がっこうぐらし! Megatenist No Faith.√ (グレンフォード)
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閑話~わきみちぐらし!~
閑話//としこし!


 お待たせした挙句、結局今更の年越し系閑話でお茶を濁しているので初投稿です。

 なお、内容は本編とはおそらく、きっと、多分、関係がありません。


「はぁ~……平和だねぇ~」

 

 私立巡ヶ丘学園旧生徒会室、現学園生活部部室の中央。リノリウムの床に、タイル式カーペットを広げた上に、堂々と置かれている場違いなコタツに潜りながら、黒髪を一房後ろに結んだ少女――『祠堂 圭』が、コタツの天板に身体を委ねながらはふぅ、と零す。

 

「こら、けい? 確かに今は平和だけど、ちょっとだらけ過ぎじゃない?」

 

 そんな圭に、呆れた、と言わんばかりの視線を向けながら苦言を呈する、アッシュブロンドのショートヘアの少女――『直樹 美紀』。

 

「えー、たまにはいいじゃん。せっかくゆっくりできるんだしさー。ねー、ゆきちゃんパイセン~?」

「そうだよみーくん。けーちゃんのいうとーり、ゆっくりできるときにはしっかりとだらけたほうがいいんだよ~? ……ぁむ、ぁう、すっふぁい」

 

 その苦言に、圭は同じく隣に潜っていた、ピンクブロンドのセミショートヘアな小柄な少女――『丈槍 由紀』に同意を求め、求められたほうも全力で――精一杯だらけながら――同意を返し、おもむろに目の前に置いていたみかんを一房口に含み、それの酸味が予想よりも強かったのか、その愛らしいと言える顔を顰めた。

 

 そんな二人に、軽く頭を抑えつつ“先輩まで……もぉ”、とため息をつくと、それにしても、と窓から外を見やる。

 

「本来なら、もうそろそろ用意し終えてるころ、なんだよね……」

 

 その瞳が映すのは荒廃した世界、なれどかつてに想いをはせて。そしてそのまま滑らせた瞳の先は、すでに残り一枚となっていたカレンダーに向かう。

 

 その紙には、いろいろな色で、都合30個の×印が刻まれていた。

 

 ――12月31日。それが、かつて暦と呼ばれていた括りに於ける、今日と言う日を端的にあらわす言葉であり。

 

 即ち、本来なら世間が、さらには世界が新たな門出を迎える最後の準備を行い、あるいは終えている“筈”の日でもあった。

 

「……大丈夫かな、先輩も、あやねも」

 

 そして美紀の思考は、その場にいない人物のうちの二人へと向かう。その胸にあるのは、8割方の心配と、2割方の不満や憤りが混ざり合った、少しだけ複雑な想い。

 

 ――二人は大丈夫だろうか。いや、きっと大丈夫。というかそもそも、だ。

 

「思い込んだら一直線。確かにそれはあやねらしいよ? ――けどね?」

 

 ――それでも、事前に一言ぐらいあってもいいと思う。それがたとえ必要なことだとしても。そして、元々があやねの発案じゃなかったとしても。

 

「それで、いつものお説教(OHANASHI)程度で済むだなんて――生ぬるいことは、思わないでよね?」

 

 ――それで心配する人がいるってことくらい、いい加減判ってほしいと思うのは……そう『想う』のは、間違っているのだろうか?

 

「け、けーちゃん、みーくんがこあいよぉ」

「ぅぁ、なんまんだぶなんまんだぶどーまんせーまんどーまんせーまん……荒ぶるみき(かみ)よ、静まり給え……」

 

 ――妖しい輝きを宿した瞳で壮絶に微笑む(わらう)少女と、それを見ながら震えて抱き合う二人の少女。そんな奇妙な光景は、一組の姉妹が屋上菜園の収穫物を抱えて部室に入ってくるまでの間、凡そ5分強程度続き。

 

 その光景を疑問に思った姉妹の姉、ダークブラウンの長髪で、左の前髪を一部だけくるりと括った豊満な少女――『若狭 悠里』は、ありのまま(若干脚色が入っていた、と震えていた少女たちは後に語る)説明され。

 

 説明を受けた悠里もまた、同じような美しい、それでいて壮絶な笑みへと表情を移したことで、震える少女の中に一人、その妹である栗色のロングヘアの少女――『若狭 瑠璃』の姿が加わったとかなんとか。

 

「ぁぅぁぅ、りーねぇがこわいの……ぁぅぁぅ」

「二人ともこあい……なんか笑顔でも目がこわい……」

「はらいたまえきよめたまえはらいたまえきよめたまえ主よ哀れな子羊に愛の手を……」

 

 なおこの事態はさらに数分後、帳簿代わりの家計簿ノートを手に、くたびれた様子でピンクブロンドのロングヘアをした女性が入ってくるまで続いたと、関係者から証言が出ているのだとか。

 

 なお、それにより“今は抑えて、来るときに一気に開放しましょう?”という“天使の微笑み(悪魔の囁き)”で抑えられたそう。

 

 ……“知らぬが仏”とはよく言ったもの、なのだろうか?

 

――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――

 

 ――事の発端は数時間前に遡る。

 

 おおよそ朝とは言い難いが、それでも昼と呼ぶにはまだ早いと言われるだろう時間。学園生活部部室にて、その中央に置かれたコタツにいそいそと潜り込んだ、緑味を帯びた黒髪をショートで無造作に流した少女――『沢代 理音』が、それまでの結果などを軽く全員に伝えた後のこと。

 

「……そういえば、今年はどうしましょうか?」

 

 ふ、と思い出したかのように言う彼女に、棚に置かれたポットから湯を注いだカップを持っている、艶やかな長い黒髪を両側頭で結んで流した少女――『恵飛須沢 胡桃』が胡乱な視線を向ける。

 

「んー? 今年? どうするって、なにをだよ?」

 

 そういって、手の中のカップから、今となってはとても貴重だと言える、赤みを帯びたこげ茶色の液体をそっと啜り……そして“あちっ!”と口を離す胡桃に、だってほら、と視線を壁に、もっと言えばそこにかけられた物に滑らせる。

 

「ぁっつつ……ぁー、そうだなぁ。……もう、そんなになるのか……」

 

 その視線の先を追って視線を移した胡桃もそれを――壁にかけられたカレンダーを確認すると、思わずとも視線が遠くに飛んでいく。

 

 その脳裏には、かつての幸せな、あるいは甘酸っぱいような、そんな平和な日常が映っているのだろうか? と思ってしまい。そしていつもの快活なものから想像できないほどのはかなげな表情に、理音は思わず息を呑む。――その表情が、なんだかいつも見ている生活部の先輩とは結びつかないほど、それほどまでに艶かしく見えたから。

 

「――ぁ、の。せ、先輩?」

「――ん? あ、あぁ、悪い。で、どうするか、か……」

 

 理音の言葉に我に返った胡桃は、むー、と頭を軽く抱えつつ、そのままコタツの近くにあった椅子を傍に引っ張ると、背もたれを抱えるような格好で座り、カップの中身を今度はゆっくりと慎重にすすり上げた。

 

 そしてふう、と息をつくと、むむむ……と首をひねってから、そういえば、と視線を理音の手元、彼女の持つスマートフォンに向け。

 

「なあ、あやね?」

「はい? どうしました?」

 

 その特殊性を思い出したツインテ少女(くるみ)はどことなく悪い感じのするような、ニンマリとした笑みを浮かべて言った。

 

 ――ちょっとりーさんやめぐねえには悪いかも、だけどさ?

 

 ――その提案は、まさしく悪魔の契約(きんだんのかじつ)のように妖しく輝いていた(甘く蕩けるようだった)――そう、後に二人揃って正座で持ち帰って来た物資(戦利品)の袋を抱かされている最中に理音は述解するが――今はまだ、語るときではない。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 

 そして時間は冒頭よりもちょっとだけ前。まだ明るいものの、あと少ししたら日も翳ってくるような時間。

 

「おーい、そっちはどうだったー?」

「はいはーい、ちょっとこれが……あ、ありましたー」

「おっけ、でかしたっ!」

 

 かつて何かの工場だったであろう敷地の中、倉庫と思しき場所に、件の二人の姿はあった。

 

 自家発電なのか、奇跡的に未だ電子的な設備が生き残っていたその施設のロックを理音のスキルでこじ開けた二人は、中に居た未だ勤勉な“かれら”全員を永遠に休ませ(冥土に送り)、そのまま設備の中を探索していく。

 

 やがて目当ての物――その施設を統括している端末――を見つけた二人は、興奮で頬を上気させつつ作業をこなしていく。

 

「――シッ! 先輩、在庫確認できました! やっぱり倉庫にあるようです!」

「りょーかいっ! こっちもアシは見つけたから乗ってくれ、ナビ頼んだ!」

「はい、じゃあ後ろに失礼します。で、そっちの突き当りを――」

 

 理音のナビどおりにアシ、もといそう呼んだフォークリフトを動かしていく胡桃。どうやらうまく保存されていたようで、二人の少女を乗せてはいても、そのエンジンは軽快に回る。

 

 やがて目的の場所にたどり着いた二人。そこにあった端末を確認した理音は、フォークリフトから降りるとスマートフォンを片手にその端末に近づいていき――端末の接続部分に、スマートフォンからつながるケーブルを差し込んでなにやら画面を操作する。と、ものの数分で管理者権限を掌握したのか、何の抵抗も見せずにロックが解除される音が響いた。

 

「っと、ロック解除。やっぱりこの手に限るね。先輩」

 

 できたよ、と目配せしながら、そのままドアを操作して開放する。

 

 どうも室内の空調は勤勉であったらしく、十全に動いていたそれが、外に居た二人に風を吹きつけた。思わずそれで閉じてしまったまぶたを、手を翳して守りながら再び開いていく二人。と、そこには。

 

「こ、これは……先輩――」

「ああ。……これなら――」

 

「「きっちりと年を越せる(よ)っ」」

 

 山のように、とまでは行かないものの、大きな袋に入った何らかの――いや、隠すことはないので有り体に言ってしまおう。中身のたっぷりと詰められ、その正面に堂々と“国内産蕎麦”と書かれた大袋が、木製パレットの上に数十袋。

 

 流石に全てを持っていく、とまではいかないため、端に積まれていたパレットに幾袋かを積みなおす必要こそあったものの、それでもその物資収益には二人の表情も晴れやかで。

 

 その後、それを今回乗ってきた――以前ショッピングモールだったかホームセンターだったか、はたまた別の場所(得体のしれない何処か)で放置されていたものだったかを回収(ジャック)した――2tトラックの荷台に積み込むと、再度倉庫と出入り口、および各所の門扉の端末にアクセスし、改めてロックをかける。もし今後、また物資が必要になったときに、ここがほかの生存者(バンデット)達に荒らされていないよう、厳重に。

 

 ――確か、学園の地下倉庫には、少量ではあるけれどもち米もあったはず。倉庫にはイベントで使われていた臼とかもあった筈だし、何なら石臼とかも――

 

 今後の物資調達に思いを馳せる理音と、学園に待つ皆の驚いた顔を想像して思わずニマニマとしてしまう胡桃。そんな中。

 

「ふぅ、じゃあ―――ッッ!?」

「ん? どうしたんだアヤ、急にビクッてして……風邪か?」

 

 ゾクリ、と。氷柱を背中につきたてられるよりも、なお冷たい悪寒が、理音の、そして――

 

「い、いえ、そんな感じじゃないんですけど……なんかこう、厭なというか、マズいような感じが……」

「なんだそりゃ。ま、風邪とかじゃなきゃいいけd―――ッッ!?」

 

 胡桃の背を駆け抜ける。

 

「ふぇっ? せ、先輩?」

「――ぁ、い、いや何でもない……うん、なんでも。あ、あたしもなんかヤな感じがしただけさ……」

 

 ハハハ、と未だ背を伝う冷や汗をそれは奇しくも、理音の幼馴染と生活部の差配者である部長が、艶めかしくも壮絶な笑みを浮かべた頃と時をほぼ重ねていたのだが……今の二人には与り知らぬことであった。

 

「せ、先輩? ……ま、まさかりーさんに怒られるとかはない……ですよ、ね?」

「は、HAHAHA、ま、まままさかかかかか、みきとかもきっと、ゆ、ゆゆゆゆ……」

「せ、せんぱい? どうして目を逸らすんです? どうしてそんなに震えているんです? ねぇ、先輩? 先輩ぃぃぃッ!?」

 

 ドッタンバッタン。狭いと言うほどではないものの、かといって決して広いとはいえないトラックの車内で、震え言い合いながらも、目の前に迫る恐怖から必死に目を逸らし続ける二人。

 

 その先に待つ二人の少女と一人の教師のOHANASHI(13階段の頂)は、刻一刻と迫っている――。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 そして、事は数十分後。二人が無事に学園に着いてから動き出す。

 

 かれらを避けつつ、あるいは排除しつつ、車を駐車場に停め、その上であたりが安全であることを確認した二人は、そそくさと物資(戦利品)の運搬をすべく、慣れた手つきで台車や籠などへと詰め替えていく。

 

 そしてお互いに、その物資にどんな反応を示すだろうと――先ほどの悪寒を無意識に無視して――思いつつ、それを部室へと運んでいく。時に二人で担ぎ、時には紐などを利用して。

 

 その作業自体は二人とも慣れたもの。本来なら大の大人でも苦労するそれらの作業を、手製の器具などを駆使してなんと言うこともなく校舎内、張り巡らされたバリケードの内へと運び込んでいく。

 

 そして、無事に生活部の部室の前へとたどり着いた、のだが……。

 

 ゴクリ、と。どちらともなく――否、おそらく二人ともか――同じタイミングで、そこから漏れ出してくる異様なオーラに、思わず息を飲み込み、互いに顔を見合わせ……そして二人ともが図ったように、意識することなく声を最大限に潜めて話し合う。

 

「……先輩? 私の気のせいだといいんですが……?」

「……あ、ああ。きっと、気のせいだろ。……先、入っていいぞ」

「い、いや先輩こそ、先に入って休んで? 疲れてると思うし……」

「あ、あたしはだいじょうぶだって。……アヤこそ、ソレで疲れてるだろ? だから――」

 

 それはある意味、生物としては当たり前の行動に帰依するものであり――

 

「ええ。そうよね? 二人ともとーっても働き者なんだもの。“そ・れ・は・そ・れ・は”疲れているわよねぇ?」

「ふふふ、お疲れ様ですあやね、先輩? 今日も“と・っ・て・も”上手くいったみたいですねぇ?」

「そうですねぇ。二人とも、“心配させないために何も言わず”に、いっぱい荷物を持ってきてくれているみたいですから」

「「「ねえ、恵比須沢さん(先輩)、沢代さん」」」

「「――――ッッッ!!」」

 

 ――この期に及んでは、まったくの不正解だった、と言えよう。……尤も、今日この時に於いては、恐らく“正解”と言うものは無かったのだが。

 

 とはいえ、その正解の無い中でも数多ある選択のうち、二人が選んだのは最も“間違いポイントの大きな”選択肢の一つではあったのも、また事実であった。

 

 ビクリ、と肩をふるわせた二人。まるで関節の油が切れたかのように、ぎこちなく視線をドアに向けるとそこには。

 

「お帰りなさい、二人とも。さて、お話の時間ね?」

「ふふ、二人にはたっっっくさん、聞きたいことがありますからね?」

「準備ならすべて整っています。ですから……」

 

 顔だけを見るならとても綺麗で、尚且つ妖艶とも言えそうな艶やかな、しかしながら目が笑っていないどころか、そこからハイライトさえも夜逃げしたかのように怒りや、あるいは別の感情を湛えて濁り切った瞳の笑顔をした学園生活部の意思決定担当の三人(りーさん・めぐねえ・美紀)の姿と。

 

「「……(なんまんだぶなんまんだぶなんまいアーメン……)」」(ガタガタブルブル)

「ぅぅ、りーねぇとみきねぇがこわいの……」(ガクガク)

 

 部屋の隅で固まりがたがた震えて祈りをささげている、学園生活部のムードメーク担当三人(=ゆき・けい・るーちゃん)の姿と。

 

「「あ、あの、これは……」」

「「「お話はあと(よ)(ね)? ここ(に)、正座(。)(よ)(ね)」」」

 

 促された二人が進む先に用意された、足ふみ健康器を複数個使って作られた、固くて痛そうな座布団であった。

 

「「―――――ッッッ!!!」」

 

 ……なお、断末魔の叫びを上げた二人が解放されたのは、そこに正座をさせられてから大凡90分が経った頃であり。

 

 その上でお説教(OHANASHI)を受けた件の二人の表情は、とても生者のものには見えなくなっていたと言う。

 

 ……だがこれは、いくらサプライズだとは言え、他の部員たちに全く相談することなく行動に移してしまった二人の落ち度と言えよう。

 

 そして、その上でただこう言うのみ。――さもありなん、と。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

「うぅ、ひどい目にあった……」

 

 先の惨(喜)劇から数分程。お説教(OHANASHI)から開放され、ようやくその足の痛みや痺れが取れてきた頃。

 

 立たぬ足を何とか動かし、漸くと言った体で部室内のソファに腰を下ろすと、背もたれに体重を預けきりつつはふぅ、と零す。

 

「ま、全くですね……確かに、何も言わなかったのは悪いとは思うけどさぁ」

 

 ひどいよ、とその言葉に、これまた完全に力を抜いてコタツから応え、続ける理音。先ほどのお説教(OHANASHI)がさすがに堪えたのだろう、その声からもほぼほぼ力が抜けていた。

 

 そこに、哀れみを湛えつつも、若干呆れを混ぜた声が掛かる。

 

「アハハ……お疲れ。でも二人もちょっと、ねぇ?」

「だよねぇ。どこへ、とか何を、とか何も無く、ただ“ちょっと出かけてくるから”なんて言って出てっちゃうんだもん。怒るのもとーぜんだよね」

「……あやねぇ、くーねぇ。……じごうじとく?」

「「ぐはぁ」」

 

 幼いが故、摺れてないが故に放たれた悪意の無い一言が、的確に二人の心を抉る。

 

 それが致命的な一押しとなったのか、そのまま二人の身体から最後の力が抜けていき、そこから二人が立ち直るまで、数分を要したと言う。

 

「ぁぁ……と、ところで、ゆき達だけか? 三人は今何を?」

 

 先に立ち直ったのは意外にも、と言うか、或いは当然と言うべきか、胡桃の方だった。そして、当然のごとく、今ここにいない人物について問う。

 

「うん、りーねぇとめぐねえせんせーは、ふくろの中の……そばのみ? をもって、かていかしつまでいくんだって」

 

 その疑問に答えたのは、生活部最若年の少女。どうやら姉より、メッセンジャーの役目を受けていたようだった。

 

 次いで、反省したらすぐに来てほしい、との発言も、続けて今回の発起人と実行者(諸悪の根源)に伝える。

 

 その言葉に、一旦は首をかしげる一行だったが……

 

「……あ、そうか、殻をむかないといけないから」

「「「あ~」」」

 

 その中身を思い出した由紀の言葉に、三人の言葉が重なった。

 

「?」

 

 なお、メッセンジャーだった幼女はその後しばらく首をかしげていたと言う。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 その後は、まあ忙しない時間が過ぎて言った。

 

 しっかり反省しているかと、改めて念押しされた二人。ビクリ、と肩を震わせる様子に、今後は独断専行は慎むように、と慈からの有難い(ものの威厳のかけらも無い)お言葉を戴き、二人そろって改めて謝罪すると、それでこの話はおしまいだ、と言わんばかりに仕事を振られる。

 

 そして振られた二人は、せめてもの罪滅ぼしか、或いは先ほどの長話(OHANASHI)でこりたのか、積極的に、精力的に動いていく。

 

 ――倉庫から引っ張り出されてきたと思しき石臼で、もってきた実を引くこと数回。見事に粉となった実を三人とともにキッチンへと運ぶと、後は私達の仕事よ、と言わんばかりにその場から追い出される二人。

 

「ぁー……にしても、だ、アヤ?」

「はいー、なんでしょー……」

 

 ゴロゴロ、と、台車を使って倉庫代わりにしている教室に石臼などを運び込んだ帰り、徐に発された胡桃の言葉に、ふらふらしながらも返す理音。

 

 その様子に苦笑しつつ、胡桃は悪かったな、と話す。

 

「ぁー、いえ、私の所為でもありますし。と言うか、きっと私も同じことを言ってたと思うから」

 

 でも流石にキツかったですけどね、と言いながら、理音はその背をググ、と伸ばした。

 

 そしてそのまま軽い雑談をしながら、二人は改めて部室へと戻っていく。

 

「まあでも、これで今年のうちに遣り残したことは……まあまあありますけど、それでも出来るだけのことは出来ましたし」

 

 そもそも出来ること自体が減ったのだ、と言うのも半分、まだまだ出来ることはあるはずだ、と言うのも半分。故に“来年もがんばらないとですし”、とおちゃらけながら軽く力瘤を作る動作をする理音に、胡桃もそうだな、と微笑う。

 

 その表情は、若干複雑な感情が篭りながらも、それでも晴れやかだと言える、見る人(大体圭あたり)が見れば“オトナの女性”だと評しただろう、そんな表情だった。

 

 そんな、普段の姿からは想像できないような綺麗な笑みに。

 

「――!? せん、ぱい?」

 

 ――トクン、と。僅かに理音の胸が高鳴ったような気がしたのは、彼女自身の錯覚か。

 

「おーう、あたしだぞー。どうしたんだー?」

「――ぁっ、いえ、なんでも。ね。……(気のせい……ううん、そうじゃなくて、かな)」

 

 一ついえること。それは“あの日”から、季節が二つは移り変わった、と言うことだろう。即ち――多感な年頃に、その時間は決して短いとは言えない、ということだ。

 

「おうおうなんだよー、一緒に説法うけた仲じゃんかぁー」

「(クスッ)先輩、それじゃなんか違いますって。説法じゃお坊さんか神父さんが必要じゃないですか」

「おー? なんだなんだ細かい事言ってんなよぉ。先生かアヤは」

 

 ころころ、と。かわる話題に転がる笑い声。それは、部室の中に入る頃まで続いていたそうな――。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

「はい、お待たせ、みんな。お蕎麦が上がったわよー」

「「「「「「はーい(やったー)(おおー)(なのー)」」」」」」

「熱いので気をつけてくださいねー?」

 

 それから数時間。まもなく日付も――そして、年も移り変わろうかと言う頃。

 

 普段はすでに寝付いている事が多い一同も、この日は全員がしっかりと起きていた。――そう、年越しを起きて迎えるために。

 

「ソレにしても、何とかこの日を迎えられたわね。みなさん、本当にお疲れ様」

「んー、あったかぁい。そーだねー、ズズ、ほんふぉ……んく、ハフ、たいへんだった……ズルル、ハムハム……ん、からねーぁむ」

「もー。ゆき先輩、食べるか話すかどっちかにしてください。るーちゃんを見習って?」

「ん、んく、んく、ぁむ。……んー、おいひぃね、りーねぇ」

「そうね、るーちゃん。でも熱いから焦らないでね? お蕎麦は逃げないから。ゆきちゃんも」

「そうですよ? だいたいゆきちゃんは――」

 

 いつもなら、この時期には各家庭で行われていただろう団欒。それは、一時ではあれど、確かに“かつて”を思い起こさせる、暖かな一時。

 

「……ね、あやね?」

「ん、なーに、みき」

「あったかい、ね」

 

 そんな時間を、少しだけ距離が近いような、かわいい幼馴染と。

 

