真剣でガクトに恋しなさい!(本編完結) (仏のマスター)
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プロローグ

 この物語は私こと近衛紅葉と愛しのガクト様の出会いと愛の日々をたんたんと描くものです。
 過度な期待はして下さいね。
 
 おい、コラッ!(笑)


 

【真剣でガクトに恋しなさい!!】

 

 

 

 

【近衛家】

 古くは鎌倉時代から続く古武術の名家で、今は私の父が当主兼近衛流道場の師範を勤めています。

 父と兄の影響もあり、私も幼い頃から近衛流の修行をしていましたが、門下生に女子が私一人しかいなかった事もあり、中学にあがる時に道場に通うのを辞めてしまいました……その思春期特有の悩みと言いますか……近衛流にも投げ技や組み技もありまして…………

 勿論、鍛錬も辞めたわけではないですよ? 兄の自主練に付き合ったり、燕ちゃんと仲良くなってからは、燕ちゃんのところの訓練所で一緒に鍛錬したりもしています。これでも中学二年くらいまでは兄より私の方が強かったんです! 

 

 さて……私の紹介はこれくらいにして~「誰に?」……舞ちゃん? それは聞かないお約束ですよ★

 

 

 

 

 運命の出会いは突然でした……舞ちゃんと一緒に軽くランチをと訪れた喫茶店でその人は現れた。

 私たちが兄の将来について心配していたさなか、団体のお客さんが入って来る。騒がしくもおのおの行動する中、私の視線はカウンターの前でマスターに筋肉自慢をする一人の男の子に釘付けになってしまった。

 

 

「……イイ」

 

「……はっ?」

 

「あの筋肉……イイワ★」

 

「あの、紅葉。大丈夫?」

 

 まるで獲物を見つけた鷹の如く、彼を見つめる私。その視線に気づいたのか一人の少女がこちらへとやってくる。

 

「こんにちわ〜お二人でティータイムですか?(うん! 間近で見ても美少女二人☆これはお近づきにならねば!)」

 

「え!? えっと、はい」

 

 突然声を掛けられた事に驚く舞ちゃんをスルーして、私は彼への視線を離さない。

 

「えっと……何かこっちの方をジッと見ていた……というか今も見ているのが気になって声を掛けたんだけど……(この視線の先に居るのは、ガクトとモロか?)」

 

「も……紅葉!」

 

 さすがに視線を外さず、反応を示さない私をマズいと思ったのか舞ちゃんが肩に手を置いて、呼び掛けてくる。

 仕方なく視線を目の前の少女に向けると、意外にも知っている顔だった。

 

「川神……百代さん?」

 

「おっ? 私の事を知ってるみたいだな」

 

「えっ? 川神百代ってあの武神の!?」 

 

【川神百代】

 生まれ持った天武の才から若くして武神と恐れられ、武道四天王に選ばれる程の逸材で、その見た目もあってか武術を嗜む者たちの憧れの存在でもある。

 

 しかし、今の私にとってはそれも関係なく、もっと優先すべき事があるのだ!!

 

「すみません、川神さん。私少しやる事が……舞ちゃん、悪いけど川神さんのお相手よろしく」

 

 そう言って私は席を立ち、マスターに筋肉をスルーされ、カウンターに寂しく座る彼の下へ歩き出す。

 

 

 

 

 席を立ち、離れていく紅葉を見ながら、目の前にキョトンと立ち尽くす武神こと川神百代さんをどうしようかと悩む。

 

 先程の言動から紅葉が何をしようとしているのかは、おおよそ予想は付いている。紅葉のアレを知っているから……とりあえず頼まれた事を遂行しよう――というかむしろ! 武神の川神さんとか興味アリアリだよ!! そんな私はノリノリで川神さんに声を掛けたのだった。

 

 

 

 

 一度、こちらの方を見た川神さんでしたが、ノリノリで話しかけてきた舞ちゃんに気を良くしたのか、二人で意気投合したようで、楽しそうに話している。

 一方、私は彼のタンクトップの隙間から見える背筋と、上腕二頭筋に目を奪われながら、いざ目の前に来て、あと一歩を踏み出せないでいる。

 マスターがチラチラとこちらを見てくる……私の心境はそれどころではなかったが、彼の隣に座る少年も私に気づいたのかチラチラと私を見てきた。そしてそれを不審に思ったのか、とうとう彼もこちらへ振り返ってしまい、私と目が合ってしまった…………

 

 

 

 

 見つめ合う二人……そして時は動き出す!!

 




 次回、とりあえず登場人物紹介をあげようと考えてます。
 一応話自体は短編サイズで一度完結してるので、スラスラ書けるだろうと思っていますが……この作者なので……^_^;)
 ガクト君の恋物語は需要あるだろうか?

 優しい感想、評価お待ちしてます☆


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登場人物紹介(随時更新)〜一部ネタバレあり注意!

 学年は今作に合わせて書いてます。元だと中学最後の夏休みに海人が武者修行で燕の所に訪れたのが始まりになってますが、その部分を高校三年の一学期のゴールデンウィークに当てはめるような感じになっていると思って頂ければ良いかと。


・近衛 紅葉

 

 本作主人公にしてメインヒロインの女の子。近衛葵の双子の妹で高校三年生。落ち着きのある真面目タイプの女の子で、兄同様、武道を嗜んでおり、それなりの実力者でもある。

 因みに筋肉フェチである★

 

「ガクト様ァァァァァ☆」

 

 はい。そこっ! 変な妄想はしない!

 

・近衛 葵

 

 主人公の双子の兄。海人や燕に試合で負けて以降、2人に追いつくべく修行に励む好青年である。妹に近づく男の影に…………(見せられないよ(>⬛<))

 因みに燕にホの字であるが、燕からは現状友達レベルにしか思われていないようである★

 

「何故……何故、俺のとこには来なかったァァァァァ!!」

 

 作者の都合です♪

 

・花京院 舞

 

 紅葉、燕のクラスメートで友達にして本作の裏ヒロイン。紅葉とは逆で活発なスポーツ少女で、学校ではバスケ部に所属。燕程ではないが、男子からの人気も高い。武術は嗜んでいない。

 因みに紅葉には秘密?にしているが、兄の葵を狙っているとか★

 

「私だって……私だって!!」

 

 私はアナタを応援するわ!

 

・松永燕

 

 原作攻略ヒロインの一人。納豆小町で有名な人気者で武術は壁超えの実力者で、武道四天王の一人。葵や紅葉とも何度か試合をしていて、紅葉とは友人でクラスメイト。共に鍛錬を行う仲でもある

 今作では色んなところで関係してくる重要なサブキャラですが最終的には…………★(見せられないよ(>⬛<))

 

「ナットーーーウ!」

 

 ナットーーーウ! ウマウマ♪

 

・島津岳斗

 

 今作で紅葉に攻略されちゃう男の子。高校二年生。原作では筋肉キャラでモテない振られ役ポジションであったが、今作ではなんと!!

