラは実体化していないので、普通の人間にはその姿は見えないし声も聞こえない。恐らく彼女は他の人達より潜在的な魔力が高めなのだろう。アニメGXの前田隼人のように、精霊を見えずともその声だけ聞こえるタイプなのだろう。

 

「このネックレスを握って足元を見て見なよ」

 

「うわっ、高そうなネックレスね。…うわわわっ!ば、バニーラがいる!?」

 

『バニー!!』

 

案の定、潜在魔力を少し引き出すことが出来るオカルトネックレスを渡すとカードの精霊の姿を認識できるようになったらしい。

 

「ど、どういうトリックよこれ!?」

 

「見たまんまだ。せっかくだからそのネックレスはあげるよ。今後なにかの役に立つかも知れないしな」

 

『バニー♪』

 

バニーラも自信を認識できる人間が増えて嬉しいらしい。

 

「こ、こんな高そうな物は貰えないわよ!?」

 

「いいからいいから。自作だからそこまで高くないしな」

 

「自作!?」

 

「自作」

 

ツァンはこちらを驚愕の表情で見つめてきて、こちらの言うことにいちいちオーバーリアクションで返してくる。いやぁ、やっぱりこの娘はからかい甲斐があるなぁ!

 

~~~

 

<セレナ視点>

 

夕暮れ時、D-ホイール部の部室で行っていたコンサート後の打ち上げを終えて、ユーゴ達はキャンプファイヤーに向かったが、私が向かう場所は別の場所に向かっていた。アイツは絶対にこの手の行事では表に出ないからな。

 

学校の廊下を一人で歩いていると、階下のキャンプファイヤーの様子がよく分かる。リンとユーゴ、瑠璃とユート、コナミと見知らぬ女生徒、楓と佐藤、ついでに鈴木と高橋先輩。良く知る知り合いたちがキャンプファイヤーの前でフォークダンスを踊っている。オールバックの少年や茶髪の少女が同性の友人と一緒に踊っていたりもした。

 

そんな光景を見ながら歩いていると目的地に辿り着いた。教室の扉付近にぶら下げられた名札に掛かれている文字は『家庭科室』。クロトの所属する料理部の部室でもある。私はその扉をゆっくりと開く。…居た。

 

「クロト、キャンプファイヤーには参加しないのか?」

 

「あぁ、相手も居ないしな」

 

扉を開けた瞬間からコーンスープのいい匂いがする。彼が座る椅子の前にあるテーブルには、ガスコンロの火で温められているコーンスープの鍋が置いてある。恐らくは窓からキャンプファイヤーの様子を眺めている彼が、フォークダンスを終えた知り合いに配ろうと準備している物だろう。

 

「そんなところに突っ立っていないで、中に入ってくれば?」

 

「そうする」

 

家庭科室に入って扉を閉める。クロトは時折コーンスープをかき混ぜながら窓の様子をじっと見ている。そんな彼の隣の席に座り、釣られるように窓の外へと視線を向ける。

 

「今日は楽しかったな」

 

「あぁ、そうだな。コンサートなんて初めてやったけれど、皆で演奏したり歌ったりするのがこんなに面白いとは思わなかった」

 

私たちがJRDGに優勝した後、ユーゴが突然『学園祭のコンサートに参加したい』と言い始めたことが切っ掛けだ。私たちは全員楽器未経験者だったが、歌う曲を絞ることでなんとか学園祭までに間に合わせることが出来た。

 

「俺もいきなり『学園祭のコンサートに参加したいからキーボードを担当してくれ』なんて言われると思わなかったけど、やってみると結構面白かったな。前世の経験が活きたな」

 

前世か。クロトが別の世界から転生してこの世界にやって来たことは何年か前に聞いたことがあったけれど、そう言えば詳しく聞いたことが無かったな。

 

「前世のクロトはどんな奴だったんだ?」

 

「前世の俺?どんな奴かぁ。そうだなぁ。前世での名前は『朝霧涼夜』、転生する直前の年齢は確か32~33歳くらいだったかな。身長や見た目は今の俺と大差なくて、俺がこのまま年齢を重ねていけば多分同じような顔になるな。仕事は電子機器を作ったり直したりするなんてことをしていたよ」

 

「結構オジサンだったんだな」

 

「そうだぞ~。パパって呼んでくれてもいいぞ~」

 

「断る」

 

何がパパだ。

 

「今と同じで幼い頃に両親が事故で亡くなって施設暮らしだったな。最初は馴染めなくて苦労したけど、年上の兄貴分の奴がデュエルに誘ってくれてな?それを通じて周りの連中とも仲良くなれたんだよ」

 

「いい話じゃないか」

 

「初心者相手にヤタロックだのハンデス三種の神器だのマキュラエクゾだの現世と冥界の逆転なんかを仕掛けてくる容赦のない奴等だったけどな」

 

「それはお前もだろ」

 

そうだったと言いながら笑うクロト。当時のことを思い出したのかその横顔は嬉しそうながらも少し寂しそうだった。そして、ふと思いついたかのようにこんなことを言ってきた。

 

「なぁ、セレナ。これは仮定の話なんだが、もし誰かが前世での知識やカードを持ち込めて別の世界に転生したとして、その世界の未来のことが大体分かって、あと半年くらいから3年くらい続く厄介な事件に巻き込まれて自分が死ぬかもしれないと知っていたらどんなことをすると思う?」

 

…それはつまり、クロトはこの世界の未来のことを大体予想出来て、あと半年足らずで死ぬかもしれない事件に巻き込まれるかもしれないという意味だろうか?

 

この流れでそんな言い方をすれば察しない方が無理がある。仮定の話なんだがって、もう少し言い方は無かったのだろうか?何故この男はこんなに口が軽いというか、口下手と言うか、アホなのだろう?

 

「そうだな…。その事件が起こらないように立ち回るか、その事件から遠ざかるように動くか、その事件に巻き込まれても大丈夫なように自身を鍛えるか、だろうか」

 

昔からクロトは各地で何か事件が起こるたびに彼はそこへ急行して戦ってきた。それはきっとその半年後だか3年後だかに起こるとコイツが予想している事件への対応だったのかもしれない。

 

「そうだよなぁ。やはりそれくらいだよなぁ。あーあ、今のこの平和がずっと続けばいいのになぁ」

 

クロトが寂しそうな表情のままチラッと外を見る。私も外を見ると夕日は沈んで空には月が出ている。フォークダンスはそろそろ終わりそうだ。クロトはガスコンロの火を落としてコーンスープの鍋に蓋をする。

 

「クロト。お前が知っている未来がどのような物かは知らないが、困ったら私を頼れ。何とかしてやるとは言えないが、一緒に考えてやることはできる」

 

私が椅子から立ち上がってそう言うと、クロトは私を見上げながら口をポカーンと開けている。何とも間抜けな表情だ。そして少しすると顔を逸らして顔を手で覆い隠した。

 

「…いや、さっきのは俺の話じゃなくて仮定の話だからな?それにセレナは時々ポンコツだからなぁ」

 

「誰がポンコツだ!」

 

クロトは顔を隠しながらそんなことを言ってきた。コイツは本当に失礼な奴だ。

 

「まぁ、なんだ。ありがとなセレナ」

 

そう言うとクロトは椅子から立ちあがって私の頭を撫でてくる。正直、コイツに頭を撫でられるのは嫌いじゃないが…いやそれは置いておいて、こいつは真面目な話を誤魔化す時はいつもこうする。

 

「だから、頭を撫でるな!ヘタレのくせに私を子供扱いするな!!」

 

異性の頭を軽々しく撫でるな。

 

「はっはっは。反抗期かな?それにしてもヘタレは傷つくなぁ。さて、フォークダンスも終わったことだし、コーンスープを配りに行こうか」

 

クロトは私の言葉に真面目に取り合わず、コーンスープの入った鍋を持って家庭科室を出ていく。でも、アイツは先に行かずに扉の前で私が出てくるのを待ってくれているだろう。

 

アイツはそういう奴だ。鈍感で不器用でヘタレで、その、なんだ、放っておけない奴だ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

太陽も完全に落ちた夜、俺はセレナと一緒にフォークダンスを終えてもまだ校内に居て帰っていない人たちにコーンスープを配っていた。

 

「ほらよ明日香」

 

「あら、ありがとうクロト」

 

「熱いから気を付けろよツァン」

 

「ありがと。おっ、あったかい」

 

「レインも要るか?」

 

「…貰う」

 

俺がコーンスープを配るたびに横に居るセレナから妙なプレッシャーを感じる。

 

そんなに心配しなくても、セレナの分のコーンスープは残すつもりなのでそんなに睨まないで欲しい。

 

「クロト~俺もスープくれ~」

 

「ほらよコナミ。零すなよ」

 

「クロト、こっちも2人分貰える?」

 

「ユーゴの分か?ほら、リン」

 

「こっちも3人分貰えるかしら?」

 

「瑠璃か。黒鉄と黒咲の分だな。3人分は流石に持てないだろうからあとでまた来るといい」

 

『困ったら私を頼れ』か。アニメ原作の彼女なら言わないだろうなぁ。

 

最初にあった頃のセレナはポンコツ感満載だったけれど、今はいい意味で変わったよな。

 

「白河、こちらも3人分くれないか?」

 

「居たのか三沢?」

 

「ずっと居たぞ!?」

 

「冗談だ。ほらよ」

 

「屋台の人、ボクにも貰えるかな?」

 

「丸藤か、ほらよ。熱いから気を付けろよ」

 

「わわっと。ありがとうっす!」

 

それにしても、セレナのことは家庭教師なんて偉そうなことやっていて子供の頃から見ているけれど、さっきのセレナは月明かりに照らされて綺麗だったなぁ。妙な色気もあった。正直に言うと、見惚れた。

 

俺でなければ、実はもしかして好意を持たれているのでは?と勘違いしていたかも知れないな。




そろそろ中学生編も終わりを迎えそうなので、日常編を挟んでみました。

今までに登場した人物で、今回再登場させられそうな人たちは大体出せたと思います。そして今後の出番は恐らく少ないですが、ようやくユートに苗字が追加されました。


次回の更新は2/27(土) AM7:00予定です。


白銀神雅魅様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十八話 ディヴァイン

バリアン七皇(偽)回。

今回の被害者は5D'sのディヴァインです。


<クロト視点>

 

中学三年生の秋も終わりを告げた11月中旬の休日、俺は孤児院の台所で巨大なパフェを制作していた。JRDGでリンと約束していた件だ。

 

高さ30cmほどの特製のガラスの容器を3人分購入し、最下層にフレークを敷き詰め、生クリーム、フルーツ、生クリームと言う層を作る。容器から溢れそうになるほどの盛り付けが完了し、中央にバニラアイスを置き、その周囲にチョコスティックとワッフルを差していく。隙間をフルーツと生クリームで埋めて完成だ。

 

甘ったるそう。これを食べたら確実に太るな。一応、ユーゴ、リン、セレナの要望通りのフルーツは盛り沢山にしてあるから食えなくは無いだろうが、俺は要らんな。

 

三人分の巨大パフェが完成し、食堂で待つ彼らの元へ運んだ。コナミ?デートだとさ。食堂で待っていた彼らの反応は様々だ。

 

「うわぁ~!美味しそう~!!」

 

「バナナ!バナナがたくさん入ってる!!」

 

「お、多いな…これが一人分なのか?」

 

デザート系に目が無いリンや、フルーツそのものが好きなユーゴには好印象だったが、デザート自体にそこまで思い入れがないセレナは目の前の山に戦慄している。

 

「材料はまだ少しあるからおかわりも出来るぞ」

 

「ホントに!?や~ん、贅沢の極みねぇ~♪」

 

「むしゃむしゃ…美味い!美味いぞー!!」

 

「確かに美味いが、甘ったるい…。食べても食べても減らない…」

 

約一名を除き満足してもらえたようだ。セレナには後で緑茶でも出してやるか。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

セレナが巨大パフェに敗北した翌日の夜、俺はツァンが言っていたサイコデュエリストの出現場所にやってきていた。童実野町なんて魔境に来たくは無かったんだが、サイコデュエリストを放置して俺の知り合いに被害があったら嫌だしな。もちろん、顔を隠す為にバリアンスタイルだ。

 

「魔法カード発動!【ファイヤー・ボール】だ!燃え尽きろ凡人が!!」

 

「うわぁぁぁ!助けてくれぇぇぇ!」

 

そんな時、路地裏の奥の方から男性の悲鳴が聞こえてきた。どうやら現れたようだな。俺はその声の元へ急行した。

 

駆けつけてみると、焦げた学生服を着て倒れ込んでいる青年の前に緑のジャケットを着た赤く長い前髪が特徴の少年が立っていた。あの変な髪型は間違いなく若い頃のディヴァインだろう。本当に日本に住んでいたんだな。ディヴァインって実は仮名なのか?

 

「フン。何だ貴様は?奇妙な出で立ちをしているが、まさかサイコデュエリストの私の邪魔をする気か?」

 

いやぁ、調子に乗っていますねぇ。これは常習犯だな。さっさとボコってブタ箱へシュート!したいところだ。

 

「き、君は…」

 

学生服の青年が顔をあげてこちらを見てくる。どうでもいいがこの少年、デュエルリンクスに出てくるクールな学生にそっくりな顔だな。そう言えばここは童実野町だったな。

 

「早くここから逃げるといい」

 

「あ、ありがとう!君も気を付けてくれよ!」

 

そう言うと青年は全力で逃げだすが、ディヴァインは追う様子を見せない。こちらを警戒しているようだ。

 

「サイコデュエリストは選ばれた存在。その邪魔をするものは誰であろうと容赦はしないぞ!さぁ、構えろ!デュエルでケリをつけてやる!」

 

「そうか。この私とデュエルをするというんだな?バリアン七皇の私と!」

 

このタイミングでやっておくか。俺はマントから手を出して天にかざし、高らかに叫ぶ!

「バリアルフォーーーゼ!!」

 

「!?」

 

俺の周囲をまばゆい光が包み込み、胡散臭い『バリアン』共通の姿から、とあるバリアンの姿へと変化していく…!さぁ、威風堂々と名乗りを上げよう!

 

「真のギャラクシーアイズ使い!ミザエル!」

 

胸の中央に付けた赤の宝石を金色に輝かせ、右手を前に突き出す。我ながらまぁまぁのミザエルポーズの再現である。宝石の光が収まる頃には、俺は金の肌に胸元にバリアンの紋章を付け腰に同じく金の布を巻いた金髪の長髪の男性型バリアン、ミザエルの姿になっている。

 

「バリアン?以前聞いたことがあるな。奇妙な格好をしてデュエル前に変身するふざけた奴だとな!」

 

憤りながらもながらもデュエルディスクを構えるディヴァイン。バリアンもそこそこ知名度が上がって来たんだな。奇妙な格好とか言われているけど、お前の前髪よりはマシだよと言いたい。

 

俺もデュエルディスクを構えながら、ディヴァインと少し距離を取る。

 

 

「私のデュエルは少々荒っぽい!覚悟するんだな!」

 

「対戦、お願いします」

 

バリアンであっても挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ミザエル(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆ディヴァイン LP:4000

 

 

ディヴァインの使用デッキは【サイキック族】。ライフコストを必要とするがなかなか強力な効果を持つ【クレボンス】や【サイコ・コマンダー】と言った結構優秀なチューナーを擁するシンクロデッキだ。

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

ディヴァイン 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【脳開発研究所】発動!このカードがフィールド上に存在する限り、通常召喚に加えて1度だけサイキック族モンスター1体を召喚できる。この方法でサイキック族モンスターの召喚に成功した時、このカードにサイコカウンターを1つ置く。また、自分フィールド上のサイキック族モンスターの効果を発動するためにライフポイントを払う場合、代わりにこのカードにサイコカウンターを1つ置く事ができる。このカードがフィールド上から離れた時、このカードのコントローラーはこのカードに乗っていたサイコカウンターの数×1000ポイントダメージを受ける」

ディヴァイン 手札:6→5枚。

 

「私は手札から永続魔法【サイキックブレイク】発動!サイキック族モンスターが召喚に成功した時、500LP払う事でそのモンスター1体のレベルを1つ上げ、攻撃力は300ポイントアップする」

ディヴァイン 手札:5→4枚。

 

「私は手札から【サイコ・ウォールド】を召喚!」

ディヴァイン 手札:4→3枚。

 

<ディヴァインのフィールド>

サイコ・ウォールド ★4 ATK1900

 

【サイコ・ウォールド】の効果は、自分メインフェイズに800ライフポイントを払って自分フィールド上に表側表示で存在するサイキック族モンスター1体に1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる効果を付与出来る。ただ、この効果を発動するターンは【サイコ・ウォールド】は攻撃する事ができないけどな。

 

「ここで【サイキックブレイク】の効果発動!サイキック族モンスターが召喚に成功した時、500LP払う事でそのモンスター1体のレベルを1つ上げ、攻撃力は300ポイントアップする!」

ディヴァイン LP:4000 → 3500

 

<ディヴァインのフィールド>

サイコ・ウォールド ★4→5 ATK1900 → 2200

 

「私は手札から速攻魔法【緊急テレポート】発動!手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。私はデッキからレベル3のチューナーモンスター【サイコ・コマンダー】を特殊召喚する!」

ディヴァイン 手札:3→2枚。

 

<ディヴァインのフィールド>

サイコ・ウォールド ★5 ATK2200

サイコ・コマンダー ★3 ATK1400 ※チューナー

 

サイキック族の強力サポートカードである【緊急テレポート】のデメリット効果は『特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される』と言う物だが、そのターン中にリリースするなりシンクロ素材にするなりしてフィールドから離してしまえば効果は発揮されない。相手にターンに防御札として使うならともかく、自分のターンに使用する場合はあってないようなデメリットだ。

 

「私はレベル5となった【サイコ・ウォールド】にレベル3【サイコ・コマンダー】をチューニング!逆巻け、我が復讐の黒炎!シンクロ召喚!来い、レベル8!【メンタルスフィア・デーモン】!!」

 

<ディヴァインのフィールド>

メンタルスフィア・デーモン ★8 ATK2700

 

【メンタルスフィア・デーモン】には、自身が戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合にそのモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のLPを回復する効果、サイキック族モンスター1体のみを対象とする魔法・罠カードが発動した時、1000LPを払ってその発動を無効にし破壊する効果の2つがある。

 

「私は永続魔法【脳開発研究所】の効果発動!このカードがフィールド上に存在する限り、通常召喚に加えて1度だけサイキック族モンスター1体を召喚できる。この方法でサイキック族モンスターの召喚に成功した時、このカードにサイコカウンターを1つ置く。私はこの効果により手札の【タイム・エスケーパー】を召喚!」

ディヴァイン 手札:2→1枚。サイコカウンター:0→1

 

<ディヴァインのフィールド>

メンタルスフィア・デーモン ★8 ATK2700

タイム・エスケーパー ★2 ATK500

 

「私は手札から装備魔法【早すぎた埋葬】発動!800LPを払い、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時、装備モンスターを破壊する。私は墓地のレベル3のチューナーモンスター【サイコ・コマンダー】を特殊召喚!」

ディヴァイン LP:3500 → 2700、手札:1→0枚。装備魔法:0→1枚

 

<ディヴァインのフィールド>

メンタルスフィア・デーモン ★8 ATK2700

タイム・エスケーパー ★2 ATK500

サイコ・コマンダー ★3 ATK1400 ※チューナー

 

「私はレベル2となった【タイム・エスケーパー】にレベル3【サイコ・コマンダー】をチューニング!心の深淵に燃え上がる我が憎しみの炎よ、黒き怒濤となりてこの世界を蹂躙せよ!シンクロ召喚!現れろ、レベル5!【マジカル・アンドロイド】!!」

ディヴァイン 装備魔法:1→0枚

 

<ディヴァインのフィールド>

メンタルスフィア・デーモン ★8 ATK2700

マジカル・アンドロイド ★5 ATK2400

 

「私はこれでターンエンド」

 

「自分のエンドフェイズ時、【マジカル・アンドロイド】の効果が発動する!自分フィールド上のサイキック族モンスター1体につき、自分は600LP回復する。私のフィールドにサイキック族モンスターは2体!よって1200LP回復する!」

ディヴァイン LP:2700 → 3900

 

◆ミザエル(白河クロト) LP:4000

 

VS

 

◆ディヴァイン LP:3900、手札:0枚、伏せカード;0枚、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。

 

<ディヴァインのフィールド>

メンタルスフィア・デーモン ★8 ATK2700

マジカル・アンドロイド ★5 ATK2400

 

 

手札、伏せカード、墓地発動カードは無いが、シンクロモンスターが2体。メンタルスフィアはまぁまぁの耐性を持っている。まぁ、伏せカードが無い時点で何とでもなるがな。

 

ミザエルの恰好をしているとはいえタキオンは以前使ったからなぁ。別のモンスターを使ってみようかな。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!」

ミザエル 手札:5→6枚。

 

あっ、来ちゃったか。珍しいな。最近引きが強くなった気がするな。まぁ来ちゃったのなら使うか。

 

「私がドローしたカードは【RUM-七皇の剣】!」

 

「自分がドローしたカードを相手に公開するだと?血迷ったか!」

 

「【RUM-七皇の剣】の効果を説明しよう。このカード名の効果はデュエル中に1度しか適用できない。自分のドローフェイズに通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動できる。そしてこのままスタンバイ、メインフェイズへ移行する」

 

「一体何をするつもりだ?」

 

「そしてメインフェイズ1の開始時に手札のこの公開し続けている【RUM-七皇の剣】を発動する!「CNo.」以外の「No.101」~「No.107」のいずれかをカード名に含むモンスター1体を、自分のEXデッキ・墓地から選んで特殊召喚し、そのモンスターと同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」モンスター1体を、そのモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する!」

ミザエル 手札:6→5枚。

 

「カード1枚でEXデッキのモンスターを素材にしてエクシーズ召喚を行うだと!?」

 

「私がEXデッキから特殊召喚するモンスターは【No.107 銀河眼の時空竜】!宇宙を貫く雄叫びよ。遥かなる時をさかのぼり、銀河の源よりよみがえれ! 顕現せよ、そして我を勝利へと導け!【No.107 銀河眼の時空竜】!」

 

<ミザエルのフィールド>

No.107 銀河眼の時空竜 ☆8 ATK3000

 

「ランク8!?攻撃力3000!?」

 

「更に【No.107 銀河眼の時空竜】と同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」モンスター1体を、そのモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する!逆巻く銀河を貫いて、時の生ずる前より蘇れ。永遠を超える竜の星! 顕現せよランク9!【CNo.107 超銀河眼の時空龍】!!」

 

「ランク9!?攻撃力4500…だと!?」

 

<ミザエルのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

 

「私は手札の【限界竜シュヴァルツシルト】の効果発動!相手フィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる!手札より現れよ【限界竜シュヴァルツシルト】!」

ミザエル 手札:5→4枚。

 

<ミザエルのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

限界竜シュヴァルツシルト ★8 ATK2000

 

「だが攻撃力はたったの2000!そのモンスターでは私のサイキックモンスターの敵ではない!」

 

「自分フィールド上にレベル8のモンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。私は手札よりレベル8【星間竜パーセク】を通常召喚する!」

ミザエル 手札:4→3枚。

 

<ミザエルのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

限界竜シュヴァルツシルト ★8 ATK2000

星間竜パーセク ★8 ATK800

 

「レベル8のモンスターのくせに攻撃力はたったの800!そんな雑魚モンスターを並べたところで、レベル8のモンスターが2体?ま、まさか!」

 

「まだだ!このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドに光・闇属性のドラゴン族モンスターが2体以上存在する場合に発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。私のフィールドの【限界竜シュヴァルツシルト】の属性は闇!【星間竜パーセク】の属性は光!よって手札のレベル8【螺旋竜バルジ】を特殊召喚する!」

ミザエル 手札:3→2枚。

 

<ミザエルのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

限界竜シュヴァルツシルト ★8 ATK2000

星間竜パーセク ★8 ATK800

螺旋竜バルジ ★8 ATK2500

 

「フィールドにレベル8のモンスターが3体!?」

 

「待たせたな!私はレベル8【限界竜シュヴァルツシルト】、【星間竜パーセク】、【螺旋竜バルジ】の3体でオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!逆巻く銀河よ、今こそ、怒涛の光となりてその姿を現すが良い!降臨せよ!ランク8!【超銀河眼の光子龍】!!」

 

<ミザエルのフィールド>

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ☆9 ATK4500 ORU:1

超銀河眼の光子龍 ☆8 ATK4500 ORU:3

 

【銀河眼の光子龍】をORUにしていないし、相手モンスターにエクシーズモンスターが居ないから、ただの攻撃力4500モンスターなんだけどね。

 

「攻撃力4500のモンスターが、2体!?」

 

「バトルフェイズへ移行する。【超銀河眼の光子龍】で【マジカル・アンドロイド】を攻撃!アルティメット・フォトン・ストリーム!!」

 

超銀河眼の光子龍 ATK4500

vs

マジカル・アンドロイド ATK2400

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

ディヴァイン LP:3900 → 1800

 

「これでトドメだ!【CNo.107 超銀河眼の時空龍】で【メンタルスフィア・デーモン】を攻撃!アルティメット・タキオン・スパイラル!!」

 

CNo.107 超銀河眼の時空龍 ATK4500

vs

メンタルスフィア・デーモン ATK2700

 

「うわぁぁぁぁっ!」

ディヴァイン LP:1800 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「お、おのれぇ、貴様ぁ!」

 

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わった後、意気消沈して地面に膝をついていたディヴァインが突然顔をあげてこちらを睨みつけてくる。何か仕掛けてくるな。

 

「私はサイコデュエリスト!選ばれた者なのだ!貴様のような凡庸な人間に負けるなどあってはならない!食らえ!魔法カード発動!【ファイヤー・ボール】だ!燃え尽きろぉぉぉ!!」

 

ディヴァインがデュエルディスクに魔法カード【ファイヤー・ボール】をセットして発動と口にした瞬間、デュエルディスクから実体化した火炎弾がこちらへと飛翔してきた。

 

「何だその哀れな術は…」

 

俺は水の魔力を込めた腕を水平に払うことでそれを弾き飛ばす。こっちは【タイラント・ドラゴン】が放つ爆炎の中を後衛部隊を守りながら逃げ回ったことだってあるんだ。あの精霊界の地獄に比べたらそんな松明の炎程度の火炎弾が俺に効くかよ。

 

「な、何ぃ!馬鹿な!!」

 

「魔術とは、こうして使うものだ!」

 

お返しとばかりに俺は空中に水球を作り出してディヴァインのデュエルディスクへと放つ。水球はデュエルディスクへと直撃し、衝撃によりデュエルディスクはバラバラに砕け散った。

 

「私のデュエルディスクが!?」

 

サイコデュエリストはデュエルディスクが無ければカードの実体化が出来ない。これでこいつはただの変な髪型の少年だ。

 

『なぁに?今の水の魔術?40点くらいじゃない?『魔術とは、こうして使うものだ!(キリッ)』…ぷぷぷっ、ザァーコ♪』

 

サイコデュエリストのデュエルディスクを破壊したことで安心していたところで、俺の横にアクエリアが姿を現して挨拶代わりの毒舌を吐いてくる。

 

『うるさいな。速度重視だよ』

 

『私の主なら、あの程度の威力ならもう少し速度と精密さをあげて欲しいなぁ?ザコザコ君にはまだまだ修練が必要ね♪』

 

ニヤニヤしながら頬を指で突いてくるアクエリアを無視して、逃げようとするディヴァインに拘束の魔術を施す。

 

「幻想の呪縛、発動」

 

「ぐおっ!?か、体が、動かんぞ!?」

 

咄嗟に呪縛の魔術で動きを封じ、倒れ込んだディヴァインに歩み寄み、見下ろしながら問いかけた。

 

「この程度で選ばれた人間とか言って粋がれるとは、よほどヌルい環境で生きてきたようだな?サイコデュエリスト君?半端な気持ちで入ってくるなよ、デュエルの世界によォ!!」

 

「なんだと貴様ぁ!」

 

「ふっ、恨むならドン・サウザンドって奴を恨むといい」

 

「絶対に許さんからな!復讐してやるぞ!バリアン!ミザエル!ドン・サウサンドォォォ!!」

 

動けなくなって喚いているディヴァインを放置して、俺はその場を立ち去った。ついでに警察に不審者がいると連絡しておいた。

 

先ほどの被害者はデニスが保護したとの連絡が入ったから、このまま彼が証言者となってくれればタイタンと同様に暴行罪やらレアカード強盗の罪でそのまま投獄されるだろう。今のディヴァインは未成年っぽいからすぐに出てきそうだけどな。

 

さて、やることもやったしとっととお家に帰ろう。今日の晩御飯はオムライスらしいからな。

 

~~~

 

<ヨハン視点>

 

11月下旬、町中を散歩していたオレはジェリービーンズマンの精霊に導かれて、道端で倒れているトムと言う少年を見つけて介抱していた。

 

「大丈夫か!?一体、何があったんだ!?」

 

「ボクの、ジェリービーンズマンが…ジェリービーンズマンのカードが盗られたの…」

 

話を聞くこところによると、怖い顔をした大人の男性にデュエルを挑まれてそのデュエルに敗れたトムは、いきなりアンティルールだと言われて自分の大切にしているジェリービーンズマンのカードを奪われたのだという。

 

恐らく、先ほどチラッと見えたジェリービーンズマンの精霊はトムが所持していたカードの精霊だったのだろう。きっと自身が奪われてもトムのことは助けて欲しいとオレになんとか伝えようとしたのだ。

 

「ギャァァァァァァ!」

 

そんな時、少し離れた場所から男性の悲鳴が聞こえてきた。今度は一体何なんだ!?

 

「あ、あの声はボクのジェリービーンズマンのカードを奪っていた男の人の声だ!」

 

「なんだって!?」

 

トムのその言葉を聞き、その悲鳴の元へ駆けつけようと思った瞬間、オレ達の足元に1枚のカードが飛んできた。これは、ジェリービーンズマンのカード!?

 

「あっ、ボクのジェリービーンズマン!」

 

『ピィィィ!』

 

トムがジェリービーンズマンのカードを拾うと、そのすぐ横に先ほど見かけたジェリービーンズマンの精霊が姿を現す。

 

トムをその場に残してオレだけで先ほどの悲鳴が聞こえてきた場所へ行ってみると、人相の悪そうな男がゴミ箱に刺さっていた。少し前に見た日本の映画でこんなシーンがあったな。犬神家、だったか。

 

「おい!どうした!何があったんだ!?」

 

「バリアン…ナッシュ…ドン・サウサンド…!」

 

男は憎々しげにそう呟くと意識を失った。そしてまもなくこの国の警察機構が到着して男を確保していった。どうやら男はカード強盗に前科のある人間だったらしく、通報があったらしい。

 

「一体、何が起こっていたんだろうか…」

 

よく分からないまま事件が解決してしまい、困惑したままトムの元へ向かうと嬉しそうにジェリービーンズマンのカードを眺める彼の姿が目に入った。

 

こうやって彼とジェリービーンズマンが再会できたんだ。何でもいいか。それにしても、先ほどの男はきっと精霊のカードを狙って奪っていったのだろう。世の中には精霊が見えても悪い奴は居るんだな。決めた!オレが人間と精霊の懸け橋になれればいいんだ!ようし、頑張るぞー!




少し日常パートを挟みつつ、さくさくデュエル。

ディヴァインのデッキは【サイキック族】です。本文でも記載した通りのデッキです。ただ、ディヴァインは第二形態がありますからね。もし再登場することがあれば強化されて出てくるでしょう。

ミザエルのデッキは【ドラゴン族】です。レべル8モンスターを並べて高速でタキオンを呼ぶために特化したデッキです。名称付きのテーマとしては確立されていませんが、〇〇竜〇〇と言った名称のレベル8ドラゴンは大体彼のカードと言うイメージがありますね。

直接は会いませんでしたが、ヨハンも登場。この頃はまだ宝玉獣を所持していませんが、カードの精霊は見えます。

ゴミ箱に突き刺さっていたのはアニメGXで登場する精霊狩りのギースと言うキャラクターです。精霊と仲のいいオリ主がギースの所在を知って放置するはずがないので、オリ主にツテの情報網を使われて居場所を暴かれ、デュエル描写すらなしにケチョンケチョンにされました。ナッシュのデュエルはまたいずれの機会となりました。

次回はデュエル無しのこの章最後の話となります。

次回の更新は2/27(土) AM8:00予定です。

荒魂マサカド様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八十九話 幕間:原作開始直前

この章のラストストーリーです。

設定紹介を挟んだ後、次回からはいよいよ遊戯王GXタッグフォース原作のストーリーへと突入します。



中学三年生の冬真っただ中の12月中旬の休日、俺はセレナと舞網市に来ていた。何でも昔から使っていたデュエルディスクが壊れそうなので、新しいデュエルディスクを買いたいからその買い物に付き合って欲しかったそうだ。これがJRDGで彼女と約束した件である。

 

「やはり買うならば以前と同タイプの新型にすべきか」

 

「それでいいと思うぞ。あのタイプは優秀だしな」

 

セレナやバレットが使用していたデュエルディスクは、起動するとリアルソリットビジョンで剣型のカード設置部分が出現するタイプで、アニメアークファイブで融合次元のデュエリストが使用していた物と同じタイプだ。流石に次元移動機能や相手デュエリストをカード化する機能は付いていない。

 

あのオベリスクフォースが使用していたタイプにそっくりなので、この世界の世間一般的にはあまり評判は良くないが、彼女がずっと使い続けてきたタイプでもあるので愛着もあるだろう。

 

「クロトは買わないのか?確かお前のデュエルディスクも相当古いだろう?」

 

「あぁ、そうだな。もうそろそろ10年くらい使っていることになるかな。確かに俺も新しいデュエルディスクを買ってもいいかな」

 

「じ、じゃあお前も私と同じタイプのデュエルディスクを買えばいいんじゃないかな?」

 

「うん?確かにこのタイプは優秀だしな。良し、そうしようか」

 

「そうだな!それがいいと思うぞ!」

 

俺はセレナと同型で色違いのデュエルディスクを購入し、店員に配送サービスで孤児院に送ってもらうことにした。もう少ししたらデュエルアカデミアに入学する予定の俺には近々学園で使用するデュエルディスクが支給されるだろうが、それとは別に私物として持っていてもいいかと思ったわけだ。

 

その後、配送サービスの手続きに少し時間がかかるそうなので、待ち時間にセレナと世間話をしていた。

 

「そう言えば、そろそろクロトはデュエルアカデミアの入学試験を受けるんだろう?」

 

「そうだな。筆記試験に関しては俺は全国模試4位だから恐らく問題ないし、実技試験も相手がコナミとかセレナクラスの相手じゃなければなんとでもなるだろう」

 

「そうか。ならデュエルアカデミアに合格した後に、今まで使用していたデュエルアカデミアの過去問の資料を私が貰ってもいいか?」

 

「構わないけど、何に使うんだ?」

 

「何って、私も来年度はデュエルアカデミアを受験するつもりだから、テスト勉強に使用するに決まっているだろう」

 

ここまで話して、俺は今まで勘違いしていたことに気付いた。

 

「あれ?セレナの進学希望先ってデュエルアカデミアなのか?ユーゴ達と一緒に進学校の特待生枠を狙いに行くものとばかり思っていたんだが…」

 

「違うぞ。私は来年は必ずデュエルアカデミアを受験して合格するつもりだ」

 

「何で?はっきり言って、JRDGで優勝を決めたセレナにとって今のデュエルアカデミアはレベル低いぞ?その後の進学や就職を考えるならユーゴ達の選択が無難だぞ」

 

俺は転生の女神様のせいで、デュエルアカデミア入学しない→死。デュエルアカデミア卒業失敗→死。と言う人生の縛りプレイを余儀なくされているから仕方なく行くんだぞ?

 

「何故ってそれはお前が…いや、別に何でもいいだろう!私の勝手じゃないか!」

 

何故かいきなりセレナが顔を真っ赤にして怒りだした。えぇ…なんで?思春期の女の子の扱いは難しいな。でもセレナもデュエルアカデミアに来るつもりなのか。この娘の成績は俺と変わらないくらいだから筆記はまず通るだろうし、この娘が実技で落ちるとも思えない。

 

つまり、原作2年目の光の結社編開始時点でセレナがデュエルアカデミアに居ることになるな。これはマズイ。この娘は間違いなく光の結社のアホどものターゲットになるだろうし、その後の異世界編やダークネス編にも巻き込まれてしまうだろう。この娘にはあんなつまらない抗争に巻き込まれて欲しくないんだけど、意志は固そうだな。

 

俺が常時一緒に行動してあげられればいいだろうが、保護者でもない俺が年頃の少女にずっと付きまとうとか流石に本人も嫌がるだろうしアウトだろう。なら、彼女がオカルト案件に巻き込まれても多少何とかなるように、彼女自身にオカルト方面でも強くなって貰うしかないか。

 

~~~

 

中学三年生の冬真っただ中の12月下旬、クリスマスも終わって中学校最後の冬休みの昼頃、俺はいつものように精霊界にやって来ていた。ただ、今回はいつもと違うこともある。それは…。

 

「うん…クロト?ここは、何処だ?」

 

「おっ、目が覚めたかセレナ」

 

森の中で眠っていたセレナが起きたようなので声を掛けておく。

 

「おはよう。そして、ようこそ精霊界へ」

 

「精霊界…?」

 

「そう。ここは精霊界にある村の近くにある森の中だ。オカルトアイテムの入浴剤『精霊の湯』を使って精霊界に来る場合は毎回この場所に出るんだよ」

 

俺がそう説明すると、セレナは頭を左右に振りながら辺りを見回している。

 

「段々と思い出してきた。確かクロトから貰った入浴剤を私の屋敷の浴場で使って、そのお湯に2人で入ったんだったな。あれ?服を着ているぞ?」

 

「入浴剤を使う前に説明したと思うが、精霊界に移動するときは何故か自分が普段よく着る服を着ている状態になるんだよ。セレナが風呂に入る前に来ていたスクール水着は、人間界に戻ったらまた着ているから安心するといい」

 

「そ、そこは思い出さなくていい!」

 

クリスマスにセレナに渡した入浴剤『精霊の湯』の使い方を実践で教える為、冬休みを利用してセレナの屋敷の浴槽を借りて一緒に入浴剤を入れたお風呂に入ることにしたのだ。ちなみに彼女に渡したのは以前シスターから貰ったオリジナルの方だ。俺はオリジナルを元に師匠たちと一緒に作った複製品を所持しているので彼女にあげちゃっても今後に支障はない。

 

自分の家の風呂に入るのに、何を勘違いしたのかスクール水着を着てきたセレナに入浴剤『精霊の湯』の使用方法と注意事項を説明し、一緒に浴槽に浸かって精霊界までやって来たのだ。

 

「バニー♪」

 

「クロトーやっほー」

 

「おーっす」

 

そこまで説明したところで、木の陰からバニーラとキーメイスがやって来た。どうやら俺達が精霊界にやって来たのに気が付いて迎えに来てくれたらしい。

 

「バニーラ?それにそっちはキーメイスか。この子たちがカードの精霊なのか?」

 

「その通り。じゃあ迎えも来たことだし、まずは村に行って皆にセレナの紹介でもするか」

 

「バニー♪」

 

「OK~」

 

物珍しそうにあたりをキョロキョロするセレナとその後ろを歩いているキーメイス、彼女の周囲をウロウロしているバニーラを連れて数分歩き、キーメイスたちの村へとやって来た。事前にセレナを連れてくることを教えていた為、村の精霊たちが広場に集まっている。

 

「おぉ…カードの精霊がこんなに…」

 

「この村だと大体30体くらいかな」

 

村の精霊たちは俺以外の人間が珍しいらしく、あっという間にセレナを取り囲んでしまった。

 

「おぉー、クロト以外のニンゲンだー!」

 

「やっほー」

 

「こんにちわー!」

 

「ハロー!」

 

「ニーハオ!」

 

「グーテンモーゲン!」

 

「ボンジュール!」

 

「く、クロト!なんとかしてくれ!」

 

「はいはい。君たち、彼女が怯えているから取り囲むのは止めなさい」

 

「「「「「はーい」」」」」

 

これ以上は話が進まないので、セレナと村の精霊たちにそれぞれ自己紹介してもらい、精霊たちは自分の住処へと戻って貰った。

 

「なるほど。クロトはここを拠点にして鍛錬を積んできたわけか」

 

「そうだ。世の中には科学では解明できないオカルトチックな不思議な力があることは舞網市やハートランドシティの件で知っているとは思う。俺はそのオカルトに対抗するためにこの世界で力を蓄えることにしたんだ」

 

「そして今後は私たちもそういった事件に巻き込まれる可能性があるから、自衛のための力を身に着ける必要がある。だったか。リンたちも来れればよかったのにな」

 

「ユーゴとリンは今やリア充だからな…。今頃は映画館とかでイチャイチャしているんじゃないか?」

 

詳しい経緯は不明だが、学園祭やクリスマスを経てユーゴとリンは恋人同士になったらしい。これが他の連中なら「リア充〇ね」と毒を吐くところだが、一緒に住んでいる家族なら素直に祝福できると言う物だ。

 

「あの子たちについてはいずれ時間がある時にでも教えればいいさ。さて、カイバーマンへの挨拶は後ほど行くとして、セレナには俺がこの世界で知っている情報を伝えておこう」

 

「あぁ、頼む」

 

そして、俺が具体的にどんなことをやって来たか、この世界にはどのような勢力があってどのような危険があるか、目を閉じて帰りたいと強く念じれば元の世界の場所に戻れることなどを伝えた。

 

その後、俺の使える魔術の一つである身体能力強化をセレナに教えた。俺が習得に3か月くらいかかったそれをセレナが30分ほどで習得した時に、才能の違いを見せつけられて凹んだのは内緒だ。

 

ユーゴやリンはともかく、光の結社編やユベル編に巻き込まれそうなセレナには、最低でも精霊を見る力と破滅の光の洗脳を跳ね除ける力くらいは習得してもらいたい。俺がデュエルアカデミアに行ってしまう前になるべくサポートをしておこうと思う。数年ぶりの家庭教師業の再開だな。

 

~~~

 

中学三年生の冬真っただ中の1月初旬、ユーゴ達が初詣に向かった後、俺は孤児院に併設されている教会でシスターセシリアと話をしていた。なんでも真面目な話があるということだが、転生の女神様と瓜二つなシスターの真面目なな話と言われると少し身構えてしまう。どんな話があるのやら。

 

「それでシスター、話って?」

 

「以前クロトには話したと思いますが、私には神のお告げを聞く能力があります」

 

確かに小学校卒業時くらいのタイミングで聞いたことがあった気がする。前世で聞いたなら「新手の宗教活動かな?」などと思ってしまいそうだが、この世界においてはどんなオカルト現象であろうとも「有り得るんじゃないか?」と思ってしまうな。

 

「そして昨日、また新たにお告げがありました。今日この日、誰もいなくなった教会でクロトと二人でいるように、と」

 

「今まさにそんな状態だけど…って、シスター?なんだかシスターの体が発光しているように見えるんだけど…」

 

シスターと話している最中に突然シスターの体が発光し始めた。うおっ!眩しっ!

 

 

余りの光の強さに瞼を閉じた俺は、目の前に居るだろうシスターに何者かが乗り移ったような気配を感じた。

 

やがて光が収まってきた頃に目を開けると、そこにはいつもの教会ではなく辺り一面が白い世界が広がっていた。とても見覚えのある光景だ。具体的にはこの世界に転生する直前に転生の女神様と出会った場所に酷似している。

 

そして、俺の正面に立っていたはずのシスターの容姿も変化していた。いつものような修道服ではなく、絹の様に白い肌を高級感漂う白いローブを着て覆い、背中には白銀の翼を生やした長い金髪と青い瞳を持つ絶世の美女。まさに前世の最後に見た転生の女神その人であった。

 

「お久し振りですね、朝霧涼夜。いえ、今は白河クロトと呼ぶべきですね」

 

「お久し振りです、女神様。本日はどのようなご用件で?」

 

目の前の絶世の美女に気後れしながらもなるべく顔に出さずに挨拶を返す。こうして会うのは2度目だが、以前は感じることが無かったその圧倒的な存在感を前に足が竦む。今まで戦った連中などとは比較にもならない。これが本物の神様というわけだ。

 

「今日はセシリアに手伝ってもらい、貴方に賞賛の言葉を送ろうと思いましてね」

 

「賞賛、ですか」

 

「えぇ。よくぞこの十年間を生き延びましたね」

 

「と言いますと?」

 

「この世界とは違いますが、ここと同じような世界に貴方と同じような条件で転生者は送り込んだ事例は過去に何件もあったのですよ。ですが、この原作が始まる10年間を生き延びたのは貴方が初めてです」

 

「そうなんですか」

 

俺と同じような転生者が過去に何人も居たんだな。この世界とは違う世界みたいだし、会うことが無かったのは当然なんだろうが、どんな生活をしたのか少し気になるな。

 

「貴方以外の転生者は皆が与えられた力に溺れ、自己研鑽を怠った結果、次々と死んでいきました。そんな彼らの姿を見ていて…とてもつまらなかったです」

 

おや?雲行きが怪しくなってきたぞ?

 

「その点、貴方は与えられた転生特典に満足せずに努力を重ね、見事今日まで生き残ることに成功しています。この世界の難易度を上げ過ぎたのではないかと思ってヒヤヒヤしていましたが、その心配も無用だったわけですね」

 

おやおや?

 

「貴方が取り乱したり、酷い目に遭ったり、死に掛けになったりする様は、まさに愉悦!見ていて非常に楽しませてもらっています。巨大なサーモンに追いかけられて喚き散らして逃げ回る様は抱腹絶倒物でした。今後もよろしくお願いしますね♪」

 

転生の女神様ことクソ女はとてもいい笑顔でこちらに微笑みかける。その姿は正に美術館で飾られているような絵画のようだ。その口元が三日月の様に酷く歪んで居なければの話だが。

 

 

こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッー!!こんな悪には出会ったことがねえほどなァー!環境で悪人になっただと?違うねッ!!こいつは生まれついての悪だッ!

 

この女、見た目は清楚な美女だが中身はマジモンのクソ女じゃねーか!!転生者は全員こいつの遊び道具ってかぁ!?ふざけんな!!お前が〇ね!!

 

 

「マジかぁ」

 

「えぇ。期待していますよ?白河クロト。それでは私はこれで失礼します。これからの貴方のデュエルアカデミアの3年間には期待していますくれぐれも私を失望させないようにお願いしますね?」

 

クソ女(転生の女神)はそう言い残すと体中を発光させ、その光が収まる頃にはいつもの教会に戻り、クソ女が居たところにはシスターセリシアが立っていた。

 

 

「クロト、女神様にはお会いできましたか?」

 

「えぇ、まぁ」

 

どうやら見た目は瓜二つだがシスターと女神は別の存在らしく、シスターは先ほどの俺とクソ女とのやり取りについては知らないようだ。知っていたならこんな反応は出来ないだろう。

 

だがこれで長年の疑問が少し解決したな。シスターセシリアは普段は良識ある大人だが、時々俺に対してだけ非常に意地悪な性格を見せる時があった。恐らくだがその時だけクソ女こと転生の女神に体を乗っ取られていたのだろう。

 

あのクソ女の思惑通りに動くのは癪だが、俺は何としても生き延びたい。あと3か月ほどで始まるデュエルアカデミアの3年間、なんとしても生き延びてやるからな!




原作突入前のオリ主の最後の日常回でした。

そして、特に知る必要のなかった転生の女神の中身の紹介です。オリ主には女神への反骨精神をバネにしてなんとか原作ストーリーを生き延びて欲しいものです。

次回の更新は2/28(日) AM12:00予定です。
※第八十九話までの設定集となります。読まなくても本筋には一切関係がありません。

本編の更新はは/3(水) AM6:00予定です。


白銀神雅魅様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクター紹介&設定資料(~八十九話まで)

本作の今まで登場した主なキャラクター設定まとめその2

未登場のキャラクターも少し書いてあります。

筆者のメモの様な物なので、思い出したかのように時々追加、修正、更新されるかもしれません。


◆本作の大まかな時系列

 

原作15年前

 遊戯王DMストーリー完結。

 転生の女神による世界改変開始。

 コブラ、リックと出会う。

 影丸、孤島にて三幻魔の存在を知る。

 トラゴエディア、封印から目覚める。

 

原作12年前

 デュエルアカデミア本校の開校

 トラゴエディア、Mr.マッケンジーと邂逅する。

 

原作10年前

 朝霧涼夜30歳中盤、OCG次元にて火災事故により友人を庇い、死亡。

 白河クロト5歳、両親とともに交通事故に遭い、死亡。

 朝霧涼夜、転生して白河クロトと魂が融合し、オリ主として蘇生する。

 オリ主5歳、孤児院に入る。

 オリ主、コナミ、シスターセシリア、柳、鈴木たちと出会う。

 十代、ネオスとユベルのカードを宇宙に放流する。

 マスター鮫島、プロデュエリストを引退してサイバー流道場を開く。

 丸藤亮、サイバー流道場に入門する。

 

原作9年前

 オリ主、ペガサスと出会う。

 オリ主、かがやき小学校に入学する。

 オリ主、ハノイの騎士(偽)としての活動を開始する。

 オリ主、ハノイの騎士(偽)として丸藤亮をデュエルでボコる。

 破滅の光が地球に降り注ぐ。

 DDによる強盗殺人未遂事件が発生。

 ユベル、地球に飛来する。この際、2体に別れる。

 十代、ユベルAと再会し、2つ目の人格が覚醒する。

 リック、事故に遭う。 

 コブラ、ユベルBと出会う。

 藤原優介の両親、事故に遭う。

 赤馬零王、禿げる。

 Dr.ドクトル、【パラサイト・フュージョナー】製作開始。

 シンクロ召喚・エクシーズ召喚が実装され、マスタールール2になる。

 

原作8年前

 オリ主、天上院兄妹、ユーゴ、リン、カイバーマンと出会う。

 オリ主、天上院兄妹にハノイの騎士(偽)の正体がバレる。

 オリ主、ハノイの騎士(偽)として本格的に各地の大会荒らしを開始する。

 オリ主、ハノイの騎士(偽)としてトマト君をデュエルでボコる。

 オリ主、精霊界での修行を開始する。

 オリ主、精霊界でカイバーマンにデュエルを挑み、瞬殺される。

     (本文に詳細な描写は無し)

 

原作7年前

 オリ主、精霊界にて最上黒魔術師に弟子入りする。

 オリ主、ハノイの騎士(偽)として万丈目準をデュエルでボコる。

 ロジェ、アカデミアを去り舞網市にやって来る。

 

原作6年前

 オリ主、響紅葉、インセクター羽蛾、ダイナソー竜崎と出会う。

 インセクター羽蛾、ダイナソー竜崎がプロリーグへ進出する。

 丸藤亮、サイバー流道場にてサイバー流後継者として選ばれる。

 イリアステル、オリ主の存在を感知する。

 

原作5年前

 オリ主、早乙女レイ、セレナ、バレット、ユーリ、デニスと出会う。

 オリ主、丸藤亮と早乙女レイにハノイの騎士(偽)の正体を明かす。

 オリ主、赤馬レイ、赤馬零王、城之内兄妹と出会う。

 オリ主、ランサーズの創立に立ち会う。

 オリ主、カードの精霊が見えるようになり、精霊のカードを得る。

 オリ主、イリアステルにほぼ位置を特定される。

 丸藤亮、マスター鮫島と対決して裏サイバー流デッキを得る。

 丸藤亮、天上院吹雪がデュエルアカデミア中等部に入学する。

 マスター鮫島、道場を畳んでデュエルアカデミアの校長になる。

 ハートランドシティにて行方不明事件が多発するようになる。

 

原作4年前

 オリ主、レイン恵、赤馬零次、榊遊勝と出会う。

 オリ主、「No.」を解禁する。

 オリ主、レインに発見され、イリアステルに完全に補足される。

 オリ主、かがやき小学校を卒業する。

 ペンデュラム召喚が新たに実装され、マスタールール3もどきになる。

 舞網市にて大規模誘拐事件が事件発生。

 

原作3年前

 オリ主、かがやき中学校に入学する。

 オリ主、限定的に【ラーの翼神竜】が使用できるようになる。

 オリ主、海馬兄弟と出会う。

 ハートランドシティのテロ事件が発生。

 ロジェ、Dr.ドクトルが逮捕される。

 万丈目準、天上院明日香がデュエルアカデミア中等部に入学する。

 

原作2年前

 オリ主、藤原雪乃、マッケンジー一家、トラゴエディアと出会う。

 オリ主、イリアステル幹部と出会い、停戦条約を結ぶ。

 丸藤亮、天上院吹雪がデュエルアカデミア高等部に入学する。

 鮫島校長、丸藤亮と再会する。

 エド・フェニックス、プロリーグへ進出する。

 アメリカにて破滅の光による事件が発生。

 DD、逮捕される。

 藤原優介、天上院吹雪が行方不明になる。

 

原作1年前

 オリ主、ツァン・ディレ、黒咲隼、黒咲瑠璃、ユートと出会う。

 オリ主 イリアステルと協力してパラドックスを救出する。

 オリ主、カイバーマンに初めてデュエルで勝利する。

 舞網市にてリアルソリッドビジョンシステム暴走(覇王龍ズァーク事件)

 

◆登場キャラクター紹介(第45話~第89話まで)>

 

<オリジナル主人公>

 

【白河クロト】

 

■第45話終了時点(12歳)

カードパワー :EX

カード知識 :EX

デュエルセンス :B

カードドロー力 :B

総合身体能力 :A

オカルトパワー :A

ギャンブル能力 :E

対人会話能力 :D

 

 

■第89話終了時点(15歳)

カードパワー :EX

カード知識 :EX

デュエルセンス :A

カードドロー力 :A

総合身体能力 :S

オカルトパワー :S

ギャンブル能力 :F

対人会話能力 :C

 

<目安>

EX: インチキチート

S: 反則級。逸般的な決闘者

A: 超人級。優秀な決闘者

B: 一般的な決闘者

C: 凡骨

D: 馬の骨

E: 負け犬

F: 雑魚

 

<備考>

神様転生者。原作10年前(DM変終了直後)に下記2つの魂が融合し、5歳の子供として転生した。

朝霧涼夜30歳中盤、OCG次元にて火災事故により友人を庇い、死亡。

白河クロト5歳、両親とともに交通事故に遭い、死亡。好きなカードは【バニーラ】

転生前の『朝霧涼夜』は、元OCG次元のリアリストで、事なかれ主義のサラリーマン。

蘇生前の『白河クロト』は、デュエルとバニーラが好きなごく普通の少年。

転生後は『朝霧涼夜』と『白河クロト』の記憶を持つ新たな存在。現在のオリ主になる。

 

転生の女神による転生特典として下記2つの能力を得る。

転生特典① OCG次元の全カード、アニメ仕様の神のカード、アニメ仕様『No。』を持つ。

転生特典② 前世の記憶、OCG次元のカード知識、DM~VLAINSまでの原作知識。

 

現時点で15歳。誕生日は4月4日。転生後は幼い肉体に精神を引っ張られており、

年相応の性格となった。お気楽だけど負けず嫌い。時々調子に乗る。でも強敵からは逃げる。

VLAINSで登場した『ハノイの騎士』の恰好をして暗躍する。

最近はZEXALに登場する『バリアン七皇』の恰好をすることもある。

 

デュエルセンスとドロー力はぎりぎりネームドキャラ並みまで向上。

オカルトパワーはコナミや十代を除けば作中トップクラス。

身体能力も向上しプロフェッサーコブラともタイマンを張れる。

ギャンブルカードとの相性は最低の一言。ほぼ外れる。何故か昔より悪化した。

コミニュケーション能力は僅かに上昇したがあまり改善はされていない。

人間の友人より精霊の友人の方が多いくらい。

中学校に入ってから低かった身長はぐんぐん伸びて成人男性の平均くらいになった。

ビームを出せる、バリアが張れる、姿を隠せる等、カードゲームの世界では不要なスキルを

無駄に習得している。

 

世界の異物であり、そこに居るだけで世界改変を起こす迷惑な存在。

シンクロやエクシーズを世界に広める、原作キャラに介入して意識改革を図る。

など、目立たないところから少なからず世界に影響を与えている。

 

かがやき小学校およびかがやき中学校で色々やらかしたらしく、

様々な異名を持つ。一番有名な通り名が【バニーラ卿】

 

使用デッキは色々。

オカルト技能:身体強化、魔導波、魔導弾、魔力視、魔力探知、魔力障壁、幻想の呪縛、物質浮遊

       治癒魔術、水属性魔術

主なカードの精霊:【バニーラ】【キーメイス】【ワイト】【プチリュウ】【メカレオン】など。

 

<精霊のカードの特殊能力>

バニーラ:誘発即時効果。自動防御。気付いたら勝手に実体化している。かわいい。

キーメイス:起動効果。マインドスキャンもどき。開錠。

ワイト集団:起動効果。低コストによる人海戦術が取れる。ワイトからはオリ主の位置がわかる。

プチリュウ:起動効果。飛行能力。魔力をより込めれば自動車並みの高速移動も可能。

メカレオン:起動効果。光学迷彩。音や匂いも消せる。

 

<オカルトパワー用語解説(原作DMとは細かいところが似て非なるオリジナル設定です)>

魔力(ヘカ)

→簡単に言うと、RPGで言うところの魔法攻撃力・魔法防御力です。

 

魔力量(パー)

→簡単に言うと、RPGで言うところのMP(マジックパワー)です。

 魔力を必要とする行動を取ると消費し、時間経過で回復します。

 

精霊(カー)

→主にカードの精霊や魔物のことを示します。

 

 

<タッグフォースキャラクター>

 

【赤羽コナミ】

遊戯王タッグフォースシリーズの主人公。赤帽子に赤ジャケット。

公式チート(身体能力、デュエリスト技能、Dホイール操縦技能、オカルトパワー)

オリ主と同い年。原作とは違い無口ではない。

ドローパンが好きなのとデュエル狂なのは変わらず。男女問わずもモテる。

使用デッキは色々。デッキは拾った。

 

【レイン恵】

遊戯王タッグフォースシリーズ4以降の登場人物。ZONEの部下。

原作だと5D’s主人公の不動遊星が所属するチーム5D’sの監視をしている

ゴーストと呼ばれるサイボーグの1体。

本作だと居るだけで世界改変を起こす迷惑な存在であるオリ主の監視をしている。

初対面時に煽られて敗北したことで闘争心が芽生えてしまった。

アメリカ編を経て、オリ主との関係性は多少緩和された模様。

現在の見た目はタッグフォース5時代の銀髪ツインテール。

使用デッキは【シンクロアンデット】。【エルドリッチ】

 

【ツァン・ディレ】

遊戯王タッグフォースシリーズ4以降の登場人物。

原作だと5D’s主人公の不動遊星の住むネオドミノシティの住人。

デュエルアカデミアの生徒。

本作だとオリ主と同じくデュエルアカデミアの受験生。

中学の実力試験での対戦相手としてオリ主と出会う。

成績優秀でオリ主とは成績順を争う仲。孤高(笑)の存在の為、中学時代はボッチ。

初対面時に煽られて敗北したことで闘争心が芽生えてしまった。

現在の見た目はタッグフォース4時代のモブっぽい感じの髪型で髪色だけはピンク。

使用デッキは【真六武衆】

 

【藤原雪乃】

遊戯王タッグフォースシリーズ2以降の登場人物。4以降も性格が変わるが続投。

原作だと5D’s主人公の不動遊星の住むネオドミノシティの住人。

デュエルアカデミアの生徒。

本作だと天上院明日香と同じくデュエルアカデミア中等部の学生。

アメリカ校でデュエルし、久し振りに敗北したことでオリ主に興味を持つ。

オリ主があまりに低身長だったため、2つくらい年下だと思っている。

使用デッキは【デミスドーザー】【ルイン】【リチュア】【ゾーク】【推理ゲート】

 

【宮田ゆま】

遊戯王タッグフォースシリーズ2以降の登場人物。4以降も続投。

原作だと5D’s主人公の不動遊星の住むネオドミノシティの住人。

デュエルアカデミアの生徒。

本作だと天上院明日香と同じくデュエルアカデミア中等部の学生。

アメリカ校で破滅の光の使者に襲われた際、バリアン(偽)に助けられる。

そのせいで少しおかしな子になってしまった模様。

使用デッキは【次元斬】【M・HERO】

 

<DMの主なキャラクター>

 

【武藤遊戯】

原作及びアニメ版DMの主人公。本作未登場。登場するかも未定。

使用デッキは【ハイランダー】

 

【海馬瀬人】

原作及びアニメ版DMの登場人物。海馬コーポレーションの社長。

本作だとハートランドシティの事件後にオリ主と知り合い、彼の三幻神デッキを撃破。

一応、オリ主の実力はある程度認めており、オカルト案件は彼に丸投げするようになる。

使用デッキは【青眼】

 

【城之内克也】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその1。

本作だとプロリーグの中間くらいの順位でくすぶっていたところ、オリ主と出会う。

オリ主からレッドアイズや戦士族カード、ギャンブルカードを貰って使いこなしている。

ギャンブルに強く、彼にとって【カップ・オブ・エース】はただの強欲な壺である。

昔の友人や妹の静香、孔雀舞との関係は良好。

最近はプロリーグの順位を順調にあげており、現在31位。実は既婚者で子持ちの勝ち組。

使用デッキは【真紅眼】

 

【孔雀舞】

原作及びアニメ版DMの登場人物。本作未登場。登場するかも未定。

使用デッキは【ハーピィレディ】【アマゾネス】

 

【海馬モクバ】

原作及びアニメ版DMの登場人物。海馬コーポレーションの副社長。

本作だとハートランドシティの事件後にオリ主と知り合う。

オカルト案件を海馬社長から丸投げされたオリ主をフォローしてくれたり、

逆にオリ主からの依頼を受けてくれたりするハイスペックイケメン。

使用デッキは【サンダー・ドラゴン】

 

【河合静香】

原作及びアニメ版DMの登場人物。城之内克也の妹。

 

【インセクター羽蛾】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその2。

本作だとデュエルモンスターズから離れてペットショップを経営していてオリ主と出会う。

オリ主からインゼクターや昆虫族カードを貰って使いこなしている。

竜崎と共に遊戯や城之内へ謝罪し、過去の自分と決別した真人間。どうしてこうなった。

最近はプロリーグの順位も上位組となり、現在12位。スポンサーからの意向により、

【インゼクター】以外のデッキも使用するようになっている。

使用デッキは【インゼクター】、【B・F】、【電子光虫】

 

【ダイナソー竜崎】

原作及びアニメ版DMの登場人物。DMシリーズにおける本作の魔改造キャラその3。

本作だとプロリーグの試験すら通らずに腐っていたところを、オリ主と出会う。

オリ主からジュラック、エヴォルや恐竜族族カードを貰って使いこなしている。

羽蛾と共に遊戯や城之内へ謝罪し、過去の自分と決別した真人間。どうしてこうなった。

最近はプロリーグの順位も上位組となり、現在23位。

城之内との勝敗は五分五分まで上昇したが、相変わらず羽蛾には勝てていない模様。

使用デッキは【ジュラック】【エヴォルド】

 

【ペガサス・J・クロフォード】

原作及びアニメ版DMの登場人物。王国編のボスキャラ。I2社の会長。

本作だとアマチュアデュエリスト大会にゲストとして来ていたところをオリ主と出会う。

この世界で唯一、オリ主のこの世界への来歴を知っている。

シンクロ、エクシーズをオリ主の提案で世に解き放つ。

オリ主からトゥーン関連のカードを貰っている為、デュエル自身もかなり強い。

使用デッキは【トゥーン】

 

【パンドラ】

原作及びアニメ版DMの登場人物。バトルシティ編の中ボスキャラ。元奇術師。

本作だとDM時代にグールズとして働いていた悪行の生産の為に刑務所内の病院に入院していた。

そこをオベリスクフォースによって拉致されて洗脳され、オリ主の前に立ちはだかることとなる。

つい最近まで刑務所に居たため、シンクロ、エクシーズなどの知識はほぼ皆無。

デッキも変化がないため、相対的には弱くなっている。

少し前にかつての恋人と再会し、彼女の新しい人生を知り、彼女を祝福している。

使用デッキは【ブラック・マジシャン】

 

<遊戯王Rのキャラクター>

 

【天馬兄弟】

原作外伝である遊戯王Rの登場人物。I2社の社長、支部長。

本作だとペガサスの養子。兄が『月行』、弟が『夜行』

ペガサスに紹介されてをオリ主と出会う。

オリ主から話を聞いて、この世界にリミットレギュレーションを考案した。

更に、Dホイールを開発した。最近開催したJRDGの主催者も務めていた。

使用デッキは特になし。

 

<GXの主なキャラクター>

 

【遊城十代】

アニメ版GXの主人公。

「正しき闇の力を持つ者」であり、幼いころから精霊の姿が見える。インチキドロー使い。

原作では、幼少期にユベルとの関係が上手く行かず、彼女をネオスと共に宇宙へと送っている。

だが「正しい波動を取り込むことで清くなって欲しい」という願いとは裏腹に破滅の光を浴び、

その力を取り込んでしまう結果を生んでしまい、アニメ第三期の事件へと繋がっていく。

本作では何故か二重人格になり、既にユベルやネオスと行動を共にしている。

使用デッキは【E・HERO】【E-HERO】【ユベル】

 

【丸藤翔】

アニメ版GXの登場人物。丸藤亮の弟。

原作では、初期の頃は遊城十代の弟分として行動を共にするだけのオシリスレッドの生徒。

後にセブンスターズ編、光の結社編、異世界編を通じて大きく成長し、遊城十代の弟分ではなく、

共に肩を並べられる友人となるため奮闘する。

使用デッキは【ロイド】

 

【前田隼人】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【オーストラリア】

 

【万丈目 準】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその1。

原作では、傲慢な性格だったが十代に何度も敗れて丸くなる。

本作では、幼少期にオリ主に雑にボコられて謎の自信と慢心が無くなる。

凹んでいたところを慰められて兄2人と和解して仲良くなる。

打倒オリ主と言う目標が出来て向上心が増す。遊城十代の黒星候補その1。

アメリカ編で響プロと出会い、【光と闇の竜】に精霊の力が宿る。

だが、最近のデュエルでは【光と闇の竜】を封印しているらしく、戦歴はあまり良くない。

使用デッキは色々。今は【ドラゴン族】

 

【天上院 明日香】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその2。

原作では、最初期から遊城十代をオシリスレッドの生徒として見下さない希少な存在で、

良く行動を共にしていた。異世界編辺りからだんだんと出番が無くなっていく。

本作では、幼少期にオリ主とデュエルして【サイバーエンジェル】を早期から入手する。

オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来て闘争心が増す。遊城十代の黒星候補その2。

兄の失踪に心を痛めるが、友人たちのケアにより原作よりも少し心に余裕がある。

使用デッキは【サイバーエンジェル】

 

【    】

アニメ版GXの登場人物。

原作では、最初期こそ遊城十代のライバルキャラを務めていたが、セブンスターズ編で

タニヤに敗れたあたりから存在感が消えていき、最終的に異世界に残ることになる。

本作では、デュエルアカデミアの入学前に舞網チャンピオンシップなどの大会に出場。

その大会の一つでオリ主と知り合うことになる。

使用デッキは色々。主に【ウォーター・ドラゴン】

 

【天上院 吹雪】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその3。

原作では、当初行方不明だったがセブンスターズ編の途中で発見され、意識を取り戻す。

本作では、幼少期にオリ主とデュエルして【獣戦士族】のカードを大量入手する。

オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来て闘争心が増す。遊城十代の黒星候補その3。

アメリカ編終了後すぐに行方不明となる。

使用デッキは【獣戦士族】

 

【丸藤 亮】

アニメ版GXの登場人物。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその4。

原作では、アカデミアにてカイザーと呼ばれた凄腕。後にプロになりヘルカイザーとなる。

本作では、原作同様わずか9歳にしてサイバー流の免許皆伝と共にサイバーエンドを相伝する。

その後、オリ主とデュエルして更なる【サイバー流】のカードを大量入手する。

幼少期に敗北を知り、オリ主と言う身近なライバルが出来て目標が出来て一皮むける。

中学入学前にの時点で既に鮫島師範を叩きのめして【裏サイバー流】デッキを入手している。

LPが2000を下回ると温厚なカイザー亮から勝利をリスペクトするヘルカイザー亮に変身する。

遊城十代の黒星候補の筆頭。

親友の行方不明に心を痛めており、その調査に乗り気でない鮫島校長にわずかな不信感を持つ。

使用デッキは【表サイバー流】【裏サイバー流】

 

【エド・フェニックス】

アニメ版GXの登場人物。現プロリーグ所属のプロデュエリスト。

原作では、十代のライバルの1人で光の結社編での重要人物。

本作では、オリ主の世界改変の影響をモロに受けた人。そのおかげで父親の命は助かった。

プロリーグで【D-HERO】を使わない舐めプをして響紅葉や綺麗な強化虫野郎に

あっさりと瞬殺されてしまった。

直接対峙していないせいで、DDについてはいまだに憎み切れないところがある。

使用デッキは【D-HERO】だが、今は別のデッキ。

 

【斎王 琢磨】

アニメ版GXの登場人物。プロデュエリストのエド・フェニックスの秘書。

原作で、アニメ第二期で破滅の光に洗脳されて光の結社を作ることになる黒幕兼被害者。

本作では、DDを倒したオリ主と当時一緒に居た銀髪の少女の存在を警戒している。

使用デッキは【アルカナフォース】。

 

【ティラノ剣山】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【恐竜族】

 

【早乙女 レイ】

アニメ版GXの登場人物。丸藤亮の追っかけ。GXシリーズにおける本作の魔改造キャラその5。

原作では、第一期初期に登場後、光の結社編終盤で再登場した異世界編前半の重要人物。

本作では、【恋する乙女】のカードを入手する前にオリ主より【ライトロード】を渡された為、

同年代で彼女に勝てる小学生は居ない。遊城十代の黒星候補その4。

オリ主とはデュエルアカデミア潜入作戦の相談をよくしているので結構親しい。

使用デッキは【ライトロード】

 

【ヨハン・アンデルセン】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアークティック校チャンピオン。

原作では、異世界編の重要人物にして遊城十代の親友。非常に個性的な性格をしている。

本作では、オリ主と直接出会うことは無かったが少し登場している。

使用デッキは【宝玉獣】

 

【オースチン・オブライエン】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのウエスト校生徒。本作未登場。

原作では、異世界編の重要人物にして遊城十代の親友。デュエルディスクからカードを射出する。

本作でも、登場時期は原作とほぼ変わらないと思われる。

使用デッキは【ヴォルカニック・バーン】

 

【ジム・クロコダイル・クック】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのサウス校チャンピオン。本作未登場。

原作では、異世界編の重要人物にして遊城十代の親友。ワニのカレンをずっと背負っている。

本作でも、登場時期は原作とほぼ変わらないと思われる。

多分、本編までずっと出ない。OCG化の時期の関係により、留学生の中では頭一つ抜けて強い。

使用デッキは【化石融合】

 

【アモン・ガラム】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアのイースト校チャンピオン。本作未登場。

原作では、異世界編の重要人物。コブラと殴り合ったりユベルに協力する姿勢を見せたりする。

本作でも、登場時期は原作とほぼ変わらないと思われる。

多分、本編までずっと出ない。OCG化の時期の関係により、留学生の中では頭一つ抜けて残念。

使用デッキは【雲魔物】

 

【クロノス・デ・メディチ】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの講師。本作未登場。本作未登場。

原作では、登場当初の嫌味でクズな性格から、セブンスターズ編にて大きく成長する。

本作では、女神による世界改変における被害者の一人。よりにもよって自身と同じデッキが

世界規模のテロリストにシンボルデッキとして使用されてしまう。当然、世間からの辺りも強い。

使用デッキは【古代の機械】

 

【鮫島】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの校長。本作未登場。

原作では、セブンスターズ編、光の結社編、異世界編においてある意味元凶と呼べる人物。

本作でも、おそらくそうなりそう。

使用デッキは【サイバーオーガ】

 

【大徳寺】

アニメ版GXの登場人物。デュエルアカデミアの講師。セブンスターズの一人。本作未登場。

原作では、セブンスターズ編の終盤にて十代と戦い、死亡。でも飼い猫のファラオに魂を呑み込まれ、

成仏できずに本編終了まで時々登場して十代のサポートを行う。

本作でも、おそらくそうなりそう。

使用デッキは【錬金術】

 

【他セブンスターズ】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第一期にて【三幻魔】の復活を狙う【影丸】の手下。

原作では、セブンスターズ編にて十代たちと死闘を繰り広げる者たち。

本作では、カミューラとタイタン辺りに変化が起こっている可能性が高い。

使用デッキは個人ごとに異なる

 

【影丸】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第一期にて【三幻魔】の復活を狙う黒幕。本作未登場。

原作では、セブンスターズ編の元凶にてラスボス。ダークネス編で再登場する。

本作でも、おそらくそうなりそう。

使用デッキは【三幻魔】

 

【DD】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。多分、本編までに出る。

アニメ第二期にて【D-HERO Bloo-D】を巡ってエドと争うことになる。

原作だとエドの父親を殺害して【D-HERO Bloo-D】を強奪した張本人。

今作ではアメリカ編終盤でオリ主にボコられ、過去の罪を暴かれた上で警察に逮捕された。

使用デッキは【闇属性戦士族】。※本作オリジナル設定。

 

【コブラ】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場。本作未登場。多分、そのうち出る。

アニメ第三期にてデュエルアカデミアにやってくる講師。

原作だと死んだ息子のリックを生き返らせようとして暗躍する。

本作では…。

使用デッキは【ヴェノム】。

 

【ユベル】

アニメ版GXの登場人物。本作未登場?いつ出てきても不思議ではない。

アニメ第三期にて【遊城十代】を巡る戦いで世界の融合を狙うことになる黒幕。

元【遊城十代】の精霊のカード。前世からの【遊城十代】の守護者。

遊戯王史上ベスト5には入るであろうやべー奴。オリ主は絶対に自分から関わらない。

原作だと、「破滅の光」により邪心を与えられてしまった。

本作では、何故か2体別々の場所に存在しているような描写がある。

使用デッキは【三幻魔】【ユベル】

 

【藤原 優介】

アニメ版GXの登場人物。丸藤亮や天上院吹雪と同期生。

アニメ第四期のキーパーソン。

本作未登場。多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは【クリアー】【光属性戦士族】※本作オリジナル設定。

 

【ミスターT】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第四期の【ダークネス】の手下。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

使用デッキは色々。

 

【ダークネス】

アニメ版GXの登場人物。アニメ第四期の黒幕。本作未登場。

多分、本編までずっと出ない。

遊戯王史上、最大のオカルトパワーの持ち主。オリ主にとって最大の悩みの種。

使用デッキは【ダークネス】

 

<漫画版GXの主なキャラクター>

 

【響紅葉】

漫画版GXの登場人物。現役のプロデュエリスト。

漫画GXシリーズにおける本作の魔改造キャラ。

原作だと、黒幕の襲撃を受けて昏睡状態に陥っていた。

本作だと、普通に元気。現在プロリーグ4位。

オリ主からOCG版【E・HERO】を大量に渡されたのでかなり強い。

彼の相棒のハネクリボーは原作と違って白い。

DDを直接倒す前に彼が投獄されてしまったことを少し悔しがっている。

使用デッキは【E・HERO】

 

【響みどり】

漫画版GXの登場人物。響紅葉の姉。本作未登場。

原作だとデュエルアカデミアのオシリスレッド1年生担当の講師。

使用デッキは【堕天使】

 

【レジー・マッケンジー】

漫画版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアメリカ校の生徒。

原作だと、紅葉と「闇の決闘」を行った本人で黒幕に操られていた。

本作だと、普通のデュエル・アカデミア・アメリカ校の生徒。

幼少期より響紅葉と交流があり、仲がいい。

使用デッキは【天使族】

 

【デイビッド・ラブ】

漫画版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアメリカ校の生徒。

原作だと、プラネットシリーズの所持者として激闘を繰り広げる。

本作だと、破滅の光の洗脳されてオリ主と戦うもボコボコにされる。

使用デッキは【闇属性機械族】

 

【トラゴエディア】

漫画版GXの登場人物。デュエルアカデミアのアメリカ校の校長である

レジー・マッケンジーの父親の体を乗っ取った精霊。

原作だと、漫画版GXの黒幕。3000年前に封印されていた魔物。

本作だと、3000年前に封印されていた魔物なのは変わらないが、過去に散々暴れ回った為に

恨みつらみが解消されており、ただの悪人顔の面白いこと好きなオッサン。

使用デッキは不明。

 

<5D’sの主なキャラクター>

 

【ZONE】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だと、アニメ版5D’sの黒幕。

本作だと、過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたり監視したり話し合いしたりする人。

オリ主のことは警戒しているが、コナミほどではないなとも思っている。

使用デッキは【時戒神】。

 

【アンチノミー】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だと、アニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。

本作だと、過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたりフォローしたりしている人。

オリ主と一緒にパラドックス救出作戦を実施してからはオリ主との関係は多少緩和した。

使用デッキは【テックジーナス】。

 

【アポリア】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だと、アニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。

本作だと、過去の時代(本作の時間軸)を監視して色々と驚いたり怒ったりしたりする人。

アメリカ編終盤でオリ主に挑み、酷いメタデッキでメタメタにされた。オリ主が嫌い。

使用デッキは【機皇】。

 

【パラドクス】

アニメ版5D’sの登場人物。

5D’s本編よりも遥か未来に訪れる世界が荒廃した絶望の世界の住人。

原作だと、アニメ版5D’sの黒幕ZONEの仲間。劇場版にて主人公三人と死闘を繰り広げる。

本作だと、劇場版終了後、何者かに回収されて修理されていた模様。

その後、オリ主に倒されて、イリアステルに回収された。

使用デッキは【Sin】。

 

【牛尾 哲】

原作漫画の遊戯王、遊戯王5D’sの登場人物。武藤遊戯や城之内克也の同級生。

原作だと、漫画の第一話に登場して最初に罰ゲームを受ける人。

アニメ版5D’sだと主人公の不動遊星と最初にデュエルする人物でもある。

あの【ゴヨウ・ガーディアン】の使い手。

本作だと、まだ二十代半ばだが、オベリスクフォースに誘拐されて洗脳されてしまい、

【ゴヨウ】デッキを所持して城之内と戦った。

使用デッキは【ゴヨウ(戦士族シンクロ)】。

 

【不動博士】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

5D’s本編開始時点では故人。

原作だとアニメ版5D’sの物語の根幹をなすモーメントの開発者。

使用デッキは不明。

 

【ルドガー・ゴドウィン】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

原作だとアニメ版5D’sの第一部のボスキャラ。

使用デッキは不明。

 

【レクス・ゴドウィン】

アニメ版5D’sの登場人物。本作だと未登場。

原作だとアニメ版5D’sの第一部のボスキャラ。

使用デッキは不明。

 

<ZEXALの主なキャラクター>

【Dr.フェイカー】

アニメ版ZEXALの登場人物。カイト、ハルトの父親。天才科学者。バイロンとは親友関係。

原作だと、バリアン世界の住人に操られて主人公たちに戦いを挑む。

本作だと、まだかなり年若く、独身。ハートランドシティの事件で大怪我を負ってリハビリ生活中。

使用デッキは特になし。

 

【バイロン・アークライト】

アニメ版ZEXALの登場人物。クリストファー(Ⅴ)、トーマス(Ⅳ)、ミハエル(Ⅲ)の父親。

原作だと、Dr.フェイカーの助手をしていたが、古代遺跡の扉を開く代償として異世界に送られ、

手酷く裏切られたことで復讐を誓い、トロンと名乗って行動を開始する。

本作だと、まだかなり年若く、独身。ハートランドシティの事件で大怪我を負ってリハビリ生活中。

使用デッキは特になし。

 

 

<アークファイブの主なキャラクター>

 

【榊遊矢】

アニメ版アークファイブの主人公。榊遊勝の息子。ペンデュラム召喚の祖。オリ主より1つ年下。

原作だと、覇王龍となったズァークの分裂体の一人で、次元戦争に巻き込まれて行く。

本作だと、榊遊勝を尊敬する一人のエンタメデュエリスト見習い。

彼の視点からでは、謎の言いがかりをつけて父親を逮捕したオリ主がとても憎かったが、

舞網市で直接対決した後にハノイの騎士の正体を知らされ、多少話をしたことで多少関係は改善された。

使用デッキは【EM】

 

【柊柚子】

アニメ版アークファイブのヒロイン。榊遊矢の幼馴染。柊修造の娘。オリ主より1つ年下。

使用デッキは【幻奏】

 

【権現坂昇】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の幼馴染。オリ主より1つ年下。

使用デッキは【超重武者】

 

【紫雲院素良】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の友人。オリ主より2つ年下。

原作では、融合次元のスパイでありながらスタンダード次元の舞網市にて榊遊矢と仲良くなってしまう。

本作では、最初から舞網市の出身。ハートランドシティの事件で洗脳されてしまい、

インゼクター羽蛾と戦うこととなった。

使用デッキは【デストーイ】

 

【葉月ユーリ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと唯我独尊な性格だったが、本作はそれほどでもない。

本作では葉月グループの御曹司にしてセレナの従兄妹。

この年で既に両親から経営と統率者としての手腕を認められ、財閥の一端を担う会社の経営者。

ハイスペックな人間が多いオリ主の周りでも特に頭一つ抜けて優秀だが好き嫌いの激しく毒舌。

友人兼部下にデニスが居る。

ハートランドシティの事件後、復興のために会社を設立。ハートランドシティの復興に注力する。

オリ主から未来に起こるかも知れない事件について情報を得ているので、オリ主の工作活動に協力している。

使用デッキは【捕食植物】

 

【葉月セレナ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと、好戦的な面が強かったが、今回はそれほどでもない。

本作では、オリ主と同じ地域に住むお嬢様。世間知らずで素直な娘となっている。

オリ主とはデュエルの家庭教師と教え子の関係。身体能力・知力ともに高水準。

国内トップクラスの富を持つ葉月グループ分家の一人娘。護衛兼執事にバレットが居る。

中学卒業後はデュエルアカデミアを受験する模様。

最近、オリ主に精霊界について教えてもらい、時々遊びに行っている。

リンと比べて緩やかな自身の身体の成長具合に若干気落ちしている。

使用デッキは【月光】

 

【速水ユーゴ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと、Dホイールの修理は出来るのに文字を書くのは苦手だった。

本作では、義務教育を受けているので成績はかなり良い。身体能力も学校内ではスバ抜けて高い。

元々は童実野町の施設出身。今はオリ主と同じ孤児院に住む。

中学卒業後は近場の進学校を受験し特待生ポジションを狙って勉強している。

最近、リンとリア充な関係になり、青春を満喫している。

使用デッキは【SR】

 

【風祭リン】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年下。

原作だと、ユーゴ以外との絡みがほとんど無く、あまり出番がなかった。

本作だと、日常パートにちょくちょく出てくる。常識人枠。

強気な性格で、容姿端麗・スポーツ万能・頭脳明晰で対人会話能力も高い為、学校の人気者。

元々は童実野町の施設出身。今はオリ主と同じ孤児院に住む。

中学卒業後は近場の進学校を受験し特待生ポジションを狙って勉強している。

最近、ユーゴとリア充な関係になり、青春を満喫している。

中学生とは思えないモデル体型をしている。

使用デッキは【WW】

 

【デニス・マックフィールド】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユーリの友人兼部下。オリ主より1つ年下。

原作では、融合次元のスパイでランサーズに潜入していた。

今作は、ユーリの幼馴染。ユーリの両親の部下がデニスの両親と言う関係。

ハートランドシティの事件後、復興のために会社を設立したユーリの補佐に専念している。

オリ主から未来に起こるかも知れない事件について情報を得ているので、オリ主の工作活動に協力している。

使用デッキは【Em】

 

【バレット】

アニメ版アークファイブからの登場人物。元軍人。現執事。

原作では、融合次元の戦士にしてセレナの監視・護衛を務めていた。

本作でも、セレナの護衛。兼任して執事もしている。

軍属だった過去の経験を買われ、時々ランサーズの隊長代理を務めたりもする。

使用デッキは【獣闘機】

 

【黒咲隼】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユートの友人。瑠璃の兄。オリ主より2つ年上。

原作では、次元戦争により故郷が焼かれて妹が攫われたことで荒んだ性格になっていた。

今作では、少しだけマシ。そのかわりシスコン具合が進行している。

復興したハートランドシティのデュエルスクール・スペード校のエースの1人。

ハノイの騎士の正体がオリ主であることは知らない。

使用デッキは【RR】

 

【黒鉄ユート】

アニメ版アークファイブの登場人物。黒咲隼&瑠璃の友人。オリ主より1つ年下。

原作では、次元戦争により故郷が焼かれて瑠璃が攫われたことで荒んだ性格になっていた。

本作では、不幸体質となっているため、苦労性が悪化している。苗字が最近決まった。

復興したハートランドシティのデュエルスクール・スペード校のエースの1人。

ハノイの騎士の正体がオリ主であることは知らない。

使用デッキは【幻影騎士団】

 

【黒咲瑠璃】

アニメ版アークファイブの登場人物。ユートの友人。黒咲隼の妹。オリ主より1つ年下。

原作では、次元戦争で誘拐されたり洗脳されたりした。

本作では、シスコン具合が悪化した兄と不幸体質の友人と一緒にいることが多いため、

トラブルに巻き込まれやすいのは変わらない。

復興したハートランドシティのデュエルスクール・スペード校のエースの1人。

ハノイの騎士がオリ主であることと知っており、カードの精霊も視認できる。

使用デッキは【LL】

 

【ズァーク】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現プロのエンタメデュエリスト。

原作だと、最初の次元を4つに分断することになった元凶の1人。

本作だと、今のところ一般的なプロのエンタメデュエリスト。赤馬レイとは幼馴染兼恋人関係。

使用デッキは【オッドアイズ魔術師】。

 

【榊遊勝】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の父親。

原作だと、スタンダード、エクシーズ、融合次元を渡り歩いて次元戦争を止めようとしていた人物。

今作では、洗脳されて敵になる。最近洗脳が解除されて、冤罪が晴れた。

使用デッキは【EM】スカイマジシャン軸。

 

【榊洋子】

アニメ版アークファイブの登場人物。榊遊矢の母親。

原作だと、よく凹みがちな息子を励ます良い母親。息子に【スマイル・ワールド】を渡した張本人。

今作では、特に出番はなさそう。

使用デッキは特になし。

 

【柊修造】

アニメ版アークファイブの登場人物。柊柚子の父親。

原作だと、スタンダード次元で遊勝塾の塾長を代行している男性。

今作では、特に出番はなさそう。

使用デッキは不明。

 

【赤馬零児】

アニメ版アークファイブからの登場人物。オリ主より1つ年上。赤馬零王の息子。

LDS(レオ・コーポレーション)の現社長。

原作では、自身の父親と戦うためにランサーズを結成して各次元を渡り歩いて転戦した。

本作は親と榊遊勝を尊敬する有能な経営者。色々あってオリ主がかなり嫌い。

いつかデュエルで倒して凹ましてやろうと考えている。

少し前に榊遊勝や榊遊矢への誹謗中傷が無くなってホッとしている。

使用デッキは【DD】

 

【赤馬零王】

アニメ版アークファイブからの登場人物。ハゲ。

原作だと、娘を蘇らせる為に全次元世界に次元戦争を引き起こした元凶。

本作では、元LDS社長にしてリアルソリットビジョン研究所の所長。ただの親馬鹿な科学者。

リスクマネジメントはそこまで上手くない模様。ある意味ではやはり元凶なオッサン。

 

【赤馬レイ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の娘。

原作だと、最初の世界に出現した覇王龍ズァークを封印した後に次元と共に4人に別れる。、

本作では、赤馬零王の長女にしてリアルソリットビジョン研究所の所員。元プロデュエリスト。

親孝行な科学者。特撮趣味と言う謎の属性が追加されている。

この世界のズァークとは幼馴染兼恋人。

 

【赤馬日美香】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の嫁。赤馬零児と赤馬レイの母親。

本作未登場。多分このままずっと出ない。

 

【赤馬零羅】

アニメ版アークファイブからの登場人物。赤馬零王の次男。

本作未登場。多分このままずっと出ない。

 

【アレン&サヤカ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。エクシーズ次元の住人。

本作未登場。多分そのうち出るけれど、会話だけのモブキャラ。

 

【タイラー姉妹】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現タッグプロデュエリスト。マッタイラー。

原作だと、融合次元の手先。

本作だと、仲のいい姉妹。姉がグロリア、妹がグレース。本作でもマッタイラー。

再登場する可能性は半々くらい。

使用デッキは【アマゾネス】

 

【ジャン・ミシェル・ロジェ】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現テロリスト。

原作だと、融合次元のスパイでシンクロ次元でもかなりの地位を築いていた。

本作だと、元デュエルアカデミアの講師、元LDSの警備部門長。現テロリスト。

機械による催眠にて手駒を増やすリアリスト。原作と同様に、自らの王国を作ろうと目論んでいる。

ハートランドシティで騒動を起こした結果、オリ主とランサーズ達に鎮圧されて投獄。

もう二度と出られないぞ♪

使用デッキは【古代の機械】

 

【Dr.ドクトル】

アニメ版アークファイブからの登場人物。現テロリスト。

原作だと、赤馬零王の部下で柚子シリーズを虫洗脳したリアリスト。何故かハゲにカードにされる。

本作だと、リアルソリットビジョン研究所の科学者。虫による催眠にて手駒を増やすリアリスト。

その目的は破滅の光の洗脳により前世での記憶を一部蘇らせられ、4人の少女を集めようとしていた。

ハートランドシティで騒動を起こした結果、オリ主とランサーズ達に鎮圧されて投獄。

もう二度と出られないぞ♪

使用デッキは無し。

 

<精霊界の住人>

 

【正義の味方カイバーマン】

精霊界の王様。精霊の湯を使って精霊界にやってきたオリ主に道を説く。

オリ主への評価は今のところ凡骨→一般的なデュエリストくらいに上昇した。

 

【ブラック・マジシャン】

精霊界の住人。オリ主が良くお世話になる村の近くにある森の奥で弟子と二人で住んでいる。

見た目はパンドラ版。性格は穏やかだが、魔術に関しては厳しめ。オリ主の魔術の師匠。

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

精霊界の住人。オリ主が良くお世話になる村の近くにある森の奥で師匠と二人で住んでいる。

見た目は幻想の見習い魔導師に近い。性格はダウナー系だが心配性。オリ主の魔術の姉弟子。

 

【バニーラ】

精霊界の住人。修行中のオリ主にニンジンを貰った縁で懐いた。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【キーメイス】

精霊界の住人。修行中のオリ主に迷子になっていたところを手伝ってもらった縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【ワイト】

精霊界の住人。修行中のオリ主に骨折していたところを手助けしてもらった縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【プチリュウ】

精霊界の住人。修行中のオリ主とかくれんぼ対決をした縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【メカレオン】

精霊界の住人。修行中のオリ主とかくれんぼ対決をした縁で仲良くなった。

オリ主が良くお世話になる村の住人。

 

【斬首の美女】

精霊界の住人。修行中のオリ主が良くお世話になる村の用心棒の一人。

村で雑用をこなすオリ主の姿を見て声を掛けたことが縁で仲良くなる。

 

【伝説の剣豪MASAKI】

精霊界の住人。修行中のオリ主が良くお世話になる村の用心棒の一人。

村で雑用をこなすオリ主の姿を見て声を掛けたことが縁で仲良くなる。

 

【無敗将軍 フリード】

精霊界の住人。切り込み隊長などを含む戦士族軍主体の連合軍を率いる将軍。

ハ・デス率いる悪魔族軍、タイラント率いるドラゴン族軍と日夜戦っている。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に精霊界の勢力図に付いて教えてくれる。

 

【切り込み隊長】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に野外料理の方法を教えてくれる。

 

【戦士ダイ・グレファー】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に因縁のある女戦士について楽しく語る。

 

【荒野の女戦士】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主にストーカー被害について愚痴をこぼす。

 

【エルディーン】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に魔術の手ほどきをしてくれる。

 

【戦士ラーズ】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に剣術の手ほどきをしてくれる。

 

【衛生兵マッスラー】

精霊界の住人。無敗将軍 フリードの部隊の一人。

修行中のオリ主が部隊の雑用を引き受けたことが縁で知り合う。

時間がある時は、オリ主に応急手当の手ほどきをしてくれる。

 

【エルフの剣士】

精霊界の住人。エルフの森に住んでいる。

オリ主に戦闘訓練を頼まれたことで知り合う。

攻撃よりも防御に優れ、格上の相手の攻撃を剣で受け流すことが出来る。

 

【ホーリー・エルフ】

精霊界の住人。エルフの森に住んでいるドS。。

オリ主に回復魔術の訓練を頼まれたことで知り合う。

防御魔術や回復魔術に優れ、格上の相手の結界で受け流したせる。

また、骨折程度なら瞬時に癒すことが可能。

 

【水の精霊 アクエリア】

精霊界の住人。オリ主が良くお世話になる村の近くに住んでいるドS。

オリ主が暗黒界のシャケに追われているところを偶然助けたことで知り合う。

水の魔術に長け、トラック程度なら水圧のカッターにて数秒で切断できる。

 

<オリジナルキャラクター>

 

【転生の女神】

諸悪の根源。吐き気を催す邪悪。見た目だけは絶世の美女。

 

【シスターセシリア】

孤児院の経営者&責任者。

オリ主が神様転生時に出会った女神&教会の女神像に瓜二つ。お酒好き。

この世界の創造主のお告げが聞こえ、創造主から不思議なアイテムを授かることがある。

 

【相沢 柳】

孤児院の近所にある服屋の女性店主。

ハノイの騎士コスチュームの製作者。甘党。シスターセシリアと小学生からの幼馴染。

最近、長年付き合っていた男性と結婚した。

 

【鈴木 剛】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人A。

モデルはドラ〇もんのジャ〇アン。

最近、年上の高橋愛と言う彼女が出来て非常に調子に乗っている。

 

【佐藤 守】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人B。実は田中楓の彼氏。

モデルはドラ〇もんの出〇杉。

鈴木と田中の暴走に巻き込まれがちの苦労人と思いきや、一番の腹黒でもある。

彼女には非常に優しい。

 

【田中 進】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人C。

モデルはドラ〇もんのの〇太。中二病時はポ〇モンのグラ〇オ。

妹の反抗期に悩まされている。最近、自分の中二病の痛々しさに気付き始めた。

 

【田中 楓】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人D。実は佐藤守の彼女。田中の1つ下の妹。

モデルはドラ〇もんのし〇かちゃん。

リンやセレナの友人でもある。兄のことは自身の人生の恥部だと思っている。

オリ主に【森羅】デッキを貰っている為、オリキャラの中ではかなり強い。

 

【高橋 愛】

モブキャラ。オリ主とコナミの友人E。料理部の先輩でオリ主より1つ年上。

モデルはのびハザの緑〇聖奈。

何故か鈴木に一目惚れをして卒業デュエルで告発して鈴木の彼女になる。

オリ主に【コアキメイル】デッキを貰っている為、オリキャラの中ではかなり強い。

 

◆この世界における各町の情報

 

<主人公たちが住んでいる町>

日本の中部~関西エリアにある。市の名前はかがやき市。方言も特になし。

特別栄えても居ないし、錆びれてもいない町。

Dホイール専用のスタジアムと大型のデュエルレーンのお蔭でJRDGの会場になった。

 

<魔境・童実野町>

日本の関東エリアにある、全世界でも有数の犯罪多発エリアだったが、最近は平和。

数年前より完成した埋立地に最新のエネルギー発生施設モーメントを建造中。

  

<舞網市>

日本の関東エリアにある、現在、世界で唯一アクションデュエルが行われている地域。

市の中心にLDSの本社ビルが建っており、市外にはリアルソリッドビジョン研究所が存在する。

町のあちこちにデュエル塾があり、アクションデュエル特化の独自の流派が多数存在する。

 

<ハートランドシティ>

日本の中国エリアにある、現在、日本で最大の化学力で栄えている町。方言は特になし

町の至る所に清掃用ロボが配置されており、あちこちにデュエルスクールがある。

デュエルゲイザーなるアイテムを取り付けた新型デュエルディスクの開発も行われている。

数年前に大規模なテロ事件があったが、最近は当時の8割方の復旧が完了している。

 

◆この世界における各世界の情報

遊戯王GXの世界は、宇宙が1枚のカードから生まれたというトンデモ設定。

オリ主たちが住まう人間界以外にも11の世界があり、合計12の世界がある。

世界の名称は仮称。

 

【人間界】

オリ主たちが住んでいる世界。

 

【精霊界】

カードの精霊のカイバーマンが治める世界。

 

【墓守界】

カードの精霊の墓守の一族が住まう世界。セブンスターズ編で訪れる世界。

 

【砂漠界】

カードの精霊の住まう世界。ユベル編の異世界転移先その1。

 

【覇王界】

カードの精霊の住まう世界。ユベル編の異世界転移先その2。

 

【牢獄界】

暗黒界の罠により、万丈目や明日香たちが幽閉されていた世界。

 

【他の世界×6】

どのような世界かは不明?

 

◆一般デュエリスト達の実力具合の目安。※あくまで目安。

高校生未満デュエリストの初動 → モンスター召喚+伏せ2枚くらい。

高校生以上デュエリストの初動 → 上級モンスター召喚+伏せ1枚くらい。

大会出場デュエリストの初動 → 上級モンスター召喚+伏せ2~3枚くらい。

 

基本的に『LIGHT OF DESTRUCTION』までのカードを使用。

 

◆一般デュエリスト達への各召喚方法の浸透具合(~89話)

アドバンス召喚 → 99%

融合召喚 → 90%

儀式召喚 → 80%

シンクロ召喚 → 70%

エクシーズ召喚 → 60%

ペンデュラム召喚 → 20%

リンク召喚 → 0%

 

◆三幻神のカード(アニメ)について。

・効果はアニメ遵守。

・ラーのみ古代神官文字を読む必要あり。※オリ主は通常状態では読めない。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生しない。

・コピーカードを使うと神の怒りを買う?→詳細は不明なのでスルー。

・本来の物はアテム帰還と共に地下深くへ落下して消失。

・オリ主のみ所持。効果こそ同じだが本来の物とは別物。

 

◆三幻神(OCG)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆三邪神(原作)のカードについて。

・効果は原作遵守。

・所持者なし。

 

◆三邪神(OCG)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆三幻魔(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・世界中のカードを白紙にする?

・所持していると若返る?

・オリ主は未所持。

 

◆三幻魔(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆超融合(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・世界を融合したり、人と精霊を融合したりできる。

・オリ主は未所持。

 

◆超融合(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆プラネットシリーズのカードについて。

・効果はOCG遵守。

・所持者不明。

・オリ主のみ所持。効果こそ同じだが本来の物とは別物。

 

◆シグナーの竜(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・所持者なし。

 

◆シグナーの竜(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主、コナミのみ所持。

 

◆決闘竜(原作)のカードについて。

・効果は原作遵守。

・所持者なし。

 

◆決闘竜(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主、コナミのみ所持。

 

◆地縛神(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・召喚には人々の魂を捧げる必要がある。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・究極の地縛神(強い)

・オリ主は未所持。

 

◆地縛神(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

・究極の地縛神(笑)

 

◆三極神(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・現時点では何処かに封印されている。

・所持者なし。

 

◆三極神(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆イリアステル(アニメ版)のカードについて。

・効果はアニメ遵守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・所持者はイリアステル。

 

◆イリアステル(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG遵守。

・オリ主のみ所持。

 

◆No.(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ順守。『No.以外には戦闘破壊されない』効果は共通効果。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生しない仕様。

・オリ主のみ所持。

 

◆No.(OCG)のカードについて。

・効果はOCG版順守。

・オリ主のみ所持。

 

◆覇王(アニメ)・魔術師(アニメ)のカードについて。

・効果はアニメ順守。

・攻撃および効果でリアルダメージは発生する?

・所持者なし。

 

◆覇王(OCG版)・魔術師(OCG版)のカードについて。

・効果はOCG版順守。

・オリ主のみ所持。

 

◆リンクモンスターのカードについて。

・出す予定がないのでスルー。

 

 

◆この世界における現状のリミットレギュレーション(~89話)

 

<禁止カード>

【八汰烏】

【イレカエル】

【魔導サイエンティスト】

【ファイバーポッド】

【カオスポッド】

【サイバーポッド】

【キャノン・ソルジャー】

【トゥーン・キャノン・ソルジャー】

【混沌帝龍-終焉の使者-】

【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】

【サウザウンド・アイズ・サクリファイス】

【サンダー・ボルト】

【ハーピィの羽根帚】

【遺言状】

【マスドライバー】

【王家の神殿】

【苦渋の選択】

【いたずら好きな双子悪魔】

【押収】

【苦渋の選択】

【強引な番兵】

【心変わり】

【強奪】

【洗脳-ブレインコントロール】

【蝶の短剣-エルマ】

【生還の宝札】

【次元融合】

【悪夢の蜃気楼】

【強欲な壺】

【天使の施し】

【現世と冥界の逆転】

【ラストバトル!】

【第六感】

【刻の封印】

【血の代償】

【停戦協定】

【破壊輪】

【王宮の勅命】

【マジカル・エクスプロージョン】

 

<制限カード>

【封印されしエクゾディア】

【封印されし者の左足】

【封印されし者の左腕】

【封印されし者の右足】

【封印されし者の右腕】

【メタモルポット】

【混沌の黒魔術師】

【お注射天使リリー】

【聖なる魔術師】

【闇の仮面】

【月読命】

【マシュマロン】

【同族感染ウイルス】

【魔導戦士 ブレイカー】

【連弾の魔術師】

【深淵の暗殺者】

【異次元の女戦士】

【ドル・ドラ】

【ならず者傭兵部隊】

【魔鏡導士リフレクト・バウンダー】

【人造人間-サイコ・ショッカー】

【ダーク・アームド・ドラゴン】

【Emヒグルミ】

【ダーク・ダイブ・ボンバー】

【星守の騎士 プトレマイオス】

【No.16 色の支配者ショック・ルーラー】

【死者蘇生】

【ブラック・ホール】

【ライトニング・ボルテックス】

【大寒波】

【光の護封剣】

【団結の力】

【魔導師の力】

【手札抹殺】

【デス・メテオ】

【火炎地獄】

【大嵐】

【ハリケーン】

【サイクロン】

【ギャラクシー・サイクロン】

【ツインツイスター】

【早すぎた埋葬】

【リミッター解除】

【スケープゴート】

【未来融合-フューチャー・フュージョン】

【聖なるバリア -ミラーフォース】

【突然変異】

【落とし穴】

【リビングデッドの呼び声】

【魔法の筒】

【異次元からの帰還】

【激流葬】

【魔のデッキ破壊ウイルス】

 

<準制限カード>

【アビス・ソルジャー】

【暗黒のマンティコア】

【強制転移】

【増援】

【成金ゴブリン】

【非常食】

【高等儀式術】

【悪夢の拷問部屋】

【レベル制限B地区】

【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】

【ゴブリンのやりくり上手】

 

<エラッタ(名称ターン1制限)>

【カタパルト・タートル】

【レスキューキャット】

 

<エラッタ(OCG順守)>

【クリッター】

【黒き森のウィッチ】

【混沌の黒魔術師】

【キラー・スネーク】

【処刑人-マキュラ】

【死のデッキ破壊ウイルス】

 




今回は本作の設定資料です。

登場人物が増えすぎた…。

次回からは新章突入。と言うより原作突入。

次回の更新は、3/3(水) AM6:00予定です。

blossoms様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年目 セブンスターズ編
第九十話 アカデミア実技試験


いよいよGXタッグフォース原作ストーリーに突入です。

今回のお相手は、アカデミア教師の矢ヶ城利之となります。

※今回より、デュエル描写を試験的に変更しています。今後筆者的にしっくりくればこのまま採用する予定です。

※原作に突入しましたので、前話までのアンケートは終了となります。ご協力いただきましてありがとうございました。アンケート結果は今後のストーリー展開の参考にさせて頂きたいと思います。

※前回とはまた別のアンケートも用意してみました。具体的には斎王琢磨をどれくらいインチキ能力にするかですね。彼はやろうと思えばアニオリドローカードで開幕エクゾディア召喚とかできちゃいますからね。その匙加減を検討中です。


2月中旬、ついにこの日がやって来てしまった。今日はデュエルアカデミア高校の入学試験の実技試験が行われる日だ。

 

アニメGXでは新学期は10月からなのだが、この世界ではGXタッグフォースシリーズの設定を元に構成されているせいか、入学式が4月でその前の筆記試験が1月末、入学試験日が2月となっていた。

 

アニメ原作と同様であるならば今日は電車が遅延してしまうはずなので、試験開始1時間前に会場である童実野町の海馬ランドへ到着するように、俺が通うかがやき中学校の制服を着て家を出た。コナミも一応誘ったが、「後でいいや」とのことらしい。

 

タッグフォースのゲームではアイツは5月からの編入生扱いとなっている為、もしかすると今日の試験に間に合わない運命なのかも知れないな。

 

「あっ、白河。おはよう~」

 

「おぉっ、ツァン。おはよう」

 

試験開始1時間と5分前に会場に到着した俺は、同じくその時間にやって来ていた彼女が通う中学校の制服を着たツァンと合流した。

 

彼女は俺の住んでいるかがやき市の隣の市に住んでいる為、事前にこの時間に集まるように連絡を取っていたのだ。だが流石にこの時間だと眠そうだ。いつものツンツンした感じと言うか、キレがない。

 

それよりも…。

 

「ツァン、髪型変えたんだな」

 

そう、今まではタッグフォース4時代のモブっぽい髪型だったが、今日はタッグフォース5以降の可愛らしいゆるふわな髪型になっていて、頭頂部付近に小さめの赤いリボンが付いている。いわゆるイメチェン、高校生デビューという奴なのだろうか。

 

「え、ええそうよ。わ、悪い!?」

 

何故か顔を真っ赤にして睨まれた。これもツンデレ行動の一つなのだろうか。ツンデレってよく分からない。

 

「いや、似合ってるよ。可愛い可愛い」

 

「か、可愛いって言うな!」

 

今度は顔をより真っ赤にして怒られた。耳まで赤い。見たまんま褒めたつもりだったんだが、やはりツンデレってよく分からない。

 

「…こほん。それよりも白河、アンタの予測が当たってるわよ。ほら、電車が遅れているってさ」

 

「本当だ。危なかったな」

 

ツァンは少し落ち着いたのか平常心を取り戻したようだ。先日購入したらしい新型スマートフォンでニュースを見ていたらしく、その画面を俺に見せてきた。

 

その画面には駅の装置トラブルにより童実野町と俺の住んでいる町のかがやき市とを繋ぐ電車が30分ほど遅延しているとのニュースが表示されていた。

 

電車遅延30分か。今後の影響を考えるとやはり早めに家を出て来て正解だったな。俺も自身のスマートフォンを確認しようとするとメッセージが一件送られてきていることに気付いた。

 

中身を確認すると宛先はコナミからで、満員電車の中で電車が止まり、立ち往生を食らっているらしい。早めに出てきておいて本当に良かった。

 

「アンタの受験番号は何番?」

 

「俺は3番だな」

 

「ふっふ~ん。ボクは2番だよ」

 

「やっぱりお前が2番かよ。俺は筆記試験の時に歴史の問題で2問ほど怪しい問題があったからなぁ」

 

「ボクは国語の1問以外は自己採点では満点だったもんね~」

 

ツァンは勝ち誇って自身の受験票をこちらの頬にペチペチ当ててくるが、見てて可愛らしいので放っておこう。

 

そもそも彼女が受験勉強に付き合ってくれなければ俺の成績はもう少し下だっただろうしな。悔しいとは思うが特に怒る理由が無い。

 

「いつものことだけど、1番は三沢大地ね。さっき白い学生服を着て会場に入っていくのを見かけたわ」

 

「三沢は常に全教科満点だからな。同点での同率1位は狙えてもアイツを超えて1位になるのは無理だろう」

 

どうやら三沢は既に会場に来ているらしい。俺の様に電車遅延の可能性を見越していたのかもしれないな。

 

「さて、とりあえず会場はもう空いているみたいだからさっさと屋内に入ろう。この時期に屋外に居ると流石に寒い」

 

「それもそうね」

 

俺とツァンは試験会場の外でやっていた試験受付を済ませて海馬ランドに入り、受験者の控え場所となっている会場の観客席に座った。

 

少し前の席にはツァンの言う通り白い学生服を着た三沢が座っていて、自分のデッキを見直しているようだ。まめな奴だ。

 

「あの対面に座っている観客席で偉そうにこちらを見てくる青い服の連中とかが、アカデミア本校中等部からからエスカレーター式で上がってきた学生なわけね。ボクたちの入学試験は連中にとっての見世物ってわけ?」

 

「そうなるな。青い服がオベリスクブルー、黄の服がラーイエロー、赤の服がオシリスレッドだな。ツァンは女生徒だから入学したらオベリスクブルー確定なわけだが、男子の俺はこの入学試験で最優秀成績を取ったとしても高校入学だからラーイエロー止まりだな」

 

「何で男子だけ違いがあるのよ?」

 

「知らない」

 

ふと話の話題に上がった対面にある観客席を見渡してみると見知った顔がちらほらと見えた。丸藤亮、天上院明日香、万丈目準、藤原雪乃、原麗華、宮田ゆま、樋口桜、海野幸子、宇佐美彰子、属性デッキ六人衆も居るな。

 

タッグフォースシリーズのファンならではの懐かしい気持ちになる。最後にタッグフォース3をプレイしたのは前世の十代後半だったからなぁ。

 

亮さんと明日香がこちらに手を振ってきていたので軽く返しておいた。藤原が「何であの子がここに居るの?」みたいな表情でこちらを見てくるがこちらはスルーだ。宮田が何故かダークロウの仮面を付けたり被ったりしているがこちらもスルーだ。

 

万丈目は原作同様に取り巻き達を引き連れているが、その表情は原作と違って真剣だ。デッキも本来の物より遥かに強力なものになっているだろう。この前会ったネオス仮面こと遊城十代もかなり強かったし、今の彼らならきっといい勝負が出来ることだろう。

 

そして、彼らの下の観客席に居るのはデュエルアカデミアの教師陣だろう。デュエルアカデミアの実技担当最高責任者のクロノス・デ・メディチが居るので間違いない。あの変な髪型の金髪と特徴的な濃ゆい顔は見間違えようがない。

 

あと、居るかも知れないなと思っていた響紅葉の姉、響みどりの姿も見える。黒髪の長髪に赤のアカデミア職員のコートを着ているな。

 

漫画原作と同じでオシリスレッド1年生の担任を務めるのだろうか。アニメでは同学年の生徒は全員同じ教室で同じ授業を受けていたが、その辺りはどう変わってくるのだろうな。

 

「あっ、実技試験が始まるみたいだよ。110番代の学生が呼ばれ始めた」

 

ツァンと会話したり辺りを見回しているうちに随分と時間が経っていたようだ。アナウンスが鳴り始め、受験生たちが次々に中央の試験会場へと向かっていく。

 

海馬ランド内に用意されたデュエルコートは4つ。それぞれに仕切りがされていてデュエルが始まると隣のデュエルコートは見えないようになるようだ。

 

それぞれのデュエルコートに試験官となるデュエルアカデミアの教師が立っており、受験生はコートの地下から円形のエレベータを使ってコート内に上るように入ってくる。

 

何故こんな面倒な仕掛けを作っているのかまでは俺は知らない。

 

「受験生も大半が大したことないけど、教師のデッキもそこまで強くないね」

 

「そうだな。受験生はともかく、教師は試験用デッキだからだろう。どちらもアドバンス召喚を主軸としたロースピードなデッキが多いな」

 

受験生のデッキはバラバラだが大体は【ワイルド・ラプター】や【吸血ノミ】に装備魔法【覚醒】を付けたり、【ホーリー・ドール】に装備魔法【エルフの光】を付けたりする【装備ビート】だ。

 

その中でも比較的強い奴は【ゴブリン突撃部隊】や【マハー・ヴァイロ】と言った(当時としては)優秀なモンスターに【デーモンの斧】と言った(当時としては)強力な装備カードや【鎖付きブーメラン】などの罠カードを用いた【グッドスタッフ】寄りのデッキを使っているようだ。

 

対する教師陣のデッキは様々だ。

 

【ダークヒーローゾンバイア】や【魂を喰らう者バズー】と言った優秀な効果モンスターを用いて攻めるデッキを使う者もいる。

 

【人喰い虫】、【ハネハネ】、【スケルエンジェル】などのこれまた優秀なリバースモンスターを【光の護封剣】で守りながら【太陽の書】や【砂漠の光】でリバースさせて、効果を発動させつつアドバンス召喚のリリース要員を残して相手を翻弄するデッキを使う者もいる。

 

【機動砦のギア・ゴーレム】や【ビッグ・シールド・ガードナー】などの高防御力で固めたデッキなど多岐に渡る。

 

中でも低攻撃力高防御力の機械族【機動砦のギア・ゴーレム】に装備魔法【閃光の双剣-トライス】で攻撃力を下げ、魔法カード【機械複製術】でデッキから特殊召喚して三体並べて、魔法カード【右手に盾を左手に剣を】で攻守逆転させて連続攻撃により1ターンキルする戦術を見せてくれた教師は尊敬に値すると思う。 

 

「あっ、あの子は融合召喚を使うみたいね」

 

「あぁ、あの青い髪の少年は丸藤翔だな。この前の学園祭で顔見知りになったけど、どうやらアカデミアにお兄さんが居るらしいな」

 

「へぇ~。確かに学園祭で見かけたけどやっぱり知り合いだったんだ。【ビークロイド】使いって初めて見たけど、優秀なモンスターが多いんだね」

 

「その分、素のステータスは低めだから扱いが難しいんだけどな」

 

会場を見てみると、教師の召喚したダイレクトアタッカーの【レッグル】を相手に、丸藤翔は【パトロイド】で相手の伏せカードを確認した後に手札から魔法カード【融合】を発動して手札の【ジャイロイド】と【スチームロイド】を素材に【スチームジャイロイド】を融合召喚し、勝負を決めたようだった。

 

「あの銀髪の女の子も見覚えがあるね」

 

「彼女はレイン恵だ。俺の知る限りだと主に【アンデット族】を使用するシンクロ使いだな」

 

「あの娘もやっぱり知り合いだったんだ。それにしても珍しい名前なのね」

 

「お前が言うか?」

 

「う、うるさいわね!」

 

ツァンが横から小突いてくる。やはり名前のことは多少気にしていたようだ。今後は気を付けよう。

 

会場に視線を戻すと、レインのフィールドには後攻1ターン目からフィールド魔法【アンデットワールド】が発動された状態で【死霊王 ドーハスーラ】、【真紅眼の不死竜】、【ジャック・ア・ボーラン】が立っている。

 

相手の教師のフィールドの伏せカードは全て破壊されていたらしく、攻撃表示の【魂を喰らう者バズー】1体のみしか残っていない状態で呆然としている。無理もない。

 

どうしてこうなるまで放っておいたんだ!彼はもう終わりですね…。

 

案の定、その後にすぐに瞬殺された教師は膝から崩れ落ちた。対面にある観客席からざわめきが起こっている。

 

丸藤亮、天上院明日香、万丈目準は目を見開いている。そして明らかに今までとはレベルの違うデュエルを見せつけられてブルー男子生徒やイエロー男子生徒がビビっている。レッド男子生徒は何が起こったのかよく分かっていないようだ。

 

当のレインはこちらをチラッと見るとわずかに勝ち誇ったかのような微笑みを見せたがそのまま何も言わずに会場を後にした。人目のある今はこちらと関わるつもりはないようだ。

 

「うわ、出た」

 

「うん?あぁ、コナミか」

 

ツァンの嫌そうな呟きを聞いて彼女の視線を追うと、後攻1ターン目で楽しそうに【インフェルニティ】デッキをガン回しするコナミと姿と、その正面にいるFXで有り金全部溶かしたような人の顔をした教師の姿が見えた。

 

どうやら電車事故に巻き込まれてもなんとか試験時間には間に合ったようだ。

 

それにしても、コナミのテンションが満足さんが乗り移ってるみたいになってるな。相手の教師の目は、既に死んでいる。

 

「ここが地獄の一丁目だ!オレは伏せていた永続魔法【インフェルニティガン】を発動ぉ!この効果により…」

 

「お前はまだ私に絶望を与えようというのか…」

 

「こいつで血の海渡って貰おうかぁ!?オレはレベル4【インフェルニティ・デーモン】とレベル3【インフェルニティ・ネクロマンサー】にレベル2【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!破壊神より放たれし聖なる槍よ 今こそ魔の都を貫け!シンクロ召喚!現れよレベル9!3体目の【氷結界の龍 トリシューラ】!!」

 

「やめろぉ…やめてくれ…!」

 

「ひゃーはっはっはっは!オレはフィールドのレベル9【氷結界の龍 トリシューラ】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!現れよランク9!【幻子力空母エンタープラズニル】!!」

 

「生徒たちよ、これが絶望だ…」

 

案の定、手札、フィールド、墓地のカードを全て除外されて瞬殺された教師は膝から崩れ落ちた。対面にある観客席は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

 

開いた口が塞がらない丸藤亮と万丈目準、嫌な記憶が蘇ったらしく頭を抱える天上院明日香、教師と同じく膝から崩れ落ちるブルー男子生徒、ガクガク震えているイエロー男子生徒、カリスマガードしているレッド生徒、目がハートになっている一部のブルー女子生徒など、見るに堪えない。俺はそっと視線を外した。

 

『受験番号1番から10番までの受験生は、デュエルコートへお入り下さい。繰り返します…』

 

「どうやらボクたちの番みたいだね」

 

「そのようだ。じゃあ行くか」

 

「うん。一応言っておくけど、ボクがわざわざ1年も受験勉強に付き合ってあげたんだから、負けたら承知しないからね」

 

「肝に銘じておくよ」

 

そう言ってツァンと別れてデュエルコートへと向かう。さて、ようやく俺の出番だな。

 

~~~

 

円形のエレベーターに乗って地上のデュエルコートへやってくると、そこには既に相手の教師がデュエルディスクを携えてこちらを待っていた。

 

この目にかかりそうな長めの前髪とアゴ髭、そしてサングラスをかけた教師とは思えない不審者スタイル。

 

恐らく彼はタッグフォースにいた教師の誰かだろう。タッグフォースに居たモブ教師は皆こんな姿をしているから、見た目だけじゃ誰か分からない。

 

「来たか。私は矢ヵ城利之。デュエルアカデミアの教師にして、今日は君を担当する試験官だ。君の本日までの勉強の成果をテストしよう」

 

矢ヵ城利之(やがしろとしゆき)。確か「虹の楽園(レインボー・パラダイス)理論」というデュエル理論が信条らしいアカデミア教師、だっけ。

 

「受験番号3番、白河クロトです。本日はよろしくお願いします」

 

自己紹介とともにお辞儀をする。目上の人間に礼節は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

矢ヵ城がデュエルコートに入るのを確認してから俺もコートに入り、お互いに一礼した後にデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆矢ヵ城利之 LP:4000

 

「先攻は先生が貰う。先生のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

矢ヵ城利之 手札:5→6枚。

 

「先生は手札から魔法カード【デス・メテオ】を発動!1000LPダメージを受けて貰う!」

矢ヵ城利之 手札:6→5枚。

 

【デス・メテオ】

通常魔法

相手ライフに1000ポイントダメージを与える。相手ライフが3000ポイント以下の場合このカードは発動できない。

 

「くっ!いきなりバーンカードか!」

白河クロト LP:4000→3000

 

「先生は手札からモンスターをセットする!」

矢ヵ城利之 手札:5→4枚。

 

<矢ヵ城利之のフィールド>

伏せモンスター

 

「先生は手札から永続魔法【波動キャノン】を発動だ!」

矢ヵ城利之 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【波動キャノン】

永続魔法

自分のメインフェイズ時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、このカードの発動後に経過した自分のスタンバイフェイズの数×1000ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

「先生は手札から永続魔法【レベル制限B地区】を発動だ!」

矢ヵ城利之 手札:3→2枚。永続魔法:1→2枚。

 

【レベル制限B地区】

永続魔法

フィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になる。

 

「先生は手札から伏せカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

矢ヵ城利之 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:3000

 

vs

 

◆矢ヵ城利之 LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1枚。永続魔法:2枚。

 

<矢ヵ城利之のフィールド>

伏せモンスター

 

 

絶対に気のせいじゃない。あのデッキは間違いなく試験用ではなく彼自身のデッキだ。LP4000環境でロックバーンを仕掛けてくるとか、俺と同年代の受験生は殆ど落ちるんじゃないかこれ?

 

「ふふふ、驚いているようだね。先日、受験番号が10番以内の生徒にはデュエルアカデミアの教師が自身のデッキで相手をすることに決まってね。このデッキも先生自身のデッキさ」

 

「でしょうね。先ほどまで使用されていたデッキとは毛色が違いますからね。ですが、勝たせてもらいますよ」

 

「良く言った!さぁ、掛かってきなさい!」

 

矢ヵ城利之の所持する2つのデッキの内、【ロックバーン】に当たったようだな。ならあの伏せモンスターはバーン効果を持った【マシュマロン】か【機械犬マロン】、【デス・コアラ】辺りもあり得るか。

 

伏せカードも、相手に破壊されたらバーンダメージが発生する【コザッキーの自爆装置】、フィールドのカード枚数でバーンダメージ量が変わる【自業自得】や【仕込みマシンガン】、【停戦協定】。攻撃反応型の【聖なるバリア-ミラーフォース-】や【魔法の筒】か。

 

受験生相手に使うデッキじゃないだろ。直前まで対戦相手が分からないからメタ貼ることも難しいしな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【ブリキンギョ】を召喚!」

白河クロト 手札:6→5枚。

 

【ブリキンギョ】

効果モンスター

星4/水属性/機械族/攻 800/守2000

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

 

<白河クロトのフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800

 

「レベル4以上のモンスターは【レベル制限B地区】の効果で守備表示になる!」

 

<白河クロトのフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800→DEF2000

 

「召喚成功時に【ブリキンギョ】の効果発動!手札からレベル4【怪鳥グライフ】を特殊召喚!」

白河クロト 手札:5→4枚。

 

【怪鳥グライフ】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1500/守1500

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「シュトロームベルクの金の城」1枚を手札に加える。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、相手の魔法&罠ゾーンのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

<白河クロトのフィールド>

ブリキンギョ ★4 DEF2000

怪鳥グライフ ★4 DEF1500

 

「特殊召喚成功時に【怪鳥グライフ】の効果発動!そちらの伏せカードを破壊する!」

 

「残念だが、君が破壊したカードは【コザッキーの自爆装置】!1000LPダメージを受けて貰おう!」

矢ヵ城利之 伏せカード:1→0枚。

 

【コザッキーの自爆装置】

通常罠

セットされたこのカードを破壊したプレイヤーに1000ポイントダメージを与える。

 

「ちぃっ!だが死ななきゃ安い!」

白河クロト LP:3000→2000

 

ダメージは貰ったが、これで向こうのフィールドにこちらの行動を阻害するカードは無い。手札の1枚も妨害系の手札誘発ではなさそうだ。

 

「俺はレベル4【ブリキンギョ】と【怪鳥グライフ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【キングレムリン】!」

 

【キングレムリン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:2

 

「なるほど。考えたね。レベルを持たないエクシーズモンスターであれば、【レベル制限B地区】の効果を受けないからな」

 

「俺は【キングレムリン】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【The tyrant NEPTUNE】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

「【The tyrant NEPTUNE】?初めて聞くカード名だね」

 

そりゃそうだろうな。この世界では紛失した可能性が高いプラネットシリーズの1枚だからな。

 

「俺は手札から魔法カード【二重召喚】を発動!」

白河クロト 手札:5→4枚。

 

【二重召喚】

通常魔法

(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

「俺は手札から魔法カード【簡易融合】を発動!俺は1000LPを払い、EXデッキから【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】を融合召喚する!」

白河クロト LP:2000→1000、手札:4→3枚。

 

【簡易融合】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):1000LPを払って発動できる。レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

 

【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】

融合・効果モンスター

星1/風属性/鳥獣族/攻1000/守 0

「LL-アセンブリー・ナイチンゲール」+「LL」モンスター

(1):元々のカード名に「LL」を含むXモンスターを素材としてこのカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。そのモンスターが持っていたX素材の数だけ、このカードのレベルを上げる。

(2):このカードの攻撃力はこのカードのレベル×500アップし、このカードは他のカードの効果を受けない。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。このカードのレベル×500ダメージを相手に与える。

 

<白河クロトのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:2

LL-インディペンデント・ナイチンゲール ★1 DEF0

 

「俺は【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】をリリース!手札から【The tyrant NEPTUNE】をアドバンス召喚する!」

白河クロト 手札:3→2枚。

 

【The tyrant NEPTUNE】

効果モンスター

星10/水属性/爬虫類族/攻 0/守 0

このカードは特殊召喚できない。このカードはモンスター1体をリリースしてアドバンス召喚する事ができる。

このカードの攻撃力・守備力は、アドバンス召喚時にリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップする。

このカードがアドバンス召喚に成功した時、墓地に存在するリリースした効果モンスター1体を選択し、そのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

 

<白河クロトのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:2

The tyrant NEPTUNE ★10 ATK0 → 1000 → 6000 ※【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】をリリース。

 

「レベル10モンスターなのに【レベル制限B地区】の効果を受けない!?…そう言うことか!」

 

「【The tyrant NEPTUNE】はアドバンス召喚の為にリリースした効果モンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値分アップし、同名カードとなって同じ効果を得て、このカードは他のカード効果を受けない!」

 

「何てモンスターだ!?」

 

「そしてこの状況が整えば、その伏せモンスターが何であろうとも関係ない!【The tyrant NEPTUNE】の効果発動!このカードのレベル×500、つまり5000LPダメージを与える!」

 

「うあぁぁぁぁぁっ!」

矢ヵ城 LP:4000 → 0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「試験デュエル終了。おめでとう。君の勝利だ」

 

「ありがとうございました」

 

「これで君へのテストは終了だ。お疲れ様」

 

「お疲れさまでした。それでは失礼いたします」

 

矢ヵ城に挨拶をして俺がデュエルコートを出る直前、隣のコートから声が聞こえてきた。

 

「モンケッソクカゲキカゲムシャシエンシハンキザンキザンエクスカリバー…」

 

「墓地の罠カード【完全燃焼】発動!このカードを墓地から除外して、除外されている【進化合獣ダイオーキシン】を特殊召喚する!」

 

ツァンや三沢も順調そうだな。この分なら彼らも問題なくこの実技試験を合格するだろう。俺は彼らよりも一足先に受験者用の会場の観客席に戻った。

 

~~~

 

俺が観客席に戻ると程なくして三沢が席に戻って来た。おっ、その席の後ろで立っているのは遊城十代と丸藤翔だな。それと何故かコナミも居るな。アニメに近い初対面シーンとなっているみたいだ。

 

その光景を遠目で眺めているとツァンが席に戻って来た。結果は、あのドヤ顔を見れば分かるな。

 

「そっちも勝ったみたいだな」

 

「当然!とはいえ、相手の先生も結構強かったけどね」

 

「確かにな」

 

そんな話をしていると受験生を呼び出すアナウンスが聞こえてきた。

 

『受験番号110番、遊城十代君。デュエルコートへお入り下さい。繰り返します…』

 

遊城十代の名前が呼ばれ、デュエルコートに入っていく。

 

「あれ?受験番号110番代ってもうとっくに試験終了したんじゃなかったっけ?」

 

「電車遅延に巻き込まれた生徒だろう。試験受付にはギリギリ間に合ったとかそういう話じゃないか?」

 

「あぁ、なるほどね」

 

ツァンの疑問に俺が回答していると、デュエルコートに遊城十代の姿が現れる。そしてその相手はもちろん…。

 

「なんだか他の教師の人とは少し毛色の変わった人が出てきたね」

 

「あれは確か、実技担当最高責任者のクロノス・デ・メディチだな」

 

「実技担当最高責任者ってことは、あの対戦相手の生徒はよほど目に掛けられているんだね」

 

「むしろ目の敵にされてそうな気もするけどな」

 

その後、彼らのデュエルが始まる。アニメGX原作と違い、いくつかのカードが禁止制限となっている為か、アニメと同様の展開にはならなかったものの、【E・HERO】デッキやハネクリボーを駆使していた。

 

そして最後は十代が【E・HERO フレイム・ウィングマン】と【摩天楼 -スカイスクレイパー-】のコンボを決めてクロノスのエース【古代の機械巨人】を撃破して勝利した。

 

あれ?【E・HERO(エレメンタルヒーロー)】?エレメンタルなのか?確かネオス仮面の時は【E-HERO(イービルヒーロー)】だったよな?ネオスとユベルは…一緒に居るな。どうなってるんだ?

 

そもそも十代から感じる魔力がネオス仮面の時と比べて非常に低い。一般人より少し高いくらいで今の俺よりもかなり低い。魔力を抑えている様子はないし、どうなっているんだろう?

 

「あの110番も割とやるね」

 

「そうだな。あのスカイスクレイパーでの逆転は見ごたえあったな」

 

今は考えても仕方ないか。時間はあるだろうし、アカデミアに着いてから調べるとしよう。

 

俺はそれ以上、遊城十代のことを考えるのは止めて、ツァンと一緒に帰った。

 

~~~

 

その夜、孤児院の他の連中が寝入ったであろう時間帯にリビングに降りてきた俺は、この日の為にずっと漬けていた秘蔵の梅酒を取り出してちびちび飲んでいた。

 

この世界に転生してから初めての飲酒だ。前世でも嗜む程度にしか飲んでいなかったが、久し振りに飲むと美味いもんだな。

 

「ぷはぁ!たまんねぇなぁ!」

 

俺は今日、この世界で紛失しているはずのプラネットシリーズの1枚、【The tyrant NEPTUNE】を使用した。そのことはあの場に居た多くの人間が目にしただろう。印象に残りやすいように【LL-インディペンデント・ナイチンゲール】を経由した1キルコンボも使用した。

 

もし、プラネットシリーズを探す奴やこの世界の【The tyrant NEPTUNE】を所持する奴がこの情報を見れば恐らく食いついてくるはずだ。俺自身を餌にしてそいつを釣り上げて叩く。

 

今までにないハイリスクな方法だが、あの娘が来年入学してくるのであればその前になるべく取り除ける脅威は処理しておきたいからな。ある程度のリスクは止む無しだ。

 

「何がたまんねぇの?」

 

「ぶぶぁっ!」

 

突如、背後から女性の声がした。あまりに不意のことだったため、せっかくの梅酒を少し吹き出してしまった。

 

それはともかく、今の俺の背後を取る存在だと!?声の主を確認するために後ろを振り返って、納得した。

 

「…なんだ、シスターか」

 

「あらあら、ごめんねクロト。驚かすつもりは無かったんだけれど…」

 

そこにはいつもの修道服に身を包んだシスターが立っていた。気配からしてあのクソ女神ではなくシスターだ。あの邪悪な気配は完全に覚えたから間違いない。昔からこの人は気配を消すのが上手い。これもクソ女神から渡された技能なのかな?

 

「ところで、私もそれ貰っていい?」

 

何より、シスターは俺が持つ梅酒にずっと目を奪われている。まるでお菓子を見た子供の用に目をキラキラさせている。この人は昔から酒好きだからな。

 

「しょうがないな。半分だけ分けてあげるから、コップは自分で持ってきてくれよ」

 

「わぁい!やったぁ!」

 

シスターは嬉しそうにコップを取りに行った。この人ってもう30代中盤だよな?見た目も言動も俺と同年代にしか見えないとか、若々しいってレベルじゃないんだろ。これもクソ女神の加護的な力なのかもしれないな。

 

コップを取って来たシスターに梅酒を分けた後、彼女は何か言いたげにしていた。…あぁ、そういうことか。

 

「乾杯」

 

「かんぱーい!」

 

シスターの持つコップに軽くこちらのコップをぶつけて乾杯をする。これも久し振りにやったな。

 

「うわっ!美味しい!こんなの何処に売っていたの!?」

 

「自分で漬けてたんだよ。アカデミアの実技試験が終わったら飲もうと思っていてね」

 

前世では時々お祝い事があるとこうして自分で漬けていた梅酒を数少ない友人たちと飲んでいたものだ。そう言えば、俺が死んでから彼らはどうなったんだろうなぁ。もう知る由もないけどさ。

 

「もうすぐしたら、クロトやコナミはデュエルアカデミアに行っちゃうんだよね」

 

「そうだね」

 

「寂しくなるね」

 

「…そうだね」

 

なんだかんだでシスターとはもう10年近い付き合いになる。寂しくないと言えば嘘になるな。

 

「もうデュエルアカデミアを卒業したとのことは考えているの?」

 

「いや、全然」

 

そんなことを考える余裕なんて無かったからな。

 

「じゃあ、デュエルアカデミアを卒業したらまたこの孤児院に戻って来てよ」

 

「…シスター?あぁ、酔ってるなこりゃ」

 

気付けばシスターは梅酒のビンの中身を既に半分ほど飲み干していた。その顔は真っ赤になっており、目も半分据わっている。いや、はえーよ。アンタは酒弱いんだからあんまりがぶがぶ飲むんじゃないよ。

 

「今はまだユーゴやリンも居るけど、いずれ彼らも居なくなるじゃない?そんなの寂しいじゃない。クロトはもう私の家族なんだから、クロトが戻りたくなったら、いつでもここに戻ってきてくれていいんだからね?」

 

「考えておくよ」

 

「ふふっ、約束…だよ…」

 

そこまで言うと、シスターは眠りに落ちた。相変わらず寝落ち早いな。とりあえず、俺が今来ている上着を掛けて置き、俺は梅酒の残りを飲み干した。

 

帰る場所に待ってくれてる家族か。もし俺にも親が居たらこんな感じなのかな。ともかくこの季節にこのまま放置したら風邪をひいてしまうな。

 

俺はシスターを起こさないように抱っこして、彼女に部屋に運んでベットに寝かせた後、自分の部屋で眠りについた。




GXタッグフォース原作とは言え、大体はアニメGXストーリーと同じです。

矢ヶ城利之のデッキは【ロックバーン】です。当時のゲームのカードプールだとかなり厄介なデッキでしたが、相手がインチキすぎました。

オリ主のデッキは【ランク4】です。汎用的なレベル4モンスターを集めたグッドスタッフ寄りのデッキで、隠し味として【簡易融合】と【The tyrant NEPTUNE】を仕込んでいました。

今後についてですが、本編ストーリーは少し更新スピードを落として週二更新で行く予定です。過去の投稿文の要修正内容やら改善したい部分がいくつかありますので、更新スピードを落とした分の余力リソースをそちらに振り分ける予定です。

次回の更新は3/6(土) AM6:00予定です。

どらやき様、白銀神雅魅様、metamoln様、戦車様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十一話 アカデミア入学初日

前回までのあらすじ:九十話にしてようやく原作ストーリーに突入できた。

今回の対戦相手はただの名無しのモブです。


4月初旬の早朝、先日誕生日を迎えて16歳となった俺は、今日からデュエルアカデミアへと入学する日を迎えていた。

 

デュエルアカデミアは太平洋の孤島に存在する上に全寮制なので、今日から卒業するまでの3年間は生まれ育った孤児院に戻ってくることは…いや、長期休暇とかで時々は戻って来るか。

 

孤島まではフェリーで向かうかヘリで向かうかの2択だが、俺達の住んでいる町からだとヘリで向かうことになるようなので、そのヘリポートまで向かう為にこうして電車で移動しようとしている。

 

「クロト、コナミ、頑張って来いよ~」

 

「たまには帰ってきてよね」

 

「私は来年は絶対にそっちに行くからな!待っていろよ!」

 

「この3年間で君たちがどのような成長を遂げるのか、楽しみにしているぞ」

 

「クロト、コナミ。長期休暇にはなるべく帰ってくるのよ~」

 

駅前にはユーゴ、リン、セレナ、バレット、シスターが俺とコナミ見送りに来てくれていた。俺達は皆にそれぞれに返事をしてから電車に乗った。

 

~~~

 

海馬ランドに集まったアカデミア新入生たちは次々にアカデミアに向かうかなり大きめなヘリに乗り込んで行った。俺達を含めて全員が乗り終わるとヘリはあっという間に離陸した。

 

「おぉ~!クロト、飛んでいるぞ!」

 

「ヘリだからな」

 

「情緒が無いぞ~?」

 

「既に何度か海外に向かうのに飛行機を使っているからな。綺麗な景色だとは思うけど、最初の頃の時のような感動は無いなぁ」

 

ヘリの中は俺達と同じようにデュエルアカデミアに向かう新入生で溢れており、その中にはちらほらと見知った顔も居る。

 

「うわぁ~!辺り一面の海っすよ~!」

 

「そうだな~。ふぁ~、暇だぜ~」

 

丸藤翔がヘリの外に広がる景色に感動している中、その横で眠そうにしている遊城十代。その後ろの席で静かに海を見つめる三沢大地。

 

「…」

 

「…」

 

外の景色を一切見ずに黙々と入学案内を見続けているレイン、そのレインに何とか話しかけようと勇気を振り絞ろうとして諦めるを繰り返すという涙ぐましい努力をしているツァン。あの娘のコミュ力は俺より遥かに低そうだ。

 

「おっ!島が見えてきたぞ!あれじゃないか?」

 

「うん?あぁ、多分あれだろうな」

 

コナミの言葉に釣られて外を見ると、確かに海のど真ん中にポツンと浮かぶ孤島が目に入る。

 

島の半分を占める火山(灰色の噴煙が目視で確認できるがアカデミアの資料によると火山灰は含まれていないとのこと)、島の中央にある巨大な建造物(アカデミア本校)、建造物の周囲に広がる広大な森、森を抜けた先にある砂浜と円形の建物(銭湯らしい)、島に隣接するように作られた船着場とヘリポート、そしてそれらを結ぶ大きな吊り橋。前世のアニメで見たデュエルアカデミアそのものだ。

 

残念ながら空からは、後に墓守の世界に繋がる古代遺跡や例のSAL研究所の姿は確認できなかった。

 

~~~

 

島に到着した俺達は学生証となるPDA、アカデミア仕様のデュエルディスク、個人によって色の違う学生服を渡され、学生服に着替えて入学式が始まる教室に来るように指示される。

 

どうやら俺の寮はラーイエローらしい。まずはセーフだな。オシリスレッドの相部屋だと夜の行動に制限がかかりそうだしな。

 

ちなみにコナミはオシリスレッドらしい。やればできるくせに筆記試験をサボるから…いや、原作通りではあるんだけどさ。

 

さて、入学式に向かう前にワイト達を可能な限り呼び出して、島全体の探索を頼んでおくとするか。

 

空から確認できなかった遺跡や研究所、発電所やカードの精霊が眠る古井戸など、この島で起こるイベントの発生ポイントは正確に押さえておきたいからな。

 

この島は見た目より遥かに広く、渡された地図に記載の無い妙な物が多いはずだ。まずはそれらの位置を確認しておく必要があるからな。

 

~~~

 

入学式でデュエルアカデミア本校のハゲこと鮫島校長の話を聞き終えて、寮に割り振られた自分の部屋にやってきた。

 

レッド寮と違ってこちらは全て1人部屋のようで、部屋の大きさも大きめの1LDKのようだ。当然だがレッド寮とは違って風呂やトイレも部屋の中にある。

 

オシリスレッドのボロ寮じゃなくて本当によかった。

 

自室の設備を一通り確認し終えた後、俺はようやく一息つくことが出来た。

 

『バニー♪』

 

『おぉ~、ここがクロトが3年間過ごす部屋か~』

 

『リュ~ン♪』

 

『ここは隠れ甲斐がありそうな島だねぇ』

 

部屋に着くといつも勝手に出てくるカードの精霊たちがいつも通り勝手に出て来て部屋を物色し始めた。

 

今日は寮ごとの歓迎会が始まるまで特にやることが無い。部屋着の着替えて一眠りしようかと思ったが、私物のスマートフォンへ連絡が来ていた。

 

送り主は、ツァンか。どうやら予想通り寮に馴染めないでいるらしい。孤高さんは大変ですねぇ。

 

~~~

 

「孤高(笑)」

 

「笑うなあ!」

 

アカデミア校舎前で1人ポツンと立っていたブルー女子制服姿のツァンと合流して、ヘリの中での出来事をからかったらやはり怒られた。

 

それにしても色々と危ない制服だよな。少し走ったり屈んだりしたら下着が見えちゃうんじゃないかその服。特にこの娘は色々と発育もいいからなぁ…。

 

「レインは無口な娘だから、初めての友達作りにはハードルが高いぞ?」

 

「は、初めてじゃないし!」

 

からかうと面白いツァンを弄っていると青い制服を着た男子生徒2人が話しかけてきた。見覚えのない顔だ。アニメ登場人物でもタッグフォースのネームドモブキャラとも違う。そこいらのモブキャラのようだ。

 

「はっ!イエローの分際で女と遊んでいる暇があるのか?」

 

「そんなんだからイエローなんだよ。はははっ!」

 

弱そう。それが俺の第一印象だった。コイツらの呼称はとりあえず青モブAと青モブBとしよう。

 

だってさぁ、最初の発言がもう小物過ぎない?初対面の時の鈴木と田中を思い出したぞ。そして、俺は煽られたら煽り返す人間だ。

 

「そんなに羨ましいかぁ?そのモブ顔からしてお前らは独り身っぽいもんなぁ?ねぇねぇどんな気持ちぃ?いやはや、格下のイエローですら彼女が居るのにお前らと来たら…」

 

「だ、誰が彼女…むぐぐっ!?」

 

早速ネタバレしようとするツァンを俺の体で彼らの視界から隠して左手で彼女の口を塞いでその上に右手の人差し指をそっと添える。目と鼻の先にある彼女の顔から耳まで真っ赤になっている。さて、彼らには俺達がどう映っているのかなぁ?

 

「ちょっ!?いきなり何すんのよ!」

 

「ぐぇっ!?」

 

正気に戻ったツァンが俺の両手を払いのけてすかさず腹パンを入れてきた。油断していたので無防備なところに食らった腹パンはかなり痛かった…。

 

「くそっ!イエローの分際で羨ま…けしからん!」

 

「もう我慢できない!おい、イエロー!デュエルだ!」

 

「…不埒」

 

上手く行ったようだな。この手の連中を黙らせるにはこの世界だとデュエルが一番手っ取り早い。今、俺達4人以外の声が聞こえたような気がしたが、気のせいか?

 

「やると言うなら相手になる。ツァンもやるか?」

 

「もう、アンタねぇ…。う~ん、まぁいいや。暇だしボクも参加しようかな」

 

俺とまだ若干顔が赤いツァンは先ほど受け取ったアカデミア仕様のデュエルディスクを構える。

 

「ルールはタッグフォースルールでいいか?」

 

「何でも構わん!」

 

「だが先攻はオレ達が貰う!」

 

「イエローとか馬鹿にしておいて先攻は取るんだ…」

 

~~~

 

「イエローが、叩き潰してやるぞ!」

 

「女の前で恥をかかせてやる」

 

「よぉし、準備OK!」

 

「よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&ツァン・ディレ LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

ツァン・ディレ 手札:5枚。

 

vs

 

◆青モブA&青モブB LP:8000

青モブA 手札:5枚。

青モブB 手札:5枚。

 

 

さて、オベリスクブルー生徒の実力を見せて貰おうかな。シンクロやエクシーズ、ペンデュラムすらも存在するこの世界だ。

 

流石にアニメGX原作ほど弱くは無いと思うんだが、この前の実技試験の時はそんなに強そうな奴が居なかったからあまり期待できないかもな。

 

「先攻はオレが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

青モブA 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【グランド・ドラゴン】と【レッサー・デーモン】を融合し、【デス・デーモン・ドラゴン】を融合召喚するぜ!」

青モブA 手札:6→5→3枚。

 

【デス・デーモン・ドラゴン】

融合・効果モンスター

星5/風属性/ドラゴン族/攻2000/守1200

「グランド・ドラゴン」+「レッサー・デーモン」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、リバース効果モンスターの効果は無効化される。

また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカードを対象にする罠カードの効果を無効にし破壊する。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

デス・デーモン・ドラゴン ★5 ATK2000

 

「更にオレはモンスターをセット!」

青モブA 手札:3→2枚。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

デス・デーモン・ドラゴン ★5 ATK2000

伏せモンスター

 

「最後に伏せカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

青モブA 手札:2→1枚。

 

 

◆白河クロト&ツァン・ディレ LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

ツァン・ディレ 手札:5枚。

 

vs

 

◆青モブA&青モブB LP:8000、伏せカード:1枚。

青モブA 手札:1枚。

青モブB 手札:5枚。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

デス・デーモン・ドラゴン ★5 ATK2000

伏せモンスター

 

 

あぁ、うん。こんなもんか。いやまだ今回はたまたま手札事故だったのかも知れない。一応、様子を見ながら戦おう。

 

【デス・デーモン・ドラゴン】をわざわざ出したんだから、あの伏せモンスターはリバース効果モンスターじゃないよな。【幻影の壁】とかなら嫌だな。

 

「ツァン、先手は貰うぞ?」

 

「OK。ちゃんとボクのターンまで回してよ?」

 

「どっちの意味かは知らないが努力はしよう」

 

「おい!デュエル中にイチャついてんじゃねぇ!」

 

「そうだそうだ!デュエル中にイチャついてんじゃねぇ!」

 

「い、イチャついてなんてないわよ!」

 

青モブAと青モブBの悲しみの声にツァンが真面目に返している。何やってんだか。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【成金忍者】を召喚!」

白河クロト 手札:6→5枚。

 

【成金忍者】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻 500/守1800

1ターンに1度、手札から罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキからレベル4以下の「忍者」と名のついたモンスター1体を表側守備表示、または裏側守備表示で特殊召喚する。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

成金忍者 ★4 ATK500

 

全く、忍者を見ても何の反応も示さないとは…コイツ等、分かってねぇなぁ。

 

「俺は【成金忍者】の効果発動!手札の永続罠【忍法 変化の術】を墓地に送ってデッキから【忍者マスター HANZO】を表側守備表示で特殊召喚する!」

白河クロト 手札:6→5→4枚。

 

【忍法 変化の術】

永続罠

(1):自分フィールドの表側表示の「忍者」モンスター1体をリリースしてこのカードを発動できる。リリースしたモンスターのレベル+3以下のレベルを持つ獣族・鳥獣族・昆虫族モンスター1体を、手札・デッキから特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

 

【忍者マスター HANZO】効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1800/守1000

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「忍法」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「忍者マスター HANZO」以外の「忍者」モンスター1体を手札に加える。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

成金忍者 ★4 ATK500

忍者マスター HANZO ★4 DEF1000

 

「特殊召喚に成功した【忍者マスター HANZO】の効果発動!デッキから【忍者マスター SASUKE】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

【忍者マスター SASUKE】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1800/守1000

このカードが表側守備表示のモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

 

「俺は手札からフィールド魔法【隠れ里-忍法修練の地】を発動!」

白河クロト 手札:5→4枚。フィールド魔法:1枚。

 

【隠れ里-忍法修練の地】

フィールド魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「忍者」モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合、自分の墓地の、「忍者」モンスター1体または「忍法」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果の発動ができない。

(2):自分フィールドの、「忍者」モンスターまたは「忍法」カードが戦闘または相手の効果で破壊される場合、代わりに自分の墓地の「忍者」モンスター1体を除外できる。

 

「俺はレベル4【成金忍者】と【忍者マスター HANZO】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!斬り結ぶ魂よ、降りよ!ランク4【機甲忍者ブレード・ハート】!」

 

【機甲忍者ブレード・ハート】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/戦士族/攻2200/守1000

戦士族レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、自分フィールド上の「忍者」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:2

 

「え、エクシーズ召喚だと!?」

 

「そんなバカな!イエローのくせに生意気だぞ!?」

 

エクシーズ召喚はこの世界で登場してからもう6~7年くらいは経っているんだが、コイツらは無人島に取り残されていたりしたの?

 

ツァンも似たような感想を抱いているようで、青モブAと青モブBの狼狽えっぷりに驚いているようだ。

 

「この瞬間、フィールド魔法【隠れ里-忍法修練の地】の効果発動!墓地の永続罠【忍法 変化の術】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は【機甲忍者ブレード・ハート】のORUを1つ取り除いて効果発動!効果対象は【機甲忍者ブレード・ハート】だ」

機甲忍者ブレード・ハート ORU:2→1

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1 ※このターン、バトルフェイズ中に2回攻撃できる。

 

墓地に送ったのは【成金忍者】だ。

 

「バトルフェイズに移行!【機甲忍者ブレード・ハート】で【デス・デーモン・ドラゴン】を攻撃!切れ味を受けろ!電磁抜刀カスミ斬り!!」

 

「はっ!所詮はイエローだな!リバースカードオープン!罠カード【炸裂装甲】発動!【機甲忍者ブレード・ハート】は破壊だ!」

青モブA&青モブB 伏せカード:1→0

 

「この瞬間、【隠れ里-忍法修練の地】の効果発動!墓地の【成金忍者】を除外し、【炸裂装甲】の効果破壊から【機甲忍者ブレード・ハート】を守る!」

 

「何ぃ!?」

 

チェーン②隠れ里-忍法修練の地

チェーン①炸裂装甲

 

機甲忍者ブレード・ハート ATK2200

vs

デス・デーモン・ドラゴン ATK2000

 

「うわぁっ!」

青モブA&青モブB LP:8000 → 7800

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

伏せモンスター

 

「更にもう一撃!【機甲忍者ブレード・ハート】で伏せモンスターを攻撃!再び忍刀の切れ味を受けろ!電磁抜刀カスミ斬り!!」

 

機甲忍者ブレード・ハート ATK2200

vs

軍隊竜 DEF800 ※伏せモンスター

 

【軍隊竜】

効果モンスター

星2/風属性/ドラゴン族/攻 700/守 800

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから「軍隊竜」1体を特殊召喚する。

 

「だが、戦闘破壊されたことで【軍隊竜】の効果発動!デッキから新たな【軍隊竜】を呼び出すのだ!」

青モブA&青モブB LP:7400 → 5200

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

軍隊竜 ★2 DEF800

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを3枚セットしてターンエンド」

白河クロト 手札:5→2枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆白河クロト&ツァン・ディレ LP:8000、伏せカード:3枚、フィールド魔法:1枚。

白河クロト 手札:2枚。

ツァン・ディレ 手札:5枚。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

 

vs

 

◆青モブA&青モブB LP:7800、伏せカード:0枚。

青モブA 手札:1枚。

青モブB 手札:5枚。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

軍隊竜 ★2 DEF800

 

 

こんな所か。後はツァンまでターンを回せばあの娘がやってくれるでしょう。

 

うん?誰かに見られているな。5人、いや4人か。と言うかこれは…。まぁ、アイツらならいいか。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

青モブB 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【憑依するブラッド・ソウル】と【辺境の大賢者】を融合し、【魔人 ダーク・バルター】を融合召喚だ!」

青モブB 手札:6→5→3枚。

 

【魔人 ダーク・バルター】

融合・効果モンスター

星5/闇属性/悪魔族/攻2000/守1200

「憑依するブラッド・ソウル」+「辺境の大賢者」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

通常魔法カードが発動した時、1000ライフポイントを払う事でその効果を無効にする。また、このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

軍隊竜 ★2 DEF800

魔人 ダーク・バルター ★5 ATK2000

 

「そしてオレは【軍隊竜】をリリース!手札から【冥界の魔王 ハ・デス】をアドバンス召喚だ!」

青モブB 手札:3→2枚。

 

【冥界の魔王 ハ・デス】

効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2450/守1600

このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に存在する悪魔族モンスターが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

魔人 ダーク・バルター ★5 ATK2000

冥界の魔王 ハ・デス ★6 ATK2450

 

ちっ、精霊界でよく見るクソ野郎かよ。あの微妙な攻撃力が嫌らしいよな。

 

「はっはっは!どうだ!これがオレの持つ最高のレアカードだ!お前のみずぼらしい忍者の攻撃力を上回ったぞ!」

 

そう言えばこの世界の人間の大半はモンスターの攻撃力でその強さを判断する傾向にあったな。確かに弱くは無いと思うけどさ。

 

「バトルだ!【冥界の魔王 ハ・デス】で【機甲忍者ブレード・ハート】を攻撃!」

 

冥界の魔王 ハ・デス ATK2450

vs

機甲忍者ブレード・ハート ATK2200

 

「このタイミングで伏せカードの永続罠【忍法 空蝉の術】を発動!対象は【機甲忍者ブレード・ハート】!戦闘破壊は無効だ!」

白河クロト&ツァン・ディレ 伏せカード:3→2、永続罠:0→1

 

【忍法 空蝉の術】

永続罠

自分フィールド上の「忍者」という名のついたモンスター1体を選択して発動する。このカードがフィールド上に存在する限り、選択したモンスターは戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)

 

「ちっ!だが戦闘ダメージは受けて貰うぞ!」

 

「くぅっ!」

白河クロト&ツァン・ディレ LP:8000 → 7750

 

「オレは伏せカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

青モブA 手札:2→1枚。

 

なんだ。これ以上は特に何もしないのか。なら邪魔な敵モンスターには退場してもらおうか。

 

「エンドフェイズに伏せていた罠カード【狡猾な落とし穴】発動!そちらの【魔人 ダーク・バルター】と【冥界の魔王 ハ・デス】を破壊する!」

白河クロト&ツァン・ディレ 伏せカード:2→1

 

【狡猾な落とし穴】

通常罠

(1):自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールドのモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

「何ぃ!?」

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

モンスター無し

 

まだ何かメインフェイズ2で展開するかもと思って残しておいたんだけれど、これなら【忍法 空蝉の術】を使わずに素直に【狡猾な落とし穴】で処理しておけばよかったな。

 

 

◆白河クロト&ツァン・ディレ LP:7750、伏せカード:1枚、永続罠:1枚、フィールド魔法:1枚。

白河クロト 手札:2枚。

ツァン・ディレ 手札:5枚。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

 

vs

 

◆青モブA&青モブB LP:7800、伏せカード:1枚。

青モブA 手札:1枚。

青モブB 手札:1枚。

 

<青モブA&青モブBのフィールド>

モンスター無し

 

 

さて、ツァンのターンが回って来た。勝ったな!風呂入ってくる!

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ツァン 手札:5→6枚。

 

ツァンが俺が伏せたカードを確認すると、こちらに視線を送って来る。「使っていいのか?」と言っているみたいなので頷いておく。

 

「リバースカードオープン!魔法カード【マジック・プランター】発動!永続罠【忍法 空蝉の術】を墓地に送ってデッキから2枚ドロー!」

ツァン 手札:6→8枚。伏せカード:1→0、永続罠:1→0

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「ボクは手札から永続魔法【紫炎の道場】発動!」

ツァン 手札:8→7枚。永続魔法:0→1

 

【紫炎の道場】

永続魔法

(1):「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに武士道カウンターを1つ置く。

(2):武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていた武士道カウンターの数以下のレベルを持つ、「六武衆」効果モンスターまたは「紫炎」効果モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

「更にボクは手札から永続魔法【六武衆の結束】発動!」

ツァン 手札:7→6枚。永続魔法:1→2

 

【六武衆の結束】

永続魔法

(1):「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに武士道カウンターを1つ置く(最大2つまで)。

(2):武士道カウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていた武士道カウンターの数だけ、自分はデッキからドローする。

 

「ボクは手札から【影六武衆-ドウジ】を召喚!」

ツァン 手札:6→5枚。武士道カウンター:0→1→2

 

【影六武衆-ドウジ】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1700/守1200

(1):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分フィールドにこのカード以外の「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚された時に発動できる。デッキから「六武衆」カード1枚を墓地へ送る。

(2):自分フィールドの「六武衆」モンスター1体のみが効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

 

「ボクは手札から【六武衆の真影】を自身の効果により特殊召喚!」

ツァン 手札:5→4枚。武士道カウンター:2→3→4

 

【六武衆の真影】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻 500/守2000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分が「影六武衆」モンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、自分の墓地からレベル4以下の「六武衆」モンスター1体を除外して発動できる。ターン終了時まで、このカードの属性・レベル・攻撃力・守備力は、除外したそのモンスターと同じになる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

六武衆の真影 ★4 DEF2000

 

「このタイミングで【影六武衆-ドウジ】の効果発動!デッキから【真六武衆-エニシ】を墓地に送る!」

 

「ボクは【六武衆の結束】の効果発動!このカードを墓地に送ってデッキから2枚ドロー!…良し!」

ツァン 手札:4→6枚。武士道カウンター:4→2、永続魔法:2→1

 

おっ、何かキーカードでも引いたのかな?

 

「ボクは手札から永続魔法【六武の門】を発動!」

ツァン 手札:6→5枚。永続魔法:1→2

 

【六武の門】

永続魔法

(1):「六武衆」モンスターが召喚・特殊召喚される度にこのカードに武士道カウンターを2つ置く。

(2):自分フィールドの武士道カウンターを以下の数だけ取り除き、その効果を発動できる。

●2つ:フィールドの「六武衆」効果モンスターまたは「紫炎」効果モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップする。

●4つ:自分のデッキ・墓地から「六武衆」モンスター1体を選んで手札に加える。

●6つ:自分の墓地の「紫炎」効果モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

あっ(察し)

 

「ボクは永続魔法【紫炎の道場】の効果発動!このカードを墓地に送ってデッキからチューナーモンスター【影六武衆-フウマ】を特殊召喚!」

ツァン 武士道カウンター:2→0→2、永続魔法:2→1

 

【影六武衆-フウマ】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/戦士族/攻 200/守1800

(1):このカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「影六武衆-フウマ」以外の「六武衆」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):自分フィールドの「六武衆」モンスター1体のみが効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

六武衆の真影 ★4 DEF2000

影六武衆-フウマ ★1 DEF1800 ※チューナー

 

「ボクはレベル4【六武衆の真影】にレベル1【影六武衆-フウマ】をチューニング!シンクロ召喚!来て!レベル5【真六武衆-シエン】!」

ツァン 武士道カウンター:2→4

 

【真六武衆-シエン】

シンクロ・効果モンスター

星5/闇属性/戦士族/攻2500/守1400

戦士族チューナー+チューナー以外の「六武衆」モンスター1体以上

(1):1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分フィールドの「六武衆」モンスター1体を破壊できる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

 

「このタイミングで【影六武衆-ドウジ】の効果発動!デッキから【影六武衆-キザル】を墓地に送る!」

 

「ボクは永続魔法【六武の門】の効果発動!武士道カウンターを4つ取り除き、デッキから【真六武衆-キザン】を手札に加える!」

ツァン 手札:5→6枚。武士道カウンター:4→0

 

「ボクは手札から【真六武衆-キザン】を自身の効果で特殊召喚!」

ツァン 手札:6→5枚。武士道カウンター:0→2

 

【真六武衆-キザン】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1800/守 500

(1):自分フィールドに「真六武衆-キザン」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):自分フィールドにこのカード以外の「六武衆」モンスターが2体以上存在する場合、このカードの攻撃力・守備力は300アップする。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

真六武衆-キザン ★4 ATK1800→2100

 

「このタイミングで【影六武衆-ドウジ】の効果発動!デッキから【影六武衆-ハツメ】を墓地に送る!」

 

「ボクは手札から【六武衆の師範】を自身の効果で特殊召喚!」

ツァン 手札:5→4枚。武士道カウンター:2→4

 

【六武衆の師範】

効果モンスター

星5/地属性/戦士族/攻2100/守 800

(1):「六武衆の師範」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドに「六武衆」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(3):このカードが相手の効果で破壊された場合、自分の墓地の「六武衆」モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを手札に加える。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

影六武衆-ドウジ ★4 ATK1700

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

真六武衆-キザン ★4 ATK1800→2100

六武衆の師範 ★5 ATK2100

 

「ボクは永続魔法【六武の門】の効果発動!武士道カウンターを4つ取り除き、デッキから【六武衆の真影】を手札に加える!」

ツァン 手札:4→5枚。武士道カウンター:4→0

 

「ボクはレベル4【影六武衆-ドウジ】と【真六武衆-キザン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来て!ランク4【六武衆の影-紫炎】!」

ツァン 武士道カウンター:0→2

 

【六武衆の影-紫炎】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/戦士族/攻2500/守 400

レベル4「六武衆」モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分フィールドの攻撃力2000未満の「六武衆」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで2000になる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「ボクは手札から【大将軍 紫炎】を自身の効果で特殊召喚!」

ツァン 手札:5→4枚。

 

【大将軍 紫炎】

効果モンスター

星7/炎属性/戦士族/攻2500/守2400

自分フィールド上に「六武衆」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手は1ターンに1度しか魔法・罠カードを発動できない。

また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合、代わりに自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」と名のついたモンスター1体を破壊できる。

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:1

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK2500 ORU:2

大将軍 紫炎 ★7 ATK2500

 

「ボクは【機甲忍者ブレード・ハート】のORUを1つ取り除いて効果発動!効果対象は【機甲忍者ブレード・ハート】!」

機甲忍者ブレード・ハート ORU:1→0

 

<白河クロト&ツァン・ディレのフィールド>

機甲忍者ブレード・ハート ☆4 ATK2200 ORU:0 ※このターン、バトルフェイズ中に2回攻撃できる。

真六武衆-シエン ★5 ATK2500

六武衆の師範 ★5 ATK2100

六武衆の影-紫炎 ☆4 ATK2500 ORU:2

大将軍 紫炎 ★7 ATK2500

 

仕掛ける気だな。相手には1枚伏せカードがあるが、シエンが居るからなぁ。

 

「バトル!【六武衆の師範】でダイレクトアタック!」

 

「馬鹿めっ!リバースカードオープン!罠カード【閃光のバリア -シャイニング・フォース-】発動!相手フィールド上の攻撃表示モンスターは全て破壊だ!」

青モブA&青モブB 伏せカード:1→0

 

【閃光のバリア -シャイニング・フォース-】

通常罠

相手フィールド上に攻撃表示モンスターが3体以上存在する場合、相手の攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

またレアな罠カードを出してきたな。この世界のリミットレギュレーションだと、今はミラーフォースが制限カードだからだろうな。でも、シエンが居るからなぁ。

 

「無駄無駄!【真六武衆-シエン】の効果発動!【閃光のバリア -シャイニング・フォース-】の発動を無効にし破壊するよ!」

 

チェーン②真六武衆-シエン

チェーン①閃光のバリア -シャイニング・フォース-

 

六武衆の師範 ATK2100

 

「ぐわぁぁぁ!」

青モブA&青モブB LP:7800 → 5700

 

「まだまだ!【機甲忍者ブレード・ハート】でダイレクトアタック!電磁抜刀カスミ斬り!」

 

機甲忍者ブレード・ハート ATK2200

 

「うわぁぁぁ!」

青モブA&青モブB LP:5700 → 3500

 

「突撃ー!【機甲忍者ブレード・ハート】でもう1度ダイレクトアタック!電磁抜刀カスミ斬り!!」

 

「のわぁぁぁぁ!」

青モブA&青モブB LP:3500 → 1300

 

「お情け無用!【真六武衆-シエン】でダイレクトアタック!」

 

「ぬわぁぁぁぁ!」

青モブA&青モブB LP:1300 → 0

 

 

 

酷い物を見た。門が出た後の【六武衆】は鬼畜過ぎる。

 

「へへっ、やったね」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わると、俺に因縁をつけていたはずの彼らはツァンを見て恐怖の表情を浮かべていた。

 

「悪魔だ…ピンクの悪魔だ…!」

 

青モブAは逃げ出した!

 

「こ、殺される!逃げろー!!」

 

青モブBは逃げ出した!

 

そして誰も居なくなった。

 

「だ、誰がピンクの悪魔よー!」

 

「特徴的な髪色だからなぁ」

 

怒り心頭のツァンを宥めつつ、俺は周囲を探った。やっぱり気のせいじゃなかったな。後ろに3人、前に1人。それぞれ物陰に隠れているけれど、この場には俺達以外にも4人ほどいるようだ。

 

「明日香、コナミ。そろそろ出てきたらどうだ?」

 

「へっ?」

 

俺がそう言うとツァンは不思議そうな顔をした。これで誰も出てこなかったら大恥だが、流石にそれは無くて済みそうだな。

 

「ごめんなさい。覗き見するつもりは無かったんだけれど…」

 

まずは正面から、デュエルアカデミア正面入り口付近の物陰からツァンと同じブルー女子の制服を着た天上院明日香が顔を出す。

 

「ほら、やっぱりバレてたろ?」

 

「そもそもオレたちは何で隠れてたんだ?」

 

「兄貴が『デュエルの匂いがする~』って言って彼らを見つけたのは良いけれど、何となく声を掛けづらい状況だったからじゃないっすかね?」

 

そして背後の森の茂みの中からオシリスレッドの制服を着たコナミ、遊城十代、丸藤翔が現れる。コナミと十代は本当に赤が似合うな。

 

「六武の門、結束、カゲキ、影武者、シエン、キザン…うっ、頭が…」

 

「それにしてもスゲーデュエルだったな!シンクロ召喚とかエクシーズ召喚とか!」

 

「凄かったっすねー!」

 

「あ、ありがと…」

 

どうやら途中から先ほどのデュエルを見ていたらしく、以前同じように六武衆でボコった記憶が蘇っているコナミと、興奮気味にツァンに話しかける十代達を見て少し違和感を覚える。

 

ネオス仮面の時に散々見たと思うんだけどなぁ。いや、あの時はペンデュラム召喚と融合召喚だけだったか。でも十代から感じる魔力がネオス仮面の時と比べて凄く少ないんだよな。今の彼は俺よりかなり魔力が低く感じられるぞ。一体どうなってるんだ?

 

「久し振りね、クロト。半年振りくらいかしら?」

 

「久し振りだな、明日香。半年か、確かそれくらいだな」

 

ツァンが十代たちに質問攻めにされてアタフタしているのが横目に見えたが、面白そうなので放っておいて明日香と話をすることにした。

 

「ところで、なんで校舎の前でデュエルしていたの?」

 

「ツァン、そこの連れと話していたら向こうから絡んできたんだよ。それでちょっとからかったらデュエルを挑んできたから応じただけだよ」

 

「ふぅん、そうなの。彼女って確か実技試験で担当教官を後攻1キルで瞬殺した受験番号2番の娘よね?確か貴方の中学校の学園祭で見かけたけれど、知り合いだったのね」

 

「そうだな」

 

それから実技試験で他に目立っていた銀髪の少女(レイン)や黒髪オールバックの少年(三沢)の話をした後、明日香が思い出したように言った。

 

「あっ、そろそろ寮の歓迎会の時間だわ。ごめんなさい、私は寮に戻るわね」

 

「あっ、ボクもだ!」

 

明日香の言葉を聞いてツァンが思い出したように呟いた。

 

ふむ、陽キャでコミュ強な上に真面目な明日香ならコミュ障のツァンを人馴れさせるのにちょうど良いのでは?

 

「明日香、良かったらツァンをブルー寮まで連れて行ってやってくれないか?慣れない場所だからまだ帰り道が分からないそうだ」

 

「ちょっ!?白河!?」

 

俺の突然の提案にツァンの方が驚いていたけれど、いつまでも孤高(笑)をやっている場合ではないだろう。ここいらでそろそろボッチを卒業すべきだと思う。

 

「私は別に良いけれど、ツァンさん、だっけ?いいの?」

 

「い、い、いいよ?」

 

不思議そうな様子の明日香と何故か片言なツァンはそのままブルー寮へと帰って行った。

 

「お前たちもそろそろレッド寮の歓迎会が始まるんじゃないか?」

 

「おぉっ!そうなのか!」

 

「マズいっすよ兄貴!このままじゃ遅れちゃうっす!」

 

「じゃあオレたちも寮に戻るか。じゃあなクロト~。オレ1人部屋だから今度遊びに来いよ~」

 

「おぉ、こっちが落ち着いたらそっちの寮にも行ってみる」

 

「じゃあな、白河!今度はオレともデュエルしようぜ~!」

 

「あぁ、じゃあな遊城、丸藤」

 

「じゃあね屋台の人!じゃなかった、白河君!あっ!兄貴~待ってよ~!」

 

コナミ、十代、翔たちもレッド寮に帰って行った。

 

あっ、しまった。入学式当日って確か十代たちと万丈目たちの因縁が始まるイベントがあったはずなのに…。そういえば十代と明日香が自己紹介しあって縁が出来るのもこのイベントじゃなかったか?ヤバいかなぁ?

 

いや、過ぎたものはしょうがないか!忘れよう!さて、俺もそろそろイエロー寮に帰るとしよう!

 

~~~

 

イエロー寮の歓迎会はなかなか豪勢な料理がたくさん出て大変満足だった。

 

こっちに来てからまだ話していなかった三沢とは歓迎会の時に色々と話をした。

 

十代の「オレが一番強い」発言に苦笑いで返したこと、学園祭で出会った赤帽子を実技試験で見かけてトラウマが蘇っていたこと、銀髪の少女の戦術が見事だったのを見て自分もアンデット族を使ってみようかなと思ったことこと等々。

 

イエロー寮のカレー仮面こと樺山寮長とも話をした。

 

どうやらアニメ同様に本当に影が薄いらしく、他の生徒たちと同じテーブルに座っているのにも関わらず、俺以外に話しかけてきた生徒は居なかったらしい。辛すぎる。話を聞いてくれたお礼として、『樺山カレーのレシピその1』と言う布教用のレシピを貰った。今度そのうち作ってみよう。

 

寮の部屋が近くだと分かった生徒とも何人か話をすることが出来た。

 

いきなり「デッキにアイドルカードを入れているか?」などと聞いてくる【精霊術師 ドリアード】デッキ使いの愛 怒瑠夫(あい どるお)。

 

三沢の服の6つのモコモコが気になるらしい【縮退回路】デッキ使いの坂倉 真(さかくら まこと)。

 

クロノス教諭に彼が苦手なネコで嫌がらせをしようとしている【キュアバーン】デッキ使いの三田川たくや。

 

女好きを公言してひたすら女子を紹介してくれと言ってくる【霊使い】デッキ使いの中村祐治(なかむら ゆうじ)。

 

上記の通り、変な奴ばかりだったな。イエロー寮には俺以外にまともな人間は居なさそうだな。

 

~~

 

『それで、なんでクロトは深夜の校舎に忍び込んでいるの?』

 

『ちょっと校長室に用事があってね。あっ、キーメイス。ここの鍵の開錠を頼めるか?』

 

『OK。任せてよ』

 

深夜の校舎の廊下を、メカレオンの力でステルス状態になった俺とその隣を歩くキーメイスが行く。目的地は先ほども言った通り校長室だ。

 

電子ロック?キーメイスが居ればあってないような物だよ。校内を巡回している警備員?ステルス状態の俺とカードの精霊のキーメイスを見つけるのは彼らには困難だろうな。

 

『この学園、と言うかこの島の地下深くにある遺跡には三幻魔と言う名前のカードが封印されているのは知っているかい?この島の伝承によると、なんでもそのカードが世に放たれると世界が間に包まれて人間の中に潜む闇が解放されるけれど、三幻魔のカードの所有者は永遠の命と世界の覇権を手に入れるらしいよ』

 

『知らなーい』

 

『その三幻魔を狙って近々セブンスターズって言うデュエリスト集団がやって来るんだよ。正確に言えば三幻魔の封印を解く為の七星門の鍵をデュエルで奪いに来るんだけどね』

 

『へー』

 

『三幻魔は地下の遺跡にある七星門って言う七つの巨大な石柱に守られて封印されているんだ。ただその七星門の封印を解く鍵である七星門の鍵は、その鍵を身につけた状態でデュエリストがデュエルを行うと鍵にデュエリストの闘志が集まって行って、最終的にデュエリストの闘志が集まりきれば勝手に飛んでいって封印を解いてしまうんだよね』

 

七星門の鍵はデュエリストの闘志をこの島に蔓延させるための道具に過ぎず、デュエルアカデミアが建設されてもう十年以上は経つ。クロノスみたいなデュエル実技担当の先生に身分証代わりとか言って身に付けさせておけば、もしかしたらそのうち封印が解かれていたんじゃないだろうか?

 

『あははっ!なにそれ~!封印を守る側からすれば、そんなのわざわざ身につけてデュエルするわけじゃない?』

 

気が付けばキーメイスの隣に水の精霊アクエリアも出てきていた。君ら本当に勝手に人の魔力を使って出てくるよな。アクエリアのようなレベル4精霊は俺の魔力をゴリゴリ持っていくので控えて欲しいんだけどね。

 

『その封印を守る側の立ち位置にあるこの学園の鮫島校長はその情報を知らないんだよ。正確に知らされていないってのが正しいかな?七星門の鍵を守るためにはそれを身につけた状態でデュエルに勝たなければならないって思いこまされているんだよ』

 

『じゃあ、その校長を騙した人が悪い人なんだね』

 

『その通り。その校長を騙した影丸っていうここの理事長がその七星門の鍵を狙っているセブンスターズを率いている黒幕だったりするんだよね』

 

『あははははっ!それじゃただのマッチポンプっていう奴じゃない?』

 

『そうかもな。そもそも数年前に力を失っていた三幻魔のカードを手に入れてその力を蘇らせるために三幻魔のカードを封印したのも、封印解除の為の七星門の鍵を鮫島校長に渡したのも影丸理事長だからね』

 

数年前っていつくらいなんだろうな?アカデミアが建設される前のはずだから十年以上前だろうけど、それなら十数年前って言いそうな気もする。この辺りの具体的な時系列は俺にもよく分かっていない。

 

『酷い人なんだね~』

 

『面白おかしく他人事のように笑っているけど、キーメイスもアクエリアも他人事じゃないんだぞ?三幻魔は世界中のカードの精霊の力を奪ってそのカードを白紙にしてしまうらしいからな』

 

『迷惑な奴ね~。あっ、校長室に着いたわね』

 

『みたいだな。じゃあ、キーメイス、ここの扉の鍵の開錠を頼む』

 

『OK。OK』

 

キーメイスが少し触れるだけであっさりと扉は開いた。深夜の校長室に忍び込んだ俺達は、特に何の苦労もなく七星門の鍵が仕舞われている箱を発見した。箱を開けて見るとわずかに漂ってくる魔力がこの鍵が本物であることを証明している。

 

こんな危ない物を金庫室などに隠さず、校長室の植木鉢の底に隠すとか、危機意識が低すぎると思う。

 

~~~

 

七星門の鍵を入手した後、俺達はそのまま海辺にやって来ていた。

 

道中で箱を魔力でガチガチに固めた上で、ホーリー・エルフに頼んで魔力が漏れないように封印までして貰った。これで魔力を探知されて居場所が発見される可能性は低い。少なくとも植木鉢の下よりはマシだ。

 

『人間界の夜の海は綺麗だね~』

 

キーメイスが埠頭のふちに座って足をプラプラさせながらそんなことを呟く。

 

精霊界の海はこの世界の海より遥かに危険だから、海をボーっと眺めてたりなんかすると海のモンスターに食われかねないから、俺はそんなに向こうの海をじっくり見たことが無いので違いは分からない。

 

この灯台の下は通称灯台部と呼ばれる丸藤亮と天上院明日香が良く居る場所なのだが、今日は本来十代と万丈目がデュエルする日であり、彼女はそちらに向かっていた。

 

つまり今日は灯台部の活動はお休みなのだ。今日この場において、俺がここに居ることを発見できそうな物好きは居ないだろう。

 

『それで?わざわざ海までやって来てどうするのよ?』

 

アクエリアがここに来た理由を聞いてきた。もちろんこの七星門の鍵が人の手に渡らないようにするのだ。

 

何、簡単なことさ。

 

『俺はずーっとこの鍵を隠す方法を考えていたんだ…だけど、なかなか見つからなくてね。でも、ようやく見つけたよ…』

 

先人の知恵に習うのだ。

 

『こうすればよかったんだ!』

 

『あっ』

 

『あっ』

 

ドボーン!

 

俺は七星門の鍵が入った箱を全力で海に投げ捨てた。




入学初日で1話使っちゃうようなスピードだと、終わりはまだまだ長くなりそうです。

今回のモブが使用したのは2001年の秋くらいに発売されたカードパック『Struggle of Chaos -闇を制する者-』の中から適当にチョイスしました。バリアフォースはおまけです。オリ主が使わなさそうなのをそれらしい理由をつけて選びました。

ツァンのデッキは今まで何度か出てきた【六武衆】です。今まで出せなかった影シリーズを使わせてみようと思ったのですが、結局は全体的に真シリーズの方が使いやすいんですよね。キザンが便利すぎます。

オリ主は【忍者】デッキです。タッグ相手のツァンに種族を合わせました。忍者はバリエーションが豊富なので、ツァンと組ませる時などはまたお世話になるかも知れません。

次の更新は3/10(水) AM6:00予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十二話 幕間:廃寮調査

前回のあらすじ:ツァンが変な称号を手に入れた。

今回はデュエル無し。アニメGX第3話、オリ主視点での十代と明日香のデュエルの直前の話となります。


<鮫島校長視点>

 

それは今年度の新入生を迎え、歓迎会が終わった翌日に起こった。

 

「無い!?七星門の鍵とそれを仕舞っていた箱が無くなっている!?」

 

私は毎朝の日課である植木鉢の底に隠してある七星門の鍵の安否確認を行っていたのだが、昨日までは間違いなくあったはずの七星門の鍵が無くなっていることに気が付いた。

 

「まさか、影丸理事長が用意したというセブンスターズの仕業…!?いえ、そうであれば既に七星門の封印が解かれて三幻魔が復活してしまっているはずですね」

 

では、一体誰が?七星門の鍵の存在を知る人物は、私と影丸理事長、そして影丸理事長の配下であるセブンスターズのみのはず。もしやそれ以外の何者かが島の伝承から三幻魔の存在や七星門の鍵のことを嗅ぎ付けたのだろうか?

 

「そう言えば1~2年ほど前、何の前触れもなく唐突に海馬コーポレーションから監査の為の人間が送り込まれてきていましたね。もしや海馬コーポレーションの人間が七星門の鍵の存在を知って奪取を試みたのでしょうか?」

 

それならば犯人は成人している教師陣の誰かだろうか?確かに彼らならば校内を巡回する警備員たちの巡回ルートと時間帯を把握できるだろうし、屋外に設置してある監視カメラの位置も分かる。この校長室に侵入して鍵を奪うこともできるかも知れない。

 

ただ、彼らの誰かが犯人であるならばこのタイミングである必要が無い。もっと早くから計画を実行できたはずだ。

 

そうなると、他に考えられるのは昨日からこの島にやって来た新入生?いや校長として彼ら生徒を証拠も無しに疑う訳にはいかない。

 

アカデミア倫理委員会に調査を依頼したいところだが、今年の彼らは信用できない。何故なら彼らは海馬コーポレーションのモクバ副社長の手によって去年まで居たメンバーの大半が異動させられている。

 

今年から新しくやって来たアカデミア倫理委員会のメンバーの中に今回の犯人が居るかも知れない。そしてその中には影丸理事長の手の物が隠れている可能性すらある。迂闊な動きは出来ない。

 

各界に影響力がある影丸理事長をいたずらに刺激すれば、どのようなことを仕掛けてくるか分からない。これまで学園の生徒が行方不明になった件を私がもみ消してきた様に、なるべく事を荒立てない様に行動しなればならないだろう。

 

しかしそれなら一体どうすればいいのか?今の私が信用できる者は元弟子の亮くらいだが、彼とはサイバー・ダークの件で対立してしまい、少し距離が出来てしまっている。なにより流石に1生徒の彼を巻き込むわけにも行かない。

 

ならば止む無し。

 

「ここはやはり私自らの目と耳で確認していくしかありませんね」

 

幸い七星門の鍵を仕舞っていた箱の裏には目視では気が付かないようなサイズの発信機が仕込んである。今その箱についてある発信機の反応を確認したところ、どうやら灯台付近に隠されているようだ。

 

七星門の鍵の存在がこれ以上広がらないように人目につかないようにして回収しなければならないだろう。

 

鍵の窃盗犯に関してはまだ予想すらつかないが、七星門の鍵が未だにこの島の中にあったことを考えると、残念ながら学園関係者の誰かが犯人なのだろう。今年の学校行事にはなるべく参加して学園全体に目を光らせることにしよう。

 

鮫島校長の受難は続く。

 

ティロリン!鮫島校長のストレス値が1上がった!

 

ティロリン!鮫島校長の警戒値が1上がった!

 

~~~

 

<クロト視点>

 

七星門の鍵を海に投げ捨てた翌日、特に騒動になっていないことに安堵と若干の違和感を覚えつつ、俺は先ほどまでアカデミアで初の授業を受けていた。

 

デュエルアカデミアの理念は『リスペクトデュエルの精神』を持つ『デュエルエリートの育成』だ。デュエルエリートはさておき、俺は『リスペクトデュエルの精神』と言う物に興味があった。

 

何せアニメで結構な頻度で出てきたワードなのに具体的な内容がほぼ明かされていないからだ。前世で初めてアニメGXを見た時はまだ学生だったため、そもそも『リスペクト』の意味が分からず、大人になって見直しても結局不明のままだった。

 

ここに来てようやく『リスペクトデュエルの精神』と言う物の全容を掴めるのではないかと内心楽しみにしていたのだ。サイバー流の後継者である亮さんに聞いても良いんだけど、それだと味気ないからな。

 

「…なんて思っていた時期が俺もにありました」

 

結果から言うと、言い方は悪いがクソみたいな授業だった。色々と最悪だった。

 

まず授業のレベルが低い。

 

この学園に入学しておいて今更「カードの種類を全て答えよ」なんて問題を間違うわけないだろ。この世界だと今や幼稚園児でもデュエルする時代だぞ。問われた明日香も「基本ですから」なんて言いながらアッサリ答えていた。

 

そう思っていたが、何故かオシリスレッドの学生の何人かの顔色が悪い。お前らどうやってあの筆記試験を合格したんだよ。その後すぐにオシリスレッドの丸藤翔が「フィールド魔法について答えよ」と言う問題に口ごもっていたが、これは丸藤翔があがり症なだけで内容は理解しているのでセーフ。

 

世の中では融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムと言ったヤバいカードが群雄割拠していて、プロリーグでも段々と有用性に気付き始めた上位のプロデュエリスト達の使用者が増え始めている。こんな子供にデュエルを教えるような授業内容を3年も続けられたら人生を3年無駄に過ごすのと変わらないだろう。

 

俺は、卒業後にデュエルに関係ない大学やデュエルに関係ない職業に就職できるように個人で準備しておいた方がいいなと本気で思った。

 

次に教師と一部学生のモラルが低すぎる。

 

教師(クロノス)が出来の悪い(ように見える)生徒(丸藤翔)を率先してやり玉に挙げて笑いものにするとか、見ていてただただ不快だった。まぁ、最初期のクロノスはこんなもんだろう。さっさとカミューラにやられて人形にされたあと、十代と和解して改心して欲しい。今のセブンスターズにカミューラが居るかどうかは微妙なところだがな。

 

生徒も生徒で晒し物にされている生徒に対して言いたい放題。主にブルー男子がクソすぎる。答えられない方もどうかと思うが、この程度のその辺の小学生でも答えられるような問題が分かるくらいで調子に乗れるのがある意味では凄い。「井の中の蛙大海を知らず」っていう言葉が頭をよぎった。

 

最後に、十代も結構酷い。

 

「知識とデュエルの腕は関係ないですよね?」なんて言っていたが、関係ないわけがない。オシリスレッドの生徒に時々いるようだが、自分のデッキに入っているカードの効果すら知らない人間がまともなデュエルをできるわけないだろ。

 

相手のデッキの特性や回し方を知っていれば何処で妨害すればいいか分かるし、相手モンスターの耐性持ちに対する対策方法なども知識が無ければ考えることすらできない。知識のあるなしじゃ勝率はかなり変わるだろう。

 

何より、クロノス教諭に勝利した十代がそんなことを言うと周りに悪影響を及ぼす。やる気も知識も無い生徒は危機感を忘れ、やる気も知識もある生徒は堕落する。アニメ異世界編で佐藤教諭が言っていた通りだ。(あの人はあの人で大概クズだがな)

 

リスペクト(尊敬する、自重する、自尊心をもつ、大事にする、尊重する)精神とは一体…。

 

ただ、大徳寺先生の錬金術の授業は前世の雑学みたいな感じで(将来の役に立つかはさておき)面白かった。鮎川先生の保健体育の授業も前世の一般的な高校レベルの授業なのでそこそこ楽しめた。そう考えると悪いことばかりではなかったな。

 

「お~い、白河~。早く売店に行かないとドローパンが売り切れちゃうぜ?」

 

そうして先ほどまでの授業について考え事をしていると、同じ寮で左隣の部屋に住んでいる『坂倉 真』が話しかけてきた。

 

「そんなに急がなくても大丈夫だろ?」

 

「そうだけどさ、せっかくアカデミア名物ドローパンを食べられるんだから、早く行ってみたいだろ?」

 

なるほど。ドローパンはアカデミア以外でも売っているところはあるが、売っている場所はそこまで多くない。恐らく彼は今まで食べたことが無いのだろう。

 

「ドローパンだっけ?そんな何が入っているか分からないパンなんて…」

 

坂倉と話をしていると、今度は同じ寮で右隣の部屋に住んでいる『愛怒瑠夫』が話しかけてきた。

 

「そんなこと言っても気になるじゃん?なぁ?」

 

「坂倉の言う通り、分からなくは無いな」

 

そんな話をしながら、俺たち3人は誰も居なくなった教室から出て売店へ向かって歩き始めた。

 

「ドルオも気になるだろ?」

 

「ふん、下らん。…幾らするんだ?」

 

「なんだ。ドルオも興味津々じゃん。200DPだってさ」

 

「他の地域でも時々売っているけど、ここのドローパンは結構格安だよな」

 

この学園ではデュエルをすることで学園指定のPDAにDP(デュエルポイント)と呼ばれるポイントが溜まる。DPはこの学園内でリアルマネー以外に消費して買い物することが出来る電子マネーのようなものだ。授業で高い知識や技術を披露したり、筆記・実技のテストで好成績を残すと貰えたりもする。

 

200DPか。過去にコナミへの土産として何度か買って帰ったことは有るが、自分で食べたことは無かったな。俺もこの機会に食べてみるか。

 

「どうせなら噂の黄金の卵パンを引き当てたいよな」

 

「ふん、どうせそれを引き当てるのはボクだよ」

 

「白河もドルオもそんなに考えることじゃないだろ?何でもいいのさ、美味ければな。はははっ!」

 

この後、ドルオは納豆パンを引いて絶句し、坂倉はドリアンパンを引いて大笑いし、俺は普通のブドウパンを引いてコメントに困った。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

今日の授業が全て終わったけどイエロー寮の晩御飯までまだまだ時間があるので、俺は島の各地に散って周囲の調査をしているワイト達の一部からの報告を受け、天上院吹雪が失踪した現場であろう場所である、かつては特待生寮と呼ばれていた廃寮へと向かっていた。

 

「なるほど。廃寮はそんなところにあったんだな。優等生を集める為の校舎がこんな森の奥深くにあるとか、通いづらいと思うなぁ」

 

『バニー!』

 

『だね~』

 

『ワイトもそう思います』

 

一緒に歩いているバニーラやキーメイス、ワイトも同じ意見のようだ。

 

『クロトや。この先からその廃寮までの道を見てきたが、先ほど言っていたカンシカメラ?なるものは特に見当たらかったのう』

 

『然り然り。拙者も同行したが、寮の入り口以外には特に見当たらなかったでゴザルよ』

 

「そうか。助かったよ、ありがとう2人とも」

 

深い森の中にある廃寮への道のりを歩いていると、先行してもらっていた斬首の美女と伝説の剣MASAKIが戻って来た。彼らが戻ってきたのなら廃寮まではもう少しのはずだ。

 

『それにしても深い森ですね。エルフの里と同じくらいでしょうか』

 

『流石にそこまで深くは無いだろう。おや?廃寮とはあれではないか?』

 

「あれだな」

 

ホーリー・エルフとエルフの剣士が周囲の木々を見回していると、どうやら廃寮まで辿り着いたらしい。

 

『ここでボクの出番だね。そ~れ』

 

「ありがとな」

 

俺が言うまでもなく、メカレオンが俺をステルス状態にしてくれる。流石に付き合いが長いと話が早くて助かる。

 

『リュ~ン』

 

「そっちに鍵が開いたままの窓があるのか?じゃあそこから入れそうだな」

 

プチリュウが正面玄関以外に寮内に侵入できそうな入り口を探して入れくれたらしく、俺はその窓から寮内に入った。

 

「ワイト、頼んだ」

 

『『『任されましたぞ!』』』

 

「鍵付きの部屋があるかも知れないからキーメイスも一緒に行ってやってくれ」

 

『OK』

 

「もしかしたら外敵が居るかも知れないな。斬首の美女と伝説の剣MASAKIも彼らへの同行を頼む」

 

『うむ、よいぞ』

 

『任されたでゴザル』

 

この廃寮はなかなか広い。ワイト達に分散して調査を頼みつつ、キーメイス、斬首の美女、伝説の剣MASAKIにも同行してもらったので彼らに危険は少ないだろう。俺も今いるリビングらしきエリアから順番に探索を行うことにした。

 

廃寮を見て回っている途中、資料室らしき部屋では古代エジプト時代に制作された7つの千年アイテムについて記された石板がちらほら見られたが、今はあまり役に立たないな。と言うか、こんな危ない情報が記された危険物を気軽に放置しておかないで欲しい。

 

「これは、吹雪さんの写真だな。『10-JOIN』なんて直筆サイン入りだ。良いセンスだな」

 

資料室には、アニメGXで十代たちが見つけた天上院吹雪の写真が飾ってあった。斜め45度の角度から撮影されたブルー生徒の制服を着て腕を組んだ吹雪さんの姿が映っている。黙っていると本当に超一流のイケメンだよな。喋ってお調子者の側面を見せてもなお一流のイケメンなのは反則だと思う。

 

俺がリビングに戻ってくると、俺より先に寮で調査をしていたアクエリアがやって来た。どうやら何か見つけてきたようだ。

 

『ザコザコ君は探索が甘いなぁ。私なんてもう手がかりを見つけちゃったよ?』

 

ほらほら!なんて言いながらいちいち人の頬を人差し指で突いてニヤニヤした表情で精神的マウントと取ってくるが、これでいて本当に有能だから怒るに怒れない。それに、この態度も慣れると可愛いものだ。

 

『ほら、これ!僅かだけど精霊の力の残滓を感じるし、精霊が宿ったカードを仕舞っていたカードケースのようね』

 

アクエリアが渡してきた青い宝石に付いた赤い箱もアニメで見覚えが有る。これは藤原 優介が所持していてオネストの精霊のカードを収納していた箱だが、既に中身のカードが無い。このカードは本来ならば2年後に遊城十代によって持ち出されるはずなんだが…。

 

「こんな所か。後はワイト達が見つけて先行している地下に何があるかを確認しに行くかな」

 

藤原の箱はリビングに置きつつ、吹雪さんの写真だけ持ってきていたカバンに詰め込み、アニメGXでダークネスの儀式を行っていた地下のデュエルリングへと向かう。

 

それにしても吹雪さんの失踪事件を未然に防ぐことが出来なかったのが未だに納得できない。

 

アメリカの事件後に彼に渡したオカルトネックレスは当時の俺が後先考えずに全力で魔力を付与したものだ。本物の【パラサイト・フュージョナー】クラスの破滅の光でもしばらくは持ちこたえられるくらいの力はあったはずだ。

 

そして彼に渡していた『よほどのことが無い限り使用しないで欲しい』と念を押して渡したあのデッキを使用してもダークネスに及ばなかったのだろうか。

 

地属性・獣戦士族で統一され、前世で2016年の秋頃に初登場した頃から凄まじい性能で環境を席巻して、それまで環境トップだった【ABC】等を瞬く間に駆逐していったあの干支をモチーフにした極悪デッキ。今の俺でもガチデッキを組んで戦っても苦戦必至なんだがなぁ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

周囲に岩肌が見えた坑道のような地下道を懐中電灯で照らしながら暗闇を歩いてデュエルリングへ向かう最中、俺はその言葉と共に後ろを振り返る。今でもほぼ何も感じないが、これだけ狭い空間で今の俺の魔力探査であればなんとか感知することが出来た。間違いなく誰かがそこに居る。

 

「それで?いつまで隠れて付いてくるつもりだ?」

 

そして誰も居ない空間に向かって声を掛ける。背後から微かに感じた気配には覚えがある。恐らくはイリアステル製のステルス装置により姿を隠しているのだろう。そこに居るのは、俺の予想が正しければきっと…。

 

「…いつ、気付いたの?」

 

30秒ほどの沈黙が場を包むが、突如、何もないはずの空間から銀髪ツインテールの少女が姿を現す。言わずもがなレイン恵だ。大方、イリアステルのZONEの指示で俺の監視をしていたのだろう。虚空に向かって話しかける変人にならずに済んだようだ。

 

「この廃寮に入った瞬間から違和感は感じていたさ。人間は成長するんだぜ?いつまでもイリアステル製のステルス装置で誤魔化せると思うなよ?」

 

「…むぅ」

 

得意げに語る俺の言葉にレインは不服そうだったが、それ以上は彼女は何も言わなかった。俺もそれ以上特に追求せずにデュエルリングへと向かうことにした。

 

ステルスを見破ったら退散するのかと思えば、レインは特に何事も無かったかのように悪びれも無くステルスを解除した状態で俺の後ろを普通に付いてきた。

 

「いや、そのまま付いてくるのかよ」

 

「…ダメ?」

 

俺の問いに首をかしげて心底不思議そうな表情をするレイン。ほぼ無表情だが容姿が整っているのであざと可愛らしい姿になっている。

 

他の人間ならともかく、イリアステル所属の彼女ならこの先に何があるかは知っているだろうし、特に問題は無い。

 

そもそも彼女の立場上、俺が同行を拒否してもこっそり付いてくるだろう。それならば見える範囲に居て貰った方が無難だ。

 

「俺の邪魔をしないなら、駄目ってことは無いかな」

 

「…なら、いいはず」

 

レインは同意は得たとばかりに俺の隣に並んで歩き始めた。デュエルリングに到着するまでまで少し時間があるし、気になる点を聞いておこうかな。

 

「もしかして、昨日の昼から監視していた?」

 

「…うん」

 

あっさりと肯定するレイン。やはり校舎前でツァンとタッグデュエルをしていた際に聞こえた声はレインだったか。

 

「…ツァン・ディレに、不埒な行為をしていたのも見てた」

 

「そう見せただけで実際にはしていないぞ」

 

「…七星門の鍵を、箱ごと海に捨てたのも見てた」

 

「げっ!…そっちは忘れてくれると助かるなぁ」

 

「…無理。もう上に報告した」

 

「デスヨネー」

 

イリアステルとは休戦状態だ。パラドックスの件で貸しもある。流石にこのタイミングで干渉してくることは無いだろう。…干渉されると大いに困るので止めて頂きたい。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

なんやかんやでようやく地下のデュエルリングに辿り着いた俺とレイン。

 

岩肌をくりぬいたようなドーム状に開けた空間の中心にデュエルリングがあり、その周囲を蛇のような彫像が何体かリングの中央を向くようにして置かれている。リングの地面にはよく分からない幾何学模様のような図形が描かれ、その中心にはある黒い丸模様を挟み込む形で人間2人が立つための目印となる模様がある。

 

「ここが例のデュエルリングか。アニ…前世で得た情報とほぼ合致するな」

 

「…そう」

 

本来の歴史通りであればこの場所で、人々に忘れ去られることを恐れた藤原優介が永遠の命と人を超えた力を望んでダークネスの仮面を装着し、自身の魂を捧げてダークネスと契約する。そしてその現場に偶然立ち会うことになった天上院吹雪と一緒にダークネスの世界の入り口に到達し、そこで藤原優介は天上院吹雪にダークネスの仮面を渡した後に1人ダークネスの世界へと消える。

 

その後、大徳寺先生(アムナエル)とのテストデュエルの最中に天上院吹雪はダークネスの仮面を装着してダークネスの世界へと迷い込むことになり、仮面の力を借りることでその世界を生き残る、はずだ。

 

「流石に今もここに吹雪さんが居るなんてことは無いか」

 

ちなみにダークネスの世界は12次元を結ぶ隙間に小さく存在しているらしく、三幻魔やら破滅の光やらを放置すれば大体二年後には大きく拡大して各次元へと侵食していき、この人間界にもデュエルモンスターズの精霊のカード以外のカードを闇に染め始める。

 

闇に染まったカードはデュエルディスクに反応しなくなり、そのカードが一定数を超えるとダークネスの進行が本格化し始め、闇イソノことミスターTが人間界のデュエリストを闇に取り込み始める。彼らの力の源は世界中のデュエリストの心の闇らしく、闇に取り込まれて同化したデュエリストが増えれば増えるほど敵は強大さを増すそうだ。

 

元々が残機ほぼ無限のラスボスみたいな存在のくせに常時世界中の人間の力を集めてミナ〇ィンとか元〇玉の力を振るえるとか、そんなもんチート持ちの俺でも勝てるか!そうなると恐らく俺はワラワラ出てくる闇イソノことミスターTの物量に敗れてダークネスに取り込まれ、永遠の悪夢と仮初の救いを得るのだろう。他のアニメで例えるなら無限月読に囚われるような状態に近いだろうか。

 

そんな状態になったらあのクソ女神は嬉々として俺をゲームオーバー状態とみなし、ゲラゲラ笑いながら俺に不可避の死を送ってくるだろう。そんなバッドエンドは御免である。

 

「おや?」

 

周囲を見回しながらデュエルリングの中心へと歩いていた俺は、リングの中心に僅かに黒ずんだ空間の歪みがあることを発見する。その歪みに向けて手をかざして魔力を込めるとその歪みは大きくなっていく。

 

「…クロト、止めた方がいい」

 

普段、こちらの行動を制限するような発言をしないレインが珍しく口を挟んでくる。どうやらかなりヤバいことをしようとしていたらしい。手を遠ざけて魔力を送るのを止めると歪みは元の大きさに戻った。

 

「これは、もしかしてダークネスの世界への扉か?」

 

「…多分、そう」

 

もしあのまま魔力を込め続けていたらダークネス世界のへの扉を開いてしまったかもしれない。何の準備も無しに入ったら即ゲームオーバー確定=俺の死、になりそうだ。今は触らないでおこう。

 

「ここに関してはこんなものか」

 

あまり長居をして、ここのデュエルリングの装置が動き出したら闇のゲームをさせられてしまうかも知れない。さっさと移動しよう。次はアムナエルの研究室だ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

俺とレインはアニメ原作同様に地下のデュエルリングへ向かう道の途中にある隠された通路の先にある鉄製の扉を開き、アムナエルの研究室兼実験室へと辿り着いた。

 

先ほどのデュエルリングと同様に岩肌をくりぬいたドーム状の空間には、その中央に先ほどとは異なる模様が描かれた円形のデュエルリングがある。そして正面の壁には三幻魔の石板があり、その他の壁の周辺には球体の蒸留窯や、恐らく錬金術に関する本が収められているだろう本棚がある。周囲に散乱してある多くの機材に関しては名前も用途も分からない。錬金術に詳しい精霊が居れば何かわかるのだろうか。

 

「ここも大体は前世の記憶と同じ感じだな」

 

「錬金術。これが、私の…」

 

レインも周囲を確認しているようだ。知識としては知っていても直接見るのは初めてだろうからな。興味深いのかもしれない。

 

「で、やはりこれもあるのか」

 

「石造りの棺桶。恐らくこの中には…」

 

俺が棺桶の蓋を外してその中身を見る為に懐中電灯の光を差し込むと、そこには白いカッターシャツに赤いネクタイを着用した30~40代くらいの黒髪長髪の眼鏡を付けた男性のミイラが眠っていた。ミイラが着用しているシャツの胸元には『DAITOKUJI』と名前が書かれてある。今現在、アカデミア本校で錬金術の授業を受け持つ教師にしてオシリスレッドの寮長をしているはずの大徳寺のミイラである。

 

「不治の病に侵された自分の肉体を捨て去り、錬金術で新たな生命体ホムンクルスを創造してそこに自身の魂を送り込んで宿らせる、か。新しい肉体の劣化が始まる前に次に肉体の創造が間に合うサイクルを作り出せれば永遠の命を得たような物だろうな」

 

もしかして、この技術さえ手に入れればクソ女神に殺されても生き返られるのでは?いや、生き返るたびに殺されそうだ。残念ながらこの案は却下だな。

 

「この技術があれば、マスターも…」

 

レインもなかなか危ない発想をしているようだが、ZONEはやるなら他のメンバーと同じようにサイボーグになるんじゃないかな。

 

「錬金術の本か。書いてある言葉がまず俺の知る言語じゃないし、内容も理解できなさそうだ」

 

本棚から何冊か取り出して確認してみたが、俺の頭では理解することは困難のようだ。俺は手に取っていた本を本棚に戻して周囲を見渡す。

 

「これ以上はここに居ても収穫はなさそうだし、戻るか」

 

「うん」

 

やはりここには吹雪さんはいなかったか。アニメ原作よりも早い段階で来ればもしかしたら…とも思ったが、そう上手くは行かないらしいな。さて、寮に戻ったら今回の調査結果のまとめと今後の方針を決めておかないとな。

 

そんなことを考えながら、俺はなるべくこの部屋に入った時の状態に部屋を戻した後、レインと一緒に研究室を後にした。




今回はアニメGX第三話の主人公視点でのストーリでした。話が長くなったので3話構成に分けたところ、今回はデュエルが無くなってしまったので、次の話も本日中に連続投稿予定です。まだまだ原作ストーリーは崩壊していませんね。

学園外も学園内も敵だらけで疑心暗鬼に陥りそうな鮫島校長は、果たして生き残ることが出来るのか?それはまだ誰にも分かりません。

タッグフォース内でお金の代わりとして使用されていたDPを採用して見ました。特に大きな意味はありません。現金のやり取りをするよりはまだ健全に見えるでしょう。

アカデミア本校でオカルト的にもっとも危ないスポットである廃寮。ここを調査しないわけにはいかないので、真っ先にやってきましたが、結果はある意味では上々と言ったところですね。

次回の更新は3/10(水) AM7:00予定となります。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十三話 女子寮騒動1

前回のあらすじ:廃寮、恐ろしい子…!?

前回、デュエルが無かったので連続投稿です。時系列的には前回と同じ日内です。

今回の対戦カードは遊城十代vs天上院明日香です。

アニメ原作だと遊城十代が勝利していましたが、果たしてバニラたっぷり無強化HEROデッキで、OCG第九期の強化を受けた機械天使を打ち破ることはできるのか!?


<クロト視点>

 

廃寮の調査を終えてレインと別れる頃には外はもう夜になっていた。

 

俺はイエロー寮で夕食を摂った後、今日の調査結果をまとめて今後の活動方針を決めようとしているとPDAにコナミから連絡が入った。なんでも『丸藤翔が誘拐されて女子寮に囚われている』らしい。

 

どうやら今日は、クロノスが仕掛けた偽のラブレター(明日香から十代宛と書いてある)に間違って釣られてしまった丸藤翔がお風呂覗きの現行犯として捕まり、それを見逃す代わりに遊城十代と天上院明日香が初デュエルをする日だったらしい。

 

アニメだと十代が勝って翔の冤罪は晴れずとも見逃されることになるんだよな。よくそれで他の女子が納得したものだ。明日香のカリスマ性のおかげかな?

 

正直、結果は見えているので行く必要もないから放置していると数分ごとに連絡を送ってくるようになった。いたずら電話みたいだ。

 

更に放置していると遊城十代を置いて先行して、俺をイエロー寮まで迎えに来てしまった。

 

なんでだよ。お前らだけで行けよ。確実に厄介事が起こるのが分かってて付き合うと思ってんのか?

 

「クロト~!厄介事の匂いがするから一緒に行こう~!」

 

「そんな全く嬉しくない誘い文句は初めて聞いたぞ」

 

部屋着からラーイエローの制服に着替えてイエロー寮の玄関までコナミを出迎えに行くと、目をキラキラさせているコナミがそこに居た。恐らくデュエルになる展開を直感で感じ取っているのだろう。こうなると行動力の化身であるコナミは本当にしつこい。

 

「一緒に行こう!」

 

「嫌」

 

「そんな、酷い。一緒に行こう!」

 

「断る」

 

「そんな、酷い。一緒に行こう!」

 

「無理」

 

「そんな、酷い。一緒に行こう!」

 

「少しぐらい言葉を捻ろうとする努力くらいしろ!あぁ、もう!一緒に行けばいいんだろう!?」

 

「そうこなくっちゃな!流石はかがやき中学校の『トラブルホイホイ』のクロトだ!」

 

「そう呼ばれていたのはお前もだろうが!」

 

基本的にコナミからの頼み事は断れない。コイツには借りがあるし、なによりコイツは折れることを知らないからな。断っても意味が無いともいう。最後には向こうの要求を飲むことになるのだ。

 

「そうと決まれば早速行こう!」

 

コナミは俺の腕を掴むと自動車並みの速度で女子寮へ向けて走り出した。

 

「ちょっ!?まっ!?手を引っ張るな!HA☆NA☆SE!痛い痛い痛い!腕が千切れる!?痛いって言ってんだろ加速するな!とにかく腕を放せぇぇぇ!俺は鯉のぼりの鯉じゃないんだよぉぉぉ!!」

 

コナミが走り出して3秒もすれば俺の足は地面から離れ、俺は生まれて初めて地面と並行に超高速で低空を飛ぶ恐怖を思い知った。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

それから程なくして俺達は女子寮の前まで辿り着いた。

 

女子寮の入り口周囲は湖で覆われているからボートを使わないと行けないんじゃないかって?何それ?何処の常識だ?コナミは俺を引きずりながら夜の湖の上を走っていたぞ。

 

その光景を見ていた遊城十代、丸藤翔、天上院明日香、枕田ジュンコ、浜口ももえの5人は口をポカンと開けて言葉を失っていた。気持ちはわかる。

 

「と、ともかく!遊城十代、私とデュエルしない?もし私に勝ったらお風呂覗きの件は大目に見てあげるわ」

 

以前、コナミの奇行を目撃したことのある明日香がいち早く正気に戻り、何も見なかったかのように俺達の存在を無視して先ほどまで話していたであろう話の続きを始める。

 

「だから覗いてないって言ってるのに!」

 

「何だか分からないが、まぁいいや!そのデュエル、受けて立つぜ!」

 

翔は自身の無罪(実際に覗いては居ない)を訴えるも無視され、十代は明日香からのデュエルを受ける。そうして、彼らのデュエルが始まる。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

俺とコナミはこれから起こる2人のデュエルを、女子寮前の船着場で座り込んで見物している。

 

「なんで湖の上に2つのボートで向かい合った状態でデュエルするんだろうな?」

 

「知らない。ブルー女子寮の決まり事なんじゃない?」

 

コナミに言うように、彼らは何故かそれぞれボートに乗った状態で湖の上でデュエルをしようとしている。

 

遊城十代のボートには丸藤翔が、天上院明日香のボートには枕田ジュンコと浜口ももえがそれぞれ乗っている。俺達はボートの定員オーバーによりここに居るのだ。むしろこっちで良い。

 

ボートに乗ってライディングデュエルだと!?ふざけやがって!と憤る人も居そうだが、ライディングデュエルではないのでセーフだ。

 

十代たちのボートの近くの水面をよく見ると、黒頭巾を着込んだクロノスが頭だけ出してそのデュエルを見物していた。さっき引きずり回された八つ当たりであの頭を魔導波でぶち抜いてやろうか。

 

「行くわよ!」

 

「おぉ来い!」

 

両者の気合は十分。それぞれのデュエルディスクを構えた。さて、始まるな。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆遊城十代 LP:4000

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!デッキより儀式魔法【祝祷の聖歌】と儀式モンスター【竜姫神サフィラ】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:6→5→7枚。

 

【儀式の下準備】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。

そのカード2枚を手札に加える。

 

「おっ!儀式デッキか!」

 

十代は楽しそうに笑っているが、果たしてその笑顔がいつまでもつのやら。

 

「そして私は手札から永続魔法【昇華する魂】を発動!」

明日香 手札:7→6枚。永続魔法:0→1枚

 

【昇華する魂】

永続魔法

儀式モンスターが儀式召喚に成功した時、その儀式召喚でリリースした自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「私は手札から【サイバー・エッグ・エンジェル】を召喚!」

明日香 手札:6→5枚。

 

【サイバー・エッグ・エンジェル】

効果モンスター

星2/光属性/天使族/攻 200/守 300

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「機械天使」魔法カードまたは「祝福の教会-リチューアル・チャーチ」1枚を手札に加える。

 

<天上院明日香のフィールド>

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 ATK200

 

「【サイバー・エッグ・エンジェル】召喚成功時に効果発動!デッキよりフィールド魔法【祝福の教会-リチューアル・チャーチ】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【祝福の教会-リチューアル・チャーチ】を発動!」

明日香 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【祝福の教会-リチューアル・チャーチ】

フィールド魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキから光属性の儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

(2):自分の墓地の魔法カードを任意の数だけデッキに戻し、デッキに戻した数と同じレベルを持つ、自分の墓地の天使族・光属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「私はフィールド魔法【祝福の教会-リチューアル・チャーチ】の効果を発動!手札から装備魔法【契約の履行】を墓地に送り、デッキから【サイバー・エンジェル-弁天】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:5→4→5枚。

 

「ここで私は手札から儀式魔法【祝祷の聖歌】を発動!手札からレベル6【サイバー・エンジェル-弁天】をリリースして、手札からレベル6【竜姫神サフィラ】を儀式召喚するわ!来なさい!【竜姫神サフィラ】!!」

明日香 手札:5→4→3→2枚。

 

【祝祷の聖歌】

儀式魔法

「竜姫神サフィラ」の降臨に必要。

(1):自分の手札・フィールドから、レベルの合計が6以上になるようにモンスターをリリースし、手札から「竜姫神サフィラ」を儀式召喚する。

(2):自分フィールドの儀式モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

【サイバー・エンジェル-弁天】

儀式・効果モンスター

星6/光属性/天使族/攻1800/守1500

「機械天使の儀式」により降臨。

(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の守備力分のダメージを相手に与える。

(2):このカードがリリースされた場合に発動できる。デッキから天使族・光属性モンスター1体を手札に加える。

 

【竜姫神サフィラ】

儀式・効果モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2400

「祝祷の聖歌」により降臨。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが儀式召喚したターンのエンドフェイズ及び、このカードがモンスターゾーンに存在し、手札・デッキから光属性モンスターが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる。

●相手の手札をランダムに1枚選んで墓地へ捨てる。

●自分の墓地の光属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

<天上院明日香のフィールド>

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 ATK200

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

 

「リリースされた【サイバー・エンジェル-弁天】の効果発動!デッキから【サイバー・エンジェル-韋駄天】を手札に加えるわ!」

 

「更に永続魔法【昇華する魂】の効果発動!墓地から【サイバー・エンジェル-弁天】を手札に加えるわ!」

 

チェーン②昇華する魂

チェーン①サイバー・エンジェル-弁天

 

明日香 手札:2→3→4枚。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

明日香 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズに【竜姫神サフィラ】の効果発動!デッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てるわ」

明日香 手札:2→4→3枚。

 

明日香が墓地に送ったのはアニメオリジナルカードの装備魔法【エンジェル・ウィング】だな。

 

【エンジェル・ウィング】※アニメオリジナルカード

装備魔法

装備モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時、300ポイントのダメージを相手に与える。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分はデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

◆遊城十代 LP:4000

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 ATK200

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

 

 

明日香が無策で【サイバー・エッグ・エンジェル】を攻撃表示で残しておくとは思えない。だからと言ってこの状況でアニメ原作で彼女の代名詞とも言える【ドゥーブルパッセ】を使うとも思えない。ならばあの伏せカードは素直な防御カードだろうか。

 

そして彼女のフィールドに居る【竜姫神サフィラ】の効果発動トリガーは相手にも及ぶ。十代の手札・デッキから光属性モンスターが墓地に送られても効果を発動することができるわけだ。レイちゃんの【ライトロード】辺りと戦うと美味しい思いが出来そうだよな。

 

明日香の手札3枚のうち、2枚は【サイバー・エンジェル-弁天】と【サイバー・エンジェル-韋駄天】。フィールド魔法や【竜姫神サフィラ】で手札アドを稼いでいきたいところだな。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【E・HERO バーストレディ】を召喚!」

十代 手札:6→5枚。

 

【E・HERO バーストレディ】

通常モンスター

星3/炎属性/戦士族/攻1200/守 800

炎を操るE・HEROの紅一点。

紅蓮の炎、バーストファイヤーが悪を焼き尽くす。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バーストレディ ★3 ATK1200

 

「そしてオレは手札から魔法カード【バースト・インパクト】を発動!【E・HERO バーストレディ】以外のモンスターは全部破壊だぜ!」

十代 手札:5→4枚。

 

【バースト・インパクト】※アニメオリジナルカード

通常魔法

自分フィールド上に「E・HERO バーストレディ」が表側表示で存在する場合に発動する事ができる。

フィールド上に存在する「E・HERO バーストレディ」以外のモンスターを全て破壊する。破壊されたモンスターの数×300ポイントのダメージをそのコントローラーに与える。

 

アニメオリジナルカードか!発動条件の割にはなかなかの効果を持ってるな!

 

「させないわ!リバースカードオープン!カウンター罠【八式対魔法多重結界】発動!手札の魔法カード【アレグロ・トゥール】を墓地に送って【バースト・インパクト】の発動を無効にする!」

明日香 手札:3→2枚。伏せカード:2→1枚。

 

【八式対魔法多重結界】

カウンター罠

次の効果から1つを選択して発動する。

●フィールド上のモンスター1体を対象にした魔法の発動と効果を無効にし、そのカードを破壊する。

●手札から魔法カード1枚を墓地に送る事で魔法の発動と効果を無効にし、そのカードを破壊する。

 

【アレグロ・トゥール】※アニメオリジナルカード

速攻魔法

自分フィールド上のモンスターが召喚に成功した時に発動できる。フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。

 

チェーン②八式対魔法多重結界

チェーン①バースト・インパクト

 

「防がれたか!ならオレは手札から魔法カード【融合】を発動!」

十代 手札:4→3枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「オレはの【E・HERO クレイマン】と【ヒーロー・キッズ】を融合!来い!【E・HERO クレイ・ガードマン】!」

十代 手札:3→1枚。

 

【E・HERO クレイマン】

通常モンスター

星4/地属性/戦士族/攻 800/守2000

粘土でできた頑丈な体を持つE・HERO。

体をはって、仲間のE・HEROを守り抜く。

 

【ヒーロー・キッズ】

効果モンスター

星2/地属性/戦士族/攻 300/守 600

このカードが特殊召喚に成功した時、

デッキから「ヒーロー・キッズ」を任意の枚数特殊召喚する事ができる。

 

【E・HERO クレイ・ガードマン】※アニメオリジナルカード

融合・効果モンスター

レベル4/地属性/戦士族/攻撃力800/守備力2800

「E・HERO クレイマン」+「ヒーロー・キッズ」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールドに存在するカードの枚数×200ポイントのダメージを相手に与える。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バーストレディ ★3 ATK1200

E・HERO クレイ・ガードマン ★4 DEF2800

 

「融合召喚に成功した【E・HERO クレイ・ガードマン】の効果発動!そっちのフィールドに存在するカードは5枚!1000LPダメージを受けて貰うぜ!」

 

「無駄よ!リバースカードオープン!罠カード【ホーリーライフバリアー】発動!手札の【サイバー・エンジェル-韋駄天】を墓地に送って、このターン相手から受ける全てのダメージを0にする!」

明日香 手札:2→1枚。伏せカード:1→0枚。

 

【ホーリーライフバリアー】

手札を1枚捨てて発動できる。

このターン、相手から受ける全てのダメージは0になり、自分のモンスターは相手モンスターとの戦闘では破壊されない。

 

チェーン②ホーリーライフバリアー

チェーン①E・HERO クレイ・ガードマン

 

これでこのターン、明日香は戦闘・効果でのダメージを受けず、彼女のモンスターは戦闘破壊されなくなったな。そして【サイバー・エンジェル-韋駄天】を墓地に送ったことでこのターンの【竜姫神サフィラ】の効果発動条件を満たしたな。

 

「くぅ~!これもダメか~!オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

十代 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【竜姫神サフィラ】の効果発動!デッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てるわ」

明日香 手札:1→3→2枚。

 

墓地に送ったのはアニメオリジナルカードのカウンター罠【ピュア・ピューピル】だな。

 

【ピュア・ピューピル】※アニメオリジナルカード

カウンター罠

自分フィールド上に元々の攻撃力が1000以下のモンスターが表側表示で存在し、相手が効果モンスターの効果を発動した時に発動する事ができる。

その効果の発動を無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:0枚、伏せカード:1枚。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バーストレディ ★3 ATK1200

E・HERO クレイ・ガードマン ★4 DEF2800

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000、手札:2枚、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 ATK200

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

 

 

さて、ここから明日香の攻撃が始まるわけだが、戦闘・破壊耐性の無いモンスターが2体と伏せカード1枚程度で機械天使の猛攻を防げるものだろうか。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:2→3枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!EXデッキの裏側表示のカード6枚をランダムに裏側表示で除外してデッキから2枚ドロー!」

明日香 手札:3→2→4枚。

 

【強欲で金満な壺】

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

「私は手札から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】を発動!貴方の伏せカードを破壊させてもらうわ!」

明日香 手札:4→3枚。

 

【ギャラクシー・サイクロン】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「くっ!破壊される前に!リバースカードオープン!速攻魔法【クリボーを呼ぶ笛】を発動!来てくれ相棒!」

十代 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

【クリボーを呼ぶ笛】

速攻魔法

自分のデッキから「クリボー」または「ハネクリボー」1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

チェーン②クリボーを呼ぶ笛

チェーン①ギャラクシー・サイクロン

 

【ハネクリボー】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 300/守 200

(1):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

『クリクリ~』

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バーストレディ ★3 ATK1200

E・HERO クレイ・ガードマン ★4 DEF2800

ハネクリボー ★1 DED200

 

「私は手札から【サイバー・プチ・エンジェル】を召喚!」

明日香 手札:3→2枚。

 

【サイバー・プチ・エンジェル】

効果モンスター

星2/光属性/天使族/攻 300/守 200

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「サイバー・エンジェル」モンスター1体または「機械天使の儀式」1枚を手札に加える。

 

<天上院明日香のフィールド>

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 ATK200

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

 

「【サイバー・プチ・エンジェル】召喚成功時に効果発動!デッキより儀式魔法【機械天使の儀式】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:2→3枚。

 

「私は手札から儀式魔法カード【機械天使の儀式】を発動!」

明日香 手札:3→2枚。

 

【機械天使の儀式】

儀式魔法

「サイバー・エンジェル」儀式モンスターの降臨に必要。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から「サイバー・エンジェル」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):自分フィールドの光属性モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「私は手札のレベル6【サイバー・エンジェル-弁天】とフィールドのレベル2【サイバー・エッグ・エンジェル】をリリースして手札から儀式モンスター【サイバー・エンジェル-荼吉尼】を儀式召喚する!来なさい!【サイバー・エンジェル-荼吉尼】!!」

 

【サイバー・エンジェル-荼吉尼】

儀式・効果モンスター

星8/光属性/天使族/攻2700/守2400

「機械天使の儀式」により降臨。

(1):このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。相手は自身のフィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の儀式モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

(3):自分エンドフェイズに自分の墓地の、儀式モンスター1体または「機械天使の儀式」1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

<天上院明日香のフィールド>

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-荼吉尼 ★8 ATK2700

 

「儀式召喚に成功した【サイバー・エンジェル-荼吉尼】の効果発動!相手は自身のフィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない!」

 

「何だって!?」

 

「更に永続魔法【昇華する魂】の効果発動!墓地から【サイバー・エンジェル-弁天】を手札に加えるわ!」

 

「そしてリリースされた【サイバー・エンジェル-弁天】の効果発動!デッキから【サイバー・エンジェル-韋駄天】を手札に加えるわ!」

 

チェーン②サイバー・エンジェル-弁天

チェーン②昇華する魂

チェーン①サイバー・エンジェル-荼吉尼

 

明日香 手札:2→3→4枚。

 

「オレはフィールドから【E・HERO バーストレディ】を墓地に送るぜ」

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO クレイ・ガードマン ★4 DEF2800

ハネクリボー ★1 DED200

 

「私はフィールド魔法【祝福の教会-リチューアル・チャーチ】の効果を発動!墓地の魔法カード【エンジェル・ウィング】と【アレグロ・トゥール】の2枚をデッキに戻し、墓地の【サイバー・エッグ・エンジェル】を特殊召喚するわ!

 

<天上院明日香のフィールド>

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-荼吉尼 ★8 ATK2700

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 DEF300

 

「【サイバー・エッグ・エンジェル】召喚成功時に効果発動!デッキより2枚目の儀式魔法【機械天使の儀式】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:4→5枚。

 

「私は手札から儀式魔法カード【機械天使の儀式】を発動!手札のレベル6【サイバー・エンジェル-韋駄天】をリリースして手札からレベル6【サイバー・エンジェル-弁天】を儀式召喚するわ!来なさい!【サイバー・エンジェル-弁天】!!」

明日香 手札:5→4→3→2枚。

 

【サイバー・エンジェル-韋駄天】

儀式・効果モンスター

星6/光属性/天使族/攻1600/守2000

「機械天使の儀式」により降臨。

(1):このカードが儀式召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から儀式魔法カード1枚を選んで手札に加える。

(2):このカードがリリースされた場合に発動できる。自分フィールドの全ての儀式モンスターの攻撃力・守備力は1000アップする。

 

<天上院明日香のフィールド>

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-荼吉尼 ★8 ATK2700

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 DEF300

サイバー・エンジェル-弁天 ★6 ATK1800

 

「そしてリリースされた【サイバー・エンジェル-韋駄天】の効果発動!自分フィールドの全ての儀式モンスターの攻撃力・守備力は1000アップするわ!」

 

「儀式モンスター全員の攻撃力が上がる!?」

 

<天上院明日香のフィールド>

竜姫神サフィラ ★6 ATK2500 → 3500

サイバー・プチ・エンジェル ★2 ATK300

サイバー・エンジェル-荼吉尼 ★8 ATK2700 → 3700

サイバー・エッグ・エンジェル ★2 DEF300

サイバー・エンジェル-弁天 ★6 ATK1800 → 2800

 

しかもこの効果って永続効果なんだぜ?サイバーと名の付いたモンスターは殺意が高すぎると思う。

 

「あ、兄貴ぃ~。だ、大丈夫っすよね?」

 

「あ、あぁ!オレのフィールドには相棒が居る!相棒が破壊され墓地へ送られたターンは自分が受ける戦闘ダメージは0になるからな!」

 

確かに【ハネクリボー】の効果が発動すればこのターンは耐えられるだろう。だが【ハネクリボー】の効果はダメージステップ終了時に発動するため、【ハネクリボー】が貫通モンスターに攻撃された時の戦闘ダメージは0にはならない。

 

そして明日香には儀式モンスター貫通効果を与える【サイバー・エンジェル-荼吉尼】が居る。手札無し、伏せ無し、墓地発動カード無しの十代がこのターンを凌ぐことは難しそうだ。

 

「バトルよ!【竜姫神サフィラ】で【E・HERO クレイ・ガードマン】に攻撃!」

 

竜姫神サフィラ ATK3500

vs

E・HERO クレイ・ガードマン DEF2800

 

「うわぁぁぁっ!」

十代 LP:4000 → 3300

 

「行きなさい!【サイバー・エンジェル-荼吉尼】!!【ハネクリボー】に攻撃よ!」

 

サイバー・エンジェル-荼吉尼 ATK3700

vs

ハネクリボー DED200

 

「うわぁぁぁっ!」

十代 LP:3300 → 0

 

 

「遊城君、私の勝ちよ!」

 

「オレの負けかよー!でもワクワクしたぜ!天上院、すげーな!」

 

~~~

 

デュエルの勝敗が決まり、両陣営のテンションは天と地との差があった。

 

「流石です明日香さん!」

 

「明日香さんはお強いですわね~!」

 

「ふふっ、ありがと」

 

枕田ジュンコと浜口ももえは自身の友人である天上院明日香の勝利を誉め称え、明日香自身も先ほどの勝利の余韻が残っているのだろう、悪い気はしていないようだ。

 

「あ、あ、兄貴ぃ~!負けちゃったじゃないっすか~!」

 

「わ、悪かったって、翔。ゴメンな?」

 

「冤罪で退学は嫌っす~!お兄さんに顔向けできないっすよ~!」

 

「諦めんなって!オレも一緒に謝ってやるからさ!」

 

丸藤翔は遊城十代の敗北により退学が確定したことに嘆いている。十代も軽い気持ちでデュエルを引き受けた上で敗北したことで責任を感じたらしくばつが悪そうだ。

 

「十代、負けちゃったな」

 

「残念だが当然。デッキそのものの完成度も、カードに対する知識も、デュエルをこなした経験数も明日香が上回っているのに、運以外で勝てるわけが無かった」

 

女子寮の船着場に座っている俺の横でコナミがそんなことを言ったが、明日香が負ける要素が無かったからなぁ。

 

ピンチになると発生するインチキドローなんて、そもそもドローさせなければいいわけだ。このデュエルの結果は最初から見えていた。だから来るまでもないと思ったわけなんだが…。

 

「このままだと、丸藤が退学にならないか?」

 

「このままだと翔は退学になっちゃうな」

 

さようなら翔君!君が退学になっても君のことは忘れないよ!

 

なんてのは流石に言えないか。今回の件は丸藤の自業自得の部分もあるけれど、大半は未だに湖で忍者ゴッコしているクロノスの所為だ。

 

亮さんへの精神的負担も増えそうだし、何より翔はさっき『お兄さんに顔向けできない』と言った。そう言う心持ちの人間は何となく助けてやりたくなるよな。

 

なんとかして助けてやれる方法を考えないとな…。




今回はアニメGX第三話の主人公視点でのストーリその2でした。

本作の十代君の初黒星は、カイザー亮ではなく天上院明日香さんとなりました。

十代のデッキは【E・HERO】です。ただアニメ初期のカードが多く、そこまで強くありません。

明日香のデッキは【機械天使】です。機械天使以外にも光属性の儀式モンスターがその日の明日香の気分次第で入っています。

十代に関しては今後少しずつ強化が入る予定なのですが、その速度は遅めになると思うので、原作と違って今後も時々負けると思います。

次回の更新は3/13(土) AM6:00予定です。

戦車様、誤記報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十四話 女子寮騒動2

前回のあらすじ:やっぱり機械天使には勝てなかったよ…。

本話も時系列的には前回と同じ日内です。


今回はタッグ戦です。対戦カードは翔&コナミvsジュンコ&ももえです。


<クロト視点>

 

遊城十代と天上院明日香のデュエルが明日香の勝利で終わり、丸藤翔は今まさに人生の転換期を迎えようとしていた。

 

「さぁ丸藤!鮎川先生の所に行くわよ!」

 

「覗きの現行犯ですからね~。観念して下さいね~」

 

「だから冤罪なんスよ!退学は嫌ッス!誰か助けて~!」

 

丸藤翔は両腕をそれぞれ枕田ジュンコと浜口ももえによって拘束され、ズルズルと夜の女子寮へ連れ込まれようとしている。

 

丸藤と女子2人に身長差があるせいか、今の丸藤の姿は捕獲された宇宙人みたいな状態だな。

 

「翔、すまねぇ」

 

「別に遊城君のせいじゃないわよ」

 

申し訳なさそうな十代の横に居る明日香は、十代を慰めはするけれど友人2人を止めはしないだろう。そう言う約束だからな。

 

ところで、十代と明日香に微妙な距離を感じるな。アニメ原作だと確か彼らって名前で呼び合っていたよな?やはりあの出会いのイベントを潰してしまったのが不味かったかもしれない。

 

さて、今回は完全に部外者の俺だが、俺も丸藤に一言声を掛けておいた方がいいかな?

 

「両手に華だな!良かったな丸藤君!お幸せに!」

 

「白河君!?この薄情者~!」

 

「クロト、今のはオレもどうかと思うぞ」

 

ドナドナされる丸藤に俺なりに精いっぱいの慰めの言葉を送ったが、丸藤には逆効果だったようである。コナミも呆れ顔だ。

 

「ところで明日香」

 

「何よクロト。言っておくけれど、貴方が何を言っても今回は駄目よ」

 

俺が丸藤に助け舟を出そうとしているのを勘付いたらしく、明日香が先手を打ってくる。だが問題ない。彼女はデュエリストだ。

 

「ふと思ったんだが、丸藤の無罪を証明するのに、何で遊城がデュエルしていたんだ?普通、こういう時は丸藤がデュエルするんじゃないか?」

 

「えっ、それは、その」

 

俺の言葉に視線を泳がせてしどろもどろになる明日香。こういう時に原作知識は便利だ。アニメ原作において今回の事件は明日香にとって十代にデュエルを仕掛ける為のきっかけに過ぎなかったことを知っているからな。

 

「本当はただ単に明日香が遊城とデュエルしてみたかっただけじゃない?」

 

「そうなのかよ!天上院、ひょっとしてオレに一目惚れか!?」

 

「えぇっ!?ち、違うわよ!?」

 

「はいはーい!それならオレもオレも!十代だけじゃなくてオレもデュエルしたいー!」

 

今度は十代とコナミが俺の言葉に乗って来る。明日香もこのマイペースな二人を同時に相手しているといつものクールさを保ちづらいようだな

 

「そういうわけで、遊城と明日香はもうデュエルしたんだから、次は丸藤とコナミでそこの2人とタッグデュエルで決着をつけるってのはどうだ?丸藤の未来は丸藤自身が切り開く、それがデュエリストってものだろ?」

 

ここでデュエリストを強調することが重要だ。

 

「おぉっ!タッグデュエルか!面白そうだなぁー!羨ましいぜ、翔、コナミ!」

 

「デュエルならなんでもOK!オレはいつでもいいぜー!」

 

俺の提案に対して十代とコナミには好印象のようだ。良いぞ良いぞ。もっと騒いで勢いに任せてこちらの提案を飲ませてしまおう。

 

「の、望むところっスよ!このまま覗き魔にされるより全然マシっす!」

 

「ちょっと!部外者のくせに勝手に決めないでくれる!」

 

「そもそも、どうしてラーイエローの人がここに居るんですの?」

 

丸藤もやけくそ気味にやる気を出してくれたが、枕田と浜口が正論で反撃して来る。なかなか手強いな。

 

俺がここに居る理由?俺が知りたいよ。俺は早く帰って風呂に入って寝たいぞ。

 

「まぁ、別にいいんじゃない?」

 

「「明日香さん!?」」

 

「丸藤君の未来は、丸藤自身が切り開くもの。確かにクロトの言い分も一理あるわ。と赤羽君がやる気のようだし、ジュンコとももえもタッグデュエルの経験を積めるし、付き合ってあげたらどうかしら?」

 

話の矛先が逸れて冷静さを取り戻した明日香が俺の意見に同意して来る。どうやらこのままタッグ戦にして、自分と十代がデュエルした理由をうやむやにしたいようだ。なかなか強かだなぁ。

 

「明日香さんがそう言うなら…やってやろうじゃないの!」

 

「素敵な殿方が相手じゃないのが残念ですが、たまにはいいかも知れませんね」

 

どうやら枕田と浜口もやる気になってくれたようだ。良きかな良きかな。

 

アニメ原作のこの時期の丸藤翔は、デッキ構築や戦術に関しては弱くはないんだけれどメンタル面が未成熟で色々とやらかすのが欠点だ。彼だけだとそこまで強くない枕田と浜口に負けかねない。

 

なのでタッグデュエルだ。コナミはこういった負けてはいけない時のタッグデュエルでは絶対に負けることは無い。コナミと組めば丸藤が負けることは無いだろう。これで安心して見ていられるな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

湖には2隻のボートが並んで浮いている。それぞれのボートにはコナミと丸藤翔、枕田ジュンコと浜口ももえが立っていて、それぞれがデュエルディスクを構えている。

 

「オシリスレッドのくせに私とデュエルなんて…いー度胸してるじゃない!言っておくけど、私たちは日々明日香さんに鍛えて貰っているんだからね!」

 

「昔はそこまで強くなかったですけれど、今は違いますのよ?相手をして差し上げますわ」

 

アニメとは違い、自身の強さに自信を持ってデュエルへのやる気を漲らせている枕田と浜口。彼女らが強くなったのなら、使用するデッキはタッグフォース寄りになるのだろうか。

 

「コナミ君、よろしくね!頑張ってボクの無実を掴み取ろう!」

 

「おぉっ!よろしくな!翔!」

 

「翔ー!コナミー!頑張れよー!」

 

同じくやる気を漲らせている丸藤と、いつもデュエルならウェルカムなコナミ。十代は女子寮前の船着場から翔たちを応援している。俺や明日香も同じ場所に居る。

 

「遊城君、もう夜も遅いわ。女子寮の前で大きな声を出したら迷惑が掛かってしまうわ」

 

「あっ、悪い」

 

明日香が十代を窘めているが、湖の上でやるデュエルにはそういう意味があったんだな。確かに湖の上でやるなら寮から離れているので多少騒いだところで寮まで声が聞こえないから迷惑にならないし気付かれにくいわけだ。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆丸藤翔&赤羽コナミ LP:8000

丸藤翔 手札:5枚

赤羽コナミ 手札:5枚

 

vs

 

◆枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:8000

枕田ジュンコ 手札:5枚

浜口ももえ 手札:5枚

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ですわ」

ももえ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で謙虚な壺】を発動しますわ。効果によりデッキから3枚カードをめくり、そのうちの1枚【命削りの宝札】を手札に加え、他の2枚をデッキに戻してシャッフルしますわ」

ももえ 手札:6→5→6枚。

 

【強欲で謙虚な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、

このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。

 

<浜口ももえがめくったカード>

①巨大ネズミ

②レベル制限B地区

③命削りの宝札

 

「私は手札から【デス・ウォンバット】を召喚ですわ」

ももえ 手札:6→5枚。

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

 

【デス・ウォンバット】

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻1600/守 300

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、コントローラーへのカードの効果によるダメージを0にする。

 

「更に私は手札から永続魔法【黒蛇病】を発動しますわ」

ももえ 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【黒蛇病】

永続魔法

自分のスタンバイフェイズ毎にお互いのライフに200ポイントダメージを与える。

2ターン目以降自分のスタンバイフェイズ毎にダメージは倍になる。

 

「更に私は手札から2枚目の【黒蛇病】を発動しますわ」

ももえ 手札:4→3枚。永続魔法:1→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【マジック・ガードナー】を発動しますわ。対象はもちろん永続魔法【黒蛇病】ですわ」

ももえ 手札:3→2枚。MGカウンター:0→1

 

【マジック・ガードナー】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する魔法カード1枚を選択して発動する。

選択したカードにカウンターを1つ置く。選択したカードが破壊される場合、代わりにそのカウンターを1つ取り除く。

 

「私はカードを1枚セットして、手札から魔法カード【命削りの宝札】を発動し、手札が3枚になるようにデッキからドローしますわね」

ももえ 手札:2→1→0→3枚。伏せカード:0→1枚。

 

【命削りの宝札】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分は手札が3枚になるようにデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。このターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送る。

 

「私は手札から魔法カード【封印の黄金櫃】を発動しますわ。デッキから【停戦協定】を除外しますわね」

ももえ 手札:3→2枚。

 

【封印の黄金櫃】

通常魔法

(1):デッキからカード1枚を選んで除外する。このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカードを手札に加える。

 

【停戦協定】

通常罠

(1):フィールドに効果モンスターまたは裏側守備表示モンスターが存在する場合に発動できる。フィールドの裏側守備表示モンスターを全て表側表示にする。

この時、リバースモンスターの効果は発動しない。フィールドの効果モンスターの数×500ダメージを相手に与える。

 

「私は手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動しますわ。デッキから【森の番人グリーン・バブーン】を墓地に送りますわ」

ももえ 手札:2→1枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

【森の番人グリーン・バブーン】

効果モンスター

星7/地属性/獣族/攻2600/守1800

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの表側表示の獣族モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時、1000LPを払って発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

「私はカードを1枚セットして、ターン終了ですわ」

ももえ 手札:1→0枚。伏せカード:1→2枚。

 

エンドフェイズ時に手札を捨てる【命削りの宝札】のデメリット効果は、既に彼女の手札が0枚なので意味はないな。

 

 

◆丸藤翔&赤羽コナミ LP:8000

丸藤翔 手札:5枚

赤羽コナミ 手札:5枚

 

vs

 

◆枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:8000、伏せカード:2枚、永続魔法:2枚(MGカウンター:1)

枕田ジュンコ 手札:5枚

浜口ももえ 手札:0枚

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

 

 

浜口ももえはタッグフォース3で使用していた【黒蛇病】を主体とするデッキだな。

 

本来【黒蛇病】の効果ダメージはお互いに発生するが、【デス・ウォンバット】で自身への効果ダメージはカットして、一方的に相手だけにじわじわと【黒蛇病】ダメージを与えるデッキだ。

 

「【黒蛇病】か。彼女は面白いデッキを使うんだな」

 

「時間が経てば経つほどダメージが倍加する永続魔法か。おっかない戦術だな~」

 

「ももえはのんびりした性格だからなのか、じっくり攻めたいらしいわ」

 

俺が素直な感想を述べると、十代がそれに続いて自身の感想を言い、明日香が補足する。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

翔 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【サイクロイド】2体を融合する!出でよ!【ペアサイクロイド】!」

翔 手札:6→5→3枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

【サイクロイド】

通常モンスター

星3/地属性/機械族/攻 800/守1000

数あるビークロイドの中で、最も親しみ深く愛されるビークロイド。補助輪を装備する事もできるぞ!

 

【ペアサイクロイド】

融合・効果モンスター

星5/地属性/機械族/攻1600/守1200

同名の機械族モンスター×2

(1):このカードは直接攻撃できる。

 

<翔&コナミのフィールド>

ペアサイクロイド ★5 ATK1600 ※ダイレクトアタッカー

 

「更にボクは手札から【サブマリンロイド】を召喚!」

翔 手札:3→2枚。

 

【サブマリンロイド】

効果モンスター

星4/水属性/機械族/攻 800/守1800

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。この時、相手ライフに与える戦闘ダメージはこのカードの元々の攻撃力と同じ数値になる。

また、このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、このカードの表示形式を守備表示にできる。

 

<翔&コナミのフィールド>

ペアサイクロイド ★5 ATK1600 ※ダイレクトアタッカー

サブマリンロイド ★4 ATK800  ※ダイレクトアタッカー

 

「バトルだ!【ペアサイクロイド】も【サブマリンロイド】も相手プレイヤーに直接攻撃できる!まずは【サブマリンロイド】、ダイレクトアタックだ!」

 

「リバースカードオープン。永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】発動ですわ。これでフィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できませんわ」

枕田ジュンコ&浜口ももえ 伏せカード:2→1枚、永続罠:0→1枚

 

【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】

永続罠

フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない。

 

「そんな…!」

 

「これだからオシリスレッドは…伏せカードが2枚もあるんだから少しくらい警戒しなさいよね」

 

「ドンマイ翔!気にすんなって!」

 

浜口の伏せカードによって攻撃が止められた丸藤は驚いた様子を見せるが、むしろ伏せカードを警戒しない様子に枕田は呆れ、コナミが励ましている。

 

まだこの時期の丸藤翔はプレイングが雑だなぁ。まだ迷宮兄弟とのタッグ戦を経験してないからあまり成長出来てないんだろうか。

 

いや、流石にこれは結果論か。俺もさっきの丸藤翔の手札だったならとりあえず罠を踏み抜く覚悟で攻めたかもしれないしな。

 

「ボ、ボクはカードを2枚セットしてターンエンド!」

翔 手札:2→0枚。伏せカード:2枚。

 

 

◆丸藤翔&赤羽コナミ LP:8000、伏せカード:2枚。

丸藤翔 手札:0枚

赤羽コナミ 手札:5枚

 

<翔&コナミのフィールド>

ペアサイクロイド ★5 ATK1600 ※ダイレクトアタッカー

サブマリンロイド ★4 ATK800  ※ダイレクトアタッカー

 

vs

 

◆枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:8000、伏せカード:1枚、永続魔法:2枚(MGカウンター:1)、永続罠:1枚。

枕田ジュンコ 手札:5枚

浜口ももえ 手札:0枚

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

 

 

丸藤は早くも手札を使い切ったか。せめて手札を1枚残しておけば【カイトロイド】が手札にあると思わせられたかもしれないのにな。

 

いや、あの伏せカードが【進入禁止!No Entry!!】のような優秀な防御カードだったり、【スーパーチャージ】のようなドローソースの可能性もあるから一概に悪手とは言えないか。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行よ!」

ジュンコ 手札:5→6枚。

 

「自分スタンバイフェイズに永続魔法【黒蛇病】の効果が発動するわ!お互いに200LPダメージよ!」

 

「ですが、私たちのフィールドにはコントローラーへのカードの効果によるダメージを0にする【デス・ウォンバット】が居ますわ」

 

「つまり、アンタたちだけがダメージを受けるのよ!そして【黒蛇病】は2枚あるから合計で400LPダメージよ!」

 

「うわっ!でも、これくらいなら!」

丸藤翔&赤羽コナミ LP:8000 → 7800 → 7600

 

「甘いですわね。【黒蛇病】はターン経過ごとにダメージ量が倍加していく永続魔法。今後はこれくらいじゃ済みませんわよ?」

 

それは、次のコナミのターンが終わる頃に【黒蛇病】がフィールドに残っていればの話だけどな。

 

「メインフェイズに移行!」

 

「私は手札から魔法カード【マジック・プランター】を発動!フィールドの【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】を墓地に送って2枚ドローよ!」

ジュンコ 手札:6→5→7枚。永続罠:1→0枚。

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私は手札から【ハーピィ・クィーン】の効果を発動!このカードを墓地に送って、デッキからフィールド魔法【ハーピィの狩場】を手札に加えるわ!」

ジュンコ 手札:7→6→7枚。

 

【ハーピィ・クィーン】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1900/守1200

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「ハーピィ・レディ」として扱う。

(2):このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「ハーピィの狩場」1枚を手札に加える。

 

「私は手札からフィールド魔法【ハーピィの狩場】を発動!」

ジュンコ 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ハーピィの狩場】

フィールド魔法

(1):フィールドの鳥獣族モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):自分または相手が、「ハーピィ・レディ」または「ハーピィ・レディ三姉妹」の召喚・特殊召喚に成功した場合、そのプレイヤーはフィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。そのカードを破壊する。

 

「私は手札から【ハーピィ・レディ1】を召喚!

ジュンコ 手札:6→5枚。

 

【ハーピィ・レディ1】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1300/守1400

このカードのカード名は「ハーピィ・レディ」として扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、風属性モンスターの攻撃力は300ポイントアップする。

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

ハーピィ・レディ1 ★4 ATK1300→1600→1800

 

「【ハーピィ・レディ1】召喚成功時にフィールド魔法【ハーピィの狩場】の効果発動!アンタたちの伏せカード1枚を破壊するわ!」

 

「あぁっ!?【スーパーチャージ】が破壊されちゃった!?」

丸藤翔&赤羽コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【スーパーチャージ】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の「ロイド」モンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「更に私は手札から魔法カード【万華鏡-華麗なる分身-】を発動!デッキから【ハーピィ・レディ三姉妹】を特殊召喚するわ!」

ジュンコ 手札:5→4枚。

 

【万華鏡-華麗なる分身-】

通常魔法

(1):フィールドに「ハーピィ・レディ」が存在する場合に発動できる。

手札・デッキから「ハーピィ・レディ」または「ハーピィ・レディ三姉妹」1体を特殊召喚する。

 

【ハーピィ・レディ三姉妹】

特殊召喚・効果モンスター

星6/風属性/鳥獣族/攻1950/守2100

このカードは通常召喚できない。「万華鏡-華麗なる分身-」の効果で特殊召喚できる。

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

ハーピィ・レディ1 ★4 ATK1800

ハーピィ・レディ三姉妹 ★6 ATK1950→2250→2450

 

「【ハーピィ・レディ三姉妹】特殊召喚成功時にフィールド魔法【ハーピィの狩場】の効果発動!アンタたちの最後の伏せカード1枚を破壊するわ!」

 

「そんなっ!?【リビングデッドの呼び声】まで破壊されるなんて!?」

丸藤翔&赤羽コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

これは不味いかもな。枕田の手札はあと4枚もあるのに丸藤達のフィールドには低ステータスのモンスターが2体のみ。最悪、コナミのターンが回らずにこのターンで終わってしまうかも知れない。ここで負けると流石にもう擁護できないぞ…。

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

ハーピィ・レディ1 ★4 ATK1800

ハーピィ・レディ三姉妹 ★6 ATK2450

 

「バトルよ!【デス・ウォンバット】で【サブマリンロイド】を攻撃!」

 

デス・ウォンバット ATK1600

vs

サブマリンロイド ATK800

 

「うわぁっ!」

丸藤翔&赤羽コナミ LP:7600 → 6800

 

<翔&コナミのフィールド>

ペアサイクロイド ★5 ATK1600 ※ダイレクトアタッカー

 

「続いて!【ハーピィ・レディ1】で【サブマリンロイド】を攻撃!スクラッチ・クラッシュ!」

 

ハーピィ・レディ1 ATK1800

vs

ペアサイクロイド ATK1600

 

「くぅっ!ボクたちのフィールドのモンスターが、全滅…」

丸藤翔&赤羽コナミ LP:6800 → 6600

 

<翔&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「もう一撃!【ハーピィ・レディ三姉妹】でダイレクトアタック!トライアングル・X・スパーク!!」

 

ハーピィ・レディ三姉妹 ATK2450

 

「ぐあぁぁぁっ!」

丸藤翔&赤羽コナミ LP:6600 → 4150

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドよ!」

ジュンコ 手札:4→3枚。伏せカード:1→2枚。

 

 

◆丸藤翔&赤羽コナミ LP:4150、伏せカード:0枚。

丸藤翔 手札:0枚

赤羽コナミ 手札:5枚

 

<翔&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:7200、伏せカード:2枚、フィールド魔法:1枚。装備魔法:1枚。永続魔法:2枚(MGカウンター:1)、永続罠:0枚。

枕田ジュンコ 手札:3枚

浜口ももえ 手札:0枚

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

デス・ウォンバット ★4 ATK1600

ハーピィ・レディ1 ★4 ATK1800

ハーピィ・レディ三姉妹 ★6 ATK2450

 

 

これは流石に厳しいな。最初のターンに浜口がセットしたのは枕田が使わなかったことから恐らく防御カードだ。

 

枕田が新たに伏せたカードは【ハーピィ】デッキならではの【ヒステリック・パーティー】や鳥獣族御用達の【ゴッドバードアタック】など、危険なカードである可能性が高い。

 

2枚の【黒蛇病】も次のターンから放置できないダメージ量に変わってくるし、次の浜口のターンで彼女の手札に【停戦協定】が加わってしまう。そうなればほぼ詰みだ。

 

コナミはどう対処するかな?

 

「ジュンコもももえも調子がいいみたいね」

 

「ここからの逆転は厳しいかもな」

 

「翔、コナミ…」

 

明日香は自分の友人たちのデュエルを見て満足そうに頷き、逆に十代は友人たちを心配しているようだ。

 

「オレのターンだな。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【サイキック・リフレクター】を召喚!」

コナミ 手札:6→5枚。

 

【サイキック・リフレクター】

チューナー・効果モンスター

星1/闇属性/サイキック族/攻 400/守 300

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。「サイキック・リフレクター」以外の「バスター・モード」のカード名が記されたカードまたは「バスター・モード」1枚をデッキから手札に加える。

(2):手札の「バスター・モード」1枚を相手に見せ、「サイキック・リフレクター」以外の「バスター・モード」のカード名が記された自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのレベルを4つまで上げる。

 

<翔&コナミのフィールド>

サイキック・リフレクター ★1 ATK400 ※チューナー

 

「【サイキック・リフレクター】の召喚成功時に効果発動!デッキから【バスター・ビースト】を手札に加える!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

【バスター・ビースト】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1900/守1200

(1):このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「バスター・モード」1枚を手札に加える。

 

「オレは手札の【バスター・ビースト】の効果発動!手札から自身を捨てて【バスター・モード】を手札に加える!」

コナミ 手札:6→5→6枚。

 

【バスター・モード】

通常罠

(1):自分フィールドのSモンスター1体をリリースして発動できる。そのモンスターのカード名が含まれる「/バスター」モンスター1体をデッキから攻撃表示で特殊召喚する。

 

今回のコナミのデッキは【バスター・モード】デッキなのか?そう言えばずいぶん昔に【バスター・モード】を使っていたっけ。

 

いや、この動きはメジャーなレベル6~9シンクロモンスターを呼び出す時の流れだな。

 

「【サイキック・リフレクター】の効果発動!手札の「バスター・モード」1枚を相手に見せ、墓地の【バスター・ビースト】を特殊召喚してそのレベルを2上げる!」

 

<翔&コナミのフィールド>

サイキック・リフレクター ★1 ATK400 ※チューナー

バスター・ビースト ★4→6 ATK1900

 

レベル7?嫌な予感がしてきたな…。

 

「オレはレベル6となった【バスター・ビースト】にレベル1【サイキック・リフレクター】をチューニング!冷たい炎が世界の全てを包み込む。漆黒の花よ、開け!シンクロ召喚!咲き乱れよ!レベル7!【ブラック・ローズ・ドラゴン】!!」

 

【ブラック・ローズ・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星7/炎属性/ドラゴン族/攻2400/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。フィールドのカードを全て破壊する。

(2):1ターンに1度、自分の墓地から植物族モンスター1体を除外し、相手フィールドの守備表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の守備表示モンスターを表側攻撃表示にし、その攻撃力はターン終了時まで0になる。

 

<翔&コナミのフィールド>

ブラック・ローズ・ドラゴン ★7 ATK2400

 

「し、シグナーの竜!?」

 

アイツ、何処からそのカードを!?

 

「オレはシンクロ召喚に成功した【ブラック・ローズ・ドラゴン】の効果発動!フィールドのカードを全て破壊する!」

 

「フィールド上のカード全てを破壊ですって!?」

 

「無茶苦茶ですわ!」

 

「インチキ!インチキっすよコナミ君!」

 

「効果を使っちゃうんだなこれが!さっぱりさせようぜぇ!ブラック・ローズ・ガイル!!」

 

<翔&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

モンスター無し

 

枕田ジュンコ&浜口ももえ 伏せカード:2→0枚、フィールド魔法:1→0枚、装備魔法:1→0枚。永続魔法:2→1枚(MGカウンター:1→0)

 

 

ふぅ、ようやく落ち着いてきた。まさかシグナーの竜を見ることになるとは思わなかったな…。流石は公式チートのコナミと言ったところか。

 

彼女たちの伏せカードは【スケープ・ゴート】と【ヒステリック・パーティー】だったか。まさかこんな解決方法を用意されるとは思えず、発動タイミングが無かったんだな。

 

 

「ジュンコさん!」

 

「分かってる!フィールドの獣族【デス・ウォンバット】が効果破壊されたことで墓地の【森の番人グリーン・バブーン】の効果発動よ!1000LPを払って墓地から特殊召喚するわ!」

枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:7200→6200

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

森の番人グリーン・バブーン ★7 ATK2600

 

「オレは手札から【焔征竜-ブラスター】の効果発動!このカードと手札の【ヴォルカニック・バレット】を墓地に送って【森の番人グリーン・バブーン】を破壊する!」

コナミ 手札:6→5→4枚。

 

【焔征竜-ブラスター】

効果モンスター

星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または炎属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。

特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

また、このカードと炎属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・炎属性モンスター1体を手札に加える事ができる。

「焔征竜-ブラスター」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

【ヴォルカニック・バレット】

効果モンスター

星1/炎属性/炎族/攻 100/守 0

(1):このカードが墓地に存在する場合、1ターンに1度、500LPを払って発動できる。このカードが墓地に存在する場合、デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える。

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

モンスターなし

 

 

「せ、せ、せ、征竜ぅぅぅぅぅ!?」

 

お前、ふざけんな!マジでどこで手に入れたんだよそんな危険物!インチキカードもいい加減にしろ!俺だって流石にそのデッキだけは自重したんだぞ!

 

 

「なっ!?」

 

「そんな、グリーン・バブーンがあっさり倒されるなんて!?」

 

「オレは墓地の【ヴォルカニック・バレット】の効果発動!500LPを払ってデッキから【ヴォルカニック・バレット】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→5枚。

丸藤翔&赤羽コナミ LP:4150→3650

 

「オレは手札から魔法カード【竜の霊廟】を発動!デッキから通常モンスター【ガード・オブ・フレムベル】を墓地に送り、更に【エクリプス・ワイバーン】を墓地に送る!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

【竜の霊廟】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。

この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、

さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

【ガード・オブ・フレムベル】

チューナー・通常モンスター

星1/炎属性/ドラゴン族/攻 100/守2000

炎を自在に操る事ができる、フレムベルの護衛戦士。灼熱のバリアを作り出して敵の攻撃を跳ね返す。

 

【エクリプス・ワイバーン】

効果モンスター

星4/光属性/ドラゴン族/攻1600/守1000

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。デッキから光属性または闇属性のドラゴン族・レベル7以上のモンスター1体を除外する。

(2):墓地のこのカードが除外された場合に発動できる。このカードの(1)の効果で除外されているモンスターを手札に加える。

 

「墓地に送られた【エクリプス・ワイバーン】の効果発動!デッキから【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を除外する!」

 

【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】※エラッタ前

効果モンスター

星10/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400

(1):このカードは自分フィールドの表側表示のドラゴン族モンスター1体を除外し、手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地から「レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン」以外のドラゴン族モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

おい、そのレダメ、エラッタされてないぞ。

 

「オレは手札の【炎征竜-バーナー】の効果発動!このカードと【ヴォルカニック・バレット】を墓地に送り、デッキから【焔征竜-ブラスター】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:4→3→2枚。

 

【炎征竜-バーナー】

効果モンスター

星3/炎属性/ドラゴン族/攻1000/守 200

ドラゴン族または炎属性のモンスター1体とこのカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「焔征竜-ブラスター」1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

「炎征竜-バーナー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<翔&コナミのフィールド>

焔征竜-ブラスター ★7 ATK2800 ※このターン攻撃は出来ない。

 

「オレは手札の魔法カード【七星の宝刀】を発動!手札の【嵐征竜-テンペスト】を除外してデッキから2枚ドロー!」

コナミ 手札:2→1→0→2枚。

 

【七星の宝刀】

通常魔法

「七星の宝刀」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札または自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル7モンスター1体を除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

【嵐征竜-テンペスト】

効果モンスター

星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

このカード名の(1)~(4)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札からこのカードと風属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。デッキからドラゴン族モンスター1体を手札に加える。

(2):ドラゴン族か風属性のモンスターを自分の手札・墓地から2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。

(3):このカードが特殊召喚されている場合、相手エンドフェイズに発動する。このカードを手札に戻す。

(4):このカードが除外された場合に発動できる。デッキからドラゴン族・風属性モンスター1体を手札に加える。

 

「除外された【嵐征竜-テンペスト】の効果発動!デッキから【ドラグニティ-ファランクス】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

【ドラグニティ-ファランクス】

チューナー・効果モンスター

星2/風属性/ドラゴン族/攻 500/守1100

(1):1ターンに1度、このカードが装備カード扱いとして装備されている場合に発動できる。装備されているこのカードを特殊召喚する。

 

「オレは手札から魔法カード【調和の宝札】を発動!手札の【ドラグニティ-ファランクス】を墓地に送ってデッキから2枚ドロー!」

コナミ 手札:3→2→1→3枚。

 

【調和の宝札】

通常魔法

(1):手札から攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー1体を捨てて発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

「オレは手札から【瀑征竜-タイダル】の効果発動!墓地の【サブマリンロイド】と【エクリプス・ワイバーン】を除外して自身を特殊召喚!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

【瀑征竜-タイダル】

効果モンスター

星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または水属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。

特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

また、このカードと水属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・水属性モンスター1体を手札に加える事ができる。

「瀑征竜-タイダル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<翔&コナミのフィールド>

焔征竜-ブラスター ★7 ATK2800 ※このターン攻撃は出来ない。

瀑征竜-タイダル ★7 ATK2600

 

「墓地から除外された【エクリプス・ワイバーン】の効果発動!除外されている【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から【巌征竜-レドックス】の効果発動!墓地の【サイクロイド】2体を除外して自身を特殊召喚!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

【巌征竜-レドックス】

効果モンスター

星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000

自分の手札・墓地からこのカード以外のドラゴン族または地属性のモンスターを合計2体除外して発動できる。このカードを手札・墓地から特殊召喚する。

特殊召喚したこのカードは相手のエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

また、このカードと地属性モンスター1体を手札から墓地へ捨てる事で、自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。

このカードが除外された場合、デッキからドラゴン族・地属性モンスター1体を手札に加える事ができる。

「巌征竜-レドックス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<翔&コナミのフィールド>

焔征竜-ブラスター ★7 ATK2800 ※このターン攻撃は出来ない。

瀑征竜-タイダル ★7 ATK2600

巌征竜-レドックス ★7 ATK1600

 

「オレはフィールドの【巌征竜-レドックス】を除外して、手札の【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】を自身の効果で特殊召喚!」

コナミ 手札:2→1枚。

 

<翔&コナミのフィールド>

焔征竜-ブラスター ★7 ATK2800 ※このターン攻撃は出来ない。

瀑征竜-タイダル ★7 ATK2600

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ★10 ATK2800

 

「オレは【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】の効果発動!墓地のチューナーモンスター【ガード・オブ・フレムベル】を特殊召喚!」

 

<翔&コナミのフィールド>

焔征竜-ブラスター ★7 ATK2800 ※このターン攻撃は出来ない。

瀑征竜-タイダル ★7 ATK2600

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ★10 ATK2800

ガード・オブ・フレムベル ★1 DEF2000 ※チューナー

 

「オレはレベル7【焔征竜-ブラスター】にレベル1【ガード・オブ・フレムベル】をチューニング!王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!荒ぶる魂!レベル8【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】!!」

 

<翔&コナミのフィールド>

瀑征竜-タイダル ★7 ATK2600

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ★10 ATK2800

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ★8 ATK3000

 

「バトルだ!【瀑征竜-タイダル】でダイレクトアタック!」

 

瀑征竜-タイダル ATK2600

 

「きゃぁぁっ!」

枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:6200→3600

 

「続けて!【レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン】でダイレクトアタック!ダークネス・メタルフレア!!」

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン ATK2800

 

「あぁぁぁぁっ!」

枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:3600→800

 

「止めだ!【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】でダイレクトアタック!灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ATK3000

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:800→0

 

 

「良いデュエルだったな!またやろう!」

 

「や、やったー!勝ったっスよー!」

 

「負けた…。なんでアンタみたいなのがオシリスレッドなのよ!」

 

「あそこから私たちが負けるなんて、お強いんですわねぇ」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

丸藤翔の人生の進退を掛けたタッグデュエルは、殆どコナミ1人による蹂躙劇で終わった。丸藤翔がメインのはずなのにこの結果で良かったのかは疑問だが置いておこう。

 

後からコナミに聞いた話だが、あのカード群は最近手に入れた物らしく、まだまだ自分の納得の行くプレイングではなかったらしい。ちなみに最後の手札は【超再生能力】だったそうだ。

 

本人曰く『カードは拾った』らしい。絶対に嘘だ。あんな危ないものを拾えるとか、公式チート怖すぎるわ。

 

「手札・墓地から特殊召喚できるとか、手札コストなんてあってないようなものじゃない…」

 

「あれ、どうやって勝てばいいんだ?」

 

さて、そろそろタッグデュエルの後からずっと俺の横で呆然としている明日香と十代に声を掛けておこうかな。

 

「コナミと丸藤が勝ったわけだから、丸藤の覗きの件に関しては不問で良いんだよな?」

 

「えっ、えぇ。そうね」

 

「そっか。翔たち、勝ったんだよな」

 

明日香も十代も未だに心ここにあらずって感じだが、これで明日香の言質は取った。

 

「良し。じゃあこれで一件落着だな。俺はもう帰るわ」

 

女子寮の前で呆然としている明日香と十代、ボートの上ではしゃいでいるコナミと丸藤、同じくボートの上で凹んでいる枕田と浜口を置いて、俺は女子寮の前に広がる湖の水面上を歩いてとっとと自分の寮へ帰った。

 

~~~

 

<十代視点>

 

翔とコナミのタッグデュエルが終わって天上院達に解放された後、オレ達はレッド寮に帰って来た。翔もコナミも自室に戻り、オレだけはレッド寮2階にある通路から、手すりに体を預けて海を見ていた。

 

「兄貴が天上院さんに負けちゃったときはどうなるかと思ったけど、コナミ君のおかげでなんとかなったよ!ありがとうコナミ君!」

 

「気にするなって。楽しいデュエルが出来ればオレはそれでいいからさ」

 

先ほど、自室に戻ろうとしていたコナミと翔との会話が思い出される。翔に悪気はないのだろうが、あの言葉は堪えた。オレは、負ければ翔が退学になるかも知れないデュエルを気軽に受けてあっさり負けたからだ。

 

そしてオレとは違い、コナミは強かった。オレの知らない召喚方法、オレの知らないカード、オレの知らない戦術。どれをとっても今のオレよりも強いと断言できる。

 

「悔しいな。オレって実はそんなに強くなかったのかなぁ」

 

『おや?十代、落ち込んでいるのかい?』

 

俺の独り言に反応したのか、ユベルが俺の横に並び立つように姿を現す。

 

「そりゃそうだろ。オレは天上院に手も足も出ずに負けたっていうのに、同じオシリスレッドのコナミは逆にオベリスクブルーの女子二人に圧勝したんだぜ?」

 

『そうだね』

 

翔には悪いが、あの勝利はコナミの実力によるものだ。恐らくアイツはオレよりも強い天上院よりも更に強い。

 

「デュエルはただ楽しいものだと思ってた。お互い全力を出し切れたなら、勝ち負けは二の次だと思ってたよ」

 

『ふふっ、今は違うのかい?』

 

「分からない。オレの考えは間違っていたのかな?」

 

負けたとはいえ、天上院とのデュエルは楽しかった。でもアイツはまだ全力を出していなかった気がする。

 

でも、オレは天上院に勝ちたいし、コナミにも勝ちたい。

 

「なぁ、ユベル。もう一人のオレならアイツらに勝てたと思うか?」

 

『今の彼ならばあの女学生には勝てるだろうけど、あの赤帽子は…難しいだろうね』

 

もう一人のオレは、数年前に瀕死だったユベルと再会した際にオレがユベルを救いたいという願いによってオレから切り離されて生まれた存在だそうだ。そうユベルから聞いた。

 

彼はオレの前世にあたる少年が持っていた記憶を持ち、『正しき闇の力を持つ者』として今の状態でも覇王の力をある程度は使いこなすことが出来ているらしい。その力を使って瀕死だったユベルを時間をかけつつもなんとか治療したそうだ。

 

そして、オレが『正しき闇の力を持つ者』として成長した時にオレともう一人のオレは融合して再び同じ存在になり、本当の意味でのオレになるんだとかなんとか。

 

ユベル曰く『少年から大人になるということ』らしいが、何度聞いてもさっぱり分からないぜ。

 

「はぁ~」

 

ユベルやネオスが言うには、俺は『正しき闇の力を持つ者』として、いずれ『破滅の光』と言う存在と戦う運命にあるそうだ。

 

今までは『破滅の光』と言う存在と戦う運命なんて聞かされた時から、悪い奴等を倒すHEROみたいだ!格好いいな!なんて気楽に考えていたけど、その戦いにもし今日の様に負けたら誰かを犠牲にしてしまうかも知れないんだ。

 

『十代、ボクは君だけの守護者だ。君が少年から大人になるまでの間、どのような存在からも君を守る』

 

「ユベル…?」

 

『だから、今は負けていいんだ。デュエルを楽しんで、たくさん戦って、たくさん負けても、その度にまた這い上がればいい。ゆっくりでもいい。大きく強くなって大人になってくれればいいさ』

 

「ユベル、慰めてくれるのか。いつもありがとうな」

 

『いいさ』

 

オレは長年の相棒に礼を言う。当の本人は穏やかな笑みでほほ笑むだけだったけどさ。

 

オレは強くなる。天上院よりも、コナミよりもだ。誰よりも強くなってやる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ところでハネクリボー。十代たちに声を掛けづらいんだが、我々はどうすればいいのだろう?』

 

『クリクリィ』

 

~~~

 

<鮫島校長視点>

 

今は、日が沈んで夜も深まり、出歩く人間が居なくなったような時間だ。デュエルアカデミアの島にある船着場、その近くにある灯台の近くで私は今、海パン一丁で海の中に居た。校長服は折りたたんで灯台の下に置いてある鞄の中にしまってある。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…。ふぅむ、発信機の反応は確かこの辺りにあったはずなんですが…もう一度潜ってみましょうか」

 

年を重ねてお腹が出てきた上に体力が衰えてきており、長時間の潜水はきついものがあるが、七星門の鍵を取り戻すためには必要なことだ。

 

「こ、校長先生!?一体そこで何をなさっているんですか!?」

 

誰も居ないはずだった灯台の方から聞き覚えのある女性の声が聞こえてきた。確か、我がデュエルアカデミア倫理委員会に所属している女性の声だ。

 

よく目を凝らしてみてみると、灯台の真下には倫理委員会所属であることを示す緑色の制服にクロノベレー帽を被ったセミロングの黒髪の女性が部下と思われる男性二人を連れて立っていた。

 

デュエルアカデミア倫理委員会は、去年メンバーが総入れ替えになってから目に見えて動きが変わった。各寮や立入禁止区域になっている廃寮などの校内の警備員が見回らない屋外をシフトを組んで365日24時間体制で重点的に見回るようになったのだ。

 

おかげで一部の生徒が行っていたアンティルールの校則違反デュエルなどが摘発されて退学処分になることが多くなり、去年に比べて学生たちも格段に規律を守るようになってきていた。

 

彼らはそんな見回りの最中だったのだろう。

 

「はははっ、見回りご苦労様です。いやなに。大切な私物を海に落としてしまったもので、探しているのですよ」

 

「こんな夜更けにですか!?」

 

確かにこんな夜遅くに海に潜っている中年男性を見かけたら不審者と間違われても仕方ないかも知れないな。

 

「えぇ。私のことはどうかお構いなく」

 

「構いますよ!何言っているんですか!?正気ですか!?」

 

その後、私は彼らに捕まって強制的に保健室へ放り込まれた。頭のおかしくなる病気だと思われたらしい。失礼な人たちだ。

 

今後の七星門の鍵の捜索は、彼らのいない時間を見計らって行う必要がありそうだ。

 

鮫島校長の受難は続く。

 

ティロリン!鮫島校長のストレス値が1上がった!

 

ティロリン!鮫島校長の警戒値が1上がった!

 

~~~

 

<クロト視点>

 

丸藤とコナミのタッグデュエルが終わり、イエロー寮で廃寮の調査結果をまとめた俺は、今後の方針について考えていた。

 

 

今更だが俺の現時点での最終目標は『遊城十代と同時期にデュエル・アカデミアを卒業すること』である。

 

そしてこの世界における俺の敗北条件は以下の4通りだと推測している。

 

①ダークネス編にて、ダークネスの世界に飲み込まれる。

 

②三幻魔編、光の結社編、異世界編にて、闇のゲームに敗北する。

 

③ ①・②いずれかの事件により遊城十代やその仲間たちが死ぬ。

 

④全てを見捨てて全力で逃げる。

 

恐らくどれかの条件を満たすと、俺だけ運よく生き残ったとしてもプレイ動画を見ている感覚のクソ女神からバッドエンド判定やらゲームオーバー判定にされ、その瞬間に俺は死を迎えると思う。

 

 

逆に、この世界における俺の勝利パターンは以下の3通りだと考えている。

 

①全ての事件が発生しても何とか俺と十代たちが生き残る。

 

②いくつかの事件が発生しても何とか俺と十代たちが生き残る。

 

③全ての事件を発生させないで俺と十代たちが生き残る。

 

 

①に関しては、高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応せよ!と言うわけだ。こんな選択肢はなるべく選びたくない。最終手段だ。

 

②に関しては、どの事件を発生させないかを決めてそこに注力し、他の事件に関しては極力手を出さない方針だ。悪くはないかな。

 

③に関しては、ほぼ理想論だ。言うは易く行うは難し。

 

今までの行動方針については②を採用してきたつもりだ。アニメGXストーリー以外の勢力は大体潰し、異世界編の発生は諦めて、三幻魔編と光の結社編の発生を防ぎ、連鎖的にダークネス編を発生させない方法だ。

 

だが今日の調査の結果により、1つの賭けに出るかどうかの選択肢が生まれたのだ。

 

「あの黒い空間の歪みを広げれば、恐らくダークネス世界への扉が開く。つまり、いつでもダークネス世界に戦いを挑めるわけだ」

 

クロノト〇ガーのラ〇ォスみたいだな。

 

ダークネスとは、12次元宇宙の影であり闇さえあればどこでも存在できる、宇宙そのものであり人類の破滅した未来そのものという概念の存在、なんていうトンデモ存在だ。全てを消し去るなんて不可能だし、仮に出来たとしてもいずれ復活する。

 

そして、この世界の遊城十代がアニメ原作と同様にダークネスを打ち倒せる保証はない。アニメ原作ではほぼ負けが無かった十代だが、今日は明日香にコテンパンにされていた。彼に頼りきりになるのは不味い。失敗した時のリスクが大きすぎる。具体的には俺が死ぬ。

 

だが、今ならばダークネスの世界に介入して、ダークネスの他世界侵攻を大幅に遅らせることが出来るかも知れない。問題の先送りともいう。俺が寿命で死んでから100年後とかに誰かが何とかしてくれ精神である。

 

影丸、斎王、そして十代とユベル。これらの力を持つ存在がデュエルモンスターズの力を私的に使用する(事件が起こる)ことで、人々の心の闇が増幅してダークネスが強化されてしまい、次元に負荷がかかることでダークネスが他世界への干渉するのを許す結果になる。

 

逆に考えると三幻魔の事件すら起こっていない今ならば、ダークネスの力はそれほどでもはずだ。まだダークネスの分身である闇イソノことミスターTを量産することも出来ていないだろう。

 

ならば推測される今のダークネスの手札は闇ワカメこと藤原優介1人のみ。これならば倒せる可能性は十分にある。幸い、この世界にはアニメ原作に存在しなかった特記戦力と呼べる存在もいるからな。

 

「決めた。2週間後だ。明日以降からアイツへの連絡と俺自身の準備に使い、2週間後に俺はアイツと共にダークネス世界に戦いを仕掛ける」

 

そしてあの闇ワカメからダークネスを引き剝がして人間界に連れ帰り、ダークネスの他世界への干渉能力を削ぐ…!




今回はアニメGX第三話の主人公視点でのストーリその3でした。

さらば舎弟!丸藤翔、社会的に死す!にならずに良かったです。

ジュンコとももえはアカデミア入学序盤から明日香と友人関係にあり、彼女に影響を受けてデッキもアニメGX原作より強化されており、現時点でタッグフォース3と同等くらいの強さになっています。

ジュンコのデッキは【ハーピィ】です。タッグフォース3で使用していたカードに加えて、ももえと合わせる為に【マジック・プランター】を入れています。

ももえのデッキは【ロックバーン】です。タッグフォース3で使用していた【黒蛇病】と言うユニークなバーンカードを有効活用する為、ドローソースをふんだんに入れています。

翔のデッキは【ビークロイド】です。現在、一切の強化を受けていない為、ハッキリ言って弱めです。

コナミのデッキは【征竜】です。この世界に征竜に関する禁止制限なんて一切ありませんが、流石のコナミもまだデッキを使いこなせていない設定なのでまだプレイングに雑さがあります。

征竜に関しては、筆者のデュエルスフィンクスでは理想的な回し方をさせるのが困難であり、皆様が知っているような恐ろしい動きではないかも知れませんが、ご容赦頂けると幸いです。

次回の更新は3/13(土) AM7:00予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十五話 アカデミア月一試験

前回のあらすじ:特に理由の無い征竜が女学生たちを襲う!

今回はラーイエローのタッグフォース3モブ男子、三田川たくや戦です。


<クロト視点>

 

女子寮騒動から数日後、ダークネスの世界に挑む準備は着々と進む中、俺はもう1つの試練についての対策を行っている。格好つけずに言うと、明日は月に一度のテストの日なのでアカデミアの図書室でテスト勉強をしているのだ。

 

テストには筆記試験・実技試験の2つがあり、午前中に筆記試験、午後から実技試験を行い、このテストの成績次第では寮の入れ替えが発生するとことらしい。最も、実技試験の相手は同じ寮生が相手になるらしいので、そうそう寮の入れ替えは起こらないそうだ。

 

俺はオベリスクブルーに昇格する意味を見いだせていないので、そこまで真面目にやる必要もないかも知れないが、サボりすぎてオシリスレッドに降格になるのは御免だ。

 

「そういえば、白河。アンタはあの噂を聞いた?」

 

「噂?」

 

俺の正面の机に座ってテスト勉強をしているツァンが、文字がビッシリと書かれたノートから顔をあげて話しかけてきた。俺と違って真面目な娘だよな。

 

「うん。明日の筆記試験の後に、購買部に新しいカードが大量入荷するらしいよ」

 

「へぇ~。新しいカードねぇ~」

 

「あんまり興味無さそうね?」

 

実際に殆ど興味がない。OCG次元に存在していたカードは全て持っている。アニメオリジナルカードは入手方法が不明すぎる。

 

「だってなぁ。今のアカデミアの購買部にあるカードパックを見たことあるか?」

 

「ボクはまだ無いね。実技試験直前にデッキを入れ替えるとか有り得ないでしょ」

 

「購買部のパックには、シンクロもエクシーズもペンデュラムもないんだぜ?」

 

「えっ、それマジ?」

 

「マジマジ」

 

ツァンはアカデミアの購買部にあるカードパックの質の低さを知らなかったらしく、とても驚いているようだ。初めてその情報を知った時のドルオ達もキレていたな。

 

今のアカデミアにあるカードパックはいくつかあるが、前世のタッグフォース1のゲーム内で発売していた『はじめて』シリーズのカードパック(ウルトラレアを除いた物)の方がマシ、と言えばその酷さが伝わるだろうか。

 

この島にあるカードパックは、島の外で売っているカードパックの3~4世代前の物なのだ。言っては悪いがドローパンを買った方がマシだ。

 

「ただの予想だけど、その噂の新パックも多分大したカードは入っていないんじゃないかな?」

 

「なぁんだ、ガッカリ。試験が終わったら見に行くつもりだったのに。戦士族の強化カードとか入っているかもって期待していたんだけどなぁ」

 

そう言うとツァンは机に突っ伏した。

 

この時期に発売する新パックと言えば、恐らくはアニメGXで起こる十代vs万丈目のイベントで使用されるパックのことだろう。発売と同時に学生に扮したクロノスが買い占めてしまう為、仮に俺達が買いに行ったとしても買うことはできないだろう。

 

すっかり意気消沈してしまったツァンを尻目に、俺は筆記試験のテスト勉強を進めるのだった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

翌日の昼、筆記試験終了30分前くらいに遅刻した遊城十代が試験教室に駆け込んできた。多分、購買部のトメさんとの出会いイベントがあった後だろう。

 

そして筆記試験が終わった直後、大勢の生徒たちが雪崩のように購買部へと走って行くのが見えた。多分、噂の新パックを買いに行ったのだろう。その努力の結果を知っているだけに彼らには同情を禁じ得ない。合掌。

 

教室には、俺が座る席の前の方で居眠りをしている十代と翔、彼らを起こそうとしている三沢とコナミ、そして俺の目の前に居るボッチのツァンだ。

 

「誰がボッチよ!」

 

おっと、声に出してしまったらしい。もちろんわざとだが。

 

「入学してから今日まで、俺以外の人間とほぼ話したことのない君のことだが?」

 

「うぐっ!?」

 

「入学してから2~3日目くらいならともかく、そろそろ何人かと交友関係を構築しておかないと本当にボッチになるぞ?」

 

「うぐぐっ!?」

 

日本の学校と言うコミニュティは閉鎖的なことが多い。入学してから大体1月くらいでその1年の交友関係が決まる。その時期を過ぎるとクラスの中で何組かのグループが形成され、個人の性格や能力や容姿によってその中での立ち位置が決まる。

 

前世でも『はーい、2人組を作って~』なんて言うクラスの担任の残酷な言葉のせいで辛い思いをした人間も少なくないだろう。多分、目の前で項垂れている少女もそうだ。

 

ツァンの場合は、話してみると他者への気遣いも出来る面白い娘だし頭もいい。容姿も同年代では抜群に良い方だろう。何か切っ掛けさえあれば、アッサリと友人の1人や2人くらいは出来そうなものなんだけどなぁ。

 

「まぁいいや。俺達も一応購買部に行ってみるか。もしかしたら売れ残ったカードパックがあるかも知れないしな」

 

「ちょっ!?さらっと流すな!」

 

俺はツァンと一緒に教室を出て購買部へと向かった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

案の定、カードパックはほぼ売り切れたらしく、購買部に辿り着いた頃には生徒たちは誰も残っていなかった。

 

「いらっしゃいませ~」

 

購買部のカウンターには、ピンクのカッターシャツの首元に赤いリボンを付け、サスペンダー付きのズボンを着た、『DA』と書かれたバイザーを頭に付けた長い黒髪を腰辺りでまとめた女性が立っていた。アニメGXでも時々登場したセイコさんだな。

 

「お姉さん、新しく入荷したカードパックってもう売り切れちゃいました?」

 

「ごめんなさい。たくさん買っていった生徒さんが居て、もうこの1パックだけなのよ」

 

そう言ってセイコさんは緑色のカードパックを1つ取り出した。パックの中央の『DA』と書かれていることから、デュエルアカデミア専用のカードパックなのだろう。

 

「1パックか。ツァン、居る?」

 

「う~ん、ボクは別にいいや」

 

「なら俺もいいや。じゃあお姉さん。ドローパン2つ下さい」

 

「あっ、ボクもドローパン1つ下さい」

 

「はい!お買い上げありがとうございます!」

 

その後、営業スマイル前回のセイコさんからドローパンを購入した俺とツァンは購買部を後にした。

 

「うわわっ!もう、こんな狭い通路で全力疾走なんて危ないわねぇ」

 

その途中、猛スピードで通路を駆ける十代や翔、コナミとすれ違ったが、向こうはこちらに気付かなかったようだ。ツァンはむくれ顔だ。

 

「それだけ新パックが欲しかったのかもしれないな」

 

十代たちが駆けていった先にあるのは俺達がさっきまで居た購買部だ。恐らくそこでアニメ同様にカードパックを翔が買い、十代はトメさんからのサービスでハネクリボーの専用カードを貰うのだろう。

 

そんなことを考えながら、俺達は午後の実技試験の会場に向かうことにした。

 

ちなみにドローパンの中身は、俺の分が焼きそばパンとコロッケパン、ツァンの分がジャムパンと普通過ぎるラインナップだった。外れを引かない分、昔と比べてドロー力が上がったのだと思えばいいのだろうか。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

実次試験の時間となり、実技試験が行われる試験会場へとやって来た俺とツァン。到着から十数分後に試験開始時間となり、生徒たちが順々に名前を呼ばれて試験コートへと入っていく。

 

「オレはレベル5【スクラップ・ゴーレム】にレベル4【スクラップ・ラプター】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル9!【スクラップ・ツイン・ドラゴン】!!」

 

「ボクは手札から魔法カード【融合】発動!手札の【ジャイロイド】とフィールドの【スチームロイド】を融合!出でよ!【スチームジャイロイド】!!」

 

「オレは手札の【磁石の戦士 Σ+】とフィールドの【磁石の戦士 Ω-】を墓地に送り、手札から【超電導戦士 リニア・マグナム±】を特殊召喚する!」

 

「私は手札から儀式魔法【機械天使の絶対儀式】を発動!手札の【サイバー・チュチュボン】をリリースして儀式召喚!来なさい!【サイバー・エンジェル-那沙帝弥-】!!」

 

コナミ、翔、三沢、明日香たちも呼ばれ、それぞれのデュエルで勝利していった。そんな光景を見ているうちに他の生徒で気になる生徒を何人か見かけた。

 

「ふふっ、私は手札から儀式魔法【闇の支配者との契約】を発動!墓地の【儀式魔人リリーサー】、【儀式魔人デモリッシャー】、フィールドの【マンジュ・ゴッド】をリリースして儀式召喚!現れなさい!【闇の支配者-ゾーク】!」

 

「まだです!リバースカードオープン!速攻魔法【マスク・チェンジ】発動!フィールドの【M・HERO 闇鬼】を墓地に送り、EXデッキから【M・HERO ダーク・ロウ】を特殊召喚します!来て!【M・HERO ダーク・ロウ】!」

 

「その魔法カードの発動にチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【ご隠居の猛毒薬】を行使します!更にチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【連鎖爆撃】を行使します!」

 

「おーっほっほっほっほっ!庶民が私に勝てると思って?【超古深海王シーラカンス】効果発動!手札を1枚捨てて、デッキからデッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚しますわ!」

 

「ね、寝てませんよ!私のターンでしたよね?じゃあ私はフィールド魔法【死皇帝の陵墓】を発動!そしてその効果を発動し、1000LPを支払って手札から【エンド・オブ・アヌビス】を召喚しますね!」

 

タッグフォース4以降に続投していた学生組は基本的にタッグフォース6のデッキを使うみたいだな。容姿もまんまタッグフォース6仕様みたいだ。一部、恐ろしい儀式魔人を使う肉まんちゃんやら何故かダークロウの仮面を被った娘が居た気がするが、俺は何も見ていない。

 

「この子のステージの準備は整ったわ!さぁ行くよー!フィールド魔法【魔法都市エンディミオン】に乗っている魔力カウンターを6つ取り除いて、墓地から【神聖魔導王 エンディミオン】を特殊召喚だよ!」

 

「わたくしはフィイルドのレベル4【レッド・ガジェット】と【イエロー・ガジェット】をオォバァレイ。2体のモンスタアでオォバァレイネットワァクを構築。エクシィズ召喚。ランク4【ジェムナイト・パール】を呼び出します」

 

「まだまだこれからだよ!アタシはレベル5【魔轟神レイジオン】にレベル3【魔轟神クシャノ】をチューニング!シンクロ召喚!おいで!レベル8!【魔轟神ヴァルキュルス】!」

 

タッグフォース4以降に新規登場していた学生組も何人か在籍して居るみたいだな。確か、嶺開花、紬紫、夏乃ひなただったか。一番ヤバそうなガチレズは…居ないな。ヨシッ!

 

「こうして見ると女子の方が男子よりも全体的に強いな。と言うよりも男で強いのってコナミと三沢くらいに見える」

 

「確かにね~。一部の男子は強いと言うより、面白いというか懐かしいというか、そんなデッキを使う人が多いね」

 

この魔境みたいな環境の中で十代とか翔とかは大丈夫かなぁ。ちゃんと生き残れるんだろうか。

 

 

そうこうしているうちに俺とツァン、レインもアナウンスに呼ばれたので、ツァンと別れて会場の試験コートに入った俺は、同じラーイエローの生徒と向き合っていた。

 

見たことのある顔だ。まだ話したことは無かったが、『三田川たくや』だったかな。

 

使用するデッキは確か、【キュアバーン】か。フィールドに【ビッグバンガール】を維持して墓地の【堕天使マリー】などの回復効果を使って継続的なバーンダメージを与えてくるデッキだな。

 

EXデッキには恐らく【聖女ジャンヌ】辺りが入っていそうだ。手札消費は激しいけど、相手モンスターへの牽制に加えて能動的に【堕天使マリー】を墓地に送るための手段になるからな。

 

 

「ほら、早くしてよ ボクは準備OKだよぉ?」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆三田川たくや LP:4000

 

 

「先攻はボクが貰うよぉ。ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三田川たくや 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【慈悲深き修道女】と【堕天使マリー】を融合!来なよ!【聖女ジャンヌ】!!」

三田川たくや 手札:6→5→3枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、

融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

【慈悲深き修道女】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻 850/守2000

このカードをリリースして発動する。このターン戦闘によって破壊され自分の墓地へ送られたモンスター1体を手札に戻す。

 

【堕天使マリー】

効果モンスター

星5/闇属性/悪魔族/攻1700/守1200

このカードが墓地に存在する場合、自分のスタンバイフェイズ時に1度だけ、自分は200ライフポイント回復する。

 

【聖女ジャンヌ】

融合モンスター

星7/光属性/天使族/攻2800/守2000

「慈悲深き修道女」+「堕天使マリー」

 

<三田川たくやのフィールド>

聖女ジャンヌ ★7 ATK2800

 

「更にボクは手札から【ビッグバンガール】を召喚だよぉ!」

三田川たくや 手札:3→2枚。

 

【ビッグバンガール】

効果モンスター

星4/炎属性/炎族/攻1300/守1500

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のライフポイントが回復する度に、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

<三田川たくやのフィールド>

聖女ジャンヌ ★7 ATK2800

ビッグバンガール ★4 ATK1300

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンドだよぉ」

三田川たくや 手札:2→0枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆三田川たくや LP:4000、手札:0枚、伏せカード:2枚。

 

<三田川たくやのフィールド>

聖女ジャンヌ ★7 ATK2800

ビッグバンガール ★4 ATK1300

 

 

「ところでキミはクロノス教諭の弱点を知っているかぃ?」

 

「クロノス教諭の弱点?頭部とか?」

 

「…ふぅん、まぁ知らないだろうねぇ。彼は猫がきらいなのさ 嫌がらせしたい時は猫さ、うししし」

 

そういやそんな設定があったな。異世界編でもレッド寮に居る猫のファラオから逃げていたりしたな。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

良し、良い引きだ。これなら相手の伏せカード次第では後攻1ターンキルも視野に入るな。

 

「ここだね。リバースカードオープン!罠カード【ギャンブル】発動!ボクは『表』を選択する!そして、コイントス!…良し、表だ!当たったからボクはデッキから5枚ドローするよぉ!」

三田川たくや 手札:0→5枚、伏せカード:2→1枚。

 

【ギャンブル】

通常罠

相手の手札が6枚以上、自分の手札が2枚以下の場合に発動する事ができる。

コイントスを1回行い裏表を当てる。

当たった場合、自分の手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。

ハズレの場合、次の自分のターンをスキップする。

 

よくもまぁあんなハイリスクなカードを仕掛けてきたもんだな。爆アドを取られたが、むしろ感心するな。

 

「俺は手札から魔法カード【炎熱伝導場】を発動!デッキから【ラヴァル炎火山の侍女】と【ラヴァル炎湖畔の淑女】を墓地に送る!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【炎熱伝導場】

通常魔法

(1):デッキから「ラヴァル」モンスター2体を墓地へ送る。

 

【ラヴァル炎火山の侍女】

チューナー・効果モンスター

星1/炎属性/炎族/攻 100/守 200

(1):このカードが墓地へ送られた時、自分の墓地に「ラヴァル炎火山の侍女」以外の「ラヴァル」モンスターが存在する場合に発動できる。

デッキから「ラヴァル」モンスター1体を墓地へ送る。

 

【ラヴァル炎湖畔の淑女】

チューナー(効果モンスター)

星3/炎属性/炎族/攻 200/守 200

自分の墓地の「ラヴァル」と名のついたモンスターが3種類以上の場合、自分の墓地のこのカードと「ラヴァル」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。

相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して破壊する。

 

「墓地に送られた【ラヴァル炎火山の侍女】の効果発動!デッキから2枚目の【ラヴァル炎火山の侍女】を墓地に送る!」

 

「墓地に送られた2枚目の【ラヴァル炎火山の侍女】の効果発動!デッキから3枚目の【ラヴァル炎火山の侍女】を墓地に送る!」

 

「墓地に送られた3枚目の【ラヴァル炎火山の侍女】の効果発動!デッキから【ラヴァル・ランスロッド】を墓地に送る!」

 

【ラヴァル・ランスロッド】

効果モンスター

星6/炎属性/戦士族/攻2100/守 200

このカードはリリースなしで召喚できる。

この方法で召喚したこのカードは、エンドフェイズ時に墓地へ送られる。

フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、ゲームから除外されている自分の炎属性モンスター1体を選択して手札に加える事ができる。

 

「俺は墓地の【ラヴァル炎湖畔の淑女】の効果発動!自身と【ラヴァル・ランスロッド】1枚を除外してそちらの伏せカードを破壊する!」

 

「ボクの【ホーリージャベリン】が!?」

三田川たくや 伏せカード:1→0枚。

 

【ホーリージャベリン】

通常罠

相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体の攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

「俺は手札から【ラヴァル・アーチャー】を召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァル・アーチャー ★4 ATK1000

 

【ラヴァル・アーチャー】

効果モンスター

星4/炎属性/炎族/攻1000/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ラヴァル」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの炎属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、このカードを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。このターン、自分は炎属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

「【ラヴァル・アーチャー】の召喚成功時に効果発動!更に手札から【ラヴァル・キャノン】を召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【ラヴァル・キャノン】

効果モンスター

星4/炎属性/戦士族/攻1600/守 900

このカードが召喚・反転召喚に成功した時、ゲームから除外されている自分の「ラヴァル」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァル・アーチャー ★4 ATK1000

ラヴァル・キャノン ★4 ATK1600

 

「【ラヴァル・キャノン】の召喚成功時に効果発動!除外されている【ラヴァル炎湖畔の淑女】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァル・アーチャー ★4 ATK1000

ラヴァル・キャノン ★4 ATK1600

ラヴァル炎湖畔の淑女 ★3 DEF200 ※チューナー

 

「俺はレベル4【ラヴァル・アーチャー】にレベル3【ラヴァル炎湖畔の淑女】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【ラヴァルバル・サラマンダー】!!」

 

【ラヴァルバル・サラマンダー】

シンクロ・効果モンスター

星7/炎属性/ドラゴン族/攻2600/守 200

チューナー+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札から炎属性モンスターを含むカード2枚を墓地へ送る。手札に炎属性モンスターが無い場合、手札を全て公開し、デッキに戻す。

(2):1ターンに1度、自分の墓地から炎属性モンスター1体を除外して発動できる。自分フィールドの「ラヴァル」モンスターの数まで相手フィールドの表側表示モンスターを選んで裏側守備表示にする。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァル・キャノン ★4 ATK1600

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

 

「これがシンクロ召喚…でも、ボクの【聖女ジャンヌ】の方が攻撃力は上だよぉ?」

 

「【ラヴァルバル・サラマンダー】のシンクロ召喚成功時に効果発動!デッキから2枚ドロー!そして手札から炎属性【ラヴァル炎湖畔の淑女】と【ヴォルカニック・バレット】を墓地に送る!」

クロト 手札:3→5→3枚。

 

【ヴォルカニック・バレット】

効果モンスター

星1/炎属性/炎族/攻 100/守 0

(1):このカードが墓地に存在する場合、1ターンに1度、500LPを払って発動できる。このカードが墓地に存在する場合、デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える。

 

「墓地の【ヴォルカニック・バレット】の効果発動!デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える!」

白河クロト LP:4000→3500、手札:3→4枚。

 

「俺は手札の【焔聖騎士-リナルド】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

クロト 手札:3→2枚。

 

【焔聖騎士-リナルド】

効果モンスター

星1/炎属性/戦士族/攻 500/守 200

このカード名の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに戦士族・炎属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚したこのカードはチューナーとして扱う。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、「焔聖騎士-リナルド」以外の戦士族・炎属性モンスター1体または装備魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァル・キャノン ★4 ATK1600

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

焔聖騎士-リナルド ★1 DEF200 ※チューナーとして扱う

 

「俺はレベル4【ラヴァル・キャノン】にレベル1【焔聖騎士-リナルド】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル5!【ラヴァル・ツインスレイヤー】!!」

 

【ラヴァル・ツインスレイヤー】

シンクロ・効果モンスター

星5/炎属性/戦士族/攻2400/守 200

チューナー+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上

自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついたモンスターの数によって、このカードは以下の効果を得る。

●2体以上:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、もう1度だけ続けて攻撃する事ができる。

●3体以上:このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

ラヴァル・ツインスレイヤー ★5 ATK2400

 

「何度シンクロ召喚したってボクの【聖女ジャンヌ】には及ばないよぉ?」

 

「俺は手札から魔法カード【真炎の爆発】を発動!墓地より【ラヴァル炎火山の侍女】と【ラヴァル炎湖畔の淑女】2体を特殊召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

【真炎の爆発】

通常魔法

(1):自分の墓地から守備力200の炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

ラヴァル・ツインスレイヤー ★5 ATK2400

ラヴァル炎湖畔の淑女 ★3 DEF200 ※チューナー

ラヴァル炎湖畔の淑女 ★3 DEF200 ※チューナー

ラヴァル炎火山の侍女 ★1 DEF200 ※チューナー

 

「1枚の魔法カードで3体のモンスターを墓地から蘇生させた!?」

 

「俺はレベル5【ラヴァル・ツインスレイヤー】にレベル3【ラヴァル炎湖畔の淑女】2体とレベル1【ラヴァル炎火山の侍女】をトリプルチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル12!【スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン】!!」

 

【スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星12/闇属性/ドラゴン族/攻4000/守3000

チューナー3体+チューナー以外のSモンスター1体以上

このカードはS召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードの攻撃力は自分の墓地のチューナーの数×500アップする。

(2):フィールドのこのカードは相手の効果では破壊されない。

(3):1ターンに1度、相手モンスターの効果が発動した時、または相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。このカード及び相手フィールドのカードを全て除外する。

(4):このカードの(3)の効果で除外された場合、次の自分エンドフェイズに発動する。除外されているこのカードを特殊召喚する。

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン ★12 ATK4000

 

「レベル12!?攻撃力4000だって!?」

 

「ふっ、違うな!間違っているぞ!【スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン】の攻撃力は、墓地のチューナーの数×500アップする!俺の墓地のチューナーは5体!よって攻撃力が2500アップする!」

 

<白河クロトのフィールド>

ラヴァルバル・サラマンダー ★7 ATK2600

スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン ★12 ATK4000→6500

 

「攻撃力、6500!?」

 

「バトルフェイズに移行する。【ラヴァルバル・サラマンダー】で【ビッグバンガール】を攻撃!」

 

ラヴァルバル・サラマンダー ATK2600

vs

ビッグバンガール ATK1300

 

「うわぁぁぁぁっ!」

黄モブ LP:4000→2700

 

<黄モブのフィールド>

聖女ジャンヌ ★7 ATK2800

 

「止めだ。【スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン】で【聖女ジャンヌ】を攻撃!!」

 

スカーレッド・スーパーノヴァ・ドラゴン ATK6500

vs

聖女ジャンヌ ATK2800

 

「うわぁぁぁぁっ!」

三田川たくや LP:2700→0

 

 

「ふぅん、なかなかやるねぇ。でも調子に乗らないことをおすすめするよぉ」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

やはり【真炎の爆発】を使えるデッキは楽しいな。防がれると負けるけどさ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

実技試験のデュエルが終わって試験コートから出ようとすると、隣の試験コートでクロノスが十代と万丈目をデュエルさせようと十代に提案している姿が見えた。

 

俺は急いで試験コートから観客席に戻ると、ツァンも同じくらいに試験を終えたらしく、俺の隣に座って試験コートを見始めた。観客席の端の方には目立たないようにしているレインの姿も見える。

 

周囲を見回すと、観客席の最前列に翔とコナミ、三沢が居る。その近くには、明日香とジュンコとももえも居るな。

 

「アイツって確か、入学試験でクロノス教諭を倒した受験番号110番だね。何でオシリスレッドの制服を着ているんだろう?」

 

「オシリスレッドの遊城十代だな。今日の筆記試験の様子を見て想像できるが、恐らく遊城は入学試験の筆記が壊滅的なんだったんだろう」

 

「あぁ、なるほどね。今日の筆記試験も遅れてきた上にすぐいびきをかいて寝始めたくらいだもんね。相手のオベリスクブルーの生徒は知ってる?」

 

「あれは万丈目準。デュエルアカデミア中等部からの生え抜きエリートだよ」

 

「ふぅ~ん」

 

俺達がそんな会話をしている間も試験コートの中では十代たちのデュエルが続いている。あのアニメ効果の【打ち出の小槌】、欲しいなぁ。

 

基本的にはアニメGXと変わらない展開だな。万丈目は何故ドラゴンデッキを使わないんだろう?今の遊城十代だったら【光と闇の竜】を出した時点でほぼ勝ち確定だと思うんだけどな。

 

「おっ!ユニオンモンスターだ!珍しいな~!あれって確か、伝説のデュエリストの海馬瀬人が使用したモンスターだよね?」

 

「V、W、X、Y、Zの名前を持つ光属性・機械族で統一されたモンスター達だな。確か、今日発売された新パックに入っていたらしいぞ。見た目も格好いいし、それぞれがフィールドに居れば融合の魔法カード無しで融合できるのが良いよな」

 

実際は融合と言うより合体だ。万丈目も合体って言っちゃってるしな。【ABC】?そんなのがパックに入っていたらアカデミア生による奪い合い・殺し合いが始まるだろうな。

 

「おぉぉ!5体のロボットが全部合体したー!」

 

ツァンが両手を握りしめて拳を作り、小学生男子のように目をキラキラさせて食い入るように試合を見ている。侍好きだったりロボットが好きだったりと、案外この娘は男子寄りの好みなのかもしれない。

 

「【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】か。何で二足歩行になる必要があるんですかねぇ」

 

本来のこの時代のカード達だとかなり出すのが難しいとはいえ、ターン1制限のノーコストでモンスター単体を除外できるのは結構強いよな。

 

その後、十代の【ハネクリボー】が万丈目の【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】の効果で除外されそうになった際、十代がチェーン発動した【進化する翼】により【ハネクリボー Lv10】を呼び出される。

 

そしてその【ハネクリボー Lv10】の効果で自身をリリースして万丈目の【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】を破壊し、お互いのフィールドが空になったところで十代がドローした【E・HERO フェザーマン】のダイレクトアタックによって決着が付いた。

 

そのデュエルを見ていたハゲもとい鮫島校長が十代をオシリスレッドからラーイエローに昇格させる発表をした。後にコナミに聞いた話だが十代はこれを辞退したらしい。アニメ通りだな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

実技試験が終わった夜、俺は島の灯台で天上院明日香と丸藤亮と会っていた。灯台部に入ったわけではない。先日手に入れた天上院吹雪の写真を渡すのと、天上院吹雪捜索の現状の進捗を報告しておこうかと思ったわけだ。

 

「これは、兄さんの写真!?」

 

「写真に書いてあるこのサインには見覚えがある。間違いなくこれは吹雪のサインだ」

 

明日香と亮は写真を見て驚いている。

 

「その写真は、今は廃寮となっている特待生寮で見つけたものだよ」

 

「特待生寮?確か以前、立入禁止になったって言う場所ね」

 

「あぁ、俺も吹雪と一緒に一時期住んでいたことがある。だが吹雪が行方不明になった少し後に閉鎖が決まったんだ」

 

それだと大体2年前くらいか。アニメGXでは十代が入学した頃には閉鎖した時期は特に明言されていなかったはずだ。

 

アニメ同様にボロボロになっていたからもっと時間が経っているかとも思ったけど、森の中にある誰も手入れしない建物だから朽ちやすいのかも知れないな。

 

「俺はもう少しあの建物を調べてみるつもりだ。恐らく、あの廃寮には吹雪さんが行方不明になった原因の手掛かりがあるはずだからね」

 

「私も手伝うわ」

 

「もちろんオレもだ」

 

明日香と亮は俺に付いてくる気満々だ。当然、連れて行くわけにはいかない。吹雪さんを探すという言葉に嘘はないが、メインはもっとヤバイことをやりに行くんでね。

 

「気持ちはありがたいけれど、あそこは立入禁止になっているからね。俺だけで調査するよ。それよりも2人には別のことを頼みたいんだ」

 

「別のこと?」

 

「鮫島校長に、吹雪さんのことと特待生寮について聞いてみて欲しいんだ。この学園で発生している行方不明事件は学園外ではニュースにすらなっていない。これには間違いなく鮫島校長が事実隠蔽に関わっているはずなんだ。彼は間違いなく何かを知っている」

 

俺が情報をマスメディアあたりにリークする手段も考えたが、そんなことをして影丸やアムナエルに姿を隠されるとダークネス状態の吹雪さんを見つけるのが困難になるし、今後の彼らの動きが読めなくなる。この方法は却下だ。

 

「だが、それなら吹雪が行方不明になった時に何度もやったぞ?結果は『今は話せない』の一点張りだったがな」

 

「時間が経った今だからもう一度やるんだよ。これは赤の他人の俺では出来ないことだ。吹雪さんの妹である明日香と、吹雪さんの親友でサイバー流の継承者である亮さんにしか頼めないことなんだ」

 

いわゆる泣き落とし作戦である。多分、無駄に終わるんだろうけどな。鮫島校長が事件を隠蔽しているのは、影丸理事長を刺激しないようにして他の生徒を守るためな訳だしな。

 

「情に訴えて情報を引き出せって言う訳ね」

 

「言い方はアレだけど、そういうこと。嫌な役回りを任せちゃうけどね」

 

こうして明日香と亮さんに別のことを頼んでおくことで彼らが廃寮に付いてくることを阻止する。万が一、俺が失敗した時にアイツ以外を巻き込みたくないからね。アイツは巻き込まれても平然と生きてそうだからノーカウントだ。

 

「それにしても、鮫島校長が元サイバー流の師範代だということを知っていたのか」

 

「もちろんです。マスター鮫島、かつてリスペクトデュエルを掲げてプロリーグで数々の激戦を繰り広げたサイバー流の使い手にして元上位プロデュエリスト。約10年前にプロを引退して後継者を育てるために小さな道場を開いたみたいですね」

 

「あぁ、その道場の門下生の一人がオレだ。そして何年か道場に通った後、オレはサイバー流の継承者となった。だが、中学に入学する頃に師範とリスペクトデュエルの考え方の違いで仲違いしてしまってな。その際に師匠とデュエルすることになってオレが勝利し、裏サイバー流デッキもオレが受け取ることになったんだ」

 

「そんなことがあったのね」

 

どおりで中学生になった時点でサイバー・ダークを所持しているわけだよ。だが、仲違いしているのか。これはアニメGXの時以上に、泣き落とし作戦の方は期待薄かな。

 

「今日はこんなところかな。また進捗が有ったら連絡するよ」

 

「ええ、分かったわ」

 

「分かった。こちらも進展があったら連絡しよう」

 

こうして灯台部の二人と情報共有した俺は、数日後に迫ったダークネスの世界での戦いに向けて準備を進めるのであった。




今回はアニメGX第4話の主人公視点でのストーリでした。まだまだ原作ストーリーは崩壊していませんね。

今回登場したのは今後登場する可能性が高めの女学生です。男子生徒は多すぎるので割愛しました。

三田川たくやのデッキは【キュアバーン】です。LP:4000制で【ビッグバンガール】はかなり凶悪なモンスターですが、今回はそこまで活躍できませんでした。

オリ主のデッキは【ラヴァル】です。【炎熱伝導場】と【真炎の爆発】の2枚が手札にあれば大体のことはできます。地味に時々強化の入るテーマなので結構強めです。

鮫島校長が元プロデュエリスト扱いになっていますが、サイバー流道場なんて開いていたので多分そうだったんじゃないかと言う筆者の想像による本作の独自設定です。

次回の更新は3/17(水) AM6:00予定です。

荒魂マサカド様、戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十六話 ダークネス世界

前回のあらすじ:嵐の前の静けさ

今回はダークネス世界に突入しますが、半分ギャク回のような話です。

その割にかなり後半の重い話が1つ解決します。


<クロト視点>

 

灯台で明日香や亮さんと情報共有してから数日後、俺は今日の夜にダークネスの世界に挑むつもりだ。アイツにも連絡を取ってある。後は最後の下準備を済ませるだけだ。

 

早朝に電話を掛けたにも拘らず、事前に連絡してあったこともあり、モクバ副社長は快く電話に応じてくれた。

 

『以前お前の言っていた通り、アカデミアの学園周辺はまるで無法地帯だったな。去年からアカデミア倫理委員会に色々と調べさせていたが、皆の見本となるべきブルー寮の学生がリスペクトの精神を忘れて平然と校則違反のアンティルールを行っているとはな』

 

「むしろよくここまで隠せていましたよね」

 

『先日お前から送られてきたデータによると、特殊な生徒とは言え学園ぐるみで1人の生徒を専用の装置を置いた空間に閉じ込めていたりもしていたみたいだからな。今はまだ彼の意思であの場所に残って貰っているが、いずれは彼が外に出られるように力を尽くすつもりだ』

 

「茂木もけ夫先輩でしたっけ。上手く行くといいですね」

 

アカデミアの情報が全て集まっている心臓部であるコンピュータールームに入るにはアカデミア学生証のPDAを使用しなければ扉の電子ロックは開かないが、キーメイスが協力してくれればを使わずとも開けられる。

 

同様にコンピューター室のコンピューター全てに掛かっている電子ロックもキーメイスが協力してくれれば同様に解除できる。キーメイス様々である。

 

そこで入手したデータは全て海馬コーポレーションに送ってある。何だか、俺ってデュエリストじゃなくて産業スパイみたいだな。

 

『少し前にお前から連絡があった森の奥の施設だが、とりあえず施設の方は制圧が完了して職員も全て押さえたぞ。実験動物たちも全て解放したんだが、1体だけ制圧直前に逃げ出したデュエルが出来る猿が居たらしくてな、そいつだけはまだ見つかっていない』

 

「なんでデュエルをできる猿なんて作ろうと思ったんでしょうね?」

 

『それはオレにはわからない。そもそもこの施設自体がスポンサーである我々海馬コーポレーションのあずかり知らないところで建造されたようだからな』

 

俺はモクバ副社長から頼まれていたアカデミアの実態調査結果の報告を終えた。

 

『あぁ、そうそう。去年お前からカード情報を貰ったカードについてだが、少し前にカードパックになって発売されたぞ。確か、「No.」だったか?』

 

「そうですね。エクシーズは便利で有用な召喚方法なので、デュエル初心者にこそ触れて欲しい召喚方法ですから、これを機に多く世界に広がって欲しいですね」

 

去年、吹雪さんの行方不明事件の情報を提供する代わりに渡した「No.」のカード情報を元に、いくつかの「No.」が正式にカードパックになって世に出回ったようだ。ちなみにOCG版なので、アニメ版「No.」特有の戦闘破壊耐性はない。

 

特に強力なカードの情報は渡していないが、これで結構な数のエクシーズモンスターが世に溢れることになるだろうな。

 

後に本物の「No.」事件が発生した場合、フェイカーやカイト辺りに凄く恨まれそうだ。ドンマイ!

 

