Vtuber F-1特別短編 〜マチルトンの奇跡〜 (suryu-)
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Vtuber F-1特別短編 〜マチルトンの奇跡〜
__これはVtuber F-1 Brazil GPにて、一人のレーサーを追った実況兼小説家による、実録を元にした物語である。
「……ッチ、Wake up! マッチ!」
「……時間か?」
レースの予選が始まる十分前、少々の眠りについていたその人物は、今静かに……とはいかない声で目を覚ました。
銀髪が、起き上がると同時にサラサラと揺れる。目を覚ますよう声をかけた、金髪ショートの、いかにもアメリカ人チックな男性は苦笑いを向けていた。
「おいおい、予選手前までよく寝られるな。ほんと、なんでこんな奴がオレとバチバチにやり合えるのか分からねぇぜ」
「済まない。まぁおきたよ、デーモン」
彼の名前はデモン・ストーリア。名前だけ聞くとイタリアの車のようだが、列記としたアメリカ系だ。
「よせよ、その呼び名はよ」
「いいだろ、俺はチームメイトだし」
デモンの愛称。”デーモン”は、その名の通り悪魔を意味する。このVtuber F-1にて悪魔のごとき速さを持つことから、名前も相まっていつの間にかそう呼ばれていた。
「で? 今日もうさ耳はゴキゲンだな」
「やめろ、触るなバカ! あんまり寝起きに触られていいもんじゃない」
「なんだよ、寝起きじゃなければいいのか?」
「そうでも無いッ! やめろ!」
それほどまでに速い彼と話すのは、マッチ。長い銀髪と、どうやってヘルメットの中にしまうか分からないうさ耳がトレードマークだ。
デーモンはそんなマッチを、大層気に入っていた。具体的には、撫で回したりする程度には。軽いジョークなんて当たり前だ。
「で、どーだよ。”マチルトン”。今回は」
「……その名前、今になって響いてくるなんてさぁ」
「いーだろいーだろ、実績は出てるんだからさ!」
「まぁ、そうなんだけどさぁ」
だが、撫で回される最中に出た”マチルトン”という単語に、マッチは少し顔を曇らせる。なにやら深い因縁があるのかと言えば、そうでもない。デーモンの茶化しが、今のマッチにはかなり重圧。肩を落としては息を吐いた。
「まさか、好きなレーサーを文字ってマチルトン、なんてふざけて名乗ったら、ここまで来ちゃったからなぁ」
ただ単に、本人はふざけたつもりだった。だが、いつの間にかVtuber F-1にて年間ポイント一位となってしまった今、その名前が嫌に重くのしかかる。
元来、調子に乗るとすぐミスをする。主人公気質かと言われればそうでもない。一部では”ガバルトン”やら、”がばまちこ”。挙句の果てには”がばとははなさない”という単語すら生まれてしまった。
「はぁ……」
それなのに、今はこんなにも持ち上げられていて、チームメイトからは期待の眼差し。どうしてこうなった。そう呟くしか、安寧を保つことが出来なかった。
「おいおいマッチ、ずっと前シーズンオレとやり合ってきたろ? いい加減自信持てよ」
「そうは言うけどなぁデーモン。お前だって知ってるだろ。優勝手前でスピン。クラッシュ。そんなのばっかりやってた俺が、だぞ?」
「バカヤロウ。そんなお前が相手だからオレもヒートしたんだ。ほら、予選始まった。そろそろコース空くぞ」
「お前もな。コース空いたら行ってこい」
「All right! マッチ、後で会おうぜ」
デモンを知り目に、マッチはマシンに乗り込みピットから飛び出した。
「さぁて、やりますか」
ピットアウトしてフルスロットル。いつもこの瞬間がたまらない。いつもそう言うマッチだが、先程までの陰鬱な気は既に消えていた。
《さぁ予選開始から、ついにマチルトンが動いたァ! おっとこれは1コーナー。最初からの鬼門。S字を綺麗に抜けていく!》
「な、なんだ……?」
「今日のマッチ、やけにかっ飛ばすな……」
「事故らねぇのかよアレ?」
観客はどよめき、他チームのピットも動揺を隠せない。彼が履いているのはミディアムタイヤ。だが、ソフトと変わらないタイムが大きく出ていた。
■■■
「おい、たい焼き。行けるか?」
「ああ、行けるよおやっさん。つーか相変わらずたい焼き呼びだな」
彼もまた、予選を走る重要なレーサー。レア・タイラ。黒髪が生え、八重歯を見せる勝負魂の強そうな男だ。
彼の呼び名は、タイラという苗字に、ステーキの焼き方の一つと同じ、レア。その二つを上手い具合に合わせた、たい焼き。この地と日本の魂を込めた、日系ブラジル人である。
この名前の理由を聞いた時に、”ステークの生焼けと、苗字合わせてたい焼きはいいが、その理論で行くとたい焼きも生焼けじゃね?”と返したのは、面白いエピソードでもある。
「にしてもおやっさん。ありゃ何だ? マチルトンが盛大なデモンストレーションしてるぞ」
「知らねぇよ。ヤケに良いけどな。アレ」
