The Beautiful World (水色ワンコ)
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#0 美しき世界の物語
これはきっと、確かにどこかにあって、でも本当はどこにもなくて、誰かが体験していて、でも誰も当事者なんかじゃなくて、過去でも現在でも未来でもない、残酷で、悲しみだらけの、とても美しい世界のお話。
わたしたちは支配者から逃げるしかありませんでした。立ち向かうことなんてできなくて、圧倒的な力の前で生きるには、ただ必死に逃げるしかなかったんです。
でもあの日から、あの瞬間から、わたしの運命と世界は変わったのかもしれません。それが希望だったのか、はたまた絶望だったのかはわたしにはわかりません。
ただ、その瞬間にわたしの心臓がはじけたことは覚えています。それがわたしの世界の始まりでした。
「フリーデン王国」
それがこの世界を支配する唯一の国家です。機械技術に富んでいて、その名が意味する通り、王国内はとても平和で、国民たちも笑顔があふれる豊かな生活を送っています。まるで幸せという言葉を体現したかのような国。
でも王国の外には幸せなんてありません。
王国はその領土を広げるためにとても強力な軍隊を出して、その土地の非王国民を皆殺しにしてしまいます。大量の機械兵士と戦う力なんて誰も持っていないから、生きるためには逃げるしかありません。毎日侵攻してくるわけでもないですし、運よく世界は広いので逃げる場所には困りません。でも逃げ遅れれば必ず殺されます。
ただただ運が悪かった。
王国民に生まれることができなかった。
そんな自分の運の無さを恨むしかありません。
わたし自身も非王国民に生まれてしまいました。
15年もこの世界で生き延びているのは運がいいのかもしれません。仲間もいます。大体20人くらいの小さな集団です。常にその集団で固まって生活してます。王国からの攻撃が来たときも、そのたびに遠くの地に移動して、そこにも攻撃が来たら、また移動して。その繰り返しです。非王国民にとって安住の地なんてどこにもありません。幸せに、安心して生きたいのなら、王国民に生まれることを祈るしかありません。
きれいごとかもしれませんが、それでもわたしは、王国民に生まれたかったとは思いません。だからといって非王国民に生まれてよかったとは微塵も思ってません。単純に、この世界にわたしを作ってしまった神様が嫌いです。
もうわたしは疲れました。何度もあきらめて死のうと思いましたが、こんな世界にしてしまった神様に一言くらい文句を言いたいので、それまでは頑張ります。
「いたっ」
ちょっとした頭痛がしました。
とにかく今日はもう寝てしまいます。今日も農業を頑張ったのでへとへとです。
おやすみなさ、、、
ドンッ 鈍い爆音。
「六花!逃げるよ!」
焦る仲間の声と表情。
やっぱりわたしは神様が嫌いです。
初めまして、水色ワンコと申します。初めての自作小説で、つたない部分や表現に乏しい点が多々あるかもしれませんがよろしくお願いします。
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#1 REIGNING
物語のはじまり→REIGNING
「機械兵士が来た!急いで非難するよ!」
飛び起きて夜の暗い外へ出ます。走りだして後ろを振り向くと、燃え上がる炎で明るく浮かび上がる機械兵士の姿。逃げないとっ、早く。
「六花!もっと走って!」
「うぅ」
さっきの頭痛が残ってます。痛くて走りづらい。でも逃げなきゃ。全力で逃げないと殺されちゃいます。元々は都市だったのか、ボロボロで廃れた建物が多く、私たちの
「ほかのみんなは?」
「もう少し先にいるよ!多分私たちが最後だと思う。」
機械兵士たちはそこそこ後ろの方にいるので光子銃だけ気をつければ大丈夫だと思います。でもまた移動です。前回の襲撃から10日です。結構遠くまで移動したと思っていたのですが...。次はどこに行きましょうか。
「うっ」
あまり考え事をしすぎるとよくありません。今は頭痛もあるので余計です。とにかく逃げないと。
ビュンッ
目の前を光子銃の一撃が横切りました。わたしも一緒に逃げている仲間もつい足が止まりました。目の前を「死」が横切った感覚に、思考が硬直し、ゆっくりと瞬きをして目を開けた時には、眼前に2体の機械兵士が立っていました。
「あぁ、わわ」
仲間もわたしも動揺で動けません。なにせ今までで一番「死」に近い状況に、とてつもない恐怖を感じているのですから、仕方ありません。正面にかまえられえた光子銃。こんな状況になってもまだ足は動きません。ただ呆然として、銃口を見つめるだけです。もしかするとわたしは、本心では死を願っているのかもしれません。
ーこの世界から早く出ていきたいー
そんな思いがあったのかもしれません。これで終われます...。
終わっちゃいます...?
ビュンッ
目を閉じると同時に光子銃の発射音が聞こえました。死ぬのって一瞬なんですね。痛みもなく、苦しんでる暇もありませんでした。結局神様に文句を言うという目標は達成できませんでしたが、もとより嫌いな神様です。かかわらずに済んでよかったです。
「Hello,Girls?」
あれ?女の子の声です。目を開いて声のする方を向いてみると、私よりも小さな、ネコ耳?がついてるかわいい女の子が立ってます。機械兵士は動かなくなっています。どうやら私は死んでないみたいです。
「ちょっと!無視しないでくれる?」
さっきの声はこの子で間違いないみたいです。どうやらわたしの命はもう少し長く続いちゃうようです。その時に、驚いたような、安心したような、残念だったような、とっても不思議な気持ちの中にいたわたしが唯一覚えているのは、神様のいたずらな運命によって、わたしの心臓がはじけだしたことです。
こんにちは、水色ワンコです。今回が2回目の投稿になります。結末や書きたいシーンはある程度考えているのですが、細かい点や設定をまだ練り切れていないので投稿間隔は開いてしまいますが、面白いものをかけるように頑張ります。良ければ、今後物語内で矛盾してしまった点や、ハーメルン自体の使い方におかしな点があればご指摘お願いします。
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#2 Who are you?
「あなたは一体何者なの?」
自分が知らなかった感覚の中で動けないわたしにかわって、隣にいる仲間が聞いてくれました。
「......助けてもらったお礼より先に、『何者か?』なんてちょっとお行儀が悪いんじゃないの?っと、今はそんな話をしてる場合じゃないわ。私たちは戦えるけどあなたたちはそうじゃないでしょ?」と言うと彼女は突然、
「パレオ―!」
と叫んだと思えば、
「はいチュチュ様ー!♥ パレオ、参上いたしました。」
次の瞬間には私たちの背後に一人の女の子が立っていました。特徴的な2色のカラーが入ったツインテールのかわいい女の子です。っていうかどこから出てきましたッ?!!
「パレオ、この2人を安全な場所まで連れて行って。」
「はいチュチュ様、かしこまりましたー!ところで安全な場所とは『ホーム』のことでよろしいので?」
「仕方ないでしょ。放っておくわけにはいかないわ。」
「かしこまりました!ささ、お2人とも!早速行きましょう。」
「ちょちょ、ちょっと待ってください!行くってどこへですか?」
あまりの話の速さに、慌ててわたしはききました。
「細かい話はあとでするわ。今はあなたたちに避難してもらうのが先決よ。頼んだわよパレオ。」
「お任せください!」
するとネコ耳の彼女は、機械兵士たちのもとへ走って行ってしまった。
「それでは出発しましょう。」
「あの子は大丈夫なんですか?一人で向かって言っちゃうなんて!」
きかずにはいられませんでした。わたしたちを殺そうとしていた機械兵士2体を倒したのが彼女だということは事実だと思いますが、自分よりも小さな女の子が、それも1人で突っ込むのは無謀だと思います。
「問題ありませんよ。チュチュ様はお強いので。」
まるで、様々な展開に動揺しすぎている私たちを落ち着けるように、微笑みながらツインテールの彼女は言いました。
「しっかりついてきてくださいよー。」
それからわたしたちは3人で、30分ほど走って移動しました。移動を始めて何度か機械兵士に遭遇しましたが、その度にツインテールの女の子が、2本の
「どうぞこの中へ。」
もとは家だったのか小さな2階建ての建物の中へ入っていきます。中に明かりなんかはなくて、外も夜なので、薄暗い中奥へと進んでいきます。そして、一番奥っぽい部屋について、ツインテールの子が棚をどけると、そこには地下へ続いていそうな階段がありました。
「この奥です。足元気を付けてくださいね。」
岩壁には小さな明かりがあるが、転ばないように落ち着いてゆっくりと階段をおりていきます。少し長いと感じる階段を降り切った先には、頑丈そうな鉄の扉がありました。
ギギィッ
と扉が開き、奥の景色が目に入って、わたしは...驚きました。中はとても綺麗で現代的な作りでした。扉を開けてすぐの部屋?はそこそこ広く、左側には1番手前に通路で、その隣に扉があるのでそこにも部屋があるんだと思います。右手奥には
「こちらの広間へどうぞ。」
と、ツインテールの子がさっきの左側にあった扉を示しました。わたしたちはなにも言わずにとにかくついていきます。広間と言いましたが、どれくらいなのでしょう?わたしたちの今いる入口もすでに大きい気がしますが...。見た感じ扉にドアノブや取手は無さそうです。自動ドアでしょうか?わたしたちの背より1.5倍くらい大きな扉の前に立つと
シュンッ
という音とともに扉が開き......わたしは想定外のものに固まってしまう習性があるようです。さっきの部屋よりもはるかに広い空間に、10数人ほどの人がいました。あっけにとられていると、前方から金髪の背が高い女の子が近づいてきます。
「ああん?」
「あわわわわ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
すごい近くで顔を見られてます!しかもすごい目つきで。とっても怖いです。
「おまえ......」
「はいぃぃぃい!なんでしょうかぁぁあ!」
「......可愛いな」
「はいぃぃぃい!......はい?」
???どうゆうことですか???
