徐倫の奇妙な学校生活 (アッシュクフォルダー)
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本編
第六部 第一話 希望ヶ峰学園の入学式


私立 希望ヶ峰学園

様々な分野に秀でた才能を持つ少年少女を迎え入れ、

更なる高みへ導いていく事を旨としており、

日本中から『超高校級』である生徒を集めている。

ただ高校レベルを超えていればいいという類のものではなく、

高校レベルどころか超プロ級、超人類級とも呼べる

レベルの化け物もゴロゴロ集まっている。

卒業生は皆、各界における超一流の存在となっており、

学園は政界等の業界において太いパイプを持ち学園名自体が

極めて強力なステータスとなっている。

 

入学は完全にスカウトのみで一般的な入試は行っておらず、

通常の生徒は入学を希望しても入ることは出来ない。

このスカウトの腕前も『超高校級』で、

個人情報の無い人物をも探し出せる。

例外として、学園内でも研究が進んでいない

『幸運』の正体を突き止めるべく、

毎年1名のみ無条件で入学を許可する抽選が存在し、

この抽選に選ばれた者は『超高校級の幸運』とされ、

一般人であろうとも学園での生活を手に出来る。

 

そんな、超高校級の幸運に選ばれた、

人間の一人が、空条徐倫だった…

 

「ここが、希望ヶ峰学園が…

正直 留年している身だけど、

こんなスゴイ、学校で、アタシ

だいたい、やっていけれるかな…?」

 

と、徐倫は期待と不安を胸に抱いて、

学校の門を潜るのだった…

 

 

「確か、あたしの教室は、1年A組だったような

気がするわ…」

 

徐倫は、教室の中にやってきた…

すると、徐倫と同じ、入学してくる、生徒が、

徐倫を含めて、17人いるのだった。

 

「キミも新入生?」

 

「これで、17人 揃いましたね」

 

「えっと…アンタの名前は?」

 

「僕? 僕は苗木誠だよ、

超高校級の幸運で、何も取り柄がないけど、

よろしくね」

 

「あたしは、空条徐倫よ、

あたしも、超高校級の幸運って、形で、

入学してきたのよ」

 

「へぇ~一緒だね」

 

「せっかくだし、他の生徒たちにも、

話しかけてみたらどうかな?」

 

「最初から、そのつもりでいるわよ」

 

 

徐倫は、さっそく、色んな、生徒に話しかけるのだった。

 

「やぁ! キミも、新入生か?

僕の名前は、石丸清多夏!

一緒に、学業に切磋琢磨して、頑張ろうではないか!」

 

「はぁ…こーゆー堅苦しい人、苦手なんだよね…」

 

「キミ! その言い草は何なんだ!

堅苦しいとは、よく言われるが、

口に出すようなことではないぞ!」

 

「やれやれだわ…

気になる人が、いたわ…」

 

「おめぇ、どこかで、見覚えがあるような…」

 

「あっ、アンタ、ひょっとして、大和田?」

 

「オウ! そうだぜ! 大和田紋土!

アンタ、確か、空条徐倫だよな?」

 

「そうよ! あたしは、空条徐倫

超高校級の幸運よ」

 

「それで、スカウトされたって訳か…」

 

「そーゆーこと、それと、次は…」

 

「俺か? 俺は桑田怜恩

アンタ、結構、イケてるな?」

 

「わかる?」

 

「わかるぜ? なんか、分かり合えそうな気がするぜ!

よろしくー!」

 

「あーよろしく、んで、次は…」

 

「山田一二三です、ボクは、超高校級の同人作家

で、色々、同人誌を書いているんですよ」

 

「同人誌? エッチな本の事?」

 

「エッチな本とは、失礼な!

僕は、売れっ子の同人作家ですぞ!」

 

「やれやれだわ…それで、次は…」

 

「どうも、葉隠康比呂でーす!

俺の占いは、三割当たる!」

 

「三割? 少なっ、それで、次は…」

 

「十神白夜だ」

 

「こいつ、近寄りがたい雰囲気だわ…」

 

「お前に、言われたくない」

 

「やれやれだわ…」

 

個性豊かな、生徒たちに、囲まれている気がした…

 



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第六部 第二話 紋土と徐倫

それからというもの、

空条徐倫は、大和田紋土と、

希望ヶ峰学園で、再会するのだった。

 

「よぉ、徐倫

こんなところで出会うなんてな…」

 

「奇遇だわ、紋土

アンタと、こんなところで会うなんて…」

 

「鑑別所 以来か?

俺とオメーは、鑑別所の中で出会ったからな」

 

「えぇ、あの時は、やれやれだったわ…」

 

「おぉ、あんときは、お世話になったぜ…

それに、初めて、こんな真っ正面から

女と話せたのは、オメーが初めてだったしな…」

 

「ねぇ、何か買ってく?」

 

「そうだな…何か食いもんでも買ってくか。

食堂のメシも悪くねーけど

ジャンクな菓子もたまに食いたくなるんだよな」

 

 

二人は駄菓子屋にやって来た…

 

「どれどれ…

おっ!結構、種類あんじゃねーか!

どれにすっかなぁ…」

 

「色々あるわね…どれにしようか

迷うわね…」

 

「でも、一つ一つの値段は安いし

十個買っても、高くないしな!」

 

 

二人は駄菓子を十個ずつ買い

そして、駄菓子を食べながら

路地裏で、会話をするのだった…

 

「ふぅ~やっぱ、ここが落ち着くなー」

 

「そうだわ、よく、ここで

色々な話をしていたわね」

 

「それ最近の事だろ?

あ、オメーも確か、族だっただろ?」

 

「そうよ、アタシもアンタと同じ

族だったし、アタシは親衛隊長をしていたわ」

 

「親衛隊長、マジかよ!

まぁ、俺は副総長だけどよ

そう言えば…親衛隊長に連絡してたんだよ。

下のモンに相談があるなんて言われて断るようなダセー

真似、する訳にいかねーからな」

 

「そうだったのか…アンタって、慕われているのね」

 

「まぁ、オレは副総長だ…背負うモンがある

兄貴と同じように、それを放り出すなんてあっちゃならねー」

 

「やれやれだわ…」

 

「オメーに言うのも、アレだけどな…

徐倫 今から、ちょっとツラ貸せや…」

 

「アタシに何の用なの?

あ…ぶっちゃけさー、アンタってモテんの?

そこんとこどーよ?」

 

「じ、実はよ…緊張してくっと怒鳴っちまうから

告っても失敗しちまうんだよ…」

 

「は?なんだよそれ?

じゃあ、もしかして…

この前、告白する時 怒鳴ったのも緊張してたとか?」

 

「し…仕方ねーだろうが!

こんなダセー事、徐倫以外に、ヘラヘラと相談できっかよ!」

 

「そ、相談!?オメー、あれで

アタシに相談しに来たつもりだったのかよ!?」

 

「だ、だから悪かったっつてんだろ!?」

 

「はぁ…ま、いいわ。なんかキレ返す気も失せるっつーの?

