とある科学の重力支配 (皐月の王)
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超能力者の少年
『学園都市』
東京都西部を切り拓いて作られたこの都市では、"超能力開発"が学校のカリキュラムに組み込まれており、二百三十万の人口の実に八割を占める学生達が日々『頭の開発』に取り組んでいる。
ーーーーーーーーーーー
「あーあちぃなぁ……」
七月中旬。梅雨明けが発表されたのは一昨日の事だろう。降り注ぐ日差しに照らされている少年は公園のベンチで背もたれに腕をかけ、顔にタオルを乗せ天を仰いでいた。口にくわえたアイスの棒を手に取り、タオルの隙間から見る
『ハズレ』
「……だよなー」
ハズレだと確認したアイスの棒を見て大きくため息をつく。タオルを取り、だるく感じる体を起こし手に取ったアイスの棒をゴミ箱に捨てた。
「だりぃなぁ、本当」
少年はとぼとぼと公園をあとにする。"重力に逆らい空を飛びながら"
少年の名前は御影 蓮弥。学園都市二百三十万の頂点に立つ超能力者の一角に居座る人物の一人だ。能力名は『
蓮弥が空を飛び、ビルの隙間に着陸し、ゲームセンターへフラフラと入っていく。室外と比べ室内は冷房が効いていて涼しい空間となっている。蓮弥は一息付き癒される
「はぁー涼しいなぁ……ゲーセンは……外とは違うなぁ……」
当たり前なことを呟きながら、ゲーセンの休憩コーナーで自販機のジュースを飲みながら時間を潰す。ただ何も考えずぼうっとして過ごす。気がつけば3時間が経過していた。
「やっべ、結構無駄に過ごしたか?まぁ、適当に買い物して帰るか」
ポケットに手を突っ込み、ゲーセンをあとにする蓮弥。
「うお……、あっいなぁ」
出迎えるは外の暑い空気。涼しいとことから出てきた時の熱気は、入る前より何割か増しに襲いかかってきた気分になる。ぶらぶらと歩きながら近くのスーパーを目指し歩く。七月上旬と言えばまだ学校があるのだが、彼はサボって街を歩いている。
今日は行く気分ではなかった。ただそれだけの理由でサボって、宛もなく彷徨って居たのだ。知り合いに会えて喋ることが出来ればなぁと、そんな適当なことを考えながら歩く。
ふと、スーパーに行くつもりだったが、クレープ屋が目に入ってきた。
「クレープか……買って食うか」
ふらっと、足を運びクレープ屋の前に立ち、食べるものを決める。
「いちごバナナ一つ」
「はいよ。兄やん一人かい?寂しいねぇ。550円だよ」
「まぁな……。野郎だって一人でクレープ食うよ。美味いもん食べんのに理由なんていらないだろ?ほら1000円」
「そりゃそうだ!美味いもんを食うのに理由なんていらねぇからな。ほらお釣り450円。あと、おまけのゲコ太ストラップ」
店主とそんなやり取りをしながら、クレープを購入したが、何故かカエルのストラップがついてきた。蓮弥はベンチに座り食べ始める。いちごの酸っぱさと、バナナの甘さ、そして甘すぎない生クリームを堪能しながら美味しくいただく。
「はぁ……美味しいなぁ……。甘くて最高だ」
自分の好きなものを堪能しながら、これからどうするかを考える。
(とりあえず、買い物に行って適当に食材を買って、適当に食うか?ファミレスで済ますのも良いが……まぁ、とりあえずこれを食ってからでも……)
ドガァアン!!!
凄まじい爆発音が周りに響く。その方向を見ると、銀行の入口が炎と煙を上げて燃えていた。警報ベルもけたたましく鳴いている。
その中から覆面をした男数人が出てきた。
「ヨッシャ!!引き上げるぞ急げ!!」
「ウス!」
男達が逃走を図るなかその前に立ちはだかる人影がある。
「『
その人影は
(あれは、常盤台の……。Lv5が二人もいる中学の所か)
「嘘ッ!?なんでこんなに早く……ん?」
強盗達も驚いてみるが、すぐに笑い出す。
「どんな奴が来たかと思えば、
「そこをどきなお嬢ちゃん……どかないと怪我しちゃうぜー!!」
大柄な男が少女に襲いかかるが、いともたやすく躱され
「そう言う三下の台詞は死亡フラグですわよ?」
体術だけで簡単にノックアウトされてしまった。
(ふーん、あのやるなぁ。能力に頼らずあっさりと)
蓮弥は残りのクレープを口の中に入れ、ぶらぶらと歩き始める。銀行強盗の行く末を見ながら。今度は
(あの発火能力者……強能力か……磨いたらまだましな結果になっただろうな。まぁ、俺には関係ないか)
「アァ何だてめぇ離せよ!!」
男の荒らげる声。蓮弥はその方を見ると、少女が連れていかれそうになる男の子を必死に掴んで離していなかった。
「ダメぇぇ!!」
「ええい!!クソッ!!」
男は連れて行くのを諦め少女の顔面を蹴る。
「………」
蓮弥は立ち去ろうとしていたが、踵を返そうと体を向けたタイミングで
「黒子!!こっからは私の個人的なケンカだから、悪いけど手出させてもらうわよ」
電気をバチバチと迸らせながら怒る少女が居た。常盤台中学の制服に、茶髪で長さは肩まで届く位の短めの少女だ。蓮弥はその人物を知っている。
(
肩をすくめて再び歩き始める。どうせ、
(とりあえず、反対の歩道に渡るか)
そう考えた蓮弥は車が通ってない道を渡り始める。
ドゴンッ!!!