こんにちは。水色ワンコです。閲覧いただきありがとうございます。よければ評価や感想、ご指摘なんかもお願いします。
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#3 You're welcome
今、すごく睨まれてます。それもすごい目力で。この金髪の人は誰なんですかー?!!それに今、なんていいました????「KAWAIINA」?わたしは「かわい いな」さんじゃないです。朝日六花です。まったく状況が飲み込めてません。
「マスキングさん、お2人がとっても驚いてますよ。」
「おっと。悪りぃな。」
「マスキングさんは目が鋭いので睨んでるように見えちゃうんですよ。」
「別に怒ってるとかじゃないんだけど、よく勘違いされんだよな。」
2人の話を聞いてると、とても仲がいいように感じます。どんな関係なんでしょう?
「ってか、帰ったんだな、パレオ。おかえり。」
「ただいまですー。」
「「「パレオ様、おかえりなさい!」」」
「ありがとうございます。」
ツインテールのこの周りに女の子達が5人ほど集まってきました。「パレオ様」?そういえば、ネコ耳の小さい子もこの人のことをパレオって呼んでました。多分、わたしたちをここまで連れてきてくれた、このツインテールの女の子はパレオさんなのでしょうか。だったら、この金髪の人はマスキングさん?なのかな。
「他の3人はどうしたんだよ?」
「他のお3方はもうしばらくすれば帰ってこられます。チュチュ様のご指示でパレオだけこのお2人を連れて帰還しました。」
「おいおい、パレオ抜きで大丈夫なのかよ?」
心配をしているような言葉とは裏腹に、彼女の顔はニヤついています。。まるでからかっているような口調です。
「ふふっ、大丈夫ですよ。今回の機械兵士は数も多くありませんでしたし。」
パレオさんも余裕な様子で、明るく笑顔で返答しました。
「それで、この2人は誰なんだよ?」
金髪の女の子がききます。
「実はパレオもよく知らないんですよね。ただ、チュチュ様が見捨てるわけにはいかないそうで。」
「ほんと善人だな、あいつ。まあそゆとこがあいつの良いとこなんだけどな。」
「パレオもそう思います。」
2人が話していると、わたしたちが入ってきた部屋のドアが開きました。
「帰ったわ。」
「ただいま。」
「ただいまー。」
3人が部屋に入ってきます。その中にはわたしたちを助けてくれたネコ耳の女の子もいます。
「チュチュ様!それにお2人も、おかえりなさいませ。」
「おう、おかえり。」
「「「皆さんおかえりなさい!」」」
話していた2人に、パレオさんを迎えていた女の子たちとさらに部屋の奥にいた5人ほどの女の子たち、その全員が部屋に入ってきた3人を歓迎します。真っ先にパレオさんがネコ耳の少女のそばへ走って行きます。
「おかえりなさいませチュチュ様♡ お怪我はありませんか?」
「大丈夫よ。」
犬のようにキラキラと出迎えるパレオさんに対して、女の子は最小限の返事だけの無愛想な様子です。すると、チラッと、こちらを一瞥して、
「ちゃんとここまで2人を無事に連れてきたようね。ありがとう、パレオ」
「うぅぅ、もちろんですチュチュ様♡」
2人の会話は、2人の関係がとても親密なことをわかりやすくわたしたちに伝えてきます。まるで愛しあう恋人のようにお互いを理解し合っているのが見えてきますが、同時に、少しの儚さも感じてしまいます。
「あ、あの!」
わたしは少し大きな声で呼びかけます。皆さんの視線が一斉にこちらを向きます。
「ここは一体どこで、あなたたちは誰なんですか?」
わたしは、さっき聞きそびれてしまったことを聞き直します。あのときはいち早く避難するために聞けませんでしたが、今なら聞けるでしょうか。
「チュチュ、この2人は?チュチュの知り合いなの?」
ネコ耳のチュチュ?さんと一緒にいた黒髪ロングの人、うーん、一緒にいた2人とも黒髪ロングだからわかりにくいですね。強いていうなら、目がキリッとしている方の人が聞きました。
「それは今からあなたたちにも、そしてこの2人にも説明するわ。でもその前に...。」
チュチュさんが話すのを止めて、こちらを向きます。
「あなたたち、さっきも言ったけど、助けてもらったお礼を言う前にアレコレと聞くのはちょっと失礼じゃないかしら?」
「あ、ごめんなさい...。」
わたしと一緒にいた仲間が慌てて謝ります。
「聞いてる?わたしは謝ってほしいなんて言ってない。ただ、お礼は言ってほしいわ。」
「あわ、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
2人で揃って言いました。
「...どういたしまして。」
そういうと、彼女はそっぽをむいてしまった。機嫌を損ねてしまったのでしょうか。わたしたちが不安な気持ちでお互いの顔を見合わせていると、パレオさんが優しく話しかけてくれました。
「チュチュ様は照れ屋さんなのでちょっと素直じゃない部分もありますが、とっても優しい人なんですよ。」
「うるさいパレオ!」
「はい、すみませんチュチュ様♡」
そのやりとりでわたしの不安は少し和らぎました。それは仲間も同じようで、2人とも表情が柔らかくなりました。
「...それじゃ、話を始めるわ。覚悟しなさい、Rookie達!」
そういった彼女の顔は、今からとても楽しいゲームを始めるごく普通の少女のように、ワクワクしていました。
こんにちは、水色ワンコです。第3話を読んでくださってありがとうございます。
Twitterを始めました。https://mobile.twitter.com/WaterWanko
このアカウントで投稿通知や執筆状況を報告したり、作品のちょっと細かい設定なんかをお見せできたらなと思ってます。よかったらフォローお願いします。
本作品の方の評価もぜひお願いします。
それでは次回の投稿までしばしお待ちください!
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#4 Nice to meet you
「んんっ。」
ネコ耳の彼女は先に喉の調子を整えてから話し始めました。
「Hello.ワタシの名前はチュチュよ。しっかりと覚えておきなさい。」
チュチュさん。よし、覚えました。わたしたちの命の恩人の名前です。一生忘れません。チュチュさんが続けて話します。
「それと、こっちの派手なのがパレオよ。」
「はい!わたくしがチュチュ様の従順な右腕、パレオと申します♡ 以後お見知りおきを~。」
やっぱりこの人はパレオさんでした。皆さんがよく名前を呼んでいたのでわかりやすかったです。ここまでの道中もサクサクと機械兵士を倒していたので、この人はすっごく頼りになりそうです。
「そして、」
「アタシがマスキングだ。よろしくな。」
「ちょっと!邪魔しないでよ!」
「いいじゃねえかよ。2人ともよろしくな。」
さっきのコワい金髪さんがチュチュさんを遮って話します。マスキングさんはあいさつとともに、こちらに手を差し出してきました。握手でしょうか??おずおずとわたしが差し出された手を握ると、マスキングさんはニッと笑って握り返しました。マスキングさんの力が強く、握られた右手には、離された後も少しの痛みが残りました。元気な人だなあとわたしは思いました。
「Sorry.続けさせてもらうわ。あとは私の後ろにいる2人を最低限おぼえてちょうだい。まずはこっちの背の高い方がレイヤよ。」
黒髪ロングの目がキリっとしている人です。レイヤさん。かっこいい名前ですね。
「よろしくね。」
そう言ってレイヤさんはヒラヒラと手を振ってくれる。気さくな人っぽくて安心しました。
「そして最後に、このおっとり顔がハナゾノよ。」
チュチュさんが今度は自分の左後ろを示しました。この人もレイヤさんと同じ黒色の髪で長くのばされていますが、レイヤさんと違う点がありました。ハナゾノさんは耳にうさぎ?さんのイヤリングをしてます。結構かわいくてわたしは好きです。
「じゃあ今度はアナタたちのことを教えて。」
わたしたちは一度、お互いに顔を見てから自己紹介を始めました。
「じゃあ私から。私の名前は
隣の仲間がおそるおそる言うと、さっきまで楽しそうだったチュチュさんの目が少し冷たくなったように感じました。
「ワタシたちは王国民なんかと一切関係無いわ。そうね、言ってなかったわね。私たちは王国に革命を起こすために集まったレジスタンス、『
そう話すチュチュさんの表情はだんだんと変わっていきました。さっきまでは冷たい目をしていましたが話していくうちに、いたずらを考える子供のようにワクワクとした顔になっていました。
「さあ、選んでちょうだい。ワタシたちのことを完全に忘れてここから出ていく。もう一度、力なく王国から逃げ惑うだけの、ただ殺されるのを待つ
チュチュさんはこういう煽り顔が似合います。なんだかこちらまで煽られてワクワクしてしまうような、そんな迫力があります。それに、どっちを選ぶかなんて決まってます。わたしと透花は声を合わせて言いました。
「「もちろん、戦います!!」」
直接顔は見てないですけど、たぶん、わたしも透花もちょっとだけ口角が上がってたと思います。2人とも無意識で。わたしたちの返答をきくとチュチュさんはニヤッとしていました。まるで期待していた通りの答えに満足したようでした。
「Sweet!Exellent!!Unstoppable!!!歓迎するわ!ようこそRAISE A SULENへ。アナタたちの健闘と活躍を祈っています。」
チュチュさんがそう言うと、周りの皆さんがわたしたちを迎えるように拍手しました。わたしたちはこの先の地獄に後先考えずに突っ込もうとしています。どんな悲しみや苦しみが待っているか、今はわかりません。でも、この人たちとならわたしの運命を変えられるかもって思いました。その喜びとワクワクに酔っていたのかもしれません。普通、即答しちゃうなんて、おたんちんですよね。まあ、神様の代わりにこんな世界を支配している人に文句を言うのもいいかもですね。拍手が鳴りやまないうちにチュチュさんが口を開きました。
「アナタの名前は?Rookie.」
「わたしの名前は...
