青年の異世界珍道中〜ひぐらしのなく頃に〜 (クロイツヴァルト)
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序章

 「さてと、次の世界はどこに行くかなっと」

 

 とある場所で戒翔はホロスクリーンを開いて様々な世界を観測していた。

 

 「ん〜、これといったものは…と、これは」

 

 表示されていた世界の一つに戒翔は注目する。

 

 「ほむらの様な時間逆行とは違うな…記憶を継承しながら別の時間軸に移動し一定の月日を繰り返す少女か。スバルみたいだな。」

 

 そのスクリーンに映されていたのは綺麗な黒い長髪の年端もない様な可憐な少女であった。

 

 「古手梨花…雛見沢に古くからある巫女の末裔か…彼女の望みは死の連鎖からの脱出か」

 

 そう呟いた戒翔の足下に魔法陣が展開される。

 

 「さて、悲運な少女を救いに行くとしようか」

 

 戒翔がそう告げるのと同時に足下の魔法陣が一際輝き、戒翔はその場から消えるのであった。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「…さて、此処が雛見沢か。」

 

 神域から転移した戒翔は小高い山の山頂にて眼下に広がる農村を見下ろしていた。

 

 「来たは良いが、今は何年の何月だ?」

 

 《昭和50年の4月あたりになるかと》

 

 「そうか。先ずは人に会わなきゃ話にならないが…今の俺の肉体年齢は十歳前後か?親が居ないと不審に見られるが…どうしたものか…いっそ地元の誰かの養子にでもならんと怪しまれるが」

 

 思案するが中々良い考えが浮かばない戒翔だが、そこに緑の髪を靡かせて走ってくる2人の少女が見える。

 

 「あはは、詩音おっそーい!」

 

 「オネエが早いんですよー!」

 

 そう叫びながら戒翔のいる山頂付近に近づき、2人の少女は戒翔の存在に気づく

 

 「あんた、誰?雛見沢や興宮の子じゃないよね?」

 

 「オネエ」

 

 「俺は親に置き去りにされたようだ。」

 

 「……は?」

 

 「ここで待っていろと言われて3日位此処にいるんだ」

 

 戒翔の言葉に2人の少女は絶句し、狼狽える。

 

 「ちょ、ちょっと待って!3日ってえぇ!?」

 

 「お母さんに相談した方が良いのかな?取り敢えず一緒にウチに来て!」

 

 そう言ってオネエと呼ばれた少女に戒翔は手を取られて山を降りるのであった。

 

 ーーーーーーー

 

 「これは見事な武家屋敷だな…」

 

 「此処が私達のお家、園崎本家」

 

 「お母さんか葛西さんにちょっと話をしてくるから詩音はその子をお願い」

 

 「オッケー、任せといて!」

 

 そうして姉妹の姉らしき少女は屋敷の中に入っていくのであった。

 

 「それにしても君、名前は?私は園崎詩音。で、お家に入って行ったのがオネエの園崎魅音」

 

 「オレの名前は御坂戒翔…多分だが、君たちよりは幾つか上の年だと思う」

 

 「ちなみに私とオネエは今、十一歳ですけど」

 

 「そうなると俺の方が十三歳だから二つ上だな…」

 

 「それにしても戒翔君はなんであの山に?」

 

 「単純に俺が邪魔だったのだろうな…そもそもアレが親とは思いたくもないがな」

 

 「え…それはどういう」

 

 「おーい、詩音!母さんが連れてきた男の子を連れて入って来てだってさー!」

 

 戒翔の言葉に戸惑う少女詩音の言葉は屋敷から出てきた魅音の声に遮られる。

 

 「もぅ、オネエのせいで話の途中だけどお屋敷の中に行こっか。ほら!」

 

 「そんなに引っ張らなくてもオレは逃げんよ」

 

 「アレ?アタシの居ない間に仲良くなっちゃってるね?」

 

 詩音に手を引かれる戒翔の姿に魅音は目を丸くする

 

 ーーーーーーーー

 

 「中々に雰囲気が物々しいな」

 

 「まぁね、この村には滅多に他所から人が寄らないからみんなちょっとピリピリしてるんだと思うよ。」

 

 屋敷に入って目的の部屋に行くまでの間に屋敷の雰囲気を感じた戒翔の言葉に手を繋いだままの詩音が苦笑まじりにそう答える。

 

 「さ、此処だよ。中で母さんや婆っちゃ達が待ってるよ。」

 

 「げ、鬼婆もいるんですか?」

 

 魅音の言葉に苦虫を噛んだように詩音が呟く。

 

 「しょうがないじゃん。村の外の山に子供だけなんて不自然だし顔役でもある婆っちゃにも話を聞いてもらわなきゃでしょ?」

 

 「それはそうだけど、私は苦手なんですよね。」

 

 「詩音が気にする事じゃないでしょ?話をするのは基本的にその男の子だし」

 

 「そうだな。それにあまり待たせるのも失礼だしさっさと話をさせてもらえると助かる。…オレを受け入れて貰えるかは別としてもな」

 

 「…え?」

 

 詩音の言葉を聞いてあっけらかんとしている魅音は自分たちと向こうにいる大人達を隔てる襖を開ける…戒翔の呟きは隣にいた詩音に聞き取れたが詩音が聞き返すより大人たちの視線がこの村の部外者たる戒翔に注がれる…

 

 「…あまり歓迎はされてない様だな。」

 

 「それは君の言葉次第かな?」

 

 戒翔の呟きに答えたのはこの部屋の奥に座る威厳のある老婆の横に佇む二十代の女性が答える。

 

 「オレは御坂戒翔と申します。訳あって村外の山中でお宅の娘さん達に出会い、ご厚意でこの場にいます。」

 

 「私は園崎茜。そこの2人の娘、園崎魅音と詩音の2人の母親よ。それにしてもウチの娘達とそう年も変わらなさそうに見えるのに礼儀正しいじゃないさね。」

 

 「ありがとうございます。」

 

 「さて、早速だけど本題に入るけど親に捨てられたってのは本当なのかい?」

 

 「3日も放置されれば馬鹿でもわかると思いますよ。そもそも、オレはアレを親とは思いたくも無いですけどね。暴力に罵倒、挙句には酒やギャンブルに金を使い込む様な奴は果たして親と呼べますか?」

 

 茜の言葉に戒翔の告げた事に流石にこの場にいる誰もが言葉を失う。

 

 「それは…本当なのかい?」

 

 二児の母でもある茜は信じたくない気持ちで戒翔に聞くが戒翔は無言で頷き肯定の意を示し

 

 「魅音と詩音は見ない方が良い…年下の子には些か刺激が強すぎるからな…」

 

 「どういう」

 

 「そこのグラサンの人、その2人の目を塞いで貰えますか…下手をすればトラウマになりかね無い」

 

 「……分かりやした。お嬢方、失礼しやす」

 

 「ちょっと葛西さん!」

 

 戒翔の言葉に言い知れぬ雰囲気を感じたのかサングラスをした男性が2人の視界を遮る。詩音がそれに対して不満を声にするが葛西と呼ばれた男は動くことはなかった。

 

