禁止カード使いまくる子も大好きです。 (疋倉ヨバラ)
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設定という自己満晒し
※以下、禁止カードの名前が記述されます。過去にそれらを見て気分が悪くなった、または体調不良を覚えた場合は辰火ちゃんに免じて許してあげて下さい。
星-7/アホの子属性/寝るときパジャマ着る族
ATK 2500 / DEF 0
一応主人公。
デュエルアカデミア大学部総合学科。
苦手なものは辛いもの。
言動ひとつひとつにアホが滲み出る生粋のアホ、というか全体的に子供っぽい。
一応これにも理由はあるが、考えるのめんどいしょーもない理由なので本作では割愛!
全体的に辰火好き好きbotで、好きあらば愛を叫んでいる。
ひとつのデッキを極めるのが基本のこの世界において、珍しい複数のデッキを所有している人物でもある。
まぁ実際のところ、カードの方から寄ってくるせいでデッキを組まなきゃという焦燥感に駆られた結果とも言える。
禁止カードを大量に使う辰火ちゃんに毎度ボコボコのボコにされてるせいかデュエルの腕はかなり立つ、しかし負ける。
そして、彼を主人公たらしてめているのが何を隠そう髪型。
カブトガニをギザギザさせたものが乗っかってるイメージをしてくれれば、だいたいそんな感じ。
使用デッキ
・時械神
・メタファイズ
・真竜皇
…随時更新!!
星13/我らが女神属性/強欲な生還の天使族
ATK いちおく / DEF いちおく
一応ヒロインにして我らが女神様。
デュエルアカデミア大学部ビートダウン学科。
好きなものは辛いもの。
斜光を反射して七色に輝く銀色の髪、その髪はひとつとして同じ光を放たぬ神が作りたもうたこの世の神秘。
双彩に煌めくエメラルドとサファイアの瞳、その瞳の美しさに色は喜び光は涙し宝石すら息を飲む。
そして、その美神もかくやという髪と瞳に黄金のごとき命を吹き込む完璧の権化とも言うべき御尊顔。
(本編第2話より ユウ談)
そんなこんなで、兄はシスコンに目覚め、ユウは好きに狂い、その他アカデミア内外問わず非常に人気がある。
普段は身内以外とデュエルを全くしないミステリアス醸し出してる月下美人なのだが、その実態は新旧問わず禁止カードとつよつよカードをデッキにぶち込むヤベーやつ。
先行ではとんでも制圧で、後攻では殺意ばかりが満ち満ちるワンキルでヌッコロしてくれるぞ!!
使用デッキ
・光天使十二獣タイネプホープゼアルドラグーン
デッキレシピ (2020年12月現在)
・モンスター
十二獣モルモラット×3(制限)
十二獣ラム×2
十二獣ヴァイパー×2
十二獣サラブレード×1
十二獣ラビーナ×1
The tyrant NEPTUNE×1(禁止)
光天使スローネ×2
光天使セプター×1
ブラック・マジシャン×1
真紅眼の黒竜×1
灰流うらら×2
増殖するG×1
ディメンション・アトラクター×1
・魔法
強欲な壺×3(禁止)
天使の施し×3(禁止)
十二獣の会局×3(制限)
次元融合×2(禁止)
ソウルチャージ×2(禁止)
墓穴の指名者×3(準制限)
いたずら好きな双子小悪魔×1(禁止)
簡易融合×1(制限)
真紅眼融合×1
RUM−アストラル・フォース×1
・罠
無限泡影×1
・エクストラデッキ
十二獣ブルホーン×2(禁止)
十二獣タイグリス×1
十二獣ドランシア×1(制限)
十二獣ハマーコング×1
十二獣ライカ×1
十二獣ワイルドボウ×1
FNo.0 未来皇ホープ×1
FNo.0 未来竜皇ホープ×1
No.39 希望皇ホープ×1
SNo.0 ホープ・ゼアル×1(禁止)
No.16 色の支配者ショック・ルーラー×1(禁止)
捕食植物ヴェルテ・アナコンダ×1(制限)
超魔導竜騎士ドラグーン・オブ・レッドアイズ×1(禁止)
LL−インディペンデント・ナイチンゲール×1
誤字脱字やらなにやらあったら言って欲しい。
あと、リクエストだったり、辰火ちゃんのデッキレシピについてコメントあればじゃんじゃん言ってほしいのだよ。
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神をも恐れぬ人の子……や、君たちは自重してくれ
今回のヒントは『0-00-000』!
我ながら分かりにくいヒントだぜ!
時は1999年、世界は混沌が渦巻く絶望の
「違う」
ライディングデュエル、それはスピードの世界で進化した決闘……そこに命を懸ける伝説の痣を持つ者たちを……
「呼びません。つか、あってるけど違う。」
……今は昔、竹取の翁といふものありけり。
野山に混じりて竹を取りつつ……
「だれがかぐや姫やれっつった。いい加減真面目にやらんかいコラ」
(´・ω・`)仕方ないなぁ……
時は21世紀、政治はおろか交渉、コミュニケーション、善悪、喧嘩……などなど、ありとあらゆる物事がデュエルで決まる時代。
世間ではサツにデュエルで勝てば見逃して貰えることは当たり前だったり、デュエルで世界が真っ四つになったりとなんやかんや色々とあるものの、最早生活の一部として完全に溶け込んでいるトンデモ化け物コンテンツ デュエルモンスターズ。
そしてそこに命を懸ける伝説の痣を持つ者たちを……
「いい加減しつこい。ただただシンプルに殴るぞ」
怖い怖い。
あ、怖いついでにこんにちは、わたくし
そしてこっちのさっきから物騒なこと口走ってるどう足掻いても主人公になれない性格
「だれが主人公になれないって?」
「突っ込むとこソコ?」
ともあれこんな2人が送る自らの世界を懸けた全面戦争や破滅の未来を変えるための戦いとかはしない、クッソ緩い感じでデュエルしていく物語であるッ!!
さてさて辰火ちゃんよ、早速だが質問よろしい?
なして我開始1分ちょいで我々はサツに囲まれているのでしょう?
なんか悪いことしたっけ?
「自分の胸の内に問いかけろアホ」
なるほど、もしも~しもう1人のボク~?