「Nice to meet you.六花。歓迎するわ。」
やっぱりこの人との出会いがわたしと、わたしの運命を変えちゃったんだと思います。
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでくださりありがとうございます。もうすぐRASのライブの当落発表ですね。僕は友達と合わせて2口応募してます。当たるかとっても不安ですね。一応ポピフォニカのライブも応募してるので両日参戦出来たらなと思います。ちなみに僕のRAS推しメンはパレオちゃんです。
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#5 Pardon?
「そうね、アナタのCode Nameは......」
わたしたちの自己紹介が終わったあと、チュチュさんは
「パレオ!ここを案内してあげて!」
「はい!チュチュ様♡」
と、またパレオさんに託すと、エレベーターに乗ってどこかへ行ってしまいました。レイヤさんとはハナゾノさんも同じエレベーターで行っちゃいました。マスキングさんだけこの大広間に残るそうです。パレオさんはチュチュさんにわたしたちを任されると、わたしたちに少し待つように伝えて、5人ほどの集団の方へ小走りで向かいました。そこで一言二言かわすと、すぐにこちらへ戻ってきました。
「あの子たちは誰なんですか?さっきも全員の名前を教えてもらったわけじゃないですし。」
透花が聞きました。確かにさっき教えてもらったのは、チュチュさんにパレオさん、マスキングさんとレイヤさん、ハナゾノさんの5人だけです。
「あの方たちは私の隊員の方たちです。」
そうパレオさんは答えました。
「隊員?」
わたしはたずねます。
「このレジスタンスチームではチュチュ様を全体のヘッドリーダーとして、4つの隊に分けているんです。お2人にご紹介されたのはその各隊のリーダーです。こうみえてパレオもリーダーなんですよ。」
「つまり他の4人もリーダーってことですか?でも帰ってきたときはチュチュさんとレイヤさんとハナゾノさんの3人だけじゃ...。」
「今回は隊員は待機でチュチュ様と、パレオを含めたリーダー3人で出撃していたんです。ますきさんは隊員たちと一緒にお留守番でした。」
「ますきさん?」
「マスキングさんのことですよ。あ、チュチュ様、コードネームのこと忘れてますねえ。」
「コードネームって?」
「ここではみんながコードネームを持つ決まりなんですよ。だいたいチュチュ様が決めてくれるんですけど...、あとで一緒にチュチュ様のところへ行きましょうか。そこでお2人のコードネームをいただきましょう。」
「コードネームかー。ちょっとワクワクするね、六花。」
「そうだね。」
「かっこいいコードネームがいいなー。」
「チュチュ様ならきっと素敵なものを考えてくれますよ。パレオもチュチュ様に考えていただいたものでとっても気に入ってます。」
パレオさん、確かにかわいい名前です。どんな意味なんでしょうか。気になりますけど、あったばかりで色々質問しすぎるのもよくないですし、また今度きいてみましょう。
「それより案内ですね。『HOME』は地下数階にも及ぶ大きな拠点なんですよ。各フロアを先ほどチュチュ様たちが乗られていたエレベーターと階段で移動できるようになっています。奥の方には資材なんかを移動させるための大きめのエレベーターもあるんですよ。」
「さっきの大広間もかなり広かったです。」
「ここは自分たちで広げたんですか?」
「いえ、この施設はチュチュ様が発見されたそうで、作られたのは100年以上前だと思われます。レジスタンスが発足して、みんなでここを整備して使えるようにしたんです。」
歩きながらわたしたちに、パレオさんは案内を続けます。
「ここフロア1はこの施設の入り口になっていて、主に先ほどの大広間と奥の食堂を皆さん利用されますね。ここの食堂の給仕さんもそうですが、ここでは各隊員たちでお仕事を分担してこの施設の運営をしているんですよ。お給仕はますきさんの隊員さんが担当しています。ちなみにマスキング隊の方たちには医療も担当していただいています。」
「パレオさんのところはどんなことをしているんですか?」
気になってきいてみました。
「私の隊員は戦闘面を主に担当していて、出撃時には基本的に同行してもらってます。ですが、毎日出撃するっていうわけでもないので、普段は衛生管理、簡単に言うと施設内のお掃除なんかもしていますよ。他にも戦闘を担当しているところがあって、ハナゾノさんのところも一応戦闘班なんですよ。ただ、出撃に同行する機会はそんなにありませんね。だいたいのお仕事は各隊のお手伝いっていう風ですね。」
「お手伝いって、今日はこの隊のお手伝いって感じですか?」
「その通りです♪ でも全員が同じところを手伝うことはあまりないですね。結構ハナゾノ隊の中でも分かれてお手伝いしてますね。」
「わたしたちもどこかの隊に所属するんですよね。戦闘班はちょっと怖いかもです。」
「どこの隊に所属するかもチュチュ様に決めていただくので、どこの所属になるかわかりませんが、もしかしたら要望を聞いてもらえるかもしれませんね。」
ゆっくり話しているうちにフロア1を周り終えたようです。なので、エレベーターに乗って別の階へ移動します。フロア7までエレベーターに乗っている間、パレオさんから各界の説明を受けました。それにしてもこの施設はすごいです。生産班が使う農業フロアがあってそこで食糧をほとんど確保しているんです。それにどうやら大浴場なるものがあるらしいです。少し気になります。あとで行ってみようかな。そう考えているうちにフロア7に到着しました。このフロアには各隊長の個部屋や会議室なんかがあります。
「このフロアにチュチュ様のお部屋があるので、行ってみましょう。コードネームを所属隊を決めないとですね。」
フロアの奥の方にチュチュさんのリーダールームがありました。パレオさんが扉の横のインターホンのようなものを押すと、チュチュさんが入室許可の返事をしました。
「失礼します。」
と一言言ってリーダールームに入りました。中でチュチュさんはパソコンを使って何かの作業をしていました。
「何のようかしら?」
「まだお2人のコードネームと所属隊が決まっていないので、チュチュ様に決めていただこうと伺いました。」
「確かにまだ決めてなかったわね。それじゃあまずどこに入るかだけど、2人にはハナゾノ隊に所属してもらおうかと考えているわ。仕事内容は聞いているの?」
「はい、パレオさんからある程度は聞きました。」
ハナゾノ隊かあ。戦うことは少ないって言ってましたけど大丈夫でしょうか。
「あのーわたしはちょっと戦うのに自信がないんですけど......」
思い切って言ってみました。するとチュチュさんがニヤッと笑って
「Pardon?なにか言ったかしら?」
とあまりにもわざとらしく言われちゃいました。ひいぃぃ。実はチュチュさんは怖い人なのかも。
「ふっ、冗談よ。ただハナゾノ隊への所属は冗談じゃないわ。アナタたちにはパレオが直々に訓練するわ。それで戦いに慣れて頂戴。」
やっぱりチュチュさんは怖い人です。助けを求めるようにパレオさんの方を見ると、申し訳なさそうな笑顔を返されてしまいました。どうやらあきらめるしかないようです...。
「それとコードネームだったわね。」
チュチュさんが話を切り替えます。
「じゃあ、トーカから。アナタは...」
チュチュさんが少し考えます。5秒くらい考えると、
「決めたわ。アナタのCode Nameは『
「かわいい...ありがとうございます!」
かわいいコードネームをもらえて。透花はとってもよろこんでいます。わたしもいい名前がもらえるでしょうか。
「それじゃあ今度はアナタよ。」
ついにわたしのコードネームが決まります。ちょっとドキドキします。
「そうね、アナタのCode Nameは......
『
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうございます。先日、ラウクレの当落がありました。結果は、残念ながら落選でした。ポピフォニカも落選で実は結構ショげてます。ポピフォニカに2次抽選があることをいのります。
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#6 Members
「六花、そっち行ったよ!」
「ロックさん!右です!右!」
「え、え、え、あわわわわ」
「ロック!正面から来るよ!」
「ロックさん、お覚悟♪」
「ああああぁぁぁ!ううっ!」
「わあああああ!」
大きな声を出しながら、わたしは飛び起きました。あれ、さっきのは夢?はああああああ、良かったああああ。危うくパレオさんに切られちゃうところでした。ふう、と一息つくと、隣から
「どしたのロック?大きな声出さないでよぉ。」
って眠そうな透花の声が聞こえました。わたしの大きな声で起こされたみたいです。
「ごめんね透花。」
「別にいーけど。ってやばっ!もうこんな時間じゃん、早く支度しなきゃ!」
わたしも慌てて時計をみると、時刻は8:50。待ち合わせは9時です。あと10分しかありません!急がないと。わたしと透花はまず着替えて、鏡の前で髪を整えたりしているうちに、コンコンとノックの音が鳴りました。
「おはよう、2人とも起きてる?」
ドア越しのハナゾノさんの声が聞こえます。
「すみません!もうすぐ出ます。」
ハナゾノさんに聞こえるよう、少し大きめの声で透花が返事をしました。
「そっか、じゃあ待ってるね。」
ハナゾノさんを長い間待たせるわけにはいかないので、わたしたちの支度をするスピードが上がります。パパパッと準備し終えると急いでわたしたちの部屋のドアを開けます。ハナゾノさんはドアの横で壁に背をもたれながら鼻歌を歌っていました。
「お、早いね。2人とも準備OK?」
「「はい、OKです!」」
わたしと透花は勢いよく元気に答えます。今日はハナゾノさんの隊員初日なので、自己紹介をまずするそうです。わたしたち3人はエレベーターに乗り込んでフロア6に移動します。フロア6には大きな訓練場のようなものと、各隊専用の更衣室、会議室があります。ハナゾノ隊の皆さんが会議室で待ってるそうですが、初めての人に会うのはいつだって緊張します。コワイ人じゃなければいいですが。
「ロック、緊張してる?」
ハナゾノさんが声をかけてくれます。
「はい、少しだけ。ちゃんと受け入れてもらえるかなとか、どんな人がいるかなとか色々考えちゃいます。」
「ふふ、大丈夫だよ。うちは優しい人が揃ってるから。きっとすぐ仲良くなれるよ。」
エレベーターから降りて少し歩くとすぐに会議室に着きました。ハナゾノさんが近づいてドアが開くと、真ん中には中には丸いテーブルがあって、それを囲むようにして4人の女の子が座って待っていました。
「「「「おはようございます!ハナゾノ隊長!」」」」
部屋に入ると女の子たちが声を合わせて元気にあいさつをしました。
「おはようみんな。今日からうちに所属する2人を連れてきたよ。」
皆さんの視線が一斉にわたしたちに向きます。
「おはようございます。今日からハナゾノ隊に所属します、コードネーム『トーン』っていいます。よろしくお願いします。」
「よろしくねー。」
「トーンちゃん、覚えたよ!」
ハキハキとした声で丁寧なお辞儀とともに透花が自己紹介をしました。ハナゾノさんの言った通り、みなさん優しく拍手で迎えてくれました。次はわたしの番ですね。
「お、おはようございます!新しくハナゾノ隊に加入します、コードネーム『ロック』といいます。よろしくお願いしみゃっ!」
イタっ!舌を噛んじゃいました...。ううぅ、わたしのおたんちん〜。
・・・・・・・・・
「ふふふ、かわいいー。」
「ドンマイ!かわいいよ!」
「よろしくお願いね。」
「よろしくロックちゃん!」
ほっ、みなさん笑顔で拍手をしながら励ましてくれます。ほんとに優しそうな方たちでよかったです。ちょっと緊張が解けて楽になった感じもします。この隊ならわたし、頑張れそうです!
