傭兵が膝に矢を受ける話 (ギフィ)
しおりを挟む
第一話
フルダイブ型VRロボットアクションゲーム「機動戦隊アイアンサーガオンラインVR」通称「アイサガVR」俺が好きなゲームである。
元々は携帯のソシャゲだったのだがVR技術が進化して発売されたゲームだ。
フルダイブなだけあって簡単操作というわけではなく、ロボット(ゲームでは主にBMという)事にコックピットの内装や操作方法が違ったり難しいところもあるけど俺は大好きだ。
元々、何をやっても中途半端で普通の域を出ず長続きしなかった俺は初めてこのゲームをプレイした時からのめりこんだ。数々のかっこいいBMに魅力的なキャラクター達、何よりもBMを自由に動かしながら戦うのが最高だった。はまり過ぎて勉学が疎かになって留年しそうになるぐらい熱中した。
今日もログインしてプレイヤーが集まる酒場に行く、ここで小隊を組んだり雑談とか、ケストを受けたりすることができる場所だ。
「よう!レン!久しぶりじゃねえか勉強はもういいのかよ?」
「ブッパッチューさんお久しぶりです!アップデートって聞いて我慢できずきちゃいましたよ」
話しかけてきたのはブッパッチューさん、とにかく弾をばらまき敵のボロボロにするのが大好きな人だ。
「だよなあ、お前さんはそうだと思ったよ。ストーリーモードの外伝の追加だとさ」
「へえ、どんな話なんですかねえ、楽しみでしょうがなかったですよ」
「俺はもうやったがとても楽しめたぞ、終わったら感想教えてくれや語りたくてうずうずしてる」
「ほんとですか!いってきます!」
そう言われたら居ても立っても居られない任務受注のコンソールへ確認へ向かう
「えっと新しいクエストはっと…あった」
内容は主人公のベカスが傭兵になって初めての任務の話らしい、へえ楽しみだなあ。
クエストを受けて格納庫へ移動する。
「よう!相棒!今日もよろしく頼むな!」相手は機械なので返事はしないけど挨拶をする
俺の相棒のレノを基にした改造機、名前はブルーライトニングだ。
肩と足にブースターを付けるために手と足のパーツを改良して、背中に高出力ブースターを装備
左手には盾、そして武器にはかなりこだわった!右手に装備しているのはビームライフルとビームソードを瞬時に切り替えられる武器、名前はカラサワムーンライト、威力が高すぎて仲間にそれじゃビームライフルじゃない、ビームキャノンだって言われるぐらいに強い。機体にはこれ一本しか装備されていない完全にロマン武器である、
カラサワムーンライトを引っ提げてブースターを駆使して高速戦闘を行い、敵の中で引っ掻き回すのが主な俺の戦闘スタイルだ
もう弄りすぎてレノとは別物になってしまっているけどな!頭のパーツがレノなだけである。
相棒のコックピットに乗り込んで準備を完了する。
「よし!はじめるか!」
コンソールの出撃しますか?という確認にYESを押したとき、俺の意識はそこで途絶えた。
オンラインプレイヤーには自分で機体を作る人と人に作るのが大好きな人とかいて、オンラインにいるプレイヤーはほぼ、皆オリジナル機体みたいに中身別物は良くあるという妄想
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第二話
分かりにくかったらごめんなさい。
「聞いてた話より敵の数が多いな、おい」
ぼやきながらBMを操作するのは白髪の男ベカス
二門のビーム砲を装備して機動力と瞬発力を強化したリンクス、FOXHOUND・EXで大量の敵を引き連れて移動している最中である。
近くの放棄された基地を根城にした賊に脅され食料等を取られていた複数の村からの依頼でここまで来たのだかちょっと突っついてみたら、基地からあれよあれよとBMやら戦闘車両やらが沸きだしてきて予定より早めに移動を開始した。
「おい!レン!大量のお客さんだ!準備はいいか?」
突出してきたラーテルをビーム砲で焼き払い、他をビーム突撃銃をばら蒔き牽制をする。
「よしきた!突撃する!」
潜伏用の偽装用ネットを弾き飛ばして敵の部隊の死角から青い機体、ブルーライトニングが高速で現る。
持っているカラサワムーンライトから水色の大きい玉型のエネルギー弾が飛び、ベカスを追いかけてるラテールに着弾と同時に水色の爆発を起こし、横にいた別の機体を巻き込みながら爆散した。
カラサワムーンライトの銃口から水色の剣型にエネルギーが成型される、賊の部隊のど真ん中に突っ込み通りすがりに切り刻まれる。
「おい!敵が増えたぞ!青い機体だ!狙え!」
賊達は現れたブルーライトニングを狙いそれぞれの武器で狙うも横縦にブースターを瞬発的に使用しながら超高速で移動するため、当てることが出来ずにいる
「あたらねえ!速すぎる!」
「何なんだ!どうなってやがる!」
水色の光がブルーライトニングから発せられる度に味方が減っていく戦場にどんどん、動きに乱れが現れ、逃げ始める機体が出るのに時間は掛からなかった。
「お疲れー!上手くいったな!ベカス!」
「お疲れさん!賊が溜め込んでたお蔭で黒字だな!」
ベカスと村の酒場で打ち上げを行う、なんと村の人達の好意により無料である!