~~~

 

<クロト視点>

 

モクバ副社長への報告を終えた後、次に俺はユーリたちへと連絡を取っていた。

 

『クロトから頼まれていた人物たちの調査が終わって、彼らの居場所も特定できたよ』

 

「居場所が特定出来たってことはまだ生きているんだな?」

 

『うん、約9年前に交通事故で記憶喪失になった藤原夫婦が入院している施設を見つけたよ。その夫婦の息子が居るって言う記録は見つからなかったけどね』

 

ユーリを介してデニスに頼んでいた調査結果によると、今から約9年前に交通事故に遭った藤原夫妻は、頭部に大怪我を負ったものの一命を取り留めていたが、目覚めた際に殆どの記憶を失ってしまっていたらしい。

 

彼ら夫妻はそのままずっと病院に入院しているのだが、彼らが住んでいた家には約3年前まで誰かが住んでいた形跡があるらしい。恐らくそれが藤原優介なのだろう。

 

『いよいよ今日か。クロト、無茶しないでよ?ボクの従兄妹を泣かせるようなことをしたら許さないからね?』

 

『ボクらは友人が行方不明になるなんて事態は御免だからね?』

 

「生きて帰ってくるつもりだけど、一応肝に銘じておくよ」

 

ユーリたちには今日のことを伝えてある。だからなのかここ最近、毎日のようにユーリとデニスが釘を刺してくる。

 

普段は結構な無茶ぶりをしてくる割に心配してくれているみたいだな。彼らに心配をかけない為にも無事で帰ってこないとな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

そして夜、寮の晩御飯を食べた後、俺とコナミは廃寮の地下にあるデュエルリングへとやって来ていた。

 

「準備は良いかコナミ?」

 

「いつでもOKだ!ダークネス世界とのデュエル!楽しみで仕方ない!早く行こう!」

 

コナミはいつも通りだ。向かう先にデュエルが待っているならば、海外だろうと異世界だろうとコイツは向かうだろうな。そのうち十代たちと一緒に宇宙にも行きそうだ。

 

「じゃあ、開けるぞ」

 

俺はデュエルリングの中央にある黒い歪みに近寄り、魔力を送る。そうすると10秒も経たないうちに黒い歪みが大きくなり、直径3mほどのサイズになる。

 

その中心付近からはこのデュエルリングではない、別の世界の景色が見え始める。どうやらダークネス世界への扉を開くのに成功したらしい。

 

「行こうか」

 

「あぁ!待っててくれよ~!デュエル~!」

 

俺とコナミは黒い歪みへと足を踏み入れた。

 

~~~

 

ダークネスの世界へとやってきた俺達は適当に数分ほど歩いてみたが、辺り一面が黒いもやに覆われていて変化のない景色が続いている。

 

何者かの魔力は僅かに感じるのだが、微妙に空間が歪んでいるらしく何処から感じる魔力化の位置が特定できないでいる。そしてそんなことよりも不味いことがある。

 

「ここでは、カードの精霊の力を殆ど感じないな」

 

ダークネスの世界は12次元の世界とは異なる場所に存在する。いくらカードが精霊界との門の役割と果たすとは言え、この世界ではその力を十全に発揮できないようだ。

 

この世界で精霊の力を発揮できるのは師匠と姉弟子くらいだな。そうなると俺はただの魔力が高めの学生か。ミスターT数人にリアルファイトを挑まれたら俺は死ぬだろうな。コナミを連れてきたのは正解だった。

 

「なぁクロト。あっちで誰かがデュエルしているぞ?」

 

「そんなわけないだろ。今この世界で周囲に居るのは俺とお前くらいしか…本当だ。しかもあれは、吹雪さん!?」

 

コナミが指さす方へ視線を向けてみると、俺達のいる場所からはるか遠くに新品同様のブルー生徒の制服を身に纏った天上院吹雪と、吹雪と対峙するダークネスの仮面を被った何故かズタボロの衣装を身に纏った藤原らしき青年の姿が確認できた。その横にはカードの精霊オネストも居る。

 

「えっ、なぁにこれぇ?どうなってんの?」

 

「さぁ?とにかく行ってみよう!面白いデュエルの予感がする!」

 

コナミは俺の手を掴み走り出した。

 

「だから、手を掴むな!引きずるなぁぁぁ!」

 

俺は再び空を舞った。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

俺達が吹雪さんの元へ辿り着くとそこにはある意味で地獄のような世界が広がっていた。

 

「さぁ!藤原!元の世界に帰ろう!」

 

『マスター!もうあなたのそんな姿を見ていられません!帰りましょう!』

 

「うるせぇぇぇ!ボクだってこんな地獄からは帰りたいよ!でも人間界への扉が閉まっているから帰れないんだよぉぉぉ!」

 

「藤原…。ボクは君を救って見せる!例え何度君を倒したとしても!」

 

「もう止めてくれぇぇぇ!頼むからお前だけで帰ってくれぇぇぇ!!」

 

2年前に行方不明になったはずの吹雪さんはピンピンしている。その腰辺りにはダークネスの仮面がぶら下がってあり、首には俺が渡したオカルトネックレスが掛かっている。足元には大きめのボストンバックが置いてある。

 

一方、カードの精霊オネストに支えられて今にも息絶えそうな藤原の足元には粉々になったダークネスの仮面。恐らくはダークネスの衣装だったらしき服は擦り切れてボロボロだ。

 

 

◆ダークネス藤原 LP:200、手札:0枚、伏せカード:0枚

 

<ダークネス藤原のフィールド>

モンスター無し

 

 

◆天上院吹雪 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:1枚、永続魔法:2枚。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

 

【魁炎星王-ソウコ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/獣戦士族/攻2200/守1800

獣戦士族レベル4モンスター×2

(1):このカードがX召喚に成功した時に発動できる。デッキから「炎舞」魔法・罠カード1枚をセットする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。獣戦士族以外のフィールドの全ての効果モンスターの効果は相手ターン終了時まで無効化される。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、自分フィールドの表側表示の「炎舞」魔法・罠カード3枚を墓地へ送って発動できる。レベル4以下で同じ攻撃力の獣戦士族モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

 

【ダイガスタ・エメラル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/岩石族/攻1800/守 800

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる。そのモンスター3体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

●効果モンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

「ボクのターン、ドロー!ボクは手札から【十二獣モルモラット】を召喚!召喚時効果発動!デッキより【十二獣ラム】を墓地に送る!」

天上院吹雪 LP:4000、手札:3→4→3枚

 

【十二獣モルモラット】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻 0/守 0

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「十二獣」カード1枚を墓地へ送る。

(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。

●1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。手札・デッキから「十二獣モルモラット」1体を特殊召喚する。

 

【十二獣ラム】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻 400/守2000

(1):このカードが戦闘・効果で破壊された場合、「十二獣ラム」以外の自分の墓地の「十二獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。

●このカードを対象とする相手の罠カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にする。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣モルモラット ★4 ATK0

 

「うわぁぁぁ!またそのネズミかぁぁぁ!止めろぉぉぉ!」

 

「ボクは【十二獣モルモラット】を素材にしてエクシーズチェンジ!【十二獣ワイルドボウ】をエクシーズ召喚!ORUとなった【十二獣モルモラット】の効果を得た【十二獣ワイルドボウ】の効果発動!ORUを1つ取り除いてデッキから2体目の【十二獣モルモラット】を特殊召喚!」

 

【十二獣ワイルドボウ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×5

「十二獣ワイルドボウ」は1ターンに1度、同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):このカードは相手に直接攻撃できる。

(3):持っているX素材の数が12以上のこのカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。相手の手札・フィールドのカードを全て墓地へ送り、その後、このカードは守備表示になる。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣ワイルドボウ ☆4 ATK0 ORU:0

十二獣モルモラット ★4 ATK0

 

「ボクは【十二獣ワイルドボウ】を素材にしてエクシーズチェンジ!【十二獣タイグリス】をエクシーズ召喚!【十二獣タイグリス】の効果発動!ORUを1つ取り除いて墓地から【十二獣モルモラット】をORUとする!ORUとなった【十二獣モルモラット】の効果を得た【十二獣タイグリス】の効果発動!ORUを1つ取り除いてデッキから3体目の【十二獣モルモラット】を特殊召喚!」

 

【十二獣タイグリス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×3

「十二獣タイグリス」は1ターンに1度、

同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分フィールドのXモンスター1体と自分の墓地の「十二獣」モンスター1体を対象として発動できる。その「十二獣」モンスターをそのXモンスターの下に重ねてX素材とする。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣タイグリス ☆4 ATK0 ORU:0

十二獣モルモラット ★4 ATK0

十二獣モルモラット ★4 ATK0

 

「ボクは2体のレベル4【十二獣モルモラット】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来てくれ!ランク4!【武神帝-カグツチ】!!」

 

【武神帝-カグツチ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/獣戦士族/攻2500/守2000

獣戦士族レベル4モンスター×2

このカードがエクシーズ召喚に成功した時、自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る。このカードの攻撃力は、この効果で墓地へ送った「武神」と名のついたカードの数×100ポイントアップする。

また、自分フィールド上の「武神」と名のついた獣戦士族モンスターが戦闘またはカードの効果によって破壊される場合、その破壊されるモンスター1体の代わりにこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事ができる。

「武神帝-カグツチ」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣タイグリス ☆4 ATK0 ORU:0

武神帝-カグツチ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「エクシーズ召喚に成功した【武神帝-カグツチ】の効果発動!自分のデッキの上からカードを5枚墓地へ送る!」

 

「ボクは【十二獣タイグリス】を素材にしてエクシーズチェンジ!【十二獣ブルホーン】をエクシーズ召喚!」

 

【十二獣ブルホーン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×2

「十二獣ブルホーン」は1ターンに1度、

同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから通常召喚可能な獣戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣ブルホーン ☆4 ATK0 ORU:1

武神帝-カグツチ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「更に!ボクは【十二獣ブルホーン】を素材にしてエクシーズチェンジ!【十二獣ドランシア】をエクシーズ召喚!」

 

【十二獣ドランシア】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣戦士族/攻 ?/守 ?

レベル4モンスター×4

「十二獣ドランシア」は1ターンに1度、同名カード以外の自分フィールドの「十二獣」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードがX素材としている「十二獣」モンスターのそれぞれの数値分アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣ドランシア ☆4 ATK0 ORU:2

武神帝-カグツチ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「ボクは手札から【十二獣ヴァイパー】の効果発動!このカードを【十二獣ドランシア】のORUとする!」

天上院吹雪 手札:3→2枚

 

【十二獣ヴァイパー】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1200/守 400

(1):自分フィールドの獣戦士族Xモンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドのこのカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。

●このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に発動する。その相手モンスターを除外する。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣ドランシア ☆4 ATK0→1200 ORU:2→3

武神帝-カグツチ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「リバースカードオープン!罠カード【十二獣の方合】発動!デッキから【十二獣サラブレード】を【十二獣ドランシア】のORUとする!」

天上院吹雪 伏せカード:2→1枚

 

【十二獣の方合】

通常罠

(1):自分フィールドの「十二獣」Xモンスター1体を対象として発動できる。デッキから「十二獣」モンスター1体を選び、そのXモンスターの下に重ねてX素材とする。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「十二獣」カード5枚を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。そのカード5枚をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

【十二獣サラブレード】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1600/守 0

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「十二獣」カード1枚を捨て、自分はデッキから1枚ドローする。

(2):このカードを素材として持っている、元々の種族が獣戦士族のXモンスターは以下の効果を得る。

●このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

<天上院吹雪のフィールド>

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

十二獣ドランシア ☆4 ATK1200→2800 ORU:3→4

武神帝-カグツチ ☆4 ATK2500 ORU:2

 

「ボクは手札から魔法カード【貪欲な壺】の効果発動!墓地からモンスターを5体デッキに戻してシャッフル!そしてデッキから2枚ドロー!」

天上院吹雪 手札:2→1→3枚

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。

そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。

その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<天上院吹雪がデッキに戻したモンスター>

①十二獣ハマーコング

②十二獣クックル

③十二獣ラビーナ

④海亀壊獣ガメシエル

⑤天霆號アーゼウス

 

「バトルだ!【十二獣ドランシア】でダイレクトアタック!」

 

十二獣ドランシア ATK2600

 

「うわぁぁぁぁ!」

藤原 LP:200 → 0

 

 

「さぁ、藤原!一緒に帰ろう!」

 

『マスター!』

 

「ネズミ怖いネズミ怖いネズミ怖い…」

 

 

 

 

 

 

「もう全部吹雪さん1人でいいんじゃないかな?」

 

「そうだな」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わり、瀕死に見える藤原を介抱するオネストはとりあえず置いておき、俺は意外と元気そうな吹雪に声を掛けた。

 

「吹雪さん、お久し振りです」

 

「おや?クロト君じゃないか。そちらの彼は?」

 

「オレか?オレは赤羽コナミだ。よろしくな!」

 

「ボクは…ボクの指差す先に何が見える?」

 

「あっ、そのくだりはいいんで。カットでお願いします。彼は天上院吹雪さん、天上院明日香のお兄さんだ」

 

「へぇ~。明日香の兄貴だったのか。よろしくな吹雪!」

 

「うん。よろしくね。でも残念だなぁ。あのくだりはボクのアイデンティティなのに…」

 

「すいませんね。一刻も早く状況確認したいものでね」

 

「そうなのかい?でもクロト君。久し振りと言うほどでもないだろう?大体1か月ぶりの再会だからね」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

1か月ぶりは無いだろう。彼とアメリカで別れたのも、彼が行方不明になったのも既に2年も前の話だ。

 

「そもそも吹雪さんはどうしてこの世界に居るんですか?」

 

なんだか2年くらい早いイベント既に始まって、ある意味で終わっているように見えるんだけど。

 

「ボクかい?ボクはそこに居る藤原が全てを捨ててダークネスの世界に行くなんて言うからね。彼のカードの精霊オネストと一緒に連れ戻しに来たんだよ」

 

話を纏めるとこういうことらしい。

 

①藤原がダークネスと契約して特待生寮の地下デュエルリングからダークネス世界に向かう。その際、吹雪は藤原からダークネスの仮面を受け取る。

 

②吹雪は藤原を連れ戻す為にアカデミア中を探し回ったが、吹雪以外に誰も藤原のことを覚えておらず、途方に暮れていたところを藤原の部屋をまだ調べてないことに気付く。

 

③特待生寮の藤原の部屋に大切にしまわれていたオネストのカードを見つけ、事情を話してオネストの助力を得ることに成功。共に藤原を助けることになった。

 

④地下のデュエルリングに向かうとオネストがダークネスの仮面の力を利用して再びダークネスの世界への扉を開ける。

 

⑤ダークネスの世界に突入した吹雪とオネストは、ダークネスと一体化した藤原を見つけ、説得するもデュエルすることになる。吹雪はここで封印されし【十二獣】のデッキを解放することを決める。

 

⑥藤原をデュエルで瞬殺した吹雪だが、藤原は元の世界に帰るのを拒否。藤原が元の世界に帰りたがるまで説得とデュエルを続けることになった。

 

⑦大体100連敗くらい藤原が経験した頃には、オカルトネックレスとオネストの力によって、藤原の中に入っていたダークネスの力は完全に消滅。藤原は正気を取り戻したがやはりダークネスの世界から戻ることを拒否。吹雪たちは再び説得とデュエルを続けることになる。藤原は自分がダークネスの力が抜けてOCG版となったクリアーデッキで対抗した。

 

⑧大体300連敗くらい藤原が経験した頃には、藤原はもう帰りたくなっていたが人間界とダークネスの世界を繋ぐ扉は完全に閉まっており、再び開くことは出来なくなっていた。だが、それに気付いていなかった吹雪とオネストは藤原がまだ帰りたがっていないと勘違いし、再び説得とデュエルを続けることにした。

 

⑨大体500連敗くらい藤原が経験した頃に、俺とコナミがこの世界に現れてお互いの話を聞き、ようやく誤解が解けた。

 

どうやらダークネスの世界も精霊界と同じように人間界との時間の流れが違うらしく、この世界に居る間は空腹になったり生理現象が起こったりすることは無いらしい。アニメGXでもダークネスの世界に送られた人間たちが食事をするシーンなんて無かったし、無くは無いのかな。

 

オカルトネックレスのお陰でオネストが見えるようになったみたいだし、【十二獣】のデッキも役に立ったみたいだし、別れる際に吹雪へ行った手助けは一応有効に働いたみたいだな。

 

そのせいで藤原が【十二獣】デッキと延々戦うことになってトラウマを植え付けられてしまったみたいだが、命よりは安いよな多分。恨むならドン・サウサンド辺りを恨んで欲しい。

 

「そうか。人間界ではもうあれから2年も経ってしまったのか。留年してしまったな」

 

「軽いですね!?」

 

「はははっ!藤原を取り戻せたことに比べたら大したことのない代償だよ。じゃあ帰ろうか」

 

「ネズミ怖いネズミ怖いネズミ怖い…」

 

『さぁマスター帰りましょう』

 

すっかり【十二獣】恐怖症に陥ってしまった藤原を吹雪が背負い、オネストが寄り添う。

 

「吹雪さんたちは先に戻っておいて下さい。俺達はこの世界をもう少しだけ見てから帰ります」

 

「またな吹雪」

 

気付けばコナミは吹雪さんを呼び捨てだった。そういやコイツは誰でも呼び捨てだったな。

 

「そうかい?分かったよ。君たちも早く帰って来るんだよ」

 

『見知らぬ少年たちよ。君たちに感謝を』

 

そう言うと彼らは藤原を連れてダークネスの扉から人間界へと帰って行った。

 

「さて、そろそろ出てくるかな?」

 

「もう目の前に来てるぞ」

 

『『おや?気付かれていたのかい?驚いたね』』

 

俺とコナミの言葉に反応して、地面から声がしたと思ったら、目の前に黒いライダースーツに身を包んだサングラスの男が2人現れる。闇イソノことミスターTだな。

 

「藤原君はあっさりと人間に戻ってしまったね」

 

「彼の心の闇はなかなかに興味深かったのだが、仕方ないね」

 

ミスターTが同じ顔同士で話をしている。これがイケメンや美女なら映える映像なのかもしれないが、残念ながら目の前に居るのは全身ライダースーツの変態だ。

 

「まずは自己紹介をさせて貰おうかな?名前が無いと不便だからね」

 

「私たちはトゥルーマン。真実を語る者。さしずめ、ミスターTとでも呼んでもらおうか」

 

「お前らの名前なんて、闇イソノで十分だよ」

 

「ふふふっ、せっかく自己紹介したところだが、君たちは真実に近づきすぎているようだ。ここで消去させてもらおう。君たちのお得意のデュエルでね!」

 

「おっ!ようやくデュエルか!待ってたぜ!」

 

ミスターTもコナミもデュエルディスクを構えてやる気満々だ。オカルト合戦ならこの中では俺が一番不利だろうが、デュエルならコナミも居るし何とでもなるだろう。挨拶はしている暇はなさそうだな。

 

俺もコナミと並んでデュエルディスクを構え、ミスターT達と対峙する。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

赤羽コナミ 手札:5枚。

 

vs

 

◆ミスターT達 LP:8000

ミスターTその1 手札:5枚。

ミスターTその2 手札:5枚。

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ミスターTその1 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ダーク・アーキタイプ】を召喚!」

ミスターTその1 手札:6→5枚。

 

【ダーク・アーキタイプ】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1400/守400

このカードが戦闘で破壊された時、その戦闘で自分が受けた戦闘ダメージと同じ数値の攻撃力を持つモンスター1体をデッキから特殊召喚し、そのモンスターのレベルと合計が同じになるよう、手札のモンスターを墓地へ送る事ができる。

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・アーキタイプ ★4 ATK1400

 

出たよミスターTの良く使う微妙なカード。タッグフォース版なら【ダメージ・コンデンサー】と似たような使い方が出来るんだろうけど、アニメ版は使い勝手が悪すぎる。きっと効果発動時にオカルトパワーでデッキの中身を弄ってるんだろうなぁ。

 

「更に私は手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【沼地の魔神王】と【メテオ・ドラゴン】を融合!【メテオ・ブラック・ドラゴン】を融合召喚する!」

ミスターTその1 手札:5→4→2枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

【沼地の魔神王】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 500/守1100

(1):このカードは、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。

(2):自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

 

【メテオ・ドラゴン】

通常モンスター

星6/地属性/ドラゴン族/攻1800/守2000

宇宙の果てから地球におちてきた、流星のドラゴン。

 

【メテオ・ブラック・ドラゴン】

融合モンスター

星8/炎属性/ドラゴン族/攻3500/守2000

「真紅眼の黒竜」+「メテオ・ドラゴン」

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・アーキタイプ ★4 ATK1400

メテオ・ブラック・ドラゴン ★8 ATK3500

 

【メテオ・ブラック・ドラゴン】か。デュエルリンクス初期ではお世話になったな。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

ミスターTその1 手札:2→1枚。伏せカード:1枚。

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

赤羽コナミ 手札:5枚。

 

vs

 

◆ミスターT達 LP:8000、伏せカード:1枚。

ミスターTその1 手札:1枚。

ミスターTその2 手札:5枚。

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・アーキタイプ ★4 ATK1400

メテオ・ブラック・ドラゴン ★8 ATK3500

 

 

やはりミスターTはデュエルに関しては大したことは無いな。これなら普通に勝てそうだ。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【マジシャンズ・ロッド】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【マジシャンズ・ロッド】

効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻1600/守 100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、自分が相手ターンに魔法・罠カードの効果を発動した場合、自分フィールドの魔法使い族モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札に加える。

 

<クロト&コナミのフィールド>

マジシャンズ・ロッド ★3 ATK1600

 

「【マジシャンズ・ロッド】召喚成功時の効果発動!デッキから【永遠の魂】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

【永遠の魂】

永続罠

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の手札・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。

●デッキから「黒・魔・導」または「千本ナイフ」1枚を手札に加える。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「ブラック・マジシャン」は相手の効果を受けない。

(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

「俺は手札から装備魔法【ワンダー・ワンド】を発動!【マジシャンズ・ロッド】に装備する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【ワンダー・ワンド】

装備魔法

魔法使い族モンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):装備モンスターとこのカードを自分フィールドから墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

<クロト&コナミのフィールド>

マジシャンズ・ロッド ★3 ATK1600→2100 ※【ワンダー・ワンド】装備

 

「【ワンダー・ワンド】の効果発動!このカードと【マジシャンズ・ロッド】を墓地に送ってデッキから2枚ドロー!」

クロト 手札:5→7枚。

 

<クロト&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「俺は手札から【幻想の見習い魔導師】の効果を発動!手札を1枚墓地に送り、手札より自身を特殊召喚する!」

クロト 手札:7→6→5枚。

 

【幻想の見習い魔導師】

効果モンスター

星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700

(1):このカードは手札を1枚捨てて、手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ブラック・マジシャン」1体を手札に加える。

(3):このカード以外の自分の魔法使い族・闇属性モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。その自分のモンスターの攻撃力・守備力はそのダメージ計算時のみ2000アップする。

 

<クロト&コナミのフィールド>

幻想の見習い魔導師 ★6 ATK2000

 

墓地に送ったのは【マジシャンズ・ローブ】だ。

 

【マジシャンズ・ローブ】

効果モンスター

星2/闇属性/魔法使い族/攻 700/守2000

「マジシャンズ・ローブ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手ターンに手札から魔法・罠カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、相手ターンに自分が魔法・罠カードの効果を発動した場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「【幻想の見習い魔導師】の特殊召喚成功時に効果発動!効果を発動!デッキから【ブラック・マジシャン】1体を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

【ブラック・マジシャン】

通常モンスター

星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100

魔法使いとしては、攻撃力・守備力ともに最高クラス。

 

コナミのターンもあるし、ここは慎重に攻めていくか。

 

「バトルフェイズに移行。【幻想の見習い魔導師】で【ダーク・アーキタイプ】に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【ゼロ・ゲイザー】発動!【ダーク・アーキタイプ】の攻撃力を0にしてデッキから1枚ドローする!」

ミスターTその1 手札:1→2枚。伏せカード:1→0枚。

 

【ゼロ・ゲイザー】

通常罠

自分フィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターが攻撃対象になった時に発動できる。そのモンスター1体の攻撃力を0にする。その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・アーキタイプ ★4 ATK1400 → 0

メテオ・ブラック・ドラゴン ★8 ATK3500

 

幻想の見習い魔導師 ★6 ATK2000

vs

ダーク・アーキタイプ ★4 ATK0

 

「ぐぅっ!だがこの瞬間、【ダーク・アーキタイプ】の効果が発動!デッキから受けたダメージと同等の攻撃力2000のモンスターの【ヘル・ドラゴン】を特殊召喚し、そのモンスターと同レベルの【レアメタル・ドラゴン】を手札から捨てる!」

ミスターT達 LP:8000→6000

ミスターTその1 手札:2→1枚。

 

【ヘル・ドラゴン】

効果モンスター

星4/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守 0

(1):このカードが攻撃したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

(2):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

 

【レアメタル・ドラゴン】

効果モンスター

星4/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守1200

このカードは通常召喚できない。

 

<ミスターT達のフィールド>

ヘル・ドラゴン ★4 ATK2000

メテオ・ブラック・ドラゴン ★8 ATK3500

 

自分のライフを2000も使ってやるような戦術じゃないな。

 

「俺は手札から速攻魔法【ディメンション・マジック】を発動!フィールドの【幻想の見習い魔導師】をリリースして手札から【ブラック・マジシャン】を特殊召喚する!現れよ!【ブラック・マジシャン】!!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

【ディメンション・マジック】

速攻魔法

(1):自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターをリリースし、手札から魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。その後、フィールドのモンスター1体を選んで破壊できる。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

 

「そして【ディメンション・マジック】の効果はまだ残っている!そちらの【メテオ・ブラック・ドラゴン】を破壊する!」

 

「何ッ!?【メテオ・ブラック・ドラゴン】が破壊された!?」

 

<ミスターT達のフィールド>

ヘル・ドラゴン ★4 ATK2000

 

「まだバトルフェイズは続いている!【ブラック・マジシャン】で【ヘル・ドラゴン】を攻撃!黒・魔・導!!」

 

ブラック・マジシャン ATK2500

vs

ヘル・ドラゴン ATK2000

 

「ぐあぁぁっ!」

ミスターT達 LP:6000→5500

 

「メインフェイズ2に移行!俺は手札から魔法カード【師弟の絆】を発動!デッキより【ブラック・マジシャン・ガール】を特殊召喚する。現れよ!【ブラック・マジシャン・ガール】!!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【師弟の絆】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が存在する場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン・ガール」1体を選んで特殊召喚する。その後、デッキから「黒・魔・導」「黒・魔・導・爆・裂・破」「黒・爆・裂・破・魔・導」「黒・魔・導・連・弾」のいずれか1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。

 

【ブラック・マジシャン・ガール】

効果モンスター

星6/闇属性/魔法使い族/攻2000/守1700

(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300アップする。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

 

「おぉっ!【ブラック・マジシャン・ガール】の絵違いだ!初めて見た!格好いいな!!」

 

お揃いのワインレッドのローブを着た最上級魔術師の師弟を見てコナミは興奮気味だ。師匠は呆れているが、姉弟子は満更でもなさそうだ。

 

「【師弟の絆】の効果には続きがある!デッキより更に【黒・爆・裂・破・魔・導】をセット!」

クロト&コナミ 伏せカード:0→1枚。

 

【黒・爆・裂・破・魔・導】

速攻魔法

(1):自分フィールドに、元々のカード名が「ブラック・マジシャン」と「ブラック・マジシャン・ガール」となるモンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

クロト 手札:3→1枚。伏せカード:1→3枚。

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:8000、伏せカード:3枚。

白河クロト 手札:1枚。

赤羽コナミ 手札:5枚。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

 

vs

 

◆ミスターT達 LP:5500、伏せカード:0枚。

ミスターTその1 手札:1枚。

ミスターTその2 手札:5枚。

 

<ミスターT達のフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ミスターTその2 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ダーク・サイコ・アイ】を召喚!」

ミスターTその2 手札:6→5枚。

 

【ダーク・サイコ・アイ】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻400/守1100

このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、このターンのエンドフェイズまで相手フィールド上のモンスター1体のコントロールを得る。

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・サイコ・アイ ★4 ATK400

 

ちっ、今度は優秀な方のダークモンスターか。特殊召喚にまで対応しているとか、当時の環境から考えると割とズルいよな。

 

「【ダーク・サイコ・アイ】の召喚成功時に効果発動!私は【ブラック・マジシャン】のコントロールを得る!」

 

「させるわけないだろ?伏せカードの罠カード【ブラック・イリュージョン】を発動!このターン、俺の【ブラック・マジシャン】及び【ブラック・マジシャン・ガール】はお前からのカード効果を受けない!」

白河クロト&赤羽コナミ 伏せカード:3→2枚。

 

【ブラック・イリュージョン】

通常罠

(1):自分フィールドの攻撃力2000以上の魔法使い族・闇属性モンスターは、ターン終了時まで、戦闘では破壊されず、効果は無効化され、相手の効果を受けない。

 

「ふむ。ならば私は手札から永続魔法【未来融合-フューチャー・フュージョン】を発動!」

ミスターTその2 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【未来融合-フューチャー・フュージョン】※エラッタ前

永続魔法

自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。

発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

そう言えばこのカードはまだこの世界だとエラッタされていなかったな。

 

「私がEXデッキから選ぶ融合モンスターは【F・G・D】!融合素材5体を墓地に送る!」

 

【F・G・D】

融合・効果モンスター

星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

ドラゴン族モンスター×5

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードは闇・地・水・炎・風属性モンスターとの戦闘では破壊されない。

 

<ミスターTがデッキから墓地に送ったモンスター>

①デス・ヴォルストガルフ

②スピア・ドラゴン

③スピリット・ドラゴン

④ヘル・ドラゴン

⑤レアメタル・ドラゴン

 

「更に私は手札から魔法カード【龍の鏡】を発動!墓地の5体のドラゴンを融合素材として除外し、EXデッキから【F・G・D】を融合召喚する!」

ミスターTその2 手札:4→3枚。

 

【龍の鏡】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、

ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<ミスターTが墓地から除外したモンスター>

①レアメタル・ドラゴン

②スピア・ドラゴン

③スピリット・ドラゴン

④ヘル・ドラゴン

⑤レアメタル・ドラゴン

 

<ミスターT達のフィールド>

ダーク・サイコ・アイ ★4 ATK400

F・G・D ★12 ATK5000

 

原作でも見せたコンボだな。でもいいのか?俺の伏せカードのこと忘れてない?

 

「ふっ、我が【F・G・D】の前ではそんなモンスターたちなどゴミに過ぎない」

 

あっ、これは俺の伏せカードのことを忘れているな。もしくは【黒・爆・裂・破・魔・導】の効果を知らないのか?

 

そう言えばアニメDMだと【黒・爆・裂・破・魔・導】と言うのは師弟の同時攻撃名なだけで、カードは無いんだっけ?

 

「バトルだ!【F・G・D】で【ブラック・マジシャン】を攻撃!」

 

どうする?相手の手札は3枚。メイン2以降でセットする可能性は高い。このターンは【ブラック・マジシャン】は戦闘破壊されないから、2500LPダメージを許容して後続に繋げることを優先するか。

 

F・G・D ATK5000

vs

ブラック・マジシャン ATK2500

 

「ぐあぁぁぁっ!」

クロト&コナミ LP:8000→5500

 

痛ぇな畜生め!プレイヤー本人にも相応のリアルダメージが入る闇のデュエルってのは本当に厄介だな!魔力防壁を張らなかったらこんな痛みじゃすまなかっただろうな。

 

「ふふふっ、戦闘破壊は免れたか。私はカードを2枚伏せてターンエンド!」

ミスターTその2 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

「くくっ!今、エンド宣言をしたよなぁ?」

 

「何?」

 

「クロト、悪い顔になってるなぁ」

 

ミスターTは困惑しているが、コナミは若干ニヤニヤしている。これから起こることをアイツは理解しているようだ。

 

「このタイミングで伏せカードを発動させてもらう!まずは1枚目!永続罠【永遠の魂】発動!その効果によりデッキより【黒・魔・導】を手札に加える!」

白河クロト&赤羽コナミ 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

「更に伏せカードを発動!速攻魔法【黒・爆・裂・破・魔・導】発動!相手フィールドのカードを全て破壊する!」

白河クロト&赤羽コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

「何だと!?」

 

チェーン②黒・爆・裂・破・魔・導

チェーン①永遠の魂

 

「ブラック・バーニング・マジック!!」

 

最上級魔術師の師弟が杖を合わせて放つ魔術により、ミスターTたちのフィールドに存在するカードは全て消し飛ぶ!

 

<ミスターT達のフィールド>

モンスター無し

 

ミスターT達 伏せカード:2→0枚、永続魔法:1→0枚。

 

「我が【F・G・D】が破壊された!?」

 

「こんなことが!?」

 

墓地に送られた伏せカードは【スキルドレイン】と【ドレインシールド】か。なかなか厄介なカードをセットしていたんだな。無駄になったけど(笑)。

 

「そしてデッキから【黒・魔・導】を手札に加える」

白河クロト 手札:1→2枚。

 

彼らはもう終わりですね。

 

 

◆白河クロト&赤羽コナミ LP:5500、伏せカード:0枚。永続罠:1枚。

白河クロト 手札:2枚。

赤羽コナミ 手札:5枚。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

 

vs

 

◆ミスターT達 LP:5500、伏せカード:0枚。

ミスターTその1 手札:1枚。

ミスターTその2 手札:1枚。

 

<ミスターT達のフィールド>

モンスター無し

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【水精鱗-メガロアビス】の効果発動!手札から水属性モンスター【水精鱗-アビスグンデ】と【水精鱗-リードアビス】を墓地に送り、自身を特殊召喚する!」

コナミ 手札:6→4→3枚。

 

【水精鱗-メガロアビス】

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2400/守1900

(1):手札からこのカード以外の水属性モンスター2体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「アビス」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカード以外の自分フィールドの表側攻撃表示の水属性モンスター1体をリリースして発動できる。このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

 

【水精鱗-アビスグンデ】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻1400/守 800

このカードが手札から墓地へ捨てられた場合、自分の墓地から「水精鱗-アビスグンデ」以外の「水精鱗」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

「水精鱗-アビスグンデ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

【水精鱗-リードアビス】

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2700/守1000

自分のメインフェイズ時、手札からこのカード以外の水属性モンスター3体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功した時、自分の墓地から「アビス」と名のついた魔法・罠カード1枚を選択して手札に加える事ができる。

また、このカード以外の自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「水精鱗」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、相手の手札をランダムに1枚墓地へ送る。「水精鱗-リードアビス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400

 

「【水精鱗-メガロアビス】特殊召喚成功時にの効果発動!デッキから【アビスフィアー】を手札に加える!」

コナミ 手札:3→4枚。

 

【アビスフィアー】

永続罠

デッキから「水精鱗」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

また、このカードがフィールド上に存在する限り、自分は魔法カードを発動できない。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。このカードは発動後、次の相手のエンドフェイズ時に破壊される。

 

「墓地に送られた【水精鱗-アビスグンデ】の効果発動!墓地から【水精鱗-リードアビス】を特殊召喚する!」

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400

水精鱗-アビスグンデ ★7 ATK2700

 

「オレは手札から【水精鱗-アビスパイク】を召喚!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

【水精鱗-アビスパイク】

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1600/守 800

このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、手札の水属性モンスター1体を墓地へ捨てて発動できる。デッキからレベル3の水属性モンスター1体を手札に加える。

「水精鱗-アビスパイク」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400

水精鱗-アビスグンデ ★7 ATK2700

水精鱗-アビスパイク ★4 ATK1600

 

「【水精鱗-アビスパイク】の召喚成功時に効果発動!手札の【ドラゴン・アイス】を墓地に送り、墓地の【水精鱗-アビスグンデ】を手札に加える!」

コナミ 手札:3→2→3枚。

 

「オレは【水精鱗-メガロアビス】の効果発動!【水精鱗-アビスパイク】をリリースし、【水精鱗-メガロアビス】は2回攻撃できるようになる!」

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400 ※2回攻撃

水精鱗-アビスグンデ ★7 ATK2700

 

「オレは手札から装備魔法【アビスケイル-クラーケン】を発動!【水精鱗-メガロアビス】に装備する!」

 

【アビスケイル-クラーケン】

装備魔法

「水精鱗」と名のついたモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は400ポイントアップする。

このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上で発動した効果モンスターの効果を無効にする。その後、このカードを墓地へ送る。

 

<クロト&コナミのフィールド>

ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

ブラック・マジシャン・ガール ★6 ATK2000

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400→2800 ※2回攻撃 ※【アビスケイル-クラーケン】装備。

水精鱗-アビスグンデ ★7 ATK2700

 

「そろそろ良いか。バトル!【水精鱗-メガロアビス】でダイレクトアタック!」

 

水精鱗-メガロアビス ATK2800 ※2回攻撃

 

「ぐおぁぁぁっ!」

ミスターT達 LP:5500→2700

 

「止めだな!【水精鱗-メガロアビス】でダイレクトアタック!」

 

水精鱗-メガロアビス ATK2800 ※残り1回攻撃

 

「がぁぁぁぁっ!」

ミスターT達 LP:2700→0

 

 

ミスターTたちはLPが尽きるとその体が無数の黒いカードとなり、四散していった…。

 

「良いデュエルだったな!」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

挨拶しても、相手はもうそこに居ないんだけど、一応な。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わって目の前のミスターTたちは消え去ったが、実はまだ近くに何体か居るかも知れないと思い、周囲を見回してみると何処からともなくミスターTの声が聞こえてきた。

 

「少年たちよ。今の我々は真実の断片に過ぎない。そう遠くないうちに、より大きな闇が君たちの故郷を含む12次元の世界を襲う。ふふふっ、いずれまた会おう」

 

「出来れば2度と会いたくないな」

 

「デュエルなら、いつでも、どこでも、何度でも、受けて立つ!」

 

ミスターTの去り際のセリフに対し、俺とコナミは正反対の気持ちを抱いたようだ。コイツがデュエル狂なのは知ってたから驚かないけどさ。

 

「周囲に敵影無し。帰るか」

 

「そうだな」

 

本来の目標の闇ワカメ先輩も確保したし、ミスターTも今のところは人間界への侵攻は出来なさそうだってことは分かったし、収穫はあったかな。

 

一応、もう一度周囲を確認して何もないことを再確認し終えた後、俺達は人間界へと戻った。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

今日の昼も亮と共に鮫島校長に兄さんのことについて問いただしに行ったが相手にされなかった。ただ、どうしても何かを隠しているようにしか見えない態度だった。校長はきっと何かを知っている。

 

そんな時、クロトが調査すると言っていた廃寮には何人もの生徒が行方不明になっているという噂があることを聞いた。恐らく兄さんもその噂で消えた人間とされているのだろう。

 

クロトは自分だけで廃寮を調査するって言っていたけれど、居ても立っても居られなくなった私は元特待生専用のブルー寮である廃寮に向かっていた。

 

どうやら同じことを考えていたらしく、道中で亮とも合流したのは良いのだけれど、いざ廃寮に辿り着くと遊城君と丸藤君、そしてもう1人のオシリスレッド生徒の3人が廃寮に入っていく姿が見えた。

 

この廃寮は学園から立入禁止に指定されている。もし侵入したことがバレたら最悪退学になるかも知れない。そしれ彼らも行方不明の生徒の一人になってしまうかも知れない。

 

私たちはそれらの話を教えようと彼らを追おうとすると、いきなり目の前に黒服の大男が立ちはだかった。虚をつかれた私の首に襲い掛かって来た大男の腕が触れようとしたその瞬間、首からぶら下げていたクロトから貰ったネックレスが光り輝いた。

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

その瞬間、大男はきりもみ回転して空を飛びながら何処かへ飛ばされてしまい、周囲には彼の悲鳴だけが残った。

 

「このネックレス、実はとても危ない物なんじゃあ…」

 

「奇遇だな。オレも今そう思った」

 

私と亮はクロトから貰ったネックレスの危ない機能に驚きつつも、私たちは廃寮に入っていったオシリスレッドの生徒3人を追うことにした。

 

道中で話を聞くところによると、先ほどの3人のうちの1人である丸藤翔はやはり亮の弟だったらしく、先日の女子寮騒動の件を思い出して複雑な気持ちになった。

 

廃寮の中を調べていると、資料室のような場所に辿り着いた。

 

「先日の写真は確かこの部屋に飾られていた物だな」

 

「へぇ、そうなのね。そう言えば、亮はここに住んでいたことがあったって言っていたわね」

 

廃寮の探索が一通り終わって寮の入り口付近まで戻って来た。ほぼ全てのエリアを探したと思うのだけれど彼らは見つからなかった。

 

「そう言えば、この寮の地下にはデュエルリングがあったな。もしかしたらそこに向かったのかもしれないな」

 

「そうね。もしかしたら彼らはもう自分たちの寮に帰っているのかも知れないけれど、念のため確認しておきましょうか」

 

そうして地下道を進んでいった先には、亮の言っていた通りデュエルリングがあった。そこでは何故か遊城君と先ほどの大男がデュエルしていた。

 

デュエルリングの周囲は禍々しい雰囲気を放っていたがこの景色には見覚えが有る。この景色はフィールド魔法【万魔殿-悪魔の巣窟-】の効果で生み出されたソリッド・ヴィジョンなのだろう。

 

「翔!お前たち、ここで何をしている!」

 

「お、お兄さん!?」

 

「お兄さん?あの人が翔のお兄さんなのかぁ?」

 

「うん、そうだよ隼人君。あの人はボクのお兄さん、丸藤亮だよ」

 

どうやら近くで遊城君たちのデュエルを見ていたらしい丸藤君と、独特のイントネーションで話すもう1人の生徒(隼人と言うらしい)と亮が話をしている。

 

「天上院か!近寄るな!これは闇のデュエルらしい!」

 

「そうっすよ!アイツが持っているあの千年パズルのせいで闇のゲームが始まって、ダメージを受けると体がどんどん消えちゃうんスよ!ほら!もう兄貴の胸辺りと右腕が消えちゃってるっス!」

 

「えっ?右足、だろ?」

 

「えっ?」

 

遊城君たちががよく分からないことを言っている。体が消える?

 

「でも、遊城君の体は何処も消えていないじゃない?」

 

「確かに。彼の体には何処も異常が無いように見るが…」

 

「しまった!そこの小僧と小娘!こちらを見ろ!」

 

大男が金色の逆三角錐の首飾りを掲げるとその首飾りからまばゆい光が発せられる。それと同時に私と亮の首飾りからまた光が発せられる。

 

「どうだ!これでお前にも小僧の体が消えていることが分かるだろう?」

 

「明日香、分かるか?オレには彼の体に異常は見られないが…」

 

「いえ、私もよ」

 

「コイツら、まさか私の催眠術が効かない!?」

 

大男は何かに驚いているようだけれど、墓穴を掘ったようね。

 

「催眠術だって!やっぱり闇のゲームじゃないのか!このインチキデュエリストめ!」

 

「ぬぅぅ!私の仕掛けが見破られた以上、貴様とこれ以上デュエルを続けることなど、無意味なこと!」

 

そう叫ぶと大男は懐から何かを取り出し、地面に叩き付けた。

 

「煙が!?煙幕か!」

 

「やはり偽物の千年パズル!待てぇ!」

 

遊城君が逃げようとする大男を追いかけようとして走るが、その時デュエルリングの周囲にある蛇の彫刻の口にある丸い装置から光の線が現れ、六つの線がリング中央で交差した。

 

「な、なんだ!?」

 

「ぬおぉぉぉ!?」

 

突然、リング中央から彼ら二人を取り囲むようにして黒い煙が渦巻いていき、彼らを黒い球体が包み込んでしまう。球体の近くには時折スパークが発生し、迂闊には近づけない。

 

「兄貴ぃ!?」

 

「十代!?」

 

「一体、何が起こっているの!?」

 

「分からないが、あの球体に近付くのは危険そうだ。離れた方が良いだろう」

 

私と亮は距離を取り、丸藤君と隼人君も同じように距離を取りながら黒い球体の様子を窺っている。

 

そんな時、黒い球体のすぐ横に直径3mほどの黒い渦のような物が出現し、その中から誰かが出てきた。

 

あ、あれはまさか!

 

「兄さん!?」

 

「吹雪!?…それに藤原か!」

 

「やぁ明日香。それに亮も。大体1月ぶりだね?」

 

「ネズミ怖いネズミ怖いネズミ怖い…」

 

『マスター、しっかりしてください!人間界に帰ってきましたよ!』

 

黒い渦から現れたのは、この2年間どれだけ探しても見つからなかった私の兄、天上院吹雪だった。亮と同じデザインのブルー生徒の制服を着ていて、腰には黒い仮面をぶら下げており、右手には昔から使っていたボストンバックを持っている。背中に誰かを背負っているようだ。

 

「兄さん!」

 

私は思わず兄に抱き着き、私が抱き着いた衝撃で兄さんが抱えていた青年が地面に落ちそうになっていたところを、亮がその青年を抱きかかえていた。

 

「兄さん、無事でよかった」

 

「吹雪、心配させてくれたな?」

 

「どうやらクロト君が言った通り、本当に長い時間が経ってしまっていたらしい。2人とも、心配かけて済まなかったね」

 

兄さんは二年前と変わらない笑顔を私たちに返してくれた。それだけで私たちの今までの苦労が報われた気がした。

 

「おっ、出口だ」

 

続いて黒い渦から凄い勢いで赤い帽子を被ったオシリスレッドの生徒が飛び出してきた。アレは赤羽コナミと言うクロトの幼馴染の少年だ。去年のクロトが居た学園祭で色々とお世話になったのでよく覚えている。主に私怨で。

 

「止まれぇぇぇ!えっ?いきなり止まるなぁぁぁ!ぐえぇっ!!」

 

そして、彼が止まった瞬間にその横を凄い勢いで壁に向かって飛んでいき、「グシャッ!」と言う効果音付きでぶつかって昔の漫画みたいに大の字に壁にめり込んでいるのは、ラーイエローの制服を着ているし多分クロトね。

 

凄く痛そう。最近のクロトはコナミ君に引きずり回されているイメージしかない。彼の今までの苦労が報われる日はいつか来るのかしら。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

何故かいきなり俺の手を掴んで走り出したコナミを制止していたら、アイツは急に止まった。何事かと思う前に体の前半分に衝撃が走った。どうやら俺は慣性の赴くままに壁に叩き付けられたらしい。魔術障壁にて衝撃を緩和していなければ即死だった。

 

あの野郎、俺の扱いが雑じゃないか?

 

何とか埋まった四肢を壁から抜きだして辺りの様子を見る限り、何とか人間界に戻ってくることが出来たみたいだな。

 

デュエルリングの中央には黒い球体があり、その周囲には丸藤翔と前田隼人。こちらを恐ろしい物を見るような眼で見てくる俺が一体何をしたって言うんだ。恐ろしいのはコナミだろう。

 

うん?あぁ、もしかして、タイタンイベントに日程が重なっていたのか。やっちまったなぁ。

 

その周囲には先ほど救出した吹雪さんと藤原、それに付き従うオネスト。そして何故か吹雪さんに抱き着いてこちらを見ている明日香と、藤原に肩を貸しながらこちらを見ている亮さんが居る。

 

「あれ?なんで明日香と亮さんがここに居るんだ?」

 

「えっ、いや、その」

 

「済まない。君1人に任せると思うと悪い気がしてな」

 

しどろもどろになっている明日香と素直に謝ってくる亮さんの対比が面白かったので気にしないことにした。

 

「それで?あれは何?」

 

「あれは、正直私達にもよく分からないのよ」

 

「翔の友人が黒服の大男とデュエルしていたと思ったら、突然ああなったとしか言えないな」

 

俺がデュエルリング中央の黒い球体を指さすと、明日香と亮さんがなんとか説明しようとしてくれるが、まぁ分からないよね。

 

無茶振りして済まないが、俺も話を円滑に進めるために知らない振りをしないといけないから許してくれ。

 

『クリクリィ~』

 

「あいてっ」

 

そうこうしているうちに、黒い球体に亀裂が走ってその隙間からハネクリボーと十代が転がり出てきた。

 

「あ、兄貴ぃ~!」

 

「十代~!」

 

「おっ、みんな無事か!」

 

『クリクリィ~』

 

「うん?今の声…」

 

十代に駆け寄る翔と隼人。隼人はハネクリボーの声に気付いたようだな。

 

じゃあこの後は…。

 

「あっ、伏せろぉ!」

 

黒い球体はどんどん凝縮していき、最後にはパァン!と言う音と共に消滅した。

 

とりあえずは一件落着だな。十代たちはタイタンの話で盛り上がっているし、明日香たちは吹雪さんとの再会で盛り上がっている。

 

どちらの話に参加するにしてもオレでは役者不足だ。ならこれ以上ここに居ても仕方ない。さっさと寮に帰って風呂入って寝よう。

 

白河クロトはクールに去るぜ…。

 

~~~

 

<ミスターT視点>

 

クロト達がダークネス世界を去った後、再生したミスターTたちは彼らについて話していた。

 

「2年前に現れた彼らも面白い逸材だったが、今日現れた2人は異質な存在だったな」

 

「あぁ。片や規格外の化け物、片や歪な2つの魂が奇妙に交じり合った不思議な存在。興味深いね」

 

「どちらもいずれ我らが他の世界に侵攻する際に邪魔になる存在なのは確かだろう」

 

「本格的に進行を開始する前に、彼らについては調べておく必要がありそうだな」

 

まだ先のことであろうが、それでもダークネス侵攻の日はゆっくりとだが確実に迫っていた。




シリアスさんは途中退場しました。

吹雪の【十二獣】はいずれ別の機会にちゃんと登場する予定です。

オリ主のデッキは【ブラック・マジシャン】です。ようやくガールを出せました。他にも前回使用しなかったカードをメインに登場させてみました。ブラック・マジシャンのサポートカードはまだまだあるので当分はネタに困らなさそうです。

コナミのデッキは【水精鱗】です。【海皇】テーマと混ぜたデッキを想定していましたが、海皇テーマのカードは出せずじまいに終わりました。いずれ別の機会に出そうと思います。

ミスターTたちのデッキはテーマデッキと呼んで良いのか微妙なので、大体アニメで出てきたカードを採用しました。まだダークネスがそれほど力を得ていない設定なので大した強さじゃないです。今後出てくるたびに強くなる予定です。

次回の更新は3/20(土) AM6:00予定です。

戦車様、荒魂マサカド様、( ゜Д゜)様、Skazka Priskazka様、コダマ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十七話 幕間:査問委員会

前回のあらすじ:タイタンは犠牲になったのだ…。

今回はデュエル無し。アニメGX第7話辺りの話になります。

※注意!
今回の話には、鮫島校長に対する強烈なヘイト表現があります!閲覧の際にはご注意願います!


<クロト視点>

 

ダークネス世界から帰還した翌日の昼過ぎ、俺はデュエルアカデミア査問委員会に呼ばれていた。

 

査問委員会が行われている部屋の中央に立つ俺を取り囲むように大型モニターが設置されており、それぞれ右から倫理委員会のお姉さん、ハゲ(鮫島校長)、クロノス、モブ教師が映っている。

 

ヤバいよ!ヤバいよ!泣く子も黙る、睨まれたら退学ほぼ確定の倫理委員会がいるじゃんよ!

 

七星門の鍵の件か?それとも立入禁止の廃寮に忍び込んだことがバレたか?イエロー寮にある材料を使って勝手にクッキー作ったことがバレたか?もしくはツァンにやったアレがモブブルー生徒から漏れてセクハラで訴えられたか?心当たりがありすぎる!

 

「昨日の深夜、2年前に行方不明となっていた生徒が発見されたのは知っているね?」

 

どうやら廃寮に忍び込んだことについての話らしいな。だが、ハゲが微妙に絶妙に答えづらい質問をしてくる。ハゲは、誰が発見されたとも、何処で発見された、とも言っていない。

 

YESと答えたら知っている理由を聞かれてそのままその理由を根掘り葉掘り聞かれるだろう。

 

だがNoをと答えるのは不味い。こんなところに呼び出す以上は、向こうは間違いなく俺が知っていることを確信を持って聞いて来ているだろうからな。

 

こういう腹芸は苦手なんだよなぁ。吹雪さんや藤原を助け出したことは悪いことではないからそのまま素直に説明してもいいかも知れない。

 

だが、それはそれ。これはこれ。みたいな話になって退学になったらそのままデッドエンドだな。上手く話を持って行かないと不味いな。

 

「知っていますよ」

 

「ほう?それは何故かね?」

 

「俺が彼らを発見して保護したからです。貴方が隠蔽していた行方不明事件の被害者をね?」

 

ハゲの眉がピクリと動いた。ここで切り返してくるとは思っていなかったらしく、多少は動揺してくれたらしいな。

 

ここで話をすり替えてハゲの責任問題追及の場にして俺は逃げよう。そうしよう。

 

「隠蔽?どういうことナノーネ?」

 

クロノスは知らされていなかったらしく、鮫島校長に視線を送っている。良い感じだ。もっとグイグイ迫ってくれ。

 

「発見された行方不明者は2名。以前、旧特待生寮に所属していた天上院吹雪と藤原優介。彼らは酷く衰弱していたらしく、今は保健室で手当てを受けた後に休息を取っている」

 

倫理委員会の女性がハゲの話を引き継ぎ、まるで俺の話を無視するかのように話を進めた。

 

あれ?選択肢を間違えたかな?普通、ここは「行方不明事件をもみ消していたとはどういうことか!?」とハゲを問い詰めるシーンなのでは?

 

「彼らが発見された場所は、今は立入禁止となっている旧特待生寮だ。君が彼らを発見したということは、つまり君は立入禁止エリアに入ったわけだな?」

 

あれー!?なんでこうなるんだ!?くそっ、ここで沈黙を守っていても都合の悪いことを黙っているようにしか見えないか。

 

「えぇ、まぁ」

 

「何故君は旧特待生寮に忍び込んだのだ?何か理由があるんじゃないのか?」

 

前世の知識で色々と知っていたからです!…無いな。頭の具合を疑われるだけだ。ならば…。

 

「旧特待生寮で過去に何人もの生徒が行方不明になっているという噂を聞き、それを調べに行きました」

 

「何故、わざわざ立入禁止エリアに入ってまで調べようとした?興味本位か?それとも何か別の理由があるのか?」

 

ダークネス世界から藤原を引っ張り出す為です!…無いな。正気を疑われるだけだ。それなら…。

 

「古くからの友人である天上院吹雪が行方不明になったことを知り、もしかしたらその謎が隠されているのではないかと思い、その確認をするためです」

 

「なるほど…事前に彼らから聞いていた情報と一致するな。嘘は言っていないようだ」

 

ちっ、そういうことか。コイツ等は事前に十代や明日香たちに事情を聴いていたわけか。そう言えばアニメGXで十代たちが査問委員会に呼ばれたのは早朝だったな。そして今は昼過ぎ。その間に彼らから事情を聴きだしていたのだろう。

 

「君も気付いたと思うが、既にオシリスレッドの生徒たちとオベリスクブルーの生徒たちからは事情を聴いている。君だけこの時間に呼び出すことになったのは、彼らを保護したタイミングで君だけがその場に居なかったからだ」

 

俺だけ早く帰ったことが裏目に出た感じか。格好つけて帰るんじゃなかったな。

 

「昨日の夜にクロノス教諭から、『旧特待生寮に不審者とオシリスレッドの生徒の生徒を見かけた』と連絡を受けてな。旧特待生寮に配置してある監視カメラを確認すると確かにそれらしき人物が確認されたので、その場に我ら倫理委員会が踏み込んだのだ」

 

クロノス、お前の仕業かぁぁぁ!この野郎、タイタンを餌にして十代たちを旧特待生寮に侵入させて、立入禁止エリアに入った罰で退学させようとしたのか!

 

タイタンに関しては、倫理委員会から提出されているであろう夜の巡回ルートの隙間からタイタンを廃寮に侵入させつつ、タイタンとの契約時に発行された領収書さえ回収しておけば、タイタン自身が発見されて確保されても「見知らぬ他人です」と知らぬ存ぜぬを通せばいいってわけか!

 

やってくれる!あぁ、もう!女子寮の件で真犯人として突き出しておけばよかったな畜生め!カミューラに襲われたとしても絶対に助けてやらないからな!人形になってからなら助けてやるよ!

 

「そこで発見されたのが、遊城十代、丸藤翔、前田隼人、赤羽コナミ、天上院明日香、丸藤亮。そして行方不明になったはずの天上院吹雪と藤原優介だ。残念ながら不審者には逃げられてしまったがな」

 

ふぅっ、少し落ち着いてきた。ともかく、明日香たちはクロノスにとっても誤算だっただろうが、クロノスにとってはほぼベストな結果に終わったわけか。

 

「そしてその場で彼らの話を聞いたところ、先ほどまでその場に居たはずの君が居ないことに気付いたそうだ」

 

これは捕まりそうなことに気付いて逃げたと思われているな。胃が痛い…。イライラしてきた。

 

「無事に吹雪さんを見つけることが出来たので、用事が済んだから帰っただけです」

 

「ふむ、まぁいいだろう。だが、彼らを本当に発見したかったのであれば、何故我々大人に助力を求めなかった?」

 

「行方不明になってから2年も見つけられなかった無能が何言ってんの?」

 

あっ、やべっ。イライラしてつい本音が…。

 

彼らをフォローするなら、いくら彼らが優秀な人間でもオカルト関連だと役に立たないのは仕方ないことだ。だが、今言ったこともでも事実なんだよ。

 

「なるほど。それに関しては我々の力不足だったことは認めよう。済まなかったで済まされる話ではないだろうが謝罪しよう。だが君が無断で立入禁止エリアに入った事実には変わりない。他の彼らと同じように、退学処分を受けるか制裁デュエルを受けるかを選んでもらおう」

 

「制裁デュエルで勝利すれば無罪放免なノーネ」

 

あぁ、そう言う流れか。彼らとしては事実関係をはっきりさせておきたかっただけな訳で、最終的にはこうなる展開に持ってくるつもりだったのか。

 

「もちろん、制裁デュエルを受けましょう」

 

「君のように成績優秀な生徒に制裁デュエルを受けさせるノーハ、気が進まないのでスーガ、規則なので納得して欲しいノーネ」

 

「分かりました」

 

クロノスが申し訳なさそうにこちらを見ながら言ってくる。彼にとっては俺は成績優秀な生徒の1人として見られているみたいだから、『惜しいなぁ』くらいは思っているのかもしれない。

 

だが、女子寮の件で冤罪を遊城十代(実際は丸藤翔にだが)に押し付けようとしたアンタには言われたくないな!アンタも制裁デュエルを受けなよ。

 

「詳細は後日連絡しよう。もう退出しても結構だ」

 

「はい。失礼しました」

 

俺は査問委員会の部屋から退出した。

 

納得いかない…。廃寮に忍び込んだペナルティとしての制裁デュエルに関しては仕方ないとはいえ、あのハゲへの追及が無いのは謎だ。一体どんな手品を使ったんだ?気になる…。

 

~~~

 

<鮫島校長視点>

 

ラーイエローの生徒である白河クロトが退出した後、私は査問委員会から追及を受けていた。

 

「さて鮫島校長?彼の言っていた通り、貴方が行方不明事件をいくつか隠蔽していた件について、我々は既に物的証拠をいくつか掴んでいます。何か申し開きはありますか?」

 

「これに関しては深いわけがありまして…事を荒立てない為にも話すわけには…」

 

「ならば貴方を今すぐ拘束して犯罪者として牢獄に叩き込むだけですが、よろしいですね?」

 

「むぅ…」

 

倫理委員会の女性は厳しい視線をこちらに向けてくる。彼らに三幻魔や七星門の鍵について話してもいいものか…。

 

「話が見えませンーガ、事件の隠蔽は不味いと思いまスーノ」

 

何もクロノス教諭も複雑な表情でこちらを見つめている。確かに彼の立場からすればどうしたらいいのかわからないだろう。

 

「この話は内密に願います。実は…」

 

私は三幻魔の件や影丸理事長の件、七星門の鍵についてを全て彼らに話すことに決めた。

 

もし、ここで私が何も話さずに逮捕されて校長職を追われた場合、次の校長が私と同じ目に遭ってしまうだろう。そうなれば三幻魔の復活を許してしまうかも知れない。それだけは阻止しなければならない。

 

「にわかには信じがたい話ですが、過去にもバトルシティやハートランドシティ、舞網市などで常識を覆すような事件は発生していましたし、真実であると仮定して話を続けましょう」

 

「助かります」

 

彼らは半信半疑と言った様子だが、頭から否定されなかっただけマシだろう。

 

「これから貴方にはいくつか質問をさせて貰います。そしてここからの質疑応答の内容は上層部に提出する為の資料として録音させて頂きます。良いですね?」

 

「分かりました」

 

「まず初めに、貴方は誰がその三幻魔とやらのカードをこの島に封印し、この島の何処にが封印されていて、具体的にどのように七星門の鍵を使えば封印が解かれるのかご存じなのですか?」

 

「三幻魔のカードはこの学園の地下深くに封印され、そこで七星門と呼ばれる石柱がそのカードを守っていて、その石柱に七星門の鍵を差し込めば封印は解かれるはずです。誰が封印したかまでは知らないです」

 

「では、三幻魔とやらが復活すると世界が大変なことになるという話が本当だとして、何故その話を他の人間に相談しなかったのですか?何故、行方不明事件を隠蔽したのですか?一応言っておきますが、先ほどの彼の様に他人を信用できなかったというのは無しですよ?」

 

「何処に影丸理事長の手の物が居るか分からなかったのです。また人に話してしまうことでその人を巻き込んでしまうかも知れなかったのです」

 

「ふぅ。やれやれ。話になりませんね。貴方が1人で抱え込んでいて、いずれ解決したと思っているのですか?余計に被害が広がるだけでは?貴方が隠蔽した行方不明事件に巻き込まれた被害者は、貴方にとって被害者にはカウントされないのですか?」

 

「いえ、それは…」

 

「では次に、貴方はその七星門の鍵とやらを如何にして入手し、如何にして守るつもりだったのですか?」

 

「鍵は先代の校長から古の三幻魔の伝承と共に託されました。その校長から、三幻魔の復活を狙う影丸理事長から七星門の鍵を守るためには、影丸理事長の部下であるセブンスターズがカギを奪う為に仕掛けてくる闇のデュエルに勝利しなければならないと聞いています」

 

「はぁ。呆れてものが言えませんね。良いですか?この島は十数年前までは孤島ですよ?その先代の校長は誰からその古の伝承を聞き、誰から鍵を入手したのかご存じなのですか?古代からの鍵の守護者の末裔だとか言われたのですか?少しくらい胡散臭いと思わなかったのですか?」

 

「それは…」

 

「ちなみに貴方の言う先代の校長ですが、現在行方不明だそうです。そして彼の戸籍や経歴は偽造された物でした。さて、その人物は信用に値しますか?恐らくその先代の校長は影丸理事長の手の者ですよ。何らかの理由で貴方に鍵を渡し、貴方に鍵を守らせるために用意された駒でしょうね」

 

「そんな…!」

 

「影丸理事長から直接貴方に七星門の鍵を渡して今の話をしてしまっては、貴方が影丸理事長の言う話を鵜呑みにするとは思えませんからワンクッション置いたのではないでしょうか?」

 

「そんな…」

 

「先代の校長については当時の倫理委員会や彼を採用した者の見落としでもありますし、影丸理事長の工作もあったことでしょうから、貴方の責任だけの責任ではありませんよ。先ほどは言い過ぎましたね。申し訳ございません」

 

「いえ、ありがとうございます」

 

「次に行きましょう。七星門の鍵は今何処にあって、どのようにして保管してあるのですか?」

 

「鍵は今、校長室で保管しています」

 

七星門の鍵と、その鍵が仕舞われた箱は昨日の夜に何とか海からサルベージしてある。何故か蓋が開かなくなっていたが、振ったら音が鳴ったので恐らくまだ中に鍵は入っているだろう。

 

「校長室ですか。あの部屋には金庫のような物は見当たらなかったと記憶していますが、どのように保管しているのですか?」

 

「…植木鉢の底に隠してあります」

 

「貴方は我々を馬鹿にしているのでしょうか?その鍵が敵の手に渡れば世界が大変なことになるかも知れないんですよね?」

 

「それは、その…」

 

「はぁ、次です。その鍵を守るために闇のデュエルをする理由は?対戦相手がその闇のデュエルで敗北すると消滅するからですか?まさか、デュエルに勝利すれば相手は何でもいうことを聞いてくれる、問題は全て解決してくれるなんて都合のいいことは、大人の貴方なら言いませんよね?」

 

「…」

 

「単純に考えて、鍵そのものを隠蔽するなり、鍵を破壊するなりすればいいのではないのですか?世界が危機に陥るのが分かっていて、馬鹿正直にデュエルを受ける理由を教えて頂けますか?」

 

「それは…」

 

「次です。そのセブンスターズですが、セブンと言うからには7人いるんですよね?誰がその7人と闇のデュエルをするんですか?全て元プロデュエリストの貴方が倒すつもりだったのですか?」

 

「…いえ、この島には優秀なデュエリストが多く集まっています。彼らに頼もうかと思っていました」

 

「その多くは未成年の学生ですよね?大人の校長である貴方は、自身が矢面に立つことも自分の身を挺して生徒を守ることすらせず、未成年の学生に命がけの戦いをさせるつもりだったという意味ですか?ここが海外の軍隊で貴方が指揮官で彼らが部下であればまだギリギリ納得は出来ますが、ここは日本の学園で貴方は校長で彼らは学生ですよ?ふざけるのも大概にして下さい」

 

「仰る、通りです」

 

「今、部下に校長室を探させて植木鉢の底から七星門の鍵が入っているであろう黒い箱を見つけたと報告がありましたが蓋が開かないそうです。これは貴方の仕掛けですか?」

 

「いえ、その…」

 

「この箱は昨日、貴方が海から拾い上げてきた箱ですよね?監視カメラにバッチリ映っていましたからつまらない言い訳は止めて下さいね?」

 

「はい…」

 

「ではもう1度、七星門の鍵の箱らしき物の蓋が開かないのは貴方がそうしたからですか?また、海から拾い上げてきた理由は?」

 

「実は、4月の上旬に1度、校長室から七星門の鍵が箱ごと消えてしまいまして…箱に仕掛けてある発信機から現在地を特定して昨日サルベージしました。蓋が開かなくなっていたのは昨日気付きました…」

 

「なるほど。つまりこの箱は七星門の鍵を仕舞ってある箱ですが、既に誰かに奪われた形跡があり、その中身も確認できない状態にあるというわけですね?今本当に、この箱の中に七星門の鍵があるかどうかすらも分からないと、そう言いたいわけですね?」

 

「はい…」

 

「これが最後の質問です。貴方は、先代の校長から託されたよく分からないカードを守るために、誰にも相談せずに独自の判断で学園内の行方不明事件を隠蔽し、行方不明の生徒を探すことも救うこともせず、他の生徒を危険に晒そうとしていた上に、1度は箱ごと七星門の鍵を全て奪われていて、ここにある箱の中に本当に七星門の鍵が残っているかも分からない、と言うわけですね?」

 

「はい…」

 

「話は分かりました。もう結構です。貴方の処分はいずれ然るべき場所から然るべき処分が下されるでしょう。余計なお世話かも知れませんが、身辺の整理をしておいた方がよろしいかと思われます」

 

「うぅ…」

 

「1つだけ私見を述べておきましょう。今回の件について色々と言いましたが、我々は別に貴方1人に全ての責があるとは言いません。我々倫理委員会にも落ち度がありましたからね」

 

「…」

 

「貴方と我々に足りなかったのはきっと『危機感』です。我々も今後はこのようなことが無いように鋭意努力し、自らの行動を改善していくつもりです。では、私はこれで失礼します」

 

そう言うと倫理委員会の彼女が映ったモニターはブラックアウトした。

 

私はどうすればよかったのだろうか、私はどうすべきだったのだろうか。誰か教えて欲しい。私はこれからどうなるだろうか?

 

鮫島校長の受難は続く。

 

ティロリン!鮫島校長のストレス値が10上がった!

 

 

 

 

 

 

「気まずいノーネ…」

 

「えぇ、全く…」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

俺は退出した直後にステルス状態となり、こっそり査問委員会の室内に戻って俺が退出した後の話を聞いていた。

 

そしてこの世の終わりの様な鮫島校長と、気まずそうな表情のクロノスと一般モブ教師のモニターがブラックアウトしたことを確認した後に部屋を出た。

 

怖っ!なんだアレ?圧迫面接かよ。俺の時は未成年だからか手心を加えてくれてたんだな。俺があんなの食らったら泣くかもしれない。

 

それにしても、鮫島校長には悪いことをしたな。良かれと思って七星門の鍵の箱を封印して海に沈めておいたんだが、裏目に出ちゃったな。その他は自業自得だけど、機会があれば何かしらのフォローくらいはするか?

 

鮫島校長が校長を退任することになれば、繰り上がりで長期海外出張に出ているらしいナポレオン教頭が校長になるのだろうか。それとも、アニメGX2年目の様にクロノスが臨時校長になるのだろうか。どちらにしてもイマイチな結果になりそうだしな。

 

いや、このまま鮫島校長にはフェードアウトしてもらった方が俺としては助かるのか?大体あのハゲのせいで今後の事件が大きくなるからなぁ。悩ましい。

 

どちらにしても鮫島校長がこのまま校長を続投するのは…望み薄だろうなぁ。何か1つでも活躍することが出来ればあるいは…。いや、厳しいだろうなぁ。

 

 

さて、気持ちを切り替えておこう。俺は制裁デュエルとやらを受ける必要があり、それに勝利しないと退学らしいからな。ただ、制裁デュエルねぇ。

 

「相手が武藤遊戯やら海馬瀬人のようなトンデモじゃなければ何とでもなりそうではあるかな」

 

「あら?何がなんとかなりそうなのかしら?」

 

「ゲッ!?藤原!?」

 

査問委員会が終わり、教室に戻ろうとして廊下を歩いているところに、廊下の曲がり角からブルー女子の制服を着た藤原雪乃が現れた。

 

「久し振りね、クロ坊。本当に大きくなったわねぇ」

 

「そう思うなら頭を撫でるの止めてくれない?」

 

藤原は当たり前のように人の頭を撫でてきたのでとりあえず軽くその手を払っておく。

 

「それにしてもさっきのは随分な反応ね。私が声を掛けてあげれば大抵の坊やたちは喜ぶものよ?」

 

「そりゃあ藤原は美人だしな。気持ちは分かる」

 

「ふふっ、ありがと。それで?さっきのは何の話だったの?」

 

俺と並んで歩き始めながらさりげなく距離を詰めてくる藤原。それに合わせて俺も少し距離を取る。

 

正直に言って、俺はこの娘が苦手だ。何と言うか、年不相応の妙な色気がある上にボディランゲージが激しいのだ。実際、2年くらい前にアメリカでは酷い目に遭ったからな。前世からのDTな俺には対応が難しい相手なのだ。

 

「ちょっと色々あって、制裁デュエルってのを受けることになったんだよ」

 

「あら?じゃあクロ坊は早くも退学になってしまうのね。寂しくなるわ」

 

「おい。まだ負けると決まったわけじゃないぞ?」

 

「クロ坊は高校入学の生徒だから知らないのね。いいわ、お姉さんが教えてあ・げ・る♪」

 

「うおわっ!耳元で囁くな!普通に喋ってくれ!普通に!あと近い!」

 

気付けば目の前まで来ていた藤原から距離を取る。いつの間にだよホント。この世界の女優にはそう言う技能が必要なのか?

 

「ふふっ、制裁デュエルっていうのはね?その名の通り制裁にふさわしい最高難易度のデュエルなのよ。毎回デュエルの内容は変わるらしく、今まで制裁デュエルを受けた人間で勝利した者は1割未満と言う話よ?」

 

「へぇ~。こちらだけ魔法カード縛りとか、そう言う変則デュエルだったりするのかな?」

 

「それは分からないわ。ちなみに明日香は3年生の丸藤亮とタッグを組んでプロデュエリストと制裁タッグデュエルらしいわね」

 

「あれ?明日香たちもペナルティを食らったのか?」

 

アニメGXでは十代と翔だけで明日香はお咎め無しだったが、あれは恐らくクロノスの差し金によるものだろうからな。タッグデュエルにしたのは十代の足を引っ張る役割として翔を配置する為だろう。言い方はアレだが隼人は眼中に無くどうでも良かったのだろう。

 

今回は倫理委員会が現場で全員確保したみたいだからクロノスが口を挟む余地が無く、あの場に居る全員(吹雪や藤原を除く)が制裁デュエルの対象なのだろうな。

 

「なんでも立入禁止になっている廃寮に忍び込んだらしいじゃない?そう言う刺激的なことは私も誘って欲しかったわね」

 

「止むを得ない事情があったんだよ」

 

今回のようなリスキーな方法はなるべく取りたくはないが、まだまだ厄介事は山ほどあるからそうも行ってられないんだろうなぁ。

 

「ところで、今回はいつもクロ坊と一緒に居るピンクの彼女は一緒じゃなかったの?」

 

「ピンク?あぁ、ツァンか。今回は一緒じゃなかったな。あと、彼女じゃないぞ」

 

「あら、違ったの?いつも一緒に居るからてっきり付き合っているのかと思っていたわ」

 

「アイツは中学からの友達だよ」

 

アイツは俺以外にまだこの学園で友達が居ないからな…。

 

「そうなのね。それは良いことを聞いたわ」

 

「良いこと?まぁいいや。色々と教えてくれてありがとな藤原」

 

「ふふっ、どういたしまして」

 

俺達はそのまま教室に入って授業を受けた。何故か藤原が俺の隣に座って時々話しかけてくるものだから、教室内から大勢の男子生徒からの凄まじい嫉妬の視線が突き刺さるが気にしないことにした。

 

その他にもツァンとレインが何か言いたげな表情をしてこちらの様子を窺っていたが、こちらも急ぎの用なら話しかけてくるだろうと思い、こちらもスルーした。

 

~~~

 

<十代視点>

 

幽霊寮に忍び込んだ翌日、朝っぱらからアカデミア査問委員会?ってのに呼び出されて、オレと翔で制裁タッグデュエルをすることになった後、今日の授業が終えたオレ達はレッド寮に戻って来ていた。

 

制裁タッグデュエルのパートナーはそれぞれオレと翔、隼人とコナミの組み合わせらしい。タッグデュエルなんてやったことは無いが、だからこそ楽しみでもある!

 

「ボクなんかじゃ駄目だ~!今度こそ絶対退学だ~!隼人君、コナミ君!ボクと変わってくれよ~!」

 

「オレもコナミとタッグだから変わらないんだナァ。それに査問委員会で決まったことは変えられないんだナァ」

 

「心配するな。勝ちゃあいいんだろ勝ちゃあ」

 

「兄貴はそんな簡単に言うけど、タッグデュエルなんてやったことあるの?あれってターンが変わるごとに違うデッキの相手と戦っているような感じがして、結構難しいんだよ?」

 

「無い。無いから面白いんじゃないか」

 

「そうだそうだ!良いじゃないか!タッグデュエルは楽しいぞ!」

 

「そんなぁ…」

 

翔や隼人は心配そうだが、コナミはいつも通りだな。オレは初めてのタッグデュエルが楽しみでしょうがない!

 

「翔、まだ俺達はお互いのデッキの特性をあまり知らないからな。まずは腕試しに1戦デュエルと行こうじゃねえか」

 

「えっ」

 

「じゃあオレは、オレのタッグパートナーの隼人とデュエルだな!まずは肩慣らしに100回くらいやっておくか!」

 

「えっ」

 

こうしてオレたちは制裁タッグデュエルに向けて特訓を開始した。

 

翔と1度デュエルしてオレが勝った後、さっきのデュエルの最後に引いたカード【パワー・ボンド】を『お兄さんに封印されているカード』と言って使わなかった。その話をもう少し詳しく聞こうとしたら何処かへ走り去ってしまった。

 

後でコナミに聞いた話によると、翔には血の繋がった実の兄がこの学園に居るらしく、それが昨日の夜に出会ったブルー生徒の1人でカイザー亮と呼ばれる奴らしい。コナミもラーイエローの白河から聞いた話らしいのでそれ以上詳しくは知らないみたいだ。何でも今オベリスクブルーで最も強い生徒らしい!デュエルしてみてぇなぁ!

 

ちなみに隼人は、オレがコナミからその話を聞く頃には既にコナミに5連敗ほどしていたらしく、目が虚ろになっていて『ユニコーン、ユニコーンが一杯なんだナァ』なんて呟いていた。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

旧特待生寮に忍び込んだ翌日、私は朝からアカデミア査問委員会に呼び出され、昨日の行動のペナルティとして亮と共に制裁タッグデュエルをすることになった。制裁デュエルは過酷な物ばかりと聞くけれど、こればかりは仕方ない。全力で臨むだけの話ね。

 

兄さんは遊城君と黒服の大男(タイタンと言う名前らしい)のデュエルが終わり、クロトがいつの間にかいなくなったのに私たちが気付いた少し後に気絶してしまった。疲労が溜まっていたのだろう。

 

その後すぐにアカデミア倫理委員会の人達が旧特待生寮の地下のデュエルリングに現れた。彼らに事情を説明すると彼らは兄さん達を保健室まで運んで行ってくれたのだ。わたしは兄さんにずっと付き添い、査問委員会に呼び出されるまでこの部屋で兄さんの看病をしていた。

 

私と亮は今日の授業を終えた後に合流して兄さんの休む保健室へと向かった。保健室の前には入り口を見張るように倫理委員会の人達が警護してくれていて、兄さん達が運ばれてきてからずっと見張ってくれている。

 

その人たちに挨拶をして保健室に入る直前に女医のミーナさんと警備員のクリフさんとすれ違った。どうやら兄さんの制服を洗濯してくれていたらしく、わざわざここまで運んできてくれたようだ。そして私たちが来てからすぐに兄さんは目を覚ました。

 

未だに目の前に兄さんが居るのが信じられないくらいだが、これは夢じゃない。時間が経つことに現実だと分かって来る。

 

「明日香、亮。ボクが心配をかけてしまったせいでこんなことになってしまって済まないね」

 

「良いのよ兄さん。元々クロトに来るなって言われていたのに立入禁止エリアに入ったのは私個人の責任よ」

 

「オレについてもそうだ。あそこに向かったのはオレ個人の意思だ。お前のせいじゃない」

 

兄さんの服装はブルー男子の制服ではなく病院でよく見る患者用の白い服に変わっている。ベッドの横には兄さんが持っていたボストンバッグと洗濯された兄さんの青い制服が置かれている。

 

バッグは倫理委員会の人達が兄さんを運ぶ際に一緒に持って来てくれたのだ。あれ?鞄の口が開いているわね?確か私が査問委員会に呼ばれるまでは閉まっていたような…。

 

「ネズミが…ネズミがぁ…」

 

『マスター、おいたわしや…』

 

兄さんのベッドの隣には白のカーテン越しにもう一つベッドがあり、そこには兄さんと同級生だったという藤原優介と言う生徒が眠っている。

 

「藤原は、まだ眠っているか」

 

「あぁ。彼はダークネスの力を一身に受けていたからね。しばらく心身ともに休養が必要だろう」

 

藤原と言う人は昨日からずっとうわごとを呟きながら苦しそうに眠っている。よほど行方不明の時に恐ろしい目にあったのだろう。

 

「そう言えばクロト君はどうしたんだい?彼にはまだロクにお礼も言えてないのに…」

 

「クロトか。そう言えば見ていないな」

 

「彼って面と向かってお礼を言われるの苦手そうだし、授業が終わったと同時に自分の寮へと帰ったんじゃないかしら?」

 

そこまで話すと兄さんは口に手を当ててあくびをかみ殺していた。やはり昨日の今日で疲れているのだろう。

 

「明日香。あまり長居しては吹雪たちがゆっくり休めないだろう。そろそろオレたちは退散しよう」

 

「そうね。これからはいつでも会えるものね」

 

「いつでも来てくれ。ボクも藤原が目を覚ましたら学生として正式に復学するよ。手続きは倫理委員会の人達が一通り済ませておいてくれるみたいだしね。復学したら明日香とは同学年になるね」

 

「ふふっ、なんだか複雑な気分ね」

 

兄さんと同学年になるなんて不思議な話もあるものね。

 

「さて、明日香。オレたちもそろそろ自分たちの心配をしよう」

 

「えぇ。兄さんが復学した時に私たちが退学になっているなんて格好悪い真似は見せられないわね」

 

「そう言うことだ。今のお互いのデッキを知るためにも、久し振りに一戦交えてみるか?」

 

「望むところよ!今日こそ初勝利を奪って見せるわ!」

 

この後、デュエルコートに移動して滅茶苦茶デュエルした。

 

~~~

 

<吹雪視点>

 

ボクたちの見舞いに来てくれていた明日香たちが帰った後、ふと自分のボストンバッグの口が開いていることに気付いた。気になって中身を確認して見るとそこにあるはずのある物が無くなっていた。

 

「あれ?ダークネスの仮面が無い!?」

 

何度もバッグの中身を確認したが、顔半分を占めるような大きさの物を見落とすとは思えない。昨日の夜、気絶する前に確かにこの鞄の中に仕舞っておいたはずなのに!?

 

「明日香や亮に連絡を…いや、無くなったのはダークネスの仮面だ!こういうオカルト関係が絡む時はクロト君に相談しよう!」

 

ボクはすぐさま保健室に備え付けてある電話機を使用してを取り出してクロト君に連絡を取った。幸い、彼の携帯番号は覚えている。

 

『はい、白河です。あぁ、吹雪さんですか。もう起きていて大丈夫なんですか?』

 

「クロト君!ダークネスの仮面を失くしてしまった!どうしよう!」

 

『えぇ…マジですか。確か地下のデュエルリングに居た時にボストンバッグの中に仕舞っていましたよね?いつ頃に無くなったか分かりますか?』

 

「済まない。ボクは人間界に戻ってきた後しばらくして気絶してしまったらしく、先ほど目が覚めたばかりなんだ」

 

『吹雪さんが気絶していた間に部屋に入った人物は分かりますか?』

 

「保健室の入り口には倫理委員会の人達が見張ってくれていたみたいだから、ここに来たのは明日香と亮。そして女医のミーナさんと警備員のクリフさんくらいだね」

 

『明日香と亮さんは論外として、女医のミーナと警備員のクリフ?確かそんな名前のキャラクターが居たような…あっ(察し)』

 

「何か分かったのかい!?」

 

『大体見当は付きました。大丈夫です。吹雪さんのせいじゃないですよ。無くしたのではなく盗まれたようですからね。後はこちらで探しておきますので、吹雪さんはゆっくり休んでいてください』

 

「クロト君、何度も迷惑をかけてすまない」

 

『いえ。むしろこちらの不手際のような物なので気にしないで下さい。それでは俺はこれから心当たりを探しに行きますのでこれで通話を切りますね』

 

「あぁ、よろしく頼むよ」

 

『えぇ、それではまた』

 

そうしてクロト君との通話を終えた。その後、疲労がぶり返してきたらしく、ベッドに戻るなり倒れるように眠ってしまった。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

吹雪さんに心労をかけまいと落ち着いた口調で話していた通話を終え、俺はイエロー寮から飛び出した。

 

「くそっ!やられた!」

 

油断していた!藤原の記憶が他の人に戻るってことは当然、影丸や大徳寺(アムナエル)たちの記憶にも戻るってことだ。彼らは闇の世界(ダークネス)の研究も行っていた。闇の世界から帰還した藤原と吹雪さんに関心を示さないわけがない!

 

そして影丸の手下であるセブンスターズのメンバーのうち、数年前からこのアカデミアに潜入していた奴らが居たのをさっきの通話で思い出した!

 

「そうだよな!別にセブンスターズがアニメの順番通りに出てくる保証なんて何処にも無いよな!あのギャグキャラの黒サソリ盗掘団め!余計なことをしてくれる!」

 

恐らくダークネスの仮面を盗んだ下手人は、女医のミーナと警備員のクリフ。正確に言えばセブンスターズの黒サソリ盗掘団の一味だ。

 

そして今向かって居るのはレッド寮だ。あそこには黒サソリ盗掘団の一味であるレッド寮の管理人のゴーグとオシリスレッドのチックが居る。ミーナたちが彼らと合流するかもしれないし、合流していなくともゴークかチックから彼らの居場所を聞き出せばいいからな!

 

念のため、レッド寮に移動しながらワイト達には散開してもらい、各地を探索してもらうことにした。俺もレッド寮に着いたらダークネスの仮面の魔力を手掛かりに魔力探知を使って地道に探すしかないかな。

 

だが、その行動は徒労に終わる。レッド寮の管理人のゴーグ、オシリスレッドのチック共にレッド寮から姿を消していたからだ。ダークネスの魔力の反応も距離が遠くなり過ぎたのか途切れてしまった。

 

「遅かったか…」

 

吹雪さんに大口は叩いたものの、これじゃあ作戦失敗だな。後はもう時間はかかるがワイト達からの連絡を待つしかないな。

 

ところで、この話とは全く関係ないだろうが、レッド寮のすぐそばで真っ白になってコナミの近くで倒れて今にも天に召されそうな表情の前田隼人には、一体何が起こったのだろうか。

 

~~~

 

<???視点>

 

とある場所にて。

 

『ほう、それが闇の世界の力を持つダークネスの仮面とやらか』

 

「ええ。黒サソリ盗掘団たちが天上院吹雪から盗み出してくれましたよ。2年前に我々の資料を持ち出して藤原優介がダークネスの研究をしていたのは知っていましたが、まさかこのような仮面を作成して完成させているとは驚いきましたね」

 

大型のモニターにはカプセルのような物に入っている高齢の男性が映っており、モニターの前には灰色のマントと黒い仮面を付けた白髪の男が立っている。その手にはダークネスの仮面が握られている。

 

『昨日まで我々の記憶の中から藤原優介の記憶が消えていたのはその仮面の力なのか?』

 

「いえ、この仮面にはそこまでの力は無さそうです。恐らくは仮面とは別に藤原優介がダークネス世界と契約した際に手に入れた力なのでしょう」

 

『三幻魔以外に永遠の命と若さを得る可能性を秘めるダークネスの力、我々にもう少し時間があれば研究したかったが…』

 

「残念ながら我々にはそれほどの時間はありません。この仮面はそのままの状態で誰かに被せて利用することにしましょう」

 

『うむ。用途は任せた。頼むぞアムナエル』

 

「えぇ、もちろん」

 

そこで会話は終わり、大型モニターがブラックアウトする。

 

「今の遊城十代では彼には、そして三幻魔には勝てない。彼を止める為にも、十代の中に眠れる本当の力を目覚めさせるために、十代を1流の錬金術師に成長させるためにも、この仮面には役立ってもらわなければならないな」

 

アムナエルの独白はそこで終わり、彼は自身の研究所を後にした。




鮫島校長が先代の校長から三幻魔の伝承と七星門の鍵を託された設定は本作の独自設定です。

アニメGXでは、影丸が「鮫島校長へ七星門の鍵を渡したのは私」と発言した際に鮫島校長は驚いていました。校長が誰から三幻魔の伝承を聞いて、どこで鍵を入手して、どうやって影丸が三幻魔を狙っていたのかを知ったかは明言されていないと思います。

セブンスターズ編の途中で影丸と鮫島が校長室のモニター越しに話しているシーンは特に不明です。当時の筆者は鮫島校長が最後のセブンスターズだと思っていました。


今後、本作の鮫島校長に光指す道は現れるのか?それはまだ誰にも分かりません。

廃寮に忍び込んだことで制裁タッグデュエルのフラグが立ちました。タッグの組み合わせは以下の通り。

①十代&翔

②コナミ&隼人

③明日香&亮

余ったオリ主は1人で何らかのデメリットを背負ってデュエルするか、それ以外の何らかのイレギュラーなデュエルをすることになりそうです。

吹雪と藤原はかなり早い段階で救助されましたが、ダークネスの仮面だけはがセブンスターズ側に渡りました。さてさて、誰が被ることになるやらですね。

次回の更新は3/20(土) AM7:00予定です。

必殺雷撃人様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十八話 アカデミアでの日常1

前回のあらすじ:校長の未来がヤバい

今回の対戦相手はタッグフォース3のネームドイエロー生徒の1人です。

今回はアニメGX第8話辺りのオリ主視点です。


査問委員会に呼ばれた翌日の放課後、まだ制裁デュエルについての連絡はない。

 

アニメGXでは、十代たちの制裁タッグデュエルの相手は直前になるまで知らされなかったわけだし、このまま何の情報も渡されずに当日を迎えることも視野に入れておかないとな。

 

それはともかく今日の授業も終わったので、当てがあるわけじゃないけどダークネスの仮面を探しに行こうかな。

 

「参考のために聞くが、白河。君のデッキにはアイドルカードは入っているか?」

 

探索の為に1度寮に戻って準備しようかと思っていると、近くに座っていた愛怒瑠夫(俺達はドルオと呼んでいる)がそんな話を振って来た。

 

アイドルカードねぇ。アイドルカードってのは人によって解釈が異なるからなぁ。判断が難しいところだ。

 

可愛い女の子モンスターなら全部アイドルカードと呼ぶ人もいれば、自身のデッキに全くシナジーの無い女の子カードのことを指す人も居るし、可愛ければとりあえずアイドルカードと呼ぶ人もいる。

 

前世から使っていた【ブラック・マジシャン】デッキには今のデッキと同じくガールが1枚入っていたが、あのカードは【ブラック・マジシャン】デッキにおいてキーカードの1つだ。容姿が良いのは認めるが、決して容姿だけで投入しているカードではない。

 

「入っていなくもないかな。そもそも、お前の言うアイドルカードの定義って?」

 

「アイドルカードも知らないのか?アイドルカードってのはデュエルの役には立たないが絵柄が好きだからとかっていう理由でデッキに入れてるカードのことだ。まったく…下らん!」

 

「はははっ!ドルオ、そんな細かいこと気にするなよ!自分のデッキには自分が入れたいカードを入れればいいんだからさ!」

 

ドルオとアイドルカード談義をしていると、帰る準備を済ませた坂倉真が話しかけた来た。

 

「アイドルカードだろうとエースカードだろうと、そのモンスターを出した時に、かっきーん! やったるぜー!って気分になるならそれでいいのさー!」

 

「そもそも、ドルオは【精霊術師 ドリアード】デッキの使い手だろう。あれも世間でいうところのアイドルカードだと思うぞ?」

 

「ボクのデッキがアイドルデッキだって?フン、下らんジョークだ。アイドルデッキ使いと言うのは、まさしくそこに居る奴のことだ」

 

ドルオが指を差す方向に視線を送ると、また別のラーイエロー生徒が立っていた。確か『中村祐治』だっけ?確かにこいつはまさしくアイドルデッキ使いだったな。

 

「なぁ白河。お前ってもしかしてあの藤原雪乃と親しいのか?」

 

「うん?特別親しいわけじゃないな。俺は友人だと思っている」

 

その中村が俺に声を掛けてきた。

 

藤原雪乃なぁ。親しいというより成長を期待されている弟みたいに見られている節があるんだよなぁ。恐らく2年前に初めて会った時の第一印象のせいだろうな。何で同年代から暖かい目線で見られなければいけないんだかね。

 

「いや、むしろそれくらいでいい。なら白河、オレとデュエルだ!オレが勝ったら藤原をオレに紹介するんだ!」

 

「俺が勝ったら?」

 

「オレが男になんて負けるわけが無いだろう!さぁデュエルだ!」

 

「えぇ…何言ってんだコイツ…ちなみに断ったら?」

 

「そんなことは許さん!」

 

「なんでだよ」

 

中村は俺の腕を掴んでズルズルと引きずっていく。最近こんな奴等ばかりに関わっている気がする。

 

「白河、諦めろ。中村は女が絡むとうるさい上にしつこい」

 

「ドルオの言う通りだな!運が悪かったと思え!」

 

ドルオも坂倉も俺を助けるつもりは微塵もないようだ。俺もこんな面倒くさそうな奴に絡むのは御免だから分からないでもない。

 

ズルズル引きずられていき、なんだかんだでデュエルコートまでやって来た。ドルオと坂倉も一応ついてきたようだ。

 

ラーイエローの奴等って無駄にキャラが濃い強引な奴が多いよな…。

 

ダークネスの仮面についてはワイト達が探してくれているし、特に当てがあるわけじゃない。デュエルコートまで来ちゃったし、このデュエル1回くらいなら受けて立つか。

 

「おっし!かかって来い!」

 

なんで俺が掛かっていくことになっているんだよ。どうでもいいか。

 

「よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆中村祐治 LP:4000

 

「行くぜ!オレのターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行だぜ!」

中村祐治 手札:5→6枚

 

「オレは手札から【憑依装着-アウス】を召喚だぜ!」

中村祐治 手札:6→5枚

 

【憑依装着-アウス】

効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1850/守1500

(1):このカードは自分フィールドの表側表示の、「地霊使いアウス」1体と地属性モンスター1体を墓地へ送り、手札・デッキから特殊召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

<中村祐治のフィールド>

憑依装着-アウス ★4 ATK1850

 

タッグフォース3でのこいつのデッキは【ディメンション・マジック】や【マジシャンズ・サークル】みたいに結構強力なカードや、【スケープ・ゴート】や【和睦の使者】みたいな反応防御カードも備えている。

 

案外、倒すのに時間がかかるかも知れないな。

 

「オレは手札から装備魔法【魔導師の力】を発動!フィールドの【憑依装着-アウス】に装備するぜ!」

中村祐治 手札:5→4枚

 

【魔導師の力】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は、

自分フィールドの魔法・罠カードの数×500アップする。

 

<中村祐治のフィールド>

憑依装着-アウス ★4 ATK1850 → 2350 ※【魔導師の力】装備

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンドだぜ!」

中村祐治 手札:4→3枚、伏せカード:0→1枚

 

<中村祐治のフィールド>

憑依装着-アウス ★4 ATK2350 → 2850 ※【魔導師の力】装備

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆中村祐治 LP:4000、手札:3枚、伏せカード:1枚。装備魔法:1枚。

 

<中村祐治のフィールド>

憑依装着-アウス ★4 ATK2850 ※【魔導師の力】装備

 

 

手札を温存してきたな。これはこのターンで倒しきれるかもしれない。

 

「白河。お前は【雷電娘々】と【お注射天使リリー】ならどっちが好きだ?」

 

「うん?どちらも大して変わらないが…」

 

「なら、霊使いなら…」

 

「待て。それ以上はいけない。戦争になるぞ」

 

前世では霊使いの好みを語りだすとヒートアップする層が時々いたのだ。

 

特に人気上位のエリア、ウィン、ライナ辺りのファンは若干怖い。前世はヒータ派の俺は高みの見物だったがな。

 

「デュエルを継続するぞ。俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚

 

うーん、【ライトニング・ストーム】は流石に引けなかったか。なら普通に展開していこうかな。

 

「俺は手札から【マドルチェ・マジョレーヌ】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚

 

【マドルチェ・マジョレーヌ】

効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1400/守1200

このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、このカードをデッキに戻す。

このカードが召喚・反転召喚に成功した時、デッキから「マドルチェ」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

 

「【マドルチェ・マジョレーヌ】の召喚成功時に効果発動!デッキから【マドルチェ・プティンセスール】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚

 

【マドルチェ・プティンセスール】

効果モンスター

星4/地属性/天使族/攻1400/守1400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地にモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキから「マドルチェ・プティンセスール」以外の「マドルチェ」モンスター1体を特殊召喚する。そのモンスターのレベルは1つ下がる。このターン、自分は「マドルチェ」モンスターしか特殊召喚できない。

(3):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキに戻す。

 

「手札の【マドルチェ・プティンセスール】の効果発動!自身の効果により特殊召喚する!」

クロト 手札:6→5枚

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プティンセスール ★4 ATK1400

 

「【マドルチェ・プティンセスール】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキから【マドルチェ・プディンセス】を特殊召喚!!」

 

【マドルチェ・プディンセス】

効果モンスター

星5/地属性/天使族/攻1000/守1000

(1):自分の墓地にモンスターが存在しない場合、このカードの攻撃力・守備力は800アップする。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージ計算後に、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。

(3):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プティンセスール ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス ★5→4 ATK1000→1800

 

「俺はレベル4【マドルチェ・プティンセスール】と【マドルチェ・プディンセス】でオーバーレイ!2体にモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】!」

 

【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/天使族/攻1800/守2500

レベル4「マドルチェ」モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの「マドルチェ」モンスター1体を対象として発動できる。このターン、その表側表示モンスターは自身以外のモンスターの効果を受けない。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、「マドルチェ」カードが自分の墓地へ送られた場合に発動できる。お互いの墓地のカードを合計2枚まで選び、持ち主のデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

ティーチャーマドルチェ・グラスフレ ☆4 ATK1800 ORU:2

 

「エクシーズ召喚か!」

 

「俺は【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】のORUを1つ取り除いて効果発動!対象は【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】!【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】はこのターン自身以外のモンスターの効果を受けない!」

ティーチャーマドルチェ・グラスフレ ORU:2→1

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

ティーチャーマドルチェ・グラスフレ ☆4 ATK1800 ORU:1 ※このターン、自身以外のモンスターの効果を受けない

 

ORUとして墓地に送ったカードは【マドルチェ・プティンセスール】だ。

 

「俺はランク4【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】1体でオーバーレイ!エクシーズチェンジ!現れよ!ランク5!【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】!」

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:2

 

【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/地属性/天使族/攻2500/守2200

地属性レベル5モンスター×2

このカードは自分フィールドのランク4以下の

「マドルチェ」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。

(1):1ターンに1度、自分の墓地の「マドルチェ」カード1枚を対象として発動できる。そのカードをデッキに戻す。

(2):このカードが「マドルチェ・プディンセス」をX素材としている場合に自分の墓地の「マドルチェ」カードがデッキに戻った時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「マドルチェ」モンスター1体を表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する。

 

「1体のモンスターのみでエクシーズ召喚だと!そんなことが出来るのか!」

 

「俺は【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】の効果発動!墓地の【マドルチェ・プティンセスール】をデッキに戻す!」

 

「墓地の「マドルチェ」がデッキに戻った時、【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【マドルチェ・エンジェリー】を特殊召喚!!」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ORU:2→1

 

ORUとして墓地に送ったカードは【ティーチャーマドルチェ・グラスフレ】だ。

 

【マドルチェ・エンジェリー】

効果モンスター

星4/地属性/天使族/攻1000/守1000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。デッキから「マドルチェ」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは戦闘では破壊されず、次の自分ターンのエンドフェイズに持ち主のデッキに戻る。

(2):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:1

マドルチェ・エンジェリー ★4 ATK1000

 

「俺は【マドルチェ・エンジェリー】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【マドルチェ・ホーットケーキ】を特殊召喚!!」

 

【マドルチェ・ホーットケーキ】

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻1500/守1100

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外し、デッキから「マドルチェ・ホーットケーキ」以外の「マドルチェ」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:1

マドルチェ・ホーットケーキ ★3 ATK1500

 

「俺は【マドルチェ・ホーットケーキ】の効果発動!墓地の【マドルチェ・メッセンジェラート】を除外してデッキから【マドルチェ・メッセンジェラート】を特殊召喚!」

 

【マドルチェ・メッセンジェラート】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1600/守1000

(1):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「マドルチェ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。この効果は自分フィールドに獣族の「マドルチェ」モンスターが存在する場合に発動と処理ができる。

(2):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:1

マドルチェ・ホーットケーキ ★3 ATK1500

マドルチェ・メッセンジェラート ★4 ATK1600

 

「【マドルチェ・メッセンジェラート】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキからフィールド魔法【マドルチェ・シャトー】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚

 

【マドルチェ・シャトー】

フィールド魔法

このカードの発動時に、自分の墓地に「マドルチェ」と名のついたモンスターが存在する場合、そのモンスターを全てデッキに戻す。

このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の「マドルチェ」と名のついたモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。

また、「マドルチェ」と名のついたモンスターの効果によって、自分の墓地のモンスターがデッキに戻る場合、デッキに戻さず手札に戻す事ができる。

 

「俺は手札からフィールド魔法【マドルチェ・シャトー】発動!自分の墓地に「マドルチェ」モンスターを全てデッキに戻す!」

クロト 手札:6→5枚

 

「墓地の「マドルチェ」がデッキに戻った時、【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【マドルチェ・メッセンジェラート】を特殊召喚!!」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ORU:1→0

 

ORUとして墓地に送ったカードは【マドルチェ・プディンセス】だ。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

マドルチェ・ホーットケーキ ★3 ATK1500

マドルチェ・メッセンジェラート ★4 ATK1600

マドルチェ・メッセンジェラート ★4 ATK1600

 

「【マドルチェ・メッセンジェラート】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキから永続魔法【マドルチェ・サロン】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚

 

【マドルチェ・サロン】

永続魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「マドルチェ」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカード以外の自分のフィールド・墓地の「マドルチェ」カードが効果で自分の手札・デッキに戻った場合に発動する。デッキから「マドルチェ・サロン」以外の「マドルチェ」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

「俺は手札から永続魔法【マドルチェ・サロン】を発動!」

クロト 手札:6→5枚

 

「俺はレベル4【マドルチェ・メッセンジェラート】2体でオーバーレイ!2体にモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【クイーンマドルチェ・ティアラミス】!」

 

【クイーンマドルチェ・ティアラミス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/天使族/攻2200/守2100

レベル4「マドルチェ」モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分の墓地の「マドルチェ」カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードをデッキに戻し、戻した数まで相手フィールドのカードを選んで持ち主のデッキに戻す。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

マドルチェ・ホーットケーキ ★3 ATK1500

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2

 

「俺は【マドルチェ・サロン】の効果でもう一度「マドルチェ」モンスターを通常召喚出来る!手札から【マドルチェ・クロワンサン】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚

 

【マドルチェ・クロワンサン】

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻1500/守1200

このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、このカードをデッキに戻す。

また、1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上の「マドルチェ」と名のついたカード1枚を選択して発動できる。選択したカードを手札に戻し、このカードのレベルを1つ上げ、攻撃力を300ポイントアップする。

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

マドルチェ・ホーットケーキ ★3 ATK1500

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2

マドルチェ・クロワンサン ★3 ATK1500

 

「俺は【マドルチェ・クロワンサン】の効果発動!【マドルチェ・ホーットケーキ】を手札に戻して自身のレベル1上げて攻撃力300アップ!」

クロト 手札:5→6枚

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・マジョレーヌ ★4 ATK1400

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2

マドルチェ・クロワンサン ★3→4 ATK1500

 

 

「おい坂倉、気付いたか?白河の奴、あれだけ展開しておいて手札が全然減っていないぞ?」

 

「ホントだ。マジかよ…。あのデッキやべぇなぁ」

 

外野でドルオと坂倉が話していることが聞こえた。まぁ【マドルチェ】は一時期には環境デッキになっているからな。さもあらん。

 

 

「俺はレベル4【マドルチェ・マジョレーヌ】と【マドルチェ・クロワンサン】の2体でオーバーレイ!2体にモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!2体目の【クイーンマドルチェ・ティアラミス】!」

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2

 

「俺は【クイーンマドルチェ・ティアラミス】のORUを1つ取り除いて効果発動!墓地の【マドルチェ・プディンセス】をデッキに戻し、そちらの【憑依装着-アウス】をデッキに戻す!」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2→1

 

ORUとして墓地に送ったカードは【マドルチェ・メッセンジェラート】だ。

 

「オレのアウスちゃんがー!」

中村 装備魔法:1→0枚

 

<中村祐治のフィールド>

モンスター無し

 

 

アウス推しだったのだろうか。破壊や除外ではなくましてや洗脳でもないデッキバウンスなので許して欲しいところだ。

 

前世の友人たちなら間違いなくこれ見よがしに【簡易融合】からの【サウザンド・アイズ・サクリファイス】で吸収したりするだろう。アレよりはましだと思う。

 

 

「墓地からデッキにカードが戻ったことで【マドルチェ・サロン】の効果発動!デッキから【マドルチェ・プロムナード】をセットする!」

白河クロト 伏せカード:0→1枚。

 

「俺は2体目の【クイーンマドルチェ・ティアラミス】のORUを1つ取り除いて効果発動!墓地の【マドルチェ・メッセンジェラート】をデッキに戻し、そちらの伏せカードをデッキに戻す!」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:2→1

 

ORUとして墓地に送ったカードは【マドルチェ・マジョレーヌ】だ。

 

「オレの伏せカードまで!?」

中村 伏せカード:1→0枚

 

<白河クロトのフィールド>

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ☆5 ATK2500 ORU:0

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:1

クイーンマドルチェ・ティアラミス ☆4 ATK2200 ORU:1

 

「バトルフェイズに移行!【クイーンマドルチェ・ティアラミス】でダイレクトアタック!」

 

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2200

 

「わぁぁぁぁっ!」

中村 LP:4000→1800

 

「これで締めだ!【マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード】でダイレクトアタック!」

 

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ATK2500

 

「うわぁぁぁぁっ!」

中村 LP:1800→0

 

 

「むおおお!男のお前に負けるなんて!!男にだけは負けてはならんのだー!!」

 

「はいはい。対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わるとデュエルディスクを仕舞いながら中村がこちらに歩いてきた。今度はなんだ?

 

「次デュエルする時にはカワイイ女の子紹介するんだぞ、いいな?」

 

「「「…」」」

 

それだけ言うと中村は立ち去って行った。

 

「さーて、もういい時間だから寮に戻って晩御飯でも食べるかー!」

 

「そうだな。中村のせいでボクは貴重な時間を無駄にした」

 

「ホント、ラーイエロー寮の学生は俺以外には変な奴しかいないな」

 

「「いや、お前も大概だから」」

 

ドルオと坂倉が声を合わせて言ってきた。何て失礼な奴だろう。

 

俺達はそんなくだらない話をしながらイエロー寮の寮へ戻った。

 

~~~

 

晩御飯を食べて寮の自室に戻ると、PDAにコナミからいくつか連絡が来ていた。

 

内容は『亮とデュエルしようとしてブルー寮に行ったら水をぶっかけられて追い返された』、『翔がいかだで海を渡ろうとした』、『十代が亮にデュエルで瞬殺されていた』、『十代と翔のタッグで亮と明日香のタッグに挑んだらまた瞬殺されていた』の4つだった。

 

今日は丸藤翔が制裁タッグデュエルへの重圧に耐えきれずにアカデミアから逃げようとして十代に捕まり、十代と亮のデュエルを見てリスペクト精神を知ることになる日だったか。

 

だが、十代が瞬殺されたんじゃあアニメGX通りにはいかなかったのかもしれない。

 

でもその後にアニメGXでは無かった彼らのタッグデュエルが発生しているわけだから案外いい結果になったのかもしれないな。

 

~~~

 

夜も深まり、大半の学生たちが寝静まったであろう時間帯、俺は1人の女生徒にアカデミアの発電所エリアに呼び出されたので、倫理委員会の巡回の穴をついて発電所エリアに辿り着いた。

 

精霊の力を借りれば、いくら優秀とはいえ一般人である彼らの目を掻い潜るのは容易いことだ。

 

「それで?こんな時間に何か用か?告白ならもう少し雰囲気のある場所でお願いしたいんだけどな」

 

「…ふざけるのは、無し」

 

俺は、アニメGXでは十代とサイコショッカーがデュエルした場所で、俺を待っていたブルー女子の制服を着たレインと向き合って立っていた。その表情は少し不機嫌そうな顔をしている。

 

「…忠告したのに」

 

「お前がわざわざ危険だと教えてくれたのに、お前に隠れてダークネスの世界の扉を開いたのは悪かったと思っているよ」

 

レインにバレて万が一にもイリアステルの介入があるとどうなるか分からなかったからな。

 

「…詳細を」

 

「イリアステル所属のお前に今更説明する必要があるとは思えないんだけどな~」

 

そうは言いつつも、俺が考えている以外に見落としがあるかも知れないし、現状についてイリアステル側の視点での考えを聞いてみたいとも思うんだよな。

 

「…いいから」

 

「はいはい。あの日、俺はコナミを連れてダークネス世界に行って、そこに居た吹雪さんと藤原優介を連れ帰っただけだぞ。ホント、それだけだぞ?」

 

「…嘘。まだ黙っていることがある」

 

「何故バレたし」

 

「…クロトの嘘は、分かりやすい」

 

そこまで話すとようやくレインの表所は少し緩んで僅かに微笑む。この娘は初めて会った時に比べてとても表情が豊かになったと思う。

 

レインとの付き合いはもう数年になるし、アメリカで長時間行動を共にしたこともあるし、彼女は俺の監視者らしいからか俺を見ていることが良くある。

 

案外、俺が嘘をつく時に俺自身が気付かない癖や仕草を見抜かれているのかもしれないな。

 

「まぁいいか。話してどうなるわけでないしな。さっきの話に補足を入れると、ダークネス世界で吹雪さんたちに合流してから、彼らにはこっちの世界に先に向かってもらった後に、ミスターTと交戦することになったよ」

 

「…!?この時期に、既にミスターTが存在している!?」

 

ミスターTの話をすると、レインは今まで見たことがないくらいに動揺している。

 

「そんなに驚くことなのか?」

 

「…過去の歴史改変において、初めて」

 

「うわぁ、色んな意味で嫌なことを聞いてしまった気がする」

 

絶対にクソ女神の所為だ。あのビチクソが!アレは本当にこの世界にとってのガンだな!今すぐに消滅して欲しい。

 

「過去に事例の無い症状って、他にもまだ何かありそうなのか?」

 

「…ディアブロが、世界各地で目撃されている」

 

「確かにこの時代にイリアステル製以外のディアブロが存在していること自体が過去に事例が無いだろうな」

 

「…そう」

 

「確か去年、パラドックスが幽閉されていた施設にも居たな。確かあの施設がディアブロの量産施設だったって言ってなかったっけ?あの施設はお前たちが木っ端微塵にしてたじゃん?」

 

「…うん」

 

「つまり、まだ何処かに量産施設が存在している可能性があるわけか」

 

「…多分」

 

パラドックスの事件からもう数か月は経つが、未だにイリアステルでもパラドックスを幽閉していた勢力を特定するに至っていないらしい。全世界にネットワークを持つイリアステルの情報網を掻い潜れるとは、よほど強大な勢力なんだろうな。

 

「ここまで聞いておいて今更だけど、こんな話を俺に話してしまっても良かったのか?イリアステルにとっても結構重要な情報だっただろ」

 

「…問題ない。マスターも了承済み」

 

パラドックスを救助する時に借りを作っておいたのが功を為しているのかな?思っていたよりもなかなか人間味のある連中だったのかもしれない。

 

「…クロトは、適当に泳がせた方が、いい餌になるらしい」

 

「囮かよ!」

 

どうやらかなり甘い考えだったらしい。この分だと、イリアステルは俺を囮にしてディアブロたちを釣り上げる算段を立てていそうだな。

 

「…制裁デュエルの方は?」

 

シリアスな話はここで終わりだと言わんばかりに、レインはいきなり学園の話を振って来た。

 

「やっぱり知っていたか。詳細はまだ不明だけど、まぁなんとかなるだろうさ」

 

「…」

 

「うん?なんだ?」

 

「…クロトを倒すのは、私」

 

「いや、お前にも負けるつもりはないけど?」

 

実際、エルドリッチ相手だと本気で立ち回らないと普通に負けそうだな。だが、俺は負けるのが嫌いだ。負けてやるつもりは一切ない。

 

「…私以外に負けるのは、許さないから」

 

レインは少し怒ったような言い方で言い放つ。そしてそれ以上何も言うこともなくレインは発電所を去って行った。

 

「もうずいぶん昔の話なのに、そんなにニビル食らったのが頭に来ていたのかな?」

 

それなら今度デュエルする機会があればまたニビルをデッキに入れておこうかな。その方が面白い反応が見られそうだし。

 

俺はそんなことを考えながらイエロー寮に戻った。




オリ主たちが制裁デュエルを受けることはまだ学園中には広まっていません。ただ当事者たちは特に口止めされていませんので徐々に学園内に情報が広がっていきます。

オリ主のデッキは【マドルチェ】です。見た目の可愛らしさとは裏腹に、サーチ・リクルート手段が豊富な強デッキです。

中村のデッキはアイドルデッキです。可愛いモンスターを詰め込んで魔法罠でサポートするシンプルなデッキです。

次回の更新は3/24(水) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九十九話 アカデミアでの日常2

前回のあらすじ:イエロー寮は変人ばかり。

今回は名無しのモブ戦です。

今回はアニメGX第9話辺りのオリ主視点です。


<白河クロト視点>

 

査問委員会に呼ばれた数日後の放課後、まだ制裁デュエルについての連絡はない。

 

いやいや、十代たちのタッグデュエルは後4日で始まるんだぞ?仮に同日開催だとしたら俺に準備期間は無いじゃん?忘れられているんじゃないか?

 

それとも、アニメGXの十代たちと同様に直前まで情報を渡さないことが俺に対するデメリットなのかも知れないな。

 

ここ数日でやったことと言えば、ワイト達と一緒に島を巡りながらダークネスの仮面を探していたが、一向に効果が出ない。既に島から持ち出されているなんてことは無いと思うんだが…。

 

「アンタ、制裁デュエルの件は本当に大丈夫なんでしょうね?」

 

「まだ詳細を何も聞けてないから何とも言えないのが実情だな」

 

寮に帰る帰り道を歩いていると、隣を歩くツァンから廃寮に侵入した理由とか、制裁デュエルをどう乗り切るつもりなのかとか、そんな質問を受けた。

 

ここ最近はいつものことだ。けど何をどうするかが分からない以上、何も言えないんだよなぁ。

 

「ボクが見た限りだと、学生証としてもらったPDAには詳しく書いていなかったと思うけれど、校則違反したり立入禁止エリアに入ったら罰則があるのは当たり前でしょ?なんでそんなことしたのよ?」

 

「前にも言ったが、やむを得ない事情があったんだよ。前にも言ったけど、教えてあげないよ?」

 

「むむむ、気になる」

 

廃寮に侵入した理由は絶対に話さない。彼女はバニーラみたいなカードの精霊の声が聞こえるだけの一般人だ。こちらから積極的にオカルト事件に巻き込むつもりは毛頭ない。巻き込んでいいのはコナミくらいだ。こちらはむしろ積極的に巻き込むつもりだ。

 

「ボクとしては、1年も一緒に勉強して入学できたともだ…知り合いがいきなり退学になる姿なんて見たくないからね?」

 

「そこは素直に友達って言えばいいのに…」

 

「う、うるさいわね!」

 

「悲しいなぁ。俺はツァンのことを友達だと思っているのに、ツァンはそう思ってくれていなかったなんて…悲しいなぁ」

 

「いや、その、ボクも、その…あっ、アンタ今、ボクをからかっているでしょ?」

 

「バレたか。成長したなツァン」

 

「何で上から目線なのよ!」

 

いつものようにツァンをからかいながらイエロー寮までの道を歩いていると、道を塞ぐようにオシリスレッドの生徒が3人ほど立っていた。なんだなんだ?

 

「待て!そこのお前、ラーイエローの白河だな!」

 

「人違いだな。俺の名前は…そうだな。俺は旅人のナッシュだ」

 

「嘘つけ!明らかに今考えた名前だろうが!それにお前はどう見ても日本人だろうが!」

 

「ひゃあ!何が旅人だ!ふざけやがって!」

 

場を和ませるためのジョークのつもりだったのだが、どうやらウケなかったらしい。とりあえず、彼らのことは赤モブと呼称しよう。

 

「いや、無理があるでしょ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ」

 

ツァンが呆れた表情でこちらを見てくるが、いつものことなのでスルーだ。

 

「ラーイエローの白河!お前を倒せば藤原雪乃と付き合えると言う話は本当なんだろうな!」

 

「えっ?初耳なんだが?」

 

「またすぐにバレる嘘をつきやがる!本人が言いふらしていたんだから間違いないんだよ!」

 

「いや、知らんが」

 

「ひゃあ!オレァもう我慢できねぇ!デュエルだ!」

 

また藤原関係か…。最近多いんだよな。アイツ、絶対楽しんでるな。今度会ったら文句を言っておこう。

 

「またこの手の連中なのね。アンタの周りにはトラブルしかないわけ?」

 

「これに関しては藤原の所為だろ。俺は関係ないぞ」

 

ツァンが更に呆れた表情とジト目でこちらを見てくるが、これもいつものことなのでスルーだ。

 

「おい!私が先だぞ!」

 

「いやボクだ!」

 

「面倒くせぇ!3人纏めてかかってやる!」

 

「「名案だな!」」

 

「いやいや、意味わかんねえよ。まぁいいや。やると言うのなら相手になる」

 

この勢いは、挨拶する暇も無いな。それにしてもこのかませ犬みたいなチンピラっぷり。中学時代を思い出すなぁ。

 

「何で懐かしそうな顔してんのよ」

 

「これくらいなら中学時代は日常茶飯事だったからな」

 

「だからバニーラ卿は狂っているって言われてたのよ?」

 

「違うな。間違っているぞツァン。あの町全体がおかしかったのだ」

 

「それはつまり、アンタも含んでいるわよね?」

 

「バレたか」

 

「「「無視すんなぁ!」」」

 

ツァンとそんなやり取りをしていると、何やらさっきよりヒートアップしていらっしゃる赤モブにデュエルディスクを構えて向き合う。

 

「藤原の他にあんな美少女と仲良くするなんて、羨ましい…」

 

「妬ましい…妬ましい…妬ましい…」

 

「ひゃあ!…キレそう」

 

心なしか彼らの目が先ほどより1段とどんより濁ったように見えるのは、多分気のせいだな。

 

「さて、実質は1対3なんだ。バトルロイヤル形式とはいえ、お前らのライフは全員合わせてLP8000、俺は初手7枚と先攻は貰うが構わないな?」

 

「くれてやろう!」

 

「さっさとしな!」

 

「ひゃあ!待ちきれないぜ!早くしろぉ!」

 

何で上から目線なんだよ。それにしても久し振りの先攻だな。良し、あのデッキを試してみよう。なに、ここで負けても藤原の追っかけが増えるだけだ。

 

「さて、と。今日は課題が出てるんだから、早く終わらせてよね」

 

ツァンはもう完全に観戦モードだな。またか、と言わんばかりに道の隅にレジャーシートを広げてお茶を飲み始めている。正座なんてするとスカートの中が見えても知らないぞ?

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:7枚。

 

vs

 

◆赤モブ連合 LP:8000

◆赤モブA 手札:5枚

◆赤モブB 手札:5枚

◆赤モブC 手札:5枚

 

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:7→8枚

 

ふむ、アイツらに手札誘発があるとは思えないし、もしかしたら勝ったかもな。

 

「俺は手札から魔法カード【ヒーローアライブ】を発動!LPを半分支払い、デッキから【E・HERO エアーマン】を特殊召喚!」

クロト LP:4000→2000、手札:8→7枚

 

【ヒーローアライブ】

通常魔法

(1):自分フィールドに表側表示モンスターが存在しない場合、LPを半分払って発動できる。デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

 

【E・HERO エアーマン】

効果モンスター

星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。

●デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

「【E・HERO】!?」

 

「コイツ、遊城十代と同じ【E・HERO】使いだったのか!?」

 

「ひゃあ!マジかよー!」

 

「【E・HERO エアーマン】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキから【E・HERO シャドー・ミスト】を手札に加える!」

クロト 手札:7→8枚

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1500

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「チェンジ」速攻魔法カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「E・HERO シャドー・ミスト」以外の「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「俺は手札から【マスマティシャン】を召喚!」

クロト 手札:8→7枚

 

【マスマティシャン】

効果モンスター

星3/地属性/魔法使い族/攻1500/守 500

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル4以下のモンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

<白河クロトのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

マスマティシャン ★3 ATK1500

 

「【マスマティシャン】の召喚成功時に効果発動!デッキから【ライトロード・アーチャー フェリス】を墓地に送る!」

 

【ライトロード・アーチャー フェリス】

特殊召喚・チューナー・効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1100/守2000

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動する。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードをリリースし、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを破壊する。その後、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「ここで墓地の【ライトロード・アーチャー フェリス】の効果発動!自身を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

マスマティシャン ★3 ATK1500

ライトロード・アーチャー フェリス ★4 DEF2000 ※チューナー

 

「俺はレベル3【マスマティシャン】にレベル4【ライトロード・アーチャー フェリス】をチューニング!聖なる守護の光、今交わりて永久の命となる。シンクロ召喚!降誕せよ!レベル7【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】!」

 

【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2100/守3000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

また、1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。フィールド上のフィールド魔法カードを全て破壊し、自分は1000ライフポイント回復する。その後、デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 

<白河クロトのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

 

「シンクロ召喚!?」

 

「コイツ、コナミと同じシンクロ使いだったのか!?」

 

「ひゃあ!綺麗なウナギだなー!」

 

「俺は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の効果発動!手札から【E・HERO シャドー・ミスト】を特殊召喚する!」

クロト 手札:7→6枚

 

<白河クロトのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

E・HERO シャドー・ミスト ★4 DEF1500

 

「俺はレベル4【E・HERO エアーマン】と【E・HERO シャドー・ミスト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【ラヴァルバル・チェイン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

ラヴァルバル・チェイン ☆4 ATK1800 ORU:2

 

【ラヴァルバル・チェイン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。

●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。

 

「今度はなんだ!?エクシーズ召喚!?ってなんだ!?」

 

「コイツ、訳の分かんねーことをし始めたぞ!?」

 

「ひゃあ!熱そうー!」

 

「俺は【ラヴァルバル・チェイン】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【ヴァイロン・キューブ】を墓地に送る!」

ラヴァルバル・チェイン ORU:2→1

 

墓地に送ったのは【E・HERO シャドー・ミスト】だ。

 

【ヴァイロン・キューブ】

チューナー(効果モンスター)

星3/光属性/機械族/攻 800/守 800

このカードが光属性モンスターのシンクロ召喚に使用され墓地へ送られた場合、デッキから装備魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 

「墓地に送られた【E・HERO シャドー・ミスト】の効果発動!デッキから【E・HERO キャプテン・ゴールド】を手札に加える!」

クロト 手札:6→7枚

 

【E・HERO キャプテン・ゴールド】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻2100/守 800

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「摩天楼 -スカイスクレイパー-」1枚を手札に加える。

また、フィールド上に「摩天楼 -スカイスクレイパー-」が存在しない場合、このカードを破壊する。

 

「俺は手札から【E・HERO キャプテン・ゴールド】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキからフィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を手札に加える!」

クロト 手札:7→6→7枚

 

【摩天楼 -スカイスクレイパー-】

フィールド魔法

(1):「E・HERO」モンスターの攻撃力は、その攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するダメージ計算時のみ1000アップする。

 

「俺は手札からフィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を発動!」

クロト 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

「おおっ!?これは!?」

 

「HEROには戦う舞台があるって奴だな!」

 

「ひゃあ!高えー!」

 

「俺は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の効果発動!フィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を破壊し、1000LP回復する!その後、デッキからフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を手札に加える!」

クロト LP:2000→3000、手札:6→7枚。フィールド魔法:1→0枚。

 

【フュージョン・ゲート】

フィールド魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、ターンプレイヤーは手札・自分フィールド上から融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。

 

「あぁっ!?」

 

「HEROの戦う舞台が!」

 

「ひゃあ!酷えー!」

 

さっきからいちいちうるせえなぁ。

 

「俺は手札からフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を発動!」

クロト 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

「そして俺はフィールド魔法【フュージョン・ゲート】の効果発動!フィールド上の【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】と【ラヴァルバル・チェイン】を除外して融合!現れよ!レベル4!【旧神ノーデン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

旧神ノーデン ★4 ATK2000

 

【旧神ノーデン】

融合・効果モンスター

星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター

(1):このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。

 

「今度は融合!?」

 

「融合したー!」

 

「ひゃあ!老けたー!」

 

 

さぁ、お楽しみはこれまでだ!

 

 

「俺は【旧神ノーデン】の効果発動!墓地から【ヴァイロン・キューブ】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

旧神ノーデン ★4 ATK2000

ヴァイロン・キューブ ★3 DEF800 ※チューナー

 

「俺はレベル4【旧神ノーデン】にレベル3【ヴァイロン・キューブ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!2体目の【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

 

「ここで【ヴァイロン・キューブ】の効果発動!デッキから装備魔法【再融合】を手札に加える!」

クロト 手札:6→7枚。

 

【再融合】

装備魔法

(1):800LPを払い、自分の墓地の融合モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時にそのモンスターは除外される。

 

「俺は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の効果発動!フィールド魔法【フュージョン・ゲート】を破壊し、1000LP回復する!その後、デッキからフィールド魔法【ブラック・ガーデン】を手札に加える!」

クロト LP:3000→4000、手札:7→8枚。フィールド魔法:1→0枚。

 

【ブラック・ガーデン】

フィールド魔法

(1):「ブラック・ガーデン」の効果以外でモンスターが表側表示で召喚・特殊召喚される度に発動する。そのモンスターの攻撃力を半分にする。その後、そのコントローラーは、相手のフィールドに「ローズ・トークン」(植物族・闇・星2・攻/守800)1体を攻撃表示で特殊召喚する。

(2):フィールドの全ての植物族モンスターの攻撃力の合計と同じ攻撃力を持つ、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。このカード及びフィールドの植物族モンスターを全て破壊する。全て破壊した場合、対象のモンスターを特殊召喚する。

 

「俺は手札からフィールド魔法【ブラック・ガーデン】を発動!」

クロト 手札:8→7枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

「俺は手札から装備魔法【再融合】を発動!800LPを払い、墓地から【旧神ノーデン】を特殊召喚!」

クロト LP:4000→3200、手札:8→7枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

旧神ノーデン ★4 ATK2000

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【旧神ノーデン】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

旧神ノーデン ★4 ATK2000→1000

 

<赤モブ連合のフィールド>

ローズ・トークン ★2 ATK800

 

「私達のフィールドにトークンを渡す!?」

 

「一体何の意味があるんだー!」

 

「ひゃあ!意味不明ー!」

 

「俺は【旧神ノーデン】の効果発動!墓地から【ヴァイロン・キューブ】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

旧神ノーデン ★4 ATK2000

ヴァイロン・キューブ ★3 DEF800 ※チューナー

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【ヴァイロン・キューブ】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<赤モブ連合のフィールド>

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

 

「俺はレベル4【旧神ノーデン】にレベル3【ヴァイロン・キューブ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!3体目の【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】!」

クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<赤モブ連合のフィールド>

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

 

「ここで【ヴァイロン・キューブ】の効果発動!デッキから2枚目の装備魔法【再融合】を手札に加える!」

クロト 手札:7→8枚。

 

「俺は手札から2枚目の装備魔法【再融合】を発動!800LPを払い、墓地から【旧神ノーデン】を特殊召喚!」

クロト LP:3200→2400、手札:8→7枚。装備魔法:0→1枚。

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【旧神ノーデン】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

旧神ノーデン ★4 ATK2000→1000

 

<赤モブ連合のフィールド>

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

 

「俺は【旧神ノーデン】の効果発動!墓地から…レベル4ならなんでもいいや。【ライトロード・アーチャー フェリス】を特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

旧神ノーデン ★4 ATK1000

ライトロード・アーチャー フェリス ★4 DEF2000 ※チューナー

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【ライトロード・アーチャー フェリス】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<赤モブ連合のフィールド>

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

ローズ・トークン ★2 ATK800

 

「私達のフィールドがトークンで埋まった!?」

 

「何だこれ…なんなんだこれぇ!?」

 

「ひゃあ!…ひゃぁー!?」

 

「俺はレベル4【旧神ノーデン】と【ライトロード・アーチャー フェリス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー】!」

 

【No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/炎族/攻1000/守1000

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に、このカードを装備カード扱いとして自分フィールド上のエクシーズモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。

このカードの装備モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

また、装備モンスターが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、手札を1枚捨てて発動できる。相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

<白河クロトのフィールド>

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

エンシェント・フェアリー・ドラゴン ★7 DEF3000

No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー ☆4 DEF1000

 

「この瞬間、フィールド魔法【ブラック・ガーデン】の効果発動!【No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー】の攻撃力は半分になり、相手のフィールドに「ローズ・トークン」1体を攻撃表示で特殊召喚…したいけど、フィールドは埋まっているから不発だな」

 

「俺は【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】の効果発動!フィールド魔法【ブラック・ガーデン】を破壊し、1000LP回復する!その後、デッキから2枚目のフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を手札に加える!」

クロト LP:2400→3000、手札:7→8枚。フィールド魔法:1→0枚。

 

「俺はレベル7【エンシェント・フェアリー・ドラゴン】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク7!【No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク】!」

 

【No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク】

エクシーズ・効果モンスター

ランク7/風属性/機械族/攻 0/守3000

レベル7モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。自分フィールドに「バトル・イーグル・トークン」(機械族・風・星6・攻2000/守0)を可能な限り特殊召喚する。この効果で特殊召喚したトークンはこのターンのエンドフェイズに破壊される。この効果の発動後、ターン終了時まで相手が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

<白河クロトのフィールド>

No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー ☆4 DEF1000

No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク ☆7 DEF3000

 

「俺は【No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク】のORUを2つ取り除いて効果発動!自分フィールドに「バトル・イーグル・トークン」を可能な限り特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー ☆4 DEF1000

No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク ☆7 DEF3000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

 

「俺は手札からフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を発動!」

クロト 手札:8→7枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

 

さぁ準備完了だ。

 

なんてことだ、もう助からないゾ♪

 

 

「俺はフィールド魔法【フュージョン・ゲート】の効果発動!フィールド上の【No.58 炎圧鬼バーナー・バイサー】と【バトル・イーグル・トークン】を除外して融合!燃え上がり飛翔せよ!レベル8!【重爆撃禽 ボム・フェネクス】!」

 

【重爆撃禽 ボム・フェネクス】

融合・効果モンスター

星8/炎属性/炎族/攻2800/守2300

機械族モンスター+炎族モンスター

自分のメインフェイズ時、フィールド上に存在するカード1枚につき300ポイントダメージを相手ライフに与える事ができる。この効果を発動するターンこのカードは攻撃する事ができない。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

<白河クロトのフィールド>

No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク ☆7 DEF3000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

重爆撃禽 ボム・フェネクス ★8 ATK2800

 

「俺は【重爆撃禽 ボム・フェネクス】の効果発動!フィールド上に存在するカード1枚につき300ポイントダメージを相手ライフに与える!俺のフィールド上のカードは5枚!お前たちのフィールド上のカードは5枚!よって3000LPダメージだ!」

 

白河クロトのフィールドのカード:モンスター4体+フィールド魔法1枚

赤モブ連合のフィールドのカード:モンスター5体

 

「嘘だろ!?」

 

「そんな!?」

 

「ひゃあ…」

 

「骨まで燃えろ!フェネクス・ビッグ・エアレイド!!」

 

「「「「うわぁぁぁぁっ!」」」

赤モブ連合 LP:8000→5000

 

「更に!俺はフィールド魔法【フュージョン・ゲート】の効果発動!フィールド上の【重爆撃禽 ボム・フェネクス】と2体目の【バトル・イーグル・トークン】を除外して融合!燃え上がり飛翔せよ!レベル8!2体目の【重爆撃禽 ボム・フェネクス】を融合召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク ☆7 DEF3000

バトル・イーグル・トークン ★6 ATK2000

重爆撃禽 ボム・フェネクス ★8 ATK2800

 

「俺は【重爆撃禽 ボム・フェネクス】の効果発動!2700LPダメージを与える!焼き払え!フェネクス・ビッグ・エアレイド!!」

 

「「「「あっちぃぃぃっ!」」」

赤モブ連合 LP:5000→2300

 

「更に更にぃ!俺はフィールド魔法【フュージョン・ゲート】の効果発動!フィールド上の2体目の【重爆撃禽 ボム・フェネクス】と3体目の【バトル・イーグル・トークン】を除外して融合!燃え上がり飛翔せよ!レベル8!3体目の【重爆撃禽 ボム・フェネクス】を融合召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク ☆7 DEF3000

重爆撃禽 ボム・フェネクス ★8 ATK2800

 

「もうだめだ…おしまいだぁ…」

 

「先攻1ターンキル!?ウソダドンドコドーン!!」

 

「あぁぁぁぁー!」

 

「俺は【重爆撃禽 ボム・フェネクス】の効果発動!2400LPダメージを与える!焼き尽くせ!フェネクス・ビッグ・エアレイド!!」

 

「「「「あぁぁぁぁっ!!」」」

赤モブ連合 LP:2300→0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました~」

 

上手に焼けました~。なんてな。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

「あっ、終わった?じゃ、帰ろっか?」

 

いつの間にかレジャーシートを片付けたツァンがこちらに歩いてくる。藤原のせいで最近はよくこんなことがあるので、彼女ももう慣れたものである。

 

「そうだな。帰るか」

 

「うん。それにしてもさっきのデッキは面白い戦術だったね。展開の妨害さえされなければ先攻1ターンキル確定じゃない?手札7枚も要らなかったんじゃないの?」

 

「実は手札2枚くらいから出来るんだよなアレ。凄いよな。(前世の)先人の研究と知恵の結晶だ」

 

「ふぅ~ん。世の中には凄い人たちが多いんだね」

 

「ホントにな」

 

放心して地面にヨツンヴァインしている赤モブたちを放置して、俺たちはそれぞれの寮へと帰った。

 

~~~

 

<響みどり視点>

 

私を含むアカデミア教師陣とデュエルアカデミア実技担当最高責任者のクロノス・デ・メディチ氏は、共にラーイエロー所属の1年生である白河クロトの制裁デュエルの内容を考えていた。

 

詳しくは知らされていないけれど、鮫島校長は倫理委員会に身柄を拘束されているらしく、現在は自室で謹慎中とのこと。クロノス教諭にそれとなく聞いてみたが苦い顔をされてしまい、それ以上は教えて貰えなかった。

 

「う~む。シニョール白河の制裁デュエル~の内容~が、全然思いつきません~ノ!」

 

「そうですね。彼には中途半端なデメリットを与えたところで平然と勝ってしまうでしょう」

 

私の所見によると、赤羽コナミや丸藤亮、天上院明日香もそうだけど、白河クロトはこの学園内では強すぎるデュエリストだ。恐らくそこいらのプロデュエリストと対戦させてもアッサリ勝ってしまうでしょうね。

 

「だからとい~テ、彼だけ~ヲ、特別扱いするの~は、出来ないノ~ネ」

 

「彼も他の生徒と同様に、学園内からタッグパートナーを選ばせて、タッグデュエルをさせてみてはどうでしょう?」

 

「いえ、彼と赤羽コナミは小学校時代にタッグプロデュエリストになる直前のタイラー姉妹をタッグデュエルで倒した実績があります。彼らにとってタッグデュエルはあまりデメリットにならないでしょう」

 

「タイラー姉妹!?先日あの迷宮兄弟をタッグデュエルでコテンパンに叩きのめしたというあのタイラー姉妹ですか!?」

 

「あのアマゾネス使いの姉妹を!?」

 

「あの胸の薄い姉妹を!?」

 

「マッタイラー姉妹を!?」

 

何故、胸の話に?他の教師の方々は時々下品で困るわ。

 

「オホン。先生方?話が脱線していませんか?それに、同じ女性に対してそのような発言を耳にするのは不快なので、このような場では特に控えて下さいね?セクハラで訴えますよ?」

 

「「「「申し訳ない…」」」」

 

この中で唯一、私と同性の鮎川先生が他の先生を窘めてくれた。頼もしい限りだ。

 

それはともかく、制裁デュエルを行うにあたり、この白河クロトと言う生徒の経歴を調べていくうちに赤羽コナミと同様にとんでもない波乱万丈な経歴の持ち主であることが判明した。

 

①彼が5歳の頃、家族と一緒に交通事故に遭って両親を失い、本人も一度は死亡する。だが、その翌日には霊安室にて息を吹き返す。蘇生後はまるで人が変わったかのように性格が変わったらしい。その後、身寄りのない彼は孤児院に預けられたこと。

 

②経緯は不明だが、I2社のペガサス・J・クロフォード会長や天馬夜行社長とも昔から懇意であること。

 

③彼が10歳の頃から、私の弟でプロデュエリストランク3位の響紅葉と交流があり、数年前に彼に勝利したことがあるとの噂があること。(実際に紅葉に聞いたところ、大会終了後にデュエルを挑まれて、本当に負けたらしい)

 

④経緯は不明だが、LDS(レオ・デュエル・スクールコーポレーション)の赤馬零次社長とも懇意であり、凄腕のデュエリストである彼をデュエルで打倒したと言う噂があること。

 

⑤経緯は不明だが、海馬コーポレーションの海馬瀬人社長および海馬モクバ副社長とも懇意であり、あの対戦者を選ぶ伝説のデュエリストの海馬瀬人とデュエル経験があると言う噂まであること。

 

⑥アメリカ・デュエル・アカデミア校長のMr.マッケンジーとも懇意であり、もし彼がデュエルアカデミア本校を退学処分された場合、即座に引き抜くと公言していること。(紅葉とよく絡んでいるあのマセガキが言っていたから間違いないだろう)

 

等々。

 

「先日の月一テストでの成績も優秀です。筆記試験は三沢大地、天上院明日香に次ぐ3位、実技試験は彼ら2人と同様に満点。ケチのつけどころがありません。校長は遊城十代を誉め称えていましたが、デュエルタクティクスで見れば彼や赤羽コナミ、天上院明日香や三沢大地の方が数段上に見えます」

 

「中学時代の素行の方は少々問題があるようでス~ガ、中学時代の成績や普段の授業態度も素晴らしいものナノ~ネ」

 

「この学園でもD-ホイールの資格を持つ者はいないと言うのに、若くして国内で100名ほどしか取得していないD-ホイールの資格を所持しているのが驚きだ。しかも取得年月日はD-ホイール資格制度が始まった初年度だ」

 

「旧特待生寮に侵入した理由も『2年前に行方不明になった旧友である天上院吹雪を探す為』と言う共感できる内容です。しかもその行方不明者を赤羽コナミと共に発見しています。少なくとも、肝試しに行っただけのレッド寮の3人とは同列に並べて良いものか…」

 

「5か国語に対応するマルチリンガルであることも見逃せません。正直、手放すのが惜しい生徒です」

 

彼らのような将来有望な学生が退学になるのは非常に心苦しいわ。何かいい手は無いものかしら…。

 

「低レベルのモンスターのみで構成されたメインデッキを使用することを条件にするのはどうだろうでしょうか?」

 

「いえ、彼は融合、シンクロ、エクシーズを使いこなすノ~ネ。メインデッキのモンスターのレベルでは縛りになり得ない~ノ」

 

「ならばEXデッキのモンスターを使用不可にするのはどうだろうか?」

 

「彼はアメリカ・デュエルアカデミアにて、儀式召喚を使って同じ儀式使いの藤原雪乃を破ったことがあるそうです。そちらの縛りもあまり意味が無いでしょう」

 

「魔法・罠カードを使用不可とするのはどうだろうか?」

 

「それは厳しすぎないか?少なくとも私はその縛りで勝てる気がしないぞ?」

 

「いえ、世の中には【フルモン】デッキが存在します。やってやれなくはないのでは?」

 

「もういっそのこと、特殊召喚全般を封じてはどうだろうか?」

 

「悪くないかも知れませんが、その縛りで貴方は満足に戦えますか?」

 

「むぅ…」

 

あまりデメリットの無いものでは彼にとっては無いに等しく、あまりに重いデメリットでは周囲が納得しないでしょうし、どうしたものかしら。

 

「シンプルに、我々教師陣との2連戦でどうでしょうか?」

 

「良いアイデアなノ~ネ!流石にプロ2人に2連勝などデ~ハ、色々な意味で現実的ではありません~ノ」

 

「他の制裁タッグデュエルを行う生徒は2vs2。なら2戦がちょうどいいかも知れないな」

 

「一部の生徒を除き、我々教師陣に1勝できる生徒はほぼ居ませんから、制裁と言う意味でも十分にアリでしょう」

 

「他に意見のある方は…どうやらいない様ですね。では、彼への制裁デュエルは我々教師陣との2連戦で行きましょう」

 

「「「「異議なし」」」」

 

何とか制裁デュエルの内容は決まったわね。あとはメンバーやルールの細かい調整かしら。

 

「では~、こちらのメンバーはどうする~ノ?」

 

「1番手は私が立候補したいのですが、よろしいでしょうか?」

 

「響先生が?理由を聞いてもよろしいですかな?」

 

「えぇ、彼には弟が世話になったようなので、彼の実力を見てみたいと思いましてね」

 

白河君には悪いけれど、紅葉を打ち倒した実力、1人のデュエリストとして見させてもらいたいわね。

 

「良いんじゃないですか?響先生は若いながらも我々の中では群を抜いて強いことですし、問題は無いでしょう」

 

「むむっ!それは聞き捨てられません~ノ!では、もう一人の候補はワタシが立候補する~の!私が彼を直々に相手するノ~ネ!」

 

「えっ、クロノス教諭?よろしいのですか?入学試験の時に遊城十代に使用していたデッキでは厳しい相手だと思いますよ?」

 

「もちロ~ン、私の封印しているデッキを使いますノ~ネ!」

 

「えぇっ!?オベリスクフォースたちの1件で封印していたあのデッキですか!?」

 

生徒相手にクロノス教諭があのデッキを見せる時が来るとは思わなかったけれど、彼クラスの相手ではやむを得ないでしょうね。

 

「彼に課すデメリットは、赤羽コナミ&前田隼人と同様の『メインデッキ&EXデッキ統一縛り』辺りで良いでしょうか」

 

「だが彼は1人ですからね。『1戦ごとにデッキの交換は可能だが、2戦とも種族は統一する』くらいでどうでしょう?」

 

「その辺りが妥当か」

 

「ふふふのふ!私のアンティークギアも、数年振りに本気が出せそうなノ~ネ!」

 

クロノス教諭の本気のデュエルか。確か数年前のテロ事件で逮捕されたかつての同僚のジャン・ミシェル・ロジェを上回る実力者だと聞くわ。

 

ふふっ、年甲斐もなくワクワクしてしまうわね。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

イエロー寮に戻って晩御飯を食べ、自室に戻ってバニーラと遊んでいるとコナミからPDAに連絡が入った。今度は何だろう?

 

『隼人の父親がやって来た。隼人が退学になるらしい』

 

『退学をかけて親子デュエルをすることになった』

 

『隼人が父親をデュエルで倒した』

 

へぇ~。アニメGXだと、前田隼人ってこの時期だと先攻1ターン目でリバース効果モンスターの【デス・コアラ】を攻撃表示で出すようなプレイングをしていたはずだけどな。

 

タッグデュエルの練習と言う名目でコナミとの100連デュエル組手でボコられているうちに結構強くなったみたいだな。

 

「確か、アニメだと隼人が負けてたよな」

 

十代が明日香に負けたり、迷宮兄弟戦の前にタッグデュエルをやったり、隼人が父親に勝ったりと、アニメで起こる事件は起こるもののその結果は変わり始めている。

 

今のところ、これらの変化が大局に影響することはなさそうだけど、今後もこまめにコナミに十代たちの近状を確認しておいた方がいいかもな。




オリ主以外と関わることが少ないツァンちゃんは、オリ主のせいで段々と常識が崩壊してきています。

オリ主のデッキは【ノーデン1kill】です。専用構築を必要としますが、手札消費ほぼ無しで先攻1キルできる辺り、その壊れっぷりがよく分かります。これを思いついた人はとんでもないですね。

オリ主の制裁デュエルの内容が決まりました。まだ対戦カードに入れていないアニメGXキャラと漫画版GXキャラを入れたかったので本文の通りになりました。

軽くオリ主の経歴を列挙して見たら思っていたよりやべー奴でした。なので制裁デュエルの内容もデメリットもそこそこ重いものになりました。

クロノスは、オベリスクフォースなんていうアンティークギア使いがわんさか居た環境でアカデミア実技最高責任者を任されている以上、弱いわけないですよね?

隼人はコナミとの特訓(と言う名のサンドバッグ)と、十代・翔・コナミたちから分けて貰ったカードを使ってアニメ原作よりもかなり強化されて、今の十代と五分五分くらいの強さになっています。今後、オリ主と関わることがあればデュエル描写があるかも知れません。

次回の更新は3/27(土) AM6:00予定です。

metamoln様、カカン様、 荒魂マサカド様、blossoms様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百話 制裁デュエル1

前回のあらすじ:1ターン3キルゥ…。

今日の対戦相手は、漫画版GXの登場人物である響みどり先生です。

今話と次話はアニメGX第10~11話辺りのオリ主視点です。


<白河クロト視点>

 

今日はとうとう制裁デュエルの当日の朝だ。俺の制裁デュエルの内容は昨日の昼に伝えられた。どうやらデメリット付きで教師陣2名を連続で相手にする必要があるだけらしい。教師2人を同時に相手にしろって言われたらさすがにきつそうだったが、これくらいなら何とかなるだろう。

 

デメリットは『1戦ごとにデッキの交換は可能だが、2戦とも種族は統一する』縛りが与えられた。つまり、1人目とデュエルする時に機械族デッキを使ったならば、2人目とデュエルする時はまた機械族デッキでなければならないと言いう縛りだな。幸いそれぞれと戦う際に使用するデッキそのものは変更していいらしい。

 

今回、制裁デュエルを受けるのは、十代と翔、コナミと隼人、明日香と亮、そして俺の7人。ここまでの人数が同時に制裁デュエルを受けるのは異例らしく、本日の授業は午前中で終わって午後から順々にデュエルを行うことになったらしい。

 

「今日は白河達の制裁デュエルの日だよな。ちゃんと勝って来いよ!」

 

「白河、お前にはまだ黒星を付けてないんだ。勝ち逃げは許さないからな?」

 

イエロー寮の食堂で朝食を食べていると坂倉とドルオが隣に座ってそんなことを言ってきた。励ましてくれているようだ。

 

「俺は負けるの嫌いだし、勝つさ」

 

「おぉっ!自信満々じゃないか!何か秘策があるのか!?」

 

「お前の相手は確か実技担当の響先生と、実技最高責任者のクロノス教諭と言っていたな。よくそんな自信満々に言えるものだ。彼らはそこいらのプロデュエリストより遥かに強いぞ?」

 

響先生は実技授業の際に主にオシリスレッドの生徒の面倒を見ているのだが、端から見ていても彼女の【堕天使】デッキの強さと彼女自身のプレイングセンスの高さが分かるくらいには強い。

 

クロノスは十代に負けたのと普段の態度から若干一部の生徒から舐められがちだが、彼の【古代の機械】デッキは一撃の重さがシャレにならない。究極巨人はデュエルリンクスでのトラウマ要因の1つである。

 

だが、どんな相手だろうとデュエルに勝利して在学資格を得ないことにはデッドエンド確定だ。油断せずに勝利をもぎ取ってやるさ。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

午前中の授業が終わり、昼食をドローパンで済ませた俺とツァンは、制裁デュエルが行われる学園内のデュエルリングへとやって来ていた。

 

有名なプロデュエリストが生で見られるということもあって観客席がかなり埋まっていており、その中には三沢や万丈目、レインや藤原雪乃、猫のファラオを抱えた大徳寺の姿も見える。十代たちや明日香たちはまだ来ていないようだ。

 

俺達が運よく空いていた席に座り、少し雑談をしているとデュエル開始される時間が迫り、デュエルリングの部屋の入り口から十代と翔がやって来た。

 

「最初の制裁タッグデュエルは遊城十代と丸藤翔のタッグか」

 

「あの2人はオシリスレッドでも目立つ生徒だよね。遊城十代と丸藤翔、確か2人とも融合使いだったよね?」

 

「そうだな。ただデッキとしては戦士族主体と機械族主体だ。デッキ相性はそこまでよくないだろうな」

 

リング上に十代と翔が上がったところで、観客席にコナミと隼人、明日香と亮がやって来た。亮たちと一緒に吹雪や藤原優介も来ているな。

 

「ではこれより、タッグデュエルを始める~ノデスネ!」

 

クロノスが制裁タッグデュエルの開催を宣言すると、デュエルリングに2人のカンフー服を着たハゲが飛び込んできた。

 

特に意味の無さそうなカンフーアクションを決めた後、自分たちの自己紹介を始めた。タッグプロデュエリストの迷宮兄弟だな。クロノスはいつの間にかリングの下に降りてその様子を見ていた。

 

そういえば鮫島校長の姿が見えないな。とうとうクビになってしまったのだろうか?まだ七星門の鍵を海に捨てた時のフォローをしてないので、まだクビになるのは待っていて欲しいんだがなぁ。

 

「あれがデュエルキングの武藤遊戯と死闘を繰り広げた、伝説のデュエリスト迷宮兄弟なんだね」

 

デュエルするだけでいいなら、俺は海馬瀬人や城之内克也、インセクター羽蛾やダイナソー竜崎ともデュエルしたことがあるんだが、俺もそのうち伝説のデュエリストとか呼ばれたりするのかな?

 

いや、彼らとデュエルした時は殆どハノイスタイルでのデュエルだったし、海馬社長とのデュエルは神のカードを使ったから公にされてないはずなのでダメそうだな。

 

「オレンジのカンフー服を着て頭に『迷』って文字が書いてあるハゲが兄で、緑のカンフー服を着て頭に『宮』って文字が書いてあるハゲが弟だな」

 

前世の記憶では、武藤遊戯と城之内克也を迷宮兄弟の俺ルールに付き合わされた挙句、デュエルに勝利した後も詰まらない茶番に付き合わせただけだったような記憶があるのだが、この世界では違うのだろうか。

 

「ルールはタッグフォースルールを採用するーノ!良いですーノネ?ではデュエル開始ナノーネ!」

 

「「「「デュエル!」」」」

 

デュエルが始まり、両タッグとも一進一退の攻防を見せていたが、迷宮兄弟が3体の魔人をフィールドに並べたことで形勢が大きく傾くことになる。

 

「「雷水風の三魔神よ! 今こそその力を合体させ、復活の雄叫びをあげよ!出でよ!合体魔神!【ゲート・ガーディアン】!」」

 

デュエルリング上の【雷魔神-サンガ】、【風魔神-ヒューガ】、【水魔神-スーガ】がリリースされ、【ゲート・ガーディアン】が呼び出される。何でいちいちハモるんだよ。

 

「おっ!あれが有名な【ゲート・ガーディアン】だね!」

 

「3体の魔神をフィールドに並べておいた方が強いと思うんだが、何で合体させるんだろうな」

 

目の前に居るのはOCG版の攻撃力が高いだけのほぼバニラカードだからなぁ。

 

せめて漫画原作かアニメDM初期に登場した状態の奴なら、攻撃無効化&三体が各個攻撃&三体で合体攻撃などの効果を持っているから出す意味があると思うんだけどな。

 

「合体のロマンが分からないなんて…アンタ、それでもデュエリストなの?」

 

「ロマンで勝てるなら戦術は要らないんだよなぁ。せめて融合モンスターで手札融合できるならまだ使い道があったと思うけどさ」

 

もしくはユニオンモンスターとかならサポートカードも多いんだが、遊戯王DMの王国編に登場したカードにそんな無茶振りな注文をしても無駄だな。

 

「気張れー!十代ー!翔ー!」

 

「2人ともー!まだまだこれからだぞー!」

 

観客席から隼人とコナミが十代たちを激励する声が聞こえる。

 

その後、彼らからの激励に答えるかのように、十代が出していた【E・HERO スパークマン】と装備魔法【スパークガン】のカード効果で【ゲート・ガーディアン】を守備表示にして、その後の翔が手札から発動した魔法カード【シールドクラッシュ】によって破壊された。

 

だが、迷宮兄弟は【ゲート・ガーディアン】が墓地にある時に発動可能なアニメオリジナルカードの魔法カード【ダーク・エレメント】を発動し、アニメオリジナルカードの【闇の守護神-ダーク・ガーディアン】を特殊召喚したのだった。

 

「う~ん、微妙だなぁ。攻撃力は高いけど、LPを半分支払って特殊召喚した割にはモンスター効果は戦闘破壊耐性だけだもんな~。あの攻撃力なら効果破壊の方が欲しいかな~」

 

「色々と微妙だな。第一、デザインが【ゲート・ガーディアン】と大きく異なりすぎるだろ。【ブラッド・ヴォルス】と【地雷蜘蛛】を融合した姿と言われた方がまだシックリくる」

 

「【ダーク・エレメント】を発動させるための条件が【ゲート・ガーディアン】が墓地にあることってのが条件なのが酷くない?それだと正規召喚するより【おろかな埋葬】辺りで【ゲート・ガーディアン】墓地に叩き込んだ方が早いじゃない」

 

その後、翔が発動した魔法カード【パワー・ボンド】により呼び出された【ユーフォロイド・ファイター】の攻撃による戦闘ダメージより十代と翔が勝利した。デュエルの展開も大体アニメ通りだな。

 

「機械族専用の融合魔法【パワー・ボンド】か。既に【リミッター解除】みたいな機械族専用カードとかもあるのに、機械族ばかり優遇されてちょっとズルいよね」

 

「何言ってるんだ。戦士族専用のサーチ魔法【増援】も大概ズルいと思うぞ」

 

俺とツァンがそんな話をしていると、デュエルに勝利して嬉しそうな十代と翔がデュエルリングから降りて、代わりにコナミと隼人がデュエルリングに上がって来る。

 

対戦相手はこの学園の教師だが、コナミと隼人には2人で1つの種族だけを使わなければならないメインデッキ&EXデッキ統一縛りのデメリットが与えられたそうだ。

 

「次はコナミと前田だな」

 

「あの赤帽子は知っているけど、前田って?あの赤帽子の隣にいるコアラみたいな人?」

 

「そのコアラみたいな人が前田隼人で合っているぞ。遊城十代と丸藤翔のルームメイトだってさ」

 

「オシリスレッドの寮って、個室じゃないんだ…」

 

「コナミは個室らしいけどな」

 

ツァンが自分のブルー女子寮とオシリスレッドの寮の格差に驚いている間に、彼らのデュエルが始まる。

 

「オレはレベル3【ロックキャット】とレベル4【チェーンドッグ】にレベル1【キーマウス】をチューニング!天駆ける雷よ!漆黒の大気を貫き、その雷撃で大地を燃やせ!シンクロ召喚!照らせ!レベル8!【ライトニング・トライコーン】!」

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動なんだナァ!手札の【コアラッコ】と【ラッコアラ】を融合!レベル6【コアラッコアラ】を融合召喚なんだナァ!」

 

コナミはアニメ5D's時代に登場するチーム・ユニコーンの3人が使用するカードを混ぜ合わせたようなシンクロデッキを使用し、隼人はアニメGXで使用していたオーストラリアデッキの純粋強化版のようなデッキを使用し、見事に教師陣2人のタッグを破った。

 

「あの赤帽子はともかく、もう1人のコアラの人も結構強いんだね。他のオシリスレッドの人達よりも頭一つ抜けて強いんじゃないかな?」

 

「2人とも獣デッキに統一していたから、お互いの魔法罠の相性も良かったよな」

 

俺とツァンが先ほどのデュエルの感想を話していると、デュエルに勝利してハイタッチを決めるコナミと隼人がデュエルリングから降りて、代わりに明日香と亮がデュエルリングに上がって来る。

 

対戦相手は先ほどと同じくこの学園の教師だが、EXデッキを使わないデメリットが与えられたそうだ。明らかにカイザー亮対策だ。明日香には殆ど影響はないが、【強欲で金満な壺】のようなEXデッキのカードに影響を与えるカードは使えないらしい。

 

「私は手札から儀式魔法【原初の叫喚】を発動!手札のレベル8【サイバー・エンジェル-伊舎那-】をリリースして儀式召喚!来なさい!レベル8!【輝神鳥ヴェーヌ】!」

 

「オレは墓地の機械族・光属性モンスターを全て除外して、手札からこのモンスターを呼び出す!来い!レベル10!【サイバー・エルタニン】!!」

 

明日香は様々な儀式モンスターを召喚して相手を牽制しつつ、墓地肥やしが終わった亮がEXデッキに依存しないサイバー流のカード【サイバー・エルタニン】を出現させ、その強烈なリセット効果とサイバー流ならではの高火力で一気に勝負を決めた。

 

「天上院さんは相変わらず強いね。彼女はデュエルするたびにサイバー・エンジェル以外の儀式モンスターがコロコロ変わるから対策が難しいよね」

 

「亮さんもEXデッキが使えない中でよくあれだけの機械族を墓地に落としたもんだ」

 

デュエルに勝利した明日香と亮がデュエルリングから降りてこちらを見てくる。いよいよ俺の番が来たわけだ。

 

「白河、ちゃんと勝ちなさいよね」

 

「あれ?心配してくれるのか?」

 

「そりゃそうでしょ。と、友達だし…」

 

「おやおや?今日は素直だな。これは珍しい物が見れた」

 

「うるさいわね!」

 

「珍しい物を見せて貰ったし、俺も真面目にデュエルしてくるよ。じゃ、行ってくる」

 

「ふん!負けたら承知しないからね!」

 

今更これくらいの人数の前でデュエルするのはハノイ時代で慣れているし、これくらいならほとんど緊張なんてしないんだけど、多少気は楽になったかな。

 

デュエル前にツァンをからかうことで多少は緊張をほぐすことが出来た俺は、のんびりと観客席からデュエルリングへと歩いて行った。

 

「クロ坊。もしこの制裁デュエルを勝ち残ったら、お姉さんがご褒美をあげるわね?」

 

「「「な、なんだってー!」」」

 

デュエルリングに辿り着く前に、藤原に声を掛けられた。男子生徒たちは大げさに反応して嫉妬の視線を送ってくるが、どうせいつもの悪戯だろうから軽く流すことにした。

 

「はいはい。貰える物なら貰うことにするよ」

 

「ふふっ、楽しみにしているのよ?」

 

「「「白河、貴様ぁぁぁー!」」」

 

デュエル開始直前にアウェーの空気を作るの止めて貰えませんかね?

 

俺は内心、頭を押さえたくなる衝動を押し殺しつつ、デュエルリングへと上がった。

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

制裁デュエルも残すはあと1人。遊城十代と丸藤翔、赤羽コナミと前田隼人、天上院明日香と丸藤亮の3組のタッグバトルが行われたが、全員が勝利していた。

 

それに比べて、今のオレはどうだ?オシリスレッドの遊城十代に敗北してクロノス教諭の信頼を失い、今やラーイエローに降格するのではなどと噂される始末。

 

「こんな今のオレでは【光と闇の竜】の使い手として名乗ることはできない」

 

オレはアメリカ・デュエルアカデミアから戻った後、中学時点からの相棒【光と闇の竜】に相応しいデュエリストになるまでは、【光と闇の竜】に頼らずにデュエルをすることに決めた。

 

だが、【光と闇の竜】のカードを使用しなくなった途端に今のこの有様だ。オレはただ【光と闇の竜】の力を借りて強くなった気分になっていただけではないのか?

 

「貴方が白河クロトね。貴方のことは弟の紅葉からよく聞いているわ。このデュエル、1人のデュエリストとして楽しませてもらうわ」

 

「今日のデュエルには俺の進退(生死)が掛かっているので、お手柔らかにお願いしますね」

 

デュエルリング上でアカデミアの女性教師と白河クロトが対峙している。白河クロトの制裁デュエルにおけるデメリットは『種族統一したメインデッキ&EXデッキで教師陣と2連戦』だそうだ。

 

あの赤い制服を着て赤いマントを羽織る長い黒髪のアカデミアの女性教師である響みどり先生は、上位プロデュエリスト響紅葉さんの姉であり彼と同等の実力を持つという。教師としても優秀でオシリスレッドの落ちこぼれ達に真摯に向き合い、学園からのドロップアウト防止に一役買っているらしい。

 

対するあの黒髪のラーイエローの男子生徒である白河クロトは、あのハノイの騎士の知古だと言う。天上院明日香や丸藤亮などの実力者からの評価も高い。実際、入学試験や月一試験で奴が見せた実力はこの学園でも上位に位置するだろう。

 

オレは【光と闇の竜】の力を借りずに彼らと渡り合えるだろうか?

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

そんなことを考えていると、いよいよ制裁デュエルが開始されるようだ。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆響みどり LP:4000、手札:5枚。

 

「先攻は私が貰うわ!私のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

響みどり 手札:5→6枚

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキからカードを2枚ドロー!そして手札の【堕天使アスモディウス】を除外するわ」

響みどり 手札:6→5→7→6枚

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

【堕天使アスモディウス】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻3000/守2500

このカードはデッキ・墓地からの特殊召喚はできない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから天使族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「アスモトークン」(天使族・闇・星5・攻1800/守1300)1体と、「ディウストークン」(天使族・闇・星3・攻/守1200)1体を特殊召喚する。「アスモトークン」は効果では破壊されない。「ディウストークン」は戦闘では破壊されない。

 

「更に私は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札の【堕天使スペルビア】を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドロー!」

響みどり 手札:6→5→4→6枚

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

【堕天使スペルビア】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。

 

「私は手札から魔法カード【名推理】を発動!さぁ白河君。レベルを宣言しなさい」

響みどり 手札:6→5枚

 

【名推理】

通常魔法

(1):相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。

通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。

違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

「じゃあ、レベル8を宣言します」

 

「分かったわ。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくる…私が引いたカードは【堕天使ユコバック】。レベル3の通常召喚可能なモンスターよ」

 

【堕天使ユコバック】

効果モンスター

星3/闇属性/天使族/攻 700/守1000

「堕天使ユコバック」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「堕天使」カード1枚を墓地へ送る。

 

「外れてしまいましたか」

 

「【名推理】の効果で【堕天使ユコバック】を特殊召喚し、他のめくったカードは墓地に送るわ」

 

<響みどりがデッキからめくったカード>

①獄炎

②堕天使降臨

③ダーク・ミスト

④堕天使の幻惑

⑤堕天使ユコバック

 

<響みどりのフィールド>

堕天使ユコバック ★3 DEF1000

 

「私は【堕天使ユコバック】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキから【堕天使エデ・アーラエ】を墓地に送るわ」

 

【堕天使エデ・アーラエ】

効果モンスター

星5/闇属性/天使族/攻2300/守2000

(1):墓地から特殊召喚したこのカードは以下の効果を得る。

●このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「私はフィールドの【堕天使ユコバック】をリリース!手札から【堕天使ディザイア】をアドバンス召喚するわ!」

響みどり 手札:5→4枚

 

【堕天使ディザイア】

効果モンスター

星10/闇属性/天使族/攻3000/守2800

このカードは特殊召喚できない。

このカードは天使族モンスター1体をリリースしてアドバンス召喚する事ができる。

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にこのカードの攻撃力を1000ポイントダウンし、相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

<響みどりのフィールド>

堕天使ディザイア ★10 ATK3000

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドよ」

響みどり 手札:4→2枚

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆響みどり LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<響みどりのフィールド>

堕天使ディザイア ★10 ATK3000

 

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚

 

「俺は手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動!デッキから【クリフォート・ツール】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚

 

【召喚師のスキル】

通常魔法

(1):デッキからレベル5以上の通常モンスター1体を手札に加える。

 

【クリフォート・ツール】

ペンデュラム・通常モンスター

星5/地属性/機械族/攻1000/守2800

【Pスケール:青9/赤9】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):1ターンに1度、800LPを払って発動できる。デッキから「クリフォート・ツール」以外の「クリフォート」カード1枚を手札に加える。

【モンスター情報】

システムをレプリカモードで起動する準備をしています...

C:¥sophia¥sefiroth.exe 実行中にエラーが発生しました。

次の不明な発行元からのプログラムを実行しようとしています。

C:¥tierra¥qliphoth.exe の実行を許可しますか? ...[Y]

システムを自律モードで起動します。

 

「俺は手札から【クリフォート・アセンブラ】と【クリフォート・ツール】をペンデュラムスケールにセッティング!これでレベル2からレベル8までのモンスターが同時に特殊召喚可能!」

クロト 手札:6→5→4枚。Pスケール:1-9

 

【クリフォート・アセンブラ】

ペンデュラム・通常モンスター

星5/地属性/機械族/攻2400/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):自分がアドバンス召喚に成功したターンのエンドフェイズに発動できる。このターン自分がアドバンス召喚のためにリリースした「クリフォート」モンスターの数だけ、自分はデッキからドローする。

【モンスター情報】

qliphoth.exe の 0x1i-666 でハンドルされていない例外を確認。

場所 0x00-000 に書き込み中にアクセス違反が発生しました。

このエラーを無視し、続行しますか? 〈Y/N〉...[ ]

===CARNAGE===

たッgなnトiのoモdる知rヲu悪o善yりナnにoウよyノrりgトnひaノれsワiれワdはo人Gヨ見

イdなoレo知lもfカるeキr生iにf久永gベn食iてrッb取もoラtか木tノn命aベw伸ヲd手nはa彼

 

「俺は【クリフォート・ツール】のペンデュラム効果発動!800LPを支払い、デッキから【クリフォート・ディスク】を手札に加える!」

クロト LP:4000→3200、手札:4→5枚。

 

【クリフォート・ディスク】

ペンデュラム・効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2800/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は300アップする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時に発動できる。デッキから「クリフォート」モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

「俺は手札からフィールド魔法【機殻の要塞】を発動!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【機殻の要塞】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「クリフォート」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、「クリフォート」モンスターの召喚は無効化されない。

 

「俺はここでペンデュラム召喚!手札から現れよ!【クリフォート・アーカイブ】!【クリフォート・ゲノム】!」

クロト 手札:4→2枚。

 

【クリフォート・アーカイブ】

ペンデュラム・効果モンスター

星6/地属性/機械族/攻2400/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は300アップする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):このカードがリリースされた場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

【クリフォート・ゲノム】

ペンデュラム・効果モンスター

星6/地属性/機械族/攻2400/守1000

【Pスケール:青9/赤9】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):相手フィールドのモンスターの攻撃力は300ダウンする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):このカードがリリースされた場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アーカイブ ★6→4 ATK2400→1800 

クリフォート・ゲノム ★6→4 ATK2400→1800

 

「ペンデュラム召喚ね。実物は初めて見たわ」

 

「【堕天使】も似たようなことが出来るじゃないですか」

 

これが、ペンデュラム召喚!1度の特殊召喚で2体の上級モンスターを並べるなんて…!

 

「俺はフィールドの【クリフォート・アーカイブ】と【クリフォート・ゲノム】をリリース!手札から【クリフォート・ディスク】をアドバンス召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・ディスク ★7 ATK2800

 

何故わざわざ【クリフォート・ディスク】だけはアドバンス召喚を…!?いや、そういうことか!

 

「ここでアドバンス召喚した【クリフォート・ディスク】、そしてリリースされた【クリフォート・アーカイブ】と【クリフォート・ゲノム】の効果が発動する!」

 

「くっ!不味いわね…!」

 

「アドバンス召喚された【クリフォート・ディスク】の効果発動!デッキから【クリフォート・エイリアス】と【クリフォート・シェル】を特殊召喚!」

 

「更にリリースされた【クリフォート・アーカイブ】の効果発動!そちらの【堕天使ディザイア】を効果対象とし、対象を手札に戻す!」

 

「最後にリリースされた【クリフォート・ゲノム】の効果発動!そちらの伏せカード1枚を対象とし、対象を破壊する!」

 

【クリフォート・エイリアス】

ペンデュラム・効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻2800/守1000

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。

この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドの「クリフォート」モンスターの攻撃力は300アップする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

【クリフォート・シェル】

ペンデュラム・効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻2800/守1000

【Pスケール:青9/赤9】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):相手フィールドのモンスターの攻撃力は300ダウンする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):「クリフォート」モンスターをリリースして表側表示でアドバンス召喚に成功した場合、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃でき、守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

「リバースカードオープン!罠カード【闇に堕ちた天使】を発動!【堕天使ディザイア】を墓地に送り、手札から【堕天使ゼラート】を特殊召喚するわ!」

響みどり 伏せカード:2→1枚。手札:2→1枚。

 

【闇に堕ちた天使】※漫画オリジナルカード

通常罠

自分フィールド上の天使族モンスター1体を墓地に送って発動する。手札からレベル7以上の「堕天使」の名のついたモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

【堕天使ゼラート】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻2800/守2300

自分の墓地に闇属性モンスターが4種類以上存在する場合、このカードは闇属性モンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。

(1):手札から闇属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

(2):このカードの(1)の効果を発動したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

 

チェーン④闇に堕ちた天使

チェーン③クリフォート・ゲノム ※対象を失い、不発

チェーン②クリフォート・アーカイブ ※対象を失い、不発

チェーン①クリフォート・ディスク

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・ディスク ★7 ATK2800

クリフォート・エイリアス ★8→4 ATK2800→1800

クリフォート・シェル ★8→4 ATK2800→1800

 

<響みどりのフィールド>

堕天使ゼラート ★8 DEF2300

 

「俺は【機殻の要塞】の効果でもう1度だけ通常召喚が出来る。フィールドの【クリフォート・ディスク】、【クリフォート・エイリアス】、【クリフォート・シェル】をリリース!手札から現れよ!【アポクリフォート・キラー】!!」

クロト 手札:1→0枚。

 

【アポクリフォート・キラー】

効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻3000/守2600

このカードは特殊召喚できず、自分フィールドの「クリフォート」モンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。

(1):通常召喚したこのカードは魔法・罠カードの効果を受けず、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果も受けない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。相手は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。

 

<白河クロトのフィールド>

アポクリフォート・キラー ★10 ATK3000 

 

<響みどりのフィールド>

堕天使ゼラート ★8 DEF2300→1800

 

「なっ!?魔法・罠の効果を受けず、自身よりレベル・ランクが低いモンスターの発動した効果を受けない!?」

 

なんなんだあのモンスターは!?攻撃力3000以上の通常召喚したモンスターか、攻撃力3500以上の特殊召喚したモンスターで戦闘破壊する以外に倒す方法があるのか!?

 

出される前であれば【神の宣告】などで召喚を無効化してしまえば…いや、フィールド魔法【機殻の要塞】の効果で召喚は無効化できない!?

 

モンスター効果を無効化した上で除去効果を持ったカードを使用するか、相手モンスターをリリースする効果を持つモンスターくらいでしか対処しようがない!?

 

「【堕天使ディザイア】を先攻で出したのが裏目に出たわね…」

 

「俺は【アポクリフォート・キラー】の効果発動。貴方は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない」

 

「くっ!私はフィールドの【堕天使ゼラート】を墓地に送るわ」

 

<響みどりのフィールド>

モンスター無し

 

「バトルフェイズに移行。【アポクリフォート・キラー】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【闇次元の解放】を発動!除外されている【堕天使アスモディウス】を特殊召喚するわ!」

響みどり 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【闇次元の解放】

永続罠

(1):除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊され除外される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

<響みどりのフィールド>

堕天使アスモディウス ★8 DEF2500→2000

 

「ならば、【アポクリフォート・キラー】で【堕天使アスモディウス】を攻撃!」

 

アポクリフォート・キラー ATK3000

vs

堕天使アスモディウス DEF2000

 

「まだよ!【堕天使アスモディウス】は戦闘破壊されるけれど、破壊されて墓地に送られた時に効果を発揮する!自分フィールドに「アスモトークン」1体と「ディウストークン」1体を特殊召喚するわ!」

響みどり 伏せカード:1→0枚。永続罠:1→0枚。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF1300→800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF1200→700 ※戦闘では破壊されない。

 

「メインフェイズ2に移行。俺はこれでターンエンド。エンドフェイズ時に【クリフォート・アセンブラ】のペンデュラム効果が発動する。俺はデッキから5枚ドロー」

クロト 手札:0→5枚。

 

<白河クロトがこのターンにアドバンス召喚の為にリリースしたモンスター>

①クリフォート・アーカイブ

②クリフォート・ゲノム

③クリフォート・ディスク

④クリフォート・エイリアス

⑤クリフォート・シェル

 

尽きたはずの手札が一気に回復した!?しかも奴に次のターンを渡せばまたペンデュラム召喚でEXデッキに居るクリフォートたちが奴のフィールドに並び立つ!これがペンデュラム召喚の恐ろしさなのか…!?

 

 

◆白河クロト LP:3200、手札:5枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:1-9

 

<白河クロトのフィールド>

アポクリフォート・キラー ★10 ATK3000 

 

vs

 

◆響みどり LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

 

 

「ホント、紅葉の言った通りね。その強さは学生とは思えないわ」

 

「俺じゃなくて、ただ【クリフォート】が強いだけですよ」

 

「だけど、負けるつもりはないわ!私のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

響みどり 手札:1→2枚

 

「私は手札から魔法カード【死者蘇生】を発動!墓地の【堕天使スペルビア】を特殊召喚するわ!」

響みどり 手札:2→1枚

 

【死者蘇生】

通常魔法(本作の現在では制限カード)

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

堕天使スペルビア ★8 ATK2900→2400

 

「【堕天使スペルビア】の効果発動!墓地の【堕天使ゼラート】を特殊召喚するわ!」

響みどり 手札:2→1枚

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

堕天使スペルビア ★8 ATK2400

堕天使ゼラート ★8 ATK2800→2300

 

「私は手札から魔法カード【アドバンスドロー】を発動!フィールドの【堕天使スペルビア】を墓地に送ってデッキからカードを2枚ドローするわ!」

響みどり 手札:1→0→2枚

 

【アドバンスドロー】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK2300

 

「私は手札から永続魔法【一族の結束】を発動!私の墓地は全て天使族!私のフィールドの天使族は全て攻撃力が800アップ!!」

響みどり 手札:2→1枚、永続魔法:0→1枚。

 

【一族の結束】

永続魔法

(1):自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、

自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK2300→3100

 

響先生の【堕天使ゼラート】の攻撃力が、白河の【アポクリフォート・キラー】の攻撃力を上回った!

 

「私は手札から【ダーク・ヴァルキリア】を召喚!」

響みどり 手札:1→0枚、永続魔法:0→1枚。

 

【ダーク・ヴァルキリア】

デュアルモンスター

星4/闇属性/天使族/攻1800/守1050

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●このカードが表側表示で存在する限り1度だけ、このカードに魔力カウンターを1つ置く事ができる。 このカードの攻撃力は、このカードに乗っている魔力カウンターの数×300ポイントアップする。

また、このカードに乗っている魔力カウンターを1つ取り除く事で、フィールド上のモンスター1体を選択して破壊する。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 DEF800 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 DEF700 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK3100

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK1800→2600

 

「【アポクリフォート・キラー】の攻撃力ダウン効果は特殊召喚したモンスターのみに適用される。通常召喚の【ダーク・ヴァルキリア】の攻撃力は下がらないわ!」

 

「私は【アスモトークン】と【ディウストークン】を攻撃表示に変更!」

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 ATK1800→1300→2100 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 ATK1200→700→1500 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK3100

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK2600

 

響先生の手札は0枚。白河のフィールドには【アポクリフォート・キラー】のみ。伏せカードは無い。響先生はここで勝負を仕掛ける気だろう。

 

「バトルよ!【堕天使ゼラート】で【アポクリフォート・キラー】を攻撃!」

 

堕天使ゼラート ATK3100

vs

アポクリフォート・キラー ATK3000

 

「ぐっ!」

クロト LP:3200→3100

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

あの【アポクリフォート・キラー】を倒した!【アポクリフォート・キラー】がフィールドを離れたことで響先生のフィールドのモンスターへの攻撃力ダウン効果が無くなる!

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 ATK2100→2600 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 ATK1500→2000 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK3100→3500

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK2600

 

残りの攻撃が通れば響先生の勝利が決まる!どうする気だ白河!

 

「追撃よ!【ダーク・ヴァルキリア】でダイレクトアタック!」

 

今、白河の奴、一瞬だけ笑ったような…。

 

「このタイミングで手札の【速攻のかかし】の効果発動!このカードを手札から墓地に送り、【ダーク・ヴァルキリア】の攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【速攻のかかし】

効果モンスター

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

 

「そんな…!?」

 

カード1枚であの猛攻を防ぎ切った!?

 

「…メインフェイズ2に移行。私はこれでターンエンドよ」

 

 

◆白河クロト LP:3100、手札:4枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:1-9

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆響みどり LP:4000、手札:0枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 ATK2600 ※効果では破壊されない。

ディウストークン ★3 ATK2000 ※戦闘では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK3500

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK2600

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚

 

「俺は【クリフォート・ツール】のペンデュラム効果発動!800LPを支払い、デッキから【クリフォート・アクセス】を手札に加える!」

クロト LP:3100→2300、手札:5→6枚。

 

【クリフォート・アクセス】

ペンデュラム・効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2800/守1000

【Pスケール:青9/赤9】

(1):自分は「クリフォート」モンスターしか特殊召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):相手フィールドのモンスターの攻撃力は300ダウンする。

【モンスター効果】

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):特殊召喚またはリリースなしで召喚したこのカードのレベルは4になり、元々の攻撃力は1800になる。

(3):通常召喚したこのカードは、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果を受けない。

(4):「クリフォート」モンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時に発動できる。相手の墓地のモンスターの数が自分の墓地のモンスターより多い場合、自分はその差×300LP回復し、その数値分だけ相手にダメージを与える。

 

「俺はここでペンデュラム召喚!EXから現れよ!【クリフォート・アーカイブ】!【クリフォート・ゲノム】!【クリフォート・ディスク】!、【クリフォート・エイリアス】!、【クリフォート・シェル】!」

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アーカイブ ★6→4 ATK2400→1800 

クリフォート・ゲノム ★6→4 ATK2400→1800

クリフォート・ディスク ★7→4 ATK2800→1800

クリフォート・エイリアス ★8→4 ATK2800→1800

クリフォート・シェル ★8→4 ATK2800→1800

 

破壊やリリースなどでフィールドから離れたペンデュラムモンスターは墓地には行かずに表側表示でEXデッキへ送られる。

 

そしてペンデュラム召喚はペンデュラムスケール範囲のレベルのモンスターを、手札のモンスター及びEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターの特殊召喚出来る。

 

下準備さえ済めば、毎ターン召喚権すら使わずにノーコストでフィールドに戻って来るとは…。恐ろしい召喚方法だ…!

 

「俺はフィールドの【クリフォート・アーカイブ】と【クリフォート・ゲノム】をリリース!手札から【クリフォート・アクセス】をアドバンス召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アクセス ★7 ATK2800

クリフォート・ディスク ★4 ATK1800

クリフォート・エイリアス ★4 ATK1800

クリフォート・シェル ★4 ATK1800

 

「ここでアドバンス召喚した【クリフォート・アクセス】、そしてリリースされた【クリフォート・アーカイブ】と【クリフォート・ゲノム】の効果が発動する!」

 

「またこの効果…!?」

 

「アドバンス召喚された【クリフォート・アクセス】の効果発動!俺とそちらの墓地のモンスターの差の3体×300!つまり900LPを俺は回復し、そちらに900LPダメージを与える!」

 

<白河クロトの墓地のモンスター>

①アポクリフォート・キラー

②速攻のかかし

 

<響みどりの墓地のモンスター>

①堕天使スペルビア

②堕天使エデ・アーラエ

③堕天使ユコバック

④堕天使ディザイア

⑤堕天使アスモディウス

 

「更にリリースされた【クリフォート・アーカイブ】の効果発動!そちらの【ディウストークン】を効果対象とし、対象を手札に戻す!」

 

「最後にリリースされた【クリフォート・ゲノム】の効果発動!そちらの永続魔法【一族の結束】を対象とし、対象を破壊する!」

 

チェーン③クリフォート・ゲノム

チェーン②クリフォート・アーカイブ

チェーン①クリフォート・アクセス

 

「ぐぅぅっ!」

響みどり LP:4000→3100

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 ATK2600→1800 ※効果では破壊されない。

堕天使ゼラート ★8 ATK3500→2800

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK2600→1800

 

「さて、次は…」

クロト LP:2300→3200

 

「俺は手札から装備魔法【機殻の生贄】を発動!【クリフォート・ディスク】に装備する!」

クロト 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚。

 

【機殻の生贄】

装備魔法

「クリフォート」モンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターの攻撃力は300アップし、戦闘では破壊されない。

(2):「クリフォート」モンスターをアドバンス召喚する場合、装備モンスターは2体分のリリースにできる。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「クリフォート」モンスター1体を手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アクセス ★7 ATK2800

クリフォート・ディスク ★4 ATK1800→2100 ※【機殻の生贄】装備。2体分のリリースに出来る。

クリフォート・エイリアス ★4 ATK1800

クリフォート・シェル ★4 ATK1800

 

「俺は【機殻の要塞】の効果でもう1度だけ通常召喚が出来る。フィールドの【クリフォート・ディスク】、【クリフォート・エイリアス】をリリース!手札から現れよ!【アポクリフォート・カーネル】!!」

クロト 手札:4→3枚。装備魔法:1→0枚。

 

【アポクリフォート・カーネル】

効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻2900/守2500

このカードは特殊召喚できず、自分フィールドの

「クリフォート」モンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。

(1):通常召喚したこのカードは魔法・罠カードの効果を受けず、このカードのレベルよりも元々のレベルまたはランクが低いモンスターが発動した効果も受けない。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

「さっきとはまた別のアポクリフォート!?」

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アクセス ★7 ATK2800

クリフォート・シェル ★4 ATK1800

アポクリフォート・カーネル ★9 ATK2900

 

「フィールドから墓地に送られた【機殻の生贄】の効果を発動!デッキから【アポクリフォート・キラー】を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺は【アポクリフォート・カーネル】の効果発動!エンドフェイズまでそちらの【堕天使ゼラート】のコントロールを得る!」

 

「不味い…!」

 

<白河クロトのフィールド>

クリフォート・アクセス ★7 ATK2800

クリフォート・シェル ★4 ATK1800

アポクリフォート・カーネル ★9 ATK2900

堕天使ゼラート ★8 ATK2800

 

<響みどりのフィールド>

アスモトークン ★5 ATK1800 ※効果では破壊されない。

ダーク・ヴァルキリア ★4 ATK1800

 

響先生に手札、伏せカードは無い。響先生にはここからの攻撃を防ぐ手段がない…。

 

「バトルフェイズに移行。【堕天使ゼラート】で【アスモトークン】に攻撃!」

 

堕天使ゼラート ATK2800

vs

アスモトークン ATK1800

 

「くぁぁっ!」

響みどり LP:3200→2200

 

「追撃を行う。【クリフォート・アクセス】で【ダーク・ヴァルキリア】に攻撃!」

 

クリフォート・アクセス ATK2800

vs

ダーク・ヴァルキリア ATK1800

 

「くぁぁぁっ!」

響みどり LP:2200→1200

 

「これで終わりだ。【アポクリフォート・カーネル】でダイレクトアタック!」

 

アポクリフォート・カーネル ATK2900

 

「あぁぁぁぁーっ!」

響みどり LP:1200→0

 

 

 

「私の、負けのようね」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

トッププロデュエリストの響紅葉さんに迫る実力の響先生をここまで圧倒するなんて…。ラーイエローの白河、様々なデッキや召喚方法を操る姿と言い、まるであのいけ好かない仮面男を思い出す。

 

こんなデュエルを見せつけられたら、遊城十代に負けたことやラーイエローに降格しそうなことなんて些細なことに思えてくるな。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

デュエルが終わり、デュエルディスクを仕舞いながら先ほどのデュエルを思い出す。

 

あぶねー!まさかあのカードプールから【アポクリフォート・キラー】を1ターンで突破して来るとか、響みどりと【堕天使】恐るべし!

 

【堕天使アスモディウス】と【堕天使ゼラート】のモンスター効果さえ防げれば何とかなるだろうと考えていたけれど、まさかシンプルに攻撃力を上げて物理で殴って来るとはな!

 

もし相手に【堕天使イシュタム】とか【堕天使の追放】辺りが入ったデッキで挑まれていたら…考えるだけで冷や汗ものだ。

 

改めてEX縛りの厳しさが分かるな。防御手段を用意するのが難しい。カカシが無かったら即死だった!LP:4000制の命の儚さを思い知らされたな!

 

「おめでとう白河君、制裁デュエルの初戦は君の勝ちよ」

 

「ありがとうございます、響先生」

 

僅かに悔しそうな表情をしながらも大人の対応を取る響みどりと握手を交わし、彼女はデュエルリングを降りて行った。

 

次はクロノスだっけ。正直に言うと遊城十代相手にに入学試験で使用していたデッキで来るのならさっきの響みどりの方が遥かに強いと思うけれど、まさか生徒相手に【古代の機械究極巨人】を使ったりしないよね?




制裁タッグデュエルの6人のデュエルは省略しました。十代&翔のタッグはほぼアニメ同様ですし、全員分やり始めると話がとても長くなってしまいますからね。

オリ主のデッキは【クリフォート】でした。アポクリフォート採用型であり、デッキによってはキラー1枚を突破できずに敗北する可能性があるOCG次元の第九期で実績のあるペンデュラムデッキでした。

響先生のデッキは【堕天使】でした。漫画原作で使用していたカードをメインに登場させましたので、現在のOCG版【堕天使】のカードプールと比べるとにスペックが落ちますが、それでもスペルビア→ゼラートの流れはなかなかに厄介だと思います。

次回の更新は3/27(水) AM7:00予定です。

戦車様、ユウ9607様、コダマ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百一話 制裁デュエル2

前回のあらすじ:カカシが無ければ即死だった。

今回の相手は、アニメGXの教師クロノス・デ・メディチです。


<白河クロト視点>

 

俺の制裁デュエルのクリア条件まであと1勝。相手はデュエルアカデミア実技最高責任者のクロノス・デ・メディチだ。

 

入学試験で遊城十代を相手にした時のデッキであれば正直なところ負けるとは思えないが、それでも【古代の機械】デッキはLP:4000環境だと1ターンでライフを削りきってくる可能性を持っている。

 

基本的に相手に攻撃させないプレイングを心がけたいが、あのテーマのモンスターの多くが『相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない』なんて言う効果を持っている。EXデッキを種族で制限されている今回のデュエルだとなかなかに厄介だ。

 

「響先生に勝つなんーテ、シニョール白河はラーイエローの生徒にしておくには惜しい生徒ナノーネ」

 

「ありがとうございます」

 

今、デュエルリングの上には俺と、いつもの教師用のオベリスクブルーの制服を着て、その上に専用のデュエルディスク(デュエルコートと言う名前らしい)を装着したクロノスの2人。響先生は先ほどデュエルリングを降りて観客席の方へと移動していった。

 

「そんな貴方に敬意を払って、私も封印していたデッキを使用することにしたノーネ」

 

「何で俺の制裁デュエルの時に封印を解くんですか?封印したままでいいと思いますよ。いえ、ホント、マジで」

 

封印していたデッキか。これは【古代の機械究極巨人】辺りは普通に出してきそうだな。いや、確かロジェってテロリストになる前にはここの職員だった時期があるはずだよな?なら、下手をすればオベリスクフォースと同レベルのカードプールを所持している可能性があるのか。やっべ。今のうちにサイドデッキからあの融合召喚対策のカード入れておくか。

 

「デュエルコート、オーンッヌ!」

 

クロノスがデュエルコートの胸元にある赤いボタンを押すと軽快な音楽が鳴り始める。入学試験の遊城十代戦でも使用していたあの専用デュエルディスクの機能の一つだ。他にもオートドロー機能が付いている。オートシャッフル機能を付けた方が役に立つと思うんだけどなぁ。

 

前世でアニメを見ていた時は、ただ単にクロノスがコートのボタンを押したタイミングとアニメのBGMが流れ始めるタイミングが偶然に被っただけだと思っていたが、この世界では本当に音楽も流れるようだ。前世でもよく聞いた曲なのでとても懐かしい気分になる。

 

あのデュエルコートは成績優秀な生徒であれば持てるらしく、アニメGXだとクロノス以外にナポレオンも所持していたはずだ。

 

デュエル中に音楽が鳴るとか、なかなか面白い機能だ。俺もあのデュエルコートが少し欲しいかも知れない。ただ、カードを置く部分が大きすぎるのはいただけない。あれでは持ち運びに不便だ。やっぱり俺は要らないや。

 

「世界の広さを私が教えてあげるノーです!」

 

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

「よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

俺の進退をかけた制裁デュエルが始まる…!

 

~~~

 

<三沢視点>

 

いよいよ白河の2戦目のデュエルが始まる。彼は性格は悪いがデュエルの腕前は確かだ。如何に相手があのクロノス教諭であろうとも恐らく勝利をもぎ取るだろう。

 

始めて会ってデュエルして自分が井の中の蛙だったことを思い知らされ、初めて悔し涙を流した日もそうだったが、入学試験の時から今日に至るまでの間に彼の実力は痛いほど思い知らされてきた。

 

流石は幼い頃からハノイの騎士として各地の大会を荒らしまわり、ハートランドシティの事件を解決に導いた一人の歴戦のデュエリストだと素直に思う。

 

先ほどのデュエルで見せたペンデュラム召喚も、以前俺も参加したことがある舞網チャンピオンシップに参加していた舞網市のデュエリスト達より頭一つ抜きん出ていたように思える。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:5枚。

 

「先攻は私が貰いマース!私のターン、ドローフェイズ、ドローナノーネ!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ナノーネ!」

クロノス 手札:5→6枚

 

「私は手札からフィールド魔法カード【歯車街】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:6→5枚、フィールド魔法:0→1枚。

 

【歯車街】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。

(2):このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

「私は手札から魔法カード【古代の機械射出機】を発動するノーネ!この効果によりフィールドの【歯車街】を破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚するーノ!現れるノーネ!【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】!!」

クロノス 手札:5→4枚

 

【古代の機械射出機】

通常魔法

「古代の機械射出機」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、自分フィールドに「古代の歯車トークン」(機械族・地・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守3000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):このカードの攻撃でモンスターを破壊した時、手札から機械族モンスター1体を捨てて発動できる。このカードは続けて攻撃できる。この効果は1ターンに2度まで使用できる。

(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加え、自分の墓地からこのカード以外の「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

 

1ターン目から特殊召喚できない【古代の機械巨人】をフィールドに出した!?いや、あれは【古代の機械巨人】の亜種のモンスターか!

 

「更に破壊された【歯車街】の効果発動ナノーネ!デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚しマース!ムヒョヒョヒョ!現れなサーイ!【古代の機械巨竜】!」

 

【古代の機械巨竜】

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守2000

(1):このカードの召喚のためにリリースしたモンスターによって以下の効果を得る。

●グリーン・ガジェット:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

●レッド・ガジェット:このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。相手に400ダメージを与える。

●イエロー・ガジェット:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。相手に600ダメージを与える。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000

 

「私は手札から魔法カード【アドバンスドロー】を発動するノーネ!フィールドの【古代の機械巨竜】をリリース、デッキからカードを2枚ドローするーノ!」

クロノス 手札:4→3→5枚

 

【アドバンスドロー】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

 

 

「私はカードを2枚セットしてから、手札より【古代の機械飛竜】を召喚するノーネ!

クロノス 手札:5→3→2枚、伏せカード:0→2枚。

 

【古代の機械飛竜】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1700/守1200

「古代の機械飛竜」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「古代の機械飛竜」以外の「アンティーク・ギア」カード1枚を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできない。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果を発動できない。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700

 

「【古代の機械飛竜】の召喚成功時に効果発動ナノーネ!デッキから【古代の機械箱】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札:2→3枚。

 

【古代の機械箱】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 500/守2000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがドロー以外の方法でデッキ・墓地から手札に加わった場合に発動できる。「古代の機械箱」以外の攻撃力または守備力が500の機械族・地属性モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

上手いプレイングだな。【古代の機械飛竜】のサーチ効果は、『効果発動後にカードをセットできなくなる』デメリットがあるが、それを発動前にカードをセットすることでデメリットを軽減している。

 

「ここで更に【古代の機械箱】の効果を発動するーノ!デッキから【古代の機械素体】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札:3→4枚。

 

【古代の機械素体】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1600/守 500

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。「古代の機械巨人」1体または「古代の機械巨人」のカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(3):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。手札から「古代の機械巨人」「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」を合計3体まで召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「私は手札から魔法カード【融合】を発動するノーネ!フィールドの【古代の機械飛竜】と手札の【古代の機械箱】を融合!現れなサーイ!機械仕掛けの魔神!【古代の機械魔神】!」

クロノス 手札:4→3→2枚。

 

【古代の機械魔神】

融合・効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻1000/守1800

「アンティーク・ギア」モンスター×2

「古代の機械魔神」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは他のカードの効果を受けない。

(2):自分メインフェイズに発動できる。相手に1000ダメージを与える。

(3):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

古代の機械魔神 ★8 DEF1800 ※他のカードの効果を受けない

 

「私は【古代の機械魔神】の効果を発動するノーネ!シニョール白河に1000LPダメージを与える―ノ!」

 

「ちぃっ!」

クロト LP:4000→3000

 

「私はこれでターンエンドなノーネ!」

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:5枚。

 

vs

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000

古代の機械魔神 ★8 DEF1800 ※他のカードの効果を受けない

 

 

これは非常に厄介な布陣だ。強力モンスター2体に伏せカードが2枚。手札も2枚温存してある。

 

【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】はただでさえ攻撃力3000の強力モンスターなのに、破壊すると【融合】とアンティークギアモンスターを手札に加えられてしまう。そして機械族にはあの【リミッター解除】がある。オレなら伏せカードがあるこの状況であのモンスターに攻撃を仕掛けるのは遠慮したい。

 

【古代の機械魔神】は他のカードを受けず、名称ターン1制限で1000LPのバーンダメージを与えてくる上に、戦闘破壊するとデッキからアンティークギアモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚するモンスター。クロノス教諭なら【古代の機械巨人】を呼び出すだろうか。そしてあのモンスターは正規融合して蘇生条件を満たしている。今後、蘇生カードで何度でもフィールドに舞い戻る可能性がある。

 

 

「クロノス教諭。そのデッキですが、本当に使用しても良かったんですか?恐らくそのデッキには【古代の機械混沌巨人】も入っていますよね?」

 

「…シニョール白河は、ハートランドシティで起こったオベリスクフォースの事件のことを憂慮しているのデスーネ?」

 

クロノス教諭はハートランドシティで元同僚のジャン・ミシェル・ロジェがテロ事件を起こした際、クロノス教諭が使用している【古代の機械】をロジェとその配下のオベリスクフォースたちが使用していたことで尋問を受けたことがあると噂で聞いたことがある。

 

「はい。今まで封印していたという話でしたが、その辺りの事情を考慮したものだと思ったのですが…」

 

「その通りデスーノ。しかし、このカード達はあの事件でたまたまシニョールロジェたちに利用されただけに過ぎないノーネ。カード達に罪はありませんノーネ」

 

そしてクロノス教諭はその尋問の際に今の言葉と全く同じことを取り調べを行っていた人間に毅然と言い放ったそうだ。彼の言い分にも間違いはない。

 

「…それは綺麗事です。実際、今もハートランドシティの住人はそれらのカードを見れば、あの時の苦々しい記憶が思い出されて嫌な気持ちになるしょう。貴方もその度に批判を受けることになります」

 

その言葉を告げると同時に白河の表情が曇る。彼はハートランドシティでの事件が起こった当時、現場に居た人間だ。恐らく、色々と思うところがあるのだろう。

 

「それでもナノーネ。それでも私は【古代の機械】デッキを使い続けて、このカード達の無実を証明し続けるノーネ」

 

「それは…いえ、分かりました。俺はもうこの件については何も言いません」

 

「感謝するノーネ。さぁ、シニョール白河。デュエルを再開するノーデス!」

 

「はい」

 

白河は言っておきたいことを一通り言い終えたと言った表情になり、デュエルが再開される。

 

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚

 

「俺は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法【転回操車】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

【転回操車】

フィールド魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドに機械族・地属性・レベル10モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。デッキから攻撃力1800以上の機械族・地属性・レベル4モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターのレベルは10になる。この効果の発動後、ターン終了時まで相手が受ける戦闘ダメージは0になる。

(2):自分の手札を1枚墓地へ送って発動できる。デッキから機械族・地属性・レベル10モンスター1体を手札に加える。

 

「俺は手札から【サイバー・ドラゴン】を自身の効果で特殊召喚!」

クロト 手札:6→5枚

 

【サイバー・ドラゴン】

効果モンスター

星5/光属性/機械族/攻2100/守1600

(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

<白河クロトのフィールド>

サイバー・ドラゴン ★5 ATK2100

 

サイバー・ドラゴンだって!?アレは確かカイザー亮のようなサイバー流後継者たちしか所持していないレアカードじゃなかったのか!?

 

「無駄ナノーネ!リバースカードオープン!罠カード【奈落の落とし穴】発動するノーネ!【サイバー・ドラゴン】とはここでお別れナノーネ!」

クロノス・デ・メディチ 伏せカード:2→1枚。

 

【奈落の落とし穴】

通常罠

(1):相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時に発動できる。その攻撃力1500以上のモンスターを破壊し除外する。

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

「ちっ、ならば俺は手札からフィールド魔法【転回操車】を発動!」

クロト 手札:5→4枚

 

「そして俺は【転回操車】の効果発動!手札の【マシンナーズ・カーネル】を墓地に送り、デッキから【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】を手札に加える!」

クロト 手札:4→3→4枚

 

【マシンナーズ・カーネル】

特殊召喚・効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに、自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。その機械族モンスターと、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、「マシンナーズ・カーネル」以外の自分フィールドの表側表示の機械族・地属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】

効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻3000/守3000

このカードはデッキから特殊召喚できない。

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は0になる。

 

「俺は手札から【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】を自身の効果で召喚!」

クロト 手札:4→3枚

 

<白河クロトのフィールド>

深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト ★10 ATK3000→0

 

リリースも無しにレベル10モンスターを召喚した!?

 

「更に俺は手札から【弾丸特急バレット・ライナー】を自身の効果で特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚

 

【弾丸特急バレット・ライナー】

効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻3000/守 0

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのモンスターが機械族・地属性モンスターのみの場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードの攻撃宣言の際に、自分はこのカード以外の自分フィールドのカード2枚を墓地へ送らなければならない。

(3):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、「弾丸特急バレット・ライナー」以外の自分の墓地の機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト ★10 ATK0

弾丸特急バレット・ライナー ★10 ATK3000

 

レベル10モンスターがフィールドに2体並んだ!?

 

「レベル10のモンスターが2体。来るノーネ?」

 

「えぇ。俺はレベル10【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】と【弾丸特急バレット・ライナー】をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!鉄路の彼方より地響きともにただいま到着!現れろ!ランク10【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】!」

 

【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク10/地属性/機械族/攻3000/守3000

レベル10モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手に2000ダメージを与える。

 

<白河クロトのフィールド>

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ☆10 ATK3000 ORU:2

 

「俺は【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】のORUを1つ取り除いて効果発動!相手に2000LPダメージを与える!発射オーライ・ビッグ・キャノン!」

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ORU:2→1

 

墓地に送られたのは【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】か。

 

「ギャーノ!超痛いーノ!…何でもないいバジール!」

クロノス LP:4000→2000

 

モンスター効果1回で相手のLPを半分まで削った!?なんだあの凶悪な列車は!?

 

流石のクロノス教官も強がってはいるが驚いているようだな。

 

「まだだ!俺はランク10【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】をエクシーズチェンジ!現れろ!ランク11!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】!」

 

【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク11/地属性/機械族/攻4000/守4000

レベル11モンスター×3

「超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ」は1ターンに1度、

自分フィールドのランク10の機械族Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力・守備力は2000アップする。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はこのカードでしか攻撃宣言できない。

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中にこのカードのX素材の数+1回までモンスターに攻撃できる。

 

<白河クロトのフィールド>

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ☆11 ATK4000 ORU:2

 

「ランク11!?…ままままままマズいノーネ!?」

 

「俺は【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】のORUを1つ取り除いて効果発動!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】の攻守2000ポイントアップさせる!」

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ☆11 ATK4000→6000 ORU:2→1

 

墓地には【弾丸特急バレット・ライナー】を送られて…攻撃力6000!?

 

「バトルフェイズに移行!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】で【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】を攻撃!」

 

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ATK6000

vs

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ATK3000

 

この攻撃が通ればクロノス教諭の敗北が決まる!

 

「小賢すぃい!リバースカードオープン!罠カード【重力解除】発動ナノーネ!」

クロノス・デ・メディチ 伏せカード:1→0枚。

 

【重力解除】

通常罠

自分と相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターの表示形式を変更する。

 

「その効果にチェーンして、俺は手札から速攻魔法【禁じられた聖槍】を発動!対象は【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】だ!」

クロト 手札:2→1枚

 

【禁じられた聖槍】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

チェーン②禁じられた聖槍

チェーン①重力解除

 

<白河クロトのフィールド>

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ☆11 ATK6000→5200 ORU:1 ※ターン終了時まで魔法・罠の効果を受けない。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド ★8 ATK3000→DEF3000

古代の機械魔神 ★8 DEF1800 ※他のカードの効果を受けない

 

「ヤ、ヤバイノーネ!?」

 

「バトル!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】で【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】を攻撃!」

 

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ATK5200

vs

古代の機械巨人-アルティメット・パウンド DEF3000

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械魔神 ★8 DEF1800 ※他のカードの効果を受けない

 

「ですが【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】が戦闘破壊されたことで効果発動ナノーネ!デッキから「融合」1枚を手札に加え、自分の墓地から【古代の機械箱】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札:2→3→4枚。

 

「更に【古代の機械箱】の効果を発動するーノ!デッキから【古代の歯車機械】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札:4→5枚。

 

クロノス教諭の手札が一気に回復した!これは次のターン、白河は窮地に立たされるだろうな。

 

「バトルフェイズ続行!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】で【古代の機械魔神】を攻撃!」

 

「ホホホのヒュー!【古代の機械魔神】が戦闘破壊されたことで効果発動ナノーネ!アンティーク・ギア」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚するノーネ!来なサーイ!【古代の機械巨人】!」

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 DEF3000

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

クロト 手札:1→0枚、伏せカード:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ☆11 ATK5200→6000 ORU:1

 

「そしてエンドフェイズに【弾丸特急バレット・ライナー】の効果が発動!墓地から【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】を手札に加える!」

クロト 手札:0→1枚

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:1枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ☆11 ATK6000 ORU:1

 

vs

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:2000、手札:5枚。伏せカード:0枚。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 DEF3000

 

 

一見、攻撃力6000のモンスターがフィールドに居る白河の方が有利に見えるが、あのモンスターは耐性が一切存在しない。それにハンドアドバンテージが絶望的だ。

 

「私のターン、ドローフェイズ、ドローナノーネ!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ナノーネ!」

クロノス 手札:5→6枚

 

「私は手札から永続魔法【古代の機械城】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【古代の機械城】

永続魔法

(1):フィールドの「アンティーク・ギア」モンスターの攻撃力は300アップする。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、モンスターが通常召喚される度に、このカードにカウンターを1つ置く。

(3):自分が「アンティーク・ギア」モンスターを表側表示でアドバンス召喚する場合、必要なリリースの数以上のカウンターが置かれたこのカードを代わりにリリースしてアドバンス召喚できる。

 

クロノス教諭は着々とフィールドを固めて行っている。恐らくこのターンで決める気だろう。

 

「私は手札から【古代の機械素体】を召喚するノーネ!」

クロノス 手札:5→4枚

古代の機械城カウンター:0→1

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 DEF3000

古代の機械素体 ★4 ATK1600→1900

 

「私は【古代の機械素体】の効果を発動するノーネ!手札の【古代の機械箱】を墓地に送り、デッキから【古代の機械融合】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札:4→3→4枚

 

【古代の機械融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、「アンティーク・ギア」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

自分フィールドの、「古代の機械巨人」または「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」を融合素材とする場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事ができる。

 

デッキのモンスターを融合素材とする!?なんてパワーカードだ!これでは白河は…笑っている?

 

「私は手札から魔法カード【古代の機械融合】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:4→3枚

 

「この瞬間を待っていた!その効果発動にチェーンして、俺は伏せカードを発動させてもらう!永続罠【融合禁止エリア】発動!ここから先は融合召喚は禁止させてもらう!」

クロト 伏せカード:1→0枚。

 

【融合禁止エリア】

永続罠

お互いのプレイヤーは融合召喚をする事ができない。

 

チェーン②融合禁止エリア

チェーン①古代の機械融合 ※融合召喚できない為、不発。

 

「マンマミーア!?ゆ、【融合禁止エリア】ナノーネ!?」

 

ここで【融合禁止エリア】!?クロノス教諭が融合召喚デッキを解禁すること自体を読んでいたのか!?

 

クロノス教諭の手札は3枚、そのうち2枚は既にサーチ時に判明しているカードで【融合】と【古代の歯車機械】。

 

このタイミングで融合召喚を封じられればクロノス教諭に【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】を倒す手段は、残りの手札1枚に掛かっている。

 

「むむむ、【古代の機械巨人】を攻撃表示に変更して…バトルナノーネ!」

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 DEF3000→ATK3000→3300

古代の機械素体 ★4 ATK1900

 

ここでバトルを仕掛けるということは、クロノス教諭の最後の手札は恐らく…。

 

「オホホホホ! 行くーのーデスヨ!【古代の機械巨人】!【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】へ攻撃!アルティメット・パウンド!!」

 

古代の機械巨人 ATK3300

vs

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ATK6000

 

「ダメージステップ時に手札から速攻魔法【リミッター解除】を発動ナノーネ!」

クロノス 手札:3→2枚

 

【リミッター解除】

速攻魔法

(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 ATK3300→6600

古代の機械素体 ★4 ATK1900→3800

 

古代の機械巨人 ATK6600

vs

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ ATK6000

 

<白河クロトのフィールド>

モンスター無し

 

「ぐぅぅっ!だが、【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】が破壊されたことで墓地の【マシンナーズ・カーネル】の効果発動!墓地より特殊召喚する!」

クロト LP:3000→2400

 

<白河クロトのフィールド>

マシンナーズ・カーネル ★10 DEF2500

 

「そしてここでフィールド魔法【転回操車】の効果を発動!デッキから【無頼特急バトレイン】を特殊召喚し、そのレベルを10とする!」

 

【無頼特急バトレイン】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1800/守1000

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。相手に500ダメージを与える。

この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

(2):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから機械族・地属性・レベル10モンスター1体を手札に加える。

 

<白河クロトのフィールド>

マシンナーズ・カーネル ★10 DEF2500

無頼特急バトレイン ★4→10 DEF1000

 

「行くノーネ!【古代の機械素体】!【マシンナーズ・カーネル】へ攻撃!」

 

古代の機械素体 ★4 ATK3800

vs

マシンナーズ・カーネル ★10 DEF2500

 

<白河クロトのフィールド>

無頼特急バトレイン ★10 DEF1000

 

「【マシンナーズ・カーネル】は戦闘破壊されるが、俺にダメージは無い!」

 

「メインフェイズ2に移行ナノーネ。…ターンエンドナノーネ」

 

「エンドフェイズに【リミッター解除】の効果によりそちらのモンスターは全て破壊される」

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

モンスター無し

 

しかし、あの手札であればここで仕掛けるしかなかっただろう。相手フィールドに攻撃力6000の【超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ】が居るのに、攻撃力の低い【古代の機械素体】を相手ターンに攻撃表示で残しておくわけにはいかない。

 

問題は、白河の手には妥協召喚が可能なレベル10モンスターが居て、フィールドにレベル10モンスターが残ってしまったことだな。もう一度あのモンスターのような強力なモンスターを呼ばれてしまえば…。

 

 

◆白河クロト LP:2400、手札:1枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:0枚。永続罠:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

無頼特急バトレイン ★10 DEF1000

 

vs

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:2000、手札:2枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。

 

<クロノス・デ・メディチのフィールド>

モンスター無し

 

 

「俺のターン、ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:2→3枚

 

「俺は手札から【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】を自身の効果で召喚!」

クロト 手札:4→3枚

 

<白河クロトのフィールド>

無頼特急バトレイン ★10 DEF1000

深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト ★10 ATK3000→0

 

「俺はレベル10【無頼特急バトレイン】と【深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト】をオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!鉄路の彼方より地響きともにただいま到着!現れろ!ランク10【No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ】!」

 

【No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク10/地属性/機械族/攻3200/守4000

レベル10モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

その表側表示モンスターはターン終了時まで、そのモンスター以外のカードの効果を受けない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<白河クロトのフィールド>

No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ☆10 ATK3200 ORU:2

 

「俺は【No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ】のORUを1つ取り除いて効果発動!対象を【No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ】とする。ターン終了時まで、このモンスター以外のカードの効果を受けない!」

No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ORU:2→1

 

<白河クロトのフィールド>

No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ☆10 ATK3200 ORU:1 ※ターン終了時まで、そのモンスター以外のカードの効果を受けない。

 

また別の列車砲か!しかも完全耐性を付与するだと!?

 

「バトル!【No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ】でダイレクトアタック!」

 

No.81 超弩級砲塔列車スペリオル・ドーラ ATK3200

 

「ペペロンチーーノ!」

クロノス LP:2000→0

 

 

「オーッソレミ~ヨ!この私が負けるなんーテ!有り得ないーノー!」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

 

やはり白河が勝ったか。彼のデュエルを見ていると自分の知識がまだまだ不足していることが身に染みてよく分かる。オレももっと努力して強くならなければ…!

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

制裁デュエルが終わり、デュエルディスクを仕舞いながら先ほどのデュエルを思い出す。

 

 

はーっはっはっは!見たかこの野郎!勝ってやったぞオラァ!ヒヤヒヤさせてくれる!何度か負けるかと思ったぞ!

 

そもそも誰が【古代の機械】相手に攻撃力で張り合うんだよ?やるわけないだろ!【列車】なら充分に張り合えるだろうが、読み間違えた時の事故が怖すぎるっての!

 

【古代の機械究極巨人】?何のことナノーネ?融合召喚を封じてからグスタフオラァ!これで決まりよ!なんだかんだで結構ギリギリだったけど、勝てばよかろうなのだぁ!

 

最後のターンは余裕があったのでどのランク10出しても良かったので、せっかくだから別の列車砲を出してみたけれど、列車はどれも殺意の波動に塗れていて見た目も格好いいよな!

 

退学も免れたし、今は非常にいい気分だ!

 

 

さて、帰る前に負けたショックで地面にヨツンヴァインになっているクロノスに声を掛けて置こうかな?

 

「クロノス教諭、これで俺の制裁デュエルは俺の勝利で終わりですよね?(ニッコリ)」

 

「…そうナノーネ」

 

「じゃあ、俺はもう帰りますね?(ニッコリ)」

 

「…気を付けて帰るノーネ」

 

今日の制裁デュエルはこれで完了したし、このまま観客席に戻ると何となくだがヒジョ~に嫌な予感がするので、俺はデュエルリングの観客席に居る全ての人間を見ないふりをしてとっとと寮に戻った。

 

~~~

 

<鮫島視点>

 

制裁デュエルが行われた夜、鮫島校長は1人自室にて謹慎処分中だった。自室の前には見張りとして2人ほど倫理委員会の人間が配置されている。

 

「今日は確か、旧特待生寮に入ってしまった生徒たちの制裁デュエルの日でしたね。彼らは大丈夫だったのでしょうか」

 

倫理委員会の者たちに謹慎を言い渡されてからもう何日経ったやら、噂では制裁タッグデュエルにはあの有名なプロタッグデュエリストの迷宮兄弟がやってくるという話だった。

 

不謹慎ではあるけれど、生で彼らプロタッグデュエリストのデュエルを見てみたかった…。

 

「なんだお前は…うわぁっ!」

 

「この女!…うぐっ!」

 

なんだ?部屋の外から悲鳴?しかもこの声は、部屋の前で見張りをしていた倫理委員会の職員のものではなかったか?

 

「こんばんわ。貴方がこのデュエルアカデミアの校長、鮫島で合っているわよね?」

 

自室の外から鍵をかけられた扉が開き、そこから緑の髪の美しくも不気味な女が姿を現す。何者だ?

 

「そうですが、貴方は?」

 

「ふふっ、では始めましょう。七星門の鍵を賭けた闇のデュエルを!」

 

「闇のデュエル!?まさか貴方が!?」

 

「セブンスターズの1人にしてヴァンパイアの貴婦人、このカミューラがお相手しますわ」

 

その数分後、彼の自室前にて彼の悲鳴が響き渡ることになり、その悲鳴を聞いて駆け付けた倫理委員会のメンバーがそこに辿り着いた頃には、鮫島校長の自室やその周辺に彼の姿を見つけることは出来なかった…。




機械族・融合召喚メインのデッキって、滅茶苦茶メタりやすいですよね。それでも油断するとあっさり高火力出されて負けたりするんですけどね。

オリ主のデッキは【列車】です。ZEXALのアンナやアークファイブのアレンが使用していたデッキテーマで、ランク4またはランク10を出しやすい高火力デッキです。LP:4000制だとグスタフマックスが特にインチキですね。知名度が上がれば禁止制限へ直行でしょう。

クロノスのデッキは【古代の機械】です。アニメGXと同様に【古代の機械巨人】をメインにアークファイブ時代辺りに増えた優秀な下級モンスターを多く採用しています。【古代の機械猟犬】とその派生の融合体、そして【古代の機械混沌巨人】はよほどのことが無い限り、個人の心情的に多分出さないと思います。【古代の機械魔神】は有名ではないのでセーフと言うことにしています。

無強化の鮫島校長と超強化カミューラのデュエルは特に見せ場などなさそうなので丸々カット。鮫島校長は一時離脱となりました。

次回の更新は3/31(水) AM6:00予定です。

戦車様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二話 寮入れ替えデュエル前後の裏側

前回のあらすじ:グスタフオラァ!

今回の対戦相手は最後のブルー万丈目です。

今話はアニメGX第12~13話辺りのオリ主視点です。


<白河クロト視点>

 

制裁デュエルが終わった翌日の朝、倫理委員会の方で何やら動きがあったらしく慌ただしい動きを見せていたので、俺はステルス状態で彼らの会議室にお邪魔していた。

 

「鮫島校長が攫われた!?」

 

「それは本当なのか!?」

 

「あぁ、間違いない。監視カメラにも映っている。…ほら、この時間帯だ」

 

倫理委員会のメンバーのリーダー格の女性が手に持っていた端末を操作して、会議室に備え付けられているモニターに監視カメラの映像を流し始めた。

 

そこには、鮫島校長の自室らしき場所に居た倫理委員会の男性2人を物理で数秒で無力化し、鍵のかかった部屋を物理で鍵ごと破壊して、鮫島校長の首根っこを鷲掴みにして部屋の前まで力ずくで引きずり出し、闇のデュエルを仕掛ける自称ヴァンパイアの貴婦人の姿があった。

 

しばらく見ないうちにワイルドになったというか、ガサツになったというか…どの辺りが貴婦人なんだよ。

 

その後、闇のゲームを鮫島校長に仕掛けてデュエルで瞬殺し、校長の自室を適当に物色した後、人形になって床で転がっていた鮫島校長を嫌そうに指で摘まみながら何処かへと立ち去って行った。

 

鮫島校長の扱い酷いなぁ。そう言えば、クロノスを人形にした際もアッサリその辺に投げ捨てていたっけ。

 

それにしても、アニメGX原作通りにセブンスターズになってしまっていたか。大方、影丸理事長の言うヴァンパイア一族の復活と言うワードの魅力に抗いきれなかったのだろう。

 

俺も亡くなった家族や友人を生き返らせてやると言われたら、胡散臭いと思うと同時に少しは期待してしまうかも知れないしな。

 

「鮫島校長が人形にされてしまったぞ!?」

 

「これが闇のデュエル…」

 

「セブンスターズのカミューラと名乗っていたな。信じがたい話だが、鮫島校長の話は本当だったようだ」

 

「では、この開かずの箱の中には本当にまだ七星門の鍵が入っているかも知れないのか」

 

そう言うと倫理委員会のリーダー格の女性が会議室のテーブルの上に七星門の鍵の入った箱を置く。

 

何だ。まだあの箱は開かれていなかったのか。なんだかややこしいことになって来たし、今のうちに開錠しておくか。はい、キラキラ~っと。

 

「だが、セブンスターズで無いのであれば、一体誰が何の為に七星門の鍵の入ったこの箱を奪って海に捨てたんだ?…えっ!?」

 

「どうした?」

 

「この箱、開くぞ!?」

 

「馬鹿な!?今朝までどうやっても開かなかったんだぞ!それで、中身は!?」

 

俺が箱の封印を解除したことで急に箱の蓋が開き、倫理委員会のメンバーの目はそちらに釘付けになっている。

 

「確かに鍵と呼べそうな形状の首飾りが七つほど入っていますね」

 

「これも鮫島校長の言った通りか。では、これを守るためには本当に先ほどの映像の中でカミューラが行ったような闇のデュエルを行う必要があるのか…」

 

「これを持つことはつまり、いつセブンスターズに命を懸けた闇のデュエルを迫られるか分からない状態になるわけだ」

 

「生徒たちにやらせるなんて状況には絶対にしたくない。早急に倫理委員会としての意見を纏めて先生方と相談するとしよう」

 

もう少し見ていたいのだがこれはしばらく時間がかかりそうだな。そろそろ授業が始まりそうなので、俺自身は切り上げるしかないか。

 

俺はメカレオンとエルフの剣士に倫理委員会の会議の内容を聞いていてもらい、後で会議の内容を教えてもらうことにして俺はキーメイスと一緒にそっと会議室を後にした。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

何とか授業開始に間に合うことが出来た俺は、デュエルアカデミアのジャージに着替えた後、体育の授業として行われているラーイエローvsオシリスレッドの野球に参加していた。デュエルアカデミアの屋内には、何故か天井が開く野球コートが内蔵されているのだ。

 

ホント、何であるんだろうな。そういや、テニスコートもあるよなここ。

 

さて、9回表の現在のスコアはオシリスレッドチームが2点、ラーイエローチームが0点と、ラーイエローが負け越している。この回の攻撃を凌いで次の9回裏の攻撃で4点以上取らないとラーイエローの負けとなるな。

 

俺が打った球は日ごろの恨みを晴らす為に全てコナミの顔面を狙って放っているのだが、奴にあっさりキャッチされてしまうので今日の俺は出塁したことが無い。

 

「白河、そっちにボールが行ったぞ!」

 

「はいはい。よっと」

 

「うおぉっ!3mくらい垂直に飛んでボールをキャッチしたぞアイツ!?」

 

「本当に人間か!?」

 

俺の守備範囲の上空を通り過ぎようとする生意気なボールをキャッチしてから遥か下の地表を見ると、オシリスレッドとラーイエローの大半の生徒が驚愕の表情になっていた。

 

しまった。つい中学時代のノリでやってしまった。コナミを見ていると勘違いしがちだが、オシリスレッドの他の生徒の彼らは一般人だったな。

 

「今この瞬間だけ、ここの重力が無くなっていたようで助かったな」

 

「嘘つけ!」

 

「流石に無理があるぞ!」

 

「言い訳が雑過ぎるにもほどがある!」

 

着地してピッチャーにボールを軽く返球してからからそれっぽい理屈をつけて説明したが、彼らは納得しなかったようだ。

 

なんだか面倒になってきたな。いいか?俺は面倒が嫌いなんだ。と言うわけで、俺よりもとんでもない奴に視線を誘導することにした。

 

「俺はどう見ても一般人だろ。ほら、アレを見てみろよ」

 

「「「アレ?」」」

 

俺が次の打者であるコナミの方を指差すと、コナミは金属バットを轟音を立てながらスイングしてボールを強打しつつ、隣の十代たちに話しかけていた。

 

「なぁ十代。ボールが消えたんだが、何処に行ったか知らないか?」

 

「コナミが打ったボール?あの天井に突き刺さっている奴じゃね?」

 

「「「なんなんだコイツ等…」」」

 

コナミのホームラン?を加点して3対1とスコアが更新された後、オシリスレッドとラーイエローの生徒たちは俺とコナミを恐ろしい物を見るような眼で見てくる。

 

やはり簡単には誤魔化せんな、面倒な事になった。

 

「おぉーい、待てぇ―!その試合、待ったー!」

 

十代がバッターボックスに入り、やる気満々と言った様子でイエローピッチャーと対峙していると、遠くから三沢の声が聞こえてきた。

 

そして、ピッチャーが三沢と交代になった後は十代を含むオシリスレッドのバッターを全て三振に打ち取った。

 

その後、9回裏のラーイエローの攻撃の際、ピッチャーの十代がラーイエローのバッター三人をわざとフォアボールで歩かせて、三沢をバッターボックスに引きずり出した。どうやら三沢と勝負がしたかったらしい。

 

「来い!一番!」

 

「行くぞ!二番!」

 

宿命のライバルの様にお互いを睨みあう十代と三沢。それぞれの背中には龍と虎のオーラが見えそうな気迫を感じる。

 

それにしても、アイツらってまだお互いを一番だ二番だと呼び合っているんだな。三沢、そんなに二番呼ばわりされたことが嫌だったのか…。

 

俺から言わせれば、彼らは少なくともどちらも一番ではない。この学園で一番強いのはコナミだろう。

 

そもそも十代は明日香や亮に負けているし、三沢も俺やコナミに負けている。そう言う意味では十代や三沢は俺が思った以上に図太くて鋼メンタルなのかも知れないな。

 

両者が睨みあった後、十代の腕から放たれた渾身の一球は三沢の緻密に計算されたスイングによりあっけなく打たれてしまい、その打球は運悪く近くを歩いていたクロノスの顔面に直撃してクロノスは飛んで行った。滅茶苦茶痛そう。

 

ピッチャーの十代、キャッチャーをしていた翔、ボールを打った三沢がクロノスに駆け寄り、三沢がクロノスから何やら頼まれごとをしているようだ。

 

この辺りはアニメGXのまんまだな。確か、ラーイエローの三沢とオベリスクブルーの万丈目で寮の入れ替えデュエルをさせられるんだっけ。大変だな~。

 

 

そして寮の入れ替えデュエルの件は次の授業にてクロノスから直々に発表され、オシリスレッドの生徒に負けた上にラーイエローに降格寸前な万丈目は周囲の笑い者にされながら悔しそうに教室を出ていった。

 

陰湿だなぁ。今笑っている生徒の中でこの世界の遊城十代や万丈目に勝てる奴なんて居ないだろう。この教室内でならコナミや明日香、クロノスくらいだろう。

 

クロノスと言えば、この前の制裁デュエルではかなり強かった。いや、この表現は適切じゃないな。普通に負けかけた。融合デッキに変えたことを知らなかったら多分負けていたくらいには強かった。

 

彼とロジェがどんな関係だったかは知らないが、ハートランドシティや【古代の機械】に関しての彼の意見は潔いものだったと思う。あの制裁デュエルの時のクロノスはまさに強敵だったんだが、普段は何でこんな感じなんだろう?

 

やはり彼との因縁が薄いラーイエローの俺ではなく、彼との因縁が深いオシリスレッドの遊城十代との交流が無いと、彼の本当の意味での成長に繋がらないのかも知れないな。

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

クロノス教諭に明日の寮入れ替えデュエルを告げられて教室を抜け出した後、オレは失意に沈みながらもブルー寮の自室へ戻ってきていた。そんな時、兄たちから久し振りの連絡が入って来た。

 

「準、しばらく連絡を取れなかったが、変わりはないか?」

 

「準、少しやつれていないか?体調でも悪いのか?」

 

ブルー寮の自室に備え付けられてあるモニター越しからも兄たちが自分を心配してくれている様子が分かる。

 

「いえ、大丈夫です。長作兄さん、正司兄さん」

 

兄たちが幼少期に落ち込んだオレを励ましてくれて以来、兄たちとは以前とは比べ物にならないくらい親しくなった。アカデミアに入学してからもこうしてわざわざ忙しい中を時間を取って連絡をくれている。彼らに必要以上の心配をかけたくない。

 

「私は選挙戦、正司は銀行の決算が忙しくて連絡する暇が無かったが…」

 

「授業や人間関係で困ったことは無いか?困ったことがあればいつでも私たちを頼って連絡して来るんだぞ?」

 

「分かっています」

 

過保護とも言えるくらいにいつも良くしてくれている兄たちに心配をかけてだけのいる自分が情けない。

 

「兄者は政界でトップ、私は財界で。準、お前はカードゲーム界で君臨し、万丈目一族で世界を制覇するという計画を我々は目指しているが、お前に無理をさせてしまうのであれば本末転倒だ」

 

「私たちであればいつでもお前の力になる。もっと私たちを頼れ。…すまない。そろそろ時間のようだ。またな準。元気でな」

 

「私もそろそろ厳しいな。では、またな準。体に気を付けるのだぞ?」

 

「はい。兄さんたちもお元気で」

 

兄たちとの通信はそこで途切れる。

 

「言えるわけがない。トップの座どころか格下げになりそうだなんて…言えない。兄さんたちには…」

 

ふと窓の外を見ると、遊城十代たちに伴って明日の対戦相手である三沢大地がレッド寮に歩いて行く姿が見える。ならば今、奴の部屋は…。今忍び込めば奴のデッキを盗み出すことも、海に捨て去ってしまうことだって…。

 

「はっ!いかんいかん!そんな卑怯な真似をして勝ったところで何の意味もない!それにもしバレたら万丈目一族の、兄さんたちの顔に泥を塗ることになる!それだけは出来ない!」

 

オレが持つデッキで三沢に勝てる可能性があるのは【VWXYZ】デッキか、もしくは…いやオレはまだ【光と闇の竜】に相応しいデュエリストとは呼べない!

 

「明日のデュエルを【VWXYZ】デッキで勝利してこそ、【光と闇の竜】に相応しいデュエリストへの近道となるはずだ!」

 

幸いまだ時間はある。時間ギリギリまでデッキ構築を見直し、奴のデッキに対抗できるように強化するしかない!

 

オレは睡眠時間を削らない程度に自身のデッキを見直し、明日のデュエルへと備えた。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

夜も深まり、他の寮生が寝静まった時間帯に、俺はメカレオンとエルフの剣士から倫理委員会の会議の結果を聞いていた。

 

「なるほど。鮫島校長が行方不明なことは無用な混乱を招くので生徒に話さず、倫理委員会が独自て捜査をすることになったか」

 

『カミューラって人のこともその正体は内緒にするつもりみたいだよ』

 

『吸血鬼と言う正体は隠して、今のところはあくまでセブンスターズと名乗る不審者の目撃情報アリという名目で近日中に生徒に発表するらしいな』

 

緑色の長髪の美女がドレス姿で歩いているって発表するのだろうか?

 

逆に探してお近づきになろうとする馬鹿が出てきそうだ。このラーイエロー寮にも一人そんなことをしそうな奴に思い当たるのが居るな。

 

「対応としては無難かな。肝心のカミューラのオカルト&闇のデュエル対策については何か言っていたか?」

 

『自分たちの手には負えそうにないから、倫理委員会の人達が上層部を通じて海馬コーポレーションに相談するみたいだよ』

 

海馬コーポレーションを経由して、俺(ハノイの騎士)に依頼が入りそうだな。もしそうなった場合は俺の蒔いた種だからそれ相応の対応をするつもりだ。

 

『七星門の鍵については、信頼出来て実力のある教師陣に配るつもりみたいだな』

 

「鮫島校長にあれだけ言っておいて流石に生徒に頼ることはしないか。ただ、クロノスなら勝率は五分五分くらいだろうけど響先生や他の先生だと今のカミューラには歯が立ちそうにないな」

 

この世界のカミューラは俺とコナミが関わることでアニメGXの時より遥かに強くなっているからな。あの時もう少しうまくやれていれば…いや、今更だな。

 

「今も彼女の配下のコウモリに監視されているしな!…魔導波!」

 

俺は自室の窓を開け、遠くの木にぶら下がってこちらを見つめていたコウモリに威嚇で低威力にした魔力弾を飛ばして追い払う。流石に命を奪う必要もないので直撃はさせない。

 

「万丈目もラーイエローの三沢の部屋に侵入してこなさそうだし、そろそろ寝るか」

 

万が一、万丈目が三沢の部屋にデッキを盗みに入って来たら、後ろから襲って気絶させた後に地面に首だけ残して埋めてやろうかと思っていたがその心配もなさそうだ。

 

鮫島校長とカミューラのことに関しては近々考えることにして、俺は眠りについた。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

翌日、万丈目は自ら負けた者が退学すると言うルールを課して正々堂々と三沢とデュエルしたが、三沢に敗れてその場を去ったらしい。と後からコナミに聞いた。

 

ちなみに三沢はオベリスクブルーへの編入を断ったらしい。なんでもブルーに入る前に倒しておきたい奴が居るらしい。多分、野球の時とかに随分と拘っていたから十代のことだろうな。

 

それから更に翌日の朝、俺はとある人物がデュエルアカデミア校舎から出てくるのを久し振りのハノイスタイルで待っていた。アイツがこのタイミングでここに現れることは原作知識で知っている。

 

「さらば、デュエルアカデミア」

 

思考の海に沈んでいると、何やらデュエルアカデミア校舎前に格好つけている男が立って居た。ブルー制服を着こんで円筒型のバックを肩からぶら下げたその男こそ昨日デュエルで負けた万丈目にして俺の待ち人だ。

 

さて、今日の授業が始まるまであまり時間が残っていない。さっさと用事を済ませよう。

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

昨日、寮の入れ替えデュエルで三沢に敗北したオレは自分自身を鍛え直す為にデュエルアカデミアを一時去ろうとしていた。

 

「さらば、デュエルアカデミア」

 

まだ1月にも満たない期間しか世話になっていないその校舎に一時の別れを告げ、船着場からこの島を離れようとしていたオレに、ここに居るはずの無い懐かしい奴が声を掛けてきた。

 

「やぁ、おジャ万丈目君。3年ぶりくらいだな」

 

「貴様、ハノイの騎士!?何故ここに!?」

 

デュエルアカデミアの校舎の前で、全身に灰色のローブを着て顔を仮面で隠した不審者、ハノイの騎士が現れた。

 

「何故ここに貴様が居る!?」

 

「いや、なに。おジャ万丈目君がデュエルアカデミアを退学になったと白河から聞いたのでなぁ。その情けない面を拝みに来たのだ」

 

「何だと!?」

 

「冗談だ。私はそれほど暇ではない。本題は、デュエルアカデミアから逃げ出す腰抜けで負け犬の雑魚に預けておいた【光と闇の竜】たちを回収しに来たのだ」

 

「誰が腰抜けで負け犬の雑魚だ!」

 

「違うのか?ならばデュエルだな。口ではなくデュエルでお前の実力を見せてみろ。お前が勝てばこの場は見逃してやろう」

 

「望むところだ!【光と闇の竜】たちはオレの相棒だ!元は貴様の物だろうがもはや誰にも渡さん!」

 

相変わらず傲慢で自分勝手な奴だ!

 

「見ていろ!3年前のオレとは違うことを教えてやる!」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

デュエル前にいつもアレを言うが、奴なりの礼儀なのだろうか?

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:5枚。

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

ムカつく奴だが実力は確かだ!奴相手に出し惜しみは出来ない!全力で行く!

 

「オレは手札から魔法カード【予想GUY】を発動!デッキから【X-ヘッド・キャノン】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:6→5枚。

 

【予想GUY】

通常魔法

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

【X-ヘッド・キャノン】

通常モンスター

星4/光属性/機械族/攻1800/守1500

強力なキャノン砲を装備した、合体能力を持つモンスター。合体と分離を駆使して様々な攻撃を繰り出す。

 

<万丈目のフィールド>

X-ヘッド・キャノン ★4 ATK1800

 

「オレは手札から永続魔法【前線基地】を発動!そして効果発動!手札から【Y-ドラゴン・ヘッド】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:5→4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【前線基地】

永続魔法

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

【Y-ドラゴン・ヘッド】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1500/守1600

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「X-ヘッド・キャノン」1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は400アップする。

 

<万丈目のフィールド>

X-ヘッド・キャノン ★4 ATK1800

Y-ドラゴン・ヘッド ★4 DEF1600

 

「そしてオレは手札から【Z-メタル・キャタピラー】を通常召喚する!」

万丈目 手札:3→2枚。

 

【Z-メタル・キャタピラー】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1500/守1300

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「X-ヘッド・キャノン」または「Y-ドラゴン・ヘッド」1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は600アップする。

 

<万丈目のフィールド>

X-ヘッド・キャノン ★4 ATK1800

Y-ドラゴン・ヘッド ★4 DEF1600

Z-メタル・キャタピラー ★4 ATK1500

 

「オレはフィールドの【X-ヘッド・キャノン】、【Y-ドラゴン・ヘッド】、【Z-メタル・キャタピラー】を合体させる!来い!【XYZ-ドラゴン・キャノン】!」

 

【XYZ-ドラゴン・キャノン】

融合・効果モンスター

星8/光属性/機械族/攻2800/守2600

「X-ヘッド・キャノン」+「Y-ドラゴン・ヘッド」+「Z-メタル・キャタピラー」

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

(1):手札を1枚捨て、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。

 

<万丈目のフィールド>

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800

 

「ほう。1ターンで3体合体まで完成させるとは、なかなかやるものだな」

 

「次のオレのターンには、そのいちいち上から目線な物言いが出来ないようにしてやる!オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

万丈目 手札:2→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<万丈目のフィールド>

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800

 

 

オレの伏せカードはフリーチェーンの罠カード【強制脱出装置】。奴はエースモンスターをEXデッキから呼ぶことが多いという話をよく聞く。奴がエースモンスターを召喚し終えた瞬間にそのモンスターをバウンスしてやる。

 

「私のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【ユニオン格納庫】を手札に加える!」

ハノイ 手札:6→5→6枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「私は手札からフィールド魔法【ユニオン格納庫】を発動!そしてその効果を発動してデッキから【A-アサルト・コア】を手札に加える!」

ハノイ 手札:6→5→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ユニオン格納庫】

フィールド魔法

「ユニオン格納庫」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから機械族・光属性のユニオンモンスター1体を手札に加える事ができる。

(2):1ターンに1度、自分フィールドに機械族・光属性のユニオンモンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターに装備可能で、カード名が異なる機械族・光属性のユニオンモンスター1体をデッキから選び、そのモンスターに装備する。この効果で装備したユニオンモンスターは、このターン特殊召喚できない。

 

 

【ユニオン格納庫】だと?奴もユニオンデッキなのか?

 

 

「私は手札から【A-アサルト・コア】を通常召喚する」

ハノイ 手札:6→5枚。

 

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1900/守 200

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの機械族・光属性モンスター1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターは他の相手モンスターの効果を受けない。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。このカード以外の自分の墓地のユニオンモンスター1体を選んで手札に加える。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

 

「私は【ユニオン格納庫】の効果を発動!デッキから【A-アサルト・コア】に【ユニオン・ドライバー】を装備する!」

 

【ユニオン・ドライバー】

ユニオン・効果モンスター

星5/光属性/機械族/攻2100/守1000

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備されているこのカードを除外して発動できる。このカードを装備していたモンスターに、装備可能なレベル4以下のユニオンモンスター1体をデッキから装備する。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900 ※【ユニオン・ドライバー】装備。

 

「装備状態の【ユニオン・ドライバー】の効果発動!自身を除外してデッキから【B-バスター・ドレイク】を【A-アサルト・コア】に装備する!」

 

【B-バスター・ドレイク】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1500/守1800

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの機械族・光属性モンスター1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターは他の相手の魔法カードの効果を受けない。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキからユニオンモンスター1体を手札に加える。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900 ※【B-バスター・ドレイク】装備。

 

「装備状態の【B-バスター・ドレイク】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

B-バスター・ドレイク ★4 DEF1800

 

「私は手札から魔法カード【トランスターン】を発動!【B-バスター・ドレイク】を墓地に送り、デッキから【銀河戦士】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:5→4枚。

 

【トランスターン】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。墓地のそのモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから【銀河戦士】を特殊召喚する。

 

【銀河戦士】

効果モンスター

星5/光属性/機械族/攻2000/守 0

「銀河戦士」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカード以外の手札の光属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ギャラクシー」モンスター1体を手札に加える。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

銀河戦士 ★5 ATK2000

 

「特殊召喚された【銀河戦士】の効果発動!デッキから2枚目の【銀河戦士】を手札に加える!」

ハノイ 手札:4→5枚。

 

「私は手札から【銀河戦士】の効果発動!手札の【C-クラッシュ・ワイバーン】を墓地に送り、自身を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:5→4→3枚。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

銀河戦士 ★5 ATK2000

銀河戦士 ★5 ATK2000

 

同じレベルのモンスターが2体!来るか!

 

「私はレベル5の【銀河戦士】2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク5!【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/光属性/機械族/攻2100/守1600

機械族レベル5モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分の墓地の「サイバー・ドラゴン」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「サイバー・ドラゴン」1体を除外して発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで2100アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(3):このカードが相手の効果で墓地へ送られた場合に発動できる。EXデッキから機械族の融合モンスター1体を特殊召喚する。

 

「サイバー・ドラゴンのエクシーズモンスターだと!?」

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

サイバー・ドラゴン・ノヴァ ☆5 ATK2100 ORU:2

 

「私は【サイバー・ドラゴン・ノヴァ】1体をオーバーレイ!エクシーズチェンジ!現れよ!ランク6!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】!」

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/機械族/攻2100/守1600

機械族・光属性レベル6モンスター×3

「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」は1ターンに1度、自分フィールドの「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」の上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×200アップする。

(2):1ターンに1度、フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。

(3):1ターンに1度、カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

<ハノイのフィールド>

A-アサルト・コア ★4 ATK1900

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100 ORU:3

 

「なんだそのモンスターは!?カードテキストに頭おかしいことしか書いてないぞ!?」

 

ここで【強制脱出装置】を発動しても防がれる上に、そのまま放置しておくとオレの【XYZ-ドラゴン・キャノン】が吸収される!?

 

「更に!フィールドの【A-アサルト・コア】、墓地の【B-バスター・ドレイク】、【C-クラッシュ・ワイバーン】を除外して、EXデッキから【ABC-ドラゴン・バスター】を特殊召喚する!」

 

【ABC-ドラゴン・バスター】

融合・効果モンスター

星8/光属性/機械族/攻3000/守2800

「A-アサルト・コア」+「B-バスター・ドレイク」+「C-クラッシュ・ワイバーン」

自分のフィールド・墓地の上記カードを除外した場合のみ、EXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):相手ターンにこのカードをリリースし、除外されている自分の機械族・光属性のユニオンモンスター3種類を1体ずつ対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「素材のユニオンモンスターを墓地からも除外できるだと!?インチキ効果もいい加減にしろぉ!」

 

<ハノイのフィールド>

ABC-ドラゴン・バスター ★8 ATK3000

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100 ORU:3

 

「私は【ABC-ドラゴン・バスター】の効果発動!手札の【超電磁タートル】を墓地に送り、そちらの伏せカードを除外する!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

「くそっ!リバースカードオープン!罠カード【強制脱出装置】発動!【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】をEXデッキへ叩き返してやる!」

万丈目 伏せカード:1→0枚。

 

【強制脱出装置】

通常罠

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「その効果にチェーンして【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果発動!ORUを1つ取り除き、【強制脱出装置】の発動を無効にして破壊する!」

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ORU:3→2

 

チェーン③サイバー・ドラゴン・インフィニティ

チェーン②強制脱出装置 ※無効化して破壊

チェーン①ABC-ドラゴン・バスター ※対象を失い、不発

 

ぐっ、やはり防がれたか!

 

「私は手札から魔法カード【精神操作】を発動!そちらの【XYZ-ドラゴン・キャノン】のコントロールをエンドフェイズまで得る!」

ハノイ 手札:2→1枚。

 

「なっ!?ここで【精神操作】だと!?」

 

【精神操作】

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

 

<ハノイのフィールド>

ABC-ドラゴン・バスター ★8 ATK3000

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100 ORU:2

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800 ※攻撃できない。

 

<万丈目のフィールド>

モンスターなし

 

【サイバー・ドラゴン・インフィニティ】の効果を使えば【精神操作】を使用せずともオレのフィールドから【XYZ-ドラゴン・キャノン】を退けることはできたはずだ!

 

しかも【精神操作】の効果はエンドフェイズまでだ。そこを過ぎればオレのフィールドに戻るんだぞ?一体何を考えている!?

 

「私はフィールドの【ABC-ドラゴン・バスター】と【XYZ-ドラゴン・キャノン】を除外し、EXデッキから【AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン】を特殊召喚する!」

 

【AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン】

融合・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻4000/守4000

「ABC-ドラゴン・バスター」+「XYZ-ドラゴン・キャノン」

自分フィールドの、元々のカード名が上記のカードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):フィールドのこのカードを除外し、除外されている自分の「ABC-ドラゴン・バスター」「XYZ-ドラゴン・キャノン」を1体ずつ対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「攻撃力4000!?それに『AtoZ』だと!?『VtoZ』以外にも【XYZ-ドラゴン・キャノン】と合体できるモンスターが居たというのか!?」

 

<ハノイのフィールド>

サイバー・ドラゴン・インフィニティ ☆6 ATK2100 ORU:2

AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン ★10 ATK4000

 

「バトルフェイズに移行!【AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン】でダイレクトアタック!」

 

AtoZ-ドラゴン・バスターキャノン ATK4000

 

「うわぁぁぁぁ!」

万丈目 LP:4000→0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「くそっ!負けた!」

 

奴に敗れたから【光と闇の竜】は…ふがいない主ですまない…。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

デュエルに敗北して地面に膝をついてヨツンヴァインになっている万丈目の懐から以前渡した【光と闇の竜】たちのカードを抜き取る。

 

「あっ!?」

 

以前の響紅葉と白いハネクリボーとの交流によってカードの精霊の力を放っている為、何処に仕舞っているかは一目瞭然だった。

 

「約束通り。【光と闇の竜】たちは返して貰った」

 

「くそっ!くそっ!くそぉぉぉ!」

 

万丈目が悔しそうに地面を殴り続けている。そろそろ不憫なので意地悪は止めておこう。

 

「このカードたちは白河に預けておく。またデュエルアカデミアに戻ってくることがあれば彼から返して貰うといい」

 

「…何?」

 

俺の言葉に反応し、地面を殴るのを止めてこちらを見上げてくる。そろそろ見ていて痛々しいのでネタバラシをしてやろう。

 

「聞こえなかったか?お前が地獄のどん底から這い上がり、この学園に戻ってくることがあれば返してやろうと言っているのだ」

 

「どういうつもりだ?」

 

「この先、貴様には水難の相が見える。その時に万が一、【光と闇の竜】のカード達を失くしてしまったら目も当てられないからな。貴様に出ている水難の相が収まるまではこちらで預かっておいてやろう」

 

「水難の相?白河と言い、貴様と言い、世迷言を言う。オカルトなどオレは信じない」

 

「それに無駄にプライドの高い貴様のことだ。『オレはまだ【光と闇の竜】を使用するにはふさわしくない』だとか思っているのだろう?だから高等部に入ってからは一度も【光と闇の竜】のデッキを使用しなかったんじゃないか?」

 

「はっ!まるで見ていたかのように語るんだな」

 

この一か月は時々見ていたからな。

 

「オレが負けたのは事実だ。オレがこの学園に戻ってくるまでは【光と闇の竜】たちは預けて置いてやる!」

 

おい、人を指差すな。

 

「オレが受け取りに来るその日まで、大切に保管していろ!」

 

「そうさせてもらおう。貴様の成り上がりには期待しているぞ?万丈目準」

 

「ふん。次に貴様に会う時には今度こそ貴様をデュエルで叩き潰してやる!覚悟しておくんだな!」

 

それだけ言うと、万丈目は立ち去った。

 

 

恐らくはこのまま船着場に向かって船に乗るのだろう。船の出航時間まではまだまだ時間がある。今回のデュエルで使用した時間の影響で船に乗り遅れるなんてことにはならないはずだ。

 

そしてそこから海に投げ出され、ノース校に辿り着いてカードの精霊【おジャマ・イエロー】をデュエルアカデミア・ノース校校長の手から受け取ることになる。その辺りでようやくカードの精霊の姿が見えるようになるはずだ。

 

もし今も既にカードの精霊が見ているのなら、さっきから俺の頭に嚙みついて来ているこの【光と闇の竜】の姿を見て何か反応があるはずだからな。

 

 

「痛い痛い!痛いって言ってんだろ!離せこの羽根つき白黒トカゲが!俺を殺す気か!このボケェ!なんで実体化出来てるんだよ!ふざけんな!インチキか!?」

 

『キシャァァァァ!』

 

「痛てぇー!?万丈目からお前を奪ったのは悪かったとは思ってる!謝るから!だから噛みつくな!その牙がメチャクチャ痛いんだよ!頭からダラダラ血が出てるのが見えねーのかよ!」

 

『キシャァァァァ!』

 

「あぁん?なんだぁてめえ!いい加減にしろ!お前らが海の藻屑になるかも知れないのを助けてやったんだろうが!むしろ感謝しろ!あぁもうめんどくせぇ!ぶっとばして大人しくさせてやる!」

 

この後、誰も居ないアカデミア校舎前で俺と【光と闇の竜】のリアルファイトが発生し、結果的に俺は【光と闇の竜】に何度もぶっ飛ばされて何度も近くの森の地面に突き刺さる羽目になった。

 

そして隙を見て呪縛の魔術で拘束し、破滅の光を封印するように作っていたカードケースに封印した。この封印を解く時に万丈目が傍に居ないとマジで俺がこのクソ白黒トカゲに殺されるかもしれない。

 

万丈目め、さっさと地獄の底から這い上がってノース校のトップを取ってこのクソ白黒トカゲを引き取りに来い!いや、来てくださいお願いします!

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

【光と闇の竜】とのリアルファイト後、回復魔術で血まみれになった体中を傷を癒し、水の魔術で体中についた血や土や泥を落として地面にある血だまりを誤魔化した。

 

その後、ハノイスタイルを解除して遅れながらも授業に参加した貧血気味な俺は、昼食のドローパンを買う為にツァンと一緒に購買へ向かう為に通路を歩いていた。

 

「今日こそはボクが黄金の卵パンを引き当ててやる!」

 

「どうせ十代かコナミに引き当てられて終わってるよ。狙うなら、アイツらが居ないタイミングかアイツらよりも先に買わないとな」

 

「うるさいなぁ。いいでしょ夢見たって…うん?あそこに誰か倒れてない?」

 

ツァンが指さす先の通路にはブルー女子服を着た黒髪のアカデミア女学生が倒れていた。

 

「倒れているな」

 

「『倒れているな』じゃないよ!早く助けないと!ホラ、白河!アンタも来るのよ!」

 

「仕方ないなぁツァン太君は…」

 

「誰がツァン太よ!」

 

倒れているブルー女子をツァンが介抱する。よく見るとこの黒いオカッパの髪をした少女には見覚えが有る。タッグフォース6で登場した人物の一人だ。

 

「この娘は、確か紬紫(つむぎ ゆかり)だったかな」

 

「ど、どうしよう!?」

 

「大丈夫だ、落ち着け。脈は…あるな。呼吸は…あるな。心音も…大丈夫そうだな」

 

「ちょっ!?」

 

俺が彼女の心音を確認する為、彼女の胸部に耳を当てた瞬間にツァンが顔を真っ赤にしながらこちらを睨んでくる。

 

これは医療行為の一環であり、やましい行為ではないし、やましい感情は一切ない。ホントだよ?

 

「おーい、大丈夫か?」

 

動揺するツァンを落ち着かせ、俺は紬の両肩を軽く叩き、反応があるかを確認しながらこっそりと回復魔術を施す。

 

「うぅん…ここは…貴方たちは?」

 

「あっ、気が付いたみたいだよ!」

 

紬は意識が戻ったらしく、周囲を見回している。不安にさせないためにも自己紹介でもしておくか。

 

「俺は白河クロト。そっちのピンクがツァン・ディレ。君と同じアカデミアの生徒だ。君の名前は紬紫で合っているか?」

 

ピンク呼ばわりされて若干ツァンが不機嫌になったようだが、紬の様子を見てすぐにそちらへ意識が向いたようだ。

 

「はい。その通りでございます。はて?何故わたくしめの名前をご存知なのですか?」

 

「この前の月一試験の時に見かけたからね。とにかく、保健室まで運ぶよ。持ち上げることになるけどいいかい?」

 

「えぇ。不束者ですが、これからよろしくお願い申し上げます」

 

「その言い回しは何か違うと思う…」

 

本人の了承を得たので、彼女に負担を掛けない様に肩と膝裏に手を入れてゆっくりと床の上から持ち上げる。

 

「お、お姫様抱っこ…」

 

「これは…この動悸は…病気のせいではありません…」

 

紬の顔は青白かった顔色は真っ赤になり、ツァンや紬が色々と言ってくるが、緊急事態になる可能性もあるので目をつむって欲しいところだ。

 

これは医療行為の一環であり、やましい行為ではないし、やましい感情は一切ない。ホントだよ?

 

保健室に到着して保険医を兼任する鮎川先生に事情を説明し、保健室のベットを借用して紬をそこに寝かせる。

 

「じゃあツァン。俺は彼女の為に何か飲み物を買ってくる。ついでに俺らの分の昼食もな。だから、それまでは彼女の様子を見ておいて、出来れば話し相手になってやってくれ」

 

「えっ?ちょっ、まっ…」

 

「待たない」

 

困惑しているコミュ障全開なツァンをその場に放置して俺は購買へ向かった。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

購買部へ向かう途中の通路にて、周りに人影が見えない中を見覚えのある後姿をした黒髪の女性が歩いているのを見かけたので声を掛けてみた。

 

「こんにちわ、響先生。これからお昼ですか?」

 

「あら?こんにちわ白河君。えぇ、その通りよ」

 

そう挨拶を交わしながら響みどりと並んで歩く。彼女と先日の制裁デュエルの話や彼女の弟の響紅葉の話題について世間話をしながら、今が絶妙なタイミングであることに気付いた。

 

ちょうど良かった。恐らく七星門の鍵の守護者に選ばれる彼女には渡しておきたいものがあったんだよな。

 

「先生の弟さんの紅葉さんにはアメリカではお世話になりました」

 

「あぁ、紅葉が2年前くらいにアメリカ・デュエルアカデミアのマッケンジー校長に依頼されていた件ね。ある程度は紅葉から話は聞いているわ」

 

「色々あって紅葉さんにはお礼できていなかったので、お姉さんである響先生にこれを渡しておきますね」

 

俺はいずれ渡す為に持ち歩いていたカードが入った封筒を響みどりへと渡す。

 

「えっと、そういうことなら一応貰っておきましょうか。封筒の中身はカードかしら…これは!?」

 

「はい。響先生が使用していらっしゃる【堕天使】関連のカードです。先日のデュエルを見る限り、持っていなさそうなのを選別してみました」

 

もちろん、リンクモンスターやそれに関するカードは入れていない。仮に渡しても今のこの世界じゃ使えないしな。

 

「【堕天使イシュタム】、【堕天使の追放】、【黎明の堕天使ルシフェル】、他にも…流石にこんな超レアカード級のカードを生徒から貰えないわよ!?」

 

「これは紅葉さんへのお礼ですから受け取って貰わないと俺が困ります。それに、カード達にとっては、そのカードを大切にしてそのカードの力を使いこなせる人の手にあった方が幸せでしょうからね」

 

「それはそうかもしれないけれど…」

 

「あっ、そう言えば俺は友人を待たせているんだった。それじゃ俺はこれで失礼しますね」

 

「えっ、ちょっと、白河君!?」

 

俺は困惑する響先生を置き去りにして購買部へと向かった。何一つ嘘は言っていない。

 

これで彼女のデッキはかなり強化されただろう。万が一にカミューラと戦うことになっても引けは取らないはずだ。アニメオリカの【幻魔の扉】が怖いところだけどな。

 

 

そしてわざと時間をかけて購買部で時間をかけて買い物をしてから保健室に帰ってくると、そこには仲良くなったツァンと紬の姿が見えた。どうやらようやくツァンにも友人が出来たらしい。

 

彼女たちの会話に入るのも無粋だと思い、こっそり鮎川先生に買ってきたパンと飲料を渡し、鮎川先生に伝言を頼んだ後で俺はそのまま教室に戻った。

 

~~~

 

<カミューラ視点>

 

先日人形にして捕まえた鮫島とかっていうアカデミアのハゲ校長をアムナエルに渡した後、中年ハゲの人形にモニタ越しに話しかける影丸の絵面を見飽きた私は、セブンスターズのアジトにある鮫島を監禁している部屋から1人抜け出した。

 

そして、アカデミアの島全域に飛ばしてアカデミアの様子を探らせていた配下の蝙蝠たちからその情報収集結果を聞くことにした。

 

配下の蝙蝠たちから様々な情報が送られてくる。アカデミア生や教師陣の顔、名前、デッキ、戦術、等など。私の好みの男子たちもその中には居ていい気分にはなったが、悪いニュースもいくつかあった。その中で特に気になった情報は3つだ。

 

まずは、黄色い建物の中に1年前に出会った白河クロトを発見したという情報を得た。だけど、監視はあっという間にバレてしまい、蝙蝠たちは追い返されてしまった。

 

「以前に初めて会った時にアイツが私にした忠告がこういう状況を見越したものだったのかしら?だとしたら、結果的にアイツは敵である私のデッキを強化してしまったわけだし、何とも皮肉な話よね」

 

次に、赤いプレハブ小屋でクロト同じく1年前に出会った赤羽コナミを発見した。だがこちらも蝙蝠たちは居場所がバレてしまい、コナミに追い返されていた。

 

「やっぱりコナミもクロトもこっちの監視に気付くわよね。やはりこの2人はこのアカデミアの中でも異質ね」

 

最後に、私の配下の蝙蝠たちと同様に、アカデミアの島全域にカードの精霊がそこいらに居ることが判明した。どうやら白河クロトの放った偵察部隊らしく、その全員が【ワイト】だった。

 

「カードの精霊をここまで多く使役し、なおかつ日常生活を送っているなんてね。コナミが横にいるせいで気付きにくいけど、クロトも人間にしてはなかなかの化け物よね」

 

クロトとコナミのデュエルの実力は良く知っている。この前の月一テストのデュエルも全て見たが、彼ら2人は他の生徒や教師と比べて頭1つ以上抜きんでている。彼らに闇のデュエルを挑むのはかなり危険だ。

 

「でも、彼らは何故か七星門の鍵の守護者じゃない。守護者はこの学園の教師陣ばかりで、ほとんどの教師はこの前にデュエルで瞬殺した鮫島とレベルが変わらないわね」

 

ただ、その中でも制裁デュエルとやらで白河クロトと対戦していた2人。黒髪で赤い服の美人女教師と金髪で青い服の不細工な男教師は油断できないデュエリストだ。特に金髪の男は【幻魔の扉】を使わなかった場合、私でも勝てるかどうかと言ったところね。

 

「なんとかしてコナミとクロトとは戦わないようにしつつ、あの教師2人を別の場所に誘い出して各個撃破出来れば勝機はあるわね」

 

私の目的であるヴァンパイア一族復活の為にも、何とかして三幻魔を復活させてその力を利用する必要がある。その為には影丸だろうと他のセブンスターズだろうと利用してやらないとね。

 

 

「カミューラ!デッキを再調整してきたぞ!さぁ、もう一度!余とデュエルだ!」

 

「構わないわよ。ただ、デッキを調整してきたのは良いけれど、いい加減にその棺のカード関連をデッキから抜きなさいよ」

 

「断る!」

 

古代エジプトで千年もの間、無敗を誇った「デュエルの神」と呼ばれた少年王にしてセブンスターズの一角、アビドス3世。

 

その実力を確認しておこうとデュエルを挑んだら殆ど素人のような実力で、内心ガッカリしながらもコテンパンにしたのが3週間ほど前のことだ。それから彼はデッキを色々と調整し直しては私に挑んでくる。

 

出会った当初はいけ好かないガキだと思っていたので、言い訳のしようのないくらいにボコボコにしてやったら仮面を外して目を輝かせながら「悔しい!初めて負けた!デッキを調整して来るぞ!」と言って走り去っていった。

 

その姿からはふと遠い昔に失ったあの子の姿を私に思い出させ、つい構ってしまう。仮面の下の顔はなかなか私好みの美少年だったことも好ポイントだ。

 

頑なに【スピリッツ・オブ・ファラオ】のカードとそれらを呼び出す為の棺カードをデッキから抜こうとはしないが、私が【ヴァンパイア】デッキに拘るように、彼にもこだわりがあるのだろう。

 

【スピリッツ・オブ・ファラオ】関連のカード以外だとアンデット族でデッキを固めたそこそこ優秀なデッキに仕上がってきているとも思う。彼の成長は目覚ましく、顔には出さないようにしているが相手をしているこちらも嬉しくなるほどだ。

 

 

「カミューラァ!私とデュエルするのだぁ!」

 

「嫌よ。むさくるしい。アンタのようなオッサンには興味ないの。あっちへお行き!シッシッ!」

 

「この私をオッサン呼ばわりするなぁ!」

 

「美少年以外はどれも一緒よ」

 

先日、闇のアイテムを手に入れて闇のデュエリストとなった大柄で全身を黒い服で固めたデーモンデッキの使い手にしてセブンスターズの一角、タイタン。

 

元々は催眠術などのトリックで闇のデュエリストを自称し依頼人からサラリー三ヶ月分をせしめていたと言うただのインチキデュエリストだったが、運悪く闇の世界に引きずり込まれてしまい、影丸の命令を受けた私が嫌々こちらの世界に引っ張り出してやったのが大体1週間前くらいだったか。

 

そこそこ苦労してサルベージしてやったその男がどれほどの実力があるのかを確かめるべくデュエルを挑んでみると、腕前はそれなりくらいだった。もちろん瞬殺した。

 

それ以来、このむさくるしいオッサンは『打倒、遊城十代!』『ベクターとクロノスに借金を払わせる!』ためだと言って時々私にデュエルを挑んでくるようになった。

 

一応、私にボロ負けした後にデッキを調整したらしく、儀式モンスター【デーモンズ・マタドール】とフィールド魔法【ダーク・アリーナ】と言う他では見たことのないカードを使用してくるようになったが、戦闘破壊耐性しか持たないモンスターなど私の【ヴァンパイア】デッキの敵ではない。

 

影丸に待機命令を受けていて暇なので、情報収集する間の暇つぶしに時々デュエルの相手をしている。

 

 

「カミューラ!我々ともう一度デュエルだ!今度こそ我々黒サソリ盗掘団がお前から勝利を頂く!」

 

「嫌よ。アンタたち、弱いもの」

 

「嫌と言われてもデュエルは受けて貰う!」「「「「「それが、黒サソリ盗掘団!」」」」」

 

「いや、意味わかんないわよ」

 

数年前からデュエルアカデミアに潜伏し、先日闇の力がこもった仮面を手土産に帰還したカードの精霊にしてセブンスターズの一角、黒サソリ盗掘団。そのリーダーであるザルーグ。

 

彼や彼の部下たちの潜入技術や盗みの技術には光るものがあるようだがデュエルの腕前はデュエルアカデミアの学生レベル。戦力として呼んで良いかは微妙だ。

 

彼らが帰還した後、暇つぶしにデュエルを挑んでみてケチョンケチョンにしたのが大体5日前だったはず。

 

それ以来、アビドス3世のようにデッキを調整して挑んでくるようになった。最初に比べればそこそこマシにはなったものの、まだまだ負ける気はしなかった。

 

影丸に待機命令を受けていて暇なので、情報収集する間の暇つぶしに時々デュエルの相手をしている。

 

 

「カミューラ、この島にはいい男は居たか?」

 

「私好みの美少年なら2~3人居たけれど、貴方の好みに合いそうなのは…コイツなんでどうかしら?」

 

彼女に蝙蝠たちが集めてきた情報からとある男子生徒のイメージを抽出し、タニヤの目の前に魔術で表示させて見せた。

 

「おぉ!悪くなさそうな顔立ちだな!名前は!?」

 

「三沢大地っていうらしいわね」

 

「決めたぞ!私はこの男を私の婿とする!」

 

「そう。頑張ってね」

 

アマゾネス一族の末裔の長であり、【アマゾネス】デッキの使い手のセブンスターズの一角、タニヤ。

 

彼女のデュエルの腕前は(私とアムナエルを除いて)セブンスターズでも随一なのだが、彼女の主な目的は自身の婿探しらしい。

 

彼女自身の本来の姿は虎なのに、相手の婿は人間の男で良いのかしら?

 

彼女は正直、セブンスターズの戦力としては期待できないだろう。惜しいわね。

 

恐らく影丸の命令も聞かず、そのうち勝手に婿探しに出かけて騒動を起こすだろうから、その騒動に便乗して行動を起こせれば御の字だろうか。

 

 

それからしばらくの間、アムナエルとタニヤを除いたセブンスターズの連中をデュエルであしらっていると、ハゲ校長を軟禁している部屋からアムナエルが出てきた。

 

「あら?もうお話は終わったのかしら?」

 

「いや、想像以上に頑固でな。奴から情報を得るにはまだしばらくかかりそうだ」

 

「そう」

 

「奴から情報を得るまではセブンスターズは待機だな」

 

灰色のローブを全身に纏い、黒い仮面を付けた錬金術師にしてセブンスターズの一角、アムナエル。

 

コイツとは一度だけデュエルしたことがあるが、ハッキリ言って私のデッキとの相性が最悪だ。勝てないことは無いだろうが、勝率は五分五分といったところか。

 

影丸と一番付き合いの長いセブンスターズの最古参らしいが、胡散臭い男だ。コイツも別の姿でデュエルアカデミアに潜入しているらしいが詳しいことは聞いていない。

 

「そういえば、セブンスターズって名前の割には私やアンタを含めても6人しかいないのね?」

 

私ことカミューラ、アムナエル、タニヤ、首領・ザルーグ、アビドス3世、そして最近加入したタイタン。最後の1人とは会ったことはおろか名前すら聞いたことが無い。

 

「最後の1人はもう決まっている。近いうちに会えるさ」

 

先日、黒サソリ盗掘団が奪ってきた仮面を見つめながらそう話すアムナエル。どうやら嘘は言って居なさそうだ。そんなアムナエルの姿を見ながら、1ついいことを思いついた。

 

そうね。せっかくアムナエルの奴がここに来ているのだから、一つ雑用を頼んでみようかしら。

 

「アムナエル。アンタ、これから潜入先に戻るのよね?」

 

「あぁ、そうだ」

 

「じゃあ、これ。今度来るまでによろしくね」

 

「これは…カードパックのリストか?」

 

「えぇ。今度発売するカードパックのリストよ。私や他のセブンスターズの強化に必要でしょう?もちろん、経費は影丸が出してくれるのよね?」

 

「このくらいであれば問題ないだろう。分かった。次の連休明けまでには揃えておこう」

 

アムナエルはそう言い残すとアジトを出ていった。恐らく、次に会う時は今度の大型連休が明けた後だろう。

 

「カミューラ!再度デッキを調整してきたぞ!さぁもう一度、余とデュエルだ!」

 

「カミューラァ!私をオッサン呼ばわりしたことを撤回させてやるぞぅ!デュエルだぁ!」

 

「カミューラ!オレ達は何度やられても懲りないぞ!」「「「「「それが、黒サソリ盗掘団!」」」」」

 

「三沢っちをゲットするために私も腕を磨いておかないとな!と言うわけでデュエルだカミューラ!」

 

私は待機期間の暇つぶしの為、他のセブンスターズとデュエルを始めるのだった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

今日も授業が終わり、ラーイエロー寮の自室に戻って来てPDAを確認すると、案の定コナミから連絡が入っていた。

 

今日は万丈目がアカデミアを出立する日だからな。コナミが付いて行った十代たちには当然あのイベントがあるはずだ。

 

『ジュンコが猿に拉致された』

 

『十代が猿(SAL)とデュエルして勝ってジュンコを救った』

 

『十代と猿が仲良くなった』

 

スーパーアニマルラーニング(Super Animal Learning)、略してSALだそうだ。SALを追いかけていたオッサンたちがそう言っていたらしい。

 

モクバ副社長が言っていた森の研究所から脱走したSALだろうな。研究所に居たオッサンたちは全員捕まったはずだから、研究所の状態を聞いて本島からやって来た奴等かな。

 

『大徳寺先生がなんやかんやして、SALは猿になって森に帰って行った』

 

適当過ぎる。なんやかんやって言われても全く分からんが、確かアニメGXだと動物虐待がどうのこうのって話になったんだっけかな。

 

他にもいくつか来ていたメッセージを一通り確認して返信し終えた後、PDAを閉じてテレビを付ける。

 

テレビでは『もうすぐゴールデンウィーク』『連休中は何処に行くのか?』と、明日からのGWに関する話題で一杯だ。

 

アカデミアでは長期休暇を利用して里帰りする生徒が多い。俺も今年は帰ろうかと思っていたが、セブンスターズの件があるからどうするかはまだ決めていない。

 

そんな時、非常に気になるニュースが聞こえてきた。

 

『プロデュエリストの城之内克也氏、タッグデュエリストへ転向してから2年、とうとう30連勝を達成!奥方との夫婦デュエルの前には敵なしか!?』

 

へぇ~。城之内ってタッグデュエリストに転向していたんだな。奥方って言っていたけど、結婚していたのか。相手は孔雀舞とかなら原作ファンとしては見てみたい気がする。

 

『I2社が新規カードイラスト群を発表!そのテーマとは宝玉獣!』

 

宝玉獣か。この世界だとまだヨハンの手には渡っていなかったのか。ただあのカード達は自身で持ち主を選ぶらしいから、この世界でもヨハン以外の持ち主が現れることはなさそうだな。

 

『童実野町で開発されている究極のエネルギー発生システムにして夢の永久機関モーメント!その開発機関MIDSに所属している不動夫妻の第一子が誕生間近であることが明らかになりました!今年の7月には生まれそうだとのことです!』

 

えっ…はぁ!?今年中に不動遊星が生まれる!?早すぎるだろ!待て待て待て!ちょっと待って!

 

確かゼロリバースって不動遊星が一歳になってから少し経った頃だよな?

 

来年の秋にはアカデミアの修学旅行があるよな!?

 

アニメGXでは確かその修学旅行の行先ってその童実野町になるよな!?

 

タイミング的にぴったり一致するんだが、これはまさか、あのクソ女神の仕業か!?FUCK!!くたばれあの害悪がぁ!

 

アニメGXで修学旅行した時には当然だが童実野町は現存していた。そこで十代は武藤遊戯の祖父である武藤双六に出会うわけだ。

 

だが、この世界ではその辺りが変わるかも知れない。下手をすればゼロリバースの規模が拡大して海馬コーポレーションや武藤双六達が巻き込まれる事態になるかも知れない。そうなると俺の人生プランに非常に大きな影響が出るだろう。

 

幸い、こっちにはコナミが残るらしいからアカデミアでオカルト事件が発生しても最終的にはコナミと十代で何とかするだろう。

 

それならば俺は、ゼロリバースが発生するかどうかの調査の為に、GWを利用して見に行ってみた方がいいな。




万丈目と三沢の寮入れ替えデュエルでは、万丈目が【VWXYZ】デッキで善戦するものの、三沢の強化【ウォータードラゴン】デッキには一歩及ばずに敗北しました。

オリ主のデッキは【ABC】です。性能は段違いですが、万丈目のユニオンデッキに合わせました。

万丈目のデッキは【VWXYZ】です。アニメGXとほぼ同様のデッキなので、悪くはないけれどオリ主とはカードパワーが違い過ぎました。

次回の更新は4/3(土) AM6:00予定です。

Skazka Priskazka様、arash様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三話 ゴールデンウィーク

前回のあらすじ:万丈目の旅立ち

今回のデュエルの対戦カードは早乙女レイとアカデミア教師ですが、デュエルは短めです。

それ以外の本文はかなり長めです。

今話はアニメGX第13~14話のオリ主視点です。


GW初日の朝、俺は本土へ向かう為のフェリーに乗り込む前に、船着場でコナミと話していた。

 

「じゃあ俺は本土の孤児院に帰省するけど、お前はやっぱりこっちに残るんだな?」

 

「あぁ!休み中ずっとデュエルしまくれるなんて残るっきゃないだろ!?」

 

「あぁ、うん。お前はそういう奴だよな。知ってた」

 

「お土産はドローパンがいいぞ!」

 

「数日帰省するだけなのに、同じ場所に住んでいた同い年のお前に土産なんて買うわけないだろ。購買で買え」

 

「(´・ω・`)そんな~」

 

落ち込むコナミを放置してフェリーに乗り込み、30分も経つとフェリーは船着場から離れて本土へと向かい動き出す。

 

~~~

 

本土に到着するまでかなりの時間がかかるので、時間潰しに船内を歩きながら見回ってみることにした。

 

デッキには談笑する天上院兄妹と枕田ジュンコ&浜口ももえたち4人が、帰省したら何をしよう?と言う話題で盛り上がっている。

 

天上院一家にとっては約2年ぶりの長男の帰還である。今夜はご馳走だな。

 

 

そんな彼らの近くには、何やら小難しいデュエル理論を話し合っている丸藤亮、藤原優介、三沢大地の姿が見えた。

 

三沢、いつも大体十代たちと一緒に居るのに、いつのまにあの2人と仲良くなったんだろう…。

 

~~~

 

船内の休憩室にはピンク頭のツァンと黒髪オカッパの紬紫が向かい合って座っており、ずっと話をしているようだ。ツァンはあれ以来、紬紫と仲良くなったらしく、ずっと2人で一緒に居るようになったのだ。

 

「紫も帰省するのね」

 

「はい。ツァンさまも帰省なさるのですね」

 

「もう。だからさま付けは止めて欲しいんだけど…と、友達でしょ」

 

「はい。ではツァンちゃんと呼びますね」

 

「うん!」

 

ツァンは(恐らく)初めての同性の友達との会話を楽しんでいるようだった。紬の方も自然体に見える。2人とも和食とか好きそうだし、案外相性のいい2人なのだろう。

 

少々寂しい気もするが、同性の友人がようやくできたことについて友人として祝うべきだろう。ボッチ卒業、おめでとう!

 

~~~

 

ツァンたちにバレない様に休憩室から離れて船頭に向かって通路を歩いていると、もはやラーイエローでお馴染みとなりつつある坂倉、ドルオが話しかけてきた。

 

「よう白河!お前も帰省するんだな!」

 

「フン。本当に帰省する家があったとは…お前も人の子だったんだな」

 

なんとも失礼な奴だ。

 

「お前ら、俺を何だと思っているんだ」

 

「ピンクの悪魔ことブルー女子のツァン・ディレの手下?」

 

「お色気女王ことブルー女子の藤原雪乃のおもちゃ?」

 

「よし!お前らとは少しOHANASHIする必要があるようだな!」

 

この後、そこそこデュエルをした。

 

~~~

 

彼ら2人をデュエルでぶっ飛ばしてから船頭に到着すると、ラーイエローの中村と三田川が話し合っている姿を目撃した。

 

珍しい。中村が自分から男に話しかけるなんて…この船が沈む前触れだろうか…。

 

「三田川!お前、弱点の分析とかが得意なんだろ!男のお前のことなんて本気でどうでもいいが、可愛い女の子をナンパするときの弱点とかを知っているなら教えろよな!」

 

「君はそう言う短気で短慮なところが弱点と言うか短所なのさぁ。だからお金持ちのお坊ちゃんのくせに女の子にモテない童貞なんだよぅ?ウシシ!」

 

「ど、どどど童貞ちゃうわ!」

 

なんだ。いつもの中村と三田川じゃん。気にする必要は無さそうだな。

 

~~~

 

ふらふらとその辺りを歩いて船尾へと向かう途中にダークロウの仮面を付けた少女とすれ違う。

 

「桜ちゃん、麗華ちゃん。お待たせしてしまってごめんなさい!ちょっと道に迷ってしまって…」

 

「いいよいいよ~いつものことだからね~」

 

「それよりも宮田さん。学園の外ではその仮面を外してくださいね?学園の外でそんな仮面を一緒に付けている人と歩くのは恥ずかしいです」

 

「そんな!こんなに格好いいんですよ!」

 

「私も嫌かな~」

 

「桜ちゃんまで!?」

 

ダークロウの仮面を付けた茶髪ボブカットの宮田ゆまが、友人の赤紫アホ毛の樋口桜や黒髪の眼鏡少女である原麗華と話をしている。

 

ダークロウの仮面を付けていること以外は普通の宮田ゆまのようだ。やはり普段からダークロウの仮面をつけていることは友人たちにはあまり良くは思われていないらしい。

 

~~~

 

船の通路を歩いていると、手すりに身を預けて海を見ながら話している青髪ウェーブの少女と紫髪ツインテールの2人、海野幸子と藤原雪乃を見かけた。

 

「雪乃さんはこの長期休暇はどちらに行かれますの?」

 

「私?私は両親の仕事の手伝いでイタリアに行くつもりよ」

 

「あら?奇遇ですわね。私も両親が今滞在しているヴェネツィアに顔を出しに行く予定ですのよ?」

 

「そうなの?確かにヴェネツィアには海野財団の本拠地があるものね」

 

どうやら彼女たちはGWは海外で過ごすらしい。今の俺にはあまり縁のない話だな。

 

ちなみに幸子とは『ゆきこ』と読む。以前、『さちこ』と呼んだ何処かの赤帽子と女好きのラーイエロー男子が顔面に右ストレートを食らって海に叩き落とされていたので間違えないようにしたい。

 

~~~

 

船尾に到着すると備え付けの椅子に座った銀髪ツインテールの少女がこちらを見ていた。言うまでもなくレインだ。

 

とりあえず彼女の隣の椅子に座って腰を下ろす。レインはまだこちらを見ている。

 

ナズェミテルンディス!!

 

「どうした?何か用か?」

 

「…別に。ただ見ていただけ」

 

プイッ!と言った感じで視線を逸らされた。本気で理由が分からないが、他の連中と違って暇そうなので時間つぶしの世間話にでも付き合ってもらおう。

 

「レインは俺達の地元のかがやき市でカードショップ『Z1』を経営してたじゃん?」

 

「…うん」

 

店の名前の由来は間違いなくZ-ONEだろう。

 

「あそこってまだ経営してるの?」

 

「…当然」

 

「なら、最近発売したカードパックの名前とか、パック内のカードラインナップとかって分かる?」

 

「…もちろん」

 

そう言うとレインは最新作のカードパックの名前とそこに収録されているカード名を淡々と話し始めた。

 

ラッキー。調べる手間が省けた。後でブログを更新して掲載しておこう。

 

しかし、こうして改めて聞いてみると融合、シンクロ、エクシーズ、ペンデュラムカードが増えてきたなぁ。アカデミアの購買のパックとは質の差が酷い。

 

「GWの間、そのパックを買いに行ってもいい?」

 

「いい」

 

店長から許可を貰ったので今度そのパックを買いに行くとしよう。

 

ふふふ、オカルトパワーを使えばパックを剥かずにレアカードをサーチして探り当てるなど造作もないことなのだ!

 

「…当店では、サーチ行為は禁止」

 

「レイン恵はエスパーだった?」

 

「…顔に書いてる」

 

彼女は『何を今更…』と言わんばかりの眼でこちらを見て来る。顔はほぼ無表情なのに眼だけで語るとか、凄い技術だな。

 

そして、言われてみれば確かに俺は、今まで彼女やセレナたちにもトランプなどのデュエル以外のカードゲームではただの1度も勝てなかったな。

 

どうやら俺はポーカーフェイスには向かない性格らしい。

 

~~~

 

GW2日目の早朝、俺は久々に乗る俺の愛車のDーホイール、D・ファントム・Typeゼブラを走らせてとある町の病院へとやって来ていた。

 

昨晩はセレナやユーゴ達にアカデミアでのことを延々と聞かれたせいであまり眠れていないので、オートパイロットモードとはいえ走行中に少し寝落ちしそうで怖かった。帰る時は少し仮眠を取ってから乗ることにしよう。

 

昼前になんとか病院に到着し、病院前にあるDホイール専用の駐車場にDホイールを駐車した後、病院入り口前で待つ眠そうなユーリと何故かお手玉をしていたデニスと合流する。

 

「遅かったねクロト。待ちくたびれたよ」

 

「やぁクロト。久し振り~」

 

「よおユーリ、それにデニスも。待ち合わせ時間5分前に付いたからセーフだろ」

 

「社会人は皆15分前行動を心がけるものだよ。それにしても、セレナ。君まで来たのかい?」

 

「別にいいだろ?今年のGWは割と暇なんだ!」

 

そして、今日の俺にはセレナと言う同行者がいた。昨日この病院に行くことを話したら強引に付いて来てしまったのだ。バレットもOKを出していたので付いてくるのは別にいいんだが…。

 

先ほどDホイールを走っている間はずっと背中に引っ付いていたから気付いたが、この娘は小学校高学年くらいから身体的にはほぼ成長していなさそうだ。そう言えば身長も今や20cm以上差があるしな。

 

「俺に付いて来ても特に楽しいことは無いと思うんだけどな」

 

「それは後で私が判断するからいいんだ」

 

俺、セレナ、ユーリ、デニスの4人はそのまま病院内に入り、とある病室まで辿り着くことが出来た。事前にユーリが話を付けておいてくれたおかげで受付で時間を取られるようなことも無かった。ありがたい話だ。

 

「ここは?特別病棟?」

 

「そう。ここには9年ほど前に交通事故で記憶の大半を失うことになった夫婦が入院している」

 

セレナの問いに俺は答えた後、病室の扉を開く。

 

「おぉ、お待ちしていましたよ。ユーリ社長」

 

「先日はどうも。こちらがお話していた白河クロトですよ」

 

病室の中にはこの病院の院長と思われる白衣の男性と、件の夫婦の姿があった。

 

「単刀直入に聞かせて貰いますが、本当によろしいのですね?」

 

「はい。二人で決めました」

 

「私たちの過去を取り戻させてください」

 

「分かりました。全力を尽くさせてもらいます」

 

俺が問うと夫婦は頭を下げて来る。そこまでしなくていいんだけど…。

 

「クロトは何をするつもりなんだ?」

 

「彼ら二人の記憶を取り戻せるかも知れないんだってさ」

 

病室の端に置いてある椅子に座るセレナの小声の問いに、同じくその隣に座っているデニスが小声で答えたようだ。

 

「では早速…まずは旦那さんの方から、頭をこちらに出して頂けますか?」

 

「こう、ですか?」

 

病室のベットの近くに置かれた椅子に座って彼と向き合い、腕に付けた金のオカルトブレスレッドを起動した後、俺の胸元辺りまで下げられた頭に両手をかざしてゆっくりと全力の回復魔術を施す。

 

「これは…!」

 

「セレナ、分かるのかい?」

 

「…クロトの手の平から薄い緑色の強力な魔力の光があのオジサンに向けて放たれているのが見える。でも攻撃的じゃなくてなんというか、優しい光だな」

 

それから約5分間、俺は回復魔術を行使し続けた。

 

「おっ、おぉぉぉぉっ!思い出した!交通事故に巻き込まれる前のことを!ボクの名前も!妻のことも!息子の優介のことも!全部思い出せた!」

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…。ふぅ~。良し、成功だな」

 

体内の魔力を急激に4割ほど使って汗だくな上に息も絶え絶えな俺の前には、記憶を取り戻して満面の笑みと涙を浮かべる男の姿があった。

 

「まさか、本当に記憶喪失を治療してしまうとは…!?」

 

「彼は普段はアレですが、こういう時にはやる男ですからね」

 

院長とユーリが何か言っているが、正直聞いている余裕が無かったので一切聞こえなかった。

 

その後、3時間ほど休憩した後に奥さんの方の治療も行い、無事に藤原夫妻の記憶を取り戻すことに成功した。おかげで魔力はスッカラカンで、数日は魔力を行使することは出来なさそうだ。

 

童実野町に向かうのはある程度魔力が回復してから行った方が良さそうだな。

 

「本当にありがとうございました。白河先生」

 

「貴方が居なければ、私たちはまだ自分たちのことや息子の優介のことも思い出せないままだったでしょう。感謝します、白河先生」

 

「いえ、お礼には及びませんよ。早く息子さんに会って上げて下さい。あと先生は止めて下さい」

 

藤原夫婦にとても感謝されたが、俺が自己満足でやったことなのであまり褒められるとむずかゆい。個人の家庭教師とかならともかく、医者の先生なんてガラじゃないしな。

 

「事前に説明しましたが、彼のことは内密にお願いします」

 

「はい。あくまで奇跡的に自然治癒したということにしておきます。それが今回の治療の約束ですからね」

 

俺が夫婦と話している間、ユーリと院長が話しているのが聞こえた。

 

現代の医学的に治療不可能な記憶喪失を治せる人間が居る、なんて世の中に知られたら色々と動きづらくなるからな。そもそもあまりにも胡散臭すぎる。面倒に巻き込まれるのは御免だ。俺は面倒が嫌いなんだ。

 

その後、院長と藤原夫婦に別れの挨拶をした後、俺達は病院を後にした。俺達が病院を出る頃にはもう夕方になっていた。

 

「じゃあボク達も帰るよ」

 

「またね、クロト、セレナ」

 

用事は済んだとばかりにユーリとデニスは例の黒服たちの運転する黒光りの車で立ち去った。

 

「セレナ、付いて来て楽しかったか?」

 

俺はDホイールをオートパイロットで走らせながら、後ろで背中にしがみついているセレナに聞いてみた。

 

今日の彼女はただ治療の様子を見ているだけだっただろうからそこまで面白い物でもなかったと思うんだが…。

 

「楽しかったというより、クロトの珍しく格好いいところが見れて面白かったぞ」

 

「…そりゃどーも」

 

「うん?照れたのか?」

 

「セレナ、お前って性格悪くなった?」

 

「きっと先生に似たんだろうな」

 

「やはり、リンの仕業か!」

 

「お前のことだぞ」

 

夕暮れに照らされながらセレナは眩しい笑顔をこちらに向けてくる。直視すると無性に照れくさいので目を逸らした。

 

俺達はそんな話をしながら家に帰った。

 

~~~

 

GW3日目の朝、俺はシスターを手伝って孤児院の朝食の準備をしていると、リンが話しかけてきた。

 

「あっ、そうそう。私とユーゴは朝食を食べたら出かけちゃうから、昼食は要らないからね」

 

「へぇ、デートかよ」

 

「そうよ」

 

俺の皮肉に動じることもなくアッサリと言葉を返してきたリン。コイツ、出来る!?DTの俺には太刀打ちできそうにない…!

 

「くっ!これがリア充の力か…!」

 

無性に壁を殴りたくなってきたぞ。何処かに今の俺が全力で殴っても壊れない壁は無いものか。

 

「リア充って何?」

 

「気にしなくていいよ」

 

そう言えばこの時代にはまだリア充なんて言葉は生まれてないんだっけ。

 

「夕食も要らないとか?」

 

「ううん。夕食までには帰ってくるつもりよ」

 

なら、夕食はシスターと相談して精の付く料理をメインにしておこう。モヤモヤした夜を過ごすがいい。

 

孤児院の壁は薄いので、色々と始めるのだけは切実に勘弁してもらいたい。

 

「「行ってきまーす」」

 

「「行ってらっしゃーい」」

 

先ほど言っていた通り、2人でデートに行ったユーゴとリンをシスターと一緒に見送って食器を洗って片づけた後、俺は孤児院の近くにあるカードショップ『Z1』へとやって来た。

 

「…いらっしゃい」

 

店内に入るといつものほぼ無表情のレインが猫のイラストが入ったエプロンを付けてレジの前に座っていて、店内にはコワモテのゴーストが何体が店内の清掃をしていた。

 

「店長さーん。お客には笑顔で対応願いまーす」

 

「…むぅ」

 

「えっ、それで笑ってるつもりだったなのか?」

 

「…そう」

 

レインとそんな話をしていると、そのうち一体が何故か店の前に掛かっている『OPEN』の看板を裏返して『CLOSE』に変えていた。俺達は何か秘密の打ち合わせとかするんだっけ?記憶にないんだが…。

 

「一昨日の約束通り、パックを買いに来たんだ」

 

「…これ」

 

「おっ、サンキュー」

 

どうやら俺が来店するときの為に準備しておいてくれたらしく、レインはいくつかのカードパックとそれらに収録されているカードのリストをレジのテーブル上に出してくれた。

 

「なるほど。これらがここ数年で出てきた有名な新規パックか」

 

「…他のは再販・再録が多い」

 

この世界ではOCG次元のようなスピードでパックが販売することは無く、1年に2~3個の新規パックが販売されることが多い。その間の期間は古いカードを寄せ集めたような物を安く売っているパックが多く、所持金の少ない学生は大体こちらを買ってしまう。

 

だが、再販パックでは新規パックの強力カードの足元にも及ばず、デュエリスト間の格差が激しくなっている。

 

「さて、まずは融合かな…【沼地の魔神王】や【簡易融合】みたいな優秀なカードは存在しているけど、融合モンスター自体はそこまで強くない感じか。この中でまともに組めそうなテーマは【剣闘獣】と【ジェムナイト】くらいだな」

 

【召喚獣】とか【シャドール】とかが入ってなくてよかった。この世界のこの時代で一般デュエリストがメルカバ―とかネフィリムなんて出して来たら発狂しそうだ。

 

「…【重装機甲 パンツァードラゴン】は結構優秀」

 

「えっ?あぁ、確かに最新パック入っているな。【簡易融合】で出すには便利なモンスターではあるよな。残りはユニオン融合体とかHEROくらいだけど、強力なHEROは期間限定&数量限定で発売したデュエリストパック響紅葉編だけか」

 

この世界では上位プロデュエリストの許可があれば、彼らのデッキに入っているカードの一部をカードパックにして販売することがある。恐らくこの世界で一番有名な融合は響紅葉のHERO一択だろう。次点で使用者の多い【剣闘獣】だろうか。

 

エドはまだ売り出し中の新人だし、【D-HERO】デッキを使わないんだよな。第一、使っていたとしても彼が【D-HERO】のパック販売にOKを出すとは思えない。

 

サイバー流や【古代の機械】は世界大会の優勝賞品だったり大企業が開発してI2社にカードイラストだけ依頼した物だったりするらしい。(元OCG次元の人間としてはカードを制作とか印刷ではなく、開発と表現していること自体か意味わからんが、この世界では珍しくもないらしい)

 

紫雲院素良が使う【デストーイ】シリーズや柊柚子が使う【幻奏】シリーズの融合モンスターも恐らくは同じようなものだろう。

 

【DD】?あれは赤馬のオリカだろ?アニメアークファイブでも自分たちでペンデュラムカード作っていたしな。

 

「シンクロは…おっ、結構多彩だな。【X-セイバー】、【氷結界】、【霞の谷】、【フレムベル】、【A・O・J】、【ワーム】、【ジェネクス】、【ナチュル】、【ジュラック】、【魔轟神】【ドラグニティ】、【ラヴァル】、【ガスタ】…ってこれ殆どデュエルターミナル出身じゃん」

 

テーマごとのラインナップもデュエル・ターミナル稼働時と大体同じだな。

 

「…デュエル・ターミナル?」

 

「こっちの話だから気にしなくていいぞ」

 

「…むぅ」

 

【氷結界】の3竜、【ダーク・ダイブ・ボンバー】、【ゴヨウ・ガーディアン】辺りが期間限定発売のパックにしか入ってないのは判断に困るところだ。全部エラッタ版だしな。別に普通のパック入っていてもいいと思う。

 

「期間限定&数量限定で発売したシンクロモンスターのデュエリストパックはダイナソー竜崎編くらいか」

 

「…【ジュラック】」

 

「そうだな。ダイナソー竜崎と言うか、恐竜族のシンクロと言えば新規パックにも入っている【ジュラック】だろう。世に出回っている汎用的なカードは【ゾンビキャリア】、【クレボンス】、【チューン・ウォリアー】辺りの使いやすいチューナーや【大地の騎士ガイアナイト】、それを素材とする融合の【地天の騎士ガイアドレイク】、【メンタルスフィア・デーモン】辺りか」

 

今後はこれらのシンクロ使いが増えてきそうだな。でも、このくらいの強さならまだ何とでもなるだろう。手札誘発も超レアカードのヴェーラーくらいだしな。

 

「エクシーズは…おっ、そこそこの数のNo.が出て来ているな」

 

「…クロトが使っていたカード」

 

「少し前にそこまで強力じゃないかと思ったカードの情報は提供したからな。それ以外にも、【ヴァイロン】、【インヴェルズ】、【セイクリッド】、【ヴェルズ】、【炎星】、【水精鱗】、【ギアギア】、【ゼンマイ】と結構色々出てるな。デュエリストパックは…」

 

「…【インゼクター】と【エヴォル】」

 

「まあぁそうだよな。今やインゼクター羽蛾とダイナソー竜崎の代名詞みたいな扱いだしな。【カチコチドラゴン】、【グレンザウルス】、【ガチガチガンテツ】や魔人エクシーズモンスター辺りはもう結構世の中に出回っているみたいだな」

 

【ジェムナイト・パール】がちゃんと出回っているのがいいよな。アイツがいないとなかなかオピオン倒せないし…。

 

「ペンデュラムは…テーマと呼べる物はまだまだ無いな」

 

「…デュエリストパックもない」

 

「ペンデュラムが出来ればシンクロやエクシーズはかなり楽になるのに残念だな」

 

かといって【EMEm】やら【クリフォート】やらが普通に出回っていたら恐ろしい環境になりそうで嫌だな。LP:4000環境なら手札次第じゃ俺も普通に負けそうだ。流行るなら俺がアカデミアを卒業して命の危険が無くなってからにしてくれ。

 

「最後の儀式は…儀式魔人は脅威だけど、儀式モンスターはデミスとルイン以外に見れるカードがあまりないな。テーマとしては【リチュア】くらいだな」

 

【メガリス】や【影霊衣】、魔神儀カード辺りは流石に無いにしても、【霊魂】や【ヴェンデット】辺りなら…いや、十分強いか。どちらにしてもまだ世の中には出回っていないテーマだ。

 

「…再録の【サクリファイス】くらい」

 

「確かにその辺りだな」

 

なるほどな。大体今のこの世界のカードプールが分かって来た。とりあえず、アカデミア卒業までの3年間で一般デュエリストに負けることはほぼ無さそうだな。

 

「結構勉強になったな。とりあえずここに出ているパックは全種類1パックずつ買っていくことにするよ」

 

「…まいど」

 

俺はそこそこの量のカードパックを手に孤児院へと帰った。

 

ちなみにユーゴとリンは普通に夕食前に帰って来た。かなり健全なお付き合いをしているようだな。

 

~~~

 

翌日、俺は朝から田中の家で鈴木、佐藤、田中と一緒に4人対戦が出来る懐かしのテレビゲームに興じていた。

 

俺達の中に4人全員での協力プレイなど存在しない。俺達4人で協力プレイ前提の狩りゲーなど始めようものなら、誰かを囮にしてその間に収集アイテムを集めているような奴等ばかりだからな。

 

 

「くらえ!回転切り!」

 

「鈴木の勇者はそれしかしないよね。それってガードすれば隙だらけなんだよ?じゃ、ボクのゴリラの一撃でサヨナラしてね?」

 

鈴木の緑の服を着た勇者の雑な範囲攻撃を冷静に防御した佐藤のゴリラは、攻撃後の硬直で動けない勇者に渾身に一撃を叩き込み、哀れ緑の勇者は画面外へと消えて言って星になった。

 

「あぁっ!?勇者ー!」

 

「おぉっ、勇者よ。死んでしまうとは情けない。これで鈴木の残機は残り1つだね」

 

「佐藤ぉぉぉ!」

 

「フハハハハッ!これは一対一ではないのだぞ?貴様ら、我が女兵士のチャージショットを食らえ!」

 

「チャージなどさせるものか」

 

俺の狐が画面内の死角でチャージしていた田中の女兵士を遠距離から狙撃して邪魔をする。

 

「あっ、チャージが邪魔されてまた初期値に!?クロト、キサマァァァ!」

 

鈴木の弓や爆弾やブーメランなどの豊富な遠距離攻撃を一切しない近接オンリーの直情型勇者。

 

佐藤の超火力床パン道連れゴリラ。

 

田中の逃げ回ってチャージショット溜めて撃つだけウーマン。

 

そして俺の瞬足ハイテク狐。

 

やはりこの中では佐藤が一番強い。

 

俺の狐の代わりに、ぶっ壊れのスピードと火力で近くの敵を皆〇しにするコナミのワンマンレーサーが加われれば、あっという間に他の全員で対コナミ共同戦線を構築することになる。

 

それでも負けるけどな。

 

 

ピチュン、ピチュン、ピチュン

 

『カモン!掛かって来い!カモン!掛かって来い!』

 

 

ピチュン、ピチュン、ピチュン

 

『カモン!掛かって来い!カモン!掛かって来い!』

 

 

俺は自分の操作する2足歩行狐のスピードを活かして、遠距離から嫌がらせに徹して彼らへのダメージを蓄積させている。

 

「狐うぜぇぇぇ!クロト、画面端からブラスター&挑発連打はマジで止めろぉ!復帰が!復帰がぁぁぁ!」

 

1P、LOST!

 

「害悪乙」

 

「その上、我のチャージショットをことごとくリフレクターで反射して来るとは…我が右手の封印が怒りで解けそうになるぞ!」

 

馬鹿め。バトルロイヤルで重要なことは、如何にして最終盤面の1vs1時に相手との体力差を広げるかどうかだ。最初から乱戦の中心に向かうなど、愚の骨頂!

 

「あぁ!また4位!?…はいクソー!二度とやらんわこんなクソゲー!」

 

 

しばらくして鈴木のいつものセリフが出た頃にまた別の4人対戦が出来るテレビゲームをやるのが通例だ。

 

「また曲がり角の死角にバナナが!?」

 

鈴木の操作キャラの赤い帽子の土管工の男が、バナナで滑ってレースコースから落ちてフェードアウトしていく。

 

1Pコースアウト!

 

「それを置いたのは佐藤だな」

 

「クロト、さらりと人に罪を擦り付けないでくれるかな?ボクの置いたバナナはショトカ前だよ」

 

それを遠目で見ていた俺の緑の恐竜と佐藤のゴリラは、コースに復帰した直後の鈴木を出待ちしており、鈴木のコース復帰直後の硬直を狙い撃ちして即座に甲羅を叩き込んで更にコースアウトさせた。

 

「ちょっ!お前らぁぁぁ!」

 

1Pコースアウト!

 

「ふはははっ。ざまぁないな鈴木!見よ!我が姫の飛翔を!我が姫と我の技量をもってすればこのショートカットも…馬鹿な、ショートカット突入コースにバナナがぁぁぁ!?」

 

田中の操る金髪の姫がレースコースを大幅ショートカットして周回遅れを取り戻そうとして、姑息な佐藤の罠にかかってコース外の奈落へと落ちてゆく…。

 

4Pコースアウト!

 

「「「馬鹿乙」」」

 

 

昼食後はまた別の4人で出来る対戦が出来るゲームを始める。もはや恒例だ。

 

「田中!オレのゲロビを食らえぇぇぇ!」

 

いきなり単独て突出してきた田中の機体へ、鈴木の操る黒い異様な形の機体が腹部から極太ビームを放つ。

 

「なんの!シールド展開!ふっ、やはり我は不可能を可能に…!」

 

死を予見させる光の波が田中の黒い機体に襲い掛かるが、田中はタイミングよく盾を展開してそれを防ぐ。

 

「行け、ビット。側面から田中をハチの巣にしろ」

 

だが、これは2vs2のチーム戦だ。

 

「えっ?」

 

4P、LOST!

 

「田中ぁぁぁ!」

 

俺の白い機体が放った無数の無線自動攻撃システム、通称ビットにより、田中の機体は盾の範囲外から攻撃を受けてバランスを崩し、鈴木の機体が放っていた極太ビームに飲み込まれて逝った。

 

「残りは佐藤だけだな。クロト、フォーメーションγだ!」

 

「いつもの挟み撃ちって言えばいいのに。さぁ、これで終わりにするか、続けるか、佐藤!」

 

「そんな決定権がお前たちにあるのか!」

 

田中を処理した俺と鈴木は、残る敵である佐藤の白と青の機体へと波状攻撃を仕掛けようとする。

 

「敵の動きが、見える!そこぉ!」

 

「何!?佐藤、お前はオレのォォォ!」

 

1P、LOST!

 

調子に乗った鈴木はいつものように近接ビーム兵器で近接攻撃を仕掛けようとして佐藤にアッサリ躱された上、ゼロ距離から強力なビームランチャーを叩き込まれて鈴木の機体は爆散した。

 

「ちょっ、やられるのはえーよ鈴木!ちっ、ビット!オールレンジ攻撃だ!」

 

2vs1の圧倒的有利な状況から数秒でタイマンに持ち込まれた俺は、焦ってビットを展開する。

 

「ボクの体を皆に貸すぞ!ここからいなくなれぇぇぇ!」

 

だがそのビット展開時の隙を狙い、変形して紫色のオーラを纏った佐藤の機体の突撃してくる。

 

「ゲッ!動け!何故動かん!?あっ、不味い!ギャー!」

 

2P、LOST!

 

攻撃の硬直で動けない俺はその突撃の直撃を食らってしまい、俺の機体も爆散した。

 

 

そんなこんなで俺は、1~2カ月ぶりくらいに会った友人たちと学生のゴールデンウィークらしい休日を過ごした。

 

~~~

 

GWも中盤となった頃、俺は童実野町の海馬コーポレーション本社へ呼び出されていた。

 

「ふぅん。来たか白河」

 

「よく来てくれたなクロト」

 

「お久し振りです。海馬社長、モクバ副社長」

 

朝食後にいきなり電話がかかって来たと思ったら海馬社長本人からの電話で、「今すぐ本社に来い」だからな。

 

しかも電話が切れた数秒後には孤児院の前に黒い高級車から黒服の男がわらわらと出て来て、あっという間に問答無用でこの海馬コーポレーションの社長室まで運ばれてきたわけだ。

 

海馬社長の奇行にはもう慣れたので特に気にしてはいない。呼び出された用件も何となく想像がつくからね。

 

「デュエルアカデミア本校の現校長、鮫島が行方不明なのは知っているな?」

 

「えっ?校長ッて行方不明なんですか?」

 

「つまらん真似は止せ。時間の無駄だ」

 

「クロト、兄様にはクロトが査問委員会の会議に侵入していたことも、鮫島校長から七星門の鍵の入った箱を盗み出したこともバレているぞ」

 

えっ?マジで?

 

「まぁいい。モクバ、説明してやれ」

 

「OK、兄様。クロト、お前は確かはオカルトの力で物質に封印を施したり姿を消すことが出来たよな?」

 

あっ、そう言えばこの2人にはある程度は俺のオカルト技能を説明しているんだった。

 

「海馬コーポレーションの科学技術を駆使しても一切開かなかった七星門の鍵の箱が会議中にいきなり開いて、会議が終了して無人のはずの部屋の扉が何故か開いた」

 

「そしてその間、白河クロトの姿はアカデミア校舎内に無数に設置された監視カメラには一切映っていなかったんだよな」

 

あぁ、うん。これは完全にバレてますねぇ。それにしてもやらかしたなぁ。短気は損気、だな。

 

はぁ、俺ってホント、馬鹿。

 

「問おう。白河、貴様はその時間帯にどこで何をしていた?」

 

多分、ここで言い訳しても他の証拠を提示されそうな気がする。まるで裁判ゲームで犯人が追い詰められるシーンの様だ。そしてその乙詰められる犯人は俺なのが困りものだ。

 

もう言い訳のしようがないくらいに詰んでいそうだし。さっさと謝ってしまおう。

 

「申し訳ございませんでしたー!」

 

海馬社長の確信を持った問いに対し、俺は目にも留まらぬ速度で土下座した。多分、今世で最速記録を叩き出したと思う。

 

七星門の鍵を海に投げ捨てた理由はもちろん三幻魔復活の阻止だが、結果的に俺がやったことは普通に盗難&不法投棄である。

 

やったことのレベルはさておき、校長のことをどうこう言える立場じゃなくなったよな。

 

「クロト、何で校長室から箱を持ち出したんだ?」

 

「校長室から箱を持ち出して海に捨てた件については、影丸理事長やセブンスターズから箱を隠蔽する為ですね。鍵を破壊したり隠蔽したりしても、また影丸理事長が同じ鍵を作ってしまえば意味はないかも知れませんが、時間稼ぎにはなりますからね」

 

本来なら、七星門の鍵を隠蔽することで三幻魔が復活するまでの時間を稼いで、俺が卒業するまで封印が保てばよかったんだよなぁ。後は成長した十代とコナミが何とかするでしょ。

 

「じゃあ、箱を封印した理由は?」

 

「海に捨てた後に万が一に箱の蓋が開いて鍵が海に流れ出て行ってしまった場合、発見と回収が困難だからです。セブンスターズに拾われてしまった場合、その時点で終わりですね。他にも誰か第三者が拾ってしまった場合にその人物を騒動に巻き込まないようにするためですね」

 

船着場に良く行き来するトメさんとかが拾って闇のデュエルの被害者になったら目も当てられない。

 

「なら、会議中にわざわざ鍵を開けた理由は?」

 

「既に箱の所在がバレてしまった以上、箱の封印をしておく理由がないんですよ。俺が箱を封印をしたところで、箱の中の鍵が周囲からデュエルエナジーの吸収する行動を止められるわけではありません」

 

「そうなのか?」

 

そうなんですよ。そうで無ければ箱を封印したまま俺がずっと持っているよ。

 

七星門の鍵が全て入った箱そのものを倫理委員会が守っているより、鍵の守護者をクロノスや響先生にした方が、鍵が奪われる可能性はかなり低い。

 

「そもそも、恐らく俺よりもオカルトに詳しい影丸理事長ならば箱の封印を解除できてしまうでしょうからね。箱ごと鍵を全て奪われたらもう終わりです」

 

「なるほど…箱ごと全ての鍵が一度に奪われるより、デュエリストに配って1つでも奪われにくくした方がいいということか」

 

付け加えるならば、鍵が近くにある状態でデュエルするだけでデュエルエナジーが溜まる仕組みっぽいので、鍵を奪ったセブンスターズたちがそれぞれ自身で鍵を身に着けて生徒&教師関係なく無差別に闇のデュエルを挑むだけでエナジーは溜まる。

 

最悪の場合は、鍵を奪われたその日のうちに多くの闇のデュエルの犠牲者を出した上で三幻魔が復活するかも知れない。

 

結果は同じだ。だから俺は隠蔽した状態で鍵の管理がしやすい海へと投げ捨てたのだから。

 

そして、これは直感だが、闇のデュエルは挑まれたら受ける以外の選択肢がないのだと思う。勝負を断るだけで敗北とみなされ、敗者への罰を受けることになるのだろう。

 

原作で闇のデュエルを受けた人たちも同じような直観を感じたからこそ素直に闇のデュエルを受諾したのだと思う。そうで無ければわざわざ死の可能性がある勝負なんて受けないだろうからな、

 

じゃあ最初から今までのようなまどろっこしいことをしないで、さっさとその方法を取っておけばいいのでは?と思うだろうが、多分自主的に闇のデュエルを受けさせた方が質のいいエナジーが手に入るんじゃないかな?

 

正直、これ以上は分からん。影丸に直接聞きただしたいくらいだ。

 

「話は分かった。白河、今回の行動の責任として、セブンスターズの事件を解決し、鮫島の行方を捜しだして俺の前に連れてこい」

 

「アッ、ハイ」

 

「倫理委員会の連中からオカルトに関する協力要請も届いて来ている。クロトは今後、ハノイの騎士として彼らに協力してくれ。彼らには連休後からハノイの騎士と共同で活動するように伝えてある」

 

「ハイ、ワカリマシタ」

 

海馬社長の無茶ぶりに対し、俺に拒否権など無かった。モクバ副社長の根回しも流石だ。今までのやり取りがまるで計算されていたかのような流れで俺は倫理委員会に協力してセブンスターズの事件の解決と鮫島の捜索を義務化されてしまった。

 

色々とゴチャゴチャと話したが、要は成果を見せて俺の利用価値を証明できたのなら俺のやらかし案件を見逃してやるってことみたいだ。

 

どちらに対しても三幻魔やセブンスターズの件については裏で対応するつもりではいたから、俺のやることはそこまで変わらないかな。

 

「そして、ついでにアカデミア本校の生徒全体の質を向上させろ」

 

「えっ?」

 

「アカデミア本校とノース校との交流試合が毎年7月に開催されていることのは知っているな?その交流試合に触発されたのか、他のアカデミア分校から交流試合の申し込みが来ている。最終決定はまだだが、特に断る理由もあるまい」

 

「開催する場合、時期は恐らく来年の1~2月くらいだろうな。もし開催するのなら、来賓としてペガサスも天馬兄弟を迎えるつもりだとも言っていたな」

 

各校のスケジュール調整や準備期間やなんかを考えると大体それくらいだろうな。むしろかなり早いくらいだ。

 

「アカデミア本校、ノース校、ウエスト校、サウス校、イースト校、アークティック校、そしてアメリカ校。この7校から選び出されたそれぞれの代表者6名にて交流試合を行う。その交流試合にて、本校を優勝させろ」

 

「アカデミア本校が他の分校に惨敗するようなら、本校のイメージは最悪だからな。海馬コーポレーションの来年度の予算編成にも大きく影響することになるだろう」

 

「えぇ…」

 

ついでで頼まれるような内容じゃないだろ…。1~2月の試合結果次第で来年度の予算が変動するとか、海馬コーポレーションの経理の人達かわいそう。ブラック企業すぎるだろ…。

 

えっとつまり、本校代表選手A vs ノース校代表選手A、本校代表選手B vs ウエスト校代表選手A、本校代表代表選手C vs サウス校代表選手C…と言った感じで、1選手1試合行うわけだよな。

 

 

  A B C D E F G

 

A ー 〇 〇 〇 〇 〇 〇

 

B × ー 〇 〇 〇 〇 〇

 

C × × ー 〇 〇 〇 〇

 

D × × × ー 〇 〇 〇

 

E × × × × ー 〇 〇

 

F × × × × × ー 〇

 

G × × × × × × ー

 

 

各校6試合、それが7校あるから…6+5+4+3+2+1で合計21試合行われるイメージかな。

 

デュエルではサッカーの試合みたいに引き分けとかは基本的に無いから、勝敗によって勝ち点とか付くのではなく、単純に合計勝利数の多さで優勝を争うんだろうな。

 

「セブンスターズ事件解決の件、鮫島捜索の件、交流試合での本校優勝の件、それら全てが達成達成できたなら今回の件はチャラにしてやる。当然、達成出来なければお前は退学だ」

 

海馬社長の追撃の無茶ぶりにより、俺のダメージは加速した。胃がキリキリする。

 

ふと横を見ると、モクバ副社長は苦笑いしている。彼は今までずっと海馬社長の意見を尊重し、それを実現可能なようにフォローするスタンスだからな。

 

俺には悪いと思ってくれているっぽいが、それ以上に海馬社長の思惑を成功させるには必要なことだと割り切っているのだろう。

 

「ハイ!セイイッパイ、ガンバリマス!」

 

俺は孤児院に帰った後、夕食を食べた風呂上りにシスターから分けて貰った缶チューハイをガブ飲みして不貞寝した。

 

~~~

 

海馬社長に無茶ぶりをされた翌日、俺は精霊界で2日酔いが完全に収まるのを待った後、早乙女レイのデュエルアカデミア編入試験の付き添いとして童実野町の海馬ランドへやって来ていた。

 

「へぇ。デュエルアカデミアの編入試験ってこんな広い会場でやるんだな」

 

そして何故かセレナも付いてきた。「暇だし、面白そうだから」だそうだ。

 

一応、レイちゃんにはセレナも同行することを事前に伝え、セレナとレイは初めて出会った当初こそお互い緊張していたが、この会場に来るまでの去年の学園祭でセレナたちがコンサートの話題で盛り上がり、会場に到着することにはすっかり仲良くなっていた。

 

女性版コナミとも言えそうな恐ろしいコミュ力だ。到底、俺には真似できない。

 

「レイは【ライトロード】デッキを使うって言っていたな。どんなデッキなんだ?」

 

「光属性を主体としたビートダウンデッキで、墓地肥やしに長けるデッキだな。各モンスターも優秀なのが多いが、デッキの切り札である【裁きの龍】は【終焉の王デミス】を上回る強力な全体除去効果を持つ強いデッキだ」

 

「おぉ!どんなデュエルが見れるか楽しみだな!」

 

俺とセレナが会場の観客席でそんな話をしていると、レイちゃんがアナウンスで呼ばれて試験コートに現れた。レイちゃんの対戦相手はデュエルアカデミア本校の教師、松村成基のようだ。

 

今のレイちゃんの恰好はアニメGXで初登場した時の様に茶色の帽子を被って長い黒髪を隠し、少し大きめの長袖のジーンズなどで体のラインを隠した男装をしている。この格好をしている時は一人称も『ボク』で通すらしい。

 

「ところで、なんでレイは男装しているんだ?」

 

「馬鹿な。何故、一発で女子だと分かった」

 

「なんだ。やっぱり女の子なんだな」

 

「なっ!?図ったな、セレナ!」

 

「こんな古典的な手に掛かるクロトが悪い」

 

セレナはこちらを呆れたような顔で見てくる。それにしても、何故バレたんだろう。

 

「男装するならせめてシャンプーくらいは変えるんだな」

 

「シャンプー?」

 

「女性用のシャンプーの香りがする男子生徒なんて私は見たことないぞ」

 

「なるほど」

 

そういうことか。女子視点だとそう言うところでバレてしまうのか。これはレイちゃんにも教えておかないといけないな。

 

「おっ、デュエルが始まるみたいだな」

 

セレナとそんな話をしていたらレイちゃんの編入試験デュエルが始まるようだ。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆早乙女レイ(男装) LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆松村成基 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰う。私のターン、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

松村成基 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ゴブリンエリート部隊】を召喚」

松村成基 手札:6→5枚。

 

【ゴブリンエリート部隊】

効果モンスター

星4/地属性/悪魔族/攻2200/守1500

(1):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になり、次の自分ターンの終了時まで表示形式を変更できない。

 

<松村成基のフィールド>

ゴブリンエリート部隊 ★4 ATK2200

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

松村成基 手札:5→3枚。

 

 

◆早乙女レイ(男装) LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆松村成基 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。

 

<松村成基のフィールド>

ゴブリンエリート部隊 ★4 ATK2200

 

 

松村成基か。あのモンスターを出すのなら、使用デッキはグッドスタッフっぽい【地属性】デッキだろうな。魔法・罠もシンプルに優秀なカードが多い。

 

レイちゃんは話を聞く限りでは筆記試験の成績も上位っぽかったし、入学試験の成績上位者と対戦するとき同様に彼も自分のデッキを使う訳か。

 

「なぁクロト。あの人ってデュエルアカデミア本校の教師なんだよな?あの布陣は手加減しているのか?」

 

「セレナが育った環境が狂っているだけで、世の中のデュエリストの大半はあの先生のデッキに勝てないくらいのデュエリストが多いぞ」

 

セレナの周囲の奴らのデッキは【SR】、【WW】、【捕食植物】、【Em】とかだしな。それらと比べるのは流石に先生がかわいそうだ。

 

 

「ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

早乙女レイ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札からフィールド魔法【ジャスティス・ワールド】を発動!!」

早乙女レイ 手札:6→5枚。

 

【ジャスティス・ワールド】

フィールド魔法

自分のデッキからカードが墓地へ送られる度に、このカードにシャインカウンターを1つ置く。

フィールド上の「ライトロード」と名のついたモンスターの攻撃力は、このカードに乗っているシャインカウンターの数×100ポイントアップする。

また、このカードがカードの効果によって破壊される場合、代わりにこのカードに乗っているシャインカウンターを2つ取り除く。

 

「ボクは手札から魔法カード【ソーラー・エクスチェンジ】を発動!手札を1枚墓地に送ってデッキから2枚ドロー!その後、デッキトップカードを2枚墓地に送る!」

早乙女レイ 手札:5→4→3→5枚。SC:0→1個

 

【ソーラー・エクスチェンジ】

通常魔法

(1):手札から「ライトロード」モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

<手札コスト>

①ライトロード・プリースト ジェニス

 

<デッキトップから墓地に送られたカード>

①ライトロード・ウォリアー ガロス

②ライトロード・シーフ ライニャン

 

「ボクは手札から魔法カード【光の援軍】を発動!デッキトップからカードを3枚墓地に送り、デッキから【ライトロード・アサシン ライデン】を手札に加える!」

早乙女レイ 手札:5→4→5枚。SC:1→2個

 

【光の援軍】

通常魔法

(1):自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。デッキからレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を手札に加える。

 

<デッキトップから墓地に送られたカード>

①ライトロードの神域

②ライトロードの裁き

③ライトロード・モンク エイリン

 

「ボクは手札から【ライトロード・アサシン ライデン】を召喚!」

早乙女レイ 手札:5→4枚。

 

【ライトロード・アサシン ライデン】

チューナー・効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1700/守1000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中に「ライトロード」モンスターがあった場合、さらにこのカードの攻撃力は相手ターン終了時まで200アップする。

(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK1700→1900 ※チューナー

 

「ボクは【ライトロード・アサシン ライデン】の効果発動!デッキトップからカードを2枚墓地へ送る!そして効果より攻撃力が200アップ!」

早乙女レイ SC:2→3個

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK1900→2000→2200 ※チューナー

 

<デッキトップから墓地に送られたカード>

①ライトロード・ビースト ウォルフ

②ブレイクスルー・スキル

 

「ここでボクは墓地の【ライトロード・ビースト ウォルフ】の効果発動!自身を特殊召喚!」

 

【ライトロード・ビースト ウォルフ】

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻2100/守 300

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカードがデッキから墓地へ送られた時に発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK2200 ※チューナー

ライトロード・ビースト ウォルフ ★4 ATK2100→2400

 

「レベル4モンスターが2体…!しかも片方はチューナーか!だが、シンクロもエクシーズもやらせん!」

 

伏せカードを使う気だな。

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【月の書】発動!【ライトロード・ビースト ウォルフ】を裏側守備表示にする!」

松村成基 伏せカード:2→1枚。

 

【月の書】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK2200 ※チューナー

裏側守備モンスター

 

「むっ、まだだよ!ボクは手札から【ライトレイ ダイダロス】を特殊召喚!」

早乙女レイ 手札:4→3枚。

 

【ライトレイ ダイダロス】

効果モンスター

星7/光属性/海竜族/攻2600/守1500

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性モンスターが4体以上の場合のみ特殊召喚できる。

1ターンに1度、フィールド上のカード2枚とフィールド魔法カード1枚の合計3枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK2200 ※チューナー

裏側守備モンスター

ライトレイ ダイダロス ★7 ATK2600

 

「ボクは【ライトレイ ダイダロス】の効果発動!そっちの【ゴブリンエリート部隊】と伏せカード、そしてボクの【ジャスティス・ワールド】を破壊だよ!」

早乙女レイ 手札:4→3枚。

 

「うおっ!私の【ゴブリンエリート部隊】と【聖なるバリア-ミラーフォース-】が破壊されたか!」

松村成基 伏せカード:1→0枚。

 

<松村成基のフィールド>

モンスター無し

 

「ボクの【ジャスティス・ワールド】はシャインカウンターを2つ取り除いて効果破壊を免れるよ!」

早乙女レイ SC:3→1。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アサシン ライデン ★4 ATK2200→2000 ※チューナー

裏側守備モンスター

ライトレイ ダイダロス ★7 ATK2600

 

勝負はついたな。

 

「バトルだよ!【ライトロード・アサシン ライデン】でダイレクトアタック!」

 

ライトロード・アサシン ライデン ATK2000

 

「うおぉぉっ!」

松村成基 LP:4000→2000

 

「これで終わり!【ライトレイ ダイダロス】でダイレクトアタック!」

 

ライトレイ ダイダロス ATK2600

 

「うわぁぁぁっ!」

松村成基 LP:2000→0

 

 

 

デュエルが終わり、レイちゃんが対戦相手に一礼した後、試験コートから退場していく。

 

「よし!レイが勝ったな!」

 

「松村教諭も弱いわけじゃないんだけど、【ライトロード】が相手じゃなぁ」

 

セレナはレイちゃんの勝利を自分のことのように喜んでいる。こういうところが彼女の良いところだよな。

 

「クロト先輩!セレナ先輩!ボク、勝ったよ!」

 

「レイちゃん、おめでとう」

 

「見てたぞレイ!やったな!」

 

「うん!」

 

レイちゃんが観客席にやって来て、セレナと二人でハイタッチを決めながらさっきのデュエルについて話している。

 

その後は特に何も問題なく事が進み、閉会式が終わった後、俺はセレナとレイちゃんと一緒に会場を後にした。

 

「それで、何でレイは男装しているんだ?」

 

「亮様に会う時のサプライズだよ!」

 

俺とセレナとレイちゃんが編入試験の勝利祝いに近くの喫茶店に入って遅めの昼食を取っていると、セレナが男装のことについて話を切り出した。そう言えばさっきは説明しきれていなかったな。

 

「亮様?サプライズ?」

 

「そう!恋する乙女に不可能は無いの!」

 

「クロト、どういう意味だ?」

 

レイちゃんは丸藤亮の話になると基本的に会話にならなくなるので、俺が代わりに今回の編入試験までの経緯を説明することにした。

 

「レイちゃんは俺より2つ年上の丸藤亮と言う青年に恋をしているんだ」

 

「そう!亮様は最高に格好いいんだよ!」

 

「うん。それで?」

 

セレナは早くもこの状態のレイちゃんの扱い方を覚えたらしく、俺の話の続きを催促して来る。

 

「亮さんは今デュエルアカデミアの3年生で、カイザー亮と呼ばれるくらいに強いデュエリストなんだ」

 

「そう!亮様はカイザーなんだよ!」

 

「うんうん。それで?」

 

「今年を逃すと亮さんは卒業してしまうので、それまでにレイちゃんは自分の想いを打ち明けたいと考えているんだ」

 

「そう!恋する乙女の想いを受け止めて欲しいの!」

 

「へぇ~」

 

「でもレイちゃんはまだ小学校5年生。そこで、年齢と性別を誤魔化して編入試験を受けてアカデミアに潜り込もうとしているんだよ」

 

「そしてそこで亮様に告白して2人は結ばれるんだよ!」

 

「そうなんだ。…いやいや、待て待て。何を平然ととんでもないことをしようとしているんだ!」

 

俺がそこまで話すとそれまで相槌を打ちながら聞いていたセレナが突っ込みを入れてくる。

 

「レイちゃんのご両親にも了承は得ているぞ。何故か俺も一緒にレイちゃんの両親を説得させられたがな」

 

「頑張った!」

 

「違う。そうじゃない」

 

セレナは頭を押さえ出して首を横に振る。

 

「ちなみに、海馬コーポレーションの海馬社長やモクバ副社長、I2社のペガサス会長、アカデミア倫理委員会やアカデミア実技最高責任者のクロノス教諭にも話は通してある」

 

「クロト先輩って実は凄い人だよね!」

 

「凄いけど!凄いけどな!?私がおかしいのか!?」

 

とうとうセレナは頭を抱え出した。言いたいことは分かるけどね。

 

「ペガサス会長からは笑顔でOKを貰ったし、倫理委員会には正式にレイちゃんの訪問申請を提出して2週間の滞在許可証を得ている。この許可証があるのでクロノス教諭は何も言えなかったな」

 

「でも海馬コーポレーションの社長さんからは条件を出されたの」

 

「それがさっきの編入試験だったわけか」

 

「海馬社長からは、『ふぅん。恋だか何だか知らんが、デュエリストなら己が欲望を叶えたいのであればその実力を示せ!』と言うありがた~い言葉を頂いたので、文字通り編入試験でレイちゃんの実力を示したわけだ」

 

「恋する乙女は最強なんだから!」

 

「ちなみに、今回の件でレイちゃんが男装する必要は一切ない。ただ単に、亮さんの目の前で男装を解いて彼を驚かせたいだけらしい。だから彼女は先ほど『サプライズ』と称したわけだ」

 

「無茶苦茶だ…」

 

ともかく、2週間だけだがこれで正式ルートでレイちゃんがアカデミアに滞在する期間を作れた。滞在する時期や場所、食事や着替え辺りの細かい部分については今後詰めていけばいいだろう。

 

レイちゃんは亮さんと結ばれてハッピー。俺は放っておいたらヘルカイザーになってドMベルトを装着して命を燃やし尽くしそうな亮さんのフォロー役を見つけられてラッキー。両者Win-Winな関係なのだ。

 

彼らが結ばれるかどうかは分からないが、今のあの島には愛の伝道師の天上院吹雪さんが居る。彼に相談すればきっといい知恵を貸してくれるだろう。

 

~~~

 

GWもあとわずかとなった頃、ようやく魔力が回復した俺はハノイスタイルで童実野町にあるモーメントを開発している施設へ侵入していた。

 

最初は海馬コーポレーション辺りに依頼して正式にアポイントメントを取ってから堂々と施設を見学しようかと思ったのだが、訪問する際の正当な理由が思いつかなかったのだ。

 

『このモーメントは遊星粒子が人間の負の感情に反応して逆回転を起こし始め、来年には暴走してゼロリバースと言う大規模災害を起こすかもしれないから見に来ました』

 

『開発機関MIDSに所属しているルドガー・ゴドウィンが既にイリアステルに接触してダークシグナーになっているかどうかを確認しに来ました』

 

『不動博士がモーメント開発を中止しして、開発機関MIDSの最高責任者から除名されているかどうかを確認しに来ました』

 

『モーメントの制御装置となっているシグナーの竜のカードの代わりに俺が持っているカードが制御装置の代わりにならないかを確認しに来ました』

 

門前払い確定である。

 

アニメ5D'sでは、モーメントが奇妙な音を上げて逆回転を始めるのは不動遊星が誕生してからの話だが、GX世代にモーメントが開発されているようなこの世界ではアニメ同様の展開になってくれるとは限らない。

 

モーメント開発が早まり、不動遊星の誕生が早まった今、ゼロリバースの発生が早まっていても不思議ではないのだ。

 

「…とかなんとか思っていたんだが、今回ばかりは杞憂のようだな」

 

侵入してまで調査して分かったことは以下の通りだ。調査結果は上々と言っていいかどうかは微妙だな。

 

①不動夫妻はまだ開発機関MIDSに所属していて、不動博士はまだ開発最高責任者であること。

 

②不動博士とその助手のゴドウィン兄弟は順調にモーメント開発を進められていること。

 

③モーメント周辺で異常気象が発生しておらず逆回転現象も起こっていないこと。

 

④ルドガーの眼が黒くなったり、片腕が機械になっていたり、性格が悪くなったりしてダークシグナーっぽくなっていないこと。

 

⑤モーメントの制御装置は完成しているが、キーカードとなる4体のシグナーの竜のカードはまだ存在していないこと。

 

「とりあえず大丈夫そうか」

 

「…何が?」

 

「うおっ!誰だ!…レインか」

 

「…うん」

 

モーメントそのものの状態を確認し終えて施設を出て少し歩いた後、俺の独り言に反応するように突如背後から現れたレインが声を掛けてきた。

 

「全く気付かなかったんだが…」

 

「…ステルスを強化した」

 

「いや、何してんの?そんなことしなくていいよ?」

 

どうやら以前、旧特待生寮でステルスを見破ったことと、ダークネス世界に向かう際に尾行を振り切ったことが彼女の何かを刺激したらしく、ステルス機能を強化したそうだ。…これでまた彼女のステルス機能を見破ることが困難になった。

 

「…詳細を」

 

「あぁ、はいはい。ここに来た目的を話せってことね。イリアステルなら当然分かっていると思うから別にいいんだけどさ」

 

レインに俺がここに来た目的を話すと、彼女は少し何かを考えるような様子を見せた後、状況が更に混迷する言葉を放った。

 

「…私たちは、モーメント関係者に接触していない」

 

「そうみたいだな。まだルドガーも正気みたいだし、モーメント開発も順調そうだったからな」

 

「…私たち以外で、ルドガーに接触しようとする勢力はいる」

 

「えっ?」

 

詳しく聞いてみると、ゴドウィン兄弟の周囲にディアブロが何体か常に配置されているらしく、彼らを監視または護衛しているように見えるそうだ。彼女とゴースト達はその調査に来ていたところ、偶然に俺を発見したらしい。

 

「ディアブロ、居た?」

 

「…居た」

 

「施設内に?」

 

「…そう」

 

「ちなみに、今日は何体くらい居た?」

 

「…5体」

 

全く気付かなかった。ヤバいな。ディアブロってゴースト達と殆ど変わらないはずだから見かければ一発で分かると思っていたんだけど…。

 

「チーム5D's達の彼らがディアブロと対峙した時よりもディアブロの擬態性能が上昇しているわけか」

 

「…そう」

 

「もしかして、俺の侵入も連中にバレてる?」

 

「…多分」

 

ガッテム!えぇ…マジかよ。それじゃあつまり、今日の俺の行動ってただ単にディアブロを使役する組織に目を付けられただけじゃん?

 

はぁ、やってられん。酒!飲まずにはいられない!

 

「今日はもう疲れた…。さっさと帰って、夕食食べて、お風呂入って、酒飲んで寝よ」

 

「…未成年の飲酒」

 

「心はオッサンだからセーフ」

 

「…アウトだと思う」

 

結局、この日は調査の終わったレインと一緒にかがやき市に帰った後、道中でコナミへの土産の話を思い出したので、一応それを買ってから孤児院へ戻った。

 

夕食を食べてから風呂から出た後、シスターから分けて貰った梅酒を炭酸水で割った物をちびちび飲んで不貞寝した。

 

~~~

 

GW最終日の昼、俺は再びアカデミアへと帰って来た。

 

「よっす!おかえりクロト!」

 

「おっす。ただいまコナミ。ただいまで合ってんのか?」

 

「知らな~い」

 

フェリーから降りた俺は、船着場で待っていたコナミと合流した。

 

「ほらよ。頼まれていた土産だ。本土で売っているドローパンだぞ」

 

「うっひょ~!サンキュークロト~!」

 

コナミに頼まれていた土産を渡すとコナミは早速封を開けてドローパンにかぶりつく。…金の卵パンだと!?

 

アレってアカデミア校内の購買でしか販売されていないはずだぞ!?どうなってんだ!チートか!コイツの存在がチートそのものだったな!

 

「なぁなぁクロト!聞いてくれよ!サイコショッカーの精霊が出たんだよ!それも2体!」

 

「へぇ~」

 

「学生の大半が帰省して暇だったから十代たちとデュエルしていたんだけどさ、そうしたら突然…」

 

俺がアカデミアを離れていた間、セブンスターズたちに新たな動きは見られなかったみたいだが、アニメGXのストーリー通りにサイコショッカーの精霊が出現したらしい。何故か2体も。

 

アニメGXではサイコショッカーの出現は冬休みだったが、タッグフォースをベースにしたこの世界だとGWに発生することになったみたいだな。

 

「それから十代がサイコショッカーを追いかけて行ってさ!それに付いて行った先にあった発電所でサイコショッカーの精霊2体と闇のデュエルすることになったんだよ!」

 

「ほぉ~ん」

 

十代とコナミでサイコショッカーの精霊2体とタッグデュエルをして彼らを倒したら、サイコショッカーの精霊が現世に復活するための生贄にされそうになっていた高寺オカルトブラザーズ(高寺、向田、井坂)3名の救助に成功したらしい。大体アニメ通りの展開で何より。

 

他にもアカデミアの居残り組に対して十代と一緒にタッグデュエルを仕掛けまくったりしたそうだ。

 

「島に残っていた響先生にもデュエルを挑んだんだけどさ、クロトとの制裁デュエルの頃より遥かに強くなっていて、オレも一回負けちゃったぜ。もちろんその後は勝ったぞ」

 

コナミに一勝できる時点でこの世界では有数のデュエリストだろうな。

 

「十代は何度もコテンパンにされた後、定期的に先生にデュエルを挑むようになったな」

 

「ふぅ~ん。遊城も思うところがあったのかもな」

 

十代の場合、実技の方はそこそこ成績がいいのだが、筆記の方が最悪っぽいので、こちらをなんとかしないとこの世界の今後のアカデミアの方針次第では普通に退学(=女神爆笑&俺の死)になりそうで怖いんだよな。頼むから勉強してくれ。

 

俺はそんなコナミの話を聞きながら自分の寮へと戻っていった…。




オリ主の自業自得感もありますが、それでも海馬社長の無茶ぶりが凄まじいことになっていますね。コイツ、いっつも退学されかかってんな。

早乙女レイのデッキは【ライトロード】です。前回に比べると、タッグフォース4以降の新規ライトロードやトワイライトロードが加わっているのでより凶悪なデッキになっています。

教師の松村成基のデッキは【地属性グッドスタッフ】です。賢者ケイローン、ゴブリンエリート部隊などの優秀な地属性モンスターが多く投入されていて、当時のデッキとしては結構強めです。相手がライトロードでなければいい勝負が出来たと思います。

モーメント関連も少々きな臭くなってきましたね。オリ主は少し勘違いしていますが、ルドガーはゼロリバースの少し前にモーメントの逆回転を目撃して何者かの干渉を受けて精神がおかしくなったりしますが、ルドガーが正式にダークシグナーになるのはゼロリバースで死亡して蘇生した後からです。

次回の更新は4/3(土) AM7:00予定です。

戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四話 アカデミア月一試験2

前回のあらすじ:休めない長期休暇

今回のデュエルはタッグ戦です。
今話はアニメGX第15話辺りのオリ主視点です。


※2021/6/12 【サモン・ストーム】がOCG化していたことに気付いたので差し替えました。ついでに文章の表記フォーマットを最新のものに合わせました。


 GWが明けた翌日、俺はその日の授業が終わってからハノイスタイルに着替えてアカデミア職員とアカデミア倫理委員会の会議に出席していた。

 

「海馬コーポレーションより遣わされたハノイの騎士だ。よろしく頼む」

 

 実際にはアニメVLAINSのハノイの騎士のコスプレをしたここの学生だけどな。毎日顔を突き合わせている人も居るんだが、割とバレないものだよな。

 

「ハノイの騎士…!」

「ハートランドシティの騒動を収めたという、あのハノイの騎士か!」

「本物ナノーネ…?」

「とんでもない人がやってきてしまったニャ~」

 

 俺の登場により会議室内が騒めき出す。確かにハノイの騎士は偽物が頻発したからな。真偽を疑う気持ちは分かる。

 

「これが海馬社長からの推薦状(無茶ぶりの証)だ。確認してくれ」

「これは…海馬社長の印がある。本物で間違いないだろう」

 

 海馬社長の印とは、青眼の白龍のカードイラスト姿がかなり精密に再現されたハンコのことで、当然世界に一つだけしかない。

 過去に偽物を製造しようとした色々な意味でバカな組織があったが、製造開始から1週間で居場所を特定されて消されている。やっぱりあの社長は狂ってると思うわ。

 

「海馬社長、モクバ副社長より、セブンスターズ事件の解決および行方不明の鮫島校長の捜索に関してアカデミア倫理委員会の協力をするように依頼されている。今後ともよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします。ハノイの騎士」

「また同名より、アカデミア生徒の質の向上についてもアカデミア教職員に協力するように依頼されているので、そちらもよろしく頼む」

「よ、よろしくナノーネ」

 

 ハノイの騎士としての自己紹介が終わり、俺が適当に空いている席へと腰を下ろした後は会議は粛々と進んでいった。

 セブンスターズおよびカミューラの捜索は難航していた。GW中も倫理委員会がアカデミア全土を探し回ったのだが一切痕跡が見つからず、またカミューラを含むセブンスターズのメンバーが鮫島校長の拉致以降は姿を見せていないのもあり、小康状態となっていた。

 鮫島校長の捜索も同様で、両者とも既にアカデミアにはおらず、本土に逃げたのではないかと言う推論になっていた。

 

「念のため、生徒たちには改めてセブンスターズのことは話しておくべきでしょう」

「そうナノーネ。早速、明日の朝礼で我々教師陣から生徒たちに話しておくノーネ」

「では、倫理委員会は引き続き警戒を強化しながら昼夜間の見回りを続行します」

「ならば私は倫理委員会とは別に、独自のルートでこの島を捜索することにしよう」

『バニー!』

 

ここで俺は単独行動する旨を伝えておくことにした。理由はいくつかあるのだが、一番の理由はただ単に他の人間と一緒に行動したくないだけだ。

 

「それはつまり、ハノイの騎士は単独行動をするという意味ですか?」

「そうだ。私の担当するオカルト分野に関してはまだ半信半疑の者が多いだろうからな。私に付いて来てもお互いの為にならないだろう。なに、調査結果は定期的に報告させてもらうさ」

『バニー♪』

 

 なにせ会議が始まってからずっと会議室の机の中心に立って貰っているバニーラに誰も突っ込みを入れないからな。この中には誰一人としてカードの精霊を見る資質がある物は居ないわけだ。つまり、ハッキリ言うとオカルト分野では役に立たない人材なのだ。

 そもそも俺はステルス技能以外にもプチリュウによる飛翔、身体強化による自動車並みのスピードでの走行、水の魔術による長時間の潜水が可能だ。この島にコナミ以外に俺に付いてこれる人間がいるとは思えない。足手まといは要らない。

 

「納得はしていませんが、分かりました。貴方はあくまで海馬社長から推薦された協力者ですからね。こちらから行動の抑制および強制はできません」

「話が早くて助かる」

 

 倫理委員会の女性からは「納得できません!」と言った不満全開の凄い視線で睨まれたが、流石は海馬社長印の推薦状。効果は抜群の様だ。

 会議はそのまま学園の行事について話が移行し始める。

 

「今年の修学旅行については残念ながら中止した方が良さそうですニャ~」

「えぇ。セブンスターズの脅威がいつ、どこで、どのように現れるかも不明です。最悪の場合、修学旅行に向かった生徒全員が誘拐されて人質になる、などの可能性もあります」

「それは流石に考え過ぎじゃ無いノーネ?」

「では、クロノス臨時校長。貴方は万が一の時に責任が取れますか?あまり考え無しの発言は止めて頂きたいのですが?」

「すいませんナノーネ。…学園祭についてはどうするノーネ?」

「そちらに関してはあくまでデュエルアカデミアの島内で行う行事ですから、倫理委員会による見張りを増員すれば1日だけなら何とかなるでしょう」

「修学旅行に続いて学園祭まで中止となると、生徒の不満やストレスが溜まる一方ですからね」

 

 セブンスターズの件のせいで今年の1年生の修学旅行はお流れになり、来年の1年生と合同での修学旅行となったが、学園祭については開催できる様だ。

 クロノスがかなり早い段階で臨時校長になっているが、それを除けば大体はアニメ通りに話が進行したな。

 

「あとは、4月のとある時期から同時に行方不明になっている女医のミーネ、警備員のクリフ、オシリスレッド寮の用務員のゴーグ、オシリスレッドの生徒のチックの4名ですが、彼らの経歴は全て偽造された物でした」

「確か、長らく行方不明だった天上院吹雪と藤原優介の2名が発見された翌日からですね。妥当に考えるなら行方不明事件に何らかの関りがあったのでしょう」

「そちらについてもセブンスターズの捜索と並行して捜索していますが、こちらもまだ発見できていません」

「彼らそのものがセブンスターズだった可能性は無いだろうか?」

「女医のミーネと警備員のクリフに関しては発見された直後の天上院吹雪に接触しようとしていた節があります。十分に考えられる可能性ですね」

「ならば、彼らがセブンスターズのメンバーだった場合を想定して、彼らを発見しても独力で何とかしようとせず、まずは他のメンバーに報告することを最優先としましょう」

 

 黒サソリ盗掘団のメンバーについても調査が行われていたようだが、こちらの進捗は芳しくないようだ。当然だろうな。実際セブンスターズのメンバーだし。

 

「旧特待生寮に侵入したという不審者についてはどうでしょうか?」

「そちらに関しても目撃情報以降の足取りは不明ですね」

「目撃したオシリスレッドの生徒の証言によると『闇に包まれて手品のように消えた』でしたか。セブンスターズの件が無ければ何かしらのトリックを疑うところですが…」

「こちらに関しても時期的にセブンスターズの件と関りがあるかも知れません。その不審者の男を見つけた場合も、先ほどの行方不明メンバーを発見した場合と同様の手順で良いでしょう」

「も、もう島から出て行ってしまったのではないノーネ?無理に探さなくてもいいのではナイーノ?」

「ヘリなどを除けばこの島からの唯一の移動手段は船による移動のみです。あの事件以来、水辺は24時間体制で監視している為、よほどうまく船に密航していない限りはまだこの島に居ると考えるのが妥当でしょう」

「捜索は続行すべきでしょうね」

「そ、そうナノーネ…」

 

 不審者ことタイタンに関しては、クロノスはなるべく触れて欲しくないようでなんとか捜索を断念させようとしたようだが、無駄に終わったようだな。

 

「以上で本日の議題に関する会議は終了となります。他に何か懸念点があるのであれば発言をお願い致します」

「では、最後に私から学園の経営について提案があるのだが、発言よろしいかな?」

「どうぞ」

 

 会議も終わりかと思われたタイミングで俺は話を切り出す。

 

「先日、こちらの購買部で取り扱われているカードパックの収録カードを見る機会があったが、あれほど質の低いカードパックは本土では見たことが無い。あれは誰が選別して手配しているのかな?」

「私だ。理由としてはエリートの私が伝統あるショップに掛け合って在庫処分品を融通してもらっているので、大量入庫してもあまりお金がかからないからだ」

 

 俺の質問に答えたのはアニメやゲームでは見覚えのない教員だった。妙に偉そうな喋り方と態度で見ていて不快だ。今後は内心でエリート教師(笑)と呼称しよう。

 

「金、金、金!教師として恥ずかしくないのか!」

「教師以外の発言は認めない!」

「ふん!最近の若い者は礼儀を知らん!若造のくせにでかい口を叩くな!」

「若造のハノイの騎士ですが、発言よろしいかな?」

「どうぞ。ハノイの騎士」

 

 俺の話の途中でいきなり倫理委員会の若い男性とエリート教師(笑)の男性が言葉での殴り合いを始めたので待ったをかけた。何故人の話を遮るのか?コレガワカラナイ。とりあえず、最後までこちらの話を聞いて?