 「さて、それでは見苦しい物お見せすることを先に謝っておきます。」

 

 そう言って戒翔は一息に上に来ている長袖のパーカーを脱ぐ

 

 「「「ッッッ!?」」」

 

 大人達が目にしたのは上半身だけとはいえ無数にある青痣に明らかにタバコを押し付けた様な火傷の跡、そして夥しい程のミミズ腫れ。極め付けは

 

 「そ、その腹の傷は」

 

 「母親だったモノに付けられたものです。後はストレスの捌け口に沈められかけたこともあります。」

 

 茜は自身の口が震えていることを自覚しながらも質問するが戒翔の答えに絶望する…

 

 「子にする仕打ちじゃ無いさね…これは!」

 

 淡々と語る戒翔の現状に茜は自身の子でも無いのに激情を垣間見せる。

 

 「ストレスの捌け口と後はオレの異常性で気味悪がられて最終的にはこの近くの山中に捨てられたってのが事の顛末です。…葛西さん、ありがとうございます…もう大丈夫です。」

 

 戒翔は茜の言葉を聞きながら魅音達の視界を遮っていた葛西に礼をしながら脱いだパーカーを着る

 

 「異常性ってどういう事だい?」

 

 「皆さんは超能力ってご存知ですか?」

 

 「超能力ってあの物を浮かしたりとかする?」

 

 茜の質問に答えた戒翔の言葉に今度は魅音が反応する。

 

 「では一応説明しますがオレのこれはここの人達だけ知るものとして下さい。下手に外部に漏れると面倒なので」

 

 魅音の言葉に肯定の意を込めて頷いた戒翔は掌を皆に見える様にして()をその手に生み出す。

 

 「「なっ!?」」

 

 「先ずはこれ。炎熱操作(パイロキネシス)見てわかる通りに炎を操る超能力です。」

 

 驚いた大人達を見ながら戒翔は掌に生み出した炎を円形楕円と変えながら説明をする。

 

 「オレの親だった奴らはコレを見せた途端に化け物を見る様な目になりオレを避ける様になった。」

 

 形状変化させていた炎を消して戒翔は俯く。

 

 「そして何を思ったのか次の瞬間には自分の子じゃないとするかの様に虐待が始まった。そして捨てられた」

 

 戒翔の言葉に一同は重苦しい雰囲気に包まれる。

 

 「……それで、おまえはどうしたいんじゃ」

 

 そして此処で今まで口を挟んでこなかった老婆が口を開く。

 

 「さぁ、まだ子供のオレには分からないけど…こんな薄気味悪い子供はいたって邪魔に」

 

 「薄気味悪くなんてないよ!」

 

 老婆の言葉に答える戒翔の言葉を遮るように詩音が口を挟む。

 

 「詩音…」

 

 「戒翔とはついさっき会って少し話をしただけだけど…それでも!薄気味悪くも化け物でもない!あたし達と何にも変わらない子供だよ!」

 

 「いや、だけど現にオレは特異な力を」

 

 「それがなんなんですか!そんな物は戒翔の個性の一つですよ!そんな事で邪魔になんかならないよ!」

 

 流石の戒翔もこの状況に狼狽えるが詩音の言葉が嬉しくもあった。今までの世界では表立って言う者はそこまでいなかったが、此処まで感情的に戒翔に詰め寄るのは彼女達以来である。

 

 「母さん、婆様。お願いです。彼を…戒翔をこの屋敷に住まわせて貰えませんか?」

 

 「し、詩音!何を言って」

 

 「だって!戒翔はここを出て行く宛があるの!?私達よりも二つ上って言っても同じ子供には変わらない…それに放っておくなんて出来ないよ!」

 

 「詩音のお母さん、ちょっと娘さん説得してくれませんか?明らかに他所者のオレを屋敷に住まわせるのは色々と都合が悪いんじゃ」

 

 「誰がいつ邪魔になるなんて言ったさね?」

 

 「はい?」

 

 「他所者だって?ならウチの養子になれば良いさね。それにあんな話をされてハイさよならって訳にはいかないね。それにアタシは魅音と詩音の母親さ。娘の願いを聞かない親なんていないさね。」

 

 茜の言葉に戒翔は呆気に取られる。それを見て詩音が抱きついている反対側に魅音が抱き付いてくる。

 

 「って事は戒翔はアタシらのお兄ちゃんになるって事だよね!」

 

 「まぁ、結果的にはね?あんたはどうだい?居候になるのも養子になるのもあんた次第さね。」

 

 魅音の言葉に茶目っけたっぷりの目で茜は戒翔にそう質問する。

 

 「園崎さんのお言葉に甘える様ですが…養子縁組をお願いします。」

 

 「よし!そうと決まれば善は急げだ…アンタ!婆様も良いですよね?」

 

 「うむ、任せろ。」

 

 「茜の好きにしんしゃい」

 

 貫禄ある壮年の男性は快活に笑い退室し、老女はため息を吐きながらもその表情は面倒というようなものには見えなかった。

 

 「これからお世話になります。」

 

 「何を他人行儀になってるんだい。これからこの屋敷がアンタの家でアタシらは家族なんだよ?」

 

 丁寧にお辞儀をする戒翔を見て苦笑する茜の言葉に戒翔は一瞬だけ呆気に取られ

 

 「そう…だな。これからよろしく義母さん」

 

 かくして戒翔の雛見沢での生活が始まるのであった。



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第一話

 

 あれから戒翔が園崎家の養子になって1ヶ月が過ぎようとしていた。

 

 「詩音待ちなさーい!」

 

 「へへん、嫌ですよーだ!」

 

 戒翔の事は養子になると決まった翌日には村の住人に知れ渡り村の村長をしている公良喜一郎や古手夫妻に紹介され、古手家ではその娘の梨花ちゃんにも会う事が出来たが、今の所だがループしているという雰囲気も無く年相応の少女なだけという物であった。そして今は村を散策しながら悪戯をした詩音を仕掛けられた側の魅音が追いかけている途中である。

 

 「あ、お兄さんこんにちわ!」

 

 「お、レナちゃんか。こんにちわ」

 

 道すがら村の商店街を練り歩いていた所この1ヶ月で知り合った友人の1人、竜宮礼奈に会う。

 

 「どうしたんですかこんな所で?」

 

 「義妹達を連れて散歩の途中さ。そういうレナちゃんはまたあそこで発掘かい?」

 

 「うん、かぁいいものが無いか探しに行くんだよ。だよ。」

 

 「そうかい。だけどあそこは足場が結構脆い所もあるから気をつけるんだよ?」

 

 「はーい!」

 

 そうして話している間に魅音と詩音を見失う戒翔だが

 

 「あの2人ならどうせ後からオレを見つけるだろうし心配する事もないか…けど後でご機嫌取りをしないとだな。」

 

 そう呟き戒翔はこの村に来て最初に仲良くなったある兄弟のと頃に向かう。

 

 「おーい、悟史!」

 

 「戒翔さん!」

 

 「ご機嫌ようですわ。」

 