「じゃあ、今度はわたしたちから自己紹介するね。改めて、わたしは『ハナゾノ』。一応この隊のリーダーを任せてもらってるよ。よろしくね。」
ハナゾノさんは優しい笑顔に、うさぎ型の可愛いイヤリングがすごく似合います。それこそ、ちょっと見惚れちゃうような儚さもあって。
「はい!私は『ハヤカ』。これからよろしくね!」
すごく元気そうな人です。綺麗なブロンドの髪が目を引きます。明るい声で1音1音がはっきり聞き取りやすいですね。
「ん、ワタシはぁ、『トモリ』っていうのぉ。よろしくね?」
逆にこの人はゆったりとしてます。少し垂れ目で、肩までのびている軽くウェーブのかかった髪がかわいいです。
「ウチは『アヤ』やでー。よろしゅうな!」
ニコっとピースをしながら自己紹介する姿がとても似合ってると感じました。ツインテールじゃなくて、後ろ髪のあるツーサイドアップに小さめの身長がかわいらしさを出してます!
「最後の私が『アイ』。サブリーダーもしてるんだ。しばらくは私と一緒に行動になると思うからよろしくね。」
ハナゾノ隊で1番大人っぽい人です。リーダーはちょっとふわっとしているので、あまり大人っぽくないんです...。
「多分だけど、うちの隊でアイが1番頼りになるよー。じゃんじゃん頼っちゃってね。」
「リーダーもしっかりしてくださいね。」
リーダー自身からこんなこと言ってます。でもアイさん、綺麗な人でお姉さんみたいです。こんなお姉さんが欲しい!って感じの人です。
「皆さん、よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします。」
透花に続いて、改めてわたしもあいさつします。
「はい、自己紹介はこれで終わりー。今日のメインはここからだよー?」
「とゆうことは、お仕事ですか?確かパレオさんが、各隊のお手伝いとかなんとか言ってましたけど......。」
「ふっふっふ。」
あれ?ハナゾノさんがニヤリとしました。お手伝い...ですよね...?
「今日のゲストはこの方でーす。」
棒読み気味なセリフと共にドアが開くと、パレオさんがいました。
「皆さま、こんにちはー♪」
ひらひらと手を振りながらパレオさんがあいさつしてくれます。
「「「「パレオ隊長、お疲れ様です!」」」」
ハナゾノ隊の皆さんが声を揃えて敬礼しました。慌ててわたしたちも真似して敬礼します。
「そんなにかしこまらなくていいですよー。」
微笑みながら対応するパレオさん。でら大人っぽいなぁー。あっ、と。大人っぽいですね。よく見てみると、パレオさんの後ろにもう1人います。
「あのー、うしろの方は?」
「この方はパレオの隊のサブリーダーをしてくれています、『バニ』ちゃんです!今日はバニちゃんにも手伝ってもらおうと思いまして!」
「はじめまして、バニと申します。ロックさんとトーンさんですね。隊長からお話は聞いています。今日はよろしくお願いします。」
パレオさんみたいに丁寧な人です。少しクールというか落ち着いた感じというかパレオさんやアイさんとは違った雰囲気です。というより、手伝ってもらう?バニさん「に」? わたしたちがバニさん「を」手伝うのではなく? なんだか嫌な予感がします。ここに来てからニヤっと笑われたときは大変なことが起きると決まっているようです。そういうのはチュチュさんだけじゃないんですかーーー???
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうございます。投稿が遅くなってごめんなさいー!!まだまだ序盤なのでサクサク進めたいという気持ちはやまやまですが、お話全体の辻褄を合わせようと考えていて、かなり迷走していました。てゆか今もしています...。
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#7 This is it
わたしたちが連れてこられたのは同じフロア6の訓練場でした。
「あのー、どうしてここに来たんです?」
一応わたしは聞いてみました。
「実は、チュチュから2人がちゃんと戦えるか見といてッて言われたんだ。だから今日はうちで一番強いパレオ隊にも見てもらおうって思って読んでおいたんだ。」
最初、戦闘経験の無いわたしたちをハナゾノさんの隊に送り込んだのはどうかと思いましたが、こういうあたり、やっぱりチュチュさんはしっかりしています。
「じゃあとりあえず...」
そういってハナゾノさんが進んでドアが開くと、その部屋は武器倉庫みたいにいろんな武器が並んでいました。
「ここは訓練用の武器があるから好きなのを選んでね。」
「ここのはすべて訓練用にチュチュ様が調整されたものなので、誰でも安全に扱えるので安心してください♪」
本当に色々あって目移りしちゃいます。それにどれがなんだかイマイチわからないです。
「これって何ですかー?」
透花が手になにかを持って聞きました。
「それは
「これかな?えいっと。」
透花がボタンを押すと持っていた柄の部分から光る刃が現れました。
「おおー、すごーい!」
嬉しそうに透花が光子剣を振っています。
「みてみて六花、かっこいいでしょ。」
「うん、とってもいいと思うよ。
「へへへ。」
「トーンさんは光子剣で決まりみたいですね。パレオも光子剣を使っているので色々教えちゃいますよー♪」
「ロックは何使うか決めた?」
「わたしはまだ...ハナゾノさんも光子剣でしたよね。わたしもそれにしようかな。」
「まだ決めてないんだったらせっかくだし別のモノにしてみたら?」
「わわっ、チュチュさん!?」
いつの間にか部屋にチュチュさんがいました。
「どうしたのチュチュ?」
「この前、調子悪いって言ってたやつが調整し終わったから持ってきたのよ。そしたらちょうどアナタたちが武器選んでる途中だったってワケ。」
「でしたらロックさん!チュチュ様と同じ
「ちょっとパレオ!何勝手なこと言ってるのよ!」
「それいいかもね。ロックはどう?光子銃使ってみる?」
「ハナゾノも何言ってるのよ!」
チュチュさんに教えてもらえる...わたしも何を使うか迷ってますし、せっかくだったらいいのかもしれません。
「...光子銃ってどれですか?」
「どうぞ、こちらです。」
手際よくバニさんが持ってきてくれました。手に取ってみると、光子銃は私の小さな手にぴったりと合うようなサイズで、なんだかこれだ!という感覚がするような気がします。
「チュチュさん、使い方を教えてもらってもいいですか?」
「......仕方ないわね、ついてきなさい。実際に撃ってみるわよ。」
「っ、はい!」
すたすたと歩いていくチュチュさんに、わたしはあわててついていきました。
「あ、ロック!このあとちょっとした実践訓練みたいなのをするから、ちゃんと教えてもらってね。」
「そうですよー、本当にちょっとした実践なので、チュチュ様にしっかり教えてもらってください♪」
2人とも明るくとても元気に言いました。あ、これがさっきハナゾノさんがニヤッとしてた理由ですね。
わたしとチュチュさんは射撃演習場まで移動しました。
「じゃあさっそく始めましょ。」
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうございます。最近は投稿が遅くなっていてすみません。ホロライブに最近ハマっていてなかなかキーボードが進みません!それに加えて先の展開の構想がうまく練れずに苦戦しているのも重なっている状態です。ですが、読んでくださっている人に、自分が見えたRASの楽曲の世界観を伝えたいという勝手な願いのためこれからも頑張ります!
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#8 Take it easy
今からチュチュさんに光子銃の扱い方を教えてもらいます。一応付き添いでアイさんが端っこにいますが、ほとんどチュチュさんと二人きりなので緊張します。
「まず、この銃はそのままの状態でトリガーを引いても弾はでないわ。」
試しにチュチュさんがカチカチとトリガーを引いて見せますが弾は出ません。
「銃身の左側にあるセーフティを外せば砲身の上部を手前にスライドできるようになるわ。」
横にセーフティを外して...上をスライド...っとこうですかね?