 

「金の問題なのは理解したが、ここはデュエルエリートを育てる場のはずだ。1流の戦術を扱い1流のデッキを持つプロを目指す若者たちに対して、時代遅れの戦略やカード知識、世代遅れのカードを与えるのか?」

「なんだと?」

「気に入らねえ」

「どんなカードにも存在する以上必要とされる力がある」

「おい、デュエルしろよ」

「み、皆何故か殺気立っているノーネ…」

「こ、怖いニャ~」

 

 エリート教師(笑)以外にも妙なところで反論が起こった。なんでここに遊星みたいなのが紛れ込んでるんだよ。

 最終的には世間的に弱いと言われているカードを有効活用できるためのカードも新規パックに入っているからこっちを売れって言いたいんだよ。話は最後まで聞いて?

 

「事実、購買部で売れているカードパックは最新の物のみ。この最新のカードパックですら本土では産廃と呼ばれてワゴン行きになっている」

「それで?」

「カードパックを選定していると言ったお前、お前はそのカードパック内のカードのみでデッキを作って他の教師やアカデミア外のデュエリストに勝てるのか?」

「いきなりやってきたくせに、さっきから随分と偉そうなことを言うじゃないかハノイの騎士。お前は何様のつもりなんだ?」

「お前こそ何様のつもりだ。文句があるならばデュエルだ。仮にもデュエルアカデミア本校のエリート教師(笑)なのだろう?お前の言い分をお前の力で、お前のデュエルで示してみせろ」

「良かろう!そのデュエル、受けて立つ!このエリート教師たる私の力を見せてやろう!」

 

 3分後。俺はデュエルで瞬殺したエリート教師(笑)を会議室から放り出して、購買部で発売するカードパックを一新する案を押し通した。

 強引に進めて悪いとは思うが、俺の退学(命)が掛かっているんでな。デュエルアカデミア本校の生徒には何がなんでも強くなって貰う。

 

~~~

 

 会議が終わってハノイの変装を解き、寮で夕食を食べた後、俺は自室でリミットレギュレーションの更新情報を見ていた。

 

<禁止カード>

【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】 New!

 

<制限カード>

【マジェスペクター・ユニコーン】 New!

【EMモンキーボード】 New!

 

<準制限カード>

新規無し

 

<エラッタ(OCG順守)>

新規無し

 

 くそっ!やられた!赤馬ぁぁぁ!あのクソマフラーが!間違いなくあの野郎の仕業だ!

 覇王龍と戦う場合、普通に事故って負けるの可能性も考慮して念のために出しておいたのが仇になったか!

 どうやったらそんなにピンポイントに禁止制限リストの選定に口出しできるんだよ!それズルじゃん!

 でもまぁ、覇王龍以上のカードなんて今のこの世界だとそこまでないだろうし何とかなるかな。

 

~~~

 

 翌日、授業が始まる前にクロノス臨時校長から全生徒へ向けてセブンスターズを名乗る不審者の集団がアカデミアに出没すると言う情報が伝えられた。

 特に緑の髪をした美女には近寄らず、デュエルを挑まれても断ること。見つけたら近くの教員か倫理委員会のメンバーに相談すること。などの注意事項を生徒たちに言い聞かせていた。

 

 そして授業後、丸藤亮、天上院明日香、三沢大地、遊城十代、コナミが校長室に呼ばれ、各寮の生徒たちの行動に注意するように頼まれたらしい。

 十代とコナミが呼ばれたのは彼らが一番要注意人物からだったらしい。確かに面白そうなデュエルが出来る!とか言ってデュエルを仕掛けそうな奴等ではあるな。

 教師側の心配も分からなくはないが、十代にはユベルやネオスも一緒なので、彼が本当にヤバくなったらあの2体が何とかするのではないかと思っている。コナミ?アイツは殺しても死なないでしょ?

 

 そして、校長室から教室に帰って来た明日香、亮、三沢の三人は、何故かまっすぐに俺のところへやって来て、俺はそのまま彼らに図書室へ連行されてしまった。

 

「さぁ、クロト。セブンスターズの件で知っていることを話してもらうわよ?」

「早めに喋ってまった方が方が早く終わるぞ?」

「また君が関係しているんだろう?」

「何の話だ?」

 

 彼らにはセブンスターズの件については一切話をしていない。俺がセブンスターズの件について色々とちょっかいを掛けていることはバレていないと思っていたんだが…。

 

「吹雪兄さんが持っていたオカルトチックな仮面が盗まれたこと、盗まれたであろう時刻に兄さんの部屋に居た女医のミーネさんと警備員のクリフさんがその時期から行方不明なこと、そして貴方が盗まれた直後からその仮面を探していること。どう考えても貴方は何か知っているでしょ?」

 

 明日香さん、冴えているね。探偵かな?

 

「吹雪には盗んだ人物に心当たりがあると言ったそうだな?そしてお前がその後に直行したレッド寮からはオシリスレッドの生徒のチック、用務員のゴーグさんが行方不明になっていると聞く。これらの関連性を疑わない方がおかしいだろう」

 

 亮さん、目がマジだわ。頭の良い連中って怖いわ~。

 

「白河に事情を聞こうと思った決め手は、海馬コーポレーションからオカルト関係で応援に派遣された人物がハノイの騎士だと校長室でクロノス臨時校長から聞いたことが理由なんだけどな」

 

 三沢くん、そう言うことは先に言ってくれ。

 ここに居るメンバーって、俺がハノイの騎士だって知っている連中だし、俺からならもっと詳しい話を聞き出せると思ったんだろうな。

 

「明日香、確かに吹雪さんの仮面の盗難事件が発生した時期とセブンスターズが出現した時期はかなり近いから両者の関連性を疑う気持ちは分かるが、関係しているとは限らないだろ?」

「うっ」

「亮さん、仮面の件で行方不明になった4人と、セブンスターズのメンバーと言われている緑髪の女とでは特徴が一致しませんよね?少なくとも同一犯ではないわけですよね?」

「むぅ」

「三沢、確かに俺は海馬コーポレーション経由でセブンスターズの件の解決を依頼されたが、それはGW中の話だ。アカデミアの人間と話したのはGW明けの先日だ。4月中旬に発生した吹雪さんの仮面の件との関連を疑うには弱くないか?」

「それは…そうかも知れないが…」

 

 彼らは俺が裏で何をしていたかを詳細に知るわけもなく、黒サソリ盗掘団の連中とカミューラの関連性に関する決定打を持たない。あくまで推測だ。これ以上の話は俺が自ら話す以外に彼らが知る方法は無い。

 もちろん話すつもりはない。彼らなら今のセブンスターズくらいならカミューラ以外になら苦も無く勝てそうな気はするが、未成年の彼らに命を懸けたデュエルなんてやらせる必要は特に無いからな。知らない間に終わっていた、くらいでいいのだ。

 だが、このままでは彼らは納得しないだろう。彼らの行動原理は自分勝手な正義感や知識欲などではなく、友人や知り合いを危険から守りたい気持ちから来ているだろうからな。なので、情報の一部だけは明かしておくことにした。

 

「仕方ないな。ここから先の話は他言無用だ。それが守れないなら話せないぞ」

「えぇ、もちろんよ」

「当然だ」

「オレもそれで問題ない」

 

 彼らの了承を取り、以下のポイントに絞って彼らに情報を渡した。

①セブンスターズのカミューラと名乗る緑髪の美女が制裁デュエルの行われた日の夜にアカデミア校舎内に侵入していたこと。

②倫理委員会もカミューラと行方不明の4人との関連性を疑っていること。

③それらがオカルトチックな力を用いたことから、アメリカでの事件のように俺(ハノイの騎士)が派遣されたこと。

 

 鮫島校長が人形にされて拉致られたことは話していない。元弟子の亮にそんなことを聞かせても歯がゆい思いをさせるだけだからね。

 

「なるほど。それで今朝の朝礼の件やさっきの校長室での話に繋がるわけね」

「鮫島校長が長期外出に出ている理由もセブンスターズの件に関係しているのかもしれないな」

「オレはアメリカの事件のことは初めて聞いたんだが…白河、君は本当に何者なんだ?」

「俺は俺だ」

 

 明日香と亮もある程度は納得してくれたようだ。三沢の質問には適当に答えておいた。他にどう答えろと?

 

「とにかく、割と真面目に危ない事件だから、一人で突っ走って解決しようなんて考えないようにしてくれよ?」

「そんなことしないわよ」

「オレもだ」

「当然だろう」

 

 念のため、彼らに釘を刺した後、彼らと別れて俺はラーイエロー寮に戻った。

 

~~~

 

 寮での夕食が終わり、明日の授業の準備を終わって風呂から上がった後、そろそろ寝ようかと思っていると、コナミからいつもの連絡が入って来た。

 

『十代たちと一緒にテニスの授業をやっていると、十代が打ったボールが明日香に当たりそうになり、なんやかんやあってクロノスに直撃した』

『明日香のフィアンセの座をかけて十代とテニス部部長の綾小路がデュエルをやって十代が勝った』

 

 今日はテニス回の日だったか。さっき明日香に会った時にフィアンセの件でからかっておけばよかったな。

 

~~~

 

 明日香たちにセブンスターズの話をしてから数日後、俺は明日の月一テストのに向けて図書室でテスト勉強をしていた。

 セブンスターズが来ようが月一テストは無くならないのだ。悠長な話だと思うが、学園側としても今回の事件は規格外の話なのでサジ加減が難しいのだろう。

 テストに関しては、前回の筆記試験のレベルなら勉強するまでもなく上位を狙えるだろうが、復習を兼ねてテスト範囲を一通り見直しているところだ。

 

「そういえば、白河、紫。アンタたちはあの噂を聞いた?」

「噂?」

「何の噂でございますか?」

 

 俺の正面の机に座ってテスト勉強をしているツァン・ディレの言葉に、彼女の隣に座っている紬紫(つむぎ ゆかり)が反応する。

 彼女たちとは図書館で偶然出会い、せっかくだからと一緒にテスト勉強をしているのだ。彼女たちも成績上位者なので今更ガッツリ勉強せずとも高得点は取れるだろうけどな。

 

「うん。月末くらいにまた新しいカードパックが大量入荷するらしいよ」

「新しいカードパックですか…少し興味がありますね」

 

 まだ学生たちには発表されていないが、確かに新しいカードパックは発売される。だが、ここで俺がしたり顔で解説してしまうと「何でそんなに詳しく知ってんの?」と言う話になりかねない。

 

「先月の件もあるからな。そんなに期待できないかも知れないが…もしカードパックに収録されているカードの情報が判明したら見てみたいかな」

「そうですね。ワタクシも自分のデッキに入れられそうな兵を探してみたいですね」

「後の楽しみのためにも、明日の試験を乗り切りるわよ!」

「「おお~」」

 

 俺達はなんとなく掛け声を上げて図書委員の生徒に怒られた。

 

~~~

 

 翌日の昼過ぎ、特に問題なく筆記試験が終了し、昼食をドローパンで済ませながら実次試験の試験会場へとやって来た。

 

「今日の実技試験は同じ寮の人間とのタッグ戦、しかも別の寮の人間と対戦するらしいぞ」

「マジかよ!オレのタッグ相手は誰かな~!」

「即席タッグとか正気か?坂倉は塚本辺りとタッグになったら終わるな」

 

 ドルオと坂倉の2人と一緒に会場の観客席で話していると、俺の名前とドルオの名前が同時に呼ばれた。どうやら俺達2人がタッグパートナーとなるようだ。

 

「白河とタッグか。足を引っ張るなよ?」

「誰に言ってんだよ」

「おー!頑張って来いよー!」

 

 ドルオと軽口を交わした後、坂倉の声援を受けながら試験コートへと入る。

 

~~~

 

 試験コートに入った俺達の前には、俺達の対戦相手と思われるオベリスクブルー生徒が2人立っていた。

 

「ほう、君たちが私たちのデュエルの相手かい?面白い、受けて立つよ。ミツ、準備はいいな?」

 

 オベリスクブルー生徒の1人、【エーリアン】デッキの使い手である高橋秀行(たかはし ひでゆき)がデュエルディスクを構えながら相棒に声を掛けている。

 

 タッグフォース4以降でも続投組として元プロデュエリストとして登場しているが、こちらはプロになって何者かの陰謀によって挫折して性格が歪む前の性格だ。綺麗な高橋と言うわけだな。

 

「私は問題ない。ヒデ。そちらこそ油断するなよ?」

 

 オベリスクブルー生徒の1人、【風属性】デッキの使い手である吉光俊輔(よしみつ しゅんすけ)がデュエルディスクを構えながら相棒の高橋に返事を返している。

 

 こちらもタッグフォース4以降でも名前が少し変わっているが続投組として元プロデュエリストとして登場している。こちらは続投前とほとんど性格の違いが無い。正直、高橋と見分けが付けづらくて困る。

 

「フン、オベリスクブルーの生徒が相手か。蹴散らしてやろう」

 

 今回の俺の相方、ドルオこと愛怒瑠夫(あい どるお)がデュエルディスクを構えながらブルー相手に挑発している。

 

 こいつくらい特徴的な名前と性格なら覚えやすいんだけどな。

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&愛怒瑠夫 LP:8000

クロト 手札:5枚。

ドルオ 手札:5枚。

 

vs

 

◆高橋秀行&吉光俊輔 LP:8000

高橋 手札:5枚。

吉光 手札:5枚。

 

 

「ヒデ、私が先攻で構わないか?」

「あぁ、頼んだ」

 

「うむ。先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

吉光 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【サモン・ストーム】を発動!800LPを払って手札から【暴風小僧】を特殊召喚する!」

吉光 LP:8000→7200、手札:6→5→4枚。

 

【サモン・ストーム】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):800LPを払って発動できる。手札からレベル6以下の風属性モンスター1体を特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札からレベル4以下の風属性モンスター1体を特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

<高橋&吉光のフィールド>

暴風小僧 ★4 DEF1600 ※ダブルコストモンスター

 

【暴風小僧】

効果モンスター

星4/風属性/天使族/攻1500/守1600

風属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

「私は【暴風小僧】をリリース!手札から【神鳥シムルグ】をアドバンス召喚する!」

吉光 手札:4→3枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

神鳥シムルグ ★7 ATK2700

 

【神鳥シムルグ】

効果モンスター

星7/風属性/鳥獣族/攻2700/守1000

このカードは特殊召喚できない。

このカードをアドバンス召喚する場合、リリースするモンスターは風属性モンスターでなければならない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いのプレイヤーはお互いのエンドフェイズ毎に1000ポイントダメージを受ける。

この時、それぞれのプレイヤーが受けるダメージは魔法・罠カードをコントロールしている数×500ポイント少なくなる。

 

「更に墓地の【暴風小僧】を除外して、手札から【風の精霊 ガルーダ】を特殊召喚する!」

吉光 手札:3→2枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

神鳥シムルグ ★7 ATK2700

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK1600

 

【風の精霊 ガルーダ】

特殊召喚・効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1600/守1200

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地から風属性モンスター1体を除外した場合に特殊召喚できる。

(1):相手エンドフェイズに、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

吉光 手札:2→0枚。

高橋秀行&吉光俊輔 伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズに【神鳥シムルグ】の効果発動!お互い1000LPダメージを受ける!」

 

「だが私たちのフィールドには伏せカードが2枚ある為、私達へのダメージは1000ポイント軽減されて0だ!」

 

「ぐぅっ!フン、下らん!この程度のダメージなど、軽いな!」

白河クロト&愛怒瑠夫 LP:8000→7000

 

 

◆白河クロト&愛怒瑠夫 LP:7000

クロト 手札:5枚。

ドルオ 手札:5枚。

 

vs

 

◆高橋秀行&吉光俊輔 LP:8000、伏せカード:2枚。

高橋 手札:5枚。

吉光 手札:0枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

神鳥シムルグ ★7 ATK2700

 

 

 吉光の伏せカードはなんだろうな。鳥獣族が多いデッキだったはずだからゴトバとか、ミラフォとかかな?

 

「白河、先攻はボクでいいな?」

「どうぞどうぞ」

 

「フン、ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ドルオ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から【ソニックバード】を召喚!」

ドルオ 手札:6→5枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

ソニックバード ★4 ATK1400

 

【ソニックバード】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守1000

このカードが召喚・反転召喚に成功した時、自分のデッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。

 

「【ソニックバード】の効果発動!デッキから【高等儀式術】を手札に加える!」

ドルオ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から永続魔法【儀式の檻】を発動!」

ドルオ 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【儀式の檻】

永続魔法

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の儀式モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターはモンスターの効果の対象にならず、モンスターの効果では破壊されない。

 

「ボクは手札から儀式魔法【高等儀式術】を発動!デッキから【ハイ・プリーステス】を墓地に送り、手札から【精霊術師 ドリアード】を儀式召喚する!」

ドルオ 手札:5→4→3枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

ソニックバード ★4 ATK1400

精霊術師 ドリアード ★3 DEF1400

 

【精霊術師 ドリアード】

儀式・効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻1200/守1400

「ドリアードの祈り」により降臨。このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。

 

 出た!ドルオのアイドルカード!じゃなくてエースモンスター!

 アイツはドリアードを出すのに命を懸けているレベルでほぼ絶対に一度はこのモンスターを出してくるからな。

 

「その程度の攻撃力では私の【神鳥シムルグ】には及ばないぞ!」

 

「せいぜい吠えていろ。ボクはカードを3枚セットしてターンエンド!」

ドルオ 手札:3→0枚。

白河クロト&愛怒瑠夫 伏せカード:0→3枚。

 

「エンドフェイズに【神鳥シムルグ】の効果が発動するが、お互いカードを2枚以上セットしているのでダメージは無しだな」

 

 先攻1ターン目から【神鳥シムルグ】を立ててきたから、エンドフェイズに【風の精霊 ガルーダ】をリリースして【ゴッドバードアタック】でも使ってくるかと思ったが、そんなことは無かったか。

 

「そしてエンドフェイズにリバースカードオープン!罠カード【砂塵の大竜巻】を発動!そちらの伏せカード1枚を破壊させてもらおう!」

高橋秀行&吉光俊輔 伏せカード:2→1枚。

 

【砂塵の大竜巻】

通常罠

(1):相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。その後、手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。

 

「ちっ!さっき伏せた【和睦の使者】が割られたか!」

白河クロト&愛怒瑠夫 伏せカード:3→2枚。

 

「そして更に【砂塵の大竜巻】の効果により手札のカードをセットする効果があるが、私は手札が無いからこちらは不発だ」

 

「最後にエンドフェイズに【風の精霊 ガルーダ】の効果発動!【精霊術師 ドリアード】を攻撃表示にしてもらおうか!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

ソニックバード ★4 ATK1400

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

 

「フン、このくらいなら問題ない」

 

 

◆白河クロト&愛怒瑠夫 LP:7000、伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

クロト 手札:5枚。

ドルオ 手札:0枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

ソニックバード ★4 ATK1400

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

 

vs

 

◆高橋秀行&吉光俊輔 LP:8000、伏せカード:1枚。

高橋 手札:5枚。

吉光 手札:0枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

神鳥シムルグ ★7 ATK2700

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK1600

 

 

 形勢はまだ互角。ただ、ドルオの伏せたカードは恐らく…。

 次のターンの高橋の【エーリアン】デッキには恐らく【宇宙砦ゴルガー】が入っていない。【サイクロン】さえ引かれなければあのカードが炸裂することだろう。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

高橋 手札:5→6枚。

 

タッグフォース6の方が馴染みがあるから、高橋が1人称『私』で標準語を喋っている姿が個人的に違和感だらけだな。

 

「私は手札から速攻魔法【サイクロン】を発動!そちらの伏せカード1枚を破壊する!」

高橋 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法(本作の現時点では制限カード)

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する

 

「ちっ!破壊される前にリバースカードオープン!罠カード【風霊術-「雅」】発動!【ソニックバード】をリリースして【神鳥シムルグ】をデッキに戻す!」

白河クロト&愛怒瑠夫 伏せカード:2→1枚。

 

【風霊術-「雅」】

通常罠

(1):自分フィールドの風属性モンスター1体をリリースし、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを持ち主のデッキの一番下に戻す。

 

チェーン②風霊術-「雅」

チェーン①サイクロン ※対象を失い、不発。

 

<高橋&吉光のフィールド>

モンスター無し

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 DEF1400

 

「むっ、チェーン発動されてしまったか」

「気にするな、ヒデ。まだ十分に挽回できる」

 

 危なかったな。最後の一枚は多分アレだ。一応アレもチェーン発動できるけど、アイツが狙っているのはモンスター破壊の方だろうしな。

 

「私はミツが伏せたカードを使用させてもらおう!速攻魔法【ツイスター】を発動!500LPを払い、そちらの【儀式の檻】を破壊する!」

高橋秀行&吉光俊輔 LP:8000→7500、伏せカード:1→0枚。

 

【ツイスター】

速攻魔法

500ライフポイントを払う。フィールド上に存在する表側表示の魔法または罠カード1枚を破壊する。

 

「フン、たかがサポートカードを失っただけだ!」

白河クロト&愛怒瑠夫 永続魔法:1→0枚。

 

【ツイスター】か。【サイクロン】のほぼ下位互換と言うか、調整版のようなカードだ。

 

 この世界のこの時代では【サイクロン】が制限カードだからな。入っていても不思議ではないか。

 

「私は手札からフィールド魔法【異界空間-Aゾーン】を発動!」

高橋 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【異界空間-Aゾーン】

フィールド魔法

相手モンスターが自分フィールド上に存在する「エーリアン」と名のついたモンスターと戦闘する場合、相手モンスターの攻撃力と守備力はダメージ計算時のみ300ポイントダウンする。

 

「そして手札から【エーリアン・テレパス】を召喚!」

高橋 手札:4→3枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK1600

エーリアン・テレパス ★4 ATK1600

 

【エーリアン・テレパス】

効果モンスター

星4/炎属性/爬虫類族/攻1600/守1000

1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターに乗っているAカウンターを1つ取り除いて発動できる。フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、Aカウンターが乗ったモンスターは、「エーリアン」と名のついたモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算時のみAカウンター1つにつき攻撃力・守備力が300ポイントダウンする。

 

「更に手札から【エーリアン・ドッグ】を自身の効果で特殊召喚!」

高橋 手札:3→2枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK1600

エーリアン・テレパス ★4 ATK1600

エーリアン・ドッグ ★3 DEF1000

 

【エーリアン・ドッグ】

効果モンスター

星3/光属性/爬虫類族/攻1500/守1000

自分が「エーリアン」と名のついたモンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターにAカウンターを2つ置く。

 

「【エーリアン・ドッグ】の効果発動!【精霊術師 ドリアード】にAカウンターを2つ置く!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200 ※Aカウンター:0→2

 

「おのれぇ!ボクのドリアードに妙なカウンターを乗せるとは…!」

 

 まるでブルーアイズを破壊された時の海馬のような反応だな。

 

「【精霊術師 ドリアード】のAカウンターを2つ取り除き、【エーリアン・リベンジャー】を自身の効果で特殊召喚!」

高橋 手札:2→1枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

風の精霊 ガルーダ ★4 ATK1600

エーリアン・テレパス ★4 ATK1600

エーリアン・ドッグ ★3 DEF1000

エーリアン・リベンジャー ★6 ATK2200

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200 ※Aカウンター:2→0

 

【エーリアン・リベンジャー】

効果モンスター

星6/闇属性/爬虫類族/攻2200/守1600

このカードはフィールド上のAカウンターを2つ取り除き、手札から特殊召喚できる。

1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターにAカウンターを1つ置く事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、Aカウンターが乗ったモンスターは、「エーリアン」と名のついたモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算時のみAカウンター1つにつき攻撃力・守備力が300ポイントダウンする。

「エーリアン・リベンジャー」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

 

「【エーリアン・リベンジャー】の効果発動!【精霊術師 ドリアード】にAカウンターを1つ置く!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200 ※Aカウンター:0→1

 

「【エーリアン・テレパス】の効果発動!【精霊術師 ドリアード】のAカウンターを1つ取り除き、そちらの伏せカードを破壊する!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200 ※Aカウンター:1→0

 

「ここだ!リバースカードオープン!罠カード【風林火山】発動!相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

白河クロト&愛怒瑠夫 伏せカード:1→0枚。

 

【風林火山】

通常罠

(1):風・水・炎・地属性モンスターがフィールドに全て存在する場合に発動できる。

以下の効果から1つを選んで適用する。

●相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

●相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。

●自分はデッキから2枚ドローする。

 

「な、何ぃ!?【風林火山】だとぉ!?」

「馬鹿な!?【風林火山】は4属性全てのモンスターがフィールドに存在しなければ発動できない…はっ!?」

「【精霊術師 ドリアード】は1人で5つの属性を併せ持つボクのエース!さぁ、吹き飛べ雑魚ども!ドリアードの前にひれ伏せ!!」

 

チェーン②風林火山

チェーン①エーリアン・テレパス ※対象を失い、不発

 

 【精霊術師 ドリアード】の目の前の空間から大爆発が起こり、高橋と吉光のフィールドを覆い尽くす!

 その後、爆炎が消え去る頃には相手フィールドに存在していたモンスターは全て破壊されていた…。

 

<高橋&吉光のフィールド>

モンスター無し

 

「私たちのモンスターが全滅…!?」

「はーっはっはっは!見たか!これが【精霊術師 ドリアード】の力だ!」

 

 ドルオは唖然としているブルー男子二人に高々とドリアードの偉大さを語った。正確には【風林火山】の力なのだが、ドルオにとってはドリアードの力らしい。

 【ライトニング・ボルテックス】とか【激流葬】で良くないか?などと言った奴は30分ほど奴の説教を食らうのがラーイエローではお馴染みの光景となっている。

 ドリアードヲタク怖ぇわ。やっぱりラーイエロー寮の人間は俺を除いて変人ばかりだな。

 

「くっ!私はこのままターンエンドだ!」

 

 

◆白河クロト&愛怒瑠夫 LP:7000、伏せカード:0枚。

クロト 手札:5枚。

ドルオ 手札:0枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

 

vs

 

◆高橋秀行&吉光俊輔 LP:7500、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

高橋 手札:1枚。

吉光 手札:0枚。

 

<高橋&吉光のフィールド>

モンスター無し

 

 

「白河、ボクの手札は尽きている。ここで決めろよ」

「任せろ。ここまでお膳立てされておいて決めきれなかったら情けないからな」

 

 実際、凄い理想的な状態でターンが回ってきたな。相手の手札は1枚。手札誘発ではないだろう。伏せカードも墓地発動カードも無し。後は俺の手札次第だな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は魔法カード【調律】を発動!デッキから【ジャンク・シンクロン】を加えてデッキをシャッフル!そしてデッキトップを墓地に送る!」

クロト 手札:6→5→6枚。

 

【調律】

通常魔法

(1):デッキから「シンクロン」チューナー1体を手札に加えてデッキをシャッフルする。その後、自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。

 

 墓地の落ちたのは…【ローンファイア・ブロッサム】!良し、これなら行けるな!

 

「俺は魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキから【スポーア】を墓地に送る!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「俺は手札から【ジャンク・シンクロン】を召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

ジャンク・シンクロン ★3 ATK1300 ※チューナー

 

【ジャンク・シンクロン】

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻1300/守 500

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

「召喚成功時に【ジャンク・シンクロン】の効果発動!墓地から【スポーア】を特殊召喚する!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

ジャンク・シンクロン ★3 ATK1300 ※チューナー

スポーア ★1 DEF800 ※チューナー

 

【スポーア】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/植物族/攻 400/守 800

このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地からこのカード以外の植物族モンスター1体を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは除外したモンスターのレベル分だけ上がる。

 

「この瞬間、俺は手札から【ドッペル・ウォリアー】を自身の効果で特殊召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

ジャンク・シンクロン ★3 ATK1300 ※チューナー

スポーア ★1 DEF800 ※チューナー

ドッペル・ウォリアー ★2 DEF800

 

【ドッペル・ウォリアー】

効果モンスター

星2/闇属性/戦士族/攻 800/守 800

(1):自分の墓地からモンスターが特殊召喚された時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「ドッペル・トークン」(戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する。

 

「俺はレベル2【ドッペル・ウォリアー】にレベル3【ジャンク・シンクロン】をチューニング!」

 

 この召喚口上は噛まずに言うのが大変なんだよなぁ。格好良いから言うけどさ!

 

「リミッター解放、レベル5!レギュレーターオープン!スラスターウォームアップ、OK!アップリンク、オールクリアー!GO、シンクロ召喚!カモン【TG ハイパー・ライブラリアン】!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

スポーア ★1 DEF800 ※チューナー

TG ハイパー・ライブラリアン ★5 ATK2400

 

【TG ハイパー・ライブラリアン】

シンクロ・効果モンスター

星5/闇属性/魔法使い族/攻2400/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、自分はデッキから1枚ドローする。

 

「この瞬間、俺は墓地の【ドッペル・ウォリアー】の効果発動!【ドッペル・トークン】2体を特殊召喚!!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

スポーア ★1 DEF800 ※チューナー

TG ハイパー・ライブラリアン ★5 ATK2400

ドッペル・トークン ★1 ATK400

ドッペル・トークン ★1 ATK400

 

「シンクロ召喚か!」

「だがこの攻撃力であればまだこちらのライフポイントは残る!」

 

「まだだ!俺はレベル1【ドッペル・トークン】にレベル1【スポーア】をチューニング!集いし願いが新たな速度の地平へ誘う。光さす道となれ!シンクロ召喚!現れよ!希望の力、シンクロチューナー【フォーミュラ・シンクロン】!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

TG ハイパー・ライブラリアン ★5 ATK2400

ドッペル・トークン ★1 ATK400

フォーミュラ・シンクロン ★2 DEF1500 ※チューナー

 

【フォーミュラ・シンクロン】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星2/光属性/機械族/攻 200/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

「【TG ハイパー・ライブラリアン】の効果が発動する!デッキから1ドロー!」

 

「更にシンクロ召喚した【フォーミュラ・シンクロン】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

チェーン②フォーミュラ・シンクロン

チェーン①TG ハイパー・ライブラリアン

 

クロト 手札:3→4→5枚。

 

「シンクロモンスターのチューナー!?」

「そんなモンスターが存在したのか!?」

 

「墓地の【スポーア】の効果発動!墓地のレベル3【ローンファイア・ブロッサム】を除外して自身を特殊召喚し、レベルを3上げる!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

TG ハイパー・ライブラリアン ★5 ATK2400

ドッペル・トークン ★1 ATK400

フォーミュラ・シンクロン ★2 DEF1500 ※チューナー

スポーア ★1→4 DEF800 ※チューナー

 

「俺はレベル1【ドッペル・トークン】にレベル4となった【スポーア】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル5【ガーデン・ローズ・メイデン】!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

TG ハイパー・ライブラリアン ★5 ATK2400

フォーミュラ・シンクロン ★2 DEF1500 ※チューナー

ガーデン・ローズ・メイデン ★5 DEF2400

 

【ガーデン・ローズ・メイデン】

シンクロ・効果モンスター

星5/闇属性/植物族/攻1600/守2400

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「ブラック・ガーデン」1枚を選んで手札に加える。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の、「ローズ・ドラゴン」モンスターまたはドラゴン族Sモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「【TG ハイパー・ライブラリアン】の効果が発動する!デッキから1ドロー!」

 

「更にシンクロ召喚した【ガーデン・ローズ・メイデン】の効果発動!デッキから【ブラック・ガーデン】を手札に加える!」

 

チェーン②ガーデン・ローズ・メイデン

チェーン①TG ハイパー・ライブラリアン

 

クロト 手札:5→6→7枚。

 

「1ターンにシンクロモンスターが3体…!?」

「なんだこの展開力は!?」

「しかも最初より手札が増えているし…相変わらず白河のデッキは頭おかしいな…」

 

「仕上げだ!俺はレベル5【TG ハイパー・ライブラリアン】とレベル5【ガーデン・ローズ・メイデン】にレベル2【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング!」

 

「「シンクロモンスター3体で更なるシンクロ召喚を行う!?」」

 

「集いし星が1つになるとき、新たな絆が未来を照らす!光さす道となれ!デルタ・アクセルシンクロ!進化の光!【シューティング・クェーサー・ドラゴン】!!」

 

<クロト&ドルオのフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

シューティング・クェーサー・ドラゴン ★12 ATK4000

 

【シューティング・クェーサー・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星12/光属性/ドラゴン族/攻4000/守4000

Sモンスターのチューナー+チューナー以外のSモンスター2体以上

このカードはS召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードは、そのS素材としたモンスターの内、チューナー以外のモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

(2):1ターンに1度、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた時に発動できる。EXデッキから「シューティング・スター・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

 

 俺達のフィールドにシンクロ召喚の境地の一つ、【シューティング・クェーサー・ドラゴン】が降り立つ。その白き体の巨大さは圧倒的で、試験会場の半分近くを覆い尽くしている。

 口上がデルタ・アクセルシンクロなのは、アニメ5D's原作と違って5体を使ったシンクロをしていないから少し口上をひねったのだ。

 ふと会場を見回すと、観客席の全員が呆然としている中、レインが凄い鋭い眼でこちらを睨んで来ている。『なんてものを出しているんだ』と言いたそうだ。

 俺は気が付かなかったことにした。

 

「で、デカい…攻撃力4000だと!?」

「だ、だがまだライフポイントは…残る、はず」

 

「【シューティング・クェーサー・ドラゴン】はS素材としたモンスターの内、チューナー以外のモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる!」

 

「アイツがS素材にしたチューナー以外のモンスターは2体!?」

「攻撃力4000の2回攻撃…だと!?」

 

「バトルフェイズに移行!【シューティング・クェーサー・ドラゴン】でダイレクトアタック!天地創造撃 ザ・クリエーションバースト!第一射!」

 

 白き巨竜が放つ光がオベリスクブルー生徒たちを包み込む…!

 

「うわぁぁぁっ!」

高橋秀行&吉光俊輔 LP:7500→3500

 

「これで終わりだ!【シューティング・クェーサー・ドラゴン】でダイレクトアタック!天地創造撃 ザ・クリエーションバースト!第二射!」

 

 白き巨竜が放つ更なる光がオベリスクブルー生徒たちに襲い掛かる…!

 

「あぁぁぁぁっ!」

高橋秀行&吉光俊輔 LP:3500→0

 

 

 

「冗談で言ったつもりだったが、本当に1ターンで決めるとは…まぁいい。ボクたちの勝ちだな」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 実技試験が終わり、ドルオや坂倉と一緒にラーイエロー寮への帰路を歩いているとドルオが話を切り出した。

 

「シンクロ召喚、シンクロモンスターか。ボクのドリアードが劣るとは思いたくないが、何度見ても凄まじい性能だったな」

「確かにな!オレの対戦相手のオシリスレッドの赤帽子も使って来たぜ!スカーレットなんたら~ってのをさ。滅茶苦茶強かった!」

「コナミが出していたのは【スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン】だな」

 

 ドルオは先ほど俺が召喚した【シューティング・クェーサー・ドラゴン】について、坂倉はコナミが召喚した【スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン】について思うところがあるようだ。

 

「やはりこの先でデュエリストとして生きていくならば、アカデミアで教えている融合召喚や儀式召喚以外の召喚方法やそのモンスターへの対策の為の知識が必要だな」

「そうだな~。こっちのモンスター効果を封じて来たり、相手ターンに効果を発動してきたりと、とんでもないモンスターが多いよな!」

「融合や儀式にも厄介なモンスターは居るけれど、最近メジャーになりつつあるのはシンクロとエクシーズだろうな」

 

 俺やコナミ、ツァンやレインが実技授業や月一テストでシンクロやエクシーズを多用するせいか、シンクロやエクシーズのモンスターを欲する生徒は急増している。俺自身も何度かトレードを持ちかけられたものだ。全部断ったけどさ。

 

「今度有志を募って職員室に新規パックの導入を直訴してみるか?」

「おぉ!面白そうだな!オレも乗るぜ!」

 

 このままだとラーイエロー寮の大半の生徒が職員室になだれ込みそうな勢いだな。ちょっと見てみたいが、教師や倫理委員会のメンバーはセブンスターズの件でかなり多忙だ。なるべく負担を減らしてやりたい。

 

「ツァンから聞いた噂だが、今月末にそれらしいカードが収録された新規パックが出るっぽいぞ」

「本当か!?」

「マジで!?」

 

 ヤバい。食いつきすげえ。目がマジだわコイツ等。

 

「いつ発売する!?どんな収録内容だ!?金額は!?ドリアードの新規カードはあるのか!?」

「バウンス効果を持ったモンスターとか居るのか!?」

 

 その後、滅茶苦茶しつこく、本当にしつこく噂の詳細を聞かれた。力を求めるデュエリストの執念を甘く見たぜ…。




とうとうデュエルアカデミアにハノイの騎士(偽)が現れてしまいました。

オリ主のデッキは【シンクロ召喚】です。タッグ相手が直前まで不明だったため、どのレベルの味方とでも歩調を合わせやすいように各レベルで汎用的なモンスターを揃えていました。調子に乗ってデルタアクセルシンクロを公共の面前で披露したので、レインさんは激おこです。

愛怒瑠夫のデッキは【ドリアード】です。本来は以前に登場した中村と似たようなアイドルデッキを使用していたりもしますが、本作ではドリアード特化になって貰いました。

高橋秀行のデッキは【エーリアン】です。エーリアンカウンターを相手に乗せ、攻守を下げたりコントロール奪取するデッキです。シンクロモンスターのゴルガーがまだデッキに入っていないので、学園内での強さはそこそこくらいです。

吉光俊輔のデッキは【風属性】です。シンプルに風属性のモンスターとそのサポートカードが多めに入ったデッキですが、ジュンコの【ハーピィ】や「属性デッキ六人衆」の1人である風見吹子の方が強い印象がありますね。

次回の更新は4/7(水) AM6:00予定です。

gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五話 購買部の改革

前回のあらすじ:風・林・火・山!ザ・クリエイション・バースト!

今回のデュエルはアニメGXの購買部のセイコさんと丸藤翔です。

今話はアニメGX第16話辺りのオリ主視点です。

※4/10(土) or 4/11(日)辺りに、本作タイトルを以下のように変更予定です。

(今) 遊戯王GXタッグフォース(タッグするとは言っていない)
(後) 遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~

今のタイトルよりは本作がどんな内容なのかが多少わかるようになるのではかと思っています。


アカデミア教職員と倫理委員会との会議から3週間後、俺が日程調整やらパック数調整やら会議での反対者を正論とデュエルで黙らせたりするのに苦労した結果、少数だがようやく購買部に新しいカードパックが並び始めた。

 

予算が不足したんじゃないかって?成績不振が続くオベリスクブルー男子寮の食費と光熱費からガッツリ奪ったよ。クロノスからはメチャクチャ睨まれたけどさ。それでもラーイエロー寮の食費とほぼ変わらないのだから問題ないだろう。オシリスレッドの食費?知らん。俺の管轄外だ。

 

生徒たちには事前に新しいカードパックが発売することを教え、そのカードパックのラインナップの情報を開示してある。その情報を伝えた瞬間、一部の強さに貪欲な生徒たちの目の色が変わったのが印象深かった。特に明日香と亮の目が怖かった。

 

そして、シンクロやエクシーズ、稀にペンデュラムのカードが入ったそれらのパックはあっという間に売り切れた。新規カードパックを購入した生徒の大半はラーイエローの生徒だ。

 

カードプールの貧弱さのせいでオベリスクブルーに上がれずにくすぶっていた者、オシリスレッドに降格しそうで後が無い者、新たな戦略を追い求めて自身の戦略の幅を広げたい者、可愛いカードが欲しい者など、理由は様々だろう。

 

今後、現状の地位に満足して慢心しているオベリスクブルーの生徒や、己の現状を嘆いてばかりで努力を放棄した向上心の無いオシリスレッドの生徒は、今よりも更なる敗北地獄を見るかも知れないが、自業自得だろう。学び舎にて学ばない奴が悪い。

 

~~~

 

新規カードパック発売から数日後、ハノイスタイルの俺は購買部のバックヤードで購買部のセイコさんと話をしていた。

 

「ハノイさん、本当に大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

会議が終わって新パックが発売されることが決まってから、俺はなんとか時間を作って購買部のセイコさんにデュエルのルールやカードの使い方について教えていた。ちなみに、彼女に渡すデッキとデュエルディスクはアカデミアの経費として購入してある。デッキは新規カードパックを購入し、そのカードの中から選んで作った。

 

「でも私、3週間前にデュエルを始めた初心者ですし…」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

恐らくこのデュエルアカデミアで今の彼女に勝てるデュエリストはごく少数だと思われる。彼女の使用するデッキが、今までビートダウンメインで戦っていた大半のデュエルアカデミアの学生たちにとってメタ的な意味で刺さるからと言うのが大きな理由だ。

 

「すいませーん。この『カードパックチャレンジ』って言うのをやってみたいんですけどー」

 

購買部の受付付近から聞き覚えのある声が聞こえてくる。これは、丸藤翔の声だな。

 

「はいはい。『カードパックチャレンジ』だね。ちょいとまっとくれよ?…セイコちゃーん。出番だよー」

 

「あっ、はーい。じゃあハノイさん。行ってきますね」

 

「健闘を祈る」

 

購買部のレジにいるトメさんに呼ばれてセイコさんがバックヤードから退出し、レジで待っている丸藤翔とデュエルする準備を始めている中、俺はハノイスタイルを解除して見つからない様に購買部の入り口まで移動する。

 

もちろん、丸藤翔のカードパックチャレンジを見物するためだ。

 

カードパックチャレンジ。

 

それは購買部のセイコさんにデュエルで勝てば、新規カードパックを1つ無料で手に入れることが出来る制度だ。ただし、負けるとその新規カードパックを有償で購入しなければならない。飲食店の大食いチャレンジのような物だ。

 

今回そのようなシステムを試験的に導入することになり、今日はその制度開始の1日目だ。ちなみに挑戦回数は1日5回までとなっている。これ以上は購買部の業務に深刻な支障をきたすからだ。

 

相手が素人のセイコさんと言うこともあって、ほぼノーリスクでカードパックが貰える!とか思って相手はきっと舐めてかかってくれることだろう。だが、世の中そんなに甘くは無いのだ。

 

~~~

 

「本当にセイコさんに勝てば新規カードパックを無料で貰えるんだよね!?」

 

「はい!でも、私が勝ったらお店で何か買って下さいね?」

 

相手はネームドキャラの丸藤翔。今の彼に勝てないのならこの制度も上手く機能しなさそうだな。セイコさんには是非とも頑張って欲しい。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰いますね?私のターン、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

セイコ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【レベル制限B地区】を発動します」

セイコ 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【レベル制限B地区】

永続魔法(本作の現在では準制限カード)

フィールド上のレベル4以上のモンスターは守備表示になる。

 

「更に、私はモンスターを裏側守備表示でセットします」

セイコ 手札:5→4枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「最後に、私はカードを2枚セットしてターン終了です」

セイコ 手札:4→2枚。

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:5枚。伏せカード:2枚、永続魔法:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:4000、手札:5枚。

 

「ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

丸藤翔 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から速攻魔法【サイクロン】を発動!【レベル制限B地区】を破壊する!」

丸藤翔 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法(本作の現在では制限カード)

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「あっ!?」

セイコ 永続魔法:1→0枚。

 

「良し!ボクは手札から【ドリルロイド】を召喚!」

丸藤翔 手札:5→4枚。

 

【ドリルロイド】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1600/守1600

このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊する。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

 

良いモンスターだよな。特に今回のセイコさん相手にとってはキラーカードとなりえるかも知れない。攻撃が通ればの話だけどな。

 

「バトルだ!【ドリルロイド】で伏せモンスターを攻撃!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】を発動します!」

セイコ 伏せカード:2→1、永続罠:1→0枚。

 

【グラヴィティ・バインド-超重力の網-】

永続罠(本作の現在では準制限カード)

フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない。

 

「また攻撃制限カード!?…メインフェイズ2に移行!ボクはカードを1枚伏せてターンエンド!」

丸藤翔 手札:4→3枚。

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚、永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

 

 

「私のターン、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

セイコ 手札:2→3枚。

 

「私はフィールドの伏せモンスターを反転召喚し、【ステルスバード】の効果を発動します!相手に1000LPダメージです!」

 

【ステルスバード】

効果モンスター

星3/闇属性/鳥獣族/攻 700/守1700

このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。

このカードが反転召喚に成功した時、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

 

<セイコさんのフィールド>

ステルスバード ★3 ATK700

 

「えぇっ!?うわぁっ!」

丸藤翔 LP:4000→3000

 

「更に私は【ステルスバード】の効果を発動します。このモンスターを裏側守備表示にします」

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「まさか、毎ターンに1000LPダメージを与えてくるってこと!?」

 

あのモンスターを放置しておくといずれLPが尽きる。さぁ、どうするんだ?

 

「私はモンスターを裏側守備表示でセットします」

セイコ 手札:3→2枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

「私は手札から永続魔法【強欲なカケラ】を発動します」

セイコ 手札:2→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

【強欲なカケラ】

永続魔法

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分ドローフェイズに通常のドローをする度に、このカードに強欲カウンターを1つ置く。

(2):強欲カウンターが2つ以上置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私はこれでターンエンドです」

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3000、手札:3枚。伏せカード:1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

 

「ボクのターン、ドロー!…良し!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

丸藤翔 手札:3→4枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【シールドクラッシュ】を発動!裏側守備になっている【ステルスバード】を破壊する!」

丸藤翔 手札:4→3枚。

 

「あっ!?また破壊されちゃった!」

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「ボクは手札から【ステルスロイド】を召喚!」

丸藤翔 手札:3→2枚。

 

【ステルスロイド】

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1200/守 0

自分フィールド上にこのカード以外の「ロイド」と名のついたモンスターが存在する場合、このカードが戦闘を行った自分ターンのバトルフェイズ終了時に、フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

ステルスロイド ★4 ATK1200

 

「ボクはカードを1枚セットしてターンエンド!」

丸藤翔 手札:2→1枚。伏せカード:2枚。

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3000、手札:1枚。伏せカード:2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

ステルスロイド ★4 ATK1200

 

 

「私のターン、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

セイコ 手札:1→2枚。強欲カウンター:0→1

 

「私はフィールドの伏せモンスターを反転召喚し、【イナゴの軍勢】の効果を発動します!相手の伏せカード1枚を破壊しますよ!」

 

【イナゴの軍勢】

効果モンスター

星3/闇属性/昆虫族/攻1000/守 500

このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。

このカードが反転召喚に成功した時、相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 

<セイコさんのフィールド>

イナゴの軍勢 ★3 ATK1000

 

「良し!今破壊されたカードは【ワンダーガレージ】さ!その効果により手札から【デコイロイド】を特殊召喚!」

丸藤翔 手札:1→0枚、伏せカード:2→1枚。

 

【ワンダーガレージ】

通常罠

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、手札からレベル4以下の「ロイド」と名のついた機械族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

ステルスロイド ★4 ATK1200

デコイロイド ★2 DEF500

 

【デコイロイド】

効果モンスター

星2/風属性/機械族/攻 300/守 500

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、相手は「デコイロイド」以外の表側表示のモンスターを攻撃対象に選択できない。

 

「バトルです!【イナゴの軍勢】で【デコイロイド】に攻撃します!」

 

「ここでリバースカードオープン!罠カード【スーパーチャージ】発動!その効果によりデッキから2ドロー!」

丸藤翔 手札:0→2枚、伏せカード:1→0枚。

 

【スーパーチャージ】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の「ロイド」モンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

イナゴの軍勢 ATK1000

vs

デコイロイド DEF500 ※戦闘破壊

 

<丸藤翔のフィールド>

ドリルロイド ★4 ATK1600

ステルスロイド ★4 ATK1200

 

「くぅ!だけど、まだボクのロイドは…!」

 

「メインフェイズ2に移行して、私は【イナゴの軍勢】の効果を発動します。このモンスターを裏側守備表示にします」

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「それから私はそちらの【ドリルロイド】と【ステルスロイド】をリリースして、手札からそちらに【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】を特殊召喚しますね」

セイコ 手札:2→1枚。

 

【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】

特殊召喚・効果モンスター

星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。

相手フィールドのモンスター2体をリリースした場合に相手フィールドに特殊召喚できる。このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。

(1):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。

 

<丸藤翔のフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 ATK3000

 

「えぇっ!ボクのロイドたちが勝手にリリースされちゃった!?」

 

「私はこれでターンエンドです」

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 ATK3000

 

 

ありゃりゃ。結果論だけど、バトルフェイズ前に【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】を出しておけば【スーパーチャージ】を使われることは無かったなぁ。

 

セイコさんが初心者なのは間違いないし、その辺りの機微はまだ判断が難しい感じか。でもまぁ、伏せカードが判明しただけでも良しと考えるべきかな。

 

「ボクのターン、ドロー!そのままスタンバイ…」

丸藤翔 手札:2→3枚。

 

「スタンバイフェイズに【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】の効果が発動します。相手に1000LPダメージです」

 

「うあぁっ!…メインフェイズに移行!」

丸藤翔 LP:3000→2000

 

「ボクは手札から【エクスプレスロイド】を召喚!」

丸藤翔 手札:3→2枚。

 

【エクスプレスロイド】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 400/守1600

(1):このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、「エクスプレスロイド」以外の自分の墓地の「ロイド」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「ボクは【エクスプレスロイド】の効果発動!墓地の【ドリルロイド】と【ステルスロイド】を手札に加える!」

丸藤翔 手札:2→4枚。

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド!」

丸藤翔 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:2000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 ATK3000

 

 

「私のターン、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

セイコ 手札:1→2枚。強欲カウンター:1→2

 

ここでセイコさんの【強欲なカケラ】の使用条件が満たされた。丸藤翔はそろそろロックを解除しないとこのまま負けるぞ?ただ、恐らくあの伏せカードは…。

 

「私は【強欲なカケラ】の効果を発動します。このカードを墓地に送り、デッキから2ドロー」

セイコ 手札:2→4枚。永続魔法:1→0枚。強欲カウンター:2→0

 

「私はフィールドの伏せモンスターを反転召喚し、【イナゴの軍勢】の効果を発動します!相手の伏せカード1枚を破壊しますよ!」

 

<セイコさんのフィールド>

イナゴの軍勢 ★3 ATK1000

 

「その効果にチェーンしてリバースカードオープン!罠カード【進入禁止!No Entry!!】発動!全てのモンスターは守備表示になる!」

 

【進入禁止!No Entry!!】

通常罠

フィールド上に攻撃表示で存在するモンスターを全て守備表示にする。

 

チェーン②進入禁止!No Entry!!

チェーン①イナゴの軍勢 ※対象を失い、不発。

 

<セイコさんのフィールド>

イナゴの軍勢 ★3 DEF500

 

<丸藤翔のフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

 

 

「う~ん。じゃあまた【イナゴの軍勢】の効果を発動します。このモンスターを裏側守備表示にしますね」

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「私はモンスターを裏側守備表示でセットします」

セイコ 手札:4→3枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドです」

セイコ 手札:3→2枚。伏せカード:1→2枚。

 

 

◆セイコ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚、永続罠:1枚。

 

<セイコさんのフィールド>

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3000、手札:2枚。伏せカード:1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム ★8 DEF2500

 

 

ここまでセイコさんのフィールドが整ってくると丸藤翔はキツイだろうな。

 

「ボクのターン、ドロー!…良し!良いドローだ!そのままスタンバイ…」

丸藤翔 手札:2→3枚。

 

「スタンバイフェイズに【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】の効果が発動します。相手に1000LPダメージです」

 

「うぐぁっ!…メインフェイズに移行!」

丸藤翔 LP:2000→1000

 

「ボクは手札から魔法カード【大嵐】を発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

丸藤翔 手札:3→2枚。

 

【大嵐】

通常魔法(本作の現在では制限カード)

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「あっ、リバースカードオープン!カウンター罠【アヌビスの裁き】を発動します!」

セイコ 伏せカード:2→1枚。

 

【アヌビスの裁き】

カウンター罠

手札を1枚捨てる。相手がコントロールする「フィールド上の魔法・罠カードを破壊する」効果を持つ魔法カードの発動と効果を無効にし破壊する。

その後、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える事ができる。

 

「えぇっ!?最初から伏せていたそのカードがカウンター罠!?」

 

やっぱりそうだったか。さて、丸藤翔はこれを防げるかな?

 

「【アヌビスの裁き】により、私は手札を一枚捨てて【大嵐】の発動を無効にしては破壊します!」

セイコ 手札:2→1枚。

 

「そんなぁ。せっかくの逆転の一手だったのに~」

 

「更に、そちらの【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】も破壊してその攻撃力分3000のダメージを貴方に与えますよ」

 

「えっ?…あっ!?」

 

チェーン②アヌビスの裁き

チェーン①大嵐 ※無効化&破壊

 

<丸藤翔のフィールド>

モンスター無し。

 

「うわぁぁぁっ!」

丸藤翔 LP:1000→0

 

 

「やったあ!私の勝ちですね!でも…手加減してくれたんですよね?」

 

「負けちゃった…」

 

 

やはりセイコさんの【ロックバーン】デッキはタッグフォース3世代未満の相手には非常に有用だ。彼女のデッキを把握してちゃんと考えて対策をしなければ一方的にやられるのを見ているだけしかなくなる。

 

彼女のロックカードに対してエクシーズモンスターでレベル縛りを突破するなり、シンクロモンスターで魔法・罠を除去するなりして色々と創意工夫をする必要がある。

 

彼女にはアカデミア生徒の強さを図るためのちょうどいい指標になって貰えそうだな。

 

~~~

 

デュエルが終わった後、丸藤翔は気落ちした様子で購買部のレジへと向かう。

 

「このパック下さい。うぅ…なけなしのDPが…」

 

「お・か・い・あ・げ。ありがとうございまーす♪」

 

営業スマイル満面のセイコさんから新規パックを自腹で購入する丸藤翔。その新規パックには融合デッキの汎用サポートも入っているので頑張って引き当てて欲しいところだ。

 

生徒たちは無料で新規カードパックが手に入る可能性がある上に、負けても強力なカードが入った新規カードパックを購入できるわけだからデッキの質が上がって嬉しい。

 

購買部はデュエルに勝利すれば売り上げが上がる。セイコさん自身には僅かながら特別手当が出ている。どちらも嬉しい。

 

俺はいずれ行われるらしいアカデミア校の対抗試合に向けて生徒たちが強くなって嬉しい。

 

誰にとってもWin‐Winなのだ!

 

強くなるために手を尽くす生徒たちのデッキの質のインフレによって、努力を怠る他の生徒たちが成績不振による退学になる可能性が出てくるが、退学になりたくなければ死ぬ気で付いてくるしかない。

 

デュエルエリートを育てる学び舎なんだから、当たり前だよね?

 

~~~

 

カードパックチャレンジの結果に満足感を得た俺はハノイスタイルを解除してラーイエロー寮の自室に戻ってきていた。

 

夕食まで時間があるのでニュースでも見ようかと思ったのだが、ハノイの騎士用として支給されたPDAにアカデミア倫理委員会から連絡が来ていた。

 

『先日、ラーイエロー寮の生徒である大原進と小原洋司の2名が変装してオベリスクブルー生徒に対してアンティルールデュエルを仕掛けていた為、捕縛』

 

『翌日、ラーイエロー生徒2名とアンティルールデュエルに応じていたオベリスクブルー生徒5名を退学処分とした』

 

あぁ、アニメGXで闇夜の巨人デュエリストとか言ってオベリスクブルー生徒を狩っていた2人か。

 

本人たちにも色々と事情があったとは思うが、この学園じゃあアンティルールデュエルは学生手帳でもあるPDAにしっかりと記載されている校則違反で、バレると殆ど即退学だからな。

 

捕まっちゃったらそうなるのは当然の結果だな。少し同情はするけどルールはルールだ。サヨナラバイバイ!

 

俺はそれ以上特に何も思うことなくPDAをベッドに放り投げた。




オリ主の自業自得感もありますが、それでも海馬社長の無茶ぶりが凄まじいことになっていますので、オリ主もかなり強引な手を打ち始めましたね。

セイコさんのデッキは【ロックバーン】です。タッグフォース3環境ではロックパーツを破壊する術が少なく、素人とは名ばかりの強キャラです。本作でもLP4000制でバーン効果を飛ばしてくるので凶悪さは健在です。

丸藤翔のデッキは【ビークロイド】です。前回よりも少し強化されていますが、まだそこまで強くないです。今後に期待ですね。

次回の更新は4/10(土) AM6:00予定です。

白銀神雅魅様、蟹の見習い様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百六話 墓守の遺跡

前回のあらすじ:素人詐欺。

今回の対戦相手は墓守の長です。

今話はアニメGX第17話辺りのオリ主視点です。


デュエルアカデミア入学から2か月が経った6月の初旬、購買部の改革が終わってようやく多忙から解放された俺は、アカデミアの授業が終わった後にハノイスタイルに着替えて1人でアカデミアの島内にある古代遺跡へとやって来ていた。

 

遺跡はアカデミアの裏手のある山を越えた先に存在するので、俺が全力でその山の周囲の森の中を走り抜けても遺跡へ到着する頃には夕方になっていた。

 

もちろん、入り口にある元アーチ状だったと思われる半壊した門をくぐり、古代ローマや古代エジプトのような石造りの建物の残骸が残るだけのこの古代遺跡に来たのには訳がある。

 

セブンスターズの行方をワイト達に島内をくまなく探してもらってからもう1か月以上が経過している。それでもまだ奴らの足取りを追えない理由を考えると、ワイト達の視界を妨げる何かが彼らの探索を妨害しているか、ワイト達がまだ未調査の場所に潜伏していると考えるのが妥当だろう。

 

そして、ワイト達にはこの危険な古代遺跡に対しては決して遺跡内部に入らずに外周から様子だけを探るように頼んでいた。つまりこの遺跡の詳細な調査は今まで実行しておらず、今日初めて遺跡の内部を調査するわけだ。

 

この遺跡は島の火山にかなり近い上、墓守世界に通じる門を開くための装置が遺跡内の何処かでいまだ稼働状態で存在する。しかも2年後には異世界へのゲートまで出現すると言う、割と危ない遺跡なのだ。

 

当然、一般人を同行させるわけにはいかないので、倫理委員会にはハノイの騎士として単独で本日この遺跡を調査することを事前に伝えてある。この遺跡周辺には俺以外の人間は存在しない。

 

全く探知できないが、多分レインだけは何処か近くには隠れていて、こちらを監視しているんだろうけどさ。

 

久し振りに一人で人気のないところを行動する為、島中に散開してもらっていた大半のワイト達には休んでもらい、余力のある1体だけ残って貰って他のカードの精霊たちと一緒に俺と行動を共にしてもらっている。

 

常時ワイト達を100体以上人間界に存在させ続けながら他の精霊たちも出現させるなんてことをしたら俺の魔力が干からびるからな。驚愕!?ラーイエロー寮で学生のミイラが見つかる!?なんてニュースになりかねない。

 

「さて、遺跡入り口からこの遺跡中央部までの道のりには人気は無し。墓守世界の扉を開いてしまう危険物である怪しげな円形の遺物も無し、だな?」

 

『バニー!』

 

俺と一緒に遺跡中央部の石畳の上に立ち、周囲を探索していたバニーラが楽しそうに俺の問いに対して返事をした。

 

う~ん、やはり可愛いなぁ!

 

この感情は今の俺の元となった『白河クロト』少年の影響が強いんだろうな。彼はバニーラ大好きだったからなぁ。

 

『こちら西部探索隊、人っ子一人いないでゴザルな』

 

『ボクの目をもってしても何も見つけられなかった』

 

俺とバニーラが立っているこの遺跡中央から西エリアを調査していた伝説の剣豪MASAKI、メカレオンが帰ってきたが、特に何も発見できなかったようだ。

 

『こちら東部捜索隊、何も見つからなかったのう』

 

『ワイトもそう思います』

 

遺跡の東エリアを調査していた斬首の美女、ワイト(1体だけ)も戻ってくるが、こちらも成果は無かったようだ。

 

『こちら北部捜索隊だ。異常なし』

 

『本当に何もなかったですねぇ』

 

遺跡の北エリアを調査していたエルフの剣士とホーリー・エルフも戻って来た。やはりと言うべきか、何もなかったようだ。

 

あとはアクエリアたちが向かった南部エリアだけだが…。

 

『お~い、クロト~。何か見つけたよ~』

 

『アクエリア~。そんなにブンブン振ったら危ないんじゃないかな~』

 

『リュ~ン!』

 

そんなことを考えていると、遺跡の南エリアを調査していた水の精霊アクエリア、キーメイス、プチリュウも戻って来た。

 

最近ようやく俺の名前をまともに呼ぶようになったアクエリアの手にはあの異世界へつながる円形の遺物と言う危険物が握られている。

 

その円形の文様の中央にある目のような部分からは怪しい緑色の光が放たれ始めていた。

 

 

えっ?何で持って来てんの?見つけたら触らずに知らせてくれって口を酸っぱくして頼んだよね?

 

おいおい、死んだわ俺ら。

 

 

予定調和の如く、円形の遺物から強烈な緑色の光が放たれ、その光に連動するように遺跡に各地から緑色の光の柱が次々と現れ出す。

 

慌てて空を見上げると、空に見える太陽が3つに増え、空一面の景色が歪んで行くのが分かった。

 

その景色を見て本能的に危険を感じた俺は、カードの精霊たちを全員カードに戻して遺跡を離れようとするが結局間に合わず、その光は俺達全員を呑み込んでいった…。

 

~~~

 

光が収まり、周囲を確認できるようになってから、俺は初めて俺達全員が墓守の世界へと飛ばされてしまったことを認識した。

 

先ほどまで朽ちていた入り口のアーチ型の門は一切欠けることなく新品同様の状態でそこにあり、遺跡の中央にはピラミッドに酷似した建物が悠然と佇んでいる。ピラミッド状とはいっても途中で平らになっており、正面から見ると台形だけどな。

 

3つの太陽の近くには巨大なオベリスクが見え、その他にも石造りの立派な建物が所狭しと並び立ったその場所はまさに神殿と呼ぶにふさわしい姿だった。

 

周囲を見回してとりあえず全員無事なのを確認して安堵した後、まずはトラブルの元を運んできたアクエリアに対して一言文句を言ってやろうと思った。

 

「アクエリア~。触るなって言っただろ~?」

 

『ゴメンゴメン。あんまりしつこく言ってくるからフリかと思って、ね?』

 

やるなよ?やるなよ?ってか?んなわけあるか!

 

「ね?じゃないよ。全く…どうしたものかなぁ」

 

殆ど謝るつもりのないアクエリアは放置して、改めて周囲を見回す。

 

「さて、出来ればその物騒なモノをこちらに向けるのは止めて貰いたいんだが、どうだろうか?」

 

俺達の周囲にはさっきから俺達を取り囲むように何十人もの墓守の精霊たちが立っており、その全員がこちらに長槍の穂を突き付けてきている。

 

黒い頭巾を被ったその男たちは【墓守の長槍兵】達だろう。

 

「貴様たち、一体何者だ!灰色のローブに黒い仮面だと?怪しい風体をしおって!まさか、墓荒らしか!」

 

「違う」

 

見た目で判断するのはよくないと思うな。

 

「ここは神聖なる王家の墓!貴様たちのような者たちが居ていい場所ではない!」

 

それならこのまま帰るんで、道を開けて貰えませんかね?

 

「この墓を暴かんとする不届き者め!生きたまま石棺の中に入れて埋葬してくれようぞ!」

 

止めて下さい。死んでしまいます。

 

「断る、と言ったら?」

 

俺が戦闘要員以外のカードの精霊たちをカードに戻し、臨戦態勢を取りつつ相手を挑発する。

 

「ふっ、威勢のいい小僧だ」

 

そんな中、墓守の精霊たちの中から一際身分の高そうな髭面のオッサンが現れた。あれは【墓守の長】だな。

 

【墓守の長】の左右にはハゲ頭の巨漢【墓守の番兵】、如何にも物知りそうな老婆【墓守の呪術師】が控え、更にその後ろには緑髪の美女【墓守の暗殺者】が居る。

 

「お前がここのリーダーか?」

 

「如何にも。私がここの長だ。墓荒らしの小僧よ」

 

「違うと言っているだろう」

 

メカレオンの隠蔽能力が効く相手は人間と低レベルの精霊たちに対してのみだ。【墓守の長槍兵】だけならともかく、【墓守の長】には通用しないだろう。

 

第一、多勢に無勢だ。人間界の自動拳銃で武装した程度の相手ならともかく、レベル4以上の墓守の精霊たちがこれほどいる状況では、リアルファイトに持ち込んでは俺達に万が一にも勝ち目は無いだろう。

 

最悪、虐殺になりかねないが師匠たちを召喚するしかないかもな。

 

「お前の他にもお前たちの世界からやって来た人間は居た。その全ての人間が1人を除いて掟により墓荒らしとして処刑された」

 

1人を除いて?アニメGXだとダークネス仮面を被った吹雪さんのことだろうが、彼は墓守の世界に来るタイミングは無かったはず。一体、誰のことだ?

 

「生きたまま石棺の中に入れられ葬り去られる。お前もそうなる」

 

「それは御免だな」

 

「それにはワシと試練の儀式を行い、勝たねばならない」

 

そう言って墓守の長は、自身が持つデュエルモンスターズのカードをドヤ顔で見せて来る。

 

「デュエルか。受けて立とう」

 

良し、何はともあれ何とかデュエルに持ち込めそうだな。ここでリアルファイトに持ち込むよりは遥かに生存率が上がったぞ。まずはこの状況を乗り越えるために全力を尽くそう。ブレスレットも一応装備しておこうかな。

 

「勇気ある若者だな。お前が負けたら生きたまま肝を抜かれ、ミイラにされると言うのに…」

 

肝を抜かれようが石棺にぶち込まれて埋められようが、結局死ぬじゃねえか。

 

~~~

 

神殿のピラミッドもどきの建造物を階段を上へと昇った先にある、頂上にある儀式場の広場にて俺と墓守の長はデュエルディスクを構えて対峙していた。その手前には何処まで続くかもわからない奈落がある。落ちたらきっと助からないゾ。

 

ちなみに俺のカードの精霊たちは既にカードに戻っている。もし俺が勝っても相手がゴネるようなら師匠たちを召喚して強硬突破する予定だからだ。その場合、この遺跡の大半が吹き飛ぶことになるが、俺は知らん。

 

「それでは始めようか」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「儀式、開始!」

 

「デュエル!」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆墓守の長 LP:4000、手札:5枚。

 

 

墓守の長とのデュエルは闇のデュエルだ。

 

お互いにLPダメージを受けるとリアルダメージを負うというクソ仕様なので、なるべくダメージは受けないように心がけたいな。

 

 

「先攻はワシが貰う。ワシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

墓守の長 手札:5→6枚。

 

「ワシは手札から【墓守の司令官】の効果を発動!このカードを墓地に送り、デッキからフィールド魔法【王家の眠る谷-ネクロバレー】を手札に加える!」

墓守の長 手札:6→5→6枚。

 

【墓守の司令官】

効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1500

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「王家の眠る谷-ネクロバレー」1枚を手札に加える。

 

「ワシは手札からフィールド魔法【王家の眠る谷-ネクロバレー】を発動!」

墓守の長 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【王家の眠る谷-ネクロバレー】

フィールド魔法

(1):フィールドの「墓守」モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いに墓地のカードを除外できず、墓地のカードへ及ぶ効果は無効化され、適用されない。

 

「ワシは手札からモンスターを裏側守備表示でセット!」

墓守の長 手札:5→4枚。

 

<墓守の長のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「そして手札から魔法カード【王家の生け贄】を発動!ワシは手札の【墓守の従者】を墓地に送る。お前も手札のモンスターを墓地に送らねばならぬぞ?」

墓守の長 手札:4→3→2枚。

 

【王家の生け贄】

通常魔法

「王家の眠る谷-ネクロバレー」が自分フィールド上に存在している時に発動する事ができる。

お互いの手札にあるモンスターカードを全て墓地に捨てる。

 

「ちっ、私は手札から【時械神ラツィオン】と【時械神サディオン】を墓地に送る」

ハノイ 手札:5→3枚。

 

「そして手札から魔法カード【墓守の石版】を発動!墓地から【墓守の司令官】と【墓守の従者】を手札に加える!」

墓守の長 手札:2→1→3枚。

 

【墓守の石版】

通常魔法

自分の墓地の「墓守の」と名のついたモンスター2体を選択して手札に加える。

この効果は「王家の眠る谷-ネクロバレー」の効果では無効化されない。

 

「ワシはカードを1枚セットしてターンエンド!」

墓守の長 手札:3→2枚。伏せカード;0→1枚

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:3枚。

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆墓守の長 LP:4000、手札:2枚。伏せカード;1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<墓守の長のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

相変わらず【王家の眠る谷-ネクロバレー】は厄介なカードだな。

 

相手の手札は【墓守の司令官】と【墓守の従者】だと既に割れている。問題は伏せモンスターと伏せカードか。【墓守】なら面倒なリバースモンスターである可能性が高いだろろうな。

 

だが、ここは墓守の世界。つまり異世界だ。他の人間や破滅の光、ダークネスなどの目を気にする必要はない。よって…。

 

お前の戦術は全てカードパワーによるごり押しでぶち破らせてもらおう!

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【神縛りの塚】を手札に加える!」

ハノイ 手札:4→3→4枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「私は手札からフィールド魔法【神縛りの塚】を発動!」

ハノイ 手札:4→3枚。フィールド魔法:1枚。

 

【神縛りの塚】

フィールド魔法

(1):フィールドのレベル10以上のモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールドのレベル10以上のモンスターが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。破壊されたモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける。

(3):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから神属性モンスター1体を手札に加える。

 

「私は手札から【時械神ミチオン】を召喚!」

ハノイ 手札:3→2枚。

 

<ハノイのフィールド>

時械神ミチオン ★10 ATK0

 

【時械神ミチオン】

効果モンスター

星10/炎属性/天使族/攻 0/守 0

このカードはデッキから特殊召喚できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードは戦闘・効果では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(3):このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動する。相手のLPを半分にする。

(4):自分スタンバイフェイズに発動する。このカードを持ち主のデッキに戻す。

 

「レベル10のモンスターをリリース無しで召喚するだと!?」

 

「バトルフェイズに移行!【時械神ミチオン】で裏側守備モンスターに攻撃!」

 

時械神ミチオン ★10 ATK0

vs

裏側守備モンスター → 墓守の番兵 DEF1900

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900→2400

 

「ふっ、攻撃されてリバースしたこの瞬間に【墓守の番兵】のリバース効果が発動する!【時械神ミチオン】を手札に戻すといい!」

 

【墓守の番兵】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1900

リバース:フィールド上の相手モンスター1体を持ち主の手札に戻す。

 

「【墓守の番兵】のモンスター効果は、相手モンスター1体を対象に取る効果だ。【神縛りの塚】により【時械神ミチオン】を対象に取ることはできず、その効果は不発だ。更に【時械神ミチオン】の戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる」

 

「なんだと!?」

 

「バトルフェイズを終了。ここで【時械神ミチオン】の効果発動!相手のLPを半分にする!」

 

「うおぉぉぉっ!」

墓守の長 LP:4000→2000

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを1枚セットして手札から魔法カード【命削りの宝札】を発動!デッキから3ドロー!」

ハノイ 手札:2→1→0→3枚。伏せカード;0→1枚

 

【命削りの宝札】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分は手札が3枚になるようにデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。このターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送る。

 

「私は更にカードを2枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに【命削りの宝札】の効果により手札の【時械神ラフィオン】を墓地に送る」

ハノイ 手札:3→1→0枚。伏せカード;1→3枚

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:0枚。伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

時械神ミチオン ★10 ATK0

 

vs

 

◆墓守の長 LP:2000、手札:2枚。伏せカード;1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF2400

 

 

「戦闘・効果で破壊できないモンスターが、効果の対象にもならなくなるとは…」

 

「サレンダーするのか?」

 

「ぐっ、否だ!ワシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

墓守の長 手札:2→3枚。

 

「ワシは手札からモンスターを裏側守備表示でセット!」

墓守の長 手札:3→2枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF2400

裏側守備表示モンスター

 

「ワシはこれでターンエンド!」

 

「エンドフェイズに伏せカードの罠カード【砂塵の大嵐】を発動!【王家の眠る谷-ネクロバレー】と伏せカードを破壊する!」

ハノイ 伏せカード:3→2枚。

 

【砂塵の大嵐】

通常罠

このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

(1):フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「ネクロバレーが!?」

墓守の長 フィールド魔法:1→0枚。伏せカード:1→0枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF2400→1900

裏側守備表示モンスター

 

破壊した伏せカードは【降霊の儀式】だったか。墓地に対象となるモンスターが居なかったから発動できなかったんだな。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:0枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

時械神ミチオン ★10 ATK0

 

vs

 

◆墓守の長 LP:2000、手札:2枚。伏せカード;0枚。フィールド魔法:0枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900

裏側守備表示モンスター

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズに移行。このタイミングで【時械神ミチオン】はデッキに戻る。そしてメインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「伏せカードの永続罠【メタル・リフレクト・スライム】を発動!【メタル・リフレクト・スライム】を守備表示で特殊召喚する!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【メタル・リフレクト・スライム】

永続罠

(1):このカードは発動後、効果モンスター(水族・水・星10・攻0/守3000)となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。

(2):このカードの効果で特殊召喚されたこのカードは攻撃できない。

 

<ハノイのフィールド>

メタル・リフレクト・スライム ★10 DEF3000

 

「更に【メタル・リフレクト・スライム】をリリース!EXデッキから【神・スライム】を特殊召喚する!」

ハノイ 永続罠:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

神・スライム ★10 ATK3000

 

【神・スライム】

融合・効果モンスター

星10/水属性/水族/攻3000/守3000

水族モンスター+水属性・レベル10モンスター

このカードは融合召喚及び以下の方法でのみEXデッキから特殊召喚できる。

●自分フィールドの攻撃力0の水族・レベル10モンスター1体をリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる。

(1):モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは3体分のリリースにできる。

(2):このカードは戦闘では破壊されず、相手は「神・スライム」以外の自分フィールドのモンスターを、攻撃対象に選択できず、効果の対象にもできない。

 

「融合モンスターを【融合】無しに特殊召喚!?」

 

「まだだ!【神・スライム】をリリース!」

 

その者、降臨せしむれば、灼熱の疾風大地に吹き荒れ、生きとし生ける者すべて屍とならん。

 

「貴様たちに神を見せてやる。手札から【オベリスクの巨神兵】を召喚する!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

【オベリスクの巨神兵】

神・効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000

このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。

(1):このカードの召喚は無効化されない。

(2):このカードの召喚成功時には、魔法・罠・神属性幻神獣族のモンスター効果以外のモンスターの効果は発動できない。

(3):このカードが特殊召喚されている場合、このカードは攻撃宣言できず、エンドフェイズにこのカードを墓地へ送る。

(4):このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、モンスター・罠カードの効果を受けない。神属性のモンスター効果は発動ターンのみ有効となる。

(5):このカードは相手の魔法カードの効果の対象にならず、効果は発動ターンのみ有効となる。(フィールド全域に及ぶ魔法の効果は通常通り受ける)

(6):1ターンに1度、自分フィールドからこのカード以外のモンスター2体をリリースする事で発動できる。相手モンスター全てを破壊し、相手プレイヤー全てに4000ポイントの効果ダメージを与える。この効果の発動と効果は無効化されず、相手ターンでも発動できる。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

召喚された【オベリスクの巨神兵】はその巨体ゆえに儀式場に体が収まりきらず、俺の後ろにそびえ立つようにして佇んでいる。

 

「な、なんだこの巨大なモンスターは!?攻撃力4000!?それに、この威圧感は一体何なのだ!?」

 

「モンスターではない。神だ」

 

古代エジプトっぽい墓を守っている割には【オベリスクの巨神兵】を知らないんだな。オシリスとかラーなら知っていたのかもしれない。

 

「デュエルを続行するぞ。伏せカードの永続罠【虚無械アイン】を発動!墓地の【時械神サディオン】をデッキに戻し、デッキから【無限械アイン・ソフ】をセットする!」

ハノイ 伏せカード:1→0→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【虚無械アイン】

永続罠

(1):このカードはフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、相手の効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●手札からレベル10モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

●自分の魔法&罠ゾーンにこのカード以外のカードが存在しない場合、自分の墓地の「時械神」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻す。その後、手札・デッキから「無限械アイン・ソフ」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。

 

「バトルフェイズに移行!【オベリスクの巨神兵】で裏側守備表示モンスターに攻撃!ゴッド・ハンド・クラッシャー!」

 

オベリスクの巨神兵 ATK4000

vs

裏側守備モンスター → 墓守の偵察者 DEF2000

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900

墓守の偵察者 ★4 DEF2000

 

「攻撃されてリバースしたこの瞬間に【墓守の偵察者】のリバース効果が発動する!デッキより【墓守の監視者】を特殊召喚する!」

 

【墓守の偵察者】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1200/守2000

リバース:自分のデッキから攻撃力1500以下の「墓守の」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する。

 

【墓守の監視者】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000

相手プレイヤーが自らの手札を捨てる効果を含むカードを発動した時、このカードを手札から墓地に送る事で、その発動と効果を無効にしてそのカードを破壊する。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900

墓守の監視者 ★4 DEF1000

 

「だが私の【オベリスクの巨神兵】が【墓守の偵察者】を戦闘破壊したことで【神縛りの塚】の効果が発動する!1000LPダメージを受けろ!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

墓守の長 LP:2000→1000

 

「メインフェイズ2に移行。私はこれでターンエンドだ」

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。永続罠:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

vs

 

◆墓守の長 LP:2000、手札:2枚。伏せカード;0枚。フィールド魔法:0枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900

墓守の監視者 ★4 DEF1000

 

 

「あのようなモンスターにどうやって勝てというのだ…!?」

 

「サレンダーするのか?」

 

「ぐっ…否だ!ワシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

墓守の長 手札:2→3枚。

 

「ワシは手札から【墓守の司令官】の効果を発動!このカードを墓地に送り、デッキから【王家の眠る谷-ネクロバレー】を手札に加える!」

墓守の長 手札:3→2→3枚。

 

「このタイミングで伏せカードの永続罠【無限械アイン・ソフ】を発動!【虚無械アイン】を墓地に送り、墓地から【時械神ラツィオン】をデッキに戻し、デッキから【無限光アイン・ソフ・オウル】をセットする!」

ハノイ 伏せカード:1→0→1枚。永続罠:1→0→1枚。

 

【無限械アイン・ソフ】

永続罠

自分の魔法&罠ゾーンの表側表示の「虚無械アイン」1枚を墓地へ送ってこのカードを発動できる。

(1):このカードは1ターンに1度だけ相手の効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分・相手のメインフェイズに発動できる。手札から「時械神」モンスター1体を特殊召喚する。

●自分の墓地の「時械神」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻す。その後、手札・デッキから「無限光アイン・ソフ・オウル」1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。

 

「ワシは手札からフィールド魔法【王家の眠る谷-ネクロバレー】を発動!」

墓守の長 手札:3→2枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF1900→2400

墓守の監視者 ★4 DEF1000→1500

 

「ワシは手札からモンスターを裏側守備表示でセット!」

墓守の長 手札:2→1枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF2400

墓守の監視者 ★4 DEF1500

裏側守備表示モンスター

 

「更にワシは伏せカードを1枚セットしてこれでターンエンド!」

墓守の長 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士(白河クロト) LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。永続罠:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

vs

 

◆墓守の長 LP:2000、手札:1枚。伏せカード;1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<墓守の長のフィールド>

墓守の番兵 ★4 DEF2400

墓守の監視者 ★4 DEF1500

裏側守備表示モンスター

 

 

あの裏側守備モンスターは【墓守の従者】だろうな。

 

伏せカードが気になるところだが、ここは攻めるべきだろう。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

「私は手札から【時械巫女】を召喚!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

【時械巫女】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 0/守 0

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):「時械神」モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。

(3):このカードをリリースして発動できる。デッキから攻撃力0の「時械神」モンスター1体を手札に加える。

(4):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから攻撃力0の「時械神」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はこの効果以外ではモンスターを特殊召喚できない。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

時械巫女 ★1 ATK0

 

「私は【時械巫女】の効果発動!このカードをリリースしてデッキから【時械神ザフィオン】を手札に加える!」

ハノイ 手札:0→1枚。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

 

「ここで永続罠【無限光アイン・ソフ】の効果を発動!手札から【時械神ザフィオン】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

時械神ザフィオン ★10 ATK0

 

【時械神ザフィオン】

効果モンスター

星10/水属性/天使族/攻 0/守 0

このカードはデッキから特殊召喚できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードは戦闘・効果では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(3):このカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に発動する。相手フィールドの魔法・罠カードを全てデッキに戻す。

(4):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(5):自分スタンバイフェイズに発動する。このカードを持ち主のデッキに戻す。

 

「バトルフェイズに移行!【オベリスクの巨神兵】で【墓守の番兵】に攻撃!ゴッド・ハンド・クラッシャー!」

 

オベリスクの巨神兵 ATK4000

vs

墓守の番兵 DEF2400

 

「リバースカードオープン!罠カード【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動!相手攻撃表示モンスターをすべて破壊する!」

墓守の長 伏せカード:1→0枚

 

【聖なるバリア -ミラーフォース-】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

「神に罠など効かん」

 

神のカードたる【オベリスクの巨神兵】はミラーフォースを粉砕し、そのまま【墓守の番兵】を殴り倒す。

 

「私の【オベリスクの巨神兵】が【墓守の番兵】を戦闘破壊したことで【神縛りの塚】の効果が発動する!1000LPダメージを受けろ!」

 

「ぬわぁぁぁっ!」

墓守の長 LP:1000→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエルが終わると、墓守の長がその場に崩れ落ちる。闇のデュエルによるダメージが蓄積したのかもしれない。

 

「「「「長!?」」」」

 

倒れた墓守の長の元へ他の墓守の精霊たちに駆け寄る。そして他の精霊たちに支えられ、墓守の長が何とか立ち上がる。

 

ダイレクトアタックこそなかったものの、闇のデュエルで神の攻撃を間接的に受けたというのに、ガッツのあるオッサンだな。

 

「若者よ、見事なデュエルだった」

 

「それはどうも」

 

「今まで、この試験を乗り越えた人間は1人しかいなかった。しかし、その者もお前の様に圧倒的な力を秘めてはいなかった…試練を乗り越えたお前にこれを渡そう」

 

墓守の長はそう言いながら自身が身に着けている半分に欠けた首飾りをこちらに渡してくる。

 

半分に別れているのに現時点で俺が作ったオカルトネックレスよりも遥かに強力な魔力を感じる首飾りだ。よく見れば、この世界に転移することになった円形の遺物と似たようなの文様が刻まれており、その中央付近には赤紫の宝玉が付いている。

 

これは、アニメGXで遊城十代が墓守の長から授かった首飾りだな。

 

「残りの半分は、先に試練を乗り越えたもう一人の男が持っている。お前が再び闇のデュエルを戦わざるを得なくなった時、そのアイテムがきっと力を与えてくれるだろう」

 

これが無くても俺には師匠たちが作ってくれたブレスレットがあるから、多分何とでもなるんだろうが、一応貰っておこうかな。

 

「最後に一つ、私よりも先に試練を突破した者のことを聞いても良いか?」

 

俺は貰った首飾りをポケットにしまいつつ、デュエル前から気になっていたことを聞いてみた。

 

「ふむ、良かろう。その男はお前と同じように黒い仮面を付けており、自らをダークネスと名乗る黒き竜の使い手であった」

 

ダークネスねぇ。大方、セブンスターズに奪われたダークネスの仮面を無理やり付けられて影丸たちに利用されている男性ってところだろうな。

 

もし、闇イソノやその黒幕の方のダークネスが相手だったならば、この世界の精霊は全滅しているだろうからな。

 

「さぁ、仲間の精霊たちと共に元の世界へと戻るが良い」

 

「そうさせてもらおう。ちなみにどうやって帰ればいいんだ?」

 

「天の三つの光、一つに重なり、光の膜が現れる前に王家の墓の前より出でよ」

 

墓守の長はしたり顔でそう答え、隣に控えている墓守の暗殺者もうなずいている。

 

いや、ちゃんと教えてくれよ。知ってるからいいんだけどさ。

 

「分かった。では、世話になったな」

 

そう答えて俺は彼らと別れ、王家の墓の入り口にある門へと向かって歩いて行く。

 

道中にふと周囲を見てみると、墓守の長や墓守の暗殺者以外の他の墓守の精霊が俺を遠巻きにこちらを見ていた。だが、畏怖の表情を浮かべるばかりでこちらに危害を加えようとする様子はない。

 

どうやら先ほどの神の召喚がよほど堪えたようだな。神はともかく俺自身は墓守の精霊5体くらいを相手取ると軽く死ねると思うので非常に助かる。そのまま俺が元の世界に帰るまでは勘違いしてビビっていてくれよ。

 

「ギリギリ間に合ったな」

 

俺は門の前に辿り着くと同時に空を見上げれば、3つの太陽のような光は1つに収束を始めて景色が歪んでいく。足元からは緑色の光の柱が何本も現れ始め、その光はこちらに飛ばされた時のように俺を呑み込んでいった…。

 

~~~

 

気が付くと、俺は遺跡の門の前で倒れていることに気付いた。転移の際に気を失っていたようだ。俺が墓守の世界に飛ばされたのは夕方だったが、辺りはすっかり暗くなっていて夜になっている。

 

何でいちいち気を失わないといけないんだよ。この転移システムは欠陥品だろ。製作者に文句を言ってやりたくなる。

 

そしてふと見上げると、満月を背景にして不機嫌そうな表情のレインが俺を見下ろすように目の前に立っていた。彼女の銀髪が月の光に照らされてなかなかに幻想的な姿になっている。

 

それよりも、この位置からだとスカートの中が見えそうなので、もう少し立ち位置を考えて欲しい。俺も一応男なので、つい視線が…。

 

「…!?」

 

こちらの視線に気付いたのか、レインはスカートを抑えて一歩下がり、ゴミを見るような眼で見てくる。

 

「…不埒」

 

「いやいや、見てないから」

 

俺は彼女の罵倒を軽く流して立ち上がり、彼女を放置してアカデミアへの道を歩き出す。そうするとレインは俺の隣を歩き始め、こちらに質問を投げ掛けて来る。

 

「…詳細を」

 

彼女は墓守の世界への転移に巻き込まれなかったようで、墓守の世界に飛ばされた後の経緯を問われた。

 

そう言えば、墓守の世界でも彼女の監視が続いている可能性を考慮し忘れていた。危ない危ない。

 

答える義務はないし答えなくてもいいのだが、俺の監視が任務でもあるので、こういう時の彼女は絶対に折れないし妥協しない。延々と聞かれ続けるのは目に見えている。

 

そんな面倒なことになるのは御免なので、墓守の世界に飛ばされた後の出来事をザックリと話した。なお、墓守の長とデュエルした時に使用したデッキに関してはボカしてある。

 

【時戒神】は彼女のマスターであるZ‐ONEが使用するテーマだ。Z‐ONEはイリアステル幹部にすら自身のデッキの詳細を話していなかったはずなので、彼女が【時戒神】を知っているかは微妙なラインだが、面倒は少ない方がいいからな。

 

「…?」

 

一通り話し終わった後、レインは俺の手元にある円形の遺物に目をやる。

 

「これか?これは墓守の遺跡から墓守の世界に移動するための道具だ」

 

そう。俺は例の円形の遺物を墓守の遺跡から持ち出していた。この遺物が無ければ十代もセブンスターズも墓守の世界に行くことはできないはずだ。

 

アニメGX原作だと十代は墓守の長に勝利しているが、この世界でも同様に勝利できる保証はなく、負ければ埋められてしまうからな。十代の死=俺の死なので、彼へのリスクマネジメントは手が抜けないのだ。

 

これの他にも同じものが遺跡にあった場合はどうしようもないが、俺とカードの精霊たちが遺跡をくまなく探した結果この1つしか見つかっていないので、恐らくはもう無いはずだ。

 

「これを遺跡から持ち出しておけば十代たちや他の生徒が墓守の世界に飛ばされて闇のデュエルに巻き込まれる心配もなくなるだろう?」

 

「…泥棒」

 

「あー、あー。聞こえないー」

 

レインが非難の視線を送ってくるが、無視だ無視。とりあえずこの遺物は海にでも投げ捨てておこう。

 

海に捨ててもある程度の捨てた場所さえ覚えておけば、何らかの理由で後からこの遺物が必要となった場合でもアクエリアに頼めばサルベージしてもらえるし、普段から持っていても邪魔だしな。

 

~~~

 

翌日の昼、購買部入り口で変形した防火シャッターの修理が行われる中、ドローパン売り場に遊城十代やコナミと一緒に並んでドローパンを選んでいるオベリスクブルーの制服を着たオカッパの筋肉ムキムキ男が居た。なんだか既視感が…。

 

「トメさん!黄金の卵パン、まだ出てないよね?」

 

「あぁ。まだだよ。頑張って」

 

「良し!オレが当てる!」

 

「いや、オレが当てるね!」

 

十代たちと購買部のトメさんの会話を聞きながら、ようやくその光景に見覚えが有る理由を思い出した。

 

あぁ、そう言えばそろそろドローパン泥棒の大山平のイベントが発生する頃合いだった。あの様子だと、事件は無事に解決したらしいな。黄金の卵パンなんて今まで一度も縁が無かったから、このイベントは完全に忘れていたな。

 

大山平が破壊したであろう防火シャッターは、荷物搬入の際に壊してしまったということになっている。多分、トメさんの機転による嘘だろう。

 

ただ、ドローパン泥棒の被害者である購買部のトメさんが許している上に人的被害が無いなら別に言及する必要はないかな。俺は別に倫理委員会のメンバーじゃないしさ。

 

うん?待てよ?となるとこの後の展開は…スマホ構えとこ。

 

「当たった!黄金の卵パン!嬉しぃ~!うふふっ!やったぁー!」

 

十代たちがドローパン売り場でパンを選んでいる最中、その正面に立っていた天上院明日香が黄金の卵パンを引き当てて大はしゃぎしていた。

 

普段のクールな姿から想像もできないはっちゃけた姿に周りの人間は呆然としている中、俺はその光景をスマホで動画保存し続けた。

 

そして、面白い映像を取れた喜びを共感してもらう為に、吹雪さんと亮さんにその動画を転送し、明日香のテンションが落ち着いた頃を見計らってから明日香にも転送しておいたのだった…。




墓守の世界に関しては、アニメGXのシナリオにおいて吹雪の登場フラグと、十代が闇のデュエルに対抗するための首飾りの入手のために必要でした。

ですが、本作では吹雪は既にアカデミアに帰還しており、闇のデュエルもオリ主は単体でこなせてしまう為、セブンスターズの調査&妨害と十代たちに闇のデュエルをさせないために、オリ主は墓守界転移フラグを叩き折りました。

ついてに、サラ(墓守の暗殺者)と吹雪さんのフラグも叩き折ることになりました。

オリ主のデッキは【時械神】です。ただ、異世界で羽目を外せたのでつい神のカードをピン刺ししていました。

墓守の長のデッキは【墓守】です。本来なら【王家の眠る谷-ネクロバレー】による墓地封じからのビートダウンを行う厄介なデッキですが、相手のデッキが悪かったですね。

なお、同時刻の十代たちは半裸のドローパン泥棒男とデュエルをしていた模様。

次回の更新は4/14(水) AM7:00予定です。

Skazka Priskazka様、暇人game様、c+java様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百七話 アカデミア月一試験3

前回のあらすじ:墓守達は神を見た。

1戦目の対戦カードはオリ主とオベリスクブルーのモブですが、どちらかと言えばこちらのデュエルはオマケです。

2戦目の対戦カードは遊城十代と三沢大地です。

今話はアニメGX第18~19話辺りのオリ主視点です。

※4/10(土) or 4/11(日)辺りに、本作タイトルを以下のように変更予定です。

(今) 遊戯王GXタッグフォース(タッグするとは言っていない)
(後) 遊戯王GXタッグフォース~2度目の人生は赤帽子の幼馴染~

今のタイトルよりは本作がどんな内容なのかが多少わかるようになるのではかと思っています。


デュエルアカデミア入学から2か月が経った6月の中旬、俺はハノイスタイルでアカデミアの定例会議に参加していた。

 

「以上が私と倫理委員会の現状の調査結果だ」

 

「デュエルアカデミアの失踪事件のうわさを聞き付けた、国崎康介と名乗る自称ジャーナリストは捕縛しましたが、セブンスターズとは関係は薄いですね」

 

アニメGXだと海馬っぽいシルエットのデュエリストに負けてプロを諦めた男で、十代のデュエルを見てプロデュエリストを目指す道への再挑戦を決意しつつ、失踪事件の解明を明日香と約束して別れた後、一切登場せずに消息を絶った人物だな。

 

多分、アニメだと明日香と別れた少し後で失踪事件の解明をしようとしていることが影丸にバレて消されたと思われる。

 

ここで捕縛されて運が良かったね。あの世と牢屋なら、牢屋の方がマシでしょ?

 

「セブンスターズと鮫島校長に関しては未だ行方知れずですか…」

 

「はっ!偉そうなことを言っていた割には成果が出せていないのではないか?ハノイの騎士よ?」

 

「これに関しては言い訳のしようが無いな」

 

「け、喧嘩は止めて欲しいニャ~」

 

エリィト教師(笑)が文句を言ってくるが、成果を出せていないので反論できないな。ムカつくけど。

 

「やはり、既にアカデミアの島外に脱出してしまったのではないでしょうか?」

 

「そうだといいノーネ」

 

「そう考えるのは早計でしょう。引き続き調査を続行します」

 

「よろしくお願いするノーネ」

 

俺と倫理委員会の調査報告を聞いて教師陣は何とも言えない表情になっている。自分たちではどうしようもない厄介な案件がまだ未解決状態だと気が滅入っているようだ。

 

「会議を進めましょう。来月のノース校との交流試合についてですが、向こうはなんと1年生を代表選手に起用してくるそうです」

 

「1年生をですか!?」

 

「では、こちらも3年生の丸藤亮ではなく、1年生を代表に選んでみましょうか?」

 

「それならば、私はラーイエローのシニョール三沢を推薦するノーネ」

 

「おや?クロノス臨時校長、オベリスクブルー生徒を推薦しなくてもよろしいのですか?」

 

「残念なガーラ、今のオベリスクブルー生徒の中ではシニョール三沢よりも優れた生徒は居ないと思われるノーネ」

 

「オベリスクブルー女子生徒の担当である私としては天上院明日香さんを推したいところですが、彼女は4月に制裁デュエルを受けた身ですからね…」

 

「ラーイエロー生徒の担当である私としては異存ありませんね。白河クロト君はその…色々とアレですからね…」

 

「オシリスレッドの担当である私としては遊城十代君を推したいところなんですが、制裁デュエルの話を出されると弱いニャ~。赤羽コナミ君は…うん、アレですからニャ~」

 

何で俺とコナミはアレ扱いなんだよ。失礼な。俺とアイツを並べないで貰いたい。

 

「先日、ハノイの騎士が提案があったアカデミアの授業に関するカリキュラムの見直しの件はどうでしょうか?」

 

「ハノイの騎士に叩きのめされた彼以外は賛成していますから、あとは日程の調整だけですね」

 

「ぐぬぬ…!」

 

ぷぷっ、ざまぁ(笑)。エリィト(笑)。

 

「生徒たちにも選択する時間を与えたいので、7月初旬には生徒たちへの説明を行い、2学期開始の9月から選択制と言う形を取ろうかと計画しています」

 

「それで問題なさそうナノーネ」

 

この前、俺が新規カードパック導入以外にも提案した件も何とか通りそうだな。

 

これで生徒たちは2学期から、全ての召喚方法をまんべんなく学ぶスタンダードコース、融合特化コース、シンクロ特化コース、エクシーズ特化コース、の4つの授業を選択して受けられるようになる。

 

当然、全ての召喚方法に関するアドバンス召喚などの基礎的な知識は必須授業の中で教えられることになっている。

 

まだ世の中に浸透しきっていないペンデュラム召喚も必須授業の中である程度は触れられる予定だ。こちらもいずれは選択授業の1コースになるかも知れないな。

 

何?LDSのパクリだって?そうだよ?

 

授業内容そのものに関しては教師陣に任せている。俺は一切口を出していない。クロノスと響先生が居れば多分問題ないだろう。

 

知識についてはともかく、大勢の人間への教育技術については俺は素人だからな。プロフェッショナル達の創意工夫に期待するとしよう。

 

「最後に、今月の月一テスト後に開催される予定の武藤遊戯のデッキ展示会についてですね」

 

「確かハノイの騎士の推薦で、ラーイエローの神楽坂が武藤遊戯のデッキを使用してデュエルするデモンストレーションするデュエリストに選ばれたんでしたね」

 

「ラーイエローですか…。言い方は悪いですが、あそこの生徒は変人ばかりですからねぇ」

 

「確かに言われてみればそうなのニャ~」

 

「オシリスレッドの一部の生徒も大した違いはないノーネ。シニョール神楽坂の対戦相手に選ばれたシニョール…ドロップアウトボーイも大概ナノーネ」

 

制裁デュエルの後、クロノスの本気のデュエルを見た遊城十代はクロノスの実力を改めて痛感したらしく、彼に良く話しかけたりデュエルを挑むようになっていた。

 

最初こそ嫌がっていたクロノスだったが、最近は次第に態度が軟化してきている。ドロップアウトボーイ呼ばわりする回数が減って行っているのが分かりやすい変化だ。

 

遊城十代自身も、響みどりやクロノスと関わりが強くなり始めた影響からか、授業態度も少しずつマシになってきている。

 

4月の初旬の授業中はほぼ爆睡だったが、6月に入ってからは真面目に授業を受けようとする様子が見られるようになった。途中で舟をこぐ姿も良く見られるけど、最初からやる気ゼロよりはかなりマシだろう。良い変化だ。

 

「議題も全て話し合いが終わりましたので、今日の会議はこれで終了といたします」

 

そんなことを考えていると、ようやく長かった会議が終了した。

 

やっと寮に帰れるな。俺ってなんでここの学生なのに教師に交じって会議とか出てるんだろうな?給料、出てないんだぜ?

 

~~~

 

数日後、月一テストの筆記試験が終わり、昼食を取ってからアカデミア校舎を出て実技試験の会場へ向かう道の途中でばったりと藤原雪乃と出くわしてしまった。

 

「あら?クロ坊じゃない。お姉さんが会場に連れて行ってあげようかしら?」

 

「いえ、遠慮しておきます」

 

こちらをからかってくる藤原をスルーして彼女の横を通り抜けようとすると、彼女はそのまま俺の横を歩き始めた。メンタル強すぎる。

 

「そう言えば、クロ坊にはまだ制裁デュエルで勝った時のご褒美をあげていなかったわね?」

 

「そんなこと言っていたな。ドローパンでも奢ってくれるのか?」

 

「そんなことよりももっと面白いことをお姉さんが教えてあ・げ・る」

 

むぎゅ。

 

「けけけ結構ですからぁぁぁ!」

 

藤原はいきなり人の腕を掴んで自身の肉まんを押し当ててきたので、即座に怪我をさせないレベルで力を入れて振り払い、彼女と5mほど距離を取った。

 

これは決して恥ずかしかったからとかそう言うわけではなく身の危険を感じたからであってまさかそんな精神年齢40オーバーなオッサンの俺がたかだか10代半ばくらいの少女の色香と豊満な2つの肉まんにビビったとかそう言う話では決してない。

 

「もう、つれないわね」

 

心頭滅却、心頭滅却、心頭滅却…。良し、落ち着いてきたな。

 

「コホン。ご褒美が貰えるというのなら、そうだな。今後は雪乃と呼び捨てにさせて貰おう」

 

「あら?そんなことで良いの?そもそも2年前にアメリカで初めて会った時に呼び捨てにしていいって言ったと思うけれど?」

 

「初対面の女子を呼び捨てにするとか、ハードルが高すぎるんだよ。それに最近は藤原って苗字の知り合いが2人になったから呼びづらくなってきたんだよ」

 

「なるほどね。クロ坊がそれでいいのならそれでいいわよ?」

 

「じゃあ、その、雪乃。今後ともよろしく」

 

「ええ、色々とよろしくね?」

 

雪乃がそう答えて微笑むと、その笑顔を見て気恥ずかしくなった俺は顔を背けた。

 

俺のそのあまりにも露骨で迂闊な態度に対して、実技試験の会場に着くまで雪乃に延々と弄られることになった…。

 

~~~

 

実技試験の会場に到着してアナウンスで呼ばれた後、試験コートへ入った俺と対峙しているのは、オベリスクブルーの生徒だ。見たことない顔だな。いつものように青モブと呼称しよう。

 

月一テストも従来とシステムの見直しが行われている最中で、まずは今まで寮内のメンバーとだけで対戦していたシステムを変更して、完全ランダムで対戦カードを決めることにしていた。

 

運が悪ければ、オシリスレッドの連中が丸藤亮や天上院明日香と当たる可能性も出てくるのだが、涙を呑んで諦めて欲しい。

 

「ラーイエローの分際でボクに勝てるとでも?」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆青モブ LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

青モブ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【増援】発動だ!デッキから【戦士ダイ・グレファー】を手札に加える!」

青モブ 手札:6→5→6枚。

 

【増援】

通常魔法(本作の現時点では準制限カード)

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「ボクは手札からフィールド魔法【死皇帝の陵墓】を発動だ!」

青モブ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【死皇帝の陵墓】

フィールド魔法

(1):お互いのプレイヤーは、自分メインフェイズに以下の効果から1つを選択して発動できる。

●1000LPを払って発動できる。1体のリリースを必要とする手札のモンスター1体の通常召喚を、リリースなしで行う。

●2000LPを払って発動できる。2体のリリースを必要とする手札のモンスター1体の通常召喚を、リリースなしで行う。

 

「ボクは【死皇帝の陵墓】の効果を発動だ!1000LPを支払い、手札から【無敗将軍 フリード】を召喚だ!」

青モブ LP:4000→3000、手札:5→4枚。

 

<青モブのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

 

【無敗将軍 フリード】

効果モンスター

星5/地属性/戦士族/攻2300/守1700

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカードを対象にする魔法カードの効果を無効にし破壊する。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに、自分のデッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。

 

「ここでボクは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【戦士ダイ・グレファー】と【スピリット・ドラゴン】を融合し、EXデッキから【ドラゴン・ウォリアー】を融合召喚だ!」

青モブ 手札:4→3→1枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、

融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<青モブのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

ドラゴン・ウォリアー ★6 ATK2000

 

【ドラゴン・ウォリアー】

融合・効果モンスター

星6/地属性/戦士族/攻2000/守1200

「戦士ダイ・グレファー」+「スピリット・ドラゴン」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、通常罠カードが発動した時、1000ライフポイントを払う事でその効果を無効にする。

また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカードを対象にする魔法カードの効果を無効にし破壊する。

 

「更にボクは手札から魔法カード【融合回収】を発動!墓地の【融合】と【スピリット・ドラゴン】を手札に加える!」

青モブ 手札:1→0→2枚。

 

【融合回収】

通常魔法

(1):自分の墓地の、「融合」1枚と融合召喚に使用した融合素材モンスター1体を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

「これでボクはターンエンドだ!」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆青モブ LP:3000、手札:2枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<青モブのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

ドラゴン・ウォリアー ★6 ATK2000

 

 

「さぁ、ラーイエロー!お前のターンだ!」

 

「はいはい」

 

伏せカードは無し。墓地発動カードも無し。手札は【融合】と【スピリット・ドラゴン】のみ。こちらへの妨害は一切ないと考えていいか。

 

次のターンに【無敗将軍 フリード】の効果でデッキから2体目の【戦士ダイ・グレファー】をサーチして2体目の【ドラゴン・ウォリアー】を融合召喚するつもりなのかな?

 

「俺のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

白河クロト 手札:5→6枚。

 

う~ん、ギリギリ何とかなるな。

 

「青モブ、先に言っておくぞ?」

 

「誰が青モブだ!ボクの名前は…」

 

「このターン、長くなるぞ」

 

「は?それは一体どういう意味…」

 

「俺は手札から【リーフ・フェアリー】を召喚!」

白河クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

【リーフ・フェアリー】

効果モンスター

星3/地属性/植物族/攻 900/守 400

このカードに装備された装備カード1枚を墓地へ送って発動する。相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

「俺は手札から装備魔法【妖刀竹光】を発動!【リーフ・フェアリー】に装備する!」

白河クロト 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900 ※【妖刀竹光】装備

 

【妖刀竹光】

装備魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):装備モンスターの攻撃力は0アップする。

(2):このカード以外の自分フィールドの「竹光」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻し、装備モンスターはこのターン相手に直接攻撃できる。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「妖刀竹光」以外の「竹光」カード1枚を手札に加える。

 

「はぁ?攻撃力が上がらない装備カード?これだからラーイエローは…」

 

「俺は【リーフ・フェアリー】の効果発動!【妖刀竹光】を墓地に送ってお前に500LPダメージを与える!」

白河クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

「うわっ!…はっ!この程度かい?」

青モブ LP:3000→2500

 

「墓地に送られた【妖刀竹光】の効果発動!デッキから【折れ竹光】を手札に加える!」

白河クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は手札から装備魔法【折れ竹光】を発動!【リーフ・フェアリー】に装備する!」

白河クロト 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900 ※【折れ竹光】装備

 

【折れ竹光】

装備魔法

装備モンスターの攻撃力は0ポイントアップする。

 

「また攻撃力が上がらない装備カード!?」

 

「【リーフ・フェアリー】の効果!【折れ竹光】を墓地に送って500LPダメージを与える!」

白河クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

「ぐあっ!」

青モブ LP:2500→2000

 

「俺は手札から装備魔法【一角獣のホーン】を発動!【リーフ・フェアリー】に装備する!」

白河クロト 手札:4→3枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900→1600 ※【一角獣のホーン】装備

 

【一角獣のホーン】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は700アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキの一番上に戻す。

 

「また装備カード!?くどいぞ!」

 

「【リーフ・フェアリー】の効果!【一角獣のホーン】を墓地に送って500LPダメージだ!」

白河クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

「ぐえぇっ!」

青モブ LP:2000→1500

 

「墓地に送られた【一角獣のホーン】の効果発動!デッキトップに戻る!」

 

「俺は手札から魔法カード【無の煉獄】を発動!デッキから1ドロー!」

白河クロト 手札:5→4枚。

 

【無の煉獄】

通常魔法

自分の手札が3枚以上の場合に発動できる。

自分のデッキからカードを1枚ドローし、このターンのエンドフェイズ時に自分の手札を全て捨てる。

 

「デッキからドロー?確かデッキトップには…!」

 

「俺は手札から装備魔法【一角獣のホーン】を発動!【リーフ・フェアリー】に装備する!」

白河クロト 手札:4→3枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900→1600 ※【一角獣のホーン】装備

 

【一角獣のホーン】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力・守備力は700アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。このカードをデッキの一番上に戻す。

 

「ウザッたい!」

 

「【リーフ・フェアリー】の効果!【一角獣のホーン】を墓地に送って500LPダメージを食らえ!」

白河クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

「ぐうっ!」

青モブ LP:1500→1000

 

「墓地に送られた【一角獣のホーン】の効果発動!デッキトップに戻る!」

 

「俺は手札から装備魔法【黒いペンダント】を発動!【リーフ・フェアリー】に装備する!」

白河クロト 手札:3→2枚。装備魔法:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900→1400 ※【黒いペンダント】装備

 

【黒いペンダント】

装備魔法

(1):装備モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。相手に500ダメージを与える。

 

「しつこいぞ!」

 

「なら終わらせてやるよ!【リーフ・フェアリー】の効果!【黒いペンダント】を墓地に送って500LPダメージを食らえ!」

白河クロト 装備魔法:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

リーフ・フェアリー ★3 ATK900

 

「ぐふぁっ!」

青モブ LP:1000→500

 

「そして墓地に送られた【黒いペンダント】の効果発動!相手に500LPダメージを与える!」

 

「くそっ!ぶざけやがってぇぇぇ!」

青モブ LP:500→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

「こんな地味な攻撃にやられるなんて…!」

 

 

【竹光バーン】、前世以来で久し振りに使ってみたけどやはり元々20枚デッキを想定したものを無理やり他のカードを突っ込んで40枚デッキに変えたからか、安定性に欠ける上にプレイ時間がかなりかかるな。

 

今回はたまたま上手く行ったけど、手札事故も多そうだし、大事な局面では使えなさそうだな。

 

~~~

 

自身の月一デュエルの実技試験が終わって観客席に戻ると、ちょうど興味深い組み合わせの対戦者たちが名前を呼ばれて試験コートへと降りて行った。

 

「三沢、その顔だと、とうとう出来たのか?」

 

「いや、まだ試作段階さ。だが楽しみにしていろ。あの強大で可愛い…コホン。とあるデッキを倒す為の七番目のデッキをな!」

 

「兄貴ぃ!頑張ってー!」

 

「十代、気張れー!」

 

「二人ともー!良いデュエルを期待してるぞー!」

 

オシリスレッドの遊城十代とラーイエローの三沢大地、アニメではノース校との対抗試合の代表選手を決める為にデュエルで雌雄を決した2人だが、この世界では普通に月一テストの相手に決まったようだ。

 

何処がランダムだよ。少なくともこの対戦カードは誰かの思惑がどっぷり入っているだろ。

 

大方、ノース校との対抗試合の代表選手を決める会議で名前の挙がっていた十代と三沢を対戦させておいて、三沢が勝つ姿を全校生徒に見せて後腐れの無いようにしたいんだろう。なんだかなぁ。

 

「隣、良いかしら?」

 

「うん?なんだ雪乃か。どうぞどうぞ」

 

2人のデュエルが開始される寸前で、月一テストが終わって観客席に戻って来た藤原雪乃が俺の隣に座る。特に断る理由もない。

 

先ほど彼女の対戦相手だったオベリスクブルーのモブ男が、終焉の王と紫色の巨大虫にボコられて瞬殺されると言う、いつも通りの光景を横で見ていたので特に不思議でもなかった。

 

「あら?入学試験でクロノス教諭を倒したオシリスレッドのボウヤと、入学試験トップの成績を修めたボウヤとの対戦なのね」

 

「そうみたいだな」

 

俺と雪乃を含む観客たちが試験コートを注視する中、彼らのデュエルが開始される。

 

「行くぞ!一番君!デュエルは99%の知性が勝敗を決する。今からそれを証明してやる!」

 

「来い!二番!全力でぶつかり合おうぜ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動する!デッキから【化合電界】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「更にオレは手札から魔法カード【二量合成】発動する!デッキから【完全燃焼】と【化合獣カーボン・クラブ】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→7枚。

 

【二量合成】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから「化合電界」1枚を手札に加える。

●デッキから「完全燃焼」1枚と「化合獣」モンスター1体を手札に加える。

(2):墓地のこのカードを除外し、もう1度召喚された状態のデュアルモンスターを含む自分フィールドの表側表示モンスター2体を対象として発動できる。

ターン終了時まで、対象のモンスター1体の攻撃力を0にし、その元々の攻撃力分もう1体の攻撃力をアップする。

 

「更にオレは手札からフィールド魔法【化合電界】を発動する!」

三沢 手札:7→6枚。

 

【化合電界】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分はレベル5以上のデュアルモンスターを召喚する場合に必要なリリースをなくす事ができる。この効果は1ターンに1度しか適用できない。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにデュアルモンスター1体を召喚できる。

(3):1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。自分フィールドのもう1度召喚された状態のデュアルモンスター1体を相手エンドフェイズまで除外し、対象のカードを破壊する。

 

「オレは手札から【化合獣カーボン・クラブ】を召喚する!」

三沢 手札:6→5枚。

 

<三沢大地のフィールド>

化合獣カーボン・クラブ ★2 ATK700

 

【化合獣カーボン・クラブ】

デュアル・効果モンスター

星2/炎属性/水族/攻 700/守1400

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●自分メインフェイズに発動できる。デッキからデュアルモンスター1体を墓地へ送る。その後、デッキからデュアルモンスター1体を手札に加える。

このカード名のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「三沢のデッキは【化合獣】みたいだな」

 

「確かデュアルモンスター主体のデッキね」

 

流石はデュエルアカデミア成績上位者。実技だけでなくカード知識も豊富だな。普段の様子からは想像しづらいが、彼女の成績はオベリスクブルー女子1年生の中では五指に入る。

 

ただ、アカデミア中等部からの生え抜き組なので、恐らく授業で教わることのなかったエクシーズモンスターの存在は知らないかもな。

 

「更に【化合電界】の効果を発動だ!フィールドの【化合獣カーボン・クラブ】を再召喚する!」

 

<三沢大地のフィールド>

化合獣カーボン・クラブ ★2 ATK700 ※デュアル状態。

 

 

これがデュアルモンスター最大の特徴。「二重」または「二者」を意味するデュアルと言う言葉を持つモンスターとして、他の効果モンスターとは一風変わったルール効果を持つ。

 

フィールド・墓地に存在する限り通常モンスターとして扱い、フィールドの通常モンスター扱いのモンスターを通常召喚としてもう1度召喚することでカードは効果モンスター扱いとなり、各々のカードテキストに記された効果を得るのだ。

 

特殊召喚などでフィールドに出さない限りは、効果モンスターとしてその効果を得るためには2回の通常召喚権を必要があり、2回目の召喚時には上級・最上級のデュアルモンスターであってもリリースは不要となる。

 

再召喚する都合上、条件を満たしてしまえば【奈落の落とし穴】などの発動タイミングを満たしてしまって破壊&除外されてしまったり、【月の書】などで裏側守備表示にされてデュアル状態を解除されてしまったりするなど、扱いの難しいモンスターだ。

 

だが、その分の見返りはある。再召喚されたデュアルモンスターの効果は強力なものが多く、使いこなせればデュエルを有利に運ぶことが出来るだろう。

 

 

「オレは【化合獣カーボン・クラブ】の効果を発動する!デッキから【化合獣ハイドロン・ホーク】を墓地に送り、更にデッキから【化合獣オキシン・オックス】を手札に加える!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「最後にオレは手札を3枚セットしてターンエンドだ」

三沢 手札:6→3枚。

 

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

化合獣カーボン・クラブ ★2 ATK700 ※デュアル状態。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!デッキから【E・HERO クレイマン】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

【E-エマージェンシーコール】

通常魔法

(1):デッキから「E・HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【苦渋の決断】を発動!デッキから【E・HERO スパークマン】を墓地に送り、同名カードをを手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

【苦渋の決断】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を墓地へ送り、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「早速行くぜ!オレは手札から魔法カード【融合】を発動!」

十代 手札:6→5枚。

 

ん?三沢はリバースカードを使う気みたいだな。

 

ジャマーかドレインか、神シリーズか。もしくは…。

 

「この時を待っていたぞ!リバースカードオープン!カウンター罠【封魔の呪印】発動!」

 

「ここでカウンター罠!?」

 

「手札の【スペシャル・デュアル・サモン】を捨て、【融合】を無効にして破壊する!」

三沢 手札:3→2枚。伏せカード:3→2枚。

 

【封魔の呪印】

カウンター罠

手札から魔法カードを1枚捨てる。魔法カードの発動と効果を無効にし、それを破壊する。

相手はこのデュエル中、この効果で破壊された魔法カード及び同名カードを発動する事ができない。

 

「そして、お前はもうこのデュエル中、【融合】魔法カードを発動することが出来ない!」

 

「何ぃ!?【融合】が使えないだって!?」

 

チェーン②封魔の呪印

チェーン①融合 ※発動と効果を無効。このデュエル中、同名カード使用不可。

 

「お前や【E・HERO】や他の融合デッキの切り札は、モンスター同士を融合して呼び出すEXデッキのモンスターだ。ならば融合を出来なくすればいい!」

 

「ぐっ…」

 

「そんな!兄貴の【融合】が…!」

 

「十代…」

 

「十代、これはまずいかもな」

 

アニメと同様に【融合】に【封魔の呪印】を使われてしまったか。

 

ドヤ顔の三沢に対して流石に十代は厳しそうな表情を浮かべているな。翔や隼人やコナミも十代の戦術を良く知っているからか不安そうだ。

 

アニメならEXデッキのモンスターを使わずに、メインデッキのモンスターと魔法・罠のみで三沢を倒したけれど、今の三沢にそれが通用するかな?

 

「あまり使用率は高くないカードとはいえ、恐ろしいカウンター罠ね…」

 

「雪乃の儀式デッキでも、儀式魔法にあれを打たれればかなりの痛手だろうからね」

 

最も、雪乃のデッキには儀式魔法が2種類入っていることがあるため、【封魔の呪印】が決まっても封殺できるかどうかは分からない。

 

同様に、【E・HERO】であれば他の専用融合カードもあるし、なにより融合テーマには【融合】魔法カード以外にも様々な融合手段が存在するので、十代のデッキ次第ではまだ十分に勝ち目は残っているだろう。

 

「まだデュエルが終わったわけじゃないさ!オレは手札から【E・HERO スパークマン】を召喚!」

十代 手札:5→4枚。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO スパークマン ★4 ATK1600

 

【E・HERO スパークマン】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。

聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。

 

「バトルだ!【E・HERO スパークマン】で【化合獣カーボン・クラブ】を攻撃!スパークフラッシュ!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【完全燃焼】発動!【化合獣カーボン・クラブ】を除外し、デッキから【進化合獣ダイオーキシン】と【進化合獣ヒュードラゴン】を特殊召喚する!」

三沢 伏せカード:2→1枚。

 

【完全燃焼】

通常罠

「完全燃焼」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの表側表示の「化合獣」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「化合獣」モンスター2体を特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。

(2):相手モンスターの直接攻撃宣言時に、墓地のこのカードを除外し、除外されている自分のデュアルモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはもう1度召喚された状態として扱う。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

<三沢大地のフィールド>

進化合獣ダイオーキシン ★8 ATK2800

進化合獣ヒュードラゴン ★8 DEF2800

 

【進化合獣ダイオーキシン】

デュアル・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2800/守 200

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●このカードがモンスターゾーンに存在する限り、デュアルモンスターの召喚は無効化されない。

●1ターンに1度、自分の墓地のデュアルモンスター1体を除外し、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

【進化合獣ヒュードラゴン】

デュアル・効果モンスター

星8/水属性/ドラゴン族/攻 200/守2800

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●このカード以外のデュアルモンスターが召喚に成功した時に発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

●自分フィールドのデュアルモンスターが効果で破壊される場合、代わりに自分フィールドのカード1枚を破壊できる。

 

「うへぇ~。さっき手札に加えていたし、やっぱりそう来るよなぁ」

 

「良いカードだよな」

 

「一気にレベル8のモンスターが2体も出てきたっス!?」

 

「強力な効果を持ったカードなんだナァ」

 

十代とコナミは、翔と隼人とは違って【完全燃焼】のカード効果を知っていたみたいで、それほど驚いた様子を見せない。

 

だけど十代に【完全燃焼】の発動自体を止めるカードは手元に無かったようだな。

 

「ならオレは…メインフェイズ2に移行!オレはカードを3枚セットしてターンエンドだ!」

十代 手札:4→1枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:3枚。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO スパークマン ★4 ATK1600

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

進化合獣ダイオーキシン ★8 ATK2800

進化合獣ヒュードラゴン ★8 DEF2800

 

 

十代の伏せカードは3枚。あの最後の手札は【E・HERO クレイマン】だ。

 

十代の使用する魔法・罠は結構強力なものが多い。あの布陣に対して伏せ除去をせずに突っ込んだら痛い目を見るだろうな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動する!手札の【ダークストーム・ドラゴン】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

三沢 手札:3→2→1→3枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動する!デッキトップから10枚裏側表示で除外してデッキから2ドロー!」

三沢 手札:3→2→4枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「オレは手札から速攻魔法【フォース・リリース】発動する!オレの全てのデュアルモンスターは再度召喚した状態になる!」

三沢 手札:4→3枚。

 

【フォース・リリース】

速攻魔法

このカードの発動時に自分フィールド上に表側表示で存在する全てのデュアルモンスターは再度召喚した状態になる。

この効果を適用したモンスターはエンドフェイズ時に裏側守備表示になる。

 

<三沢大地のフィールド>

進化合獣ダイオーキシン ★8 ATK2800 ※デュアル状態

進化合獣ヒュードラゴン ★8 DEF2800 ※デュアル状態

 

「オレは【進化合獣ダイオーキシン】の効果発動!墓地の【化合獣ハイドロン・ホーク】を除外して、そちらの伏せカード1枚を破壊する!」

 

「破壊されたのは【ヒーロー・メダル】だ!効果により墓地のこのカードをデッキに加えてシャッフルし、デッキから1ドロー!」

十代 手札:1→2枚。伏せカード:3→2枚。

 

【ヒーロー・メダル】

通常罠

相手がコントロールするカードの効果によってセットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、このカードをデッキに加えてシャッフルする。

その後、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

また癖のあるカードを伏せていたな。しかもそれをピンポイントで射抜かれるなんてな。

 

「良し、ここでオレはレベル8【進化合獣ダイオーキシン】と【進化合獣ヒュードラゴン】でオーバーレイ!」

 

「まさか、エクシーズ召喚か!?」

 

「そのまさかさ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来い!【超化合獣メタン・ハイド】!」

 

<三沢大地のフィールド>

超化合獣メタン・ハイド ☆8 ATK3000 ORU:2

 

【超化合獣メタン・ハイド】

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/炎属性/獣戦士族/攻3000/守3000

レベル8デュアルモンスター×2

(1):このカードがX召喚に成功した時、自分の墓地のデュアルモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):X素材を持ったこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は自分フィールドのデュアルモンスターを攻撃対象にできず、効果の対象にもできない。

(3):デュアルモンスターが召喚に成功した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手は自身の手札・フィールドのカード1枚を墓地へ送らなければならない。

 

「【超化合獣メタン・ハイド】のエクシーズ召喚成功時に効果を発動する!墓地の【ダークストーム・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

<三沢大地のフィールド>

超化合獣メタン・ハイド ☆8 ATK3000 ORU:2

ダークストーム・ドラゴン ★8 ATK2700

 

【ダークストーム・ドラゴン】

デュアル・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2700/守2500

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「更にオレは【化合電界】の効果により、手札から【フェニックス・ギア・フリード】をリリース無しで召喚する!」

三沢 手札:3→2枚。

 

<三沢大地のフィールド>

超化合獣メタン・ハイド ☆8 ATK3000 ORU:2

ダークストーム・ドラゴン ★8 ATK2700

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

【フェニックス・ギア・フリード】

デュアル・効果モンスター

星8/炎属性/戦士族/攻2800/守2200

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●相手が魔法カードを発動した場合、自分の墓地のデュアルモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

●フィールドのモンスターを対象とする魔法・罠カードが発動した時、自分フィールドの表側表示の装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「またレベル8のモンスターが2体!?まさか、また!?」

 

「いや、まずはここで【超化合獣メタン・ハイド】の効果を発動する!ORUを1つ取り除き、相手は手札・フィールドのカード1枚を墓地へ送る!」

超化合獣メタン・ハイド ORU:2→1

 

墓地に送ったのは【進化合獣ダイオーキシン】だな。

 

「マジか!?う~ん。それならオレは手札の【E・HERO クレイマン】を墓地に送るぜ!」

十代 手札:2→1枚。

 

クレイマンを墓地に送ったか。これで十代の手札1枚は読めなくなったな。

 

「バトルだ!【ダークストーム・ドラゴン】で【E・HERO スパークマン】を攻撃!」

 

「今だ!リバースカードオープン!罠カード【異次元トンネル-ミラーゲート-】発動!オレのフィールドの…」

十代 伏せカード:2→1枚。

 

【異次元トンネル-ミラーゲート-】

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在する「E・HERO」と名のついたモンスターを攻撃対象にした相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。

相手の攻撃モンスターと攻撃対象となった自分モンスターのコントロールを入れ替えてダメージ計算を行う。

このターンのエンドフェイズ時までコントロールを入れ替えたモンスターのコントロールを得る。

 

【異次元トンネル-ミラーゲート-】は対象を取る効果ではない。【超化合獣メタン・ハイド】の効果耐性をすり抜けることが出来るカードだが…。

 

「そうはさせない!カウンター罠【王者の看破】を発動する!【異次元トンネル-ミラーゲート-】の発動を無効にして破壊する!」

三沢 伏せカード:1→0枚。

 

【王者の看破】

カウンター罠

(1):自分フィールドにレベル7以上の通常モンスターが存在する場合、以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

「なっ!?またカウンター罠か!?」

 

チェーン②王者の看破

チェーン①異次元トンネル-ミラーゲート- ※発動を無効化。

 

 

なるほど。展開順を変えれば【フォース・リリース】や【化合電界】の効果で全てのモンスターをデュアル状態にできたのにやらない理由はこれか。

 

【王者の看破】の発動条件を満たす為に【フェニックス・ギア・フリード】や【ダークストーム・ドラゴン】を通常モンスターの状態のままにしていたわけか。

 

 

ダークストーム・ドラゴン ATK2700

vs

E・HERO スパークマン ATK1600 ※戦闘破壊

 

<遊城十代のフィールド>

モンスター無し

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

十代 LP:4000→2900

 

「これで終わりかな?【超化合獣メタン・ハイド】でダイレクトアタック!」

 

「今だ!リバースカードオープン!罠カード【ヒーロー見参】発動!オレの手札は1枚!モンスターカードだ!頼んだぜ、相棒!【ハネクリボー】を特殊召喚!」

十代 手札:1→0枚。伏せカード:1→0枚。

 

『クリクリィ~!』

 

【ヒーロー見参】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分の手札1枚を相手がランダムに選ぶ。

それがモンスターだった場合、自分フィールドに特殊召喚し、違った場合は墓地へ送る。

 

<遊城十代のフィールド>

ハネクリボー ★1 DEF200

 

【ハネクリボー】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 300/守 200

(1):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

「ならば【超化合獣メタン・ハイド】で【ハネクリボー】を攻撃する!」

 

『クリィ~!?』

 

超化合獣メタン・ハイド ATK3000

vs

ハネクリボー DEF200 ※戦闘破壊

 

「【ハネクリボー】が破壊されて墓地に送られた場合、これ以降オレが受ける戦闘ダメージは0になる!助かったぜ、相棒!」

 

『クリィ~!』

 

十代はハネクリボーの献身にお礼を言っている。ただ、この場には俺とコナミ、藤原優介以外にハネクリボーの姿を姿を見れる物は居ない。なので…。

 

「あのオシリスレッドのボウヤは誰と話しているのかしら?」

 

「【ハネクリボー】は遊城十代が相棒と呼ぶカードだからな。あのモンスターの効果で命拾いしたことをお礼しているんだろ」

 

「そういうものなのかしら…」

 

隣に座っている雪乃や他の観客には、十代が独り言を喋っているようにしか見えない。十代の場合は人前でも気にせずによくやる行為なので、既に他のオシリスレッドの生徒は特に気にしなくなっている。

 

「耐えられたか。これ以上の攻撃は無意味ならば…メインフェイズ2に移行し、そのままターンエンドだ」

 

 

◆遊城十代 LP:2900、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<遊城十代のフィールド>

モンスターなし

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

超化合獣メタン・ハイド ☆8 ATK3000 ORU:1

ダークストーム・ドラゴン ★8 ATK2700

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

 

手札0枚からこの状況をひっくり返すのは、アニメとかじゃなければ困難を極めるだろう。

 

この世界は女神が改変した世界とは言え、アニメではない現実に実在する世界だ。これは…十代はほぼ打つ手なしかな?

 

 

「どうだ?オレの勝利への計算!間違いなど無いと分かっただろう!」

 

「計算か。そんなもの関係ないぜ」

 

「何?」

 

「デュエルで重要なのは心だ。心で負けを認めない限り、オレは戦い続ける!」

 

「兄貴…!」

 

「そういうしぶといところが、十代の良いところダァ!」

 

三沢と十代のやり取りを聞いて、観客席に居る翔と隼人は希望を見出したようだ。その隣にいるコナミも楽しそうな顔をしていて、観客席に座っている何人かも、もしかしたら…なんて顔をしている。

 

アニメなら勝ちフラグなんだろうし、前世ではそういった王道的な逆転劇は嫌いじゃなかったけどな…。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから【E・HERO バブルマン】を手札に加える!」

十代 手札:1→0→1枚。

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「オレは手札から【E・HERO バブルマン】を自身の効果で特殊召喚する!」

十代 手札:1→0枚。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バブルマン ★4 DEF1200

 

【E・HERO バブルマン】

効果モンスター

星4/水属性/戦士族/攻 800/守1200

(1):手札がこのカード1枚のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。この効果は自分の手札・フィールドに他のカードが無い場合に発動と処理ができる。

 

「オレは【E・HERO バブルマン】の効果を発動!デッキから2ドロー!」

十代 手札:0→2枚。

 

強欲なバブルマンか。確かに凄いドロー力だよな。

 

「オレは手札から魔法カード【融合識別】を発動!効果対象を【E・HERO バブルマン】として、EXデッキの【E・HERO フレイム・ウィングマン】を相手に見せる!」

十代 手札:2→1枚。

 

「これで、このターン【E・HERO バブルマン】を【E・HERO フレイム・ウィングマン】として融合素材に出来る!」

 

【融合識別】

通常魔法

(1):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。エクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せる。

このターン、対象のモンスターを融合素材とする場合、その見せたモンスターの同名カードとして融合素材にできる。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO バブルマン ★4 DEF1200 ※【E・HERO フレイム・ウィングマン】と同名カード

 

「融合素材を今更準備して何になる!」

 

「こうなるのさ!オレは手札から魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動!」

十代 手札:1→0枚。

 

「【ミラクル・フュージョン】か。なるほど、そのカードならば…!」

 

「場の【E・HERO フレイム・ウィングマン】となった【E・HERO バブルマン】と墓地の【E・HERO スパークマン】を除外して融合!来い!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】!」

 

【ミラクル・フュージョン】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、「E・HERO」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK2500

 

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】

融合・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻2500/守2100

「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力は、自分の墓地の「E・HERO」カードの数×300アップする。

(2):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

マジか~。良くこの土壇場で引き当てたな。流石はドローが強いと言われるアニメ主人公だな。

 

「ふっ、【融合】とは別の融合魔法カード。それもフィールドと墓地の両方から融合素材を使用できるカードだな」

 

「そうだぜ!そして【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃力は、墓地に眠る【E・HERO】の数だけ上昇する!墓地に眠るのは2体!よって600アップだ!」

 

<十代の墓地の【E・HERO】>

①E・HERO スパークマン

②E・HERO クレイマン

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK2500→3100

 

「【超化合獣メタン・ハイド】の攻撃力を超えてきたか」

 

「バトルだ!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】で【超化合獣メタン・ハイド】に攻撃!究極の輝きを放て!シャイニング・シュート!」

 

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ATK3100

vs

超化合獣メタン・ハイド ATK3000 ※戦闘破壊

 

「くっ!」

三沢 LP:4000→3900

 

<三沢大地のフィールド>

ダークストーム・ドラゴン ★8 ATK2700

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

「まだだぜ!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】の効果発動!破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!」

 

「ぐおぁぁぁぁっ!」

三沢 LP:3900→900

 

「良し!メインフェイズ2に移行してターンエンドだ!」

 

「やった!兄貴が逆転した!」

 

「十代ー!気張るんだナァー!」

 

「確かに十代のLPが逆転はしたけれど…」

 

十代の新たな融合魔法カードに翔と隼人は興奮しているようだが、コナミはこの後の展開が見えていそうだな。

 

 

◆遊城十代 LP:2900、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<遊城十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK3100

 

vs

 

◆三沢大地 LP:900、手札:2枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ダークストーム・ドラゴン ★8 ATK2700

フェニックス・ギア・フリード ★8 ATK2800

 

 

あのターンであれだけ切り返せたのは凄いと思うが、三沢をあのターンで倒しきれずにモンスターが残った状態でターンを回してしまったか。惜しかったな。

 

「オレの【E・HERO】が【融合】のカードだけに頼っていると思ったら大間違いだぜ」

 

「そのようだな。だが、想定内だ」

 

「何?」

 

「勝利の方程式は既に完成している。このデュエルはオレの勝ちだな」

 

「!?」

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:2→3枚。

 

「オレはレベル8【ダークストーム・ドラゴン】と【フェニックス・ギア・フリード】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来い!【サンダーエンド・ドラゴン】!」

 

<三沢大地のフィールド>

サンダーエンド・ドラゴン ☆8 ATK3000 ORU:2

 

【サンダーエンド・ドラゴン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

レベル8通常モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する事ができる。

このカード以外のフィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

 

「新たなエクシーズモンスターか!」

 

「【サンダーエンド・ドラゴン】の効果発動!ORUを1つ取り除き、このカード以外のフィールド上に存在するモンスターを全て破壊する!」

サンダーエンド・ドラゴン ☆8 ATK3000 ORU:2→1

 

墓地に送られたのは、【ダークストーム・ドラゴン】か。

 

「なっ!?」

 

<遊城十代のフィールド>

モンスター無し

 

「更に!手札から魔法カード【闇の量産工場】を発動!墓地の【ダークストーム・ドラゴン】と【進化合獣ダイオーキシン】を手札に加える!」

三沢 手札:3→2→4枚。

 

【闇の量産工場】

通常魔法

(1):自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「そして手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【ダークストーム・ドラゴン】と【化合獣オキシン・オックス】を融合!来い!【超合魔獣ラプテノス】!」

三沢 手札:4→3→1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

サンダーエンド・ドラゴン ☆8 ATK3000 ORU:1

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

 

【超合魔獣ラプテノス】

融合・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200

デュアルモンスター×2

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドのデュアルモンスターはもう1度召喚された状態として扱う。

 

「最後に【化合電界】の効果により、手札から【進化合獣ダイオーキシン】をリリース無しで召喚する!」

三沢 手札:1→0枚。

 

<三沢大地のフィールド>

サンダーエンド・ドラゴン ☆8 ATK3000 ORU:1

超合魔獣ラプテノス ★8 ATK2200

進化合獣ダイオーキシン ★8 ATK2800 ※デュアル状態

 

「バトルだ!【サンダーエンド・ドラゴン】でダイレクトアタック!」

 

サンダーエンド・ドラゴン ATK3000

 

「うわぁぁぁぁっ!」

十代 LP:2900→0

 

 

「悪かったな。徹底的にやらないと気が済まないタチでね」

 

「くっそおぉ~!今回はオレの負けだ。けど…次はオレが勝つぜ!またやろうな!」

 

デュエルは三沢の勝利に終わり、その後は十代と三沢は互いの健闘を称えあっている。こういうのが多分、リスペクトデュエルって奴なんだろうな。

 

「オシリスレッドのボウヤは惜しかったわね。ラーイエローのボウヤはタガが外れると面白いことになるかもね?」

 

「そうかもな」

 

タガが外れたら、多分服を脱ぎ捨てて全裸でこの島を走り回ったりするのだろう。

 

「ただ、今は2人とも私の好みじゃないわ。いずれ、もっと私をゾクゾクさせてくれるようなデュエルを見てみたいわね」

 

「デュエルは勝敗が全てだよ。勝てばOK」

 

「ふふっ、クロ坊もまだまだボウヤね。さっきのクロ坊のデュエルは私としてはイマイチだったけど、今後には期待しているわよ?」

 

「はいはい」

 

雪乃はそう言い残すとこの場から去っていった。

 

雪乃の評価は辛口と言うほどでもない。さっきの俺のデュエルに関しては、試作デッキだったとはいえデッキ構築も戦術もまだまだ改良すべき点が多かった。この辺りに関して反論の余地はない。

 

プロデュエリストは勝敗はもちろん、勝ち方にも工夫を取り入れている者が殆どだ。俺は彼らの大半に勝つことはできるだろうが、彼ら以上に観客をデュエルで魅了して熱狂させられるかと言われればNOだ。

 

だが何と言われようとよほど余裕がない限り俺は勝利を優先するので、他人を魅了するデュエルなんてできそうにない。雪乃の期待には答えられそうにないな。コナミにでも頼んでくれ。

 

~~~

 

月一テストが終わってから数日後、初代デュエルキング武藤遊戯のデッキ展示会が開催された。

 

展示室の壁には何種類もある武藤遊戯のポスターが張られていて、部屋の中央には武藤遊戯が使用していたデッキが、何処かのラーイエロー生徒に盗まれることなく展示されている。

 

「へぇ~!これがあのキングオブデュエリストのデッキか~!」

 

「【ブラック・マジシャン】、【ブラック・マジシャン・ガール】、【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】、お宝カードが満載だな!」

 

「【クリボー】だわ!可愛い~!」

 

ポスターも結構人気だけど、やっぱりデッキが一番人気みたいだな。オシリスレッド生徒、ラーイエロー生徒、オベリスクブルー生徒、オベリスクブルー女子生徒の垣根無く、武藤遊戯のデッキを飾ったショーケース周辺に張り付いている。例えはアレだが、人参に釣られる馬みたいだ。

 

ちなみに、展示会前日の深夜に一足先にデッキを見ようと数十名の生徒が展示室に忍び込もうとしたが、例外なく当日の展示室の警護をしていた俺(ハノイの騎士)と倫理委員会のメンバーに捕縛されていた。

 

捕縛されたメンバーの中には、遊城十代、丸藤翔、前田隼人、コナミ、三沢大地、天上院明日香、天上院吹雪、丸藤亮など、よく見たメンバーが勢揃いしていることにアニメ通りの展開過ぎて頭が痛くなった。

 

同じデュエリストとして気持ちが分からなくもない教師陣が捕縛された生徒に対して与えた罰は『展示会初日のみ、展示室への立ち入り禁止』と言う優しめな物となったが、十代たちはせっかく手に入れた初日朝一番で見学できる整理券が無駄になったと嘆いていたな。

 

「これがキングオブデュエリスト武藤遊戯のデッキ…。全てのカードが1種類1枚ずつしか入っていない【ハイランダー】。よくこんなデッキを回せるものだな…」

 

『マスターならきっと上手く使えますよ!』

 

「ボクが?いや、流石にボクはこのデッキを使うのは難しいかなぁ」

 

展示室を適当にウロウロしていると見覚えのある顔に出会ったので声を掛けてみることにした。

 

「あっ、ワカメ先輩。こんにちわ」

 

「ワカメ先輩!?ボクのことかい!?」

 

しまった。心の中で呼んでいたあだ名をそのまま言ってしまった。

 

「あだ名みたいなもののつもりだったんですが、これからは普通に呼びますね。藤原先輩」

 

「藤原で良いよ、白河君。実年齢はともかくとして今は同学年だからね」

 

『白河クロト、その節はマスターともども世話になった。礼を言う』

 

展示室の武藤遊戯のデッキを眺めていたのは、4月下旬にダークネス世界から帰還した藤原優介とオネストの二人だ。

 

これ以上ここで話すと色々と不味そうなので、展示室を出て人気の無さそうな通路に移動してから会話を再開することにした。

 

「あれから調子はどうです?」

 

「体調はすっかり回復したから、GW明けから学業にも復帰しているよ。ただ…」

 

「ただ?」

 

『マスターは今、自身のデッキを持ち合わせていないのだ』

 

「デッキが無い?」

 

藤原が吹雪とオネストに抱えられてダークネス世界から帰還した際に【クリアー】デッキを持って帰ってきてなかったか?

 

「あの【クリアー】デッキは、ボクが元から持っているデッキをダークネスの力で変質させた上で創造したデッキだからね。こっちの世界に戻って来てから数日で影も形も無くなったよ」

 

『以前のデッキはその時に消滅してしまったのだ』

 

「新たなデッキを作ろうにも、DPが足りなくてね…。流石にこんなことで吹雪や亮を頼りたくはないし、どうしようかと考えていたところなんだ」

 

『武藤遊戯のデッキを見れば、新たなデッキのアイデアが浮かぶと考えたマスターは今日あの場所を訪れたのだが、結果は芳しくないようなのだ』

 

お金がない?もしかして、せっかく記憶が戻った両親とまだ連絡が取れていないのか?まさか藤原夫婦は藤原優介がデュエルアカデミアに居ることを知らないのか?今晩にでもユーリに確認しておくか。

 

それにしてもデュエルするためのデッキが無いとか、デュエルアカデミア的に大丈夫なのか?この前の月一テストとかどう切り抜けたんだろう?

 

「クロノス臨時校長からは、『デッキが無いなら、新たなデッキが出来るまでは試験は免除するノーネ』と言ってくれているが、いつまでもこのままと言うわけにもいかないからね」

 

『マスター、おいたわしや…』

 

藤原や吹雪さんたちがクロノスや倫理委員会に対して何処まで詳しく行方不明になる前後の話やダークネスの世界を話したかは知らない。

 

だがアカデミア側の失態で彼らが行方不明事件に巻き込まれたようなものなのだから、セブンスターズの件でゴタゴタしているとはいえ、アカデミア側のフォローがあってしかるべきなんじゃないのだろうか?

 

これも俺がアニメGXの時よりもかなり早めにダークネス世界から彼を引っ張り出した影響の一つなのかもしれないな。なら、アカデミア側からのフォローの前に俺から彼にアフターサービスをして手助けしておこうかな。

 

「じゃあ、このデッキをあげますよ」

 

「えっ、いいのかい!?」

 

「復学のお祝いですよ」

 

『おぉっ!白河クロト、感謝するぞ!良かったですね、マスター!』

 

「ありがとう白河君!このお礼はいつか必ずさせてもらうよ!」

 

その後、ひっきりなしに感謝の言葉を掛けて来る藤原とオネストだったが、流石に気恥ずかしくなってきたので。俺は彼らをその場に置いて逃げた。

 

藤原に渡したのは【武神】と呼ばれるエクシーズ召喚メインで光属性モンスターが主体のテーマデッキだ。

 

アニメGXの登場人物が各モンスターのモチーフになっているらしいし、光属性主体なので【オネスト】との相性もいいだろう。アカデミアの三天才と呼ばれていたらしい彼ならば、きっとうまく使いこなせるはずだ。

 

~~~

 

そしてその翌日、アカデミアのデュエルコートの観客席に座る俺の目の前では、武藤遊戯のデッキを使用してデュエルするデモンストレーションデュエルが開催されている。

 

コート上でデュエルしているのはラーイエローの寮長である樺山に推薦された遊戯デッキを操るラーイエローの神楽坂と、大徳寺と響先生に推薦されたHEROデッキを使うオシリスレッドの遊城十代だ。

 

武藤遊戯のデッキは数年前当初のままなので禁止カード満載な為、一時的にリミットレギュレーションは解除された状態になっている。十代もこのデュエルだけは【強欲な壺】や【天使の施し】をデッキに入れているみたいだ。

 

俺が対戦相手をやるなら【サイエンカタパ】に【旧神ノーデン】を突っ込んだデッキを使うかな。

 

もちろん、武藤遊戯本人にデッキを使用する許可は得ているらしい。この時期にはもう武藤遊戯は旅に出ていて行方不明だったような気もするが、この世界ではまだ所在が判明していたのだろう。

 

「フレイム・ウイングマン!カオス・ソルジャーに攻撃だ!スカイスクレイパー・シュート!」

 

「ぐあっ!カオス・ソルジャーが!?」

 

「フレイム・ウイングマンの特殊効果発動!戦闘で破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!」

 

「うわぁぁぁっ!」

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

今まさに神楽坂の【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】が【E・HERO フレイム・ウィングマン】によって戦闘破壊され、追加の効果ダメージを与えて決着したところだ。大体アニメ通りだな。

 

デュエルが終わって神楽坂と十代が握手をする中、今まで実力を軽んじられてきた神楽坂の健闘を称える声や、純粋にデュエルを楽しめたと言う歓声が観客席から巻き起こっている。

 

こう言う催し物のデュエルをやる場合だと、やはりデュエルを楽しむ遊城十代のデュエルは見栄えするよな。アニメGXの登場人物たちは彼のそう言う魅力に惹かれていったんだろう。

 

こうして、初代デュエルキング武藤遊戯のデッキ展示会は特に大きなトラブルもなく無事に開かれて無事に終わりを告げたのだった…。




オリ主のデッキは【竹光バーン】です。過去のリンクスで使用されていた【リーフ・フェアリー】に装備カードを付けて射出!を繰り返すだけのデッキです。ただ、リンクスのような20枚デッキならいざ知らず、40枚デッキでやるのは事故率が高く、本作の現環境ですら安定しないデッキですね。

青モブのデッキは、以前やったようにカードパック『Struggle of Chaos -闇を制する者-』の中からまだ使用していないカードを適当にチョイスしました。【死皇帝の陵墓】と【融合回収】はおまけです。オリ主が使わなさそうなのをそれらしい理由をつけて選びました。

十代のデッキは【E・HERO】です。前回よりも魔法・罠のサポートカードが豊富になっていて強化されています。

三沢のデッキは【化合獣】です。1年前に惨敗した【ドラゴンメイド】を打倒するために試作したデッキの一つです。

本作の藤原優介のデッキは【武神】となりました。光属性なので丸藤亮とサポートを一部共有できて、獣戦士族が多いので天上院吹雪ともサポートを一部共有できるかな?なんていう安易な考えです。

今回不採用となってしまった【クリアー】さんは別の機会でいずれ出るかも知れません。

次回の更新は4/14(水) AM6:00予定です。

荒魂マサカド様、戦車様、何勿様、Skazka Priskazka様、さか☆ゆう様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百八話 ノース校対抗試合

前回のあらすじ:2番の返上。1番の返却。

今回の対戦カードは、万丈目サンダーと三沢大地です。

今話はアニメGX第20~26話辺りのオリ主視点です。


デュエルアカデミア入学から3か月が経った7月の初旬、授業が終わって自室に戻ってきた俺は早乙女レイと連絡を取っていた。

 

「レイちゃんのデュエルアカデミア2週間編入の件だけど、2学期開始の9月に決まりそうだけど、それで問題ないかな?」

 

『うん。学校にはお父さんとお母さんから、遠くないうちに2週間ほど休む話はしてもらってるから、多分大丈夫だと思うよ』

 

「OK~。じゃあ9月初旬から中旬くらいまでに出来るように最終調整しておくよ」

 

『うん!ありがとうクロト先輩!』

 

「約束したからね。じゃあ、それまで体に気を付けるんだよ」

 

『分かってるって!それじゃあまたね!』

 

そこまで話し終わると俺は私物の携帯電話の通話をオフにした。

 

ようやくレイちゃんの期間限定の編入時期が決まりかけてきたが、彼女に平和を満喫してもらうには1学期中にセブンスターズの件を片付けておきたいところだな。

 

時期的にもうこのタイミングしか編入は難しいだろうし、そうするとアニメGXでは存在したレイちゃんと亮さんの接点がほぼ無くなってしまう。

 

俺がこの世界にやって来たことによる変化でそういった平和的なイベントが潰れてしまうのは心苦しいからな。なんとかして彼らの再会は実現してあげたい。

 

俺は早乙女レイの編入に関する最終調整を行う為、また新たな連絡先の電話番号を入力し始めた…。

 

~~~

 

レイちゃんと連絡を取った翌日、今日はアカデミアとノース校との対抗戦の日だ。

 

デュエルアカデミア本校の教師陣と俺たち本校生徒の一部は、朝からノース校代表団の出迎えを行うためにアカデミアにある船着場までやって来ていた。

 

船着場に到着して5分も経たないうちに水面から黒い潜水艦が姿を現し、船から港へのスロープが掛けられる。

 

「ノース校の一ノ瀬校長、良くいらっしゃいましたノーネ。私がデュエルアカデミア臨時校長のクロノスナノーネ」

 

「これはこれはクロノス臨時校長、ご丁寧にどうも。私がノース校の一ノ瀬です。これからしばらくうちの悪童どもがお世話になりますが、よろしくお願いしますよ」

 

「いえいえ、私の方こそナノーネ」

 

「ところで、トメさんはお元気ですかな?」

 

潜水艦から現れたノース校の一ノ瀬校長とアカデミア本校の臨時校長クロノスとが挨拶を交わしているが、この辺りは役どころが鮫島からクロノスに変化しただけで大きな違いは無いな。

 

今回の対抗戦の代表選手ではない十代は、彼らの話に割り込むようなことはせず、翔や隼人やコナミと一緒にオシリスレッドの寮から望遠鏡を使って船着場の様子を見ているらしい。

 

「アカデミア本校から離れて約2か月半、当時と違って今やノース校の代表選手となっているが、ようやく戻って来たぞ。デュエルアカデミア!」

 

一ノ瀬校長に続いて潜水艦から現れたのは、オベリスクブルーの制服を真っ黒に染め上げて多くの舎弟を引き連れた万丈目準だった。

 

「万丈目!?じゃあ今日のオレの対戦相手は万丈目なのか!?」

 

「万丈目さん、だ。三沢!」

 

クロノス臨時校長の後ろに控えていた三沢が驚愕の表情で反応し、その言葉に万丈目が険しい表情でお約束の返事を返した直後、空から2台のヘリがやって来た。ヘリの底面には万丈目グループの所有物であることを示す『万』の文字が刻まれている。

 

「久し振りだな、準!元気にしていたか!」

 

「準!応援に来たぞ!」

 

「兄さんたち!?」

 

ヘリの中には万丈目兄弟の長男である長作、次男の正司が乗っており、三男の万丈目準の応援に来たらしい。アニメGX同様、対抗試合の様子を全国でテレビ中継するためにスタッフを引き連れてきたようだ。

 

アニメGXとの大きな違いは万丈目三兄弟の間に悪感情が存在しないことだろう。万丈目との再会を心から喜んでいる兄二人と、そんな兄二人と再会したことで先ほどまでの険しい表情が和らいでいる万丈目の顔を見れは一目瞭然だ。

 

やぁっと、帰って来たかぁ!万丈目ぇぇぇ!

 

~~~

 

ノース校代表団の出迎えが終わり、万丈目兄2人がアカデミア本校に臨時に設置されたノース校代表控室から退出したタイミングを見計らい、俺は万丈目の元を訪れてた。

 

「白河か。オレに何の用だ?」

 

「ハノイからの預かり物をお前に返しに来た。ほら、受け取れよ」

 

不審な目でこちらを見て来る万丈目に、俺は以前預かった(無理やり奪った)【光と闇の竜】のカードを返却した。

 

早く!早く!一秒でも早く受け取ってくれ!この危険な白黒トカゲをさ!もういつ封印が解けて暴れ出すか分からないんだ!封印が解けたら今度こそこのクソ白黒トカゲに殺される!その前に万丈目に押し付け返す!

 

「これは…【光と闇の竜】!?また俺と一緒に戦ってくれるか…【光と闇の竜】…!」

 

『あら~ん?綺麗なドラゴンねぇ~ん』

 

万丈目は【光と闇の竜】が手元に戻ってきたことで感極まっており、万丈目の横に唐突に現れた万丈目のカードの精霊【おジャマイエロー】はそんな万丈目が持つ【光と闇の竜】のカードに対して素直な感想を零す。

 

「確かに渡したからな。それじゃ俺はこれで失礼する」

 

俺は選手控室から退出した直後に【光と闇の竜】に掛けていた封印を解除し、即座に全力全開のフルパワー猛ダッシュでその場から離脱した。

 

あのクソ白黒トカゲは『マアトの羽根』の影響かどうかは知らないが、宿主の魔力を勝手に借りて自力で実体化できるようだからな。あんな狭い場所であんな巨体が実体化したらどうなるか、見るまでもなく分かる。

 

『キシャァァァァ!』

 

「うわぁっ!なんだなんだ!?ギャー!」

 

『キャー!万丈目の兄貴が白黒の竜の下敷きにー!?』

 

控室から色んな悲鳴が聞こえたが、全て無視した。

 

俺の命が最優先。はっきりわかんだね。なぁに。ノース校から帰ってきた後の万丈目ならギャグキャラ補正で何とか生き残るでしょ。

 

~~~

 

デュエルアカデミア内にあるデュエルリングは、いつも以上の歓声に包まれている。観客席も8割以上が埋まっている。

 

観客席には遊城十代やコナミ達、丸藤亮や天上院兄妹と一緒に居る藤原優介、万丈目兄弟やクロノス臨時校長と話すノース校の一ノ瀬校長の姿もある。当然、本来は居るはずだった鮫島校長は居ない。

 

本校とノース校との対抗戦が万丈目グループ主催によるテレビ中継されることもあって、クロノス臨時校長の代わりに司会進行を任された響先生が立って居るリング中央を囲むようにそこら中に撮影用の機材が置かれている。

 

『さぁ皆さん!いよいよ始まります!世紀の学園対抗デュエル大会!拍手も応援もよろしく!』

 

黄色いクレーン車のような台車に乗った実況者がメガホン片手に会場を盛り上げている。

 

「「「「「サンダー!サンダー!万丈目サンダー!!」」」」」

 

ノース校の万丈目サンダーコールが響き渡る中、いよいよデュエルリングに本校代表の三沢大地とノース校代表の万丈目準が上がって来る。

 

良かった。万丈目はちゃんと生きているな。あのクソ白黒トカゲが彼の後ろからこちらを睨んでいるのが見えるが、無視しよう。

 

「万丈目、今のお前は尊敬に値する。あの日から大体3か月。その間に別の姉妹校に一人で乗り込んで対抗戦の座をもぎ取って来るとはな」

 

「ふん、オレの実力をもってすれば当然のことだ!」

 

今あそこにいる万丈目は三沢のデッキを海に投げ捨てることも無かったからか、アニメGXよりも万丈目と三沢の間に険悪な雰囲気は感じられない。

 

「ではここに、デュエルアカデミア本校」

 

「ノース校」

 

「「対抗デュエル大会の開始を宣言する」ノーネ」

 

「響教諭、デュエリストの紹介をお願いするノーネ」

 

その言葉を聞いて、テレビカメラが両校長からリング状の響先生へと向けられる。

 

「それではこれより!デュエルアカデミア本校!ノース校!対抗試合を始めます!」

 

ウォォォォォォォッ!

 

「アカデミア本校からは、三沢大地!ノース校からは…」

 

「響先生、オレの自己紹介は自分でやります」

 

「あら?そう?」

 

響紅葉の姉だからか、響先生には敬語を使う万丈目が響先生の選手紹介を中断させてリングの中央に立つ。

 

「お前たち、このオレを覚えているか!この学園で、このオレが消えてせいせいしたと思っている奴!オレの退学を自業自得とほざいた奴!」

 

万丈目はリング上から観客席を見回すようにして語る。

 

「知らぬなら言って聞かせるぜ?その耳かっぽじって良ーく聞くがいい!地獄の底から不死鳥の様に復活してきたオレの名は!」

 

始まるぞ。あの名乗りが!

 

「一!」

 

「「十!」」

 

「「「「百!」」」

 

「「「「「千!」」」」

 

「万丈目サンダー!」

 

「「「「「ウォォォォォォォッ!サンダー!万丈目サンダー!!」」」」」

 

「オレはー?」

 

「「「「「サンダー!」」」」」

 

「万丈目ー!」

 

「「「「「サンダー!」」」」」

 

おぉぉぉぉっ!出たー!生サンダーだ!生サンダーコールだ!!初めてアカデミアに入学して良かったと思ったかもしれない!

 

ノース校の生徒が集まった観客席からサンダーコールが鳴り響く中、万丈目は改めて対戦相手の三沢と向き合う。

 

「三沢!前回は不覚を取ったが、今度はオレが勝つ!」

 

「ふっ、受けて立つぞ!万丈目!」

 

「万丈目、さんだ!」

 

「「「「「サンダー!」」」」」

 

さぁ、デュエルが開始されるぞ!

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻はオレだ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札から【巨神竜フェルグラント】を捨ててデッキから2枚ドロー!」

万丈目 手札:6→5→4→6枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「更にオレは手札から魔法カード【竜の霊廟】を発動!デッキから【ガード・オブ・フレムベル】、更に【亡龍の戦慄-デストルドー】を墓地に送る!」

万丈目 手札:6→5枚。

 

【竜の霊廟】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

「オレは手札からモンスターをセット!」

万丈目 手札:5→4枚。

 

<万丈目準のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

万丈目 手札:4→2枚。

 

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<万丈目準のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:5枚。

 

 

万丈目のデッキはノース校の一ノ瀬校長から託された【アームド・ドラゴン】デッキだと思ったが、チューナーを墓地に送ってるからどうなるか分からないな。

 

対する三沢は、どう出てくるかな?

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【化石調査】を発動!デッキより【デューテリオン】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚。

 

【化石調査】

通常魔法

(1):デッキからレベル6以下の恐竜族モンスター1体を手札に加える。

 

「オレは手札から【デューテリオン】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキから【ボンディング-DHO】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚。

 

【デューテリオン】

効果モンスター

星5/水属性/恐竜族/攻2000/守1400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズにこのカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「ボンディング」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の「ハイドロゲドン」「オキシゲドン」「デューテリオン」のいずれか1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「更にオレは手札から速攻魔法【手札断殺】を発動!お互いに手札を2枚捨ててデッキから2ドロー!」

三沢 手札:6→5→3→5枚。

 

速攻魔法

(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

 

<三沢が墓地の送ったカード>

①ハイドロゲドン

②ボンディング-DHO

 

「ちっ、手札交換カードか」

万丈目準 手札:2→0→2枚。

 

<万丈目が墓地の送ったカード>

①輝白竜 ワイバースター

②光と闇の竜

 

「墓地の【ボンディング-DHO】を除外して効果発動!デッキから【ウォーター・ドラゴン-クラスター】を手札に加える!」

三沢 手札:5→6枚。

 

【ボンディング-DHO】

通常罠

(1):自分の手札・墓地から「デューテリオン」「ハイドロゲドン」「オキシゲドン」を1体ずつデッキに戻して発動できる。自分の手札・墓地から「ウォーター・ドラゴン-クラスター」1体を選んで特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。自分のデッキ・墓地から「ウォーター・ドラゴン」または「ウォーター・ドラゴン-クラスター」1体を選んで手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【青天の霹靂】を発動!手札より出でよ!【ウォーター・ドラゴン-クラスター】!」

三沢 手札:6→5→4枚。

 

【青天の霹靂】

通常魔法

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。

元々のレベルが10以下の通常召喚できないモンスター1体を、召喚条件を無視して手札から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは、そのモンスター以外の自分のカードの効果を受けず、次の相手エンドフェイズに持ち主のデッキに戻る。

このターン、自分はモンスターを通常召喚・特殊召喚できず、相手が受ける全てのダメージは0になる。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン-クラスター ★10 ATK2800

 

【ウォーター・ドラゴン-クラスター】

特殊召喚・効果モンスター

星10/水属性/海竜族/攻2800/守2600

このカードは通常召喚できない。

「ボンディング」魔法・罠カードの効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの効果モンスターはターン終了時まで、攻撃力が0になり、効果を発動できない。

(2):このカードをリリースして発動できる。手札・デッキから「ウォーター・ドラゴン」2体を召喚条件を無視して守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「出たな!【ウォーター・ドラゴン-クラスター】!1ターン目から出してくるとは気前がいいじゃないか!」

 

「ふっ、今回の相手は油断できないようだからな。最初から全力で行かせてもらう!」

 

堅実な一手だな。

 

【ウォーター・ドラゴン-クラスター】の2つ目の効果は相手ターンでも使えるから、【青天の霹靂】のデッキバウンスのデメリット効果を緩和できるんだよな。

 

いやぁ、良い感じに盛り上がってきたな!

 

「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン-クラスター】で伏せモンスターを攻撃!」

 

ウォーター・ドラゴン-クラスター ATK2800

vs

仮面竜 DEF1100 ※戦闘破壊

 

「馬鹿め!伏せモンスターは【仮面竜】だ!」

 

「リクルーターか!だがそのくらいなら想定内さ!」

 

【仮面竜】

効果モンスター

星3/炎属性/ドラゴン族/攻1400/守1100

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「この瞬間、【仮面竜】の効果発動!デッキから【アームド・ドラゴン LV3】を特殊召喚する!」

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV3 ★3 DEF900

 

【アームド・ドラゴン LV3】

効果モンスター

星3/風属性/ドラゴン族/攻1200/守 900

(1):自分スタンバイフェイズにフィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。手札・デッキから「アームド・ドラゴン LV5」1体を特殊召喚する。

 

「【アームド・ドラゴン LV3】…「LV」モンスターか!」

 

「そうだ!次のターン、貴様の【ウォーター・ドラゴン-クラスター】を破壊してやる!」

 

「そう上手く行くかな?メインフェイズ2に移行!オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

三沢 手札:4→2枚。

 

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV3 ★3 DEF900

 

vs

 

◆三沢大地 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:2枚

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン-クラスター ★10 ATK2800

 

 

アニメに近い展開になったな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

万丈目 手札:2→3枚。

 

さぁ、進化の時間だな。

 

「この瞬間、【アームド・ドラゴン LV3】の効果発動!自身を墓地に送ってデッキから【アームド・ドラゴン LV5】を特殊召喚する!」

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV5 ★5 ATK2300

 

【アームド・ドラゴン LV5】

効果モンスター

星5/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1700

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。この効果を発動するために墓地へ送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、その相手モンスターを破壊する。

(2):このカードが戦闘でモンスターを破壊したターンのエンドフェイズに、フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。手札・デッキから「アームド・ドラゴン LV7」1体を特殊召喚する。

 

「メインフェイズへ移行!オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップから10枚裏側除外してデッキから2枚ドロー!」

万丈目 手札:3→2→4枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「更にオレは手札から魔法カード【レベルアップ!】を発動!【アームド・ドラゴン LV5】を墓地に送り、デッキから【アームド・ドラゴン LV7】を特殊召喚!」

万丈目 手札:4→3枚。

 

【レベルアップ!】

通常魔法

フィールド上に表側表示で存在する「LV」を持つモンスター1体を墓地へ送り発動する。

そのカードに記されているモンスターを、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV7 ★7 ATK2800

 

【アームド・ドラゴン LV7】

特殊召喚・効果モンスター

星7/風属性/ドラゴン族/攻2800/守1000

このカードは通常召喚できない。

「アームド・ドラゴン LV5」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。墓地へ送ったそのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

「更にオレは手札から魔法カード【復活の福音】を発動!墓地から【巨神竜フェルグラント】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:3→2枚。

 

【復活の福音】

通常魔法

(1):自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):自分フィールドのドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV7 ★7 ATK2800

巨神竜フェルグラント ★8 ATK2800

 

【巨神竜フェルグラント】

効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2800

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合、相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外し、このカードの攻撃力・守備力は、除外したモンスターのレベルまたはランク×100アップする。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合、「巨神竜フェルグラント」以外の自分または相手の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「おぉ!兄者!あのモンスターは私たちが準に渡したレアカードだぞ!」

 

「本当だ!良いぞー!準ー!」

 

マジかよ。【巨神竜フェルグラント】って確かまだ市場に出回っていない海外の大会の優勝賞品となった世界に十数枚しかない超レアカードだぞ。万丈目グループのブラコンっぷりがヤバい。

 

「墓地から蘇生した【巨神竜フェルグラント】の効果発動!【ウォーター・ドラゴン-クラスター】を除外する!」

 

「この程度は計算の範囲内だ!【ウォーター・ドラゴン-クラスター】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【ウォーター・ドラゴン】2体を特殊召喚する!」

 

チェーン②ウォーター・ドラゴン-クラスター

チェーン①巨神竜フェルグラント ※対象を失い、不発。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★8 DEF2600

ウォーター・ドラゴン ★8 DEF2600

 

【ウォーター・ドラゴン】

特殊召喚・効果モンスター

星8/水属性/海竜族/攻2800/守2600

このカードは通常召喚できない。

「ボンディング-H2O」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドの炎属性モンスター及び炎族モンスターの攻撃力は0になる。

(2):このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「ハイドロゲドン」2体と「オキシゲドン」1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「惜しかったな、万丈目!」

 

「万丈目さんだ!これからが本番だ!アームド・ドラゴンの更なる進化を見るがいい!」

 

「何っ!?」

 

「オレは【アームド・ドラゴン LV7】を墓地に送り、手札から【アームド・ドラゴン LV10】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:2→1枚。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK3000

巨神竜フェルグラント ★8 ATK2800

 

【アームド・ドラゴン LV10】

特殊召喚・効果モンスター

星10/風属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの「アームド・ドラゴン LV7」1体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。

(1):手札を1枚墓地へ送って発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

 

「レベル10!?」

 

確かに【アームド・ドラゴン LV10】は強力な効果を持つモンスターだが、【アームド・ドラゴン LV10】をコストに【アームド・ドラゴン LV7】の効果を発動するだけでも【ウォーター・ドラゴン】たちは十分に破壊できた。

 

この判断が吉と出るか凶と出るか。

 

手札を一気に消費してきたが、三沢の伏せカードが2枚も残っているけれど、ここで勝負に出る気かな?

 

「おぉっ!あれこそが我がノース校に伝わるアームド・ドラゴンの最終形態!良いぞ!万丈目サンダー!」

 

「「「「「ウォォォォォォォッ!サンダー!万丈目サンダー!!」」」」」

 

一ノ瀬校長が興奮して席から立ち上がると同時にノース校の観客席から怒涛の声援が飛び交う。

 

「そしてオレは【アームド・ドラゴン LV10】の効果発動!手札の【アークブレイブドラゴン】を墓地に送り、貴様のモンスターを全て破壊する!

万丈目 手札:1→0枚。

 

「甘いな!リバースカードオープン!速攻魔法【我が身を盾に】を発動!破壊効果を無効にして【アームド・ドラゴン LV10】を破壊する!」

三沢大地 LP:4000→2500、伏せカード:2→1枚

 

【我が身を盾に】

速攻魔法

1500ライフポイントを払って発動する。

相手が発動した「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つカードの発動を無効にし破壊する。

 

チェーン②我が身を盾に

チェーン①アームド・ドラゴン LV10 ※効果の発動を無効にして破壊。

 

「ふん、ライフを半分近く払ったとはいえ、オレの【アームド・ドラゴン LV10】を防ぐするとはな」

 

「このくらいは必要経費さ」

 

「だが、お前ならこの効果を防ぐことは読めている!オレは墓地の【復活の福音】の効果発動!墓地からこのカードを除外して【アームド・ドラゴン LV10】の破壊を防ぐ!」

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK3000

巨神竜フェルグラント ★8 ATK2800

 

「やるな、万丈目!」

 

「万丈目さんだ!まだオレの攻撃は残っている!バトルだ!【巨神竜フェルグラント】で【ウォーター・ドラゴン】を攻撃!」

 

「掛かったな!リバースカードオープン!罠カード【分断の壁】発動!」

三沢大地 伏せカード:1→0枚

 

【分断の壁】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

相手フィールドの全ての攻撃表示モンスターの攻撃力は、相手フィールドのモンスターの数×800ダウンする。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK3000→1400

巨神竜フェルグラント ★8 ATK2800→1200

 

「ちっ!やってくれる!」

 

これは痛いな。【分断の壁】の全体弱体化はフィールドに居る限りずっと続くからな。

 

巨神竜フェルグラント ATK1200

vs

ウォーター・ドラゴン DEF2600 ※ATKとDEFの差分1400の反射ダメージが発生。

 

「ぐあぁぁぁっ!」

万丈目準 LP:4000→2600

 

「ふっ、これでライフポイントは並んだな?」

 

「くっ!オレはこれでターンエンドだ!」

 

 

◆万丈目準 LP:2600、手札:0枚。伏せカード:2枚。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK1400

巨神竜フェルグラント ★8 ATK1200

 

vs

 

◆三沢大地 LP:2500、手札:2枚。伏せカード:0枚

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★8 DEF2600

ウォーター・ドラゴン ★8 DEF2600

 

 

さて、この三沢のターンがこのデュエルの分水嶺となるのかな。

 

三沢はこのターンで【アームド・ドラゴン LV10】を何とかしなければ、次のターンまたであのモンスターの全体除去効果が炸裂するだろう。流石に三沢にもう一度あの効果を防ぐ手立てはないはずだ。

 

対する万丈目もフィールドの【ウォーター・ドラゴン】2体と三沢の手札2+ドロー分1枚から繰り出される攻撃を殆ど伏せカードのみで防がなければならない。

 

いや、【アークブレイブドラゴン】を墓地に送っていたか。何を出してくるやら。

 

それにしても、万丈目は最初のターンに伏せたあの2枚の伏せカードを使う様子が全くないな。一体、何のカードを伏せているんだろうか?

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

三沢 手札:2→3枚。

 

「この瞬間!墓地の【アークブレイブドラゴン】の効果発動!墓地の【亡龍の戦慄-デストルドー】を特殊召喚する!」

 

【アークブレイブドラゴン】

効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードを全て除外し、このカードの攻撃力・守備力は、この効果で除外したカードの数×200アップする。

(2):このカードが墓地へ送られた次のターンのスタンバイフェイズに、「アークブレイブドラゴン」以外の自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK1400

巨神竜フェルグラント ★8 ATK1200

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

【亡龍の戦慄-デストルドー】

チューナー・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻1000/守3000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、LPを半分払い、自分フィールドのレベル6以下のモンスター1体を対象として発動できる。このカードを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、レベルが対象のモンスターのレベル分だけ下がり、フィールドから離れた場合に持ち主のデッキの一番下に戻る。

 

「チューナーか…」

 

「さぁ、どうした!貴様のターンだぞ!」

 

「そうだな、メインフェイズへ移行!オレは手札よりフィールド魔法【伝説の都 アトランティス】を発動!」

三沢 手札:3→2枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【伝説の都 アトランティス】

フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★8→7 DEF2600→2800

ウォーター・ドラゴン ★8→7 DEF2600→2800

 

「更にオレは手札より【デューテリオン】を召喚!」

三沢 手札:3→2枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

デューテリオン ★5→4 ATK2000→2200

 

「【デューテリオン】の効果を発動する!墓地から【デューテリオン】を特殊召喚だ!」

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

デューテリオン ★4 ATK2200

デューテリオン ★5→4 ATK2000→2200

 

「そして、オレは【デューテリオン】2体でオーバーレイ!」

 

「なっ!?まさか、エクシーズ召喚か!?」

 

「ご名答!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!出でよ!【エヴォルカイザー・ドルカ】!」

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

 

【エヴォルカイザー・ドルカ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/ドラゴン族/攻2300/守1700

恐竜族レベル4モンスター×2

(1):このカード以外のモンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

次のターンの【アームド・ドラゴン LV10】の効果を警戒して布石を打ってきたな。

 

「オレは2体の【ウォーター・ドラゴン】を攻撃表示に変更!」

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800→ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 DEF2800→ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

 

「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン】で【アームド・ドラゴン LV10】を攻撃!」

 

この【ウォーター・ドラゴン】2体の攻撃が決まれば三沢の勝ちだ!なんてのは、俺は流石にフラグ過ぎて言わない。

 

「この【ウォーター・ドラゴン】2体の攻撃が通れば三沢の勝ちが決まる!けど、万丈目の伏せカードは2枚か。コナミ、この攻撃は本当に通ると思うか?」

 

「十代もそう思うよな。三沢の戦術にこれと言ったミスは無いと思うけど、やっぱり今まで使っていない万丈目のあの伏せカードが気になるかな」

 

「大丈夫っすよ!万丈目君はあの伏せカードをずっと使ってなかったんだし!このターンで本校代表の三沢君の勝ちっスよ!」

 

「いいぞぉー!これで決まりなんだナァ!」

 

十代、コナミ、翔、隼人の4人は三沢の勝利で決まるかも知れない一撃を注視している。

 

「万丈目さんだ!遊城十代と赤羽コナミとそのフレンズ共!観客は黙ってオレのデュエルを見ていろ!」

 

ようやく伏せカードを使う気だな。さて、何を伏せていたんだろう?

 

「リバースカードオープン!罠カード【立ちはだかる強敵】を発動!お前がバトルを挑むのは【亡龍の戦慄-デストルドー】だ!」

万丈目 伏せカード:2→1枚。

 

【立ちはだかる強敵】

通常罠

相手の攻撃宣言時に発動する事ができる。自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。

発動ターン相手は選択したモンスターしか攻撃対象にできず、全ての表側攻撃表示モンスターで選択したモンスターを攻撃しなければならない。

 

「何っ!?」

 

ウォーター・ドラゴン ATK3000

vs

亡龍の戦慄-デストルドー DEF3000 ※ATKとDEFの差分無し。

 

ウォーター・ドラゴン ATK3000

vs

亡龍の戦慄-デストルドー DEF3000 ※ATKとDEFの差分無し。

 

これはまた面白い罠を使うなぁ。素直な防御札の【和睦の使者】辺りの方が堅実だと思うが、こういった攻撃的な部分も万丈目らしいということなのかな?

 

「【立ちはだかる強敵】、相手モンスター全てに対象のモンスターへと攻撃させる罠カードね」

 

「あぁ。【亡龍の戦慄-デストルドー】の防御力は3000。並大抵のモンスターではあの壁は突破できないな」

 

「いやぁ、万丈目君も魅せてくれるなぁ!」

 

「ボクたちはアカデミアを離れていた2年間に随分と強いデュエリストが増えたんだね」

 

明日香、亮、吹雪、藤原の4人も彼ら2人のデュエルを食い入るように見ている。

 

「ふっ、そう簡単には勝たせてくれないか」

 

「当たり前だ!」

 

「それなら、メインフェイズ2に移行。カードを1枚セットしてターンエンドだ」

三沢 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆万丈目準 LP:2600、手札:0枚。伏せカード:1枚。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK1400

巨神竜フェルグラント ★8 ATK1200

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

vs

 

◆三沢大地 LP:2500、手札:1枚。伏せカード:1枚、フィールド魔法:1

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から魔法カード【ギャラクシー・サイクロン】を発動!伏せカードを破壊する!」

万丈目 手札:1→0枚。

 

【ギャラクシー・サイクロン】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「くっ!だが、問題ない!」

三沢 伏せカード:1→0枚。

 

墓地に送られたのは…【波紋のバリア -ウェーブ・フォース-】か。凶悪なのを伏せてたな。

 

「オレはモンスターを守備表示に変更する」

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 ATK1400→DEF2000

巨神竜フェルグラント ★8 ATK1200→DEF2800

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

「これでオレはターンエンド!!」

 

 

◆万丈目準 LP:2600、手札:0枚。伏せカード:1枚。

 

<万丈目準のフィールド>

アームド・ドラゴン LV10 ★10 DEF2000

巨神竜フェルグラント ★8 DEF2800

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

vs

 

◆三沢大地 LP:2500、手札:1枚。伏せカード:0枚、フィールド魔法:1

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

 

 

そろそろ万丈目も体制を整えてくる頃だろう。このターンで三沢がどこまで動けるかだな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:1→2枚。

 

「オレは手札から【おろかな埋葬】を発動!デッキから【カーボネドン】を墓地に送る!」

三沢 手札:2→1枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「オレは墓地の【カーボネドン】の効果発動!このカードを除外してデッキから【ダイヤモンド・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

【カーボネドン】

効果モンスター

星3/地属性/恐竜族/攻 800/守 600

「カーボネドン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが炎属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。このカードの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ1000アップする。

(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族の通常モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

【ダイヤモンド・ドラゴン】

通常モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2100/守2800

全身がダイヤモンドでできたドラゴン。まばゆい光で敵の目をくらませる。

 

自分のフィールドを盤石にしてきたか。堅実な三沢らしい一手だな。

 

「バトルだ!【ウォーター・ドラゴン】で【アームド・ドラゴン LV10】を攻撃!アクア・パニッシャー!」

 

ウォーター・ドラゴン ATK3000

vs

アームド・ドラゴン LV10 DEF2000 ※戦闘破壊

 

<万丈目準のフィールド>

巨神竜フェルグラント ★8 DEF2800

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

「ちぃっ!」

 

「追撃だ!【ウォーター・ドラゴン】で【巨神竜フェルグラント】を攻撃!アクア・パニッシャー!」

 

ウォーター・ドラゴン ATK3000

vs

巨神竜フェルグラント DEF2800 ※戦闘破壊

 

<万丈目準のフィールド>

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

「くぅっ!まだだ!」

 

「メインフェイズ2に移行。オレはカードをセット!」

三沢 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

「これでオレはターンエンドだ!」

 

「この瞬間!リバースカードオープン!罠カード【裁きの天秤】発動!」

 

【裁きの天秤】

通常罠

「裁きの天秤」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):相手フィールドのカードの数が自分の手札・フィールドのカードの合計数より多い場合に発動できる。自分はその差の数だけデッキからドローする。

 

おぉ!ここで【裁きの天秤】か!ガンガン手札を消費していたのはこの盤面でリカバリーできることを見越してのことだったのかもな。

 

「オレの手札・フィールドのカードは1枚!お前のフィールドのカードは6枚!その差分5枚デッキからドロー!」

万丈目 手札:0→6枚。

 

「5ドロー!?まさか、最初から伏せていたカードがこんなカードだったなんて!?」

 

「三沢、よく覚えておけ!キサマと俺では三と万、9997ほどの違いがあるのだ!」

 

「ちぃ!まだ勝負が決まったわけではない!」

 

 

◆万丈目準 LP:2600、手札:5枚。伏せカード:0枚。

 

<万丈目準のフィールド>

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

 

vs

 

◆三沢大地 LP:2500、手札:0枚。伏せカード:1枚、フィールド魔法:1

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

ウォーター・ドラゴン ★7 ATK3000

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

 

このハンドアドバンテージの差は、三沢にあった勝負の流れをひっくり返しそうだな!

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

「オレは墓地から【ギャラクシー・サイクロン】の効果を発動!このカードを墓地から除外して【伝説の都 アトランティス】を破壊する!」

 

「十分に役立ってくれた!問題ない!」

三沢 フィールド魔法:1→0枚。

 

<三沢大地のフィールド>

ウォーター・ドラゴン ★7→8 ATK3000→2800

ウォーター・ドラゴン ★7→8 ATK3000→2800

エヴォルカイザー・ドルカ ☆4 DEF1700 ORU:2

ダイヤモンド・ドラゴン ★7 DEF2800

 

「オレは手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!手札の【エクリプス・ワイバーン】を墓地に送り、デッキから【輪廻竜サンサーラ】を特殊召喚!」

万丈目 手札:6→5→4枚。

 

【ワン・フォー・ワン】

通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。

手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

<万丈目準のフィールド>

亡龍の戦慄-デストルドー ★7 DEF3000 ※チューナー

輪廻竜サンサーラ ★1 DEF0

 

【輪廻竜サンサーラ】

効果モンスター

星1/光属性/ドラゴン族/攻 0/守 0

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のレベル5以上のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。その後、そのモンスターをアドバンス召喚できる。

 

「墓地の【エクリプス・ワイバーン】の効果発動!デッキの【ダーク・アームド・ドラゴン】を除外する!」

 

【エクリプス・ワイバーン】

効果モンスター

星4/光属性/ドラゴン族/攻1600/守1000

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。デッキから光属性または闇属性のドラゴン族・レベル7以上のモンスター1体を除外する。

(2):墓地のこのカードが除外された場合に発動できる。このカードの(1)の効果で除外されているモンスターを手札に加える。

 

「無駄だ!【エヴォルカイザー・ドルカ】のORUを1つ取り除いて効果発動!【エクリプス・ワイバーン】の効果の発動を無効にする!」

エヴォルカイザー・ドルカ ORU:2→1

 

チェーン②エヴォルカイザー・ドルカ

チェーン①エクリプス・ワイバーン ※効果無効化

 

「ならば!レベル1【輪廻竜サンサーラ】にレベル7【亡龍の戦慄-デストルドー】をチューニング!」

 

「来るか、シンクロ召喚!」

 

「そうだ!お前だけが成長していると思うな!来い!【ライトエンド・ドラゴン】!」

 

<万丈目準のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

 

【ライトエンド・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2600/守2100

チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上

このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力はエンドフェイズ時まで1500ポイントダウンする。

 

「ここでオレは手札から【ミンゲイドラゴン】を召喚!」

万丈目 手札:4→3枚。

 

<万丈目準のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

ミンゲイドラゴン ★2 ATK400

 

【ミンゲイドラゴン】

効果モンスター

星2/地属性/ドラゴン族/攻 400/守 200

ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースとする事ができる。

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードを表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。この効果は自分の墓地にドラゴン族以外のモンスターが存在する場合には発動できない。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

 

「更にオレは、LPを半分支払い、墓地の【亡龍の戦慄-デストルドー】の効果発動!効果対象をレベル2【ミンゲイドラゴン】とし、自身のレベルを5にして墓地から特殊召喚する!」

万丈目準 LP:2600→1300

 

「させない!【エヴォルカイザー・ドルカ】のORUを1つ取り除いて効果発動!【亡龍の戦慄-デストルドー】の効果の発動を無効にする!」

エヴォルカイザー・ドルカ ORU:1→0

 

チェーン②エヴォルカイザー・ドルカ

チェーン①亡龍の戦慄-デストルドー ※効果無効化

 

ドルカのORUは尽きた。これで万丈目の行動を遮る障害は無くなったな。

 

「三沢大地、お前は強い…だがそれでもオレは、ヤツともう一度戦う前に誰にも負けたくない!」

 

「万丈目?」

 

「万丈目さんだ!オレは手札から装備魔法【巨大化】を発動!【ライトエンド・ドラゴン】に装備する!」

万丈目 手札:3→2枚。装備魔法:0→1枚。

 

【巨大化】

装備魔法

(1):自分のLPが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の倍になる。

自分のLPが相手より多い場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力の半分になる。

 

<万丈目準のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK2600→5200 ※【巨大化】装備

ミンゲイドラゴン ★2 ATK400

 

「こ、攻撃力5200!?」

 

「まだだ!オレは手札から永続魔法【ドラゴニック・エンレイジ】を発動!!」

万丈目 手札:2→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ドラゴニック・エンレイジ】※漫画版オリジナルカード

永続魔法

自分フィールドのドラゴン族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「まだまだだ!オレは手札から装備魔法【ドラゴンズ・ユニット】を発動!【ライトエンド・ドラゴン】に装備する!!」

万丈目 手札:1→0枚。装備魔法:1→2枚。

 

【ドラゴンズ・ユニット】※漫画版オリジナルカード

装備魔法

ドラゴン族モンスターのみ装備可能。

装備モンスターの攻撃力は、自分フィールドのドラゴン族モンスター1体につき400ポイントアップする。

 

<万丈目準のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK5200→6000 ※【巨大化】+【ドラゴンズ・ユニット】装備

ミンゲイドラゴン ★2 ATK400

 

「攻撃力6000!?」

 

「仕上げだ!墓地の【輪廻竜サンサーラ】の効果発動!自身を除外し、墓地に眠るオレの最強の僕を呼び戻す!オレの手元へ戻れ!【光と闇の竜】!」

万丈目 手札:0→1枚。

 

ドルカのORUはもう残っていない。三沢にこの効果を止めることはできないだろう。

 

「最初のターンの【手札断殺】で墓地の置かれていたモンスターか!」

 

「そうだ!そして【輪廻竜サンサーラ】の効果はまだ続いている!オレは【ミンゲイドラゴン】を2体分としてリリース!出でよ!【光と闇の竜】!!」

万丈目 手札:1→0枚。

 

<万丈目準のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK6000 ※【巨大化】+【ドラゴンズ・ユニット】装備

光と闇の竜 ★8 ATK2800

 

【光と闇の竜】

効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守2400

このカードは特殊召喚できない。

このカードの属性は「闇」としても扱う。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。

このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。自分フィールド上のカードを全て破壊する。選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

フィールドに黒い左半身と白い右半身を持つ巨大な竜が姿を現した。

 

「【光と闇の竜】…オレはコイツと共に強くなる!」

 

「あのモンスターは万丈目君が中学時代に使っていたエースモンスター!?」

 

「あれが当時噂になっていた万丈目の【光と闇の竜】か」

 

「うぉー!すげー!格好いいなー!」

 

「【光と闇の竜】か。良いモンスターだな!」

 

「兄貴!?コナミ君!?ボクたちは本校代表の三沢君の応援をしないと!」

 

「でも、綺麗なモンスターなんだナァ」

 

各々が【光と闇の竜】の登場に思い思いの言葉を口にしている。

 

うわ~。凄い嬉しそう。あの白黒トカゲ、よっぽどデュエルに出たかったんだろうなぁ。

 

「バトルだ!【ライトエンド・ドラゴン】で【ウォーター・ドラゴン】を攻撃!」

 

「くっ!リバースカードオープン!罠カード【魔法の筒】発動!【ライトエンド・ドラゴン】の攻撃を無効化して、その攻撃力分のダメージを万丈目に跳ね返す!」

三沢 伏せカード:1→0枚。

 

【魔法の筒】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「無駄だぜ三沢!【光と闇の竜】の効果発動!【魔法の筒】の発動を無効にする!」

光と闇の竜 ATK2800→2300

 

チェーン②光と闇の竜

チェーン①魔法の筒 ※発動無効

 

「バトルは続行される!行け!【ライトエンド・ドラゴン】!」

 

 

本来ならそしてここで【ライトエンド・ドラゴン】の効果が発動できるんだが、それをやると【光と闇の竜】の効果が強制発動して【ライトエンド・ドラゴン】は爆発四散してしまうからやらないんだよな。

 

 

ライトエンド・ドラゴン ATK6000

vs

ウォーター・ドラゴン ATK2800 ※戦闘破壊

 

「うわぁぁぁぁぁっ!」

三沢 LP:2500 → 0

 

 

 

「そこまで!デュエル終了!勝者は、ノース校代表、万丈目準!」

 

「くっ…オレの負けだ」

 

「三沢、オレの勝ちだ!」

 

楽しく長かったデュエルも終わりを告げた。そこに居るのは勝者と敗者のみだ。

 

「さぁ、お前たち!オレの名を言ってみろ!分からなければ…言って聞かせるぜ!」

 

「一!」

 

「「十!」」

 

「「「百!」」」

 

「「「「千!」」」」

 

「万丈目サンダー!」

 

「「「「「ウォォォォォォォッ!サンダー!万丈目サンダー!!」」」」」

 

響先生のデュエル終了の宣言の直後から、デュエルアカデミア本校とノース校の垣根無く、会場には万丈目サンダーのコールが鳴り響いている。

 

アニメ通りとは行かず、この世界での対抗試合はノース校が勝利を収めることになったか。

 

三沢もアウェーに近い空気の中で手堅く堅実によくやっていたと思うが、一歩及ばなかった感じだな。

 

ところで、本校は全国TV中継の中でノース校に敗北したわけだが、流石にここの勝敗は…俺の退学には関係ないよな?

 

~~~

 

デュエルが終わると観客席は熱狂の渦に包まれていた!

 

「おぉぉぉぉっ!見たか兄者!準が勝ったぞ!」

 

「もちろん見ていたぞ正司!準が勝った!」

 

「良くやったサンダー!これであの褒美は私のものだ!」

 

「素晴らしいデュエルだったノーネ。それにしてもシニョール三沢を破るナンーテ…シニョール万丈目はノース校に行ってから一皮むけたようナノーネ」

 

「良いぞー!二人ともスゲーデュエルだったぜー!」

 

「万丈目―!三沢―!次はオレとデュエルしようぜー!」

 

「三沢君も!負けちゃったけど凄かったっスよー!」

 

「二人とも大健闘だったんだナァ!」

 

「万丈目君、すっかり中学校時代の活力を取り戻したようね。私もうかうかしていられないわ!」

 

「こちらも熱くなるような良いデュエルを見せて貰った」

 

「藤原…年上としては負けていられないよね?」

 

「あぁ。その大会が終わったら早速この試合の研究をしないとね。吹雪たちにも手伝ってもらうよ?」

 

会場に居る大多数の人達が万丈目と三沢の実力を認めており、その健闘を称えている。

 

「万丈目、退学になったくせに…」

 

「落ちこぼれた万丈目に負けるなんて、三沢も大したことないよな」

 

「ボクたち本物のエリートには及ばないさ」

 

「あぁ、そうだな」

 

最も、元万丈目の下っ端である取巻太陽たちのように一部現実を見れていないオベリスクブルーのエリィト(笑)も存在する。

 

アニメGXではホワイト堕ちした万丈目に瞬殺されて実力の差をわからされていたけれど、この世界だとどうなるかな。

 

「さて、それじゃ相手を待たせすぎるのも悪いし、俺もそろそろ行こうかな」

 

わざわざ対抗試合の開始前から会場の天井付近なんて目立つ所に配下のコウモリを置くなんてわかりやすい誘いをされていたんだ。受けるのが筋だろうからね。

 

~~~

 

他の生徒たちがノース校の生徒たちの見送りに向かう中、俺は1人で会場に居たコウモリの後を追いかけていた。

 

どうせ見送りイベントでは大したことが起きないだろうからな。万丈目のアカデミア本校復帰と、万丈目によるアームド・ドラゴンの借りパクと、一ノ瀬校長へのトメさんのチッスくらいだ。後半は心底どうでもいい。

 

「あれ?クロト?」

 

「コナミ、お前もか」

 

俺を導くようにゆっくり移動するコウモリを追跡していると、通路の曲がり角からコナミが現れた。どうやらコナミも俺とは別のコウモリに導かれたらしい。

 

コナミと合流してそのまま2体のコウモリの行方を辿っていくと、GWにサイコショッカーが現れたという発電所へ辿り着いた。当然、そこで待っていたのは…。

 

「久し振りね。コナミ、クロト」

 

「やっほー。久し振りだなカミューラ」

 

「1年振りくらいだな。自称ヴァンパイアの貴婦人」

 

緑の長髪を風になびかせ、黒のドレスを着こなす自称ヴァンパイアの貴婦人、カミューラだ。

 

「それで?どうして俺達を呼び出したんだ?今ここで決着をつけるか?」

 

「おっ、デュエルか?」

 

「違うわよ。鍵を持っていないアンタたちを倒しても意味がないし、そもそもアンタたち2人を同時に相手取れるなんて思い上がりもしていないわ」

 

「鍵?」

 

「後で説明してやるよ」

 

俺とコナミがデュエルディスクを構えようとするとカミューラはあっさりと否定してデュエルを拒否する。

 

向こうは問答無用なのに、こっちからのデュエルは断れるとか、ズルい。ズルくない?

 

「今日は宣戦布告よ」

 

「何だ…本当にデュエルはしないのか…」

 

「宣戦布告ねぇ」

 

デュエルはしない宣言で気落ちするコナミは放置して、カミューラへ話の続きを促す。

 

「近日中にセブンスターズの大攻勢が始まるわ。せいぜい覚悟しておくことね」

 

「大攻勢…つまり、デュエルし放題ってことか!」

 

「コナミ、ステイ!」

 

このデュエル狂がいつも通り過ぎるから、こちらも落ち着けて助かるな。

 

「もし命が惜しくなったり怖くなったのなら、早めにアカデミアから退去することをお勧めするわ」

 

「しないかな~」

 

「俺も同じかな」

 

今更ビビッて逃げると思われているのだろうか?第一、ここで逃げたら別の存在に殺されるので論外だ。

 

「そう、残念ね。じゃあ、また会いましょう?今度会う時は、明確な敵同士よ。アンタたち相手に手加減なんて出来ないからね?」

 

カミューラはそれだけ言い残すとコウモリに包まれていき、そのコウモリが散開する頃にはその姿は何処にも見当たらなかった。時々ある格好いい敵役の退場方法だ。俺も似たようなことはできる。

 

「わざわざそれだけを言いに来たのかな?」

 

「さぁな。俺達をアカデミアから離してセブンスターズとしての仕事を達成しやすくしたかったのかもな」

 

もしくは、命の危険のあるデュエルに巻き込まれないように最終警告をしてくれたのかもな。

 

~~~

 

カミューラとの対話が終わってからそのままラーイエローの寮に戻り、ノース校代表団の見送りに言った連中にどんなことがあったかを聞いたところ、下記のようなことがあったらしい。

 

①万丈目準がデュエルアカデミア本校に復帰すること。ただ、出席日数が足りずにオシリスレッドの生徒になったこと。

 

②復帰する際、万丈目はノース校キングの座をノース校の江戸川に返し、一ノ瀬校長にアームド・ドラゴンのデッキを返却したこと。

 

③表彰式の後、一ノ瀬校長がミスアカデミアのトメさんのチッスを受けて、舞い上がった後に海に落ちたこと。

 

④鮫島校長が対抗試合の優勝賞品を自分の都合の良いものにして私物化していたことが発覚して、ただでさえ低い倫理委員会から鮫島校長への信頼度が更に下降したこと。

 

「あちゃ~。アームド・ドラゴンのデッキは返しちゃったか~」

 

アニメ基準で見るならば今後起こりうる斎王戦とか、ジェネクスとか、アモン戦とか大丈夫かなぁ。最後のエド戦とか、アームド・ドラゴン無しで勝てるビジョンが見えない。

 

いや、その辺りはこの世界だと巨神竜と白黒トカゲたちが居るから何とかなるかな。俺が改めてアームド・ドラゴン・サンダー関連のカードをアイツに渡してもいいけど、状況次第かな。

 

それよりもセブンスターズの件が問題だな。何処かの一部のアホ教師たちが『部外者の貴様へ七星門の鍵を託すほど信用できない』とかなんとか言って猛反対されて、俺は七星門の鍵の守護者じゃない部外者なんだよな。

 

気持ちはわかるけどさ。その後で平然とクロノスや響先生に鍵を渡して自分たちは知らんぷりなのは人間としてちょっとどうかと思う。海馬コーポレーション経由で文句を言えばどうにかなりそうだけど、更なる悪感情を生んで妙なところで足を引っ張られかねないから止めた。

 

「クロノスや響先生なら正々堂々をデュエルを挑まれたなら、デュエルに負けて鍵を奪われることは無いと思う。だけどなぁ」

 

カミューラは勝利の為なら自身のプライドを捨てて汚い手を使える女性だ。クロノスや響先生であっても、生徒を人質を取られて敗北、なんてことも十分に有り得る。

 

そしてそれを防ごうとして俺が先にセブンスターズたちにデュエルを仕掛けたとして、セブンスターズたちが闇のデュエルで受けてくれないと話にならない。

 

セブンスターズ最後の1人であろうダークネスの仮面の男もまだ見つかっていない。墓守の長から貰った首飾りには特に何の反応もないことから、恐らくは大攻勢とやらに備えてセブンスターズのアジトで身を潜めているのだろう。

 

「俺が仕掛けたデュエルを受けそうなのは墓守の首飾りの半分を持つこのダークネスの男くらいだよなぁ。せめてこいつだけは俺が倒しておきたいところだな」

 

もうそろそろアニメGX本編と本格的にストーリーが乖離して来るだろう。今後は原作知識の流用も難しくなってくる。もっと上手く立ち回れるように更なる力を身に付けなければならないな。

 

そこまで考えた後、本格的に睡魔に襲われて来たため、ベットに潜って眠ることにした…。




オリ主にとって最上級危険物である【光と闇の竜】を万丈目に返却できたので、対抗試合は心穏やかに鑑賞できました。

万丈目のデッキは【アームドドラゴン+α】です。レベル7まで育つとそこそこ強いのですが、それまでの道のりが長い上にレベルモンスター自体のサポートカードがほぼ無く、新規アームドドラゴン自体は入っていないのでデッキスペックはそこそこと言ったところでしたが、万丈目ブラザーズのテコ入れで巨神竜関連とドローソースが加わり、【光と闇の竜】慣例のカードもオリ主から取り戻したおかげで結構な強さを誇ります。

三沢のデッキは【ウォータードラゴン】です。以前と違い、強化カードをすべて投入している為、こちらもこの世界ではなかなか油断できない性能になっています。

次回の更新は4/17(土) AM6:00予定です。

戦車様、荒魂マサカド様、じょにぃ様、カイナ様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百九話 幕間:白河クロトと茂木もけ夫

前回のあらすじ:復活のサンダー!

今回はデュエル無しの日常編です。


ノース校との対抗戦&カミューラからの宣戦布告の翌日の昼過ぎ、先ほどまで俺は休日を返上してデュエルアカデミアの教師陣や倫理委員会との会議に参加していた。

 

会議の内容は以前とほぼ変わらなかった。セブンスターズもまだ現れてはいないようだ。

 

その後、やっと会議が終了したのでハノイスタイルを解除し、俺は購買部で購入したドローパンを食べていたのだが、ふとした瞬間から足元からの視線を感じた。

 

『もけもけ~』

 

「もけもけ?」

 

足元を見てみると、カードの精霊もけもけがふわふわ浮きながらこちらを見上げていて、俺のズボンの裾をくいっと引っ張ってくる。

 

『何処かに付いて来てほしいみたいだね~』

 

『ワイトもそう思いますぞ』

 

『バニー!』

 

「なるほど」

 

もけもけに気付いたキーメイスたちが俺にもけもけの意思を伝えてくれる。

 

俺は自身のカードの精霊となってくれた者たちの意思くらいしかよく分からないんで、この辺りの翻訳をしてもらえるのは助かるな。

 

光と闇の竜?あんな敵意と殺意が剥き出しなら俺をどうしたいかくらいは分かる。昔、タイラントドラゴンに追いかけ回された時と似ていたからな。

 

『もけもけ~』

 

「あっ」

 

俺がそんなことを考えている間にもけもけは移動を始めた。俺は残りのドローパンをついでに買っていた牛乳で胃に流し込みながらもけもけを追いかけつつも、その行く先に誰が待っているのかを考え、何となく想像できた。

 

「やぁ~」

 

「貴方は…茂木もけ夫先輩ですね」

 

「うん、そうだよ~」

 

昇り階段を上がっていってアカデミアの屋上に出ると、そこで寝転んでいたオベリスクブルーの生徒がこちらに気付いて挨拶をしてきた。

 

「お天気がいいからね~ここだとお日様がポカポカ。雲がプカプカ。なぁーんにもしたくなくなるよねぇ~。君もどうだい?」

 

アニメ原作の様にボロボロの制服ではなく、ちゃんと洗濯された新品のようなオベリスクブルーの制服の上着を枕代わりにしている彼の姿を見て、彼のプロフィールを思い出す。

 

 

茂木もけ夫。

 

アニメGXでは三年前までは学園が誇るナンバーワンデュエリストでクロノスが奥の手とまで呼ぶほどの実力だったが、カードの精霊もけもけと出会ったことで彼のデュエルが変化してしまった。

 

彼と対戦したデュエリスト全てが何故かやる気をなくし、学園を辞めて島を去っていったのだ。

 

茂木もけ夫の力に気付いた学園側は、学園と在籍するデュエリストの為に彼を他の寮から離れた場所に茂木もけ夫専用の寮(外側からカードキーを使わないと出入口が開かない)を作り、彼をその寮に監禁した。

 

だが、クロノスから遊城十代の話を聞き、十代と行動を共にしているであろうカードの精霊をデュエルから解放するために十代にデュエルを挑み、敗北して十代と和解?した。

 

十代が2年生になって開催されたジェネクス大会でも再登場し、対戦相手のプロデュエリストのやる気を削いで行動不能にするなどの活躍も見せていた。

 

 

そう言えば彼のことは確か、ダークネス世界へ挑む前にモクバ副社長に聞いていたな。

 

色々あって忘れていたけれど、彼の腕に見覚えのあるブレスレット(と言うか俺が作ってモクバ副社長に渡した)を付けていることから、彼ともけもけの厄介な能力は抑えられているようだ。

 

「それで、先輩。もけもけに俺をここに呼ぶように頼んでいたみたいですが、俺に何か用ですか?」

 

「あぁ、うん。君も遊城十代君と同じでカードの精霊が見えるみたいだからね~。ちょっと話してみたいと思ったんだよ~」

 

「なるほど」

 

茂木はなにやら俺と話がしたいらしい。今日はこれ以上やることもないし、別に話すだけならいいかと思い、彼が話し出すのを待った。

 

 

それにしても、既に遊城十代と面識があるのか。そう言えばこの前コナミから『十代が屋上で誰かとデュエルしていたらしい』とかなんとか言っていたっけ。それが彼だったんだろうな。

 

もしかして、カードの精霊が見える俺ともデュエルをしたいということか?そして俺にもカードの精霊をデュエルから解放しろとか言ってくるのだろうか?

 

確か遊城十代とのデュエルでは、彼と十代がデュエルしていても十代がやる気を無くさない理由が分からず、十代のカードの精霊であるハネクリボー自身がデュエルをしたがっていることを知った。

 

その後、十代のフィールドに移動したもけもけがやる気を出していることに驚いて…それからどうなったんだっけ?

 

デュエルが終わって十代と少し話した後にそのまま茂木が寝ちゃったんだよな。あれ?何も解決してなくない?

 

ヤバい。当時は何も考えずにボケーっとアニメを視聴していただけなので、彼らがどう決着したのかイマイチ覚えていないぞ。

 

今、茂木もけ夫が俺に対してどういうことを考えているか、全く分からない。

 

 

「それで、何の話です?」

 

とにかく、まずは話をしてみようと思い、さっきからなかなか話し始めない彼に話の続きを促したのだが…。

 

「zzz」

 

「いや、寝てるんかい!」

 

寝てた。

 

~~~

 

それから1時間後、俺がぐっすり眠る茂木を起こそうとするともけもけが邪魔をしてくるし、そのまま放置して帰ろうとしてももけもけが邪魔して来るので、彼が起きるのを待っていた。

 

七月の炎天下の中で寝てるとか、熱射病になるんじゃないかと心配するかもしれないが、茂木に渡してある俺のブレスレットには過度な熱や冷気から装着者を守る機能が付いてある。特に問題はない。

 

俺自身も魔術による保護をしてあるので、室内とほぼ変わらない快適さを保っている。これが火山の火口近くともなると流石にそうも行かなくなってくるが、真夏の学園の屋上くらいの暑さなら特に問題はない。

 

 

待ち時間の間、暇なのでアクエリアが持って来たトランプでポーカーに興じていた。

 

『どうじゃ!スリーカードじゃぞ!』

 

『甘いですな!ストレートでゴザル!』

 

『ざぁ~んねん!私はフルハウスなのよねぇ~!』

 

「むぅ、ノーペアだ」

 

最近チェスにハマっている斬首の美女、最近チェスによく付き合わされる伝説の剣豪MASAKI、そして俺こと白河クロトが挑戦者で、ディーラーはアクエリアがやっている。

 

『クロト、お主弱いのぅ。30戦全敗とか、流石にわらわでも引くぞ?』

 

『これでクロトは15連続ノーペアでゴザルなぁ』

 

『ぷぷっwザァ~コ♪』

 

「こ、こいつら…!」

 

はいクソー!二度とやらんわこんなクソゲー!

 

~~~

 

それから更に1時間後、七月の炎天下の中をまだまだぐっすり眠る茂木は起きる様子がない。

 

起こそうとするともけもけが邪魔するので、とりあえず俺の来ていたラーイエローの上着を茂木に被せておいた。もちろんただの嫌がらせである。さっさと起きろ。

 

 

待っている間、暇そうにしていたもけもけ、エルフの剣士、ホーリー・エルフを加えて神経衰弱をやっていたが…。

 

『もけ!もけ!』

 

「またペアが揃った!?」

 

『凄いな。これで20セット目だ』

 

『なんという豪運なのでしょう』

 

なぁにこれぇ?

 

『ちょっと~!私たちの番が回ってくる前にカードが無くなっちゃうんですけど~』

 

『このゲームはめくったカードを覚えていくゲームだったはずじゃが…』

 

『初手で運だけでここまでめくられるとどうしようもないでゴザルなぁ』

 

毎回の如く初手もけもけがカードの大半を回収してしまう為、勝負にならない。アクエリアたちもお手上げの様だ。

 

オイオイこれじゃ…Meたちの負けじゃないか!いやいや、これでどうやって戦えばいいんだ!!ふざけるな凌牙ぁ!

 

~~~

 

更に1時間後、日が傾いてきた。

 

 

「さぁ、ボクの番だよ~。白河君の手札からカードを引くね~」

 

『もけもけ~』

 

今やっているのはババ抜きだ。最後の2人となったのが俺と茂木で、俺の手札5枚から茂木がカードを引こうとしている。

 

「むむむ」

 

『バニー!』

 

『リューン!』

 

俺の横ではバニーラとプチリュウが俺を応援している。負けられない戦いがここにある!

 

そう、一番右!一番右のジョーカーを引け!良し!掴んだな!そのまま引き抜け!…何故カードから手を離した!?まるで意味が分からんぞ!?

 

『クロト、分かりやす過ぎでしょ。もうザコ過ぎて言葉も出ないわ…』

 

『あれで昔はポーカーフェイスとかなんとか言ってたね~』

 

『ワイトも流石にフォローできませんぞ!』

 

外野のアクエリア、メカレオン、ワイトがガヤを入れてくるがスルーだ。今は真剣勝負をしているからな!

 

『チェックでゴザル』

 

『ま、待った!待ったなのじゃ!』

 

『ダメ~。待ったは三回までだよ~』

 

早々に上がった伝説の剣豪MASAKIと斬首の美女はチェスを始めていた。キーメイスが審判をやっているようだ。

 

「これだね~。あっ、ペアが揃った。ボクはこれで上がりだよ~」

 

『もけもけ~!』

 

「なん…だと…」

 

『バニィ…』

 

『リュ~ン…』

 

少しよそ見をしていたら、茂木が俺の手札からカードを引き、ペアが揃って上がってしまった。

 

絶対に許さねぇ!ドン・サウザンドォォォ!

 

~~~

 

更に更に1時間後、先ほどまでトランプに興じていて気が付かなかったがが、辺りはすっかり日は沈んで夜のとばりが訪れていた。

 

「今日は楽しかったよ~。じゃあ白河君、またね~」

 

『もけもけ~』

 

「ええ、また」

 

『バニー!』

 

茂木ともけもけは散々遊んで満足したのか、えっちらおっちら歩きながらアカデミア屋上から去っていった、

 

「…はっ!?」

 

結局、茂木から何も話を聞いていない!?ただ一緒に遊んだだけじゃん!?

 

ラーイエロー寮への帰り道で俺はようやくそのことに気が付いた。一体、彼は何がしたかったのだろう。俺には彼と言う人間が全く理解できなかった。

 

~~~

 

寮が見え始めて来た頃、別の道からやって現れた遊城十代一行と遭遇した。

 

「あれ?白河?」

 

「おっ?クロトじゃん。ちぃーっす」

 

「そんな時間に何してるんすか?」

 

「もうそろそろ晩御飯の時間なんだナァ」

 

「早めに寮に戻った方がいいと思うニャ~」

 

「にゃ~」

 

「ちょうど今から寮に帰るところですよ」

 

遊城十代、コナミ、丸藤翔、前田隼人、そして腕に猫のファラオを抱いているオシリスレッドの寮長である大徳寺の4人は、火山付近にある墓守の遺跡へ課外授業に行っていたようだ。

 

「さっきまでは天上院や吹雪さんも居たんだけどな」

 

「そのおかげで明日香や吹雪ともデュエル出来たな!」

 

「天上院兄妹も一緒に居たのか。彼らはブルー寮だからさっきの分かれ道で別れたわけね。それで、遺跡は何か面白いことでもあったのか?」

 

十代とコナミが他の遺跡探索メンバーを教えてくれたが、それよりも俺は遺跡での出来事に興味があった。あの遺物は回収してあるから、墓守の世界には行っていないはずだが…。

 

「色んな古い建物があって結構面白かったっスよ!」

 

「ピラミッド型のお墓もいい風情があったんだナァ」

 

「へぇ~」

 

「先生はお昼をファラオに全部食べられてしまったので、ずっと空腹だったんだニャ~」

 

「にゃ~」

 

「それは災難でしたね」

 

翔と隼人、大徳寺の話を聞く限り、ごく一般的な遺跡探索だったようだ。墓守のサラさん、吹雪との出会いフラグをことごとく折ってしまってスマンな。

 

その後、軽く遺跡での探索の話を聞いた後、彼らと別れた。

 

彼らに命の危険がなくて何よりだったな。

 

 

 

 

「ところで兄貴、その首にかけている金色のペンダント?はなんスか?」

 

「あぁ、これか?これはさっき遺跡で拾ったんだよ。いいだろ~」

 

「ペンダントと言うより、なんだか何処かの鍵みたいな形をしているんだナァ」

 

「十代君、多分それは貴重なものだから大切に扱って無くさないように身に着けておくといいと思うにゃ~」

 

「あれ?なんだろう?あの十代が身に着けている首飾りっぽい奴、クロトから何か聞いていたような気が…忘れた。多分、気のせいかな」

 

~~~

 

<カミューラ視点>

 

同時刻、セブンスターズのアジトではアカデミアに潜伏中のアムナエルを除いた全てのセブンスターズが集結しており、影丸によるセブンスターズ行動開始の合図を待っていた。

 

「時、ここに満ちた。お前たちの力が我に約束し、運命のカードを運ぶ。先陣を切る者は誰か?」

 

相変わらずモニター越しに私たちを俯瞰して偉そうで仰々しい物言いをしながらこちらへ問いかけて来る。

 

「私が行こう」

 

ここで真っ先に名乗りを上げたのが、先日セブンスターズに加入したばかりの黒き仮面を付けた黒衣の男。

 

「ダークネス」

 

影丸より名前を呼ばれたその男は一歩前に出たかと思うと、何故かデュエルディスクを装着して展開した。

 

その後、出発の準備を行うと言い残し、ダークネスはその場を立ち去り、影丸のモニターも沈黙した。

 

「ダークネス、あの男がセブンスターズになるなんて、予測できないものね」

 

「同意だな。余もまさかあの男がこちら側に付くことになるとは思いもしなかったぞ」

 

「ふふっ、本当にね」

 

私の独り言に、隣に居たアビドス3世が反応する。

 

私たちはダークネスの仮面の下の素顔を知っている。そしてその素性も…。本来であればセブンスターズに加入することなどあり得ない男だ。

 

影丸の持つ闇のアイテムの力か、それともあの仮面の力か。元々の人格は鳴りを潜めているようだ。

 

私は本来のあの男の実力も良く知っている。セブンスターズに加入すると聞いた時は真っ先のその実力について言及した。

 

だが、先日墓守の遺跡からペンダントを入手してきた実力が認められて正式にセブンスターズに加入することとなった。

 

少し強くなったくらいではたかが知れている。今のあの男でもあの教師2人や、あの2人の少年には及ぶまい。

 

「でも、利用することは出来そうね」

 

ダークネスが墓守の遺跡から帰還した後、あの少年も墓守の遺跡へ訪れてペンダントを入手していることは把握している。これを利用しない手はない。

 

「影丸からの合図は出たわ。アビドス、タニヤ、タイタン、ザルーグ。作戦を決行するわよ?」

 

「うむ。本当の意味での余の実力を試すいい機会だ。悔いの無い戦いをしようぞ」

 

「三沢っち!待っていてね~♪貴方のお嫁さんがあなたを迎えに行くからね~♪」

 

「クロノスを倒すのは私だぞ、カミューラ!他の連中に先に奴を倒されては借金の取り立てが出来ぬからなぁ!」

 

「鍵は全て我らが頂戴する!」

 

「「「「「それが、黒蠍盗掘団!」」」」」

 

さぁ、狩りの時間ね。




既に十代と出会っていた茂木もて夫は、ただ単にオリ主の人となりを見てみたかっただけなので、精霊たちと遊ぶ彼の姿を見て、オリ主を精霊を利用する人間ではなく精霊と共生する人間として認識して満足して帰ったようです。

オリ主には彼の意図は一切分からなかったので、ずっと振り回されただけでした。

オリ主たちが遊んでいる間に十代たちは墓守の遺跡を訪れていましたが、事前にオリ主が墓守の世界へ転送する装置を回収してしまっていたので、普通の遺跡探索となってしまいました。大徳寺先生は内心ビックリしています。

大徳寺と一緒に移籍に向かった十代が拾った謎の首飾り。一体、何精門の鍵なんだ…。

そして動き出すセブンスターズ。次回以降は話がシリアス寄りになります。

次回の更新は、4/17(土) AM7:00予定です。

( ゜Д゜)様、戦車様、c+java様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十話 セブンスターズ侵攻1

前回のあらすじ:もけもけ~。

ついにセブンスターズの侵攻が始まります。

最初の対戦相手はダークネス〇〇です。


茂木もて夫との会話から数日後、授業が終わって寮へと帰る途中の夕暮れ時にそれは起こった。

 

「あれ?白河、アンタの胸の辺りが何か光っているよ?」

 

「おや?確かに光っておりますね。何で御座いましょう?」

 

「これは…!」

 

一緒に帰路に着いていたツァンと紬が俺の胸元辺りを注視しているので釣られて胸元を確認して見ると、墓守の世界で入手した首飾りの中央にある赤い宝玉部分が光っていた。

 

この首飾りは近くにもう片方の首飾りが存在するときに反応する。そしてもう片方の首飾りを持つ者とは…。

 

「来たか。悪いな2人とも。ちょっと用事が出来た。先に帰っておいてくれ!」

 

俺はすかさず元来た道を早足で戻り始める。

 

「えっ、ちょっと…!」

 

「どうしたのでしょう…?」

 

「最近は不審者の話もあるんだから、早めに寮に帰って夜は出歩くなよ~!」

 

そして、ツァンたちが見えなくなった瞬間に近くの森の中へと急いで移動すると、ほどなくして俺の周囲の半径数mが光に包まれ、光が収まった頃には別の景色が広がっていた。

 

「ここは…」

 

足元には半透明の白い床があり、その更に数mほど下には溶岩が流れている。どうやら島の火山の火口直上まで転移させられてしまったようだ。現在の俺には再現不可能な高度な魔術だな。

 

アニメGXで似たような展開があったからこうなると思って彼女たちから離れたが、なんとかツァンや紬たちを転移に巻き込まずに済んだようだな。

 

そんなことを考えていると、火口の溶岩から炎で出来た龍が姿を現し、俺の正面へと顔から落ちて燃え上がる。

 

その炎を払うようにして、光り輝く墓守の首飾りの片割れを首からぶら下げた、黒の仮面を付けた黒衣の男が姿を見せる。

 

この演出、要る?

 

「我が名はダークネス。セブンスターズの1人。貴様が私の最初の相手だ」

 

本来のダークネスとは違い、そこまで高くない身長、でっぷりとした腹部、そしてツルッパゲの頭部。どう見ても鮫島校長だった。

 

色々と台無しだ。かわいそうなほどに似合わない。墓守のサラもこれには惚れなかったらしい。

 

思わずスマホで写真を撮ってしまった俺の行動に非は無いはずだ。出来れば音声も録音したかった。この状態の彼のことは…そうだな。ダークネス鮫島とでも呼ぼうか。

 

「何故かは分からんが、このペンダントの光に導かれた。だが我が欲するのは七星門の鍵。貴様からその鍵を奪って見せよう。闇のデュエルで!」

 

「一介の学生の俺がそんなものを所持しているわけがないだろ」

 

「なに?」

 

俺の答えにダークネス鮫島は怪訝な表情を見せる。

 

これは本当だ。七星門の鍵は全てアカデミア教師たちが守護者となっている。アカデミアの教師ではない俺は七星門の鍵など持っていないのだ。

 

セブンスターズたちは激しいデュエルを守護者たちに行わせ島にデュエリストの闘志を充満させるため、人質を取ったりして相手に全力のデュエルを強要させた状態で闇のデュエルに勝利して鍵を奪わなければならない。

 

俺をこんなところに呼び出したのも、敗北することによる命の危険を感じさせる為だったのだろう。もしツァンたちを転移に巻き込んでしまっていたらアニメGXの翔たちの様に人質にされていた可能性があったな。

 

だが、俺は七星門の鍵を所持していないので、全くの無意味だったけどな。勘違いで俺をこんなところへ呼び出しちゃったの?抱腹絶倒ものだな!

 

大徳寺なら全ての鍵の守護者を知っているはずなんだけど、聞かされてなかったの?ハブられてたの?

 

「ねぇねぇ、今どんな気持ち?気合い入れて恥ずかしい登場シーンかましてくっさいセリフ吐いた後に呼び出した相手が別の人間だったわけだけど、今どんな気持ち?ねぇねぇ?」

 

とりあえず、おちょくる絶好のチャンスだったので、反復横跳びしながら煽ってみた。

 

「ぐっ!?まぁいい。カミューラから貴様はここで倒しておけと要請されているのでな!」

 

ダークネスの仮面のせいか、更なる他の要因があるかは不明だが、鮫島校長は今やセブンスターズの一員として、影丸の捨て石にされる存在となっているようだ。

 

「ほーん。それで?」

 

体は鮫島だが、人格はダークネスの仮面に支配されているみたいだしな。何らかの利害が一致したのかもしれない。

 

「私との闇のデュエル、受けて貰おう。さもなければ貴様の学友を狙う」

 

はぁ?させるわけないじゃん?この仮面ハゲ、ふざけたことを言ってくれるな?今すぐ物理でボコってマグマに叩き落としてやろうか?

 

あぁ、コナミなら別に好きにしていいぞ。おかわりもいいぞ!

 

「そんなことをせずとも受けてやるさ」

 

そう答えると、ダークネス鮫島は懐からカードイラストもカードテキストも記載されていない1枚の闇に染まったカードを取り出す。

 

「貴様と私、どちらか負けた方がその魂をこのカードに封印される。お互いの魂、いや命をも掛けて我々はこのデュエルに挑まねばならない。それがこの私の闇のデュエル!」

 

「御託は良いから、さっさとやろうか?」

 

俺はデュエルを始める前にハノイ用のPDAを使って、倫理委員会に俺(ハノイの騎士)とセブンスターズが交戦を開始したことと鮫島校長を発見したことを連絡しておいた。

 

そして、闇のデュエルを仕掛けてくるような相手に挨拶は不要だろう。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ダークネス鮫島 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ダークネス鮫島 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【黒竜の雛】を召喚!」

ダークネス鮫島 手札:6→5枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

黒竜の雛 ★1 ATK800

 

【黒竜の雛】

効果モンスター

星1/闇属性/ドラゴン族/攻 800/守 500

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送って発動できる。

手札から「真紅眼の黒竜」1体を特殊召喚する。

 

「私は【黒竜の雛】の効果発動!このカードを墓地に送り、手札から【真紅眼の黒竜】を特殊召喚!」

ダークネス鮫島 手札:5→4枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

【真紅眼の黒竜】

通常モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

真紅の眼を持つ黒竜。

怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。

 

「次に私は手札から魔法カード【黒炎弾】を発動!【真紅眼の黒竜】の攻撃力2400分のダメージを受けよ!」

ダークネス鮫島 手札:5→4枚。

 

【黒炎弾】

通常魔法

このカードを発動するターン、「真紅眼の黒竜」は攻撃できない。

(1):自分のモンスターゾーンの「真紅眼の黒竜」1体を対象として発動できる。その「真紅眼の黒竜」の元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「ぐあぁぁぁぁっ!」

クロト LP:4000→1600

 

熱っ!効いたぜ畜生め!闇のデュエルのリアルダメージは慣れることはなさそうだな!

 

その時、胸元でバキッ!っという音が聞こえた。

 

「なんだ?…ゲゲッ!?」

 

音源を確認して見るとハノイ用PDAが破損していた。先ほどの衝撃を受けて壊れてしまったらしい。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

ダークネス鮫島 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:1600、手札:4枚。

 

vs

 

◆ダークネス鮫島 LP:4000、手札:2枚。伏せカード;2枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

 

くそっ、少しふらつく。さっきの【黒炎弾】が効いたな。早めにデュエルを終わらせたいところだ。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【王の影 ロプトル】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王の影 ロプトル ★4 ATK1500

 

【王の影 ロプトル】

効果モンスター

星4/炎属性/天使族/攻1500/守1500

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「王の影 ロプトル」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターの攻撃力・守備力は相手ターンの間1000アップする。

(3):自分・相手のメインフェイズに、自分フィールドの「ジェネレイド」モンスター1体をリリースして発動できる。そのモンスターとはカード名が異なるレベル9の「ジェネレイド」モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

「俺は【王の影 ロプトル】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【光の王 マルデル】を特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

光の王 マルデル ★9 ATK2400

 

【光の王 マルデル】

効果モンスター

星9/光属性/植物族/攻2400/守2400

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「光の王 マルデル」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。「光の王 マルデル」以外の、「ジェネレイド」カード1枚または植物族モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「デッキからレベル9モンスターを特殊召喚する!?」

 

「俺は【光の王 マルデル】の効果発動!デッキから【王の舞台】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「そして俺は手札からフィールド魔法【王の舞台】を発動!」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【王の舞台】

フィールド魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、相手がデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。デッキから「ジェネレイド」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。

(2):相手ターンに、自分が「ジェネレイド」モンスターの特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分フィールドに「ジェネレイドトークン」(天使族・光・星4・攻/守1500)を可能な限り攻撃表示で特殊召喚する。このトークンはエンドフェイズに破壊される。

 

「更に俺は手札から速攻魔法【星遺物の胎導】を発動!デッキから【死の王 ヘル】と【鉄の王 ドヴェルグス】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【星遺物の胎導】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●手札からレベル9モンスター1体を特殊召喚する。

●自分フィールドのレベル9モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとは元々の種族・属性が異なるレベル9モンスター2体をデッキから特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

 

<白河クロトのフィールド>

光の王 マルデル ★9 ATK2400

死の王 ヘル ★9 DEF2800

鉄の王 ドヴェルグス ★9 DEF2500

 

【死の王 ヘル】

効果モンスター

星9/闇属性/アンデット族/攻 800/守2800

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「死の王 ヘル」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたはアンデット族モンスター1体をリリースし、そのモンスターとはカード名が異なる自分の墓地の、「ジェネレイド」モンスターまたはアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

【鉄の王 ドヴェルグス】

効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻1500/守2500

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「鉄の王 ドヴェルグス」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたは機械族モンスターを任意の数だけリリースして発動できる。リリースした数だけ、リリースしたモンスターとはカード名が異なる、「ジェネレイド」モンスターまたは機械族モンスターを手札から守備表示で特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「魔法カード1枚でデッキからレベル9モンスターを2体特殊召喚しただと!?」

 

「俺はレベル9【死の王 ヘル】と【鉄の王 ドヴェルグス】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク9!【永の王 オルムガンド】!」

 

<白河クロトのフィールド>

光の王 マルデル ★9 ATK2400

永の王 オルムガンド ☆9 ATK?→2000 ORU:2

 

【永の王 オルムガンド】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/地属性/爬虫類族/攻 ?/守 ?

レベル9モンスター×2体以上

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「永の王 オルムガンド」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードの元々の攻撃力・守備力は、このカードのX素材の数×1000になる。

(3):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。お互いは、それぞれデッキから1枚ドローする。その後、ドローしたプレイヤーは自身の手札・フィールドのカードを1枚選び、このカードの下に重ねてX素材とする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「ランク9!?」

 

「更に俺は手札から魔法カード【王の試練】を発動!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【王の試練】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札の「ジェネレイド」モンスター1体を相手に見せ、デッキから「王の試練」以外の「ジェネレイド」魔法・罠カードを2枚まで手札に加える(同名カードは1枚まで)。その後、見せたカードをデッキの一番下に戻す。

 

「そしてその効果にチェーンして【永の王 オルムガンド】のORUを1つ取り除いて効果発動!」

永の王 オルムガンド ★9 ATK2000→1000 ORU:2→1

 

<ORUとして墓地の送ったカード>

死の王 ヘル

 

チェーン②永の王 オルムガンド

チェーン①王の試練

 

「【永の王 オルムガンド】により、まずはお互いに1ドローする!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「私にもカードをドローさせるとは…何を考えている?」

ダークネス鮫島 手札:3→4枚。

 

「その後、互いに手札・フィールドから1枚選んでこのカードのORUとする!俺はフィールドに残る【王の試練】をORUとする!」

永の王 オルムガンド ★9 ATK1000→2000 ORU:1→2

 

「そういうことか!ならば…私は手札の【アタッチメンド・ドラゴン】を選択する!」

ダークネス鮫島 手札:3→2枚。

永の王 オルムガンド ★9 ATK2000→3000 ORU:2→3

 

「そして【王の試練】の効果!手札の【剣の王 フローディ】を公開し、デッキから【王の襲来】と【王の支配】を手札に加えて【剣の王 フローディ】をデッキボトムに戻す!」

クロト 手札:4→6→5枚。

 

「更に発動条件を満たした【王の舞台】の効果発動!デッキから【轟の王 ハール】を守備表示で特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

光の王 マルデル ★9 ATK2400

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

 

【轟の王 ハール】

効果モンスター

星9/闇属性/魔法使い族/攻3000/守3000

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「轟の王 ハール」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。相手は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。

(3):魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたは魔法使い族モンスターを合計2体リリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「バトルフェイズに移行!【永の王 オルムガンド】で【真紅眼の黒竜】に攻撃!」

 

永の王 オルムガンド ATK3000

vs

真紅眼の黒竜 ATK2400 ※戦闘破壊

 

「ぬおぉぉぉっ!」

ダークネス鮫島 LP:4000→3400

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

モンスター無し

 

「追撃を行う!【光の王 マルデル】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【レッドアイズ・スピリッツ】発動!墓地のレッドアイズを蘇生させる!」

ダークネス鮫島 伏せカード;2→1枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

【レッドアイズ・スピリッツ】

通常罠

(1):自分の墓地の「レッドアイズ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「ならば、【光の王 マルデル】で【真紅眼の黒竜】に攻撃!」

 

光の王 マルデル ATK2400 ※戦闘破壊

vs

真紅眼の黒竜 ATK2400 ※戦闘破壊

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

モンスター無し

 

「メインフェイズ2に移行!俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ!」

クロト 手札:5→2枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆白河クロト LP:1600、手札:2枚。伏せカード:3枚。フィールド魔法:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

 

vs

 

◆ダークネス鮫島 LP:3400、手札:2枚。伏せカード;1枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!」

ダークネス鮫島 手札:2→3枚。

 

「【王の舞台】の効果発動!デッキから【氷の王 ニードヘッグ】を守備表示で特殊召喚!」

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

 

【氷の王 ニードヘッグ】

効果モンスター

星9/水属性/幻竜族/攻2100/守2600

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「氷の王 ニードヘッグ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):相手がモンスターを特殊召喚する際に、自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたは幻竜族モンスター1体をリリースして発動できる。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

「そして【王の舞台】の更なる効果発動!「ジェネレイドトークン」を可能な限り攻撃表示で特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

ジェネレイドトークン ★4 ATK1500

ジェネレイドトークン ★4 ATK1500

 

「スタンバイ、メインフェイズへ移行!」

 

さて、こちらの布陣は大体整ったな。向こうはこれからどう出て来るかな?

 

「リバースカードオープン!永続罠【リビングデッドの呼び声】発動!墓地のレッドアイズを蘇生させる!」

ダークネス鮫島 伏せカード;1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【リビングデッドの呼び声】

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の黒竜 ★7 ATK2400

 

「そして私は【真紅眼の黒竜】をリリース!手札より出でよ!【真紅眼の闇竜】!」

ダークネス鮫島 手札:3→2枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

真紅眼の闇竜 ★8 ATK2400→3000

 

【真紅眼の闇竜】

効果モンスター

星9/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上に存在する「真紅眼の黒竜」1体をリリースした場合のみ特殊召喚する事ができる。

このカードの攻撃力は、自分の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体につき300ポイントアップする。

 

<ダークネス鮫島の墓地のドラゴン族>

①黒竜の雛

②真紅眼の黒竜

 

「俺は【氷の王 ニードヘッグ】の効果発動!【ジェネレイドトークン】をリリースして【真紅眼の闇竜】の特殊召喚を無効にして破壊する!」

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

モンスター無し

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK3000 ORU:3

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

ジェネレイドトークン ★4 ATK1500

 

「くっ!だがもうその効果このターンには使えまい!」

 

「そうだな」

 

「手札から魔法カード【マジック・プランター】発動!【リビングデッドの呼び声】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

ダークネス鮫島 手札:2→1→3枚。永続罠:1→0枚。

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「その効果処理後に伏せカードを使わせてもらう!永続罠【便乗】を発動する!」

クロト 伏せカード;3→2枚。永続罠:0→1枚。

 

【便乗】

永続罠

相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動する事ができる。

その後、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

「それがどうした!私は手札から魔法カード【大嵐】発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

ダークネス鮫島 手札:3→2枚。

 

【大嵐】

通常魔法(本作の現時点で制限カード)

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「その効果にチェーンして伏せカードのカウンター罠【魔宮の賄賂】を発動する!【大嵐】の発動を無効にして破壊!そしてお前はデッキから1枚ドローだ」

クロト 伏せカード;2→1枚。

 

【魔宮の賄賂】

カウンター罠

(1):相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。相手はデッキから1枚ドローする。

 

チェーン②魔宮の賄賂

チェーン①大嵐 ※無効化されて破壊。

 

ダークネス鮫島 手札:2→3枚。

 

「【魔宮の賄賂】の効果で1ドローしたよな?なら俺も【便乗】の効果で2ドローだ!」

クロト 手札:2→4枚。

 

「まだだ!私は手札から永続魔法【未来融合-フューチャー・フュージョン】発動!」

ダークネス鮫島 手札:3→2枚。

 

【未来融合-フューチャー・フュージョン】※エラッタ前

永続魔法

自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。

発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

「【未来融合-フューチャー・フュージョン】の効果で【鎧黒竜-サイバー・ダーク・ドラゴン】を公開し、デッキから【サイバー・ダーク・ホーン】【サイバー・ダーク・エッジ】【サイバー・ダーク・キール】を墓地に送る!」

 

サイバー・ダークか。サイバー流の師範なら丸藤亮に渡したデッキ以外にも別のデッキを所持していても不思議ではないか。だが、残念だな。

 

「悪いが、その効果発動にチェーンして伏せカードのカウンター罠【魔宮の賄賂】発動する!【未来融合-フューチャー・フュージョン】の発動を無効にして破壊し、そちらは1ドローだ!」

クロト 伏せカード;1→0枚。

 

「また先ほどと同じカウンター罠か!?」

 

チェーン②魔宮の賄賂

チェーン①未来融合-フューチャー・フュージョン ※無効化されて破壊。

 

「未来融合が!?…くっ!1ドローする!」

ダークネス鮫島 手札:2→3枚。

 

「また【魔宮の賄賂】の効果で1ドローしたよな?なら俺も【便乗】の効果で2ドローだ!」

クロト 手札:4→6枚。

 

「まだ終わっていない!私は手札から魔法カード【融合】発動!手札の【サイバー・オーガ】2枚を融合!【サイバー・オーガ・2】を融合召喚する!」

ダークネス鮫島 手札:3→2→0枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

サイバー・オーガ・2 ATK2600

 

【サイバー・オーガ・2】

融合・効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2600/守1900

「サイバー・オーガ」+「サイバー・オーガ」

このカードの融合召喚は、上記のカードでしか行えない。

このカードが攻撃を行う時、攻撃対象モンスターの攻撃力の半分の数値だけこのカードの攻撃力をアップする。

 

サイバー・オーガまで入っているのか。よくこんなデッキを回せるな。流石はサイバー流積み込み術の師範ってところなのかな?

 

「バトルだ!【サイバー・オーガ・2】で【永の王 オルムガンド】を攻撃!」

 

【サイバー・オーガ・2】ならば自身の効果で攻撃力が増加する。俺には今、伏せカードは無い。【永の王 オルムガンド】を倒せそうに見えるよな。無駄だけどさ。

 

「この瞬間、手札から【虹クリボー】の効果発動!【サイバー・オーガ・2】に装備する!くくくっ、これで攻撃は出来ないなぁ!」

クロト 手札:6→5枚。装備カード:0→1枚。

 

【虹クリボー】

効果モンスター

星1/光属性/悪魔族/攻 100/守 100

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターは攻撃できない。

(2):このカードが墓地に存在する場合、相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「おのれぇ!メインフェイズ2に移行!ターンエンドだ!」

 

「エンドフェイズ前に【永の王 オルムガンド】のORUを1つ取り除いて効果発動!互いに1ドローして互いにカード1枚をこのカードのORUとする!」

永の王 オルムガンド ATK3000→2000 ORU:3→2

 

<ORUとして墓地の送ったカード>

鉄の王 ドヴェルグス

 

「ドロー!俺は手札の【王の支配】を選択する!」

クロト 手札:5→6→5枚。

永の王 オルムガンド ATK2000→3000 ORU:2→3

 

「ドロー!私は手札の【サイバー・シャドー・ガードナー】を選択する!」

ダークネス鮫島 手札:0→1→0枚。

永の王 オルムガンド ATK3000→4000 ORU:3→4

 

「ここで【轟の王 ハール】の効果発動。お前は自身の手札・フィールドのモンスター1体を墓地へ送らなければならない。だが、お前には手札は無いなぁ?」

 

「ぐっ!私はフィールドの【サイバー・オーガ・2】を墓地に送る!」

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

モンスター無し

 

クロト 装備カード:1→0枚。

 

そしてエンドフェイズにオレのフィールドの「ジェネレイドトークン」は全て破壊される。

 

 

◆白河クロト LP:1600、手札:5枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK4000 ORU:4

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

 

vs

 

◆ダークネス鮫島 LP:3400、手札:0枚。伏せカード;0枚。

 

<ダークネス鮫島のフィールド>

モンスター無し

 

 

ふと気が付けば夕日はとっくに沈んで夜がやって来ていた。

 

俺のフィールドは盤石、相手のフィールドはボロボロ。殆ど勝負はついているのだが、相手の闘志は折れない。何故だ?

 

「ふっ、そろそろだな…」

 

「何?」

 

ダークネス鮫島がそう呟くと同時に、遥か彼方の場所から空へと伸びる光の柱が島を囲うように1つ、また1つと増えていく。

 

「まさか、これは!?」

 

「フハハハハッ!そうだ!この光こそが七星門の鍵が解放された証!私はここで貴様を足止めする役目を十分に果たせたようだな!」

 

くそっ!そういうことかよ!恐らくはカミューラの入れ知恵か!確認できている光の柱は4本!残っている鍵はあと3つか!

 

光の柱が現れる時間のタイムラグを考えると大半のセブンスターズがそれぞれ並行して鍵の守護者を各個撃破しているようだな。さっさとこのハゲを倒して残る現場に向かうべきだろう!

 

「ちっ、俺のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【九字切りの呪符】を発動!手札の【虚の王 ウートガルザ】を墓地の送ってデッキから2ドロー!」

クロト 手札:6→5→4→6枚。

 

【九字切りの呪符】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル9モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「更に俺は手札から速攻魔法【星遺物の胎導】を発動!デッキから【剣の王 フローディ】と【炎の王 ナグルファー】を特殊召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

永の王 オルムガンド ☆9 ATK4000 ORU:4

轟の王 ハール ★9 DEF3000

氷の王 ニードヘッグ ★9 DEF2600

剣の王 フローディ ★9 ATK2500

炎の王 ナグルファー ★9 ATK3100

 

【剣の王 フローディ】

効果モンスター

星9/風属性/戦士族/攻2500/守2000

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「剣の王 フローディ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドの、「ジェネレイド」モンスターまたは戦士族モンスターを任意の数だけリリースし、その数だけフィールドのモンスターを対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、破壊された相手フィールドのモンスターの数だけ相手はデッキからドローできる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

【炎の王 ナグルファー】

効果モンスター

星9/炎属性/獣戦士族/攻3100/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「炎の王 ナグルファー」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分フィールドの「ジェネレイド」モンスターまたは獣戦士族モンスター1体を破壊できる

 

「バトルフェイズへ移行!【永の王 オルムガンド】でダイレクトアタック!」

 

永の王 オルムガンド ATK4000

 

「ぐわあぁぁぁぁぁっ!」

ダークネス鮫島 LP:3400→0

 

 

「良し!終わった!」

 

だが、デュエルが終わると同時に、俺とダークネス鮫島は突如足元から現れた炎の柱に飲み込まれた。

 

「うおっ!そうだった!そう言えばこんな展開だった…!」

 

その炎に包まれたまま、俺は気を失った…。

 

~~~

 

その後、気が付けば火山の火口付近まで飛ばされており、周囲を見回すと近くに鮫島が倒れていた。その近くにはダークネスの仮面が封印されたカードが落ちている。

 

俺はそのカードを拾い、火口へと投げ捨てた。カードは火口の溶岩へ飲み込まれて黒い煙を上げながら消えていった。

 

これでダークネスの仮面が奪われて悪用されることは無くなるだろう。

 

ダークネスの仮面を研究すればダークネス世界への入り口を再度開くことが可能かもしれないが、既にあの世界にはミスターTが存在している。いたずらにあの世界への入り口を開くのは危険だ。

 

藤原に詳細を聞ければもっと色々と分かりそうなものだが、彼は人間世界に戻ってきた後すぐにダークネスの世界に関する知識とダークネス時代に使用していたカードを失っている。

 

恐らく、ダークネスとの契約に違反したことによる代償とかそんなところだろう。

 

俺が火山の火口から鮫島の付近まで戻って来た時、5つ目の光の柱が現れる。また1人、誰かがセブンスターズに敗れたらしい。残り2つはクロノスと響先生だろうか。

 

「いや、待てよ?確か7つの鍵の内、1つは大徳寺ことアムナエルが守護者に決まっていたはずだよな?」

 

アムナエルの目的は影丸を打倒できる一流の錬金術師を育てること。その為に、アニメGXでは十代以外の守護者を先に倒して人質にすることで、彼を色んな意味で追い詰めて強制的に成長させようとした。

 

だが、この世界では十代が鍵を持つ理由も機会も無いだろうから、この心配は杞憂かな。

 

「だけど、アムナエルが鍵をどうするかまでは予測できないな」

 

アムナエルの対応次第では、クロノスと響先生2人のうちのどちらかは敗れた可能性もあると言うことになる。

 

倫理委員会に連絡を取って確認したいが、先ほどのデュエルでハノイ用PDAは破損してしまっているので連絡手段がない。

 

「すぐに戻りたいのはやまやまなんだが、【黒炎弾】でのリアルダメージがまだ足に来ているんだよな…」

 

それに、鮫島をこのままにしておくのも不味いだろう。最悪、また影丸に再利用されかねない。

 

「ワイトたち、鮫島校長をアカデミア校舎付近まで運んでもらえるか?」

 

『『『ワイトにお任せ有れ~』』』

 

鮫島はワイト達に担がれて森の中へと消えていった。彼が意識を取り戻したらパニックを起こすかもしれないが、その時はその時だ。

 

メタボのおっさんとか、背負いたくないしな。

 

「そうか。俺自身のPDAでコナミ辺りに連絡を取れば…!」

 

十代と行動を共にしているコナミなら、今の状況を詳しく把握している可能性もあるな。

 

早速コナミに通信機能を使用して連絡を取る。すると…。

 

『クロトか。おっす。今から十代と一緒にカミューラたちとタッグ戦を始めるから忙しいんだよね。悪いけど後にしてくれ。じゃっ!』

 

プツン。

 

「ちょっ!?おいっ!」

 

いきなり切られた。再度連絡を入れようとしても繋がらない。アイツ、電源を切りやがったな?

 

しかもかなり重要なことを言っていたぞ?十代と一緒にカミューラとタッグデュエル?どうなってるんだ!?

 

十代とカミューラがデュエルするってことは、さっき負けたのはアニメ通りならクロノスか?それともアニメとは別に響先生が翔や隼人辺りを人質にでも取られて負けたとか?

 

どちらにしても…。

 

「コナミがデュエルするならカミューラはアイツがなんとかするから放置でいいか」

 

そう思い、自身のPDAを懐に仕舞おうとしたところ、未読のメッセージがいくつか来ていることに気が付いた。

 

「ツァンと紬からか。そう言えばさっき急に別れたきりだったな」

 

メッセージによると、アカデミア校舎や各寮の周辺には大量のミイラやコウモリが現れており、大混乱状態らしい。

 

彼女たちのメッセージも、今何処に居るのか?あれから大丈夫だったのか?と言う物ばかりだ。

 

コウモリはカミューラとして、ミイラか。アビドス三世も来ているみたいだな。

 

俺はとりあえず回復魔術を使って傷を癒しつつ、ツァンたちに『寮で大人しくしている』とメッセージを返した後、ワイトを追いかけてアカデミア本校を目指して走り出した…。




セブンスターズとのデュエルが始まりました。これから数話は彼らとのデュエルとなります。

オリ主のデッキは【王(ジェネレイド)】です。【王の舞台】の発動とそこからの展開を許すとデッキからポンポンと強力なレベル9モンスターが現れて相手は〇ぬ。そんなデッキです。

ダークネス鮫島のデッキは【真紅眼+サイバー・ダーク】です。セブンスターズのレッドアイズ要素に加えて、鎧黒竜が自分の墓地のドラゴン族を装備するモンスターなのを考慮して入れているロマン重視の事故多発確定のデッキです。オーガはオマケです。

オリ主が火山で足止めされている間に事態は動いているようです。はたしてどうなることやら。

次回の更新は4/21(水) AM6:00予定です。

タツタ様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。

ノリ様、Skazka Priskazka様、二元論様、デュエル展開ミスのご指摘を頂きましたありがとうございました。遅くなりましたが修正いたしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十一話 セブンスターズ侵攻2

前回のあらすじ:ダークネス(リージョンフォーム)

今回の対戦カードはセブンスターズのアビドス3世とアカデミア教師の灘晋平です。


<三沢視点>

 

白河クロトがダークネス鮫島とデュエルを開始した頃、本日の授業の復習をしていて帰宅が遅くなっていた三沢大地は、寮への帰り道で妙なテンションの褐色の美女に話しかけれらていた。

 

「三沢っち♪ようやく見つけたわ♪さぁ、私と一緒に行きましょう?」

 

誰だこの女性は?こんな女性がアカデミアに居たか?

 

「行く?失礼ですが、貴方は?ボクの記憶違いで無ければ初対面だと思うのですが…」

 

「私はタニヤ。偉大なるアマゾネス一族の末裔にして長。そしてセブンスターズの1人」

 

「セブンスターズ!?お前が!」

 

この女がクロノス臨時校長や白河が言っていたセブンスターズ!?確か、闇のデュエルを仕掛けて来ると言う連中か!

 

「グルルルル…」

 

「と、虎!?」

 

目の前の女に気を取られている隙に、退路を大きな虎に塞がれてしまった。虎の足元には倫理委員会の職員が数名倒れている。流石に虎相手では勝てなかったようだ…。

 

くっ!オレを逃がさない為か!これでは闇のデュエルを受けざるを得ないか!?

 

「ここにお前の明暗を分ける2つのデッキがある。1つは知恵のデッキ、1つは勇気のデッキ。お前に自分の運命を選択させてやろう」

 

「もちろん、知恵のデッキと勝負だ!」

 

「よろしい!ふふっ!」

 

「オレは動かざること地の如し!地のデッキで相手をしよう!」

 

相手に使用するデッキを選ばせるとは…舐められたものだな!オレに知恵で挑んだことを後悔するといい!

 

「言い忘れていたが、これは闇のデュエルではない」

 

「なに?」

 

「魂なんて要らな~い♪私はお前自身が欲しいの~♪」

 

「はぁっ!?」

 

この女は何を言っているんだ?

 

「私が勝ったら、お前を村に連れ帰って婿にする!私が負けたら、お前のお嫁さんになってあげる~♪」

 

「なんだと…!?」

 

この女は本当に何を言っているんだ!?

 

「お前など、嫁にするつもりは毛頭ないが、このデュエルには絶対勝つ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

~~~

 

<アビドス視点>

 

同時刻、アビドス3世とカミューラは七星門の鍵の守護者2人と対峙していた。

 

「アビドス、私はこっちの男をやるわ。そちらは任せるわよ?」

 

「うむ。余に任せておけ」

 

余と同行していたカミューラは七星門の鍵の守護者の1人とデュエルを開始した。彼女は強い。こちらが彼女の勝敗について気遣う必要はないだろう。

 

他に彼らに同行していた緑の服を着た衛兵たちは、余の配下が取り押さえて気絶させている。我らが狙うは七星門の鍵のみ。むやみに民草の命を奪う必要など無いのだ。

 

「デュエルを始める前に名乗っておこう。余はアビドス3世。ゆえあって今はセブンスターズの1人でもある」

 

「アビドス3世!?まさか、古代エジプトで千年もの間、無敗を誇った『デュエルの神』と呼ばれた少年王!?」

 

「ふっ、そう呼ばれていたこともあったな」

 

私と対峙する男が驚愕しているが、それは過去の話だ。余はカミューラはもちろん、タイタンやタニヤにも敗れている。

 

だが、何も知らなかったあの頃の余とは違う。我が配下たちに、今の余の実力を見せてやろうぞ。

 

「視察にまいったわけではないのだ。緊張せずともよい。其方の名は?」

 

「ボクの名前?ボクは灘晋平。このアカデミアの教師を務めている!」

 

やはりこの国の民草は妙な名前の者が多いな。

 

「ではシンペイ。余とデュエルだ!」

 

「の、望むところだ!ボクだって七星門の鍵を任された守護者!簡単にやられはしない!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆アビドス3世 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆灘晋平 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

灘晋平 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から【賢者ケイローン】を召喚!」

灘晋平 手札:6→5枚。

 

<灘晋平のフィールド>

賢者ケイローン ★4 ATK1800

 

【賢者ケイローン】

効果モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1800/守1000

1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。

相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 

「そしてボクはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

灘晋平 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆アビドス3世 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆灘晋平 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。

 

<灘晋平のフィールド>

賢者ケイローン ★4 ATK1800

 

 

余がカードをドローしようとした時、ふとカミューラの方を見ている。

 

「行きなさい、【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!ダイレクトアタックよ!」

 

「うわぁぁぁっ!」

 

ちょうどカミューラは対戦相手を撃破したところだったようだ。

 

「松村先輩!?先輩が人形にされてしまった!?」

 

闇のゲームに敗れた代償として対戦相手は人形になり、島の近くの海から1本の光の柱が出現したのが見える。

 

だが、カミューラはそれらに一切関心を持たずにこちらへ歩いてくる。

 

「あら?アビドス、まだやっていたの?」

 

「うむ」

 

「そう。なら私は先に次のターゲットの金髪オカッパの所に向かうわね」

 

カミューラが金髪オカッパと呼ぶ男は1人しかいない。確か、クロノスと言うタイタンと因縁のある男だったはずだ。

 

「あの男はタイタンが相手をするのではなかったか?」

 

「タイタンがあのオカッパに勝てるわけないでしょ?じゃあ、また後でね」

 

「うむ」

 

そう言い残すと、カミューラは対戦相手だった物に一度も視線を送ることなく、そのまま立ち去って行った。

 

「先輩…」

 

「どうした?戦意喪失か?こちらに鍵を渡すのならばサレンダーすることを許そう」

 

「誰が!デュエルは継続する!」

 

気弱な男かと思いきや、なかなか気骨のある男の様だな。

 

 

「そうか。余のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アビドス 手札:5→6枚。

 

「余は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!EXデッキから6枚裏側表示で除外してデッキから2ドロー!」

アビドス 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で金満な壺】

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。

除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

「余は手札から永続魔法【未来融合-フューチャー・フュージョン】を発動!【超合魔獣ラプテノス】を公開し、デッキの【地獄の門番イル・ブラッド】2体を墓地に送る!」

アビドス 手札:7→6枚。永続魔法:0→1枚。

 

【未来融合-フューチャー・フュージョン】※エラッタ前。

永続魔法

自分のエクストラデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。

発動後2回目の自分のスタンバイフェイズ時に、確認した融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

「余は手札から永続魔法【ミイラの呼び声】を発動!効果により手札から【精気を吸う骨の塔】を特殊召喚!」

アビドス 手札:6→5→4枚。永続魔法:1→2枚。

 

【ミイラの呼び声】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

この効果は自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動と処理ができる。

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

 

【精気を吸う骨の塔】

効果モンスター

星3/闇属性/アンデット族/攻 400/守1500

自分フィールド上にこのカード以外のアンデット族モンスターが存在する場合、このカードを攻撃する事はできない。

アンデット族モンスターが特殊召喚に成功する度に、相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

「余は手札から【ピラミッド・タートル】を召喚!」

アビドス 手札:4→3枚。

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

ピラミッド・タートル ★4 ATK1200

 

【ピラミッド・タートル】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1200/守1400

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから守備力2000以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「余は手札から魔法カード【龍の鏡】の効果を発動!墓地の【地獄の門番イル・ブラッド】2体を除外して【超合魔獣ラプテノス】を融合召喚!」

アビドス 手札:3→2枚。

 

【龍の鏡】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

ピラミッド・タートル ★4 ATK1200

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

 

【超合魔獣ラプテノス】

融合・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2200/守2200

デュアルモンスター×2

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドのデュアルモンスターはもう1度召喚された状態として扱う。

 

「バトルだ。【ピラミッド・タートル】で【賢者ケイローン】へ攻撃!」

 

「馬鹿な!?【賢者ケイローン】の方が攻撃力が…リクルート効果か!」

 

ピラミッド・タートル ATK1200 ※戦闘破壊。

vs

賢者ケイローン ATK1800

 

「ぐぅっ!だがここで【ピラミッド・タートル】の効果が発動する!デッキより3体目の【地獄の門番イル・ブラッド】を呼び出す!」

アビドス LP:4000→3400

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

 

【地獄の門番イル・ブラッド】

デュアルモンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻2100/守 800

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●1ターンに1度、手札・自分または相手の墓地に存在するアンデット族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。

このカードがフィールド上から離れた時、この効果で特殊召喚したアンデット族モンスターを破壊する。

 

「ここで【精気を吸う骨の塔】の効果が発動する。デッキからカードを2枚墓地に送るがいい」

 

「一体、何を…」

灘晋平 残デッキ枚数:34→32枚。

 

「メインフェイズに入る。余は手札から速攻魔法【異次元からの埋葬】を発動!除外されている【地獄の門番イル・ブラッド】2体を墓地に戻す!」

アビドス 手札:2→1枚。

 

【異次元からの埋葬】

速攻魔法

(1):除外されている自分及び相手のモンスターの中から合計3体まで対象として発動できる。

そのモンスターを墓地に戻す。

 

これで準備は整った。

 

~~~ループ開始~~~

 

手順①

「余は【地獄の門番イル・ブラッド】の効果発動。墓地から2体目の【地獄の門番イル・ブラッド】を特殊召喚する」

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

 

手順②

「【精気を吸う骨の塔】の効果が発動する。デッキからカードを2枚墓地に送るがいい」

 

「また?」

灘晋平 残デッキ枚数:32→30枚。

 

手順③

「余は2体目の【地獄の門番イル・ブラッド】の効果発動。墓地から3体目の【地獄の門番イル・ブラッド】を特殊召喚する」

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

 

手順④

「【精気を吸う骨の塔】の効果が発動する。デッキからカードを2枚墓地に送るがいい」

 

「…またか?」

灘晋平 残デッキ枚数:30→28枚。

 

手順⑤

「余は効果を使用したレベル6【地獄の門番イル・ブラッド】2体でオーバーレイ!ランク6【セイクリッド・トレミスM7】をエクシーズ召喚!」

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2

 

【セイクリッド・トレミスM7】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/機械族/攻2700/守2000

レベル6モンスター×2

このカードは「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できない。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「エクシーズ召喚!だが、既にバトルフェイズは…」

 

手順⑥

「余は【セイクリッド・トレミスM7】のORUを1つ取り除き、効果発動!【セイクリッド・トレミスM7】をEXデッキに戻す!」

 

<アビドス3世のフィールド>

精気を吸う骨の塔 ★3 DEF1500

超合魔獣ラプテノス ★8 DEF2200

地獄の門番イル・ブラッド ★6 DEF800 ※デュアル状態。

 

「何を…あっ、まさかこれは…無限ループ!?」

 

「其方のライフを削るつもりはない。その代わり、其方のデッキを削らせてもらおう」

 

~~~手順①に戻る~~~

 

「余は2体目の【地獄の門番イル・ブラッド】の効果発動。墓地から3体目の【地獄の門番イル・ブラッド】を特殊召喚する」

 

「そんな…」

灘晋平 残デッキ枚数:2→0枚。

 

「余はこれでターンエンド。そして其方はデッキ切れの為、次のドローを行うことは出来ず、敗北となる」

 

「負けた…これが、アビドス3世の実力…うぐっ!?」

 

「民草の命を奪うつもりはない。だが、数日は意識を失ってもらおう」

 

デュエルの勝敗が決した瞬間、灘晋平の首からぶら下げられていた七星門の鍵は消滅し、彼はその場に倒れ込んた。

 

それと同時に、島の近くの海から新たな1本の光の柱が出現したのが確認できた。気が付けば光の柱は2本ほど増えていて、これで4本となっている。

 

「さて、遅くなってしまったがカミューラの後を追うとしよう。皆の者、行くぞ!」

 

「「「「「おぉー!」」」」」

 

余は配下の者たちを連れ、カミューラの向かった方角へと歩き出した。

 

~~~

 

<三沢視点>

 

タニヤの情熱的なアプローチの前に、女性耐性が無く本来のデュエルが行えなかった三沢は敗れ、その場に倒れた。

 

「タニヤっち…♪」

 

「あっははははは!お婿さん、ゲットォ~♪」

 

その後、意識を取り戻した倫理委員会たちは周囲を捜索したが、三沢大地とタニヤを発見することは出来なかった…。




三沢ぇ…。

アドビス3世のデッキは【アンデットデッキデス】。【精気を吸う骨の塔】と【地獄の門番イル・ブラッド】との蘇生ループコンボにより、相手のデッキを瞬時に削りきるデッキです。

灘晋平のデッキは【スタンダード】です。以前の松村成基のデッキと大きな違いはなく、上級モンスターや罠カードの違いがあるくらいです。

次回の更新は4/24(土) AM6:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十二話 セブンスターズ侵攻3

前回のあらすじ:出た!アビドスさんのデッキキルコンボだ!

今回の対戦カードはセブンスターズのザルーグとアカデミア熱血教師の沢中国正です。


<明日香視点>

 

白河クロトがダークネス鮫島とデュエルを開始した頃、天上院明日香、丸藤亮、天上院吹雪、の3人はアカデミアの船着き場にある夜の灯台から海を眺めていた。

 

「明日香」

 

「うん?」

 

「この頃のお前、表情が優しくなったな」

 

「そ、そう?変わらないと思うけれど」

 

「良いことだ。明けない夜は無い、だったか。その通りだったな」

 

「えぇ。行方不明だった吹雪兄さんも見つかったわ」

 

「その件については2人には迷惑をかけたね」

 

「良いのよ、無事でいてくれたんだから」

 

「そうだ。気にするな」

 

私の表情が穏やかになったとすれば、それは間違いなくこの2年近く行方不明だった兄が見つかったことによる安堵によるものだろう。

 

「それに、最近は学園に面白い奴がたくさん増えたからか、学園での出来事が楽しくて仕方ないのよ」

 

「あぁ、黄金の卵パンの件か」

 

「あんな楽しそうな明日香は久し振りに見たよ。クロト君のおかげだね」

 

「なっ!?アレの話じゃないわよ!?」

 

「もちろん、あの動画はパソコンに保存してあるし、両親にも送っておいたよ」

 

「なにやってるの!?止めてくれない!?」

 

クロトが隠し撮りしていた私の黒歴史の一つ、黄金の卵パンが当たってはしゃぎ回る姿をネタに寮や吹雪兄さんに弄られることが増えた。クロト、許すまじ。

 

それは置いておいて、同級生に殆ど敵なしだった中学時代と比べて、白河クロト、赤羽コナミ、遊城十代、万丈目準、三沢大地、と強いデュエリストや面白いデュエリストが増えた。

 

油断していると彼らの強さに置いて行かれてしまうこの環境こそ私の求めていた物。ジュンコやももえも新しいカードパックのカードを手に入れたことで順調に強くなっていっている。

 

実力が上の同年代の者を倒すべき目標とし、実力の近い者たちと切磋琢磨して高みを目指せる日常!こんなに楽しく、嬉しいことは無いわ!

 

「吹雪!亮や明日香さんも居るのか!早く自分の寮へ戻るんだ!」

 

そんな時、灯台を見下ろせる崖の上から兄さんたちの友人である藤原優介がこちらに向かって語り掛けてきた。なにやら焦っているようだけれど…。

 

「この島の各地にセブンスターズが現れたんだ!白河君も今、火山付近で戦っている!」

 

「えっ!?」

 

「なに!?」

 

「セブンスターズだって!?」

 

クロトやクロノス臨時校長が言っていたセブンスターズ、とうとうやって来たのね!?

 

藤原先輩から詳しい話を聞こうとして彼と合流したその時、私たちを囲むように多数のミイラが地面から現れた!

 

「オォォ…」

 

「カギヲ…モツモノ…」

 

鍵?なんのことかしら?

 

「邪魔をするな!オネスト、頼む!」

 

『マスター!お任せ下さい!はぁぁっ!』

 

「道を切り開いてくれ!パンサーウォリアー!」

 

『ガァァァァッ!』

 

藤原先輩と吹雪兄さんがクロトから貰っていたネックレスを握りしめてデュエルディスクからカードを取りだしながらそう叫ぶと…。

 

「嘘!?カードのモンスターが実体化したの!?」

 

兄さんたちのカードからデュエルモンスターズのモンスターが現れて実体化し、ミイラたちを薙ぎ払っていった。

 

「詳しい話は後だ!」

 

「みんな、走るんだ!」

 

私たちはブルー寮を目指して全力で走り、ミイラたちの群れから逃げきることに成功する。

 

「ボクと吹雪が白河君が聞いたところ、彼らセブンスターズは七星門の鍵と言う物を持つ人物を探しているらしいんだ」

 

「そしてセブンスターズはクロト君と同じように不思議な力を秘めたものが多く、さっきのようなミイラを呼び出したり、蝙蝠を使役したりすることも出来るらしいね」

 

「私はそんな話、クロトに聞いてないんだけど…」

 

「クロト君が言うには、『明日香にその話をすると、彼女はきっと無茶なことをしそうだからね』だってさ」

 

「オレも聞いていないんだが…」

 

「白河君が言うには、『亮さんに話したら、彼はきっと強者を求めてセブンスターズに戦いを挑みそうだからね』だってさ」

 

「「否定できない…」」

 

「ボクが灯台に行って明日香や亮と一緒に居た理由の一つとしては、クロト君と相談して君たちが無茶なことをした時にフォローする為だったんだよ?」

 

「ボクも白河君に頼まれて、もし一般生徒に危険が及びそうだったら、自分が危なくない範囲でなるべく助けてあげて欲しいって頼まれていたね」

 

吹雪兄さんや藤原先輩は、私たちがクロトに聞いた以上の情報を彼から貰っていたらしい。

 

「ところで、さっき吹雪と藤原のカードのモンスターが実体化していたように見えるが、あれは舞網市で使われているというリアルソリッドビジョンなのか?」

 

「違うよ。ボクと吹雪はダークネスの世界に2年ほど居たせいか、カードの精霊との繋がりが深くなっているらしくてね」

 

「クロト君がくれたこのネックレスがあれば、このネックレスに宿る魔力?が切れない限りは自身が最も信頼するカードの精霊を実体化されることが出来るようになったんだよ」

 

「カードの精霊…噂は聞いたことがあるけれど、本当に実在したのね」

 

「明日香の友人たちも結構持っているよ?遊城君の【ハネクリボー】、万丈目君の【おジャマ・イエロー】に【光と闇の竜】もそうだね」

 

「白河君に関しては、【バニーラ】、【キーメイス】【ワイト】が良く一緒に居るね」

 

「【バニーラ】や【キーメイス】は授業中に良くクロト君の横に座っているし、【ワイト】なんて少し前まで学園中のそこら中に居たよ?」

 

「白河君に話を聞くまでは恐ろしい光景だったね…」

 

ワイトがたくさんって、ホラー映画じゃない。クロト、何やってるのよ…。

 

「なぁ、2人とも。もしかしてあの光の柱もセブンスターズに関係があるのか?」

 

話が一段落したところで亮が空を指差すと、そこにはいつの間にか地面から空に伸びる光の柱が立っていた。そしてその柱は瞬く間に2本、3本、4本と増えていった。

 

「あれは、クロト君の言っていた…不味いね」

 

「そうだね。ともかく、ここに留まるのは危険だ。ボクたちは一般生徒が巻き込まれていないことを確認しつつ、早めに寮に戻ろう」

 

「分かったわ」

 

私たちは周囲に気を配りながらブルー寮へと走り出した…。

 

~~~

 

<ザルーグ視点>

 

カミューラが七星門の鍵の守護者1人を撃破する少し前、黒サソリ盗掘団のリーダーであるザルーグとタイタンはカミューラ達とは別の七星門の鍵の守護者2人と対峙していた。

 

「ザルーグ、私がこっちの男をやるぅ。無料でなぁ。そちらは任せるぞぉ?」

 

「おうよ。テメェこそ後れを取るなよ?」

 

オレ達の黒サソリ盗掘団と同行していたタイタンは七星門の鍵の守護者の1人とデュエルを開始しようとしている。

 

「矢ヵ城、そっちは自分で何とかしてくれよ!熱血だ!」

 

「沢中、お前もな!」

 

「ふふふふふ。遺言は済んだかなぁ?」

 

「私はまだまだ生徒たちに教えることがある。教え子の為にも負けられん!行くぞ!」

 

「「デュエル!」」

 

タイタンと矢ヵ城と言うデュエルアカデミアの教師がデュエルを開始した。こちらももう一人の守護者である沢中と呼ばれた男を相手するとしよう。

 

ちなみに連中に同行していた緑の服を着た連中はオレの部下たちが気絶させて縄でぐるぐる巻きにしてそこいらの木に吊るしてある。

 

「私の名は首領・ザルーグ。テメェの持つ七星門の鍵を鍵を頂きに来たぜ」

 

「ザルーグ?それに他の連中も…まさか、カードの精霊なのか!?」

 

「そうだ。そして私達が狙うは七星門の鍵のみ。だが安心しな。私達は殺しはやらないんだ」

 

「「「「「それが、黒サソリ盗掘団!」」」」」

 

「闇のデュエルという奴か。面白い!燃えるぜ!血が沸騰しそうだ!ウォオォオオオン!オレは人間火力発電所だ!」

 

「はっ!威勢が良いな!気に入ったぜ!さぁ始めるとしようぜ!」

 

「このデュエルアカデミア一の熱血教師!沢中国正の情熱デッキでお相手するぞ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆首領・ザルーグ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆沢中国正 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

沢中国正 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【智天使ハーヴェスト】を召喚!」

沢中国正 手札:6→5枚。

 

<沢中国正のフィールド>

智天使ハーヴェスト ★4 ATK1800

 

【智天使ハーヴェスト】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1800/守1000

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地のカウンター罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

「そしてオレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

沢中国正 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆首領・ザルーグ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆沢中国正 LP:4000、手札:5枚。

 

<沢中国正のフィールド>

智天使ハーヴェスト ★4 ATK1800

 

 

ドローする直前に島の近くの海から光の柱が出現したのが確認できた。確かアレは七星門の鍵が解放された証。やったのは恐らくカミューラだな。

 

「アレはなんだ!?」

 

「テメェの気にすることじゃねえよ。それよりもデュエルを続行するぜ?」

 

「何だか分からんが、さぁ!掛かって来い!」

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ザルーグ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から速攻魔法カード【サイクロン】を発動!お前の…」

ザルーグ 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法(本作の現時点では制限カード)

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「甘いぜ!リバースカードオープン!カウンター罠【王家の呪い】発動!【サイクロン】を無効化するぜぇ!」

沢中国正 伏せカード:2→1枚。

 

【王家の呪い】

カウンター罠

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚のみを対象として、そのカードを破壊する魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「ちっ、カウンター罠か!クリフさえ居れば…!」

 

チェーン②王家の呪い

チェーン①サイクロン ※発動を無効にして破壊。

 

「更にこの瞬間!手札の【裁きを下す者-ボルテニス】の効果発動!【智天使ハーヴェスト】をリリースしてこのカードを特殊召喚するぜ!」

沢中国正 手札:3→2枚。

 

「何だと!?」

 

<沢中国正のフィールド>

裁きを下す者-ボルテニス ★8 ATK2800

 

【裁きを下す者-ボルテニス】

効果モンスター

効果モンスター

星8/光属性/天使族/攻2800/守1400

自分のカウンター罠が発動に成功した場合、自分フィールド上のモンスターを全て生け贄に捧げる事で特殊召喚する事ができる。

この方法で特殊召喚に成功した場合、生け贄に捧げた天使族モンスターの数まで相手フィールド上のカードを破壊する事ができる。

 

「やりやがる!私は手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから…」

ザルーグ 手札:5→4枚。

 

【増援】

通常魔法(本作の現時点では準制限カード)

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「それもダメだな!リバースカードオープン!カウンター罠【マジック・ドレイン】発動!さぁ、どうする!」

沢中国正 伏せカード:1→0枚。

 

【マジック・ドレイン】

カウンター罠

相手が魔法カードを発動した時に発動する事ができる。

相手は手札から魔法カード1枚を捨ててこのカードの効果を無効にする事ができる。捨てなかった場合、相手の魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

「またかよ!ちっ、私は【マジック・ドレイン】の効果を…無効化しない!」

 

チェーン②マジック・ドレイン

チェーン①増援 ※発動を無効にして破壊。

 

「そしてこの瞬間!手札の【冥王竜ヴァンダルギオン】の効果発動!このカードを特殊召喚するぜ!」

沢中国正 手札:2→1枚。

 

「また!?」

 

<沢中国正のフィールド>

裁きを下す者-ボルテニス ★8 ATK2800

冥王竜ヴァンダルギオン ★8 ATK2800

 

【冥王竜ヴァンダルギオン】

効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2500

相手がコントロールするカードの発動をカウンター罠で無効にした場合、このカードを手札から特殊召喚する事ができる。

この方法で特殊召喚に成功した時、無効にしたカードの種類により以下の効果を発動する。

●魔法:相手ライフに1500ポイントダメージを与える。

●罠:相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

●効果モンスター:自分の墓地からモンスター1体を選択して自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「まだ【冥王竜ヴァンダルギオン】の効果は残っているぜ!お前に1500LPダメージだ!燃えるぜ!バーーーニング!!」

 

「ぐおぉぉぉぉっ!はっ!やってくれるぜ!」

ザルーグ LP:4000→2500

 

だが、伏せカードを使い切ったな?

 

「私は手札から【黒蠍盗掘団】を召喚!」

ザルーグ 手札:4→3枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

黒蠍盗掘団 ★4 ATK1000

 

【黒蠍盗掘団】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1000

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手はデッキから魔法カード1枚を墓地へ送る。

 

「更に私は手札から魔法カード【強制転移】を発動!」

ザルーグ 手札:4→3枚。

 

「しまった!?」

 

【強制転移】

通常魔法

お互いはそれぞれ自分フィールド上のモンスター1体を選び、そのモンスターのコントロールを入れ替える。

そのモンスターはこのターン表示形式を変更できない。

 

「さぁ、私の【黒蠍盗掘団】と引き換えにお前のモンスターのどちらかを私に寄越しな!」

 

「くっ!【冥王竜ヴァンダルギオン】をそちらに渡す!」

 

<首領・ザルーグのフィールド>

冥王竜ヴァンダルギオン ★8 ATK2800

 

<沢中国正のフィールド>

裁きを下す者-ボルテニス ★8 ATK2800

黒蠍盗掘団 ★4 ATK1000

 

「ここで私は手札から速攻魔法【神秘の中華なべ】を発動!【冥王竜ヴァンダルギオン】をリリースして2500LP回復だぜ!」

ザルーグ LP:2500→5000、手札:3→2枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

モンスター無し

 

【神秘の中華なべ】

速攻魔法

自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。

生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、

その数値だけ自分のライフポイントを回復する。

 

「プレイングミスだな!攻撃した後のメインフェイズ2に発動しておけばよかったものを!」

 

「はははっ!この私がプレイングミス?とんだロマンチストだな!」

 

「なに!?」

 

「ここで私は手札から速攻魔法【カバーカーニバル】を発動!来やがれカバども!」

ザルーグ 手札:2→1枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

カバートークン ★1 ATK0

カバートークン ★1 ATK0

カバートークン ★1 ATK0

 

【カバーカーニバル】

速攻魔法

(1):自分フィールドに「カバートークン」(獣族・地・星1・攻/守0)3体を特殊召喚する。このトークンはリリースできない。

「カバートークン」がモンスターゾーンに存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。

このカードの発動後、ターン終了時まで相手は「カバートークン」以外のモンスターを攻撃対象にできない。

 

「ここでトークンを攻撃表示だと!?何を考えている!」

 

「お宝を頂く準備は整ったぜ!さぁバトルだ!カバ一号で【黒蠍盗掘団】に攻撃だ!」

 

「何を…!?」

 

カバートークン ATK0 ※戦闘破壊。

vs

黒蠍盗掘団 ATK1000

 

<首領・ザルーグのフィールド>

カバートークン ★1 ATK0

カバートークン ★1 ATK0

 

「ぐぅっ!効いたぜ!だがここで相手フィールドの【黒蠍盗掘団】が発動する!私はデッキから【ジャックポット7】を墓地に送る!」

ザルーグ LP:5000→4000

 

【ジャックポット7】

通常魔法

このカードをデッキに戻してシャッフルする。

また、このカードが相手のカードの効果によって墓地へ送られた時、このカードをゲームから除外する。

この効果によってゲームから除外された自分の「ジャックポット7」が3枚揃った時、自分はデュエルに勝利する。

 

「じゃ、【ジャックポット7】だって!?」

 

「気付いたか!でももう遅いぜ!【ジャックポット7】の効果だ!相手カード効果で墓地に送られた時、このカードはゲームから除外!」

 

※【ジャックポット7】除外枚数:0→1枚。

 

「行け!カバ二号!【黒蠍盗掘団】に攻撃だ!」

 

カバートークン ATK0 ※戦闘破壊。

vs

黒蠍盗掘団 ATK1000

 

<首領・ザルーグのフィールド>

カバートークン ★1 ATK0

 

「ぐぅぅっ!ここで【黒蠍盗掘団】が発動!私はデッキから【ジャックポット7】を墓地に送り、除外!」

ザルーグ LP:4000→3000

 

※【ジャックポット7】除外枚数:1→2枚。

 

「不味い…だが、手の打ちようがない!」

 

「さぁ行け!カバ三号!【黒蠍盗掘団】に攻撃だ!勝利をもぎ取って来い!」

 

カバートークン ATK0 ※戦闘破壊。

vs

黒蠍盗掘団 ATK1000

 

<首領・ザルーグのフィールド>

モンスター無し

 

「ぐぅぅぅっ!ここで【黒蠍盗掘団】が発動!私はデッキから【ジャックポット7】を墓地に送り、除外!」

ザルーグ LP:3000→2000

 

※【ジャックポット7】除外枚数:2→3枚。

 

「これで【ジャックポット7】は3枚が自身の効果で除外され、特殊勝利の条件は整った!私の勝ちだぜ!」

 

「負けたか…だが、良い物を見せて貰ったぜ!バーニング!…ぐふっ!」

 

デュエルの勝敗が決した瞬間、沢中国正の首からぶら下げられていた七星門の鍵は消滅し、彼はその場に倒れ込んた。

 

「私たち黒サソリ盗掘団は命は奪わん。だが、数日は寝ててもらうぞ」

 

沢中が倒れたと同時に、島の近くの海から新たな1本の光の柱が出現したのが確認できた。これで光の柱は2本。

 

「さてと、こっちは終わったぜ。タイタン!」

 

「うむ、こちらももう終わる!行けぃ!【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】!ダイレクトアタックだぁ!」

 

「うわぁぁぁぁっ!」

 

タイタンが対戦相手の男を撃破した。それと同時に、島の近くの海から新たな1本の光の柱が出現したのが確認できた。

 

これで光の柱は3本、いや、今また1本増えたからこれで4本となっていた。

 

「前座はこれでよいだろう。さぁ、私はこれからクロノスを倒しに行くぞぉ?」

 

「なら私はもう一人の女教師の方に行くぜ!」

 

「了解した。それではザルーグ、一応無事を祈っておいてやるぞぉ?」

 

「おう、一応こっちもお前が勝つ方に賭けておいてやるよ!勝率の低い方へ賭けて大当たりを狙う!それが!」

 

「「「「「それが、黒サソリ盗掘団!」」」」」

 

「誰の勝率が低いだとぅ!?貴様らぁ、後で会ったら覚えておけよぉ!?」

 

こうして私たち黒サソリ盗掘団はタイタンと別れ、アムナエルから教えられている女教師が居るらしいポイントへと向かった…。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

私たちがミイラやコウモリに襲われている一般生徒たちを助けて寮へ避難するように呼びかけながら自身の寮を目指していると、アカデミア本校校舎の近くにある湖付近で見覚えのあるモンスターが出現しているのが見えた。

 

「アレは、【古代の機械巨人】!?」

 

「クロノス教諭だね!誰かとデュエルしているように見えるけど…」

 

「それに、クロノス教諭の近くに居るのは、翔!?」

 

「赤羽君や、オシリスレッドでよく見かける子達も一緒だね」

 

そこには、暗くてよく見えないが誰かと対峙するクロノス教諭、そしてその後ろには黒い渦に周りを囲まれて動けなくなっているらしい遊城十代、万丈目準、丸藤翔、前田隼人、赤羽コナミの姿も見えた。

 

「行ってみましょう!」

 

「あぁ!」

 

「えっ?ちょっと2人とも!?」

 

「もう行ってしまったよ。吹雪、ボク達も彼らを追いかけよう」

 

「あぁ!」

 

私たちが出来ることは少ないかも知れないが、何かの役に立てるかもしれないと思い、私たちは彼らの元へ急行した…。




倫理委員会のメンバーは対人能力には長けますが、オカルト相手には滅茶苦茶弱いです。ミイラくらいなら何とかなりますが、異世界の虎とか身体能力の高い黒サソリ盗掘団のメンバーには全く歯が立ちません。しょうがないね。

吹雪と藤原は2年間ずっと闇のデュエルで戦っていたことから、一般人に比べてオカルト能力が飛躍的に上昇しています。流石に公式チートのコナミ君や数年修行しているオリ主、人外の吸血鬼カミューラなどには劣りますが、ミイラくらいならどうとでもなります。

首領・ザルーグのデッキは【ジャックポット7】です。相手に送りつけた【黒蠍盗掘団】の効果を逆手に取り、自身のデッキから【ジャックポット7】を墓地に送って除外することで特殊勝利を狙うデッキですね。

沢中国正のデッキは【天使パーミッション】です。カウンター罠を駆使して相手の妨害をしつつ、カウンター罠の発動をトリガーとした最上級モンスターや下級モンスターでビートダウンするデッキです。

次回の更新は4/24(土) AM7:00予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十三話 セブンスターズ侵攻4

前回のあらすじ:ジャックポット!

今回の対戦カードはアカデミアの教師クロノスと闇のデュエリスト(本物)のタイタンです。


<万丈目視点>

 

大徳寺先生に授業中に私語をしていた罰と言う名目で居残り授業を受けさせられていたオレと十代とコナミ。そしてその巻き添えを食らっていた十代の取り巻きの翔、隼人を含めた5人は、レッド寮へ帰る途中で島を取り囲むように現れた光の柱を目撃していた。

 

「なんだ、アレは?」

 

「光の、柱?」

 

「これは…いよいよ来たかな?」

 

「か、怪奇現象っス!?」

 

「こ、怖いんだナァ!?」

 

オレたちが足を止めてその光景を注視していると、いきなり何か所か地面が膨れ上がる。

 

突然のことで驚いてその場を動けないでいると、その盛り上がった土の塊の中から何かが這い出てきた。

 

「うぉっ!今度はなんだ!?」

 

「オォォ…」

 

それはアニメや漫画で時々見かける包帯を巻かれた死体、ミイラだった。オレたちを取り囲むように無数のミイラたちが地面から現れたのだ。

 

「「「「み、ミイラ!?」」」」

 

「おっ、ミイラだな!」

 

ミイラたちはまるで何かを探しているようなそぶりを見せた後、ゆっくりとその包囲を縮めて来てオレたちへと近寄って来る。

 

「おい!こっちに来るぞ!?」

 

『ま、万丈目の兄貴ぃ!これは不味いんじゃなぁい?』

 

『キシャァァァ!』

 

オレの傍までミイラが寄ると、デッキから勝手に現れた【おジャマ・イエロー】がオレの背後へと隠れ、【光と闇の竜】がミイラたちを牽制していた。

 

「おいおい、冗談だろ!?」

 

『クリクリィ~!』

 

『『十代!』』

 

十代の方を見ると、奴の精霊である毛玉野郎と白い筋肉質の男、黒い翼を持つ悪魔が十代を守るように立ちはだかっている。

 

「うわっ、本物じゃん!スゲー!」

 

「オォォォォッ!?」

 

何故か、ミイラたちはコナミには一切近寄らない。その様子はまるで奴のことを恐れているように見える。

 

「ギャー!ほ、本物のミイラっスよ!」

 

「うわぁぁぁっ!お、お助けぇぇぇ!」

 

そして、オレと十代とコナミに近寄れないミイラたちは、余っている十代の取り巻きへとターゲットを変更したようだ。

 

「翔!隼人!」

 

十代が奴らを助けようとするが、オレや十代が居る場所からでは間に合わない…!

 

「君たち!こんな時間にまだ校舎に残っていたのか!?」

 

だが、ミイラが翔と隼人に襲い掛かろうとしたその時、ミイラたちの一部が後ろから殴られたように倒れ込んだ。

 

驚くオレたちをよそに、オレたちと他のミイラとの間に倒れたミイラたちを踏みつけながら緑色の制服を着た女性1人と男性2人が割り込んできた。

 

「ここは危ない!ここは私たちに任せて、早くアカデミア本校舎か、近くの寮へと逃げ込みなさい!」

 

間一髪のところでオレたちの前に倫理委員会のメンバーが現れ、ミイラたちをひきつけてくれるらしい。

 

「す、すいません、お願いします!皆、とりあえずここから逃げるぞ!」

 

「十代の分際でオレに命令するな!だが、逃げるぞー!」

 

十代の提案に乗るのは癪だが、ここは奴の言う通りに逃げた方がいいな。

 

「ほら、コナミも!逃げるぞ!」」

 

「あぁ、もっと見ていたかったのにな~」

 

十代はなかなか逃げようとしないコナミの腕を掴んで走り出す。

 

「ギャー!逃げるっすよー!」

 

「逃げるんだナァ!」

 

翔と隼人も十代たちに付き添うようにして走り出す。

 

当然、オレもがむしゃらにひたすら全力で走って逃げた。

 

~~~

 

<十代視点>

 

とにかくミイラたちから離れることを優先して全力で逃げて逃げて逃げ回った結果、なんとか背後からミイラたちの姿が消えてくれた。

 

無事にミイラたちの追跡を振り切ることが出来たようだ。

 

「はぁ、はぁ、どうやらもう追ってこないようだな。皆、無事か?」

 

「はぁ、はぁ、なんだったんだアレは…」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。なんとか…」

 

「はぁ、はぁ、はぁ~。逃げ切ったんだナァ」

 

「あれ?ここは何処だ?」

 

「「「「えっ?」」」」

 

息も絶え絶えに皆の無事を確認しようとした後、オレたちはコナミの一言で見覚えのない場所に立っていることに気付いた。

 

「ここは、アカデミア本校者の近くにある湖みたいだな」

 

なんとか息を整えた万丈目曰く、オレ達が必死に逃げている間にアカデミア本校舎の方角へと逃げて来てしまったらしい。

 

オシリスレッド寮とは別方向に逃げて来てしまったみたいで、寮への帰り道から大きく外れてしまっていた。

 

「見つけたぞぉクロノスぅ!借金の取り立てに来たぞぉ!」

 

「た、タイタン!?なんでこんなことろに居るノーネ!?」

 

「ふははははっ!闇の淵より蘇って来たぞぉ!セブンスターズの1人としてなぁ!」

 

「セブンスターズ!?」

 

湖の対岸付近から聞き覚えの声がする。

 

「あっ、クロノス先生!」

 

「ドロップアウトボーイズ!?こんなところで何してるノーネ!?」

 

声が聞こえた方向を見ると、そこにはクロノス先生が立っていた。そしてクロノス先生と対峙しているのは…。

 

「お前は…インチキデュエリストのタイタン!?」

 

「貴様は、遊城十代!?これはちょうど良いなぁ!」

 

アカデミア近辺にある湖でクロノス先生とタイタンがデュエルを行おうとしていた。

 

ただ、今のタイタンは以前付けていた偽の千年パズルは所持しておらず、仮面も別の顔に食い込むような仮面を付けており、顔中の血管が浮き出ているようなより不気味な姿になっていた。

 

「シニョール十代、他の彼らを連れてここから逃げるノーネ!この男は私が相手するーノ!」

 

「ふふふふふっ、逃がさぁん!お前だけはぁ…!」

 

タイタンが手をかざすと、オレ達の周囲を黒い炎が取り囲み、身動きが取れなくなった。

 

「うおっ!なんだこの黒い炎は…!またインチキか!?」

 

「何もないところから炎が上がるだと!?」

 

「熱っ!この炎、本当に熱いっすよ!?」

 

「黒焦げは嫌なんだナァ!」

 

「これは…本物の魔力の炎か」

 

「今更こんなインチキで…!」

 

何とかして黒い炎を消そうと考えて手を伸ばしたところでユベルとネオスが現れ、オレの行動を止めて来る。

 

『十代、止めておいた方がいい。この炎はインチキなんかじゃなく本物の闇の炎だ』

 

『今の君ではこの炎を消すことは難しいだろう』

 

「だけど!」

 

「遊城十代ぃ。先日での恨み、ここで晴らしてやるぞぉ…!」

 

オレたちが黒い炎に悪戦苦闘している間、こちらに近寄って来ようとするオレたちとタイタンとの間に、クロノス先生が立ち塞がった。

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

「タイタン!生徒たちに手を出すことは許さないノーネ!今すぐあの黒い炎を消すノーネ!」

 

「フン!邪魔をするなクロノスぅ!だが、そうだな。まずは貴様を闇のデュエルで葬り去ってやろうぞ!」

 

「受けて立つノーネ!」

 

「我は闇のデュエリストにしてセブンスターズの1人、タイタンだぁ!」

 

「デュエルアカデミア実技最高責任者にして臨時校長、クロノス・デ・メディチがお相手するノーネ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆タイタン LP:4000、手札:5枚。

 

 

クロノスの実力は疑うまでもなく高いが、相手は闇のデュエリスト。油断できない相手だろう。この勝負、どうなるか予想できないな。

 

「先攻は私が貰う!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ぅ!」

タイタン 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドローし、手札の【デーモン・ソルジャー】を除外する!」

タイタン 手札:6→5→7→6枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。

手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【ダーク・アリーナ】を手札に加える!」

タイタン 手札:6→5→6枚。

 

【テラフォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「私は手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキから【魔サイの戦士】を墓地に送る!」

タイタン 手札:6→5枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「更に私は墓地の【魔サイの戦士】の効果発動!デッキから【トリック・デーモン】を墓地に送る!」

 

【魔サイの戦士】

効果モンスター

星3/地属性/悪魔族/攻1400/守 900

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「魔サイの戦士」以外の自分フィールドの悪魔族モンスターは戦闘・効果では破壊されない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「魔サイの戦士」以外の悪魔族モンスター1体を墓地へ送る。

 

「そして私は墓地の【トリック・デーモン】の効果発動!デッキから【デーモンの召喚】を手札に加える!」

タイタン 手札:5→6枚。

 

【トリック・デーモン】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「トリック・デーモン」以外の「デーモン」カード1枚を手札に加える。

 

「ここで私は手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!デッキから【マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ】と【デーモンズ・マタドール】を手札に加える!」

タイタン 手札:6→5→7枚。

 

【儀式の下準備】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。

 

「私は手札から儀式魔法【マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ】を発動!手札の【デーモンの召喚】をリリースし、手札から【デーモンズ・マタドール】を儀式召喚する!」

タイタン 手札:7→6→5→4枚。

 

【マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ】

儀式魔法

「デーモンズ・マタドール」の降臨に必要。

手札・自分フィールドから、レベルの合計が6以上になるようにモンスターをリリースしなければならない。

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

 

【デーモンズ・マタドール】

儀式・効果モンスター

レベル6/闇属性/戦士族/攻撃力0/守備力0

「マタドール降臨の儀式 ダーク・パセオ」により降臨。

このカードは攻撃宣言できない。

このカードは戦闘によっては破壊されず、コントローラーへの戦闘ダメージは0になる。

また、このカードと戦闘を行った相手モンスターは、ダメージステップ終了時に破壊される。

 

「更に私は手札からフィールド魔法【ダーク・アリーナ】を発動する!」

タイタン 手札:4→3枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ダーク・アリーナ】

フィールド魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いの表側攻撃表示モンスターは必ず攻撃しなければならない。

お互いに攻撃対象を選択する事はできず、攻撃対象は相手プレイヤーが選択する。

 

タイタンと呼ばれていた黒衣の男が【ダーク・アリーナ】を発動したことで、クロノスとタイタンを漆黒の闇が包みこみ、クロノスたちのデュエルはうっすらとしか見えなくなった。

 

「先生!」

 

「このくらい、大丈夫なノーネ!」

 

十代がクロノスへ呼びかけ、クロノスも問題ないと返している。この2人、こんな会話をするような関係だっただろうか?

 

「私は手札から永続魔法【補給部隊】を発動する!」

タイタン 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【補給部隊】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「私は手札から【デーモンの騎兵】を召喚する!」

タイタン 手札:2→1枚。

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの騎兵 ★4 ATK1900

 

【デーモンの騎兵】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1900/守 0

(1):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合、「デーモンの騎兵」以外の自分の墓地の「デーモン」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

「私は手札から【デーモンの将星】を自身の効果で特殊召喚する!」

タイタン 手札:1→0枚。

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの騎兵 ★4 ATK1900

デーモンの将星 ★6 ATK2500

 

【デーモンの将星】

効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

(1):自分フィールドに「デーモン」カードが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。このターン、このカードは攻撃できない。

(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、自分フィールドの「デーモン」カード1枚を対象として発動する。その自分の「デーモン」カードを破壊する。

(3):このカードがアドバンス召喚に成功した時、自分の墓地のレベル6の「デーモン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

「更に私は【デーモンの将星】の効果発動!【デーモンの騎兵】を破壊する!」

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの騎兵 ★4 ATK1900

デーモンの将星 ★6 ATK2500

 

「この瞬間!私は【補給部隊】の効果発動!私はデッキから1ドロー!」

 

「更に【デーモンの騎兵】の効果発動!墓地から【デーモンの召喚】を特殊召喚する!」

 

チェーン②デーモンの騎兵

チェーン①補給部隊

 

タイタン 手札:0→1枚。

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの将星 ★6 ATK2500

デーモンの召喚 ★6 ATK2500

 

【デーモンの召喚】

通常モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

闇の力を使い、人の心を惑わすデーモン。悪魔族ではかなり強力な力を誇る。

 

レベル6のモンスターが2体!?来るのか!?

 

「私はレベル6【デーモンの召喚】と【デーモンの将星】の2体でエクシーズ召喚を行う!」

 

「ランク6…!」

 

「出でよ!ランク6【デーモンの超越】!」

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの超越 ☆6 ATK2500 ORU:2

 

【デーモンの超越】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/闇属性/悪魔族/攻2500/守1200

レベル6モンスター×2

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「デーモンの召喚」として扱う。

(2):自分フィールドの「デーモンの召喚」が戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードのX素材を1つ取り除く事ができる。

(3):X召喚したこのカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「デーモンの召喚」1体を選んで特殊召喚する。

 

「私はこれでターンエンドだ!」

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆タイタン LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

デーモンの超越 ☆6 ATK2500 ORU:2

 

 

最初のターンにしては手札消費が激しく、伏せカードこそないものの、タイタンのフィールドに居るデーモンどもはどちらも耐性を持つモンスターだ。

 

しかもフィールド魔法【ダーク・アリーナ】のせいでクロノスの攻撃は、タイタンにその攻撃対象を選択されてしまう。

 

【デーモンズ・マタドール】は戦闘破壊耐性を備えて戦闘ダメージを0にするだけでなく、戦闘を行った相手モンスターを破壊する効果を持つ。

 

そして仮に破壊されたとしても永続魔法【補給部隊】によって手札を補充すると言う、タイタンの見た目とは裏腹に手堅い戦術だ。

 

【古代の機械】デッキは確かに強力だが、そのテーマ内に除去効果を持つカードは

無かったはずだ。クロノスはどう切り抜ける?

 

 

「私のターンなノーネ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ナノーネ!」

クロノス 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動ナノーネ!手札の【古代の機械巨竜】を捨ててデッキから2ドローするノーネ!」

クロノス 手札:6→5→4→6枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私は手札から速攻魔法【ツインツイスター】を発動するーノ!手札の【古代の歯車機械】を捨て、【ダーク・アリーナ】と【補給部隊】を破壊するノーネ!」

クロノス 手札:6→5→4枚。

 

【ツインツイスター】

速攻魔法

(1):手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「ぬぉっ!【ダーク・アリーナ】が!?私のデュエルリングが!?」

タイタン フィールド魔法:1→0枚、永続魔法:1→0枚。

 

【ダーク・アリーナ】が破壊されたことにより、クロノスとタイタンを包んでいた闇が消え去った…!

 

ここまであっさりと相手の戦術を切り崩すとは…!

 

「私は手札から永続魔法【古代の機械要塞】を発動ナノーネ!」

クロノス 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【古代の機械要塞】

永続魔法

(1):自分フィールドの「アンティーク・ギア」モンスターは召喚・特殊召喚されたターンには相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):「アンティーク・ギア」カードの効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(3):魔法&罠ゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。自分の手札・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「アンティーク・ギア」モンスターしか特殊召喚できない。

 

「更に私は手札から魔法カード【古代の機械双造】を発動ナノーネ!墓地の【古代の機械巨竜】と【古代の歯車機械】を特殊召喚するノーネ!」

クロノス 手札:3→2枚。

 

【古代の機械双造】※アニメオリジナルカード

通常魔法

①:自分・相手の墓地の「古代の機械」モンスターを合計2体まで対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000

古代の歯車機械 ★4 DEF2000

 

【古代の機械巨竜】

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守2000

(1):このカードの召喚のためにリリースしたモンスターによって以下の効果を得る。

●グリーン・ガジェット:このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

●レッド・ガジェット:このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。相手に400ダメージを与える。

●イエロー・ガジェット:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。相手に600ダメージを与える。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

【古代の歯車機械】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 500/守2000

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。このターン、自分のモンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで宣言した種類のカードを発動できない。

(2):1ターンに1度、「ガジェット」モンスターのカード名を1つ宣言して発動できる。エンドフェイズまで、このカードは宣言したカードと同名カードとして扱う。

 

「私は手札から魔法カード【アイアンドロー】を発動ナノーネ!デッキから2ドローする―ノ!」

クロノス 手札:2→1→3枚。

 

【アイアンドロー】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の効果モンスター2体のみの場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

このカードの発動後、ターン終了時まで自分は1回しかモンスターを特殊召喚できない。

 

「私は【古代の機械巨竜】と【古代の歯車機械】をリリース!手札から【古代の機械合成竜】をアドバンス召喚ナノーネ!」

クロノス 手札:3→2枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械合成竜 ★7 ATK2700

 

【古代の機械合成竜】

効果モンスター

星7/地属性/機械族/攻2700/守1700

(1):「アンティーク・ギア」モンスターをリリースしてアドバンス召喚したこのカードとの戦闘で相手モンスターが破壊されなかったダメージステップ終了時に発動できる。その相手モンスターを除外する。

(2):「ガジェット」モンスターをリリースしてアドバンス召喚したこのカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(3):自分の「アンティーク・ギア」モンスターが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果・魔法・罠カードを発動できない。

 

「バトル!【古代の機械合成竜】で【デーモンの超越】に攻撃ナノーネ!」

 

古代の機械合成竜 ATK2700

vs

デーモンの超越 ATK2500

 

「ぬぐぉぉぉっ!」

タイタン LP:4000→3800

 

「だがぁ、【デーモンの超越】はORUを1つ取り除くことで戦闘破壊を免れる永続効果を持つのだぁ!」

デーモンの超越 ORU:2→1

 

「ダメージステップ終了時に【古代の機械合成竜】の効果を発動する―ノ!【デーモンの超越】を除外するノーネ!」

 

「な、何ぃ!?」

 

<タイタンのフィールド>

デーモンズ・マタドール ★6 DEF0

 

「続いて、【古代の機械合成竜】で【デーモンズ・マタドール】に攻撃ナノーネ!」

 

古代の機械合成竜 ATK2700

vs

デーモンズ・マタドール DEFO

 

「だ、だがぁ、【デーモンズ・マタドール】は戦闘では破壊されない効果を持つぅ!」

 

「ダメージステップ終了時に【古代の機械合成竜】の効果を発動する―ノ!【デーモンズ・マタドール】を除外するノーネ!」

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

「お、おのれぇぇぇ!」

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドなノーネ!」

クロノス 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械合成竜 ★7 ATK2700

 

vs

 

◆タイタン LP:3800、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

 

まさか1ターンであの盤面を崩壊させるとはな。流石は実技担当最高責任者と言ったところか。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ぅ!」

タイタン 手札:1→2枚。

 

「私は手札から【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】を召喚!」

タイタン 手札:2→1枚。

 

<タイタンのフィールド>

戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン ★8 ATK3000→1500

 

【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】

効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2000

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になり、エンドフェイズに破壊される。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。

(4):1ターンに1度、自分の手札・墓地の「デーモン」カード1枚を除外し、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「私は【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】の効果を発動するぅ!墓地の【トリック・デーモン】を除外して【古代の機械合成竜】を破壊するぅ!」

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

「バトル!【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【古代の機械蘇生】発動ナノーネ!墓地より【古代の歯車機械】を特殊召喚するノーネ!」

クロノス 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【古代の機械蘇生】

永続罠

(1):「古代の機械蘇生」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。

(2):1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地の「アンティーク・ギア」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は200アップする。

 

<クロノスのフィールド>

古代の歯車機械 ★4 DEF2000

 

「ぐぬぅっ!メインフェイズ2に移行ぅ!ターンエンド!」

 

「エンドフェイズに【戦慄の凶皇-ジェネシス・デーモン】は自身の効果で自壊するぅ!」

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

「だがここで速攻魔法【デーモンとの駆け引き】を発動ぅ!デッキから【バーサーク・デッド・ドラゴン】を特殊召喚するぅ!」

タイタン 手札:1→0枚。

 

【デーモンとの駆け引き】

速攻魔法

レベル8以上の自分フィールド上のモンスターが墓地へ送られたターンに発動する事ができる。

自分の手札またはデッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

 

<タイタンのフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3500→3000

 

【バーサーク・デッド・ドラゴン】

効果モンスター

星8/闇属性/アンデット族/攻3500/守 0

このカードは「デーモンとの駆け引き」の効果でのみ特殊召喚が可能。

相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃が可能。

自分のターンのエンドフェイズ毎にこのカードの攻撃力は500ポイントダウンする。

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の歯車機械 ★4 DEF2000

 

vs

 

◆タイタン LP:3800、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<タイタンのフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3000

 

 

タイタンはほぼ死に体だ。だがクロノスにはまだまだ余裕が見れる。この勝負、決まっただろうな。

 

 

「私のターンなノーネ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ナノーネ!」

クロノス 手札:1→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動ナノーネ!デッキから【歯車街】を手札に加えるーノ!」

クロノス 手札:2→1→2枚。

 

「そして私は手札からフィールド魔法【歯車街】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:2→1枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【歯車街】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは「アンティーク・ギア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。

(2):このカードが破壊され墓地へ送られた時に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

「私は【古代の歯車機械】をリリースしてアドバンス召喚するノーネ!!来なサーイ!【古代の機械巨人】!」

クロノス 手札:1→0枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 ATK3000

 

【古代の機械巨人】

効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守3000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

 

クロノスのエースのお出ましだな。

 

「バトル!食らうがいいノーネ!【古代の機械巨人】で【バーサーク・デッド・ドラゴン】に攻撃なノーネ!アルティメット・パウンド!!」

 

古代の機械巨人 ATK3000 ※戦闘破壊。

vs

バーサーク・デッド・ドラゴン ATK3000 ※戦闘破壊。

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

「ここで永続罠【古代の機械蘇生】発動ナノーネ!墓地より【古代の機械巨竜】を特殊召喚するノーネ!」

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨竜 ★8 ATK3000→3200

 

「ぐぬぬぅ!クロノスぅ!」

 

「続けて【古代の機械巨竜】でダイレクトアタックするーノ!」

 

古代の機械巨竜 ATK3200

 

「ごはぁぁぁ!」

タイタン LP:3800→600

 

「私はこれでターンエンドなノーネ!」

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨竜 ★8 ATK3200

 

vs

 

◆タイタン LP:600、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<タイタンのフィールド>

モンスター無し

 

 

「わ、私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ぅ!」

タイタン 手札:0→1枚。

 

「私は魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地からモンスターを5枚デッキに戻して2ドロー!…来た!わははははっ!」

タイタン 手札:1→0→2枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。

そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。

その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<タイタンが墓地からデッキに戻したモンスター>

①魔サイの戦士

②デーモンの召喚

③デーモンの騎兵

④デーモンの将星

⑤バーサーク・デッド・ドラゴン

 

なんだ?今のタイタンに笑う余裕などないはず。何を引いた?

 

「私はまず魔法カード【大嵐】を発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。!」

タイタン 手札:2→1枚。

 

【大嵐】

通常魔法(本作の現在では制限カード)

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「でスーガ!貴方が破壊した魔法カードの効果が発動するノーネ!」

クロノス フィールド魔法:1→0枚。永続魔法:1→0枚。永続罠:1→0枚。

 

「破壊された【古代の機械要塞】の効果発動ナノーネ!墓地より【古代の機械合成竜】を特殊召喚するーノ!」

 

「更に【歯車街】の効果発動ナノーネ!デッキから【古代の機械飛竜】を特殊召喚する―ノ!」

 

チェーン②歯車街

チェーン①古代の機械要塞

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨竜 ★8 ATK3200

古代の機械合成竜 ★7 ATK2700

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700

 

【古代の機械飛竜】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1700/守1200

「古代の機械飛竜」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「古代の機械飛竜」以外の「アンティーク・ギア」カード1枚を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はカードをセットできない。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時までモンスターの効果を発動できない。

 

「更に【古代の機械飛竜】の効果発動ナノーネ!デッキから【古代の機械箱】を手札に加える―ノ!」

クロノス 手札:0→1枚。

 

「最後に【古代の機械箱】の効果発動ナノーネ!デッキから【古代の機械素体】を手札に加える―ノ!」

クロノス 手札:1→2枚。

 

【古代の機械箱】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 500/守2000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがドロー以外の方法でデッキ・墓地から手札に加わった場合に発動できる。「古代の機械箱」以外の攻撃力または守備力が500の機械族・地属性モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

クロノスのフィールドは【大嵐】を受けた直後とは思えないほどに充実している。手札もある程度回復した。だが、タイタンのあの余裕はなんだ?

 

「どのようなモンスターをどれだけ並べようと無駄なのだぁ!クロノス!我らがセブンスターズの切り札をとくと見るが良い!」

 

「切り札デスーノ?」

 

「フハハハハッ!私は手札から禁断の魔法カード【幻魔の扉】を発動するぅ!!」

タイタン 手札:1→0枚。

 

【幻魔の扉】※アニメオリジナルカード

通常魔法

①相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

その後、自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視して自分フィールドに特殊召喚する。

 

なんだ!?あんなカード、見たことも聞いたこともないぞ!?

 

【幻魔の扉】の発動と同時に、タイタンの背後に禍々しい門が出現し、その扉が開く…!

 

「【幻魔の扉】の効果により、まずは相手フィールドのモンスター全てを破壊するぅ!」

 

「マンマミーヤ!?」

 

クロノスのフィールドのモンスター達へ門から放たれた光が浴びせられ、瞬く間にクロノスのモンスターたちは全て破壊された。

 

<クロノスのフィールド>

モンスターなし

 

「そして【幻魔の扉】の扉の更なる効果だぁ!さぁ、我が元で甦れ!【古代の機械巨人】!」

 

<タイタンのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 ATK3000

 

【幻魔の扉】から新たな光が放たれると、タイタンのフィールドには先ほどクロノスのフィールドから墓地に送られたはずの【古代の機械巨人】が出現し、門は静かに消えていった…。

 

「ふふふっ、もちろんこのカードの代償は大きいぞぉ。なにせこのデュエルに負けたらこのカードをプレイしたデュエリストの魂は幻魔の物となるのだからなぁ!」

 

命がけのインチキカードってわけか!

 

「だが、勝てば何の問題もないのだぁ!バトル!【古代の機械巨人】でダイレクトアタック!アルティメット・パウンドゥ!」

 

古代の機械巨人 ATK3000

 

「ギャーノ!ちょ、超痛いノーネ!こ、これが闇のデュエルですーノ?」

クロノス LP:4000→1000

 

「フハハハハッ!私はこれでターンエンドぉ!」

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:1000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆タイタン LP:600、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<タイタンのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 ATK3000

 

 

不味いな、一転してクロノスの危機が迫ってきた。【古代の機械巨人】の厄介さはクロノスが一番良く知っているだろう。どうする気なんだ?

 

「私のターンなノーネ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行ナノーネ!」

クロノス 手札:2→3枚。

 

「私は手札から【古代の機械素体】を召喚ナノーネ!」

クロノス 手札:3→2枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械素体 ★4 ATK1600

 

【古代の機械素体】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1600/守 500

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。「古代の機械巨人」1体または「古代の機械巨人」のカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。

(2):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(3):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。手札から「古代の機械巨人」「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」を合計3体まで召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「私は【古代の機械素体】の効果を発動するノーネ!手札から【古代の機械箱】を墓地に送り、デッキから【古代の機械融合】を手札に加えるーノ!」

クロノス 手札:3→2→3枚。

 

「更に私は手札から魔法カード【古代の整備場】を発動するノーネ!墓地から【古代の機械箱】を手札に加えるーノ!」

クロノス 手札:3→2→3枚。

 

【古代の整備場】

通常魔法

(1):自分の墓地の「アンティーク・ギア」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを手札に加える。

 

「そして【古代の機械箱】の効果発動ナノーネ!デッキから【古代の機械騎士】を手札に加える―ノ!」

クロノス 手札:3→4枚。

 

「行くノーネ!私は手札から魔法カード【古代の機械融合】を発動するノーネ!手札の【古代の機械箱】、【古代の機械騎士】、【古代の機械巨人】を融合!」

クロノス 手札:4→3→0枚。

 

【古代の機械融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、「アンティーク・ギア」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

自分フィールドの、「古代の機械巨人」または「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」を融合素材とする場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事ができる。

 

「さぁ、来なサーイ!【古代の機械超巨人】!」

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械素体 ★4 ATK1600

古代の機械超巨人 ★9 ATK3300

 

【古代の機械超巨人】

融合・効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻3300/守3300

「アンティーク・ギア」モンスター×3

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):「古代の機械巨人」「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」の中から合計2体以上を素材として融合召喚したこのカードは、その数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

(3):融合召喚した表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。EXデッキから「古代の機械究極巨人」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

【古代の機械巨人】の融合体だと!?

 

「何ぃ!?」

 

「バトルするノーネ!行きなサーイ【古代の機械超巨人】!【古代の機械巨人】を攻撃するノーネ!」

 

古代の機械超巨人 ATK3300

vs

古代の機械巨人 ATK3000 ※戦闘破壊

 

「ぐぉぉっ!」

タイタン LP:600→300

 

「これで終わりナノーネ!【古代の機械素体】でダイレクトアタックする―ノ!」

 

古代の機械素体 ATK1600

 

「ぬわぁぁぁぁっ!」

タイタン LP:300→0

 

 

「闇のデュエリストだかなんだか知りませんーガ、その程度の実力ではこのクロノス・デ・メディチには及ばないノーネ!」

 

「負けた…!私が…!?不味い、【幻魔の扉】を使ったのだぞぉ…!?」

 

~~~

 

<十代視点>

 

デュエルが終わると同時にオレたちの周りを囲っていた黒い炎は消え去り、タイタンの背後には先ほど出現した門が再び現れた。

 

それに気付いたタイタンが恐る恐る振り返り、その門を認識した瞬間に悲鳴を上げる。

 

「あぁぁぁぁ!い、嫌だ…嫌だ!またあの闇の世界に戻るのも嫌だが!死ぬのも嫌だぁ!助けてくれぇぇぇ!」

 

そんなタイタンの嘆きも虚しく門の扉は開き、門の内部から出現した白き腕がその場から逃げ出そうとしていたタイタンの首を鷲掴みにする。

 

「うごっ!ぐおぉ…!は、離せ!ぐぇぇっ!はな…あぁぁぁぁぁっ!」

 

必死に抵抗するタイタンだったが、白き腕は無慈悲にもタイタンの体からその魂だけを抜き取って門の中へと引きずり込み、静かに門の扉が閉じる。

 

その後、閉じた門がゆっくりと消え去るとタイミングを同じくして、残されたタイタンの体が真っ黒に染まり、闇へと消えていった。

 

「ま、マジかよ…」

 

「これが、闇のデュエル…!」

 

「人が…人が消えちゃったッス…」

 

「こ、怖いんだナァ」

 

「タイタン、良いデュエルだったぜ」

 

ふと、タイタンが消えた場所からクロノス先生へと視線を移すと、胸を押さえて苦しそうにして地面に膝をつく先生の姿があった。

 

「クロノス先生!?」

 

「さっきの闇のデュエルでのダメージか!?」

 

「だ、大丈夫ナノーネ…」

 

そうクロノス先生は言葉を返すが、額には脂汗を浮かべており、呼吸も乱れていて苦しそうだ。そして、そんな中…。

 

「あら?やっぱりタイタンは負けてしまったのね?」

 

湖の水面の上を赤い絨毯のような物が一直線に敷かれ、その上を優雅に歩く緑の髪を靡かせた美女が姿を現すのだった…。




学園中にミイラが徘徊しているとか、カードゲームの世界とは思えないホラー展開になっていますね。

クロノスのデッキは【古代の機械】です。デュエル終盤に超巨人の方に登場してもらいましたが、実は超巨人を出さずとも、魔神を召喚してバーン効果を使用しても勝てていました。

タイタンのデッキは【デーモン】です。初登場時(デュエルは丸々カットされているが)の【チェスデーモン】とは違う汎用型デーモンデッキとなっております。ただ、アニオリの儀式デーモンとフィールド魔法がむしろ事故要因になっていますね。

次回の更新は4/28(水) AM6:00予定です。

さか☆ゆう様、蟹の見習い様、gsころりん様、デュエル展開ミスのご指摘ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十四話 セブンスターズ侵攻5

前回のあらすじ:タイタンの見せ場は犠牲になったのだ…。

今回の対戦カードはクロノス先生とカミューラです。

また、本話から以前登場した汎用カードの説明文は省略するようにしてみました。これで少しは読みやすくなってくれれば幸いです。


<万丈目視点>

 

クロノス臨時校長が黒服の大男との闇のデュエルを制した直後、湖畔上に敷かれた赤い敷物の上を歩いてくる深紅のドレスを纏った緑髪の美女からオレたちは目が離せないでいた。

 

「緑髪の女…アレが前に全校集会で告知されていた奴か!」

 

『クリクリィ~!』

 

『十代、気を付けなよ。あの女はさっきの大男とは格が違う』

 

『破滅の光とは関係ないが、あの女性からは強い力を感じる。1年前に出会ったあの仮面の少年よりも強い力だ』

 

十代の黒い精霊と白い精霊が言う通り、あの女からひしひしと伝わってくるこのプレッシャーは、何処かあのいけ好かない仮面野郎を彷彿とさせるほど強烈だった。

 

「おっす。数日ぶりだな、カミューラ」

 

「コナミ…やはり逃げたりはしなかったのね」

 

「もちろんさ」

 

コナミの野郎はあの女と面識があるらしく、あの女も普通に返答を返している。

 

「さて、改めて。ようこそ。赤き闇への道へ。私はセブンスターズの貴婦人、ヴァンパイアのカミューラ」

 

「ま、またセブンスターズなの!?」

 

「お、おっかないんだナァ…」

 

女の不気味な雰囲気に呑まれた十代の取り巻きどもが震えあがっているが、無理もないな。

 

「大丈夫なのか?震えてるぞ?」

 

「こ、これは武者震いナノーネ!」

 

湖の前でカミューラと対峙するクロノスの足元はおぼつかない。

 

恐らく、先ほどの闇のデュエルのダメージがまだ抜けきっていないのだろう。

 

「万丈目。先生は強いぜ?戦ったオレが言うんだ。間違いない。それに、クロノス先生が強いのはお前も知っているだろ?」

 

「シニョール…ドロップアウトボーイ」

 

クロノスが強いのは白河との制裁デュエルや先ほどのデュエルを見ればわかるが、それはあくまで通常のデュエルの話だ。

 

闇のデュエルでのダメージは現実となる。それは以前、アメリカでの事件でオレ自身の経験として知っている。あんなデュエルを連戦できるものだろうか。

 

「私のお相手は、クロノス・デ・メディチ先生。貴方でよろしいのね?」

 

「な、何故に私の名前を知ってるーノ!?」

 

「ふふ、先生は私たちの中では有名なのよ?」

 

「そうなのーネ?…コホン、如何にも!貴方の相手は私、デュエルアカデミア実技最高責任者にして(臨時)校長のクロノス・デ・メディチなノーネ!」

 

「そう。では始めましょう。闇のデュエルを!今回のお相手は私、カミューラが務めましょう」

 

「決闘のルールは如何に、ナノーネ?」

 

「勝者は次なる道へ。敗者はその魂をこの人形に封印される」

 

カミューラと名乗った女が取り出したのは、何の変哲もない全長15cmほどの布製の人形。あの人形に魂を封印…実質、命を失うということか!?

 

「人形に魂を封印!?」

 

「マジかよ…」

 

「バッカバッカすぃ!そんな御伽噺、信じろって方が無理なノーネ!」

 

「御伽噺かどうか、クロノス先生なら御存知では無くて?」

 

「むぅ…」

 

クロノス臨時校長にはどうやら思い当たる節があるらしい。だが、この世界にはオレたちの常識では測れないことが存在しているのをオレは知っている。恐らく本当のことなのだろう。

 

~~~

 

<カミューラ視点>

 

「さぁ。そろそろ世間話も良いでしょう?準備はよろしくて?」

 

「もちろんなノーネ!いざ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆カミューラ LP:4000、手札:5枚。

 

 

クロノス・デ・メディチ、貴方と響みどりはセブンスターズの目的達成にとって最大級の脅威。ここ数年の貴方たちのデュエルは全て目を通させてもらったわ。

 

それでも2人とも油断できない相手だけれど、負けるつもりは無いわ!

 

「先攻は私が貰うわ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カミューラ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動するわ!手札の【竜血公ヴァンパイア】を捨ててデッキから2ドロー!」

カミューラ 手札:6→5→4→6枚。

 

「更に私は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!手札の【ヴァンパイアの眷属】を墓地に送ってデッキから【ヴァンパイアの使い魔】を特殊召喚する!」

カミューラ 手札:6→5→4枚。

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアの使い魔 ★1 DEF0

 

【ヴァンパイアの使い魔】

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、500LPを払って発動できる。デッキから「ヴァンパイアの使い魔」以外の「ヴァンパイア」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ヴァンパイア」カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「私は【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動!500LPを払い、デッキから【シャドウ・ヴァンパイア】を手札に加える!」

カミューラ LP:4000→3500、手札:4→5枚。

 

「私は【ヴァンパイアの使い魔】をリリース!【シャドウ・ヴァンパイア】をアドバンス召喚!」

カミューラ 手札:5→4枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

 

【シャドウ・ヴァンパイア】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻2000/守 0

このカードをX召喚の素材とする場合、闇属性モンスターのX召喚にしか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

手札・デッキから「シャドウ・ヴァンパイア」以外の闇属性の「ヴァンパイア」モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚に成功したターン、そのモンスター以外の自分のモンスターは攻撃できない。

 

「私は【シャドウ・ヴァンパイア】の効果発動!デッキから【ヴァンパイア・デューク】を特殊召喚する!」

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・デューク ★5 ATK2000

 

【ヴァンパイア・デューク】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻2000/守 0

「ヴァンパイア・デューク」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードをX召喚の素材とする場合、闇属性モンスターのX召喚にしか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の闇属性の「ヴァンパイア」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した時、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。相手は宣言された種類のカード1枚をデッキから墓地へ送る。

 

「私は【ヴァンパイア・デューク】の効果を発動するわ!さぁ先生?デッキから罠カードを墓地に送って貰えるかしら?」

 

「むむむ、私はデッキから罠カード【マジカルシルクハット】を墓地に送るノーネ」

 

「私は墓地の【ヴァンパイアの眷属】の効果発動!【ヴァンパイア・デューク】を墓地に送り、自身を特殊召喚する!」

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイアの眷属 ★2 DEF0

 

【ヴァンパイアの眷属】

効果モンスター

星2/闇属性/アンデット族/攻1200/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、500LPを払って発動できる。デッキから「ヴァンパイア」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「ヴァンパイア」カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

「私は【ヴァンパイアの眷属】の効果発動!500LPを払い、デッキから【ヴァンパイアの領域】を手札に加える!」

カミューラ LP:3500→3000、手札:4→5枚。

 

「そして私は手札から永続魔法【ヴァンパイアの領域】を発動!」

カミューラ 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ヴァンパイアの領域】

永続魔法

(1):1ターンに1度、500LPを払って発動できる。このターン自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ヴァンパイア」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の「ヴァンパイア」モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。その数値分だけ自分のLPを回復する。

 

「私は【ヴァンパイアの領域】の効果発動!500LPを払い、【ヴァンパイアの眷属】をリリース!【ヴァンパイア・グレイス】をアドバンス召喚!」

カミューラ LP:3000→2500、手札:4→3枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

 

【ヴァンパイア・グレイス】

効果モンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻2000/守1200

このカードが墓地に存在し、アンデット族モンスターの効果によって自分フィールド上にレベル5以上のアンデット族モンスターが特殊召喚された時、2000LPを払って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。「ヴァンパイア・グレイス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

また、1ターンに1度、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言して発動できる。相手は宣言された種類のカード1枚をデッキから墓地へ送る。

 

※【ヴァンパイアの眷属】は自身の効果により除外される。

 

「私は【ヴァンパイア・グレイス】の効果を発動するわ!さぁ先生?もう一度デッキから罠カードを墓地に送って貰えるかしら?」

 

「またなノーネ?私はデッキから永続罠【醒めない悪夢】を墓地に送るノーネ」

 

「私はカードを3枚セットしてターンエンドよ!」

カミューラ 手札:3→0枚。

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆カミューラ LP:2500、手札:0枚。伏せカード:3枚。永続魔法:1枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

 

 

このクロノスと言う男は、この男がこの数年の間に使用したカードを研究していたタイタンを破っている。恐らく、クロトや他の人間とのデュエルで見せていないカードや戦術がまだ残っているはずだ。

 

残念ながら先ほどのタイタンとのデュエルは見ることが出来なかったけれど、少なくともあの2枚の魔法カードによる大量のアドバンテージを得るコンボだけは必ず阻止しなければならないわよね。

 

 

「私のターンデース!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロノス 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動するノーネ!デッキトップから10枚裏側除外してデッキから2ドローする―ノ!」

クロノス 手札:6→5→7枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動するノーネ!デッキから【歯車街】を手札に加えるーノ!」

クロノス 手札:7→6枚。

 

「ふふ、そのチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【相乗り】を発動させてもらうわ!」

カミューラ 伏せカード:3→2枚。

 

【相乗り】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このターン、相手がドロー以外の方法でデッキ・墓地からカードを手札に加える度に、自分はデッキから1枚ドローする。

 

チェーン②相乗り

チェーン①テラ・フォーミング

 

クロノス 手札:6→7枚。

カミューラ 手札:0→1枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【歯車街】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:7→6枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

「更に私は手札から魔法カード【古代の機械射出機】を発動するノーネ!【歯車街】を破壊する―ノ!」

クロノス 手札:6→5枚。

 

「そのコンボは前に見させてもらったわ!チェーンしてリバースカードオープン!カウンター罠【ヴァンパイアの支配】を発動!【古代の機械射出機】の発動は無効よ!」

カミューラ 伏せカード:2→1枚。

 

「マンマミーヤ!?」

 

【ヴァンパイアの支配】

カウンター罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに「ヴァンパイア」モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

その後、破壊したカードがモンスターカードだった場合、自分はその元々の攻撃力分だけLPを回復する。

 

チェーン②ヴァンパイアの支配

チェーン①古代の機械射出機 ※無効化&破壊。

 

「ならば私は手札から永続魔法【古代の機械城】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:5→4枚。

 

【古代の機械城】

永続魔法

(1):フィールドの「アンティーク・ギア」モンスターの攻撃力は300アップする。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、モンスターが通常召喚される度に、このカードにカウンターを1つ置く。

(3):自分が「アンティーク・ギア」モンスターを表側表示でアドバンス召喚する場合、必要なリリースの数以上のカウンターが置かれたこのカードを代わりにリリースしてアドバンス召喚できる。

 

「私は手札から【古代の機械合成獣】を召喚するノーネ!」

クロノス 手札:4→3枚。

古代の機械城カウンター:0→1

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械合成獣 ★6 ATK2300→2600

 

【古代の機械合成獣】

効果モンスター

星6/地属性/機械族/攻2300/守1300

(1):このカードの召喚のためにリリースしたモンスターによって以下の効果を得る。

●グリーン・ガジェット:このカードの攻撃力は300アップする。

●レッド・ガジェット:このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。相手に500ダメージを与える。

●イエロー・ガジェット:このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動する。相手に700ダメージを与える。

 

「【歯車街】の効果でリリース無しで召喚したのね」

 

「その通りなノーネ!さぁ、バトルなノーネ!【古代の機械合成獣】で【ヴァンパイア・グレイス】に攻撃ナノーネ!!」

 

「攻撃宣言時!手札から【ヴァンパイア・フロイライン】を特殊召喚させてもらうわ!」

カミューラ 手札:1→0枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

 

【ヴァンパイア・フロイライン】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻 600/守2000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):モンスターの攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。

(2):自分のアンデット族モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、100の倍数のLPを払って発動できる(最大3000まで)。その自分のモンスターの攻撃力・守備力はそのダメージ計算時のみ払った数値分アップする。

(3):このカードが戦闘でモンスターを破壊したバトルフェイズ終了時に発動できる。そのモンスターを墓地から可能な限り自分フィールドに特殊召喚する。

 

「厄介なモンスターなノーネ…。攻撃を中断してメインフェイズ2に移行する―ノ!」

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドなノーネ!」

クロノス 手札:3→1枚。

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械合成獣 ★6 ATK2600

 

vs

 

◆カミューラ LP:2500、手札:0枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

 

 

【古代の機械】専用のサポートカードに加えて機械族のサポートカード、どちらも強力なカードが多い。

 

この男のデッキは事前にある程度調査しているとはいえ、あの伏せカードは十分に警戒すべきね。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カミューラ 手札:0→1枚。

 

「さぁ【ヴァンパイア・グレイス】の効果発動よ、先生?」

 

「むむむ。私はデッキから罠カード【重力解除】を墓地に送るノーネ」

 

「私は墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動!【ヴァンパイアの領域】を墓地に送り、自身を特殊召喚!」

カミューラ 永続魔法:1→0枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

ヴァンパイアの使い魔 ★1 DEF0

 

「更に【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動!500LPを払い、デッキから【ヴァンパイア・グリムゾン】を手札に加える!」

カミューラ LP:2500→2000、手札:1→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】の効果発動!デッキから2ドローして手札の【ヴァンパイア・グリムゾン】を除外するわ!」

カミューラ 手札:2→1→3→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【ヴァンパイア・デザイア】の効果発動!デッキから【ヴァンパイア・レッドバロン】を墓地に送り、【ヴァンパイアの使い魔】のレベルを6にする!」

カミューラ 手札:2→1枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・グレイス ★6 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

ヴァンパイアの使い魔 ★1→6 DEF0

 

「私はレベル6【ヴァンパイアの使い魔】と【ヴァンパイア・グレイス】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来なさい!ランク6【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!」

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:2

 

【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/闇属性/アンデット族/攻2600/守1000

レベル6モンスター×2体以上

元々の持ち主が相手となるモンスターをこのカードのX召喚の素材とする場合、そのレベルを6として扱う。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

(2):1ターンに1度、フィールドのモンスターカードが、効果で相手の墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され相手の墓地へ送られた場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。そのモンスター1体を自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

 

「私は【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】のORUを1つ取り除いて効果発動!【古代の機械合成獣】を墓地に送る!」

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ORU:2→1

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

「私は更に【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】のORUを1つ取り除いて効果発動!【古代の機械合成獣】を特殊召喚するわ!」

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ORU:1→0

 

「見え透いてるーノ!!リバースカードオープン!永続罠【古代の機械蘇生】発動ナノーネ!【古代の機械合成獣】は私のフィールドに特殊召喚されます―ノ!」

クロノス 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

「蘇生カード…!」

 

チェーン②古代の機械蘇生

チェーン①交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ※対象を失い、不発。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械合成獣 ★6 ATK2300→2600→2800

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

 

「リバースカードオープン!永続罠【闇次元の解放】を発動!除外されている【ヴァンパイアの眷属】を特殊召喚するわ!」

カミューラ 伏せカード:1→0枚。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

ヴァンパイアの眷属 ★2 DEF0

 

【闇次元の解放】

永続罠

(1):除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊され除外される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

「私は【ヴァンパイアの眷属】の効果発動!500LPを払い、デッキから【ヴァンパイアの支配】を手札に加える!」

カミューラ LP:2000→1500、手札:1→2枚。

 

「先ほどのカウンター罠デスーノ!?」

 

「そして私は手札から【マジック・プランター】を発動!【闇次元の解放】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

カミューラ 手札:2→1→3枚。

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

<カミューラのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

 

※【ヴァンパイアの眷属】は【闇次元の解放】の効果により破壊されて除外される。

 

「私はレベル5【シャドウ・ヴァンパイア】と【ヴァンパイア・フロイライン】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来なさい!ランク5【終焉の守護者アドレウス】!」

 

<カミューラのフィールド>

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

終焉の守護者アドレウス ☆5 ATK2600 ORU:2

 

【終焉の守護者アドレウス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/闇属性/悪魔族/攻2600/守1700

レベル5モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。

 

「私は【終焉の守護者アドレウス】のORUを1つ取り除いて効果発動!【古代の機械合成獣】を破壊する!」

終焉の守護者アドレウス ORU:2→1

 

「ま、不味いノーネ…」

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

「バトルよ!【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】でダイレクトアタック!」

 

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ATK2600

 

「アルデンティーノ!超痛い―ノ!…ですーガ!ここでリバースカードオープン!罠カード【ダメージ・コンデンサー】発動ナノーネ!」

クロノス LP:4000→1400 伏せカード:1→0枚。

 

【ダメージ・コンデンサー】

通常罠

自分が戦闘ダメージを受けた時、手札を1枚捨てて発動できる。

受けたそのダメージの数値以下の攻撃力を持つモンスター1体を

デッキから表側攻撃表示で特殊召喚する。

 

「手札の【古代の機械獣】を捨てて、デッキから【古代の機械飛竜】を特殊召喚するノーネ!」

クロノス 手札;1→0枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械飛竜 ★4 ATK1700→2000

 

「【古代の機械飛竜】の効果発動!デッキから【古代の機械巨人】を手札に加えるノーネ!」

クロノス 手札;0→1枚。

 

「追撃しなさい!【終焉の守護者アドレウス】!【古代の機械飛竜】へ攻撃!」

 

終焉の守護者アドレウス ATK2600

vs

古代の機械飛竜 ★4 ATK2000 ※戦闘破壊。

 

「ギャーノ!…き、効かないノーネ!」

クロノス LP:1400→800

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

「メインフェイズ2に移行!私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

カミューラ 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:800、手札:1枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

vs

 

◆カミューラ LP:1500、手札:1枚。伏せカード:2枚。

 

<カミューラのフィールド>

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

終焉の守護者アドレウス ☆5 ATK2600 ORU:1

 

 

「はぁ…、はぁ…」

 

「先生?足元がふらついているわよ?」

 

「シニョーラカミューラ…」

 

「タイタンとのデュエルでのダメージが抜けていないんでしょう?もうサレンダーしたらどうかしら?」

 

本来、コナミやクロトのような強力な魔力を持たない一般人に、闇のデュエルを行ったものが連戦など出来るはずはないのに…。

 

「このクロノス・デ・メディチ、断じて闇のデュエルなどに敗れるわけにはいけません―ノ!」

 

この状況でも闘志が消えていないなんて、惜しい男ね。こんな男が相手じゃ、最初からタイタンに勝ち目なんて無かったわね。

 

「何故なら、デュエルとは本来、青少年たちに希望と光を与えるものであり、恐怖と闇をもたらすものではないノーネ!」

 

「知ったことではないわね!私には、命を懸けても叶えたい願いがある!その邪魔は誰にもさせないわ!さぁ、デュエルを続けるのならカードを引きなさい!」

 

だけど、私は仲間に、家族に、あの子にもう一度会いたいのよ!その邪魔をするものは誰であれ蹴散らしてやるわ!