それに…告白なら、されんのも慣れてるから

どうしたらいいか、教えてやってもいいわよ」

 

「ほ…本当か!?

恩に着るぜ!この借りは必ず返すからよ!」

 

「そんな重っ苦しく考えなくてもいいから

女の子が引かないように、いくわよ!」

 

徐倫と紋土は 怒鳴らずに告白する方法を一緒に考えた!

 



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第六部 第三話 清多夏と徐倫

空条徐倫は、石丸清多夏と出会った。

 

「げっ! 石丸じゃん!」

 

「ん…? 君は徐倫君!

こら! 何をこそこそ逃げようとしている!?

 

「み、見つかっちまったか…」

 

「君のような派手な服装

それに、入れ墨まで…

どこにいたって目立つに決まっているだろうッ!

今日こそは逃がさんぞ!」

 

「だから、勘弁してよー」

 

「その派手な服装…それに、入れ墨まで

君という人は、頭の先から爪先まで

風紀が乱れきっているッ!」

 

「だーもう、うるせーって!

アタシのカッコの事なんか放っとけよ!」

 

「放っておけるか、僕は風紀委員だぞ!?

そんなの職務放棄じゃないかッ!!」

 

「わかった、ちょっと待てよ石丸!

アタシは、そーゆー格好じゃないの

落ち着かないのよ!」

 

「言い訳は無用だ!

さぁ、それに、なんだ! この髪型は!」

 

「これは、オシャレでしているのよ!

もう、ほっとけよ!」

 

「ほっとけるか! 僕は風紀委員として

言うべきことを言っただけだ!

じゃあ、一つ聞く

なぜ学校で入れ墨をしている!」

 

「入れ墨じゃなくて

タトゥーって、言ってよ!

タトゥー!」

 

「どっちでも、いいじゃないか!」

 

「あー石丸…アンタの目は、鋭い

誤魔化すこともできないわ」

 

「誤魔化される訳がないだろう!

馬鹿にしているのか徐倫君は!」

 

「いや、そもそも…見た目って、そんなに大事かよ?」

 

大事に決まっているだろうッ!

服装の乱れは心の乱れ、学生らしく服装を整えたまえ!」

 

「やれやれだわ…そうかよ

いや…わかるわよ、見た目ってのは大事だわ

例えば石丸みたいな、地味なガリ勉ヤローと、

アタシみたいな、軽そーな見た目のヤツが…

同じように見られる訳ないわね…」

 

「言葉は汚いがその通りだ…

その場合、社会的に信頼を得られるのはどちらだと思う!?」

 

「そりゃ、地味な…いや、アンタみたいなヤツだよ

黒髪短髪、キレーな制服…

アンタ、誰にでもきっちりしたヤツに見られるんだろうな」

 

「…わかっているじゃないか

ならば、なぜ、入れ墨を消さない!?

徐倫君は見た目で周囲から軽視されてもいいのか!?」

 

「別に…今のカッコも、これはこれで結構楽しくやっているわ

何より…アンタの恰好 モテそうにないわ」

 

「…なッ!?何を言っているんだ君は!

ボ、ボクがモテるとか…関係ないだろッ!」

 

「言うと思ったわ、大体

女の子から、ラブレターを貰ったことあるの?」

 

「な、何を言ってるのだね! 徐倫君は!」

 

「図星みたいだね」

 

「グッ…」

 

「アンタって、見た目だけじゃなくて

中身まで、暑苦しいから、モテないのよ…」

 

「そうか、僕は熱いのか。

いや、以前クラスメイトからも同じ事を言われたんだ…

僕は、周りに流されるような生き方はしたくない!

ゆえに、何を言われようが僕が揺らぐ事はないのだよ!」

 

「やれやれだわ…」

 

「と、言いたいところだが…

実は、女性が僕を引いているみたいだ…」

 

「そりゃ、そうよ…」

 

「だから、徐倫君! 君にお願いがある!」

 

「何なのよ?」

 

「僕に女性との付き合い方を教えてほしい!

この通りだ! もう、これ以上 

過ちを犯したくはないんだ!」

 

「わかったわ、可能な限り

手伝うわ」

 

「うぅ…徐倫君! 君に感謝しないとな!

それと、恋愛事に関しても教えてほしいな…」

 

「やれやれだわ…アンタって奴は…」

 

空条徐倫は呆れれつつも、石丸清多夏に

女性の付き合い方を教えるのだった…



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第六部 第四話 怜恩と徐倫

空条徐倫は、桑田怜恩と出会った。

 

「よぉ~徐倫じゃねぇか!」

 

「そーゆーアンタは…

怜恩だったかしら?」

 

「あぁ、そうだぜ!

あっ、ちょうどいい所に来たぜ!

徐倫!」

 

「何か用かしら?」

 

「俺 バンドを始めようと思うけどさ

作詞作曲が出来そうな奴とか

いないか? あっ! 俺はボーカルだから!」

 

「本気で、ミュージシャン目指すの?」

 

「あったりめーじゃん!」

 

「で、どんなジャンルなの?」

 

「パックロックだよ!

それで、世界の頂点に立ってやる!

だってさ、パンクだったら

歌が上手じゃなくても、平気っぽいだろ?」

 

「何となくだけど、平気じゃないと思うわ」

 

「つーか、学校 入学した時から

野球やめていたし、これを踏み台にして

卒業したらさ、ミュージシャンになるつもりだよ!」

 

「それで、大体 メンバー集まるの?」

 

「これらかだろ!

俺は、どうしても、叶えたい夢があるんだからな!

ミュージシャンにならないと…

美容師のお姉さんと付き合えねぇ、じゃねーか!」

 

「はぁ? アンタ…何言ってんの?」

 

「言われたんだよ、お姉さんは

ミュージシャンが好きだってさ

 

スタイルはいまいちだけど、

顔は超イケているんだ!

その人と、どーしても、付き合いたくてさー!」

 

「まさか…それだけの理由で?」

 

「んな訳ねーだろ!

他にも、前から音楽に興味があった事も

含めて、ミュージシャンになりたいんだ!」

 

「やれやれだわ…」

 

「モテるのと、興味がある事以外

ミュージシャンになる目的なんか、ないだろ?」

 

「本当に、やれやれだわ…」

 

「でもな…今思えば、本当にそれでいいのかって…

時より、思ってしまうんだよな…」

 

「そりゃ…そうなるわよ…」

 

「中学の時の話だけどな…

野球は何もせずとも、上手くなったうえに

試合で何度も、勝ったことがあるし…

けど、バンドやミュージシャンは違う

 

下手に才能を使ったせいで、野球が怖くなったこともあるし

ミュージシャン結成しても、ボーカルとして

ちゃんと務められるか、どうか…考え込むんだよな…」

 

「三年間 野球を辞めてみて、

自分の気持ちに気付いたって事かしら?」

 

「チクショウ! マインドコントロールだ!