「OK.あとはトリガーを引けば撃てるようになっているわ。試しに向こうの的を撃ってみなさい。」
そういってチュチュさんは遠くの的を指さします。大体、20mくらいでしょうか。両手で銃を握りこんで照準を合わせます。この辺かな...。
ビュンッ......コツンッ
わたしが撃った光子弾は的には当たらず、的の右を通っていきました。それよりも問題はわたし自身です。撃った反動で、腕ごと銃が自分の顔に向かってきてこちらは見事にわたしの鼻にクリーンヒット。そのままわたしは、後ろにコケて尻もちをついてしまいました。
「うう...いったあい。」
「ぷっ、くふふふ。」
「チュチュさぁん。」
よくみると部屋の隅っこにいるアイさんも顔を隠しながら肩が震えています。
「アイさんまで...。」
「...っすいません...。」
「Sorry.だって、そんな、コケるなんて、ふふ、思わないじゃない。」
「結構反動あるんですね。」
「まあね、でもそのうち慣れるわ。でもAIMはしっかり練習しないとね。」
「チュチュさんはどんな風に狙ってるんですか?見てみたいです。」
「どうって...。」
そういいながらチュチュさんは片手で光子銃を持ってかまえます。
ビュンッ...パンッ
そして軽々と光子銃を撃って簡単に的に命中させました。
「こんな感じだけど。」
「すごいです!すごいです!コツとか教えてください!」
「ん-。コツって言っても...そうね、まずは腕をまっすぐ伸ばしなさい。両手でかまえるなら銃は体の中心でかまえなさい。」
言われたとおりにかまえてみます。
「NO!的を狙うときは両目で狙いなさい。片方で狙ってもずれるし、視界が悪くなるだけよ。足も少し開いた方がBetterね。」
「こうですか?」
「Good!あとはしっかり集中して狙いなさい。」
しっかり...集中...
「深呼吸して。ゆっくりでいいわ。」
「すー、はー。」
落ち着いて、狙って、えいっ。
ビュンッ...パンッ
「...わわ、やったー!!当たりました!」
「やるじゃないロック。」
アイさんも微笑みながら拍手してくれます。
[まあ、当たったといっても的の隅だけどね。40点ってところかしら。」
チュチュさん厳しい...。
「それに、もっと遠い距離の射撃や、動きながら狙うのも練習しないと。ま、まあ、ワタシが暇なときは練習に付き合ってあげるから。声かけなさいよ。」
そういいながらチュチュさんは目をそらしてしまいます。照れてるのかわいいですね。
「とりあえずまだ時間もあるから、もう少し色々教えてあげるわ。Are you ready?」
「はい!よろしくお願いします!」
それからわたしはチュチュさんに短い時間でしたが、とても丁寧に戦い方を教えてもらいました。大体1時間ほどたった頃でしょうか。
「チュチュ、ロック、そろそろやろうか。」
ハナゾノさんが声をかけに来ました。
「Sure.いいわよ。ロックも大丈夫かしら?」
「もうそんな時間ですかっ。まだ全然できる気がしないんですけどっ。」
しっかり教えてくれたチュチュさんには悪いですけど、わたし、あんまり要領は良い方じゃないんです。だから実はちゃんと的に当たったのは最初の1回くらいなんですよね...。
「No problem! 実戦的な練習はとっても大事よロック。もしかしたらこっちよりもImproveしやすいかも知れないわ。」
「うぅ、頑張りますぅ。」
「それじゃ行こうか。」
「では、これから模擬戦を始めます。撃破対象のパレオさんをロック、トーン、リーダー、そしてバニちゃんの4人で協力して撃破してください。みんなに着替えてもらったスーツは訓練用武器と対応して被ダメージ判定があります。胸のところにあるランプが自身の被ダメージ量によって変色します。緑から黄色、赤へと段々変わって、赤の点滅状態が瀕死と考えてください。その状態で攻撃を受けると撃破されたことになります。」
アイさんが丁寧にルールを説明してくれます。それにしても4人対1人ってパレオさん、そんなに強いんですか?ちょっと不安が増した気がします。
「攻撃箇所によってダメージも変わるので、即死の可能性もあります。ご注意を。それでは始めましょうか。パレオさんは向こうのの入り口から、ロックたちはこちら側の入り口から入ってください。」
「それではよろしくお願いしますね♪」
パレオさんは軽く挨拶してから奥へと歩いていきました。模擬戦とはいえ緊張します。ちゃんと撃てるかな?すぐにダウンしちゃったりして...。
「力、入れすぎないで。リラックスリラックス。」
わたしが緊張しているのを見透かしたのか、ハナゾノさんがわたしの肩に手を当てながら話してくれました。
「六花、頑張ろうね!パレオさんに一回くらいは攻撃当てれるかなぁ?」
「そうだね、ダウンする前に一回くらい当てんとね。透花は緊張してないの?」
「うーん、緊張っていうよりもワクワクが強いかな。せっかくだし楽しまなきゃ。じゃ、先行ってるよ。」
楽しそうな透花を見ていると、自然とわたしまで気分が上がっちゃいます。透花の言う通りです。わたしも楽しもうと思います。
「それではロックさん、よろしくお願いします。あくまでロックさんとトーンさんの練習なので、私とハナゾノ隊長はお2人のサポートに徹底するつもりです。頑張ってくださいね。」
「わかりました。頑張ります!」
どうやらバニさんとハナゾノさんは頼れないみたいです。頑張らんと。そろそろわたしも行こうと思います。
「ロック!」
後ろからチュチュさんがわたしを呼びました。手をクイクイして、こっちにこいといってるんでしょうか?小走りでチュチュさんのところに駆け寄ります。
「落ち着いていきなさい。あんまり無理せず、頑張りなさいよ。」
「はい!行ってきます。」
入り口に向かおうとするとチュチュさんに背中を、パシンッ、と叩かれました。いたたた、と振り向くとかわいらしく笑いながらチュチュさんが手を振っています。うん、ちょっと気合入ったかも。
それじゃあ本当に、いってきます。
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
先日、バンドリのライブの抽選結果が発表されました。残念ながら自分は落選となってしまいました...。富士急のライブは当ててやるぞ!
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#9 Get ready
すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
「準備OK?」
「はい、いつでもいけます。」
「それじゃ......」
ハナゾノさんが軽く右手を上げると目の前の扉が開きました。部屋の中はある程度高低差があって、機動力が必要になりそうです。銃で戦うなら上の方から狙うのがいいんでしょうか。部屋の中央では、既にパレオさんが立っています。わたしたちが部屋に入ってまもなく、アイさんからのアナウンスが響きます。
「模擬戦を開始します。カウント。」
「皆構えて!開始したらすぐに散って!」
わたしも透花も急いで武器を構えます。
「3......2......1......始め!」
開始の合図とともにパレオさんが両手に1本ずつ持っていた光子剣を起動させました。わたしはすぐに右の方に走ってパレオさんと距離をとります。透花とバニさんは左に移動して、ハナゾノさんだけがそのままに位置に残りました。
ダンッッ
強い踏み込みによる刹那の接近、パレオさんがハナゾノさんの方へ勢いよく斬り掛かります。ハナゾノさんがそれを受け止めて、2人が拮抗状態になりました。
「ロックさん!今です!撃ってください!」
バニさんが大きな声で叫びます。わたしは即座に構えてパレオさんに向けて光子銃を放ちました。ですが、パレオさんは後方に飛んで軽々とかわしてしまいました。そこにバニさんと透花がすぐに距離を詰めます。
「はああああ!」
「ええええい!」
パレオさんは、バニさんの攻撃を右手の剣で受け止めながら透花の攻撃をもう一方の剣で弾くと、左足による強烈なキックで透花を吹っ飛ばしました。そのまま2本の剣でバニさんへと激しい連撃を仕掛けます。なんとかそれをバニさんが捌きますが、いくらか攻撃がヒットしてしまいます。
[やあああ!!!」
そこへハナゾノさんが斬りかかろうとしますが、これもパレオさんはかわしてしまいます。
「しっかりサポートに徹しようと思っていたけど、これはちょっと厳しいかもね。」
「ふふん♪わたしはあまり手加減しないですよ。」
「らしいです、ロックさんトーンさん。」
「上等!初めてでも勝ってやる!」
「お手柔らかにお願いしたいです。」
わたしは話しながらパレオさんを撃ちましたが、パレオさんは剣でそれを弾くとバニさんの方へと一直線に向かいます。ダメージを負っているバニさんをまずは脱落させて人数を減らそうということだと思います。ですがハナゾノさんと透花も応戦しようとバニさんのもとへ走ります。
「ロックは距離とって!遠距離でパレオに撃ち込んで。最悪、私たちに被弾しても大丈夫だから!しっかり狙ってね!」
ハナゾノさんが走りながら指示を送ってくれます。わたしはとりあえず距離と高さのある場所に向かいます。高さもあればパレオさんもすぐには来れないと思います。目的の場所に到着して銃を構えます。結構遠くて狙うのが難しいです。パレオさんは三人に囲まれているのに、すべての攻撃をいなしています。多分その身には一太刀も浴びていないと思います。パレオさんが、囲んだ3人を大きく弾き飛ばしたタイミングで、わたしはパレオさんの死角から光子銃を放ちました。
「っ!?」
パレオさんは素早く反応して銃弾をかわしますが、そのままバランスを崩してしまいます。
「まずいっ。」
「今!」
後ろへ通れそうになっているパレオさんへバニさんと透花がそろって攻撃しようとします。
「いける!」
思わずわたしは声がでました。ですがパレオさんは、後ろに倒れそうになっていて、今にも2人の攻撃が来ているのに、両手に持っている光子剣を離してしまいました。反撃をあきらたんでしょうか?パレオさんは剣を離した手を前に突き出すと、パンッ、ととても大きな音を鳴らしながら手をたたきました。ただそれは、ただの拍手と違って音がとても鋭く、遠くにいるわたしの耳にも突き刺さるように感じて耳が痛いです。慌てて私は耳を押さえました。
「いたっ、今の何ですか?」
パレオさんのすぐ目の前にいた透花とバニさんが攻撃しようとした体勢のまま前へと倒れこんでいるのに、パレオさんはすぐに体勢を立て直して両手に剣をもっています。
「今のはスタンクラップですね。」
「ええ。普段は機械兵士相手だから効果がなくて使わないし、訓練時もほとんど使わないのに。」
「相当追い詰めたってことですか?」
「Probably. でも一歩届かなったわね。チッ、もう!あそここそロックが狙いなさいよー!!」
パレオさんがわたしを見つけるとすごい速さでこちらに向かってきます。
「やばいーーー!」
「ロック逃げて!」
全速力でパレオさんから逃げます。左の階段を駆け上がってくるパレオさんから、わたしは右の階段を駆け下りて逃げます。
「ロックさーん、待ってくださーい♪」
でらこわいですー!もちろんパレオさんの方が何倍も足が速いので、当然追いつかれます。起用に壁を使いながら四方から攻撃してくるパレオさんを全力でよけます。
「なにかしらあれ?」
「パレオさん本気ですよね???」
「あれは...遊んでるわね。」
「どうしましょう、総リーダー。バニちゃんとトーンはダウンしていないですが、動き回るにはもう少し時間がいりますし、ロックもこのまま倒されると思いますが。」
「はあ、ハナゾノとパレオの1on1じゃ意味無いわ。アイ、そろそろ止めてきなさい。」
「わかりました。」
「わわわ、あーー!ひい!わああ!」
本当に寸手のところでかわしていますが、いつ当たってもおかしくありません。どうしたらいいんです?!ハナゾノさんが急いで助けようと走ってきます。透花とバニさんは頑張って立ち上がろうとしています。でもわたしはもう限界やー。そろそろかわすのがしんどくなってきました。
「六花、そっち行ったよ!」
「ロックさん!右です!右!」
「え、え、え、あわあわわ」
「ロック!正面からくるよ!」
「ロックさん、お覚悟♪」
「ああああぁぁぁ!ううっ!」
わたしは混乱して尻もちをつきました。そこにパレオさんが剣を振りかざしながら突進してきました。もう避けれません!