 待ち合わせをしていた訳では無いが示し合わせたかの様に出会うのは割と狭い村ならでは起きる事でもある。

 

 「さて、2人とも大丈夫か?」

 

 「うん、大丈夫だけど急にどうしたの?」

 

 「ちょっとな、此処だけの話だがこの雛見沢を潰してダムを作ろうって計画が立ち上がりそうなんだ。」

 

 「えぇ!」

 

 「本当ですのそれは!?」

 

 「まだ上の方では本決まりでは無さそうだけど、近いうちに発表はされるだろう。」

 

 「戒翔さんはどうするの?」

 

 「もちろんだが、御三家の一員としてダム建設には反対させてもらうかな。こんな俺でもいても良いって思える様にしてくれた恩義もあるし手の掛かる義妹たちに弟分達だっているんだからな。」

 

 不安げな悟史と沙都子の頭を戒翔は軽く撫でる。

 

 「で、話としてはお前達の親が政府に金を握らされ賛同派になりそうだから今の内に点数稼ぎをしておくのが一番被害が少ないと考えているんだ。」

 

 「…確かにうちの両親は金にがめついからね…ありえない話じゃ無いかな。」

 

 「だからこそ今の内に村のみんなには悟史達兄妹は違うんだって人ん指揮させる必要があるんだ。」

 

 「その様な事で信頼なんてされますの?」

 

 「させるんじゃなくてしてもらうんだ。子が親とは違うんだって認識させるんだ。」

 

 「ですけど、どうやってですの?」

 

 「まぁ、実際はそう簡単じゃないが今の現状はまだ計画も発表されてないわけだからコツコツと村の人間と交流を図るしか無いかな?子供の俺達なら困っている人の手伝いを率先して行ったり位しか無いけどやるのとやらないとじゃ人の印象ってのは変わるもんだ。」

 

 疑問を呈する沙都子に対して戒翔は自信を持ってそう告げる。

 

 「それに俺達三人だけじゃない…義妹達にレナの三人も加えて六人で行くんだ。(確かに悟史の両親は決して良い親とは言えないが園崎家の者と一緒に行動する事で色々と変わるもんだ)」

 

 「魅音さんに詩音さんもいらっしゃるのなら安心ですわね。」

 

 戒翔の言葉に沙都子が安心し、戒翔に対して軽口を叩く。

 

 「ほぅ、そんな事を言うのはこの口か?」

 

 「い、いひゃいですわ!」

 

 「全く、沙都子は口が減らないな。」

 

 「あやまりまふ!あやまりまふでふわ!」

 

 沙都子の頬を餅の様に戒翔がひっぱりその事に沙都子が涙目になり謝るその姿に苦笑せざるえない悟史であった。

 

 「あー、お兄見つけましたよ!」

 

 「アタシらを放っておいてどこ行ってたのさ!」

 

 悟史達と別れてからも村の中を散策していると後ろから来る気配に気付くが此処最近で慣れたもので背中に来た衝撃を上手く逸らして踏ん張り可愛い義妹達の細やかな攻撃を受け止めるのであった。

 

 「すまんすまん、お前達が元気よく行ってしまったのでな。帰ってくるのは分かっていたからゆっくりと村を散策していたのさ。」

 

 そう言う戒翔だが、実際にはレナ達に遭遇しながら村民達と挨拶を交わし必要とあらば重い物を持ったりと他所者で急遽、園崎家の一員となった部外者である自分が受け入れてもらえる様に早く馴染もうと努力をしているのである。

 

 「そう言ってお兄はまた村の人のお手伝いとかしてたんでしょ?」

 

 「兄さんは気にしすぎだって。村のみんなは兄さんの事を迎え入れてくれたじゃん。」

 

 「魅音達にはお見通しか…確かに表面上は受け入れて貰えたかもしれんが、それは園崎家の力というのが大きい。たかが子供と思うが色々とやらなければならない事には変わりないのさ。信頼に信用をされないと初めてこの村の人間って俺は胸を張れないのさ」

 

 「お兄も結構めんど臭い性格ですね。もっと気楽には構えられないんですか?」

 

 「そう楽観視もできんよ。そもそも園崎の一員になったのならそれなりの態度や誠意をきちんと示す必要があるのさ。」

 

 「そんなもの?」

 

 「まだ魅音達には分からないかもしれんがいずれ分かるさ。」

 

 2人と手を繋ぎ話をしながら戒翔の足は帰路に着く。

 

 「(事前準備は惨劇回避の為、そして彼ら彼女らの悲劇を無くす為には根回しにした準備はまだまだしなければいけないが、そもそもの話だが古手梨花が記憶を思い出さなければ話にならんがはてさていつになるのやら)」

 

 2人と話をしながら戒翔はこれからの事を考えていた。

 

 「(ダム戦争の時には魅音や詩音の悪評が付き、警察と険悪になる事もあるが俺という存在で緩衝材もしくは標的を俺に絞らせて魅音達が警察のブラックリストに載らないように…いや、そもそも園崎家というだけでマークされかねないが妨害行為をするのに魅音と詩音には義妹だから無茶をして欲しくないとでも言い包められればいいが…この辺りは親父やお袋に聞くしか無いか)」

 

 「若、お帰りなさいやせ」

 

 「辰由さん、俺は正式な跡取りでも何でもない養子とつくだけの居候だからそんな畏まられても困るんだが」

 

 「いえ、養子だとか居候だとかは関係ありません。組長と姐さんの子供であれば自分が勝手に若と呼ばせていただいていますし組長達からも許しをもらっていますんで」

 

 「親父達が許可してるってまぁた酔狂な」

 

 「いえ、若はまだお嬢達とそんなに年が離れていないにも関わらず」

 

 「ダァー!あまりそう賛辞ばかり言うなって!背中が痒くなるっての!」

 

 葛西の言葉に戒翔は両手が魅音達で塞がれていなかったら思い切り背中を掻きたくなる衝動を抑えて恥ずかしながらも魅音達をひっぱりながらも足速に玄関に向かう。その背を葛西や他にもいた園崎組の組員はお辞儀をしながら見送る。



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第二話

 

 「あ、戒翔来たのですか?」

 

 「おぅ、俺もこの雛見沢に住む事になったんだけど思えばこの村の守り神にお参りをしていないなと思ってお参りに来たんだよ?」

 

 「みー、僕に会いに来てくれなわけではないのですか?」

 

 「勿論、梨花ちゃんにも会いに来たけど先ずは守り神のオヤシロさまに挨拶をしてから梨花ちゃんを誘ってみんなで遊ぼうと思っているよ。」

 

 「それなら良いのですよ。にぱー☆」

 

 あくる日、戒翔は義妹達が悪戯をして義母さんにお叱りを受けている間に古手神社に行く旨を伝えて境内に来ていた。その際に2人の義妹からは裏切り者と言われるがそれなら悪戯をするなと言いたい。

 

 「さて…と、姿は見えずとも気配は感じるが…君が守り神オヤシロさまなのか?」

 

 神社の奥に安置されている御神体の手前にある賽銭箱の前で戒翔は誰ともしれずに虚空に声をかける。

 