ボク1『なんの心当たりもない』
ボク2『アレじゃね?あのエセ不良みたいな奴らの』
ボク3『あ~あの、辰火ちゃん取っ捕まえようとしたけどボッコボコにされてその腹いせとして「やーいお前の彼女ゴ~リ~ラ~」って煽ってきたけど結局それがご本人近くにいる時だったからもう一回フルボッコにされて今度は2週間くらい辰火ちゃんの舎弟になるとか言い出したはいいけど何する訳でもなくただただ多方面に喧嘩売りまくった挙げ句実際たいして強くもないから恨み節だけ残して逃げた』
ボク3『あのエセ不良?』
えぇい長いぞボク3!そんな説明口調でどんなことがあったか読者に懇切丁寧伝える必要なかっただろ!
お陰で思い出したけど!ありがとう!
「君たちがセキュリティに攻撃宣言をした犯人だというのはわかっている!大人しく同行してもらおうか!」
……どーする辰火ちゃん?
「……やってから話すか。今じゃ話しても信じて貰えないし」
賛成!
という訳でだ!セキュリティの皆様、我々はその犯行声明に関して無関係の清廉潔白だということを主張すべくデュエルを申し込みます対戦宜しくお願いいたします!!
あ、申し遅れましたワタクシ小鳥遊ユウと申します以後お見知り置きを!
受けとれぇい!⊂( ^ω^) Ξ名刺
「あ、あぁ……(なんかもう関わるのメンドクセェ)」
「「デュエル!!!!」」
セキュリティ LP8000
VS
小鳥遊ユウ LP8000
「まず私のターンだ。『ゲート・ブロッカー』を守備表示で召喚する。カードを3枚セットしターンエンド!」
ゲート・ブロッカー
星4/地属性/岩石族 ATK 100/DEF 2000
い つ も の。
毎度のことだけどセキュリティってゲート・ブロッカー好きだよね、守るにしたってもうちょいマシなのあるだろうに……
デッキは支給されたお粗末なデッキらしいのだが、それでいいのか治安維持。
ともあれデュエル再開。
「オレのターン、ドロー!」
「(1枚は攻撃するモンスターを除外する『次元幽閉』、相手モンスターのコントロールを奪う『大捕り物』、そしてお互いの魔法カードを全て無効にする『王宮の勅命』、モンスターには恵まれはしなかったがこれならば!)」
うわぁ、なんか伏せカード見てすっげえニヤニヤしてるよあの人……
あそこまで分かりやすいと寧ろ疑っちゃうだろ!やめろよな極めて純粋無垢な子供は騙されそうになっちゃうんだぞ!
ともあれ邪魔なのでアレ退かしますか。
「てってれ~『ハーピィの羽根帚』~」
「無駄だ!リバースカードオープン『王宮の勅命』!このカードがある限り、お互いの魔法カードの効果は全て無効となる」
「
「ナニ!?手札から罠だと!?」
「LPを半分払って手札から発動するよ、相手の罠カードの発動を無効にして再セットさせる。デッキから好きな罠を付せれるから安心して (暗黒微笑)」
まぁ伏せても羽根帚で破壊するんだけどさ。
はいそこ「なに二次創作の分際でガチカード使ってんの?」みたいな目をするんじゃない、特に辰火ちゃんはドン引くんじゃありません何回も見てるでしょうが。
というわけでお掃除完了、さてさて残るは手札なんだけども。
「バカな……だが、まだ私にはゲート・ブロッカーが残っている!このターンさえ凌げれば!」
お馬鹿なのかな?
こんなん手札誘発無いって言ってるようなもんじゃないすか、嬉しいから好き勝手しちゃう、子供だもの by たかなしゆう
「んじゃこれ。このモンスターは自分フィールドにモンスターが存在しない場合、リリースなしで召喚できる。かもん『時械神ミチオン』!」
時械神ミチオン
星10/炎属性/天使族 ATK 0/DEF 0
「レベル10のモンスターをリリースなしで召喚だと!?だがそのレベルも所詮はこけおどし、攻守0で何ができる!」
「こいつは破壊されず、自分への戦闘ダメージは0になる。そして、攻撃したバトルフェイズの終わりに相手のLPを半分にするのだ。あ、おまけで『光神化』で手札からもう1体出しとくね。そんじゃバトルじゃ、いけーい!」
セキュリティ
LP8000➡️LP4000➡️LP2000
「グウッ!!破壊もされずダメージも与えられんとは面倒な……しかし耐えたぞ!」
「とりあえずバトル終了だけど……大丈夫?」
ここでの「大丈夫?」とは、「別に実体を持っていたりだとかしてないはずなのに胸元なんて押さえて頭大丈夫?」の意だ。
熱を感じたり衝撃とかは来たりもするけど、胸元押さえる要素どこにもなかったよね?ミチオンの攻撃方法って炎を飛ばすやつだよね?
しかし悲しきかな、心の内を抑えておくことの出来ない私はここまでのことを全部声に出していたのでした!
ゴメンね テヘッ(>ω<)ゞ⌒☆
「貴ッ様ァアアァアアアアアア!!!今泣かしてやるから待ってろ!私のタ━━━」
「ちょい待ち、その前に我は時械神ミチオン2体でおーばーれー、エクシーズ召喚。『
超弩級砲塔列車グスタフ・マックス
ランク10/地属性/機械族 ATK 3000/DEF 3000
「今さらの攻撃力3000のモンスターを出して何になる!もうバトルは終わっているぞ!とっととターンを渡せ!!」
「慌てない慌てない、グスタフ・マックスの効果。オーバーレイ・ユニットを1つ使って、1ターンに1度、2000ダメージを与える」
「……え?」
「え?」
「…………え?」
は~い辰火ちゃんに問題ででん!
2000-2000はなーんだ?
答えはCMの後d…びゃあ我慢できねぇ!そうだね0だね!
「聞いたならせめて待てよ……」
どうせ無言決め込むでしょうがあーた。
はいという訳でこれにて終わり、あなたに希望などないのです……安らかに眠りなさい(さっきまで頭大丈夫?とか言ってた奴のセリフ)
顔面砲、射出!
「ぐぁああああああああ!!」
セキュリティ
LP2000 ➡️ LP0
「たった1ターンで!ワンターンキルゥ……」
「あんなモンスター勝てるわけねぇ!俺は逃げるぞ!」
「俺も逃げさせてもらいます!悪く思わんでください!」
あららら、みーんな逃げちゃった。
ご丁寧に両手を上げてドタバタと、そりゃあもう天晴れという他にない、素晴らしいほどに分かりやすい逃走。
思わず拍手をしてしまうほど。
さて、追っ払いやしたぜ辰火ちゃん、ご褒美ちょうだい。
具体的には夜のデュエルでグボァ!!!
