紅美鈴がリリなのの世界に迷い込んだようです(仮) (照明弾P@ハーメルン)
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第一話
がんばって投稿を続けていきますので、よろしくお願いします。
――――目を覚ますと其処は、見知らぬ土地でした。
勢いで体を起こして辺りを見る。私が倒れていた所はどうやら林並木で、木々の間からは見た事のない建築物が沢山並んでいて、空は夕焼け空から夜の帳が下りてきていた。
そんな景色が、私に告げていた。此処は、幻想郷ではない何処かという事を。
「い、一体此処は何処なんですかーーーーっ!!!」
私の心からの叫びは、虚しく空に消えていくのでした。
―――――――――――――――――
心からの叫びから少し落ち着き、私はとりあえず現状の確認をとる事にしました。
まずは、自分の事。私の名前は
次に、何故こんな目にあっているのか。とりあえず、今日の出来事を思い出す。まずは早朝から門番の仕事があって、いつもの様に門前で門番に勤しんでいたのは覚えている。それで、昼頃にあの白黒の魔法使いこと、霧雨魔理沙が今日も不法侵入しようと紅魔館に来たのも覚えている。当然門番として不法侵入を目論む魔理沙に弾幕ごっこを挑んで…。そこで、私はどうしてこんな目にあったのかをはっきりと思い出す。
そう、今日の弾幕ごっこで、魔理沙が新たに改良を加えたスペルカード、『ブレイジングスター(改)』による突撃攻撃を受け、私は吹っ飛ばされたのだ。意識をもっていかれるほどの一撃を受けた私は、碌に受身も取れずに吹っ飛んで、そこで運悪く八雲藍が修繕していた綻びた結界に頭から突っ込んでしまい、気がつけば見知らぬ土地に居た。
「うーん…どうしよう。」
とりあえず、私は今後の方針を考えてみる事に頭を切り替える。当面の目標は、幻想郷に帰る手段を見つける事。そして、その方法は――――。そんな風に考え事に意識が没頭しそうになった時でした。
「ッ!」
此処から遠くない距離で、突然溢れるように現れた魔力を感じとる。おそらく、其処に行けば何らかの情報は得られると思う。
「とにかく…行ってみよう!」
私はそう呟いて、魔力の感じた方向に向けて、林並木を駆け抜けていきました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
皆さんこんばんは!私、高町なのはは、ごくごくふつうの小学三年生。でも、私は今大変な事に巻き込まれてちゃってるの!
はじまりは昨日、夢で変な声が聞こえてきて、放課後の後にある塾に行く途中の林並木で、その声が聞こえてきたの。私はその声を辿って、林に入っていくと、
そこにはフェレット?さんが怪我をして倒れてたの…。
急いで動物病院に連れて行ってあげたからか、フェレットさんは大丈夫だったのだけど、獣医さんが引き取り先を探したほうが良いって言われたの。
私は家に帰って夕食の時にお父さんとお母さんにフェレットさんを引き取ってもいいか聞いてみたら、OKを貰えて、嬉しくて寝る前に一緒にフェレットさんの引き取り先を一緒に相談したアリサちゃんとすずかちゃんにメールを送った直後に、またあの声が聞こえてきたの。
『―――ますか。僕の声が聞こえますか?』
助けをもとめているその声を聞いた私は、声の元だと思うフェレットさんを助けに家を飛び出した。
少しして、動物病院に着いた途端、頭に響く変な音がしたと思ったら、フェレットさんが変な怪物さんに襲われてて、私にこんな事を言ってきたの。
「…来て、くれたの?」
私はもう、大混乱。フェレットさんはなぜかお話できるし、怪物さんはフェレットさんごと私を追いかけてきてるし、逃げながらフェレットさんのお話を聞くと、フェレットさんは実はこの世界とは別の世界から来ていて、探し物をしているけど、どうやら一人じゃ難しいらしくて…それで、どうやらある資質を持つ人に手伝って欲しいとか。そして私にはどうやらその資質があるとか。
「心を澄まして。僕のいう通りに繰り返して。」
そういって、フェレットさんは私を見つめる。
「いい?いくよ!!」
「う、うん!」
私は勢いのまま頷いてフェレットさんの言葉を復唱する。
――――我、使命を受けし者なり。契約の元、その力を解き放て。 ――――
ドクン、とナニカが脈打つ音が響く。
――――風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に。 ――――