 

 

「わ、私のターンデース!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロノス 手札:1→2枚。

 

あの男のLPは残りわずか。このターンさえ凌げば私の勝ちは濃厚になるわ。

 

だけどクロノスのデッキの爆発力は侮れない。一瞬の油断が命取りになるでしょうね。だからこそ、完膚なきまでにあの男の勝利への可能性を潰す!

 

「【古代の機械蘇生】の効果発動ナノーネ!墓地より【古代の機械飛竜】を特殊召喚します―ノ!」

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械飛竜 ★4 DEF1200

 

「【古代の機械飛竜】の効果発動!デッキから【古代の機械箱】を手札に加えるノーネ!」

 

「当然させないわよ!チェーンしてリバースカードオープン!カウンター罠【ヴァンパイアの支配】を発動!【古代の機械飛竜】の効果発動は無効よ!」

カミューラ 伏せカード:2→1枚。

 

チェーン②ヴァンパイアの支配

チェーン①古代の機械飛竜 ※無効化&破壊。

 

「更に【ヴァンパイアの支配】の更なる効果!破壊したモンスターの攻撃力分のLPを回復させてもらうわよ!」

カミューラ LP:1500→3200

 

「【古代の機械飛竜】は囮ナノーネ!私は【古代の機械城】をリリース!来なサーイ!【古代の機械巨人】!」

クロノス 手札:2→1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械巨人 ★8 ATK3000

 

「【古代の機械巨人】…!」

 

あの男のエースモンスターの1体!ただ、あの男の手札はまだ1枚残っている。まだリバースカードは温存ね。

 

「ここで私は手札から魔法カード【古代の機械融合】を発動するノーネ!」

クロノス 手札:1→0枚。

 

【古代の機械融合】、確かデッキから融合素材を調達できる凶悪な魔法カード…!

 

けれど【古代の機械】の融合モンスターである【古代の機械魔神】では、この状況を突破するには難しいはず。一体、何を呼び出そうと…。

 

「私はフィールドの【古代の機械巨人】、デッキの【古代の機械巨人】、【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】を融合!来なサーイ!【古代の機械超巨人】!」

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械超巨人 ★9 ATK3300

 

【古代の機械超巨人】

融合・効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻3300/守3300

「アンティーク・ギア」モンスター×3

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):「古代の機械巨人」「古代の機械巨人-アルティメット・パウンド」の中から合計2体以上を素材として融合召喚したこのカードは、その数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

(3):融合召喚した表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。EXデッキから「古代の機械究極巨人」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「馬鹿な!?【古代の機械巨人】の進化体ですって!?そんなモンスター、今まで使用していなかったはず…!?」

 

「生徒相手にこのカードは使わないノーネ!【古代の機械超巨人】は融合素材とした【古代の機械巨人】、【古代の機械巨人-アルティメット・パウンド】の数だけ攻撃できるノーネ!」

 

「なっ!?攻撃力3300の三回攻撃!?」

 

「バトルなノーネ!【古代の機械超巨人】で…」

 

「私は、負けない!バトルフェイズ開始前にリバースカードオープン!罠カード【因果切断】発動!手札の【ヴァンパイア・ソーサラー】を墓地に送り、【古代の機械超巨人】を除外するわ!」

カミューラ 手札:1→0枚、伏せカード:1→0枚。

 

【因果切断】

通常罠

手札を1枚捨てて発動できる。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外する。

この効果によって除外したモンスターと同名のカードが相手の墓地に存在する場合、さらにその同名カードを全てゲームから除外する。

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

「甘いノーネ!相手の効果でフィールドから離れた【古代の機械超巨人】の効果発動ナノーネ!現れるノーネ!【古代の機械究極巨人】!!」

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械究極巨人 ★10 ATK4400

 

【古代の機械究極巨人】

融合・効果モンスター

星10/地属性/機械族/攻4400/守3400

「古代の機械巨人」+「アンティーク・ギア」モンスター×2

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(3):このカードが破壊された場合、自分の墓地の「古代の機械巨人」1体を対象として発動できる。そのモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「攻撃力…4400!?」

 

「覚悟するノーネ!【古代の機械究極巨人】で【終焉の守護者アドレウス】に攻撃ナノーネ!」

 

古代の機械究極巨人 ATK4400

vs

終焉の守護者アドレウス ATK2600 ※戦闘破壊。

 

「ぐあぁぁぁぁ!!」

カミューラ LP:3200→1400

 

「メインフェイズ2に移行!私はこれでターンエンドなノーネ!」

 

 

◆クロノス・デ・メディチ LP:800、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<クロノスのフィールド>

古代の機械究極巨人 ★10 ATK4400

 

vs

 

◆カミューラ LP:1400、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<カミューラのフィールド>

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:0

 

 

「クロノス先生!」

 

「天上院!?」

 

「天上院君!?」

 

「遊城君!?万丈目君たちも!?」

 

デュエルも佳境に迫った頃、デュエルアカデミア本校者の方角から1人の女生徒が現れた。確か、天上院明日香というコナミやクロトの同級生だったはずだ。

 

「翔、無事か!?」

 

「お兄さん!?」

 

女生徒に続いて新たに男子生徒が1人現れる。あのイケメンは丸藤亮。学園でもカイザーと異名を持つ要注意人物の一人だ。

 

「「クロノス教諭!」」

 

更に現れた男子生徒2名は強力なカードの精霊を従えている。あのイケメンたちが影丸やアムナエルが言っていた天上院吹雪と藤原優介でしょうね。

 

クロノスだけでも厄介なのに、また厄介そうな子たちがやって来たわね…。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カミューラ 手札:0→1枚。

 

この時点でクロノスのフィールドに居るのは【古代の機械究極巨人】のみ。あちらには手札も伏せカードも墓地発動できるカードもない。残るはあの永続罠だけど…この手札なら何とかなるわね。

 

「私は墓地の【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動!【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】を墓地に送り、自身を特殊召喚!」

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアの使い魔 ★1 DEF0

 

「更に【ヴァンパイアの使い魔】の効果発動!500LPを払い、デッキから【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】を手札に加える!」

カミューラ LP:1400→900、手札:1→2枚。

 

「【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】!墓地には…【ヴァンパイア・ソーサラー】…!」

 

「流石はデュエルアカデミアの先生、このカードを知っているなんて博識ね?なら、この後の展開はもう分かっているのでしょう?」

 

「私は墓地の【ヴァンパイア・ソーサラー】を除外して効果発動!その効果によりリリースなしで【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】を召喚するわ!」

カミューラ 手札:2→1枚。

 

【ヴァンパイア・ソーサラー】

効果モンスター

星4/闇属性/アンデット族/攻1500/守1500

(1):このカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから闇属性の「ヴァンパイア」モンスター1体または「ヴァンパイア」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。このターンに1度だけ、自分はレベル5以上の闇属性の「ヴァンパイア」モンスターを召喚する場合に必要なリリースをなくす事ができる。

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアの使い魔 ★1 DEF0

ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア ★7 ATK2000

 

【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】

効果モンスター

星7/闇属性/アンデット族/攻2000/守2000

(1):このカードが召喚に成功した時、または自分フィールドに「ヴァンパイア」モンスターが召喚された時に、このカードより攻撃力が高い相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(3):このカードの効果で装備カードを装備したこのカードが墓地へ送られた場合に発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。

 

「私は【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】の効果発動!【古代の機械究極巨人】をこのモンスターの装備カードとする!」

 

<クロノスのフィールド>

モンスター無し

 

<カミューラのフィールド>

ヴァンパイアの使い魔 ★1 DEF0

ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア ★7 ATK2000→6400 ※【古代の機械究極巨人】装備。

 

「攻撃力…6400」

 

「止めよ!【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】でダイレクトアタック!」

 

「まだ終わりじゃないノーネ!【古代の機械蘇生】の効果発動ナノーネ!墓地より【古代の機械飛竜】を守備表示で特殊召喚します―ノ!」

 

「いいえ、これで終わりよ!手札から【D.D.クロウ】を捨てて効果発動!【古代の機械飛竜】を除外するわ!」

カミューラ 手札:1→0枚。

 

【D.D.クロウ】

効果モンスター

星1/闇属性/鳥獣族/攻 100/守 100

(1):このカードを手札から墓地へ捨て、相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

チェーン②D.D.クロウ

チェーン①古代の機械蘇生 ※対象を失い、不発。

 

「…」

 

己の敗北を察したのか、クロノスは背後にいる生徒たちに話しかけ始めた。

 

「諸君、よく見ておくノーネ。そして約束するノーネ。例え闇のデュエルに敗れたとしても、闇は光を凌駕出来ない。そう信じて、決して心を折らぬこと。私と約束してくだサーイ?」

 

「「「クロノス先生…」」」

 

自身の最後を悟り、後に残る者たちに言葉を託す、か。懐かしくも苦い記憶を思い出させてくれるわね。

 

「…最後の授業は終わったのかしら?」

 

「いつでも来いなノーネ!」

 

「これでチェックメイトよ!【ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア】でダイレクトアタック!」

 

ヴァンプ・オブ・ヴァンパイア ATK6400

 

「ボーイ…!光の…デュエルを…!」

クロノス LP:800→0

 

 

クロノスは赤服の少年にそう言い残した後、ついに力尽きて地面に倒れ込んだ。

 

「くっ、ようやく終わったわね…」

 

足元がおぼつかない。闇のデュエルでLPを消耗しすぎたわ…。

 

タイタンとの連戦でこれほどの力を発揮して来るとは…彼が万全の状態であれば危なかったでしょうね…。

 

~~~

 

<明日香視点>

 

【古代の機械巨人】の姿を見た私たちがクロノス先生の元へ駆けつけると、クロノス先生と緑髪の美女が対峙してデュエルをしていた。

 

以前にクロノス先生から聞いていた特徴と一致することから、あの女性がセブンスターズの1人、ヴァンパイアのカミューラなのだろう。

 

そして、カミューラが従える銀の髪を持つヴァンパイアの攻撃を受け、クロノス先生がカミューラに敗北して地に伏した。

 

「クロノス…教諭」

 

「格好良かったぜ、クロノス先生」

 

普段はクロノス先生のことを呼び捨てにしていた万丈目君も、最近はクロノス先生と仲が良かった遊城君もクロノス先生のデュエルを最後まで見届けていた。

 

「これで2つ。他の連中のと合わせて5つか」

 

カミューラがクロノス先生に向けて手をかざすと、クロノス先生が首にかけていた首飾りが微かな光を放ち、消える。そしてカミューラが人形をクロノス先生に近付けると、クロノス先生の体がゆっくりと消えていき、カミューラが持つ人形がクロノス先生そっくりの形になる。

 

「約束通り、彼の魂は私が頂くわ」

 

「クロノス先生が人形に!?」

 

「あわわわわ…これが、闇のデュエル。怖いんだナァ…」

 

彼女がクロノス先生を人形に変えたすぐ後に、島の周囲で新たな光の柱が出現するが、この場に居る誰もがカミューラの存在感に気を取られ、そちらを気にする余裕は無かった。

 

「でもこの人形、私の好みじゃないわね。コナミ、あげるわ。受け取りなさい」

 

ポイッ。

 

「うぉっと!…はい、万丈目。持ってて」

 

「あぁ…って何故オレに渡す!?」

 

カミューラはクロノス先生の人形を赤羽君に投げ渡すが、その赤羽君は何故か隣にいた万丈目君に人形を渡した。

 

「やっと見つけたぞ、カミューラ」

 

「あら?アビドス。遅かったわね」

 

「首尾は?」

 

「こちらはもう終わったわ。次に行きましょう?」

 

「うむ」

 

赤羽君にクロノス先生の人形を投げ渡してその場を立ち去ろうとしていたカミューラに、何処からか現れた古代エジプト風の衣装を纏う少年が話しかけていた。彼の少し後ろには彼の部下と思われる人々が立っている。恐らく彼もセブンスターズの1人なのだろう。

 

「アビドス3世だって!?」

 

「知っているのかい、藤原?」

 

「あぁ、アビドス3世と言えば、古代エジプトで千年もの間、無敗を誇った『デュエルの神』と呼ばれた少年王だ」

 

「生涯無敗の王か。本物なのだろうか」

 

兄さんの友人の藤原さんはカミューラの隣にいる少年に心当たりがあるようで、兄さんと亮はその話に耳を傾けていた。

 

「それじゃあね。コナミ」

 

そうこうしているうちにカミューラ達は言葉を離れようとしていた、このままだとカミューラたちは次の鍵の守護者を狙いに行ってしまうだろう。

 

止めなければ…!

 

そう心の中で思うのだが、情けないことに体が動いてくれない。目の前で知り合いが人形にされてしまった瞬間を見てしまい、私は二の足を踏みだせないでいた。

 

「待てカミューラ!クロノス先生を元に戻す方法を教えろ!」

 

そんな時、誰よりも早くカミューラを止めたのが遊城君だった。最近の彼はクロノス先生と仲が良かった。私達よりもよほど思うところがあったのだろう。

 

「元気な子供ね。彼を元に戻す方法?そうねぇ…私を闇のデュエルで倒すことかしら?」

 

「なら、今度はオレとデュエルだ!カミューラ!」

 

「兄貴!?」

 

「じゅ、十代!駄目なんだナァ!相手はクロノス先生も勝てなかった相手なんだナァ!」

 

遊城君が彼の友人2人に止められるのも気にせず、カミューラにデュエルを挑もうとして彼女と対峙している。

 

そんな危険なことはさせられないと彼と止めようとした矢先、私の行動よりも早く反応した少年が居た。

 

「なら、オレと十代のタッグで、カミューラとそっちの奴とのタッグデュエルだな!」

 

赤羽君はいつの間にか遊城君の横に立ち、デュエルディスクを構えていた。彼の表情には恐怖の感情は見えない。むしろデュエル出来ることに歓喜して異様にすら見える。

 

「嫌よ。私は貴方たちとデュエルする理由が…」

 

「待てカミューラ。あの少年の胸元を見てみよ」

 

「えっ?あれって七星門の鍵?何で学生が…まぁいいわ。七星門の鍵を持っているのなら相手をしてあげましょう。アビドス、良いわね?」

 

「無論だ」

 

「よし、行くぞ十代!」

 

「あぁ、もちろんだコナミ!先生の敵!オレ達で取ってやろうぜ!」

 

私たちがただ見守るしか出来ない中、遊城君たちとセブンスターズの2人とのデュエルが始まろうとしていた…。




タイタンとの連戦でカミューラとも闇のデュエル。サッカーやバスケの試合を休みなしで連戦するようなものです。クロノス先生はタフですね。

クロノス先生のデッキは【古代の機械】です。前回に引き続いての登場なので前回と特に変化はありません。リアクター君を出したかった…。

カミューラのデッキは【ヴァンパイア】です。ランク5、ランク6のエクシーズ召喚を多用できる相手モンスターのコントロール奪取が得意なデッキです。

次回の更新は5/1(土) AM6:00予定です。

Skazka Priskazka様、蟹の見習い様、誤記報告及びデュエル展開ミスのご指摘を頂きましてありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十五話 セブンスターズ侵攻6

前回のあらすじ:例え闇のデュエルに敗れたとしても闇は光を凌駕できない。

前回とは場所が変わり、今回の対戦カードは響みどり先生(強化済)とセブンスターズの首領・サルーグです。

時系列的には、クロノスvsタイタン戦~クロノスvsカミューラ戦と同時刻の話となっています。


<ツァン視点>

 

学園からの帰り道の途中、白河の胸元が光り出したと思ったら、突然何処かへ行ってしまった。

 

アイツの奇行は今に始まったことじゃないのであまり気にせずに紫と一緒にブルー女子寮へ戻ると、寮の前で鮎川先生と響先生が何やら慌てた様子で話をしていた。

 

「鮎川先生、響先生。こんばんわ」

 

「鮎川先生、響先生。お勤めお疲れ様です。慌ただしいご様子でしたが、何かあったのでしょうか?」

 

「あぁ!2人とも無事だったのね!」

 

「良かったわ。これで後は天上院さんだけね」

 

「「無事?」」

 

鮎川先生と響先生はボク達2人の顔を見るなりそう言ったのだが、その意図がよく分からない。

 

響先生はこちらの様子を少し確認して安堵の表情を浮かべた後、すぐに張り詰めた表情で戻ってまた周囲を警戒を再開した。

 

一体、どういうことなのだろうか?

 

「実は、以前に発表があったセブンスターズが現れたそうなのよ」

 

「えぇっ!?」

 

「しかも、島の各地でミイラが現れて生徒たちを襲っている、なんて情報も出てきているの」

 

「ミイラ…で御座いますか?」

 

「信じられないかも知れないけどね」

 

島の各地で生徒が襲われている?じゃあ、もしかしてボクたちと別れた白河も…。

 

「ツァンちゃん、先ほど白河様のPDAに通話を試みましたが、繋がらないようです…」

 

「大丈夫よ紫。アイツがミイラなんかに負けるわけないから」

 

アイツは中学時代、町中で絡んできた不良学生10人を1人で3分と掛からずに無傷で全員倒した挙句、全員を素っ裸にして公園の砂場に首だけ残して埋めるような男だ。

 

正直、アイツがミイラに襲われてやられている姿が想像できない。

 

「でも、一応メッセージだけは送っておこう。友達だからね」

 

「はい」

 

ボクたちが白河にメッセージを送り終えてブルー女子寮へ入ろうとした時、島のあちこちから空に届くくらいに巨大な光の柱が1本、また1本と出現し始めた。

 

「えっ?なに、あれ?」

 

「なんでしょう?」

 

光の柱を見た響先生は何かに気付いたように自身のPDAでどこかに連絡を取っている。

 

鮎川先生は、光の柱を見て寮内から出てこようとしている女子生徒たちを抑えて彼女たちが外に出ないようにしているようだ。

 

光の柱が4本となり、ボクたちがしばらくその光景に見とれていると、寮の前にある湖の対岸から一隻のボートがやって来た。

 

「狭いぞミーナ…」

 

「お頭、やっぱり一隻のボートに5人が乗るのは無理がありましたわね…」

 

「ゴーグ、チックを肩車したらどうだ?」

 

「良い案だ。流石クリフだ」

 

「お、おお~っ!オイラ大きくなったみたいだ~!」

 

ボートには黒いタンクトップに赤いズボンと言う装束で統一された5人組が乗っており、転覆しそうになりながらもなんとか船着場までやって来た。

 

「そこに居る赤服のお前、鍵の守護者だな?」

 

「ええ。そう言う貴方たちはセブンスターズかしら?」

 

「セブンスターズ!?」

 

船から降りてきた5人組のリーダー格と思われる眼帯を付けた白髪の男性が響先生を鍵の守護者と呼び、響先生がその彼をセブンスターズと呼んだ。

 

鮎川先生は彼らとボクたちの間に入り、彼らの様子を窺っている。

 

「私の名はザルーグ。首領・ザルーグだ。お前に恨みはないが、その鍵を頂かせて貰うぜ?」

 

「「「「「それが、黒蠍盗掘団!」」」」」

 

そう叫ぶと同時に彼ら5人は決めポーズに入った。これが危険な不審者なの?

 

「嫌だと言ったら?」

 

「闇のデュエルで決着をつけるしかねぇなぁ!」

 

響先生と黒蠍盗掘団と名乗る集団のリーダーである首領・ザルーグがデュエルディスクを構えて対峙し、残りの4人はザルーグの後ろで控えている。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆響みどり LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆首領・ザルーグ LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰うぜ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ザルーグ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドローして手札の【黒蠍-棘のミーネ】を除外だ!」

ザルーグ 手札:6→5→7→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから私自身【首領・ザルーグ】を手札に加えるぜ!」

ザルーグ 手札:6→5→6枚。

 

「更に私は手札から私自身、【首領・ザルーグ】を召喚するぜ!」

ザルーグ 手札:6→5枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

 

【首領・ザルーグ】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1500

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●相手の手札をランダムに1枚捨てる。

●相手のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

自分自身をフィールドに召喚した!?どういうことなの!?まるで意味が分からない!

 

「ここで私は手札から魔法カード【黒蠍団召集】を発動!手札の【黒蠍-罠はずしのクリフ】と【黒蠍-逃げ足のチック】を特殊召喚だ!」

ザルーグ 手札:5→4→2枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

黒蠍-罠はずしのクリフ ★3 ATK1200

黒蠍-逃げ足のチック ★3 ATK1000

 

【黒蠍-罠はずしのクリフ】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻1200/守1000

このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●フィールド上の魔法または罠カード1枚を破壊する。

●相手のデッキの上から2枚を墓地に送る。

 

【黒蠍-逃げ足のチック】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻1000/守1000

このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●フィールド上のカード1枚を持ち主の手札に戻す。

●相手のデッキの一番上のカードを1枚めくる(相手は確認する事はできない)。そのカードをデッキの一番上か一番下かを選択して戻す。

 

「2人とも!準備は良いな!」

 

「「もちろんでさぁ、お頭!」」

 

「私はレベル3【黒蠍-罠はずしのクリフ】と【黒蠍-逃げ足のチック】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来な!【虚空海竜リヴァイエール】!」

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:2

 

【虚空海竜リヴァイエール】

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/風属性/水族/攻1800/守1600

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、除外されている自分または相手のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「私は【虚空海竜リヴァイエール】のORUを1つ取り除き、除外されている【黒蠍-棘のミーネ】を特殊召喚だぜ!」

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:2→1

 

※【黒蠍-逃げ足のチック】が墓地に送られる。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

黒蠍-棘のミーネ ★4 DEF1800

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:1

 

【黒蠍-棘のミーネ】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1800

このカードが相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●「黒蠍」という名のついたカードを自分のデッキから1枚手札に加える。

●「黒蠍」という名のついたカードを自分の墓地から1枚手札に加える。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

ザルーグ 手札:2→1枚。

 

 

◆響みどり LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆首領・ザルーグ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

黒蠍-棘のミーネ ★4 DEF1800

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:1

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

響みどり 手札:5→6枚。

 

「ミーネ、頼めるか?」

 

「お頭の勝利の為ならば、この命など惜しくはないわ!」

 

何でちょっと泣かせるような展開になってるのよ…。

 

「その意気や良し!リバースカードオープン!罠カード【死のデッキ破壊ウィルス】発動!」

首領・ザルーグ 伏せカード:1→0枚。

 

【死のデッキ破壊ウィルス】

通常罠

(1):自分フィールドの攻撃力1000以下の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。

相手フィールドのモンスター及び相手の手札を全て確認し、その内の攻撃力1500以上のモンスターを全て破壊する。

その後、相手はデッキから攻撃力1500以上のモンスターを3体まで選んで破壊できる。

このカードの発動後、次のターンの終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。

 

「私は【黒蠍-棘のミーネ】をリリースする!さぁ、お前の手札のモンスターは破壊されるぜ!」

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:1

 

「私の手札で条件に当てはまるのは、【堕天使スペルビア】ね。このカードを墓地に送るわ」

響みどり 手札:6→5枚。

 

「そしてデッキから【堕天使ゼラート】、【堕天使テスカトリポカ】、【堕天使ルシフェル】を破壊して墓地に送るわ」

 

【死のデッキ破壊ウィルス】かぁ~。エラッタ前はかなり強かったんだけどねぇ。今の効果だと、逆に墓地肥やしに利用されちゃうよね…。

 

「私は手札から魔法カード【堕天使の追放】を発動!デッキから【堕天使イシュタム】を手札に加える!」

響みどり 手札:6→5→6枚。

 

【堕天使の追放】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「堕天使の追放」以外の「堕天使」カード1枚を手札に加える。

 

「私は手札から【堕天使イシュタム】の効果発動!手札からこのカードと【背徳の堕天使】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

響みどり 手札:6→4→6枚。

 

【堕天使イシュタム】

効果モンスター

星10/闇属性/天使族/攻2500/守2900

自分は「堕天使イシュタム」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「私は手札から魔法カード【名推理】を発動!さぁ、レベルを選びなさい!」

響みどり 手札:6→5枚。

 

【名推理】

通常魔法

(1):相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。

通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。

違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

「このカードはカミューラの奴に聞いたことがあったな…。私が選ぶレベルは8だ!」

 

「ではデッキをめくって確認して見ましょう?…最初に出たモンスターは【悦楽の堕天使】。レベル4のモンスターね」

 

<響みどりがデッキからめくったカード>

①堕天使の戒壇

②叛逆の堕天使

③魅惑の堕天使

④悦楽の堕天使

 

「ちっ、外れかよ。警視庁のマグレ警部も本格的に引退だなコリャ」

 

【堕天使】デッキはメインデッキ内のモンスターのレベルがバラバラだって前に白河が言ってたけど…それ以前に罠カードが多いんだね。

 

「【名推理】の効果により【悦楽の堕天使】は特殊召喚され、残りのカードは墓地に送られるわ!」

 

<響みどりのフィールド>

悦楽の堕天使 ★4 ATK1600

 

【悦楽の堕天使】

効果モンスター

星4/闇属性/天使族/攻1600/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

手札・デッキから「悦楽の堕天使」以外の、レベルが異なる「堕天使」モンスター2体を選び、その内の1体を相手フィールドに守備表示で特殊召喚し、もう1体を自分の手札に加える。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は天使族以外のモンスターの効果を発動できない。

 

「【悦楽の堕天使】の効果発動!デッキからそちらのフィールドにレベル4【享楽の堕天使】を特殊召喚し、私の手札にレベル6【堕天使アムドゥシアス】を加える!」

響みどり 手札:5→6枚。

 

【享楽の堕天使】

効果モンスター

星4/闇属性/天使族/攻 0/守1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。天使族モンスター1体を表側表示でアドバンス召喚する。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。

相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、フィールドの天使族モンスターの数×500ダウンする。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

首領・ザルーグ ★4 ATK1400

虚空海竜リヴァイエール ☆3 ATK1800 ORU:1

享楽の堕天使 ★4 ATK0

 

「天使族なんて私のデッキには居ねーよ」

 

「私は手札の【堕天使アムドゥシアス】の効果発動!このカードと【堕天使降臨】を墓地に送り、墓地から【堕天使ルシフェル】を手札に加える!」

響みどり 手札:6→4→5枚。

 

【堕天使アムドゥシアス】

効果モンスター

星6/闇属性/天使族/攻1800/守2800

自分は「堕天使アムドゥシアス」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、

その(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨て、自分の墓地の「堕天使」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。

その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「私は手札から魔法カード【堕天使の戒壇】を発動!墓地の【堕天使スペルビア】を特殊召喚する!」

響みどり 手札:5→4枚。

 

<響みどりのフィールド>

悦楽の堕天使 ★4 ATK1600

堕天使スペルビア ★8 DEF2400

 

【堕天使スペルビア】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻2900/守2400

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。

その天使族モンスターを特殊召喚する。

 

「私は【堕天使スペルビア】の効果を発動!墓地の【堕天使テスカトリポカ】を特殊召喚する!」

 

<響みどりのフィールド>

悦楽の堕天使 ★4 ATK1600

堕天使スペルビア ★8 DEF2400

堕天使テスカトリポカ ★9 ATK2800

 

【堕天使テスカトリポカ】

効果モンスター

星9/闇属性/天使族/攻2800/守2100

自分は「堕天使テスカトリポカ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「堕天使」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに手札のこのカードを捨てる事ができる。

(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。

その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「私は【堕天使テスカトリポカ】の効果を発動!1000LPを払い、墓地の【堕天使の戒壇】の効果を適用して墓地から【堕天使ゼラート】特殊召喚する!」

響みどり LP:4000→3000

 

※効果適用後、【堕天使の戒壇】1枚はデッキに戻る。

 

<響みどりのフィールド>

悦楽の堕天使 ★4 ATK1600

堕天使スペルビア ★8 DEF2400

堕天使テスカトリポカ ★9 ATK2800

堕天使ゼラート ★8 DEF2300

 

【堕天使ゼラート】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻2800/守2300

自分の墓地に闇属性モンスターが4種類以上存在する場合、このカードは闇属性モンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。

(1):手札から闇属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

(2):このカードの(1)の効果を発動したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

 

墓地の、しかもターン1制限のある魔法・罠カードをLPを引き換えに発動させるなんて…!

 

「気が付けば相手フィールドにモンスターが3体も増えてやがる!?一体、何が起こっていやがるんだ…!?」

 

「私は【悦楽の堕天使】と【堕天使スペルビア】をリリース!手札から【堕天使ルシフェル】をアドバンス召喚するわ!」

響みどり 手札:4→3枚。

 

<響みどりのフィールド>

堕天使テスカトリポカ ★9 ATK2800

堕天使ゼラート ★8 DEF2300

堕天使ルシフェル ★11 ATK3000

 

【堕天使ルシフェル】

効果モンスター

星11/闇属性/天使族/攻3000/守3000

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの効果モンスターの数まで、手札・デッキから「堕天使」モンスターを特殊召喚する。

(2):自分フィールドに他の「堕天使」モンスターが存在する限り、相手はこのカードを効果の対象にできない。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

フィールドの「堕天使」モンスターの数だけ、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。

自分はこの効果で墓地へ送った「堕天使」カードの数×500LP回復する。

 

「【堕天使ルシフェル】の効果発動!デッキから【堕天使ネルガル】と【堕天使マスティマ】を特殊召喚するわ!」

 

<響みどりのフィールド>

堕天使テスカトリポカ ★9 ATK2800

堕天使ゼラート ★8 DEF2300

堕天使ルシフェル ★11 ATK3000

堕天使ネルガル ★8 ATK2700

堕天使マスティマ ★7 ATK2600

 

【堕天使ネルガル】

効果モンスター

星8/闇属性/天使族/攻2700/守2500

自分は「堕天使ネルガル」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の天使族モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。

その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

【堕天使マスティマ】

効果モンスター

星7/闇属性/天使族/攻2600/守2600

自分は「堕天使マスティマ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、

その(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカード以外の「堕天使」カード2枚を捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。

その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

デッキから最上級モンスターをリクルート!?

 

「最上級モンスターがフィールドに5体並んだ…!?」

 

「私は【堕天使ネルガル】の効果を発動!1000LPを払い、墓地の【堕天使の追放】の効果を適用してデッキから【堕天使アスモディウス】を手札に加える!」

響みどり LP:3000→2000、手札:4→5枚。

 

※効果適用後、【堕天使の追放】1枚はデッキに戻る。

 

「【堕天使ルシフェル】の効果発動!デッキから5枚墓地に送る!…堕天使カードは3枚!よって1500LPを回復するわ!」

響みどり LP:2000→3500

 

<響みどりがデッキから墓地に送ったカード>

①堕天使ディザイア

②失楽の魔女

③トレード・イン

④背徳の堕天使

⑤神属の堕天使

 

「私は【堕天使ゼラート】の効果発動!手札の【堕天使ユコバック】を墓地に送り、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

響みどり 手札:5→4枚。

 

<首領・ザルーグのフィールド>

モンスター無し

 

「私のフィールドのモンスターが…全…滅…だと?」

 

酷い…これって後攻1ターン目だよね?何で最上級モンスターがフィールドを埋め尽くしているの?

 

「バトルよ!【堕天使マスティマ】でダイレクトアタック!」

 

堕天使マスティマ ATK2600

 

「ぐわぁぁぁっ!」

首領・ザルーグ LP:4000→1400

 

「トドメよ!【堕天使マスティマ】でダイレクトアタック!」

 

堕天使ネルガル ★8 ATK2700

 

「ぬわぁぁぁっ!」

首領・ザルーグ LP:1400→0

 

 

「私の勝ちね」

 

「こ、これが本物のデュエルなのか…無念」

 

 

デュエルが終わると黒蠍盗掘団たちの体が光り始めた。今度はなんなの?

 

「すまん、皆…」

 

「「「「お頭~!」」」」

 

白い光が彼らを包み込み、光が収まるとそこにはデュエルモンスターズのカードが5枚と、首領・ザルーグが付けていた金の眼帯が落ちていた。

 

「に、人間がカードになったの!?」

 

「恐らく違うわよ、ツァンさん。元々がカードの精霊だったのよ」

 

響先生が5枚のカードと眼帯を拾い集めながらそう答えると、島の近くの海からまた新たな光の柱が出現した。

 

「これで5本目…。クロノス臨時校長か、大徳寺先生が敗れたのね」

 

「響先生、大丈夫ですか?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ鮎川先生」

 

響先生が言ったセリフは小声で聞き取れなかったが、あまり良い状況ではなさそうだ。

 

「さぁ、ツァンさんたちも早く寮へ避難しなさい」

 

「響先生たちはこれからどうするんですか?」

 

「ここは鮎川先生に任せて、私はこれから本校舎に向かって倫理委員会と情報交換するつもりよ」

 

「不審者たちに関しては響先生やクロノス臨時校長に任せておけば大丈夫よ。私もここに残るし、ブルー寮で戸締りしておけば安心だからね」

 

そう言い残して響先生は本校舎に向けて歩き始め、鮎川先生はブルー女子寮から出ようとしていた女生徒たちを諫めて寮へと誘導し始めていた。

 

「ツァンちゃん、白河様から返信が来ていますよ。どうやらあの方も無事なようですね」

 

「そっか!良かった!…じゃなくて、人にこんなに心配をかけるなんて、今度会ったら文句を言ってやらないと!」

 

「ふふっ、そうですね」

 

ボクたちは白河から返ってきていた返信に安堵しながらも、今度白河にあったらどんな文句を言ってやろうか話しながらブルー女子寮へと戻っていった…。




漫画版GXの最強格である響先生(堕天使新規カードフル投入)相手に、デュエル歴数か月の首領・ザルーグが勝てるわけがなかったんや…。

響先生のデッキは【堕天使】です。以前と比べて新規堕天使モンスターと専用サポートが山ほど増えています。専用サーチカード&蘇生カードを使って堕天使を展開し、LPを消費して墓地の魔法・罠をもう一度使用することで相手を切り崩していく凶悪なデッキとなっています。

ザルーグのデッキは【黒蠍】です。以前とは違い、ジャックポット1キルを狙うデッキではなく、シンプルなビートダウンデッキです。

次回の更新は5/1(土) AM7:00予定です。

戦車様、必殺雷撃人様、赤き甲羅様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十六話 セブンスターズ侵攻7

前回のあらすじ:堕天使の行進

今回の対戦カードは十代&コナミとセブンスターズの2人です。

時系列的には、クロトがダークネス鮫島を撃破後&響先生が首領・ザルーグを撃破後です。


<亮視点>

 

クロノス臨時校長がカミューラと名乗るセブンスターズの女に敗北して人形にされてしまった後、恐らくセブンスターズと思われるアビドスと呼ばれた少年が彼女に合流した。

 

その二人に対し、翔の友人である遊城十代と赤羽コナミの二人がタッグ戦を挑もうとしていた。

 

「うん?通話が…ちょっと待ってて。…クロトか。おっす」

 

『良し、通じたな。コナミ。今お前は何処に…』

 

「あー、悪いけど今から人形にされたクロノスの敵討ちの為に十代と一緒にカミューラたちとタッグ戦を始めるから忙しいんだよね」

 

『えっ?』

 

「そういうわけだから、後にしてくれ。じゃっ!」

 

『ちょ…おま』

 

プツン。

 

「待たせたね。じゃあ始めようか」

 

彼のPDAからはクロトの声が聞こえたような気がしたが、赤羽によってアッサリ通話は切られてしまい、本体の電源も落とされてしまったようだ。

 

「ユベル、ネオス、ハネクリボー、そしてもう一人のオレ。力を貸してくれ…!」

 

遊城は誰も居ない空間に話しかけている。そして、その少し後に彼の雰囲気が少し変わった気がした。

 

「気配が…変わった!?」

 

「アビドス、あっちも油断ならない相手みたいだから、油断しないでよ?」

 

「無論だ」

 

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆十代&コナミ LP:8000

十代 手札:5枚。

コナミ 手札:5枚。

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:8000

カミューラ 手札:5枚。

アビドス 手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰うわ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

カミューラ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動するわ!デッキから2ドローして、手札の【ヴァンパイア・ロード】を除外する!」

カミューラ 手札:6→5→7→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【簡易融合】を発動するわ!1000LPを払い、EXデッキから【テセウスの魔棲物】を特殊召喚する!」

カミューラ 手札:6→5枚。

セブンスターズ LP:8000→7000

 

<セブンスターズのフィールド>

テセウスの魔棲物 ★5 DEF1800

 

【テセウスの魔棲物】

融合・チューナーモンスター

星5/水属性/アンデット族/攻2200/守1800

チューナー×2

 

「私は【テセウスの魔棲物】をリリース!【シャドウ・ヴァンパイア】をアドバンス召喚する!」

カミューラ 手札:5→4枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

 

「【シャドウ・ヴァンパイア】の効果発動!デッキから【カース・オブ・ヴァンパイア】を特殊召喚する!」

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

 

【カース・オブ・ヴァンパイア】

効果モンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻2000/守 800

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、500ライフポイントを払って発動できる。

次のターンのスタンバイフェイズ時に、このカードを墓地から特殊召喚する。

また、この効果によって特殊召喚に成功した時に発動する。このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドよ!」

カミューラ 手札:4→2枚。

 

 

◆十代&コナミ LP:8000

十代 手札:5枚。

コナミ 手札:5枚。

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:7000、伏せカード:2枚。

カミューラ 手札:2枚。

アビドス 手札:5枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!デッキから【E・HERO エッジマン】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

【E-エマージェンシーコール】

通常魔法

(1):デッキから「E・HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の…!」

十代 手札:6→5枚。

 

「リバースカードオープン!カウンター罠【ヴァンパイアの支配】発動!【融合】を無効にして破壊するわ!」

セブンスターズ 伏せカード:2→1枚。

 

チェーン②ヴァンパイアの支配

チェーン①融合 ※無効にして破壊。

 

「くっ!なら魔法カード【七星の宝刀】発動!手札の【E・HERO エッジマン】を除外してデッキから2ドロー!」

十代 手札:5→4→3→5枚。

 

「そして魔法カード【増援】発動!デッキから【E・HERO キャプテン・ゴールド】を手札に加える!」

十代 手札:5→4→5枚。

 

「更に【E・HERO キャプテン・ゴールド】の効果発動!このカードを墓地に送り、デッキから【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を手札に加える!」

十代 手札:5→4→5枚。

 

「行くぜ!フィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を発動する!」

十代 手札:5→4枚。

十代&コナミ フィールド魔法:0→1枚。

 

【摩天楼 -スカイスクレイパー-】

フィールド魔法

(1):「E・HERO」モンスターの攻撃力は、その攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するダメージ計算時のみ1000アップする。

 

「オレは手札から【E・HERO スパークマン】を召喚!」

十代 手札:4→3枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO スパークマン ★4 ATK1600

 

【E・HERO スパークマン】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。

 

「バトルだ!【E・HERO スパークマン】で【シャドウ・ヴァンパイア】を攻撃!スパークフラッシュ!」

 

E・HERO スパークマン ATK1600→2600 ※スカイスクレイパーでの強化。

vs

シャドウ・ヴァンパイア ATK2000

 

「リバースカードオープン!罠カード【妖かしの紅月】発動!」

セブンスターズ 伏せカード:1→0枚。

 

「手札の【竜血公ヴァンパイア】を墓地に送り、スパークマンの攻撃力1600LP回復してバトルフェイズを終了させる!」

カミューラ 手札:2→1枚。

セブンスターズ LP:7000→8600

 

【妖かしの紅月】※アニメオリジナルカード

通常罠

相手フィールド上のモンスターの攻撃宣言時、手札のアンデット族モンスターを1枚捨てて発動する。

そのモンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力の数値分、自分のライフを回復する。

その後、バトルフェイズを終了する。

 

「ならメインフェイズ2か。オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

十代 手札:3→1枚。

 

 

◆十代&コナミ LP:8000、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

十代 手札:1枚。

コナミ 手札:5枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO スパークマン ★4 ATK1600

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:8600、伏せカード:0枚。

カミューラ 手札:1枚。

アビドス 手札:5枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

 

 

「余のターンだ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アビドス 手札:5→6枚。

 

「余は手札から速攻魔法【サイクロン】を発動!そちらの伏せカード1枚を破壊する!」

アビドス 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【融合準備】発動!」

十代&コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【融合準備】

通常罠

(1):EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、

そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから手札に加える。

その後、自分の墓地の「融合」1枚を選んで手札に加える事ができる。

 

チェーン②融合準備

チェーン①サイクロン ※対象を失い、不発。

 

「EXデッキの【E・HERO ネオス・ナイト】を公開してデッキから【E・HERO ネオス】と自分の墓地の【融合】を手札に加えるぜ!」

十代 手札:1→2→3枚。

 

「む、躱されてしまったか。ならば余は手札から【ゴブリンゾンビ】を召喚!」

アビドス 手札:5→4枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

ゴブリンゾンビ ★4 ATK1100

 

【ゴブリンゾンビ】

効果モンスター

星4/闇属性/アンデット族/攻1100/守1050

(1):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。相手のデッキの一番上のカードを墓地へ送る。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから守備力1200以下のアンデット族モンスター1体を手札に加える。

 

「そして余は手札から魔法カード【トランスターン】を発動!【ゴブリンゾンビ】を墓地に送り、デッキから【茫漠の死者】を特殊召喚する!」

アビドス 手札:4→3枚。

 

【トランスターン】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。

墓地のそのモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

茫漠の死者 ★5 ATK?→4000

 

【茫漠の死者】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0

(1):自分のLPが2000以下の場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。 このカードの攻撃力は相手のLPの半分の数値になる。

 

「攻撃力4000だって!?」

 

「おぉっ、結構強いな~」

 

「余は墓地の【ゴブリンゾンビ】の効果発動!デッキからをデッキから【死王リッチーロード】を手札に加える!」

アビドス 手札:3→4枚。

 

「バトル!【茫漠の死者】で【E・HERO スパークマン】を攻撃!」

 

茫漠の死者 ATK4000

vs

E・HERO スパークマン ATK1600 ※戦闘破壊。

 

「うわぁぁっ!」

十代&コナミ LP8000→5600

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスターなし

 

「追撃を行う!【カース・オブ・ヴァンパイア】でダイレクトアタック!」

 

「これ以上はさせないぜ!リバースカードオープン!罠カード【ヒーロー・シグナル】発動!デッキから【E・HERO クレイマン】を特殊召喚する!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【ヒーロー・シグナル】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。

手札・デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO クレイマン ★4 DEF2000

 

【E・HERO クレイマン】

通常モンスター

星4/地属性/戦士族/攻 800/守2000

粘土でできた頑丈な体を持つE・HERO。

体をはって、仲間のE・HEROを守り抜く。

 

「ふむ。ではメインフェイズ2に移行。余はカードを3枚セットしてターンエンド!」

アビドス 手札:4→1枚。

セブンスターズ 伏せカード:0→3枚。

 

 

◆十代&コナミ LP:5600、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

十代 手札:3枚。

コナミ 手札:5枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO クレイマン ★4 DEF2000

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:8600、伏せカード:2枚。

カミューラ 手札:1枚。

アビドス 手札:1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

シャドウ・ヴァンパイア ★5 ATK2000

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

茫漠の死者 ★5 ATK4000

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】を発動!【E・HERO クレイマン】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

コナミ 手札:6→5→7枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスターなし。

 

【馬の骨の対価】

通常魔法

(1):効果モンスター以外の自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

「オレは手札から【沼地の魔神王】の効果発動!このカードを手札から捨て、デッキから【融合】を手札に加える!」

コナミ 手札:7→6→7枚。

 

【沼地の魔神王】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 500/守1100

(1):このカードは、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。

(2):自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【予想GUY】を発動!デッキから【クィーンズ・ナイト】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:7→6枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

クィーンズ・ナイト ★4 ATK1500

 

【クィーンズ・ナイト】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600

しなやかな動きで敵を翻弄し、相手のスキを突いて素早い攻撃を繰り出す。

 

「オレは手札から【キングス・ナイト】を召喚する!」

コナミ 手札:6→5枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

クィーンズ・ナイト ★4 ATK1500

キングス・ナイト ★4 ATK1600

 

【キングス・ナイト】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

(1):自分フィールドに「クィーンズ・ナイト」が存在し、このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「ジャックス・ナイト」1体を特殊召喚する。

 

「オレは【キングス・ナイト】の効果発動!デッキから【ジャックス・ナイト】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

クィーンズ・ナイト ★4 ATK1500

キングス・ナイト ★4 ATK1600

ジャックス・ナイト ★5 ATK1900

 

【ジャックス・ナイト】

通常モンスター

星5/光属性/戦士族/攻1900/守1000

あらゆる剣術に精通した戦士。とても正義感が強く、弱き者を守るために闘っている。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

「【クィーンズ・ナイト】、【キングス・ナイト】、【ジャックス・ナイト】を融合!出でよ!天位の称号を持つ究極融合剣士!【アルカナ ナイトジョーカー】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

 

【アルカナ ナイトジョーカー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/戦士族/攻3800/守2500

「クィーンズ・ナイト」+「ジャックス・ナイト」+「キングス・ナイト」

このカードの融合召喚は上記カードでしか行えない。

(1):1ターンに1度、フィールドのこのカードを対象とする、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の手札を1枚捨てて発動できる。その効果を無効にする。

 

アレが伝説のデュエリスト武藤遊戯が使ったとされる絵札の三銃士の融合体!

 

「オレは手札から魔法カード【融合回収】を発動!墓地の【キングス・ナイト】と【融合】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→3→5枚。

 

【融合回収】

通常魔法

(1):自分の墓地の、「融合」1枚と融合召喚に使用した融合素材モンスター1体を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

「更にオレは手札から魔法カード【闇の量産工場】を発動!墓地の【クィーンズ・ナイト】、【ジャックス・ナイト】を手札に加える!」

コナミ 手札:5→4→6枚。

 

【闇の量産工場】

通常魔法

(1):自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!」

コナミ 手札:6→5枚。

 

「手札の【クィーンズ・ナイト】【ジャックス・ナイト】を融合!EXデッキから現れよ!【始祖竜ワイアーム】!」

コナミ 手札:5→3枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

始祖竜ワイアーム ★9 ATK2700

 

【始祖竜ワイアーム】

融合・効果モンスター

星9/闇属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

通常モンスター×2

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):「始祖竜ワイアーム」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、通常モンスター以外のモンスターとの戦闘では破壊されず、このカード以外のモンスターの効果を受けない。

 

「ここでオレは手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地のモンスター5体をデッキに戻してデッキから2ドロー!」

コナミ 手札:3→2→4枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<コナミがデッキに戻したカード>

①クィーンズ・ナイト

②ジャックス・ナイト

③沼地の魔神王

④E・HERO クレイマン

⑤E・HERO キャプテン・ゴールド

 

「オレは手札から【沼地の魔神王】の効果発動!このカードを手札から捨て、デッキから【置換融合】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→3→4枚。

 

「バトルだ!【アルカナ ナイトジョーカー】で【シャドウ・ヴァンパイア】を攻撃!」

 

アルカナ ナイトジョーカー ATK3800

vs

シャドウ・ヴァンパイア ATK2000 ※戦闘破壊。

 

「うぐっ!」

セブンスターズ LP8600→6800

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000

茫漠の死者 ★5 ATK4000

 

「追撃!【始祖竜ワイアーム】で【カース・オブ・ヴァンパイア】を攻撃!」

 

始祖竜ワイアーム ATK2700

vs

カース・オブ・ヴァンパイア ATK2000 ※戦闘破壊。

 

<セブンスターズのフィールド>

茫漠の死者 ★5 ATK4000

 

「ぐうっ!だが、ここで【カース・オブ・ヴァンパイア】の効果発動!500LPを払うことで、次のスタンバイフェイズに蘇る!」

セブンスターズ LP6800→6100→5600

 

「構わないさ。メインフェイズ2に移行!オレはレベル9【アルカナ ナイトジョーカー】と【始祖竜ワイアーム】でオーバーレイ!」

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク9!【幻子力空母エンタープラズニル】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

幻子力空母エンタープラズニル ☆9 ATK2900 ORU:2

 

【幻子力空母エンタープラズニル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/風属性/機械族/攻2900/守2500

レベル9モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドのカード1枚を選んで除外する。

●相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。

●相手の墓地のカード1枚を選んで除外する。

●相手のデッキの一番上のカードを除外する。

 

「オレは【幻子力空母エンタープラズニル】のORUを1つ取り除き、【茫漠の死者】を除外する!」

幻子力空母エンタープラズニル ☆9 ATK2900 ORU:2→1

 

「余の【茫漠の死者】がこうもあっさりと除去されるとは…!」

 

<セブンスターズのフィールド>

モンスター無し

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:4→2枚。

 

「エンドフェイズにリバースカードオープン!永続罠【第一の棺】発動!その効果によりデッキから【第二の棺】を出す!」

セブンスターズ 伏せカード:2→1枚。永続魔法:0→1枚、永続罠:0→1枚。

 

【第一の棺】

永続罠

相手ターンのエンドフェイズ毎に「第二の棺」「第三の棺」の順にカードを1枚手札またはデッキから自分フィールド上に表側表示で出す。

1枚でもフィールド上から離れると、これらのカードは全て墓地に送られる。

全てのカードが自分フィールド上に揃った時、これらのカードを全て墓地へ送り、手札またはデッキから「スピリッツ・オブ・ファラオ」1体を特殊召喚する。

 

【第二の棺】

永続魔法

このカードは「第一の棺」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

「ホントにそのカードを使うのね…」

 

「うむ。カミューラとのタッグであればきっと成功するだろう」

 

「アンタねぇ…」

 

 

◆十代&コナミ LP:5600、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

十代 手札:3枚。

コナミ 手札:2枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

幻子力空母エンタープラズニル ☆9 ATK2900 ORU:1

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:5600、伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

カミューラ 手札:1枚。

アビドス 手札:1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!」

カミューラ 手札:1→2枚。

 

「このタイミングでオレは手札から【増殖するG】を手札から墓地に送って効果を発動しておく!」

コナミ 手札:2→1枚。

 

【増殖するG】

効果モンスター

星2/地属性/昆虫族/攻 500/守 200

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。

(1):このカードを手札から墓地へ送って発動できる。このターン、以下の効果を適用する。

●相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない。

 

「ちょっ…うぉぉっ!?」

 

「ギャー!黒いアレがー!?」

 

「うわぁぁぁっ!?いっぱいなんだナァー!?」

 

「キャァァァ!」

 

「ゲゲェッ!?」

 

十代、翔、前田、明日香、万丈目があのカードのリアルさに悲鳴を上げ、吹雪と藤原は無言でオレの後ろに退避している。

 

人を盾代わりにしないで貰いたい。オレも冷静な表情を保ってはいるが、あまり好ましい光景ではないのだ。

 

「コナミ、なんてカードを使ってくるのよ!」

 

「なんだ?強くていいカードだろう?そう言えばクロトもこのカード使うと嫌そうな顔してたなぁ」

 

対戦相手のカミューラもかなり嫌そうな顔をしている。一方、当人の赤羽は特に気にしていないようだ。

 

クロトの場合は、見た目の嫌悪感と効果の凶悪さの2重の意味で嫌いなのだろう。

 

「コホン。そのままスタンバイフェイズに移行するわ。そしてこのタイミングで【カース・オブ・ヴァンパイア】が蘇生する!」

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2000→2500

 

「増Gの効果で1ドローだ」

コナミ 手札:1→2枚。

 

「メインフェイズへ移行!そしてリバースカードオープン!永続罠【闇次元の解放】発動!除外されている【ヴァンパイア・ロード】を特殊召喚するわ!」

セブンスターズ 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイア・ロード ★5 ATK2000

 

【ヴァンパイア・ロード】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻2000/守1500

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、カードの種類(モンスター・魔法・罠)を宣言する。

相手は宣言された種類のカード1枚をデッキから墓地へ送る。

また、このカードが相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。

 

「増Gの効果で1ドローだ」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「ターン1制限じゃないの?本当に嫌なカードね!」

 

「そう誉めるなよ。照れる♪」

 

「誉めてないわよ!【ヴァンパイア・ロード】を除外して手札から【ヴァンパイアジェネシス】を特殊召喚!」

カミューラ 手札:2→1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

 

【ヴァンパイアジェネシス】

効果モンスター

星8/闇属性/アンデット族/攻3000/守2100

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上に存在する「ヴァンパイア・ロード」1体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。

1ターンに1度、手札からアンデット族モンスター1体を墓地に捨てる事で、捨てたアンデット族モンスターよりレベルの低いアンデット族モンスター1体を自分の墓地から選択して特殊召喚する。

 

「増Gの効果で1ドローだ」

コナミ 手札:3→4枚。

 

「私は魔法カード【マジック・プランター】を発動!【闇次元の解放】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

カミューラ 手札:1→0→2枚。永続罠:1→0枚。

 

「私は永続魔法【ジェネシス・クライシス】を発動!効果によりデッキから【ヴァンパイア・フロイライン】を手札に加える!」

カミューラ 手札:2→1→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ジェネシス・クライシス】※アニメオリジナルカード

永続魔法

自分フィールド上に「ヴァンパイアジェネシス」が存在しない場合、このカードと自分フィールドのアンデット族モンスターを全て破壊する。

1ターンに1度、自分のデッキからアンデット族モンスター1体を手札に加える事ができる。

 

「バトルよ!【ヴァンパイアジェネシス】で【幻子力空母エンタープラズニル】に攻撃!ヘルビシャス・ブラッド!」

 

ヴァンパイアジェネシス ATK3000

vs

幻子力空母エンタープラズニル ATK2900

 

「ぐっ!」

十代&コナミ LP:5600→5500

 

「更に!【カース・オブ・ヴァンパイア】でダイレクトアタック!シャープスネイルブレード!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【リビングデッドの呼び声】発動!墓地の【アルカナ ナイトジョーカー】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

 

【リビングデッドの呼び声】

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

「そう簡単には通してくれないわよね。メインフェイズ2に移行!カードを1枚セットしてターンエンドよ!」

カミューラ 手札:2→1枚。

セブンスターズ 伏せカード:0→1枚。

 

 

◆十代&コナミ LP:5500、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

十代 手札:3枚。

コナミ 手札:4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:5600、伏せカード:1枚。永続魔法:2枚。永続罠:1枚。

カミューラ 手札:1枚。

アビドス 手札:1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:3→4枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【E・HERO ネオス】と【ユベル】を融合!来い!【E・HERO ネオス・クルーガー】!」

十代 手札:4→3→1枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

【E・HERO ネオス・クルーガー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/魔法使い族/攻3000/守2500

「E・HERO ネオス」+「ユベル」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。手札・デッキから「ネオス・ワイズマン」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

強力なモンスターだな。タッグ戦だからまだマシだが、シングル戦でのLP:4000制だとこのモンスター1体で勝敗が決まる可能性すらある。

 

「バトルだ!【E・HERO ネオス・クルーガー】で【ヴァンパイアジェネシス】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【聖なるバリア -ミラーフォース-】!発動!そちらのモンスターは全て破壊よ!」

セブンスターズ 伏せカード:1→0枚。

 

【聖なるバリア -ミラーフォース-】が発動された瞬間、遊城が赤羽をチラッと見た。

 

赤羽は微笑むだけだったが、遊城はその意図を理解したようにニヤリと笑っていた。

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

永続罠:1→0枚。

 

「だが、ここで【E・HERO ネオス・クルーガー】の効果が発動する!デッキから【ネオス・ワイズマン】を特殊召喚するぜ!」

 

<十代&コナミのフィールド>

ネオス・ワイズマン ★10 ATK3000

 

【ネオス・ワイズマン】

特殊召喚・効果モンスター

星10/光属性/魔法使い族/攻3000/守3000

このカードは通常召喚できない。

自分のモンスターゾーンの表側表示の、「E・HERO ネオス」と「ユベル」を1体ずつ墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):フィールドのこのカードは効果で破壊されない。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。その相手モンスターの守備力分だけ自分のLPを回復する。

 

「バトルフェイズは続いている!【ネオス・ワイズマン】で【ヴァンパイアジェネシス】を攻撃!アルティメット・ノヴァ!」

 

「攻撃宣言時!手札の【ヴァンパイア・フロイライン】を特殊召喚するわ!」

カミューラ 手札:1→0枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

 

【ヴァンパイア・フロイライン】

効果モンスター

星5/闇属性/アンデット族/攻 600/守2000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):モンスターの攻撃宣言時に発動できる。 このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。

(2):自分のアンデット族モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、100の倍数のLPを払って発動できる(最大3000まで)。その自分のモンスターの攻撃力・守備力はそのダメージ計算時のみ払った数値分アップする。

(3):このカードが戦闘でモンスターを破壊したバトルフェイズ終了時に発動できる。そのモンスターを墓地から可能な限り自分フィールドに特殊召喚する。

 

「構わないさ!このまま攻撃を続行する!」

 

「正気なの?【ヴァンパイア・フロイライン】の効果の意味が分からないわけではないでしょう?」

 

「問題ないね!リバースカードオープン!永続罠【安全地帯】発動!対象は【ネオス・ワイズマン】だ!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【安全地帯】

永続罠

フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、その表側表示モンスターは、相手の効果の対象にならず、戦闘及び相手の効果では破壊されず、相手に直接攻撃できない。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

「前のターンにコナミが伏せていたカード…!そう言うこと!?」

 

ネオス・ワイズマン ATK3000 ※戦闘破壊耐性

vs

ヴァンパイアジェネシス ATK3000

 

「くっ!【ヴァンパイア・フロイライン】の効果発動!100LPを払い、その数値分だけ【ヴァンパイアジェネシス】が強化されるわ!」

セブンスターズ LP:5600→5500

 

ネオス・ワイズマン ATK3000 ※戦闘破壊耐性

vs

ヴァンパイアジェネシス ATK3000→3100

 

「ぐあっ!…だがここで【ネオス・ワイズマン】の効果発動!【ヴァンパイアジェネシス】の攻撃力分3100ダメージをお前に与えるぜ!」

十代&コナミ LP:5500→5400

 

「ぐあぁぁぁっ!」

セブンスターズ LP:5500→2500

 

「そして【ネオス・ワイズマン】の効果により【ヴァンパイアジェネシス】の守備力分2200LPを回復する!」

十代&コナミ LP:5400→7600

 

「メインフェイズ2に移行!オレはモンスターをセットしてターンエンドだ!」

十代 手札:1→0枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

ネオス・ワイズマン ★10 ATK3000

裏側守備表示モンスター

 

「エンドフェイズに【第一の棺】の効果発動!その効果によりデッキから【第三の棺】を出す!」

セブンスターズ 永続魔法:2→3枚。

 

【第三の棺】

永続魔法

このカードは「第一の棺」の効果でしかフィールドに出す事ができない。

 

「流石はカミューラ。前に渡したカードを入れておいてくれたんだな!」

 

「アンタがそのカードを使うことは分かっていたからね。一応、タッグ戦だからデュエル開始前に入れておいたのよ」

 

 

◆十代&コナミ LP:7600、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

十代 手札:0枚。

コナミ 手札:4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

ネオス・ワイズマン ★10 ATK3000

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆セブンスターズ LP:2500、伏せカード:0枚。永続魔法:3枚。永続罠:1枚。

カミューラ 手札:0枚。

アビドス 手札:1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

 

 

「余のターンだ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アビドス 手札:1→2枚。

 

「余は【第一の棺】の効果発動!【第一の棺】、【第二の棺】、【第三の棺】を墓地に送り、デッキより出でよ!【スピリッツ・オブ・ファラオ】!」

セブンスターズ 永続罠:1→0枚。永続魔法:3→1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

スピリッツ・オブ・ファラオ ★6 ATK2500

 

【スピリッツ・オブ・ファラオ】

効果モンスター

星6/光属性/アンデット族/攻2500/守2000

このカードは通常召喚できない。「第一の棺」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。

このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地からレベル2以下のアンデット族通常モンスターを4体まで特殊召喚する事ができる。

 

「大変な手順を踏んだ割にはそこまで強いモンスターじゃないような…」

 

「蘇生できるモンスターも墓地には居ないしな」

 

確かに遊城や赤羽の言う通り、4ターン近くかけて呼び出されたにしては驚異的なモンスターではないようだ。

 

「余は永続魔法【ジェネシス・クライシス】を発動!効果によりデッキから【馬頭鬼】を手札に加える!」

アビドス 手札:2→3枚。

 

「余は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動する!デッキから2ドローして、手札の【死王リッチーロード】を除外する!」

アビドス 手札:3→2→4→3枚。

 

「余は手札から魔法カード【大嵐】を発動する!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

アビドス 手札:3→2枚。

セブンスターズ 永続魔法:1→0枚。

 

「【安全地帯】が破壊されたことで本来なら【ネオス・ワイズマン】も破壊されるが、【ネオス・ワイズマン】は効果破壊されないぜ!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。フィールド魔法:1→0枚。永続罠:1→0枚。

 

「余は手札から装備魔法【D・D・R】を発動!手札から【馬頭鬼】を墓地に送り、除外されている【茫漠の死者】を特殊召喚してこのカードを装備!」

アビドス 手札:2→1→0枚。

セブンスターズ 装備魔法:0→1枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

カース・オブ・ヴァンパイア ★6 ATK2500

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

スピリッツ・オブ・ファラオ ★6 ATK2500

茫漠の死者 ★5 ATK?→5000

 

「攻撃力5000!?」

 

「余はレベル6【スピリッツ・オブ・ファラオ】と【カース・オブ・ヴァンパイア】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!出でよ!【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】!」

 

<セブンスターズのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

茫漠の死者 ★5 ATK?→5000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:2

 

【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/闇属性/アンデット族/攻2600/守1000

レベル6モンスター×2体以上

元々の持ち主が相手となるモンスターをこのカードのX召喚の素材とする場合、そのレベルを6として扱う。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

(2):1ターンに1度、フィールドのモンスターカードが、効果で相手の墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され相手の墓地へ送られた場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。そのモンスター1体を自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

 

「なっ!?それはカミューラのカードのはずじゃあ…!?」

 

「3枚持っていたから1枚預けておいたのよ」

 

「余は【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】のORUを1つ取り除き、【ネオス・ワイズマン】を墓地に送る!」

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ORU:2→1

 

<十代&コナミのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「くっ!済まない、【ネオス・ワイズマン】!」

 

「更に先ほど墓地に送った【馬頭鬼】を除外して効果発動!墓地より【竜血公ヴァンパイア】を特殊召喚する!」

 

【馬頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、

自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。

そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

<セブンスターズのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

茫漠の死者 ★5 ATK?→5000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:1

竜血公ヴァンパイア ★8 ATK2800

 

【竜血公ヴァンパイア】

効果モンスター

星8/闇属性/アンデット族/攻2800/守2100

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した場合、相手の墓地のモンスターを2体まで対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして自分フィールドに守備表示で特殊召喚する。

(2):モンスターの効果が発動した時、その同名モンスターが自分・相手の墓地に存在する場合に発動できる。その発動を無効にする。

(3):相手の墓地からモンスターが特殊召喚された場合、自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

 

「バトルと行こうか!【交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン】で伏せモンスターを攻撃!」

 

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ATK2600

vs

ネクロ・ガードナー DEF1300 ※戦闘破壊。

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「追撃だ!【茫漠の死者】でダイレクトアタック!」

 

茫漠の死者 ATK5000

 

「【ネクロ・ガードナー】の効果発動!墓地から除外して相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする!」

 

【ネクロ・ガードナー】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。

このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「ほう。ならばこれはどうだ?【ヴァンパイアジェネシス】でダイレクトアタック!ヘルビシャス・ブラッド!」

 

ヴァンパイアジェネシス ATK3000

 

「うわぁぁぁぁっ!」

十代&コナミ LP:76000→4600

 

「追撃を行え!【竜血公ヴァンパイア】!ダイレクトアタックだ!」

 

竜血公ヴァンパイア ATK2800

 

「ぐあぁぁぁぁっ!」

十代&コナミ LP:4600→1800

 

「余はこれでターンエンドだ」

 

 

◆十代&コナミ LP:1800、伏せカード:0枚。

十代 手札:0枚。

コナミ 手札:4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

vs

 

◆セブンスターズ LP:2500、伏せカード:0枚。装備魔法:1枚。

カミューラ 手札:0枚。

アビドス 手札:0枚。

 

<セブンスターズのフィールド>

ヴァンパイアジェネシス ★8 ATK3000

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000

茫漠の死者 ★5 ATK?→5000

交血鬼-ヴァンパイア・シェリダン ☆6 ATK2600 ORU:1

竜血公ヴァンパイア ★8 ATK2800

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:4→5枚。

 

「オレは墓地の【置換融合】の効果発動!墓地のこのカードを除外して、墓地の【始祖竜ワイアーム】をEXデッキに戻し、デッキから1ドロー!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

【置換融合】

通常魔法

このカードのカード名はルール上「融合」として扱う。

(1):自分フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをエクストラデッキに戻す。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

「オレは手札から魔法カード【融合賢者】を発動!デッキから【置換融合】を手札に加える!」

コナミ 手札:6→5→6枚。

 

【融合賢者】

通常魔法

自分のデッキから「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

 

「オレは手札から装備魔法【再融合】を発動!800LPを払い、墓地の【アルカナ ナイトジョーカー】を特殊召喚してこのカードを装備する!」

コナミ 手札:6→5枚。

十代&コナミ LP:2400→1600、装備魔法:0→1枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

 

【再融合】

装備魔法

(1):800LPを払い、自分の墓地の融合モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する。

このカードが破壊された時にそのモンスターは除外される。

 

「更にオレは手札から魔法カード【融合派兵】を発動!EXデッキの【アルカナ ナイトジョーカー】を見せ、デッキから【クィーンズ・ナイト】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

クィーンズ・ナイト ★4 ATK1500

 

【融合派兵】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。

このカードを発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「オレは【キングス・ナイト】を召喚して効果発動!デッキから【ジャックス・ナイト】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

クィーンズ・ナイト ★4 ATK1500

キングス・ナイト ★4 ATK1600

ジャックス・ナイト ★5 ATK1900

 

「そしてオレは手札から魔法カード【置換融合】を発動!フィールドの絵札の三銃士を融合!現れよ!2体目の【アルカナ ナイトジョーカー】!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

 

「どれだけそのモンスターを並べても、余の【茫漠の死者】には及ばんし、余のLPも削りきれまい!」

 

「それはどうかな?」

 

「何!?」

 

「まず、オレは墓地の【置換融合】の効果発動!墓地のこのカードを除外して、墓地の【E・HERO ネオス・クルーガー】をEXデッキに戻し、デッキから1ドロー!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「カミューラ、アビドス」

 

「「?」」

 

「引いたよ、逆転のカードをな!」

 

「「!?」」

 

「オレは手札から魔法カード【フォース】を発動!【茫漠の死者】の攻撃力を半分にし、【アルカナ ナイトジョーカー】の攻撃力を2500アップさせる!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

【フォース】

通常魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター2体を対象として発動できる。

ターン終了時まで、対象のモンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分もう1体のモンスターの攻撃力をアップする。

 

茫漠の死者 ★5 ATK5000→2500

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800→6300

 

「こ、攻撃力6300!?」

 

「バトルだ!【アルカナ ナイトジョーカー】で【ヴァンパイア・フロイライン】を攻撃!」

 

「余は【ヴァンパイア・フロイライン】の効果発動!1800LPを払い、その数値分だけ【ヴァンパイア・フロイライン】を強化する!」

セブンスターズ LP:2500→700

 

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK3800

vs

ヴァンパイア・フロイライン ★5 DEF2000→3800

 

「だけど、これで終わりだ!もう一体の【アルカナ ナイトジョーカー】で【茫漠の死者】を攻撃!」

 

アルカナ ナイトジョーカー ★9 ATK6300

vs

茫漠の死者 ★5 ATK2500 ※戦闘破壊。

 

「うわぁぁぁっ!」

セブンスターズ LP:700→0

 

 

~~~

 

<亮視点>

 

デュエルが終わり、セブンスターズの2人が地面に膝をついた。

 

だが、2人の表情は敗北した悔しさは見えるものの、怒りや憎しみと言った感情があるようには見えなかった。

 

そんな時、万丈目が持っていたクロノス教諭の人形が光り出した。

 

「おわっ!?なんだなんだ!?…ぐぇぇっ!」

 

「アウチッ!…おや?ここは何処ナノーネ?」

 

人形から発せられた光が収まると、そこには先ほどまで人形にされていたクロノス教諭と、クロノス教諭の下敷きになった万丈目の姿があった。

 

「クロノス先生!?」

 

「シニョール十代?一体、どうなっているノーネ?」

 

「うわぁ!?人形が人間になったッス!」

 

「翔、それは違うんだナァ。元々人間だったんだナァ」

 

「そうナノーネ」

 

遊城がクロノス教諭に駆け寄ると、それに釣られて翔や翔の友人である前田と共にオレ達もクロノス教諭に駆け寄った。

 

「重い!どうでもいいからまずはオレの上から退け!」

 

「シニョール万丈目はそんなところで何をしているノーネ?」

 

万丈目を下敷きにしていたクロノス教諭が彼の上から退く。彼の様子を見る限り、特に外傷などは無さそうで安心した。

 

「あらら、制限時間が切れちゃったわね」

 

「うむ。そのようだな」

 

クロノス教諭の変化にセブンスターズのメンバーは特に驚いた様子を見せない。彼らにとってこの変化は驚くに値しないのだろう。

 

「カミューラ、どういうことなんだ?」

 

「どういうことも何も、元々先生に掛かった人形化の呪いは30分も経ては切れて元に戻るようにしておいたのよ。私に勝とうと負けようと、ね」

 

「我々の目的は七精門の鍵だけだ。敗者へと罰として、そしてお前たちを足止めする手段として人形にしていただけで、それ以外に民たちを人形に変える理由など我らには無いのだ」

 

赤羽の問いにセブンスターズたちは立ち上がりながらあっさりと答える。

 

「それよりも、遊城十代!そして赤羽コナミと言ったか!面白いデュエルだったぞ!誉めて遣わす!」

 

「お、おう。ガッチャ!終わってみればこっちも楽しいデュエルだったぜ!」

 

「そうだな。デュエルは楽しまないとな!」

 

アビドスと名乗る少年が立ち上がり、遊城と赤羽にデュエルを礼を言っている。

 

「カミューラ。其方にも感謝を。其方が居たからこそ、余は本気のデュエルを楽しめた」

 

「そう。逝くのね、アビドス?」

 

「うむ。余の未練は生前に体験できなかった楽しいデュエルをしてみたかったことだ。その未練が無くなった今、現世に残る理由もあるまい」

 

アビドスの言葉に、カミューラは寂しそうな表情で答える。彼らの間にも何らかの繋がりがあったのだろうか。

 

「そうだ、其方たちも共に逝くか?」

 

「今からか!?い、いや~、100年後くらいでならいいぞ?」

 

「じゃあオレもそのくらいでいいぞ」

 

「分かった。100年後だな。なに、3000年に比べればあっという間だろう。では、それまでしばしの別れだな。サラバだ!」

 

アドビスが遊城と赤羽にそう言うと同時にアビドスとその家来たちは光に包まれていき、その光が消える頃にはその場に誰も残ってはいなかった。恐らく死人が向かう先と言われている冥界に還って行ったのだろう。

 

「さて、今度は私の番ね」

 

「カミューラ…」

 

アビドスが消えるのを確認した後、カミューラは手にした人形を見つめていた。赤羽はこれから何が起こるかを何となく察しているようだ。

 

「カミューラ、一つだけ聞かせてくれ。なんでアンタはセブンスターズなんかになったんだ?」

 

「幻魔の力を利用して、失った家族に会いたかった。ただそれだけよ。…何よ?敵に同情するつもり?」

 

「いや、オレは…」

 

「冗談よ。貴方は、遊城十代と言ったかしら?覚えておきなさい。行動には責任が伴うわ」

 

「なにを…」

 

「貴方が私に挑んだことはきっと人間社会で言う正しい行いよ。でもね?もしあなたが負けて命を落とすような状況になっていれば、貴方を大切に思う人たちは貴方を失うのよ?そこまで考えて行動したのかしら?」

 

「それは…」

 

「今回の件で大切な人間を失う気持ちは思い知ったはず。せいぜいその辛い思いをしないように考えて行動し、そしてその思いを誰かにさせないように考えてしなさい?」

 

「あぁ。気を付けるよ」

 

「ふふ、なんてね?敗者の私の口からこんな説教みたいなことを言うべじゃなかったわね。後は自身の精霊やお友達にでも聞きなさい」

 

「カミューラ。上手く言えないけど、オレはお前と話せてよかったと思うよ」

 

「そう。『勝者は次なる道へ。敗者はその魂を人形に封印される』。さぁ見ておきなさい。これが私の行動の責任と代償よ」

 

カミューラが遊城にそこまで語ると、彼女は懐からクロノス教諭の魂を封印した人形と同じものを取り出した直後、カミューラの体が光に包まれていく。

 

「じゃあね、コナミ。もう会うこともないでしょうから、クロトによろしくね」

 

「あぁ、またなカミューラ」

 

2人が最後のあいさつを交わすと、カミューラの体がゆっくりと消えてゆき、光が収まる頃にはカミューラを模した人形が地面に落ちていた。

 

「カミューラ。オレは、またなって言ったからな?」

 

赤羽はそう呟くと、大切なものを扱うようにそっとその人形を拾い上げていた…。




シリアスは長続きできない。

十代のデッキは初期【E・HERO】にネオスとユベルとハネクリボーの3点セットを混ぜたものです。彼の本領発揮はネオスペーシアン達との合流後になる予定なので、まだまだ成長途中です。なお、ハネクリボーの活躍は展開の犠牲になりました。

コナミのデッキは【絵札の三銃士】です。増Gとフォースは高火力モンスターをポンポン特殊召喚してくる幼馴染対策です。

カミューラのデッキは前回に引き続き【ヴァンパイア】です。タッグ用に事故要因の棺カードも1枚ずつ入っています。クロノス先生との連戦による疲労の為、前回ほどの力は発揮できませんでした。幻魔の扉?アイツは良い奴だったよ…。

アビドス三世のデッキは【アンデット族】です。以前のデッキ破壊とは違い、カミューラとのタッグ用にに合わせてレベル5、レベル6モンスターを中心に構成されています。なお、棺カードは彼のお気に入り指定なので抜けません。

次回の更新は5/3(月) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、戦車様、マーラ様、c+java様、メイン弓様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十七話 セブンスターズ侵攻その後

前回のあらすじ:幻魔の扉?アイツは良い奴だったよ。

今回の対戦カードは久し振りのオリ主とカードの精霊ガガギゴですが、デュエル自体は特に見どころの無いおまけのような物です。

今話はアニメGX第34話辺りのオリ主視点です。


ダークネスの仮面を被ったハゲこと鮫島の襲撃から始まった長い夜が明けた早朝、俺はようやく火山からアカデミア本校舎前まで戻ってきていた。

 

先ほどまで島の周囲から立ち上っていた光の柱は消えており、道中に居たミイラとコウモリの群れもいつの間にか姿を消した為、島は静けさを取り戻していた。

 

白河クロトとしてハゲを倒した場合、諸々の説明が非常に面倒なので、ハノイスタイルにチェンジしてから未だに意識を取り戻さないハゲを本校舎前に待機していた倫理委員会へ引き渡した。

 

「セブンスターズ討伐、および鮫島校長の保護の件、お疲れ様でした。ハノイの騎士」

 

「成り行きだ。闇のデュエルを行った際に、私のPDAが破損してしまって現状がつかめていないんだ。私が居ない間に起こったことについて教えて貰えるかな?」

 

「もちろんです。セブンスターズは昨夜の時点で6人出現し、そのうち鮫島校長、カミューラ、タイタン、首領・サルーグ、アビドス三世の5名の撃破に成功しています」

 

うわっ、そんなに一気に出たのか。俺が倒したハゲ以外だと、クロノスや響先生、コナミと十代のタッグで倒したんだろうな。

 

「出現した残り1人の行方は?」

 

「タニヤと言う名前と、三沢大地と言う生徒をデュエルで倒して拉致したという情報以外は不明です。現在、今回の事件の事後処理に追われているメンバー以外を総動員して行方を追っています」

 

「なるほど。私もその捜索に協力した方が良さそうだな」

 

「助かります。また今回の件で七精門の鍵が7つ中5つ奪われています。残る鍵は響先生が1つ、あとはオシリスレッドの遊城十代が1つ所持しています」

 

そこなんだよなぁ。何で十代が鍵を持ってんの?ある程度の予測は付くけどさぁ。

 

「何故、生徒が鍵を持っているんだ?」

 

「本人曰く、大徳寺先生が同行した課外授業の遺跡探索を行っている最中に拾ったそうです。その鍵を大徳寺先生に見せると、『貴重なものだから大切に持っておくように』と言われたそうです」

 

「大徳寺先生に詳しく話を聞く必要があるな」

 

「それが…大徳寺先生は昨夜から行方不明となっています。こちらも三沢大地捜索に並行して捜索しています」

 

アムナエルめ、とうとう行動を開始したか。

 

「遊城少年には事情を説明して鍵を返却してもらい、現在は倫理委員会にて厳重に管理しています。情けない話ですが、残りのセブンスターズが襲撃してきた場合、守り切れるかどうかは自信がありません…」

 

「私が勝手に預かると一部の教員たちから苦情が来るだろうし、早めに他の教員たちと相談して対応を決めておいた方がいいだろうな」

 

「はい。ただ、闇のデュエルを行った先生たちの一部はまだ意識を取り戻していませんし、クロノス臨時校長や響先生も疲労が溜まっていたらしく、自身の部屋で休養中です」

 

「今日の授業を行うのは無理そうだな。そちらの件も先生方が目覚められたら相談した方が良いだろう」

 

「ええ。そのつもりです」

 

良し、これで俺が授業に出られない状況を作らずに済みそうだな。このタイミングで行方知れずなんてことになると、拉致されたかセブンスターズとの関与を疑われそうだしな。

 

「話は大体分かった。私はこのまま三沢大地の捜索に入る。後のことは頼んだ」

 

「お任せください。あっ、その前に…これをどうぞ。新しいPDAです」

 

「助かる」

 

「あと、こちらも。響先生から預かった黒蠍盗掘団のカードです」

 

アニメでは万丈目に敗れてそのまま彼の所有物になったカードか。

 

「何故これを私に?」

 

「響先生が言うには『オカルト関係で困ったらハノイの騎士を頼るといいよ』と弟さんから言われたそうです」

 

そう言うことね。後で万丈目の手に渡るように、おジャマたちが居る井戸に置いて来てもいいけど…どうしようかな?

 

「わかった。ではこちらも私が預かろう。それでは行ってくる」

 

「お気をつけて」

 

俺は倫理委員会のメンバーに壊れたPDAを返却して新たなPDAを受け取った後、三沢大地の捜索に入った。

 

~~~

 

捜索開始から3時間後、俺は森を抜けた奥にある開けた場所で三沢大地とセブンスターズのタニヤを発見したのだが…。

 

「行くぞ~♪【プラズマ戦士エイトム】でタニアっちにダイレクトアタック~♪」

 

「いや~ん♪負けちゃった~♥」

 

「よ~し♪知恵のデッキはもう何度も倒したから、今度は勇気のデッキとデュエルだ~♪」

 

「流石は三沢っち♪私が見込んだだけの男だわ~♪」

 

昨夜から一睡もせずに、火山での闇のデュエルを行ってから全力疾走で本校舎まで戻り、そのまま三沢の捜索に入った俺に待ち受けていたのは、バカップルのイチャイチャシーンだった。

 

はっ?なにこれ?キレそう。

 

『女っ気の無さそうな三沢でさえ彼女が出来たのに、クロトと来たら…(笑)』

 

「お、俺は卒業までは彼女を作らないだけだし?異性の友達はそこそこ居るし?その気になれば多分いつでも作れるし?」

 

『ハイハイ(笑)』

 

ここぞとばかりにニヤニヤしながら煽って来るアクエリアは置いておき、俺はこの場所の座標を倫理委員会に報告してそのまま自分の寮へ帰った。

 

~~~

 

仮眠を取り、体力も魔力もある程度回復した昼過ぎ、昼食を取った俺は島の発電所付近に覚えのある魔力反応を探知した。

 

この反応は…。懐かしいな、アイツか。そう言えば向こうの世界で行方不明になってて捜索依頼を受けていたっけ。

 

魔力反応があった場所に急行すると、そこには発電所の設備に背中を預けて空を見上げているカードの精霊、ガガギゴの姿があった。

 

『お前は…白河クロトか。懐かしい顔を見たな』

 

「こちらもな。お前がギコバイト時代の頃だから、もう数年振りになるかな」

 

このガガギコは、俺が精霊界で修行していた頃に学芸会の手伝いをしていたギコバイトの成長した姿だ。姿が変わっても魔力反応は変わらないので間違いない。

 

『そうか…人間界と精霊界では時の流れが違ったな。オレからすれば、もう数十年前の話だ』

 

「そういえばそうか。ところで、何でお前はこっち(人間界)にいるんだ?」

 

『分からん。精霊界でいつものようにフリードに戦いを挑んで戦っていたら、突然空間が裂けてその中に飲み込まれたまでは覚えているんだがな』

 

次元の狭間に飲み込まれて切り込み隊長に出会う前の状態か。この発電所は以前にサイコショッカーが現れて以来、次元の歪みが発生しやすくなっているのかも知れないな。

 

最近はセブンスターズの事件もあったことだし、次元の境界線に負荷がかかった状態なのかもな。詳しくは分からんけどさ。

 

「そうだ。水霊使いエリアと相棒のジゴバイトからお前の捜索依頼を受けているんだ。出来れば俺と一緒に精霊界に来てくれないか?」

 

『エリアにジゴバイトか。それも懐かしい名前だな…』

 

そこまで話すと、ガガギゴは立ち上がって何処からともなくデュエルディスクを出現させて俺と対峙した。

 

『オレに言うことを聞かせたいのなら、オレに力を示して見ろ。人間界のルールに則り、デュエルで相手をしてやる』

 

「いいだろう」

 

やる気満々なガガギゴはデュエルディスクを取り出し、俺もデュエルディスクを構えて彼と対峙する。

 

ガガギゴが相手か。カイバーマン以外の精霊界の連中はそこまでデュエル強くないし、あのファンデッキを使ってみようかな。

 

ところでガガギゴよ。そのデュエルディスクは何処から出したんだ?

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。これを言うのも久し振りだな。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ガガギゴ LP:4000、手札:5枚。

 

 

『先攻は貰うぞ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

ガガギゴ 手札:5→6枚。

 

『オレは手札から魔法カード【強欲なウツボ】を発動!手札の【ジェノサイドキングサーモン】と【ニードル・ギルマン】をデッキに戻してシャッフル!そして3ドロー!』

ガガギゴ 手札:6→5→3→6枚。

 

【強欲なウツボ】

通常魔法

(1):手札の水属性モンスター2体をデッキに戻してシャッフルする。

その後、自分はデッキから3枚ドローする。

 

ジェノサイドキングサーモン…嫌な記憶が蘇りそうだ。

 

『オレは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札の【ゴギガ・ガガギゴ】を墓地に送って2ドロー!』

ガガギゴ 手札:6→5→4→6枚。

 

『オレは手札から【アトランティスの戦士】の効果発動!デッキから【伝説の都 アトランティス】を手札に加えるぞ!』

ガガギゴ 手札:6→5→6枚。

 

【アトランティスの戦士】

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻1900/守1200

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。

デッキから「伝説の都 アトランティス」1枚を手札に加える。

 

『更にオレは手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動する!デッキから【ギガ・ガガギゴ】を手札に加えるぞ!』

ガガギゴ 手札:6→5→6枚。

 

『そしてオレは手札からフィールド魔法【伝説の都 アトランティス】を発動するぞ!』

ガガギゴ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【伝説の都 アトランティス】

フィールド魔法

このカード名はルール上「海」として扱う。

(1):フィールドの水属性モンスターの攻撃力・守備力は200アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドの水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

『更にオレは手札から永続魔法【ウォーターハザード】を発動!』

ガガギゴ 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ウォーターハザード】

永続魔法

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

『オレは【ウォーターハザード】の効果を発動!手札から【ギガ・ガガギゴ】を特殊召喚するぞ!』

ガガギゴ 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★5→4 ATK2450→2650

 

【ギガ・ガガギゴ】

通常モンスター

星5/水属性/爬虫類族/攻2450/守1500

強大な悪に立ち向かうため、様々な肉体改造をほどこした結果恐るべきパワーを手に入れたが、その代償として正義の心を失ってしまった。

 

『ここでオレは手札から【後に亀と呼ばれる神】を召喚だ!』

ガガギゴ 手札:3→2枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK2650

後に亀と呼ばれる神 ★5→4 ATK1800→2000

 

【後に亀と呼ばれる神】

効果モンスター

星5/水属性/水族/攻1800/守 0

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、お互いに攻撃力1800以下のモンスターを特殊召喚できない。

 

「ゲッ、厄介なモンスターを出しやがって…!」

 

『ハッ、力押しだけが全てじゃないんだよ!』

 

攻撃力1800以下か。下級モンスターは殆ど特殊召喚を封じられたようなもんだな。問題ないがな!

 

『オレはカードを1枚セットしてターンエンド!』

ガガギゴ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ガガギゴ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK2650

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【荒野の女戦士】を召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

荒野の女戦士 ★4 ATK1100

 

【荒野の女戦士】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1100/守1200

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。

デッキから攻撃力1500以下の戦士族・地属性モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。

 

「そして俺は手札から魔法カード【トランスターン】発動!【荒野の女戦士】をリリースしてデッキから【無敗将軍 フリード】を特殊召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

 

【無敗将軍 フリード】

効果モンスター

星5/地属性/戦士族/攻2300/守1700

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、このカードを対象にする魔法カードの効果を無効にし破壊する。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分のドローフェイズ時に通常のドローを行う代わりに、自分のデッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。

 

『懐かしい顔だな。あの男、将軍になっていたのか…』

 

このデッキは将軍のファンデッキだからな。メインデッキは将軍の軍団のメンバーと彼らへのサポートカードがふんだん入っている。

 

「精霊界に戻ったら、そのうち会わせてやるよ」

 

『ふん、もうオレに勝ったつもりでいる気か!さっさとデュエルを続行しろ!』

 

「ならバトルフェイズに移行!【無敗将軍 フリード】で【後に亀と呼ばれる神】に攻撃!」

 

『はっ、単調な攻撃だな!リバースカードオープン!罠カード【立ちはだかる強敵】発動!【無敗将軍 フリード】の戦う相手は【ギガ・ガガギゴ】だ!』

ガガギゴ 伏せカード:1→0枚。

 

【立ちはだかる強敵】

通常罠

相手の攻撃宣言時に発動する事ができる。自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択する。

発動ターン相手は選択したモンスターしか攻撃対象にできず、全ての表側攻撃表示モンスターで選択したモンスターを攻撃しなければならない。

 

「そのくらいは想定内だ!手札から速攻魔法【収縮】を発動!【ギガ・ガガギゴ】の元々の攻撃力は半減する!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【収縮】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで半分になる。

 

『何っ!?』

 

チェーン②収縮

チェーン①立ちはだかる強敵

 

<ガガギゴのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK2650→1425

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

 

無敗将軍 フリード ATK2300

vs

ギガ・ガガギゴ ATK2650→1425 ※戦闘破壊

 

<ガガギゴのフィールド>

ギガ・ガガギゴ ★4 ATK2650→1425

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

 

『うおぉぉっ!?』

ガガギゴ LP:4000→2575

 

「メインフェイズ2に移行!俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:3→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:1枚。伏せカード:2枚。

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

 

vs

 

◆ガガギゴ LP:2575、手札:1枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

 

『オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

ガガギゴ 手札:1→2枚。

 

『オレは手札からオレ自身、【ガガギゴ】を召喚するぞ!』

ガガギゴ 手札:2→1枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

ガガギゴ ★4→3 ATK1850→2050

 

【ガガギゴ】

通常モンスター

星4/水属性/爬虫類族/攻1850/守1000

かつては邪悪な心を持っていたが、

ある人物に出会う事で正義の心に目覚めた悪魔の若者。

 

『更にオレは手札から装備魔法【戦線復活の代償】を発動!【ガガギゴ】を墓地に送り、墓地から【ゴギガ・ガガギゴ】を特殊召喚するぞ!』

ガガギゴ 手札:1→0枚。

 

【戦線復活の代償】

装備魔法

自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地へ送り、自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールド上から離れた時、装備モンスターを破壊する。

 

<ガガギゴのフィールド>

後に亀と呼ばれる神 ★4 ATK2000

ゴギガ・ガガギゴ ★8→7 ATK2950→3150 ※【戦線復活の代償】装備。

 

【ゴギガ・ガガギゴ】

通常モンスター

星8/水属性/爬虫類族/攻2950/守2800

既に精神は崩壊し、肉体は更なるパワーを求めて暴走する。

その姿にかつての面影はない・・・。

 

『バトルだ!【ゴギガ・ガガギゴ】で【無敗将軍 フリード】を攻撃!』

 

「ここで伏せカードの罠カード【ドレインシールド】を発動!!」

クロト 伏せカード:2→1枚。

 

【ドレインシールド】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ自分はLPを回復する。

 

「【ゴギガ・ガガギゴ】の攻撃を無効にしてその攻撃力分のLPを回復する!」

クロト LP4000→7150

 

『小賢しい奴め!正々堂々と戦え!』

 

「知らん。そんなことは俺の管轄外だ」

 

『メインフェイズ2に移行!』

 

そろそろあの亀が邪魔だな。消えて貰おうかな。

 

「バトルフェイズを終了したな?なら、ここで伏せカード【拮抗勝負】を発動させてもらう!」

クロト 伏せカード:1→0

 

【拮抗勝負】

通常罠

自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):相手フィールドのカードの数が自分フィールドのカードより多い場合、自分・相手のバトルフェイズ終了時に発動できる。

自分フィールドのカードの数と同じになるように、相手は自身のフィールドのカードを選んで裏側表示で除外しなければならない。

 

「俺のフィールドには【無敗将軍 フリード】と【拮抗勝負】の2枚だ。お前も同じ枚数になるようにしてもらおうか!」

 

『ちっ!面倒なカードを!オレは【ゴギガ・ガガギゴ】と【戦線復活の代償】を選択する!』

ガガギゴ フィールド魔法:1→0枚、永続魔法:1→0枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

ゴギガ・ガガギゴ ★7→8 ATK3150→2950 ※【戦線復活の代償】装備。

 

『くそっ!ターンエンドだ!』

 

 

◆白河クロト LP:7150、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

 

vs

 

◆ガガギゴ LP:2575、手札:0枚。伏せカード:0枚。装備魔法:1枚。

 

<ガガギゴのフィールド>

ゴギガ・ガガギゴ ★8 ATK2950 ※【戦線復活の代償】装備。

 

 

さて、もう十分に楽しんだ。そろそろ終わりにしようか。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ここで【無敗将軍 フリード】の効果発動!通常ドローの代わりにデッキから【切れぎみ隊長】を手札に加える!」

クロト 手札:1→2枚。

 

「そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

 

「俺は手札から【切れぎみ隊長】を召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

切れぎみ隊長 ★1 ATK400

 

【切れぎみ隊長】

効果モンスター

星1/地属性/戦士族/攻 400/守1200

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

「【切れぎみ隊長】の効果発動!墓地の【荒野の女戦士】を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

切れぎみ隊長 ★1 ATK400

荒野の女戦士 ★4 ATK1100

 

「そして俺は手札から魔法カード【共振装置】を発動!【切れぎみ隊長】のレベルを【荒野の女戦士】と同じレベル4にする!」

クロト 手札:1→0枚。

 

【共振装置】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する

同じ種族・属性のモンスター2体を選択して発動する。

選択したモンスター1体のレベルはエンドフェイズ時まで、もう1体のモンスターのレベルと同じになる。

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

切れぎみ隊長 ★1→4 ATK400

荒野の女戦士 ★4 ATK1100

 

「俺はレベル4【切れぎみ隊長】と【荒野の女戦士】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

 

『エクシーズ召喚!?なんだそれは!?』

 

「光纏いて現れろ!闇を切り裂くまばゆき王者!ランク4!【H-C エクスカリバー】!」

 

<クロトのフィールド>

無敗将軍 フリード ★5 ATK2300

H-C エクスカリバー ☆4 ATK2000 ORU:2

 

【H-C エクスカリバー】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2000

戦士族レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力は、次の相手のエンドフェイズ時まで元々の攻撃力の倍になる。

 

『たかだか攻撃力2000のモンスターを出してどうするつもりだ!』

 

「こうするのさ!【H-C エクスカリバー】のORUを2つ取り除いて効果発動!エンドフェイズまで攻撃力を倍にする!」

H-C エクスカリバー ATK2000→4000 ORU:2→0

 

『攻撃力4000!?』

 

「バトルフェイズに移行!【H-C エクスカリバー】で【ゴギガ・ガガギゴ】を攻撃!一刀両断! 必殺真剣!」

 

H-C エクスカリバー ATK4000

vs

ゴギガ・ガガギゴ ATK2950 ※戦闘破壊。

 

<ガガギゴのフィールド>

モンスター無し

 

『ぐおおっ!』

ガガギゴ LP:2575→1525

 

「勝負あったな?【無敗将軍 フリード】でダイレクトアタック!」

 

『うおぁぁぁっ!』

ガガギゴ LP:1525→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

『くそっ!負けたか!やるじゃねえか白河クロト!』

 

~~~

 

デュエルに勝利した俺は、ガガギゴを連れて精霊界にある水霊使いエリアの家へとやって来ていた。

 

「おぉ、ギコバイトの兄貴!お久し振りっス!」

 

「久し振りね、ギコバイト。大きくなったねぇ」

 

「よぉ、ジゴバイト、エリア。久し振りだな。あと、今のオレの名前はガガギゴだ」

 

俺は人間世界で1年前くらいに水霊使いエリアとその相棒であるジゴバイトに、行方不明になっていたギコバイトの捜索依頼を受けていた。

 

今回の依頼に関しては全く情報が無かった為、特に依頼達成の期間は決められていなかったのだが、偶然だがせっかく見つけたので連れてきたわけだ。

 

「ジゴバイト、お兄さんが見つかってよかったね」

 

「おう!ありがとな!クロト!」

 

「あぁ、依頼だから気にするな」

 

ジゴバイトは俺に礼を言うと、ガガギゴとこれまでの経緯について話に花を咲かせ始めた。

 

「ところでクロト、依頼の報酬の件なんだけど…」

 

「そのことか。正直に言うと俺もこの依頼を達成できるとは思っていなかったから結構無茶振りしたが、やはり難しいか?」

 

「ううん、特に秘匿されているわけでもないから、憑依解放の技術を教えるのは出来るんだけど…クロトは、その、ね?」

 

普段から穏やかな性格の割には物事をはっきり言うタイプのエリアだが、何故かこの話題になると言い淀む。理由は何となく察しているけどさ…。

 

「アハハハハッ!エリア、ハッキリ言わないとダメよ?クロトは魔術の才能が無いから、教えても出来るようになるかは保証できないってねぇ~?」

 

「ぐっ!?エリア、やはりそういうことなのか?」

 

「うん。その、ごめんね?」

 

暇つぶしに付いて来ていたエリアとは友人関係の水の精霊アクエリアが、水霊使いエリアが言いよどんでいた理由をズバッ!と言い当てた。

 

まぁ、魔術に関しては今までも毎回のように『才能がない』だの『君には無理そう』だの『無理』だのと、散々な評価を貰っていたから、そんなことだろうとは思っていたさ。

 

エリアは精霊界に居る住民の中でもかなり良心的な娘だ。大方、本当のことを言うと俺が傷つくから黙っていたかったのだろう。優しい娘だ。その優しさの1割くらいアクエリアも備えていて欲しかった。

 

「で、でも、クロトは風属性のプチリュウと仲が良いから、風属性の憑依解放だけならなんとか出来るかも知れないよ?」

 

「マジか。風属性となるとウィンか。もしかして、話を付けて貰えたりするのか?」

 

「うん。今度ウィンちゃんに会ったら相談しておくね」

 

「助かる。頼むよ」

 

エリアから水属性の憑依解放を教わって習得することは困難と言う事実は残念だが、風属性なら行けるかも知れないと言う可能性が見えただけ儲けものだな。

 

ちなみに、炎属性と地属性、光属性に関しては、風属性はおろか水属性と比較にすらならないレベルで絶望的らしい。俺の中では闇属性が多少マシらしいが、それはきっと師匠と姉弟子のお陰だろう。あの2人には本当に頭が上がらない。

 

ただ、俺自身が悪魔族と相性が悪いので闇属性の憑依解放の習得は他の属性よりさらに絶望的だそうだ。

 

本当にこの世界は俺に対して優しくないよな!異世界チート転生の弊害か何かなのだろうか?

 

~~~

 

水霊使いエリアへ依頼達成の報告を済ませた俺は、いつもの精霊の村にやって来たのだが、何やら村全体が騒がしい。何かイベントでもあるのかな?

 

「あっ、クロト!ちょうど良かった!」

 

「何かあったのか?」

 

俺が村に付いた途端、それに気付いたキーメイスが話しかけてきた。

 

「今、王様が人間界から迷い込んだ人とデュエルしてるんだよ。ボク達も見に行こうよ!」

 

「へぇ~、面白そうだな。行こうか」

 

「うん!こっちだよ!」

 

キーメイスに連れられて、村の奥にある木々に囲まれた広場に着くと、フィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】が生み出す街並みの中に正義の味方カイバーマンとデュエルする佇む遊城十代の姿が見えた。彼の周囲には彼ら2人のデュエルを見守る万丈目、翔、隼人の3人も居た。

 

なるほど。カミューラ戦が終わったから、今日は温泉回と言う名のカイバーマン回だったか。確か、闇のデュエルについて悩む十代を、ハネクリボーが精霊界に連れて行ってカイバーマンとデュエルさせるんだったか。

 

でも珍しいな、コナミが居ないぞ?

 

「伝説をぶち破れ!エッジマン、ブルーアイズに攻撃!パワーエッジアタック!」

 

カイバーマンのフィールドに居るブル―アイズたちに対し、十代はHEROとサポートカードを駆使して果敢に挑んでいき、スカイスクレイパーの効果により強化されたエッジマンが伝説のモンスター青眼の白竜の一体を撃破したところらしい。

 

「これが【E・HERO】の結束の力だ!」

 

「ふふふっ、心が騒ぐ!」

 

「オレもだぜ。すっげーワクワクしてる!アンタ、すげえよ!」

 

「迷いは吹っ切れたか、遊城十代!」

 

「えっ?」

 

「貴様が歩んできたデュエル道などまだ入り口だ!世界にはまだ未知のデュエルがある!見えるはずだ!果てしなく続く戦いのロードが!なのに、貴様はここで立ち止まるのか!?」

 

「立ち止まるものか!」

 

「そうだ!己がデュエルを、己のデッキを信じて進め!その踏み記したロード!それがお前の未来となるのだ!」

 

「カイバーマン…」

 

カイバーマンはやることは無茶苦茶だけど、言うことはいちいち格好いいよな。本当に海馬社長の生き写しのような人だ。

 

「行け!【真青眼の究極竜】!ハイパー・アルティメット・バースト!!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【エッジ・ハンマー】発動!【E・HERO エッジマン】をリリースして【真青眼の究極竜】を破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!」

 

「十代!」

 

「やったー!」

 

「まさか…!」

 

「ふぅん。なかなかの戦略だったが、詰めが甘かったな。手札から【融合解除】発動!このカードによりアルティメットは融合前の姿に戻る!対象を失った【エッジ・ハンマー】は空振りに終わったということだ」

 

カイバーマンの【真青眼の究極竜】の攻撃力を逆手に取った十代の逆転の一手は、カイバーマンの更なる一手によって防がれ、カイバーマンのフィールドには3体の【青眼の白龍】が並んでいた。

 

いや、【真青眼の究極竜】って…。やるならちゃんとアニメ再現しろ。

 

「3体の【青眼の白龍】のダイレクトアタック!滅びの爆裂疾風弾!強靭・無敵・最強ぉぉぉっ!」

 

「うわぁぁぁ!」

十代 LP:2100→0

 

「粉砕・玉砕・大喝采!フハハハハッ!」

 

3体の【青眼の白龍】のダイレクトアタックを受け、その衝撃により地面に倒れて気を失いそうになる十代。

 

いやいや、オーバーキル止めろ。精霊界でのデュエルは闇のデュエルほどではないがリアルダメージが入るんだぞ?

 

「己の力で立ち上がれるか?立てれば良し。立ち上がれなければそこまでだ」

 

「立ち上れるに決まっているだろ!痛てててっ」

 

「まだ負けを恐れるか?」

 

「いや、楽しいデュエルだったぜ」

 

「負けを恐れれば立ち止まるしかない。負けて勝て、遊城十代!」

 

「あっ、お前…」

 

「この世界とお前たちの世界は繋がっている。目を閉じ、強く念じろ。道はおのずと開ける」

 

カイバーマンは遊城十代のデュエルに満足したのか、森の霧の中へと消えていき、遊城十代たちも人間界へと帰って行った。

 

「いや~!王様のデュエルはいつ見ても迫力があった面白いよね~」

 

「そうだな」

 

キーメイスの言葉に相槌を打ちながら周囲を見回すと、他の精霊たちも帰り支度を始めていた。

 

「俺たちもそろそろ人間界に帰ろうか」

 

「うん、かえろー」

 

セブンスターズはタニヤを除くとあと1人。最後の1人である大徳寺先生ことアムナエルは、彼の目的のために七精門の鍵の有無にかかわらず遊城十代個人を直接狙うだろう。

 

アムナエルとのデュエルは遊城十代にとって人生の分岐点の一つ、今後の彼への苦難を考えるとこの辺りで大きく成長しておかないと異世界編辺りで十代が死にそうなので、俺はそのデュエルに介入するつもりは無い。

 

そして、そのデュエルに他の誰も介入させるつもりもない。俺ではコナミの行動に干渉することは難しいのでできないので、アイツに関してはアイツが空気を読める人間であることを祈るしかない。

 

「コナミは論外として、この世界の万丈目や明日香、吹雪さんがアムナエルに後れを取って敗北した後に人質にされるようなことは無いだろうから、翔や隼人を使うのかな?」

 

アムナエル戦でのアニメからの変化ポイントを予測しながら、俺は人間界へと帰っていった。




三沢ぇ…。

オリ主のデッキは【地属性戦士族】です。ガガギゴとデュエルするということで、以前に作っておいた彼に因縁のあるカードを詰め込んだデッキを使用しました。負けるつもりは無いので、魔法・罠やEXデッキのモンスターを使えばこの世界の一般的なデュエリストには勝てるくらいの強さです。

ガガギゴのデッキは【亀神アトランティス】と呼ばれる特殊召喚封殺型デッキです。
特殊召喚を封じつつ、自身はレベル5モンスターをアトランティスの効果で通常召喚可能にして攻め立てるデッキです。

次回の更新は5/5(水) AM6:00予定です。

荒魂マサカド様、metamoln様、必殺雷撃人様、戦車様、Ocean様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十八話 属性デッキ六人衆1

前回のあらすじ:粉砕!玉砕!大喝采!

今回の対戦カードは三沢とコナミのタッグに、タッグフォース3で登場した「属性デッキ六人衆」のうちの2人が相手となります。


七月も中旬に差し掛かり、そろそろ夏休みが近づいて今学期最後の月一テストが明日に迫ってきた頃、俺達ラーイエローの生徒は寮内の食堂に座る三沢大地の奇行を目にすることになる。

 

「おい、三沢の奴。オムライスにイチゴジャムかけているぞ!?」

 

「今度はトマトソースを飲んでいるぞ!?あぁっ!?今度はタバスコまで一気飲み!?」

 

「アレって寮の全員で共用のビンだから、ビンに口付けて飲むの止めてくれないかなぁ」

 

ドルオや坂倉が驚いているが、俺は何となくこの症状の原因が分かっているのでそこまで驚きはない。どちらかと言えば、朝食のオムライスに使用するはずのトマトソースが三沢に飲み干されてしまわないかどうかの方が心配だった。

 

「やはり先日セブンスターズに襲われてからおかしくなってしまったのか!?」

 

「あの三沢がここまで冷静さを欠くとは…どんな恐ろしい相手だったんだろう…!」

 

「そうだな。色ボケって恐ろしいよな」

 

タニヤに攫われた三沢を俺が発見して倫理委員会に連絡を入れた後、倫理委員会が救助に駆け付けた頃にはタニヤの姿は何処にも無く、三沢は黄金の手甲を握りしめながら『オレは虎に惚れたのか…』と呟いたそうだ。

 

倫理委員会のメンバーが三沢に事情を聴いたところ、三沢はタニヤに何度も勝利して彼女を満足させる婿であることを証明したものの、タニヤはその際に行ったデュエルに満足してしまい、本来の虎の姿に戻って自身の世界に帰ってしまったらしい。

 

何はともあれ、これでセブンスターズはあと一人。アムナエルだけになったわけだ。

 

「とりあえず、声を掛けてみるか?」

 

「そうだな。同じ寮生として流石に見捨てておけないぜ」

 

「本来ならテスト勉強したいんだが、アレを放置するのも可哀想だし、仕方ないか」

 

俺達は三沢の正面の席に座って三沢に事情を聞いてみたが、三沢はこちらの存在には気付いたけれど、完全に上の空だった。

 

これは重症だな。恋や愛って言うのはここまで人を変えるものなんだな。

 

「お前たちか…。お前たちは、虎娘についてどう思う?」

 

「はっ?虎娘?何の話だ?」

 

「虎娘…し〇じろうのお母さんみたいな感じか。優しそうでいいんじゃないか?」

 

「虎娘…【月光虎】か。あの蘇生効果は敵に回すと結構厄介だよな」

 

「坂倉、白河。答えるなら真面目に答えてやれ」

 

虎娘って、もしかしてタニヤのことか?娘ってイメージがあれほどフィットしない女性もそう居ないだろう。アレは例えるなら女傑だ。

 

「彼女は強く、気高く、誇り高く、そして美しかった。だが彼女はオレを残して去ってしまった…オレには何が足りなかったのだろうか」

 

「三沢。人類の約半分は女性だ。その女性のことは諦めて、新たな恋を探すのもアリかと思うぞ?」

 

「なら、ドルオもドリアードデッキを失くしたら、諦められるのか?」

 

「馬鹿なことを言うな白河。ボクに死ねと言うのか!?」

 

「坂倉。コイツは駄目だ。放っておいた方がいい」

 

「だな」

 

三沢の話を聞いたところで俺達に出来ることは殆どない。人の恋路を邪魔する奴は!馬に蹴られて地獄に落ちろ!!って奴だな。ちょっと違うか。

 

「フン。全く、こういう時こそ自称女好きの中村の出番だろう。肝心な時に居ないとは役に立たない奴め」

 

「ははは、中村は居ても居なくても役に立たないと思うぞ」

 

「三田川からの情報だと、奴は女好きと自称しながらも、入学してから今まで一度も女性に声を掛けることすらできていないヘタレチキンだからな」

 

俺はそろそろ面倒になってきていた。ドルオや坂倉もよくこんな話題に真面目に取り合う気になるよな。

 

第一、何故!人生の長さ=彼女無しの長さの俺が!テスト前の大事な時間を使って三沢の恋愛相談などしなければならないのか!

 

こんなところに居られるか!俺はもう部屋に戻らせてもらいたいぞ!

 

「そうか…!タニヤっちが求めていたのは強い男!最高で最強の男だ!ラーイエローでくすぶっていたオレでは満足できなかったということか!」

 

「うん?ボクたちがどうこう言わずとも、どうやら自己解決しそうだな」

 

「おっ、良かった良かった。はははっ!」

 

「結局、俺達は何の役にも立たなかったな」

 

せめて、三沢のテンションが上がりすぎた挙句、全裸になって校内を走り出さない様にだけは気を付けておくか。

 

「お前たち!オレは決めたぞ!オレはオベリスクブルーに行く!そして、この学園で最強の男になるんだ!」

 

「そうだそうだー」

 

「いいぞいいぞー」

 

「ある意味では輝いているぞー」

 

この暴走具合なら存在感たっぷりだし、『三沢君、居たの?』とか言われずに済むかな?

 

「こうしてはいられない!今からすぐに明日のテストの準備をしなければ!済まないがオレはこれで失礼させてもらうぞ!」

 

三沢はそう言い残し、残っていたオムライスをあっという間に平らげて自室に戻っていった。

 

「では、ボクたちも早めに食事を済ませてテスト勉強に入るか」

 

「うぃうぃ!やったるぜー!」

 

「そうだな。あっ、おじさん。俺、樺山オムカレーね!福神漬付きで!」

 

その後、俺達は立ち去った三沢のことを特に気にすることもなく、食事を済ませてテスト勉強を行った…。

 

~~~

 

翌日の昼、筆記試験を終えてドローパン(普通のアンパンだった)でお腹を満たした俺は、実技試験の会場の観客席で試験コート内のデュエルを観戦していた。

 

「隣、良いかしら?」

 

俺が翔と隼人のタッグで行われているタッグ戦を見ていると、試験を終えた明日香がやって来た。

 

「いいぞ」

 

明日香は俺の言葉を聞くと、俺の隣の空席に腰を下ろして試験コートの方へと視線を移…さずに自身のデッキを見直している。

 

「明日香が1人とは珍しいな?」

 

「兄さんたちならジュンコやももえや他にも色んな女の子たちに捕まってたから置いてきたわ」

 

くっ!これだから顔面偏差値の高い連中は…!羨ま…けしからん!俺なんてこの学園で話かけられた女子なんて両手で数えくれるくらいしかいないのに!

 

「そう言えば今日の試験は残念だったな」

 

「…えぇ」

 

「もう終わったことなんだから、いつまでもそんなふくれっ面してるなよ」

 

「むっ!そんな顔してないわよ!」

 

いつものクールな様子とは違い、むぅ~!とか言いそうな頬を膨らませた顔で自分のデッキを見直している姿はレアで微笑ましい光景だ。

 

だが、一度の負けを気負い過ぎるのは良くないな。デュエルは楽しまないとな。

 

「明日香が負けるなんて珍しいよな。相手は亮さんと遊城のタッグだっけ?」

 

「そうよ。遊城君って面白いデュエリストよね。追い詰められた後の爆発力が凄いのよ。手札0枚からフィールド魔法と融合モンスターを出されるとは思わなかったわ」

 

「確かにな。強欲なバブルマンから壺とか、アニメみたいな展開だったな」

 

「アニメ?意外ね。貴方でもアニメを見たりするの?」

 

「意外かなぁ。時々見るんだけどなぁ」

 

彼女の中の俺はどんなイメージなのだろうか?亮さんみたいな真面目キャラでも吹雪さんみたいな陽キャラでもないつもりだが、藤原先輩のような不思議ちゃん扱いなんだろうか?

 

「タッグデュエルって難しいわよね。今日のタッグパートナーは殆ど面識のないブルー女子だったんだけど、全くパートナーの意図が分からなくて、惨敗だったわ」

 

「タッグデュエルはプロでも難しいらしいからな。即席タッグパートナーで相手に合わせられるのはコナミくらいだろ」

 

先ほど明日香のタッグパートナーを務めていた女生徒は夏乃ひなた。タッグフォース4以降から登場する人物だ。

 

シングルデュエルならタッグフォース6で使用していたシンクロ召喚メインの【暗黒魔轟神】デッキを使い、グラファやセルリを使ってくる結構強い娘なのだが、今回のタッグデュエルでは何故か【暗黒界】に一部【墓守】を交えた【暗黒墓守】を使用していた。

 

【王家の眠る谷-ネクロバレー】は互いに墓地干渉を封じるカードなので、事前にデッキを合わせていなければタッグパートナーとしてはちょっと遠慮したい。

 

「クロトでも無理なの?」

 

「無理無理。タッグパートナーが先にターンを回してテーマデッキでも使ってくれれば動きを合わせることはできるかも知れないけど、それもその時のデッキ次第だな」

 

タッグパートナーが俺より明らかに弱そうと判断した場合、俺なら容赦なく俺が勝つためにタッグパートナーのモンスターを勝手にリリースしたりシンクロやエクシーズの素材にするだろう。

 

「そう…」

 

明日香はそう答えるとまた自分のデッキを見直し始めた。ただ、その顔は考え事をしているというより、何かに悩んでいるような顔だった。

 

「ふふふ。さぁ、悩みを言え。どんな悩みでも話だけなら聞いてやろう」

 

「何で上から目線なのよ。それにしても、よく私が悩んでいることがあるなんてわかるわね?」

 

「こう見えても年長者だからな」

 

「同年代でしょ。まぁ、良いわ」

 

彼女はため息をつくと、ポツポツと自身が抱えている悩みを話し始めた。

 

「最近、自分の強さに限界を感じているのよ」

 

「ふむ」

 

勝率9割を誇る『デュエルアカデミアの女王』が何言ってんだ?って言う突っ込みは野暮かな。

 

「そこで目を付けたのが同年代で上位の実力を持った貴方や赤羽君、三沢君や万丈目君ね」

 

「うん?」

 

「貴方達って色んなデッキを使うマルチデッカーじゃない?」

 

「そうだな」

 

俺もコナミも所持デッキ数は50を軽く超えるからな。俺達とデュエルする奴は俺達用のメタデッキを用意することはまず出来ないだろう。

 

「貴方たちもかなりの数のデッキを持っていると思うけれど、それは例外としても、三沢も9つくらいデッキを作っているみたいね」

 

「万丈目も少し前に遊びに来た兄貴達とのデュエルで、新たなデッキ【おジャマ】デッキを使っていたな。つまり万丈目も【VWXYZ】、【ドラゴン族】、【おジャマ】の3つのデッキを持っているわけだ」

 

3日くらい前の話だが、万丈目兄弟がやって来たのだ。アニメのようにデュエルアカデミアを乗っ取るためではなく、主に兄弟交流的な意味でと言うのが彼らのブラコンっぷりが伺える。

 

兄弟揃って頭でも打ったのだろうか?

 

どうやら万丈目本人にだけは来訪を伝えていたらしく、十代と共にこの島にある古井戸に向かい、そこに捨てられたカードだけでデッキを組んで、万丈目兄弟のレアカードデッキと死闘を繰り広げていた。

 

恐らく万丈目は古井戸のカードを回収した際に【黒蠍】のカード達も手に入れているだろうな。

 

俺がステルス状態で顔を見られないようにして、ガガギゴの件が終わってからすぐに置きに行ったから、古井戸の精霊たちは急に現れたように見えただろう【黒蠍】のカード達にびっくりしただろうな。

 

「だから、私もサイバーエンジェル以外のデッキも使ってみようかなって思ってね」

 

「あぁ、だからさっきのデュエルでは水属性モンスター主体のデッキを使っていたわけか」

 

「そういうこと。ただ、なかなか上手くいかなくてね」

 

なるほど。確かに明日香が先ほどの試験コートで行われていたタッグデュエルで使用していたのは、アニメ版の光の結社時代や漫画版で使用していた氷モンスターだったな。

 

アイスカウンターを貯めることで相手の行動を抑制したり表示形式を変更したりできるユニークなデッキなんだが、サイバーエンジェルに比べるとカードパワーが不足気味だ。

 

新規カード増えろって前世ではよく思ってたな。サイバーエンジェルに【サイバー・ブレイダー】だけでも混ぜられるようにならないかな…なんてさ。

 

【クリスタル・ガール】とか【ブリザード・プリンセス】とかは優秀な方なんだが、あのカード達はアイスカウンター関係ないんだよなぁ。

 

「なら別のテーマと混ぜてみればいいんじゃないか?」

 

「別のテーマと?でも、テーマデッキって基本的には1つのテーマで組んで、残りは汎用カードで固めるのがセオリーなんじゃないの?」

 

「そうとも限らない。コナミが使う【海皇】と【水精鱗】は混ぜることを主体に作られているふしがあるし、【ファーニマル】なんて【エッジインプ】と【デストーイ】を混ぜるのが基本形だ」

 

「どちらも殆ど聞いたことがないテーマね…」

 

コナミはまだこの世に出てきていないカードを拾ってくるし、【ファーニマル】なんて素良以外が使用したところを見たことも聞いたことも無いからな。殆ど専用カードみたいなもんだ。

 

「この前のカードパックに水属性のシンクロテーマが入っていたから、その辺りから手をつけてみればいいんじゃないか?シンクロモンスターとか使ったことないだろ?」

 

「そうね。今度試してみようかしら。ありがとうね、クロト」

 

「どういたしまして」

 

明日香とそんな話をしていると、翔たちのデュエルは終わっていた。

 

『ラーイエロー所属の三沢大地君、オシリスレッド所属の赤羽コナミ君。試験コートへお入り下さい』

 

どうやら次のデュエルは三沢とコナミのタッグの様だ。少し待つと試験コートに三沢とコナミが現れて挨拶を交わしている。彼らの被害者(対戦相手)は…。

 

「オレたち「属性デッキ六人衆」の永遠のライバル、三沢大地!そして赤羽コナミよ!とうとうお前たちと対峙するこの日がやって来たな!」

 

「君たち2人と白河クロトはボク達「属性デッキ六人衆」にマークされているのさ!」

 

俺も?

 

「貴方って色んなデッキを使うから、6属性デッキに拘る彼らに目を付けられたのね。彼らは中学時代からあんな感じよ?」

 

「嬉しくないな~」

 

そう言えば「属性デッキ六人衆」は全員がオベリスクブルー男子とオベリスクブルー女子で構成されていたな。

 

~~~

 

「そう力むなって。デュエルは楽しくやろうよ」

 

「ふっ、オベリスクブルーの中でも実力者揃いと噂の「属性デッキ六人衆」か。相手にとって不足は無い!」

 

コナミと三沢もやる気十分って感じだな。

 

「ボクの名前は水城流次!凛として澄みきっており…それでいて逆巻くような激しさを内に秘めている水属性デッキでお相手しよう!ボクの美しい流れについてこれるかな?」

 

「オレの名前は地原岩夫!オレの荒ぶる大地の力を秘める地属性デッキで相手をしてやる!さぁ、かかって来い!」

 

大げさだな。お前らのデッキって確か【ウォーターワールド】とかの属性サポートのフィールド魔法を貼って殴って来るだけのデッキじゃなかったか?

 

「水属性か。ならオレも水属性で行こうかな~」

 

「それならば、オレは動かざること地の如し!地のデッキで相手をしよう!」

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆コナミ&三沢 LP:8000

コナミ 手札:5枚。

三沢 手札:5枚。

 

 

vs

 

◆属性デッキ使い LP:8000

水城流次 手札:5枚。

地原岩夫 手札:5枚。

 

 

「先攻は貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

水城流次 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【七星の宝刀】を発動するよ!手札の【サイレントアビス】を除外して2ドロー!」

水城流次 手札:6→5→4→6枚。

 

【七星の宝刀】

通常魔法

「七星の宝刀」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札または自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル7モンスター1体を除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「ボクは手札からフィールド魔法【ウォーターワールド】を発動するよ!」

水城流次 手札:6→5枚。

 

【ウォーターワールド】

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在する水属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする。

 

「ボクは手札から永続魔法【ウォーターハザード】を発動するよ!」

水城流次 手札:5→4枚。

 

【ウォーターハザード】

永続魔法

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、

手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「ボクは【ウォーターハザード】の効果発動!手札から【グラナドラ】を特殊召喚!そしてその効果により1000ポイントLPを回復する!」

水城流次 手札:4→3枚。

属性デッキ使い LP:8000→9000

 

<属性デッキ使いのフィールド>

グラナドラ ★4 ATK1900→2400

 

【グラナドラ】

効果モンスター

星4/水属性/爬虫類族/攻1900/守 700

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分は1000ライフポイント回復する。

このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分は2000ポイントダメージを受ける。

 

「ボクは手札から【レクンガ】を召喚する!」

水城流次 手札:3→2枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

グラナドラ ★4 ATK2400

レクンガ ★4 ATK1700→2200

 

【レクンガ】

効果モンスター

星4/水属性/植物族/攻1700/守 500

自分の墓地の水属性モンスター2体をゲームから除外する度に、自分フィールド上に「レクンガトークン」(植物族・水・星2・攻/守700)を1体攻撃表示で特殊召喚する。

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド!」

水城流次 手札:2→0枚。

 

 

◆コナミ&三沢 LP:8000

コナミ 手札:5枚。

三沢 手札:5枚。

 

 

vs

 

◆属性デッキ使い LP:9000。フィールド魔法:1枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

水城流次 手札:0枚。

地原岩夫 手札:5枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

グラナドラ ★4 ATK2400

レクンガ ★4 ATK2200

 

「オレのターンだな!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【ツインツイスター】発動!手札の【水精鱗-リードアビス】を墓地に送り、伏せカード2枚を破壊する!」

コナミ 手札:6→5→4枚。

 

「ちぃ!チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【ダメージ・ダイエット】発動!」

属性デッキ使い 伏せカード:2→1枚。

 

【ダメージ・ダイエット】

通常罠

このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。

また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

 

チェーン②ダメージ・ダイエット

チェーン①ツインツイスター

 

属性デッキ使い 伏せカード:1→0枚。

 

このターン自分が受ける全てのダメージは半分になるか。これで流石のコナミでもLP9000状態からを後攻1ターンキルは難しいかな。

 

もう片方の伏せカードは【激流葬】だったか。悪くないカードなんだけどな。

 

「オレは手札から【水精鱗-メガロアビス】の効果発動!手札の【海皇の竜騎隊】と【水精鱗-アビスグンデ】を墓地に送って自身を特殊召喚!」

コナミ 手札:4→2→1枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400→2900

 

【水精鱗-メガロアビス】

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2400/守1900

(1):手札からこのカード以外の水属性モンスター2体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「アビス」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカード以外の自分フィールドの表側攻撃表示の水属性モンスター1体をリリースして発動できる。このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

 

「手札コストとした【海皇の竜騎隊】の効果発動!デッキから【深海のディーヴァ】を手札に加える!」

効果モンスター

星4/水属性/海竜族/攻1800/守 0

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分のレベル3以下の海竜族モンスターは直接攻撃できる。

(2):このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合に発動する。デッキから「海皇の竜騎隊」以外の海竜族モンスター1体を手札に加える。

 

「チェーンして手札コストとした【水精鱗-アビスグンデ】の効果発動!墓地の【水精鱗-リードアビス】を蘇生させる!」

 

【水精鱗-アビスグンデ】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻1400/守 800

このカードが手札から墓地へ捨てられた場合、自分の墓地から「水精鱗-アビスグンデ」以外の「水精鱗」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

「水精鱗-アビスグンデ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「更にチェーンして【水精鱗-メガロアビス】の効果発動!デッキから【アビスケイル-ミヅチ】を手札に加える!」

 

チェーン③水精鱗-メガロアビス

チェーン②水精鱗-アビスグンデ

チェーン①海皇の竜騎隊

 

コナミ 手札:1→2→3枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK2700→3200

 

【水精鱗-リードアビス】

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2700/守1000

自分のメインフェイズ時、

手札からこのカード以外の水属性モンスター3体を墓地へ捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚に成功した時、自分の墓地から「アビス」と名のついた魔法・罠カード1枚を選択して手札に加える事ができる。

また、このカード以外の自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「水精鱗」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、相手の手札をランダムに1枚墓地へ送る。

「水精鱗-リードアビス」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

コナミは【深海のディーヴァ】をサーチして召喚権を残している。まだ展開は続くな。

 

明日香は水属性でも屈指の殺意を秘めた【海皇水精鱗】の怒涛の展開に驚いているようだが、ここからが本当の地獄だ。

 

「オレは手札から【深海のディーヴァ】を召喚!

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

深海のディーヴァ ★2 ATK200→700

 

【深海のディーヴァ】

チューナー・効果モンスター

星2/水属性/海竜族/攻 200/守 400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「そして【深海のディーヴァ】の効果発動!デッキから【海皇子 ネプトアビス】を特殊召喚する!」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

深海のディーヴァ ★2 ATK700 ※チューナー

海皇子 ネプトアビス ★1 ATK800→1300

 

【海皇子 ネプトアビス】

効果モンスター

星1/水属性/海竜族/攻 800/守 0

「海皇子 ネプトアビス」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。デッキから「海皇子 ネプトアビス」以外の「海皇」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、「海皇子 ネプトアビス」以外の自分の墓地の「海皇」モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「更に【海皇子 ネプトアビス】の効果発動!【海皇の重装兵】を墓地に送って【海皇龍 ポセイドラ】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「ここで【海皇の重装兵】の効果発動!【グラナドラ】を破壊する!」

 

【海皇の重装兵】

効果モンスター

星2/水属性/海竜族/攻 0/守1600

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズにレベル4以下の海竜族モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動する。その相手の表側表示のカードを破壊する。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

レクンガ ★4 ATK2200

 

「【グラナドラ】が!?」

 

「【グラナドラ】のデメリット効果を受けて貰うぞ!」

 

【ダメージ・ダイエット】のおかげで受けるダメージは半減だな。

 

「ぐぅぅっ!」

属性デッキ使い LP:9000→8000

 

「オレはレベル1【海皇子 ネプトアビス】にレベル2【深海のディーヴァ】をチューニング!現れよ!レベル3!シンクロチューナー【たつのこ】!」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

たつのこ ★2 ATK1700→2200 ※チューナー

 

【たつのこ】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星3/水属性/幻竜族/攻1700/守 500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

S召喚したこのカードを素材としてS召喚をする場合、手札のモンスター1体もS素材にできる。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードは他のモンスターの効果を受けない。

 

「更にオレは手札のレベル7【海皇龍 ポセイドラ】にレベル3【たつのこ】をチューニング!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

「手札のモンスターをシンクロ素材にするの!?」

 

明日香は先ほどから驚くのに忙しそうだな。それにしてもシンクロチューナーか。しかもそれを絡めたレベル10。何故だろう。嫌な予感しかしない。

 

「万物の頂に眠りし臥龍!全知全能の神気を宿し今こそ目覚めよ!シンクロ召喚!!現れよ!レベル10!【白闘気双頭神龍】!」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3300→3800

 

【白闘気双頭神龍】

シンクロ・効果モンスター

星10/水属性/魚族/攻3300/守3000

Sモンスターのチューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):自分ターンにこのカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分フィールドに「神龍トークン」(魚族・水・星10・攻3300/守3000)1体を守備表示で特殊召喚する。

(2):相手ターンに1度、自分フィールドにトークンがない場合に発動できる。自分フィールドに「神龍トークン」1体を特殊召喚する。

(3):このカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に、自分フィールドに「神龍トークン」が存在していれば発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。

 

「はぁぁぁっ!?【白闘気双頭神龍】!?あの野郎、あんなもん何処で手に入れたんだ!?」

 

漫画版アークファイブの登場人物で未来人の蓮の切り札じゃねーか!?この世界には絶対に存在しないはずだぞ!?

 

「【白闘気双頭神龍】の効果発動!【神龍トークン】を特殊召喚する!」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 DEF3000→2600

 

「オレは手札から装備魔法【アビスケイル-ミヅチ】発動!【水精鱗-メガロアビス】に装備させる!」

コナミ 手札:2→1枚。

コナミ&三沢 装備魔法:0→1枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900→3700 ※【アビスケイル-ミヅチ】装備

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 DEF2600

 

【アビスケイル-ミヅチ】

装備魔法

「水精鱗」と名のついたモンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。

このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上で発動した魔法カードの効果を無効にする。その後、このカードを墓地へ送る。

 

「バトルだ!【白闘気双頭神龍】で【レクンガ】を攻撃!」

 

白闘気双頭神龍 ATK3800

vs

レクンガ ATK2200 ※戦闘破壊

 

<属性デッキ使いのフィールド>

モンスター無し

 

【ダメージ・ダイエット】のおかげで受けるダメージは下がるが…。

 

「うわぁぁぁっ!」

属性デッキ使い LP:8000→7200

 

「追撃だ!【水精鱗-リードアビス】でダイレクトアタック!」

 

水精鱗-リードアビス ATK3200

 

「うぐぁぁぁっ!」

属性デッキ使い LP:7200→5600

 

「更に追撃だ!【水精鱗-メガロアビス】でダイレクトアタック!」

 

水精鱗-メガロアビス ATK3700

 

「ぐぇぇぇぇっ!」

属性デッキ使い LP:5600→3750

 

【ウォーターワールド】の効果を完全に逆手に取られているとはいえ、シングルデュエルなら【ダメージ・ダイエット】の効果を使ってなお後攻1ターンキルされていたな…。

 

「メインフェイズ2に移行!オレは手札から【貪欲な壺】を発動!墓地からモンスター5体をデッキに戻して2ドロー!

コナミ 手札:1→0→2枚。

 

<コナミがデッキに戻したモンスター>

①海皇の竜騎隊

②水精鱗-アビスグンデ

③海皇子 ネプトアビス

④深海のディーヴァ

⑤たつのこ

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:2→0枚。

コナミ&三沢 伏せカード:0→2枚。

 

 

◆コナミ&三沢 LP:8000。伏せカード:2枚。装備魔法:1枚。

コナミ 手札:1枚。

三沢 手札:5枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK3700 ※【アビスケイル-ミヅチ】装備

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 DEF2600

 

vs

 

◆属性デッキ使い LP:3750。フィールド魔法:1枚。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。

水城流次 手札:0枚。

地原岩夫 手札:5枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

モンスター無し

 

 

「くそっ!水城め!とんでもない状況でターンを回しやがって…!オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

地原岩夫 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動!デッキから【ガイアパワー】を手札に加える!」

地原岩夫 手札:6→5枚。

 

「装備魔法【アビスケイル-ミヅチ】の効果により【テラ・フォーミング】の効果は無効になる!そして【アビスケイル-ミヅチ】は墓地に送られる!」

コナミ&三沢 装備カード:1→0枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK3700→2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 DEF2600

 

「食らえ!オレは手札から魔法カード【ライトニング・ボルテックス】を発動するぞ!手札の【レイジアース】を捨ててお前のモンスターを全滅させるぜ!」

地原岩夫 手札:5→4→3枚。

 

【ライトニング・ボルテックス】

通常魔法

(1):手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【我が身を盾に】を発動!【ライトニング・ボルテックス】を無効にして破壊する!」

コナミ&三沢 LP:8000→6500、伏せカード:2→1枚。

 

【我が身を盾に】

速攻魔法

1500ライフポイントを払って発動する。

相手が発動した「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つカードの発動を無効にし破壊する。

 

チェーン②我が身を盾に

チェーン①ライトニング・ボルテックス ※無効化&破壊。

 

「ちぃっ!オレは手札から装備魔法【早すぎた埋葬】を発動するぞ!800LPを払い、墓地の【レイジアース】を復活させてこのカードを装備する!」

地原岩夫 手札:3→2枚。

属性デッキ使い LP:3750→2950、装備魔法:0→1枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

レイジアース ★7 ATK2000 ※【早すぎた埋葬】装備。

 

【レイジアース】

効果モンスター

星7/地属性/爬虫類族/攻2000/守1500

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、フィールド上に表側表示で存在する地属性モンスター以外のモンスターを全て破壊する。

 

「バトルだ!【レイジアース】で【水精鱗-メガロアビス】に攻撃!」

 

レイジアース ATK2000 ※戦闘破壊

vs

水精鱗-メガロアビス ATK2900

 

<属性デッキ使いのフィールド>

モンスター無し。

 

「ぐおぉぉっ!だがここで【レイジアース】の効果発動だ!お前のモンスターを全滅させるぜ!」

属性デッキ使い LP:2950→2050、装備魔法:1→0枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

モンスターなし。

 

「ありゃりゃ」

 

「フハハハハッ!どうだ!これが荒ぶる大地の力よ!これでお前のフィールドはがら空きだ!」

 

「それはどうかな?」

 

「何っ!?」

 

「リバースカードオープン!罠カード【激流蘇生】発動!破壊されたモンスターは全て蘇り、蘇ったモンスターの数×500!つまり1500LPダメージを与える!」

コナミ&三沢 伏せカード:1→0枚。

 

【激流蘇生】

通常罠

自分フィールド上の水属性モンスターが戦闘またはカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時に発動できる。

その時に破壊され、フィールド上から自分の墓地へ送られたモンスターを全て特殊召喚し、特殊召喚したモンスターの数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。

「激流蘇生」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

墓地の【ダメージ・ダイエット】の除外して受ける効果ダメージを半分したいところだろうが、確か【ダメージ・ダイエット】はダメージステップ中には発動できないからなぁ。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2400→2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK2700→3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3300→3800

 

「ば、馬鹿な…ぬおぉぉっ!」

属性デッキ使い LP:2050→550

 

酷いな。フルボッコじゃん。

 

「ぐぐぐっ!メインフェイズ2に移行!モンスターを裏側守備表示でセット!更にカードを1枚セットしてターンエンド!」

地原岩夫 手札:2→1→0枚。

属性デッキ使い 伏せカード:0→1枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「ここで【白闘気双頭神龍】の効果発動!【神龍トークン】を特殊召喚する!」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 ATK3300→3800

 

 

◆コナミ&三沢 LP:6500。伏せカード:0枚。装備魔法:1枚。

コナミ 手札:0枚。

三沢 手札:5枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 ATK3800

 

vs

 

◆属性デッキ使い LP:550。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

水城流次 手札:0枚。

地原岩夫 手札:0枚。

 

<属性デッキ使いのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

「ようやくオレのターンか。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【苦渋の決断】を発動!デッキから【磁石の戦士β】を墓地に送り、デッキから【磁石の戦士β】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚。

 

【苦渋の決断】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を墓地へ送り、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「オレは手札の【電磁石の戦士α】・【電磁石の戦士β】【電磁石の戦士γ】を除外して【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】を特殊召喚する!」

三沢 手札:6→3→2枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

水精鱗-メガロアビス ★7 ATK2900

水精鱗-リードアビス ★7 ATK3200

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3800

神龍トークン ★10 ATK3800

電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン ★8 ATK3000

 

【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】

特殊召喚・効果モンスター

星8/地属性/岩石族/攻3000/守2800

このカードは通常召喚できない。

自分の手札・フィールド・墓地から、「電磁石の戦士α」「電磁石の戦士β」「電磁石の戦士γ」を1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。

(1):自分の墓地からレベル4以下の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を除外し、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、除外されている自分の「電磁石の戦士α」「電磁石の戦士β」「電磁石の戦士γ」を1体ずつ対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「オレは【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】の効果発動!墓地の【磁石の戦士β】を除外してそちらの伏せカードを破壊する!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【つり天井】発動!これでお前のモンスターは全滅だぜ!」

属性デッキ使い 伏せカード:1→0枚。

 

【つり天井】

通常罠

フィールド上にモンスターが4体以上存在する場合に発動する事ができる。

フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。

 

アイツ、あんなカードばかりだな。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

モンスター無し

 

「油断したな!これでオレたちのフィールドの方が優位だ!」

 

「それはどうかな?」

 

「何っ!また何かあるのか!?」

 

「【電磁石の戦士マグネット・ベルセリオン】は相手の効果で破壊された場合、除外されている【電磁石の戦士α】【電磁石の戦士β】【電磁石の戦士γ】を特殊召喚出来るのさ」

 

「なっ!?」

 

<コナミ&三沢のフィールド>

電磁石の戦士α ★3 ATK1700

電磁石の戦士β ★3 ATK1500

電磁石の戦士γ ★3 DEF2000

 

「そして特殊召喚された【電磁石の戦士】たちにはそれぞれ発動できる効果がある!」

 

「まだ何かあるのか!?」

 

「【電磁石の戦士γ】の効果発動!手札から【磁石の戦士β】を特殊召喚する!」

 

【電磁石の戦士γ】

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻 800/守2000

「電磁石の戦士γ」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「電磁石の戦士γ」以外のレベル4以下の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):相手ターンにこのカードをリリースして発動できる。デッキからレベル4の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「【電磁石の戦士β】の効果発動!デッキから【磁石の戦士δ】を手札に加える!」

 

【電磁石の戦士β】

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻1500/守1500

「電磁石の戦士β」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「電磁石の戦士β」以外のレベル4以下の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を手札に加える。

(2):相手ターンにこのカードをリリースして発動できる。デッキからレベル4の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「【電磁石の戦士α】の効果発動!デッキから【磁石の戦士マグネット・バルキリオン】を手札に加える!」

 

【電磁石の戦士α】

効果モンスター

星3/地属性/岩石族/攻1700/守1100

「電磁石の戦士α」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキからレベル8の「磁石の戦士」モンスター1体を手札に加える。

(2):相手ターンにこのカードをリリースして発動できる。デッキからレベル4の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

チェーン③電磁石の戦士α

チェーン②電磁石の戦士β

チェーン①電磁石の戦士γ

 

三沢 手札:2→3枚。

三沢 手札:3→4枚。

三沢 手札:4→3枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

電磁石の戦士α ★3 ATK1700

電磁石の戦士β ★3 ATK1500

電磁石の戦士γ ★3 DEF2000

磁石の戦士β ★4 ATK1700

 

【磁石の戦士β】

通常モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1700/守1600

α、β、γで変形合体する。

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】を発動!【磁石の戦士β】を墓地に送り、デッキから2ドロー!」

三沢 手札:3→2→4枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

電磁石の戦士α ★3 ATK1700

電磁石の戦士β ★3 ATK1500

電磁石の戦士γ ★3 DEF2000

 

「オレは手札から【磁石の戦士δ】を召喚して効果発動!デッキから【磁石の戦士α】を墓地に送る!」

三沢 手札:4→3枚。

 

<コナミ&三沢のフィールド>

電磁石の戦士α ★3 ATK1700

電磁石の戦士β ★3 ATK1500

電磁石の戦士γ ★3 DEF2000

磁石の戦士δ ★4 ATK1600

 

【磁石の戦士δ】

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1600/守1400

「磁石の戦士δ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキからレベル4以下の「マグネット・ウォリアー」モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、「磁石の戦士δ」以外のレベル4以下の「マグネット・ウォリアー」モンスター3体を自分の墓地から除外して発動できる。手札・デッキから「磁石の戦士マグネット・バルキリオン」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「そろそろフィニッシュと行こうか!【電磁石の戦士β】でダイレクトアタック!」

 

電磁石の戦士β ATK1500

 

「うおわぁぁぁっ!」

属性デッキ使い LP:550→0

 

 

 

「くっ!ボクたち「属性デッキ六人衆」がこうもアッサリ敗れるとは…!」

 

「三沢大地、それに赤羽コナミ!前評判に偽りなし!それでこそオレたち「属性デッキ六人衆」の永遠のライバルに相応しい!」

 

「デュエルならいつでも受けて立つよ」

 

「タニヤっち…これで一歩、最強の男に近付いたよ…!」

 

~~~

 

デュエルが終わると三沢たちは試験コートから退出していく。

 

「流石は三沢君と赤羽君ね。彼ら「属性デッキ六人衆」は中学時代からずっとオベリスクブルーの中でも上位のデュエリストなのよ?」

 

「そうなのか?」

 

風使いの女の子以外の5人は続編のTF4に続投しなかったから印象薄いんだよな。

 

『ラーイエロー所属の白河クロト君、同じくラーイエロー所属の坂倉真君。試験コートへお入り下さい』

 

「貴方の番みたいね?」

 

「そうみたいだな」

 

坂倉とのタッグか。何気に初めてだな。

 

「良いデュエルを期待しているわ」

 

「それじゃあ、なるべくご期待に添えるように頑張りますか」

 

明日香の声援?を受けて、俺は試験コートへと向かう。

 

今日は闇のデュエルやら制裁デュエルやらといった面倒なしがらみは全くないからな。楽しませてもらうとしよう。




三沢は一体どこに向かって居るのだろうか…。

万丈目兄弟のデュエルは丸々カット。【おジャマ】デッキはそのうち何処かで出てくる予定です。

三沢のデッキは【磁石の戦士】です。電磁石の戦士やサポートカードも増えて中々に強力なデッキとなっています。アニオリの磁石の戦士は今後機会があったら出るかも知れません。

コナミのデッキは【海皇水精鱗】です。OCG第8期で登場して大会でも一定の成績を残したデッキで、キーパーツが制限具合によって環境から消えたり復帰したりしていました。本作の現状ではキーパーツに一切の禁止制限はない為、かなり強いデッキです。

「属性デッキ六人衆」の1人である地原岩夫のデッキは【地属性】です。フィールド魔法と優秀な岩石族で戦いつつ、切り札の【メガロック・ドラゴン】で勝負を決めるデッキです。

「属性デッキ六人衆」の1人である水城流次のデッキは【水属性】です。フィールド魔法で強化した水属性モンスターでひたすら殴るデッキです。

次回の更新は5/8(土) AM6:00予定です。

タツタ様、カカン様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百十九話 アカデミア月一試験4

前回のあらすじ:属性デッキ六人衆、現る。

今回の対戦カードはオリ主とTF3のモブキャラである坂倉のタッグで、相手はダークロウの仮面を被った少女とその友人となります。


<クロト視点>

 

俺が試験コートに降りると、既に今回のタッグパートナーである坂倉真がこちらを待っていた。

 

「よぅ!今日は白河とタッグなんだってな!よろしくな!」

 

「あぁ、こちらこそな」

 

対戦相手は…とうとう来たか。

 

「我が名は、破滅の女神、ダークロウゆま!…です」

 

「ゆまちゃ~ん。恥ずかしいから止めてよ~」

 

ダークロウの仮面を付けて仮面〇イダーのような決めポーズを取る茶髪ショートヘアの少女に対し、太い眉に眠そうな目をしたアホ毛を生やした赤紫の髪の少女が咎めている。

 

見た目がタッグフォース6仕様の宮田ゆまと樋口桜だ。とはいえ、この2人はタッグフォース3と6での見た目の違いは少ない方だ。

 

それにしても、ゆまの決めポーズはなかなか様になっているな。相当練習したのだろう。ここは俺も対抗せねばなるまいな!

 

~~~

 

<明日香視点>

 

クロトとラーイエローの生徒、オベリスクブルー女子の生徒が試験コートでそれぞれの挨拶を始めた頃、それは起こった。

 

「♪~」

 

「「「?」」」

 

クロトはいきなり口笛でセルフBGMを作り出し始めた。

 

「人の心に澱む影を照らす眩き光、人は俺を…「ナンバーズハンター」と呼ぶ!」

 

「え~っと、白河?」

 

「貴様らのナンバーズ、回収させてもらう!」

 

あぁ、また彼の奇行が始まったのね。

 

「さぁ、デュエルだ!貴様らの闇をさらけ出してやる!」

 

「なんだかなぁ」

 

「うわぁ…この人もゆまちゃん並に危ない人だ…」

 

「私はあそこまで酷くないよ!?」

 

クロトの奇行に付いていけていない3人は、クロトの様子を窺っている。そのうちの1人は完全に引いている。

 

「デュエルモード…フォトンチェンジ!」

 

「「「!?」」」

 

彼がその言葉を発すると、彼の体からまばゆい光が放たれて試験会場全体を包みこむ!

 

「何の光!?」

 

誰かがそんなことを叫んでいた。そしてその光が収まる頃には、彼が身につけていたラーイエローの制服の色が白と紫を基調とした服装に変わっていた。

 

それだけではなく彼の左目付近には謎の模様が浮かび上がり、彼の瞳は赤く染まっていた。

 

「さぁ!狩らせてもらおう!貴様らの魂ごと!」

 

私はその姿を見て…呆れて言葉も出なかった。

 

「白河…お前なぁ」

 

「か、格好いいです!」

 

「ゆまちゃん!?落ち着いて!?」

 

彼は時々何かのコスプレをしてその役どころになりきる趣味がある、とツァンさんに聞いたことがあるけれど、ここまでやるとは…。

 

「クロト、活き活きしてるな~。オレもハーモニカ吹けば良かったかな」

 

「白河ってああいう奴なんだな!くぅ~!面白いノリだぜ!」

 

「一緒に居ると恥ずかしいから、兄貴は真似しないでよ?」

 

「白河、楽しそうなんだナァ」

 

「白河め!粋な演出を…!だが、この万丈目サンダーより目立つことをするとは…許せん!」

 

「なるほど!オレが光り輝くためにはああいう演出もアリだな!」

 

赤羽君や遊城君を始め、一部の男子生徒にはウケが良いようだ。

 

「ふっ、アイツらしいな」

 

「ボクが異世界にいる間に随分とパフォーマンスが進化したんだね」

 

「クロト君、やるねぇ!ボクもブリザードプリンスらしい演出を考えておこうかな!」

 

兄さんには自重してもらうとして、亮や藤原さんまで楽しそうにしているのは驚きね。

 

「白河様、楽しそうですね。ツァンちゃんも嬉しそうに見えます」

 

「紫!?そ、そんなことないし!?」

 

「ふふっ、クロ坊。やるじゃない。私の見込み通りね」

 

意外にも、彼の知り合いの女の子には結構好評みたいだ。あれ?私の感性がおかしいの?そんなことないわよね?

 

「よ、よ~し!デュエルだ!」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「は~い。デュエルしましょ~」

 

クロトの奇行を目の前で見てしまった一般的な3人はようやく立ち直り、何事も無かったかのように振舞っていた。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

クロト&坂倉 LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

坂倉真 手札:5枚。

 

 

vs

 

ゆま&桜 LP:8000

宮田ゆま 手札:5枚。

樋口桜 手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰うよ~!私のターン。ドローフェイズ、ドロ~。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行~」

樋口桜 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動するよ~。EXデッキから6枚裏側除外して2ドロ~」

樋口桜 手札:6→5→7枚。

 

「私は手札から永続魔法【王家の神殿】を発動するよ~」

樋口桜 手札:7→6枚。

ゆま&桜 永続魔法:0→1枚。

 

【王家の神殿】

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分は罠カード1枚をセットしたターンに発動できる。

(2):自分フィールドの表側表示の「聖獣セルケト」1体とこのカードを墓地へ送って発動できる。手札・デッキのモンスター1体またはEXデッキの融合モンスター1体を特殊召喚する。

 

「私は手札から罠カードをセットして、【王家の神殿】の効果で発動するよ~。永続罠【光のピラミッド】発動~」

樋口桜 手札:6→5枚。

ゆま&桜 永続罠:0→1枚。

 

【光のピラミッド】

永続罠

自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがフィールド上から離れた場合、自分フィールド上に存在する「アンドロ・スフィンクス」、「スフィンクス・テーレイア」を破壊しゲームから除外する。

 

「私は手札から【アンドロ・スフィンクス】を、500LPを払って特殊召喚するよ~」

樋口桜 手札:5→4枚。

ゆま&桜 LP:8000→7500

 

<ゆま&桜のフィールド>

アンドロ・スフィンクス ★10 ATK3000

 

【アンドロ・スフィンクス】

効果モンスター

星10/光属性/獣族/攻3000/守2500

フィールド上に「光のピラミッド」が存在する場合、500ライフポイントを払う事でこのカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードは召喚・特殊召喚したターンに攻撃をする事ができない。このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

このカードが戦闘によって守備表示モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

 

「更に私は手札から【スフィンクス・テーレイア】を、500LPを払って特殊召喚するよ~」

樋口桜 手札:4→3枚。

ゆま&桜 LP:7500→7000

 

<ゆま&桜のフィールド>

アンドロ・スフィンクス ★10 ATK3000

スフィンクス・テーレイア ★10 DEF3000

 

【スフィンクス・テーレイア】

効果モンスター

星10/光属性/獣族/攻2500/守3000

フィールド上に「光のピラミッド」が存在する場合、500ライフポイントを払う事でこのカードを手札から特殊召喚する事ができる。

このカードは召喚・特殊召喚したターンに攻撃をする事ができない。このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

このカードが戦闘によって守備表示モンスターを破壊した場合、破壊したモンスターの守備力の半分のダメージを相手ライフに与える。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド~」

樋口桜 手札:3→1枚。

ゆま&桜 伏せカード:0→2枚。

 

 

クロト&坂倉 LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

坂倉真 手札:5枚。

 

 

vs

 

ゆま&桜 LP:7000。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

宮田ゆま 手札:5枚。

樋口桜 手札:1枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

アンドロ・スフィンクス ★10 ATK3000

スフィンクス・テーレイア ★10 DEF3000

 

樋口さんが使うデッキの一つ、【光のピラミッド】ね。

 

あの2体の大型モンスターを同時に破壊するとデッキから【スフィンクス・アンドロジュネス】が特殊召喚されるけれど、タッグ戦だと出番は無さそうよね。

 

「オレのターンだな!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行だ!」

坂倉 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【タックルセイダー】を召喚だ!」

坂倉 手札:6→5枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

タックルセイダー ★4 ATK1500

 

【タックルセイダー】

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1500/守1800

このカードが墓地へ送られた場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して裏側守備表示にする。

●相手フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。

このターン、相手はこの効果で手札に戻したカード及びその同名カードを発動できない。

 

「更にオレは手札から魔法カード【トランスターン】を発動!【タックルセイダー】を墓地に送り、デッキから【守護者スフィンクス】を特殊召喚だ!」

坂倉 手札:5→4枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

守護者スフィンクス ★5 DEF2400

 

【守護者スフィンクス】

効果モンスター

星5/地属性/岩石族/攻1700/守2400

このカードは1ターンに1度だけ裏側守備表示にする事ができる。

このカードが反転召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスターを全て持ち主の手札に戻す。

 

「ここで【タックルセイダー】の効果を発動するぜ!【光のピラミッド】を手札に戻す!」

 

「じゃあここで【光のピラミッド】の効果発動~。【アンドロ・スフィンクス】と【スフィンクス・テーレイア】を破壊して除外~」

樋口桜 手札:1→2枚。

ゆま&桜 永続罠:1→0枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

モンスター無し

 

「でもこの瞬間、500LPを払ってデッキから【スフィンクス・アンドロジュネス】を特殊召喚するよ~」

ゆま&桜 LP:7000→6500

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

 

【スフィンクス・アンドロジュネス】

効果モンスター

星10/光属性/獣族/攻3500/守3000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上の「アンドロ・スフィンクス」と「スフィンクス・テーレイア」が同時に破壊された時、500ライフポイントを払う事でのみ手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。

このカードが特殊召喚に成功した時、500ライフポイントを払う事で、エンドフェイズ終了時までこのカードの攻撃力は3000ポイントアップする。

 

「特殊召喚時の【スフィンクス・アンドロジュネス】の効果は…別にいいかな~」

 

「オレは【守護者スフィンクス】の効果発動!裏側守備表示にする!」

 

<クロト&坂倉のフィールド>

裏側守備モンスター

 

「更にオレは手札から永続魔法【縮退回路】を発動!」

坂倉 手札:4→3枚。

クロト&坂倉 永続魔法:0→1枚。

 

【縮退回路】

永続魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上から手札に戻るモンスターカードは手札に戻らずゲームから除外される。

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に500ライフポイントを払う。この時に500ライフポイント払えない場合はこのカードを破壊する。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

坂倉 手札:3→1枚。

クロト&坂倉 伏せカード:0→2枚。

 

「じゃあ、エンドフェイズにリバースカードオープン~。罠カード【サンダー・ブレイク】発動~」

ゆま&桜 伏せカード:2→1枚。

 

「やっべ」

 

「手札の【光のピラミッド】を捨てて【守護者スフィンクス】を破壊~」

樋口桜 手札:2→1枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

モンスター無し

 

「あちゃ~」

 

「流石に露骨すぎるよ~。【縮退回路】を発動した状態で、【守護者スフィンクス】と分かっていて反転召喚なんてさせないよ~」

 

 

クロト&坂倉 LP:8000。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

白河クロト 手札:5枚。

坂倉真 手札:1枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

ゆま&桜 LP:6500。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

宮田ゆま 手札:5枚。

樋口桜 手札:1枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

 

 

宮田さんのターンね。彼女は中学時代にちょっと言動がおかしくなったけれど、その代わり急激に強くなってブルー女子の中でも5つの指に入るデュエリスト。

 

伏せカードはあるもののクロト達のフィールドにモンスターは居ない。対して宮田さんたちのフィールドには攻撃力3500の【スフィンクス・アンドロジュネス】。

 

もしかしたらクロトのターンが回ってこないかも知れないわね。

 

「私のターンです!ドローフェイズ、ドロ~。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行です!」

宮田ゆま 手札:5→6枚。

 

「私は魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動です!デッキから【E・HERO リキッドマン】を手札に加えます!」

宮田ゆま 手札:6→5→6枚。

 

「私は魔法カード【おろかな埋葬】を発動です!デッキから【E・HERO シャドー・ミスト】を墓地に送ります!」

宮田ゆま 手札:6→5枚。

 

「私は手札から【E・HERO リキッドマン】を召喚です!」

宮田ゆま 手札:5→4枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

E・HERO リキッドマン ★4 ATK1400

 

【E・HERO リキッドマン】

効果モンスター

星4/水属性/戦士族/攻1400/守1300

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、「E・HERO リキッドマン」以外の自分の墓地のレベル4以下の「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードが「HERO」融合モンスターの融合召喚の素材になり、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローし、その後手札を1枚選んで捨てる。

 

「【E・HERO リキッドマン】の効果発動です!墓地の【E・HERO シャドー・ミスト】を蘇生します!」

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

E・HERO リキッドマン ★4 ATK1400

E・HERO シャドー・ミスト ★4 ATK1000

 

「おぉぉぉぉっ!オレの知らないHEROたちだ!格好いいー!」

 

「うげぇ。アレってクロトが使ってたダークロウの前の姿じゃん…」

 

「こるぁぁぁ!十代!立ち上がるな!見えないだろうが!」

 

「あ、兄貴!興奮したからって立ち上がっちゃダメっすよ!」

 

「後ろの席の万丈目が迷惑そうなんだナァ」

 

「万丈目サンダー!」

 

遊城君たちも知らないHEROなのね。確かに、あのHEROたちは世界ランク2位の響プロ以外だと宮田さんしか使っているところを見たことが無いわ。

 

「【E・HERO シャドー・ミスト】の効果発動です!デッキから【マスク・チェンジ】を手札に加えます!」

宮田ゆま 手札:4→5枚。

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1500

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「チェンジ」速攻魔法カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「E・HERO シャドー・ミスト」以外の「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「私は手札から速攻魔法【マスク・チェンジ】を発動です!」

宮田ゆま 手札:5→4枚。

 

【マスク・チェンジ】

速攻魔法

(1):自分フィールドの「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の「M・HERO」モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

出たわね。宮田さんの十八番。あの魔法カードから出て来る【M・HERO】達には随分と苦戦させられたわ…。

 

「私は水属性の【E・HERO リキッドマン】を墓地に送り、EXデッキから【M・HERO アシッド】を特殊召喚します!」

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

E・HERO シャドー・ミスト ★4 ATK1000

M・HERO アシッド ★8 ATK2600

 

【M・HERO アシッド】

融合・効果モンスター

星8/水属性/戦士族/攻2600/守2100

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。

このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊し、相手フィールド上の全てのモンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。

 

「うぉぉぉぉっ!【M・HERO】!?またオレの知らないHEROたちだ!メチャクチャ格好いいー!」

 

「こるぁぁぁ!十代!またか貴様ぁ!立ち上がるなと言っているだろうがぁぁぁ!」

 

「痛い痛い!万丈目!耳を引っ張るな!」

 

「万丈目サンダー!」

 

あのHEROたちは響プロすら使用したことのない、宮田さん以外が持っていなさそうなHEROよね。

 

あれ?それって私の【サイバー・エンジェル】や兄さんの封印されし【十二獣】と同じ?

 

そう言えば、宮田さんがおかしくなったのって2年前のアメリカ留学からで、あの時にはクロトもあの場に居たわよね?

 

まさか、あのカードってクロトが渡したカード?宮田さんがおかしくなったのもクロトの影響だったりするの?…まさかね。

 

「【M・HERO アシッド】は特殊召喚時に相手フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊します!」

 

この効果が通れば宮田さんたちの勝利がほぼ決まるわ。どうなるかしら?

 

「げげっ!リバースカードオープン!速攻魔法【禁じられた聖杯】発動!【M・HERO アシッド】の効果は無効にさせてもらうぜ!」

クロト&坂倉 伏せカード:2→1枚。

 

【禁じられた聖杯】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。

 

チェーン②禁じられた聖杯

チェーン①M・HERO アシッド ※効果無効化。

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

E・HERO シャドー・ミスト ★4 ATK1000

M・HERO アシッド ★8 ATK2600→3000

 

「むぅ~。じゃあ、バトルです!【E・HERO シャドー・ミスト】でダイレクトアタックです!」

 

「させないぜ!直接攻撃宣言時に手札から【護封剣の剣士】を特殊召喚させてもらうぜ!」

坂倉真 手札:1→0枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

護封剣の剣士 ★8 DEF2400

 

【護封剣の剣士】

効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻 0/守2400

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、特殊召喚したこのカードの守備力がその攻撃モンスターの攻撃力より高い場合、その攻撃モンスターを破壊する。

(2):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

 

「【護封剣の剣士】の効果を発動するぜ!【E・HERO シャドー・ミスト】は破壊だ!」

 

「甘いです!私は手札から速攻魔法【マスク・チェンジ・セカンド】を発動です!」

宮田ゆま 手札:4→3枚。

 

【マスク・チェンジ・セカンド】

速攻魔法

「マスク・チェンジ・セカンド」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札を1枚捨て、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターよりレベルが高く同じ属性の「M・HERO」モンスター1体を、「マスク・チェンジ」による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

「さっきとは別の【マスク・チェンジ】!?」

 

「発動コストとして手札の【E・HERO ブレイズマン】を墓地に送り、【E・HERO シャドー・ミスト】を墓地に送ってEXデッキから【M・HERO 闇鬼】を特殊召喚します!」

宮田ゆま 手札:3→2枚。

 

チェーン②マスク・チェンジ・セカンド

チェーン①護封剣の剣士 ※対象を失い、不発。

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

M・HERO アシッド ★8 ATK3000

M・HERO 闇鬼 ★8 ATK2800

 

【M・HERO 闇鬼】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/戦士族/攻2800/守1200

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは直接攻撃できる。その直接攻撃で相手に与える戦闘ダメージは半分になる。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。デッキから「チェンジ」速攻魔法カード1枚を手札に加える。

 

「バトルフェイズはまだ続いています!【M・HERO 闇鬼】で【護封剣の剣士】に攻撃です!」

 

M・HERO 闇鬼 ATK2800

vs

護封剣の剣士 DEF2400 ※戦闘破壊。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

モンスター無し

 

「【M・HERO 闇鬼】の効果発動です!この子は相手モンスターを戦闘破壊した時、デッキから【マスク・チェンジ】をサーチできます!」

宮田ゆま 手札:2→3枚。

 

「マジかよ!?」

 

「そして私は手札から速攻魔法【マスク・チェンジ】を発動です!【M・HERO 闇鬼】を墓地に送り、私のフェイバリット【M・HERO ダーク・ロウ】をEXデッキより特殊召喚します!」

宮田ゆま 手札:3→2枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

スフィンクス・アンドロジュネス ★10 ATK3500

M・HERO アシッド ★8 ATK3000

M・HERO ダーク・ロウ ★6 ATK2400

 

【M・HERO ダーク・ロウ】

融合・効果モンスター

星6/闇属性/戦士族/攻2400/守1800

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードは墓地へは行かず除外される。

(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合に発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで除外する。

 

出た。宮田さんの極悪HERO。あの一体だけで多くのデッキが機能不全に陥るのよね…。

 

「【M・HERO ダーク・ロウ】でダイレクトアタックです!」

 

宮田さんたちのフィールドのモンスター達の攻撃力は合計で8000を超える。これらを全て通すのならクロト達の負けだけど…。

 

「かかった」

 

「えっ?」

 

「リバースカードオープン!罠カード【神風のバリア -エア・フォース-】発動!」

クロト&坂倉 伏せカード:1→0枚。

 

【神風のバリア -エア・フォース-】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て持ち主の手札に戻す。

 

「そ、そんな!さっきはわざわざ手札からカードを消費して防いでいたのに!?」

 

「さっきまではそちらの手札や伏せカードにサクリファイスエスケープできる手段があるかを確認していたんだぜ」

 

永続魔法【縮退回路】で手札に戻るカードは除外される。そして宮田さんたちはエースカードを一気に出し過ぎている。これは…勝負ありかしら?

 

「『切り札は先に見せるな。見せるなら更に奥の手を持て』。そこのコスプレイヤーな友人が良く言ってたぜ」

 

「誰がコスプレイヤーだ。実際、良いセリフなんだから良いんだよ」

 

クロトは昔読んだ漫画や昔プレイしたゲームのセリフを流用したがるみたいだし、きっとそのセリフもそうなんでしょうね。

 

「ゆまちゃん。もしかして、不味い状況?」

 

「あぅぅ…とっても不味いですぅ」

 

「じゃあ~、私の伏せたカードをよぉく見てみて~」

 

「えっ?あっ…リバースカードオープン!速攻魔法【禁じられた聖槍】を発動です!対象は…【M・HERO ダーク・ロウ】です!」

ゆま&桜 伏せカード:1→0枚。

 

【禁じられた聖槍】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

「「あっ」」

 

チェーン②禁じられた聖槍

チェーン①神風のバリア -エア・フォース-

 

<ゆま&桜のフィールド>

M・HERO ダーク・ロウ ★6 ATK2400→1600

 

「【M・HERO ダーク・ロウ】でダイレクトアタックです!」

 

M・HERO ダーク・ロウ ATK1600

 

「うわぁぁぁぁっ!」

クロト&坂倉 LP:8000→6400

 

「メインフェイズ2に移行します!私はカードを1枚セットしてターンエンドです!」

宮田ゆま 手札:2→1枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

M・HERO ダーク・ロウ ★6 ATK1600→2400

 

 

クロト&坂倉 LP:6400。伏せカード:0枚。永続魔法:1枚。

白河クロト 手札:5枚。

坂倉真 手札:0枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

ゆま&桜 LP:6500。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

宮田ゆま 手札:1枚。

樋口桜 手札:1枚。

 

<ゆま&桜のフィールド>

M・HERO ダーク・ロウ ★6 ATK2400

 

 

「坂倉ぁ、一番ヤバいのが残ってんだけどぉ?」

 

「悪ぃ、悪ぃ!あとよろしく!」

 

「じゃあ、なんとかしますか。俺のターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【アクセル・ライト】を発動!デッキから【フォトン・リザード】を特殊召喚する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【アクセル・ライト】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は通常召喚できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。

デッキからレベル4以下の、「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスター1体を特殊召喚する。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・リザード ★3 DEF1200

 

【フォトン・リザード】

効果モンスター

星3/光属性/ドラゴン族/攻 900/守1200

このカードをリリースして発動できる。

デッキからレベル4以下の「フォトン」と名のついたモンスター1体を手札に加える。

「フォトン・リザード」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「俺は手札から【フォトン・バニッシャー】を自身の効果で特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・リザード ★3 DEF1200

フォトン・バニッシャー ★4 ATK2000

 

【フォトン・バニッシャー】

特殊召喚・効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「フォトン」モンスターまたは「ギャラクシー」モンスターが存在する場合に特殊召喚できる。自分は「フォトン・バニッシャー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「銀河眼の光子竜」1体を手札に加える。

(2):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。

(3):フィールドのこのカードを素材としてX召喚したモンスターは以下の効果を得る。

●このカードが戦闘で破壊したモンスターは墓地へは行かず除外される。

 

「【フォトン・バニッシャー】の効果発動!デッキから【銀河眼の光子竜】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「あっ、この瞬間!【M・HERO ダーク・ロウ】の効果発動です!」

 

「えっ?…あっ!」

 

あの顔は…【M・HERO ダーク・ロウ】のもう一つの効果を忘れていたわね。

 

「ドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えたので、相手の手札をランダムに1枚選んで除外します!…それです!」

 

「ゲッ!せっかくサーチした【銀河眼の光子竜】が!?」

クロト 手札:5→4枚。

 

「おいおい、プレイングミスかよ。白河、大丈夫なのか?」

 

「お、俺がプレイングミス?と、とんだロマンチストだな!」

 

どう見てもプレイングミスだと思うけどれど…。

 

「俺は【フォトン・リザード】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【フォトン・アドバンサー】を手札に加える!」

クロト 手札:4→5枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・バニッシャー ★4 ATK2000

 

【M・HERO ダーク・ロウ】のハンデス効果は1ターンに1回のみ。もしかして本命はこっちで本当にさっきのはプレイングミスでは…それは無いわね。

 

「俺は手札から【フォトン・アドバンサー】を自身の効果で特殊召喚!!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・バニッシャー ★4 ATK2000

フォトン・アドバンサー ★4 ATK1000→2000

 

【フォトン・アドバンサー】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1000/守1000

このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

(1):フィールドに「フォトン」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):フィールドにこのカード以外の「フォトン」モンスターが存在する場合、このカードの攻撃力は1000アップする。

 

「俺はレベル4【フォトン・バニッシャー】と【フォトン・アドバンサー】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【輝光帝ギャラクシオン】!」

 

<クロト&坂倉のフィールド>

輝光帝ギャラクシオン ☆4 ATK2000 ORU:2

 

【輝光帝ギャラクシオン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/戦士族/攻2000/守2100

「フォトン」と名のついたレベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を2つまで取り除いて発動できる。

この効果を発動するために取り除いたエクシーズ素材の数によって以下の効果を適用する。

●1つ:手札から「銀河眼の光子竜」1体を特殊召喚する。

●2つ:デッキから「銀河眼の光子竜」1体を特殊召喚する。

 

「俺は【輝光帝ギャラクシオン】のORUを2つ取り除いて効果発動!光の化身、ここに降臨!デッキから現れよ!【銀河眼の光子竜】!」

輝光帝ギャラクシオン ORU:2→0

 

<クロト&坂倉のフィールド>

輝光帝ギャラクシオン ☆4 ATK2000 ORU:0

銀河眼の光子竜 ★8 ATK3000

 

【銀河眼の光子竜】

効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

(1):このカードは自分フィールドの攻撃力2000以上のモンスター2体をリリースして手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップに、その相手モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターとフィールドのこのカードを除外する。

この効果で除外したモンスターはバトルフェイズ終了時にフィールドに戻り、この効果でXモンスターを除外した場合、このカードの攻撃力は、そのXモンスターを除外した時のX素材の数×500アップする。

 

「俺は手札から速攻魔法【破滅のフォトン・ストリーム】を発動!そちらの伏せカードを除外させてもらおう!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【破滅のフォトン・ストリーム】

速攻魔法

自分フィールド上に「ギャラクシーアイズ」と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。

フィールド上のカード1枚を選択してゲームから除外する。

自分フィールド上に「銀河眼の光子竜」が存在しない場合、このカードは自分のターンにしか発動できない。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【戦線復帰】を発動です!墓地の【E・HERO ブレイズマン】を守備表示で特殊召喚します!」

ゆま&桜 伏せカード:1→0枚。

 

【戦線復帰】

通常罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

チェーン②戦線復帰

チェーン①破滅のフォトン・ストリーム ※対象を失い、不発。

 

<ゆま&桜のフィールド>

M・HERO ダーク・ロウ ★6 ATK2400

E・HERO ブレイズマン ★4 DEF1800

 

【E・HERO ブレイズマン】

効果モンスター

星4/炎属性/戦士族/攻1200/守1800

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

(2):自分メインフェイズに発動できる。デッキから「E・HERO ブレイズマン」以外の「E・HERO」モンスター1体を墓地へ送る。このカードはターン終了時まで、この効果で墓地へ送ったモンスターと同じ属性・攻撃力・守備力になる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は融合モンスターしか特殊召喚できない。

 

「【E・HERO ブレイズマン】の効果発動!デッキから【融合】を手札に加えます!」

宮田ゆま 手札:1→2枚。

 

「俺は手札から魔法カード【RUM-アストラル・フォース】を発動!」

クロト 手札:3→2枚。

 

【RUM-アストラル・フォース】

通常魔法

(1):自分フィールドのランクが一番高いXモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターと同じ種族・属性でランクが2つ高いモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分ドローフェイズのドロー前に発動できる。このカードを手札に加える。この効果を発動するターン、自分は通常のドローを行えず、「RUM-アストラル・フォース」の効果以外ではモンスターを特殊召喚できない。

 

「【輝光帝ギャラクシオン】でオーバーレイネットワークを再構築!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れよ!ランク6!【フォトン・ストリーク・バウンサー】!」

 

<クロト&坂倉のフィールド>

銀河眼の光子竜 ★8 ATK3000

フォトン・ストリーク・バウンサー ☆6 ATK2700 ORU:1

 

【フォトン・ストリーク・バウンサー】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/戦士族/攻2700/守2000

レベル6モンスター×2

相手フィールド上で効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

その効果を無効にし、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

ランクアップマジック!?エクシーズモンスターのランクを上げて別のモンスターをエクシーズ召喚した!?エクシーズ召喚にはそんなカードまであるの!?

 

「更に俺は手札から【銀河眼の残光竜】を自身の効果で特殊召喚!!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<クロト&坂倉のフィールド>

銀河眼の光子竜 ★8 ATK3000

フォトン・ストリーク・バウンサー ☆6 ATK2700 ORU:1

銀河眼の残光竜 ★8 DEF2500

 

【銀河眼の残光竜】

効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「ギャラクシーアイズ」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から守備表示で特殊召喚する。

(2):X素材のこのカードがXモンスターの効果を発動するために取り除かれた場合に発動できる。手札・デッキから「銀河眼の光子竜」1体を選び、特殊召喚するか、自分フィールドのXモンスターの下に重ねてX素材とする。

この効果をバトルフェイズに発動した場合、さらに自分フィールドの全ての「No.」Xモンスターの攻撃力は倍になる。

 

「俺はレベル8【銀河眼の光子竜】と【銀河眼の残光竜】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク8!【No.62 銀河眼の光子竜皇】!」

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・ストリーク・バウンサー ☆6 ATK2700 ORU:1

No.62 銀河眼の光子竜皇 ☆8 ATK4000 ORU:2

 

【No.62 銀河眼の光子竜皇】

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/光属性/ドラゴン族/攻4000/守3000

レベル8モンスター×2

(1):このカードが戦闘を行うダメージ計算時に1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、フィールドのXモンスターのランクの合計×200アップする。

(2):「銀河眼の光子竜」をX素材として持っていないこのカードが相手に与える戦闘ダメージは半分になる。

(3):「銀河眼の光子竜」をX素材として持っているこのカードが相手の効果で破壊された場合に発動できる。発動後2回目の自分スタンバイフェイズにこのカードの攻撃力を倍にして特殊召喚する。

 

「こ、攻撃力4000!?」

 

「バトルフェイズに移行する!【No.62 銀河眼の光子竜皇】で【M・HERO ダーク・ロウ】を攻撃!」

 

No.62 銀河眼の光子竜皇 ATK4000

vs

M・HERO ダーク・ロウ ATK2400

 

クロトならこのターンで宮田さんたちのLPを0にすることを狙うはず。ただこの攻撃だけでは…いえ、違うわ!確か、あのモンスターの効果は…!

 

「ダメージ計算時、【No.62 銀河眼の光子竜皇】のORUを1つ取り除いて効果発動!ダメージ計算時のみ、フィールドのXモンスターのランクの合計×200。つまり2800アップする!」

No.62 銀河眼の光子竜皇 ☆8 ATK4000→6800 ORU:2→1

 

「攻撃力6800!?」

 

「まだだ!ORUととして取り除いた【銀河眼の残光竜】の効果発動!デッキから【銀河眼の光子竜】を特殊召喚し、自分フィールドの全ての「No.」Xモンスターの攻撃力を倍にする!」

 

<クロト&坂倉のフィールド>

フォトン・ストリーク・バウンサー ☆6 ATK2700 ORU:1

No.62 銀河眼の光子竜皇 ☆8 ATK6800→13600 ORU:1

銀河眼の光子竜 ★8 ATK3000

 

「「「攻撃力13600!?」」」

 

攻撃力1万超えは亮とのデュエルで何度か見たけれど、今回はその攻撃力を上回るわね…。

 

「消し飛べ!ダーク・ロウ!!エタニティ・フォトン・ストリーム!!」

 

No.62 銀河眼の光子竜皇 ATK13600

vs

M・HERO ダーク・ロウ ATK2400 ※戦闘破壊。

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!」

ゆま&桜 LP:6500→0

 

 

「あうぅ…負けちゃいました」

 

「くうぅぅ…負けちゃった~」

 

「うん? おおお?これオレたちの勝ちじゃねえか、ははは」

 

「フォトンチェンジ解除。対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

デュエルが終わったので、試験コートから退出しようと観客席へと続く階段へ向かう中、俺は先ほどのデュエルについて振り返っていた。

 

今回は余計なしがらみがないデュエルだったから伸び伸びとデュエル出来たから楽しかったな~。

 

坂倉が結構強いのは前々から知っていたけど、今回の対戦相手だった2人もなかなか強敵だったなぁ。

 

宮田ゆまも以前渡した【M・HERO】デッキを使いこなしていたな。ダークロウの2つ目の効果をド忘れしていた時は少し焦った。

 

樋口桜も結構強かった。てっきり【死皇帝の陵墓】軸で【エンド・オブ・アヌビス】辺りを出してくるかと思ったが、【光のピラミッド】とはな。タッグ戦だからデッキを変えたんだろう。

 

【光のピラミッド】のデッキ自体は無印の劇場版アニメでアヌビスという千年アイテムを持つデュエリストに使用されたデッキのはずだけど、もう15年以上昔の話だしな。海馬社長たちからの情報でカード自体は一般流通したのかもしれない。

 

「うん?」

 

階段を上って観客席に辿り着くと、出入り口付近で坂倉と樋口が話し込んでいた。宮田は先に原麗華が居る観客席へと戻ったようだ。

 

「よーす。そんなところでどうしたんだ?」

 

「あぁ、白河か。いや、スフィンクスっていいよなって話をしていたんだ」

 

「そうだよ~」

 

あぁ、確かに彼らはピラミッドやスフィンクスと言ったエジプトをモチーフにしたカードをメインに使うデュエリストだったな。

 

「今回のデュエルでオレもまだまだだと思い知らされたからさ。今のコンセプトをあまり弄らないデッキ強化案を考えていたら、樋口にその独り言を聞かれてさ」

 

「面白そうな話だったからね~。ちょっと口出ししたらもりあがっちゃってさ~」

 

なるほど。坂倉はバウンス効果のあるカードを好むけど、特にテーマとかには拘らないからなぁ。

 

「じゃあ、これらとかどうだ?」

 

「これら?…【王家の守護者スフィンクス】?おぉっ!強いな!【守護者スフィンクス】の進化カードみたいだ」

 

「こっちは…エ、エクゾディア!?伝説のレアカード!?」

 

「似てるけど違うぞ。【守護神エクゾード】って言うそっくりさんだ。効果はそこまで強くないけど、コンセプトとしては近いかなって思ってさ」

 

「なるほどな」

 

「バウンスに限らず、相手の妨害をしたいのなら【コアキメイル】のカードを混ぜるのもアリかも知れない」

 

坂倉が【コアキメイル】を使うかどうかはさておき、サイクル・リバースモンスターだけでも上手くデッキを組めれば強くなれるかも知れないな。

 

今はまだこの世界では未登場だったはずだが、【守護者スフィンクス】のようなサイクル・リバースモンスターには【バースト・リバース】や【セットアッパー】と言った相性のいいカードも存在するからな。

 

ただ、サイクル・リバースモンスターを使う際の注意点としては、「リバース」とは「反転召喚」の違いに要注意だ。

 

「リバース」とは「反転召喚」と「裏側表示のモンスターが攻撃や効果で表側表示になること」の両方を指すが、「裏側表示のモンスターが攻撃や効果で表側表示になること」は「反転召喚」ではないのだ。

 

だから【ジャンクスリープ】のようなカードで裏側守備から表側攻撃表示にしても「反転召喚」とはならず、効果を発揮しないのだ。

 

/(^o^)\ナンテコッタイ

 

前世ではサイクル・リバースモンスターに縁が無かったのもあるけど、この知識は俺も転生してチート知識を手に入れてから初めて知ったなぁ。

 

デュエルモンスターズのルールは一見複雑そうだけど複雑だぜ!

 

「面白そうだね~私もデッキを弄ってみようかな~」

 

「エジプト関連が好きならこんなテーマはどうだ?」

 

「今度は何~?…【トラミッド】?」

 

「状況によってフィールド魔法を切り替えて戦う、ピラミッドやスフィンクスなんかをモチーフとしたテーマだ。かなり癖のあるテーマだけど使いこなせれば楽しそうなテーマだよな」

 

「おぉ~。面白そうなデッキだね~」

 

お気に召してなりよりだな。

 

「なんならやろうか?」

 

「「えっ?」」

 

「俺は多分使わなさそうだからな。それらのカードは君らにあげるよ。そっちが使わなさそうだったら返してくれればいい」

 

「いや、流石にこんなレアカードを貰うのは気が引けるぞ?」

 

「そうだよ~」

 

「その代わり、今度なにかあった時に手伝ってくれるだけでいいさ。じゃあな~」

 

そこまで言った後、俺はカードを渡したまま話を打ち切るようにその場を立ち去った。

 

正直、女神から貰ったカードが膨大過ぎてあまり使わないカードは持て余しているのだ。それなら使いそうな人に渡した方が有意義だ。

 

「多分、彼らなら俺が使うよりも上手く使ってくれるだろうしな」

 

いずれ彼らとも再戦するときが来るかもしれない。その時に更に強くなった彼らとデュエルすると今日よりもより面白いデュエルが出来る可能性が高くなる。カードを渡す対価なんて、本来はそれだけで十分なのだ。

 

俺はその時を楽しみにしつつ、ラーイエロー寮へと戻っていった…。




シリアスが続くとその反動でふざけたくなりますよね…。

オリ主のデッキは【フォトン】です。以前、【ギャラクシー】軸は使用しましたので今回はフォトン軸にしてみました。最終盤面でやることはあまり変わらないんですけどね。

坂倉のデッキは【縮退回路】です。バウンス中心の戦術に加え、手札に戻ると除外されるギミックを取り入れたタッグフォース3での彼の戦術そのままに追加カードを加えただけの物です。

宮田ゆまのデッキは【M・HERO】です。以前、オリ主(当時はアリトのコスプレ中)との交流時に渡しだデッキで、【マスク・チェンジ】魔法カードでEXデッキからモンスターを特殊召喚していくデッキです。強力なモンスターが多いですが特にダークロウが厄介です。しかも【マスク・チェンジ・セカンド】と言うカードのせいで闇属性デッキなら容易に出張できるというインチキっぷり。

樋口桜のデッキは【光のピラミッド】です。永続罠である光のピラミッドを発動できないと特殊召喚できないモンスターばかりなので、普通にデッキに組み込むだけだと手札事故が多発しそうですね。

次回の更新は5/8(土) AM7:00予定です。

必殺雷撃人様、暇人game様、ryoto様、戦車様、Skazka Priskazka様、籠城霊様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘を頂きありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十話 幕間:アムナエルの行方

前回のあらすじ:人は俺をナンバーズハンターと呼ぶ。←呼びません。

今回はデュエル無し。日常編となります。


<響みどり視点>

 

今学期最後の月一テストが終わり、1学期の終業式まであと3日と迫っていた今日この頃。私達デュエルアカデミア教師陣と倫理委員会のメンバーは今学期最後の会議を行っていた。

 

「生徒の筆記・実技試験を個別に詳細な数値化を行った結果、実に生徒の約半数近くが入れ替わる結果となりました」

 

「これほどの生徒が入れ替わることなど前代未聞ナノーネ」

 

「ハッキリ言って、今までの寮入れ替えに関する裁定が曖昧だったことが原因でしょう」

 

「そうですね。教員側の一部がオベリスクブルーの生徒だけを優遇したり、オシリスレッドの生徒を不当に扱ったり、ラーイエローの生徒に昇格のチャンスを殆ど与えなかったのが原因でしょうね」

 

「それに関しては返す言葉もないノーネ」

 

「校則違反による停学者、退学者に関しても今年度は今までに比べて非常に多いです」

 

「倫理委員会がしっかりと機能している証拠でもありますから、こちらに関しては特に問題は無いでしょう。今までが管理がザルで酷すぎただけと言う話なだけですからね」

 

「成績不振による退学者はまだ居ませんが、2学期から始まる選択授業によって更に生徒間の実力差は広がると予測されます」

 

「本人が努力を怠った結果であればやむなしですが、我々も彼ら全員になるべく平等に勉強できる機会が得られるよう、その環境を提供できるように精進せねばなりませんね!」

 

「また、セブンスターズの件で思い知りましたが、我々教師陣もまだまだ未熟と言わざるを得ません」

 

「未来のデュエルエリートを教える側としては、学外の人物たちに容易に敗北するようでは生徒たちに示しがつかないでしょう!」

 

「今後は生徒たちのカリキュラムの改善だけでなく、我々自身のレベルアップも考慮していく必要があります」

 

「今年度の新入生は特にデュエルが強く破天荒な人物が多いですからな…生徒たち全員の目の前で教師陣が一方的に敗北するようなことがないようにしませんとな」

 

クロノス臨時校長を始め、教師たち全員が今までのアカデミアの教育体制を反省し、今後はそれらを活かして改善していこうと言う締めで終わった。

 

「数件ですが、昇格を辞退する例もいくつかありましたね」

 

「辞退?」

 

「一体、なぜ?」

 

「寮の入れ替え対象者には事前に面接を行い、入れ替え対象者となった理由を説明しているのですが…その時に挙がった辞退理由の一例を取り上げて見ましょう」

 

『燃える炎!熱い血潮!熱血の赤のオシリスレッドを気に入っている!離れる気なんてサラサラないぜ!』

 

『このレッド寮には十代たちも居るし、この付近が一番カードを拾いやすいんだ』

 

大徳寺先生が不在の為、オシリスレッドの生徒の面接は私が行ったのだけれど、十代君とコナミ君に関しては普段から言っていたことなのでおおむね予想通りだったわね。

 

『ラーイエロー寮から離れたら樺山カレーが食べられなくなるじゃないですか!童実野町の店舗では食べられないメニューがここにはたくさんあるんですよ!!新作もどんどん出るし、季節限定メニューなんてのもあるそうじゃないですか!この最高の環境から移動しろって言うんですか!!』

 

『ラーイエローに所属しつつ偉そうなブルーの連中を、ボクのドリアードの圧倒的な力を見せつけて完膚なきまでに叩きのめし!その絶望した表情を見て愉悦に浸りたいからです!』

 

『ははは。強くなるなら試行錯誤したデッキで白河やオシリスレッドの赤羽に挑むのが手っ取り早いんですよ。彼らがブルー寮に移らないなら、オレがブルー寮に移る理由は特にないですね』

 

「「「「「…」」」」」

 

ラーイエローの生徒に関しては寮長の樺山先生が行ったようで、今の発言は白河君にその友人二人のようね。白河君の発言が読み上げられた時には樺山先生はニッコリしていた。

 

確かに彼らはオベリスクブルーの生徒の大半にアッサリ勝ててしまうから、オベリスクブルーの生徒であることに魅力を感じなくなっているのでしょう。

 

リスペクトの精神のかけらも感じないのが悩みの種であるけれど、今年のラーイエローの1年生徒は皆似たようなものなのだ。

 

実際、先日の筆記・実技試験の上位の殆どはラーイエローの生徒とオベリスクブルー女子生徒ばかりだ。オベリスクブルー男子生徒は丸藤君たち三人を含めても十名程度しかいない。

 

「セブンスターズの件はどうなったのでしょう?」

 

「我々が撃破を確認できているのは6名。ダークネス、カミューラ、アビドス、タイタン、ザルーグ、タニヤ。残り1名に関しては、現在ハノイの騎士と倫理委員会にて捜索中です」

 

「先日、潜水艦でやってきて遊城君とデュエルしていたアナシスと言う男性は本当に関係ないのでしょうか?「真のアカデミア」を建設したいなどと言って、何処から聞きつけたのか三幻魔のカードを要求していましたが…」

 

「彼は海運業を牛耳る世界屈指の大富豪だ。身元も割れているしそもそも『闇のデュエル』ではなく『海のデュエル』と勘違いしていたらしい。簡単に説明すると残念そうに帰って行ったので、恐らくセブンスターズとは無関係だろう」

 

「ハノイの騎士いわく最後の1人は大徳寺先生ではないかと言う話ですが…」

 

「確かに彼はセブンスターズ襲撃の日を境に行方不明となっていますが、流石に早計でしょう」

 

「もちろんその可能性も否定はできないので、その可能性も考慮して捜索しているところです」

 

「鮫島校長が目を覚ましてくれれば一番簡単に分かりそうなものですが…」

 

「セブンスターズ襲撃の日以来、ずっとうなされるように眠っていますからね」

 

「幸い、身体の機能に異常は見られませんが、夏季休暇が始まるまでに目覚めなければ本土の病院へと移送する予定になっています」

 

鮫島校長がセブンスターズに洗脳され、ダークネス鮫島と名乗って学園を襲撃しようとしてハノイの騎士に討たれたことはここに居る全員が知っているが、生徒にはまだ発表されていない情報だ。

 

もし二学期までに目を覚まさない場合は、二学期の始業式に体調不良を理由にして校長を退任されることになっている。次の校長についてはまだ知らされていないが、恐らくナポレオン教頭かクロノス臨時校長が繰り上がりするのではないかと推測している。

 

結局、そのまま会議は終了となり、私を除いた先生たちは部屋を退出していく。

 

私は部屋を退出する際にチラッと部屋の隅に視線を送ると、そこにはカードの精霊【ワイト】の姿があった。この1学期の序盤から毎日のように見かけた白河君のカードの精霊の1体だ。きっと後でいつものように彼に今日あった会議の内容を伝えに行くのでしょうね。

 

白河君は知らないのだろうが、私は弟の響紅葉と同じカードの精霊が見える人間だ。彼が毎回のように職員会議に自身の精霊を送り込んで情報収集していることも知っている。

 

授業中にバニーラと遊んでいたり、4月後半からこの島がワイトを溢れさせていたり、会議中にクロノス臨時校長の前でキーメイスがヒゲダンスしているのも見せられている。

 

私と同じくカードの精霊が見えているであろうハノイの騎士も笑いを堪えるのに必死だったようだ。それは私も同様で、面白いと思う反面かなり迷惑をこうむっていると思うわ。

 

私はそろそろ白河君に文句の一つも言っていい頃合いだと思っている。今度会ったらそれとなく注意しておこうかしら?

 

~~~

 

<クロト視点>

 

大徳寺が不在の為、クロノス臨時校長が代理で行っていた錬金術の授業が終わった後、俺はオシリスレッド寮へやって来ていた。

 

セブンスターズ最後の1人だと思われる大徳寺の情報を得るためにコナミとコンタクトを取ろうとしたのだが、そこでなかなか面白い光景を目にすることとなった。

 

「フニャア~」

 

「…にゃ~」

 

そこにあったのは、オシリスレッド寮の階段下で大徳寺の飼い猫であるファラオに対し、しゃがみこんで猫語(笑)で話しかけるレイン恵の姿であった。

 

「フニャ?」

 

「…にゃ~」

 

そう言えば猫好きなんだっけ。経営していたカードショップの裏手辺りで野良猫にミルクを上げてたりするのだろうか。

 

パシャッ!

 

「ニャッ!?」

 

「あっ」

 

思わず自身のスマホで写真を取ってしまった俺の行動を咎める者は居ないだろう。お蔭で良い画像が取れたしな。

 

だが、シャッター音に驚いたファラオはその場から逃げだしてしまい、目の前でこちらに背を向けたまま体育座りを始めた銀髪美少女からは凄い不機嫌そうなオーラを感じる。怖い。

 

「あー、済まなかったな」

 

「……………」

 

言葉では謝ったが、反省はしていても後悔はしていない。

 

その言葉を聞いたレインは、顔だけ振り返ってこちらに向けて来るが…。

 

「無表情の無言で睨んでくるな。怖いぞ」

 

「…私は、今、怒っている」

 

それはとてもよく分かる。そこそこ長い付き合いだからな。

 

「今度、樺山カレーを奢るから許してくれ」

 

「…仕方ない。許す」

 

長い付き合いなので、解決方法もばっちり予習済みだ。

 

「チョロい」

 

「…何か言った?」

 

おっと、声に出てしまったか。

 

「気のせいだ」

 

「…そう」

 

それ以上は俺との会話に興味がないのか、レインはその場を立ち去った。逃げたファラオを探しに行ったのかも知れない。

 

四六時中、俺の監視をしているわけじゃないんだな。当たり前か。

 

そんなことを考えながら、俺は目的の部屋の前までやって来て、その部屋の扉をノックする。

 

『誰だ~?十代か~?』

 

「俺だよ。俺、俺」

 

コナミはこの三人部屋を何故か一人で独占している。それを不思議に思う者はいても誰一人としてそれ以上追求しないのは流石は公式チートと言ったところだろうか。

 

『おっ、クロトか。やっと来たのか。鍵は開いてるから入って来なよ』

 

「OK~」

 

部屋主の了承を得たので扉を開けて部屋の中に入ると、三段ベットが部屋の大半を占領するワンルーム部屋の中には、室内でも赤い帽子を被った黒いTシャツの少年コナミが居た。

 

「よっ」

 

「おっす」

 

実はコナミとは学園で会う以外に会うことがない。こうして休日に会ったのもGW以来になる。同じ孤児院で育った幼馴染とはいえ今は別の場所に住んでいるし、お互いに新しい人間関係があるからな。

 

今回も事前に会えるかどうか連絡を取ってから来ているので、俺に合わせて部屋で待っていてくれたらしい。

 

いつもは無茶苦茶な奴だが、コイツは時々こういうところがある。だから普段コイツの行動に振り回されることがあっても憎み切れないと言うか、怒る気になれない奴でもある。

 

さて、久し振りにコナミと世間話をした後、俺はこの部屋に来て一番気になっていたことを聞いてみた。

 

「そこのテレビの前に座ってゲームしてるの、カミューラの人形だよな?」

 

「そうだよ」

 

そう。俺がこの部屋に入ってからずっと、カミューラ人形は当たり前のように動いてテレビゲームに興じていた。ホラー映画かな?

 

「コイツ、動くぞ!?」

 

「動いているな」

 

「いやいや、何で動いてんの!?」

 

『何よ?動いちゃ悪い?』

 

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!

 

「なんか、持って帰って来て棚に飾っていたら喋るようになったよ」

 

『動けるようになったのは昨日からだけどね』

 

「何でナチュラルに対応できてんだよ!普通、人間界では人形は動かないし喋らないんだよ!」

 

コナミ(公式チート野郎)とカミューラ(人外)みたいなのと話していると、自分(チート有り神様転生者)が普通の一般的な人間であることを実感させられる。

 

「クロトは細かいなぁ」

 

『器の小さい男はモテないわよ』

 

「うるせーよ!大きなお世話だ!」

 

閑話休題。

 

少々ハプニングはあったが、当初の狙い通りコナミとカミューラから必要な情報は入手できた。

 

「やっぱりセブンスターズの最後の1人は大徳寺か」

 

『驚かないのね』

 

「俺は以前、廃寮地下に隠されていた錬金術の研究室で大徳寺のミイラを発見しているからな。大徳寺ホムンクルスの今の潜伏居場所も同じく廃寮地下の研究室だろう?」

 

『恐らくそうね。アイツの体はもう長くないわ。最後に会った時には体から不自然に魔力が漏れ出ていたし、もって今月末までの命でしょうね』

 

そうなると、アムナエルの襲撃はかなり近そうだな。念の為、十代と仲が良い明日香や吹雪さん、あとは三沢や亮さんにもセブンスターズのことを警戒するように伝えておくか。

 

万丈目?アイツ等が大して親しくもない俺の忠告を聞くわけないじゃん?

 

十代本人に翔に隼人?俺はあいつらとも大して親しくないから連絡先すら分からん!

 

「そう言えば遊城は?さっき部屋の前を通りかかった時には留守っぽかったけど…出かけているのか?」

 

「うん?あぁ、何でも大徳寺先生を探すとか言って、万丈目たちと一緒に大徳寺先生の部屋を物色していたな」

 

「あぁ、そうか。彼らはまだ大徳寺がセブンスターズ最後の1人だと知らないんだよな。行方不明になっているのは、闇のデュエルで犠牲になったか、セブンスターズに囚われて助けを求めていると思っているわけか」

 

なるほど。今日は十代たちが大徳寺の行方の手掛かりを求めて大徳寺の部屋を調査して、錬金術の記号が描かれた地図を見つける日だったか。それなら、そのままアニメ通りに進行した場合には、今日の夜にでもアムナエルが襲来するのかな?

 

「コナミ、お前は行かないのか?」

 

「いや、クロトとの用事も終わったし、もうそろそろ合流するつもりだよ」

 

仮にコナミが十代たちに合流して大徳寺の正体を十代たちに教えたとしても、大徳寺と関りの深い彼らは自分の目で確かめなければ信じないだろうな。

 

「それならこれ以上、俺がここに居るのも邪魔だな。帰るわ」

 

「うん、分かった。またな」

 

『また来なさい。私の声を聞けるのは、精霊の声を聞こえるものだけみたいだし、私としてもいい暇潰しになるわ』

 

そこまで話した後、俺はオシリスレッドの寮を出てラーイエローの寮へ戻るために歩き始めた。

 

コナミがカミューラ人形を回収していたのは知っていたが、まさか動いて喋るとは思わなかったな。そう言えば、クロノス先生も「ナノーネ」だけだが喋っていたっけ。

 

カミューラに関しては思うところがないわけではないが、人形になっている彼女を見るとこれ以上特に何かを追求する気にはなれなかった。俺個人が彼女に何らかの恨みがあるとか、そう言うことは無いからなぁ。

 

オシリスレッド寮から出て少し歩いてから後ろを振り返ると、デュエルディスクを付けた十代と万丈目、翔と隼人に合流したコナミがレッド寮の前で話し込んでいた。恐らくこれから森の中へ大徳寺を探しに行くのだろう。

 

この後、十代たちは信じたくない真実を突き付けられることになり、過酷な闇のデュエルを強いられることになるだろう。

 

だがセブンスターズ編はまだ序章。その先の過酷な未来を乗り切るためにも今回の件は独力で何とかクリアして欲しい。

 

「アニメでも何とかなったわけだし、コナミも居る。それに彼は原作主人公だ。なんとかするだろうさ」

 

俺は彼らが森に入っていくのを確認した後、歩くのを再開した。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

しばらく歩くと夕暮れ時が近づいてきた。今頃、十代やコナミたちはあの広大な森の中を大徳寺を探して歩きまわっているのだろうか。

 

ふと海を見ると、この島の浜辺に近付くいくつかのボートが見えた。そして、それに呼応するかのように森の中から浜辺へ向けて何かが移動しているような感覚を覚えた。

 

なんだ?この感じ、姿は隠しているようだが森から海へ移動しているのはイリアステルのゴーストたちか?

 

彼らのステルスはレインほどの性能ではない為、俺でもギリギリ感知できる。それにしてもその数が異常だ。これほどの数のゴーストが島内に居たことも驚きだが…。

 

彼らが急いで対応しないといけない存在が近づいているということか?

 

ここに来て十代とアムナエルのデュエルを邪魔されるわけにはいかない。俺もゴーストに並走して浜辺へと走り始めるのであった…。




響先生は、会議のたびにポーカーフェイスを試されていた…!

アナシス戦は丸々カット。重要キャラクターでもありませんし、【伝説の都 アトランティス】デッキはいくらでもあるのでわざわざ描写する必要性がありませんからね。

次期校長に関してはまだ未定なので、恐らくセブンスターズ編が終わったらアンケートを取ることになると思います。アンケート通りの結果になるかは断言できませんが、協力して頂ければ幸いです。

次回はほぼオリ主視点の予定なので、デュエル展開がほぼ同じとなるであろう十代vsアムナエル戦はダイジェストになると思います。

次回の更新は5/12(水) AM6:00予定です。

コダマ様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十一話 アムナエル戦の裏側

前回のあらすじ:嵐の前の静けさ。

今回の対戦カードはオリ主とレインのタッグとディアブロ2体とのタッグ戦です。

アニメで言うと第44話~46話の主にオリ主視点の話となります。


<十代視点>

 

行方不明の大徳寺先生を探しに来たオレ達5人だったが、辺りが暗くなり空に暗雲が立ち込め始めた頃に翔と隼人の2人とはぐれてしまった。

 

「十代、万丈目。翔と隼人は見つかった?」

 

「いや、まだだ。全く、2人とも何処に行っちまったんだよ」

 

「万丈目サンダー!こちらも見つけていないぞ」

 

オレとコナミと万丈目の3人で手分けして探していたが2人は見つからなかった。

 

「やれやれ。大徳寺先生を探しに来たのに、アイツらは何をやっているんだか…」

 

「あれは…!十代、万丈目!危ない、伏せろ!」

 

万丈目が呆れた様子で周囲を見回していると、突然オレたちの近くにある木に落雷が落ち、太い幹から折れた木がこちらに倒れ込んで来た!

 

「あぶねぇ~!被雷するか倒れてきた木に押し潰されるるところだったぜ」

 

「ふ、フン!礼は言わんからな。ん?お前たち、アレを見ろ!」

 

万丈目が指を差す方向を見ると、先ほど落雷で折れた木の幹部分に奇妙なマークが浮いていることに気が付いた。

 

「あれは確か今日の錬金術の授業で聞いたアムナエルのマーク?」

 

「あっちにもあるな。まるで付いて来いって言っているみたいだ」

 

「このマークが誘う先は…例の廃寮だな」

 

錬金術と言えば大徳寺先生が思い浮かぶが、このマークが誘う場所に付いて行けば大徳寺先生が居るのか?

 

「でも、翔と隼人を置いて行くわけには行かないだろ」

 

「いや、奴らは既にこのマークを出している奴に連れ去られたかもしれん。これを見てみろ。マークがある場所の下に落ちていた」

 

「これは、【スチームジャイロイド】に【デスコアラ】か。翔と隼人のカードだな」

 

「じゃあまさか、本当に大徳寺先生がセブンスターズだって言うのか!?」

 

森に入る前に合流したコナミが白河から聞いた話らしいが、オレ達が探している行方不明の大徳寺先生こそが最後のセブンスターズであり、廃寮の地下にある研究所に潜伏している可能性が高いらしい。

 

初めて聞いた時は何で白河がそんなことを知っているんだ?と思うと同時に「そんな馬鹿な!」とも思っていたが、ここまで条件が重なってくるとどうしても大徳寺先生を疑ってしまう。

 

「十代、それはまだ分からない。それにここで悩んでいても仕方ないし、行ってみよう」

 

「そうだ。真実がどうであれ、自分の目で確認して見るべきだろう」

 

「あぁ、そうだな。行こう、2人とも!このマークの誘う場所へ!」

 

俺達は翔と隼人を見つける為、そして真実を知るためにこのマークの誘導に従い、廃寮へと入っていった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

夕日が落ちて夜が始まる少し前に、ハノイの騎士のPDAに倫理委員会から『保管していた七精門の鍵が黒い外套を全身に羽織った何者かによって強奪された』との連絡が入った。

 

アムナエルが動き出したのだろう。俺は倫理委員会へ『調査しておく』と返信しておき、浜辺への道を急いだ。

 

それから少し経ち、辺りが暗くなり空に暗雲が立ち込め始めた頃に森の何処かにで落雷が落ちた。普段なら森火事を警戒するところだが、このタイミングならほぼ間違いなくアムナエルが遊城十代を旧特待生寮へ誘い込もうとしているアクションだろう。

 

アムナエルの演出のはずなので森火事にはならないと思うが後で落雷現場は確認しておこう。そうすることでハノイの騎士として適切な行動をしていたという証拠にしてしまう腹積もりだ。

 

そしてようやく浜辺に辿り着いた俺は、2体のディアブロと対峙するレインを発見する。他のゴースト達は別の場所に向かったようだ。恐らく、この場所以外にもディアブロが出現しているのだろう。

 

「…クロト?」

 

「助けが必要か?」

 

「…要らない」

 

こちらに数秒向けていた視線を正面に戻し、ディアブロ2体を1人で相手取ろうとするレイン。その様子を見て、なんとなく彼女の横に並び立つ。

 

『抹殺ターゲットリスト確認…照合完了。優先度A+、白河クロト本人と断定』

 

『優先度A、イリアステルの戦闘員ともども、これより障害の排除を開始する』

 

抹殺ターゲットリストって物騒な名前だな。しかも優先度A+ってかなり高いんじゃないか?ディアブロを操っている黒幕はどれだけ俺を消したいんだよ。俺、なんかやっちゃいましたっけ?

 

思い当たるのはイリアステルの連中と組んでディアブロの大型工場からパラドックスを奪還した後に工場を爆破したくらいだ。だけど、爆破したのは俺じゃなくてイリアステルの連中だし…そもそもあの時はハノイの騎士に扮していただったはずだ。俺は大したことやってないよな?

 

あっ、アメリカでディアブロ2体をぶっ飛ばした時は素顔だったな。あれか~。

 

「どうやら俺もターゲットらしい。ここは1つ、タッグデュエルでどうだ?」

 

「…好きにすればいい」

 

『『目標をデュエルで駆逐する』』

 

 

『『「「デュエル!」」』』

 

 

◆クロト&レイン LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

レイン恵 手札:5枚。

 

vs

 

◆ディアブロ達 LP:8000

ディアブロA 手札:5枚。

ディアブロB 手札:5枚。

 

 

『先攻はこちらが貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行』

ディアブロA 手札:5→6枚。

 

『私は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動。手札の【スカイ・コア】を墓地に送り、デッキから【チューニング・サポーター】を特殊召喚する』

ディアブロA 手札:6→5→4枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

チューニング・サポーター ★1 DEF300

 

【チューニング・サポーター】

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 100/守 300

(1):フィールドのこのカードをS素材とする場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。

(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「なっ!?【スカイ・コア】だと!?」

 

アニメ原作のディアブロならともかく、何でイリアステルと関係がないディアブロが機皇帝カードを持っているんだ!?

 

「…何故、彼らが!?」

 

レインも驚いているようだし、イリアステルですら知らなかったのか。これは…鹵獲されていた時にパラドックスから色んなデータが抽出されていたと見るべきだろうな。

 

『私は手札から魔法カード【機械複製術】を発動。デッキから【チューニング・サポーター】2体を特殊召喚する』

ディアブロA 手札:4→3枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

 

『私は手札から【A・O・J サイクルリーダー】を召喚』

ディアブロA 手札:3→2枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

A・O・J サイクルリーダー ★3 ATK1000 ※チューナー

 

【A・O・J サイクルリーダー】

チューナー(効果モンスター)

星3/闇属性/機械族/攻1000/守1000

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。

相手の墓地の光属性モンスターを2体まで選択し、ゲームから除外する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

『私はレベル2とした【チューニング・サポーター】3体にレベル3【A・O・J サイクルリーダー】をチューニング!シンクロ召喚!出でよ【A・O・J フィールド・マーシャル】!』

 

<ディアブロ達のフィールド>

A・O・J フィールド・マーシャル ★9 ATK2900

 

【A・O・J フィールド・マーシャル】

シンクロ・効果モンスター

星9/闇属性/機械族/攻2900/守2600

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。

このカードの攻撃によって裏側守備表示のモンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキからカードを1枚ドローする。

 

『私は【チューニング・サポーター】3体の効果発動。デッキから3ドロー』

ディアブロA 手札:2→3→4→5枚。

 

『私はカードを3枚セットしてターンエンド』

ディアブロA 手札:5→2枚。

ディアブロ達 伏せカード:0→3枚。

 

 

◆クロト&レイン LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

レイン恵 手札:5枚。

 

vs

 

◆ディアブロ達 LP:8000。伏せカード:3枚。

ディアブロA 手札:2枚。

ディアブロB 手札:5枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

A・O・J フィールド・マーシャル ★9 ATK2900

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動!相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

『その効果にチェーンしてリバースカードオープン。カウンター罠【マジック・ジャマー】を発動。手札の【A・O・J サンダー・アーマー】を捨て、【ライトニング・ストーム】の発動を無効にして破壊する』

ディアブロA 手札:2→1枚。

ディアブロ達 伏せカード:3→2枚。

 

チェーン②マジック・ジャマー

チェーン①ライトニング・ストーム ※無効化&破壊。

 

流石に三枚も伏せカードがあると防がれるか。だが、本命はここからだ!

 

「俺は手札から魔法カード【隣の芝刈り】を発動!デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る!」

クロト 手札:5→4枚。

 

「俺のデッキは残り54枚!お前のデッキは?」

 

『30枚だ』

 

「OK。ならば俺はデッキから24枚墓地に送る!」

 

「そして墓地に送られた【ワイトベイキング】の効果発動!デッキから【ワイトメア】と【ワイトプリンス】を手札に加え、【ワイトプリンス】を手札から捨てる」

クロト 手札:4→6→5枚。

 

【ワイトベイキング】

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

(2):自分フィールドのレベル3以下のアンデット族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに手札のこのカードを捨てる事ができる。

(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから以下のモンスターを合計2体手札に加える(同名カードは1枚まで)。その後、手札を1枚選んで捨てる。

●「ワイト」

●「ワイトベイキング」以外の「ワイト」のカード名が記されたモンスター

 

「更に墓地に送られた【ワイトプリンス】の効果発動!デッキから【ワイト】と【ワイト夫人】を墓地に送る!」

 

【ワイトプリンス】

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 0/守 0

(1):このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。「ワイト」「ワイト夫人」1体ずつを手札・デッキから墓地へ送る。

(3):自分の墓地から、「ワイト」2体とこのカードを除外して発動できる。デッキから「ワイトキング」1体を特殊召喚する。

 

「墓地の【ワイトプリンス】を除外して効果発動!墓地から【ワイト】と【ワイト夫人】を除外してデッキから【ワイトキング】を特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK?

 

【ワイトキング】

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0

このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

 

「俺の墓地に眠る【ワイト】は7体!よって【ワイトキング】の攻撃力は7000となる!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK?→7000

 

<クロト&レインの墓地に眠るワイト>

①ワイト

②ワイト

③ワイトキング

④ワイトキング

⑤ワイト夫人

⑥ワイト夫人

⑦ワイトメア

 

『攻撃力7000。脅威度:大』

 

『危険。危険』

 

「俺は手札から【ワイトメア】の効果発動!手札からこのカードを捨てて除外されている【ワイト夫人】を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【ワイトメア】

効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200

このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

また、このカードを手札から捨てて以下の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●ゲームから除外されている自分の「ワイト」または「ワイトメア」1体を選択して自分の墓地に戻す。

●ゲームから除外されている自分の「ワイト夫人」または「ワイトキング」1体を選択してフィールド上に特殊召喚する。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK7000→8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

 

【ワイト夫人】

効果モンスター

星3/闇属性/アンデット族/攻 0/守2200

このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

また、このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、「ワイト夫人」以外のフィールド上のレベル3以下のアンデット族モンスターは戦闘では破壊されず、魔法・罠カードの効果も受けない。

 

「俺は手札から魔法カード【生者の書-禁断の呪術-】を発動!墓地の【不知火の隠者】を特殊召喚し、そちらの墓地の【スカイ・コア】を除外する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【生者の書-禁断の呪術-】

通常魔法

(1):自分の墓地のアンデット族モンスター1体と相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

その自分のアンデット族モンスターを特殊召喚する。その相手のモンスターを除外する。

 

『その効果にチェーンしてリバースカードオープン。永続罠【リミット・リバース】発動。墓地より【スカイ・コア】を特殊召喚する』

ディアブロ達 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【リミット・リバース】

永続罠

自分の墓地の攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、表側攻撃表示で特殊召喚する。

そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 

チェーン②リミット・リバース

チェーン①生者の書-禁断の呪術-

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

不知火の隠者 ★4 DEF0

 

【不知火の隠者】

効果モンスター

星4/炎属性/アンデット族/攻 500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから守備力0のアンデット族チューナー1体を特殊召喚する。

(2):このカードが除外された場合、「不知火の隠者」以外の除外されている自分の「不知火」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果の発動時にフィールドに「不知火流 転生の陣」が存在する場合、この効果の対象を2体にできる。

 

<ディアブロ達のフィールド>

A・O・J フィールド・マーシャル ★9 ATK2900

スカイ・コア ★1 ATK0

 

【スカイ・コア】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 0/守 0

このカードがこのカード以外のカードの効果で破壊された時、自分フィールド上に存在するモンスターを全て破壊して、自分のデッキ・手札・墓地から「機皇帝スキエル∞」「スキエルT」「スキエルA」「スキエルG」「スキエルC」を1体ずつ特殊召喚する。

 

除外は躱されたか。問題ないな。

 

「俺は【不知火の隠者】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【ユニゾンビ】を特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

ユニゾンビ ★3 DEF0 ※チューナー

 

【ユニゾンビ】

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。手札を1枚捨て、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。

(2):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送り、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分のモンスターは攻撃できない。

 

「更に俺は【ユニゾンビ】の効果発動!手札の【馬頭鬼】を墓地に送って【ユニゾンビ】のレベルを1上げる!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

ユニゾンビ ★3→4 DEF0 ※チューナー

 

「墓地の【馬頭鬼】を除外して効果発動!墓地から【不知火の隠者】を特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

ユニゾンビ ★4 DEF0 ※チューナー

不知火の隠者 ★4 DEF0

 

【馬頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。

そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

「俺はレベル4【不知火の隠者】にをレベル4となった【ユニゾンビ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル8!【PSYフレームロード・Ω】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

 

【PSYフレームロード・Ω】

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。

(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。

(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。

 

「俺は手札から【金華猫】を召喚!そして効果発動!墓地の【ワイト】を特殊召喚する!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000→7000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

金華猫 ★1 ATK400

ワイト ★1 DEF200

 

【金華猫】

スピリット・効果モンスター

星1/闇属性/獣族/攻 400/守 200

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚・リバースした時、自分の墓地のレベル1モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。

(2):このカードが召喚・リバースしたターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

【ワイト】

通常モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200

どこにでも出てくるガイコツのおばけ。

攻撃は弱いが集まると大変。

 

「俺はレベル1【金華猫】と【ワイト】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク1!【森羅の姫芽宮】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK7000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:2

 

【森羅の姫芽宮】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/植物族/攻1800/守 100

レベル1モンスター×2

「森羅の姫芽宮」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキの一番上のカードをめくる。めくったカードが魔法・罠カードだった場合、そのカードを手札に加える。違った場合、そのカードを墓地へ送る。

(2):手札及びこのカード以外の自分フィールドの表側表示モンスターの中から、植物族モンスター1体を墓地へ送り、自分の墓地の「森羅」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「俺は【森羅の姫芽宮】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキトップをめくる!…魔法カード【闇の誘惑】だ!手札に加える!」

森羅の姫芽宮 ORU:2→1

クロト 手札:2→3枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK7000→8000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:1

 

「俺は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドロー!そして手札の【ダーク・アームド・ドラゴン】を除外する!」

クロト 手札:3→2→4→3枚。

 

機皇帝を呼び出す前に一撃でLPを消し飛ばしてやる!

 

「バトルフェイズへ移行!【ワイトキング】で【スカイ・コア】に攻撃!」

 

『リバースカードオープン。罠カード【攻撃の無敵化】発動。このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる』

ディアブロ達 伏せカード:1→0枚。

 

【攻撃の無敵化】

通常罠

バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない。

●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。

 

「ちっ、だが戦闘破壊は出来る!」

 

ワイトキング ATK8000

vs

スカイ・コア ATK0 ※戦闘破壊。

 

『【スカイ・コア】が戦闘破壊されてしまったか』

ディアブロ達 永続罠:1→0枚。

 

アニメ版の【スカイ・コア】には、タッグフォース版ではあった1ターンに1度の戦闘破壊耐性がないんだよな。

 

プラシドやルチアーノは良くこんなモンスターを使いこなせたもんだ。それだけデュエリストとしての腕が高かったってことなのかな。

 

<ディアブロ達のフィールド>

A・O・J フィールド・マーシャル ★9 ATK2900

 

「バトルフェイズを続行する!【森羅の姫芽宮】で【A・O・J フィールド・マーシャル】に攻撃!」

 

『愚かな。【森羅の姫芽宮】では【A・O・J フィールド・マーシャル】の攻撃力に及ばぬ』

 

『【A・O・J フィールド・マーシャル】、返り討ちにせよ』

 

「愚かなのはお前たちだ!俺は手札から【ワイトプリンセス】を墓地に送って効果発動!フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、そのレベルまたはランク×300ダウンする!」

クロト 手札:3→2枚。

 

『『!?』』

 

【ワイトプリンセス】

効果モンスター

星3/光属性/アンデット族/攻1600/守 0

(1):このカードのカード名は、墓地に存在する限り「ワイト」として扱う。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ワイトプリンス」1体を墓地へ送る。

(3):自分の手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、そのレベルまたはランク×300ダウンする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8000→7700→8700

ワイト夫人 ★3 DEF2200→1300

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800→400

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800→1500 ORU:1

 

<ディアブロ達のフィールド>

A・O・J フィールド・マーシャル ★9 ATK2900→200

 

「やれ。【森羅の姫芽宮】。【A・O・J フィールド・マーシャル】をスクラップにしろ」

 

森羅の姫芽宮 ATK1500

vs

A・O・J フィールド・マーシャル ATK200 ※戦闘破壊。

 

<ディアブロ達のフィールド>

モンスター無し

 

「メインフェイズ2に移行する。俺は手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地から5体のモンスターをデッキに戻して2ドロー!」

クロト 手札:2→1→3枚。

 

<クロトが墓地からデッキに戻したモンスター>

①マスマティシャン

②カードガンナー

③クリバンデット

④終末の騎士

⑤ダーク・グレファー

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:3→1枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK8700→9000

ワイト夫人 ★3 DEF1300→2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK400→2800

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1500→1800 ORU:1

 

ターン終了時に【ワイトプリンセス】の効果が消えて攻撃力・守備力が元に戻る。

 

 

◆クロト&レイン LP:8000、伏せカード:2枚。

白河クロト 手札:1枚。

レイン恵 手札:5枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:1

 

vs

 

◆ディアブロ達 LP:8000。伏せカード:0枚。

ディアブロA 手札:1枚。

ディアブロB 手札:5枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

モンスター無し

 

 

『私のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ…』

ディアブロB 手札:5→6枚。

 

「スタンバイフェイズに【PSYフレームロード・Ω】の効果発動!除外されている【馬頭鬼】を墓地に戻す!」

 

『メインフェイズ移行。私は装備魔法【早すぎた埋葬】を発動。800LPを払い、【スカイ・コア】を特殊召喚してこのカードを装備する』

ディアブロB 手札:6→5枚。

ディアブロ達 LP:8000→7200、装備魔法:0→1枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

スカイ・コア ★1 ATK0 ※【早すぎた埋葬】装備。

 

『私は速攻魔法【ダブル・サイクロン】を発動。私の【早すぎた埋葬】とそちらの伏せカード1枚を破壊する』

ディアブロB 手札:5→4枚。

 

【ダブル・サイクロン】

速攻魔法

(1):自分フィールドの魔法・罠カード1枚と、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「その効果にチェーンして伏せていた罠カード【貪欲な瓶】を発動!墓地のカード5枚をデッキに戻してシャッフルし、デッキから1ドロー!」

クロト&レイン 伏せカード:2→1枚。

 

【貪欲な瓶】

通常罠

「貪欲な瓶」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):「貪欲な瓶」以外の自分の墓地のカード5枚を対象として発動できる。

そのカード5枚をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

チェーン②貪欲な瓶

チェーン①ダブル・サイクロン

 

白河クロト 手札:1→2枚。

 

<クロトが墓地からデッキに戻したカード>

①ライトニング・ストーム

②生者の書-禁断の呪術-

③闇の誘惑

④異次元からの埋葬

⑤ツインツイスター

 

ディアブロ達 装備魔法:1→0枚。

 

『【早すぎた埋葬】が破壊されたことで【スカイ・コア】が破壊され、【スカイ・コア】の効果が発動する』

 

機皇帝を呼び出されてしまうか。だけどルチアーノ君には悪いが、こいつは大した機皇帝ではないんだよな…。

 

『デッキから【機皇帝スキエル∞】【スキエルT】【スキエルA】【スキエルG】【スキエルC】を1体ずつ特殊召喚する』

 

<ディアブロ達のフィールド>

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK0→2200

スキエルT ★1 DEF0

スキエルA ★1 ATK1000

スキエルG ★1 DEF300

スキエルC ★1 DEF0

 

【機皇帝スキエル∞】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 0/守 0

このカード以外の自分フィールド上に存在するモンスターは攻撃する事ができない。

このカードの攻撃力は自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する「ワイゼル」・「グランエル」・「スキエル」と名のついたモンスターの攻撃力の合計になる。

1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を装備カード扱いで装備する事ができる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。

 

【スキエルT】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 600/守 0

「∞」と名のついたモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、このカードを破壊する。

 

【スキエルA】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻1000/守 0

「∞」と名のついたモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、このカードを破壊する。

 

【スキエルC】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 400/守 0

「∞」と名のついたモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、このカードを破壊する。

 

【スキエルG】 ※アニメオリジナルカード

効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 200/守 300

「∞」と名のついたモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、このカードを破壊する。

1ターンに1度、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。

 

アニメ版の【機皇帝スキエル∞】には、タッグフォース版ではあった相手のカードの効果の対象にならない効果やOCG版で持っているダイレクトアタック効果がないんだよな。

 

『私は【機皇帝スキエル∞】の効果発動。お前の【PSYフレームロード・Ω】を吸収する』

 

させるわけないだろ?

 

「チェーンして【PSYフレームロード・Ω】の効果発動!そちらの手札をランダムに1枚選び、このモンスターと共に次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する!」

 

チェーン②PSYフレームロード・Ω

チェーン①機皇帝スキエル∞ ※対象を失い、不発。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:1

 

ディアブロB 手札:4→3枚。

 

【PSYフレームロード・Ω】の効果で撃ち抜いた相手のカードは…【リミッター解除】か。次のターンまでとはいえ悪くないカードを除外できたな。

 

『私は手札から永続魔法【一族の結束】を発動』

ディアブロB 手札:4→3枚。

ディアブロ達 永続魔法:0→1枚。

 

【一族の結束】

永続魔法

(1):自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。

 

<ディアブロ達のフィールド>

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK2200→6200

スキエルT ★1 DEF0

スキエルA ★1 ATK1000→1800

スキエルG ★1 DEF300

スキエルC ★1 DEF0

 

出たよ【一族の結束】。普通のデッキでも有用なカードだが、アニメ版の機皇帝だと更に強力なカードとなる。

 

アニメ版の機皇帝の攻撃力は、フィールド全てのパーツの攻撃力の合計となる。【一族の結束】なら墓地に機械族が居ればフィールド全ての機皇帝とそのパーツの攻撃力を上げることが出来る。

 

つまり機皇帝の攻撃力は、本体+パーツ4体で計5体×800。合計で4000アップするのだ。

 

『バトル。【機皇帝スキエル∞】で【森羅の姫芽宮】を攻撃』

 

「伏せていた罠カード【くず鉄のかかし】を発動!その攻撃を無効にする!」

クロト&レイン 伏せカード:1→0枚。

 

【くず鉄のかかし】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。

発動後このカードは墓地へ送らず、そのままセットする。

 

「そしてこの【くず鉄のかかし】は墓地へ送らず、そのままセットだ!」

クロト&レイン 伏せカード:0→1枚。

 

『メインフェイズ2に移行する。私はカードを1枚セットしてターンエンド』

ディアブロB 手札:3→2枚。

 

「エンドフェイズに墓地の【屍界のバンシー】の効果発動!このカードを除外してデッキから【アンデットワールド】を発動する!」

クロト&レイン フィールド魔法:0→1枚。

 

【屍界のバンシー】

効果モンスター

星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドゾーンの「アンデットワールド」は効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールド・墓地のこのカードを除外して発動できる。手札・デッキから「アンデットワールド」1枚を選んで発動する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

【アンデットワールド】

フィールド魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター及び墓地のモンスターは全てアンデット族になる。

(2):お互いはアンデット族モンスターしかアドバンス召喚できない。

 

『『不可解…!』』

 

相手ターンに墓地からモンスター効果を使ったことにかなり驚いているみたいだな。

 

「へぇ?能面みたいな顔しかできないと思ったけど、そんな驚いた表情も出来るんだな?」

 

「…悪趣味」

 

 

◆クロト&レイン LP:8000、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

白河クロト 手札:1枚。

レイン恵 手札:5枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:1

 

vs

 

◆ディアブロ達 LP:7200。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

ディアブロA 手札:1枚。

ディアブロB 手札:2枚。

 

<ディアブロ達のフィールド>

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK6200

スキエルT ★1 DEF0

スキエルA ★1 ATK1800

スキエルG ★1 DEF300

スキエルC ★1 DEF0

 

 

「私のターン。ドロー、スタンバイ、【PSYフレームロード・Ω】効果発動。帰還する。…メインフェイズへ移行」

レイン 手札:5→6枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

 

ディアブロB 手札:2→3枚。

 

「【森羅の姫芽宮】効果発動。デッキトップ確認…永続魔法【呪われしエルドランド】。手札に加える」

森羅の姫芽宮 ORU:1→0

レイン 手札:6→7枚。

 

「永続魔法【呪われしエルドランド】発動。そして効果発動。800LPを払う。【黄金卿エルドリッチ】サーチ」

レイン 手札:7→6→7枚。

クロト&レイン LP:8000→7200、永続魔法:0→1枚。

 

【呪われしエルドランド】

永続魔法

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分はアンデット族モンスターでしか攻撃宣言できない。

(2):800LPを払って発動できる。デッキから「エルドリッチ」モンスター1体または「黄金郷」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エルドリッチ」モンスター1体または「黄金郷」魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

「永続魔法【黄金郷の七摩天】発動。そして効果発動。【黄金卿エルドリッチ】と【ジャック・ア・ボーラン】を手札融合。来て。【黄金狂エルドリッチ】」

レイン 手札:7→6→4枚。

クロト&レイン LP:8000→7200、永続魔法:1→2枚。

 

【黄金郷の七摩天】

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。その際、融合素材モンスターは全てアンデット族モンスターでなければならない。

(2):カードの効果でアンデット族モンスターが特殊召喚された場合、魔法&罠ゾーンにセットされたカード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードはこのターン発動できない。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

森羅の姫芽宮 ☆1 ATK1800 ORU:0

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

黄金狂エルドリッチ ★10 ATK3800

 

【黄金狂エルドリッチ】

融合・効果モンスター

星10/光属性/アンデット族/攻3800/守3500

「エルドリッチ」モンスター+レベル5以上のアンデット族モンスター

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「黄金卿エルドリッチ」として扱う。

(2):フィールドのこのカードは戦闘・効果では破壊されない。

(3):自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールを得る。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃できず、効果を発動できない。

 

「永続魔法【黄金郷の七摩天】の効果発動。そちらの伏せカードを封印する」

 

『リバースカードオープン。罠カード【スカイA3】発動。【スキエルA】を墓地に送り、手札の【スキエルA3】を特殊召喚』

ディアブロB 手札:2→1枚。

ディアブロ達 伏せカード:1→0枚。

 

【スカイA3】 ※アニメオリジナルカード

通常罠

自分フィールド上に存在する「スキエルA」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、手札の「スキエルA3」1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

チェーン②スカイA3

チェーン①黄金郷の七摩天 ※対象を失い、不発。

 

<ディアブロ達のフィールド>

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK6200→6400

スキエルT ★1 DEF0

スキエルA3 ★3 ATK1200→2000

スキエルG ★1 DEF300

スキエルC ★1 DEF0

 

【スキエルA3】

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻1200/守 0

「∞」と名のついたモンスターが自分フィールド上に存在しない場合、このカードを破壊する。

このカードをリリースする事で、手札から「スキエルA5」1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

最後の伏せカードは機皇帝を強化するための罠カードか。レインの勝ちは決まったな。

 

「【黄金狂エルドリッチ】効果発動。【森羅の姫芽宮】リリース。【機皇帝スキエル∞】のコントロール奪取」

 

『!?』

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

PSYフレームロード・Ω ★8 ATTK2800

黄金狂エルドリッチ ★10 ATK3800

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK0

 

<ディアブロ達のフィールド>

スキエルT ★1 DEF0

スキエルA3 ★3 2000

スキエルG ★1 DEF300

スキエルC ★1 DEF0

 

「さて、レイン。【機皇帝スキエル∞】が自分フィールドに居ない場合、機皇帝のパーツはどうなるんだっけ?」

 

「…自壊する」

 

<ディアブロ達のフィールド>

モンスター無し

 

『危険レベル、急上昇!』

 

「【PSYフレームロード・Ω】効果発動。そちらの手札とこのモンスターを、次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外」

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

黄金狂エルドリッチ ★10 ATK3800

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK0

 

『危険レベル、最大!』

ディアブロB 手札:1→0枚。

 

念には念を入れて手札を除外したか。【PSYフレームロード・Ω】の効果で撃ち抜いた相手のカードは…【A・O・J アンリミッター】か。警戒するほどではなかったな。

 

「【黄金卿エルドリッチ】効果発動。【黄金郷の七摩天】を墓地に送り、墓地から手札に加え、手札から特殊召喚」

 

【黄金卿エルドリッチ】

効果モンスター

星10/光属性/アンデット族/攻2500/守2800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを手札に加える。その後、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターは相手ターン終了時まで、攻撃力・守備力が1000アップし、効果では破壊されない。

 

<クロト&レインのフィールド>

ワイトキング ★1 ATK9000

ワイト夫人 ★3 DEF2200

黄金狂エルドリッチ ★10 ATK3800

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK0

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK2500→3500

 

「バトル。行って【ワイトキング】。ダイレクトアタック」

 

ワイトキング ATK9000

 

『『ギギギギッ!?ダメージ、甚大…デュエル継続、不可能』』

ディアブロ達 LP:7200→0

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

錬金術のマークを追って噂の廃寮の地下にやって来たオレ達は、そこでコナミが巧妙に隠されていた研究所を発見し、その研究所にはセブンスターズ最後の1人が居た。

 

その男はアムナエルと名乗り、その首元にはアカデミア本校で倫理委員会が管理していたはずの七精門の鍵がぶら下がっており、翔や隼人を人質として十代に闇のデュエルを挑んできた。

 

一進一退のデュエルが繰り広げられる中、いつの間にか迷い込んで来たのか、人見知りが激しいはずの大徳寺先生の飼い猫ファラオがアムナエルの元に駆け寄る。

 

そして次の瞬間、闇のデュエルの衝撃によりアムナエルの仮面が割れると、そこには研究所でミイラ化していたはずの大徳寺先生の顔があった。

 

大徳寺先生の本来の肉体はとうに滅んでおり、錬金術にて創造した仮初の肉体に魂だけを固定させた存在、それが今の彼らしい。

 

素顔が割れたことで本気になったのか、アムナエルの攻撃は激しさを増し、彼のエースモンスター【ヘリオス・トリス・メギストス】により十代は危機に瀕していた。

 

「大徳寺先生。オレに錬金術の才能があるってのはとんだ勘違いだったな。オレの手札は0枚。何かを生み出す素材さえ残っていない」

 

「所詮、お前はデュエルアカデミアに入学する前と同じか?」

 

「!?」

 

十代はその言葉に何か感じるものがあったらしく、最後のドローを行う。そして…。

 

「オレは魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動!」

 

「【ミラクル・フュージョン】…!」

 

心なしか、アムナエルの表情には驚愕と共に喜びの感情が見えた気がした。

 

「【ミラクル・フュージョン】はフィールド・墓地の【E・HERO】を融合させるカード!そして呼び出すのは究極の【E・HERO】!【E・HERO エリクシーラー】!!」

 

十代のフィールドに黄金に輝く【E・HERO】が降臨する。

 

「【E・HERO エリクシーラー】のモンスター効果発動!」

 

「除外したモンスターが、私のデッキに戻っていく!?」

 

【ヘリオス・トリス・メギストス】は除外されたモンスターの数により攻撃力を上げるモンスターだ。これは…行けるか!?

 

「【E・HERO エリクシーラー】の攻撃!フュージョニスト・マジスタリー!」

 

アムナエルは、究極のHERO【E・HERO エリクシーラー】の放つまばゆい光に見とれているように見える。

 

「うあぁぁぁぁっ!」

アムナエル LP:1200→0

 

デュエルの決着が訪れ、アムナエルは地に伏し、彼が地面に落とした錬金術の本が一部破損した。

 

「大徳寺先生…」

 

「十代、最終試験は見事合格だ。錬金術の真意は、人の心を高貴なものに変えることなのだ。十代、君は今その真実を知った。これで私の目的は達した」

 

「…」

 

「私の研究を支えてくれた人物は、強大な力を手に入れんとし、その心をいつの間にか曇らせてしまった。十代。いずれこの島には更なる災いが起きる。私にはその災いに対抗する存在を育てる必要があった」

 

「十代、これを受け取れ。大いなる災いを防げるのは、君…」

 

「大徳寺先生…!」

 

大徳寺先生の独白が終わりを迎えると同時に、限界を迎えていた彼の体は砂の様に崩れ去った。そこに残されたのは、彼が最後に身に着けていたローブと七精門の鍵のみだった。

 

「これでセブンスターズは全員倒れた。先生はこの島にもっと大きな災いが起きるって言ってた。けど、大徳寺先生。その時は先生の遺志を継いでこのオレがそいつを必ずぶっ倒すぜ!」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

ディアブロにデュエルで勝利して機能不能に追い込んだ後、少しするとコナミから連絡が入り、俺はアムナエル戦が終わったことを知った。

 

「向こうも終わったみたいだぞ」

 

「…そう」

 

配下のゴーストに対してディアブロの捕縛と輸送の指揮をしていたレインは、こちらの言葉にあまり興味が無さそうに返事を返してきた。史実と変わらないわけだから驚くほどでもないってことかな。

 

「それにしても、まさか機皇帝を使ってくるなんてな~」

 

「…不可解」

 

使用されたのがスキエルで、かつこちらがシンクロ召喚デッキで無かったのが幸いしたな。

 

「多分、連中の目的は三幻魔だろうけど、相変わらずディアブロの黒幕は分からずしまいか」

 

「…そう」

 

数年掛かりとはいえ約200年後のアンドロイドであるパラドックスを解析し、ディアブロを大量生産できる財力を持ち、三幻魔を狙うような欲望を抱えた大組織か。

 

アニメGXに登場している組織であれば1つだけ心当たりが無くはないんだが、まだ根拠が無いからなぁ。

 

「回収したそいつらから何か情報が判明したら俺にも教えてくれるんだろ?」

 

「…うん」

 

ただ、それだと今までと変わらず対応が受け身すぎるんだよな。何かいい手はないものか。

 

いや、あるな。俺にとってはそこそこリスキーだけど、大物を釣るための方法が1つある。

 

「うん。良いことを思いついたぞ!」

 

「駄目」

 

「ちょっ!?まだ何も言ってないぞ!?」

 

「駄目」

 

「少しは話を聞いてくれても…」

 

「嫌」

 

何故か全く話を聞いてくれないレインを宥め、なんとか話を聞いてもらったところ、渋々だが上と相談してみると言う言質を取ることに成功した。

 

良かった良かった。これからやることは事前にイリアステルに断りを入れておかないと停戦条約に引っかかるからな。黙ってやるとアポリアやパラドックス辺りがキレそうだ。

 

イリアステルから正式にOKが出たら、ペガサス会長にこの前の依頼の件、OKだと伝えておこう。ライディングデュエルは久し振りだけど、スピードワールドネオ環境なら何とかなるだろう。




十代はおおよそアニメと同じような流れでアムナエルを撃破しています。違いとしては人質が翔と隼人になり、ギャラリーが万丈目とコナミになっていることくらいです。

オリ主のデッキは【ワイト】です。墓地肥やしカードを駆使すればアッサリと【ワイトキング】の攻撃力を10000超えに出来る脳筋デッキです。あっ、【スキルドレイン】と【マクロコスモス】は止めてね?

レインのデッキは【エルドリッチ】です。エルドリッチ本体は墓地・手札・フィールドを行き来しつつ、黄金郷罠モンスターを駆使し、【スキルドレイン】【魔封じの芳香】でメタをしかけるトリッキーなデッキです。今回はあまり活躍できなかったのでまたそのうち出るかも知れません。あっ、【マクロコスモス】は止めてね?

ディアブロ2体のデッキは【A・O・J】に【機皇帝スキエル∞】要素を加えた物です。【A・O・J】は光属性メタデッキですが、その効果を発揮できずに終わってしまい、今回の相手はシンクロ召喚をあまりしないデッキだったため、機皇帝もそれほど活躍できませんでした。

次回の更新は5/15(土) AM6:00予定です。

戦車様、ミスターサー様、ユーズファー様、シュテ様、nagato01様、さか☆ゆう様、神威様、メイン弓様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十二話 幕間:ラブデュエル

前回のあらすじ:脳筋の極みワイトキングとひょっこりエルドリッチさん。

今回はデュエル無しのダイジェスト版です。次の話の為の前置き回となります。


昨日、十代たちが最後のセブンスターズであるアムナエルを撃破したことが学園内に広まり、翌日の早朝から十代たちは他の生徒たちから学園の英雄扱いを受けていた。

 

具体的に言うと、本校舎前の道の両端に生徒たちが集まってその中央を十代、コナミ、翔、隼人が歩いていて周りから称賛の声を浴びていた。

 

野球の優勝パレードみたいだな。

 

「スゲーな遊城十代と赤羽コナミ!ついにセブンスターズを蹴散らしたんだってな!」

 

「オシリスレッドにしておくのはもったいないぜ!」

 

アニメと違って生徒の中でセブンスターズを倒したのは十代とコナミだけだ。同年代の生徒が危険な闇のデュエリストを倒したともなれば、他の生徒たちからしてみればこの扱いは妥当だろう。

 

俺も闇堕ちハゲ校長を倒しているが、名目上はハノイの騎士が倒したことにしているから俺がちやほやされることは無いが、俺は今の十代たちのような扱いをされるのは御免なので問題ない。

 

明日香や亮さんたちはセブンスターズの1人をハノイの騎士(俺)が倒したことを知っているが、そのセブンスターズが鮫島校長だったことまでは知らないはずだ。

 

「ありがとー!そんな大したもんじゃないからー!」

 

「なんて言いつつも、十代嬉しそうだな~」

 

「へぇ~。七精門の鍵を巡る戦いのこと、皆知ってるんだ~」

 

「こんな狭い島で派手に戦ってたんだもんナァ」

 

十代、コナミ、翔、隼人はそんな話をしながら校舎へと入っていった。ちなみに十代の首元には七精門の鍵はぶら下がっていない。

 

倫理委員会の調査によりアムナエルの研究室から発見された奪われてしまっていた5つの鍵、響先生が守護していた鍵、十代がアムナエルの遺物の中から見つけた鍵、計7つの全ての七精門の鍵は倫理委員会により厳重に管理されている。

 

明日には本土に移送することが決まったらしいので、間違ってもアニメの様に万丈目や吹雪さんが忍び込んだだけで奪われることは無いだろう。

 

「遊城十代か。クロノス先生や響先生と比べるとそんなに強いとも思わないんだけどなぁ」

 

「彼はツァンちゃんとのデッキ相性、悪そうですからね」

 

「先攻取られてシエン立てられたら融合使いに限らず大体誰でも苦労するだろ。第一、あの二人の先生は別格に近いからと比べてやるな」

 

他の生徒たちに交じって十代たちの凱旋の様子を見ていたツァンと紬には、今の十代はそこまで強そうには見えないらしい。

 

アニメとは違い、この世界の今のアカデミアには十代以外にも強いデュエリストがゴロゴロ居るし、彼女たちは制裁デュエルでのクロノス先生(強化版の【古代の機械】)や、セブンスターズ戦での響先生のデュエル(強化版の【堕天使】)を間近で見てしまっているからそう思うのは仕方ないだろう。

 

俺もコナミならともかく、今の十代なら例えアニメ版【賢者の石-サバティエル】を持っていたとしても多分勝てる。十代が本格的にネオスデッキを使い始めた上でディスティニードローしてくるされるのであれば…メタるしかないがな!

 

「白河様、つかぬことをお伺いいたします。今日の放課後のお時間を頂けますでしょうか?」

 

「紫がボク達にデッキ相談に乗って欲しいんだってさ」

 

「あ~、海の家のアルバイトの後であれば構わないぞ」

 

「「海の家?」」

 

そう。海の家だ。

 

~~~

 

終業式間近と言うことで午前中しかない授業が終わった放課後、俺はクロノス臨時校長に申請していて受理されたアカデミア島内の浜辺にある海の家でのアルバイトに勤しんでいた。

 

「店員さ~ん。焼きそば2つ~」

 

「あいよ~」

 

七月に入ってからアカデミアの浜辺では海開きが始まり、樺山先生が授業が終わった放課後に経営する海の家でアルバイトを募集するようになるのだ。

 

終業式まであと2日しかないが、セブンスターズの件が一段落した今はやることが無いので、俺は小銭稼ぎのためにアルバイトを始めたわけだ。

 

学校指定のジャージの上から店のエプロンを付けただけの恰好だが、今は真夏である。魔術により外部からの熱を和らげることのできる俺以外にこんな過酷なバイトをする物好きは居ないようだ。

 

調理に関しては孤児院ではシスターの手伝いで食事は作っていたし、中学時代は料理部に属していてそこそこの料理経験はある為、この海の家で出すくらいのメニューであればまぁまぁの出来の物を提供できる自負がある。実際、事前に試食してもらった樺山先生からはOKを貰ったしな。

 

「ヘイお待ち。焼きそば2つだ」

 

「美味しそうですね」

 

「相変わらずアンタって見かけによらず料理上手いよね」

 

「一言余計だ」

 

ツァンと紬は何処から調達したのか学校指定の水着ではない露出度は控えめな赤と緑の水着を着ていた。2人とも顔もスタイルも優れている為、他の男性客の視線を釘づけにしているが当の本人たちは気付いていない。更に俺に対して怨嗟の視線も感じるがこちらは気付いていても無視だ。

 

それにしても赤と緑か。前世で散々聞いたあのカップ麺のCMを思い出すな~。

 

「大変美味でございました」

 

「ご馳走様でした。さて、ボクたちはこのままひと泳ぎした後、女子寮に戻って着替えてから図書室に向かうから、そこで合流ってことでいい?」

 

「分かった」

 

ツァンたちは食べ終えた後の食器を返却口に戻した後、海へと泳ぎに行った。それを見計らって店内にいた男子生徒たちもここぞとばかりに海に向かっていったが…彼女たちには全然相手にされていないようだ。合掌。

 

彼女たちから少し離れたところでは、ウェットスーツに身を包んた吹雪さんは海でサーフィンを満喫していて、その様子をずっと見ている枕田ジュンコや浜口ももえたちも露出度控えめの水着を着用している。

 

いつもの黒い制服のまま砂浜に体育座りしている万丈目は見なかったことにしよう。

 

「はっはっはっは!」

 

「「キャー!吹雪様~♪」」

 

吹雪さんの華麗なサーフィンのライディングテクニック(確かチューブライディングだったかな)を見たジュンコとももえの2人はキャーキャー言いながらサインを貰った後、吹雪さんのいつものアレを間近で見てしまい、喜びの余り失神した。

 

失神だよな?熱中症とかじゃないよな?

 

前世で自動車免許取得の際に救命講習を受けて応急救護くらいはできるが、ライフセーバーの資格は持っていないから、もしヤバそうなら樺山先生に丸投げた後で鮎川先生を呼んで来よう。

 

「師匠!この万丈目準に力を!」

 

「うん?」

 

吹雪さんの異性を魅了する力に感服した万丈目は吹雪さんの前で土下座して弟子入りを始めた。アニメ通りなのだが、端から見ると夏の暑さで頭がやられたようにしか見えない。

 

アニメ通りだとこの後は、吹雪さんの提案に乗った万丈目が七精門の鍵を盗んで明日香にラブデュエル(笑)を仕掛けることになる。ちょっと見たい気もするが、このデュエルを最後のトリガーとして三幻魔のカードが復活してしまうので阻止しておくべきかどうか悩む。たまたまタイミングが悪かっただけのはずだからな。

 

今回に限っては倫理委員会が管理する七精門の鍵を万丈目たちが盗み出すことはほぼ不可能だろう。倫理委員会の連中は普通の人間相手には滅法強い。俺が特にやることもないわけだ。

 

「白河君、そろそろ客足が落ち着いてきたから今日はもう上がっていいよ」

 

「そうですか?じゃあお言葉に甘えて今日はもう上がりますね」

 

樺山先生から休憩を貰ったので、俺はツァンたちに合流するためにまずはラーイエロー寮で着替えを済ませに戻るのだった。

 

~~~

 

ラーイエロー寮の自室で軽くシャワーを浴びて制服に着替えた後、夕日が差し込む本校舎の図書室に到着してツァンたちと合流した俺だが、紬のデッキを見てその完成度の高さに驚いていた。

 

「てっきりレッド、グリーン、イエローの三種を入れた「6ガジェ」か「9ガジェ」の【除去ガジェット】か【代償ガジェット】辺りだと思っていたけど、【ゴールド・ガジェット】に【シルバー・ガジェット】まで揃っているとはな」

 

「ボクは初めて見るガジェットだけど、この金と銀のはそんなレアカードなの?」

 

「私は両親からの貰い物ですから何とも言えませんが、珍しい物なのでしょうか?」

 

「珍しいなんてもんじゃないぞ。海外先行発売のカードでまだ日本語版は世界に十数枚しか存在しないはずだ」

 

「「世界に十数枚!?」」

 

【ガジェット】はデュエルキング武藤遊戯が使用したカードの1つだからな。サイレントシリーズと違って希少価値は低めだが、デュエリストからの人気は高いから新規ガジェットが出たとなれば相当な価値となるはずだ。

 

そう言えば紬でいいところのお嬢様らしいからな。彼女の両親がI2社にコネとかあるのかもな。

 

彼女のデッキはEXデッキの方もエクシーズモンスターがそこそこ揃っているし、メインデッキに【ブリキンギョ】や【カゲトカゲ】と言ったレベル4エクシーズしやすいモンスターを投入している使いやすいデッキになっている。

 

「このデッキならツァンともいい勝負できるんじゃないか?」

 

「実際にボクと紫は一度デュエルしたことあるけど、結構苦戦したね」

 

「かなり堅実なデッキに仕上がっていると思うが、どんな感じに変えたいんだ?」

 

「全体的な火力を上げたいらしいよ。単純に考えるなら、フィールド魔法や装備魔法で強化するか、EXデッキのモンスターを追加するか辺りだね」

 

「はい。もしくは、相手に高速でアドバンテージを稼がれ続けると物量で負けてしまうことがありますので、そちらに負けぬように展開力を上げるのも検討中でございますね」

 

火力強化に展開力強化ね。

 

「なら、この辺りのカードはどうだ?」

 

「【緊急テレポート】とサイキック族チューナーか。シンクロ召喚のギミックを組み入れるのが狙いだね」

 

「その通り」

 

1つ目は【シンクロガジェット】。不足気味な火力をシンクロモンスターで底上げするデッキ強化案だ。

 

「こちらは【音響戦士ギータス】に【音響戦士マイクス】。ペンデュラムモンスタァでございますね」

 

2つ目は【ペンデュラムガジェット】。特殊召喚でも効果を発揮できるゴールドとシルバーが居るからこそ構成可能な展開力を強化したデッキ強化案だ。【ダイナミスト】辺りを混ぜるのも手だな。

 

「最後のは【起動兵長コマンドリボルバー】、【起動提督デストロイリボルバー】…えっ?何これ?強くない?」

 

「【起動指令 ギア・チャージ】、【起動指令 ギア・フォース】、【機動砲塁 パワー・ホールド】…どれも見たことのない強力な札ばかりでございますね」

 

3つ目はシンプルに新規ガジェットカードを追加して現状のデッキを総合的に強化する案だ。言い換えるならカードパワーでゴリ押しだ。

 

本当ならリンクモンスターの【プラチナ・ガジェット】辺りも見せてやりたいが、この世界の今の時代だとリンク召喚自体が存在しない上に強すぎるカードが多いから自作のオリカ扱いされるからな…。

 

「とりあえず全部あげるから、夏休みの間に色々と考えてみればいいんじゃないか?」

 

「これらのカードを、全部、あげる!?」

 

「アンタねぇ。前にも言ったと思うけど、これらのカードの資産的価値を考えて言ってるの?」

 

「1パック5枚入りで500円なんだから、1枚なら100円だろ」

 

「そんなわけないでしょ!」

 

また面倒な話になって来たなぁ。俺としては数枚カードを上げたところでまだ3枚以上同じカードを持っているから何の問題もないんだけどなぁ。また何か適当に条件付けるか。

 

「じゃあこうしよう。紬、君なら和菓子の美味しい店とか知っているんじゃないか?」

 

特に理由や根拠は無いが、和服とかに会いそうな娘だからな。見た目で判断した。

 

「えっ?えぇ。両親が好みらしく、時々連れて行ってもらう店がございますが、そこの生八ツ橋は非常に美味だと断言できる店を存じておりますね」

 

「生八ツ橋!いいねぇ!それならカードの対価として、今度の夏休みにでも俺たちをその店に案内してくれよ。奢れなんて言わないからさ」

 

「えぇっ!?そ、それだけで良いのですか!?」

 

「良いよ良いよ。これで等価交換だな」

 

「等価とはとても思えませぬが…」

 

「そう言えばボクがカードを貰った時も友達になってくれって言われただけだったね」

 

去年の春くらいだっけ。正確には歴史の勉強を教えてくれって話だったと思うんだけど、大した違いじゃないから別にいいか。

 

「ツァンちゃんも白河様からカードを頂いたのですか?」

 

「うん。そうだよ」

 

「あぁ、だからツァンちゃんはそのデッキをいつも大切そうに扱って、時々ニコニコしながら眺めたりしているんですね」

 

「なっ!?ち、違うし!?そんな顔してないし!?ボクはただ侍が好きなだけだし!?白河から貰ったとか関係ないし!?か、勘違いしないでよね!」

 

ツァンのそのフレーズ、最近丸くなっていたから久々に聞いたな。俺はモテる事なんてないからな。鈴木や田中じゃあるまいし、勘違いなんてするわけない。

 

ツァンが渡したカードを大事にしてくれているのは初めての友達から貰ったプレゼントだからだと言うのは大体分かっているのだ。

 

ともあれ、ここはノルしかないよな、このビックウェーブにさ!

 

「いやぁ、そうだったんだ。照れるなぁ」

 

「ち、違うって言ってんでしょ!」

 

「そんなに大切にしてくれているならあげた甲斐があったなぁ」

 

「だから違うって…」

 

「ツァン、ありがとな」

 

「~~~!」

 

あっ、やべっ。ツァンの顔が真っ赤になってるじゃん。耳まで真っ赤にして俯いてしまい、顔を上げようとしなくなってしまった。

 

からかいすぎたかな?

 

「白河様は酷いお方ですね…」

 

「えぇ…そこまで酷かったかなぁ」

 

若干理不尽に感じるジト目の紬の言葉はさておき、なんとか紬にカードを渡すことには成功したな。余っているカード何枚か渡すだけで美味しい和菓子の店の情報が手に入るとか、この世界はこういうところがチョロいなぁ。

 

~~~

 

夕日が落ちて夜となり、図書室の利用時間を過ぎてしまったため、俺達は寮へ帰ろうと本校舎内の通路を歩いていた。

 

「ツァンが騒ぐから図書委員の人に怒られちゃったじゃん」

 

「アンタのせいでしょ!」

 

「ふふっ、私は楽しい時間でしたよ」

 

俺達が校長室の前を通り過ぎた頃に、正面から茶髪でスクエアタイプの眼鏡を掛けた白スーツの青年が歩いてきた。

 

「なぁ、そこの学生たち。この学園の校長室ってどこにあるか教えろよ」

 

光雄君じゃん。そう言えば君、今まで出て来てなかったねぇ。セブンスターズ襲来のせいで警備の倫理委員会のメンバーが一時的に激減しているとはいえ、良くここまで侵入出来たね?

 

あっ、明日香から盗んだ赤いスカーフが胸元から見えているな。もうセブンスターズとの戦いは終わったけど、今更何しに来たの?明日香にスカーフ返しに来たとか?

 

「は?何なのアンタ?」

 

「どなたでしょう?」

 

いきなり高圧的な態度で問われ、ツァンは明らかに不機嫌な表情となり、紬も警戒しているようだ。セブンスターズの件があったから、このどう見ても不審者な青年の態度に過敏に反応してしまっているのだろう。

 

「校長室ならこの先を少し進んだところ、と言うかそこの扉がそうだぞ」

 

「フッ、ありがとよ」

 

光雄君もといボーイは、俺の答えを聞くと俺達の横を通り抜けて校長室へと入っていった。

 

これは、あれか。アニメ同様に三幻魔の噂をカジノ戦で聞きつけて自分を売り込みに来たのか。アニメと違って既にセブンスターズの戦いが終わったことは知らないんだろうな。

 

「何なのあの態度、ムカつくなぁ」

 

「あまり感じの言い方ではありませんでしたね」

 

「デュエルアカデミア名物、良く居る不審者だろ?」

 

「名物って…でも、確かにこの学園は不審者が多いね」

 

「黒服の大男、船に密航してきた自称ジャーナリスト、そしてセブンスターズ…。月に1度は不審者の噂を聞いている気がします」

 

「俺たちに関わりが無いならどうでもいいさ。不審者のことは忘れてさっさと帰ろう」

 

「そうだね」

 

「そうですね」

 

俺達がそのまま階段を降りようとした時、遠くの校長室からわずかに声が聞こえてきた。

 

『だ、誰ナノーネ!?、不審者ナノーネ!?』

 

『違う!オレの名はボーイ!どうだ?このオレを…』

 

『不審者は捕縛するノーネ!実力行使デス―ノ!倫理委員会、カモーンなノーネ!』

 

『この不審者め!大人しくしろ!』

 

『この…てやっ!』

 

『カード手裏剣のつもりか!効かんな!』

 

『馬鹿な!?全員が素手であの速度のトランプを掴んだだと!…うぉっ!は、離せ!』

 

『クロノス臨時校長、不審者の捕縛完了しました』

 

『お疲れ様ナノーネ。私は例の件の後始末で忙しいので後の処理は任せるノーネ』

 

『了解です。さぁ歩け不審者!』

 

『HA☆NA☆SE!オレの話を聞け!』

 

『話は取調室でみっちり聞いてやる!行くぞ不審者!』

 

アニメではボーイ(光雄君)の放ったトランプで倫理委員会のメンバー4人は全員あっさり敗北するのだが、この世界の倫理委員会のメンバーはあの海馬コーポレーションの特別養成カリキュラムと言う名の地獄を超えてきた者たちだ。面構えが違う。

 

多分、俺でもメカレオンのステルス技能を使わずに正面から段ボールを使って潜入しようとしたり、エロ本を囮にして突破しようとしたとしても恐らく捕縛されてしまうだろうな。

 

~~~

 

ツァンたちをブルー女子寮前まで送って行った後にハノイの騎士用PDAを確認して見ると、『不審者の捕縛情報』と言うタイトルのメールが送られてきていた。

 

メールを開いてみるとさっき会ったボーイ(光雄君)の顔写真が添付されていた。まぁそうなるよな。

 

「ただ、明日香の大切にしていた赤いスカーフはまだ光雄君に盗まれたままで返却されていないんだよなぁ」

 

あの赤いスカーフ明日香が母親から貰った大切な物らしい。俺には前世・今世どちらも両親の記憶は殆ど残っていないからいまいちピンと来ないが、親から貰った物と言うのは恐らく大切な物なのだろう。それなら何とか取り返すチャンスは与えてあげたいと思うのが人情だろう。

 

アニメでは明日香と光雄君がデュエルして取り返すのだが、このままだと光雄君は明日香と会わずにそのままスカーフと一緒に豚箱行きだ。

 

そうなる前にハノイの騎士としてなんやかんやと理屈をつけて明日香とのデュエルをセッティングしてみよう。

 

~~~

 

翌日、午前中の授業が終わった放課後に砂浜で明日香とボーイがデュエルを開始していた。

 

元々彼はたまたまデュエルアカデミア近海を移動していた大型カジノを内包する豪華客船にて三幻魔の噂を知り、セブンスターズとの戦いの為に単身で自身を売り込みに来ていただけということが倫理委員会の調査で判明していた。

 

今回のデュエルは、念のために自身を売り込みに来るレベルのデュエルの腕前であったかどうかを確認すると言う建前を作り、ハノイの騎士の名前を使って明日香をデュエルの相手として推薦し、彼女にも事前の連絡を入れて承諾を得ておくことで実現したのだ。

 

 

「うわぁぁぁっ!」

ボーイ LP:1700→200

 

 

明日香のいつも通りのサイバーエンジェルに対してボーイはかなりの善戦をして粘っていたが、彼のギャンブルデッキの布陣はもうボロボロで彼のLPは風前の灯火だ。

 

【セカンド・チャンス】のやり直しによる【モンスターBOX】の効果が決まっていなければ後攻1ターンキルだっただろう。

 

「店員さ~ん、焼きそば2つ~」

 

「あいよ~」

 

「店員さ~ん、素敵な彼氏を紹介して下さ~い」

 

「すいません。それ来世からなんですよ」

 

「店員さ~ん、たこ焼き2つ~」

 

「あいよ~」

 

「店員さ~ん、素敵な彼女をプリーズ~」

 

「鏡と現実を見てくたばれ」

 

「店員さ~ん、ホットドック4つ~。あとコーラも4つお願いしま~す」

 

「あいよ~」

 

俺はそのデュエルを海の家でアルバイトをしながら見ていた。当然、明日香とボーイがこの場所でデュエルしているのはハノイの騎士として俺がこの場所を指定したからである。その理由も簡単で、俺がバイトをしながらデュエルの結果を知るためである。

 

職権乱用?知らんなぁ?そもそも俺はハノイの騎士としては給料すら貰ってないんだから職員ですらないのだ。これくらい構わんだろう?

 

 

「【モンスターBOX】の効果が決まればそちらのモンスターの攻撃力は0となる!天上院、お前に大ダメージが入るんだぞ!?」

 

「【セカンド・チャンス】を失った貴方に当てられるかしら?貴方は一度目のコイントスは必ず外している。貴方にギャンブルの才能は、無い!」

 

 

ボーイと明日香の会話を盗み疑義していると、何やら耳の痛い話が聞こえてくる。

 

俺は【セカンド・チャンス】があったとしてもこの世界でコイントスが成功した確率は10%を切るくらいだからな…。前世ではこんなに酷くは無かったのだが、どうしてこうなったのやら。

 

「ホットドック4つとコーラ4つ、お待ちどうさまで~す」

 

「おぉっ!美味そうじゃん!頂きまーす!」

 

「うん、美味いな。相変わらずクロトは料理上手いなぁ」

 

「白河君の料理を食べたのは去年の白河君の屋台以来だけど、去年よりもさらに美味しくなってるッス!」

 

「ボリュームもあっていい感じなんだナァ!」

 

「そりゃどーも」

 

俺と同様に明日香のデュエルを海の家で見物している十代一行から受けた注文を渡してDPを受け取る。

 

この海の家のアルバイト代はまさかの歩合制だ。俺以外にバイトは居ないので、売れれば売れるだけ俺の収入が増えるのだ。

 

明日香とボーイがデュエルを行うことは学園内に知れ渡っていたので、砂浜にはアカデミアの女王に挑む無謀な挑戦者とそのデュエルを見る為に大勢の観客が押し寄せてきていた。もちろん、海の家も大繁盛していた。

 

計画通り。うぇっへっへ。ぼろ儲けだぜ。

 

 

「【サイバー・エンジェル-伊舎那-】で【サンド・ギャンブラー】に攻撃!」

 

「【モンスターBOX】の効果発動!コイントス…外した!?うわぁぁぁっ!」

ボーイ LP:200→0

 

 

デュエルに目をやると、ボーイは【モンスターBOX】のコイントスを外し、ボーイの【サンド・ギャンブラー】が【サイバー・エンジェル-荼吉尼-】に胸ぐらを掴まれて往復びんたを食らった後にアッパーカットをお見舞いされ、ボーノのLPともども天に召されていた。

 

どうやらちょうどデュエルの勝敗が付いたらしい。明日香が負けるとは思っていなかったので、ボーイには悪いが残当の結果だ。

 

「ボーイか。腕前は悪くなかったが、運のみで明日香に勝てるわけがなかったな」

 

「そうですね」

 

十代たちは別のテーブルについてデュエルを見ていた亮さんと話してみたが、明日香が負けるとは露程にも思っていなかったようだ。

 

「でも、ギャンブルデッキは面白いコンセプトだよね」

 

『マスターはギャンブルにハマりすぎないようにしてくださいね』

 

亮さんと同じテーブルについている藤原先輩とそして彼のカードの精霊オネストも明日香が負けるとは思っていなかったようだな。

 

「持って行けよ。オレの大事なものだ。好きだった娘が持っていたスカーフ。どうしても欲しくてさ。返すよ」

 

「あっ…」

 

明日香が母親から誕生日に貰ったという大切な赤いスカーフがボーイから明日香に返却される。ボーイの殆ど告白と言えるセリフは完全にスルーだ。

 

イケメンからの渾身の告白をアッサリとスルーする明日香さん、男前すぎる。

 

「これでもう一か八かの賭けは出来なくなっちまうけどな。頑張れよ。ま、天上院なら心配ないか」

 

「光雄君…」

 

「光雄じゃねえ!ボーイだよ!ま、どっちでもいいけどよ」

 

ボーイは失意のまま砂浜の先で待機していた倫理委員会と合流したようだ。

 

初恋にもデュエルにも敗れてしまったな。彼には強く生きて貰いたいものだ。

 

「前座のデュエルは終了したようだね。さぁ天上院君、今度はボクとのデュエルを受けて貰うよ!」

 

「良いよ万丈目君!今の君は輝いている!胸きゅんポイント追加だ!」

 

「ありがとうございます、師匠!」

 

そして、ボーイが立ち去った後に遊馬の前に現れたのはアロハシャツ姿の吹雪さんと、彼にそそのかされたいつもの姿の万丈目だ。

 

ボーノとのデュエルが終わるのを律儀に待っていた万丈目とイケメンにモテまくりの明日香のラブデュエル(笑)が始まる。

 

もちろん、アニメとは違って万丈目の首元には七精門の鍵は存在しない。鍵は今、倫理委員会が本土に運送するために砂浜に止まってあるトラックに積み込んであるらしい。

 

倫理委員会のメンバー二十人体勢での警備をしているらしく、オカルト関連の相手で無ければ彼らを突破できるものはそう居ないだろう。

 

「先ほども思ったが、あの男は天上院とどんな関係なんだ!気になる!」

 

「ボーイ。そろそろ本土に向かいたいのだが?」

 

「待ってくれ!せめてこのデュエルが終わるまでは待ってくれ!」

 

「はぁ…このデュエルが終わるまでだぞ?」

 

「助かる!」

 

トラック前にはボーイと倫理委員会の姿がある。ボーイが自身の後に明日香に挑む万丈目が気になるらしく、万丈目のデュエルを見届けた後に本土に向かうように頼んだみたいだ。

 

 

「ボクは手札から魔法カード【恋文】を発動!さぁ天上院君!ボクのフィールドのモンスターのコントロールを得るか!それともボクの伏せカードをそちらにセットするかを選んでくれ!」

 

「【おジャマイエロー】を貰うよりは…セットカードを頂くわ」

 

 

ボーイとのデュエルもそうだったが、万丈目とのデュエルもアニメに近い展開となっている。

 

ただアニメと違って明日香がガチガチのサイバーエンジェルデッキを使用しているので、万丈目のLPはいつ吹き飛んでもおかしくない。

 

 

「戦闘でダメージを受けたこの瞬間、罠カード発動!【運命の分かれ道 ドラマチック・クロスロード】発動!君はまた選択しなければならない!手札から1枚カードをランダムに捨てる!もしくは君の手札をボクに公開し、そこから1枚選んでボクの手札に加える!」

 

「…」

 

「天上院君、ボクの想いを受けれてくれるなら、手札を見せて欲しい。君の全てをボクは見たい。そして君の手札とボクの手札でこのラブデュエルを完成させるんだ!これがボクたちの初めての共同作業になるんだよ!」

 

「…」

 

「天上院君、お願いします」

 

万丈目がなにやら体中がかゆくなるようなセリフを乱発しているが、明日香の様子は特に変化がない。これには吹雪さんも予想外だったらしく…。

 

「残念だが、万丈目君のラブライフは既に0…」

 

「ごめんなさい万丈目。私はカードをランダムに捨てる方を選ぶわ」

 

「そんなー!」

 

「私はデュエルを裏切れない。私は、デュエルに恋しているの」

 

 

万丈目は轟沈した。もう、完膚なきまでに終わった。

 

イケメンからの渾身の告白を迷うことなくまたもやバッサリ断る明日香さん、男前すぎる。

 

ただ、こんなアホなやり方を取ったとはいえ彼の勇気には敬意を表したい。異性に告白するなんてとても勇気のいることだ。俺には出来ないかな。

 

俺には告白する相手も、告白されることも今までの人生で一度もなかったんだけどさ!

 

「万丈目君、済まない!タオルだ!」

 

「まだだ!こうなったらデュエルに勝つことで君の心を奪う!」

 

「万丈目君…!」

 

万丈目は復活した!もう駄目だと駆け寄った吹雪さんも感動している!

 

なんて奴だ!あれほどバッサリ振られたにもう立ち上がるとは…!三沢と言い万丈目と言い、恋に狂った連中は一味違う!奴らこそ漢の中の漢だな!

 

 

「「おジャマトークン」は破壊されたら1体につき300ポイントのダメージが入るはず…!」

 

「破壊じゃないわ。これは儀式魔法の為のリリース」

 

「あっ」

 

「【サイバー・エンジェル-弁天-】で【おジャマ・キング】を攻撃!」

 

「うぅ…戦闘ダメージと効果ダメージでボクのLPは0…」

万丈目 LP:2000→0

 

 

万丈目、負けちゃったけどな。トリッキーな【おジャマ・キング】と【おジャマトリオ】のコンボでかなりの妨害性能を発揮していたんだが、惜しかったな。

 

序盤はデュエルに勝利することが最優先ではなかったとはいえ、色ボケしすぎて意味不明なプレイングが多すぎた。いくら万丈目とはいえ、その状態で明日香に勝つのはほぼ無理だろう。

 

「オレは…一、十、百、千、万丈目サンダー…」

 

「明日香!こんな格好いい万丈目君に、何故惚れない!?」

 

「万丈目君…」

 

打ちひしがれる万丈目とこの結果を嘆く吹雪さん。傷心の彼らには後でタコ焼きくらいは奢ってやろうかな。

 

そんな時、それは起こるべくして起こった。

 

「こ、これは…!」

 

突如、島全体を揺るがすような地鳴りが発生し、その場にいた人々はパニック状態に陥っていた。俺も海の家の食器が割れない様にするので手一杯だ。

 

ふと視線を移せば砂浜の端の方に止まっていたトラックの荷台が内側から破られており、そこから金色の金属のような物が島の中心付近に向かって飛来していくのが見えた。間違いなく七精門の鍵である。

 

マジかよ~。今まで結構アニメとは違う感じだったのに、ここはアニメ通りに三幻魔復活するの~?




セブンスターズも全員倒れたので、これで三幻魔の復活は阻止できましたね!と上手く行けばよかったんですけどね。

【ガジェット】自体は過去に別キャラで登場させてしまったので、紬さんには強化版を使用してもらう予定です。また一つ、デュエルアカデミアの上位陣への壁が高く厚くなりますね。

ボーイこと光雄君は、セブンスターズとの戦いが思いのほか早く収束してしまったので出るタイミングを逃してしまいましたね。ただ、彼もタッグフォース3での登場キャラですが、デュエルはダイジェストとなりました。サイバーエンジェルに善戦する姿が想像できなかった…。

万丈目のラブデュエルもダイジェストになりました。使うデッキが特殊で面白そうかとも思いましたが、サイバーエンジェルに善戦する姿が(以下略)

次回の更新は5/15(土) AM7:00予定です。

きりぼし様、カードパックの金額についてのコメントを頂きましてありがとうございました。参考にさせて頂き本編を微修正させて頂きました。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十三話 影丸と三幻魔

前回のあらすじ:男前すぎる明日香さん。

今回の対戦カードは、十代&コナミ&オリ主vs影丸となります。

影丸は生き残ることが出来るのか?


ボーイと万丈目と言うイケメン二人をデュエルで叩きのめしてアッサリ振った後、狙いすましたかのようなタイミングで地鳴りが起こり、光り輝く七精門の鍵が空の彼方へ飛んで行った。

 

「この世界ではアニメとは色々変わってるから、三幻魔復活のタイミングもズレるかと思ったんだけどなぁ」

 

この現象は間違いなく三幻魔復活の前兆だろう。

 

よくよく考えてみれば、詳細は異なっていたもののアニメで起こったイベント自体は殆ど発生していたのだ。このまま三幻魔は復活しないのでは…なんてわずかな望みなど最初から有り得なかったのかも知れないな。

 

「何だ?」

 

「何か光っているっスね」

 

「綺麗なんだナァ」

 

「あれは七精門の鍵じゃないか?」

 

「なんだって!?すぐに追いかけよう!」

 

「あぁ!」

 

十代一行は七精門の鍵が飛んでいくのを目撃したらしく、地鳴りが収まったタイミングで砂浜に出て七精門の鍵が飛んで行った方向へ走り出した。

 

それを目撃した万丈目、明日香、三沢たちも十代に続いて十代たちの元へと走って行った。少し遅れて吹雪さん、亮さん、藤原先輩も彼らを追うようにして走り去った。

 

あぁ、これアカン奴や…。このままだと間違いなく三幻魔は復活するだろうなぁ。

 

他の学生たちは唖然としておりその場を動く様子が無かったようだが、海の家に居た樺山先生と倫理委員会のメンバーにより学園方面へと避難するように指示されている。

 

セブンスターズの1件があった上にその原因ともなっていた七精門の鍵が飛んで行ったわけだから危険なことが起こりえると判断したわけか。判断早いな。有能だな。

 

面白そうだという表情をしながらこっそり抜け出そうとしていた雪乃は、残念ながら委員長こと原麗華と倫理委員会のメンバーに捕まっていた。

 

合掌。今回は本当に危ないことに巻き込まれるかもしれないから、君も避難しておいた方がいいよ。好奇心は猫をも殺すからね。ネコと和解せよ。

 

「白河、アンタ何やってるの?ボクたちも早く避難した方がいいんじゃない?」

 

「私たちも何が起こっているのかは存じ上げませんが、ここは先生方の誘導通りに避難した方が良いかと思われますよ?」

 

俺が地鳴りのせいで散らかった海の家を片付けていたら、まだ海の家に居たツァンたちが話しかけてきた。

 

ずっと七精門の鍵や十代たちの様子を見ていたから彼女たちがまだ避難していないことには気づかなかったが、これから起こりそうなことを考えると彼女たちにもアレを渡しておいた方が良いか。

 

「ツァン、紬」

 

「えっ?なによ?」

 

「何でしょう?」

 

「ちょっとそこで待っててくれ」

 

俺は控室に向かい、そこに置いてある制服のポケットに入れていたオカルトネックレスを持って来て彼女たちに渡した。

 

「これを君たちにあげよう」

 

「これは?」

 

「ネックレスでしょうか?」

 

「手作りのお守りだ。後で捨ててもいいけど、ご利益は保証するからこの騒動が終わるまでは大事に持っていてくれ」

 

これがあれば、三幻魔が復活してもその余波くらいならを受けることは無くなるだろう。

 

そして万が一、十代が影丸に負けてこの島が沈んでしまうことになったり、何らかの理由で俺が死んだとしても、そのネックレスを持ってさえいればしばらくは生き残れるだろう。

 

「俺は面白そうだから様子を見て来る。2人はちゃんと避難しておいた方がいいぞ。それじゃ」

 

「あっ!ちょっと!待ちなさいよ!」

 

ツァンの制止を振り切り、七精門の鍵が飛んで行った方向へと向かうことにした。

 

面倒は嫌いだしわざわざ危険な場所に乗り込みたくもないんだが、流石に三幻魔編の最後くらいは自分の眼で経緯を見ておかないと後々不安になりそうだから仕方ないよな。

 

それに彼女たちを巻き込むつもりは無い。彼女たちは一般人だからね。巻き込んでいいのは殺そうとしても死ななさそうなコナミくらいだ。

 

~~~

 

森がざわめき、デュエルアカデミア本校舎の頂上から緑色の光の柱が空に伸びたかと思えば、森の中の地面から七本の石柱が生えてきた。その少し後に七本の石柱の中心付近の地面だけが少し陥没する。

 

その様子を見ながらステルス状態で森の上空を飛行して移動していると、ハノイ用PDAに倫理委員会から緊急の連絡が来ていたのに気付いた。

 

だがハノイの騎士は今日は海外に居ると言う設定なのでこの連絡に対しては『船で学生を本土に避難させる準備をしておいた方がいい』と助言するだけに留めておく。

 

倫理委員会への返信を送った少し後で、ほのかに光った七精門の鍵が七本の石柱に吸い込まれていくのが見えた。石柱の先端に光がわずかに灯っているのも確認できる。これで三幻魔の封印は完全に解けてしまったようだな。

 

「でも、今回の最大のイベント開始までには間に合ったかな?」

 

俺がオベリスクの中心にある陥没した円形の地面まで到着する頃には十代たちも既に到着しており、俺とは少し離れたところで周囲の様子を窺っているようだった。

 

彼らの近くには猫のファラオの姿も見える。大徳寺先生も出番待ちのようだな。姿も気配も確認できないが恐らくレインも何処かで見ているだろう。そんな中、俺の存在に気付いたのか明日香たちが驚いているがとりあえず放置だ。

 

「何事ナノーネ~!?」

 

「これは…一体何が起こっているの…?」

 

「クロノス先生!響先生!」

 

「皆さーん!」

 

「鮫島校長!?出張から帰ってきていたのか!?」

 

「それが、七精門の鍵が急に飛んで行って…」

 

森の中からクロノス臨時校長と響先生、そして何故か意識不明だったはずの校長が倫理委員会のメンバーに肩を借りながらやって来て十代たちから事情を聴いていた。

 

倫理委員会から連絡を受けたであろうクロノス先生と響先生はともかく、先ほどまで意識不明だったはずの鮫島校長がここに居るのかは不明だ。

 

そもそも、今更あのハゲは何をしに来たんだろう?都合良くこんなタイミングで目覚めたとか?そんなこと有り得る?実は起きてたんじゃないの?

 

そんな俺の疑念は置き去りにして状況は変化していく。陥没した円形の地面の中心部から何やら六角形の機械の台座が地面から生えて来て、その中心に三枚のカードが出現する。三幻魔のカードの登場だ。

 

今から俺が姿を隠してあのカードを盗んで破るなりマグマに投げ捨てたりしたら、色々と解決しないかな?

 

なんて考えていたら十代たちが三幻魔のカードに近付いて行き、それを阻むようなタイミングで上空に大型のヘリがやって来る。黒幕の登場だ。

 

『そのカードを貴様らにやるわけには行かんな』

 

大型ヘリから三幻魔のカード付近に落とされたその機械の塊はあっという間に変形していき、人間が入ったカプセルを中心にして4本の足が生えた形となる。カプセルの中に居るのは皴だらけの老人、デュエルアカデミアの理事長である影丸その人だ。

 

「なんだ?あのロボットは?」

 

『フッフッフ。鮫島校長、私の声を忘れたのかね?』

 

「その声は、影丸理事長!?」

 

恐らく生命維持を補助するための液体が詰まったカプセルの中から声が聞こえるわけもなく、カプセル付属の機械がそれっぽい声を出しているだけだと思われる。

 

どうやら万丈目たちが居る場所からはカプセルの中身までは見えないらしいな。

 

『時は満ちた。今ここに、三幻魔復活の儀式を行う』

 

「どういうことだ!何故、七精門の鍵が勝手に開く!」

 

『最初からそう言う仕掛けだからだ。三幻魔のカードをここに封印し、七つの鍵を鮫島に託したのは私自身なのだ』

 

「なんと!?」

 

「むぅ…」

 

十代や万丈目たちの問いに対して影丸が得意げに語り始めた。ネタバラシタイムだな。

 

アニメではここで影丸が今までの経緯を語り始めたのはアニメ視聴者への説明の為だったのだろうが、今回の場合は勝利を確信していることから来る余裕と優越感からだろう。

 

『七つの鍵はお前たちとセブンスターズを戦わせ、この島にデュエリストの闘志を蔓延させる道具に過ぎない』

 

ここは知っている。影丸は錬金術師のアムナエルと懇意だ。彼と協力して鍵を作った、もしくは元からある鍵を解析したのだろう。

 

『今から数年前、私は永遠の命と世界の覇権を手にすると言われる伝説のカード、三幻魔を手にした。だが三幻魔のカードに眠る力を蘇らせるにはデュエリストの闘志に満ち溢れた空間が必要だと分かった』

 

数年前って言っているが、恐らく十年くらいは前の話だ。この無人島の買い取り、各業界とのやりとり、アカデミア校舎や周辺設備の建設、職員の選定や募集、それ等以外にも色々あるだろう。

 

それらの期間に加えて、アカデミアが完成してから中等部1年へ入学して卒業して行った学生もいるはずだ。数年のはずがない。

 

『そのために私はこの学園を作り上げ、三幻魔の復活に見合うデュエリストを育てていたというわけだ』

 

育てていたってお前、教育関連に一切絡んでないだろ。いや、俺が入学する前は絡んでいたのか?

 

もし絡んでいたとしても、俺達が入学する前のアカデミアの学生の実力の程度は知れていたので、十代たちが入学しなければ三幻魔は復活せずに影丸の寿命が尽きていただろう。

 

そして、影丸は自分こそが諸悪の根源で鮫島は利用されていただけだと語ったわけだが、影丸のその行為が鮫島を擁護しているようにも見えたのは、俺が捻くれているせいだからだろうか?

 

「ふざけないで!それじゃあ私たちは最初からあなたに利用されていたって言うの!?」

 

「そうだ!勝手なことを言うな!」

 

「自分たちの道は自分たちで切り開いて見せるんだナァ!」

 

「ならば!お前の野望を打ち砕くため、オレが相手をしよう!オベリスクブルーのカイザー!丸藤亮が!」

 

「オレ!オレがやる!オシリスレッドのコナミだ!よろしくな!」

 

「いや、このデュエルだけは!この、一、十、百、千、万丈目サンダーが受けて立つ!」

 

「いいや、このデュエルはこのボク!デュエルアカデミアのブリザードプリンス!天上院吹雪がお相手する!」

 

「兄さん…」

 

「吹雪、空気読もうね?今の君はアロハシャツにギターしか持っていないじゃないか」

 

「生徒たちを危険な目に遭わせるわけには行かないわ!ここは私がお相手させてらもらうわ!」

 

「そうナノーネ!生徒たちを矢面に立たせるわけには行かないノーネ!ここはデュエルアカデミア実技最高責任者であるこの私が相手になるノーネ!」

 

あのメンバーなら誰が相手をしても影丸を倒せてしまいそうなのが何とも言えないな。

 

「いや、このオレ」

 

『駄目だ』

 

「…このオレ!三沢大地が相手だ!」

 

『駄目だ』

 

明日香たちが流れるような会話を繋げていたが、三沢の名乗りをぶち切って影丸が待ったをかける。

 

アニメと同様に三沢の名乗りはキャンセルされてしまったか、それでも気にせず改めて名乗った三沢はアニメよりも少し強気だな。

 

『私の相手は遊城十代、赤羽コナミ、それに白河クロト。お前たちだ』

 

「オレが?」

 

「オレも?」

 

「はっ?何で俺まで?」

 

俺は十代のような原作主人公でもコナミのようなゲーム主人公でもないぞ?爺さん、ボケたか?

 

『フフフッ、精霊の力を強く持つお前たちで無ければ意味は無い。私の挑戦を受けなければここから出られぬままこの島ごと海に沈むことになる』

 

七つのオベリスクから稲妻のような物が迸り、この周囲から出れらなくなったようだ。

 

試しに水の魔術で水球を作って飛ばしてみたが、とある場所まで飛ぶと一瞬で蒸発した。素手で触れるのは止めておこう。

 

『さぁ戦え!』

 

いつの間にか三幻魔のカードを手元に加え、機械の中からデュエルディスクを取り出した影丸はやる気満々だ。

 

俺はともかく、コナミを入れてしまった時点でアンタに勝ち目は無いと思うけどなぁ。

 

「気に入らんが、そう言うことなら貴様らに譲ってやる。十代、お前たちもここでの敗北は許されんぞ!」

 

「分かってる!三幻魔との決着はオレがつけるぜ!」

 

「よっしゃー!やるぜー!」

 

万丈目に激励されてやる気満々の十代とコナミの横に俺は歩いて行き、渋々デュエルディスクを構えて彼らに並び立った。

 

「やるならさっさとやろう。俺は早く終わらせてバイトに戻りたい」

 

とか言い放ってみたが、主人公たちvs大ボスの構図の中にモブキャラの俺が入っているとか…こんな大舞台で主人公たちに並び立つこのシチュエーションが俺には場違いすぎて気恥ずかしい!

 

精霊の力が欲しいなら、万丈目で良くないか?イケメンの万丈目ならこのシチュでも見栄えするだろ?

 

「大徳寺先生、オレにこのカードを使って言うのか?良し、アンタが残したカード、その力を信じるぜ!」

 

十代は翔から受け取った鞄からデュエルディスクを取り出した際、大徳寺から託された錬金術の本に挟まっていたカードを発見し、デッキに入れたようだ。

 

アレは【賢者の石-サバティエル】だろうな。しかもアニメ版だろう。これでほぼ影丸の勝利は消えたな。

 

『十代。今回はボクや彼の助力は必要かい?』

 

「ユベルか。いや、今回はコナミに加えて白河も居るし、相棒やネオスも居るからな」

 

『クリクリィ~!』

 

『任せてくれ、十代!』

 

「ユベルやもう一人のオレに頼りきりになるのもあれだし、オレ自身の力で何とかして見せるさ!」

 

『そうかい?でも危険になったら割り込ませてもらうからね?』

 

「あぁ!その時は頼むぜ、ユベル!」

 

『もちろんさ』

 

つい十代とユベルたちの会話を盗み聞きしてしまったが、十代とユベルの関係はアニメ終盤の彼らとはまた随分と異なるようだな。聞く機会があればいずれちゃんと聞いてみたいものだ。

 

~~~

 

「さぁ闇のデュエルを始めようか」

 

「おう!いつでもきやがれ!金魚鉢!」

 

「うん!今日のデッキはこれにしよう!」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

第一期の黒幕兼ラスボスが相手とは言え、挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「バトルロイヤルルールとは言え実質は三対一。私のみLP12000、手札10枚、ドローカードは2枚とさせてもらうぞ!」

 

えっ?

 

「構わないぜ!」

 

「OKだ!」

 

えぇ…。勝手に決めるなよ…。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:5枚。

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:5枚。

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

◆影丸 LP:12000 手札:10枚。

 

 

まぁいいか。特別ルールのハンデがあってもこちらが遥かに有利だ。こちらを舐めているのか、もしくはよほど三幻魔のカードに自信があるらしいな。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

影丸 手札:10→12枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップを10枚裏側表示で除外してデッキから2ドロー!」

影丸 手札:12→11→13枚。

 

「私は手札から罠カードを3枚セット!」

影丸 手札:13→10枚。伏せカード:0→3

 

「あの男、本当にデュエルしたことがあるのか?」

 

「セットカードを罠カードだと宣言したぞ?」

 

万丈目たちは不思議がっているな。確かにそう思うよな。

 

「これこそが幻魔の復活には必要な条件なのだよ。セットした罠カード3枚を生贄に!出でよ!第1の幻魔!【神炎皇ウリア】!!」

影丸 手札:10→9枚。伏せカード:3→0

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK0→3000

 

【神炎皇ウリア】※アニメ版効果。

効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻 0/守 0

自分フィールド上の罠カード3枚を墓地に送った場合に特殊召喚する事ができる。

1ターンに1度だけ、相手フィールド上にセットされている罠カード1枚を破壊する事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。

このカードの攻撃力・守備力は自分の墓地の罠カード1枚につき1000ポイントアップする。

このカードが墓地に存在する時、手札の罠カードを墓地に送ることで、墓地のこのカードを特殊召喚することができる。

このターン、自分フィールド上に他のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃をすることができない。

 

<影丸の墓地に送られた罠カード>

①黄金の邪神像

②融合失敗

③強欲な瓶

 

 

影丸の呼びかけに答えるかのようにフィールドに大きな火柱が上がり、その中から巨大な赤い竜の姿の悪魔が出現する。

 

「こ、これが…!」

 

「うぉっ、でかいな」

 

「三幻魔の1体、【神炎皇ウリア】!」

 

元となったオシリスに似て格好いいモンスターだよな。OCG版と違って初登場時は罠カードならなんでも特殊召喚条件を満たして攻撃力増加にも繋がるのも便利だな。

 

 

「更に私は手札からフィールド魔法【失楽園】を発動!そしてその効果を使用する!デッキから2枚ドロー!」

影丸 手札:9→8→10枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【失楽園】※アニメ版効果

フィールド魔法

フィールド上に「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」「幻魔皇ラビエル」の内1体以上が存在している場合、そのカードのコントローラーは1ターンに1度だけデッキからカードを2枚ドローできる。

 

「幻魔が居る限り、毎ターン2枚ドローできるのか!?」

 

「良いサポートカードだな」

 

OCG版だと何故か更にパワーアップしていたな。

 

「ふふふ、私は手札から魔法カードを3枚セット!」

影丸 手札:10→7枚。伏せカード:0→3

 

「またアイツ、伏せカードの種類を宣言した…」

 

「はっ!まさか、もう2体目が来るのか…!」

 

「見るがいい!第2の幻魔!セットした魔法カード3枚を生贄に!出でよ!【降雷皇ハモン】!!」

影丸 手札:7→6枚。伏せカード:3→0

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK3000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

 

【降雷皇ハモン】※アニメ版効果。

効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000

このカードは通常召喚できない。自分フィールド上の魔法カード3枚を墓地に送ることで特殊召喚する事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受け付けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。

このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

守備表示のこのカードが破壊されたターン、コントローラーの受けるダメージは0になる。この効果は発動ターンのみ有効とする。

 

<影丸の墓地に送られた魔法カード>

①死者転生

②早すぎた埋葬

③深淵の指名者

 

 

フィールドに現れた大きな氷塊が現れ、その中から黄金に輝く翼を持つ悪魔が出現する。

 

「出た…!」

 

「こいつが…!」

 

「第2の幻魔…!」

 

ギャラリーたちが【降雷皇ハモン】の威容を見て慄いているようだ。

 

三幻魔の周囲にはカードの精霊たちの魔力が光の粒子となって集まってきていて、三幻魔はその力を吸収しているように見える。

 

【降雷皇ハモン】か。TF3だと【宝玉獣】デッキの切り札としてお世話になったなぁ。それにしてもコイツ、『光』属性で降『雷』皇なのに、何故か氷塊から出て来るんだよな。

 

「なっ!?【おジャマイエロー】!?」

 

「あれ?何だこれ?」

 

「どうなっているんだ?」

 

「デッキのモンスターたちが…」

 

「今頃気が付いたか!今、闇のゲームを行っている彼奴等以外、幻魔がフィールドに現れた時からお前たちのモンスターの生気を吸い上げている!」

 

「【デスコアラ】が…」

 

「【パトロイド】がスクラップに…」

 

確か、幻魔が2体揃った時点でカードのイラストが変化する謎現象が起こるんだったな。アニメだと【おジャマイエロー】が皺くちゃになっていたっけ。

 

「だからこそ封印されたカードなのか!」

 

影丸も多分知らないだろうが、誰がどうやって封印したんだろうな?

 

「だが私の三幻魔を操る力は未だ完全ではない。この結界の中で無ければ三幻魔を操ることは不可能。三幻魔を操るにはお前たちに宿る精霊を操る力が必要なのだ!」

 

俺はカードの精霊たちに自主的に協力して貰っているだけだ。十代とコナミにはあるかも知れないが、精霊を操る力なんて俺には無い。

 

「私がこの闇のデュエルに勝利した時、三幻魔は結界の外へと飛び出し、世界中のデュエルモンスターズの精霊を食らい始める!」

 

それは困るな。俺の友人たちの命を勝手に食らうな。

 

「そして三幻魔は私に永遠の命を与え、私はこの地上で神となることが出来る!おぉ…漲る!漲るぞ…力が!」

 

三幻魔が周囲から集めた魔力が影丸へ流れて込んで行き、皺くちゃの爺さんだった影丸の体が見る見るうちに若返っていく。

 

あっという間に若かりし全盛期と思われる姿へと変貌した影丸はカプセルを内側から破壊して外へと出た後、先ほどまでお世話になっていた装置からデュエルディスクを外してからそれを持ち上げて森の彼方へと投げ捨てた。凄い怪力だな。

 

そしてそこに残ったのは、元祖デュエルマッスルを披露して高笑いする腰巻一丁の変態だけだ。これ、理事長です…。

 

「あれが影丸理事長!?馬鹿な、影丸理事長は100歳を超えるご高齢のはず…!」

 

「とてもそんな爺さんには見えないぞ?理事長の息子とかじゃないのか?」

 

ハゲの言葉に万丈目が疑問を抱いている。どうやら万丈目たちには影丸のカプセルの中で若返っていく瞬間が見えなかったようだ。

 

「ふふふふふっ!オレはついに取り戻した!この若さを!この肉体を!ふはははははっ!」

 

老い先短くなったこの世に未練たっぷりの大富豪とかなら、若さを取り戻せるのなら、と三幻魔を欲するのも理解できなくはない。俺もオッサンから子供に転生した時は若返ったことを喜んだしな。

 

だけど、他人を巻き込むな。迷惑だ。

 

 

「オレは手札から魔法カード【幻魔の殉教者】を発動!手札を2枚墓地に送り、自分フィールドに【幻魔の殉教者トークン】を3体特殊召喚する!」

影丸 手札:6→5→3枚。

 

【幻魔の殉教者】※アニメ版。

通常魔法

自分の手札が2枚以上存在し、自分フィールド上に「神炎皇ウリア」「降雷皇ハモン」が表側表示で存在する時に発動する事ができる。

手札を2枚墓地に送る事で、自分フィールド上に「幻魔の殉教者トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守0)を3体攻撃表示で特殊召喚する。

 

<影丸の墓地に送られた罠カード>

①天罰

②連鎖炸薬

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK3000→5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔の殉教者トークン ★1 ATK0

幻魔の殉教者トークン ★1 ATK0

幻魔の殉教者トークン ★1 ATK0

 

「三体のトークン…まさか!」

 

「ふはははっ!そのまさかだ!オレは3体の【幻魔の殉教者トークン】を生贄に捧げ!最後の幻魔を召喚する!出でよ!【幻魔皇ラビエル】!そして最強の姿を現せぇぇぇ!」

影丸 手札:3→2枚。

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

 

【幻魔皇ラビエル】※アニメ版

効果モンスター

星10/神属性/幻神獣族/攻4000/守4000

このカードを生け贄召喚する場合、三体の生け贄を捧げなければならない。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、罠の効果を受け付けず、魔法・効果モンスターの効果は発動ターンのみ有効となる。

相手がモンスターを召喚・特殊召喚した時、自分フィールド上に「幻魔トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)を同じ数だけ特殊召喚する。このトークンは攻撃宣言を行う事ができない。

1ターンに1度だけ、自分フィールド上のモンスター2体を生け贄に捧げる事で、このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの攻撃力分アップする。

 

 

アカデミアの島上空全体を暗雲が覆い、稲光が走る。そこに一際大きい稲妻が影丸と俺達の間に落ち、光の柱となる。その光の柱に導かれるように地の底より暗い青色の悪魔が姿が出現する。

 

「これが最強の幻魔!【幻魔皇ラビエル】だ!!」

 

三幻魔が揃ったか。何が一番凄いかと言えば、デッキに1枚ずつしか入っていないと思われる三幻魔を全て特殊召喚できる形で初手で揃えたことだな。

 

おかげであれだけあった手札はほぼ無し。コイツ、これからこちらの連続3ターンだってこと忘れてないか?

 

「これが、三体目の幻魔…!」

 

三体の幻魔が揃ったことで、幻魔たちが周囲から魔力を吸い上げる速度が加速度的に早まったようだ。

 

「ふふふふふっ!漲る!漲る!漲るぞぉ!」

 

「そうか!あの姿は影丸理事長自らがデュエルモンスターズの生気を吸い取り、若返った姿!」

 

「えぇっ!?」

 

「そんな、クレイジーなノーネ!」

 

「つまり、十代たちの敗北は…」

 

「デュエルモンスターズの消滅を意味する!」

 

アニメでの展開だと、三幻魔が揃った時点でこの魔力吸収は結果の外へと影響を与え始め、世界各地のカードから魔力が奪われてカードから絵柄が消えている頃だろう。まだ先攻1ターン目なんだけどなぁ。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!さぁ来い小僧ども!お前たちの魂ごとオレの肉体に吸い取ってやる!」

影丸 手札:2→0枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:5枚。

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:5枚。

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

◆影丸 LP:12000 手札:0枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

 

 

三幻魔は強力なカードだが登場時期の古いカードだ。相手のターンに相手の行動を抑制するような効果は持っていない。

 

罠以外の効果耐性も持っていないので高めの攻撃力に気を付けていればなんとかなる。

 

 

「大徳寺先生は最後までアンタのことを心配していた!」

 

「大徳寺?ふん、所詮奴も手駒の1つに過ぎん。貴様等もだ!文句があるなら聞いてやるぞ!ただし、このデュエルでオレに勝てればなぁ!」

 

「ならやってやるぜ!」

 

十代が大徳寺の話をするも影丸は気にかける様子もない。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!デッキから【E・HERO エッジマン】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【七星の宝刀】を発動!手札の【E・HERO エッジマン】を除外してデッキから2ドロー!」

十代 手札:6→5→4→6枚。

 

「オレは手札から永続魔法【凡骨の意地】を発動だ!」

十代 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【凡骨の意地】

永続魔法

ドローフェイズにドローしたカードが通常モンスターだった場合、

そのカードを相手に見せる事で、自分はカードをもう1枚ドローする事ができる。

 

「モンスターを裏側守備表示でセット、カードを2枚伏せてターンエンドだ!さぁ、来やがれ三幻魔!」

十代 手札:5→4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

十代は思ったよりも冷静で、慎重に立ち回るようだな。

 

彼にとって三幻魔のカードの力は未知数。アニメとは違ってコナミもいる。ついでに俺も。だからその選択もアリだと思う。

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:2枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:5枚。

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

◆影丸 LP:12000 手札:0枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

 

 

「影丸。アンタ、かわいそうな奴だな」

 

「何ぃ!」

 

「どんな強力なモンスターを操ったって、お前のせいでデュエルモンスターズが居なくなるなら、誰もお前を仲間だなんて思わない。それは結局、孤独ってことだろ?」

 

「…」

 

「いくら長生きしたって誰も仲間が居ないんじゃ、つまらないに決まっているだろ?」

 

十代が影丸を憐れんでいるようだ。

 

俺は影丸がどうなろうと殆ど興味がない。コナミはデュエル再開したくてうずうずしている。

 

「仲間など必要ない!楯突く奴は全てねじ伏せるのみ!」

 

「デュエルモンスターズやオレの仲間をひどい目に遭わせることは許さねぇ!」

 

「やれるもんならやってみろ!オレのフィールドには三幻魔が揃っている!オレを倒すなど不可能だ!」

 

十代と影丸が熱いレスバトルをしているようだが、コナミが待ちきれなくなったらしく、デュエルを再開する気の様だ。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【儀式の下準備】発動!デッキから【カオス・ソルジャー】と【カオスの儀式】を手札に加える!」

コナミ 手札:6→5→7枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【混沌の場】を発動!デッキから【超戦士カオス・ソルジャー】を手札に加える!」

コナミ 手札:7→6→7枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【混沌の場】

フィールド魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「カオス・ソルジャー」儀式モンスターまたは「暗黒騎士ガイア」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いの手札・フィールドからモンスターが墓地へ送られる度に、1体につき1つこのカードに魔力カウンターを置く(最大6つまで)。

(3):1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

コナミは【カオス・ソルジャー】デッキか。あのフィールド魔法はバトルロイヤルルールだとかなり有効に作用する。流石、タッグ戦のようなイレギュラーなデュエルだと本当に心強いな。

 

「オレは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札から【超戦士カオス・ソルジャー】を捨ててデッキから2ドロー!」

コナミ 手札:7→6→5→7枚。魔力カウンター:0→1

 

「オレは手札から【砲撃のカタパルト・タートル】を召喚!!」

コナミ 手札:7→6枚。

 

<コナミのフィールド>

砲撃のカタパルト・タートル ★4 ATK1000

 

【砲撃のカタパルト・タートル】

効果モンスター

星4/水属性/水族/攻1000/守2000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。手札・デッキから「暗黒騎士ガイア」モンスターまたはドラゴン族・レベル5モンスター1体を特殊召喚する。

 

「この瞬間、オレは【幻魔皇ラビエル】の効果を発動する!【幻魔トークン】を特殊召喚する!」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「オレは【砲撃のカタパルト・タートル】の効果発動!自身をリリースしてデッキから【魔道騎士ガイア】を特殊召喚する!」

コナミ 魔力カウンター:1→2

 

<コナミのフィールド>

魔道騎士ガイア ★7 ATK2300

 

【魔道騎士ガイア】

効果モンスター

星7/光属性/戦士族/攻2300/守2100

このカード名はルール上「暗黒騎士ガイア」カードとしても扱う。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、または相手フィールドに攻撃力2300以上のモンスターが存在する場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分の手札・墓地からドラゴン族・レベル5モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。

 

「ここで更に【幻魔皇ラビエル】の効果発動!更に【幻魔トークン】を特殊召喚する!」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「オレは【魔道騎士ガイア】の効果発動!手札から【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:6→5枚。

 

<コナミのフィールド>

魔道騎士ガイア ★7 ATK2300

呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン ★5 ATK2000

 

【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】

効果モンスター

星5/闇属性/ドラゴン族/攻2000/守1500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「竜騎士ガイア」のカード名が記された魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、自分フィールドの「竜騎士ガイア」1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、相手フィールドの全ての表側表示のモンスターの効果はターン終了時まで無効化される。

 

「オレは【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】の効果発動!デッキから【螺旋融合】を手札に加える!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「ここでオレは手札から魔法カード【螺旋融合】を発動!手札の【覚醒の暗黒騎士ガイア】と【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】を手札融合!現れよ!【竜魔道騎士ガイア】!」

コナミ 手札:7→6→4枚。魔力カウンター:2→4

 

【螺旋融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

この効果で「竜騎士ガイア」を特殊召喚した場合、そのモンスターは、攻撃力が2600アップし、1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK2600→5200

 

【竜魔道騎士ガイア】

融合・効果モンスター

星7/風属性/ドラゴン族/攻2600/守2100

「暗黒騎士ガイア」モンスター+レベル5ドラゴン族モンスター

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「竜騎士ガイア」として扱う。

(2):自分・相手のメインフェイズに、このカード以外のフィールドのカード1枚を対象として発動できる。このカードの攻撃力を2600ダウンし、対象のカードを破壊する。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。このカードの攻撃力は2600アップする。

 

「攻撃力5200!?」

 

「ここで【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】の効果発動!【竜魔道騎士ガイア】以下の攻撃力の相手フィールドの全ての表側表示のモンスターの効果はターン終了時まで無効化される!」

 

「何ぃ!?」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000→0

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔皇ラビエル ★10 ATK4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「オレは【竜魔道騎士ガイア】の効果発動!自身の攻撃力を2600下げ、【幻魔皇ラビエル】を破壊する!」

 

「そうはさせるか!リバースカードオープン!永続罠【デモンズ・チェーン】発動!【竜魔道騎士ガイア】の効果を無効化する!」

影丸 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【デモンズ・チェーン】

永続罠

フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、その表側表示モンスターは攻撃できず、効果は無効化される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

チェーン②デモンズ・チェーン

チェーン①竜魔道騎士ガイア ※効果無効化

 

「ならオレは【混沌の場】の効果発動!魔力カウンターを3つ取り除き、デッキから儀式魔法【超戦士の萌芽】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→5枚。魔力カウンター:4→1

 

「更にオレは手札から儀式魔法【カオスの儀式】を発動!手札の【疾走の暗黒騎士ガイア】と【サクリボー】をリリース!」

コナミ 手札:5→4→2枚。魔力カウンター:1→3

 

【カオスの儀式】

儀式魔法

「カオス・ソルジャー」の降臨に必要。

(1):自分の手札・フィールドから、レベルの合計が8以上になるようにモンスターをリリースし、手札から「カオス・ソルジャー」を儀式召喚する。

 

【疾走の暗黒騎士ガイア】

効果モンスター

星7/光属性/戦士族/攻2300/守2100

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):リリースなしで召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。

(3):このカードがリリースされた場合に発動できる。デッキから「カオス・ソルジャー」モンスター1体を手札に加える。

 

【サクリボー】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200

(1):このカードがリリースされた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):自分のモンスターが戦闘で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「ひとつの魂は光を誘い、ひとつの魂は闇を導く!やがて光と闇の魂は混沌カオスの光を創り出す!【カオス・ソルジャー】!降臨!!」

コナミ 手札:2→1枚。

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

 

【カオス・ソルジャー】

儀式モンスター

星8/地属性/戦士族/攻3000/守2500

「カオスの儀式」により降臨。

 

「【カオス・ソルジャー】!?」

 

「デュエルキング武藤遊戯がペガサス・J・クロフォードとの戦いで使用した伝説の超レアカード!」

 

「格好いいなぁ!」

 

「【竜騎士ガイア】といい【カオス・ソルジャー】といい、こんなカードを拝めるとはラッキーなんだナァ!」

 

ギャラリーの人間は意外と余裕あるんじゃないか?

 

「オレはリリースされた【疾走の暗黒騎士ガイア】の効果発動!デッキから【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を手札に加える!」

 

「更にオレはリリースされた【サクリボー】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

コナミ 手札:1→2→3枚。

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

 

「オレは墓地の【疾走の暗黒騎士ガイア】と【サクリボー】を除外し、手札から【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】

特殊召喚・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。

このカードの(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

(2):このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。

 

「オレは【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】の効果発動!【幻魔皇ラビエル】を除外する!」

 

「なんだと!?」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK0

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「ば、馬鹿な…【幻魔皇ラビエル】が!オレの三幻魔がこうもあっさりと…!?」

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【呪われし竜-カース・オブ・ドラゴン】の効果が終了し、オレのウリアの攻撃力は元に戻る!」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK0→5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:2枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。魔力カウンター:3

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

◆影丸 LP:12000 手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

 

コナミは次のターンへの布陣を盤石にするように動いたか。なら攻撃は十代とコナミに任せて、俺は色々と妨害させてもらおうかな?

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【トレード・イン】の効果発動!手札の【闇黒の魔王ディアボロス】を捨ててデッキから2ドロー!」

クロト 手札:6→5→4→6枚。

 

「俺は手札から【悪王アフリマ】の効果発動!このカードを捨ててデッキから【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚。

コナミ 魔力カウンター:3→4

 

【悪王アフリマ】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1700/守 0

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「闇黒世界-シャドウ・ディストピア-」1枚を手札に加える。

(2):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。この効果を発動するためにこのカード以外の闇属性モンスターをリリースした場合、ドローする代わりにデッキから守備力2000以上の闇属性モンスター1体を手札に加える事ができる。

 

「そして俺は手札からフィールド魔法【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】を発動する!」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】

フィールド魔法

(1):フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。

(2):1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできる。

(3):自分・相手のエンドフェイズに発動する。このターンにこのカードが表側表示で存在する状態でリリースされたモンスターの数まで、ターンプレイヤーのフィールドに「シャドウトークン」(悪魔族・闇・星3・攻/守1000)を可能な限り守備表示で特殊召喚する。

 

神であろうと三幻魔であろうとフィールド魔法の影響は受ける。今、あの三幻魔たちは神属性ではない。ただの闇属性だ。

 

「俺は手札から【アンブラル・ゴースト】の効果発動!このカードと手札の【悪魔嬢リリス】を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→3枚。

 

<クロトのフィールド>

アンブラル・ゴースト ★2 DEF200

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

 

【アンブラル・ゴースト】

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻 200/守 200

自分のメインフェイズ時に発動できる。このカードとレベル4以下の悪魔族モンスター1体を手札から特殊召喚する。

この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。「アンブラル・ゴースト」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

【悪魔嬢リリス】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻2000/守 0

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):召喚したこのカードの元々の攻撃力は1000になる。

(2):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから通常罠カード3枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。そのカード1枚を自分フィールドにセットし、残りのカードはデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「【悪魔嬢リリス】の効果発動!【アンブラル・ゴースト】をリリース!そしてデッキから通常罠3枚をお前に見せてやる。さぁ、どれか1枚をランダムに選べ!」

コナミ 魔力カウンター:4→5

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

 

<クロトが公開した罠カード>

①やぶ蛇

②崩界の守護竜

③アーティファクトの神智

 

影丸の前に裏側のカード3枚のソリッドビジョンが映し出される。

 

「むぅ…そのカードだ!」

 

「これか。選択されたカードをセット!他のカードはデッキに戻す!」

クロト 伏せカード:0→1枚。

 

「ここで俺は墓地の【闇黒の魔王ディアボロス】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

 

【闇黒の魔王ディアボロス】

効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされた場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカードをリリースできず、効果の対象にもできない。

(3):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。相手は手札を1枚選んでデッキの一番上または一番下に戻す。

 

「【闇黒の魔王ディアボロス】の効果発動!【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】の効果により【降雷皇ハモン】をリリース!」

コナミ 魔力カウンター:5→6

 

「なっ!?相手フィールドのモンスターを…オレの【降雷皇ハモン】をお前のモンスターの効果発動のコストとしてリリースするだと!?」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「【闇黒の魔王ディアボロス】の効果は手札を1枚デッキトップかデッキボトムに戻す効果だが…お前は手札が無いから不発だな!」

 

先ほどのリリースは発動コストだ。別に相手の手札が無くても効果は発動できるからな。

 

「くそっ!小賢しい真似をしやがる!」

 

「俺は手札から魔法カード【一時休戦】を発動!全員1ドローして次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0だ!」

クロト 手札:3→2→3枚。

 

【一時休戦】

通常魔法

(1):お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。

次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。

 

「何っ!次のオレのターンにダメージが与えられないだと!?えぇい、ドロー!」

影丸 手札:0→1枚。

 

「サンキュー白河!」

十代 手札:2→3枚。

 

「おっ、ドローしていいのか。クロト、ありがとな~」

コナミ 手札:1→2枚。

 

「俺はカードを3枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:3→0枚。伏せカード:1→4枚

 

「エンドフェイズに【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】の効果発動!このターン、リリースされたモンスターは2体!よって【シャドウトークン】を2体特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:3枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。魔力カウンター:6

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

◆白河クロト LP:4000 手札:0枚。伏せカード:4枚。フィールド魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

◆影丸 LP:12000 手札:1枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

幻魔トークン ★1 DEF1000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

 

デュエルモンスターズは先攻絶対有利。最初のターンから三幻魔を呼んだのは正解だったな。

 

でも、もう残っている幻魔はあと1体。さぁ、どうする?

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

影丸 手札:1→3枚。

 

「ここで伏せカードの罠カード【崩界の守護竜】を発動する!【闇黒の魔王ディアボロス】をリリースして【失楽園】と伏せカードを破壊する!」

白河クロト 伏せカード:4→3枚。

 

【崩界の守護竜】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのドラゴン族モンスター1体をリリースし、フィールドのカード2枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「先ほどサーチしていたカードか!」

 

「その通り」

 

「くそっ!リバースカードオープン!チェーンして速攻魔法【大欲な壺】発動!除外されたモンスター3体を持ち主のデッキに戻して1ドロー!」

影丸 伏せカード:1→0枚。

 

チェーン②大欲な壺

チェーン①崩界の守護竜

 

影丸 手札:3→4枚。

 

<影丸が除外ゾーンから持ち主のデッキに戻したモンスター>

①幻魔皇ラビエル

②幻銃士

③クリッター

 

「ちっ!【失楽園】が破壊されたか!」

影丸 フィールド魔法:1→0枚。

 

【失楽園】は撃ち抜いた。これで毎ターン4ドローなんてことは無くなったな。伏せカードも無くなった。

 

【神炎皇ウリア】は強力なモンスターだが、あの1体だけでこの戦況を打破することはできないだろう。

 

【幻魔皇ラビエル】をデッキ戻したようだが、早々引けるものではないし、再び出せるとも思えない。

 

【降雷皇ハモン】に関しては、仮に手札に戻せたとしても特殊召喚するための時間は与えない。

 

つまり、アイツはもう終わりだな。

 

「くっ!オレは【神炎皇ウリア】の効果を発動する!対象は白河クロト!さっきから目障りなお前の伏せカードを破壊する!トラップディストラクション!」

 

「チェーンして伏せカードの罠カード【アーティファクトの神智】を発動!デッキから【アーティファクト-モラルタ】を特殊召喚する!」

白河クロト 伏せカード:3→2枚。

 

【アーティファクトの神智】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

(1):デッキから「アーティファクト」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードが相手によって破壊された場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

アニメ版の【神炎皇ウリア】のセットカード破壊効果には、OCG版と違ってチェーンされない効果は無い。

 

チェーン②アーティファクトの神智

チェーン①神炎皇ウリア

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

 

【アーティファクト-モラルタ】

効果モンスター

星5/光属性/天使族/攻2100/守1400

(1):このカードは魔法カード扱いとして手札から魔法&罠ゾーンにセットできる。

(2):魔法&罠ゾーンにセットされたこのカードが相手ターンに破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このカードを特殊召喚する。

(3):相手ターンに、このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊する。

 

「俺は破壊された【アーティファクトの神智】の効果発動!【幻魔トークン】を破壊する!」

 

<影丸のフィールド>

神炎皇ウリア ★10 ATK5000

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

「更に俺は【アーティファクト-モラルタ】の効果発動!【神炎皇ウリア】を破壊する!」

 

<影丸のフィールド>

モンスター無し

 

「【神炎皇ウリア】!?おのれぇ!墓地の【神炎皇ウリア】の効果発動!手札の罠カード【貪欲な瓶】を墓地に送る!」

影丸 手札:4→3枚。

 

影丸が【神炎皇ウリア】の効果を発動すると、フィールドの中央にまた先ほどのような炎の柱が生まれる。

 

「うぉっ!」

 

「何!?」

 

「あれは!?」

 

「まさか!」

 

「【神炎皇ウリア】が墓地に存在する時、手札の罠カードを墓地に送ることで、墓地から特殊召喚することができる!甦れ!【神炎皇ウリア】!!」

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 ATK5000→6000

 

十代とギャラリーは盛り上がっているが、アニメ版ウリアなら持っている効果なので俺に驚きはない。コナミはむしろ嬉しそうだ。

 

先ほどドローした手札に罠カードがあったか。攻撃力6000、本来なら俺のLPを消し飛ばせる攻撃力まで上昇してしまったか。

 

「バトルだ!【神炎皇ウリア】で【悪魔嬢リリス】に攻撃!ハイパーブレイズ!!」

 

ここは伏せカードで…。

 

「おっと!白河だけに気を取られていいのか?リバースカードオープン!罠カード【ヒーローズルール1 ファイブ・フリーダムス】を発動!」

十代 伏せカード:2→1枚。

 

「無駄だ!オレの三幻魔に罠カードは効かん!」

 

「それはどうかな?オレがこのカードでやることは、お前の墓地の罠カードを5枚除外することだ!」

 

「なんだと!?」

 

【ヒーローズルール1 ファイブ・フリーダムス】※アニメオリジナルカード

通常罠

自分と相手の墓地から、合計が5枚になるようにカードをゲームから除外する。

 

「上手い!【神炎皇ウリア】の攻撃力は墓地の罠カードの枚数で決まる!」

 

「【神炎皇ウリア】の攻撃力は6000!5枚のカードを取り除けば…」

 

「攻撃力は1000まで下がるノーネ!」

 

おっ、アニメで十代が影丸戦で使ってたアニオリカードじゃん。三沢や万丈目たちの言うようにこれで【神炎皇ウリア】の攻撃力はガタ落ちだな。

 

<十代が除外した影丸の墓地の罠カード>

①黄金の邪神像

②融合失敗

③強欲な瓶

④天罰

⑤連鎖炸薬

 

神炎皇ウリア ATK6000→1000 ※戦闘破壊

vs

悪魔嬢リリス ATK2000

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

 

【一時休戦】の効果でダメージは0になるけど、やるなぁ!自分の伏せカードを使って他人を守ってくれるとは…流石は主人公!

 

「へへっ!どんなもんよ!白河、借りは返したぜ!」

 

「遊城、助かった。ありがとな」

 

「ナイスだ十代!」

 

「まだだ!墓地の【神炎皇ウリア】の効果発動!手札の罠カード【聖なるバリア -ミラーフォース-】を墓地に送る!甦れ!【神炎皇ウリア】!!」

影丸 手札:3→2枚。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 ATK0→2000

 

アニメ版【神炎皇ウリア】の蘇生効果ってバトルフェイズ中も使えたっけ!?

 

「邪魔をしやがって!遊城十代!貴様から消してやるぞ!【神炎皇ウリア】で遊城十代のセットモンスターに攻撃!ハイパーブレイズ!!」

 

「くっ!」

 

不味そうだな。それなら止めておこうか。

 

「伏せカードを使わせてもらう!速攻魔法【エネミーコントローラー】を発動!【神炎皇ウリア】を守備表示にする!」

白河クロト 伏せカード:2→1枚。

 

【エネミーコントローラー】

速攻魔法

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。

●自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 ATK2000→DEF2000

 

「おぉっ!白河、助かったぜ!」

 

「さっきの借りはまた返してやったぜ」

 

「あー、十代もクロトと楽しそうだな~。オレも何かセット出来ていればな~」

 

温存しておきたかったんだが仕方ないな。

 

「くそっ!メインフェイズ2に移行!オレは手札から魔法カード【復活の生贄】を発動!甦れ!【降雷皇ハモン】!」

影丸 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

【復活の生贄】

復活の生け贄(アニメ)

通常魔法

自分フィールド上のモンスターが戦闘で破壊されたターンに発動可能。

相手モンスター1体を破壊し、自分の墓地からモンスター1体を選択して守備表示で自分フィールド上に特殊召喚する。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 DEF2000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

影丸 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】の効果が発動する。このターン、リリースされたモンスターは1体。よってお前のフィールドに【シャドウトークン】を1体特殊召喚する!」

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 DEF2000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「ふん。トークンとはいえ相手にモンスターを与えるとはな!」

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:3枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。魔力カウンター:6

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

◆白河クロト LP:4000 手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

 

◆影丸 LP:12000 手札:0枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:0枚。永続罠:1枚。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 DEF2000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

 

影丸の手札は無し。フィールドには【神炎皇ウリア】が居るとはいえ、墓地発動効果を持つカードは無し。

 

これは…十代とコナミのターンで終わるな。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!」

十代 手札:3→4枚。

 

「オレはここで永続魔法【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO フェザーマン】を公開してさらにドロー!」

十代 手札:4→5枚。

 

「更に【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO ネオス】を公開してさらにドロー!」

十代 手札:5→6枚。

 

「まだだ!【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO バーストレディ】を公開してさらにドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:6→7枚。

 

ドロー力が凄いと言われているだけのことは有る。やべぇなアレ。

 

「リバースカードオープン!罠カード【針虫の巣窟】発動!自分のデッキからカードを5枚送る!」

影丸 伏せカード:1→0枚。

 

<影丸の墓地に送られたカード>

①クリバンデッド

②魔導雑貨商人

③悪魔の嘆き

④闇次元の解放

⑤悪魔の憑代

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

神炎皇ウリア ★10 DEF2000→3000→6000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

【神炎皇ウリア】のステータスを底上げしてきたか。バトルフェイズに使えばよかったんじゃないかとも思うが、防御力2000で残しておくのは不安だったのかもな。

 

「オレは手札から【E・HERO キャプテン・ゴールド】の効果発動!このカードを墓地へ送り、デッキから【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を手札に加える!

十代 手札:7→6→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】を発動!フィールドの【E・HERO スパークマン】を墓地へ送り、デッキから2ドロー!」

十代 手札:7→6→8枚。

 

あのセットモンスター、【E・HERO スパークマン】だったんだな。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】発動!手札の【E・HERO フェザーマン】【E・HERO バーストレディ】を融合!来い!マイフェイバリット!【E・HERO フレイム・ウィングマン】!!」

十代 手札:8→7→5枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO フレイム・ウィングマン ★6 ATK2100

 

【E・HERO フレイム・ウィングマン】

融合・効果モンスター

星6/風属性/戦士族/攻2100/守1200

「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「そんな雑魚モンスターでは三幻魔には遠く及ばん!」

 

「オレのHEROを雑魚呼ばわりはさせないぜ!更にオレは手札から魔法カード【融合回収】を発動!墓地の【融合】と【E・HERO スパークマン】を手札に加える!」

十代 手札:5→4→6枚。

 

「そしてオレは手札から魔法カード【融合】発動!手札の【E・HERO スパークマン】とフィールドの【E・HERO フレイム・ウィングマン】を融合!来い!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】!」

十代 手札:6→5→4枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK2500→4000

 

【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】

融合・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻2500/守2100

「E・HERO フレイム・ウィングマン」+「E・HERO スパークマン」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力は、自分の墓地の「E・HERO」カードの数×300アップする。

(2):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「更なる融合だと!だが、無駄だと言っている!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【融合準備】を発動だ!EXデッキから【E・HERO ダーク・ブライトマン】を公開し、デッキから【E・HERO ネクロダークマン】を手札に加え、墓地から【融合】を回収する!」

十代 手札:4→5→6枚。 伏せカード:1→0枚。

 

「さぁ行くぜ!オレは手札から魔法カード【融合】発動!手札の【E・HERO ネオス】と【E・HERO ネクロダークマン】を融合!来い!【E・HERO ネオス・ナイト】!」

十代 手札:6→5→3枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK4000→4600

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK2500→3300

 

【E・HERO ネオス・ナイト】

融合・効果モンスター

星7/光属性/戦士族/攻2500/守1000

「E・HERO ネオス」+戦士族モンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力は、このカードの融合素材とした「E・HERO ネオス」以外のモンスターの元々の攻撃力の半分の数値分アップする。

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

(3):このカードの戦闘で発生する相手への戦闘ダメージは0になる。

 

「三連続融合!?な、何度も言わせるな!雑魚がいくら出てこようとも無駄なんだよ!」

 

「オレは手札から魔法カード【H-ヒートハート】を発動!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃力を500アップ!!!」

十代 手札:3→2枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK4600→5100

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

 

【H-ヒートハート】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで500アップし、このターンそのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「最後にHEROの戦う舞台を整える!オレは手札からフィールド魔法【摩天楼 -スカイスクレイパー-】を発動する!」

十代 手札:2→1枚。

 

【摩天楼 -スカイスクレイパー-】

フィールド魔法

(1):「E・HERO」モンスターの攻撃力は、その攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するダメージ計算時のみ1000アップする。

 

「そのフィールド魔法は…!」

 

「バトルだ!【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】で【神炎皇ウリア】に攻撃!究極の輝きを放て!シャイニング・シュート!」

 

「【神炎皇ウリア】、返り討ちにしろ!ハイパーブレイズ!」

 

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK5100

vs

神炎皇ウリア ★10 DEF6000

 

「【摩天楼 -スカイスクレイパー-】の効果が発動する!自身より攻撃力より高い攻撃力を持つモンスターに攻撃するHEROは、ダメージ計算時のみ攻撃力を1000アップする!」

 

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK5100→6100

vs

神炎皇ウリア ★10 DEF6000 ※戦闘破壊。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

降雷皇ハモン ★10 DEF4000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「ぐおぉぉぉぉっ!」

影丸 LP:12000→11900

 

ここで与えるダメージは微々たるものだが、【H-ヒートハート】には貫通効果を与える効果もある。

 

「言っただろ?オレのフェイバリットカードを雑魚呼ばわりはさせないぜ!」

 

【E・HERO フレイム・ウィングマン】には戦闘破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える効果があるが、【神炎皇ウリア】の元々の攻撃力は0。意味が無いな。

 

よりLPダメージを与える選択を取るなら【降雷皇ハモン】を倒すべきなんだろうが、ステータスの高い【神炎皇ウリア】を破壊することを優先したのだろう。

 

「まだオレにはモンスターが残っている!【E・HERO ネオス・ナイト】で【降雷皇ハモン】を攻撃!ラス・オブ・ネオススラッシュ!」

 

「くそっ!【降雷皇ハモン】、迎え撃て!失楽の霹靂!」

 

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300→4300

vs

降雷皇ハモン ★10 DEF4000 ※戦闘破壊。

 

<影丸のフィールド>

幻魔トークン ★1 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「馬鹿な!こんな雑魚モンスターどもにオレの三幻魔がこう何度も敗れるなど…!」

 

「【E・HERO ネオス・ナイト】は2回の攻撃が可能だ!【幻魔トークン】を攻撃!ラス・オブ・ネオススラッシュ!」

 

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

vs

幻魔トークン DEF1000 ※戦闘破壊。

 

<影丸のフィールド>

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「メインフェイズ2に移行!オレは手札から魔法カード【ホープ・オブ・フィフス】発動!墓地の【E・HERO】5体をデッキに戻し、デッキから2ドロー!」

十代 手札:1→0→2枚。

 

<十代がデッキ戻したモンスター>

①E・HERO キャプテン・ゴールド

②E・HERO フェザーマン

③E・HERO バーストレディ

④E・HERO スパークマン

⑤E・HERO フレイム・ウィングマン

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK5100→3600

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

十代 手札:2→1枚。

 

「俺はここで【悪魔嬢リリス】の効果を発動させてもらう!【シャドウトークン】をリリース!影丸、再び3枚のうちどれか1枚をランダムに選べ!」

コナミ 魔力カウンター:4→5

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

シャドウトークン ★3 DEF1000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

 

<クロトが公開した罠カード>

①メタバース

②和睦の使者

③威嚇する咆哮

 

再び影丸の前に裏側のカード3枚のソリッドビジョンが映し出される。

 

「またこの効果か…ではこのカードだ!」

 

「これだな。選択されたカードをセット!他のカードはデッキに戻す!」

クロト 伏せカード:1→2枚。

 

「ここで俺は墓地の【闇黒の魔王ディアボロス】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

シャドウトークン ★3 DEF1000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

 

「更に伏せカードを使わせてもらう!罠カード【闇霊術-「欲」】を発動!【シャドウトークン】をリリースしてデッキから2ドローする!」

白河クロト 伏せカード:2→1枚。

 

【闇霊術-「欲」】

通常罠

自分フィールド上の闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。

相手は手札から魔法カード1枚を見せてこのカードの効果を無効にできる。

見せなかった場合、自分はデッキからカードを2枚ドローする。

 

「相手は手札から魔法カード1枚を見せてこのカードの効果を無効にできるぞ?どうする、影丸?」

 

「オレには手札が無いことを知っていて白々しい!」

 

「そうかそうか(笑)。ならデッキから2ドローさせてもらう!」

クロト 手札:0→2枚。

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

 

「そしてエンドフェイズに【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】の効果が発動する。このターン、リリースされたモンスターは2体。よって十代のフィールドに【シャドウトークン】を2体特殊召喚する!」

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK3600

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

「おっ、サンキュー。エンドフェイズに【H-ヒートハート】の効果は消え、【E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン】の攻撃力は元に戻るぜ」

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK3600→3100

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

 

◆遊城十代 LP:4000 手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン ★8 ATK3100

E・HERO ネオス・ナイト ★6 ATK3300

シャドウトークン ★3 DEF1000

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

◆赤羽コナミ LP:4000 手札:2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。魔力カウンター:6

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

 

◆白河クロト LP:4000 手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

アーティファクト-モラルタ ★5 DEF1400

闇黒の魔王ディアボロス ★8 ATK3000

 

◆影丸 LP:11900 手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:0枚。永続罠:1枚。

 

<影丸のフィールド>

シャドウトークン ★3 DEF1000

 

あぁ、影丸のサンドバックショーが始まる。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「オレは【混沌の場】の効果発動!魔力カウンターを3つ取り除き、デッキから儀式魔法【超戦士の儀式】を手札に加える!」

コナミ 手札:3→4枚。魔力カウンター:6→3

 

「ここでリバースカードオープン!罠カード【天地開闢】発動!さぁ影丸!オレのカードも3枚のうちどれか1枚をランダムに選んでくれ」

コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【天地開闢】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「カオス・ソルジャー」モンスターまたは「暗黒騎士ガイア」モンスター1体以上を含む戦士族モンスター3体を相手に見せ、相手はその中からランダムに1体選ぶ。

それが「カオス・ソルジャー」モンスターまたは「暗黒騎士ガイア」モンスターだった場合、そのモンスターを自分の手札に加え、残りのカードは全て墓地へ送る。違った場合、相手に見せたカードを全て墓地へ送る。

 

<コナミが公開したカード>

①カオス・ソルジャー -宵闇の使者-

②開闢の騎士

③宵闇の騎士

 

「また似たような効果を!このカードだ!」

 

「これだな。選択されたカードは【カオス・ソルジャー -宵闇の使者-】!他のカードは墓地に送る!」

コナミ 手札:4→5枚。魔力カウンター:3→5

 

「オレは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2枚ドロー!そして手札の【カオス・ソルジャー -宵闇の使者-】を除外する!」

コナミ 手札:5→4→6→5枚。

 

「オレは手札から儀式魔法【超戦士の萌芽】発動!魔力カウンターを3つ取り除き、手札の【宵闇の騎士】とデッキの【心眼の女神】を墓地に送って儀式召喚!墓地から現れよ!【超戦士カオス・ソルジャー】!」

コナミ 手札:5→4→3枚。魔力カウンター:3→5

 

【超戦士の萌芽】

儀式魔法

「カオス・ソルジャー」儀式モンスターの降臨に必要。

「超戦士の萌芽」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):レベルの合計が8になるように、以下のどちらかの組み合わせのモンスターを墓地へ送り、自分の手札・墓地から「カオス・ソルジャー」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

●手札の光属性モンスター1体とデッキの闇属性モンスター1体

●手札の闇属性モンスター1体とデッキの光属性モンスター1体

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

超戦士カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

 

【超戦士カオス・ソルジャー】

儀式・効果モンスター

星8/地属性/戦士族/攻3000/守2500

「超戦士の儀式」により降臨。

自分は「超戦士カオス・ソルジャー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「暗黒騎士ガイア」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

「これも使っておくか。オレは手札から魔法カード【龍の鏡】発動!フィールドの【カオス・ソルジャー】と墓地の【心眼の女神】を除外して融合召喚!現れよ!【究極竜騎士】!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミのフィールド>

竜魔道騎士ガイア ★7 ATK5200

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ★8 ATK3000

超戦士カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

究極竜騎士 ★12 ATK5000→6000

 

【究極竜騎士】

融合・効果モンスター

星12/光属性/ドラゴン族/攻5000/守5000

「カオス・ソルジャー」+「青眼の究極竜」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力は、このカード以外の自分フィールドのドラゴン族モンスターの数×500アップする。

 

「【カオス・ソルジャー】と【青眼の究極竜】が合体した!?」

 

「【究極竜騎士】…!」

 

「知っているのか、三沢!」

 

「あれはかつてデュエルキング武藤遊戯とそのライバル海馬瀬人が強大な敵と戦った時に召喚されたと噂される伝説のモンスターだ!」

 

アニメDMのビック5編やドーマ編の最後のデュエルのことだな。あれらの戦いは世間一般には知られてないみたいだから噂の伝説モンスターなんだろう。

 

「バトルだ!【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】で【シャドウトークン】を攻撃!開闢双破斬!」

 

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ATK3000

vs

シャドウトークン DEF1000 ※戦闘破壊。

 

<影丸のフィールド>

モンスター無し

 

「追撃だ!【カオス・ソルジャー -開闢の使者-】は戦闘で相手モンスターを破壊した時、もう一度攻撃できる!ダイレクトアタック!時空突刃・開闢双破斬!」

 

カオス・ソルジャー -開闢の使者- ATK3000

 

「がぁぁぁぁっ!」

影丸 LP:11900→8900

 

「追撃だ!【超戦士カオス・ソルジャー】でダイレクトアタック!」

 

超戦士カオス・ソルジャー ATK3000

 

「ぐわぁぁぁぁっ!」

影丸 LP:8900→5900

 

「トドメだ!【究極竜騎士】でダイレクトアタック!ギャラクシー・クラッシャー!」

 

究極竜騎士 ★12 ATK6000

 

「ぬわぁぁぁぁっ!馬鹿な!三幻魔が!敗れただとぉぉぉ!」

影丸 LP:5900→0

 

 

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「またやろうな」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

デュエル後、影丸の体がぼんやり青く光ると三幻魔が世界各地からカードの精霊の魔力が溢れ始め、影丸が苦しみ始めた。

 

「オォォぉ…あぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「影丸!?」

 

「理事長!?」

 

「一体、何が…!」

 

十代や鮫島を始めとして、俺とコナミ以外の全員が驚きの表情を見せる中、影丸の体から溢れ出た精霊の魔力は金の光となって本来の持ち主へと戻っていくが見える。

 

「「「あぁっ!?」」」

 

「「「これは…!」」」

 

良し。これで一件落着だな。光が収まった頃に影丸の様子を見て十代たちがまた驚いているが無理も無いだろう。

 

魔力が全て拡散した頃には、既に筋肉ムキムキ男だった影丸の姿はそこには無く、三幻魔から吸収した力を失って倒れ込む皺だらけの老人だったわけだからな。

 

「うぅぅっ…これが私の、本当の姿じゃ。私は若返りたかった…。特にお前たちのような若者を見ていたら…」

 

皺くちゃの影丸が自身の本音を吐露し始めたが、既にアニメで見て知っていて興味の無い俺はとっととその場を立ち去った。




大徳寺の幽霊「出番が…酷いニャ~」

賢者の石君「訴訟も辞さない」

エリクシーラー君「月夜の晩には気をつけろ」

十代のデッキは【E・HERO】です。ハネクリボーは劣勢にならないと出番が、ね?賢者の石?なにそれ?