「そーだね、みき、あやね」

「とと、けい。――そうだね、あったかい」

 

 仲良くなって久しい、こちらもかわいい悪友(親友)と。

 

「―――」

「――、―――。―――――」

「――――? ―――――、――」

「――――――」

 

 そして、騒がしくも暖かな、先生や先輩達と。

 

 こんな事になって(世界が荒廃して)も、ともにすごせる事を理音はゆっくりと、しっかりと感謝する――

 

「――――? ……ぁ、鐘の音が聞こえるような」

「んあ? ゆき、聞き間違いじゃ――」

「ううん、お外から聞こえてくるの。ちいさいけど」

「あらあら、もうそんな時間。ゆきさんとるーちゃんが言っているのはきっとあのお寺ね。この間胡桃さんたちが――」

 

 気づけば、時計の針はどちらも真上を通り過ぎ、世界は時を跨いだことを示していた。

 

「――ね、あやね、けい」

「はーい、なーにー?」

「ん、みき、そうだね。けいも」

「おおう、あやねまで。どうしたって、そっか」

 

 それを見た美紀がテーブルに器を置いて、隣にいる幼馴染(理音)親友()に声をかけ。それに向き合う理音と、首を傾げたもののあ、と合点がいく圭。

 

 二人もそうだね、と器を置くと、ゆっくりとお互いに向き合って微笑み、そしてそのままコタツの向かい側/隣の辺にいる面々に、姿勢を正して向き直り、軽くみんな、と呼びかけて。

 

「「「あけまして、おめでとうございます。これからもよろしくお願いします」」」

 

 と。綺麗に揃った声で、三人からの新年の挨拶を行って。

 

「――お、おう、よろしくな! みんなも!」

「そーだったっ! みんな、よろしく!」

「ええ、よろしくね。ふふ、先に言われちゃったわ」

「はい、よろしくお願いします。でも無理はしないでね? 先生も心配ですから」

「よろしくおねがいします、なの。あやねぇ、みきねぇ、けーねぇ」

 

 そしてめいめい、新年の挨拶をしていくのだった。

 

 ――こんなこと(世界の荒廃)があったけれど、私達は元気です、と。

 

 小さいながらも、力強く拳を、気炎を上げていく一行だった――。

 

 ――そして。

 

「で、あたしは何時まで生地を練ったり茹でたりし続けてればいいんだろうな?」

「「「「「「「「あ゛。ご、ごめんなさい(です・なの・すみませんでした)っ!?」」」」」」」」

 

 ほとんど話に加わらなかったが為か、見事に面々(と作者自身)に存在を忘れられていた、ショートカットにメッシュを入れた、チョーカーをつけた少女――『柚村 貴依』の静かな怒りが、数分後、部室の中に響くのだった。……貴依、正直スマンかった……。




 はい、書くだけ書いていたものの、全く間に合わなかった年越し話でした。取り合えず、私の仕事始めはまだなので正月だ、と言う強弁をしてのネタ出しでした。今年はこの娘達全員(残り一人)+αが出せるように書ききっていきたいところです。

 あと本当に最後近くになるまで、チョーカーさんの存在をトばしていたもよう。あのさあ……。

 ま、まあ何はともあれ年が明けてしまいましたが、皆様今年も、どうか拙作をよろしくお願いします。

 昨年は結局“生きてるだけで、それでいい”と言う、ある意味Kちゃんに真っ向から喧嘩を売るような年となってしまいました。いろいろと被害が大きかった年にもですね。

 願わくば今年こそ、明るい話題にあふれる一年となってほしいものですね、と言う祈りとともに、今回は失礼させていただきます。

 尚、今回の閑話は、正式な4話が書け次第頭の方に持っていく予定ですのでご理解頂けると幸いです(小声)。

 それでは結局正月休みの間、ほとんど何もできなかったので失踪します。


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本編~ほんどうぐらし!~
はじまりのまえ


 先駆者兄貴たちの作品に感銘を受けて、自分でも書いてみたいと思ってしまったので初投稿です。


 はい、よーいスタート。

 

 ぞんぞんびよりな世界で、ぞんぞんから原作キャラを守護らねばならぬ……! なRTAはーじまーるよー。

 

 さて、今回プレイしていくのは、いまだにいろいろな隠し要素や仕様が見つかって、実況者や走者ニキネキ達を阿鼻叫喚のズンドコに叩き込んでいる、しかしその多様性ゆえに走者や実況者に大人気、かつ未だに有志wikiが大絶賛更新中の『がっこうぐらし!』を、とあるMODを導入して行っていきます。

 

 今回のRTAを走るにあたり、先駆者兄貴たちの投稿をテープが擦り切れるまで見て、じっくりと研究してきたのできっと大丈夫でしょう(慢心)

 なお、今回使う予定のMODを入れたRTAはまだありませんでしたので、レギュレーションの整備を含めても世界一位の記録になります。馬鹿野郎お前、俺は走るぞお前!(馬中の赤兎)

 

 さて、今回導入するMODはこちら。女神転生TRPGシリーズより、一部スキルを取得・使用できるようになる、“Megatenist No Faith”です。

 

 使用できるようになるスキルは、一部を除いた“情報系にカテゴライズされているor情報スキルとしても使用できるスキルや神威”となります。間違いなどではなく、取得可能スキルには一部の神威を含みます。なお、パンデミックに伴い、一部神威の出所さんっ!? は壊滅しているもよう。かなしいなぁ。

 

 ちなみにこのMODですが、導入しても導入の時点では特に変更される場所はありません。変更されるのは、ほんへ開始の直前となりますが、詳しくはそこに差し掛かったときに解説いたします。

 

 さて、ではそれはさておき進めていきましょう。まずは今回のプレイですが、先駆者兄貴たちの走りであるアサルト兄貴も走っていた、通称『そつぎょう』√を予定しています。

 というのも、このMODを入れたモノが無い以上、とにもかくにも前例を作ることが大事だと考えたからです。そのためには、奇抜さや斬新さよりも安定が求められるというもの。……えぇ、決して“このMODを使った先駆者がいないため、どんなにガバっても実質WRだから”では無いです。これだけははっきりと真実を伝えたかった。

 

 さて、そんなことはさておき、早速はじめていきましょう。今回は先駆者兄貴たちに則り、クリエイトを終えて“はじまり”を押したところからタイマースタート、エンディングで“つづく”が表示されると同時にタイマーストップとします。

 

 といいながら作成に入っていますね。今回は幼馴染システムも導入しつつ行っていきますので、クリエイトで名前欄には忘れずに(幼馴染)と入力しましょうね(3敗)。で……と、出ました。『沢代 理音』(さわしろ あやね)ちゃんですね。略称は真ん中をとって代理ちゃん、とでもしておきましょう。

 作成時に初期所持スキルとステータスが確認できるので、軽く確認しておきましょう。えと、能力はそこそこ優秀ですね。体力と筋力が高めで、知力も平均点以上、持久力は平均的でちょっと直感が低めな感じですか。

 スキルは“活発”“ムードメーカー”“料理(lv.1)”“忍耐”“話し上手”“ロジカル思考(偽)”って、(偽)ってなんやねん。りーさんの見せ掛け冷静(クール)の親戚か何かでしょうか? しかもこれ……“PTSD(飛び出し)”? なんやこのBS? ……んまあ、たぶんこれから先に飛ばせないムービーもあるので、そのときにwikiで確認するとします。

 では改めて、“はじまり”を押して、タイマースタート。

 

 さて、このゲームでは、開始が“一週間前”“前日”“当日”の中から、それぞれ3・3・4割の確率のランダムで選ばれるのですが、今回の時間は……

 

 『Few days Before...』

 

  や っ た ぜ 。

 

 この表記があるということは一週間前スタートですので、RTA的には若干ゃロスとなりますが、それを補い有り余るリターンがあります。

 そもそもこのゲームだと、当日開始以外だと、一日分だけ自由行動できるターンがもらえます。つまりは、原作開始前の出来事に介入できる、ということに他なりません。で、一週間前になると、とある人物を救うことができる――すなわち、るーちゃんを登場させることができる、ということ。

 

 ついでに説明しておきますと、原作におけるるーちゃんは、交通事故に遭って原作前の時点ですでに帰らぬ人となっており、後々のりーさんの“ゆきちゃん化”のトリガーの一つ…というより、りーさん発狂時の精神的逃避先になっています。ですが、実は原作では“いつ死んだか”は明記されていませんでした。

 そのためこのゲームではそれが、X-DAYの一週間前に設定されています。

 

 で、これを防ぐには、りーさんかるーちゃんの幼馴染になって、回想という形で割り込むか、原作で“不運(ハードラック)(ダンス)っちまった”運転手になるか、この一週間前開始のパターンを引く必要があります。

 

 この中で運転手√は、原作開始時に、どこからスタートするかわかりません。最悪の場合、首都圏の路上で前後左右を車に囲まれた状態からスタートし、そのままかれら化由来の事故に巻き込まれるか、逃げ場の無い状態でかれらに囲まれてなすすべなく……、といった状況も稀によく(凡そ81.0%:有志wiki調べ)発生してしまうため(34敗)、今回は見送ります。ほんと、初手詰んでる状態が八割超とかやめてくれよ……。

 

 次に幼馴染ですが、こちらはりーさん一択です。るーちゃんだとほぼ小学生、かつ鞣河小学校スタートとかいうに難易度Lunaticを通り越したナニカになりますし、そうでなくとも良くて中学生となってしまうため、篭城施設が整っているとはいえない一般中学校での生活は、こちらも難易度がかなりヤバいですね! なのでリセットになります(無慈悲)。

 

 なので、今回はりーさん幼馴染での介入か、一週間前開始を狙っていたのですが、無事一週間前を一発ツモできたようです。イイゾ~コレ。

 まあ、欲を言えば、りーさん幼馴染スタートだと正気度や好感度の調整がしやすいのですが(小声)、ここで豪運を発揮しなかった、幸運量保存の法則を使わずにすんだと思っておいてやりましょう。おう感謝しろよ(謎の上から目線)。

 といいながら、もしかしたらこの後に登場する幼馴染がりーさんである可能性もあるのですが、それはそれで。まあ若干ゃ損した気分になれますが、一応チャートにはさほど影響ないのでそのまま続行します。

 

 それはともかく、ではその喜びもそこそこに進めていきましょう。とはいえ、幼馴染の娘が来るまで少々時間があるので、先に個人情報を確認しておきます。

 ……どうやら二年生のようですね。で、現在は部活などへは所属していないようです。身体能力自体は、先ほどの確認通りかなり高い水準になっているので、おそらく何かしらの運動を行っている、或いは行っていたのではないかと思うのですが……。

 

「ごめんね、待たせた?」

 

 ファッ!? この後輩みがつよい声はみーくん! ガーターがセクシー…エロいっ! みーくんじゃないかっ! どうしてここにっ!?

 

「どうしてって……もともとあやねから誘ってきたんじゃん」

 

「そうだよ、ちょっと買い物の手が足りないからってさ」

 

 Kちゃんまでいる……えぇ、実は私、ちょっとこの時点でなきそうになっています。このプレイでは絶対にタヒらせないからなぁ(ケツイ)

 

 まあなにはともあれ、このまま立ち話も(ロスになるし)なんなので、そのまま道を進んでいきましょう。歩きながらでも話はできるのでね。

 さて、今回はどうやらみーくんが幼馴染だったようです。その関係で、みーくんの親友であるKちゃんとも仲がいい、と。だとしたら、偽ロジカルはみーくん経由のスキルだと思われます。

 

 ……これはワンチャンあるのでは? 上手く当日を動かせれば、二人を連れて初日に生活部の面々と合流できるかもしれません。

 というのも、X-DAY当日のみーくんとKちゃんは、授業が終わった後にショッピングモールへと寄り道して、そこでの買い物中に騒動に巻き込まれる形となる……のは、原作や界隈のRTA作品を履修されている皆様にとっては、すでに周知の事と思います。

 

 ではここに、プレイヤーが介入できればどうでしょうか。教師の手伝いの手伝いをお願いしたり、あるいは何かしらの用事があるから、といった理由はいくらでもつけられます。そもそも話し上手・活発・ムードメーカーのスキルをもっているので、流石に専用技能の“言いくるめ”ほどの効率ではないですが、好感度が“嫌悪”以下でなければ、簡単なお願い事位なら聞いてもらいやすい、というマスクデータもあったりします、ってwikiにかいてありました。

 例を出すなら、皆様の学校にも、ほぼ常にクラスの中心にいるような、所謂陽キャなムードメーカーみたいなのの一人や二人はいたんじゃないかと思いますが、おそらくこの子もそれに似た類の立ち位置だ、と思っておけばおおむね間違いは無いでしょう。

 検証してくれた検証班ニキたちありがとーフラッシュ!

 

「というか、何白昼堂々妄言吐いてるの」

 

「うんうん、そー言うのは事実でも、口に出さないほうがいいよ? えっちなのは同意だけど」

 

「ちょっと、圭まで! もー!」

 

 と、そうこうしている内に、いつもの百合夫婦漫才が始まっていますね。ああ~。

 

「そこ、諸悪の根源! 生暖かい顔はやめてよ!」

 

 と百合を愛でていたら、なにやらこちらにも飛んできていますね。私はただ百合の花を見守っていただけなのに。でも、顔を真っ赤にしながら涙目で背中をぽこぽこたたいてくるみーくん可愛い…可愛くない?

 

 >ごめんごめん、と背中をたたく可愛い幼馴染の“直樹 美紀”に向き直って謝りつつ宥めている中、煽るようなことを言ってくれた、親しい友人の“祠堂 圭”に視線で講義しようとしたとき。圭に向けようとした視界の隅に、なにやら飛んでくる物体を捉えた。それと同時に、小さな人影の姿も。

 >このままだとこちらにぶつかってしまいそうだ。だが、自分たちがその子を避けたとして、確かこの先はそこそこ車が来る道だったはず……

 

 Select!

 

ニア 飛んでくるものをキャッチする

× 美紀を引き寄せて道を明ける

 

 おっと、ここでTLC(Time Limited Choise)(時限式選択肢)ですか。とはいえこれはほんへでの某登場人物の好感度の関係上実質上一拓です。まあ、りーさんのことなんですけどね、初見さん。

 というか、そもそも下が選べなくなっているのはなぜでしょうか?

 

 >半ば反射的に、飛んでくる物体の方に“一歩踏み出して”手を伸ばす。自分の急な動きに何事か、と美紀と圭が訝しげに伸ばした手に視線を向けると同時、伸ばした手の中に飛んできたものがすっぽりと収まった。

 >と同時。“わぷ”という声と共に、トン、という軽い衝撃が右腰に。“無意識下での行動だった”けれど、その小さな衝撃があなたの心に安堵を運んでくれたように感じた。そのままの流れで、物体―どうやら帽子か何かか―を持ったまま、ぶつかってきた小さな人影の細い腕に手を回し、支える。

 

 と、ここでついでにぶつかってきた謎のょぅι゛ょを捕まえます。というかモノローグさんがすでに捕まえていますが。ちなみにもしこの場面で、捕まえられ得る状態なのに捕まえとかないと、ほんへ開始後、園芸部の恵体さんの好感度が、なぜだかメガトンコインしてしまうことが時々あるようです。イッタイナゼナンダロウナー(棒)

 

 とはいえ、ここではそんなにがっちりとカバディしなくてもいいです。最低限、赤信号や車の前に飛び出さない程度に留められば問題ありません。なので、このょぅι゛ょと帽子が、赤信号を飛び出さないように引き止めた程度でその手を離しまs……

 

 …… あ れ ?  な ん で は な さ な い の ?

 

 >確りと掴まえた、掴むことができたその小さな手。それを握ったわたしの手は、その子にとってはちょっと強かったかもしれない。

 >――けれど。けれどもし、ここでこの手を掴まずに、いや、掴めずに逃してしまったら。そうしたら、もしかしたらそのまま車道に弾いてしまうかもしれない。そう思うと。“もしこの子が私のせいで交通事故に遭ってしまったら”と。そう思うと、どうしても力が入ってしまうのだ。――もう、あんなのは厭だから。

 

 あ、さっきのBSこれかぁ。きっと代理ちゃん、過去に飛び出し関係で、何らかの悲劇に見舞われていたんでしょう。だから、手を離してくれなかったんですね。(微ガトン構文)

 

 ……ま、まあここでわかってよかった、ということにしておきます。これはちょっとしたロスかもしれませんが、このあとミスしなければそこまでのロスにはならないので続行しましょう。

 

「ぁぅ、痛ぃぃ」

 

「……って、ちょっとあやね!」

 

「力弛めて! 手ぇ絞まってる!」

 

 >糾弾するような幼馴染達の声。それにハ、として、知らず強くホールドしてしまっていた手を慌てて弛める。そのまましゃがみながら、その小さな人影に―少女に視線を合わせた。

 >強く握ってしまい、痕がついてしまった腕を軽く撫でつつ、今にも泣き出しそうな少女の瞳を覗き込み、そのまま

 

  “ごめんね”と謝り、そのまま立ち上がる。

ニア “ごめんなさい、痛くしちゃって”と謝りながら頭を撫でる。

   軽く抱きしめながら“痛かった? ごめんなさいね。でも前を見ましょ?”と軽くたしなめる。

 

 ここは…たぶん真ん中でいいでしょう。で、その後来るはずのりーさんに、全力全開の後方伸身宙返り4回ひねり土下座(未遂)を披露して謝ることにしましょうか。と、それはさておき。

 

 >何も無くてよかった、と思わず強く握ってしまった腕を撫でながら、誠心誠意をこめて少女に謝罪する。

 >その後、軽く体を支えてたたせると、掴んでいた帽子を少女に返却し、全身を確認しながら、他に怪我は無かったか、怪我はないかと尋ねていると。

 

「るーちゃんっ!」

 

 >少女の後方から、少女の家族だろう―あなた達にはよく見知った服を着た―女生徒が駆け寄ってくるのが見えた。

 

「りーねぇ!」

 

「るーちゃん! だめでしょ、急に走ったりしたらっ!」

 

 >女生徒の声に反応し振り返る少女。女生徒は少女に駆け寄ると、叱責の声とは裏腹に、少女を優しく抱きしめる。

 >抱きしめられた少女も、女生徒しがみつくように抱きつくが先か、声をあげて泣き出した。

 >何事か、とばかりに集まる周囲の視線も気にすることなく、しばらくそのまま抱き合う二人だったが。ふと女生徒の視線がこちらに流れる。その視線は圭、美紀と辿り、最後に自分と目が会うと、我に返ったように“あっ…”と小さく声をだした。その顔は耳までほんのり赤くなっている。

 

「ぇ…と、その、妹がごめんなさい! 怪我とかありませんでした?」

 

ニア いえ、こちらは大丈夫です。あと妹さんの腕を…こちらこそ申し訳ありません。

  大丈夫ですけど、気をつけてくださいよ? 何かあったら…あってから、では遅いんですから…

  痛いですね……これは痛い。オウゴルァ免許持ってんのかオルルァン!?

 

 この顔を赤らめたりーさんの破壊力よ(ノンケ)。涙目みーくんの可愛さに匹敵しますねクォレハ。

 それはともかくとして、選択肢は一番上ですね。というか一番下くっそ汚い黒塗り高級893は流石にNG。(りーさんの印象)こわれちゃーう! なおなにげに真ん中の選択肢が辛辣な件。

 

 >自身もとっさに少女の腕を強めに掴んでしまったことを女生徒に詫びる。もし怪我をさせてたら、というと、女生徒も“自分がうっかり妹から目を離してしまったから”と頭を下げてくる。

 >自分が、いやいや自分の方が。どれだけ互いにそうしていただろうか。それを止めたのは。

 

「あーもー、いつまでうだうだコントみたいに続けてるのさ、あやねも、そっちの人も!」

 

 >痺れを切らしたのだろう、隣にいた自分の親友の圭の割り込みだった。

 >へ? と間の抜けたような声を口から出しながらそちらを向くと、呆れたような顔をしていたのは圭だけではなかった。というか、女生徒の手を握っている少女は暇そうに欠伸なんかしているし、美紀に至ってはジト目でこちらを見ている。あ、目が合った瞬間ため息つかれた。なんでさ。

 

 >とはいえ、圭の割り込みで緩んだ空気の中で、改めて女生徒と視線を合わせたとき。なんだか急に可笑しく感じて、思わず吹き出した声が、女生徒のそれとぴったりと重なって。

 >それから先はもうお互いに堪えることができなくなって、そのまま揃って大笑いになってしまった。

 >周りの目も気にすることなくそのまま数分程度。いつの間にやら、美紀達や少女も混ざり、みんなでしきりに大笑いした後。落ち着いたみんなで、軽く互いに自己紹介。

 

「改めて、さっきはごめんなさい。私は若狭 悠里。巡ヶ丘学園の三年で、園芸部に所属しているわ。こっちは妹のるーちゃん、じゃない、瑠璃よ」

「わかさるり、です。その、さっきはごめんなさいっ!」

「ううん、こっちこそうちの運動馬鹿がごめんなさい、痛かったでしょ? あ、わたしは祠堂 圭。で、こっちのショートカットの娘が美紀で」

「直樹 美紀です。よろしくお願いします、先輩」

「こっちのゴリラがってちょ痛い痛い揺れる揺れる揺れてるってあやねごめ、ごめんごめんってばぁ!」

 

 >圭の紹介にあわせて頭を下げる美紀。そのまま流れるように自分の紹介になったのだが…圭よ、ちょっと待て。先輩の前ではあるが、思わず圭の肩を両手でがっしりと掴む。言うに事欠いてゴリラとは何だ、ゴリラとは。

 >ゴリラ呼ばわりで傷ついた乙女の尊厳の腹いせに、ひとしきり圭の肩をゆすって頭をシェイクしながら、ふと先輩のほうを向くと。

 

 なーんで代理ちゃんがゴリラなんですかねぇ? 仮に代理ちゃんがゴリラだとしたら、それ以上のクルミ・クルミはどうなってしまうのでしょうか? 私、気になります(暴言)。

 

「ふふ、祠堂さんと直樹さんに、あやね…さん? ね。祠堂さんとあやねさんは仲が良いのね」

「おねーさんたち、なかよしさん?」

 

 >軽く口に手を当てて面白そうに笑う先輩と、よくわかっていないのか首をかしげている瑠璃ちゃん。我に返るとかなり恥ずかしくなってくる。きっと今の自分は顔がさっきの先輩よりも遥かに真っ赤になっているだろう。

 >恥ずかしさにうつむきながらも、かろうじて出せた声で“沢代 理音です…”と名前を告げる。ぅぅ、“穴があったら突き入れたい”とはこのことか」

 

「あやね、それを言うなら“穴があったら入りたい”だよ?」

 

 >美紀、うるさい。そこは引っかからなくていいから。

 

 っと、長かった自己紹介タイムもようやく終わったようですね。まさか百合の花咲き乱れるいちゃいちゃぱらだいすが広がるとは、この海のリハクの目をもってしても見抜けなんだ…(節穴定期)。遅延するほどの濃厚な百合劇場はヤメロォ!(建前) ナイスゥ!(本音)

 

 …と、このまま百合の桃源郷を見続けたい気もしますが、それはロスなので巻いていきましょう。マイテマイテマイテセニョリータ…

 

「あ、そういえば」

 

「あちゃー……ごめんなさい先輩、私たちそろそろ」

 

「あ、ごめんなさい、引き止めちゃってたわね。それと改めてありがとう。妹を助けてくれて」

 

「おねーさん、ありがとーございました!」

 

 >言葉の額面も半分、ちょっとした照れ隠しも半分。親友二人を促し、挨拶を交わして先輩と別れる。

 >今日はちょっとしたイベントもあったけれど、それでも必要な買い物ではあるのだ、向かわないなんて選択肢はない。

 >話を切り上げながら軽く手を振ると、付き合ってくれている親友達に感謝を伝えつつ、ショッピングモールへと足を向けた。

 

 はい、というわけでどんどん進めていきましょう。とはいえ、流石に一週間も前となると、どんなに用意したところで殆ど意味がありませんし、なんならそれが上手くいったとしても、今度はそれで不和を引き起こしかねません(6敗)。時間はあるのに、カナシイナァ……。

 

 というわけで、ここでは何も準備はできないので……甥の木村、加速します(3.64倍)

 

 はい、昼間から加速して夜になりました。代理ちゃんも自宅に戻っています。ああもちろん二人とは、買い物デートを終えた、ゲーム内でちょうど日が沈んだあたりで別れています。

 

 で、ここで等速に戻したのは、冒頭でお話しましたことに絡んでいます。そう、MODによる介入点です。

 

 というのも、開始時点が三つあるというのはお話したとおりですが、そのうちアウトブレイクの一週間前か、前日に行動タイミングがあるパターンだと、その日の夜にこうやってイベントが入ります。

 イベントそのものはいたってシンプルに、自キャラのパソコンないしスマホに、メガテニストの皆様にはお馴染み、親の顔よりも見たかもしてない(もっと親とコミュれ定期)、“STEVEN”を名乗る謎の危険人物からメールが来るんですね。

 

 で、そのメールを開くか否かの選択があるわけですが、そこで開かなければシュレディンガーの猫、というわけで通常のストーリーモードになります。

 今回はMOD前提なので開かない理由はありません。当たり前だよなぁ!?