轟音は再び響き渡る。道は抉れ車は天高く舞う。
「っ!危ない!!」
少女の声が響く。車は空中でクルクルと回りながら、蓮弥に迫ってくる。
「……はぁ。退屈はしねェな……ここは」
迫ってくる車は蓮弥の寸前で止まる。いや、蓮弥が止めた。車は赤い光のようなものが覆い、ピタッと空中で静止している。蓮弥は大きくため息をついた。
そのまま、現場まで足を運び、車をその辺に叩きつける。道路ごと車がめり込みタイヤまで埋まる。
「ッ!あんた!」
「ひっさしぶりだな。相変わらずメダルを飛ばしてる見たいだな。第三位」
「第四位……御影蓮弥」
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超電磁砲と重力支配と幻想殺し
「ひっさしぶりだな、
「そう言うあんたも、相変わらずぶらぶらしてるわけ?学校をサボっていい身分ね?」
顔を突きつけ合わせ険悪な雰囲気を醸し出している二名。
視線がバチバチと火花を散らしているくらいだ。
「お姉様の知り合いですの?」
ツインテールの風紀委員、白井黒子が話しかけてくる。
「俺は御影蓮弥。こいつとはゲーセンや不良をボコる時に度々顔を合わせてたんだよ。要するに腐れ縁だ」
「私が行く場所に現れるのよ。本当に腐れ縁よ。まぁ、最近は見なかったけど」
佐天と初春はただ圧倒されている。今日は
「私、白井黒子と言いますの。お姉様のおじゃま虫は払うのが生業……」
「勝手に生業にすんな!」
御坂の拳骨が白井の頭に命中する。頭から煙を出しながら悶絶する。
「で、そっちの二人は?」
「私の友人の初春さんと佐天さんよ」
「初春飾利です」
「えーと、佐天涙子です」
「そうか、
そう言うと蓮弥は手を出し、握手を求める。二人はオズオズと握手をする。蓮弥はニカッと笑う。それに釣られて二人も自然と笑顔になる。
「超能力者の人って怖い人がなってるものだと思いましたが、御坂さんや御影さんと話してるとそうじゃないんだなと思えました」
「そうだよね初春!御坂さんのレールガンかっこよかったし!飛んできた車を難無く止めた御影もかっこよかったですよ!」
「ありがとな。俺は銀行強盗の時は何もしてねぇし、車も自分のところに来たからなんとかした程度だけどな。おっと……こんな時間か……俺はスーパーに行くわ。今日は卵の安売りだからな!じゃあな!」
そう言うと蓮弥は重力を纏い、飛び上がりどこかに行く。
「はえー。すごい人でしたね佐天さん」
「そうだねー」
「お姉様の方が凄いですの、常磐のエースは伊達では無いですの!」
「ありがとう黒子。さて、遅くなるし私達も解散しよっかまた今度ね!」
そうして彼女たちも解散する。その頃御影蓮弥は
「くっそ!!卵!届いてくれ!」
安売りの卵に手を伸ばしていた。そしてその手は重なった。渡してたまるかと蓮弥はその手の主を睨むが
「カミジョー!」
「御影!」
ツンツン頭の少年、上条当麻がそこに居た。
会計を済まして喋りながら帰る。
「サンキューな御影!卵譲って貰って!本当にありがたいぜ」
「まぁ、俺は通常価格で買ったし良いぜ。安売りを買えたらそれに越したことは無いなとは思えたけど。出遅れたもんはシャーない」
蓮弥の手には袋が握られている。中には卵、鶏肉、玉ねぎ、ケチャップ、ピーマンなどが入っている。オムライスの具材が揃っている。
「御影は今日はオムライスでも作るのか?」
「あ?あぁ、まぁな。料理しねぇと腕が落ちるしな。こまめにしないと俺が後悔するし、自分で作ってそれが不味かった時の絶望は半端じゃないからな」
「分かる!上条さんにもその気持ちが分かる!」
涙を浮かべながら手に力を入れる上条。何か料理で失敗した記憶でもあるのだろうか。
「とりあえず、目当てのものは手に入ったし、今日のメニューに変更もないな。なぁ?これからカミジョーの部屋に行って作ってやろうか?御影シェフのオムライス食べたいだろ?」
「おお!わざわざ作ってくれるのか!サンキュー!じゃあ頼むよ!」
そんなこんなで、御影は上条の部屋に行きオムライスを作り始める。
「にしてもさぁ、今回は幸運だったよ。貴重なタンパク源を全滅させることなく安価で入手できたし、御影が飯作ってくれるし……あぁ、いつもが不幸すぎたんだ……」
「カミジョーの場合、困っている人を見過ごさないだったり、不良に挑むからなぁ。能力を無効化する右手があっても、相手が無能力者で人が多かったら多勢に無勢だもんな」
上条と蓮弥の出会いはシンプルなものだった。蓮弥が不良に絡まれているところに上条が現れ、蓮弥が重力で全員をひざまづかせたのに、上条は平然と立ち上がってきたのだ。面白いものを見たのと、プライドを傷つけられたということで重力を纏って殴りかかったが、右手で防がれた途端、能力が解除された。それから、色々話したり、右手のことを聞いたり、自分が超能力者であることを話したり、交流するようになった。
それ以降、度々上条の仲間達とも面識を持ち、バカ騒ぎをしたり、上条を不良から助けたりと楽しく過ごしている。
「そう言えば、御影中3だろ?高校はどうするんだよ?」
「え?あー。一応、長点上機学園の推薦は来てるが……バカ騒ぎしたいんだならカミジョーの高校でもいいと思ってんだよな」