コナミのデッキは【カオス・ソルジャー】です。それに加えて竜騎士ガイアのギミックを搭載した感じです。

オリ主のデッキは【闇黒世界-シャドウ・ディストピア-】です。フィールド魔法とディアボロスやリリスなどの組み合わせ相手のフィールドのモンスターをリリースできてしまうデッキです。

影丸のデッキは【三幻魔】です。本来使用していたカードに加えて【悪魔族】寄りの構成にしています。三幻魔自体は強力ですが主人公格2人とオリ主をまとめて相手取るほどのデッキ性能は有りませんでした。

次回の更新は5/19(水) AM6:00予定です。

必殺雷撃人様、荒魂マサカド様、神威様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十四話 遊城十代

前回のあらすじ:三人に勝てるわけないだろ!

今話でセブンスターズ編は終了となります。

今回の対戦カードは、オリ主vs十代となります。


影丸の操る三幻魔が撃破され学園に平和が戻った夜、俺は明日の終業式以降から始まる1か月以上ある夏季休暇に向けて帰省の準備をしていた。

 

『バニ~♪』

 

『羊羹には緑茶が合うよね~』

 

『リュ~ン!』

 

『ワイトもそう思います』

 

『お主は食事できんじゃろう』

 

『拙者は、こっちの「かすて~ら」には牛乳も悪くないと思うでゴザルよ』

 

『おっ、ホントだ。意外といけるね。ボクは評価するよ~』

 

「食べるのは良いけど、せっかく部屋を掃除したんだからなるべく零すなよ?」

 

1か月以上はこの部屋に戻らないだろうから、日が出ているうちに掃除は済ませておき、余っていた食材は調理して適当に寮の連中に配り、お菓子類は先ほど全て精霊たちにあげた。

 

喜んでもらえているようで何よりだ。

 

『クロト、今戻った』

 

『影丸理事長はヘリで運ばれて行ったそうですよ』

 

『ププッ!遊城君に抱き着かれたせいで腰をやっちゃったんだってさ~!』

 

「そうか。大体アニメ通りだな」

 

エルフの剣士たちには学園内で鮫島校長たちの話を聞いてもらっていたが、結果的には特に驚くようなことは無さそうだった。

 

あの後、本来寝たきりの影丸が十代の激励により幻魔の力に頼ることなく自分の意思と力のみで立ち上がることに成功し、熱意と生気を取り戻した…らしい。

 

そしてその様子に感激した十代のハグを食らい、病院へ直行したそうだ。

 

よくもまぁ先ほどまで命のやり取りをしていた相手とそんな話が出来るもんだ。流石は主人公と言ったところなのかな。

 

「良し。こんなところだろう。これで明日の終業式を終えた後はその足で船着場に向かえるな」

 

『バニー!』

 

「どうしたバニーラ?うん、PDAにメッセージが来てるのを教えに来てくれたのか。ありがとな」

 

『バニ~♪』

 

「どういたしまして」と言わんばかりの上機嫌のバニーラからPDAを受け取ると、十代からメッセージが来ていた。彼に連絡先を教えた記憶はないが、恐らくコナミ辺りから来たのだろう。

 

「何々…『デュエルしよう』。えっ、これだけ?」

 

俺のPDAに送って来たのはオレとデュエルしたいからだろうけど、何故?何時?何処で?

 

「ま、いいか。返信するのも面倒だし、今からレッド寮に行くか」

 

念の為、ワイト1体だけは留守番として残って貰い、俺は部屋を出て隣の部屋のドルオに出かけることを伝えてからオシリスレッド寮に向けて歩き始めた。

 

~~~

 

オシリスレッド寮に着くと、寮の前で十代、コナミ、翔、隼人がタッグデュエルをしていた。勝敗は…本人たちの名誉のために黙っておこう。

 

「お~す。こんばんわ~」

 

「よう!待っていたぜ白河!」

 

「遅いぞクロト~」

 

「白河君、こんばんわッス」

 

「こんばんわなんだナァ」

 

十代たちは俺が来るのをずっと外で待っていたようだ。

 

前世のラ〇ンとかみたいに送信したメッセージの既読確認なんてできないわけだが、俺が寝てたりしてメッセージに気付かず、ここに来なかったらどうするつもりだったんだろう。

 

「もしかして寝てたか?急に呼び出したりして悪いな」

 

「いや、起きてたから問題ない。それにしても、急にどうしたんだ?」

 

「さっき十代たちと話していて、十代って白河とはデュエルしたことが無いんだよなってことに気付いたんだよ」

 

なるほどな。コナミの言う通りで、言われてみれば俺は十代たちとデュエルしたことが無かったわ。特に避けていたわけではないんだが、十代がイベントに巻き込まれている時は俺も別のイベントに首を突っ込んでいたからだろうな。

 

「そう言えばそうだな。でもそれを言うなら俺はここに居るメンバーだとお前以外とデュエルしたことないぞ。遊城だけでなく、丸藤や前田ともデュエルしたことないぞ」

 

「いや、ボクは良いっス!」

 

「オレも遠慮するんだナァ!」

 

何故、露骨に避ける?流石の俺も少々傷つくぞ?

 

「じゃあ、やるか?」

 

「おう!」

 

俺は十代と対峙してデュエルディスクを構える。せっかくだからあの件について聞いてみようかな?

 

「遊城、せっかくだから賭けないか?」

 

「賭け?」

 

「もし俺が勝ったら、お前とお前の精霊たちとの出会った経緯を教えてくれってのはどうだ?」

 

「あー、やっぱり白河もコナミと一緒で精霊が見えるんだな」

 

「一応な」

 

「その条件で良いぜ!でも、もしオレが勝ったらハートランドシティの件とか舞網市の件とか学園のワイト達の件とか聞くけど…」

 

「この話は無かったことにしよう。普通にデュエルだ」

 

「そうか?分かった」

 

色々とバレバレじゃねーか。ユベルとかネオスとか一緒に居るわけだし、そもそも本人がカードの精霊を見えるわけだから当たり前か。

 

~~~

 

「二人とも、面白いデュエルを見せてくれよ~」

 

「兄貴~!頑張れー!」

 

「十代ー!気張るんだナァー!」

 

これがアウェーか。スポーツ選手たちが対戦相手の所属するスタジアムでプレイ時の気持ちが少しだけ分かった気がするな。

 

「楽しいデュエルにしようぜ!」

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰うぜ!オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【融合再生機構】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!デッキから【E・HERO クレイマン】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【融合再生機構】を発動するぜ!」

十代 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【融合再生機構】

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分のデッキ・墓地から「融合」1枚を選んで手札に加える。

(2):自分・相手のエンドフェイズに、このターン融合召喚に使用した自分の墓地の融合素材モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【E・HERO バブルマン】と【E・HERO クレイマン】を手札融合!来い!【E・HERO マッドボールマン】!」

十代 手札:5→4→2枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO マッドボールマン ★6 DEF3000

 

【E・HERO マッドボールマン】

融合・効果モンスター

星6/地属性/戦士族/攻1900/守3000

「E・HERO バブルマン」+「E・HERO クレイマン」

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。

 

「良し!いきなり守備力3000のモンスターっス!」

 

「これなら容易に突破できないんだナァ!」

 

「いや、クロトにはあまり守備力は関係ないような…」

 

余計な一文のせいで【簡素融合】に対応できなかった奴じゃん。

 

「オレは手札から魔法カード【融合回収】を発動!墓地の【E・HERO クレイマン】と【融合】を手札に加える!」

十代 手札:2→1→3枚。

 

「オレは手札から【E・HERO クレイマン】を召喚するぜ!」

十代 手札:3→2枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO マッドボールマン ★6 DEF3000

E・HERO クレイマン ★4 ATK800

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】を発動!【E・HERO クレイマン】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

十代 手札:2→1→3枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO マッドボールマン ★6 DEF3000

 

「オレは手札から永続魔法【凡骨の意地】を発動する!」

十代 手札:3→2枚。

 

「更にオレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

十代 手札:2→1枚。

 

「エンドフェイズに【融合再生機構】の効果かな?」

 

「あぁ!【融合再生機構】の効果発動!墓地より【E・HERO バブルマン】を手札に加える!」

十代 手札:1→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆遊城十代 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO マッドボールマン ★6 DEF3000

 

 

十代の手札は【E・HERO バブルマン】と【融合】でほぼ確定だ。

 

【E・HERO マッドボールマン】はどうとでもなるとして、伏せカードが気になるな。十代はたまにガチカード使うからな。

 

昼間のデュエルを見る限り、早めに【凡骨の意地】は除去しておきたいところだ。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【名推理】を発動!遊城、好きなレベルを選んでくれ」

クロト 手札:6→5枚。

 

【名推理】

通常魔法

(1):相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。

通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。

違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

「【名推理】か。ならオレはレベル8を選択するぜ!」

 

「レベル8だな?じゃあデッキトップからめくっていくぞ………来たな。手札に来たのは【流星方界器デューザ】。残念だがレベル4だな」

 

「あちゃ~、外したか~」

 

基本的に【名推理】は相手にレベルを当てられない様にメインデッキのモンスターのレベルをバラつかせるからな。当たらない方が普通だ。

 

「推理が外れたので【流星方界器デューザ】は俺のフィールドに特殊召喚され、モンスターが出るまでにめくったカードは墓地へと送られる」

 

<クロトが墓地へ送ったカード>

①地獄の扉越し銃

②方界法

③方界合神

④方界降世

⑤モンスターゲート

 

<クロトのフィールド>

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

 

【流星方界器デューザ】

効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1600/守1600

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「方界」カード1枚を墓地へ送る。

(2):1ターンに1度、このカードが表側表示で存在する状態で、モンスターが自分の墓地へ送られたターンに発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、自分の墓地のモンスターの種類×200アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「俺は【流星方界器デューザ】の効果発動!デッキから【方界業】を墓地に送る!」

 

「【方界】…聞いたことのないカードだな!面白そうだぜ!」

 

「クロトのあのデッキ、オレも見たことないな」

 

「えっ、そうなの?」

 

「幼馴染のコナミでも見たことがないなんて、気を付けた方がいいんだナァ」

 

こういったアニメに登場する人物に関係するデッキテーマはコナミ相手には殆ど使わなかったからな。

 

「次に俺は墓地の【方界業】の効果発動!このカードを除外してデッキから【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

【方界業】

永続魔法

(1):このカードの発動時に、「方界胤ヴィジャム」以外の自分フィールドの「方界」モンスター1体を対象にできる。その場合、手札・デッキから「方界胤ヴィジャム」を任意の枚数墓地へ送る。その後、対象のモンスターの攻撃力は、この効果で墓地へ送ったモンスターの数×800アップする。

(2):相手ターンに「方界」モンスターの効果で「方界胤ヴィジャム」が特殊召喚された場合に発動する。このカードを墓地へ送り、相手のLPを半分にする。

(3):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「方界」モンスター1体を手札に加える。

 

これで1枚目だ。

 

「俺は【流星方界器デューザ】を墓地に送り、手札から【方界帝ゲイラ・ガイル】を特殊召喚する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

方界帝ゲイラ・ガイル ★2 ATK0→800

 

【方界帝ゲイラ・ガイル】

特殊召喚・効果モンスター

星2/風属性/天使族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの「方界」モンスター1体を墓地へ送った場合に特殊召喚できる。

(1):この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は800アップする。

(2):このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。

(3):このカードが戦闘したダメージステップ終了時、自分の墓地の「方界胤ヴィジャム」を2体まで対象として発動できる。このカードを墓地へ送り、対象のモンスターを特殊召喚する。その後、デッキから「方界帝ヴァルカン・ドラグニー」1体を手札に加える事ができる。

 

「【方界帝ゲイラ・ガイル】の効果発動!相手に800ダメージを与える!」

 

「うおっ!」

十代 LP:4000→3200

 

「更に俺は墓地の【方界合神】の効果発動!このカードを除外してデッキから【流星方界器デューザ】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

方界帝ゲイラ・ガイル ★2 ATK800

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

 

【方界合神】

通常罠

(1):自分の手札・フィールドから、「方界」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

(2):表側表示の「方界」モンスターが、戦闘で破壊された場合、またはフィールドから離れた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「方界」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン戦闘・効果では破壊されない。

 

「【流星方界器デューザ】の効果発動!デッキから【方界合神】を墓地に送る!」

 

2枚目の【方界合神】だ。これは念のためにまだ使わずに墓地に残しておこう。

 

「俺は墓地の【方界法】の効果発動!このカードを除外して墓地の【流星方界器デューザ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

【方界法】

永続魔法

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。手札から「方界」カード1枚を墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の「方界」モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(3):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「方界」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「そして俺は手札から【流星方界器デューザ】を召喚する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<クロトのフィールド>

方界帝ゲイラ・ガイル ★2 ATK800

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

 

「次に【流星方界器デューザ】の効果発動!デッキから【方界業】を墓地に送る!」

 

「最後に俺は墓地の【方界業】の効果発動!このカードを除外してデッキから【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

これで2枚目。あと1枚だな。

 

「俺は手札から永続魔法【方界業】を発動!デッキから3体の【方界胤ヴィジャム】を墓地に送り、【方界帝ゲイラ・ガイル】の攻撃力を2400アップさせる!」

クロト 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

<クロトのフィールド>

方界帝ゲイラ・ガイル ★2 ATK800→3200

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

流星方界器デューザ ★4 ATK1600

 

「攻撃力3200!オレの【E・HERO マッドボールマン】の守備力を超えてきたか…!」

 

「【流星方界器デューザ】の効果も使っておくか。墓地の「方界」モンスターの種類×200、攻撃力アップ!」

 

<クロトのフィールド>

方界帝ゲイラ・ガイル ★2 ATK3200

流星方界器デューザ ★4 ATK1600→1800

流星方界器デューザ ★4 ATK1600→1800

 

「バトルフェイズに移行する!【方界帝ゲイラ・ガイル】で【E・HERO マッドボールマン】を攻撃!」

 

方界帝ゲイラ・ガイル ATK3200

vs

E・HERO マッドボールマン DEF3000 ※戦闘破壊。

 

<十代のフィールド>

モンスター無し

 

「ここで俺は【方界帝ゲイラ・ガイル】の効果発動!このカードを墓地に送り、【方界胤ヴィジャム】2体を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

流星方界器デューザ ★4 ATK1800

流星方界器デューザ ★4 ATK1800

 

【方界胤ヴィジャム】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動できる。モンスターゾーンのこのカードを永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置き、その相手モンスターに方界カウンターを1つ置く。方界カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。

(3):このカードの効果でこのカードが永続魔法カード扱いになっている場合、自分メインフェイズに発動できる。魔法&罠ゾーンのこのカードを特殊召喚する。

 

「その後、デッキから【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「戦闘では破壊できないモンスターか!」

 

「基本的には殴らずに効果破壊することをお勧めするぞ」

 

十代の伏せカードは【ヒーロー・バリア】か【ヒーロー・シグナル】辺りだと思ったんだが、発動しなかったな。

 

「もし【流星方界器デューザ】2体の攻撃が通ったら、多分十代は負けるな」

 

「えぇっ!?」

 

「不味いんだナァ!」

 

そうなったらメイン2でガンマン出して終わりだろうな。だけど、流石に通らないと思うゾ。

 

「まだバトルフェイズだ!【流星方界器デューザ】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【クリボーを呼ぶ笛】を発動!来てくれ!相棒!」

十代 伏せカード:1→0枚。

 

『クリクリィ~!』

 

【クリボーを呼ぶ笛】

速攻魔法

自分のデッキから「クリボー」または「ハネクリボー」1体を選択し、手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

<十代のフィールド>

ハネクリボー ★1 DEF200

 

【ハネクリボー】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 300/守 200

(1):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

なるほどね。十代の手札は割れているし、伏せカードもない。ただの壁だな。

 

「【流星方界器デューザ】で【ハネクリボー】に攻撃!」

 

流星方界器デューザ ATK1800

vs

ハネクリボー DEF200 ※戦闘破壊。

 

『クリィー!』

 

「助かったぜ相棒!」

 

なまじカードの精霊の声が聞こえると、精霊たちの断末魔まで聞こえるのが困るな…。

 

「メインフェイズ2に移行」

 

さて、十代の伏せカードは無くなったから後は【融合再生機構】と【凡骨の意地】だけど、どちらも邪魔だがどちらが邪魔かな?

 

【融合再生機構】は毎ターン【融合】を確保できるし、エンドフェイズに融合素材も回収できる。

 

【凡骨の意地】は通常モンスターとはいえ連続ドローを実現しうるカードだ。実際、昼間も見たしな。

 

うーん、どちらにしても出て来る融合モンスターは恐らく初期HEROだからなぁ。それならどうとでもなりそうだけど、念のために防御手段を用意しておこうかな。

 

「俺は2体のレベル4【流星方界器デューザ】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよランク4!【ラヴァルバル・チェイン】!」

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

ラヴァルバル・チェイン ☆4 DEF1000 ORU:2

 

【ラヴァルバル・チェイン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/海竜族/攻1800/守1000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。

●デッキからモンスター1体を選んでデッキの一番上に置く。

 

「俺は【ラヴァルバル・チェイン】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【超電磁タートル】を墓地に送る!」

ラヴァルバル・チェイン ☆4 DEF1000 ORU:2→1

 

ま、これで何とかなるでしょ。

 

「俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ!」

クロト 手札:6→3枚。伏せカード:0→3枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:3枚。伏せカード:3枚。永続魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

ラヴァルバル・チェイン ☆4 DEF1000 ORU:1

 

vs

 

◆遊城十代 LP:3200、手札:2枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

モンスター無し

 

 

「白河君と言えば後攻1ターンキルのイメージが強いッスけど、珍しく静かな立ち上がりっスね」

 

「翔、それは勘違いなんだナァ。さっきも結構危なかったんだナァ」

 

「ああいう時のクロトは超大型モンスターを出す準備とかをしているから要注意だぞ。さっきから集めているあのカードが滅茶苦茶怪しい」

 

大体合ってる。俺の手札は3枚。【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】と【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】2枚だ。露骨に手札に集めたこれらは十代にもバレているのできっと警戒しているだろう。

 

十代のデッキは除去カードが少なめだだろうから、俺のフィールドの【方界胤ヴィジャム】は彼のデッキにとって厄介なカードだろう。突破するのは容易ではないはず。

 

このターン、十代はどう動くかな?

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!」

十代 手札:2→3枚。

 

「オレはここで永続魔法【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO スパークマン】を公開してさらにドロー!」

十代 手札:3→4枚。

 

「【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO バーストレディ】を公開してさらにドロー!」

十代 手札:4→5枚。

 

「【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO フェザーマン】を公開してさらにドロー!」

十代 手札:5→6枚。

 

「【凡骨の意地】の効果発動!ドローした【E・HERO ネオス】を公開してさらにドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:6→7枚。

 

来たなインチキドロー。引きすぎだろ。良くもまぁ、バニラデッキでもないのにここまで通常モンスターばかりを引けるもんだ。

 

「オレは【融合再生機構】の効果発動!手札の【E・HERO ネオス】を墓地に送り、デッキから【融合】を手札に加える!」

十代 手札:7→6→7枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【E・HERO フェザーマン】【E・HERO スパークマン】【E・HERO バブルマン】を手札融合!来い!【E・HERO テンペスター】!」

十代 手札:7→6→3枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800

 

【E・HERO テンペスター】

融合・効果モンスター

星8/風属性/戦士族/攻2800/守2800

「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO スパークマン」+「E・HERO バブルマン」

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカード以外の自分フィールド上のカード1枚を墓地に送り、自分フィールド上のモンスター1体を選択する。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、選択したモンスターは戦闘によっては破壊されない。(ダメージ計算は適用する)

 

テンペスターではこの局面はどうにも出来まい。残りの手札は【E・HERO バーストレディ】と【融合】と不明札が1枚。さぁ、次はどうするんだ?

 

「オレは手札から魔法カード【ホープ・オブ・フィフス】を発動!墓地の【E・HERO】5体デッキに戻して2ドロー!!」

十代 手札:3→2→4枚。

 

【ホープ・オブ・フィフス】

通常魔法

自分の墓地の「E・HERO」と名のついたカードを5枚選択し、デッキに加えてシャッフルする。その後、デッキからカードを2枚ドローする。

このカードの発動時に自分の手札・フィールド上に他のカードが存在しない場合はカードを3枚ドローする。

 

<十代がデッキに戻した>

①E・HERO フェザーマン

②E・HERO ネオス

③E・HERO クレイマン

④E・HERO バブルマン

⑤E・HERO スパークマン

 

「オレは手札から【カードガンナー】を召喚!そして効果発動!デッキから3枚墓地にカードを送り、攻撃力を1500上げる!」

十代 手札:4→3枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800

カードガンナー ★3 ATK400→1900

 

【カードガンナー】

効果モンスター

星3/地属性/機械族/攻 400/守 400

(1):1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする。

(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

<十代がデッキから墓地へ送った>

①ダンディライオン

②E・HERO ネクロダークマン

③R-ライトジャスティス

 

「ここでオレは墓地に送られた【ダンディライオン】の効果発動!【綿毛トークン】を2体特殊召喚する!」

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800

カードガンナー ★3 ATK1900

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

 

【ダンディライオン】

効果モンスター

星3/地属性/植物族/攻 300/守 300

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

おっ、【ダンディライオン】か。どうやらちゃんとコナミから十代へ返却されたみたいだな。

 

さりげなく【E・HERO ネクロダークマン】落とすの止めてくれない?

 

「オレは手札から魔法カード【弱者の贈り物】を発動!手札の【フレンドッグ】を除外してデッキから2ドロー!」

十代 手札:4→3→2→4枚。

 

【弱者の贈り物】※漫画版GXオリジナルカード

通常魔法

手札からレベル3以下のモンスター1体をゲームから除外して発動する。

自分はデッキからカードを2枚ドローする。

 

漫画版GXのオリジナルカードか。本当にこういうのってどうやって手に入れているんだろう。

 

それにしても、これだけドローされるとはな。今のデュエルアカデミアでは要らないかと思っていたけど、十代相手なら【ドロール&ロックバード】とか必要かもな。

 

「オレは手札から魔法カード【魔術師の書庫】を発動!デッキから【フュージョン・バース】を手札に加える!!」

十代 手札:4→3→4枚。

 

【魔術師の書庫】※漫画版GXオリジナルカード

通常魔法

自分のデッキから魔法カード1枚を手札に加える。その後、デッキをシャッフルする。

 

「なっ!?ノーコストの万能サーチカード!?」

 

「なんだアレ、強すぎだろ」

 

コナミも呆れるレベルの漫画版GXのインチキカードじゃねーか!【左腕の代償】に謝れ!しかも【フュージョン・バース】って確か!

 

 

「オレは手札から魔法カード【フュージョン・バース】を発動!デッキトップから5枚を墓地に送り、その中から融合素材を選んで融合召喚する!」

十代 手札:4→3枚。

 

【フュージョン・バース】※漫画版GXオリジナルカード

通常魔法

自分のデッキの上から5枚のカードを墓地に送り発動する。

その中で融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスター1組が揃っていれば、その融合モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する事ができる。

(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)。

 

防げねぇ!【灰流うらら】は何でいっつも俺の手札に来ないんですかー!!

 

<十代がデッキからめくったカード>

①E・HERO スパークマン

②E・HERO フェザーマン

③E・HERO クレイマン

④ネクロ・ガードナー

⑤H-ヒートハート

 

さりげなく【ネクロ・ガードナー】落とすの止めてくれない?

 

「オレは【E・HERO スパークマン】と【E・HERO クレイマン】を融合!来い!【E・HERO サンダー・ジャイアント】!」

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800

カードガンナー ★3 ATK1900

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

E・HERO サンダー・ジャイアント ★6 ATK2400

 

【E・HERO サンダー・ジャイアント】

融合・効果モンスター

星6/光属性/戦士族/攻2400/守1500

「E・HERO スパークマン」+「E・HERO クレイマン」

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。

自分の手札を1枚捨てる事で、フィールド上に表側表示で存在する元々の攻撃力がこのカードの攻撃力よりも低いモンスター1体を選択して破壊する。

この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる。

 

初期HEROの中では結構面倒な奴が来たな。

 

「伏せていた罠カード【方界縁起】を発動!【E・HERO サンダー・ジャイアント】と【E・HERO テンペスター】に方界カウンターを置く!」

クロト 伏せカード:3→2枚。

 

【方界縁起】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「方界」モンスターの数まで、相手フィールドの表側表示モンスターに方界カウンターを置く。方界カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの「方界」モンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのモンスターが戦闘で方界カウンターが置かれているモンスターを破壊する度に、その破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800 ※方界カウンター

カードガンナー ★3 ATK1900

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

E・HERO サンダー・ジャイアント ★6 ATK2400 ※方界カウンター

 

「方界カウンター?」

 

「方界カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、効果は無効化される!」

 

「うげっ!マジかよ~!」

 

これで【方界胤ヴィジャム】は破壊できないだろうな。

 

「それならバトルだ!【カードガンナ】で【ラヴァルバル・チェイン】を攻撃!」

 

カードガンナー ATK1900

vs

ラヴァルバル・チェイン DEF1000 ※戦闘破壊。

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

 

「メインフェイズ2に移行!オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

十代 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズにカードガンナーの攻撃力は元に戻り、【融合再生機構】の効果で墓地から【E・HERO クレイマン】を手札に加える!」

十代 手札:2→3枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

 

vs

 

◆遊城十代 LP:3200、手札:3枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<十代のフィールド>

E・HERO テンペスター ★8 ATK2800 ※方界カウンター

カードガンナー ★3 ATK400

綿毛トークン ★1 DEF0

綿毛トークン ★1 DEF0

E・HERO サンダー・ジャイアント ★6 ATK2400 ※方界カウンター

 

 

十代の手札は【E・HERO バーストレディ】と【E・HERO クレイマン】、それと【融合】で合っているはず。いやいや、これって直接攻撃できる【E・HERO ランパートガンナー】の組み合わせじゃねーか。

 

後は伏せカードだけど、なんだろうな?

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:3→4枚。

 

良い引きだ!

 

「俺は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!EXデッキから6枚裏側表示で除外してデッキから2ドロー!」

クロト 手札:4→3→5枚。

 

「俺は【方界胤ヴィジャム】2体を墓地に送り、手札から【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】を特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

方界帝ヴァルカン・ドラグニー ★3 ATK0→1600

 

【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】

特殊召喚・効果モンスター

星3/炎属性/天使族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの「方界」モンスター2体を墓地へ送った場合に特殊召喚できる。

(1):この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は1600アップする。

(2):このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。

(3):このカードが戦闘したダメージステップ終了時、自分の墓地の「方界胤ヴィジャム」を3体まで対象として発動できる。このカードを墓地へ送り、対象のモンスターを特殊召喚する。その後、デッキから「方界超帝インディオラ・デス・ボルト」1体を手札に加える事ができる。

 

「【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】の効果発動!相手に800ダメージを与える!」

 

「ぐぁっ!またかよ!」

十代 LP:3200→2400

 

「バトルフェイズに移行!【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】で【綿毛トークン】に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【ヒーロー・ブラスト】発動!墓地の【E・HERO スパークマン】を手札に加え、【方界帝ヴァルカン・ドラグニー】を破壊する!」

十代 伏せカード:1→0枚。

 

【ヒーロー・ブラスト】

通常罠

(1):自分の墓地の「E・HERO」通常モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

その後、手札に加えたモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。

 

<クロトのフィールド>

モンスター無し

 

十代 手札:3→4枚。

 

ミラフォとかミラーゲートじゃなかったか。遊戯王の主人公勢は一見よく分からんカードをふんだんに使っているからデッキが読みづらいんだよな。

 

ただ、これで伏せカードは無くなったし、手札も割れている。勝ったな。ガハハ。

 

「俺は墓地の【方界合神】の効果発動!このカードを除外してデッキから【方界超帝インディオラ・デス・ボルト】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

方界超帝インディオラ・デス・ボルト ★4 ATK0

 

【方界超帝インディオラ・デス・ボルト】

特殊召喚・効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドの「方界」モンスター3体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):この方法で特殊召喚したこのカードの攻撃力は2400アップする。

(2):このカードが手札からの特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。

(3):このカードが相手によって墓地へ送られた場合、自分の墓地の「方界」モンスターを3体まで対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。その後、自分のデッキ・墓地から「方界」カード1枚を選んで手札に加える事ができる。

 

「【方界超帝インディオラ・デス・ボルト】の効果発動!相手に800ダメージを与える!」

 

「ぐっ!こればっかりじゃねーか!」

十代 LP:2400→1600

 

「方界帝の共通効果なんだから仕方ないだろ」

 

「攻撃力0のモンスターをバトルフェイズ中に攻撃表示で出してどうするつもりなんスかね?」

 

「バーンダメージを狙うだけなら守備表示でいいんだナァ」

 

「そりゃあ、自爆特攻でしょ」

 

ご名答。

 

「【方界超帝インディオラ・デス・ボルト】で【カードガンナー】に攻撃!」

 

方界超帝インディオラ・デス・ボルト ATK0 ※戦闘破壊。

vs

カードガンナー ATK400

 

「ダメージは受けたが、【方界超帝インディオラ・デス・ボルト】の効果発動!【方界胤ヴィジャム】3体を特殊召喚し、デッキから【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】を手札に加える!」

クロト LP:4000→3600 手札:4→5枚。

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

 

【方界超獣バスター・ガンダイル】を持って来てもう1ターンだけ十代の動きを見て見るのもアリかと思ったけど、倒せる時に倒さないのは失礼だよな。

 

「3枚目だな」

 

「えっ?何がっスか?」

 

「今、クロトの手札には【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】が3枚ある」

 

「そうだったかナァ」

 

アイツはデュエルに関しては本当によく見てるしよく覚えているよな。

 

「伏せていた罠カード【方界合神】を発動!手札の【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】3体を融合!」

クロト 手札:5→2枚。 伏せカード:2→1枚。

 

「バトルフェイズ中に手札から3体融合!?」

 

「邪悪なる意識よ集え!世界を光なき絶望へと導くために、今こそ漆黒の闇から降臨せよ!【暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ】!」

 

<クロトのフィールド>

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

方界胤ヴィジャム ★1 DEF0

暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ ★10 ATK4500

 

【暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ】

融合・効果モンスター

星10/闇属性/悪魔族/攻4500/守3000

「暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ」×3

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。

(1):フィールドのこのカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):このカードの攻撃宣言時に発動する。相手のLPを半分にする。

(3):このカードの攻撃でモンスターを破壊した時に発動できる。このバトルフェイズ中、このカードはもう1度だけ攻撃できる。

(4):自分が効果ダメージを受けた場合に発動する。受けたダメージの数値分だけ相手にダメージを与える。

 

「攻撃力4500!?」

 

「相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない!?インチキッスよ!」

 

「攻撃宣言時の相手のLPを半分にするって…ズル過ぎなんだナァ!?」

 

「しかも連続攻撃にバーン効果反射まであるな。コイツ、三幻魔より強くないか?」

 

「気のせいだろ」

 

正直、融合素材の【暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ】の方が使いやすいしな。

 

「【暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ】で【カードガンナー】に攻撃!」

 

「LPが半分に!?」

十代 LP:1600→800

 

邪神の攻めに伴う生贄!それは、貴様のライフだ!…なんてな。

 

「だけど甘いぜ!墓地から【ネクロ・ガードナー】の効果発動!このカードを墓地から除外して【暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ】の攻撃を無効にする!」

 

【ネクロ・ガードナー】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。

このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「チェーンして手札から【スカル・マイスター】を墓地に送って効果発動!【ネクロ・ガードナー】の墓地発動効果を無効化する!」

クロト 手札:2→1枚。

 

【スカル・マイスター】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1700/守 400

(1):相手の墓地で魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。その効果を無効にする。

 

「なっ!?」

 

正直に言おう。さっき偶然引いた。

 

チェーン②スカル・マイスター

チェーン①ネクロ・ガードナー ※効果無効

 

暗黒方界邪神クリムゾン・ノヴァ・トリニティ ATK4500

vs

カードガンナー ATK400 ※戦闘破壊。

 

「うわぁぁぁぁっ!」

十代 LP:800→0

 

「くっそー!負けたー!でも、楽しいデュエルだったぜ!」

 

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

十代とのデュエル終了後、『どうしてもオレも戦ってみたい!』とゴネたコナミとデュエルした後、十代たちの部屋で先ほどの十代とのデュエルの反省会となった。

 

「遊城は今の【E・HERO】デッキから変える気はないのか?」

 

「無いなー。オレはHEROが好きだからな!HEROデッキ以外は使うつもりは無いぜ!」

 

そうだろうな。言っておいてなんだが俺もHEROデッキ以外を使う十代は違和感あるぞ。

 

「HERO以外を使う兄貴を想像できないッスね」

 

「強くなりたいとも思うけど、やっぱり好きなデッキを使いたいよナァ」

 

「じゃあ、【E・HERO エアーマン】とか【E・HERO シャドー・ミスト】とかを使えばいいんじゃないか?」

 

「あー、オベリスクブルー女子の宮田が使ってたカードか。【E・HERO】と【M・HERO】って言う2つのテーマをくっつけたデッキだったっけ」

 

「アレはアレで格好良かったよな!確かに有りだと思うけど、オレ持ってないんだよな~」

 

「確か本土では、夏休みにプロデュエリスト響紅葉のファンパックが出るぞ。そこにある程度は収録されていたはずだぞ」

 

「マジか!お盆休みには帰省しようと思ってたし、ちょうど良いぜ!」

 

「ボクたちは全員、お盆休みには帰省しようって話をしていたんスよ」

 

「へぇ~」

 

流石の十代たちも、このエアコンの無いオシリスレッド寮で炎天下の8月を乗り切るのは諦めたのかと思ったが、お盆休みだけ帰省するだけであとはオシリスレッド寮に居るらしい。

 

オシリスレッド寮の寮長は猫のファラオだし、後で熱中症対策だけは教えておこう。

 

「お盆休みには『Japan RidingーDuel Grand Prix』があるんだナァ!」

 

「なんだそれ?」

 

「JRDG(ジャパン・ライディング・デュエル・グランプリ)の正式名称だぞ。コナミ、お前も去年は会場に居ただろ」

 

「あぁ、JRDGのことか。正式名称ってそんな名前だったんだ」

 

「そう言えば、白河君たちは去年の第1回JRPGの優勝チームのチームYRSと知り合いなんスよね?」

 

「そうなのか!?」

 

「サインとか頼めないかナァ!?」

 

「そう言うのはお断りしている」

 

「残念だナァ」

 

そう言えばあの話をしてなかったな。

 

「そうだコナミ。忘れてたけど、これ渡しておくな」

 

「なにこれ?」

 

「GWにセレナたちに貰ったJRDGのスタジアムの当日入場チケット。それはお前の分な」

 

「「「!?」」」

 

「前回優勝者だからってことで貰ったらしい。そのチケットでお前を含む5人まで入場できるらしいぞ」

 

「へぇ~」

 

コナミもお盆休みには帰省するらしいから今渡す必要はないんだが、忘れると困るしな。

 

「コナミ!」

 

「こ、コナミく~ん」

 

「オ、オレたちも一緒に入場させて貰えないかナァ?」

 

「良いぞ」

 

「よっしゃー!」

 

「やったー!」

 

「これで生まれて初めて生のライディングデュエルが見られるんだナァ!」

 

コナミのチケットでJRDGのスタジアムには居れることになった十代たちは歓喜に打ち震えているようだ。

 

ライディングデュエルが見たいならコナミに頼めばいいんじゃないのか?多分、コイツかユーゴが世界で一番強いDホイーラーだぞ。

 

「さて、俺はそろそろ寮に戻ることにする」

 

「そうか?」

 

「今度会う時は2学期っスね」

 

「明日の終業式には多分会うんだナァ」

 

「確かにな」

 

「白河、気を付けて帰れよ~」

 

「おー」

 

もう夜も遅い。そろそろ帰らないと倫理委員会に見つかったらペナルティを食らいそうだ。

 

「あっ、忘れてた」

 

「何だ、まだなにかあるのか?」

 

俺が立ち上がり、十代たちの部屋から出ようと扉のノブに手を掛けた時、十代が何かを思い出したようだ。

 

「白河!ガッチャ!今日はありがとな!楽しいデュエルだったぜ!」

 

「ん、ガッチャ。俺も楽しめたよ」

 

十代がいつものポーズを決めてきたので、俺も見よう見まねで真似をした後、彼らの部屋を立ち去った。




無事にセブンスターズ編は終了しました。次は夏休み編です。大体5~6話くらいを考えています。

十代のデッキはいつも通りの【E・HERO】です。漫画版カードもちらほら使っていますね。次回からは少しずつOCG次元での【ネオス】デッキや【E・HERO】デッキに近付いて行く予定です。

オリ主のデッキは【方界】です。劇場版DSODで藍神ぃ君が使用したデッキです。本作の世界線では劇場版DSODとは交わらない為、【方界】デッキはこの世界にはオリ主以外に所持者は居ません。オリ主はこのデッキをアニメ主人公とデュエルする時が来たら使うと決めていました。

次回の本編の更新は、2021年6月初旬予定です。

戦車様、白銀神雅魅様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

<お知らせ>
最近、私生活が忙しくなり始め、投稿ストックも切れた上に過去の投稿分の修正も溜まってきているので、今後は更新が遅くなる予定です。次回の更新は早くて6月初旬、遅くてお盆休みくらいとなります。

また、修正に関しても明らかなルール違反(召喚制限があるのに召喚した、発動条件を満たさない効果を使ったなど)に関しては対応いたしますが、デュエル展開の改善に関しては優先度を下げさせて頂くつもりです。

予めご了承ください。

また、アンケート内容を変更しました。ご協力頂けると助かります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年目 夏休み編
第百二十五話 夏休み1


前回のあらすじ:ガッチャ!

ようやく夏休み編、開始です。

今回の対戦カードはハノイvsモブ三人です。

今回からまた試験的に少し表記方法を変更して見ました。


<朝霧涼夜視点>

 

 白河クロトの前世である朝霧涼夜は、とある夏間近のとある日とある場所にて友人たちと久し振りの休暇を満喫していた。

 そんな時、突然、部屋の壁にもたれたながら自身のスマートフォンで最新のリミットレギュレーション情報を調べていた友人の明石が発狂した。

 

「朝霧!【星杯の神子イヴ】と【リンクロス】が禁止になったぞ!」

 

えっ?私達デュエリストのアイドルであるイヴちゃんが禁止とかマジ?絶許ドン千!

えっ?リリーサーやエルピィも禁止?ザマァ(笑)!何だ、コン〇イっていい奴じゃん!

 

「ハリファイバーめ!自身の延命のために私達のイヴちゃんを人身御供にするなど!」

「奴を責めることは出来まい。シンクロ使いの希望たる奴を他デッキで散々酷使したのはオレ達だ」

 

 今回のリミットレギュレーション更新は大多数のデュエリストに影響を及ぼすことになるだろう。かくいう私も自身の【パラディオン】デッキから【破滅竜ガンドラX】だけでなく【星杯の神子イヴ】と【リンクロス】まで取り上げられることとなってしまったようだ。これでどうやって戦えばいいんだ!…どうとでもなるか。

 

「分かっていただろうに。のぅ、朝霧、明石」

「「オオクボーン」」

 

 部屋の隅でジャ〇プを読んでいた大久保が、私たちの話題に反応して謎の爺キャラで話し始めた。お前、普段はそんなキャラじゃないだろ。

 

「【リンクロス】との狂ったシナジーからの先攻制圧を強いられ、黙っていられるものか」

 

 一部ではダンディライオン改とか呼ばれたそのモンスターは、ハリファイバー、オライオン、武力の軍奏から繰り出される「ハリクロス展開」あるいは「ハリブリキ展開」として知られる悪名高い展開ギミックを生み出す原因となった。

 ハリファイバー1体からモンスター5体に増えるのだ。恐らく【サモン・ソーサレス】を超えうるぶっ壊れカードだろう。【リンクロス】の力を最大限に引き出せてしまう【星杯の神子イヴ】もイラストの可愛さだけでは免罪符にはならなかったようだ。

 

「では我々に何の手立てもないままイヴちゃんロストのトラウマを抱えて死ねと言うのか!」

「そうじゃ。それがコン〇イの言う「正しいデュエリスト」の一生だ」

「自らは性能確認もせずに、我々に戦わせておいてか…」

 

 今回禁止になった連中は大体頭おかしいことはテキスト欄を見れば分かるだろう。何故この世に生み出してしまったのか。コレガワカラナイ。

 

「明石お兄ちゃん!お兄ちゃんのカードで1万円引き出してきたよ!」

「良し!」

 

 従兄妹の舞子ちゃんからお金を受け取った明石が中身スカスカだった財布の中身を補充して立ち上がった。ところで、従兄妹にキャッシュカードを握られているようだが、それで良いのか?管理されたい系男子なの?

 明石には禁止となったカードを収集すると言う妙な趣味がある。恐らく今回もカードショップに禁止カード買いに行くのだろう。彼の文字に通信販売と言う言葉は無い。

 

「行くのか?」

「死ぬなよ?」

「もう禁止カード収集など、何年続けているか覚えてないよ」

 

 そう言い残して明石はカードショップへと走って行った…。

 

「で、この茶番はいつまでやるんだ?私はもう飽きたぞ」

「明石も出て行ったし、そろそろ止めるか」

「さんせーい」

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 夏休み2日目、俺はデュエルアカデミアのラーイエロー寮の自室、ではなく懐かしの孤児院の自室で目を覚ました。ベットの横に置いてあった目覚まし時計の短針は午前七時を指している。

 

「懐かしい夢を見たな」

 

 あの後、次のリミットレギュレーション更新で無事にドラグーンが投獄され、全員でザマァと言ったのをよく覚えている。

 俺たちはドラグーンを買い損ねた敗北者だったからなぁ。そんなことを考えながらパジャマから私服に着替え、食堂へとやって来た。

 

「あら?クロト、今日は早いのね?」

「昨日はセレナに徹夜デュエルに付き合わされたから起きるのが遅かっただけだよ」

「そう言えばそうだったわね」

 

 昨日、俺が帰省して自分の部屋に入った際、セレナが俺の部屋で寝そべって漫画を読んでいた。俺が帰って来たきたことに気付いたセレナは「お帰り。じゃあデュエルだ!」と訳の分からない発言をし、そのままデュエルに突入した。あの娘の将来がとても心配だ。

 

部屋に鍵とかは特にかけていなかったし、俺がこっちにいる間ではいつもの光景だったので今更セレナに対してプライバシーの侵害だ何だというつもりは無いが…いかがわしい本とか置いてなくてよかった。

 

「朝食作るの手伝うよ、卵焼けばいい?」

「うん。お願いね」

「ユーゴとリンは?」

「リンはユーゴを起こしに行ったみたい」

「いつも通りだね」

 

 朝食の準備をしているシスターの手伝いをして卵焼きを作っていると、2階から顔を真っ赤にしたリンとそのリンに引っ張られているユーゴが下りてきた。その頬には見事な手の平の跡が付いている。

 

「痛てて…」

「自業自得よ!」

 

 またやったのか。寝起きの悪いユーゴを起こすのは毎回リンだ。そして大体、ユーゴが何かやらかしてリンに平手打ちされる。俺がここに住んでいた頃とほぼ変わらない日常だ。

 

「リン、痛いんだけど…」

「えっ、まだ痛いの?ほら、見せて?」

「うん」

「あー、ちょっと強くし過ぎたかしら?ゴメンねユーゴ」

「いや、いいよ。リンがこうしてくれるからさ」

「もう、ユーゴったら。いつの間にそんなに甘えん坊になったの?」

 

 ユーゴはリンに膝枕されながら頬を撫でられている。彼らが付き合い始めてからもう数か月。パッと見はあまり進展していなさそうに見えるが、そうでもないらしく、人前でイチャイチャし始めた。

 

ラブコメは俺のいない時にやってくれ。その術は俺に効く。止めてくれ。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 その日の夜、俺はハノイの騎士として第二回JRDGの開催記念パーティにゲストとして参加していた。

 JRDGにハノイの騎士が参加したことは無いのだが、Dホイール黎明期に起こったハートランドシティのテロ事件の際、Dホイールを乗り回している俺の姿がテレビ中継されていた事が切っ掛けとなって世間のDホイールの知名度を一気に広げたらしい。その功績?によりI2社から声が掛かったのだ。

 それ以外にも、ペガサス会長との例の件の約束について無関係ではないので、断わりきれなかったという事情もある。

 

帰りたい…。

 

 俺の目の前には高級レストランなどでしかお目に掛かれないような料理が山ほど並んでおり、こちらの食欲を煽って来るのだが、あまりガツガツ食べるとハノイの騎士のイメージを壊しかねないので少量を小皿に取ってちまちま食べている。あっ、このプリンメチャクチャ美味いぞ!?後でコックにレシピ聞いておきたいなぁ。

 ハートランドシティや舞網市の事件でハノイの騎士の知名度はかなり高いようで、様々なパーティの参加者に頻繁に声を掛けられるのだが、これもハノイの騎士のイメージを損なう可能性があるので対応に非常に気を遣う。赤馬やレベッカの様に昔会って雑に対応した相手なら適当で済むんだけどなぁ。

 

例の件さえ無ければパーティに参加すらしなかったんだけど、ディアブロたちの黒幕を引きずり出す為には仕方ないか。

 

「あれ?ハノイの騎士じゃないか」

「クロ…ハノイの騎士、なんでこんなところに居るんだ?」

 

 背後から聞き覚えのある声に呼ばれたので振り返ってみると、パーティ用の正装を着たユーリと青白いフリフリのドレスに身を包んだセレナが立っていた。そう言えば、彼らは日本有数のお金持ちである葉月財閥の本家のお坊ちゃん社長と分家のお嬢ちゃんだったな。

 よく見ると、彼らの背後には黒いスーツに身を包んだデニスとバレット、ユーリたちの護衛なんだろうか。そして更によく見たら何故か同じ格好のBBまで居る。そう言えば、ハートランドシティの事件の後でユーリたちに拾われたんだっけ。

 

「葉月社長、お久し振りです。セレナお嬢様もお元気そうでなりよりです」

「うわっ、気持ち悪っ!今更お前に敬語でお嬢様とか言われると鳥肌が立つぞ!そもそも昨日会っただろ!」

「セレナ、人目があるからそのくらいにしようね」

 

 酷い言われようである。

 普段であればもっと会話を弾ませるところであるが、ここは他の人目があるパーティ会場だ。少しそれっぽい世間話を交えた後、彼らは別のパーティ参加者へと挨拶に向かった。

 

「顔見知りの多いパーティだな」

 

 俺が一人そう呟くのも無理は無いと思う。周囲を見回せばユーリやセレナたち以外にもちらほらと顔見知りの姿が見えるのだ。

 パーティの主催者として参加者に囲まれているペガサスと天馬兄弟、その近くで誰もが知っているような大企業の社長たちと話をしているモクバ副社長、その側近の磯野たちも当然いる。

 そして、珍しくスーツを着てちゃんと靴下を履いてマフラーをしていない赤馬 零児も居る。最初見た時は誰か分からなかったぞ。中島を連れていなければスルーしていたかも知れないな。

 

 遠くからガラム財閥の当主をライバル視してガン見している万丈目三兄弟、芸能人の両親に連れてこられたであろう藤原雪乃、父親の代理としてパーティに参加しているらしい海野幸子。この辺りはアカデミアでも見るから新鮮味は無いな。

 プロデュエリストとして呼ばれたであろう響紅葉とその姉のみどり。羽蛾や竜崎、ズァークや榊遊勝までいる。最近プロになった黒咲隼とその妹の瑠璃も居る。幅広いな。

 レベッカ・ホプキンスやレオンハルト・フォン・シュレイダーまで居るようだ。彼らは以前あった時に与えた第一印象が最悪だろうからあまり関わらないようにしたいところだ。

 もちろん、プロデュエリストが呼ばれるなら最近【D-HERO】デッキを解放して調子のいいエド・フェニックスとそのマネージャーである斎王琢磨も居るわけだ。あの斎王は綺麗な方だろうか?それとも汚…綺麗じゃない方だろうか。

 

「それだけならまだいいんだが…」

 

 アメリカデュエルアカデミアの校長であるMr.マッケンジーと何やら討論しているのは、今にもはち切れそうなスーツを着ている本田レベル100ことプロフェッサーコブラだ。

 コブラが居るなら、彼の後ろにオースチン・オブライエンが控えて居るのも納得できる話ではある。だが、オブライエンと話しているあのイケメンは知らんな?誰だ?パッと見た感じだと、昔亡くなったはずのコブラの息子のリックの面影が有るような…まさかな。

 目立たない正装であっても特徴的な髪型のお陰で何処にいるか分かりやすい不動博士とその助手のゴドウィン兄弟、彼らと話しているのはガラム財閥当主のゴア・ガラムだ。その近くには息子のシドと養子のアモンも控えている。

 赤馬零王と真面目な話をしているように見えるのは、パーティ会場なのにワニ背負っている地質学と考古学の専門家ジェームズ・クロコダイル・クック。何で誰もワニに突っ込まないんだろう?

 カード産業にて大成功を収め続けているルブラン氏と朗らかに会話しているのは、多分だが将来ネオ童実野シティの議員となる十六夜英雄じゃないか?

 遠くから見ても存在感を放つ若かりし姿のドクターフェイカーとその助手のバイロン・アークライト、そして彼らと話しているのは恐らく九十九一馬と九十九未来だろう。

 

突っ込みが追い付かねえよ。どの場面を切り取ってもヤバイ光景だ。

ユベルっぽい魔力やら破滅の光の波動やらもわずかに感じるし…レインからの情報だとこの会場にもディアブロが数体紛れ込んでいるらしいし…。カオスってレベルじゃねえな。

 

「あら?ボウヤたち、なにか御用かしら?」

「だからさぁ、オレ達と一緒にこんな退屈なパーティ会場を抜け出してさ。どこか遊びに行かない?」

「そうそう」

「行こうよ~」

 

 ふと声のした方を見て見ると、胸元がぱっくり開いた煽情的な赤いドレス姿の雪乃が金持ちのボンボンらしき三人組にナンパされているようだ。よくもまぁ、こんなトンデモメンバーのいるパーティ会場でそんな命知らずなことが出来るもんだ。

 彼女たちの様子を遠くから窺っていると、偶然にも雪乃と目が合ってしまった。その瞬間。彼女はなにやら悪戯を思いついた子供のような表情をしながらこちらに歩いてくる。

 

おや?嫌な予感しかしないぞ?

 

「ごめんなさいねボウヤ達?私、彼との先約があるの。ボウヤたちはその辺りのワンちゃんとでも遊んでいてね?」

「おい」

 

 何を思ったか雪乃は俺の腕に抱き着いてきた。その行動は雪乃をナンパしていたボンボンを煽り立てるのには十分な効果があったらしく、彼らの顔は茹でタコのように顔が真っ赤になっている。

 止めろ、ここでその2つの肉まんと厄介事を押し付けるな。

 

「お嬢さん?腕を離して頂けると助かるのだが?」

「あら?いいの?ここで貴方の正体をばらしてもいいのよ?ねぇ、クロ坊?」

「なっ!?」

 

バレてる!?ナンデ!?

 

「あら?やっぱりそうなのね?」

「は、図ったな!雪乃!当てずっぽうかよ!」

「違うわ。ある程度の知り合いであれば普段の仕草なんかで分かるものよ?」

「そんなばかな…」

「ふふっ。まだまだボウヤね。お姉さんからのアドバイスをあげましょう。今後はもう少し体の動かし方には気を配った方が良いわね」

「ぐぬぬ」

 

「「「何イチャついてんだよ!?」」」

 

 小声で言い合う俺達の様子が何やら気に入らなかったらしく、ボンボンどもはさらにヒートアップしていた。

 なんだ?イチャついているようにでも見えたか?もしそうならお前らは眼科に行ってその飾りの眼を直してくることをお勧めするぞ。

 

「くそっ!おい仮面野郎!ふざけんな!その胡散臭いマントを取れ!」

「ダサイ仮面付けやがって!仮装パーティのつもりか!」

「パーティ会場なんだから正装着てこい!」

 

 真っ赤になってヒステリックを起こしている割には正論で文句を言ってくるボンボンたち。

 痛いところを突いてくるな。でも、この格好じゃないとハノイの騎士だって分からないだろ?

 

「そうねぇ。もしボウヤ達が彼にデュエルで勝ったら今晩付き合ってあげるわ」

「おい」

 

 俺の腕に抱き着いたまま、更に楽しそうな雪乃がボンボンどもを煽っていく。周囲の人間は何故かこの騒ぎを誰も止めようとはしない。

 セレナは何故かリスの様に頬を膨らませて不機嫌そうだし、ユーリとデニスはニヤニヤしているだけで何もしようとはしない。瑠璃と黒咲は呆れているだけ、赤馬のアホはザマァ!とか言いたけだな。ファッキン。

 

「上等だ!」

「やってやんよぉ!」

「三人に勝てるわけないだろ!」

 

 しかも何故か1対3になっているらしい。 おいそこのサングラス掛けた黒服ども!お前警備担当だろ!なんとかしろや!えっ?管轄外?ふざけんな!

 どうしてこうなった…。

 

~~~

 

<万丈目視点>

 

 デュエルアカデミアが夏季休暇に入り、帰省して実家でのんびりしていたオレだったが、兄さんたちに連れられて第二回JRDGの記念パーティへと参加する羽目になった。

 

「何故ボクまでパーティに参加するんです?」

「今回のパーティには多くのプロデュエリストやデュエル界に名を連ねる人物が参加するらしいのでな」

「その人物たちにお前の顔を売っておこうというわけだ」

 

 パーティ会場につくやいなや、長作人さんと正司兄さんに連れられて様々な人たちと挨拶することになった。

 ペガサス会長や海馬副会長などの超有名な人物から、モーメント開発の第一人者やハートランドシティの天才科学者、トッププロデュエリスト達、挙句の果てにワニを背負った考古学の専門家など、どの人物も一味違う人々だった。

 そんな中、パーティ会場の端っこに良く見知った人物が良く見知った姿のまま、人の頭ほどあるプリンを一心不乱に食べていた。ハノイの騎士だ。アイツのせいであの辺りのプリンは全滅寸前だ。

 

「あの男は一体何をやっているんだ…」

 

 その姿は完全に不審者なのだが、誰にも追い出されたりはしないようだ。どうやら奴はこのパーティにI2社からのゲスト扱いで参加しているらしく、警備の黒服たちも無下にできないようだ。

 そして、あの男はかなり顔が広いようで、奴から声を掛けずとも色んな人物から声を掛けられていた。

 

「ハノイの騎士、久し振りだね」

「元気しとったか?」

「羽蛾プロ、竜崎プロ、お久し振りです。ハートランドシティの件ではお世話になりました」

「城之内の奴も来たがってたんやけどな?」

「奥さんの出産が近いからってことで辞退したんだよ」

「へぇ、そうなんですか」

 

『ハノイ!ここで会ったが百年目よ!あの時の借りを返してあげる!私とデュエルしなさい!あと、その最後のプリンを寄越しなさい!』

『いえ、遠慮しておきます。あと、このプリンは渡せませんね。欲しいのなら実力で奪い取ってみては?何度やっても勝敗は見えていますけどね?ねぇ~テリーちゃ~ん』

『むっきー!何ですってー!』

『ベッキー、落ち着いて!周りのみんなが見てるから。ね?』

『だってレオン!このクソガキがー!』

 

『君がMr.マッケンジーが懇意にしているというハノイの騎士か』

『はい。初めまして。エド・フェニックス。そちらの彼はマネージャーさんですか?』

『初めまして。ハノイの騎士。ご察しの通り、エド・フェニックスのマネージャーをさせて頂いている斎王琢磨と申します』

『おや?握手ですか?はい喜んで。…!?』

『いかがされました?』

『いえ、先ほどまで食べていたプリンが喉に詰まったもので。お気になさらずにどうぞ』

『プリンが喉に詰まるのか…日本人は変わった個性を持っているんだな』

 

「Nice to meet you!ハノイボーイ!オレの名前はジェームズ・クロコダイル・クック!ジムって呼んでくれ!」

『初めまして、ジム。私、英語も話せますよ?』

『おっ、そうなのか、助かるぜ!日本語はまだ不慣れでな。つい英語が混じってしまうんだ。それにしても、カレンを見ても驚かないんだな?』

『ワニを背負っているだけならまだ地味な方ですよ。個性を出すなら語尾をザウルスとかナノーネとかデアールを付ければいいと思います。あとは…腕にシルバー巻くとかですね』

『それが今の日本の流行りなのか?噂に違わず日本人は相当変わっているんだな』

 

『お前がハノイの騎士か』

『そういう君は、プロデュエリスト「炎のオブライエン」のご子息だな?』

『あぁ、オースチン・オブライエンだ』

『コンゴトモヨロシク』

 

『君がハノイの騎士かね?』

『お初にお目にかかります。ハノイの騎士と名乗らせて頂いている者です。よろしくお願いしますね、プロフェッサーコブラ』

『ふふっ、耳が早いな。君にも紹介しておこう。息子のリックだ』

『初めまして!父さんの息子のリックと言います!』

『は、初めましてリック』

『リック、公共の場では先生と呼びなさい』

『は~い』

『全く、しょうがない子だ』

『ハハハ…ソウデスネ』

 

「よぅハノイ!」

「数日振りね。ハノイの騎士」

『クリクリィ~!』

「紅葉さん、響先生。ハネクリボーも。こんばんわ」

「聞いてくれよ!オレ、とうとうプロランク2位まで来たんだぜ!」

『クリィ~!』

「おめでとうございます。流石ですね」

「もう、紅葉ったら。さっきからそればかりじゃないの」

 

『ハノイ君、大きくなったね』

『おかげさまで。Mr.マッケンジー、お久し振りです。彼や娘さんは元気でやっていますか?』

『はははっ!元気すぎて困るくらいだよ。そうそう、来年の交流戦はウチが勝たせてもらうつもりだからね』

『ふふっ、そうはさせませんよ。優勝は本校が頂きますからね』

 

「やぁハノイの騎士。初めまして」

「初めまして。ハノイの騎士です。貴方はモーメント開発の第一人者の不動博士ですね。後ろに居らっしゃるのは、博士の助手のルドガー・ゴドウィン博士とレクス・ゴドウィン博士ですね」

「まさか私たちのことまで御存知とは」

「驚きましたね、兄さん」

 

「君がハノイの騎士か。初めまして。私はフェイカー。こっちは助手のバイロン。そして友人の九十九夫妻だ」

「初めまして。ハノイの騎士。バイロン・アークライトです。ハートランドシティの件、本当に感謝してします。ありがとう」

「初めましてお二人方。ハノイの騎士と名乗っている者です。ハートランドシティの件は人として当然のことをしたまでですよ」

「礼儀正しい青年だな。かっとビング精神も溢れているように見える!」

「あかりも彼の様に元気に育って欲しいわね」

 

「おや?何故このパーティ会場に不審者が居るのだ?警備員は何をしているのだ?」

「おやおや?誰かと思えば赤馬社長ではございませんか。ちゃんと靴下は履いてきたのですかな?あのくっそダサいマフラーをお忘れですよ?」

「HAHAHA」

「フフフ」

「…ここで積年の因縁に決着を付けてやろうか?」

「止めておけ。大勢の目の前で恥をかきたくないだろ?」

「ほう…どちらが恥をかくことになるか試してみるか?」

「しゃ、社長!?落ち着いてください!」

 

「あっ、クロ…ハノイの騎士!」

「ハノイの騎士か…」

「久し振りだな。瑠璃。黒咲もな」

「ハートランドシティの件では世話になった。礼を言っておく」

「どういたしまして」

「ユートも会いたがっていたから来れればよかったんだけどね」

「ならせめてこのプリンを土産に持って帰ってやるといい。美味かったぞ。君たちにもお裾分けだ」

「えっ?今何処から出したの?」

「いきなり手元からプリンが現れたように見えたが…」

「トリックだよ」

 

「ハノイ!あの件、考えてくれたか?」

「いえ、私はエンタメデュエルはよく分かりませんので。ズァークさんの相方は別の方をお探しになったほうがよろしいかと思いますよ」

「そっかー。残念だな」

「来年にエンタメプロデビューしそうな榊遊勝氏の息子さん辺りに頼んでみては?」

 

「ハノイの騎士、息子ともども世話になった。君には何とお礼を言えばいいか…」

「気にしないで下さいよ。あの事件は全てあのマッドサイエンティストと鼻野郎のせいですからね」

「いや、こうして私と息子がこうしていられるのは、君や零児君たちのおがげだよ。本当にありがとう」

「本当に気にしないで下さいよ。どうしてもと言うなら、その気持ちの分だけ息子さんや奥さんとの時間をもっと大事にしてあげて下さいね」

「もちろんだ。彼らには迷惑をかけてしまったからね」

 

 何だあの空間は…。色々な意味で近づきたくないぞ…。

 

「あら?ボウヤたち、なにか御用かしら?」

 

 聞き覚えのあるような声がした方を振り返ると、デュエルアカデミアの同級生である藤原雪乃が他のパーティ参加者に声を掛けられているようだ。

 あの参加者たちには見覚えが有るな。確かどの男も政界や経済界で大きな影響力を持つ人物のご子息に当たる奴らだ。親は大物でも子は小物の様だな。ただ、親が大物過ぎて警備員の連中は手が出せないようだ。

 

「ごめんなさいねボウヤ達?私、彼との先約があるの。ボウヤたちはその辺りのワンちゃんとでも遊んでいてね?」

 

 藤原は不敵な笑みを浮かべながらハノイの騎士に寄りかかり、男たちを挑発している。これには流石のハノイも焦っているようだ。

 その後、男達がヒートアップした結果、パーティ会場から見えるデュエルコートで何故かハノイvs男たち3人でのデュエルが始まろうとしていた。

 

「ユーリ、何ターンかかると思う?」

「セレナ、主語が足りないよ。まさかそれはハノイが何ターンもつかって意味かい?」

「馬鹿を言うな。アイツがあんな連中に負けるわけないだろ」

 

「ハノイのデュエルか。久し振りに見れるね」

「ええもんが見れそうやな。城之内、絶対悔しがるでぇ~」

 

『レオン、監視カメラの記録はバックアップする準備できたわよ』

『助かるけど、この場で言わないで欲しいなぁ』

 

『ハノイの騎士、お手並み拝見だな』

『ふふっ、そうですね。…正位置の隠者。このデュエルの結果は見るまでもなさそうですね』

 

『リック、オブライエン。彼の力をよく見ておくといい』

『うん。今後の為に、だよね?』 

『ハートランドシティの英雄の実力、この目で確かめさせてもらおう』

 

「デュエルするならオレとやればいいのに。姉さんもそう思わないか?」

「貴方はプロでしょ。そうそうアマチュアとデュエルなんてできないわよ」

『クリィ~』

 

「なんで彼はいつも騒動の中心に居るのかしら?」

「騒動がある場所に引き寄せられる宿命でも背負っているのかもな」

「あれ、兄さん。見なくていいの?」

「オベリスクフォース三人を瞬殺できる男が、あのような雑魚どもに負けるものか。…確かにこのプリン、美味いな」

 

「社長、見なくてもよろしいのですか?」

「奴による蹂躙ショーに興味など無い」

 

 本来、デュエルとは1vs1、特殊ルールでも2vs2が基本だ。それを1vs3で戦おうなんてことは恐らくプロ1人に対して素人3人が相手でもプロ側が厳しい。

 だが、ハノイの騎士を良く知るデュエリストは誰も奴の敗北を疑っていないようだ。

 

「それはオレもそうだけどな」

 

 あの男と一度でもデュエルしたものならば分かる。あの男の性格は最悪でリスペクト精神の欠片もないが、実力は本物だ。

 あの男がこんなところで負けるはずがない。だが、この状況下であの男がどんなデュエルをするのかだけは気になる。

 

 オレはそう思いながら、モニターに映し出されたデュエルが良く見るように兄さんたちと一緒に移動を開始した。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 雪乃の策略に巻き込まれ、いつの間にかパーティ会場に設置されてあったデュエルリングで1対3の変則マッチをやる羽目になった。手札もLPも増えないってマジ?

 パーティ参加者はほぼ皆がこのデュエルに注目しているようだ。まるでパーティの余興みないな扱いだな。

 

「変な仮面野郎!ボコボコにしてやるぜ!」

「泣かせて命乞いさせてやるぜ」

「覚悟しなよ!」

「対戦、よろしくお願いいたします」

 

 こんな小物相手でも挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆ハノイの騎士 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ボンボンA LP:4000、手札:5枚。

◆ボンボンB LP:4000、手札:5枚。

◆ボンボンC LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰う!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【打ち出の小槌】を発動!手札から3枚デッキに戻してシャッフル!その後、デッキから3ドロー!」

ハノイ 手札:6→5→2→5枚。

 

【打ち出の小槌】

通常魔法

(1):自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけドローする。

 

<ハノイがデッキに戻したカード>

①ワーム・ゼクス

②E・HERO クレイマン

③バブルイリュージョン

 

<ハノイがドローしたカード>

①テラ・フォーミング

②王家の神殿

③処刑人-マキュラ

 

ハラショー!そうだ!それでいい!今この瞬間は力こそが全てだ!

アイツらがどれほどのデュエリストかは知らんが、手札誘発とかは持っていないだろう。勝ったな。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキからフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を手札に加える!」

ハノイ 手札:5→4→5枚。

 

「私は手札から永続魔法【王家の神殿】を発動!」

ハノイ 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【王家の神殿】

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分は罠カード1枚をセットしたターンに発動できる。

(2):自分フィールドの表側表示の「聖獣セルケト」1体とこのカードを墓地へ送って発動できる。

手札・デッキのモンスター1体またはEXデッキの融合モンスター1体を特殊召喚する。

 

「私は手札からカードを伏せる。この伏せたカードは【王家の神殿】の効果によりこのターンに発動できる!」

ハノイ 手札:4→3枚。伏せカード:0→1枚。

 

「なんだと!?」

「ふざけるな!」

「インチキじゃん」

 

「私は伏せた罠カード【トラップトリック】発動!デッキから【チェーン・マテリアル】を除外し、更に別の【チェーン・マテリアル】をデッキからセットする!」

ハノイ 伏せカード:1→0→1枚。

 

【トラップトリック】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「トラップトリック」以外の通常罠カード1枚を除外し、その同名カード1枚をデッキから選んで自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。このカードの発動後、ターン終了時まで自分は罠カードを1枚しか発動できない。

 

「私は伏せた罠カード【チェーン・マテリアル】を発動!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【チェーン・マテリアル】

通常罠

このカードの発動ターンに自分が融合召喚をする場合、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを自分の手札・デッキ・フィールド上・墓地から選んでゲームから除外し、これらを融合素材にできる。

このカードを発動するターン、自分は攻撃する事ができず、この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 

「更に私は手札からフィールド魔法【フュージョン・ゲート】を発動!」

ハノイ 手札:3→2枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【フュージョン・ゲート】

フィールド魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、ターンプレイヤーは手札・自分フィールド上から融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、その融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。

 

「先に宣言しておこう」

「何だよ?」

「サレンダーかぁ?」

「聞こう」

 

「お前たちのターンは回ってこない」

「「「!?」」」

 

「私は【フュージョン・ゲート】の効果により、デッキから【ワーム・ゼクス】、【ワーム・クィーン】、【ワーム・ヤガン】、【ワーム・カルタロス】、【ワーム・バルサス】を除外して融合!現れよ!【ワーム・ゼロ】!」

 

<ハノイのフィールド>

ワーム・ゼロ ★10 ATK?→2500

 

【ワーム・ゼロ】

融合・効果モンスター

星10/光属性/爬虫類族/攻 ?/守 0

「ワーム」と名のついた爬虫類族モンスター×2体以上

このカードの攻撃力は、このカードの融合素材としたモンスターの種類×500ポイントになる。

また、このカードは融合素材としたモンスターの種類によって以下の効果を得る。

●2種類以上:1ターンに1度、自分の墓地の爬虫類族モンスター1体を選択し、裏側守備表示で特殊召喚できる。

●4種類以上:自分の墓地の爬虫類族モンスター1体をゲームから除外して発動できる。フィールド上のモンスター1体を選択して墓地へ送る。

●6種類以上:1ターンに1度、デッキからカードを1枚ドローできる。

 

「デッキから融合!?」

「しかも5体融合だと!?」

「ばんなそかな」

 

「更に私はデッキから【E・HERO フェザーマン】、【E・HERO バーストレディ】、【E・HERO クレイマン】、【E・HERO バブルマン】を除外して融合!現れよ!【E・HERO エリクシーラー】!」

 

<ハノイのフィールド>

ワーム・ゼロ ★10 ATK2500

E・HERO エリクシーラー ★10 ATK2900

 

【E・HERO エリクシーラー】

融合・効果モンスター

星10/光属性/戦士族/攻2900/守2600

「E・HERO フェザーマン」+「E・HERO バーストレディ」+「E・HERO クレイマン」+「E・HERO バブルマン」

このモンスターは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。

このカードが融合召喚に成功した時、ゲームから除外された全てのカードを持ち主のデッキに戻し、デッキをシャッフルする。

相手フィールド上に存在するこのカードと同じ属性のモンスター1体につき、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

 

「またデッキ融合!?」

「今度は4体融合!?」

「だけどまだ先攻1ターン目だ。攻撃できないぞ?」

 

「【E・HERO エリクシーラー】の融合召喚成功時に効果発動!除外されている全てのカードをデッキに戻す!」

 

「私はフィールドの【ワーム・ゼロ】とデッキの【ワーム・ゼクス】、【ワーム・クィーン】、【ワーム・ヤガン】、【ワーム・カルタロス】、【ワーム・バルサス】を除外して融合!現れよ!【ワーム・ゼロ】!」

 

<ハノイのフィールド>

E・HERO エリクシーラー ★10 ATK2900

ワーム・ゼロ ★10 ATK0→3000

 

「6体融合した【ワーム・ゼロ】の効果発動!デッキから1ドロー!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「私は再びデッキから【E・HERO フェザーマン】、【E・HERO バーストレディ】、【E・HERO クレイマン】、【E・HERO バブルマン】を除外して融合!現れよ!2体目の【E・HERO エリクシーラー】!」

 

<ハノイのフィールド>

E・HERO エリクシーラー ★10 ATK2900

ワーム・ゼロ ★10 ATK3000

E・HERO エリクシーラー ★10 ATK2900

 

「【E・HERO エリクシーラー】の融合召喚成功時に効果発動!除外されている全てのカードをデッキに戻す!」

 

「私はフィールドの2体の【E・HERO エリクシーラー】を除外して融合!現れよ!【E・HERO The シャイニング】」

 

<ハノイのフィールド>

ワーム・ゼロ ★10 ATK3000

E・HERO The シャイニング ★10 ATK2600→3200

 

【E・HERO The シャイニング】

融合・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻2600/守2100

「E・HERO」と名のついたモンスター+光属性モンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードの攻撃力は、ゲームから除外されている自分の「E・HERO」と名のついたモンスターの数×300ポイントアップする。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、ゲームから除外されている自分の「E・HERO」と名のついたモンスターを2体まで選択し、手札に加える事ができる。

 

準備完了。さてボンボンども。地獄へ旅立つ準備は出来たかね?

 

~~~ループ開始~~~

 

「私はフィールドの【ワーム・ゼロ】とデッキのワーム5体を除外して【ワーム・ゼロ】を融合召喚!その効果によりデッキから1ドロー!」

ハノイ 手札:3→4枚。

 

<ハノイのフィールド>

E・HERO The シャイニング ★10 ATK3200

ワーム・ゼロ ★10 ATK3000

 

「私はデッキから融合素材の【E・HERO】4体を除外して【E・HERO エリクシーラー】融合召喚!その効果により除外されている全てのカードをデッキに戻す!」

 

<ハノイのフィールド>

E・HERO The シャイニング ★10 ATK3200→2600

ワーム・ゼロ ★10 ATK3000

E・HERO エリクシーラー ★10 ATK2900

 

「私はフィールドの【E・HERO エリクシーラー】と【E・HERO The シャイニング】を除外して【E・HERO The シャイニング】融合召喚!」

 

<ハノイのフィールド>

ワーム・ゼロ ★10 ATK3000

E・HERO The シャイニング ★10 ATK3200→2600

 

~~~ループ終了。ループ開始に戻る~~~

 

「「「無限ループによる無限ドロー!?」」」

 

ハノイ 手札:4→5→6→ … 省略 … →20枚。

 

「この瞬間!手札の5枚のエクゾディアパーツが全て揃った!」

「「「エクゾディア!?」」」

 

 俺は手札を公開し、エクゾディアパーツが全て揃っていることをボンボンどもにに見せつけてやった。

 

【封印されしエクゾディア】

効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000

このカードと「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」が手札に全て揃った時、自分はデュエルに勝利する。

 

「【封印されしエクゾディア】の5枚のエクゾディアパーツが全て手札に揃った瞬間、揃えたプレイヤーの特殊勝利が確定する。私の勝ちだ!」

「「「ふざけんなぁぁぁ!」」」

 

いやぁ、愉悦!負け犬の遠吠えを聞くのは気持ちいいっすねぇ!スカッとするぜ!

 

「現れよ【封印されしエクゾディア】!そして放て!怒りの業火 エクゾード・フレイム!!」

「「「うわぁぁぁぁ!」」」

 

 俺の前に五つのカードが現れ、それぞれを光の線が結び、その中央から封印されしエクゾディアの上半身が現れる。

 エクゾディアが放った膨大な熱量はボンボンたちを飲み干していった。

 

世に平穏のあらんことを…なんてな。

 

 

「対戦、ありがとうございました」

 

 

 流石にこんなのやらかした後に会場に戻る勇気は俺には無い。ペガサス会長には後で詫びを入れておこう。一応、義理は果たしたはずだ。

 破滅の光の正体は予想通りだったな。あの斎王を放置するのは問題だけど、アニメと違って彼が破滅の光の本体を宿しているかどうかの確証が持てない。今すぐ彼を倒しても破滅の光の元凶に隠れられたら元も子もない。今は対処できそうにないな。

 ユベルっぽい魔力の源はまだ見つけていないんだが、何処に居たんだろうな。リックが生存している以上はコブラがユベルと共謀している可能性はかなり低い。となると…分からん。

 一応、セレナや瑠璃たちには怪しい人に付いて行かない様に注意しておくか。

 

 俺は地面にヨツンヴァインになってピクピクしているボンボンどもを放置し、セレナたちに連絡を取った後に会場を後にした…。




前世の夢に関しては特にストーリー上で重要なことは有りません。彼らの名前の由来は関西の路線図を参考にしました。

セブンスターズやら三幻魔やらが解決したので、オリ主はしばらくは平和を満喫できることでしょう。多分きっと。

オリ主のデッキは【マテリアル1キル】です。派生は数多くある物から、今回は手動無限ループドローによる【封印されしエクゾディア】先攻1ターン目召喚パターンにしました。またエクゾかよって思われた方にはすいません。

次回の更新は6/5(土) AM6:00投定です。

終焉齎す王様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十六話 夏休み2

前回のあらすじ:はいはい、エクゾエクゾ。

今回の対戦カードはオリ主とモブです。


 夏休み中の七月下旬、紬と先日約束した和菓子の美味しい店を教えてもらうという件を果たすついでに、俺はツァンや紬と一緒に京都へ観光へやって来ていた。

 新幹線代の往復は地味に財布へのダメージが大きいのだが、元から残っていた貯金に加えてアカデミアでのアルバイト代がそこそこ入ったから何とかなって良かった。

 ツァンや紬は良いところのお嬢様のようで、お小遣いと言う名の大金を持っているのでそれほどの出費ではないらしい。しかも普段からそれほど使わないことのでそこそこ溜まっているとのこと。羨ましい話だ。

 

「へぇ~。ここが京都かぁ。ボクは初めて来たなぁ」

 

 青を基調とした薄手の服装(キャミソールって言うんだっけ?)のツァンが駅から出て周囲を見回している。

 京都とか修学旅行とかで来そうなものだが、彼女が通っていた小・中学校では行かなかったらしい。新幹線の乗っている間に聞いたが、彼女の修学旅行は北海道とか九州に行ったらしい。それはそれで羨ましいよな。グルメ巡りとかして見たいぜ。

 

「昔ながらの町並みでございますね」

 

 白のワンピースに麦わら帽子と言うお嬢様スタイルな紬がツァンと並んで歩いている。

 最近は体調も良いらしく、出会った頃の様にいきなり倒れたりよろめいたりすることは無くなっている。以前渡したネックレスにはいわゆるリジェネレーションも搭載しているので、案外この効果が上手く彼女に作用しているのかもしれないな。

 

「俺は何度か来たことがあるけれど、何度来てもあまり変わらない感じで懐かしいな」

 

 白いTシャツにジーンズと言うオシャレの欠片もない俺は彼女たちの少し後を歩いている。

 ツァンたちと並んで歩いているとそこそこの確率で変な連中に絡まれるのでその対策だ。仮に絡まれてもいつものように全員に腹パンして路地裏に捨てるだけなんだけどさ。

 

 俺達は駅を出てから道なりに続く周囲の木造の建屋を眺めながら、有名な寺や観光地をのんびりと巡り歩いた。真夏の熱気なんて水の魔術を使えば春の陽気程度に緩和することも容易なので、手持ちの飲料水だけでも熱中症対策も万全だ。

 観光の途中に休憩を兼ねて飲食店に入って軽めの昼食中に、俺は他の店内の観光客から羨望と嫉妬の視線に晒されていた。理由は簡単。他人から見れば両手に華に見えるわけだ。

 

ふふふっ、羨ましいか?羨ましかろう?だが残念。彼女たちは町ですれ違えば振り返ってしまうような美少女だが、ただの異性の友達であってそんなに羨ましがられるほどの関係には至っていないんだよなぁ。

 

 昼食を終えてから観光名所をあらかた巡り終えた頃におやつの時間となったので、今回のメインイベントである和菓子屋へとやって来た。

 

「ここがそうなの?」

「はい。昔から両親と一緒に良く訪れていた和菓子屋さんで、近所でも美味しいと評判なんですよ?」

「それは楽しみだな」

 

 2階建ての木造の店の暖簾をくぐり、店員に座敷席まで案内を受けた俺達の前に置かれたお品書きには何種類もの和菓子が記されていた。

 

「お勧めとかはあるのか?」

「この店の和菓子はどれも美味しいですが特に餡子はとても絶品ですから、それらを選ぶのがお勧めでございますね」

「う~ん、迷っちゃうなぁ」

 

 その後、値段が手ごろと言うこともあって色々と注文してみたが、どれも非常に美味かった。

 栗きんとんやおはぎ、ぜんざいやちまきなどの定番物から、季節限定と記された柔らかいお餅をあんこで包んだ饅頭やあずきの美味しさと滑らかな口触りの羊羹など、確かにこの店はお勧めしたくなるな。

 

「結構食べたな」

「もう一年分くらい食べたよ!美味しかった~」

「ふふっ、そう言っていただけると何よりでございますね」

 

 食後にと出されたお茶を頂きながら、今日食べた和菓子のカロリーについて考えてみた。俺は日常的に精霊界でそこそこ激しい運動をしているから問題ないのだが、彼女たちはその辺りに気を使っていないのだろうか?

 リンは時々食べ過ぎた後に洗面所にある体重計に乗った時にはなかなか愉快な声を出した後に数日ほど食事の量を控えたりしていたな。逆にセレナはどれだけ食べても普段から運動しているのでそれほど気にならないらしい。

 

「あっ、ほら。ここでもJRDGのニュースやってるよ」

「おっ、ホントだ」

「日本最大のイベントですからね」

 

 ツァンが指さす方向には店内に設置されているテレビがあり、そこにはJRDGで使用されるデュエルサーキットが映し出されていた。暑苦しいリーゼントの漢アナウンサーとやたら露出度が高い服を着たチアガールお姉さんたちがJRDGの説明を行っているようだ。

 

「そういや、君らはJRDGを会場に見に行きたいと思わないのか?」

「ん~。ボクは別にいいかなぁ。人混みとか嫌いなんだよね。家で家族と一緒にテレビで見るかな」

「私も同じですね。人混みに飲まれてしまうと酔ってしまいそうになりますからね」

「そっかー」

 

 それは残念だな。2人分くらいの入場チケットなら何とでも入手する方法はあるのだが、彼女たち自身が乗り気でないのなら無理に誘わなくても良いだろう。明日香たちに同じような話をしたら食い入るように問い詰められたものだがな。

 

「さて、そろそろお土産を選ぼうかな」

「そうだね。お父さんたちへのお土産はどれにしようかな?」

「こちらのセット辺りが人気ですね」

「饅頭のセットか。確かに美味しそうだ」

 

 食後の一服中にシスター達やセレナたちにお土産を選んでいると、ユニークなお土産を発見した。

 

「一日チャレンジ5回限定、店長にデュエルで勝利すれば限定のお土産をプレゼント?面白そうだな」

「確かに。他のお土産には無いラインナップだね」

「ここの店長さんは昔プロデュエリストを目指していたらしく、デュエルが非常に強いそうですよ」

 

 聞けばこの店長とのデュエルに勝利したチャレンジャーは殆どいないらしいが、そんなことは問題ではない。ここに掛かれている限定のお土産にも興味が湧いたし、何よりタダと言うのが良い。

 早速俺は店員に声を掛けてチャレンジに挑戦する旨を伝えると、1分も経たない間に店の奥から店員に連れられて店長らしき黒髪の美女がやって来た。ちょっと紬に似ているな。草ポ〇モンのジムリーダーをやっていそうな着物美人だな。

 

「はあーい…今日も良いお天気ですね。気持ちいい…すー…すー」

「店長、起きて下さい」

「あらいけない。寝てしまったわ。ようこそお客様。私がこの店の店長です。お花を活けるのと和菓子を作るが趣味で、趣味が高じてこの店を経営することになりました」

 

マイペースな人だなぁ。

 

「店長、チャレンジャーですよ。なんでもデュエルアカデミアの学生さんみたいですよ」

「あらやだ。試合の申し込みですの?そんな、私負けませんわよ?」

 

とぼけた人だが、デュエルの腕に関する自信はあるみたいだな。

 

「チャレンジャーのお客様、チャレンジデュエルは地下のデュエルリングで行いますので、準備が出来たらそちらの階段からデュエルリングへお越しください。では私たちはお先にデュエルリングでお待ちしております。さぁ、店長。行きますよ」

「はあーい」

 

 そう告げると、彼らは店の奥にある階段から地下に向かった。彼らに続き、俺達も地下に向かう。

 

「うわぁ、広いねー」

「この店の地下にこれほどのデュエルリングがあるとは存じ上げませんでした」

「デュエルアカデミアの旧特待生寮にあったデュエルリングと大差ない大きさだぞ」

 

 地下には和菓子屋に有るとは思えないサイズのデュエルリングが設置されており、対面には既にデュエルディスクを構えた女店長がスタンバイしていた。

 

「じゃ、行ってくる」

「負けんじゃないわよ!」

「頑張ってくださいね」

「任せろ任せろ」

 

 デュエルリングに上がり、デュエルディスクを腕に装着する。流石にデュエルアカデミアのデュエルディスクは孤児院に置いて来てあるので、去年購入したセレナと同型の剣型デュエルディスクだ。

 

「珍しい形のデュエルディスクですね」

「舞網市に売っている市販品ですよ」

 

 カミューラたちのような闇のデュエリストは自作したのかと問いたくなるような専用デュエルディスクを装着していたが、俺のは市販品だ。性能も耐久性もかなり良い方だから問題ない。

 

~~~

 

「さて、そろそろ始めましょうか」

「対戦、よろしくお願いいたします」

「えぇ。こちらこそ対戦よろしくお願いいたしますわ」

 

挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆女店長 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は貰いますね。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

女店長 手札:5→6枚。

 

「私は手札から速攻魔法カード【手札断殺】を発動しますわ。お互いに手札から2枚墓地に送り、デッキから2ドローしますわ。」

女店長 手札:6→5→3→5枚。

 

<女店長が墓地に送ったカード>

①アロマージ-カナンガ

②アロマージ-ベルガモット

 

クロト 手札:6→4→6枚。

<クロトが墓地に送ったカード>

①水晶機巧-クオン

②レベル・スティーラー

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動しますわ。デッキからフィールド魔法【アロマガーデン】を手札に加えますわ」

女店長 手札:5→4→5枚。

 

「そして私は手札からフィールド魔法【アロマガーデン】を発動しますわ」

女店長 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【アロマガーデン】

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドに「アロマ」モンスターが存在する場合に発動できる。自分は500LP回復する。この効果の発動後、次の相手ターン終了時まで自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

(2):自分フィールドの「アロマ」モンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分は1000LP回復する。

 

「【アロマガーデン】か。【アロマ】デッキだろうね」

「確か、自身と相手のLPに関する効果を多く持ったカードが多いデッキでしたね」

 

ちなみに【魔封じの芳香】を中心としたデッキ【アロマ・コントロール】も存在するが、このデッキとは別物だぞ。

 

「私は手札から【アロマージ-ジャスミン】を召喚しますわ」

女店長 手札:4→3枚。

 

<女店長のフィールド>

アロマージ-ジャスミン ★2 ATK100

 

【アロマージ-ジャスミン】

効果モンスター

星2/光属性/植物族/攻 100/守1900

(1):自分のLPが相手より多く、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「アロマージ-ジャスミン」以外の植物族モンスター1体を召喚できる。

(2):1ターンに1度、自分のLPが回復した場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「そして私は【アロマガーデン】の効果を発動しますわ。500LP回復!」

女店長 LP:4000→4500

 

<女店長のフィールド>

アロマージ-ジャスミン ★2 ATK100→600

 

「ここで【アロマージ-ジャスミン】の効果発動。デッキから1ドローしますわ」

女店長 手札:3→4枚。

 

「更に【アロマージ-ジャスミン】の効果発動。手札から【ローンファイア・ブロッサム】を召喚しますわ」

女店長 手札:4→3枚。

 

<女店長のフィールド>

アロマージ-ジャスミン ★2 ATK600

ローンファイア・ブロッサム ★3 ATK500→1000

 

【ローンファイア・ブロッサム】

効果モンスター

星3/炎属性/植物族/攻 500/守1400

(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「【ローンファイア・ブロッサム】の効果発動。自身をリリースしてデッキから【アロマージ-ローズマリー】を特殊召喚しますわ」

 

<女店長のフィールド>

アロマージ-ジャスミン ★2 ATK600

アロマージ-ローズマリー ★4 ATK1800→2300

 

【アロマージ-ローズマリー】

効果モンスター

星4/水属性/植物族/攻1800/守 700

(1):自分のLPが相手より多く、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の植物族モンスターが攻撃する場合、ダメージステップ終了時まで相手はモンスターの効果を発動できない。

(2):1ターンに1度、自分のLPが回復した場合、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。そのモンスターの表示形式を変更する。

 

「私は手札から永続魔法【超栄養太陽】を発動しますわ。【アロマージ-ジャスミン】をリリースし、デッキから【スポーア】を特殊召喚しますわ」

女店長 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【超栄養太陽】

永続魔法

(1):自分フィールドのレベル2以下の植物族モンスター1体をリリースしてこのカードを発動できる。リリースしたモンスターのレベル+3以下のレベルを持つ植物族モンスター1体を、手札・デッキから特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

<女店長のフィールド>

アロマージ-ローズマリー ★4 ATK2300

スポーア ★1 DEF800→1300

 

【スポーア】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/植物族/攻 400/守 800

このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地からこのカード以外の植物族モンスター1体を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードのレベルは除外したモンスターのレベル分だけ上がる。

 

「私はレベル4【アロマージ-ローズマリー】にレベル1【スポーア】をチューニング!シンクロ召喚!お出でなさい!【アロマセラフィ-ローズマリー】!」

女店長 永続魔法:1→0枚。

 

<女店長のフィールド>

アロマセラフィ-ローズマリー ★5 ATK2000→2500→3000

 

【アロマセラフィ-ローズマリー】

シンクロ・効果モンスター

星5/光属性/植物族/攻2000/守 900

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):自分のLPが相手より多く、このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの植物族モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

(2):1ターンに1度、自分のLPが回復した場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動する。そのカードの効果をターン終了時まで無効にする。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドですわ」

女店長 手札:2→0枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆女店長 LP:4500、手札:0枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<女店長のフィールド>

アロマセラフィ-ローズマリー ★5 ATK2000→2500→3000

 

 

いきなりハンドレスか。【アロマ】デッキ、見たところそこまでカードプールは潤って居なさそうだな。なら伏せカードは【潤いの風】か【渇きの風】辺りかな?

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

それにしても、良いシンクロモンスターだな!少し借りるぞ!

 

「俺は手札から魔法カード【精神操作】を発動する!【アロマセラフィ-ローズマリー】のコントロールを頂いて行く!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【精神操作】

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

 

「っ!リバースカードオープン!【デストラクト・ポーション】発動!【アロマセラフィ-ローズマリー】を破壊してその攻撃力分のLPを回復しますわ!」

女店長 伏せカード:2→1枚。

 

【デストラクト・ポーション】

通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

チェーン②デストラクト・ポーション

チェーン①精神操作 ※対象を失い、不発。

 

女店長 LP:4500→7500

 

「LPが一気に回復してしまいましたね」

「でもモンスターが居なくなったよ。伏せカードもあと1枚。そして白河のあのデッキは恐らく…」

 

「俺は手札から永続魔法【異次元海溝】を発動!墓地の【水晶機巧-クオン】を除外!」

クロト 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【異次元海溝】

永続魔法

このカードの発動時に、自分の手札・フィールド上・墓地の水属性モンスター1体を選んでゲームから除外する。その後、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊された時、このカードの効果で除外したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「俺は手札から永続魔法【ウォーターハザード】を発動!」

クロト 手札:4→3枚。永続魔法:1→2枚。

 

【ウォーターハザード】

永続魔法

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「【ウォーターハザード】の効果により、俺は手札から【水晶機巧-シストバーン】を特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-シストバーン ★3 DEF1500

 

【水晶機巧-シストバーン】

効果モンスター

星3/水属性/機械族/攻1500/守1500

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、デッキから「クリストロン」チューナー1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族SモンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「水晶機巧-シストバーン」以外の「クリストロン」モンスター1体を手札に加える。

 

「【水晶機巧-シストバーン】の効果発動!【異次元海溝】を破壊してデッキから【水晶機巧-シトリィ】を特殊召喚!」

クロト 永続魔法:2→1枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-シストバーン ★3 DEF1500

水晶機巧-シトリィ ★2 DEF500 ※チューナー

 

【水晶機巧-シトリィ】

チューナー・効果モンスター

星2/水属性/機械族/攻 500/守 500

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに、チューナー以外の自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、そのモンスターとこのカードのみを素材として機械族Sモンスター1体をS召喚する。その時のS素材モンスターは墓地へは行かず除外される。

 

「このモンスターは相手ターンにシンクロ召喚することが出来る」

 

「相手ターンにシンクロ召喚するモンスター!?」

 

「更に俺は破壊された【異次元海溝】を発動!除外されていた【水晶機巧-クオン】を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-シストバーン ★3 DEF1500

水晶機巧-シトリィ ★2 DEF500 ※チューナー

水晶機巧-クオン ★1 DEF500 ※チューナー

 

【水晶機巧-クオン】

チューナー・効果モンスター

星1/水属性/機械族/攻 500/守 500

「水晶機巧-クオン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。手札からチューナー以外のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚し、そのモンスターとこのカードのみを素材として機械族Sモンスター1体をS召喚する。

 

「俺はレベル3【水晶機巧-シストバーン】1体にレベル2【水晶機巧-シトリィ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル5【水晶機巧-アメトリクス】!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

水晶機巧-クオン ★1 ATK500 ※チューナー

 

【水晶機巧-アメトリクス】

シンクロ・効果モンスター

星5/水属性/機械族/攻2500/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚された表側表示モンスターを全て守備表示にする。

(2):S召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、Sモンスター以外の自分の墓地の「クリストロン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「俺は手札から【チューニング・サポーター】を通常召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

水晶機巧-クオン ★1 ATK500 ※チューナー

チューニング・サポーター ★1 ATK100

 

【チューニング・サポーター】

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 100/守 300

(1):フィールドのこのカードをS素材とする場合、このカードはレベル2モンスターとして扱う事ができる。

(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「俺は手札から魔法カード【機械複製術】を発動!デッキから【チューニング・サポーター】を2体特殊召喚!」

クロト 手札:1→0枚。

 

【機械複製術】

通常魔法

(1):自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスター1体を対象として発動できる。デッキからその表側表示モンスターの同名モンスターを2体まで特殊召喚する。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

水晶機巧-クオン ★1 ATK500 ※チューナー

チューニング・サポーター ★1 ATK100

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

 

「俺はレベル1【チューニング・サポーター】2体と効果でレベル2として扱う【チューニング・サポーター】1体にレベル1【水晶機巧-クオン】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル5【アクセル・シンクロン】!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

アクセル・シンクロン ★5 DEF2100

 

【アクセル・シンクロン】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星5/闇属性/機械族/攻 500/守2100

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分は「アクセル・シンクロン」を1ターンに1度しかS召喚できない。

(1):1ターンに1度、デッキから「シンクロン」モンスター1体を墓地へ送り、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●墓地へ送ったそのモンスターのレベル分だけ、このカードのレベルを上げる。

●墓地へ送ったそのモンスターのレベル分だけ、このカードのレベルを下げる。

(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

チェーン③チューニング・サポーター

チェーン②チューニング・サポーター

チェーン①チューニング・サポーター

 

「俺は【チューニング・サポーター】3体の効果発動!デッキから3ドロー!」

クロト 手札:0→1→2→3枚。

 

「更に俺は【アクセル・シンクロン】の効果発動!デッキから【ジェット・シンクロン】を墓地に送って自身のレベルを1上げる!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

アクセル・シンクロン ★5→6 DEF2100

 

「俺は手札から魔法カード【シンクロキャンセル】を発動!【アクセル・シンクロン】をEXデッキに戻し、そのシンクロ召喚素材一組をフィールドに特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

【シンクロキャンセル】

通常魔法

(1):フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。そのSモンスターを持ち主のEXデッキに戻す。その後、EXデッキに戻したそのモンスターのS召喚に使用したS素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールドに特殊召喚できる。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

水晶機巧-クオン ★1 ATK500 ※チューナー

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

 

「俺はレベル1【チューニング・サポーター】にレベル1【水晶機巧-クオン】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル2【フォーミュラ・シンクロン】!」

 

<クロトのフィールド>

チューニング・サポーター ★1 DEF300

チューニング・サポーター ★1 DEF300

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

フォーミュラ・シンクロン ★2 DEF1500 ※チューナー

 

【フォーミュラ・シンクロン】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星2/光属性/機械族/攻 200/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

 

チェーン②フォーミュラ・シンクロン

チェーン①チューニング・サポーター

 

「俺は【フォーミュラ・シンクロン】の効果発動!デッキから1ドロー!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「更に俺は【チューニング・サポーター】1体の効果発動!デッキから1ドロー!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺はレベル1【チューニング・サポーター】2体にレベル2【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル4【水晶機巧-クオンダム】!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500

水晶機巧-クオンダム ★4 ATK1800 ※チューナー

 

【水晶機巧-クオンダム】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星4/水属性/機械族/攻1800/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。

(2):S召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、Sモンスター以外の自分の墓地の「クリストロン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

チェーン②チューニング・サポーター

チェーン①チューニング・サポーター

 

「俺は【チューニング・サポーター】2体の効果発動!デッキから2ドロー!」

クロト 手札:4→5→6枚。

 

「俺は手札からフィールド魔法【クリスタルP】を発動!」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2500→2800

水晶機巧-クオンダム ★4 ATK1800→2100 ※チューナー

 

【クリスタルP】

フィールド魔法

(1):自分フィールドの「クリストロン」モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):自分・相手のエンドフェイズに発動できる。

このターン自分がS召喚した「クリストロン」Sモンスターの数だけ、自分はデッキからドローする。

 

「バトルフェイズに移行。【水晶機巧-クオンダム】でダイレクトアタック!」

 

水晶機巧-クオンダム ATK2100

 

「くっ!」

女店長 LP:7500→5400

 

「続いて【水晶機巧-アメトリクス】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!【ドレインシールド】発動!【水晶機巧-アメトリクス】の攻撃を無効にしてその攻撃力分のLPを回復しますわ!」

女店長 伏せカード:1→0枚。

 

【ドレインシールド】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ自分はLPを回復する。

 

「チェーンして手札から速攻魔法【禁じられた聖槍】を発動。【水晶機巧-アメトリクス】の攻撃力を800下げることで他の魔法・罠カードの効果を受けない!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【禁じられた聖槍】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

チェーン②禁じられた聖槍

チェーン①ドレインシールド ※対象が罠カードの効果を受けない。

 

水晶機巧-アメトリクス ★4 ATK2800→2000

 

「あぁっ!」

女店長 LP:5400→3400

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズに【クリスタルP】の効果を発動!俺がクリストロンシンクロモンスターをシンクロ召喚した回数は2回!よってデッキから2ドロー!」

クロト 手札:2→4枚。

 

「そしてこのタイミングで【水晶機巧-アメトリクス】のダウンしていた攻撃力は元に戻る」

 

水晶機巧-アメトリクス ★4 ATK2000→2800

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:4枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-アメトリクス ★5 ATK2800

水晶機巧-クオンダム ★4 ATK2100 ※チューナー

 

vs

 

◆女店長 LP:3400、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<女店長のフィールド>

モンスター無し

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!…くっ!」

女店長 手札:0→1枚。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドですわ」

女店長 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに入る前に俺はシンクロ召喚させてもらおうか!」

 

「本当に相手ターンにシンクロ召喚しますのね…!」

 

「レベル5【水晶機巧-アメトリクス】にレベル4【水晶機巧-クオンダム】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル9【水晶機巧-フェニキシオン】!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-フェニキシオン ★9 ATK2800

 

【水晶機巧-フェニキシオン】

シンクロ・効果モンスター

星9/水属性/機械族/攻2800/守2000

Sモンスターのチューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。相手のフィールド・墓地の魔法・罠カードを全て除外する。

(2):S召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、このカード以外の自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する

 

「【水晶機巧-フェニキシオン】の効果発動!相手のフィールド・墓地の魔法・罠カードを全て除外する!」

 

「なっ!?そんな!?」

女店長 伏せカード:0→1枚。フィールド魔法:1→0枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:4 枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-フェニキシオン ★9 ATK2800

 

vs

 

◆女店長 LP:3400、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:0枚。

 

<女店長のフィールド>

モンスター無し

 

相手には手札無し、モンスター無し、フィールド・墓地に魔法・罠カード無し。終わりだな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚。

 

「俺は墓地の【レベル・スティーラー】の効果を発動!【水晶機巧-フェニキシオン】のレベルを1つ下げて自身を墓地から特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

水晶機巧-フェニキシオン ★9→8 ATK2800

レベル・スティーラー ★1 ATK600

 

【レベル・スティーラー】

効果モンスター

星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、アドバンス召喚以外のためにはリリースできない。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

「バトルフェイズに移行。【レベル・スティーラー】でダイレクトアタック!」

 

レベル・スティーラー ATK600

 

「うっ!」

女店長 LP:3400→2800

 

「バトルフェイズに移行。【水晶機巧-フェニキシオン】でダイレクトアタック!」

 

水晶機巧-フェニキシオン ATK2800

 

「あぁぁぁぁっ!」

女店長 LP:2800→0

 

 

 「参りましたわ。流石、デュエルアカデミアの学生はお強いですわ」

 「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 その日の夜、お土産をシスターたちとセレナたちに渡して夕食を摂った後、俺は精霊界へとやって来ていた。

 

「食らえ!エメラルドス〇ラッシュ!」

「水のある場所でもこの程度の水遁を…(笑)」

「笑うなぁ!」

『リューン!』

 

 いつものようにプチリュウと共に待ち人を待っている間に水の魔術の訓練をしていると、久し振りにアクエリアが訓練を手伝ってくれると言うので見て貰ったのだが、案の定からかいに来ただけの様だった。

 確かに目の前に湖があるのにも関わらず数十秒かけて野球ボールサイズの水球を30発ほど打ち出す程度ではこの精霊界では生き残れないのは事実なのだが、この娘は本当に性格悪いな、慣れたけどさ。ちなみに、エメラルドス〇ラッシュもどきはアクエリアに2秒で全て消された。

 その後、見本を見せてやるとばかりにアクエリアが見せてきたのは、瞬時に発動するゲートオブバ〇ロン並の数(300くらい?)の全長10mの氷の槍による絨毯爆撃だった。それらが発射された数秒後、近くの森が消し飛んだ。これと一緒にされたらそりゃ笑われるわ。これで攻撃力1600とか詐欺だろ。

 

「やぁ、待たせたかな?」

「いや、そこまで待ってないから問題ないよ」

 

 俺が実力の差を見せつけられて凹んでいるとお目当ての人物、緑色の髪をポニーテールにした魔術師の少女である風霊使いウィンとその相棒のプチリュウがやって来た。彼女が連れているプチリュウは、俺のプチリュウとは別個体だ。

 そう、俺は今、以前から水霊使いエリアを経由して頼んであった憑依装着の技術を教わっている最中なのだ。

 

「ボクももう何度言ったか分からないけれど、クロトは本当に魔術の才能無いよね」

『プチ~!』

「俺ももう何度聞いたか分からないな。他の精霊からもほぼ同じことを言われるんでね」

『リュ~ン!』

「それでよく修行を続ける気になるよね。その根気だけは凄いと思うよ」

「誉められている、でいいのか?」

「うん」

「ならいいや」

 

 今更だが俺には魔術の才能は皆無らしく、どれだけ師匠が優れていて俺がどれだけ鍛錬に精を出しても一流には程遠い実力しか身に着けることは出来ていない。憑依装着の修行を開始した直後のウィンの憐みの視線はかなり堪えた。

 セレナなんかは数か月で幾つもの魔術を習得しているらしく、既に数年修行している俺よりも魔術のレパートリーは多いくらいだ。才能の差って残酷だよな。妬んでも俺の実力は変わらないので、俺は俺のペースでやるしかないのが辛いところだ。

 

「そもそも、俺はカードの精霊の力を借りなければ空を飛ぶことも身を隠すこともできないからな。俺一人で出来るのは水遊びと馬鹿にされる程度の水の魔術とせいぜい岩を砕ける程度の闇の魔術、忍者ごっこに使えそうな程度の身体強化魔術くらいだな」

「そのくらいなら精霊界なら大多数の精霊が出来そうだよね。…うん、最低限の憑依装着は出来るようになったみたいだね。おめでとう」

「ようやく第一歩前進って所か」

『リュリューン!』

 

 ウィンが言うように、一応は憑依装着は成功している。俺の目の前にいた【プチリュウ】は【ランリュウ】へとその姿を変えている。

 だが、これは最低限なのだ。ちゃんと成功している憑依装着であれば、プチリュウの姿はウィンの隣にいる【憑依覚醒-ラセンリュウ】と同じ姿を取っているはずだからだ。つまり、あと一段階変身を残しているわけだな。

 俺の後ろではアクエリアがこちらを見てニヤニヤしていたり、ホーリー・エルフが残念な物を見るような眼でこちらを見てきているが、無視しよう。他の精霊たちはこちらの様子を時々見ながら人間界から持って来たUNOをやっているようだ。君ら、それ好きだよな。

 

「エリアから頼まれているからね。君の根気が続く限りはボクも訓練に付き合うよ」

「助かる」

 

なに、今までの魔術の習得も数年かかることは良くあることだったんだからな。ウィンに匙を投げられない限りは訓練を続けていけばいいさ。

 

 俺はそう自身を激励しつつ、憑依装着の訓練を続けるのだった…。




オリ主のデッキは【クリストロン】です。水属性・機械族のクリストロンを中心とした相手ターンにシンクロ召喚することが特徴的なコントロール色が強いデッキです。

女店長のデッキは【アロマ】です。ライフを回復したり自分のライフが相手のライフを上回っている場合に使用できる効果を持っているカードが多いデッキです。デュエルリンクスだと無課金でも作りやすいデッキなので、あのゲームのプレイヤーになら知名度は高そうですね。

次回の更新は6/12(土) AM6:00予定です。

Skazka Priskazka様、玄鹿様、終焉齎す王様、gsころりん様、白銀神雅魅様、a-22様、ゆゆっち様、二元論様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十七話 夏休み3

前回のあらすじ:何、相手ターンにシンクロ召喚するだと!?

今回の対戦カードは遊戯王DMペガサス・J・クロフォードと遊戯王ZEXALの北野右京(幼)です。


 夏休みも中盤となる8月上旬、昼食を食べ終えたユートとリンは外出した。デートだってよ。羨ましい限りである。俺もデュエルアカデミアを無事に卒業できたらら彼女とか探したいな。

 ユーゴと入れ替わるように遊びにやって来たセレナと何度かデュエルし終えた後、孤児院のリビングのテレビで一緒にデュエル大会の生中継映像を見ることにした。今日はハートランドシティで行われているデュエル大会の中継があるらしいからな。

 テレビの向こうでは大会は既に決勝戦まで進んでおり、デュエルコートにはハートランドシティ出身の小学校低学年くらいの少年と凄い見覚えのある高校生くらいの青年が対峙していた。片方は鈴木じゃん。何やってるんだアイツ。

 

『行け!【スーパーバグマン】!【大地の騎士ガイアナイト】に攻撃です!』

『攻撃力0のモンスターで攻撃?【大地の騎士ガイアナイト】の方が攻撃力は遥かに上だぜ?』

『【スーパーバグマン】はフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上に表側攻撃表示で存在する全てのモンスターの攻撃力・守備力を入れ替えます!』

『なん…だと…?』

 

 相手のバグマン使いの少年、北野右京君は幼いとはいえアニメZEXALでのネームドキャラクターだ。鈴木はウチの地元でもそこそこ強い方だが、これは負けたな。合掌。

 

スーパーバグマン ATK0→3000

vs

地天の騎士ガイアドレイク ATK2600→800 

 

『うわぁぁぁ!』

鈴木 LP:1800→0

 

 右京少年の呼び出した黒い巨大な悪魔が鈴木のフィールドの騎士をぶん殴って鈴木のLP削り取り、勝利を手にしたようだ。

 

「鈴木の奴、小学生に負けたのか」

「私には、鈴木はあの少年の戦術に終始翻弄されているように見えたから、鈴木が弱いんじゃなくてあの少年が強かっただけだと思うぞ」

 

 デュエル後、一礼してデュエルコートを立ち去る鈴木に駆け寄って慰めているのは高橋先輩か。鈴木の奴、抱きかかえられながら頭を撫でられてプルプルしてやがる。羨ま…けしからん!

 ラブコメは他所でやって欲しいね。ムカついたので絶対に後で小学生に負けた件でメッセージ送ってからかっておこう。

 

「あれ?デュエルコートにまた誰か出てきたぞ?」

「クロト、聞いてなかったのか?決勝戦が終わったから、これから決勝戦の勝者のあの少年とゲストとのエキシビションマッチがあるみたいだぞ?」

 

 全く聞いていなかった。しかもゲストはI2社のペガサスのようだ。

 あのトゥーンデッキで小学生とガチでやると全国放送のテレビ中継で少年の公開処刑が始まることになりかねないが、そこはペガサスが上手くやるだろう。

 

『右京ボーイ!大会優勝、おめでとうございマース!』

『ありがとうございます!ペガサス会長!』

 

 ペガサス会長が右京少年を激励し、右京少年が感謝を述べる。そして、少しの雑談を挟んだ後にエキシビションマッチが始まろうとしていた。

 

『両者、指定位置に移動してください』

『ペガサス会長!対戦、よろしくお願いします!』

『こちらこそ、よろしくお願いしマース!』

 

 

『『デュエル!』』

 

 

◆ペガサス・J・クロフォード LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆北野右京 LP:4000、手札:5枚。

 

 

『ボクの先攻です!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

右京 手札:5→6枚。

 

『ボクは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動します!デッキから2枚ドローし、手札から【キラー・トマト】を除外します!』

右京 手札:6→5→7→6枚。

 

『ボクは手札から【バグマンX】を通常召喚します!』

右京 手札:6→5枚。

 

<右京のフィールド>

バグマンX ★3 ATK0

 

【バグマンX】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻 0/守2000

このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に「バグマンY」が表側表示で存在する場合、自分のデッキから「バグマンZ」1体を特殊召喚する事ができる。

 

『そしてボクは魔法カード【二重召喚】を発動します!』

右京 手札:5→4枚。

 

【二重召喚】

通常魔法

(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

『ボクは手札から【バグマンZ】を通常召喚します!』

右京 手札:4→3枚。

 

<右京のフィールド>

バグマンX ★3 ATK0

バグマンZ ★3 ATK0

 

【バグマンZ】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻 0/守1500

このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に「バグマンX」が表側表示で存在する場合、自分のデッキから「バグマンY」1体を特殊召喚する事ができる。

 

『【バグマンZ】の効果発動!デッキから【バグマンY】を特殊召喚します!』

 

<右京のフィールド>

バグマンX ★3 ATK0

バグマンZ ★3 ATK0

バグマンY ★3 ATK0

 

【バグマンY】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1400/守1600

このカードが召喚に成功した時、自分フィールド上に「バグマンZ」が表側表示で存在する場合、自分のデッキから「バグマンX」1体を特殊召喚する事ができる。

 

「レベル3のモンスターが3体!来るぞ遊馬!」

「遊馬って誰だ?」

 

『ボクはレベル3【バグマンX】【バグマンY】【バグマンZ】の3体のバグマンでオーバーレイ!3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!おいで!【No.34 電算機獣テラ・バイト】!』

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

 

【No.34 電算機獣テラ・バイト】

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/闇属性/機械族/攻 0/守2900

レベル3モンスター×3

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドのレベル4以下の攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

『ボクはカードを1枚セットしてターンエンド!』

右京 手札:3→2枚。

 

 

◆ペガサス・J・クロフォード LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆北野右京 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

 

 

「テラバイトを出してきたか」

「さっきはコイツの効果と【ウィルスメール】や【クラッキング】で鈴木が散々嫌がらせてたな」

 

 防御力2900はこの時代だと破格だ。だが、相手はあのペガサス。つまり【トゥーン】デッキだ。あのテーマのモンスターは特定の条件を満たせばダイレクトアタックが可能となる。守備モンスターなんてあまり意味が無いのだ。

 

『ワタシのターンデース!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行デース!』

ペガサス 手札:5→6枚。

 

『ワタシは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動デース!デッキから【トゥーン・キングダム】をサーチしマース』

ペガサス 手札:6→5→6枚。

 

『ワタシは手札から魔法カード【トゥーンのもくじ】発動デース!デッキから【トゥーン・リボルバー・ドラゴン】をサーチしマース』

ペガサス 手札:6→5→6枚。

 

『ワタシは手札から魔法カード【七星の宝刀】発動デース!手札の【トゥーン・リボルバー・ドラゴン】を除外してデッキから2ドローしマース』

ペガサス 手札:6→5→4→6枚。

 

『ワタシは手札から魔法カード【トゥーンのしおり】発動デース!デッキから【ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン】をサーチしマース』

ペガサス 手札:6→5→6枚。

 

ガン回しじゃねえか。小学生相手に大人げないぞ。だけど、何故【ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン】なんてサーチするんだ?

 

『ワタシは手札からフィールド魔法【トゥーン・キングダム】を発動しマース!効果処理として、デッキトップからカードを3枚を裏側表示で除外しマース!』

ペガサス 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【トゥーン・キングダム】

フィールド魔法

(1):このカードの発動時の効果処理として、自分のデッキの上からカード3枚を裏側表示で除外する。

(2):このカードはフィールドゾーンに存在する限り、カード名を「トゥーン・ワールド」として扱う。

(3):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドのトゥーンモンスターは相手の効果の対象にならない。

(4):自分フィールドのトゥーンモンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに破壊されるモンスター1体につき1枚、自分のデッキの上からカードを裏側表示で除外できる。

 

「【トゥーン・キングダム】か。あの少年には厳しいカードが出てきたな」

「あのカードがある限り、トゥーンモンスターは相手の効果対象にならないからな。俺なら真っ先にアレを潰す」

 

『ワタシは手札から【トゥーン・マーメイド】を特殊召喚デース!』

ペガサス 手札:5→4枚。

 

<ペガサスのフィールド>

トゥーン・マーメイド ★4 DEF1500

 

【トゥーン・マーメイド】

特殊召喚・トゥーン・効果モンスター

星4/水属性/水族/攻1400/守1500

このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在する場合に特殊召喚できる。

(1):このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。

(2):このカードは500LPを払わなければ攻撃宣言できない。

(3):相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象にしなければならない。

(4):フィールドの「トゥーン・ワールド」が破壊された時にこのカードは破壊される。

 

『更にワタシは手札から【トゥーン・ハーピィ・レディ】を特殊召喚デース!』

ペガサス 手札:4→3枚。

 

<ペガサスのフィールド>

トゥーン・マーメイド ★4 DEF1500

トゥーン・ハーピィ・レディ ★4 ATK1300

 

【トゥーン・ハーピィ・レディ】

トゥーン・効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1300/守1400

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。自分フィールドに他のトゥーンモンスターが存在する場合、さらに相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊できる。

(2):このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。

(3):自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。

 

『【トゥーン・ハーピィ・レディ】の効果発動デース!右京ボーイの伏せカードを破壊しマース!』

 

『あっ!』

右京 伏せカード:1→0枚。

 

伏せていたカードは【ダメージ・ワクチンΩMAX】か。

 

『ワタシは2体のモンスターをリリース!手札から【レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン】を召喚デース!』

ペガサス 手札:3→2枚。

 

<ペガサスのフィールド>

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ★7 ATK2400

 

【レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン】

トゥーン・効果モンスター

星7/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000

(1):このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。

(2):自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。

(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札から「レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン」以外のトゥーンモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

『【レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン】の効果発動デース!手札から【トゥーン・ブラック・マジシャン】を特殊召喚しマース!』

ペガサス 手札:2→1枚。

 

<ペガサスのフィールド>

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ★7 ATK2400

トゥーン・ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

 

【トゥーン・ブラック・マジシャン】

トゥーン・効果モンスター

星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守2100

(1):このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。

(2):自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。

(3):1ターンに1度、手札から「トゥーン」カード1枚を捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから「トゥーン・ブラック・マジシャン」以外のトゥーンモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

●デッキから「トゥーン」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

『【トゥーン・ブラック・マジシャン】の効果発動デース!手札から【ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン】を捨て、デッキから【トゥーン・カオス・ソルジャー】をリクルートしマース!』

ペガサス 手札:1→0枚。

 

<ペガサスのフィールド>

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ★7 ATK2400

トゥーン・ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

 

【トゥーン・カオス・ソルジャー】

特殊召喚・トゥーン・効果モンスター

星8/地属性/戦士族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。自分の手札・フィールドから、レベルの合計が8以上になるようにトゥーンモンスターをリリースした場合に特殊召喚できる。

(1):自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在し、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。

(2):1ターンに1度、自分フィールドに「トゥーン・ワールド」が存在する場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

 

 召喚酔いの無い【トゥーン・カオス・ソルジャー】の特殊召喚条件を【トゥーン・ブラック・マジシャン】の効果で踏み倒してきたか。

 しかし、【ブルーアイズ・トゥーン・ドラゴン】をサーチした意味は…海馬社長がこの中継を見ていないことを祈ろう。

 

『バトルデース!【トゥーン・カオス・ソルジャー】でダイレクトアタックデース!』

『ダイレクトアタック!?でもボクのフィールドには【No.34 電算機獣テラ・バイト】が…あっ!』

『気が付いたようデスね。トゥーンモンスターは「トゥーン・ワールド」が存在し、相手がトゥーンモンスターを従えていない限り、ダイレクトアタックが可能なのデース!』

 

トゥーン・カオス・ソルジャー ATK3000

 

『うわぁぁぁぁっ!』

右京 LP:4000→1000

 

『他のトゥーンモンスターはこのターン攻撃できまセーン。私はこれでターンエンドデース』

 

 

◆ペガサス・J・クロフォード LP:4000、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ペガサスのフィールド>

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ★7 ATK2400

トゥーン・ブラック・マジシャン ★7 ATK2500

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK3000

 

vs

 

◆北野右京 LP:1000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

 

 

「なぁクロト」

「なんだ?」

「さっきのターン、回し方によってはペガサス会長が勝ってなかったか?」

「気付いたか。【トゥーンのしおり】で【トゥーン・ロールバック】をサーチして、【レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン】じゃなくて【トゥーン・ブラック・マジシャン】をアドバンス召喚しておけばさっきのターンで1ターンキルが成立していたな」

「そうだよな」

「【トゥーン】なんて珍しいデッキなのに、良く知っていたな?」

「昔、お前にさっきのペガサス会長がやったのと似たような展開で後攻1ターンキルを決められたことがあるからだぞ」

「覚えてないなw」

「後でぶっ飛ばしてやる」

 

防御カードをサーチすることもできたのに一切しなかったことから考えても、ペガサス会長は右京少年を試している感じだな。

 

 

『くっ!ボクのターンです!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!』

右京 手札:2→3枚。

 

『ボクは手札から【魔界発現世行きデスガイド】を召喚します!』

右京 手札:3→2枚。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

魔界発現世行きデスガイド ☆3 ATK1000

 

【魔界発現世行きデスガイド】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない。

 

『【魔界発現世行きデスガイド】の効果を発動します!デッキから【クリバンデット】を特殊召喚します!』

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

魔界発現世行きデスガイド ☆3 ATK1000

クリバンデット ★3 ATK1000

 

【クリバンデット】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 700

(1):このカードが召喚に成功したターンのエンドフェイズにこのカードをリリースして発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。その中から魔法・罠カード1枚を選んで手札に加える事ができる。残りのカードは全て墓地へ送る。

 

「レベル3のモンスターが2体!来るぞ遊馬!」

「だから、遊馬って誰だ?」

 

『ボクはレベル3【魔界発現世行きデスガイド】と【クリバンデット】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!来て!【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】!』

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:3

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:2

 

【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000

レベル3モンスター×2

(1):X素材が無いこのカードは攻撃できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(3):自分スタンバイフェイズに発動する。このカードのX素材を1つ取り除くか、自分は2000ダメージを受ける。

 

『ボクは手札から魔法カード【エクシーズ・ギフト】を発動します!【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】のORUを2つ取り除いてデッキから2ドロー!…良し!』

右京 手札:2→1→3枚。

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:2→0

 

【エクシーズ・ギフト】

通常魔法

自分フィールド上にエクシーズモンスターが2体以上存在する場合に発動できる。

自分フィールド上のエクシーズ素材を2つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローする。

 

良いカードを引いたみたいだな。

 

『Wow!右京ボーイはこの状況でも勝負を諦めていないのデスね』

『もちろんです!』

 

「何故【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】のORUを全部取り除いたんだ?確か、攻撃できなくなるんだよな?」

「あぁ。しかも自分のスタンバイフェイズに2000ダメージを受けるようになるデメリットもある」

 

それにしても、ORUの無いアジッド・ゴーレムか。もしかして…?

 

『ボクは手札から魔法カード【鬼神の連撃】を発動します!【No.34 電算機獣テラ・バイト】を選択し、ORUを全て墓地に送ることで2回攻撃が可能となります!』

右京 手札:3→2枚。

No.34 電算機獣テラ・バイト ORU:3→0

 

【鬼神の連撃】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体を選択し、そのエクシーズ素材を全て取り除いて発動する。

このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

「だが、テラバイトの攻撃力は0だぞ?」

「恐らくだけどこれはORUになっていたバクマンたちを墓地に送りたかったんじゃないか?」

「バクマンを?…あっ!」

「そして手札にはまだ2枚カードが残っている。1枚はあのモンスターだろうけどこれは…まさか【転移アシッド・ゴーレム】?逆転、いけるか?」

 

『ボクは墓地の【バグマンX】【バグマンY】【バグマンZ】を除外し、手札から【スーパーバグマン】を特殊召喚します!』

右京 手札:2→1枚。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900 ORU:0 ※2回攻撃

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:0 ※攻撃不可。

スーパーバグマン ★4 ATK0

 

【スーパーバグマン】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻 0/守3000

このカードは通常召喚できない。自分の墓地に存在する「バグマンX」「バグマンY」「バグマンZ」をゲームから除外した場合に表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、フィールド上に表側攻撃表示で存在する全てのモンスターの攻撃力・守備力を入れ替える。

「スーパーバグマン」はフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

 

『【スーパーバグマン】はフィールド上に表側攻撃表示で存在する全てのモンスターの攻撃力・守備力を入れ替えます!』

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF2900→0 ORU:0 ※2回攻撃。

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000→3000 ORU:0 ※攻撃不可。

スーパーバグマン ★4 ATK0→3000

 

<ペガサスのフィールド>

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ★7 ATK2400→2000

トゥーン・ブラック・マジシャン ★7 ATK2500→2100

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK3000→2500

 

『【No.34 電算機獣テラ・バイト】を攻撃表示に変更します!』

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 DEF0→ATK2900 ORU:0 ※2回攻撃。

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:0 ※攻撃不可。

スーパーバグマン ★4 ATK3000

 

「だけど、LPを削ることは出来ても勝利には届かないな」

「そうだな」

 

戦闘ダメージではな。

 

『バトルです!【No.34 電算機獣テラ・バイト】で【レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン】を攻撃!』

 

No.34 電算機獣テラ・バイト ATK2900

vs

レッドアイズ・トゥーン・ドラゴン ATK2000 ※戦闘破壊。

 

<ペガサスのフィールド>

トゥーン・ブラック・マジシャン ★7 ATK2100

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK2500

 

『Ouch!』

ペガサス LP:4000→3100

 

「【トゥーン・キングダム】の破壊耐性効果を使わない?」

「ペガサスはモンスターを残すよりも戦闘ダメージの軽減を選んだんだろうな」

 

『更に!【No.34 電算機獣テラ・バイト】で【トゥーン・ブラック・マジシャン】を攻撃!』

 

No.34 電算機獣テラ・バイト ATK2900

vs

トゥーン・ブラック・マジシャン ATK2100 ※戦闘破壊。

 

<ペガサスのフィールド>

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK2500

 

『Ouch!!』

ペガサス LP:3100→2300

 

『最後に!【スーパーバグマン】で【トゥーン・カオス・ソルジャー】を攻撃!』

 

『ここで【トゥーン・キングダム】の効果発動デース!デッキトップから1枚カードを裏側表示で除外することで、【トゥーン・カオス・ソルジャー】は戦闘破壊を免れマース!』

 

『ですが!戦闘ダメージは入ります!』

 

スーパーバグマン ★4 ATK3000

vs

トゥーン・カオス・ソルジャー ATK2500 ※戦闘破壊耐性。

 

<ペガサスのフィールド>

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK2500

 

『くっ!』

ペガサス LP:2300→1800

 

ペガサスのLPが2000を下回った!

 

『バトルフェイズを終了してメインフェイズ2に移行します!』

 

「善戦したけど…惜しかったな」

「いや、まだだ!まだ手札は1枚ある!」

 

『ふふっ、勝負を諦めていないその目。まだ終わりではないのでしょう?』

 

ペガサスも気付いていたか。

 

『はい!これがボクの最後の手札!ボクは手札から魔法カード【強制転移】を発動します!ボクがそちらに送るのは、【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】!』

右京 手札:1→0枚。

 

【強制転移】

通常魔法

お互いはそれぞれ自分フィールド上のモンスター1体を選び、そのモンスターのコントロールを入れ替える。

そのモンスターはこのターン表示形式を変更できない。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 ATK2900 ORU:0

スーパーバグマン ★4 ATK3000

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK2500

 

<ペガサスのフィールド>

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:0 ※攻撃不可。

 

「これは!?」

「決まったみたいだな」

 

『素晴らしい!』

『ボクはこれでターンエンドです!』

 

 

◆ペガサス・J・クロフォード LP:1800、手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<ペガサスのフィールド>

No.30 破滅のアシッド・ゴーレム ☆3 ATK3000 ORU:0 ※攻撃不可。

 

vs

 

◆北野右京 LP:1000、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<右京のフィールド>

No.34 電算機獣テラ・バイト ☆3 ATK2900 ORU:0

スーパーバグマン ★4 ATK3000

トゥーン・カオス・ソルジャー ★8 ATK2500

 

 

『ワタシのターンデース!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズ…』

ペガサス 手札:0→1枚。

 

『ここで【No.30 破滅のアシッド・ゴーレム】の効果が発動します!会長に2000LPダメージです!』

 

『うおぉぉっ!』

ペガサス LP:1800→0

 

 

『や、やった…?』

『Wonderful!素晴らしいデュエルでした。右京ボーイの勝ちデース!』

 

ペガサスの宣言後、会場は熱狂の渦に包まれていった…。

 

~~~

 

 エキシビションマッチのデュエルが終わって大会が終わり、テレビはデュエル大会からニュース番組へと移り変わっていた。

 

「まさかペガサス会長相手に小学生が勝つとは思わなかったな」

「時々だけど、ペガサス会長はああやって将来有望な子供にわざと勝ち筋を残すことはあるぞ?」

「ふぅ~ん」

 

 先日も、将来チームほm…ユニコーンのリーダーになりそうな小学生の少年に負けていた。

 トムの勝ちデース!やらマインドスキャン!やらをやらかした本人とは思えないほどの変わりようだ。恐らく、悪の意思が宿ると言われる千年眼が失われたことで本来のペガサス・J・クロフォードの意識が蘇ったのだろう。

 

「あっ、この人たちってクロトの学校の人じゃないか?」

「そうだな。ウチの理事長と校長だな」

 

 セレナがテレビを指差すと、テレビには影丸理事長と鮫島校長が映っていた。どうやら過去の生徒行方不明事件についての記者会見を開いたようだ。

 

「何で記者会見なんて開いているんだ?」

「悪いことをしたからだよ」

 

 テレビの中の2人は記者から質問攻めにあっている。

 闇のデュエルが実在したこと、多くの生徒をその為の研究に利用したこと、その生徒の行方を偽装したこと、闇のデュエルに関する施設や研究データは全て破棄し、行方不明となっていた生徒は全て本土の病院へ移送して入院していること等、色々とぶちまけているようだ。

 きっと明日以降はマスメディアがデュエルアカデミアに殺到するだろうし、しばらくデュエルアカデミアに近付けないだろうなぁ。十代たち、お盆休みに本土に帰って来るとか言っていたけど、この様子じゃ戻ってこれるかどうか微妙だな。

 

もしからしたら、在校生である俺の所にもインタビューとか来る可能性もあるか?対応が面倒そうで嫌だなぁ。

 

「なぁ」

「うん?」

「もしこの記者会見の影響でデュエルアカデミアが休校になったら、クロトはもう少しこっちに居られたりするのか?」

 

 セレナとしては、俺にもう少しこちらに居て欲しいようだ。そんなに遊び相手に困っているのだろうか?

 俺が中学に居た頃は彼女は学園の人気者だったはずだし、遊び相手に困るとは思えないんだけどなぁ。

 

「どうだろ?この2人が居なくてもデュエルアカデミアは回りそうな気もするから、多分ないんじゃないかな」

「なんだ。そうなのか」

 

 そう言うとセレナはテレビの中の2人には興味を失ったらしく、部屋の隅に置いてあったデュエルディスクを取りに行った。

 

「じゃあ、デュエルしよう!」

「じゃあってどういう流れなんだ?さっき散々やっただろうに…いいけどさ」

「手加減は要らないからな!」

「セレナやユーゴ達相手に手加減する余裕なんてないよ」

 

 俺とセレナはテレビの電源を落とし、デュエルするのにちょうどいい広さの中庭に移動していった…。




ペガサス会長のデッキは【トゥーン】です。LP4000環境なら簡単に1ターンキルを狙えてしまうので今回は自重してもらいました。

右京少年のデッキは【ランク3エクシーズ】です。ランク3エクシーズを呼び出すギミックを多数入れてあります。相手の強力なモンスターはスーパーバグマンや強制転移などで倒すデッキです。

他人を踏み台にさせることなく、〇〇の勝ちデース!をやらせてみたかっただけです。

次回の更新は6/19(土) AM6:00予定です。

戦車様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十八話 ネオスペーシアンズ2

前回のあらすじ:私の負けデース!

今回の対戦カードは十代&コナミvsネオスペーシアン2人です。


<十代視点>

 

 8月中旬、世間では明日からお盆休みが始まる頃、オレ達はデュエルアカデミアのレッド寮の自室で帰省の準備を始めていた。

 

「明日からお盆休みか。母さんたち元気かな~」

「親や自分の家にこんなに長い間離れたのって初めてっスよね」

「オレも少し楽しみなんだナァ。父ちゃんに少しだけ成績が上がってきたことを報告できるんだナァ」

 

 翔や隼人は既に帰省の準備を終えていたらしくオレの荷造りを手伝ってくれている。

 コナミも自室で帰省の準備をやっている。カミューラ人形も実家に持って帰るつもりのようなので、白河が知ったら驚きそうだな。

 

「流石にそろそろ港の方も落ち着いてるよな?」

「セブンスターズの件や三幻魔の件、影丸理事長や鮫島校長の辞任の件で、少し前まではマスコミの人がたくさん来て居たっスね」

「ちょっと怖かったんだナァ」

 

 夏休みが始まってから少し経った後、影丸理事長や鮫島校長が記者会見を開いて三幻魔の話を世間に公表していた。その際、その責任を取ることになった影丸理事長と鮫島校長は今の職を降りることを宣言し、世間は大騒ぎだったようだ。

 その次の日から港には連日マスメディアの人間が殺到し、クロノス臨時校長や響先生、倫理委員会の人たちがずっとその対応に追われていたのは記憶に新しい。

 オレ達の様に学園に残っていた生徒はしばらく港に近付かない様に連絡が来ていたのでその後どうなったのかは知らないんだよな。

 

「おーい十代、ちょっといいか~」

『お邪魔するわよ』

 

 オレが荷造りを終えた少し後、コナミが俺達の部屋にやって来た。アイツの肩には自立歩行して喋るカミューラ人形が腰かけている。

 

「ギャー!出たー!」

「せ、セブンスターズなんだナァ!」

 

 その姿を見た翔と隼人はその場で気絶した。

 

「翔、隼人!?あ~あ、またか」

「あ~あ、また気絶しちゃったな」

『何よ。いつも人の顔を見るなり気絶するなんて本当に失礼なガキどもね』

 

 夏休みが始まったばかりの頃に紹介したい人が居るなんてコナミの部屋に行ったら、セブンスターズ襲来時に現れたセブンスターズのカミューラがそのままの姿で格ゲーをやっていた。その姿を見た翔と隼人はその場で気絶した。

 三幻魔の事件解決後に影丸理事長が全ての闇のアイテムを廃棄したのでカミューラの人形化の呪いが解けたらしいのだが、しばらく人形の姿でいたおかげなのか人間の姿と人形の姿を切り替えることが出来るようになったらしい。

 

 当時は「紹介するよ。オレの部屋の新たな同居人、カミューラだ」なんて言われて困惑したけれど、この夏休みの間に俺はこの状況に慣れてしまった。

 驚き具合で言えば今回の件よりも以前に白河がやらかした学園ワイト大量発生事件の方がビビった。あの所為で異常事態に慣れてしまったのかもしれない。よくよく考えれば実体化できるネオスやユベルの存在とそこまで違いがないのもあるだろう。

 翔たちはまだ怖いらしく、彼女の姿を見る度に悲鳴を上げて気絶している。彼らにも流石にそろそろ慣れて欲しいと思うのは酷だろうか?

 

「それで?コナミは俺に何か用事があったんじゃないのか?」

「おぉ、そうだった」

 

 翔と隼人をコナミにも手伝ってもらってベットに運んで寝かせた後、コナミがやってきた理由を聞くとコナミは天井を指差してこう言った。

 

「そろそろ来るぞ。準備しておいた方が良くないか?」

「えっ?来るって何が?準備って何を?」

『コナミ、それじゃ分からないわよ』

 

 コナミがそう言った少し後、オレは強力な魔力を持つ存在が空から近づいてくるのを感知した。何となくネオスに近い何かを感じるが、なんだこれ!?

 

『クリクリ~!』

『十代!彼らが来る!』 

『十代!来るよ!早くデッキとデュエルディスクを持って外に出るんだ!』

 

 ハネクリボーたちも気付いたらしく、オレはユベルに言われた通りデッキとデュエルディスクを持って部屋の扉を開けて外へ飛び出した。コナミとカミューラもそれに続いて部屋から出てきたようだ。

 

「あれは…流れ星?」

「昼間から流れ星なんて見えるもんなんだな」

 

 オレたちが寮から外に出ると、青空に赤く輝く流れ星が見えた。

 

「えっ?えぇっ!?」

「あの流れ星、こっちに向かってきてるな」

「言ってる場合か!翔と隼人を起こさないと!」

「もう目の前まで来てるよ」

「あぁっ、あわっ、うわぁぁぁっ!」

『クリクリ~!』

『『十代!』』

 

 流れ星?がオレとコナミの足元に落ちたかと思うと、それは地面にぶつかる直前で更に赤く輝き出してその光がオレ達を包みこみ、オレは気を失った。

 

 光に包まれた後に気が付いて目を開けると、オレは何処かの海辺に流れて付いていたようだった。

 

「おっ、起きたか」

 

 起き上がって周囲を見回しているとすぐ横にはコナミが居たが、直前までコナミと一緒に居たカミューラや寮の自室で寝かせておいた翔や隼人は居ないようだ。

 

「コナミ、ここは何処だ?オレたちは何処か南の島にでも流れ着いたのか?」

「分かんね」

 

 海辺から周囲を見渡すと、背後には森が広がっており、それには何故か木星らしき天体が水平線から半分ほど見えていた。…えっ?

 

「はぁぁぁ!なんだあれ!もしかして、木星か!?」

「木星っぽいな」

「いやいや、マジで何処だよここ!?」

「分かんね」

「いや、あの星が木星だったとしてもこの状況の説明にはなってないぞ!?確かオレたちは落ちてきた流れ星にぶつかって…えぇっ!じゃあここは天国か地獄かぁ!?」

「それは嫌だなぁ」

 

 こんな時でもコナミはマイペースだ。ある意味では頼もしい。いやいや、そんなことを考えている場合じゃない!えっ、ホントに死んだのオレ!?

 

「あー!オレたちはあの時におっ死んじまったのか!こんなことなら月に一度のエビフライ、もっと食べておきたかったなー!」

「諦めるのはまだ早そうだよ」

「えっ?」

 

 エビフライのことで頭が一杯だったオレに対し、コナミが声を掛けてきた。彼が指さす方向には波打つ水面しかないが…いや、何か居る?よく見るとイルカっぽいのが居るな。

 

「やぁ、十代。迎えに来たよ」

「イルカが喋った!?」

「とぅ!」

「イルカに足がある!?こんなイルカ居るかぁ?ははっ、笑っちゃうぜ」

「いや、あんまり面白くないから」

 

 海の中から風貌で爽やかな声のイルカが現れたと思ったら、そいつは海から飛び出してきた。よく見るとイルカの頭にマッチョな青い人間の体を持つよく分からないの生き物だった!

 

「オレも居るぜ!」

「鳥も喋った!鳥にも足がある!どうなってるんだ!?」

「赤帽子も久し振りだな!」

「久し振り~」

 

 森の中から空を飛んできた引き締まった身体を持つ赤い鳥人の容姿をしているよく分からない生き物も現れた!

 

 <コマンド>

 →話す

  戦う

  道具

  逃げる

 

 この青いイルカ人間と赤い鳥人間、何処かで見たことがあるような…。それに彼らの体から出ているあの白い光は何だ?とにかく、話が出来るなら話を聞いてみよう。

 

「ようこそ!遊城十代!それに赤帽子君!」

「やっぱり、オレたちおっ死んじまったんだ…」

「だから、多分違うぞ」

 

 駄目だ。やっぱりオレは死んだらしい。コナミやイルカ人間が否定するけれど、夢や死後の世界とかでなければこんなイルカ人間や鳥人間がオレに都合よく日本語で話すわけないよな。

 

「ここは木星軌道上のイオにある、ネオスペース。君たちはこの世界に招待されたんだよ」

「えっ?じゃあオレたちは死んでないのか?」

「そうさ。そして私はドルフィーナ星人。このネオスペースの住人なんだ」

「オレはドルフィーナ星人じゃないけど、オレもネオスペースの住人なんだぜ」

 

 この青いイルカ人間と赤い鳥人間たちが言うには、ここはネオスペースと言うところみたいだ。何処かで聞いたことがあるような…。

 

「久しいな。2人とも」

「ネオスか。やはり君が十代を隠していたんだね?」

「この前の三幻魔とかいうきっかけが無かったら見つけられなかったぜ」

「十代、ボクの後ろに下がるんだ」

「クリィー!」

 

 いつの間にか実体化したネオスが二人と対峙している。それに加え、同じく実体化しているユベルとハネクリボーがオレを庇うようにオレの前に立つ。

 

「挨拶はここまででいいだろう。さぁ十代!ボク達と一緒に破滅の光の下でワクワクすることをしよう!」

「赤帽子、この前の借りを返してやるぜ!」

 

 突如として彼らは何処からか取り出したデュエルディスクを腕に装着した。デュエルするのか?それは別にいいけれど、どういう流れなんだ?

 

「十代!デュエルの準備を!」

「えっ!?」

「彼らは【N・アクア・ドルフィン】と【N・エア・ハミングバード】。私と同じくネオスペースの住人で、今は破滅の光の囚われている!」

「わ、分かった!」

「十代、オレもやるぞ」

 

 詳しい事情はまだよく分からないが、ネオスの言うとおりであれば彼らは破滅の光の被害者らしい。幸いコナミも手伝ってくれるみたいだし、何とか倒して破滅の光から解放してやるべきだろう。

 それに、宇宙人とのデュエルなんて面白そうなこと、やらないわけがないよな!

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆遊城十代&赤羽コナミ LP:8000

十代 手札:5枚。

コナミ 手札:5枚。

 

◆ネオスペーシアンズ LP:8000

アクア・ドルフィン 手札:5枚。

エア・ハミングバード 手札:5枚。

 

 

「先攻は貰うよ。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

アクア・ドルフィン 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから私自身、【N・アクア・ドルフィン】を手札に加える!」

アクア・ドルフィン 手札:6→5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【召喚師のスキル】を発動!デッキから【スパイラルドラゴン】を手札に加える!」

アクア・ドルフィン 手札:6→5→6枚。

 

「私は手札から【N・アクア・ドルフィン】を通常召喚だ!」

アクア・ドルフィン 手札:6→5枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・アクア・ドルフィン ★3 ATK600

 

【N・アクア・ドルフィン】

効果モンスター

星3/水属性/戦士族/攻 600/守 800

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。相手の手札を確認し、その中からモンスター1体を選ぶ。選んだモンスターの攻撃力以上の攻撃力を持つモンスターが自分フィールドに存在する場合、選んだモンスターを破壊し、相手に500ダメージを与える。存在しない場合、自分は500ダメージを受ける。

 

「私は手札から魔法カード【古のルール】を発動!その効果により手札から【スパイラルドラゴン】を特殊召喚だ!」

アクア・ドルフィン 手札:5→4→3枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・アクア・ドルフィン ★3 ATK600

スパイラルドラゴン ★8 ATK2900

 

【スパイラルドラゴン】

通常モンスター

星8/水属性/海竜族/攻2900/守2900

海流の渦をつくり出し人々を襲うと伝えられる海竜。

巨大なヒレから放たれるスパイラルウェーブは全てを飲み込む。

 

「【N・アクア・ドルフィン】の効果発動!手札の【黄泉ガエル】を捨てる。さぁ十代。手札を見せてごらん?」

アクア・ドルフィン 手札:3→2枚。

 

「むっ、ほら。これでいいか?」

 

「ふむ。では君の手札の【E・HERO ネオス】を選ぶよ。私のフィールドの【スパイラルドラゴン】よりも攻撃力が低いから破壊され、君たちに500LPダメージだ!」

 

「くっ!ネオスが…!」

十代 手札:5→4枚。

遊城十代&赤羽コナミ LP:8000→7500

 

「私は手札から魔法カード【NEX】を発動!【N・アクア・ドルフィン】を墓地に送り、EXデッキから【N・マリン・ドルフィン】を特殊召喚だ!」

アクア・ドルフィン 手札:2→1枚。

 

【NEX】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する「N(ネオスペーシアン)」と名のついたモンスター1体を墓地へ送り、墓地へ送ったカードと同名カード扱いのレベル4モンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

スパイラルドラゴン ★8 ATK2900

 

【N・マリン・ドルフィン】

融合・効果モンスター

星4/水属性/戦士族/攻 900/守1100

このカード名はルール上「N・アクア・ドルフィン」としても扱う。

このカードは「NEX」の効果でのみ特殊召喚できる。

手札を1枚捨てる。相手の手札を確認してモンスターカード1枚を選択する。選択したモンスターの攻撃力以上のモンスターが自分フィールド上に存在する場合、選択したモンスターカードを破壊して相手ライフに500ポイントダメージを与える。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「私は手札から魔法カード【スペーシア・ギフト】を発動!デッキから2ドロー!」

アクア・ドルフィン 手札:1→0→2枚。

 

【スペーシア・ギフト】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する「N(ネオスペーシアン)」と名のついたモンスター1種類につき、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

「なんで2ドローなんだ?って顔をしているね?【【N・マリン・ドルフィン】は【N・アクア・ドルフィン】としても扱うモンスターなんだよ」

「つまり【N・マリン・ドルフィン】は、【N・マリン・ドルフィン】と【N・アクア・ドルフィン】の「2種類」として扱うのさ」

 

「【N・マリン・ドルフィン】の効果発動!手札の【アビス・ウォリアー】を捨てる」

アクア・ドルフィン 手札:2→1枚。

 

「またハンデスか!」

 

「今の私たちのデッキは十代、君を倒す為に特化してあるのさ。手札の【E・HERO スパークマン】を選んで効果によって破壊し、君たちに500LPダメージだ!」

 

「うぐっ!」

十代 手札:4→3枚。

遊城十代&赤羽コナミ LP:7500→7000

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

アクア・ドルフィン 手札:1→0枚。

ネオスペーシアンズ 伏せカード:0→1枚。

 

 

◆遊城十代&赤羽コナミ LP:7000

十代 手札:3枚。

コナミ 手札:5枚。

 

◆ネオスペーシアンズ LP:8000、伏せカード:1枚。

アクア・ドルフィン 手札:0枚。

エア・ハミングバード 手札:5枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

スパイラルドラゴン ★8 ATK2900

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

十代 手札:3→4枚。

 

「リバースカードオープン!罠カード【水霊術-「葵」】発動!【スパイラルドラゴン】をリリースしてまた君の手札を見せて貰うよ!」

ネオスペーシアンズ 伏せカード:1→0枚。

 

【水霊術-「葵」】

通常罠

(1):自分フィールドの水属性モンスター1体をリリースして発動できる。相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んで墓地へ送る。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

 

「なっ!マジかよ!」

 

「ふむ。良いカードを引いたね。流石は十代だ。だがそのドローした【闇の量産工場】は墓地に送って貰おう」

 

「せっかく引いたカードが…」

十代 手札:4→3枚。

 

「ふふっ、今の君の手札には【融合】はあるが融合できる2体のモンスターが居ない。そして私の【N・マリン・ドルフィン】の攻撃力を上回るモンスターも居ない!」

 

「くそっ!モンスターを裏側守備表示でセット!更にカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

十代 手札:3→2→0枚。

十代&コナミ 伏せカード:0→2枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「伏せたモンスターは【E・HERO クレイマン】、伏せカードは【ヒーロー・シグナル】、そしてブラフの為の【融合】かな?」

「さぁ、どうかな?」

 

 当然バレているか。あのイルカには手札を全て見られている。誤魔化しようがないか。

 

 

◆遊城十代&赤羽コナミ LP:7000、伏せカード:2枚。

十代 手札:0枚。

コナミ 手札:5枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

◆ネオスペーシアンズ LP:8000、伏せカード:0枚。

アクア・ドルフィン 手札:0枚。

エア・ハミングバード 手札:5枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、ここで墓地の【黄泉ガエル】が自身の効果で蘇生する!そしてメインフェイズへ移行!」

エア・ハミングバード 手札:5→6枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

【黄泉ガエル】

効果モンスター

星1/水属性/水族/攻 100/守 100

(1):このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「黄泉ガエル」が存在しない場合、自分スタンバイフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果は自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動と処理ができる。

 

「オレは手札から魔法カード【古のルール】を発動!その効果により手札から【始祖神鳥シムルグ】を特殊召喚だぜ!」

エア・ハミングバード 手札:6→5→4枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

黄泉ガエル ★1 DEF100

始祖神鳥シムルグ ★8 ATK2900

 

【始祖神鳥シムルグ】

効果モンスター

星8/風属性/鳥獣族/攻2900/守2000

このカードが手札にある場合通常モンスターとして扱う。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、風属性モンスターのアドバンス召喚に必要なリリースは1体少なくなる。

風属性モンスターのみを生け贄にしてこのカードの生け贄召喚に成功した場合、相手フィールド上のカードを2枚まで持ち主の手札に戻す。

 

「オレは【黄泉ガエル】をリリースして、手札から【ストーム・シューター】をアドバンス召喚だぜ!」

エア・ハミングバード 手札:4→3枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

始祖神鳥シムルグ ★8 ATK2900

ストーム・シューター ★7 ATK2300

 

【ストーム・シューター】

効果モンスター

星7/風属性/鳥獣族/攻2300/守 500

1ターンに1度だけ、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。

●使用していない隣のモンスターカードゾーンに移動する。

●このカードの正面に存在する相手のモンスター・魔法・罠カード1枚を持ち主の手札に戻す。

 

「【ストーム・シューター】の効果発動!このカードの正面に存在する十代の伏せカードを手札に戻す!」

 

「くっ!」

十代 手札:0→1枚。

十代&コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

「バトルだ!【ストーム・シューター】で裏側守備表示モンスターを攻撃!」

 

E・HERO クレイマン DEF2000 ※戦闘破壊

vs

ストーム・シューター ATK2300

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「リバースカードオープン!罠カード【ヒーロー・シグナル】発動!デッキから【E・HERO フェザーマン】を特殊召喚する!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO フェザーマン ★3 DEF1000

 

【ヒーロー・シグナル】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札・デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

 

「ちっ、2分の1を外したのか。続けて【始祖神鳥シムルグ】で【E・HERO フェザーマン】に攻撃!」

 

E・HERO フェザーマン DEF1000 ※戦闘破壊

vs

始祖神鳥シムルグ ATK2900

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

「【N・マリン・ドルフィン】でダイレクトアタックだ!」

 

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

 

「うわぁぁぁっ!」

遊城十代&赤羽コナミ LP:7000→6100

 

「メインフェイズ2に移行し、オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

エア・ハミングバード 手札:3→1枚。

ネオスペーシアンズ 伏せカード:0→2枚。

 

 

◆遊城十代&赤羽コナミ LP:6100、伏せカード:0枚。

十代 手札:1枚。

コナミ 手札:5枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

◆ネオスペーシアンズ LP:8000、伏せカード:2枚。

アクア・ドルフィン 手札:0枚。

エア・ハミングバード 手札:1枚。

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

始祖神鳥シムルグ ★8 ATK2900

ストーム・シューター ★7 ATK2300

 

 

「悪い、コナミ。後は頼んでもいいか?」

「うん、頼まれた。十代が相手の手札を殆ど使い切らせてくれたからね。何とかするよ」

 

 やっぱりタッグデュエルの時のコナミは頼りになるな。

 

「オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【BF-毒風のシムーン】の効果発動!手札の【BF-精鋭のゼピュロス】を除外してデッキから【黒い旋風】1枚を自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置き、手札のこのカードをリリースなしで召喚する!」

コナミ 手札:6→5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【BF-毒風のシムーン】

効果モンスター

星6/闇属性/鳥獣族/攻1600/守2000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札からこのカード以外の「BF」モンスター1体を除外して発動できる。デッキから「黒い旋風」1枚を自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

その後、手札のこのカードをリリースなしで召喚するか、墓地へ送る。この効果で置いた「黒い旋風」はエンドフェイズに墓地へ送られ、自分は1000ダメージを受ける。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

 

【黒い旋風】

永続魔法

(1):自分フィールドに「BF」モンスターが召喚された時にこの効果を発動できる。そのモンスターより低い攻撃力を持つ「BF」モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「【黒い旋風】の効果発動!デッキから【BF-南風のアウステル】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から【BF-南風のアウステル】を通常召喚する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-南風のアウステル ★4 ATK1300 ※チューナー

 

【BF-南風のアウステル】

チューナー・効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 0

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、除外されている自分のレベル4以下の「BF」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外し、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「ブラックフェザー・ドラゴン」1体を選び、相手フィールドのカードの数だけ黒羽カウンターを置く。

●相手フィールドの表側表示モンスター全てに可能な限り楔カウンターを1つずつ置く(最大1つまで)。

 

「さっき【BF-毒風のシムーン】を召喚しただろう!」

「【BF-毒風のシムーン】の召喚はカードの効果によって行うものであり、通常の召喚権を消費しない!」

「そんな!?」

 

「再度【黒い旋風】の効果発動!デッキから【BF-砂塵のハルマッタン】を手札に加える!」

コナミ 手札:4→5枚。

 

「更に【BF-南風のアウステル】の効果発動!除外されている【BF-精鋭のゼピュロス】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-南風のアウステル ★4 ATK1300 ※チューナー

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

 

【BF-精鋭のゼピュロス】

効果モンスター

星4/闇属性/鳥獣族/攻1600/守1000

このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示のカード1枚を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、自分は400ダメージを受ける。

 

「ここでオレは手札から罠カード【デルタ・クロウ-アンチ・リバース】を発動!相手フィールドにセットされた魔法・罠カードを全て破壊する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

「「手札から罠カードを発動した!?」」

ネオスペーシアンズ 伏せカード:2→0枚。

 

【デルタ・クロウ-アンチ・リバース】

通常罠

自分フィールドの「BF」モンスターが3体のみの場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):自分フィールドに「BF」モンスターが存在する場合に発動できる。相手フィールドにセットされた魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「オレは手札から【BF-砂塵のハルマッタン】の効果により自身を特殊召喚する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-南風のアウステル ★4 ATK1300 ※チューナー

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

BF-砂塵のハルマッタン ★2 DEF800

 

【BF-砂塵のハルマッタン】

効果モンスター

星2/闇属性/鳥獣族/攻 800/守 800

「BF-砂塵のハルマッタン」の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。

(1):自分フィールドに「BF-砂塵のハルマッタン」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールドの「BF」モンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルをそのモンスターのレベル分だけ上げる。

 

「オレはレベル2【BF-砂塵のハルマッタン】にレベル4【BF-南風のアウステル】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル6!【BF-星影のノートゥング】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

 

【BF-星影のノートゥング】

シンクロ・効果モンスター

星6/闇属性/鳥獣族/攻2400/守1600

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「BF-星影のノートゥング」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。その後、相手の表側表示モンスター1体を選び、その攻撃力・守備力を800ダウンする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「BF」モンスター1体を召喚できる。

 

「【BF-星影のノートゥング】の効果発動!相手に800LPダメージを与え、【始祖神鳥シムルグ】の攻守を800ダウンさせる!」

 

「グェッ!くそっ、赤帽子め!」

ネオスペーシアンズ LP:8000→7200

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

N・マリン・ドルフィン ★4 ATK900

始祖神鳥シムルグ ★8 ATK2900→2100

ストーム・シューター ★7 ATK2300

 

「オレは【BF-疾風のゲイル】を自身の効果により特殊召喚する!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-精鋭のゼピュロス ★4 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

BF-疾風のゲイル ★3 DEF400

 

【BF-疾風のゲイル】

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 400

(1):自分フィールドに「BF-疾風のゲイル」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの攻撃力・守備力を半分にする。

 

「オレはレベル4【BF-精鋭のゼピュロス】にレベル3【BF-疾風のゲイル】をチューニング!」

 

「またシンクロ召喚…」

「一体、どれだけのモンスターを呼び出すつもりなんだ…」

 

「漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!降り注げ!【A BF-驟雨のライキリ】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600

 

【A BF-驟雨のライキリ】

シンクロ・効果モンスター

星7/闇属性/鳥獣族/攻2600/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):「BF」モンスターを素材としてS召喚したこのカードはチューナーとして扱う。

(2):1ターンに1度、このカード以外の自分フィールドの「BF」モンスターの数まで、相手フィールドのカードを対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「オレは【BF-星影のノートゥング】の効果により【BF-極北のブリザード】を通常召喚する!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600 ※チューナー

BF-極北のブリザード ★2 ATK1300 ※チューナー

 

【BF-極北のブリザード】

チューナー・効果モンスター

星2/闇属性/鳥獣族/攻1300/守 0

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下の「BF」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

「再度【黒い旋風】の効果発動!デッキから【BF-隠れ蓑のスチーム】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「更に【BF-極北のブリザード】の効果発動!墓地の【BF-砂塵のハルマッタン】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600 ※チューナー

BF-極北のブリザード ★2 ATK1300 ※チューナー

BF-砂塵のハルマッタン ★2 DEF800

 

「【BF-砂塵のハルマッタン】の効果発動!フィールド上の【BF-毒風のシムーン】を対象とし、自身のレベルを対象のレベル分アップする!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600 ※チューナー

BF-極北のブリザード ★2 ATK1300 ※チューナー

BF-砂塵のハルマッタン ★2→8 DEF800

 

「ここでオレは【A BF-驟雨のライキリ】の効果発動!そちらのモンスター3体を破壊する!」

 

「何っ!?」

 

<ネオスペーシアンズのフィールド>

モンスター無し

 

「私たちのモンスターが…全滅!?」

 

「オレはレベル8【BF-砂塵のハルマッタン】にレベル2【BF-極北のブリザード】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ!レベル10!【BF-フルアーマード・ウィング】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600 ※チューナー

BF-フルアーマード・ウィング ★10 ATK3000

 

【BF-フルアーマード・ウィング】

シンクロ・効果モンスター

星10/闇属性/鳥獣族/攻3000/守3000

「BF」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードは他のカードの効果を受けない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターが効果を発動する度に、その相手の表側表示モンスターに楔カウンターを1つ置く(最大1つまで)。

(3):1ターンに1度、相手フィールドの楔カウンターが置かれたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールを得る。

(4):自分エンドフェイズに発動できる。フィールドの楔カウンターが置かれたモンスターを全て破壊する。

 

「念のために、オレは手札から魔法カード【死者蘇生】発動!墓地のネオスを復活させる!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

BF-毒風のシムーン ★6 ATK1600

BF-星影のノートゥング ★6 ATK2400

A BF-驟雨のライキリ ★7 ATK2600 ※チューナー

BF-フルアーマード・ウィング ★10 ATK3000

E・HERO ネオス ★7 ATK2500

 

【死者蘇生】

通常魔法(制限カード)

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「黒羽のモンスターが溢れている上にネオスまで!なんなんだこの少年は…!」

「赤帽子め…!」

 

「バトルだ!【BF-毒風のシムーン】でダイレクトアタック!」

 

BF-毒風のシムーン ATK1600

 

「グァァァッ!」

ネオスペーシアンズ LP:7200→5600

 

「続いて【BF-星影のノートゥング】でダイレクトアタック!」

 

BF-星影のノートゥング ATK2400

 

「アグァァァッ!」

ネオスペーシアンズ LP:5600→3200

 

「行け!【E・HERO ネオス】でダイレクトアタック!ラス・オブ・ネオス!」

 

E・HERO ネオス ATK2500

 

「アァァァッ!」

ネオスペーシアンズ LP:3200→700

 

「止めだ!【A BF-驟雨のライキリ】でダイレクトアタック!」

 

A BF-驟雨のライキリ ATK2600

 

「ウワァァァッ!」

ネオスペーシアンズ LP:700→0

 

 

「オレ達の勝ちだ」

「うへぇ、凄い展開力だったな。コナミが味方で良かったぜ」

 

~~~

 

 デュエルが終わった後、イルカと鳥は倒れ伏してしまって全く動かなくなった。

 

「お、おい!大丈夫か!?」

「十代!?危ないから近付いては駄目だよ!」

 

 ユベルが警告してくれるが、それでもオレは彼らの安否が気になったので倒れている彼らに近付き、様子を見てみた。どうやら少なくとも息はしているようだ。

 

「多分、破滅の光が体から抜けた影響で気絶しているだけだよ」

「うむ。彼らはネオスペーシアンの住人。これくらいのダメージなら問題ないはずだ。恐らく直に目を覚ますだろう」

 

 コナミやネオスが言うように、彼らのうちイルカはそれからすぐに目を覚ました。

 

「痛ててっ、おや、ここは?」

「おぉ、イルカ、鳥。気が付いたか!」

「君は、遊城十代?ネオスもいるのか」

「アクアドルフィン、正気に戻ったようだな。嬉しく思うぞ!」

「もしかしてお前たち、さっきまでのことは覚えていないのか?」

「どうやらそのようだ。君たちには迷惑をかけてしまったようだな」

 

 そう言うとイルカ型宇宙人、いやアクア・ドルフィンは隣でまだ気絶しているエア・ハミングバードを起こし始めた。

 

「一件落着で良いのかな?」

「いや、次の来客の様だよ」

「おぉっ、UFOだ!しかも中から宇宙人が出てきた!」

「奴らもまた我々の敵だ!宇宙を滅ぼす光を持つ物!その手先である敵性宇宙生物だ!」

 

 アクア・ドルフィンたちを倒し終わるのを見計らっていたかのように、今度は謎のUFOからこれまた謎の機械生物?みたいなのが出てきた。アレも宇宙人なのか?

 

「ピピッ!全てを焼き尽くす光!エントロピーの増大!それが宇宙の終焉の時だ!デュエル!」

「何言ってるかさっぱり分かんねえけど、悪い宇宙人め!この遊城十代が相手だ!デュエルしようぜ!」

 

 そうしてオレは、次なる敵にデュエルを挑んていった…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 お盆休み初日、JRDG開催まであと数日と言ったところでようやくコナミが帰省してきた。今はライディングデュエルが行えるデュエルレーン近くにある喫茶店にてコナミが体験したというトンデモ話に耳を傾けているところだ。

 

「イルカとトリの宇宙人に、UFOを見たですって?」

「夢でも見たんじゃねーか?」

「夏バテによる幻覚かもしれないぞ?」

「いや、本当に見たんだって。十代だって一緒だったんだからさ」

 

 帰省する前日、つまり昨日のことだがコナミは十代と一緒に亜空間をさまよった後、木星が間近に見える宇宙の星に辿り着いてイルカやトリの宇宙人やらUFOに乗った宇宙人と対面してデュエルで戦ったらしい。

 十代と一緒に居ることから考えても木星軌道上の惑星イオにあるネオスペースのことだとは思うが、このタイミングで起こるのか。原作だとあと1年は先のイベントだが、三幻魔事件も想定よりかなり早く収束したわけだし、有り得なくはないのかな。

 

「そう言えば、クロト。本当に良かったのか?」

「何がだ?」

「トレードとはいえ、こんな強力なカード貰っちゃったけど、もう返さないよ?」

 

 そう言ってコナミは俺が先ほどトレードとして渡したカードのうちの1枚、【No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン】を見せて来る。

 

「別にいいよ。トレードだからな」

「けど、オレが渡したカードって聞いたこともないテーマだったぞ?」

「俺は知っているテーマだったし、俺は使い道を知ってるカードだからいいんだよ」

 

 俺は前世での(俺が知る限りの)OCG化されたカードは全て所持しているが、三幻神などの神のカードを除いたアニメオリジナルカードやゲームオリジナルカードは一切所持していない。

 そしてコナミからトレードしてもらったカードは、恐らくこの世界ではコナミ以外には入手不可能なカードだ。それと交換できるなら悪くないトレードだったと思う。

 

「あっ、そうだ。オレは今日、十代たちとカードショップに行く約束があるんだった」

「あら、コナミ出かけるの?」

「うん」

「コナミなら大丈夫だと思うけど、最近はレアカードを強奪しようとする集団が居るらしいから、気を付けろよ?」

「十年くらい前にあった犯罪組織の名前を借りて『ネオグールズ』って名乗っているらしいぞ」

「へぇ、そうなんだ。一応、十代たちにも伝えておこうかな」

 

 リンやユーゴ、セレナからネオグールズの話をあらかた聞き終えたコナミは、十代たちと約束していたらしいカードショップ巡りへと出かけて行った。

 

 ネオグールズか。タッグフォースシリーズが発売する前の遊戯王ゲームのストーリーの1つでそんな名前の組織が登場したことがあったな。確かバンデットキースが新たな首領となった新生グールズなんだっけ?

 ただ、この世界だとパンドラは改心して今は罪を償い終わって出所して海外でマジシャン業に精を出しているらしいし、他のメンバーも全員が刑務所にぶち込まれていたはずだ。そいつらが特に脱走したなんて言うニュースとかもなかったはず。

 JRDGが終わったら、少し調べてみるか。

 

「さぁ!そろそろお昼休みは終わりよ!JRDGに向けての最終調整の続きを始めるわよ!」

「「おー!」」

「それじゃあ俺も準備しますかね」

 

 そう言うとリンたちは喫茶店を出て彼女たちが保有するD-ホイールへと向かっていった。俺も同様に自身のD-ホイールへと向かい、走行準備を始める。

 こちらの準備が完了した頃に1stホイーラーのリンがコース手前に居る俺の近くまでやって来て話しかけて来た。

 

「クロト、対戦相手よろしくね」

「こちらこそ。対戦よろしくお願いします。なんてな」

 

 8月に入ってからはリンたちの手伝いのためにJRDGに出場する優勝候補チームのデッキを使い、仮想敵として彼女たちのスパーリングにそこそこの頻度で付き合っているのだ。

 

「念の為の確認だが、今回の俺は仮想敵であるチームグラディエーターズが去年度に使用したテーマデッキ、【剣闘獣】デッキを使えばいいんだよな?」

「えぇ、去年度の優勝候補である彼らは今回も出場して来るでしょうからね」

「その後は他の優勝候補のチームエンジェルスの【代行天使】、チームサイキッカーズの【サイキック族シンクロ】、最後に今回のダークホースであるチームリアルファイト不可避の【ゼンマイハンデス】で相手をすればいいのかな?」

「正解」

 

 彼女たちは大会前に仮想敵との対戦経験を積めるし、俺はこの世界でも有数の強力なデュエリストで彼女たちの相手をすることで自身のライディングデュエルの経験不足を補えるため、両者Win-Winな取引となっている。

 更に言うならば、あの時の為に向けて彼女たちのデッキを把握するためにもこの時間は非常に有効だ。

 

「じゃあ始めるわよ!」

「あぁ!」

 

 俺とリンはD-ホイールを走らせ、一般道からライディングデュエル用の専用レーンへと入る準備を始める。

 流石に速いな。D-ホイールの性能だけならば彼女たちのD-ホイールよりも俺の方が遥かに高いのだが、D-ホイールの運転技術に関しては完全に俺よりも彼女たちの方が優れているようだ。

 

『デュエルが開始されます。デュエルが開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避してください』

 

 一般道路にいつものアナウンスが流れ、地面からライディングデュエル用の専用レーンが姿を現し始めた。いつ見ても壮観だな。

 

 この世界のライディングデュエルの仕様はアニメ5D'sのように一般道路がライディングデュエル用に突如変更されるわけではなく、アニメArc-Vのように専用のコースが地面の下から出てきて一般道路に接続される仕掛けとなっている。事前にレーンの使用申請をしておけばその時のデュエル内容が外部に漏れる心配もほぼない。空からは丸見えなので完璧とは言えないのだが、その辺りはご愛敬だ。

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

 その日、滅茶苦茶デュエルした。




十代を勧誘するために十代特化のデッキを組んで1vs2を仕掛ける気満々で意気揚々とやって来たら、想定外の変な赤帽子に介入されてボコボコにされてしまったネオスペーシアン…。

十代のデッキは以前と大きく変化の無い【E・HERO】です。変化があるのは次回のデュエルからですね。

ネオスペーシアン達のデッキはそれぞれ【水属性】、【風属性】です。イルカが十代の手札をハンデスで落とし、トリが猛攻を仕掛けて倒す予定だったのですが、変な赤帽子のせいで全ておじゃんになりました。

コナミのデッキは【BF】です。5D'sでクロウ・ホーガンが使用していたデッキテーマで大量展開からの高速シンクロ召喚が得意なデッキです。漫画版やアークファイブ、デュエリストパックでも新規カードを貰い、ただでさえ強かったテーマが極悪になっています。

次回の更新は6/26(土) AM6:00予定です。デュエル無しの布石回です。

コダマ様、Skazka Priskazka様、グラニュー様、gsころりん様、終焉齎す王様、メイン弓様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘いただきましてありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百二十九話 幕間:JRDG開幕

前回のあらすじ:ワクワクを思い出すんだ!(開幕ハンデス)

今回はデュエル無し。次の話への布石です。


<天上院吹雪視点>

 

 8月中旬、お盆休みに入って数日経った今日はいよいよJRDGの初日が始まる日だ。

 ボクは妹の明日香と共にJRDGが開催されるデュエルサーキット前の公園へとやって来ていた。会場にはクロト君が持っているチケットが無いと入れないから事前に待ち合わせをすることになっている。

 

「おはようクロト君、コナミ君」

「おはようクロト、赤羽君もおはよう」

「おはよう2人とも」

「おはようだ!2人とも!」

 

 朝の公園の入り口には顔見知りが二人、白と黒を基調とした私服姿のクロト君といつも通り赤い帽子に赤いジャケットを羽織ったコナミ君がボク達を待っていた。

 

「あら?私たちが最初なの?」

「そうみたいだね。クロト君たちを除けばボク達が一番この町に近い場所に住んでいるからね」

「それもありますが、集合時間まであと30分以上ありますよ」

「さっき十代や翔たちから連絡があって、もう家を出たみたいだからもうすぐ来ると思うぞ」

「藤原先輩からも連絡がありましたよ。藤原先輩たちももう少しで到着するみたいです。万丈目は…連絡先を聞いてなかったな。切符の買い方が分からないなんて落ちは無いよな?」

「流石にそれは無いと思うわよ」

 

 集合時間まではまだ十分に時間はある。彼らなら間に合うだろう。

 

「明日香たちは駅からずっと歩いて来て疲れているだろ?そこのベンチで休んでいたらどうだ?」

「えぇ、そうさせてもらうわ」

「そうだね。お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

 クロト君に勧められるまま、明日香と共に公園の中央付近にあるベンチへと腰を下ろす。どうやら思っていたよりも疲労が溜まっていたらしく、ふぅ、っとため息が出てしまった。

 この場所は屋根がついており、8月の直射日光から身を守ってくれているおかげでかなり涼しい。公園を囲むように生えている周りの木々もここ一帯の温度を下げるのに一役買っているらしく、休憩するのには最適な場所だろう。

 

「明日香、吹雪さん。これを飲むといい。熱中症対策だ」

「ありがとう」

「助かるよ」

 

 クロト君はボクたちに飲料水が入ったペットボトルを渡すと公園の入り口へと戻っていった。

 渡された飲料水を口に含みながら周囲を見回すと、視界にはちらりとJRDGで使用される巨大なデュエルサーキットが見える。

 ただ、それ以外の光景は何処かで見たことがあるような、何となく既視感を覚えるような…思い出した!ここは、ボク達が初めてクロト君と出会った公園じゃないか!懐かしいな!

 

「あの時のクロト君を見て、ボクは実に珍妙な格好をした面白そうな少年だなと思って、声を掛けたんだったな」

「あの時?…あぁ、この公園って私たちがクロトと初めて会った公園ね。今思い出したわ」

 

 ボクの独り言に明日香が相槌を打ってくれる。

 

「あの頃はあんなデュエルコートは無くて、この公園も全然人気が無かったよね」

「そうね。あの時は私はまだ小学校2年生で、この公園を兄さんと散歩していたわ。するとこのベンチで小休止する灰色の外套を着込んだクロトを見つけたのよね」

「ハノイの仮面をベンチの横に置いて、素顔を晒してたね」

「ふふっ、あれじゃ変装の意味が台無しだったわ。そんなクロトに兄さんはいつものアレを見せたのよね」

「君の瞳に、何が見える?」

「やらなくていいからね?」

 

 当時を思い出したのか、明日香はくすりと笑った。ボク達と彼との関係はここで彼とデュエルし、敗北することから始まった。実は年下の子に負けたのは初めてだったから、少しショックだったんだよね。

 まさか、あの時に出会った少年とこれほど長く付き合うことになるとは思いもしなかったけどね。

 

「あれからデュエルアカデミアに入学して、色々あったなぁ。アメリカに留学したり、異世界に行ったりしたりね」

「とんでもない経験よね。兄さん、行方不明になっちゃうし」

「その件については本当に申し訳ないことをしてしまったね」

「ごめんなさい。責めるつもりなかったの。兄さんは無事だった。それで充分だわ」

 

 アメリカで偶然クロト君と再会し、クロト君の協力のお陰でアメリカのオカルト事件は解決した。そして、その時の彼の助言と彼から貰ったいくつかの道具のお陰でボクはダークネスの世界から無事に藤原を助け出すことが出来た。

 ボクの感覚では異世界に言っていたのは1週間ほどだったのだけれど、こちらの世界では約2年が経過していた。その間、ボクは行方不明扱いになっていたらしく、明日香や両親を酷く悲しませてしまった。そんな時、明日香を支えてくれた亮やクロト君には感謝しきれない恩があるな。

 

「改めて考えて見ると、クロト君って本当に不思議な少年だよね」

「あれを不思議の一言で済ませていいのかは疑問だけれど、その通りね」

 

 幼き日からハノイの騎士として日本各地を回り、何処からか手に入れた様々なカードとまるで何人もの人間が知恵を出し合ったかのような戦術を用いてデュエルの大会を荒らしまわったと聞いたことがある。

 そしてあの留学先のアメリカで起こった破滅の光事件。現地の警察やアメリカ・デュエルアカデミアがお手上げの状態で海馬コーポレーションを頼った際に単身派遣されて来たのが当時まだ中学生の彼だった。最初の事件発生から半年間、警察機構がほぼ手がかりすらつかめていなかった案件を彼は渡米してから一週間ほどで解決してしまった。

 更に、詳しくは聞いていないけれど、ハートランドシティでのテロ事件や舞網市でのリアルソリットビジョンシステムの暴走事件の解決にも噛んでいるらしい。

 

「彼は一体何者なんだろうね?」

「それは私には分からないわ。私が分かるのは一つだけ」

「それはなんだい?」

「彼は、白河クロトは私達の友人であるということ。これだけは分かるわ」

「ふふっ、そうだね」

 

 そこまで話すと、クロト君たちが公園の入り口からこちらに向けて手を振っているのに気付いた。

 よく見ると手招きをしているみたいだ。恐らく他のメンバーが到着したのだろう。

 

「皆、到着したみたいだね。じゃあ、行こうかアスリン」

「アスリンは止めて」

 

 ボクは少し不機嫌になってしまった愛しの妹と共に、クロト君たちのいる公園の入り口へと歩き出した。

 

~~~

 

<前田隼人視点>

 

 8月中旬、お盆休みに入って数日経った今日はいよいよJRDGの初日が始まる日だ。

 オレと十代は待ち合わせ場所であるJRDGが開催されるデュエルサーキット前にある公園へと向かっていたのだが、その道中で珍しい人物と合流することになった。

 

「十代?それに隼人か。貴様等、こんなところで何をしている?」

「あっ、万丈目なんだナァ」

「万丈目?お前こそ何をしてるんだ?」

「万丈目、サンダー!」

 

 オレたちはJRDG会場に向かう為に電車を乗り継いでいると、切符の券売機の前で立ち往生している万丈目を発見したのだ。

 デュエルアカデミアではもう恒例となりつつあるやり取りをしつつ、十代と万丈目は仲良く話をしている。(万丈目はきっと否定するだろうが)

 それにしても一体何をしていたのだろう?まさか、いくら万丈目グループの御曹司とはいえ、切符の購入方法が分からないとか?そんな漫画やアニメみたいなことがあるだろうか?

 

「オレたちはこれからJRDGを観戦しに行くんだナァ」

「何?貴様たちもか?」

「そうだぞ」

 

 どうやら彼もJRDGの観戦に行くようだ。万丈目は日本でも有数の万丈目グループの三男坊だから、もしかしたらオレ達とは違ってゲスト枠として呼ばれているのかもしれない。

 

「それよりも万丈目、もしかして切符の買い方が分からないのか?」

「なっ!?馬鹿を言うな!」

「こうやって買うんだぜ」

「それくらいオレだって知っている!」

「お礼は言わなくていいぜ」

「誰が言うか!」

「痛たたたたっ!締まってる締まってる!ギブギブ!」

「やかましい!」

 

 駅のホームど真ん中でじゃれあう二人と他人の振りをしつつ先に切符を買ってホームに向かった後、彼らがやって来るのを待っている間にオレは彼らのことについて考えてみた。

 

 遊城十代。入学試験でデュエルアカデミア実技最高責任者のクロノス・デ・メディチを破ったオシリスレッドの生徒にしてオレと翔の友人兼ルームメイトだ。

 デュエルを心から楽しむことのできる奴で実技に関しては同年代でもトップ10には入っているはずだ。セブンスターズや三幻魔などの事件においても功労者であり、赤羽コナミと並んでその名前を知らないアカデミア本校生は居ないと言っていいだろう。その一方では(最近はかなり改善しているが)筆記などの成績は悪く、授業では時々寝ていたりして授業態度もあまり良くない。その姿勢は賛否両論だろうが多くの人間に影響を与えてきただろう。オレもその一人だ。

 

 万丈目準。デュエルアカデミア中等部からの生え抜きエリートであり万丈目グループの三男でもある、元オベリスクブルーの成績上位者で現オシリスレッドの生徒だ。

 デュエル技能もデュエル知識も高くこちらもやはり同年代でトップ10の実力者だ。それよりも特筆すべきはそのカリスマ性だろうか。入学してすぐの頃は調子が悪かったらしく十代や三沢に敗北してデュエルアカデミアを去ることとなり、その後はノース校を渡ったらしくそこで持ち前のカリスマ性とデュエル技能により瞬く間に彼らの心を掴み、対抗戦では三沢にリベンジを成功させてデュエルアカデミア本校へと帰還したとんでもない男だ。

 

「隼人、置いて行くなんて酷いぜ」

「全くだ!」

「ああいう時は他人の振りをするのが一番なんだナァ」

 

 十代たちからは非難されたが、あのじゃれあいを止める理由が特に無かったので問題ないだろう。

 十代たちと合流して電車に乗ってJRDPの会場を目指す。その際、なんだかんだで万丈目も途中まで一緒に行くことになった。やっぱりこの2人は仲が良いと思う。

 

「十代、さっきからご機嫌なんだナァ」

「分かるか?」

「そんなにニヤニヤしながらカードを見ていれば誰でも分かる」

「それは、この前コナミや翔たちと一緒に買いに行ったカード?」

「そう!オレのニューヒーローたちだぜ!」

 

 十代が電車の中で自身のカードを取りだしてニヤニヤし始めた。恐らくはこの前カードを買いに行ったときに当たったヒーローを眺めているのだろうと思ったら案の定だった。分かりやすい。

 

「エアーマンにブレイズマン、プリズマーにシャドーミストか。先日の響プロの試合で見た強力なHEROモンスターだな」

「おっ、お前も見たのかあの試合!凄いよな響プロ!オレ一発でファンになっちゃったぜ!」

「プロデュエリストを目指すのであれば当然だな。うん?よく見れば以前オベリスクブルー女子の宮田が使っていたカードもあるな」

「格好いいだろ?響プロのパックとは別にいくつか買ってみたら入っていたんだぜ!」

 

 電車を降りてからもこの2人は十代の新たなHEROモンスターについて話し合っている。プロデュエリストの話やカードイラストの話ならともかく、デュエルの戦術の話になるとオレはこの2人の知識に付いて行けない。

 この2人に限らず、デュエルアカデミアには明日香さんや三沢、コナミや白河など同年代でも群を抜いて他を寄せ付けない強いデュエリストが居る。情けない話だが、オレは彼らに何度も嫉妬したことがある。

 何故オレはこんなに負けるのに彼らはずっと勝ち続けていられるのか?そんな気持ちは恐らくオレの同級生なら誰しもが感じたことがあるだろう。もちろん努力もしているだろう。生まれ持った才能の差もあるのだろう。明確な答えはまだ出ていない。

 

 言い訳に聞こえるだろうが、実はそもそもオレはそこまで自身が行うデュエル自体はそこまで好きではない。ただ、デュエルモンスターズそのものについてや十代たちが楽しそうにデュエルする姿を見るのは好きだ。

 一度は挫折し、父と十代たちのお陰で再起したオレだが、オレはきっと純粋なデュエリストには向いていないのだと思う。ならば、今後オレが選ぶべき道は…。

 

「おーい、隼人!急に立ち止まってどうしたー?」

「ふん。ぐずぐずしていると置いて行くぞ!」

 

 気が付くと考え込んで立ち止まってしまっていたようだ。幸い、十代たちも待ってくれていた。急いで彼らに合流する。

 

「考え事をしていたんだナァ」

「考え事?」

「するなとは言わないが、歩きながらだと危ないから止めて置け。車にでも轢かれたらどうするつもりだ」

「そうだぞ」

「ゴメンなんだナァ」

 

 合流してから歩いて数分後、もう待ち合わせの場所の公園は目の前で、入り口にはコナミがこちらに気付いて手を振っている。何故か白河も一緒に居て、誰かを待っているようだ。

 

「十代!隼人!待ってたよ!」

「おっすコナミ!数日振り!」

「おまたせなんだナァ」

 

 どうやら白河が待っていたのは万丈目だったらしい。オレ達の隣に万丈目の姿を確認した白河はホッとした表情を見せていた。

 正確には彼は万丈目を含む5人を待っているそうだ。

 

「思ったよりは早かったな万丈目。切符はちゃんと買えたのか?」

「ええい、貴様もか!当たり前だ!全く!なんて失礼な奴らだ!」

 

 デジャヴュのような光景を目の当たりにしながらも、こうしてオレたちはコナミ達と合流した。

 

~~~

 

<藤原優介視点>

 

 8月中旬、お盆休みに入って数日経った今日はいよいよJRDGの初日が始まる日だ。

 ボクはオネストと共にJRDGが開催されるデュエルサーキット前にある公園へと向かっていた。そこで白河君や吹雪たちと待ち合わせをしているのだ。

 

「行ってきます」

「あぁ、行ってらっしゃい」

「優介、車に気を付けるのよ」

「分かってるよ」

『マスターの安全はお任せください』

 

 少し前まで記憶喪失だった父と母に声を掛け、ボクに長年連れ添ってくれているカードの精霊オネストと共に家を出た。

 家から駅までの景色は、デュエルアカデミアに入学する前のボクの記憶とほぼ変わらないがそれでもやはりどこか少しずつは変化があり、その変化に気が付くたびに月日の流れを感じる。

 誰にも忘れられたくない、誰も忘れたくないと願ってダークネス世界に行き、世界中の人間がボクのことを忘れる中で唯一忘れないでいてくれた吹雪がボクを迎えに来てくれて…。

 

「そう、あの時にボクは吹雪とデュエルしてそれから…十二獣、モルモラット、ブルホーン、ネズミ、うっ、頭が…!ネズミ、ネズミ…うわぁぁぁぁっ!」

『マスター!?しっかりしてください!』

「はっ!ボクは一体何を…」

『マスター…おいたわしや…』

 

 気が付くと少し錯乱していたらしく、周囲の人たちが胡乱げな表情でこちらを見ている。オネストもこちらを心配そうな表情で見ている。あぁ、また彼には心配をかけてしまったな。

 えっと、何か考え事をしていたような…あぁそうだ。人間界へ戻って来ると既にこちらでは2年の月日が流れていて、その変化を目の当たりにして感傷に浸っていたんだったかな。

 

「この町も少し変わったよね」

『はい。あの店なんかはマスターがアカデミアに入学する前は無かったはずですね』

「そうだね。何の店だろう、タピオカ?ミルクティー?」

『少し前にそんな飲み物が流行ったことがあると白河から聞いたことがあります』

「そうなんだ。じゃあボクも飲んでみようかな」

 

 すっかり寂れてガラガラになっていたその店でドリンクを購入した後、徒歩移動で最寄り駅に到着して電車にて数駅ほど移動した。

 目的地に着くには電車を何本か乗り換えなければならないので、乗り換えの為にホームを移動しているとオネストが見慣れた顔を発見したようだった。

 

『おや?マスター、あの後ろ姿は三沢大地ではありませんか?』

「本当だ。三沢君。おはよう」

「藤原先輩?おはようございます。こんなところで奇遇ですね」

 

 薄い黄色のジャケットに緑のインナーと言う服装をした三沢君がそこに居た。彼の容姿は優れているので周囲の女学生たちがちらちらと彼の横顔を覗き見しているようだが、彼自身は気が付いていないみたいだ。

 彼もどこかに出かけるのだろうか?

 

「藤原先輩もJRDGの観戦ですか?」

「うん。白河君に誘われてね。何でも彼が持っているチケットがあれば5人まで無料で入場できるそうなんだよ。ボクもってことは、君もそうなのかい?」

「えぇ。オレの場合は赤羽に誘われたんですけどね」

「赤羽…あぁ、コナミ君のことだね」

「はい」

 

 よくよく話を聞いてみると待ち合わせの場所や時間も同じらしく、それならばと言うことで彼の提案により道中を一緒に行くことになった。

 会場近辺の地理には明るくなかったのでこの提案は助かる。

 

 それから三沢君と最近注目しているプロデュエリストの話やデュエル理論の話、尊敬している数学者の話など他愛無い話を続けた。

 デュエルアカデミアでも吹雪や亮に次いで彼とはよく会話する。ボクはダークネス世界での件があって2年ほど留年しているので顔なじみが少なく、同学年で話す相手があまりいないのだ。三沢君を除けば白河君や吹雪の妹の明日香さんくらいだ。

 

「へぇ、舞網市のデュエル大会にも参加したことがあったんだね」

「えぇ。結果は散々でしたがいい経験になりました。ペンデュラム召喚、融合召喚、シンクロ召喚、エクシーズ召喚、そのどれかを極めたエキスパートたちが集まった非常にレベルの高い大会でしたね。恐らく、今のトッププロデュエリストに並ぶ実力の持ち主ばかりだったと思います」

「それほどだったのか」

「赤羽とはそこで出会いました。アイツは参加者の中でも特に強く、当時も全く歯が立ちませんでしたね」

「彼はボクが知る限り、唯一白河君を倒したデュエリストだからね」

「白河ですか。アイツもまた優れたデュエリストですね。アイツと初めてデュエルした際に使用されたデッキのドラゴンたちは今でもオレの最大最強の仮想敵の1つですよ」

 

 三沢君が今までに経験してきた中で思い入れの深いデュエルの話などを聞いていると、その流れでデュエルアカデミアの話になるのは自然な流れだっだ。

 

「カイザーと呼ばれた丸藤亮の実力は本物でした。入学したてのオレでは手も足も出ずに負けてしまいましたね」

「亮はボク達の中でも突出して勝利を目指していたからね」

「そして、彼に並び評される吹雪先輩や藤原先輩もまたオレの中では超えるべき大きな壁ですよ」

「吹雪はともかく、ボクもかい?流石に買いかぶりすぎだよ」

「いえ、実際にデュエルして敗北した時に、流石はアカデミアの三天才と呼ばれた人たちだと実感しましたよ。いずれは勝たせてもらいますがね」

「ははっ、その時はお手柔らかに頼むよ」

 

 三沢君は先日のセブンスターズの事件以降、自身の実力を高めようと必死だったらしく、アカデミアに所属している強いデュエリストに片っ端からデュエルを挑んだみたいだ。

 コナミ君、遊城君、白河君、明日香さん、万丈目君、亮、吹雪、そしてボク。他にも何人かオベリスクブルー女子に挑んだみたいだけど、そちらは詳しくは知らないかな。

 白河君から貰ったデッキをようやく自在に使いこなせるようになってきていた時期だったので、辛勝ではあるが何とか勝利して先輩としてのメンツを保つことが出来たが、彼の鬼気迫るデュエルは今でも忘れがたいものがあった。きっと彼は今後もっと強くなるだろうな。

 

「見えてきましたよ」

「そうみたいだね。公園の入り口で白河君と話しているのは…遊城君たちだね」

 

 待ち合わせ場所である公園の入り口には白河君とコナミ君以外に、遊城君やその友人である前田君と万丈目君も居るようだ。何やら万丈目君が驚いているようだが、この距離では聞き取れなかった。

 そんな様子を見ながらボクたちは彼らに合流した。

 

~~~

 

<丸藤翔視点>

 

 8月中旬、お盆休みに入って数日経った今日はいよいよJRDGの初日が始まる日だ。

 ボクはお兄さんと共にJRDGが開催されるデュエルサーキット前にある公園へと向かっていた。そこでボクはコナミ君たちと、お兄さんは白河君たちと待ち合わせをしているのだ。

 

「そうか。翔もデュエルアカデミア入学前にクロトに出会っていたのか」

「うん。白河君やコナミ君たちの母校のかがやき中学校の学園祭で会ったのが初めてかな。その時にお兄さんの弟だってことでタコヤキをおまけして貰ったよ」

「アイツは何かと人の世話を焼きたがるような気がするな」

 

 お兄さんも白河君からJRDGの入場チケットを貰っていたらしく、今日は天上院兄弟や藤原さんたちと一緒にJRDGを観戦するみたいだ。

 ボクもコナミ君のチケットで一緒に入場させてもらえることになっていることを告げたら「じゃあ、会場まで一緒に行くか?」と声を掛けられたのだ。

 この言葉にボクは驚いた。答えは当然OKだった。

 こうしてお兄さんと一緒に出掛けるなんて小学校低学年以来だ。あの頃は優しいお兄さんに甘え、色々と我儘を言ってお兄さんを困らせたものだ。今もきっとボクがオシリスレッドの生徒であることで心配をかけていなければいいけれど…。

 

「ほう、クロトは中学校時代からそんなことをやっていたのか?」

「うん。『バニーラ卿』なんて呼ばれていたらしいよ」

「1年で住んでいる地域の不良全てをデュエルで叩きのめすか。ふっ、アイツらしいと言えばアイツらしいな」

 

 お兄さんはサイバー流道場に通うようになってから少し変わった。もちろんいい意味でだ。

 デュエリストとして元々強かったその強さも格段に上昇していった。その代わりと言っては何だけど、その強さと反比例するように話しかけづらい存在になっていった。

 強くて冷静で背が高くてハンサムで、自身の強さに奢らずに努力を忘れずそれでいて相手をリスペクトする精神を忘れない雲の上の存在、それがボクの自慢のお兄さんの姿だった。

 

「今日出場する前回大会優勝者のチームYRSのメンバーとは幼馴染らしいね」

「つまり、幼少期からアイツや赤羽とデュエルしてきたわけか。どうりで強いわけだ」

「毎日のようにコナミ君や白河君とデュエルしていたらしいね。むしろよく心が折れなかったものだと思うよ」

「そうだな。ただ、アイツに負けると何故か『次は必ず勝ってやる』と思わせられる。きっと彼らも同じ気持ちになったのだろうな」

 

 だけど、ある時を境にお兄さんの様子は一変する。

 お兄さんはサイバー流継承者として腕試しに参加したとある大会で、年下の男の子に敗れたそうだ。その相手はリスペクト精神など欠片も持ち合わせていない相手だったが非常に強いデュエリストだったらしい。

 以前の様にいつでも冷静で相手をリスペクトする気持ちを大事にしていた姿は消え失せ、常に勝利を追求すするようになった。それまで通っていたサイバー流道場も師範代を破った際に破門されたらしい。

 今までは白を基調とする服装を好んでいたが、その当時は黒い服を好むようになったのも分かりやすい違いだった。そしてその姿が、ボクが今年デュエルアカデミアでお兄さんに再会する前に見た姿だった。

 

「えっ、まさかお兄さんが昔負けた相手って…」

「さて、な?」

 

 今年ボクもデュエルアカデミアに入学して再会した時、ボクはお兄さんの更なる変貌した様子に驚いた。ボクが最後に会った時はまだ勝利をリスペクトする姿のままだったのだが、再会した時のお兄さんはまるで昔のお兄さんのようだったのだ。 

 昔のようにクールなだけでなく、少し前の様に貪欲の勝利を追い求めるだけでもなく、なんというかサイバー流道場に通う前のお兄さんに戻ったような、そんな感じになっていたのだ。

 お兄さんはデュエルアカデミアに入学してすぐにとある大会に出場し、以前負けた相手にリベンジマッチを挑んでまた敗れたらしい。そしてその対戦後に相手と話す機会を得て和解したと言っていた。恐らくその時に今のような姿に変わったのだろう。

 

「サイバー流道場に通っていた頃は、自身と相手の全力を出しあえさせすれば勝敗はどうでもいいと思っていた」

「うん。そう言っていたね」

「あの大会でアイツに敗れた後は、『負けたくない。勝ちたい』と言う気持ちに支配されて周りが見えなくなっていた時期もあった」

「うん、そうだね」

「そして数年後にアイツと再会して再戦してようやく自分の求めていた物が少し理解できた気がする。オレが求めていた物、オレの見出したリスペクトデュエル。まだ、言葉にするのは難しいのだがな」

 

 ボクと並んで歩いているお兄さんは、少し嬉しそうな表情でそう言った。

 ボクもいつの日か、お兄さんに並び立てるようなデュエリストになれるだろうか?お兄さんの様に自分のリスペクトデュエルを見つけられる日が来るだろうか?

 そんなことを考えていると、ボク達は目的地へと到着したのだった。

 

~~~

 

<白河クロト視点>

 

 待ち合わせ時間となって全員そろっていることを確認した俺はJRDG会場にて受付を行った。彼らは勘違いしていたらしいが、残念ながら俺は観客ではなく関係者枠なんだ。当然、入出管理するための関係者用ネームプレートも持っているから会場に入るための入場チケットも不要だ。

 なんなら受付嬢ですらI2社勤務の十年来の知り合いだったりするわけで、やろうと思えば顔パスでもたぶん行ける。ただこの人、昔から相変わらず口が軽いから俺が直接受付しないと何を言い出すか分からなくて怖いんだよ。

 

 受付を終えた俺は彼らをVIP専用チケットでのみ入ることが許される特別観客席へと招待した。VIP専用と言うこともあってそこには先日パーティで招待されていたようなプロデュエリストやら各界の大物がズラリと並んでいて、知る人ぞ知る魔境となっている。

 えっ、聞いてないって?知らんなぁ。そもそも聞かれていないし言ってないから知らなくて当然なんだよなぁ。

 

 そこには既にセレナが招待していた柊柚子たちアークファイブの舞網市組(方中ミエルは居ないっぽい)や、リンたちが招待していた瑠璃たちアークファイブのハートランド組(黒咲隼はプロ枠っぽい)も居て、更にはユーゴがいつの間にか知り合っていたアークファイブのネオドミノシティ組(コモンズ組)も居た。何と言う混沌っぷり。

 うわっ、赤馬の奴。この部屋が冷暖房完備とはいえ外はクソ暑いのに例の赤いマフラー巻いてるよ。一体何着持っているんだろうな。

 

「おぉっ!すげぇ場所だな!まるでVIPルームだぜ!」

「ば、馬鹿!静かにしていろ!」

「兄貴ぃ、多分ここってそのVIPルームその物っスよ…」

「と、とんでもないところに来てしまったんだナァ」

「ははっ、お前たちもVIPルームだと知らされずに呼ばれたくちか?」

「そう言うお前らは?」

「自己紹介がまだだったな。オレはシンジ。シンジ・ウェーバーだ。よろしくな」

「デイモン・ロペスだ」

「トニー・シモンズだぜ」

「オレは遊城十代だ。よろしくな!」

 

「あれ?なぁ柚子。もしかしてあの赤い服の人ってネオス仮面の人じゃあ…」

「えっ、確かに遊矢の言う通り、後ろ姿とかは似ているけど…」

「他人の空似ではないか?」

「ボクは映像でしか見てないから何とも言えないかな」

「よぅ!榊、柊。権現坂に紫雲院も居るのか」

「やっほー」

「三沢にコナミ!久し振りだな!」

「2年ぶりくらいだったかしら」

「元気そうで何よりだ」

「ウォータードラゴンの人と赤帽子の人か。久し振りだね」

 

「貴方たちも来たのね」

「響先生!?それにもしかしてその隣に居る人は…!」

「初めまして。プロデュエリストの響紅葉だ。君たちは姉さんの教え子かな?」

「初めまして。丸藤亮と申します」

「藤原優介です」

「天上院吹雪です」

「て、天上院明日香です」

 

 今回招待したデュエルアカデミアの面々は、元々知り合いが居たり生来のコミニュケーション能力の高かったりしたおかげで特に問題なく場に馴染めたようだな。

 さて、これで俺もようやく本来の目的の為の準備に取り掛かれそうだな。

 

「おはようクロト。早速だけどリンたちが探していたわよ?」

「ユーゴやリンも呼んでいたな。全員怒っていたみたいだから、早めに向かった方がいいんじゃないか?」

「あ~、やっぱりか。今から行くよ」

 

 瑠璃たちからリンたちが俺を探していた話を聞き、それを理由にVIPルームを退出した。

 今日はセレナたちのバックアップを手伝うと言っていた日だからな。それを無断で抜け出したわけだからそりゃ怒るわな。後で謝っておかないとな。

 だがこれで俺がこの部屋に居ない理由作りも大体できたわけだな。

 

 今回の出場者は強豪も多いものの、やはりセレナやユーゴ達に比べれば見劣りする連中ばかりだからな。ほぼ間違いなくセレナたちが優勝するだろう。

 そして彼らが優勝したその時こそ、このドッキリは成功が確定するわけだ。やるからには間違いなくセレナたちには更に怒られることになるだろうから、どうせ怒られるなら派手にやらないとね?




今更ながら登場人物多すぎですね。

次回からは夏休み編のクライマックスへと向けて一直線となります。JRDGの試合全てを詳細に描くと本編上そこまで重要でもない話を過去最長の長さで描写することになるのでほぼダイジェストになります。

次回の更新は6/26(土)AM7:00予定です。

終焉齎す王様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十話 JRDGその1

前回のあらすじ:VIPルームは混沌の坩堝。

今回のデュエルはリンと〇〇〇との対戦です。


<エド・フェニックス視点>

 

 8月中旬、JRDG開催第二日となった今日、ボクはスタジアムのVIPルームにて準決勝戦を観戦していた。

 当初のボクは父さんを救ってくれた黒髪の東洋人の少年を探すのを一番の目的としては来日していたのだが、この大会で信じられないものを見せつけられることになった。

 

『私は【ゼンマイハンター】の効果を発動しますわ!【発条空母ゼンマイティ】をリリースして貴方の手札を頂戴いたしますわ!』

『ギャー!私の最後の手札がー!』

 

『なんとー!セレナ選手、1ターン目にしていきなりハンドレス状態になってしまった!これは厳しいぞー!』

 

『ぐぬぬ…なんてことしてくれる!』

『ホーッホッホッホ!負け犬の遠吠えは気持ちいいですわー!』

 

 デュエルレーンでは、チームリアルファイト不可避のハンデス戦術で初手全ハンデスを受けてしまったチームYRSのファーストホイーラーの少女が酷い目に遭っていた。

 何とか墓地効果のあるカードである程度は態勢を整えたようだが、かなりの苦戦を強いられているように見える。

 

「まさかこれほどのデュエルをこの大会で見られるとは思わなかったな」

「ええ。どちらのチームもアマチュアの選手とは思えないデュエルとチームワークを見せてくれていますね」

 

 タッグデュエルはプロでも難しいように、チーム戦もまたプロデュエリストでも難しいものがある。

 隣に座っているボクの友人にしてマネージャーを務めてくれている斎王琢磨もこの大会参加者のデュエル技能やチームワークの高さには興味を抱いているようだ。

 

 Dーホイールおよびライディングデュエル自体がまだ歴史の浅い物なので、そもそもライディングデュエルを行えるデュエリストが少なく、ライディングデュエル専用のプロリーグなどは現状存在していない。

 よって今大会に出場しているデュエリストの大半はセミプロやアマチュアのデュエリストが殆どのはずなのだが、本選に出場してきている8チームはスタンディングデュエルのプロリーグでも十分通用するレベルの技量を持っているように見える。

 

『やれ!キャット・ダンサー!ゼンマイたちをサンドバックにしてやれ!』

『そんなぁぁぁ!』

『セレナ選手の【月光舞猫姫】の猛攻が炸裂ぅー!ライフを一気に削り取ったー!フィールドのゼンマイモンスターは壊滅状態!チームリアルファイト不可避はセカンドホイーラーに交代となります!』

 

 今まさにデュエルレーンで融合召喚を決めて逆転勝利して見せた少女やそのチームメイトはボクと同年代らしい。他の出場者も20代の若者が殆どだ。

 もし彼らがボクが居るプロリーグに挑戦して来たら…いや、そうなれば今以上の努力を重ねて食らいついて見せるだけだ!

 

~~~

 

<インゼクター羽賀視点>

 

 JRDG開催最終日にてJRDG決勝戦が行われる日、ボクはその様子をVIPルームにて一人の観客として楽しませてもらっていた。

 デュエルレーンではそれぞれのチームのセカンドホイーラー達があの手この手でしのぎを削っていたがいよいよ勝敗が見え始めて来た。

 チームYRSのセカンドホイーラーは、優勝候補の一角であるチームグラディエーターズのセカンドホイーラー相手が仕掛ける妨害をものともせずに怒涛の攻撃を見せていた。

 

『おぉーっとぉ!ここでチームYRSのユーゴ選手の【クリアウィング・ファスト・ドラゴン】のダイレクトアタック炸裂!チームグラディエーターズはラストホイーラーに交代だぁぁぁ!』

 

 紫の服に身を包んだリーゼント頭のMCが熱い実況にて決勝戦の様子を教えてくれる。

 デュエルレーンではチームYRSのセカンドホイーラーがチームグラディエーターズのセカンドホイーラーを倒し、ラストホイーラーとの戦いに推移しているようだ。

 

「彼、速水ユーゴ君と言ったか。かなり強いね」

「せやな。あの少年、かなりやりおる。他の嬢ちゃんたちもそうやけど、アイツらはトッププロデュエリストたちと比べても遜色ない腕前やで」

 

 隣に座っている竜崎も同意見らしく、ボクたちは彼らのデュエルから目が離せないでいた。

 対戦相手のチームグラディエーターズは決して弱いチームではないのは見ればわかった。伊達に優勝候補の一角と呼ばれていない実力の持ち主たちだ。プロデュエリストにも引けを取らないであろう。

 だが、それと比べてもチームYRSのメンバーの実力は突出していた。

 

 攻撃能力に特化した融合モンスターで相手の小細工を粉砕して敵陣を蹂躙する葉月セレナ。

 強力なバーン効果を持つシンクロモンスターや幾多の魔法罠を駆使して相手を翻弄する風祭リン。

 そして、攻撃・防御共に大会最高水準の力を見せるチームのエースデュエリスト速水ユーゴ。

 

 全員が中学三年生で構成されているチームYRSは、そのメンバー誰もが並のプロデュエリストを遥かに凌駕するデュエリストであった。

 

「まさかハノイの騎士以外にもティーンエイジャーであれほどのデュエリストが居るなんてね」

「アイツらの誰か一人でもプロリーグに上がって来たらと思うとワイらもウカウカしてられんな?」

「そうだね」

 

『行け!クリアウィング!旋風のヘルダイブスラッシャー!』

『ぐわぁぁぁっ!』

『決まったぁぁぁ!ここでチームYRSのユーゴ選手の【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】のダイレクトアタック炸裂ぅぅぅ!栄えある第二回JRDGの優勝者はチームYRS!これで大会2連覇だぁぁぁ!』

 

 チームYRSがチームグラディエーターズを破り、スタジアムが歓声に包まれる中、大会二連覇を達成して表彰台にてその栄誉を称えられている。

 リーダーのユーゴはチームメイトのリンと抱き合って喜びを分かち合い、三人目のチームメイトであるセレナはピットクルーに居た黒髪の青年やオレンジ髪の青年とハイタッチをしている。

 

「見事なデュエルだったね」

「個人の実力もさることながらチームプレイもかなりのもんやったな」

 

 一瞬たりとも目が離せない激闘だったため、いつの間にかカラカラになっていた喉の渇きを潤す為にボクたちはミネラルウォーターを口に含む。

 何はともあれ大会は終了した。そろそろ帰り支度をしないとな…なんてことを考えていた時、それは起こった。

 

『なんと!ここでエキシビションマッチが開催されることが明らかになったぞ!見事JRDG優勝者に輝いた彼らの対戦相手は、あのハートランドシティの英雄の1人、ハノイの騎士だぁぁぁ!』

 

 その発表がリーゼントのMCから会場全体に伝えられた直後、ハノイの騎士の乗るD-ホイールが会場の遥か上空からデュエルレーンへと姿を現した。

 着地の瞬間に彼の周囲から突風のような物が吹き荒れ、着地の衝撃を殺したようだ。その演出に会場が再び歓声に沸きあがる。

 

ブブッー!!

 

 あまりにも突然の出来事の為、隣に座っていた竜崎が口に含んでいたミネラルウォーターを吹き出していた。

 なお、ボクは以前にも同じようなことがあったので何とかむせるだけで済んだ。

 

「はぁぁぁ!?アイツなにやっとんや!」

「いつも唐突にとんでもないことをするのが彼とは言え、ホントなにやってるんだろうね」

 

 席を立って驚いている竜崎はさておき、周りを見回してみると他のVIPたちやチームYRSの関係者らしき若者たちも驚いているようだ。どうやら彼らもこのエキシビションマッチについては初耳らしい。

 その中でも若者たちの何人かは頭を抱えて溜息をついている者もいる。もしかするとハノイの騎士の知り合いなのかもしれないな。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 演出の為にデュエルレーンの遥か上空からD-ホイールに乗ったままダイブすることになったが、ランリュウのフォローのお陰で何とか体裁を保てたようだ。あんなタマヒュン体験はもうなるべくやりたくないな。

 このエキシビションマッチは以前ペガサスからの依頼を俺が受ける形で実現したもので、サプライズの為に主催者であるペガサスたちI2社の幹部たちや海馬社長たち海馬コーポレーションの重役たち、そして本戦に出場した8チームの参加者以外には知らされていなかったのだ。

 きっと大会関係者は今頃大慌てだろう。まさに寝耳に水って感じだろうな。恨むなら報・連・相を軽視しがちなペガサスたちを恨んで欲しい。

 

「クロ…ハノイの騎士、やってくれたわね?」

「くくっ、黙ってて悪いが仕事なんでな」

 

 エキシビションマッチの存在自体は通知されていたから元々選出順を決めていたのだろう。ユーゴ達が選んだファーストホイーラーはリンのようだ。いつものように白と緑を基調としたライダースーツを着ている。その表情を窺うと普段と同じように呆れ顔であり、特に怒ってはいないようだった。

 そもそも俺の知る限り、今まで一つ屋根の下で暮らしてきて彼女が本気で怒ったのは小学校時代に楽しみにしていたメロンをユーゴに食べられてしまった時くらいだ。普段怒らない人間ほど怒ると怖いと言うのは本当だったようで、ユーゴはガン泣きしていた。食べ物の恨みは恐ろしいと実感した上で、俺は彼女だけは怒らせまいと心に誓ったものだ。

 

「全く、呆れてものも言えないわよ。ユーゴもセレナ大笑いしてただけだけど、ちゃんと後で謝っておきなさいよ?」

「はいはい。反省してまーす」

 

 リンがジト目でこちらを睨んでくるが、先ほど言ったようにこのエキシビションマッチを請け負ったのは仕事なので、事前に彼女たちだけに教えておくのは色々と不味いのだ。

 

「ホント、ちゃんとわかっているのかしら。まぁいいわ」

 

 しばらくするとジト目から呆れたような表情に戻った。良かった。どうやら殆ど普段と変わらない平常心の様だ。相手が知り合いの俺と言うこともあってか緊張などもほぼ見られない。

 どうせ戦うなら普段の冷静沈着な彼女と戦いたいからな。

 

『エキシビションマッチはチームYRSの3人に対してハノイの騎士1人の対戦となり、特別ルールが適用されるぞ!ハノイの騎士の初期LPは3人分の12000!初期手札および手札上限は10枚だ!』

 

 リーゼントのMCの実況を聞きながら愛車の調子を最終確認していく。良し、やはり問題ないな。アクセルを踏みこむ準備はいつでもOKだ。

 普段から最低限のメンテナンスしかしていないのに、俺の愛車であるD・ファントム・Typeゼブラは今日も絶好調だ。イリアステルの科学の力ってスゲー。多分、イリアステル製発信機とか内蔵されているんだろうけどな。イリアステル製爆弾とかは流石に設置されては…ないよね?

 

『デュエルが開始されます。繰り返します。デュエルが開始されます』

 

 サーキット内にアナウンスが流れると観客席の歓声は一時的に収まっていく。会場に居る誰もがこのデュエルに注目しているのが分かる。

 D-ホイールのアクセルを踏みこむと独特の起動音と共にDホイールが走り出し、すぐさま景色が流れるような映像と化す。これがいわゆるスピードの世界だ。

 

 JRPGではDホイールの操作は全てマニュアル操作限定となっている。アニメでもそうだったとはいえ、時速200kmを叩き出すDホイールにマニュアル操作で乗りながらカードゲームするとか、正気の沙汰とは思えない。

 

「ふふっ、大会最後の相手が貴方なんて面白いじゃない!容赦しないからね!」

「なんだ。呆れているか怒っているのかと思ったが、ご機嫌じゃないか」

 

 並走していたリンがDーホイールの通信機能を使って楽し気に話しかけてきた。普段と違ってマニュアル操作だと言うのに、よくもまぁそんな余裕がある物だな。

 今も周囲に舐められない様に余裕があるように見せてはいるが、俺は普段マニュアル操作とかやらないから結構ギリギリで実は殆ど余裕がない。

 

「呆れていたし、怒っていたわよ。でもね?2人は黙ってたけど、決勝戦は私まで回ってこなかったから実は不完全燃焼気味だったのよね!」

「そういえばそうだったな。それはともかく…」

 

「対戦よろしくお願いします」

「こちらこそ。対戦よろしくお願いします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

『デュエルモードオン、スタンバイ』

 

 

 デッキから初期手札を引き抜いて、ハンドルの横に付いたスタンドに置く。

 手札めゃくちゃ多くて邪魔だなぁ。イリアステルの謎の技術のおかげで走行中にカードが飛ばされるようなことは無いだろうが単純に持ちにくいな。

 

 それはさておき、デュエルを開始する準備は整った。後はデュエル開始の宣言を行うだけだ!

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

 

◆ハノイの騎士 LP:12000、手札:10枚。Sp:0

 

VS

 

◆風祭リン LP:4000、手札:5枚。Sp:0

 

 

『フィールド魔法【スピード・ワールド-ネオプラス】発動』

 

 デュエル開始とともに今回のJRDG用に開発されたフィールド魔法【スピード・ワールド-ネオプラス】が発動される。このフィールド魔法はお互いのフィールド魔法ゾーンで発動しているカードではないライディングデュエル特有の特殊裁定だ。

 このフィールド魔法が【スピード・ワールド2】と大きく異なるポイントとしては、「Sp(スピードスペル)」以外の魔法カードもデメリットなく使用可能となっていることと、このカードと「Sp」魔法カード以外の効果ダメージを半減する効果が内蔵されている。

 前大会で目の前にいるリンや他デュエリスト達のバーンカード戦術が横行した為に付け加えられた効果らしい。国内最高クラスの視聴率を誇るデュエル大会で、先攻1キルバーンしまくったらそりゃ対策されるわな。

 

【スピード・ワールド-ネオプラス】※本作オリジナルカード

フィールド魔法

①このカードはフィールドから離れず効果を受けない。

②他のフィールド魔法が発動してもこの効果は適用され続ける。

③お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを2つ置く(最大12個まで)。先攻1ターン目のスタンバイフェイズではSPカウンターは増加しない。

④このカードが存在する限り、このカード及び「Sp(スピードスペル)」魔法カード以外の効果ダメージは半分となる。

⑤お互いのプレイヤーは、自身のメインフェイズに自分用スピードカウンターを以下の数だけ取り除いて発動できる。

●4個:手札の「Sp(スピードスペル)魔法カード1枚につき、相手に800ポイントのダメージを与える。

●7個:自分のデッキからカード1枚ドローする。

●10個:フィールド上のカード1枚選んで破壊する。

 

「嘘!?速すぎる!」

『第一コーナーを制したのは…ハノイの騎士だー!』

「くくくっ、先攻は貰ったぞ!」

 

 ライディングデュエルにおいて、先攻の権利を得るのはデュエルレーンの最初のコーナーを曲がったデュエリストだ。

 俺のライディングテクニックはリンたちのそれには遠く及ばないが、俺のD-ホイールは200年後の未来からやって来たイリアステル製だ。残念ながら動力はモーメントではないが、それでもこの時代に存在するD-ホイールとは馬力が違う。

 普段掛かっているリミッターをいくつか外してやれば、運転技術で劣ろうともコーナーを譲ることはまず無い。

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:10→11枚、Sp:0

リン Sp:0

 

「私は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札の【クラッキング・ドラゴン】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

ハノイ 手札:11→10→9→11枚、

 

「私は手札から【ハック・ワーム】を自身の効果で特殊召喚!」

ハノイ 手札:11→10枚、

 

<ハノイのフィールド>

ハック・ワーム ★1 DEF0

 

【ハック・ワーム】

効果モンスター

星1/闇属性/機械族/攻 400/守 0

(1):相手フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

「そして私は手札から【ジャック・ワイバーン】を通常召喚!」

ハノイ 手札:10→9枚、

 

<ハノイのフィールド>

ハック・ワーム ★1 DEF0

ジャック・ワイバーン ★4 ATK1800

 

【ジャック・ワイバーン】

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1800/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの機械族モンスター1体とこのカードを除外し、自分の墓地の闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「ここで私は手札から魔法カード【アイアンドロー】を発動!デッキから2枚ドローする!」

ハノイ 手札:9→8→10枚、

 

【アイアンドロー】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の効果モンスター2体のみの場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分は1回しかモンスターを特殊召喚できない。

 

「【ジャック・ワイバーン】の効果発動!このカードと【ハック・ワーム】を除外し、墓地の【クラッキング・ドラゴン】を特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

クラッキング・ドラゴン ★8 ATK3000

 

【クラッキング・ドラゴン】

効果モンスター

星8/闇属性/機械族/攻3000/守 0

(1):このカードは、このカードのレベル以下のレベルを持つモンスターとの戦闘では破壊されない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、相手がモンスター1体のみを召喚・特殊召喚した時に発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時までそのレベル×200ダウンし、ダウンした数値分だけ相手にダメージを与える。

 

「【クラッキング・ドラゴン】…!嫌なモンスターを出してきたわね!」

 

「お誉めに預かり光栄だな。私はカードを3枚セットしてターンエンド!」

ハノイ 手札:10→7枚、伏せカード:0→3枚。

 

 

◆ハノイの騎士 LP:12000、手札:7枚。伏せカード:3枚。Sp:0

 

<ハノイのフィールド>

クラッキング・ドラゴン ★8 ATK3000

 

VS

 

◆風祭リン LP:4000、手札:5枚。Sp:0

 

 

『ハノイの騎士の第一ターンは大型モンスターを一体立てて伏せカードが三枚!まずは様子見と言ったところかー!?』

 

「私のターンよ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

リン 手札:5→6枚、Sp:0→2

ハノイ Sp:0→2

 

「私は手札からスピードスペル【Sp-エンジェルバトン】を発動!デッキから2枚ドローし、手札から【マジックブラスト】を墓地に送る!」

リン 手札:6→5枚

 

【Sp-エンジェルバトン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。

デッキからカードを2枚ドローし、 その後手札1枚を墓地に送る。

 

「甘いな。私はその効果にチェーンして手札から【灰流うらら】を墓地に送って効果発動!【Sp-エンジェルバトン】の効果を無効にする!」

ハノイ 手札:7→6枚

 

【灰流うらら】

チューナー・効果モンスター

星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。

●デッキからカードを手札に加える効果

●デッキからモンスターを特殊召喚する効果

●デッキからカードを墓地へ送る効果

 

「手札誘発…!」

 

チェーン②灰流うらら

チェーン①Sp-エンジェルバトン ※効果無効

 

「それなら私は手札から【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップから10枚裏側除外してデッキから2枚ドローするわ!」

リン 手札:5→4→6枚

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

更にドローソースを抱えていたのか。さっきのエンジェルバトンは囮かよ。流石、良い引きしてるな。

 

「私は手札から【風霊媒師ウィン】の効果発動!手札のこのカードと【WW-ブリザード・ベル】を墓地に送り、デッキから【WW-アイス・ベル】を手札に加えるわ!」

リン 手札:6→5→4→5枚

 

【風霊媒師ウィン】

効果モンスター

星5/風属性/魔法使い族/攻1850/守1500

このカード名はルール上「霊使い」カードとしても扱う。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと風属性モンスター1体を捨てて発動できる。デッキから「風霊媒師ウィン」以外の守備力1500以下の風属性モンスター1体を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性以外のモンスターの効果を発動できない。

(2):このカードが手札に存在する場合、自分の風属性モンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

「そして私は手札から魔法カード【ガルドスの羽根ペン】を発動!墓地の【風霊媒師ウィン】と【WW-ブリザード・ベル】をデッキに戻し、【クラッキング・ドラゴン】を手札に戻してあげるわ!」

リン 手札:5→4枚

 

【ガルドスの羽根ペン】

通常魔法

自分の墓地に存在する風属性モンスター2体を選択してデッキに戻し、フィールド上に存在するカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。

 

「チェーンして伏せていた罠カード【機甲部隊の超臨界】を発動する!デッキから【マシンナーズ・メタルクランチ】を特殊召喚して【クラッキング・ドラゴン】を破壊する!」

ハノイの騎士 伏せカード:3→2枚

 

【機甲部隊の超臨界】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとはカード名が異なる「マシンナーズ」モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚し、対象のモンスターを破壊する。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、機械族モンスター3体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

チェーン②機甲部隊の超臨界

チェーン①ガルドスの羽根ペン

 

<ハノイのフィールド>

マシンナーズ・メタルクランチ ★9 ATK2800

 

【マシンナーズ・メタルクランチ】

効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻2800/守 0

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は1800になる。

(3):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから機械族・地属性モンスター3体を相手に見せ、相手はその中からランダムに1体選ぶ。そのモンスター1体を自分の手札に加え、残りのモンスターはデッキに戻す。

 

【ガルドスの羽根ペン】の手札バウンス効果は対象を失ったが、リンの墓地の【風霊媒師ウィン】と【WW-ブリザード・ベル】はデッキに戻ったか。

 

「【マシンナーズ・メタルクランチ】の効果発動!さぁ、3枚のうちどれかをランダムで選ぶといい!」

 

<ハノイの騎士が選んだモンスター>

①機皇帝グランエル∞

②マシンナーズ・カーネル

③機皇兵グランエル・アイン

 

「機皇?初めて見るモンスターね…まぁいいわ。私はそのカードを選ぶわ!」

 

「これだな?では選ばれたモンスターは手札に加え、残りのモンスターはデッキに戻す!」

ハノイ 手札:6→7枚

 

「でも、これで【クラッキング・ドラゴン】が居なくなったわね!」

「ふっ、そうだな」

 

【クラッキング・ドラゴン】は十分に役目を果たしてくれたさ。俺の手札にはあのモンスターが既に来た!

 

「私は手札から【WW-アイス・ベル】の効果発動!自身を特殊召喚よ!」

リン 手札:4→3枚

 

<リンのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

 

【WW-アイス・ベル】

効果モンスター

星3/風属性/魔法使い族/攻1000/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、デッキから「WW」モンスター1体を特殊召喚できる。この効果でデッキから特殊召喚したモンスターはリリースできず、この効果を発動するターン、自分はレベル5以上の風属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手に500ダメージを与える。

 

「【WW-アイス・ベル】の効果はまだ続いている!更にデッキからチューナーモンスター【WW-グラス・ベル】を特殊召喚よ!」

 

<リンのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

WW-グラス・ベル ★4 DEF1500 ※チューナー

 

【WW-グラス・ベル】

チューナー・効果モンスター

星4/風属性/魔法使い族/攻1500/守1500

「WW-グラス・ベル」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「WW-グラス・ベル」以外の「WW」モンスター1体を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

「【WW-アイス・ベル】の効果発動!相手に500ダメージを与える!」

 

「更に【WW-グラス・ベル】の効果発動!デッキからチューナーモンスター【WW-スノウ・ベル】を手札に加えるわ!」

 

チェーン②WW-グラス・ベル

チェーン①WW-アイス・ベル

 

リン 手札:3→4枚

 

「ちっ!」

ハノイ LP:12000→11750 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

「そして手札の【WW-スノウ・ベル】の効果発動!自身を特殊召喚するわ!」

リン 手札:4→3枚

 

<リンのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

WW-グラス・ベル ★4 DEF1500 ※チューナー

WW-スノウ・ベル ★1 DEF100 ※チューナー

 

【WW-スノウ・ベル】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/魔法使い族/攻 100/守 100

(1):自分フィールドに風属性モンスターが2体以上存在し、風属性以外のモンスターが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードをS素材として風属性SモンスターをS召喚した場合、そのSモンスターは相手の効果では破壊されない。

 

「フィールドにはチューナーと非チューナーが揃っている。来るかな?」

 

「行くわよ!私はレベル3【WW-アイス・ベル】にレベル4【WW-グラス・ベル】をチューニング!」

 

 くくっ、シンクロ召喚か。それはこのデッキには相性最悪なんだぜ?

 一見正しいように見えたそのシンクロ召喚。だがそれは、大いなる間違い!なんてな。

 

「真冬の風よ。雪も氷も我が力として吹き抜けよ!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【WW-ウィンター・ベル】!!」

 

<リンのフィールド>

WW-スノウ・ベル ★1 DEF100 ※チューナー

WW-ウィンター・ベル ★7 ATK2400

 

【WW-ウィンター・ベル】

シンクロ・効果モンスター

星7/風属性/魔法使い族/攻2400/守2000

チューナー+チューナー以外の風属性モンスター1体以上

「WW-ウィンター・ベル」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地の「WW」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベル×200ダメージを相手に与える。

(2):自分・相手のバトルフェイズに自分フィールドの「WW」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベル以下のレベルを持つモンスター1体を手札から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

「【WW-ウィンター・ベル】の効果発動!墓地のレベル4【WW-グラス・ベル】を選択し、そのレベル×200ダメージを相手に与える!」

 

「ぐぅっ!」

ハノイ LP:11750→11350 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

「更に!私はレベル7【WW-ウィンター・ベル】にレベル1【WW-スノウ・ベル】をチューニング!シンクロ召喚!来て!レベル8【WW-ダイヤモンド・ベル】!」

 

<リンのフィールド>

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 ATK2800 ※効果では破壊されない。

 

【WW-ダイヤモンド・ベル】

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/魔法使い族/攻2800/守2400

チューナー+チューナー以外の風属性モンスター1体以上

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合、自分の墓地の「WW」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。

(2):1ターンに1度、相手が戦闘・効果でダメージを受けた場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。このカードが「WW」モンスターのみを素材としてS召喚されている場合、この効果は1ターンに2度まで使用できる。

 

『出たー!リン選手のエースモンスター!【WW-ダイヤモンド・ベル】だー!』

 

 リンのフィールドに体の随所にダイヤモンドを埋め込まれている美しき白き魔法使いがフィールドに現れ、会場のMCや観客は大盛り上がりの様だ。

 そして、コイツは見た目によらず中々にえげつない効果を持っている。

 

「【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果発動!墓地の【WW-ウィンター・ベル】を選択し、その攻撃力の半分のダメージを相手に与えるわ!」

 

「ぐあっ!」

ハノイ LP:11350→10750 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

「この瞬間!更に【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果発動!【マシンナーズ・メタルクランチ】を破壊するわ!」

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「はははははっ!掛かったな、リン!お前なら高確率でメタルクランチを効果破壊してくると思っていたぞ!」

「えっ!?」

「このモンスターは自身のフィールドのモンスターが効果破壊された時、手札から特殊召喚できるのだ!」

「それは、さっきサーチしてきたモンスター!?」

「さぁ、シンクロキラーの力を存分に味わうがいい!現れよ!【機皇帝グランエル∞】!」

ハノイ 手札:7→6枚

 

<ハノイのフィールド>

機皇帝グランエル∞ ★1 ATK0→5325

 

【機皇帝グランエル∞】

特殊召喚・効果モンスター

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できず、自身の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):自分フィールドの表側表示モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。その相手Sモンスターをこのカードに装備する。

(3):この攻撃力・守備力は自分LPの半分アップし、攻撃力は自身の効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。

(4):自身の効果で装備したモンスター1体を対象として発動できる。それを守備表示で特殊召喚する。

 

『な、なんだあのモンスターはー!?見たこともない巨大な機械兵器がハノイ選手のフィールドに出現したぁぁぁ!』

 

 突如俺のフィールドに機皇帝グランエルの胸部、頭部(トップ)、ビーム砲の付いた左腕(アタック)、盾の付いた右腕(ガード)、ホバー移動を可能とする脚部(キャリア)が出現し、5つのパーツが合体する演出と共に黄土色の鉄巨人が姿を現した。

 OCG版はそうやって登場するんだ。合体シーンから見せてくれるとか、なかなか格好いい演出してくれるじゃん!

 それにしてもさっきからあのリーゼントのMCがめっちゃテンション上がってて、見てて面白いな。

 

「攻撃力…5000オーバー!?しかも、シンクロモンスターを吸収する…!?」

「はははははっ!もはや如何なるモンスターも敵ではないな!」

 

 良かった。手札誘発の【朔夜しぐれ】とかは握っていなかったようだな。あれを使われるとグランエル君が酷いことになるからなぁ。

 

「攻撃力が高いだけのモンスターなんて何とでもなるわ!」

「ならやってみるといい!」

 

「見てなさい!私は手札から魔法カード【マジックブラスト】発動!相手に200ポイントのダメージを与える!」

リン 手札:3→2枚

 

【マジックブラスト】

通常魔法

(1):自分フィールドの魔法使い族モンスターの数×200ダメージを相手に与える。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分ドローフェイズのドロー前に発動できる。このターン通常のドローを行う代わりに、このカードを手札に加える。

 

 さっきのエンジェルバトンで墓地に落とそうとしていたカードか。ここは止めるか?…いや、まだだな。

 

「くっ!だがこの程度のダメージではな…!」

ハノイ LP:10750→10650 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

「この瞬間!【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果発動!【機皇帝グランエル∞】を破壊よ!」

 

 ここだ!この効果を止める!

 

「無駄だ!チェーンして伏せていた罠カード【ゴースト・コンバート】を発動する!墓地の【クラッキング・ドラゴン】を除外し、【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果を無効にして破壊する!」

ハノイの騎士 伏せカード:2→1枚

 

「なっ!?」

 

【ゴースト・コンバート】※タッグフォースオリジナルカード

通常罠

自分フィールド上に「∞」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合、自分の墓地に存在する機械族モンスター1体をゲームから除外して発動する。

相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする。

 

チェーン②ゴースト・コンバート

チェーン①WW-ダイヤモンド・ベル ※効果無効化。

 

「防がれた…!」

「発動後このカードは墓地に送らず、そのままセットする」

ハノイの騎士 伏せカード:1→2枚

 

「しかも再セットできる罠カード…!?まるで【くず鉄のかかし】ね!」

「機皇帝がフィールドに居ないと使えない難点はある。そちらも【WW-スノウ・ベル】の効果で破壊は免れたようだな」

 

 やはり優秀だな。【ゴースト・コンバート】。事前にコナミとトレードして入手しておいた甲斐があったな。

 

「ならとっておきよ!私はそちらの【機皇帝グランエル∞】をリリース!」

「…えっ?」

「そして手札から【怪粉壊獣ガダーラ】をそちらのフィールドに特殊召喚するわ!」

リン 手札:2→1枚

 

<ハノイのフィールド>

怪粉壊獣ガダーラ ★8 DEF1600

 

【怪粉壊獣ガダーラ】

効果モンスター

星8/風属性/昆虫族/攻2700/守1600

(1):このカードは相手フィールドのモンスター1体をリリースし、手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる。

(2):相手フィールドに「壊獣」モンスターが存在する場合、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できる。

(3):「壊獣」モンスターは自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(4):1ターンに1度、自分・相手フィールドの壊獣カウンターを3つ取り除いて発動できる。このカード以外のフィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力を半分にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「ゲッ!壊獣!?」

 

 そんなのまで持ってたのか!?それは流石にズルいだろ!くそっ!【機皇帝グランエル∞】はデッキに1枚しか入れてないってのに…!

 

『な、なんとー!リン選手、ハノイの騎士が繰り出した大型モンスターをあっという間に退けてしまったー!』

 

「バトルよ!【WW-ダイヤモンド・ベル】で【怪粉壊獣ガダーラ】を攻撃!」

 

WW-ダイヤモンド・ベル ATK2800

vs

怪粉壊獣ガダーラ DEF1600 ※戦闘破壊

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「ちぃっ!」

「最後の伏せカードを使わなかった…?まぁいいわ。メインフェイズ2に移行。私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

リン 手札:1→0枚、伏せカード:0→1枚、

 

 

◆ハノイの騎士 LP:10650、手札:6枚。伏せカード:2枚。Sp:2

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

VS

 

◆風祭リン LP:4000、手札:0枚。伏せカード:1枚。Sp:2

 

<リンのフィールド>

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 ATK2800 ※効果では破壊されない。

 

 

 リンの手札は無し。伏せカードは…【氷風のリフレイン】や【迷い風】辺りかな?

 対して俺は伏せカードの1枚が【ゴースト・コンバート】ということがバレている…か。

 

 今回の俺の目的はリンたち3人に勝つことではないのだが、流石にエキシビションマッチを組んでまでデュエルしているのにラストホイーラーまで回らずに俺が負けたらせっかくの大会が白けてしまうだろう。リンの後のセカンドホイーラー、ラストホイーラーと戦えるように手札をある程度温存しておく必要があるな。

 そもそも、俺がわざと負ける理由も特にないしな!やれるだけやるだけだ!

 

「私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:6→7枚、Sp:2→4

リン Sp:2→4

 

『さぁ、ここからスピードカウンターも4つとなり、【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果を適用できるようになったぞ!ここからどう動くのか―!』

 

「墓地の【機甲部隊の超臨界】を除外して効果発動!除外されたモンスター3体をデッキに戻して1枚ドロー!」

ハノイ 手札:7→8枚

 

<ハノイの騎士がデッキに戻したモンスター>

①ハック・ワーム

②ジャック・ワイバーン

③クラッキング・ドラゴン

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドローし、手札から【機皇神龍アステリスク】を除外する!」

ハノイ 手札:8→7→9→8枚

 

「私は手札から永続魔法【機皇創出】を発動!発動時の効果処理としてデッキから【機皇兵廠オブリガード】を手札に加える!」

ハノイ 手札:8→7枚、永続魔法:0→1枚。

 

【機皇創出】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「機皇」モンスター1体を手札に加える事ができる。

(2):手札を1枚捨て、自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

(3):自分フィールドの表側表示の「機皇」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、このカード以外のフィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「リバースカードオープン!チェーンして罠カード【氷風のリフレイン】発動!墓地から【WW-アイス・ベル】を特殊召喚するわ!」

リン 伏せカード:1→0枚、

 

【氷風のリフレイン】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地の「WW」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

●自分の「WW」モンスターの効果の発動にチェーンして相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時に発動できる。その相手の効果を無効にする。

 

チェーン②氷風のリフレイン

チェーン①機皇創出

 

<リンのフィールド>

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 ATK2800 ※効果では破壊されない。

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

 

ハノイ 手札:7→8枚。

 

「そして【WW-アイス・ベル】の効果発動!相手に500ダメージを与える!」

 

「ぐっ!」

ハノイ LP:10650→10400 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

「この瞬間!更に【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果発動!伏せカードの【ゴースト・コンバート】を破壊させてもらうわ!」

 

「むっ、機皇帝が不在の隙を突かれたか」

ハノイの騎士 伏せカード:2→1枚

 

「流石にそのカードをセカンドホイーラーの時まで残しておくわけには行かないからね!」

 

 なるほど。リンは既にこのデュエルを次に繋げる考えにシフトしているわけか。【ゴースト・コンバート】を破壊されたのは痛いが、致命的と言うわけではない。

 

「私は手札から【機巧鳥-常世宇受賣長鳴】を通常召喚!」

ハノイ 手札:8→7枚、

 

<ハノイのフィールド>

機巧鳥-常世宇受賣長鳴 ★2 ATK950

 

【機巧鳥-常世宇受賣長鳴】

効果モンスター

星2/光属性/機械族/攻 950/守 950

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの攻撃力と守備力の数値が同じ機械族モンスター1体をリリースして発動できる。攻撃力と守備力の数値が同じで、リリースしたモンスターより低いレベルを持つ機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。裏側表示で除外されている自分のカードの中から、攻撃力と守備力の数値が同じ機械族モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「【機巧鳥-常世宇受賣長鳴】の効果発動!自身をリリースしてデッキより【機皇枢インフィニティ・コア】を特殊召喚!」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

 

【機皇枢インフィニティ・コア】

効果モンスター

星1/闇属性/機械族/攻 0/守 0

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「機皇」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードは1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。

(3):このカードが効果で破壊された場合に発動できる。同じ属性のモンスターが自分フィールドに存在しない「機皇帝」モンスター1体を手札・デッキから召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスター1体でしか攻撃宣言できない。

 

「特殊召喚成功時、【機皇枢インフィニティ・コア】の効果発動!デッキから【根絶の機皇神】を手札に加える!」

ハノイ 手札:7→8枚、

 

「私は手札から速攻魔法【盆回し】を発動!デッキから私のフィールドに【機動要塞フォルテシモ】、そちらのフィールド魔法ゾーンに【機皇城】をセットする!」

ハノイ 手札:8→7枚。フィールド魔法:0→1枚。

リン フィールド魔法:0→1枚。

 

【盆回し】

速攻魔法

(1):自分のデッキからカード名が異なるフィールド魔法カード2枚を選び、その内の1枚を自分フィールドにセットし、もう1枚を相手フィールドにセットする。

この効果でセットしたカードのいずれかがフィールドゾーンにセットされている限り、お互いに他のフィールド魔法カードを発動・セットできない。

 

「私はセットされている【機動要塞フォルテシモ】を発動!そしてその効果を発動!手札より【機皇兵廠オブリガード】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:7→6枚

 

【機動要塞フォルテシモ】

フィールド魔法

1ターンに1度、自分の手札から「機皇兵」と名のついたモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇兵廠オブリガード ★4 DEF1800

 

【機皇兵廠オブリガード】

効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1200/守1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカードを破壊し、デッキから「機皇兵廠オブリガード」以外の「機皇兵」モンスター2体を守備表示で特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。このターンのエンドフェイズに、自分フィールドの「機皇」モンスターの数×100ダメージを相手に与える。

 

「私は手札から永続魔法【補給部隊】を発動!」

ハノイ 手札:6→5枚、永続魔法:1→2枚。

 

【補給部隊】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「【機皇兵廠オブリガード】の効果発動!自身を破壊してデッキから【機皇兵ワイゼル・アイン】と【機皇兵グランエル・アイン】を守備表示で特殊召喚する!」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇兵ワイゼル・アイン ★4 DEF0

機皇兵グランエル・アイン ★4 DEF0

 

【機皇兵ワイゼル・アイン】

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1800/守 0

(1):このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールドの「機皇」モンスターの数×100アップする。

(2):1ターンに1度、このカード以外の自分の「機皇」モンスターが守備表示モンスターに攻撃宣言した時に発動できる。その戦闘でその自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

【機皇兵グランエル・アイン】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻1600/守1200

(1):このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターの数×100ポイントアップする。

(2):このカードが召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズ時まで半分にする事ができる。

 

「この瞬間、【補給部隊】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に手札の【機皇帝スキエル∞】の特殊召喚条件を満たした!現れよ!【機皇帝スキエル∞】!」

 

チェーン②機皇帝スキエル∞

チェーン①補給部隊

 

ハノイ 手札:5→4→5枚

 

【機皇帝スキエル∞】

特殊召喚・効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻2200/守2200

このカードは通常召喚できず、自身の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):自分フィールドの表側表示モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。その相手Sモンスターをこのカードに装備する。

(3):この攻撃力は自身の効果で装備したモンスターの攻撃力分アップし、他の自分のモンスターは攻撃宣言できない。

(4):自身が装備している自分のモンスター1体を墓地へ送って発動できる。このターンこのカードは直接攻撃できる。

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇兵ワイゼル・アイン ★4 DEF0

機皇兵グランエル・アイン ★4 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK2200

 

「さっきのと違う!?2体目の機皇帝ってことね!」

「その通りだ」

 

『おおっとー!再びハノイ選手のフィールドに先ほどとは別の機械兵器がフィールドに出現したー!』

 

「【機皇帝スキエル∞】の効果発動!【WW-ダイヤモンド・ベル】を吸収して装備する!」

 

「ダイヤモンド・ベルが…!」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇兵ワイゼル・アイン ★4 DEF0

機皇兵グランエル・アイン ★4 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK2200→5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備

 

<リンのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

 

『な、なんとぉー!ハノイ選手の機械兵器がリン選手のシンクロモンスターを吸収したー!しかもその攻撃力は5000!これはリン選手!絶体絶命のピンチだー!』

 

 【機皇創出】の効果で【機皇枢インフィニティ・コア】を破壊して新たな機皇帝を呼ぶか?いや、ワイゼルでは攻撃宣言に制限が掛かってしまうか。ならば…。

 

「私はレベル4【機皇兵ワイゼル・アイン】と【機皇兵グランエル・アイン】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4【ギアギガント X】!」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:2

 

【ギアギガント X】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/機械族/攻2300/守1500

機械族レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキ・墓地からレベル4以下の機械族モンスター1体を選んで手札に加える。

(2):表側表示のこのカードがフィールドから離れた時、自分の墓地のレベル3以下の「ギアギア」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「【ギアギガント X】の効果発動!ORUを1つ取り除いてデッキから【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】を手札に加える!」

ギアギガント X ORU:2→1

ハノイ 手札:5→6枚

 

「また新たな機皇帝…!」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:1

 

「そして私は手札から装備カード【光学迷彩アーマー】を発動!【機皇帝スキエル∞】に装備する!」

ハノイ 手札:6→5枚

 

「そのカードは!?」

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備・【光学迷彩アーマー】装備

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:1

 

【光学迷彩アーマー】

装備魔法

レベル1のモンスターのみ装備可能。装備モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃をする事ができる。

 

『こ、これはまさかぁー!攻撃力は5000のダイレクトアタッカーだー!リン選手!これを防ぎきれるのかー!?』

 

「バトルフェイズへ移行する!」

 

「…ここまでね。ゴメン、ユーゴ、セレナ。後はお願いね」

 

「【機皇帝スキエル∞】でダイレクトアタック!」

 

機皇帝スキエル∞ ATK5000

 

「キャァァァッ!」

リン LP:4000→0

 

 リンのLPが0になった途端、彼女の操るD-ホイールは大きく失速して後方の景色へと消えていく。

 その瞬間、会場が大きな歓声に包まれ、リーゼントのMCもテンションが上がったせいか実況席の机の上に乗ってマイクを握りしめている。

 

『決まったー!強烈な一撃により、リン選手のLPを一撃で奪い取ったー!勝負の命運は、チームYRSのセカンドホイーラーへと託されることになるぞー!』

 

 良し!予定通りだ。最初に3人の中で1番何をやって来るか分からないリンを初見殺しで倒しきれたのは大きいぞ!今回のルールによるバーンダメージ半減の恩恵も大きかったな!

 後のことを考えると【ゴースト・コンバート】を失ったのは痛かったな。だけど、案外本当にこのまま三人抜きも可能性が出てきたんじゃないか?

 

 別に、彼らを倒してしまっても構わんのだろう?

 

 

◆ハノイの騎士 伏せカード:1枚。装備魔法:2枚、永続魔法:2枚、フィールド魔法:1枚、Sp:4。

 

ハノイの騎士 LP:10400、手札:5枚。

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備・【光学迷彩アーマー】装備

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:1

 

フィールド魔法:【機動要塞フォルテシモ】

装備カード:【WW-ダイヤモンド・ベル】

装備カード:【光学迷彩アーマー】

永続魔法:【機皇創出】

永続魔法:【補給部隊】

伏せカード1:【不明】

 

判明している手札:【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】

 

 

◆チームYRS 伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚、Sp:4。

 

リン LP:0、手札:0枚。

セレナ LP:4000、手札:5枚。

ユーゴ LP:4000、手札:5枚。

 

<チームYRSのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

 

フィールド魔法:【機皇城】※セット状態

 

 ※ファーストホイーラーであるリンがフィールドに残したカードとスピードカウンターはそのままセカンドホイーラーに引き継がれる。

 ※手札や墓地、除外ゾーンのカードは引き継がれない。

 

~~~

 

<リン視点>

 

「悔しい…!」

 

 もはや豆粒くらいにしか見えない先を疾走するハノイの騎士こと白河クロトの背中を見て、私はそう呟いてしまった。

 初見とはいえ、あんな良いようにやられた上でセカンドホイーラーにターンを回してしまうなんて…。

 

「でも、デッキの大まかな情報は暴けたはず。後はユーゴとセレナに託すしかないわね…」

 

 ハノイの騎士ことクロトに敗れ、セカンドホイーラーに交代するためにピットへ戻って来た。ピットに居たチームメイトのユーゴとセレナが出迎えてくれる。

 クロトは今のうちにこちらを周回遅れにしてスピードカウンターを稼ぐことをせずにスタートラインにて停止し、こちらを待っているようだ。余裕を見せているつもりなのだろうか。

 

「ごめんなさい。クロトに良いようにやられちゃったわ」

「気にするなって!アイツは俺達のデッキをほぼ知っている上に自分はこちらの知らないデッキを使ってきたんだからさ」

「そうだぞ。恐らくファーストホイーラーはこうなるだろうってことは、デュエルが始まる前に全員が分かっていた事だ。むしろ、よくあそこまでアイツのデッキ情報を暴いてくれた」

 

 そう。クロトはJRDG直前まで私たちの特訓に付き合っており、彼にはこちらのデッキの全容がほぼバレている。そして彼は私たちには今まで見せたことのないデッキを繰り出してきた。

 しかも恐らくはファーストホイーラーが私かユーゴであることを予測して、対シンクロモンスター特化の戦術を仕掛けてきた。この時の為に入念に準備してきたのだろう。ホント、頭に来るわね!

 

「シンクロキラーなんてモンスターが居るなんてね。やられたわ。セカンドホイーラーがセレナで良かったわね」

「確かにな」

「あとは任せろ!あの調子に乗っている馬鹿を叩きのめしてくる!」

 

 セレナはそう言い残すとハノイの騎士へとD-ホイールを走らせて行った。

 それに気付いたハノイの騎士も自身のD-ホイールを走らせ、二人はデュエルを開始した。

 

「正直な話、セレナに勝ち目はあると思う?」

「難しいだろうな。今回私達3人の中で、シンクロキラーなんてものを出してきたクロトが一番警戒しているのは間違いなく融合使いのセレナだ。絶対に何か仕掛けてくるはずだ」

 

 普段私たちがクロトとデュエルする際、最もクロトへの勝率が高いのがユーゴだ。私とセレナが3割で、ユーゴが4割くらいだろうか。そもそもクロトと勝率が互角なのはコナミくらいなのだけれど。

 私とユーゴはシンクロを、セレナは融合を好む傾向にあることを熟知しているクロトはほぼ毎回こちらへのメタカードを使用して来る。もちろん事前に分かっていればこちらも対策カードを入れて対抗するのだが、今回私達はJRDG用のデッキを組んでおり、対クロト用のデッキを組んだわけではないのだ。

 

「大丈夫だ。セレナは強い。それはリンだって知っているだろう?」

「それはそうだけど…そうね。私たちがここでクヨクヨしていても仕方ないわね!」

「そういうことだ」

 

 私は気持ちを切り替え、隣にいるユーゴと一緒にセレナとクロトのデュエルを注視する。私たちのチームならば、必ずクロトだって打倒できるはずだ!




エキシビションマッチ開始。

リンのデッキは【WW】です。WWモンスターの展開力から繰り出される耐性持ち高レベルシンクロモンスターはこの世界ではかなり強力です。今大会ルールによりバーンダメージが半減されたのは、前大会で彼女を始めとしたバーン使いが先攻1ターンキルを決めまくったのが一番大きい要因と言う設定です。LP:4000環境でバーンダメージは、ねぇ?

ハノイの騎士のデッキは【機皇】です。OCGでかなり強化された上に、相手がシンクロ使いと言うことで凄まじいポテンシャルを誇ります。また、こっそりコナミからトレードで入手した極悪カードであるタッグフォース版【ゴースト・コンバート】も使用。こちらはリンに除外されてしまいました。

この世界では特別な意味を持つ機皇カードをわざわざこんな人目の付く大会で使用した理由に関しては後日明かされる予定です。

必殺雷撃人様、Skazka Priskazka様、エスカリボルグ様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十一話 JRDGその2

前回のあらすじ:JRDGエキシビションマッチ開始!

今回のデュエルはクロト(ハノイ)とセレナとの対戦です。


<アモン・ガラム視点>

 

「馬鹿な!機皇帝だと!?」

 

 JRDGのエキシビションマッチを観戦していたボクは、あまりの出来事に観客席から立ち上がってしまい、周囲の注目を浴びることとなってしまった。

 だがそんなことはどうでもいい!問題はハノイの騎士が使用しているあのカードだ!

 

「機皇帝は遥か未来のカードだ。この時代ではイリアステルか、イリアステルの幹部であるパラドックスを長年解析した我々ガラム財閥のみが所有するカードのはず…」

 

 ハノイの騎士がガラム財閥の関係者であるなど聞いたことが無い。つまり、奴はイリアステルの関係者と言うことか?

 しかし、ハノイの騎士も機皇帝など使えばイリアステルとの繋がりを自らばらすようなものだ。何故このタイミングでそのような情報を垂れ流すようなことをする?

 

『ピピッ…ピピッ』

「…通信?」

 

 このタイミングで?何故だかとても嫌な予感がする…。

 

「もしもし。エコーか、どうしたんだ?」

『アモン!大変なことが起こっている!今、ガラム財閥に関係のあるほぼ全ての施設が大規模なサイバー攻撃を受けている!』

「な、なんだって!?」

 

 ガラム財閥は世界有数の巨大企業なんだぞ!?それを同時にサイバー攻撃を仕掛けるだなんて、そんなことが可能なのか!?

 

『JRDGのバックアップに人数を割いているタイミングを狙われたらしく、既にシステムの70%を乗っ取られていている!ディアブロのコントロールも奪われた!』

「なんてことだ…父は!シドはどうなっているんだ!」

『ゴア様は何者かの襲撃を受けたらしく、動ける部隊を救助に向かわせているが現在連絡が取れない!シド様は私が保護している!』

「分かった!ボクも君に合流する!今すぐいつもの合流ポイントに向かう!」

『了解した!こちらもすぐに向かう!』

 

 くそっ!イリアステル!そしてハノイの騎士め!やってくれたな!

 このようなことが出来る組織など、この地球上においてイリアステル以外に考えられない!

 これだけの襲撃だ。事前に狙いを付けて入念に準備していたに違いないだろう! 

 

「一刻も早くエコー達と合流し、シド様だけでもお守りしなければ…!」

 

 ボクは通話を終えて通話機を胸ポケットにしまうとすぐさま走り出した…。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 観客席を見るとアモン・ガラムが大慌てでこのJRGP会場から走り去る姿が見えた。

 

「どうやらイリアステルの連中が上手くやったみたいだな」

 

 数年越しとはいえ未来の技術の結晶であるパラドックスの内部データを解析できる技術力、高コストのディアブロを量産できる経済力。この2つだけでもディアブロを擁する組織が巨大なものであることが分かる。

 そしてそんな組織などこの地球上に幾つも存在することは無い。あとはイリアステルのインチキじみた未来の科学力と世界各地に点在する組織のメンバーの力を使えば敵組織の特定など時間の問題だっただろう。

 

 だが、敵はディアブロを多数所持する強敵だ。個々の性能はオベリスクフォースに及ばないだろうが、総合力で言えばオベリスクフォースなどよりも遥かに厄介だ。

 そこで今回の電撃作戦と言うわけだ。提案した俺の初期案は本職の人達から見ればかなり雑だったらしいが、イリアステルが何とかうまいこと現実的で実現可能なプランに練り直してくれたようだ。

 

 う~ん、敵に回したくないなぁ…。

 

「待たせたな、ハノイの騎士!」

「来たかセレナ」

 

 オートパイロットでDホイールを走らせながら物思いにふけていると、セカンドホイーラーのセレナが俺に追い付いてきたようだ。

 

「こんな大勢の人達がいる晴れ舞台でお前と戦えるなんて、楽しみでしょうがないぞ!」

「相変わらずのデュエル脳で安心したよ」

 

 隣を並走するセレナはとても嬉しそうに笑っている。…今回の件を黙っていたことは特に怒っていないようだな。ヨシッ!

 

『さぁ!エキシビションマッチ2回戦!セカンドホイーラーのセレナ選手の登場だ!果たしてどのようなデュエルを見せてくれるのだろうかー!』

 

「対戦よろしくお願いします」

「対戦よろしくお願いします!」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

 

◆ハノイの騎士 伏せカード:1枚。装備魔法:2枚、永続魔法:2枚、フィールド魔法:1枚、Sp:4。

 

ハノイの騎士 LP:10400、手札:5枚。

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備・【光学迷彩アーマー】装備

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:1

 

フィールド魔法:【機動要塞フォルテシモ】

装備カード:【WW-ダイヤモンド・ベル】

装備カード:【光学迷彩アーマー】

永続魔法:【機皇創出】

永続魔法:【補給部隊】

伏せカード1:【不明】

 

判明している手札:【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】

 

 

◆チームYRS 伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚、Sp:4。

 

リン LP:0、手札:0枚。

セレナ LP:4000、手札:5枚。

ユーゴ LP:4000、手札:5枚。

 

<チームYRSのフィールド>

WW-アイス・ベル ★3 DEF1000

 

フィールド魔法:【機皇城】※セット状態

 

 

【スピード・ワールド-ネオプラス】※本作オリジナルカード

フィールド魔法

①このカードはフィールドから離れず効果を受けない。

②他のフィールド魔法が発動してもこの効果は適用され続ける。

③お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを2つ置く(最大12個まで)。先攻1ターン目のスタンバイフェイズではSPカウンターは増加しない。

④このカードが存在する限り、このカード及び「Sp(スピードスペル)」魔法カード以外の効果ダメージは半分となる。

⑤お互いのプレイヤーは、自身のメインフェイズに自分用スピードカウンターを以下の数だけ取り除いて発動できる。

●4個:手札の「Sp(スピードスペル)魔法カード1枚につき、相手に800ポイントのダメージを与える。

●7個:自分のデッキからカード1枚ドローする。

●10個:フィールド上のカード1枚選んで破壊する。

 

 

 リンとのデュエルの続き扱いだから、リンとの決着が付いた時点で俺のターンがエンドフェイズに入り、次はセレナのターンだ。

 リンのフィールドのカードとスピードカウンターを引き継いたわけだが、そこまで有用なカードは残されていないはずだ。…さて、どう攻めてくるのかな?

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

セレナ 手札:5→6枚、Sp:4→6

ハノイ Sp:4→6。

 

「私は手札からスピードスペル【Sp-ハイスピード・クラッシュ】を発動!自分フィールドの【WW-アイス・ベル】とそちらの伏せカード1枚を破壊する!」

セレナ 手札:6→5枚

 

【Sp-ハイスピード・クラッシュ】

通常魔法

自分用スピードカウンターが2つ以上ある場合に発動する事ができる。

フィールド上に存在するカード1枚と、自分フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。

 

「ちっ!破壊されるくらいなら、チェーンして速攻魔法【リミッター解除】発動!私のフィールドの機械族の攻撃力は倍になる!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【リミッター解除】

速攻魔法

(1):自分フィールドの全ての機械族モンスターの攻撃力は、ターン終了時まで倍になる。

この効果が適用されているモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

チェーン①Sp-ハイスピード・クラッシュ

チェーン②リミッター解除

 

<チームYRSのフィールド>

モンスターなし

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK5000→10000

ギアギガント X ☆4 DEF1500 ORU:1

 

「続いて私はスピードカウンターを6つ減らして手札からスピードスペル【Sp-シフト・ダウン】を発動!自分のデッキからカードを2枚ドロー!」

セレナ 手札:5→4→6枚、Sp:6→0

 

【Sp-シフト・ダウン】

通常魔法

自分用スピードカウンターを6つ減らして発動する。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

「私は手札の【月光黒羊】を捨てて効果発動!デッキから【置換融合】を手札に加える!」

セレナ 手札:6→5→6枚

 

【月光黒羊】

効果モンスター

星2/闇属性/獣戦士族/攻 100/守 600

(1):このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●「月光黒羊」以外の自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。

●デッキから「融合」1枚を手札に加える。

(2):このカードが融合召喚の素材となって墓地へ送られた場合に発動できる。

「月光黒羊」以外の、自分のエクストラデッキの表側表示の「ムーンライト」Pモンスターまたは自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「続いて手札から魔法カード【月光香】を発動!墓地から【月光黒羊】を特殊召喚する!」

セレナ 手札:6→5枚

 

【月光香】

通常魔法

(1):自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外し、手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を手札に加える。

 

<セレナのフィールド>

月光黒羊 ★2 DEF600

 

「更に墓地の【月光香】を除外して効果発動!手札の【月光小夜曲舞踊】を墓地に送り、デッキから【月光彩雛】を手札に加える!」

セレナ 手札:5→4→5枚

 

「ここで私は【月光彩雛】を通常召喚!」

セレナ 手札:5→4枚

 

<セレナのフィールド>

月光黒羊 ★2 DEF600

月光彩雛 ★4 ATK1400

 

【月光彩雛】

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1400/守 800

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、デッキ・EXデッキから「ムーンライト」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このターン、このカードを融合素材とする場合、墓地へ送ったそのモンスターの同名カードとして融合素材にできる。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地の「融合」1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

(3):このカードが除外された場合に発動できる。このターン、相手はバトルフェイズ中に効果を発動できない。

 

「【月光彩雛】の効果発動!コストとしてデッキから【月光虎】を墓地に送る!」

 

「さぁ行くぞ!私は手札から魔法カード【置換融合】を発動!フィールドの【月光黒羊】と【月光彩雛】を融合する!現れ出でよ!月明かりに舞い踊る美しき野獣!【月光舞猫姫】!」

セレナ 手札:4→3枚

 

【置換融合】

通常魔法

このカードのカード名はルール上「融合」として扱う。

(1):自分フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをエクストラデッキに戻す。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

<セレナのフィールド>

月光舞猫姫 ★7 ATK2400

 

【月光舞猫姫】

融合・効果モンスター

星7/闇属性/獣戦士族/攻2400/守2000

「ムーンライト」モンスター×2

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズ1にこのカード以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体をリリースして発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。

(3):このカードの攻撃宣言時に発動する。相手に100ダメージを与える。

 

『来たー!セレナ選手の融合戦術!その切り込み隊長の【月光舞猫姫】だー!』

 

「ここで融合素材となった【月光黒羊】の効果で墓地の【月光虎】を、【月光彩雛】の効果で墓地の【置換融合】を手札に加える!」

セレナ 手札:3→4→5枚

 

「手札の【月光虎】をペンデュラムスケールにセッティングして効果発動!墓地の【月光彩雛】を特殊召喚する!」

 

【月光虎】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/光属性/獣戦士族/攻1200/守 800

【Pスケール:青5/赤5】

(1):1ターンに1度、自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。

【モンスター効果】

「月光虎」のモンスター効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

<セレナのフィールド>

月光舞猫姫 ★7 ATK2400

月光彩雛 ★4 ATK1400

 

「【月光彩雛】の効果発動!コストとしてデッキから【月光黄鼬】を墓地に送る!」

 

 【月光彩雛】は効果使用後に一度墓地に送られているから起動効果をもう一度使用できて、コストとして墓地に送られるから【月光黄鼬】の墓地発動効果は使えない、だったかな。

 

「手札から魔法カード【融合】を発動!フィールドの【月光舞猫姫】と【月光彩雛】を融合!現れ出でよ!飢えた牙持つ毒龍!【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】!」

セレナ 手札:5→4枚

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、

融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、

その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

 

【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2000

トークン以外のフィールドの闇属性モンスター×2

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体を選び、その攻撃力分だけこのカードの攻撃力をターン終了時までアップする。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。エンドフェイズまで、このカードはそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る。

(3):融合召喚したこのカードが破壊された場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

 

 へっ?…はぁぁぁぁぁっ!?

 

『おおっとー!このモンスターは大会では出したことのないモンスターだぞ!一体どのような能力が隠されているのか―!』

 

「なっ!?ちょっ、おまっ!!」

「ははっ!驚いたようだな!」

 

 ゆ、ユーリの野郎ぉぉぉ!セレナのデッキ調整には散々付き合っていてデッキはほとんど把握しているつもりだったが…こいつは完全に想定外だ!

 はっ!や、ヤバイ!コイツの能力は…!

 

「融合召喚成功時、【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】の効果発動!対象は【機皇帝スキエル∞】!ターン終了時まで対象の攻撃力分だけ自身の攻撃力がアップするぞ!」

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800→12800

 

 こ、攻撃力12800!?

 

「墓地の【月光黄鼬】の効果発動!ペンデュラムスケールの【月光虎】を手札に戻して自身を特殊召喚する!」

セレナ 手札:4→5枚

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光黄鼬 ★4 DEF2000

 

【月光黄鼬】

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻 800/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、「月光黄鼬」以外の自分フィールドの「ムーンライト」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻し、このカードを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「ムーンライト」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

「手札の【月光虎】をペンデュラムスケールにセッティングして効果発動!墓地の【月光舞猫姫】を特殊召喚する!」

セレナ 手札:5→4枚

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光黄鼬 ★4 DEF2000

月光舞猫姫 ★7 ATK2400

 

「私は手札から魔法カード【置換融合】を発動!フィールドの【月光黄鼬】と【月光舞猫姫】を融合!現れ出でよ!月光の原野で舞い踊るしなやかなる野獣!【月光舞豹姫】!」

セレナ 手札:4→3枚

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞豹姫 ★8 ATK2800

 

【月光舞豹姫】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/獣戦士族/攻2800/守2500

「月光舞猫姫」+「ムーンライト」モンスター

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードは相手の効果では破壊されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズ1に発動できる。このターン、相手モンスターはそれぞれ1度だけ戦闘では破壊されず、このカードは全ての相手モンスターに2回ずつ攻撃できる。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動する。このカードの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで200アップする。

 

 これで【月光黄鼬】は自身の効果で除外されたか。

 

『止まらない!セレナ選手の連続融合の勢いが止まらないぞー!』

 

「手札の【月光狼】をペンデュラムスケールにセッティングして効果発動!フィールドの【月光舞豹姫】、墓地の【月光黒羊】と【月光彩雛】を除外して3体融合を行う!」

セレナ 手札:3→2枚。Pスケール:1-5

 

【月光狼】

ペンデュラム・効果モンスター

星6/光属性/獣戦士族/攻2000/守1800

【Pスケール:青1/赤1】

(1):自分は「ムーンライト」モンスターしかP召喚できない。この効果は無効化されない。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分のフィールド・墓地から、「ムーンライト」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

【モンスター効果】

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の「ムーンライト」モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

 【月光舞豹姫】を含んだ3体融合。インチキ耐性のアイツが来るか!

 

「融合召喚!現れ出でよ!月光の原野の頂点に立って舞う百獣の王!【月光舞獅子姫】!!」

 

【月光舞獅子姫】

融合・効果モンスター

星10/闇属性/獣戦士族/攻3500/守3000

「月光舞豹姫」+「ムーンライト」モンスター×2

このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

(3):1ターンに1度、このカードがモンスターを攻撃したダメージステップ終了時に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

 

『とうとう出たぞ!セレナ選手の切り札の一体!【月光舞獅子姫】の登場だー!』

 

「まだだ!墓地の【月光小夜曲舞踊】を除外して効果発動!手札の【月光翠鳥】を墓地に送り、デッキから【月光紅狐】を特殊召喚する!」

セレナ 手札:2→1枚。

 

【月光小夜曲舞踊】

永続罠

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに融合モンスターが融合召喚された時、そのモンスター1体を対象として発動できる。以下の効果を適用する。

●相手フィールドに「ムーンライト・トークン」(獣戦士族・闇・星4・攻/守2000)1体を特殊召喚する。

●対象のモンスターの攻撃力は相手フィールドのモンスターの数×500アップする。

(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。手札を1枚選んで墓地へ送り、デッキから「ムーンライト」モンスター1体を特殊召喚する。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光紅狐 ★4 ATK1800

 

【月光紅狐】

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1800/守 600

(1):このカードが効果で墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで0にする。

(2):自分フィールドの「ムーンライト」モンスターを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、墓地のこのカードを除外して発動できる。その発動を無効にし、お互いのプレイヤーは1000LP回復する。

 

「更に、効果で墓地に送られた【月光翠鳥】の効果発動!除外されている【月光黄鼬】を効果を無効にして特殊召喚する!」

 

【月光翠鳥】

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1200/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「ムーンライト」カード1枚を墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、「月光翠鳥」以外のレベル4以下の「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光紅狐 ★4 ATK1800

月光黄鼬 ★4 DEF2000

 

「私はレベル4【月光紅狐】と【月光黄鼬】の2体でオーバーレイ!現れよ!ランク4【魁炎星王-ソウコ】!」

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:2

 

【魁炎星王-ソウコ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/獣戦士族/攻2200/守1800

獣戦士族レベル4モンスター×2

(1):このカードがX召喚に成功した時に発動できる。デッキから「炎舞」魔法・罠カード1枚をセットする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。獣戦士族以外のフィールドの全ての効果モンスターの効果は相手ターン終了時まで無効化される。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、自分フィールドの表側表示の「炎舞」魔法・罠カード3枚を墓地へ送って発動できる。レベル4以下で同じ攻撃力の獣戦士族モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

 

『セレナ選手の引き出しは融合召喚のみにあらず!エクシーズ召喚だー!』

 

 前世のイメージのせいで、未だにセレナがエクシーズ召喚をすることに違和感があるな…。

 それにしてもリーゼントさん、うるさいなぁ。

 

「エクシーズ召喚成功時、【魁炎星王-ソウコ】の効果発動!デッキより【炎舞-「天キ」】をセットする!」

セレナ 伏せカード:0→1枚。

 

「続いてセットした永続魔法【炎舞-「天キ」】を発動!効果処理としてデッキから【月光蒼猫】を手札に加える!」

セレナ 手札:1→2枚、伏せカード:1→0枚。永続魔法:0→1枚。

 

【炎舞-「天キ」】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK7800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500→3600

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200→2300 ORU:2

 

「そしてペンデュラム召喚!手札より【月光蒼猫】を特殊召喚する!」

セレナ 手札:2→1枚。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3600

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2300 ORU:2

月光蒼猫 ★4 ATK1600→1700

 

【月光蒼猫】

効果モンスター

星4/闇属性/獣戦士族/攻1600/守1200

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、「月光蒼猫」以外の自分フィールドの「ムーンライト」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで元々の攻撃力の倍になる。

(2):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから「ムーンライト」モンスター1体を特殊召喚する。

 

『セレナ選手、更にここでペンデュラム召喚!未だ使用者の少ない召喚法だが、見事に使いこなしているぞー!』

 

「特殊召喚された【月光蒼猫】の効果発動!【月光舞獅子姫】の攻撃力をターン終了時まで元々の攻撃力の倍にする!」

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3600→7000→7100

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2300 ORU:2

月光蒼猫 ★4 ATK1700

 

 いやいや、これキツくない?リンの時点で妨害カードを使い過ぎたな…。

 

「私は墓地の【置換融合】の効果発動!このカードを除外し、墓地の【月光舞猫姫】をエクストラデッキに戻してデッキから1ドロー!」

セレナ 手札:1→2枚

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK7100

魁炎星王-ソウコ ★4 ATK2300 ORU:2

月光蒼猫 ★4 ATK1600

 

 あの眼、仕掛けてくる気だな。【魁炎星王-ソウコ】の効果を使わないのは【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】の攻撃力を下げない為だろうか。

 

「バトルだ!【月光舞獅子姫】で【ギアギガント X】に攻撃!」

 

月光舞獅子姫 ATK7100

vs

ギアギガント X DEF1500 ※戦闘破壊

 

<ハノイのフィールド>

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0

機皇帝スキエル∞ ★1 ATK10000 ※【WW-ダイヤモンド・ベル】装備・【光学迷彩アーマー】装備

 

「ダメージステップ終了時に【月光舞獅子姫】の効果発動!相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する!」

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

ハノイ 装備魔法:2→0枚。

 

「ちぃっ!しかし、永続魔法【補給部隊】の効果発動!デッキより1ドロー!」

「更に効果破壊された【機皇枢インフィニティ・コア】の効果発動!デッキより【機皇帝ワイゼル∞】を召喚条件を無視して特殊召喚する!」

「最後に永続魔法【機皇創出】の効果発動!そちらの永続魔法【炎舞-「天キ」】を破壊する!」

 

チェーン①補給部隊

チェーン②機皇枢インフィニティ・コア

チェーン③機皇創出

 

<ハノイのフィールド>

機皇帝ワイゼル∞ ★1 DEF2500

 

【機皇帝ワイゼル∞】

特殊召喚・効果モンスター

星1/闇属性/機械族/攻2500/守2500

このカードは通常召喚できず、自身の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):自分フィールドの表側表示モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。手札のこのカードを特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、相手フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。その相手Sモンスターをこのカードに装備する。

(3):この攻撃力は自身の効果で装備したモンスターの攻撃力分アップし、他の自分のモンスターは攻撃宣言できない。

(4):1ターンに1度、相手が魔法カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

ハノイの騎士 手札:5→6枚。

セレナ 永続魔法:1→0枚。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800

月光舞獅子姫 ★10 ATK7100→7000

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2300→2200 ORU:2

月光蒼猫 ★4 ATK1700→1600

 

「3体目の機皇帝か!」

 

「そうだ!そして更に!ここでフィールドの【機皇帝ワイゼル∞】1体を墓地に送り、手札から【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】を特殊召喚する!」

ハノイの騎士 手札:6→5枚。

 

<ハノイのフィールド>

機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション ★1 DEF2500

 

【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】

特殊召喚・効果モンスター

星1/闇属性/機械族/攻2500/守2500

このカードは通常召喚できず、このカードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手ターンに、自分フィールドの表側表示の「機皇」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのモンスターは攻撃できない。

(3):フィールドのカードを破壊する効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「前のターンにサーチしていた奴か!?」

 

「ここで特殊召喚された【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】の効果を発動する!対象は【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】!このターンの攻撃は止めて貰おう!」

 

「くそっ!ならば【月光舞獅子姫】で【機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション】を攻撃する!」

 

月光舞獅子姫 ATK7000

vs

機皇帝ワイゼル∞-S・アブソープション DEF2500 ※戦闘破壊

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「更に【月光蒼猫】でダイレクトアタック!」

 

月光蒼猫 ATK1600

 

「うぐっ!」

ハノイの騎士 LP:10400→8800

 

「まだだ!【魁炎星王-ソウコ】でダイレクトアタック!」

 

魁炎星王-ソウコ ATK2200

 

「ぐあぁぁぁっ!」

ハノイの騎士 LP:8800→6600

 

「倒しきれなかったか。メインフェイズ2に移行!」

 

 ふぅっ、なんとか凌ぎ切ったか…。ヒヤヒヤしたな。

 

「【魁炎星王-ソウコ】のORUを1つ取り除いて効果発動!獣戦士族以外のフィールドの全ての効果モンスターの効果は相手ターン終了時まで無効化される!」

魁炎星王-ソウコ ORU:2→1

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK12800→2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK7000

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

月光蒼猫 ★4 ATK1600

 

 【月光紅狐】を墓地に送るための効果発動か。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンドだ!そしてエンドフェイズに【月光舞獅子姫】の攻撃力は元に戻る」

セレナ 手札:2→0枚、伏せカード:0→2枚。

月光舞獅子姫 ★10 ATK7000→3500

 

 

◆ハノイの騎士 LP:6600、手札:5枚。伏せカード:0枚。永続魔法:2枚。フィールド魔法:1枚。Sp:6。

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆セレナ LP:4000、手札:0枚、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:1-5、Sp:0。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

月光蒼猫 ★4 ATK1600

 

 

 セレナの伏せカードは恐らく【幻獣の角】によるコンバットトリックに使えるものや【デモンズ・チェーン】によるモンスター効果を無効化するようなもののはずだ。

 攻撃反応型などの効果破壊するカードは少なめのはず…そして、何の対処もせずに彼女にターンを渡してしまうと次のターンにまた攻められると防げなくなる可能性が高い。

 

『さぁ!セレナ選手の猛攻を凌ぎ切ったのは流石と言ったところかハノイの騎士!ここから反撃なるか―!?』

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:5→6枚、Sp:6→8

セレナ Sp:0→2。

 

「私は手札から魔法カード【一時休戦】を発動!お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする」

ハノイ 手札:6→5→6枚

セレナ 手札:0→1枚

 

【一時休戦】

通常魔法

(1):お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。

次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。

 

「次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる」

「時間稼ぎを…!」

 

「何とでもいうがいい。私はモンスターを裏側守備表示でセット!」

ハノイ 手札:6→5枚

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

 

「更にカードを3枚セットしてターンエンド!」

ハノイ 手札:5→2枚、伏せカード:0→3枚。

 

 

◆ハノイの騎士 LP:6600、手札:2枚。伏せカード:3枚。永続魔法:2枚。フィールド魔法:1枚。Sp:8。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

 

vs

 

◆セレナ LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:1-5、Sp:2。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:1

月光蒼猫 ★4 ATK1600

 

『ハノイの騎士、ここで防御を固めたようだ!セレナ選手はどう攻めるのか!?』

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

セレナ 手札:1→2枚、Sp:2→4

ハノイ Sp:8→10。

 

「私は手札のスピードスペル【Sp-ギャップ・ストーム】を見せて、【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果発動!」

 

 どういうことだ?効果ダメージは【一時休戦】で無効だと分かっているはずだが…【Sp-ギャップ・ストーム】!?

 

「スピードカウンターを4つ取り除いて相手に800ポイントのダメージを与える!」

セレナ Sp:4→0

 

「【一時休戦】の効果によりダメージは0だ!」

 

「知っているさ!だが私の狙いはこちらだ!手札からスピードスペル【Sp-ギャップ・ストーム】を発動!フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する!」

セレナ 手札:2→1枚。

 

【Sp-ギャップ・ストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターと相手用のスピードカウンターが10個以上離れている時に発動する事ができる。

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

ハノイ Sp:10

セレナ Sp:0

 

「させん!LPを半分払ってチェーンして伏せカードのカウンター罠【神の宣告】を発動!【Sp-ギャップ・ストーム】の発動を無効にして破壊する!」

ハノイ LP:6600→3300、伏せカード:3→2枚。

 

【神の宣告】

カウンター罠

(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。

●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

チェーン②神の宣告

チェーン①Sp-ギャップ・ストーム

 

「防いだか。【魁炎星王-ソウコ】のORUを1つ取り除いて効果発動!獣戦士族以外のフィールドの全ての効果モンスターの効果は相手ターン終了時まで無効化される!」

魁炎星王-ソウコ ORU:1→0

 

「そして【月光蒼猫】を守備表示にしてバトルフェイズだ!」

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

魁炎星王-ソウコ ☆4 ATK2200 ORU:0

月光蒼猫 ★4 ATK1600→DEF1200

 

「【月光舞獅子姫】で裏側守備表示モンスターを攻撃!」

 

月光舞獅子姫 ATK3500

vs

裏側守備表示モンスター→ メタモルポット DEF600 ※戦闘破壊

 

【メタモルポット】

リバース・効果モンスター

星2/地属性/岩石族/攻 700/守 600

(1):このカードがリバースした場合に発動する。お互いの手札を全て捨てる。その後、お互いはデッキから5枚ドローする。

 

「【メタモルポット】の効果発動!互いに手札を全て捨て、その後、お互いはデッキから5枚ドローする!」

 

ハノイ 手札:2→0→5枚。

 

<ハノイが墓地に送ったカード>

①機皇帝ワイゼル∞

②ブレイクスルー・スキル

 

セレナ 手札:1→0→5枚。

 

<セレナが墓地に送ったカード>

①月光輪廻舞踊

 

「更に【補給部隊】の効果発動!デッキから1ドロー!」

ハノイ 手札:5→6枚。

 

「メインフェイズ2に移行!手札から永続魔法【炎舞-「隠元」】を発動!フィールドの【魁炎星王-ソウコ】と手札の【月光紫蝶】を融合!現れ出でよ!【富炎星-ハクテンオウ】!」

セレナ 手札:5→4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【炎舞-「隠元」】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、以下の効果を適用できる。

●自分の手札・フィールドから、獣戦士族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

(2):魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の「炎星」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK4300

月光蒼猫 ★4 DEF1200

富炎星-ハクテンオウ ★8 ATK2600

 

【富炎星-ハクテンオウ】

融合・効果モンスター

星8/炎属性/獣戦士族/攻2600/守2200

獣戦士族モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分フィールドの「炎舞」魔法・罠カードの数×200ダメージを相手に与える。

(2):自分・相手のバトルフェイズに、自分フィールドの表側表示の「炎舞」魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

 【富炎星-ハクテンオウ】は特殊召喚成功時に自分フィールドの「炎舞」魔法・罠カードの数×200ダメージを相手に与える効果を持つが、【一時休戦】の効果適用中なのでダメージは無いな。

 

「私はカードを1枚セットして、これでターンエンドだ!」

セレナ 手札:4→3枚。伏せカード:1→2枚。

 

 

◆ハノイの騎士 LP:3300、手札:6枚。伏せカード:2枚。永続魔法:2枚。フィールド魔法:1枚。Sp:10。

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆セレナ LP:4000、手札:3枚、伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。フィールド魔法:1枚。Pスケール:1-5、Sp:0。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光蒼猫 ★4 DEF1200

富炎星-ハクテンオウ ★8 ATK2600

 

 セレナの手札は3枚、次のターンに新たなモンスターを呼ばれると流石に対処しきれなくなりそうだ、このターンで決めに行かないと不味いな。

 

『ハノイの騎士、セレナ選手の怒涛の攻撃に防戦一方だ!このまま攻め落とされてしまうのかー!?』

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:6→7枚、Sp:10→12

セレナ Sp:0→2。

 

「私は手札からスピードスペル【Sp-アクセル・ドロー】を発動!デッキから2枚ドローする!」

ハノイ 手札:7→6→8枚

 

【Sp-アクセル・ドロー】

通常魔法

自分用スピードカウンターが12個ある場合で、相手用スピードカウンターが12個でない場合に発動する事ができる。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

「更に私は手札のスピードスペル【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】を見せて、【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果発動!スピードカウンターを4つ取り除いて相手に800ポイントのダメージを与える!」

ハノイ Sp:12→8

 

「悪あがきを!」

セレナ LP:4000→3200

 

「そして私はモンスターを裏側守備表示でセット!」

ハノイ 手札:8→7枚

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

 

「更にフィールド魔法【機動要塞フォルテシモ】の効果発動!手札から【機皇兵スキエル・アイン】を特殊召喚する!」

ハノイの騎士 手札:7→6枚。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター

機皇兵スキエル・アイン ★4 DEF1000

 

【機皇兵スキエル・アイン】

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1200/守1000

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスターの数×200ポイントアップする。

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから「機皇兵」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

「そして私は伏せカードの【カオス・インフィニティ】を発動!フィールドの守備表示モンスターを全て表側攻撃表示にし、デッキから【機皇枢インフィニティ・コア】を特殊召喚する!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚

 

【カオス・インフィニティ】

通常罠

(1):フィールドの守備表示モンスターを全て表側攻撃表示にする。

その後、自分のデッキ・墓地から「機皇」モンスター1体を選んで特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。

 

「更にチェーンして罠カード【根絶の機皇神】を発動!墓地から【機皇帝ワイゼル∞】、【機皇帝スキエル∞】、【機皇帝グランエル∞】を手札に加える!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚

 

【根絶の機皇神】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地の「機皇」モンスター3体を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。

そのモンスターを手札に加えるか召喚条件を無視して特殊召喚する。

このカードの発動後、次の自分ターンの終了時まで自分は機械族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分フィールドに「機皇神」モンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。

相手フィールドのSモンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

チェーン①カオス・インフィニティ

チェーン②根絶の機皇神

 

ハノイの騎士 手札:6→9枚。

 

<ハノイのフィールド>

裏側守備モンスター → 幻想召喚師 ★3 ATK800

機皇兵スキエル・アイン ★4 DEF1000

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0 ※効果無効化

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光蒼猫 ★4 DEF1200 → ATK1600

富炎星-ハクテンオウ ★8 ATK2600

 

「リバースされた【幻想召喚師】の効果発動!フィールドの【機皇兵スキエル・アイン】をリリースし、エクストラデッキから【極戦機王ヴァルバロイド】を特殊召喚する!」

 

【幻想召喚師】

リバース・効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 800/守 900

(1):このカードがリバースした場合に発動する。

このカード以外の自分フィールドのモンスター1体をリリースし、エクストラデッキから融合モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターンのエンドフェイズに破壊される。

 

<ハノイのフィールド>

幻想召喚師 ★3 ATK800

機皇枢インフィニティ・コア ★1 DEF0 ※効果無効化

極戦機王ヴァルバロイド ★12 ATK4000

 

【極戦機王ヴァルバロイド】

融合・効果モンスター

星12/地属性/機械族/攻4000/守4000

「ロイド」と名のついた機械族モンスター×5

このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

このカードが攻撃した相手の効果モンスターの効果をダメージ計算後に無効化する。

このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、相手ライフに1000ポイントダメージを与える。

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃をする事はできない。

 

「ここにきてレベル12の融合モンスター!?」

 

「カードを2枚セットして、バトルフェイズに移行する!」

ハノイの騎士 手札:9→7枚。伏せカード:0→2枚。

 

 伏せカードが【幻獣の角】だと、【月光舞獅子姫】に攻撃を仕掛けたら返り討ちに遭う可能性がある。ならば…。

 

「【極戦機王ヴァルバロイド】で【富炎星-ハクテンオウ】を攻撃!

 

「【炎舞-「隠元」】を墓地に送り、【富炎星-ハクテンオウ】の効果発動!【極戦機王ヴァルバロイド】を破壊する!」

 

「チェーンして墓地の【ブレイクスルー・スキル】を除外して効果発動!【富炎星-ハクテンオウ】の効果を無効にする!」

 

チェーン②ブレイクスルー・スキル

チェーン①富炎星-ハクテンオウ ※効果無効

 

極戦機王ヴァルバロイド ATK4000

vs

富炎星-ハクテンオウ ATK2600 ※戦闘破壊

 

「ぐっ!」

セレナ LP:3200→1800

 

「更にここで【極戦機王ヴァルバロイド】の効果発動!相手に1000ダメージだ!」

 

「ぐあっ!」

セレナ LP:1800→1300 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

 伏せカードを使わない?発動条件を満たさないのか、いや、あえて残しているのか?このままだと倒しきれてしまうが…まぁいい。この機会を逃すわけには行かない!臆せず攻める!

 

「【極戦機王ヴァルバロイド】は1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる!続けて【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【戦線復帰】発動!墓地の【WW-ダイヤモンド・ベル】を蘇生させる!」

セレナ 伏せカード:2→1枚

 

【戦線復帰】

通常罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

<セレナのフィールド>

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光蒼猫 ★4 ATK1600

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

 

 ここで【WW-ダイヤモンド・ベル】を蘇生!?厄介な…破壊しておくか?いや、それよりもまず、セレナを倒しきることを優先する!

 

「好きにするがいい!【極戦機王ヴァルバロイド】の攻撃を継続する!」

 

極戦機王ヴァルバロイド ATK4000

vs

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン ★8 ATK2800 ※戦闘破壊

 

「あぁぁっ!」

セレナ LP:1300→100

 

 【極戦機王ヴァルバロイド】が攻撃した相手の効果モンスターの効果をダメージ計算後に無効化される。【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】の破壊された後の効果は発動しない!そして…!

 

「これで終わりだ!【極戦機王ヴァルバロイド】の効果発動!相手に1000ダメージを与える!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

セレナ LP:100→0 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減。

 

 

 セレナのLPが0になり、彼女の操るD-ホイールは大きく失速して後方の景色へと消えていく。

 その瞬間、会場が大きな歓声に包まれ、リーゼントのMCもテンションが上がったせいか実況席の机の上に乗ってマイクを握りしめている。

 

『き、決まったー!痛烈な連続攻撃により、セレナ選手のLPを1ターンで削りきったー!勝負の命運は、チームYRSのラストホイーラー!ユーゴ選手へと託されることになるぞー!』

 

 「…エンドフェイズ処理に入る。【機皇枢インフィニティ・コア】と【極戦機王ヴァルバロイド】は効果により破壊され、【機皇枢インフィニティ・コア】と【補給部隊】の効果が適用される」

 

 「【補給部隊】の効果によりデッキから1ドロー。そして【機皇枢インフィニティ・コア】の効果によりデッキから【機皇帝ワイゼル∞】を特殊召喚する」

 

チェーン①補給部隊

チェーン②機皇枢インフィニティ・コア

 

<ハノイのフィールド>

幻想召喚師 ★3 ATK800

機皇帝ワイゼル∞ ★1 DEF2500

 

ハノイの騎士 手札:7→8枚。 

 

 なんとか勝ったが、あの最後の伏せカード、間違いなくラストホイーラーのユーゴに繋げるカードだ。不穏だな。

 LPはほぼ互角。手札やスピードカウンターの数は潤沢だがこちらの手札半分は既にほぼバレているし、メインデッキもエクストラデッキも残り少ない。

 そしてあちらのフィールドには厄介なモンスターが残っている。これは厳しいなぁ。

 

 

◆ハノイの騎士 伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚、Sp:8。

 

ハノイの騎士 LP:3300、手札:8枚。

 

<ハノイのフィールド>

幻想召喚師 ★3 ATK800

機皇帝ワイゼル∞ ★1 ATK2500

 

フィールド魔法:【機動要塞フォルテシモ】

永続魔法:【機皇創出】

永続魔法:【補給部隊】

伏せカード1:【不明】

伏せカード2:【不明】

 

判明している手札1:【機皇帝ワイゼル∞】

判明している手札2:【機皇帝スキエル∞】

判明している手札3:【機皇帝グランエル∞】

判明している手札4:【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】

 

◆チームYRS 伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚、Pスケール:1-5、Sp:2。

 

リン LP:0、手札:0枚。

セレナ LP:0、手札:3枚。

ユーゴ LP:4000、手札:5枚。

 

<チームYRSのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光蒼猫 ★4 ATK1600

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

 

フィールド魔法:【機皇城】※セット状態

伏せカード1:【不明】

ペンデュラムゾーン1【月光虎】

ペンデュラムゾーン2【月光狼】

 

 ※セカンドホイーラーであるセレナがフィールドに残したカードとスピードカウンターはそのままラストホイーラーに引き継がれる。

 ※手札や墓地、除外ゾーンのカードは引き継がれない。

 

~~~

 

<ZONE視点>

 

 JRPGのエキシビションマッチが行われている時間とほぼ同時刻、とある場所にあるとある施設にてZONEはとあるデュエリストと対峙していた。

 ZONEの前に立ちはだかる者のその姿は彼の盟友であるパラドックスに酷似しているが、その表情からは知性や感情を読み取ることはできない。いわゆるパラドックスの模造品であった。

 

 

◆ZONE LP:4000、手札:5枚。

 

<ZONEのフィールド>

モンスターなし

 

vs

 

◆パラドックスコピー LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<パラドックスコピーのフィールド>

Sin レインボー・ドラゴン ★10 ATK4000

Sin サイバー・エンド・ドラゴン ★10 ATK4000

Sin 真紅眼の黒竜 ★7 DEF2000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ZONE 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動。相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する」

ZONE 手札:6→5枚。

 

「リバースカードオープン!罠カード【和睦の使者】発動!私ハコノターン、戦闘ダメージヲ受ケナイ!」

パラドックスコピー 伏せカード:1→0枚。

 

チェーン②和睦の使者

チェーン①ライトニング・ストーム

 

パラドックスコピー フィールド魔法:1→0枚。

 

「ですが、【Sin World】を失ったことでSinモンスターは全て自壊する」

 

「【Sin World】ガ…!?オ、オノレェ!」

 

<パラドックスコピーのフィールド>

モンスター無し

 

「私は手札から【時械巫女】を特殊召喚」

ZONE 手札:5→4枚。

 

<ZONEのフィールド>

時械巫女 ★1 DEF0

 

【時械巫女】※アニメ版

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

フィールド上にカードが存在しない場合のみ、手札から特殊召喚する事ができる。

天使族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースとする事ができる。

 

「そして【時械巫女】をリリースし、手札から【時械神サンダイオン】をアドバンス召喚」

ZONE 手札:4→3枚。

 

<ZONEのフィールド>

時械神サンダイオン ★10 ATK4000

 

【時械神サンダイオン】※アニメ版

効果モンスター

星10/光属性/天使族/攻4000/守4000

このカードの効果及び戦闘による破壊を無効にする。

表側攻撃表示のこのカードのプレイヤーへの戦闘ダメージを0にする事ができる。

このカードが戦闘を行った時、相手ライフに4000ポイントのダメージを与える。

このカードが自分フィールド上に存在する場合、自分はモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を行えない。

自分のスタンバイフェイズにこのカードはデッキに戻る。

 

「【時械神サンダイオン】でダイレクトアタック」

 

時械神サンダイオン ATK4000

 

「私ハコノターン、戦闘ダメージヲ受ケナイ!」

 

「しかしここで【時械神サンダイオン】の効果が発動します。相手ライフに4000ポイントのダメージを与える」

 

「ナ、ナニィィィ!効果ダメージ!?シカモ4000ダト…!?グワァァァッ!!」

パラドックスコピー LP:4000→0

 

 

 デュエルに敗北したパラドックスの模造品は体中の各所をスパークさせた後、爆発して原型を残さないほどに粉々になって遠くへ吹き飛んでいった。

 

「この時代の科学力では完全な模倣は出来なかったようですね。パラドックスのコピーとはいえ、所詮は劣化コピー、本人には遠く及ばない。デュエルの実力もこの程度でしょう」

 

 ZONEは先ほどまで戦っていたパラドックスコピーの残骸には目もくれず、かの者が守護していたガラム財閥のメインコンピューターへとアクセスした。

 コンピューター内部には、過去に捕獲したパラドックスから抽出したであろうデータが幾つも存在しており、イリアステルに関する情報やデュアブロの製造情報なども見受けられた。

 

「さて、ガラム財閥よ。未来の為に我々に関するデータは全て消去させてもらいますよ」

 

 ZONEが財閥のメインコンピュータにいくつかのプログラムをインストールすると、その瞬間から財閥のメインコンピュータ内部のデータが次々と消滅していくのがモニタ上から確認できた。

 これでもう、この施設のコンピュータにはイリアステルに関する情報の全てが消え去った。

 

「マスター。捕縛していた所員の記憶改竄が完了しました」

「ご苦労様です、レイン」

 

 所属していた所員たちも彼が引き連れてきたレインとゴースト達により全て捕らえており、イリアステルに関する記憶の改竄は完了したようだ。

 ZONEたちが施設での処理を終えることには世界各地に散った彼の盟友たちから連絡が入ってきており、彼らもまた別の場所での作業を終えたようだった。

 

 彼らはその情報を確認した後、その場から消えるようにして立ち去った。

 その場には何かの機械の残骸と内部データがすべて消されて動かなくなったコンピュータのみが残されていた…。




エキシビションマッチ第2戦目終了。

セレナのデッキは【ムーンライト】です。展開やサーチに優れたムーンライトで融合召喚の準備を整え、凶悪な性能を持つムーンライト融合モンスターを融合召喚し、君が!泣くまで!殴るのを止めない!デッキです。
インフレの加速していた第9期の登場テーマと言うこともあり元々ポテンシャルの高いデッキでしたが、レジェンドデュエリストパックにより更なる強化を貰って殺意マシマシなでっきになっています。

ハノイの騎士のデッキは前回に引き続き【機皇】です。今回は【幻想機皇】と呼ばれるデッキのギミックにある、【幻想召喚師】と【カオス・インフィニティ】のコンボを登場させてみました。「融合召喚以外では特殊召喚できない」制限を持たない融合モンスターであれば大体採用できる面白いギミックですよね。

GXアニメ原作でもかなり黒い動きのあったガラム財閥ですが、運悪くもっと危ない組織に目を付けられてしまい、色々と酷い目に遭っています。アモン君かわいそう。

次回の更新日は特に決まっていませんが、10月初旬くらいには出せればいいなと思っています。

頂いた感想に関しては日々に余裕が取れるようになり次第に回答しやすそうなものから順々に回答させて頂こうと思っています。

ラジェスト様、gsころりん様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十二話 JRDGその3

前回のあらすじ:JRDGエキシビションマッチ第二戦目!

今回のデュエルはJRDG最終戦。クロト(ハノイ)とユーゴとの対戦です。


<プロフェッサーコブラ視点>

 

「帰るのか?試合はまだ途中だぞ?」

 

 JRDG会場のVIP専用通路を歩いている私の前に、通路を背にして立つ左目に眼帯を付けた男が声を掛けてきた。今はバレットと名乗っている傭兵時代の戦友だ。

 

「あぁ。これでも多忙な身でね。試合の方は息子たちが後から経緯や結果を教えてくれるだろうさ」

「このタイミングでの用事となると…なるほど。ガラム財閥の件か」

「ふふっ、流石に良い耳を持っているな。察しが早くて助かるよ」

 

 私でさえエキシビションマッチの最中に本国に残してきた部下から緊急の連絡を受けて知ったばかりだと言うのに。そう言えばこの男は昔から罠を使った戦術に加えて情報戦にも強かったな。

 

「元々、今回日本でやるべきことは終えていたのだ。JRDGの観戦は息子の要望だったのだよ」

 

 あの方が何よりも大切にしている遊城十代とあの方の片割れの現状調査。

 あの方が恐れるほどの力を持つと言う赤羽コナミの身辺調査。

 ハノイの騎士と名乗る白河クロトの身辺調査。

 デュエルアカデミアの影丸元理事長の身辺調査。

 ネオグールズと呼ばれるカードギャングの調査。

 

 あのお方の片割れの調査と赤羽コナミの調査に関しては予想通り失敗に終わったが、他の調査に関してはおおむね完了している。

 あとは今回得た情報とガラム財閥の件を踏まえ、今後の方針を再検討しなければならないのだ。

 

「変わったな。息子を得てからのお前は昔の苛烈なころの面影は何処にも無い」

「そう言う貴様こそ、今の雇い主のところに居着いてからは随分と丸くなったではないか」

 

 奴があの護衛対象の娘といる時の表情は昔では考えられないほど穏やかだった。

 私がリックと出会って救われたように、バレットもあの娘と出会って心境の変化があったのだろう。

 

「お前が今、どのようなことをしていて何を企んでいるかは知らん。だが、お嬢様に危害を加えない限りは私とお前が敵対することは無い」

「心得ておこう」

「縁があったらまた会おう。戦友よ」

「あぁ。またな戦友よ」

 

 そこまで話すと私はバレットに背を向けて会場の出口へと歩き出した。

 恐らくこの先に私とバレットの道が交わることは無いだろう。何故なら、私は息子リックの為であればその他全ての物を犠牲にしても救うことを決めているのだから。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 セカンドホイーラーのセレナからラストホイーラーのユーゴにバトンタッチするのを待つ最中、会場の出入り口を見張っていた精霊たちからプロフェッサーコブラが会場を後にしたという連絡を受けた。

 息子やオブライエンたちを残して一人で帰った?JRDGを観戦しに来たんじゃなないのか?それならあのオッサンは一体何しに日本に来たんだろうか?

 

「待たせたな、ハノイの騎士!最後の相手はこのオレだぜ!」

 

 オートパイロットでDホイールを走らせながら物思いにふけていると、ラストホイーラーのユーゴが俺に追い付いてきたようだ。

 

「大会最後の試合だ!オレ達の勝利で終わらせてもらうぜ!」

「そう上手く行くかな?」

 

 戦局はほぼ互角、いや手札枚数を考えると俺が有利と言えるかもしれない。だが隣を並走するユーゴに不安な表情は一切ない。流石は日本一となったチームのリーダーといったところか。

 

『さぁ!さぁ!さぁ!!エキシビションマッチ最終戦!ラストホイーラーのユーゴ選手の登場だ!泣いても笑ってもこれがラストデュエル!勝利の女神は一体何方に微笑むのかー!』

 

「対戦よろしくお願いします」

「対戦よろしくお願いします!」

 

 挨拶は大事だ。古事記にそう書いてあるはず。

 

 

「「ライディングデュエル!アクセラレーション!」」

 

 

◆ハノイの騎士 伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚、Sp:8。

 

ハノイの騎士 LP:3300、手札:8枚。

 

<ハノイのフィールド>

幻想召喚師 ★3 ATK800

機皇帝ワイゼル∞ ★1 ATK2500

 

フィールド魔法:【機動要塞フォルテシモ】

永続魔法:【機皇創出】

永続魔法:【補給部隊】

伏せカード1:【不明】

伏せカード2:【不明】

 

判明している手札1:【機皇帝ワイゼル∞】

判明している手札2:【機皇帝スキエル∞】

判明している手札3:【機皇帝グランエル∞】

判明している手札4:【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】

 

◆チームYRS 伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚、Pスケール:1-5、Sp:2。

 

リン LP:0、手札:0枚。

セレナ LP:0、手札:3枚。

ユーゴ LP:4000、手札:5枚。

 

<チームYRSのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

月光蒼猫 ★4 ATK1600

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

 

フィールド魔法:【機皇城】※セット状態

伏せカード1:【不明】

ペンデュラムゾーン1【月光虎】

ペンデュラムゾーン2【月光狼】

 

 

【スピード・ワールド-ネオプラス】※本作オリジナルカード

フィールド魔法

①このカードはフィールドから離れず効果を受けない。

②他のフィールド魔法が発動してもこの効果は適用され続ける。

③お互いのスタンバイフェイズ時に自分用スピードカウンターを2つ置く(最大12個まで)。先攻1ターン目のスタンバイフェイズではSPカウンターは増加しない。

④このカードが存在する限り、このカード及び「Sp(スピードスペル)」魔法カード以外の効果ダメージは半分となる。

⑤お互いのプレイヤーは、自身のメインフェイズに自分用スピードカウンターを以下の数だけ取り除いて発動できる。

●4個:手札の「Sp(スピードスペル)魔法カード1枚につき、相手に800ポイントのダメージを与える。

●7個:自分のデッキからカード1枚ドローする。

●10個:フィールド上のカード1枚選んで破壊する。

 

 

 セレナとのデュエルの続き扱いだから、セレナとの決着が付いた時点で俺のターンがエンドフェイズに入って終了しており、次はユーゴのターンだ。

 セレナが最後に伏せたあのカードが気になるところだが、どう攻めて来る?

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ユーゴ 手札:5→6枚、Sp:2→4

ハノイ Sp:8→10。

 

「リバースカードオープン!永続罠【連成する振動】発動!ペンデュラムゾーンの【月光狼】を破壊してデッキから1ドロー!」

ユーゴ 手札:6→7枚、伏せカード:1→0枚、永続罠:0→1枚。

 

【連成する振動】

永続罠

「連成する振動」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のPゾーンのカード1枚を対象としてこの効果を発動できる。

そのカードを破壊し、その後、自分はデッキから1枚ドローする。

 

 なるほど。セレナの残した伏せカードは【連成する振動】か。もう一枚セットされている【月光虎】と合わせて2ドローは少々厄介だな。

 

「オレは手札からスピードスペル【Sp-スピードストーム】を発動!1000ポイントダメージを相手ライフに与えるぜ!食らいな!」

ユーゴ 手札:7→6枚、

 

【Sp-スピードストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターが3つ以上ある場合に発動する事ができる。1000ポイントダメージを相手ライフに与える。

自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在する場合、自分用スピードカウンターを3つ取り除く事で、このカードを手札に戻す事ができる。

 

 【Sp-スピードストーム】の効果ダメージを通せば【WW-ダイヤモンド・ベル】の破壊効果が発動される!そのダメージを通すわけには行かないな!

 

「チェーンして【機皇帝ワイゼル∞】の効果発動!その魔法カードの発動を無効にする!」

 

チェーン②機皇帝ワイゼル∞

チェーン①Sp-スピードストーム

 

 今回は防げたが【Sp-スピードストーム】はあちらのターンのスタンバイフェイズごとにスピードカウンターを取り除くことで墓地から手札に戻すことが出来る。

 【WW-ダイヤモンド・ベル】と【Sp-スピードストーム】の組み合わせはリンの得意戦術の一つだが、こういう展開を予想してユーゴのデッキにも入れていたようだな。

 

「オレのメインフェイズにモンスター効果を使ったな?」

「何?…まさか!」

 

「オレは手札から魔法カード【三戦の才】を発動!デッキから2枚ドローする!」

ユーゴ 手札:6→5→7枚

 

【三戦の才】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このターンの自分メインフェイズに相手がモンスターの効果を発動している場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分はデッキから2枚ドローする。

●相手フィールドのモンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る。

●相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んでデッキに戻す。

 

 ちぃ!こちらの機皇帝の効果を逆手に取って来るとは…やってくれる!

 

「オレは手札から永続魔法【一点着地】を発動!」

ユーゴ 手札:7→6枚、永続魔法:0→1枚。

 

【一点着地】

永続魔法

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分または相手の手札から自分フィールドに、モンスター1体のみが特殊召喚された場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):自分ターンにこのカードの(1)の効果でドローしていない場合、そのターンのエンドフェイズにこのカードは墓地へ送られる。

 

「続いてオレは手札からスピードスペル【Sp-オーバー・チューン】を発動!フィールドの【月光蒼猫】をリリースし、手札からチューナーモンスター【SR吹持童子】を特殊召喚する!」

ユーゴ 手札:6→5→4枚

 

【Sp-オーバー・チューン】

通常魔法

自分用スピードカウンターが3つ以上ある場合に発動する事ができる。

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、そのモンスターと同じレベルのチューナー1体を手札から特殊召喚する。

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

SR吹持童子 ★4 DEF1000 ※チューナー

 

【SR吹持童子】

チューナー・効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1000/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。このカード以外の自分フィールドの風属性モンスターの数だけ自分のデッキの上からカードをめくり、その中から1枚を選んで手札に加え、残りのカードを好きな順番でデッキの一番下に戻す。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのレベル3以上の風属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを2つ下げる。

 

「特殊召喚に成功した【SR吹持童子】の効果発動!自身以外のフィールドの風属性は1体!よってデッキを1枚めくり、そのカードを手札に加える!」

 

「オレは【SR吹持童子】の効果にチェーンして永続魔法【一点着地】の効果も発動!デッキから1ドロー!」

 

チェーン②一点着地

チェーン①SR吹持童子

 

ユーゴ 手札:4→5→6枚

 

「オレは手札から【SRマジックハウンド】を召喚!そして召喚成功時に効果発動!デッキから【SRデュプリゲート】を墓地に送る!」

 

ユーゴ 手札:6→5枚

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

SR吹持童子 ★4 DEF1000 ※チューナー

SRマジックハウンド ★3 ATK800

 

【SRマジックハウンド】

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻 800/守 800

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「スピードロイド」カード1枚を墓地へ送る。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、そのモンスターとはカード名が異なり、レベルが同じ「スピードロイド」Sモンスター1体を効果を無効にしてEXデッキから特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「オレはレベル3【SRマジックハウンド】にレベル4【SR吹持童子】をチューニング!」

 

 合計レベルは7!

 

「輝く翼!神速となり天地を照らせ!シンクロ召喚!現れよ!レベル7!【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

クリアウィング・シンクロ・ドラゴン ★7 ATK2500

 

【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、このカード以外のフィールドのレベル5以上のモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):1ターンに1度、フィールドのレベル5以上のモンスター1体のみを対象とするモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(3):このカードの効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、このカードの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

「更に!手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!手札から【SRアクマグネ】を墓地に送り、デッキから【SR-OMKガム】を特殊召喚する!」

ユーゴ 5→4→3枚

 

【ワン・フォー・ワン】

通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

クリアウィング・ファスト・ドラゴン ★7 ATK2500

SR-OMKガム ★1 DEF800 

 

【SR-OMKガム】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 0/守 800

(1):自分・相手のバトルフェイズに自分が戦闘・効果でダメージを受けた場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードの効果でこのカードが特殊召喚に成功したバトルフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドの風属性モンスターのみをS素材としてS召喚する。

(3):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、そのカードが「スピードロイド」モンスターだった場合、このカードをS素材としたSモンスターの攻撃力は1000アップする。

 

「行くぜ!オレはレベル7【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】にレベル1【SR-OMKガム】をチューニング!」

 

 合計レベルは8!

 

「神聖なる光蓄えし翼煌めかせ、その輝きで敵を討て!シンクロ召喚!いでよ!レベル8!【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】!」

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ★8 ATK3000

 

【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

チューナー+チューナー以外のSモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。この効果でモンスターを破壊した場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(2):このカードがレベル5以上の相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

『来たー!ユーゴ選手のエースモンスター!【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】だー!』

 

 あーあ、早くも出ちゃったか。OCG第9期のインチキモンスター代表格の一体がさ。

 

『そして、なんと!今フィールドにはチームYRSのエースモンスターが勢揃いしているぞー!これは凄い光景だ!』

 

 高耐性、モンスター全体除去効果を持つ【月光舞獅子姫】。

 戦闘・効果ダメージを与えるとカード破壊をしてくる【WW-ダイヤモンド・ベル】。

 モンスター効果にめっぽう強い【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】。

 

 どれか一体いるだけでも厄介なのが3体揃うとは、確かに圧巻だな。

 

「シンクロ素材となった【SR-OMKガム】の効果発動!デッキトップを墓地に送る…送られたのは【SRカールターボ】!【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】の攻撃力が1000アップするぜ!

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ATK3000→4000

 

「【WW-ダイヤモンド・ベル】を攻撃表示に変更して、バトルフェイズに入る!」

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400→ATK2800

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ★8 ATK4000

 

『ハノイの騎士にこの攻撃を防ぐ手段はあるのか―!?』

 

 だがな?どんなモンスターにも弱点はあるんだよ!

 

「行け!【月光舞獅子姫】!【幻想召喚師】に攻撃だ!」

 

「その攻撃は通すわけには行かないな!伏せカードの通常罠【パルス・ボム】を発動する!そちらの攻撃表示モンスターは全て守備表示となる!」

ハノイ 伏せカード:2→1枚。

 

【パルス・ボム】

通常罠

(1):自分フィールドに機械族モンスターが存在する場合に発動できる。

相手フィールドに攻撃表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て守備表示にする。

ターン終了時まで、相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスターは守備表示になる。

 

「いや、通してもらうぞ!手札から速攻魔法【禁じられた聖槍】を発動!対象は【月光舞獅子姫】!攻撃力は下がるが、これで【パルス・ボム】の効果は受けない!」

ユーゴ 3→2枚

 

【禁じられた聖槍】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

 あぁ、うん。これは不味いっすわ。

 

 戦闘ダメージを受けることで【月光舞獅子姫】のモンスター全体除去と【WW-ダイヤモンド・ベル】のカード破壊効果が発動する。

 【月光舞獅子姫】は2回攻撃が可能だから次の攻撃はダイレクトアタックになるし、手札のモンスター効果で防ごうにも【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】に阻害される。

 

 あちらの手札次第じゃこのままだとゲームエンドになるじゃん!

 

「ならば!その効果に更にチェーンして伏せカードの通常罠【機限爆弾】を発動!【機皇帝ワイゼル∞】と【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】を選択して破壊する!」

ハノイ 伏せカード:1→0枚。

 

【機限爆弾】

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在する「機皇」と名のついたモンスター1体と、相手フィールド上に存在するカード1枚を選択して発動する。

選択したカードを破壊する。

 

「クリスタルウイングを破壊!?」

 

チェーン③機限爆弾

チェーン②禁じられた聖槍

チェーン①パルス・ボム

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500→2700

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 ATK2800→DEF2400

 

<ハノイのフィールド>

幻想召喚師 ★3 ATK800

 

「そして永続魔法【補給部隊】の効果発動!デッキから1ドロー!」

「更に永続魔法【機皇創出】の効果発動!そちらの永続罠【連成する振動】を破壊する!」

 

チェーン②機皇創出

チェーン①補給部隊

 

ハノイの騎士 手札:8→9枚。

ユーゴ 永続罠:1→0枚。

 

 モンスターが効果破壊されたが、チェーン②以降の破壊効果だと機皇帝の特殊召喚条件だとタイミングを逃して特殊召喚出来ないんだよなぁ。

 

「だけど【月光舞獅子姫】の攻撃は継続できるぜ!行け!」

 

月光舞獅子姫 ATK2700

vs

幻想召喚師 ATK800

 

「ぐおぉぉぉぉっ!」

ハノイの騎士 LP:3300→1400

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「相手が戦闘・効果でダメージを受けたことで【WW-ダイヤモンド・ベル】の効果を発動できる!対象は【機皇創出】!そのカードを破壊する!」

ハノイ 永続魔法:2→1枚。

 

『ハノイの騎士、これは大ピンチだ!【月光舞獅子姫】は2回攻撃が可能なモンスター!だがハノイの騎士のフィールドにモンスターは無く、伏せカードもない!どうなってしまうのかー!』

 

「これで終わりだ!【月光舞獅子姫】でダイレクトアタック!」

 

「まだだ!まだ終わらんよ!私は手札から【機動要犀 トリケライナー】を特殊召喚する!」

ハノイの騎士 手札:9→8枚。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2800

 

【機動要犀 トリケライナー】

効果モンスター

星6/闇属性/機械族/攻1600/守2800

(1):相手が3体以上のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したターンに発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、他のカードの効果を受けず、お互いのスタンバイフェイズ毎に守備力が500ダウンする。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「他のカード効果を受けない守備力2800!?今の【月光舞獅子姫】ではギリギリ届かないか…。くそっ、メインフェイズ2に移行する!」

 

『ふ、防ぎ切ったー!ハノイの騎士、あの窮地を見事に脱しましたー!』

 

 あ、危ねぇ…。【補給部隊】のドローで【機動要犀 トリケライナー】を引けてなかったら負けていたな。

 

「オレは手札から魔法カード【復活の福音】を発動!墓地の【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】を蘇生する!」

ユーゴ 2→1枚

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK2700

WW-ダイヤモンド・ベル ★8 DEF2400

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ★8 ATK3000

 

【復活の福音】

通常魔法

(1):自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):自分フィールドのドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「オレは手札から魔法カード【アドバンスドロー】を発動!フィールドの【WW-ダイヤモンド・ベル】をリリースしてデッキから2ドロー!」

ユーゴ 1→0→2枚

 

【アドバンスドロー】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

「最後にオレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!エンドフェイズに【月光舞獅子姫】の攻撃力は元に戻る!」

ユーゴ 2→0枚、伏せカード:0→2枚。

月光舞獅子姫 ATK2700→3500

 

 

◆ハノイの騎士 LP:1400、手札:8枚、伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。Sp:10。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2800

 

◆ユーゴ LP:4000、手札:0枚、伏せカード:2枚、永続魔法:1枚、フィールド魔法:1枚、Sp:4。

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ★8 ATK3000

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ハノイ 手札:8→9枚、Sp:10→12

ユーゴ Sp:4→6。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2800→2300

 

「私は手札からスピードスペル【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】を発動!フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する!」

ハノイ 手札:9→8枚

 

【Sp-ジ・エンド・ オブ・ストーム】

通常魔法

自分用スピードカウンターが10個以上ある場合に発動する事ができる。フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する。

この効果で破壊し墓地へ送られたモンスター1体につき、そのモンスターのコントローラーは、300ポイントのダメージを受ける。

 

「墓地の【復活の福音】を除外してその効果を適用!【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】を破壊から守る!」

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン ★8 ATK3000

 

 良し。これで【復活の福音】は無くなり、クリスタルウィングの守りは失われたな。

 

「更に私はスピードカウンターを10個取り除いて【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果発動!そちらの伏せカードを破壊する!」

ハノイ Sp:12→2

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【無謀な欲張り】発動!デッキから2ドロー!」

ユーゴ 伏せカード:2→1枚。

 

【無謀な欲張り】

通常罠

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後の自分ドローフェイズは2回スキップされる。

 

 リスキーなカードを使うな!?

 

「ならば【スピード・ワールド-ネオプラス】での破壊対象は永続魔法【一点着地】とさせてもらおう!」

 

チェーン②無謀な欲張り

チェーン①スピード・ワールド-ネオプラス

 

 ユーゴ 手札:0→2枚、永続魔法:1→0枚。

 

「私は手札から【機皇帝ワイゼル∞】、【機皇帝スキエル∞】、【機皇帝グランエル∞】を墓地に送り、手札から【機皇神マシニクル∞】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:8→5→4枚

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000

 

【機皇神マシニクル∞】

特殊召喚・効果モンスター

星12/光属性/機械族/攻4000/守4000

このカードは通常召喚できない。

手札から「機皇」モンスター3体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):1ターンに1度、相手フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。その相手Sモンスターをこのカードに装備する。

(2):この攻撃力は自身の効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。

(3):自分スタンバイフェイズに、自身の効果で装備している自分のモンスター1体を墓地へ送って発動できる。そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

 

「機皇…神!?」

 

「自分フィールドに「機皇神」モンスターが存在する場合、墓地の【根絶の機皇神】を除外して効果発動!【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!」

 

<ユーゴのフィールド>

月光舞獅子姫 ★10 ATK3500

 

「ぐぅぁぁぁっ!」

ユーゴ LP:4000→2500 ※【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果により効果ダメージ半減

 

「そして、墓地の【機皇兵廠オブリガード】、【機皇兵スキエル・アイン】、【機皇兵グランエル・アイン】を除外し、手札から【機皇神龍トリスケリア】を特殊召喚する!」

ハノイ 手札:4→3枚

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000

機皇神龍トリスケリア ★10 ATK3000

 

【機皇神龍トリスケリア】

特殊召喚・効果モンスター

星10/闇属性/機械族/攻3000/守 0

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地から「機皇」モンスター3種類を1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。

(1):1ターンに1度、このカードの攻撃宣言時に発動できる。相手のEXデッキを確認し、その内のモンスター1体を選んで装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。

(3):Sモンスターを装備したこのカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる。

 

「私は手札から【ブラック・ボンバー】を召喚して効果発動!墓地から【機皇兵ワイゼル・アイン】を守備表示で特殊召喚する!」

ハノイ 手札:3→2枚

 

【ブラック・ボンバー】

チューナー(効果モンスター)

星3/闇属性/機械族/攻 100/守1100

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地から機械族・闇属性・レベル4のモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000

機皇神龍トリスケリア ★10 ATK3000

ブラック・ボンバー ★3 ATK100 ※チューナー

機皇兵ワイゼル・アイン ★4 DEF0

 

「ここに来てチューナーだと!?」

 

「私はレベル4【機皇兵ワイゼル・アイン】にレベル3【ブラック・ボンバー】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ、レベル7!【PSYサイフレームロード・Ζ】!」

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000

機皇神龍トリスケリア ★10 ATK3000

PSYサイフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

 

【PSYサイフレームロード・Ζ】

シンクロ・効果モンスター

星7/光属性/サイキック族/攻2500/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、相手フィールドの特殊召喚された表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとフィールドのこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで除外する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の「PSYフレーム」カード1枚を対象として発動できる。このカードをエクストラデッキに戻し、対象のカードを手札に加える。

 

『ハノイの騎士、ここでシンクロ召喚だー!』

 

「バトルフェイズに入る!【機皇神龍トリスケリア】で【月光舞獅子姫】を攻撃!」

 

機皇神龍トリスケリア ATK3000

vs

月光舞獅子姫 ATK3500

 

「攻撃宣言時、【機皇神龍トリスケリア】の効果発動!そちらのエクストラデッキから…【HSR/CWライダー】を装備し、その攻撃力分、つまり3500ポイントアップする!」

 

機皇神龍トリスケリア ATK3000→6500

vs

月光舞獅子姫 ATK3500 ※戦闘破壊

 

「ならこっちだって!ダメージステップ時、リバースカードオープン!速攻魔法【コンセントレイト】発動!【月光舞獅子姫】の攻撃力をその守備力分、つまり3000ポイントアップだ!」

ユーゴ 伏せカード:1→0枚。

 

【コンセントレイト】

速攻魔法

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターの攻撃力はターン終了時までその守備力分アップする。

このカードを発動するターン、対象のモンスター以外の自分のモンスターは攻撃できない。

 

機皇神龍トリスケリア ATK6500 ※戦闘破壊

vs

月光舞獅子姫 ATK3500→6500 ※戦闘破壊

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000

PSYサイフレームロード・Ζ ★7 ATK2500

 

<ユーゴのフィールド>

モンスター無し

 

「【機皇神龍トリスケリア】が破壊されたことで永続魔法【補給部隊】の効果発動!デッキから1ドロー!」

ハノイ 手札:2→3枚。

 

「このデッキの私の切り札【機皇神龍トリスケリア】を撃破するとは…見事だ!だが私にはまだ攻撃できるモンスターが残っている!」

「来やがれ!」

 

「ダイレクトアタックだ!【機皇神マシニクル∞】の攻撃を受けよ!ザ・キューブ・オブ・ディスペアー!!」

 

「オレは、負けねぇ!ダイレクトアタック時に手札から【SRメンコート】を特殊召喚し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする!」

ユーゴ 手札:2→1枚

 

【SRメンコート】

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻 100/守2000

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。

このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする。

 

<ユーゴのフィールド>

SRメンコート ★4 ATK100

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 ATK4000→DEF4000

PSYサイフレームロード・Ζ ★7 ATK2500→DEF1800

 

『ゆ、ユーゴ選手!絶体絶命の危機を何とか凌いだぞー!』

 

 

「ふっ、あの土壇場で引いたのか。悪運の強い奴だ」

「運も実力の内ってな!」

 

「メインフェイズ2に移行。私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

ハノイ 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆ハノイの騎士 LP:1400、手札:2枚、伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。Sp:2。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300

機皇神マシニクル∞ ★12 DEF4000

PSYサイフレームロード・Ζ ★7 DEF1800

 

◆ユーゴ LP:2500、手札:1枚、伏せカード:0枚、フィールド魔法:1枚、Sp:6。

 

<ユーゴのフィールド>

SRメンコート ★4 ATK100

 

 

 ユーゴのフィールドにはモンスターが一体、伏せカードは無し。手札は1枚。そして2ターンはドローが出来ない。

 俺のフィールドには守備力4000のマシニクル∞と攻撃表示の特殊召喚されたモンスターを自身と共に次の自分スタンバイフェイズまで除外するPSYサイフレームロード・Ζが居る。

 【スピード・ワールド-ネオプラス】やスピードスペルでの効果ダメージ対策も伏せカードの1枚で問題ない。

 デッキ枚数が心もとないが、このターンを凌げば恐らく勝てる!

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドローは【無謀な欲張り】の効果で出来ない。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ユーゴ 手札:1枚、Sp:6→8

ハノイ Sp:2→4。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF2300→1800

機皇神マシニクル∞ ★12 DEF4000

PSYサイフレームロード・Ζ ★7 DEF1800

 

「オレは手札からスピードスペル【Sp-エンジェルバトン】の効果発動!デッキから2ドロー!そして1枚墓地に捨てる!」

ユーゴ 手札:1→0→2→1枚

 

 墓地に送ったのは…【SR電々大公】か。また嫌なモンスターを落としてくれるなぁ。

 

「オレはスピードカウンターを7個取り除いて【スピード・ワールド-ネオプラス】の効果発動!デッキから1ドロー!」

ユーゴ 手札:1→2枚、Sp:8→1

 

 実質ラストドローとなるこの場面、何を引いた?

 

「オレは手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地から5体デッキに戻し、デッキからから2ドロー」

ユーゴ 手札:2→1→3枚

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

 壺!?ここで!?

 

<ユーゴがデッキに戻したモンスター>

①クリアウィング・シンクロ・ドラゴン

②月光舞獅子姫

③WW-ダイヤモンド・ベル

④クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン

⑤HSR/CWライダー

 

 だ、だがシンクロモンスターを呼び出したところで俺のPSYサイフレームロード・Ζに除外される。

 

「オレは【SRメンコート】を守備表示に変更する」

 

<ユーゴのフィールド>

SRメンコート ★4 ATK100→DEF2000

 

 いや、待てよ?さっき墓地に行った【SR電々大公】、そして墓地には…しまった!不味いぞコレは!!

 

「墓地の【SR電々大公】を除外して効果発動!墓地から【SRアクマグネ】を特殊召喚する!」

 

【SR電々大公】

チューナー・効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻1000/守1000

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):墓地のこのカードを除外して発動できる。

自分の手札・墓地から「SR電々大公」以外の

「スピードロイド」チューナー1体を選んで特殊召喚する。

 

<ユーゴのフィールド>

SRメンコート ★4 DEF2000

SRアクマグネ ★1 DEF0 ※チューナー

 

【SRアクマグネ】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 0/守 0

「SRアクマグネ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードはこのカードの効果によるS召喚でしかS素材にできない。

(1):このカードが自分メインフェイズに召喚・特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとこのカードのみを素材として風属性Sモンスター1体をS召喚する。

 

「特殊召喚された【SRアクマグネ】の効果発動!お前のレベル7【PSYサイフレームロード・Ζ】に俺のレベル1【SRアクマグネ】をチューニング!」

 

「こ、この土壇場で俺のモンスターをシンクロ素材にするだとぉ!?」

 

「シンクロ召喚!出でよ!レベル8!【HSRカイドレイク】!」

 

<ユーゴのフィールド>

SRメンコート ★4 DEF2000

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

 

【HSRカイドレイク】

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/機械族/攻3000/守2800

機械族・風属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する。

●相手フィールドの全ての表側表示のカードの効果を無効にする。

(2):このカードが相手によって墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える。

 

「シンクロ召喚に成功した【HSRカイドレイク】の効果発動!このカード以外のフィールドのカードを全て破壊する!!」

 

「だが、俺…じゃなくて私の【機動要犀 トリケライナー】は他のカード効果を受けない!」

 

 

ハノイの騎士 伏せカード:1→0枚、永続魔法:1→0枚、フィールド魔法:1→0枚。

 

<ハノイのフィールド>

機動要犀 トリケライナー ★6 DEF1800

 

ユーゴ ペンデュラムゾーン:1→0枚、フィールド魔法:1→0枚。

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

 

『ユーゴ選手の逆転の一撃が炸裂ー!フィールドのカードが殆ど一掃されてしまった―!』

 

 ユーゴのフィールドにセットされていた【機皇城】が破壊されたが、俺のデッキにはもうサーチする機皇帝が居ない…。

 終わったかな?い、いやまだユーゴの手札にモンスターが居ない可能性が…。

 

 

「オレは手札から魔法カード【SRスクラッチ】を発動!手札の【SR赤目のダイス】を墓地に送ってデッキから【SRダブルヨーヨー】を手札に加える!」

ユーゴ 手札:3→2→1→2枚

 

【SRスクラッチ】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札から「スピードロイド」カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキから「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える。

 

 あっ、終わったわ。

 

「オレは手札から【SRダブルヨーヨー】を召喚!そして効果発動!墓地から【SR赤目のダイス】を特殊召喚!」

ユーゴ 手札:2→1枚

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

SRダブルヨーヨー ★4 ATK1400

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

 

【SRダブルヨーヨー】

効果モンスター

星4/風属性/機械族/攻1400/守1400

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル3以下の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「特殊召喚に成功した【SR赤目のダイス】の効果発動!【SRダブルヨーヨー】のレベルを2にする!」

 

【SR赤目のダイス】

チューナー・効果モンスター

星1/風属性/機械族/攻 100/守 100

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、「SR赤目のダイス」以外の自分フィールドの「スピードロイド」モンスター1体を対象とし、1~6までの任意のレベルを宣言して発動できる。

そのモンスターのレベルはターン終了時まで、宣言したレベルになる。

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

SRダブルヨーヨー ★4→2 ATK1400

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

 

「オレはレベル2となった【SRダブルヨーヨー】にレベル1【SR赤目のダイス】をチューニング!シンクロ召喚!出でよ!レベル3!【HSRコルク-10】」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSRコルク-10 ★3 DEF1000 ※シンクロチューナー

 

【HSRコルク-10】

シンクロ・チューナー・効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻 500/守1000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン、自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから「スピードロイド」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

●このカードが「スピードロイド」モンスターのみを素材としてS召喚していた場合、そのS召喚に使用したS素材モンスター一組が全て自分の墓地に揃っていれば、その一組を特殊召喚する。

 

「シンクロ召喚に成功した【HSRコルク-10】の効果発動!シンクロ素材となった2体を蘇生する!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSRコルク-10 ★3 DEF1000 ※シンクロチューナー

SRダブルヨーヨー ★4 ATK1400

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

 

「特殊召喚に成功した【SR赤目のダイス】の効果発動!【HSRコルク-10】のレベルを6にする!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSRコルク-10 ★3→6 DEF1000 ※シンクロチューナー

SRダブルヨーヨー ★4 ATK1400

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

 

「オレはレベル4【SRダブルヨーヨー】にレベル1【SR赤目のダイス】をチューニング!」

 

 いやいやオーバーキル狙うな。

 

「双翼抱くきらめくボディー、その翼で天空に跳ね上がれ!シンクロ召喚!現れろ!レベル5!【HSRマッハゴー・イータ】!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSRコルク-10 ★6 DEF1000 ※シンクロチューナー

HSRマッハゴー・イータ ★5 ATK2000

 

【HSRマッハゴー・イータ】

シンクロ・効果モンスター

星5/風属性/機械族/攻2000/守1000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードの(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。フィールドの全ての表側表示モンスターのレベルはターン終了時まで1つ上がる。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スピードロイド」チューナーが存在する場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

「まだだ!オレはレベル5【HSRマッハゴー・イータ】にレベル6となった【HSRコルク-10】をチューニング!」

 

『ユーゴ選手の連続シンクロ召喚が!止まらない!止まらないぞー!』

 

「シンクロ召喚!現れよ!レベル11!【HSR/CWライダー】!!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSR/CWライダー ★11 ATK3500

 

【HSR/CWライダー】

シンクロ・効果モンスター

星11/風属性/機械族/攻3500/守2000

風属性チューナー+チューナー以外の風属性Sモンスター1体

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。サイコロを1回振る。出た目の数まで自分の墓地の風属性モンスターを選んでデッキに戻す。その後、戻した数まで相手フィールドのカードを選んで破壊できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果で破壊した数×500アップする。

(2):相手メインフェイズに、S召喚したこのカードをリリースして発動できる。EXデッキからレベル7の風属性Sモンスターを2体まで特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。

 

「オレは手札から【SRタケトンボーグ】を自身の効果で特殊召喚!」

ユーゴ 手札:1→0枚

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSR/CWライダー ★11 ATK3500

SRタケトンボーグ ★3 DEF1200

 

【SRタケトンボーグ】

効果モンスター

星3/風属性/機械族/攻 600/守1200

自分は「SRタケトンボーグ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):自分フィールドに風属性モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードをリリースして発動できる。デッキから「スピードロイド」チューナー1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

「そして【SRタケトンボーグ】をリリースして効果発動!デッキから【SR赤目のダイス】を特殊召喚!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSR/CWライダー ★11 ATK3500

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

 

「更に墓地の【HSRマッハゴー・イータ】を自身の効果で特殊召喚!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSR/CWライダー ★11 ATK3500

SR赤目のダイス ★1 DEF100 ※チューナー

HSRマッハゴー・イータ ★5 ATK2000

 

「オレはレベル5【HSRマッハゴー・イータ】にレベル1【SR赤目のダイス】をチューニング!」

 

 いやいやいやいやマジでオーバーキル止めて?

 

「十文字の姿もつ魔剣よ。その力ですべての敵を切り裂け!シンクロ召喚!現れろ、レベル6!【HSR魔剣ダーマ】!」

 

<ユーゴのフィールド>

HSRカイドレイク ★8 ATK3000

HSR/CWライダー ★11 ATK3500

HSR魔剣ダーマ ★6 ATK2200

 

【HSR魔剣ダーマ】

シンクロ・効果モンスター

星6/風属性/機械族/攻2200/守1600

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「HSR魔剣ダーマ」の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):自分の墓地の機械族モンスター1体を除外して発動できる。相手に500ダメージを与える。

(3):このカードが墓地に存在し、自分フィールドにカードが存在しない場合、自分メインフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。

 

「バトルだ!【HSR魔剣ダーマ】で【機動要犀 トリケライナー】に攻撃!」

 

HSR魔剣ダーマ ATK2200

vs

機動要犀 トリケライナー DEF1800 ※戦闘破壊

 

「【HSR魔剣ダーマ】の効果!貫通ダメージを受けろ!」

 

「ぐっ!」

ハノイの騎士 LP:1400→1000

 

<ハノイのフィールド>

モンスター無し

 

「止めだ!【HSRカイドレイク】でダイレクトアタック!」

 

HSRカイドレイク ATK3000

 

「ぐあぁぁぁっ!」

ハノイの騎士 LP:1000→0

 

『し、試合終了―!エキシビションマッチにて、チームYRS!見事にハノイの騎士を打ち破りましたー!』

 

~~~

 

<オブライエン視点>

 

 JRDGのエキシビションマッチ終了後、オレはコブラの息子リックの護衛を終えてデュエル・アカデミアウエスト校の自室でカードを射出できるデュエルディスクであるガンディスクの修繕を行っていた。

 

「JRDG後の帰還中に襲ってきたあの男たち、あれは恐らくネオグールズの連中だ」

 

 JRDGの会場を後にして日本に滞在中に利用していたホテルに向かう最中に、自身とリックはネオグールズのレアハンターたち数人に襲撃されたのだ。

 幸い、ネオグールズの連中はコピーした強力なレアカードを多く所持しているもののデュエリストとしては2流だったため、自身とリックの実力をもってすれば撃退は容易ではあったが、後日に自分たち以外にも襲われた者が居るとニュース番組で知った。

 

 狙われたのはJRDG最終日にVIP席に居た学生たちがメインだったと言うが、その目的は本当にレアカードの強奪のみなのだろうか?