 年上のお姉さんが好みで年下には興味がない模様……

良くナンパして撃沈している為、同年代以上の女子からはあまり評価が宜しくないが、いろんな意味でアツい性格でありながら、さりげない優しさを持っているので年下の女子からはそんなに評価が悪い訳ではないし、外見も並以上ではある。

 

「ついに俺様の時代が!?」

 

 あんま調子にのるとBad★End書くわよ♪

 

・風間ファミリー

 

 ガクトが所属する仲良し集団で、ガクトの恋路が上手く行くことを願っている。所々で関わってくる予定★

 

 リーダーのキャップ(風間翔一)、ワンコ川神一子、軍師直江大和、ツッコミ役モロ(師岡卓也)、武神川神百代、天下五弓椎名京、騎士道クリス(クリスティアーネ・フリードリヒ)、剣聖を継ぐものまゆっち(黛由紀恵)、付喪神松風

 

『俺(私)達ひとまとめかよ!!』

 

 マジ恋 登場人物 で検索してね♪

 

・布仏海人

 

 元のオリ主人公★

 

「これだけ!?」

 

 今作では特に出番無いわよ?のほほんさんのお兄さんで分かったアナタには握手を求めるわ♪

 

・マスター(仏→ウォルター)

 

 喫茶店【仏】のマスター。迷える子羊達の導き役をしている。料理もコーヒーを入れるのも一級の腕前。

 作中のナレーションも担当している★

 

仏「ここはとある喫茶店……今日も迷える子羊た――『マスター注文!』……はい」

 

 ガンバ! マスター♪

 

ウォルター「小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」

 

 ちょっ!? ここは平和な喫茶店だからね!!

 

・メイドさん(チェルシー·ブランケット)

 

 作者処女作の原作ヒロインのお嬢様に仕えるメイドさん。超有能メイド。エクシアという妹がいる。

 まだ付き合ってはいないがマスターとは相思相愛な関係★

 

「ハァ……いつになったら書き終わるのかしら?」

 

 …………(ちょっと作者! 何とか言いなさいよ!)

 

 




……つづく?……

 優しさ感想、評価お待ちしてます★


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一話 ハジマリ

 マスターがウダウダ言ってるから更新チョット遅れちゃったじゃない!

 いや、ウダウダ言って、書き終わらなかったのそっちでしょ、助手よ!

 そんなやり取りが行われていました。By.仏


「も〜みじっ! 今日も燕と鍛錬かい?」

 

「――わっ!? ま、舞ちゃんか。いきなり驚かせないでよ」

 

 三年の新学期が始まり、私は友達の舞ちゃんと燕ちゃんの二人と同じクラスになり、楽しい学園生活を送っていた。そして今日はGW明けの金曜日、一日出たらまた土日休みといったところである。

 帰りのホームルームが終わり、金曜日は燕ちゃんと鍛錬をする日だったので、いつものように舞ちゃんが声を掛けてくるが今日は燕ちゃんとの鍛錬では無い。

 

「いや、今日は燕ちゃんが他流試合受けるらしくて無しなの」

 

「そうなのさ!――というわけで舞ちゃん、今日は紅葉の事頼んました!」

 

 燕ちゃんが机の下からシュバッと現れ、舞ちゃんの手に松永納豆を乗せながらお願いしたかと思えば、次の瞬間には教室の扉に居て、手を振っていた。

 

「じゃっ、ま〜た明日!」

 

 風のように走り去る燕ちゃ……「コォゥラァ! 松永、廊下走んじゃねぇ!!」

 

「ゲッ!?……じゃなかった。ごめんなさーい!」

 

「「あははっ……」」

 

 燕ちゃんが走り去った後、私達も準備をして下校することにして、今日は舞ちゃんがグルメサイトで見つけた家近くの気まぐれ営業の人気カフェに行ってみようと言う話になった。

 

 

 

 

「営業してると良いね」

 

「してないと困……ん?」

 

 カフェへと向かう道中、舞ちゃんが何かに気づいたのかある方向を指差し見ている。

 

「あれ~? 燕じゃん! こんなとこで会うとは珍――しィ!?」

 

「舞ちゃんに、紅葉ちゃん!?(そういや、二人の家ってこの辺だったっけ)」

 

「燕さんのお知り合い?」

 

「あぁ~海人君。うん。友達で、クラスメートなん――『燕、ちょっと!』って、わわわぁ~」

 

 舞ちゃんに連れて行かれる燕ちゃん。残された男の子を見ると、意外にも知っている人だった。

 

「もしかして、布仏海人さんですか?」

 

 突然名前を呼ばれた事に驚き、私を見てくるけど……どうやら覚えていないのかな? 

 

「さすがに分かりませんよね。私、近衛紅葉です。双子の兄の近衛葵を覚えてますか?」

 

「近衛……葵――あぁ! 前回他流試合で京都来た時の!! ごめん。気づかなかったよ!」

 

 良かった……どうやら兄の事は覚えていたようだ。

 

「はい! 私は挨拶程度でしたので覚えていなくても仕方ないですよ。私も名前聞いて思い出しましたから」

 

「そっか~葵君は元気かな? 武術は続けてるの?」 

 

「布仏さんに負けて以降、更に修行して実力をつけてますよ!」

 

「そっか~次に会うのが楽しみだなぁ~」

 

 私と布仏さんの会話が和やかに進むのに対し……

 

「ちょっとアレ誰よ燕! アンタが男連れとか……彼氏? 彼氏なの!? 他流試合とか言っといてほんとは男とデートとか……さぁ、詳しく聞かせて貰おうじゃない」

 

「ちょ、ちょっと、舞ちゃん落ち着いて! べ、別に彼氏とかじゃないから!!」

 

「なら何よ! 難攻不落とも言われるアンタの隣に立つ彼は!?」

 

 舞ちゃんが怒涛の如く、燕ちゃんを攻め立てている。これは助けに入った方が良いのかな?

 

「難攻不落……(私、そんな呼ばれ方してるの?)今回の対戦相手よ。おかんが迎えに行くはずが、仕事の都合で私に回ってきた感じ」

 

「なるほど。けどそれにしては楽しそうに東寺から出てきてたよね? まるでデートしてるカップルが如く~」

 

「デ、デート!? 違うから! これもおかんが時間掛かりそうだから、少し観光するか聞いて案内してただけで!!」

 

「並み居る男子のお誘いを断ってきた燕様がお誘いをだと!?」

 

「あぁ~! もぅ堪忍して、舞ちゃ~ん!!」

 

「ニヤニヤ(燕をからかう機会なんてそうそう無いからねっ!)」

 

 こちらと違い、向こうは和やかとはいかない状況。まさかここで私達に会うなんて思っていなかったんだろうな。しかしここぞとばかりにイジってるな〜舞ちゃん。顔がニヤけて丸わかりだよ……あはは。 

 

「ねぇ? そろそろ向こう止めなくていいのかな?」

 

 舞ちゃんからの質問責めに軽く涙目になっている燕ちゃんに助け船を出そうというのかな? まぁ、私もそろそろ止めた方が良いと思ってたし…………

 

「そうですね~そろそろ止めに入りますか」

 

 海人さんを連れて二人に近づき、ニヤニヤ顔の舞ちゃんを止めに入る。 

 

「舞ちゃん。程ほどにしとかないとニ人にも悪いよ。私たちもそろそろ行こう?」

 

「えぇ~むしろここか――『舞ちゃん』――むぅ~はぁーい」 

 

「…………(助かった)」

 

「あっ、燕! 続きは学校で聞かせてもらうからね~じゃっ!」

 

「えぇぇぇぇぇ!?」

 

「それじゃあ私も失礼します」

 

 続きに関しては私も聞かせてもらおう。二人の試合結果も気になるから。

 

「うん、じゃあね! 葵君にもよろしく言っといて下さい」

 

「はい。ではまた」

 

 二人と別れ、再びカフェに向かうが…………

 

「「本日閉店…………」」

 

 私達は自宅へと帰った。

 

 




 マスターと助手のウダウダ……興味無い方はスキップで(笑) By.仏

 思ったよかお気に入り増えないわね……

 そんな簡単に増えるなら苦労しませんよ。

 んぅ〜友達に頼んで高評価付けてもらおうかしら?