 「こちらの声が聞こえているかどうか知らぬが、言わせてもらおう。この世界の悲劇は俺だけでは無理だ。だからキミの、キミ達の協力が不可欠だ。俺はキミ達の歩んで来た過去を知っている。絶望を感じ諦めずに希望を抱く心…それを見て感じて私は此処に来た。悲劇、絶望、惨劇をそれらを遍く排除して見せよう。だがその為にはキミ達の協力が必要不可欠だ。なので…彼女の記憶が戻った時にまた来る」

 

 そう言って戒翔は懐に入れていた手紙の入った茶封筒を賽銭箱の下に隠す様に置くとその場から離れる。その様子を少し離れた所から誰にも見られず知られず感じられない角が生えた少女が見ていた。

 

 「みー、戒翔はお参り終わりましたのです?」

 

 「おぅ、終わったよ梨花ちゃん。この後は悟史達を捕まえてどっか遊びに行くか!」

 

 「若、探しましたよ」

 

 神社から離れた場所にいた梨花ちゃんが戒翔が降りて来るのに気付いて走り寄り戒翔の腕を掴みながら話をしている所に葛西が階段を登って現れる。

 

 「辰由さん、どうしたんだ?」

 

 「姐さんが至急戻る様にとお呼びです。」

 

 「……分かった。魅音達は?」

 

 「お嬢達は北条家の子供と一緒にいるのを確認済みです。」

 

 「なら梨花ちゃんを悟史達の所まで頼む。俺は本家に戻る。」

 

 「分かりやした。」

 

 「梨花ちゃんごめんな?ちょっと義母さんに呼ばれたみたいだからちと戻るわ。遊ぼうって言っといて反故にしちまうな。今度、埋め合わせするからね」

 

 剣呑な雰囲気の葛西の言葉に察した戒翔は葛西といくつかのやりとりをした後に梨花ちゃんに謝りながら軽く頭を撫でる。

 

 「みー、約束なのですよ?」

 

 「あぁ、約束する。」

 

 そして戒翔は梨花ちゃんを葛西に任せて本家に戻る

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「義母さん、今帰ったけど…話って何?」

 

 「そうツンツンしなさんな…まぁ、分かるとは思うけど近々ダム建設の為に村の退去がお上の方から発表される様なんだよ…」

 

 「…へぇ、この村を水の下に沈めるの?」

 

 「私としちゃそんな事させるわけないけどね」

 

 「荒事になるなら魅音達には絶対にやらせない…やるなら兄貴の俺1人…結果としては恨まれる園崎家の子供は俺1人で十分」

 

 本家に帰り居間で待っていた義母は戒翔に申し訳なさそうにするが戒翔は平然とした表情で子供のはずなのに事も投げにそう告げる。

 

 「本当にいいんだね?こっちに踏み込むってことの意味」

 

 「分かっているよ、義母さん。この園崎家に拾ってもらって家族になった時点で既に決めていたんだ。それに義理とはいえ俺の義妹達は標的にさせるわけにはいかない。兄貴の俺が義妹達を守ってやらなくてどうするんだって話だよ。」

 

 真っ直ぐに茜の目を見つめながら決意した目で見返しながら告げる。

 

 「全く、頑固なんだからね…一体誰に似たのやら」

 

 「俺は義母さんや親父にばあちゃん達の背中を見ているからね…自分ながらにいずれはこうなってたと思うな」

 

 「全く…頼もしい限りさね」

 

 戒翔の言葉に苦笑しながらも茜は笑みを浮かべる。

 

 「反対運動をするにも色々と根回しに準備が必要だろうしその間の時間稼ぎもそうだけど村の中での話し合いも必要だろうね。」

 

 「その反対運動は大体どの位の時間がかかるんだ?」

 

 「そうさねぇ…向こうのお偉方が撤回する事を認めるまでになるんじゃないかねぇ」

 

 茜の言葉に戒翔はしばし考え

 

 「ふむ…となるとそれなりの長丁場になると考えなければならない訳だな」

 

 「こっちは村の町内会の連中と話をして話をまとめるけど、アンタはどうするんだい?」

 

 「一応嫌がらせになる様な物をピックアップ済みだから後は仕入れたり調合したりって所かな?」

 

 「おぉ、こわ…一体何をするんだか」

 

 「それは起きてからのお楽しみさ…」

 

 そう言って戒翔は茜に向かって不敵な笑みを浮かべる。



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第三話

 

 「さてさて、準備は万端。後は仕上げをごろうじろってね」

 

 画してはじまった住民総出の鬼が淵死守同盟と警官隊による小競り合いという名の小さな戦争が始まる

 

 「みんなに持たせたアレは良い感じに仕上がってるね」

 

 双方がぶつかり合う中で戒翔は少し遠くにある峠から短眼鏡で戦況を見ていた。前日に戒翔が住民達に手渡したのは

 

 「そりゃ胡椒入り卵爆弾や香辛料たっぷりの水風船はかなり効くよね」

 

 住民達にははあらかじめ簡易的な防塵防毒マスクを渡していた事もあって住民達は特に被害は出ていないが、マスクがないただのシールドやバイザーしか装備していない警官達はたまったものでは無く、香辛料等の刺激臭に目や鼻をやられて蹲ったりのたうち回るなど被害が恐ろしい事になっていた。その中で比較的軽症だったものは急いで無線機を使い応援を呼ぼうとしていた。

 

 「そっちも想定済みだっての」

 

 戒翔は警官達の動きを見ながらこの雛見沢の近くに続く道路の一つを単眼鏡で覗く。

 

 「うん、障害物も問題ないね。」

 

 戒翔が見る先には何本もの倒木が折り重なっていてとてもでは無いが業者でなければ動かせるようなものでは無くなっていた。

 

 「この一月を使って色々な所で切り倒しても問題ない木を選ぶのは苦労したなぁ」

 

 戒翔はそう言いながら葛西と一緒に妨害用の木々の選定をした日を思い遠い目をしていた。

 

 「若、こんな所にいたんですかい。」

 

 「あ、葛西のおっちゃんどうしたん?」

 

 「姐さんがお呼びでさぁ」

 

 「義母さんが?もしかしてやり過ぎたとか?」

 

 「さぁ、それはあっしには分かりかねますがワシらの世界は舐められたら終わりですから若の行動はそこまで咎められることでもないと思いますぜ」

 

 「うーん、まぁ今のところは問題ないだろうしいいか…あ、魅音達は絶対にこの抗争には関わらせるなよ?恨まれる園崎家の子供は俺1人で十分だ」

 

 葛西の横を通り過ぎる戒翔の目は既に抗争をしている場面からそらされ園崎家のある方角を見ていた。

 

 「分かっておりやす。お嬢達にもちゃんと納得してもらっていやす。何より姐さんがお二人に話しておりますので安心してくだせぇ」

 

 「あの義母さんに任せてる時点で不安しかねえな。あの人あんなビシッとした姿してるくせにかなり悪戯好きだからなぁ…」

 

 葛西の言葉に戒翔はげんなりとした表情をしながらも僅かに苦笑する。なんだかんだで正直な話であるが茜の雰囲気に救われているのも確かな事なのである。

 