「ぶん殴ったぞ」
「『ぶん殴る』と心の中で思ったなら、その時スデに行動は終わってる辰火ちゃんであった……そんな辰火ちゃんも好きです!愛してる!フォーリンラブ!」
「なら私とデュエルで勝てば……いいよ?」
ッシャア!言質録ったど~!!
ソォイ!( ^ω^)⊃ Ξ録音テープ |壁
うわぁーい!いまの一瞬で録音テープぶっ壊されたけど。悲しみ。
あぁ……辰火ちゃんの生声収録言質テープが……ひどい、この子もう内定決まってたのに、俺の子守唄として。
しかし、最早そんなもの必要ない!今日ここでデュエルに勝てば良い、それだけのことよ!(フラグ)
それでは……
「デュエル」
「デュエッ!!」
~20分後~
「なん……だと……?」
ボロ負け……神を操る、この私が……?
いや、今回は時械神は使ってないけど。
諸事情により同じデッキを2回連続では使えないので、今回のデュエルでは【メタファイズ】を使ったんだが……
くそぅ!くそぅ!
ズルいぞ辰火ちゃん!いくらなんでもそれはダメだって!そのデッキじゃ無理だって!
なに?「格上だろうがその上で勝ってみせる者こそ真のデュエリスト」?「運命のドローが出来ないお前が悪い」?うるせぇ!じゃあジャンケンでチョキがグーに勝てるかってんだよ!(暴論)
え……部分的に勝てる?やー私グラップラーじゃなくてグダップラーだからちょっと……
「ねぇユウ……」
「ん?」
「デュエルって、楽しいね!!」
笑顔……毎日ダレてる辰火ちゃんの、まるで灯火のように暗闇を照らすかのごとき眩しい笑顔。
長年も一緒にいるのに未だドキッとするのは、その笑顔が本当に綺麗だからだと思う。
そんな笑顔で、そんな真っ直ぐな言葉……普段の辰火ちゃんなら絶対にしない。俺だけが知っている辰火ちゃんの一面。
「辰火ちゃん……」
「じゃあまず禁止カードぶっこむのやめようか!!?」
そう、彼女こと辰火ちゃんはとっても可愛い。
……禁止カードを使うこと以外は。
~回想~
「『天使の施し』3枚ドローして2枚捨てる」
「『いたずら好きな双子悪魔』1000払ってランダムに1枚、お前が1枚、それぞれ選んで捨てさせる」
「『十二獣の会局』から会局を破壊してデッキから『十二獣モルモラット』。モルモラットに重ねて
「ちょいちょいちょい待て待て待て!!」
「ん?」
あ、首傾げる動作も可愛い……じゃなくて!
突っ込みどころが多すぎる!
どこから突っ込みゃいいんだよこれ!俺は喉から。
あー……うん、最適な言葉あったわ。
今の辰火ちゃんにぴったりなセリフが。
「辰火ちゃん……
リミット・レギュレーションって知ってる?」
前書きのヒントの元ネタは『ターミナル クリフォート』って検索してね。説明するとめちゃくちゃ長いから丸投げしとくスタイル。
第1話から後攻ワンキルはよく見るけど、第1話からアニメのラスボスカード使ってくるやつはいなかっただろ!いたらごめんなさい、知らなかったんです、と供述。
主人公くんに使って欲しいテーマとかあったらコメントしてくれてもいいのだよ?
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小鳥遊ユウのユウは『匹夫の勇』のゆうなんですって
なんせ展開系のガチデッキの出演だからな!
設定的にこれが最適だったのだ、赦せ。
※辰火ちゃんの今回の禁止カードは、皆さんにトラウマを植え付けたモノの可能性があります。
万が一吐き気や体調に異常が出た場合、可愛い辰火ちゃんに免じて許してあげて下さい。
「……あ"~~……」
目元に朝を感じ、俺は起きる。
目元に差し込む朝日で起きる朝は、なかなか気分が悪うございます。
しかしベッドは床に固定されていて動かすことができず、毎朝不本意な朝日の抱擁によって起床させられるのだ。
北枕は落ち着かないので、早いとこ遮光カーテンが欲しいものである。
残念なことに今日も晴れのようなので、二度寝は諦めて体を起こす。
「嗚呼、忌わしや。我ら
「朝からなに呪詛ってんの」
「今の内に闇堕ちフラグ立てとこうかなと」
その時、脳裏にあるヴィジョンが浮かんだ。
これは……ヒトデ?
それにクラゲとエビと、トマト?
あ、隅っこのほうで仲間外れにされたカニが泣いてる、可哀想に。
して、なんじゃこりゃ?
「そんなことより朝ご飯を食え。ほら」
「おぉこれは……!」
焦げ1つない美しい仕上がり、形も申し分なし、人によっては正に垂涎ものとも言える逸品!
それは素晴らしいまでの……
……素晴らしいまでの……
「菓子パン」
そこには『新風味!期間限定レッド・デーモンズ・ドラゴン味』とのキャッチフレーズと共に赤黒く染め上げられたパンがあった。
分かってた……分かっていたさ……
でも、やっぱつれぇわ……
「食べないなら食べさせてあげる。ほら、あーん」
ナニ!辰火ちゃんから、あーんをしてくれるだと!
これは!これは!食うしかねぇ!たとえカミソリが入っていようと何らかの工程でエッジインプ・シザーが混入していたとしてもだ!
据え膳食わぬは男の恥!いざいざ!
「あー……ん。ありがたや、ありがたや辰火ちゃん!!?」
反射的に咀嚼が止まる。
本来なら辰火ちゃんからあーんしてくれたものを咀嚼しないなど、あってはならないことなのだが……だが!!
これだけは例外だ、辰火ちゃんのあーん補正を振り切っている。
俺の辰火ちゃん愛をも越えるもの、それは……
「『辛さで口からバーニングソウル、天地創造の叫びを上げよ!!』だってさ、よかったね♪」
「無理無理無理無理無理無理!!死ぬ!水!水!水!」
たとえ辰火ちゃんからのあーんであろうと、辛いものだけは死ぬほど苦手なのです。
どれくらい苦手かというと、コンビニのピリ辛チキンを汗だくになりながら食べることになる程に。
そして世界とはそう上手くはできていないようで、事の発端となった辰火ちゃんは辛いもの大好きな人である。
「……そ、んな辰火ちゃんも……好きだ……カフッ」
「あ、死んだ」
なんだ口からバーニングソウルって、口なのか魂なのか場所をはっきりして欲しいものだ。
つーか辰火ちゃんはなんでこんな劇物を所持していたのか、俺への嫌がらせのためだろうなぁ(確信)
知ってるから、あえて寝起きにやりおったな?