 そうすれば確かにランキングには早い段階で載るし、読者も大量に稼げるでしょうが、私は好みませんね、そういうの。

 むぅ〜でも書くなら沢山の人に読んでもらいたくない?

 別に読みたい、興味ある人に読んでもらえれば私は満足ですよ? 別にお金取ってる訳でも無いですし。

 ぬぬぬ、難しいわね…………

 高評価、推薦されるくらいの文章書いて、実力で掴み取りなさい。

 …………頑張る。

 そんなやり取りが行われていました。By.仏


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ニ話 デアイ

 助手ちゃんが付いた評価にやる気を無くしエタッてしまいました……ちょこちょこ説得はしたものの駄目みたいなので仕方なく、私が完結まで引き継ぐことにします。
 別に悪い評価じゃないんですけどね……4だけど、その方が71件評価付けてる中では五番目に高い評価ですし。(その事を伝えるとチョット反応していた。笑)
 まぁどうせこれも読んでる事だろうから〜復帰したくなったら何時でも戻っといで。やないと儂が完結させるどぉー

【完結こそ正義】の私の作品で未完結は無しにしたいので!

 てなわけで、助手ちゃんの復帰は半分諦めながら、再開させます。更新は不定期なのでのんびりお付き合いください。まっ、一度は短編完結してる作品ですけどね(笑)



「ただいま~」

 

「おかえり紅葉。今日は早かったな?」

 

「うん。舞ちゃんが用事があるらしく、早めに切り上げたんだ――あっ、そういえば今日布仏海人さんに会ったよ!」

 

「……布仏海人だと!! 何故ヤツがここにいる!?」

 

 突然の妹の発言に驚く葵。

 

「武者修行の旅の途中で、燕ちゃんのところに来てるらしいよ~」

 

「武者修行……何故俺のところに来ない!! 布仏海人ぉぉぉぉぉ!?!?」

 

「さあ? とりあえず、兄さんにもよろしく言っといて~って言われたよ」

 

「…………ということは、海人殿は今、燕殿のところに居るのだな!?」

 

「多分、そうだと思うけど」

 

 何を考えたのか、葵はそう妹に問いただし、確認するとともに、何も言わず玄関へと向かい、外へと駆けていった。

 

 

 

 

 夕食前、帰って来た兄さんのほっぺたが赤かったのは、また何かして燕ちゃんに叩かれでもしたのかな? 本人もガッカリした感じだったし。問いただすのも悪いかなと思い、私は寝ることにした。

 

 後日、週末の休みに舞ちゃんと改めて喫茶店を訪れてみた。するとOPENの看板がぶら下がっていて私達はお店に入る事が出来た。昔ながらの喫茶店って感じで、雰囲気も悪くない。私達は注文を済ませ、話をしながら待つ事にした。

 

 話は私の兄さんの話となり、この前、兄さんが燕ちゃんとこに突撃しに行った日の事で舞ちゃんのところに燕ちゃんから電話が掛かってきたらしい。その内容を聞いて、私はため息を吐くのでした。

 

「う~ん、この様子じゃ、兄さんに脈はなさそうだね……」

 

「むしろあんまり良い感じには見えないかも……(まぁ、私としてはそっちの方が嬉しいんだけど……★)」

 

「武術馬鹿の兄の将来が心配です……」

 

「だ、大丈夫よ! そんなお兄さんにも、お、想いを寄せてくれる相手が、き、き、きっと現れるって!!」

 

「…………ふふふ★」

 

 顔を赤らめ、必死に兄さんのフォローをする舞ちゃんを見て、私は静かに笑っていた……私は舞ちゃんを応援するからね! と心の中で思いながら。

 

 

 

 

 カランカランと入り口のベルがなり、団体さんが入って来る。

 

「いらっしゃいませ」

 

「マスター遊びに来たよー!! あっ、いるいる! 突げーき!!」

 

「まゆっち! 後れをとるな! おいらたちもいくぜぃ☆」

 

「と……突げ~き……」

 

「姉さんほどほどに……って! まゆっちまで!?」

 

「マスタ~どうだ! 更に鍛えあげられた俺様の筋肉は!!」

 

「いや、何と言えば……」

 

「だから暑苦しいだけだってガクト~」

 

「そういえばキャップ君は?」

 

「キャップはいつものアレだ」

 

「あぁ~~」

 

 マスターがガクトの筋肉をスルーして、アレで納得していた頃、こちらでは一人の乙女が、熱い視線を風間ファミリー……いや、一人の男へと向けていた。

 

「……イイ」

 

「はっ?」

 

「……あの筋肉……イイワ★」

 

「あの……紅葉~大丈夫?」

 

 まるで獲物を見つけた鷹の如く、ガクトを見つめる紅葉……ガクトに春到来なるか!?!? 

 




元では海人君がバイトで入ってて、そこに百代とまゆっちが突撃かますシーンですが、シナリオの都合上、別の方になってます。

この後、プロローグの内容になります。そしてついに二人の初会話が! というかアレです(笑)


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三話 オハナシ

 皆様、初めまして……の方が多いでしょうか?
 仏殿とチェルシーの婚約により、二代目仏の喫茶店マスターをさせて頂くことになりましたウォルター・C・ドルネーズと申します。今後のナレーションと仏の喫茶店の経営は私が引き継ぐことになりましたので以後お見知りおきを。
 詳しく知りたい方はマスターの処女作の布仏家長男のIS物語の裏最終話をご覧下さい。



 私の覚悟があと少しで出来るかというところで、後ろに立つ私に気づいた彼がこちらを振り返り……目が合ってしまった。 

 

「…………」

 

「…………」

 

 しばらくの沈黙の後、動けないでいる私に彼は話しかけてきた。

 

 

 

 

「……美しい……」

 

「ふぇっ!?」

 

「お姉さん……このような場所に立ちつくされてどうされました? よろしければそちらの席で私とご一緒にティータイムでも如何ですか?」

 

 ガクトがいつもの決め顔と決めポーズでそう言うのを横で見ていた三人(モロ、クリス、京)は……

 

「またガクトがやってるよ(あっ、これ一昨日貸したアニメのセリフまんまだ)」

 

「ガクトも懲りない奴だな(あのポージングはどうにかならんのか)」

 

「しょ~もない(また連敗記録更新かな~)」

 

……と軽くディスっていたものの……

 

「は、はい! 喜んで☆」

 