こんな言葉、いままで一度も言った事もないのに。なぜだか、その時の私は次にいうべき言葉が頭の中にあったの。
「「この手に魔法を!レイジングハート、セットアップ!!」」
私とフェレットさんが高々と言ったその時、レイジングハートから声が聞こえてきて ――――
《Stand by ready Set up》
その声と同時に、私を中心に風が吹き荒れたの。
「…ふ、ふぇ!?」
「なんて魔力だ……!!落ち着いてイメージして!君の魔力を制御する魔法の杖のイメージを!そして、君の身を守る衣服のイメージを!!」
「そんな急に言われても………えと、えっと…と、とりあえずコレで!」
その場で思い浮かんだのを強く願い、気がつくと私は、白い服に杖を持った姿になっていたの。
「よかった。成功だ。」
そういったフェレットさんは少しほっとした様子だ。
「そ、それよりも。これからどうすればいいの?」
「君が魔法を使うのは今回が初めてだ。僕とレイジングハートがサポートするから。」
《よろしくお願いします。》
と、言ってくれてとっても助かったの。
―――――――――――――――――
《sealing mode.》
色々あって、怪物さんが弱ったようで、フェレットさんが封印をするように言われて、レイジングハートも封印の為の形に変化した。
私はフェレットさんに言われるままに、封印の為の呪文を呟いていた時だった。怪物さんは、どうやら身の危険を感じたのか、急に距離を取ったの。
「まずい!結界の外に逃げるつもりだ!急いで追わないと!」
怪物さんの動きに気づいたフェレットさんが慌てて言ってるけど、距離を開けられ過ぎて、追いつけそうに無い。
しまったと思った私は、それでも怪物さんを追いかけていると、フェレットさんが突然、悲鳴みたいに声をあけたの。
「そんな!結界にまた反応…場所は…ッ!まずい!怪物が逃げたほうだ!」
その言葉に、私もぎょっとしてしまう。怪物さんが逃げる先に目を向けると、フェレットさんがいったように人が驚いた表情で立っていた。
「駄目ッ!逃げてぇっ!!」
私は怪物さんが人に襲い掛かるところを見て、思わず叫びながら目を瞑った。でも、目を瞑った後に聞こえたのは襲われた人の悲鳴ではなくて、怪物さんの悲鳴だったの。
私はその悲鳴を聞いて慌てて、怪物さんのほうに目を向けたの。
「ほっと!」
『GYAAAAAッ!!』
「せいッ!」
そこには、凄く簡単そうに怪物さんを電柱ぐらいの高さまで蹴り上げて、同じく電柱ほどの高さまで飛んで、宙で踵落としを怪物さんにお見舞いするチャイナ服を来たお姉さんが。
「ああっ!?だ、大丈夫!?怪我とかしてませんかっ?」
怪物さんが私の目の前に叩きつけられてから少しして、お姉さんも地面に着地して此方を心配して近付いてきたの。
※7/20…にじファンから小説の削除。後、ハーメルンに移転。編集完了。
※7/23…余分な改行の削除。及び、誤字修正。
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第二話
謎の毛玉の怪物が襲ってきたのを返り討ちにし、目の前でヘンテコな杖を持った少女が使い魔?のフェレットと一緒に怪物を封印して、お互いに漸くお話が出来そうになったときだった。
何処からか、謎の音が聞こえてくる。私は何の音か不思議に思っていると、向かい合っていた少女が慌てながら私の手を取って言った。
「と、とりあえず…一緒に来てください!」
「あ、はい。」
フェレットを抱えた少女が一生懸命この場から離れようとするのを、私は不思議に思いながら着いていくのでした。
―――――――――――――
「美鈴さん。さっきはジュエルシードの封印に協力してくれて、ありがとうございました。」
「美鈴さん、すっごくかっこ良かったの!」
「いやぁ…。なのはちゃんにユーノ君も凄かったよ。」
現在、私こと
あの場から逃げた私となのはちゃんは、とある公園でお互いに自己紹介をした。勿論、私の事に関しては誤魔化した。まだこの世界の情報も集まってもいないのに、自分の情報だけ開示するのは私にメリットがない。それに、なのはちゃんには悪いが、まだ幼い彼女からは有力な情報など得られないだろう。とりあえずは、話のできそうな相手に会うことが必要だった。
そこで私は、自分は観光でこの地に来た者で、この辺りに疎く、気がついたらお金を掏られしまい困っているので、なのはちゃんの両親にお話をさせてもらえないか頼んでみた。