野球が、中学時代の俺を洗脳したんだよ!

 

あーでも、何でもいいや! バッティングがしてー

時々 バッティングセンターに行って

中学時代を思い出す事だって、何度もあったしな…」

 

「怜恩 アンタの事情が分かりかけた気がするわ…」

 

「だろ! そうだろ!

中学の時は野球 高校に入ったら、バンドがしたかったのに…

もう、気が付けば、三年生だ…」

 

「アタシなんか、留年しているのよ」

 

「そ、そうだったけ?」

 

「そうよ! 前にも言っていなかった?」

 

「あー、確かに

そんな事 言っていたような、気がしたな…」

 

「言ったわよ…初めて自己紹介した時

アタシが留年しているって、言っていたわよ」

 

「そうだったな!

そんじゃ! 俺も色々あるけど!

とにかく、ボーカルの練習してみるって事で!

徐倫! 応援 ヨロシク!」

 

「やれやれだわ…」

 

こうして、なんだかんだ言って

桑田怜恩は、ボーカルの練習をすることになった…

 

野球は才能で出来た事

 

でも、バンドやミュージシャンは

練習しないといけないので

それでも、なりたいので、今からでも、練習を始めるのだった…

 



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第六部 第五話 一二三と徐倫

空条徐倫は、山田一二三と出会った。

 

「おぉ! これは、これは、空条徐倫殿じゃないですか」

 

「一二三じゃん、

相変わらず、エッチな本でも、描いているの?」

 

「エッチな本とは、失礼な!

僕は、売れっ子の同人作家様ですぞ!」

 

「はいはい、それは、わかったから」

 

「そんで、アタシに何か用?」

 

「ほほう!ひょっとして、僕の同人誌に興味がお有りで?」

 

「まぁ、少しくらいはね」

 

「ほほ、それじゃあ、萌えアニメには?」

 

「あんまり見ないわ」

 

「ほほー空条徐倫殿は、なかなか、お堅いですな~」

 

「どこがよ?」

 

「空条徐倫殿は、まだ、同人誌に関する

魅力を存じないようで~」

 

「別に、知りたいわけじゃないわ

んで、同人誌の調子は、どうなの?」

 

「そりゃ、絶好調ですぞ!

もう、売れっ子同人作家様ですからね!」

 

「やれやれだわ…」

 

「空条徐倫殿は、大和田紋土殿と

お知り合いだったようで?」

 

「そうだわ、年齢は、アタシの方が、年上だけど、

同じ鑑別所出身だったわ、

そこで、色々と、お世話になっていたわ」

 

「そうですか~

後、空条徐倫殿って、変わった名前ですな~

今更ですけど」

 

「アタシ、日系アメリカ人なの

色々と、家系が、複雑なの!」

 

「そうですか~空条徐倫殿は、

同じ超高校級の幸運である、苗木誠殿とは、違い

背が高くて、スタイルも、いいですな~」

 

「褒め言葉として、受け取っておくわ」

 

「言っておきますが、同人に対する、

偏見は、許しませんぞ?」

 

「まぁ…一応、聞いておくわ

一二三が、書いている、ドージンシって、物を!」

 

「そうですか!じゃあ、拙者が、ドージンシって、

物を、空条徐倫殿に、教えますぞ!」

 

「ところでさ、ドージンって、何?」

 

「同人とは、サークルの事ですね

それで、様々なアニメや、ゲームの二次創作

たまに、一時創作だって、しますぞ!」

 

「ふーん」

 

「徐倫殿は、アニメに疎そうなので、

一つだけ、教えてあげますぞ

絶賛放送中のアニメ、

星くずうぃっちメルル!

一見すると、普通の美少女アニメと思われがちですが…

見方を変えれば、色々知ることができますぞ!

これは、映画でも、ドラマでも、

小説でも、マンガでも、他のアニメでも、

同じことですぞ!」

 

「いい事言うじゃん…」

 

「来ています!灰色の脳細胞が!」

 

「やれやれだわ…」

 

「拙者は、同人誌で、

2万部の、業績を出しているのですぞ!

でも、拙者の、同人誌を理解してくれない

バカ共が、沢山いて、困っているのです!」

 

「アタシに、そんなこと言われてもな…」

 

「でも、空条徐倫殿は、

拙者の話を最後まで聞いてくれたようで、

何よりです!」

 

「そう」

 

「それでは、この辺で…

さらばで、ござる!空条徐倫殿!」

 

「はぁ…やれやれだわ…」

 

空条徐倫は、

山田一二三と、色々会話をするのだった…。

 



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第六部 第六話 康比呂と徐倫

「あー、ダメだべ!

はぁ…正直なとこ、今月のノルマがやべーって

なんとかして何人か契約取らねーと…

つっても、徐倫っちには断られちまったし…

他に契約してくれそうなのは…」

 

「いるわけないでしょ?」

 

「あっ! 徐倫っち!

また、冷やかしに来たのか?」

 

「まぁ、そんな所だわ

アンタのオカルト占いなんて

誰か信じてくれる人 いたかしら?」

 

「今はいないけど

これから、見つけていくんだべ」

 

「オカルト占い 誰が信じるんだよ…

やれやれだわ」

 

「ちょっと待て、聞き捨てならねーぞ!

俺の占いはオカルトじゃねー、一緒にすんなって!」

 

「せめて、料金位

改めたら、客が来ると思うわ」

 

「じゃあ、どの位がいいんだべ!」

 

「実質タダ」

 

「それじゃあ、儲けにならないべ!」

 

「大体 アンタの占い

3割程度しかあたらないんでしょ?

それだったら、タダ当然よ」

 

「あー、100%当てたら

占いじゃなくて、超能力だべ!

じゃあ、何割になれば

商売になるんだよ!」

 

「七割くらい…じゃないかしら?」

 

「それだったら、いくらべか?」

 

「そうね…10円くらいは

出してやるわ」

 

「10円! ケチだべ…」

 

「何 文句あんの?」

 

「いや…ないべ、でも、何となく

目が覚めたような気がするべ…

一気に金儲けを考えた、俺がバカだったべ…」

 

「やれやれだわ」

 

「それじゃあ…徐倫っちの言われた通り

タダ同然で、占うべ…

そして、何とかして、お金を手に入れれるべ…

 

もちろん、10円でも100円でも構わないべ

沢山 十円玉と百円玉を集めるべ…」

 

「まぁ、せいぜい 頑張んなさい」

 

 

後日…

 

「徐倫っち、アンタに言われた通りに

やってみたら…一日で230円稼いだべ

十円玉が三枚 百円玉が二枚だべ」

 

「よかったじゃん…

そっちの方が、稼ぎやすいと思わない?」

 

「まぁ、確かに…ここの所…

お金を手に入れることがなかったからな…

あぁ、でも、何ていうか…久々のお金だべ

この、230円は大切にするべ

 