あの後、ほぼ賊を掃除を行い周辺の村の人達と物資の回収を行った。
機体の予備パーツやアトミックコアは自分達が貰い、食料等を村の人達へ配った。
この世界に来てもう大体一年ぐらいになった。
最初はびびって混乱した。珍しい機体に乗ってるため、強そうだな相手しろだの、盗もうとされたりだの色々あった。そこで初めて傭兵依頼を受けたときに出会ったのがベカスである。
会った当初から馬が合い、そこから行動を共にしている。
主にやっているのは賊掃除である。困ってる村とかを口では色々と言うが見捨てられないのがベカスなのだ。大体困っている村からの依頼なので依頼料は少ないが賊が置いてったBMや物資を売って、そんなに多くはないけど黒字にはなる。
最初はどうなるかは分からなかったけど、今はベカスと仲良く二人旅をして充実している。
強いて言えば女の人と出会いが無いことかな!
TSベカスが頭をよぎったが無かったことにした。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第三話
俺はベカス・シャーナム、しがない三流傭兵だ。
今は新しい顧客の所に向かうため、レンと共に機体を載せたトレーラーに揺られている。
「次、向かうところはイブン王国だっけか?」
レンに雑談がてらに聞いてみる。
「そうそう、そこで独立を求めるイブン解放戦線が今回の雇い主だよ。羽振りがよくてね、報酬高いから受けたよ」
「まあ、賊退治は外ればかりでそろそろ金がきつかったからな。」
街とかを点々として賞金首や賊退治は当たり外れがあり、溜め込んでいなければ大した金にはならない。
普通はやりたがらないが、レンは積極的に依頼を受けている。
まあそれは俺もなので、人のことは言えないが
今ではほぼ休みの日でも顔付き合わせて昼間から飲んだり、買い食いして回ったりと色々しているが、初めて会った時はこんな関係になるとは思っていなかった。
「レン・タチバナです!今日から宜しくお願いします!」
身長165cmほどの黒髪の極東か日ノ丸の童顔の男、16ぐらいにしか見えないが20歳と言っている。
新品のタクティカルベストと使いづらいと有名なスイッチ押すと光刃が出るタイプのレーザーブレードを腰に下げていた
一番目立つのはレンの機体、青と白を塗装をしたBM、見たことない機体だが、明らかに相当弄られており金が掛かっているのがわかる。
初めてレンを見た時の感想は調子に乗った金持ちの家の坊主が勘違いして傭兵として依頼を受けてきた奴、こりゃ今日生き残れたら幸運だなという感じだ。
回りの連中もそんな感じだった。
「おいおい、ガキじゃねえか」
「お前が死んだらその機体俺がもらってやるよ」
周りからヤジが飛んでも、レンは笑顔で応対していた。
その印象は戦場ですぐに変わった。
戦場を急制動をかけながら、縦横無尽に動く青い機体の
通る所にいた敵のBMがどんどん撃破されていく様はもう笑うしかなかった。
一度、認められてしまえば戦場何て楽なもんだ。
強い奴は大歓迎、強い奴が味方に居れば死ぬ可能性だって減る
同じ小隊に組み込まれてからだ、レンとよく話すようになったのは
剣術の話やBMの話、いろんな話しをしたが何より傭兵としてのスタンスが合ったのがでかかった。
仕事の契約が終わってもそのまま一緒に仕事をしている。
「おーい!ベカス!見えてきたぞーあれがイブン解放戦線の基地みたいだ」
レンの言葉で目を覚ます、揺られている内に寝てたみたいだ。窓を見るとリカオンにリンクス、少数であるがレンジャーまで並んでいるのが見えた。
「そろそろ着くから準備してくれ、ベカス」
「あいよ、FOXHOUNDのチェックしてくるわ 」
レンに返事をして、俺は席を立った。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第四話