「俺のところ来ても何も無いぞ?まぁ、お前の道なんだからお前が選べばいいだろうけど」
「まぁ、そうだな。よし、出来たぞ」
ふわとろオムライスを二人分作り、二人で食べる。
「美味い!すごいな御影!」
「そりゃ、俺の得意料理の一つだからな。鈍って不味いものなんか作れるかよ」
食事を済ませて、残りの食材を袋に入れ帰る準備をする。
「んじゃあ、俺は帰るわ。またなカミジョー」
「おう!またな!」
上条の部屋を出て欠伸を一つ。蓮弥は重力を使い、夜の学園都市を飛行しながら見ていく。適当な所で着地をし歩き出す。
「昼間は暇だったが、昼過ぎから怒涛だったな……。ハッ、面白ぇよ」
その時、人とぶつかる。
「おっと…悪ぃな」
「ああん?ぶつかって"悪ぃ"だけかよぉ!」
ぶつかった不良は蓮弥の胸ぐらを掴み、壁に押し付ける。
「こいつから金取ろうぜ!」
「なぁ、俺たち困ってんだよ。金くれよなぁ」
蓮弥は大きくため息をつく。その行動は不良を怒らせる
「舐めてんのかガキィ!!俺は
掴んでいる男の言葉が途切れる。蓮弥を掴んでいる手に力が無くなる。
「ピーチクパーチクうるせェよ。たかだか
男は腹を抑えながらそのままうずくまる。蓮弥の膝が男の腹部に入っていたのだ。男の仲間達は蓮弥を囲み
「ふざけんじゃねぇぞ!このガキ!こうなったら!」
「ああ、俺たちの恐ろしさを……!」
「がたがたうるせぇンだよ。幾ら群がった所で、そう簡単に勝てると思うなよ?」
蓮弥は怒気を孕んだ声を出す。男達は竦み上がる。
「退けよ、今なら目をつぶってやる。これ以上やるって言うなら、病院の上で薄味の飯が食えると喜ぶことになるぞ?」
重力で圧をかけ言う。男達は地に頭をつけるまで重力をかけられている。
「グッぉぉぉぉ!」
「重力使い……!まさか!」
「分かったかよ。じゃあもういいだろ?」
重力を解除し再び歩き始める。
「たく、 向かってくる相手は苦労するな。殴りあって友情が芽生えるなら苦労はしねェだろうによ。クソ、さっさと帰るか」
暗闇に紛れ蓮弥は帰路につく。誰もいない部屋に入り、シャワーを浴びて、冷房をかけて眠るのであった。
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幻想御手編
虚空爆発事件
ご了承ください!
「ほーん?今週はこうなっているのか」
もうすぐ夏休みのこの季節、学生達は夏休みをどうするかと、期待に胸をふくらませていた。しかし、この少年・御影蓮弥は何気ない日常のようにコンビニで立ち読みをしている。週間少年雑誌を読みふけりながら、適当に考えていた。
(どうすっかなぁ夏休み。誰かと会う予定なんてねぇし、海にも興味は無いしなぁ……裏の方も見ておかないとな……アン?重力子の加速?しかも爆発的だな……しかもこのコンビニでか……)
異変を察知する蓮弥。目を光らせるが特にそれといったものが分からない。
はぁ……と溜息をついたタイミングで
「風紀委員です!この場から早急に避難してください!!」
風紀委員がやってきた。そして店主に爆弾が仕掛けられたことを伝えられ避難を開始した。
「イタタ……」
「どうした!?」
「すいません、足を」
女子学生が足を捻った見たいで歩けずにいる。風紀委員の少年は肩を貸して避難をしようとした。その時、蓮弥は
「あれか!(気づくのが遅れた!あそこまで来ると止めんの面倒だ、だったら!)」
「何!?これが爆弾!?」
それはぬいぐるみだった。内側に吸い込まれるように収縮し……
ドッ ゴォォン!!
凄まじい勢いで爆発する。熱風と衝撃がコンビニを駆け抜ける。
「大丈夫!?怪我は?」
「わ……私は大丈夫です……」
「お、俺も大丈夫だ。爆発直前に何かに引っ張られてな。誰かに掴まれた感じはなかったんだが、体が浮いてな……」
「怪我がなくて良かったな」
風紀委員の少年と少女の前には蓮弥が居た。
「たく、行きつけのコンビニを爆発してくれやがって……」
「お前が助けてくれたのか、助かった!礼を言う!」
「ありがとうございます!」
少年と少女は頭を下げた。
「気にすんな。似た系統の能力者である俺が感知にしくじったんだ、礼を言われる立場じゃねェよ」
蓮弥は苛立ちまじりにそう吐き捨て、店を出る。
(あークソ!爆破事件に巻き込まれるなんていい笑いものンだな)
苛立ち交じりに溜息をつく。
「しかし、わざわざ風紀委員にバレるようにするか?おそまつと言うかなんと言うか……いや、風紀委員が狙いならおびき寄せるためにするか?まぁ、加速が感知される以上、捕まるのも時間の問題か?」
日付は七月十六日の夕方、放課後の楽しみの一つを邪魔されたとなれば、苛立ちもする。だが、八つ当たりしても仕方ないのはわかる。故にもう一度溜息をつきゲーセンに行く。
「………」
電子音と光が支配する空間。蓮弥は溜息をつきながら、シューティングゲームに勤しむ。
(……………はぁ……)
イマイチ集中出来ていないが、それでも敵を撃っていく。あの爆発の件が苛立っているのは自分でも分かるものだ。適当にゲームを切り上げるために自滅し、自販機で炭酸飲料を買い、歩きながら飲む。
(にしても、重力子を加速させて爆破させるか。俺もやろうと思えば出来るか?)