徐倫っち ありがとうべ、

今更だけど、目が覚めたべ

占いの料金 改めるべ」

 

「それはよかったわ…

その方が効率よく、稼げると思うわ」

 

「うん、徐倫っち 恩に着るべ」

 

「ていうか、アンタ

占い以外に、アルバイトしないの?」

 

「そう言えば、そんな発想はなかったべ…」

 

「やれやれだわ

求人広告を見たらどうかしら?」

 

「よし、わかったべ、ちょっくら

求人広告を見てくるべ」

 

 

後日 

 

「徐倫っち、アレから、仕事をしてみたべ

そんで、八日でクビになったべ」

 

「はぁ…やれやれだわ…」

 

「まず、友人の勧めで、、チラシ配りをしてみて

それ以外には、宣伝活動まで、してみたけど

全然ダメだったべ…」

 

「まぁ、最初は、そんなもんよ

後 一つ言えることは…毎日 神様に祈る事かしら?」

 

「あぁ! 徐倫っち!

よーし! 神様に、お祈りして

アルバイトが成功するよう、お祈りするべ!」

 

空条徐倫は、この場で立ち去るが

葉隠康比呂は、神様に祈りをささげて

占いとアルバイトに励むのだった…

 



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第六部 第七話 白夜と徐倫

空条徐倫は、十神白夜と出会った。

 

「徐倫」

 

「アンタは…えっと、十神だったわね

何か飲む?」

 

「…気がきくじゃないか。

ではコーヒーをすぐに持ってこい。無論、焙煎からやれよ。

あぁ、豆はルアックでな。他のは認めんぞ」

 

「やれやれだわ…」

 

「おい、無駄口叩く暇があったら、

さっさと、ルアックコーヒーを淹れて

シフォンケーキを、作れ」

 

「どーして、アタシが、こんなことを

しないと、いけないわけ?」

 

「徐倫が、言って来たからだ」

 

「わかったわ…」

 

徐倫は白夜の為に、ルアックコーヒーと

シフォンケーキを作るのだった。

 

「これで、いいかしら?」

 

「おい、ケーキが、焦げているぞ?」

 

「何?文句言う訳?

アタシ大体、料理苦手だし、

淹れるなら、ともかく、

ケーキ作るなら、他の人に頼みなさいよ」

 

「お前に頼んで不正解だったな…」

 

「やれやれだわ…白夜って、

カップラーメンって好き?」

 

「気軽に、白夜、白夜って、言うが…

お前の勝手だが…

あの、ジャンクの極みのような食物か。

知ってはいるが、食べる気にはなれんな。

俺が許すインスタントは寿司のみだ…」

 

「寿司?あぁ、手軽に食べられるからか?

酸っぱいから、好きじゃないけどね、アレって」

 

「まぁ、徐倫の意見は、多少は、わかるがな…

まぁ、いい、徐倫、付いてこい

俺は、今、暇しているから、付いてこい」

 

「アタシが、白夜に?いいけど?」

 

 

徐倫と白夜は、購買部に、やってきた。

 

「映画のDVDとか、あるかしら?」

 

「ほう、映画か。俺にも鑑賞する趣味はあるが…

お前が見るような低俗な物は知らん。

それでも、俺に話を合わせたいというのなら…

お前でも理解できそうな幼児向けの

タイトルを教えてやってもいいぞ?」

 

「まぁ、映画は、あまり見ない方だけど…

ヨージ向けか…いいけど?機会があればね

あっ、かわいい人形があるわね」

 

「…アンティークドールか。

下品な徐倫にしては、なかなか良い趣味だな。

まさか、これの価値を見抜く事ができるとはな。

ほんの少し、お前の評価を改めてやるか…」

 

「やれやれだわ…」

 

「それは、こっちのセリフだ、徐倫」

 

なんだかんだと言いつつ、

徐倫と白夜は、暇潰しに、娯楽室に訪れた…

 

「スロットがあるわ…別に、したくないけど?」

 

「そのようだな…仮にも学校だといういのに、

なぜあんな物が…

いや、もしかしたら、徐倫か誠の為かもしれないぞ?

超高校級の幸運なんて才能、

なかなか披露する機会がないだろう?

さて、見せてもらおうじゃないか…」

 

「運か…まぁ、人より、ある方だけど、

今は、スロット!って、気分じゃないわ」

 

「じゃあ、何がしたい?」

 

「そうね、ビリヤードかしら?」

 

「ほう?その提案が来るとは思わなかったな。

徐倫にビリヤードの心得があるとは、驚きだ。

さて、キャロム・ゲームか、

それともプールか?楽しませてくれよ…」

 

「ビリヤードの心得くらは、多少はあるわよ

アイツとは、違って…」

 

「アイツ?」

 

「何でもないわ、さぁ、やるわよ…」

 

何がともあれ、徐倫と白夜は、

ビリヤードで、暇潰しをするのだった。



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第六部 第八話 徐倫と男たち

空条徐倫は、

大和田紋土と石丸清多夏と、デートするのだった。

 

「徐倫」

 

「徐倫くん!」

 

「なぁに、気安く呼んでんのよ!

徐倫ちゃんって、呼びなさいよ!」

 

「なんでだよ!」

 

「ちゃん付けは、少し…」

 

「はぁ~?本当に、石丸や大和田は、

品が無いわね、何照れてんのよ!」

 

「だって、俺たちクラスメイトだろうが!」

 

「僕自体、風紀委員だし…」

 

「恥ずかしいだろうが…」

 

「童貞臭いわね…本当に…

いいわ、呼び捨てで」

 

「ど、童貞だと!?」

 

「あら、何か間違ったことでも、

言ったかしら?」

 

「まぁ、捉え方は、人それぞれだ、

まぁいい、とにかく、今日は今日の為に何かするぞ!」

 

「さすが、兄弟だぜ!」

 

「アンタ達って、似ているのか、似てないのか、

わかんないのよね…全く…」

 

「まぁ、そうだな、俺は暴走族の№2

兄弟は、風紀委員だぜ?」

 

「石丸、アンタ確か、風紀委員だったけ?」

 

「今ごろ、気づいたのか!僕は風紀委員だぞ!」

 

「やれやれだわ…」

 

「今日はどうするんだ?兄弟?」

 

「じゃあ、バイクに乗って、どっか行く?」

 

「僕は運転できないのだが…」

 

「じゃあ、後ろに乗れ」

 

「じゃあ、そうしておこう!」

 

「まぁ、アタシも一応、運転できるし、

ドライブにでも、行きますか!」

 

 

大和田は石丸を後ろに乗せて、

徐倫は一人で、バイクを走らせた

 

そして、着いた先は、バスケコートだった。

 

「んじゃあ、どーしようかな?