そんな彼も、マッチと競い合うやり手のレーサー。レアを応援する時Swim TAIYAKI!(およげたいやき!)と曲に準えたコールがあるのは、観客にとって周知の事実となるほどのレーサーだった。
なお、海外ではそのままおよげ! たいやきくんとローマ字で書かれているが、彼に分かりやすく泳いで欲しい。という意味もあって”swim!” と言うのかもしれない。
「とりあえずマシンセッティングは出来てんだ。お前の母親、見てんだろ? ジャパニーズ魂見せてこい」
「一応生まれも育ちもブラジルだよ。ま、行ってくるわ」
そのまま、彼もピットを抜けると、直ぐにかっ飛ばす。信念を貫き通すため。
「……負ける訳にはいかねぇんだ。あいつには」
■■■
「スピカ、調子は?」
「悪くない。マシンはオーダー通り?」
「勿論。最高にあなた好みのスペックよ」
真珠星すぴか。Vtuber F-1を走る彼女はベテランレーサー。基本的に中位をキープする安定の走りを見せる彼女は、その美貌により一定層のファンも多い。トレードマークは狐耳にフワフワしっぽ。愛らしい姿に、皆が癒される。
淡い水色の長髪は、キラキラと星のように光りながら風でなびく。その光景を眺めるセシルは、その姿にいつも見惚れてしまう、腕利き女性メカニックだ。
「それにしても」
「どうしたの、セシル」
「いえ、さっきあなたの応援旗がひとつ折れてしまったの、何も無いといいけど……」
チーフエンジニアのセシルと彼女は、いつもこのように確認を取り合う。運勢が危うい。なんて時はこのような警告を出す。
「大丈夫よ、きっと。セシルはセッティングお願いね?」
「ええ、わかったわ」
二人は、お互いが良いバランスで釣り合っている。そんな姿も人気の秘訣なのかもしれない。
「やっほ。そっちはどう?」
そんな二人のところに、赤髪靡く、女性がやってきた。すぴかと同じく、狐耳と尻尾があるが、こちらは快活なイメージが漂う。
「あら、暁ちゃんやっほー。そっちも今ディションは悪くなさそうね」
「まあね。私としても、かなり本気でいかないといけないからさ」
「トップ陣、かなり速いものね」
彼女の名前は、阿沙野暁。すぴかに気さくに話しかける姿を見ても、誰も咎めない。チームメイトであろうとなかろうと、彼女たちはこうだと理解していた。
二人は、なんとも和やかに談笑を続ける。まるで女子高生のように。セシルも、いつも通りね。と、お茶を差し出しながらも茶柱を見ると、怪訝な顔をしてしむう。二つの柱は、立ちはするもののくっきりと折れていた。
「ねぇ、二人とも。なんとなく、今日は危ない気がするわ。気をつけてね?」
「え、私だけじゃなくてすぴちゃんも?」
「うわぁ、なんとなく厄日になりそうね。でも、勝負するしかないじゃない」
二人のお狐レーサーは顔を見合わせては、くすくすと微笑む。セシルにとっても微笑ましいが、胸の内にある不安はぬぐえない。むしろ、深く深く沈んでいくような感覚を覚えていた。
「本当に、気をつけてね?」
「大丈夫だ、問題ない」
「フラグよ暁ちゃん!?」
■■■
「りりあ、大丈夫?」
「まぁ、なんとか。F-1はまだまだ初心者だから緊張が、ね」
光りりあ。彼女は、Vtuber F-1の期待の新人。このBrazil GPを走る中で、新手のアイドルレーサーとなった今、少なくない緊張感を感じながら、走ろうとしていた。
「落ち着けば問題ない。そうでしょ?」
「そうだけど、落ち着けるかは別問題かなって。わかってるじゃん。エリス」
「あはは、ごめんなさいね。OK。少しクレバーになってもいいから、帰ってきてね?」
「……了解」
りりあは、とても焦っていた。早くこの場に慣れなければ、どうにもならない。と。かつてみた栄光の世界。そこで輝いている光になるために__
■■■
幼女。と皆から言われるほどの幼い体躯ながらにレーサーのリナリア=シャローナは、かなりの緊張を見せていた。
「まさかここで、大事な試合をすることになるなんてなぁ」
この地は、自分の名前が付けられたコーナーが存在する。一コーナーS字の事だ。昔この地で、彼処で伝説的なコーナースピードを見せたことから、幼女シケインと言われているのだ。
「おいおいリナリア。試合前にそんなガチガチになってどうすんだよ? ここはお前の場所だろ?」
「うっさいよナカノ。貴方には助けられてるけど、こういう時くらいちょっとは和まさせてよ」
「はは、違いない。ま、こういう星の元に生まれたと諦めてくれ」
「バカ」
ナカノは、このチームに入ってきた天才メカニックだ。リナリアがレースをする上で、最大限のサポートを行っている。幼女とナカノの二人で兄妹。なんて言われた時の事だが、リナリアはからかわれたためか、完全に怒りの臨界値が頂点になった事もある。
「んで、勝算はあるのかよ?」
「ない。というか、今回埋もれる気しかしない」
「それはトップ陣のせいか?」
「それもあるけどね」