そんなことを考えながら缶に入った炭酸飲料を飲みほす。が、
「ッ!ゲホ!ゴホゴホ!」
思いっきり咳き込んでしまう。涙目になりながら、呼吸を整える。
「はぁ……はぁ……ついてねぇなぁ……」
頭を掻きながら再び歩き出す。しばらく歩くと、ラーメン屋が目に入った。
「食って帰るか」
暖簾をくぐり、椅子に腰を下ろす。
「いらっしゃい!」
「ラーメン一つ、チャーシューと麺大盛りで」
「はいよ!」
時代錯誤のラーメン屋、屋台と言うべき所で夕飯を済まそうと考える蓮弥。むしろ目新しさで選んだ節がある。
「そう言えば……最近は多いなああ言う事件が」
「はいよ!チャーシューと麺大盛りラーメン一つ!」
ふと考えていたら、ラーメンが出来上がってきた。蓮弥はスープを飲み
「美味い……あっさりしてて、優しい口当たりだ。細麺とも合うな」
感想を言うとラーメンを食べ進める。食べながらこれからどうするかを考える
(とりあえず、巻き込まれた以上犯人を絞めあげないと、俺の気がすまねぇな。そのあとは風紀委員にでも突き出せばいいか)
食べ終え、金を払い屋台をあとにする。自分の家に帰り、パソコンを開いていて調べ始める。
「ああ言う芸当が出来る能力は……ええと?《
しかし、そんな短期間で急激に変動するものなのだろうかと疑う蓮弥。だが、容疑者と思わしき能力者は昏睡状態で、抜け出した痕跡も何も無いと来た。
「
パソコンの電源を落とし、ベットに寝そべって明日どうするかを考える。30分位ベットで転がりながら考えた結果浮かんだのは……
「私服でも買いに行くか……」
服の買い物だった……。
次の日の放課後……
「あ、カミジョー」
「お、御影」
知り合いとばったり出会った。
「カミジョーがこんなところに来るなんて珍しいな。そこの女の子は……
「誘拐してないわ!この子が、洋服屋案内してくれって言うから案内してるだけですよ」
「お兄ちゃんみてこのお洋服」
「似合ってるじゃないか。いいと思うぞ」
「もう一人のお兄ちゃんはどう思う?」
女の子は蓮弥にも聞いてきた。聞かれるとは思ってもみなかったから不意をくらった感じになり、言葉に詰まる。
「あ、ええと。いいと思うゾ」
「本当?じゃあ次持ってくるねー!」
女の子は走って、次の服を見に行く。上条は蓮弥をみて腹を抑えていた。
「何笑ってんだよカミジョー」
「いや 、上条さんも笑うつもりはなかったんですよ……でも、固まって応えるさまが面白くて……ぷっ…」
「……不幸だ……」
「それ俺の!?」
しばらく、上条と女の子とのやり取りを楽しんだ後……挙動不審の常盤台の学生を見つけてしまった。人目を気にしてパジャマを持ち、鏡の前で似合うか試していた。
「「何やってんだオマエ。挙動不審だぞ」」
「―――――ッ!!??」
声にならない声で驚くのは、超電磁砲の御坂だ。顔を赤くして抗議する
「な、な、何でアンタらがこんな所にいんのよっ!!」
「居たら悪ぃかよ」
「いちゃいけないのかよ」
「お兄ちゃん!このおようふく……あ!トキワダイのお姉ちゃんだ!」
「昨日のカバンの子……お兄ちゃんって……アンタら兄弟で妹いたの?」
「違う。俺は服買いに来た時にカミジョーと出会って、この子の付き添いしてるだけだ」
「ちがう。オレはこの子が洋服店探してるって言うから案内しただけだ。そしたら、御影と遭遇しただけだ」
そう、たまたま偶然集っただけである。腐れ縁の御影と御坂、勝負を挑む挑まれる御坂と上条、友人の、御影と上条。なんとも分からない繋がりがある関係三人が集っていた。
「あのね、オシャレなひとはここに来るってテレビでいってたの」
「そうなんだ。……まあ、それはさておき。昨日の決着を今ここで……」
「お前の頭ん中はそれしかないのか。だいたいこんな子供の前で始めるつもりかよ」
言葉に詰まる御坂、上条は溜息をつき、御影は
「おようふく選び終わったら、アソコのハンバーガー屋さんに来いよ。俺たちはそこでいるからな。行くか、カミジョー」
「おう、じゃあなビリビリ」
ハンバーガー屋の所に到着すると同時に、昨日と似た異変を感知する。
「おい上条。これからひと騒ぎあるぞ」
いつもとは違う雰囲気に上条にも緊張が走る。
「マジみたいだな」
「ああ、昨日の野郎が出やがったみたいだ」
感知はしたが、どれがそうなのかが分からない。二人が立ち上がった瞬間、避難が始まった。
「あの子がまだ来てねぇな」
「とりあえず探すぞ!外に行ってたらいいが、取り残されていたら大変だ!」
「ああ!」
二人は手分けして探す。避難が粗方終わっているのを見て、元居た階層に戻ってくる。ちょうどよく御坂を見つけ
「ビリビリっ!あの子は?」
「は?まだ、そっちに行って無かったの?」
「あんな人混みだから、まだわかんねーけど。多分まだ中じゃねぇのかというのが俺たちの考えだ」
「おねーちゃん!メガネかけたおにーちゃんがおねーちゃんに渡してって!」
カエルが力士の格好したぬいぐるみを女の子がパタパタと持ってくる。
「よかった無事だった見たいだな……」
「初春!その人形を奪って俺に投げろ!!」
「え!?」
ブン!!その音と同時に人形は変形し始める。爆発までの時間はそう無い。
「早くしろ!爆弾の一つや二つ俺が何とかしてやるから!早くっ!!」
「は、はい!お願いします!」
初春は言われた通りに、女の子から人形を受け取り蓮弥に向かって投げる。
蓮弥は右手に小型の赤黒い球体を一つ作り出し爆弾めがけて足を進めて……
「二度も俺がいる所で……舐めてんじゃねェぞ!!」
その球体を人形に殴るようにぶつけて、人形を完全に消滅させる。
「御坂!犯人は近くにいるはずだ!行け!」