当の辰火ちゃんはいい笑顔、くそぅ可愛いじゃないか。
「今日は朝から出かけるって言ってたけど、準備しなくていいの?」グイグイ
「……準備しますから、その劇物押し付けんのヤメテ」
そう、今日は朝からある人に呼び出されているのだ。
自分は遅れてくるクセに人の遅刻は許さん人なので、できれば余裕を持って出たいと思ってたんですがねぇ!
いろいろと遅刻の言い訳を考えながら、可能な限り手早く支度をする。
サボるのはダメだ、何故ってサボりたいアピールしたらすぐ隣で辰火ちゃんがさっきのパン持ちながら凄んできたからですよ、分かったからそれ下ろして。
「んじゃ、そろそろ行ってくるね」
「ん、行ってら」
さて、Dホイールを走らせ向かった先は、ビルの多いこの街の中でも特に頭一つ抜けた無駄にでかいビル。
聞いた話によれば、400mくらいあるらしいのだが、法律とかもろもろ大丈夫なんだろうか?
「小鳥遊ユウ様、お待ちしておりました。此方へどうぞ」
「ういうい、ありがと」
そして通された所は向かいの壁一面がガラス張りになっている部屋。
この部屋からは街が一望できるらしい。
仕事するには落ち着かなそうだなーとか思ってると、社長椅子をクルッと回し、あっちから話しを切り出してくれるような雰囲気を出した。
「久しぶりだな……ユウ」
「あぁ……一年ぶりくらいか、
……ここは、城戸グループ本社。
城戸グループとは、カードの製造をしている
そして、ここにいるのが、我らが辰火ちゃんの実兄こと
城戸グループ本社代表取締役 城戸乾その人である。
「お前たちは下がってろ。1対1で話しがしたい」
「「はっ!」」
ボディーガードも下げさせ、少しばかりの静寂が部屋を包む。
とりあえずソファーに腰掛け、言葉を待つ。
「さて……」
「……」
「いやホントひっさしぶりだなぁ!ユウ!この一年間どうだった!?」
「どうもこうもありませんよ乾さん!相変わらず辰火ちゃんが連れなくて!」
「でも?」
「「そこがいい!」」
城戸グループ本社代表取締役の真の姿、それはシスコンだった。
シスコンと言っても『妹とは俺が結婚する!』的なのではない。
この人のシスコンのベクトルはだいぶ変わっていて、可愛い(ここ重要)妹が自分の袂から離れて幸せになることに快感を覚えるというある種の変態じみたシスコンである。
……本当の本当にどういうことなの?
妹の幸せで嬉しさの絶頂ならまだ分かるけど、妹の幸せに快感覚えるってまるで意味がわからんぞ!
「いいねいいね!このまま義弟になっちゃいなよYou!」
「お義兄さんってか、HAHAHA!」
「「HAHAHAHA!!」」
「……何やってんの?」
斜光を反射して七色に輝く銀色の髪、その髪はひとつとして同じ光を放たぬ神が作りたもうたこの世の神秘。
双彩に煌めくエメラルドとサファイアの瞳、その瞳の美しさに色は喜び光は涙し宝石すら息を飲む。
そして、その美神もかくやという髪と瞳に黄金のごとき命を吹き込む完璧の権化とも言うべき御尊顔。
うむ、間違いなく辰火ちゃんだ。
「ただいま辰火、元気にシてた?」
「殺す」スチャ……
「良かろう!俺が勝ったらユウと夜のデュエルね!」
「あ、そのノリこないだもやったんで」
「うそん」
「「デュエル!!」」
辰火 8000LP
VS
乾 8000LP
「僕のターン!まずは『強欲で貪欲な壺』!デッキの上から10枚を裏側表示で除外することで、デッキから2枚ドロー!そして『闇の誘惑』を発動!さらに2枚ドローし、『オルフェゴール・カノーネ』を除外する!」
乾さんが使うデッキは【オルフェゴール】、展開力のある強力なデッキだ。
先攻を取られた上、辰火ちゃんお得意のハンデス禁止カードがあまり痛手にならないデッキ、辰火ちゃんには少し厳しい対面になったが果たして。
あとどうでもいいけど、乾さんがオルフェゴールデッキを使ってるのに若干世界の意思的なのを感じる。
具体的には作者のお遊びみたいな。
「僕は手札の『オルフェゴール・トロイメア』を捨てて『ダーク・グレファー』を特殊召喚!」
ダーク・グレファー
星4/闇属性/戦士族
ATK 1700 / DEF 1600
「そのデッキの対抗策は既にしてる!手札から『ディメンション・アトラクター』を墓地に送って効果発動、次のエンドフェイズまで墓地に行くカードは全て除外される!これで……」
「させないよ辰火!速攻魔法『墓穴の指名者』!相手の墓地のモンスター1体を選択して除外し、そのカードの効果を次のターンまで無効にする!」
……初っぱなから火花が見えるような激しい攻防だ。
ともあれまず戦局を掴んだのは乾さん、禁止カードという
「ダーク・グレファーの効果発動!手札の『オルフェゴール・カノーネ』を捨て、デッキから『オルフェゴール・スケルツォン』を墓地へ送る。そしてオルフェゴール・カノーネは、墓地から除外することで、手札のオルフェゴールモンスターを特殊召喚できる。こい!『
星4/闇属性/機械族
ATK 1800 / DEF 0
「ギルスの効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから機械族・闇属性のモンスターを墓地に送る!」
「手札の『灰流うらら』の効果発動、手札のこのカードを捨てることでその効果を無効にする」
「まだまだぁ!『オルフェゴール・トロイメア』の効果発動!墓地のこのカードを除外し、デッキから『オルフェゴール・ディヴェル』を墓地に送り、ギルスの攻撃力をディヴェルのレベル×100ポイントアップさせる!そして手札から『終末の騎士』を召喚!召喚時、デッキから闇属性モンスターを墓地へ送る。『
……いよいよ来るぞ、乾さんのデッキが送る超ハイスピードデュエルが。
「現れろ!星鍵の力秘めし悲しき歌姫!LINK-2!『オルフェゴール・ガラテア』!!」
オルフェゴール・ガラテア
LINK-2/闇属性/機械族
ATK 1800
「墓地のディヴェルの効果!墓地から除外し、デッキからオルフェゴール・カノーネを特殊召喚する!そして、ガラテアのモンスター効果発動!除外されているディヴェルをデッキに戻す。その後、デッキからオルフェゴールと名のつく魔法・罠カードを1枚セットできる。僕は『オルフェゴール・バベル』をセット!」
「僕はガラテア1体でオーバーレイ!1体のオルフェゴールリンクモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!