 「抗争の話じゃないなら…大臣の息子誘拐の件で何かしら進展でもあったのかね」

 

 そう呟きながら戒翔は葛西を伴いながら峠を下り本家へと戻る。

 

 「義母さん、今戻ったよ。」

 

 「あぁ、戒翔おかえり。葛西もありがとね」

 

 園崎家の門の前に茜が立っており戒翔と葛西の2人の帰りを待っていた。

 

 「で、どうしたの?抗争は始まったばっかだけど何か進展でもあったの?」

 

 「そうじゃないさね。こんな事をしてはいるけどもうすぐわた流しの時期になるからその準備さ。でその準備を戒翔にも手伝って欲しいんさね。」

 

 「まぁ、向こうの戦いもすぐに決着つくようなもんじゃないし…まぁいいよ。で何をするの?」

 

 「魅音達と北条家の兄弟に梨花ちゃんの面倒をお願い!」

 

 パンと目の前で手を合わせて茜はそう戒翔に頼み込む

 

 「御三家の内の二家に賛同者の身内…まぁ子供に隔意は無いって宣伝すれば良いのか?」

 

 「そういう事じゃ無いんだけど…アタシらはアタシらで大人の会合があるから魅音達を見ている時間が無いからね。義理とはいえ長男のあんたが適任だと思うんよね。他の人を引っ張るのも上手いみたいだしね。それに北条家の両親はともかくあの兄弟は普通に良い子達だからねまぁあからさまに贔屓することはできないから子供同士と言う言い訳を使って戒翔達と仲良くさせるってのも確かにあるさね。」

 

 「はぁ、分かったよ。魅音達の事は俺に任せて義母さん達は日頃頑張っているんだから酒盛りしたって誰も怒らないって。まぁ大人なんだから多少は節度を持ってだけどね?」

 

 苦笑しながら言う茜の言葉に嘆息しながら戒翔は了承するのであった。

 



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第四話

 

 「……ここは」

 

 とある家屋の寝室

 

 「…巻き戻ったのね」

 

 周りを見渡し少女は呟く

 

 「…私はまた殺されたのね……いったい後何回殺されなければいけないの?」

 

 「梨花!」

 

 布団の中で苦悩する少女梨花に声をかけたのは宙に浮いた紫の髪に頭から二本のツノのようなものを生やし着物のような物を着た少女が梨花の下に来る。

 

 「…羽入」

 

 梨花に羽入と呼ばれた少女は梨花の言葉に不安そうな表情をする。

 

 「それで……今は何月何日なのかしら?」

 

 「昭和50年の6月19日なのです」

 

 羽入の言葉に梨花は少しだけ表情が動く

 

 「今回はかなり猶予があるわね。」

 

 「待って、6月19日ってもしかして…わた流しの日?」

 

 「そうなのです!戒翔が皆でお祭りに行こうと誘いにきたのです!」

 

 梨花の言葉に反応するように突如興奮する羽入の言葉に梨花は面食らう

 

 「待って、戒翔って誰?」

 

 梨花の疑問に羽入は希望を確信した様な表情で梨花に告げる。

 

 「梨花、この世界は今までとは大きく違うのです。戒翔が…あの人がいるのなら今度こそ生き残れるかもしれないのです!」

 

 「待って、待ちなさい!何を勝手に盛り上がって決めてるのよ…そもそも戒翔って誰よ。」

 

 「園崎戒翔…園崎姉妹のお兄さんなのです。」

 

 「…………はい?」

 

 羽入の勢いに狼狽える梨花に羽入は追い打ちの様に更なる爆弾を投下する。

 

 「魅音と詩音には男の兄弟…しかもお兄さんとか存在しないはずよ。」

 

 「はいです。戒翔はこの世界で初めて現れたのです。」

 

 「魅音達のお兄さん…」

 

 「戒翔は凄いのです!戒翔ならどんな事でもなんとかするのかもです!」

 

 「…やけにその戒翔ってやつを推すわね…どう言うこと?」

 

 「一目惚れというか…ほぼ毎日のように僕に話しかけてくれるのです…姿は見えないはずなのですが気配を感じると言って僕に挨拶してくれたりもするのです!」

 

 「はい?見えない筈の羽入の気配を感じただけなのに話しかけるですって?」

 

 羽入の言葉に梨花は表情が固まる。それもそのはずで今まで梨花にしか見えず会話も出来ない相手をどう知覚し話しかけると言うのだろうか…下手をすれば虚言癖と言われてもおかしく無いのだから。

 

 「梨花ー!戒翔君がきたわよー!」

 

 「戒翔がきたのですー!あうー!」

 

 梨花の母親の声に反応して羽入は梨花を置いて玄関の方へ飛んでいく。

 

 「ちょ、待ちなさい羽入!まだ状況の整理が…」

 

 「お、梨花ちゃんおはよう!今日はよろしくな!」

 

 慌てる梨花をよそに戒翔が居間にいる梨花の所に姿を見せる。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「お、梨花ちゃんおはよう!今日はよろしくな!」

 

 「か、戒翔おはようなのです」

 

 「ん?どうした、いつもみたいに抱きついて来ないじゃないか…どっか調子でも悪いのか?」

 

 当初俺がこの雛見沢に来た時は多少警戒していた梨花ちゃんであったが交流している内に懐かれ、出会い頭に突進のような抱きつきをして俺がそれをいなすのが一連の流れのようにここ最近だがなっていた。

 

 「そ、そんな事無いのですよ。にぱー☆」

 

 「…まぁ、そんな時もあるか。それで梨花ちゃんは祭りの時に回りたい所はあるか?内の義妹達は屋台に行きたいって言って、沙都子は林檎飴を食べたいってさ」

 

 「沙都子!?」

 

 「つい昨日の事だろう?沙都子や悟史に義妹達と一緒に回るって」

 

 「そ、そうなのでした。つい忘れてたのです」

 

 「……本当に大丈夫か?なんかいつもの梨花ちゃんじゃ無いみたいだが」

 

 「き、気のせいなのですよ!」

 

 「そうか?まぁ、今日は梨花ちゃんの舞を楽しみにしてるよ。また後でな!」

 

 「はいなのです!」

 

 その後、戒翔は梨花ちゃんの両親と軽い挨拶と雑談をしてから梨花ちゃんの家を後にする。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「び、びっくりしたわ…いきなりすぎるわよ。しかも沙都子に悟史…それに義妹達って誰よ!?」

 

 「戒翔は悟史と沙都子の友達なのです。ついでに言うと村八分にならないように村のみんなに根回しもしたのです。」

 

 「はいっ!?」

 

 「で、戒翔の義妹はなんと魅音と詩音のお二人なのです!」

 

 「魅音達に兄弟というか長男なんていなかったはずよ!?」

 

 羽入の言葉に梨花は驚くほかになかった。今までの時代で悟史達の待遇に魅音達に兄がいるなどなかったのであるから

 

 「ちょっと情報量が多すぎるわ…とにかくその戒翔って奴が沙都子達の待遇を改善してくれたってのは分かったけど…魅音達の兄ってのが訳わからないわ」

 