「分かったわよ!」
御坂は外に犯人を探しに行く。
「何したんだ?御影」
「俺の能力は知ってるだろ?まぁ、小型のブラックホールを作って、爆弾を消滅させたんだわ」
「す、すごい。ブラックホールを瞬時に作り出すなんて」
「これでも
そのあと、容疑者は捕まったが、
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幻想御手
「最近こればっかりだよな?いきがってる奴を叩きのめすのは。最近多いよなレベルが上がったからか知らないけどな」
体術で叩きのめして、主犯格の頭に足を乗せながら呟く。最近はこう言うのが多くなっている気がする蓮弥がそこにはいた。
パワーアップしたから有頂天になっているかは不明だが、威張り散らしている奴が多かったり、喧嘩を売ってくるやつが多かったりと、虚空爆発事件と同じ時期くらいからそういうやからが、出てきている気がする。
「なぁ……パワーアップ云々はどんな話何だよ?聞かせてくれない?」
「だ、誰がお前なんかに……」
頭をあげてきて抵抗の意思を見せてくる不良。
「はぁ……立場分かってんのか?」
重力をかけ頭をもう一度地面に叩きつける。不良は苦痛の悲鳴をあげるが、蓮弥は気にもとめず質問を続ける。
「もう一度聞かせてもらうぜ?どうやってレベルをあげたんだ?抵抗の意思とか、やる気は求めてないからな。こっちだってな、お前らみたいなのを日に日に相手するのは面倒馬なんだよ。頼むからこれ以上手間取らせないでくれよ?」
怠そうに蓮弥は不良に言う。その様子はウンザリしているという感じだ。
「れ、幻……想……御手……」
「あ?」
「
(最近耳にする噂のヤツか……つまらねぇ都市伝説と思っていたが、案外あたりかもしれねぇな……)
蓮弥は手を顎の下に持ってきて考える。仮にもしそんなものがあるのなら、授業のカリキュラムにあってもおかしくないし、大々的に発表されていてもおかしくはないと考えたからだ。いくら裏技と言えど、研究機関やそれに属する研究員が見つけたら解析やらなんやらするだろうと。
「まぁ、そんな善良な研究員がこの街に何人存在するかね……。で、その幻想御手ってのはどんなものだ?」
「こ、これだ」
不良が差し出したのは音楽プレーヤーだ。蓮弥は目を細めながら聞く。
「音楽とか言う気か?」
「そ、そうだ……!本当だ!信じてくれ!」
音楽を聴くだけでレベルが上がるなんて馬鹿な話が……と一蹴する気にはならなかった。何かしらの手がかりを得られるチャンスなのだ。まぁ、不良の咄嗟の嘘という可能性もあるが、わざわざこの状況で嘘をつく理由がない。
「じゃあ、ノートパソコンにコピーさせてもらうか……」
持ってたノートパソコンを開き、幻想御手を不良からコピーし音楽プレーヤーを返す
「情報提供感謝するぜ。いやー!情報が得られてよかったぜ!」
満足げに鼻歌を歌いながら歩く。ご機嫌で夜の街を歩いていたら、街から光が消えた。その直前に見えたのは橋に落ちる雷だった。
「暗いな……たく、このタイミングで雷が落ちるなんてついてない……」
街の殆どが停電することとなった。さらに時間帯は夜、光がなければ歩きずらい世界で蓮弥は溜息をもらす。
(学園都市と言えど、自然災害には勝てないか……仕方無い。ゲートを作って帰るか)
蓮弥は右手を前に出し能力を発動させる。赤黒い円形のゲートが出現する。重力により空間に干渉し、捻じ曲げゲートを作り出した。
(あんまり使いたくは無いのだけどな。仕方無いな)
そう自身を納得させ、ゲートを潜り自身の部屋に帰り着く。明日の予定は、風紀委員に情報を提供し、協力を申し出ることだ。そうすれば、事件の核心に迫れるというものだ。
「……あっちぃ……停電で冷房つかねぇ……」
暑さで項垂れながらも寝ようとするが、暑さがそれを許さない。冷たい飲み物を飲もうと考えたが、停電ということで冷蔵の中身なんて想像する必要が無いことになってると諦める。
「能力使って処理するか……起きたら」
無理やり目をつぶる。意識を手放そうと努める。以外にあっさりと意識を手放すことが出来た。
『いい数値が出ているじゃないか、能力の伸びもいい、彼も優秀だ』
『ええ、そうですね。彼なら超能力者にも届きうる可能性がある。いい個体だ』
白衣の男達が話し込んでいる。どうやら実験が上手く行っていることが好ましいのだろう。
『重力を操作する能力の中にベクトル操作の兆しがある。この計画で初の
そして実験は再開される。他人の精神性、演算方法の一部を植え付けるという非人道的な実験。優秀だと言われた男の子は、憂鬱げに外の世界を見る。閉鎖的な空間から見る空は、いつも鉛色に見えていた。
『■■今日も外見てるんですか?それ楽しいですか?』
『え?ああ、まぁまぁかな。でも、今日は日差しが強いかな………』
『確かに今日は日差しが超強いですね』
「あっちィンだよクソが……」
入り込む日差しが目にかかり、眩しさと暑さで目が覚める。汗をかいており気持ち悪く不快感が激しい。見た夢に目を細めながら頭を振る。
「……また、懐かしいものを見るなんてね……」
体を起こし背伸びをして、お腹がすいたため冷蔵庫の中を見に行く
「さーて、何を食べようか……うっ……!?」
冷蔵を開けると、異臭が鼻に突き刺さる。夏の暑さ、謎の停電が重なり、冷蔵庫の中身は完膚なきまでに全滅していた。今すぐ冷蔵庫を閉めたいが、処理しないと先には進まない。このまま放置を続ければ、さらに酷いことになるだろう。
「……はぁ……仕方ない。処理するか」
ゴミ袋に腐った食材をまとめ、能力を使い完全に消滅させた。いちいちゴミを出しに行かなくて済むのが結構楽な事だ。