バスケでも、するか?」

 

「うむ、そうしよう」

 

「負けないわよ?」

 

「僕が相手だ!」

 

「じゃあ、俺が、審判するぜ?」

 

「アンタ、風紀委員なのに、出来るの?

いいわ、かかってきなさい」

 

「僕を見くびるな!こう見えても、筋肉があるんだぞ!」

 

「バスケに筋肉は、必要だったかしら?

まぁ、いいわ、シュート対決とか、どうかしら?」

 

「では、一度でもシュートを決めたら、勝ちってことで、

決着を付けよう!」

 

「いいわよ」

 

「受けて立つ!」

 

「じゃあ、始めるぞー」

 

しかし、空条徐倫と石丸清多夏は、

お互いに、シュートを十回やっても、

なかなか、決められなかった。

 

「やれやれだわ、疲れたわね…」

 

「僕も少しだけ」

 

「じゃあ、お昼ご飯にするか?

焼肉でも、食いに行くか?」

 

「そうね、そうさせてもらうわ」

 

「よし、じゃあ、行くか!」

 

三人で、焼き肉屋に行って、

豚肉、鶏肉、牛肉を食べるのであった。

 

 

「ふぅ~お腹いっぱいだわ」

 

「じゃあ、ドライブの続きでも、やろうか?」

 

「交通違反は、くれぐれも、起こさないように!」

 

「わかってるぜ!任せておいてくれ!」

 

「んじゃあ、行きますか!」

 

大和田と石丸は、二人でバイクに乗り、

徐倫は、一人でバイクに乗り、

ドライブを楽しむのだった。



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第六部 第九話 一時の学校生活

空条徐倫が(超高校級の幸運)として、

希望ヶ峰学園に入学して、数か月が経とうとしていた。

 

囚人となり、刑務所生活を送って来た、(無実だが)

徐倫だったが、そんな彼女も、この学園に入学してからは、

それなりに、青春を謳歌していたのだった。

 

しかし、超高校級の風紀委員、石丸清多夏に、叱られる日々を、

送っていたのだった。

 

「徐倫くん!葉隠くん!君達は、留年しているにも関わらず、

また、変なことを企んでいるな!」

 

「石丸っち!勘弁してくれって!

俺は生活費が、かかっているべ!」

 

「徐倫君は、肌の露出を控えなさい!不健全だぞ!」

 

「やれやれだわ…あたしが一番苦手とする男ね…」

 

「全く、お前ら、少しは静かに出来ないのか?」

 

と、十神白夜が、不機嫌そうな表情をして、

こちらを見ていたのだった。

 

「はぁ…場所を変えるわよ」

 

「フン、そうした方がいいかもな、

俺はお前らとは違って、暇じゃないからな…じゃあな」

 

と、十神白夜は、立ち去った。

 

 

 

後日、葉隠康比呂が、空条徐倫の前にやって来て…

 

「徐倫っち!この書類にハンコを押してくれべ!」

 

「嫌よ、誰がアンタと結婚するの?

偽装結婚したって、アンタの問題が解決する訳じゃないでしょ?」

 

「そんなこと、言わないで欲しいべ…

だって、俺、このままだと、内臓を売り払う羽目になるべ…」

 

「だから、どーやったら、そういうことになるの?

アンタ、バカなの!?」

 

徐倫の前で葉隠は土下座をするが、しかし…

 

「もっと、マシな商売は、考えられないの?

一緒に考えてあげるから、今すぐに偽装結婚は、やめて!」

 

「おぉ!本当べか?よーし!って、どんな仕事を紹介してくれるべか?」

 

「まだ、考え中だわ…アルバイトって、やったことあるの?

例えば…日本食レストランとか?」

 

「日本食レストランって…徐倫っちって、海外から、来たべか?」

 

「アメリカよ、ママと一緒に小さい頃に、

一緒に、お寿司を食べたことがあるわ、

それなりに、美味しかったわ」

 

「じゃあ、俺、寿司屋で、アルバイトするべ!」

 

「まぁ…頑張って、後でチラシ渡すから」

 

「おぉ!ありがとうべ!徐倫っちは、優しいべ!」

 

「はいはい…やれやれだわ…」

 

こうして、葉隠康比呂は、個人経営の寿司屋で、

アルバイトすることになったらしい…

ちなみに、人手不足で悩んでいたらしい。

 

 

 

空条徐倫は桑田怜恩と会話をしていた。

 

「なぁ、徐倫、ピアス付けて―けど」

 

「どこに付けるの?」

 

「耳たぶだぜ?」

 

「意外と痛いわよ?」

 

「わかってるって!石丸が鼻にピアスするなって…

うるさくてさ…」

 

「アタシも、ヘソピアスしていたら、

石丸の野郎に怒られたのよ…やれやれだわ…」

 

二人の何気ない会話が続くのだった。



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第六部 第十話 大和田紋土の恋

やれやれだわ。

こんな、凄い学校で、やっていけれるかしら?

 

アタシ、仮釈放の身なのに、

大丈夫かしら、ホントに。

 

徐倫が希望ヶ峰学園に入学してから、

早、7か月が経過していた。

 

正直、言って、凄いところだから、

何がどうなっているのか…はぁ…やれやれだわ…

 

今日も、徐倫は大和田紋土と、暇そうに話をしていた。

 

先に口を開けたのは、大和田紋土の方だった。

 

「なぁ、徐倫」

 

「どーしたの?大和田」

 

「俺、好きな人が出来たんだよ」

 

「誰なの?」

 

「不二咲って女だ」

 

「アイツ?あの、ちっちゃい女の子?

ひょっとして、大和田って…?」

 

「るせぇー!俺は不二咲の事が、好きなんだ!

俺は…その…ソイツに告白してーんだよ」

 

「まさか、大和田が、あーゆー子がタイプだったとはね…」

 

「実際、不二咲も、俺の事、好きみてーらしい、

朝日奈曰くだがな」

 

「あの、スポーツ女が?

よく、あの、ちっちゃい子と、関わっているみたいだね、

トレーニングを一緒にしているところ、よく見かけているわ」

 

「俺、自分で言いたいんだ、不二咲が好きってこと」

 

「いいと思うわ、人を好きになることは、

そんなに、悪いことじゃないわ」

 

「そりゃ…そうだけどよ…でも、どーしたらいいんだよ…」

 

「俺、手紙書いてみたんだ、不二咲宛てによ」

 

「ラブレターってやつ?へーやるじゃん?」

 

「…不二咲の下駄箱に入れておこうか?」

 

「それで、いいんじゃない?」

 

「ホントか?わかった、もう、ここまで来たんだ。

後戻りはできねー!」

 

「頑張ってね、失恋10連敗さん」

 

「余計なお世話だっつーの!」

 

 

それから、数日が経ち、

大和田紋土は、空条徐倫に伝えるのだった。

 

「俺、不二咲と付き合うことになったわ」

 

「おぉ!おめでとう!よかったじゃん!」

 