勿論、なのはちゃんは快く返事を返してくれ、現在に至るのだ。
ちなみに、高町家までの道のりの間に、私は『なのはちゃんがフェレットを抱えて夜道を一人で歩いているところを、保護した人』というように打ち合わせを行い、お互いにあの毛玉の事はなのはちゃんの両親には秘密にする事などを話し、軽く談笑をしてなのはちゃんの家に着くと、そこには十代後半の男女が玄関前にいた。
「なのは!こんな遅くに何処いって…あの、失礼ですが貴女は。」
玄関前に居た男の人がこっちに近付いてくる。どうやらなのはちゃんの家族らしい。
遅く帰ってきたなのはを心配しながら、見知らぬ私に警戒をしているようだ。
「私は、紅美鈴といいます。実は彼女が一人で夜道を歩いていたので、なにかあったら家族の方が心配するかと思い、こうして家まで着いていってあげた次第です。」
「そうでしたか。俺は高町恭也と言います。妹のなのはがお世話になりました。」
「いえいえ。おきになさらずに。」
そういって、なのはのお兄さんの高町恭也さんが私にお礼を言う。私はそんな彼に応えたとき、実に微かだが、とあるにおいに気がついた。
私が恭也さんからあるにおいに気がついた時、なのはちゃんはというと、どうやら彼女の姉らしき人に軽くしかられた後、腕に抱えていたフェレットのユーノ君の件でお姉さんが盛り上がり、家の中に連れて行くのを追いかけて家の中にはいってしまったようだ。つまり、この場には、私と恭也さんの二人だけなのだった。
「こら!なのはに美由紀…全く、すみません美鈴さん。」
「構いませんよ。それより恭也さん、一つ聞きたい事があるんですがいいですか?」
「聞きたい事ですか?応えられる限りなら。」
そう応える恭也さんに私はでは、と彼の耳元に顔を近づけて、囁き声で質問を投げかけました。
「…貴方から、あるにおいがしたんです。それも、吸血鬼の。」
「ッ!?」
私の言葉に、恭也さんの全身が強張ります。きっと驚愕しているでしょう。その結果から、この地に吸血鬼が居るのはほぼ間違いないとわかります。私はそのまま質問を続けました。
「…においからして貴方は吸血鬼ではないですから…この地に吸血鬼がいるんですよね?」
「っ……それは。」
私の言葉に、恭也さんの言葉はどんどん歯切れが悪くなります。きっと、思い浮かばないながらも、この場をどうにかしようと必死になにか考えているんでしょう。でも、私としては変に考えて時間を掛けられるのは嫌なので、彼にこう言いました。
「信じなくてもいいですけど…私の主人も、吸血鬼なんです。だから、ご挨拶くらいはしたいんですが…。」
「!……わかった。少し待っていてくれ。準備してくる。」
「ええ。かまいませんよ。」
どうやら、私の一言が有効に働いたようです。恭也さんは私をこの地の吸血鬼の所へ案内してくれるそうです。…まぁ、彼としてはそう簡単に会わせてはくれないようですが。
この恭也さんですが、どうやら何かやっているようです。しかもそれなりに強いようです。私に準備してくるといって背を向けた時に殺気ほどではないにしろ、敵意を放ってきてましたから。きっと一悶着おこす為の準備でもあるようです。
……まぁ、あの程度なら余裕ですけど。
―――――――――――――
玄関に戻った俺、高町恭也は、急いで父の士郎の元へ足を運んだ。
「父さん。」
静かに、しかし素早くリビングに向かい、なのはにお願いをされている父、士郎の元に駆け寄る。
「ん。どうした恭也。そんな血相をして。」
父の言葉に、俺ははっと自分の頬に手をあてる。どうやら、自分でも気づかない内に随分と表情が強張っていたようだ。他のみんなも俺の表情を見て不安げな表情をみせる。
俺は軽く頬を揉んでほぐし、勤めて普段の表情で父へ言った。
「ああ。実はなのはを送ってきてくれた人が、父さんに聞きたい事があるって。」
「そうか。それじゃ待たせてはいけないな。なのは、ペットの件はまた後でな。」
父はそういってリビングを出て俺についてきてくれた。なのはも今はフェレットを抱え暴走する美由紀を止める為に此方にはこないようだ。俺はリビングにいる皆には決して聞こえないように、小さな声で父に伝える事をいう。
「父さん、なのはを送ってくれた人は、忍達の秘密を知ってるみたいなんだ。」
「…なんだって?」