……紅葉が満面の笑みで、ガクトに返すのを見て…… 

 

「「「「なん……だと?」」」」

 

 いや、ガクト君まで驚いちゃ駄目でしょう!? 他の三人はともかく――はっ!? いけません。普通につっこんでしまいました。

 

「モ、モモモ、モロロ!! 俺の顔を殴ってみてくれ!」

 

「ガクト馬鹿なの!? そんな事より早く彼女の相手をしてあげなよ! せっかくなんだからホラホラ!!」

 

 両肩に手を乗せられ揺さぶられながらも、慌てるガクトを突き放し、ガクトの背中を押すモロ……せっかくの親友が掴んだチャンスを無くすまいと必死になる。

 

「クリスゥ~私は今、奇跡の目撃者になってるよぉ~」

 

「いや、京。さすがにそれは言い過ぎではないのか?――って!? 京、泣いているのか!?」

 

 大切なファミリーの一員が成し遂げた奇跡に感動の涙を流す京。口ではディスりながらも心の中では本当に喜んでいるのである。

 

「あ、あの……座られないのですか?」

 

「ほら、ガクト!」

 

 モロに背中を押され、再び紅葉の前に立つガクト。顔は赤面し、先程決め顔を決めていた姿はもうそこにはない。

 

「あ、あのあの……そ、そうですね! 取りあえず座りましょう!!」

 

「はい!」

 

 ガクトの緊張ぶりに、逆に落ち着きを取り戻した紅葉は再び獲物を見つけた鷹の如く――いや、既に捉えた獲物(ガクト)へのマシンガントークを始めるのであった。

 

 

 

 

 一方その頃、周りはというと…… 

 

【モロ、クリス、京→】

 

「モロ、お疲れだったな」

 

「はぁ~なんとかね――って!? どうして京が泣いてるの!?!?」

 

「う゛ぅ……モロ、おつかれぇ~」

 

「どうやらガクトのアレに感動して涙しているらしい」

 

「……あはは」

 

「うぅ~私も負けていられない! 大和のところ行ってくる!」

 

 ガクトの奇跡を見た京が謎の勇気を貰い、大和の下へ突撃する。

 

【大和、→京】

 

「…………(たまにはこうして一人、皆を眺めながらコーヒー飲むのも良いな)」

 

「やぁ~まぁ~とぉ~! 私を慰めてぇ~♡♡」

 

「だあぁぁぁぁ! いきなり抱きついてくるなぁ~!!」

 

「……クンカクンカ!(あぁ~大和の匂い……落ち着くの~~)」  

 

 

 

【フォスター※1、まゆっち、松風】

 

「……(モモ先輩が抜けた今がチャンス!)」

 

「まゆっちー! モモ先抜けた今がチャンスだ! 今こそ、書きに書き溜めた《フォスターさん質問集100》の出番だぜぃ☆」

 

「え? 何それ?」

 

 その後しばらくフォスターはまゆっち&松風のマシンガンクエスチョンの回答に追いやられる事となる。

 

【百代、舞】

 

「(紅葉は、どうやら上手くいったみたいね)……ところで、モモちゃんはやっぱりフォスター君狙いなの? 入ってきて速攻突撃かましてたし」

 

「そ、それは……」

 

 親友のアタック成功にホッと胸を撫で下ろしながら、いつの間にかあだ名で呼び合う仲になった百代に、ふとした疑問を投げかける舞。

 

「あ、顔が赤くなった! 乙女してるモモちゃんカ~ワイイ☆」

 

「だあぁぁぁぁ! なら舞の方はどうなんだ!?――ま、まさかフォスター狙いだなんて言い出すんじゃないだろうな!?」

 

「え!? ち、違うよ~~! 確かにフォスター君はカッコいい男子だとは思うけど、私は他に好きな人いるし……片想いだけど」

 

「その辺詳しく!!」 

 

 こちらは変わらず盛り上がっている様子で、各々が会話を楽しんでいると……入口のベルが鳴り、新たな来客を告げる。

 

「川神一子、遅ればせながら見参!」

 

「あと私もいます」

 

「お~ワンコやっと来たか! あと、チェルシーさん※2 もこんにちは~で、試合結果はどうだったんだ!?」

 

「僅差だったけど、アタシの勝ち! 褒めて褒めて、おねえさま~」

 

 そういうやいなや、百代の下へダイブし頭を差し出す一子。百代も一子を受け止め、ワシャワシャと髪を撫でながら、いもうとの健闘をたたえる。

 

 そんな和やかな空気に包まれる一方……

 

「おぉ、メイドのお姉さん!」 

 

 ガクトが鼻の下を伸ばし、言ったこの一言で空気に亀裂が入る事となる……

 

「GA・KU・TO・様? 今は私とのお話し中ですよね?」

 

 ハイライトの消えた目でガクトの背中を見つめる紅葉の視線に、背中が凍り付くのを感じたガクトは慌てて紅葉の方に向き直る。

 

 はたして二人の恋路は上手くいくのでしょうか?  

 

 

 

 

※1.フォスター・C・ド○ネーズ

 

 保護者であるウォルターとは祖父と孫の関係。ウォルターに着いて日本にやってきた。

 川神学園一年生でまゆっちとはクラスメート。祖父同様糸を使った戦闘を得意とする壁超えの実力者。

 海人君の代わりのモブ店員から半オリキャラとしてランクアップ!

 

 名前で気づいた貴方は、素晴らしい!

 

※2.チェルシー

 

 大元の作者処女作のISの方の登場キャラで、本来はモブキャラですが、私の作品では色々と活躍しています。詳しく知りたい方はの大元の裏ルートをご参照下さい。

 簡潔に言えば、先代仏の喫茶店のマスターのヒロインです☆

 

 

 

 

 しばらくして、風間ファミリーのメンバーが帰り、再び紅葉が私の居る席に満足げな顔で戻ってくる。

 

「んふふ……んふふふふ★」

 

「……紅葉。嬉しいのは分かったから少し落ち着きなさい」

 

 少し妄想姫の独り言が続きます。

 

「『……美しい……お姉さん』だなんて……もう★初め、決め顔と決めマッスルポーズで誘ってきた時もかっこよかったし、触らせてもらった胸板も逞しくて……あぁ~どうしよう! 胸のときめきが収まらないよ~~☆」

 

「…………」

 

「私が話しかけている内に彼も落ち着いたのか、自慢の筋肉を決め顔でアピールしてきたんだけどね、ちょっとつついてあげたらまた顔赤くしちゃって、でもそれがまたかわいくて~~☆連絡先も交換したし、帰ったら電話してみようかな~彼ビックリするかなぁ!? ねぇねぇ!?」

 

「…………(……誰か助けて)」

 

 私は助けを求めるべく、周りを見渡すと……「……プイ」……一瞬視線の合ったフォスター君に助けを求めようとしたが、逸らされ、奥に逃げられてしまった。

 

「…………(ダメだ……ここに私の味方は居ない)」 

 

 諦めた少女はテーブルに突っ伏し、時が過ぎるのを待つことにした。

 

「ねぇ舞ちゃん。聞いてるの~ガクト様がね~~☆」

 

…………

……

 

 




「それでチェルシーは、今日は何用で来られた?」

「お互い落ち着いた頃かと思い、一度改めてお礼を言いに来たのと、セシリア様からの預かり物です」

 そういって手渡された封筒を開封すると、手紙と一枚の小切手が入っていた。

「最後のお給金ですが……振り込もうとしたら既に解約されてましたので、ついでにと。少し多いのは開業祝いとでも思って下さいまし」

「こんなに……」

 そこには結構な金額が書かれていた。
 そして、その後はチェルシーと近況を話し合い……というかチェルシーの惚気話を延々と聞かされるのでした(笑)

【真剣でフォスター君に恋しなさい!】は〜じま〜るよ〜 「勝手に決めんな!」
 書かざるを得ないくらい人気が出たら、ワンチャンあるかも(笑)


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四話 ハツデエト

今年中に完結目指しマッスル!