「シャワー浴びてから出るか……」
夏休みは始まったが、始まりはよくはなかったようだ。シャワー浴びて制服に着替え、"
外は蝉が鳴き、夏の本格的な到来を知らせるようだった。日差しは強く暑いことこの上ない。
「あー、あちぃ……どこか涼しいところに入りたい……」
暑さでまいりながらも歩き続ける蓮弥。ふとファミレスの横を通りがかる時、窓にへばりついている佐天とお辞儀をしている初春がそこにはいた。
「……何やってんの?」
「うわぁ!?み、御影さんじゃないですか!?」
「こんにちは、御影さん。先日は助けていただき、ありがとうございます」
「友人を助けていただきありがとうございます!」
「虚空爆発の件だろ?気にすんなよ……うん、常盤台組もういるのか……とりあえず中入るか、あちぃわ外は」
「そうですね」
ファミレスの中に入り、相席になる。蓮弥の隣には脳の学者の木山春生がいる。正面には御坂美琴がいる
「なんであんたまでいんのよ……?」
「悪いかよ、停電の影響を受けて冷房と冷蔵庫の中身が全滅したんでな……。涼しさ求めていてな。外でばったり会ってな」
「まさか、一日で超能力者二人に会うと思わなかった。第三位の
「まぁ、それはいいけどよ。何ついて話していたんだ?」
「白井さんの脳になにか問題が?」
「《
佐天が音楽プレーヤーを出しながら固まっている。初春は白井の言葉に質問をする
「どうしててですか?」
「まだ調査中ですので、はっきりとしたことは言えませんが、使用者に副作用がある可能性があること、そして急激に力をつけた学生が、犯罪に走ったと思われる事件が数件確認されているからですの」
「副作用なんてものがあるのか?」
「おそらくですが、例の爆発犯が謎の昏睡状態に陥ったことを考慮すると」
蓮弥はそれを聞いて、襲ってきた不良達のことを考える。幻想御手を使ったのであれば、昏睡状態になるのだろう。いい気はしない、かと言って素性も知らないからどうしようもない。
「はー……どうかしました?佐天さん」
「えっ、やっ別に……」
音楽プレーヤーを隠そうとした時、コップに手が当たる。その衝撃でコップは揺れ倒れようとするが
「そら」
蓮弥が能力を使い、倒れそうになるコップを倒れないように固定した。
「あ、ありがとうございます」
「慌てんなよ?」
話は続く、気づけば夕暮れになっていた。蓮弥を含めた六人はファミレスから出る
「お忙しい中ありがとうございました」
「教鞭をふるっていた頃を思い出して、楽しかったよ」
「教師をなさっていたんですか?」
木山は少し遠い目をしながら答える。
「昔……ね」
そう言うと木山はその場を立ち去る。
蓮弥は今回は風紀委員に用があったのでまだ去るわけには行かない。だが、気づいたら、御坂と佐天がどこかに行っていた。
「初春には支部に戻って《
「あ、はい。白井さんは?」
「私は……緊急事態ですから、少々強引な手を…「その必要は無いぞ」はいぃ?」
蓮弥が言葉を続ける。
「昨日絡んできた不良をボコって《
「あ、貴方持っていますの!?《
「ああ、さぁ、調べるなら提供するぜ」
「そうですわね。情報提供ありがとうございます。ですが、とりあえず。保護させてもらいますわね?」
「ゑ?え……え?」
蓮弥は二人の少女と共に風紀委員の支部に行くことになった。
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久しぶりの再会
「保護なんて必要ないだろう?俺が使ったわけじゃないんだしよ」
「ええ、そうかもしれませんが、一般人である貴方がそれを持っているということなので、従ってくださいまし」
風紀委員の支部に行き、白井と蓮弥は少し言い合いらしき何かをしている。副作用があるかもしれない幻想御手を持っていたのだから、使った可能性を憂慮して気にはなる白井と超能力者なんだからそんなもん使うかの蓮弥の話、その平行線的な何かが行われていた。
「まじで使ってないって、たまたま不良が喧嘩売ってきて、たまたまゲットしたんだって、それ以上はねぇよ」
「……分かりましたわ。信用する訳ではありませんが、既に高位のレベルの方が使うとは考えられませんし、ありがたく情報をいただきますわ」
「とりあえず、こちらに移しておきますね」
初春が蓮弥のノートパソコンと風紀委員のパソコンを接続してサンプルをとってる。
「因みに業者に連絡して、幻想御手をダウンロードしたであろうサイトを閉鎖するまでのダウンロード数は5千件超えてますね」
「げ」
「そんなにか……」
「全員が使用したわけではないと思いますが、ダウンロードできなくなってからは金銭で売買する人が増えてきているみたいです。直接取引きだったり、振込だったりと」
「広まるのを完全に止めることは無理……ですわね」
「何にせよ、もう夕暮れもいいところだぜ?調査は明日からの方がいいじゃねぇの?」
時刻を確認する二人、時刻は17:00となっていた。
「そうですわね、門限の時間もありますし」
「では、ある程度取引場所を纏めておきますね」
「助かりますわ」
「じゃあ、とりあえず解散だな」
そう言いながら、蓮弥は風紀委員の支部を出る。何とか保護を免れて情報は提供した。
「
頭を抱えやれやれと頭を振る。無能力者というのは聞いているし、能力に憧れがあるだろうとは思う。それに幻想御手が音楽という事も知った以上、あのタイミングで音楽プレーヤーを出したのであれば、幻想御手を入手している可能性があるだろうとは思う。
(超能力者の俺が何を言っても、嫌味にしかならないよな……まぁ、俺も"まとも"な努力でここにいるわけじゃねぇし……)