イブン解放戦線の依頼を受けたのは報酬金が高いってのは建前で自分には目的がある。イブン解放戦線が戦力を増やすために向かう地域にサラという場所がある。
そこでゲームでベカスが出会うイーサというキャラクターを助けるのが目的だ。イブン解放戦線の指揮官がサラに援軍を求めても拒否されたため、王国軍に見せかけサラに虐殺を行い周辺地域に武装蜂起を促すのだが、これに荷担するのを拒否して負傷したベカスを庇って死んでしまうのがイーサだ。
まあ、一番はゲームのキャラに会ってみたい、あわよくば仲良くなれないかなあと思っているが。
アイアンサーガVRには元になったソシャゲのストーリーを追体験するストーリーモードの他にアイアンサーガの世界を自由に旅して、いろんな組織や派閥に所属して戦ったりできるクロニクルモードがある。
いろんな魅力的なキャラクターの好感度上げて彼女にしたりできるため、とても人気があり対戦とかそっちのけでクロニクルモードだけ遊ぶだけの人も多いぐらい人気だ。
クロニクルモードで始められるのはストーリーモードのアフリカ統一戦争の時間軸からしかできないため、クロニクルモードを選択した時点でイーサは死んでいて、助けたいと願うプレーヤーは大勢いた。
ゲームでは助けられなかったが今回は助けられるかも知れない。やってみる価値はあると思う。
「おっと危ない!」
コヨーテという戦車から放たれた砲弾を剣型にしたムラサメムーンライトで切り払う。
今はイブン解放戦線がサラに向かう途中に待ち伏せを受けて応戦中だ。
まあ出るわ出るわ、コヨーテとコヨーテ援護型というミサイルを武装した型、四足歩行のハウンドがわらわら弾幕を張りながら姿を表し、弾幕に援護されながら人型BMの軍曹が複数こちらの主力に突っ込んでくる。主に相手の主力もこちらの主力もCとB級が殆んどだ。
違いは数でざっと見ただけで、味方の倍はいる。
ミサイルや戦車砲で援護されながら突っ込んでくる軍曹の近接武装、斬車丸や散弾で撃破される味方のリンクス
無線から救援要請やら悲鳴やらが飛び交ってる状況だ。
このままだとまずいな。
「ベカス!正面から突っ込んで後ろの援護してる戦車部隊をどうにかしてくる!指揮官の護衛を頼む!」
「あいよ!任された!」
ベカスに伝え、背部のブースターの出力を限界まで上げる。
空から行くと只でさえ数の多いミサイル車両や戦車等から集中砲火を受ける可能性が高いので地上スレスレを滑るように進む。
通りすがりにスピードを落とさず、進行方向にいる軍曹を剣型に変えた武器で両断し、複数のBMが固まっている所に射撃を加え援護を行う。
ここら辺で、敵の注目が此方に集まる。
ハウンドの75mm砲やコヨーテの戦車砲をブースターを駆使し、左右に不規則に動き狙いを定めさせずに回避する。体に結構なGがかかるが慣れたもんだ。転移した時の身体が頑丈で助かる。
正面から斬車丸をに構えた軍曹に突っ込んでくる。
突っ込んで来た軍曹が急に横にずれる。
軍曹の影からコヨーテが現れた。
「っ!この!」
至近距離からの砲弾と剣の同時攻撃を砲弾を切り払い、軍曹の斬車丸に盾を差し込む。
機体の出力に物を言わせてシールドバッシュの要領で軍曹をコヨーテに弾き飛ばしライフル型に切り替え纏めて吹き飛ばす。
今のは肝が冷えた。
いくら機体の性能に差が開いても戦場に絶対はない、一瞬でも気が抜けない。
敵の前線部隊を援護している戦車部隊に辿り着き、ライフル型に切り替えた武器で撃破していく。
敵の前線部隊への援護が薄くなり、味方部隊が立ち直ってきた。
敵の撤退が始まったのはその後すぐだった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む