「たっだいまぁ!」

 

「おかえり。どうした? ヤケに機嫌が良いようでござるが?」

 

「んふふ……分かる? けど兄さんにはまだ内緒だよぉ〜☆」

 

 そう言って階段を駆け上がっていく紅葉……何でござろう?少し嫌な予感がするでござるよ…………

 

 

 

 

 今日は……♡

 

 ガクト様との……♡♡

 

 初デートォォォォォ!!

 

 今日のデートが上手くいったら私……ガクト様に……♡♡♡

 

「はい。そろそろ戻ってきなさい!」

 

 バチン! と良い音を立てて、舞ちゃんに後頭部を叩かれる。

 

「痛いよ~舞ちゃん」

 

「妄想世界飛び過ぎ……はぁ……普段はお淑やかな大和撫子なのに、この姿をクラスの男子が見たらなんて言うやら」

 

「他の人の前では気をつけてるよぉ〜」

 

「なら良いんだけどね」

 

 呆れる舞ちゃんはひとまず置いといて、今日は待ちに待ったガクト様との初デートの日です。あれからお互いにチョコチョコと連絡し合い、先日なんとガクト様からデートに誘って貰えたのです! ドンドンパフパフ〜♪

 

「……ハァ」

 

 ガクト様が普段使っているプロレス技についての話しになった時に、少し熱くなってしまって……プロレスってボクシングとかと一緒で上半身裸な人がほとんどだから、その……筋肉質な体がね……★

 

 それで、一度試合を生で見に行ってみたいな~な事を話してたらガクト様が――「な、なら、一緒に見に行ってみませんか!?」って、すごく緊張した声で誘ってくれて――「んぅ~~~~!!!!」

 

 

 

 紅葉が自分の世界へトリップし始めたので、ここからは私がお送りします。

 再び自分の体を抱きしめ、悶え始めた紅葉を呆れた瞳で見つめながら、私は紅葉の書いたデートの計画表を見る。集合時間からお別れまでびっしり書かれた計画表……私はそっと紙を置いた。どこまで調べ上げとんねん! と心の中でツッコミを入れながら。

 

「しかしまぁ、初デートがプロレス観戦ってどうなのよ?」

 

「私とガクト様ならありなんだよ!」

 

「…………もう、好きにしなさい」

 

 私は素直に諦める事にした。

 

「それじゃあ、行ってくるね!」

 

「はいはい。一応成功を祈っておいてあげるわ」

 

 幸せそうな顔で私の親友は走り去っていった。場所はどうあれ、デートかぁ~私も葵君と一緒に……

 

「舞殿、舞殿」

 

「――ッツ、ウエッ!?」

 

 突如後ろから掛けられた声に驚いて振り返ると……

 

「え、えっ?――葵君!?」

 

「すまぬ! 驚かせてしまったようでござるな」

 

 まさかの葵君登場に、私の心臓はドクンと跳ね上がる。

 

「舞殿……」

 

 肩に手を置かれ、真っ直ぐな、真剣な瞳で私を見つめてくる葵君……なにこの展開♡――って、私にもとうとう春が!?

 

「頼む! 妹の調査に協力してくれ!」

 

「…………」

 

 うん。分かってた……分かってたけど! 少しくらい期待しても良いじゃない!!

 

 急に黙り込んだ私を不思議そうに見つめながら葵君は手を合わせてお願いポーズだ。妹の事にはすぐ敏感に気づくのに、私の気持ちには全然…………

 

「……協力って何を?」

 

「今日、紅葉がいつもとは違うおめかしをした格好で、凄く楽しそうな笑顔で家を出て行った……しかも、どこに行くのか聞こうとしたら物凄い形相で『絶対についてこないでね』と言われてしまった」

 

「……なら、大人しくそうしていれば」

 

「だが! 兄として妹が変な男に言い寄られて無いかと心配なのだ!! 相手を確認するだけで良い。問題無ければ俺も静かに見守ると約束する。だから頼む、拙者が頼めるのは舞殿しかおらぬのだ!」 

 

 そう言って、今度は両手で私の手を掴み取り、真っ直ぐに、真剣な瞳でお願いしてくる兄バカな葵君。またドクンと別の意味で私の心臓が跳ね上がる……うぅ~反則だよ……これを私に断れって言うの!? 私は…………

 

 

 

 

 待ち合わせ場所に着くと、ガクト様はなんと既にその場所に居て(ちなみに一時間前)緊張した面持ちで、周りをキョロキョロと見渡しながら、時計を見て苦笑い? を浮かべていました……なんかかわいい!

 

「さすがにまだ早いよなぁ~」とか思われているのでしょうか? いいえ、そんなことはありません! 初デートだもの……私もすぐに参ります!

 

 あっ、でもさすがに次回からはお互いに早く来すぎない様に話さないとね★

 




また何か筋肉アニメ始まりませんかね〜
あのボディービルディングのアニメは中々に良かったらのですが(笑)


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五話 キッサテン

【真剣で布仏家長男に恋しなさい!】の短編版と同じ様に見えて、実はちょこちょこ変わってたりします^_^;
 要は、海人→フォスター。仏→ウォルターに変わったところとかが影響してますね。あと、追加されたセリフや文も



「お待たせしました岳人さん」

 

「あっ、紅葉さ…………」

 

 声を掛けたところで、私を見たガクト様が驚いた表情で固まってしまった。私、何か変なところでもあったのかな!? と不安になってしまう。

 

「あ、あの……何か変なところでもありましたか?」

 

「…………女神…………」

 

「……メガミ?」

 

「美しい……ハッ!?――すみません! つい見とれてしまって!」

 

 美しい……それに見とれてだなんて♡心臓が爆発しそうになるのを何とか抑えながら、気合いでガクト様へと私は返事を返す。

 

 

 

 

 天使……否! 女神がそこに居た。

 

 始めはしっかりと外見を誉めて、好印象をと考えていたのに、現れた紅葉さんを見て、俺の頭の中は真っ白になった。

 不安そうに見つめる彼女に気づき、何とか気合いで意識を戻し、彼女へとあやまった。

 

 

 

 

「えっと……ありがとうございます。その……お世辞でも嬉しいです」

 

「お世辞だなんて! 素直な俺の感想です!! ハッ!?」

 

 お互いに顔を赤くし、照れていると……ふと、周りの視線がこちらに向いている事に二人は気づく。

 