 

 >家に戻り、夜の準備の傍ら―というかむしろそっちが半ば主目的になっているのだが―いつものように友人たちとアプリ上でのやりとりを行い、そろそろ寝ようかとしているとき、あなたのスマホからメールの着信を告げる音が聞こえた。

 >友人からだろうか? そう思ったあなたは着信を確認する……が、そこに表示されていたアドレスは友人のものではなかった。

 >というか。何で自分のアドレスから届いているのだろう? 自分は送った覚えはないのだが……。

 >不審に思いつつも、なぜかそのまま削除してはいけないような感覚があなたを包む……。

 

 うーん、メガテンほんへでも思っていたんですが、知らなかったりありえなかったり…、なアドレスから届くメールとか怖くてあけられないってそれ一。界隈の主人公連中ってヤツは、クソ度胸が凄いのか考えのかの字もないのか……むむむ。

 まあ軽子坂のラッキー系ヒーローはきっと何も考えていないと思いますが(マガオー)

 

 それはおいといて、選択肢が出ているので“開ける”を選択します。するとよくわからない、けれどメガテニストニキ達には親しみのありそうな、アルファベットと数式の交じり合った文字列、もといDDSのプログラム式が画面上をザーっと流れまして、DDSルートのフラグが立ちます。

 

 ちょうど画面の中で、代理ちゃんの瞳に反射した数式の羅列が高速で流れていっていますね。で、それが終わると自動的に“コンピュータ操作”のスキルが開放され、自動的に習得されます。

 それと同時に、なぜか操作キャラのスマホやパソコンのバッテリー消費や電波の問題がなくなります。いったい何グネタイトの影響なんでしょうかねぇ?(すっとぼけ) というかまじでバッテリーとのマグネタイトのやり取りはどこでやっているんでしょうか?

 

 それはさておき、このMODではここでようやく、スキル全般の取得や操作が解禁になります…と解説している途中ですが、このMODでは、ここでスキップ不可のチュートリアルイベントが開始されます。

 なおそのイベント中は、スキルを弄ることができないので、実質このイベント終了からスキルを割り振ることになります。(スキルのお預けは)もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

 >どれくらい経ったのか。いきなり感じた、ナニカを浴びせられるような感覚をようやく通り過ぎた、と自身で意識できるようになったあなた。

 >何があったのか。あるいは何もなく、ただ寝ぼけていたのだろうか? 自身を包む軽い脱力感と、先ほどの奇妙な感覚に、よもや夜に見る白昼夢とは、いやまて、夢とは疲れを伴うモノだったか? などと取り留めのなく流れる思考をそこで打ち切り、改めて夢の世界に飛び込まん、と布団の中に潜り込んだあなただったが、不意にある思考が頭をよぎる――

 

ニア スマホ、見とこうかな…

  ノートパソコン、見とく…?

  新しいタブレット、買ったんだっけ…

 

 はい、ここでの選択が、今後のコンピュータ操作に関わってきます。具体的には、ここで選択したものが、この子のメインガジェットになってきます。大きいものを選ぶと、急を要する場面では使えないので、ここは携帯性を優先します。流石に迫りくる“かれら”の前で、悠長にPCなんぞ取り出そうとしていると噛まれます(7敗)。そら(緊急時にわざわざ動きとめて余計な動作をしようとすれば)そう(簡単に噛まれてかれらの仲間入りもする)よ。

 

 というわけで、今回は取り出しやすさを加味して一番上のスマホを選びましょう。ちなみにスマホを選ぶと、自動的にモバイルバッテリーと、なぜかソーラー式充電器もセットでついてきます。タブレットも同様ですが、大きさは大きくなり易くなっているようですので、ひどい乱数を引くとノートPCを選んだのと大差ないものが出てきます。ノートPCだと、ソーラー式充電器だけになる代わりに、そちらに電源機能がついた上でソーラーパネルの性能と大きさがかなり大きくなるのですが、流石に重い、重すぎるっ!(銘菓饅頭) ので、こちらは罠です。まあそれでもなぜか、パンデミック当日にはソーラー充電対応UPSとも言うべきソレを、パソコンとともに学校へもってきているのですが。なんでさ。

 

 >なんとなく。本当に何の気なしにふと思い立ち、先ほどスリープしたばかりのスマホに光を入れた。

 >画面は先ほどのチャットアプリではなく、ホーム画面に戻っていた。閉じた記憶はないのだが、アプリが何かしらで自動アップデートでもしたのだろう、と思いながら、ソレとは別に感じる違和感。

 >その直感でホーム画面をよく見てみると、見慣れないアプリの姿があった。と同時、先ほどの奇妙な感覚が気のせいではない、と思えてくるのだから不思議なもの。

 >とはいえ、すでに時計は天頂を過ぎている。これ以上おきていると学校にも差し障るだろうし、詳細は起きた後の自分に任せよう――

 >そう思い(丸投げし)ながら瞳の蓋を下ろしたあなた。すると、その意識は間を置くことなく、夢の世界への階段を駆け下り始めた。

 >その最中。あなたはなぜか、意識の端で“そのアプリを消そう”という選択肢がないことに気付いたような気がしたものの、ソレはやがて意識の潜航とともに無意識の海へと流れ出していった……。

 

 はい、この暗転があけてから、今度こそ本当にスキルを振ることができるようになります、といったところで今回はここまで。次回もよろしくお願いします。

 

//////////

 

 今にして思えば、おそらく。あの日あの時が、私、若狭 悠里にとっての最大の分岐点となったのだろう、と思う。もしあのときに彼女がいなければ、きっとこの手に繋がれている温もりを二度と感じられなかったに違いない――と。

 

 そんなことを思いながら、私はいつものように妹、瑠璃(るーちゃん)と通学路を一緒に歩いていく。

 

 あの時はあんな感じになってしまったけれど、いつか改めて御礼ができるといいな…と。なんとなく私たちの恩人に対して思いながら。そして――

 

「ねえ、りーねぇ?」

 

「なぁに、るーちゃん?」

 

 小学校との分かれ道。そこに着くくらいの時、繋がれた手の先からかけられる声。彼女のおかげで喪わずに済んだ、掛け替えの無い大切な家族(いもうと)の声に顔を向ける。

 

「…りーねぇの学校、いってもいい?」

「―どうして、って聞かなくてもいいわね。ええ、大丈夫よ」

「うん、ありがとー、りーねぇ」

 

 ――そして、それは私だけではなく、るーちゃんも同じなのだ、と改めて思いながら。

 

「ふふ、じゃあ畑のお野菜を一緒に採ってみましょ? それと、ね?」

「うん、あのおねぇさんたちもいっしょに!」

 

 ニコッ、と屈託無く笑う妹に、けれど、とひとつ釘を刺す。

 

「もう飛び出したりしちゃ駄目よ? ちゃんと」

「まえをみて、きゅうにはしらない、だよね! わかってるよっ!」

 

 じゃーね、りーねぇ、いってきまーすっ!

 そういって小学校へと向かう妹に、気をつけるように伝えつつ少しだけ見送ると、私も踵を返し学園へと歩き出す。――あのときに救われたことのお礼を改めて。そう思い、あのあと連絡先を交換した三人宛にメッセージを流し、具体的にはどうしようか、なんて考えながら。

 

 あの時はそのままになっちゃたけれど。でも、あの時のことは私たちの中できちんと息づいている。だから―

 

『きっと還すわ、たとえ一生かけてでも。ねぇ』

 

 ――あの子の、私の。私たちの恩人さん?

 

//////////

 

 かくして時は流れていく。幼い少女についた疵にも同様に。しかし疵は消えても、その想いは薄れず続く。

 

 やがてそれは。本来の流れには居なかった少女()行動(羽ばたき)は、あったはずの悲劇を散らし、しかして二人の少女に刻まれる。

 

 その刻まれた思いが、蝶の羽ばたきが、やがて大きな流れと姿を変えていく。だがそれを、救った少女も、救われた少女も知る由は無い――少なくとも、今はまだ。




 初めて書いて疲労困憊となってしまったので失踪します。

 とか言いつつ、りーさんの名前の漢字を間違えてたとか言う特大のガバがあったゾ…


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はじまりのあさ

 調子に乗って続いてしまったので初投稿です。


 壊れた世界の中で少女たちが必死に生き抜くニトロ時空なRTA、もうはじまってる!

 

 さて、MODの導入パート後の暗転明けから再開です。

 

『On the Day...』

 

 ということで、暗転が明けると作中時間が一気に進んでX-Day当日。この日はまず、朝起きてから学校に向かう途中までか、一定の時間が経つまで自由行動ができるのです…が、どれだけの時間が使えるかはランダム要素を挟みます。あのさぁ……。

 

 とはいえ代理ちゃんの生活パターンは、経歴その他から見るにかなりの優良児のようなので、十中八九早起きさんでしょう。では進めていきます。

 

 >鳥の囀りで目が覚めた。いつものように欠伸をかみ殺しつつ窓を開け、大きく息を吸い込み伸びをする。

 >吸い込んだ空気にはまだ若干夜の匂いが居残っているが、もう数分と経たず朝日に溶かされていくのだろう。そんな、ちょっとだけの夜を感じられる空気があなたは好きだった。

 >吸い込んだ息を吐きながら空を仰ぐと、視界いっぱい…とはいかないものの大きく広がる払暁の蒼。

 >部屋に入ってくるさわやかな風も、あなたの気分をどことなく高揚させる。――うん、今日もきっと、いい日になる。根拠はないが、なんとなくそう思えた。

 

 はい、無事行動時間を確保できました。やったぜ。

 

 とはいえいい日になると思っている代理ちゃんには悪いですが、今日はこの数時間後には地獄を見る(婉曲)ことになります。私は悲しい(ポロロ~ン)

 

 そんな朝の動きもそこそこに、食事を済ませて身だしなみを整えたら晴れて操作可能になりますので、それまでは少々倍速のお時間です。

 ご飯を食べて、制服を手にバスルームに入ったら謎の暗転。え? お着替えシーン? そんなものはない(無慈悲KNU大明神)。

 

 と言いつつ、どうしても見たい、と思っているノンケの皆様は、右側に完走後にR版からロードして回収したシーンを垂れ流しておくので、そちらをご覧ください。

 

 で、暗転が明けて制服に身を包んだ代理ちゃんがかばんを持ったら操作可能になるので倍速解除、ですがあまり時間もないので、メニューを開くよりもまずは行動優先。(スキル振りは)キャンセルだ。

 というわけで、早速その足で机を調べます。そこには最低限のクラフトツールにもなるはさみと、運がよければドライバーなどが入っているので入手しておきます。

 

 >机の中には小さなはさみとつめきりが入っている。とりますか?

 

ニア はい

いいえ

 

 はい、ありました。大きいものではないので耐久力は低く、対かれら戦では緊急回避以外にしか使えませんが、貴重な物資になるのでとっておきましょう。あと爪切りがありましたのでこちらも持って行きます。

 爪切りは一部クラフトに使えるほか、数日置きに使うことで若干ゃ正気度が回復します。なお時間を置かなかったり、無痛症系の特徴を引いているとダメージを追うことがあります。深爪は痛いからね、しょうがないね(レ)

 

 >“はさみ”と“つめきり”を手に入れた。あなたはそれを鞄に入れた。

 

 さて、どうやらここはこれで打ち止めのようですね。チッ、シケテヤガルナ……とと、気を取り直してキッチンへ向かい、戸棚を調べます。

 

 >戸棚の中をのぞくと、買っておいたチョコレートと羊羹のパッケージが目に入る。一応持っていこうか…?

 

ニア はい

いいえ

 

 はい、このお菓子なら当たりと言えるでしょう。もちろん鞄の中に入れます。

 

 >チョコレートと羊羹を手に入れた。あなたはそれをビニール袋に入れて鞄の中に入れた。

 

 これから先も少しだけ家捜しタイムを続けるので倍速。結局家の中からは、先程のものの他、追加でふりかけ(ワカメ)とのど飴、後は変り種、というか初期としてはレアアイテムな、タブレット端末とタブレット用キーボードが見つかりましたので持っていきます。こんなところで業運を使わなくていいから(呆れ)。

 

 ちなみにこのタブレット、非戦闘時に使用することで正気度やストレス値をランダムで下げてくれる効果があるそうです。

 ただ時々勝手に使われることも。まあ、使った人だけじゃ無く、一緒に見てた人にも効果があるようなので良いんですが。

 

 >さて、そろそろいい時間か。窓を閉めつつ、大体いつもならそろそろかな、と丁度思ったとき、玄関のチャイムが来客を告げる。

 

 はい、そうこうしている間にタイムリミットみたいですね。ここからは放課後までオート進行になります。やっぱりスキルをとるまでの時間はありませんでしたね。仕方ないので放課後にスキルを振ることにしましょう。

 

 >はいはい、と靴を履きながらドアを開けると、そこにはいつもどおり、親の顔より見た可愛い幼馴染の姿。

 

「おはよう、あやね」

 

 実況の地の分が汚い(-114514点)。

 もっと親の顔を見ろ定期(-893点)。

 ふにゃりと微笑うみーくんの可愛さ(+1919810点)

 

 まあとはいえ、もっと親の顔を見ようにも、最初に確認したときの情報や朝の描写から、どうやら代理ちゃんは一人暮らしのようですので、致し方ない部分はあるのかもしれません。それはそうと、代理ちゃん前回に続いてしれっと可愛いとかいってますよコイツ。やっぱ好きなんすねぇ。

 

 >軽く手を上げて挨拶をする幼馴染に、あなたは同じく手を上げつつおはよ、と返すと、ドアの鍵をかけて学園へと歩き出す。

 >そして学園へ向かう傍ら、いつもの通り美紀と他愛もないお喋りに興じる。日々の授業のこと、新しく買った/借りた本のこと、バラエティやニュースの事など。

 >そしてある程度まで進んだところの交差点で、これもまたいつもどおり、会話をしつつ道の端に立ち止まる、前に。

 

「おっはよー、お二人さん! おおう、今日も一段とラヴいねらぶらぶだnいったーーーいっ!?」

 

 >飛んできた不埒な言葉の発生源()の頭頂に拳骨を落とし、そのまま流れるように落とした拳を米神に滑らせ、同時に逆の手をしっかりと握り締めつつその反対に添え――両の拳で頭をサンド、徐々に力を入れていく。俗に言うウメボシである。

 

「いや、いだ、いだだだ、痛い痛い痛い離してごめんってー!」

 

 >痛みに悶えながらも挟んだ拳を剥がそうとするお調子者(親友)の米神を押し続けること約10秒、そろそろいいかと力を抜けば、これ幸いと傍らの美紀の背に隠れ(を盾にす)る圭の姿が。

 >そんな圭にため息を吐きつつ、背中から引っ張り出そうとしている美紀だが、その手は巧みにブロックされているようだ。いったい何無駄に高度な攻防をしているのか、と思わず零したら、二人から怪訝な目で見られた。解せない。

 

 結構容赦ない扱いをしているんだし、(二人がクロ高顔になるのも)あたりまえだよなぁ? 代理ちゃんはもっとツッコミが激しい(意味深)の自覚して、どうぞ。

 

「…あやね、その猫みたいな無表情はやめて、少し自分の胸に問いかけてみようか?」

「うんうん、あやねはもーちょっと“容赦”ってものをd「はいはい、圭ももう少し自重を覚えてね?」ぁぅ、みきもきびしい…」

 

 >ピシャリ、と圭と共に美紀に窘められるあなた。とはいえさっきは解せないと思ったものの、一応は自分の行動に自覚はあるため、ここはおとなしく叱責―というほどではないが―を受け入れておく。怒った美紀の怖さは、これまでの長い付き合いで解っているつもりだ。

 

 >それは美紀の背に隠れていた圭も同じなのか、少ししょんぼりとしながらも美紀の背中から出てあなたと並ぶ。

 >そんな、普段の快活さが少しだけなりを潜めた圭の姿が、少しだけいつもよりかわいらしく思えたのは内緒だ、とひそかに思う、そんな朝の一コマなのだった――。

 

 はい、かなり長くなりましたが、ここ、というかアウトブレイク発生まではスキップができないためそのまま流しております(憤慨)。というか(朝から百合の花束)はぇ~すっごい……。序盤からの遅延はヤメロォ!(でも百合展開は)ナイスゥ!(恍惚)

 

 で、いつも通りなら、こういったモノローグと共にシーンがフェードアウトしていくのです、が……?

 

 >そんないつもより少し騒がしいような、でも時々するようなやり取りをしつつ、三人で学園へと向かう途中、あなたの携帯が軽く振動する感覚をメッセージアプリの受信を知らせる音が鳴った。

 >こんな朝からメッセージを送るような知り合いは居ただろうか? と少し訝しげに思いながらも携帯を取り出すあなた。と、両隣で同じように携帯を取り出している二人。

 

 何でしょう、これ。こんなイベント、試走ではバニラでもMOD入りでも起きた事がなかったのですが……本走に限って起きた事がないイベントが起きるとかお兄さんゆるして! タイムこわれちゃぁ~↑う!

 

 >三人そろって? と首をかしげ、そういえば、とこの間のことを思い出す。あの少女―確かるーちゃん、いや瑠璃ちゃんといったか―を引き止めた、けれど危うく怪我をさせかねなかった事件の折、その当人やその姉である先輩と一頻り謝りあった後、その流れで連絡先を交換していたことに。

 

 ああ、そういうことですか。なら納得がい…くわけあるかーいっ! 何でいきなり連絡してくる必要があるんですか!?(電話猫)

 

 >両隣でもそれを思い出したのか、あるいは元々覚えていたのか――きっと美紀は後者で、圭は前者だと思う。…圭よ、いくら取り繕ってもはっとしていたのは見えてたぞ――、得心した表情で画面を見る二人に習い、あなたも携帯を確認。やはり、件の若狭先輩からだった。

 >なんでもあなたたちに改めてお礼がしたいとか。こちらにも非はあるんだし、別にそんなに気を使わなくてもいいのに、と思わず苦笑すると。

 

「もしかして、別の意味での御礼だったり?」

 

 >そんな圭の言葉に、思わずビク、と肩が跳ね上がるあなた。それを見てニマニマしながら“ま、ないとおもうけどね”とのたもうた圭に、思わず“アンコール、する?”と拳を見せてしまい、また美紀を盾にされてしまったことは不可抗力だと強く主張したい。ねぇ美紀?

 >え、何で圭だけじゃなくてわたしにまでかわいそうなもの(あほの子)を見るような目を向けるの? どうしてわたしと圭を交互に見てため息吐いたの? ねぇ?

 

 まあ、(短期間で同じようなバカなやり取りを繰り返せば)多少はね? 代理ちゃんもKちゃんもしっかりと自覚して、どうぞ。

 というか代理ちゃんはどこにロジカル要素があるのか、コレガワカラナイ。

 

 と、そんなイベントが挟まりつつも何とかフェードアウトまで漕ぎ着けましたので、ストーリーは進んでいませんが今回はここまで。ではまた次回も宜しくお願いします。

 

 ……なおこの裏で、走者は暗転にあわせ必死にwikiを見ていましたが、今はまだ語るときではないでしょう。(語ってる定期)

 

 

//////////

 

「ふぅ、こんなものかしら?」

 

 昼休み。巡ヶ丘学院の屋上菜園という、私達園芸部の城ともいえるこの場所で、作業に区切りをつけた私は持っていた道具を足元に下ろし、グッ、と背中を伸ばす。

 そんなに長い時間ではなかったとはいえ、最後の作業でずっと腰を曲げていたためか、吹き抜ける風もあいまって身体が伸びる感覚が心地よい。

 

 ――このままゴロンと横になれたらどんなに気持ちいいことだろう、と脳裏によぎる怠惰の悪魔を振り払いつつ、取り出したタオルでうっすらと額にかかる汗を拭った。

 

 そして菜園を見渡す。―仄かに色づき始めたトマトたち、そろそろ大きくなってきたキャベツにレタス、小松菜やほうれん草等々、さまざまな野菜たちがいろんな表情を見せている。

 まだ完全に実っているわけではないけれど、それでも一部はもう収穫ができるわね、と状態を踏まえて予定を立てていく。

 

 そんな中でも気を抜くとつい考えてしまうのは数日前のこと。思わず妹の手を離してしまったことと、その後に起こりえた“もしも”の悲劇。

 ――もし、彼女たちが居なかったら。捕まえてくれていなかったら。そう思うと同時に襲い来る、重く冷たい感覚に思わずブル、と身体を震わせると同時、そこに居合わせてくれた、助けてくれた後輩たちに改めて感謝し。

 ――妹(るーちゃん)を抱きとめていた後輩の、妙に鬼気迫るように強い、されど裁かれることを求める罪人のような悲しみを湛えたような、そんな表情が思い出された。

 

 それは、とっても辛そうで。見ているだけでこちらも悲しくなる表情で。

 

 本当ならすぐに駆けつけて、るーちゃんが飛び出したことを謝るか、とめていてくれたことに感謝するか。あとはまあ、強く手を握っていたことをやんわりと指摘するのか、とするはずだったのだけれど。そんな表情が、感情が。無意識のうちに、私の足を止めさせていた。

 

 そんな感情(空気)は、程なくその娘の傍に居た二人の後輩に抑えられ、すぐに霧散していった。だからたぶん、足を止めていたのはたぶん一分もなかったけれど。それでも、そんなほんの僅かな間でも、きっと本来の彼女にはなかった顔だろうというのは安易に想像がついた。否、ついてしまった、のほうが正しいか。

 

 それをきっと、るーちゃんも感じ取ったのだろう。元々鋭い方だし、なんなら一番近くに居たのだから。

 

 だからきっと、わざわざ“ここ”に来たいと言ったのだろう。あの娘に、そんな表情をしてほしくないと、理性ではなくそう思ったから。

 

「――でも。私って、こんなに欲張りだったかしら?」

 

 ぽつり、と零れる言葉は、先ほどまでと変わらず吹き抜ける風にまかれて消えていく。

 

 そんな風でなびく髪を押さえつつ、ふ、と頭上に広がる青空に目を向け、思う。

 

 ――願わくば、今日のような青空のように、貴女の心も晴れてほしい、と。

 

 

//////////

 

 それから数分。は、と我に返った私は、足元においていた道具を片付けながら、今日のこれからに思いを馳せる。

 

 ――朝のうちに連絡はしてある。返信もあり、三人とも快諾してくれた。

 ――小学校が終わったら、るーちゃんが来ることになっている。移動時間を考えれば、ちょうど三人ともかち合うだろう。

 ――収穫に丁度いい野菜もいくらかはある。ついでに言えば、確か今日は調理室もあいているはず。

 

 ―――全部、整った。全部、整えた。あとは、時間が揃うまで。

 

「ね、理音さん?」

 

 貴女(には)悲しまなくていいの(悲しんでほしくない)

 貴女(には)救われても良いの(苦しんでほしくない)

 

 過去に何があったかはわからないけれど。でも、貴女には明るく笑ってほしいって。そう思う(願う)のは、わがまま(迷惑)かしら――?