それでも、さっとナカノは飲み物を差し出し、リナリアはそれを受け取り飲み干す。緑茶などではないのが、彼の優しさだろうか。二人はその後、数分無言になる。
「なぁ、今回は埋もれたっていいからよ。見つけてこいよ、お前の勝ち筋」
「まあ、それは来年な気もするけど。うん、了解」
この二人は、言葉にするまでもないほどの絆で、固く固く結ばれている。それ故に、メカニックとドライバーは成り立つ。兄と妹。そんな情景すら見える二人は、拳を合わせ、リナリアは愛車に乗り込んだ。
「それじゃ、行ってくる」
「おう、行ってこい」
■■■
「……寒凪こゆきさん、なんの用?」
「別に。深い要件では無いですよ。するめみかさん」
ところ変わって、別のピットでは眼帯をつけた銀髪ボブのするめみかと、その前に現れたのは狐……でなく猫耳の揺れ動く寒凪こゆき。
「で、どうしたの。人気のある貴方がここに来る理由だけど」
「そういうものかしら……私としては、今回のライバルは、貴方だと思うんですけれどね」
「そう? 実力がどうこうでいえばそっちのが上じゃん」
「さぁ、どうでしょう。そこは分かりません」
するめみかは、まだまだ上がりたての無名ドライバー。対して、寒凪こゆきは業界を引っ張る上位陣。お互いの立場がはっきりしているからこそ、互いが互いを牽制するかのような言い合いに周囲は首を傾げる。
「ふふ、でもそうね。私たちにできるのはレースで語るだけです」
__ あの日から、夢見たような戦い。今日はできるかしらね。
去り際にこゆきが呟いた一言に、みかは眼帯をつけていない方の目を閉じてまで意味を探る。だが、思慮しても答えは出ない。ならば。
「……飛ばすしか、ないか」
■■■
ポールポジション争いは、まさに過激の一言だった。たい焼きことレアは罵倒を飛ばす。
「クソ、なんであそこでブロックされるんだッ!?」
前に引っかかってしまい、レアは悪態をつく。このままなら2:08.600という数字が出たのに。と。その裏で、マッチの数字を見た時に、目を丸くした。
「あいつも、八秒台、だと……?」
《決まったァァァアア! ポールポジションは”マチルトン”ことマッチだ! さぁ、ワールドチャンピオンのかかったこの一戦。勝負にまずは一手を投じた!》
「……クソッタレぇ!」
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__様々な思惑が絡もうと、その時は平等にやってきてしまう。決まった時間に、宴はやってきてしまうのだから。
《王手になった年間王者。ここで決めるか阻止するか。中段争いから抜け出したい……1ポイントでも多く取っておきたい……本日は、各所で熱く激しいバトルが繰り広げられると思われます。しかし、サーキット関係者はこうも思っているでしょう!「やめて! 芝は削らないで! インディゴは財政難なのよ!」 さぁお待たせしました。Vtuber F-1 Brazil GP。間もなくシグナル点灯です!》
「……まぁ、考えすぎても良くないな。本当に。”マチルトン”らしくなってみるか」
実況を聴きながら、シグナルを見つめるマッチは、呟いた。赤による点灯が始まる。
三秒前。ただただ前を見つめ。
二秒前。アクセルに足をかけ。
一秒前。あとはただただ走るのみ!
《さぁ、今シグナルはグリーンが点灯! 各車一斉スタートを……おぉっと!? マチルトン! いきなりのロケットスタートと言うべきか、一コーナーのS字に突っ込んだ! 上手い、予選で見せた通りかそれ以上の切り抜け方。ライン取りは鮮やかというところでしょう! その後ろから後続がターンしていく。クリーンなオープニングとなりました!》
実況の声は響く。ターン2。ターン3。コーナーをひとつ抜ける度に、その速さに観客は酔いしれる。何やら、今日のまっちは一味違う。開幕から二週、三週と終わった時点で、後ろとのギャップは大きなものになっていた。
《今日のマチルトン、なんだかいつもと違いますね。隣に座るもう一人の実況解説である、リュウさん。何故か分かりますか?》
《考えられるのは、セッティングですね。異様なほどまでに、このサーキットに合っている。ということ。しかし、それにしたって速すぎます。いつも以上の気迫は、他の選手たちに気後れさせる何かがあるかもしれません》
《チームメイトのデーモンこと、デモン・ストーリアが追いかけるも、追いつきすらしないというのはまさに驚異的でしょうね》
《ええ。かつてここまでの気迫を、マチルトン……いえ、マッチは見せた事はありませんでした》
実況も、静かに熱量を上げていく。いや、上げさせられている。言葉は冷静だが、中身が熱くなっていく感覚が、少しずつ口調に現れ始めていた。
「でも、本当に安全なレースだな。いつもならそろそろ何かあるのに」
「そうだなぁ。本当に……」
”キュアァァアア! ガッッ、シャァアアアン! ゴッ、ゴッ……!”