蓮弥は確かに努力で超能力者には至った。だが、その努力は大能力から超能力者にかけての話と言ってもいいのかもしれない。それまでは実験のモルモットとして裏で過ごしてきた。
(んなこと話しても気味が悪いだろうな)
はぁ、とため息をつき夕方の街を歩く。壁に阻まれた者が手を伸ばしたのが
(副作用の程度は俺は知らねぇけど……録じゃないだろうな)
副作用という言葉にいいことは無い。使用者が望んでいないことが起きる。それが副作用。かと言って、佐天を止める権利はあるのだろうか?蓮弥は悩む。能力でおそらく悩んでいるだろう彼女に自分は何を言い聞かせるのだろうか。らしくないし、甘い考えかとか考えながらも、蓮弥はとりあえず歩く。
「……どうすっかなぁ……」
こういう事で悩んだのは初めてだろうか?唸りながら歩く。
「そんなに超唸ってどうしたんですか?蓮弥」
後ろから声が掛かる。蓮弥は頭に?を一度浮かべるが、特徴のある『超』とつける話し方。振り返って声の主を見る。ボブカットの茶髪を持ち、ふわふわしたニットのワンピースを着用している少女が居た。
「超久しぶりですね。蓮弥」
「絹旗じゃないか!ひっさしぶりだな。元気にしていたのか?」
「こっちは超元気に過ごしてますよ。蓮弥は唸って超悩んでいるみたいでしたけど?」
絹旗最愛。
「まぁ、小さな悩みってやつだよ。なんとかなる程度のな。それより、そっちはオフだったのか?」
「そうですね、今日は休日でしたね。気になっていた映画を超楽しんできましたよ」
「どういう映画見たんだ?」
「メガ・シャークVS大王イカ、大海大決戦と言う映画を見ましたね」
「……???」
傍から見たら兄妹が楽しそうな話をしているように見える。蓮弥は映画のタイトルで頭に?を浮かべているが、絹旗は気にもとめず話し続ける。
「と、とりあえずファミレス行くか?俺飯はまだだし」
「いいですね!蓮弥の奢りで超行きましょう!」
「まぁ、いいけど」
二人は話ながらファミレスに向かう。
「それにしても超驚きましたよ。蓮弥が超能力者になって第四位になったのは。まぁ、他のメンバーも超驚いてましたけど」
「そんなにか……。しばらく会ってねぇもんな」
「そうですよね。蓮弥が暗部の仕事をしなくなったからですね。前は共同戦線とか超協力とかしたんですがね」
「まぁな、でも、一応はパイプは残してある。何かあった時に情報を収集したり、集めさせるためにな。っと、そんな話ばっかりじゃなくて飯を頼めよ。俺が奢るんだからな」
「じゃあ、超遠慮なく頼ませてもらいますね!」
互いに注文をして、その待ち時間で話を続ける。
「そういえば絹旗は幻想御手って知ってるか?」
「
「それがな、実在するんだぜ。まぁ、もっぱら使うのは仕返しがしたいやつとか、見放されたやつとか。あとは不良も使っていたな。俺に喧嘩売ってきたな」
「超命知らずですね。蓮弥だから怪我ですんだと超思いますが、売る相手が麦野だったら死んでますよその不良」
確かにと頷く蓮弥がいる。
「おまたせしました、デミグラスソースのオムライスとハンバーグセットです」
「来ましたね!では、いただきます!!」
「俺も食うか、いただきます」
日は落ちていく。だが久々の知人に会えて悪くない時間を過ごせていた。明日から、
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臨時 風紀委員
次の日、蓮弥は風紀委員の支部に訪れた。要件は昨日の続きだ、5000件以上もダウンロードがされていて、今では直接売買が行われていると来ている。
調査は明日からと言った以上、自分も参加しないわけには行かない、と思い風紀委員の支部に足を運んでいた。
「おはよう」
「あら、来ましたのね」
「おはようございます」
風紀委員の白井と初春が、支部にはこの二人が残っていた。初春は紙の束を作っていた。
「これが、取引の時間と場所を纏めた紙です」
「こんなにっ!?」
「うお!?多いな……」
髪を見るだけでも嫌になるほどに書かれていた。それが白井と分けても多いものだ。一枚一枚確認しても、減らないし行くないと言われている気分になる。
「仕方ねぇな。一つ一つ何とかするしかねぇな」
「そうですわね。これが本物で実害があると実証されなければ、上は思い腰をあげませんもの」
そう言うと白井は学生鞄を持ち、準備を進める。蓮弥も軽く屈伸をする。
「御影さん。今回の件で手伝ってもらえるということで、固法先輩からこの事件限りですけど、風紀委員の助っ人として風紀委員と同じ権限が使えるようになりました。腕章をつけるようと伝言を預かりました」
「まじか……まぁ、ただの能力者が叩きのめすことを思えば、風紀委員として引き渡した方がいいよな」
初春から腕章を受け取り、左袖につける。
「しっかり付けられているか?」
「あら、意外に様にはなってますわね」
「お似合いですよ御影さん!これを機に風紀委員になりませんか!?」
「今回限りでいいよ……」
初春は目を輝かせながらいうが、蓮弥は苦笑いをしながら断る。
「それでは初春、木山先生の見解の方をお願いしますの」
白井はそういい鞄を持ち、出る準備をする。蓮弥もインカムをつけて準備をして、手錠を複数個持つ。
「では、手分けしていきましょう。その方が手っ取り早いですわ」
「それはいいけど、何かあれば言えよ。座標さえ言えば俺が援軍で行けるからな」
「お気遣いなく、少々レベルが上がった程度の輩には負けませんわ。それに油断する気もありませんの。そちらもやり過ぎないようにお願い致しますわ」
「了解、程々に働くとしますよ」
そしてそれぞれ資料を見ながら、パトロールを開始する。