 思ったように書けないし、回りくどくなった上にあまり進んでないゾ…orz
 とりあえずは次回こそ、本当にスキル振りまでイキたいですねぇ。

 ではりーさんの感情が書くたびに重苦しくなっていったので失踪します。


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はじまりのあしおと

 なんとなくの流れは描かれど、それを形にするために七転八倒四苦八苦、挙句大幅にお待たせしてしまったため初投稿です。


 はい、今日これから地獄の蓋が開かれる学園サバイバルRTAはぁーじまぁーるよー。

 

 というわけで、登校中になぜか恵体さんからダブルデートのお誘いを受けたところから再開です。

 

 ……本当になんでですかね? これまでも試走はしてきましたが、こんな展開になったのは初めてですよ。なのでちゃーんと作ったチャート(激うまギャグ)ですが、早くも修正が必要なようです。

 

 まぁ、これでみーくんとKちゃんを引き止めておく手間が省かれたため、結果的にはうまあじなのですが。でもせっかくのチャート……(小声)

 

 ま、まあそれは置いとくとして進行してイきましょう。と言っても選択肢もなく了承しているようで、“どこで待つかの質問を送った”とのモノローグとともに、そのまま場面が暗転していきます。

 

 で、少しの間ロードが入りまして……はい、放課後になりました。どうやら代理ちゃんは席に座っているようですね。

 

 >授業は終わり。今日は特に掃除とかもないし、これからどうしようか。

 

 はい、このテキストが流れたら行動可能になります。ついでにモノローグ中にざっと室内を確認したのですが、どうやら二人とはクラスが違うようですね。

 

 これは少しロスですが、必ずしもロスではないですので(一行矛盾)、まずはつべこべ言わず行動しましょう。

 

 では説明もそこそこに、一先ずここで早速、Part1からずっとできていなかったスキル振りをしていきます。

 

 とはいえまだ初期レベルなので、通常なら最初のスキルポイントを振るだけですし、なんなら今回はMODのおかげ(せい)でポイントを振ることができないんですが。

 

 その代わり、と言っては何ですが、今回のMODの特徴として、成長に大まかの方針を設けることができるんですね。……本当に大まかですけれども。

 

 で、今回のMODでは、最初の日にメールを開くと、その時点で最初のポイントが自動的に“コンピュータ操作”に振られるんですが、それと同時に“スタイル”と言う項目が開放されます。(逆にメールを開かなければ開放されないので、スタイルをキメる必要は)ないです。

 

 で、そのスタイルは“Battle”と“Luck”と分かれており、最初のレベルアップまでにこの項目から設定しない限り、初期ステータスにより自動的に割り振られたスタイルで固定されてしまいます。

 

 しかもこの場面から、パンデミックが本格的に表面化するまで――即ち原作において、めぐねえが神山先生から電話を受ける場面までの間に設定しておかない限り(よっぽど前に出られないようなステータスでもなければ)、たいていの場合そこで“戦闘→レベルアップ→スタイルの自動固定”となって、その後は再設定ができなくなってしまいます。(3敗)

 

 なので、あえてここで設定する必要が、あるんですね。(メガトン構文)

 

 一応移動しながら、話しながらでも設定はできますが、その間はキャラクターが若干上の空になるようで、うまくタイミングを計らないと、誰かとぶつかったりしますし、そうでなくとももし会話があった場合、話を聞いていたかを確認してくることもあるためロスです。

 

 それにもし誰かにぶつかってしまった場合では、相手か自身を保健室に連れて行く必要がでてきたりします(2敗)。

 

 また、最悪の乱数を引いてしまった場合、教師に指導室まで拉致られてSEKKYOUが始まり、結果パンデミックに間に合わない――、なんて事もあります(5敗)。

 

 だからステ振りをするときは――よっぽど必要に迫られでもしない限りは――誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなきゃあ駄目なんですね(メガトンingsrgru)。

 

 では戻りまして、早速スタイルを設定しなおしましょう。と言うのも、代理ちゃんのステータスから考えると、十中八九“Battle”になっているはずで……はい、やっぱりなってました。

 

 で、今回は対かれら一辺倒ではなく、くるみちゃん(美少女ゴリラ)を援護しつつりーさん(豆腐メンタル)の正気度を管理/操縦していくチャートで組んでいましたし、少しの修正だけで流用が利くので流用します。そしてそのためには後方スキル、というか料理以外のりーさんの仕事の大体の部分が代わりに行える方が何かと便利なんです。

 

 なので、ここでサクッとスタイルを“Luck”に切り替えてしまいましょう。

 

 あ、ここで“おい、まてい(江戸っ子)、りーさんの仕事を減らすのか?”と思った方は落ち着いて。

 

 いま“りーさんの代わりができる”と言いましたが、あくまで一部を除き、りーさんから積極的に仕事を奪うなんて馬鹿な真似はしませんし、できません。

 

 というか、そんなことしてりーさんを自由になんかさせようものなら、皆様もお分かりのとおり、めぐねえばりに勝手にSAN値を削り始めてしまいます。

 

 なので、あくまで代わりが“できる”状態に持っていく予定でチャートを組んでいました。(ある程度まではりーさんに仕事を詰め込むのは)当たり前だよなぁ?(キャパシティ限界まで仕事を詰め込もうとする人間の屑にしてブラック上司の鑑)

 

 ではなぜ代わりができる必要が? と思うかもしれませんが、あくまで万が一のためと、咥えてこの仕様で開放されるコンピュータ操作と、MODで追加された一部スキルがかかわってきます。

 

 というのもまずはこのコンピュータ操作のスキルですね。

 

 Part1に於いて、MOD機能解禁時にも軽く触れてますが、プレイヤーキャラが使う個人端末にはなぜか回線が通じているため、これを介することでいろいろな電子ロックにアクセスできるんですね。

 

 ついでに言うとこのスキル、実は場合によっては軽いハック&クラックまで行いながら操作しているそうです。なんだこれは、たまげたなぁ……(トオイメ

 

 とはいえしかし、それを行うためには、自キャラの知力が高いか、他のスキルを同時にかませて、知力系の判定を底上げしてやる必要があります。ですがそんなスキル、本来ならそう簡単に持てるわけではありません。

 

 バニラ環境でいうなれば、精々がみーくんの“ロジカル思考”程度だと思って問題は無いでしょう。

 

 とまあ、バニラ環境ならこれだけレアな知力系判定の補正スキルではありますが、今回導入したこのMODを適用していると、一部ではありますが、通常のスキルと同じように、ポインヨを消費しての取得が可能になります。

 

 そんな追加されたものの中には、取得条件があったり、使用に際しゲーム内時間で一日一回まで等の回数制限や、或いはゲーム内時間で一日を超えるようなかなり長いクールタイムがある、という強い制限がつくことも多くありますが、それを補ってかなり強力な効果を受けることが出来るものも。

 

 さらにはその中のこれまた一部に、習得だけではなく使用にも何らかの条件が必要なものもあり……まあそう、その条件が、社会の崩壊とともに満たせなくなってしまうものもありますが……、それはさておき。

 

 そんなふざけを通り越したような厳しい各種条件を満たす必要がある代わり、かなり効果がヤバいものまで、ありますねぇ!

 

 というわけで、そんなスキルの使用条件を満たすため、及びそんなスキルで“生えてきた”物資や情報の整理が必要になるため、通常のプレイスタイルと同じように仕事を割り振っていると、振られたりーさんはおろか、補佐に入ったはずのめぐねえのキャパシティさえも簡単にオーバーしてしまいます。

 

 するとどうなるか、と言いますと……まず言ってしまうと、忙しさのため二人の正気度はさほど下がりません。そのため、正気度管理は逆に楽になります。そう、正気度“は”。

 

 ですがその正気度と引き換えに、二人のストレス値や体力値はゴリゴリと減少・悪化し、終いには“またキミ(過労)か、(恵体JKと淫ピ教師の身体が)壊れるなぁ”となり……後は、お判りですね?

 

 ですので、それを避けるためにも、状況次第では代理ちゃんもそちらに回ることも念頭に入れる必要があるため、及びそれらのスキルをより効果的に使うためのスキルを取るためにも、どうしてもLuckスタイルのスキル習得が必要になってしまいます。

 

 ついでに言えば、PCである代理ちゃんのレベルもあげる必要があるため、自身でも“かれら”と戦える必要こそあるものの、MOD製作者の『悪魔は直接は出さない』宣言もあるため、いくら強くても“特殊個体かれら”を超えるような危険な存在とはかち合いません。少なくとも、試走段階ではそうでした。

 

 なので、戦闘系のスキルに関しては、バニラ環境で取れるスキルだけでも、まあまあ何とかなります。

 

 というわけで、それらを踏まえると、今回の代理ちゃんの立ち位置は“前にも立てる事務員モドキ”とでもいえるのかもしれませんね。

 

 まあ勿論、そんな万能情報スキルも、使い所さんっ!? を間違うと、最悪黒幕判定を受けて排除されかねないため(2敗)、使用には注意が必要なのですが。

 

 あとは余談にはなりますが、マニュアルを自力で入手・確認するか、或いはめぐねえから見せてもらうと、それ以降“スキルでのランダルコーポレーション系列の調査”が解禁されたりもするのですが……(難易度は)ナオキです。

 

 まあそら(流出は職員の手洗いガバだったとは言え、仮にも一流企業なんだし、情報セキュリティだって)そう(堅くも)なるな。(圧縮言語どん師匠感)

 

 それはさておき、そろそろそんな説明も飽きたんだが、というせっかちなホモやノンケの皆々様も多いでしょうし、長い説明の裏で行っていた教室内の物色……もとい用具チェックも終わりましたので、さっさと教室を出ます。

 

 あとまず忘れはしないでしょうが、この時鞄をしっかりと持っていきます。持ってかないと? なくなります(1敗)。

 

 さて、教室からで、出でますy「あやねは……あ、いたいた」おっと、オムカ=エデ・ゴンス(1810-1893)……じゃない、お迎えのみーくんですね。私もこんな可愛い幼馴染にお迎えされたいだけの人生だった(ノンケ)。

 

 >教室を出ようとしたとき、ちょうど迎えにきたのだろう美紀に声をかけられた。

 >それに軽く手を上げて応えながら、美紀と、その隣にいる圭の前へと移動し、そのまま三人で向かうことに。

 >楽しそうに話す美紀と圭。そしてその間に身を置きながら、話を聞き、話し、イジり。そしてツッコミを入れられ、入れられ、入れて、そして入れられる私。

 >そんないつもの帰り道……なのだがふと思う。――あれ、なんか比率おかしくない?

 

「? うーん、特におかしいところはなかったと思うけど……」

 

 >ね、圭? と圭に尋ねる幼馴染み(みき)に、うんうん、と少しばかり大げさに頷く悪友(けい)。なんだろう、なんか泣きたくなってきたんだけど。

 >謂れのない風評に軽く――とはいえいつものことなのでポーズに近いのだが――肩を落とす貴方を余所に、貴方たちは連れ立って歩いていく。

 >指定された場所は屋上。いつもなら、教師からの立ち入り許可がある、もしくは授業の一環でもない限り、業者を除けば園芸部の面々だけしか入れない(ことになっている)其処は、じっくりと見たことは未だない、貴方にとっての未開の地。

 >いつもは入れない場所に大手を振って入れるという事実に、貴方は胸が少しだけ高鳴ったように感じて。すぐにそれが自覚され、まるで子供みたいだなぁ、と一人苦笑する。

 >とはいえそれはほとんど一瞬だったはずなのだが……両隣の二人に目をやれば、どうやらそんな気持ちはバッチリ見透かされていたようで。

 

「まあ、あやねだし」

「あやねって、こういうトコあるからねぇ」

 

 >とほほえましげな、あるいはかわいそうなモノを見るような生暖かい視線を二人から向けられていた。別にいいじゃん、子供っぽいところがあるくらい。わたしも自覚はしてるんだし。

 

 ロジカル(偽)とはいったい。あるいはこんな感じだから(偽)なのか?

 

 ともあれ、そんなこんなで三人そろって屋上に向かうところで暗転、短いですがロードを挟みます。ではその間“むくれた代理ちゃんをなぜか慈愛の表情で見ているみーくん”のスクショを表示しながら(ああ^~たまらねぇぜ)、これからについて軽く触れておきましょう。

 

 とはいえここからしばらくは先駆者ニキ達に習います。具体的には喧騒の質に変化が生じてから、種火パイセンとクルミ=クルミ(シャベルゴリラ)が来るまで待機。二人が入ってきたところでドアをしっかりと押さえましょう。ドアを押さえないと簡単に破られてしまいます(無敗)。

 

 さて、ロードがあけてここは……

 

「あっ! おねーさん、こんにちはーっ!」

「あ、こらるーちゃん、大声出しちゃだめよ? と、いらっしゃい、理音さん、直樹さん、祠堂さん。ごめんなさい、うるさくて」

 

 >屋上に着き、ドアを開けてすぐに聞こえた声。なぜあの娘がここにいるのか、と一瞬思ったものの、続けてその娘、瑠璃ちゃんをたしなめる若狭先輩の声を聞き得心する。

 >自惚れでないならだが、どうやらお礼をしたいというのは先輩だけじゃなく、その娘も同じだったようだ。

 

 !?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?(スパロボAI)

 えっ? は? なに? ナニコレ? いったいどういうこと?

 

 はい、ここでなぜかメニューを出したり消したりしているのが見えるかと思いますが、ご覧のとおりかなり混乱していましたね、えぇ。……だってしゃーないやんもぉー! これしゃーないって! こんなん予測できひんやん普通、こんなんできる? (チャートに)書いとってや、できるんだったら……。

 

 失礼、取り乱しました。ついつい口をついて出てきた半端ない愚痴はほっといて、進めます(確固たる意思)。ちょうど当時の走者も何とか気を取り直したようですね。

 

 さて、ここで大事なのは、発生までここにいることです。幸いここで作業の間待っているように言われましたので、ついでに周囲を確認しておきましょう。……とはいえ、あまり派手に動こうとすると隣の後輩系大盾ガーター先輩(同級生)に肩を掴まれそうなのであまり動けませんが。

 

 いえ、正確には動けはしますが、その後の紐√カウンターが加算されてしまうため、あまり動かないほうがいい、でしょうかね。

 

 >とはいえ、現状何かすることはあるか、といえば特にはない。一応先輩たちの手伝いでも、と思ったものの、“もうすぐ終わるし、お礼のために呼んだのに、手伝わせちゃったら意味がないわ”とやんわり断られてしまったので手持ち無沙汰なのだ。

 

 >とはいえ、あまり長い付き合いではないが、この先輩にいくら申し出ても同じように流されるばかりで変わりはしないだろう、位の予測は容易い。……むしろ下手に食い下がると変なことになるのではないか、とあまり鋭いとは言われない自分の直感でもひしひしと伝わってくるくらいだ。

 

 >故に観念した貴方は、案内された椅子に腰掛けたまま、大きく伸びをしつつ深呼吸をした後、改めて周囲を見渡す。

 

 というわけで待機時間ができてしまいました。きれそう。こんなことなら、さっきの割り振りをこっちに回してもよかったかもしれません。まあ結果論ですが。

 

 ……とりあえず、この好感度関係はアレですし、今回が終わったら検証で何回か回してみる必要がありそうです。ぅゎーぃ(虚ろな目)

 

 >屋上に来るのは初めてではないが、かといって何回も来ているというわけではないが故、どうしても視線は右に左に。とはいえ、先輩たちもそろそろ終わりそうだし、というか隣の美紀の視線が痛いので動くに動けない。

 

 みーくんの監視がつよい(確信)のであまり動けない……とはいえ少なくとも、ロッカーや今後必要になるブルーシート(種火の聖骸布)の場所と状態くらいは確認しておきたいですが……ん?

 

「ぁー、あやね? そんなそわそわしてるくらいなら見てみたら?」

 

 >見るに見かねたのだろうか。そわそわしてる、と自分でもわかっている中、隣からそんな声をかけられた。

 >いいのか、と聞くと、どうも自覚していた以上に落ち着きがなかったらしく。

 

「長い付き合いだからね、わからいでかって。……といいたいけど、さすがに落ちつかなすぎだよ」

 

 >むしろこちらまで落ち着かなくなりそうだ、とまさかの逆隣の友人からも苦笑交じりで告げられる。

 >思わず空を仰いでしまうあなたの目には、よく晴れた綺麗な青空が広がっていた。

 >そしてそんな様子を視界の隅に入れていたのだろうか。二人だけではなく、自分たちのいるところより少し奥側の方からも――

 

「あ、手持ち無沙汰だったかしら? ごめんなさいね」

 

 >と柔らかな笑みとともにされた謝罪に続いて、栽培中の植物に許可なく触らない限りなら屋上を見て回ってもいい、とのお言葉が。

 >その言葉に甘えたあなたは、散々な扱いをしてきやがった両隣の二人の手を取りながら立ち上がる。

 

「ちょっ、あやねっ!?」

「ひゃぁっ!? き、急に引っ張らないでってばっ!」

 

 >その際何かの言葉が聞かれた気がしたが、あえて無視しつつそのまま屋上探索としゃれ込むのだった。

 

 >……………………。

 

 >……後が若干怖いような気がしたが、まあ気のせいだとしておこう。

 

 はい、というわけで屋上の確認タイムが発生しましたので便乗して確認しておきましょう。ついでにみーくんのお説教はパンデミック後の代理ちゃんに任せときます。……はいそこ、全部未来に丸投げしたとか言わない。

 

 >散々いわれた腹いせも込みで、二人の手を掴んだまま屋上見学ツアーとしゃれ込んだあなた。引っ張る手の先から聞かれる圭の困惑や美紀の抗議もあえて聞き流し、なんとなく気になっていた所をいろいろと見て回る。

 

 >途中、わずかなため息や呟きが聞こえたのを境に、美紀の手から抵抗がなくなったのは後が怖いがさておき。

 

 >前々から見てみたかった場所の一つ。ここ巡ヶ丘学園の売りの一つにして、緊急災害対策設備の一つでもある“屋上の自家発電”のパネルや風車、及びそれらに繋がっているという蓄電設備の一部をじっくりと……と、いうには些か短時間だったと思うけれど、しっかりと目にすることができたことで満足したあなた。

 

 >だったのだが、流石に甘えすぎたということか。堪忍袋の緒が切れたらしき、目が笑っていない“無表情の笑顔”を湛えていた我が幼馴染様からの……。

 

「こンのダやねのおばかさっさと戻ってそこに直れ正座しろっ!!」

 

 >という一喝と、正座の指示(強制)により緊急停止と相成ったわけだが。……ぅぅ、平坦で無感情な片言での指示は怖かった。

 

 いや草。じゃなくてこれ紐カウンター……いやよそう、ここでの勝手な想像で再走をしたくない(走者の屑)。

 

 >そんな幼馴染の愛の叱責――と思いたい――ではあったが、正座からまもなくして、いつの間にやら作業を終えていた先輩……の妹さんの瑠璃ちゃんの呼び声で放免と相成ったのは、素直に助かったと思う。

 

 >――尤もその後の。

 

「おねーさん、まるでクラスの男の子たちみたい」

 

 >という瑠璃ちゃんの一言と、その隣で瑠璃ちゃんを軽く嗜めながらも柔らかく微笑む先輩の温かな視線の方が、圭にバシバシと叩かれていた肩への衝撃や、後に待ち受けているであろう美紀からのお小言よりも、強く、深く、あなたの心を抉り抜いたのだった。

 

 >まさか、わたしは小学生男子並みの落ち着きのなさだったのか……。

 

「さもありなん、かな、みき?」

「……そう、かもね。ふふ、じゃああやね……“後で”、ね?」

 

 >追伸。隣の二人の言葉も偶には手加減してほしい……あと美紀さん、どうかお慈悲……

 

「ふふふ、それはあやねなら判るんじゃない?」

 

 >……は、無いですよね、やっぱり。美紀、恐ろしい娘……ガクリ。

 

 >・――あなたのストレス値が僅かに上がった。

 

 るーちゃん の 歯に衣着せぬ ひとこと!

 こうかは ばつぐんだ!

 

 Kちゃん の てだすけ!

 みーくん は はりきっている!

 

 みーくん の おいうち! きゅうしょに あたった!

 もう やめて! 代理ちゃん の ライフ は ゼロ よ!

 

 はい、ごめんなさい。なんとなくいってみたかったんです、出来心だったんです。――などと供述しており、ガバ警察では余罪があるものと断定して尋問を継続している模様です。

 

 とまあ、茶番はさておき、どうやらりーさんたちの方も終わったようです。というか、むしろさっきまでとは逆に待たせてしまっていたみたいですね。これがGABA.ちゃんですか。いえ、誓ってオネエではありませんので。

 

 というか代理ちゃん、機械系を好んでいるのでしょうか? 代理ちゃんは巡ヶ丘のブラウニーだった……? その先は地獄だぞ(パンデミック後感)。

 

 それはともかく、そんなガバ未遂(未遂とは言ってない)はスルーしつつ進めましょう。どうやらりーさんの作業とは収穫のことだったようですね。それと一部作物の間引き、と。ということは、お礼はそれらを使った何かでしょうか?