「と、とりあえず移動しましょう! 開場時間にもまだ早いので、その辺の喫茶店にでも」

 

「そ、そうですね!」

 

 そして二人は近場にあったカフェに入っていった。

 

 

 

 

「む、カフェに入っていったか」

 

「…………(ドキドキ★)」

 

 皆様こんにちは……花京院 舞です。現在私たち(葵君と私)は、一定の距離を保って、二人を尾行しています。

 結局、葵君のお願いを断る事が出来ず、紅葉には悪いと思いながらも、葵君の助手をしております。ん? よくよく考えてみたら、今葵君と私……初めて二人でお出かけしてる!? って考えたら少し嬉しくなったが、前を行く二人の様な甘い展開も無く、デートとは言えないか…………

 

「むむ、さすがにあの小さなカフェに入っていくのは危険過ぎるか……仕方ない。舞殿、我々もしばし……舞殿?」

 

「――あっ、ごめんなさい。うん、見える範囲で一時尾行中止かな?」

 

「そうでござるな。立ちっぱなしもなんだし、斜め向かいのバーガー屋にでも入って、出てくるのを待とうでござるよ」

 

 そうして私たちも、別のお店へと入っていった。

 

 

 

 

 小便はすませたか? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする――「ウォルター! それ作品違う!!」――失礼致しました。

 ここはとある町カフェ……今日も迷える子羊たちが癒やしを求めやってくる……

 

「いらっしゃいま――『え、マスター!?』――おやおや」

 

「あれ? なんでいるの? ここ仏の喫茶店じゃないよね」

 

「いや、一応は仏の喫茶店ですよ~ただ、気まぐれ営業の二号店ですが」

 

 仏の喫茶二号店……夜営業のみの洋食店を営む友人のお店をたまに間借りして、営業している二号店。本店と違い、市街地のど真ん中なのもあり、ちょっとした顧客創造と気まぐれでやっています。

 

「気まぐれ営業って……どうなんですか?」

 

「ここでファンになってくれたお客様で、本店に来てくれている方もいらっしゃいますし、少し前ですが……テレビの取材も受けましたよ~『気まぐれ営業の隠れた絶品カフェ☆』と視聴者から複数の投稿があったらしく、それなりの売上も出てますね」

 

「へぇ~」と関心する二人を見ながら、とりあえずカウンターの席に誘導します。

 

「じゃあ、今日は本店は休みなんですね」

 

「えぇ、そのかわりにフォスターたちがバイトで喫茶店の大掃除をしてくれています。川神さんや黛さんもお手伝いに来られてましたよ」

 

「まゆっちが朝から気合い入ってたのはそれが理由か……」

 

「こちらとは違い、あちらはバチバチやってるかもですね」

 

「「えっ!?」」

 

 そう言いながら、いつもと違い着飾った二人を微笑ましく見つめる。

 

「さてメニューですが、私に任せて頂いてよろしいでしょうか? お二人に合ったチョイスを私から差し上げたいと思います」

 

「えっと……紅葉さん、良いかな?」

 

「はい。なんかドキドキワクワクです」

 

 さて、これから進んでいくであろう若人たちへ、ささやかなプレゼントといきましょうか。

 

 

 

 

 しばらくして一杯の紅茶と薄いピンク色のゼリーが運ばれてきた。

 

「ローズヒップティーに、以前、川神さんの案を取り入れて作った桃のゼリーでございます」

 

「……良い香りですね」

 

「…………マスター……これは……」

 

 純粋にハーブの香りを楽しむガクト様……しかし、この二つに込められた思いに私は気づいてしまった。

 

 マスターを見ると、にこやかな笑顔で「どうぞ」と言ってきた。これはきっとマスターなりの応援なのだろう。私は素直に感謝の気持ちを込め、頂くことにした。

 

 

 

 

 紅葉さんの方はどうやら気づいた様ですね。

 

 ローズヒップティーは、一般的に恋愛に良いとされる紅茶の中でも、その色から赤い糸を彷彿とさせ、楽しく充実した恋愛を運んでくれると言われています。更に桃のゼリーは、『桃』は万能の食べ物。風水では恋愛運を上げるのに最強の食べ物と言われています。

 そんな二つの組み合わせで、二人の恋愛をサポート!!……なんてな。

 

 

 

 

「「ごちそうさまでした!」」

 

 そろそろ会場に向かうのに良い時間帯になってきました。お互いに席を立ち、ガクト様がお会計をしようとしたところで……

 

「今日は私からの応援も兼ねて、お代は結構です。お二人の未来に幸あれ」

 

 そう言われ、ようやくガクト様もマスターの微笑みの意味に気づいたのか、少し顔を赤くして、感謝の意を伝えていた。

 

「良いのですか?」

 

「はい。でも気になるのでしたら……改めてまたお二人でいらして下さい」

 

 そう言われて、少し私も顔が赤くなった気がした。そして私たちはカフェを出て……もし、さっきの紅茶とゼリーの意味も教えたら、ガクト様はどんな反応をしてくれるかな? などと考えながら、私たちは会場へと向かった。

 

 




……準備はOK?


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六話 オソロイ

 Nissan様、新たに評価頂きありがとうございます! 
 もしやあの大手自動車メーカーの関係者の方!? 普段の仕事でもたまにお世話になっております(爆)実はMy日産帽子(非売品)を持っている私★それを被りお仕事した事もあります(笑)――って、そんなのどうでもええわぁ!! ですよね〜
 これで平均3.5……元の私のより2.5倍も評価が高いじゃあ〜りませんか(笑)
 とりあえず表のラブコメは一気に逝きますですよ(✽ ゚д゚ ✽)


「舞殿は何が良いかな? 付き合ってもらっている手前、奢らせてもらうでごさるよ」

 

「只今コラボキャンペーンで、カップルでお越しの方にはこちらのセットをお勧めしております!」

 

「カ、カップル!? 拙者と舞殿は『このセットでお願いします!!』……えぇ!?」

 

 軽く葵君の腕に寄り添って……「このセット限定ストラップが欲しくなって」と耳打ちをする。そう伝えると、葵君も納得したのか、それを注文してくれた。

 商品を受け取り、窓際の席に移動すると、葵君が二つのストラップを両方私に渡そうとしてきたので、一つを彼に押し付ける。

 

「葵君は周りから少し固いイメージを持たれてるから、こういうの着けて印象を柔らかくすると良いと思うよ」

 

「そうでござるか? 拙者あまりこういった物に興味は無くてな」

 

「まぁ、良いから良いから~」

 

 そう言って強引にストラップを着けさせる。

 

「ふふふ、おそろいだね♡」 

 

 これくらいの役得はあっても良いよね?