観客も完全にレースに安心していたその時、最終コーナー前で大きな音が響く。魔物が、刃を抜き始める音がした。
「な、なんだなんだ!?」
「最終コーナーだよな!?」
《おおっと!? 静かにバトルもなく、平穏なサーキットで、いきなりのクラッシュだぁぁああ!?》
当たり前ではあるが、観客はどよめく。いきなりの事に、誰しも弱いのだ。ドライバーの安否と、何が起きたかということの確認を取るために、モニターと実況が心待ちにされる中、事故の様子は写し出された。
《これは、どういう事でしょうリュウさん。映像を見る限り、不審なペースダウンが写っております。それにニンディゴが選手引っかかるか、避けようとしたところバランスを崩し、壁に突っ込んだところすぴか選手が……》
《これちょっとおかしいですねぇ、道を譲ったのかはわかりませんがペースダウンして……いや、譲る対象も通ってなかったですね、これ。テレメトリーを見直しましたが、この3台のみです。このペースダウン車両は、ウィリアム? 完全に必要のないところで止まって……他の車両と見比べても、燃料は切れる段階じゃありません。マシントラブルはなさそうですね。仮にピットインだとしても、このラインでは無理かと》
《となると、ブロック行為ですか?》
《恐らくは。これ、レース後コントロールタワーに呼び出し入りそう……あ、今ドライバーの真珠星すぴか降りてきましたね。無事そうです。ニンディゴさんもなんとか、何とか降りてきました》
《会場の皆さん、ドライバーは無事のようです。ご安心してください。繰り返します、ご安心してください!》
■■■
遡ること数分前、すぴかはニンディゴという選手にオーバーテイクを許していた。譲ったというのも正しいだろう。それはまだいい。だが、彼女にとっての予想外は、この先だった。最終コーナーの一つ手前。そこでは何も起きることがなく、そのまま最終コーナーへ。
「出来れば最終コーナーの看板欲しいな……ん?」
小さなつぶやきとともに、緩やかなカーブを曲がっている途中。目の前で不審な車がストップ……いや、ギリギリスローダウンだろうか。というペースで留まっている。これを避けるのは成功した。だが。
「!?」
”いやぁ、えっ、ウソウソウソ!?”
心の叫びか、口から出たかは分からない。ただ、気づいたら回避行動を取ろうとしていた。その結果、体に大事はないものの、ニンディゴにも突っ込んでしまった。
「……はぁ」
スピンした車体は跳ね、一瞬意識を持っていかれそうになるも息をつく。リタイアにはなってしまう。だが、今回はこれで済んで良かった。と安堵した。幸いなことに、ピットが脇にあって助かった。というところでもある。
「スピカ、大丈夫!?」
「OKよ、セシル。いやぁ、私もニンディゴさんもついてないね。向こうも無事よ」
「もう、バカ。心配したわよ……」
マシンから降りて、ヘルメットをとりながらピットの方へ。セシルはその姿を見て、何とか落ち着きを取り戻しつつも、マシンを見た。アブダビまでに、何とか修理しなければ! と鼻息荒く意気込みながら。
《あー、ここで続報です! どうやら同時に、阿沙野暁もクラッシュした模様!》
《おそらく滑ってしまいましたね。これは、仕方ないと言ったところでしょう。今本人もピットの方に戻っていますね》
「あーあー、暁ちゃんもやったわね」
「ええ、やっちゃったわね」
「やっほー、ごめんごめん。なんか同時に逝っちゃったみたいで」
そんな二人に暁も苦笑いしながら声をかけるが、二人は胸を撫で下ろす。無事であることに、越したことはないのだ。
「それじゃあ、レースも終わっちゃったし、やけ食いする?」
「おっけー、しちゃおっか!」
「もう、仕方ないわね。まぁ、私もこの後の修理を考えてエネルギー溜めちゃおうかしら」
暁はすぴかの手を引いて、すぴかはセシルの手を引く。この三人に癒される観衆たちと、チームのメンバーたちは、微笑みが浮かんでいた。
■■■
”……セーフティーカー、これは重い”
マッチは、独り言ちる程度には今の状況に苦い思いを抱いていた。せっかく開いたギャップが縮まってしまう。さらに、もうすぐセーフティーカーが、コースアウトする。その時タイヤは冷えている。
「軽く温めてもこれじゃあな……後ろはデーモンだし」
マッチとしては、かなり厳しい戦いだ。だが、セーフティーカーがピットに入るまで時間はない。そのまま、考えをまとめきれず、アクセルを踏み込んだ。だが。
「やばっ」
あれだけ上手くいっていた1コーナーS字。抜けきった。と思っていた。だが、予想を反して大きく膨らみ、ヒットなどはなかったもののコースアウト。多少のロスが発生した。
その瞬間、デモンが抜いていく。チームメイトと言えど、それを許容できるほどのマッチではなかった。
《あぁっと!? マチルトン。ガバッた!?》
《おなじみの光景ですが、現在トップでセーフティーカーが掃けたそのすぐ後。というタイミングです。これは痛い》
「ちっ、諦められるかよ!」
だが、マッチはすぐに立て直すと、デモンを直ぐに追う。マージンは一秒あるかないか。だが、ここに来るまである工夫はしていた。
”タイヤ、残ってるな!”