 

 まあなにはともあれ、丁度良いので野菜繋がりに託けて、今は何を育てているのか訊いてしまいましょう。

 

 ヘイ先輩! えっちな野菜はあるかい?(あってたまるか)

 

「あら、理音ちゃんって見かけによらず好奇心強いのね? ……なーんて、冗談よ」

 

 >今はどんな野菜や草花が育っているのか。なんとなく気になって尋ねてみると、ころころと笑いながらからかわれてしまった。

 >と同時、隣から思わずといった風に噴出す声が聞こえ……まあ、いつものようにそちらを軽く睨んでおく。圭、美紀、後でおぼえてろ。

 

「ふふ、やっぱり貴女達って仲がいいのね。で、今はそうね……」

 

 やっぱり代理ちゃんの周りの百合の波動が濃い……濃くない? まあいずれ癌にも効くようになるのでいいぞ、もっとやれ。(いえ、遅延になるのでそこまで濃くはなってほしく)ないです(てのひらギガドリルブレイク)。

 

 では手首の関節がガバガバになったところで真面目に回答しますと、ここで出てほしいのはキャベツやトマトなどの生で食べられる野菜と、芋や南瓜といった、火を通す必要はあれど腹にたまるもの、ですね。もしくは西瓜などの甘味になるのもまた当たりでしょう。

 

 ですがこれはそれらがそろっていた場合で、もしどれか一つだけに偏るなら、まだ穀類系がそろっている方がマシだと思います。

 

 もし前者だけ、だと正気度がメガトンコインしかねませんし(3敗)、逆に後者の甘味系だけでは、今度は正気度やストレス値の管理こそ楽になるものの、腹にたまらないため、最初の頃はともかく、時間経過での空腹によるデバフが強くなり、購買制圧する前に満足に動けなくなってしまいます(3敗)。

 

 ですがまだ穀類だけなら、初日さえ何とか凌ぎきった後、二日目に三階を速やかにに制圧することで調理ができるようになりますし、種類によっては甘いもの判定も入りますので、まだ食料としての価値は高いと思っています。

 

 なのでここはしっかりとこのガチャにお祈りしましょう。みったせ~みっ~たせみったしってみたせ~(runsk)

 

「たしかちょっと早いのもあるけれど、南瓜がいくつかできてきてるわね。あとは」

「おいもさん~! ね、りーねぇ?」

「ええ、そうね。ジャガイモあたりはもう収穫できそうかしら」

 

 >なるほど。聞いたのは興味本位だったのだが、それならもう少し経ってから来てみてもいいかもしれないな、と頭の片隅にしっかりと記憶しておく。

 >サツマイモがないのは残念だが、ジャガイモはあるんだ。茹でても焼いても蒸かしても、煮ても油で揚げても美味しく頂けるスーパースター。

 >――あれは、いいものだ。

 

「あ、あやねってば久しぶりにメシの顔になってる」

「なってるねぇ。あやねっておいも大好きだから。料理だって妙に芋系のレパートリー広いし」

 

 >思い出しただけで食べたくなって――って、こら。人を芋狂いみたいに言うんじゃない。美味しいものをいっぱい食べたい、と思って何が悪いんだ。

 >それと料理ができるんだからいいだろ文句言うなおいも美味しいじゃないか。

 

 >・――スキル「料理」が変化しました。

 >・――スキル「料理(芋)」を取得しました。

 >・――スキル「料理(芋)」のレベルが上がりました。

 

 ンンンンンンンンンン!?!?!?!?

 ま、ままま、ままままままエアエアエアエアロロロロロ(大混乱)。うん、はい、うん、うん。ま、まあポインヨなしでスキルが手に入ったと思いましょう。……いやなんでさ(困惑)。なんでさ(白目)。というか(芋)て。流石に限定的過ぎるだろJK。

 

「ふふ、じゃあ今度、おいもを採るときにはお手伝いをお願いしようかしら? B級品になった物でもよけr「是非に!」え、えぇじゃあ宜しくね?」

 

 >先輩からの提案に後日のお手伝いを即決。やや食い気味になってしまい、先輩が若干引いていたような気もするが……まあ、結果よければ全て良し、ということで。

 

「ぜんぜんちょっとじゃなかったと思うけど」

「……あやね? 後で追加……ね?」

 

「りーねぇ、どうしたの?」

「ふふ、なんでもないのよ? じゃあいきましょ? でもちょっとお耳を触らせててね?」

 

 >……け、結果よければ全て良し、ということでッッッ!!

 

 うーん、これは……(みーくんからの)教育やろなあ(直喩)。しかもりーさん、両手が籠で塞がっているにも関わらず、どうやってるかはよく見えないですけど、どうやらちゃっかりるーちゃんの耳塞いで先行してるみたいだし。

 

 >結局その後、どうにか教育だけは免除してもらえるように美紀と話をつけてから、先に行った先輩を追いかける。ぅぅ、まさか見捨てられるとは。

 

「あら、思ったよりも……ううん、なんでもないわ。じゃあ、あら?」

 

 >先輩が瑠璃ちゃんを伴ってドアに向き直ったとほぼ同時、校舎の中からドアをノックする音が聞こえてきた。

 

 ぁー、はい。これはタイムアップですね。で、このノックにりーさんが応じると。

 

 >はい、と返事を返しつつ、器用に野菜を入れた籠を抱えながらドアを開く。

 

 >するとそこには、ピンクブロンドの髪を、校舎に吹き込んだ風に遊ばせている若い女性――名物教師と噂の佐倉先生だ――と、ネコミミのような珍妙な帽子をかぶった小柄な、同級生か、ともすれば年下にも見えるような少女の二人の姿。

 

 ほらこのように、童顔教師と、実は痩身麗人なケモミミ帽子が顔を出してきました。そして原作(地獄の入り口)開始さ(開か)れます。

 

 そしてこれから先、ゲーム内で数分もしない内に阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれるでしょう……といったところで、これまでの本ファイルとは別に、検証用で別ファイルに幾つかチキンセーーーブ! したところで、今回はここまでとします。

 

 ではまた次回、宜しくお願いします。

 

 

////////////////////

 

 

 その日は、今日と同じような晴れの日だった、と記憶している。

 

 その日は特にそうしよう、と決めていたわけではなかったけれど、その日は偶々家の手伝いとかもなく、宿題とかも量はなくって、すぐに終わってしまってて。

 

 それじゃあ、と本でも読むにしても、既に目ぼしいの本は全部読みきっていて。他に家にあるのは新聞や、大人向けの――今の私にすれば丁度いいくらいではあるけれど、当時の私には――難しいような本ばかりだったことも、外に出ることを決めた理由だった。

 

 出かけてから数時間。家を出たときにはまだそこまで高くなかったはずの太陽は、既に中天をかなり過ぎていて。

 

 結局図書館で本を幾冊か借り、その中身へと期待をしながら家路についていた私に声をかけたのは、今では大切だと胸を張って言える、けれど当時はよく遊んでいたけれど、自分から積極的に話しかけよう、と思うほどの関係ではなかった幼馴染だった。

 

「やっほ、みき。お買いもの?」

 

 そんな風にやわらかく、それでいて踏み込んでくるように話しかけてくる幼馴染に対し。

 

「――う、うん、そんなとこ、かな」

 

 と、そのときはそう軽く返した。というのもそのときは、持っていた本に半ば意識を持っていかれていたこともあり、そのまま軽く流してしまおう、としていたから。

 

 ……まあ、とはいえ結果からいえば、特に隠してもいなかったとはいえ。

 

「そっか。じゃああまり遊んでもいられな――あれ、なになに? わぁ、本がいっぱい?」

 

 と、持っていた本を目ざとく見つけられたのだ。

 

「ぁ……、こ、これは、その」

 

 持っていた本は、当時の私たちにとっては少し難しい……かもしれなかったとはいえ、内容自体は小学生向けと言えるものばかり。

 それくらい自分でもわかっていたが故、それがお使いだ、と言い張ることも思いつかず。

 

 お使いじゃなかった。嘘をついた、と。そんな糾弾があると思った当時の私は、きっと罪悪感や恐怖に襲われたのだろう。

 

 それで一度噤んでしまった口は、それでも何かを言い募ろうとするも、結局何を言うのか/言いたいのかもわからずただ言い澱むばかりで、意味のある言葉を話せずにいた。

 

 そのままどれだけ過ぎたのか。私の持っていた本を眺める幼馴染み(あやね)に、ただ立ち竦むばかりの私の鼻の奥がツン、としてきた頃。

 

「やっぱり、みきってあたまがいいんだぁ。いいなぁ~」

 

 わたしじゃさっぱりわかんないや、と屈託なく笑い、そしてすぐに“なら教えてもらえばいいんだよね”と何回も頷いたあやねは、そのまま私の空いていた手を両手で包み。

 

「じゃあ、みきのおつかいがおわったらいっしょに読もう?」

 

 “だから、わたしがわかんないところ、おしえてね?”と。

 

 そう言ったその笑顔が、私にとっては凄く眩しく見えたのを、今になっても覚えているし、今ではこうも思う。

 

 ――きっとそれが、私とあやねが本当の意味で“友達”になった瞬間なのだ、と。

 

 ……とはいえ。

 

「へぇ、ここはこう繋がって……いや、それだけじゃなくてここからも? にしてはこっちのこれは……いやいや(ブツブツ)――」

 

 とはいえ、だ。流石にあの娘が“コレ”に進化するなんて、いったいどんな変態思考で予測すれば見抜けるというのだろうか?

 

「……みき、どうしよっか、コレ」

「…………」

 

 ――巡ヶ丘学園屋上菜園。或いは、同校非常災害対策設備敷設エリア。

 

 先輩からの“お礼がしたい”との申し出に、最初こそ断ったものの、意外と押しが強くて次第に押し切られた結果、こうして三人揃って出向いたわけだけれど。

 

「えっと、じゃあこれが……なるほどそういうことね……ん? じゃあ、ああだからこう……(ブツブツ)――」

 

「みき? ねぇ、みきってば。……聞いてる?」

「……………………」

 

 そわそわしていたあやねを見かねたのか、作物などに触らないなら、という条件で屋上を見て回っている私たち――というか主にあやね。

 

 その表情はとても真剣で、いっそ惚れ惚れするくらいキリッとしているし、一週回ってかっこいいとすら思える。……もしあやねが男の子だったら、何かの間違いで惚れてしまうかも、とさえ思いかけるくらいには。

 

 ……けれどそれも数分もあれば、たいていは勘違いだと結論付くのだけれど。

 

 まあ、あやねがこういった設備、というかそれらを構築する技術を見て、学ぶことが彼女のライフワークとなっていることは、一度でも同じクラスになったことがあればすぐに判ること。というか、同じ学年では有名なことでもある。

 

 だけどもともとのあやねは、確かに学びに対しては素直で意欲的だとはいえても、そこまで一途に“何か”に固執する性質ではなかった。

 

 けれどいつかのときを境に、というかとある出来事があって以来、こうして“技術を得る”ことに対して、変態といっても過言ではなくなってしまったのだ。

 

 ……なのだ、けれど。けれどこれは、流石に度が過ぎている気がする。それも些か、などではなく盛大に。

 

「みきー? おーい、みきー、みきってばー? おーい」

「…………………………――んの」

 

 だから、これはしかたがないこと。だから、そう。

 

「え? みきどうs「こンのダやねのおばかさっさと戻ってそこに直れ正座しろっ!!」ひゃわわぁっ!?」

「―――――ッッッ!?」

 

 つい口から怒号に近い悪態が出てしまうのもまた、仕方のないことなのだと言おう。それほど、今のあやねの暴走は常軌を逸していたのだから。

 

 ……とはいえまあ――私も言外に許可したとはいえ――いつも何らかの事柄で人を引っ張りまわすだけ引っ張った挙句、引っ張られてた私達をほっぽりだして、勝手に自分の世界に入り込んでいったあやね(あのお馬鹿)にお説教を、となるのもまた、私たちにはよくある、謂わば恒例行事の一つであり。

 

「――ぁぅ、ご、ごめんみk「あやね。せいざ。」その、なんていいますk「せいざ。ここ。」はぅ、ご、ごめんなさい「ここにせいざ。はなしよりさき。」ぁぅぁぅ……」

「うわあ、みきってば容赦な~」

 

 決してそんな、私の言葉で青ざめて震える暴走馬鹿(最愛の幼馴染)の姿を見たくて怒っている、というわけではないのだと、そこははっきりと真実を告げておこう。

 

 ……うん。少し、ほんの少しだけ、えも言われぬ感覚(背徳のざわめき)が私の背を駆け抜けたことから目をそむけた気はするけれど、それはきっと気のせいだ。

 

「ぅゎ~。みきのドS「んー? けいー。けいもここ、正座しとくー?」いやごめんなさいなんでもないですみきさんすみませんみきこあいみきこあい……」

 

 まったく。けいも人を女王呼ばわりなんて、失礼しちゃう。

 

―・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 暴走するあやね(おバカ)座らせ(お説教す)ることしばし。

 

 正直まだ足りないとは思うが、それでもそろそろ先輩の作業もほとんどが終わって、移動の準備まで済んでいるのだ。まさかそこから待たせるような時間までは引っ張れないだろう。

 

 幸い互いの家も近いし、時間もいっぱいある。この続きは後ほど、帰ってから改めてすればいい。そっちのほうが時間だって取れるし、しっかりと(いくらでも)言い聞かせられ(OHANASHIでき)る、というものだ。

 

「――ねぇ、あやね。わかった?」

「ぅん、もうわたし、かってにはしゃぎまわったりしないよ」

「ん、よろしい。じゃあ“今は”これで」

「アイ、マム! ……“今は”?」

「……あやね、ご愁傷様。ナムナム」

「ちょ、けい!? 見捨てないでぇっ!?」

 

 それに、そんなに求めるように“学び”へと没頭するようになった“出来事(オリジン)”も、それに強く責任を感じていることも、痛いほど解ってる。

 

 ――でもね、あやね。

 

「まぁ、さもありなん、かな」

「ふふ、じゃああやね、“後で”……ね?」

「…………ぁぃ、まむ(泣)」

 

 自分のせいだと思っているのかもしれないけど。自分でやらないと、とか思っているんだろうけど。

 

 でもたまには、頼っていいんだよ? 私にも、圭にも。

 

 それに。今の私じゃ、私たちじゃちょっと頼りないかもしれないけど。

 

 それでももう少し、頼って欲しいんだよ? 私も、けいも。

 

「――ね、けい?」

 

 そう、親友に軽くアイコンタクトを飛ばしてみると。

 

「んー? ぁ――うん。骨くらいは拾ってあげる」

 

 一瞬惚けたけれど、すぐにこちらの意図を察したのか軽く頷いたのだった。……まあ、そうしてからすぐにあやねにウインクしながら軽口をたたいたのは、たぶん圭なりの照れ隠しで、それはあやねにとっての追い討ちなんだろうけど。

 

 ……でもそれは、あやねがわるいんだよ。

 

 私を、私たちを――周りを、頼ってくれないあやねが……さ。

 

――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 

 それは、私にとっていつものことだった。いつもの、居心地のいい時間だった。その日は、いつもの一日――のはず、だった。

 

 私、丈槍(たけや) 由紀(ゆき)が、学園の国語教師の佐倉(さくら) (めぐみ)、もといめぐねえとともに屋上(ここ)を訪れたのは、いつものようにめぐねえが行ってくれる補習の終わり、ふと外を見ためぐねえの一言だった。

 

 よく晴れた初夏の一日。特に何か特別なことがあるというわけではなかったけれど。それでもめぐねえにつられて向いた窓の外には、なんとなくそのまま終わるのがもったいないような、そんなきれいな青空が広がっていて。

 

 そんなことを考えていたのが伝わっていたのか、ふわっとやわらかく微笑んだめぐねえの提案で、私達は屋上で活動している園芸部、というか屋上菜園の見学に行ったのだった。

 

 めぐねえのノックですぐに開かれた扉。その先にいたのは、四人の女生徒……と一人の幼い少女? とまあ、少しだけ首を傾げたけれど、すぐにそこまで考えることでもないか、と思考を打ち切った。その少女が、ほかの四人と親しそうだったから、まあ問題ないや、って。

 

 そんなことを私が考えているうちに、めぐねえが話をつけたのか、屋上の見学をしようという流れになっていた。

 

 いつの間に……という感じではあるけれど、この天気の屋上、という環境を前にすればそれも些細なことに思えてくるから不思議なもの。

 

 既に私の頭の中は、屋上の風はきっと気持ちいいんだろうな、なんて思っていたりするのだった。

 

 とはいえ、仮に私が見学しようとして、じゃあ先に屋上にいた五人はいいのだろうか? と、そう思ったところで、その中の一人が、まだ小学生と思しき少女を除いたほかの三人に謝っているのが見えた。

 

 忙しかったかな、と私も謝って。そうしたら大丈夫よ、と言って屋上に案内してくれた、野菜の入った籠を持っている女生徒――すぐ後で同級生だと知った――に感謝しつつ、私とめぐねえは屋上へと足を踏み入れた。

 

 屋上の扉をくぐった瞬間感じたのは、降り注ぐ太陽のぬくもりと、吹き抜ける風の心地よさ。それらを感じたまま軽く身体を伸ばしながら大きく息を吸うと、今日一日の疲れまで飛んでいくよう。

 

 ――ああ、ここに来て良かった……と大きく吸った息を吐き出しながら思う。ホント、ここを見てみようといってくれためぐねえのおかげだ、と。

 

 そんな私を余所に、めぐねえは先ほどの女生徒――若狭悠理、というらしい。じゃあ“りーさん”、かな?――と話をしてから、菜園へと足を進めていた。

 

 そんなめぐねえに置いていかれないように、というのが半分。私自身の興味が半分……いや、それよりちょっと多いかもしれない。

 

 なにせ――いくら自分の通っている学校だとは言え――設備関係者か先生たちを除けば、園芸部以外は普段ほとんど入れないような場所だし、早々じっくりと見られるような機会もないと思うから。

 

 という訳で、いつの間にかめぐねえを置いて屋上菜園へと踏み入れた私は、風の吹くまま気の向くまま、屋上の設備や栽培されている野菜や果物をじっくりと見て回っていたのだった。

 

――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・――・―

 

 

 そうしてどれくらい経った頃だろう。

 

 いつしか夢中になって屋上を見て回っていたけれど、ふ、と我に返ったとき。甲高い誰かの携帯電話の着信音に混ざり、焦燥の混ざったような喧騒が耳に入ってきた。

 

 なんとはなくめぐねえに視線を向けると、どうやら電話はめぐねえ宛だっただったらしく、懐から電話を取り出そうとしているのが見えた。

 

 ――めぐねえか、と思いつつ視線を外し、そのままこれまた何の気もなしに校庭に目を向ける。

 

 視線の先ではいつの間にやら大騒ぎ。なにかイベントでもあったか、と今日の、あるいは前後数日間の予定や出来事に思いを巡らせ始めた時の事だった。

 

「――ぇ? 神山先生? なに、を――きゃっ」

「助けてくれっ! 先輩がっ!」

 

 めぐねえの電話が途中で途切れたのか? 聞きなおそうとしていためぐねえの背後の方、もっといえば屋上と後者を隔てる扉が強くたたかれたかと思うと、次の瞬間かなり乱暴に扉が開け放たれると同時に、何者かの影が勢いよく駆け込んできたのだった。

 

 その呷りを受けたのか、近くにいためぐねえがよろけそうになり――近くにいた、緑に近い色をした髪をショートボブにそろえていた生徒のとっさの反応で支えられ、転ばずに体勢を立て直していた。

 

「――っ! わ、悪いっ! でもせ、先輩が! 下でっ!!」

 

 その闖入者、確か同じ学年の陸上部員だったはずの女生徒がそういいながら、その背からぐったりと脱力している人物を手早く、けれど乱暴にならないようにその場に寝かせる。

 

 ……きっとその人物は、彼女にとって大切な人だったのだろう、降ろしたときの“先輩……”という呟きの優しさと悲痛さが、なんだか妙に耳に残った気がしたけれど。

 

 ――ガチャンッ!

 

 そんな思いは、屋上に響いたドアの閉まる音でふ、と遠のいたのだった。

 

 なにが、と思いドアのほうに顔を向ければ、そこには先ほどめぐねえを支えてくれた女生徒がドアを抑えている姿と。

 

 ――ガン! ゴン! ドン、ドン!

 

 押さえられたドアの向こうから、あるいは校舎の窓や、壁の内側からこちらに向けて叩き続けているような、そんな強い音。

 

「―――――ゥゥッ!!」

 

 ドアを押さえる女子の顔に浮かぶ苦悶。それを見たとき、フッっと脳裏をナニカがよぎる――。

 

「――っ! みんな、そっちのロッカーをお願い! ドアにッ!」

 

 気づけば私の身体はドアに向けて走り出しながら、口からそんな言葉を叫んでいた。――それからも、私の身体は、思考は、意思とは別に動き続ける。何でかはわからないけれど、そうしないといけないような気がして。

 

 正直なところ、私には何が起こったのか、よく判らなかった。――焦燥の狂騒、狂乱の壊乱。――けれどただひとつ、ここを守らなければいけないと、理性でも知識でもない“直感”で、言葉じゃない“心”で解ったのだった――。




 はい、とても難産でした。……しかもよくよく見ると15000文字越えたとか。道理でねぇ。

 そしてゆきちゃんの ようすが……?

 というわけで、この場を借りて感謝を。

 アイデアの使用を快諾していただいた、“想いの力のその先へ”兄貴、本当にありがとうございました!