蓮弥はお手伝いということで、比較的現場が近くに点在している。それを時間事にチェックをする。取引を行っている現場には中々遭遇しないし、思っていたより地味なものだが、やるしかないと割り切る。だが、遂に当たりを引く事なる。
「ほら、約束の十万だ!早く幻想御手を譲渡してくれ!」
「悪いなさっき値上げしてね、こいつが欲しいならもう十万持ってきな」
どう見ても取引の現場である。高額で売りつけるというものだが、さらに巻き上げようとしている。蓮弥はもう少し見ようと考える。
「ふざけるなっ、だったらその金返してくれっ!!」
ふくよかな男がお金を取り返そうと掴みかかるが、逆に腹に一撃膝を入れられる。男は嘔吐しながらも食い下がる。大金を出したのに得られないのが我慢ならないようだ。
「う……返せ、返してくれ」
「ガタガタうっせーな……十万ぽっちで誰がやるかっての!」
「金ねーんならさっさと帰れデブ!」
殴る蹴るの暴力を振るうう。見てられないものだが、男達はお構いなく暴行を加える。リーダーらしき人物がタバコを吹かしながら
「おう、ソイツ立たせろ。俺らのレベルがどれくらい上がったかそいつで試してみようぜ」
男達は危なげなことをするのに興奮するように、ふくよかな男に能力を使用をしようとする。
「その辺でやめにしておけよ。じゃねぇと地面にお寝んねすることになるぞ」
道路の上から蓮弥は飛び降りながらいう。腕章を見せながら言う。
「風紀委員だ、暴行傷害の現行犯で拘束するぜ?」
「はぁ?誰かと思えば、ガキじゃねぇか!すっこんでいないと怪我するぜ?」
男に一人が胸ぐらを掴み蓮弥を脅すが、蓮弥は慌てることなく言葉を続ける。
「やるなら容赦はしないぜ?俺はほかの風紀委員とは違って優しくはねぇからな」
「あぁん?舐めてんじゃねぇぞ!ガキ……が……!」
鳩尾に蹴りが入っていた。足のつま先が命中していたのだ。掴みかかってた男は腹を抑えてうずくまる。蓮弥は解放されて襟を直し、男が持っていた十万を取り、ふくよかな男に返す。
「ほらよ。あんたの金だろ?こういう取引を見ている以上返さない方がいいんだろうがまぁ、まだ取引出来てなかったしな。あとはもう取引すんなよ?」
「お、おう。ありがとな……」
「てめぇ何やってくれてんだよ!!」
もう一人の不良が鉄骨や足場を浮かし、蓮弥に向けて攻撃を仕掛けてくる。
「危ない!」
「あ?」
鉄骨は蓮弥に当たることは無い。寸前で赤い光が纏われ動きを止めている。
「あんたも能力者か。ガキのくせにその態度ムカつくぜ……その高く伸びた鼻をへし折ってやるぜっ!!」
さらに鉄柱を浮かせ、蓮弥にめがけて放つ。射線はしっかり蓮弥を通っている。そのままだと当たるだろうが、蓮弥は避ける素振りを見せず一歩も動かない。
「つーかさぁ、なんでお前らが勝てると思ってるんだよ?」
鉄骨や鉄柱は次に蓮弥に接近した時、塵も残さず消滅する。
「はぁ?」
「大人しく寝てろ、コラ!」
顔面に赤い光を纏った拳が突き刺さり、そのまま地面に凄まじい勢いで叩きつけられる。男はその衝撃で意識を失う。
「で、あと一人だな」
あっという間に二人を倒す。リーダーらしき男は面白そうに蓮弥を見ている。その目は自分の力を気兼ねなく試せると嬉々とした笑みを浮かべている
「カカカカカッ。おもしれー能力だな。どんな能力だよ、念動力系か?」
「随分と他人事だな?お前のお仲間はお寝んねしてるというの……まぁ、今なら投降したら危害は加えねぇけど」
「俺達はよ―――盗みや恐喝にクスリ、他にもいろいろあくどい事して楽しんできたけどよ」
男は笑い歩きながら、自分がしてきた悪事を自慢するかのように言ってくる。蓮弥は興味なさげに聞いている。
「最後はいつも、風紀委員や警備員に追われてウザってー目に遭わされてきたんだ」
「そりゃ自業自得だな。むしろよくここまで捕まらなかったな褒めてやるぜ?」
肩をすくませ、それで?と言う蓮弥。蓮弥にとってはそんな事は正直に言うとどうでもよくて興味も無いのだ。三下の悪事なんて興味は無いしどうでもいいという。しかし、今回は風紀委員と同じ立場にいるそれを取り締まらない理由は無いから
「まぁ、拘束して洗いざらい吐いてもらうぜ?」
「お前みたいなやつやを、でけえ力があればよ、一遍ギッタギタにしてやりてーって思ってたんぜ!」
「やれやれ、逆恨みか?余程鈍臭く追いかけ回されたみたいだな?」
男は襲いかかってくるが、蓮弥が体を浮かせ悠々とかわし、道路の柱に足をつけ距離を置く。
「おっと、そう簡単に捕まらねぇよ」
「逃げんのか?ガキんちょ逃げ腰ばっかりかよ!!」
「んじゃあ行くけど、後悔すんなよ?チンピラさんよ……」
凄まじい勢いで突っ込み男に殴り掛かる。その拳は男には当たらず地面に当たることになる。地面はひび割れていき地面が割れる。
(躱したか?いや、目では捉えていたが……)
「危ない!後ろだ!」
その声を聞き後ろを振り向く、男の蹴りが目の前まで迫っていた。しかし、その蹴りは蓮弥の前に止まる。
「あっ!?な、何だよ!?」
「……まァ、そうなるわな。いくら俺の目を誤魔化しても、攻撃する際は絶対に俺に触れないと行けねェもンな?じゃあ、抵抗できないように叩きつけてやるよ」
地面に叩きつけ縫い付けさらに重力をかける。
「いっちょ上がり、あとは警備員に連絡して引き渡すだけだな。あんまり傷つけないように手加減するのは大変だな風紀委員も……」
リーダーらしき人物を拘束して警備員に引き渡すために警備員に連絡を到着をするまで、暇を持て余していた。
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