 

 その後、お互いの岳人君への印象を話したり、雑談をして、二人がカフェを出たのを見計らって私たちも店を出て、前の二人に続いた。

 

 

 

 

「ん? あの二人は……おやおや、こちらも穏便には済まないやもしれませんね」

 

 そんな事を考えてたら、来客を知らせるベルが鳴る。

 

 

 

 

 プロレスの試合会場に思ったより早く到着した私たちは、入場開始までしばらく時間が合ったのでイベントをやっている広場の方にやってきた。

 

「いくつかお店が出ていますね、何か見てみますか?」

 

「そうですね……時間つぶしに――『キ~ング・マッス~ル!!!!』――うわっ、なんだよいきなり」

 

 突如広場内に響き渡った大声で、お客さんの視線が一点に集中する。するとそこには団体内筋肉最強の覆面レスラー、マッスルキングが腕を天に振り上げ、佇んでいました……うん。良い筋肉してるね☆

 

「さあさあ、スペシャルイベントの開催です! 集え筋肉自慢の男たちよ!!」

 

 司会と思われるレスラーの方の話しによると、スペシャルイベントでマッスルキングに腕相撲で挑戦し、クリアした先着四組様をリング四つ角のスペシャルシートにグレードアップご招待との事です。内容はマッスルキングの猛攻に10秒耐え切れればクリアとの事でした。

 

 

 

「これは俺様の見せ場到来! って感じですね。紅葉さんの為に勝利をもぎ取ってきます!」

 

 ガクト様が腕まくりをして、ガッツポーズでニカッと私に笑いかけてきました……素敵です☆

 

 

 

 

 そして、数組の待ちの後、私たちの番がやってきた。

 

「さあさあ、現在クリアはギリギリ10秒耐え抜いた一組のみです! おぉっと!? 次はなかなかに良い筋肉のお兄さんですね! お連れさんとカップルで観戦ですか!?」

 

「カ、カップル!? いや、えと……」

 

 司会の方の発言にガクト様と二人で顔を赤くしてしまう。カップルだなんて……♡

 

「女とイチャコラしてる男に負けるわけにはいかん!!」

 

「おぉっと!? マッスルキングがヤる気になっているぞ~これは彼女いない歴=年齢のマッスルキングの逆鱗に触れたか!?」

 

「余計なお世話だ! てか余計な事言ってんじゃねぇ!」

 

 バチンとマッスルキングの手のひらが司会レスラーの方の頭に振り落とされた……あれは痛そう。

 

「アイタタタ……失礼しました。では気を取り直して……はい、組み合って……ファイト!」

 

 開始の合図とともに二人の筋肉と筋肉がぶつかり合う……初動は引き分け、だけど少しずつガクト様が押されている。

 

「岳斗さん、負けないで!」

 

 ガクト様の背中に向け声援を送る。すると、少しずつ押され気味だったガクト様が盛り返してきた。

 

「グヌヌゥ~~(な、なんだと!? この私が押し返されるだと!?)」

 

「オォラァァァァァ!! これが……愛の力だぁ!!!!」

 

「ヌゥオォォォォォ!?」

 

 ガンッと手の甲が試合台に叩きつけられる音が響く。ガクト様の――勝利です! ガクト様素敵♡――しかも「愛の力」だなんて……もう、これは告白と取っても良いですか? 良いですよね私? 

 

「…………まさか……マッスルキングが負けた? まさかの耐えるどころか勝ってしまいました、この青年! 問答無用のクリアです!!」

 

 広場内が歓声に包まれる。ガクト様輝いてます。もう、どれたけ私を惚れさせれば気が済むんですかあなたは……我慢できなくなった私は、軽くだけど勝利の余韻に浸るガクト様の腕に抱きついた。これくらい良いよね?

 

 

 

 

「素晴らしい筋肉だ青年よ」

 

「いえ、あなたこそ素晴らしい筋肉でした。俺だけの力だったら負けてましたよ」

 

「ふっ、言うな……チッ、まぁ今日は二人とも楽しんでいってくれ」

 

「「ありがとうございます!」」

 

 岳斗とマッスルキングの二人が腕を組み、間に紅葉が入り、記念撮影を行う。筋肉の友情が生まれた瞬間である。

 その頃、尾行組二人の葵と舞は隅の方で岳斗と紅葉の二人を見つめていた。

 




怒涛の更新ラッシュ? 飛ばさずに読んでくださいね〜☆


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七話 コクハク

 とりあえず【真剣でガクトに恋しなさい!】に当たる部分はこれで完結です!


「まさかまさかの、岳斗君勝っちゃったね」

 

「…………」

 

「……葵君?」

 

 無言のまま二人を見ていた葵君はふと振り返ると、満足した表情で話しかけてきた。

 

「舞殿、今日はわざわざ付き合わせてしまい申し訳なかった。拙者たちはそろそろ帰ろう。」

 

「――えっ? まだ途中だけど良いの?」

 

「今日、彼を見てきてそれなりに彼を理解することはできた……ま、まだ完全に許した訳ではないが、とりあえず彼がアツイ男だと理解する事はできた。だからしばらくは様子見にしようと思う」

 

「そっか(あぁ、これで葵君との初めてのお出かけも終わりかぁ)」

 

「家まで送るでござるよ」

 

「うん。ありがとう。(頑張りなさいよ紅葉)」

 

 こうして私たちは帰路に着いた。

 

 

 

 

 プロレス観戦が終わり、再び駅前へと戻ってきた。試合後に、プロレス団体の責任者の方がガクト様をスカウトにくるというサプライズもあったが、ガクト様は誘いは受けず、とりあえず名刺を貰う形になっていた。

 

 そして、そろそろお別れの時間……

 

「岳斗さん、今日はありがとうございました」

 

「い、いえ、こちらこそ一緒に行けて凄く楽しかったです!」

 

 笑顔で微笑みかけてくるガクト様に対して、私は……私の気持ちを押さえきれそうにありません。

 

「岳斗さん……また私とこうしてデートしてくれますか?」

 

「――えっ!? も、もちろんです! 俺なんかで良ければ、喜んで!!」

 

「でも私は……次は友達としてデートではなく、恋人としてデートがしたいです…………」

 

 思いを込めて、ガクト様の瞳を見つめ、私の気持ちを伝える。

 

「…………ハッ! そ、それは!?」

 

「……岳斗さん、私は……『ちょっと待って下さい!』……えっ?」

 

 告白しようとしたところでガクト様から止められる……どうして?……私の心の中に不安が広がっていく。

 

「そこから先は俺に言わせて下さい。紅葉さん、普段の清楚なあなたも、筋肉の事になるとテンションの上がるあなたも、俺は大好きです! 次はあなたの男として、恋人として俺とデートして下さい!!」

 

 ガクト様が頭を下げ、手を差し出してくる……そんなの……私の返事は決まっている。

 

「……はい」

 

 ガクト様の手を取り、再びお互いの視線がぶつかり合い、少し照れくさく笑い合う。

 

 こうして私の恋は新しいスタートを切った。

 

 

 

 

 家に戻って、今日の葵君とのデー……トじゃないな、尾行を振り返る。一緒に街中を歩き、食事して、お揃いのストラップを付けて……傍から見たら恋人同士に見えたのかな? そんな事考えてたら紅葉からの着信が入る。

 

「そちらもそちらで、本日はお楽しみでしたね★」

 

「…………えっ、紅葉気付いてたの!?」

 

 尾行がバレていた事を知らされ、驚きと紅葉に対して申し訳ない気持ちになる。

 

「一応、可能性として警戒してたら、バカ兄さんはともかく舞ちゃんまで尾行してたのにはビックリしたよ」

 

「何処で気付いたの?」

 