 ということで、この作品のノベルパートにおいて、ゆきちゃんは本来ならかなり頭の切れる人になっています。というか、書いてたら勝手に……(汗)

 では、これから遅まきながら世界レ○プ! 卵と化したトウキョウ! を東奔西走してきますので失踪します。


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はじまりのよる

 筆を執るまでにかなり時間がかかったので初投稿です。

 や、ちゃうねん。決して村正ヒャッホーしたりSタルで爆死したり天狗にうつつ抜かしてたとかじゃないねん……してましたサーセンorz


 はい、なんだか倉庫荒らしをして、戦利品を持って帰ってきたら、石抱きならぬ蕎麦抱きの刑に処された気がするRTAはーじまーるよー。

 

 ということで、今回はくるみネキが種火先輩を担いでエントリィィィィィッ! したところから再開していきましょう。

 

 といっても、すでにくるみネキが入ってきた段階で……えっと、なぜか知りませんが、ゆきちゃんがとっさに、ロッカーを移動させるよう声をあげてくれましたので、とっさに動いてくれたるーちゃん(に合わせて動いたりーさん)の手により、いつもより早くロッカーを持ってきてくれました。

 

 え? 助かるけど……なんで?(困惑) ……ま、まあ時間短縮になるのでヨシッ!(現場猫)

 

 この挙動は気になりますが、今はともかくドアをふさがなければなりませんので、ロッカーが来るまでドアをしっかりと押さえつつ、来たらすぐさま置き場所を指定しましょう。――オラッ! ロッカーバリケード! まんじりともせず(乱打を)受け止めろ……っ!(ボタン連打)

 

 で、ロッカーをドアの前に置いたら、そのままロッカーごとドアを押さえ続けます……あ、ちょちょちょ押されて……やb

 

「――はッ!? あやね!? ッこの!」

 

 >何が起きたかわからないものの、この狂乱を屋上内(こちら)に入れてはなるまいと、咄嗟にドアを押さえたけれど、容赦のない乱打がドアをこじ開けようとする。

 

 >その様子を見て我に返ったか、呆然としていた美紀の目の焦点がはっきりとするや否や、近くにあったのだろう棒状の何かを引き抜き、こちらに……正確に言えば、ドアに向けて投げつけた。

 

 >普段なら、狙いが大きくそれたか、あるいは私に当たっただろうそれは、しかし。ブンブンと空気を切りつつ回転したまま、ちょうど押し込まれかけてできていたドアの隙間へと吸い込まれていき。

 

 >校舎の内から押し込んできていた生徒たち――否、事ここに至れば、ソレは既に“人ではないナニカ”というべきか――へと、生々しい音を立てて突き刺さった。

 

「――――ッ!!」

 

 >不思議と大きく聞こえたそれは、はたして誰が息を呑む音だったのか。妙にクリアに聞こえたその音を聞きながら、幾分か弱まった圧力を、体全体を持って押し返し――

 

「――それをここにっ!」

 

 >何とか押し切って閉めたドアの前。そこに、先ほど佐倉先生とともに現れた女子生徒の誘導で、ロッカーが文字通り転がされて塞ぎ留める。

 

「――――ッッ! あ、りが、ハァ、とぅ……ハァ、ハァ」

 

 >ソレを見て安心したのか、あなたの身体から力が抜けていき――

 

「――ぁ、ぇ? せ、んぱい……?」

 

「――――ぇっ!?」

「そこの人ッ! う、動いてッ!」

 

 >へたり込んだと同時に聞こえたその声に、首を回す以外の行動を取る体力は、いまのあなたの身体には残っておらず。

 

 >その視線の先に居たのは

 

「……ぇ? 先輩、どうし、て……?」

 

 >疲れと恐怖と、その理由は違えど、あなたと同じように腰を抜かす少女の姿と、それに生気を感じさせない動きでにじり寄る、一人の青年の姿だった。

 

 >状況が見えていないのか、あるいは認識したくないのか。弱弱しくも声をかけ続ける少女に、傍まで来ていたその“元”青年は手を伸ばし……

 

「ゥゥゥァァァアアアアアアあああっ!」

 

「せ、先ぱ―――きゃッ!?」

 

 >伸ばされた手が少女に触れる、その寸前。確かに濁りきっていたはずのその瞳が、弱弱しく、しかしはっきりと光を湛えた刹那。

 

 >青年は、その腕の振りを持って、少女をしっかりと――()()()()()()()()()()()()()、あなた達に向けて()()()()()()

 

「――っ!? こふッ」

 

「ぁっ!?」

 

 >ドサリ、と音を立て、少女の体は先ほどよりも後方(こちら側)へと倒れこんだ。

 

「ううウう、くルみ、にゲrォォォォオオオ……」

 

 >しかし、その理性もそれが限界だったのか。再度光を失い、濁りきった目へと変じた青年は、先ほどまでと――あるいは、今も校舎内からドアを叩きつけ続けている生徒たちと同じ、生気のない動きに戻ってしまった。

 

「せ、んぱい……!」

 

 >少女に迫る、意思亡き腕。先ほど、おそらく最後だと思われる理性を持って言った言葉があったからだろうか、少女はソレから逃れようと身体を動か(後退り)し。

 

 >――――ガラン、と、コンクリートの床(硬い物)鋭利な金属(硬い物)が当たる音がして。

 

「――――せん、ぱい……ッ! う、ああああああああああああああっ!!!!」

 

「――――――ッ!!」

 

 >とっさにその手がつかんだソレ――大型の剣型ショベルで、少女は自身に迫る“元”青年の身体を、勢いよく斬りつけ

 

「あああアあああアアああああアアアああアアあッ!!!」

 

 >突き刺し、叩きつけ、突き刺し、突き刺し、突き刺し叩き――

 

「――あああアアアアああアアああああッ!!」

「――っ! もう、もうやめてよぉっ!」

 

 >何度そうして腕を振るったのか。半狂乱の少女の身体に、先ほどの少女が後ろから抱きついた。――悲痛な声を上げながら。

 

 ……はっ。思わず呆けてしまいましたが、幸いにも操作できないムービーだったのでロスではないです(詭弁)。なのでつづけてイきましょう。

 

 はい、これにてチュートリアルが終了ですね。少なくとも、くるみネキは無事戦えるようになりました。動画の中では、ゆきちゃんが原作通り泣きながらくるみネキを止めて、それにくるみネキが半ば呆れながらも正気を取り戻した場面ですね。

 

 これは原作でも思っていたんですが、地味にゆきちゃん最初にして最大級のファインプレーだったのではないでしょうか? その原作ではさらりと流されてはいましたが……。

 

 ともあれこれでフラグが勃ちます。いわゆる原作突入フラグ、或いは“ろうじょうぐらし!”フラグと俗に呼ばれている(呼ばれてるとは言ってない)ものです。

 

 そして、これを以って原作同様の“覚悟を決めて”くれるんですが……、今回は割と本来は居なかった人員が居ますので、正直どうなるかはわかりません。

 

 なのでまあ、ここはそこに配慮して動く必要があるのですが……まずは何はともあれ立ち上がってから、年齢その他からたぶん一、二を争うレベルでやばそうなるーちゃんとりーさんに声をかけましょう。

 

 ついでですので、先ほどクリティカルを出したっぽいみーくんにも声をかけて、と。

 

 >二人で抱き合っている、ツインテールの少女と変わった帽子をかぶる少女。どうやらそちらは何とか持ち直しているようだ。少なくとも、聞こえる声に混じる焦燥は先ほどまでではない。

 

 >それ以上に、るーちゃんだ。先ほどまでの違法スナッフムービーも真っ青だっただろう光景は、何処かズレている嗜好の人たちを除けば、きっと10人中9人ほどは“子供に見せてはいけない”といわれるだろうと思えるほどには凄惨だったのだから。

 

 ……いや、“ズレてないのにR指定しない(子供に見せていいと言った)奴”君さぁ……(呆れ)

 

 >そしてそれは、私の大切な幼馴染達も同じだろう……と、瑠璃ちゃんの元に向かう道すがら思い、美紀たちにも声をかける。

 

「――ゥッ、ぁ、やね……?」

 

「――っ! ケホ、ぇほっ……あやね、けほ、こそ、だいじょーぶ……?」

 

 >美紀たちには無理が透けているだろうけれど、それでも大丈夫だと返したあなたは、二人のいる場所には気をかけないことにして、そのままこの中での最年少であろう少女の下へと向かう。

 

 二人の足元……生々しいゴア表現……あっ(察し)。そですね、あまり気にしないほうがいいでしょう。――そこには何もない、イイネ?

 

 >向かった先。その場所には、落とされた籠やばら撒かれた野菜の散らばる中、しっかりと先輩に抱きすくめられている瑠璃ちゃんの姿があった。

 

 お、りーさんナイスゥ(建前)ナイスゥ(本音)! どうやらとっさにるーちゃんの視界を、その恵体でしっかりと塞いでくれた(意味深)みたいです。

 

 とはいえ表情を見るに、どうやらるーちゃんも\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!  なようです。そら(目の前であんなことがありゃいくら大人でも)そう(正気でいられるわけもない)よ。ましてやるーちゃんはょぅι゛ょなんだし。

 

 >震えながらも、しっかりと瑠璃ちゃんを守る(に縋る)かのように強く抱きすくめる先輩と、震えながらも先輩に抱きつき、必死に涙をこらえる瑠璃ちゃん。どう声をかけたものか、と戸惑いつつ、あなたは――

 

 Select!

 

ニア 先輩達の横から、二人を優しく包むように抱きしめた

 

  無言で軽く頷き、そっと二人から離れて床の籠や野菜を拾い始めた

 

  先輩と瑠璃ちゃんを呼びながら、大丈夫か尋ねた

 

 おっと、ここで選択肢。もちろん私は上を選びます。極限状態で人を一番安心させられるのは人肌だって、それ一番言われてるから。それに流石にこの状況での後方彼氏面はイカンでしょ。

 

 >突然のあなたの行動。その熱に思わずビクリ、と肩を跳ね上げた先輩は、しかしそれがあなただと気付いたからか、ギュッと肩に入れていた強張りをすぅ、と抜いたのがわかった。

 

 >先輩に包まれていた瑠璃ちゃんも同じようで、あなたが先輩もろともかき抱くと、次第に全身から震えが止まっていく。

 

「――あやね、さん?」「あや、ねぇ?」

 

 >同時、それはあなたもなのだということがはっきりと自覚させられる。――どうやら、幼馴染達の前で張っていた緊張の糸が、先輩達を抱きしめたときの温もりで解されてしまったのだろう。先ほど立ち上がったときにはもう大丈夫だ、なくなったと思っていた震えや脱力感が再びあなたを覆い始めた。

 

 >倒れるまい、ととっさに力を入れては見たものの、それでも身体を支えきることはできなかったようで、あなたの身体はそのまま下へと沈み――

 

「「「あやね(さん)(あやねぇ)っ!?」」」

 

「――――ッ! ……ぁ、れ?」

 

「……ふぅ、間に、あいましたね……」

 

 >切る前に、柔らかな感触と温もりがあなたの身体を包むとともに、グっと後ろから両わきを抱えあげられる形で支え上げられる感覚。

 

 >思わず振り向いた先には、“よかった……”と息を吐く佐倉教諭の姿と、そこから香る柔らかな芳香。……というか、近い。しかも背中がやわらかい。……くっ。

 

 あぁ^~いいっすね~……やっぱり……生徒と教師の禁断の百合を……最高やな!(最後の“くっ”(72)から目をそらし)

 

 >……とはいえ、やはり人肌の温もりというのが、こういった状態における特効薬であるのはどうやら正しかったらしい。

 

 >次第に自身の身体から、強張りや脱力感が抜けていくのが感じられ、それと同時になるほど、と思う。――なんだかんだ友達感覚になってはいるけれど、この人もれっきとした“教師”であり……“大人”なんだな、と。

 

 あぁ^~……ふぅ。

 

 さて、こうやって極限状態での高品質百合園を見続けていたい気もしますが、それはロスになるので……やめました。

 

 というわけで、代理ちゃんの状態が落ち着いたら、めぐねえ(要介護ヒロイン)にお礼を言いつつ立ち上がりましょう。その上で行動を開始します。

 

 >ようやく脱力が抜けたあなた。支えてくれた“先生”に軽く礼を言うと、ところで、と話しつつ屋上の中央付近へと視線を向ける――居た。

 

 >向けた視線の先に、いくらか焦燥がとけてはいるものの、まだ抱き(支え)あっている二人の少女を認めると、徐にそちらへと歩いていくあなた。

 

 というわけで、ここで改めてくるみネキとゆきちゃんにもちゃーんと声をかけます。

 

 ついでに言うと、この辺りで関わりの薄かったキャラに声をかけておかないと、後々そのキャラからの好感度が足りなくなることがあるので忘れないように(2敗)。

 

 ではまあ、先ずはくるみネキから。肝心の内容ですが、種火先輩について……は不和フラグになり得ますし、そうでなくとも、せっかく覚醒し(種火を消費し)たくるみネキの正気度が下がったりしてしまう(3敗)ので、やめようね!(変態百合土方)

 

 まあ、ここは当たり障りなく、怪我はないか、とでも聞いておきましょう。“大丈夫か”でも良いのですが、大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば(目に見えて大丈夫じゃ)ないです。目の前での生スプラッタ後先輩鏖殺だし、(大丈夫じゃないのは)当たり前だよなぁ!

 

「あ、ああ、一応、な。……でも、悪い、やっぱり少し……静かにさせて欲しい……」

 

 >あなたのかけた声にそう答えた、長髪を側頭部二箇所で(ツインテールに)纏めている少女。その表情には、さまざまな感情が入り混じっている様子が見て取れる。

 

 >――まあ、仕方の無いことか、と思う。何せ、身近な人物がああなったのだから。そう思いつつ、あなたは向きを変え、彼女を支え続けている少女へと改めて向き合うことにする。

 

 >……ああ、そうだ。確かに“彼女の感情”をはっきりと解っている、というのは軽率ではあるだろう。――けれど、それでもまったく判らないではない。客観的にも、……自身の、かつての経験からも。

 

 >故に、今のあなたには、それ以上踏み込むことは出来なかった。――それを和らげる特効薬は、ただ時間の経過だけなのだと、あなたは身をもって“識って”いたから。

 

 >……まあ、それでもこの状況下ではあるのだし、何とかする必要はあるけれど。

 

 ……ん? なぁにこれぇ。すっごく不穏なんですけど? まま、今はソコまで踏み込まない理由になるのでヨシ。続いてモノローグにも在ったように、ここでゆきちゃんにも声をかけます。

 

 ここはしっかりとお礼を言っておきます。短縮の女神様ありがとーフラッシュ!

 

「ぇ? ……ぁはは、女神様、なんて恥ずかしいよ。でも、どーいたしまして、かな」

 

 >変わった帽子をかぶった少女に礼を言うあなた。先ほどの機転に救われたことを告げ、ついでに少しだけ大げさに――半ば以上は本心から――持ち上げると、そういって少し顔を朱に染めつつ、それでもにこり、と可愛らしく微笑った。

 

 >そのついでに軽く自己紹介を済ませ……る前に、あなたは――

 

 

 Select!

 

  みんなから離れているのもなんだし、みんなのところまで移動しよう、と誘った

 

ニア ドアの近くにいると危ないかもしれない、と思ったことを少女に話し、ドアの近くにいたみんなを呼んだ

 

 

 おっと、ここで選択肢。とはいえ、出入り口近くだと、まだドアを叩く音がしているためSAN値がランダムで下がる可能性がある他、選択肢の通りに、低確率でかれらが窓を破る危険があるため、ここは安全を取ってこちらに呼んでおきましょう。

 

 ドアのほうはロッカーを倒してからふさいでいるため破られないので、後で落ち着いたら補強をする、程度で大丈夫ですが、もし窓を破られた場合、近くにいると感染判定が生じます(n敗)。

 

 >もしかしたら、ドアや窓が破られるかも。そうふと思ったと話すと、少女は“じゃ、みんなも呼ぼう”と、大きく手――というか全身かも?――を振って、ドアの近くにいた美紀達を呼んでくれた。

 

 あぁ^~ゆきちゃんがぴょんぴょんするんじゃぁ^~……失礼、取り乱しました。

 

 というわけで、みんながこちらに来て話を始める前に、今まで地味に近くにおいていた鞄を、改めて日陰に置きなおしましょう。長く日向に置いておくと、せっかく持ってきた食べ物類がだめになってしまいます(2敗)ので、そこそこ重要です。

 

 >屋上の中央付近に集まったあなた達。先ほど青年に襲い掛かられた少女も近くにいることを確認し、その上で改めて状況を確認しようとしたあなた達は、そこでこの場にいる全員が知り合いだというわけではないことに気づく。

 

 >まあ、それはそうだろう。というか、そんな都合がいいことはそうそうあることではない筈だ。そういって、無理に笑おうとしたのは誰だったのか。

 

 >ともすれば昏くなってしまいそうな状況の中、そうなったらお終いなのだ、とあなたは……否、口にこそしなかったけれど、きっとそこにいたみんながみんな、なんとなくそう感じていたのだと思う――

 

 はい、というお通夜寸前の状況でも、原作と比べればまだマシな状況でフェードアウトしていきます。そして再びフェードインしてくると、空がきれいな茜色に染まっている状況……は、少しばかり過ぎているようですね。透き通ったような夜空がきれいです。

 

 どうやら時間経過の際に、ちょっと大きめの乱数を引いたようですね。こっそりスマホを確認させましたが、すでに午後八時に届きそうな時間でした。

 

 流石にそんな時間まで、直射日光に鞄を晒しているのは、中の食料的にNGです。……だから、鞄を日陰に移動させておく必要が、あったんですね(軽度メガトン)。

 

 で、ですが、このまま何もしないと、極低確率で誰かが持ってきてくれない限り、敷物も無く就寝することになってしまい、みんなで固まって休むとはいえ、流石に全員の体力や正気度がメガトンコインしてしまいます(4敗)。

 

 なので早速、勝手知ったるりーさんに、何かないか聞きましょう。へいりーさん、なにか被れそうな物はあるかい?

 

「……ぇ? ぁ、ええそうよね。流石にこのままじゃ風邪引いちゃうわよね……ちょっと待ってて?」

 

 >少し寒くなってきたかも。吹き込む風に思わずこぼれた一言に、それまで瑠璃ちゃんを抱いていた若狭先輩――美紀と圭、あと先生以外はみんな先輩だったので、呼ぶときには苗字もつけて区別することにした――は、屋上の倉庫へと向かう。

 

 こうしてりーさんをけしかけて、倉庫やそれ以外からシートを持ってきてもらいつつ、それとは別にめぐねえにも動いてもらいましょう。へいめぐねえ先生、エッチな寝床はあるかい?(エッチな寝床って何だよ)

 

「ぁ……は、はい、寝床……ですか? ――!! そうだわ、何をしていたのかしら……このままじゃ、もし雨でも降ったら」

 

 >若狭先輩が防寒に使えそうなものを探しに言って少し。ふとあなたが感じた疑問を、この中での最年長である佐倉教諭に投げかけてみる。

 

 >すると、半ば放心していたような教諭の瞳に、俄かに光が戻ってきたように見え――事実、それまでの散漫さからは想像出来得ないほどしっかりと、“これから”の懸念をまとめるような呟きが聞こえてくるようになった。

 

 >その光景に、あなたはほぅ、と息を吐きつつ、隣にいた友人達の手を握る。

 

「よかった――まだ、大丈夫かな……」

 

 >あなたの口から思わず毀れたその言葉。両隣から注がれる訝しげな視線に、どう説明したものか……と思考を回し、そもそも隠し立てする程でもないな、と思い直す。

 

「いやね、あの二人って、さ?」

 

 >そうとなればあとはただ、本人たちに聞かれないように気をつけつつ、思っていたことを説明するだけ――。故にあなたは、一応とばかりに声のトーンを抑えて、その理由を二人に告げた。

 

「「あぁ、なるほど(ねぇ)……」」

 

 まあ、確かに少しでも知ってればそうなるな。動画ではちょっとカットしてますが、少しでも親交があるか、学校やコミュニティでの知名度がある人物に対して出てくる選択肢を選んでます。

 

 それを選ぶことで、二人をフリーにしておくと、きっとろくなこっちゃない、という心情を、PCや、関わりの強いキャラに抱かせることが出来ます。

 

 ちなみに今回それで誘導できてますが、これはあくまで代理ちゃんが陽キャだから、もとい“話し上手”や“ムードメーカー”があればこそなので、ほかのキャラだとそれこそ“丸め込み”などのスキルが必要になると思ってください。

 

 とか何とか言いつつ、実はここでりーさんに対して、その選択肢が出てきてちょっと慌てたのは内緒だゾ(小声)。

 

 >軽い説明で、そろって頷く二人。二人とも背負い込みそうだしねぇ、と続ける圭に、美紀はうんうん、とただ首を縦に振るだけだったのは、まあそういうことだろう。

 

 >……ちょっと危ないかもね。そう苦笑しながら言うあなたと、同じく苦笑を浮かべる二人。けれど。

 

「だからこそ、頑張らないとね。私も、美紀も――あやねも」

 

 >めぐねえや先輩達に、無理をさせないようにさ。そういった圭の横顔が、なんだかいつもよりオトナに見えて――

 

「えっと、圭? 何か変なものでも食べたの?」

 

 >思わず、といった風な美紀に、それこそ思わず噴出してしまうあなた。“ひどいよ!”と声を上げる圭。そしてそんな(三人)に、何事かと視線を向ける、先生と、先輩達と、一人の少女。

 

 >――大きく変わってしまった世界。まだ遠くでは止まない狂騒。けれどそこ(ここ)には、数時間前までは確かに在った“日常”を思い出させる暖かさがあった。

 

 >――頑張らないと。手放すまい、と。そう無意識に思い、握っていた二人の手を、強すぎないように、それでも確りと握りなおして。

 

「あやね。……大丈夫」

 

 >右手から伝う温もり。辛い時にも傍にいてくれた、掛け替えのない私の幼馴染(お姫様)。

 

「うん、大丈夫。あやね、がんばろ」

 

 >左手から伝う温もり。私達を明るく照らしてくれる、得難い私の大親友(王子様)。

 

「うん。……私達は、生きている。私達は、ここにいる! ――そうだよね、みんな?」

 

 >そして私は問いかける。不器用な私を受け入れてくれた先輩に、私達を助けてくれた小柄な先輩に、私達を守ろうとしている細腕の先生に。そして――守られた形ではあったのだろう、けれど結果、大切だっただろう人の最期の介錯をしてしまった先輩に。

 

 >先ほどよりも強い声に、再度何事か、と向けられる視線。一つ一つに視線をあわせ、そしてその中でも最後では在ったけれど、それでもさっきよりも確りとした瞳を覗いて。

 

「負けてなんて、いられない。そうですよね、先輩、先生」

 

 >気炎を吐く。――こんな惨事を起こした世界にも。その世界に、何もわからないまま、成す術なくかえられた“かれら”にも。そして。

 

「生き延びて見せなきゃ、報われないってものでしょ?」

 

 >そんな“かれら”から、誰かを守ろうとしてくれた“かれら(想い)”の為にも、負けられない、と。

 

「――っ!!」

 

 >覗いた瞳の光が、強まったのが確かに見えた。僅かではあるが、それでもはっきりと。

 

「そう、だよな。先輩だって、私を護ってくれたんだ。ほかでもない“私”を」

 

 >――だったら、足掻いて見せるとも。そういって立ち上がった、ツインテールの先輩の瞳には、すでに先ほどまでの揺らぎの色は浮かんでいなかった。

 

 ポカーン( ゚д゚)<……なぁにこれぇ。これ(がっこうぐらし!)はいつから熱血サバイバル叛逆ものになったんでしょうかねぇ(困惑)

 

 まま、気を取り直して、唐突なNot Skip Movieはさておき、操作が戻ってきたので続行していきましょう。……本当になんだったんですかねぇ?

 

 とりあえず、先ほどのムービーから切り替わってすぐに、ゆきちゃんとるーちゃんが、代理ちゃんたち三人にギュッと抱きついてきました。

 

 そして……と、りーさんも戻ってきましたね。何枚かの畳まれたブルーシートも持ってきてくれました。あとはめぐねえ、ととと?

 

「なあ、えっと……沢代、だったっけ?」

 

 >戻ってきた若狭先輩にへの礼を言っていると、横からツインテールの先輩――恵比須沢先輩、だったと思う――から声がかけられた。

 

 >その言葉に頷き、あなたは言葉を続ける――

 

 

 Select!

 

ニア そんなかしこまらなくても。“あやね”でいいですよ、センパイ。

 

  はい。でも大丈夫です? 無理はしないでくださいね?

 

   名前なんて……今はそんなこと、どうでもいいんだ、重要なことじゃない。

 

 

 ……はい、ここは下手に心配をしてしまうと、低確率で覚醒が剥がれてしまうため、涙を呑んで軽く流しましょう(一番下の霧の塊から目を逸らしながら)

 

 というのも、先ほどくるみネキは“私”といっているので、それはまだ完全に覚醒しているわけではない、ということを示しています。

 

 そこで変に気を使ってしまい、種火先輩を薄れさせてしまうと、覚醒判定に再チェックが入り、失敗の憂き目に会う場合が生じてしまいます(5敗)。

 

 だから決して、私から進んで軽く流すのではない、と思っていただきたいッ!

 

「あ、ああ、わかった。……ありがとな、あやね」

 

 >先輩が口にしたお礼に、あなたは理解しつつも“私は何もしてませんよ”と惚けて返し。

 

「それでも、さ。確かに、“あたし”が塞ぎこむわけにはいかないもんな」

 

 >せっかく生かしてくれた先輩のためにもさ。そういって目尻を拭った先輩は自嘲交じりの、それでも先ほどよりもはっきりとした、決意を帯びた笑顔を浮かべたのだった。

 

 はい、くるみネキの工事(覚醒)、完了です……ほら、一人称が変わったでしょ? こうなったら、以降精神崩壊まで行かない限りは、最前線に立ち続けられます。

 

 同時に、正気度の低下が緩やかになり、滅多なことでは正気度が大きく落ちることがなくなりますので、うん、おいしい!