声を荒げはしなかったが、話を聞いた父も驚きを隠せなかった。当然だ。いくら忍達が吸血鬼の部類に入るとしても、その血はとても薄まっていて、殆ど普通の人間とかわりない。なのに、あの女性は微かなにおいだけで忍達のことに気づき、こうして尋ねてきている。
「…兎に角、まずは話をきこう。…恭也は一応、玄関にある小太刀は持っておきなさい。」
「ああ。わかったよ父さん。」
父の言葉に従い、俺は玄関の傘立てに隠してある小太刀を手にとって玄関前で外履きに履き替える。俺と父はお互いに頷き、父が玄関に手をかけた瞬間だった。
「「ッ!」」
玄関を開けた瞬間、俺と父が外で待つ彼女の手刀によって心臓を抉られて倒れる未来を見た。否、
つまりそれは彼女からの警告だった。「つまらない真似をするなら…。」と、彼女が俺と父に絞って放った殺気が、もし行動を起こしたときの結末を語っていた。
それは、俺と父の二人を合わせても、彼女との力の差が圧倒的にあることを表していた。
「……恭也。やはり小太刀は置いていこう。」
「あ、ああ。」
父の言葉に俺は我に帰った。気がつけば、彼女の殺気に当てられ、棒立ちになっていたようだ。父は冷や汗をかいてはいたが、呆然とはしなかったようだ。俺は父に言われるまま、小太刀を傘立てに戻し、父が玄関を開け、一緒に家の外へ出た。
「理解して貰えたようで、よかったです。」
「…ええ。十分理解しました。」
お互いに顔を合わせ、彼女は笑顔で言い、父は酷く疲れた様子で応えた。
「恭也が貴女の望む場所までお連れします。それでいいですか?」
「はい。よろしくお願いしますね。恭也さん。」
「ああ。わかった。」
そういって、俺と父は、彼女になにも反抗する事も出来ず、要求に応じる事しかできなかった。
―――――――――――――
あの後、私はなのはちゃんとお別れし、今は彼女の兄の恭也さんに、この地の吸血鬼の下へ案内して貰っています。いやぁ、玄関前で殺気だってたから面倒に成るかと思いましたが、SE・TTO・KU出来て良かった。せっかくこの地で初めての知り合いの家族をやってしまうなんて嫌ですしね!
「着いたぞ。此処だ。」
「へぇ~…。」
そんな訳で、吸血鬼の住まう邸に到着。規模は紅魔館よりは随分小さいが、この地で建てられてる家と比べると、かなりの規模の邸のようだ。私達が来るのを事前に知っていたのか、門前に到着と同時に、門がひとりでに開く。恭也さんは無言で門を潜るので、私もそれに習う。
恭也さんが邸のドアを開け、邸に入り込む。その動きにぎこちなさはない所から、この地の吸血鬼と恭也さんは知己なのかもしれない。そんな事を思いながら邸に入ると、メイドを左右に侍らせた女性がいた。そして、私の鼻が彼女から主人と同じにおいを感じる。
「夜遅くに悪いな、忍。例の彼女を連れてきた。」
「構わないわよ、恭也。ありがとう。」
恭也さんに忍と呼ばれた彼女と目が合い、お互いに軽く会釈をしてから話に入った。
「初めまして。私は月村家当主の月村忍と言います。この二人は私に仕えるメイドのノエルにファイン。」
忍さんの紹介を受けたメイドさんが会釈をするので此方も返す。忍さんはそんな私に微笑みかけながら続ける。
「貴女が恭也に言った通り、私はこの地を監理する吸血鬼です。…それで、貴女は一体何者なのですか?」
「丁寧な紹介ありがとうございます。私の名は紅美鈴。ヴラド・ツェペシュの末裔たるスカーレット家当主、吸血鬼、レミリア・スカーレット様にお仕えする従者に御座います。」
私は深く頭を下げながら、自己紹介をする。勿論、相手に失礼の無いように。幾ら異世界であっても、私はお嬢様に仕えている身、失礼があってはお嬢様に申し訳が立たない。
「お顔を上げてください美鈴さん。スカーレット家……申し訳ありません。私は最近になって当主を継いだ若輩者。あまり他の夜の一族について知らない事が多いのです。」
「いえ、おきになさらず。この世界では決してしる事の出来ぬ名ですから。」
忍さんの謝罪の言葉に従い、顔を上げた後に、応える。私の返答に不思議を思ったのか、忍さんは首を傾げながら尋ねる。
「…決して知る事の出来ないというのはどういうことなのでしょうか?」
「はい。これから話すことは恐らく荒唐無稽な話だと思われるでしょうが、信じて下さると助かります。」
そういって、私は忍さんとついでだが恭也さんにこれまでの経緯を話した。本来は自分が幻想郷という地で生活していた事。とある不幸でこの地に来てしまい元の世界に帰る方法を探している事。
話を聞いた二人は難しい表情をしていたが、