天穿つ遥か高き塔……悲曲奏でし楽団と交わりて、黄泉と共に己が
宵星の機神ディンギルス
ランク8/闇属性/機械族
ATK 2600 / DEF 2100
「なっ!リンクモンスター1体だけでエクシーズ召喚だと!?」
「……いっつもそれ言ってる」
やー、こういう新鮮な反応っていうの?こーゆーのも必要かなーって。
実際、乾さんめっちゃ得意げだもん、なんかもう満足げだもん。
ほらほら辰火ちゃん、集中集中、まだまだ来るよ。
「分かってる」
「僕はディンギルスの効果発動!特殊召喚に成功した時、除外されている機械族モンスターである星遺物ー星杖を自身のオーバーレイ・ユニットとする。だが……」
「……何をするつもり?」
「僕は終末の騎士、そして
「ナニ!?」
ナニィ!?
折角出したディンギルスをリンク素材にするだとぉ!?
乾さん何を考えているのだ……?
俺たちが驚いていることに疑問を感じるかもしれないが、乾さんとは何かと忙しかったり都合が悪かったりで二人ともあまりデュエルをしたことがない。
付け加えるなら、乾さんがこの【オルフェゴール】デッキを使い初めてたのはつい最近なので、経験があまりないのだ。
にしても……会社のトップとも言える乾さんがこんな意味の無いことをするとは思えない……何か裏があるはず。
まぁ?ぶっちゃけて言うとあそこまで大見得切ってるから何かあるってバレバレなんだけどさ。
「こい!LINK-2!『I:Pマスカレーナ』!」
I:Pマスカレーナ
LINK-2/闇属性/サイバース族
ATK 800
「更にレベル1『オルフェゴール・カノーネ』にレベル7『オルフェゴール・トロイメア』をチューニング!シンクロ召喚!レベル8『ヴァレルロード・
ヴァレルロード・S・ドラゴン
レベル8/闇属性/ドラゴン族
ATK 3000 ➡️ 3900 / DEF 2500
「僕はセットしていたオルフェゴール・バベルを発動し、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
乾さんのフィールドはI:Pマスカレーナとヴァレルカウンターの2つ乗ったヴァレルロード・S・ドラゴンの2体、そしてフィールド魔法『オルフェゴール・バベル』とセットカードが1枚。
先攻1ターン目、しかし何度も辰火ちゃんからの妨害を受けつつも手札を全て使いきった長い長い1ターン。
フィールドのモンスターこそ2体だが、あのオルフェゴール・バベルというフィールドも気になる。
どう出る辰火ちゃん……?
「ん?終わった?」
「うん、辰火のターンだ」
「ん、ドロー」
「『強欲な壺』で2枚ドロー。『強欲な壺』で2枚ドロー。『強欲な壺』で2枚ドロー」
うわぁ……(ドン引き)
初手から強欲な壺三連打ですかい辰火さぁん……しかもドローしたカード確認してなかったから最初から3枚あったぞありゃ。
実質初期手札9枚のデッキ28枚スタートって、マ?
「私のフィールドにカードが無いことで、手札から罠カード『
「くっ……仕方がない、ヴァレルカウンターを使い、その罠は無効だ」
「永続魔法『十二獣の会局』を発動。さらにその効果を発動し、デッキから『十二獣モルモラット』。モルモラットに重ねてX召喚、出でよ『十二獣ワイルドボウ』」
「カウンター罠オープン!『神の宣告』!ライフを半分払い、その特殊召喚を無効にする!」
乾 8000LP ➡️ 4000LP
「手札から『
「なんとしても、流れは渡さない!墓地の『オルフェゴール・スケルツォン』の効果発動!墓地のオルフェゴールを特殊召喚する!
「……その効果、相手ターンに発動できたっけ?」
「いいや、こいつらのテキストにはそんな事は書かれていない。だが!『オルフェゴール・バベル』が存在することで、オルフェゴールモンスターの効果は相手ターンでも発動を可能にする!」
「……!そういうことか!」
なぜ乾さんが、わざわざディンギルスを素材にしたのか。
ディンギルスの効果は、除外されているカードをオーバーレイ・ユニットとする他に、もう1つあった。
それは、特殊召喚に成功した時、相手モンスター1体を墓地へ送る効果だったはず。
そう、勘のいいデュエリスト諸君なら察しがついただろう。
X召喚、ではなく、特殊召喚なのだ。
この一言の違いにより、ディンギルスは墓地からの蘇生でも効果を使用できる。
……乾さん、ここまで考えてあえてディンギルスをリンク素材にしたのか。
「そのー……えー……ディンギルスって言ったっけ?それを対象に速攻魔法『墓穴の指名者』」
「あっ……」
「チェーン処理により後の奴から順番に処理していく。ディンギルスは除外され、スケルツォンの効果は対象を失い不発。スローネの効果で手札から特殊召喚し、1枚ドロー、セプターの効果でデッキから光天使を手札に加える。もう1枚のセプターを手札に。そして手札に加えた、セプターの効果発動。光天使の特殊召喚により、手札から自身を特殊召喚と1枚ドロー」
辰火ちゃんのデッキでここから出てくるのは……あいつか、あいつだな。
だがしかし……。
「私はセプターとスローネをリンクマーカーにセット!」