 

 >グ、と強く拳を握る恵比須沢先輩。これなら大丈夫そうだ、そう思ったあなたは、改めて両隣の親友達に礼を言い、先生の下へと向かった。

 

 >そこには先客がいたようで、先生はちょうど、変わった帽子をかぶっている小柄な先輩と話をしていた。

 

「あ、あーちゃんだ」

 

 >あーちゃん? 急に呼ばれたその呼称に、あなたは思わず聞き返しつつ首をかしげる。

 

「丈槍さん? 沢代さんも驚いているみたいですよ?」

 

 >佐倉教諭のその言葉に、丈槍先輩は苦笑いをしながら謝ると、その呼び方を説明してくれた。……なるほど、そうきたか。

 

「ぁはは……沢代さん、深く考えなくても大丈夫ですよ?」

 

 >そこまで百面相していたのだろうか? 佐倉教諭の露骨なフォローが、なんだか妙に心に刺さった気がした……。

 

 ……なるほど、“あやね”だから“あーちゃん”、という原作風のあだ名がつけられたところで、鞄の中に入れてきていたお菓子を出して振舞っておきましょう。

 

 まあ、羊羹はナイフなどがないとアレなので、ここはのど飴とチョコレートを出しておきます……が、くるみネキはやはり拒否ですね。

 

 とはいえここで何かしら食べさせないと、体力値にデバフがかかった状態で二日目になるので、一かけらでもいいので口に突うずるっこんでやりましょう……やりました(クール系正妻空母感)。

 

 >“今はいらない”という恵比須沢先輩の口元に、無理やりに食べ物を運んでいく。

 

「ああ、わかったわかったわかったから押し付けるな食べるって」

 

 >運んでも、最初はいらない、といっていた恵比須沢先輩。けれど、まだ心配だから、とか、さっきの決意を引き合いに出す、とかいろいろと説得の手を変え品を変え――るほど何かがあるわけではなかったが――、何とかチョコレートを一かけらと飴を食させることに成功した。

 

 >それになんとなく達成感を得たあなただったが――不意に、身体の回りを吹き抜ける風の冷たさにブルリ、と震えが走る。

 

「「「「「「あやね(さん)(あやねぇ)(沢代さん)?」」」」」」

 

「ぅぅ……さっきも沢代さんが言ってましたけど……初夏とはいえ、確かに寒くなってきましたね……」

 

 >あなたの震えを見た全員から、心配のこもった視線が向けられる。それに少しだけ居心地の悪さを感じたあなたは思わず、柵の外……の下、校庭へと視線を向け――なんとなく、大きな違和感を感じた。

 

「……ぁ? んー? 確かに、何か違うような?」

 

「えっと、あやねぇ、りーねぇ。お外、誰もいないけど、どこにへいっちゃったんだろう?」

 

「!!! それだよ、るーちゃん!」

 

 >あなたの感じた違和感に、続いた二人の言葉。それを元に、丈槍先輩がそれだ! と指をさす。

 

 お? どうやらここでひとつのフラグが踏めそうです。“あめのひ”フラグは、早くに立てておけば安心できるってもんですからね。

 

 何より、ここで立てられるなら、今後それをわざわざ立てる必要がなくなるので、タァイム的にもうま味ですし。

 

 >先輩の言うには、もしかしたら“そう”なる前の習慣が残っているのかもしれない、とのこと。そうだとしたら、この時間に校庭ががら空きなのも頷けるというものか。

 

「なるほど……確かに、ありえなくはないのかもしれませんね……」

 

「でしょ? るーちゃんのおかげだよ!」

 

 >ね、るーちゃん、と瑠璃ちゃんの頭を撫でる丈槍先輩。その表情はとても柔らかく、わしゃわしゃと撫でられている瑠璃ちゃんも満更ではなさそう。

 

 >……そして瑠璃ちゃんの逆隣から、その光景をどことなく自慢げに、けれどどことなくうらやましげに見ている若狭先輩は……まあ、そっとしておこう。

 

 あぁ~百合のトライアングルの響く音ォ~!

 

「……とはいえ、本当にそうかはまだわかりませんから、いつかは確認の必要がありそうですね」

 

 ん? めぐねえが珍しくフォロー、というか指摘に参加してますが……これは(覚醒の可能性)濃いすか?

 

 まま、ほとんど起こらないことまで入れ込むとガバるので、ここは当初のチャート(発破解体済み)通りに進めるとしましょう、といったところで、代理ちゃんにそろそろ寝るように促して……

 

 >あなたは周りの皆に、そろそろ身体を休めたほうが良いのではないかと問いかける。特に、自ら手を下すことになった恵比須沢先輩にはちょっと重きを置いて。

 

 >そしてそれからほどなく――言いだしっぺの法則だ、とでも言うのか――あなたを中心として、先ほど若狭先輩が持ってきてくれたシートと、近くにあったダンボールを用い、簡易的な寝床を作りあげ……なぜか、あなた達を中心とした塊になって休むことに。

 

 >あれか。さっき寒さに震えたのがいけなかったのか。

 

 アイヤー(蒼天jnik)。見事に代理ちゃんが真ん中になってますね……どうして(電話猫)

 

 >まあ、それは良いだろう。今は季節柄昼間こそ暖かいが、ここまで夜も更けてくると、流石に昼間の軽装では風邪を引いてしまいかねないのだし、自身の身体も寒さを訴えているのも、さっきの震えのとおりだ。ここはありがたく享受しよう。

 

 寒さに震える代理ちゃん(緑髪短髪美少女)を暖めようと固まりになる美女美少女の群れ……アーイイ、遥かにイイ……(末期中毒)。とはいえこっそり動きにくいので、ちょっとまず味かもしれませんねクォレハ……。

 

 >ちょっと皆が近い気もするが、、流石に狭いダンボールとブルーシートの組み合わせでは、密着しないと入りきらないから仕方ない、と説明する教諭。

 

 >それもそうか、と思うあなただったが、ふとその教諭を見ると、一人だけ離れていこうとしているのが見えて……

 

 

 Select!

 

ニア 教諭の手をしっかりと握り締め、そのまま寝床の中に引きずり込んだ

 

  教諭の腕をしっかりと引き込み、抱きしめるように引き倒した

 

  責任感が強いのだな、と感心しつつも、それで風邪を引くのも本末転倒だろう、と教諭を呼んだ

 

  ……丈槍先輩、瑠璃ちゃん、皆さん……GO!

 

 

 おっと、ここで選択肢ですか。……ここは当然二番目、といいたい所さんっ!? ですが、好感度の上昇が大きい反面、依存度にも数値が入る可能性が高くなりますので、涙を呑んで一番目に。

 

 三番目だとまず拒否されてからの説得フェイズに入るため、タァイム! 的にまず味です。……一番下? 申し訳ないが、流石にほぼ初対面の先輩方を犬のように駆け回らせるのはNG。

 

 >離れていこうとする教諭の手をとっさに握り、そのまま引き込んで皆の輪の中に巻き込んでみる。

 

 >“きゃっ!?”という、成人女性らしからぬ可愛らしい悲鳴とともに引きずり込まれた教諭の腕を、以外にというべきか、俊敏な動きを見せた丈槍先輩ががっちりとホールドしたようだった。

 

「ひゃぁっ!? ……もう、沢代さん、転んで怪我でもしたらどうするんですか!」

 

「まーまーめぐねえ、寒い中で一人にはできないってば」

 

 >簡易寝床に座り込んだ佐倉教諭のかわいい抗議に、思わず緩みそうになった頬を律しつつ謝罪しようとしたあなたの前に、彼女の腕をしっかりと抱えた丈槍先輩の声が入り込む。

 

 >その声に、あなたと当の本人たち、および瑠璃ちゃんの四人以外のみんながそろって首を縦に振ったのを見た教諭は、あきれたようにため息を吐きつつ“あなた達はもうっ”とこぼし、それでも“こうなっては仕方がない”と満更ではないような様子で、腕をつかんでいた丈槍先輩の隣に身体をもぐりこませたのだった。

 

 うんうん、やっぱり(めぐゆきは)こうでなくっちゃ。やっぱ“ゆきちゃん純粋攻め×めぐねえヘタレ総受け”が王道ってはっきりわかんだね。異論は認める。それもまた百合(ローマ)だ!(cv神祖)

 

 さて、それでは後は眠るだけ……ではなく、一応種火パイセンからシャベルを引き抜き、ついでにハンカチか何かで顔を軽くぬぐってから余りのシートで覆っておきましょう。

 

 それだけで、起きぬけに“昏睡(かれら化)介錯! 聖剣(シャベル)の台座と化した先輩”を見てしまってSAN値が下がる、というもらい事故が防げます(5敗)。

 

 >引きずり込んだ佐倉教諭を丈槍先輩に任せ、あなたはいまだにシャベルが刺さったままだった青年の下へと向かう。

 

 >ここのOBだったという青年。最期まで“変化”に抗い、最後の理性を持って恵比須沢先輩を逃がそうとし――最期には、その恵比須沢先輩の手で介錯を受け(開放され)た青年に向け、まずは手を合わせて黙祷。

 

 >背後から誰か――おそらく恵比須沢先輩か――の息を呑む声が聞こえたものの、あえて無視して、その身体に突き立ったシャベルを引き抜き、取り出したタオルで青年の顔を拭っていると。

 

「……あやね、あたしも手伝うよ。というかあたしにやらせてくれ」

 

 >背後から、ほかでもない恵比須沢先輩に声をかけられる。“本当なら、あたしが全部やるべきだったのにな”と。そう話すその声には、多大な後悔と、少しの自嘲の色が混じる。

 

 >元よりそれに否やはないあなたは軽く頷くと、手に持っていたタオルを先輩に渡して、バケツと水を持ってくると告げて一度その場を離れる。

 

 >……まあ、それも本当では在るものの、その半分以上は“先輩に区切りをつけてもらう”ための建前に近いのだが、とあなたは苦笑し。

 

「……あやね、さっきはああ言ったけどさ?」

 

 >そんなあなたが寝床の近くを通った際、友人達があなたに声をかける。――無理をしないで良いのは、あやねも同じだよ? と。

 

 >その言葉に困ったように乾いた笑いを溢すあなた。そんな様子に、あなたの誇る幼馴染と親友は顔を見合わせ、深くため息を吐き……

 

「まあ、あやねだから」

 

「ああ、仕方ないよね、あやねだし」

 

 >そういうと、二人はあなたの両手をそれぞれの手で包み込み。

 

「でも、さ。それでも、少しくらいはあたし達にも頼ってほしいな、って」

 

「……昔から、抱え込む癖があるもんね、あやねってさ。……私じゃあ、ううん、私達じゃあやねの力には足りないかな……?」

 

 >あなたの手を包む彼女達の手に力が入っていく。少し感じる二人の震えは、寒さだけではないだろう。……嗚呼、わたしって、ホント馬鹿。

 

「ひゃあっ!?」「わわっ」

 

 >二人の言葉に、改めて自身の悪癖を自覚したあなた。申し訳なさと嬉しさが体中を駆け巡り、気がついたときには二人をギュッ、と抱きしめていた。

 

 >突然のあなたからの抱擁に、最初こそびっくりした様子もあったものの、直ぐに二人の腕があなたの背中に回される。――制服越しに伝わる柔らかさと温もりが、思ったより溜まっていたらしい、あなたの焦燥を軽減していくのを感じた。

 

 

 L E V E L   U P !

 

 

 ゆ、百合が……百合が濃い(歓喜)! 正気度も回復しているのも嬉しい限り。……時間? なんのこったよ(すっとぼけ)(時間をリリースして百合を所望する走者の屑)

 

 とはいえここでおててにぎにぎが発生しているのは大きいですね。しかも二人分。さて何をとるかは次回までに考えておくとして、二人と手を洗ってから少し倍速(5,14倍)。

 

 くるみネキの下に戻ったあたりから再開します。

 

 >バケツに水を入れ、恵比須沢先輩の元にもっていき、青年の遺体を清めていく。

 

 >徐々に染まるバケツの中の水が、染まったタオルが、水の冷たさも相俟って、わたし達に“現実”を突きつけている気がした――。

 

「……ふぅ、これで、と。……先輩、憎まないで、とは言わない。見守って、とも。ゆっくり、休んでください。おやすみなさい先輩……

 

 >清め終わり、瞼を閉じて。持ってきたシートの予備を上に被せると、恵比須沢先輩とあなたは並んで手を合わせ、冥福を祈る。

 

 >簡易的な葬送の儀を終えたあなた達は、どちらからともなく立ち上がり、皆の下へと戻っていき。

 

「なあ、あやね。……ありがとな、改めて」

 

 >途中かけられた声。先ほどの行為で一先ずは精神的な区切りがついたのだろう、その声は、先ほどまでの不安定さは鳴りを潜めていたように感じた。

 

 >その言葉に、先ほどのように“ただしたいことをしただけだ”、と返したあなた。恵比須沢先輩の返しも先ほどと同じ。けれど“それでも、だよ”と返す言葉には、先ほどと比べて幾許かの明るさが含まれていた。……幾分かは吹っ切れたのだろうか? 

 

 ふむ、これなら無事覚醒イベントを達成できたようですね。原作よりも早めに向き合い、乗り越えたように思えます……とはいえ、ここで安心すると依存モードに入りかねないので、あとゲーム内時間で一日は様子見です。

 

 では翌朝までまでば・い・そ・く・し・た・い(ゆっくりまんじゅう生活部)

 

 といったところで今回はここまで。寝床に入ったらチキンセーーーーブ! して……それでは次回にまた会いましょう!

 

 

////////////////////

 

 

 寝床について数十分経ったか。今日一日だけで、文字通り世界が変わってしまった。

 

 狂騒と狂乱。混乱と荒廃。そこまで視点を広げずに、明日以降の寝床や食事、しっかりと休める場所のことなど、身の回りのことだけをとっても、いろいろと考えることは多い。

 

 とはいえ、実際には私が動いたことなどほとんどない。せいぜい、倒れかけた沢代さんの身体を支えた程度だ。

 

 ――私は何をしているのだろう、と静かに自嘲する。ほとんど、生徒にやらせてしまっているというのに。本当は、自身がしっかりと前に立たないといけないというのに。

 

「……私は、どうすればいいの――?」

 

 空を見て、きれいに輝く月を見上げて、ふ、と無意識に毀れだす言葉さえ、自身を責めているように感じられて。

 

「ん……むにゃ、めぐねえはめぐねえでいればいいんだよ……んゅ……くぅ」

 

 そんなとき、隣で眠る生徒――丈槍さんの声がかかった。

 

「……ふふ、ありがとう、丈槍さん」

 

 それはきっと寝言の延長で。どんな夢を見ているのかはわからないものの、それでもかけられた言葉は、確かに私に救いを齎し。

 

「……それでも、私は教師、ですから」

 

 それに救われていてはいけないのだ、と己を律したとき。

 

「……んぅ。先生は、ん、いてくれるだけで。いなくなったりしなければ、それで良いんです……いてくれるだけでも、いなくならなければ……いなく、ならないで――おいて、いかない、で……わたし、も……すぅ、んぅぁ」

 

 二つ隣。丈槍さんとは逆隣の、二年の直樹さんを挟んだ先から聞こえた声に、思わずビクリ、と肩が跳ね上がる。

 

 そこにいるのは、つい先ほどまで中心的に動いていた、二年の沢代さん。けれど、その声にあった色は、先ほどまでのような快活さではなく。

 

「おね、がい……ひとりに、しないで……いい子に、するから……もう、勝手に……飛び出さない、から……ん、んぅゅ……」

 

 まるで、捨てられた子猫のような、寂しさと苦悶の色に満ち満ちていた。

 

「……沢代、さん?」

 

 辛そうな声。悲しそうな、小さな叫び。苦しそうな、自傷の呻き。

 

 ――いったい何が、そう思ったとき、ふとかつて見た生徒資料の内容を思い出す。

 

 “沢代 理音。母親は幼い頃になくなり、以降父親に育てられるが、父親も××年前に交通事故で死亡。以後数年間親戚の家を転々とすごした後、同学年で家族ぐるみの付き合いがあった直樹家に養子縁組で引き取られる。尚、親戚の家ではこれといった話は聞かなかったが、直樹家に引き取られるに際し、直樹家と沢代家親戚一同との間で法廷闘争あり、親戚付き合いは断絶。そのため、面談等は直樹家と行う。追記:当校入学にあわせ現住所にて独居開始”

 

「……沢代、さん」

 

「ぅぅ、おね、が、い……」

 

 苦しみとともに伸ばされた手。

 

 正直、彼女の過去に何があったのか、まではわからない。

 

 けれどそれでも、その手を握ってあげたいと手を伸ばし、だがそうする資格があるのかと逡巡したとき。

 

「だぃ、じょーぶ、だよ、あやね……私は、ここにいる、から……すぅ……」

 

 一人の少女の……否、“幼い”少女の手を掴み、包んだのは、彼女の、そして私の隣にいた直樹さんだった。

 

「んゅ……み、き……? みきぃ……そばに、いて……ひとりは、もう……やぁ、なの……」

 

「あや、ね……私は、いっしょ……だょ……ん……けい、も……」

 

 そしてそのまま抱き合うように、或いは包みあうように。救いを求めて伸ばされた手を引き、自らの胸元へ。

 

「すぅ、すぅ……あやねー……ん、へーき、だよぉ……。あたしも……すぅ、くぅ」

 

 そしてそのまた向かい側。直樹さんとは沢代さんを挟んで反対側に居た、祠堂さんの手も、重ねられた二人の手の上に。

 

「ん……み、き……けい……すぅ……んん……」

 

 その温もりに安心したのか。少女の声から、恐怖や寂しさは薄れていた。

 

「――ああ、そう、なんですね……」

 

 それを見て、私の心にナニカがストンと落ちる。

 

 ――距離が近すぎる、と言った(教頭)がいた。/視線をあわせること(優しさ)視点が同じであること(甘さ)は違うのだ、とずっと教えてくれていた。

 

 ――そのままでも良い、と言ってくれた(同僚)がいた。/共感できなくなるよりはずっと良い、といつも伝えてくれていた。

 

 ――私を頼ってくれた(生徒)がいた。/しっかりと受け止めてくれる、と思ってくれていた。

 

 ――私を好いてくれている(教え子)がいた。/視点は近くても“大人として”手を引いてくれる、と信じてくれていた。

 

 そして――。

 

「まだ“大人”ではない。けれど、まるっきり“子供”かといえば違う。そんな(ひと)たちに必要なのは――」

 

 ――いつかは“大人”を担っていく、けれどまだ羽ばたき始めた“小鳥”が、ここに居る。/ただ庇護されるだけではなく、誰かを護るにはまだ早い。けれど一人で立ち上がれる、いつかは一人で立たねばならない。そんな“未熟な/先のある”()たちを、近くで、けれど決して同じではない視点で見守り、教え、導ける人になる事だと、今の光景(この場所)が教えてくれた。

 

 改めて、周りを見回してみる。ここに居るのは、しっかりしていて、いまだ脆い、発展途上の小鳥達。自らの手で、自らの翼で。いつかは震えながら、ゆれながらも大空へと羽ばたいていく(おおとり)の雛達。

 

 自らの夢を、流れる雲を追いかけながら探しにいけるような、そんな鳥に、彼女達も何時かはなっていくのだろう。

 

 なら、ここに居る私は? ただそんな雛鳥たちに、寄り添うのではなく成りきってしまっている私は、どうするのか、と自らに問いかけてみて。

 

「……ふふ、なぁんだ。もう、答えは得ているじゃない」

 

 ――『優しさ』と『甘さ』は違う。『心配』と『過保護』もまた、違う。そして、『しっかりと前に立つ』ことと、『焦って前に出る』ことも、また。

 

 生徒の前だ、自身は教師だ。そんな(たったそれだけの)覚悟(思い上がり)だけでは、きっとこの先、大きな迷惑になってしまうだろう。

 

 先ほどの沢代さんの苦しみを見ただろう。

 

 “できること”を軽視して、ただ“やりたいこと”を責任と取り違えた私では、それに寄り添うことなぞできやしない。

 

 ――目の前の“苦しみ”を見ずに、それに触れようとするに等しいのだから。

 

 ――だから。

 

「私は、私。人にできて、私にはできないことにばかり目を向けない。じゃあ……私にしかできないことは、何?」

 

 改めて、自身に問うてみる。他の誰か、などではなく。正真正銘の“自分自身にしかできない”こととは、と。そして。気づく。

 

「――そう、か。……私は、これでも“教師”じゃない」

 

 どうして気がつかなかったのか。常日頃から言っていることなのに。――嗚呼、成程。いつも言っておきながら、その実――

 

「笑っちゃうわね。ふふ、私自身、私を教師だと……“大人”だと思って……いえ、思い込もうとしていただけだったんだもの」

 

 そうだ。自身で“そうだ”と思って――思えて――いないから、いつも言い聞かせていたし、いつもどこかで焦っていたんだ。“そうならなくちゃ”って。

 

 そう気づければ、後はそう。

 

「焦りをなくす。自分にできることをこそ行う。羨むのはいいけれど、ないもの強請りは愚の骨頂、ね」

 

 ――できることをする。私は、教師。この変わり果てた世界で、この学校に於いてはただ一人の大人。そして。

 

「子供達は、何時かは飛び立っていくもの。大人は、それを支え、見守り、背中を押すもの。そうよね、お母さん。……そうですよね、教頭先生、神山先生?」

 

 ――子供達の居場所を作り、不安を乗り越えさせることこそが、この変わり果てた世界にでの“大人”に課せられた、唯一にして絶大の使命(お仕事)なのだ。そう、おそらく変わり果ててしまっただろう恩師に、家族に、同僚に。――そして自分自身へと、心でしっかりと宣言する。

 

 その刹那、ビュウッ、と風が吹く。強く、弱く、北から、南から。

 

 その風が、なんとなく恩師や同僚、家族の激励なんじゃないか、と、不思議と疑問もなくそう思えたのだった――。

 

 

 

 ……なお、翌朝。その決意を決めたことで、結果的に夜更かしになったため、もともと朝に強くない慈が盛大に寝過ごすことになったのは別の話。

 

 どっとはらい。




 ……おや、めぐねえ(要介護ヒロイン)の様子が……?

 はい、書いているうちに暴走して、なんとなくめぐねえの覚醒前夜に……ま、まあ覚醒すれば戦力になるし、ヨシッ!(現場猫)

 ……どこを見て“ヨシッ”っていったんでしょうか。本当に。おまけに代理ちゃんもかなり壊れかけだったりすることが発覚。どうして……(電話猫)

 ではと言うわけで(だからどういうわけだ)、今回もまた難産でした。

 おかしいなぁ、本来ならそろそろ三階制圧に入っていたはずなのに……、いやあ話が進まないこと進まないこと。

 てかまた1万8000字オーバーとかどういうことなの……

 ……ハイスミマセン言い訳でした。今後ともいっそう精進していきます(蕎麦抱きの刑を受けながら)

 と言うところで、ちょっと腹切ってお詫びしてくるので失踪します。


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ふつかめのあさ

 持病で腹を切った後がようやく回復したので初投稿です。


 おっはよーござーまーすっ!!(クソデカボイス)

 

 はい、暗転が抜けて朝になりました。

 

 本当は自然に起きるまで待っているのも選択肢なのですが、やることを済ませないといけないのでレバガチャして起こします。おう起きるんだよあくしろよ。(ガチャガチャ)

 

 >すぅ、と意識が浮上していく感覚があなたを包む。時々感じる、なんとなく“目覚め”を意識できる、不思議な感覚。

 

 >それにつられて浅くなった眠りに注ぐ、朝日の眩しさで目が覚めた貴方が初めに感じたのは、いつもの布団とは違う、かといって太陽のものだけではない、けれど安心できる温もり。

 

 >――安心できる、匂い。“ここに居ていい”と、柔らかく包み込んでくれるような、そんな不思議な感じを覚えながら目を開いたあなたが最初に見たものは、二つの手にしっかりと包まれているあなたの手と、手を包んだまま胸元に抱き込んでいる幼馴染の柔らかな寝顔。

 

 >そして見えてはいないが、背中越しに感じるもう一人の温もりと柔らかさも一緒に。

 

「――んん、どこにも、いかないよぉ……むにゃむにゃ……」

 

 >その背中の温もりから聞こえてきた声で、あなたは朧げだった記憶をゆっくりと取り戻していく。――ああ、そういえば、と。

 

 はい、起きて直ぐから濃厚な百合、コイツはキきますねぇっ!