「なる程…美鈴さんのお話、私は信じますわ。」
「忍!…彼女がいうなら、俺も信じよう。」
どうやら恭也さんはあれだが、忍さんには信じてもらえたようだ。
「それで美鈴さん。貴女は他に、私に何かお願いしたいのはないですか?まさか自己紹介の為だけに来た訳ではないのでしょう?」
「忍さんが聡明で助かります。…実はこの地に暫く留まって、元の世界に帰る方法を調べたいので、滞在する場所を融通して欲しいのです。」
「なる程。美鈴さんは従者でしたね?ではこの邸で私の妹の面倒を見て貰えませんか?部屋は用意しますので。」
「お世話になります忍さん、いえ忍お嬢様。」
と、忍さんとの交渉を経て、私はこの地に滞在拠点を得る事が出来たのでした。
※7/23…余分な改行の削除。及び誤字修正。
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外伝1
幻想郷、博麗神社。
そこには、この地を守護する巫女がいる。幻想郷においての全ての異変においてのカウンターたる存在。それが博麗の巫女だ。今代の博麗の巫女はなかでも歴代の巫女の中で最も才に溢れる存在とこの地に住まう妖怪達は理解していた。
故に、妖怪達は問題を起こす事を嫌う。もし、博麗の巫女に目をつけられてでもしたら、その先に待つ自身の運命はこの世界からの消滅に他ならないからだ。
幻想郷にいる妖怪ならそれはだれでも暗黙の了解として知っている事なのだ。
だからこそ、この幻想郷の地にいる妖怪たちは先ほど、
――――――――――
今代の博麗の巫女たる私、
「……あら、こんな時間に、随分珍しいじゃない。」
「…ええ。そうね。私もそう思うわ。」
私の見る先、其処にいたのは幻想郷の有力者の一人、紅魔館に住まう吸血鬼、レミリア・スカーレットだった。彼女の後ろには、
「随分見ない組み合わせよね。特にパチュリーが外に出てるなんて。」
「パチェだってたまには外には出るわよ。」
「ふーん…まぁいいわ。…で?こんな大人数で、一体なんなの?」
面倒な事は勘弁してほしい、どんな理由でこんな時間に此処に訪れたのか、私はレミリアに尋ねる。それにレミリアは首を動かす事で応じた。直後、私の目の前に、ある人物が現れる。銀髪にメイド服を着た少女、十六夜咲夜。そんな彼女が、私の友人である、霧雨魔理沙を気絶させた状態で縄で簀巻きにして現れた。
「こいつとある件で、霊夢とスキマ妖怪に話がしたくてね。」
「悪いけど、私は紫とは連絡できないわよ。アイツはいつも突然来る奴なんだから。」
「大丈夫よ。
「………いいわ。あがりなさい。」
簀巻きの魔理沙と、剣呑な雰囲気を放つレミリア一向を一瞥した私は、彼女達を神社の一室にあがらせた。
部屋にあがったレミリア達は不気味なまでに静かだった。あのフランドールでさえ、騒がずに座っているのだ。レミリアに至っては、此方が出した緑茶にも手を出さず、目を瞑って紫を待っているようだった。
そんな彼女達に、何か嫌な予感を感じ始めた時だ。私が座っていた場所の横の空間が裂けた。
「はぁい。霊夢…それにレミリア達も。」
「紫…!あんた、又なんかやらかしたんじゃないでしょうね?」
裂けた空間から、スキマ妖怪こと、八雲(やくも)紫(ゆかり)と、彼女に仕える式神達が現れる。こんな風に神出鬼没な彼女は、私に色々と面倒ごとを持ってくる存在で、今回のレミリアたちの件も、恐らく紫の仕業だろう。私は、座り込む紫達に袖から取り出した札を向けながら、紫に尋ねる。すると、今まで黙っていたレミリアが口を開いた。
「いいや。今回は誰もやらかしてはいないよ。」
「…?ならアンタは一体何の用件できたのよ?」
「これから話すよ。」
そういって、レミリアはその場から立ち上がり宣言する。
「スカーレット家当主、レミリア・スカーレットが今代の巫女に宣言する。私が出す要求を呑まないのであれば、我々は幻想郷に宣戦布告をする用意がある。」
――――――――――
「…レミリア、頭でも打ったの?」
「いいや、霊夢。私は頭など打っていないよ。至って正気さ。」
私は、ふざけた冗談だと思い、心配してみたが、レミリアは至って平静に応える。つまり、さっき言った内容は本気という事だ。紫も、真剣な表情でレミリアの話を聞いていた。
「私の出す要求は唯一つ。幻想郷から消えた私の従者、紅美鈴を連れ戻す事よ。」
「……は?」
レミリアの要求の内容を聞いて、私はあっけにとられた。幻想郷に喧嘩を売る理由があの門番を連れ戻すこと?