アイが観戦室から出て行って、またロックの方へ目を向けるとあの子はこけていたわ。それもため息が出ちゃうくらいキレイに。はあ......。ここまでね。そう思ってワタシはパレオの方へ視線を移した。最後にパレオの油断が出た。突進しながら攻撃しようとするパレオの振りかざしが大きすぎる。多分今なら攻撃できる!
「今よロック!撃ちぬきなさい!!!」
観戦室にいて聞こえるはずのないチュチュさんの声が聞こえた気がしました。わたしはとっさに銃を構えて、そのまま正面に向かってトリガーを引きました。
ビュンッ......
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうごぜいました。
もうすぐRASの6枚目のシングルが発売されますね。僕はしっかりとBlu-ray付きの限定版を購入予定です!次の2曲はどうやって略すのでしょうか?マイプロ?カップリングは思い切って「ジャム」と略しましょうか。
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#10 Not enough
「もーー!!信じられない!!ロック!銃を撃つのに目を瞑るなんてありえないわ!!」
「はいぃぃ!ごめんなさいぃぃ!」
謝るわたしの頭をチュチュさんがポコポコ殴ります。結局最後にわたしが撃った光子弾はパレオさんには当たらず、顔の横を通過しただけでした。そのままわたしはパレオさんに斬られてダウン。直後にアイさんからのアナウンスが入って終了となりました。
「まあまあ、初めての戦闘だったんだし仕方ないよ。ね?ロック。」
ハナゾノさんが優しくフォローしてくれます。しかしチュチュさんは納得いってないようで、
「初めてなんて言い訳、外じゃ通用しないのよ。そ・れ・に、そもそもの話、いくら相手がパレオだからってハナゾノとバニを含めて4人もいるのにあそこまで圧倒されるなんて。努力が足りてないんじゃないの?」
「今回はお2人ともロックさんとトーンさんのサポートだったので、全力は出してないと思いますよ。」
「......それでももっとまともに戦えたでしょ...。」
チュチュさんは少しすねた様子で顔を背けました。
「ロックさん、トーンさん。今回使った武器はいかがでしたか?扱えそうでしょうか?」
パレオさんが話を変えてくれました。
「はい、私はこの武器が気に入りました。いつかもっと上手に戦えるようになれたらな。」
「光子剣なら私が教えられるよ。パレオほどじゃないけどね。」
「やったー!ぜひハナゾノ隊長にお願いしたいです!」
「うん、まかせて。」
「ロックさんはどうでしたか?」
「わたしは......」
「決まりよ。」
「え?」
「アナタの武器は光子銃で決まりよ!アナタがまともに戦えるまで、ワタシがしっかりレッスンしてあげるわ。だからアナタは2人目のガンナーになるのよ!」
自信満々にチュチュさんが叫びます。
「2人目って。わたしがですか?」
「っ...そうよ!」
「実は私たちRAISE A SUILENの中で光子銃を使っているのはチュチュ様だけなんです。ハンドガン一丁だけじゃ大変ですし、チュチュ様のような二丁持ちやほかのタイプの光子銃がなかなか扱いにくいってことで皆さん他の物を選んじゃうんです。」
「あたりまえよ!どの武器にしたって練習が必要に決まってるじゃない!ワタシだってすぐに使えたワケじゃないのに。」
だからチュチュさんは他のガンナーが増えるチャンスにこうして張り切ってるってわけですね。確かにチーム内に同じ武器を使っている仲間がいないのは寂しいですしね。
「わ、わたし!光子銃使います!そしていつかチュチュさんくらい強くなります!」
わたしは思い切って宣言しました。はっきりと自分の決意を聴いてもらうために。いつか本当に強くなるために。
「ふっ...いつかじゃ困るのよ!さっさと強くなってもらわなくちゃ。」
チュチュさんはニッと笑って言いました。
「そうと決まれば、時間が惜しいわ。来なさいロック!レッスンの時間よ。」
「えええぇぇ!今からですかぁぁ?!」
「そうですよチュチュ様、たった今模擬戦が終わったところで皆さん疲れているでしょうし、明日からにしませんか?」
パレオさんの言う通りです!実際初めての戦闘直後でとっても疲れています。今日はとりあえず休みたいです。
「No!教えなきゃいけないことは数えきれないほどあるわ。銃の扱い方だってもっと教えなきゃだし、そもそも体力や機動力もレベルアップさせる必要があるわ。ゆったりしている暇なんてない。さあ行くわよ!」
「そんなぁ...。」
「それなら私も練習したいです!ハナゾノさん、お願いできませんか?」
「ん、わかった。」
「パレオはロックさんの方をお手伝いしますよー♪」
「私とバニちゃんはトーンを手伝います。」
結局みんなこのあとも訓練するみたいです。わたしだけじゃなくて屋かったですけど、みんな明日大丈夫かな。少なくともわたしと透花は筋肉痛で動けないかもしれません。今日はまだまだ長そうです。
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#11 It's time to work!
「2人ともお疲れだね。」
「うぅ...。身体中が痛いです...。」
エレベーターに乗ると、見るからに鈍い動きだったわたしたちを見て心配になったのか、ハヤカさんが声をかけてくれます。結局昨日は、模擬戦の後に、隣でチュチュさんにガヤガヤ言われながら光子銃の練習をしました。そのうえチュチュさんが、
「基礎体力のupよ!!!」
なんて言って、透花とわたしは夜になるまで徹底的に走ったり、腕立てや腹筋のようなトレーニングをさせられました。なので今日は2人そろって全身筋肉痛です。ほんとにつらい...。しかも、
「トレーニングは毎日しなさい!!!」
とのことで、しばらくはこの筋肉痛と戦う毎日になりそうです。死なん程度に頑張らんと。
「それで、今日は何をするんですか?」
「ほかの隊の手伝いやで。ウチらはマスキング隊のお手伝いやなあ。」
「リーダーとトモリがレイヤ隊で、アイがパレオ隊に行ってるよ。」
つまり今日はこの4人での行動になるわけですね。マスキングさんかぁ。ちょっとコワそうなイメージがあるので心配です。仲良くなれたらなあ、なんて。
ぽーん
「おっ、着いたよ。フロア4。」
「今日の仕事場やねぇ。」
ドアが開くと、すぐ目の前でマスキングさんが仁王立ちをしていました。
「来てくれたか、待ってたぜ。」
まるでゲームのラスボスのような立ち姿で、まるでゲームのラスボスのようなセリフです。
「マスキング隊長、おはようございます!!」
「おはようさんです。」
「おはよう、ハヤカ、アヤ。それに新人の2人も。」
そう言ってマスキングさんはニッと笑ってこちらへ視線を向けます。
「「おはようございます!」」
透花とわたしは2人そろってあいさつしました。
「おう、2人とも元気でいいな!」
「でも身体中筋肉痛で......昨日はほんと大変だったんですよ~。」
「チュチュにしごかれたんだって?バニから聞いたよ。まあ、あんな気合入ってるチュチュ見るのも久々だし、気に入られてるんじゃねえか?」
「そうだといいんですけど。」
ほんとそうだったらいいです。でもチュチュさんはすごい顔をしながら怒るので、ほんとに気に入られてるんでしょうか?それとちょっと意外ですね。
「バニさんとマスキングさんって仲良いんですね。てっきり聞くならパレオさんの方からだと思っていたんです。」
「まあな。パレオ隊のやつらとは結構仲がいいかもな。」
「そーなんですね。じゃあほかの隊との交流とかもあったりするんですか?」
「うーん、あんまりないかもなあ。」
「私たちは他の隊の手伝いをしてるから関わりが特別多いんだけど、他は多分違うんじゃないかな。」
「全体の数としては少ないのに。ちょっとびっくりしました。」
「でも仲間ってことには変わりねえよ。お互いに協力しあって生きてんだ。皆大切だよ。」
少し余計な話をしてしまいました。マスキングさんが上手に話を切ってくれて助かりました。やっぱりみんながみんな仲が良いというわけではなさそうです。人間ですから仕方のないことですよね。
「それよりも今日の仕事だ。4人ともこの奥の農場で力使っての運搬作業とかを手伝ってもらうつもりだったんだが...前日頑張ったルーキーたちにそれは鬼かもな。」
どうやらマスキングさんは透花とわたしのことを気遣って仕事内容を変えてくれるそうです。
「じゃあハヤカとアヤはこのまま奥に行ってうちのメンバーたちと農場を頼む。あとの2人はもう一度エレベーターに乗ってくれアタシと一緒に別フロアで仕事だ。」
「はーい。」
「じゃあまたね、ロックとトーン。」
そう言って2人はそのまま右のほうにある扉の奥へと入っていきました。
「あの扉の奥が更衣室でそこを抜けると農場になってる。今度は2人もあっち手伝ってもらうからな。」
ハヤカさんとアヤさんを見送るわたしたちの肩に後ろから腕をかけながらマスキングさんが言います。
「楽しみにしとけよ。」
ニカッとしながら話すマスキングさんは、まるでわたしたちよりもそれを楽しみにしてるようでした。
「さっさと行くぞ。」
「「はい!」」
わたしたちはエレベーターに乗り込みます。マスキングさんはフロア1のボタンを押しました。
「結局私たちってどんなお手伝いをするんですか?フロア1って大広間があって、HOMEの入り口もあるフロアですよね。まさか、外に出て危険な食糧調達とか...?」
ひぃぃぃ!!!戦闘班のわたしたちが手伝いってそういうことですかあ?!わたしたちが披露していることを考えて、力仕事を外してくれたと思ったのにぃぃぃ!!