 

「あの場には世界チャンピオン目前の響紅葉や有名なプロデュエリストが何人もいた。狙うならそちらを狙うのが筋じゃないのか?それとも、やはり他になにか理由が…いや、今ここで考えても分かるものではないな」

 

 ペガサス会長から依頼されたウエスト校の調査もまだ始まったばかりだ。本来の任務以外の用件であまり派手に動いてこちらの真意をコブラに気付かれるのは面白くない。注意は必要だが、調査が必須と言うわけでもない。

 

「よし、修繕完了だ。動作も問題ないようだな」

 

 ガンディスクの修繕を終え、変形機構やカード射出機構などの動作チェックも完了した。

 今はともかく、現状判明している情報をまとめて報告書を作成しまおう。ペガサス会長から追加の任務が来るまでは腰を据えてウエスト校の調査に専念するとしよう。




これにて夏休み編は終了となり、次話以降は2学期編となります。

ユーゴのデッキは【SR】です。風属性機械族と言うあまり見ない組み合わせの属性と種族で統一されたデッキです。アニメ終了時点でもかなり強力なテーマデッキでしたが、漫画やデュエリストパックなどでの強化を受けて更に展開力を増しています。本作のユーゴは【クリスタルクリアウィング・シンクロ・ドラゴン】以外のカードは殆ど入手している設定となっていますので、本作中でも五指に入る実力者となっています。

世界の破壊者様、戦車様、gsころりん様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。

次回の更新は、10月中には行う予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年目 タッグフォース編
第百三十三話 海野幸子


前回のあらすじ:JRDG、決着!

新章突入です。1年生2学期、タッグフォース編となります。


 9月上旬。夏休みも終わりを迎えた学生である俺は、太平洋の孤島に存在するデュエルアカデミアにて前世と合わせて2度目の高校1年生2学期を迎えることとなった。

 

 始業式では、何処の学校でも話されているであろう近状に関する世間話に加え、全生徒に対して改めて1学期に起こった三幻魔の事件についての説明がなされた。

 ちなみに保護者達には夏休み期間中にメールを送ったり集会を開いたりして説明済みだそうだ。当事者の生徒が後回しになっていたのはマスコミ対策らしい。詳しくは知らん。

 

 話された内容は俺にとって既知の物なので省略するが、三幻魔を巡る事件後の後始末もある程度は一段落したようで、アカデミアの教師陣もクロノス臨時校長の元で再スタートしたそうだ。流石に実技担当最高責任者との兼任は困難であると判断したようで、実技担当は響先生に一任したらしい。

 現在も引き継ぎの真っ最中であり、引き継ぎが完了次第、クロノス臨時校長の臨時が消えるそうだ。ナポレオン教頭?そう言えば何故か名前すら出てこなかったな。

 

 次に話されたのが1学期末頃から話題になっていた特化コースについての説明がなされた。

 全ての召喚方をまんべんなく教えるスタンダードコース、融合召喚特化コース、シンクロ召喚特化コース、エクシーズ召喚特化コースの4種の名から選択する。

 まだまだ試験的に実装されたその授業は選択授業扱いとして週に一日を使用し、午前中に座学を実施して午後に実技を実施する流れとなったらしい。

 俺達のような高校からの途中入学組はスタンダートコースか幼い頃から馴染み深い融合召喚特化コースを選択したようだが、中学からの進学組はシンクロやエクシーズなどの既存の授業では教わらなかった授業を選択した生徒が多かった。

 

 あっ、そうそう。始業式の最後には早乙女レイちゃんの2週間編入の件も発表され、オシリスレッドの服装で男装したレイちゃんが挨拶を行っていた。

 始業式後に彼女と合流した俺は、レイちゃんの想い人である丸藤亮の親友であり、自称愛の伝道師である天上院吹雪さんを紹介しておいた。

 ハチャメチャな人だが、恋愛ごとにおいて彼以上に頼りになる人も居ないだろう。俺は非モテの童貞だからね。恋愛ごとのフォローとか無理ですわ。

 最終的な相手が亮さんか十代になるか、はたまたコナミになってしまうかは現状不明だが、原作アニメではうやむやになってしまった彼女の恋愛が成就することを切に願う。

 

~~~

 

 始業式から数日が経過したある日、選択授業日の午前中の授業を受け終えた俺、ドルオ、坂倉の三人は、昼食のドローパンを片手に校内のデュエルリングに向かって歩いていた。

 

「それで?結局、海の上にそびえ立ったあのタワーは一体なんだ?あんなの夏休み前までなかったよな?」

 

 俺の横を歩いていた坂倉が急に立ち止まり、校内通路の窓からヘリ発着場付近の海辺りを指差しながらそう呟いた。

 指さした先には、彼の言う通り全長100mはありそうな巨大な白いタワーが海面から生えていた。

 

 塔の上部付近だけ赤く『万』と書かれた装飾がなされており、屋上付近には細い通路に支えられた円形のデュエルリングが海に向かって伸びている。

 壁はおろか手すりすら見当たらないその光景は、高所恐怖症の人なら一発で失神物だと思う。

 

「何って、タッグフォースの特設決勝会場だろ?坂倉、始業式でクロノス臨時校長の話を聞いてなかったのか?」

 

 そう坂倉に言葉を返すのは、彼の横に並んで歩いていたドルオだ。その顔は「こいつ、また人の話を聞いてなかったな?」と言わんばかりの呆れ顔である。

 

「タッグデュエル大会、ねぇ」

 

 デュエルアカデミアが主催するタッグデュエル大会『タッグフォース』。

 原作ゲームである『遊戯王GXタッグフォース』の第一作目で行われた大会だ。

 

 タッグデュエル大会『タッグフォース』は予選と決勝リーグの2つに分けられる。

 まず最初に参加者であるデュエルアカデミア高等部の生徒全員+外部参加者にGXメダルと呼ばれる物が10枚配られる。

 予選は9月から12月初旬の期間で行われ、参加者たちはこのGXメダルを互いの任意の枚数分を賭けてデュエルを行っていき、勝者がメダルを入手する。その枚数が90枚になったデュエリストが後日に開催される決勝リーグにエントリーする資格を得る。

 決勝リーグは12月中旬から開始され、参加資格を得た者同士でペアを組んで決勝リーグへ登録し、最後まで勝ち上がっていったペアが優勝となるわけだ。

 

 俺がこの大会で優勝しなければならない理由は無いんだが、もし本気で優勝を狙いに行くなら相棒はコナミを選びたいところだな。タッグデュエルでアイツが相棒の時は負ける気がしないし。

 ただ、あの野郎は一学期に自前のインチキコミュ力で色々とやらかしているから、競争率が半端ないんだよなぁ。

 

 ちなみに、この世界でのルールは原作とは若干異なっていて、原作ゲームだと予選のメダル集めの時点から決勝リーグまで全てタッグを組んでいた。

 ゲームだとこの数か月間ずっと毎日同じペアと四六時中一緒に居てタッグデュエルを行っていき、一定以上好感度を上げていくごとにイベントが進行するというシステムだったのだ。

 そんなんだからカードも出来るギャルゲーと呼ばれるんだよなあ。

 

 この大会は世界的にテレビ中継され、島外部の飛び入り参加者もいるらしい。既に森の中で迷宮兄弟とかボーイの姿を見たという他生徒の目撃情報もある。

 ゲーム通りとはいえ、彼らって割と暇なんだな。

 

 恐らく鮫島元校長はこの『タッグフォース』を来年実施するつもりだったであろう世界大会『ジェネクス』の試金石にする腹積もりだったのだろう。

 あの意☆味☆不☆明なタワーは、原作ゲームでは鮫島校長の依頼で万丈目グループの協力の元に建設された物だったが、この世界でも同様らしく一学期中に既に鮫島元校長が建設を依頼しており、一学期中にも俺達生徒たちの見えないところで着々と建造していたそうだ。

 ま、完成するその前に鮫島元校長は退場しちゃったけどね。

 

~~~

 

 午後の実技授業が始まると、校内のデュエルリングにて担当の矢ヶ城先生の指示のもと、俺が所属しているスタンダードコースの生徒が指名された生徒同士でデュエルを開始している。

 何戦かを見学し終えた頃、ようやく俺ととある女生徒の名前が呼ばれたのでデュエルリングへと向かう。

 

「私のお相手の庶民は…白河クロト、貴方なのね。貴方のことはコナミからよく聞いているわ!」

 

 俺の正面に立つのは手の甲を口元に当ててお嬢様笑いしている青髪ウェーブの美少女。ってなんだ。一学期中に何処かの赤帽子に攻略されちゃった女生徒その1の海野幸子じゃん。

 入学当初は社長令嬢らしく気品に溢れた佇まいをしていたような気もするけど、コナミに関わってしまい籠絡されてしまった後は愉快な性格になっちゃったよなぁ。

 今の方が端から見てて面白いからいいんだけどね。

 

「そこで見てなさい、コナミ!今の私のデュエルをね」

「おぉ~、頑張れよ幸子~!」

 

 そう言い放ちながら海野がデュエルディスクを構えつつ、観客席に居るコナミと話している。それに応えるようにコナミも彼女に声援を飛ばしている。

 

 ちっ、イチャイチャしやがって!対戦相手の俺はアウトオブ眼中ですかぁ?爆発しろ!他所でやれ!

 

「白河!負けるんじゃねえぞ!」

「リア充どもをぶちのめせ!」

「童貞の底力を見せつけろ!」

 

 それに対して俺への声援はこれですか…。むさ苦しい非モテ男どもの妬みとかで応援されても全く嬉しくないな。

 あと、誰が非モテの童貞だ。自分で言うのはともかく人に言われるのは頭に来るんだぞ?埋めるぞ?オォン?

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

 それはさておき、挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆海野幸子 LP:4000

 

 

「先攻は私が貰いますわ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

海野 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【スター・ブラスト】を発動!LPを1500支払い、手札の【超古深海王シーラカンス】のレベルを3下げますわ!」

海野 LP:4000→2500、手札:6→5枚。

 

【スター・ブラスト】

通常魔法

500の倍数のライフポイントを払って発動できる。

自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選び、そのモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで、払ったライフポイント500ポイントにつき1つ下げる。

 

「そして私は手札からレベル4となった【超古深海王シーラカンス】を通常召喚しますわ!」

海野 手札:5→4枚。

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★7→4 ATK2800

 

【超古深海王シーラカンス】

効果モンスター

星7/水属性/魚族/攻2800/守2200

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃宣言できず、効果は無効化される。

(2):フィールドのこのカードを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカード以外の自分フィールドの魚族モンスター1体をリリースして発動できる。その効果を無効にし破壊する。

 

 来たか、シーラカンス。ただ、今の俺の手札にはアイツの効果発動を止める術がない…。

 

「手札を1枚捨てて【超古深海王シーラカンス】の効果発動!デッキからデッキからレベル4以下の魚族モンスターを効果は無効化して可能な限り特殊召喚しますわ!」

海野 手札:4→3枚。

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★4 ATK2800

竜宮の白タウナギ ★4 DEF1200 ※チューナー

光鱗のトビウオ ★4 DEF1000

ヒゲアンコウ ★4 DEF1600

竜影魚レイ・ブロント ★4 DEF1000

 

【竜宮の白タウナギ】

チューナー・効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1700/守1200

このカードをS素材とする場合、

他のS素材モンスターは全て魚族モンスターでなければならない。

 

【光鱗のトビウオ】

効果モンスター

星4/光属性/魚族/攻1700/守1000

自分フィールド上に存在するこのカード以外の魚族モンスター1体をリリースして発動する。

フィールド上のカード1枚を破壊する。

 

【ヒゲアンコウ】

効果モンスター

星4/水属性/魚族/攻1500/守1600

水属性モンスターを生け贄召喚する場合、このモンスター1体で2体分の生け贄とする事ができる。

 

【竜影魚レイ・ブロント】

デュアルモンスター

星4/水属性/魚族/攻1500/守1000

このカードは墓地またはフィールド上に表側表示で存在する場合、通常モンスターとして扱う。

フィールド上に表側表示で存在するこのカードを通常召喚扱いとして再度召喚する事で、このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●このカードの元々の攻撃力は2300になる。

このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。

次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。

 

 手札から墓地に送ったのは【フィッシュボーグ-ドクター】か。

 

「ここで私はレベル4【ヒゲアンコウ】と【竜影魚レイ・ブロント】の2体でエクシーズ召喚を行いますわ!来なさい、ランク4【深淵に潜む者】!」

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★4 ATK2800→3300

竜宮の白タウナギ ★4 DEF1200 ※チューナー

光鱗のトビウオ ★4 DEF1000

深淵に潜む者 ☆4 ATK1700→2200 ORU:2

 

【深淵に潜む者】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/水属性/海竜族/攻1700/守1400

レベル4モンスター×2

(1):このカードが水属性モンスターをX素材としている場合、自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「私は手札から永続魔法【水神の護符】を発動しますわ!」

海野 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【水神の護符】

永続魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、自分フィールド上の水属性モンスターは相手のカードの効果では破壊されない。

発動後3回目の相手のエンドフェイズ時にこのカードは墓地へ送られる。

 

「最後に私はカードを1枚セットしてターンエンドですわ!そしてエンドフェイズ時に【超古深海王シーラカンス】のレベルが元に戻りますわ」

海野 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

超古深海王シーラカンス ★4→7

 

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆海野幸子 LP:2500 手札:1枚、伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★7 ATK3300

竜宮の白タウナギ ★4 DEF1200 ※チューナー

光鱗のトビウオ ★4 DEF1000

深淵に潜む者 ☆4 ATK2200 ORU:2

 

 

 【水神の護符】でモンスター全体に効果破壊耐性を与え、【深淵に潜む者】の効果でモンスター全体の打点アップと墓地カード発動妨害か。確かに入学当初にモンスターを並べるだけだったころと比べれば格段に強くなっているな。

 その割にチューナーと非チューナーをそのまま残してターンエンド?2体の合計レべルは8、水属性素材でレベル8シンクロモンスターと言えば…鯨か?とするとまさか、あの伏せカードって【緊急同調】?コナミがデッキ編集に絡んでいるなら有り得るな。

 シンプルに【フィッシャーチャージ】辺りも考えらえれるが…考えていても分からんか。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのまま…」

クロト 手札:5→6枚。

 

「お待ちなさい!このタイミングで私は【深淵に潜む者】のORUを1つ取り除いてその効果を発動しますわ!このターン、貴方は墓地のカードの効果を発動できませんわよ!」

深淵に潜む者 ☆4 ATK2200 ORU:2→1

 

 墓地に送ったのは【ヒゲアンコウ】の方か。

 

「終わりかな?ならこのままスタンバイ、メインフェイズへ移行する!」

 

 さて、まずはチューナーを片付けて鯨出現の可能性を潰しておくべきか。

 

「俺は手札から速攻魔法【帝王の烈旋】を発動!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【帝王の烈旋】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(1):このターン、自分がモンスターをアドバンス召喚する場合に1度だけ、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドのモンスター1体をリリースできる。

 

「そして俺はそちらの【竜宮の白タウナギ】をリリースして手札から【充電池メン】をアドバンス召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★7 ATK3300

光鱗のトビウオ ★4 DEF1000

深淵に潜む者 ☆4 ATK2200 ORU:1

 

<白河クロトのフィールド>

充電池メン ★5 ATK1800→2100

 

【充電池メン】

効果モンスター

星5/光属性/雷族/攻1800/守1200

このカードの召喚に成功した時、手札・デッキから「充電池メン」以外の「電池メン」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。

このカードの攻撃力・守備力は、自分フィールド上の雷族モンスターの数×300ポイントアップする。

 

「くっ、チューナーが墓地へ送られてしまいましたわ!」

 

 この反応なら、このまま行けるか?

 

「【充電池メン】の召喚成功時に効果発動!デッキから【電池メン-角型】を特殊召喚する!」

 

<白河クロトのフィールド>

充電池メン ★5 ATK2100→2400

電池メン-角型 ★4 ATK1000

 

【電池メン-角型】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1000/守1000

「電池メン-角型」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「電池メン」モンスター1体を手札に加え、このカードの攻撃力・守備力を元々の倍にする。

(2):自分エンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

 

「【電池メン-角型】の特殊召喚成功時に効果発動!デッキから【燃料電池メン】を手札に加え、【電池メン-角型】の攻撃力・守備力を元々の倍にする!」

クロト 手札:4→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

充電池メン ★5 ATK2400

電池メン-角型 ★4 ATK1000→2000

 

「更に手札の【燃料電池メン】を自身の効果で特殊召喚する!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

充電池メン ★5 ATK2400→2700

電池メン-角型 ★4 ATK2000

燃料電池メン ★6 ATK2100

 

【燃料電池メン】

効果モンスター

星6/光属性/雷族/攻2100/守 0

自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが2体以上存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

1ターンに1度、このカード以外の自分フィールド上の「電池メン」と名のついたモンスター1体をリリースして発動できる。相手フィールド上のカード1枚を選択して持ち主の手札に戻す。

 

「フィールドに『電池メン』が3体揃った…!?」

 

「発動条件は整った!行くぞ!俺は手札から魔法カード【漏電】を発動!相手フィールド上のカードを全て破壊する!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【漏電】

通常魔法

自分フィールド上に「電池メン」と名のついたモンスターが3体以上存在する場合に発動できる。

相手フィールド上のカードを全て破壊する。

 

「おぉっ!これは!」

「全体破壊効果!だが【水神の護符】があるから破壊されるのは【水神の護符】と伏せカードくらいか!」

「しかし、これが通れば白河の勝ちが濃厚になるな!」 

 

 おいふざけんなギャラリーども!フラグ立てんな!

 

「チェーンしてリバースカードオープン!カウンター罠【大革命返し】発動!【漏電】の発動を無効にし除外しますわ!」

海野 伏せカード:1→0枚。

 

【大革命返し】

カウンター罠

(1):フィールドのカードを2枚以上破壊するモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし除外する。

 

「カウンター罠!?」

「防がれたのか!?」

「あの女!さっきのセリフはブラフかよ!」

 

「おーっほっほっほっほっ!その程度ではこの布陣は崩せませんわよ!」

 

「それはどうかなぁ?俺はLPを半分払って手札からカウンター罠【レッド・リブート】を発動!【大革命返し】の発動を無効にする!」

クロト LP:4000→2000、手札:3→2枚。

 

【レッド・リブート】

カウンター罠

このカードはLPを半分払って手札から発動する事もできる。

(1):相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。

その後、相手はデッキから罠カード1枚を選んで自身の魔法&罠ゾーンにセットできる。このカードの発動後、ターン終了時まで相手は罠カードを発動できない。

 

「そんな…!」

 

 【漏電】はこのデッキの切り札だぞ?その発動を通すのに無策で発動させるわけないだろう?

 それにしても【レッド・リブート】はこの時代では本当に便利だよな。デッキに入れない理由がない。

 

チェーン③レッド・リブート

チェーン②大革命返し

チェーン①漏電

 

 【レッド・リブート】の効果でデッキからセットした罠カードは【バージェストマ・カナディア】か。結構いいカード持ってるな。

 

 

海野 伏せカード:1→2→0枚、永続魔法:1→0枚。

 

<海野幸子のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★7 ATK3300

光鱗のトビウオ ★4 DEF1000

深淵に潜む者 ☆4 ATK2200 ORU:1

 

「ですが、【水神の護符】の効果によりモンスターは破壊されませんわよ!」

 

 あの様子だと流石に防御系の手札誘発もなさそうだし、早く終わらせるか。 

 

「だが防御札はもう残っていないだろう!このままバトルフェイズに入る!」

 

 こちらのモンスターは3体、向こうのモンスターも3体。このターンさえ凌げば次のターンでまだ巻き返しが可能…とか考えてそうだな。

 だが、お前に次のターンは存在しない!

 

「【充電池メン】で【深淵に潜む者】へ攻撃!」

 

充電池メン ATK2700

vs

深淵に潜む者 ATK2200

 

「ところで、電池メンは全員光属性なんだ。この意味、分かるかなぁ?ダメステ、良いっすかぁ?」

 

「!?」 

 

「俺は手札から【オネスト】を墓地に送って効果発動!【深淵に潜む者】の攻撃力分、【充電池メン】の攻撃力がアップする!」

クロト 手札:2→1枚。

 

充電池メン ATK2700→4900

vs

深淵に潜む者 ATK2200

 

【オネスト】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1100/守1900

(1):自分メインフェイズに発動できる。フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

「あぁぁぁっ!」

海野 LP:2500→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「くっ…負け…!?コナミの前で大恥をかいてしまいましたわ…!」

 

 こっわ。拳を握り締めて凄い眼力で睨んで来てるよ。

 さてさて、妙な因縁をつけられる前に観客席に逃げ帰ろっと。




海野幸子のデッキは【魚族】の【超古深海王シーラカンス】軸です。シーラカンスの効果でレベル4以下の魚族を大量展開してエクストラデッキのモンスターで戦うデッキとなっています。

クロトのデッキは【電池メン】です。今話の様に【充電池メン】→【電池メン-角型】→【燃料電池メン】の展開に加え、【電池メン-単三型】→【地獄の暴走召喚】と言う展開筋もありますが、【漏電】をサーチするカードが無いので強めの相手だと勝率はそこまで高くありません。

次回の更新は10月中を目標としています。

Galcia様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十四話 恋する乙女と氷結界

前回のあらすじ:タッグフォース編スタート!

今回は早乙女レイ(ライトロード)と天上院明日香(氷結界)との対戦となります。


 平和な日常とは過ぎ去るのも早いもので、レイちゃんがアカデミアを去る日がもう明日へと迫ってきていた。

 だが、愛の伝道師こと天上院吹雪と恋する乙女と言う行動力の塊のようなレイちゃんのタッグでさえ、丸藤亮と言う鋼鉄の城は攻め落とせないでいるようだった。

 

「なぁ、ツァン。一つ聞いていいか?」

「うん?何よ?」

 

 俺としては何とかレイちゃんの恋路に協力したいので、恥を忍んで同年代の異性に助力を求める手段を取ることにした。もちろん、俺が話しかけられる範囲での話だ。

 

 まず明日香は駄目だ。『私はデュエルに恋してるの』とか言い出す娘は流石に俺以上に戦力外だろう。

 次に雪乃も駄目だろう。発言が大人びていて勘違いしがちだが、あの娘は恐らく恋愛初心者だ。告白されたことは有ってもその逆は絶対に無いと言い切れる。

 そしてレインも駄目だろう。アイツが恋してそうなのは猫のファラオくらいだ。人間の男とかその辺のジャガイモと同じくらいに考えてそうだ。

 

 リンが一番適任だろうけど、彼女とユーゴは殆ど家族のような物だったからな。参考になるか分からん。メールだけ送っておいて、直接聞くのは後回しだな。

 瑠璃も微妙だ。早くユートとくっ付けばいいのに友人関係から進んでいるように見えない。多分、過保護な兄のせいだろう。

 セレナ?ははっ、無いな。告白された相手を片っ端からデュエルでぶちのめすガールが役に立つビジョンが見えない。

 

 消去法でツァンと紬になるわけだ。

 

「仮に好きな奴が出来たとして、どうやったら口説き落とせると思う?」

「!?…うぐっ!ゲホッ!ゲホッ!」

 

 一緒に図書室で月一試験のテスト勉強をしているツァンに何気なく話を振ってみたらいきなりむせ始めた。またツァンの奇行が始まったよ。俺の知り合いは変な奴が多くて見ていて楽しい。

 

「ツァンちゃん!?」

 

 隣に座っていた紬がツァンの背中をさすりながら水を飲ませて落ち着かせている。ええ娘やなぁ。

 

「いきなりどうした?」

「それはこっちのセリフだよ!ボッ…孤高の存在だったボクに恋愛のイロハなんて分かるわけないでしょ!」

 

 むせたせいかツァンが顔を真っ赤にして怒っているようだ。

 それもそうか。この娘、中学時代はボッチだったみたいだしな。

 

「そうか。ツァンは可愛いし、話してみれば良い奴だから恋愛経験くらいあるかと思ったんだが…」

「なっ!?」

 

 ツァンの顔が更に真っ赤になってしまった。今度は耳まで真っ赤だ。よほど頭に来たのだろう。

 リンの奴め、女子は皆恋愛話が好きだとか適当なことを教えやがって…後で文句を言っておこう。

 

「そ、それで?相手は誰なのよ?…藤原さんとか?」

 

 藤原さん?あぁ、藤原優介先輩か。確かに彼も亮さんや吹雪さんと並んでも遜色ないイケメンだしな。

 惜しいが外れだ。

 

「いや、亮さんだ」

「まさかの男子!?」

 

 レイちゃんの恋愛相手を教えると、ツァンがいきなり図書室の床で四つん這いになり、頭を抱えて悶え始めた。なんなんこれ?

 

「ツァンちゃん!?落ち着いて!?」

 

 ツァンの常軌を逸した行動に紬もフォローが大変そうだ。ツァンが奇行に走るたびにフォローしてくれるなんて、ツァンもいい友達を持ったよな。

 

 なにはともあれ、今は俺達の他に誰も居ないからセーフだけど、ツァンが悶える度にスカートの中が見えそうなので目のやり場に困るから止めて欲しい。

 

~~~

 

 錯乱したツァンは紬に任せて放っておくことにして俺は図書室を後にした。

 

 とりあえずレイちゃんたちに合流して様子を見ようかと思い、灯台が見えるオシリスレッド寮付近までやって来たら、灯台の前で何故かレイちゃんと明日香がデュエルを開始しようとしていた。

 その近くには困惑した表情で頭を抱える亮さんとアロハシャツを着てウクレレを演奏しながら楽しそうな吹雪さんがいた。どういう状況なんだ?

 

「あっ、白河君。やっほー」

「よう、白河。お前もあの二人のデュエルを見に来たのか?」

「女の闘いって奴なんだナァ」

 

 声の方を振り返ると、オシリスレッドの寮から双眼鏡で灯台付近の様子を見ている十代一行の姿があった。

 コナミ?確か今日は委員長とデートだって言ってたから今頃は女子寮付近じゃね?

 

「ボクたちもついさっき聞いたんだけどレイ君が実は女の子だったみたいで、灯台で海を見ていたお兄さんに告白しようとしたみたいなんだけど…」

「近づいてみるとカイザーの隣に天上院が居たみたいでさ」

「レイちゃんが天上院さんのことをカイザーの彼女と勘違いしてデュエルを仕掛けようとしているみたいなんだナァ」

 

「なるほどねぇ」

 

 流石のレイちゃんの【ライトロード】も明日香の【機械天使】相手だとキツいか?いや、最近の明日香は慣れない【氷結界】デッキを使ってるみたいだからワンチャンあるか。

 

 このくらいの距離なら魔力を込めて視覚と聴覚を強化すれば話している内容とデュエル内容くらいは見れそうだな。

 

「貴女を倒してボクが亮様の彼女に立候補するの!さぁデュエルよ!」

「話はよく分からないけれど、デュエルを挑まれたらデュエリストとして逃げるわけにはいかないわね!」

 

 レイちゃんの勘違いに気付かぬまま、明日香もデュエルを受ける様子だな。

 う~ん、デュエル脳。

 

「いやぁ、二人とも青春だねぇ~」

「吹雪、お前が焚きつけたんだろう。お前の悪い癖だぞ」

 

 吹雪さんはもう完全にこの状況を楽しんでいる感じだな。

 亮さんもようやくレイちゃんの本気さに気付いたみたいだけど、今更デュエルを止める気はないみたいだ。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆早乙女レイ LP:4000

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000

 

 

 確か明日香は【氷結界の虎将 ウェイン】、【氷結界の随身】、【氷結界の依巫】辺りのモンスターを持ってないんだよな。

 だからデッキ内の氷結界モンスターの大半はストラク強化前のモンスターが占めているはずだ。

 このデュエル、流石に今のレイちゃん相手だと厳しいかもな。

 

 

「先攻はボクが貰うよ!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

レイ 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【光の援軍】を発動!デッキトップからカードを3枚墓地に送り、デッキから【ライトロード・サモナー ルミナス】を手札に加えるよ!」

レイ LP:手札:6→5→6枚。

 

【光の援軍】

通常魔法

(1):自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。デッキからレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を手札に加える。

 

<墓地に送られたカード>

①ライトロード・スピリット シャイア

②死者転生

③ライトロード・アサシン ライデン

 

「更にボクは手札から【ライトロード・ビースト ウォルフ】を捨てて魔法カード【ソーラー・エクスチェンジ】を発動!デッキ2ドロー!そしてデッキトップからカードを2枚墓地へ送る!」

レイ LP:手札:6→5→4→6枚。

 

【ソーラー・エクスチェンジ】

通常魔法

(1):手札から「ライトロード」モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

<墓地に送られたカード>

①閃光のイリュージョン

②ライトロードの裁き

 

 サイバー流積み込み術ならぬ、ライトロード流積み込み術みたいなノリでドローソース引き込んでくるなぁ。

 

「ボクは手札から【ライトロード・サモナー ルミナス】を召喚!」

レイ LP:手札:6→5枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

 

【ライトロード・サモナー ルミナス】

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻1000/守1000

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、自分の墓地のレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「手札から【ライトロード・ウォリアー ガロス】を墓地に送り、【ライトロード・サモナー ルミナス】の効果発動!墓地から【ライトロード・アサシン ライデン】を特殊召喚するよ!」

レイ LP:手札:5→4枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

ライトロード・アサシン ライデン ★4 DEF1000 ※チューナー

 

【ライトロード・アサシン ライデン】

チューナー・効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1700/守1000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中に「ライトロード」モンスターがあった場合、さらにこのカードの攻撃力は相手ターン終了時まで200アップする。

(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

「【ライトロード・アサシン ライデン】の効果発動!デッキトップからカードを2枚墓地に送る!…攻撃力が200アップ!」

 

<墓地に送られたカード>

①ライトロード・パラディン ジェイン

②ライトロード・アーチャー フェリス

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

ライトロード・アサシン ライデン ★4 DEF1000 ※チューナー

 

「墓地に送られた【ライトロード・アーチャー フェリス】の効果発動!自身の効果で特殊召喚するよ!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

ライトロード・アサシン ライデン ★4 DEF1000 ※チューナー

ライトロード・アーチャー フェリス ★4 DEF2000 ※チューナー

 

【ライトロード・アーチャー フェリス】

特殊召喚・チューナー・効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1100/守2000

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードがモンスターの効果でデッキから墓地へ送られた場合に発動する。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードをリリースし、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターを破壊する。その後、自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「ボクは墓地の【ライトロード・ウォリアー ガロス】を除外して、手札から【混沌のヴァルキリア】を特殊召喚!」

レイ LP:手札:4→3枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

ライトロード・アサシン ライデン ★4 DEF1000 ※チューナー

ライトロード・アーチャー フェリス ★4 DEF2000 ※チューナー

混沌のヴァルキリア ★4 DEF1050

 

【混沌のヴァルキリア】

特殊召喚・効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1800/守1050

このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地から光属性または闇属性のモンスター1体を除外して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが除外された場合に発動できる。デッキから光属性または闇属性のモンスター1体を墓地へ送る。このターン、自分はこの効果で墓地へ送ったカード及びその同名カードの効果を発動できない。

 

「ボクはレベル3【ライトロード・サモナー ルミナス】にレベル4【ライトロード・アサシン ライデン】をチューニング!シンクロ召喚!おいで、レベル7【ライトロード・アーク ミカエル】!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アーク ミカエル ★7 ATK2600

ライトロード・アーチャー フェリス ★4 DEF2000 ※チューナー

混沌のヴァルキリア ★4 DEF1050

 

【ライトロード・アーク ミカエル】

シンクロ・効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上

(1):1ターンに1度、1000LPを払い、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

(2):このカードが破壊された時、このカード以外の自分の墓地の「ライトロード」モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、自分は戻した数×300LP回復する。

(3):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「更にボクはレベル4【ライトロード・アーチャー フェリス】と【混沌のヴァルキリア】の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来て、ランク4【ライトロード・セイント ミネルバ】!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アーク ミカエル ★7 ATK2600

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:2

 

【ライトロード・セイント ミネルバ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/天使族/攻2000/守 800

レベル4モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数だけ自分はデッキからドローする。

(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分のデッキの上からカード3枚を墓地へ送る。その中に「ライトロード」カードがあった場合、その数までフィールドのカードを選んで破壊できる。

 

「ボクは【ライトロード・セイント ミネルバ】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキトップからカードを3枚墓地に送る…デッキから2ドロー!」

レイ LP:手札:3→5枚。

ライトロード・セイント ミネルバ  ORU:2→1

 

<墓地に送られたORU>

①ライトロード・アーチャー フェリス

 

<墓地に送られたカード>

①ライトロード・エンジェル ケルビム

②ライトロード・ハンター ライコウ

③ラドリートラップ

 

「墓地に送られた【ラドリートラップ】の効果発動!墓地の【閃光のイリュージョン】を手札に加えるよ!」

レイ 手札:5→6枚。

 

【ラドリートラップ】

永続罠

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合にこの効果を発動できる。自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

(2):このカードが効果でデッキから墓地へ送られた場合、「ラドリートラップ」以外の、このターンに自分の墓地へ送られたカード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

この効果の発動後、次の自分ターンの終了時まで、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの効果の発動をできない。

 

 

「ボクはカードを3枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに【ライトロード・アーク ミカエル】の効果によりデッキからデッキトップからカードを3枚墓地に送る」

レイ 手札:6→3枚。伏せカード:0→2枚。

 

<墓地に送られたカード>

①ライトロード・ドラゴン グラゴニス

②ライトレイ ディアボロス

③戒めの龍

 

 

◆早乙女レイ LP:4000 手札:3枚、伏せカード:3枚

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・アーク ミカエル ★7 ATK2600

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:1

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000 手札:5枚

 

 

 今更だけど、レイちゃんは明らかに小学生のレベルじゃないよな。セレナにもそこそこの確率で勝ってたし。

 2週間滞在した間にやってた1年生との交流戦でも、コナミと十代と万丈目以外のオシリスレッド生徒、俺以外のラーイエロー生徒、三沢以外のオベリスクブルー生徒には全勝だったしなぁ。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:5→6枚

 

「私は手札から魔法カード【氷結界の紋章】を発動!デッキから【氷結界の虎将 ガンターラ】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:6→5→6枚。

 

【氷結界の紋章】

通常魔法

(1):デッキから「氷結界」モンスター1体を手札に加える。

 

「そして私は魔法カード【氷結界の三方陣】を発動!手札の氷結界モンスターを3体見せた後、そちらの伏せカード1枚を破壊して手札から【氷結界の虎将 ガンターラ】を特殊召喚するわ!」

明日香 手札:6→5→4枚。

 

【氷結界の三方陣】

通常魔法

(1):カード名が異なる手札の「氷結界」モンスター3体を相手に見せ、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊し、手札から「氷結界」モンスター1体を特殊召喚する。

 

<明日香が公開したカード>

①氷結界の虎将 ライホウ

②氷結界の虎将 ガンターラ

③氷結界の虎将 グルナード

 

早乙女レイ 伏せカード:3→2枚

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

 

【氷結界の虎将 ガンターラ】

効果モンスター

星7/水属性/戦士族/攻2700/守2000

(1):自分エンドフェイズに、「氷結界の虎将 ガンターラ」以外の自分の墓地の「氷結界」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「更に私は魔法カード【トレード・イン】を発動!手札の【氷結界の虎将 グルナード】を墓地に送ってデッキから2ドローするわ!」

明日香 手札:4→3→2→4枚。

 

「私は手札から【氷結界の軍師】を召喚!」

明日香 手札:4→3枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

 

【氷結界の軍師】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1600/守1600

(1):1ターンに1度、手札から「氷結界」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「【氷結界の軍師】の効果発動!手札の【氷結界の虎将 ライホウ】を墓地に送ってデッキから1ドロー!」

明日香 手札:3→2→3枚。

 

「バトルよ!【氷結界の虎将 ガンターラ】で【ライトロード・アーク ミカエル】を攻撃!」

 

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

vs

ライトロード・アーク ミカエル ★7 ATK2600

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【禁じられた聖槍】を発動!【氷結界の虎将 ガンターラ】の攻撃力を下げさせてもらうよ!」

レイ 伏せカード:2→1枚。

 

【禁じられた聖槍】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。

 

「ならこちらも手札から速攻魔法【瞬間氷結】を発動!【禁じられた聖槍】の発動を無効にしてセットさせてもらうわ!」

明日香 手札:3→2枚。

 

【瞬間氷結】※漫画版GXオリジナルカード

速攻魔法

魔法・罠カードの発動を無効にし、そのカードをセットする。

このカードの効果でセットしたカードは3ターンの間発動できない。

 

チェーン②瞬間氷結

チェーン①禁じられた聖槍

 

レイ 伏せカード:1→2枚。

 

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

vs

ライトロード・アーク ミカエル ★7 ATK2600 ※戦闘破壊

 

「きゃあっ!…でも【ライトロード・アーク ミカエル】の効果発動だよ!【ライトロード・ビースト ウォルフ】をデッキに戻して300LP回復するからね!」

レイ LP:4000→3900→4200

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:1

 

「メインフェイズ2に移行するわ。私はカードを1枚セットしてターンエンド」

明日香 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【氷結界の虎将 ガンターラ】の効果発動!墓地の【氷結界の虎将 ライホウ】を特殊召喚するわ!」

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

氷結界の虎将 ライホウ ★6 DEF2300

 

【氷結界の虎将 ライホウ】

効果モンスター

星6/水属性/戦士族/攻2100/守2300

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドで発動した相手モンスターの効果処理時に、相手は手札を1枚捨てる事ができる。捨てなかった場合、その効果は無効化される。

 

 

◆早乙女レイ LP:4200 手札:3枚、伏せカード:2枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:1

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:4000 手札:1枚、伏せカード:1枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

氷結界の虎将 ライホウ ★6 DEF2300

 

 

 登場初期の氷結界はとにかくフィールドに並べるのが大変だったって話を聞いてたな。

 ただ、並べ終わることが出来れば結構優秀なモンスターが多かったはずだ。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

レイ 手札:3→4枚。

 

混沌のヴァルキリア ★4 DEF1050

 

「ボクは【ライトロード・セイント ミネルバ】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキトップからカードを3枚墓地に送る…ドローは出来ないね」

ライトロード・セイント ミネルバ  ORU:1→0

 

<墓地に送られたORU>

①混沌のヴァルキリア

 

<墓地に送られたカード>

①裁きの龍

②光の援軍

③ネクロ・ガードナー

 

「リバースカードオープン!罠カード【光の召集】を発動!手札を全て捨ててその枚数分だけ墓地から光属性モンスターを選んで手札に加えるよ!」

レイ 手札:4→0→4枚。伏せカード:2→1枚。

 

【光の召集】

通常罠

(1):自分の手札を全て捨てる。その後、この効果で墓地へ捨てられたカードの数だけ、自分の墓地から光属性モンスターを選んで手札に加える。

 

<手札から墓地に捨てたカード>

①ライトロード・モンク エイリン

②ライトロード・プリースト ジェニス

③ライトロード・ドルイド オルクス

④ライトロード・メイデン ミネルバ

 

<墓地から手札に回収したカード>

①裁きの龍

②ライトロード・サモナー ルミナス

③ライトレイ ディアボロス

④ライトロード・ハンター ライコウ

 

「墓地に送られた【ライトロード・メイデン ミネルバ】の効果発動!デッキトップから1枚墓地に送るよ!」

 

【ライトロード・メイデン ミネルバ】

チューナー・効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻 800/守 200

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分の墓地の「ライトロード」モンスターの種類の数以下のレベルを持つドラゴン族・光属性モンスター1体をデッキから手札に加える。

(2):このカードが手札・デッキから墓地へ送られた場合に発動する。自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

(3):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【マインドクラッシュ】を発動!宣言するカード名は『裁きの龍』!」

明日香 伏せカード:1→0枚。

 

【マインドクラッシュ】

通常罠

(1):カード名を1つ宣言して発動できる。

宣言したカードが相手の手札にある場合、相手は手札のそのカードを全て捨てる。

宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚選んで捨てる。

 

「えぇっ!そんな!」

 

チェーン②マインドクラッシュ

チェーン①ライトロード・メイデン ミネルバ

 

レイ 手札:4→3枚。

 

<手札から墓地に送られたカード>

①裁きの龍

 

<墓地に送られたカード>

①トワイライトロード・シャーマン ルミナス

 

 レイちゃん、滞在中は話題になってたからなぁ。ライトロード使いであることも知れ渡ってたよな。

 明日香の知識量ならライトロードデッキのキーパーツも大体知っているだろうし、そりゃ対策もされるか。

 

「むぅ~。それならボクは手札から【ライトレイ ディアボロス】を自身の効果で特殊召喚するよ!」

レイ 手札:3→2枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

 

【ライトレイ ディアボロス】

効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1000

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の光属性モンスターが5種類以上の場合に特殊召喚できる。

1ターンに1度、自分の墓地の光属性モンスター1体をゲームから除外して発動できる。

相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して確認し、持ち主のデッキの一番上または一番下に戻す。

 

「バトルだよ!【ライトレイ ディアボロス】で【氷結界の虎将 ライホウ】を攻撃!」

 

ライトレイ ディアボロス ATK2800

vs

氷結界の虎将 ライホウ DEF2300 ※戦闘破壊

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

 

「更に【ライトロード・セイント ミネルバ】で【氷結界の軍師】を攻撃するよ!」

 

ライトロード・セイント ミネルバ ATK2000

vs

氷結界の軍師 ATK1600 ※戦闘破壊

 

「くぅっ!」

明日香 LP:4000→3600

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の虎将 ガンターラ ★7 ATK2700

 

「メインフェイズ2に移行するよ!」

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

 

「ボクは手札から【ライトロード・サモナー ルミナス】を召喚!」

レイ LP:手札:2→1枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

 

【ライトロード・サモナー ルミナス】

効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻1000/守1000

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨て、自分の墓地のレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「手札から【ライトロード・ハンター ライコウ】を墓地に送り、【ライトロード・サモナー ルミナス】の効果発動!墓地から【ライトロード・アサシン ライデン】を特殊召喚するよ!」

レイ LP:手札:1→0枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

ライトロード・サモナー ルミナス ★3 ATK1000

ライトロード・アサシン ライデン ★4 DEF1000 ※チューナー

 

「【ライトロード・アサシン ライデン】の効果発動!デッキトップからカードを2枚墓地に送る!…攻撃力が200アップ!」

 

<墓地に送られたカード>

①闇の進軍

②トワイライトロード・ジェネラル ジェイン

 

「ボクはレベル3【ライトロード・サモナー ルミナス】にレベル4【ライトロード・アサシン ライデン】をチューニング!シンクロ召喚!おいで、レベル7【アーカナイト・マジシャン】!」

 

【アーカナイト・マジシャン】

シンクロ・効果モンスター

星7/光属性/魔法使い族/攻 400/守1800

チューナー+チューナー以外の魔法使い族モンスター1体以上

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを2つ置く。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×1000アップする。

(3):自分フィールドの魔力カウンターを1つ取り除き、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800

 

「シンクロ召喚成功時、【アーカナイト・マジシャン】に魔力カウンターを2つ置き、その1つを取り除いて効果発動!【氷結界の虎将 ガンターラ】を破壊するよ!」

アーカナイト・マジシャン 魔力カウンター:0→2→1

 

<天上院明日香のフィールド>

モンスター無し

 

「これでボクはターンエンド!」

 

 

◆早乙女レイ LP:4200 手札:0枚、伏せカード:1枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800 魔力カウンター:1

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:3600 手札:1枚、伏せカード:0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

モンスター無し

 

 

 【裁きの龍】の出現は食い止められたものの、レイちゃんのデッキ内のカードプールはかなり凶悪だ。

 明日香がここから逆転できるとしたらあのモンスターを出すしかないだろうな。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:1→2枚

 

「私は手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップからカード10枚を裏側除外しでデッキから2ドロー!」

明日香 手札:2→1→3枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「私は手札から【召喚僧サモンプリースト】を召喚!召喚成功時、【召喚僧サモンプリースト】を自身の効果で守備表示にするわ」

明日香 手札:3→2枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 ATK800→DEF1600

 

【召喚僧サモンプリースト】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻 800/守1600

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない。

(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

「私は手札から【氷結界に至る晴嵐】を墓地に送って【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!デッキから【氷結界の照魔師】を特殊召喚する!」

明日香 手札:2→1枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

 

【氷結界の照魔師】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1700/守1000

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手はアドバンス召喚できない。

(2):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「氷結界」チューナー1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。

(3):自分が「氷結界」モンスターの効果を発動するために、手札を墓地へ送る場合または捨てる場合、そのカード1枚の代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

 来たな。ここまで来ればもう後は流れだ。いよいよ氷結界の極悪モンスターが出て来るぞ。

 

「私は手札から【氷結界】を墓地に送って【氷結界の照魔師】の効果発動!デッキから【氷結界の霜精】を特殊召喚する!」

明日香 手札:1→0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の霜精 ★1 DEF200 ※チューナー

 

【氷結界の霜精】

チューナー・効果モンスター

星1/水属性/海竜族/攻 400/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル3以下の「氷結界」モンスター1体を墓地へ送る。このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターと同じになる。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK2000→1500 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2800→2300

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800→1300 魔力カウンター:1

 

「【氷結界の霜精】の効果発動!デッキから【氷結界の守護陣】を墓地に送って自身のレベルを3にする!」

 

<天上院明日香のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の霜精 ★1→3 DEF200 ※チューナー

 

「私はレべル4【召喚僧サモンプリースト】と【氷結界の照魔師】にレベル3となった【氷結界の霜精】をチューニング!シンクロ召喚!現れなさい!レベル11【氷結界の還零龍 トリシューラ】!」

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の還零龍 トリシューラ ★11 ATK2700

 

【氷結界の還零龍 トリシューラ】

シンクロ・効果モンスター

星11/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手フィールドのカードを3枚まで選んで除外する。

(2):S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。自分のEXデッキ・墓地から「氷結界の龍 トリシューラ」1体を選び、攻撃力を3300にして特殊召喚する。相手フィールドに表側表示モンスターが存在する場合、さらにそれらのモンスターは、攻撃力が半分になり、効果は無効化される。

 

<早乙女レイのフィールド>

ライトロード・セイント ミネルバ ☆4 ATK1500→2000 ORU:0

ライトレイ ディアボロス ★7 ATK2300→2800

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1300→1800 魔力カウンター:1

 

「レベル11のシンクロモンスター!?」

 

「シンクロ召喚成功時、【氷結界の還零龍 トリシューラ】の効果発動!相手フィールドのカードを3枚まで選んで除外するわ!」

 

「!?」

 

「私が除外するのは、伏せカードと【ライトレイ ディアボロス】、【ライトロード・セイント ミネルバ】!」

 

<早乙女レイのフィールド>

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800 魔力カウンター:1

 

「バトルよ!【氷結界の還零龍 トリシューラ】で【アーカナイト・マジシャン】を攻撃!」

 

「させない!墓地の【ネクロ・ガードナー】を除外して効果発動!その攻撃を無効にするよ!」

 

【ネクロ・ガードナー】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「メインフェイズ2に移行するわ」

 

「墓地の【氷結界】を除外して効果発動!デッキから【氷結界のロイヤル・ナイト】を墓地に送り、墓地から【氷結界の軍師】を手札に加え、私はここでターンエンド」

明日香 手札:0→1枚。

 

 

◆早乙女レイ LP:4200 手札:0枚、伏せカード:0枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

アーカナイト・マジシャン ★7 DEF1800 魔力カウンター:1

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:3600 手札:1枚、伏せカード:0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の還零龍 トリシューラ ★11 ATK2700

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

レイ 手札:0→1枚。

 

「【アーカナイト・マジシャン】の魔力カウンターを1つを取り除いて効果発動!【氷結界の還零龍 トリシューラ】を破壊するよ!」

アーカナイト・マジシャン 魔力カウンター:1→0

 

「破壊された【氷結界の還零龍 トリシューラ】の効果発動!エクストラデッキから【氷結界の龍 トリシューラ】1体を選び、攻撃力を3300にして特殊召喚するわ!」

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700→3300

 

【氷結界の龍 トリシューラ】

シンクロ・効果モンスター

星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる(手札からはランダムに選ぶ)。

 

「更に【アーカナイト・マジシャン】の攻撃力は半減し、効果は無効となる!」

 

「これでいいの!ボクは手札から魔法カード【ミラクルシンクロフュージョン】を発動!フィールドの【アーカナイト・マジシャン】と墓地の【ライトロード・プリースト ジェニス】を除外して融合!」

レイ 手札:1→0枚。

 

【ミラクルシンクロフュージョン】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、Sモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

(2):セットされたこのカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「ここで融合!?」

 

「融合召喚!来て!レベル10【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】!」

 

<早乙女レイのフィールド>

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ★10 ATK1400

 

【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】

融合・効果モンスター

星10/光属性/魔法使い族/攻1400/守2800

魔法使い族Sモンスター+魔法使い族モンスター

このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。

(1):このカードが融合召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを2つ置く。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×1000アップする。

(3):1ターンに1度、自分フィールドの魔力カウンターを1つ取り除き、

以下の効果から1つを選択して発動できる。

●フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

●自分はデッキから1枚ドローする。

 

「融合召喚成功時、【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】の効果発動!このカードに魔力カウンターを2つ置く!」

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ATK1400→3400 魔力カウンター:0→2

 

「そして【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】の効果発動!魔力カウンターを1つ取り除いて【氷結界の龍 トリシューラ】を破壊する!」

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ATK3400→2400 魔力カウンター:2→1

 

<天上院明日香のフィールド>

 モンスター無し

 

「バトルだよ!【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】でダイレクトアタック!」

 

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ATK2400

 

「あぁぁぁぁっ!」

明日香 LP:3600→1200

 

「これでボクはターンエンド!」

 

 

◆早乙女レイ LP:4200 手札:0枚、伏せカード:0枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ★10 ATK2400 魔力カウンター:1

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:1200 手札:1枚、伏せカード:0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

明日香 手札:1→2枚

 

「私は墓地の【氷結界に至る晴嵐】を除外して効果発動!墓地から【氷結界の照魔師】を手札に加える!」

明日香 手札:2→3枚。

 

【氷結界に至る晴嵐】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「氷結界」モンスターを任意の数だけリリースして発動できる。リリースした数だけ、デッキからレベル4以下の「氷結界」モンスターを特殊召喚する(同名カードは1枚まで)。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、「氷結界」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「私は手札から【ブリキンギョ】を召喚!」

明日香 手札:3→2枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800

 

【ブリキンギョ】

効果モンスター

星4/水属性/機械族/攻 800/守2000

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札からレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

 

「召喚成功時、【ブリキンギョ】の効果発動!手札から【氷結界の照魔師】を特殊召喚する!」

明日香 手札:2→1枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

 

「私は手札から【氷結界の軍師】を墓地に送って【氷結界の照魔師】の効果発動!デッキから【氷結界の霜精】を特殊召喚する!」

明日香 手札:1→0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の霜精 ★1 DEF200 ※チューナー

 

<早乙女レイのフィールド>

覇魔導士アーカナイト・マジシャン ★10 ATK2400→1900 魔力カウンター:1

 

「【氷結界の霜精】の効果発動!デッキから【氷結界の風水師】を墓地に送って自身のレベルを3にする!」

 

<天上院明日香のフィールド>

ブリキンギョ ★4 ATK800

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の霜精 ★1→3 DEF200 ※チューナー

 

「私はレべル4【ブリキンギョ】と【氷結界の照魔師】にレベル3となった【氷結界の霜精】をチューニング!シンクロ召喚!再び現れなさい!レベル11【氷結界の還零龍 トリシューラ】!」

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の還零龍 トリシューラ ★11 ATK2700

 

「2体目!?」

 

 2体目!?持ってたの!?

 

「シンクロ召喚成功時、【氷結界の還零龍 トリシューラ】の効果発動!【覇魔導士アーカナイト・マジシャン】を除外するわ!」

 

<早乙女レイのフィールド>

モンスター無し

 

「バトルよ!【氷結界の還零龍 トリシューラ】でダイレクトアタック!」

 

氷結界の還零龍 トリシューラ ATK2700

 

「キャァァァッ!」

レイ LP:4200→1500

 

「私はこれでターンエンド!」

 

 

◆早乙女レイ LP:1500 手札:0枚、伏せカード:0枚。

 

<早乙女レイのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆天上院明日香 LP:1200 手札:0枚、伏せカード:0枚。

 

<天上院明日香のフィールド>

氷結界の還零龍 トリシューラ ★11 ATK2700

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!…っ!」

レイ 手札:0→1枚。

 

 ドローカードを確認したレイちゃんの表情を見るに、勝負は付いたみたいだな。

 

「これ以上はもう…サレンダーします」

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 デュエリスト同士がデュエルをすると仲良くなるのはこの世界では良くあることで、それに違わず明日香とレイちゃんも誤解が解けて仲良くなったようだ。

 ただ、それはそれ。これはこれ。と言わんばかりに亮さんへの告白はアニメ通り失敗に終わったようだ。

 

「まぁ、高校三年生と小学五年生だもんなぁ」

 

 オシリスレッド寮前の崖に腰掛けて彼女たちの顛末を見届けたが、なかなか狙い通りにはいかないものだな。

 あっ、レイちゃんたちがこっちに気付いたみたいだ。デュエリスト特有の凄まじい視力だな。

 明日香の手を握りながら、もう片方の手でこっちに手を振ってきているので、とりあえず手を振り返しておくか。

 

「えぇっ!?レイって小学生だったのか!?オレ、小学生相手にあんなに苦戦したのか…」

「オレなんて、小学生にボロ負けしたんだナァ」

「ボクもっすよ…なけなしの自信失くしちゃうっすね…」

 

 俺の独り言が聞こえていたようで、後ろを振り返るとオシリスレッド寮の前では丸藤翔と前田隼人が四つん這いになって落ち込んでいた。十代も結構苦戦したようで頭を押さえている。

 

 そう言えば、十代とレイちゃんのフラグってもしかして折れちゃった感じなのかな?今の十代にはユベルが傍に居るからある意味でセーフだったのかもしれないな。

 

 レイちゃんはこのまま亮さん一筋になるのか、このタッグフォースの世界らしくコナミに攻略されちゃうのか、はたまた別のルートがあるのかは分からんが、頑張っている娘は幸せになって欲しいものだね。

 

 

 

 ところで、この日辺りから1週間くらいの間、俺が同性愛者だと言う謎の噂が広がったんだが、一体どういうことだったのだろうか…。




早乙女レイのデッキはライトロードです。今回はカオス寄りですね。隠し味で1枚だけ【ミラクルシンクロフュージョン】をピン差ししている感じです。

天上院明日香の2つ目のデッキは【氷結界】です。氷結界ストラクのカードを半分くらいは入手しているので、デッキが回り始めると氷結界シンクロモンスターを呼び出し始めるのでなかなか厄介なデッキです。

次回の更新は10月下旬頃を目標にしています。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十五話 アカデミア月一試験5

前回のあらすじ:女の闘い

今回は主人公とタッグフォースの登場キャラとの対戦です。


 レイちゃんがデュエルアカデミアを去ってから数日後、デュエルアカデミアの月一テストの筆記試験を終えた午後、実技試験の会場に向かう最中で俺はとある問題に直面していた。

 

「GXメダルが増えねぇ…」

 

 12月に開催されるタッグデュエル大会『タッグフォース』の決勝リーグに参加する条件を満たすためにはGXメダルが90個以上必要となる。

 だが、9月も終わりを告げようとする現在で俺の所持するGXメダルはなんと初期値の10枚だ。

 

「誰もメダルを賭けてデュエルしてくれねぇ…」

 

 当初、メダルを90枚集めることなんて2週間もあれば簡単に終わるだろうと思っていた。毎回のデュエルでメダルを全賭けすれば、10→20→40→80→160と4回デュエルすればいいわけだ。

 しかし、そもそも俺とメダルを賭けてデュエルしてくれる人間が存在しないのであればそれはもう机上の空論という奴だ。

 

「理由は何となくわかるんだけどさ…」

 

 入学してから今までの間、俺のデュエルアカデミア校内での公式試合での勝率は9割を超えている。と言うかコナミ以外には負けていない。

 GXメダルを全て失えればタッグフォースへの出場権が完全に失われると判明している中で、そんな相手にわざわざ勝負を挑むだろうか?俺が逆の立場ならまず間違いなくそんな相手との対戦は避けるだろう。

 

 俺がデュエルを挑むとお化けを見たような顔をされつつ全力で逃げられ、俺に挑んでくる勇者も今のところいない。

 奇しくも原作アニメGXの2年目でのジェネクス大会で十代が直面していた問題が殆ど同じ理由で俺にも当てはまってしまったようだ。

 

「明日香や三沢辺りなら恐らくこちらから勝負を挑めば受けてくれるとは思うんだが、どうせならあまり対戦したことの相手と対戦してみたいしなぁ」

 

 なによりも、メダルが配られた初日に彼女らから言われたセリフは「決勝リーグで会いましょう!」だったわけだ。

 それはつまり、決勝リーグまで俺に勝負を仕掛けてくるつもりは無いと言っているようなものだろう。

 彼女たちに関しては保身などの気持ちは一切なく、スポーツマンシップに近い意味合いでのセリフなんだろうけどね。

 

「いっそのこと、オシリスレッドの生徒に変装して適当なオベリスクブルー男子でもカモるか?」

 

 そんなしょうもないことを考えていると実技試験の会場まで辿り着いていた。

 今は数か月先のことは置いておき、目の前の試験に集中するとするか。

 

~~~

 

 実技試験が始まり、名前を呼ばれた生徒たちが試験コートに上がってデュエルを開始し始めていた。

 その様子をボーっと見ていた俺だが、奇妙な光景を目にすることになる。

 先ほどから多くのオシリスレッドの生徒がオベリスクブルー生徒やラーイエロー生徒を次々と倒していっているのだ。

 

 

「行け!【インヴェルズ・ギラファ】!奴の【セイバー・ビートル】をぶちのめせ!」

 

「くそっ!オシリスレッドの落ちこぼれの分際で…ぐわぁぁぁっ!」

オベリスクブルー生徒 LP:200→0

 

 

「やれ!【ヴァイロン・シグマ】!【霞の谷の大怪鳥】を攻撃!破壊しろ!」

 

「馬鹿な…負ける!?…うわぁぁぁっ!」

ラーイエロー生徒 LP:200→0

 

 

 勝利したオシリスレッドの生徒は皆がこの時代ではなかなか珍しくて強力な【インヴェルズ】や【ヴァイロン】などのテーマカードを揃えているようなので、この勝敗はカードパワー的に特に不思議ではない。

 むしろ、よくあのカード達を使いこなしているように見える。この辺りは素直にオシリスレッドの生徒たちの実力を賞賛したい気分だ。

 

 だが…。

 

「あのカード達には、精霊の力が一切感じられない」

 

 この世界のデュエリストは、その全てが大なり小なり精霊の力を宿している。

 そしてこの世界に存在するカードは、デュエリストの手に渡って使用されたその時点でそのカードに僅かながら精霊の力が付与されるのだ。

 

 そのデュエリストがそのカードを長く使えば使うほど精霊の力は付与され続けていき、一定以上の力を得るとそのカードに対応した精霊が宿ることがある。

 しかし、今のオシリスレッドの生徒が使用したカード達には精霊の力が全く感じられなかった。

 精霊が宿っているカードは稀だが、精霊の力が一切宿っていないカードは、俺の知る限り一部の例外を除いて皆無と言っていい。

 

 この例外には心当たりが2つある。

 1つ目はカードもしくはデュエリストが『破滅の光』の影響下にある場合だ。その状態ではカードに精霊の力が付与されることは無く、破滅の光の力が上書きされてしまうからだ。

 ただ、オシリスレッドの生徒たちやそのカード達に破滅の光の力は感じれない。今回はこちらの可能性は除外しても良いだろう。

 

 2つ目の心当たりは…かつてのオベリスクフォースの連中の様に大量のコピーカードを使用している場合だ。

 この世界でのオベリスクフォースの連中は、その首謀者であるジャン・ミシェル・ロジェが所有していた【古代の機械】デッキを大量にコピーして即席の強力デュエリストを量産していた。

 

 コピーカードには神のカードのような一部の例外を除いて精霊の力が宿ることは無い。

 これは恐らくだが、コピーカードに対応する精霊が精霊界に存在しないことが理由なのではないかと俺は考えている。

 初代遊戯王に登場するパンドラの様に、一枚でも本物のカードがデッキに眠っていればまた例外なのかもしれないけどね。

 

 脱線したな。話を戻そう。

 

 結論として、あのオシリスレッドの生徒の生徒たちが使用したカードは恐らくコピーカードでほぼ間違いないだろう。

 そして、この世界のこの時代で海馬コーポレーションのデュエルディスクのセキュリティを突破できる大量のコピーカードを作ることが出来る組織と言えば…。

 

「ネオ・グールズ、だったっけ。まさかこんな形で俺に関わって来るとは思わなかったな」

 

 本来この世界に存在しないカードを使用しているという意味では俺も奴らも同じ穴の狢と言わざるを得ないが、コピーカードは不味いんだよな。

 コピーカードには精霊の力は宿らない代わりに人の心の闇の力が宿りやすい…らしい。これは師匠の受け売りだから詳しくは知らない。

 

 俺の所有するカードは一応本物扱いらしいからセーフ。

 あのクソ女神がそこまで考えていたかは知らないがなんとも都合のいいチート能力で助かったね。

 

 さて、コピーカードが増えて人の心の闇がこの世界に増えてくると何が不味いかって?

 ダークネスとミスターTの世界侵攻が早まる可能性が出て来るんだよ。アイツらは人の心の闇を利用して他の世界に侵攻して来るらしいからね。

 

 十代が覇王の力を十全に使いこなしておらず、ユベルとの融合を果たせていない上、彼のサポートを行えるヨハンやオブライエンたちも居ないこの現状で、ダークネスがこの世界に顕現したら非常に不味い。

 端的に言えば、この世界を含む12世界全てが闇に包まれる可能性が高い。

 

「俺一人の力程度じゃダークネスとその軍勢に立ち向かえるとは思えないしな」

 

 案外、それでもコナミが居るから何とかなりそうではあるんだが、そんな博打を打ちたくない。

 そもそもダークネスにもミスターTにも会いたくない。

 

「試験が終わったらモクバ副社長やユーリに相談してみるか」

 

 コピーカードの入手時期、入手ルート、市場に出回った総数の調査や根本原因の排除など、やることは多そうだなぁ。

 そんなことを考えていると、俺も実技試験のアナウンスに名前を呼ばれたので、気持ちを切り替えて試験コートへと降りて行った。

 

~~~

 

「今日の相手は白河君か。よろしくね」

 

 今回の実技試験の相手は茶髪でショートカットなオベリスクブルー女子生徒、加藤友紀のようだ。容姿はタッグフォース6状態みたいだな。

 名前の読みは、タッグフォース3までは「ゆうき」、タッグフォース4からは「ゆき」らしい。

 

 タッグフォースシリーズのゲームを遊んだ人間ならシリーズ皆勤賞の彼女のことを覚えている人も多いだろう。

 タッグフォース3まではオベリスクブルー男子の田中康彦の相棒、タッグフォース4以降はデュエルアカデミアの教師を務めていた。

 

 なお、現在コナミに攻略されて落とされつつある女子の1人である。

 そろそろ彼女の現在の相棒である田中康彦の片思いが終わりを迎えそうな気がする。合掌、強く生きろよ。

 

「対戦よろしくおねがいします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆加藤友紀 LP:4000、手札:5枚。

 

 

 彼女のデッキはどのシリーズでも大体【戦士ビート】だ。そしてシリーズキャラの中でも強キャラの1人でもある。

 タッグフォースシリーズはアニメ原作ネームドキャラよりモブキャラの方が強いことが多いからね。

 

 

「先攻は私が貰うよ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

加藤 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから…」

加藤 手札:6→5枚。

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「その効果発動にチェーンして、俺は手札から【灰流うらら】を捨てて効果発動!【増援】の効果を無効にする!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【灰流うらら】

チューナー・効果モンスター

星3/炎属性/アンデット族/攻 0/守1800

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。

●デッキからカードを手札に加える効果

●デッキからモンスターを特殊召喚する効果

●デッキからカードを墓地へ送る効果

 

チェーン②灰流うらら

チェーン①増援

 

「なら私は手札から【ネクロ・ガードナー】を召喚!」

加藤 手札:5→4枚。

 

<加藤友紀のフィールド>

ネクロ・ガードナー ★3 ATK600

 

【ネクロ・ガードナー】

効果モンスター

星3/闇属性/戦士族/攻 600/守1300

(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする。

 

「手札から魔法カード【トランスターン】を発動!フィールドの【ネクロ・ガードナー】を墓地に送り、デッキから【終末の騎士】を特殊召喚するね!」

加藤 手札:4→3枚。

 

【トランスターン】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。種族・属性が墓地のそのモンスターと同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

<加藤友紀のフィールド>

終末の騎士 ★4 DEF1200

 

【終末の騎士】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1400/守1200

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから闇属性モンスター1体を墓地へ送る。

 

「特殊召喚された【終末の騎士】の効果発動!デッキから【不死武士】を墓地に送るよ!」

 

「そして手札から永続魔法【カイザーコロシアム】を発動!」

加藤 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【カイザーコロシアム】

永続魔法

(1):自分フィールドにモンスターが存在する限り、相手はその数より多くなるように自身のフィールドにモンスターを出す事ができない。

 

 うげっ、【不死武士メタビート】軸か。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

加藤 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:4枚。

 

vs

 

◆加藤友紀 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚、永続魔法:1枚。

 

<加藤友紀のフィールド>

終末の騎士 ★4 DEF1200

 

 

 堅実な立ち回りだな。

 

 【カイザーコロシアム】のせいでこちらはシンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召喚がほぼ出来ない。

 墓地には攻撃を一度止めることが出来る【ネクロ・ガードナー】が居て、仮にそれを突破して【終末の騎士】を破壊できても次のターンに墓地の【不死武士】が蘇生する。

 【不死武士】が蘇生することでまた【カイザーコロシアム】が機能し始めるわけだ。

 

 そしてあの伏せカードは【王宮の鉄壁】辺りかな。カード除外を出来なくする効果を使って【不死武士】の除外を防ぐわけだ。

 もしくはこちらの攻撃を止める為の【強制終了】などの防御カード、フリーチェーンの万能除去カードである可能性もあるか。

 

 返しのターンでは種族統一デッキであることを活かして【一族の結束】などで低めの打点を補って攻撃して来るのだろう。

 本当に隙の少ない優等生って感じのデッキだな。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:4→5枚。

 

 除去カードは無しか。まっ、このデッキならなんとかなるか。

 

「俺は手札から魔法カード【精神操作】を発動!そちらの【終末の騎士】のコントロールを得る!」

クロト 手札:5→4枚。

 

「コントロール奪取のカード!?」

 

【精神操作】

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

 

<白河クロトのフィールド>

終末の騎士 ★4 DEF1200

 

 【カイザーコロシアム】の効果は自分フィールドにモンスターが存在しなければ効果を発揮しない。これからは好きにやらせてもらうよ。

 

「俺は手札からフィールド魔法【暴走魔法陣】を発動!発動時の効果処理として、デッキから【召喚師アレイスター】1体を手札に加える!」

クロト 手札:4→3→4枚。

 

【暴走魔法陣】

フィールド魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「召喚師アレイスター」1体を手札に加える事ができる。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

 

「俺は手札から【召喚師アレイスター】を召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

終末の騎士 ★4 DEF1200

召喚師アレイスター ★4 ATK1000

 

【召喚師アレイスター】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1800

(1):このカードを手札から墓地へ送り、自分フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが召喚・リバースした場合に発動できる。デッキから「召喚魔術」1枚を手札に加える。

 

「【召喚師アレイスター】の召喚成功時に効果発動!デッキから【召喚魔術】1枚を手札に加える!」

クロト 手札:3→4枚。

 

「俺はレベル4【召喚師アレイスター】と【終末の騎士】でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【竜巻竜】!」

 

<白河クロトのフィールド>

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:2

 

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/幻竜族/攻2100/守2000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「俺は【竜巻竜】のORUを1つ取り除いて効果発動!そちらの伏せカードを破壊する!」

竜巻竜 ORU:2→1

 

 墓地に送るのは当然【召喚師アレイスター】だ。

 

「【王宮の鉄壁】が!?」

加藤 伏せカード:1→0枚。

 

 【王宮の鉄壁】か。想定の範囲内とはいえ、展開手順を間違えていたら危なかったかもな。

 

「そして俺は手札から魔法カード【召喚魔術】を発動!こちらの墓地の【召喚師アレイスター】とそちらの墓地の【不死武士】を除外して融合召喚!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【召喚魔術】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを手札から墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。「召喚獣」融合モンスターを融合召喚する場合、自分フィールド及び自分・相手の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。

(2):このカードが墓地に存在する場合、除外されている自分の「召喚師アレイスター」1体を対象として発動できる。墓地のこのカードをデッキに戻し、対象のモンスターを手札に加える。

 

「こちらの墓地のモンスターを除外して融合素材にするっていうの!?」

 

 本当なら【ネクロ・ガードナー】を除外したいところだが、【ネクロ・ガードナー】自身の効果でチェーンされて躱されるからあまり意味がないんだよな。

 

「現れよ!【召喚獣カリギュラ】!」

 

<白河クロトのフィールド>

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:1

召喚獣カリギュラ ★4 ATK1000

 

【召喚獣カリギュラ】

融合・効果モンスター

星4/闇属性/獣族/攻1000/守1800

「召喚師アレイスター」+闇属性モンスター

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、その間はお互いに、それぞれ1ターンに1度しかモンスターの効果を発動できず、それぞれバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できない。

 

「俺は墓地の【召喚魔術】の効果発動!このカードをデッキに戻し、除外されている【召喚師アレイスター】を手札に戻す!」

クロト 手札:3→4枚。

 

 これで次のターンもまた【召喚師アレイスター】の効果でデッキの【召喚魔術】を手札に加えて融合召喚できるな。

 次のターンとか要らないけどさ。

 

「バトルフェイズに入る!【召喚獣カリギュラ】でダイレクトアタック!」

 

召喚獣カリギュラ ATK1000

 

「【召喚獣カリギュラ】の効果でバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できないはず…何故【召喚獣カリギュラ】で攻撃を?」

 

「さてな。さぁどうする?【ネクロ・ガードナー】で攻撃を防ぐかい?」

 

「いえ、このままダメージを受けるわ。…くっ!」

加藤 LP:4000→3000

 

「ここで俺は手札から速攻魔法【法の聖典】を発動!【召喚獣カリギュラ】をリリース!そしてエクストラデッキから新たな召喚獣、【召喚獣メルカバー】を呼び出す!」

クロト 手札:4→3枚。

 

【法の聖典】

速攻魔法

「法の聖典」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの「召喚獣」モンスター1体をリリースして発動できる。リリースしたモンスターと元々の属性が異なる「召喚獣」モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

<白河クロトのフィールド>

竜巻竜 ☆4 ATK2100 ORU:1

召喚獣メルカバー ★9 ATK2500

 

【召喚獣メルカバー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/機械族/攻2500/守2100

「召喚師アレイスター」+光属性モンスター

(1):1ターンに1度、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、そのカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の手札を1枚墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし除外する。

 

「そういうこと…!」

 

「続けて【竜巻竜】でダイレクトアタック!」

 

竜巻竜 ATK2100

 

「くぅぅっ!」

加藤 LP:3000→900

 

「止めだ!【召喚獣メルカバー】でダイレクトアタック!」

 

「墓地の【ネクロ・ガードナー】を除外して効果発動!【召喚獣メルカバー】の攻撃を無効にする!」

 

「その効果にチェーンして【召喚獣メルカバー】の効果発動!手札の【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送り、【ネクロ・ガードナー】の効果を無効にする!」

 

チェーン②召喚獣メルカバー

チェーン①ネクロ・ガードナー ※効果無効

 

召喚獣メルカバー ATK2500

 

「きゃぁぁぁぁっ!」

加藤 LP:900→0

 

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 月一試験を終えたその日の夜、俺は精霊界へとやって来ていた。

 

 【ランリュウ】の力を借りて忌まわしきシャケ野郎の住む暗黒海を渡り切り、何とか別の大陸まで到着したまではかなり運が良かったと思う。

 だが、その大陸にある深い森に迷い込んでしまったのが運の尽きだった。

 

「あら?ニンゲンのお兄さん、迷子かしら?」

「ねぇねぇお兄さ~ん。そんなに急がないで私たちと遊びましょう?」

「出口はそっちじゃないよ~。こっちこっち~」

 

 俺の目の前には見眼麗しい少女…の姿をした疑似餌が3体。その名前はその容姿から【アトラの蟲惑魔】、【トリオンの蟲惑魔】、【カズーラの蟲惑魔】と推測が付く。

 もし彼女たちの容姿に騙されてホイホイ後ろを着いて行こうものなら俺は二度とこの森から生きて出ることは出来なくなるだろう。

 

「せめて後ろの本体のクモとかアリジゴクとかウツボカヅラをもっと上手く隠してから声かけてくれよ!」

 

 そう叫ぶと同時に俺は地面に魔力弾を放って煙幕を焚き、彼女たちとは逆方向に全力で逃走した。

 背後から何か巨大な物が蠢いて俺を追いかけてくる音がするが、俺には振り返る勇気がない。

 走り始めて数分後、突如として足元の地面の感覚が消え去り、浮遊感が俺の体を包む。

 

 不味い!落とし穴だ!!

 

「ざぁーんねん♪そこが本命の落とし穴なのよねぇ♪」

 

 先ほどの蟲惑魔たちとは別の色っぽい少女の声が聞こえた。

 その声が聞こえる先に視線をやると、離れ行く地面の先にピンクの髪の美少女…の姿をした疑似餌、【フレシアの蟲惑魔】の姿が見えた。

 

 俺の『蟲惑魔の森体験ツアー』は始まったばかりの様だ…。




加藤友紀のデッキは【不死武士メタビート】です。タッグフォース6でのデッキ名『G線上のかぞえうた2』のデッキ内容とほぼ変わらない感じです。

主人公のデッキは【召喚獣】です。【召喚師アレイスター】を起点とした融合デッキです。一部はデュエルリンクスにも実装されていて、OCGとリンクス共に結果を残している優秀なテーマです。

次回の更新は10月中を目標としています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十六話 GXメダル争奪戦1

前回のあらすじ:久々の月一テスト

今回はモブ戦です。


 残暑が厳しかった9月が終わって今は10月初旬。

 地元ではそろそろハロウィンの準備をしている季節だろうが、ここデュエルアカデミアでは毎年恒例のとあるイベントが注目を浴びていた。

 

「今年もやっぱり3年生の小日向さんが優勝なんだろうな」

「いやいや、今年の1年生は粒ぞろいだからな。分からないぞ~」

「天上院明日香、藤原雪乃を始めとして、個性豊かな女の子が目白押しだ!」

「2年生は誰か居ないのか?」

「2年生は影が薄いから…」

 

 午前の授業が終わると教室のあちらこちらでミス・デュエルアカデミアコンテストの話題が話されている。

 9月初旬からアカデミア公式HPで投票が開始されていて、午後の授業が終わる頃には最終ノミネートに選ばれた生徒が発表されるらしい。

 

「ミス・デュエルアカデミアコンテスト?なんだそりゃ?」

「えっ!?兄貴知らないの!?」

「アカデミアの公式HPで2学期が始まった頃から投票を受け付けているんだナァ」

「へぇ~。そんなのあるんだ。オレも知らなかったな」

 

 翔や隼人は随分前から知っていたようだが、十代やコナミは普段パソコンを触らないから知らなかったみたいだな。

 月一テストの数日後、月末に行われる最終ノミネートでの最終投票は全生徒の義務らしいので、その頃には十代やコナミも誰かに投票することだろう。

 

「タニヤっちが候補に居ないんじゃ、誰に入れても別にいいかな」

「三沢!この馬鹿者が!票を入れるなら天上院君に入れるに決まっているだろう!」

「ぐぇ!?首が締まる!?ま、万丈目!襟から手を離せ!」

 

 漫画版GXでのみ行われていたこのイベントだが、どうやらこの世界では毎年行われているらしい。

 漫画版では明日香にぞっこんだった三沢だが、この世界ではタニヤっち一筋なのであまり興味はないようだな。

 逆に万丈目はアニメ仕様のギャグキャラ路線なので興味津々の様だ。

 

 ちなみにミスター・デュエルアカデミアコンテストも存在している。

 こちらはデュエルアカデミアの3天才こと吹雪さん、亮さん、藤原先輩の3人に加え、万丈目、三沢を入れた5人以外は殆ど票が入らないのであまり話題になっていない。

 コナミ?アイツはアカデミアで攻略した人間がまだ少ないからね。…俺?聞くなよ。

 

「ボクのドリアードに投票できないだと…?」

「オレは全員に1票ずつ投票するぜ!」

「うっひょ~!可愛い女の子なら誰でもOKだぜ~!誰でもいいから付き合ってくれー!」

「ミスコン?ボクは誰でもいいかなぁ」

 

 ラーイエロー寮の連中はアホな変人ばかりなので、彼らの票の3割ほどは無効票になっていた。

 何となくもったいなかったので、彼らに了解を貰い、良かれと思って俺の票も含めて全員分をレインに投票し直しておいた。

 

 普段から目立ちたくないとか言っていたし、あまり目立つ行動を取っていなかったが、恐らくこれで最終ノミネートまで残るだろう。

 今からあの無表情が困惑に変わる瞬間が待ち遠しい。滅茶苦茶目立つ壇上でレインがどんな表情をするのか内心ニヤニヤしながら楽しませてもらうとしよう。

 

~~~

 

 午後の授業が終わって一人でラーイエロー寮に帰る際、道端で見知らぬ生徒に声を掛けられた。

 

「おい白河。手持ちのGXメダルを全部賭けてデュエルしようぜ?俺は手持ちの20枚全て賭けるぜ!」

 

 オシリスレッドの制服のボタンを全開にしてガムを口の中でクチャクチャ鳴らしている。

 そんな一言で言えば時代遅れのチンピラ風味の男がガニ股歩きでこちらに近寄って来た。

 

 いや、マジで誰だコイツ?タッグフォースのモブキャラではないよな?

 

「なんだビビったのか?ラーイエロー最強とか言われてたくせに情けねぇな!所詮はレアカード頼みの雑魚野郎だったってことか?」

 

 あー、思い出した。見覚えあったわ。

 俺の目の前で滅茶苦茶イキっているコイツ、この前の月一テストでオベリスクブルー男子をボコボコにしてたオシリスレッド男子だわ。

 

 物理とデュエルの両方でボコった地元のチンピラ連中も、ボコる前はこんな態度だったな。

 いやはや、ちょっと懐かしいな。名乗らない限り、コイツの名前は赤チンピラとしておこう。

 

 ちなみにチンピラとはヤ〇ザ世界の用語らしいな。

 最低の意味を表す「チンケ」と、下っ端の意味である「ヒラ」との複合語で、文字通りの「下っ端ヤクザ」を意味したりもするらしい。

 

「デュエルするのは構わないが、俺は10枚しかメダル持ってないぞ?足りない分は花〇院の魂とかで良いのか?」

「良いわけないだろ!ちっ、しゃーねぇ。10枚で良いぞ!」

 

 赤チンピラは不機嫌そうにデュエルディスクを構える。

 それにならい、俺もデュエルディスクを構える。 

 

「オベリスクブルーを倒したオレがラーイエローの雑魚に負けるかよ!行くぜオラァ!」

「対戦よろしくおねがいします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆赤チンピラ LP:4000、手札:5枚。

 

 

 さて、この前の月一テストの様子から察するにこのチンピラのデッキは【インヴェルズ】。

 アドバンス召喚に特化したデッキだ。効果を発動されるとそこそこ厄介なんだよな。

 

「先攻はてめえにくれてやるぜ!」

「いいのか?」

 

 マジでいいの?

 

「オレの力を誇示する為に、お前がオレに負けた言い訳をできる状況を作りたくないんだよ」

「じゃ、遠慮なく先攻を貰おうかな」

 

 このデッキ相手に先攻譲ってくれるとか…。

 何だ!赤チンピラっていい奴じゃん!

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【二重召喚】発動。これで俺はこのターン通常召喚を2回まで行う事ができるぞ」

クロト 手札:6→5枚。

 

【二重召喚】

通常魔法

(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

「俺は手札から【ランカの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動!デッキから【トリオンの蟲惑魔】を手札に加える」

クロト 手札:5→4→5枚。

 

【ランカの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/昆虫族/攻1500/守1300

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「蟲惑魔」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

(3):1ターンに1度、自分フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのセットされたカードを持ち主の手札に戻す。その後、自分の手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

<白河クロトのフィールド>

ランカの蟲惑魔 ★4 ATK1500

 

「更に俺は手札から【トリオンの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動!デッキから【煉獄の落とし穴】を手札に加える」

クロト 手札:5→4→5枚。

 

【トリオンの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/昆虫族/攻1600/守1200

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動する。その相手のカードを破壊する。

(3):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、「ホール」通常罠及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

 

<白河クロトのフィールド>

ランカの蟲惑魔 ★4 ATK1500

トリオンの蟲惑魔 ★4 ATK1600

 

「俺はレベル4【トリオンの蟲惑魔】と【ランカの蟲惑魔】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【フレシアの蟲惑魔】!」

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:2

 

【フレシアの蟲惑魔】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/植物族/攻 300/守2500

レベル4モンスター×2

(1):X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、「フレシアの蟲惑魔」以外の自分フィールドの「蟲惑魔」モンスターは戦闘・効果では破壊されず、相手の効果の対象にならない。

(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚をデッキから墓地へ送って発動できる。

この効果は、その罠カード発動時の効果と同じになる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:2

 

vs

 

◆赤チンピラ LP:4000、手札:5枚。

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

赤チンピラ 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から魔法カード【闇の誘惑】発動!デッキから2枚ドロー!そして手札から【インヴェルズ・マディス】を除外するぜ!」

赤チンピラ 手札:6→5→7→6枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「ここで俺もお前と同じ魔法を使わせてもらうぜ!手札から【二重召喚】発動!」

赤チンピラ 手札:6→5枚。

 

「次にオレは手札から【インヴェルズの魔細胞】を自身の効果で特殊召喚するぜ!」

赤チンピラ 手札:5→4枚。

 

<赤チンピラのフィールド>

インヴェルズの魔細胞 ★1 DEF0

 

【インヴェルズの魔細胞】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

このカードは「インヴェルズ」と名のついたモンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできず、シンクロ素材にもできない。

 

「そしてオレは手札から【インヴェルズの斥候】を通常召喚だぜ!」

赤チンピラ 手札:4→3枚。

 

<赤チンピラのフィールド>

インヴェルズの魔細胞 ★1 DEF0

インヴェルズの斥候 ★1 ATK200

 

【インヴェルズの斥候】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 200/守 0

自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、

自分のメインフェイズ1の開始時にのみ発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

このカードは「インヴェルズ」と名のついたモンスターのアドバンス召喚以外のためにはリリースできず、シンクロ素材にもできない。

 

「これで召喚権を残したまま2体のリリース要員が揃ったぜ!」

 

「【フレシアの蟲惑魔】の効果発動。ORUを1つ取り除き、デッキから【狡猾な落とし穴】を墓地に送ってその効果を適用する」

「えっ?」

 

フレシアの蟲惑魔 ORU:2→1

 

【狡猾な落とし穴】

通常罠

(1):自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールドのモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

 

「【インヴェルズの魔細胞】と【インヴェルズの斥候】を破壊する」

「えっ?」

 

<赤チンピラのフィールド>

モンスター無し

 

「…くそっ!オレは手札から【インヴェルズの先鋭】を通常召喚!」

赤チンピラ 手札:3→2枚。

 

<赤チンピラのフィールド>

インヴェルズの先鋭 ★4 ATK1850

 

【インヴェルズの先鋭】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1850/守 0

自分フィールド上のこのカードが墓地へ送られた時、フィールド上の儀式・融合・シンクロモンスター1体を選択して破壊する。

 

「伏せカードの【奈落の落とし穴】を発動。【インヴェルズの先鋭】を破壊して除外する」

クロト 伏せカード:2→1枚。

 

<赤チンピラのフィールド>

モンスター無し

 

「…カードを1枚セットしてターンエンド」

赤チンピラ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに伏せカードの【砂塵の大竜巻】を発動。そちらの伏せカードを破壊する」

クロト 伏せカード:1→0枚。

赤チンピラ 伏せカード:1→0枚。

 

【砂塵の大竜巻】

通常罠

(1):相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。その後、手札から魔法・罠カード1枚をセットできる。

 

「その後、手札からカードを1枚セットする」

クロト 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 破壊したカードは…【リビングデッドの呼び声】か。

 

「…あぁぁぁぁぁぁっ!ふざけんな!ふざけんなぁぁぁ!!」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1

 

vs

 

◆赤チンピラ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<赤チンピラのフィールド>

モンスター無し

 

 

 恐らく向こうの残りの手札は最上級インヴェルズモンスター。【インヴェルズ・ガザス】か【インヴェルズ・ホーン】だろうな。

 伏せカードもないし、このターンで終わりかな。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は手札から【ティオの蟲惑魔】を召喚。そして効果発動。墓地から【トリオンの蟲惑魔】を特殊召喚する」

クロト 手札:3→2枚。

 

【ティオの蟲惑魔】

効果モンスター

星4/地属性/植物族/攻1700/守1100

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「蟲惑魔」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地の「ホール」通常罠カードまたは「落とし穴」通常罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを自分フィールドにセットする。セットしたカードは次の自分ターンのエンドフェイズに除外される。

(3):このカードは「ホール」通常罠カード及び「落とし穴」通常罠カードの効果を受けない。

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1

ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700

トリオンの蟲惑魔 ★4 DEF1200

 

「俺はレベル4【ティオの蟲惑魔】と【トリオンの蟲惑魔】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ!ランク4!【アロメルスの蟲惑魔】!」

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1

アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:2

 

【アロメルスの蟲惑魔】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/昆虫族/攻2200/守 600

レベル4モンスター×2体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):X素材を持ったこのカードは罠カードの効果を受けない。

(2):このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。自分の墓地から昆虫族・植物族のレベル4モンスター1体を選んで特殊召喚する。

(3):自分のカードの効果で相手モンスターがフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外された場合、このカードのX素材を1つ取り除き、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「俺は【アロメルスの蟲惑魔】のORUを2つ取り除いて効果発動。墓地から【ティオの蟲惑魔】を特殊召喚する」

アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:2→0

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1

アロメルスの蟲惑魔 ☆4 ATK2200 ORU:0

ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700

 

「特殊召喚成功時、【ティオの蟲惑魔】の効果発動。墓地の【奈落の落とし穴】をセットする」

 

クロト 伏せカード:1→2枚。

 

「俺はランク4【アロメルスの蟲惑魔】1体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよランク5【旋壊のヴェスペネイト】!」

 

<白河クロトのフィールド>

フレシアの蟲惑魔 ☆4 DEF2500 ORU:1

旋壊のヴェスペネイト ☆5 ATK2500 ORU:1

ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700

 

【旋壊のヴェスペネイト】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/地属性/機械族/攻2500/守2100

レベル5モンスター×2

「旋壊のヴェスペネイト」は1ターンに1度、自分フィールドのランク4のXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

このカードはX召喚されたターンにはX素材にできない。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):X召喚したこのカードが相手によって破壊された場合、自分の墓地のレベル5以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「バトルフェイズに移行する。【ティオの蟲惑魔】でダイレクトアタック」

 

ティオの蟲惑魔 ★4 ATK1700

 

「ぐはぁっ!」

赤チンピラ LP:4000→2300

 

「終わりだな。【旋壊のヴェスペネイト】でダイレクトアタック」

 

「ぬわぁぁぁぁっ!」

赤チンピラ LP:2300→0

 

 

「嘘だろ…?オレが…負けた?せっかくレアカードを手に入れたって言うのに…!」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

「じゃ、このGXメダルは貰っていくな」

 

 俺は放心している赤チンピラ君の胸元からGXメダルを10枚抜き取った。

 これでようやく20枚か。先は長いな…。

 

 ついでに地面に散らばっている赤チンピラ君のカードを拾い集めて自分のデュエルディスクにセットしてみる。

 すると、ちゃんとデュエルディスクは反応しているのが分かった。ただ、やはり精霊の力も破滅の光の力も宿ってはいないようだった。

 

「なんだ。やっぱりコピーカードか」

「!?」

 

 つい独り言を呟いてしまったが、その言葉が聞こえたのか赤チンピラ君がビクッ!っと反応した。

 どうやら赤チンピラ君はこのカードがコピーカードであることを知っていて使用していたようだ。

 

「な、何故分かったんだ!海馬コーポレーションのデュエルディスクですら判別できないのに!」

 

 俺としては別に敵がコピーカードを使用してこようが特に気にしない。

 俺自身はもっとインチキ臭い手段でより凶悪なカードを無数に入手しているんでね。お前が言うなとか言われちゃうぜ。

 

「おい!聞いているのか!」

 

 拾い集めたカードを赤チンピラ君に返す際、胸元の生徒手帳を抜き取って彼の名前の確認は完了している。

 後はモクバ副社長に連絡して、デュエルアカデミアを経由しつつ彼の処分を決めて貰えばいい。

 それ以上、わざわざ俺が赤チンピラ君に何かをする必要もする義務も無いだろう。

 

「ちょっ…ま、待て!いや、待ってくれ!」

 

 俺は さっきからうるさい赤チンピラ君を無視して踵を返す。

 キャンキャン喚いて呼び止めて来るが、無視だ無視。彼にはもう欠片ほどの興味も無いからね。心底どうでもいい。

 

 俺にはこの後、俺の命に関わる作業が残っているんだ。

 こんなのに構っている暇はない。

 

「お、オレはただ、オレたちレッドを見下すお前らイエローやブルーの連中を見返したかっただけなんだ!」

 

 ふーん、そう。

 

「じ、実際にオレたちがレアカードを手に入れたらブルーの連中にも勝ったじゃないか!レアカードを持っているかどうかで扱いが変わるなんてあんまりだろ!」

 

 そうなんだ~。そうですね~。

 

「レアカードを手に入れたかっただけなんだ!頼む!先生たちには黙っていてくれ!」

 

 俺は延々と喚いている奴を放置してラーイエロー寮へ戻った。

 

~~~

 

 イエロー寮に戻った俺は、急いで誰も居ない寮の厨房に向かい、黙々と大量のクッキーを作っては焼いていた。

 オーブンで焼いている間、ようやく時間に余裕が出来たのでさっき考えていたことの続きでも考えるとしようか。

 

 そもそも、この世界ではコピーカードを使用した場合ってどんな処分が下されるんだろうか。

 15年前に潰れたグールズのアホどもは、レアカード強奪やそれを行うまでの経緯での傷害罪やら器物損害やらの罪で捕まっていたはずだ。

 

 コピーカードを使用したくらいなら、デュエル大会への永久出場停止くらいだろうか。

 デュエリストとしてはもう終わりだな。ただ、それ以外の人生なんて幾らでもあるだろう。

 俺の知らないところで好きに生きて好きにに死ねばいいさ。命があるのって素晴らしいことなんだぜ。

 

『ねぇ~クロトくぅ~ん。クッキーまだ~?』

「まだだ」

 

 クッキーの焼き具合を確認していると、背後から幼い少女のような声が聞こえてきた。

 思考を中断して背後に視線をやると、俺の後ろには【アトラの蟲惑魔】が指をくわえながらこちらを見上げてきている。

 その姿はまさに黒髪の美少女がこちらに哀願する様であり、見る者が見れば虜にされてしまうであろう。

 

 クッソあざとい真似しやがって!だが、騙されんぞ、この疑似餌め!

 お前らに食われかけたことを忘れてるとでも思ったか!?

 騙されて欲しいならせめてお前の後ろにいる本体の巨大蜘蛛を俺の視界外へ仕舞え!

 本体の方が!口元からだらだら涎を床に垂らしながら!クッキーじゃなくて俺の腕を赤い複眼で凝視して来てるから!メッチャクチャ怖いんだよ!!

 

『ねぇ~。まだ~?暇だし、君の右腕を引きちぎっておやつにして食べてていい?』

「駄目に決まってんだろ!」

 

 先日、精霊界にて蟲惑魔の森に迷い込んだ際、食われる直前でおやつ用に持っていたクッキーを身代わりとして投げつけたところ、連中のお気に召した味だったらしい。

 その後、定期的にクッキーを届けることを条件に俺は延命することが出来た。今焼いているクッキーは自分の分ではなく【フレシアの蟲惑魔】たちに献上する分である。

 

 今現在、本体で俺の右腕を甘噛みしている【アトラの蟲惑魔】はいわゆる監視役だ。森から帰る際、無理やり精霊のカードを渡されてしまった。

 【アトラの蟲惑魔】の精霊のカードを失くしたり、一度でもクッキーの献上をサボるとこの監視役は容赦なく俺の頭を噛み砕くだろう。

 

「って、なに人の腕に食らいついてんだよ!?痛っ!怖っ!?HA★NA★SE!!」

 

 せめて疑似餌の方でやれや!それならまだ…いや許さんけど!

 

 気がついたら数メートルの巨大蜘蛛が腕に食いついている様を見せられるこっちの気持ちになってみろ!

 チビりかけたじゃねえか!チビったらどう責任取ってくれるってんだよ!!

 

『いやぁ~、ゴメンゴメン♪でもニンゲンの腕ってホント美味しいよね~。ねぇ、ちょっとだけ!ちょっとだけ齧っていい?』

「ふざけんな!椅子でも食ってろ!うぇぇ…腕がベトベトだ…」

 

 テヘペロ♪なんて言いそうなあざとい表情の疑似餌から目を離し、俺は急いで本体蜘蛛の口から腕を引き抜いた。

 そして腕に付着したべとべとのヨダレをタオルで拭きつつ、早くクッキーが焼きあがるのを待つのであった…。




オシリスレッド生徒のデッキは【インヴェルズ】です。特殊召喚しやすくアドバンス召喚をサポートしやすい下級モンスターと、アドバンス召喚することで効果を発揮する上級・最上級モンスター、アドバンス召喚したモンスターのサポートをする魔法罠と言った分かりやすい闇属性悪魔族が主体のテーマとなっています。今回は相手との相性が悪かっただけで、この時代ではかなり有用なデッキです。

クロトのデッキは【蟲惑魔】です。「落とし穴」「ホール」と名のついた罠カードを使用して相手の行動を妨害していく植物族と昆虫族が主体のテーマです。

次回の更新は10月中に行えるようにする予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十七話 休日の過ごし方

前回のあらすじ:念願のGXメダルを手に入れたぞー!

今回のデュエルは丸藤翔戦です。


 初のGXメダル入手を達成してから数日後、俺はラーイエロー寮にて朝食を採り、自室に戻ってテレビを付けてニュースを垂れ流しにしてBGMにしつつ、休日をまったり過ごしていた。

 

「おーよしよし」

『バニー!』

『リューン!』

 

 自室のソファーでくつろぎながら、膝の上にバニーラを乗せてモフりつつ、首元あたりに絡みついているプチリュウを撫でる。

 おぉ…癒しの時間だ…。

 

『ふっふーん!どう?ジャックとクイーンのフルハウスよ!』

『くっ…!エースのツーペアだ』

『まさかダイヤのフラッシュで負けてしまうなんて…』

『あっ、ゴメンね。ボク、キングのフォーカード』

 

『『『!?』』』

 

 部屋の入り口付近では、アクエリア、エルフの剣士、ホーリー・エルフ、キーメイスがテーブルを囲んでポーカーに興じているようだ。

 持ち前の強運に加えて人の考えていることを無意識に読み取れてしまうキーメイス相手にポーカーとか、勇気のある奴らだ。

 俺は昔100連敗して挑むのを諦めたぞ。

 

『うま、うま♪』

『おいしー♪』

『美味~♪』

 

 部屋の隅ではアトラ、トリオン、カズーラの蟲惑魔たちが人の部屋の冷蔵庫を勝手に物色している。

 凄い勢いでハムやソーセージが彼女たちの胃袋に消えていっているが、あの冷蔵庫には一週間分の食料が入っている。流石に彼女らも満足して帰ってくれるだろう。

 と言うか、疑似餌の方からでも食えるんだな。

 

 他の連中は今日は来ていないようだな。三幻魔の事件が終わったので最近の休日は大体いつもこんな感じだ。

 

 平和だなぁ…。まるで普通のカードゲームの世界だ。いや、精霊とかは普通のカードゲームとかには居ないか。

 ネオ・グールズとか、破滅の光の顔芸とか、異世界のヒャッハー共とか、ヤンデレ精霊とか、闇イソノとか、ダークシグナーとか、イリアステルとかみたいな厄ネタ満載の世界とはとても思えないな。

 

 暇なので、これまた自室に備え付けられているパソコンでデュエルアカデミアの公式HPを確認することにした。

 

「あっ、ミス・デュエルアカデミアコンテストの最終ノミネートに選ばれた生徒が発表されているな」

 

 公式HPにはミスター・デュエルアカデミアコンテストとミス・デュエルアカデミアコンテストの最終ノミネートに選出された生徒たちの顔写真が公表されていた。

 念の為に確認したミスター・デュエルアカデミアコンテストの方は予想通りの結果なので置いといて、ミス・デュエルアカデミアコンテストのメンバーに予想外の人物?の名前を確認した。

 

 小日向星華、天上院明日香、藤原雪乃、ツァン・ディレ、嶺開花、ファラオ。…ファラオ!?

 

「ファラオ!?ファラオナンデ!?ファラオって、猫のファラオのことだよな!?…あっ!?」

 

 心当たりに気付いた俺は自身が投票した生徒の名前を確認する。

 

「俺の票の投票先がレインからファラオに変更されている…!?」

 

 ファラオに投票されている票数は、俺が操作したラーイエロー寮生徒の数とピッタリ一致する。

 これは…レインがデータを改竄して自身に投票されている票を全てファラオに変更したな?

 

「イリアステルの科学力、恐るべし」

 

 おのれレインめ、俺のささやかな楽しみを奪うとは…。まぁいいか。この鬱憤は今度ツァンをからかうことで解消しよう。

 

『去年のドイツでのゲームデザイナー賞を受賞した初代デュエルキングの武藤遊戯氏、高校の同級生であるゲームデザイナー御伽龍児との共同プロジェクトを開始!両氏は年末には日本に…』

『15年振りに復活したネオ・グールズ!被害は世界各地へと広がっている模様!その被害者の中にはデュエルキングダムやバトルシティで活躍した…』

『モーメント開発も最終段階へ移行!完成は来年の夏から秋の見込み!開発担当者とスポンサーとの意見の食い違いが…』

『ハートランドシティにてかつて伝説の名君と呼ばれた武将、喜楽壮八の石像が発見される!その石像の管理は発見者である決闘庵の主人、三沢六十郎氏に…』

『LDS社長とプロデュエリストの二足の草鞋を履く赤馬零児氏、ついに上位ランカーのプロデュエリストのインゼクター羽賀氏とダイナソー竜崎氏を下す!赤羽氏はとあるデュエリストへのリベンジに燃えており…』

 

 プツン!

 

『ニュースうるさい!』

 

 キーメイスにボロクソに負けてヒートアップしたアクエリアがテーブルに上に置いてあったリモコンを使ってテレビの電源を落としたようだ。

 俺もほとんど聞いてなかったので特に問題は無いだろう。

 

 珍しくムキになって怒るアクエリアを眺めながら、俺はベットに潜り込んで二度寝し始めた。

 …おい蟲惑魔ども。本体の方をこちらにこっそり近づけて来るのを止めろ。夢に出てきたらどうしてくれるんだ!

 

~~~

 

 昼食を取った後、三沢の相談を受けた俺は彼の要望に応えるべく、彼と共に精霊界へとやって来ていた。

 デュエルアカデミアの温泉を経由してやって来たので、俺はラーイエローの制服で、三沢はオベリスクブルーの制服を着ている。

 

「これが精霊界か…まさかあの温泉がこんなところに繋がっているとは…」

「色々条件を整えないと無理だぞ」

 

 三沢の相談とは『実力を身に着け終えた時にすぐにタニヤっちに会いに行けるように、彼女が居る場所とそこに行く手段を知りたい』と言う物だった。

 そんな相談、学校の同級生にする?と思わなくもなかったが、『白河なら何となく知っている気がした』だそうだ。

 

「そして、ここにタニヤっちが…」

「いや、多分いないぞ。まずは村に向かうから付いて来てくれ」

「村?あぁ、分かった」

 

 そんなこんなでとりあえず俺が連れてこれる異世界である精霊界に彼を連れてきたわけだ。

 ただ、この世界には多分タニヤは居ない。原作アニメだと三沢とタニヤは再会することが出来るが、その場所はこの精霊界ではない別の世界だからな。

 

 ここに連れてきたのは、三沢の疑問を解消できるかもしれない人物に心当たりがあるからだ。

 

「おやクロト。お客さんかのう?」

「見たことのない男子でゴザルな」

「【斬首の美女】に【伝説の剣豪MASAKI】!?…コホン、初めまして。三沢大地と申します」

 

 三沢は驚きつつも精霊の村の用心棒である彼ら二人に挨拶をしてお辞儀をしている。

 真面目だなぁ。

 

「本当にカードの精霊が実在したとは…しかも目視で見えるんだな」

「三幻魔とか見ておいて今更だろ」

「それもそうだな」

 

 三沢を含め、三幻魔が復活したあの場にいた全員が世界規模のオカルト現象発生の瞬間を目撃しているわけだから、今更カードの精霊の存在くらいで驚くほどじゃないだろ。

 俺の感覚がマヒしているのかもしれないけどさ。

 

「ところで白河。この世界にはタニヤっちが居ないと言っていたが、分かるものなのか?」

「この世界は人間界と同じくらい広いらしいから絶対とは言い切れないが、ほぼ確実に居ないと思うぞ」

「その理由は?」

「ここは精霊界。カードの精霊が住むカードの精霊しかいない世界だ。デュエルモンスターズのカードになっていないタニヤがここに居るとは思えないな」

「なるほど。そう言うことか」

 

 俺の推測に納得してくれたのか、三沢はしきりに頷きながらも村の中心に立って周囲を見回している。

 やはり初見の精霊界は珍しいものだらけで目移りしちゃうよな。分かるわぁ~。セレナとかも似たような反応してたしな。

 

「俺の知る限り、この精霊界と人間界を含めると12個の世界が存在するらしく、タニヤはその残り10個の世界の何処かに居るだろうな」

「ふむ、その他の世界に行く方法はあるのか?」

「無くはないが…俺が今使えそうな手段は一方通行になりそうだからお勧めできない」

「それは…困るな」

 

 恐らくだが、サイコデュエリストの真似事をして【次元の裂け目】などのカードを使ってその力を具現化させれば他の世界に行くことは可能だと思う。

 ガガギゴとかはその方法で精霊界から人間界に出てきたようなものだしな。サイコショッカーは知らん。

 

 ただ、どの世界の何処に繋がるかは不明だ。

 次元の裂け目をいつまで維持できるかも不明だし、もう一度次元の裂け目を開いたとしても同じ世界の座標に開けるかも不明だ。

 失敗した時に予想されるリスクが大きすぎて、試したことが無いからな。

 

「だから、これからお前を俺以上にオカルトに精通した人物に引き合わせることにした」

「そんな人物がこの世界に居るのか。助かるよ」

 

 誰かって?もちろん精霊界の王であるカイバーマンだ。この世界では彼以上の知識人は存在しないだろう。

 師匠や姉弟子はあくまで魔術専門だからな。

 

「あぁ、そうだ。先に言っておく。彼は気難しい人だから、聞くのは聞いてくれると思うけど答えてくれるかは分からないぞ」

「その時は何が何でも頼み込んでみるさ」

「そう言う意味じゃないんだけどな…」

 

 その後、カイバーマンの居城を訪問し、おっかなびっくりな態度でカイバーマンに謁見した三沢は自己紹介と共に異世界に関する知識を欲した。

 そんな三沢に対するカイバーマンの回答は…。

 

「デュエルだ。お前の力を示せたならばオレの知識の一端をお前に授けてやろう!」

「分かりました。1人のデュエリストとして、そのデュエル受けて立ちます!」

 

 知ってた。

 

 数時間に及ぶ彼らのデュエルは凄まじい物だったが、10近いデッキを駆使して戦う三沢をカイバーマンが全て圧倒し、結果だけ見れば三沢の全敗だった。

 ただ、その実力の高さと彼の気概はカイバーマンの琴線に触れるレベルの物だったらしい。

 

「くそっ!ここまで力が及ばないとは…!」

「ふぅん。三沢、貴様もそこそこのデュエリストの様だがまだまだオレには及ばんようだな。またいつでも挑んで来るがいい!フハハハハハハッ!」

 

 三沢は随分とカイバーマンに気に入られたようだ。

 恐らくもう少し善戦できるようになれば例えカイバーマンに勝利せずともある程度の情報は教えてくれるようになるのではないだろうか。

 

 俺達はゴキゲンなカイバーマンに背を向け、人間界に帰って来た。

 

「オレも強くなってきたと思っていたが、まだまだ上には上が居るんだな。精進しよう。そして、次は勝つ!」

「あぁ、うん」

「早速さっきのデュエルの見直さないと!ではまたな白河!」

 

 そう言うと三沢は去っていった。

 あれだけ負け越したと言うのに、メンタルの強いタフな男になったな。

 原作アニメだと承認欲求に負けて万丈目にワザと負けたりしていたが、この世界の彼にはその可能性は低そうだ。

 

~~~

 

 夕食前にブラブラ散歩していると、オシリスレッド寮前でデュエルしている十代一行を発見した。

 

「【マスター・オブ・OZ】!翔にダイレクトアタックなんだナァ!エアーズ・ロッキー!」

 

「うわぁぁぁっ!」

翔 LP:3000→0

 

 おぉっ、隼人が翔に勝ったか。

 原作アニメだと翔は隼人よりは強かったイメージがあるが、この世界の隼人はコナミの特訓を受けているから原作よりも遥かに強めだしな。

 

「おっ、クロトじゃん。おっす」

 

 翔と隼人のデュエルをを眺めていると、休憩中だったコナミがこちらに気付いて声を掛けてきた。

 

「オッスオッス。で、なにこれ?苛めの現場かな?」

 

 勝鬨を上げる隼人に対し、ヤ〇チャのようにボロボロになって地面に倒れている翔。

 この世界の人間はソリットヴィジョンの攻撃に合わせてそれっぽいリアクションをするからであって実際にヤ〇チャしているわけじゃないんだが、凄い絵面だ。

 

「違うっスよ。ボクから皆に頼んだんスよ」

「小学生のレイちゃんにコテンパンにされて、流石にみんな危機感を覚えたんだナァ」

「つまり、デュエル修行だ!燃えるだろ!」

 

「ふーん」

 

 十代が倒れ込んだ翔に手を貸して立ち上がるのを手助けしている。

 コナミと隼人は先ほどのデュエルでの問題点を話し合っているようだ。

 

「せっかく来たんだし、クロトも混ざるか?」

「うーん、夕食前だからなぁ。1戦だけならいいぞ」

 

 コナミの誘いに乗り、デュエルディスクを構えて先ほどまで隼人が立っていた位置に移動すると、俺の目の前には翔がデュエルディスクを構えて立っていた。

 さっきまで隼人とデュエルしたばかりなのにガッツあるなぁ。

 

「そうだ。せっかくだからGXメダルを賭けるか?俺は20枚賭けよう。足りないならコナミの魂も賭けるぞ」

「嫌っス!」

「オレの魂を勝手に賭けるな」

 

 即座に断られてしまった。

 自然に誘えばOKしてくれるかと思ったんだが、駄目だったか~。

 

「対戦、よろしくお願いします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:4000、手札:5枚。

 

 

 翔のデッキは、さっき見たから【ビークロイド】で確定だな。

 

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

翔 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【手札抹殺】を発動!お互い手札を全て捨て、その枚数分だけドローする!」

翔 手札:6→5→0→5枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

<翔が墓地に送ったカード>

①スチームロイド

②ドリルロイド

③ジャイロイド

④シャトルロイド

⑤ワンダーガレージ

 

<クロトが墓地に送ったカード>

①マリスボラス・フォーク

②ヘルウェイ・パトロール

③バトルフェーダー

④闇の誘惑

⑤グローリアス・ナンバーズ

 

「ボクは手札から【ドラゴンロイド】を捨てて効果発動!デッキから【エクスプレスロイド】を手札に加える!」

翔 手札:5→4→5枚。

 

【ドラゴンロイド】

効果モンスター

星8/風属性/機械族/攻2900/守1000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードを手札から捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから風属性以外の「ロイド」モンスター1体を手札に加える。

●このターン、融合モンスターを融合召喚する効果を含む効果を自分が発動した場合、その発動は無効化されず、その融合召喚成功時に相手は魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(2):1ターンに1度、このカードが墓地に存在する場合に発動できる。墓地のこのカードはターン終了時までドラゴン族になる。

 

「ボクは手札から【エクスプレスロイド】を召喚!そして効果発動!墓地から【スチームロイド】、【ドリルロイド】を手札に加える!」

翔 手札:5→4→6枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

エクスプレスロイド ★4 ATK400

 

【エクスプレスロイド】

効果モンスター

星4/地属性/機械族/攻 400/守1600

(1):このカードの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、「エクスプレスロイド」以外の自分の墓地の「ロイド」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「次にボクは手札から魔法カード【融合賢者】を発動!デッキから【融合】を手札に加える!」

翔 手札:6→5→6枚。

 

【融合賢者】

通常魔法

自分のデッキから「融合」魔法カード1枚を手札に加える。

 

「そしてボクは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【スチームロイド】、【ドリルロイド】、【サブマリンロイド】を融合!出でよ!【スーパービークロイド-ジャンボドリル】!」

翔 手札:6→5→2枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<丸藤翔のフィールド>

エクスプレスロイド ★4 ATK400

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000

 

【スーパービークロイド-ジャンボドリル】

融合・効果モンスター

星8/地属性/機械族/攻3000/守2000

「スチームロイド」+「ドリルロイド」+「サブマリンロイド」

このカードの融合召喚は上記のカードでしか行えない。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「おぉっ!出たぜ翔のエースモンスターだ!」

「攻撃力3000!効果破壊耐性を付与した貫通能力持ちなんだナァ!」

 

「ボクは手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地のモンスター5体をデッキに加え、デッキから2枚ドロー!」

翔 手札:2→1→3枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。

そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。

その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<翔が墓地からデッキに戻したカード>

①スチームロイド

②ドリルロイド

③ジャイロイド

④シャトルロイド

⑤ドラゴンロイド

 

「ボクは手札から永続魔法【未来融合-フューチャー・フュージョン】を発動!」

翔 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【未来融合-フューチャー・フュージョン】

永続魔法

(1):このカードの発動後1回目の自分スタンバイフェイズに発動する。自分のEXデッキの融合モンスター1体をお互いに確認し、そのモンスターによって決められた融合素材モンスターを自分のデッキから墓地へ送る。

(2):このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに発動する。このカードの(1)の効果で確認したモンスターと同名の融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

「ボクはカードを2枚セットしてターンエンド!」

翔 手札:2→0枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:4000、手札:0枚。伏せカード:2枚。永続魔法:1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

エクスプレスロイド ★4 ATK400

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000

 

 

 伏せカードは気になるけど、それ以外は何とでもなるかな。

 未来融合で何を出す気なんだろう。【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】辺りかな?

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は墓地の【ヘルウェイ・パトロール】を除外して効果発動!手札の【マリスボラス・スプーン】を特殊召喚!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【ヘルウェイ・パトロール】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1200

(1):このカードが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。そのモンスターの元々のレベル×100ダメージを相手に与える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。

 

<白河クロトのフィールド>

マリスボラス・スプーン ★2 DEF500

 

【マリスボラス・スプーン】

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻 100/守 500

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合に「マリスボラス・スプーン」以外の「マリスボラス」と名のついたモンスターが自分フィールド上に召喚・特殊召喚された時、自分の墓地から悪魔族・レベル2モンスター1体を選択して特殊召喚できる。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。「マリスボラス・スプーン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「俺は手札から【マリスボラス・ナイフ】を召喚!そして効果発動!墓地の【マリスボラス・フォーク】を特殊召喚する!」

クロト 手札:6→5枚。

 

<白河クロトのフィールド>

マリスボラス・スプーン ★2 DEF500

マリスボラス・ナイフ ★2 ATK600

マリスボラス・フォーク ★2 DEF400

 

【マリスボラス・ナイフ】

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻 600/守 100

このカードが召喚に成功した時、

自分の墓地から「マリスボラス・ナイフ」以外の

「マリスボラス」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

 

【マリスボラス・フォーク】

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻 400/守 400

自分のメインフェイズ時、手札からこのカード以外の悪魔族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

 

「レベル2のモンスターが3体!来るぞ翔!」

 

 何でコナミはそのネタを知ってるんだか。まぁ、ノリが良いのは良いことだな。

 

「俺はレベル2【マリスボラス・スプーン】、【マリスボラス・ナイフ】、【マリスボラス・フォーク】の3体でオーバーレイ!」

 

「3体素材のエクシーズモンスターか。何が来るんだろうな!」

「少なくとも、オレは見たことないんだナァ」

 

「エクシーズ召喚!現れよ!ランク2!【No.96 ブラック・ミスト】!」

 

<白河クロトのフィールド>

No.96 ブラック・ミスト ☆2 ATK100 ORU:3

 

【No.96 ブラック・ミスト】

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/闇属性/悪魔族/攻 100/守1000

レベル2モンスター×3

(1):このカードが相手の表側表示モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。

 

「このままバトルフェイズに入る!【No.96 ブラック・ミスト】で【エクスプレスロイド】に攻撃だ!」

 

「この瞬間、リバースカードオープン!罠カード【スーパーチャージ】発動!デッキから2ドロー!」

翔 手札:0→2枚。伏せカード:2→1枚。

 

【スーパーチャージ】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の「ロイド」モンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

 防御カードじゃなかったのか。失敗したなぁ。

 

「ならこちらも【No.96 ブラック・ミスト】のORUを1つ取り除いて効果発動!相手モンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップ!」

No.96 ブラック・ミスト ORU:3→2

 

No.96 ブラック・ミスト ATK100→300

vs

エクスプレスロイド ATK400→200 ※戦闘破壊

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000

 

「ぐっ!…このくらいなら問題ないよ!」

翔 LP:4000→3900

 

「更に俺は手札から速攻魔法【RUM-クイック・カオス】発動!【No.96 ブラック・ミスト】を対象にカオスエクシーズチェンジ!現れよ!ランク3!【CNo.96 ブラック・ストーム】!」

クロト 手札:5→4枚。

 

【RUM-クイック・カオス】

速攻魔法

(1):「CNo.」モンスター以外の自分フィールドの「No.」Xモンスター1体を対象として発動できる。

その自分のモンスターよりランクが1つ高く、同じ「No.」の数字を持つ「CNo.」モンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてエクストラデッキからX召喚する。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK1000 ORU:3

 

【CNo.96 ブラック・ストーム】

エクシーズ・効果モンスター

ランク3/闇属性/悪魔族/攻1000/守1000

闇属性レベル3モンスター×4

(1):このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは相手も受ける。

(2):このカードが「No.96 ブラック・ミスト」をX素材としている場合、以下の効果を得る。

●このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その相手モンスターの攻撃力を0にし、このカードの攻撃力はその相手モンスターの元々の攻撃力分アップする。

 

「俺のバトルフェイズは終了していない!【CNo.96 ブラック・ストーム】で【スーパービークロイド-ジャンボドリル】に攻撃!」

 

「【CNo.96 ブラック・ストーム】のORUを1つ取り除いて効果発動!相手モンスターの攻撃力を0にし、このカードの攻撃力はその相手モンスターの元々の攻撃力分アップ!」

CNo.96 ブラック・ストーム ORU:3→2

 

「これは…不味いぞ翔!」

「【CNo.96 ブラック・ストーム】の効果発動を許せば、翔への戦闘ダメージはお互いの攻撃力の合計、つまり4000だ」

「この攻撃を受けたら翔のライフが尽きてしまうんだナァ!」

 

 おい外野。生存フラグ立てんな。

 

「させないよ!ボクは手札から【工作列車シグナル・レッド】の効果発動!このカードを手札から特殊召喚し、その相手モンスターの攻撃対象をこのカードに移し替えてバトルさせる!」

翔 手札:2→1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

【工作列車シグナル・レッド】

効果モンスター

星3/地属性/機械族/攻1000/守1300

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚し、その相手モンスターの攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。

このカードはその戦闘では破壊されない。

 

 さっきの【スーパーチャージ】でドローしてきたか!

 【工作列車シグナル・レッド】の効果でダメージ計算まで進んでしまうから【CNo.96 ブラック・ストーム】の効果を発動するタイミングが間に合わない!

 

 これだからネームドは油断ならないな!

 

チェーン②工作列車シグナル・レッド

チェーン①CNo.96 ブラック・ストーム

 

CNo.96 ブラック・ストーム ATK1000

vs

工作列車シグナル・レッド DEF1300

 

「ちっ!だが【CNo.96 ブラック・ストーム】の効果により俺への戦闘ダメージはお互いが受ける!」

クロト LP:4000→3700

 

「うぐっ!」

翔 LP:3900→3600

 

CNo.96 ブラック・ストーム ATK1000→2000

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを2枚セットしてターンエンドだ」

クロト 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:3700、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK2000 ORU:2

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3600、手札:1枚。伏せカード:1枚。永続魔法:1枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行!」

翔 手札:1→2枚。

 

「ここで【未来融合-フューチャー・フュージョン】の効果発動!エクストラデッキの【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】を見せ、その融合素材4体をデッキから墓地に送る!」

 

<翔が墓地からデッキに戻したカード>

①トラックロイド

②エクスプレスロイド

③ドリルロイド

④ステルスロイド

 

「メインフェイズに移行。ボクは手札から魔法カード【アイアンドロー】を発動!デッキから2ドロー!」

翔 手札:2→1→3枚。

 

【アイアンドロー】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の効果モンスター2体のみの場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

このカードの発動後、ターン終了時まで自分は1回しかモンスターを特殊召喚できない。

 

 まるで十代みたいなドロー力だな。融合デッキは手札消費が激しいからドローソースを多めに積んで対処してあるんだろう。

 でもさ、俺の対戦相手ってドローソース握ってる確率高くない?気のせい?

 

「ボクは手札から永続魔法【一族の結束】を発動!」

翔 手札:3→2枚。永続魔法:1→2枚

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3000→3800

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

【一族の結束】

永続魔法

(1):自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。

 

「ボクは手札から魔法カード【融合回収】を発動!墓地の【融合】と【サブマリンロイド】を手札に加える!」

翔 手札:2→1→3枚。

 

「そしてボクは手札から【サブマリンロイド】を召喚!」

翔 手札:3→2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3800

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

サブマリンロイド ★4 ATK800→1600

 

【サブマリンロイド】

効果モンスター

星4/水属性/機械族/攻 800/守1800

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。

この時、相手ライフに与える戦闘ダメージはこのカードの元々の攻撃力と同じ数値になる。

また、このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時、このカードの表示形式を守備表示にできる。

 

「バトルフェイズに入るよ!」

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3800

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

サブマリンロイド ★4 ATK1600

 

「【サブマリンロイド】でダイレクトアタック!」

 

サブマリンロイド ★4 ATK1600→800

 

「っ!」

クロト LP:3700→2900

 

「【サブマリンロイド】は戦闘を行ったダメージステップ終了時、このカードの表示形式を守備表示にできる!」

 

サブマリンロイド ★4 ATK1600→DEF1600

 

「ここでボクは手札から速攻魔法【エネミーコントローラー】を発動!【サブマリンロイド】をリリースして【CNo.96 ブラック・ストーム】のコントロールを奪う!」

翔 手札:2→1枚。

 

【エネミーコントローラー】

速攻魔法

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その相手の表側表示モンスターの表示形式を変更する。

●自分フィールドのモンスター1体をリリースし、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

 

「させるか!その効果にチェーンして俺は伏せていたカウンター罠【ナンバーズ・プロテクト】発動!【エネミーコントローラー】の効果を無効にして破壊する!」

クロト 伏せカード:2→1枚。

 

【ナンバーズ・プロテクト】

カウンター罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドに「No.」Xモンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドの「No.」Xモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

 

チェーン②ナンバーズ・プロテクト

チェーン①エネミーコントローラー ※無効化

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3800

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

「ならボクも手札を1枚捨ててリバースカードオープン!罠カード【サンダー・ブレイク】発動!【CNo.96 ブラック・ストーム】を破壊する!」

翔 手札:1→0枚。伏せカード:1→0枚。

 

【サンダー・ブレイク】

通常罠

(1):手札を1枚捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「甘いな!その効果にチェーンして俺は伏せていた永続罠【ナンバーズ・ウォール】発動!「No.」と名のついたモンスターは、カードの効果では破壊されない!」

クロト 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【ナンバーズ・ウォール】

永続罠

自分フィールド上に「No.」と名のついたモンスターが存在する場合に発動できる。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのフィールド上の「No.」と名のついたモンスターは、カードの効果では破壊されず、「No.」と名のついたモンスター以外との戦闘では破壊されない。

自分フィールド上の「No.」と名のついたモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 

チェーン②ナンバーズ・ウォール

チェーン①サンダー・ブレイク ※無効化

 

「これでも駄目か…!仕方ない、メインフェイズ2に移行。【スーパービークロイド-ジャンボドリル】を守備表示に変更する!」

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3800→DEF2000

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

サブマリンロイド ★4 DEF1600

 

「ボクはこれでターンエンドだ」

 

 

◆白河クロト LP:2900、手札:2枚。伏せカード:0枚。永続罠:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK2000 ORU:2

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:3600、手札:0枚。伏せカード:0枚。永続魔法:2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 DEF2000

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「俺は手札から【ジャイアントウィルス】を召喚!」

クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK2000 ORU:2

ジャイアントウィルス ★2 ATK1000

 

【ジャイアントウィルス】

効果モンスター

星2/闇属性/悪魔族/攻1000/守 100

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

さらに自分のデッキから「ジャイアントウィルス」を任意の数だけ表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

「俺は手札から魔法カード【強制転移】発動!お互いのフィールドのモンスター1体のコントロールを入れ替える!」

クロト 手札:2→1枚。

 

「!?」

 

【強制転移】

通常魔法

(1):お互いのプレイヤーは、それぞれ自身のフィールドのモンスター1体を選ぶ。

そのモンスター2体のコントロールを入れ替える。

このターン、そのモンスターは表示形式を変更できない。

 

「俺は【ジャイアントウィルス】を選択する!」

「ボクは…【工作列車シグナル・レッド】を選択する」

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK2000 ORU:2

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 DEF2000

ジャイアントウィルス ★2 ATK1000

 

「バトルフェイズに移行する!【CNo.96 ブラック・ストーム】で【ジャイアントウィルス】を攻撃!」

 

「【CNo.96 ブラック・ストーム】のORUを1つ取り除いて効果発動!相手モンスターの攻撃力を0にし、このカードの攻撃力はその相手モンスターの元々の攻撃力分アップ!」

CNo.96 ブラック・ストーム ORU:2→1

 

CNo.96 ブラック・ストーム ATK2000→3000

vs

ジャイアントウィルス ATK1000→0 ※戦闘破壊

 

「うわぁぁぁっ!」

翔 LP:3600→600

 

「戦闘破壊された【ジャイアントウィルス】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

「ぐぅっ!」

翔 LP:600→100

 

「更にデッキから【ジャイアントウィルス】を任意の数まで特殊召喚できる!」

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK3000 ORU:1

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

ジャイアントウィルス ★2 DEF100

ジャイアントウィルス ★2 DEF100

 

「メインフェイズ2に移行」

 

「俺はレベル2【ジャイアントウィルス】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ!ランク2!【No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター】!」

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK3000 ORU:1

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター ☆2 DEF0 ORU:2

 

【No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター】

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/闇属性/悪魔族/攻1300/守 0

闇属性レベル2モンスター×2

(1):相手がモンスターの効果を発動した時、このカードのX素材を2つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし、相手に500ダメージを与える。

 

「俺はカードを1枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:2900、手札:0枚。伏せカード:1枚。永続罠:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK3000 ORU:1

工作列車シグナル・レッド ★3 DEF1300

No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター ☆2 DEF0 ORU:2

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:100、手札:0枚。伏せカード:0枚。永続魔法:2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 DEF2000

 

 

 あっちゃー。鉄壁のLP100残ってしまったか。次のターンで未来融合から融合体が出てくるし、ジャンボドリルもステルスユニオンも貫通効果持ちだ。ちょっと不味いかも?

 ただし、ジャッジ・バスターが居るからモンスター効果は使えない。どう攻めて来る?

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズへ移行!」

翔 手札:0→1枚。

 

「ここで【未来融合-フューチャー・フュージョン】の効果発動!エクストラデッキから【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】を融合召喚する!」

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 DEF2000

スーパービークロイド-ステルス・ユニオン ★9 ATK3600→4400

 

【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】

融合・効果モンスター

星9/地属性/機械族/攻3600/守3000 

「トラックロイド」+「エクスプレスロイド」+「ドリルロイド」+「ステルスロイド」

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にフィールド上に存在する機械族以外のモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する事ができる。

この効果によってモンスターを装備している場合、相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。

このカードが攻撃をする場合、このカードの元々の攻撃力は半分になる。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「【スーパービークロイド-ジャンボドリル】を攻撃表示に変更!バトルフェイズに入る!」

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 DEF2000→ATK3800

スーパービークロイド-ステルス・ユニオン ★9 ATK4400

 

「【スーパービークロイド-ジャンボドリル】で【No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター】に攻撃!」

 

「だが俺は伏せていた永続罠【強制終了】を発動する!【工作列車シグナル・レッド】を墓地に送ってバトルフェイズを終了させる」

クロト 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK3000 ORU:1

No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター ☆2 DEF0 ORU:2

 

【強制終了】

永続罠

自分フィールド上に存在するこのカード以外のカード1枚を墓地へ送る事で、このターンのバトルフェイズを終了する。

この効果はバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

 

「くっ、ボクはこのままターンエンド!」

 

 

◆白河クロト LP:2900、手札:0枚。伏せカード:0枚。永続罠:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

CNo.96 ブラック・ストーム ☆3 ATK3000 ORU:1

No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター ☆2 DEF0 ORU:2

 

vs

 

◆丸藤翔 LP:100、手札:0枚。伏せカード:0枚。永続魔法:2枚。

 

<丸藤翔のフィールド>

スーパービークロイド-ジャンボドリル ★8 ATK3800

スーパービークロイド-ステルス・ユニオン ★9 ATK4400

 

 

 惜しかったな。【サイクロン】辺りの伏せ除去カードを引かれていたら負けてたぞ。

 

 最後の手札は召喚したりセットしなかったところを見ると上級モンスターかな。

 【ユーフォロイド】か【アーマロイドガイデンゴー】辺りか。

 

 【カイトロイド】の可能性もあるけど、アレは直接攻撃時しか効果発動できないはずだから大丈夫だろう。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!…あっ」

クロト 手札:0→1枚。

 

 やっべ。【RUM-七皇の剣】じゃん。デッキから抜くの忘れてたな。

 このデュエルはこのカードを使わなくても勝てそうだし、そのまま続行するか。

 

「そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

 

「バトルフェイズに移行する。【CNo.96 ブラック・ストーム】で【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】に攻撃!」

 

「【CNo.96 ブラック・ストーム】のORUを1つ取り除いて効果発動!【スーパービークロイド-ステルス・ユニオン】の攻撃力を0にし、このカードの攻撃力はその相手モンスターの元々の攻撃力分アップする!」

CNo.96 ブラック・ストーム ORU:1→0

 

CNo.96 ブラック・ストーム ATK3000→6600

vs

スーパービークロイド-ステルス・ユニオン ATK4400→0 ※戦闘破壊

 

「うわぁぁぁっ!」

翔 LP:100→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

 ラーイエロー寮に戻った俺は、夕食を採り終えた後に自室に戻り、ベットの上でゴロゴロしながら先ほどのデュエル内容について考えていた。

 

 翔、結構強くね? 今の時点で原作アニメ最終回くらいの強さあるでしょアレ。原作終了時だと彼は学内でもトップクラスの実力だったからな。

 隼人とのデュエルを見ていた時はそんなに強くないなとか思ったんだけど…俺とのデュエルの時は別人のように強かったような?

 デュエリストパックで強化されたビークロイドカードとか持ってたら普通に負けていたかも知れないな。

 

 はっ!まさか、彼にも眠れる2つ目の人格が…無い無い。

 俺の強さにビビっていたせいで普段の慢心やら油断が無くなっていたとか?…自分で言ってて恥ずかしいわ。驕りが過ぎる。

 

「やはりネームドキャラは強い。それもあるだろうけど、今の翔に追い詰められるとか、俺もまだまだ弱いってことなんだろうなぁ」

 

 彼に対しては失礼な言い分だろうが、今の翔くらいのデュエリストに苦戦していては命に関わるからな。

 今後も在学中にまだまだ厄いイベントが続くだろうし、どんどんカードプールが充実していくならエドとか亮さんとかメチャクチャ強そうだしな。

 この世界で敵フィールドに居るデストロイフェニックスガイさんとか見たくないぜ。せめてディストピアガイさんくらいにして欲しい。

 

 俺も修行とかしないとダメか?

 滝に打たれたり、熊を叩き伏せたり、アンドゥドローとかやる?

 

「今度、久し振りにコナミに10連組手でも提案してみようかな。あれ大変なんだよな~。そうも言ってられないか」

 

 あーだこーだと自身の強化プランを考えていると、気付いたら眠りに落ちていた…。




丸藤翔のデッキは【ビークロイド】です。現在のデッキで使用したカードプールはアニメGXに登場した物やタッグフォース3までに登場した物で構成されています。いずれ強化カードを手に入れた場合はもっと柔軟な動きが出来るようになる可能性を秘めたデッキですね。

クロトのデッキは【マリスボラス】です。テーマと言っても2021年10月時点の現状で3枚しか存在しないので、他の相性のいいカードと混ぜてあります。アニメZEXALⅡにてNo.96が使用したデッキテーマでもあるので、なるべくアニメで使用したカードを使わせてみました。

次回の更新は10月中を予定しています。

荒魂マサカド様、魚肴様、ryoto様、白銀神雅魅様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十八話 月一試験6&メダル争奪戦2

前回のあらすじ:久し振りののんびりタイム

今回のデュエル相手は、タッグフォースシリーズの嶺開花です。


 それは明日に控えた月一テストのテスト勉強を終えて、ツァンたちと別れた後の夕暮れ時の本校舎前での出来事だった。

 

「レインちゃん!アタシとコンビを組んで!一緒に歌って踊れるアイドルになろうよ!」

「…」

 

 赤紫の髪で作った2つのドーナッツを頭に乗っけたような髪型をした少女である嶺開花が、レインの腕を掴んだまま膝を地面に付いて何かを懇願している光景を見ることとなった。

 当事者の1人であるレインはパッと見は無表情であるが、微妙に嫌な顔をしているので内心迷惑がっているのだろうと分かる。

 

 これは…面倒事かな?

 

 気付かなかったことにして横を通り過ぎようとすると、後ろから腕を掴まれた。レインの仕業である。

 止めろ。俺を巻き込むな。

 

「…彼を倒せたら、考える」

「ホント!?」

 

 おいぃぃぃ!巻き込むなって言ってんだろ!?

 こっちはまだ話が見えていないんだよ!!

 

 嫌々振り返ると既にそこにレインの姿は無く、何故かやる気満々の嶺開花がこちらに向けてデュエルディスクを構えている。

 あの女、面倒になって俺に面倒の元を押し付けて逃げやがったな!?

 

「君は確か、ラーイエローの白河君だよね。君の実力は知っているけど、アタシの夢を叶えるために踏み台にさせてもらうよ!」

「待て待て待て!話が見えん!」

 

 なし崩しにデュエルしても良かったのだが、それだとただの巻き込まれ損だ。

 しっかり話を聞いて、納得してから行動を決めたかったため、やる気満々の嶺開花を宥め、事情を聴いてみることにした。

 

~~~

 

 校舎前にある謎のモニュメントに座らせた嶺開花に、校舎内の自販機から買って来た緑茶入りのペットボトル飲料を渡す。

 料金を支払おうとする彼女だったが、こういう場合のお金は受け取らないのがセオリーだと前にコミュ力お化けのコナミが言っていたので受け取らなかった。

 

 

 嶺開花。原作ゲームのタッグフォース4からの登場キャラクターで、アイドルを目指しながらデュエルアカデミアに通っていた。

 続編のタッグフォース5では苦手だった歌を克服して念願の人気アイドルになれたようで、駆け出しの現役アイドルをしながらデュエルアカデミアに通っていた女の子である。

 

「ボマーと同じ地方の出身」と言う設定だったはずなのだが、彼との絡みは特になく、名前的に麻雀関連で何かあるのかと言えばそちらも特にない。

 タッグフォース5から愉快な固有グラフィックと奇天烈なデスティニードローモーションを貰って優遇されている【魔力カウンター】デッキの使い手だ。

 

 原作ゲームでの彼女とのシナリオは、自身のアイドルとしての知名度を上げて冠番組をゲットするために、彼女のファンである主人公コナミと一緒にタッグデュエル大会に参加していくことになる。

 歌って踊りながらデュエルするミュージカルデュエルと言う謎に包まれたデュエルを行っていたとか言う設定もあったな。詳しくは知らんがアイドルがやるアクションデュエルみたいなものだろう。

 

 とまぁ、彼女の原作でのプロフィールはこんな感じだったが、目の前にいる彼女はツァンたちと同じように本来このGXの時代に存在しないはずの人物の一人である。

 彼女はレインのようなトンデモ設定のある人物ではないはずだが、念のため事情を聴いておくのも情報収集としては悪くないだろう。

 

 

 お茶を半分ほど飲み終えて落ち着いたのか、嶺開花はポツポツと己の現状を話し始めた。

 

「アイドルになってもう3年になるのになかなか目が出ない、と」

「そうなの!同期の娘はもう何人も冠番組を持っているっているのによ!」

 

 どうやらこの世界での彼女は既にアイドルとして活躍?しているようだが、あまり上手くは行っていないそうだ。

 現在はソロで活躍しているらしいが、いずれ誰か他の人と一緒にコンビやチームを組んでみたいと思っていたらしく、偶々見つけたレインに声を掛けたという。

 

 いやいや、だからってレインは無理でしょ。容姿は問題ないだろうけど愛想が無さすぎだ。

 

「雪乃やツァンの方が良くね?」

「藤原さんにはもう断わられたよ。彼女って既に女優の卵だしね」

 

 言われてみれば、そりゃそうだなって話か。

 

「ツァン・ディレさんは…話しかけようとすると睨まれちゃってね。嫌われてるのかなぁ」

「いや、それは無いと思うけど…」

 

 あの娘のコミュ障ってまだ直ってなかったんだ。

 

「明日香とかは?」

「天上院さん?いや~無理でしょ?彼女ってアイドルに興味無さそうだもん」

 

 どうかな?アニメGXだと、2年目でアイドルデビューに近いことをやらされそうになった時に渡されたドレスを大事そうに持ってたから、案外興味無くはないんじゃないかな?

 

「ふぅ~ん。苦労してるんだな」

「苦労してるんだよ」

 

 割とまっとうな理由だったんだな。

 でも今日はこれから賄賂のクッキーを作らないといけないから、デュエルは無理だな!

 その場の雰囲気に任せて、とっとと寮に帰ろっと。

 

「俺に出来ることがあればある程度のことは協力するから、その時はまた声でもかけてくれ。じゃーなー」

「あっ、うん。またねー」

 

 

 

 

「あー!デュエルしてもらうの忘れてたー!」

 

 遠くで開花の声が聞こえたが、俺は聞こえないふりをしてラーイエローの寮に戻った。

 

~~~

 

 翌日の昼過ぎ、月一テストの実技試験の時間となった試験リングの中央にて、俺は嶺開花と再会していた。

 

「酷いよ白河君!昨日わざとさっさと帰ったでしょ!」

「なんのことやら」

 

 流石にバレるか。

 

「ふふーん、いいもんね!今日のデュエルは断ることはできないもんね!」

「そうだな」

 

 彼女は得意げに話しながらデュエルディスクを構えてこちらを見ている。

 こちらも同じようにデュエルディスクを構えながら、とあることを思い出した。

 

「そう言えば、GXメダルは賭けるか?」

「あぁ、それもアリかも。う~ん、どうせ勝ちを狙いに行くわけだし、10枚レートならいいよ」

「乗った」

 

 おっ、メダルを賭けてくれるのか。

 これは彼女には悪いが負けられないな。メダル無くても負ける気は無かったけどさ。

 

『開花ちゃーん!頑張ってー!』

『この前発売されたシングルCD買ったよー!』

『そこのカレー野郎に負けないでねー!』

 

「みんなー!応援ありがとー!」

 

 試験コート外から彼女のファンの野郎どもから声援が送られており、彼女もそれに応えている。

 ここはコンサート会場とかじゃないんだけどねぇ。

 

 で、カレー野郎って誰のことかな?埋めるぞクソモブ君?

 

 彼女が現役アイドルであることは学校内に知れ渡っているので、気軽に話しかけられるアイドルと言うことで校内での彼女の人気はかなりのものがある。

 ミスコンでも最終ノミネートに残っていたしな。

 

 倫理委員会の人達が十全に警備していることから、彼女に対してファンの領域を超えたアクションを取ろうとする輩は今のところ出ていない。

 倫理委員会のメンバーの中にはその立場を利用して彼女にアプローチを掛けようとしたアホも何人か居たが、一学期中に島から消されている。

 セブンスターズの件でピリピリしている時にそんなことやらかしたら…そらそうよって話である。

 

「頑張って白河君に勝って、レインちゃんと一緒にユニット組んで見せるね!」

 

『えっ?今なんて?』

『レインって、レイン恵?あの娘、アイドルになるの?』

『あの銀髪ツインテ美少女がヒラヒラな衣装着て歌ったり踊ったりしちゃうの?』

 

 おいおい、ここでその約束を言っちゃうの?

 無自覚でこんなこと言っちゃうとか、サークルクラッシャーの才能有りますねぇ!

 

『白河ー!負けろー!』

『男子学生の敵ー!』

『空気読んで負けろー!』

『リア充、弾け飛べー!』

『誰でもいいから女の子を紹介してくれー!』

 

 ほーらやっぱりこうなった。あーあ、ギャラリーの大半が敵に回ったじゃーん。

 野郎どもの声援とか受けても嬉しくないから別に構わないんだけどさぁ。

 

 彼女いない歴=年齢の俺がリア充とか、その目はビー玉か何かか?

 女の子とか、俺が紹介して欲しいわ!ふざけんな!

 

「…」

 

 ほ~ら見ろ!お前らの所為で観客席の一番奥から鋭い視線が飛んで来てるじゃん!

 銀髪ツインテさんの眼からは『お前ぇ、もし万が一負けたらどうなるか分かっとるやろなぁ?』的な何かを感じるじゃん!

 

 勝っても負けても文句言われそうだ。面倒くさ。

 いいか?俺は面倒が嫌いなんだ。

 

「よーし、行くぞー!エイ、エイ、オー!」

 

 げんなりした気分を切り替えよう。当然、負けるつもりなど無い。

 

「対戦、よろしくお願いします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆嶺開花 LP:4000、手札:5枚。

 

 

 嶺開花のデッキは、先ほど挙げた【魔力カウンター】だ。

 【マジックテンペスター】による先攻1ターンキルや【図書館エクゾ】には気を付けたいところだが、こればかりは初期手札次第だな。

 

 

「先攻はアタシが貰うよ!アタシのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

開花 手札:5→6枚。

 

「アタシは手札から【マジカル・アブダクター】をペンデュラムスケールにセッティング!」

開花 手札:6→5枚。

 

 ペンデュラム搭載型か?結構強めなデッキの可能性が出てきたな。

 

【マジカル・アブダクター】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1700/守1400

【Pスケール:青3/赤3】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。デッキからPモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×100アップする。

(3):1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。デッキから魔法使い族・レベル1モンスター1体を手札に加える。

 

「どんどん行くよ!アタシは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【魔法都市エンディミオン】を手札に加える!」

開花 手札:5→4→5枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:0→1

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「さぁ!ステージを整えに行くよ!手札からフィールド魔法【魔法都市エンディミオン】を発動!」

開花 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:1→2

 

【魔法都市エンディミオン】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):魔力カウンターが置かれているカードが破壊された場合にそのカードに置かれていた魔力カウンターの数だけ、このカードに魔力カウンターを置く。

(3):1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドの魔力カウンターを取り除く場合、代わりにこのカードから取り除く事ができる。

(4):このカードが破壊される場合、代わりにこのカードの魔力カウンターを1つ取り除く事ができる。

 

「次にアタシは手札から魔法カード【魔力掌握】を発動!【魔法都市エンディミオン】に魔力カウンターを1つ乗せ、デッキから【魔力掌握】を手札に加えるよ!」

開花 手札:4→3→4枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:2→3

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:0→1→2

 

【魔力掌握】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):フィールドの魔力カウンターを置く事ができるカード1枚を対象として発動できる。そのカードに魔力カウンターを1つ置く。

その後、デッキから「魔力掌握」1枚を手札に加える事ができる。

 

「アタシは【マジカル・アブダクター】のカードの魔力カウンターを3つ取り除いてペンデュラム効果を発動!デッキから【竜剣士ラスターP】を手札に加える!」

開花 手札:4→5枚。

 

「そしてそのままアタシは手札から【竜剣士ラスターP】をペンデュラムスケールにセッティング!」

開花 手札:5→4枚。Pスケール:3-5

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:2→3

 

【竜剣士ラスターP】

ペンデュラム・チューナー・効果モンスター(制限カード)

星4/光属性/ドラゴン族/攻1850/守 0

【Pスケール:青5/赤5】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在する場合に発動できる。そのカードを破壊し、そのカードの同名カード1枚をデッキから手札に加える。

【モンスター効果】

このカードを素材として、「竜剣士」モンスター以外の融合・S・Xモンスターを特殊召喚する事はできない。

 

 ペンデュラムゾーンにペンデュラムモンスターを発動しても魔法カードを発動したことになるので、魔力カウンターが溜まるってのは、初めて知った時に困惑した記憶があるな。

 基本的に、魔力カウンターを扱うデッキはやれることが多すぎて複雑で自身で使うのも相手に回すのも苦手だ。OCG次元に居た頃も何となく使用を避けてた記憶がある。

 

「アタシは【竜剣士ラスターP】のペンデュラム効果を発動!ペンデュラムゾーンの【マジカル・アブダクター】を破壊してデッキから【マジカル・アブダクター】を手札に加える!」

開花 手札:4→5枚。

 

「もう一度アタシは手札から【マジカル・アブダクター】をペンデュラムスケールにセッティング!」

開花 手札:5→4枚。Pスケール:3-5

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:3→4

 

「ここでアタシはペンデュラム召喚を行うよ!エクストラデッキから【マジカル・アブダクター】、手札から【王立魔法図書館】をペンデュラム召喚!」

開花 手札:4→3枚。

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1700

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

 

【王立魔法図書館】

効果モンスター

星4/光属性/魔法使い族/攻 0/守2000

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。

(2):このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「アタシは手札から魔法カード【成金ゴブリン】を発動!デッキから1ドロー!その代わり、君のライフは1000LP回復するよ!」

開花 手札:3→4枚。

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:0→1

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:0→1

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:4→5

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1700→1800

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

 

【成金ゴブリン】

通常魔法

(1):自分はデッキから1枚ドローする。

その後、相手は1000LP回復する。

 

「アタシは手札から【見習い魔術師】を召喚して効果発動!【王立魔法図書館】に魔力カウンターを1つ置くよ!」

開花 手札:4→3枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1800

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

見習い魔術師 ★2 ATK400

 

【見習い魔術師】

果モンスター

星2/闇属性/魔法使い族/攻 400/守 800

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドの魔力カウンターを置く事ができるカード1枚を対象として発動する。そのカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):このカードが戦闘で破壊された時に発動できる。デッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を裏側守備表示で特殊召喚する。

 

「アタシは手札から装備魔法【ワンダー・ワンド】を発動して【見習い魔術師】に装備するよ!」

開花 手札:3→2枚。装備魔法:0→1枚

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:1→2

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:1→2

王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:5→6

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1800→1900

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

見習い魔術師 ★2 ATK400→900

 

【ワンダー・ワンド】

装備魔法

魔法使い族モンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):装備モンスターとこのカードを自分フィールドから墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「アタシは【王立魔法図書館】の魔力カウンターを3つ取り除いて効果発動!デッキから1ドロー!」

開花 手札:2→3枚。

王立魔法図書館 魔力カウンター:3→0

 

「更にアタシは【ワンダー・ワンド】の装備モンスターとこのカードを墓地へ送って効果発動!デッキから2ドロー!…良し」

開花 手札:3→5枚。装備魔法:1→0枚

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1900

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

 

「準備万端!【魔法都市エンディミオン】の魔力カウンターを6つ取り除いて効果発動!手札から【神聖魔導王 エンディミオン】を特殊召喚するよ!」

開花 手札:5→4枚。

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1900

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

【神聖魔導王 エンディミオン】

効果モンスター

星7/闇属性/魔法使い族/攻2700/守1700

(1):このカードは自分フィールドの「魔法都市エンディミオン」に置かれている魔力カウンターを6つ取り除き、手札・墓地から特殊召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動する。そのカードを手札に加える。

(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨て、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「【神聖魔導王 エンディミオン】の特殊召喚成功時、墓地の【ワンダー・ワンド】を回収するよ!」

開花 手札:4→5枚。

 

「アタシは手札から装備魔法【ワンダー・ワンド】を発動して【マジカル・アブダクター】に装備するよ!」

開花 手札:5→4枚。装備魔法:0→1枚

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:2→3

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:2→3

王立魔法図書館 魔力カウンター:0→1

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:0→1

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK1900→2000→2500

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

「アタシはフィールドの【マジカル・アブダクター】の魔力カウンターを3つ取り除いて効果発動!デッキから【エフェクト・ヴェーラー】を手札に加える!」

開花 手札:4→5枚。

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:3→0

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2500→2200

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

「アタシはカードを2枚セットしてターンエンド!」

開花 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆嶺開花 LP:4000、手札:3枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚、装備魔法:1枚。Pスケール:3-5

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2200

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:3

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:0

王立魔法図書館 魔力カウンター:1

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:1

 

 

 アイツ、一人でやってんよ~。いやいや、デッキ回りすぎじゃね?ガン伏せとかマジかよ。

 ストラクで強化された【エンディミオン】カードをほぼ使わずにここまでの動きをするとか…【魔力カウンター】ってこんなデッキ回るもんなの?

 

 豊富なドローソースで手札を確保しつつ、【神聖魔導王 エンディミオン】の効果コストを確保したり【魔法都市エンディミオン】の魔力カウンターを貯めたりするんだろうな。

 ドローソースは魔法カードを重視してそうだから魔導書辺りもデッキに入ってるんだろうな。

 

 手札3枚のうち2枚は【魔力掌握】と【エフェクト・ヴェーラー】で確定だったはず。…合ってるよな?

 それならやりようはある、かな。

 

 いやはや、こっちもそれなりのデッキを持ってきておいて正解だったな。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺はエクストラデッキから6枚裏側表示で除外して手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!デッキから2ドロー!」

クロト 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で金満な壺】

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。

除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:3→4

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:0→1

王立魔法図書館 魔力カウンター:1→2

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:1→2

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2200→2300

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

「…」

 

 今、伏せカードを確認したな。つまり、魔法カードを防ぐカードを持っているわけか。

 こちらのドローカードを止めてこない理由は分からんが、とりあえずは…。

 

「俺は手札から速攻魔法【魔法効果の矢】を発動!そちらの表側魔法カードを根こそぎ割らせてもらうぞ!」

クロト 手札:7→6枚。

 

【魔法効果の矢】

速攻魔法

(1):相手フィールドの表側表示の魔法カードを全て破壊し、破壊した数×500ダメージを相手に与える。

 

「うぇぇ!?…なーんてね!リバースカードオープン!カウンター罠【対抗魔術】発動!【魔法効果の矢】の効果を無効にして破壊するよ!」

開花 伏せカード:2→1枚

マジカル・アブダクター(P) 魔力カウンター:4→2

 

【対抗魔術】

カウンター罠

自分フィールド上に存在する魔力カウンターを2つ取り除いて発動する。魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

 なかなか渋いカウンター罠を使って来るなぁ。あのカードを見ると前世での別のカードゲームを思い出すよな。

 

チェーン②対抗魔術

チェーン①魔法効果の矢 ※効果無効化

 

 さっきの壺の発動を防がなかった理由は、自身のバックカード破壊を防ぐのを優先した為なのかな。

 だが、そっちは囮なんだよなぁ!

 

「まだだ!俺は手札から速攻魔法【揺れる眼差し】を発動!2枚のペンデュラムカードを撃ち抜かせてもらう!」

クロト 手札:6→5枚。

 

【揺れる眼差し】

速攻魔法

(1):お互いのPゾーンのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊したカードの数によって以下の効果を適用する。

●1枚以上:相手に500ダメージを与える。

●2枚以上:デッキからPモンスター1体を手札に加える事ができる。

●3枚以上:フィールドのカード1枚を選んで除外できる。

●4枚:デッキから「揺れる眼差し」1枚を手札に加える事ができる。

 

「嘘!?…仕方ない!リバースカードオープン!永続罠【臨時収入】発動!」

開花 伏せカード:1→0枚、永続罠:0→1枚。

 

【臨時収入】

永続罠

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分のEXデッキにカードが加わる度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。

(2):魔力カウンターが3つ置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

チェーン②臨時収入

チェーン①揺れる眼差し

 

「【揺れる眼差し】で2枚のカードを破壊したことで相手に500LPダメージを与え、デッキから【魔妖仙獣 大刃禍是】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「キャッ!」

開花 LP:4000→3500、Pカード:2→0枚

 

王立魔法図書館 魔力カウンター:2→3

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:1→2

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:2→3→2→4

臨時収入 魔力カウンター:0→2

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2300→2400

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

 【魔法都市エンディミオン】に乗っている魔力カウンターが、破壊した【マジカル・アブダクター】に乗っていた魔力カウンター分を増えてるいるな。

 

「俺は手札から魔法カード【妖仙獣の神颪】を発動!デッキから【妖仙獣 左鎌神柱】【妖仙獣 右鎌神柱】を1枚ずつ選び、自分のPゾーンに置く!」

クロト 手札:6→5枚。Pスケール:3-5

 

【妖仙獣の神颪】

通常魔法

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。このカードの発動後、ターン終了時まで自分は「妖仙獣」モンスターしか特殊召喚できない。

●デッキからレベル5以上の「妖仙獣」モンスター1体を手札に加える。

●デッキから「妖仙獣 左鎌神柱」「妖仙獣 右鎌神柱」を1枚ずつ選び、自分のPゾーンに置く。この効果でPゾーンに置かれたカードは次の相手エンドフェイズに破壊される。

 

【妖仙獣 左鎌神柱】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/岩石族/攻 0/守2100

【Pスケール:青3/赤3】

(1):自分フィールドの「妖仙獣」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカード以外の自分フィールドの「妖仙獣」モンスターを効果の対象にできない。

 

【妖仙獣 右鎌神柱】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/風属性/岩石族/攻 0/守2100

【Pスケール:青5/赤5】

(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「妖仙獣」カードが存在する場合に発動できる。このカードのPスケールはターン終了時まで11になる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「妖仙獣」モンスターしか特殊召喚できない。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の「妖仙獣」モンスターを攻撃対象にできない。

 

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:2→3

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:4→5

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2300→2400

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

「魔法カード1枚でデッキからペンデュラムスケールを揃えたって言うの!?」

 

「俺は手札から【妖仙獣 鎌壱太刀】を召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

妖仙獣 鎌壱太刀 ★4 ATK1600

 

【妖仙獣 鎌壱太刀】

効果モンスター

星4/風属性/獣戦士族/攻1600/守 500

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札から「妖仙獣 鎌壱太刀」以外の「妖仙獣」モンスター1体を召喚する。

(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分フィールドにこのカード以外の「妖仙獣」モンスターが存在する場合に相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。

(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

「【妖仙獣 鎌壱太刀】の召喚成功時に効果発動!手札から【妖仙獣 侍郎風】を召喚する!」

 

「そう好きにはさせないよ!手札から【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に落として効果発動!【妖仙獣 鎌壱太刀】の効果を無効化する!」

開花 手札:3→2枚

 

【エフェクト・ヴェーラー】

チューナー・効果モンスター

星1/光属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。

その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

 

「手札誘発は決して万能じゃないんだぜ!手札から速攻魔法【墓穴の指名者】発動!墓地の【エフェクト・ヴェーラー】を除外して効果を無効にする!」

クロト 手札:4→3枚。

 

「そんな!?」

 

【墓穴の指名者】

速攻魔法

(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。

次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

 

チェーン③墓穴の指名者

チェーン②エフェクト・ヴェーラー ※効果無効化

チェーン①妖仙獣 鎌壱太刀

 

クロト 手札:3→2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

妖仙獣 鎌壱太刀 ★4 ATK1600

妖仙獣 侍郎風 ★4 ATK1700

 

【妖仙獣 侍郎風】

効果モンスター

星4/風属性/獣戦士族/攻1700/守 400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに他の「妖仙獣」カードが存在し、このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「妖仙獣」Pモンスター1体を手札に加える。

(2):自分フィールドの「妖仙獣」カード1枚を対象として発動できる。デッキから「妖仙郷の眩暈風」または「妖仙大旋風」1枚を自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置き、対象のカードを持ち主のデッキに戻す。

(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

マジカル・アブダクター(フ) 魔力カウンター:3→4

魔法都市エンディミオン 魔力カウンター:5→6

 

<嶺開花のフィールド>

マジカル・アブダクター ★4 ATK2400→2500

王立魔法図書館 ★4 DEF2000

神聖魔導王 エンディミオン ★7 ATK2700

 

「【妖仙獣 侍郎風】の召喚成功時に効果発動!デッキから【魔妖仙獣 独眼群主】を手札に加える!」

クロト 手札:2→3枚。

 

「【妖仙獣 鎌壱太刀】の更なる効果発動!対象はフィールド魔法【魔法都市エンディミオン】!さぁ、手札に戻してもらおう!」

 

「むぅ」

開花 手札:2→3枚。フィールド魔法:1→0枚

 

 【妖仙獣 侍郎風】の効果は…手札の【妖仙獣の風祀り】のこともあるし、メインフェイズ2で良いか?

 メインフェイズ2が来ればの話だけどね?

 

「【妖仙獣 右鎌神柱】のペンデュラム効果発動!Pスケールを11にする!」

クロト Pスケール:3-11

 

「そしてペンデュラム召喚!手札より現れよ!【魔妖仙獣 大刃禍是】、【魔妖仙獣 独眼群主】!」

クロト 手札:3→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

妖仙獣 鎌壱太刀 ★4 ATK1600

妖仙獣 侍郎風 ★4 ATK1700

魔妖仙獣 大刃禍是 ★10 ATK3000

魔妖仙獣 独眼群主 ★10 ATK2000

 

【魔妖仙獣 大刃禍是】

ペンデュラム・効果モンスター

星10/風属性/獣族/攻3000/守 300

【Pスケール:青7/赤7】

(1):自分フィールドの「妖仙獣」モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで300アップする。

【モンスター効果】

このカードはP召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードのP召喚は無効化されない。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。

(3):このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

【魔妖仙獣 独眼群主】

ペンデュラム・効果モンスター

星10/風属性/獣族/攻2000/守3000

【Pスケール:青3/赤3】

このカード名の(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のPゾーンの「妖仙獣」カード1枚を対象として発動できる。そのPスケールはターン終了時まで11になる。このターン、自分は「妖仙獣」モンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分エンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

【モンスター効果】

このカードはP召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在し、自分のカードの効果によって、このカード以外のフィールドのカードが手札・デッキに戻る度に発動する。自分フィールドの全ての「妖仙獣」モンスターの攻撃力は500アップする。

(3):このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。

 

「【魔妖仙獣 大刃禍是】の効果発動!対象は【神聖魔導王 エンディミオン】と【マジカル・アブダクター】!それらを手札バウンスだ!」

 

「更に【魔妖仙獣 独眼群主】の効果発動!対象は【王立魔法図書館】!こちらも手札バウンスだ!」

 

チェーン②魔妖仙獣 独眼群主

チェーン①魔妖仙獣 大刃禍是

 

<嶺開花のフィールド>

モンスター無し

 

開花 手札:3→4→6枚。装備魔法:1→0枚。

 

<嶺開花のフィールド>

モンスター無し

 

「フィールドのカードがバウンスされたことで【魔妖仙獣 独眼群主】の効果発動!自分フィールドの全ての「妖仙獣」モンスターの攻撃力は500アップする!」

 

<白河クロトのフィールド>

妖仙獣 鎌壱太刀 ★4 ATK1600→2100→2600

妖仙獣 侍郎風 ★4 ATK1700→2200→2700

魔妖仙獣 大刃禍是 ★10 ATK3000→3500→4000

魔妖仙獣 独眼群主 ★10 ATK2000→2500→3000

 

「バトルフェイズに移行する!【魔妖仙獣 大刃禍是】でダイレクトアタック!」

 

魔妖仙獣 大刃禍是 ATK4000

 

「キャァァァァァッ!」

開花 LP:3500→0

 

 

「対戦、ありがとうございました」

「ま、負けたぁ。…対戦、ありがとうございました」

 

~~~

 

「やっぱり強いね白河君。でも、アタシは諦めないからね!」

 

 嶺開花は悔しそうにしながらも爽やかにそう言い残して、GXメダルを俺に手渡した後、試験コートを立ち去って行った。

 負けても恨み言を言わないコミュ力の高さ、羨ましいね。それは別にいいんだけどさぁ…。

 

『なにやってんだよ、白河ぁぁぁ!』

『消えろイレギュラー!』

『感情を処理できん人類は、ゴミだと教えたはずだがな…!』

『お前には失望した。もう期待はしない』

『お前を殺す』

『フン!役立たずめ』

『おい、デュエルしろよ』

『よぅ、お前は満足か、こんな世界で。俺は嫌だね』

『オレとデュエルしろぉぉぉ!』

 

 ついでにそのコミュ力でこの空気を何とかしていって欲しかったなぁ!

 ヒートアップしすぎてなんか変なの混じってるしさぁ。どうしよこの空気。

 

「…」

 

 銀髪ツインテさんの眼からは『やるやん、お前ぇ!』的な何かを感じるのが多少の救いだな。

 そんなにアイドルが嫌だったのか…。元が良いからアイドル衣装も似合うと思うけどなぁ。

 

 ともかく、言われっぱなしはなんかムカつくし、観客席でブーイングしてきている連中に何か言い返そう。

 何かいい語録は無いものか…。良し、これで行こう。

 

「やめてよね。本気でデュエルしたら、お前らが束になっても俺に敵うはずないだろ?」

 

 インチキパワーカードばかりを使う俺に正面から挑んで来た彼女や他のデュエリスト達と違って、外野でキャンキャン吠えてるだけの負け犬どもにはこれくらいのセリフでちょうど良いだろう。

 

 数秒後、観客席はより盛り上がったようだったが、俺は気にせずその場を後にした。




嶺開花のデッキは【魔力カウンター】で、その中でも【神聖魔導王 エンディミオン】と【魔法都市エンディミオン】を軸にした型です。チューナーとシンクロモンスターも入っていましたが、今回は登場しませんでした。近年では【魔導獣】や【エンデュミオン】のようにより強力なカードが増えていますので、次の機会があればもう少し強くなるかと思います。

クロトのデッキは【妖仙獣】です。アークファイブのメインキャラ?の沢渡シンゴが舞網チャンピオンシップにて使用したカード群で、風属性で統一されています。多くのモンスターが召喚(特殊召喚)に成功時の効果を持ち、また召喚(特殊召喚)したターンのエンドフェイズに手札に戻るというスピリットに似た特性を持っています。最近はデュエルリンクスにも実装され始めましたね。

次回の更新は10月中の見込みです。

信州そば様、戦車様、城井智冴様、エスカリボルグ様、Skazka Priskazka様、gsころりん様、戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百三十九話 属性デッキ六人衆2

前回のあらすじ:アイドルは人気。

今回のデュエルは三沢と属性デッキ六人衆と因縁?のデュエルとなります。


 実技試験終了後、観客を煽りまくったせいでそのまま観客席に戻りづらくなった俺は、会場を出たふりをしながら精霊の力で姿を隠し、こっそり観客席に戻って月一テストの様子を眺めていた。

 コナミやレインは一度だけちらりとこちらに視線を送って来たため、彼らには俺の位置がバレていそうだが特に問題は無いだろう。

 

「やれ、【光神機-轟龍】!オシリスレッドの雑魚モンスター、【ダーク・キメラ】に攻撃しろ!」

 

「うわぁぁぁっ!」

オシリスレッド LP:1100→0

 

 あっ、何処かで見たことある顔だと思ったら、今負けたオシリスレッドの生徒って少し前に俺に挑んで来たコピーカード使いの奴じゃん。

 流石にコピーカードの【インヴェルズ】は没収されたみたいだな。恐らく学校側から他にも何らかのペナルティは受けただろうけど、退学や停学は免れたみたいだな。

 

「くそっ!レアカードがあれば…!」

 

 敗北者たるオシリスレッドの生徒は握りしめた拳を地面に叩きつけ、勝者たるオベリスクブルーの生徒を睨みつけている。

 

「ふん、見苦しい言い訳をしやがって。口ほどにも無い。以前、オベリスクブルーの生徒に勝ったのはマグレだったようだな。ハハハハハッ!」

 

 オシリスレッドの生徒の視線を受けたオベリスクブルーの生徒は、高笑いして肩を怒らせながら歩き去っていった。

 

 俺が言えた義理じゃないが、デュエルアカデミアの生徒って民度低い奴多いよな。

 いや、遊戯王アニメのモブはそこそこの確率で性格悪いか。マシなのはZEXAL第一期くらいだった気がする。

 

「レアカードさえあればあんな奴に負けなかったのに…!」

 

 残されたオシリスレッドの生徒も、ブツブツと恨み言を呟きながらも観客席へと戻っていった。

 

 確か、弱者が強者に対して「憤り・怨恨・憎悪・非難」の感情を持つことをルサンチマンと呼ぶんだったか。

 ああいう感情がこの世界ではいわゆる人の心の闇と言うもので、ダークネス事件が発生する原因になっていくんだろうな。

 

 それにしても、先日は知ったことかと突き放したけれど、メインデッキに【ダーク・キメラ】辺りが入っているレベルとなると少々同情してしまいそうになるな。

 『この世に使えないカードなんて無い!』なんてセリフがあるけれど、一部にはどうしようもないカードもあると思うんだよね。

 レベル5通常モンスターサポートみたいなピンポイントなカードが出たらそこそこ救われるカードがありそうかな。

 

~~~

 

『オベリスクブルー所属の三沢大地君、オベリスクブルー所属の温田熱巳君。試験コートへお入り下さい』

 

 そろそろ残りの実技試験の終わりそうになった頃、三沢の名前が呼ばれたようだ。

 少し待つと試験コートに三沢とオベリスクブルーの生徒が現れて挨拶を交わしている。

 おや、相手のあの暑苦しそうな男は確か…。

 

「三沢大地だ。よろしく頼む」

「オレ様は属性デッキ六人衆一人!名は温田熱巳!オレ様のデッキはもちろん、燃え盛る炎を秘める炎属性だ!」

 

 そうそう。属性デッキ六人衆の一人だったな。

 他の属性デッキ使いと同じく、炎属性を強化する【バーニングブラッド】を使って殴って来るだけだがシンプルにそこそこ強かった奴だ。

 

「ふっ、ならばオレも、侵略することすること火の如く!炎属性のデッキで挑ませて貰おうか!」

「命知らずのアツい奴だな!受けて立つぜ!」

 

 三沢の炎デッキとなると、アレか。

 アニメのドラゴンは結局使ってくれなかったなぁ。ウォータードラゴンの属性違いとかでもいいから見たかったぜ。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆三沢大地 LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆温田熱巳 LP:4000 手札:5枚。

 

 

「先攻はオレ様が貰うぞ!オレ様のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

温田熱巳 手札:5→6枚。

 

「オレ様は1000LPを払って手札から魔法カード【簡易融合】を発動するぜ!このカードでエクストラデッキから【炎の騎士 キラー】を呼び出す!」

温田熱巳 LP:4000→3000、手札:6→5枚。

 

【簡易融合】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):1000LPを払って発動できる。

レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

 

<温田熱巳のフィールド>

炎の騎士 キラー ★3 DEF800

 

【炎の騎士 キラー】

融合モンスター

星3/炎属性/炎族/攻1100/守 800

「モンスター・エッグ」+「スティング」

 

「続いてオレ様は手札からチューナーモンスター【フレムベル・アーチャー】を召喚!」

温田熱巳 手札:5→4枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

炎の騎士 キラー ★3 DEF800

フレムベル・アーチャー ★3 ATK1000

 

【フレムベル・アーチャー】

チューナー(効果モンスター)

星3/炎属性/炎族/攻1000/守 200

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する炎族モンスター1体をリリースして発動できる。

フィールド上の全ての「フレムベル」と名のついたモンスターの攻撃力は、エンドフェイズ時まで800ポイントアップする。

 

 合計レベルは6。【フレムベル】デッキの様だし、出てくるのはきっと…。

 

「オレ様はレベル3【炎の騎士 キラー】にレベル3【フレムベル・アーチャー】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル6!【フレムベル・ウルキサス】!」

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK2100

 

【フレムベル・ウルキサス】

シンクロ・効果モンスター

星6/炎属性/炎族/攻2100/守 400

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

また、このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。

 

 懐かしいな。ゴヨウとブリューナグが御用された後のレベル6シンクロの候補の1体として時々使われていたモンスターだな。せめて守備力が200ならまだ活躍できる機会があったと思うんだけどね…。

 

「そしてオレ様は手札からフィールド魔法【バーニングブラッド】を発動するぜ!」

温田熱巳 手札:6→5枚。

 

【バーニングブラッド】

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在する炎属性モンスターの攻撃力は500ポイントアップし、守備力は400ポイントダウンする。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK2100→2600

 

「オレ様はカードを2枚セットしてターンエンド!」

温田熱巳 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆三沢大地 LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆温田熱巳 LP:3000 手札:2枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK2600

 

 

 【フレムベル・ウルキサス】には守備表示モンスターに対しての貫通効果と戦闘破壊した後に攻撃力が上がる効果を持っている。

 更に【バーニングブラッド】の効果で炎属性モンスターの攻撃力は上がって守備力は下がるわけだ。

 

 炎属性デッキ同士のミラーマッチでも悪くはない感じの戦略ではあるのかも。

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「オレは手札からフィールド魔法【炎王の孤島】を発動!」

三沢 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【炎王の孤島】

フィールド魔法

「炎王の孤島」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分メインフェイズにこの効果を発動できる。自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、デッキから「炎王」モンスター1体を手札に加える。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこの効果を発動できる。手札の鳥獣族・炎属性モンスター1体を特殊召喚する。

(3):フィールドゾーンの表側表示のこのカードが、墓地へ送られた場合または除外された場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

「そして【炎王の孤島】の効果発動!手札の【炎王獣 バロン】を破壊し、デッキから【炎王獣 ヤクシャ】を手札に加える!」

三沢 手札:5→4→5枚。

 

「オレは手札から【熱血獣士ウルフバーク】を召喚!」

三沢 手札:5→4枚。

 

<三沢大地のフィールド>

熱血獣士ウルフバーク ★4 ATK1600→2100

 

【熱血獣士ウルフバーク】

効果モンスター

星4/炎属性/獣戦士族/攻1600/守1200

「熱血獣士ウルフバーク」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地の獣戦士族・炎属性・レベル4モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

 ン熱血指導だァ!

 

「【熱血獣士ウルフバーク】の効果発動!墓地の【炎王獣 バロン】を守備表示で特殊召喚する!」

三沢 手札:5→4枚。

 

<三沢大地のフィールド>

熱血獣士ウルフバーク ★4 ATK2100

炎王獣 バロン ★4 DEF200→0

 

【炎王獣 バロン】

効果モンスター

星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 200

自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。

また、このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時に発動する。デッキから「炎王獣 バロン」以外の「炎王」と名のついたカード1枚を手札に加える。

 

 ン熱血効果発動ゥ!…そろそろ止めよう。

 

 レベル4のモンスターが2体。このデッキなら出てくるとすれば【魁炎星王-ソウコ】、【武神帝-カグツチ】、あるいは…。

 

「オレはレベル4【熱血獣士ウルフバーク】と【炎王獣 バロン】の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!出でよ、ランク4!【恐牙狼 ダイヤウルフ】!」

 

<三沢大地のフィールド>

恐牙狼 ダイヤウルフ ☆4 ATK2000 ORU:2

 

【恐牙狼 ダイヤウルフ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣族/攻2000/守1200

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体とフィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「オレは手札から永続魔法【補給部隊】を発動!」

三沢 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【補給部隊】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「オレは【恐牙狼 ダイヤウルフ】のORUを1つ取り除いて効果発動!自身とそちらの伏せカードを対象とし、それらを破壊する!」

恐牙狼 ダイヤウルフ ORU:2→1

 

「ならばオレ様はその効果にチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【蛮勇鱗粉】を発動するぜ!対象は【フレムベル・ウルキサス】だ!攻撃力1000アップ!」

温田熱巳 伏せカード:2→1枚

 

【蛮勇鱗粉】

速攻魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

選択したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップし、このターン相手プレイヤーに直接攻撃できない。

このターンのエンドフェイズ時、選択したモンスターの攻撃力は2000ポイントダウンする。

 

チェーン②蛮勇鱗粉

チェーン①恐牙狼 ダイヤウルフ

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK2600→3600

 

<三沢大地のフィールド>

モンスター無し

 

「躱されたか。だがそのくらいは想定内さ。オレは【補給部隊】の効果によりデッキから1ドロー」

三沢 手札:3→4枚。

 

「そして手札から魔法カード【炎王の急襲】を発動!デッキから【炎王神獣 ガルドニクス】を特殊召喚する!」

 

【炎王の急襲】

通常魔法

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。

「炎王の急襲」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

<三沢大地のフィールド>

炎王神獣 ガルドニクス ★8 ATK2700→3200

 

【炎王神獣 ガルドニクス】

効果モンスター

星8/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700

このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。

また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の「炎王」と名のついたモンスター1体を特殊召喚できる。

 

 出てきたな、ガルドニクス。

 

「惜しかったな!そのモンスターじゃ今の【フレムベル・ウルキサス】に及ばないぜ!」

 

「ふっ、オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

三沢 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

「エンドフェイズに入る。特殊召喚された【炎王神獣 ガルドニクス】は【炎王の急襲】の効果により破壊される」

 

<三沢大地のフィールド>

モンスター無し

 

「同じくエンドフェイズにオレ様の【フレムベル・ウルキサス】も【蛮勇鱗粉】の効果により攻撃力が2000ダウンだ」

温田熱巳 伏せカード:1→0枚

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK3600→1600

 

 

◆三沢大地 LP:4000 手札:2枚。伏せカード:2枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆温田熱巳 LP:3000 手札:1枚。伏せカード:1枚。フィールド魔法:1枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK1600

 

 

 さぁ、ここからが【炎王】デッキの厄介なところだ。

 

「先攻はオレ様が貰うぞ!オレ様のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

温田熱巳 手札:1→2枚。

 

「おっと、スタンバイフェイズに前のターンで破壊された【炎王神獣 ガルドニクス】と【炎王獣 バロン】の効果を発動させて貰おうか!」

 

 【炎王神獣 ガルドニクス】の効果は墓地から特殊召喚し、この効果で特殊召喚に成功した時にこのカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。

 【炎王獣 バロン】の効果はデッキから「炎王獣 バロン」以外の「炎王」と名のついたカード1枚を手札に加える。

 

「やらせねーよ!その効果にチェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【禁じられた聖衣】を発動するぜ!対象は【フレムベル・ウルキサス】だ!これで破壊は免れたぜ!」

温田熱巳 伏せカード:1→0枚。

 

 チェーン③禁じられた聖衣

 チェーン②炎王獣 バロン

 チェーン①炎王神獣 ガルドニクス

 

【禁じられた聖衣】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。

ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が600ダウンし、効果の対象にならず、効果では破壊されない。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK1600→1000

 

「破壊された【炎王獣 バロン】の効果によりデッキから【炎王獣 ヤクシャ】を手札に加える!」

三沢 手札:2→3枚。

 

<三沢大地のフィールド>

炎王神獣 ガルドニクス ★8 ATK2700→3200

 

「メインフェイズに移行!オレ様は手札から【フレムベル・ヘルドッグ】を召喚!」

温田熱巳 手札:2→1枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK1000

フレムベル・ヘルドッグ ★4 ATK1900→2400

 

【フレムベル・ヘルドッグ】

効果モンスター

星4/炎属性/獣族/攻1900/守 200

(1):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。

デッキから「フレムベル・ヘルドッグ」以外の守備力200以下の炎属性モンスター1体を特殊召喚する。

 

 【フレムベル・ヘルドッグ】。【フレムベル・パウン】や【フレムベル・マジカル】などと同じく【フレムベル】デッキのキーカードだ。他の炎属性デッキでも時々見かけるな。

 

「バトルだ!【フレムベル・ヘルドッグ】で【炎王神獣 ガルドニクス】に攻撃!」

 

フレムベル・ヘルドッグ ATK2400

vs

炎王神獣 ガルドニクス ATK3200

 

 ガルドニクスより攻撃力の低いモンスターで攻撃するだって!?なんてセリフが会場の一部からは聞こえる。

 騒いでいない他の人間は、温田が今までの使用してきたカードから、彼がこの状況で使えそうな最後の手札に察しがついたんだろう。

 

「リバースカードオープン!永続罠【バックファイア】発動!」

三沢 伏せカード:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

【バックファイア】

永続罠

(1):自分フィールドの表側表示の炎属性モンスターが破壊され墓地へ送られる度に発動する。相手に500ダメージを与える。

 

「それがどうした!ダメージステップ時に手札から速攻魔法【収縮】を発動!【炎王神獣 ガルドニクス】の元々の攻撃力を半減させる!」

温田熱巳 手札:1→0枚。

 

【収縮】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで半分になる。

 

フレムベル・ヘルドッグ ATK2400

vs

炎王神獣 ガルドニクス ATK3200→1850 ※戦闘破壊

 

「ぐぅっ!」

三沢 LP:4000→3450

 

「この瞬間、【フレムベル・ヘルドッグ】の効果発動!デッキから【フレムベル・ベビー】を特殊召喚するぜ!」

 

「オレも【補給部隊】、【バックファイア】、【炎王神獣 ガルドニクス】の効果を使うぜ!」

 

チェーン④炎王神獣 ガルドニクス

チェーン③バックファイア

チェーン②補給部隊

チェーン①フレムベル・ヘルドッグ

 

「【炎王神獣 ガルドニクス】の効果でデッキから【炎王獣 ガネーシャ】を特殊召喚する!」

 

<三沢大地のフィールド>

炎王獣 ガネーシャ ★4 ATK1800→2300

 

【炎王獣 ガネーシャ】

効果モンスター

星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールドに存在し、モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし、このカード以外の自分の手札・フィールドの炎属性モンスター1体を選んで破壊する。

(2):このカードが破壊され墓地へ送られた場合、「炎王獣 ガネーシャ」以外の自分の墓地の炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。その特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに破壊される。

 

「【バックファイア】の効果により500LPダメージを与える!」

 

「ぐおぉぉっ!」

温田熱巳 LP:3000→2500

 

「【補給部隊】の効果でデッキから1ドロー!」

三沢 手札:3→4枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ウルキサス ★6 ATK1000

フレムベル・ヘルドッグ ★4 ATK2400

フレムベル・ベビー ★1 ATK800→1300 ※チューナー

 

【フレムベル・ベビー】

チューナー(効果モンスター)

星1/炎属性/炎族/攻 800/守 200

自分のメインフェイズ時にこのカードを手札から墓地へ送って発動できる。

自分フィールド上の炎属性モンスター1体を選択して攻撃力を400ポイントアップする。

 

「メインフェイズ2に移行」

 

「オレ様はレベル6【フレムベル・ウルキサス】にレベル1【フレムベル・ベビー】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル7!【エンシェント・ゴッド・フレムベル】!」

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ヘルドッグ ★4 ATK2400

エンシェント・ゴッド・フレムベル ★7 ATK2500→3000

 

【エンシェント・ゴッド・フレムベル】

シンクロ・効果モンスター

星7/炎属性/炎族/攻2500/守 200

炎属性チューナー+チューナー以外の炎族モンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、相手の手札の枚数分まで相手の墓地のカードを選択してゲームから除外する。

このカードの攻撃力は、この効果で除外したカードの数×200ポイントアップする。

 

「【エンシェント・ゴッド・フレムベル】のシンクロ召喚成功時の効果は…止めておくか」

 

 もし仮に【エンシェント・ゴッド・フレムベル】の効果を発動していたら【炎王獣 ガネーシャ】に発動を止められた上に更なる効果を使用されてしまうだろうからな。

 

「ターンエンドだ」

 

「ならエンドフェイズ前にリバースカードオープン!罠カード【ジェネレーション・チェンジ】発動!」

三沢 伏せカード:1→0枚。

 

【ジェネレーション・チェンジ】

通常罠

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。

その後、デッキから破壊したカードと同名のカード1枚を手札に加える。

 

「ここで罠カードだと?」

 

「【炎王獣 ガネーシャ】を破壊し、デッキから同名カードを手札に加える!」

三沢 手札:4→5枚。

 

<三沢大地のフィールド>

モンスター無し

 

「破壊されたことで【バックファイア】の効果が発生するぜ」

「更に破壊された【炎王獣 ガネーシャ】も効果発動!墓地から【炎王神獣 ガルドニクス】を特殊召喚する!」

 

チェーン②炎王獣 ガネーシャ

チェーン①バックファイア

 

<三沢大地のフィールド>

炎王神獣 ガルドニクス ★8 ATK2700→3200

 

「ぬおぉぉっ!」

温田熱巳 LP:2500→2000

 

「そしてエンドフェイズ。【炎王獣 ガネーシャ】の効果で特殊召喚された【炎王神獣 ガルドニクス】は効果破壊される」

 

<三沢大地のフィールド>

モンスター無し

 

「あっ」

 

 あっ(察し)。

 

「そして破壊されたことで【バックファイア】の効果ダメージだ!」

 

「おぉぉっ!」

温田熱巳 LP:2000→1500

 

「更にフィールドの「炎王」モンスターが破壊されたことで【炎王獣 ヤクシャ】を特殊召喚!」

三沢 手札:5→4枚。

 

<三沢大地のフィールド>

炎王獣 ヤクシャ ★4 ATK1800→2300

 

【炎王獣 ヤクシャ】

効果モンスター

星4/炎属性/獣戦士族/攻1800/守 200

自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。

また、このカードが破壊され墓地へ送られた場合、自分の手札・フィールド上のカード1枚を選んで破壊できる。「炎王獣 ヤクシャ」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「同じく、フィールドの「炎王」モンスターが破壊されたことで【炎王獣 キリン】を特殊召喚!」

三沢 手札:4→3枚。

 

<三沢大地のフィールド>

炎王獣 ヤクシャ ★4 ATK2300

炎王獣 キリン ★3 DEF200→0

 

【炎王獣 キリン】

効果モンスター

星3/炎属性/獣族/攻1000/守 200

自分フィールド上に表側表示で存在する「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、このカードを手札から特殊召喚できる。

また、このカードが破壊され墓地へ送られた場合、デッキから炎属性モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

 

◆三沢大地 LP:4000 手札:3枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<三沢大地のフィールド>

炎王獣 ヤクシャ ★4 ATK2300

炎王獣 キリン ★3 DEF0

 

vs

 

◆温田熱巳 LP:1500 手札:0枚。伏せカード:0枚。フィールド魔法:1枚。

 

<温田熱巳のフィールド>

フレムベル・ヘルドッグ ★4 ATK2400

エンシェント・ゴッド・フレムベル ★7 ATK3000

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズに移行」

三沢 手札:3→4枚。

 

「ここで【炎王神獣 ガルドニクス】の効果発動!墓地から特殊召喚し、このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する!」

 

<三沢大地のフィールド>

炎王神獣 ガルドニクス ★8 ATK2700→3200

 

<温田熱巳のフィールド>

モンスター無し

 

「オレのフィールドの2体のモンスターの効果破壊をトリガーに【補給部隊】、【バックファイア】、【炎王獣 ヤクシャ】、【炎王獣 キリン】の効果が発動する!

 

 チェーン④炎王獣 キリン

 チェーン③炎王獣 ヤクシャ

 チェーン②バックファイア

 チェーン①補給部隊

 

「破壊された【炎王獣 キリン】の効果によりデッキから【ネフティスの鳳凰神】を墓地に送る」

 

「破壊された【炎王獣 ヤクシャ】の効果によりフィールドの【炎王神獣 ガルドニクス】を破壊」

 

「【バックファイア】の効果により500×2体分のダメージを与える」

 

「ぐはっ!」

温田熱巳 LP:1500→1000→500

 

「【補給部隊】の効果によりデッキから1ドロー」

三沢 手札:4→5枚。

 

「最後に、破壊された【炎王神獣 ガルドニクス】の分の【バックファイア】の効果により500ダメージを与える」

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁっ!」

温田熱巳 LP:500→0

 

「よし…まずまず計算通りだった。対戦、ありがとうございました」

「三沢大地…!あっちぃ…! なんてアツい男だ…!チクショウ! オレも…オレも…!こんな男になりてーぜ!」

 

~~~

 

 実技試験が終わり、ラーイエロー寮に戻ってきた俺は、室内のパソコンの電源を入れてデュエルアカデミアの公式HPを確認していた。

 ミスコンの最終選抜の前に投票を行っておくためだ。

 

 ミスコンの最終選抜が始まってしまってもまだ投票していないと、原作の漫画版GXの十代の様に面倒くさそうなトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高い。

 だから事前に投票しておくする必要があるのだ。

 

「あ~、やっぱり事前に言っていた通り、明日香とツァンはミスコンを辞退するのか。もったいないなぁ」

 

 公式HPのミスコン最終ノミネート者が表示されている投票画面では、明日香とツァンの名前の下に『参加辞退』と記載されていた。

 

 明日香は「ミスコン?興味ないわ」なんてクラス1stソルジャーみたいなセリフを言っていたし、ツァンは「大勢の人前に出てニコニコし続けるとか絶対無理!」とか言って顔をタコみたいに真っ赤にしていたからな。

 せっかくだから出ればいいと思うけどねぇ。

 

「明日香もツァンも出ないなら迷うことなく雪乃に投票できるな」

 

 外見だけなら最終ノミネートだけあって全員美人だ。甲乙つけがたい。

 でも、嶺開花とは一度デュエルした仲とはいえそこまで親しくないし、小日向 星華先輩は話したことすらないからな。

 

「あれ?まだファラオは登録状態のままなのか」

 

 ミスコンの参加者である藤原雪乃、嶺開花、小日向星華の名前の横に、レインが票操作して最終ノミネート入りした猫のファラオの名前が載っている。

 もちろん、投票可能だ。

 

「多分この参加者メンバーだと俺の票が無くても雪乃が勝つだろうし、ネタに走ってファラオに投票して見ても面白いかもな」

 

 そう思い、俺はマウスを操作して『ファラオ』の名前をクリックし、猫のファラオに投票した。

 

 きっと俺と同じようにネタに走ってファラオに投票する人も居るだろうから、案外このファラオの存在のおかげでミスコンの結果は全く読めなくなったと思う。

 数日後の結果発表が楽しみになって来たな。




三沢のデッキは【炎王】です。効果破壊をトリガーとして、自身のカードを破壊すると言うなかなか扱いの難しいデッキです。今回は登場しませんでしたが炎属性で守備力200のモンスターが多いので【真炎の爆発】等のサポートも受けられる上、獣族や獣戦士族、鳥獣族が多めなので、【ビースト】の要素を取り入れやすいです。

属性デッキ六人衆の1人である温田熱巳のデッキは【フレムベル】です。【フレムベル・ヘルドッグ】を主軸としたシンクロ召喚・エクシーズ召喚を中心とし、中盤以降は【真炎の爆発】による大量展開を狙うデッキです。

次回の更新は10月中の予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十話 ミス・デュエルアカデミアコンテスト

前回のあらすじ:属性六人衆の再来

今回のデュエルはミスコン参加者たちのデュエルです。


 今日はミスター・デュエルアカデミアコンテストが吹雪さんの優勝で終わった翌日、ミス・デュエルアカデミアコンテストが開催される当日だ。

 昨日に引き続いて授業は午前中で終了し、今は昼休みだ。午後にはコンテスト会場でミスコンが行われる為、ほとんどの生徒がソワソワしているようだった。

 

 そんな中、俺たちは2学期になってから校舎内に新設された共同食堂で昼食を取っている。

 

 三幻魔の事件以降、今まで公になっていなかったアカデミア本校の情報が全世界に拡散し、虐待に近いオシリスレッド生徒の扱いについて日本中から非難が殺到したらしい。

 扱いに差を出してやる気にさせる教育だろうがやりすぎだ!ってさ。その声を受けたのがきっかけで出来た場所の1つがこの共同食堂だ。

 

 内装は殆ど漫画版GXで登場した食堂のようにごく一般的な公立高校の食堂と言った感じだ。

 清潔感のある白を基調とした壁、4人ほどが座れるテーブル、食券と料理を交換するためのカウンター、入り口付近に3台ほどある食券販売機、後は部屋の四隅に観葉植物があるくらいで、実に在り来たりだ。

 

 メニューもシンプルにラーメン、うどん、蕎麦などの麺類に、カレーや丼やおにぎりなどの御飯物、焼きそばパンやサンドイッチなどのパン類、あとは日替わりランチくらいだ。

 学生向けと言うことで質より量、味はそこそこ値段は安めと言ったところだ。

 

 ちなみに購買部からドローパン売り場もこちらに移動しており、時々トメさんやセイコさんもこちらに顔を出すことがある。

 

「美味ぇ!まさか昼にもエビフライ定食が食べられるなんて、幸せだぁ!」

「おっ、確かにこの日替わり定食のエビフライは結構美味いな」

「朝食と夕食は今まで通りの寂しいメニューっスけどね…」

「昼飯だけでもドローパン以外の選択肢が増えただけで嬉しいんだナァ」

 

 十代たちの様子を見ればわかる通り、この共同食堂の登場に一番喜んだのはオシリスレッドの生徒たちだった。

 彼らの寮はまだ寮長ファラオ(猫)、朝食と夕食は御飯とメザシと漬物とみそ汁と言った質素な生活をしているが、昼食だけは食堂により随分改善されている。

 

 デュエルさえすれば手に入るDPを使えばそれなりの昼ごはんにありつけるので、オシリスレッドの生徒のデュエルに対するやる気の改善にも影響しているとかなんとか。

 この食堂の他にも、オシリスレッド寮の改築案なども職員会議で上がっているようなので、彼らの生活水準も少しはマシになるだろう。

 

 その後、十代たちはひとしきり昼食を堪能した後に食堂から退出した。恐らくそのままミスコン会場へ向かうのだろう。

 

 その様子を横目で見届けた後、俺がシャケ入りドローパンを堪能していると、後ろの席の方からミスコンに関する話が聞こえてきた。

 

「お前ら、ミスコンは誰に投票したよ?」

「そりゃ2年連続優勝者の3年生、小日向先輩だろ」

「ボクは1年生の女優の卵、藤原雪乃ちゃんに入れたよ」

「オレは1年生の駆け出しアイドル、嶺開花ちゃんに入れたな。実はファンなんだよね」

 

 どうやらオシリスレッドの2年生たちのようだ。

 この時期のデュエルアカデミアの2年生って影が薄いから居るのに気付かなかったな。

 

「ミスコンか…白河は誰に票を入れたのよ?」

 

 2年生の話を盗み聞きしていると、俺の席の前に座って高菜おにぎりを食べていたツァンが話しかけてきた。

 視線がこちらを向いたかと思えば目があった途端に逸らされた。地味にショックだ。

 

「俺?」

「そう。べ、別に他意は無いわよ?ただ単に好奇心と言うかなんというか…その、ね?」

 

 ね?とか言われても分からん。

 話し終わることには顔を俯かせて喋っていたから、今どんな顔してるか見えないな。

 

「その話なら私も気になりますね」

「そうか?」

 

 ツァンの隣に座ってキツネうどんをちまちま食べていた紬も話に乗って来た。

 何となく紬の横顔を見ていると、最近は以前と比べて顔色が良くなってきており、貧血で倒れることも殆どなくなってきているらしい。

 以前渡したオカルトアイテムの癒し効果が如実に表れてきているようだな。

 

「白河君は特定の誰かに入れ込むことをしなさそうだなと私は思っていますからね」

「そうかな?…そうかも。個人的には人並に恋愛したりイチャイチャしたりしたいとは思ってるんだけどね」

 

 確かにそうかもな。遊戯王の大体の登場人物は1ファンとして好きだし、実際に会ってみて更に好きになったけれど、誰か特定の1人が特に好きってのは無かったかもしれない。

 モニター越しに好きになったアイドルグループに直接会えた時の喜びに似ているんじゃないかと思う。誰か一人の推しがいるわけじゃなく、グループ全体が好きな感じだな。

 

 リアルで直接会うことのある今でもまだ時々彼らのことを架空の人物として見てしまうことがある。

 これは流石にそろそろ直さないといけない俺の悪癖だな。本人たちに失礼過ぎる。

 

「ともかく、投票のことなら俺はファラオに入れたぞ」

「「えっ?」」

 

 俺が票を入れた相手を告げると、目の前の二人はきょとんとした表情になる。ネタに走っただけなんだが、何か不味いことがあるのだろうか?

 

「ファラオって、オシリスレッドの寮長?の猫のことよね?」

「そうそう」

 

 言葉を続けようとすると、顔を上げて不思議そうな顔をしながらツァンが先に言葉を紡いで来た。

 

「ファラオちゃんは確かに数日前までは公式HPに残っていましたが、今はもう消えていて投票できなくなっているはずですよ?」

「マジで?」

「マジで」

 

 どういうことだ?

「状況を面白がったミスコンスタッフがわざと残してたらしいけど、何故か投票数が断トツの1位を記録しちゃったみたいで、止む無く消したってお知らせに書いてね」

 

 2人の言葉を聞いてからスマホで改めてデュエルアカデミア公式HPを確認する。

 すると、HPの画面上に映る最終選考の候補者は雪乃、小日向星華、嶺開花の3人だけになっており、確かにファラオの名前が消えていた。

 

「おぉ、確かに消えてるな。それにしても、まさかあのデブ猫ファラオが1位の輝いてしまうとは…」

 

 何処かの銀髪美少女ならともかく、他の連中は悪乗りしすぎだろ。…俺もそうか。

 そもそもアイツはオスだぞ。ミスコンじゃなかったのか?

 

 あのデブ猫はGXタッグフォース時代では1日1回パートナーの好感度を上げてくれる便利な奴で良くお世話になったな。

 こっちの世界でも俺がクッキーを作っていたらいつの間にか足元に居るから時々ホットミルクをご馳走してやったこともあったな。

 

「でもまぁ、ファラオが一位でもそれはそれで面白そうじゃない?」

「面白そうだけど、色々とダメでしょ」

「確かにかわいい猫ちゃんですけどね」

 

 小日向星華とかブチ切れそうだし、雪乃からも珍しい反応拾えそうじゃん?

 嶺開花?あの子は原作見る限り行動力とメンタルのお化けだから多分表面上は気にしないんじゃないかな?

 

「あれ?それじゃあ俺がファラオに投票した分はどうなるんだ?」

「さぁ?その場合は無効票になるんじゃないの?」

「いえ、最終選考だけは生徒全員が投票する義務があるはずですから、未投票扱いになるのでは?」

 

 公式HPを詳しく見て見ると、確かに俺はまだ投票していない扱いになっていた。

 

「去年のミスコンで未投票だった方は、最終選考のステージに上って皆が注目する中で投票する羽目になったそうですよ」

「あぁ、確か少し前に鮎川先生がそんな話をしてたわね」

 

 うげっ、それってその場でどんな対応してもヘイト買うタイプのパターンじゃ~ん。

 

「あ、あぶねー!聞いててよかったー!」

「もう、しっかりしなさいよね」

「ふふっ」

 

 呆れ顔のツァンと楽しそうな紬の視線を受けながら、スマホを操作して雪乃に投票し直しておいた。

 いやいや、マジで助かったな!危うく漫画版十代みたいに面倒くさい展開に巻き込まれるところだった!

 

「えっ!?ファラオ駄目なの!?」

「マジかよ!」

「オレも投票しちゃってたぞ!?…うわっ、ホントだ!無効票になってる!」

「はやくしろっ!間に合わなくなっても知らんぞーーーっ!!」

 

 俺がスマホを操作し終える頃、周りの連中が騒がしくなっていたが、どうやら俺と同じくファラオに投票したアホどもらしい。

 急いでスマホを操作して別の人間に投票し直しているようだ。皆、考えることは同じだな。

 

~~~

 

 午後となってミス・デュエルアカデミアコンテストが開催されている会場にて、3位の嶺開花に僅差で勝利して同率1位となった藤原雪乃と小日向星華。

 そのまま終われば良かったのだが、残念ながらそうもいかず、事前にファラオに投票して未投票扱いとなっていた生徒が一人いることが判明した。

 

「うだうだ言ってないで早く決めなさい!キミ以外の全生徒は投票したのよ!」

 

 その生徒である遊城十代は、イライラした様子の小日向星華に最後の票を誰に投票するかと問い詰められていた。

 ミスコンの司会進行を務めていた2年生のオベリスクブルー男子はその剣幕にビビッてオロオロしている。

 

「うっ、オレもちゃんとファラオに投票したのに…面倒だなぁ」

 

 問い詰められている十代の表情は、困ったと言うか心底面倒だなとか思っていそうなものだった。

 

 恐らくだが、この世界の十代は、常にユベルと言うヤンデレ爆弾が傍に居るからこの手のイベントで誰かを選ぶとかできなかったのだろう。

 せっかくファラオと言う逃げ道があったのに数日前になっていきなり無効とされ、その告知も無しと来れば理不尽この上ないと思う。

 

『この女、ボクの十代に…!』

『お、落ち着けユベル!?落ち着くんだ!?』

『退いてくれないかネオス?その女を〇せないじゃないか』

『クリクリィ~!?』

 

 そしてそのヤンデレ爆弾も十代が責められている状況を見て、いつ爆発しても不思議じゃないくらいにイライラしている。

 ネオスとハネクリボーが宥めていなければ今頃は怒り爆発して壇上が惨劇になっていたかも知れない。

 

 俺もツァンたちに話を聞いていなかったら今頃この観客席じゃなくてあの壇上に居たわけか?恐ろしや~。

 周囲の人間の何人かも胸に手を置いてほっとしている奴がちらほら見えた。お前らもファラオ投票者か。

 

「あの人、おっかないっスね」

「綺麗な薔薇には棘があるんだナァ」

「何か迷うことあるのか?早く投票すればいいだけだろ?」

 

 いつもなら助けに入りそうな翔や隼人は小日向星華の迫力にビビッて観客席から壇上に上がるのに二の足を踏んでおり、動く気配がない。

 変なところで鈍いところのあるコナミは、ユベルたちのやり取りが見ている割にはあまり現状を把握できていないようだった。

 

「ふぅ、辞退しておいてよかったわ」

「え~、せっかくアスリンが皆に注目されるチャンスだったのに。もったいない」

「兄さん、アスリンは止めて」

 

 明日香も辞退した手前、壇上に上がって仲裁するのは気が引けているらしく、助けに入る様子はない。

 その隣にいる吹雪さんは小日向星華とは中学校からの同級生だったらしく、元々その気性を知っていた為かあまり緊迫感を感じていないようだ。

 

「あぁ、もう。どうしてこんなことに…」

 

 壇上で頭を抱えてぼやき始めた小日向星華としても、一度は猫のファラオに負けたことがそこそこショックだったらしい。

 そしてせっかくそれが解決して同率とはいえ3年連続1位で気持ちよく終われそうだったのに、あと1票残っていると言われてイライラしているようだ。

 

 ミスコンが始まったばかりの頃はニコニコと愛想笑いをしていたが、化けの皮が剥がれて生来の気性の荒さが表面化している。

 ただ、本人は隠しているつもりらしいその気性の荒さは実は学園中ではそこそこ有名であり、そもそも『そこがいい!』と言う人間が投票していることが多いらしい。

 美人でプライド高く、クールに見えて実は熱くなりやすいと言う人間味がある感じが受けたのだろう。多分ね。

 

 十代にも小日向にも同情はするけど、助けに行ってはやれないな。俺も巻き込まれたくないからね。

 

「ねぇボウヤ。貴方はどちらに投票することになっても気にしない、と言う認識で良いのよね?」

「えっ、あぁ、そうだな」

 

 話がまとまらない中、それまでのんびりと事態を静観していた雪乃が動いた。

 なにやら十代と話しているが、あの表情は…悪い顔してんなぁ。美人がああいうのをやると迫力あるわ。

 

「小日向先輩、そのボウヤの1票を掛けて私とデュエルしない?」

「はぁ?何を言っているの?」

 

 突然の提案に小日向星華は困惑しているようだ。先ほどから棒立ちのままのミスコン司会者たちも同様だ。

 

「このデュエルアカデミアでは、あらゆる称号はデュエルで勝ち取る物、そうでしょう?」

「フン、いいわ…そのデュエル、受けてあげる!」

 

 う~ん、このデュエル脳。小日向星華はそこまでデュエルに固執する性格じゃなかったと思うんだが…。

 考えられる要因としては、漫画版よりも遥かにオベリスクブルー女子の質が上がっているから、生来のプライドの高さを刺激された感じかな?

 

~~~

 

 流石にミスコン会場でデュエルするのは狭すぎるとのことなので、2人のデュエルは実技試験でお馴染みの試験コートにて行われることになった。

 急遽ミスコンのイベントスタッフたちがアカデミアの教師陣からデュエルリングの使用許可を得てきたのだ。

 

 ミスコン会場でデュエルを行うことが決まってからこの会場でデュエルが開始されようとしているまでの時間は約2時間、イベントスタッフ有能すぎる。

 

「小日向、君が本気デュエルしようとするなんて珍しいな」

「フン、ちょっとした心境の変化よ。後輩にあんなこと言われて引き下がるのは気に入らないってだけ」

 

「そんな怖い顔をしないでもっと楽しくデュエルしようよ!さぁ笑って笑って!」

「天上院、アンタは2年くらい行方不明になっていたらしいくせにホントに変わらないわね」

 

「君も入学時からその性格は変わらないよね」

「藤原、逆にアンタはいい結構変わったわね。入学した当初は時々陰気な感じだったのに、今じゃ憑き物が落ちたかのようにスッキリした顔をしてるわ」

「えっ、そうかい?」

「何があったか知らないけど、良かったわね」

「うん…そうだね」

 

 会場の選手控えエリアでは、小日向に話しかけている亮さん、吹雪さん、藤原先輩の姿があった。

 吹雪さんと藤原先輩はダークネス事件のせいで学年が違うが、あの様子を見る限りだと元々はアカデミアの三天才とオベリスクブルーの成績上位者として交流があったんだろうな。

 

 雪乃の方も明日香や海野幸子、嶺開花や石原姉妹などの同級生と話をしている。

「明日香も辞退せずに参加しておけばよかったのに」みたいな話をして明日香をからかっているようだ。

 

 両者とも特に緊張した様子などは見られない。きっと二人とも大勢の人間の注目を浴びることに慣れているからだろう。

 

『さぁ!そろそろデュエルを開始して行きましょう!このデュエルの実況はこのボクが務めさせて頂きます!』

『そしてこの私がデュエルの解説を挟んで行きましょう』

 

 ミスコンの司会進行を務めていた2年生のオベリスクブルー男女が司会・解説を挟んでいくようだ。

 切り替えが早いな。普段は影の薄い2年生だが、意外と有能な人が多いようだ。

 

「ふふ、それじゃあ行くわよ先輩?」

「フン、生意気な後輩ね。掛かって来なさい!」

 

 会場中央のデュエルリングでは雪乃と小日向が向かい合ってデュエルディスクを構えている。

 余裕そうな笑みを浮かべる雪乃に対し、小日向は少々苛ついているように見えるな。

 

「「デュエル!」」

 

 

◆藤原雪乃 LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆小日向星華 LP:4000 手札:5枚。

 

 

 小日向星華は原作漫画だと【爬虫類族】デッキの使い手だ。その実力は作中でも最強クラスのカイザー亮が気に留めるくらいには高い。

 ただ、彼女が原作で使用した蛇モンスターやそれらのサポートカードの多くはOCG化されておらず、漫画版そのままの性能だと微妙なカードが多い。

 確かOCG化したのって【邪龍アナンタ】だけじゃなかったかな。

 

 対して雪乃は以前使用していた【デミスドーザー】デッキから更なる改良を加えていることを俺は明日香から聞いている。

 雪乃は元々オベリスクブルーの女子生徒の中でも1年~3年全体で含めても5指に入る実力者だ。

 小日向星華に投票したファンの連中には悪いが、雪乃が小日向に敗れる姿が想像できない。

 

 

「先攻は私が貰うわ!私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

小日向星華 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ギャラクシー・サイクロン】を墓地に送り、魔法カード【スネーク・レイン】を発動!デッキから爬虫類族モンスター4体を墓地へ送る!」

小日向星華 手札:6→5→4枚。

 

【スネーク・レイン】

通常魔法

(1):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター4体を墓地へ送る。

 

<墓地に送られた爬虫類族>

①エーリアン・ソルジャー

②ガガギゴ

③ガガギゴ

④ガガギゴ

 

「私は手札から【ナーガ】を召喚するわ!」

小日向星華 手札:4→3枚。

 

<小日向星華のフィールド>

ナーガ ★4 ATK1400

 

【ナーガ】

効果モンスター

星4/水属性/爬虫類族/攻1400/守2000

フィールド上に表側表示で存在するこのカードがデッキに戻った場合、自分のデッキからレベル3以下のモンスター1体を特殊召喚する。

 

「更に私は手札から【カゲトカゲ】を自身の効果で特殊召喚するわ!」

小日向星華 手札:3→2枚。

 

【カゲトカゲ】

特殊召喚・効果モンスター

星4/闇属性/爬虫類族/攻1100/守1500

このカードは通常召喚できず、このカードの効果で特殊召喚できる。このカードはS素材にできない。

(1):自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

 

<小日向星華のフィールド>

ナーガ ★4 ATK1400

カゲトカゲ ★4 DEF1500

 

「私はレベル4【ナーガ】と【カゲトカゲ】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来なさい、ランク4!【キングレムリン】!」

 

<小日向星華のフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:2

 

【キングレムリン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

 

『来ました!エクシーズ召喚ですよ!』

『このモンスターは初めて見る人も多いと思いますが、爬虫類族をサーチする効果を持っている優秀なモンスターですね』

『爬虫類族自体、使い手の少ないデッキですからね』

『えぇそうですね』

 

「私は【キングレムリン】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【邪龍アナンタ】を手札に加えるわよ!」

小日向星華 手札:2→3枚。

キングレムリン ORU:2→1

 

<小日向星華のフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:1

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド!」

小日向星華 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆藤原雪乃 LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆小日向星華 LP:4000 手札:1枚。伏せカード:2枚。

 

<小日向星華のフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:1

 

 

 小日向の手札1枚は【邪龍アナンタ】で確定。伏せカードは不明だが警戒は必要だろう。バニラのレベル4が多いのはラビットからのランク4用だろうか。

 【爬虫類族】のサポートカードは多くは無いが、優秀なカードもいくつか存在するからな。

 

「私のターンね。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!自身のエクストラデッキから6枚裏側表示除外してデッキから2ドロー!」

雪乃 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で金満な壺】

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

 君ら、初手の壺率高いね?何かコツがあるなら教えて欲しい。

 

「私は手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!デッキから【終焉の王デミス】と【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】を手札に加える!」

雪乃 手札:7→6→8枚。

 

【儀式の下準備】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。

 

「私は手札から儀式魔法【高等儀式術】を発動!デッキからレベル4【甲虫装甲騎士】2体を墓地に送り、手札からレベル8【終焉の王デミス】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:8→7→6枚。

 

【高等儀式術】

儀式魔法

儀式モンスターの降臨に必要。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、デッキから通常モンスターを墓地へ送り、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の王デミス ★8 ATK2400

 

【終焉の王デミス】

儀式・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000

「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。

(1):2000LPを払って発動できる。フィールドの他のカードを全て破壊する。

 

「出たわね、デミス!」

 

『デミス…全体破壊…ドーザー…うっ、頭が…』

『ライフコストがある全体破壊効果を持つ儀式モンスターですね。雪乃ちゃんのエースモンスターでもあります』

 

 あの解説の女の人、よく見たら雪乃と時々話している人だな。雪乃ちゃんなんて呼ぶ仲だったのか。

 

「私はコストとして2000LPを支払い、【終焉の王デミス】の効果発動!自身以外のフィールドのカードを全て破壊するわ!」

藤原雪乃 LP:4000→2000

 

「チェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【我が身を盾に】発動!【終焉の王デミス】の効果を無効にして破壊するわ!」

小日向星華 LP:4000→2500、伏せカード:2→1枚。

 

【我が身を盾に】

速攻魔法

1500ライフポイントを払って発動する。

相手が発動した「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つカードの発動を無効にし破壊する。

 

チェーン②我が身を盾に

チェーン①終焉の王デミス ※効果無効、破壊。

 

<藤原雪乃のフィールド>

モンスター無し

 

 なるほど。さっきのセリフと言い、相手は雪乃のデッキを良く知っているみたいだな。良く対策してきている。

 雪乃に限らず、トップランカーのデュエリスト達のデッキが有名なのもあるだろうけどさ。

 

 惜しいな。以前の彼女のデッキとであればいい勝負が出来たかも知れないのにな…。

 

「私は手札から【マンジュ・ゴッド】を召喚!召喚成功時に効果発動!デッキから【終焉の悪魔デミス】を手札に加える!」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

マンジュ・ゴッド ★4 ATK1400

 

【マンジュ・ゴッド】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守1000

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

 【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】か。なら、あのデミスやルインも入っていそうだな。

 

「私は手札から儀式魔法【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】を発動!フィールドの【マンジュ・ゴッド】をリリース!手札からレベル4【終焉の悪魔デミス】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:6→5→4枚。

 

【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】

儀式魔法

「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に必要。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分フィールドのモンスターをリリースし、手札から「破滅の女神ルイン」または「終焉の王デミス」を儀式召喚する。

(2):墓地のこのカードをデッキに戻して発動できる。デッキから「エンド・オブ・ザ・ワールド」1枚を手札に加える。その後、自分の墓地から「破滅の女神ルイン」または「終焉の王デミス」1枚を選んで手札に加える事ができる。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の悪魔デミス ★4 ATK1800

 

【終焉の悪魔デミス】

儀式・効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守1000

「エンドレス・オブ・ザ・ワールド」により降臨。

(1):このカードのカード名は、手札・フィールドに存在する限り「終焉の王デミス」として扱う。

(2):このカードが儀式召喚に成功した場合に発動する。フィールドの表側表示モンスター1体を選んで破壊する。

(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分フィールドの儀式モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターが自分フィールドに表側表示で存在する限り、自分の儀式モンスターの効果の発動に対して相手はカードの効果を発動できない。

 

「なっ!?別のデミスですって!?」

 

『新たなデミス…!?』

『おや、これは初めて見るモンスターですね。効果は…』

 

「ふふっ、【終焉の悪魔デミス】の儀式召喚成功時の効果発動!貴女の【キングレムリン】を破壊するわ!」

 

<小日向星華のフィールド>

モンスター無し

 

「そして墓地から【甲虫装甲騎士】を2体除外し、手札から【デビルドーザー】を特殊召喚!」

雪乃 手札:4→3枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の悪魔デミス ★4 ATK1800

デビルドーザー ★8 ATK2800

 

【デビルドーザー】

効果モンスター

星8/地属性/昆虫族/攻2800/守2600

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の昆虫族モンスター2体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

 

 雪乃のフィールドのモンスターの攻撃力の合計が小日向のLPを超えたな。

 小日向の伏せカードが【毒蛇の供物】ならそろそろ発動しそうなものだが…。

 

『少し形は違いますが【デミスドーザー】と呼ばれるデッキを使う雪乃ちゃんの必殺パターンですね』

『小日向先輩のフィールドにはモンスターが居ません!これはもしや決まってしまうのでしょうか!?』

『いえ今回は小日向先輩に伏せカードが残されています。まだ分かりませんよ』

 

「バトルフェイズに…」

 

「リバースカードオープン!罠カード【威嚇する咆哮】発動!あなたはこのターン攻撃宣言できないわよ!」

小日向星華 伏せカード:1→0枚。

 

【威嚇する咆哮】

通常罠

(1):このターン相手は攻撃宣言できない。

 

「あら、それはどうしようもないわね」

 

『小日向先輩、凌ぎ切りましたよ!』

『攻撃宣言が出来なければ、雪乃ちゃんのフィールドの状態から小日向先輩のLPを削れないでしょう』

 

「それなら私はカードを1枚セットしてターンエンドね」

雪乃 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆藤原雪乃 LP:2000 手札:2枚。伏せカード:1枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の悪魔デミス ★4 ATK1800

デビルドーザー ★8 ATK2800

 

vs

 

◆小日向星華 LP:2500 手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<小日向星華のフィールド>

モンスター無し

 

 

 小日向のフィールドはボロボロで手札も1枚だが、手札には【邪龍アナンタ】がある。

 対して雪乃のフィールドはそこそこ揃っているが、デミスの効果コストのお陰でLPが半分しかない。

 

 雪乃が【邪龍アナンタ】の攻撃を通してしまえばそのまま負ける可能性もあるが、彼女には伏せカードと手札が2枚。通すとは思えないな。

 全体的に雪乃が有利だと思うが、まだ勝負の行方は決定していない。次のドロー次第ではまだひっくり返されるだろうな。

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

小日向星華 手札:1→2枚。

 

「私は自分のフィールド上及び墓地に存在する爬虫類族モンスターを全てゲームから除外し、【邪龍アナンタ】を特殊召喚するわよ!」

小日向星華 手札:2→1枚。

 

<小日向星華のフィールド>

邪龍アナンタ ★8 ATK?

 

【邪龍アナンタ】

効果モンスター

星8/闇属性/爬虫類族/攻 ?/守 ?

このカードは通常召喚できない。

自分のフィールド上及び墓地に存在する爬虫類族モンスターを全てゲームから除外する事でのみ特殊召喚する事ができる。

このカードの攻撃力・守備力は、特殊召喚時にゲームから除外した爬虫類族モンスターの数×600ポイントになる。

このカードが自分フィールド上に存在する限り、自分ターンのエンドフェイズ時にフィールド上のカード1枚を破壊する。

 

<フィールド・墓地から除外された爬虫類族>

①エーリアン・ソルジャー

②ガガギゴ

③ガガギゴ

④ガガギゴ

⑤ナーガ

⑥カゲトカゲ

⑦キングレムリン

 

『出た!小日向先輩のエースモンスターですよ!』

『フィールド・墓地から除外した爬虫類族は7体。つまり【邪龍アナンタ】の攻撃力は…』

 

<小日向星華のフィールド>

邪龍アナンタ ★8 ATK?→4200

 

『攻撃力4200だぁぁぁ!』

 

 司会うるせえなぁ。そのくらいの攻撃力なら亮さんが毎回出してるじゃん。

 

『攻撃を凌いだとしても【邪龍アナンタ】にはエンドフェイズにカード破壊能力も備えていますね』

『もうデュエルの流れは小日向先輩に向いてきましたね!』

『それはまだ分かりませんよ?』

 

「バトルよ!【邪龍アナンタ】で【終焉の悪魔デミス】に攻撃!」

 

『この攻撃が通れば小日向先輩の勝利が決まります!』

『雪乃ちゃんに防ぐ手立てはあるのでしょうか?』

 

「リバースカードオープン!罠カード【ガード・ブロック】発動!この戦闘での自分への戦闘ダメージを0にしてデッキから1ドロー!」

雪乃 手札:2→3枚。伏せカード:1→0枚。

 

【ガード・ブロック】

通常罠

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。

その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

邪龍アナンタ ATK4200

vs

終焉の悪魔デミス ATK1800 ※戦闘破壊

 

<藤原雪乃のフィールド>

デビルドーザー ★8 ATK2800

 

「ちっ!凌がれたわね。メインフェイズ2に移行するわ」

 

「私は手札からカードを1枚セットしてターンエンドよ!」

小日向星華 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「そしてエンドフェイズに【邪龍アナンタ】の効果発動!【デビルドーザー】を破壊するわ!」

 

<藤原雪乃のフィールド>

モンスター無し

 

 

◆藤原雪乃 LP:2000 手札:3枚。伏せカード:0枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆小日向星華 LP:2500 手札:0枚。伏せカード:1枚。

 

<小日向星華のフィールド>

邪龍アナンタ ★8 ATK4200

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

雪乃 手札:3→4枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【ブレイク・オブ・ザ・ワールド】を手札に加える!」

雪乃 手札:4→3→4枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「私は墓地の【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】をデッキに戻して効果発動!デッキから儀式魔法【エンド・オブ・ザ・ワールド】、墓地から【終焉の王デミス】を手札に加える!」

雪乃 手札:4→5→6枚。

 

「私は手札から儀式魔法【エンド・オブ・ザ・ワールド】を公開して【魔神儀-キャンドール】の効果発動!このカードとデッキの【魔神儀-タリスマンドラ】を特殊召喚するわ!」

雪乃 手札:6→5枚。

 

【魔神儀-キャンドール】

効果モンスター

星4/光属性/炎族/攻 0/守 0

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札の儀式魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。「魔神儀-キャンドール」以外のデッキの「魔神儀」モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する。

(2):このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

 

<藤原雪乃のフィールド>

魔神儀-キャンドール ★4 DEF0

魔神儀-タリスマンドラ ★6 DEF0

 

【魔神儀-タリスマンドラ】

効果モンスター

星6/闇属性/植物族/攻 0/守 0

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札の儀式モンスター1体を相手に見せて発動できる。「魔神儀-タリスマンドラ」以外のデッキの「魔神儀」モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する。

(2):このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから儀式モンスター1体を手札に加える。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

 

「デッキから特殊召喚した【魔神儀-タリスマンドラ】の効果発動!デッキから【終焉の覇王デミス】を手札に加える!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「終焉の…覇王?」

 

「私は1000LPを支払い、手札から魔法カード【限定解除】を発動!手札から【終焉の王デミス】を特殊召喚するわ!」

雪乃 LP:2000→1000、手札:6→5→4枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

魔神儀-キャンドール ★4 DEF0

魔神儀-タリスマンドラ ★6 DEF0

終焉の王デミス ★8 ATK2400

 

「残念ね!アンタにはもうデミスの効果を使うライフは残っていないわ!」

 

「私は手札からフィールド魔法【ブレイク・オブ・ザ・ワールド】を発動!その効果を発動し、フィールドの【終焉の王デミス】を、手札の【終焉の覇王デミス】と同じレベル10にする!」

雪乃 手札:4→3枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ブレイク・オブ・ザ・ワールド】

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、自分フィールドの儀式モンスター1体を対象として発動できる。手札の儀式モンスター1体をターン終了時まで公開する。その公開した儀式モンスターのレベルはターン終了時まで、対象のモンスターのレベルと同じになる。

(2):1ターンに1度、自分フィールドに「破滅の女神ルイン」または「終焉の王デミス」が儀式召喚された場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分はデッキから1枚ドローする。

●フィールドのカード1枚を選んで破壊する。

 

「レベル10のデミス!?」

 

「そして私は手札から儀式魔法【エンド・オブ・ザ・ワールド】を発動!フィールドのレベル10となった【終焉の王デミス】をリリース!さぁ、お出でなさい!レベル10【終焉の覇王デミス】!」

雪乃 手札:3→2枚。

 

【エンド・オブ・ザ・ワールド】

儀式魔法

「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に使用する事ができる。

フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように生け贄を捧げなければならない。

 

<藤原雪乃のフィールド>

魔神儀-キャンドール ★4 DEF0

魔神儀-タリスマンドラ ★6 DEF0

終焉の覇王デミス ★10 ATK3000

 

【終焉の覇王デミス】

儀式・効果モンスター

星10/闇属性/悪魔族/攻3000/守3000

「エンドレス・オブ・ザ・ワールド」により降臨。

(1):このカードのカード名は、手札・フィールドに存在する限り「終焉の王デミス」として扱う。

(2):儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の儀式モンスターは戦闘では破壊されない。

(3):儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードの効果を発動するために払うLPは必要なくなる。

(4):1ターンに1度、2000LPを払って発動できる。フィールドの他のカードを全て破壊し、破壊した相手フィールドのカードの数×200ダメージを相手に与える。

 

『儀式モンスターのみをリリースして儀式召喚したら、ライフコストが無効になる…!?』

『これは…勝負が決まってしまいそうですね…』

 

「【終焉の覇王デミス】の儀式召喚成功時、【ブレイク・オブ・ザ・ワールド】の効果発動!デッキから1ドロー!」

雪乃 手札:2→3枚。

 

「私は手札から儀式魔法【エンドレス・オブ・ザ・ワールド】を発動!フィールドの【魔神儀-キャンドール】と【魔神儀-タリスマンドラ】をリリース!出なさい!レベル10【破滅の美神ルイン】!」

雪乃 手札:3→2→1枚。

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の覇王デミス ★10 ATK3000

破滅の美神ルイン ★10 ATK2900

 

【破滅の美神ルイン】

儀式・効果モンスター

星10/光属性/天使族/攻2900/守3000

「エンドレス・オブ・ザ・ワールド」により降臨。

(1):このカードのカード名は、手札・フィールドに存在する限り「破滅の女神ルイン」として扱う。

(2):儀式召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターは効果では破壊されない。

(3):儀式モンスターのみを使用して儀式召喚したこのカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。

(4):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した場合に発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「これは…」

 

『デミスに続いてルインの強化モンスターまで!?』

『それぞれが耐性付与効果を持っていて、2体が並ぶと戦闘破壊と効果破壊の両方を付加するようですね』

 

「そして【終焉の覇王デミス】の効果発動!フィールドの他のカードを全て破壊し、破壊した相手フィールドのカードの数×200ダメージを相手に与える!」

 

<藤原雪乃のフィールド>

終焉の覇王デミス ★10 ATK3000

破滅の美神ルイン ★10 ATK2900

 

<小日向星華のフィールド>

モンスター無し

 

「ぐぅっ!アナンタに…伏せカードの【攻撃の無敵化】まで…!」

小日向星華 LP:2500→2100、伏せカード:0→1枚。

 

 【攻撃の無敵化】はバトルフェイズでしか発動できない防御カードだ。このタイミングで割られるとどうしようもないだろうな。

 

「バトル!【終焉の覇王デミス】でダイレクトアタック!」

 

終焉の覇王デミス ATK3000

 

「キャァァァァァッ!」

小日向星華 LP:2100→0

 

~~~

 

 デュエルの勝利者が決まった後、今年の優勝者が雪乃に決まってミスコンは終了した。

 

「先輩、久し振りに楽しいデュエルだったわ」

「…負けた私が楽しいわけないじゃない!」

 

 彼女たちはデュエル後にそんなやり取りをしていた。

 

 プンプン!みたいな擬音が付きそうな様子で肩を怒らせてデュエルリングを立ち去っていく小日向を、雪乃は楽しげな表情で眺めていた。

 多分、ちゃんと話してみれば案外仲が良くなるんじゃないかと思う。

 

 

 

「次は~魔界~魔界~終点デス~」

 

 今日のミスコンのことを思い出していると、乗車していたバスが目的地の魔界に到着したようだ。

 他の乗客も既に下車しているようなので、運転手に運賃を払ってバスの外へと出る。

 

「ここが魔界か。周りは悪魔族ばっかりだな」

 

 俺が今到着したこの場所は魔界と呼ばれるエリアのバス停で、精霊界の蟲惑魔の森を抜けた先にあるバス停から乗ることが出来る専用のバスに乗って初めてやってこれる場所だ。

 周囲を見渡すと空には文字通り暗雲が立ち込めており、建物は大体黒っぽい岩石で出来ているようだ。

 

 このバス停からは様々な場所に向けてバスが走っている。【魔界発現世行きバス】や【魔界発冥界行きバス】辺りは特に有名だな。

 

「【魔界発冥界行きバス】、そろそろ出発デス~」

「待って待って!乗りまーす!」

 

 今しがた、発射直前の【魔界発冥界行きバス】に乗り込んで行った【クリッター】らしき悪魔が見えた。

 バスの中に【同族感染ウィルス】とか居たけど、彼はそちらのバスに乗って良かったのだろうか?

 声を掛けようとも思ったが、俺がそのアクションを起こす前にバスは走り去ってしまった。

 

「あれ~?乗客が一人足りないデスね。クリッターさーん?」

 

 後ろから聞こえた声に振り返ってみると【魔界発現世行きバス】のバスガイドである【魔界発現世行きデスガイド】が乗客リストに載っていたクリッターを探しているようだ。

 俺は【クリッター】が別のバスに乗った旨をデスガイドさんに伝えると、特に他のバスに乗る用事もなかったのでその場を立ち去った。

 

 次の目的地はここから徒歩で行くしかないらしいからな。

 それにしても、カイバーマンの居城から遠すぎだろ【暗黒界に続く結界通路】。

 

 【無敗将軍 フリード】の部隊や彼が所属する王国の下働きなどをして路銀を稼いだり、【タイラント・ドラゴン】の支配領域である【竜魂の城】を抜けた先にある暗黒界を渡るために6属性の精霊や霊使い達に協力を求めたり、蟲惑魔の森でフレシアたちに暗黒界への詳細なルートを訪ねたり…。

 ここまで来るのにかなり命がけの回り道をする羽目になったけれど、これでようやく本来の目的地である暗黒界に向かうことが出来るな。




藤原雪乃のデッキは【デミスルイン】です。10年振りくらいに強化されたデミスとルインの新規カードや同時期に登場した魔神儀カードをふんだんに取り入れて全体的なデッキの質の向上を果たしています。まだ強化カードを全て入手しているわけではないので【デミスドーザー】時代のカードも多少入っています。

小日向星華のデッキは【邪龍アナンタ】を切り札とした【爬虫類族】デッキです。【スネーク・レイン】で墓地を肥やし、【キングレムリン】でアナンタをサーチ、そこからアナンタを召喚して汎用魔法罠でサポートしながら戦うデッキです。

次回の更新は10月末か11月初旬の予定です。

戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十一話 メダル争奪戦3

前回のあらすじ;ミスコン

今回はオシリスレッドの生徒3人とのバトルロイヤルです。


 そろそろ冬の寒さが本格的になり始めた11月初旬の休日、今月行われる学園祭での出店届をラーイエロー寮で記入している俺の私用の携帯電話元へ1本の電話がかかって来た。

 

「もしもし…なんだ鈴木か。何だ?」

『おぅ…久し振りだなクロト。今時間大丈夫か?出来れば相談に乗って欲しいんだが…』

 

 電話の相手は地元の幼馴染の1人である鈴木。見た目はまんまジャ〇アンみたいな奴だ。昔は性格もまんまジャイ〇ンだったな。今はマイルドなジ〇イアンだ。

 久し振りに聞くその声は電話越しでも分かるくらいに落ち込んでいたが、コイツのことだ。どうせまた自虐風彼女自慢でもしてくるんだろう。氏ねばいいのに。

 

『どうしよう。オレ、愛に嫌われたかもしれない…』

「ププッ!ザマァw!」

 

『ちょっ!?テメェ!!』

「おっと、すまん。つい本音が出てしまった」

 

 電話先で鈴木がそこそこキレかけていたが、とりあえず謝ったからセーフだろう。

 そもそもリア充に優しくする居理由なんてないしな。なんならこの世のリア充は全て弾け飛べばいいと思っている。

 

 ちなみに、愛と言うのは中学生時代から鈴木が付き合っている『高橋 愛』のことだ。

 俺にとっては中学校時代の料理部の先輩で、年齢は俺達より一つ上。料理が上手い黒髪ロングヘア―のお嬢様風美少女である。

 

 それが、何をトチ狂ってしまったのか鈴木ごときに一目惚れしてしまったらしく、彼女が中学卒業式のタイミングで鈴木に告白し、2人は付き合うことになった。

 この世界の七不思議のひとつだ。

 

『なんだか、最近ちょっと愛に避けられている気がしてさ…』

「あー、あれだな。お前の通ってる2流高校と違って先輩は超一流の調理学校に通ってるからな。そこでお前よりいい男でも見つけたんだろ」

 

 付き合い始めた当初なんて、初デートでTシャツGパンの装いでラーメン屋に誘ったり、延々とゲーセンで格ゲーでアーケードモードやってたりしてたくせによ。

 そんな奴が彼女と名前で呼び合う食らうに進展してるとか…やるじゃん。

 

『お前なぁ!こっちは真面目に相談してるんだぞ!』

「それならまず、相談する相手を考えろ。何で俺に相談してんの?その手の話は彼女持ちの佐藤かコミュお化けのコナミにでも相談しろよ」

 

 俺は彼女とか居たことないんだよ!DTなんだよ!

 女の子と付き合ったこともない俺に恋愛相談とかしてくんなヴォケが!やっぱり自慢したいだけなんじゃねえのコイツ?処す?処す?

 

『佐藤にも相談したけどあまり参考にはならなくてさ。お前に相談したら?だってさ。コナミとかは論外だろ?』

「なるほど」

 

 小学生時代から1人の女の子と一途に付き合っている経験豊富な佐藤なら俺より良いアドバイスを送るかと思ったんだが、アイツでもお手上げなのか。

 いや、佐藤は結構腹黒いからな。鈴木は恋愛関係になると途端にヘタレになって面倒くさくなるからウンザリして俺に丸投げした可能性が高いな。

 

 コナミは『とにかく話しかければいいんだ』くらいしか言わなさそうだから、確かに論外か。

 

『多分、他の男説は無いと思うんだよ。愛の学校ってほぼ女子高だしさ』

「ふーん」

 

 俺は、電話先の幼馴染の声を聞きながら、先輩について思い出していた。

 そう言えば、夏休み辺りに先輩から鈴木の誕生日やら好きな食べ物、短期間で出来るアルバイトについて色々と聞かれてたっけ。

 

 電話先の鈴木の誕生日は確か11月の下旬だったな。

 

『確か夏休み明けくらいからかな?普段なら毎日お弁当を作ってくれるのに最近はあまり作ってくれないし…』

「…へぇー」

 

 俺は、電話先の友人の声を聞きながら、先輩について更なる情報を思い出していた。

 友人と旅行に行きたいなんて話も言ってたから、ユーリ経由で知った学生がギリギリ手が届きそうな価格の旅館を紹介したりしたな。

 

 友人、ねぇ。それって女友達じゃないですよね?って言ったら顔を真っ赤にして俯いてたな。

 否定しないってことは、そう言うことだろう。相手の男だと思われる鈴木には是非弾け飛んで欲しい。

 

『毎日時間を合わせて下校しているのに最近は用事があるって言われて断られたりさ…』

「…ほーん」

 

 俺は、電話先の元友人の声を適当に聞き流しながら一応はその原因を考察してみる。

 高橋先輩…忙しい…誕生日…11月…あぁ、なるほど。大体分かったわ。

 

 クソが!

 

『ようやく手を握ったりできるようになってさ。そろそろ次の段階へ進みたいとかも思ってたり…なんてな!なんてな!それでさ…』

「…」

 

 俺は、電話先の生ゴミが発する雑音を無視して手にしていた携帯電話をベットに投げ捨てると、今聞いたことや考えていたことを全て忘れてバニーラと遊び始めた。

 生ごみの分際で俺の貴重な時間を使わせやがって…人生で最大の時間の無駄使いをしてしまった。佐藤の野郎、こうなることが分かってて俺にぶん投げやがったな?

 

 その後、1分ほど放置してもまだ何か電話先から音がするので、俺は携帯電話の電源を切って出店届を提出するために部屋を出た。

 

~~~

 

 出店届を提出してからGXメダルがまだ30枚ほどしか集まっていないことを思い出した俺はオベリスクブルーの男子寮へとやって来ていた。

 プライドの高いここの連中なら、ラーイエローの俺が勝負を挑めばいつもの見下した態度で偉そうにデュエルを受けてくれるんじゃないかと考えたからだ。

 

 何を隠そう、俺はオベリスクブルーのモブ男子生徒とデュエルするのがかなり好きだ。

 

 理由は単純。連中は基本的にこちらを見下してくるので、そんな連中パワーカードをふんだんに使ったデッキでぶちのめして煽りまくるのが滅茶苦茶楽しいからだ。

 連中相手ならチート能力を使ってることでの罪悪感なんて微塵も感じずに済むのが特にいい。

 

 最近は俺の顔を見ただけで逃げる連中も居るので、某RPGのメ〇ルスラ〇ムみたいな存在になりつつある。経験値は殆どないんだけどね。

 

「頼もー。…何だこの張り紙」

 

 オベリスクブルーの寮に付いた俺は、道場破りよろしくフレンドリーに寮の中に声を掛けてみたが、返答は無かった。

 魔力探知で寮内に生徒が居ることは確認できているので扉をこじ開けて寮内に侵入しようと試みようとすると、その扉に張り紙が貼ってあることに気付いた。

 

 なになに…。

 

『白河、赤羽、遊城、GXメダルデュエルお断り』

 

「なんだこりゃ」

「その張り紙は赤羽君と遊城君の被害者たちが張った物だよ」

 

 俺が扉の張り紙を見ていると、寮内から吹雪さん藤原先輩が現れた。

 俺の声が聞こえたのでわざわざ自室から様子を見に来てくれたらしい。良い人すぎる。

 

「被害者?」

「9月から10月末にかけて、赤羽君と遊城君がオベリスクブルーの男子生徒たちにGXメダルデュエルを仕掛けまわったんだよ」

「結果は赤羽君たちの全戦全勝。オベリスクブルーの生徒たちの殆どは2人にGXメダルを奪い尽くされてしまったんだ」

 

 くっそ!メタル狩り…じゃなくてメダル狩りをされてしまった後か!

 十代はコナミにデュエルやろうぜって誘われただろう…おのれコナミめ!

 

「それは分かったんですが…何で俺の名前まで入ってるんですか?」

「えっ?」

「いやいや、普段からオベリスクブルー狩りみたいなことやっておいて、心当たりが無いなんて言わないよね?」

 

 吹雪さんと藤原先輩から呆れたような声が聞こえてきた。

 あー、普段からやってたアレがこんな影響を及ぼすとは…ちょっと反省しよう。

 

「仕方ないか。出直します」

「せっかくここまで足を運んでもらったんだし、ボクたちで良ければ一度くらいなら対戦相手になるよ?」

「うん。君となら良いデュエル経験を積めそうだしね」

 

 確かに彼らならこちらのデュエル経験も積めるだろうし、負けるつもりは無いからメダルも確保できるだろう。だけどねぇ…。

 

「申し出はありがたいですけど、強いと分かっている人とは本選まで戦う気はないんですよ。美味しい物は最後まで取っておく主義なので、ね?」

「おや、そうかい?」

「そういうことなら仕方ないか。またね」

「えぇ、また」

 

 2人に別れを告げて俺はブルー男子寮を後にした。

 

 さて、どうしたものか。

 

 ここから近いブルー女子寮に乗り込んでも良いが、ブルー女子は一部を除いてマジで弱いからな。異性への弱い者いじめはあまりしたくない。

 かといってラーイエロー寮の生徒には全員デュエルを断られている。

 

 もう、残った行先は1つしかないか。

 

~~~

 

 

 オシリスレッドの寮付近に辿り着くと、二階への階段付近で猫のファラオと無表情で見つめあうレインを発見した。

 何やってんだアイツ。

 

「ナァ~」

「…ニャ」

 

 

 ?

 

 

「ナァ~」

「…ニャ~ン」

 

 

 !?

 

 

 えっ、ちょっ、今、アイツもしかして、猫の鳴き真似やったの?マジで?

 しまった!スマホで録音しておけばよかった!いや、今からでも…あぁっ!スマホは自室のベットの上だ!

 

 くそっ!鈴木め!こんな時まで俺の邪魔をしやがって!!

 

 足で地面に思い切り憤りをぶつけると、ドゴッ!と言う音が響いてしまう。ウカツ!

 

「「!?」」

 

 その音を聞いたレインとファラオがビクッ!と驚いていた。そしてファラオはその音にビビったのか何処かへ立ち去ってしまった

 その後ろ姿を見送った後、レインは背中をプルプル震わせながらこちらを見ずに語り掛けてきた。

 

「………いつから見てた?」

「ボク、サキキタバカリ。ナニモ、ミテナイヨ?」

 

「………そう」

 

 レインはゆっくりと立ち上がり、そのまま何事もなかったかのように立ち去った。

 

 すれ違う際にレインの頬がうっすらと赤くなっていたことに気付いた。

 非常に珍しい物を見た。いや初めてレインの赤面なんて見たわ。よほど恥ずかしかったのだろう。録音できなかったのが非常に悔やまれる。

 

 レイン相手以外なら『ねぇねぇ!今どんな気持ち?えっ?今、ニャ~ンって言った?言ったよね?ねぇねぇ!』とか言って煽るのも面白いかと思っただろう。

 実際、明日香やツァンがやっていたら確実に煽りちらしただろう。きっと面白い反応が返ってくるに違いない。

 

 だが、冗談の通じ無さそうな彼女相手にそれをやると無言で背後に回られてプラシドソードで『イヤー!』されて『グワー!』となって『白/河』にされかねないので諦めた。

 誠に遺憾で非常に残念だが、俺の中での最優先作戦名は常に『命大事に』である。

 

~~~

 

 レインと別れてからレッド寮周辺をウロウロして見ると、暇そうにしていたオシリスレッドの生徒3人を発見した。

 あれはタッグフォース3の登場人物だな。この辺りに監視カメラは…無さそうだな。良し、ここならあのカードを使っても大丈夫だろう。

 

「およ?ラーイエロー?なんでこんなところにいるの~?」

 

 このとぼけた感じの男子生徒は【通常モンスター】使いの久保勇二だったはず。

 喋るセリフが全部ひらがなで読みづらかったってことくらいしか覚えていないな。

 

「そんなことより、ボクはハラが減った」

 

 こっちの様子などお構いなしのハラペコ男子生徒は【ゴエモン】デッキ使いの金田光弘だな。

 彼だけは【ゴエモン】デッキに一切シナジーの無い【大邪神 レシェフ】が投入されていたからよく覚えている。

 その理由が遊戯王のゲーム『DM8 破滅の大邪神』にてレシェフのグラフィックが『がんばれゴエモン』シリーズのゴエモンインパクトになってしまうという裏技があったから、じゃないかって説が有力だったな。

 

「彼は確か、ラーイエローの白河さんですね。コナミさんを探しに来たんですか?彼なら今は居ませんよ?」

 

 こっちの男版委員長みたいに礼儀正しい男子生徒は確か…【妖精】デッキ使いの西野祐太だった…と思う。

 正直、彼のことはあまり覚えていない。オシリスレッドの生徒のデッキは殆ど色物で大した強さじゃなかったから印象に薄いんだよ。

 

 そもそも【妖精】デッキってのがなぁ。第三期くらいまでの「妖精」やら「精霊」と名のついた通常モンスターがデッキの大半を占めている時点でお察しなんだよな。

 カグヤとかシラユキが入っているわけじゃないし…エクストラデッキもなさそうだからイングナルも入っていないだろう。

 テーマカード貰えない何処かの双子の片割れが使ってそう。

 

「知ってるよ」

 

 そう。今、コナミはブルー女子の加藤とデートしてるんだろ?デート中だ。いつも通りだな。

 ブルー男子の田中康彦のチャラ男カウントダウンが始まったわけだ。

 

 そしてコナミからの情報によると、十代、翔、隼人の3人に万丈目を加えた4人は島の火山付近に向かっているそうだ。

 何でも新たなネオスペーシアンがそこに居るとかなんとか。多分、カブトムシの奴だな。

 まぁ今の十代にはハネクリボーだけでなくユベルやネオスも一緒だからダークネスとか出ない限りは問題ないだろう。

 

「なら、さがしびとはてんじょういんさんかな~?」

「ハラ減った~」

「天上院さんなら先ほどカイザー亮と一緒に灯台の方に向かうのを見ましたね」

 

 亮さん、見かけないと思ったらまだ明日香と一緒に灯台部やってるのか。

 この寒い中でよくやるよ。明日香とかあの露出多めの制服で寒くないのかな?

 

「いや、俺が探していたのは君たちだ」

「「「?」」」

 

 3人とも不思議そうな顔をしている。

 半年以上同じシマに住んでるからお互いに顔くらいは知っているが、まともに話をしたのは今日が初めてだからな。

 

「君たち三人にGXメダルデュエルを申し込む。賭けるメダルは全員10枚。先攻は貰うが俺は1人でいい。そちらは3人まとめて全員でどうだ?」

「「「!?」」」

 

 今度は3人とも驚きの表情をしているな。当然と言えば当然だ。1対3など正気の沙汰ではないからな。

 

「ルールはバトルロイヤルルール。全員1ターン目に攻撃は出来ないから気を付けることだ。あぁ、もちろん君たち三人が賭けるGXメダルは1人10枚で良いぞ。俺は30枚賭けよう」

 

 おーおー困惑しているね。

 

「もし万が一に俺が負けた場合は、バトルロイヤルルールらしく最後の1人になるまで勝敗を決めて総取りするか、30枚を仲良く三等分するかを決めるといい」

 

 本来、ラーイエローの俺がオシリスレッドの彼らに挑もうとすると、大体の生徒は拒否して来るだろう。

 だが、彼らはオシリスレッドの生徒とはいえデュエリストだ。

 俺がラーイエローだとしても、ここまであからさまに馬鹿にされたら頭に来ているだろう。どうなるかな?

 

「いくらなんでも、ぼくらをばかにしすぎじゃない~?いいよ。やるよ~」

「空腹を紛らわすためにそのデュエル、受けてやる!」

「貴方の実力は試験の時に見させてもらっていますが、流石に傲慢が過ぎますよ。今の言葉、後悔してもらいます!」

 

 良し!俺の印象を生贄に捧げて彼らのデュエル権を得たぞ。良い感じにやる気も漲って来たみたいだな。

 既にデュエルディスクを構えて臨戦態勢となっている彼ら3人の正面に立ち、俺はデュエルディスクを構える。

 

「対戦、よろしくお願いします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆久保勇二 LP:4000、手札:5枚。

◆金田光弘 LP:4000、手札:5枚。

◆西野祐太 LP:4000、手札:5枚。

 

 

 形式上、バトルロイヤルルールを取ったから彼ら同士で攻撃したり出来るんだが、こちらにヘイトを集めまくったからそれはしないだろうな。

 相手はオシリスレッドとはいえ多勢に無勢。そして、オベリスクフォースの連中を相手にしていた時のようなインチキカードは今回は使わないつもりだ。

 

「先攻は俺が貰う!俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

 この手札なら…あの手で行くか。

 

「俺が手札から【忍者マスター HANZO】を召喚!その効果を発動してデッキから【忍法 変化の術】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚。

 

<白河クロトのフィールド>

忍者マスター HANZO ★4 ATK1800

 

【忍者マスター HANZO】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1800/守1000

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「忍法」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「忍者マスター HANZO」以外の「忍者」モンスター1体を手札に加える。

 

「俺が手札から魔法カード【二重召喚】を発動!その効果により手札から【王虎ワンフー】を召喚!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

【二重召喚】

通常魔法

(1):このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

 

<白河クロトのフィールド>

忍者マスター HANZO ★4 ATK1800

王虎ワンフー ★4 ATK1700

 

【王虎ワンフー】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1700/守1000

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、攻撃力1400以下のモンスターが召喚・特殊召喚に成功した時、その攻撃力1400以下のモンスターを破壊する。

 

「更に手札から永続魔法【強者の苦痛】を発動!」

クロト 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【強者の苦痛】

永続魔法

(1):相手フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターのレベル×100ダウンする。

 

「カードを2枚セットして手札から魔法カード【命削りの宝札】を発動!手札が3枚になるまでドロー!」

クロト 手札:3→1→0→3枚。伏せカード:0→2枚。

 

【命削りの宝札】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分は手札が3枚になるようにデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで相手が受ける全てのダメージは0になる。このターンのエンドフェイズに、自分の手札を全て墓地へ送る。

 

 おっ、来たか。もう一度だけ周囲に監視カメラがあるかを確認して…良し、無いよな。

 

「俺は手札からフィールド魔法【オレイカルコスの結界】を発動!」

クロト 手札:3→2枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【オレイカルコスの結界】

フィールド魔法

このカード名のカードはデュエル中に1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、自分フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在する場合、そのモンスターを全て破壊する。

(2):自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(3):自分フィールドのモンスターの攻撃力は500アップする。

(4):自分フィールドに表側攻撃表示モンスターが2体以上存在する場合、自分フィールドの攻撃力が一番低いモンスターを相手は攻撃対象に選択できない。

(5):このカードは1ターンに1度だけ効果では破壊されない。

 

<白河クロトのフィールド>

忍者マスター HANZO ★4 ATK1800→2300

王虎ワンフー ★4 ATK1700→2200

 

「あのふぃーるどまほうはみたことないなぁ」

「確かにな」

「何やら不安な感じにさせてくるカードですね…」

 

「気のせいだ」

 

 実際に気のせいだ。俺は秘密結社「ドーマ」の構成員とかじゃないから、これはただのOCG次元産のカードだよ。

 あの妙に格好いいBGMも流れないし、額に変なマークとかも出ないし、デュエルに負けてもAIBOの魂を奪われたりもしないから安心して欲しい。

 

 秘密結社「ドーマ」に関しては一般的に情報封鎖されているらしいので、このカードがこの世界ではかつてどういうものだったかを知る人はあまりいないだろう。

 ただ、それでもこのカードを使っているところを海馬社長辺りに見られると色々と面倒くさそうだったから今まで使わなかっただけなんだ。

 そもそも使いどころが難しいカードでもあるからね。

 

「俺は更にカードを2枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:2→0枚。伏せカード:2→4枚。

 

 【命削りの宝札】にはエンドフェイズに手札を全て捨てる効果があるが、俺の手札は0枚なので何も起きないぞ。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。伏せカード:4枚。

 

<白河クロトのフィールド>

忍者マスター HANZO ★4 ATK2300

王虎ワンフー ★4 ATK2200

 

vs

 

◆久保勇二 LP:4000、手札:5枚。

◆金田光弘 LP:4000、手札:5枚。

◆西野祐太 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「これは…【苦痛ワンフー】だね~」

「しかもガン伏せか。邪魔くさいな。突破する方法を考えていたら腹が減って来たぞ」

「確かに厄介な布陣ですが、それだけでこのほぼ1対3の不利状態を解決できるとは思わないことですね」

 

 流石に有名な型だから知っているか。

 

「ぼくのたーん。どろーふぇいず、どろ~。そのまますたんばい、めいんふぇいずへいこう~」

久保勇二 手札:5→6枚。

 

「ぼくはてふだからそっこうまほう【サイクロン】をはつどう~。【強者の苦痛】をはかいするよ~」

久保勇二 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「ちっ、早速【強者の苦痛】が割られたか」

クロト 永続魔法:1→0枚。

 

「ぼくはてふだからまほうかーど【融合】をはつどう~。てふだの【ミノタウルス】と【ケンタウロス】をゆうごうして【ミノケンタウロス】をゆうごう~」

久保勇二 手札:5→4→2枚。

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<久保勇二のフィールド>

ミノケンタウロス ★6 ATK2000

 

【ミノケンタウロス】

融合モンスター

星6/地属性/獣戦士族/攻2000/守1700

「ミノタウルス」+「ケンタウロス」

 

「ぼくはてふだからまほうかーど【闇の量産工場】をはつどう~。ぼちの【ミノタウルス】と【ケンタウロス】をかいしゅう~」

久保勇二 手札:2→1→3枚。

 

【闇の量産工場】

通常魔法

(1):自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「ぼくはモンスターをうらがわでせっと、かーどを1まいせっとしてたーんえんど~」

久保勇二 手札:3→2→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。永続魔法:0枚。伏せカード:4枚。

 

忍者マスター HANZO ★4 ATK2300

王虎ワンフー ★4 ATK2200

 

vs

 

◆久保勇二 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<久保勇二のフィールド>

ミノケンタウロス ★6 ATK2000

裏側守備表示モンスター

 

◆金田光弘 LP:4000、手札:5枚。

◆西野祐太 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

金田光弘 手札:5→6枚。

 

「ボクも手札から速攻魔法【サイクロン】を発動する!伏せカードを破壊だ!」

金田光弘 手札:6→5枚。

 

「破壊された【ミラーフォース・ランチャー】の効果発動!デッキから【聖なるバリア -ミラーフォース-】をセットする!」

クロト 伏せカード:4→3→5枚。

 

【ミラーフォース・ランチャー】

永続罠

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに手札からモンスター1体を捨てて発動できる。自分のデッキ・墓地から「聖なるバリア -ミラーフォース-」1枚を選んで手札に加える。

(2):セットされたこのカードが相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。墓地のこのカードと自分の手札・デッキ・墓地の「聖なるバリア -ミラーフォース-」1枚を選び、そのカードとこのカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。

 

「伏せカードを破壊したはずなのに、伏せカードが増えるだって!?」

 

「うわぁ~、みらーふぉーすか~」

「しかもこのターンに発動可能と来ましたか」

 

 今回の場合だと全員1ターン目は攻撃できないからあまり意味は無いんだけどな。

 

「ボクは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキの【覆面忍者ヱビス】を手札に加える!」

金田光弘 手札:5→4→5枚。

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「ボクは手札から儀式魔法【大邪神の儀式】を発動!手札の【忍者義賊ゴエゴエ】と【覆面忍者ヱビス】をリリースして手札から【大邪神 レシェフ】を儀式召喚する!」

金田光弘 手札:5→4→2→1枚。

 

<金田光弘のフィールド>

大邪神 レシェフ ★8 ATK2500

 

【大邪神 レシェフ】

儀式・効果モンスター

星8/光属性/悪魔族/攻2500/守1500

「大邪神の儀式」により降臨。

手札の魔法カードを1枚捨てる。相手フィールド上モンスター1体のコントロールをエンドフェイズ時まで得る。この効果は1ターンに1度だけ使用する事ができる。

 

 海外の「カプセルモンスターズ編」にてアレキサンダー大王が操るエースモンスターだったり、遊戯王のゲーム『DM8 破滅の大邪神』でラスボスとして登場するモンスターだな。

 【大邪神 レシェフ】には手札の魔法カード1枚を禁止カード【心変わり】と同等の効果にするモンスター効果が備わっているが、1ターン目に使っても意味が無いから今は問題ないな。

 

「ボクはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

金田光弘 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

「俺はエンドフェイズ時に伏せていた罠カード【砂塵の大嵐】を発動!久保と金田の伏せカードを破壊する!」

クロト 伏せカード:5→4枚。

 

【砂塵の大嵐】

通常罠

このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

(1):フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「「!?」」

 

久保勇二 伏せカード:1→0枚。

 

<久保勇二の破壊された伏せカード>

①ジャスティブレイク

 

金田光弘 伏せカード:1→0枚。

 

<金田光弘の破壊された伏せカード>

①激流葬

 

 あぶねー!【ジャスティブレイク】に【激流葬】!?

 危険なカードばかり伏せてるんじゃないよ!どちらも食らったらゲームエンドだったわ!

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:4枚。

 

忍者マスター HANZO ★4 ATK2300

王虎ワンフー ★4 ATK2200

 

vs

 

◆久保勇二 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<久保勇二のフィールド>

ミノケンタウロス ★6 ATK2000

裏側守備表示モンスター

 

◆金田光弘 LP:4000、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<金田光弘のフィールド>

大邪神 レシェフ ★8 ATK2500

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:5枚。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

西野祐太 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【手札抹殺】を発動します!手札があるプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数分だけデッキからドローします!」

西野祐太 手札:6→5→0→5枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

<西野祐太の捨てたカード>

①そよ風の精霊

②踊る妖精

③魔導師の力

④妖精王オベロン

⑤棘の妖精

 

久保勇二 手札:1→0→1枚。

 

<久保勇二の捨てたカード>

①ケンタウロス

 

 何ともまぁ凄い手札だったんだな。完全に事故ってたんじゃねえか。

 本当に「妖精」とか「精霊」とかって名前の入ったカードを適当にぶっこんだデッキなのか?この中では一番真面そうな性格のくせに、使用デッキは一番酷いな。

 

「ボクは手札から魔法カード【死者蘇生】を発動します!墓地の【妖精王オベロン】を特殊召喚します!」

西野祐太 手札:5→4枚。

 

【死者蘇生】

通常魔法

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1500

 

【妖精王オベロン】

効果モンスター

星6/水属性/植物族/攻2200/守1500

(1):このカードがモンスターゾーンに守備表示で存在する限り、自分フィールドの植物族モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

 

 魔法・罠カードはそこそこまともなんだな。

 

「更にボクは手札からフィールド魔法【聖域の歌声】を発動します!フィールド上に表側守備表示で存在する全てのモンスターの守備力は500ポイントアップです!」

西野祐太 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【聖域の歌声】

フィールド魔法

フィールド上に表側守備表示で存在する全てのモンスターの守備力は500ポイントアップする。

 

<久保勇二のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1500→2000

 

「ボクは手札から魔法カード【泉の精霊】を発動します!その効果で墓地の装備魔法【魔導師の力】を手札に加えます!」

西野祐太 手札:4→3→4枚。

 

【泉の精霊】

通常魔法

自分の墓地から装備魔法カード1枚を手札に加える。その装備魔法カードはこのターン発動できない。

 

「ボクはモンスターを裏側守備表示でセット!更にカードを1枚セットしてターンエンドです!」

西野祐太 手札:4→3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF2000

裏側守備表示モンスター

 

「エンドフェイズに永続罠【忍法 変化の術】を発動する!リリースするのは【忍者マスター HANZO】、デッキから呼び出すのは【アルティメット・インセクト LV5】!」

クロト 伏せカード:4→3枚。永続罠:0→1枚。

 

【忍法 変化の術】

永続罠

(1):自分フィールドの表側表示の「忍者」モンスター1体をリリースしてこのカードを発動できる。

リリースしたモンスターのレベル+3以下のレベルを持つ獣族・鳥獣族・昆虫族モンスター1体を、手札・デッキから特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

 

「えっ!?」

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV5 ★5 ATK2300→2800

 

【アルティメット・インセクト LV5】

効果モンスター

星5/風属性/昆虫族/攻2300/守 900

「アルティメット・インセクト LV3」の効果で特殊召喚した場合、このカードがフィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV7」1体を手札またはデッキから特殊召喚する(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。

 

 【忍法 変化の術】で特殊召喚したから、今は攻撃力ダウン効果は使えない。

 

「あ、あぶなかった~」

「【アルティメットワンフー】だったか」

「今はまだ大丈夫ですが、今後出せるモンスターが制限されてしまいますね…」

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。永続罠:1枚。伏せカード:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV5 ★5 ATK2800

 

vs

 

◆久保勇二 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

<久保勇二のフィールド>

ミノケンタウロス ★6 ATK2000

裏側守備表示モンスター

 

◆金田光弘 LP:4000、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<金田光弘のフィールド>

大邪神 レシェフ ★8 ATK2500

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:2枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF2000

裏側守備表示モンスター

 

 

 やはりオシリスレッドの生徒だけあって全員そんなに強くないな。

 全員合わせても、LP:2000&手札3枚の明日香や三沢、万丈目辺りよりも遥かに弱そう。

 

 【通常モンスター】使いの久保勇二、この中だとコイツが一番強いな。

 通常モンスターサポートは一発でそこそこ強力なものが多い。こいつは最優先で倒そう。

 

 【ゴエモン】デッキ使いの金田光弘、コイツもそこそこだと思うがこの盤面でこいつが出来ることは少ないだろう。

 【大邪神 レシェフ】だけは早めに処理したいところだ。

 

 【妖精】デッキ使いの西野祐太、コイツは論外。ただの雑魚だ。

 最後で良いだろ。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイへ移行!」

クロト 手札:0→1枚。

 

「このタイミングで俺は【アルティメット・インセクト LV5】を墓地に送り、デッキから【アルティメット・インセクト LV7】を特殊召喚する!」

 

【アルティメット・インセクト LV7】

効果モンスター

星7/風属性/昆虫族/攻2600/守1200

「アルティメット・インセクト LV5」の効果で特殊召喚した場合、このカードが自分フィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力・守備力は700ポイントダウンする。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK2600→3100

 

<久保勇二のフィールド>

ミノケンタウロス ★6 ATK2000→1300

裏側守備表示モンスター

 

<金田光弘のフィールド>

大邪神 レシェフ ★8 ATK2500→1800

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF2000→1300

裏側守備表示モンスター

 

「メインフェイズに移行!俺は伏せていた魔法カード【マジック・プランター】を発動!【忍法 変化の術】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

クロト 手札:1→0→2枚。永続罠:1→0枚、伏せカード:4→3枚。

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「俺は手札から【ライオウ】を召喚!」

クロト 手札:2→1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK1900→2400

 

【ライオウ】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1900/守 800

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。

また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 

「バトルフェイズに移行!【ライオウ】で【ミノケンタウロス】に攻撃!」

 

ライオウ ATK2400

vs

ミノケンタウロス ATK1300 ※戦闘破壊

 

「ぐぅっ!」

久保勇二 LP:4000→2900

 

<久保勇二のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「ここで俺は伏せていた罠カード【ライヤー・ワイヤー】を発動!墓地の【アルティメット・インセクト LV5】を除外して久保の裏側守備モンスターを破壊する!」

クロト 伏せカード:3→2枚。

 

【ライヤー・ワイヤー】

通常罠

自分の墓地の昆虫族モンスター1体をゲームから除外し、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊する。

 

<久保勇二のフィールド>

モンスター無し

 

 破壊したのはやはり【ミノタウロス】か。

 さっき墓地から回収していたモンスターだし、消去法で考えると確定だったからな。

 

「止めだ!【アルティメット・インセクト LV7】で久保にダイレクトアタック!」

 

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

 

「うわぁぁぁぁっ!」

久保勇二 LP:2900→0

 

「そして【王虎ワンフー】で【大邪神 レシェフ】に攻撃!」

 

王虎ワンフー ATK2200

vs

大邪神 レシェフ ATK1800 ※戦闘破壊

 

「っ!」

金田光弘 LP:4000→3600

 

「メインフェイズ2に移行…カードを1枚セットしてターンエンドだ」

クロト 手札:1→0枚、伏せカード:2→3枚。

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:3600、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

<金田光弘のフィールド>

モンスター無し

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:2枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1300

裏側守備表示モンスター

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

金田光弘 手札:0→1枚。

 

「ボクはカードを1枚セットしてターンエンド!」

金田光弘 手札:1→0枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:3600、手札:0枚。伏せカード:1枚。

 

<金田光弘のフィールド>

モンスター無し

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:2枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1800

裏側守備表示モンスター

 

 伏せカードが1枚だけか。さっきの【激流葬】の件があるし、汎用の魔法罠カードである可能性が高いか。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

西野祐太 手札:2→3枚。

 

「ボクはモンスターを裏側守備表示でセットします!」

金田光弘 手札:3→2枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1300

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

「更に手札からカードを1枚セットしてターンエンドです!」

金田光弘 手札:2→1枚。伏せカード:1→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:3枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:3600、手札:0枚。伏せカード:1枚。

 

<金田光弘のフィールド>

モンスター無し

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:1枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:2枚。

 

<西野祐太のフィールド>

妖精王オベロン ★6 DEF1300

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

 

 ミラーフォースを警戒して攻撃をしてこなかったのか?

 最後の手札は1ターン目に回収した【魔導師の力】だろうか。それともブラフとして伏せたかな?

 

 でもまぁ、もう消化試合感が凄いな。モンスター除去カードを引かれない限りはこのまま幕引きだろう。

 【アルティメットワンフー】って【オシリスの天空竜】の招来弾みたいなもんだし、相手はもう普通にモンスターを召喚することすらできない。

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイへ移行!」

クロト 手札:0→1枚。

 

「俺は手札から【魔導戦士 ブレイカー】を召喚!召喚成功時に効果を発動して魔力カウンターを1つ乗せる!」

クロト 手札:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600→1900→2400

 

魔導戦士 ブレイカー 魔力カウンター:0→1

 

【魔導戦士 ブレイカー】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1000

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×300アップする。

(3):このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「【魔導戦士 ブレイカー】の魔力カウンターを1つ取り除き、金田の伏せカードを破壊する!」

魔導戦士 ブレイカー ATK2400→2100、魔力カウンター:0→1

 

「【リビングデッドの呼び声】が!」

金田光弘 LP:3600、伏せカード:1→0枚。

 

 レシェフを復活させるための罠カードか。

 妨害のカードじゃないなら、これで終わりだな。

 

「バトルフェイズに移行!【魔導戦士 ブレイカー】で金田にダイレクトアタック!」

 

魔導戦士 ブレイカー ATK2100

 

「うぅっ!」

金田光弘 LP:3600→1500

 

「追撃!【王虎ワンフー】で金田にダイレクトアタック!」

 

王虎ワンフー ATK2200

 

「ぐわぁぁぁぁぅっ!」

金田光弘 LP:1500→0

 

 さて、残りは西野だけだが、モンスターはともかく伏せカード2枚は怖いな。

 攻めるけどさ。

 

「【アルティメット・インセクト LV7】で【妖精王オベロン】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【閃光のバリア -シャイニング・フォース-】発動!相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊します!」

金田光弘 伏せカード:2→1枚。

 

【閃光のバリア -シャイニング・フォース-】

通常罠

相手フィールド上に攻撃表示モンスターが3体以上存在する場合、相手の攻撃宣言時に発動する事ができる。相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

 ミラーフォースの完全下位互換じゃん。ミラフォってこの世界の今の時間軸だとそこまで入手しづらいカードってわけでもないんだけど…何でそんなの使ってんの?

 

「チェーンして俺は伏せていた罠カード【トラップ・スタン】を発動!このターン、このカード以外のフィールドの罠カードの効果は無効化される!」

クロト 伏せカード:3→2枚。

 

「!?」

 

【トラップ・スタン】

通常罠

(1):このターン、このカード以外のフィールドの罠カードの効果は無効化される。

 

チェーン②トラップ・スタン

チェーン①閃光のバリア -シャイニング・フォース- ※効果無効

 

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

vs

妖精王オベロン ★6 DEF1300 ※戦闘破壊

 

<西野祐太のフィールド>

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

「追撃!【ライオウ】で裏側守備表示モンスターに攻撃!」

 

ライオウ ★4 ATK2400

vs

裏側守備表示モンスター → 本の精霊 ホーク・ビショップ DEF1200→1700→1000 ※戦闘破壊

 

【本の精霊 ホーク・ビショップ】

通常モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守1200

本の精霊。とても高い知恵を持ち、多彩な攻撃をしかけてくる。

 

<西野祐太のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「メインフェイズ2に移行。そのままターンエンドだ」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:2枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK2100

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:0、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:1枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

 西野祐太、コイツのデッキはまるでチーム太陽レベルのデッキの劣化版だな。

 あちらは【手をつなぐ魔神】や【スクラム・フォース】による防御、【スピード・ワールド2】によるバーンダメージ、ロマン型切り札の【眠れる巨人ズシン】と言う勝ち筋があった。

 

 コイツのデッキってどうやって勝つつもりなんだ?【魔導師の力】とか【団結の力】による装備ビートとかなのか?

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

西野祐太 手札:1→2枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【おとり人形】発動!そちらのミラーフォースは破壊させてもらいます!」

西野祐太 手札:2→1枚。

 

【おとり人形】

通常魔法

魔法&罠カードゾーンにセットされたカード1枚を選択して発動する。選択したカードをめくって確認し、そのカードが罠カードだった場合、強制発動させる。

発動タイミングが正しくない場合、その効果を無効にし破壊する。そのカードが罠カード以外だった場合、元に戻す。このカードは発動後、墓地へ送らずにデッキに戻す。

 

クロト 伏せカード:2→1枚。

 

「更にボクは手札から装備魔法【疫病ウィルス ブラックダスト】発動!そちらの【アルティメット・インセクト LV7】に装備します!」

西野祐太 手札:1→0枚。装備魔法:0→1枚。

 

【疫病ウィルス ブラックダスト】

装備魔法

このカードの装備モンスターは攻撃をする事ができない。

その装備モンスターのコントローラーの2回目のエンドフェイズ時、その装備モンスターを破壊する。

また、この効果で装備モンスターを破壊した場合、このカードを持ち主の手札に戻す。

 

 また懐かしいカードを連発して来るなぁ。

 

「このままターンエンドです!」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK2100

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:0、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

◆西野祐太 LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。装備魔法:1枚。

 

<西野祐太のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイへ移行!」

クロト 手札:0→1枚。

 

 伏せカードは【魔導師の力】で確定だろうし、こりゃ勝ったな。

 

「俺が【魔導戦士 ブレイカー】をリリースして手札から【虚無魔人】をアドバンス召喚!」

クロト 手札:1→0枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

虚無魔人 ★6 ATK2400→2900

 

【虚無魔人】

効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2400/守1200

このカードは特殊召喚できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。

 

「バトルフェイズに入る。【王虎ワンフー】で裏側守備表示モンスターに攻撃!」

 

王虎ワンフー ATK2200

vs

裏側守備表示モンスター → そよ風の精霊 DEF1800→2300→1600 ※戦闘破壊

 

【そよ風の精霊】

効果モンスター

星3/風属性/天使族/攻 0/守1800

このカードが自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、自分のスタンバイフェイズ毎に自分は1000ライフポイント回復する。

 

<西野祐太のフィールド>

モンスター無し

 

「【ライオウ】でダイレクトアタック!」

 

ライオウ ATK2400

 

「うぅっ!」

西野祐太 LP:4000→1600

 

「【虚無魔人】でダイレクトアタック!」

 

虚無魔人 ATK2900

 

「うわぁぁぁぁっ!」

西野祐太 LP:1600→0

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<白河クロトのフィールド>

王虎ワンフー ★4 ATK2200

アルティメット・インセクト LV7 ★7 ATK3100

ライオウ ★4 ATK2400

虚無魔人 ★6 ATK2900

 

vs

 

◆久保勇二 LP:0、手札:1枚。伏せカード:0枚。

 

◆金田光弘 LP:0、手札:0枚。伏せカード:0枚。

 

◆西野祐太 LP:0、手札:0枚。フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。装備魔法:1枚。

 

 

「対戦、ありがとうございました」

クロト GXメダル:30→40→50→60枚。

 

「1たい3でまけちゃった…」

「これは、ハラ減ったなんて言ってる場合じゃないな…」

「惨敗です…」

 

~~~

 

 オシリスレッドの生徒を蹴散らした後、俺はラーイエローの寮に戻って来て先ほどのデュエルを振り返っていた。

 

 今回のデュエル、正直なところ俺は普通に負けると思っていた。

 タッグデュエル大会は魅力的だが、絶対に本戦に参加しなければならない理由は特にないため、最悪負けても良いかと思って挑んだんだが…。

 

「まさか、小学生の低学年時代に適当に作ったデッキで、しかも1対3で勝ててしまうとは…」

 

 【オレイカルコスの結界】と【ミラーフォース・ランチャー】を追加した以外、そこまでレアカードを使っていないデッキにも拘らず、圧倒的人数差を覆して勝利してしまった。

 これは決して俺が強いわけではなく、オシリスレッドの生徒が弱すぎるだけだ。彼らのデッキとの相性も良かったと思う。

 

「明日香たちが相手だったらタイマンでも後攻1ターン目でやられているだろうからなぁ」

 

 あの実力がオシリスレッドの生徒の平均くらいならオベリスクブルー男子の連中が調子づく気持ちも分かる。

 今回の俺の態度に関しては、連中のことばかりを悪く言えないな。

 

 俺自身、チート能力に任せてやりたい放題やっているクズ野郎だという自覚くらいはある。特に直すつもりないけどね。

 

「あの連中、デッキ内容が原作タッグフォース3の時と殆ど変化していなかったな。購買に行ってパックを開けたりしないのだろうか?」

 

 久保勇二が使用していた【ミノケンタウロス】、あれを呼び出すくらいなら購買の融合パックに入っている【始祖竜ワイアーム】の方が遥かに強い。

 あのデッキには【覚醒戦士 クーフーリン】と言う儀式モンスターも入っていたらしい。せめて通常モンスター軸の融合デッキか儀式デッキのどちらかに特化させた方が良いだろう。

 

 金田光弘が使用していた【大邪神 レシェフ】、あれはそもそも【ゴエモン】デッキにピン刺しするようなカードじゃない。

 【ゴエモン】デッキか【大邪神 レシェフ】のどちらかに絞って特化にするかにした方がいい。購買の儀式パックには【高等儀式術】も入っているからな。

 

 西野祐太のデッキは…あれはなんだ?勝つ気があるのか?

 良く入学試験を通ったなと本気で思うぞ。勝利を目指すなら大規模なデッキ編集が必要だろう。

 

「デッキを変えない理由は、やっぱり拘りなんだろうな」

 

 原作ゲームでも原作アニメでも、キャラクターに個性を持たせると言う大人の事情があるのだろうとはいえ、登場人物の殆どはなんらかの癖のあるデッキを好んで使っていた。今更突っ込むのも野暮な話と言う物か。

 拘り過ぎて彼らが退学になったとしても、自身の選択によるものだから止む無しだな。

 

「ともかく、GXメダルも60枚まで集まった。期限までには何とか集まりきるだろう」

 

 俺はGXメダルを専用のメダルケースに仕舞い直すと、そのままベットにダイブして睡魔に身を任せた。




主人公のデッキは【メタビート】です。【王虎ワンフー】を用いた【苦痛ワンフー】・【アルティメットワンフー】を主軸にしています。少年期に学校で使用していたデッキを回収したものの為、エクストラデッキにカードが入っておらず、最近使用していたデッキに比べると弱めですね。

久保勇二のデッキは【通常モンスター】デッキです。攻撃力高めの下級モンスターに通常モンスターのサポートカードがそこそこ入っていて3人の中では多分一番強い。ただ、融合と儀式ギミックが両方入っているデッキなので事故りやすさが上がっています。

金田光弘のデッキは【ゴエモン】デッキです。【忍者義賊ゴエゴエ】を始めとした昔のゲームソフト『ゴエモン』シリーズのキャラクターをモチーフとしたモンスターが主軸です。そのデッキにピン刺しされた何のシナジーもない【大邪神 レシェフ】とその儀式魔法が事故要員となりえるデッキです。

西野祐太のデッキは【妖精】デッキです。モンスターに【ミストボディ】などの装備魔法で強化して戦うデッキのようですが、デッキに投入されたモンスターの質が低く、相手のモンスター魔法罠を除去する手段もないため、色々とイマイチです。

次回の更新は11月初旬の予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、必殺雷撃人様、荒魂マサカド様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十二話 ダークネスの気配

前回のあらすじ:数ターンスリーキルゥ…。

今回は藤原優介のデュエルとなります。


<白河クロト視点>

 

 11月中旬、学園祭で出店する出店の準備をするために本校舎へと歩いていた俺だったが、廃寮付近から嫌な気配を感じ取ったため、廃寮地下にあるデュエルリングへとやって来ていた。

 

「まさかこんなに早い段階でまたここに来ることになるなんてな」

 

 原作アニメではこの廃寮で起こるイベントは1年目三幻魔編に起こるタイタンの事件と3年目後半ダークネス編で起こるオネストの事件の2つのみだったはずだ。

 

 タイタンの事件は大体原作通りに発生して三幻魔に関する物語も終幕したと言っていいだろう。

 正確に言うならば、タイタンがここで事件を起こすのは2回あり、この世界では2回目の明日香とデュエルする事件が発生していないが誤差の範囲だと思っている。

 

 オネストの事件も現実世界に帰還した藤原先輩と和解したことでイベントは終了していると見ていいだろう。

 懸念点は原作よりも2年ほど早くイベントが終わっている点だが、藤原先輩やオネストに確認しても特に異常は見られないようだし、問題は無い…はずだ。

 

 ダークネス編が始まってしまうとしても、それは三幻魔編・光の結社編・ユベル編で人間が精霊の力を悪用しすぎたのが理由で発生するので、開始するとしてもまだまだ時期的に先のはずだ。

 

「だが、それだと俺の目の前にあるこの黒いモヤの説明がつかないな」

 

 今、俺の目の前には以前タイタンを呑み込んだほどの大きさではないにしても、それに近しい気配を感じる黒いモヤが発生している。

 そのモヤからは微かにダークネスの仮面から感じていた闇の魔力を感じる。

 

「ともかく、このくらいのサイズであれば俺がなんとか収束させることが出来そうだ。大事になる前にさっさと消してしまおう」

 

 俺は黒いモヤに向かって手をかざして術式を起動し、黒いモヤを収束させていく。

 俺の力不足もあり時間がかかってしまったが、発見してから約一時間ほどで地下デュエルリングに発生した黒いモヤは跡形もなく消え去った。

 

「あとは…コナミや十代、吹雪さんや藤原先輩に連絡して、島の何処かに何か影響が出ていないか確認するのを手伝ってもらうとするか」

 

 俺は念のため、他に黒いモヤが発生しているポイントが無いかを確認しつつ、彼らに事の顛末を記したメールを発信した。

 

~~~

 

<藤原優介視点>

 

「はぁ…はぁ…!」

 

 急に胸騒ぎがしたボクは、今は廃寮となっている場所へと続く森の中の道を全力疾走していた。

 

「藤原!一体どうしたって言うんだい!」

「くっ、一体、何が起こっているんだ…!」

 

 ボクの後ろからは先ほど一緒に昼食を取っていた吹雪と亮が追いかけてきている。

 

『っ!?マスター!止まってください!!』

「!?」

 

 普段からボクに付き従ってくれている精霊のオネストから警告を受けたボクは、彼の忠告通りにその場に急停止する。

 ボクが立ち止まった為、後ろから走ってきていた吹雪と亮が追い付いてきた。

 

「はぁ…はぁ…藤原、急にどうしたと、言うんだ…」

「はぁ…はぁ…いきなり、血相を変えて、走り出したからには、何か理由が、あるんだろう?」

 

 息も絶え絶えな亮と吹雪がこちらに説明を求めてきているが、今のボクにその質問に答える余裕はない。

 先ほどボクに警告してきたオネストは顔色を青くしながら周囲を見回して何かを探しているようだ。

 

 ボクもそれにならって周囲を警戒して見るが…周囲には木々が生い茂るばかりで特に何も異常は感じられない。

 だけど、確かに何か居る気配がする。しかも、とても懐かしく嫌な気配だ。

 

「だ、誰だ君は!?」

 

 隣に立っていた吹雪が何かに気付き、ボクと亮とオネストがそちらに視線を送ると、そこには全身黒タイツのサングラスをかけた男が立っていた。

 

「ミスターT…!」

「ふふふっ、久し振りだね藤原君。そして君たちには初めましてかな、天上院吹雪君。それに丸藤亮君、だったかな?」

 

 ミスターT、以前ダークネスの世界にて出会ったことのある男で、ボクにダークネスの力を渡した本人でもある。

 だが彼はこちらの世界、人間界に出てくることはできないのではなかったのか!?

 

「驚いているようだね?無理もない。私自身も驚いているくらいだからね?」

 

 ミスターTは自身の手のひらを開いたり閉じたりしている。それはまるで自らの肉体の状態を再確認しているような動きだった。

 

「ミスターT…クロト君の言っていたダークネス世界の住人…なのか?」

「この威圧感、彼から感じる闇の力…恐らく間違いないね」

 

 ダークネスの世界について話を聞いただけの亮は半信半疑の様だが、一度ダークネスの世界に入り込んで長い時を過ごした吹雪には肌で感じるように理解できたようだ。

 

「君にまた会うことになるとは思わなかったよ」

「ふふふっ、私はいずれ近いうちに君と再会できると確信していたよ…ところで、あの少年たちは一緒ではないのかい?」

 

 あの少年たち?クロト君と赤羽君のことだろうか?

 

「彼ら、特にあの歪な魂を持つ少年には非常に興味があったのだが…まぁいいだろう。まずは君からだ藤原君」

「!?」

 

 ミスターTの体からデュエルディスクが浮き出し、それを構えてこちらに向き合っている。やる気だな。

 

「藤原!」

「ボクたちも手伝うよ!」

 

「いや、ここはボクが一人でやるよ。過去の清算も含めてね」

『マスター、私もお手伝いいたします!』

「ふふふっ、果たして君に私を倒すことが出来るかな?」

 

「…出来る!」

 

 不敵な笑みを見せるミスターTに対峙し、ボクはデュエルディスクを構える。

 以前のボクとは違う。今のボクには信頼できる友が居る。信頼できる相棒が居る。ボクは負けない!

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆藤原優介 LP:4000

 

vs

 

◆ミスターT LP:4000

 

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ミスターT 手札:5→6枚。

 

「私は手札からフィールド魔法【クリアー・ワールド】を発動する!」

ミスターT 手札:6→5枚。

 

【クリアー・ワールド】※アニメ版効果

フィールド魔法

フィールド上に表側表示で存在するモンスターの属性によって、そのモンスターのコントローラーは以下の効果を適用する。

●光属性:自分は手札を公開し続けなければならない。

●闇属性:自分は攻撃宣言をする事ができない。

●地属性:自分のエンドフェイズ時に自分フィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。

●水属性:自分のエンドフェイズ時に自分は手札を1枚捨てる。

●炎属性:自分のエンドフェイズ時に自分は1000ポイントのダメージを受ける。

●風属性:自分は魔法カードを発動できない。

 

 ミスターTが【クリアー・ワールド】を発動させた瞬間、周囲の景色は森の中から変化する。空は雲一つない一面の青空、地面は氷上のような景色だ。

 

「この綺麗だが不安が沸き上がるような景色は…」

「あのカードは、ダークネスの世界で藤原が使っていたカード!?」

 

「まさか、あのデッキは…!」

 

 以前、ダークネスの世界でボクが使っていたデッキか!

 

「【クリアー・ワールド】の効果は覚えているかね?以前の君の様に言うならば、それぞれのカードが持つ個性によってネガティブエフェクトによる罰を与えるカードだよ」

 

 ミスターTは淡々とカード効果の説明を行っているが、このカードはボクにとって苦い思い出のあるカードだ。

 

「そのくらい、覚えているさ!」

『マスター、落ち着いてください!相手の思うつぼです!』

 

 くっ、オネストの言う通りだ。落ち着いて対処しなければ!

 

「私は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキからカードを2枚ドローし、手札の【クリアー・ヴィシャス・ナイト】を除外する!」

ミスターT 手札:5→4→6→5枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「私は手札から【クリアー・レイジ・ゴーレム】を召喚!」

ミスターT 手札:5→4枚。

 

<ミスターTのフィールド>

クリアー・レイジ・ゴーレム ★4 ATK1600

 

【クリアー・レイジ・ゴーレム】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル4/闇属性/岩石族/攻撃力1600/守備力1800

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードの属性は「闇」として扱わない。

このカードが相手プレイヤーに直接攻撃を与えた時、相手の手札1枚につき300ポイントのダメージを相手ライフに与える。

 

「更に私は手札から永続魔法【クリアー・ウォール】を発動!」

ミスターT 手札:4→3枚。永続魔法:0→1枚。

 

【クリアー・ウォール】※アニメオリジナルカード

永続魔法

フィールド上に「クリアー・ワールド」が存在しない場合、このカードは破壊する。

自分フィールド上の「クリアー」と名のついた攻撃表示モンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける1000ポイントまでの戦闘ダメージを0にする。

また、自分が受ける1100ポイント以上の戦闘ダメージが発生する場合、このカードを破壊してそのダメージを0にする。

 

「私は手札からもう一枚、永続魔法【フィールドバリア】を発動しておこう」

ミスターT 手札:3→2枚。永続魔法:1→2枚。

 

【フィールドバリア】

永続魔法

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いにフィールド魔法カードを破壊できず、フィールド魔法カードの発動もできない。

「フィールドバリア」は自分フィールド上に1枚しか表側表示で存在できない。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンドだ」

ミスターT 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆藤原優介 LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ミスターT LP:4000、手札:1枚、伏せカード:1枚、フィールド魔法:1枚。永続魔法:2枚。

 

<ミスターTのフィールド>

クリアー・レイジ・ゴーレム ★4 ATK1600

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

藤原優介 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から永続魔法【武神籬】を発動!」

藤原優介 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【武神籬】

永続魔法

(1):自分フィールドの獣戦士族の「武神」モンスターはバトルフェイズ以外では相手の効果で破壊されない。

(2):1ターンに1度、手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「武神」モンスター1体を墓地へ送り、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果をターン終了時まで無効にする。

(3):自分エンドフェイズに、魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の「武神」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「更に【武神籬】の効果発動!ボクは手札から【武神器-ヤツカ】を墓地に送り、【フィールドバリア】の効果を無効にする!」

藤原優介 手札:5→4枚。

 

「ほう…」

 

「ボクは手札から永続魔法【炎舞-「天キ」】を発動!デッキからボクは手札から【武神-トリフネ】を手札に加える!」

藤原優介 手札:4→3→4枚。永続魔法:1→2枚。

 

【炎舞-「天キ」】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする。

 

「ボクは手札から【武神-トリフネ】を召喚!」

藤原優介 手札:4→3枚。

 

<藤原優介のフィールド>

武神-トリフネ ★4 ATK1500→1600

 

【武神-トリフネ】

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1500/守 500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。「武神-トリフネ」を除く、種族が異なる「武神」モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在し、自分が「武神」XモンスターのX召喚に成功した時に発動できる。このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘で破壊したモンスターは墓地へは行かず除外される。

 

「ボクは【武神-トリフネ】をリリースして効果発動!デッキから【武神-マヒトツ】と【武神器-ムラクモ】を特殊召喚!」

 

<藤原優介のフィールド>

武神-マヒトツ ★4 DEF1800

武神器-ムラクモ ★4 ATK1600→1700

 

【武神-マヒトツ】

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻 0/守1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札から他の「武神」カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●手札から「武神」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。そのモンスターとはカード名が異なる「武神」モンスター1体を自分の墓地から選んで手札に加える。

●自分の墓地から「武神」モンスター1体を除外して発動できる。そのモンスターとはカード名が異なる「武神」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。

 

【武神器-ムラクモ】

効果モンスター

星4/光属性/獣族/攻1600/守 900

自分のメインフェイズ時、自分フィールド上に「武神」と名のついた獣戦士族モンスターが存在する場合、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

「武神器-ムラクモ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「【武神-マヒトツ】の効果発動!ボクは手札から【武神-ヤマト】を墓地に送り、墓地の【武神器-ヤツカ】を手札に加える!」

藤原優介 手札:3→2→3枚。

 

「ボクはレベル4【武神-マヒトツ】と【武神器-ムラクモ】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!出でよ!ランク4【武神帝-スサノヲ】!」

 

<藤原優介のフィールド>

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2400→2500 ORU:2

 

【武神帝-スサノヲ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/獣戦士族/攻2400/守1600

レベル4「武神」モンスター×2

(1):「武神帝-スサノヲ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「武神」モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

 

「ここで墓地の【武神-トリフネ】の効果発動!このカードを【武神帝-スサノヲ】に装備する!」

藤原優介 装備カード:0→1枚。

 

「【武神帝-スサノヲ】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【武神器-ハバキリ】を手札に加える!」

藤原優介 手札:3→4枚。

武神帝-スサノヲ ORU:2→1

 

<墓地に送られたモンスター>

①武神器-ムラクモ

 

「墓地の【武神器-ムラクモ】を除外して効果発動!【クリアー・ワールド】を破壊する!」

藤原優介 装備カード:0→1枚。

 

「むっ…なかなかやるじゃないか」

ミスターT フィールド魔法:1→0枚。

 

 【クリアー・ワールド】が消滅したことにより、周囲の景色が元の森の中へと戻った。

 

「上手い!奴は【フィールドバリア】の影響で新たな【クリアー・ワールド】を貼り直すことが出来ない!」

「流石だよ藤原!」

 

「更に【クリアー・ワールド】が破壊されてフィールドから消えたことで【クリアー・ウォール】は自身の効果で自壊する!」

 

「ふふふ、やるねぇ」

ミスターT 永続魔法:2→1枚。

 

「過去にボク自身が使っていたデッキだ!弱点くらい判っている!」

 

 一体、吹雪の【十二獣】に何度破壊されたことか…いや、今は良いか。

 あのデッキが過去のボクであるならば、あの伏せカードは恐らく【属性変化-アトリビュート・カメレオン】。

 

 ならば、今が好機!

 

「ボクは手札の【武神器-ヤツカ】を墓地に送って【武神帝-スサノヲ】を対象に効果発動!【武神帝-スサノヲ】は1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる!」

藤原優介 手札:4→3枚。

 

「2回攻撃だと!?」

 

【武神器-ヤツカ】

効果モンスター

星4/光属性/鳥獣族/攻1700/守 800

自分のメインフェイズ1で、このカードを手札から墓地へ送り、自分フィールド上の「武神」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。

このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。この効果を発動するターン、選択したモンスター以外のモンスターは攻撃できない。

 

「バトル!【武神帝-スサノヲ】で【クリアー・レイジ・ゴーレム】を攻撃!」

 

武神帝-スサノヲ ATK2500

vs

クリアー・レイジ・ゴーレム ATK1600

 

 やはり伏せカードを使用する気配はない。ここで戦闘ダメージを上昇させる!

 

「ダメージ計算時、ボクは手札の【武神器-ハバキリ】を墓地に送って効果発動!【武神帝-スサノヲ】の攻撃力は、そのダメージ計算時のみ元々の攻撃力の倍になる!」

藤原優介 手札:3→2枚。

 

 

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2500→4800

vs

クリアー・レイジ・ゴーレム ★4 ATK1600 ※戦闘破壊&除外

 

「攻撃力2倍!?攻撃力4800!?」

 

【武神器-ハバキリ】

効果モンスター

星4/光属性/鳥獣族/攻1600/守 300

(1):自分の獣戦士族の「武神」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時にこのカードを手札から墓地へ送って発動できる。その戦闘を行う自分のモンスターの攻撃力は、そのダメージ計算時のみ元々の攻撃力の倍になる。

 

「ぐおぉぉぉっ!」

ミスターT LP:4000→800

 

<ミスターTのフィールド>

モンスター無し

 

「これで終わりだ!【武神帝-スサノヲ】の2回目の攻撃!」

 

「あまり調子に乗らないで貰いたいな!リバースカードオープン!永続罠【闇次元の解放】発動!除外されている【クリアー・ヴィシャス・ナイト】を特殊召喚する!」

ミスターT 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【闇次元の解放】

永続罠

(1):除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊され除外される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

<ミスターTのフィールド>

クリアー・ヴィシャス・ナイト ★7 DEF1100

 

【クリアー・ヴィシャス・ナイト】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル7/闇属性/戦士族/攻撃力2300/守備力1100

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードの属性は「闇」として扱わない。

相手フィールド上にモンスターが存在する場合、このカードはリリース1体で召喚できる。

自分の手札・フィールド上にこのカード以外のカードが存在しない場合、このカードの攻撃力は、相手フィールド上に表側表示で存在する攻撃力が一番高いモンスターの元々の攻撃力の数値分アップする。

 

 ボクのデッキとは僅かに構成が違ったようだ…だけど!

 

「それなら【武神帝-スサノヲ】で【クリアー・ヴィシャス・ナイト】を攻撃するまでだ!」

 

武神帝-スサノヲ ATK2400

vs

クリアー・ヴィシャス・ナイト DEF1100 ※戦闘破壊

 

<ミスターTのフィールド>

モンスター無し

 

ミスターT 伏せカード:1→0枚。永続罠:1→0枚。

 

「メインフェイズ2に移行。そしてそのままターンエンド!」

 

「そしてエンドフェイズにボクは【武神籬】の効果発動!このカードを墓地に送って墓地の【武神-ヤマト】を特殊召喚する!」

藤原優介 永続魔法:2→1枚。

 

<藤原優介のフィールド>

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2500 ORU:1

武神-ヤマト ★4 DEF200

 

【武神-ヤマト】

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1800/守 200

(1):「武神-ヤマト」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分エンドフェイズに発動できる。デッキから「武神」モンスター1体を手札に加え、その後手札を1枚選んで墓地へ送る。

 

「更に【武神-ヤマト】の効果を発動!デッキから【武神器-ヤタ】を手札に加え、手札の【武神器-ヘツカ】を墓地に送る!」

藤原優介 手札:2→1→2枚。

 

 

◆藤原優介 LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。装備カード:1枚。

 

<藤原優介のフィールド>

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2500 ORU:1

武神-ヤマト ★4 DEF200

 

vs

 

◆ミスターT LP:800、手札:1枚、伏せカード:0枚、フィールド魔法:0枚。永続魔法:1枚。

 

<ミスターTのフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

ミスターT 手札:1→2枚。

 

「私は手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札の【ダーク・クリエイター】を墓地に捨ててデッキからカードを2枚ドロー!」

ミスターT 手札:2→1→0→2枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「見せてやろう、ダークネスの世界で頂点となるモンスターを!」

 

 まさか、このタイミングであのモンスターを引いてきたのか!

 

「私は手札から魔法カード【クリアー・サクリファイス】を発動!墓地の【クリアー・レイジ・ゴーレム】と【クリアー・ヴィシャス・ナイト】を除外し、手札から【クリアー・バイス・ドラゴン】をアドバンス召喚する!」

ミスターT 手札:2→1→0枚。

 

【クリアー・サクリファイス】※アニメオリジナルカード

通常魔法

このターン自分が「クリアー」と名のついたレベル5以上のモンスターをアドバンス召喚する場合、必要なリリースの数だけ自分の墓地の「クリアー」と名のついたモンスターをゲームから除外できる。

 

<ミスターTのフィールド>

クリアー・バイス・ドラゴン ★8 ATK0

 

【クリアー・バイス・ドラゴン】※アニメ版効果

星8/闇属性/ドラゴン族/攻  0/守  0

このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードの属性は「闇」として扱わない。

このカードが相手モンスターを攻撃する場合、このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ戦闘を行う相手モンスターの攻撃力の倍になる。

このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。

また、このカードの戦闘ダメージ計算時、手札を1枚捨てる事でこのカードは戦闘では破壊されない。

このカードを破壊する効果を持つカードの効果を手札を1枚捨てる事で無効にする。

 

「バトルだ!【クリアー・バイス・ドラゴン】で【武神帝-スサノヲ】に攻撃!クリーン・マリシャス・ストリーム!」

 

武神帝-スサノヲ ATK2500

vs

クリアー・バイス・ドラゴン ATK0

 

「ふふふっ、【クリアー・バイス・ドラゴン】の効果発動タイミングはダメージ計算時!対して君の【オネスト】が使えるのはダメージステップ開始時からダメージ計算前までだ!」

 

「ふっ、それはどうかな?」

「藤原にはさっき手札に加えたカードがある!」

 

 その通り…詰めが甘いよ、ミスターT!

 

「攻撃宣言時、ボクは手札の【武神器-ヤタ】を墓地に送って効果発動!攻撃モンスターの攻撃を無効にする!」

藤原優介 手札:2→1枚。

 

【武神器-ヤタ】

効果モンスター

星4/光属性/鳥獣族/攻1700/守 800

自分フィールド上の「武神」と名のついた獣戦士族モンスターが相手モンスターの攻撃対象に選択された時、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

「武神器-ヤタ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「本来なら攻撃力の半分のダメージを与える効果もあるんだけど…【クリアー・バイス・ドラゴン】の攻撃力は0だからね」

 

「くっ!…ターンエンドだ」

 

 

◆藤原優介 LP:4000、手札:1枚。伏せカード:0枚。装備カード:1枚。

 

<藤原優介のフィールド>

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2500 ORU:1

武神-ヤマト ★4 DEF200

 

vs

 

◆ミスターT LP:800、手札:0枚、伏せカード:0枚、フィールド魔法:0枚。永続魔法:1枚。

 

<ミスターTのフィールド>

クリアー・バイス・ドラゴン ★8 ATK0

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

藤原優介 手札:5→6枚。

 

「このままバトルだ!【武神帝-スサノヲ】で【クリアー・バイス・ドラゴン】を攻撃!」

 

武神帝-スサノヲ ATK2500

vs

クリアー・バイス・ドラゴン ATK0

 

「ぐわぁぁぁっ!」

ミスターT LP:800→0

 

 

 

 デュエルが終わり、ミスターTの体は無数のカードとなって消えていった。

 

「ふふふっ、どうやら今の私ではあの少年たちや君たちにはまだまだ及ばないようだね」

 

 だが、ボク達の耳には消えたはずの奴の声が聞こえてきた。

 声の発信源を探していると、木々の中から倒したはずのミスターTが3人ほど現れた。

 

「先ほどの男と同じ顔の男が3人!?」

「彼らからもさっきのと同じくらいの力を感じるね…」

 

 亮と吹雪は驚きつつも臨戦態勢に入る。

 流石にボクもミスターTを3人同時になんて相手には出来ない。ここは素直に彼らの力を借りよう。

 

「敗れはしたが今の君たちの力量を図ることは出来たようだ」

「ダークネスの世界から離脱した後、随分と力を付けたようだね」

「やれやれ、困ったものだ」

 

 ボクたち3人を囲むようにミスターTたちが近寄って来る。まさに一触即発の状態だ。

 そんな時、ボクと吹雪の携帯電話にメールの着信音が響く。この音は…クロト君からだ!

 

「おや?どうやらこの次元への入り口が閉じられてしまったようだ」

「あの少年の仕業かな。これではこの世界で体を維持することが出来ないね」

「これからが面白くなるところだったのに…残念だね」

 

 ミスターTたちの体はノイズが走ったかのようにブレが生じていき、彼らの体は一人また一人と無数のカードとなって消えていった。

 

「まぁいいさ。最低限の目的は果たした。では、藤原君。他の2人もまた会おう」

 

 そう言い残すと最後のミスターTの体も無数のカードとなって消えていった。

 

 どうやら、なんとか凌ぎ切ったようだ。

 

~~~

 

<遊城十代視点>

 

 藤原優介たちが森の中でミスターTと交戦している最中、同じように火山火口付近で遊城十代、赤羽コナミ、万丈目準もまたミスターTと交戦していた。

 

「行け、【E・HERO ネオス】!ラス・オブ・ネオス!」

 

「うおぉぉぉっ!」

ミスターT LP:1500→0

 

「やれ、【光と闇の竜】!ダークバプティズム!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

ミスターT LP:1200→0

 

「【焔征竜-ブラスター】!【瀑征竜-タイダル】!【嵐征竜-テンペスト】!ダイレクトアタックだ!」

 

「ぬわぁぁぁっ!」

ミスターT LP:500→0

 

「おぉぉぉっ!」

ミスターT LP:700→0

 

「あぁぁぁぁぁっ!」

ミスターT LP:600→0

 

 既に彼ら3人が撃破したミスターTは合計で15人ほどになる。それでも周囲にはまだ十数人のミスターTが彼らのデュエルを観戦していた。

 このままだときりがない!

 

「ふむ、赤帽子の少年は以前に会ったことがあったが…」

「まさか正しき闇の力を持つ者やマアトの羽根の力を持つ精霊を従える者まで現れるとはね」

「これは想定外だな」

 

 今のところはこちらの力量を図っているような素振りを見せているが、もし残った彼ら全員の一斉に襲い掛かられれば…。

 翔や隼人を連れてこなくて正解だったな。

 

『十代、まだ行けるか?』

「はぁ…はぁ…ネオス…。悪い、正直ちょっとキツいかも」

『この男たち、ボクの十代に危害を加えようとするなんて…許せないね』

『クリクリー!』

 

『あ、兄貴~。アイツらヤバイよ~。ねぇ、逃げようよ~』

『逃げるが勝ちって言うしさ~』

『このままだとやられちゃうぜ』

「はぁ…はぁ…えぇい、うるさいぞオジャマども!」

 

「さぁ!次は誰が相手なんだ?オレはまだまだデュエル出来るぞ!早く次をやろう!」

 

 万丈目もそろそろ限界が近い。アイツの精霊たちも心配そうにしている。

 

 コナミはまだまだ元気だ。アイツの相手をしているミスターTは嫌そうな顔をしている。

 

 そんな時、火口のマグマの中から1体のミスターTが姿を現す。その手には禍々しい力を感じる仮面が手に握られている。

 

「目的の仮面は回収した。後は彼らを…おや?」

 

 突如、オレとコナミの携帯電話にメールの着信音が響く。この音は…白河からだな。

 その音がしたすぐ後にミスターTたちは無数のカードとなって次々に消えていく。

 

「やられたな。今回はここまでの様だね」

「だが仮面の回収は完了した」

「なに、あの歪な魂の少年が居る限り、人の心の闇の発生は加速する」

「彼が良かれと思って行動するたびにダークネスの世界の浸食が進むと知れば、彼はどんな顔をするのかな?」

「ふふふっ、それも含めて次の機会に期待するとしよう」

「では、少年たちよ。また会おう」

 

 最後に意味深な言葉を残し、最後のミスターTが消滅した。

 周囲に潜んでいる気配もない。

 

 ふぅー、なんとかなったみたいだな。




藤原優介のデッキは【武神】です。以前は【武神-ヤマト】をフィールドに維持するロービートが基本でしたが、時々貰える新規カードにより展開力が上がってきており、一気に仕掛けることも可能になって来ています。出番は無かったですが、【オネスト】もちゃんと入っています。

ミスターTのデッキは【クリアー】です。原作アニメ終盤で藤原優介が使用したテーマで相手モンスターの属性により様々なデメリット効果を押し付け、自身は属性の無いモンスターで戦ってデメリットを回避するテクニカルなデッキです。OCG化したのは2021年10月時点で2枚だけだったはず。

次回の更新は11月中の予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十三話 異世界からの来訪者

前回のあらすじ:闇イソノ大量発生中

今回は天上院吹雪ととある人物とのデュエルです。


 ミスターTの襲来から数日後、午後の授業を俺は万丈目と吹雪さんの2人と一緒に島の森の奥深くにある古井戸へとやって来ていた。

 この古井戸は時々アカデミア生が不要なカードを投げ捨てに来ることがあり、今回ミスターTが出現する要因の一つとなったであろうカードたちも恐らくここだろうと目星と付けたのだ。

 

「おい白河、見つけたぞ」

「おぉ、やっぱりあったか」

 

 井戸の底に降りて万丈目と一緒に調査していると、案の定ここに捨てられていたようだ。

 

 ミスターTが襲撃してきた当日、万丈目は【おジャマ・イエロー】たちに頼まれて最近古井戸に大量に捨てられたカードの確認に来ようとしていたらしい。

 その調査に向かう際、火山火口に異変を感じて向かって居る十代とコナミの2人に出会い、そのまま一緒に行動した結果としてミスターTたちと遭遇して交戦したそうだ。

 

『ほらほら、万丈目の兄貴!オイラの言った通りだったでしょ?』

『オレたちって役に立つだろ~?』

『見直した?見直した?』

 

「ええぃ、うるさいぞおジャマども!静かにしてろ!」

 

 じゃれつく万丈目とおジャマ三兄弟たちは放っておいて、万丈目の足元に散らばっている探し物を拾い上げた。

 うわっ、結構あるな。500枚くらいあるんじゃないか?

 

 【インヴェルズ】に【ヴァイロン】、【ジュラック】に【ワーム】、【ジェムナイト】に【ナチュル】などなど、パッと見はこの世界では一線級のレアなカード達だ。

 だが残念ながらこれは、レアグールズの連中が作り出したコピーカードだ。大方、コピーカードの摘発を恐れた生徒たちが捨てたのだろう。

 

 そして、このコピーカードこそが先日の騒動の要因だと俺は睨んでいる。実際、このコピーカードには精霊の力の代わりに人の心の闇の力がたっぷり宿っている。

 恐らくだが、この人の心の闇の力が集まったことによりダークネスの世界との境界線が揺らぎやすくなったのだろう。

 

 今回、ミスターTたちが出現したと思われる黒いモヤを発見したのは旧寮の地下室であり、ここは以前にタイタンや藤原先輩がダークネスの世界への入り口を作った場所だ。

 一度でも別世界と繋がってしまった場所は他の場所と比べて別世界への入り口が出来やすい…とカイバーマンが言っていたからな。

 

「今後、レアグールズのアホどもが量産したコピーカードがデュエリストに渡るたびに人の心の闇の力がこの世界に増えやすくなるわけか」

 

 俺がそう独り言を呟くと、それを聞いた万丈目が嫌そうな顔をしていた。そりゃそんな顔になるわな。

 

「その度にあんな化け物たちが現れて戦う羽目になるなんて、オレは御免だぞ!?」

「俺だって嫌だよ」

 

 コピーカードは精霊の力が宿らないことから、精霊が視認できる俺やコナミ、十代や万丈目や藤原先輩ならコピーカードかどうかを一目で判断することが出来る。

 そこで俺と万丈目と吹雪さん、十代とコナミと藤原先輩と亮さんの2チームに分かれて島中を捜索しているわけだ。

 

 カードの精霊たちもコピーカードを判別できるのだが、今回の様にダークネス関連のようないわくつきのものを彼らに探してもらうのは気が引けたので、今回は頼んでいない。

 ダークネス関連のアイテムはそれだけ危険なものなのだ。

 

「あれ?師匠?師匠~何処ですか~?」

 

 先に井戸から上がった万丈目が吹雪さんを探しているようだ。あれ?おかしいな。

 俺達2人が中に入る間、吹雪さんには万丈目の精霊【光と闇の竜】と一緒に井戸の上で待っていて貰ったから居ないはずはないんだが…。

 

 俺が井戸を昇り終わると、付近の草むらをかき分けて吹雪さんを探す万丈目と【光と闇の竜】が居た。

 

 あのクソトカゲ、留守番も出来ないとか…。はぁ~つっかえ。ウチの可愛くて賢い【バニーラ】を見習えよな~。

 

 うぉっ、こっちを見て威嚇してくんな!

 

「クロト君!万丈目君!済まないが今すぐこちらに来てくれないか!」

 

 そんなことを考えていると、森の更に奥の方から吹雪さんの声が聞こえてきた。何やら慌てている様子だ。

 俺と万丈目が急いでその場に向かってみると、吹雪さんが地面に横たわっている褐色肌の美女を介抱しているシーンに出くわした。

 

「師匠、その女性は一体…」

「分からない。ボクも森の奥から聞こえた呻き声を頼りについさっき見つけたばかりなんだ」

 

 まるで白雪姫を目覚めさせようとしている王子みたいな光景だ。…この人って何やっても絵になるよな。

 男女ともに親しみやすいコミュ力お化けのイケメンってホントずるいわ~。あの女性、今目覚めたらキュン死するんじゃないか?

 

「うぅ…」

 

 美女の呻き声を聞き、吹雪さんが心配そうにその顔を眺めている。

 

「もしかしたら緊急を要するかもしれない。2人とも済まないが…」

 

 どうやら吹雪さんは彼女を何処かに治療できる場所に移そうと提案しようとしているようだ。

 

 まぁ、そうなるよな。野郎だったらどうでもいいけど、美女なら仕方ないよな。

 野郎が死んでも地球の酸素の消費量が減るだけだが、美女にもしものことがあったら世界の損失だしな。

 

「分かりました。こちらの調査は引き続き俺がやっておきます。万丈目、お前は吹雪さんを手伝ってやってくれないか?」

「お前に指図される謂れは無いが…緊急事態だ。仕方ない。師匠、この女性を運ぶのを手伝います。とりあえず保健室で良いですか?」

「助かるよ二人とも」

 

 今回の調査目標は殆ど達成しているし、後は俺一人でどうとでもなるので、吹雪さんたちには先に校舎へと戻って貰うこととなった。

 

「とりあえず彼らが校舎に到着する前に鮎川先生と倫理委員会辺りに事前連絡を入れておくとして…」

 

 おジャマたちと光と闇の竜が森の中の位置を先導し、万丈目が森の中の通路を確保しつつ、吹雪さんがお姫様抱っこで女性を抱えて本校舎の方角へと歩いていく。

 その後ろ姿を見送りながら、俺は生徒手帳代わりのPDA端末を使って緊急連絡用の番号から鮎川先生たちにザックリと事情を説明しておいた。

 

「それにしても、吹雪さんが抱えていった美女、なんか見たことあるような気がするんだよなぁ」

 

 俺は大量のコピーカードの山を過去に破滅の光対策で使用した専用カードケースへと仕舞いつつ、先ほどの女性に付いて考え始めた。

 

 あの褐色の肌に緑掛かった短髪の黒髪、キリっとした感じの美人顔に黒衣装の上からでも分かるナイスバディ…。

 あっ、思い出したわ。【墓守の暗殺者】のサラだ。

 

 何でここに居るの?

 

~~~

 

 【墓守の暗殺者】のサラ。

 

 アニメ遊戯王GXの第一期『三幻魔編』の中盤くらいに登場するキャラクターである。

 

 大徳寺(アムナエル)の仕込みにより十代一行が墓守の世界に飛ばされた際、唯一あの世界で十代を色々と手助けしてくれた女性だ。

 以前、墓守の世界を訪れたダークネスの仮面を被った天上院吹雪に好意を寄せていたが、アニメでの再登場が無かった為、再開することは無かった。

 

 視聴者人気があったのか製作者が好きだったのはか不明だが、タッグフォースにも天上院吹雪を探しに来たという理由で参戦しており、そこではちゃんと彼との再会を果たしている。

 ただ、彼女が好意を寄せていたのはクールなダークネス人格の方なので、陽キャ前回の吹雪を見ても以前ほどの感情を抱いていないように見えた。

 

 だが、しかし!この世界では俺が良かれと思って色々と先手を打ってしまった!その為…。

 

 吹雪さんとサラの出会いは全カット!

 十代たちとサラとの出会いすら全カット!

 

 何のフラグも得られませんでした!