「…なるほどね。」
私がそんな風に疑問に思っていると、紫はため息をつきながら呟く。今回の件について何かしっているのだろう。私は紫に尋ねた。
「…紫、どういうことなの?」
「…実はさっき、藍から報告があってね。結界の不安定によって生まれた歪みに、あの門番が頭から突っ込んだらしいの。そのせいで、本来の外界とは異なる外界に飛び出しちゃったのよ。しかも、彼女のところのメイド妖精が、幻想郷各地にある契約書をばら撒いてたのよ。内容は、人間との会戦が決定した際、彼女に協力するなら、人間を好きに襲っていいという契約書よ。」
全く、面倒だわ。などとぼやきながら、紫はレミリアが手をつけなかった緑茶に口をつける。
「あの娘がその結界に吹き飛ばされたのは、安全性を確保しなかった魔理沙の未完成なスペルカードによるものだったと、本人をシメて確認したわ。私はコレを、人間が私を舐め、増長した事によって起きたものと捉えている。」
紫の言葉に、レミリアも頷きながら、簀巻きになった魔理沙を指差して続ける。
「あの娘は、私にとってかけがえの無い臣下であり、愛すべき従者。その関係を
その言葉は、普段の彼女からは想像も出来ないほどに重みのある言葉だった。彼女のいう、家と血の誇りが彼女を此処まで変貌させていた。
「私が今代の巫女に要求する内容は、そのスキマ妖怪にあの娘を捜索させる事。それだけよ。」
「……もし、その要求を呑まなかったら?」
私は、一応として要求を断ったときの話を尋ねる。レミリアは面倒そうに言った。
「その時は会戦の証として、魔理沙の屍を人里に晒すと同時に宣戦布告しましょう。その後は、私の名の下に集めた妖怪達と共に、人間にを襲うだけよ。」
私はそう話すレミリアを睨むが、睨まれた当の本人は全く動じない。しばし、沈黙が流れたが、緑茶を飲み終えた紫が沈黙を破る。
「ねぇ吸血鬼。霊夢には魔理沙っていう人質が通用するけど、私にそれは通用しないわよ?」
紫は挑発的な笑みを浮かべてレミリアに言う。その笑みは横目で見ている私でさえ不愉快にさせるほどのもので、正面から見せられているレミリアからすれば、直ぐに血相を変えて怒りだすだろう。…普段ならば。だが、今回のレミリアはそんな紫の笑みを見ても怒りもせずに、寧ろ愚者を見るような哀れみの目で紫に応えた。
「アンタは、紅霧異変の時にスペルカードルールを布教させる為に私達にそのルールでの戦いをして欲しいと借りを作っただろう。それを今、この件で返せ。幻想郷で賢者を名乗るアンタが、まさか忘れる訳がないでしょう?」
「……それを此処で出すとはね。」
紫としては此処で、話を切り返されるとは思ってもみなかったのだろう。その表情は先ほどの嫌な笑みと打って変わって屈辱に耐えるような表情をしていた。
「これでわかっただろうが、お前達にこの要求を拒否する材料は一つも無い。……返答は二日まで待とう。それまでに応えなければ……その時はわかるだろう?…皆、一度、紅魔館に戻るわよ。咲夜は先に魔理沙をつれて帰りなさい。彼女からはマジックアイテムを全て没収して、約束の日までフランの部屋で監禁しておきなさい。パチェ、フラン、帰るわよ。」
そういい残すと、レミリアは席を立ち、部屋を出て行く。彼女に付き従う一団も、それに従って部屋を出て行き、この場に残ったのは重い空気に支配された私と紫たちだけだった。
※7/23…余分な改行の削除。誤字修正。
痛い者→愚者に修正。
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