「ハハハッ、そんなわけねえだろ。それともその方がいいのか?」
「いいえそんなことはないです!」
ぞっとするマスキングさんの質問にわたしは大慌てで返事をします。
「安心しろって。アタシらが向かってるのはフロア1の調理場だよ。2人にはアタシと一緒に料理してもらう。できるか?」
「一応簡単なものならできると思います。」
「私は自信ないかもです......。」
「りょーかいだ。頼りにしてるぜロック。トーンも料理苦手だろうが問題ねえ。アタシが教えてやる!」
「それならわたしも教えてほしいです。」
「おう、任せとけ!2人とも店を出せるくらいにしてやるぜ。」
マスキングさんがどんと胸を張りながら言います。マスキングさんもすごく頼りになりそうな人で安心感があります。さっきうまく話を切ったときといい、実はわたしが思ってるよりも優しい人なんかも。
ぽーん
楽しく話しているうちにエレベーターがフロア1に到着しました。
「調理場は大広間の横の道を進んだ先だ。」
わたしたちはマスキングさんの後ろについて歩きます。扉が開いて調理場に入ると真っ先にマスキングさんが、
「2人ともちゃんとエプロンしろよー、レイのとこに頼んで作ってもらったからな。」
と、正面の机に置かれた2着のエプロンを指さして言いました。両方ともおなかの右あたりに可愛く名前が刺繡されています。
「わー!とってもかわいい!」
「気に入ってもらえたようでよかったよ。」
エプロンをつけながらマスキさんが言いました。
「それを着たらしっかり手を洗えよ。おっしゃあ!仕事の時間だ!」
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうごぜいました。
投稿までの期間が空いてしまい、2月になってしまいました。立春もきてそろそろ冬が終わりに向かってきました。僕は冬が好きなのでこのままがいいですね。あったかいインスタントのミルクティーを飲みながら、Vtuberの動画をラジオに、お話を書いてる時間はとっても幸せだったりします。
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#12 Next step
「マスキングさん、今から何を作るんですか?」
とりあえず最初に聞いておいた方がいいですよね。
「ますきでいいよ、てゆーか呼びやすいなら何でもいいや。好きに呼べよ。それより何を作るかだったな......。」
そういうとマスキン,,,ますきさんは棚の方から白い粉がパンパンに入った袋を出してきました。
「ますきさん、それってアヤシイ......。」
多分わたしと同じことを考えてしまった透花が質問します。あの袋の中身が本当にそうなら大変なことです。RAISE A SUILENはそんなにアブナイことまで??
「んなわけねーだろ!ただの薄力粉だよ。」
すかさずますきさんは否定しました。そうですよね、そんなアヤシイくすりなわけないですよね...。それでもアヤシイ笑顔でアブナイ取引をするチュチュさんが簡単に想像できてしまうのはわたしだけでしょうか。
「薄力粉?それでなにを?」
「ふっふーん、今日作るのは......クッキーだ!」
「ク、クッキー?」
「そうだよ、なんか文句あんのかよ?」
「ないですないです!てっきり夕食のメニューとかを作るのかと思っていたので。」
「んだよ、昨日も一昨日もここでメシ食べてるんだからちょっとは気にしろよな。基本は頼まれてから作ってるんだよ。メシはできたての方がウマいからな。」
知らなかったです。確かにますきさんの言う通り、ご飯を作っている際のことは考えてなかったです。
「でもどうしてクッキーを?」
「アタ...たい...よ」
「え?」
わたしが聞くとますきさんがとても小さな声で答えました。あんまり聞こえなかったのであたしは聞きなおします。
「だーかーら!アタシが作りたいからだよ!!...悪ぃかよ。」
突然ますきさんが大きな声で返します。わたしたちは驚いて、目を丸くして固まります。
「っ、だよなー。よく似合わねぇとか意外とか言われんだよ。やっぱそう思うよな?」
少し不安そうにますきさんが問います。
「確かにちょっとだけ意外かもしれないです。ますきさんはコワイのかも、なんて思ってましたし。」
わたしは正直に答えます。初めて会ったときのますきさんは本当にコワかったですし...。
「でも、似合わないなんてことはないです。そのエプロンだってとっても可愛いですし、すごく似合ってます。」
ますきさんのエプロンを見ながらわたしは言います。黄色に白の水玉模様、わたしたちのと同じようにお腹のところに「MASKING」の刺繍が入っていて、その隣にはクマのワッペンがついてます。
「そーですよ!マスキさんのエプロンすっごく可愛いです!もちろんそれを着てるマスキさんも可愛いですよ。」
わたしのことばに透花が付け加えます。
「へへ、ありがとな2人とも。」
ますきさんは少し照れながらも嬉しそうに笑いました。うん、ますきさんはカワイイですね。
「おっと、クッキーづくりだな。さっさと始めないとな。」
そういってますきさんはわたしたちにボウルと粉ふるいを渡しました。
「まずはこいつで薄力粉をふるいにかけてくれ!ちゃんとやらねえとおいしいクッキーにならねえぞ。」
どうやらふるいにかけないとカタマリになっていた粉が生地に残っちゃったりして、失敗の原因になるそうです。なるほど...勉強になりますね。同じようにお砂糖もふるいにかけます。すごく簡単で楽な作業なのでおしゃべりの方が楽しくなっちゃいます。
「この粉もここで作ってるんですか?」
ふと気になって聞いてみました。
「いや、残念だがここでは作れないものだってある。チュチュの技術をもってしてもな。だからそういうものは買ってるよ。」
「買うって王国でですか?私たちはレジスタンスで王国の敵なのに大丈夫なんですか?」
「問題ねえよ。信頼できるヤツが王国にいる。ここで調達できないものはソイツに調達してもらってるよ。」
もちろん両方にとって危険なことなのでこちらから王国に入って買いに行くそうです。王国に入るには自身を証明する『MyCard』が必要ですが、チュチュさんが偽造品を用意するそうで、変装した状態で行けば厳重な警備も通ることができるとかなんとか。それでも万が一を考えて戦闘班の人しか行かないとのことです。
「ロックとトーンももしかしたらそのうち行くことになるかもな。」
「ほんとに大丈夫なんでしょうか。変装やMyCardを偽造って言っても王国の警備に引っかかったりしないんですか?」
「今まで失敗したことはないから安心しろって。チュチュの力を信じろよ。」
わたしたちの不安を和らげるようにますきさんは笑いながら言いました。ちょうどお砂糖もふるいにかけ終わりました。
「よし、じゃあ次の工程だな。ボウルにバターと砂糖を入れて混ぜてくれ!後で卵も入れていくぞ。」
「「はーい。」」
バターと砂糖がちゃんと混ざり合ったところで、溶いた卵を3回に分けて混ぜていきます。3人それぞれのボウルで混ぜながら、透花がさっきの話からつなげるように話し始めました。
「さっきの話みたいに大変な仕事やほかの生産班の人たちがやってた仕事じゃなく、私たちはこんな簡単なお仕事でいいのかな。」
透花が独り言のようにつぶやきます。
「いいんだよ。どの隊も毎日毎日仕事があるってわけじゃねえし。でも今回みたいなのは特別だな。」
「今回ってこのクッキーづくりですか?」
「ん-、まあそうだな。ちゃんと仕事のある日に、それをしないで別のことをやるのは今日が初めてかもな。」
ますきさんが続けて話します。
「実を言うとな、ハナゾノから言われたんだよ。あの2人と仲良くしてくれって。」
「ハナゾノさんが?」
「ああ。アタシも最初からそのつもりだから心配いらねえよって言ったら、『そっか、だったら一緒にクッキー作ってあげてよ。』だってさ。アタシも昨日スゲー頑張って疲れてる新人に、次の日いきなり重労働させようなんて思ってなかったからちょうどいいと思ってな。」
「そんなこと話してたんですね。」
わたしたちはハナゾノさんの隊に所属していますけど、特にわたしは、まだそんなに深く交流がありません。強いて言うなら昨日透花が光子剣の練習を一緒にしたくらいです。
「わたしたち、まだハナゾノさんとそんなに話したことないのに、今日の仕事だってハナゾノさんとじゃなくますきさんとですし......。」
「単純に仕事の内容的に、とかじゃねえか?それにハナゾノがあんな風に言うの珍しいんだぜ。結構気に入られてるんじゃねえか。実際アタシも二人のこと、好きだぜ。」
「わたしもますきさんともっと仲良くなりたいです。」
「あ、私も!」
「おうおう、じゃあまた一緒に料理しような。」
ますきさんと話している時間はとても楽しくてずっと話していたい気分になります。もっと仲良くなりたいですし、次料理する機会が今から楽しみです。
「よし!そろそろいい感じに混ざったろ。とりあえず、しばらく冷蔵庫で生地を寝かせようぜ。そんで待ってる間休憩してて良いぞ。」
「「はーい。」」
3人の生地をそれぞれ冷蔵庫に入れて30分~1時間ほど待つそうです。生地を混ぜるのに思ったよりも力を使ったのにちょっと疲れちゃいました。