 

 そのはずなんだが、何故か俺が校舎まで戻ってくると校舎前ではデュエルディスクを腕に装着した吹雪さんとサラの二人が立って居た。

 吹雪さんから少し離れた場所に万丈目が立っており、その様子を困惑した表情で見ている。

 

 いやいや、どういう状況よコレ。

 

「むっ、戻ったか白河。そちらはどうなったんだ?」

「あの周囲には井戸の底の物以外のコピーカードは無かったし、そのコピーカードも封印は終わったよ」

「なら、そちらはひとまず一段落か」

 

 万丈目に近付いて今回の調査結果を伝えたところ、ホッとした表情になった。

 

「それで、アレは?どういう状況?何でデュエルしようとしてんの?」

「オレも詳しくは分かっていないんだが…」

 

 俺が吹雪さんたちの方へ視線を送ると、万丈目が自信なさげに話し始めた。

 その内容をまとめると、ザッとこんな感じだ。

 

 ある日突然、彼女たちが守護する遺跡に仮面の少年が異世界の精霊たちを引き連れて出現したらしい。

 彼女たちの長がその少年に勝負を挑んだが、その少年の繰り出すモンスターはまるで神話に出てくる神の様に圧倒的な強さを誇り、長は圧倒されて敗北してしまったそうだ。

 その後、その少年は特に何をするわけでもなく元の世界に帰っていったらしいが、もし彼が悪意ある墓荒らしの侵入者だったら彼女たちが守護すべき遺跡は大変なことになっていただろう。

 

 そうならない為に故郷の皆と一緒に鍛錬をしていたら、いきなり彼女の目の前に空間の歪みが現れ、その歪みに運悪く彼女だけ飲み込まれてしまい、気がついたらあの森の中だったそうだ。

 あの森の中を数日間歩き続け、途方に暮れて疲労と空腹で倒れていたところを吹雪さんに発見された…。

 

「…ということらしい」

「へ、へぇ~。そうなんだ~」

 

 いやー、誰だろうねその仮面の少年とかいう奴は。世の中には困った奴もいたもんだなー。

 

「その話を聞いた師匠が彼女が元の世界に戻れるように協力したいと申し出たわけだ」

「なるほどねぇ」

 

 相変わらず吹雪さんは底抜けの善人だな。

 彼女の帰還方法については心当たりがあるんだが、面白そうだからしばらく黙っていようかな。

 

 原作ゲームだと彼女自身が何らかの方法を使って自力で人間界にやって来ているはずだから、多分彼女が帰還方法も知っているだろうしな。

 俺が口を挟まなくても大丈夫大丈夫。

 

「その後、あの女性…サラさんが吹雪さんが持っているデュエルディスクを見つけて腕試しをしたいと言い出したんだ」

「う~ん、デュエル脳」

 

 俺達が話し込んでいるうちに吹雪さんたちの話も終わったようだ。どうやらデュエルディスクの使い方を説明していたみたいだ。

 そして二人が一定の距離を取ってデュエルディスクを構える。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆天上院吹雪 LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆サラ LP:4000、手札:5枚

 

 

「先攻は私が貰う。私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

サラ 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【ネクロバレーの玉座】を発動!デッキから【墓守の司令官】を手札に加える!」

サラ 手札:6→5→6枚。

 

【ネクロバレーの玉座】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●デッキから「墓守」モンスター1体を手札に加える。

●手札から「墓守」モンスター1体を召喚する。

 

「続いて手札から【墓守の司令官】を墓地に送って効果発動!デッキから【王家の眠る谷-ネクロバレー】を手札に加える!」

サラ 手札:6→5→6枚。

 

【墓守の司令官】

効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1600/守1500

このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。

デッキから「王家の眠る谷-ネクロバレー」1枚を手札に加える。

 

「そして手札からフィールド魔法【王家の眠る谷-ネクロバレー】を発動する!」

サラ 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【王家の眠る谷-ネクロバレー】

フィールド魔法

(1):フィールドの「墓守」モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

(2):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いに墓地のカードを除外できず、墓地のカードへ及ぶ効果は無効化され、適用されない。

 

「ネクロバレーか。墓地への干渉を防ぐ厄介なカードだな」

「絶対に墓地のカードを触らせないと言う鉄の意志と鋼の強さを感じる」

 

 墓地に干渉するカードがバンバン出るカードゲームなんて、遊戯王くらいだよな。

 

「私は手札から【墓守の霊術師】を召喚!」

サラ 手札:5→4枚。

 

<サラのフィールド>

墓守の霊術師 ★4 ATK1500→2000

 

【墓守の霊術師】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1500/守1500

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドに「王家の眠る谷-ネクロバレー」が存在する場合に発動できる。魔法使い族の融合モンスターカードによって決められた、フィールドのこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「【墓守の霊術師】の効果発動!フィールドの【墓守の霊術師】と手札の【墓守の暗殺者】を融合!出でよ!【墓守の異能者】!」

サラ 手札:4→3枚。

 

<サラのフィールド>

墓守の異能者 ★7 ATK2000→2800→3300

 

【墓守の異能者】

融合・効果モンスター

星7/闇属性/魔法使い族/攻2000/守2000

「墓守」モンスター×2

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードの融合素材としたモンスターの元々のレベルの合計×100アップする。

(2):フィールドに「王家の眠る谷-ネクロバレー」が存在する限り、このカード及び自分のフィールドゾーンのカードは効果では破壊されない。

(3):自分メインフェイズに発動できる。このターンのエンドフェイズに、デッキから「墓守」モンスター1体または「ネクロバレー」カード1枚を手札に加える。

 

「私は【墓守の異能者】の効果を発動し、カードを3枚セットしてターンエンド!」

サラ 手札:3→0枚。伏せカード:0→3枚。

 

「エンドフェイズに【墓守の異能者】の効果により、デッキから【墓守の神職】を手札に加える!」

サラ 手札:0→1枚。

 

 

◆天上院吹雪 LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆サラ LP:4000、手札:1枚、伏せカード:3枚、フィールド魔法:1枚。

 

<サラのフィールド>

墓守の異能者 ★7 ATK3300

 

 

「サラさん、思っていた以上に強いな」

「確かにね」

 

 万丈目の言う通り、彼女は結構強いな。アカデミア生の大半は彼女に勝てないだろう。

 間違いなく長とデュエルした時よりもカード全体の質が向上している。融合モンスターなんて何処で見つけてきたんだろう。

 

 それでも、吹雪さんには勝てないと思うけどね。

 

 

「ボクのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

吹雪 手札:5→6枚。

 

「ボクは1000LPを支払い、手札から速攻魔法【コズミック・サイクロン】を発動!【王家の眠る谷-ネクロバレー】を除外させてもらうよ!」

吹雪 LP:4000→3000、手札:6→5枚。

 

【コズミック・サイクロン】

速攻魔法

(1):1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

「そうはさせない!リバースカードオープン!カウンター罠【ネクロバレーの王墓】を発動!【コズミック・サイクロン】の発動を無効にして破壊する!」

サラ 伏せカード:3→2枚。

 

【ネクロバレーの王墓】

カウンター罠

フィールド上に「墓守」と名のついたモンスター及び「王家の眠る谷-ネクロバレー」が存在する場合に発動できる。

効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。「ネクロバレーの王墓」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

チェーン②ネクロバレーの王墓

チェーン①コズミック・サイクロン ※効果無効&破壊

 

「おっと、防がれちゃったか。ならボクは手札から永続魔法【一点着地】を発動!」

吹雪 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【一点着地】

永続魔法

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分または相手の手札から自分フィールドに、モンスター1体のみが特殊召喚された場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):自分ターンにこのカードの(1)の効果でドローしていない場合、そのターンのエンドフェイズにこのカードは墓地へ送られる。

 

「次にボクは手札から【獣王アルファ】を自身の効果で特殊召喚だ!」

吹雪 手札:4→3枚。

 

<天上院吹雪のフィールド>

獣王アルファ ★8 ATK3000

 

【獣王アルファ】

特殊召喚・効果モンスター

星8/地属性/獣族/攻3000/守2500

このカードは通常召喚できない。

相手フィールドのモンスターの攻撃力の合計が、自分フィールドのモンスターの攻撃力の合計より高い場合に特殊召喚できる。

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

その後、手札に戻した数だけ相手フィールドの表側表示モンスターを選んで持ち主の手札に戻す。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分の「獣王アルファ」は直接攻撃できない。

 

「おぉっ、いきなり師匠のエースモンスターが出たぞ!」

「【獣王アルファ】、ビーストデッキにおける主力モンスターの1体だな」

 

「そして【一点着地】の効果発動!デッキから1ドロー!」

吹雪 手札:3→4枚。

 

「続いて【獣王アルファ】の効果発動!自身を手札に戻し、そちらの【墓守の異能者】を手札に戻す!」

吹雪 手札:4→5枚。

 

<サラのフィールド>

モンスター無し

 

「くっ、融合モンスターは手札に戻らず、エクストラデッキに戻される…」

「これでサラさんのフィールドはがら空きだが、まだ邪魔なネクロバレーと伏せカードによる妨害が残っているか」

 

 ネクロバレーは敵に使われると本当に厄介だからな。アレ一枚で詰むデッキもあるだろう。

 モンスターを展開する場合、墓地に干渉できないのは本当に面倒くさいからね。

 

「ボクは手札から永続魔法【ベアルクティ・ラディエーション】を発動!」

吹雪 手札:5→4枚。永続魔法:1→2枚。

 

【ベアルクティ・ラディエーション】

永続魔法

このカードを発動する場合、このカードにカウンターを7つ置いて発動する。

(1):「ベアルクティ・ラディエーション」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。

(2):手札・EXデッキから「ベアルクティ」モンスターが特殊召喚される度に、このカードのカウンターを1つ取り除いて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(3):自分・相手のエンドフェイズに、「ベアルクティ・ラディエーション」以外の自分の墓地の「ベアルクティ」カード1枚を対象として発動できる。そのカードをデッキに戻す。

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:0→7。

 

「ベアルクティ?なんだあのカード?あんなカードを師匠が使ったことを見たことが無いぞ」

「うわっ、あのデッキを使っちゃうんだ」

 

 このデッキを使うと言うことは、この短期間で彼女を強敵と感じ取ったのだろう。本物のデュエリストって凄い。

【十二獣】デッキが彼の奥の手なら、このデッキは彼の切り札と言ったところだろうね。

 

「ボクは手札から【ベアルクティ-メガビリス】を捨てて、魔法カード【ベアルクティ・ディパーチャー】を発動!デッキから【ベアルクティ―メガタナス】と【ベアルクティ―ミクポーラ】を手札に加えるよ!」

吹雪 手札:4→3→2→4枚。

 

【ベアルクティ・ディパーチャー】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「ベアルクティ」モンスター2体を手札に加える。

(2):自分が「ベアルクティ」モンスターの効果を発動するためにモンスターをリリースする場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには使用できない。

 

「次にボクは手札から【ベアルクティ―メガタナス】をリリースして、手札の【ベアルクティ―ミクポーラ】の効果発動!自身の効果で特殊召喚する!」

吹雪 手札:4→3→2枚。

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ―ミクポーラ ★7 DEF2000

 

【ベアルクティ―ミクポーラ】

効果モンスター

星7/水属性/獣族/攻 700/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに、手札からこのカード以外のレベル7以上のモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はレベルを持つモンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ベアルクティ-ミクポーラ」以外の「ベアルクティ」モンスター1体を手札に加える。

 

「ここで【ベアルクティ・ラディエーション】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に特殊召喚に成功した【ベアルクティ―ミクポーラ】の効果発動!デッキから【ベアルクティ-メガポーラ】を手札に加える!」

 

チェーン②ベアルクティ―ミクポーラ

チェーン①ベアルクティ・ラディエーション

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:7→6。

 

 吹雪 手札:2→3→4枚。

 

「次にボクは手札から【ベアルクティ-ミクビリス】をリリースして、手札のチューナーモンスター【ベアルクティ-メガポーラ】の効果発動!自身の効果で特殊召喚する!」

吹雪 手札:4→3→2枚。

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ―ミクポーラ ★7 DEF2000

ベアルクティ-メガポーラ ★8 ATK2500 ※チューナー

 

【ベアルクティ-メガポーラ】

チューナー・効果モンスター

星8/水属性/獣戦士族/攻2500/守 700

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに、手札からこのカード以外のレベル7以上のモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はレベルを持つモンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分フィールドに他の「ベアルクティ」モンスターが存在する状態で、このカードが特殊召喚に成功した場合、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「【ベアルクティ・ラディエーション】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に特殊召喚に成功した【ベアルクティ-メガポーラ】の効果発動!そちらの【王家の眠る谷-ネクロバレー】を破壊するよ!」

 

チェーン②ベアルクティ-メガポーラ

チェーン①ベアルクティ・ラディエーション

 

「ネクロバレーが…!」

サラ フィールド魔法:1→0枚。

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:6→5。

 

 吹雪 手札:2→3枚。

 

「良し!これで墓地のカードを使用できるぞ!」

「ただ、墓守デッキはネクロバレーをサーチする手段は豊富に入っているはずだから、早期決着を狙いたいな」

 

「ボクはレベル7【ベアルクティ―ミクポーラ】にレベル8【ベアルクティ-メガポーラ】をチューニング!」

 

「チューニング?」

「馬鹿な!2体の合計レベルは15!デュエルモンスターズの最大レベルは12!この条件で呼び出せるモンスターが存在するはずがない!」

 

 サラはシンクロ召喚の存在を知らないだろうから混乱していて、万丈目はシンクロ召喚の存在を知っているからこそ混乱しているようだ。

 

 この条件で呼び出せるモンスター?居るんだよなぁ。

 

「シンクロ召喚!おいで!レベル1【ベアルクティ-ポラリィ】!」

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-ポラリィ ★1 DEF1000

 

【ベアルクティ-ポラリィ】

シンクロ・効果モンスター

星1/水属性/獣族/攻 700/守1000

このカードはS召喚できず、レベルの差が1となるように自分フィールドからチューナー1体とチューナー以外のモンスター1体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ベアルクティ・ビッグディッパー」1枚を選んで発動する。

(2):自分フィールドのレベル7以上のモンスター1体をリリースして発動できる。自分の墓地から「ベアルクティ」モンスター1体を選び、手札に加えるか特殊召喚する。

 

「レベル1のシンクロモンスター!?レベルの合計ではなく、レベルの差分を条件に特殊召喚するシンクロモンスター!?」

 

 良かった。普通の可愛らしいクマちゃんだ。

 コナミならここでタクシー…もとい赤き竜【アルティマヤツィオルキン】を呼び出しても不思議じゃないからな。

 

「シンクロ召喚!?…こんな召喚方法が存在するのか!?」

 

 正確にはシンクロ召喚じゃないんだけど…まぁ今は別に指摘するほどのことでもないか。

 

「【ベアルクティ・ラディエーション】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に特殊召喚に成功した【ベアルクティ-ポラリィ】の効果発動!デッキからフィールド魔法【ベアルクティ・ビッグディッパー】を発動する!」

 

チェーン②ベアルクティ-ポラリィ

チェーン①ベアルクティ・ラディエーション

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:5→4。

 

 吹雪 手札:3→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ベアルクティ・ビッグディッパー】

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、自分の「ベアルクティ」モンスターが効果を発動するためにモンスターをリリースする場合、代わりに自分の墓地のレベル7以上の「ベアルクティ」モンスター1体を除外できる。

(2):モンスターが特殊召喚される度にこのカードにカウンターを1つ置く。

(3):1ターンに1度、モンスターが特殊召喚された場合、7つ以上のこのカードのカウンターを全て取り除き、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのコントロールを得る。この効果はフィールドに「ベアルクティ」Sモンスターが存在する場合に発動できる。

 

「【ベアルクティ-ポラリィ】の効果発動!フィールドのレベル7モンスターをリリース…する代わりに墓地の【ベアルクティ-ミクビリス】を除外し、墓地からチューナーモンスター【ベアルクティ-メガビリス】を特殊召喚だ!」

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-ポラリィ ★1 DEF1000

ベアルクティ-メガビリス ★8 ATK2800

 

【ベアルクティ-メガビリス】

チューナー・効果モンスター

星8/水属性/獣戦士族/攻2800/守 700

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに、手札からこのカード以外のレベル7以上のモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はレベルを持つモンスターしか特殊召喚できない。

(2):自分フィールドに他の「ベアルクティ」モンスターが存在する状態で、このカードが特殊召喚に成功した場合、相手の墓地のカード1体を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

「【ベアルクティ・ラディエーション】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に特殊召喚に成功した【ベアルクティ-メガビリス】の効果発動!そちらの墓地の【墓守の霊術師】を除外させてもらうよ!」

 

チェーン②ベアルクティ-メガビリス

チェーン①ベアルクティ・ラディエーション

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:4→3。

 

 吹雪 手札:4→5枚。

 

「師匠のフィールドにはレベル1とレベル8のチューナモンスター!」

「レベルの差分は7!」

 

「ボクはレベル1【ベアルクティ-ポラリィ】にレベル8【ベアルクティ-メガビリス】をチューニング!シンクロ召喚!来てくれ、【ベアルクティ-グラン=シャリオ】!」

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-グラン=シャリオ ★7 ATK2700

 

【ベアルクティ-グラン=シャリオ】

シンクロ・効果モンスター

星7/水属性/獣戦士族/攻2700/守 700

このカードはS召喚できず、レベルの差が7となるように自分フィールドからレベル8以上のチューナー1体とチューナー以外のSモンスター1体を墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、このカード以外のフィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):1ターンに1度、自分フィールドの「ベアルクティ」カードを対象とするカードの効果が発動した時、自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。その発動を無効にする。

 

 ベアルクティ・ビッグディッパー カウンター:0→1

 

「【ベアルクティ・ラディエーション】の効果発動!デッキから1ドロー!」

 

「更に特殊召喚に成功した【ベアルクティ-グラン=シャリオ】の効果発動!そちらの伏せカードを破壊する!」

 

チェーン②ベアルクティ-グラン=シャリオ

チェーン①ベアルクティ・ラディエーション

 

「残りの伏せカードまで…」

サラ 伏せカード:2→0枚。

 

 伏せカードは【マジカルシルクハット】と【瞬間融合】か。

 

 【マジカルシルクハット】でデッキから【墓守の使い魔】や【墓守の石版】辺りの魔法・罠カードをモンスター扱いで呼び出せれば【瞬間融合】で融合召喚に持っていける。

 恐らくはその辺りの意図をもってデッキに投入されたカードだろうな。

 

 ベアルクティ・ラディエーション カウンター:3→2。

 

 吹雪 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札からチューナーモンスター【深海のディーヴァ】を召喚!」

吹雪 手札:6→5枚。

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-グラン=シャリオ ★7 ATK2700

深海のディーヴァ ★2 ATK200 ※チューナー

 

【深海のディーヴァ】

チューナー・効果モンスター

星2/水属性/海竜族/攻 200/守 400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキからレベル3以下の海竜族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「召喚に成功した【深海のディーヴァ】の効果発動!デッキから【黄紡ぼうデュオニギス】を特殊召喚するよ!」

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-グラン=シャリオ ★7 ATK2700

深海のディーヴァ ★2 ATK200 ※チューナー

黄紡ぼうデュオニギス ★3 DEF700

 

【黄紡ぼうデュオニギス】

効果モンスター

星3/水属性/海竜族/攻1500/守 700

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分フィールドの水属性モンスターの数だけ相手のデッキの上からカードを除外する。

(2):自分フィールドのレベル4以下の水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルをその元々のレベル分だけ上げる。

(3):墓地のこのカードを除外して発動できる。フィールドの水属性モンスター1体を選び、その攻撃力をターン終了時まで、除外されているモンスターの数×100アップする。

 

 この2体セットからでもあのクマちゃんは呼び出せるから入ってるんだろう。

 種族的にシナジーは無いものの、属性サポートは受けられるしな。

 

「特殊召喚に成功した【黄紡ぼうデュオニギス】の効果発動!そちらのデッキトップ3枚を除外する!」

 

「ボクはレベル3【黄紡ぼうデュオニギス】にレベル2【深海のディーヴァ】をチューニング!シンクロ召喚!【A・O・J カタストル】!」

 

<天上院吹雪のフィールド>

ベアルクティ-グラン=シャリオ ★7 ATK2700

A・O・J カタストル ★5 ATK2200

 

【A・O・J カタストル】

シンクロ・効果モンスター

星5/闇属性/機械族/攻2200/守1200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカードが闇属性以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。

 

 サラの手札は判明している。彼女にはもうこの攻勢を防ぐ手段がない。これで終わりだな。

 

「バトル!【A・O・J カタストル】でダイレクトアタック!」

 

A・O・J カタストル ATK2200

 

「うぅっ!」

サラ LP:4000→1800

 

「【ベアルクティ-グラン=シャリオ】でダイレクトアタック!」

 

ベアルクティ-グラン=シャリオ ATK2700

 

「あぁぁぁぁぁっ!」

サラ LP:1800→0

 

 

「まいりました…」

「うん、楽しいデュエルだったね!またやろう!」

 

 敗北して座り込んでいるサラに、吹雪さんが優しく手を差し伸べている。普段はっちゃけている吹雪さんと同一人物とは思えない。

 美男美女は何やっても映えるのがズルいよな。

 

 ああいうセリフはデュエル好きな十代やコナミか、爽やかイケメンの吹雪さんくらいしか言えないよな。

 仮に俺が言ったら嫌味に聞こえるだろうからね。

 

 

 ちなみに、今回吹雪さんがデュエルで使用したカードの中で俺が過去に渡したカードは【獣王アルファ】くらいである。

 他のカードは吹雪さんが自力でカードパックを剥いて当てたらしい。

 

 いやいや、この世界のカードパックにOCG次元の第11期のカードが入ってるわけないでしょ。

 そう言えば明日香の【氷結界】のストラク追加分のカードも彼女自身がどこからか入手して来てたな。

 

 デュエリストとカードは引き合うと言う話があるらしいが、一体どこから出てきたのやら。

 

~~~

 

 二週間後、【墓守の暗殺者】のサラは、購買部の売り子のサラとして大活躍していた!

 

「サラさ~ん、カードパックチャレンジのチャレンジャーさんが来ましたよ~」

「サラちゃん、ここの作業は私がやっておくわ」

「トメさん…分かりました。セイコさん、今から向かいます!」

 

 1学期の中盤から始まったカードパックチャレンジ、その相手は今までセイコさんのみだったが、デュエルの腕を見込まれて今回新たにサラが加わることとなったのだ。

 当初は慣れない環境のせいで苦労したようだが、人柄の良いトメさんやセイコさんと触れ合ううちに身に纏う雰囲気や口調は徐々に和らいでいったようだ。

 

 そんなサラが売店に現れてから少しした後、口コミで広まった褐色美女に心を奪われた大勢の男子生徒がこぞって売店にやって来て、何とかお近づきになろうとしてカードパックチャレンジを挑んで行った。

 また、新たなカードパックチャレンジのデュエリストの登場に興味を持った生徒たちもまた果敢に彼女へと挑んで行った。

 

「魔法カード【王家の生け贄】を発動!お互いの手札にあるモンスターカードを全て墓地に捨てる!」

「あぁ!ボクのロイドたちが!」

 

「永続魔法【ネクロバレーの祭殿】を発動!」

「と、特殊召喚封じ…。オレの大型コアラたちが呼び出せないんだナァ…」

 

 だが、セイコさんの【ロックバーン】とはまた毛色が違う【墓守】デッキ相手に一人、また一人と敗北し、大半の生徒は膝を屈していった。

 

「あなたは確か…三沢大地…でしたね。私の住む世界でもあなたを知らぬ者はおりません」

「オレを知っているんですか?」

「えぇ。あのカイバーマンに挑み続ける少年の噂は、世界をまたいで私の故郷にも伝わっていました」

「それは光栄な話ですね」

「ふふっ、お互い良いデュエルをしましょう」

「はい!」

「「デュエル!」」

 

 そんな彼女にオベリスクブルー1年生最強と言われる三沢大地が挑み、辛くも勝利したことを聞きつけて動き始めた者もいた。

 

「三沢に後れを取っていられん!さぁ行けおジャマども!【おジャマ・デルタハリケーン!!】」

「全体破壊効果!あのモンスター達にこのような秘めた力があるとは…見かけによりませんね」

 

「儀式召喚!来なさい!【サイバー・エンジェル-伊舎那】!その効果により相手は自身のフィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送らなければならないわ!」

「私のフィールドにはネクロバレーのみ…。やりますね、アスリンさん!」

「アスリンは止めて!?くぅっ、兄さんの入れ知恵ね!」

 

「トリプルコンタクト融合!来い!【E・HERO ストーム・ネオス】!」

「フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊!?…ですが、まだ勝負は付いていません!」

 

「現れよ!ランク9!【No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン】!」

「これがエクシーズ召喚…攻撃力4000…!赤羽コナミ、あの仮面の少年に匹敵する相手…!」

 

「自分の墓地及び自分フィールドの機械族・光属性モンスターを全て除外!出でよ!【サイバー・エルタニン】!」

「自身以外のフィールドの表側表示モンスターを全て墓地へ送る!?これが吹雪さんと互角と言われたカイザー亮の実力ですか…!」

 

 彼女の実力の噂を聞き付けたデュエル大好き生徒や強者への勝利に貪欲な者たちもまた次々と彼女へと挑んでいき、結果として購買部は大盛況となっていた。

 購買部の出口付近では彼女に負けた生徒が次は勝つためにどうするかを周りの生徒と相談しながら教室に戻ろうとしている。そんな光景を、俺はドローパン片手に見つづけていた。

 

「いやはや、苦労してモクバ副社長たちに掛け合った甲斐があったなぁ。これは良い刺激になるだろう」

 

 あのデュエルの後、家も戸籍も無い彼女をどう扱うかでクロノス校長や吹雪さんたちと色々話し合い、ハノイとしてのコネと海馬コーポレーションへのコネなんかをフル動員した結果、購買部の店員として仕事と本土にあるアパートの一室と言う住居を確保することに成功した。

 

 俺としても彼女ほどの実力を持つ人をフリーにしておくなんてもったいないことはしたくなかったし、サラ本人としても、故郷へ帰る手段の捜索と自身の鍛錬の為に自活する術と鍛錬する場所が確保できて喜んでいたので問題ないだろう。

 まだまだ人間界に慣れていない部分もあるが、それは同じ購買部のトメさんやセイコさん、面倒見のいい吹雪さんが率先してフォローしてくれている。

 

 サラと行動している時の吹雪さんはいつもより暴走することが少なめの為、彼女も満更ではなさそうだ。

 陽キャでコミュ力お化けの優しさあふれる爽やかイケメンってやっぱりズルいな。

 

 コピーカードの件も、この島に存在していた物はほぼ回収できたと思うし、その処分方法については後ほど師匠たちやカイバーマンに相談だな。

 こんな厄い物、黙って精霊界に持ち込んだらカイバーマンに半殺しにされかねないから、事前連絡だけは忘れないようにしないとな。




天上院吹雪のデッキは【ベアルクティ】です。従来のシンクロデッキとは違い、チューナーと非チューナーのレベル差を特殊召喚の条件とする変わったシンクロモンスターを主体としたデッキです。正確に言えばシンクロ召喚ではなく、アニメ5D'sのダークシンクロに近いですね。

サラのデッキは【墓守】です。以前登場した墓守の長が使用したデッキに加え、アニメVLAINS放送時代に発売したパック「SOUL FUSION」にて追加された墓守カードが含まれています。一部のモンスターはデュエルリンクスにも実装されています。

次回の更新は11月中旬の予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十四話 月一試験7&メダル争奪戦4

前回のあらすじ:墓守再び

今回はタッグデュエル。恐竜大好きちゃんとのタッグでオベリスクブルー男子2名とのデュエルとなります。


 月一テストを明日に控えた11月の昼食後、先ほどまで一緒にテスト勉強を行っていたツァンたちと別れた俺は、本校舎のロビーのベンチに座っておやつ代わりのドローパン(ツナマヨ味)を食べながら、パンと一緒に購入していた漫画雑誌を読みふけっていた。

 あっ、もちろん雑誌が汚れない様にパンはビニール越しに持っているぞ。孤児院時代はこの手の雑誌は共同財産だったからその辺りの配慮が今も生きているのだ。

 

 前世でも発売していたこの漫画雑誌はこの世界でもほぼ同じ名前と同じ連載作品で販売されているが、連載時期や掲載内容にところどころ違いがあったりする。

 連載時期について具体的に言うと、シ〇ィーハンターと聖闘〇星矢とドラゴ〇ボール、ワンピ〇スとナ〇トとBLE〇CH、鬼〇の刃と呪〇廻戦とヒ〇アカが同時に連載していると言う混沌とした状態になっている。

 バトル漫画に偏っているよな。俺はギャグ漫画の方が好きなので、銀〇とか斉〇君とかボー〇ボとかも見たいんだが、今は連載されていないようで少し悲しい。

 

「へぇ…この世界のワン〇ースだと、エ〇ス生存するんだな。こっちの呪〇廻戦で五〇悟に瞬殺されたこの噛ませキャラは見覚え無いなぁ…」

 

 掲載内容について具体的に言うと、前世では本来途中で死んでしまうはずだった主人公寄りの重要人物が見覚えのないキャラクターの行動が遠因となって助かったり、逆に強敵の強さを知らしめるための見覚えのない噛ませ犬が増えてたりしている。

 前世で俺が死ぬ前に原作が完結して内容を知っている作品に関しては『こういうifストーリーもアリっちゃありかな?』と思ったりもするが、前世で俺が死んでしまって原作が完結するのを見れなかった作品に関しては『せっかくだから本来のストーリーが知りたかったな』と思うこともある。

 

「鬼〇の刃でもサイコロステーキ先輩がミートボール先輩になってたり、ヒ〇アカでもステ〇ンにやられるヒーローに見知らぬキャラが増えていたりと、物語に大きく影響しない部分も所々変わってたりするなぁ」

 

 他にもヤ〇チャの代わりに見知らぬZ戦士が身代わりになったり、〇ジの代わりに見知らぬ木の葉の忍が身代わりになったりと、前世の記憶からすればどの作品にも1人だけオリキャラが混ざっていたりする感じだ。

 何か意味が有ったりするのだろうか?

 

「あら、クロトじゃない」

「テスト前日に漫画を読んでいるなんて、余裕ね。クロ坊?」

 

 自身の名前を呼ぶ声に気付いて漫画から視線を戻すと、目の前にオベリスクブルー女子の制服を着た明日香と雪乃、更にオベリスクブルーの制服を着た三沢と神楽坂が立っていた。

 

「休憩中なんだよ。…ん?その手に持っているディスクは…そっちはこれからテスト勉強か?」

 

 明日香の手にはブルーレイディスクらしき物が入ったケースが握られており、そのタイトルには『エド・フェニッスクス』の文字が見える。

 

 ちなみに、前世のこの時代では記憶媒体と言えばVHSが役目を終えてDVDが登場し始めた頃だったと思うが、この世界だと殆どブルーレイになっている。

 武藤遊戯が高校生時代に持っていた『ボッキン♡パラダイス』は確かVHSだったし、今はその10年以上先の時代と考えれば妥当と言えるだろう。

 あの作品には続編が登場していたらしく、中身は見せて貰っていないが鈴木が以前所持していた。隠し場所は高橋先輩に伝えておいたから、きっと没収されているはずだ。ザマァ。

 

「えぇ。今回の試験で昨今のプロデュエリストに関する問題が出るじゃない?」

「その資料を明日香の友人が最近手に入れたみたいだから、これから一緒に視聴覚室で見ようかと思ってるの」

 

 そう言えばそんな話があったな。となると、あの手に持っている資料は恐らくエド・フェニックスの過去試合をまとめた記録画像集とかだろうな。

 そう言う話なら明日香や雪乃の言う通り、あの映像資料は今回のテスト範囲に含まれていそうな内容が収録されている気がする。

 

「もし暇だったら白河も一緒に見るか?」

「プロの手腕を見るのも勉強になるぞ?」

 

 三沢や神楽坂も俺が一緒に見ることに反対ではなさそうだ。

 

「そうだな。俺も付き合うよ。視聴覚室だろ?先に行っておいてくれ」

「分かったわ」

「また後でね」

 

 実を言うとエド・フェニックスの試合は殆ど見たことが無かった。良い機会だし、お言葉に甘えさせて貰うとしよう。

 俺は食べ終わったドローパンの袋をゴミ箱に捨て、読んでいた漫画をビニール袋に戻してから四人の後を追った。

 

~~~

 

『ボクは【エターナル・ドレッド】のエフェクトにより時計カウンターを2つ個以上乗せ、戦闘破壊された【D-HERO ドレッドサーヴァント】のエフェクトにより【幽獄の時計塔】を破壊してセメタリーに送る!』

 

 俺、明日香、雪乃、三沢、神楽坂の五人はアカデミアの視聴覚室にてエド・フェニックスが初めて【D-HERO】デッキを使用した時の試合を見ていた。

 

『カモン!【D-HERO ドレッドガイ】!そしてそのエフェクト発動!カモン!【D-HERO ダイハードガイ】!そして【D-HERO デビルガイ】!』

 

 画面上には、劣勢と思われていたエド・フェニックスのフィールドに3体のモンスターが突如出現したことでエドが試合をしているスタジアムの観客席から歓声が響き渡り、エドの相手デュエリストはただただ驚愕している。

 

『行け!ドレッドガイ!ボルテック・ドラゴンを粉砕しろ!プレデター・オブ・ドレッドノート!!』

『うわあぁぁぁっ!』

 

 相手デュエリストのエースモンスター【超電磁稼動ボルテック・ドラゴン】を破壊し終えた後は残りのモンスターでダイレクトアタックを敢行し、エド・フェニックスの勝利に終わった。

 

「【D-HERO】、この癖の強いカードをここまで巧みに操るなんて…流石は近年最も注目される若手プロのエド・フェニックスね」

「デュエルの腕前だけでなく、観客への見せ方も上手いわ。これが同年代のプロのデュエルなのね」

 

 明日香や雪乃は驚いているが、ここまでなら原作アニメを見て【D-HERO】のことを知っている俺としてはそこまで驚くポイントは無かった。このくらいなら同年代でもコナミや赤馬辺りはもっと強いからな。

 以前、DDとエドパパ事件の際に【D-HERO】カードを返却する際、アークファイブ次元でエドのそっくりさんが使用したカードを混ぜておいたから、途中で出てきた【D-HERO ディストピアガイ】辺りにも特に驚きはしなかったのだが…。

 

 問題はこの後、今年の10月に行われたエド・フェニックスがプロデュエリストのトップランカー入りを果たした試合での出来事だ。

 

『ボクは手札から速攻魔法【瞬間融合】を発動!そのエフェクトによりフィールドの【D-HERO Bloo-D】と【D-HERO ドグマガイ】を融合!カモン!最後のD!【Dragoon D-END】!』

 

 いやいやいや!出番早いよ!【Dragoon D-END】!

 

 原作アニメだと千里眼グループと共同して1000億円とか言う頭おかしい莫大な開発費を掛けて作ったカードだろ!?

 確かにこの世界ではエドパパ生きてるから出て来たとしても不思議じゃないんだろうけどさぁ!!

 

『【Dragoon D-END】で【ファントム・ドラゴン】に攻撃!アルティメット・D・バースト!』

『ぐわぁぁぁぁっ!』

 

 【Dragoon D-END】にまつわる万丈目のイベントが全部消し飛んだんだろうなぁ。原作アニメでも名シーンの1つだから生で見たかったんだけどなぁ。

 元々この世界の万丈目は兄弟仲がかなり良い方なので、万丈目がプロデュエリストになるためのスポンサー契約に苦戦すること自体が発生し無さそうではあったけどね。

 

「『E・HEROを超えるHERO』と言い切るだけのことは有るな」

「これは研究のし甲斐があるデュエリストだな」

 

 ただ、映像を見る限りは【フュージョン・デステニー】はまだ持っていなさそうだし、デスフェニも持っていないはずだ。

 あの辺りのカードを持っていないなら、油断できる相手ではないが勝てない相手と言うほどではない。

 

 ならば、ヨシッ!

 

~~~

 

 翌日の昼過ぎ、お馴染みの月一テストの実技試験の時間となった。

 

 今回は来月にタッグデュエル大会が控えていることもあり、試験内容もタッグ戦となったようだ。

 そして今、試験リング上にはオシリスレッドのコナミ&オベリスクブルー女子の加藤友紀のペア、そしてコナミに片思いしていた加藤友紀を奪われた(と勘違いしている)ブルー男子の田中康彦&彼ら3人と特に接点のないラーイエローの清水季也のペアのデュエルだ。

 

「コナミ!ボクは君を倒して彼女を取り戻す!」

「?」

 

 以前は清潔感溢れる爽やか好青年だった田中康彦の現状だが、目の下には深いクマが出来ており、整えられていた制服や髪はボロボロ。無残としか言いようのないほどに荒んでいた。

 恐らくこの数週間の間にコナミと加藤友紀がデートしてイチャイチャしているシーンでも見せつけられたのだろう。可哀そう。

 

 ただ、加藤友紀は先月まで田中康彦とタッグパートナーを組んでいた女性ではあったが、別に田中康彦と彼氏彼女の関係ではなかったはずだし、彼女から彼に対する恋愛感情は元々存在していなかった為、筋違いの逆恨みである。

 更に、悲しいことにコナミも加藤友紀も彼が何故あんな状態なのか気付いていないようだ。そもそも彼から恋愛感情を抱かれていたことに気付いて無さそうだったしな。可哀そう。

 

 そんな中、デュエルは清水季也の先攻から始まり、後攻の加藤友紀のターンを経て田中康彦へと回って来る。

 彼はオベリスクブルー男子の上位陣らしい堅実なデュエルを展開し、加藤由紀の敷いた盤面をある程度崩すことに成功していたのだが…。

 

「オレは手札を1枚捨てて魔法カード【ジョーカーズ・ストレート】を発動!デッキから【クィーンズ・ナイト】を特殊召喚し、デッキから【キングス・ナイト】を手札に加えてそのまま召喚!続いて【キングス・ナイト】の召喚時の効果発動!デッキから【ジャックス・ナイト】を特殊召喚する!」

 

「1ターンで絵札の三銃士をフィールドに揃えた!?」

 

【ジョーカーズ・ストレート】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札を1枚選んで捨て、デッキから「クィーンズ・ナイト」1体を特殊召喚し、デッキから「キングス・ナイト」「ジャックス・ナイト」の内1体を手札に加える。その後、モンスター1体を召喚できる。このターン、自分は戦士族・光属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

(2):自分・相手のエンドフェイズに、自分の墓地の戦士族・光属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、墓地のこのカードを手札に加える。

 

 コナミの猛攻を受けた田中康彦&清水季也のペアはあっという間に劣勢に陥っていく。

 

「こちらのモンスターと伏せカードは全滅したが、そちらのモンスターは全て攻撃を終えた!これでこのバトルフェイズ、凌ぎ切ったぞ!」

 

 

赤羽コナミ&加藤友紀 LP:5500、モンスター:3、伏せカード:0

赤羽コナミ 手札:5枚。

加藤友紀 手札:1枚。

 

田中康彦&清水季也 LP:1500、モンスター:0、伏せカード:0

田中康彦 手札:2枚。

清水季也 手札:1枚。

 

「それはどうかな?」

「!?」

 

「手札から速攻魔法【神速召喚】を発動!デッキから【アルカナ トライアンフジョーカー】を手札に加え、【クィーンズ・ナイト】【キングス・ナイト】をリリースしてアドバンス召喚!」

 

「バトルフェイズ中にアドバンス召喚!?」

 

【神速召喚】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分・相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。レベル10モンスター1体を召喚する。自分フィールドに「クィーンズ・ナイト」「ジャックス・ナイト」「キングス・ナイト」が全て存在する場合、代わりに以下の効果を適用できる。

●デッキから闇属性以外の攻撃力?のレベル10モンスター1体を手札に加える。その後、レベル10モンスター1体を召喚できる。

 

「【アルカナ トライアンフジョーカー】の攻撃力はお互いの手札の数×500アップする!」

 

「向こうの手札は4枚、こちらの手札は2枚…攻撃力3000!?」

 

【アルカナ トライアンフジョーカー】

効果モンスター

星10/光属性/戦士族/攻 ?/守2500

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「クィーンズ・ナイト」「ジャックス・ナイト」「キングス・ナイト」を1体ずつ墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードの攻撃力は、お互いの手札の数×500アップする。

(3):手札を1枚捨てて発動できる。捨てたカードと同じ種類(モンスター・魔法・罠)の、相手フィールドの表側表示のカードを全て破壊する。

 

「行け!【アルカナ トライアンフジョーカー】!ダイレクトアタックだ!」

 

「あぁぁぁぁっ!」

田中康彦&清水季也 LP:1500→0

 

 因縁のデュエルはコナミのペアの勝利で幕を閉じた。

 

 デュエル後、コナミは地面に四つん這いになっている田中康彦へと手を差し伸べるが、彼はその手を払いのけて立ち上がり、ふらふらと一人観客席へと歩いて戻っていった。

 コナミや加藤友紀を含め、彼の友人たちもその姿を見てどう声を掛けていいか迷っているようだった。

 

 

 コナミは当たり前の様に絵札の三銃士系統の強化カードを拾っているな。この調子だと、【絵札融合】や【ジョーカーズ・ワイルド】とかも所持してそうだ。

 ここがもしヴレインズの世界だったら【アルカナ エクストラジョーカー】辺りも持っているんだろうなぁ。

 

 田中康彦に関しては…俺からはどうすることもどうするつもりもない。彼とは別に親しい仲じゃないし、可哀そうだな~と思うくらいか。

 今後、タッグフォース4以降の変な英語を使うチャラ男になっていくか、それとも立ち直るかは今の俺にはどうなるか分からないな。

 

~~~

 

 そんな濃いデュエルの少し後、試験リングの中央にて、俺は同じ料理部仲間のブルー女子と話をしていた。

 

「あの、白河君…こんにちは…」

「よっす」

 

 対戦者の名前は宇佐美彰子。彼女の友人たちや多くのプレイヤーからウサミンと呼ばれて親しまれていた【恐竜族】デッキ使いの少女だ。

 原作ゲームでは家庭事情が大変らしく卒業後は家業を継ぐことを目標としていた少女、だったかな。

 

「今日のタッグパートナーは宇佐美か」

「うん…よろしくね」

 

 この世界の彼女は俺と同じく料理部に所属しているので、ツァンたちほどではないがそこそこ接点のある女生徒だ。

 臆病な性格で異性が苦手なのは原作ゲームと変わらないらしく、女性同士であれば普通に喋れるようだが男性全般に対して同じようにオドオドした話し方になってしまうようだ。

 

「そうそう。文化祭への料理部の出店の申請は受理されたみたいだぞ」

「あっ、そうなんだ…よかった」

 

 部活同時にはよく話しかけたり逆に話しかけられたりもしたので嫌われてはいない…はずだ。

 彼女から恐竜の話題を振られてもよく分からなかったため、代わりにデュエルモンスターズの恐竜族デッキに関するカードの話などを良くしていた結果、俺の持つ知識をあっという間に吸収していき、オベリスクブルー女子の中でも屈指の実力者となっていった。

 

「そう言えば、今日の対戦相手は何処だ?」

「えっと…あの人たちじゃないかな?」

 

 宇佐美が視線を観客席の方へ向けると、今まさに試験リングに降りてきたオベリスクブルー男子が2名、こちらに向かって歩いて来ていた。

 

 あれは確か…打田英人と高田純二朗、だったかな?

 

「ふむ、お前達がオレ達の対戦相手でいいのか?」

「そうらしいぞ」

 

 打田英人がこちらに話しかけてみたのでとりあえず言葉を返しておいた。

 

 彼は【スキルドレイン】を駆使して戦うパワーデッキの使い手だったはずだな。確かに多様なデッキをタッグフォース4以降では女番長が使用してたっけ。

 【神獣王バルバロス】などの妥協召喚可能な最上級モンスターや【電動刃虫】などのデメリット効果を持つ高火力の下級モンスターのデメリットを【スキルドレイン】で消しつつ、こちらの効果モンスターの効果も消してくるそこそこ厄介な相手だな。

 

「ラーイエローとオベリスクブルーの女子か。ふん、勝負は見えたな!」

「うぅ…」

 

 高田純二朗の高圧的な態度に宇佐美は委縮してしまっているようだ。

 

 彼はデッキは60枚ギリギリまでカードを突っ込んだ【リクルーター】使いだったな。

 永続罠でライフダメージを軽減し、【カオスポッド】や【魔導雑貨商人】などの効果モンスターや【キラー・トマト】などのリクルーターで墓地を肥やしながら【カオス・ネクロマンサー】や【残骸爆破】などで勝負を決めて来る戦い方を好んだはずだ。

 

 今のカードプールでも、やろうと思えば自分から特攻させて戦闘破壊させることによって下記のようなリクルートを1ターンで行うことも可能だ。

 

 【コーリング・ノヴァ】

 →【シャインエンジェル】

 →【ユーフォロイド】

 →【UFOタートル】

 →【破面竜】

 → 幻竜族モンスター

 

 LP4000環境では、相手モンスターに【ジャンク・アタック】を装備させて【天空の聖域】や【スピリットバリア】を張った上で自爆特攻させれば1ターンキルも視野に入るので油断はできない。

 

 彼らはそれぞれがオベリスクブルー男子の中でも上位に位置する実力者でもあるので、自信に満ちた発言をするのも納得できる。

 打田英人が使用する【スキルドレイン】はフィールド上のモンスターの効果を無効にするカードであり、墓地で効果が発動するタイプのリクルーターの効果は無効化されない為、なかなか相性のいいタッグと言える。

 

 まぁ、それでも俺と宇佐美とのタッグで負ける相手ではないけどな。

 

「GXメダルは賭けるか?」

「無駄なことを聞くな。聞くまでも無いだろう」

「ふん、当然、賭ける!各人30枚ずつでどうだ?」

 

 30枚か。俺としてはこの30枚を手に入れれば丁度90枚に到達するから問題ない。むしろ助かる。

 だが、宇佐美は先日の時点で既に100枚以上のメダルを確保していたはずだ。彼女としてはここでメダルを賭ける必要はない。

 

「し、白河君。私はそれでもいいよ」

 

 そんなことを俺が考えていると、宇佐美が俯きながらも自分の意思を伝えて来る。

 

「いいのか?」

「昨日、今持っているメダルは60枚って言ってたよね?も、もしここで私たちが勝てば白河君のメダルも揃うでしょ?」

「それはそうだが…」

「わ、私は少し余剰分があるから大丈夫…」

 

 本当に良い娘だな!

 これ以上しつこく聞くと逆に失礼だろう。ここは彼女のご好意に甘えさせて貰おうかな。

 

「ありがとうな」

「う、うん」

 

「ふむ、決まったようだな?」

「あぁ。メダルは各人30枚ずつでOKだ」

 

 メダルの取り決めは終わった。後は勝敗を決するだけだな。

 

「白河、お前相手に手加減などと言う無駄なことはしない。じっくり見せてもらおう、お前たちの実力をな!」

「ふん、身の程知らずめ!ラーイエローとブルー女子の分際でオレたちオベリスクブルーにデュエルを挑むとは!速攻で終わらせてやる!」

 

 対峙しているオベリスクブルー男子2人がこちらに向けてデュエルディスクを構える。

 向こうは準備万端の様だし、こちらもデュエルで答えるとしよう。

 

「それじゃ…あの、対戦よろしくお願いしますね…」

「対戦よろしくお願いします」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&宇佐美彰子 LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

宇佐美彰子 手札:5枚。

 

vs

 

◆打田英人&高田純二朗 LP:8000

打田英人 手札:5枚。

高田純二朗 手札:5枚。

 

 

「先攻はオレたちが貰う。オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

打田 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【神獣王バルバロス】をリリース無しで召喚する!」

打田 手札:6→5枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

神獣王バルバロス ★8 ATK3000→1900

 

【神獣王バルバロス】

効果モンスター

星8/地属性/獣戦士族/攻3000/守1200

(1):このカードはリリースなしで通常召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。

(3):このカードはモンスター3体をリリースして召喚する事もできる。

(4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。相手フィールドのカードを全て破壊する。

 

「そしてオレは手札から魔法カード【アドバンスドロー】を発動!【神獣王バルバロス】をリリースしてデッキから2ドロー!」

打田 手札:5→4→6枚。

 

【アドバンスドロー】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる。

デッキからカードを2枚ドローする。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

モンスター無し

 

「更にオレは手札から速攻魔法【デーモンとの駆け引き】を発動!デッキから【バーサーク・デッド・ドラゴン】を特殊召喚する!」

打田 手札:6→5枚。

 

【デーモンとの駆け引き】

速攻魔法

レベル8以上の自分フィールド上のモンスターが墓地へ送られたターンに発動する事ができる。

自分の手札またはデッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を特殊召喚する。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3500

 

【バーサーク・デッド・ドラゴン】

効果モンスター

星8/闇属性/アンデット族/攻3500/守 0

このカードは「デーモンとの駆け引き」の効果でのみ特殊召喚が可能。

相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃が可能。

自分のターンのエンドフェイズ毎にこのカードの攻撃力は500ポイントダウンする。

 

「追加だ!オレは手札の【神機王ウル】と墓地の【神獣王バルバロス】を除外し、手札から【獣神機王バルバロスUr】を特殊召喚する!」

打田 手札:5→4→3枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3500

獣神機王バルバロスUr ★8 ATK3800

 

【獣神機王バルバロスUr】

効果モンスター

星8/地属性/獣戦士族/攻3800/守1200

(1):このカードは、自分の手札・フィールド・墓地から獣戦士族モンスターと機械族モンスターを1体ずつ除外して手札から特殊召喚できる。

(2):このカードの戦闘で相手が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

 レベル8のモンスターが2体!来る…いやエクストラデッキが0枚だから来ないぞアストラル!

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド!そして、エンドフェイズに【バーサーク・デッド・ドラゴン】の攻撃力は500下がる」

打田 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

バーサーク・デッド・ドラゴン ATK3500→3000

 

 

◆白河クロト&宇佐美彰子 LP:8000

白河クロト 手札:5枚。

宇佐美彰子 手札:5枚。

 

vs

 

◆打田英人&高田純二朗 LP:8000、伏せカード:1枚。

打田英人 手札:2枚。

高田純二朗 手札:5枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3000

獣神機王バルバロスUr ★8 ATK3800

 

 

 恐らく彼の伏せカードの1枚はお得意の【スキルドレイン】だろうが、彼は汎用罠カードも多数取り入れていたはずだ。

 伏せカードが【スキルドレイン】以外だった場合に何が飛んでくるか分からないので動き方には注意したいところだ。

 

 

「わ、私のターン。ドローフェイズ、ドロー!スタンバイ、メインフェイズへ移行します」

宇佐美 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動し、デッキからフィールド魔法【ロストワールド】を手札に加えます」

宇佐美 手札:6→5→6枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「続けて私は手札から魔法カード【化石調査】を発動し、デッキから【魂喰いオヴィラプター】を手札に加えます」

宇佐美 手札:6→5→6枚。

 

【化石調査】

通常魔法

(1):デッキからレベル6以下の恐竜族モンスター1体を手札に加える。

 

「この瞬間、オレは手札の【パペット・キング】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

打田 手札:2→1枚

 

【パペット・キング】

効果モンスター

星7/地属性/戦士族/攻2800/守2600

(1):相手がドロー以外の方法でデッキからモンスターを手札に加えた時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードがこのカードの(1)の効果で特殊召喚に成功した場合、次の自分ターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3000

獣神機王バルバロスUr ★8 ATK3800

パペット・キング ★7 ATK2800

 

 遊戯王Rに登場した女性デュエリスト、北森玲子、だっけ?その人が使っていたチェスモンスターの一体だな。

 天馬兄弟が居るんだからあの美人さんや他のカードプロフェッサーもこの世界に居るのかもしれないな。

 

「わ、私は手札からフィールド魔法【ロストワールド】を発動します!」

宇佐美 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ロストワールド】

フィールド魔法

(1):恐竜族以外のフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

(2):1ターンに1度、恐竜族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。相手フィールドに「ジュラエッグトークン」(恐竜族・地・星1・攻/守0)1体を守備表示で特殊召喚する。

(3):相手フィールドにトークンがある限り、相手はトークン以外のフィールドのモンスターを効果の対象にできない。

(4):1ターンに1度、フィールドの通常モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにその数だけ自分の手札・デッキの恐竜族モンスターを破壊できる。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK3000→2500

獣神機王バルバロスUr ★8 ATK3800→3300

パペット・キング ★7 ATK2800→2300

 

「私は手札から【魂喰いオヴィラプター】を召喚します!」

宇佐美 手札:5→4枚。

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

魂喰いオヴィラプター ★4 ATK1800

 

【魂喰いオヴィラプター】

効果モンスター

星4/闇属性/恐竜族/攻1800/守 500

「魂喰いオヴィラプター」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから恐竜族モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

(2):このカード以外のフィールドのレベル4以下の恐竜族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、自分の墓地から恐竜族モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。

 

 どうやら宇佐美は伏せカードを除去するカードは引けなかったみたいだな。

 このまま相手が宇佐美の展開を見ているだけならば宇佐美の勝利はほぼ確定しそうだが…。

 

「【魂喰いオヴィラプター】の召喚成功時、その効果を発動します!デッキから【幻創のミセラサウルス】を墓地に送ります!」

 

「更に【魂喰いオヴィラプター】の召喚成功時、【ロストワールド】の効果も発動します!相手のフィールドに【ジュラエッグトークン】を守備表示で特殊召喚します!」

 

「ならばここでリバースカードオープン!1000LPを払って永続罠【スキルドレイン】発動!フィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される!」

打田英人&高田純二朗 LP:8000→7000、伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

「!?」

 

【スキルドレイン】

永続罠

1000LPを払ってこのカードを発動できる。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、フィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。

 

 伏せカードは【スキルドレイン】で合っていたか。だが、これで【幻創のミセラサウルス】をデッキから墓地に送ることは出来なくなってしまったな。

 更に【バーサーク・デッド・ドラゴン】の弱体化が解除され、【パペット・キング】の自壊効果も無くなったな。

 

チェーン③スキルドレイン

チェーン②ロストワールド

チェーン①魂喰いオヴィラプター ※効果無効化

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

バーサーク・デッド・ドラゴン ★8 ATK2500→3000

獣神機王バルバロスUr ★8 ATK3300

パペット・キング ★7 ATK2300

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

 

 展開の起点を潰されてしまったか。これではデッキ内に眠る彼女の切り札にアクセスできない。

 フィールドから効果を発動するだけが能じゃない。このくらいで彼女のデッキは止まらないだろうな。

 

「私は手札から魔法カード【封印の黄金櫃】を発動し、デッキから【ジャイアント・レックス】を除外します」

宇佐美 手札:4→3枚。

 

【封印の黄金櫃】

通常魔法

(1):デッキからカード1枚を選んで除外する。このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカードを手札に加える。

 

「そして除外された【ジャイアント・レックス】の効果発動です!自身を特殊召喚します!」

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

魂喰いオヴィラプター ★4 ATK1800

ジャイアント・レックス ★4 ATK2000

 

【ジャイアント・レックス】

効果モンスター

星4/地属性/恐竜族/攻2000/守1200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは直接攻撃できない。

(2):このカードが除外された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は、除外されている自分の恐竜族モンスターの数×200アップする。

 

「ふむ、【スキルドレイン】の盲点を突いてきたか。やるな!」

 

 打田の言う通り、【スキルドレイン】はフィールド以外にある効果モンスターの効果は無効にできない。

 墓地や除外ゾーンにあるモンスターの効果は普段通りに使えるわけだ。

 

「バトル!【ジャイアント・レックス】で【ジュラエッグトークン】に攻撃!」

 

「なるほど、そのフィールド魔法か」

 

「こ、ここで【ロストワールド】の効果発動です!【ジュラエッグトークン】の戦闘破壊の代わりに私のデッキの【ベビケラサウルス】を破壊します!」

 

「ほう…?」

 

「更に効果破壊された【ベビケラサウルス】の効果発動!デッキからチューナーモンスター【ジュラック・ガリム】を特殊召喚します!」

 

【ベビケラサウルス】

効果モンスター

星2/地属性/恐竜族/攻 500/守 500

(1):このカードが効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

デッキからレベル4以下の恐竜族モンスター1体を特殊召喚する。

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

魂喰いオヴィラプター ★4 ATK1800

ジャイアント・レックス ★4 ATK2000

ジュラック・ガリム ★2 DEF0 ※チューナー

 

【ジュラック・ガリム】

チューナー(効果モンスター)

星2/炎属性/恐竜族/攻1200/守 0

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動する。相手は手札を1枚捨ててこのカードの効果を無効にできる。捨てなかった場合、このカードを破壊したモンスターを破壊する。

 

「メインフェイズ2に移行します」

 

 【ジュラック・ガリム】か。【ジュラック】デッキですらあまり使われない珍しいモンスターを出してきたな。

 わざわざこの場面でチューナーを呼び出すと言うことはシンクロ召喚するのだろうが、モンスター効果は無効化されているぞ?何をする気なんだろうか?

 

「私はレベル4【魂喰いオヴィラプター】と【ジャイアント・レックス】にレベル2【ジュラック・ガリム】をチューニング!シンクロ召喚!来て!レベル10【ジュラック・メテオ】!」

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ジュラック・メテオ ★10 ATK2800

 

【ジュラック・メテオ】

シンクロ・効果モンスター

星10/炎属性/恐竜族/攻2800/守2000

「ジュラック」と名のついたチューナー+チューナー以外の恐竜族モンスター2体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊する。その後、自分の墓地からチューナー1体を選んで特殊召喚できる。

 

「恐竜族の最上級シンクロモンスターか。だが、無駄だ!その強力なフィールドリセット効果も今は使えんぞ!」

 

「わ、分かっています!だから私は…手札から魔法カード【テールスイング】を発動します!」

宇佐美 手札:3→2枚。

 

「何っ!?」

 

【テールスイング】

通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル5以上の恐竜族モンスター1体を選択して発動する。

相手フィールド上に存在する裏側表示モンスターまたは選択した恐竜族モンスターのレベル未満のモンスターを合計2体まで選択し、持ち主の手札に戻す。

 

「その効果により、【バーサーク・デッド・ドラゴン】と【獣神機王バルバロスUr】をあなたの手札に戻します!」

 

「むぅっ!」

打田英人 手札:2→4枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 ATK2300

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

 

 おぉっ、良い感じに決まったな。

 【バーサーク・デッド・ドラゴン】は手札に居てもほぼ役に立たないし、【獣神機王バルバロスUr】を出す為にはコストが足りないから再召喚は出来ないはずだ。

 

「わ、私はカードを2枚セットしてターンエンドです…」

宇佐美 手札:2→0枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト&宇佐美彰子 LP:8000、フィールド魔法:1枚。伏せカード:2枚。

白河クロト 手札:5枚。

宇佐美彰子 手札:0枚。

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ジュラック・メテオ ★10 ATK2800

 

vs

 

◆打田英人&高田純二朗 LP:7000、伏せカード:0枚。永続罠:1枚。

打田英人 手札:2枚。

高田純二朗 手札:5枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 ATK2300

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

 

 

「ようやくオレのターンだな。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

高田 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から【天空の使者 ゼラディアス】を墓地に送って効果発動!デッキからフィールド魔法【天空の聖域】を手札に加える!」

高田 手札:6→5→6枚。

 

【天空の使者 ゼラディアス】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻2100/守 800

(1):このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「天空の聖域」1枚を手札に加える。

(2):フィールドに「天空の聖域」が存在しない場合にこのカードは破壊される。

 

「オレは手札から速攻魔法【サイクロン】を発動!【ロストワールド】を破壊する!」

高田 手札:6→5枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

白河クロト&宇佐美彰子 フィールド魔法:1→0枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 ATK2300→2800

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

 

 伏せカードじゃなくてフィールド魔法を破壊した?目に見える攻守ダウン効果が鬱陶しかったとか?

 それとも【ロストワールド】の『トークン以外のモンスターを効果対象に取れない』効果を嫌ったのか?

 

「オレは手札からフィールド魔法【天空の聖域】を発動!」

高田 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【天空の聖域】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、天使族モンスターの戦闘で発生するそのコントローラーへの戦闘ダメージは0になる。

 

「そしてオレは手札から装備魔法【ジャンク・アタック】を発動!そちらの【ジュラック・メテオ】に装備するぞ!」

高田 手札:4→3枚。装備魔法:0→1枚。

 

【ジャンク・アタック】

装備魔法

装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。

 

「オレは手札から【シャイン・エンジェル】を召喚!」

高田 手札:3→2枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 ATK2800

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

シャイン・エンジェル ★4 ATK1400

 

【シャイン・エンジェル】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守 800

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから攻撃力1500以下の光属性モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚できる。

 

 おっ、出たな。昔はリクルーターと言えばコイツを含む6属性のモンスター達だったよな。

 

「【パペット・キング】を守備表示に変更!」

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 ATK2800→DEF2600

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

シャイン・エンジェル ★4 ATK1400

 

 【パペット・キング】を守備表示にしたのは伏せカード対策かな?

 全員攻撃表示だった場合、ミラフォの1枚で全滅しちゃうからね。

 

「バトル!【シャイン・エンジェル】で【ジュラック・メテオ】に攻撃!」

 

「り、リバースカードオープン!罠カード【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動です!」

白河クロト&宇佐美彰子 伏せカード:2→1枚。

 

【聖なるバリア -ミラーフォース-】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

「浅はかだな!1500LPを払い、チェーンして手札から速攻魔法【我が身を盾に】を発動!【聖なるバリア -ミラーフォース-】は無効だ!」

高田 手札:3→2枚。

打田英人&高田純二朗 LP:7000→5500

 

【我が身を盾に】

速攻魔法

1500ライフポイントを払って発動する。

相手が発動した「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つカードの発動を無効にし破壊する。

 

チェーン②我が身を盾に

チェーン①聖なるバリア -ミラーフォース- ※効果無効&破壊

 

 なるほど。伏せカードを割らなかった理由は破壊効果への対策カードを所持していたからか。

 だけど、ミラフォじゃなくて【神風のバリア -エア・フォース-】や【砂塵のバリア -ダスト・フォース-】なら宇佐美の罠が決まったのに、惜しいなぁ。

 

「戦闘は続行される!さぁ、散って来い【シャイン・エンジェル】!」

 

シャイン・エンジェル ATK1400 ※戦闘破壊

vs

ジュラック・メテオ ATK2800

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 DEF2600

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

 

「オレへの戦闘ダメージは【天空の聖域】の効果により0!更にここで【ジャンク・アタック】と【シャイン・エンジェル】の効果が発動する!」

 

「【ジュラック・メテオ】に装備された【ジャンク・アタック】の効果により700ダメージを与える!」

 

「あうっ!」

白河クロト&宇佐美彰子 LP:8000→7300

 

「戦闘破壊された【シャイン・エンジェル】の効果により、オレはデッキから新たな【シャイン・エンジェル】を呼び出す!」

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 DEF2600

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

シャイン・エンジェル ★4 ATK1400

 

 その後、2体目と3体目の【シャイン・エンジェル】にて同様のコンボによりダメージが蓄積され、3体目の【シャイン・エンジェル】の効果により【コーリング・ノヴァ】が呼び出される。

 

「くぅっ!」

白河クロト&宇佐美彰子 LP:7300→6600→5900

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 DEF2600

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

コーリング・ノヴァ ★4 ATK1400

 

【コーリング・ノヴァ】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守 800

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから攻撃力1500以下の天使族・光属性モンスター1体を特殊召喚する。フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、代わりに「天空騎士パーシアス」1体を特殊召喚できる。

 

「【コーリング・ノヴァ】は【シャイン・エンジェル】とほぼ同じ効果を持つ。後は分かるな?さぁ、散って来い【コーリング・ノヴァ】!」

 

コーリング・ノヴァ ATK1400 ※戦闘破壊

vs

ジュラック・メテオ ATK2800

 

 【コーリング・ノヴァ】により、先ほどのリプレイのようなコンボが展開され、こちらのライフを削っていく。

 

「あぁぁっ!」

白河クロト&宇佐美彰子 LP:5900→5200→4500→3800

 

 そして、第二第三の【シャイン・エンジェル】にて同様のコンボによりダメージが蓄積され、第三の【シャイン・エンジェル】の効果により【コーリング・ノヴァ】が呼び出される。

 

「戦闘破壊された3体目の【コーリング・ノヴァ】の効果により、デッキから【天空騎士パーシアス】を呼び出す!」

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

パペット・キング ★7 DEF2600

ジュラエッグトークン ★1 DEF0

天空騎士パーシアス ★5 ATK1900

 

【天空騎士パーシアス】

効果モンスター

星5/光属性/天使族/攻1900/守1400

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

 パーシアス?リクルーターじゃないぞ?デッキから呼び出せるリクルーターが居なくなったのか?

 

「逝け、【天空騎士パーシアス】!【ジュラック・メテオ】に攻撃!」

 

天空騎士パーシアス ATK1900 ※戦闘破壊

vs

ジュラック・メテオ ATK2800

 

「【ジュラック・メテオ】に装備された【ジャンク・アタック】の効果により950ダメージを与える!」

 

「きゃぁぁぁっ!」

白河クロト&宇佐美彰子 LP:3800→2850

 

 【シャイン・エンジェル】の攻撃力の半分=700×3体で2100ダメージ。

 【コーリング・ノヴァ】の攻撃力の半分=700×3体で2100ダメージ。

 【天空騎士パーシアス】の攻撃力の半分=950ダメージ。

 

 合計で5150ダメージか。LP4000環境だと結構怖いコンボだな。

 

「メインフェイズ2に移行!オレは手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地のモンスター5体をデッキに戻してデッキから2ドロー!」

高田 手札:2→1→3枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<高田が墓地からデッキに戻したモンスター>

①コーリング・ノヴァ

②コーリング・ノヴァ

③コーリング・ノヴァ

④シャイン・エンジェル

⑤シャイン・エンジェル

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

高田 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

「こ、ここでリバースカードオープン!罠カード【ジュラック・インパクト】を発動します!」

白河クロト&宇佐美彰子 伏せカード:1→0枚。

 

【ジュラック・インパクト】

通常罠

自分フィールド上に攻撃力2500以上の恐竜族モンスターが存在する場合に発動できる。フィールド上のカードを全て破壊する。

 

「「なっ、何ぃ!?」」

 

「その効果により、フィールド上のカードを全て破壊します!」

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

モンスター無し

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

モンスター無し

 

打田英人&高田純二朗 フィールド魔法:1→0枚。伏せカード:2→0枚。装備魔法:1→0枚。永続罠:1→0枚。

 

「オレのエンドフェイズ時にフィールドのカード全破壊…だと!?」

「そのカードがあればさっきの攻防を凌げたはずだ!何故このタイミングで!」

 

 俺が動きやすくなるため…だろうな。いやはや、良い子過ぎんだろ。

 

 

◆白河クロト&宇佐美彰子 LP:2850、フィールド魔法:0枚。伏せカード:0枚。

白河クロト 手札:5枚。

宇佐美彰子 手札:0枚。

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆打田英人&高田純二朗 LP:5500、フィールド魔法:0枚。伏せカード:0枚。装備魔法:0枚。永続罠:0枚。

打田英人 手札:4枚。

高田純二朗 手札:2枚。

 

<打田英人&高田純二朗のフィールド>

モンスター無し

 

 

 ここまでお膳立てされたらもう負けることは無いな。

 それなら、宇佐美が出そうとしていたエースをお披露目してちゃちゃっとこのデュエルを終わりにしてしまおうかな。

 

 

「俺のターンだ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【幻創のミセラサウルス】を墓地に送って効果発動!このメインフェイズの間、自分フィールドの恐竜族モンスターは相手が発動した効果を受けない」

クロト 手札:6→5枚。

 

【幻創のミセラサウルス】

効果モンスター

星4/炎属性/恐竜族/攻1800/守1000

「幻創のミセラサウルス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送って発動できる。そのメインフェイズの間、自分フィールドの恐竜族モンスターは相手が発動した効果を受けない。

(2):自分の墓地からこのカードを含む恐竜族モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。除外したモンスターの数と同じレベルの恐竜族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

「更に墓地の【幻創のミセラサウルス】と墓地の恐竜族3体を除外して効果発動!デッキからレベル4【ディノインフィニティ】を特殊召喚する!」

 

<白河クロトが除外したモンスター>

①幻創のミセラサウルス

②ジャイアント・レックス

③ジュラック・ガリム

④ジュラック・メテオ

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ディノインフィニティ ★4 ATK0→4000

 

【ディノインフィニティ】

効果モンスター

星4/地属性/恐竜族/攻 ?/守 0

(1):このカードの元々の攻撃力は、除外されている自分の恐竜族モンスターの数×1000になる。

 

「レベル4モンスターが攻撃力4000だと!?」

 

 【スキルドレイン】が相手で無ければ前の彼女のターンで登場していただろう彼女のエースモンスターだ。

 恐竜族のぶっ壊れモンスターである究極で伝導な恐獣さんはまだ持っていないらしい。

 

「そして除外された【ジャイアント・レックス】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ディノインフィニティ ★4 ATK40000→3000

ジャイアント・レックス ★4 ATK2000→2600

 

 ここでもう俺の勝利はほぼ確定なんだが…せっかくだからこの世界では多分まだ見たことのないモンスターでも出してみようかな。

 

「俺は手札からチューナーモンスター【スクラップ・ラプター】を召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ディノインフィニティ ★4 ATK3000

ジャイアント・レックス ★4 ATK2600

スクラップ・ラプター ★4 ATK1400

 

【スクラップ・ラプター】

チューナー・効果モンスター

星4/地属性/恐竜族/攻1400/守1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「スクラップ」モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードが「スクラップ」カードの効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「スクラップ・ファクトリー」1枚またはチューナー以外の「スクラップ」モンスター1体を手札に加える。

 

「俺はレベル4【ジャイアント・レックス】にレベル4【スクラップ・ラプター】をチューニング!」

 

 合計レベルは8!

 

「屈強なる太古の王者よ、全ての敵を蹴散らせ。シンクロ召喚!現れよレベル8!【ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット】!」

 

<白河クロト&宇佐美彰子のフィールド>

ディノインフィニティ ★4 ATK3000

ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ★8 ATK3000

 

【ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット】

シンクロ・効果モンスター

星8/地属性/恐竜族/攻3000/守 0

恐竜族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。

(3):1ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

(4):このカードが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分フィールドのカード1枚を破壊できる。

 

「バトルフェイズに移行!【ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット】でダイレクトアタック!」

 

「させるか!オレは手札から【速攻のかかし】を墓地に送って効果発動!バトルフェイズを終了させてやる!」

高田 手札:1→0枚。

 

【速攻のかかし】

効果モンスター

星1/地属性/機械族/攻 0/守 0

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。

 

 へぇ、かかし系のカードってそこそこレアなカードなんだけど、持ってるもんなんだな。

 最後に使用した壺で引き寄せたカードかな?

 

「無駄だ!チェーンして手札から速攻魔法【墓穴の指名者】を発動!お前の墓地の【速攻のかかし】を除外し、同名モンスターの効果を無効化する!」

クロト 手札:4→3枚。

 

「馬鹿な!?」

 

【墓穴の指名者】

速攻魔法

(1):相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。

 

チェーン②墓穴の指名者

チェーン①速攻のかかし ※効果無効化

 

 似たような効果の【バトルフェーダー】ならこのカードでの無効は出来なかったんだが、運が無かったな。

 

「【速攻のかかし】の効果が無効…ダイレクトアタックが継続される!?」

 

「ギガサバットストライク!」

 

ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット ATK3000

 

「ぐあぁぁぁっ!」

打田英人&高田純二朗 LP:5500→2500

 

「止めだ!【ディノインフィニティ】でダイレクトアタック!インフィニティ・ファング!」

 

ディノインフィニティ ATK3000

 

「あぁぁぁっ!」

打田英人&高田純二朗 LP:2500→0

 

 

 

「宇佐美、ナイスデュエル」

 

 俺のターンでここまで好き放題で来たのは前のターンで彼女がフィールドを一掃しておいてくれたお陰だ。

 

「し、白河君こそ、ナイスデュエルでした…」

 

 宇佐美は恥ずかしながらも、俺が上げた右手に軽く手を合わせてハイタッチを交わしてくれた。




主人公および宇佐美彰子のデッキは【恐竜族】です。『ストラクチャーデッキR-恐獣の鼓動-』にて超強化された恐竜族を軸とした型となります。ストラクの看板モンスターである【究極伝導恐獣】は強力すぎるので今回は登場見送りとし、GX時代からの恐竜族の有名カード【ディノインフィニティ】、リンク環境以外でも出せる【ダイナレスラー・ギガ・スピノサバット】を登場させてみました。

打田英人のデッキは【スキルドレイン】です。【スキルドレイン】のカード自体は登場時は一部デッキに採用されるくらいのカードでしたが、シンクロモンスター全盛期になると【王宮の弾圧】と共に準制限カードになるほどの性能を見せました。【スキルドレイン】を引けなくてもそこそこ善戦は出来ます。

高田純二朗のデッキは【リクル特攻】のつもりだったのですが、LP4000環境でリクルーターで墓地肥やししている余裕があるかと言われれば微妙だったので、爆発力のあると【ジャンク天使】の構成になりました。【ジャンク・アタック】を引けなかったら負けます。

次回の更新は11月下旬頃の予定です。

戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十五話 学園祭

前回のあらすじ:GXメダルが必要数揃った。

今回のデュエルはいつもの赤帽子ととあるカードの精霊とのデュエルです。


 11月下旬、今日はデュエルアカデミアの学園祭当日だ。

 

 オベリスクブルーではお洒落な屋外カフェテリア、ラーイエローではたこ焼きや焼きそばなどの出店、オシリスレッドではコスプレデュエル大会を出し物としている。ちなみにオベリスクブルー女子は特に出し物はない。

 女子たちの出し物があったら男子生徒の大半がそちらに集中してしまって他のエリアが寂しいことになるからと言う学園側からの配慮なのかもしれない。

 

 俺の所属する料理部はと言うと、ラーイエローの敷地の一部を借りて1年生と2年生でいくつか出店を開いていた。3年生は最後の学園祭と言うことで参加を免除され、希望者のみが参加している。

 とはいえ、そもそも料理部に所属している幽霊部員以外の男子生徒って俺くらいなので、今俺が居るこの屋台は実質一人で回している。

 

 俺が受け持つ屋台には、タコ焼きや焼きソバなどの定番なものに加えてカレーや唐揚げなどの男子学生向けのメニューが多い。

 女子学生向けのクッキーやクレープと言ったメニューは宇佐美達がやっている方の屋台で販売されている。

 

 俺の方の屋台で作っている出し物は、自慢ではない…いや自慢だが周囲のラーイエロー男子たちがやっている屋台の出し物よりも確実に美味い。

 普段から孤児院では料理をしていたし、中学&高校は料理部に所属して日々練習しているからな。流石に後れを取るわけには行かない。

 だが、ドルオたちの作ったタコ焼きもなかなか美味かったので、後でレシピを教えて貰おうと思う。

 

 食材は大量に準備しているので特に問題は無いのだが、屋台裏でアクエリアや蟲惑魔たちがこっそりつまみ食いをするのでそこそこ急いで作らないと売る物が無くなりそうなのでそこそこ忙しいのが悩みどころだな。

 宇佐美達の屋台には先ほど明日香や雪乃と言った主だった女子生徒たちが訪れており、一緒にクレープなどを購入してオシリスレッド寮の方へと歩いて行ったのを見かけたのであちらも忙しそうだ。

 

「やっほー。白河、来たよ~」

「白河君、お疲れ様です」

「おいっす、2人とも」

 

 学園祭が開始した少し後、俺の受け持つ屋台にツァンと紬の2人がやって来た。

 彼女たちの頭にはデュエルモンスターズのモンスターを模したお面があり、彼女たちの手には綿菓子が握られており、彼女たちが学園祭を満喫していることが良く分かる。

 

 ツァン、今年は去年の様にボッチ参加じゃなくて本当に良かったな…。

 

「何か買っていくか?と聞きたいところだが、こっちの屋台でいいのか?」

 

 ツァンたちも俺の方の屋台よりも宇佐美達の屋台のメニューを選ぶと思ったんだが…。

 

「ツァンちゃんが言うには、白河君の屋台には隠しメニューが存在するとの話でしたが…」

「ふふん、隠してもダメだからね」

「何だ、バレてたのか」

 

 何故か勝ち誇った顔をしているツァンの言う通り、確かに俺の屋台にはメニュー全てが売り切れになった後に販売しようとしている隠しメニューが存在する。

 もちろん学校側にはちゃんと届け出てあるし、料理部のメンバーは当然知っているが、他の学生には話した記憶はない。

 

 何で知ってるんだろう?

 

「去年、中学の時も同じようなことやってたじゃん」

 

 あぁ、そういうことか。よく覚えているもんだ。

 

「バレちゃぁしょうがないか。ほら、これが隠しメニューのラインナップだ。あまり周りの連中に見られないようにしてくれよ」

 

 若干ドヤ顔になっているツァンと本当に隠しメニューがあったことに驚いている紬にメニュー表を渡す。

 

「ボクはこのあずきアイスを1つ」

「それでは私は…こちらの宇治金時アイスを1つお願いします」

 

「毎度あり~」

 

 ツァンたちの注文を受けて、俺は屋台の陰に隠して足元に置いてあるクーラーボックスから品物を取り出して彼女たちに渡す。

 彼女たちが専用のリーダーに学生証を兼ねた電子手帳をかざし、料金代わりにDPを支払いって会計は終了した。

 

「美味しいですね!」

「うん、美味しいね。白河はお菓子作るの得意だからね」

 

 2人は屋台の近くにあるベンチに腰掛けて購入したアイスを堪能しているようだ。

 一応、味には自信があったが彼女たちの反応から見るに満足してもらえたようで何よりだな。

 

~~~

 

 昼のピークを過ぎた少し後、俺は屋台の位置を変更してオシリスレッドの敷地周辺で店を開いていた。

 おやつ時から始まる毎年恒例のオシリスレッド名物のコスプレデュエル大会目当てに来る生徒たちをメインターゲットにするためだ。

 

 原作アニメでは、十代が色んな衣装を混ぜたよく分からないコスプレ、明日香&ジュンコ&百恵が『ハーピィレディ三姉妹』、万丈目が『XYZードラゴンキャノン』、三沢が『アマゾネスペット虎』、トメさんが『ブラック・マジシャン・ガール』のコスプレをしていた。

 この世界での変化点と言えば、万丈目が『光と闇の竜』っぽい衣装に変わり、亮さんが『サイバー・ドラゴン』、吹雪さんが『漆黒の豹戦士パンサーウォリアー』、藤原先輩が『オネスト』のコスプレをしているくらいだろうか。

 

 コナミはと言うと『スターダストウォリアー』の恰好をしている。完成度たけーなオイ。レインとか二度見してたしな。

 

 雪乃たちは特にコスプレをしていないみたいだ。せっかくだからやればいいのにな。破滅の女神ルインとか魅惑の女王辺りならメチャクチャ似合いそうじゃん。

 

 あっ、そうそう。一応だが俺もコスプレをしているぞ。『背番号39 球児皇ホーム』の格好だ。

 ラッシュデュエルはあまり詳しくないんだが、アニメは時々見てたからな。あの回は盛大に笑わせて貰った。

 

「なんだよオイ。『背番号39 球児皇ホーム』じゃねーか。完成度たけーなオイ」

「えぇぇぇっ!何で知ってんの!?」

 

 何でこの赤帽子君はこの格好の元ネタを知ってんの!?銀〇もこの世界にはまだないだろ!?

 実はマジでこの世界に在るの?俺だけ知らないの?

 

~~~

 

「おっ、レインか。いらっしゃーい」

「うん…」

 

 明日香たちの様子を三脚で設置したビデオカメラで撮影しつつ、デュエルステージの飾りつけを手伝う十代や翔たちの様子を見ていると、屋台前にレインがやって来た。残念ながらいつもの制服姿だ。 

 

「いつものでいいのか?」

「そう…」

 

 レインの返事を聞き、クーラーボックスから冷やしカレードリンクを取り出して彼女に渡す。

 この娘は俺が屋台を開くといつもふらりとやって来てこの冷やしカレードリンクを2つ購入して帰っていく。

 

 マスター、いつもの!あいよー!みたいな掛け合いは前世からちょっとやってみたかったんだよなぁ。結構満足したぞ。

 

「クロトは…出ないの?」

 

 レインは渡した冷やしカレードリンクを持ってが屋台の傍に設置した簡易ベンチに腰掛け、ちびちびと冷やしカレードリンクを飲み始めた。

 

「コスプレデュエルのことか?俺は出ないよ」

「そう…」

 

 レインからの問いに答えた通り、俺はこのコスプレデュエルに参加するつもりは無い。

 コナミが出場するなら考えても良いが…今現在のあの野郎はあの恰好のままで数人の女子生徒と一緒にデート中だ。

 

 いくら奴が無類のデュエル好きだからと言って今日は流石に恐らく参加することは無いだろう。

 

「それに今年はあの娘が来るはずだろ?」

「うん…」

「俺が参戦したことでそのイベントが無くなるのだけは避けたいからね」

 

 そう。原作アニメ通りの展開であれば、今年はデュエルモンスターズの中でも人気の高いあの娘が学園祭に乱入して来るのだ。

 こんな面白そうなイベントを見逃すなんて、原作ファンとしては有り得ない選択肢だよな。

 

~~~

 

 この大会はコスプレしてデュエルするだけのシンプルな出し物で、司会の丸藤翔と解説の万丈目準がイベント参加者の中から適当に2名選び、その二人がデュエルするだけのシンプルなものだ。

 ただ、参加しているメンバーの何人かがアカデミア本校の実力上位陣=来月のタッグデュエル大会参加者と言うことでもあるため、シンプルな催しものと言う意味でも敵情視察と言う意味でも生徒たちからの注目度はかなり高かった。

 

 そんな思惑が渦巻く中、オシリスレッドの遊城十代と、オベリスクブルーの三沢大地と言う注目の対戦カードが選出された。

 

「三沢!今度こそオレが勝たせてもらうぜ!」

「十代、相手にとって不足は無い!」

 

 オシリスレッド寮前に準備された仮設リング(ラインカーで白線を引いただけの物)で仮想した二人が対峙し、それぞれの意気込みも十分なようだ。

 

 彼らは1学期に行われたノース校との対抗デュエルの代表選手を選ぶ際に対戦し、その際は三沢が勝利していた。

 だが、今の彼らは当時の彼らよりも遥かに強くなっていて、共に今のデュエルアカデミアのトップデュエリスト達でもある。

 

 期待と注目が集まる中、2人のデュエルは開始された。

 

「オレは手札から魔法カード【融合】を発動!手札の…」

「ふっ、甘い!リバースカードオープン!チェーンして永続罠【ナルカミの滝壺】発動!これでお互いに手札からモンスターを墓地へ送る事はできないぞ!」

「なっ!?」

 

【ナルカミの滝壺】※漫画版GXオリジナルカード

永続罠

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いに手札からモンスターを墓地へ送る事はできない。

 

「更に永続罠【不知火の揺らめき】発動!お互いのフィールドのモンスターは戦闘・効果で破壊される以外の方法で墓地へ送る事はできない!」

「なんだって!?」

 

【不知火の揺らめき】※漫画版GXオリジナルカード

永続罠

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、お互いのフィールドのモンスターは戦闘・効果で破壊される以外の方法で墓地へ送る事はできない。

 

「これであのボウヤの手札にある【融合】カードは死に札になったわね」

「あの2枚の永続罠によって遊城君は手札融合もフィールド融合も封じられてしまった。これは厳しい展開ね」

 

 雪乃や明日香の言うように、融合使いにとってこの2枚の永続罠はかなりキツイだろう。

 墓地融合やデッキ融合などの手もあるにはあるが、それを実行できるカードは十代のデッキに何枚入っていることか。

 

 

 序盤は三沢が漫画版GXでも同様に使用されていた2つの永続罠により十代の融合戦術を封印し、自身は墓地の妖怪(アンデット族)モンスターを呼び出して優位を見せていた。

 だが十代も負けじと応戦し、ターンが進むごとに互いのカードは消費されていった。

 

 

遊城十代 LP:2000、手札:0枚、モンスター:0、伏せカード:1

vs

三沢大地 LP:2000、手札:2枚、モンスター:1、伏せカード:0、永続罠:2

 

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンド。十代、そちらの手札は0枚、伏せカードも最初のターンから伏せているその1枚だけ!もう打つ手はないんじゃないか?」

三沢大地 手札:2→1枚、伏せカード:0→1枚。

 

「へへっ、デュエルは最後まで分からないんだぜ!オレのターン、ドロー!」

遊城十代 手札:0→1枚。

 

「さて、逆転の一手は引けたのかな?」

 

 フィールドの状況は三沢が有利だが、彼はこの対戦相手を前に決して気を緩めたりはしない。

 彼の前に立つこのデュエリストは、今まで何度もその1枚のドローにて劣勢を覆して勝利してきた強者だと知っているからだ。

 

「あぁ、もちろんだ!手札からもフィールドからも融合できないなら、オレは手札から魔法カード【ネオス・フュージョン】を発動するぜ!」

遊城十代 手札:1→0枚。

 

【ネオス・フュージョン】

通常魔法

(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「E・HERO ネオス」を含むモンスター2体のみを素材とするその融合モンスター1体を召喚条件を無視してEXデッキから特殊召喚する。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

(2):「E・HERO ネオス」を融合素材とする自分フィールドの融合モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、または自身の効果でEXデッキに戻る場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「この場面でデッキ融合の魔法カード…お前なら引き当てて来ると思っていたぞ!」

「!?」

 

「リバースカードオープン!オレは手札を1枚捨ててカウンター罠【封魔の呪印】発動!【ネオス・フュージョン】を無効にして破壊する!」

三沢大地 手札:1→0枚、伏せカード:1→0枚。

 

「この発動を邪魔させるわけには行かないぜ!リバースカードオープン!オレもLPを半分支払ってカウンター罠【神の宣告】発動!【封魔の呪印】を無効にして破壊する!」

十代 LP:2000→1000、伏せカード:1→0枚。

 

「なっ!?最初のターンから伏せていたカードがカウンター罠だと!?…不味い!」

 

 三沢は決して油断して最後の伏せカードに対する警戒を怠っていたわけではない。

 それまでの十代との攻防は苛烈を極め、目に見えぬ伏せカードの脅威よりも目に見える明らかな脅威を排除するためにカードを消費してしまっていた為、最後の伏せカードを排除しきれなかったのだ。

 

「デッキから【E・HERO ネオス】と【N・グラン・モール】を墓地に送って融合!来い!【E・HERO グラン・ネオス】!」

 

<十代のフィールド>

E・HERO グラン・ネオス ★7 ATK2500

 

【E・HERO グラン・ネオス】

融合・効果モンスター

星7/地属性/戦士族/攻2500/守2000

「E・HERO ネオス」+「N・グラン・モール」

自分フィールド上の上記のカードをデッキに戻した場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」魔法カードは必要としない)。

1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体を選択して持ち主の手札に戻す事ができる。

また、エンドフェイズ時、このカードはエクストラデッキに戻る。

 

「【E・HERO グラン・ネオス】の効果発動!【火車】には手札に戻って貰うぜ!」

 

「くっ!…ここまでか!」

三沢大地 手札:0→1枚

 

<三沢のフィールド>

モンスター無し

 

「行け!グランネオス!三沢にダイレクトアタックだ!」

 

「うわあぁぁぁっ!」

三沢 LP:2000→0

 

 因縁のデュエルは十代の勝利で終わり、十代は見事に三沢へのリベンジを果たして見せた。

 

 三沢は悔しそうな表情を浮かべたもののすぐに気持ちを切り替え、デュエル後は爽やかな握手を交わして互いの健闘を称えながら2人はそのまま一緒に観客席へと戻っていった。

 そのまま観客席(木の杭とロープで策を作り、地面にブルーシートを引いただけ)に居たコナミや翔や隼人に加えて明日香たちも合流し、先ほどのデュエルに付いて色々と話し合っているようだ。

 

 そこそこ差異があるが、漫画版に近いデュエル展開になったな。

 

 十代はいつの間にか鬼畜モグラまで持ってるし…もうネオスペーシアンは大体揃ったと考えていいのかもしれないな。今度コナミに聞いておくか。

 【E・HERO グラン・ネオス】のようなネオスカードも充実してきているみたいだし、そろそろ彼に勝つのもキツくなりそうかな?

 

 次の試合はオシリスレッドの丸藤翔と、元オベリスクブルーの万丈目準だ。

 

 いやいや、お前ら司会と解説の仕事はどうしたよ?って、いつの間にか司会と解説が吹雪さんと藤原先輩に変わっている!?

 

「あんなデュエルを見せられたら見てるだけなんてもったいないっスよね!」

「ふん、十代や三沢ならいざ知らず、レッドのお前がブルーのオレの相手になるかな?」

「万丈目君、今はレッドでしょ?」

「じ、実力と成績はブルーのままだ!」

 

 仮設リングで対峙して軽口を交わす二人の間には特に緊張も無ければ険悪なムードもない。

 

 片や出席日数が足りないだけで実力は1年生の中でもトップクラスの万丈目に対し、メキメキと実力を伸ばしてきている翔とのデュエル。

 服装の色でしか実力を判断できないアカデミア生はもう殆ど居ないが、それでもまだオシリスレッド=雑魚のイメージが強い。

 

 そんな先入観を吹き飛ばすようなデュエルを見せて欲しいところだな。

 

 

丸藤翔 LP:2000、手札:3枚、モンスター:0、伏せカード:0

vs

万丈目準 LP:3500、手札:2枚、モンスター:1、伏せカード:1

 

 

「ボクは手札の【ストライクロイド】、【ステルスロイド】、【ターボロイド】を墓地に送る!」

丸藤翔 手札:3→0枚

 

「何をする気だ?」

「チェェェンジ!ソリッドαァァァ!」

 

 突如、翔の合図とともに墓地に送られた3体のロイドたちがフィールドに出現し、その姿を変えてゆく。

 

「な、なんだ!?3体のロイドモンスターが変形…いや合体していっている!?」

 

「変形合体!【ソリッドロイドα】!」

 

<翔のフィールド>

ソリッドロイドα ★7 ATK2600

 

【ソリッドロイドα】※漫画版GXオリジナルカード

レベル7/地属性/機械族/攻撃力2600/守備力1800

「ストライクロイド」+「ステルスロイド」+「ターボロイド」

自分の手札の上記カードを墓地に送った場合にEXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードが特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択する。このカードの攻撃力は、エンドフェイズ時まで選択したモンスターの元々の攻撃力の数値分アップする。

(2):「ソリッドロイド」と名のついたモンスターは自分フィールドに1体しか存在できない。

 

「おぉっ!なんか格好いいロイドが出て来たな!」

「良いぞー翔ー!」

「このままの勢いで万丈目をやっつけてしまうんだナァ!」

 

 十代、コナミ、隼人たちは初めて見るロイドモンスターに興奮しているようだ。

 

 ロイドモンスターはそこまで詳しくないんだが、確かアレは未OCGモンスターだったよな。漫画版だと言及されていなかった気がするが、こっちの世界のコイツは融合モンスターなんだな。

 コイツ、デザインは流石にそこそこ異なるけどモチーフが完全にゲッ〇ーロボなもんだからOCG化が絶望的なロイドの筆頭なんだよな。

 

「ボクは【ソリッドロイドα】の効果発動!対象は【ダークエンド・ドラゴン】!【ソリッドロイドα】の攻撃力はエンドフェイズ時まで【ダークエンド・ドラゴン】の元々の攻撃力の数値分アップする!」

 

「ちぃっ!【ダークエンド・ドラゴン】の攻撃力は2600!【ソリッドロイドα】の攻撃力は…5200!」

 

「【ソリッドロイドα】で【ダークエンド・ドラゴン】を攻撃する!ソリッドビィィィム!」

 

ソリッドロイドα ATK5200

vs

ダークエンド・ドラゴン ATK2600

 

「ぐわぁぁぁっ!」

万丈目 LP:3500→900

 

<万丈目のフィールド>

モンスター無し

 

 いいダメージを貰ったな。万丈目のフィールドにはもうモンスターが…いや、あの伏せカードはあるか。

 

「タダではやられん!リバースカードオープン!速攻魔法【光と闇の導き】発動!」

万丈目準 伏せカード:1→0枚。

 

「ここでリバースカードだって!?」

 

【光と闇の導き】※漫画版GXオリジナルカード

速攻魔法

(1):自分フィールドのドラゴン族モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の「光と闇の竜」1体を除外して発動できる。自分のエクストラデッキから光属性または闇属性のレベル8・ドラゴン族Sモンスターを特殊召喚する。

 

 あれ?俺が読んだ漫画版と若干効果が違う?漫画版のカード効果だと手札の光か闇属性のドラゴンモンスターを特殊召喚するカードだったよな?

 漫画版と違ってOCG版の【ライトエンド・ドラゴン】と【ダークエンド・ドラゴン】はシンクロモンスターだから、矛盾が生じないようにカード効果が書き換わったのか?

 

「オレは墓地の【光と闇の竜】を除外し、エクストラデッキから【ライトエンド・ドラゴン】を呼び出す!」

 

<万丈目のフィールド>

ライトエンド・ドラゴン ★8 ATK2600

 

【ライトエンド・ドラゴン】

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/ドラゴン族/攻2600/守2100

チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上

このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。

このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力はエンドフェイズ時まで1500ポイントダウンする。

 

「苦労して最上級モンスターを倒したのに、また別の最上級モンスターが出て来るんスか!?」

「このオレとオレのドラゴンたちをそう簡単に倒せると思うなよ!」

 

 この後、万丈目の返しのターンに猛反撃を受けて翔は敗れてしまったが、学園トップクラスの万丈目に負けじと食らいついてかなり善戦していたと思う。

 今の翔は入学当初の彼からは比べ物にならないくらい強くなっている。原作アニメを知らない他の生徒からすれば驚異の成長速度だろうな。

 

~~~

 

 コスプレデュエル大会は好評のまま継続していたが、おやつ時となった頃に小休止が取られることとなった。

 会場にブラック・マジシャン・ガールそのものに見える美少女が突然登場し、コスプレデュエル大会への参加を表明したことで収拾がつかなくなり始めたからだ。

 

 ちなみに、トメさんのことではないぞ。

 

「クロノス校長、我が校にあのような少女が居たでしょうか?」

「実は私も見覚えがないノーネ。でも、プリティなノーネ!キュートなノーネ!グラッチェなノーネ!」

 

 仮説ベンチに座ってナポリタンを食べているアカデミア教師の茂野間ネオの問いに、同じくベンチに座ってペペロンチーノを食べていたクロノス校長が言葉を返す。

 観客席に居る他の生徒たちや警備の巡回で立ち寄った倫理委員会のメンバーにも、マジシャン・ガール姿の彼女を知る者は居ないようだ。

 

 そりゃ居ないだろうね。彼女、カードの精霊だし。どうやったのかは知らないけど、以前のサイコショッカーの時の様に実体化して精霊が見えない人々にもバッチリ見るようだ。

 少し観察してみて分かったことだが、彼女は武藤遊戯の関係者では無さそうだな。ノーマルカラーなのでうちの姉弟子とも違う。いわゆる別個体という奴だ。

 

「うぅ…ボクの作ったステージにブラマジガールが…!」

「丸藤翔!さっさとリングサイドの実況席に来い!」

 

 自身のデュエルが終わって実況役に戻った翔がマジシャン・ガールの姿に見惚れて感涙していると、会場に設置されたスピーカーから万丈目の呼び出しが掛かる。そろそろデュエルが始まるらしいな。

 

「対戦相手はやはり遊城十代なのかな?」

「…そうでもなさそう」

 

 俺の独り言にベンチに座っていたレインが言葉を返してくる。

 そして、リングに立っている二人のデュエリストの方を見てその言葉の意味を知った。

 

「うわっ、ここでコナミなのか」

 

 そう。デュエルリングに立っていたのは周囲に明るく笑顔で愛嬌を振りまくマジシャンガール、そしてデュエル狂いの見慣れた赤帽子の少年だった。

 どうやら目の前で延々とデュエルを見ているうちに抑えが効かなくなったようで、彼とデートしていたらしい女生徒数人が呆れながらもその姿を追っていた。

 

『大変長らくお待たせいたしました。ただいまより、赤羽コナミvsブラック・マジシャン・ガールの試合を開始しまーす!』

 

 解説の翔により、簡単なデュエリスト紹介が行われ、翔の独断でガールさんの先攻となり、2人のデュエルが開始された。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:5枚。

 

 

「先攻は私ね!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行するよ!」

BMG 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【ベリー・マジシャン・ガール】を召喚!その効果を使ってデッキから【ブラック・マジシャン・ガール】を手札に加えちゃうよ!」

BMG 手札:6→5→6枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

ベリー・マジシャン・ガール ★1 ATK400

 

【ベリー・マジシャン・ガール】

効果モンスター

星1/地属性/魔法使い族/攻 400/守 400

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「マジシャン・ガール」モンスター1体を手札に加える。

(2):1ターンに1度、このカードが相手の効果の対象になった時、または相手モンスターの攻撃対象に選択された時に発動できる。このカードの表示形式を変更し、デッキから「ベリー・マジシャン・ガール」以外の「マジシャン・ガール」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 彼女のデッキは【マジシャン・ガール】か。イメージ通りだな。

 原作アニメだと【マジシャンズ・ヴァルキリア】を使ったロック戦術を駆使していたが、この世界の彼女のデッキは劇場版の遊戯王DSODの武藤遊戯が使っていたデッキに近いかな?

 

「私はカードを2枚セットしてターンを終了しまーす!」

BMG 手札:6→4枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:4枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

ベリー・マジシャン・ガール ★1 ATK400

 

 

 久し振りに見るスローな展開速度だな。相手はコナミだぞ?大丈夫?瞬殺されない?

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動!デッキトップからカードを10枚除外してデッキから2ドロー!」

コナミ 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で貪欲な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

 アイツ、初手で壺を握っている確率が高すぎだろ。

 

「オレは手札から【H・C 強襲のハルベルト】を自身の効果で特殊召喚!更に【H・C サウザンド・ブレード】を通常召喚し、手札の【H・C ダブル・ランス】を捨てて効果発動!デッキから【H・C エクストラ・ソード】を特殊召喚だ!」

コナミ 手札:7→6→5→4枚。

 

<コナミのフィールド>

H・C 強襲のハルベルト ★4 ATK1800

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300→DEF1100

H・C エクストラ・ソード ★4 DEF1000

 

【H・C 強襲のハルベルト】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1800/守 200

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(3):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。デッキから「ヒロイック」カード1枚を手札に加える。

 

【H・C サウザンド・ブレード】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1300/守1100

「H・C サウザンド・ブレード」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、手札から「ヒロイック」カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「ヒロイック」モンスター1体を特殊召喚し、このカードを守備表示にする。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「ヒロイック」モンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードが墓地に存在し、戦闘・効果で自分がダメージを受けた時に発動できる。このカードを墓地から攻撃表示で特殊召喚する。

 

【H・C エクストラ・ソード】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1000/守1000

このカードを素材としたエクシーズモンスターは以下の効果を得る。

●このエクシーズ召喚に成功した時、このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。

 

「フィールドのモンスターが一気に3体も!?」

 

 コナミのデッキは【ヒロイック】か。その恰好でそのデッキなのか…でも、良いノリだな!

 メインデッキのモンスターが『H・C(ヒロイックチャレンジャー)』、エクシーズモンスターが『H-C(ヒロイックチャンピオン)』と読むんだぜ。

 

 それはそうと、ガールさん?そろそろコナミの行動を妨害しないと多分酷いことになるぞ?大丈夫か?

 

「【H・C エクストラ・ソード】の特殊召喚成功時、手札から【地獄の暴走召喚】を発動!デッキから【H・C エクストラ・ソード】を2体特殊召喚する!」

コナミ 手札:4→3枚。

 

【地獄の暴走召喚】

速攻魔法

(1):相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚された時に発動できる。

その特殊召喚したモンスターの同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から可能な限り攻撃表示で特殊召喚し、相手は自身のフィールドの表側表示モンスター1体を選び、そのモンスターの同名モンスターを自身の手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚する。

 

<コナミのフィールド>

H・C 強襲のハルベルト ★4 ATK1800

H・C サウザンド・ブレード ★4 DEF1100

H・C エクストラ・ソード ★4 DEF1000

H・C エクストラ・ソード ★4 DEF1000

H・C エクストラ・ソード ★4 DEF1000

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

ベリー・マジシャン・ガール ★1 ATK400

ベリー・マジシャン・ガール ★1 DEF400

ベリー・マジシャン・ガール ★1 DEF400

 

「後攻1ターン目でモンスターが5体!?だけどこっちだって【ベリー・マジシャン・ガール】を2体呼ばせて貰ったんだからね!」

 

「オレはレベル4【H・C 強襲のハルベルト】、【H・C サウザンド・ブレード】、【H・C エクストラ・ソード】の3体でオーバーレイ!」

 

 あっ(察し)

 

「5体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4【No.86 H-C ロンゴミアント】!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK1500→3000→6000 ORU:5

 

【No.86 H-C ロンゴミアント】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/戦士族/攻1500/守1500

戦士族レベル4モンスター×2体以上(最大5体まで)

(1):相手エンドフェイズに発動する。このカードのX素材を1つ取り除く。

(2):このカードのX素材の数によって、このカードは以下の効果を得る。

●1つ以上:このカードは戦闘では破壊されない。

●2つ以上:このカードの攻撃力・守備力は1500アップする。

●3つ以上:このカードは他のカードの効果を受けない。

●4つ以上:相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない。

●5つ以上:1ターンに1度、発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。

 

 素材5体のロンドミアントとはな。コナミめ。せっかく遊びに来てくれた美少女精霊に対してなんて酷い真似を…。

 

「5体のモンスターを重ねる…これがエクシーズ召喚!面白いね!」

 

『おおっとー!コナミ君は絶好調っスね!』

『いや、これはそんなことを言っている場合じゃないぞ』

 

「【No.86 H-C ロンゴミアント】の効果発動!相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

「えっ?」

『えっ?』

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

モンスター無し

 

BMG 伏せカード:2→0枚。

 

 彼女の伏せカードは【ディメンション・マジック】と【立ちはだかる強敵】だったか。

 せめて伏せカードが【和睦の使者】や【威嚇する咆哮】、【ホーリーライフバリアー】辺りだったなら、もしくは【ディメンション・マジック】でコナミの展開を妨害していたなら結果は少し変わっていただろうな。

 

「バトルだ!【No.86 H-C ロンゴミアント】でダイレクトアタック!」

 

No.86 H-C ロンゴミアント ATK6000

 

『攻撃力6000のダイレクトアタック!?』

『この攻撃が通れば彼女は負けてしまうぞ!1ターンキルだ!』

 

 おっ、ナイスな生存フラグを立てたな。

 

「て、手札から【クリボー】を捨てて戦闘ダメージを0にするよ!」

BMG 手札:4→3枚。

 

【クリボー】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 300/守 200

(1):相手モンスターの攻撃で自分が戦闘ダメージを受けるダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にする。

 

 そうか、【クリボー】でも良かったんだよな。

 昔は時々お世話になっていたのにすっかりド忘れしてたな。

 

「おっと、防がれたか。メインフェイズ2に移行。カードを1枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:1枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:5

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:3枚。伏せカード:0枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

モンスター無し

 

 

 これはガールさんにとっては非常にキツイ盤面だな。

 

 時間制限があるとはいえ、カード効果を受けない上に戦闘で破壊されない攻撃力6000のモンスターが相手フィールドに居るとか嫌すぎる。

 しかも召喚・特殊召喚の制限もあるから【マジシャン・ガール】デッキの効果を活かせない。

 

 

「私のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行するよ!」

BMG 手札:3→4枚。

 

「私は手札からモンスターをセット!」

BMG 手札:4→3枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「更に私はカードを1枚セットしてターンを終了しまーす!」

BMG 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズにリバースカードオープン!速攻魔法【サイクロン】発動!その伏せカードを破壊させてもらう!」

コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「そんな!?」

BMG 伏せカード:1→0枚。

 

『ここでエンドサイクだと!?』

『これは酷い!コナミ君ってデュエルの時だとやっぱり鬼っスね!』

 

 万丈目たちの言う通り、アイツはデュエルだと本当に容赦ないよな。

 だが彼女の墓地に送られてしまった伏せカードは【光の護封霊剣】だ。まだチャンスはある。

 

「更にエンドフェイズに【No.86 H-C ロンゴミアント】のORUを1つ墓地に送る」

No.86 H-C ロンゴミアント ORU:5→4

 

 墓地に送ったのは当然【H・C サウザンド・ブレード】か。あのカードには自己蘇生効果があるからな。

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:4

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから【H・C ダブル・ランス】を手札に加える!」

コナミ 手札:3→2→3枚。

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「オレは手札から【H・C ダブル・ランス】を召喚!そして効果発動!墓地から同名モンスターを特殊召喚する!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:4

H・C ダブル・ランス ★4 ATK1700

H・C ダブル・ランス ★4 DEF900

 

【H・C ダブル・ランス】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1700/守 900

このカードが召喚に成功した時、自分の手札・墓地から「H・C ダブル・ランス」1体を選んで表側守備表示で特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない。

また、このカードをエクシーズ素材とする場合、戦士族モンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

 

『レベル4のモンスターが2体!』

『来るっスよ!』

 

「オレは2体のレベル4【H・C ダブル・ランス】でオーバーレイ!」

 

「またエクシーズ召喚!?」

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4【H-C ガーンデーヴァ】!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:4

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

 

【H-C ガーンデーヴァ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/戦士族/攻2100/守1800

戦士族レベル4モンスター×2

相手フィールド上にレベル4以下のモンスターが特殊召喚された時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、その特殊召喚されたモンスターを破壊する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

 コイツ、更に彼女の展開を妨害する気か。

 

「バトルだ!【H-C ガーンデーヴァ】で伏せモンスターに攻撃!」

 

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

vs

裏側守備表示モンスター → マシュマロン ★3 DEF500

 

【マシュマロン】

効果モンスター

星3/光属性/天使族/攻 300/守 500

(1):このカードは戦闘では破壊されない。

(2):裏側表示のこのカードが攻撃されたダメージ計算後に発動する。このカードを攻撃したモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける。

 

「【マシュマロン】!?ぐぁっ!」

コナミ LP:4000→3000

 

 【マシュマロン】か。戦闘破壊されないこのモンスターならもう少し時間は稼げるか。

 それにしても、遊戯デッキなら入っていても不思議じゃないが、良くもまぁピンポイントで手札に持ってたな。

 

「だけどここで墓地の【H・C サウザンド・ブレード】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:4

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300

 

「参ったな…メインフェイズ2に移行。カードを1枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆赤羽コナミ LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:4

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:2枚。伏せカード:0枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

マシュマロン ★3 DEF500

 

 

「私のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

BMG 手札:2→3枚。

 

「私は手札からモンスターをセット!」

BMG 手札:3→2枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

マシュマロン ★3 DEF500

裏側守備表示モンスター

 

「更に私はカードを1枚セットしてターンを終了だよ!」

BMG 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

「エンドフェイズに【No.86 H-C ロンゴミアント】のORUを1つ墓地に送る」

No.86 H-C ロンゴミアント ORU:4→3

 

 墓地に送ったのは【H・C 強襲のハルベルト】。これで召喚・特殊召喚制限は解除されたな。

 

 

◆赤羽コナミ LP:3000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

マシュマロン ★3 DEF500

裏側守備表示モンスター

 

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

コナミ 手札:1→2枚。

 

「オレは手札から魔法カード【エクシーズ・トレジャー】を発動!効果によりデッキから2ドロー!」

コナミ 手札:2→1→3枚。

 

【エクシーズ・トレジャー】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):フィールド上の表側表示のXモンスターの数だけ、 自分のデッキからカードをドローする。

 

 うわっ、出たよ。アニメ特有のインチキカード。【エクシーズ・ギフト】を使ってる俺に謝って?

 それと、後でそのカードの入手先をこっそり教えて?もしくはトレードして?

 

「オレは手札から【H・C 夜襲のカンテラ】を召喚!」

コナミ 手札:3→2枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300

H・C 夜襲のカンテラ ★4 ATK1200

 

【H・C 夜襲のカンテラ】

効果モンスター

星4/地属性/戦士族/攻1200/守 300

このカードが相手フィールド上に守備表示で存在するモンスターを攻撃した場合、ダメージ計算前にそのモンスターを破壊できる。

 

『またレベル4のモンスターが2体っスよ!』

『いや、あのモンスターは【ドリルロイド】のような効果のモンスターだ。このままバトルフェイズに入るだろうな』

 

 万丈目の言う通り、これまた都合よくマシュマロンへの解決カードを引いてきたみたいだな。

 これだからネームドキャラのドロー力は…とんでもないわ。

 

「バトル!【H・C 夜襲のカンテラ】で【マシュマロン】を攻撃!」

 

H・C 夜襲のカンテラ ATK1200

vs

マシュマロン DEF500 ※効果破壊

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

マシュマロン ★3 DEF500

裏側守備表示モンスター

 

「【H-C ガーンデーヴァ】で伏せモンスターに攻撃!」

 

H-C ガーンデーヴァ ☆4 ATK2100 ORU:2

vs

裏側守備表示モンスター → 執念深き老魔術師 ★2 DEF600 ※戦闘破壊

 

【執念深き老魔術師】

リバース・効果モンスター

星2/闇属性/魔法使い族/攻 450/守 600

(1):このカードがリバースした場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動する。その相手モンスターを破壊する。

 

「あっ」

 

『あっ』

 

『あっ』

 

 あ~あ。

 

「【執念深き老魔術師】のリバース効果発動だよ!【H-C ガーンデーヴァ】を破壊しちゃうからね!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

H・C サウザンド・ブレード ★4 ATK1300

H・C 夜襲のカンテラ ★4 ATK1200

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

モンスター無し

 

「ありゃりゃ。やっちゃったな」

 

『あぁっ!ブラマジガールのフィールドはがら空きだぁ!?』

『馬鹿者。彼女の墓地にはあのカードがあるだろう』

 

「とりあえず【No.86 H-C ロンゴミアント】でダイレクトアタック!」

 

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

 

「私は墓地の【光の護封霊剣】を除外して効果発動!直接攻撃は出来ないよ!」

 

【光の護封霊剣】

永続罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に1度、1000LPを払って発動できる。その攻撃を無効にする。

(2):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。このターン、相手モンスターは直接攻撃できない。

 

「だよなぁ。オレはこのままメインフェイズ2に移行して…レベル4【H・C サウザンド・ブレード】と【H・C 夜襲のカンテラ】でオーバーレイ!

 

 このタイミングで?【竜巻竜】辺りか?いや、アイツは持ってないはずだよな?

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4【ダイガスタ・エメラル】!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:2

 

【ダイガスタ・エメラル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/風属性/岩石族/攻1800/守 800

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる。そのモンスター3体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドローする。

●効果モンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

 なるほど。ドローか。

 

「【ダイガスタ・エメラル】のORUを1つ取り除き、墓地のモンスター3体をデッキに戻し、デッキから1ドロー!」

コナミ 手札:2→3枚。

 

 墓地に送ったのは【H・C サウザンド・ブレード】、デッキに戻したのは…。

 

<コナミが墓地からデッキ戻したモンスター>

①H-C ガーンデーヴァ

②H・C 強襲のハルベルト

③H・C ダブル・ランス

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:3→2枚。伏せカード:1→2枚。

 

 

◆赤羽コナミ LP:3000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:3

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:1枚。伏せカード:1枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

モンスター無し

 

 

 正直、コナミを相手に良くここまで粘ったと思う。ただ、そろそろ厳しいだろうな。

 墓地発動カードはもう無く、手札は最初のターンにサーチした【ブラック・マジシャン・ガール】だ。

 

 このドローと伏せカード次第だな。

 

「私のターン!ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

BMG 手札:1→2枚。

 

「私は手札から【チョコ・マジシャン・ガール】を召喚!」

BMG 手札:2→1枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

チョコ・マジシャン・ガール ★4 ATK1600

 

【チョコ・マジシャン・ガール】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1600/守1000

(1):1ターンに1度、手札から魔法使い族モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

(2):1ターンに1度、このカードが攻撃対象に選択された場合、「チョコ・マジシャン・ガール」以外の自分の墓地の魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。その後、攻撃対象をそのモンスターに移し替え、攻撃モンスターの攻撃力を半分にする。

 

「【チョコ・マジシャン・ガール】の効果を発動しちゃうよ!手札を1枚捨ててデッキから1ドロー!」

BMG 手札:1→0→1枚。

 

 おぉっ、ここで良い流れを作ってきたな。

 

「私はカードを1枚セットしてこれでターンエンドだよ!」

BMG 手札:1→0枚。伏せカード:1→2枚。

 

「エンドフェイズに【No.86 H-C ロンゴミアント】のORUを1つ墓地に送る」

No.86 H-C ロンゴミアント ATK6000、ORU:3→2

 

 墓地に送ったのは【H・C エクストラ・ソード】。カード効果を受けない効果が消失する。だが、【H・C エクストラ・ソード】の効果は自身が素材で無くなったとしても上昇した攻撃力はそのままだ。

 

 

◆赤羽コナミ LP:3000、手札:2枚。伏せカード:2枚。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000 ORU:2

ダイガスタ・エメラル ☆4 ATK1800 ORU:1

 

vs

 

◆ブラック・マジシャン・ガール LP:4000、手札:0枚。伏せカード:2枚。

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

チョコ・マジシャン・ガール ★4 ATK1600

 

 

 【チョコ・マジシャン・ガール】の効果を発動させる条件は整っている。ただ、攻撃力を半分にしてもまだロンゴミアントの攻撃力には届かない。決め手となりうるのはやはりあの2枚の伏せカードかな。

 

「オレのターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ…」

コナミ 手札:2→3枚。

 

「リバースカードオープン!罠カード【バトルマニア】を発動だよ!」

BMG 伏せカード:2→1枚。

 

【バトルマニア】

通常罠

相手ターンのスタンバイフェイズ時に発動する事ができる。

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式を変更する事はできない。

また、このターン攻撃可能な相手モンスターは攻撃しなければならない。

 

 これでコナミのモンスターに攻撃を強制できるな。

 

 このままバトルフェイズまで進めば、コナミのフィールドのモンスターは【チョコ・マジシャン・ガール】に攻撃が強制され、【チョコ・マジシャン・ガール】の効果によって墓地の【ブラック・マジシャン・ガール】が呼び出される。

 その後、攻撃したコナミのモンスターは【チョコ・マジシャン・ガール】の効果で攻撃力を半減された状態で【ブラック・マジシャン・ガール】とバトルすることになるわけだ。

 それでもまだロンゴミアントの攻撃力は3000、ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力は2000だ。恐らく、最後の伏せカードに駄目押しのカードがあるはずだ。

 

 コナミが何もしなかったらの話だけどね。

 

「メインフェイズへ移行。オレは手札から装備魔法【エクシーズの宝冠】を発動して【ダイガスタ・エメラル】に装備する!」

コナミ 手札:3→2枚。装備魔法:0→1枚。

 

【エクシーズの宝冠】※アニメオリジナルカード

装備魔法

Xモンスターにのみ装備可能。

(1):装備モンスターは自分の元々のランクと同じ数値のレベルを持つモンスターとしてX素材にできる。装備モンスターをX素材とする場合、1体で2体分の素材にできる。

 

 で、出たー!アニメで良く見た『1体で2体分の素材にできる』インチキ効果のカード!

 汎用性が上がった【エクシーズ・シフト】みたいなカード…いや、結構違うか。

 

「オレは2体分の素材となった【ダイガスタ・エメラル】1体でオーバーレイ!」

 

 ランク4か。コナミは何を出す気なんだろうか。

 

「1体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク4【No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク】!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK5000 ORU:2

No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク ☆4 DEF1200 ORU:1

 

【No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/悪魔族/攻 0/守1200

レベル4モンスター×2

このカード名の(1)の効果は1ターンに2度まで使用できる。

(1):このカードのX素材を1つ取り除き、相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

(2):自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。自分フィールドのこのカードを攻撃力1200アップの装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。

 

コナミ 装備魔法:1→0枚。

 

 う~ん、酷いことになりそうだ。

 

「【No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク】のORUを1つ取り除いて効果発動!そちらの墓地の【ベリー・マジシャン・ガール】を除外する!」

 

No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク ORU:1→0

 

「そんな!?」

 

 【ブラック・マジシャン・ガール】を除外しないのか。

 

「更に【No.80 狂装覇王ラプソディ・イン・バーサーク】の効果発動!このカードを【No.86 H-C ロンゴミアント】の装備カードとする!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK6000→7200 ORU:2

 

「更にオレは手札から装備魔法【メテオストライク】を発動して【No.86 H-C ロンゴミアント】に装備する!」

コナミ 手札:2→1枚。装備魔法:0→1枚。

 

【メテオストライク】

装備魔法

装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「最後の1枚だ!オレは手札から魔法カード【ヒロイック・チャンス】を発動!【No.86 H-C ロンゴミアント】の攻撃力を倍にする!」

コナミ 手札:1→0枚。

 

【ヒロイック・チャンス】

通常魔法

自分フィールド上の「ヒロイック」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。

このターン、選択したモンスターは攻撃力が倍になり、相手プレイヤーに直接攻撃できない。

「ヒロイック・チャンス」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK7200→14400 ORU:2

 

『『攻撃力14400!?』』

 

 アーミタイルを超えちまったよ。

 

「バトルだ!【No.86 H-C ロンゴミアント】で【チョコ・マジシャン・ガール】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【墓地墓地の恨み】発動!相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力を0にするよ!」

BMG 伏せカード:1→0枚。

 

【墓地墓地の恨み】

通常罠

(1):相手の墓地のカードが8枚以上の場合に発動できる。

相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力を0にする。

 

 おっ、これが通ればロンゴミアントを撃破できるんじゃないか?

 

「チェーンしてオレもリバースカードオープン!カウンター罠【ナンバーズ・プロテクト】発動!【墓地墓地の恨み】の発動を無効にして破壊する!」

赤羽コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【ナンバーズ・プロテクト】

カウンター罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分フィールドに「No.」Xモンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドの「No.」Xモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分フィールドにセットする。この効果でセットしたこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

 

 げっ、そんなカードまで拾ってたのか。

 

チェーン②ナンバーズ・プロテクト

チェーン①墓地墓地の恨み ※効果無効

 

「【チョコ・マジシャン・ガール】の効果発動!墓地の【ブラック・マジシャン・ガール】を特殊召喚!【ブラック・マジシャン・ガール】に攻撃対象を入れ替え、【No.86 H-C ロンゴミアント】の攻撃力を半減させるよ!」

 

<コナミのフィールド>

No.86 H-C ロンゴミアント ☆4 ATK14400→7200 ORU:2

 

<ブラック・マジシャン・ガールのフィールド>

チョコ・マジシャン・ガール ★4 ATK1600

ブラック・マジシャン・ガール ★6 DEF1700

 

 結果は変わらないけれど、最後までデュエルする姿はデュエリストの鏡と言えるかもしれないな。

 

No.86 H-C ロンゴミアント ATK7200

vs

ブラック・マジシャン・ガール DEF1700 ※戦闘破壊&貫通ダメージ発生

 

「キャァァァァッ!」

BMG LP:4000→0

 

~~~

 

 あの後、ブラック・マジシャン・ガールは何事も無かったかの様に他のデュエリスト達からの挑戦を受けていた。タフな人だ。

 彼女のお陰もあってコスプレデュエル大会は盛況のまま終了を迎えたが、日が暮れてキャンプファイヤーが始まる頃には彼女は姿を消してしまった。

 

 原作アニメでは翔が彼女の姿を探すが見つからず、途方に暮れていたところに人の目に見えない状態となっていた彼女から頬にキスしてもらうことで話が終わる。

 この世界でも翔は十代や隼人を連れて彼女を探しているようだが、コナミの介入があったのでアニメ同様のオチを迎えられるかは微妙なところだ。

 

 キャンプファイヤーの前ではハーピィレディ三姉妹の恰好をしている明日香たちや吹雪さんたちの撮影会みたいなのが行われている。

 コナミはまた複数の女生徒たちとのデートを再開したようで、アイツが何か言う度に彼女たちの笑い声が聞こえてくる。

 

「さて、2学期のイベントはあとタッグフォース大会のみだな」

 

 来月から始まるタッグデュエル大会、タッグフォースはその名の通り二人一組で出場するデュエル大会だ。

 だが、11月下旬の現在で俺は一緒に出場するタッグパートナーが決まっていない。

 

 別に参加しないと退学になるわけでないし、参加しない選択肢もあるんだが、どうせなら出たいじゃん?

 

「頼んだら組んでくれそうな心当たりは、居るには居るんだけどなぁ」

 

 俺にアイツが説得できるだろうか?いや、やるしかないよな。

 

「良し、行くか」

 

 腹をくくった俺は、未来のタッグデュエルパートナーの元へ向かうのだった。




コナミ君のデッキは【ヒロイック】です。遊戯王ZEXALにてゴーシュが使用していたデッキテーマで、展開力に優れたレベル4戦士族を多く擁するエクシーズ主体のデッキです。切り札のエクシーズモンスターであるエクスカリバーやロンドミアントなどは、他デッキでも時々見かける優秀なモンスターです。

ブラック・マジシャン・ガールのデッキは過去に遊戯が使用したカードを混ぜた【マジシャン・ガール】です。劇場版の遊戯王DSODにて武藤遊戯が使用したカード群の一つで、レベル1~6までの魔法使い族モンスターで構築されています。レベル6のブラック・マジシャン・ガール以外は相手モンスターから攻撃を受けようとする際に効果を発揮するモンスターたちなので、個人的には玄人向けのデッキだと思っています。

次回からはタッグデュエル大会本戦に入る為、タッグデュエルが主になります。

次回の更新は12月初旬予定です。

戦車様、世界の破壊者様、Deros様、荒魂マサカド様、だいこん君様、コダマ様、誤記報告及びデュエル展開ミスに関するご指摘を頂きましてありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十六話 幕間:タッグフォース開催前日

前回のあらすじ:学園祭

今回は幕間。デュエルは有りません。


 12月上旬、午後の授業が終わった数分後、アカデミア校内のロビーにて明日のタッグフォース(タッグデュエル大会)のトーナメント表が発表されようとしていた。

 

 ロビーに設置された大型モニターの前にはトーナメント表を見るために多くのアカデミア生で賑わっており、その中には俺と俺のタッグパートナーであるレインも含まれている。

 

「序盤にコナミのタッグと当たりませんように…」

 

 そんな俺の祈りが届いた結果なのかは分からないが、アカデミア校内のロビーにある大型モニターに表示されたトーナメント表を見る限り、俺のタッグとコナミのタッグは別々のグループになったようだ。

 

「俺たちのタッグはDグループみたいだな」

「そう…」

 

 ベンチに座っていたレインはモニターをチラッと一瞥したが、すぐに視線を膝の上に乗せている猫のファラオへと戻して彼を撫で回していた。

 

 タッグパートナーに誘った時は彼女の任務外のことであろうと推測されるため、恐らく渋られるか断られるかと思っていたが意外とすんなりOKを貰うことが出来た。

 恐らく、賄賂というかご機嫌取りのためにファラオを連れて行っていたことが勝利の決め手となったのだと思う。

 元々タッグフォースに参加するつもりのなかったらしい彼女だが、一応GXメダルは集めていたらしく俺達は何とか期限内の昨日までにタッグフォースへの参加申請を済ませることに成功したのだ。

 

 大会への参加者は俺達を含めて64名、32タッグがエントリーしている。

 全体のトーナメント表は以下の通りだ。

 

Aブロック

 ①遊城十代、赤羽コナミ

 ②神楽坂、大山平

 ③田中康彦、加藤友紀

 ④宮田ゆま、原麗華

 ⑤天上院明日香、藤原雪乃

 ⑥坂倉真、樋口桜

 ⑦セイコ、サラ

 ⑧三田川たくや、瓶田武司

 

Bブロック

 ①沢中国正、木葉孝三

 ②山路康平、野畑義賢

 ③天上院吹雪、丸藤亮

 ④迷宮兄弟

 ⑤清水季也、清水剛

 ⑥地原岩夫、温田熱巳

 ⑦万丈目準、丸藤翔

 ⑧高橋秀行、吉光俊輔

 

Cブロック

 ①三沢大地、藤原優介

 ②石原法子、石原周子

 ③枕田ジュンコ、浜口ももえ

 ④海野幸子、水城流次

 ⑤打田英人、高田純二朗

 ⑥クロノス・デ・メディチ、茂野間ネオ

 ⑦白石光一、黒川唯一

 ⑧ボーイ、須見英樹

 

Dブロック

 ①ツァン・ディレ、紬紫

 ②鮎川恵美、灘晋平

 ③宇佐美彰子、山本百合

 ④吉澤由美、風見吹子

 ⑤矢ヵ城利之、松村成基

 ⑥前田隼人、初心守

 ⑦愛怒瑠夫、中村祐治

 ⑧白河クロト、レイン恵

 

 

 Aブロックにはコナミと十代のタッグの他に明日香と雪乃たちのタッグがエントリーされているようだ。

 

「コナミはやっぱり十代と組んできたか」

「どちらも強敵…」

 

 タッグフォースの開催が発表された当初からアイツらは一緒に行動してGXメダルを集めていた。あの時点から既にお互いをタッグパートナーと決めていたのだと思う。

 

 コナミに関しては…今更だな。アイツは強い。手加減とか絶対に出来ん。1対1で本気でやると勝率は6割くらいで俺が若干優勢と言えるが、タッグデュエルだとアイツは他の追随を許さないほどに最強クラスだ。

 アイツが使ってくるデッキなんて読めるはずもないが、タッグデュエルだと相手のデッキコンセプトに合わせる傾向にあるから【戦士族】デッキを使ってくる可能性が高い…かなぁ。

 

 十代の実力は三幻魔事件を経たこととネオス・ユベルが共にいることで原作アニメに近いものとなっているだろう。

 使用するデッキは【ネオス】デッキだろうが、その完成度は【超融合】が入っていない以外では原作アニメ終了時点よりも遥かに洗練されている。

 

「天上院明日香と…藤原雪乃も…強い」

「そうだな」

 

 アカデミアの女王なんて呼ばれている明日香だが、それは容姿だけでなくその実力にも由来している。俺の私見だが、オベリスクブルー女子で最強と言えば彼女かレインだと思っている。

 使用するデッキは【サイバーエンジェル】か【氷結界】か…。

 

 明日香がアカデミアの女王なら雪乃はアカデミアの女帝と呼ばれている。もちろん、その性格や容姿もさることながらデュエルの実力も明日香に近いレベルでかなり高い。

 使用するデッキは【デミスルイン】、【リチュア】、【魔神儀】辺りか。

 

 Aブロックの優勝者はコナミと十代のタッグか明日香と雪乃のタッグのどちらかだろうな

 宮田と委員長、坂倉と樋口、セイコさんとサラのタッグもなかなかの強さだろうが、この2組ほどではないだろう。

 

 

 Bブロックには吹雪さんと亮さんのタッグ、万丈目と翔のタッグが居るな。

 

「強敵と言えば、吹雪さんと亮さんも油断できないな」

「うん…」

 

 カイザーと呼ばれる亮さんの実力はこの学園の誰もが認める通りだ。俺の介入によるバタフライエフェクトや本人の努力により原作アニメよりも心身ともに充実していると思う。

 使用するデッキも【表サイバー】、【裏サイバー】ともにカードプールも充実している。追い詰められれば普段はほとんど使わないエクシーズも使ってくるかも知れないな。

 

 フブキングやらブリザードプリンスを自称する吹雪さんだが、そのおどけた優しい性格とは裏腹に実力は亮さんと並び立つにふさわしい物だ。

 使用するデッキは【ビースト】、【ベアルクティ】辺りかな。いや、俺と明日香以外に公開していないあのデッキを使ってくる可能性もあるな。流石に【十二獣】は使わない…はずだ。

 

 万丈目自身は確かに優秀なデュエリストだが、彼のデッキはまだ成長途中だ。原作アニメと違ってアームドドラゴンシリーズをノース校に返却してしまったのも痛い。

 使ってきそうなデッキは【ドラゴン族】デッキか、VWXYZ軸の【おジャマ】か…。

 

 翔も以前に比べて強くなっているが、他のメンバーに比べると一歩及ばない印象を受ける。

 使用デッキは【ビークロイド】だろうが、そのカードプールは原作アニメ終了時点レベルと少し心もとない。

 

 Bブロックの他のメンバーも代表に選ばれるだけの実力を持っているとは思うが、吹雪さんと亮さんのタッグに勝てるとは到底思えない。

 迷宮兄弟は以前の制裁デュエルでクロノス校長とのツテが出来たのか、わざわざプロの仕事の合間を使って大会に参加してくれるらしい。

 

 

 Cブロックは三沢と藤原先輩、クロノス校長たちの教師タッグが注目株だろうな。

 

「三沢と藤原先輩は、個々の強さはかなり高いがタッグだとどうなんだろうな」

「藤原優介は…データが少ない」

 

 三沢はオベリスクブルーに昇格してからもメキメキ実力を伸ばしており、10ある彼のデッキはどれも侮れない。

 タッグデュエル用に藤原先輩にデッキタイプを寄せるならば【光属性】デッキを使用してきそうな気がする。

 

 藤原先輩は以前渡したデッキをあっという間に使いこなして復学してまもなくアカデミアのトップデュエリストへと返り咲いている。

 俺が渡した【武神】デッキの他には相棒のオネストの効果を有効活用しやすい光属性のデッキを好む傾向にあるので、タッグデュエルでも恐らく【光属性】のデッキを使用して来るだろう。

 

 クロノス校長は実技担当から外れて以降その実力を見る機会が無くなってしまったが、彼のことだ。その実力は決して衰えてはいないだろう。

 彼が使うデッキと言えば【アンティークギア】一択だろう。融合モンスターも使ってくるとなるとタッグデュエルのLP:8000制でも一撃でライフを持っていかれる可能性を秘めている。要注意人物だ。

 

 そしてクロノス先生の相棒がまさかの茂野間ネオ先生だとは思わなかった。彼は原作ゲーム同様、色んなコピーデッキを使いこなすことで有名で、コスプレをしない教師版の神楽坂みたいな人だ。

 普段使うデッキは【メタビート】だが、今回はタッグデュエルであるため、パートナーのクロノス校長のデッキと相性のいいコピーデッキを使用してくるかもしれない。

 下手したら過去の俺やコナミのデッキを使ってくるかもしれないのでこちらもなかなか怖い存在だな。

 

 Cブロックの他のメンバーはこの2タッグに比べれば流石に見劣りすると思う。

 それにしても、ボーイはまだこの島に居たんだな。本業のギャンブラーの仕事はどうしたんだろうか?迷宮兄弟と同じように余暇を使ってわざわざ来ているのかも知れないな。

 

 

 俺たちの所属するDグループだと…ツァンと紬のタッグが手強いだろうな。

 

「ツァンと紬か…。アイツ等ってタッグデュエルの相性はそこまででもないと思うけど…」

「でも…楽観はできない」

 

 ツァンは未だに一部の男子生徒からはピンクの悪魔などと呼ばれて恐れられている。男子全般にツンツンした態度を取ることも要因だが、一番の要因はそのデュエルの強さだ。シエンが出るとツァンが勝つ。月一テストで彼女に勝った男子生徒は居ない。

 使用するデッキは【六武衆】だが、他にも優秀な戦士族を採用している為、六武衆だけの対策をしているだけでは勝てないかも知れないな。

 

 紬は以前と比べて随分と血色が良くなった。今では貧血で倒れることも殆どなく、生来の物腰の柔らかさのお陰で友人も増えたようだ。俺達と良く行動するせいであの独特な言い回しはあまり聞かなくなったのが少々寂しいところだ。

 使用するデッキは【ガジェット】。その他にも優秀な機械族モンスターを多く取り入れ、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムなど多彩な召喚方法を操る。

 

 ドルオや隼人も一学期の初めに比べれば見違えるほど強くなってはいるが、ツァンや宇佐美ほどの脅威は感じないし、宇佐美自身は強いが相棒の山本は正直そこまで強くはない。

 やはりDグループで警戒すべきなのはツァンたちくらいか。

 

 

 こうしてみると響先生や鮎川先生は参加していないものの教師陣も何名か参加しており、コナミと十代のタッグ、吹雪さんや亮さんのタッグ以外にも油断ならない連中が多い。

 だが、今回はタッグパートナーに恵まれているからな。十分に勝機のある大会だ。なにより命が掛かっていないデュエルという点が特にグッド。そして当然、出場するからには優勝を狙いに行かせて貰おう。




アンケートにご協力いただきましてありがとうございました。

次回からタッグフォース大会の本選となり、しばらくはタッグ戦が続きます。

タッグ戦は話を作るのが単純にシングル戦の2倍以上の時間がかかりますので、更新速度は大体1~2週間に一話くらいになると思われます。

次回の更新は12月初旬予定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十七話 タッグフォース1

前回のあらすじ:タッグフォース開催。

今回の対戦相手は何組かありますが、その中でも天上院明日香と藤原雪乃のデュエルをピックアップしています。

今後、タッグフォース編の展開は1話ごとにいくつかの試合を行い、そのうちの1つの試合をピックアップして他の試合はダイジェストになると思います。


 タッグフォース当日を迎え、大会参加者の俺達はアカデミア近海上に建てられたタッグフォースの特設決勝会場へとやって来ていた。

 

「これは凄いな…」

 

 万丈目グループに協力を依頼して建造されたその全長100mはありそうな巨大な白いタワー内へ、俺達はアカデミアの船乗り場から船で向かうこととなったわけだが、近くで見るとその巨大さに圧倒されてしまった。

 

 塔の内部に入るとその中には最先端の技術をふんだんに使用したデュエルリングが内蔵されており、リングの外周部分が観客席となっていた。

 俺とその景色を眺めながらタッグパートナーのレインと共に観客席へと移動した。

 

 席についてなお少々興奮気味の俺とは対照に隣に座っているレインは終始落ち着いた様子で周囲を見回している。

 それに釣られて周囲の様子を窺ってみると、会場内の観客席には既に俺たち以外にも多くの出場選手たちが座っていた。

 

「おぉっ!デュエルリングはこうなっているのか!格好いいぜ!」

「色んな人たちとタッグデュエルが出来るなんて最高だよな!」

『クリクリー!』

『十代、みっともないからあまりはしゃがないでくれよ?』

 

「あ、兄貴…。コナミ君も…。こんな大舞台でも余裕っスね…」

「はっ!アイツらは緊張と言う言葉を知らんだけだ!」

 

「タッグデュエルにおいてもオレは最強を目指さなければ…今日はよろしくお願いします、藤原先輩!」

「もちろんさ。今日はボクたちの普段の努力の成果を実力を確認する良い機会だ。頑張ろうね」

 

「こんな素敵な舞台だったなんて…しまったな。ちゃんとした衣装を用意しておくべきだった!」

「吹雪…頼むから大人しくしていてくれ…」

 

「こんな立派な舞台でタッグデュエルするなんて…」

「ふふっ、燃えてきちゃうわ。ねぇ明日香?」 

 

「紫、どうしよう。ボク、ちょっと緊張してきちゃったよ…」

「そういう時は手の平に『人』と言う文字を書いて呑み込めば落ち着くそうですよ」

 

 参加者の中の見知った連中はなんだかんだでいつも通りの様だ。

 緊張している奴らも居たが、アイツらもなんだかんだでデュエル時には本調子を取り戻しているだろう。

 

『ただいまより、タッグデュエル大会『タッグフォース』本選を開始いします!』

 

 デュエルリング上の現デュエルアカデミア実技最高責任者の響先生が大会開始の宣言を行い、タッグデュエル大会が開始された。

 

~~~

 

 大会宣言から少し経った後、Aブロック第一試合の選手たちが会場へと降りて行く。

 

「トップバッターはオレたちだ!頑張ろうぜコナミ!」

「あぁ!」

 

 先にデュエルリングに現れたタッグは、オシリスレッドのコナミと十代だ。ハネクリボーやユベルも彼の後ろから付いて来ている。

 

「遊城十代!お前のデッキとデュエルテクニックは研究し尽くしている!この勝負、オレ達が勝利を頂くぜ!」

「お前に敗れたあの日から、オレは更にドローに磨きをかけた!今度は負けん!」

 

 続いて現れたのは、オベリスクブルーとなった神楽坂と大山平だ。神楽坂は十代のコスプレをしており、大山平は何故かまた野生化している。

 

「そうはさせないぜ、神楽坂!大山!今度もオレ達が勝たせてもらうぜ!」

「さぁ早くデュエルを始めよう!」

 

 両者ともやる気十分のようで、全員がデュエルディスクを構える。

 

『Aブロック第一試合、遊城&赤羽 vs 神楽坂&大山!デュエル開始!』

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

 響先生の掛け声とともに彼らのデュエルが開始された。

 

 大山のドローカードマシマシの【凡骨融合】デッキで神楽坂の【E・HERO】デッキの手札増強を行うスタイルで連続融合召喚を決めていき、なかなかの活躍を見せていた。

 

「オレは【E・HERO プリズマー】の効果発動!エクストラデッキの【E・HERO プラズマヴァイスマン】を見せてデッキの【E・HERO エッジマン】を墓地に送り、【E・HERO プリズマー】を【E・HERO エッジマン】と同名カードとして扱う!」

 

「墓地には【馬の骨の対価】で送ったあのモンスターが居る…来るか!」

 

「オレは手札から魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動!墓地の【E・HERO スパークマン】と【E・HERO エッジマン】を融合!来い!【E・HERO プラズマヴァイスマン】!」

 

「更に手札から魔法カード【融合】を発動!手札の【E・HERO ワイルドマン】、そしてフィールドの【E・HERO エッジマン】となった【E・HERO プリズマー】を融合!来い!【E・HERO ワイルドジャギーマン】!」

 

<大山&神楽坂のフィールド>

E・HERO プラズマヴァイスマン ★8 ATK2600

E・HERO ワイルドジャギーマン ★8 ATK2600

 

「オレは手札を1枚捨てて【E・HERO プラズマヴァイスマン】の効果を発動!そちらの【E・HERO フレア・ネオス】を破壊する!」

 

「オレはORUを1つ取り除いて【フォトン・ストリーク・バウンサー】の効果発動!【E・HERO プラズマヴァイスマン】の発動した効果を無効にして1000ダメージを与える!」

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO フレア・ネオス ★7 ATK4100

フォトン・ストリーク・バウンサー ☆6 ATK2700 ORU:2→1

 

「ぐぁっ!」

大山&神楽坂 LP:3000→2000

 

 だが、それでもやはり【ネオス】デッキを使いこなす十代や【バウンサー】デッキを使用したコナミの方が一枚上手であった。

 ターンを重ねるごとに彼らのフィールドのカード差は離されていき、そして…。

 

 

◆十代&コナミ LP:3500、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。伏せカード:1枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO フレア・ネオス ★7 ATK4100

 

vs

 

◆大山&神楽坂 LP:2000、フィールド魔法:1枚、伏せカード:0枚。

 

<大山&神楽坂のフィールド>

モンスター無し

 

 

「行け!【E・HERO フレア・ネオス】!ダイレクトアタックだ!バーン・トゥ・アッシュ!!」

 

「ぐぁぁぁぁっ!」

大山&神楽坂 LP:2000→0

 

 

 神楽坂達は十代たちのライフを半分まで削るなどの奮戦を見せたものの、最終的にはコナミと十代の勝利となった。

 

「むぅ…まだオレのドロー力ではお前たちには勝てないか。またドロー修行のやり直しだな!」

「また負けたか。だが、楽しいデュエルだったぜ!ガッチョ!」

 

「だから違うって!ガッチャだ!ポーズもまた微妙に違うし!」

「はははっ!ガッチョ!」

「コナミまで!?だから、ちっがーうっての!」

 

 デュエルが終わればそこに居るのは対戦相手ではなくデュエル仲間と言わんばかりに、彼らは会話を続けながら観客席へと移動していった。

 

 デュエルをしただけでその相手と仲良くなれる十代たちは流石は主人公たちと言ったコミュ力だよな。

 俺はむしろ相手からヘイトを買うことの方が多いから、ちょっとだけ羨ましいな。ちょっとだけだぞ。

 

~~~

 

 Aブロック第二試合は、割とあっさり勝負がついてしまった。

 

 オベリスクブルー男子の田中康彦とオベリスクブルー女子の加藤友紀のタッグに対するは、オベリスクブルー女子の宮田ゆまと原麗華のタッグだった。

 

 

◆宮田ゆま&原麗華 LP:6500

 

<宮田ゆま&原麗華のフィールド>

M・HERO ダイアン ★8 ATK2800

 

vs

 

◆田中康彦&加藤友紀 LP:1500→0

 

<田中康彦&加藤友紀のフィールド>

ダーク・グレファー ★4 DEF1600

異次元の女戦士 ★4 ATK1500

 

 

 【スタンダード】デッキの田中康彦と【お触れ戦士族ビート】の加藤友紀の相性は悪くは無かったのだが、【ロックバーン】デッキの原麗華に行動を阻害され、【M・HERO】デッキを操る宮田ゆまの攻勢に徐々に追い詰められていった。

 

「行け!【異次元の女戦士】で【M・HERO ダイアン】で攻撃!」

 

「させません!リバースカードオープン!罠カード【業炎のバリア -ファイヤー・フォース-】の効果を行使します!」

 

「あっ、あのカードは!?」

 

「相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊し、お互いにこの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力を合計した数値の半分のダメージを受けます!」

 

<田中康彦&加藤友紀のフィールド>

ダーク・グレファー ★4 DEF1600

 

「ぐわぁぁぁっ!」

田中康彦&加藤友紀 LP:1500→0

 

「ぐぅっ!」

宮田ゆま&原麗華 LP:7000→5500

 

 

「やりましたね、宮田さん。グッドデュエルです」

「はい!麗華ちゃんもグッドデュエルです!」

 

 勝利した宮田&原ペアは和気あいあいと言った雰囲気の中、観客席へと戻っていった。

 

「くっ!オレでは加藤のペアは務まらないと言うのか…」

「田中君…」

 

 敗北した田中&加藤ペアはどんよりした空気を漂わせながら観客席へと去って行った。

 

 見てられないな…。

 

~~~

 

 そして、Aブロック第三試合が始まる。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆天上院明日香&藤原雪乃 LP:8000

明日香 手札;5枚。

雪乃 手札;5枚。

 

vs

 

◆坂倉真&樋口桜 LP:8000

坂倉 手札:5枚。

樋口 手札:5枚。

 

 

「先攻は私たちが貰うわ。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行するわね」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【召集の聖刻印】を発動!デッキから【聖刻龍-トフェニドラゴン】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

【召集の聖刻印】

通常魔法

(1):デッキから「聖刻」モンスター1体を手札に加える。

 

「次に私は手札から魔法カード【星呼びの天儀台】を発動!手札の【エレキテルドラゴン】をデッキに戻してデッキから2ドロー!」

雪乃 手札:6→5→4→6枚。

 

【星呼びの天儀台】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル6モンスター1体を持ち主のデッキの一番下に戻して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「更に私は手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

【シャドウ・リチュア】

効果モンスター

星4/水属性/海竜族/攻1200/守1000

水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。

また、手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

 うわっ、レベル6軸の【聖刻リチュア】かぁ。

 

「私は手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!手札の【聖刻龍-トフェニドラゴン】をリリースし、手札から【イビリチュア・ガストクラーケ】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:6→5→4枚。

 

【リチュアの儀水鏡】

儀式魔法

「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。

自分の手札・フィールド上から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。

また、自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を選択して手札に戻す。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

 

【イビリチュア・ガストクラーケ】

儀式・効果モンスター

星6/水属性/水族/攻2400/守1000

「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。

このカードが儀式召喚に成功した時、相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。

 

「ここで、儀式召喚した【イビリチュア・ガストクラーケ】の効果発動!相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!」

 

「更にリリースした【聖刻龍-トフェニドラゴン】の効果発動!デッキから【ラブラドライドラゴン】を特殊召喚するわ!」

 

【聖刻龍-トフェニドラゴン】

効果モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2100/守1400

(1):相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚したターン、このカードは攻撃できない。

(2):このカードがリリースされた場合に発動する。自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。

 

チェーン②聖刻龍-トフェニドラゴン

チェーン①イビリチュア・ガストクラーケ

 

<明日香&雪乃のフィールド>

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

ラブラドライドラゴン ★6 DEF2400 ※チューナー

 

【ラブラドライドラゴン】

チューナー・通常モンスター

星6/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守2400

ラブラドレッセンスと呼ばれる特有の美しい輝きを放つウロコを持ったドラゴン。

そのウロコから生まれる眩い輝きは、見た者の魂を導き、感情を解放させる力を持つ。

――その光は前世の記憶を辿り、人々を巡り合わせると伝えられる。

 

「先攻1ターン目からハンデスかよ…痺れるぜ!」

坂倉 手札:5→4枚。

 

<坂倉の確認された手札>

①王家の守護者スフィンクス

②縮退回路

 

<デッキに戻されたカード>

①縮退回路

 

「私はレベル6【イビリチュア・ガストクラーケ】と【ラブラドライドラゴン】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!お出でなさい、ランク6【セイクリッド・トレミスM7】!」

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2

 

【セイクリッド・トレミスM7】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/機械族/攻2700/守2000

レベル6モンスター×2

このカードは「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できない。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「私は【セイクリッド・トレミスM7】のORUを1つ使って効果発動!墓地の【シャドウ・リチュア】を手札に戻す!」

雪乃 手札;4→5枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2→1

 

<墓地に送られたORU>

①イビリチュア・ガストクラーケ

 

「ここで墓地の【リチュアの儀水鏡】の効果発動!このカードをデッキに戻し、墓地の【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札に戻す!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は再び手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

「そして手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!手札の【聖刻龍-シユウドラゴン】をリリースし、手札から2体目の【イビリチュア・ガストクラーケ】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:6→5→4枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

 

「儀式召喚した【イビリチュア・ガストクラーケ】の効果発動!相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!」

 

「更にリリースした【聖刻龍-シユウドラゴン】の効果発動!デッキから【エレキテルドラゴン】を特殊召喚するわ!」

 

【聖刻龍-シユウドラゴン】

効果モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2200/守1000

(1):このカードは自分フィールドの「聖刻」モンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。

(2):1ターンに1度、このカード以外の自分の手札・フィールドの「聖刻」モンスター1体をリリースし、相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。

(3):このカードがリリースされた場合に発動する。自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。

 

チェーン②聖刻龍-シユウドラゴン

チェーン①イビリチュア・ガストクラーケ

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

エレキテルドラゴン ★6 ATK2500

 

【エレキテルドラゴン】

通常モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1000

常に電気を纏い空中を浮遊するドラゴン。

古代より存在し、その生態には未だ謎が多いものの、古のルールにより捕獲は禁止されている。

 

「うへぇ、手札が無くなっちまう!」

坂倉 手札:4→3枚。

 

<坂倉の確認された手札>

①王家の守護者スフィンクス

②テラ・フォーミング

 

<デッキに戻されたカード>

①テラ・フォーミング

 

「私はレベル6【イビリチュア・ガストクラーケ】と【エレキテルドラゴン】でオーバーレイ!2体目の【セイクリッド・トレミスM7】をエクシーズ召喚するわ!」

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2

 

【セイクリッド・トレミスM7】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/光属性/機械族/攻2700/守2000

レベル6モンスター×2

このカードは「セイクリッド・トレミスM7」以外の自分フィールドの「セイクリッド」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚した場合、このターンこのカードの効果は発動できない。

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主の手札に戻す。

 

「私は【セイクリッド・トレミスM7】のORUを1つ使って効果発動!墓地の【聖刻龍-トフェニドラゴン】を手札に戻す!」

雪乃 手札:4→5枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2→1

 

<墓地に送られたORU>

①イビリチュア・ガストクラーケ

 

「ここで墓地の【リチュアの儀水鏡】の効果発動!このカードをデッキに戻し、墓地の【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札に戻す!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は再び手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

 2体目の【シャドウ・リチュア】か。初手で手札に持っていたのか。

 

「これで三度目ね。手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!手札の【聖刻龍-トフェニドラゴン】をリリースし、手札から【イビリチュア・ガストクラーケ】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:6→5→4枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

 

「儀式召喚した【イビリチュア・ガストクラーケ】の効果発動!相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!」

 

「更にリリースした【聖刻龍-トフェニドラゴン】の効果発動!デッキから【ラブラドライドラゴン】を特殊召喚するわ!」

 

チェーン②聖刻龍-トフェニドラゴン

チェーン①イビリチュア・ガストクラーケ

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

ラブラドライドラゴン ★6 DEF2400 ※チューナー

 

「そろそろ手札が無くなるんだけど…」

坂倉 手札:3→2枚。

 

<坂倉の確認された手札>

①王家の守護者スフィンクス

②神風のバリア -エア・フォース-

 

<デッキに戻されたカード>

①神風のバリア -エア・フォース-

 

「私はレベル6【イビリチュア・ガストクラーケ】と【ラブラドライドラゴン】でオーバーレイ!3体目の【セイクリッド・トレミスM7】をエクシーズ召喚!」

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2

 

「私は【セイクリッド・トレミスM7】のORUを1つ使って効果発動!墓地の【聖刻龍-トフェニドラゴン】を手札に戻す!」

雪乃 手札:4→5枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:2→1

 

<墓地に送られたORU>

①イビリチュア・ガストクラーケ

 

「ここで墓地の【リチュアの儀水鏡】の効果発動!このカードをデッキに戻し、墓地の【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札に戻す!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【サルベージ】を発動!墓地の2体の【シャドウ・リチュア】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→7枚。

 

【サルベージ】

通常魔法

(1):自分の墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体を対象として発動できる。その水属性モンスターを手札に加える。

 

「私は手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

 これはひどい。

 

「もう見飽きたかしら?手札から儀式魔法【リチュアの儀水鏡】を発動!手札の【聖刻龍-トフェニドラゴン】をリリースし、手札から【イビリチュア・ガストクラーケ】を儀式召喚するわ!」

雪乃 手札:7→6→5枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

 

「儀式召喚した【イビリチュア・ガストクラーケ】の効果発動!相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!」

 

「更にリリースした【聖刻龍-トフェニドラゴン】の効果発動!デッキから【ギャラクシーサーペント】を特殊召喚するわ!」

 

チェーン②聖刻龍-トフェニドラゴン

チェーン①イビリチュア・ガストクラーケ

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

ギャラクシーサーペント ★2 DEF0 ※チューナー

 

【ギャラクシーサーペント】

チューナー・通常モンスター

星2/光属性/ドラゴン族/攻1000/守 0

宵闇に紛れて姿を現わすと言われるドラゴン。

星の海を泳ぐように飛ぶ神秘的な姿からその名が付けられた。

その姿を見た者は数えるほどしかないと伝えられるが、見た者は新たな力を得られるという。

 

「これは…どうすればいいんだ…」

坂倉 手札:2→1枚。

 

<坂倉の確認された手札>

①王家の守護者スフィンクス

②トレード・イン

 

<デッキに戻されたカード>

①トレード・イン

 

「私はレベル6【イビリチュア・ガストクラーケ】にレベル2【ギャラクシーサーペント】をチューニング!シンクロ召喚!お出でなさい、レベル8【PSYフレームロード・Ω】!」

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

 

【PSYフレームロード・Ω】

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。

(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。

(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。

 

 鬼かな?

 

「ここで墓地の【リチュアの儀水鏡】の効果発動!このカードをデッキに戻し、墓地の【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札に戻す!」

雪乃 手札:5→6枚。

 

「私は手札から【シャドウ・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【リチュアの儀水鏡】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:6→5→6枚。

 

「あとは…私は手札から【リチュア・アビス】を召喚して効果発動!デッキから【ヴィジョン・リチュア】を手札に加えるわ」」

雪乃 手札:5→4→5枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

リチュア・アビス ★2 ATK800

 

【リチュア・アビス】

効果モンスター

星2/水属性/魚族/攻 800/守 500

このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから「リチュア・アビス」以外の守備力1000以下の「リチュア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 

「そして手札の【ヴィジョン・リチュア】を墓地に送って効果発動!デッキから【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札に加えるわ」

雪乃 手札:5→4→5枚。

 

【ヴィジョン・リチュア】

効果モンスター

星2/水属性/海竜族/攻 700/守 500

水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。

また、手札からこのカードを捨てて発動できる。デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。

 

「私はカードを2枚セットしてターンエンド」

雪乃 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚。

明日香&雪乃 伏せカード:0→2枚。

 

 

◆天上院明日香&藤原雪乃 LP:8000、伏せカード:2枚。

明日香 手札;5枚。

雪乃 手札;3枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

リチュア・アビス ★2 ATK800

 

vs

 

◆坂倉真&樋口桜 LP:8000

坂倉 手札:1枚。

樋口 手札:5枚。

 

 

 手札には儀水鏡とガストクラーケ、フィールドにはトレミス3体とフレームロード・Ω。そして手札は1枚。

 俺ならサレンダーしたくなる盤面だな。あの伏せカードがもしあのカードなら、より酷いことになるな。

 

「オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイフェイズ、メインフェイズに…」

坂倉 手札:1→2枚。

 

「リバースカードオープン!罠カード【儀水鏡の反魂術】を発動!フィールドの【リチュア・アビス】をデッキに戻し、墓地の【ヴィジョン・リチュア】と【シャドウ・リチュア】を手札に加えるわ!」

明日香&雪乃 伏せカード:2→1枚。

雪乃 手札:3→5枚。

 

【儀水鏡の反魂術】

通常罠

自分フィールド上の水属性モンスター1体を選択してデッキに戻し、自分の墓地に存在する水属性モンスター2体を選択して手札に加える。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

 

「更にリバースカードオープン!罠カード【緊急儀式術】を発動!手札の【リチュアの儀水鏡】を除外し、除外したその儀式魔法による儀式召喚を行うわね?」

雪乃 手札:5→4枚。

明日香&雪乃 伏せカード:1→0枚。

 

【緊急儀式術】

通常罠

(1):自分フィールドに儀式モンスターが存在しない場合、自分の手札・墓地から儀式魔法カード1枚を除外して発動できる。

このカードの効果は、その儀式魔法カード発動時の儀式召喚する効果と同じになる。

 

 あぁ、終わったな。

 

「手札の【ヴィジョン・リチュア】をリリースして【イビリチュア・ガストクラーケ】を手札から儀式召喚するわ!」

雪乃 手札;4→3→2枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

イビリチュア・ガストクラーケ ★6 ATK2400

 

「儀式召喚した【イビリチュア・ガストクラーケ】の効果発動!相手の手札をランダムに2枚まで確認し、その中から1枚を選んで持ち主のデッキに戻す!」

 

「手札が…」

坂倉 手札:2→1枚。

 

<坂倉の確認された手札>

①王家の守護者スフィンクス

②強欲で金満な壺

 

<デッキに戻されたカード>

①強欲で金満な壺

 

「メインフェイズに移行する…ってやれることねーよ。ターンエンド…」

「私のターン、回って来なさそう~」

 

 

◆天上院明日香&藤原雪乃 LP:8000、伏せカード:0枚。

明日香 手札:5枚。

雪乃 手札:2枚。

 

<明日香&雪乃のフィールド>

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

セイクリッド・トレミスM7 ☆6 ATK2700 ORU:1

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

 

vs

 

◆坂倉真&樋口桜 LP:8000

坂倉 手札:1枚。

樋口 手札:5枚。

 

 

「えっと…私のターンよね。ドローフェイズ、ドロー。そのままスタンバイ、メインフェイズに移行するわ」

明日香 手札:5→6枚。

 

 これは何と言うか…坂倉も樋口も決して弱いわけじゃないんだが…。相手が悪かったな。うん。

 

「このままバトルフェイズで良いわね。3体の【セイクリッド・トレミスM7】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁ!」

坂倉&樋口 LP:8000→5300→2600→0

 

 この試合ってタッグデュエルの意味、あった?

 

「ふふっ、まずは1勝ね」

「雪乃、これはちょっとどうかと思うわよ?」

 

 自身のデッキをガン回しして相手を封殺できたことに満足げな雪乃に対し、明日香は少々呆れ顔だ。

 勝利を第一としたプレイングなので何も問題は無いのだが、相手としては溜まったものではないだろうな。

 

 でもまぁ、ヴェーラーを握れてなかった方が悪いか。

 

「樋口、せっかく組んでもらったのに悪いな」

「気にしなくていいよ~。多分、私が先手だったとしても同じ結果だったと思うからね~」

 

 対戦相手の坂倉と樋口はそこまでこの勝敗を引きずっていないように見える。

 と言うか、この2人っていつの間にこんなに仲良くなっていたんだろう。

 

~~~

 

 そろそろAブロック第四試合が始まると言うタイミングだったんだが、勝敗はほぼ見えていたので俺はトイレ休憩に行っていた。

 そしてトイレから戻って来たら…それはもう酷い有様だった。予想していたよりも遥かに厳しい展開となっていた。

 

 

◆セイコ&サラ LP:8000、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚、永続罠:1枚。伏せカード:1枚。

 

<セイコ&サラのフィールド>

墓守の異能者 ★7 ATK3000

裏側守備表示モンスター

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆三田川たくや&瓶田武司 LP:1500、永続罠:1枚。

 

<三田川&瓶田のフィールド>

守護天使 ジャンヌ ★8 ATK2800

 

 

 既に永続魔法【波動キャノン】のカウンターが1つ乗っている時点で次に彼女たちのターンが来れば勝利が決まる。

 そんな中、三田川たちのフィールドの【守護天使 ジャンヌ】は永続罠【拷問車輪】で攻撃を封じられている。

 

 墓地のモンスターを蘇生しようにもフィールド魔法【王家の眠る谷-ネクロバレー】により封じられている上に、相手には攻撃力3000を誇るモンスターが居る。

 伏せカードもセイコさんたちにはあるが、三田川たちの方には無い。

 

 三田川のターンは終わっており、今はオベリスクブルー男子の瓶田のターンでメインフェイズ1を迎えたところだ。

 だが、「亀」「タートル」と名のつくモンスターを詰められるだけ詰め込んだネタデッキを操る彼は、オベリスクブルーのネームドモブキャラの割にはハッキリ言って雑魚なんだよなぁ。

 

 そもそもこの2人って接点少なそうだけど、何で組んでるんだろうか?

 

 三田川の【キュアバーン】デッキはタッグデュエルで相性が良いデッキは少ないし、瓶田の【亀】デッキはそもそも地力が微妙…。

 多分、お互いにタッグパートナーが見つからずに仕方なくって感じっぽいな。

 

「オレは手札から儀式魔法【亀の誓い】を発動!手札の【3万年の白亀】と【カニカブト】をリリースし、手札から【クラブ・タートル】を儀式召喚するぞ!」

 

<三田川&瓶田のフィールド>

守護天使 ジャンヌ ★8 ATK2800

クラブ・タートル ★8 ATK2550

 

【クラブ・タートル】

儀式モンスター

星8/水属性/水族/攻2550/守2500

「亀の誓い」により降臨。

フィールドか手札から、レベルが8以上になるようカードを生け贄に捧げなければならない。

 

「そしてオレは手札から装備魔法【ドーピング】を発動!【クラブ・タートル】に装備するぞ!」

 

【ドーピング】

装備魔法

装備モンスターの攻撃力は700ポイントアップする。

また、自分のスタンバイフェイズ毎に、装備モンスターの攻撃力は200ポイントダウンする。

 

<三田川&瓶田のフィールド>

守護天使 ジャンヌ ★8 ATK2800

クラブ・タートル ★8 ATK2550→ATK3250

 

「良し、バトルだ!【クラブ・タートル】で【墓守の異能者】へ攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【魔法の筒】発動です!」

セイコ&サラ 伏せカード:1→0枚。

 

【魔法の筒】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。

その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

「なっ!?うわぁぁぁ!」

 

三田川たくや&瓶田武司 LP:1500、永続罠:1枚。

 

 

「やられたぜ 緊張の糸が吹っ飛んじまったみてーだな」

「ふぅん、なかなかやるねぇ。でも調子に乗らないことをお勧めするよぉ」

 

 負けたことをアッサリ受け入れる瓶田に対し、せっかちな上に結構な負けず嫌いな三田川は若干毒づいている。

 彼らのデッキ相性はそれほど良くもないし、彼ら自身もそれほど親しくない上に強くもないわけだが、今回の敗北をお互いのせいにしないのはデュエリストとしての矜持だろうか。

 

「対戦、ありがとうございました~!」

「この試合は無事に乗り越えたようです。次もこの調子で行きましょう」

 

 セイコさんとサラは普段から購買で一緒に働いているのもあるので、仲が深まっているようだ。

 彼女たちはデッキ相性も悪くないのもあり、並の相手では彼女たちを倒すことは難しいだろう。ただ、次に彼女たちが相手にするのは…。

 

~~~

 

 Aブロックの試合が全て終わり、残ったのは十代&コナミのタッグ、宮田&原のタッグ、明日香と雪乃のタッグ、セイコさんとサラのタッグだ。

 十代たちのデッキの完成度が思っていたよりも高かったことと、雪乃がまた更に強くなっていた事以外は大体想定内だ。

 

「コナミのデッキは予測できないだろうが、明日香のデッキは見ておきたかったんだがなぁ」

 

 まだ彼らの試合はいくつか残っているし、いずれ見れる機会があるだろう。

 それよりも、まずはこれから始まるBブロックの試合に集中しないとな…。

 

 そう考え、俺は気持ちを切り替えて今から始まろうとしているBブロックの試合へと意識を傾けるのであった。




雪乃のデッキは【聖刻リチュア】です。儀式魔法が手札のリリースであることを利用し、レベル6の儀式召喚を多用する【リチュア】と【聖刻】の混合型であり、展開やコンボが決まった時の爆発力は高いが事故率が高いデッキとなっております。

色々書いているうちに気付けばタッグデュエルとは思えない展開になってしまいましたが、原作ゲームのタッグフォースでは自分のターンが回ってくる前に負けていることも時々ありましたし、これはこれでありかな?と思ってそのまま載せました。

他三人のデッキに関してはまたいずれ披露する機会があると思います。

次回の更新は12月中旬予定です。

戦車様、荒魂マサカド様、Galcia様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十八話 タッグフォース2

前回のあらすじ:タッグフォースAブロック

今回の対戦相手は丸藤亮と天上院吹雪のデュエルをピックアップしています。


 とうとうタッグデュエル大会『タッグフォース』が開催された。

 本日のAブロックの試合が終わり、Bブロックの第一試合が始まろうとしていた。

 

「うおぉぉぉっ!この大会でセブンスターズに後れを取ってしまった雪辱を果たして見せるぞ!」

「教える側の教師が弱いのでは生徒に示しがつかないからな。我ら教師陣の力を見せるとしよう」

 

 まずデュエルリングに現れたのは沢中国正と木葉孝三の教師タッグだ。

 

 沢中国正は、セブンスターズ事件の際にザルーグに敗れたことにより自身の未熟さを悟って時々三沢や大山と一緒にドロー修行をしている熱血教師だ。

 カウンター罠を大量投入し、【冥王竜ヴァンダルギオン】と【裁きを下す者-ボルテニス】を核としたデュエルリンクスでありそうな【天使パーミッション】デッキを使う。

 

 木葉孝三は、原作タッグフォースだと話しかけることで授業までの時間を潰すことが出来る特殊なキャラクターであり、この世界では冷静沈着な性格の教師だ。

 タッグフォース3の雪乃のデッキは【推理ゲート】だったためか、タッグフォース3での【デミスゾーク】や【デミスルイン】デッキの使い手は彼だったな。この世界でも【儀式召喚】デッキの使い手だ。

 

「……………勝利する」

「ふふん、デュエル界の貴公子として、ボクたちの実力を観客たちに教えてあげようっ! 」

 

 続いて現れてたのは山路康平と野畑義賢のオベリスクブルー男子のタッグだ。

 

 山路康平はレインよりも遥かに無口な男なのだが、タッグフォース3のデュエル中の男子生徒はほとんど使い回しの為、デュエル中は良く喋ると言う変なキャラクターになっているシステム面での犠牲者だ。

 使用するデッキは【終焉のカウントダウン】。永続魔法や永続罠でのロックもさることながら、【ダークファミリア】での無限ループによる防御が厄介でビートダウンデッキを使うデュエリストからすれば面倒な相手だろう。

 

 野畑義賢は、一言で言うならナルシストだな。イケメンで無くなった爽やかさの足りない吹雪さんみたいな奴だ。

 タッグフォース1では【現世と冥界の逆転】を使用するDP稼ぎに利用される雑魚デュエリストだったが、タッグフォース2からは【ネクロフェイス】によるデッキ破壊デッキを使っていた。この世界ではそこそこ完成度の高い【ネクロフェイス】デッキの使い手だ。

 

 

◆沢中&木葉 LP:5500、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。伏せカード:3枚。

沢中 手札:2枚

木葉 手札:1枚

 

<沢中&木葉のフィールド>

裁きを下す者-ボルテニス ★8 ATK2800

破滅の魔王ガーランドルフ ★7 ATK2500

 

vs

 

◆山路&野畑 LP:15000、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚。

山路 手札:0枚

野畑 手札:1枚

 

<山路&野畑のフィールド>

紅蓮魔獣 ダ・イーザ ★3 ATK2800

 

 

 山路と野畑のデッキ相性がそこまで良くないのもあるだろうが、彼らのデュエルは沢中&木葉の教師陣タッグが優勢だった。

 

 野畑は【閃光の追放者】や【マクロコスモス】と【墓守の使い魔】のコンボ、【魂吸収】でのLP回復などなかなかの戦術を見せていた。

 山路も初手で【終焉のカウントダウン】を発動させ、お得意のロック戦術も披露していた。

 

 だが、沢中のカウンター罠戦術のせいで動きは阻害され、木葉の高火力な儀式モンスターたちの前に徐々に追い詰められていった。

 

 【終焉のカウントダウン】の特殊勝利するまでにまだ8ターンは必要であり、手札もあらかた消費してしまった今の状況だともう後がなく、間に合わないだろう。

 

 結局、この後はこのまま山路&野畑タッグは教師陣の勢いに押し込まれてしまい、沢中&木葉の教師タッグの勝利となった。

 

~~~

 

 Bブロック第二試合、恐らくこの試合がBブロックで最も注目を集める試合だろう。

 

 デュエルアカデミアでもトップクラスの実力者であるオベリスクブルー男子の丸藤亮と天上院吹雪のタッグに対するのは、タッグプロデュエリストの迷宮兄弟だ。

 

 カイザーと異名を取る丸藤亮の実力はデュエルアカデミア所属なら誰もが知るところであり、それに肩を並べる天上院吹雪もその実力を疑う者は居ない。

 迷宮兄弟は以前に制裁タッグデュエルでも登場している為、生徒たちからの驚きは少ないものの、今なおタッグプロデュエリストでも上位に位置する彼らのデュエルもまた日々進化している。

 

「「はっ!」」

 

 バク転を決めながら2名の双方チャイナ服を着用したスキンヘッドの男性がデュエルリングに舞い降りた。

 オレンジの服を着た男の額には「迷」、グリーンの服を着た男の額には「宮」の文字が書かれており、二人の動きはまるで鏡を挟んだかのようにシンクロしている。

 

「我ら、流浪の番人!」

「迷宮兄弟!」

 

 迷宮兄弟のエントリーだ!

 

「ボクも負けていられないな!…とうっ!」

 

 相も変わらずカンフー映画じみた動きで登場した迷宮兄弟により会場が盛り上がっていた最中、空中で回転しながらひねりを加えつつデュエルリング状の迷宮兄弟の前に降り立つ影あり。

 

「「何奴!?」」

 

 リング上に着地後、目を瞑りながら右手を天井へと上げて指差す彼の正体は…。

 

「ボクの指差す先にあるものは?」

 

「……天井?」

「…天?」

 

「ん~JOIN!」

 

 親指を立てて爽やかな笑顔を見せる天上院吹雪だった。

 

『キャー!吹雪さーん!』

『素敵―!』

 

 観客席から女生徒たちの声援を受けると、吹雪さんは彼女たちに向けて手を振って感謝の意を述べている。

 

「…」

 

 その中で羞恥心を隠しきれない顔を左手で隠しつつ、丸藤亮もリングへと上がり、天上院吹雪の隣に立った。

 

「ボクの名前は天上院吹雪。人はボクのことを…ブリザードプリンスと呼ぶ!」

「丸藤亮です」

 

「ふふふっ、面白い少年たちよ。相手にとって不足無し!」

「君たちにタッグデュエルの神髄をお見せしようぞ!」

 

 両者のテンションは上がりっぱなし(約一名除く)のようで、それぞれがデュエルディスクを構えて向き合う。

 

「さあ 切り抜けられるか迷宮の罠を!」

「たどり着けるか 迷宮の扉に!」

 

「我らに勝利すれば道は得られよう」

「逃げたるは永遠に闇の道をさ迷おうぞ!」

 

「我らを倒さねば」

「道は開けん」

 

「「いざ勝負!」」

 

 迷宮兄弟が試合をする際に放ついつもの口上が会場に響き渡り、彼らのデュエルが開始される。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆丸藤亮&天上院吹雪 LP:8000

亮 手札:5枚。

吹雪 手札:5枚。

 

vs

 

◆迷宮兄弟 LP:8000

迷 手札:5枚。

宮 手札:5枚。

 

 

「我らはプロデュエリスト」

「学生から先攻を奪うような真似はせん」

 

 迷宮兄弟は自身のプライドからか先攻を放棄したようだ。

 

「では先攻はこちらが貰おう。オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

亮 手札:5→6枚。

 

 亮さんが先攻1ターン目とは珍しいな。あの人って後攻1ターンキルのイメージが強いからなぁ。

 

「私は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】発動!手札の【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】を墓地に送り、デッキから【サイバー・ヴァリー】を特殊召喚する!」

亮 手札:6→5→4枚。

 

【ワン・フォー・ワン】

通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

 

【サイバー・ヴァリー】

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 0/守 0

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカードが攻撃対象に選択された時、このカードを除外して発動できる。自分はデッキから1枚ドローし、その後バトルフェイズを終了する。

●自分フィールドの表側表示モンスター1体とこのカードを対象として発動できる。その自分の表側表示モンスターとこのカードを除外し、その後自分はデッキから2枚ドローする。

●自分の墓地のカード1枚を対象として発動できる。フィールドのこのカードと手札1枚を除外し、その後対象のカードをデッキの一番上に戻す。

 

「更に手札から魔法カード【機械複製術】を発動!同名モンスターをデッキから2体特殊召喚する!」

亮 手札:4→3枚。

 

【機械複製術】

通常魔法

(1):自分フィールドの攻撃力500以下の機械族モンスター1体を対象として発動できる。デッキからその表側表示モンスターの同名モンスターを2体まで特殊召喚する。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

 

「ここで【サイバー・ヴァリー】の効果発動!2体の【サイバー・ヴァリー】を除外してデッキから2ドロー!」

亮 手札:3→5枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

 

「オレは手札からモンスターをセット」

亮 手札:5→4枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

裏側守備表示モンスター

 

「更にカードを1枚セットしてターンエンド!」

亮 手札:4→3枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆丸藤亮&天上院吹雪 LP:8000、伏せカード:1枚。

亮 手札:3枚。

吹雪 手札:5枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

裏側守備表示モンスター

 

vs

 

◆迷宮兄弟 LP:8000

迷 手札:0枚。

宮 手札:5枚。

 

 亮さんのサイバーデッキで伏せモンスター…ラーバァか?墓地には【サイバー・ドラゴン・ツヴァイ】、機械族が2体除外されている。それに伏せカードが1枚か。

 あの伏せカードは【サイバーロード・フュージョン】?いや、あのカードはフィールド・除外ゾーンのモンスターの融合カードだ。墓地のモンスターには対応していない。

 

 う~ん、読めないな。タッグデュエルってことで素直に様子見をしている感じだろうか?

 

「私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行する!」

迷 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【七星の宝刀】を発動!手札からレベル7【雷魔神-サンガ】を除外してデッキから2ドロー!」

迷 手札:6→5→4→6枚。

 

【七星の宝刀】

通常魔法

「七星の宝刀」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札または自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル7モンスター1体を除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「次に私は手札から【キャノン・ソルジャー】を召喚する!」

迷 手札:6→5枚。

 

<迷宮兄弟のフィールド>

キャノン・ソルジャー ★4 ATK1400

 

【キャノン・ソルジャー】

効果モンスター

星4/闇属性/機械族/攻1400/守1300

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事で、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

「そして手札から魔法カード【モンスターゲート】を発動!フィールドの【キャノン・ソルジャー】をリリースし、通常召喚可能なモンスターが出るまで私はデッキの上からカードをめくる!」

迷 手札:5→4枚。

 

【モンスターゲート】

通常魔法

(1):自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

<迷がデッキからめくったカード>

①生け贄人形

②ゲート・ガーディアン

③サイクロン

④アヌビスの裁き

⑤水魔神-スーガ

 

「そしてそのモンスターを特殊召喚するのだ!ハハハー! 出でよ!【水魔神-スーガ】!」

 

<迷宮兄弟のフィールド>

水魔神-スーガ ★7 ATK2500

 

【水魔神-スーガ】

効果モンスター

星7/水属性/水族/攻2500/守2400

このカードが相手のターンで攻撃された場合、そのダメージ計算時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする。

この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 

 早速、三魔神の一体がお出ましだな。

 

「次に手札から【沼地の魔神王】を捨てて効果発動!デッキから【融合】を手札に加える!」

迷 手札:4→3→4枚。

 

【沼地の魔神王】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 500/守1100

(1):このカードは、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。

(2):自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

 

「そして手札を1枚捨てて手札から装備魔法【D・D・R】を発動!」

迷 手札:4→3→2枚。

 

【D・D・R】

装備魔法

(1):手札を1枚捨て、除外されている自分のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

 

 手札コストはさっきデッキから加えた【融合】か。

 

「フフフ……出でよ!【雷魔神-サンガ】!」

 

<迷宮兄弟のフィールド>

水魔神-スーガ ★7 ATK2500

雷魔神-サンガ ★7 ATK2600

 

【雷魔神-サンガ】

効果モンスター

星7/光属性/雷族/攻2600/守2200

このカードが相手のターンで攻撃された場合、そのダメージ計算時に発動する事ができる。その攻撃モンスター1体の攻撃力を0にする。

この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 

「バトルだ!【雷魔神-サンガ】で伏せモンスターに攻撃!雷衝弾!」

 

雷魔神-サンガ ★7 ATK2600

vs

裏側守備表示モンスター → サイバー・ラーバァ ★1 DEF300 ※戦闘破壊

 

【サイバー・ラーバァ】

効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻 400/守 600

(1):このカードが攻撃対象に選択された場合に発動する。このターン、自分が受ける全ての戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「サイバー・ラーバァ」1体を特殊召喚する。

 

「【サイバー・ラーバァ】の効果発動!デッキから新たな【サイバー・ラーバァ】を特殊召喚する!」

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

 

「むぅ、小癪な真似を!ならば【水魔神-スーガ】で【サイバー・ヴァリー】に攻撃!流水波!」

 

水魔神-スーガ ★7 ATK2500

vs

サイバー・ヴァリー ★1 DEF0

 

「【サイバー・ヴァリー】を除外して効果発動!デッキから1ドローし、その後バトルフェイズを終了する!」

亮 手札:3→4枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

 

「ではメインフェイズ2に移行だな。私はカードを1枚セットしてターンエンド!」

迷 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆丸藤亮&天上院吹雪 LP:8000、伏せカード:1枚。

亮 手札:4枚。

吹雪 手札:5枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

 

vs

 

◆迷宮兄弟 LP:8000、伏せカード:1枚。

迷 手札:1枚。

宮 手札:5枚。

 

<迷宮兄弟のフィールド>

水魔神-スーガ ★7 ATK2500

雷魔神-サンガ ★7 ATK2600

 

 

「ボクのターンだね!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行する!」

吹雪 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【ジャック・イン・ザ・ハンド】を発動!さぁ、この三枚から一枚だけカードを選んでください!」

吹雪 手札:6→5枚。

 

【ジャック・イン・ザ・ハンド】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからカード名が異なるレベル1モンスター3体を相手に見せ、相手はその中から1体を選んで自身の手札に加える。自分は残りのカードの中から1体を選んで手札に加え、残りをデッキに戻す。

 

<吹雪が選んだカード>

①竜輝巧-バンα

②竜輝巧-アルζ

③竜輝巧-エルγ

 

「ふむ…。ならばこの【竜輝巧-バンα】を選ぼう」

迷 手札:1→2枚。

 

「ではボクは…この【竜輝巧-アルζ】を選び、残りの1枚はデッキに戻す!」

吹雪 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキから【竜輝巧-バンα】を墓地に送る!」

吹雪 手札:6→5枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「次にボクは手札から魔法カード【極超の竜輝巧】を発動!デッキから【竜輝巧-ルタδ】を特殊召喚するよ!」

吹雪 手札:5→4枚。

 

【極超の竜輝巧】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

(1):デッキから「ドライトロン」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

竜輝巧-ルタδ ★1 ATK2000

 

【竜輝巧-ルタδ】

特殊召喚・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できず、「ドライトロン」カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、このカード以外の「ドライトロン」モンスターまたは儀式モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札・墓地から守備表示で特殊召喚する。

その後、手札の儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を相手に見せて自分はデッキから1枚ドローできる。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

 

「墓地の【竜輝巧-バンα】の効果発動!フィールドの【竜輝巧-ルタδ】をリリースしてこのカードを特殊召喚するよ!」

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

竜輝巧-バンα ★1 DEF0

 

【竜輝巧-バンα】

特殊召喚・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できず、「ドライトロン」カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、このカード以外の「ドライトロン」モンスターまたは儀式モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札・墓地から守備表示で特殊召喚する。

その後、デッキから儀式モンスター1体を手札に加える事ができる。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

 

「特殊召喚成功時、【竜輝巧-バンα】の効果発動!デッキから【竜儀巧-メテオニス=DRA】を手札に加える!」

吹雪 手札:4→5枚。

 

「そして手札より【竜儀巧-メテオニス=DRA】をリリースして手札の【竜輝巧-アルζ】を特殊召喚する!」

吹雪 手札:5→4→3枚。

 

【竜輝巧-アルζ】

特殊召喚・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できず、「ドライトロン」カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、このカード以外の「ドライトロン」モンスターまたは儀式モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札・墓地から守備表示で特殊召喚する。

その後、デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える事ができる。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・ラーバァ ★1 DEF300

竜輝巧-バンα ★1 DEF0

竜輝巧-アルζ ★1 DEF0

 

「特殊召喚成功時、【竜輝巧-アルζ】の効果発動!デッキから【流星輝巧群】を手札に加える!」

吹雪 手札:3→4枚。

 

「ボクはレべル1【サイバー・ラーバァ】と【竜輝巧-バンα】でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来てくれ、ランク1!【竜輝巧-ファフμβ’】!」

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-アルζ ★1 DEF0

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:2

 

【竜輝巧-ファフμβ’】

エクシーズ・効果モンスター

ランク1/光属性/機械族/攻2000/守 0

レベル1モンスター×2体以上

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがX召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ドライトロン」カード1枚を墓地へ送る。

(2):儀式召喚を行う場合、そのリリースするモンスターを、このカードのX素材から取り除く事もできる。

(3):自分フィールドに機械族の儀式モンスターが存在し、相手が魔法・罠カードを発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「【竜輝巧-ファフμβ’】のエクシーズ召喚成功時に効果発動!デッキから【竜輝巧-エルγ】を墓地に送る!」

 

「墓地の【竜輝巧-エルγ】の効果発動!フィールドの【竜輝巧-アルζ】をリリースしてこのカードを特殊召喚するよ!」

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:2

竜輝巧-エルγ ★1 DEF0

 

【竜輝巧-エルγ】

特殊召喚・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できず、「ドライトロン」カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、このカード以外の「ドライトロン」モンスターまたは儀式モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札・墓地から守備表示で特殊召喚する。

その後、自分の墓地から「竜輝巧-エルγ」以外の攻撃力2000の「ドライトロン」モンスター1体を選んで特殊召喚できる。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

 

「特殊召喚成功時、【竜輝巧-エルγ】の効果発動!墓地から【竜輝巧-ルタδ】を特殊召喚する!」

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:2

竜輝巧-エルγ ★1 DEF0

竜輝巧-ルタδ ★1 DEF0

 

【竜輝巧-ルタδ】

特殊召喚・効果モンスター

星1/光属性/機械族/攻2000/守 0

このカードは通常召喚できず、「ドライトロン」カードの効果でのみ特殊召喚できる。このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドから、このカード以外の「ドライトロン」モンスターまたは儀式モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを手札・墓地から守備表示で特殊召喚する。

その後、手札の儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を相手に見せて自分はデッキから1枚ドローできる。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できないモンスターしか特殊召喚できない。

 

 自身の効果で特殊召喚されたわけじゃないから【竜輝巧-ルタδ】の効果は発動しないか。

 

「さぁ行くよ!ボクは手札から儀式魔法【流星輝巧群】を発動!フィールドの【竜輝巧-エルγ】と【竜輝巧-ルタδ】をリリースし、墓地から【竜儀巧-メテオニス=DRA】を儀式召喚!」

吹雪 手札:4→3枚。

 

【流星輝巧群】

儀式魔法

儀式モンスターの降臨に必要。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):攻撃力の合計が儀式召喚するモンスターの攻撃力以上になるように、自分の手札・フィールドの機械族モンスターをリリースし、自分の手札・墓地から儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの「ドライトロン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を相手ターン終了時まで1000ダウンし、このカードを手札に加える。

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:2

竜儀巧-メテオニス=DRA ★12 ATK4000

 

【竜儀巧-メテオニス=DRA】

儀式・効果モンスター

星12/光属性/機械族/攻4000/守4000

「流星輝巧群」により降臨。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードは相手モンスターの効果の対象にならない。

(2):このカードの儀式召喚に使用したモンスターのレベルの合計が2以下の場合、このカードは特殊召喚された相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(3):相手ターンに、攻撃力の合計が2000または4000になるように自分の墓地からモンスターを除外し、その合計2000につき1枚、相手フィールドの表側表示のカードを対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

 

「墓地のモンスターを儀式召喚だと!?」

「レベル12の儀式モンスター!?攻撃力…4000!?」

 

 出たよ。ドライトロンの超大型儀式モンスター。アイツって出しやすさの割には倒しづらいんだよな。

 

 メテオニスは相手モンスターの効果の対象にならず、儀式召喚に使用したモンスターのレベルが2以下なので特殊召喚された相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

 そして迷宮兄弟のフィールドに存在するサンガとスーガは特殊召喚したモンスターだ。

 

「バトルだ!【竜儀巧-メテオニス=DRA】で【水魔神-スーガ】に攻撃!」

 

「ふふふっ、【水魔神-スーガ】の特殊能力を知らぬわけでもあるまい!防御反射!流昇の水壁!」

「これで奴のモンスターの攻撃力は0!返り討ちに…いや、兄者!あのモンスターは…!」

 

「残念だけど、その効果はこのモンスターには通じないよ!」

「何っ!?」

 

 メテオニスは相手モンスターの効果の対象にならず、儀式召喚に使用したモンスターのレベルが2以下なので特殊召喚された相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

 墓地からの儀式召喚や儀式モンスターのレベルや攻撃力に気を取られ過ぎていたわけではないだろうし、プロデュエリスト特有のファンサービス的なリアクション芸だろうな。

 

「ならばリバースカードオープン!罠カード【分断の壁】を発動する!これで攻撃力は逆転だ!」

迷宮兄弟 伏せカード:1→0枚

 

【分断の壁】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの全ての攻撃表示モンスターの攻撃力は、相手フィールドのモンスターの数×800ダウンする。

 

「そうはさせないよ!【竜輝巧-ファフμβ’】のORUを1つ取り除いて効果発動!【分断の壁】の発動を無効にして破壊する!」

竜輝巧-ファフμβ’ ORU:2→1

 

<吹雪が墓地に送ったORU>

サイバー・ラーバァ

 

チェーン②竜輝巧-ファフμβ’

チェーン①分断の壁 ※効果発動無効&破壊

 

竜儀巧-メテオニス=DRA ATK4000

vs

水魔神-スーガ ATK2500 ※戦闘破壊

 

「ぬおぉぉぉっ!」

迷宮兄弟 LP:8000→6500

 

<迷宮兄弟のフィールド>

雷魔神-サンガ ★7 ATK2600

 

 そして迷宮兄弟のフィールドに存在するサンガとスーガは共に特殊召喚したモンスターだ。メテオニスの攻撃は続く。

 

「続いて【竜儀巧-メテオニス=DRA】で【雷魔神-サンガ】に攻撃!」

「ぬぅ!奴が相手では【雷魔神-サンガ】の特殊能力、雷魔障も使えぬか!」

 

竜儀巧-メテオニス=DRA ATK4000

vs

雷魔神-サンガ ATK2600 ※戦闘破壊

 

「ぐおぉぉぉっ!」

迷宮兄弟 LP:6500→5100

 

<迷宮兄弟のフィールド>

モンスターなし

 

「最後に【竜輝巧-ファフμβ’】でダイレクトアタックだ!」

 

竜輝巧-ファフμβ’ ATK2000

 

「ぐおぉぉぉっ!」

迷宮兄弟 LP:5100→3100

 

「メインフェイズ2に移行、ボクは墓地の【流星輝巧群】の効果発動!【竜儀巧-メテオニス=DRA】の攻撃力を1000ポイント下げてこのカードを手札に加える!」

吹雪 手札:3→4枚。

竜儀巧-メテオニス=DRA ATK4000→3000

 

「そしてカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

吹雪 手札:4→2枚。

亮&吹雪 伏せカード:1→3枚

 

 

◆丸藤亮&天上院吹雪 LP:8000、伏せカード:3枚。

亮 手札:4枚。

吹雪 手札:2枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:1

竜儀巧-メテオニス=DRA ★12 ATK3000

 

vs

 

◆迷宮兄弟 LP:3100、伏せカード:0枚。

迷 手札:1枚。

宮 手札:5枚。

 

<迷宮兄弟のフィールド>

モンスター無し

 

 メテオニスには相手ターンに相手フィールドの表側表示のカードを墓地に送る効果も備わっている。ファフμβ’の妨害効果も厄介だろう。

 メテオニスとファフμβ’がフィールドに残っている限り、迷宮兄弟の勝利する可能性はほぼ無いと言っていいだろうな。

 

「私のターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行する!」

宮 手札:5→6枚。

 

「私はLPを半分支払い、手札から魔法カード【ダーク・エレメント】を発動する!デッキより出でよ!【闇の守護神-ダーク・ガーディアン】!」

宮 手札:6→5枚。

迷宮兄弟 LP:3100→1550

 

【ダーク・エレメント】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):自分の墓地に「ゲート・ガーディアン」が存在する場合、ライフを半分払って発動できる。デッキから「闇の守護神-ダーク・ガーディアン」1体を特殊召喚する。

このカードは自分がモンスターを召喚・特殊召喚していない時に発動でき、この効果以外でモンスターを召喚・特殊召喚する事はできない。

 

「【竜輝巧-ファフμβ’】のORUを1つ取り除いて効果発動!【ダーク・エレメント】の発動を無効にして破壊する!」

竜輝巧-ファフμβ’ ORU:1→0

 

<吹雪が墓地に送ったORU>

竜輝巧-バンα

 

チェーン②竜輝巧-ファフμβ’

チェーン①ダーク・エレメント ※効果発動無効&破壊

 

「むぅ…ならば私は手札から魔法カード【手札抹殺】を発動する!お互いに手札を全て捨て、捨てた枚数分だけドローする!」

宮 手札:5→4→0→4枚。

吹雪 手札:3→0→3枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

<宮が手札から墓地に送ったカード>

①風魔神-ヒューガ

②召喚僧サモンプリースト

③フォース

④闇の指名者

 

<吹雪が手札から墓地に送ったカード>

①流星輝巧群

②竜輝巧-ラスβ

③エフェクト・ヴェーラー

 

 あの手札なら仮に【ダーク・エレメント】の発動が通っていたとしても吹雪さんの負けは無かっただろうな。

 

「私は手札から魔法カード【ハンマーシュート】を発動!【竜儀巧-メテオニス=DRA】を破壊する!」

宮 手札:4→3枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

竜輝巧-ファフμβ’ ☆1 ATK2000 ORU:0

 

「参ったね。こうも簡単にメテオニスが突破されるなんて思わなかったよ」

 

「更に手札から魔法カード【オーバーロード・フュージョン】を発動!」

宮 手札:3→2枚。

 

【オーバーロード・フュージョン】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、機械族・闇属性の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「墓地の【キャノン・ソルジャー】と【沼地の魔神王】を除外する。融合召喚!進撃せよ!【迷宮の魔戦車】!」

 

<迷宮兄弟のフィールド>

迷宮の魔戦車 ★7 ATK2400

 

【迷宮の魔戦車】

融合モンスター

星7/闇属性/機械族/攻2400/守2400

「ギガテック・ウルフ」+「キャノン・ソルジャー」

 

「兄者、私はここで勝負を賭けるぞ」

「うむ。このまま行っても我らの負けは濃厚。弟よ、好きにやるが良い」

 

 なんだ?まだ何か仕掛けられるのか?

 

「私は手札から魔法カード【死者蘇生】を発動!ぬははは!墓地より蘇れ!【竜儀巧-メテオニス=DRA】!」

宮 手札:2→1枚。

 

【死者蘇生】

通常魔法

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「それは流石に通せないね!リバースカードオープン!2000LPを支払ってカウンター罠【神の警告】発動!【死者蘇生】の発動を無効にして破壊するよ!」

亮&吹雪 LP:8000→6000、伏せカード:3→2枚

 

【神の警告】

カウンター罠

(1):2000LPを払って以下の効果を発動できる。

●モンスターを特殊召喚する効果を含む、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

チェーン②神の警告

チェーン①死者蘇生

 

「そちらは囮だ!私は手札から魔法カード【闇ジェネレーター】を発動!【迷宮の魔戦車】の攻撃力を3倍にする!」

宮 手札:1→0枚。

 

【闇ジェネレーター】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):自分フィールド上に表側表示で存在する闇属性モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力は3倍になる。

 

<迷宮兄弟のフィールド>

迷宮の魔戦車 ★7 ATK2400→7200

 

「【闇ジェネレーター】だと!?」

「幻の究極のレア魔法カードじゃないか!」

 

 ゲゲッ!あれは確か、遊戯王DM最初期に海馬社長がサギーに使用したインチキカードじゃん!?

 亮さんや吹雪さんが驚くのも無理はない。青眼ほどではないにしてもかなり希少なカードだぞ!?なんでこいつらが持ってんの!?

 

「ふふふ、驚いたか。世界に数枚しか存在しないこのカードがここにあることに!」

「このカードは今から10年以上前にデュエリストキングダムへスポット参戦した際、その功績によりペガサス会長より直々に賜った物なのだ!」

 

 いやいや、人の滅多にやってこない洞窟の奥で待ち構えてた迷宮兄弟ってデュエリストキングダムでそんなに活躍してないだろ…。

 ペガサス会長、千年眼を失ってから気前良くなりすぎじゃない?別人に入れ替わってない?

 

 モブデュエリスト達からスターチップを奪いまくった上に孔雀舞まで撃破した実績のある闇のプレイヤーキラーとかの方が絶対に仕事してるって。

 いや、彼は闇遊戯に罰ゲームを食らって再起不能になってたな…。可哀そう。

 

「バトルだ!【迷宮の魔戦車】で【竜輝巧-ファフμβ’】に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!罠カード【ガード・ブロック】発動!戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする!」

亮&吹雪 伏せカード:2→1枚

吹雪 手札:3→4枚。

 

【ガード・ブロック】

通常罠

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

「だがそのカードでは戦闘破壊までは防げまい!進撃せよ【迷宮の魔戦車】!ラビリンス・ドリル!」

 

迷宮の魔戦車 ATK7200

vs

竜輝巧-ファフμβ’ ATK2000 ※戦闘破壊

 

<亮&吹雪のフィールド>

モンスター無し

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

 

◆丸藤亮&天上院吹雪 LP:6000、伏せカード:1枚。

亮 手札:4枚。

吹雪 手札:4枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆迷宮兄弟 LP:1550、伏せカード:0枚。

迷 手札:1枚。

宮 手札:0枚。

 

<迷宮兄弟のフィールド>

迷宮の魔戦車 ★7 ATK7200

 

 迷宮兄弟の手札は0枚、伏せカードもない。対して亮さんと吹雪さんは共に手札4枚を残して伏せカードも1枚残っている。

 ライフ差もかなりある上に次は亮さんのターンだから負けるとは思えないが、攻撃力7200はそこそこ厄介だよな。

 

「オレのターン!ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

亮 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から魔法カード【サイバー・リペア・プラント】を発動!デッキから【サイバー・エルタニン】を手札に加える!」

亮 手札:5→4→5枚。

 

【サイバー・リペア・プラント】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分の墓地に「サイバー・ドラゴン」が存在する場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。このカードの発動時に自分の墓地に「サイバー・ドラゴン」が3体以上存在する場合、両方を選択できる。

●デッキから機械族・光属性モンスター1体を手札に加える。

●自分の墓地の機械族・光属性モンスター1体を対象として発動できる。その機械族・光属性モンスターをデッキに戻す。

 

 あっ…。

 

「そしてオレは…自分の墓地から機械族・光属性モンスターを全て除外して手札から【サイバー・エルタニン】を特殊召喚する!」

亮 手札:5→4枚。

 

<亮&吹雪のフィールド>

サイバー・エルタニン ★10 ATK5500

 

【サイバー・エルタニン】

特殊召喚・効果モンスター

星10/光属性/機械族/攻 ?/守 ?

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、機械族・光属性モンスターを全て除外した場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードを特殊召喚するために除外したモンスターの数×500になる。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。このカード以外のフィールドの表側表示モンスターを全て墓地へ送る。

 

<亮が墓地から除外したモンスター>

①サイバー・ヴァリー

②サイバー・ラーバァ

③サイバー・ラーバァ

④サイバー・ドラゴン・ツヴァイ

⑤竜輝巧-バンα

⑥竜輝巧-ラスβ

⑦竜輝巧-エルγ

⑧竜輝巧-ルタδ

⑨竜輝巧-アルζ

⑩竜儀巧-メテオニス=DRA

⑪竜輝巧-ファフμβ’

 

「攻撃力5500!?」

「だが、まだ我らの【迷宮の魔戦車】の攻撃力が上だ!」

 

「【サイバー・エルタニン】の特殊召喚に成功時に効果発動!このカード以外のフィールドの表側表示モンスターを全て墓地へ送る!」

 

「「!?」」

 

「コンステレイション・シージュ!」

 

<迷宮兄弟のフィールド>

モンスター無し

 

「このままバトルフェイズに入る!【サイバー・エルタニン】でダイレクトアタック!ドラコニス・アセンション!!」

 

サイバー・エルタニン ATK5500

 

「「フガァァァァッ!」」

迷宮兄弟 LP:1550→0

 

 

「「対戦ありがとうございました」」

 

 流石にあの二人は他の生徒と比べても頭一つ抜けた強さだ。順当に行けばコナミや十代たちと戦うことになるだろうな。

 

「く…我らの負け…」

「迷宮の中で光を勝ち取ったか…」

 

 迷宮兄弟もあの二人相手に20年以上強化されない三魔神デッキでよく頑張った方だと思うよ。

 

~~~

 

 Bブロック第三回戦は四人全員オベリスクブルーの男子だった。

 確か地原と温田の属性六人衆と自称アルティメットブラザーズの清水兄弟のデュエルだったはずだが、第二試合のインパクトが強すぎたせいで内容はあまり覚えていない。

 

 清水兄が【マシンナーズ・フォース】を正規の手段で召喚したことだけは驚いたな。

 

 Bブロック第四回戦は万丈目と翔のネームドタッグと俺が以前デュエルした高橋&吉光のタッグだった。

 万丈目が居る時点で勝敗は見えていたのでボケーっと試合を見ていただけだったが、翔がなかなか面白いカードを使ったのが印象的だったな。

 

「ボクは永続魔法【変身】の効果発動!君の【エーリアン・ヒュプノ】を破壊するよ!食らえ、バーストビーム!」

 

【変身】※漫画版GXオリジナルカード

永続魔法

相手モンスターが直接攻撃を宣言した時に発動する事ができる。そのモンスター1体を破壊する。

このカードが墓地に送られた時、このカードのコントローラーはこの効果で破壊されたモンスターの攻撃力の合計分ダメージを受ける。

 

 【変身】は漫画版GXにて翔が子供の頃に初めて亮からもらった思い出のカードであり、墓地に送られてしまうとその効果で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてしまう諸刃のカードだが、アドバンス召喚した【アーマロイドガイデンゴー】の効果で除外することでそのデメリットを回避する戦術はなかなか見応えがあった。

 その戦術以上に注目を集めたのは、【変身】発動後の翔の姿だろう。まるでDM時代のヴァロンやカイバーマンのような全身鎧を付けたままデュエルを行っていたので観客の反応は様々だった。十代やコナミにはメチャクチャ受けが良かったな。

 

 そんなこんなでBブロックの試合も全て終わり、残ったのは沢中&木葉の教師タッグ、亮さんと吹雪さんのブルー三年生タッグ、清水兄弟のタッグ、そして万丈目と翔のタッグだ。

 

「亮さんは殆ど動きを見せてこなかったな。デッキ構成に関する情報アドバンテージを他デュエリストに与えないように警戒しているのかな?」

 

 思っていたより教師陣が強かったこと以外は大体順当な結果だ。だが、敗れた生徒たちも入学当初から比べると順調に強くなっていると思う。

 この調子なら3学期に行われる学園対抗デュエルも何とかなりそうな気がしてきたぞ。

 

 それはともかく、次のCブロックの試合に意識を戻すとしよう。次はどんなデュエルが見られるかな?




丸藤亮のデッキは以前と同じく【表サイバー】、迷宮兄弟のデッキは【三魔神】となっています。

天上院吹雪のデッキは【ドライトロン】デッキです。モンスターは全て光属性・機械族という【表サイバー】と近い構成ですが、レベルではなく攻撃力を参照する特殊な儀式魔法を用いた儀式デッキです。OCGでは以前登場した【ベアルクティ】に関連するカードが有ったり、【崇光なる宣告者】を搭載したアルデク型、【神光の宣告者】を搭載したパーデク型などが注目を集めていました。【メガリス】と組み合わせたり【魔鍵】と組み合わせたりすることもあります。

次回の更新は12月中旬予定です。

戦車様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百四十九話 タッグフォース3

前回のあらすじ:タッグフォースBブロック

今回は三沢大地と藤原優介のデュエルをピックアップしています。


 タッグデュエル大会タッグフォース、Cブロックの第一試合は三沢と藤原先輩のタッグのデュエルだ。

 

「相手はオベリスクブルー女子の中でも上位のデュエリスト、油断できませんね」

「そうだね。だけど、普段のボクたちの実力を発揮できさえすれば十分に勝機はあるよ」

 

「よおし!ちょうどデュエルな気分だし!マジ勝ちにいくし!やるわよ周子!」

「はぁい。デュエルやりま~す」

 

 彼らの相手はタッグフォースシリーズ皆勤賞にしてGXタッグフォースシリーズでは最強の一角である石原姉妹、注目の対戦カードだ。

 この世界の石原姉妹は見た目も性格もデッキ性能もタッグフォース3ではなく、タッグフォース6仕様になっている。シンプルに強いタイプだ。

 

 姉の法子はギャル系…と言えばいいのか、明るく砕けた話し方をする金髪ショートカットの女学生だ。まともそうでぶっ飛んだ妹と比べるとなんだかんだで結構まともな性格をしていると思う。

 彼女のこの世界での使用デッキは【帝コントロール】。帝の名を冠する上級モンスターをアドバンス召喚し、その効果で相手のボードアドバンテージを奪っていくビートダウンデッキだ。この世界では希少カードの最上級の帝モンスターは多分いない…はずだ。

 ちなみにアニメGXにもこれに近しいデッキが登場しており、2年生の翔と1年生の剣山のタッグデュエルの相手をした氷丸と雷丸と言うキャラクターが帝モンスターを使用していた。

 

 妹の周子は緩い話し方をするのんびりした性格の一見真面そうに見える茶髪ボブカットの女学生だ。だがその中身はタッグフォース6では年下と思われる彼氏のコナミに対してお兄ちゃん呼びし始めるやべー奴である。

 彼女のこの世界での使用デッキは【お触れホルス】。【ホルスの黒炎竜】と【王宮のお触れ】のカードを用いて相手の魔法・罠を封殺して来るデッキを使用している。この世界のレダメは超が付く希少カードなので入っていないと思われる。

 こちらのデッキもアニメGXに登場しており、3年生の十代とデュエルした空野と言うキャラクターが使用していたデッキでもある。

 

 先ほどの氷丸と雷丸たちや空野がタッグフォース未参戦だったのは、既にタッグフォース1時代から同デッキ使いだった彼女たち姉妹が居たからなのかも知れないな。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆三沢大地&藤原優介 LP:8000

三沢 手札:5枚

藤原 手札:5枚

 

vs

 

◆石原姉妹 LP:8000

法子 手札:5枚

周子 手札:5枚

 

 

「先攻はこちらが貰っていいんですか~?じゃあ、私のターンで~す。ドロ~。スタンバイ、メインフェイズに移行です」

周子 手札:5→6枚

 

「私は手札から~【ホルスの黒炎竜 LV4】を召喚で~す」

周子 手札:6→5枚

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV4 ★4 ATK1600

 

【ホルスの黒炎竜 LV4】

効果モンスター

星4/炎属性/ドラゴン族/攻1600/守1000

このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、コントロールを変更する事はできない。

このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で 「ホルスの黒炎竜 LV6」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

 

「次に手札から~魔法カード【レベルアップ!】を発動で~す。LV4を墓地に送ってデッキからLV6を特殊召喚で~す」

周子 手札:5→4枚

 

【レベルアップ!】

通常魔法

フィールド上に表側表示で存在する「LV」を持つモンスター1体を墓地へ送り発動する。

そのカードに記されているモンスターを、召喚条件を無視して手札またはデッキから特殊召喚する。

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV6 ★6 ATK2300

 

【ホルスの黒炎竜 LV6】

効果モンスター

星6/炎属性/ドラゴン族/攻2300/守1600

このカードは自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法の効果を受けない。

このカードがモンスターを戦闘によって破壊したターンのエンドフェイズ時、このカードを墓地に送る事で「ホルスの黒炎竜 LV8」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。

 

「最後にカードを2枚セットしてターンエンドで~す」

周子 手札:4→2枚

石原姉妹 伏せカード:0→2枚。

 

 

◆三沢大地&藤原優介 LP:8000

三沢 手札:5枚

藤原 手札:5枚

 

vs

 

◆石原姉妹 LP:8000、伏せカード:2枚。

法子 手札:5枚

周子 手札:2枚

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV6 ★6 ATK2300

 

 

「オレのターンだ!ドローフェイズ、ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行!」

三沢 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【煌めく聖夜】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「オレは手札から【ホーリーナイツ・レイエル】を召喚!そして効果発動!デッキから【聖なる篝火】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・レイエル ★4 ATK1800

 

【ホーリーナイツ・レイエル】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1800/守 700

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ホーリーナイツ」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(2):墓地のこのカードを除外し、「ホーリーナイツ・レイエル」以外の自分の墓地の「ホーリーナイツ」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「そしてオレは手札から魔法カード【聖なる篝火】を発動!デッキから【聖夜に煌めく竜】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚

 

【聖なる篝火】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「ホーリーナイツ」モンスターまたはドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を手札に加える。

相手フィールドに闇属性モンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、さらに手札からドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を特殊召喚できる。

 

「次にオレは手札からフィールド魔法【煌めく聖夜】を発動する!このカードにより、オレは通常召喚に加えて1度だけ、「ホーリーナイツ」モンスターを召喚できる!」

三沢 手札:6→5枚。

三沢&藤原 フィールド魔法:0→1枚。

 

【煌めく聖夜】

フィールド魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「ホーリーナイツ」モンスターまたはドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を召喚できる。

(2):自分ターンに、自分フィールドの表側表示のドラゴン族・光属性・レベル7モンスターが手札に戻った場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「更に手札から永続魔法【聖なる降誕】を発動!そして効果発動!手札から【ホーリーナイツ・オルビタエル】をデッキに戻し、デッキから【古聖戴サウラヴィス】を手札に加える!」

三沢 手札:5→4→3→4枚

三沢&藤原 永続魔法:0→1枚。

 

【聖なる降誕】

永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。手札の天使族・光属性モンスター1体を相手に見せ、デッキからドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を手札に加える。その後、見せたモンスターをデッキの一番下に戻す。

(2):相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した場合に発動できる。手札からドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を特殊召喚する。

 

「ここでオレは手札から【ホーリーナイツ・アステル】を召喚する!」

三沢 手札:4→3枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・レイエル ★4 ATK1800

ホーリーナイツ・アステル ★4 ATK500

 

【ホーリーナイツ・アステル】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻 500/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの光属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをリリースし、手札からドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は相手ターン終了時まで1000アップする。

 

「オレは【ホーリーナイツ・アステル】の効果発動!【ホーリーナイツ・レイエル】をリリース!手札から出でよ【聖夜に煌めく竜】!」

三沢 手札:3→2枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・アステル ★4 ATK500

聖夜に煌めく竜 ★7 ATK2500

 

【聖夜に煌めく竜】

効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2300

(1):このカードが手札からの召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):フィールドのこのカードは、闇属性モンスターとの戦闘では破壊されず、闇属性モンスターの効果では破壊されない。

(3):1ターンに1度、このカードが相手モンスターに攻撃するダメージステップ開始時に発動できる。その相手モンスターをエンドフェイズまで除外する。この効果を発動した場合、このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。

 

「特殊召喚に成功した【聖夜に煌めく竜】の効果発動!そちらの伏せカード1枚を破壊させて貰おう!」

 

「それなら~、チェーンしてリバースカードオープンで~す。【聖夜に煌めく竜】を対象に速攻魔法【月の書】を発動しま~す」

石原姉妹 伏せカード:2→1枚。

 

【月の書】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

 

「そうはさせない!手札から【古聖戴サウラヴィス】を墓地に送って効果発動!【月の書】の発動を無効にする!」

三沢 手札:2→1枚

 

「あらら~」

 

【古聖戴サウラヴィス】

儀式・効果モンスター

星7/光属性/ドラゴン族/攻2600/守2800

「精霊の祝福」により降臨。

(1):自分フィールドのモンスターを対象とする魔法・罠・モンスターの効果を相手が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その発動を無効にする。

(2):相手がモンスターを特殊召喚する際に、フィールドのこのカードを持ち主の手札に戻して発動できる。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを除外する。

 

チェーン③古聖戴サウラヴィス

チェーン②月の書 ※発動無効

チェーン①聖夜に煌めく竜

 

「【王宮のお触れ】ではなかったか…ならこのままバトルフェイズに入る!」

 

 あの伏せカードを【王宮のお触れ】と踏んで強気に攻める気だな。

 

「【聖夜に煌めく竜】で【ホルスの黒炎竜 LV6】に攻撃!そしてダメステ時に【聖夜に煌めく竜】の効果で【ホルスの黒炎竜 LV6】をエンドフェイズまで除外する!」

 

「えぇ~」

 

<石原姉妹のフィールド>

モンスター無し

 

「行け!【聖夜に煌めく竜】!ダイレクトアタックだ!」

 

聖夜に煌めく竜 ATK2500

 

「キャァ~」

石原姉妹 LP:8000→5500

 

「追撃を行う!【ホーリーナイツ・アステル】でダイレクトアタック!」

 

ホーリーナイツ・アステル ATK500

 

「あぅっ」

石原姉妹 LP:5500→5000

 

「メインフェイズ2に移行する!フィールドの【聖夜に煌めく竜】を手札に戻して手札の【ホーリーナイツ・シエル】の効果発動!このカードを特殊召喚する!」

三沢 手札:1→2→1枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・アステル ★4 ATK500

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

 

【ホーリーナイツ・シエル】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1700/守 800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札に存在する場合、「ホーリーナイツ・シエル」以外の自分フィールドの、「ホーリーナイツ」モンスターまたはドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。手札からドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を特殊召喚する。

 

「そして【聖夜に煌めく竜】が手札に戻ったことで【煌めく聖夜】の効果が発動!デッキから1ドローする!」

三沢 手札:1→2枚

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

三沢 手札:2→1枚

三沢&藤原 伏せカード:0→1枚。

 

「そしてエンドフェイズに【ホルスの黒炎竜 LV6】はそちらのフィールドに戻る」

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV6 ★6 ATK2300

 

「あっ、ホルスちゃんお帰り~。それはそれとして~リバースカードオープンで~す。永続罠【王宮のお触れ】発動で~す」

石原姉妹 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【王宮のお触れ】

永続罠

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、このカード以外のフィールドの全ての罠カードの効果は無効化される。

 

「やはり【王宮のお触れ】が伏せてあったか…」

 

 

◆三沢大地&藤原優介 LP:8000、フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。伏せカード:1枚。

三沢 手札:1枚

藤原 手札:5枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・アステル ★4 ATK500

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

 

vs

 

◆石原姉妹 LP:5000、永続罠:1枚。伏せカード:0枚。

法子 手札:5枚

周子 手札:2枚

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV6 ★6 ATK2300

 

 

 三沢の最後の手札は【聖夜に煌めく竜】で確定だな。フィールドには【ホーリーナイツ・アステル】が居るから相手ターンに特殊召喚することも可能な状態だ。

 三沢が【天翔ける騎士】を所持していればさっきのターンにもう一度【聖夜に煌めく竜】を手札から呼び出して破壊効果を使えたんだろうが…いや、ここまで【ホーリーナイツ】カードを集められているだけでも凄いことだよな。

 

 

「じゃ、私のターン。ドロー。スタンバイ、メインフェイズに移行~」

法子 手札:5→6枚

 

「私は手札から【風帝ライザー】を公開して魔法カード【帝王の深怨】を発動~。デッキから【帝王の烈旋】を手札に加えちゃうよ」

法子 手札:6→5枚

 

【帝王の深怨】

通常魔法

「帝王の深怨」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札の攻撃力2400/守備力1000のモンスター1体または攻撃力2800/守備力1000のモンスター1体を相手に見せて発動できる。

デッキから「帝王の深怨」以外の「帝王」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

「チェーンして【ホーリーナイツ・アステル】の効果発動!自身をリリースして手札から【聖夜に煌めく竜】を特殊召喚する!」

三沢 手札:1→0枚

 

チェーン②ホーリーナイツ・アステル

チェーン①帝王の深怨

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

聖夜に煌めく竜 ★7 ATK2500

 

法子 手札:5→6枚

 

「特殊召喚に成功した【聖夜に煌めく竜】の効果発動!【王宮のお触れ】を破壊する!」

 

「うわっ、マジ~?」

「私のお触れちゃんが~」

石原姉妹 伏せカード:1→0枚。

 

「良し!【王宮のお触れ】を破壊した!ナイスだよ三沢君!」

「あのカードを藤原先輩のターンまで残しておくわけには行きませんからね」

 

 【風帝ライザー】を手札に持っている上で【帝王の烈旋】なんて危ないカードを手札に加えられちゃったけど【王宮のお触れ】は消せたことで罠カードの発動が出来るようになったな。

 【ホーリーナイツ】は強力な魔法・罠カードがあるから三沢としては早めに破壊しておきたかったんだろう。

 

「私は手札から速攻魔法【帝王の烈旋】を発動~」

法子 手札:6→5枚

 

【帝王の烈旋】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(1):このターン、自分がモンスターをアドバンス召喚する場合に1度だけ、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドのモンスター1体をリリースできる。

 

「やらせないさ!リバースカードオープン!フィールドの【聖夜に煌めく竜】を手札に戻して罠カード【聖なる煌炎】発動!【帝王の烈旋】の効果を無効にして破壊する!」

三沢 手札:0→1枚

三沢&藤原 伏せカード:1→0枚。

 

【聖なる煌炎】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):相手が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、自分フィールドのドラゴン族・光属性・レベル7モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。その効果を無効にし破壊する。

 

チェーン②聖なる煌炎

チェーン①帝王の烈旋 ※効果無効&破壊

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

 

「あちゃ~」

 

 【聖夜に煌めく竜】が手札に戻ったが、【煌めく聖夜】のドロー効果を発動できるのは自分のターンだけだ。相手ターンも使えればかなり強かったんだけど残念だよな。

 

「どうしよっかな~。まずは…私は手札から永続魔法【帝王の開岩】を発動~」

法子 手札:5→4枚。

石原姉妹 永続魔法:0→1枚。

 

【帝王の開岩】

永続魔法

「帝王の開岩」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない。

(2):自分が表側表示でモンスターのアドバンス召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●そのモンスターとカード名が異なる攻撃力2400/守備力1000のモンスター1体をデッキから手札に加える。

●そのモンスターとカード名が異なる攻撃力2800/守備力1000のモンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「この瞬間、永続魔法【聖なる降誕】の効果を発動できる!手札から【聖夜に煌めく竜】を特殊召喚する!」

 

「えぇ~、また~?」

 

チェーン②聖なる降誕

チェーン①進撃の帝王

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

聖夜に煌めく竜 ★7 ATK2500

 

三沢 手札:1→0枚

法子 永続魔法:0→1枚。

 

「そして特殊召喚に成功した【聖夜に煌めく竜】の効果発動!どちらにすべきか…ここは【ホルスの黒炎竜 LV6】を破壊する!」

 

<石原姉妹のフィールド>

モンスター無し

 

「うげぇ~。その効果ってターン1制限とかないの~?」

「私のホルスちゃんも破壊されちゃった~」

 

 だけど、流石にこれでこのターン中に【聖夜に煌めく竜】を手札に戻す手段も手札から特殊召喚する手段も無いだろうな。

 

「それから私は手札から速攻魔法【緊急テレポート】を発動~。デッキから【クレボンス】を特殊召喚しちゃうよ」

法子 手札:4→3枚

 

【緊急テレポート】

速攻魔法

(1):手札・デッキからレベル3以下のサイキック族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターンのエンドフェイズに除外される。

 

<石原姉妹のフィールド>

クレボンス ★2 DEF400

 

【クレボンス】

チューナー(効果モンスター)

星2/闇属性/サイキック族/攻1200/守 400

このカードが攻撃対象に選択された時、800ライフポイントを払って発動できる。その攻撃を無効にする。

 

「よーし。私は【クレボンス】をリリースして、手札から【風帝ライザー】をアドバンス召喚しちゃうよ」

法子 手札:3→2枚

 

<石原姉妹のフィールド>

風帝ライザー ★6 ATK2400

 

【風帝ライザー】

効果モンスター

星6/風属性/鳥獣族/攻2400/守1000

(1):このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動する。そのカードを持ち主のデッキの一番上に戻す。

 

「【風帝ライザー】の効果発動~。【聖夜に煌めく竜】はデッキトップへどうぞ~」

 

「更に【帝王の開岩】の効果発動~。デッキから【氷帝メビウス】を手札に加えちゃうよ~」

 

法子 手札:3→4枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

ホーリーナイツ・シエル ★4 DEF800

 

「くっ、だがこれくらいは必要経費さ」

 

「これでもかな~?私は800LPを払って手札から装備魔法【早すぎた埋葬】を発動~。【ホルスの黒炎竜 LV6】を特殊召喚しちゃうよ」

法子 手札:4→3枚。

石原姉妹 LP:5000→4200、装備魔法:0→1枚。

 

【早すぎた埋葬】

装備魔法

(1):800LPを払い、自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚し、このカードを装備する。このカードが破壊された時にそのモンスターは破壊される。

 

「何っ!?」

「これは不味そうだね…」

 

<石原姉妹のフィールド>

風帝ライザー ★6 ATK2400

ホルスの黒炎竜 LV6 ★6 ATK2300

 

 そう言えば、この世界ではまだ【早すぎた埋葬】は制限止まりだったな。

 さて、三沢の手札は0枚。フィールド・墓地に効果を発動できるカードは無いはず。このターンの攻撃は防げないだろう。

 

「これでオールオッケー。バトルフェイズに入るよ!【ホルスの黒炎竜 LV6】で【ホーリーナイツ・シエル】を攻撃~!」

 

ホルスの黒炎竜 LV6 ATK2300

vs

ホーリーナイツ・シエル DEF800 ※戦闘破壊

 

<三沢&藤原のフィールド>

モンスター無し

 

 【ホルスの黒炎竜】によるモンスターの戦闘破壊を許してしまったか~。

 

「続いて【風帝ライザー】でダイレクトアタックしちゃうよ~!」

 

風帝ライザー ATK2400

 

「ぐはっ!」

三沢&藤原 LP:8000→5600

 

「よっし!メインフェイズ2に移行に移行しちゃうよ。私はカードを1枚セットしてターンエンド」

法子 手札:3→2枚。

石原姉妹 伏せカード:0→1枚。

 

「ここで【ホルスの黒炎竜 LV6】の効果発動しちゃよ。このカードを墓地に送ってデッキから【ホルスの黒炎竜 LV8】を特殊召喚しちゃうよ!」

石原姉妹 装備魔法:1→0枚。

 

<石原姉妹のフィールド>

風帝ライザー ★6 ATK2400

ホルスの黒炎竜 LV8 ★8 ATK3000

 

【ホルスの黒炎竜 LV8】

効果モンスター

星8/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守1800

このカードは通常召喚できない。「ホルスの黒炎竜 LV6」の効果でのみ特殊召喚する事ができる。

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、魔法カードの発動を無効にし破壊する事ができる。

 

 出たな。シンプルに強い魔法カードメタモンスター。効果モンスターによる除去が増えてからは影が薄くなったけど、それでも出されると面倒なモンスターには違いない。

 

「イエーイ!」

「やったねお姉ちゃん!」

 

 石原姉妹はハイタッチをして喜びを表現している。

 

「やはり彼女のデッキにも投入していたか!」

「これでこちらの魔法カードの発動は封じられたも同然か…」

 

 対して三沢たちは渋い表情だ。これで三沢たちはかなり苦しい展開になってきたから当然ではあるか。

 

 

◆三沢大地&藤原優介 LP:5600、フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。伏せカード:0枚。

三沢 手札:0枚

藤原 手札:5枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆石原姉妹 LP:4200、永続魔法:1枚。永続罠:0枚。伏せカード:1枚。

法子 手札:2枚

周子 手札:2枚

 

<石原姉妹のフィールド>

風帝ライザー ★6 ATK2400

ホルスの黒炎竜 LV8 ★8 ATK3000

 

 

「すいません、藤原先輩。ホルスを残してしまいました」

「気にしないで。互いに助け合うのがタッグパートナーさ。大丈夫、ボクが何とかしてみせるよ」

 

 流石に三沢と言えど、【帝コントロール】と【お触れホルス】の2つを相手では手数が足りなかったか。

 【王宮のお触れ】を破壊したおかげで罠カードは使えるが、【ホルスの黒炎竜 LV8】のせいで魔法カードを封じられているのは痛いな。

 

 石原姉の手札には先ほどサーチした【氷帝メビウス】がある。そしてあの伏せカードは『帝王』魔法罠カードの可能性が高い。

 藤原先輩のデッキは多分【武神】だと思うけど…この状況を打破できるだろうか?

 

 

「ボクのターン!ドローフェイズ、ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行!」

藤原 手札:5→6枚

 

「ボクは手札から【召喚僧サモンプリースト】を召喚!召喚時の効果が発動して守備表示となる!」

藤原 手札:6→5枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 ATK800→DEF1600

 

【召喚僧サモンプリースト】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻 800/守1600

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない。

(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

「更に手札の【簡易融合】を捨てて【召喚僧サモンプリースト】の効果発動!デッキから【武神-トリフネ】を特殊召喚!」

藤原 手札:5→4枚

 

「チェーンしてリバースカードオープン!永続罠【連撃の帝王】を発動っちゃう!【風帝ライザー】をリリースして手札から【氷帝メビウス】をアドバンス召喚しちゃうよ!」

石原姉妹 伏せカード:1→0枚。永続罠:0→1枚。

 

【連撃の帝王】

永続罠

(1):1ターンに1度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにこの効果を発動できる。モンスター1体をアドバンス召喚する。

 

チェーン②連撃の帝王

チェーン①召喚僧サモンプリースト

 

法子 手札:2→1枚。

 

<石原姉妹のフィールド>

ホルスの黒炎竜 LV8 ★8 ATK3000

氷帝メビウス ★6 ATK2400

 

【氷帝メビウス】

効果モンスター

星6/水属性/水族/攻2400/守1000

(1):このカードがアドバンス召喚に成功した時、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

<三沢&藤原のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

武神-トリフネ ★4 DEF500

 

【武神-トリフネ】

効果モンスター

星4/光属性/獣戦士族/攻1500/守 500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースして発動できる。「武神-トリフネ」を除く、種族が異なる「武神」モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在し、自分が「武神」XモンスターのX召喚に成功した時に発動できる。このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘で破壊したモンスターは墓地へは行かず除外される。

 

「アドバンス召喚に成功した【氷帝メビウス】の効果発動!フィールド魔法【煌めく聖夜】と永続魔法【聖なる降誕】を破壊しちゃうよ!」

 

「更に永続魔法【帝王の開岩】の効果発動!デッキから【邪帝ガイウス】を手札に加えちゃうよ!」

 

チェーン②帝王の開岩

チェーン①氷帝メビウス

 

三沢&藤原 フィールド魔法:1→0枚、永続魔法:1→0枚。

法子 手札:2→3枚

石原姉妹 永続魔法:1→0枚。

 

「【武神-トリフネ】をリリースして効果発動!デッキから【武神器-ムラクモ】と【武神-マヒトツ】を特殊召喚する!」

藤原 手札:5→4枚

 

<三沢&藤原のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

武神器-ムラクモ ★4 DEF900

武神器-ヤサカニ ★4 DEF700

 

【武神器-ムラクモ】

効果モンスター

星4/光属性/獣族/攻1600/守 900

自分のメインフェイズ時、自分フィールド上に「武神」と名のついた獣戦士族モンスターが存在する場合、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

「武神器-ムラクモ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

【武神器-ヤサカニ】

効果モンスター

星4/光属性/鳥獣族/攻1800/守 700

自分のメインフェイズ2で、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。デッキから「武神」と名のついたモンスター1体を手札に加える。この効果を発動するターン、自分は「武神」と名のついたカード以外の魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない。

「武神器-ヤサカニ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「ボクはレベル4【武神器-ムラクモ】と【武神器-ヤサカニ】の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!出でよ、ランク4!【武神帝-スサノヲ】!」

 

<三沢&藤原のフィールド>

召喚僧サモンプリースト ★4 DEF1600

武神帝-スサノヲ ☆4 ATK2400 ORU:2

 

【武神帝-スサノヲ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/光属性/獣戦士族/攻2400/守1600

レベル4「武神」モンスター×2

(1):「武神帝-スサノヲ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(3):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「武神」モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

 

「良し!藤原先輩のエースモンスターが出たぞ!」

 

「【武神帝-スサノヲ】のエクシーズ召喚成功時、墓地の【武神-トリフネ】の効果発動!このカードを【武神帝-スサノヲ】の装備カードとする!」

三沢&藤原 装備カード:0→1枚。

 

「そしてボクは【武神帝-スサノヲ】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【武神器-ハバキリ】を手札に加える!」

藤原 手札:4→5枚

武神帝-スサノヲ ORU:2→1

 

<藤原がORUとして墓地に送ったモンスター>

①武神器-ムラクモ

 

「バトルだ!【武神帝-スサノヲ】で【ホルスの黒炎竜 LV8】に攻撃!」

 

「ダメージステップ時に手札から【オネスト】を墓地に送って効果発動!【ホルスの黒炎竜 LV8】の攻撃力分、【武神帝-スサノヲ】の攻撃力がアップする!」

藤原 手札:5→4枚

 

【オネスト】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1100/守1900

(1):自分メインフェイズに発動できる。フィールドの表側表示のこのカードを持ち主の手札に戻す。

(2):自分の光属性モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。

 

武神帝-スサノヲ ATK2400→5400

vs

ホルスの黒炎竜 LV8 ATK3000 ※戦闘破壊

 

<石原姉妹のフィールド>

氷帝メビウス ★6 ATK2400

 

「うぐっ!」

石原姉妹 LP:4200→1800

 

「ここで【武神帝-スサノヲ】に装備された【武神-トリフネ】の効果発動!戦闘破壊した【ホルスの黒炎竜 LV8】を除外する!」

 

 オネストまで手札に握っていたのか。フィールドに【武神帝-スサノヲ】、手札には【武神器-ハバキリ】があり、相手伏せカードは無し。

 このタイミングで使用できる手札誘発もなさそうだし、これは勝負あったかな。

 

「そして…【武神帝-スサノヲ】は相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる!」

 

「お、お姉ちゃ~ん」

「あ~、ゴメン周子。これ無理っぽい~」

 

「【武神帝-スサノヲ】で【氷帝メビウス】に攻撃!」

 

「ダメージ計算時に手札から【武神器-ハバキリ】を墓地に送って効果発動!【武神帝-スサノヲ】の攻撃力は倍になる!」

藤原 手札:5→4枚

 

武神帝-スサノヲ ATK2400→4800

vs

氷帝メビウス ATK2400 ※戦闘破壊

 

「キャァァァァッ!」

石原姉妹 LP:1800→0

 

 

「そんなぁ~負けちゃった~」

「いや~、完敗しちゃったな~」

 

「魔法カードを1枚も使わずに手札2枚からあれほどの展開、流石ですね藤原先輩」

「ははっ、ありがとう。でも、三沢君が事前に相手の盤面を崩していてくれたお陰だよ」

 

 石原姉が前のターンにサーチしたのが【邪帝ガイウス】のようなカードだったらあるいは…いや、藤原先輩にはまだ手札が多く残っていたし、墓地には効果を発動できる【ホーリーナイツ・アステル】などがまだ残っていた。結果は変わらなかったかな。

 

~~~

 

 Cブロック第二試合はオベリスクブルー女子の枕田ジュンコと浜口ももえのタッグ、そして同じくオベリスクブルー女子の海野幸子とオベリスクブルー男子の水城流次のタッグの試合だった。

 

 ジュンコとももえはデッキ相性はそれほど良くないものの長年に渡る友人関係であることもあり、息の合った戦い方を披露していた。

 だが、デッキ相性が抜群に良い海野幸子と水城流次のタッグには一歩及ばなかった。

 

◆枕田ジュンコ&浜口ももえ LP:650、フィールド魔法:1枚。永続魔法:1枚。伏せカード:0枚。

ジュンコ 手札:0枚

浜口ももえ 手札:1枚

 

<ジュンコ&ももえのフィールド>

ハーピィ・レディ・SB ★4 DEF1300

 

vs

 

◆海野幸子&水城流次 LP:6700、フィールド魔法:1枚、永続魔法:2枚。永続罠:1枚。伏せカード:1枚。

海野 手札:3枚

水城 手札:1枚

 

<海野&水城のフィールド>

超古深海王シーラカンス ★7 ATK2800

城塞クジラ ★7 ATK2350

白闘気双頭神龍 ★10 ATK3300

神龍トークン ★10 ATK3300

 

「ダメージステップ開始時、【潜海奇襲】の効果発動!【ハーピィ・レディ・SB】を破壊!【超古深海王シーラカンス】でダイレクトアタックしますわ!」

 

「キャァァァッ!」

ジュンコ&ももえ LP:2000→0

 

 

「はぁ。コナミがパートナーで無ければ調子が出ませんわね」

「ボク、殆ど何もしてない…」

 

「一回戦負け~!?悔しい~!」

「あらぁ…ガッカリですわ…」

 

 属性デッキ六人衆の彼も一応彼女のフォローくらいはしていたが、殆ど海野の独壇場だったな。彼女があそこまで強くなったのはほぼ確実に大体コナミの影響だろうなぁ。

 そのうち【大要塞クジラ】とか【海竜神-リバイアサン】とか出してきそうだな。あの辺りのカードプールまで来られるとかなり厄介なデュエリストになりそうだ。

 

~~~

 

 Cブロック第三回戦は俺が依然戦ったオベリスクブルーの男子の打田英人と高田純二朗のタッグ、そしてクロノス・デ・メディチと茂野間ネオの教師タッグだ。

 

 クロノス校長が居る時点で結果はお察しだったが、その相方の茂野間ネオも相当な伏兵だったのがこの試合で良く分かった。

 

 

◆打田英人と高田純二朗 LP:2000、フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

打田 手札:1枚

高田 手札:2枚

 

<打田&高田のフィールド>

神獣王バルバロス ★8 ATK1900

 

vs

 

◆教師タッグ LP:8000、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚。伏せカード:1枚。

クロノス 手札:3枚

茂野間 手札:2枚

 

<教師タッグのフィールド>

アーティファクト-デュランダル ☆5 ATK2400 ORU:1

古代の機械熱核竜 ★9 ATK3000

古代の機械超巨人 ★9 ATK3300

 

 

 打田の【スキルドレイン】によるパワーデッキもクロノス校長の【古代の機械】デッキの前には一歩及ばなかった。

 相棒の高田の【ジャンク天使】も茂野間の【アーティファクト】による妨害を受けてほぼ機能していない状態だ。

 

 アンティーク・ギアが苦手な相手ターンでの妨害をアーティファクトで担うと言う理想的な形が取られており、攻守隙の無いタッグだ。

 

「バトルなノーネ!【古代の機械熱核竜】で【神獣王バルバロス】を攻撃!」

 

古代の機械熱核竜 ATK3000

vs

神獣王バルバロス ATK1900 ※戦闘破壊

 

「ぐはっ!」

打田&高田 LP:2000→900

 

「ダメージステップ終了時に【古代の機械熱核竜】の効果発動!そちらの伏せカードを破壊する―ノ!」

 

「くそっ!【聖なるバリア -ミラーフォース-】が!」

打田&高田 伏せカード:1→0枚。

 

「「ガジェット」モンスターをリリースしてアドバンス召喚した【古代の機械熱核竜】は1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できるノーネ!ダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

打田&高田 LP:900→0

 

 

「直接指導する機会は減ってしまいましたが、まだまだ生徒たちに負けるわけには行かないノーネ!」

「だが、悪くないデュエルだったぜ!」

 

「ふむ、やはり彼らの実力の方が上という事か」

「完封されてしまった…だが、次はこう上手くはいかないぞ!」

 

 オベリスクブルー男子の上位勢はプライドの高くて偉そうな連中が多いが、それに見合う実力に加えて、何度負けても這い上がろうとする精神力がある奴らが多い。こいつらとか属性デッキ六人衆辺りがそうだな。

 我が強いと言うかハングリー精神が強いと言うか…その辺りがオベリスクブルー下位でくすぶっている口だけの連中や負け犬根性が染みついてしまったオシリスレッド下位の連中との違いだろうな。

 

~~~

 

 Cブロック第四回戦はオベリスクブルーの属性六人衆の二人である白石光一と黒川唯一のタッグ、そして外部参加者のボーイとオシリスレッドの須見英樹のタッグだ。

 

 相変わらずのギャンブルデッキであるボーイと【大革命】を狙うハイリスクハイリターンなデッキを扱う須見に対し、堅実に強めな属性六人衆たち。

 ギャンブルデッキはハマれば強いのだが、それだけでデュエルに全て勝利できるほど甘くはない。現実は非常なのだ。

 

 

◆白石光一&黒川唯一 LP:5500、フィールド魔法:1枚。伏せカード:1枚。

白石 手札:1枚

黒川 手札:1枚

 

<白石&黒川のフィールド>

魔導戦士 ブレイカー ★4 ATK1600

カオス・ソーサラー ★6 ATK2300

カオス・ゴッデス-混沌の女神- ★8 ATK2500

 

vs

 

◆ボーイ&須見英樹 LP:1000、永続魔法:1枚、永続罠:0枚、伏せカード:1枚。

ボーイ 手札:3枚

須見 手札:2枚

 

<ボーイ&須見のフィールド>

サンド・ギャンブラー ★3 ATK300

マキシマム・シックス ★6 ATK2900

 

 

「速攻魔法【サイクロン】発動!永続魔法【セカンド・チャンス】を破壊!そのままバトルだ!【魔導戦士 ブレイカー】で【サンド・ギャンブラー】に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【モンスターBOX】発動!」

 

【モンスターBOX】

永続罠

このカードのコントローラーは自分スタンバイフェイズ毎に500LPを払う。またはLPを払わずにこのカードを破壊する。

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動する。コイントスを1回行い、裏表を当てる。当たった場合、その攻撃モンスターの攻撃力は、このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、バトルフェイズ終了時まで0になる。

 

「【セカンド・チャンス】無しに当てられるかな?」

 

「舐めるな学生が!オレはプロだぞ!効果発動…「表」を選択してコイントス!…表だ!」

 

魔導戦士 ブレイカー ATK1600→0

vs

サンド・ギャンブラー ATK300

 

「ぐっ!…まだだ!【カオス・ソーサラー】で【サンド・ギャンブラー】に攻撃!」

白石&黒川 LP:5500→5200

 

「無駄だぜ!永続罠【モンスターBOX】効果発動!「表」を選択してコイントス!…表だ!」

 

カオス・ソーサラー ATK2300→0

vs

サンド・ギャンブラー ATK300

 

「がっ!…まだまだ!【カオス・ゴッデス-混沌の女神-】で【サンド・ギャンブラー】に攻撃!」

白石&黒川 LP:5200→4900

 

「しつこいぞ!永続罠【モンスターBOX】効果発動!「表」を選択してコイントス!…なっ、裏…だと!」

 

カオス・ゴッデス-混沌の女神- ATK2500

vs

サンド・ギャンブラー ATK300 ※戦闘破壊

 

「うわぁぁぁぁっ!」

ボーイ&須見 LP:1000→0

 

 

「ハハハ!勝ったぞ!どうだ私のこの輝き!」

「オレたちが勝ったのか…全然気づかなかった…今度はもっと存在感のあるデュエルにするさ…」

 

「ほんのちょっと…ツキに見放されたぜ!やはりあのスカーフが無いと…いや、次は無いと思いな!」

「やられた! 今回の勝ちはお前に譲るぜ」

 

 ボーイ(光雄君)は明日香のスカーフを返却した後もプロギャンブラーとしては優秀な実績を残しているらしいが、デュエルではそうもいかなかったようだ。相方はコイントスよりも遥かに成功しづらい【大革命】デッキ使いじゃなおさらだ。

 一方、属性デッキ六人衆のタッグはお互いのデッキが光属性と闇属性なのを考慮してカオスモンスターを投入したりシンクロモンスターを採用したりしていたりしている。三沢ほどではないが以前よりも順調に強くなっているだろう。

 

~~~

 

 Cブロックの試合も全て終わった。残ったのは三沢&藤原先輩のタッグ、海野&水城のタッグ、クロノス校長と茂野間ネオの教師タッグ、属性デッキ六人衆の白石&黒川のタッグだ。

 

「Cブロックは三沢たちが勝つか、クロノス校長たちか勝つか…これはちょっと予測できないな」

 

 現時点ではクロノス校長に比べて、三沢たちも十分見劣りしないデュエリスト達だ。どちらが勝っても不思議じゃない。

 なにより、このCブロックの勝者が俺達Dブロックの勝者とデュエルするわけだから出来るだけ情報を集めておきたいところだ。

 

「クロト」

「分かってるよ」

 

 レインの言葉を聞き、俺達は観客席から立ち上がって移動を始める。

 

 次はいよいよDブロックの試合、つまり俺達の試合が含まれているからだ。

 

 今から選手控室に移動しなければならないので同じDブロックのツァンたちの試合を直接見れないのが残念だな。

 でも、今は他人のことよりも自分のことをちゃんと考えよう。油断して足元を掬われて負けました、なんてことの無いように俺も気を引き締めていかないとな。




藤原のデッキは以前と同じく【武神】です。

石原姉妹のデッキはそれぞれゲームで使用していた【帝コントロール】と【お触れホルス】にいくつかカードを足したものとなっています。

三沢の私用したデッキは【ホーリーナイツ】です。タッグフォース以前の遊戯王ゲームの付録カードとして登場した【ホーリー・ナイト・ドラゴン】が発想元のカテゴリだろうと思われるデッキで、【ホーリー・ナイト・ドラゴン】のリメイクモンスターと思われる【聖夜に煌めく竜】や「レベル7・光属性・ドラゴン族」を酷使する戦術で戦うデッキとなっています。

次回の更新は12月下旬予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十話 タッグフォース4

前回のあらすじ:タッグフォースCブロック

タッグフォース4戦目、主人公たちのタッグとラーイエローの男子2人の対戦です。


アンケートに協力頂きましてありがとうございました。次回の更新についてはあとがきに記載させていただきました。

<お知らせ>
本話にていつくかデュエル展開ミスをご指摘頂いておりますが、現在まだ修正が出来ていません。申し訳ございません。いずれは本文を修正してご指摘いただいた感想にも返信させていただくつもりですのでそれまではお待ち頂けると幸いです。


<ツァン視点>

 

 ボクは自身の試合である第一試合を勝利で終えた後、友人にしてタッグパートナーの紫と一緒に観客席へ移動して残りの試合を観戦していた。

 

「やはり宇佐美さんたちは強敵ですね。あの属性デッキ六人衆の一人をあっさり倒してしまいました」

「宇佐美さんたちが次の相手か~。ボクたちも勝利に浮かれてばかりじゃいられないね」

 

 試合を見ながら紫と話をしている間にDブロック第第二試合と第三試合が終わり、第四試合の選手である白河たちの入場待ちとなった。

 

「ツァン、紬さん。隣いいかしら?」

「へっ?」

「天上院さんに、藤原さん?」

 

 その声に反応して視線を白河から声の方向へと移動させると、そこには明日香とそのタッグパートナーである藤原雪乃さんが立っていた。

 彼女たちとあまり交流の無い紫は面食らっているようだ。

 

「あっ、えっと…どうぞ」

 

 一年前のボクであればパニックを起こしてつい反射で攻撃的な言葉をぶつけてしまっていた事だろう。

 だが、いきなり声を掛けられてビックリしたものの何とか返事が出来た。自身の成長が少し嬉しかった。

 

 これも白河や紫のお陰かな?…調子に乗るだろうから白河には絶対お礼は言ってやらないけれど。

 

「ありがとう」

 

 アカデミアの女王と呼ばれる明日香とは以前に白河と一緒に話をしたのがきっかけで時々話をすることがあった。

 何故かさんづけすると嫌がるのでお互い呼び捨てにしている。最初の頃はかなり照れたが、今はもう慣れたので平気だ。

 

「ふふっ、ありがとう」

 

 アカデミアの女帝の異名を持つ雪乃とはあまり話したことがなかったのだが…同性には気さくな子の様で安心した。

 白河いわくデュエルアカデミアで怖い女生徒ベスト3の1人だそうだけど、そうは見えないなぁ。

 

 ボクもピンクの悪魔って異名で呼ばれている?気のせいだよ。

 

「ツァンってクロトとは中学時代からの付き合いなのよね?」

「あら、そうなの?クロ坊も隅に置けないわね?」

 

「そ、そう言うのじゃないから!中学からと言っても、中学三年生からだからね?」

「確か、アカデミア全国模試の実技試験の時に対戦相手として出会ったんでしたね」

 

 席に座った明日香たちからの問いに答えると、紫がさりげなく補足を入れてくれる。この子は本当にこういう気配りが上手だ。

 

 それにしても懐かしいな。あれからまだ一年半くらいしか経っていないのに随分と昔のことのように思える。

 もしあの時のアイツとの出会いが無ければ、ボクはまだ孤高の存在なんて言い訳をして他人との交流を避けてい居ただろう。

 

「クロ坊、ようやく来たわね」

「えぇ、そうみたいね」

 

 共通の話題として出しやすい白河の話をネタにして明日香たちと話をしていると、白河が会場へとやって来たようだ。

 

 白河は、ラーイエローの制服を着た黒い髪の中肉中背と言う、ぱっと見は何処にでもいそうな男子生徒だ。

 だけど、明日香さんのお兄さんやカイザー亮が居るからあまり話題にはならないが、黙っていれば割と整った顔をしていると思う。本人には絶対に言わないけど。

 

「あっ」

 

 あっ、目が合った。…何なのその穏やかな視線は?成長した子供を見る親のような笑みを浮かべるの止めてくれる?

 

「…」

 

 白河の隣には、今大会の彼のタッグパートナーであるレインさんの姿があった。その表情は心なしか白河の行動に呆れているようにも見える。

 

 レインさんは、上は肩まで下は太ももまで露出したオベリスクブルー女子の制服(露出多すぎない?)を着た銀髪ツインテールの美少女だ。

 ただ、無口かつ無表情な上に自己主張することもほぼない為、整った容姿の割には目立たない子だ。

 

 毎回デュエルのたびにデッキが変わる白河が目立ちがちだが、デュエルの実力においてはレインさんも十分驚異的な実力を備えている。

 ボク達が勝ち上って行った場合、Dブロック決勝で戦うタッグはほぼ間違いなく彼らだろう。

 

「今更だけれど、レインさんってクロトと交流があったのね」

「白河の家の前にカードショップがあって、そこでバイトしていたレインさんと知り合ったみたいだよ」

「へぇ…そうなのね」

 

 中学時代、ボクは白河の家に遊びに行った時の帰りにレインさんの家族が経営するカードショップでバイト中の彼女に出会ったことがあった。

 

 当時から彼女は無口でほどんど喋らなかったし、ボク自身も人と会話するのが少し苦手だったこともあったので、ボクと彼女の間には深い交流は無かった。お互いに顔と名前は知っているくらいの関係だ。

 だが、白河と彼女が世間話をしていたのも覚えている。会話の内容自体は他愛無い話だったような気もするが、話している時のお互いの雰囲気から恐らくそこそこ長い付き合いなのだろうと思う。

 

「白河君達のお相手は…」

「あぁ…ラーイエローの変人たちだね」

 

 デュエルリング上で白河達と対峙しているのはラーイエローの男子生徒、彼らの名前は忘れたが、白河と良くつるんでいるドリアードの人と霊使いの人だ。

 変人揃いのラーイエローでも特に個性の強い2人だったと思う。白河とはきっと変人同士で気が合うのだろう。

 

「ふん、白河!今日こそお前に勝つぞ!ボクの進化したドリアードデッキの力を見せてやる!」

「白河ぁぁぁ!貴様ぁ、よりにもよって女子とタッグを組んでいるだとぉぉぉっ!?この裏切者がぁぁぁ!!」

 

 自信満々に白河へ勝負を挑まんとしているドリアードの人の隣では、霊使いの人が白河へと血走った眼でこちらに射殺さんばかりの視線を送っている。

 

「…勝敗を」

「対戦、よろしくお願いします」

 

 ヒートアップしている対戦相手をよそに、白河とレインさんは通常運転の様だ。

 リング上の所定の位置に立った彼らは、対戦相手の方へと向き合い、デュエルディスクを構えた。

 

「これより本日最後の試合、Dブロック第四試合を始めます」

 

 リング上で白河達の会話も終わり、響先生によってデュエル開始の宣言を行われ、とうとう本日最後のデュエルが開始された。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000

クロト 手札:5枚

レイン 手札:5枚

 

vs

 

◆愛怒瑠夫&中村祐治 LP:8000

ドルオ 手札:5枚

中村 手札:5枚

 

 

「先攻はこちらが貰う!ボクのターン、ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行だ!」

ドルオ 手札:5→6枚

 

「ボクは手札から【マジカル・アブダクター】と【ダーク・ドリアード】をペンデュラムスケールにセッティング!」

ドルオ 手札:6→5→4枚

愛怒瑠夫&中村祐治 Pスケール:3-5

 

【マジカル・アブダクター】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/地属性/魔法使い族/攻1700/守1400

【Pスケール:青3/赤3】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。デッキからPモンスター1体を手札に加える。

【モンスター効果】

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く。

(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×100アップする。

(3):1ターンに1度、このカードの魔力カウンターを3つ取り除いて発動できる。デッキから魔法使い族・レベル1モンスター1体を手札に加える。

 

【ダーク・ドリアード】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守1400

【Pスケール:青5/赤5】

(1):自分フィールドの地・水・炎・風属性モンスターの攻撃力・守備力は、自分フィールドのモンスターの属性の種類×200アップする。

【モンスター効果】

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから地・水・炎・風属性モンスターを1体ずつ選び、好きな順番でデッキの上に戻す。

 

「次にボクは手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!デッキから【ドリアードの祈り】と【精霊術師 ドリアード】を手札に加える!」

ドルオ 手札:4→3→5枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:0→1個

 

【儀式の下準備】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。

 

「そしてボクは手札から【魔界発現世行きデスガイド】を召喚!効果を発動し、デッキから【悪魔嬢リリス】を特殊召喚する!」

ドルオ 手札:5→4枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

魔界発現世行きデスガイド ★3 ATK1000→1200

悪魔嬢リリス ★3 ATK2000

 

【魔界発現世行きデスガイド】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守 600

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない。

 

【悪魔嬢リリス】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻2000/守 0

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):召喚したこのカードの元々の攻撃力は1000になる。

(2):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから通常罠カード3枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。そのカード1枚を自分フィールドにセットし、残りのカードはデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「【悪魔嬢リリス】の効果発動!自身をリリースしてデッキから通常罠カード3枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ!」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

魔界発現世行きデスガイド ★3 ATK1200

 

<愛怒瑠夫が見せた通常罠カード>

①風林火山

②風林火山

③風林火山

 

「さぁ、白河。さっさと選ぶといい」

「全部一緒じゃねーか。真ん中のカードだ」

 

「選ばれたカード1枚を自分フィールドにセットし、残りのカードはデッキに戻す」

愛怒瑠夫&中村祐治 伏せカード:0→1枚。

 

「ここでボクは手札から儀式魔法【ドリアードの祈り】を発動!フィールドの【魔界発現世行きデスガイド】をリリースして儀式召喚を行う!」

ドルオ 手札:4→3→2枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:1→2個

 

【ドリアードの祈り】

儀式魔法

「精霊術師 ドリアード」の降臨に必要。

フィールドか手札から、レベルが3以上になるようカードを生け贄に捧げなければならない。

 

「さぁ手札から出でよ、【精霊術師 ドリアード】!」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

魔界発現世行きデスガイド ★3 ATK1200→2400

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200→2400

 

【精霊術師 ドリアード】

儀式・効果モンスター

星3/光属性/魔法使い族/攻1200/守1400

「ドリアードの祈り」により降臨。このカードの属性は「風」「水」「炎」「地」としても扱う。

 

 なるほど。【精霊術師 ドリアード】の属性は本来の「光」に加えてモンスター効果によって「風」「水」「炎」「地」としても扱う。

 それが【ダーク・ドリアード】の自分フィールドのモンスターの属性の種類×200アップするペンデュラム効果と上手く嚙み合っているね。

 

「そしてボクは手札から永続魔法【儀式の檻】を発動する!」

ドルオ 手札:2→1枚

愛怒瑠夫&中村祐治 永続魔法:0→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:2→3個

 

【儀式の檻】

永続魔法

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の儀式モンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの儀式モンスターはモンスターの効果の対象にならず、モンスターの効果では破壊されない。

 

「ボクは【マジカル・アブダクター】の魔力カウンターを3個取り除いて効果発動!デッキから【ライブラの魔法秤】を手札に加える!」

ドルオ 手札:1→2枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:3→0個

 

「ここでボクはペンデュラム召喚!手札から【ライブラの魔法秤】を特殊召喚!」

ドルオ 手札:2→1枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

魔界発現世行きデスガイド ★3 ATK2200

精霊術師 ドリアード ★3 ATK2400

ライブラの魔法秤 ★4 DEF1000 ※チューナー

 

【ライブラの魔法秤】

ペンデュラム・チューナー・通常モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守1000

【Pスケール:青5/赤5】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1~6までの任意のレベルを宣言し、自分フィールドの表側表示モンスター2体を対象として発動できる。ターン終了時まで、対象のモンスター1体のレベルを宣言したレベル分だけ下げ、もう1体のモンスターのレベルを宣言したレベル分だけ上げる。

【モンスター情報】

意思を持った天秤。世の中の均衡を保っているが、しばしば間違った方に錘星を乗せてしまう。

 

「レベル3【魔界発現世行きデスガイド】にレベル4【ライブラの魔法秤】をチューニング!」

 

 合計レベルは7!

 

「シンクロ召喚!来い、レベル7【スクラップ・デスデーモン】!」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK2400→2200

スクラップ・デスデーモン ★7 ATK2700→3700

 

【スクラップ・デスデーモン】

シンクロモンスター

星7/地属性/悪魔族/攻2700/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 

「最後にボクはカードを1枚セットしてターンエンド!」

ドルオ 手札:1→0枚

愛怒瑠夫&中村祐治 伏せカード:1→2枚。

 

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000

クロト 手札:5枚

レイン 手札:5枚

 

vs

 

◆愛怒瑠夫&中村祐治 LP:8000、永続魔法:1枚。Pスケール:3-5、伏せカード:2枚。

ドルオ 手札:0枚

中村 手札:5枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK2200

スクラップ・デスデーモン ★7 ATK3700

 

 

「彼のセットしたカードの1枚は【風林火山】で確定ね」

「発動できれば【サンダー・ボルト】や【ハーピィの羽根帚】のような効果を持った強力な罠カードだよね」

 

「もう一枚の伏せカードは何でしょう?」

「【悪魔嬢リリス】を採用していることから汎用フリーチェーンの罠カードの可能性が高いかしら?」

 

「更に【ライブラの魔法秤】はペンデュラムモンスターよ」

「ペンデュラムスケールを残しておくと毎ターンレベル4チューナーが特殊召喚されてしまうわね」

 

「白河君達はこの盤面をどう攻略するのでしょうか…」

 

 厄介な妨害札が見えてるのはちょっとプレッシャーだよね。

 

 

「俺のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行する!」

クロト 手札:5→6枚

 

「俺は手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキから【不知火の隠者】を墓地へ送る!」

クロト 手札:6→5枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:0→1個

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

 やっぱり白河のデッキはレインさんに合わせてアンデット族デッキみたいだね。

 親の顔より良く見た…は言い過ぎだけど、アイツがアンデットデッキを使う時に大体いつも出て来る隠者さんだ。

 

「俺は手札から【不知火の宮司】を通常召喚!」

クロト 手札:5→4枚

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の宮司 ★4 ATK1500

 

【不知火の宮司】

効果モンスター

星4/炎属性/アンデット族/攻1500/守 0

「不知火の宮司」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分の手札・墓地から「不知火の宮司」以外の「不知火」モンスター1体を選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。

(2):このカードが除外された場合、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「【不知火の宮司】の効果発動!墓地の【不知火の隠者】を特殊召喚する!」

 

「そうはさせん!リバースカードオープン!【不知火の宮司】を対象に速攻魔法【禁じられた聖杯】を発動する!」

愛怒瑠夫&中村祐治 伏せカード:2→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:1→2個

 

「げっ!?」

 

【禁じられた聖杯】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。

 

チェーン②禁じられた聖杯

チェーン①不知火の宮司 ※効果無効

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の宮司 ★4 ATK1500→1900 ※効果無効

 

「ふん、展開などさせるものか!」

 

「にゃろう…なら1000LPを支払って手札から魔法カード【簡素融合】発動!」

クロト 手札:4→3枚

クロト&レイン LP:8000→7000

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:2→3個

 

【簡素融合】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):1000LPを払って発動できる。

効果モンスターを除くレベル6以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃できず、エンドフェイズに破壊される。

 

「チューナーモンスター【テセウスの魔棲物】を融合召喚扱いで特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の宮司 ★4 ATK1500→1900 ※効果無効

テセウスの魔棲物 ★5 ATK2200 ※チューナー

 

【テセウスの魔棲物】

融合・チューナーモンスター

星5/水属性/アンデット族/攻2200/守1800

チューナー×2

 

「シンクロなどさせん!リバースカードオープン!罠カード【風林火山】を発動!」

愛怒瑠夫&中村祐治 伏せカード:1→0枚。

 

「!?」

 

【風林火山】

通常罠

(1):風・水・炎・地属性モンスターがフィールドに全て存在する場合に発動できる。以下の効果から1つを選んで適用する。

●相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

●相手の手札をランダムに2枚選んで捨てる。

●自分はデッキから2枚ドローする。

 

「お前のフィールドのモンスター全てを破壊する!」

「ぐぬぬ…」

 

<クロト&レインのフィールド>

モンスター無し

 

「だけど、流石にもうこれで妨害札は残って無いだろ?」

「…」

 

 ドリアードの人は伏せカードを使い切った。手札も無いし、墓地発動できるカードもない。

 対して白河の手札は3枚。召喚権こそ使ったもののアンデットデッキはこんなものじゃ終わらないだろうね。

 

「俺は手札からフィールド魔法【不知火流 転生の陣】を発動する!」

クロト 手札:3→2枚

クロト&レイン フィールド魔法:0→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:3→4個

 

【不知火流 転生の陣】

フィールド魔法

「不知火流 転生の陣」は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):1ターンに1度、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、手札を1枚墓地へ送り、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地の守備力0のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

●除外されている自分の守備力0のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。

 

「そして、手札の【妖刀-不知火】を墓地に送って【不知火流 転生の陣】の効果発動!墓地の【不知火の隠者】を特殊召喚!」

クロト 手札:3→2枚

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 DEF0

 

【不知火の隠者】

効果モンスター

星4/炎属性/アンデット族/攻 500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから守備力0のアンデット族チューナー1体を特殊召喚する。

(2):このカードが除外された場合、「不知火の隠者」以外の除外されている自分の「不知火」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。フィールドに「不知火流 転生の陣」が存在する場合、この効果の対象を2体にできる。

 

「【不知火の隠者】をリリースしてデッキから【ユニゾンビ】を特殊召喚!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ユニゾンビ ★3 DEF0 ※チューナー

 

【ユニゾンビ】

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。手札を1枚捨て、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。

(2):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送り、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分のモンスターは攻撃できない。

 

「【ユニゾンビ】の効果発動!デッキから【馬頭鬼】を墓地に落として自身のレベルを1つ上げる!」

 

<クロト&レインのフィールド>

ユニゾンビ ★3→4 DEF0 ※チューナー

 

「墓地の【馬頭鬼】を除外して効果発動!墓地から【不知火の隠者】を特殊召喚!」

 

【馬頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

<クロト&レインのフィールド>

ユニゾンビ ★4 DEF0 ※チューナー

不知火の隠者 ★4 DEF0

 

「レベル4【不知火の隠者】にレベル4となった【ユニゾンビ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ、レベル8!【PSYフレームロード・Ω】」

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

 

【PSYフレームロード・Ω】

シンクロ・効果モンスター

星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。

(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地に戻す。

(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。

 

 【ユニゾンビ】の効果の制約があるから、【PSYフレームロード・Ω】はこのターン攻撃することが出来ないはずだよね。

 そして【妖刀-不知火】の効果も墓地に送られたこのターンには使用できない。つまり、次のレインさんのターン以降の布石を打つつもりなのかな?

 

「続いて手札から魔法カード【龍の鏡】発動!墓地の【不知火の隠者】と【不知火の宮司】を除外して融合召喚を行う!」

クロト 手札:2→1枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:4→5個

 

【龍の鏡】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、ドラゴン族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「二体の亡者の魂が冥界の主を呼び覚ます!冥界の扉を破り現れよ!幽合召喚!現れよ、レベル8【冥界龍 ドラゴネクロ】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

冥界龍 ドラゴネクロ ★8 ATK3000

 

【冥界龍 ドラゴネクロ】

融合・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守 0

アンデット族モンスター×2

このカードは融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):「冥界龍 ドラゴネクロ」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードと戦闘を行うモンスターはその戦闘では破壊されない。

(3):このカードがモンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。そのモンスターの攻撃力は0になり、そのモンスターの元々のレベル・攻撃力と同じレベル・攻撃力を持つ「ダークソウルトークン」(アンデット族・闇・星?・攻?/守0)1体を自分フィールドに特殊召喚する。

 

 うん?あのドラゴンが出た瞬間、レインさんの表情が一瞬険しくなったような気がしたけど…見間違いかな?

 

「除外された【不知火の隠者】の効果発動!除外された【不知火の宮司】を特殊召喚する!」

 

「更に除外された【不知火の宮司】の効果発動!【ダーク・ドリアード】を破壊する!」

 

チェーン②不知火の宮司

チェーン①不知火の隠者

 

「何っ!?ボクのドリアードが!?」

愛怒瑠夫&中村祐治 Pスケール:3

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK2200→1200

スクラップ・デスデーモン ★7 ATK3700→2700

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

冥界龍 ドラゴネクロ ★8 ATK3000

不知火の宮司 ★4 ATK1500

 

「バトルフェイズに移行!【冥界龍 ドラゴネクロ】で【スクラップ・デスデーモン】を攻撃!ソウル・クランチ!!」

 

冥界龍 ドラゴネクロ ATK3000

vs

スクラップ・デスデーモン ATK2700 ※効果により破壊されない

 

「ぐはっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 LP:8000→7700

 

「ダメージステップ終了時、【冥界龍 ドラゴネクロ】の効果発動!【スクラップ・デスデーモン】の攻撃力は0になり、その元々のレベル・攻撃力を持つ「ダークソウルトークン」1体を自分フィールド上に特殊召喚する!」

 

スクラップ・デスデーモン ATK2700→0

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

冥界龍 ドラゴネクロ ★8 ATK3000

不知火の宮司 ★4 ATK1500

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

 

「追撃だ!【ダークソウルトークン】で【スクラップ・デスデーモン】を攻撃!」

 

冥界龍 ドラゴネクロ ATK3000

vs

スクラップ・デスデーモン ATK2700 ※戦闘破壊

 

「ぐわぁぁぁっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 LP:7700→5000

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

精霊術師 ドリアード ★3 ATK1200

 

「更に!【不知火の宮司】で【精霊術師 ドリアード】を攻撃!」

 

不知火の宮司 ATK1500

vs

精霊術師 ドリアード ATK1200 ※【儀式の檻】により戦闘ダメージは0

 

「ドリアードが!おのれぇぇぇ!!」

愛怒瑠夫&中村祐治 LP:5000

 

「お、落ち着けよ」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

モンスター無し

 

 うわぁ…。ドリアードの人、凄い顔で滅茶苦茶怒ってる。白河の奴、珍しく本気でビビってるじゃん。

 

「メインフェイズ2に移行。俺はカードを1枚セットしてターンエンド!」

クロト 手札:1→0枚

クロト&レイン 伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000、フィールド魔法:1枚、伏せカード:1枚。

クロト 手札:0枚

レイン 手札:5枚

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

冥界龍 ドラゴネクロ ★8 ATK3000

不知火の宮司 ★4 ATK1500

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

 

vs

 

◆愛怒瑠夫&中村祐治 LP:5000、永続魔法:1枚。Pスケール:3、伏せカード:0枚。

ドルオ 手札:0枚

中村 手札:5枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

モンスター無し

 

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:5個

 

「オレのターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに…」

中村 手札:5→6枚

 

「ここで俺は【PSYフレームロード・Ω】の効果発動!除外されている【馬頭鬼】を墓地に戻す!」

 

「再利用目的か。まぁいい。メインフェイズに移行するぞ!」

 

「オレは【マジカル・アブダクター】の魔力カウンターを3つ取り除いて効果発動!デッキから【ランスフォリンクス】を手札に加える!」

中村 手札:6→7枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:5→2個

 

「そしてオレは手札からフィールド魔法【大霊術-「一輪」】を発動!」

中村 手札:7→6枚

愛怒瑠夫&中村祐治 フィールド魔法:0→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:2→3個

 

【大霊術-「一輪」】

フィールド魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):1ターンに1度、自分フィールドに守備力1500の魔法使い族モンスターが存在する場合、相手が発動したモンスターの効果を無効にする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。手札の魔法使い族モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターと同じ属性で攻撃力1500/守備力200のモンスター1体をデッキから手札に加え、見せたカードをデッキに戻す。

 

「【大霊術-「一輪」】の効果発動!手札の【地霊使いアウス】を見せ、デッキから【デーモン・イーター】を手札に加え、【地霊使いアウス】をデッキに戻す!」

中村 手札:6→7→6枚

 

「オレは手札から【火霊使いヒータ】を墓地に送って手札から速攻魔法【精霊術の使い手】を発動!【闇霊使いダルク】をセットし、【憑依覚醒】を手札に加える!」

中村 手札:6→5→4→5枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:3→4個

 

【精霊術の使い手】

速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。

デッキから「霊使い」モンスター、「憑依装着」モンスター、「憑依」魔法・罠カードの内、2枚を選ぶ(同名カードは1枚まで)。

その内の1枚を手札に加え、もう1枚を自分フィールドにセットする。

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「そしてさっき手札に加えた永続魔法【憑依覚醒】を発動!」

中村 手札:5→4枚

愛怒瑠夫&中村祐治 永続魔法:1→2枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:4→5個

 

【憑依覚醒】

永続魔法

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのモンスターの攻撃力は、自分フィールドのモンスターの属性の種類×300アップする。

(2):自分フィールドの「霊使い」モンスター及び「憑依装着」モンスターは効果では破壊されない。

(3):自分フィールドに元々の攻撃力が1850の魔法使い族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「ここで手札から魔法カード【太陽の書】を発動!フィールドの【闇霊使いダルク】を表側攻撃表示に変更!」

中村 手札:4→3枚

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:5→6個

 

【太陽の書】

通常魔法

フィールド上に裏側表示で存在するモンスター1体を選択し、表側攻撃表示にする。

 

 これは不味いね。【闇霊使いダルク】のリバース効果は相手の闇属性モンスターのコントロール奪取。

 【冥界龍 ドラゴネクロ】を奪われたら戦況が一気に無効に傾いちゃうじゃない…!

 

「その効果にチェーンして伏せていた罠カード【不知火流 燕の太刀】を発動する!」

クロト&レイン 伏せカード:1→0枚。

 

「なっ!?」

 

「【不知火の宮司】をリリースし、【大霊術-「一輪」】と裏側守備表示の【闇霊使いダルク】を破壊する!その後、デッキから【不知火の宮司】を除外!」

 

【不知火流 燕の太刀】

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースし、フィールドのカード2枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。その後、デッキから「不知火」モンスター1体を除外する。

 

チェーン②不知火流 燕の太刀

チェーン①太陽の書 ※対象を失い、不発。

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

冥界龍 ドラゴネクロ ★8 ATK3000

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

 

「ちっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 フィールド魔法:1→0枚。

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

モンスター無し

 

「そして除外された【不知火の宮司】の効果発動!【憑依覚醒】を破壊する!」

 

「くそっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 永続魔法:2→1枚。

 

「ならば!オレは手札から【ランスフォリンクス】をペンデュラムスケールにセッティング!」

中村 手札:3→2枚

愛怒瑠夫&中村祐治 Pスケール:3-7

 

【ランスフォリンクス】

ペンデュラム・通常モンスター

星6/風属性/恐竜族/攻2500/守 800

【Pスケール:青7/赤7】

(1):自分の通常モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

【モンスター情報】

太古の絶滅を生き延びた幻の翼竜。その姿はより攻撃的に進化し、クチバシは全てを貫く槍と化した。・・・それでも主食は魚らしい。

 

「ペンデュラム召喚!エクストラデッキから出てこい!【ダーク・ドリアード】、【ライブラの魔法秤】!」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 DEF1400

ライブラの魔法秤 ★4 DEF1000 ※チューナー

 

 ペンデュラム召喚、やっぱり便利だよね。アンデット族よりもよっぽどアンデッドしてるもん。

 【ダーク・ドリアード】の効果は使わなかったけど…モンスターより魔法・罠カードを引きたいのかな?

 

「更に手札から【デーモン・イーター】を特殊召喚する!」

中村 手札:2→1枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

ダーク・ドリアード ★4 DEF1400

ライブラの魔法秤 ★4 DEF1000 ※チューナー

デーモン・イーター ★4 DEF200

 

【デーモン・イーター】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1500/守 200

(1):「デーモン・イーター」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(3):相手エンドフェイズにこのカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊し、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

「そして…レベル4【ダーク・ドリアード】、【デーモン・イーター】、【ライブラの魔法秤】の三体でオーバーレイ!」

 

 三体エクシーズ召喚…!

 

「エクシーズ召喚!来い、ランク4!【覚醒の勇士 ガガギゴ】!」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

覚醒の勇士 ガガギゴ ☆4 ATK2950 ORU:3

 

【覚醒の勇士 ガガギゴ】

エクシーズモンスター

ランク4/水属性/爬虫類族/攻2950/守2800

レベル4モンスター×3

 

「更に手札から装備魔法【魔導師の力】を【覚醒の勇士 ガガギゴ】に装備する!」

中村 手札:1→0枚

愛怒瑠夫&中村祐治 装備魔法:0→1枚。

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:6→7個

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

覚醒の勇士 ガガギゴ ☆4 ATK2950→3950 ORU:3

 

「バトル!【覚醒の勇士 ガガギゴ】で【冥界龍 ドラゴネクロ】に攻撃!」

 

覚醒の勇士 ガガギゴ ATK3950

vs

冥界龍 ドラゴネクロ ATK3000

 

「っ!」

クロト&レイン LP:8000→7050

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

 

 【冥界龍 ドラゴネクロ】が戦闘したのに【ダークソウルトークン】を出さなかった…いや、出せなかった?

 戦闘破壊されたら効果を発動しないとか?ううん、多分レベルを持たないエクシーズモンスターが相手だったからかな?

 

「メインフェイズ2に移行。そのままターンエンドだ!」

 

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:7050、フィールド魔法:1枚、伏せカード:0枚。

クロト 手札:0枚

レイン 手札:5枚

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

 

vs

 

◆愛怒瑠夫&中村祐治 LP:5000、永続魔法:1枚。装備魔法:1枚。Pスケール:3-7、伏せカード:0枚。

ドルオ 手札:0枚

中村 手札:0枚

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

覚醒の勇士 ガガギゴ ☆4 ATK3950 ORU:3

 

マジカル・アブダクター 魔力カウンター:7個

 

 

「私のターン、ドロー。スタンバイ、メインフェイズ」

レイン 手札:5→6枚

 

「【不知火の武部】召喚、効果発動。デッキから【逢魔ノ妖刀-不知火】を特殊召喚」

レイン 手札:6→5枚

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

不知火の武部 ★4 ATK1500

逢魔ノ妖刀-不知火 ★3 DEF0 ※チューナー

 

【不知火の武部】

効果モンスター

星4/炎属性/アンデット族/攻1500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから「妖刀-不知火」モンスター1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):このカードが除外された場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。その後、手札を1枚選んで捨てる。

 

【逢魔ノ妖刀-不知火】

チューナー・効果モンスター

星3/炎属性/アンデット族/攻 800/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードをリリースし、「逢魔ノ妖刀-不知火」以外の除外されている自分のモンスターの中から「不知火」モンスターを含むアンデット族モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。この効果の発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「レベル4【不知火の武部】にレベル3【逢魔ノ妖刀-不知火】をチューニング。シンクロ召喚。来て、レベル7【妖神-不知火】」

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

妖神-不知火 ★7 ATK2100

 

【妖神-不知火】

シンクロ・効果モンスター

星7/炎属性/アンデット族/攻2100/守 0

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分は「妖神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の墓地及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、モンスター1体を選んで除外する。その後、その種類によって、以下の効果をそれぞれ適用できる。

●アンデット族:自分フィールドの全てのモンスターの攻撃力は300アップする。

●炎属性:フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する。

●S:フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。

 

「墓地の【妖刀-不知火】の効果発動。自身と墓地の【不知火の宮司】を除外し、レベル6【刀神-不知火】を特殊召喚」

 

【妖刀-不知火】

チューナー・効果モンスター

星2/炎属性/アンデット族/攻 800/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターとこのカードを墓地から除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つアンデット族Sモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。

この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 DEF2200

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

妖神-不知火 ★7 ATK2100

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

【刀神-不知火】

シンクロ・効果モンスター

星6/炎属性/アンデット族/攻2500/守 0

アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上

自分は「刀神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、除外されている自分のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て守備表示にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが除外された場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は500ダウンする。

 

「【不知火の宮司】の効果発動。【覚醒の勇士 ガガギゴ】を破壊」

 

「うおっ!?」

 

<愛怒瑠夫&中村祐治のフィールド>

モンスター無し

 

「【PSYフレームロード・Ω】を攻撃表示に変更。バトルフェイズ」

 

<クロト&レインのフィールド>

PSYフレームロード・Ω ★8 ATK2800

ダークソウルトークン ★7 ATK2700

妖神-不知火 ★7 ATK2100

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

「【刀神-不知火】、ダイレクトアタック」

 

刀神-不知火 ATK2500

 

「がふっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 LP:5000→2500

 

 

「【PSYフレームロード・Ω】、ダイレクトアタック」

 

「ぬぁぁぁっ!」

愛怒瑠夫&中村祐治 LP:2500→0

 

 

「くそおっ!この悔しさをバネにして、次こそドリアードの真の力を見せつけてやるぞ!」

「むおおお!お前に負けるなんて!!男にだけは負けてはならんのだ!!…いや、今回は美少女に負けたからノーカンだな!」

 

「勝ったの」

「対戦、ありがとうございました」

 

 ドリアードの人が悔しそうに頭を抱えてたし、霊使いの人は地団太を踏んでいたけど、白河達は普段通りって感じだ。

 

「クロト達が勝ったわね。そうこないと張り合いがないわ」

「ふふっ。今日のデュエルも悪くなかったけれど、クロ坊たちにはもっと激しいデュエルを見せて欲しいわね」

 

 明日香と雪乃は試合の結果に満足しながら観客席を後にしていった。

 

 ドリアードの人も霊使いの人も結構強かったね。あの白河と途中まではいい勝負をしていたように見えたし。

 でも白河達はまだまだ展開のためのリソースを残していたし、この結果も妥当なところだよね。

 

「それじゃ、ボク達も帰ろっか」

「そうですね」

 

 白河には悪いけど今は敵同士だしね。ボク達だけで帰ろう。

 

~~~

 

<クロト視点>

 

 勝敗が決した後、ドルオたちがリングから降りて本日の試合は全て終了した。会場の観客席に居た連中はゾロゾロと帰りの船に乗るために船着場へ向かったようだ。

 気が付けばレインも何処かに行っていたが、こっちはいつものことだから気にしなくても良いな。

 

「いやはや、さっきの試合は危なかったな~」

 

 【不知火流 燕の太刀】の発動タイミング次第ではレインのターンに回る前に負けていた可能性が高かったぞ。

 俺からタッグデュエルに誘ったくせに第一試合で俺が戦犯になるところだったな。

 

「何とか勝てて良かったな」

 

 ドルオも中村も強くなってたなぁ。

 個人戦では負けるつもりは無いけれど、チームプレイと言う意味ではデッキテーマを合わせただけの俺達よりも精錬されていたと思う。

 

「ドラゴネクロに関してはレインが凄い視線を送ってきてビビったな」

 

 イリアステルはアニメ5D'sだけに存在する組織のはずだけど、漫画版5D'sに登場する決闘竜に反応したのはなんでだろ?

 以前、ブラックローズの漫画版を出した時はそこまで反応なかったと思うんだけど…う~ん、良く分からんな。

 

「ツァンたちも帰っちゃったか」

 

 考え事をしていた間に会場に居る人間はもう俺だけになっていた。

 

 俺達の試合前に観客席を見た時、ツァンたちが明日香と喋っていたよな。ツァンが俺や紬以外の生徒と喋っているのは珍しい気がする。

 中学時代はツンツンしていたのに最近は随分と丸くなったもんだ。紬のお陰かな?やはり同性の友人の存在って重要だよな。

 

 それにしても…いくら今は敵同士とはいえ、待っていてくれても良くない?

 まさか、仲が良い方だと思っていたのは俺だけで実は嫌われていたとか…いやいや、俺は嫌われてないから!…嫌われてないよな?

 

 デュエルには勝ったのに何故か若干ブルーな気分になりながら俺はトボトボと帰路に着いた。




クロト&レインのデッキは【不知火】です。アンデット族ではかなり有名な【不知火の隠者】を擁するテーマであり、シンクロ召喚をメインとするデッキです。

ドルオのデッキは【ドリアード】、中村のデッキは【霊使い】です。以前にも登場した二人ですが、デッキパーツがそこそこ揃っているので今のデュエルアカデミアでも上位の実力を持ったデュエリストとなっています。

次回の更新は一月初旬の予定です。

次回は間の試合をすっ飛ばして決勝戦となる予定です。間の試合に関しては本編完結後に追加しようと思っています。

戦車様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十一話 タッグフォース決勝戦

今回はタッグフォース大会の決勝戦です。

対戦カードは十代&コナミvsクロト&レインとなります。

<お知らせ>
本話にていつくかデュエル展開ミスをご指摘頂いておりますが、現在まだ修正が出来ていません。申し訳ございません。いずれは本文を修正してご指摘いただいた感想にも返信させていただくつもりですのでそれまではお待ち頂けると幸いです。


 数日間に渡って開催されて来たタッグフォース大会もいよいよ決勝戦を迎えた。

 

 ツァンのタッグや藤原先輩のタッグ相手にそこそこ危ない場面も多かったが、俺達は何とか勝ち進んで決勝戦まで来ることが出来た。

 そして、勝ち上がって来た俺達の前に立つ対戦者は予想通りの2人、明日香のタッグや亮さんのタッグを退けたオシリスレッドの2人、遊城十代と赤羽コナミのタッグだ。

 

 最終日とあって会場の観客席は満席となっており、会場に入りきれなかった生徒たちの大多数も校舎で放送を見ていることだろう。

 

「十代!頑張れよ!ガッチョ!」

「十代ー!ドローの神髄を見せつけるんだー!」

 

「コナミさんなら大丈夫ですよっ!私、信じてますからっ!」

「コナミさん!遊城さんとの連携が重要ですよ!」

「眠い…」

「コナミ君、頑張るのよー!」

 

「白河ー!負けるんじゃないわよー!」

「レインさんもしっかりー!」

 

「庶民、私がアナタの力量を見定めて差し上げますわ。ですが、敗北は認めませんわよ!」

「クロ坊とレインさん、それにクロノス校長を倒したボウヤに赤帽子のボウヤのデュエル…ふふっ、楽しみね」

 

「あ、あの…し、白河君、ファイトです!」

「ふぅむ、白河にはこの前貰ったクッキーの借りがあるからのう。アチシも応援しやるかのぅ」

「ウサミンやユリッペが応援するなら私も白河達を応援しておこうかな」

 

 俺とレイン、十代とコナミの4人がデュエルリング場に上がると観客席から多くの歓声と共に見知った連中の声も聞こえてきた。

 

 観客席の西側に座っているあの二人は神楽坂と大山か、近くに居るのは宮田や委員長、樋口に加藤か。

 反対方向の東側にはツァンや紬が居るな。海野や藤原も居るっぽいな。

 南側に座っているのは宇佐美か。両隣には【ウィジャ盤】使いの山本、【ネフロード】使いの田中が居るな。

 

「アニキー!コナミくーん!頑張るっスよー!」

「2人とも、気張るんだナァー!」

「十代!コナミ!貴様らはこのオレも差し置いてその場に居るんだ!負けたら承知しないからな!」

 

 西側最前列を占領しているオシリスレッド所属の連中からは基本的に十代とコナミの応援が聞こえてくる。

 アイツらはオシリスレッドの中でも中心的存在だし、俺たちはオシリスレッドの連中の大半とほぼ関りが無いから当然と言えば当然だ。

 

「白河ー!負けるんじゃないぞー!」

「このボクに勝ったんだ!勝利以外は認めないぞ!」

「白河ー!この裏切者ー!」

「中村、しつこい」

 

 東側中央付近にいるラーイエロー所属の連中からは俺に対する応援?の声が聞こえて来る。

 こちらは逆に俺と関りが多くて十代たちと関りが薄いからこうなるだろうとは思っていた。

 

「個人的には十代たちに勝って欲しいですが白河達の戦術も気になりますね」

「皆それぞれが優秀なデュエリストだからね。どんなデュエルになるか楽しみだよ」

 

「クロト達と遊城君達…兄さん達はどちらが勝つと思う?」

「どうだろうね…こればかりは読めないかな」

「ふっ、どちらが勝とうともこのデュエル、激戦になるだろうな」

 

 観客席北側の上の方で手すりに身を委ねている三沢や明日香たちはどちらを応援すると言うことはせず、ただデュエル観戦を楽しむスタンスの様だ。

 

「白河、レイン。良いデュエルにしようぜ!」

「デュエル!早く始めよう!」

 

「対戦、よろしくお願いします」

「…よろしく」

 

 互いの挨拶も終わり、試合を開始するための響先生からの合図が放たれる。

 

『タッグフォース大会決勝戦!遊城&赤羽 vs 白河&レイン!デュエル開始!』

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:8000

十代 手札:5枚

コナミ 手札:5枚

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000

クロト 手札:5枚

レイン 手札:5枚

 

 

「先攻はこちらが貰うぜ!オレのターン、ドロー!」

十代 手札:5→6枚

 

「オレは手札から魔法カード【増援】を発動!デッキから【E・HERO エアーマン】を手札に加えるぜ!」

十代 手札:6→5→6枚

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「次に手札から魔法カード【E-エマージェンシーコール】を発動!今度はデッキから【E・HERO キャプテン・ゴールド】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚

 

【E-エマージェンシーコール】

通常魔法

(1):デッキから「E・HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「更に手札から魔法カード【苦渋の決断】を発動!デッキから【E・HERO スパークマン】を墓地に送り、墓地に送ったものとは別の【E・HERO スパークマン】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚

 

【苦渋の決断】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を墓地へ送り、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える。

 

「まだまだ!オレは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】発動!デッキから【融合再生機構】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

 おかしいな…。あれだけ魔法カードを連発しておいて手札が減っていないんだが?

 

「そしてオレは手札から【E・HERO エアーマン】を通常召喚!そのまま効果発動!デッキから【E・HERO オネスティ・ネオス】を手札に加える!」

十代 手札:6→5→6枚

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

【E・HERO エアーマン】

効果モンスター

星4/風属性/戦士族/攻1800/守 300

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●このカード以外の自分フィールドの「HERO」モンスターの数まで、フィールドの魔法・罠カードを選んで破壊する。

●デッキから「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「更にオレは手札から魔法カード【ネオス・フュージョン】を発動!デッキから【E・HERO ネオス】と【ユベル】を墓地に送って融合!」

十代 手札:6→5枚

 

【ネオス・フュージョン】

通常魔法

(1):自分の手札・デッキ・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、「E・HERO ネオス」を含むモンスター2体のみを素材とするその融合モンスター1体を召喚条件を無視してEXデッキから特殊召喚する。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できない。

(2):「E・HERO ネオス」を融合素材とする自分フィールドの融合モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、または自身の効果でEXデッキに戻る場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「来い!【E・HERO ネオス・クルーガー】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

【E・HERO ネオス・クルーガー】

融合・効果モンスター

星9/光属性/魔法使い族/攻3000/守2500

「E・HERO ネオス」+「ユベル」

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。手札・デッキから「ネオス・ワイズマン」1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

「ここで手札から魔法カード【埋葬呪文の宝札】を発動!墓地から【増援】、【苦渋の決断】、【テラ・フォーミング】を除外してデッキから2ドロー!」

十代 手札:5→4→6枚

 

【埋葬呪文の宝札】※アニメオリジナルカード

通常魔法

自分の墓地に存在する魔法カード3枚をゲームから除外して発動する。

自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

 リアリストのインチキパワーカードじゃねーか!手札が初期枚数に戻ったぞ!?インチキ効果もいい加減にしろ!

 

「オレは手札からフィールド魔法【融合再生機構】を発動!そしてカードを2枚セットしてターンエンドだぜ!」

十代 手札:6→5→3枚

十代&コナミ フィールド魔法:0→1枚、伏せカード:0→2枚。

 

【融合再生機構】

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、手札を1枚捨てて発動できる。自分のデッキ・墓地から「融合」1枚を選んで手札に加える。

(2):自分・相手のエンドフェイズに、このターン融合召喚に使用した自分の墓地の融合素材モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「エンドフェイズに【融合再生機構】の効果を発動し、墓地の【E・HERO ネオス】を手札に加える!」

十代 手札:3→4枚

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:8000、フィールド魔法:1枚、伏せカード:2枚

十代 手札:4枚

コナミ 手札:5枚

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

E・HERO ネオス・クルーガー ★9 ATK3000

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000

クロト 手札:5枚

レイン 手札:5枚

 

 

 十代の手札にはネオス、スパークマン、オネスティネオス、そして不明札が1枚か。伏せカード2枚はなんだろうな。十代って結構ガチめなカード使ってくるからなぁ。慎重に行くべきか?

 

 ネオス・クルーガーは早めに処理したいが、あれはコナミのターンかレインのターンで倒さないと後続が出て来るから後回しかな。

 

 

「俺のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行する!」

クロト 手札:5→6枚

 

「俺は手札から魔法カード【儀式の下準備】を発動!デッキから【リヴェンデット・ボーン】、【リヴェンデット・スレイヤー】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→7枚

 

【儀式の下準備】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。

 

 おっ、効果が通ったか。それなら…う~ん、大体いつも通りの展開になりそうだな。

 

「俺は手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドロー!そして手札から【リヴェンデット・スレイヤー】を除外する!」

クロト 手札:7→6→8→7枚

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。

手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

 おっと、このカードは…。これならこのターンにネオス・クルーガーを退けてしまえそうだな。

 

「俺は手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!手札から【屍界のバンシー】を墓地に送ってデッキから【グローアップ・ブルーム】を特殊召喚する!」

クロト 手札:7→6→5枚

 

【ワン・フォー・ワン】

通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。

手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

<クロト&レインのフィールド>

グローアップ・ブルーム ★1 DEF0 ※チューナー

 

【グローアップ・ブルーム】

チューナー・効果モンスター

星1/闇属性/アンデット族/攻 0/守 0

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル5以上のアンデット族モンスター1体を手札に加える。フィールドゾーンに「アンデットワールド」が存在する場合、手札に加えず特殊召喚する事もできる。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない。

 

「墓地から【屍界のバンシー】を除外して効果発動!デッキからフィールド魔法【アンデットワールド】を発動する!」

 

【屍界のバンシー】

効果モンスター

星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドゾーンの「アンデットワールド」は効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールド・墓地のこのカードを除外して発動できる。手札・デッキから「アンデットワールド」1枚を選んで発動する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

クロト&レイン フィールド魔法:0→1枚。

 

【アンデットワールド】

フィールド魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター及び墓地のモンスターは全てアンデット族になる。

(2):お互いはアンデット族モンスターしかアドバンス召喚できない。

 

「俺は手札から【不知火の隠者】を通常召喚!」」

クロト 手札:5→4枚

 

<クロト&レインのフィールド>

グローアップ・ブルーム ★1 DEF0 ※チューナー

不知火の隠者 ★4 ATK500

 

【不知火の隠者】

効果モンスター

星4/炎属性/アンデット族/攻 500/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから守備力0のアンデット族チューナー1体を特殊召喚する。

(2):このカードが除外された場合、「不知火の隠者」以外の除外されている自分の「不知火」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。フィールドに「不知火流 転生の陣」が存在する場合、この効果の対象を2体にできる。

 

「【グローアップ・ブルーム】をリリースしてデッキから【ユニゾンビ】を特殊召喚!」

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★3 DEF0 ※チューナー

 

【ユニゾンビ】

チューナー・効果モンスター

星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。手札を1枚捨て、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。

(2):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送り、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分のモンスターは攻撃できない。

 

「墓地に送られた【グローアップ・ブルーム】を除外して効果発動!デッキから【死霊王 ドーハスーラ】を特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★3 DEF0 ※チューナー

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

 

【死霊王 ドーハスーラ】

効果モンスター

星8/闇属性/アンデット族/攻2800/守2000

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):「死霊王 ドーハスーラ」以外のアンデット族モンスターの効果が発動した時に発動できる(同一チェーン上では1度まで)。以下の効果から1つを適用する。このターン、自分の「死霊王 ドーハスーラ」の効果で同じ効果を適用できない。

●その効果を無効にする。

●自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター1体を除外する。

(2):フィールドゾーンに表側表示でカードが存在する場合、お互いのスタンバイフェイズに発動できる。墓地のこのカードを守備表示で特殊召喚する。

 

「【ユニゾンビ】の効果発動!デッキから【馬頭鬼】を墓地に落として自身のレベルを1つ上げる!」

 

「そしてアンデット族の【ユニゾンビ】が効果を発動したことで【死霊王 ドーハスーラ】の効果発動!【E・HERO ネオス・クルーガー】を除外する!」

 

「くっ!?」

 

チェーン②死霊王 ドーハスーラ

チェーン①ユニゾンビ

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★3→4 DEF0 ※チューナー

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

 

「だが、相手の効果で【E・HERO ネオス・クルーガー】がフィールドを離れたことで効果発動!デッキから【ネオス・ワイズマン】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

ネオス・ワイズマン ★10 ATK3000

 

【ネオス・ワイズマン】

特殊召喚・効果モンスター

星10/光属性/魔法使い族/攻3000/守3000

このカードは通常召喚できない。

自分のモンスターゾーンの表側表示の、「E・HERO ネオス」と「ユベル」を1体ずつ墓地へ送った場合のみ特殊召喚できる。

(1):フィールドのこのカードは効果では破壊されない。

(2):このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。その相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。その相手モンスターの守備力分だけ自分のLPを回復する。

 

「俺は手札から魔法カード【精神操作】を発動!【ネオス・ワイズマン】のコントロールを得る!」

クロト 手札:4→3枚

 

「なにっ!?」

 

【精神操作】

通常魔法

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。

この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃宣言できず、リリースできない。

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★4 DEF0 ※チューナー

死霊王 ドーハスーラ ★8 ATK2800

ネオス・ワイズマン ★10 ATK3000

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO エアーマン ★4 ATK1800

 

『お前!ボクと十代を離れ離れにさせるなんて!!』

 

「おぉっ、怖い怖い」

 

 ネオス・ワイズマンの中の人(ユベル)から凄まじい殺意を感じる。さっさと処理してしまおう。

 

「そして、元々の持ち主が相手となる【ネオス・ワイズマン】のレベルを8として扱い、レベル8の【死霊王 ドーハスーラ】と合わせてオーバーレイネットワークを構築!現れよ!ランク8!【真血公ヴァンパイア】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★4 DEF0 ※チューナー

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:2

 

【真血公ヴァンパイア】

エクシーズ・効果モンスター

ランク8/闇属性/アンデット族/攻3000/守2800

レベル8モンスター×2体以上

元々の持ち主が相手となるモンスターをこのカードのX召喚の素材とする場合、そのレベルを8として扱う。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは墓地以外から特殊召喚されたモンスターの効果の対象にならない。

(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。お互いのデッキの上からカードを4枚墓地へ送る。この効果でモンスターが自分・相手の墓地へ送られた場合、さらに自分は墓地へ送られたそのモンスター1体を選んで自分フィールドに特殊召喚できる。

 

「ヴァンパイアモンスター!?」

 

 そう言えば、この世界の十代もカミューラと戦ったんだっけ。

 

「【真血公ヴァンパイア】のORUを1つ取り除いて効果発動!互いのデッキトップからカードを4枚墓地へ送る!」

 

 当然、墓地に送るエクシーズ素材は【死霊王 ドーハスーラ】だ。

 

真血公ヴァンパイア ORU:2→1

 

<クロトのデッキから墓地に送られたカード>

①シノビネクロ

②妖刀-不知火

③ジャック・ア・ボーラン

④簡素融合

 

<十代のデッキから墓地に送られたカード>

①H-ヒートハート

②E・HERO プリズマー

③R-ライトジャスティス

④N・グラン・モール

 

「この効果で墓地に送られた【ジャック・ア・ボーラン】を特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

不知火の隠者 ★4 ATK500

ユニゾンビ ★4 DEF0 ※チューナー

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

 

【ジャック・ア・ボーラン】

効果モンスター

星7/炎属性/アンデット族/攻1500/守2200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からアンデット族モンスター1体を捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):相手メインフェイズに、自分または相手の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。その後、表側表示のこのカードをエンドフェイズまで除外する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 墓地の【妖刀-不知火】の効果は墓地に送られたターンには使用できない。なら次は…。

 

「レベル4【不知火の隠者】にレベル4となった【ユニゾンビ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ、レベル8!【戦神-不知火】」

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3000

 

【戦神-不知火】

シンクロ・効果モンスター

星8/炎属性/アンデット族/攻3000/守 0

アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上

自分は「戦神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地からアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、除外したモンスターの元々の攻撃力分アップする。

(2):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、除外されている自分の守備力0のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。

 

「【戦神-不知火】の特殊召喚成功時に効果発動!墓地の【シノビネクロ】を除外し、その攻撃力分だけ自身の攻撃力をアップする!」

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3000→3800

 

「更に墓地から除外された【シノビネクロ】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

【シノビネクロ】

チューナー・効果モンスター

星2/闇属性/アンデット族/攻 800/守 0

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分の墓地からこのカード以外のアンデット族モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。その後、手札を1枚選んで捨てる。

(2):墓地のこのカードが、効果を発動するために除外された場合、または効果で除外された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3800

シノビネクロ ★2 DEF0 ※チューナー

 

「墓地の【馬頭鬼】を除外して効果発動!墓地から【不知火の隠者】を特殊召喚する!」

 

【馬頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3800

シノビネクロ ★2 DEF0 ※チューナー

不知火の隠者 ★4 DEF0

 

「レベル4【不知火の隠者】にレベル2【シノビネクロ】をチューニング!シンクロ召喚!現れよ、レベル6!【刀神-不知火】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

【刀神-不知火】

シンクロ・効果モンスター

星6/炎属性/アンデット族/攻2500/守 0

アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上

自分は「刀神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、除外されている自分のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て守備表示にする。この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが除外された場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は500ダウンする。

 

 【シノビネクロ】はフィールドから離れた際に除外されたか。

 

「バトルフェイズに移行する!【戦神-不知火】で【E・HERO エアーマン】に攻撃!」

 

戦神-不知火 ATK3800

vs

E・HERO エアーマン ATK1800

 

「ぐわぁぁぁっ!」

十代&コナミ LP:8000→6000

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

 あの伏せカードはミラーフォースのような攻撃反応型の罠カードではないのか?

 

「ここでリバースカードオープン!罠カード【ヒーロー・シグナル】発動!デッキから【E・HERO シャドー・ミスト】を特殊召喚する!」

十代&コナミ 伏せカード:2→1枚。

 

【ヒーロー・シグナル】

通常罠

(1):自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。

手札・デッキからレベル4以下の「E・HERO」モンスター1体を特殊召喚する。

 

<十代&コナミのフィールド>

E・HERO シャドー・ミスト ★4 DEF1500

 

【E・HERO シャドー・ミスト】

効果モンスター

星4/闇属性/戦士族/攻1000/守1500

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「チェンジ」速攻魔法カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「E・HERO シャドー・ミスト」以外の「HERO」モンスター1体を手札に加える。

 

「特殊召喚に成功した【E・HERO シャドー・ミスト】の効果発動!デッキから【マスク・チェンジ】を手札に加える!」

十代 手札:4→5枚

 

 うげっ!めんどくさいカードを手札に加えられてしまったな。

 

「続けて【刀神-不知火】で【E・HERO シャドー・ミスト】に攻撃!」

 

刀神-不知火 ATK2500

vs

E・HERO シャドー・ミスト DEF1500 ※戦闘破壊

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

 【E・HERO シャドー・ミスト】の効果は2種類のうちいずれか1つしか同一ターンに使用できない。つまりこのターンは墓地に送っても2つ目の効果が発動することは無い。

 

「【ジャック・ア・ボーラン】でダイレクトアタック!」

 

「リバースカードオープン!速攻魔法【クリボーを呼ぶ笛】発動!デッキから【ハネクリボー】を特殊召喚するぜ!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【クリボーを呼ぶ笛】

速攻魔法

自分のデッキから「クリボー」または「ハネクリボー」1体を選択し、

手札に加えるか自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

 

<十代&コナミのフィールド>

ハネクリボー ★1 DEF200

 

「頼んだぜ相棒!」

『クリクリ~!』

 

【ハネクリボー】

効果モンスター

星1/光属性/天使族/攻 300/守 200

(1):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

「【ジャック・ア・ボーラン】で【ハネクリボー】に攻撃!」

 

ジャック・ア・ボーラン ATK1500

vs

ハネクリボー DEF200 ※戦闘破壊

 

『クリィー!!』

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

 厄介な毛玉の盾だな。十代がピンチになったらどこからでも出てくる気がするぞ。

 

「これ以上の攻撃は無駄か。メインフェイズ2に移行!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

クロト 手札:3→1枚

クロト&レイン 伏せカード:0→2枚

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:6000、フィールド魔法:1枚、伏せカード:0枚

十代 手札:5枚

コナミ 手札:5枚

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:8000、フィールド魔法:1枚、伏せカード:2枚。

クロト 手札:1枚

レイン 手札:5枚

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

 

 十代のエースカードの1枚は葬ることが出来たし、フィールドのカード差は付いているけれど、その分だけ俺の手札は消費してしまったな。

 

 次はコナミのターンなわけだが、俺の手札は【リヴェンデット・ボーン】のみだ。だけど妨害手段がないわけではない。何処で邪魔するかによって命運が分かれそうだな。

 

「オレのターンだ!ドロー!スタンバイ、メインフェイズへ…」

コナミ 手札:5→6枚

 

「おっと、スタンバイフェイズに墓地の【死霊王 ドーハスーラ】の効果発動!墓地から守備表示で特殊召喚する!」

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

ジャック・ア・ボーラン ★7 ATK1500

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

死霊王 ドーハスーラ ★8 DEF2000

 

「もういいか?メインフェイズへ移行するぞ!」

 

 さて、今回のアイツのデッキは何だろうか。最近お気に入りっぽい【絵札の三銃士】か【カオス】辺りかな?

 

 十代と組むわけだから【征竜】とかじゃないよな?

 

「1000LPを支払い、オレは手札から速攻魔法【コズミック・サイクロン】を発動!フィールド魔法【アンデットワールド】を除外する!」

コナミ 手札:6→5枚

十代&コナミ LP:6000→5000

 

【コズミック・サイクロン】

速攻魔法

(1):1000LPを払い、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを除外する。

 

「むっ、【アンデットワールド】が墓地送りじゃなく除外されたのは痛いな…」

クロト&レイン フィールド魔法:1→0枚

 

 これでフィールド・墓地のモンスターをアンデット族にする効果が無くなり、【死霊王 ドーハスーラ】や【ジャック・ア・ボーラン】の効果範囲が狭まってしまったな。

 

「オレは手札から魔法カード【聖杯の継承】を発動!デッキから【聖騎士の盾持ち】を手札に加える!」

コナミ 手札:5→4→5枚

 

【聖杯の継承】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分のデッキ・墓地から「聖騎士」モンスター1体または「聖剣」カード1枚を選んで手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在し、「聖剣」装備魔法カードを装備した自分の「聖騎士」モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。このカードを手札に加える。

 

 聖騎士デッキ…じゃないな。シェリーデッキか。相変わらず何処からデッキを拾ってくるんだか。

 

「手札から【聖騎士の盾持ち】を除外して効果発動!デッキから【花騎士団の白馬】を手札に加える!」

コナミ 手札:5→4→5枚

 

「手札から永続魔法【シンクロ・ディレンマ】を発動」

コナミ 手札:5→4枚

十代&コナミ 永続魔法:0→1枚。

 

【シンクロ・ディレンマ】

永続魔法

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。

●手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「シンクロン」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札からモンスター1体を特殊召喚する。

●このカード以外の自分フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、そのカードとは元々のカード名が異なる「シンクロン」モンスター1体を自分の手札・墓地から選んで特殊召喚する。

 

「【シンクロ・ディレンマ】の効果発動!手札の【フルール・シンクロン】を墓地に送り、手札から【ネクロ・シンクロン】を特殊召喚!」

コナミ 手札:4→3→2枚

 

<十代&コナミのフィールド>

ネクロ・シンクロン ★2 ATK200 ※チューナー

 

【ネクロ・シンクロン】

チューナー・効果モンスター

星2/闇属性/機械族/攻 200/守 400

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「フルール・シンクロン」として扱う。

(2):このカード以外の自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルをターン終了時まで2つ上げる。

(3):このカードが風属性SモンスターのS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから植物族・レベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

「更にオレは手札から【花騎士団の白馬】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:2→1枚

 

<十代&コナミのフィールド>

ネクロ・シンクロン ★2 ATK200 ※チューナー

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

 

【花騎士団の白馬】

効果モンスター

星6/風属性/獣族/攻2400/守1800

このカード名の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、

(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドにレベル2以下のモンスターが存在する場合、このカードは手札から守備表示で特殊召喚できる。

(2):相手モンスターの攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その攻撃を無効にし、対象のカードを破壊する。

 

 これは…バロネスルートか?

 

「【ネクロ・シンクロン】の効果発動!自身のレベルを2つ上げる!」

 

「チェーンして俺は【刀神-不知火】の効果発動!除外されている【シノビネクロ】をデッキに戻し、【ネクロ・シンクロン】を守備表示にする!」

 

「更にチェーンして俺は【死霊王 ドーハスーラ】の効果発動!【ネクロ・シンクロン】を除外する!」

 

チェーン③死霊王 ドーハスーラ

チェーン②刀神-不知火 ※対象を失い、不発

チェーン①ネクロ・シンクロン ※対象を失い、不発

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

 

「止められたか。じゃあオレは手札から魔法カード【三戦の才】を発動!デッキから2ドロー!」

コナミ 手札:1→0枚

 

【三戦の才】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このターンの自分メインフェイズに相手がモンスターの効果を発動している場合、

以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分はデッキから2枚ドローする。

●相手フィールドのモンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る。

●相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んでデッキに戻す。

 

 モンスター効果を使わされたって感じだな。でも、やっぱりお前たちなら入っているよな逆転の為のドローカード。こちらもそのドロー力を利用させてもらうぞ!

 

「チェーンして伏せていた永続罠【便乗】を発動する!」

クロト&レイン 伏せカード:2→1枚、永続罠:0→1枚。

 

【便乗】

永続罠

相手がドローフェイズ以外でカードをドローした時に発動する事ができる。

その後、相手がドローフェイズ以外でカードをドローする度に、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 

チェーン②便乗

チェーン①三戦の才

 

「いい引きだ!」」

コナミ 手札:0→2枚

 

 次回以降、相手がドローするたびに俺はその効果に便乗して2ドローできる。普段なら使いづらいカードだが、コイツ等が相手なら充分に使えるカードになるだろう。

 

 増Gで良くね?って言いたいかも知れないが、ソリッドヴィジョンで無数のアレを見たくないんだよ!俺、虫、嫌い!

 

「オレは更に手札から魔法カード【埋葬呪文の宝札】を発動!墓地から【コズミック・サイクロン】、【聖杯の継承】、【三戦の才】を除外する!」

コナミ 手札:2→1枚

 

 お前も持ってるんかい!俺も欲しいんだけど!何処で手に入れてんのそれ!

 

「そしてデッキから2ドロー!おっ…いいカードを引いたな」

コナミ 手札:1→3枚

 

「まぁ、今はいいか。俺も【便乗】の効果により2ドローさせてもらうぞ」

クロト 手札:1→3枚

 

「これを活かす為には…まずはオレは手札から【花騎士団の駿馬】を通常召喚!」

コナミ 手札:3→2枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

花騎士団の駿馬 ★3 ATK400

 

【花騎士団の駿馬】

効果モンスター

星3/風属性/獣族/攻 400/守 800

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから光属性の「聖騎士」モンスター1体を手札に加える。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。融合モンスターカードによって決められた、フィールドのこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

 どうする?これ、止めるか?…いや、なんとなく嫌な気配がする。ここはまだ使わないでおこう。

 

「【花騎士団の駿馬】の召喚成功時に効果発動!デッキから【聖騎士の槍持ち】を手札に加える」

コナミ 手札:2→3枚

 

「更に【花騎士団の駿馬】の効果発動!自身と手札の【聖騎士の槍持ち】を墓地に送って【ケンタウルミナ】を融合召喚する!」

コナミ 手札:3→2枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

ケンタウルミナ ★6 ATK2200

 

【ケンタウルミナ】

融合・効果モンスター

星6/光属性/獣戦士族/攻2200/守1600

戦士族・光属性モンスター+獣族モンスター

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・墓地からレベル2以下のモンスター1体を選んで特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、自分ターンに相手が罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードをそのままセットする。

(3):このカードが戦士族・風属性SモンスターのS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。フィールドの表側表示モンスター1体を選んで破壊する。

 

「【ケンタウルミナ】の効果発動!墓地から【聖騎士の槍持ち】を特殊召喚する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

ケンタウルミナ ★6 ATK2200

聖騎士の槍持ち ★2 DEF400

 

【聖騎士の槍持ち】

効果モンスター

星2/光属性/戦士族/攻 800/守 400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分フィールドのレベル8以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはエンドフェイズまで、カード名を「フルール・シンクロン」として扱い、チューナーとして扱う。

(2):このカードをリリースして発動できる。デッキから装備魔法カード1枚を手札に加える。

 

「【聖騎士の槍持ち】の効果発動!【ケンタウルミナ】を「フルール・シンクロン」として扱い、チューナーとして扱う!」

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

ケンタウルミナ→フルール・シンクロン ★6 ATK2200 ※チューナー

聖騎士の槍持ち ★2 DEF400

 

「更に【聖騎士の槍持ち】をリリースして効果発動!デッキから【フルール・ド・フルーレ】を手札に加える!」

コナミ 手札:2→3枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ★10 ATK3500

フルール・シンクロン ★6 ATK2200 ※チューナー

 

「オレは手札から装備魔法【フルール・ド・フルーレ】を発動!墓地の【聖騎士の槍持ち】を特殊召喚してこのカードを装備する!」

コナミ 手札:3→2枚

十代&コナミ 装備魔法:0→1枚。

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・シンクロン ★6 ATK2200 ※チューナー

聖騎士の槍持ち ★2 DEF400

 

【フルール・ド・フルーレ】

装備魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚し、このカードを装備する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

(2):装備モンスターの攻撃力は700アップする。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドのSモンスター1体を選び、このカードを装備する。

 

「オレはレベル2【聖騎士の槍持ち】にレベル6の【フルール・シンクロン】となった【ケンタウルミナ】をチューニング!」

 

十代&コナミ 装備魔法:1→0枚。

 

 合計レベルは8!この召喚条件ならば呼び出されるシンクロモンスターは…。

 

「光速より生まれし肉体よ、革命の時は来たれり。勝利を我が手に!シンクロ召喚!現れろ、レベル8!煌めけ、【フルール・ド・シュヴァリエ】!」

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK2700

 

【フルール・ド・シュヴァリエ】

シンクロ・効果モンスター

星8/風属性/戦士族/攻2700/守2300

「フルール・シンクロン」+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):1ターンに1度、自分ターンに相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「そして墓地から【フルール・ド・フルーレ】の効果を発動!【フルール・ド・シュヴァリエ】に装備する!」

 

「更にシンクロ素材となった【ケンタウルミナ】の効果発動!【ジャック・ア・ボーラン】を破壊する!」

 

チェーン②ケンタウルミナ

チェーン①フルール・ド・フルーレ

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

死霊王 ドーハスーラ ★8 DEF2000

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK2700→3400

 

十代&コナミ 装備魔法:0→1枚。

 

 

 う~ん、プレミしたかも?やはりさっきの展開を止めておいた方が良かったかなぁ。

 

 いや、でもなんとな~くさっきから嫌な予感がするんだよなぁ。

 

 

「さっきはモンスター効果を無効化してこなかったし…行けるかな?」

 

 

 なんだ?背中に悪寒が走ったような…。

 

「オレは墓地の光属性戦士族【聖騎士の槍持ち】と闇属性悪魔族【ユベル】を除外してこのモンスターを特殊召喚する」

 

 はっ?

 

「ま、まさかその召喚条件は…!」

 

「現れよ!【カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-】!!」

コナミ 手札:2→1枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ★10 ATK3500

 

【カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル10/光属性/戦士族/攻撃力3500/守備力2000

効果モンスター

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地に存在する光属性・戦士族モンスター1体と闇属性・悪魔族モンスター1体をそれぞれゲームから除外する事で特殊召喚できる。

(1):このカードの特殊召喚に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

(2):1000ライフポイントを払う事で、相手の手札・フィールド・墓地に存在するカードを全てゲームから除外する。その後、この効果で除外したカードの枚数×500ポイントのダメージを相手ライフに与える。

 

 フィールドに現れたのは、2本の首を持った竜を従え、ハルバートを持っているカオス・ソルジャー-開闢の使者。

 

「なっ…嘘やろお前ぇ!!」

 

 いやいやいや!アニメZEXALのハートランド美術館に展示されていた出自不明のぶっ壊れカードじゃねーか!!

 

「1000LPを支払って【カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-】の効果発動!相手の手札・フィールド・墓地に存在するカードを全てゲームから除外する!」

十代&コナミ LP:5000→4000

 

「さ、させるかぁぁぁ!チェーンして手札から【エフェクト・ヴェーラー】を墓地に送って効果発動!そのモンスター効果そのものを無効にする!」

クロト 手札:3→2枚。

 

【エフェクト・ヴェーラー】

チューナー・効果モンスター

星1/光属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):相手メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送り、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。

 

「ちぇー。防がれたかー」

 

チェーン②エフェクト・ヴェーラー

チェーン①カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ※効果無効&破壊

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ★10 ATK3500 ※効果無効

 

「あ、危なかった…」

 

 念の為に手札誘発カードを残しておいてよかった…あんなカードまで持っているとはな。

 

 もし【便乗】でドローできていなかったら…もし効果を通してたらそのまま一発でゲームエンドだったじゃねーか!

 

「仕方ない。それならこのままバトルだ!【花騎士団の白馬】で【死霊王 ドーハスーラ】を攻撃!」

 

花騎士団の白馬 ATK2400

vs

死霊王 ドーハスーラ DEF2000 ※戦闘破壊

 

<クロト&レインのフィールド>

真血公ヴァンパイア ☆8 ATK3000 ORU:1

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

「続いて【カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-】で【真血公ヴァンパイア】を攻撃!」

 

カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ATK3500

vs

真血公ヴァンパイア ATK3000 ※戦闘破壊

 

「うっ!?」

クロト&レイン LP:8000→7500

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

刀神-不知火 ★6 ATK2500

 

「【フルール・ド・シュヴァリエ】で【刀神-不知火】を攻撃!フルール・ド・オラージュ!」

 

フルール・ド・シュヴァリエ ATK3400

vs

刀神-不知火 ATK2500 ※戦闘破壊

 

「ぐっ!?」

クロト&レイン LP:7500→6600

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

 

「メインフェイズ2に移行。オレはカードを1枚セットしてターンエンド!」

コナミ 手札:1→0枚

十代&コナミ 伏せカード:0→1枚。

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:4000、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚、装備魔法:1枚、伏せカード:1枚

十代 手札:5枚

コナミ 手札:0枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者- ★10 ATK3500

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:6600、フィールド魔法:0枚、永続罠:1枚、伏せカード:1枚。

クロト 手札:2枚

レイン 手札:5枚

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

 

 

 何とか凌ぎ切ったか。アイツ等のフィールドにはこちらの動きに干渉できる可能性のあるカードはあの伏せカードのみだ。

 

 俺たちの墓地には【妖刀-不知火】や【不知火の隠者】がある。このレインのターンで勝負を決められる可能性が高いな。

 

 もし決め損ねてボクの考えた最強のカードことカオスエンド・ルーラーが残ってしまったら逆にこちらの敗北必至だろう。

 

 

「私のターン、ドロー。スタンバイ、メインフェイズ」

レイン 手札:5→6枚

 

「魔法カード【マジック・プランター】発動。【便乗】を墓地に送ってデッキから2ドロー」

レイン 手札:6→5→7枚

クロト&レイン 永続罠:1→0枚。

 

【マジック・プランター】

通常魔法

(1):自分フィールドの表側表示の永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

「手札から永続魔法【呪われしエルドランド】発動。800LPを払って効果発動。デッキから【黄金卿エルドリッチ】を手札に加える」

レイン 手札:7→6→7枚

クロト&レイン LP:6600→5800、永続魔法:0→1枚。

 

【呪われしエルドランド】

永続魔法

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分はアンデット族モンスターでしか攻撃宣言できない。

(2):800LPを払って発動できる。デッキから「エルドリッチ」モンスター1体または「黄金郷」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカードが魔法&罠ゾーンから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「エルドリッチ」モンスター1体または「黄金郷」魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

「【黄金卿エルドリッチ】の効果発動。手札から自身と【巨神封じの矢】を墓地に送り、そちらの伏せカードを破壊」

レイン 手札:7→6→5枚

 

【黄金卿エルドリッチ】

効果モンスター

星10/光属性/アンデット族/攻2500/守2800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札からこのカードと魔法・罠カード1枚を墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ送る。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを手札に加える。その後、手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターは相手ターン終了時まで、攻撃力・守備力が1000アップし、効果では破壊されない。

 

「リバースカードオープン!罠カード【威嚇する咆哮】発動!このターンのバトルフェイズを封じるぞ!」

十代&コナミ 伏せカード:1→0枚。

 

【威嚇する咆哮】

通常罠

(1):このターン相手は攻撃宣言できない。

 

チェーン②威嚇する咆哮

チェーン①黄金卿エルドリッチ

 

 俺達のデッキには効果ダメージを狙えるカードは少ない。このターンでの勝利はほぼ不可能になったな。

 

「墓地から【黄金卿エルドリッチ】の効果発動。【呪われしエルドランド】を墓地に送り、このカードを手札に加え、特殊召喚する」

 

「墓地に送られた【呪われしエルドランド】の効果発動。デッキから【白き宿命のエルドリクシル】を墓地に送る」

クロト&レイン LP:6600→5800、永続魔法:1→0枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK2500→3500

 

「リバースカードオープン。永続罠【黄金郷のコンキスタドール】発動。特殊召喚し、【カオスエンド・ルーラー-開闢と終焉の支配者-】を破壊」

クロト&レイン 伏せカード:1→0枚。

 

【黄金郷のコンキスタドール】

永続罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードは発動後、通常モンスター(アンデット族・光・星5・攻500/守1800)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。自分フィールドに「黄金卿エルドリッチ」が存在する場合、さらにフィールドの表側表示のカード1枚を選んで破壊できる。

(2):自分・相手のエンドフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「エルドリクシル」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK3500

黄金郷のコンキスタドール ★5 DEF1800

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

 

「やっぱり破壊されるよな~」

 

「魔法カード【おろかな副葬】発動。デッキから【黒き覚醒のエルドリクシル】を墓地に送る」

レイン 手札:5→4枚

 

【おろかな副葬】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

「墓地の【黒き覚醒のエルドリクシル】を除外して効果発動。デッキから【黄金郷のワッケーロ】をフィールドにセット」

 

【黒き覚醒のエルドリクシル】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):手札・デッキからアンデット族モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。自分フィールドに「エルドリッチ」モンスターが存在しない場合には、この効果で「エルドリッチ」モンスターしか特殊召喚できない。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はアンデット族モンスターしか特殊召喚できない。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「黄金郷」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

クロト&レイン 伏せカード:0→1枚。

 

「更に手札を2枚セット」

レイン 手札:4→2枚

クロト&レイン 伏せカード:1→3枚。

 

「そして手札から【天獄の王】の効果発動。手札のこのカードを相手ターン終了時まで公開する」

 

【天獄の王】

効果モンスター

星10/闇属性/岩石族/攻3000/守3000

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。手札のこのカードを相手ターン終了時まで公開する。この効果で公開し続けている間、フィールドにセットされたカードは効果では破壊されない。

(2):セットされた魔法・罠カードが発動した場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。手札で公開されている状態でこの効果を発動した場合、さらにデッキから魔法・罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。そのカードは次のターンのエンドフェイズに除外される。

 

「ターンエンド。エンドフェイズに墓地の【白き宿命のエルドリクシル】を除外して効果発動。デッキから【永久に輝けし黄金郷】をセット」

クロト&レイン 伏せカード:3→4枚。

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:4000、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚、装備魔法:1枚、伏せカード:0枚

十代 手札:5枚

コナミ 手札:0枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:5800、フィールド魔法:0枚、伏せカード:4枚。

クロト 手札:2枚

レイン 手札:2枚

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK3500→2500

黄金郷のコンキスタドール ★5 DEF1800

 

 

「オレのターン、ドロー!」

十代 手札:5→6枚

 

 

 これで十代の手札にはネオス、スパークマン、オネスティネオス、マスクチェンジ、そして不明札が2枚か。

 

 シュヴァリエが魔法・罠を無効化してくるが、俺達のフィールドにはあのカードがある。何とかなるはずだ。

 

 

「オレは手札から魔法カード【テイク・オーバー5】を発動!デッキトップから墓地に5枚カードを送る!」

十代 手札:6→5枚

 

【テイク・オーバー5】※アニメオリジナルカード

通常魔法

自分のデッキの上からカードを5枚墓地に送る。

次の自分のスタンバイフェイズ時に墓地のこのカードが存在する場合、手札・デッキ・墓地のこのカードと同名のカードをゲームから除外する事で、デッキからカードを1枚ドローする事ができる。

また、このカードが墓地に存在する限り、自分のカードの効果でデッキからカードを墓地に送る効果を無効にする。

 

「リバースカードオープン。カウンター罠【永久に輝けし黄金郷】発動。【黄金郷のコンキスタドール】をリリース、【テイク・オーバー5】の発動は無効」

クロト&レイン 伏せカード:4→3枚。

 

【永久に輝けし黄金郷】

カウンター罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに「エルドリッチ」モンスターが存在し、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

チェーン②永久に輝けし黄金郷

チェーン①テイク・オーバー5 ※無効&破壊

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK2500

 

 大量墓地肥やしは防ぐことが出来たが、カウンター罠を使ってしまったな。あと1枚は何のカードだろうか。

 

「オレは手札から【E・HERO スパークマン】を通常召喚!」

十代 手札:5→4枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO スパークマン ★4 ATK1600

 

【E・HERO スパークマン】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

様々な武器を使いこなす、光の戦士のE・HERO。

聖なる輝きスパークフラッシュが悪の退路を断つ。

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】発動!フィールドの【E・HERO スパークマン】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

十代 手札:4→3→5枚

 

【馬の骨の対価】

通常魔法

(1):効果モンスター以外の自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

 またドローカードか!

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

 

「更にオレは手札から魔法カード【復活の祭壇】発動!デッキトップから2枚除外し、墓地の【埋葬呪文の宝札】を手札に加える!」

十代 手札:5→4枚

 

【復活の祭壇】※アニメオリジナルカード

通常魔法

自分のデッキの上からカードを2枚ゲームから除外して発動できる。

墓地に存在するカードを1枚選択して手札に加える。

 

<十代がデッキから除外したカード>

①N・フレア・スカラベ

②N・ブラック・パンサー

 

 またアニオリか!コスト軽すぎるだろ!パワーカード過ぎる!そもそも【テイク・オーバー5】のデメリット効果が…除外かよチクショウ!本当に何処からそんなカード拾ってくるんだよ!

 

「リバースカードオープン。永続罠【黄金郷のワッケーロ】発動。特殊召喚し、墓地の【埋葬呪文の宝札】を除外」

クロト&レイン 伏せカード:3→2枚。

 

【黄金郷のワッケーロ】

永続罠

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

(1):このカードは発動後、通常モンスター(アンデット族・光・星5・攻1800/守1500)となり、モンスターゾーンに特殊召喚する。このカードは罠カードとしても扱う。自分フィールドに「黄金卿エルドリッチ」が存在する場合、さらに自分・相手の墓地のカード1枚を選んで除外できる。

(2):自分・相手のエンドフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「エルドリクシル」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

 

「おっと!チェーンして【フルール・ド・シュヴァリエ】の効果を発動する!【黄金郷のワッケーロ】の発動は無効だぜ!」

 

チェーン③フルール・ド・シュヴァリエ

チェーン②黄金郷のワッケーロ

チェーン①復活の祭壇

 

十代 手札:4→5枚

 

 防がれてしまったが【フルール・ド・シュヴァリエ】の効果は使わせた。もう十代たちはこちらの残りの伏せカードを防げないはずだ。

 

「そしてオレは手札から魔法カード【埋葬呪文の宝札】発動!墓地の【馬の骨の対価】、【テイク・オーバー5】、【復活の祭壇】を除外してデッキから2ドロー!」

十代 手札:5→4→6枚

 

 手札が変わりすぎて十代の残り手札が分からなくなってきたぞ。確か、ネオス、オネスティ、マスクチェンジ、不明札3枚だっけ?

 

「行くぜ!オレは手札から魔法カード【ミラクル・フュージョン】を発動!墓地の【E・HERO スパークマン】を除外して融合召喚!来い!【E・HERO グランドマン】!」

十代 手札:6→5枚

 

【ミラクル・フュージョン】

通常魔法

(1):自分のフィールド・墓地から、「E・HERO」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO グランドマン ★6 ATK0→2400

 

【E・HERO グランドマン】

融合・効果モンスター

星6/光属性/戦士族/攻 0/守 0

「HERO」通常モンスター×2

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力・守備力は、このカードの融合素材としたモンスターの元々のレベルの合計×300アップする。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、このカードをリリースして発動できる。EXデッキから「E・HERO」融合モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは自身のレベル以下のレベルを持つモンスターを攻撃できない。

 

「墓地の【巨神封じの矢】の効果発動。このカードをセットする」

クロト&レイン 伏せカード:2→3枚。

 

【巨神封じの矢】

通常罠

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):EXデッキから特殊召喚された相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。

(2):このカードが墓地に存在する状態で、相手がEXデッキからモンスターを特殊召喚した場合に発動できる。このカードを自分フィールドにセットする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「オレはフィールド魔法【融合再生機構】の効果発動!手札から【ネクロ・ガードナー】を墓地に送ってデッキから【融合】を手札に加える!」

十代 手札:5→4→5枚

 

「そして手札から魔法カード【融合】発動!」

十代 手札:5→4→2枚

 

【融合】

通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。

 

「チェーンしてリバースカードオープン。永続罠【黄金郷のガーディアン】発動。特殊召喚し、【E・HERO グランドマン】の攻撃力を0にする」

クロト&レイン 伏せカード:3→2枚

 

「更に【天獄の王】の効果発動。自身を特殊召喚」

 

チェーン③天獄の王

チェーン②黄金郷のガーディアン

チェーン①融合

 

レイン 手札:2→1枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK2500

天獄の王 ★10 DEF3000

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

「手札の【E・HERO ネオス】と【N・エア・ハミングバード】を融合!出でよ!【E・HERO ブレイヴ・ネオス】!

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO グランドマン ★6 ATK2400→0

E・HERO ブレイヴ・ネオス ★7 ATK2500→3000

 

【E・HERO ブレイヴ・ネオス】

融合・効果モンスター

星7/光属性/戦士族/攻2500/守2000

「E・HERO ネオス」+レベル4以下の効果モンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

(1):このカードの攻撃力は自分の墓地の「N(ネオスペーシアン)」モンスター及び「HERO」モンスターの数×100アップする。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。「E・HERO ネオス」のカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。

 

<十代たちの墓地のネオスペーシアン及びHEROモンスター>

①E・HERO エアーマン

②E・HERO シャドー・ミスト

③E・HERO プリズマー

④N・グラン・モール

④E・HERO ネオス

⑤N・エア・ハミングバード

 

 残る手札はオネスティとマスクチェンジか。

 

「良し、バトルだ!【E・HERO ブレイヴ・ネオス】で【黄金卿エルドリッチ】を攻撃!」

 

「リバースカードオープン。1000LPを支払って永続罠【スキルドレイン】発動」

クロト&レイン LP:5800→4800、伏せカード:2→1枚

 

「相打ちじゃないぜ!墓地の【ネオス・フュージョン】を除外して効果発動!この効果でブレイヴ・ネオスは戦闘破壊されない!」

 

E・HERO ブレイヴ・ネオス ATK3000→2500

vs

黄金卿エルドリッチ ATK2500 ※戦闘破壊

 

 だが【スキルドレイン】の効果で【E・HERO ブレイヴ・ネオス】の効果は発動しない。

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3800→3000

天獄の王 ★10 DEF3000

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

「次だ!【フルール・ド・シュヴァリエ】で【天獄の王】を攻撃!」

 

フルール・ド・シュヴァリエ ATK3400

vs

天獄の王 DEF3000 ※戦闘破壊

 

<クロト&レインのフィールド>

戦神-不知火 ★8 ATK3000

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

「ここで手札から速攻魔法【マスク・チェンジ】発動!光属性の【E・HERO グランドマン】を墓地に送ってエクストラデッキから【M・HERO 光牙】を特殊召喚するぜ!」

十代 手札:2→1枚。

 

【マスク・チェンジ】

速攻魔法

(1):自分フィールドの「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の「M・HERO」モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する。

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO ブレイヴ・ネオス ★7 ATK2500

M・HERO 光牙 ★8 ATK2500

 

【M・HERO 光牙】

融合・効果モンスター

星8/光属性/戦士族/攻2500/守1800

このカードは「マスク・チェンジ」の効果でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードの攻撃力は相手フィールドのモンスターの数×500アップする。

(2):1ターンに1度、自分の墓地の「HERO」モンスター1体を除外し、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために除外したモンスターの攻撃力分ダウンする。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「行け【M・HERO 光牙】!【戦神-不知火】を攻撃!」

 

M・HERO 光牙 ATK2500

vs

戦神-不知火 ATK3000

 

「この瞬間!手札から【E・HERO オネスティ・ネオス】を墓地に送って効果発動!【M・HERO 光牙】の攻撃力を2500アップする!」

十代 手札:1→0枚。

 

【E・HERO オネスティ・ネオス】

効果モンスター

星7/光属性/戦士族/攻2500/守2000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。

(1):このカードを手札から捨て、フィールドの「HERO」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで2500アップする。

(2):手札から「HERO」モンスター1体を捨てて発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、捨てたモンスターの攻撃力分アップする。

 

M・HERO 光牙 ATK2500→5000

vs

戦神-不知火 ATK3000 ※戦闘破壊

 

「っ!?」

クロト&レイン LP:4800→2800

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

「【戦神-不知火】の効果発動。除外されている【リヴェンデット・スレイヤー】を墓地に戻す」

 

「倒しきれなかったか…。ターンエンドだ!エンドフェイズに【融合再生機構】の効果で墓地の【N・エア・ハミングバード】を手札に加えるぜ!」

十代 手札:0→1枚

 

「エンドフェイズに墓地の【黄金郷のコンキスタドール】を除外して効果発動。デッキから【紅き血染めのエルドリクシル】をセット」

クロト&レイン 伏せカード:1→2枚

 

 

◆遊城十代と赤羽コナミ LP:4000、フィールド魔法:1枚、永続魔法:1枚、装備魔法:1枚、伏せカード:0枚

十代 手札:1枚

コナミ 手札:0枚

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO ブレイヴ・ネオス ★7 ATK2500

M・HERO 光牙 ★8 ATK5000→2500

 

vs

 

◆白河クロト&レイン恵 LP:2800、フィールド魔法:0枚、永続罠:1枚、伏せカード:2枚。

クロト 手札:2枚

レイン 手札:1枚

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

 

 ブレイブネオスやグランドマンの効果を通していたらそのまま負けていた可能性が高い。【スキルドレイン】のお陰で助かったな。

 

 もはや向こうにはこちらを妨害するカードは残っておらず、コナミは手札は0、十代の1枚もキモチュッチュさんだけだ。

 

 だが、アニメだともし俺がこのターンで仕留めきれなった場合だとどこからともなく逆転BGMが流れて来て返しの一手を打たれてしまう展開になるだろう。

 

 油断せず、このターンで終わらせよう。

 

 

「俺のターン、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズに移行する!」

クロト 手札:2→3枚

 

 うん?このカードは…駄目押しに使えそうだしせっかくだし出してみるか?

 

「墓地の【黄金卿エルドリッチ】の効果発動!フィールドの永続罠【スキルドレイン】を墓地に送って自身を手札に戻し、さらに特殊召喚する!」

クロト 手札:3→4→3枚

クロト&レイン 永続罠:1→0枚。

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK2500→3500

 

「だが、【スキルドレイン】が無くなったことでオレのヒーローたちも力を取り戻すぜ!」

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO ブレイヴ・ネオス ★7 ATK2500→3000

M・HERO 光牙 ★8 ATK2500→3500

 

「俺は手札から儀式魔法【リヴェンデット・ボーン】発動!墓地の【刀神-不知火】を除外し、墓地から【リヴェンデット・スレイヤー】を儀式召喚する!」

クロト 手札:3→2枚

 

【リヴェンデット・ボーン】

儀式魔法

「ヴェンデット」儀式モンスターの降臨に必要。

(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地のアンデット族モンスターを除外し、自分の手札・墓地から「ヴェンデット」儀式モンスター1体を儀式召喚する。

(2):自分フィールドの「リヴェンデット・スレイヤー」が戦闘・効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK3500

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400

 

【リヴェンデット・スレイヤー】

儀式・効果モンスター

星6/闇属性/アンデット族/攻2400/守 0

「ヴェンデット」儀式魔法カードにより降臨。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に1度、自分の墓地からアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。このカードの攻撃力は300アップする。

(2):儀式召喚したこのカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加え、デッキから「ヴェンデット」モンスター1体を墓地へ送る。

 

「除外された【刀神-不知火】の効果発動!【M・HERO 光牙】の攻撃力500ダウンさせる!」

 

<十代&コナミのフィールド>

花騎士団の白馬 ★6 ATK2400

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

E・HERO ブレイヴ・ネオス ★7 ATK3000

M・HERO 光牙 ★8 ATK3500→3000

 

「墓地の【妖刀-不知火】の効果発動!墓地の自身と【戦神-不知火】を除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つアンデット族Sモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する!」

 

「合計レベルは…10!?」

 

「現れよ!レベル10【炎神-不知火】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

黄金卿エルドリッチ ★10 ATK3500

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400

炎神-不知火 ★10 ATK3500

 

【炎神-不知火】

シンクロ・効果モンスター

星10/炎属性/アンデット族/攻3500/守 0

アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上

自分は「炎神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、アンデット族Sモンスターを任意の数だけ選んでエクストラデッキに戻す。その後、戻した数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊できる。

(2):自分フィールドのアンデット族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりに自分の墓地の「不知火」モンスター1体を除外できる。

 

「【炎神-不知火】の効果発動!除外されている【刀神-不知火】と【戦神-不知火】をエクストラデッキに戻し、【花騎士団の白馬】と【E・HERO ブレイヴ・ネオス】を破壊する!」

 

<十代&コナミのフィールド>

フルール・ド・シュヴァリエ ★8 ATK3400

M・HERO 光牙 ★8 ATK3000

 

「くっ!ネオス!?」

 

「更にレベル10【黄金卿エルドリッチ】と【炎神-不知火】の2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク10!【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】!」

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

リヴェンデット・スレイヤー ★6 ATK2400

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ★10 ATK3000 ORU:2

 

【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク10/地属性/機械族/攻3000/守3000

レベル10モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手に2000ダメージを与える。

 

「【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】のORUを1つ取り除いて効果発動!ORUを1つ取り除いて相手に2000ダメージを与える!」

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス ORU:2→1

 

「ぐあぁぁぁぁっ!」

十代&コナミ LP:4000→2000

 

 そして…これでフィールドに融合、シンクロ、エクシーズ、儀式モンスターが揃った!

 

「俺はフィールドの【M・HERO 光牙】、【フルール・ド・シュヴァリエ】、【超弩級砲塔列車グスタフ・マックス】、【リヴェンデット・スレイヤー】を除外!」

 

「「!?」」

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

 

<十代&コナミのフィールド>

モンスター無し

 

十代&コナミ 装備魔法:1→0枚

 

 

「手札から【創星神 sophia】を特殊召喚する!」

クロト 手札:2→1枚

 

 フィールドに、荒れ果てたOCGの端末世界をリセットさせうる力を持つ最上級天使が降り立つ。

 

<クロト&レインのフィールド>

黄金郷のガーディアン ★8 DEF2500

創星神 sophia ★11 ATK3600

 

【創星神 sophia】

効果モンスター

星11/闇属性/天使族/攻3600/守3400

このカードは通常召喚できない。

自分・相手フィールド上に表側表示で存在する、儀式・融合・シンクロ・エクシーズモンスターをそれぞれ1体ずつゲームから除外した場合のみ特殊召喚できる。このカードの特殊召喚は無効化されない。

このカードが特殊召喚に成功した時、このカード以外のお互いの手札・フィールド上・墓地のカードを全てゲームから除外する。この効果の発動に対して魔法・罠・効果モンスターの効果は発動できない。

 

「レベル11のモンスター…スゲー迫力だぜ!」

 

「迫力だけのモンスターじゃないさ!【創星神 sophia】の効果発動!このカード以外のお互いの手札・フィールド上・墓地のカードを全てゲームから除外する!」

 

「マジか!?」

十代&コナミ フィールド魔法:1→0枚、永続魔法:1→0枚、墓地のカード:無し

 

<クロト&レインのフィールド>

創星神 sophia ★11 ATK3600

 

クロト 手札:1→0枚。伏せカード:1→0枚、墓地のカード:無し

 

 これで十代たちの墓地に眠っていた防御札を使えなくなった。これで、俺達の勝ちだ!

 

「バトルフェイズに移行する!【創星神 sophia】でダイレクトアタック!!」

 

「うわぁぁぁぁっ!」

十代&コナミ LP:2000→0

 

 

~~~

 

『試合終了!タッグフォース大会、第一回の優勝者が決まりました!』

 

 響先生のアナウンスが流れた後、【創星神 sophia】の登場から無音だった観客席から歓声が響き渡った。

 

「良し、勝ったな!」

 

 【不知火ヴェンデッド】と【エルドリッチ】と言うカードパワーの高いデッキを使っておいてだが、勝ちは勝ちだ。素直に嬉しい。

 

「…勝った」

 

 俺が隣に立つレインに話しかけると、彼女がそう返してきた。彼女自身もまんざらでもない様子で、少しだけだが口元に笑みが見える。

 

「くっそー!また白河に負けたー!」

「今回はクロトに勝つ自信あったんだけどなー」

 

 十代とコナミはデュエルリング場に座り込んだままこちらを見上げている。よほど悔しかったのだろう。

 だが、悔しそうではあるが、先ほどのデュエルに充足感を覚えているようで十代たちの顔には晴れやかだった。恐らく全力のデュエルが出来て楽しかったのだろう。

 

「お前たちも強かったよ。だけど、まだ負けてやるわけには行かないな」

「ちぇー。まぁ、いっか!」

「よっと!」

 

 そう言うと十代とコナミは足を振り子のように器用に動かして地面から跳ね起き、こちらに人差し指と中指を向けて…。

 

「「ガッチャ!二人とも、良いデュエルだったぜ!」」

 

 二人は声と動きを完全に合わせ、いつもの決めポーズを送って来た。

 

「うん、ガッチャ」

「…ガッチャ」

 

 俺も二人と同じようにポーズを決めてガッチャを返す。意外にもレインもおずおずとした様子ながらガッチャを返していた。これはまたレアなものを見たな…。

 

「だけど、次は絶対にオレが勝つからな!」

 

 心配せずとも、1年目でその強さなら来年の終わり頃には俺を超えてると思うぞ。

 

「じゃあ、また今度そのうちデュエルしようか」

「おう!」

「オレもオレも!オレもやるからな!」

「はいはい」

 

 十代たちといずれ再戦することを約束し、俺はデュエルリングを降り立った…。




十代のデッキは【HERO】デッキです。『E・HERO』に加えて『M・HERO』も使えるようになり、ネオスの融合体も多くなっていて、更にはぶっ壊れ性能なアニオリカードも搭載しています。もう少し時間が経てば更なるカードプールの強化が行われるので、そろそろオリ主君は負けそうです。

コナミのデッキは【フルール】デッキです。アニメ5D'sでシェリーが使用したデッキカテゴリであり、光属性戦士族の聖騎士モンスターと風属性獣族の花騎士団モンスターがメインとなるシンクロデッキです。今回は登場できませんでしたが、シンクロできずとも【時花の魔女-フルール・ド・ソルシエール】や特殊なフィールド魔法などを使用した戦術も存在します。

クロトのデッキは【不知火ヴェンデッド】です。以前登場した【不知火】【ヴェンデッド】デッキの混合タイプです。今回は【創星神 sophia】を出す為に使用して貰いました。

レインのデッキは【エルドリッチ】です。2020年のデッキビルドパック シークレット・スレイヤーズで登場した【黄金卿エルドリッチ】を主体としたデッキで、その性能の高さから大会環境でも度々姿が見られた強テーマです。

<余談>
ようやくマスターデュエルが配信されましたね。収録カードもリンクモンスターを含んでいて結構多く、色んなハードでプレイできる基本無料オンラインゲームのようです。家でプレイできるので筆者の様にリアル対戦相手に恵まれないデュエリストにも優しめの仕様でなによりです。
無課金でやっているので作れるデッキはまだそこまで多くなく、課金勢とデュエルガチ勢にボコられる日常ですが、低ランク帯には色んなデッキを使う人が居るので見ているだけでも面白いですね。ソロモードのカードストーリーも良い感じです。聖杯ストーリー続きはよ。

次回の更新は1月下旬投稿予定です。

メイン弓様、戦車様、蓮架様、モブ提督様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年目 冬休み編
第百五十二話 とある日のクリスマス


前回のあらすじ:タッグフォース大会終了。

今回はクリスマスシナリオです。


 クリスマス。

 

 それは12月25日に行われるイエス・キリストの降誕祭だ。

 

 前世にあったと言う新約聖書では、ユダヤのベツレヘムの馬小屋で聖母マリアのもとにキリストが生を受けたその日を特定しては居なかったそうだ。

 そのため、降誕祭とは「キリストの誕生日」ではなく、「キリストが生まれてきたことをお祝いする日」とのことらしい。

 

 北ヨーロッパに住んでいたゲルマン民族は冬至のお祭り「ユール」の一環として、寒さに強い樫の木を永遠の象徴として崇めていたらしい。

 この信仰を諦めさせるためにキリスト教の宣教師が樫の木を切り倒し、代わりにモミの木を広めたのではないか、と言うのが前世におけるクリスマスツリーの由来だそうだ。

 

 前世におけるサンタクロースとクリスマスプレゼントの由来は、キリスト教の聖人である奇蹟者ニコラウスの伝説が元となったそうだ。

 とても慈悲深い人物であったニコラウス氏が貧しい家に金貨を投げ入れた際にその金貨が暖炉にかかっていた靴下にそのまま入ったと言うのが元ネタらしい。

 

 クリスマスに七面鳥を食べるのは、アメリカ大陸の開拓民たちが食べ物に困り飢えに苦しんでいた時、先住民のインディアンたちに七面鳥の施しを受けたことが由来っぽい。

 その際に七面鳥が感謝のシンボルとなり、転じてキリスト降誕への感謝を表すためにクリスマスのごちそうになった、という説があるそうだ。

 

 

 それが日本人と来たらもう…ね?

 

 クリスマスとは…決して恋人たちがイチャイチャしたりする日などではないのだ…!

 

 そんな要素、何処にも無かっただろう…!どうしてそうなってしまったんだ!

 

 

 俺は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の赤帽子を除かなければならぬと決意した。

 

 俺にはこの世界の歴史背景が解らぬ。

 

 俺はごく一般的な神様転生チート野郎である。日々デッキをシャッフル&ドローし、デュエルして暮らして来た。

 

 けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 

「誰がクリぼっちだこの野郎!」

 

 彼女持ちの腹黒い友人からの心無いメールに対し、俺はそう憤った。

 

 

 この世界に転生した当時は、前世とこの世界ではテレビに出て来る芸能人とか全然違う上に、歴史の偉人や事件も所々違うのがなかなか慣れなかった。お蔭で歴史のテストだけはいつも悩まされた物だ。

 

 だが、クリスマスと言う前世でも存在したそのイベントはこの世界でもほぼ同じような催し物として存在している。

 

 前世と同じくこの世界でもクリスマスをカップルのイベントと勘違いしたアホどもが町中には溢れかえっており、恋人のいない十代から二十代の若者たちは非常に生きづらい季節だ。そして今の俺にも恋人はいない…。

 

 だが待って欲しい。俺は決してモテないから独り身なわけではないのだ。

 

 何故なら俺は彼女がいないのではなく、デュエルアカデミアを卒業するまでは自身の生存を一番にするため、恋人を作らないと決めているからだ。

 

 もう一度言うが、俺は決してモテないからクリぼっちと言うではないのだ!そこんとこ、勘違いしないでよね!