「あぁ…俺は決めたんだ、不二咲を一生守ってやるって、

誓ったんだ、んで、幸せな家庭を築いていって、

兄弟や兄貴に、恥ずかしくないような、人生を送ってやるってな」

 

「アンタ、我ながら、立派じゃん」

 

「あぁ、早速、兄弟と兄貴に伝えねーとな…」

 

「きっと喜ぶわよ、お兄さんも、石丸も」

 

「おう、あんがとよ」

 

「アタシは、ほぼ、何もしてないけどね…」

 

「もし、俺と不二咲が結婚したら、

徐倫を真っ先に招待してやるからな!」

 

「えぇ、期待しているわよ?」

 

「あぁ、任せておけ!」

 

「アタシ、卒業したら、どーなるんだろう、

もう、留年している身だしな…」

 

「桑田とバンド組むとか、言っていたじゃねーか?」

 

「って、言われてもな…

それで、メシが食べられるわけじゃないからな…」

 

「それも、そうだな…」

 

空条徐倫と大和田紋土は、将来の事を考えるのだった。

 



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第六部 第十一話 ある冬の日

石丸清多夏は、今日もいつも通りに、

白い学ランを、風紀委員らしく、身にまとい、

帰り支度をしている最中だった。

 

その時、空条徐倫が、石丸清多夏に話しかけた。

 

「ねぇ、石丸、アンタ、ちょっと、付き合いなさいよ」

 

「徐倫くん!また、制服を着崩しているじゃないか!

風紀が乱れているだろうっ!」

 

周りから珍しい組み合わせだと、よく言われている。

親友であり、兄弟である、大和田紋土と友達。

 

なんていう関係からか、意外とすぐに打ち解けられた。

 

石丸にとっては、数少ない友達。

ということは、大体、大方が知っていることである。

 

空気が読めない、石丸にとっては、

貴重な友達の存在だった。

 

「さっさと、行くわよ、石丸」

 

「どこに連れて行くつもりだ!?」

 

石丸に拒否権は無いようだ。

 

 

とある場所にて…

 

「本当に、ここに入るのか…?」

 

「何よ、別に普通でしょう?置いていくわよ」

 

ここは、小さな喫茶店、

メニューはオムライスとカレー、

そして、ナポリタン、

 

ドリンク各種、10種類置いてある、

シンプルなメニューが特徴のお店だ。

 

 

「アンタに相談があるのよ」

 

「相談とは…」

 

「大和田が、大工を目指すことになったらしいわ」

 

「それは、本当なのか!?」

 

「そうみたい、大和田の目は、本気だったわ」

 

 

「ところで、徐倫くんの夢は?」

 

「特にないわ、ないのよ。

大和田と同じ、鑑別所に入ってから、

どこで、差が付いたとやら…」

 

大工を目指す、明確な目標を持つ、大和田紋土、

そして、高校をダブって、一年留年している、空条徐倫…

 

「う、うん…」

 

「焦っているのよ、でも、石丸、アンタは、アタシと違って、

頭いいし、立派だし、そーゆーこと、わかるんじゃないの?」

 

「いや、僕は本当に勉強だけだ、それ以外、取り柄が無いんだ…

恋愛なんて、外だぞ?

徐倫くんも、知っているだろう?」

 

「いや、そうだけど、大和田の気持ちになって、

考えてほしいのよ…」

 

兄弟として、分かち合った、

大和田紋土と石丸清多夏。

 

そして、何だかんだと、絡んでくる、空条徐倫

 

この三人が、いつまでも、一緒にいるとは限らない。

 

「徐倫くん、キミは考えすぎだ!

僕が知っている限り、兄弟は、いざという時、

頼りになる男だ。兄弟も、徐倫くんのことを、心配している!」

 

「まぁ…一理はあるわね…

でも、なんていうか…無理と言ったら、

逆にアタシがダメになってしまいそうね、やれやれだわ…

実際、器用じゃないし、アタシって…

なにせ、留年しているうえに、超高校級の幸運ですよ?」

 

「ううん…そうだな…」

 

「ところで、石丸は、何になりたいの?」

 

「僕は…市議会議員だ」

 

「立派じゃん、応援しているわ」

 

「ありがとう!」

 

喫茶店から、退出した後、

冬の景色を見ながら、解散した。



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第六部 第十二話 徐倫と白夜

希望ヶ峰学園は、三学期の真っ最中だった。

 

徐倫と白夜が、異常に暇そうにしていた。

 

白夜が突然、口を開いた。

 

「この学園に入学して、早一年が経とうとしているが、

未だに慣れていないとはな…とんだ、鈍感な奴だな、徐倫」

 

「は?アンタは一言多いのよ!

入学してから、変わっていないわね…

まぁ、超高校級の幸運として、いきなり、刑務所から、

仮釈放されて?それに、希望ヶ峰学園に入学しろと…

しかも、留年、話がぶっ飛んでいるわ…我ながら」

 

「徐倫、運はいい方か?」

 

「いきなり、何言いだすの?

不運ですとも?運が無い方だわ、アタシは」

 

父親である、空条承太郎は、海洋学者として、

世界中を転々としている為、

家には、まず、基本的に帰ってこない。

 

そうでなくても、徐倫の周りは、

チンピラや不良、さらには、暴走族の連中とも、

関りがあった時期があり、

大和田紋土とは、鑑別所で知り合った仲である。

 

運の無い、幸が薄い、徐倫にとって、

希望ヶ峰学園から、入学許可が、刑務所内に届いたことは、

何が何だか分からない位、混乱していた。

 

「まぁ、俺の目から見ても、徐倫が、

運がいい人とは、思えん、大和田みたいに、

ポンコツな不良としか、思えん」

 

「ハァ!?!?不良であることは、認めるけど…?

ポンコツって、言われるのが、気に入らないわ。

ムカつく金持ち野郎だわ、ウザいわ、ホントに」

 

「お前、見る目が貧困すぎるぞ?庶民や愚民に、

分かってもらえるつもりは、一切ない」

 

 

十神白夜

世界屈指の巨大財閥、十神財閥の次期当主。

 

本来なら、不良である、徐倫が、交わう事はないはずだった。

雲の上のような存在だった。

 

「石丸や大和田だけじゃないわ、

山田に桑田、それに、葉隠、それに、アンタがいてくれたから、

ある意味、楽しい学校生活が送れている気がするわ」

 

「俺としては、いい迷惑だが、貴重な時間を分けてもらっているんだ、

ありがたかく、思えよな?徐倫?」

 

「褒めているのか、貶されているのか、

わかんないけど…まぁ、いいわ、なんだか、いい気分になったわ」

 

「とんだ、楽観主義者だな」

 

「アンタ、どーせ、十神財閥、牛耳るから、

ワインでも、飲んで、風呂でも入るつもりなの?