 

 ……とは言え目が覚めたなら、そのままじっとしているとロスなので、涙を呑んで動かしてイキます。

 

 その際、うまく周りを起こさずに身体を起こせるように気をつけまs……気をつけ……気を……。

 

 ぇっと……なんでここまでしっかりとみーくんに抱きしめられているんですかねぇ? しかも後ろからはKちゃんにもホールドされている念の入りよう……。

 

 >……動こうとしたあなただったが、しっかりと抱きしめられていてちょっと動けそうにない。どうやら二人には心配をかけすぎたようだ。

 

 ……ちょっと外れそうにないので予定変更、無理に動こうとして起こしてしまうより、ここは緩むのを待ちつつ先にスキルの習得を行ってしまいましょう。

 

 さて、そういうわけで現在スキルを確認中で……ん? あれれー丘People!? めぐねえが覚醒しておられるぞ!?

 

 いや、確かに妙な落ち着きがあったためもしかしたら、とか思ってましたよ、ええ。でもまさかここで覚醒してるとか本当に想定外ですよ。いつもなら何かしらのイベントで覚醒(失敗)しているのに……。

 

 あー、でもこれはかなりうまテイストなのでそのままいきましょう。むしろこういうガバなら大歓迎です……いや、でも計算が合わなくなるので、せめてヒントくらいは欲しいものですが。

 

 まま、それはさておきスキルですが、まあ安定の投擲をLv1で取得しておきます。代わり映えはありませんが、RTA関係抜きにあると無いとでは、制圧でも防衛でもプレイ難度が大幅に変わってきます。

 

 さて、ここで投擲をLv2にしても良いのですが、せっかくなのでここは今回のMODで追加されたスキルから一つ選びましょうか。

 

 はい、ここで初回に言っていた“情報系スキル”のお目見えとなるのですが……さて、どうしようかな……。

 

 と言うのも、このゲームに追加されるに当たり、悪魔関連のスキルの一部が、悪魔関連の部分をオミットして収録されているんですね。例を挙げるなら、メガテンXにおいてのウォッチャーとかがまんまそうなってます。

 

 説明をしますと、この“ウォッチャー”と言うスキル、本来なら悪魔を召喚・使役して情報を抜いてくるスキルなんですが、ここでは“アクセスしたシステムに組み込まれたカメラや演算装置を意のままに操り、必要な情報や電力などの流れ、セキュリティを含むシステムの全てを把握し認識する”という、一昔前のSF系の作品に出てきたようなスーパーハッカーそのものな動きを行うスキルとなっています。

 

 ただし、システムの把握はできても、外部干渉手段を行使させることは出来ないと裁定されているようです。

 

 ほかにも“マシン・オペレーション”と言う、機械型悪魔を召喚して使役すると言うスキルがあるのですが、そちらもこのウォッチャーに近いスキルに変更されています。

 

 尤も、“オペレーション”の名の通り、“認識・把握”に特化しているウォッチャーに対し、こちらは“掌握・行使”が主になります。

 

 具体的に言えば、“アクセスしたシステムに組み込まれた演算装置を意のままに操り、電力の流れや登録された物品や設備、および物理的なセキュリティを含むシステムの全てを掌握し、支配下において干渉させる”スキルとなります。

 

 ただし、こちらではシステム越しに物理的な干渉を行えはしますが、その分カメラなどの外部観測システムへの干渉はウォッチャーには劣るようです。

 

 とはいえまあ、そもそも“システムを起動できる電力が必要”と言う前提条件があるため、説明ほどに無双できるわけではありません。そもそもシステムが生きてないとシステムに干渉できませんからね(3敗)、しかたないね。

 

 また他には、バリケード作成や物資調達のときに、陣頭指揮を執り作業効率を上げるスキルや、作業中の助言を行い行使判定の成功率や達成率を上昇させるスキル、はたまたどこからともなく物資や物品を文字通り“調達”してくるスキルなど、種々様々なスキルがありますが……まあ、今回はまず、序盤を生き抜く為の様々な物資を手に入れるために……“調達”を取得しておきましょう。

 

 あ、ここで『調達は神威ゾ? スキルじゃないゾ?』と思ったメガテンXを知っている方。それは正しいのですが、以前説明をしたように、このMODでは“一部神威も含めてスキルと括る”仕様となっています。

 

 なので、ここで収録されている物は全て“スキルとして扱われ”ている関係上、メガテンXでのスキルと同じ仕様で取得できるようになっています。……正直、スキルの多さでちょっとポインヨ振りのときに少々面倒に感じる事もチラホラ……。

 

 とと、それはさておくとして……スキルを取るとほぼ同時に、みーくん達からの抱擁が緩んだようですね。操作がきくようになっています。なら時間を鑑みても、そろそろ動き出さないとロスになってしまいますね。

 

 >あなたを抱いていた腕の力が緩む。快い温もりに後ろ髪を引かれはしたが、ぐっと身体を起こすことにした。

 

 >あなたに寄り添う二人を起こさないよう、細心の注意を払いつつ腕の中から抜け出すと、大きく息を吸い込みつつぐ、と身体を伸ばす。

 

 >――ポキポキ、ミシリ。そんな音が、体のあらゆるところから聞こえてくるような気がする。どうやらいつもより格段に硬い寝床で寝たからか、思っていた以上にあなたの身体は凝り固まっていたようだ。

 

 まあ、(こんな粗末とさえ言えないような寝床で寝れば)多少(の強張りや不具合)はね? 事実慣れなかったり極端に硬かったりする寝床で寝ると、翌日は腰痛などに悩まされます(現実n敗)。とてもつらい。

 

 さて、それはさておき、先ずはシートを被った先輩を――って、おや。くるみネキが抱えようとしていますね。好感度も考え、ここは手伝うとしましょうか。

 

 >あなたの視界に、シートに包まれたものを抱えようとしている恵比須沢先輩の姿が映る。どうやら移動させようとしているようだ。

 

 >昨日アレだけ炊きつけたのだ、手伝うくらいはすべきだろう――と、そう思ったあなたは、先輩の下へと移動し、包みを、先輩の先輩であった、身を挺して彼女を救わんと耐え切った青年(勇者)を抱える先輩の邪魔にならないところに入り、手助けに入るのだった。

 

 >急に軽くなったからか、或いはあなたの姿を視界に納めたからか。先輩はあなたを一瞥すると、一瞬驚いたような表情を浮かべた――が、それも直ぐに霧散していく。

 

「――なんだ、あやね、か」

 

 >若干震え交じりの先輩の声。それに勤めて軽く、明るい声を心がけて返すあなたに。

 

「……悪いな、あたしの手伝い……じゃないな、尻拭いか。そこまで手伝わせちゃって」

 

 >自嘲と落胆の混ざった先輩の声が掛かる。あなたは首を横に振ると、私がやりたいと思ったことだ、と気にしないように返し、改めてシートを中身ごと持ち上げると、そのまま移動させていく。――そのまま、フェンスまで。否――

 

「じゃ、いくぞ。せー……のっ!」

 

 >――フェンスの外側、今あなた達の踏みしめている屋上の床、その淵の外側までへと。

 

 はい、工事(不法投棄)、完了です……。一応投げ捨てた後で黙祷しておきます。――お疲れさまでした。先ずはゆっくり身体を休めてください。……次の貴方は、きっと上手くやるでしょう(UV様感)。

 

 黙祷をささげた後は、まずくるみネキを誘って水道で手を洗っておきましょう。ここで先輩の処理を見た場合、放置すると低確率でイベントに関わったキャラが感染の憂き目にあいます(7敗)ので、手洗いは忘れないようにしましょう。

 

 ――まずうち(屋上)さぁ、水道、あるんだけど……(手を)洗ってかない?

 

「……ああ、そう、だな……うん、悪い。そうさせてもらうか」

 

 >先輩だった遺骸を包んだシートは、決して汚れていたものではない。けれど、それでも先輩の血はたくさんこびりついていた。故に、抱えあげた此方の手にもその色が移る。

 

 >それは恵比須沢先輩も同様で、かつこの状況下ではおろそかには出来ないのはお互いにわかっていたことで。あなたの提案に、少しだけ躊躇が見られたものの――ソレが原因で、先輩のようになってしまっては、せっかく守ってもらったことが無駄になる、と。そうつぶやいた恵比須沢先輩は

 

「で、水道ってどっちだっけ?」

 

 >そう、痛々しいくらいに明るく振舞うのだった。

 

 >・――あなたのストレス値が少し上がった。

 

 ……あのさぁ。まま、SAN値の方に変動はなかったのでエアロ。では手を洗うスチルを横目に、他の皆が起きてくるまではくるみネキとコミュっておきましょう。原作生活部とのコミュはジッサイ大事、古事記にもそう書いてある。

 

 とはいえ特に取れ高とかはなかったので……甥の木村、加速します。

 

 で、他の皆が起きてくる位まで加速しました。ちなみに最後に起きたのはめぐねえ。朝によわよわな童顔成人女性はいいぞ。最高だ。(唐突な性癖暴露)

 

 では皆が起きてきたところで食事にしましょう。と言っても、ここには生食には適さない野菜か、切り分けられてない羊羹一本しかないのですが……と?

 

 >食事にしよう、と告げるあなた。手元に在るのは昨日の食べ残しのチョコレートと飴、後は羊羹丸々一本くらいだけど、何も食べないのは良くないだろう――そう言って羊羹の包みを開けようとしたあなたの袖を、何者かが引っ張った。

 

「あやねぇ、これ、つかう?」

 

 >引っ張ったのは瑠璃ちゃん。その手には、今しがた鞄から出したのだろう、流行のキャラクターがプリントされたプラスチック製の下敷きと、シンプルなこちらもプラスチックの定規。

 

 これはありがたいですね。これで“切り分ける”という“日常”を想起させられるので、甘味の効果も相俟って正気度のケアになりそうです。

 

 >その申し出をありがたく受けたあなた。それを受け取ると、一度断ってから水道へと向かい、それらを軽く水で洗う。

 

 一応洗ってから使いましょう。これをこのまま使うと、極々低確率ながら、空気中(や、落とした際の地面経由)から付着したウイルスで感染状態になることがあります。(無敗/wiki調べ)

 

 では包みを剥いだ羊羹を下敷きに乗せて、定規でカットカットカットカットカットォッ!(ttr)して、皆に分配します。おら食べるんだよあくしろよ(食事を急かす人間の屑)。

 

 >朝からシリアルではない甘いもの。そんな些細な贅沢か、或いは差し迫った危機の証か。そう思いながらも、各々切り分けられた羊羹を胃の中に納め――さて、これからどうしようか。

 

 ということでここから自由行動になります。が、ここで黙って出ようとするとまず咎められます(3敗)し、同時に紐カウンターもマシマシです(3敗)ので、こちらの希望を先にぶちまけておきましょう。

 

 ……まずうち(学園)さぁ、三階にキッチン……あるんだけど。押さえとかない?

 

「えっと、あやね? なに言ってんのいきなり」

 

 >三階を押さえたい。そういったあなたに返ってきたのは、友人のそんな一言だった。

 

 >確かに、流石にいきなりすぎただろうか。けれど、このままでは何れ駄目になる。そう反論すると、釈然とはしないながらも引き下がる圭。

 

 >とはいえ、まだ十全には納得していないだろう。そんな光が、不満が、圭の――そして美樹の瞳から伺えた。

 

 うーん、もしかしたらちょっと想定よりも好感度高めですかね……とは言え、こちらの言っていることも間違いではないので、向こうの反論は封殺できます。

 

 でもここではめぐねえの許可が殆ど下りないので、追加で交渉材料を……と、そう言いつつ肝心のめぐねえの顔色を伺っていませんでしたね。

 

 >ここはこの場の責任者に伺いを立てるべき――そう思ったあなたは、その視線をこの場で――もしかしたらこの学校全体でさえ――唯一の“大人”である、佐倉教諭(先生)へと滑らせて。

 

「……そう、ですね。確かにこのままでは危険かもしれませんね」

 

 >目が合うと同時。多分反対するだろうな、と思われた人物から、予想とは反対に近い言葉が零れだし。

 

 はぇ? あ、え? めぐねえ?

 

 >じゃあ、と言葉を続けようとしたあなたに、『ですが』と被せられる先生の言葉。

 

「“一人で”動くのは流石に却下ですよ、沢代さん」

 

 >“流石に危険が過ぎますからね”。そう言いながら、先生の指があなたの眉間へと突きつけられ。

 

「貴方自身を守れる“誰か”。最低一人、出来れば二人と一緒に動くこと。これが、最低限の譲歩です」

 

 >“ね、直樹さん、祠堂さん?”と。

 

 >視線をあなたからその両隣へと向けつつ、ふわりと――それでいながら芯の通った微笑を浮かべるのだった。

 

 ……………………………………………………はっ!?

 

 い、いけないいけない、一瞬フリーズしてました。いや、だって……だぁれこれぇ?(一般作画崩壊走者)

 

 >そんな先生の様子に一瞬気をとられたあなた、および両隣……というよりも、多分この場にいたほぼ皆。

 

 >少なくとも、昨日までの様子とは何かが違う――と。周りにそう思わせるだけの“(つよ)さ”が、その言葉に、目の光に感じられたのだった。

 

 ……ままま、覚醒したのでその結果でしょう、そうでしょう(言い聞かせ)。そうだよ(便乗)。

 

 ということにしておいて、一応“誰かと一緒にいる”という条件下でですが、校内の制圧の許可が出たのでヨシ! では後は流れで……

 

「じゃあ、私と圭で。圭、あやね。……いいよね?」

 

 >先生から示された条件。それをどうするかと考える前に、貴方の右隣から聞こえてきた声。

 

 >同時に“きゅっ”と。貴方の右手を包む柔らかい手に力が籠もる。――そして、少し遅れて左の手にも。

 

「もちろん。そりゃあね、あやねを野放し(独り)にはしておけないし」

 

 >でしょ? と。美紀と圭の、そんな半ば冗句染みたような会話が、あなたの頭上越しに進んでいく。……いや、まあ二人なのは心強い、のだけれど?

 

「……なにか、問題でも――?」

 

 >勝手に決めるな、と言おうと美紀を見て。“いえ、ないです”と、とっさにその抗議を飲み込んだあなた。思わず逸らした視線と見えた光景。

 

 >――美紀はきっと、あどけなさが抜けた将来、とんでもない綺麗系の美人になるのだろうなぁ……、と。そんな益体もない感想が、美紀の“笑みのない笑顔”と共に、あなたの思考に刻み込まれたのだった。

 

 ……みーくんの圧が強い……強くない? というか完璧に尻に敷かれてますね。多少強引でも押し込むことが、幼馴染を負けヒロインにしない方法だった……?(錯乱)

 

 >尚。逸らした先のあなたの左側。あなたの左手を包んでいた温もりが、その視線を向けられたと同時くらいに、さっきよりも強く握りこまれたのはまあ、余談だろう。……圭、わかるよその気持ち。

 

 いや草。代理ちゃんに向けたのの流れ弾がKちゃんにも被弾してるんですがそれは。

 

 とまあ、何か想定外のことが続きましたが無事校内制圧にいけそうなので、この辺で武器になりそうなものを集めて二年生組三人で制圧に向かいましょう……と、その前に、メニューからスマホを選んで、と。

 

 >その後も少しの取り決めを交わし、申し訳程度に武器(掃除道具)を持って。では改めて、三人で構内に入ろうか――といった折、あなたはふと“とあること”を思い立った。

 

「武器、というかモップは皆持ったし……って、あやね? どしたん?」

 

 >急に立ち止まったあなたに気付いた圭に、あなたはその事を告げる。と、その逆隣から。

 

「……成程。確かにそれもそうかも。……でも、電池は……「ぇ? うそ……」」

 

 >あなたの懐から取り出されたスマートフォン。その画面をつけるとカメラをつけようとして――その表示に、三人そろって思わず目を疑った。

 

 >顔を上げ、目を擦り、開いて閉じてを繰り返し。深呼吸の後に再度画面に目を向けて。……それでも、その表示は――電池残量は先ほどまでと変わりなく……否、寧ろ昨日最後に見たときよりも回復していたのだった。

 

 はい、この√でパンデミック後に初めて携帯を使おうとすると出るイベントですね。バッテリーがいつの間にか減らなくなっていることが発覚するイベントです。

 

 これはこのMODの強制イベントなので、特に(ロスとかでは)ないです。寧ろここらで済ませとかないとそれこそロスですので、ここで済ませておきます。

 

 で、これに伴いなんやかんやありますが、その流れの最後にあのアプリのこと(Part1参照)に行き当たって終わるのでそこまで倍速。で、それに行き着いてこのイベントが終わったら、その流れで屋上を撮影しておきましょう。

 

 ……ゆきちゃん(目標)をセンターに入れてシャッター(スイッチ)! めぐねえ(目標)をセンターに入れてシャッター(スイッチ)! ええいついでだ、若狭姉妹(目標)をセンターに入れてシャッター(スイッチ)! くるみネキ(目標)もセンターに入れてシャッター(スイッチ)! ……これでヨシッ!(現場猫)

 

 >まあ、ゴタゴタこそしたものの、現状問題はなさそうなので経過を見ていく、というところに落ち着いた後。スマートフォンをしまおうとしたあなたは、わざわざそれを取り出した当初の目的を思い出す。

 

 >ここに、暫定的ではあるけれど安全地帯がある――。その証拠になりそうな風景を、二・三枚撮影しておくつもりだったのだ、と改めてカメラを起動したあなたは、屋上全体と、そこに居るみんなの写真を撮影した。

 

「ん、撮れた?」

 

 >そう言いつつもぶんぶんとモップを振り回す圭に、あなたは苦笑しつつ大丈夫だと告げる。

 

「……ならいいよね。あとけい? けいも無理はしないの。ね?」

 

 >その様子を見つつ、此方もモップを片手に、その状態を確認していた美紀の言葉に、あなたたちはコクリ、と首肯して。

 

 ではドアの前のロッカーを……わっせ、わっせ(どんがらがっしゃーん)。

 

 >バリケード代わりのロッカーをどかし、いざ、とドアノブに手をかけたとき。

 

 とと、初回の突入で周りの理解があると起こるイベントですね。飛ばせないのが痛いよなぁ(小声)。

 

「……決して、無理はしないで。無事に、戻ってきてくださいね?」

 

「あやねぇ、みーねぇ、けーねぇ。……いってらっしゃい!」

 

 >背中にかけられた、先生と少女の声。そして声はないが、先輩二人の視線もしかと背に感じている。――大丈夫だ、と。そう示すように、あなたはドアに手をかけたまま/二人は片手で武器をしっかりと握り、もう片方の手を/モップを持っていないほうの手を軽く、ひらりと後ろに振って。

 

「「「じゃあ……往ってきます!」」」

 

 >何も伝えてはいなかったけれど、そのタイミングは示し合わせたように。

 

 >三人そろって出征を告げ、そのまま校舎の外と内を隔てる扉をくぐるのだった。

 

 ……といった所で、あまり進んでませんが、キリもいいのでこの辺でチキンセーーーブ! をして……では、次回もよろしくお願いします。

 

 

////////////////////

 

 

「……行っちまった、な」

 

 バタン、と音を立てて閉まるドアを見つつ、あたしはポツリ、と溢す。

 

 ……本当なら、自分が行くべきだったのではないか。――一度とはいえ、“あいつらの介錯”を経験した、あたしが……と、思わず手を強く握り締めた時。

 

「あまり、思いつめないでくださいね?」

 

「――っ!!」

 

 思わずビクリ、と肩が跳ねる。凛とした声。いつも聞いていた――聞きなれていた――はずの、けれど未だ聞きなれない、何処か一本芯の通ったような……、そんな強さを持った声。恩師の、めぐねえの――佐倉慈の、声。

 

 ――そして、何でかはわからないけれど、どことなく遠くへ行ってしまったような、焦って/焦らされてしまうような。そんな感じがするようになった、声。

 

「で、でもめぐねえ!」

 

「めぐねえ、じゃなくて佐倉先生、ですよ――なんて、前みたいに言っておきましょうか?」

 

 そう言ってふふ、と微笑うめぐねえ。――けれどその直ぐ後、息を一つ吐くと共に、その表情が真面目なものへと変わる。

 

「恵比須沢さん。貴女は――」

 

「ぇ――――」

 

////////////////////

 

 ――その言葉を、きっとあたしはこの先忘れることはないだろう。それだけの衝撃が、当時のあたしの背を貫いたのだ。

 

 めぐねえが、先生が言った言葉は、何のことはないただの確認。――あたしが決めた、否、刻んだはずの覚悟。その種類は何なのか。その方向はどっちなのか。……ただ、それだけ。

 

 先輩の死を生かしたいのか、無駄にしたくないだけなのか。守りたいのか、役割がほしいのか。生き延びたいのか、はたまた――先輩に、死者に殉じたいのか。

 

 まあ。それを“ただ、それだけ”と片付けるには、あのときのあたしには――ただ後ろを向いて塞ぎこまなかった“だけ”のあたしにとっては、ちょっとばかり酷だったんじゃないかナー……とは、後になってから思うこと。

 

 けれどあの日、それを問われたからこそ――ただ我武者羅に前を向く“だけ”だったあたしに、脇目を向ける余裕を、羽を休めるための止まり木を用意してくれたからこそ、そして“あの時”だったからこそ、こうして思い返すことが出来る。

 

 故にこそ、あたしはあたしのままで、何も変わらずに今こうしていられるんだ、と。

 

 ――大型のワンボックスカーの運転席。そのハンドルを握る“大人”に思考を馳せつつ、今となっては遠くに感じる、されどカレンダー上ではいう程経ったわけではない“きっかけ”の日を、めぐねえの運転に揺られながらぼんやりと思い返すのだった。

 

【それは、少しだけ未来の。修羅を越えつつ“人”であった/在り続けられた――そんな時間が辿る先……】




 こちらではお久しぶりです。恥ずかしながら(此方の作品にも)帰って参りました。

 とりあえずは何とか日常にも戻れたので、これからは何とか書いていけるかとは思います(書けるとは言ってない)。

 まあ、某運命は塔イベなので(フミカネ鯖も爆死したので)そこまでではないのでぼちぼちですが、某ウマの方で時間を浪費していたり……とりあえずネイチャネキの嫁力はガチ。ピース集めなきゃ……ッ!(使命感)

 とまあ、一応誘惑に負けたり負けたり負けたりしつつ(こいついつも誘惑に負けてんな)、何とかエタらないように頑張りたいです。

 ではでは、今回はこれで。頭バクシン教で継承因子ガチャしてくるので失踪します。……ディクタスとゴールドシチーとロブロイ、早く育成側で実装してくれんかな……(小声)


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