 

~~~

 

 さて、俺はクリスマスの日には毎年必ずと言っていいほど地元のデュエル大会へと参加している。その大会の賞金を元手に孤児院へクリスマスケーキと七面鳥を買って帰るためだ。

 

 多くの子供が集まる孤児院と言うことで俺の住む孤児院は食堂だけはかなり広く、毎年クリスマスパーティを実施している。

 近所の子供たちも参加したりするそのパーティにて、参加者の子供たちの度肝を抜くようなケーキを用意してその驚愕の表情を見て愉悦に浸るのが俺の楽しみの一つでもあるのだ。子供は反応が素直で見てて楽しいよね。

 

 ふぅ、そろそろデュエル大会会場のリング上にて俺と対峙している大会決勝戦の相手に視線を戻してみようか。

 

「良し、クロト。デュエルだ!」

 

 青髪のポニーテールを黄色いリボンでまとめており、上半身には黒のインナーに赤いジャケットを羽織り、下半身は足首まで覆うジーンズと言うオシャレと言う言葉を忘れてしまった女の子の様だ。

 

 セレナじゃん。何してんの?

 

「リンも楓もデートらしくてな。なんなら学校の他の友人もデートだってさ。だから暇だったんだ!」

 

 そう言う彼女の顔には悲壮感のような物は感じられず、むしろデュエルが出来る喜びに満ち溢れているように見える。

 頭のポニーテールが犬の尻尾の様に揺れている様がなんとも微笑ましい。

 

 そうか、やはりアイツらもデートか。ちっ、リア充め。学生は学業が本分だろ?それをお前…なんて羨まけしからん!

 

 コナミ?地元の連中数名とデートだってよ。朝、昼、夕、夜で別々の相手とデートするらしいぞ。

 何処のエロゲーだよ。弾け飛べばいいのに。

 

『ただいまより、デュエル大会決勝戦を開始いたします』

 

 デュエルリング端にはサンタクロースのコスプレをした司会進行のおっさんがマイクを握っており、そのおっさんから決勝戦開始のアナウンスが会場へと響き渡った。

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆セレナ LP:4000 手札:5枚。

 

 

「先攻は俺が貰う!俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

 おっ、珍しく先攻を握れたな。そして初期手札は…くくくっ、勝ったな。

 

「悪いなセレナ!お前のターン、無ぇから!」

 

「!?」

 

「俺は手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【脳開発研究所】を手札に加える!」

クロト 手札:6→5→6枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「そして俺は手札から今デッキから加えたフィールド魔法【脳開発研究所】を発動する!」

クロト 手札:6→5枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【脳開発研究所】

フィールド魔法

(1):このカードがフィールドゾーンに存在する限り、お互いのプレイヤーは通常召喚に加えて1度だけ、自身のメインフェイズにサイキック族モンスター1体を召喚できる。この方法でサイキック族モンスターが召喚される度にこのカードにサイコカウンターを1つ置く。

(2):自分フィールドのサイキック族モンスターが効果を発動するためにLPを払う場合、代わりにこのカードにサイコカウンターを1つ置く事ができる。

(3):このカードがフィールドから離れた時に自分はこのカードに置かれていたサイコカウンターの数×1000ダメージを受ける。

 

「俺は手札から【メンタルマスター】を召喚!」

クロト 手札:5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー

 

【メンタルマスター】

チューナー(効果モンスター)

星1/光属性/サイキック族/攻 100/守 200

800ライフポイントを払い、「メンタルマスター」以外の自分フィールド上のサイキック族モンスター1体をリリースして発動できる。

デッキからレベル4以下のサイキック族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。

 

「更に俺は【脳開発研究所】の効果により手札から【ガスタの静寂 カーム】を召喚する!」

クロト 手札:4→3枚。

サイコカウンター:0→1個。

 

<クロトのフィールド>

メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー

ガスタの静寂 カーム ★4 ATK1700

 

【ガスタの静寂 カーム】

効果モンスター

星4/風属性/サイキック族/攻1700/守1100

1ターンに1度、自分の墓地の「ガスタ」と名のついたモンスター2体をデッキに戻して発動できる。デッキからカードを1枚ドローする。

 

「ここで俺は【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから新たな【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」

サイコカウンター:1→2個。

 

<クロトのフィールド>

メンタルマスター ★1 ATK100 ※チューナー

ガスタの静寂 カーム ★4 DEF1100

 

墓地のカーム;0→1枚。

 

「本来【メンタルマスター】の効果を使用する際には発動コストとして800LPを支払う必要があるが…」

「代わりにフィールド魔法【脳開発研究所】にサイコカウンターを1つ置く事ができる、だろ?」

 

「正解だ!そして【メンタルマスター】の効果には、何~故~かターン1制限がないのだ」

 

 だから前世では禁止カードから返ってこれないんだよなぁ。さっさとエラッタしてしまえばいいのに。

 

「よってもう一度【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから三体目の【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」

サイコカウンター:2→3個。

墓地のカーム;1→2枚。

 

「そして、自分の墓地の【ガスタの静寂 カーム】2体をデッキに戻してフィールドの【ガスタの静寂 カーム】の効果発動!デッキから1ドロー!」

クロト 手札:3→4枚。

墓地のカーム;2→0枚。

 

 

「俺は【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから新たな【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」

サイコカウンター:3→4個。

墓地のカーム;0→1枚。

 

「なるほど。【ガスタの静寂 カーム】の効果はターン1制限があるが、一度フィールドから離してしまえばもう一度使えるのか」

 

「くくくっ、気付いたようだな?だがもう遅い!お前は既に、このメンタルマスターループにハマったのだ!」

 

 後は延々とメンタルマスターとカームのループで無限ドローしてエクゾディアを揃えるだけだ!

 

「【メンタルマスター】の効果発動!フィールドの【ガスタの静寂 カーム】をリリースし、デッキから三体目の【ガスタの静寂 カーム】を特殊召喚する!」

サイコカウンター:4→5個。

墓地のカーム;1→2枚。

 

「そして、自分の墓地の【ガスタの静寂 カーム】2体をデッキに戻してフィールドの【ガスタの静寂 カーム】の効果発動!デッキから1ドロー!」

クロト 手札:4→5枚。

墓地のカーム;2→0枚。

 

 

「じゃあここで手札の【ドロール&ロックバード】を墓地に送って効果発動」

セレナ 手札:5→4枚。

 

「えっ?」

 

「その効果により、このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない」

 

【ドロール&ロックバード】

効果モンスター

星1/風属性/魔法使い族/攻 0/守 0

(1):相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。

このターン、お互いにデッキからカードを手札に加える事はできない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 えっ?

 

「ふふっ、どうした?お前のターンだぞ?」

 

「むぐぅ…俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:5→3枚。伏せカード:0→2枚

 

 

◆白河クロト LP:4000 手札:3枚。伏せカード:2枚

 

<クロトのフィールド>

メンタルマスター ★1 ATK100

ガスタの静寂 カーム ★4 DEF1100

 

サイコカウンター:5個。

 

vs

 

◆セレナ LP:4000 手札:4枚。

 

<セレナのフィールド>

モンスター無し

 

 

「私のターン。ドローフェイズ、ドロー!そのままスタンバイ、メインフェイズへ移行!」

セレナ 手札:4→5枚。

 

 まさかあんなメタカードを握っているとは…油断したな。

 

「お前のターン、無えから!…だっけ?」

 

「ぐぬぬ…だが、流石に2枚目の手札誘発は握っていないだろう!このターンさえ凌げばいいわけだ!俺の勝ちは揺るがないな!」

 

 俺の伏せカードは【禁じられた一滴】、【レッド・リブート】。手札には万能妨害のうららちゃんもある。

 さっきの【ドロール&ロックバード】には驚いたが、アイツの【ムーンライト】デッキの中身は大体把握済みだ。

 

 この盤面で負けることはほぼ無いだろう!勝ったな、ガハハッ!

 

「それはどうかな?」

 

「!?」

 

「私は手札を1枚捨てて手札から【ツインツイスター】を発動!」

セレナ 手札:5→4→3枚。

 

「あっ」

 

【ツインツイスター】

速攻魔法

(1):手札を1枚捨て、フィールドの魔法・罠カードを2枚まで対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

「私はフィールドの伏せカード1枚と…【脳開発研究所】を破壊する!」

 

「あぁぁぁぁぁっ!」

クロト フィールド魔法:1→0枚、伏せカード:2→1枚。

 

「クロト、【脳開発研究所】がフィールドから離れた時はどうなるんだっけ?」

 

「自分はこのカードに置かれていたサイコカウンターの数×1000ダメージを受ける…」

クロト LP:4000→0

 

~~~

 

 デュエル大会が終わり、俺とセレナは地元の駅前へと帰ってきていた。

 日は既に沈みかけ、太陽が地平線へと沈もうとしている時間帯になっているが、駅前はまだまだ人で溢れかえっている。

 

「くっそー、負けた~」

「わははっ、勝った勝った!」

 

 隣を歩くセレナはさっきからずっとこの調子だ。さっきからずっとニヤニヤしている。

 

 この敗北が彼女への初敗北と言うわけでもないが、ここまであっさりと負けたのは本当に久しぶりだ。

 正直、俺のプレイングが甘すぎたことが一番の敗因だろう。少なくとも、セレナのような強いと分かっているデュエリストに対するプレイングではなかった。

 

「まぁまぁ。勝負に負けはつきものだろ?過ぎたことを気にするな!」

「ニヤニヤしながら言われても説得力無いんだよ!」

 

 セレナは俺の肩を叩きながら励ましてくる。

 

 その顔はにやけっぱなしなので全くこちらの励ましになっていないが、ここまで素直に喜ばれると流石に負けた悔しさも薄れて来る。

 何よりその笑顔が可愛いのが…その、困る。こんなん毒気抜かれるっての。美少女ってズルいよな。

 

 あまり顔を近づけるな!照れくさい!

 

「あら?」

「よう、クロトにセレナ!」

 

 駅前のケーキショップで予約していたクリスマスケーキ(大会賞金が入手できなかったので自腹だ…)を受け取ると、店を出た直後にユーゴとリンに出くわした。

 緑と白を基調とした若者らしい服装をした2人は、本人たちが美少年と美少女なだけあってとてもお似合いのカップルと言った見た目だ。

 

 この2人の仲にに関しては昔からよく知っているので今更嫉妬するほどでもない。

 

 さっきこちらに気付いた際、さりげなく繋いていた手を離していたな。デートの邪魔をしてしまったか。悪いことをしてしまったな。

 

「あれ?2人で映画を見に行くんじゃなかったのか?」

 

「映画はとっくに見終わったぞ」

「今日はもう遊び尽くしたし買い物を終わったから、そろそろ帰るつもりなのよ」

 

 セレナの問いにユーゴ達が答える。よく見れば2人の片手にはそれぞれ大きめの紙袋がぶら下がっており、その中には綺麗にラッピングされた箱が入っている。

 

「あぁ。これ?夜のクリスマスパーティでやるプレゼント交換の景品を買って来たのよ」

「中身はここでは教えられないぞ」

 

 そういうことか。ちなみに俺は既に用意してあり、孤児院に置いて来てある。セレナも事前に準備していたらしく、後ほどバレットが届けに来るそうだ。

 

「それにしてもお前ら、クリスマスを二人きりで過ごそうとか思わないのか?」

「えっ、何でだ?」

「せっかくのクリスマスなんだし、賑やかな方がいいじゃないか」

 

 俺の言葉を受けてユーゴ達は心底不思議そうな顔をしている。

 嘘だろコイツ等、仮にもカップルなんだよな。純粋かよ…。

 

 俺がおかしいのか?いや、コナミとか絶対に翌朝まで帰ってこないぞ。

 

「そう言えば、さっき楓たちにもあったわ。あの子たちももう少し後で来るらしいわね」

「オレのダチも数人来るって連絡があったな」

 

「俺も近所に住んでるアカデミアの知り合いに声を掛けておいた。一応、何人か来れるみたいだ」

「私の友人も何人か来るらしいぞ」

 

 思ったよりも参加人数が増えそうだな。食堂以外にも場所が必要になるかも知れない。後でシスターに相談しておかないとな。

 

「クロト」

「うん?」

 

 そんなことを考えながら孤児院への帰路を歩いていると、先を歩くユーゴ達の会話から離れたセレナが俺の横に並ぶように歩いて話しかけてきた。

 

「今年のクリスマスパーティも賑やかになりそうだな!」

「そうだな。楽しみだ」

 

 前世の俺も天涯孤独な上に独り身ではあったが友人に恵まれていた為、決して不幸な人生ではなかったと思う。

 だけど、今の俺はきっと前世よりも恵まれていると断言できる。

 

 少し先の未来において世界規模での命の危険は有ったりするけどね?

 GX時代は物騒なイベントが多すぎるんだよなぁ。

 

 それでも、今では転生した世界がこの世界で良かったと素直にそう思える。

 

「あっ、雪が降って来た!」

「ホワイトクリスマスって奴だな」

 

 セレナの声に反応して顔を上げると、空から白い雪がはらはらと降ってきていた。

 

「おぉっ、雪だ!」

「この辺りはあんまり雪が降らないのに珍しいわね」

 

 前方を歩くユーゴ達も雪に気付いたらしく、セレナと一緒に空に手を向けて年相応の笑顔ではしゃいでいた。

 

 その光景を見た俺は、『こんな平和な日常が長く続けばいいのにな…』なんてガラでもないことを想いながら、今世の友人たちと共に雪景色の中を歩いていた。




今回のクロトのデッキは【メンタルマスター】を使用したループコンボを使用したものになっています。

このカードが登場したのは2008年4月、アニメ5D'sの主人公である不動遊星が使用した【スターダスト・ドラゴン】などと共に登場しました。

その後、2011年9月に【脳開発研究所】【ガスタの静寂 カーム】との無限ループが問題視されたためか、禁止カードに指定されています。【フィッシュボーグ-ガンナー】と共にチューナー初の禁止カードみたいですね。

次回の更新は来年の1月下旬予定です。

戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十三話 女神のお年玉

前回のあらすじ:1キル返しのクリスマス

デュエルは有りますが、ほどんど一方的な展開です。


 ふと目が覚めると、そこは辺り一面が白い部屋だった。そしてその部屋の中央には、こたつに入った金髪碧眼の美女である転生の女神の姿があった。

 

 白銀の翼を持つボンキュッボンボディの絶世の美女が古代ローマ人が来てそうな白い一枚布を纏った服(トガって言うんだっけ)と言う本来なら色っぽい服装のはずなのだが、その姿のままこたつに入っているせいで違和感しか覚えない。

 

 いやいやいや、俺は孤児院の連中と共に年越しを行い、新年の挨拶をした後に眠りについたはずだ。つまりこれは…どういうことだってばよ?

 

「お久し振りですね」

「…えぇ、そうですね」

 

 女神がこたつに入って手元のミカンの皮をむきながら話しかけてきた。なんとか返事を返したものの、まだ現状把握が追い付かない。

 

 ここは何処で、俺は何故ここに居るのか?考えが纏まらない。

 

「ここは貴方の夢の中です。貴方や私がここに居るのは、私が貴方の夢の中にお邪魔しているからですよ」

「当たり前の様に人の頭の中を読むの止めてくれませんかね?」

 

 こちらの混乱具合を把握したらしく、女神が微笑みながらこちらの疑問への答えを返してきた。

 

 どうやらそういうことらしい。つまりこれが俺の今年の初夢ってことか?嘘だろ?

 

「ほら、貴方もそんなところに立っていないでこたつに入りませんか?」

「それじゃあお言葉に甘えて…失礼しますよ」

 

 この空間では暑さも寒さもほとんど感じないのだが、俺だけ立ちっぱなしで居るのが何となく悔しかったのでこたつに入ることにした。

 

 おっ、掘りごたつか。前世の友人の家にあったな。小さい頃にやったかくれんぼでは人気の隠れスポットだったなぁ。

 

「ミカンありますよ。食べます?」

「その皮だけ残ったそれをミカンと言い張りますか」

 

 こたつの上には女神が食い散らかしたミカンの皮、熱々のお茶が入った湯呑が1つ。

 どうやらミカンもお茶も俺にくれるつもりは無いらしい。

 

「今回、貴方の夢にお邪魔したのには訳がありましてね」

「はぁ…」

 

「見事に三幻魔編を乗り切った貴方に、私からお年玉を上げようと思ったのですよ」

「えっ、マジですか?」

 

 この世界に転生してから十年以上経ったが、今までそんなことを言ってきたりはしなかったんだが…。

 第一、三幻魔の事件とかもう半年前だから、本当に今更…って感じしかしないぞ。

 

 貰える物は貰いたいが、この女がらみのことって大体ロクな内容じゃないだろしなぁ…。

 

「ただし、条件があります」

 

 女神がそう言い終えると同時にこたつの上に手をかざす。すると淡い光に包まれてこたつの上にあったミカン(皮のみ)と湯呑(中身無し)が跡形もなく消え去った。

 そしてそれらの代わりに現れたのは…デュエルディスクと1つのデッキだった。

 

「私とデュエルしましょう」

「そんなことだと思いましたよ」

 

 遊戯王の世界だからね。

 

~~~

 

 辺り一面が真っ白な部屋にて転生の女神と向き合い立つと、いつの間にか俺と女神の左腕にはソード型のデュエルディスクが装着されていた。

 

「このままデュエルを始めるには、この部屋は殺風景ですね」

 

 周囲を見回した女神が指をパチン!と鳴らすと、真っ白だった部屋が星空を散りばめたような部屋に一変した。

 

 まるで宇宙空間に浮いているような錯覚を起こしそうだ。ふと思い出したが、デュエルリンクスのフリーデュエルであった背景にそっくりだな。

 

「まさかアンタとデュエルすることになるとは思いませんでしたよ」

「ふふっ、手加減は不要ですよ?」

 

 俺に前世OCGカードを全て渡してきたような相手に手加減なんてできるとは思っていないし、するつもりもない。

 

 前世で死んでしまった俺を転生させてくれたことやチート能力を貰ったことには感謝している。

 だが、せっかくの遊戯王ワールドをあんなとんでもない状態にしてくれたのには少々思うところがあるので、遠慮なくぶちのめさせてもらうつもりだ。

 

「でも、せっかくだからあの世界では使えないデッキとか使ってみたいよな」

 

 デュエルディスクの性質上、リンクモンスターは使えなさそうだが、あの世界では存在しないサイバース族メインのデッキを使ってみたい。【斬機】辺りにしようかな。

 

 

「「対戦、よろしくお願いします」」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000 手札:5枚。

 

vs

 

◆転生の女神 LP:4000 手札:5枚。

 

 

「先攻は私が貰います。ドローフェイズ、ドロー」

女神 手札:5→6枚。

 

 俺と同じカードプールを持つ相手に先攻を取られた上にドローまでされるとか、不利すぎると思う。せめて先攻ドローは止めて欲しかったなぁ。

 

「私は手札から魔法カード【バンデット~盗賊~】を発動しますよ」

女神 手札:6→5枚。

 

「ちょっ!?おぃぃぃ!」

 

 OCGカードプールどころか未OCGカードとかも使ってくるのかよ!?

 

【バンデット~盗賊~】※漫画オリジナルカード

通常魔法

①:相手の手札を全て確認し、その中から1枚選択して自分の手札に加える。

 

<クロトの手札>

①斬機ナブラ

②斬機方程式

③サイバネット・マイニング

④灰流うらら

⑤無限泡影

 

「貴方の【灰流うらら】を貰いますね」

女神 手札:5→6枚。

 

「くそっ!仮にも女神が使うカードとは思えないな!」

クロト 手札:5→4枚。

 

 まさか、『黄泉天輪ホルアクティ』とかやってくるつもりじゃないだろうな!?

 

「ふふっ、心配しなくてもあんな有名なコンボは使いませんよ」

 

「そもそもカードゲームで平然と心読んでくるの止めろや!」

 

 DM時代の王国編で、海馬瀬人がペガサスに挑んだ時の心境がちょっとだけ理解できたな。

 相手の心を読んで来てあらゆるカードを使いこなす相手とか、どうやって戦えばいいんだって話だよ。

 

「私は手札から魔法カード【絶望の宝札】を発動しますね」

女神 手札:6→5枚。

 

「いやいやいや!それは反則だろ!!」

 

【絶望の宝札】※漫画オリジナルカード

通常魔法

①:自分のデッキからカードを3枚選んで手札に加える。それ以外のカードは全て墓地へ送る。

 

<女神が手札に加えたカード>

①光の創造神 ホルアクティ

②ソウル・チャージ

③貪欲な壺

 

女神 手札:5→8枚。

 

「そのサーチカードは…【黄泉転輪】使わないだけでやること同じじゃねーか!」

 

「はて?なんのことやら…私は手札から魔法カード【ソウル・チャージ】を発動して墓地の三幻神を呼び出しますね」

女神 手札:8→7枚。

 

【ソウル・チャージ】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。

(1):自分の墓地のモンスターを任意の数だけ対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、自分はこの効果で特殊召喚したモンスターの数×1000LPを失う。

 

<女神のフィールド>

オシリスの天空竜 ★10 ATK7000

オベリスクの巨神兵 ★10 ATK4000

ラーの翼神竜 ★10 ATK0

 

女神 LP:4000→1000

 

 当然、呼び出すのはアニメ仕様の三幻神か。特殊召喚できないラーなんて居なかったんや…。

 

「そして今、女神の名の下に神を束ねる!」

 

「原作の名言を汚すな」

 

「フィールドの三幻神をリリースして、手札から【光の創造神 ホルアクティ】を特殊召喚します」

女神 手札:7→6枚。

 

【光の創造神 ホルアクティ】

効果モンスター

星12/神属性/創造神族/攻 ?/守 ?

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上の、元々のカード名が「オシリスの天空竜」「オベリスクの巨神兵」「ラーの翼神竜」となるモンスターをそれぞれ1体ずつリリースした場合のみ特殊召喚できる。

このカードの特殊召喚は無効化されない。

このカードを特殊召喚したプレイヤーはデュエルに勝利する。

 

<女神のフィールド>

光の創造神 ホルアクティ ★12 ATK?

 

 

「【光の創造神 ホルアクティ】の効果により、私はデュエルに勝利します♪」

 

 

『ジェセル!』

 

 

「何も出来ない間に負けた…」

 

 先攻1ターンキルなんて前世でも時々あったけれど、心を読んでピーピングして来る上にぶっ壊れ性能のアニオリカードまで使ってくるとか、こんなんどうやって勝てって言うんだよ…。

 

~~~

 

 その後も何度かデュエルしたのだがその度にぶっ壊れのアニオリカードを使われて先攻1ターンキルを食らう羽目になった。

 

「私の先攻、ドロー。あっ、【封印されしエクゾディア】シリーズが揃いましたので私の勝ちです♪」

「ふざけんな」

 

 そもそも女神は初期手札を操作することも容易くできるらしく、まともなゲームにすらならなかった。初手エクゾとかどうやって防げばいいんだ…。

 

~~~

 

 こちらも対抗してホルアクティをデッキに仕込んで対抗しようとすると…。

 

「私は手札から【ライオウ】を召喚します」

女神 手札:6→5枚。

 

<女神のフィールド>

ライオウ ★4 ATK1900

 

【ライオウ】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1900/守 800

このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、お互いにドロー以外の方法でデッキからカードを手札に加える事はできない。

また、自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、相手モンスター1体の特殊召喚を無効にし破壊する。

 

「そして手札から魔法カード【天声の服従】を発動しますよ」

女神 LP:4000→2000、手札:5→4枚。

 

「!?」

 

「貴方のデッキから【光の創造神 ホルアクティ】を私のフィールドに召喚条件を無視して攻撃表示で特殊召喚しますね♪」

 

「あぁぁぁぁぁっ!流石にデッキピーピングは止めろやぁぁぁっ!」

 

【天声の服従】

通常魔法

(1):2000LPを払い、モンスターカード名を1つ宣言して発動できる。

相手は自身のデッキを確認し、宣言されたモンスターがあった場合、その内の1体をお互いに確認し以下の効果から1つを選択して適用する。

●確認したカードを、このカードを発動したプレイヤーの手札に加える。

●確認したカードを、このカードを発動したプレイヤーのフィールドに召喚条件を無視して攻撃表示で特殊召喚する。

 

「【光の創造神 ホルアクティ】の効果により、私はデュエルに勝利します♪」

 

『ジェセル!』

 

 デッキピーピングにより戦術がバレ、【光の創造神 ホルアクティ】をピンポイントで逆利用されると言う地獄が待っていた。

 

~~~

 

「私は永続魔法【魔力の布施】を発動します。発動処理として1000LP回復しますよ」

女神 LP:4000→5000、手札:6→5枚。

 

【魔力の布施】※アニメオリジナルカード

永続魔法

このカードの発動時の処理として、自分は1000LP回復する。

ターンプレイヤーは自分のメインフェイズ時に魔法カードの発動枚数を宣言して発動する。その枚数1枚につき互いに500LP回復する。

宣言枚数に足りない場合、ターン終了時に1000ダメージを受ける。

 

「そして【魔力の布施】の効果発動。魔法カードの発動枚数は…とりあえず1億枚にしておきます」

 

「はっ?」

 

「【魔力の布施】の効果でお互いに500×1億ポイントのライフ回復ですね」

 

女神 LP:5000→50000005000

 

クロト LP:4000→50000004000

 

「ライフポイント500億!?ビートダウンによるデュエル勝利の道が消えた…!?」

 

 その後、エクゾディアを揃えられて敗北した。

 

~~~

 

「私は手札から魔法カード【運命の宝札】発動しますね」

女神 手札:6→5枚。

 

「おい」

 

【運命の宝札】※アニメオリジナルカード

通常魔法

サイコロを1回振り、出た目の数だけ自分のデッキからカードをドローする。

その後、出た目の数だけデッキの一番上からカードをゲームから除外する。

 

「ダイスロール、当然、最大値。デッキから6ドローしてデッキトップから6枚除外しますね」

女神 手札:5→11枚。

 

「インチキドローも大概にしろ」

 

「あっ、手札に【封印されしエクゾディア】シリーズが揃いました♪」

 

「クソが」

 

 当たり前の様にエクゾディアを揃えられて敗北した。

 

~~~

 

 俺は1勝どころか1ドローすることすら出来ずに先攻1ターンキルを連発され続けた。

 

「先攻1ターンキル率100%とか、もう一人で壁とデュエルしてろよ…」

 

 俺も幼少期は自重せずに色々な先攻1ターンキルを仕掛けた身なのであまり強く文句も言えない立場だが…これは流石に酷くない?

 

~~~

 

「ガッチャ。楽しいデュエルでしたね」

「原作の名言を汚すなクソ女」

 

 俺を散々ボコって満足したクソ女は清々しい表情で十代のモノマネしている。

 やはり十代の様に勝ち負けに拘らずデュエルを楽しめるような奴じゃないとあのセリフは似合わないな。

 

「さて、私も満足させてもらいました。約束通りお年玉を上げましょう」

「はぁ?」

 

 そう言えば…『私とデュエルしましょう』と言われただけで、『私に勝て』とは言われてなかったな。

 

「以前、貴方にはOCG化されているカード全般とおまけのカードをいくつか渡しましたね」

「えぇ、そうですね」

 

 忘れるわけがない。あのカードあるからこそこのデュエル重視の世界で俺のようなモブキャラがネームドキャラに肩を並べられるわけだからな。

 

「前に渡したのは前世の貴方が手にする機会があったカードでしたが、貴方の死後もOCGカードは増え続けています」

「はい」

 

 女神が空へと手をかざすと俺の目の前に何枚かのカードが現れた。どれも見たことのないカードだ。

 

「今回は貴方の死後に増えたカードを与えてあげようと言うわけです。いわゆるアップデートですね」

「マジですか」

 

 転生特典と言うか、チート能力のアップデートとかアリなのか?

 いや、変にケチ付けて貰えなくなっても面白くないし、このまま黙っていよう。

 

「さぁ、受け取りなさい」

「ありがとうございます。ありがたく頂戴します」

 

 あの世界は俺や他世界統合の影響により原作アニメよりも遥かにカードプールの更新が早くなっている。

 何せまだ光の結社編に突入していないにも関わらずシンクロ・エクシーズ・ペンデュラム召喚が存在する世界だ。大体俺の所為だけどさ。

 

 そう遠くないうちに俺の持つカードプールに追い付いてくるだろうと危惧していたが、カードプールのアップデートを貰えるとは素直にありがたいな。

 

「へぇ~、儀式ペンデュラムなんて出たんだ。他には…こ、これは!?ブラック・マジシャン・ガールの新規イラスト!!」

 

 女神が渡してきたカードはどれも強力なものであったが、それよりも個人的に嬉しかったのが漫画版ブラックマジシャンガール再現のイラスト違いカードが入っていたことだ。

 幼少期にペガサスに頼んで褐色バージョンの方は作って貰ったが、まさか色白バージョンが前世で登場していたとは…このカードを貰えただけでも今回サンドバックにされた甲斐があったな!

 

「貴方の物語とあの世界の結末には興味があります。簡単に死なないで下さいね?」

「色々と台無しだよ」

 

「渡したカードを上手く使い、末永く私を楽しませて下さい。期待していますよ?」

 

 そう言い残すと女神は俺の前から姿を消し、それと時を同じくして周囲の景色が歪み始めた。どうやらこの夢が終わりを迎えようとしているらしい。

 

「転生してから最悪な初夢だったけれど、得るものは多かったな」

 

 目が覚めたらコナミに今回貰ったカードを自慢しに行こう。俺は目を覚ますまでのそんなことを考えていたのだった。




今後、ホルアクティを使用する機会がなさそうだったので、他で使用機会が無さそうなぶっ壊れアニオリカードの紹介も含めて登場させてみました。

殆ど触れられなかった【斬機】テーマデッキについてはどこか別のタイミングで出そうと考えています。

次回の更新は1月下旬予定です。

メイン弓様、オメガモンX抗体様、誤記報告およびデュエル展開ミスのご指摘をありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十四話 白の結社

前回のあらすじ:最悪の初夢

今回は主人公と万丈目、そしてモブ二人とのバトルロイヤルデュエルです。


 デュエルアカデミアは原則アルバイト禁止だ。だが、俺の様に両親が既に亡くなっていて「学費を稼ぐため」といった家庭の経済的な事情がある場合は例外措置を認めて貰える場合がある。

 

 ちゃんとアカデミアからアルバイト許可証も受け取っているし、役所で年齢証明書も貰ってある。もちろん学業に支障が出ないことを証明しないといけないが、こう見えても俺は実技・筆記共に成績上位者の1人なので問題ないと判断されている。

 

 そんな俺は今、年末年始の休み機関を利用して万丈目グループの傘下であるデパートの屋上中央付近にて、ヒーローショーの怪人役として着ぐるみ姿でアルバイトをしていた。

 

『ゲロゲロゲ~ロ!このデパートがお前たちの墓場となるのだゲロ~!』

 

 今の俺は『ガマ怪人ゲロゲロス』である。緑を基調とした体色をしており、頭部と手足はカエルで首から下は筋肉質の人間タイプの怪人である。声は舞網市製のボイスチェンジャーで加工している為、着ぐるみの中身が俺であることを見抜ける人間は殆ど居ないだろう。

 

「キャー!大変よ!ガマ怪人ゲロゲロスがやって来たわ!」

 

 ショーの舞台上には俺以外にもう2人の人間がいる。そのうちの1人は司会のお姉さん役をやっているアルバイトの女子大生である。今もわざとらしい悲鳴を上げている。

 

 そしてもう一人はと言うと…。

 

「貴様、このオレを誰だと思っている!貴様の相手はこのオレだ!さぁガキども!オレの名前を言ってみろ!地獄の底から不死鳥の如く復活してきた俺の名はっ!」

 

「一!十!!百!!!千!!!!」

 

「「「万丈目サンダーーーー!」」」

 

 ショーを見に来ていた子供たちの声援を受け、ノリノリでポーズを取ってドヤ顔の万丈目準だった。

 

~~~

 

 ヒーローショーを無事に終えた頃にはデパート屋上にすっかり夕日が差し込んでいた。

 

 ショーを見に来ていた子供たちはそのほとんどが既に親に連れられて帰っており、周囲にはデパートやヒーローショーの関係者とわずかに残った親子連れが数名いるだけだ。

 

「全く、兄さんたちの頼みとはいえ何故オレがこんなことをしなければならんのだ」

 

 俺達アルバイトとデパートの従業員たちがショーの片づけをするなか、万丈目とその精霊であるオジャマ三兄弟たちはデパートに備えられたベンチでくつろぎながらもブチブチと文句を垂れていた。

 

『そう言う割には万丈目のアニキったら結構楽しそうに見えたわ~ん』

『そうそう~』

『ホントな~』

「ええい、うるさいぞ雑魚ども!」

 

 万丈目は去年のデュエルアカデミア本校とノース校との学園対抗デュエルでの勝利シーンが日本全国に放送されていたこともあり、デュエリストを志す子供たちからそこそこの知名度があった。

 将来、政界・財界・カードゲーム界の制覇を目論む万丈目グループとしては、その足掛かりとして今回のヒーローショーを開催したのだろう。

 

 「嵐のごときワガママさ」「山よりも高いプライド」「海よりも深い意地っ張り」などとアニメの次回予告で言われてしまう通り、この世界の万丈目もうぬぼれが強く非常にプライドが高い性格ではある。

 しかし、意外に面倒見が良かったりする一面もあって色んな人間に慕われて居たりと、十代とは別種のカリスマ性を持っていると思われる。

 

 そのことを裏付けるように、今回のヒーローショーも大盛況のままに幕を閉じていた。結果的に万丈目兄弟の目論見は成功したと言えるだろう。

 

「おい、そこのカエル男!」

『はい?』

 

 片づけがあらかた終わって他のスタッフたちも殆ど撤収してきたタイミングで、ベンチで暇そうにしていた万丈目がこちらに声を掛けてきた。

 

 お前まだそこに居たの?お前の仕事はもう終わったんだからさっさと帰ればいいのに。

 

「喉が渇いたぞ。水を持ってこい」

『あぁ?』

 

 この野郎、持って来た水をそのまま頭からぶっかけてやろうか?

 お前、他のスタッフには割とちゃんとした対応していたのに、なんか俺にだけ塩対応じゃない?カエルになにか含むところでもあんの?

 

「おい、そこの黒服の男!」

「お前が万丈目準だな?」

 

 万丈目の顔面にぶちまけるための水をバケツに入れに行こうとしていると、全身を白い服で包んだ怪しげな男女2人がこちらに声を掛けながら、屋上の扉付近から俺達のいる場所へと歩いてきた。

 

 男の方は白いスーツにツンツンした髪型の黒髪と、光の結社時代の万丈目を彷彿とさせる容貌だ。

 女の方も白いスーツなのは同じだが茶髪のロングヘア―と、これまた光の結社時代の明日香を思い出させるような見た目をしている。

 

 そしてこいつらが身に纏っているこの気配には覚えがある。どうやら破滅の光に洗脳されている連中の様だ。元凶の斎王が放置されているとはいえ、アメリカだけでなく日本にまで現れるとはな。

 

「なんだ貴様らは?」

「ボクたちは「白の結社」の信徒」

 

 白の結社か。確か光の結社のことを最初はそう呼んでたんだったっけかな。それがいつの間にか光の結社って呼ばれるようになったんだっけ。

 

「白の結社?知らんな」

「喜ぶがいい。お前も私たちが所属する白の結社に加えてやろう」

 

 これはアレか?学園対抗デュエルで有名になったから、万丈目をスカウト(強制洗脳)しに来たのだろうか?アニメGXだと第二期の序盤に斎王本人が直接デュエルしてたけど、この世界だと下っ端が来るんだな。

 

「ついでにそこのカエル男。お前も白の結社に加えてやろう」

『はぁ?』

 

 白い服の女がいきなりこっちにも話題を振って来た。

 

 誰でもいいんかい!見境ないな!

 これはアレだな。斎王の意思とか関係なしにこいつらの暴走だな。

 

「さぁ、ボクたちとデュエルだ!」

「白の結社の力を見せつけてやる!」

 

 こちらの話を一切聞かず、白い服の男女はデュエルディスクを構えた。

 

「ふん。なんだか知らんがこの万丈目サンダーとやる気なのか。良いだろう!」

 

 そう言って万丈目もベンチから立ち上がって屋上中央の広いスペースがある場所へと歩き、何処からともなく取り出したデュエルディスクを構える。

 

「カエル男!オレの足を引っ張るんじゃないぞ!」

『ガマ怪人ゲロゲロスですよ』

 

 どうやら俺に拒否権は無いらしい。

 

 仕方ない。今の万丈目がこんなモブっぽい連中に負けるとは思わないが、万が一と言うこともある。

 

「デュエルはバトルロイヤル形式!」

「全員1ターン目は攻撃できないから忘れるな」

「誰に物を言っている!さっさと掛かって来い!」

 

『よろしくお願い致します』

 

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「「「デュエル!」」」」

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆白の男 LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:5枚

 

 

「先攻はボクが貰う。ボクのターン。ドロー!」

白の男 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から魔法【増援】を発動!デッキから【白騎士団のソードマン】を手札に加える!」

白の男 手札:6→5→6枚。

 

【増援】

通常魔法

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

「ボクは手札から速攻魔法【手札断殺】を発動!全てのプレイヤーは手札を2枚墓地に送り、デッキから2ドローする!」

白の男 手札:6→5→3→5枚。

 

【手札断殺】

速攻魔法

(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

 

<白の男が墓地に送ったカード>

①白騎士団のガードナー

②白騎士団のソードマン

 

【白騎士団のガードナー】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル4/光属性/戦士族/攻撃力800/守備力2000

(1):自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動する。自分フィールド上に表側表示で存在する「白騎士団」モンスター1体と戦闘を行う事で自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

【白騎士団のソードマン】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル4/光属性/戦士族/攻撃力1200/守備力1200

(1):自分の墓地にこのカードが存在する時、フィールド上の「白騎士団」モンスターの攻撃力は300アップする。

 

<万丈目が墓地に送ったカード>

①フォーメーション・ユニオン

②ゲットライド!

 

万丈目 手札:5→3→5枚。

 

<白の女が墓地に送ったカード>

①幻想の氷像

②コールド・スリーパー

 

白の女 手札:5→3→5枚。

 

<クロトが墓地に送ったカード>

①ギャラクシー・サイクロン

②レベル・スティーラー

 

クロト 手札:5→3→5枚。

 

 白の男が墓地に送ったカード、アレはアニメGXで斎王に洗脳されてホワイトサンダーって名乗っていた万丈目が使用していた白騎士団(ホワイトナイツ)シリーズと言うアニオリカードだったか。確かOCGで言うところの【幻獣】テーマに似たような効果を持っていたはずだ。

 

 白の女が墓地に送ったカードは、アニメGXで万丈目と同じく斎王に洗脳されていた明日香が使用していたアニオリカードだったな。あまり覚えていないけど、妨害系の効果を持つカードが多かったような印象だ。

 

「そして永続魔法【一族の結束】を発動!」

白の男 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【一族の結束】

永続魔法

(1):自分の墓地の全てのモンスターの元々の種族が同じ場合、自分フィールドのその種族のモンスターの攻撃力は800アップする。

 

「ここで手札から【白騎士団のランサー】を通常召喚!」

白の男 手札:4→3枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK1500→1800→2600

 

【白騎士団のランサー】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル4/光属性/戦士族/攻撃力1500/守備力0

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

「【白騎士団のソードマン】が自分の墓地に存在する時、フィールド上の「白騎士団」モンスターの攻撃力は300アップするのだ!」

 

 そう言えばそんな効果だったな。

 

「ボクはカードを1枚セットしてターンエンド!」

白の男 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆白の男 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:1枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:5枚

 

 

「オレのターンだ!ドロー!」

万丈目 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【予想GUY】発動!デッキから【B-1 カブトップ】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:6→5枚。

 

【予想GUY】

通常魔法

(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動できる。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

<万丈目のフィールド>

B-1 カブトップ ★4 ATK1700

 

【B-1 カブトップ】

通常モンスター

レベル4/地属性/機械族/攻撃力1700/守備力1400

合体能力を持つ機械昆虫。

B-2、B-3と組んで巧みな連携攻撃を仕掛けてくる。

 

 万丈目はアニオリのユニオンモンスターであるビートロンデッキか。

 

「続いて手札から【B-2 クワガターボ】を通常召喚!」

万丈目 手札:5→4枚。

 

<万丈目のフィールド>

B-1 カブトップ ★4 ATK1700

B-2 クワガターボ ★4 ATK1500

 

【B-2 クワガターボ】※アニメオリジナルカード

効果モンスター・ユニオン

レベル4/地属性/機械族/攻撃力1500/守備力1800

1ターンに1度、自分のメインフェイズに装備カード扱いとなって自分の「B-1 カブトップ」に装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。この効果で装備カード扱いになっている時のみ、装備モンスターの攻撃力と守備力は400ポイントアップする。

(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。)

 

「そしてオレは手札から永続魔法【前線基地】発動!その効果を発動し、手札から【B-3 スパイダーベース】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:4→3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【前線基地】

永続魔法

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

<万丈目のフィールド>

B-1 カブトップ ★4 ATK1700

B-2 クワガターボ ★4 ATK1500

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

 

【B-3 スパイダーベース】※アニメオリジナルカード

効果モンスター・ユニオン

レベル4/地属性/機械族/攻撃力1000/守備力2000

1ターンに1度、自分のメインフェイズに装備カード扱いとなって自分の「B-1 カブトップ」に装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。この効果で装備カード扱いになっている時のみ、装備モンスターの攻撃力と守備力は700ポイントアップする。

(1体のモンスターが装備できるユニオンは1枚まで。装備モンスターが戦闘によって破壊される場合は、代わりにこのカードを破壊する。)

 

「ここでレベル4【B-1 カブトップ】と【B-2 クワガターボ】の2体でオーバーレイ!」

 

「「エクシーズ召喚!?」」

 

「出でよ!ランク4!【ギアギガント X】!」

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:2

 

【ギアギガント X】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/機械族/攻2300/守1500

機械族レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分のデッキ・墓地からレベル4以下の機械族モンスター1体を選んで手札に加える。

(2):表側表示のこのカードがフィールドから離れた時、自分の墓地のレベル3以下の「ギアギア」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「【ギアギガント X】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【B-2 クワガターボ】を手札に加える!」

ギアギガント X ORU:2→1

万丈目 手札:2→3枚。

 

「ここでオレは手札から魔法カード【アイアンドロー】を発動!デッキから2ドロー!」

万丈目 手札:3→2→4枚。

 

【アイアンドロー】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドのモンスターが機械族の効果モンスター2体のみの場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

このカードの発動後、ターン終了時まで自分は1回しかモンスターを特殊召喚できない。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

万丈目 手札:4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

「おっと、エンドフェイズにリバースカードオープン!速攻魔法【サイクロン】を発動!君の伏せカード1枚を破壊させてもらうよ!」

白の男 伏せカード:1→0枚

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「何ぃ!?」

万丈目 伏せカード:2→1枚。

 

 破壊された伏せカードは【無謀な欲張り】か。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:1枚

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

 

vs

 

◆白の男 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:5枚

 

 

「私のターン、ドロー!」

白の女 手札:5→6枚。

 

「私は手札から永続魔法【白夜城-ホワイトナイツ・フォート】を発動!」

白の女 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【白夜城-ホワイトナイツ・フォート】※アニメオリジナルカード

永続魔法

お互いのプレイヤーは、相手のターンに罠カードを発動する事ができない。

 

 【白夜城-ホワイトナイツ・フォート】か。また面倒なカードを使ってくれたものだ。今回の俺のデッキには相性が悪い。

 

「次に手札から魔法カード【フォトン・サンクチュアリ】を発動!」

白の女 手札:5→4枚。

 

【フォトン・サンクチュアリ】

通常魔法

このカードを発動するターン、自分は光属性モンスターしか召喚・反転召喚・特殊召喚できない。

(1):自分フィールドに「フォトントークン」(雷族・光・星4・攻2000/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは攻撃できず、S素材にもできない。

 

<白の女のフィールド>

フォトントークン ★4 DEF0

フォトントークン ★4 DEF0

 

「ここで【フォトントークン】2体をリリース!手札から【白夜の女王】をアドバンス召喚するわ!」

白の女 手札:4→3枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

【白夜の女王】

効果モンスター

星7/光属性/天使族/攻2100/守 800

このカードは特殊召喚できない。

1ターンに1度、フィールド上にセットされたカード1枚を破壊する事ができる。

 

「【白夜の女王】の効果発動!万丈目、貴方の残りの伏せカードを破壊させてもらうわ!」

 

「くそっ!」

万丈目 伏せカード:1→0枚。

 

 破壊されたのは【復活の墓穴】か。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

白の女 手札:3→2枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:5枚

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

 

vs

 

◆白の男 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:1枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

 

 白の男が攻撃を担当し、白の女がその補助と相手の妨害を行うと言った役割分担なのだろうか。流石に2対1だと万丈目も分が悪いだろうな。

 

 それにしても、俺のことは本当に眼中に無い感じだな。万丈目にほぼ2対1と言う状況を飲ませるための数合わせとして誘ったであろうカエルの着ぐるみ男のことなんてどうでもいいってか?

 

 ちょうどいい機会だ。お前たちにも味わわせてやる。【ガエル】の恐ろしさをな!

 

 

『俺のターン、ドローフェイズ…ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行!』

クロト 手札;5→6枚。

 

『まずは墓地の【ギャラクシー・サイクロン】を除外して効果発動!【白夜城-ホワイトナイツ・フォート】を破壊する!』

 

【ギャラクシー・サイクロン】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「くっ!」

白の女 永続魔法:1→0枚。

 

『俺は手札の【フィッシュボーグ-ガンナー】を捨てて手札から【鬼ガエル】を自身の効果で特殊召喚!』

クロト 手札;6→5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

鬼ガエル ★2 DEF500

 

【鬼ガエル】

効果モンスター

星2/水属性/水族/攻1000/守 500

(1):このカードは手札からこのカード以外の水属性モンスター1体を捨てて、手札から特殊召喚できる。

(2):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキ及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、レベル2以下の水族・水属性モンスター1体を選んで墓地へ送る。

(3):1ターンに1度、自分フィールドのモンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「鬼ガエル」以外の「ガエル」モンスター1体を召喚できる。

 

「ガ、ガエルモンスターだと!?」

 

 なんだか万丈目が嫌そうにこちらのモンスターを見ているな。カエルが嫌いなんだろうか?

 

『特殊召喚成功時、【鬼ガエル】の効果発動!デッキから【裏ガエル】を墓地に送る!』

 

『更に【鬼ガエル】の効果発動!自身を手札に戻す!そして今度は【鬼ガエル】を通常召喚!』

 

<クロトのフィールド>

鬼ガエル ★2 ATK1000

 

『通常召喚成功時、もう一度【鬼ガエル】の効果発動!デッキから【粋カエル】を墓地に送る!』

 

『墓地の【粋カエル】の効果発動!墓地の【裏ガエル】を除外して自身を特殊召喚する!』

 

<クロトのフィールド>

鬼ガエル ★2 ATK1000

粋カエル ★2 DEF2000

 

【粋カエル】

効果モンスター

星2/水属性/水族/攻 100/守2000

このカードはS素材にできない。

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「デスガエル」として扱う。

(2):このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地から「ガエル」モンスター1体を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

『この瞬間、俺は手札から速攻魔法【地獄の暴走召喚】発動!デッキから【デスガエル】3体を特殊召喚する!』

クロト 手札;4→3枚。

 

 【粋カエル】はモンスターゾーンに存在する限り「デスガエル」として扱うからできる芸当だ。

 

【地獄の暴走召喚】

速攻魔法

(1):相手フィールドに表側表示モンスターが存在し、自分フィールドに攻撃力1500以下のモンスター1体のみが特殊召喚された時に発動できる。

その特殊召喚したモンスターの同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から可能な限り攻撃表示で特殊召喚し、相手は自身のフィールドの表側表示モンスター1体を選び、そのモンスターの同名モンスターを自身の手札・デッキ・墓地から可能な限り特殊召喚する。

 

<クロトのフィールド>

鬼ガエル ★2 ATK1000

粋カエル ★2 DEF2000

デスガエル ★5 ATK1900

デスガエル ★5 ATK1900

デスガエル ★5 ATK1900

 

【デスガエル】

効果モンスター

星5/水属性/水族/攻1900/守 0 

このカードの生け贄召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「悪魂邪苦止」の枚数分まで、「デスガエル」を手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。

 

「その効果は相手にもモンスターを特殊召喚させることを忘れていないかい?ボクもデッキから【白騎士団のランサー】を呼び出させてもらうよ」

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

「オレは【B-3 スパイダーベース】をデッキから呼び出させてもらうぞ!」

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

 

「私のフィールドの【白夜の女王】は特殊召喚することが出来ない…」

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

『俺はレベル2【鬼ガエル】と【粋カエル】の2体でオーバーレイ!』

 

『2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク2【餅カエル】!』

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

デスガエル ★5 ATK1900

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

 

【餅カエル】

エクシーズ・効果モンスター

ランク2/水属性/水族/攻2200/守 0

水族レベル2モンスター×2

(1):お互いのスタンバイフェイズにこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「ガエル」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):1ターンに1度、相手がモンスターの効果・魔法・罠カードを発動した時、自分の手札・フィールドの水族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。その発動を無効にし破壊する。その後、破壊したカードを自分フィールドにセットできる。

(3):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地の水属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

 

「ガエルのエクシーズモンスター!?」

 

「こいつもエクシーズ召喚!?」

「まさか、こんなそこら辺の着ぐるみ男が!?」

 

 着ぐるみアルバイター舐めすぎだろ。俺は精霊の力でそれほどでもないけれど、本来この手のバイトはかなりの重労働なんだぞ。

 

『更にレベル5【デスガエル】2体でオーバーレイ!』

 

『2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク5【ヴァリアント・シャーク・ランサー】!』

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:2

 

【ヴァリアント・シャーク・ランサー】

エクシーズ・効果モンスター

ランク5/水属性/獣戦士族/攻2500/守1600

レベル5モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。自分フィールドのX素材を1つ取り除き、対象のモンスターを破壊する。自分フィールドに他の水属性Xモンスターが存在する場合、この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、自分フィールドの他の水属性Xモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。デッキから魔法カード1枚を選んでデッキの一番上に置く。

 

『【ヴァリアント・シャーク・ランサー】の効果発動!【白騎士団のランサー】1体を破壊する!』

ヴァリアント・シャーク・ランサー ORU:2→1

 

「むっ!」

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

『俺はカードを2枚セットしてターンエンド!』

クロト 手札:3→1枚。伏せカード:0→2枚。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:1枚、伏せカード:2枚

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

 

vs

 

◆白の男 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

白騎士団のランサー ★4 ATK2600

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:0枚、伏せカード:1枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

 

「ボクのターン。ドロー!」

白の男 手札:2→3枚。

 

『スタンバイフェイズに【餅カエル】の効果発動!デッキから【黄泉ガエル】を特殊召喚する!』

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2→1

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:1

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

【黄泉ガエル】

効果モンスター

星1/水属性/水族/攻 100/守 100

(1):このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「黄泉ガエル」が存在しない場合、自分スタンバイフェイズに発動できる。このカードを特殊召喚する。

この効果は自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動と処理ができる。

 

「そんな雑魚モンスターなど!どうでもいい!メインフェイズに入る!」

 

 ガエルを雑魚扱いとか…無知は怖いな。

 

「ボクは2体の【白騎士団のランサー】をリリース!手札から【白騎士団のロード】をアドバンス召喚する!」

白の男 手札:3→2枚。

 

<白の男のフィールド>

白騎士団のロード ★7 ATK2000→2300→3100

 

【白騎士団のロード】※アニメオリジナルカード

効果モンスター

レベル7/光属性/戦士族/攻撃力2000/守備力2000

このカードはリリースできない。

(1):このカードが戦闘を行わなかったターンのエンドフェイズに、このカードのコントローラーは800ダメージを受ける。

(2):このカードが表側表示で存在する限り、このカードと戦闘を行う事で自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、破壊したモンスター1体につき300ダメージを相手に与える。

(4):このカードが相手のカード効果によって破壊された時、相手に1000ダメージを与える。

 

「そして…ふふふっ、これが白の結社への忠誠のカードだ!」

 

 多分、あの装備魔法のことだな。

 

「ボクは手札から装備魔法【白のヴェール】を発動!【白騎士団のロード】に装備する!」

白の男 手札:2→1枚。装備魔法:0→1枚。

 

【白のヴェール】

装備魔法

(1):装備モンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

(2):装備モンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に発動する。相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードの効果はダメージステップ終了時まで無効化される。

(3):装備モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

(4):魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードがフィールドから離れた時に自分は3000ダメージを受ける。

 

「バトルだ!【白騎士団のロード】で【ギアギガント X】を…」

 

『バトルフェイズに入る前に【ヴァリアント・シャーク・ランサー】の効果を使わせてもらう!』

ヴァリアント・シャーク・ランサー ORU:1→0

 

「何っ!?相手ターンにも破壊効果を使えるのか!?」

 

 条件を満たしていればね。

 

<白の男のフィールド>

モンスターなし

 

 白の男 装備魔法:1→0枚。

 

「だが【白騎士団のロード】はカード効果で破壊された時、相手に1000ダメージを与える!」

 

『うぐっ!?…しかし、それはそちらも同じだ!【白のヴェール】の自壊ダメージを受けろ!』

クロト LP:4000→3000

 

「ぐはぁっ!」

白の男 LP:4000→1000

 

 【白のヴェール】はモンスターが戦闘する際に様々な強力な効果を与えるカードではあるが、直接的な効果耐性を付与するわけでもないしデメリットもデカいんだ。

 

 万丈目の確保がメインなのだろうが、視野が狭すぎる。

 

「ボクはカードを1枚セットしてターンエンドだ」

白の男 手札:1→0枚。

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:1枚、伏せカード:2枚

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:1

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

黄泉ガエル ★1 DEF100

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

 

vs

 

◆白の男 LP:1000、手札:0枚、永続魔法:1枚、伏せカード:1枚。

 

<白の男のフィールド>

モンスター無し

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:0枚、伏せカード:1枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

 

「オレのターン!ドロー!」

万丈目 手札:2→3枚。

 

『スタンバイフェイズに【餅カエル】の効果発動!デッキから【魔知ガエル】を特殊召喚する!』

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:1→0

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:1

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

黄泉ガエル ★1 DEF100

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

【魔知ガエル】

効果モンスター

星2/水属性/水族/攻 100/守2000

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「デスガエル」として扱う。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。

(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた時に発動できる。自分のデッキ・墓地から「魔知ガエル」以外の「ガエル」モンスター1体を選んで手札に加える。

 

「オレは手札から速攻魔法【サイクロン】発動!白服の男!貴様の伏せカードを破壊する!」

万丈目 手札:3→2枚。

 

「掛かったな!お前が破壊したのは罠カード【封印の扉】!このカードはセットされた状態で破壊されることで効果を発動する!」

白の男 伏せカード:1→0枚

 

【封印の扉】

通常罠

セットしたこのカードが破壊され墓地へ送られた時に発動する事ができる。

自分の墓地から「白騎士団のソードマン」「白騎士団のランサー」「白騎士団のガードナー」をそれぞれ1体ずつゲームから除外し、デッキから「白騎士団のロード」1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「ボクの墓地から【白騎士団のソードマン】、【白騎士団のランサー】、【白騎士団のガードナー】をそれぞれ1体ずつゲームから除外し、デッキから【白騎士団のロード】1体を特殊召喚…」

 

『【黄泉ガエル】を墓地に送って【餅カエル】の効果発動!【封印の扉】の効果発動を無効にして破壊し、俺のフィールドにセットする!』

 

「!?」

 

チェーン②餅カエル

チェーン①封印の扉 ※効果発動無効

 

クロト 伏せカード:2→3枚

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

「なっ!?貴様!」

 

「カエル、リリース、マスドライバー。うっ、頭が」

 

「あの不細工なカエルにそんな凶悪な能力があるなんて!?」

 

 失礼な。どこが不細工なんだよ。

 

 よく見てみろ。(自分のフィールドにいるうちは)可愛いだろう?

 

「【ギアギガント X】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【B-1 カブトップ】を手札に加える!」

ギアギガント X ORU:1→0

万丈目 手札:2→3枚。

 

「ここで2体のレベル4【B-3 スパイダーベース】の2体でオーバーレイ!出でよ!2体目の【ギアギガント X】!」

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:0

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:2

 

「2体目の【ギアギガント X】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【強化支援メカ・ヘビーアーマー】を手札に加える!」

ギアギガント X ORU:2→1

万丈目 手札:3→4枚。

 

「オレは手札から【B-1 カブトップ】を通常召喚!」

万丈目 手札:4→3枚。

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:0

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

B-1 カブトップ ★4 ATK1700

 

「続いて【前線基地】の効果により手札から【B-2 クワガターボ】を特殊召喚!」

万丈目 手札:3→2枚。

 

<万丈目のフィールド>

B-3 スパイダーベース ★4 DEF2000

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:0

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

B-1 カブトップ ★4 ATK1700

B-2 クワガターボ ★4 DEF1800

 

「そして【B-1 カブトップ】、【B-2 クワガターボ】、【B-3 スパイダーベース】をフィールドから除外!来い!【アサルト・キャノン・ビートル】!」

 

<万丈目のフィールド>

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:0

ギアギガント X ☆4 ATK2300 ORU:1

アサルト・キャノン・ビートル ★8 ATK2400

 

【アサルト・キャノン・ビートル】※アニメオリジナルカード

融合・効果モンスター

レベル8/地属性/機械族/攻撃力2400/守備力2800

「B-1 カブトップ」+「B-2 クワガターボ」+「B-3 スパイダーベース」

このカードは自分フィールド上に存在する上記のカードをゲームから除外して、エクストラデッキから特殊召喚できる。(魔法カード「融合」は必要としない)。

自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリ-スする事で、相手に800ポイントのダメージを与える。

 

「バトルだ!白服の男!【ギアギガント X】で貴様にダイレクトアタックだ!」

 

「う、うわぁぁぁぁっ!」

 

「リバースカードオープン!カウンター罠【攻撃の無力化】発動!その攻撃は無効となりバトルフェイズを終了する!」

白の女 伏せカード:1→0枚。

 

【攻撃の無力化】

カウンター罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に、その攻撃モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃を無効にする。その後、バトルフェイズを終了する。

 

「ちぃ!仕留めそこなったか!メインフェイズ2に移行!」

 

 万丈目の奴、女の方の存在を忘れてたな。俺もだけどさ。

 

「足手まといにならないでよね」

「うっ、すまない…」

 

「はん!オレの攻撃から逃れたと思っているのか?甘いんだよ!【アサルト・キャノン・ビートル】の効果発動!」

 

「えっ!?」

 

「【ギアギガント X】2体を発射!800×2体で1600のダメージを受けろ!」

 

<万丈目のフィールド>

アサルト・キャノン・ビートル ★8 ATK2400

 

「うわぁぁぁぁっ!」

白の男 LP:1000→0

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ」

万丈目 手札:2→1枚。伏せカード:0→1枚。

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:1枚、伏せカード:3枚

 

<クロトのフィールド>

デスガエル ★5 ATK1900

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:0

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:1枚、永続魔法:1枚、伏せカード:1枚

 

<万丈目のフィールド>

アサルト・キャノン・ビートル ★8 ATK2400

 

vs

 

◆白の男 LP:0

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:0枚、伏せカード:0枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

 

 

 万丈目の手札はあのユニオンモンスターで決まりだろう。伏せカードも1枚あるが、使う前に【白夜の女王】の効果で割られてしまわないだろうか?

 

 白服の女の手札は読めないが、アニメGXの白服状態の明日香とデッキが似ているから、ハッキリ言ってそこまで強くはないと思う。

 

 こちらには【餅カエル】に【ヴァリアント・シャーク・ランサー】、いつでも使える伏せカード2枚とかなり盤石だ。負けることは無いだろう。

 

 

「私のターン、ドロー!」

白の女 手札:2→3枚。

 

「私は手札から永続魔法【コート・オブ・ジャスティス】を発動!」

白の女 手札:3→2枚。

 

【コート・オブ・ジャスティス】

永続魔法

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。手札から天使族モンスター1体を特殊召喚する。この効果は自分フィールドにレベル1の天使族モンスターが存在する場合に発動と処理ができる。

 

 何か特殊召喚するつもりか?まだ使用条件は整っていないが、一応止めておくか。

 

『【デスガエル】を墓地に送って【餅カエル】の効果発動!【コート・オブ・ジャスティス】の効果を無効にして破壊し、俺のフィールドにセットする!』

 

「!?」

 

チェーン②餅カエル

チェーン①コート・オブ・ジャスティス

 

クロト 伏せカード:3→4枚

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:0

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500 ORU:1

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

「嫌なカエルね…でも、そっちの魔法カードは囮よ!本命はこっち!手札から魔法カード【生け贄の氷柱】を発動!【氷柱トークン】を特殊召喚するわ!」

白の女 手札:2→1枚。

 

【生け贄の氷柱】※アニメオリジナルカード

通常魔法

自分のメインモンスターゾーンから1ヵ所を指定して発動する。

指定したメインモンスターゾーンはこのデュエル中使用できない。その後、自分フィールド上に「氷柱トークン」(水族・水属性・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。モンスターをアドバンス召喚する場合、このトークンは2体分のリリースにできる。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

氷柱トークン ★1 DEF0

 

 リリース要員か。確かに残りの手札的にさっきの【コート・オブ・ジャスティス】は囮だったみたいだな。

 

「【氷柱トークン】は2体分のリリースにできる!これをリリースして、手札から【青氷の白夜龍】をアドバンス召喚よ!」

白の女 手札:1→0枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100

青氷の白夜龍 ★8 ATK3000

 

【青氷の白夜龍】

効果モンスター

星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

(1):このカードを対象とする魔法・罠カードが発動した時に発動する。その発動を無効にし破壊する。

(2):このカード以外の自分の表側表示モンスターが攻撃対象に選択された時、自分フィールドの魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。攻撃対象をこのカードに移し替える。

 

「【青眼の白龍】!?…いや、微妙に違うか」

 

「その強さは【青眼の白龍】以上よ!これが白の結社の力!」

 

 何処かの社長にぶっ飛ばされそうな発言だな。

 

「更に【白夜の女王】の効果発動!万丈目、貴方の伏せカードを破壊させてもらうわ!」

 

「そう何度も割らせてたまるか!チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【パルス・ボム】発動!相手フィールドに攻撃表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て守備表示にする!」

万丈目 伏せカード:1→0枚。

 

【パルス・ボム】

通常罠

(1):自分フィールドに機械族モンスターが存在する場合に発動できる。

相手フィールドに攻撃表示モンスターが存在する場合、そのモンスターを全て守備表示にする。ターン終了時まで、相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスターは守備表示になる。

 

「対象を取らない罠カード!?」

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 ATK2100→DEF800

青氷の白夜龍 ★8 ATK3000→DEF2500

 

 ちょっ!万丈目の野郎!俺のモンスターも守備表示になるじゃん!

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 ATK2200→DEF0 ORU:0

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 ATK2500→DEF1600 ORU:1

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

 いや待てよ?守備表示か。美味しい展開になったな。

 

「くっ、何もできない…ターンエンドよ!」

 

 

◆白河クロト LP:3000、手札:1枚、伏せカード:4枚

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 DEF0 ORU:0

ヴァリアント・シャーク・ランサー ☆5 DEF1600 ORU:1

魔知ガエル ★2 DEF2000

 

vs

 

◆万丈目準 LP:4000、手札:1枚、永続魔法:1枚、伏せカード:0枚

 

<万丈目のフィールド>

アサルト・キャノン・ビートル ★8 ATK2400

 

vs

 

◆白の男 LP:0

 

vs

 

◆白の女 LP:4000、手札:0枚、永続魔法:0枚、伏せカード:0枚。

 

<白の女のフィールド>

白夜の女王 ★7 DEF800

青氷の白夜龍 ★8 DEF2500

 

 

 あの女にはもう手札が無い。伏せカードも無いし、墓地発動効果のカードもない。

 

 これは勝ったな。勝負を決めてしまおう。

 

 

『俺のターン、ドローフェイズ…ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行!』

クロト 手札;1→2枚。

 

 【コモンメンタルワールド】辺りを引ければドゥローレンループバーンとかも出来たんだが、俺にそこまでのドロー力はないか。

 

『俺は【ヴァリアント・シャーク・ランサー】のORUを1つ取り除き、ランクアップ・エクシーズチェンジ!現れよ、ランク6【No.21 氷結のレディ・ジャスティス】!』

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 DEF0 ORU:0

魔知ガエル ★2 DEF2000

No.21 氷結のレディ・ジャスティス ☆6 DEF500 ORU:1

 

【No.21 氷結のレディ・ジャスティス】

エクシーズ・効果モンスター

ランク6/水属性/水族/攻 500/守 500

レベル6モンスター×2

このカードは自分フィールドのランク5のXモンスターからX素材を1つ取り除き、そのXモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。

(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×1000アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する。

 

『【No.21 氷結のレディ・ジャスティス】のORUを1つ取り除き、その効果を発動!相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する!』

 

「全体破壊効果、そんな…」

 

<白の女のフィールド>

モンスター無し

 

『墓地の【粋カエル】の効果発動。墓地の【デスガエル】を除外して自身を特殊召喚!』

 

『そしてレベル2【鬼ガエル】と【粋カエル】の2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れよ、2体目の【餅カエル】!』

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 DEF0 ORU:0

魔知ガエル ★2 DEF2000

No.21 氷結のレディ・ジャスティス ☆6 DEF500 ORU:1

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

 

『1体目の【餅カエル】を攻撃表示に変更してバトルフェイズに入る!』

 

<クロトのフィールド>

餅カエル ☆2 DEF0→ATK2200 ORU:0

魔知ガエル ★2 DEF2000

No.21 氷結のレディ・ジャスティス ☆6 DEF500 ORU:1

餅カエル ☆2 ATK2200 ORU:2

 

『2体の【餅カエル】でダイレクトアタック!』

 

「キャァァァァッ!」

白の女 LP:4000→1800→0

 

 

~~~

 

 白の結社の信徒と名乗る男女はデュエル後に気を失ってしまい、万丈目が呼んだ救急車によって運ばれて行った。

 

 精霊の力を持つ俺や万丈目とデュエルして敗北したことで彼らに宿っていた破滅の光の気配は消え去っていたので、搬送先の病院でもめ事が起こる心配も殆ど無いだろう。

 

 これ以上関わると面倒事に巻き込まれそうになると考えた俺は、アルバイトの給料を貰った後に騒動のどさくさに紛れてその場を後にしていた。

 

「しかし、まさかあのカードたちを万丈目や明日香以外が使ってくるとはなぁ」

 

 俺が今、帰り道で考える事は今回デュエルした2人が使っていたカードのことだ。

 

 あれらのカードはアニメGXの光の結社編にて斎王が洗脳状態の万丈目と明日香に手渡していたカードであり、あれらのカードは幹部と言っていいポジションだった彼らにのみ渡したカード群である。今の環境でこそそこまで強くないがアニメ放送時にはそこそこ強いカードだったはずだ。アニメ内でもプロデュエリストを瞬殺していたしな。

 

 えっ?アニメGX第二期放送時の2005年前後は【サイエンカタパ】やら【変異カオス】やらのOCG暗黒時代だったから、白騎士団とか白夜のカードなんてあの時代でもイマイチだったんじゃないかって?

 

 せやな!手のひらを返すようだが俺もそう思うわ!

 

「世界改変の影響やら俺の影響やらの所為で、本来の歴史よりも敵デュエリスト達の質が上がって来ている」

 

 これは今更か。そもそもそんなことは去年のセブンスターズ編時点でも十分に分かっていた事だよな。三幻魔使いの影丸よりその配下のヴァンパイアのカミューラの方が多分強かったくらいにはパワーバランスが無茶苦茶になっている。

 

 冬休みが明けたら学園対抗デュエルが始まり、2年に入ったら光の結社編が始まる。そこで俺と敵対するである連中がどれほどの実力になっているやら。

 

「でも、流石にネームドでもない連中にデュエルで負ける気はしないな」

 

 カードゲームにおいて、使用するカードプールの質はかなり重要である。例え俺が他の連中よりも遥かにヘボデュエリストだったとしても、使用できるカードが他の連中に比べて段違いに強力なのでよほどのことが無い限り、本気で勝ちに行く時の俺がデュエルで負けることは無いだろう。

 

「そもそも、遊戯王ではデュエル外でのイベントの方が生命の危機に陥ることが多いんだ。むしろこっちを何とかしたいんだが、こちらは俺では介入できるイベントが殆ど無いんだよなぁ」

 

 アニメGX第二期では破滅の光に洗脳された斎王のせいで地球滅亡の危機が訪れるが、その遠因となるのがミズガルズ王国が所有するレーザー衛星「ソーラ」だ。そのレーザー衛星は既に完成して宇宙空間にあるし、衛星を制御する鍵はミズガルズ王国が厳重に管理しているので手の出しようがない。

 

 アニメ原作では斎王自身を十代がデュエルで倒して破滅の光の洗脳を解き、レーザー衛星自体は十代の力で実体化したネオス、ネオスの力でスペースザウルスと化した剣山、斎王の妹の生霊の力を結集して衛星を破壊すると言うGX屈指のぶっ飛んだ展開が繰り広げられて世界の危機は回避されるわけだ。

 

 俺が出来そうなことと言えば、レーザー衛星の制御キーを何処かのタイミングで奪って破壊するくらいだが…レーザー衛星そのものが残っているとまた別のアプローチで利用されかねないので、なるべく原作通りに進めて十代たちに破壊してもらうのがベストだと思う。

 

 ただ、原作ストーリーをなぞるとなると明日香や三沢が洗脳されてしまうので気乗りしないのも事実だ。友人たちに訪れるであろう防げる悲劇を防がないなんて罪悪感が半端ない。

 

 あっ、万丈目は別にいいかな。いや、それよりも今の万丈目が斎王に負けるだろうか?

 

 2年目はヘルカイザーイベントやらエドイベントもあるし、俺はどう立ち回るべきか…。

 

「あー、止め止め。馬鹿の考え休むに似たりってな」

 

 馬鹿な俺なりに色々と考えてみたが、アニメの主人公や他世界の有能転生者たちのようにクリティカルな妙案が浮かんだりはしなかった。

 

 結局のところ、出たとこ勝負しかない。今はそう結論付けた俺は、問題を先送りにしているだけと薄々わかりながらも考えるのをいったん止めて帰路へとついたのだった。




主人公のデッキは【ガエル】です。水属性・水族・レベル2のモンスターがメインのデッキで、展開力に優れるデッキです。ランク2の出張セットとして【鬼ガエル】、【魔知ガエル】、【粋カエル】、【餅カエル】の4枚が他デッキで活躍したりもしています。

万丈目のデッキは【ビートロン】です。アニメオリジナルカードのビートロンカードに加え、相性の良いユニオンサポートカードといくつかのエクストラデッキのモンスターを搭載しています。

白服の男のデッキは【白騎士団】、白服の女のデッキは【白夜】です。それぞれアニメGX第二期の光の結社編にて斎王に洗脳されてしまった万丈目と明日香が使用したカード群です。未OCG化のカードが多く、見た目は格好いいのですがカード性能はアニメ放送当時レベルなので本作の今の世界だとそこまで強くないです。

次回からは新章となります。次回の更新は2月初旬予定です。

<備考>
 次回以降の更新は今まで頂いた誤記報告の修正と平行してやっていくつもりなので少し遅れるかも知れません。ご了承いただけますと幸いです。

Skazka Priskazka様、戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始1年目 学園対抗デュエル編
第百五十五話 隼人の旅立ち


前回のあらすじ:光の結社の影

今回より新章突入です。

今回のデュエルは主人公と前田隼人とのデュエルです。


 冬休みが明け、デュエルアカデミア1年生での三学期が開始した。

 

 アカデミアの教室から窓の外の景色を窺うと、ハラハラと粉雪が舞っているのが確認できる。

 

 この島は冬になると辺り一面が雪景色になると吹雪さんから聞いたことがあるので、もしかしたら積もるのかもしれない。

 

「そう言えば、アニメ原作のサイコショッカーの事件の時は積もってたっけ」

 

「サイコショッカー?」

「何の話だ?」

 

 俺の独り言に反応したのか、隣の席に座っているドルオと坂倉が反応を返してくるが、何でもないただの独り言だと返しておく。

 

 危ない危ない。今って授業中だったわ。課題が終わって暇だったからつい気が緩んでいたな。

 

「なぁ白河。それは何なのだ?」

「うん?」

 

 気を引き締めて現実に意識を戻してみると、ドルオが複雑そうな表情で俺の机にある絵を指差してその正体を問うてきた。

 口には出さないが、坂倉も同じような表情をしている。

 

「何って言われても…分かるだろ?」

「分からない聞いているんだが?」

「わりぃな、白河!オレにもよく分からねーぜ!」

 

 何と言われてもな。

 

「どう見てもただの可愛いウサギさんだろ?」

 

 今はラーイエロー寮長でもある樺山教授が担当する美術の授業中だ。今回の課題は絵を書けとのことなのだがお題は特になく何を書いても良いとのこと。

 それならば!と言うわけで、前世のとあるゲームに登場した青のウサギとピンクのウサギの絵を書いてみたのだ。我ながらなかなかの再現度だと思う。

 

「何故に可愛いウサギが鉄パイプとかチェーンソーとか持っているのだ!」

「そうか?可愛く書けていると思うんだが…」

「この口元の赤い染みは返り血だよな?人を食った跡とかじゃないよな!?いや、どっちにしろ可愛くないって!むしろ怖えーよ!」

 

 以前、孤児院に居た頃にも同じように書いたことがあったが、コナミやセレナには「格好いいな!」と好評だったのを覚えている。ユーリも「悪くないね」とか言っていたぞ。

 ユーゴやリン、デニス辺りは微妙そうな顔をしていたが、きっと感性の違いだろうな。

 

 ちなみに、ドルオは【精霊術師 ドリアード】、坂倉は【守護者スフィンクス】と自身のデッキのエースモンスターを書いたようだ。

 オベリスクブルー女子たちは、明日香がサイバーエンジェルの弁天、ツァンが大将軍の方の紫炎、紬が3種のガジェット、雪乃はデミスとルイン、とそれぞれ自身の好きなモンスターを書いているみたいだな。

 

 皆、かなり上手く書けている。デュエリストは基本的に万能だよな。

 

 

「綺麗な漬物石だな!」

「何言ってるんスか。オーストラリアのエアーズロックっす!」

 

 ドルオたちとそんな話をしていると、教室の中央上部付近に座っている十代たちの方から何やら聞き覚えのある会話が聞こえてきた。

 

「エアーズロック?」

「世界の中心って言われているアボリジニの聖地なんだナァ」

 

 これは…隼人のI2社就職イベントの時の会話だな。

 

『あー、あー。シニョール前~田。校長室までちょこっと来るノーネ』

 

 教室にクロノス校長のアナウンスが流れ、それに従った隼人が退出していく。それから少し時間が経ってから授業が終わり、隼人の後を付けるように十代、コナミ、翔の三人も教室を出て行った。

 これは明日にも原作アニメでも屈指の名シーンの一つである隼人とクロノス先生のデュエルが見られそうだ。あとでコナミにデュエルの時間を聞いておかないとな。

 

~~~

 

「おーい、白河~!」

「クロト~!」

「白河く~ん!」

 

 本日の授業が全て終わってから出題された宿題を図書室で片付け終わった後、ラーイエロー寮へと帰ろうと校舎を出たタイミングで十代たちに声を掛けられた。

 

「うん?何か用か?」

「おう。オレたちがって言うより、隼人が用があるんだってさ」

 

 コナミに問い返すと、コナミから返答が帰って来る。

 

 もう日も暮れそうだって言うのにこの雪積もる校舎前でわざわざ待っていたのか?生徒手帳代わりのPDAか俺個人の携帯電話に一報してきた方が早いだろうに、行動力あるな。

 

「お、オレとデュエルして欲しいんだナァ!」

 

 そう言う隼人の腕にはデッキがセットされたデュエルディスクが装着されている。これはどういう展開だろうか?

 

「隼人は明日、クロノス先生とデュエルするんだぜ!」

「へぇ~、そうなんだ」

 

 とりあえず知らない振りをしておこう。

 

「兄貴、今はクロノス校長っスよ」

「羨ましいよな!オレもクロノス校長とデュエルしたいぞ!」

 

 十代たちが説明しようとしてくれているがなかなか話が纏まらない。

 

「そのクロノス校長との試験デュエルでもしオレが勝ったら、オレはデュエルアカデミアの推薦を受けてI2社にカードデザイナーとして雇ってもらえそうなんだナァ」

 

 隼人本人から詳しい事情を聴いたところ、大体アニメ通りの展開の様だ。

 

 以前に隼人が描いて応募に出した絵がI2社のペガサス会長に認められててカード化され、デュエルアカデミアの推薦があればI2社にカードデザイナーとして登用してもらえそうなこと。

 現実技最高責任者の響先生が今期の隼人の成績と努力と評価して推薦しようとしたところ、去年留年している実績を加味したクロノス校長がストップをかけ、推薦する条件として自身とデュエルして勝つことを条件としたそうだ。

 

「その話を聞いた後、オレたちと隼人で協力してデッキを組んでたんだぜ!」

「かなり良い感じのデッキになったと思うぞ!」

「それでそのデッキの出来栄えを確かめるためにボクたちや他の強いデュエリストにデュエルを挑んていたんスよ」

 

「その流れからすると、俺もその強いデュエリストとやらに選ばれたってことか?」

「そうなんだナァ」

「そう言われると何だか照れるな」

 

 面と言われてこうベタ褒められると悪い気はしないな。

 

「別に今日この後で特に用事もないし、そのデュエルを受けても良いかな」

「本当か!助かるんだナァ!」

 

 隼人と距離を取ってデュエルディスクを装着し、デッキをセットする。

 

 今回の俺とのデュエルは隼人にとってクロノス校長の当て馬みたいな扱いだろうから、俺も【古代の機械】デッキを使った方が良いか?

 う~ん、いや、この世界でのあのデッキはオベリスクフォースのせいで印象悪いし、その悪印象を払拭しようとするクロノス校長が使ってこそだよな。俺が使うのは、なんか違う気がする。

 

「隼人~!面白いデュエルを見せてくれよ~!」

「隼人!頑張れよ!あっ、そうだクロト!隼人の次はオレとデュエルしようぜ!」

「隼人君!気張れ~!」

 

 十代たちは校舎前に並んである石の置物の近くで観戦を始めるつもりの様だ。

 

「よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いするんだナァ!」

 

 挨拶は大事だ。古事記にもそう書いてあるはず。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆前田隼人 LP:4000

 

 

 さて、隼人と言えばコアラデッキ、もしくはオーストラリアと言うイメージだ。

 今回もコアラやらカンガルーと言った獣族中心のデッキだろうな。

 

 

「先攻はオレが貰うんだナァ!オレのターン、ドロー!」

隼人 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合派兵】を発動!【マスター・オブ・OZ】を見せてデッキから【ビッグ・コアラ】を特殊召喚するんだナァ!」

隼人 手札:6→5枚。

 

【融合派兵】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

 

【ビッグ・コアラ】

通常モンスター

星7/地属性/獣族/攻2700/守2000

とても巨大なデス・コアラの一種。

おとなしい性格だが、非常に強力なパワーを持っているため恐れられている。

 

「おおっ、いきなり最上級モンスターだぜ!」

「幸先良いな」

「良いぞー隼人君~!」

 

「更にオレはモンスターをセット、伏せカードを2枚セットしてターンエンドなんだナァ!」

隼人 手札:5→4→2枚。伏せカード:0→2枚。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

裏側守備表示モンスター

 

 

◆白河クロト LP:4000

 

vs

 

◆前田隼人 LP:4000、手札:2枚、伏せ:2枚。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

裏側守備表示モンスター

 

 

 伏せモンスターはバーンダメージを与えるリバース効果モンスターの【デス・コアラ】かな?

 伏せカードは獣族サポートか融合サポートだろうか?いや、この時代ならシンプルに攻撃反応型もしくは召喚反応型の魔法・罠カードかも知れないか。

 

 以前コナミのテコ入れがあってから融合モンスターだけでなくシンクロやエクシーズモンスターも使うようになっているから結構強いんだよな。

 とりあえず、まずは動いてみて様子を見てみるかな。

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!スタンバイ、メインフェイズに移行!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「俺は手札から【霊獣使いの長老】を通常召喚!その効果により更に【精霊獣 ラムペンタ】を通常召喚!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

<クロトのフィールド>

霊獣使いの長老 ★2 ATK200

精霊獣 ラムペンタ ★4 ATK1600

 

【霊獣使いの長老】

効果モンスター

星2/風属性/サイキック族/攻 200/守1000

自分は「霊獣使いの長老」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功したターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「霊獣」モンスター1体を召喚できる。

 

【精霊獣 ラムペンタ】

効果モンスター

星4/風属性/獣族/攻1600/守 400

自分は「精霊獣 ラムペンタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。エクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を除外し、そのモンスターと同じ種族の「霊獣」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。

 

「うわっ、【霊獣】か。初見殺しだな」

 

 そう言うなコナミ。このデッキほど相手が何やってるかよく分からないデッキも無いだろうから、一度見ておけば経験になるだろ?

 

「【精霊獣 ラムペンタ】の効果発動!エクストラデッキから【聖霊獣騎 ペトルフィン】を除外し、デッキから【精霊獣 ペトルフィン】を墓地へ送る!」

 

「フィールドの【霊獣使いの長老】と【精霊獣 ラムペンタ】を除外し、エクストラデッキから【精霊獣 カンナホーク】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

聖霊獣騎 カンナホーク ★6 DEF1600

 

【聖霊獣騎 カンナホーク】

融合・効果モンスター

星6/風属性/雷族/攻1400/守1600

「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):1ターンに1度、除外されている自分の「霊獣」カード2枚を対象として発動できる。そのカードを墓地へ戻し、デッキから「霊獣」カード1枚を手札に加える。

(2):このカードを持ち主のEXデッキに戻し、除外されている自分の、「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「『融合』魔法カード無しに融合モンスターを呼び出したっスよ!?」

「オレのコンタクト融合みたいだな!スゲー!」

 

 ギャラリーの十代たちが良い反応してくれるからデッキ回してるこちらも楽しくなってくるな。

 

「【聖霊獣騎 カンナホーク】の効果発動!除外されている【聖霊獣騎 ペトルフィン】と【精霊獣ラムペンタ】を墓地に戻してデッキから【霊獣の誓還】を手札に加える!」

 

「そして、チェーンして更に【聖霊獣騎 カンナホーク】の効果発動!このカードをエクストラデッキに戻し、除外されている【霊獣使いの長老】と【精霊獣ラムペンタ】を守備表示で特殊召喚する!」

 

チェーン②聖霊獣騎 カンナホーク

チェーン①聖霊獣騎 カンナホーク

 

<クロトのフィールド>

霊獣使いの長老 ★2 DEF1000

精霊獣 ラムペンタ ★4 DEF400

 

クロト 手札:4→5枚。

 

「えっ?今どうなったんスか?」

「白河は【聖霊獣騎 カンナホーク】の(1)の効果にチェーンして(2)の効果を発動したんだぜ」

「チェーンによる逆順処理で、【聖霊獣騎 ペトルフィン】だけが墓地に送られたんだ」

 

 俺自身、実はあまりよく分かっていないんだがそう言う裁定なんだよ。

 

「【精霊獣 ラムペンタ】の効果発動!エクストラデッキから【聖霊獣騎 アペライオ】を除外し、デッキから【精霊獣アペライオ】を墓地へ送る!」

 

 【精霊獣 ラムペンタ】の効果はターン1制限があるが、一度フィールドから離れているからもう一度使用できるのが良いところだ。

 

「もう一度フィールドの【霊獣使いの長老】と【精霊獣 ラムペンタ】を除外し、エクストラデッキから【精霊獣 カンナホーク】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

聖霊獣騎 カンナホーク ★6 DEF1600

 

「また出た!?」

「つまりまた効果を使えるってわけか!」

 

「【聖霊獣騎 カンナホーク】の効果発動!除外されている【聖霊獣騎 アペライオ】と【精霊獣ラムペンタ】を墓地に戻してデッキから【精霊獣使い ウィンダ】を手札に加える!」

クロト 手札:5→6枚。

 

「あれだけデッキを回したはずなのに手札枚数が元に戻ってるんだナァ」

 

「俺は手札から速攻魔法【霊獣の誓還】を発動!手札の【精霊獣使い ウィンダ】を除外し、墓地の【精霊獣アペライオ】を特殊召喚!」

クロト 手札:6→5→4枚。

 

【霊獣の誓還】

速攻魔法

(1):手札から「霊獣」モンスター1体を除外し、自分の墓地のモンスターまたは除外されている自分のモンスターの中から、「霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

<クロトのフィールド>

聖霊獣騎 カンナホーク ★6 DEF1600

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

 

【精霊獣アペライオ】

効果モンスター

星4/風属性/炎族/攻1800/守 200

自分は「精霊獣 アペライオ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分の墓地の「霊獣」カード1枚を除外して発動できる。このターン中、以下の効果を適用する。この効果は相手ターンでも発動できる。

●自分フィールドの「霊獣」モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

 

「【精霊獣アペライオ】の効果発動!墓地の【聖霊獣騎 ペトルフィン】を除外して自分フィールドの「霊獣」モンスターの攻撃力・守備力を500アップする!」

 

<クロトのフィールド>

聖霊獣騎 カンナホーク ★6 DEF1600→2100

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800→2300

 

「【聖霊獣騎 カンナホーク】の効果発動!このカードをエクストラデッキに戻し、除外されている【精霊獣使い ウィンダ】と【精霊獣 ペトルフィン】を守備表示で特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK2300

精霊獣使い ウィンダ ★4 DEF1800→2300

精霊獣 ペトルフィン ★4 DEF2000→2500

 

【精霊獣使い ウィンダ】

効果モンスター

星4/風属性/サイキック族/攻1600/守1800

自分は「精霊獣使い ウィンダ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが相手によって破壊された場合に発動できる。デッキまたはエクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

【精霊獣 ペトルフィン】

効果モンスター

星4/風属性/水族/攻 0/守2000

自分は「精霊獣 ペトルフィン」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、手札の「霊獣」カード1枚を除外し、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。

 

「【聖霊獣騎 ペトルフィン】の効果発動!手札の【精霊獣 カンナホーク】を除外してそちらの伏せカードをバウンスする!」

クロト 手札:4→3枚。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!速攻魔法【瞬間融合】発動!フィールドの【ビッグ・コアラ】と【デス・カンガルー】を融合するんだナァ!」

隼人 伏せ:2→1枚。

 

【瞬間融合】

速攻魔法

(1):自分フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。この効果で融合召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

チェーン②瞬間融合

チェーン①聖霊獣騎 ペトルフィン ※対象を失い不発。

 

「融合召喚!来るんだナァ!【マスター・オブ・OZ】!」

 

<隼人のフィールド>

マスター・オブ・OZ ★9 ATK4200

 

【マスター・オブ・OZ】

融合モンスター

星9/地属性/獣族/攻4200/守3700

「ビッグ・コアラ」+「デス・カンガルー」

 

「おぉっ!隼人の最強モンスターが来たぜ!」

「相変わらずでっけー!」

「攻撃力4200の超強力モンスターっスよ!」

 

 攻撃力4200か。ガイアペライオでも突破できないな。仕方ない、幸いエンドフェイズには自壊するだろうし、ここは防御を固めておくか。

 

「フィールドの【精霊獣使い ウィンダ】と【精霊獣 ペトルフィン】を除外し、エクストラデッキから【聖霊獣騎 ペトルフィン】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK2300

聖霊獣騎 ペトルフィン ★6 DEF2800→3300

 

【聖霊獣騎 ペトルフィン】

融合・効果モンスター

星6/風属性/水族/攻 200/守2800

「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードは効果では破壊されない。

(2):このカードをエクストラデッキに戻し、除外されている自分の「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「俺はカードを2枚セットしてターンエンド」

クロト 手札:3→1枚。伏せ:0→2枚。

 

「エンドフェイズ前にリバースカードオープン!速攻魔法【融合解除】発動!【マスター・オブ・OZ】をエクストラデッキに戻し、墓地から【ビッグ・コアラ】と【デス・カンガルー】を特殊召喚するんだナァ!」

隼人 伏せ:1→0枚。

 

【融合解除】

速攻魔法

(1):フィールドの融合モンスター1体を対象として発動できる。その融合モンスターを持ち主のEXデッキに戻す。その後、EXデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールドに特殊召喚できる。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

 

【デス・カンガルー】

効果モンスター

星4/闇属性/獣族/攻1500/守1700

守備表示のこのカードを攻撃したモンスターの攻撃力がこのカードの守備力より低い場合、その攻撃モンスターを破壊する。

 

「良し!これで【瞬間融合】の自壊デメリットを回避したぜ!」

「上手いぞ隼人!」

「隼人君!良い調子っスよ!」

 

 にゃろう、味な真似をしてくれるじゃないか。

 

 

◆白河クロト LP:4000、手札:1枚、伏せ:2枚。

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK2300→1800

聖霊獣騎 ペトルフィン ★6 DEF3300→2800

 

vs

 

◆前田隼人 LP:4000、手札:2枚、伏せ:0枚。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

 

 

「オレのターン、ドロー!」

隼人 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から【横綱犬】を召喚するんだナァ!」

隼人 手札:3→2枚。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

横綱犬 ★1 ATK800 ※チューナー

 

【横綱犬】

チューナー・効果モンスター

星1/地属性/獣族/攻 800/守 600

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分の手札・墓地からチューナー1体を選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

「【横綱犬】の効果を発動!手札から【チェーンドッグ】を特殊召喚するんだナァ!」

隼人 手札:2→1枚。

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

横綱犬 ★1 ATK800 ※チューナー

チェーンドッグ ★4 ATK1600

 

【チェーンドッグ】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1600/守1100

自分フィールド上に獣族モンスターが表側表示で2体存在する場合、このカードを墓地から特殊召喚する事ができる。

この効果で特殊召喚したこのカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。

このカードをシンクロ素材とする場合、獣族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できない。

 

「オレはレベル4【チェーンドッグ】にレベル1【横綱犬】をチューニング!」

 

 地属性のみのレベル5シンクロか。良いモンスターを出してくれるといいな。

 

「シンクロ召喚!来るんだナァ!レベル5【ナチュル・ビースト】!」

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

ナチュル・ビースト ★5 ATK2200

 

【ナチュル・ビースト】

シンクロ・効果モンスター

星5/地属性/獣族/攻2200/守1700

地属性チューナー+チューナー以外の地属性モンスター1体以上

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、デッキの上からカードを2枚墓地へ送る事で、魔法カードの発動を無効にし破壊する。

 

「良し!隼人のシンクロモンスターが出たぞ!」

「あのモンスターで何度も融合召喚を邪魔されたっス!」

「これでクロトの魔法カードを実質封じられたな!」

 

 隼人!その【ナチュル・ビースト】、良いモンスターだな!

 

「この瞬間、伏せていた永続罠【調律師の陰謀】発動!」

クロト 伏せ:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

「「「「えっ?」」」」

 

【調律師の陰謀】

永続罠

相手フィールド上にシンクロモンスターが特殊召喚された時に発動する事ができる。そのシンクロモンスター1体のコントロールを得る。

この効果でコントロールを得たモンスターは破壊された場合ゲームから除外される。そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。

 

 それじゃあ貰っていくぞ!

 

「【ナチュル・ビースト】のコントロールを頂く!」

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

聖霊獣騎 ペトルフィン ★6 DEF2800

ナチュル・ビースト ★5 ATK2200

 

「そ、そんな…酷いんだナァ」

 

 概ね予想通りだな。隼人のデッキは以前と同じように火力を融合モンスターが担当し、妨害をシンクロとエクシーズで補うデッキだ。

 

 特に以前使っていたナチュル系のシンクロモンスターが厄介だったからメタカードを仕込んでおいたんだが、結果は上々だな。

 

「ま、まだ終わっていないんだナァ!墓地から【チェーンドッグ】の効果発動!自身を特殊召喚するんだナァ!」

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

デス・カンガルー ★4 DEF1700

チェーンドッグ ★4 ATK1600

 

「オレはレベル4【デス・カンガルー】と【チェーンドッグ】の2体でオーバーレイ!」

 

 今度はランク4エクシーズか。何が来るやら。

 

「エクシーズ召喚!来るんだナァ!ランク4!【恐牙狼 ダイヤウルフ】!」

 

<隼人のフィールド>

ビッグ・コアラ ★7 ATK2700

恐牙狼 ダイヤウルフ ☆4 ATK2000

 

【恐牙狼 ダイヤウルフ】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/地属性/獣族/攻2000/守1200

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体とフィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

 またもや良いモンスターだな!だけどその起動効果は使わせない!

 

「ここで伏せていた罠カード【霊獣の連契】発動!【ビッグ・コアラ】と【恐牙狼 ダイヤウルフ】を破壊する!」

クロト 伏せ:1→0枚。

 

【霊獣の連契】

通常罠

(1):自分フィールドに「霊獣」モンスターが存在する場合に発動できる。自分フィールドの「霊獣」モンスターの数まで、フィールドのモンスターを選んで破壊する。

 

「うぅ、ボロボロなんだナァ」

 

<隼人のフィールド>

モンスター無し

 

「強烈だな」

「酷すぎっス」

「これは不味いな」

 

 デュエルを受けるからには手加減はしないのがモットーなんだ。相手が強いと分かっているならなおさらだ。

 

「いや、隼人の眼はまだ死んじゃいない!気張れー!」

「隼人君、気張れー!」

「気張れー!」

 

 隼人を応援している十代たちには悪いが、手札1枚でかつ魔法カードを封じられた上に召喚権を使ってしまった隼人にはもう打つ手なんて…あっ。

 

「【ビックコアラ】たちの犠牲は無駄じゃないんだナァ!自分フィールドの獣族モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時、1000LPを支払って手札からこのカードを呼び出すんだナァ!」

隼人 LP:4000→3000

 

 居たなぁ、この状況でも呼び出せるモンスター。最近あまり見なかったからすっかり忘れていたぞ。

 

「手札から【森の番人グリーン・バブーン】を特殊召喚するんだナァ!」

隼人 手札:1→0枚。

 

<隼人のフィールド>

森の番人グリーン・バブーン ★7 ATK2600

 

【森の番人グリーン・バブーン】

効果モンスター

星7/地属性/獣族/攻2600/守1800

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの表側表示の獣族モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時、1000LPを払って発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

「バトルなんだナァ!【森の番人グリーン・バブーン】で【ナチュル・ビースト】を攻撃!」

 

 この攻撃を防ぐ手段は、今の俺には無いな。

 

「ハンマー・クラブ・デス!」

 

森の番人グリーン・バブーン ATK2600

vs

ナチュル・ビースト ATK2200 ※戦闘破壊

 

「ぐっ!?」

クロト LP:4000→3600、永続罠:1→0枚。

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

聖霊獣騎ペトルフィン ★6 DEF2800

 

「よっしゃー!白河にダメージが入ったぜ!」

「良いぞー!隼人ー!」

「これで次のターンから魔法カードが使えるっスよ!」

 

「オレはこれでターンエンドなんだナァ!」

 

「エンドフェイズに【聖霊獣騎ペトルフィン】の効果発動!自身をエクストラデッキに戻し、除外されている【精霊獣使いウィンダ】と【精霊獣 カンナホーク】を特殊召喚する!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF1800

精霊獣カンナホーク ★4 DEF600

 

【精霊獣カンナホーク】

効果モンスター

星4/風属性/雷族/攻1400/守 600

自分は「精霊獣 カンナホーク」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカードを手札に加える。

 

「相手ターンに特殊召喚したっスよ!?」

「マジかよ!?」

「これは不味いな」

 

 

◆白河クロト LP:3600、手札:1枚、伏せ:0枚。

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF1800

精霊獣カンナホーク ★4 DEF600

 

vs

 

◆前田隼人 LP:3000、手札:0枚、伏せ:0枚。

 

<隼人のフィールド>

森の番人グリーン・バブーン ★7 ATK2600

 

 

「俺のターン。ドローフェイズ、ドロー!スタンバイ、メインフェイスに移行!」

クロト 手札:1→2枚。

 

「俺は手札から【霊獣使い レラ】を召喚!そして効果発動!墓地から【精霊獣ラムペンタ】を特殊召喚する!」

 

【霊獣使い レラ】

効果モンスター

星1/風属性/サイキック族/攻 100/守2000

自分は「霊獣使い レラ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが召喚に成功した場合、自分の墓地の「霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF1800

精霊獣カンナホーク ★4 DEF600

霊獣使い レラ ★1 ATK100

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF400

 

「【精霊獣ラムペンタ】の効果発動!エクストラデッキの【聖霊獣騎 ガイアペライオ】を除外し、【英霊獣使い-セフィラムピリカ】を墓地に送る!」

 

「【精霊獣カンナホーク】の効果発動!デッキから【霊獣使い ウェン】を除外する!」

 

「【精霊獣アペライオ】の効果発動!墓地の【聖霊獣騎 アペライオ】を除外して自分フィールドの「霊獣」モンスターの攻撃力・守備力を500アップする!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣アペライオ ★4 ATK1800→2300

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF1800→2300

精霊獣カンナホーク ★4 DEF600→1100

霊獣使い レラ ★1 ATK100→600

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF400→900

 

 まだまだ【聖霊獣騎 カンナホーク】を使えば展開は可能だが、今の隼人に防御札は無いだろうから不要かな。

 

「【霊獣使い レラ】、【精霊獣アペライオ】を除外して、エクストラデッキから【聖霊獣騎 アペライオ】を特殊召喚!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF2300

精霊獣カンナホーク ★4 DEF1100

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF900

聖霊獣騎アペライオ ★6 ATK2600→3100

 

【聖霊獣騎アペライオ】

融合・効果モンスター

星6/風属性/炎族/攻2600/守 400

「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):このカードは攻撃する場合、ダメージステップ終了時までこのカード以外のカードの効果を受けない。

(2):このカードを持ち主のEXデッキに戻し、除外されている自分の、「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「不味い!グリーン・バブーンの攻撃力を上回ったッスよ!?」

「いや、あのモンスターはダメージステップ終了時までこのカード以外のカードの効果を受けないぜ!」

「つまり、戦闘を行う時には攻撃力が元に戻るからグリーンバブーンとは相打ちだな」

 

 ホント、他の霊獣カードともう少し相性のいい効果にしてくれればよかったのにな。

 

「【精霊獣使いウィンダ】を攻撃表示に変更し、バトルフェイズに移行する!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣使いウィンダ ★4 DEF2300→ATK1600→2100

精霊獣カンナホーク ★4 DEF1100

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF900

聖霊獣騎アペライオ ★6 ATK3100

 

「【精霊獣使いウィンダ】で【森の番人グリーン・バブーン】に攻撃!」

 

「攻撃力の低いウィンダで攻撃っスか!?」

「何か狙いがあるのか?」

「あのモンスターは相手によって破壊された場合にその真価効果を発揮するんだ」

 

「グリーン・バブーン、返り討ちにするんだナァ!」

 

精霊獣使いウィンダ ATK2100 ※戦闘破壊

vs

森の番人グリーン・バブーン ATK2600

 

<クロトのフィールド>

精霊獣カンナホーク ★4 DEF1100

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF900

聖霊獣騎アペライオ ★6 ATK3100

 

「ぐふっ!…だがこの瞬間、【精霊獣使いウィンダ】の効果発動!エクストラデッキから「霊獣」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する!」

クロト LP:3600→3100

 

「「「!?」」」

 

「現れよ!【聖霊獣騎 ガイアペライオ】!」

 

<クロトのフィールド>

精霊獣カンナホーク ★4 DEF1100

精霊獣ラムペンタ ★4 DEF900

聖霊獣騎アペライオ ★6 ATK3100

聖霊獣騎 ガイアペライオ ATK3200→3700

 

【聖霊獣騎 ガイアペライオ】

融合・効果モンスター

星10/光属性/サイキック族/攻3200/守2100

「聖霊獣騎」モンスター+「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):上記の方法で特殊召喚したこのカードは以下の効果を得る。

●モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、手札から「霊獣」カード1枚を除外して発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

「攻撃力3700!?」

 

「まだバトルフェイズは続いている!【聖霊獣騎 ガイアペライオ】で【森の番人グリーン・バブーン】に攻撃!」

 

聖霊獣騎 ガイアペライオ ATK3700

vs

森の番人グリーン・バブーン ATK2600 ※戦闘破壊

 

「うぐっ!グリーン・バブーンがやられちゃったんだナァ」

隼人 LP:3000→1900

 

<隼人のフィールド>

モンスター無し

 

「止めを刺せ!【聖霊獣騎アペライオ】!ダイレクトアタックだ!」

 

聖霊獣騎アペライオ ★6 ATK2600

 

「わぁぁぁぁぁっ!」

隼人 LP:1900→0

 

 

 

「負けちゃったんだナァ」

「対戦、ありがとうございました」

 

 直接デュエルするのは制裁デュエル前の練習試合以来だったけれど、あれから随分と強くなっていたな。

 

「隼人!白河!ガッチャ!楽しいデュエルを見せて貰ったぜ!」

「二人ともいいデュエルだったぞ!」

「負けちゃったけど、隼人君も十分強かったっスよ!」

 

 十代たちも隼人の健闘を称えている。実際、アニメ原作のクロノス先生になら今の隼人であれば十分に勝機はあるかも知れないな。

 

~~~

 

 俺と隼人がデュエルした翌日、アニメ原作通りに隼人とクロノス校長のデュエルは行われた。

 

 流石に双方ともデッキ内容が異なっていた為、デュエル展開自体はアニメと異なる物であったが、隼人は十分にクロノス校長に食い下がっていたと思う。

 その甲斐もあり、去年度とは比べものにならないその知識と技量を評価され、隼人は無事にI2社への推薦を貰うことに成功していた。

 

「いやぁ~!前田とクロノス校長のデュエルは見ごたえあったな!」

「前田の【コアラッコアラ】の効果発動がクロノス校長が【デモンズチェーン】に止められて居なければ勝機はあったのだがな」

「そうだな。良いデュエルだった」

 

 もう一つアニメ原作と異なる点と言えば、隼人とクロノス校長のデュエルの見物人の数だろう。

 

 アニメ原作では十代、翔、万丈目、三沢、明日香の5人に加えて途中から鮫島校長が現れた為、合計6人のみがデュエルの観客であった。

 だがこの世界の隼人は同学年内でも強いデュエリストと言えば名前が上がるほどの腕前となっていた為、今回のデュエルの見物人は全校生徒の三割くらいになっていたと思う。

 

 先ほどこのデュエルリングで行われていた隼人とクロノス校長のデュエルを俺と一緒に見物していたドルオや坂倉からの評判も、今聞く限りだと良い感じの様だ。

 

「ふん、カードデザイナーとしてI2社への就職したらしいが、それだけに惜しいな」

「そうだな!前田の奴、去年ダブッたと思えないほどに筆記も実技も成績良かったからな!」

「今のアイツの実力ならラーイエロー昇格は確実だっただろうからな」

 

 1年生を終えるまではデュエルアカデミアに在籍することになっているので、来週から始まる学園対抗デュエルが終わるまではこちらに居るはずだ。

 

「学園対抗デュエルが始まるせいで今学期には月一デュエルはないし、気が抜けてしまいそうだ」

「白河は良いよな~!代表選手に選ばれているんだろ?」

「一応な」

 

 学園対抗デュエルは各学校ごとに1年生から代表選手を6人選抜して1対1のデュエルを6回行い、最終的に勝利数が最も多い学校が勝利となる。

 

「この本校以外だと、ノース校、イースト校、ウエスト校、サウス校、アークティック校、アメリカ校だったか」

「ここの代表選手は白河以外だと、オシリスレッドの遊城と赤羽と万丈目、オベリスクブルーの三沢と天上院だったっけ?」

「それで合ってる」

 

 厳密に言えば吹雪さんや藤原先輩も1年生なのだが、彼らは代表入りを辞退したようだ。

 同じように総合成績で言えば他の代表選手よりも高いはずのツァンや雪乃、レイン達も辞退したみたいだ。

 

「唯一のラーイエローからの代表選手であるお前が無様な試合を見せないように今からボクたちが相手をしてやろう!」

「えっ、オレもか?まぁ暇だから全然OKだぜ!」

 

「はっ?そう言うセリフは俺に一度でも勝ってから吐いて欲しい物だが?」

「言ったな?ならは、デュエルだ!」

 

 その後、ドルオたちとデュエルをしていると何処から聞きつけたのか他の暇な生徒たちも集まって来て、その日は一日中デュエルをすることになったのであった。




主人公のデッキは【霊獣】です。 霊獣は、霊獣使い・精霊獣・聖霊獣騎の3グループを内包するカテゴリであり、霊獣使いと精霊獣が融合して聖霊獣騎となったりフリーチェーンで融合解除して戻ったりして戦うビートダウンデッキです。

隼人のデッキは【獣族】です。融合モンスターのコアラ2種に加え、ナチュル系シンクロモンスターとランク4エクシーズモンスターであるダイヤウルフを備えた汎用的なデッキとなっています。獣族サポート魔法・罠カードも豊富であり、ネームドキャラクター以外であれば高確率で勝利できるデッキでした。

アニメで名場面の一つとして取り上げられることの多い隼人vsクロノス先生のデュエルの描写は、アニメ原作と展開がほぼ同じになりそうだったので本作では丸々カットしました。個人的にもアニメ原作の方は名勝負だと興味がある方は原作をご覧ください。第50話です。

次回の更新は2月中旬予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十六話 学園対抗デュエル1

前回のあらすじ:隼人就職

今回の対戦カードはコナミ君とアメリカ校代表のモブです。


 2月初旬、ついに学園対抗デュエルが開始されようとしていた。

 

 既にこのデュエルアカデミア本校のある島には各校の代表選手6名とその引率の教師が到着しており、普段は月一デュエルが行われるデュエルリングにて今まさに開会式が執り行われている。

 デュエルリング上部にあるリング全体を見回せる部屋には、本校のクロノス校長、ノース校の一ノ瀬校長、アメリカ校のマッケンジー校長など、デュエルアカデミアのお偉方が勢揃いしているみたいだ。

 

 この対抗デュエルの展開によっては、俺は三幻魔事件でのやらかしの責任を海馬社長に取らされてデュエルアカデミアを退学処分にされてしまう。

 女神からのミッションで俺は十代と同時期にアカデミアを卒業しなければ消されてしまうので、何としても俺以外の本校代表生徒にも頑張ってもらいたい。

 

「まさか、あの青髪は『宝玉獣のヨハン』じゃないか?」

「ヨーロッパで開催されたアマチュアの世界大会で優勝した奴か!?」

 

「なんだあの変な形のデュエルディスク?」

「何でも、変形してカードを飛ばせるらしいぞ」

「何の意味があるんだ?」

「さぁ?」

 

「どうして彼はワニを背負っているんだろう?」

「片目を包帯で隠しているのはあれか?邪気眼なのか?」

 

「あれはまさか、ガラム財閥の元御曹司か?」

「一時期は行方不明だって話だったが、生きていたんだな」

 

 各校の代表選手のうち、何人かは見覚えのある連中がいる。アニメGX第三期にて留学生組として登場した人物たちだ。

 それぞれが個性的過ぎて周りの生徒たちがコソコソと話している声が聞こえて来る。

 

 アークティック校1年生のヨハン・アンデルセン。

 ウエスト校1年生のオースチン・オブライエン。

 サウス校1年生のジム・クロコダイル・クック。

 イースト校1年生のアモン・ガラム。

 

 他の生徒は全員デュエルアカデミアの制服を着ているのに何故か彼らだけ個性あふれる格好をしていてめちゃくちゃ浮いている。

 彼ら四人が今回の対抗デュエルにおける最大の障害であり、今後のストーリー展開における分岐点に関わる人物だろう。

 

 実はハノイの騎士としてであればジムとオブライエンに関しては過去に面識があったりする。向こうは仮面越しでしか俺を知らないのでこちらには気づいていないだろう。

 ヨハンやアモンに関しても噂だけなら良く耳にしていた。特にアモンが所属するガラム財閥に関しては個人的に思うところもある。

 

~~~

 

 しばらくすると開会式が終わり、早速アカデミア本校の生徒とアメリカ校の生徒のデュエルが開始された。

 

 他の選手たちは全員が観客席へと移動し、デュエルリングにはこれから対戦する2名のみが残り、それぞれがデュエルディスクを構えて対峙している。

 

「よろしく!楽しいデュエルにしよう!」

 

 リング上に残る2人のうちの1人、赤い帽子を目深に被った黒髪の少年であるコナミは相手の選手に呼びかける。

 

「ふふん、ボクたちアメリカ校の実力を見せてあげようじゃないか!」

 

 それに対してリング上に居るもう一人の選手、アメリカ校独自の白い制服に身を包んだ奇抜な髪型の青年が流暢な日本語で言葉を返している。

 どうやら本校以外の代表選手たちはこの対抗デュエルに向けて日本語の勉強も同時にこなしていたようだ。デュエルの腕は知らんが、同じ高校生としてはハイスペックすぎるな。

 

「コナミ~!面白いデュエルを見せてくれ~!」

「コナミ君~!頑張るッスよ~!」

「コナミ~!気張るんだナァ~!」

 

 観客席から十代たちがリング上に居るコナミに声援を送っている。

 隼人もI2社への入社手続きで忙しい中をなんとか時間を取って応援に駆け付けたらしい。

 

『相手はあの本校生だ!気を抜くんじゃないぞ!』

『油断しないでね!』

『トップバッターは任せたぞー!』

 

 十代たちから少し離れた席からはアメリカ校の生徒たちがリング上の選手に対して英語で声援を送っている。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆コナミ LP:4000

 

vs

 

◆アメリカ校代表 LP:4000

 

 

 コナミが負けるとは考えにくいが、どんなデュエルを見せてくれるかな?

 

 

「先攻はボクが貰う!ボクのターン、ドロー!」

アメリカ校代表 手札:5→6枚。

 

「ボクは手札から【サンダー・シーホース】を墓地に送って効果発動!デッキから【OToサンダー】2体を手札に加える!」

アメリカ校代表 手札:6→5→7枚。

 

【サンダー・シーホース】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1600/守1200

「サンダー・シーホース」の効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから攻撃力1600以下の雷族・光属性・レベル4の同名モンスター2体を手札に加える。

 

「ボクは手札から【OToサンダー】を召喚!」

アメリカ校代表 手札:7→6枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

OToサンダー ★4 ATK1300

 

【OToサンダー】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1300/守 600

(1):1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。手札から「OToサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。

 

「【OKaサンダー】の効果を発動!ボクは手札から【OKaサンダー】を召喚!」

アメリカ校代表 手札:6→5枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

OToサンダー ★4 ATK1300

OKaサンダー ★4 ATK1400

 

【OKaサンダー】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻1400/守 700

(1):1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。手札から「OKaサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4のモンスター1体を召喚する。

 

「【OKaサンダー】の効果を発動!手札から【ONiサンダー】を召喚!」

アメリカ校代表 手札:5→4枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

OToサンダー ★4 ATK1300

OKaサンダー ★4 ATK1400

ONiサンダー ★4 ATK900

 

【ONiサンダー】

効果モンスター

星4/光属性/雷族/攻 900/守 400

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「ONiサンダー」以外の雷族・光属性・レベル4モンスター1体を手札に加える。

 

「召喚成功時、【ONiサンダー】の効果を発動!デッキから【ONeサンダー】を手札に加える!」

アメリカ校代表 手札:4→5枚。

 

「ここでボクは手札から永続魔法【平和の使者】を発動!」

アメリカ校代表 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【平和の使者】

永続魔法

フィールド上に表側表示で存在する攻撃力1500以上のモンスターは攻撃宣言をする事ができない。

このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に100ライフポイントを払う。

または、100ライフポイント払わずにこのカードを破壊する。

 

「最後にボクはカードを2枚セットしてターンエンド!」

アメリカ校代表 手札:4→2枚。伏せ:0→2枚。

 

 

◆コナミ LP:4000、手札:5枚。

 

vs

 

◆アメリカ校代表 LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せ:2枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

OToサンダー ★4 ATK1300

OKaサンダー ★4 ATK1400

ONiサンダー ★4 ATK900

 

 

 未OCGカードに【OToNaRiサンダー】と言う〇〇サンダーが4体フィールドに揃った時にデッキから特殊召喚できるモンスターが居るが、もう少しでその特殊召喚を狙えそうな構成だな。

 

 彼の使用したカードの殆どは漫画版の遊戯王ZEXALの『サンダー・スパーク』戦で登場したものばかりだ。と言うことは、彼のデッキは恐らくシンプルな【雷族】デッキって所か。

 この世界でなら【電池メン】や【エレキ】のモンスターも入っているかも知れないが、流石に【サンダー・ドラゴン】デッキなんて恐ろしいデッキではないはずだ。そう願いたい。

 

 彼の残りの手札は【OToサンダー】と【ONeサンダー】で確定だ。

 このターンは【サンダー・シーホース】の効果で特殊召喚が出来なかったのだろうが、恐らく次のターンでエクシーズ召喚辺りを仕掛けて来そうだ。

 

 全体的に悪くないデッキ構成だと思うが、【ライオウ】、【電光-雪花-】、【避雷神】、【放電ムスタンガン】辺りのメタ効果持ちモンスターを並べられなかったのは残念だな。

 伏せカード次第だが、あのくらいの布陣でコナミを止めることはできないだろう。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

コナミ 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【手札抹殺】を発動!お互いに手札を捨て、捨てた枚数分ドローする!」

コナミ 手札:6→5→0→5枚。

 

【手札抹殺】

通常魔法

(1):手札があるプレイヤーは、その手札を全て捨てる。その後、それぞれ自身が捨てた枚数分デッキからドローする。

 

<コナミが捨てたカード>

①インフェルニティ・デーモン

②インフェルニティ・ネクロマンサー

③インフェルニティ・ビートル

④インフェルニティ・リベンジャー

⑤舞い戻った死神

 

「手札入れ替えか。よほど初手が悪かったようだな!」

アメリカ校代表 手札:2→0→2枚。

 

<アメリカ校代表が捨てたカード>

①OToサンダー

②ONeサンダー

 

 うっ、吐き気を催すような邪悪で極悪な捨て札だな。俺が対戦相手じゃなくて心底良かったと思う。

 これもう、後攻1ターンキル圏内じゃね?

 

「オレは手札から魔法カード【闇の誘惑】を発動!デッキから2ドローし、手札の【インフェルニティ・ドワーフ】を除外する」

コナミ 手札:5→4→6→5枚。

 

【闇の誘惑】

通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

「更にオレは手札から魔法カード【無の煉獄】を発動!デッキから1ドロー!」

コナミ 手札:5→4→5枚。

 

【無の煉獄】

通常魔法

自分の手札が3枚以上の場合に発動できる。

自分のデッキからカードを1枚ドローし、このターンのエンドフェイズ時に自分の手札を全て捨てる。

 

「オレは手札から魔法カード【ライトニング・ストーム】を発動!そちらのフィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

コナミ 手札:5→4枚。

 

「なっ!?」

 

【ライトニング・ストーム】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 うわっ、ドローカードのゴリ押しで強引に手札にバック破壊カードを引き込みやがった。

 

「やらせないさ!チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【和睦の使者】発動!このターン、ボクのモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも0になる!」

アメリカ校代表 伏せ;2→1枚。

 

【和睦の使者】

通常罠

(1):このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されず、自分が受ける戦闘ダメージは0になる。

 

チェーン②和睦の使者

チェーン①ライトニング・ストーム

 

アメリカ校代表 永続魔法:1→0枚、伏せ;1→0枚。

 

<アメリカ校代表の破壊された伏せカード>

①これで許して

 

 凄い名前のカードだ。確かあれも未OCGのカードだったかな。確かライフコストを払って相手モンスター効果を無効にするカードだったっけ。

 効果破壊系の魔法・罠はセットしていなかったけど、このターンで敗北することは避けられたみたいだ。

 

「オレはカードを2枚セットして手札から永続魔法【虚無の波動】を発動!」

コナミ 手札:4→2→1枚。伏せ:0→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【虚無の波動】

永続魔法

自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に表側表示で存在する「インフェルニティ」と名のついた全てのモンスターの攻撃力・守備力は400ポイントアップする。

また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、自分の手札を全て墓地へ送る。

 

「【虚無の波動】の効果発動!フィールドのこのカードを墓地に送り、手札を全て墓地に送る!」

コナミ 手札:1→0枚。永続魔法:1→0枚。

 

「自分から手札を捨てる?一体、何を考えているんだ?」

 

 これでアイツの手札は0枚。ハンドレスコンボの準備が整った。恐らく伏せカードはあのぶっ壊れカードだろう。

 

「ここでオレはリバースカードオープン!永続魔法【インフェルニティガン】発動!」

コナミ 伏せ:2→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

【インフェルニティガン】

永続魔法

(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札から「インフェルニティ」モンスター1体を墓地へ送る。

(2):魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送り、自分の墓地の「インフェルニティ」モンスターを2体まで対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果は自分の手札が0枚の場合に発動と処理ができる。

 

 知ってた。彼はもう終わりですね。

 

「【インフェルニティガン】の効果発動!このカードを墓地へ送り、墓地の【インフェルニティ・ネクロマンサー】と【インフェルニティ・デーモン】を特殊召喚する!」

コナミ 永続魔法:1→0枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルニティ・ネクロマンサー ★3 DEF2000

インフェルニティ・デーモン ★4 ATK1800

 

【インフェルニティ・ネクロマンサー】

効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻 0/守2000

このカードは召喚に成功した時、守備表示になる。また、自分の手札が0枚の場合、このカードは以下の効果を得る。

1ターンに1度、自分の墓地から「インフェルニティ・ネクロマンサー」以外の「インフェルニティ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

 

【インフェルニティ・デーモン】

効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1800/守1200

(1):手札が0枚の場合にこのカードをドローした時、このカードを相手に見せて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「インフェルニティ」カード1枚を手札に加える。この効果は自分の手札が0枚の場合に発動と処理ができる。

 

「特殊召喚成功時、【インフェルニティ・デーモン】の効果発動!デッキから2枚目の【インフェルニティガン】を手札に加える!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

 ちなみにこの世界では【インフェルニティガン】もあの竜も無制限だ。

 

「手札を1枚伏せ、【インフェルニティ・ネクロマンサー】の効果発動!墓地から【インフェルニティ・ビートル】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:1→0枚。伏せ:1→2枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルニティ・ネクロマンサー ★3 DEF2000

インフェルニティ・デーモン ★4 ATK1800

インフェルニティ・ビートル ★2 DEF0 ※チューナー

 

【インフェルニティ・ビートル】

チューナー(効果モンスター)

星2/闇属性/昆虫族/攻1200/守 0

自分の手札が0枚の場合、このカードをリリースする事で、デッキから「インフェルニティ・ビートル」を2体まで特殊召喚する。

 

「チューナーモンスター!シンクロ召喚か!」

 

「オレはレベル4【インフェルニティ・デーモン】とレベル3【インフェルニティ・ネクロマンサー】にレベル2【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!」

 

「合計レベルは、レベル9のシンクロモンスター!?」

 

「破壊神より放たれし聖なる槍よ 今こそ魔の都を貫け!シンクロ召喚!現れよレベル9!【氷結界の龍 トリシューラ】!」

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

 

【氷結界の龍 トリシューラ】

シンクロ・効果モンスター

星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手の手札・フィールド・墓地のカードをそれぞれ1枚まで選んで除外できる(手札からはランダムに選ぶ)。

 

「【氷結界の龍 トリシューラ】の効果発動!相手の手札をランダムに1枚、フィールドの【OToサンダー】、墓地の【OToサンダー】を除外!」

 

「合計3枚もカードを除外するのか!?」

アメリカ校代表 手札:3→2枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

OKaサンダー ★4 ATK1400

ONiサンダー ★4 ATK900

 

「そしてオレはリバースカードオープン!2枚目の【インフェルニティガン】発動!」

コナミ 伏せ:2→1枚。永続魔法:0→1枚。

 

「あっ」

 

 ガンもトリシューラも3積みだろうし、あのインフェルニティ達には名称ターン1制限がない。

 コナミがトリシューラ3体揃えるまで展開は続くだろうな。

 

 

~~~ コナミぶん回し中 ~~~

 

 

コナミ 手札:0枚。伏せ:2枚。

アメリカ校代表 手札:0枚。

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

 

<アメリカ校代表のフィールド>

ONiサンダー ★4 ATK900

 

「3体目の【氷結界の龍 トリシューラ】の効果発動!手札は無いみたいだから、フィールドの【ONiサンダー】、墓地の【サンダー・シーホース】を除外する!」

 

<アメリカ校代表のフィールド>

モンスター無し

 

<アメリカ校代表が除外されたカード>

①OToサンダー

②OKaサンダー

③ONiサンダー

④OToサンダー

⑤ONeサンダー

⑥サンダー・シーホース

⑦バッテリーリサイクル

⑧雷の裁き

 

「更にオレはフィールドのレベル9【氷結界の龍 トリシューラ】2体でオーバーレイ!」

 

「…」

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク9!【真竜皇V.F.D.】」

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2

 

【真竜皇V.F.D.】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/闇属性/幻竜族/攻3000/守3000

レベル9モンスター×2体以上

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、属性を1つ宣言して発動できる。このターン、以下の効果を適用する。この効果は相手ターンでも発動できる。

●フィールドの表側表示モンスターは宣言した属性になり、宣言した属性の相手モンスターは攻撃できず、効果を発動できない。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の手札の「真竜」モンスターの効果で破壊するモンスターを相手フィールドからも選ぶ事ができる。

 

 オーバーキル過ぎる。アメリカ校代表君、随分前から目が死んでるぞ。

 

「オレはこれでターンエンド!」

 

 

◆コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せ:2枚。

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:2

 

vs

 

◆アメリカ校代表 LP:4000、手札:0枚、伏せ:0枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

モンスター無し

 

 

「ボクのターン、ドロー」

アメリカ校代表 手札:0→1枚。

 

「メインフェイズ前に【真竜皇V.F.D.】のORUを1つ取り除いて効果発動!オレは闇属性を選択する!」

真竜皇V.F.D. ORU:2→1

 

 これでこのターン、フィールド上のモンスターは全て闇属性になって効果を発動できず、攻撃も出来ないな。

 

「ボクはモンスターをセットしてターンエンド」

アメリカ校代表 手札:1→0枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

裏側守備モンスター

 

「エンドフェイズにリバースカードオープン!罠カード【インフェルニティ・ブレイク】発動!墓地の【インフェルニティガン】を除外してそちらの伏せモンスターを破壊する!」

コナミ 伏せ:2→1枚。

 

【インフェルニティ・ブレイク】

通常罠

自分の手札が0枚の場合に発動できる。

自分の墓地の「インフェルニティ」と名のついたカード1枚を選択してゲームから除外し、相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

 あれは三回目のデーモンの効果でサーチしたカードだったな。

 

「…」

 

<アメリカ校代表のフィールド>

モンスターなし

 

<アメリカ校代表が破壊されて墓地に送られたされたカード>

①ザ・カリキュレーター

 

 最後の抵抗すら許されなかったか…。

 

 

◆コナミ LP:4000、手札:0枚。伏せ:1枚。

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:1

 

vs

 

◆アメリカ校代表 LP:4000、手札:1枚、伏せ:0枚。

 

<アメリカ校代表のフィールド>

モンスター無し

 

 

「オレのターン、ドロー!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

「オレは手札から【インフェルニティ・ミラージュ】を召喚!」

コナミ 手札:1→0枚。

 

【インフェルニティ・ミラージュ】

効果モンスター

星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

自分の手札が0枚の場合、このカードをリリースし、自分の墓地の「インフェルニティ」と名のついたモンスター2体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚する。

 

 もうやめて!とっくに彼の心のライフはゼロよ!

 

「【インフェルニティ・ミラージュ】をリリースして効果発動!このカードを墓地へ送り、墓地の【インフェルニティ・ネクロマンサー】と【インフェルニティ・デーモン】を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

インフェルニティ・ネクロマンサー ★3 DEF2000

インフェルニティ・デーモン ★4 ATK1800

 

「特殊召喚成功時、【インフェルニティ・デーモン】の効果発動!デッキから【インフェルニティ・バリア】を手札に加える!」

コナミ 手札:0→1枚。

 

「手札を1枚伏せ、【インフェルニティ・ネクロマンサー】の効果発動!墓地から【インフェルニティ・ビートル】を特殊召喚する!」

コナミ 手札:1→0枚。伏せ:2→3枚。

 

<コナミのフィールド>

インフェルニティ・ネクロマンサー ★3 DEF2000

インフェルニティ・デーモン ★4 ATK1800

インフェルニティ・ビートル ★2 DEF0 ※チューナー

 

「オレはレベル4【インフェルニティ・デーモン】とレベル3【インフェルニティ・ネクロマンサー】にレベル2【インフェルニティ・ビートル】をチューニング!」

 

「シンクロ召喚!現れよレベル9!【浮鵺城】!」

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:1

浮鵺城 ★9 DEF3000

 

【浮鵺城】

シンクロ・効果モンスター

星9/風属性/機械族/攻 0/守3000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがS召喚に成功した時、自分の墓地のレベル9モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、召喚・特殊召喚されたレベル8以下のモンスターは、そのターンには攻撃できない。

 

「【浮鵺城】の効果発動!墓地の【氷結界の龍 トリシューラ】を特殊召喚する!」

 

<コナミのフィールド>

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:1

浮鵺城 ★9 DEF3000

氷結界の龍 トリシューラ ★9 ATK2700

 

「更にオレはフィールドのレベル9【氷結界の龍 トリシューラ】2体でオーバーレイ!」

 

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れよ、ランク9!【神樹獣ハイペリュトン】!」

 

<コナミのフィールド>

真竜皇V.F.D. ☆9 ATK3000 ORU:1

浮鵺城 ★9 DEF3000

神樹獣ハイペリュトン ☆9 ATK2600 ORU:2

 

【神樹獣ハイペリュトン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク9/地属性/植物族/攻2600/守1900

レベル9モンスター×2

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分ターンに、自分が魔法・罠・モンスターの効果を発動した時、その効果と同じ種類(モンスター・魔法・罠)の自分の墓地のカード1枚を対象として発動できる。対象のカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。

(2):相手ターンに、魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その効果と同じ種類(モンスター・魔法・罠)となるX素材をこのカードから1つ取り除き、その発動を無効にし破壊する。

 

 マジで死体蹴りは止めて差し上げろ。

 

「このままバトルだ!【神樹獣ハイペリュトン】でダイレクトアタック!」

 

神樹獣ハイペリュトン ATK2600

 

「ぐはぁっ!」

アメリカ校代表 LP:4000→1400

 

「トドメだ!【真竜皇V.F.D.】でダイレクトアタック!」

 

真竜皇V.F.D. ATK3000

 

「うわぁぁぁっ!」

アメリカ校代表 LP:1400→0

 

 

「勝負あり!アカデミア本校の勝利です!」

 

 デュエルリングに上った響先生により、デュエルの勝者が宣言された。

 これで本校の勝利数は1。対抗デュエル優勝を目指すために、せめてあと3~4回は勝ちたいところだな。

 

「楽しいデュエルだったな!」

「…」

「またやろう!じゃあな!」

「…」

 

 顔から表情を失って立ち去るアメリカ校代表の選手に対し、コナミはニコニコした笑顔で手を振りながら別れを告げている。

 個人的にはあの惨い状態からも決してサレンダーせずにデュエルを続行したアメリカ校代表君には敬意を払いたい。

 

「よっしゃー!やったぜコナミ!」

「まずは一勝っスね!」

「やったんだナァ!」

「ふん、当然だな」

「今までの彼を見ていたら妥当な結果ね」

「オレたちも負けていられないな」

 

 本校の生徒たちはもう慣れたもので次の対戦カードに興味を映しているし、なんならコナミのファンたちが彼に向けて称賛の声を送っている。

 

『スゲー!あの赤帽子の奴、滅茶苦茶強いじゃねーか!』

『What!?アンビリバボー!?』

『奴は一体何者なんだ…』

『ボクは奴に勝てるだろうか…』

『あの力、なるほど。あの方が警戒するわけだ』

 

 だが、先ほどの試合を見てしまった他の代表選手たちは興奮して騒いでいたり目が点となったまま固まっていたりする。あのコブラでさえ冷や汗を流しているくらいだ。

 

「せ、静粛に!次の試合を開始しますので、各校の代表者はリングに降りてきて下さい!」

 

 結局その日はコナミが作り上げた微妙な空気が漂う中、他の代表選手たちの試合が行われて行ったのだった。




コナミのデッキは【インフェルニティ】です。入学デュエル時にザックリと一度だけ使用しましたが、フルデュエルをしていなかったので使ってもらいました。この世界では、ガンもトリシューラもV.F.D.も無制限です。つまり地獄です。

アメリカ校代表のデッキは【雷族】です。レベル4モンスターを並べてエクシーズ召喚するシンプルで基本的なデッキだったのですが、先攻1ターンでのみ許された時間を相手展開の妨害に費やせなかったため、惨敗してしまいました。せめて【ライオウ】だけでも立たせておければ…。

次回の更新は明日予定です。デュエル無しのストーリー補足回となります。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十七話 幕間:学園対抗デュエル1その後

前回のあらすじ:これで…満足したぜ…!

今回はデュエル無しのストーリー補足回です。


 学園対抗デュエル初日が終了し、各校の代表選手たちが島外にある宿泊施設へと船で戻っていくのを船着場近くの崖から確認した後、俺はデュエルアカデミア本校へと足を向けていた。

 

 せっかくアニメ第三期に登場する重要人物が1年早くやって来ているので、色々と動向を調査しておこう、と言うわけでカードの精霊たちには島中に散ってもらって情報を集めて貰っている。

 

 そんな彼らとの合流ポイントとしている本校舎へ急ぐ中、ヨハン達留学生組よりも気がかりになっている人物たちについて思考を巡らせている。

 

 恐らくは女神による世界改変と俺と言うイレギュラーが居ることによる世界への影響を大きく受けたであろう三人だ。

 

 

 まず一人目はウエスト校の引率教師であるプロフェッサーコブラ。

 

「以前にも見かけたが、いつ見てもスゲー髪型だよな」

 

 通称『本田レベル100』と言われたりする天を突くような尖ったリーゼントのような髪型をしており、黒髪に太いモミアゲ、鋭い眼に割れたアゴと言うコワモテであり、筋肉質で引き締まった浅黒い肌の上に紫色のアカデミア教師服を着た男だ。

 

 そして、アニメ原作では、元軍人で現アカデミア教師であり、過去に交通事故で失った養子を生き返らせるためカードの精霊ユベルの復活を目論んで第三期の騒動の戦端を開いた人物だ。

 平日の夕方にアモン・ガラムと共に半裸になって立派な筋肉を曝け出し、そのままリアルファイトに突入すると言う謎シーンを視聴者に見せつけた人物でもある。

 

 

 次に同じくウエスト校に所属する1年生のリック。

 

「夏休みにもハノイの騎士として会ってはいたが、どうやら本当にリック本人っぽいな。何で生きているんだろうか?」

 

 先ほどのコブラの養子であり、アニメ原作だと幼少期に交通事故で死亡している人物だ。ちなみにアニメ遊戯王には同名人物が2人ほどいる。

 逆立った金髪にデュエルアカデミアの青い制服を着た童顔の少年で、一見すると何もおかしい部分はない。パっと見はゾンビとかではないと思う。多分、エドの父親の様に世界改変の影響で生き残ったのだろう。

 

 アニメ原作では彼の死が切っ掛けでコブラはユベルの復活を目論むことになっていくわけだが、この世界では既にユベルが存在している上にリックが生きている。

 もしかするとこの世界ではアニメ原作三年目の異世界編の事件は発生しないのかも知れない。いや、楽観視は出来ないか。

 

 

 最後にアカデミア本校の教師である佐藤浩二。

 

「確か、アニオリの【スカブ・スカーナイト】ってカードを使う人だったよな」

 

 ワカメみたいな黒い髪に丸眼鏡を掛けた暗そうな男だ。この世界の彼は、三幻魔事件の時は海外支部に出向していたらしいが、数日前に本校に戻って来ていたそうだ。

 

 彼はアニメでは一話限りの登場なので上記二人よりは重要度は下がるが、十代に与えた影響度で言えばコブラと同じくらいだと思う。

 アニメ原作では、元プロデュエリストだったがプロのタイトル戦にて体調を崩した事によりその夢に破れ、家計のためデュエルアカデミアの教師になった。

 アニメ第三期では座学などで不真面目十代が授業崩壊を引き起こしており、十代に対して強い憎しみを抱いていたところをコブラに見透かされ、彼の手下となって十代と対峙することとなる。

 

 『自分が楽しければ良い』という十代の考え方を真っ向から否定した人物であり、彼の凄惨な死に様も合わせて十代闇堕ちの一因となっている。

 十代にも非はあるのだが、十代自身に注意喚起をしなかったり、明日香に『古臭い授業』と言われるなど、彼に非が無いわけではない、と言うのが前世での視聴者兄貴たちの評価だったと俺は記憶している。

 

 アニメ原作とこの世界との立場の乖離が今後どのような影響を与えるのか、彼らの動向には気を付けておきたいところだ。

 

~~~

 

『クロト、結局あの黒髪のツンツン頭とハゲデコ頭のオッサンは何してたんだ?』

『リュリュ~ン?』

 

 本校舎への移動中に合流したカードの精霊のメカレオンとプチリュウの話を聞いていた際、万丈目とノース校の一ノ瀬校長らしき人物の話が出て来た。

 

 メカレオンたちにはそれぞれ森と空から各校のお偉方(コブラ以外)の動向を探って貰っていた。

 アニメGXではデュエルアカデミア本校以外のアカデミア関係者の登場人物はかなり少ない。第一期に少しだけ登場したノース校の一之瀬校長とノース校生徒数名、第二期に登場した橘一角、第三期に登場するコブラと留学生4人以外は登場しなかったはずだ。よって上記以外の連中に関してはそれほど重要視はしていなかったが、念のためという奴だ。

 そしてその調査結果として、どうやらノース校の一之瀬校長が万丈目と接触して、一ノ瀬が万丈目に何か渡していたらしいことが判明した。

 

「多分だけど、アームドドラゴンのデッキ関係の話じゃないかな?」

 

 元々知り合いの彼らが出会って話をすること自体に特に違和感はない。そして彼らの間で物のやり取りがあったと言えばアームドドラゴン関連だろう。どんな理由があるのかは知らないが、恐らく万丈目にアームドドラゴンデッキを託したのだろう。

 

 つまり、アニメ原作と少し流れは違うけれど、万丈目はアームドドラゴンデッキを再び手に入れたということになるのかな?ただ、今更リメイク前のアームドドラゴンを手に入れてもな。【おジャマ】と組み合わせるにしてもリメイク後の方が断然強いからなぁ…。

 

 

『あっ、クロトだ!』

『ワイトもそう思います』

『バニー!』

 

 夕日に照らされた校舎へ到着すると、入り口付近で同じくカードの精霊であるキーメイス、ワイト、バニーラたちと合流した。

 キーメイスたちにはアニメGX第二期で起こる『アカデミアに飾られてある人形が動き出す』と言うイベントの前兆があるかどうかを確かめて貰っていた。

 

『今のところの話だけど、あのお人形さんには特に変化はなさそうだね~』

『ワイトもそう思いますゾ』

「そうか、ならひとまず安心かな」

『バニ~!』

 

 アニメ本編では十代の活躍によって被害らしい被害は無かったものの、イベントの発生時期が少しズれるだけで下手をすれば死人が出かねないイベントだ。

 この世界はアニメ世界と似ているようで所々違い部分が多い。今後起こりえる可能性のある面倒事は俺の手に負えそうな範囲であるうちに潰しておきたい。

 

 

「いっそのこと、今のうちに人知れずに人形を海に沈めてしまえばいいんじゃないか?」

『それは止めておいた方が良い』

 

 学園内のラウンジに移動してソファーでくつろぎながら、ふと思いついてつい言葉に出てしまった俺の独り言に反応したのは、別件で島全体を見回って貰っていた内に一人であるエルフの剣士だった。彼の隣には彼に同行していたホーリーエルフが立っている。

 

「おつかれさん。どうだった?」

『特に以前と変わらない様子でしたね』

 

 エルフの剣士とホーリーエルフの2人には、以前サルのデュエリストを研究していた研究所へと足を運んで貰っていた。 

 あの施設は、アニメ第三期にてプロフェッサーコブラが拠点として利用する場所であり、アニメよりも早くこの島にやって来た彼ならばこのタイミングで下見くらいするのでは?と考えたからだ。

 結果から言えばその心配は杞憂に終わったようだ。彼があの施設で行う所業はシャレにならないからね。ひとまずは安心だな。

 

 

「ところで、さっき人形を海に沈めない方がいいって言ってたのはどういう理由なんだ?」

『ぷぷっ、ホントにクロトは馬鹿ね~♪』

「!?」

 

 人の質問に対し、ニヤニヤと人を小馬鹿にしたような表情で言葉を返してきたのは、天井の壁をすり抜けて頭から宙吊り状態で現れた水の精霊アクエリアだった。

 そのホラー染みた光景に内心ちょっとビビったのは内緒だ。それを指摘されると何となく悔しいので素知らぬ顔を通しておく。

 

『あの人形ちゃんって人間への憎悪を糧にして動き出すんでしょ?』

「そのはずだな」

 

 アニメ原作では、使いづらいカードを使用してデュエルに負けたアカデミア生が腹いせにそのカードを破ったことで、その光景を見ていた人形アリスの心に邪なカードの精霊(なにそれ?)が入ってしまった。

 それが原因でそのアリスと言う名の人形は全てのデュエリストを憎むようになり、アカデミア生に復讐しようとすると言う話だったはずだ。

 

『アンタは自分に危害を加えようとする人間を憎まないわけ?』

「メチャクチャ憎むだろうな」

 

『つまり、そういうことよ』

 

 したり顔のアクエリアの説明を聞いて、他の精霊たちも頷いている。どうやら同意見の様だ。

 

 つまり、どういうことだってばよ?えっ、理解していないのって俺だけなの?ちょっとだけショックだ。

 

 その後、チクチクと馬鹿にされながらも詳しい話を聞いてみると、呪いの人形アリスが動き出す前に彼女自身に何か危害を加えようとすると自衛のために動き出すと言うことらしい。

 

 放置しているとそのうち人間への恨みを募らせて動き出して人を襲い始め、先手を打って破壊しようとしても自衛のために動き出す呪いの人形とか、対処が面倒くさいな!呪いの人形って物理的に破壊しても再生しそうなイメージあるからなぁ。

 

 アリスを成仏?させるにはデュエルの楽しさを教える必要があったはずだが、デュエルでボコるくらいしか出来ない俺には彼女の対応は無理そうだしな。逆に恨みを増幅させそうで怖い。

 

 もし動き出したらアニメ通り十代に押し付けよう。もしくは女たらしのコナミ辺りで任せてしまっても良いだろう。どうせコナミの部屋には既に吸血鬼とか住み着いているわけだし、そこに呪いの人形が増えることになっても大差ないだろう。

 

 

『ルビルビ~』

 

 誰も居ないラウンジで精霊たちと話し込んでいると、ソファーの裏から紫のリス?猫?とにかくそんな感じの小動物が顔を出した。尻尾には赤い宝石が付いており…って、コイツ、マジか。

 

「お前、もしかしてルビーカーバンクルか?」

『ルビ~!』

 

 アークティック校の代表選手ヨハンの精霊の1体、【宝玉獣 ルビー・カーバンクル】がそこには居た。

 前世も思ったが、コイツってポケ〇ンのエー〇ィーに似てるよな。

 

「おーい、ルビー!」

『ルビ~!』

 

 そんなしょうもないことを考えていると、【宝玉獣】デッキの使い手であり、アニメGX第三期最重要人物であるヨハン・アンデルセンが現れた。

 身長は十代より少し高く、十代みたいな髪型をしているがこちらは青髪であり、袖部分にフリルが付いているオベリスクブルーっぽい制服を着た青年だ。

 

「こんなところに居たのか。うん、お前は?」

「本校生徒1年の白河だ。よろしく、ヨハン・アンデルセン」

 

 名を問われるかと思って先に答えておいた。『彼は自由人すぎて話が通じづらいから、要点だけを話すことにしよう』というわけだ。

 もちろんこれはアニメ原作を知る俺の先入観、と言うか偏見である。彼とは初対面なので、アニメ原作とこの世界の彼との違いは現状では不明だ。

 

「なんだ、オレのことは知っているのか。ヨハンで良いぜ!」

 

 朗らかで爽やかな笑顔を向けて来るヨハン。その顔にはこちらに対する害意や悪意などは微塵も感じられない。

 

 だが、油断はできない。アニメ版はともかく、漫画版であれば彼もプラネットシリーズ所有者の1人だ。

 プラネットシリーズの所持者はアースを持つ十代以外は黒幕に操られて闇のゲームを仕掛けてきたりする見える地雷なのだ。

 そして、この世界に元々存在するプラネットシリーズは数年前のDD事件以降、何者かの手によって行方不明となっている。

 

 漫画版のラスボスにしてプラネットシリーズを悪用していた黒幕のトラゴエディアは、この世界では精霊の力を持つものの(俺視点では)原作ほどの悪人ではない。

 そしてその彼が作ったプラネットシリーズもこの世界ではただのカードだろうし、そもそも今の俺としてはそれほど脅威と思えるほどの性能のカードでもない。

 

 それでも、万が一と言うこともあり得る。油断せず、なるべく無難に話を終わらせたいところだ。

 

「そこにいる精霊たちはお前の仲間か?」

「そうだな」

 

 中には俺をおちょくることにしか全力を出さないメスガキとか、気付いたら俺の二の腕にかじりついている虫女もいるけどな。

 

「へぇ~。この学園にはオレや十代みたいに精霊を見える奴がいっぱいいるんだな!」

「そうかも」

 

 どうやら十代にはもう出会ったようだ。たちってことは、コナミや万丈目にも会っているのかもな。

 十代と会った時にはアニメ通りに「伝説って?」「あぁ!それってハネクリボー?」的な会話とかやったんだろうか?ちょっと見たかったな。

 

 んん!?十代と会った!?つまり、ハネクリボーやネオス、そしてユベルとも会ったってことか!?

 ヨハンとユベルって水と油なみに相性悪いと思うんだが、色々と大丈夫だったのか!?

 

「あっ、やべっ!もうこんな時間か!帰りの船が無くなっちまう!じゃあ白河、またなー!」

「えっ、あっ、はい」

 

 そう言うと、ヨハンはルビーカーバンクルを肩に載せて走り去っていった。

 

 十代と会った時の話を聞きそびれてしまったな。でもまぁ、多分大体はアニメ通りだろうから別にいいか。

 

「それにしても、ほとんど一人で喋ってたなアイツ」

 

 嵐のような男が立ち去った後、少々気になることは出来たものの本来の用事自体は済んだ俺は自身の寮へと帰って行った。




今回は主にアニメ第二期の修学旅行編に起こるアリスイベントと第三期に起こる異世界編に関する事前調査回でした。

現在の主人公はこの世界の十代とユベルの関係性に対してあまり情報を得ていないので、『この世界のユベルは宇宙に送られたりせず、幼い頃からずっと離れずに十代と一緒に居た』と思っています。
念の為にコブラたちの動向も調査していますが、現状は光の結社編に起こるイベントに関する調査を優先しているため、今の主人公がコブラについて新たな情報を得る可能性は低めです。

次回の更新は2月中旬予定です。

戦車様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十八話 学園対抗デュエル2

前回のあらすじ:調査回

今回はアークティック校とウエスト校の代表選手のデュエルです。


 学園対抗デュエル3日目、俺達アカデミア本校生はトップバッターのコナミのお陰で幸先のいいスタートを切れていた。

 

 一昨日はアークティック校の試合に試合が無く、一昨日の試合で勝利したのはアメリカ校に勝利した俺達アカデミア本校、サウス校に勝利したノース校、イースト校に勝利したウエスト校だ。

 昨日はアカデミア本校に試合が無く、昨日の試合で勝利したのはノース校に勝利したアメリカ校、サウス校に勝利したウエスト校、アークティック校に勝利したイースト校だ。

 今日はアメリカ校に試合が無く、今日の試合でサウス校がイースト校に勝利している。

 

 そして今、俺の目の前ではアークティック校1年生ヨハンとウエスト校の1年生リックのデュエルが行われようとしている。

 

~~~

 

 デュエルリング上でヨハンとリックがデュエルディスクを構えて対峙している。

 

「『宝玉獣のヨハン』、相手にとって不足はないね」

「そういうお前もウエスト校の鬼教師と呼ばれているプロフェッサーコブラの息子なんだろ?」

「そうだよ」

「へへっ、どんなデュエルを見せてくれるのか楽しみだぜ!」

 

 ヨハンのデッキは世間の噂通り【宝玉獣】デッキなのだろう。対するリックに関しては情報が少なすぎて調べきれなかった。

 本来は生存していないはずのプロフェッサーコブラの養子、俺としてもこのデュエルの展開には非常に興味がある。

 

「頑張れよー!ヨハーン!」

「【宝玉獣】見せてくれー!」

「兄貴たち、何時の間にあの人と仲良くなったんスか?」

「相変わらず、誰とでもすぐに仲良くなる奴なんだナァ」

 

 先日ヨハンと出会ったらしい十代たちがヨハンに声援を送っている。その隣にはハネクリボーやネオス、そしてユベルも居る。

 ユベルは嫌そうな顔をしているものの、ヨハンや周りに対して特に何かをするわけでもなさそうなので少し安心した。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆ヨハン LP:4000

 

 

vs

 

◆リック LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰うぜ!オレのターン、ドロー!」

ヨハン 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で金満な壺】を発動!エクストラデッキからカードを6枚裏側除外してデッキから2ドロー!」

ヨハン 手札:6→5→7枚。

 

【強欲で金満な壺】

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。

除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

 ネームドキャラクター特有のドロー力が来たな。

 

「オレは手札から【宝玉の守護者】と【宝玉の先導者】をペンデュラムスケールにセッティング!」

ヨハン 手札:7→5枚。Pスケール:2-5

 

【宝玉の守護者】

ペンデュラム・効果モンスター

星4/炎属性/戦士族/攻1500/守1800

【Pスケール:青2/赤2】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、1ターンに1度、自分フィールドの「究極宝玉神」モンスター及び「宝玉獣」カードは効果では破壊されない。

【モンスター効果】

(1):自分の「宝玉獣」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時、自分の手札・フィールドのこのカードをリリースして発動できる。その戦闘を行う自分のモンスターは、攻撃力・守備力がダメージ計算時のみ元々の数値の倍になり、ダメージステップ終了時に破壊される。

 

【宝玉の先導者】

ペンデュラム・効果モンスター

星3/闇属性/魔法使い族/攻1300/守1000

【Pスケール:青5/赤5】

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、自分フィールドの「究極宝玉神」モンスター及び「宝玉獣」カードは、相手の効果の対象にならない。

【モンスター効果】

(1):このカードをリリースして発動できる。デッキから、「究極宝玉神」モンスター、「宝玉獣」モンスター、「宝玉」魔法・罠カードの内、いずれか1枚を手札に加える。

 

 えっ?ペンデュラム召喚するの!?

 

「さぁ行くぜ!ペンデュラム召喚!」

 

「させないよ!手札から罠カード【タイフーン】発動!【宝玉の守護者】を破壊する!」

リック 手札:5→4枚。

 

【タイフーン】

通常罠

相手フィールドに魔法・罠カードが2枚以上存在し、自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「うぉっ!やってくれるぜ!」

ヨハン 手札:7→5枚。Pスケール:5

 

 おぉっ、手札から罠カードを発動か。リックは結構いいカード使ってくるみたいだな。

 それにしてもまさかヨハンがペンデュラム召喚を使おうとするは思わなかったな。やはり先入観ってのは駄目だなぁ。

 

「それなら手札から【宝玉獣 サファイア・ペガサス】を通常召喚するぜ!」

ヨハン 手札:5→4枚。

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1800

 

【宝玉獣 サファイア・ペガサス】

効果モンスター

星4/風属性/獣族/攻1800/守1200

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「宝玉獣」モンスター1体を選び、永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

(2):表側表示のこのカードがモンスターゾーンで破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

「【宝玉獣 サファイア・ペガサス】の効果発動!デッキから魔法・罠ゾーンに【宝玉獣 エメラルド・タートル】を表側でセットする!」

ヨハン 永続魔法:0→1枚。

 

 これが【宝玉獣】デッキ最大の特徴、フィールドで戦闘・効果破壊されるかカード効果によって宝玉獣モンスターを魔法・罠ゾーンにセットできる。

 それだけなら何の効果もなくただ魔法・罠ゾーンを圧迫するだけだが、様々な専用サポートカードによって色んな動きが出来るのだ。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

ヨハン 手札:4→2枚。伏せ:0→2枚。

 

 

◆ヨハン LP:4000、手札:2枚、永続魔法:1枚、伏せ:2枚。Pスケール:5

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1800

 

vs

 

◆リック LP:4000、手札:4枚。

 

 

「ボクのターン、ドロー!」

リック 手札:4→5枚。

 

「ボクは手札から魔法カード【テラ・フォーミング】を発動!デッキから【ヴェノム・スワンプ】を手札に加えるよ!」

リック 手札:5→4→5枚。

 

【テラ・フォーミング】

通常魔法

(1):デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。

 

「そして手札からフィールド魔法【ヴェノム・スワンプ】を発動!」

リック 手札:5→4枚。フィールド魔法:0→1枚。

 

【ヴェノム・スワンプ】

フィールド魔法

お互いのターンのエンドフェイズ毎に、フィールド上に表側表示で存在する「ヴェノム」と名のついたモンスター以外の表側表示で存在する全てのモンスターにヴェノムカウンターを1つ置く。

ヴェノムカウンター1つにつき、攻撃力は500ポイントダウンする。この効果で攻撃力が0になったモンスターは破壊される。

 

 【ヴェノム・スワンプ】か。彼のデッキはアニメで父親が使用していた【ヴェノム】デッキなのだろうか?

 あのフィールド魔法って今となってはそんなに強くはないけれど、処理がかなりややこしいからあんまり敵に回したくないんだよなぁ。

 

「ボクは手札から【ラミア】を通常召喚!」

リック 手札:4→3枚。

 

【ラミア】

効果モンスター

星4/闇属性/爬虫類族/攻1300/守1500

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから爬虫類族・レベル8モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードが除外された場合、自分フィールドの爬虫類族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターは次のターンの終了時まで効果では破壊されない。

 

<リックのフィールド>

ラミア ★4 ATK1300

 

「【ラミア】の効果発動!デッキから【ダーク・アリゲーター】を手札に加えるよ!」

 

「チェーンして手札の【カゲトカゲ】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

【カゲトカゲ】

特殊召喚・効果モンスター

星4/闇属性/爬虫類族/攻1100/守1500

このカードは通常召喚できず、このカードの効果で特殊召喚できる。このカードはS素材にできない。

(1):自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

 

チェーン②カゲトカゲ

チェーン①ラミア

 

リック 手札:3→2→3枚。

 

<リックのフィールド>

ラミア ★4 ATK1300

カゲトカゲ ★4 DEF1500

 

「ボクは手札から魔法カード【トレード・イン】を発動!手札から【ダーク・アリゲーター】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

リック 手札:3→2→1→3枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

「ボクはレベル4【ラミア】と【カゲトカゲ】2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来い、ランク4!【キングレムリン】!」

 

<リックのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:2

 

【キングレムリン】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000

レベル4モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

 

「【キングレムリン】のORUを1つ取り除いて効果発動!デッキから【未界域のツチノコ】を手札に加える!」

リック 手札:3→4枚。

キングレムリン ORU:2→1

 

「そして手札の【未界域のツチノコ】を相手に見せて効果発動!相手がランダムに1枚選び、自分はそのカードを捨てる!」

リック 手札:4→3→2→3枚。

 

【未界域のツチノコ】

効果モンスター

星3/闇属性/爬虫類族/攻1300/守 0

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。自分の全ての手札の中から、相手がランダムに1枚選び、自分はそのカードを捨てる。それが「未界域のツチノコ」以外だった場合、さらに手札から「未界域のツチノコ」1体を特殊召喚し、自分はデッキから1枚ドローする。

(2):このカードが手札から捨てられた場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

「オレが選ぶのか?ならそのカードだ!」

 

「ボクは君に選ばれたカード【ヤモイモリ】を墓地に送る。そして【未界域のツチノコ】を特殊召喚してデッキから1ドロー!」

リック 手札:4→3→2→3枚。

 

<リックのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300 ORU:1

未界域のツチノコ ★3 ATK1300

 

「バトル!【キングレムリン】で【宝玉獣 サファイア・ペガサス】を攻撃!」

 

「攻撃宣言時にリバースカードオープン!永続罠【宝玉の集結】を発動させてもらう!」

ヨハン 伏せ:2→1枚、永続罠:0→1枚。

 

【宝玉の集結】

永続罠

このカードの(1)(2)の効果は同一チェーン上では発動できない。

(1):1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の「宝玉獣」モンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動できる。デッキから「宝玉獣」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):魔法&罠ゾーンの表側表示のこのカードを墓地へ送り、自分フィールドの「宝玉獣」カード1枚とフィールドのカード1枚を対象としてこの効果を発動できる。対象のカードを持ち主の手札に戻す。

 

キングレムリン ATK2300

vs

宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK1800 ※戦闘破壊

 

「ぐぅっ!」

ヨハン LP:4000→3500

 

「【宝玉獣 サファイア・ペガサス】の効果発動!こいつは破壊された際に自身の魔法・罠ゾーンに表側でセットできる!」

ヨハン 永続魔法:1→2枚。

 

「そして永続罠【宝玉の集結】の効果を発動させてもらう!デッキから【宝玉獣 アンバー・マンモス】を特殊召喚する!」

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1700

 

【宝玉獣 アンバー・マンモス】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1700/守1600

自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたモンスターが攻撃対象に選択された時、このカードに攻撃対象を変更できる。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

「おっと、追撃は出来そうにないね。メインフェイズ2に移行。ボクはカードを3枚セットしてターンエンド!」

リック 手札:3→0枚。伏せ:0→3枚。

 

「そしてエンドフェイズにフィールド魔法【ヴェノム・スワンプ】の効果が発動するよ!」

 

「!?」

 

「ヴェノムモンスター以外にヴェノムカウンターが乗る!」

 

<リックのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK2300→1800 ORU:1 VC:0→1

未界域のツチノコ ★3 ATK1300→800 VC:0→1

 

『うぐっ』

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1700→1200 VC:0→1

 

「アンバー・マンモス!?大丈夫か!」

『だ、大丈夫だヨハン。まだ戦える!』

 

 カードの精霊アンバー・マンモスが【ヴェノム・スワンプ】による毒を受けて苦しそうにしていて、その姿を見たヨハンが心配そうにしている。

 俺がヨハンの対戦相手じゃなくてよかった。攻撃するたびに彼と宝玉獣の掛け合いを見せられるとか心が痛みそうだ。

 

 

◆ヨハン LP:3500、手札:2枚、永続魔法:2枚、永続罠:1枚、伏せ:1枚。Pスケール:5

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1200 VC:1

 

vs

 

◆リック LP:4000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚、伏せ:3枚。

 

<リックのフィールド>

キングレムリン ☆4 ATK1800 ORU:1 VC:1

未界域のツチノコ ★3 ATK800 VC:1

 

 

「オレのターン、ドロー!」

ヨハン 手札:2→3枚。

 

「オレは【宝玉の集結】の効果発動!このカードを墓地に送り、魔法・罠ゾーンにいる【宝玉獣 サファイア・ペガサス】とそちらの伏せカードを手札に戻す!」

ヨハン 永続罠:1→0枚

 

「その効果にチェーンしてリバースカードオープン!罠カード【毒蛇の供物】発動!【キングレムリン】をリリースしてそちらのPゾーンの【宝玉の先導者】と残りの伏せカードを破壊するよ!」

リック 伏せ:3→2枚。

 

【毒蛇の供物】

通常罠

(1):自分フィールドの爬虫類族モンスター1体と、相手フィールドのカード2枚を対象として発動できる。その自分の爬虫類族モンスター1体と、その相手のカード2枚を破壊する。

 

チェーン②毒蛇の供物

チェーン①宝玉の集結

 

<リックのフィールド>

未界域のツチノコ ★3 ATK800 VC:1

 

「伏せカードは破壊されてしまったけど、【宝玉獣 サファイア・ペガサス】は手札に戻せる!」

ヨハン 手札:3→4枚。永続魔法:2→1枚、永続罠:1→0枚、伏せ:1→0枚、Pスケール:無し

 

<ヨハンが破壊された伏せカード>

①宝玉の解放

 

 【宝玉の解放】は墓地に送られた時にデッキから宝玉獣をセットする効果があるが、発動タイミングを逃したか。

 そして【毒蛇の供物】のリリース要員を攻撃力の低い【未界域のツチノコ】ではなく【キングレムリン】にしたプレイング、これは恐らくあの伏せカードに理由があるはずだ。

 

「オレは手札から【宝玉獣 サファイア・ペガサス】を通常召喚!その効果を発動してデッキから魔法・罠ゾーンに【宝玉獣 コバルト・イーグル】を表側でセットする!」

ヨハン 手札:4→3枚。永続魔法:1→2枚

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1200 VC:1

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1800

 

「メインフェイズだ!オレは手札から魔法カード【レア・ヴァリュー】発動!さぁ、魔法&罠ゾーンの【宝玉獣】を1体選んでくれ!」

ヨハン 手札:3→2枚。

 

【レア・ヴァリュー】

通常魔法

(1):自分の魔法&罠ゾーンに「宝玉獣」カードが2枚以上存在する場合に発動できる。

自分の魔法&罠ゾーンの「宝玉獣」カード1枚を相手が選ぶ。相手が選んだカードを墓地へ送り、自分はデッキから2枚ドローする。

 

「今度はボクが墓地に送るカードを選ぶの?じゃあその綺麗な緑色の亀でいいかな」

 

「選ばれた魔法&罠ゾーンの【宝玉獣 エメラルド・タートル】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

ヨハン 手札:2→4枚。永続魔法:2→1枚。

 

「オレは手札から永続魔法【宝玉の樹】を発動!」

ヨハン 手札:4→3枚。永続魔法:1→2枚

 

【宝玉の樹】

永続魔法

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、「宝玉獣」モンスターが魔法&罠ゾーンに置かれる度に、このカードにジェムカウンターを1つ置く。

(2):ジェムカウンターが置かれているこのカードを墓地へ送って発動できる。このカードに置かれていたジェムカウンターの数だけ、デッキから「宝玉獣」モンスターを永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠ゾーンに表側表示で置く。

 

「バトルだ!【宝玉獣 サファイア・ペガサス】で【未界域のツチノコ】に攻撃!」

 

宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK1800

 

未界域のツチノコ ★3 ATK800 ※戦闘破壊

 

「うわぁっ!」

リック LP:4000→3000

 

<リックのフィールド>

モンスター無し

 

「だけどここでリバースカードオープン!永続罠【ダメージ=レプトル】発動!デッキから【イピリア】を特殊召喚するよ!」

リック 伏せ:2→1枚、永続罠:0→1枚。

 

【ダメージ=レプトル】

永続罠

1ターンに1度、爬虫類族モンスターの戦闘によって自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。

その時に受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つ爬虫類族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

 

<リックのフィールド>

イピリア ★2 DEF500

 

【イピリア】

効果モンスター

星2/地属性/爬虫類族/攻 500/守 500

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。

 

「特殊召喚された【イピリア】の効果発動!デッキから1ドロー!」

リック 手札:0→1枚。

 

「オレのバトルフェイズは続いているぜ!【宝玉獣 アンバー・マンモス】で【イピリア】に攻撃!」

 

「リバースカードオープン!永続罠【毒蛇の怨念】発動!」

リック 伏せ:1→0枚、永続罠:1→2枚。

 

【毒蛇の怨念】

永続罠

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、爬虫類族以外の自分のモンスターは、攻撃できず、効果を発動できない。

(2):自分フィールドの表側表示の爬虫類族モンスターが、戦闘で破壊された場合、または墓地へ送られた場合に発動できる。デッキからレベル4以下の爬虫類族モンスター1体を特殊召喚する。

(3):魔法&罠ゾーンのこのカードが破壊された場合に発動できる。除外されている自分の爬虫類族モンスターを全て墓地に戻す。

 

宝玉獣 アンバー・マンモス ATK1200

vs

イピリア DEF500 ※戦闘破壊

 

「【毒蛇の怨念】の効果発動!デッキから【ヴェノム・サーペント】を特殊召喚するよ!」

 

<リックのフィールド>

ヴェノム・サーペント ★4 DEF800

 

【ヴェノム・サーペント】

効果モンスター

星4/闇属性/爬虫類族/攻1000/守 800

1ターンに1度だけ、相手フィールド上モンスター1体にヴェノムカウンターを1つ置く事ができる。

 

「メインフェイズ2に移行する。オレは手札からカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

ヨハン 手札:3→2枚。伏せ:0→1枚。

 

「そしてエンドフェイズにフィールド魔法【ヴェノム・スワンプ】の効果が発動するよ!」

 

「またかよ!?」

 

「そう、またさ!ヴェノムモンスター以外ににヴェノムカウンターが乗る!」

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1200→700 VC:1→2

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1800→1300 VC:0→1

 

『ぐぅっ!』

『あぁっ!』

「アンバー・マンモス!?サファイア・ペガサス!?」

 

 

◆ヨハン LP:3500、手札:2枚、永続魔法:2枚、伏せ:1枚。

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK700 VC:2

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1300 VC:1

 

vs

 

◆リック LP:3000、手札:1枚。フィールド魔法:1枚、伏せ:0枚。永続罠:2枚。

 

<リックのフィールド>

ヴェノム・サーペント ★4 DEF800

 

 

「ボクのターン、ドロー!」

リック 手札:1→2枚。

 

「【ヴェノム・サーペント】の効果発動!【宝玉獣 アンバー・マンモス】にヴェノムカウンターを置く!」

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK700→200 VC:2→3

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1300 VC:1

 

「そして【ヴェノム・サーペント】を攻撃表示に変更し、バトルだ!」

 

<リックのフィールド>

ヴェノム・サーペント ★4 DEF800→ATK1000

 

「【ヴェノム・サーペント】で【宝玉獣 サファイア・ペガサス】に攻撃!」

 

「何!?攻撃力の低いモンスターで攻撃だって!?」

 

 リックの狙いは【ダメージ=レプトル】によるデッキからの特殊召喚かな。

 恐らく呼び出すのは【ヴェノム】の中核モンスターであるアイツだろうな。

 

宝玉獣 サファイア・ペガサス ATK1300

vs

ヴェノム・サーペント ATK1000 ※戦闘破壊

 

<リックのフィールド>

モンスター無し

 

「うぐっ!?だけどここで【ダメージ=レプトル】の効果発動!デッキよりモンスターを呼び出す!来い、【毒蛇王ヴェノミノン】!」

リック LP:3000→2700

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK0→4000

 

【毒蛇王ヴェノミノン】

効果モンスター

星8/闇属性/爬虫類族/攻 0/守 0

このカードはこのカード以外の効果モンスターの効果では特殊召喚できない。

このカードの攻撃力は、自分の墓地の爬虫類族モンスターの数×500ポイントアップする。

このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、「ヴェノム・スワンプ」の効果を受けない。

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、このカード以外の自分の墓地の爬虫類族モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。

 

<リックの墓地の爬虫類族>

①ダーク・アリゲーター

②ラミア

③カゲトカゲ

④ヤモイモリ

⑤未界域のツチノコ

⑥キングレムリン

⑦イピリア

⑧ヴェノム・サーペント

 

「攻撃力…4000だって!?」

 

「更に【毒蛇の怨念】の効果発動!デッキより【イピリア】を特殊召喚!」

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK4000

イピリア ★2 DEF500

 

「特殊召喚された【イピリア】の効果発動!デッキから1ドロー!」

リック 手札:2→3枚。

 

 今の【宝玉獣 アンバー・マンモス】の攻撃力はたったの200。ヨハンのLPは3500。そしてまだバトルフェイズは終わっていない。

 【毒蛇王ヴェノミノン】の攻撃を受けてしまえば勝負が決まるが、はたしてどうなるかな?

 

「行け!【毒蛇王ヴェノミノン】!【宝玉獣 アンバー・マンモス】に攻撃!」

 

「攻撃宣言時にリバースカードオープン!罠カード【ダメージ・ダイエット】を発動!ダメージを半減させてもらうぜ!」

ヨハン 伏せ:1→0枚。

 

【ダメージ・ダイエット】

通常罠

このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。

また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。

 

「ヴェノム・ブロー!」

 

毒蛇王ヴェノミノン ATK4000

vs

宝玉獣 アンバー・マンモス ATK200 ※戦闘破壊

 

「ぐあぁぁぁっ!」

ヨハン LP:3500→1600

 

 おぉっ、凌いだか。やるなぁ。

 

「【宝玉獣 アンバー・マンモス】の効果発動!破壊された際に自身の魔法・罠ゾーンに表側でセットできる!」

ヨハン 永続魔法:2→3枚。

 

「更に【宝玉の樹】にジェムカウンターが1つ乗る!」

ヨハン ジェムカウンター:0→1個

 

「耐えられちゃったね。ならメインフェイズ2に移行」

 

「何とか凌いだぜ…」

 

「ボクは【イピリア】をリリース!手札から【ヴェノム・ボア】をアドバンス召喚!」

リック 手札:3→2枚。

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK4000

ヴェノム・ボア ★5 ATK1600

 

【ヴェノム・ボア】

効果モンスター

星5/地属性/爬虫類族/攻1600/守1200

1ターンに1度だけ、相手フィールド上モンスター1体にヴェノムカウンターを2つ置く事ができる。

この効果を使用したターンこのモンスターは攻撃宣言をする事ができない。

 

「【イピリア】が墓地に送られたことで【毒蛇王ヴェノミノン】の攻撃力がさらに上がるよ!」

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK4000→4500

 

「攻撃力4500、これは本格的にヤバいぜ…」

 

「更に【ヴェノム・ボア】の効果発動!【宝玉獣 サファイア・ペガサス】にヴェノムカウンターを置くよ!」

 

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK1300→800 VC:1→2

 

『ぐっ!?』

「サファイア・ペガサス!?」

 

「そしてカードを2枚セットしてターンエンド!」

リック 手札:2→0枚。伏せ:0→2枚。

 

「そしてエンドフェイズにフィールド魔法【ヴェノム・スワンプ】の効果が発動するよ!」

 

「!?」

 

「ボクの【毒蛇王ヴェノミノン】と【ヴェノム・ボア】は【ヴェノム・スワンプ】の効果を受けないよ」

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK4500

ヴェノム・ボア ★5 ATK1600

 

『ぐぅぅぅっ!?』

「サファイア・ペガサス、今は耐えてくれ!」

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK800→300 VC:2→3

 

 

◆ヨハン LP:1600、手札:2枚、永続魔法:3枚、ジェムカウンター:1個、伏せ:0枚。

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK300 VC:3

 

vs

 

◆リック LP:3000、手札:0枚。フィールド魔法:1枚、伏せ:2枚。永続罠:2枚。

 

<リックのフィールド>

毒蛇王ヴェノミノン ★8 ATK4500

ヴェノム・ボア ★5 ATK1600

 

 

 本来はコブラのデッキだった【ヴェノム】デッキを用いるリックに対し、アニメ通り【宝玉獣】デッキを用いるヨハンのデュエルは長期戦となっていた。

 

 リックが使う永続罠【ダメージ=レプトル】と【毒蛇の怨念】による展開、【毒蛇の供物】や【ヴェノム・スワンプ】による妨害も的確だったのもある。

 だが、『相手のカードを破壊する魔法・罠をほぼ使わない』というヨハンのプレイスタンスがリックの戦術と相性が悪かったのが一番の要因だろう。

 

 そして、リックの墓地には自身のモンスターを破壊できる【ヤモイモリ】が居て、更に伏せカードがある。

 あの伏せカードがもし【毒蛇神ヴェノミナーガ】を特殊召喚する【蛇神降臨】だった場合、このターンで決着を付けなければヨハンの負けは濃厚だ。

 

 【毒蛇神ヴェノミナーガ】は原作の神のカードに近い強固な効果耐性を持ち、【毒蛇王ヴェノミノン】と同等の戦闘破壊耐性を持つ。

 ここまで墓地が肥えてしまっている以上、仮にヨハンではなく俺が対戦相手だったとしてもかなり厳しい状況だ。

 壊獣のような相手モンスターのリリースか【痛み分け】のような相手プレイヤーに墓地送りを強制できるカード以外での除去方法が思いつかない。

 

 対してヨハンの魔法・罠ゾーンには【宝玉獣 コバルト・イーグル】と【宝玉獣 アンバー・マンモス】、そして永続魔法【宝玉の樹】にジェムカウンターが1つ乗っている。

 アニメでの彼のデッキには宝玉獣が1体ずつしかデッキに入っていないと言うトンデモデッキだったが、この世界での彼なら最初のターンのペンデュラムモンスターの様に宝玉に関連するモンスターならデッキに入れている可能性がある。

 あと1体、宝玉獣が魔法・罠ゾーンに並べばあのカードの使用条件を満たして逆転が可能になるだろう。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

ヨハン 手札:2→3枚。

 

「オレは【宝玉の樹】を墓地に送って効果発動!デッキから【宝玉獣 トパーズ・タイガー】を魔法・罠ゾーンに表側表示でセット!」

ヨハン 永続魔法:3→2→3枚。

 

「オレは手札から魔法カード【虹の架け橋】を発動!デッキから【宝玉の恵み】を手札に加える!」

ヨハン 手札:3→2→3枚。

 

【虹の架け橋】

通常魔法

(1):デッキから「宝玉」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

「そしてオレは手札から魔法カード【宝玉の恵み】を発動!墓地の【宝玉獣 エメラルド・タートル】を魔法・罠ゾーンに表側表示でセット!」

ヨハン 手札:3→2枚。永続魔法:3→4枚。

 

【宝玉の恵み】

通常魔法

自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを2体まで選択して発動できる。

選択したモンスターを永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く。

 

「行くぜ!オレは魔法・罠ゾーンの【宝玉獣】カード4枚を墓地に送り、手札から魔法カード【宝玉の氾濫】を発動!」

ヨハン 手札:3→2枚。永続魔法:4→0枚。

 

「そのカードは、ヨーロッパ大会の決勝戦で使用したカード!?」

 

【宝玉の氾濫】

通常魔法

自分の魔法&罠カードゾーンの「宝玉獣」と名のついたカード4枚を墓地へ送って発動できる。フィールド上のカードを全て墓地へ送る。

さらにこの効果によって墓地へ送った相手フィールド上のカードの数まで、自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを可能な限り特殊召喚する。

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【ヴェノム・スプラッシュ】を発動!【宝玉獣 サファイア・ペガサス】に乗っているヴェノムカウンター3つを取り除き、君に2100ポイントのダメージを与えるよ!」

リック 伏せ:2→1枚。

宝玉獣 サファイア・ペガサス ★4 ATK300→1800 VC:3→0

 

【ヴェノム・スプラッシュ】

通常罠

ヴェノムカウンターが乗ったモンスター1体を選択して発動する。

そのカードのヴェノムカウンターを取り除き、取り除いたヴェノムカウンターの数×700ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

「甘いぜ!オレもチェーンして墓地から【ダメージ・ダイエット】を除外して効果発動!効果ダメージを半分にする!」

 

チェーン③ダメージ・ダイエット

チェーン②ヴェノム・スプラッシュ

チェーン①宝玉の氾濫

 

「うわぁぁっ!」

ヨハン LP:1600→550

 

『ヨハン!』

「だ、大丈夫さ。サファイアペガサス!」

 

 危なかったが、なんとか耐えたな。

 

「【宝玉の氾濫】の効果により、フィールド上のカードを全て墓地へ送る!」

ヨハン 永続魔法:4→0枚。

 

<ヨハンのフィールド>

モンスター無し

 

「くっ!?」

リック フィールド魔法:1→0枚、永続罠:2→0枚、伏せ:1→0枚。

 

<リックのフィールド>

モンスター無し

 

<リックの墓地に送られた伏せカード>

①蛇神降臨

 

 まさか本当に既に【蛇神降臨】を引いてセットしていたとはな。本当に紙一重の試合だったんだな。

 

「さらにこの効果によって墓地へ送った相手フィールド上のカードの数まで、自分の墓地の「宝玉獣」と名のついたモンスターを可能な限り特殊召喚出来る!効果で墓地に送ったカードは5枚!」

 

「5体のモンスターの特殊召喚…!」

 

「来い!サファイア・ペガサス!アンバー・マンモス!トパーズ・タイガー!コバルト・イーグル! エメラルド・タートル!」

 

<ヨハンのフィールド>

宝玉獣 サファイアペガサス ★4 ATK1800

宝玉獣 アンバー・マンモス ★4 ATK1700

宝玉獣 トパーズ・タイガー ★4 ATK1600

宝玉獣 コバルト・イーグル ★4 ATK1400

宝玉獣 エメラルド・タートル ★3 DEF2000

 

【宝玉獣 トパーズ・タイガー】

効果モンスター

星4/地属性/獣族/攻1600/守1000

このカードは相手モンスターに攻撃する場合、ダメージステップの間、攻撃力が400ポイントアップする。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

【宝玉獣 コバルト・イーグル】

効果モンスター

星4/風属性/鳥獣族/攻1400/守 800

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。自分フィールド上の「宝玉獣」と名のついたカード1枚を選択して持ち主のデッキの一番上に戻す。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

【宝玉獣 エメラルド・タートル】

効果モンスター

星3/水属性/水族/攻 600/守2000

1ターンに1度、このターン攻撃を行った自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択した自分のモンスターを守備表示にする。

このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

 

「特殊召喚成功時、【宝玉獣 サファイアペガサス】の効果発動!墓地の【宝玉獣 アメジスト・キャット】を魔法・罠ゾーンに置く!」

ヨハン 永続魔法:0→1枚。

 

 リックの手札は0枚、伏せカードは全て墓地に送られ、今使える墓地発動カードもない。これでフィニッシュだな。

 

「バトルだ!【宝玉獣 サファイアペガサス】、【宝玉獣 アンバー・マンモス】でダイレクトアタック!」

 

「うわぁぁぁっ!」

リック LP:3000→1200→0

 

 

「勝負あり!アークティック本校の勝利です!」

 

 デュエルリングに上った響先生により、デュエルの勝者が宣言された。

 

 

「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ二人とも!」

『Great!【宝玉獣】のヨハンの実力、見せて貰ったぜ!』

『リックを退けるとは…ヨハン、噂以上の実力の様だ』

『ウエスト校もアークティック校も予想以上にレベルが高い。要注意だな』

 

 世界的にも有名な【宝玉獣】のヨハンと、彼に肉薄する実力のデュエリストの試合を見て観客席からも様々な声が聞こえて来る。

 

「父さん、ごめん。負けちゃったよ」

「気にするなリック。次は勝てるようにすればよいのだ。父さんも全力で手伝おう」

「うん、ありがとう父さん」

 

 試合が終わってウエスト校の生徒たちが集まっている観客席へと戻ったリックとコブラの会話が聞こえて来る。

 その声の方へ視線を向けて見ると、デュエルの敗北に落ち込んでうつむいている息子に対し、彼の肩に手を当てながら腰を下げて目線を合わせて笑顔で励ます父親の姿があった。

 オブライエンを含めた他のウエスト校の選手もその光景を見て穏やかな表情を浮かべている。

 

 この会話の様子を見る限りだと、ただ単に仲の良い親子って感じだ。この世界のコブラは異世界編の事件を起こさない可能性が出て来たな。

 いや、あの事件は本当に死人が出てしまうほどに悲惨なものだ。まだ油断はできない。

 

 カードゲームの世界で死人が出るってマジ?マジなんです。

 

「静粛に!本日最後の試合を開始しますので、各校の代表者はリングに降りてきて下さい!」

 

 ウエスト校とアークティック校とのデュエルが終わり、そのデュエルを見た観客の興奮も冷めやらぬまま、デュエルリングでは本日最後の試合であるアカデミア本校とノース校の試合が始まろうとしていた。




ヨハンのデッキは【宝玉獣】デッキです。メインデッキに宝玉獣モンスター7種1体ずつに加えて宝玉に関係のあるペンデュラムモンスター2種しか入っていないトンデモデッキですが、豊富なサポートカードとツヨツヨなドロー力でデッキを回しています。まだ8体目の宝玉獣も究極宝玉神も未入手です。

リックのデッキは【ヴェノム】です。アニメ原作ではプロフェッサーコブラの使用したデッキです。それに加えて漫画版GXで小日向やジムの使用した爬虫類族モンスターや爬虫類族のサポートカードをふんだんに盛り込んでいます。

次回の更新は2月下旬予定です。

メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百五十九話 学園対抗デュエル3

前回のあらずじ:伝説って?

今回のデュエルは万丈目とノース校の橘一角とのデュエルです。



 学園対抗デュエル3日目、アークティック校1年生ヨハンとウエスト校の1年生リックのデュエルが終わり、アカデミア本校とノース校の試合が開始されようとしていた。

 

 本校の代表選手は万丈目準、対するノース校の代表選手は橘一角。既に両者はデュエルリング上でデュエルディスクを構えて対峙している。

 

「万丈目―!面白いデュエルを見せてくれー!」

「頑張れよー万丈目ー!」

 

「万丈目、サンダー!!」

『いや~ん、兄貴ったら人気者じゃな~い』

『ギャオォォォォッ!』

 

 万丈目の方は十代やコナミと一緒にいつもの漫才をやるくらいにはいつも通りだ。彼の精霊であるおジャマイエローや光と闇の竜もやる気満々と言った感じだ。

 

「万丈目、後れを取るんじゃないぞー!」

「はん。三沢、誰に向かって言っている!」

 

「万丈目君、油断しないようにね」

「て、天上院君がオレを応援してくれている…!?」

 

 三沢への返事まではいつも通りだったが、相変わらず明日香への対応となると純情少年みたいになっているな。

 

 今回の学園対抗デュエルも前回と同様に全国中継が行われており、スポンサーの中に万丈目グループも入っている。

 万丈目としても兄2人の顔に泥を塗らない為に負けれらないデュエルだと思って緊張しているかと危惧していたけれど、杞憂だったようだ。

 

 アイツの相手はアニメの主要人物ほどのデュエリストではないだろうし、万丈目が万全の状態デュエルするのであれば今回のデュエルは勝ったも同然だろう。

 

「また会ったな万丈目サンダー!元気そうで何よりだぜ!」

 

 万丈目はいつものメンバーとの会話を終えると、今度は対戦相手の橘に話しかけられているようだ。

 アニメ原作では万丈目と橘が最初に出会ったのは第二期のジェネックス大会のような描写だったが、この世界ではノース校時代に出会っていたようだ。

 

「橘か。お前も元気そうだな」

 

 ノース校の代表選手である橘一角はアニメGX原作でも登場している人物で、【一撃必殺!居合いドロー】を用いた1ターンキル戦術の使い手だ。

 アニメだとノース校に伝わる「死神のカード」と契約を交わし、自らの寿命と引き換えに十代並のインチキドローパワーを手に入れていた。

 今の彼は健康そうに見えるので、少なくとも今は「死神のカード」は持っていないと思われる。

 

 ちなみに俺は「死神のカード」についての詳細は全く知らない。アニメでも特に深く解説されてなかったはずだし、正直に言うと完全に忘れていてノーマークだった。

 今度こっそりノース校に潜入して廃棄処分してきた方が良いだろうか?

 

「ははっ!前に言われたアドバイスはデッキ構築の参考にさせて貰ったぜ!ありがとよ!」

 

 ノース校の生徒たちにとって何処からともなく現れて瞬く間にノース校チャンプに成り上がった万丈目は忘れ難い存在だろう。

 アイツは何気に面倒見も良いからデッキ構築に悩んでいた橘とアニメでは生まれなかった交流が、この世界ではあったのかもしれない。

 

「ふん、あの運任せデッキはマシになったんだろうな?」

 

 彼のデッキは、アニメ本編では十代以外からは「運任せのデッキ」などと言うイマイチな評価を受けていたが、まだまだ未熟な当時のカードプールの中で一撃必殺を決める為に特化させたデッキ構成となっていることが判明している。

 確かに決まる確率は低めかもしれないが、個人的にはオリジナリティ溢れる見ていて楽しいデッキだと思う。(食らった方は溜まった物ではないだろうが)

 

「当然さ!あの頃のオレと思っていたら痛い目を見るぜ!」

 

 彼のセリフである「ありがとう、オレのデッキ」は遊戯王GXでも有名なセリフの一つだ。

 彼をリスペクトしたのかどうかは不明だが、十代もダークネスとの最終決戦で同じセリフを発している。

 

「はっ!ならばその成果をこの万丈目サンダーに見せてみろ!」

 

 両者のやる気は十分のようだ。デュエルディスクの先にいる相手の姿をしっかりと視界に入れ、互いを好敵手として見据えている。

 そして響先生の開始宣言により、今年度2回目の本校とノース校の対抗デュエルが始まった。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆万丈目 LP:4000

 

 

vs

 

◆橘一角 LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰うぜ!オレのターン、ドロー!」

橘 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【打ち出の小槌】を発動!オレは手札を5枚デッキに戻して5枚ドロー!」

橘 手札:6→5→0→5枚。

 

【打ち出の小槌】

通常魔法

(1):自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけドローする。

 

「手札交換カードだと?」

 

 お前もアニメでユニオンデッキで同じカード使ってたよな。お前の場合はアド損なしのアニメ版インチキ効果の奴だったけどさ。

 

「更にオレは手札から速攻魔法【手札断殺】を発動!お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送った後、それぞれデッキから2枚ドローする!」

橘 手札:5→4→2→4枚。

万丈目 手札:5→3→5枚。

 

【手札断殺】

速攻魔法

(1):お互いのプレイヤーは手札を2枚墓地へ送る。その後、それぞれデッキから2枚ドローする。

 

<橘が墓地に送ったカード>

①デスグレムリン

②魔法再生

 

<万丈目が墓地に送ったカード>

①おジャマジック

②おジャマデュオ

 

「例のキーカードを引きこもうと言う訳か」

「さぁ、どうかな?」

 

「まぁいい。オレは【手札断殺】の効果で墓地に送った【おジャマジック】の効果発動!デッキからおジャマ共三体を手札に加える!」

万丈目 手札:5→8枚。

 

【おジャマジック】

通常魔法

(1):このカードが手札・フィールドから墓地へ送られた場合に発動する。デッキから「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」を1体ずつ手札に加える。

 

「オレの【手札断殺】を逆手に取るとは、流石は元ノース校のチャンピオンだ!」

 

「はっ!そう言う貴様も何やら面白そうなデッキに仕上がっていそうじゃないか。そのデッキの真価、もっとオレに見せてみろ!」

 

「そう焦るなって!このデッキは仕込みが重要なんでね。もう少しで見せてやれるさ!」

 

 楽しそうだな。仲良きことは美しきかな。

 だが、万丈目君?君が負けたら俺の退学(死)が近づくので、負けないでくれよ?

 

「オレはモンスターをセット!カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

橘 手札:4→3→1枚。伏せ:0→2枚。

 

 

◆万丈目 LP:4000、手札:8枚

 

 

vs

 

◆橘一角 LP:4000、手札:1枚、伏せ:2枚。

 

<橘のフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

 

 このターンは一撃必殺の準備期間と言ったところか。ただ相手のターンに回ると相手が妨害札を用意して来るのは必定だ。

 それを見越しての布陣なら要注意だろうな。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

万丈目 手札:8→9枚。

 

「オレは手札から魔法カード【融合派兵】を発動!エクストラデッキから【XYZ-ドラゴン・キャノン】を公開し、デッキからその融合素材である【X-ヘッド・キャノン】を特殊召喚する!」

万丈目 手札:9→8枚。

 

【融合派兵】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。このカードを発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

<万丈目のフィールド>

X-ヘッド・キャノン ★4 ATK1800

 

【X-ヘッド・キャノン】

通常モンスター

星4/光属性/機械族/攻1800/守1500

強力なキャノン砲を装備した、合体能力を持つモンスター。合体と分離を駆使して様々な攻撃を繰り出す。

 

「次にオレは魔法カード【おジャマ・ゲットライド!】を発動!コストとして手札からおジャマ三兄弟を墓地に送る!」

万丈目 手札:8→5→4枚。

 

【おジャマ・ゲットライド!】※アニメオリジナルカード

通常魔法

手札の「おジャマ・イエロー」「おジャマ・グリーン」「おジャマ・ブラック」を1体ずつ捨てて発動する。

デッキからレベル4以下の機械族ユニオンモンスターを3体まで選択して自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは表示形式を変更する事ができない。

 

「その効果により、デッキから【W-ウィング・カタパルト】、【Y-ドラゴン・ヘッド】、【Z-メタル・キャタピラー】を特殊召喚する!」

 

<万丈目のフィールド>

X-ヘッド・キャノン ★4 ATK1800

W-ウィング・カタパルト ★4 DEF1500

Y-ドラゴン・ヘッド ★4 DEF1600

Z-メタル・キャタピラー ★4 DEF1300

 

【W-ウィング・カタパルト】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1300/守1500

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「V-タイガー・ジェット」1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は400アップする。

 

【Y-ドラゴン・ヘッド】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1500/守1600

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「X-ヘッド・キャノン」1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は400アップする。

 

【Z-メタル・キャタピラー】

ユニオン・効果モンスター

星4/光属性/機械族/攻1500/守1300

(1):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの「X-ヘッド・キャノン」または「Y-ドラゴン・ヘッド」1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

(2):装備モンスターの攻撃力・守備力は600アップする。

 

 おっ、アニオリカードだな。【おジャマ改造】の方が優秀だと思うが、まだ持っていないのかもな。

 

「ここでX、Y、Zを除外して合体する!3体を除外してエクストラデッキから【XYZ-ドラゴン・キャノン】を特殊召喚だ!」

 

<万丈目のフィールド>

W-ウィング・カタパルト ★4 DEF1500

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800

 

【XYZ-ドラゴン・キャノン】

融合・効果モンスター

星8/光属性/機械族/攻2800/守2600

「X-ヘッド・キャノン」+「Y-ドラゴン・ヘッド」+「Z-メタル・キャタピラー」

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ、EXデッキから特殊召喚できる。このカードは墓地からの特殊召喚はできない。

(1):手札を1枚捨て、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを破壊する。

 

「【XYZ-ドラゴン・キャノン】の効果発動!コストとして【おジャマッスル】を手札から墓地に送り、そちらの伏せカード1枚を破壊する!」

万丈目 手札:4→3枚。

 

「おっと、チェーンするぜ!リバースカードオープン!罠カード【威嚇する咆哮】発動!このターンの攻撃宣言を封じる!」

橘 伏せ:2→1枚。

 

「ちっ、小癪な真似をしてくれる!」

 

【威嚇する咆哮】

通常罠

(1):このターン相手は攻撃宣言できない。

 

チェーン②威嚇する咆哮

チェーン①XYZ-ドラゴン・キャノン

 

「オレは手札から【V-タイガー・ジェット】を通常召喚!」

万丈目 手札:3→2枚。

 

<万丈目のフィールド>

W-ウィング・カタパルト ★4 DEF1500

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800

V-タイガー・ジェット ★4 ATK1600

 

【V-タイガー・ジェット】

通常モンスター

星4/光属性/機械族/攻1600/守1800

空中戦を得意とする、合体能力を持つモンスター。合体と分離を駆使して立体的な攻撃を繰り出す。

 

「そしてV、Wを除外して合体する!来い、【VW-タイガー・カタパルト】!」

 

<万丈目のフィールド>

XYZ-ドラゴン・キャノン ★8 ATK2800

VW-タイガー・カタパルト ★6 ATK2000

 

【VW-タイガー・カタパルト】

融合・効果モンスター

星6/光属性/機械族/攻2000/守2100

「V-タイガー・ジェット」+「W-ウィング・カタパルト」

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):手札を1枚捨て、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの表示形式を変更する。この時、リバースモンスターの効果は発動しない。

 

「更に【VW-タイガー・カタパルト】と【XYZ-ドラゴン・キャノン】を除外して合体!来い!【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】!」

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

 

【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】

融合・効果モンスター

星8/光属性/機械族/攻3000/守2800

「VW-タイガー・カタパルト」+「XYZ-ドラゴン・キャノン」

自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ、EXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。

(1):1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。その相手のカードを除外する。

(2):このカードが相手モンスターに攻撃宣言した時、その攻撃対象モンスター1体を対象として発動できる。その攻撃対象モンスターの表示形式を変更する。この時、リバースモンスターの効果は発動しない。

 

「おぉっ!アレはオレとのデュエルで出したモンスターじゃん!」

「いつ見てもデッカいな~」

「あのモンスターの効果も強力っスよ!」

「ノーコストの除外効果も優秀だけど、攻撃時の表示形式変更効果も侮れないんだナァ」

 

 十代たちの言うように出せれば強くて格好いいモンスターだと思うが、出す手間と出した後の耐性の無さがネックなんだよな。

 流石に『ABCで良くね?』なんて言う空気を読まない発言は思っていてもしないぞ。

 

「モンスターの5体合体とは…流石はサンダー!ロマン満点のモンスターだな!」

 

「ふん、ロマンだけでないぞ!【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】の効果発動!お前の伏せモンスターを除外する!」

 

<橘のフィールド>

モンスター無し

 

「やってくれるぜ」

 

 除外されたのは【メタモルポット】か。お互いに手札は少ないし、効果を発動しておきたかったかもな。

 

「オレはカードを1枚セットしてターンエンドだ!」

万丈目 手札:2→1枚、伏せ:0→1枚。

 

 

◆万丈目 LP:4000、手札:1枚、伏せ:1枚。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

 

vs

 

◆橘一角 LP:4000、手札:1枚、伏せ:1枚。

 

<橘のフィールド>

モンスター無し

 

 万丈目のフィールドにはノーコストで除外効果を打てるVWXYZ、対する橘のフィールドにはモンスターは居ない。

 伏せカードは互いに一枚ずつあるが、橘のカードは防御札が多い構成だろう。万丈目の伏せカードはおジャマ関連だろうか?

 

 

「オレのターン、ドロー!」

橘 手札:1→2枚。

 

「オレは手札から魔法カード【一時休戦】を発動!お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドロー!」

橘 手札:2→1→2枚。

万丈目 手札:1→2枚。

 

【一時休戦】

通常魔法(制限カード)

(1):お互いのプレイヤーは、それぞれデッキから1枚ドローする。次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になる。

 

「そして次の相手ターン終了時まで、お互いが受ける全てのダメージは0になるぜ!」

 

「また防御カードか」

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

橘 手札:2→0枚。伏せ:1→3枚。

 

 

◆万丈目 LP:4000、手札:2枚、伏せ:1枚。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

 

vs

 

◆橘一角 LP:4000、手札:0枚、伏せ:3枚。

 

<橘のフィールド>

モンスター無し

 

 

 次の万丈目のターンは【一時休戦】の効果でダメージを与えることはできないからここで勝負が決まることないだろう。

 それにしても橘の伏せカードが3枚か。ドローカードに恵まれなかったから悪あがきの為に伏せたのか、あるいは…。

 

 

「オレのターン、ドロー!メインフェイズまで移行するぞ!」

万丈目 手札:2→3枚。

 

「オレは【VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン】の効果発動!お前の伏せカード1枚を除外する!」

 

「チェーンしてリバースカードオープン!罠カード【無謀な欲張り】発動!デッキから2ドロー!」

橘 伏せ:3→2枚。

 

【無謀な欲張り】

通常罠

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後の自分ドローフェイズは2回スキップされる。

 

チェーン②無謀な欲張り

チェーン①XYZ-ドラゴン・キャノン

 

橘 手札:0→2枚。

 

 あのカードは今後2回のドローをスキップするカード。勝負に出たかな?

 

「オレは1000LPを支払い、手札から魔法カード【おジャマンダラ】を発動!甦れ雑魚ども!」

万丈目 LP:4000→3000、手札:3→2枚。

 

【おジャマンダラ】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):1000ライフポイント払って発動する。

自分の墓地に存在する「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」をそれぞれ1体ずつ 自分フィールド上に特殊召喚する。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

おジャマ・イエロー ★2 DEF1000

おジャマ・グリーン ★2 DEF1000

おジャマ・ブラック ★2 DEF1000

 

【おジャマ・イエロー】

通常モンスター

星2/光属性/獣族/攻 0/守1000

あらゆる手段を使ってジャマをすると言われているおジャマトリオの一員。三人揃うと何かが起こると言われている。

 

【おジャマ・グリーン】

通常モンスター

星2/光属性/獣族/攻 0/守1000

あらゆる手段を使ってジャマをすると言われているおジャマトリオの一員。三人揃うと何かが起こると言われている。

 

【おジャマ・ブラック】

通常モンスター

星2/光属性/獣族/攻 0/守1000

あらゆる手段を使ってジャマをすると言われているおジャマトリオの一員。三人揃うと何かが起こると言われている。

 

 またアニオリカードか。これも『おジャマ』の名称を活かせなければ【トライワイトゾーン】の完全下位互換とか前世では言われていたカードだったな。

 

「あれは…万丈目が使い続けてきたカード達!」

「どんなにレベルが低くても、どんなに攻撃力が低くても、万丈目のデュエルをずっと支えてきた仲間達だ!」

「兄貴たち、いきなり何言ってんスか?」

「訳が分からないんだナァ」

 

 お前ら、何処からそのセリフを拾ってきたの?これはきっとコナミの悪影響が出ちゃってるなぁ。

 

「そしてオレは手札からこの魔法カード!【おジャマ・デルタハリケーン!!】を発動!」

万丈目 手札:2→1枚。

 

【おジャマ・デルタハリケーン!!】

通常魔法

自分フィールド上に「おジャマ・グリーン」「おジャマ・イエロー」「おジャマ・ブラック」が表側表示で存在する場合に発動する事ができる。

相手フィールド上に存在するカードを全て破壊する。

 

「さぁ行け!雑魚ども!」

 

『イエロー!』

『ブラック!』

『グリーン!』

 

『『『必殺…おジャマ・デルタハリケーン!!』』』

 

「全体破壊効果か!させないぜ!チェーンしてカウンター罠【大革命返し】を発動!」

橘 伏せ:2→1枚。

 

「なんだと!?」

 

【大革命返し】

カウンター罠

(1):フィールドのカードを2枚以上破壊するモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし除外する。

 

チェーン②大革命返し

チェーン①おジャマ・デルタハリケーン!! ※無効化

 

「ちぃっ!」

「あ、危なかったぜ…」

 

 残る伏せカードは1枚か。確かあのカードは最初のターンから伏せてあるカードだな。

 

「オレは手札から魔法カード【馬の骨の対価】を発動!【おジャマ・ブラック】を墓地に送ってデッキから2ドロー!」

万丈目 手札:1→0→2枚。

 

【馬の骨の対価】

通常魔法

(1):効果モンスター以外の自分フィールドの表側表示モンスター1体を墓地へ送って発動できる。

自分はデッキから2枚ドローする。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

おジャマ・イエロー ★2 DEF1000

おジャマ・グリーン ★2 DEF1000

 

「そして【おジャマ・グリーン】をリリース!手札から【アームド・ドラゴン LV5】をアドバンス召喚する!」

万丈目 手札:2→1枚。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

おジャマ・イエロー ★2 DEF1000

アームド・ドラゴン LV5 ★5 ATK2400

 

【アームド・ドラゴン LV5】

効果モンスター

星5/風属性/ドラゴン族/攻2400/守1700

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。この効果を発動するために墓地へ送ったモンスターの攻撃力以下の攻撃力を持つ、その相手モンスターを破壊する。

(2):このカードが戦闘でモンスターを破壊したターンのエンドフェイズに、フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。手札・デッキから「アームド・ドラゴン LV7」1体を特殊召喚する。

 

「あれは…ノース校に伝わるアームド・ドラゴンの1体か!」

「どうやら万丈目君が一ノ瀬校長から託されたって言う噂は本当だったようね」

 

 俺とは別ルートで情報を得ていたらしく、万丈目がアームドドラゴンを繰り出したことへの三沢や明日香たちの驚き具合はそれほどでもないようだ。

 

「アームドドラゴンか。だがそのレベルのモンスターは戦闘で相手を破壊しなければレベルアップは出来ないはずだ!」

 

「ふん、次のターンで出してきた壁モンスターでも破壊してやるさ。オレはこれでターンエンドだ!」

 

 

◆万丈目 LP:3000、手札:1枚、伏せ:1枚。

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

おジャマ・イエロー ★2 DEF1000

アームド・ドラゴン LV5 ★5 ATK2400

 

vs

 

◆橘一角 LP:4000、手札:2枚、伏せ:1枚。

 

<橘のフィールド>

モンスター無し

 

 

 万丈目のフィールドにはモンスターが3体、伏せカードが1枚か。対して橘は伏せカードが1枚のみ。

 橘が持っているであろうあのカードが原作仕様なのかOCG版なのかは分からないが、OCG版なら決まれば一撃必殺が決まる状況だ。

 

 

「オレのターン、ドロー!…は出来ないんだったな。メインフェイズに移行する!」

橘 手札:2枚。

 

「オレは手札から魔法カード【カード・アドバンス】を発動!」

橘 手札:2→1枚。

 

【カード・アドバンス】

通常魔法

(1):自分のデッキの上からカードを5枚まで確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。

このターン自分は通常召喚に加えて1度だけモンスター1体をアドバンス召喚できる。

 

「来るか…!」

 

 あのカードは…いよいよ仕掛けてきたな。万丈目も気付いたようだ。

 もちろん、対策はしてあるんだよね?

 

「行くぜ!リバースカードオープン!オレは手札から1枚カードを捨て、伏せていた魔法カード【一撃必殺!居合いドロー】を発動!」

橘 手札:1→0枚。伏せ:1→0枚。

 

【一撃必殺!居合いドロー】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールドのカードの数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送り、その後自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。

それが「一撃必殺!居合いドロー」だった場合、それを墓地へ送り、フィールドのカードを全て破壊する。その後、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの数×2000ダメージを相手に与える。

違った場合、自分はこの効果でデッキから墓地へ送ったカードの数だけ、自分の墓地のカードを選んでデッキに戻す。

 

 あの伏せカードが【一撃必殺!居合いドロー】だったのか。

 

「お前のフィールドのカードは4枚!つまりオレはデッキトップから4枚カードを…」

 

「ここでオレは、その効果にチェーンして墓地から【おジャマデュオ】を除外して効果発動する!」

 

「なっ!?それは確か最初のターンの【手札断殺】で墓地に送っていたカードか!?」

 

【おジャマデュオ】

通常罠

(1):相手フィールドに「おジャマトークン」(獣族・光・星2・攻0/守1000)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。「おジャマトークン」が破壊された時にそのコントローラーは1体につき300ダメージを受ける。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからカード名が異なる「おジャマ」モンスター2体を特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「この効果によりデッキから【おジャマ・レッド】と【おジャマ・ブルー】を特殊召喚する!」

 

チェーン②おジャマデュオ

チェーン①一撃必殺!居合いドロー

 

<万丈目のフィールド>

VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ★8 ATK3000

おジャマ・イエロー ★2 DEF1000

アームド・ドラゴン LV5 ★5 ATK2400

おジャマ・レッド ★2 DEF1000

おジャマ・ブルー ★2 DEF1000

 

【おジャマ・レッド】

効果モンスター

星2/光属性/獣族/攻 0/守1000

(1):このカードが召喚に成功した時、手札から「おジャマ」と名のついたモンスターを4体まで自分フィールド上に攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

【おジャマ・ブルー】

効果モンスター

星2/光属性/獣族/攻 0/守1000

(1):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「おジャマ」カード2枚を手札に加える。

 

「くっ!サンダーのフィールドに新たなカードが増えたか!」

 

「惜しかったな、橘!この勝負は貰ったぞ!」

 

 おぉっ、上手い戦術だな。

 

 【一撃必殺!居合いドロー】は相手フィールドの数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送り、その後自分はデッキから1枚ドローする。

 そしてそのカードが【一撃必殺!居合いドロー】で無ければ一撃必殺の効果を発動できない。

 

 その効果を確実に通す為に、橘は【カード・アドバンス】の効果でデッキトップ5枚を確認した後、確実に【一撃必殺!居合いドロー】の効果を通せるようにデッキトップを操作していたはずだ。

 

 だが、今の万丈目のフィールドには合計6枚のカードが存在してしまってる。

 これでは【カード・アドバンス】で操作した以上のカードを墓地に送らなければならなくなり、発動した【一撃必殺!居合いドロー】は本来通りの分の悪いギャンブルカードとなってしまった。

 

「まだだ!まだ勝敗は決まっていない!【一撃必殺!居合いドロー】の効果処理を続けるぞ!」

 

<橘がデッキから墓地に送ったカード>

①神の宣告

②貪欲な瓶

③光の護封剣

④魔導雑貨商人

⑤一撃必殺!居合いドロー

⑥太陽の書

 

 【カード・アドバンス】を発動した時点ではデッキトップ5枚以内に【一撃必殺!居合いドロー】が無かった時点で負けだったのだが、その時は勝負に勝っていたわけか。

 こうして結果だけ見ると冷や冷やものだったな。まだ最後の一枚が残っているけれど、確率はかなり低いはずだ。

 

 勝ったな。風呂入って来る。

 

「あーあ、もう少しで一撃必殺が決まっていたのに、惜しいなー」

「でもさコナミ?これでもしアイツがデッキ内最後のカードを引き当てたら、面白いよなぁ?」

 

 おい止めろ十代。変なフラグを立てるな!お前(原作主人公)が言うとシャレにならなくなるんだよ!

 引くなよ?引くなよ?フリじゃないからな!?マジで引くなよ!?

 

「デュエリストたるもの勝負は最後まであきらめないんだぜ!オレはこのドローに賭ける!行くぞ!ドロー!」

橘 手札:0→1枚。

 

 橘は恐る恐るドローしたカードを見て…笑みを浮かべてドローカードを公開する。

 

「ははっ、愛してるぜぇ!オレのデッキぃ!」

 

 あのカードは…まさか…まさか嘘だろ!?

 

「オレがドローしたカードは!【一撃必殺!居合いドロー】だ!!」

 

「な、なにぃぃぃ!」

 

 あ…ありえない…! 

 

「【一撃必殺!居合いドロー】の効果発動!ドローした【一撃必殺!居合いドロー】を墓地へ送り、フィールドのカードを全て破壊する!」

 

「うおぉぉぉっ!?」

万丈目 伏せ:1→0枚。

 

<万丈目のフィールド>

モンスター無し

 

「その後、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの数×2000ダメージを相手に与える!」

 

「フィールドで破壊されたカードは6枚。つまりは…」

 

「万丈目サンダー!お前には合計12000のダメージを受けて貰うぜ!」

 

 

 ま、万丈目さん?もちろんなにか逆転の手とかあるんですよね?

 無敵の万丈目カリスマパワーとかでなんとかしてくれるんですよね!?

 

 

「そんな馬鹿なぁぁぁ!」

万丈目 LP:4000→0

 

 

 うおぉぉぉぃ!負けやがったぞアイツゥゥゥ!?

 

 

「勝負あり!ノース本校の勝利です!」

 

 デュエルリングに上った響先生により、デュエルの勝者が宣言された。

 

 そして、ノース校の勝利によってとうとうアカデミア本校に初の黒星が刻まれることになったのだった…。

 

 

 あぁぁぁぁっ!た、退学が近づいたぁぁぁ!

 

 

~~~

 

 本日学園対抗デュエル3日目が終了した為、全試合の半分近くが終了したことになるわけだ。

 明日は丸一日が休憩日となり、明後日から学園対抗デュエル4日目が開始されることになる。

 

 そんな折、俺は各校の代表選手たちが島外にある宿泊施設へと船で戻っていくのを船着場近くの崖からボケーっと見物しながら今回の対抗デュエルについて思考を巡らせていた。

 

 現在の時点で全勝を通している校は存在しないが、本校含む他の姉妹校が1勝なのに対してノース校とウエスト校が2勝と有利となっている。

 本校とアメリカ校、アークティック校はまだ試合回数が少ないので多少気持ちの余裕があるだろうが、試合数が多い割に1勝しか得ていないイースト校は焦っている頃合いかも知れない。

 

「いやはや…まさか万丈目がノーマークだったノース校に負けるとはなぁ」

 

 万丈目のプレイング自体にミスは無かったと思う。ただ、相手の引きが凄かっただけの話だ。

 デュエルは運の要素もなかなか絡んでくる勝負事なんだから必勝と言うわけにも行かないだろうし、表立って万丈目を責めるつもりなどは毛頭ない。

 

 ただ、やはりここでの1敗は少し厳しいなぁ。

 

 俺が今回の対抗デュエルで一番の脅威になると思っていたのはアメリカ校だ。あそこには漫画版GXのラスボスであるトラゴエディアが存在する。

 数年前に本校とも交流があり、光の結社事件にも少々関わっていたのもあるせいか、事件当時に俺が訪れた際に見た全体的な生徒の質は本校生徒より上であった。

 最初の試合こそコナミと言う歩く災害のような奴に当たってしまって負けてはいたが、次の試合では見事な戦術でノース校代表生徒を圧倒していた。

 

 次に厄介かと思っていたのがウエスト校だ。あそこにはプロフェッサーコブラが在籍しており、時期的にディスクロージャーデュエルによる教育を採用している可能性があったからだ。

 

 ディスクロージャーとは情報開示または情報公開という意味で、本来は企業が投資家や株主、取引先などに企業の事業内容などを広く一般に公開することを示す。

 企業の経営状況を明らかにすることで、企業の透明性が高まったり、株主や投資家からの信頼が向上したりするわけだ。

 

 デュエルアカデミア的に言えばデュエルに関する情報を世間に情報公開する、つまりは定期テストの結果などを全生徒に公表されるようなものか。そう考えるとそこまで珍しい物でもないか?

 流石に実名付きでインターネットに張り出されてしまうようなことはないだろう。多分ね。

 

『俺の順位は〇〇位か。まずまずだな』

『僕がアイツに負けたってのか!?』

『うわっ…私の平均点、低すぎ…?』

 

 などと言ったように、自身や他の生徒の実力を数値化することで他者と比較したり自分自身の立ち位置を正確に知ることが出来るのだ。

 その結果を見て、次はもっと頑張ろうとか、今度はアイツに勝ってやる!とか、あの教科を集中的に勉強しよう、と言った意欲に繋がるメリットが考えられる。

 その分、情報を管理する人的コストが掛かったり、デュエリストにとって開示したくない情報まで開示されたりする可能性が有ったりといったデメリットもあるだろう。

 

「あれ?このくらいならアニメで本校でも似たようなことをやっていたような気もするが…うん、気のせいだろう」

 

 思考が逸れたな。

 

 ともかく、ウエスト校はなんか凄い教育方針を取っているから強いんじゃないかって考えたわけだ。

 結論から言ってしまえば、確かに優秀な生徒が多いもののネームドキャラクター以外は脅威足りえないと言ったところか。

 

 他の姉妹校も同様だ。本校のオベリスクブルーの上位生徒クラスに近い実力は感じるものの、雪乃やツァンより強いか?と聞かれれば『No』だ。

 

「残りの試合で唯一の懸念点は、明後日の本校とサウス校との試合か」

 

 噂では本校との試合で出て来るデュエリストはあのジェームス・クロコダイル・クック。通称はジム。ワニを背負っているイケメンだ。

 この世界の海外のデュエル大会でも何度か優勝経験があるらしい。

 アニメでは第三期でオブライエンと共に闇堕ちした十代を救うために八面六臂の活躍を見せている。

 

「プラネットシリーズ持ちなら使用デッキは漫画版GXで使用した【爬虫類族】デッキ、アニメ版なら【化石】デッキだろうけど…」

 

 【爬虫類族】デッキであるなら恐らく先日ヨハンとデュエルしていたリックの方が強いだろう。

 ただ、ヨハンがアニメ版同様に【宝玉獣】デッキ使いだったことを考えると、ジムも【化石】デッキ使いである可能性が高い。

 

「もしOCG版の【化石】デッキ使いであるなら、学園対抗デュエルの敵の中では最強格だろうなぁ」

 

 【化石】だけでもかなり強いわけだが岩石族の優秀なカードと組み合わせるとこの時代では無双できるデッキレベルになるかも知れない。

 

「【化石】デッキは相手の墓地を参照するカードも多い。彼を相手をすることになる三沢が何のデッキを使うかによるかもな」

 

「オレが何だって?」

「ひょわっ!?」

 

 俺の独り言に反応して言葉を返してきたのは、何時の間にか俺の後ろに立っていた三沢だった。

 

「おわぁぁぁぁっ!」

 

 いきなり現れた彼の姿に動揺した俺は、つい崖から足を滑らせてしまった。

 

「あっ、おい白河!?」

「そぉい!」

 

 海に落下する前になんとか間一髪で崖に蹴りを入れて足をめり込ませ、崖と垂直な状態で止まることが出来た。

 

「大丈夫か!?なんだかすごい音がしたぞ!?」

 

 その後、すぐさま崖上から三沢の声が聞こえてくる。

 

「大丈夫だ。問題ない」

「いやいや大丈夫そうに見えないが!?」

 

 崖上からこちらを見下ろした状態の三沢が心配と驚愕に満ちた声を上げている。

 確かに足が折れるかと思ったけど、このくらいは精霊界じゃ日常茶飯事だから慣れている。

 

 その後、興奮状態から正気に戻った三沢の手を借りてなんとか崖をよじ登ることが出来た。

 

「ふぃー、驚かせるなよ。危うく海に転落することろだったぞ」

「済まなかった。だがまさかあんなに驚くとは思わなかったんだ」

 

 今の俺は崖から海に落ちた程度で死ぬことは無いが、気持ちの問題だ。

 タマヒュンしたけどチビッてはいない。本当だぞ?

 

「それで、オレが何だって?」

「えっ?あぁ、さっきの独り言の話か。明日の対抗戦の話だよ」

 

 崖から少し離れた場所で寝転んだ俺の隣で少し呆れ顔で立っている三沢が先ほどの質問を繰り返してきた。

 俺はそんな三沢を見上げて、『コイツってオベリスクブルーの制服が本当に似合わないな…』なんて考えつつ、質問の答えを返す。

 

「オレの相手はサウス校のジェームス・クロコダイル・クックだって言う噂のことか?」

「なんだ、知っていたのか」

 

 結構有名になっている噂なんだな。そんな情報が洩れていてサウス校の情報漏洩対策は大丈夫なのか?

 

「1年生にしてサウス校で最も強いと言われているデュエリストで、奇抜な格好の割には地質学と考古学の専門家でもあるそうだな」

「デュエルアカデミアに入学するまでは、幼い頃には密林で密猟者のトラップ駆除などをしていたり、ティラノザウルスの化石を発掘したりしていたみだいだぞ」

 

「それが何故デュエリストを目指すことになったのかは不明だが、海外での大会優勝経験を持っている実力者なのも確かだ」

「そうだな」

 

 流石は三沢と言ったところか。対戦相手のことを良く調べている。

 

「ただ、使用するデッキに関しては何処を調べてもあまり情報が開示されて居なくてな。そこまでは掴みきれていないんだ」

「お前でも調べきれなかったのか」

 

 三沢ならアカデミアの端末からだけではなく、恐らく様々な手段を使って調査したであろうが、個人で調べるには限界があることだろう。

 実際、俺の情報元はほぼ原作知識と言うインチキだしな。

 

「明日はどのデッキで行くつもりなんだ?まだ公式試合では使ってない闇属性あたりか?」

「いや、【リトマスの死の剣士】を主軸とした儀式系闇属性デッキはお前との模擬戦でまだ完成度が低いことが分かっているからな。先日改良した妖怪デッキで行くつもりだ」

 

 儀式モンスター【リトマスの死の剣士】及び儀式魔法【リトマスの死儀式】はOCG化に当たってそれぞれ効果が1つ追加されているものの、それ以外の効果はアニメ版とほぼ変わらない性能をしている。

 戦闘破壊耐性と罠カード耐性を持ち、破壊されても墓地の罠カードのサルベージや墓地の儀式魔法と合わせて1ドローできる効果を持つ。

 決して弱くは無いのだがモンスター効果と魔法による除去を受けてしまう為、切り札足りえないと言うのが俺の正直な感想だ。

 

「妖怪デッキって言うと、確か文化祭で遊城相手に使っていたデッキだな」

「そうだ。あの時は十代にロックの隙を上手く突かれて敗れてしまったからな。前回から大幅に改良して見た」

 

「それは楽しみだな」

 

 漫画版で使ってた【ダイダラボッチ】とか見られるかも知れないな。だが、漫画版のカード性能のままだと厳しい試合になりそうだな…。

 

「白河、お前はオレがジェームスに勝てないと思っているな?」

「三沢の実力は知っているつもりだけど、今回の相手はかなり強そうだからな」

 

 どうやら思っていることが顔に出ていたらしい。

 誤魔化しても仕方ないので思ったことをそのまま言ってみた。

 

「お前よりもか?」

「HAHAHA。面白い冗談だな。それはねーよ」

「それならば負けるわけには行かないな」

 

 この世界より遥かに時間の進んだOCG版カードを全て所持してその戦術までも把握している俺より強いとか、そんな奴は流石に居ないだろ。

 いや、何人か負けたけどさ。そんなに多くは居ないだろう。

 

「明日の試合、オレは必ず勝って見せる。そしていずれはお前や万丈目、十代やコナミを打倒して全ての人間にオレの実力を証明して見せるさ!」

 

 そう言い残して三沢はオベリスクブルー寮へと戻っていった。

 

 そう言えば、アイツは何でこんな場所に居たんだ?あの手に持っている封筒が関係しているのだろうか?




万丈目のデッキは【おジャマアームドVWXYZ】です。3種類のテーマ(おジャマ、アームドドラゴン、VWXYZ)を混ぜたデッキであり、一見シナジーの無いデッキに見えますが、現在のOCG環境ではレジェンドデュエリストパックでしっかり強化されてただのロマンデッキではなくなっています。ただ、今回彼が使用したカードはアニオリカードとレジェンドデュエリストパック以前のカードばかりであり、アームドドラゴンもリメイク前の物ですので、殆どアニメ万丈目デッキのままです。

橘一角のデッキは【一撃必殺!居合いドロー】デッキです。文字通り一撃必殺の効果を秘めるこのカードの発動とその効果を通す為に特化したデッキです。アニメ版とOCG版では結構効果が変わっていますが、そのロマン性はそのままなので、個人的には良調整だと思っています。OCG環境では【未界域】デッキの派生型として活躍したとかしなかったとか。


三沢の闇属性デッキはアニメでも使用していた【リトマスの死の剣士】を主軸とした儀式デッキでした。ただ、そのまま使うとアニメとほぼ同じような戦術になりそうなので、今後登場するかは未定です。希少な儀式モンスターなのでOCG新規カードでテーマ化とかしてくれたら面白そうなんですけどね。

他の候補としては【シャドール】や【未界域】などがありましたが、前者は軽くですが主人公は以前使用しており、後者はなんとなく三沢っぽくないかな?と思ったので登場は別に機会になりそうです。

次回の更新は三月上旬予定です。次回はデュエル無しのストーリー回となります。

戦車様、オメガモンX抗体様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百六十話 幕間:休憩日1

前回のあらすじ:一撃必殺!

今回は対抗デュエルの休憩日、デュエル無しのストーリー回となります。


 学園対抗デュエル3日目を終えた翌日、明日に対抗デュエル4日目を控えた今日は休憩日となっている。

 本校生徒以外の姉妹校所属の生徒たちは門限付きとはいえ日本に来て初めての自由時間となり、皆が各々の時間を過ごしている。

 本島で街に繰り出して遊びに興じるものが殆どだが、本日は本校が解放されていることもあってか本校探検のような行為を行う生徒も少数ながら存在した。

 

 各校の生徒や教師たちが入り乱れると言うこともあり、良からぬことを考える輩にとって本日ほど動きやすい日は無いだろうと思った俺は、カードの精霊たちにも協力して貰いつつ、散歩と称して島内の調査を行っていた。

 

 午前中はデュエルアカデミア校舎を重点的に調査した結果、昨日勝利を収めて明日に試合がないノース校の生徒らしき少年たちを多く見かけた。

 

「サンダー!オレは初代デュエルキングのデッキが飾ってある部屋に行きたいぞ!」

「オレは校舎内にあると言うデュエルリングが見たいぜ!」

「サンダー!そろそろ昼飯にしよう!最近できたって言う公共食堂ってのに案内してくれよ!」

 

「ええい、やかましいぞ貴様等!オレ様は聖徳太子じゃないんだ!いっぺんに話すんじゃない!」

「「「すまん」」」

 

「ふん、分かればいいのだ。ここからならデュエルリングが近い。まずはリングを見てから食堂で昼食を取り、午後からデュエルキングのデッキを見る。良いな!?」

「「「おぉー!サンダー!」」」

 

『あらーん。兄貴ったらモテモテねぇ~』

『シャァァァ!』

 

 アカデミア本校舎の中には、先日万丈目に勝利した橘一角や他のノース校の生徒を対象に校舎案内する万丈目の姿も見られた。

 万丈目とノース校生徒の間に確執は存在せず、先日のデュエルやその勝敗に関するわだかまりなどは無さそうであり、良き友人関係を気付いているように見えた。

 万丈目たちの近くでその様子を見ていた精霊のおじゃまイエローや光と闇の竜も嬉しそうな様子だった。

 

 昨日の敵は今日の友、と言うことだろうか?いや、元々彼らは以前から交流があったらしいのでそこまで不思議な光景でもないのだろう。

 

~~~

 

「2月中旬、デュエルアカデミア創設から初となる学園対抗デュエルの3日目を終え、我々はつかの間の休息を得ていた」

 

 昼食を取るためにラーイエロー寮に戻る際、校舎前でイースト校所属のアモン・ガラムとすれ違った。

 アモンはモノローグ調な語りを入れつつビデオカメラを構えて本校舎やその周囲を撮影しているようだった。

 

「やぁ、こんにちわ」

「こんにちわ」

 

「確か本校代表の白河君だったよね。ボクはイースト校代表のアモン・ガラム。よろしくね?」

「よろしく」

 

 互いの存在に気付いた俺と彼は簡単な挨拶と会釈を交わし、彼はその場にとどまって撮影を再開して俺はその場を離れるように歩きだす。

 すれ違い様に一瞬だけ殺気のこもった鋭い視線を感じたものの、今は俺に対してなんらかのアクションを起こす気はないようだ。

 

 ガラム財閥は以前イリアステルの幹部であるパラドックスを回収して内部データをサルベージし、その結果として最低でも数十年先で登場するはずのディアブロをこの時代に生み出している。

 恐らくパラドックスのデータから未来に関する情報も得ているはずだ。もしかすると、その中にはアモン・ガラム自身の未来の結末も記されていたかも知れない。

 そして、アニメGX第三期でガラム財閥の暗部としても活躍していた彼ならばその情報に触れていてもおかしくない。

 

 ガラム財閥が未来の情報を得ていた場合、真っ先に警戒したのはイリアステルだろう。歴史に介入できる世界規模の組織とか厄介の言葉では生ぬるい。

 次に警戒したのは恐らくだが、破滅の光だろう。光の結社を含め、彼らが地球人類に与える影響は計り知れないからな。

 数十年後に登場するかもしれないダークシグナーや冥界の王も警戒していただろうけれど、そんな先の話よりもまずは直近の問題に目を向けていただろうから上記2つよりは優先順位は下がるはずだ。

 そして最も近いうちに競り合うことになるユベル勢力も忘れてはいないだろう。特にアモンはコイツらのせいで色々と人生が捻じ曲がることになるわけだしな。

 ディアブロを大量生産しようとしていたのはきっと、これらのの勢力を警戒して対抗しようとしたのではないかと推測される。

 

 戦国時代かな?群雄割拠すぎんよぉ~。

 

 そして数年前、未来の情報を得ていた彼らにとっては驚くべきことが起こったと思われる。

 一つ目はハートランドシティでのオベリスクフォース事件。

 二つ目は舞網市で起こった覇王龍事件。

 そして最後は、この世界におけるカードプールの変化だ。

 

 イリアステルの知識で得た未来情報はアニメGXおよびアニメ5D'sの世界軸の話である。

 アニメGXの延長線上と思われるあの世界軸ではアニメZEXALやアニメアークファイブで登場するハートランドシティや舞網市は存在しないだろう。もちろん、それらに登場する勢力もまたしかりだ。

 エクシーズ召喚やペンデュラム召喚の登場など、未来の情報を得ていたつもりだった彼らにとってはまさに寝耳に水と言った状況ではなかろうか。

 

 去年の夏、様々な対策を講じていたはずのガラム財閥がイリアステルに敗れて落ちぶれていったのには、もしかしたらこう言った背景が存在するのかもしれないな。

 ハノイの騎士?確かにアレも元の世界には存在しないだろうけど、去年の夏にイリアステルと共闘して見せたことからイリアステルの関係者と思われて一緒くたに考えているんじゃないかな。

 流石にイリアステルや破滅の光ほどには警戒されていないはずだ。

 

「そうだ、白河君。少しいいかな?」

 

 そんなことを考えながらアモン・ガラムの横を通り過ぎてそのままこの場を立ち去ろうとする俺に対し、その彼が俺に声を掛けてきた。

 聞こえなかった振りをしてそのまま歩き去ってしまおうかと考えたのだが、彼の次の言葉を聞くと足を止めざるを得なかった。

 

「君は赤羽コナミの幼馴染なんだってね?」

 

 その言葉を聞いた後、振り返ってアモン・ガラムの顔を見る。その顔は人当たりの良い穏やかな表情をしているものの、目が全く笑っていない。

 

 ハッキリ言おう。怖い。おしっこチビりそう。

 

 精霊界で幾度も死線を潜り抜けたつもりで度胸が付いたと思っていたのだが、どうやら幼少期から覚悟完了していた彼のそれには及ばなかったようだ。

 

「どんな話でもいいし、ほんの少しで構わないんだ。彼の話を聞かせて貰えないかな?」

 

 俺も昔は『コナミはアニメ5D'sには存在しないのでパラドックスの内部データには存在せず、イリアステルにもその情報は知られていない』と思っていた。

 ただ、イリアステルは過去に何度も世界改変を行ってきたはずなので、もしかするとコナミが存在するパターンに遭遇したことがあったのかも知れないと思い直していた。

 

 異世界チート転生者の俺をもってしても理不尽かつ超常的過ぎると感じるコナミの存在は、さぞイリアステルやその知識の一部を得たガラム財閥の頭を抱えさせたことだろう。

 先ほどのアモンの反応を見るに、未来を知ったガラム財閥やアモン自身が最大級の警戒をしつつも手が出せないと判断したのがコナミであり、その幼馴染と言う都合の良さそうな存在である俺に声を掛けて情報を得ようとしたのかもしれない。

 

 どうやら俺のことについては詳しく知らないようで、恐らくだが『幼い頃からコナミに影響されて本来の歴史から大きく変化した少年』程度の扱いなのだろう。

 こちらとしても面倒な勢力にこれ以上狙われるのは嫌なので、願ったり叶ったりである。

 

「すまないが急いでいる。聞きたければ本人に聞いてみるといいと思うぞ」

「…そうか、時間を取らせてしまって悪かったね」

 

 俺は、ドモらないように声が震えない様に気を付けながら、当たり障りのない言葉を選んで彼の要求をやんわりと断った。

 その言葉を受けて地面に視線を落として落ち込んだような様子のアモンの表情は、俺からは見えない。と言うか見たくない。さっさとこの場から離れて寮に帰りたい。

 

 俺は逃げ出すように、だがしかし早歩きにならない様にしてその場を立ち去った。

 

 しかしね?コナミの情報なんて俺が話せるわけないじゃん。

 情報を出すこと自体も色々と不味いからやらないけれど、その前になんて答えるんだよ?

 

 

 様々な重要人物に間違えられる容姿をした赤い帽子を被った人たらし野郎で?

 

 ドローパンが好きなカードの精霊っぽい存在で?

 

 勇者オブライエンの代わりに覇王十代と戦って彼を助けたり、逆に十代たちと敵対してアカデミアを滅ぼしたり?

 

 デュエルさえできれば何でもいいデュエルお化けで?

 

 シグナーのロリっ娘を助けたり、逆にその助けたロリや他のシグナーたち全員を闇のデュエルで消滅させたり?

 

 余にも恐ろしいDーホイールで空を飛んだり?

 

 デュエルマッスィーンだったり、いきなり公共の面前で女子の肉まんを鷲掴みしたり?

 

 異空間に飲み込まれた人を助けたり、シャトルで過去に移動したり?

 

 ハートランドシティの上空から突然出現したり、バリアン七皇の八人目だったりする奴だって答えるのか?

 

 

 そんな答えを返したら俺の頭が疑われるじゃねーか。誰だってそうする。俺もそうする。

 一切全く一つも嘘偽りを言ってなくても、心の中ではかなり口が悪いアモンにボロクソに言われそうじゃん!

 

 舐めんな!俺が一番アイツをよく分かってねーんだよ!!(逆ギレ風味)

 

~~~

 

 ラーイエロー寮に戻って昼食を取った後、食後の運動とばかりにぶらぶらと島をうろついているとオシリスレッド寮の前に人だかりが出来ていた。

 

「あら、クロトじゃない」

「明日香か。なんなんだこの人だかりは?」

 

 その様子を窺っていると、オシリスレッド寮から少し離れた場所にいた明日香がこちらの存在に気付いて声を掛けてきた。彼女の近くには友人のジュンコとももえの二人もいるようだ。

 

「アレよ、アレ」

 

 こちらの問いに答えるようにジュンコが指を差す方に視線を向けると、人だかりの中心にはサウス校のジェームス・クロコダイル・クックと相棒のカレンが居た。

 

「イケメンでいらっしゃいますわ~。あら、白河さん。居たんですの?」

 

 ももえに関しては視線がジムに釘づけであり、俺の存在にすら気付いていなかったようだ。

 

「あれは確かサウス校の…なにやっているんだ?」

「あそこに彼のペットのワニが居るじゃない?そのワニに遊城君たちが餌を上げ始めたのよ」

 

 確かに人だかりの中心をよく見て見ると、十代にヨハンの姿が見える。

 翔や隼人の姿も見えるが、流石にカレンにビビっているのか他の野次馬オシリスレッドの生徒たちと同様に少し距離を取っているようだ。

 そう言えばコナミは一緒じゃないみたいだ。珍しいな。デートでも行っているんだろうか?

 

「ほ~ら、カレン。ウィンナーだぞ~」

「カレン!こっちはハムを持って来たぜ!」

 

「ガウッ!」

 

「うわっ!?今、兄貴の腕ごと噛みついてなかったっスか!?」

「十代もそうだけど、ヨハンも負けず劣らずで、二人とも怖いもの知らず過ぎなんだナァ」

 

「Wow!カレンがオレ以外から食事を受け取るなんて、本当に驚いたな!」

 

 十代たちが楽しそうにカレンと戯れる姿を見て、アニメで似たような展開があったことを思い出した。

 

 確か、あの時に十代と一緒に居たのはヨハンじゃなくてティラノ剣山だった気がするが、アニメ第三期で十代とジムの仲良くなったきっかけとなったシーンとして回想が流れた時にこんな展開があった気がする。

 

「それで、何で君らは彼らを遠巻きで見てるんだ?」

 

「それは…その、私も触ってみたいなって思ってね?」

「だから、止めた方がいいですって明日香さん!?」

「ワニに噛まれたら痛いじゃすみませんよ!?」

 

 明日香個人はカレンに興味があるものの、友人二人に止められているわけか。

 ごく一般的な感性を持つ人間なら、友人がワニに近寄ろうとしているなら普通は止めるよな。

 

 むしろ明日香が変わっていると思う。好奇心旺盛過ぎでしょ。

 

「あの子は野生のワニと違って賢そうだし、ジェームズに断りを入れたら触らせてくれるんじゃないか?」

「クロトもやっぱりそう思うわよね?うん、決めた。私、ちょっと頼んで来るわ!」

 

「あっ、明日香さん!?」

「あぁ、もう!白河、アンタ余計なこと言わないでよね!」

 

 明日香はカレンに触っていいかをジムに確認に向かい、それを追ってジュンコとももえもオシリスレッド寮へと向かっていった。 

 

 どうやらここは安全の様だし、俺も次のポイントに向かおうかな。

 

~~~

 

 オシリスレッド寮を通り過ぎて船着場へと通じる橋を通ろうとすると、橋の真ん中くらいにコナミの姿を発見した。

 一緒に居るのはオベリスクブルー女子の夏乃ひなた、そしてウエスト校のリックだ。

 

「赤羽コナミさんですよね?ボクとデュエルしてもらえませんか?」

「いいよ」

「えっ、コナミくん?もう、君は本当にしょうがないなぁ」

 

 リックのデュエルのお誘いに何の迷いもなくOKを出すコナミ。流石は十代を遥かに上回るデュエル脳だ。

 

 ただ、コナミと一緒に居た夏乃は不憫すぎる。あれって絶対デート中だっただろ。アッサリ許しちゃっているけど、本当にいいのか?

 君は多分きっとこの世界でもっとも女にだらしない男を相手にしているぞ。ちゃんと怒った方が良いぞ。

 

「おっ、クロトじゃん。やっほー」

「あっ、白河君。こんにちわ」

 

「おう」

 

 すれ違いざまにこちらに気付いたらしいコナミと夏乃が声を掛けてきたのでこちらも返しておく。

 

「貴方は確か、白河クロトさんですよね?貴方もボクとデュエルして貰えませんか?」

「悪いが急いでいるから断らせて貰おうよ」

 

 同じくすれ違いざまにリックがこちらに声を掛けてきた。

 人懐っこい笑顔を浮かべた童顔の美少年の姿に少しだけ警戒心が薄れそうになるが、こちらの内心を悟られないようにうまく断れたと思う。

 

「そうですが。残念ですね」

 

 彼はそう答えると、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた後でコナミ達の後を追っていった。

 

 本来は死亡しているはずのコブラの息子と言うことで警戒しすぎなのかも知れない。もしかしたら本当にただデュエルが好きな少年だったのかも知れない。

 そうだとしたら、悪いことをしたかもな。

 

 ただ、どうもあのリックに関しては油断してはいけないと俺の中の第六感が語り掛けてきている気がするんだよな…。

 

~~~

 

 夕日が差し込む船着場までやってくると、桟橋の灯台付近に亮さん、吹雪さん、藤原先輩のいつもの三人に加えてウエスト校のオブライエンの姿があった。

 

「そうか。何も知らないのか…」

 

「あぁ、力になれなくて済まないな」

「でもボクも本当に見覚えが無いんだよね」

「ボクに関してはそもそもアメリカ校留学に入ってないから答えようがないかな」

 

 オブライエンは三人に対して何やらカードを見せていて、何かを聞いているようだ。彼が手に持っているあのカードはまさか、プラネットシリーズのカードか?

 

「まさか、【The blazing MARS】のカードか?」

「何っ!?お前はこのカードを知っているのか!?」

 

 オブライエンの手から見えたカードの名前をつい呟いてしまったら、それを聞いたオブライエンが詰め寄って来た。

 男に詰め寄られても何も嬉しくないので、やんわりと距離を取っておくことにする。

 

「クロトか。こんなところにどうした?」

「やっほークロト君」

「こんにちわだね」

 

 こちらに気付いた亮さんたちが俺に声を掛けて来るが、目の前のオブライエンの様子が尋常ではないので会釈だけを返すに留めた。

 

「お前は確か本校代表生徒の白河だったな!教えてくれ!このカードは一体何なんだ!?」

「落ち着け。話が見えない。話せることは話すつもりだから、今までのことを順序良く教えてくれ」

 

 アニメGXを知る限り、クールな性格のオブライエンがこれほど動揺することはほぼ無かった。覇王戦とミスターT戦くらいだろう。

 

「去年の末頃にオレのダディが何者かに襲われ、その時の怪我が原因でプロデュエリストの引退を余儀なくされたんだ」

「お前の父親であるプロデュエリスト『炎のオブライエン』のことだな。確か謎のデュエリストに強襲されたとかなんとかってニュースで言っていたな」

 

 クリスマス直後くらいにテレビで報道していた事件で、いきなり現れた犯人が被害者にリアルダメージが発生するデュエルを仕掛けて再起不能にするというものらしい。

 他にも被害に遭っているプロデュエリストが居るそうなのだが、犯人は見つかっていないらしい。

 

「知っているなら話は早い。遅れながらもその犯行現場に到着したオレはダディと協力してなんとか犯人の捕獲を試みたのだが、まんまと逃げられてしまってな」

 

 ニュースでは犯人はネオグールズではないかと推測されていたが、このフィジカル強めのオブライエン親子が取り逃すほどの相手なのだろうか?

 

「まるで瞬間移動したように消えてしまったよ。そしてその犯人がダディから奪おうとしていたカードがこの【The blazing MARS】だ」

 

 プラネットシリーズの使い手がプロデュエリストの中に居たんだ。今初めて知ったぞ。

 しかし、瞬間移動ねぇ…。イリアステルとかなら謎理論の空間跳躍が可能だけれど、わざわざ彼らがアニメ軸の本来の歴史に一切関係のないプラネットシリーズを狙うとも思えないしなぁ。

 

「そのカードはデュエルアカデミアのアメリカ校校長のマッケンジーさんが今から約10年前にカードデザイナーのフェニックス氏に依頼したものの一つでプラネットシリーズと言う物だ」

「プラネットシリーズ…」

 

「完成間近にとある人物によって奪われて行方知れずとなっていたカードのはずだけど、お前の父親はどうやってそのカードを手に入れたんだ?」

「このカードは俺達が昔から世話になっているプロフェッサーコブラから父が頂いたものだ」

 

 やっぱりコブラか。アニメ第一部の影丸とセブンスターズ、第二部の光の結社、第三部のコブラ&ユベルかガラム財閥辺りが候補だったけど、オブライエン絡みとなるとコブラだろうしな。

 プラネットシリーズと言うことでアメリカ校のマッケンジー校長辺りも怪しいかも知れなかったが、あちらの現状は大体把握している。自身の学校の生徒にならともかく、知り合いですらないオブライエン父に渡す理由がない。

 

「プロフェッサーコブラと言うと確か…」

「確かウエスト校の引率としてやって来ていた人だね」

「特別顧問と呼ばれていたから、ウエスト校の校長がその腕を見込んで雇ったのかな」

 

 他校の生徒の亮さんたちにもプロフェッサーコブラは既に知られているのか。まぁ、カードゲームの学校であの顔と髪型は目立つよな。

 

「オレはダディに怪我をさせたその犯人を追っている。奴には落とし前を付けさせなければならない!」

「そのために、そいつが狙っていたそのカードのことを調べていたわけか」

「そういうことだ」

 

 オブライエンは怒りの表情を浮かべながら【The blazing MARS】のカードを自身のデッキに仕舞いこんだ。

 

「それならまずはコブラ教官から話を聞けばいいのではないか?」

「プロフェッサーコブラからは数年前のアメリカでの任務を終えた際に拾ったカードだと聞いている」

「その場所の調査は…」

「もちろん終えている。だがそこには既に有益な情報は無かった」

 

「数年前のアメリカと言うと、もしかしてアメリカ校付近で起こっていた破滅の光の事件のことだろうか?」

「その通りだ」

 

 なるほど。俺がアメリカに渡って事件を解決する半年前くらいから事件が起こっていたし、オブライエンが亮さんたちに話を聞いていたのがあの事件の関係者だからと言う理由でなら理解できる。

 

「必要な話は大体聞けた。お前たちの協力に感謝する」

「次はマッケンジー校長に話を聞きに行くのかい?」

「そうするつもりだ。ではな」

 

 そう言い残すと、オブライエンはその場を立ち去って行った。

 

 オブライエンの持っていたあのカードにはオカルトチックな力は感じられなかった。もしかしたら本当にコブラが偶然拾ったカードだったり…それは無いか。

 マーズのカードを狙う敵か。何者なんだろう?そしてマーズではなくプラネットシリーズその物を狙っているのだとすれば、ジュピターの現所有者のエドやジ・アースの紅葉さん、そして制作依頼者のマッケンジー校長も狙われたりするのだろうか?

 

~~~

 

 夜になり、島全体を探索し終えた俺はラーイエロー寮へと足を向けていた。

 

 学園対抗デュエルの休憩日は対抗デュエル4日目後と5日目を終えた後にももう1日ある。

 今日で根を詰め過ぎても仕方ないからな。

 

「アン・ドゥ・ドロー!アン・ドゥ・ドロー!」

 

 そんな中、道脇の森の奥から聞いたことのある声が聞こえてきたので、気になってそちらへ足を運んでみることにした。

 少し歩いた森の奥には、周囲を森で囲まれた小さな滝のような場所があり、そこでは三沢がデュエルディスクにセットしてあるデッキからカードを引いたり戻したりしていた。

 

 以前見たことがあるが、彼曰くドロー訓練らしい。

 

「アン・ドゥ・ドロー!アン・ドゥ・ドロー!」

 

 俺には何の意味があるかは分からないが、理論派の三沢がやっているのだから恐らく何かしらの意味はあるのだろう。

 彼は鬼気迫る表情で一心不乱にデッキからカードをドローしていた。

 

「認めさせてやる!オレは負けない!オレは強い!オレは!必ず勝つ!」

 

 思い上がりかも知れないが、昨日の俺との会話を気にしているのかもしれない。

 

 アニメ第二期では、三沢は自分が認められない怖さを突かれて光の結社に敗れている。それが心の弱さとだとも言われていた。

 だが、自己顕示欲や承認欲求などは人間誰しも大なり小なり存在するものだろう。

 その為に努力し、自身を磨いて成長させていくいく原動力となるのであれば、俺はそのことが特別悪いことだとは思わない。

 

「すまなかったな、三沢」

 

 俺は三沢の邪魔にならないよう、音を立てずにその場を後にした。

 

 もし仮に、明日お前がデュエルで敗北したとしても、俺はお前を尊敬するよ。

 お前には、俺には無い熱いものが確かにその胸に存在するのだから。




デュエルを期待して頂いて方には申し訳ありませんが、本作ではあまりキャラクター同士の交流を描いていなかったような気がしたので、今回は色々と盛り込んでみました。

今回だと万丈目とノース校生徒の交流、主人公とアモンの交流(交流?)、十代や明日香たちとジムやヨハンとの交流、亮たちとオブライエンの交流、三沢の葛藤などなどですね。

今後も時々はこういった日常回のようなものを入れてみたいと思っています。

次回の更新は3月中旬予定です。

戦車様、伊倉 一山様、HANEKAWA-san様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百六十一話 学園対抗デュエル4

前回のあらすじ:つかの間の休息

今回のデュエルは本校の三沢とサウス校のジム戦です。


 学園対抗デュエル4日目、本日はウエスト校に試合が無く、アメリカ校がアークティック校を破り、イースト校がノース校を破った後、本日最後のアカデミア本校とサウス校の試合が開始されようとしていた。

 

 本校の代表選手は三沢大地、対するはサウス校の代表選手にしてエースのジェームス・クロコダイル・クック。既に両者はデュエルリング上で対峙している。

 

「行けー!三沢ー!」

「三沢君、ファイトっスよー!」

「気張るんだナァー!」

 

「三沢、気を抜くんじゃないぞ!」

「三沢君、しっかりね!」

 

「あぁ、任せておけ!」

 

 同じ本校生たちの声援に対し、三沢は自信を滲ませるような声で返して余裕を見せている。

 

「Hey!オレの対戦相手は君か!オレはジェームス・クロコダイル・クック!ジムで良いぜ!よろしく頼む!」

「オレの名前は三沢大地だ!ジム、お互い悔いの無いように、全力で戦おう!」

 

 対戦相手のジムが相棒のカレンを床に降ろしながら三沢に対して爽やかに声を掛けると、三沢も優等生らしい答えを返す。

 

「両者、準備は良いですね?では、学園対抗デュエル4日目の最終試合を開始します。デュエル開始!」

 

 響先生の透き通った声がリング上に響くと、二人のデュエリストはデュエルディスクを構えてデッキをセットする。

 

 本校、サウス校ともにまだ1つしか白星を手に入れていない以上、どちらにとっても負けられないデュエルになるだろう。

 本校とサウス校の生徒たちはもちろんのこと、他の代表選手たちも彼らの一挙一動を見逃すまいとしている様子が伺える。

 

 

「「デュエル!」」

 

 

◆三沢大地 LP:4000

 

vs

 

◆ジェームス・クロコダイル・クック LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン、ドロー!」

三沢 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【魔妖廻天】を発動!デッキから【翼の魔妖-波旬】を手札に加える!」

三沢 手札:6→5→6枚。

 

【魔妖廻天】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから「魔妖廻天」以外の「魔妖」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

 

 新たな妖怪デッキって【魔妖】デッキのことだったのか。確かに妖怪だな。

 

「そしてオレは手札から【翼の魔妖-波旬】を通常召喚する!」

三沢 手札:6→5枚。

 

<三沢のフィールド>

翼の魔妖-波旬 ★1 ATK600

 

【翼の魔妖-波旬】

効果モンスター

星1/風属性/アンデット族/攻 600/守 400

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「翼の魔妖-波旬」以外の「魔妖」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は「魔妖」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「Wow!ジャパニーズ・アンデッド・デッキか!面白そうなデッキじゃないか!」

「ふっ、驚くのはこれからさ!」

 

「【翼の魔妖-波旬】の召喚成功時、効果発動!デッキからチューナーモンスター【麗の魔妖-妲姫】を特殊召喚する!」

 

<三沢のフィールド>

翼の魔妖-波旬 ★1 ATK600

麗の魔妖-妲姫 ★2 DEF0 ※チューナー

 

【麗の魔妖-妲姫】

チューナー・効果モンスター

星2/炎属性/アンデット族/攻1000/守 0

(1):「麗の魔妖-妲姫」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、「魔妖」モンスターがEXデッキから自分フィールドに特殊召喚された時に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は「魔妖」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「Whats!?デッキからチューナーを呼び出した!?シンクロ召喚デッキか!」

 

「ここでオレは手札から永続魔法【コモンメンタルワールド】を発動!」

三沢 手札:5→4枚。永続魔法:0→1枚。

 

【コモンメンタルワールド】

永続魔法

自分がシンクロモンスターのシンクロ召喚に成功する度に、

相手ライフに500ポイントダメージを与える。

 

 LP4000環境でそのコンボはエグいな…。

 

「行くぞ!オレはフィールドのレベル1【翼の魔妖-波旬】にレベル2【麗の魔妖-妲姫】をチューニング!」

 

「Oh!合計レベルは3!そんなレベルの低いシンクロモンスターが居るのか!?」

 

「そうだ!見せてやる!シンクロ召喚!来い、レベル3!【轍の魔妖-朧車】!」

 

<三沢のフィールド>

轍の魔妖-朧車 ★3 DEF2100

 

【轍の魔妖-朧車】

シンクロ・効果モンスター

星3/地属性/アンデット族/攻 800/守2100

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):「轍の魔妖-朧車」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、元々のレベルが5の自分のSモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地から他のアンデット族モンスター1体を除外し、このカードを特殊召喚する。

(3):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。このターン、自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

 

「シンクロ召喚成功時、【コモンメンタルワールド】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

「But!このくらいのダメージならなんとでもなるぜ!」

 

「ならば更なるモンスターを見せてやるさ!チェーンして墓地から【麗の魔妖-妲姫】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

チェーン②麗の魔妖-妲姫

チェーン①コモンメンタルワールド

 

<三沢のフィールド>

轍の魔妖-朧車 ★3 DEF2100

麗の魔妖-妲姫 ★2 DEF0 ※チューナー

 

「Ouch!」

ジム LP:4000→3500

 

「No!?またチューナーが!?」

 

「レベル3【轍の魔妖-朧車】にレベル2【麗の魔妖-妲姫】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル5【毒の魔妖-土蜘蛛】!」

 

<三沢のフィールド>

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

 

【毒の魔妖-土蜘蛛】

シンクロ・効果モンスター

星5/地属性/アンデット族/攻2000/守1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):「毒の魔妖-土蜘蛛」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、元々のレベルが7の自分のSモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地から他のアンデット族モンスター1体を除外し、このカードを特殊召喚する。

(3):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。お互いのデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。

 

「シンクロ召喚成功時、【コモンメンタルワールド】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

「そしてチェーンして墓地から【麗の魔妖-妲姫】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

「Whats!?1ターンに一回じゃないのか!」

 

チェーン②麗の魔妖-妲姫

チェーン①コモンメンタルワールド

 

<三沢のフィールド>

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

麗の魔妖-妲姫 ★2 DEF0 ※チューナー

 

「ぐはっ!」

ジム LP:3500→3000

 

「オレはレベル5【毒の魔妖-土蜘蛛】に…」

 

「Wait!これ以上は好き勝手にはさせないぜ!オレは手札から【原始生命態ニビル】の効果を発動だ!」

 

「なにっ!?」

 

 はっ?…ニビルぅ!?

 

「ミサワ!お前のフィールドのモンスター全てをリリースしてこのカードを手札から特殊召喚する!」

ジム 手札:5→4枚。

 

<三沢のフィールド>

モンスターなし

 

<ジムのフィールド>

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

 

【原始生命態ニビル】

効果モンスター

星11/光属性/岩石族/攻3000/守 600

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手が5体以上のモンスターを召喚・特殊召喚したターンのメインフェイズに発動できる。

自分・相手フィールドの表側表示モンスターを可能な限りリリースし、このカードを手札から特殊召喚する。

その後、相手フィールドに「原始生命態トークン」(岩石族・光・星11・攻/守?)1体を特殊召喚する。

このトークンの攻撃力・守備力は、この効果でリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「その後、相手フィールドに【原始生命態トークン】を特殊召喚するぜ!」

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

 

「くっ、この状況でこれ以上の展開は控えるべきか…カードを2枚セットしてターンエンドだ!」

三沢 手札:4→2枚。伏せ:0→2枚。

 

 

◆三沢 LP:4000、手札:2枚、伏せ:2枚、永続魔法:1枚。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

 

vs

 

◆ジム LP:3000、手札:4枚

 

<ジムのフィールド>

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

 

 

 まさかニビルを所持しているとは、たまげたなぁ。もうあのレベルのカードが市場に出回っているってことだよな。

 これからは野生のニビルに警戒するニビルケアプレイングが求められるのか…。

 

 

「ガゥッ!」

「ん?どうしたカレン?」

 

「ガゥッ!!」

「ははっ、そうか。お前も一緒に戦ってくれるか」

 

「ガゥゥッ!」

「OKカレン!Here we go!」

 

 まるでワニの言葉を理解しているような感じだ。少し羨ましくなるくらいの相棒感を出している。

 

「Get set!オレのターンだ!ドロー!」

ジム 手札:4→5枚。

 

「オレは手札から魔法カード【おろかな埋葬】を発動!デッキから【風化戦士】を墓地に送る!」

ジム 手札:5→4枚。

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

(1):デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「そして墓地に送られた【風化戦士】の効果を発動し、デッキから【化石融合-フォッシル・フュージョン】を手札に加える!」

ジム 手札:4→5枚。

 

【風化戦士】

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2000/守1200

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。「風化戦士」以外の「化石融合-フォッシル・フュージョン」のカード名が記されたカードまたは「化石融合-フォッシル・フュージョン」1枚をデッキから手札に加える。

(2):自分エンドフェイズに発動する。このカードの攻撃力は600ダウンする。

 

 来たか。やはり岩石族主体の【化石】デッキの様だな。

 

「ここで手札から【化石融合-フォッシル・フュージョン】を発動!オレの墓地の【風化戦士】とお前の墓地の【麗の魔妖-妲姫】を除外して融合素材とする!」

ジム 手札:5→4枚。

 

「何っ!?互いの墓地のモンスターを融合素材とするのか!?」

 

【化石融合-フォッシル・フュージョン】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手の墓地から、「化石」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。この効果でお互いの墓地からモンスターを除外した場合には、その特殊召喚したモンスターはモンスターの効果の対象にならない。

(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドの表側表示の「化石」融合モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。

 

「融合召喚!来い!【新生代化石騎士 スカルポーン】!」

 

<ジムのフィールド>

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

新生代化石騎士 スカルポーン ★4 ATK2000

 

【新生代化石騎士 スカルポーン】

融合・効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2000/守 800

岩石族モンスター+レベル4以下のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「タイム・ストリーム」1枚を手札に加える。

 

 三沢の伏せカード次第ではあるが、これでジムのフィールド上にはこのターンで三沢を倒しきるだけの火力が揃ったか。

 一方、三沢はフィールドの魔妖を除去された上に墓地の妲己を除外されたのが厳しそうだな。せめて天狗か九尾までシンクロできていれば…。

 

「まだ行くぜ!オレは手札から魔法カード【奇跡の穿孔】を発動!デッキから【シェル・ナイト】を墓地に送る!」

ジム 手札:4→3枚。

 

【奇跡の穿孔】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからレベル4以下の岩石族モンスター1体を墓地へ送る。自分の墓地に「化石融合-フォッシル・フュージョン」が存在する場合、さらに自分はデッキから1枚ドローする。

 

「更に、墓地に【化石融合-フォッシル・フュージョン】があるからデッキから1ドローするぜ!」

ジム 手札:3→4枚。

 

「そして墓地に送られた【シェル・ナイト】の効果を発動し、デッキから【地球巨人 ガイア・プレート】を特殊召喚する!」

 

【シェル・ナイト】

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻 0/守2000

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。このカードを守備表示にし、相手に500ダメージを与える。

(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊された場合に発動できる。デッキから岩石族・レベル8モンスター1体を手札に加える。自分の墓地に「化石融合-フォッシル・フュージョン」が存在する場合、手札に加えず特殊召喚する事もできる。このターン、自分はそのカード及びその同名カードの効果を発動できない。

 

<ジムのフィールド>

原始生命態ニビル ★11 ATK3000

新生代化石騎士 スカルポーン ★4 ATK2000

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

 

【地球巨人 ガイア・プレート】

効果モンスター

星8/地属性/岩石族/攻2800/守1000

このカードのコントローラーは、自分のスタンバイフェイズ毎に自分の墓地から岩石族モンスター1体を除外する。または除外せずにこのカードを墓地へ送る。

(1):このカードは自分の墓地の岩石族モンスター2体を除外し、手札から特殊召喚できる。

(2):このカードと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力はダメージ計算時のみ半分になる。

 

 先ほどの【奇跡の穿孔】と同じく、墓地に【化石融合-フォッシル・フュージョン】が眠る場合、【シェル・ナイト】の効果も強化されたわけだが、この状況はかなり不味いな。

 

「Fight!【新生代化石騎士 スカルポーン】で【原始生命態トークン】に攻撃!」

 

「甘いぞ!リバースカードオープン!罠カード【聖なるバリア -ミラーフォース-】発動!相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する!」

三沢 伏せ:2→1枚。

 

【聖なるバリア -ミラーフォース-】

通常罠

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 

「Shit!ははっ、やられたぜ!」

 

<ジムのフィールド>

モンスター無し

 

「But!【新生代化石騎士 スカルポーン】が破壊されたことで墓地の【化石融合-フォッシル・フュージョン】の効果発動!このカードを手札に加える!」

ジム 手札:4→5枚。

 

「メインフェイズ2に移行し、墓地の【新生代化石騎士 スカルポーン】を除外して効果発動!デッキから【タイム・ストリーム】を手札に加える!」

ジム 手札:5→6枚。

 

「オレは手札からもう一度【化石融合-フォッシル・フュージョン】を発動!オレの墓地の【原始生命態ニビル】とお前の墓地の【翼の魔妖-波旬】を除外して融合素材とする!」

ジム 手札:6→5枚。

 

「くっ!今度は波旬が除外されたか!」

 

「融合召喚!来い!【新生代化石竜 スカルガー】!」

 

<ジムのフィールド>

新生代化石竜 スカルガー ★4 ATK2500

 

【新生代化石竜 スカルガー】

融合・効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻2500/守 0

岩石族モンスター+相手の墓地のレベル4以下のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「化石融合-フォッシル・フュージョン」1枚を手札に加える。

 

「オレはモンスターをセット!更にカードを2枚セットしてターンエンドだ!」

ジム 手札:5→4→2枚。伏せ:0→2枚。

 

 

◆三沢 LP:4000、手札:2枚、伏せ:1枚、永続魔法:1枚。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

 

vs

 

◆ジム LP:3000、手札:2枚、伏せ:2枚。

 

<ジムのフィールド>

新生代化石竜 スカルガー ★4 ATK2500

裏側守備表示モンスター

 

 

 戦況はパッと見は互角と言ったところか。

 

 ただ、三沢は墓地のキーカードとなる魔妖が除外されたのが痛い。流石にデッキに一枚ずつしか入れていないとは思えないので、サーチカードさえあればまだ十分に勝機はある。

 対してジムは恐らく手札に【タイムストリーム】を握っていて、彼のフィールドの化石融合モンスターを破壊すると墓地から【化石融合-フォッシル・フュージョン】を手札に戻せるのが大きい。

 

 

「オレのターン、ドロー!」

三沢 手札:2→3枚。

 

「オレは手札から魔法カード【生者の書-禁断の呪術-】を発動!そちらの墓地の【地球巨人 ガイア・プレート】を除外し、オレの墓地から【毒の魔妖-土蜘蛛】を特殊召喚する!」

三沢 手札:3→2枚。

 

【生者の書-禁断の呪術-】

通常魔法

(1):自分の墓地のアンデット族モンスター1体と相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。その自分のアンデット族モンスターを特殊召喚する。その相手のモンスターを除外する。

 

「ここでリバースカードオープン!チェーンして永続罠【魔妖遊行】を発動する!」

 

【魔妖遊行】

永続罠

このカード名の(1)の効果は同一チェーン上では1度しか発動できない。

(1):EXデッキ以外からアンデット族Sモンスターが特殊召喚された場合に発動できる(ダメージステップでも発動可能)。以下の効果から1つを選んで適用する。このターン、自分の「魔妖遊行」の効果で同じ効果を適用できない。

●自分はデッキから1枚ドローする。

●デッキから「魔妖遊行」以外の「魔妖」魔法・罠カード1枚を選んで自分フィールドにセットする。

●相手フィールドの攻撃力が一番低いモンスター1体を墓地へ送る。

●相手に800ダメージを与える。

 

チェーン②魔妖遊行

チェーン①生者の書-禁断の呪術-

 

三沢 永続罠:0→1枚。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

 

「墓地から特殊召喚成功時、【毒の魔妖-土蜘蛛】の効果発動!お互いのデッキの上からカードを3枚墓地へ送る!」

 

「チェーンして【魔妖遊行】の効果発動!デッキから【魔妖廻天】をセットする!」

 

チェーン②魔妖遊行

チェーン①毒の魔妖-土蜘蛛

 

<三沢のデッキから墓地に送られたカード>

①轍の魔妖-俥夫

②毒の魔妖-束脛

③九尾の狐

 

<ジムのデッキから墓地に送られたカード>

①フリント・クラッガー

②ギャラクシー・サイクロン

③標本の閲覧

 

三沢 伏せ:1→2枚。

 

 良いカードが三沢の墓地に落ちたな。良い感じだ。

 

「リバースカードオープン!先ほど伏せた魔法カード【魔妖廻天】を発動!デッキから【氷の魔妖-雪娘】を手札に加える!」

三沢 手札:2→3枚。

 

「手札から【氷の魔妖-雪娘】の効果発動!自身を特殊召喚し、デッキから【馬頭鬼】を墓地に送る!」

三沢 手札:3→2枚。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

氷の魔妖-雪娘 ★1 DEF1900

 

【氷の魔妖-雪娘】

効果モンスター

星1/水属性/アンデット族/攻 0/守1900

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドに「氷の魔妖-雪娘」以外の「魔妖」カードが存在する場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。その後、デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は「魔妖」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「墓地から【馬頭鬼】を除外して効果発動!墓地から【轍の魔妖-俥夫】を特殊召喚する!」

 

【馬頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

(1):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

氷の魔妖-雪娘 ★1 DEF1900

轍の魔妖-俥夫 ★3 DEF400

 

【轍の魔妖-俥夫】

効果モンスター

星3/地属性/アンデット族/攻1200/守 400

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、「轍の魔妖-俥夫」以外の自分の墓地の「魔妖」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は「魔妖」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「まだだ!【轍の魔妖-俥夫】の特殊召喚成功時、効果発動!墓地からチューナーモンスター【毒の魔妖-束脛】を特殊召喚する!」

三沢 手札:3→2枚。

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

氷の魔妖-雪娘 ★1 DEF1900

轍の魔妖-俥夫 ★3 DEF400

毒の魔妖-束脛 ★2 DEF2000 ※チューナー

 

【毒の魔妖-束脛】

チューナー・効果モンスター

星2/地属性/アンデット族/攻 0/守2000

(1):「毒の魔妖-束脛」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、「毒の魔妖-束脛」以外の自分の「魔妖」モンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は「魔妖」モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。

 

「No!?チューナーだって!?」

 

「レベル5【毒の魔妖-土蜘蛛】にレベル2【毒の魔妖-束脛】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル7【翼の魔妖-天狗】!」

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

氷の魔妖-雪娘 ★1 DEF1900

轍の魔妖-俥夫 ★3 DEF400

翼の魔妖-天狗 ★7 ATK2600

 

【翼の魔妖-天狗】

シンクロ・効果モンスター

星7/風属性/アンデット族/攻2600/守1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):「翼の魔妖-天狗」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、元々のレベルが9の自分のSモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地から他のアンデット族モンスター1体を除外し、このカードを特殊召喚する。

(3):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドの魔法・罠カード1枚を選んで破壊する。

 

「シンクロ召喚成功時、【コモンメンタルワールド】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

「うぐっ!」

ジム LP:3000→2500

 

「更に墓地の【九尾の狐】の効果発動!フィールドの【氷の魔妖-雪娘】と【轍の魔妖-俥夫】をリリースして自身を特殊召喚する!」

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800

翼の魔妖-天狗 ★7 ATK2600

九尾の狐 ★6 ATK2200

 

【九尾の狐】

効果モンスター

星6/炎属性/アンデット族/攻2200/守2000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター2体をリリースして発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):墓地から特殊召喚したこのカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。

(3):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「狐トークン」(アンデット族・炎・星2・攻/守500)2体を特殊召喚する。

 

「【原始生命態トークン】を攻撃表示に変更し、バトルフェイズに移行する!」

 

<三沢のフィールド>

原始生命態トークン ★11 DEF1800→ATK3000

翼の魔妖-天狗 ★7 ATK2600

九尾の狐 ★6 ATK2200

 

「【原始生命態トークン】で【新生代化石竜 スカルガー】を攻撃!」

 

原始生命態トークン ATK3000

vs

新生代化石竜 スカルガー ATK2500

 

「ぐはっ!」

ジム LP:2500→2000

 

<ジムのフィールド>

裏側守備表示モンスター

 

「Stop!【新生代化石竜 スカルガー】が破壊されたことで墓地の【化石融合-フォッシル・フュージョン】の効果発動!このカードを手札に加える!」

ジム 手札:2→3枚。

 

「続いて【九尾の狐】で裏側守備表示モンスターを攻撃!貫通ダメージを受けろ!九尾槍!!」

 

九尾の狐 ATK2200

vs

裏側守備 → フォッシル・ダイナ パキケファロ DEF1300

 

「ぐあぁぁあっ!」

ジム LP:2000→1100

 

<ジムのフィールド>

モンスター無し

 

「【フォッシル・ダイナ パキケファロ】!?」

 

「Sorry?ここで【フォッシル・ダイナ パキケファロ】のリバース効果が発動!フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する!」

 

【フォッシル・ダイナ パキケファロ】

効果モンスター

星4/地属性/岩石族/攻1200/守1300

(1):このカードがリバースした場合に発動する。フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、お互いにモンスターを特殊召喚できない。

 

「くそっ!」

 

<三沢のフィールド>

モンスター無し

 

「このくらいは想定内だ!この瞬間、墓地の【毒の魔妖-土蜘蛛】の効果発動!墓地の【轍の魔妖-俥夫】を除外して自身を特殊召喚する!」

 

「更にチェーンして墓地の【毒の魔妖-束脛】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

「まだあるぞ!チェーンして【九尾の狐】の効果発動!自分フィールドに「狐トークン」2体を特殊召喚する!」

 

チェーン③九尾の狐

チェーン②毒の魔妖-束脛

チェーン①毒の魔妖-土蜘蛛

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

毒の魔妖-束脛 ★2 DEF2000 ※チューナー

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

 

「ここで【魔妖遊行】の効果発動!デッキから1ドローする」

三沢 手札:2→3枚。

 

「止めだ!【毒の魔妖-土蜘蛛】でダイレクトアタック!」

 

「ちっちっちっ!まだ終わらないぜ!リバースカードオープン!永続罠【化石岩の解放】発動!」

ジム 伏せ:2→1枚。永続罠:0→1枚。

 

「今まで使わなかった伏せカードをここで使ってくるか!」

 

【化石岩の解放】

永続罠

ゲームから除外されている自分の岩石族モンスター1体を選択して特殊召喚する。

このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時、このカードを破壊する。

 

「オレは除外されている【地球巨人 ガイア・プレート】を特殊召喚するぜ!」

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

 

 これは攻撃するか悩むところだな。

 

「これは攻撃できないな。メインフェイズ2に移行する」

 

 ガイア・プレートは戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力はダメージ計算時のみ半分にしてくる強力なモンスターだ。迂闊に攻めていたら大ダメージを受けただろう。

 だが、三沢には土蜘蛛が戦闘破壊されることで後続のシンクロモンスターを墓地から呼び出せるし、その際に【魔妖遊行】の効果でガイア・プレートを処理するかバーンダメージを与えられた。

 

 今回の三沢は堅実な方を選択したわけか。相手には伏せカードがまだ残されているし、冷静な判断だろう。

 ただ、このターンで倒しきれなかったのが後になってくるかも知れない。相手の墓地には【ギャラクシー・サイクロン】があるし、次のターンのジムの返しが怖いところだな。

 

「オレは手札から【牛頭鬼】を召喚!効果を発動してデッキから【麗の魔妖-妲姫】を墓地に送る!」

三沢 手札:3→2枚。

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

毒の魔妖-束脛 ★2 DEF2000 ※チューナー

毒の魔妖-土蜘蛛 ★5 ATK2000

牛頭鬼 ★4 ATK1700

 

【牛頭鬼】

効果モンスター

星4/地属性/アンデット族/攻1700/守 800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。

(2):このカードが墓地へ送られた場合、自分の墓地から「牛頭鬼」以外のアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。手札からアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。

 

 そう言えば通常召喚をまだしていなかったな。

 このモンスターをさっきのメインフェイズ1に呼び出しておけば…いや、恐らくはさっきのバトルフェイズ中の【魔妖遊行】の効果でドローしたモンスターなのだろう。

 

 うん?待てよ?この状況ってもしかして、もう三沢の勝ち確定か?

 

「レベル5【毒の魔妖-土蜘蛛】にレベル2【毒の魔妖-束脛】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル7【翼の魔妖-天狗】!」

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

翼の魔妖-天狗 ★7 ATK2600

 

「シンクロ召喚成功時、【コモンメンタルワールド】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

「そしてチェーンして墓地から【麗の魔妖-妲姫】の効果発動!自身を特殊召喚する!」

 

チェーン②麗の魔妖-妲姫

チェーン①コモンメンタルワールド

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

翼の魔妖-天狗 ★7 ATK2600

麗の魔妖-妲姫 ★2 DEF0 ※チューナー

 

「がふっ!」

ジム LP:1100→600

 

「レベル7【翼の魔妖-天狗】にレベル2【麗の魔妖-妲姫】をチューニング!シンクロ召喚!来い、レベル9【麗の魔妖-妖狐】!」

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

 

【麗の魔妖-妖狐】

シンクロ・効果モンスター

星9/炎属性/アンデット族/攻2900/守2400

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):「麗の魔妖-妖狐」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。

(2):このカードが墓地に存在し、元々のレベルが11の自分のSモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。自分の墓地から他のアンデット族モンスター1体を除外し、このカードを特殊召喚する。

(3):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手フィールドのモンスター1体を選んで破壊する。

 

 やはりそうか!ここで更に妖狐と妲己でシンクロしてレベル11の【骸の魔妖-餓者髑髏】を呼び出せば【コモンメンタルワールド】の効果でジムのライフが尽きる!

 

「シンクロ召喚成功時、【コモンメンタルワールド】の効果発動!相手ライフに500ポイントダメージを与える!」

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

 

「ぐわぁぁぁっ!」

ジム LP:600→100

 

 あれ?なんで妲己を墓地から呼び出さないんだ?チューナーが居ないと次の魔妖シンクロモンスターを呼び出せないだろ?

 あっ、もしかして【骸の魔妖-餓者髑髏】って効果テキストにリンクモンスターの記載があるから、この世界には存在しない…とかか!?

 

 /(^o^)\ナンテコッタイ。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

三沢 手札:3→1枚。伏せ:1→3枚。

 

 

◆三沢 LP:4000、手札:1枚、伏せ:3枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

 

vs

 

◆ジム LP:100、手札:3枚、伏せ:1枚。永続罠:1枚。

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

 

 

 惜しかったなぁ。あと一回シンクロ召喚したり、墓地からシンクロモンスターを呼び出せれば勝っていたのにな。

 

 考えてみれば、この世界の魔妖デッキって【骸の魔妖-餓者髑髏】だけじゃなくて雪女リンクモンスターも居ないのか。

 元々リンク召喚前提のデッキだから、本来のスペックをかなり制限されちゃってるんだなぁ。

 

結果論になるが、【魔妖遊行】の効果でバーンダメージを選択していればさっきのターンで三沢が勝っていたかも知れないな。恐らくはハンドアドバンテージなどを優先して手堅く展開しようとしたのだろう。

 

 

「Dangerous…!オレのターン、ドロー!」

ジム 手札:3→4枚。

 

「スタンバイフェイズに【地球巨人 ガイア・プレート】のコストとして【フリント・クラッガー】を除外!このままメインフェイズに移行する!」

 

「ならばここでリバースカードオープン!罠カード【戦線復帰】発動!墓地の【翼の魔妖-天狗】を特殊召喚する!」

三沢 伏せ:3→2枚。

 

【戦線復帰】

通常罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

「Whoa!手札から速攻魔法【サイクロン】発動!永続罠【魔妖遊行】を破壊するぜ!」

ジム 手札:4→3枚。

 

【サイクロン】

速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

チェーン②サイクロン

チェーン①戦線復帰

 

「くっ!だが【翼の魔妖-天狗】は蘇る!」

三沢 永続罠:1→0枚。

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

翼の魔妖-天狗 ★7 DEF1500

 

「そして【翼の魔妖-天狗】の効果発動!そちらの伏せカードを破壊する!」

 

「Shit!」

ジム 伏せ:1→0枚。

 

 ジムの伏せカードは攻撃反応型の罠カード【次元幽閉】か。前のターンで三沢が攻撃を仕掛けていたら危なかったかもな。

 さっき使わなかったのは【フォッシル・ダイナ パキケファロ】の効果発動を優先する為だったわけか。

 

「メインフェイズに入るぜ。墓地の【ギャラクシー・サイクロン】を除外して効果発動!そちらの永続魔法【コモンメンタルワールド】を破壊する!」

 

【ギャラクシー・サイクロン】

通常魔法

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):墓地のこのカードを除外し、フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

「十分働き終えた後だ。問題ない!」

三沢 永続魔法:1→0枚。

 

「オレは手札から魔法カード【化石融合-フォッシル・フュージョン】を発動!オレの墓地の…」

ジム 手札:3→2枚。

 

「それを待っていた!リバースカードオープン!手札の【ミイラの呼び声】を墓地に送ってカウンター罠【封魔の呪印】を発動!【化石融合-フォッシル・フュージョン】を封印する!」

三沢 手札:1→0枚、伏せ:2→1枚。

 

「Whats!?」

 

【封魔の呪印】

カウンター罠

手札から魔法カードを1枚捨てる。

魔法カードの発動と効果を無効にし、それを破壊する。

相手はこのデュエル中、この効果で破壊された魔法カード及び同名カードを発動する事ができない。

 

チェーン②封魔の呪印

チェーン①化石融合-フォッシル・フュージョン

 

「Wonderful!お前は強いな、ミサワ!」

 

「お誉めに預かり光栄だな、ジム!」

 

「But!ここで終わるオレじゃないのさ!手札から速攻魔法【マグネット・リバース】発動!除外されている【新生代化石騎士 スカルポーン】を特殊召喚だ!」

ジム 手札:3→2枚。

 

【マグネット・リバース】

速攻魔法

(1):自分の墓地のモンスター及び除外されている自分のモンスターの中から、機械族または岩石族の通常召喚できないモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

新生代化石騎士 スカルポーン ★4 ATK2000

 

「And!手札から魔法カード【タイム・ストリーム】発動!フィールドの【新生代化石騎士 スカルポーン】をリリースし、エクストラデッキから【中生代化石マシン スカルワゴン】を特殊召喚する!」

ジム 手札:2→1枚。

 

【タイム・ストリーム】

通常魔法

(1):自分フィールドの「化石」融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをリリースし、そのモンスターより元々のレベルが2つ高い「化石」融合モンスター1体を、「化石融合-フォッシル・フュージョン」による融合召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚する。

(2):自分の墓地からこのカードと「化石」融合モンスター1体を除外し、自分の墓地の「化石」融合モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

中生代化石マシン スカルワゴン ★6 ATK1700

 

【中生代化石マシン スカルワゴン】

融合・効果モンスター

星6/地属性/岩石族/攻1700/守1500

自分の墓地の岩石族モンスター+レベル5・6のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回までモンスターに攻撃できる。

(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。相手に800ダメージを与える。

(3):墓地のこのカードを除外し、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

「なるほど!化石融合を止めただけでは止まらないと言う訳か!」

 

「Still!手札からもう1枚、【タイム・ストリーム】発動!」

ジム 手札:1→0枚。

 

「なっ!?前のターンにサーチしたカード以外に持っていたのか!?」

 

「フィールドの【中生代化石マシン スカルワゴン】をリリースし、エクストラデッキから【古生代化石マシン スカルコンボイ】を特殊召喚!」

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

古生代化石マシン スカルコンボイ ★8 ATK2100

 

【古生代化石マシン スカルコンボイ】

融合・効果モンスター

星8/地属性/岩石族/攻2100/守1800

自分の墓地の岩石族モンスター+レベル7以上のモンスター

このカードは「化石融合-フォッシル・フュージョン」の効果でのみEXデッキから特殊召喚できる。

(1):融合召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力は、そのモンスターの元々の守備力分ダウンする。

(2):このカードは1度のバトルフェイズ中に3回までモンスターに攻撃できる。

(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。相手に1000ダメージを与える。

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK1700→900

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900→500

翼の魔妖-天狗 ★7 DEF1500

 

「Here!墓地の【中生代化石マシン スカルワゴン】を除外して、最後の伏せカードを破壊させてもらう!」

 

 これが通ってしまえばスカルコンボイによる戦闘・効果ダメージで三沢の負けはほぼ確定だ。

 手札が1枚残っているが、この状況を覆す1枚ではないだろう。

 

 惜しかった。いい勝負だったが、これで決着か。

 

「オレは絶対に負けない!チェーンして速攻魔法【月の書】発動!【古生代化石マシン スカルコンボイ】を裏側守備に変更する!」

三沢 伏せ:1→0枚。

 

「No kidding!?」

 

【月の書】

速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを裏側守備表示にする。

 

チェーン②月の書

チェーン①中生代化石マシン スカルワゴン

 

 マジか!?

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

古生代化石マシン スカルコンボイ ★8 ATK2100 → 裏側守備

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

牛頭鬼 ★4 ATK900→1700

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK500→2900

翼の魔妖-天狗 ★7 DEF1500

 

「Great…!」

 

 流石のジムももう打つ手がないのか、ただただ茫然としているようだったが、すぐに首を横に振って闘志を取り戻したようだった。

 

「Go!【地球巨人 ガイア・プレート】で【牛頭鬼】を攻撃!」

 

地球巨人 ガイア・プレート ATK2800

vs

牛頭鬼 ATK1700→850 ※戦闘破壊

 

「ぐわぁぁぁっ!」

三沢 LP:4000→2050

 

「オレはこれでターンエンドだ…」

 

 

◆三沢 LP:4000、手札:1枚、伏せ:3枚、永続魔法:1枚。永続罠:1枚。

 

<三沢のフィールド>

狐トークン ★2 DEF500

狐トークン ★2 DEF500

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

翼の魔妖-天狗 ★7 DEF1500

 

vs

 

◆ジム LP:100、手札:0枚、伏せ:0枚。永続罠:1枚。

 

<ジムのフィールド>

地球巨人 ガイア・プレート ★8 ATK2800

裏側守備(古生代化石マシン スカルコンボイ)

 

 

「オレのターン、ドロー!」

三沢 手札:1→2枚。

 

「オレは手札から【火車】を自身の効果により特殊召喚する!」

三沢 手札:2→1枚。

 

<三沢のフィールド>

麗の魔妖-妖狐 ★9 ATK2900

翼の魔妖-天狗 ★7 DEF1500

火車 ★8 ATK0

 

【火車】

特殊召喚・効果モンスター

星8/地属性/アンデット族/攻 ?/守1000

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドのアンデット族モンスターが2体以上の場合のみ特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。このカード以外のフィールドのモンスターを全て持ち主のデッキに戻す。元々の種族がアンデット族の表側表示モンスターがデッキに戻った場合、このカードの攻撃力はそのモンスターの数×1000になる。

 

「【火車】の特殊召喚に成功時、効果発動!このカード以外のフィールドのモンスターを全て持ち主のデッキに戻す!」

 

<三沢のフィールド>

火車 ★8 ATK0

 

<ジムのフィールド>

モンスター無し

 

「そして元々の種族がアンデット族の表側表示モンスターがデッキに戻った場合、このカードの攻撃力はそのモンスターの数×1000になる!」

 

<三沢のフィールド>

火車 ★8 ATK0→2000

 

「Fantastic!」

 

「このままバトルフェイズに入る!これで終わりだ!【火車】でダイレクトアタック!火炎車ぁ!」

 

火車 ATK2000

 

「うぉぉぉぉっ!」

ジム LP:100→0

 

 

「そこまで!試合終了!」

 

 響先生の宣告により、デュエルは三沢の勝利で幕を閉じた。

 

「よっしゃー!三沢が勝ったぜー!」

「二人とも良いデュエルだったわね」

「三沢―!ジム―!オレともデュエルしてくれー!」

「ええい、コナミ!耳元で騒ぐんじゃない!」

 

 本校生徒の観客席からだけではなく、観客席全体から三沢とジムの双方を称える言葉が聞こえて来ている。

 

 何処か1つでもボタンを掛け間違えていると勝敗が逆転していたかのような、本当にギリギリのデュエルだったと思う。

 

「Unbelievable!ミサワ、良いデュエルだった!」

「正直に言うと、オレもギリギリだったよ」

 

「良いSoulだった。嫌いじゃないぜ、そう言うの!」

 

 先ほどまで闘志をむき出しにして戦っていた二人だったが、試合が終われば互いの健闘を称えて爽やかに握手を交わしていた。

 

 その後、2人がデュエルリングから降りてそれぞれの観客席へと戻った後に、響先生が本日の対抗デュエルの終了を宣言した。

 

 その際にこちらに戻って来て十代たちといくつか言葉を交わし終えた三沢が、

 

「どうだ白河?昨日言った通りオレが勝っただろう?」

 

 なんてセリフを珍しく口角を上げたドヤ顔で俺に言ってきた。よほど俺の昨日の発言を気にしていたのだろう。

 

「昨日は偉そうに実力を疑うセリフを吐いてしまって済まなかったな。良いデュエルだったよ、三沢」

 

 俺は昨日の言葉を謝罪し、それに気を良くした三沢とお互いに慣れないハイタッチを交わした。




三沢のデッキは【魔妖】です。レベルが奇数のシンクロモンスターを高速シンクロ召喚していき。フィールドのシンクロモンスターが倒されても墓地から後続のモンスターが現れて効果を発動すると言うコンセプトのテーマデッキです。
本文ではレベル9モンスターまでしか登場しませんでしたが、本来ならばレベル11のシンクロモンスターやリンクモンスターも居ます。と言うよりリンクモンスターが居ないと相手への牽制がほぼ出来ません。

ジムのデッキは【化石】です。OCG化に当たって優秀な効果が追加された下級モンスターで化石融合やタイム・ストリームを手札に加えて融合を行っていくテーマデッキです。

いずれのモンスターも、貫通・2回攻撃(または連続攻撃)を持つ殺意の高い融合モンスターばかりで、レベル4「新生代」、レベル6「中生代」、レベル8「古生代化石」シリーズへとその能力は強化されて行きます。
長らくOCG化されていませんでしたが、2020年1月の投票企画において12テーマから1位に輝き、OCG化が叶ったテーマです。

次回の更新は三月中旬頃の予定です。

戦車様、紅魔郷=先輩様、Skazka Priskazka様、メイン弓様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第百六十二話 学園対抗デュエル5

前回のあらすじ:妖怪と化石

今回のデュエルは明日香とオブライエンのデュエルとなります。


 とうとう学園対抗デュエルは5日目を迎えた。

 

 既にアメリカ校がイースト校に勝利して既に3勝目を手にしており、現在のトップを走る状態だ。

 他に2勝しているのは、本校、ウエスト校、イースト校、そして本日試合のないノース校である。

 

 これから行われる本校とウエスト校、その後に行われるサウス校とアークティック校の試合結果によっては本校がトップ争いから遠ざかって退学(俺の死)が近づくこともあり、個人的には気が気ではなかったりする。

 もちろん各校のプライドとブランドを背負い立つ各校代表の熱意や覚悟を軽んじるわけではないが、ないのだが…こうも楽しそうな雰囲気を醸し出されると、こう…モヤっとするんだよな!

 

 これも全部、あのクソ女神のせいだ!俺も純粋にデュエル大会を楽しみたかったのに!チクショウ!

 いや、まぁ、今回の件に関しては俺の所為か…。良かれと思って取った行動がことごとく裏目に出ている気がする。

 

 はぁ~。やっぱりオレ程度のモブは本編にしゃしゃり出ずにモブに徹しておいた方が良いのかなぁ。

 

「天上院~!頑張れよ~!」

「オレもデュエルしたい~」

「天上院君!ファイトだ!」

 

 俺が自身のことを棚に上げてモヤモヤとした憤りを感じていた間に試合の準備が整ったようだ。

 デュエルリングに立っている明日香に向けて、本校生徒たちがそれぞれの声援(声援?)を送っている。

 

「対戦相手はウエスト校のオースチン・オブライエン。少し前に引退表明したあのプロデュエリスト『炎のオブライエン』の一人息子らしいな」

「そんなに強い人なんスか?」

 

「あぁ。トップ10には入れなかったものの、上位勢のプロデュエリストだったのは間違いない。そんな彼の技術を全て継承しているとすれば…」

「うわぁ…手強そうな相手なんだナァ」

 

 翔や隼人に説明している三沢の話や先日のオブライエン本人の話を加味すると、今のオブライエンのデッキはアニメ版と漫画版のデッキをミックスしたようなデッキかも知れないな。

 

「私は天上院明日香。よろしくね」

「オブライエン。オースチン・オブライエンだ」

 

 明日香はオブライエンの変わった形のデュエルディスクに数秒困惑した様子を見せたがすぐに気を取り直して試合前の挨拶を交わしている。

 オブライエンの方からも相手を侮るような雰囲気は一切感じられない。恐らくだが、今までの本校生徒の試合を見て目の前の明日香も油断ならないデュエリストだと察したのだろう。

 

「両者、準備は良いですね?では、学園対抗デュエル5日目の第二試合を開始します」

 

 響先生の透き通った声がリング上に響くと、二人のデュエリストはデュエルディスクを構えてデッキをセットする。

 

「デュエル開始!」

 

「「デュエル!」」

 

 

◆天上院明日香 LP:4000

 

vs

 

◆オースチン・オブライエン LP:4000

 

 

「先攻はオレが貰う!オレのターン、ドロー!」

オブライエン 手札:5→6枚。

 

「オレは手札から魔法カード【強欲で謙虚な壺】を発動!デッキトップから3枚めくる!」

オブライエン 手札:6→5枚。

 

【強欲で謙虚な壺】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。

(1):自分のデッキの上からカードを3枚めくり、その中から1枚を選んで手札に加え、その後残りのカードをデッキに戻す。

 

 初手からいいカードを引き込んだな。

 

「オレは魔法カード【トレード・イン】を選んで手札に加え、残りのカードをデッキに戻してシャッフル!」

オブライエン 手札:5→6枚。

 

「オレは手札からレベル8【The blazing MARS】を捨て、魔法カード【トレード・イン】を発動!デッキから2ドロー!」

オブライエン 手札:6→5→4→6枚。

 

【トレード・イン】

通常魔法

(1):手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。

 

 おぉっ、いきなりプラネットシリーズを引いていたか。流石はネームドキャラにして勇者オブライエン。凄まじい運命力だ。

 

「オレは手札から魔法カード【篝火】を発動!デッキから【ヴォルカニック・ロケット】を手札に加える!」

オブライエン 手札:6→5→6枚。

 

【篝火】※アニメオリジナルカード

通常魔法

(1):自分のデッキからレベル4以下の炎族モンスター1体を手札に加える。

 

 アレは確か鮎川先生がアニメで使用していたアニオリカードだな。

 そしてオブライエンが手札に加えたのはやはり【ヴォルカニック】モンスターか。

 

「手札から永続魔法【ヴォルカニック・ウォール】を発動!デッキトップから3枚墓地に送る!」

オブライエン 手札:6→5枚。永続魔法:0→1枚。

 

【ヴォルカニック・ウォール】※アニメオリジナルカード

永続魔法

(1):デッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動する。その中に炎族モンスターが存在する場合、1体につき500ポイントダメージを相手ライフに与える。

この効果は1ターンに1度しか使用できず、この効果を発動したターンバトルフェイズを行う事はできない。

 

<オブライエンがデッキから墓地に送ったカード>

①エレクトロ軍曹

②ヴォルカニック・バレット

③ヴォルカニック・ラット

 

 【エレクトロ軍曹】か。漫画版で使用していたモンスターだな。【ヴォルカニック】と【機械族】の混成デッキって所か。

 

「墓地に送られた炎族は2体!1000LPのバーンダメージを受けて貰う!」

 

「キャァッ!やってくれたわね!」

明日香 LP:4000→3000

 

 このターンでは【強欲で謙虚な壺】のデメリット効果で出せないし、そもそも出すタイミングではないだろうけれど、これで墓地の【The blazing MARS】を呼び出す準備は出来たな。

 

「そして500LPを支払って墓地の【ヴォルカニック・バレット】の効果発動!デッキから別の【ヴォルカニック・バレット】1体を手札に加える!」

オブライエン LP:4000→3500、手札:5→6枚。

 

【ヴォルカニック・バレット】

効果モンスター

星1/炎属性/炎族/攻 100/守 0

(1):このカードが墓地に存在する場合、1ターンに1度、500LPを払って発動できる。

このカードが墓地に存在する場合、デッキから「ヴォルカニック・バレット」1体を手札に加える。

 

「オレは手札から【ヴォルカニック・ロケット】を通常召喚する!」

オブライエン 手札:6→5枚。

 

<オブライエンのフィールド>

ヴォルカニック・ロケット ★4 ATK1900

 

【ヴォルカニック・ロケット】

効果モンスター

星4/炎属性/炎族/攻1900/守1400

(1):このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、自分のデッキ・墓地から「ブレイズ・キャノン」と名のついたカード1枚を選んで手札に加える事ができる。

 

「【ヴォルカニック・ロケット】の効果発動!デッキから【ブレイズ・キャノン・マガジン】を手札に加える!」

オブライエン 手札:5→6枚。

 

「オレはカードを3枚セットしてターンエンド!」

オブライエン 手札:6→3枚。伏せ:0→3枚。

 

 

◆明日香 LP:3000、手札:5枚。

 

vs

 

◆オブライエン LP:3500、手札:3枚、伏せ:3枚。

 

<オブライエンのフィールド>

ヴォルカニック・ロケット ★4 ATK1900

 

 

 恐らく伏せカードの1枚は【ブレイズ・キャノン・マガジン】、そして手札の1枚は【ヴォルカニック・バレット】で確定だな。

 機械族と炎族の混成デッキなら、【ヴォルカニック】やプラネットシリーズ以外にも【死魂融合】などで相手ターンに呼び出される【起爆獣ヴァルカノン】も警戒すべきカードかも知れない。

 

 対する明日香は【機械天使】か【氷結界】、どちらのデッキだろう?

 

 

「私のターン、ドロー!」

明日香 手札:5→6枚。

 

「私は手札から魔法カード【海竜神の激昂】を発動!デッキから【激流葬】を手札に加える!」

明日香 手札:6→5→6。

 

【海竜神の激昂】

通常魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):デッキから「激流葬」1枚を手札に加える。

(2):自分フィールドの水属性モンスターが効果で破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「あのカードは…ちぃっ!破壊耐性を付与するカードか!」

 

 おぉっ!良いぞ!これでマガジンからのバックショットのような全体破壊でも1度だけ無効化できる!

 

「私は手札から魔法カード【おろかな副葬】を発動!デッキから【氷結界】を墓地に送るわ!」

明日香 手札:6→5枚。

 

【おろかな副葬】

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキから魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

「墓地の【氷結界】を除外して効果発動!デッキから【氷結界の虎将ウェイン】を墓地に送り、墓地から【氷結界の虎将ウェイン】を手札に加える!」

 

【氷結界】

通常罠

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手モンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その相手モンスターは、攻撃力が0になり、表示形式を変更できず、効果は無効化される。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル5以上の水属性モンスター1体を墓地へ送る。その後、自分の墓地から水属性モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。この効果の発動後、次の自分ターンの終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

「そういうことか。ならばオレはその効果にチェーンしてリバースカードオープン!永続罠【ブレイズ・キャノン・マガジン】を発動!手札の【ヴォルカニック・カウンター】を墓地に送ってデッキから1ドローする!」

オブライエン 伏せ:3→2枚。永続罠:0→1枚。

 

【ブレイズ・キャノン・マガジン】

永続罠

「ブレイズ・キャノン・マガジン」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードのカード名は、魔法&罠ゾーンに存在する限り「ブレイズ・キャノン-トライデント」として扱う。

(2):自分及び相手メインフェイズにこの効果を発動できる。手札の「ヴォルカニック」カード1枚を墓地へ送り、自分はデッキから1枚ドローする。

(3):自分及び相手メインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「ヴォルカニック」カード1枚を墓地へ送る。

 

チェーン②ブレイズ・キャノン・マガジン

チェーン①氷結界

 

オブライエン 手札:3→2→3枚。

明日香 手札:5→6枚。

 

 ここで【ブレイズ・キャノン・マガジン】の効果を使ってくると言うことは、マガジンとのコンボで相手ターンに全体除去を可能とする【ヴォルカニック・バックショット】を握っていなかったというわけか。

 ただ、オブライエンが墓地に送った【ヴォルカニック・カウンター】の効果も発動すれば大ダメージを与えて来る可能性が高い厄介なカードだ。

 更に全体除去効果を持つ速攻魔法【クレイジー・ファイヤー】の発動条件も満たした。油断はできないだろうな。

 

「次に私は手札の【クリスタル・ガール】を墓地に送って手札から魔法カード【ワン・フォー・ワン】を発動!デッキから【氷結界の霜精】を特殊召喚よ!」

明日香 手札:6→5→4枚。

 

【ワン・フォー・ワン】

通常魔法

(1):手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の霜精 ★1 DEF200 ※チューナー

 

【氷結界の霜精】

チューナー・効果モンスター

星1/水属性/海竜族/攻 400/守 200

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

(2):自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル3以下の「氷結界」モンスター1体を墓地へ送る。このカードのレベルはターン終了時まで、そのモンスターと同じになる。

 

「なるほど。【氷結界】デッキか。だが生半可な封印ではオレの炎は消せはしないぞ!」

 

「それはどうかしら?【氷結界の霜精】の効果発動!デッキから【氷結界の伝道師】を墓地に送り、自身のレベルをこの効果で墓地に送ったモンスターと同じにする!」

 

<明日香のフィールド>

氷結界の霜精 ★1→2 DEF200 ※チューナー

 

「更に手札の【氷結界の虎将 ウェイン】の効果発動!自身を特殊召喚するわ!」

明日香 手札:4→3枚。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の霜精 ★2 DEF200 ※チューナー

氷結界の虎将 ウェイン ★5 ATK2100

 

【氷結界の虎将 ウェイン】

効果モンスター

星5/水属性/戦士族/攻2100/守 400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「氷結界」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、フィールドから相手の墓地へ送られる魔法・罠カードは墓地へは行かず除外される。

 

<オブライエンのフィールド>

ヴォルカニック・ロケット ★4 ATK1900→1400

 

 【氷結界の霜精】の効果によってオブライエンのフィールドのモンスターの能力が下がったが、このままシンクロ召喚に繋げるのであればあまり意味はないか。

 

「チューナーと非チューナーを揃えてきたか!」

 

「特殊召喚成功時、【氷結界の虎将 ウェイン】の効果発動!デッキから「氷結界」魔法・罠カード1枚を手札に加えるわ!」

 

「ここで更なるサーチカード…氷結界相手にこれ以上の静観は危険だな」

 

 確かに、氷結界モンスターはフィールドに並ぶことで相手の行動を阻害するモンスターが多い。やはりここで仕掛けて来るか…!

 

「リバースカードオープン!500LPを支払って速攻魔法【クレイジー・ファイヤー】発動!【ブレイズ・キャノン・マガジン】を破壊し、フィールド上のモンスターを全て破壊する!」

オブライエン LP:3500→3000、伏せ:2→1枚。

 

【クレイジー・ファイヤー】

速攻魔法

500ライフポイントを払う。

自分フィールド上に表側表示で存在する「ブレイズ・キャノン」と名のついたカードを破壊し、フィールド上のモンスターを全て破壊する。

その後、自分フィールド上に「クレイジー・ファイヤー・トークン」(炎族・炎・星3・攻/守1000)を1体攻撃表示で特殊召喚する。

このターン自分のモンスターは攻撃する事ができない。

 

チェーン②クレイジー・ファイヤー

チェーン①氷結界の虎将 ウェイン

 

オブライエン 永続罠:1→0枚。

 

<明日香のフィールド>

モンスター無し

 

「くっ!」

 

 破壊を通した?【海竜神の激昂】の効果を温存したのだろうが、他に警戒しているカードがあるのか?

 

「【クレイジー・ファイヤー】の効果には続きがある!全体除去後の自身のフィールドに「クレイジー・ファイヤー・トークン」を特殊召喚する!」

 

<オブライエンのフィールド>

クレイジー・ファイヤー・トークン ★3 ATK1000

 

「私は【氷結界の虎将 ウェイン】の効果でデッキから【氷結界の紋章】を手札に加える!」

明日香 手札:3→4枚。

 

「私は手札から魔法カード【氷結界の紋章】を発動!デッキから【氷結界の照魔師】を手札に加えるわ!」

明日香 手札:6→5枚。

 

【氷結界の紋章】

通常魔法

(1):デッキから「氷結界」モンスター1体を手札に加える。

 

「私は手札から【氷結界の軍師】を召喚!」

明日香 手札:4→3枚。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

 

【氷結界の軍師】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1600/守1600

(1):1ターンに1度、手札から「氷結界」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

 さっき【氷結界の照魔師】を手札に加えていたはずだが、ここで軍師を通常召喚?

 

「手札から【氷結界の照魔師】を墓地に送って【氷結界の軍師】の効果を発動!デッキから1ドローするわ!」

明日香 手札:3→2→3枚。

 

「私は手札から【氷結界の依巫】の効果を発動!自身を特殊召喚するわ!」

明日香 手札:3→2枚。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の軍師 ★4 ATK1600

氷結界の依巫 ★4 DEF1800

 

【氷結界の依巫】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守1800

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手フィールドの守備表示モンスターは表示形式を変更できない。

(3):自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分フィールドに「氷結界トークン」(水族・水・星1・攻/守0)1体を特殊召喚する。

 

「私はレベル4【氷結界の軍師】と【氷結界の依巫】の2体でオーバーレイ!」

 

「なっ!?ちぃっ!エクシーズ召喚まで使いこなすのか!」

 

「来なさい!ランク4【深淵に潜む者】!」

 

<明日香のフィールド>

深淵に潜む者 ☆4 ATK1700→2200 ORU:2

 

【深淵に潜む者】

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/水属性/海竜族/攻1700/守1400

レベル4モンスター×2

(1):このカードが水属性モンスターをX素材としている場合、自分フィールドの水属性モンスターの攻撃力は500アップする。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「そのモンスターは…!」

 

 【深淵に潜む者】は墓地のカード効果発動を封じる効果をフリーチェーンで発動できるモンスターだ。

 この局面でこのモンスターを呼び出せたのはかなり美味しい。

 

【ヴォルカニック・バックショット】

効果モンスター

星2/炎属性/炎族/攻 500/守 0

このカードが墓地へ送られた時、相手ライフに500ポイントダメージを与える。

このカードが「ブレイズ・キャノン」と名のついたカードの効果によって墓地へ送られた場合、手札・デッキから「ヴォルカニック・バックショット」2体を墓地へ送る事で、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 

 【ブレイズ・キャノン・マガジン】と【ヴォルカニック・バックショット】のコンボは少々処理がややこしく、最大3回のチェーン処理を挟む。

 

 1回目の処理で、【ブレイズ・キャノン・マガジン】で1体目の【ヴォルカニック・バックショット】を墓地に送る効果処理を行う。

 2回目の処理で、バックショット1体目のバーン効果が強制で発動し、更にチェーンして手札・デッキから他の同名モンスター2体を墓地へ送る事で全体破壊効果を任意で乗せられる。

 3回目の処理で、2枚目の処理で送られた同名モンスター2体のバーン効果が強制で発動する。

 

 この1回目の処理でマガジンの効果に【深淵に潜む者】の効果をチェーンすることで2回目以降の墓地発動するバックショットのバーン効果や全体破壊効果を発動できなく出来てしまう。

 

 

「リバースカードオープン!1000LPを支払って罠カード【スピリッツ・フュージョン】を発動する!」

オブライエン LP:3000→2000、伏せ:1→0枚。

 

 おっ、また漫画版のオリジナルカードだな。

 

【スピリッツ・フュージョン】※漫画版オリジナルカード

通常罠

1000ライフポイントを払って発動できる。

自分の墓地から融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターをゲームから除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

「チェーンして私は【深淵に潜む者】のORUを1つ取り除いて効果発動!このターン、相手は墓地のカードの効果を発動できない!」

深淵に潜む者 ORU:2→1

 

 これでこのターン、【ブレイズ・キャノン・マガジン】や【ヴォルカニック・カウンター】の墓地効果を使うことは出来なくなったな。

 

チェーン②深淵に潜む者

チェーン①スピリッツ・フュージョン

 

「オレは墓地の機械族【エレクトロ軍曹】と炎族【ヴォルカニック・ラット】を除外し、【起爆獣ヴァルカノン】を融合召喚する!」

 

<オブライエンのフィールド>

クレイジー・ファイヤー・トークン ★3 ATK1000

起爆獣ヴァルカノン ★6 ATK2300

 

【起爆獣ヴァルカノン】

融合・効果モンスター

星6/地属性/機械族/攻2300/守1600

機械族モンスター+炎族モンスター

このカードが融合召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する事ができる。

選択した相手モンスターとこのカードを破壊して墓地へ送る。その後、墓地へ送られた相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

「融合召喚成功時、【起爆獣ヴァルカノン】の効果発動!【深淵に潜む者】とこのカードを破壊し、破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを与える!」」

 

「キャァァァッ!」

明日香 LP:3000→1300

 

 また【海竜神の激昂】で破壊効果を止めなかった?今回は破壊に加えてバーンダメージも大きい。

 次のターンでマガジンからのバックショットのコンボを受けると500×3体で1500ダメージを受けて敗北してしまうのだから防ぐと思ったが…まだなにかあるのか?

 

「これでいいわ。私は手札から魔法カード【貪欲な壺】を発動!墓地から5体のモンスターをデッキに戻し、デッキから2枚ドロー!」

明日香 手札:2→1→3枚。

 

【貪欲な壺】

通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。

そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

<明日香が墓地からデッキに戻したカード>

①深淵に潜む者

②氷結界の軍師

③氷結界の虎将 ウェイン

④氷結界の霜精

⑤クリスタル・ガール

 

 なるほど。最初から壺を握っていて、発動条件を吟味していたわけか。

 

「更に手札から永続魔法【氷結界の晶壁】を発動!墓地から【氷結界の伝道師】を特殊召喚する!」

明日香 手札:3→2枚。永続魔法:0→1枚。

 

【氷結界の晶壁】

永続魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):このカードの発動時に、自分の墓地のレベル4以下の「氷結界」モンスター1体を対象にできる。その場合、そのモンスターを特殊召喚する。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、自分フィールドに「氷結界」モンスターが3体以上存在する限り、自分フィールドの「氷結界」モンスターはEXデッキから特殊召喚された相手モンスターが発動した効果を受けない。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の伝道師 ★2 DEF400

 

【氷結界の伝道師】

効果モンスター

星2/水属性/水族/攻1000/守 400

(1):自分フィールドに「氷結界」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚するターン、自分はレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。

(2):このカードをリリースし、「氷結界の伝道師」以外の自分の墓地の「氷結界」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

「まだよ!手札から魔法カード【アイス・ミラー】を発動!デッキから2体目の【氷結界の伝道師】を特殊召喚する!」

明日香 手札:2→1枚。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の伝道師 ★2 DEF400

氷結界の伝道師 ★2 DEF400

 

【アイス・ミラー】

通常魔法

(1):自分フィールドのレベル3以下の水属性モンスター1体を対象として発動できる。その同名モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターが自分フィールドに表側表示で存在する限り、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

 

「1体目の【氷結界の伝道師】をリリースして効果発動!墓地の【氷結界の照魔師】を特殊召喚する!」

 

<明日香のフィールド>

氷結界の伝道師 ★2 DEF400

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

 

【氷結界の照魔師】

効果モンスター

星4/水属性/魔法使い族/攻1700/守1000

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに他の「氷結界」モンスターが存在する限り、相手はアドバンス召喚できない。

(2):手札を1枚捨てて発動できる。デッキから「氷結界」チューナー1体を特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水属性モンスターしか特殊召喚できない。

(3):自分が「氷結界」モンスターの効果を発動するために、手札を墓地へ送る場合または捨てる場合、そのカード1枚の代わりに墓地のこのカードを除外できる。

 

「2体目の【氷結界の伝道師】をリリースして効果発動!墓地の【氷結界の依巫】を特殊召喚する!」

 

<明日香のフィールド>

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の依巫 ★4 DEF1800

 

「手札の【激流葬】を捨てて【氷結界の照魔師】の効果発動!デッキからチューナーモンスター【氷結界の風水師】を特殊召喚する!」

明日香 手札:1→0枚。

 

<明日香のフィールド>

氷結界の照魔師 ★4 DEF1000

氷結界の依巫 ★4 DEF1800

氷結界の風水師 ★3 DEF1200 ※チューナー

 

【氷結界の風水師】

チューナー(効果モンスター)

星3/水属性/魔法使い族/攻 800/守1200

手札を1枚捨て、属性を1つ宣言して発動できる。宣言した属性のモンスターはこのカードを攻撃対象に選択できない。

この効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り1度しか使用できない。

 

 この時点で相手の伏せカードは0枚。そして墓地カードの発動は封じられている。

 手札は3枚あるがそのうち1枚は【ヴォルカニック・バレット】だし、他の2枚もここまで何も妨害しなかったことから手札誘発を考慮しなくても大丈夫だろう。

 流石にジムのようにニビルとかは入ってないだろうし、勝敗は決まったかな。

 

「私はレベル4【氷結界の照魔師】と【氷結界の依巫】にレベル3【氷結界の風水師】をチューニング!」

 

「合計レベルは…レベル11のシンクロモンスターだと!?」

 

「シンクロ召喚!来なさい!レベル11【氷結界の還零龍 トリシューラ】!」

 

<明日香のフィールド>

氷結界の還零龍 トリシューラ ATK2700

 

【氷結界の還零龍 トリシューラ】

シンクロ・効果モンスター

星11/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した時に発動できる。相手フィールドのカードを3枚まで選んで除外する。

(2):S召喚したこのカードが相手によって破壊された場合に発動できる。自分のEXデッキ・墓地から「氷結界の龍 トリシューラ」1体を選び、攻撃力を3300にして特殊召喚する。相手フィールドに表側表示モンスターが存在する場合、さらにそれらのモンスターは、攻撃力が半分になり、効果は無効化される。

 

 まさか明日香の奴、最初からこのターンで決めきるつもりだったのか?【海竜神の激昂】はあくまで保険だったってことか。

 愛用カードの【ドゥーブルパッセ】のように『肉を切らせて骨を断つ』戦術が好きだなんて、あの娘も本当の生粋のデュエリストだよなぁ。

 

 あっ、観客席でコナミと戦ったアメリカ校の代表選手が頭を抱えて震えている。よほどトリシューラにトラウマを植え付けられたんだろうなぁ。

 

「【氷結界の還零龍 トリシューラ】の効果発動!【クレイジー・ファイヤー・トークン】を除外させてもらうわ!」

 

<オブライエンのフィールド>

モンスター無し

 

「馬鹿な…オレのフィールドが一瞬で更地に…!」

 

「バトルよ!【氷結界の還零龍 トリシューラ】でダイレクトアタック!」

 

「ぐわぁぁぁっ!」

オブライエン LP:2000→0

 

 

「そこまで!試合終了!」

 

 響先生の宣告により、デュエルは明日香の勝利が確定した。

 

「完敗だ。色々と学ばせて貰ったよ。だが、次は勝たせてもらう」

「こちらこそ。でも、次も負けないわよ?」

「流石は音に聞こえたアカデミアの女王だな」

「その呼び名、他の分校でも言われてるの…?」

 

 デュエル後、彼ら二人は握手を交わして互いの健闘を称えあっている。

 

「よっしゃー!天上院、ナイスだぜ!」

「天上院君!ナイスデュエル!」

「彼女の氷結界も凄まじかったが、彼のヴォルカニックも要注意だな。これは研究のし甲斐がある」

 

「オレもデュエルしてー!」

「こ、コナミ君!落ち着くっスよ!」

「あんまり暴れると観客席から落ちてしまうんだナァ!」

 

「明日香さん!流石です!」

「素晴らしい勝利でしたわ!」

「ありがと、二人とも」

 

「ふふっ、明日香ったらあんなに楽しそうにデュエルして…少しだけ羨ましいわ」

「私も庶民に構ってばかりいないで代表選手に立候補しておけば…」

 

 観客席に戻った明日香は十代たちや友人たちに取り囲まれて先ほどのデュエルの感想などを話しているようだ。

 

 対抗デュエル大会は、俺の想定していた最悪のものとは打って変わって何事もなく平穏な時間が続いている。

 このまま平和に終わってくれることを切に願う。

 

 振りじゃないぞ?何も起こらないでくれよ?




明日香のデッキは以前も使用した【氷結界】です。前回使用しなかったカードをいくつか使っていますが、基本的にはデッキ内容は変化なしです。

オブライエンのデッキは【ヴォルカニック】です。アニメ版や漫画版の未OCGカードをいくつか採用し、相性が良さそうだった融合モンスターやプラネットシリーズのカードも入っています。余談ですが、LP4000制でバーンデッキを描写するの難しいですね…。

オメガモンX抗体様、戦車様、メイン弓様、 Skazka Priskazka様、誤記報告ありがとうございます。修正しました。

<お知らせ>
次回の更新はありません。詳しくは活動報告にてお知らせしようと思いますが、本作は未完了作品となります。筆者の力不足などによりこのような結果になってしまい誠に申し訳ございませんが、ご愛読いただきまして誠にありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

終章
最終話 エピローグ


今回の更新で本作は最終話となります。

今までご愛読いただきましてありがとうございました。


「ふぅっ、こんなものか」

 

 卒業パーティを終えてラーイエロー寮の自室に戻り、部屋の後片付けを終えた俺はふと独り言を零してしまった。

 

 今の俺には精霊のカードも所持していないし、精霊たちから借りていた力も残っていない。もし仮にカードの精霊たちがこの場に居ても俺が彼らを認知することは無いだろう。

 寂しさを感じないと言えば嘘になるが、元々転生チートに頼っていただけのモブキャラな俺には過ぎた力だった。惜しいとは思うけどね。

 

「十代とコナミはもうレッド寮を出て旅立った頃だろうか?」

 

 いや、これから初代デュエルキング時代の武藤遊戯とデュエルするタイミングかな?

 原作より遥かに強化された十代のネオスデッキと、恐らくそれにつられて強化されそうな武藤遊戯のハイランダーデッキとのデュエル、ちょっと見たかったなぁ~。

 

 そしてその後にしばらくしたらパラドックス戦か。彼の人生はこの後も波乱万丈だな。

 

「色々あったけれど、ようやく卒業か」

 

 俺は窓枠に腕を乗せて体重をかけた状態で夜空に浮かぶ月を眺める。

 その光景を目にして感傷的な気持ちになりながら、これまでのことを思い返していた。

 

「思えばこれまで色々なことがあった…」

 

 この世界に新たな生を受け、デュエルアカデミア入学前から1年生時代までは様々な暗躍を行って原作介入しまくったものだ。

 

 原作と一番違いが出たのはセブンスターズ編だったな。セブンスターズと戦ったのは主に教師陣だったし、影丸理事長とは3vs1でフルボッコだった。

 俺の介入によって吹雪さんや藤原先輩の様に原作アニメより心の傷が浅く済んだ人たちも居れば、俺の介入のせいで鮫島校長の様にむしろ被害に遭ってしまった人たちもいた。

 

 タッグフォース大会なんてのもあったな。

 タッグフォース大会はゲームと違って影丸が出てこなかったくらいの違いで、参加デュエリストのレベルは高いもののそれ以外は普通のデュエル大会だったな。

 

 その後に行われた原作には存在しない全姉妹校での学園対抗デュエルでのコブラの暗躍が一番驚いたな。

 まさかコブラが十代と行動を共にしていた方のユベルをデュエルで倒した後、オベリスクフォース製のデュエルディスクでカード化して誘拐するとは思わなかった。

 ま、この出来事自体はあとから知ったんだけどね。当時はいきなり居なくなったユベルを十代たちと一緒に探し回ったなぁ。

 

 他にも俺個人の問題として何度か退学になりかけたこともあったが…あれらはまぁ完全に俺の自業自得だったから誰にも文句は言えないな。

 

「それを反省して2年目からはなるべく大人しくしていたけど…まさかああなるとはなぁ」

 

 2年目の光の結社編に関しては、俺は本当に何もしていない。

 俺の周囲であった大きな変化と言えば、亮さんが卒業したのとセレナが入学してきたくらいだったな。

 

 2年目の序盤ではユベルを失って落ち込んでいた十代だったが、コナミや翔、そして新たに友人となったティラノ剣山のお陰で生来の明るさを取り戻していった。

 亮さんは最初からヘルカイザー亮の名前でプロ入りし、エドの【D-HERO】に敗れはしたものの闇堕ちすることなくプロ生活を続けていた。

 

 万丈目も斎王とのデュエルに勝利はしたものの、何故かその次の日には万丈目ホワイトサンダーになっていた。今となっては詳細は不明だが、試合に勝って勝負に負けたと言う奴なのかも知れない。

 ホワイトサンダーの勢いは凄まじく、原作アニメ通りに明日香や三沢をホワイト化してブルー寮を白く染め上げていっていたな。

 

「あぁ、そうそう。鮫島校長が戻って来たのもこの辺りの時期だったな」

 

 この世界の歴史の修正力だかなんだか知らないが、2年目になるとセブンスターズ編終了前後で表舞台から退場したはずの鮫島が何故か校長職に復職していた。

 よくもまぁ、あれだけのことをしておいて半年ちょっとで復職できたものだ。この世界の法律ってどうなってんだろうね。

 

 海外からナポレオン教頭も帰って来たことでクロノス校長はまた実技最高責任者のクロノス先生へと戻っていた。

 本人は落ち込んでいたが、クロノス先生はあのポジションの方が個人的にしっくりくるので問題なし。

 

「修学旅行は普通に楽しかったな」

 

 十代たちが斎王美寿知やその部下の帝デッキ使いと戦っていた頃、俺はそれに参加するわけでもなく普通に修学旅行を満喫していた。

 修学旅行先の童実野町は殆ど地元と大して変わらないのだが、同じ班になったラーイエローの連中と一緒に色んな観光名所を回るのは素直に楽しかったな。

 

 そして原作アニメ通り、鮫島校長の主導により世界中の強者を招いたジェネックス大会が開催されることになったわけだ。

 

 ジェネックス大会の参加者は原作アニメのプロデュエリスト達に加え、本校以外のアカデミア生を加わったり、城之内や孔雀舞などの前作登場キャラも多く参加してりもしていた。

 更に舞網市の遊勝塾やLDS、ハートランドシティのデュエルスクールの学生たちと言う、デュエルアカデミア以外の若者たちも多く参加していたっけ。

 

「十代とインゼクター羽蛾が戦ったり、ユートとクロノス先生が戦ったりと原作にはなかった好カードの対戦が組まれることになって見応えあったなぁ」

 

 俺はと言うと、セレナと一緒にタイラー姉妹とタッグデュエルしたり、城之内にリベンジを成功させたりしたりして奮闘していたのだが、最終日に赤馬零次に負けてしまった。

 あの時ばかりは素直に負けを認められるくらいには当時の赤馬零次は本当に強かった。次にやる時があれば負けるつもりは無いけどさ。

 

 ジェネックス大会は原作通りに万丈目が優勝、レイちゃんが準優勝となっていた。原作と違うのは、レイちゃんはゲリラ参加ではなく正式に招待されて参加していたことくらいか。

 その間に十代たちは破滅の光に飲まれた斎王と対峙していたらしい。斎王に操られたエドをコナミが倒し、十代が斎王を倒すことで見事に勝利を収めたそうだ。

 

 斎王は十代に負ける前にエドを倒していたらしいが、【アルカナフォース】デッキでデスフェニを駆使する【D-HERO】デッキを良く倒せたものだ。俺には無理だな。

 

「レーザー衛星『ソーラ』の光が目視出来てしまった時には、やっぱり鍵を奪っておけばよかったと後悔したっけ」

 

 原作どおりにティラノ剣山がネオスと共に宇宙空間でレーザー衛星を破壊していたが、俺と一緒にその一部始終を見ていたセレナは口をポカンと空けて言葉を失っていたな。

 俺も原作知識が無ければ同じようなことになっていただろう。

 

「3年目は完全に裏方だったな、俺」

 

 原作通りに鮫島校長に呼ばれたコブラがやって来てデスデュエルを始め、多くの人達がデュエルエナジーを奪われて倒れて言ったっけ。

 

 十代たちがコブラの元に乗り込んで行った際には、俺はツァンたちと一緒に保険医の鮎川先生に協力して倒れた学生たちを本土の病院へと移送していた。

 復活したユベルの力でアカデミア本校舎周辺が異世界転移してしまう前に、あの過酷な異世界生活に巻き込まれる人間を減らしておこうと考えたわけだ。

 

 一応その目論見は成功したらしく、砂漠の異世界での食糧問題などはかなり緩和されたようだ。俺が事前に他の寮から食料を持ち込んでいたのも大きかっただろう。

 飢えで正常な判断が取れなくなる学生はかなり減ったので、デュエルゾンビとなる生徒も少数だったため、原作通りヨハンと亮さんのお陰で元の世界に戻ってくることが出来た。

 

 俺が異世界転移前にレイちゃんを避難させてしまったせいで砂漠の異世界で起こる十代とのイベントが発生しなくなり、彼とのフラグがポッキリ折れてしまったようだが、この世界のレイちゃんは亮さん一筋なので問題は無いだろう。

 余談だが、コブラと佐藤先生はちゃんと生存している。どちらも落下時にコナミが助けたらしい。流石コナ。

 

「異世界と言えば…やっぱり俺も異世界にヨハンを探しに行くのを付いて行くべきだったかな」

 

 元々俺は十代とユベルの問題に口を挟むつもりは無かったから結果論と言えなくもないけど、俺が付いて行かなかった十代たち一行のヨハン探索異世界ツアーは原作を遥かに超えて大変だったようだ。

 

 まず、コブラの暗躍でカード化されたユベルがデュエルエナジーで復活したユベルに吸収されたおかげで、原作よりもユベルが強大な力を有していた。

 そのせいで十代と暗黒界の戦いに深く介入できるようになったようで、原作では助かっていた翔まで生贄に捧げられて完全体となった【超融合】の力によって【暗黒界の混沌王 カラレス】が復活したらしい。

 最終的に十代とコナミによって倒されたらしいが、多くの精霊たちが犠牲になってしまったようだ。

 

 俺としても【超融合】関連で起こる悲劇を何とかしたいと思って色々と精霊界で試していたが、結局彼らが犠牲になることを防ぐ手段は見つからなかった。

 我ながら原作知識&チート持ち転生者のくせに情けないね。

 

 その後のことも結局、ほぼ原作通りに進んで行ったそうだ。

 

 十代は翔たちのことが原因で闇堕ちして覇王となったが、ジムやオブライエンと行動を共にしたコナミたちの活躍によって救われた。

 不幸中の幸いと言えば、原作と違って覇王十代が完成版の【超融合】を手に入れていたことで、本来は【超融合】を完成させるために命を落とすものが助かったことだろう。

 

 他にもアモンがエクゾディアを復活させようとしてエドにボコられたり、普通のプロデュエル生活を行っていたおかげで健康的だった亮さんがヘルヨハンに挑まなかったりと原作アニメと差異はあったようだ。

 最後には十代とユベルがデュエルして、原作通りに俺とお前で超融合!したようだ。

 

「いや、俺も異世界編では役に立たなかったけどこちらでは俺なりに頑張っていたよな」

 

 十代たちが異世界で苦労している間、こちらの世界でも事件は起こっていた。

 原作には存在しない、ネオ・グールズによるモーメント占領事件だ。

 

 海馬コーポレーションから協力依頼を受けた俺はハノイの騎士の衣装を来て他の協力者たちと共に現場に急行した。

 城之内や羽蛾たちがネオ・グールズの構成員たちを足止めしてくれている中、俺は舞網市のランサーズや童実野町に最近創設されたセキュリティと共にモーメント内部で囚われていた不動博士とその妻子を救出した。

 

 その後、彼らの脱出をサポートしながらネオ・グールズの総帥となっていたディヴァインと戦闘になり、これを撃破。

 そしてそのディヴァインを蔭から操っていたダークシグナーのルドガー・ゴドウィンも撃破した。ついでにその隣に控えていた影の薄いハゲも撃破した。

 

 召喚される際に周囲の人間の魂を生贄に捧げられてしまう地縛神を召喚させないようにデュエルしたためか、デュエルに勝利してもルドガーたちは消滅せず、彼らはいずこかへと消え去ってしまった。

 それ以来彼らのことは発見できていないので、彼らのことは原作通り未来の不動遊星に任せることにした。

 

 その後、ゴドウィンによって暴走させられていたモーメントは原作通り爆発してしまったが、海馬コーポレーションや生存していた不動博士の協力もあり、町は半壊してしまったものの人的被害は奇跡的に0となった。

 

 驚いたのは、この事件にはイリアステルが一切介入して来なかったことだ。

 彼らはこの初代モーメントの暴走が歴史の大きなターニングポイントだと知らないはずはない。

 

 もしかすると、このあまりにも混沌として原作とは大きく異なっている世界に対して何らかの希望を見出したのかもしれないが、それは俺の知るところではないので割愛だ。

 

「ここまで色んな人たちが原作より遥かに強くなっていたってのに、やっぱりダークネスは反則だったよなぁ」

 

 ネオ・グールズの事件が収束して十代たちが異世界から戻った少し後、原作と同じようにダークネスの侵攻が始まった。

 

 ダークネスの手下であるミスターTは最初はそこまで強くなかったのだが、やられるたびに相手のデッキを把握してそれを全個体に共有していくことで自身の強化と相手の弱点の分析を行うと言う、数に任せた人海戦術を用いて瞬く間に世界を侵食していったのだ。

 初めは相手を圧倒していたデュエリスト達も連戦による疲労やデッキの弱点を突かれるなどにより、一人また一人と敗北していくこととなった。

 

 俺の確認できた範囲だと、最後に残っていたのは俺を除くと十代、ヨハン、コナミ、吹雪さん、藤原先輩の5人だけだった。

 最後は十代を除くメンバーで大量のミスターTを引き付ける囮となり、その隙に十代がユベルと協力して敵の親玉であるダークネスの位置を特定して撃破した。

 

「原作知識&チート持ち転生者なのに、それっぽいことあまりできなかったな」

 

 事件を解決する手助けや被害を抑えることは出来ているものの、事件を未然に防ぐことは一度も出来ていない。ただ原作を引っ掻き回しただけのような気もする。

 

「もし、この世界に転生したのが俺じゃなくてもっと他の優秀な奴なら…いや、止めよう」

 

 ただ、元々は原作に極力関わらずに女神の要求通りひっそりアカデミア卒業だけしてしまおうと考えていたわけだが、それでも助けられる人はある程度助けられたと思う。

 

 俺の存在は、無駄ではなかったはずだ。そう信じたい。

 

 過ぎてしまったことはしょうがない。ifの世界を創造しても何も変わらない。

 延々と後悔するくらいなら、反省して次に活かせるようにすればいいのだ。

 

「気持ちを切り替えよう!転生者として与えられた俺の役割は終わった!」

 

 万丈目はプロデュエリストになった。

 原作通りエドとの繋がりが出来たようで、最も注目を集める新人プロとなっている。

 

 明日香はアカデミアからの推薦で海外留学を選んだ。

 だが、彼女は原作よりも十代との絡みが少なかった為か、特に教師を目指していたりはしないらしい。

 詳しく聞こうとしても教えてくれなかった。一応いずれ教えてくれるらしいので、それまではのんびり待っていようと思う。

 

 翔も兄の亮さんの背中を追ってプロデュエリストとなった。

 丸藤兄弟の作るプロリーグが見られないのは残念だが、プロを経験してから作る可能性もあるかも知れない。

 

 亮さんは原作と違って健康的でプロとしての戦歴も好調である。

 エドと共に世界ランク1位の座に座る響紅葉の打倒に燃えているらしい。

 

 吹雪さんは藤原先輩と一緒に研究生としてアカデミアに残るらしい。

 明日香にエンタメデュエリストとしてコンビでプロになろうと持ち掛けたそうだが振られてしまったそうだ。次のターゲットは藤原先輩らしい。合掌。

 

 三沢はタニアと共に異世界に残ったらしい。

 だが、十代と別れる前にこちらの世界と行き来できる手段を見つけると言っていたそうだ。彼ならその難題を乗り越えられてまたひょっこりと再会することもあるだろう。

 

 雪乃はタッグフォースの原作通り女優となった。

 この世界だと5D'sのミスティ・ローラの先輩になりそうだな。後日出演している映画のチケットをくれるそうなので、楽しみにしている。

 

 ツァンは紬や他の友人たちと一緒に国立の大学へと進学した。

 彼女の実力だとプロとしてもやっていけるだろうが、目立つことは好きではないらしく、何より友人との時間を大切にしたいそうだ。入学時のコミュ症が嘘のようだ。

 

 レインは…よく分からない。

 卒業パーティには参加していたが、パーティ終了後に彼女のことを覚えている人物は1人も居なかった。卒業アルバムの名前も消えていた。

 イリアステル的には不動遊星の活躍する時代が一番気になるだろうから、次に会うことがあるとすれば俺がオッサンになった頃だろな。

 

 

 十代はこれからもユベルと共に、ハネクリボーやネオスペーシアンを連れて破滅の光と戦い続けるのだろう。

 アニメとは違ってコナミと言う同行者が居るから寂しくは無いだろう。

 彼らが破滅の光と戦ってくれるお陰で俺達は生きていられるわけだ、

 

 そしてコナミ。明るく元気で誰とでも仲良くなれる俺と正反対の男。

 思えばアイツの幼馴染となったことで俺の人生は本来のものと大きく変わったのと思う。

 毎日のようにデュエルしたり、色んなところを共に歩いたり、くだらないことを話し合ったりした。

 本人には決して言わなかったが、彼と知り合えてからのこの人生は本当に楽しかった。

 

 

「良し!俺もこれからの人生、頑張ろう!まずはナンパして彼女を作らないとな!」

 

 同じ世界に生きていればまた道を違えた彼らと再会することもあるかも知れない。

 そんな時、俺は胸を張って彼らに何気ない言葉でこう問いかけられるような人間でいたい。

 

 よう!久し振り!元気にしてた?

 俺?俺は元気さ。そして今、幸せだよ。

 

 ってさ。




戦車様、誤記報告ありがとうございました。修正しました。


突然の終了宣言にてご迷惑をおかけしてしまいましたので、駆け足にはなりますが最終話を投稿すべきだろうと思い、今話を投稿いたしました。

本作は筆者が初めて執筆・投稿した二次創作Web小説となります。このような打ち切りエンドではなくもう少ししっかり描いてみたかったのですが、力及ばず申し訳ございませんでした。

本来ならGW明けの5月8日前後に全て削除しようと考えていたのですが、頂いたご意見の中に『チラ裏に移動させるだけでいいのでは?』と言う物がございましたので、そちらも検討中です。詳細が決まり次第、活動報告コメントに書こうかと思っています。

では、最後に改めまして、本日まで本作をご愛読いただきましてありがとうございました。もし機会がございましたら次の作品でお会いしましょう。

読者の皆様のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。