アクセルを踏んでコーナーを曲がる瞬間、既にマッチは確信していた。これなら、追いつける!
「っし!」
あくまでもギリギリを攻めるようにプッシュして。しかし、タイヤは温存。そのまま余らしているタイヤを程よく使いながら、デモンを追いかける!
『おい、マッチ。タイトル争いに尽力するのはわかるが、そのままだとデモンとやりあうぞ。大丈夫なのか?』
「うるせえジェフ! 今はこれしかやれねぇんだ!」
そのまま、必死に追いかける。追いつけないわけじゃない。むしろ、その姿はかなり近くに見えてきたことをまっちは感じると、更にプッシュをかける。
《これは動いてきましたねえ、マチルトン。しかしこれ、デモンとはチームメイトとですよね。リュウさん》
《彼としては、タイトル逃したくないんでしょうね。それに、前シーズンまでガチガチにやりあった相手。ともすれば、彼はそのまま勝負することを厭わないでしょう》
実際、実況の言う通り。今のマッチには、追い抜いて勝つことしか頭になかった。むしろ、それしかできない。コーナーひとつ抜ける事に迫る背中は、それを必ず追い抜くという勢いが見られる。
《しかし一秒は差が……あれ? かなりこれは差が埋まってますね》
《ですね、かなりの追い上げとなっています。気迫の溢れる良い走りだと思います》
「ッ、いけるぞ!」
一周経過したところで、既にこの週でスリップに入れる圏内までいけることは、マッチは確信していた。故にアクセルを強く踏む。セクター2では、既にその背中に一瞬でも追いつくほどだ。そしてセクター3。ついに完全にスリップ圏内に入った。
「捕えたッ!」
《さぁ、これでマチルトンは完全にバトル体制に入った! デーモンも、バトルする気しかない!》
《しかしこれ上手く防いでますねぇ。ただ、最終コーナーからホームストレート。その先でどうなるか、ですね》
ここまで、解説を担当するリュウはあくまでも冷静に話している。だが、声には熱が既に篭っていた。当然だ。マッチの追い上げは奇跡に近い。周回数を、多く重ねた訳でもないのだ。
”だが。”
__行ける!
マッチは、既にその先へと進むビジョンはもう見えていた。ホームストレートに差しかかる。デモンの後ろに既に着いて、スリップストリームで加速を得る。
《さぁホームストレート! マチルトンはどこから抜きに行く? アウトか? いや、インにノーズをねじ込んだ!》
《しかしこれはS字をアウトで立ち上がることに……いや、デーモン耐えきれない! 踏み切れず、マッチはさらにインに入り、オーバーテイクしましたね……! 》
「ッ、しゃあ!」
思わず、マッチは吠えた。そうする程に綺麗なオーバーテイク。一瞬のフェイントから一気に抜き去った時は、観客全てが酔いしれるほどに。
「あとは、差を広げる!」
そのまま、ラインをキープ。残ったタイヤを使うようにプッシュを始める! さぁ、さぁ、さぁ!