「何故だ!何故X召喚をしない!?セプターの効果は、このカードを素材にX召喚をしたモンスターに、フィールドのカードを破壊し1枚ドローする効果を与えるはず!」
「いや、エクシーズよりリンクの方が今は良いからだよ……それに、破壊されると少し都合が悪い」
「それはどういう……」
「いまから見せるから黙って。LINK-2『
辰火 8000LP ➡️ 6000LP
「そして『融合』か『フュージョン』と名のつく通常魔法または速攻魔法をデッキから墓地へ送り、その効果を使用する。ただし、それ以降の特殊召喚はできなくなる」
「おい……まさかとは思うが……」
「『
超魔導竜騎士ドラグーン・オブ・レッドアイズ
星8/闇属性/魔法使い族
ATK 3000 / DEF 2500
うわぁ……(本日二度目)
これたしか、最近禁止されたヤベーカードじゃん。
ヤベーってことしか知らんが、とにかくヤベー。
とまぁ語彙力を失った人、どうも小鳥遊です(唐突な自己紹介)
「うへぇ……やっぱりそれぇ……」
乾さんが分かりやすく嫌な顔してる。
以前に聞いた話曰く、飲み会の席でノリと勢いでOKしてしまったが、目が覚めた後に海馬コーポレーションやI3社からこっぴどく言われた忌まわしいカードでもあるそう。
自業自得とは言わないお約束。
「ドラグーン・オブ・レッドアイズの効果、相手モンスター1体を選んで破壊し、その元々の攻撃力分のダメージを与える」
「そして……?」
「この効果は、1ターンの内に融合素材にした通常モンスターの数だけ発動できる」
「ブラック・マジシャンと真紅眼の黒龍は両方通常モンスター、よって2回効果を使える」
乾 4000LP ➡️ 3200LP ➡️ 200LP
「「ドラグーン・オブ・レッドアイズでプレイヤーにダイレクトアタック!『
乾 200LP ➡️ -2800LP
「あ、おまけ。セプターでもダイレクトアタック」
「え」
乾 -2800LP ➡️ -4600LP
ひでぇ……
辰火ちゃん、まじぱねぇッス、マジリスペクトッス、一生ついていくッス。
なお辰火ちゃんの心にリスペクトなどありはしない模様。
私は勝利をリスペクトする……!とか言い出しそう。
そして後から黒歴史になってベッドの上でゴロゴロ悶える様を想像するとめっちゃ可愛い。
なにこの可愛い生き物。
「そういや、どして辰火ちゃんはここに来たの?ここ来るって言ったっけ?」
「机の上にこれ見よがしに手紙おいてあった」
「あらら……」
あら?
でも仮に見たとしてなんで来たのかという理由になってないのでは?
「……新しいサンドバッグが欲しくて」プイッ
FUUUUUUUUUU!!!!!!!!
辰火ちゃんの赤面顔プイデレ頂きましたぁ!!!
ありがとう父様母様……俺、生きててよかった、人で本当によかった……
誰が言ったか考える葦!誰が言ったか可能性の獣!
我遂に、此処に貴みを見出だしたり。
感情という概念があることに今!御海が如き深き感謝の意を示そう!星を貫くが如き遥かなる親愛の意を示そう!
嗚呼、Number.39とはまさにこのこと、希望を越えその向こう側へ到達するは
かっとビングだ!!俺ええええぶしっ!!
あぁ、おてんと様……いま、そちらへ……(冒頭でのやり取りを思い出しながら)
結局、辰火ちゃんにガラスの灰皿で殴られ気絶し、ボディーガードの人に辰火ちゃんともども送って貰ったらしく、目が覚めたら見知った天井だった。
いやよく死ななかったな、俺。
危うくちょっとした自慢の髪が
にしても……
「はぁ……好き」
今日も辰火ちゃんは可愛いのだった。
ユウくんは実力とか性格はともかく、髪形は遊戯王主人公してます。
ギザギザしたカブトガニをイメージしていただければ、だいたいそんな感じの髪形です。
オルフェゴールは展開をしらないのだ……「違いぞヴォケヴォケ」ってところがあったらすまぬ。
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唐突だが、カセキホリダーで恐竜の名前を覚えた人
ヒントは……「獣」!
(あ、十二は今回ほとんど関係)ないです。
それはそうと、今までの話は全部2ターンで終わってるので、流石にもう少しターンを跨ぎます。
後攻ワンキルしかしてねぇな、こいつら?
更新が遅れたのは、一回書いてたけど、新しい制限改訂でユウくんが禁止カード使う子になっちゃったので書き直してたからです。
ゆえにユウくんの『ヘルテントーチ』デッキは虚無空間へと除外されました。
時はお昼時。
場所はデュエルアカデミアのデュエルドーム。
吹き抜けとなっている天井からは、南天よりやや傾いた日光がドーム中央にあるステージをいっそう明るく照らしている。
ぐるっと360゜囲むように配置された観客席には、多くの教師、そして生徒たちが席を埋め尽くしていた。
その内、南側に座っている数人の生徒は対局にいる選手を、下卑た表情を浮かべて眺めていた。
その視線の先にいる人物、こと我らが小鳥遊ユウはというと……
やべーよ……先生たちめっちゃ見てるよ。
あれ校長先生じゃなかったっけ?その2つ隣の人はたしか生徒会長だよね?
なんでわざわざ見に来るのさ、暇なのかな?