「結構、始めの方から……バカ兄さんは気配消せてたけど、舞ちゃんはその辺素人だから仕方ないよね。ガクト様が気付いて無かったからそのままスルーしてたけど」

 

 何それ……いわゆる「見るんじゃない、感じるんだ」的な何かですか? 友人の超人ぶりにため息をつく。

 

「それでバカ兄とは何か進展はあったのかな? さっき携帯にストラップ付けてたの見たけど、もしかしてお揃いとか!?」

 

「お揃いにはなったけど、進展があったかなんて聞かなくても紅葉なら分かる……って、チョットまて! 紅葉、あんた何処まで知ってんのよ!?」

 

「私は舞ちゃんを応援してるよ♡」

 

 そんな……紅葉にバレてたなんて…………

 

「何年の付き合いだと思ってるのさ、私と舞ちゃん。まぁ、燕ちゃんはまだ舞ちゃんの気持ちに気付いて無いみたいだけどね」

 

「……そうなんだ」

 

「現状一方通行な愛だからねぇ……【舞ちゃん→バカ兄→燕ちゃん→?】みたいな。とりあえずバカ兄が他の連中同様、燕ちゃんに玉砕されるまではアタックするのも難しいよね〜」

 

「……グッ」

 

 紅葉の言葉が重く私にのしかかってくる。葵君が燕を好きなのは分かってる。だから今告白しても振られるだけだろう。

 

「とりあえず今は友人として仲良くして、チャンスを待とうよ。今回の事で少なからず舞ちゃんがあのバカ兄の数少ない気の許せる相手だってのは分かったしさ! 前向きに前向きに!」

 

「…………(数少ない、気の許せる…………)」

 

 それだけでも進展はしてるのかな? と今は自分を満足させた。

 

「……そ・れ・で・ね☆」

 

 ワンテンポおき、紅葉の声が急に高くなった。何だろう? 凄く嫌な予感がする。

 

「私……正式にガクト様から交際を申し込まれちゃいました♡キャァァァァァ!!」

 

 耳元に響く紅葉の叫び声を聞きながら、今日は何時に寝れるかなと目覚し時計を見た私だった。

 




 ここで短編サイズは完結したんですよね。
 それで、助手ちゃんが本来書きたいと言ったのがこのあとのオマケのその後の部分の舞と葵の切ない恋模様の部分だったわけ何ですが……とりあえず私が助手ちゃんから聞いてたのはここまで(最後の紅葉と舞の電話内容)なんですよね……ここから新章として裏物語が始まるはずだった訳です。
 とりあえず本人が戻ってくるのをまた暫く期待したいと思います。私も一読者として助手ちゃんがどう書くのか期待していた一人ですし。
 ご愛読ありがとうございました☆


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新章 元ネタなどなど

【真剣で布仏家長男に恋しなさい!】に読みにいかれた方は元ネタはスルーでも構いません。多少私なりの補足()はしてますがね。(´∀`)ニヤリ
 オマケのその後の部分です。一応新章として助手ちゃんが書こうとしてたとこのあらすじというかネタバレですね。復帰しそうに無いので最後にどうなったのか読んでない方の為にこれだけあげときます…………
 オマケつきなの〜〜


 お・ま・け

 

~その後の布仏家長男のまじこい~(新章として書かれる予定だった部分)

 

 

 

 

【松永燕】

 

 高校三年二学期の後半に、九鬼紋白からの依頼を受け川神学園へ転校。その際に近衛葵から告白されるが、もともと異性としては対象外だったために断る。(新章スタート部分かな?)

 

 川神学園にて直江大和と出会い、可愛がっていく内に恋に落ち、とある事件で大和に助けられ、大和から告白された際にOKし、交際をスタートさせる。(原作燕ルートの内容です)

 

 

 

 

【花京院舞】(主に燕の川神学園転校から、この部分が新章にあたる部分でした)

 

 葵が燕に振られた後、雨降る公園のベンチで傘もささず佇む葵を見つけてしまう。必死に葵を元気づけようと声を掛けるもののその手は振り払われ、拒絶される。

 

 ずっと好きだった相手に振られ、泣き出した葵の側で、その気持ちがある意味一番分かる舞(片思い歴は中学に入り燕と知り合う前からの舞のほうが長い)は、我慢できず自身の思いをこのタイミングで卑怯かなと思いつつも葵に伝える事にする。(登場人物紹介の「私だって……私だって!!」はここでのセリフになります)

 

 舞の(長年の)気持ちを知らなかった葵は、更に自己嫌悪してしまい「今の俺では気持ちに答えようもない」と告白を断ってしまう。

 舞はそれでも諦めず「今は気持ちを知ってもらっただけで良い……だから少しだけで良いから私の事を意識してほしい……それとも、私じゃ全く見込み無いかな……」と言ったところ葵は「時間が欲しい。今すぐ返事は出せない。それでも待ってくれるか」と答えた。

 こうして友達以上恋人未満のような関係がスタートする。(このあと舞の葵に少しでも自分を好きになってもらおうとする健気な奮闘劇が描かれたのかな)

 

 しばらくして、燕に恋人(大和)が出来たと伝え聞いた段階で、思いが完全に吹っ切れたのか、葵が舞に正式に交際を申し込み、付き合う形となる。この間、影で紅葉が暗躍していたのは言わずもがなとしておこう。(私としてはこの紅葉の暗躍部分をどう書いてくれるか楽しみにしてました。笑)

 

 

 

 

【近衛紅葉】(ここは【真剣でガクトに恋しなさい!】のアフター部分ですね)

 

 順調に関係を深めていった二人は、なんと岳斗の高校卒業に合わせて、婚姻届を提出。晴れて夫婦となる。

 

 岳斗は卒業後は改めてスカウトが来た真日本プロレスに入り、マッスルキングとともに怪力コンビとして活躍し、数多くのタイトルを獲得していく。人気が絶頂になったあたりで、九鬼財閥に就職した大和に紹介され、九鬼従者部隊に就職。

 

 紅葉は大学に進学し、企業に就職するが、岳斗が九鬼従者部隊に入った辺りで第一子(長男)を授かり、それを境に退職し、そこからは主婦として子育てしながら島津寮で寮母見習いしながら夫を支えていくこととなる。

 

 

 

 

「アッ、パパが帰ってきたぞぉ〜」

 

「「パーパァァァァァ☆」」

 

 仕事を終え、帰ってきたパパに子ども達が走り寄っていく。アレから更に妹が一人生まれ、今お腹の中には更に新たな命を宿しています。

 両肩に子どもたちを乗せ、笑顔で帰ってくるガクト様……とはもう言わず、パパは私の自慢の夫です♡

 

「ガクト〜これからがまた大変な時期なんだから、もうチョット帰ってきてやんなさいよ!」

 

「アタタッ……分かってるって母ちゃん。今回のデカい案件終わったら、育児休暇貰えるようになってるから俺もしっかり子どもたちの面倒みるからよ〜」

 

 当時と違い、白髪混じりの髪になったお義母様がパパにクレームを言っている。いつも助かっております!

お義母様☆

 

「おう、今帰った」

 

 ニカッと笑ったその笑顔に向けて、今日も最大限の笑顔で出迎える。

 

「おかえりなさい! あなた☆」

 



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