 あまりの情報量に梨花は放心気味に呟くしかなかった。

 

 「梨花、驚くのは無理もないのです。ですが、戒翔がいれば惨劇を回避できる筈なのです。死守同盟では魅音や詩音を出さずに戒翔自身が矢面に立って警官のマークを受けているのです。」

 

 「…今までは魅音や詩音が暴れて警察に警戒されていた筈…それをそいつが受けている…」

 

 羽入の言葉に梨花は考え込む。

 

 「梨花ー!ご飯よー!」

 

 「は、はーい!今行くのです!」

 

 そして母親の言葉に急いで返事をする。

 

 「戒翔、次にあったら真意を問いただしてやるわ!」

 

 なぜか別の方向に旗違いの恨み節を告げる梨花なのであった。

 



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第五話

 

 「ごめん下さーい!」

 

 「あらあら、戒翔君いらっしゃい。」

 

 「こんばんわ。梨花ちゃんの迎えに来ました。」

 

 「ありがとね。梨花ー!」

 

 古手家に来た戒翔は玄関先で梨花の母親と挨拶を交わし、母親が梨花の名前を呼ぶ。

 

 「はーいなのです!」

 

 母親の声に奥から巫女装束を身につけた梨花がとてとてと現れる。

 

 「梨花ちゃん今日も可愛いね!」

 

 「ありがとうなのです。にぱー☆」

 

 巫女装束姿の梨花に戒翔は賛辞をすれば梨花ははにかむ様にに笑った。

 

 「後はレナちゃんに気をつけないとだな。」

 

 梨花の姿を見ながら戒翔は神妙な顔つきでそう呟く。

 

 「戒翔君、梨花のことをお願いね?」

 

 「あのグループで最年長は自分なのでお任せください。」

 

 「ふふ、頼もしいわね。」

 

 「さ、梨花ちゃん行こうか。下でみんなが待ってるからね。」

 

 そう言って戒翔は梨花ちゃんの小さな手を握る。

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「はうー、梨花ちゃんかあいいよー!おん持ち帰りー!」

 

 「するなっての。」

 

 下に降りた途端にレナが巫女装束の梨花を見て早速暴走するので突撃してきたところでアイアンクローで釣り上げる。

 

 「アタタタタ!痛いだけど!」

 

 「全く、いきなり突撃してくるなど阿呆。」

 

 見事に決まったアイアンクローでレナが痛みに声をあげて暴走が止まる。

 

 「さてと…梨花ちゃんどうかしたかい?」

 

 レナを解放して後ろを見れば驚愕の表情をする梨花がおり怪訝な表情で戒翔は聞く

 

 「レナのかぁいいモードが止められた事にびっくりなのです!」

 

 「んな事いつもの事だろうに…変な梨花ちゃんだな?」

 

 「あ、あはは。なんでもないのでよ!」

 

 訝しげに見られた事に梨花は引き攣った表情でなんとか笑って誤魔化す。

 

 「さ、周りの人に迷惑をかけない程度に祭りを楽しもうか!」

 

 「「「「「おー(なのです)!!!!」」」」」

 

 「さ、梨花ちゃん。他のみんなに遅れないように行こうか。」

 

 「はいなのです!」

 

 そう言って戒翔は梨花の手を取り祭り会場の方へと歩を進める。

 

 「おー、盛り上がってるな。」

 

 「まずは沙都子の言ってた林檎飴からか?」

 

 「そうですわ!」

 

 戒翔の言葉に沙都子が元気よく返事をする。その表情は早く行きたいと言っている。そして会場に入ると

 

 「おう、戒翔に悟史じゃねえか!人でが足らんからちと手伝え!」

 

 「あはは…」

 

 「おっちゃん、俺に頼むって事は俺がおっちゃんよりも売上をあげても良いって事だよな?」

 

 「生意気言いやがる…そんなら俺よりも売り上げがよかったら好きなもん持ってっていいぞ!」

 

 「男に二言は?」

 

 「ある訳ねえだろ!」

 

 「言質はとった。魅音に詩音、それに沙都子に梨花ちゃんにレナ。ちょっと稼いでくるよ。」

 

 「お兄、ほどほどにねー。」

 

 「あのおじさんも気の毒かね…兄さんって料理の腕やばいからね」

 

 屋台のおじさんのやりとりを見て園崎姉妹は苦笑しながら送り出す。

 

 「はうー、お兄さん美味しいもの期待してるよ!」

 

 そして

 

 「ば、バカな…俺よりも上手いし出来上がりが早い…だと!?」

 

 そこには劇画タッチな表情で崩れ落ちる屋台のおじさんと勝ち誇る戒翔の姿があった。

 

 「「やっぱりこうなったか。」」

 

 その事態を見守っていた園崎姉妹は戒翔の腕を知っているだけにうんうんと頷いていた。

 

 その後も

 

 「あれま、沙都子ちゃん達じゃないかい。綿飴食べるかい?」

 

 「魅音ちゃん、焼きそばもあるよ?」

 

 「詩音ちゃん、たこ焼き出来立て食べるかい?」

 

 「レナちゃんはかき氷かな?」

 

 行く先々で住民の方々が戒翔達に出店の料理を振舞ってくれるのである。その様子を梨花は呆然とした表情で見つめる。

 

 「…どういうこと?」

 

 「あうー、戒翔たちの日頃の行いなのです。」

 

 「羽入?」

 

 混乱する梨花の横で羽入は戒翔を含む6人を微笑ましく見守りながら梨花に告げる。

 

 「戒翔達は今まで村の人たちのお手伝いをしていたのです。」

 

 羽入の言葉によると戒翔が率先して村の手伝いをし、園崎姉妹に北条兄妹にレナを連れて村の荷運びにゴミ掃除に畑の手伝いなどの雑用を進んで行い、村人達からの信頼を勝ち取っていたのである。

 

 「それであれほどの人気な訳ね…でも、なんでこの世界だけ」

 

 「それもこれも戒翔のお陰なのです。」

 

 憂いを帯びた表情で呟く梨花の横で羽入は感慨深く告げる。

 

 「戒翔が皆を引っ張ってくれるからなのです。御三家とか関係なく…分け隔てなく気さくに接するからこそ皆が笑顔なのです。」

 

 「……下手するとわたしより人気者になってないかしら?」

 

 梨花は羽入の言葉を聞きながら目の前で住民達からもみくちゃにされながらも笑っている戒翔を見て苦笑いする。

 

 「とても不思議な人なのね」

 

 「おーい、梨花ちゃん!そんな所にいないで一緒に遊ぼうぜ!」

 

 「はいなのです!(願わくばこの幸福が続く事を願ってもバチは当たらないわよね?)」

 

 戒翔に呼ばれ、小走りで近寄る梨花はそんな事を思うのであった。

 

 



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第六話

 

 

 「んで、大臣の孫が誘拐されて刑事の1人がこっちに来るってか?」

 

 「そういう事だね。あまりこの辺りをうろちょろされるのも鬱陶しいけんね」

 