あー……
柄にもなく、緊張していた。
どのようにして、こんな状況になったのか。
これを説明すべく、時を遡る。
具体的には今朝まで。
━━今朝━━
小鳥遊ユウは学生である。
デュエルアカデミア大学部1年、総合学科。
冬季休暇が終わり、本日から新学期が始まる。
入学よりはや8ヶ月、なんとなく話し相手やグループはおおよそ固まり、講義やサークル活動なんかもだいぶ馴染んでくる頃。
「今日も太陽が忌まわしい……太陽浴びると砂になるぅ……」
今日も今日とて太陽への恨み節が止まらない。
朝は太陽みたいなのじゃなくて、辰火ちゃんに起こしてもらいたい、もっと言えばキスで。
「……午前講義だ……よっ……こらせ」
今日は辰火ちゃんも午前中から忙しいらしく、不在なのだ。
うぅ……寂しいよぅ、ひもじいよぅ。
まぁひもじいは嘘だけどさ、さすがに3食食えるくらいの収入はある。
そんなこんなでアカデミアに到着。
いつものことながら時間が早いからか人は少ない。
いるとすれば、ちょっと遠くから来てる早朝から出発するような苦労人か俺みたいな暇人だけだ。
昨夜はなんだかんだ忙しかったので早めに行動しておこうと思ったらこれだよ。
いやはや、人生はうまくいかねぇなぁ……思ったとおりになんねぇやなぁ……
それはそうと、なにやら声が聞こえてくる。
声は三人、どうやら誰かにデュエルを吹っ掛けにいくようだ。
「━━━━これで、こいつの効果でやってやれば」
「うおおおお!マジか!これむしろどうやって負けるんだよwwwww」
「流石あっちゃん!デュエルの天才だわ~ビートダウン学科はヤベーわ~wwwww」
「あんな総合野郎とは
「確かにwwwww」
……うーむ、なんだか盛り上がっているようでなによりなにより。
なんでぇ、てっきり『最高に高めた俺のデュエルタクティクスで、最強のデッキを作り出してやるぜ!!』みたいなご都合的な超展開期待してたのに、失望したぞ名も無き大学生たちよ。
仕方がないから私はそろそろ行くかね、脚痛ぇ座りたい。
「━━━これであの総合野郎を……
そんなこんなで講義の時間である。
偉人みたいな名前した人の口調移ってるけど気にしたら負けというやつなのである、慣れろ。
「なので、シンクロ召喚は他の召喚方法に比べリスクが大きく、安定性にかけると言われています。実際、世界大会でも……」
今はシンクロ召喚の講義中、内容はそこまで難しいこと言ってないんだけどなー、みんな目を閉じてもう一人の自分と対話してるなー(棒読み)
や、俺はいろんなデッキ使ってるから分かることも多いけど、ふつーにやってたらシンクロ召喚はたしかに複雑で難しいかも。
決してイキってないですごめんなさい調子乗りました許してください。
「ここで、不動性ソリティア論について━━」
「邪魔するぜ!」
「な、なんだ君たちは!講義中だぞ!」
教室の前の扉から堂々と現れたのは、今朝楽しそうなことしてたトリオであった。
学校にいたのに授業出なかったのかよ君たち。
んぅー?
気のせいかしら?やったらこっち見てくるんだけど……
「ホモ?」
「違えよ殺すぞコラァ!」
あら違う。
そんじゃなんか要かぇ?
「テメェが小鳥遊だな?」
「そうだよー、どしたの?」
「センセ、こいつ借りてくぜ!」
「え?」
「おら立て!ちょーっと俺たちと遊ぼうか?」
「え?あ、ちょ、待って」
あーお客様!困りますお客様!
引っ張るなよ破けちゃうだろうが!まだあと3年半残ってんだぞ!
あー!あー!
……講義、出席扱いになればいいなぁ……
「して、どしたのチミたち」
「バカには一言で言ってやろう、城戸辰火から手を引け」
「は?」
は?
……は?
あらやだ私ったら、一文字だけのセリフ多すぎ産業だわ。
して、どゆこっちゃ?
辰火ちゃんから手を引けって、急に言われてもねぇ。
「しらばっくれてんじゃねぇ!テメェが城戸辰火にちょっかい出してんのは分かってんだよ!」
「あー……たしかにちょっかいだわ、あれ」
端から見れば、なんなら思春期真っ盛りの中学生レベルのちょっかいだわな、あれ
うーむ、俺としては辰火ちゃんに素直な気持ちを伝えてるだけなのだが、なにがいけないのだ?
あれか?もう少し欲望を隠せとか、そういうお話し?
「あれは俺の女だ、テメェみてぇな落ちこぼれの総合野郎が手ぇ出していい女じゃねぇ」
「……それは辰火ちゃんが言った?」
「どっちでも同じだ」
ふむふむ。
つまりあれか?
『ボクも辰火ちゃん好きー!だけどいっつも近くにいる小鳥遊ユウが邪魔ー。辰火ちゃんもメーワクだろうし、せや!追い払ってボクが辰火ちゃんとくっ付くー!』
ってこと?
ふむふむふむ。
「やなこった!べー」
「この野郎……総合のバカどもはやっぱり、身体に教えるしかねぇよなぁ!?」
え、もしかして俺狙い!?
やっぱりホモじゃないすかヤダー!
「デュエルでケリ付けてやる。俺が勝てば、城戸辰火から手を引け」
「負けたら?」
「俺が総合なんかに負けるわけねぇだろ。今日の昼過ぎにデュエルドームだ」
━━昼━━
そして、現在に至る。
「逃げなかったことだけは誉めてやる」
「ねぇ、なして校長先生とかもいるの?そんな大がかりにする必要あった?」
「生徒は俺が呼んだ。だが先公は俺らじゃねぇ」
まぁ来ちゃったもんは仕方ない、切り替えてこー!
さーてさてさて、来週のサ○エさんは!もとい、今回のデッキはー……これだ!
「準備できたよー、そっちは?」
「……その生意気な口も今日までにしてやんよ!」
「「デュエル!!」」
ユウ 8000LP VS ビートダウン学科生 8000LP
「俺が先攻だ!俺は『
可変機獣ガンナードラゴン
星7/闇属性/機械族
ATK 2800➡️1400 / DEF 2000
「こいつはリリースなしで召喚できる、攻撃力は半分になるがな。俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
「俺のターン!ドロー!」
さてどうしよっか━━
「永続罠発動!『スキルドレイン』!ライフを1000払う代わりに、フィールドのモンスターの効果は全て無効となる!これにより、ガンナードラゴンの攻撃力は元の2800に戻る!!」
ビートダウン学科生 8000LP➡️7000LP
あー……そういう。
この手札だと……このターンで突破はできないねぇ。
こーゆー時は耐えるに限る。
「フィールド魔法『ドラゴニック
加えるのはいいんだけど、出せない。
上級メインのデッキはこれだから怖いのだ。
時械神?この場合じゃほとんど機能しなくなっちゃうでしょうが。
「カードを3枚伏せて、俺はターンエンド」
「ククク……おいおい、デッキの作り方を知らねぇってのはナシだぜ?」
「へーへー」
しっかしどうすっかな……防戦一方ってのもなんか納得がいかん。
スキルドレインとガンナードラゴンってのはいいと思うけど、完全に勝った気でいますねくぉれは。
腹立つから分からせてやるぅ!次のターンにな!
「俺のターン!ドロー!俺はもう1体ガンナードラゴンを召喚するぜ!スキルドレインにより、攻撃力も2800のままだ!さぁ……死ねぇ!総合のクズが!ガンナードラゴンで攻撃!」
「永続罠カード『真竜皇の復活』!墓地から真竜モンスターを特殊召喚する!『真竜凰マリアムネ』を墓地より特殊召喚!」
「関係ねぇ!ガンナードラゴンの方が攻撃力は上だ!ガンナードラゴンたちよ!行けぇ!」
「痛ぇ」
ユウ 8000LP➡️5200LP
痛ぇよ!バカだけど痛ぇんだよ!