「2人はここに来る前は何してたんだよ。襲撃が来たところをチュチュに拾われたってのは聞いたけど。」
「ここに来る前は、ほんと普通の暮らしです。王国からの襲撃はありましたが、みんなで逃げながら頑張って生き抜いてました。」
意図せず暗い口調で話してしまいました。チュチュさんからは、あの襲撃場所の近くには誰もいなかったと聞きました。あのときいち早く逃げたみんなではなく、逃げ遅れたわたしと透花がこうやって生きているなんて、ほんと救えない世界だと思います。透花は話しながら、改めてみんなを思いだして悲しくなり、少し泣いていました。わたしも透花のように出そうになる涙と嗚咽を押さえながら、小さくなる声で話しました。そんなわたしたちの話をますきさんは真剣に、穏やかな表情でうなずきながら聴いてくれました。
「そっか、2人とも普通に生きてたんだな。悪いなこんなことに巻き込んで。でもアタシが、アタシらが一緒にいるから。2人の悲しさを消すことは出来ねえかもだけど、分け合うことならできるから。」
ますきさんがわたしたちを慰めようと頭をなでてくれました。そのおかげで透花は段々と泣き止んで、しばらくすると落ち着きました。わたしは頭をなでられながら、ますきさんへの信頼が段々と深まると同時に、わたしの涙を止めたものがなにかわからずに不思議な気持ちになっていました。
「もう大丈夫か。トーン。」
「はい...ぐすっ...ありがとうございます。」
「よし。んじゃ、クッキーの続きするか。」
冷蔵庫から取り出した生地を麺棒で伸ばしてから、好きな形に抜きました。ますきさんの用意してくれたものの中には、ハートや動物の型もあって、ますきさんは形を抜いた後に爪楊枝でかわいく顔を描いたりしていました。それをオーブンで20分ほど焼いて完成です。
「そういえばますきさんはRAISE A SUILENに入る前は何をしてたんですか?せっかくだからますきさんの話も聴きたいです。」
わたしがそう言うと、ますきさんは悩んだ様子で一瞬顔を下に向けてから、もう一度こちらを見ました。
「また今度、いつか話してやるよ。」
「えー、わたしたちは話したのに―。」
「別に面白くもねえし興味がわく話でもねえよ。今度話すからよ。」
透花が少し駄々をこねてもますきさんは軽く流しました。わたしは何も言えずに、ただ2人のやり取りを見ながらクッキーの焼き上がりを待っていました。
「もうすぐ焼きあがるぞ。」
そう言ってますきさんはオーブンの前に行き少し待つと、ふたを開けて中からクッキーを取り出しました。ふたを開けた瞬間から甘い匂いがして、焼きあがったクッキーをみてわたしと透花から喜びの声がでました。ますきさんはクッキーを2枚手に取って私たちに差し出しました。
「さあ、食べてみろよ。」
それを受け取って、透花は不安な気持ちなのか遠慮がちに食べました。
「ん-!!おいしー!!」
透花は飛び跳ねながら喜びました。わたしも一口食べてみて
「あ、おいしい。」
と声がこぼれました。
「だろ。やっぱ自分で作ったものはうめーよな!」
こんにちは、水色ワンコです。最後まで読んでいただきありがとうごぜいました。
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#13 Warm up
朝7時。今日は朝から光子銃の練習をしようと思って、1人でフロア6の訓練場に行こうとエレベーターに乗ってます。
「ふわぁぁ。」
みんなは大体8時から9時ごろに起きるので、みんなの部屋があるフロア2の廊下はいつもと違って誰もいなくて静かでした。今このエレベーターも、運んでいる乗客はわたしだけ。
「今日も頑張らんと。」
眠い体を頑張って起こして朝から頑張りましょう!早起きは三文の徳、はやく光子銃を上達したいですし、いっぱい練習したいです。
ぽーんっ
エレベーターがフロア6に到着しました。とりあえず訓練用の光子銃をとるために武器庫に行きましょう。実は光子銃はいろんなタイプがあって、遠距離特化のスナイパータイプや連射速度が自慢のマシンガンタイプなんかもあります。チュチュさんが使っているのがマシンピストルタイプといって、簡単に言えば片手で打てる小さめのマシンガンみたいなものらしいです。チュチュさんはそれを二丁持って戦うってパレオさんが言ってました。ちなみにわたしはただのハンドガンタイプです。チュチュさんに初めのうちは特別なタイプの銃は使うなって言われてるんです。わたしもいろんなタイプを使ってみたいので練習頑張りますっと。
「ふんふふんふーん♪」
軽く鼻歌を歌いながら武器庫に入ります。
「はっやおき~はっやおき~朝かられんしゅう~♪」
気分ものって歌まで口ずさんじゃいます。これが早朝テンションですか...。
「あっ、ロック。」
急に右の方から声がしました......。おそるおそるゆっくりと右の方を向くと、そこにはレイヤさんが立っていました。
「おはよう、ロック。」
「...おはよう、ございます、レイヤさん...。」
ニコニコと笑顔で挨拶してくれるレイヤさん。
「......もしかしてみてましたか?」
まさかレイヤさん、わたしが鼻歌歌っているところを?
「うん、ノリノリだったね。」
うぐっ。
「ああああああ!見られてたんやー!恥ずかしい...。」
「朝から元気でいいことだと思うよ。」
恥ずかしがるわたしにレイヤさんが笑顔でフォローしてくれます。
「なんでここにいるんですかレイヤさん。」
「ちょっと体を動かそうと思ってね。体をなまらせちゃいけないから時々こうやって朝に来てるんだ。ロックこそ早起きだけど、チュチュに言われたの?」
「いえ、ただ早く戦うことになれたいので、今日から朝にも練習をしようと思いまして。」
「いいね。そりゃチュチュにも気に入られるわけだ。こんな努力しようとしてるなんて。」
やっぱり他の皆さんからみるとチュチュさんはわたしのことを気に入っているように見えるのでしょうか。
「ねえ、ロック。」
「はい。」
「今から相手してよ。」
この前、パレオさんと対戦した時と同じ部屋に来ました。正面でレイヤさんは軽く体操っぽいのをしています。ふとこちらを見るレイヤさん。
「準備運動、しといたほうがいいよ。その方が動きやすいし、ケガもしにくくなるからね。」
「は、はい!」
見よう見まねでレイヤさんと同じようにしてみます。しっかり膝を伸ばしたり、軽くジャンプしたりして体をほぐします。
「ふうっと。じゃあそろそろ始めようか。準備は良い?」
地面に置いていた光子剣を拾いながらレイヤさんが言いました。目を閉じながら深呼吸をして、心を落ち着けます。チュチュさんに言われた通り集中できるように。
「はい!準備OKです!」
わたしが答えると、レイヤさんはポケットから1枚のコインを出しました。
「今からこのコインを上に投げるから、地面にコインがついたらスタートの合図だよ。」
言い終えると同時にレイヤさんがコインを宙に放ります。コインが空中にある間にお互いが構えます。クルクルと回転しながらコインがレイヤさんの目の前を通過します。そしてコインが滞空を終えて地面に触れる音に耳を澄ませます。
カンッ
瞬時にレイヤさんの頭へトリガーを引きます。
ビュンッ
レイヤさんはそれを読んでいたのか、右足を前に出しながら体をかがめてかわしました。そのままわたしのお腹くらいの高さへ光子剣を振りました。わたしは即座に後ろへ跳んでかわします。
「やるねロック。」
「レイヤさんだって。」
「まあね。」
軽く言葉を交わしたあと、レイヤさんは剣を構えながらこちらへ突進してきました。わたしも光子銃を撃ちますが、ジグザグにステップを踏みつつ接近するレイヤさんに標準が定まらずなかなか当たりません。なら、作戦変更です。とにかく銃を乱射するのではなく、接近したレイヤさんへ確実に1発を命中させることにします。銃を構えて集中!
「ん!いい判断してる。でも......。」
わたしとレイヤさんの距離は2mほどに近づいたとき、突然レイヤさんが光子剣を手放しました。
「えっ!?」
レイヤさんは驚くわたしの手首をつかんで、反転しながらわたしに密着しました。次の瞬間にはわたしの視界は上下さかさまになっていて、体が浮いている感じがしたと思えば、そのまま床へとたたきつけられました。
「まだまだかな。」
微笑みながらそう言うレイヤさんの顔はさかさまで、手にはわたしの持っていた光子銃が握られていました。つまりはわたし、背負い投げされちゃいました。
「私の勝ちだね。」
「参りました...。」
レイヤさんが腕を引いて、わたしの体を起こしてくれます。
「お疲れ様。」
「レイヤさん、とっても強いですね。シュタタッて光子銃をかわしたり、まさか剣を手放すなんて思わなかったですし。」
「ありがと。でもロックも悪くはなかったよ。」
そう言ってレイヤさんはわたしの前に右手を突き出しました。わたしも右手でそれを握って、
「またお相手してくれませんか?」
と聞きました。
「もちろん、ようこそRAISE A SUILENへ、よろしくねロック。それじゃあシャワー浴びに行こっか。」
快く歓迎してくれたレイヤさんと一緒にわたしも出口の方へ歩いていきました。
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