 園崎家の一室に園崎の重鎮が集まり話をしていた。そして新参者の戒翔はその中で下座に座り茜と問答をする。

 

 「ま、警察が先に見つけるかこっちが先に見つけるかで状況はだいぶ変わる…か。運よく行けば大臣に恩が売れる訳だしね。」

 

 「そうだね…ま、そういうけど先ずはこっちに来る刑事さんの対応をしなければならないかね…?」

 

 茜の言葉に戒翔が

 

 「義母さん、その刑事さん俺に任せてくれるかな?」

 

 「……何か考えがあるんだね?」

 

 「向こうがどの程度の情報を得ているかわからないけど俺の能力までは知らない筈だから…俺の能力が一番適任な筈だよ。こっちの監視なのか単なる調査なのか判断できるしね。最悪俺が消せば問題ないしね?」

 

 戒翔はそう言って全員に判る様に不敵に笑う。

 

 「分かった。この件は戒翔に任せる。大臣の孫の方はアタシら園崎家の諜報使って探すとしよう…葛西、任せたよ?」

 

 「…任せてください。必ず見つけて見せますんで」

 

 茜の言葉に葛西は礼をする。

 

 「それじゃ、早速動くとしようかね。」

 

 そう言った瞬間に戒翔の姿は既にその場にはなかった。

 

 「相変わらず行動力があるというか…」

 

 「あん子が来てからかこん家ん中は賑やかになっちょっとね」

 

 「そうだね…婆様」

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 「…早速おいでなすったか。」

 

 村付近の境界線にある有刺鉄線を越えてくる一台の乗用車を戒翔は山の山頂から見下ろしていた。

 

 「んじゃ、チャチャっと接触しますかね。」

 

 そう呟いた戒翔の近くで風が吹き荒ぶのと同時に戒翔の姿も消える。

 

 時を少し遡り興宮警察署内

 

 「ここが興宮警察署か」

 

 警察署の前にカジュアルな格好の若者がいた。そして警察署内に歩を進め、受付の所に行く。

 

 「おはようございます。違約金の返納ですか?」

 

 「いえ、公安の本田屋さんにアポイントがあります。赤坂とお伝え下さい」

 

 「し、失礼しました。少々お待ちください!」

 

 若者…赤坂と自ら告げた人物は来るなり違反をした人間と勘違いされて苦笑する。

 

 そして事務員が連絡をし、少しして

 

 「どうもどうも!赤坂さんですかね?遠路はるばるお疲れ様です!」

 

 頭を掻きながら近寄ってくる人物が本田屋と呼ばれた人物なのだろう。

 

 「公安の本田屋です、よろしくお願いします。県警の暴対の山海部長から協力を惜しむなと脅され取りますんでね。わははははは!」

 

 本田屋の言葉に赤坂は怪訝な表情をする。

 

 「なぜ暴力対策本部の方が」

 

 「それはな、鬼ヶ淵死守同盟は暴力団の延長みたいなものだからだよ。アレを善意の住民の運動ですってのはちーと無理があるってもんですな!がっはははは!」

 

 本田屋の言葉に赤坂の表情が若干引き攣るのである。

 

 (暴力団の延長ってどんな村?)

 

 赤坂の中での雛見沢のイメージがどんどん悪くなっていく。

 

 「なんの話をしているかと思えば。んっふっふっふ」

 

 「おー蔵ちゃん!ちょうどいい!蔵ちゃんも入ってよ!こちらは遠路はるばる東京からお見えになった赤坂警部」

 

 「警部だなんて!まだまだ新米です!」

 

 「初々しいですねぇ。採用は今年ですか?んっふっふっふ!」

 

 またも独特な笑い方をするふくよかな男性が現れる。

 

 「赤坂さんも紹介します。こちらは刑事部の大石さん。赤坂くんが問い合わせのS号の件なら彼が詳しいから」

 

 「S号とは?」

 

 聞き慣れない単語に聞き返す赤坂

 

 「園崎のSですよ。S号ってのはね、園崎家が関連する件を示す暗号みたいなもんなのさ」

 

 聞き覚えのある単語を頭の中から探し出す。

そうだ‥‥本部で読んだ資料の中にそう書いてあった。

 

 「あんた勉強家だね〜!ひょっとして同盟連中の主要人物も言えちゃいますか?」

 

 「会長は雛見沢村村長の公由(喜)さん。副会長は町会神社部長の古手さん。会計が園崎(魎)さん。会計監査が牧野さん。共闘部長が公由(義)さん。広報部長が園崎(禎)さん」

 

 覚えている限りのことを2人に向かって口にする。

 

 「惜しいですねぇ。広報部長は園崎忠敬ですよ」

 

 「う‥‥」

 

 顔を隠したい衝動を押さえ込み2人と向き合う。

 

 「はっはっはっは!馬鹿にしたつもりはないんです。お詫びと言っちゃあなんですが、村を実際にご案内しましょう」

 

 土地勘のない自分には助かる。願っても無い申し出だ。

 

 「よろしくお願いします」

 

 間髪入れずに頷くと、大石さんは満足げに笑って立ち上がった。

 

 〜〜〜雛見沢村〜〜〜

 

 「えっと、どこまで話ましたかねぇ」

 

 「御三家という旧家が村を支配している。というところまでです」

 

 鬼ヶ淵死守同盟とは雛見沢村そのものだ。

 つまり同盟の幹部はそのまま村の幹部という図式が出来上がる。

 本田屋さんからもそう聞いているから間違いないだろう。

 

 「県警の資料には何て書いてありました?死守同盟のリーダー格やそれらについて」

 

 「‥‥同盟の会長は現村長の公由喜一郎と書いてました」

 

 本来資料については部外秘だが話した方が得になると判断し答える。

 

 「‥‥そうですか」

 

 大石さんは俺の答えを聞くと小さく笑い捨てた。

 

 「その反応‥‥公由さん以外の影の人物がいる。そういうことですね?」

 

 「んっふっふ‥公由のおじさんなんて、ただのお飾りですよ」

 

 「つまり‥‥同盟も村も本当の意味で支配している別の存在がいる‥‥それは先ほど言っていた御三家‥‥という存在ですか?」

 

 「まぁ、そのあたりについてはこれから説明しまう‥‥おっと」

 

 大石さんが言葉を突然切ったかと思うと、突然車がガクン!と揺れた。

 

 舗装された道から砂利道に変わったようだ。

 

 「うわぁ」

 

 赤坂は道の端端にある昇り旗や看板には口に憚られるような文言で訪れる者に対して威圧するかのように乱立していた。

 

 『雛見沢ダム計画断固撤回』

 

 『恥をしれ傀儡県知事!』

 

 『ダムに沈めるな雛見沢の自然』

 

 『悪辣なるダムから村を守れ』

 

 『怨念!オヤシロ様からの祟り』

 

 看板、昇り旗。そういったものが道にひしめいていた。

 書きなぐったような筆の文字がそれだけで読むものを威圧する。

 

 まさに舗装道路の途切れが国境だったのだ。

 

 「まるで中東辺りの内戦の国に迷い込んだような感じがします」

 