心がよぉ……痛ぇんだよ、ジョン……
ジョーーーーン!!カムバーーーック!!
早めに早めに。
早めにウチに嫁に来て辰火ちゃん。
※ここまで全部声に出てます
「た、ターンエンド……なにこいつ(ドン引き)」
聞こえてるよこの野郎。
客席からもだいぶブーイングが飛び交っているが、この私はそーゆーの気にしない人だから!
……うん、気にしない、気にしない……うん……うん
えぇい!とりあえずデュエル進行じゃオラァ!
「俺のターン!ドロー!」
……よしよし、やっと動き出せるね。
見せてやろう!総合の落ちこぼれでも荒療治すれば嫌でも強くなれるということを!努力で人は結構強くなれるということを!!
「ドラゴニック
真竜皇バハルストス
星9/水属性/幻竜族
ATK 1800 / DEF 3000
「ナニッ!総合のクズがレベル9の、しかも守備力3000のモンスターを召喚しただと!!バカな!」
「……バハルストスは水属性のみを破壊して特殊召喚した場合、相手の魔法・罠カードを2枚まで選んで除外するよ」
表側のスキルドレインは当然として、伏せていたのはモンスターを復活させる『リビングデッドの呼び声』。
これは除去してからで正解だった、あれを残しておくと面倒なことになっていたことだろう。
「破壊されたバハルストスの効果により、デッキから『真竜皇リトスアジム
真竜皇リトスアジム
星9/地属性/幻竜族
ATK 2500 / DEF 2300
「更に速攻魔法『
真竜皇アグニマズド
星9/炎属性/幻竜族
ATK 2900 / DEF 1900
「そんな……バカな……!?」
オオォーー!!
客席からは歓声が上がる。
先程までブーイングをしていた生徒、同じ総合の生徒、果ては教師までもが一様に上げる喝采。
だが、ここじゃない。
本当に盛り上がるべきは、ここじゃない。
「俺は!アグニマズド、リトスアジム、バハルストスの3体でオーバーレイ!」
Vicarius━━━
「3体の真竜皇でオーバーレイ・ネットワークを構築!」
Filii━━━
「エクシーズ召喚!」
Dei━━━
「黙示録に記されし厄災よ、今こそ復活の時。六つの白翼翻し、六つの眼で神意を見極め、六つの頂きに君臨せん!
『真竜皇
真竜皇
ランク9/闇属性/幻竜族
ATK 3000 / DEF 3000
曰く、真。
曰く、竜。
曰く、幻。
曰く、皇。
曰く━━獣。
その姿に、この場にいる者は凍りついた。
ただ1人、それを繰る者以外は。
「バトルだ」
「俺の負けだ…」
んえ?
なんだって?
俺は難聴じゃないけど、流石に数m離れた人の独り言を聞き取れるほどヘルテンペスト耳じゃないのだ。
ほらほら、大きな声で?
「俺の負けだっつってんだよこの野郎!!」
「こらこら、デュエルは最後まで諦めないマインドじゃよ?天馬もそう言った、俺もそう言った」
「うるせぇ!こ、攻撃力…3000なんて!勝てるわけぇだろ!第一そいつを突破できる手段なんかねぇっての!」
「えぇ…(困惑)」
辰火ちゃんだったらこの状況でも問答無用で殺しにくるけどねぇ。
手札補充えげつないからまぁ、手札に止めるカードがほとんど来てるの。
この戦術も10回に1回、すんなりと通るかどうかってところですしオシース、通ってもそこから結局なにも出来なくなってやられたことも1度や2度じゃない。
…まぁあの子と比べるのはなんか違う気がするが、まぁヨシ!(指差し確認)
と、校長先生が立ち上がって拍手をしてくれた。
そしてなにか言いたげに咳払いをひとつ。
「見事なデュエルだった、二人とも」
あ、これはご丁寧にどうも。
「さて…ルール上、サレンダーは対戦相手が認めて始めて成立する。総合学科の小鳥遊ユウくんと言ったね?サレンダーを認めるかね?」
そういやそんなルールがあったねぇ…
今はもう辰火ちゃん御用達カード(隠喩)だけど、昔にヴィクトリー・ドラゴンというカードがあって、それがマッチに勝利する効果を持ってたから制定されたルールだとか。
俺も辰火ちゃんから教わっただけだから細かいトコ知らないけどね。
「いっすよー、サレンダーを認めまーす」
「そうか、では…勝者!総合学科の小鳥遊ユウ!!」
なんだかなぁ…
俺ってば、最近まともな勝ち方してないなぁ…
その後、辰火ちゃんから話があると言われ取り敢えず帰路を共にする。
いつの間にか時はたち、時間にして既に16時を回っていた。
冬場は日が落ちるのも早いこと風の如しとか考えてたら、辰火ちゃんが不意に話し始めた。
「また
「…はい」
「面倒になるからやるなって、言ったよな?」
「…はい」
「申し開きは?」
「辰火ちゃんは自分の女だと言われて、カッとなってやりました」
「それだけ…?」
「はい」
「…まぁ面倒なの追い払ってくれたのは助かる」
「わーい」
それっきり辰火ちゃんは口を閉じる。
俺がやらかしたら、ここまでいつものことなのだ。
…いつものことになるくらい、俺がやらかしてるとも言える。
夕日に煌めく辰火ちゃんも好きです。
結婚して。
「んじゃー」
「ん」
かくして、夕日に憂う辰火ちゃんは今日もかわいいのであった。
今回はユウくんが真竜皇を使うのでした。
混ざりものもあるが気にするな。
Vanisher……消し去る者
Fuhrer……支配者
Disaster……厄災
この三柱が揃うとき、『
って深夜テンションで思い付いた。
真っ黒い体なのに白い翼してるのとか、デザインとしても使うにしても大好き。
らしくない、カッコつけた書き方したけど後悔はない。
一応ユウくんが使うデッキには法則性があるので、もしかしたらって思ったら、それっぽいテーマをコメントしてみてね。
今のところ判明してるユウくんのデッキ
・時械神
・メタファイズ
・真竜皇
要望も受け付けるかも。
法則性に会わなかったとしても、他のキャラに使わせる予定でござる。
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