「……やりやがるな、マッチぃ! っと?」
だから、デモンも本気で追い上げる。だが、後ろから着いてきたレアを目にすると、やれやれ。と笑った。その後、直ぐに獰猛な目を見せる。俺もたまにはやるとするか。と力が篭もる。
「仕方ねぇ。あいつを追いかける前に、勝負してやるよ、たい焼きぃ!」
■■■
「やーっぱりこうなったかぁ」
リナリアは、後方の位置に陣取り苦笑いしかできなかった。予想はしていたが、抜いても抜いてもブルーフラッグに引っかかり、埋もれてしまっていた。
「まあでも、めげてらんないよね。今回は約束したからさ。次に繋げる走りをしないと」
アクセルをただただ踏み込む。自分が目指すのは、もっと遠い未来の事。その為には自分が踏んでいかねば、届くことは無いのだから。
「まぁ、今回は後ろからでも盗めるものは盗んでいこっかな」
■■■
「……トップが入れ替わり、二位と三位が勝負中。四位は……こゆきさんか」
するめみかは、現在五位。四位である寒凪こゆきを追いかけていた。かなりタイトな走りをしながら、前方のこゆきをしっかりと目にとらえていた。
”今回のライバルは、貴方だと思うんですけれどね。”
「……ちっ」
こゆきの言葉を、頭に思い浮かべる。みかはイラつきが募るが、それはレースにぶつけることに決めた。少しでも先へ。必ず抜くと、背中を追いかけて。
《おっと、ここで四番手の寒凪こゆきに、するめみかは追いついてきましたね?》
《ええ、トップ争いが熾烈な中で、二番手争い。四番手争いが始まりました。これは、相当楽しくなりそうですよ》
《しかし、若干のイラつきが見える気もしますね》
《おそらく、何らかの理由でフラストレーションが溜まっているのかと》
分かっていた。こんな事じゃいけないと。みかはただ、冷静になろうとアクセルを踏み続ける。だが、ヒートする部分も隠しきれなかった。
「ふふ、来ましたね」
だが、それは寒凪こゆきも同じ。ライバルが自分の後ろに張り付けば、それは燃えるというもの。ならば精一杯抜かせないようにするのみ! 何度目かのホームストレート。するめみかは抜きに行く。
”スリップに入っているんだ!”
だが、想像以上にこゆきも逃げる。次第に見えてくるのは、最初のコーナー。S字!
「あ、やばっ!」
みかはやはりオーバースピードで一瞬のコースアウト。ロスは起きてしまう。焦りに焦りすぎたのだ。
「けど、逃がして、たまるか!」
《あぁっと! するめみか。オーバースピードでコースアウト!》
《しかし、諦めた走りでなく、すぐ追いかけています。これはもしや……マッチの時と、似ている展開ですね》
《はい。マチルトンのように上手くいくかは。彼女はこのVtuber F-1において、そこまで名の売れた選手ではまだまだありません。とはいえ……あれ、これペース早いですね?》
《はい、セク2をこえて、セク3に入りますが、またじわりじわりと……》
みかにも、譲れない意地はあった。脳裏にチラつく、レース前の言葉。あれがあるから、自分は。自分は。負けたくない。と!
”無名が、なんだ! 私がやることは一つだ!”
そのままみかは、駆け抜ける。二週経った頃に、再びその背中に追いついた。あとは、ホームストレート!
「何度も何度も、追いついてきますね!」
対して、こゆきはタイヤに余裕はあれど、精神的余裕はどこにもなかった。こんなにもあっさりと追いつかれるのは、自分にとってはとてつもなく予想外だったのだ。
「くっ、離れない……」
こゆきは、それでも離そうと最終コーナーを立ち上がる。が、完全にスリップにはいられた。しかも、1コーナーに入るタイミング的に、ノーズをねじ込まれるわけにはいかない。インはブロックした。だが。
「外から!? 外からいかせません!」
アウトから。一般的に外から抜かれることの、自身のできるギリギリのブレーキラインで、何とか抑えきった。だが。
”ッ、それじゃあオーバースピード、まがれやしないですよ……!?”
みかは、そのままこゆきより少しあとの位置でブレーキを踏んだ。これではコースアウト。こゆきが想像をしたその瞬間、現実で理解させられた。
__ よしッ!
耳の中に、微かにみかの吠えた声が聞こえた。その瞬間、こゆき自身で笑みが零れる。
「やりますね。さすがに今回のライバルと認めただけある!」
彼女は、確かに牽引してきた存在だ。こうして追いかけられる中で、後輩にも目を向けて欲しいと思うふしがあった。みかは、かなりのことノーマークにされていた。しかし、実力に関しては自分でわかっていたからこそ、レース前の言葉に繋がったのだ。
「まだ、負けられない……私も! 」
だから、こゆきも強くふむ。普段の雪のような冷静さを無くしてしまうほどに。
”あっ!?”