 「なっはっはっは!うまいこと言いますね〜まさにその通り」

 

 大石さんはにやぁ!と凄むように笑いながらこちらに顔を向け

 

 「ここはね。戦争地帯なんですよ」

 

 「‥‥‥」

 

 大石さんの言葉で黙る以外の行動が取れなかった。

 

 「御三家と言ってもですね。そりゃあだいぶ大昔のことなんですよ」

 

 しばらく車で雛見沢を案内してもらっていると大石さんがそんなことを呟いた。

 

 「ということは‥‥今は違うということですか?」

 

 そういった直後。車がキィと音を立てて止まった。

 止まった車の先には

 

 『この先私有地、関係者以外の立入を禁ず』

 

 『毒ヘビ注意!危険、引き返せ!』

 

 『侵入者には入山料として金百万円の証文に捺印していただきます』

 

 そんなことを書かれた看板が立てられ、道路と森を隔てるように有刺鉄線の巻かれた金網が続いている。

 

 「私有地なんでここまでです。この先は監視カメラがあってうっかり道に迷いました。なんて論法が通じる相手じゃありませんからねぇ」

 

 大石さんの話を聞いて唾を飲み込む。

 

 「‥‥この先にはなにがあるんですか?」

 

 「‥‥園崎家。雛見沢村を影から支配する連中です」

 

 「園崎家‥‥ですか」

 

 「園崎家の頂点は現当主の園崎お魎っていう婆さんです。園崎天皇なんて言われてる大物ですよ。市長だって最敬礼してお迎えするお方ですからねぇ」

 

 「つまり‥‥その人物が鬼ヶ淵死守同盟の事実上のトップということですか」

 

 「ええ…とはいえもう1人園崎当主に並んで要注意人物がいます。」

 

 「もう1人の要注意人物?」

 

 大石はポケットから潰れかけたタバコの箱を取り出しながら赤坂に告げる。

 

 「園崎の姓を名乗らない者なのに園崎家で長男として扱われ、幹部もしくは当主補佐の様な扱いの人物…今の鬼ヶ淵死守同盟でダム反対運動で妨害行動を起こす実行部隊の隊長…御坂戒翔です。」

 

 「い、いったいどんな人物なんですか?」

 

 「その人物は驚く事にまだ少年なんですよ」

 

 大石の言葉に赤坂は驚愕の表情をする。

 

 「なんですって」

 

 「驚くのも無理はありませんね。なんせわたしも報告を聞いた時にはバカなと思いましたがね。ですが事実なんですよ」

 

 大石はそう言いながらタバコに火を付ける。

 

 「おや、こんな所で奇遇ですね…大石さん」

 

 2人の後ろから気配なく近づき声をかける人物が現れる

 

 「おや、御坂戒翔君じゃありませんか…どうしましたか?わたしは知人の方にこの村の案内をしていた所なんですよ」

 

 「っ!?」

 

 2人が振り向くと自動車に寄りかかる形で2人を観察するように見る少年がおりその少年が大石の言う件の少年だと判ると赤坂は驚く。特殊な訓練をしている様には見えない少年が現役の自分に気配を感じさせないで近づいてきていた事に驚き警戒をする。

 

 「大石さん、吐くならもっとマシな嘘を吐いてくださいよ。そんな警戒心剥き出しだと大石さん達の関係者と丸わかりだよ?」

 

 「いやー、痛い所ですな。なはっはっはっは!」

 

 「君は」

 

 「初めまして、お客人。俺の名前は御坂戒翔ここ雛見沢で園崎家に籍を置いています。」

 

 戸惑う赤坂に戒翔はこの村に訪れた赤坂に笑顔で自己紹介をする。

 

 「それで大石さん。なぜ東京の刑事さんがここに来ているのかは大体把握しているけど…俺達は協力的では無い事わかってるよね?」

 

 自動車に背中を預けた状態にも関わらずその少年から瞬間的に威圧された瞬間、赤坂は瞬時に身構える。

 

 「なるほど…赤坂さんはとても優秀な刑事さんでいらっしゃいますね。俺の一瞬の威圧に竦む事もなく逆に臨戦態勢をとれるのですから」

 

 「僕はキミに名乗った覚えはないが」

 

 「そこの大石さんから聞いているんでしょう?園崎家の情報舐めない方が身の為ですよ?出産間近の奥さんを未亡人にしたくはないでしょう?」

 

 「っ!?」

 

 「赤坂さん!」

 

 少年、戒翔の言葉で一瞬で頭に血が上った赤坂が大石の制止の言葉も聞かずに一息で戒翔に迫る

 

 「なっ!?」

 

 捕らえたと思った少年は目の前から身じろぎ一つしないで唐突に姿が消え、赤坂の手が空を切る。

 

 「せっかちだな…例えばの話なのに本気にしないで欲しいね」

 

 消えたと思った少年はいつの間にか自動車の屋根の上に胡座をかいて赤坂達を呆れた表情で見つめていた。

 

 「まぁ、今日は挨拶みたいなものだよ。これから大臣の息子の捜索をする時にでもまた会いましょう。」

 

 そう言って少年は忽然と姿を消す。

 

 「…大石さん、彼はいったい何者なんですか?」

 

 「戸籍情報は園崎家の養子って事になっていますが、困ったことにそれ以前の記録が全くと言って出てこないんですよねぇ。わたしも彼の事はほとんど知らないと言ってもいいでしょうね。あの年齢の子供にしては冷静沈着、頭の回転も速いし大人顔負けの話術にあの得体の知れない力もそうですが彼には謎が多すぎます。警察の方でも要注意人物としてマークしているんですが、神出鬼没なもので監視のしようが無いってのがキツいですねぇ。」

 

 戒翔がいた所を見つめ、冷や汗を流す赤坂に対して大石は今まで自分や周りの仲間と調べた事を赤坂に説明をしながらタバコの紫煙の行き先を見つめる。

 

 「彼はこの事件の核心部分を知っているとわたしは睨んでいるんですよね。ですから彼を追いかければ自然と大臣の息子さんや誘拐犯にもたどり着くんじゃないかって思うんですよ…まぁ、長年の刑事の勘ってやつですがね?」

 

 真剣なようで少しおどける様な表情で大石は赤坂に告げる。

 

 「一度、署に戻りましょうか。目当ての彼に会えたこともそうですが、園崎家や他の住民に見つかると厄介ですからねぇ。何せ嫌われ者の刑事ですからね。んっふっふっふっふ」

 

 そう言って大石は車に乗り込み赤坂を乗せて来た道を戻るのであった。




 遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。別にエタっていたわけではなくリアルが忙しかったのと新作ゲームが出過ぎなのが悪い(おいこら)

 あとはテイルズが楽しい。去年の11月頃に発売されたアライズが面白かった。本来の王道テイルズが戻ってきたって感じでファンとしてはとても喜ばしい物でしたね。前作までのベルセリアまでは自己犠牲エンドがほとんどだったので久しぶりにテンション爆上げでしたね。

 後は更新の頻度も出来るだけ上げれるように頑張りたいと思うんで読者の方々には長い目で見てくださりますと助かります。


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