万札の風呂でも、入るつもり?」

 

「俺が、そんな、悪趣味なことをすると思うか?あり得んな」

 

「ある意味、希望ヶ峰学園に通っていたって、

履歴書に書いたら、大半の一流企業は、

ほぼほぼ、何かしら、理由が無い限りは、就職できるっていうけどな…」

 

「まぁ、企業も行政も、大喜びだろな。

とはいえ、庶民以下だな、こりゃ、考えや思考が、

ただのチンピラだ」

 

「あぁ、チンピラよ、ただのチンピラ」

 

「呆れたな、じゃあな、徐倫」

 

十神は立ち去った。

でも、どこかで、穏やかな表情もしているように、感じていた。



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第六部 第十三話 徐倫と大和田と桑田

大和田は桑田に声をかけた。

 

「おう、桑田…ちょっと面ァ貸せや…」

 

「は?お…オレがなんかしたか?」

 

「い、いいからオレの話聞けってんだコラァ!文句あんのか、あァ!?」

 

「な、なんだよいきなり!」

 

「わ…わりーな。なんて切り出すか迷ってて、つい怒鳴っちまった…」

 

「さすが怒鳴り慣れてんな…ちょっとだけビビっちまったぜ。

そーいうの、野郎の集団だと意味あんのかもだけど…女子とか引いちまわねー?」

 

「ぐっ…!」

 

「あ…ぶっちゃけさー、オメーってモテんの?そこんとこどーよ?」

 

「じ、実はよ…緊張してくっと怒鳴っちまうから、告っても失敗しちまうんだよ…

不二咲と付き合う前まではな…

 

「は?なんだよそれ?

じゃあ、もしかして…さっき怒鳴ったのも緊張してたとか?」

 

「し…仕方ねーだろうが!こんなダセー事、ヘラヘラと相談できっかよ!」

 

「そ、相談!?オメー、あれで相談しに来たつもりだったのかよ!?」

 

「だ、だから悪かったっつてんだろ!?

はぁ…ま、いいわ。なんかキレ返す気も失せるっつーの?

それに…へへっ、そーいう相談の相手にオレを選ぶなんて見る目あんじゃねーか!

告白なら、するのもされんのも慣れてるからよ。

どうしたらいいか教えてやってもいーぜ!不二咲と、どーやって、上手くいくのかをな!」

 

「ほ…本当か!?恩に着るぜ!この借りは必ず返すからよ!」

 

「そんな重っ苦しく考えなくてもいーって!軽くいこーぜ、女子が引かねーようにさ!」

 

「お、おう…頼んだぞ!」

 

…怒鳴らずに告白する方法を一緒に考えた!

 

 

 

「にしてもよーまさか、大和田が千尋ちゃんと付き合うことになるとはな…

正直、ビックリしたぜ?」

 

「不二咲も、俺も、お互いが好きだったからな…」

 

「この二人が、相思相愛…マジで、受けるんですけど?」

 

 

すると、徐倫がやって来た。

 

「大和田に桑田じゃん」

 

「おっ!徐倫じゃねーか!」

 

「徐倫、聞いてくれよ、大和田がな、

千尋ちゃんとの、関りについて、悩んでいるみたいだから、

一緒に考えてくれねーか?」

 

「アタシでよければ、いいわよ」

 

「おう、徐倫と俺はな、鑑別所で知り合って、

同じ族連中と、関わってきた、仲だからな」

 

「徐倫と大和田って、そーゆー関係だったんだ…」

 

「まぁ、唯一の女のダチって、言うべきだろうか、

ま、んなところだ」

 

「アタシも、大和田の事は、大切に思っているわ」

 

「あんがとよ、徐倫」

 

「千尋ちゃんって、さやかちゃんと、同じくらい可愛いしな…」

 

「桑田、それって、いわゆる…たらしって奴?」

 

「だって、この希望ヶ峰学園って、可愛い子は、

マジで、可愛いしな!」

 

「まぁ…それは、否定しないけど…やれやれだわ…」

 

こうして、三人で大和田と不二咲の恋について、

考えるのだった。

 

 



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第六部 第十四話 バレンタイン

今日は2月14日のバレンタインの日のはずだが、

何故か、大和田と石丸、桑田と葉隠、山田が、

徐倫の為に、チョコレートを作ってプレゼントしたのだった。

 

「ちょっと待って、フツー逆じゃない?」

 

「んなこと、関係ねーだろ!

バレンタインは、好きな人にチョコレート送る日だろ?

男も女もカンケーねーだろ!」

 

「という訳で、徐倫くん!

僕と兄弟が作った、チョコレートを受け取ってほしい!」

 

「空条承太郎殿には、お世話になっていますから!」

 

「徐倫っちは、俺にとっては、聖母様であって、

女神様だべ!」

 

「まぁ、受け取ってくれ!未来のスターが、

チョコレートをプレゼントするぜ?」

 

「ねぇ、大和田、アンタ、不二咲にチョコレートは、貰ったの?」

 

「も、もちろん、貰ったぜ?」

 

「俺なんか、さやかちゃんに貰ったんだぜ?」

 

「なんだかんだと言って、

徐倫は、モテモテだな…」

 

「変な輩しか、いないけど…いいわ、ありがたく、受け取るわ」

 

「全く、騒がしい連中だな…」

 

「と、十神!?」

 

「俺からのチョコレートだ、他の愚民共よりも、

美味しく作ってくれた、パティシェに、感謝しろよ?」

 

「十神が作ったわけじゃないの?」

 

「俺が、御用達のパティシェに、徐倫の為に、

チョコレートのケーキを注文しただけだ、感謝しろよ?」

 

「はいはい、ありがたく受け取るわ」

 

「徐倫っち、チョコレート、六つももらっているべ…」

 

「ある意味、アタシ、モテモテだわ」

 

「という訳で、徐倫っち、ハッピーバレンタインだべ!」

 

「はいはい、ハッピーバレンタイン、バレンタイン…」

 

徐倫は、大和田、石丸、桑田、山田、葉隠、十神の六人から、

バレンタインのチョコレートを貰うのだった。

 

「全く、バレンタインとはいえ、お前ら、浮かれすぎだぞ?」

 

「十神、アンタ、一言多いのよ…まぁ、いいわ、

みんな、ありがとう、アタシ、ある意味、幸せ者だわ」

 

「後で、味の感想を僕に聞かせてくれ!」

 

「僕のチョコレートも、ですぞ!

なにせ、空条徐倫殿のため、だけに、作った、

チョコレートですからね!」

 

「とりあえず、六つのチョコレートを食べたいから、

家に帰っていいかしら?」

 

「おう、じゃあな、徐倫」

 

「うん、じゃあね」

 

 

 

徐倫は、六つのチョコレートを、夜ご飯と朝ごはんに、

三つずつ食べた。

 

これは…人類の夜明けだわ!

チョコレートは、普通に食べるけど、

大和田達のチョコレートは、一味も二味も違う!