だから、彼女らしくもない。踏みすぎてしまった。接触してからのスピン。瞬時に、アクセルを踏み直し、ハンドルを切る。幸い、後続の誰にもぶつかることなく、復帰することができた。
《……なんという攻防。するめみか。雪凪こゆきを、抜き去りました》
《虎視眈々と狙っていたこと。ここに来て、ようやく発揮されましたね。ブロックされても外から鮮やかに。これは、後世に語られるひとつの名勝負でしょう》
《このスピンは彼女の想いによるものですか?》
《ええ。くらいつこうとしたからこそ、ですね。見事に寒凪こゆきをオーバーテイクしました。するめみか! これは、今後を期待できるかもしれません》
「……ふふ、私としたことが。熱くなりすぎましたね。するめみか。あなたとのこれから。私、すごく楽しみです」
■■■
一方、デモンとレアはかなりの勝負を繰り広げていた。デモンはハーフスピンに追い込まれ、その隙にレアはペナルティを受けつつも、華麗に抜き去る。だからこそ、デモンも燃えていた。
「俺はなぁ、デーモンなんだよ。たい焼き程度に負けてたまるか!」
レアの方も、デモンからのプレッシャーは感じていた。抜いたはいいものの、彼を離した気にならなかったのだ。
「今日は踏んだり蹴ったりだな……マチルトンといい、デーモンといい。厄日かよ!」
車体からは辛いところを感じるも、それでも踏み続ける。デモンに負けたくない一心で、踏み抜いた。だが、後ろから来るのは悪魔の笑い声。
「ふ、ひひ、追いついてきたぞ……たい焼きィ。今、喰ってやらぁ!」
「きやがったな、デーモン! 泳ぎきってやる!」
レアとデーモン。二人はかなり際どい攻防を繰り返す。接触寸前まで行ったり、かと言えばブロックのラインもギリギリ。そして、そのままコーナーをいくつか抜けた先、ついにその時は来た。
「強引だが、許せよッ!」
「あ、てめッ!?」
そのまま、デモンはインカットしてしまいつつも、強引にレアを突破。更に突き進むことを決めたデモンは、ニィッと口元を歪めた。
「二位かもしれねぇけど、せめてこいつくらいはちぎってやる!」
■■■
「……私もまだ、まだやれる」
光りりあは、この時点で三回ほどスピンはしていたマシンセッティングがあっていない事。自分がこの場に慣れていないことは承知の上で、諦めず踏んでいく。今も、前二台のバトルを見ながら突き進んでいた。
「終わらない。終わらせたくない……!」
言葉が口から出ている辺、まだ余裕があると言うこと。さらに攻めなければならない。そう思いながらも踏むアクセルは、彼女にとって重くさえ感じた。
『りりあ。今日は譲るのも上手くいってないし、スピンも多い。緊張しているのは分かるわ。でも、気をつけながら、踏んで言っていいわよ!』
「OKエリス。今も前の二台追い抜けるよう頑張る!」
りりあも、エリスの声援を受けながら踏み続ける。ここで少しでも前に行こうとした、その時だった。
「!? __ ッ」
目の前でバトルしていた二台が唐突なスローダウン。そのまま軽く接触して、片方がコースアウトして、戻ってきた。もう片方はハーフスピン気味になり、コーナーでりりあの道がなくなってしまう。たまらず、インカットして回避に走る。だが。
「やば、回った__ !?」
彼女自身は、自分のミスと思うだろう。VTRでよく見ると、挙動的に軽くリアに当たっている。だが、あまりの焦りから、今の彼女にそれは分からない。ただ、早く立て直そうとする時、見えたのは現在一位を走るマッチの姿。
”避けてッ__!?”
願いとも言えるような叫びが、通じたのかは分からない。ただ、言えることは一つ。一切のペースを変えることなく、コーナー途中で回ったりりあをパスして行った。
「……凄い」
瞬時に出た言葉は、賞賛の一言。自分とのレベルの違いを、りりあは見せつけられた。だから、再びアクセルを踏み直す。
「私もいつかなれるのかな。あんな輝きに」
かつて見た、栄光の輝き。それに向かっていくために。今はまだ、走り続けることしか出来ない。それでも、それでも。
■■■
先程のスピンを避けたあと、ふとマッチは違和感に気づく。自分らしくないほど、綺麗な運転だ。
「……今日は、冴えているのか?」
なんとなくいつもと感覚が違うことを、確実に感じ取っていた。予兆はあった。視覚がクリア。ここまで危ないイエローフラッグを、全て避けている。
「なら、まだ行けるって訳か」
ソフトタイヤは終わっていて、ミディアムタイヤに、変更した。それでもタイムを維持をしていることに、先程気づいてしまったのだ。後半戦の方が速いというのは、普通ならばまず考えられない。だが、かなりノっている。
「……しゃーないな、伝説を作りに行きますか!」
普段よりも、繊細にアクセルのオンオフを心掛ける。アクセルを半分しか戻さない、ハーフアクセルを何時もより使いこなし、挙動を制御していく。
《これはマチルトン。かなりまたペースを上げてきたか?》
《燃料ギリギリが予想されますが、どうなんでしょうね》
もはや、他のことは考えない。ターンイン。ターンアウト。その全てが、流れるようにこなされていく。その瞬間は近い。故に、残り三週の事件でも、動揺したとして、それはマッチを妨げるものではなかった。
『前方は渋滞している。気をつけろ、マッチ』
「了解ジェフ! この一コーナーSのあと、連続左__ッ」
この時、マッチの勘は既に波乱を察知していた。瞬時にステアリングをコースアウト側に切れば、目の前ではスピンとクラッシュの二台。コースに慌てて戻る、が。往生している一台。
「やっば__殺す気か!?」
更にステアリングをもう一度切り返し。アクセルでトラクションコントロールをしながら、車体の向きを変え回避に成功。何とか、事なきを得た。
《な、なんということでしょう!? 一瞬の攻防だ!? エンドや光りりあなど数台絡んだ事故を、全て避けきったトップマチルトン!》
《普通なら当たっておかしくなかったですね、今のは。むしろなぜあれが避けられたのか、解説の私ですら説明しにくい……いや、おそらくステアリングの切り返しをかなり瞬時に行っただけでなく、アクセルで同時に、トラクション……前に進む力を使い、向く方向を変えた。さらに、経験則かなにかの勘での察知、集中状態のゾーンにより、かなり機敏になっていた。と思います》
《こうして聞くと、マチルトン。化け物級の事をしていませんか? 今日何回も切り抜けてますし》
《ええ。まさに開花したとしか言いようがありません。さぁ残りLap2。そして、マッチは完全逃げ切りモードですね》
《さぁ果たしてどうなる! マチルトンの走り、は……》
その時、実況の声は止まってしまった。ホームストレートを通り過ぎるマッチは、鮮やかな羽を得ていたかのように軽やか。それでいて美しく、しなやかに一コーナーのS字を抜けていった。
《……なんて、美しい走りでしょう》
《これは、もはや芸術ですね》
残り二週。マッチは既にこの時、聞くまでもなく全てを理解している。タイヤの温度。磨耗具合。エンジン温度。油温。残りのガソリン。空気抵抗の受け具合。全てを、車から感じとっていた。
「分かる、分かるぞ。コイツは……走り抜けられる。なぁ、そうだろう?」
実際、その言葉を言う瞬間にファイナルラップに入っていた。もう、何もマッチを邪魔するものはない。彼は限界までアクセルを踏み込む。タイヤも保たれている。
「あ、あれが、マチルトン?」
「がばとはなすきはないとまで言われ、ガバすることが当たり前とも言われていた、マッチ?」
「なんだ、あれ……生き物みたいに走ってるよ」
「創作かなんかの世界かよ。って思っちゃうよな。あんなの……」
__その走りは、全てを惹き付ける。
__全てを焚き付けたその走りは、伝説になる。
__この日のことを、目撃した皆はこう語るだろう。
《さぁ、今遂に最終コーナー! 綺麗に抜けてホームストレートに帰ってきます!Vtuber F-1 Brazil GP!優勝を得ると共に、ワールドチャンピオンの称号を手にします! さぁ、フラッグが振られ、観衆の喝采が鳴り響く今、ゴールイン! マチルトン。優勝だぁあああ!》
__”マチルトンの奇跡”と__
■■■
「チャンピオン、か。……夢みたいだ。色々」
シャンパンファイトの光景は、まさに夢のようだった。祝福する人々。他チームドライバーからの、羨望の眼差し。少し前なら、考えることさえなかった。
「あ、そう言えば。たい焼きのやつは何だったのか」
マッチは、シャンパンファイトを終えた後。自分と戦い抜いた愛車を、優しく撫でていた。あの時、レアはこう告げていた。
__おいマッチ! 今回、お前には負けたくなかった。だから、次こそは勝ってやる!
__どうしたんだよ、たい焼き。って、行っちまった。
何故かマッチをライバル視をしている彼の言葉は、腑に落ちない点はあるにはある。そのあとすぐに、デモンが肩を組んで大笑いしていた為か、マッチはその時追求をやめていた。
「スピスピは今回は残念だったし、新たに目をつけるべき新人。するめみかも出てきた。こゆきさんを抜いてだもんな」
車体を撫でる度、レースの思い出が蘇る。みかに関しては、こゆきとレース後に談笑していたのを覚えている。本当に、楽しそうだったと感じた程だ。
「おい、マッチ。優勝したんだからこのあとパーティーだろ?」
「ああ、悪い。ジェフ、今行くよ」
そこで、メカニックが声をかけてきた。マッチは笑うと、愛車から離れる。そして、今はそのパーティーを楽しみつつ、次の戦いを楽しみに待つことに決めた。その瞳は、温和そうに見えて熱く滾っている。
「さて、次もやりますか!」
やりきったぜ。(溶鉱炉に沈んで燃え尽きた音)
という訳で、どうも皆様。suryu-です。
今回はご縁があって書かせて頂いたものですが、なんとかうまくかけたかなと思います。Vtuberの皆様を、きっちり表現出来たか怪しいところではありますが、気になった方がおられたらチェックしてくれたら嬉しいな。と思います。
それでは、つぎの小説で。
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