 

 

後、十神、アンタ、選ぶセンスが良すぎる。

ヨーロッパの国で、売られている、チョコレート

って、十神が教えてくれたけど、美味しい。

 

ただ、それだけだわ。やれやれだわ…



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第六部 第十五話 徐倫の誕生日

それから、数か月後、今日は空条徐倫の誕生日だった。

 

「今日は、アタシの誕生日だけど…

ここまで、盛大にお祝いされると、

ある意味、幸せ者だわ、アタシ」

 

「徐倫っち!誕生日おめでとう!」

 

「徐倫くん!素晴らしい一年にしてくれ!

特に留年しているから、年長者として、

僕たちに、お手本を示したまえ!」

 

「徐倫とは、鑑別所からの仲だからな…

だから、これからも、ずっといてーな、

こーゆー風に、いてくれたら、俺も幸せだ!

まぁ、誕生日おめでとうな!」

 

「空条徐倫殿、お誕生日おめでとうございますぞ!」

 

「徐倫、誕生日おめでとう!

俺も、幸せだぜ!」

 

「全く…こんな、下品な女をお祝いしなければ、

ならいとはな…まぁ、俺から祝ってくれるんだ、感謝しろよ?」

 

「葉隠、石丸、大和田、山田、桑田、十神…

みんな、ありがとう、嬉しいわ」

 

「それじゃあ…プレゼントの贈呈だな、

まず、俺からだ、ほらよ」

 

「僕もだ!」

 

「僕もですぞ!」

 

「俺からもだ!」

 

「俺もべ!」

 

「ほら、喜べ、俺からもだ」

 

「みんな、ありがとう、後で確認するわね」

 

「という訳で、質問タイムだ」

 

「何それ?」

 

「新聞部の連中に頼まれているんだ、

質問に答えるだけで、いいから、

さっさと、終わらせるぞ?」

 

「わかったわ、で、質問って?」

 

「徐倫にとって、一番大切にしている人は?」

 

「大和田よ、でも、大和田には千尋がいるから、

次点として、石丸かしら?」

 

「ぼ、僕なのか?」

 

「えぇ、お堅い風紀委員さんだけど、

何だかんだと言って、親しみやすくなったわ」

 

「そ、そうか…ありがとう」

 

「んじゃ、次の質問、

無人島に一緒に行くなら、誰がいい?」

 

「そうね…十神かしら?」

 

「なんで、俺だ?」

 

「だって、財閥の御曹司が、無人島に漂流されたら、

まず、執事や、側近が黙っては、いられないから、

救助活動に、全力を尽くすはずだわ。

十神と一緒にいたら、最長で、6日で終わりそうだわ」

 

「全く、徐倫の奴は…おめでたいな…

だが、俺も無人島に漂流したら、

退屈で仕方がないから、そこらの、財閥関係者が、

見つけてくれるだろう、6時間以内にな」

 

「だとしたら、なおさら、助かるわね」

 

「じゃあ、最後の質問だ、

えーと、もし、一つだけ、願いが叶えられるなら、

何をお願いしたいですか?だってよ」

 

「そーね、アンタ達と、ずっと、

これからも、一緒にいられたら、それでいいわ」

 

「俺も、そう思っているべ!」

 

「こんな、やかましい連中と関わるのは、

こっちから、願い下げだが…まぁ、悪くないだろうな」

 

 

そして、いよいよ、パイ投げの時間になり…

 

「じゃあ、徐倫っち!いくべ!」

 

「徐倫くん!お誕生日…」

 

(おめでとう!)

 

と、6人は一斉に、徐倫に対して、パイを投げた。

 

「アタシ、生クリームまみれだわ…でも、舐めたら、

本当に甘いわ…やれやれだわ…」

 

こうして、徐倫の誕生日は、終わりを迎えた!



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特別編 徐倫達の卒業

希望ヶ峰学園の卒業まで、後、3週間になろうとしていた。

 

徐倫は進路で、非常に悩んでいるのだった。

 

「アタシ…結局、どーしたら、いいのかしら?」

 

「徐倫くん!お悩みのようだね!」

 

「徐倫、俺たち、ダチだろ?

困っていたら、相談に乗るぜ?

俺らで、よければな!」

 

「そうだ!徐倫くんは、決して一人じゃない!

僕たちがいるぞ!」

 

「ありがとう。大和田、石丸。助かるわ」

 

「それで、何に悩んでいるんだ?」

 

「進路よ。ほら、アタシ達、

後、3週間くらいしたら、卒業じゃん?

大和田は大工、石丸は市議会議員。

でも、アタシは考えていなかったわ…」

 

「徐倫くんは、何かやりたいことは無いのか?」

 

「そうね…」

 

と、徐倫は、しばらく、考えるのだった。

 

「アタシ…やっぱり、考えても、

わからないわ…」

 

「徐倫くん…」

 

「じゃあ、俺たちも一緒に考えてやるぜ!」

 

「ありがとう。石丸、大和田」

 

三人は、しばらく、悩みこむのだった。

 

 

「アタシ…決めたわ。石丸と付き合うわ」

 

「それって…」

 

「アンタのような、セージツそうな奴だったら、

父さんも、認めてくれそうだわ。

それに、アタシは、そんなに、詳しくないけど、

市議会議員、石丸だったら、なれそうだわ」

 

「僕と結婚してくれるのか!?」

 

「まだ、決まった訳じゃないわ。

それに、結婚なんて、まだ早いわ」

 

「そ、それもそうだな…」

 

「徐倫も、卒業して、数カ月たったら、

二十歳だぞ?」

 

「それも、そうね…大和田や石丸より、

アタシは、一個上だったわ」

 

「徐倫くん、僕を支えてくれるのか?」

 

「えぇ、アンタのような奴、

嫌いじゃないし、気にいったわ」

 

「本当か!僕も…その…前から、徐倫くんのことが好きだった…

だから!受け取ってくれ!好きです!

好きです、ビーム!」

 

「兄弟!?」

 

「十分な愛を受け取ったと感じたわ」

 

「そうか!」

 

「そんじゃ、決まったことだし、

卒業旅行でも行くか!」

 

「僕は徐倫くんのご両親に、挨拶しに行きたい!」

 

「父さんは…忙しいから会えないけど、

ママなら、アメリカにいるから、

アメリカに来たら、会えるかもね?」

 

「徐倫くんは、アメリカから、やって来たんだった!」

 

「来日後に、騒ぎを起こして、

俺と同じ鑑別所に、ぶち込まれて、

そんで、俺が超高校級の暴走族、

徐倫が超高校級の幸運として、入学したんだな」

 

「そうね」

 

「卒業旅行、僕はアメリカに行って、

徐倫くんのお母様に、ご挨拶がしたい!」

 

「ちょっと、卒業旅行とアタシのママの挨拶、

混ざってない?」

 

「観光も兼ねてだ!」

 

「やれやれだわ…」

 

こうして、徐倫達は希望ヶ峰学園を卒業するのだった…



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