あべこべ幻想郷に落とされた一般(?)大学生 (謎の通行する男Σ(シグマ))
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1話

ども。

……書くことが思いつかないけど初回だからなんか書いた方がいい気がする…

もういいや。

翔都「…良いのか。」

いいんだよ。
じゃあ、どぞ。


「ふぁ~…眠い…」

いつも通りの日々。特に可もなく不可もなく。そんな感じ。ふと時計を見て、思い出す。

 

「…やっばい!今日講義一間からじゃん!寝過ごしたァー!」

…まあ、ハプニングと言えばこれぐらい。彼、片桐翔都(かたぎりしょうと)は電車で学校に通っているため、遅れると、割とほんとにヤバいのだ。ちなみに、単位は未だ一つも落としていないし、追試すらかかったことがない。まあ、頭は良い。顔も中の上。でも、彼女いない歴=年齢。そんな日常(どんなだよ)が、変わろうとしていた。

 

「ハァー…の、乗れた…もうだめかと思った…」

彼が降りるのは七つ目の駅。それまで本を読んでいた。

 

ガタンゴトン…ガタンゴトン…

 

プシュー

 

「ふう、行くか。」

 

 

「~♪~~♪」

少しばかり鼻唄を歌いながら大学に向かう。その時、

 

「危ない!」

 

「へ?」

ドン!

 

「ガハ!?」

スリップしてきたバイクに跳ねられた。

一つの影が宙を舞った。

 

 

 

チュンチュンチュン…

 

「………ん?」

目が覚めると目の前には青空。

 

「えーと、…僕はバイクに跳ねられて…跳ねられて!?よく生きてたなぁ。で、ここどこ。こんなとこ僕知らないよ?」

 

「怪我は…特にないっぽい。あれ、僕道路にいたよね?え?」

訳が分からない。ほんとに。

 

「とりあえず…人探そうか。」

今翔都が持ってるものと言えば…

 

服装…ジャージ

 

持ち物…カバン。中には筆記用具、スマホ、ノートパソコン、水筒、大学で使うノート7冊、お金[5万円]

 

位。ろくなもの持ってないなぁ…と自分で自分に言った。

 

 

「…ねえ、どこに人がいるの?誰でも良いから出てきてー…」

どこにもいない。二時間歩いた。ずっと森。え、このまま飢えてバットエンド?え、嫌だよ?死にたくないよ!?等々考えていた。持っているスマホも圏外+反応しない。つまりただのプラスチックと金属とガラスの塊となった。

 

「グワアァァァ!」

何かが飛び出てきた。

 

「うおあいえおいうあいえ!?な、何何何何何!?」

 

「ン,オトコ…ウマソウー!クワセロ…」

 

「はあ!?何!?え、誰だって!?誰か出てきてとは言ったけど人であってくれ!」

見た目はトコロドコロ溶けてる一つの目。確実に人じゃない。

 

「カンケイナイー!」

 

「うわー!飢えじゃなくて食って殺されるのかよ!もっと嫌だわ!」

ちなみに、この妖怪は食うとは言っているものの、意味は食う(性的に)訳だが、どちらでも嫌なのは変わりない。翔都は、

(あー…でも、よく考えてみればバイクに跳ねられたんだから死んでてもおかしくなかったのか。運命って残酷だなぁ…もう無理か…こけたし…あーもう諦めた。無理です。無理ゲーでーす。)

とか何とか思って翔都は目を閉じた。

 

「グアアァァァ…」

ドサッ

 

「へっ?」

が、翔都がそっと前を向くと、赤い服を着た人が立っていた。

 

「チ…ハクレイノミコハブガワルイ…」

ザザザザ…

 

「ふう、大丈夫か?」

 

「え、は、はい。」

その人が振り返った。お面を着けていた、黒い狐の。よく分からない人だったが、助けてもらったため礼を言う。

 

「えーと、あ、ありがとうございます。」

 

「いいのよ。これが仕事だしな。」

彼女は博麗(はくれい) 霊鐘(れいしょう)。ここ、幻想郷の心臓部、博麗神社の九代目の巫女であり、かなりの不細工。そのため、外に出るときは必ずお面を着けていく。

 

「あの、ここどこですか?」

 

「ん?どこって…ああ、道に迷ったのか、人里はこっちだ。付いて来て。」

 

「え、あ、ありがとうございます。」

 

「べ、別に良いわよ。(い、イケメン…)」

 

「(ん?何か凄いルンルンな感じさせてるなぁ…というか何でお面被ってるんだろう…?)」

そして、次の瞬間。

 

「あ、あの、」「ね、ねぇ、」

見事なまでに同時だった。

 

「い、いや、先にどうぞ!」

 

「いやいや、私は良いから先に…」

ブンブンと霊鐘は首を振った。すると、その時にお面の紐が緩み…

 

カラン

 

落ちた。

数秒の間があった。

 

「ごっ、ごごごごめんなさい!」

彼女の不細工さは群を抜いている。その顔をいきなり直視したとなれば、吐き気の一つや二つを感じるだけならまだマシな方である。が、翔都は…

 

「?…何で今、僕謝られたんですかね?」

 

「へ?」

 

「いや?え?」

 

「いや、何でって…」

 

「いや、謝られる要素ありました?」

 

「私の顔…見えなかったのか?」

いや、見えていた。白くて透明感とハリのある肌、大きな目。翔都にとってここまで綺麗な人は初めて見た。正直、結構理性飛ぶかもしれないレベルで。

 

「いえ、見えましたけど…」

 

「醜かっただろう?」

 

「え?」

霊鐘は少し顔を曇らせ、言った。

 

「醜かっただろ、私の顔。里に行ってはこちらが化け物扱い、妖怪もこの顔一つで何とか出来るかも。それに…」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。」

 

「…?何かしら?」

 

「さっきから…何の話してるんですか?」

翔都は首をかしげながら聞く。なぜなら翔都の目からすればとても美しい人しか映っていないのだから。

 

「?だから私の顔が醜くて…」

 

「いやいや、すごい綺麗でしたよ?」

 

「へぇ?」

素っ頓狂な声を出す霊鐘。

 

「いや、だから醜くなんかなかったですよ?むしろ凄い綺麗でした。少なくとも僕が生きてきた中では一番美しいですよ。」

 

「…からかってるのか?」

 

「まさか。」

 

「はあ…ならもう一回間近で見てせいぜい吐き気を覚えることだな。」

そういうと霊鐘は再びお面を外した。が、翔都にとっては再びあの綺麗な顔が現れるだけのこととなった。

 

「…うん、すごいきれいな顔ですけど…」

翔都は、この人は自分を過小評価し過ぎなのではないかと思った。

実際この顔で醜ければ、地上の約90%以上の人間は醜いことになってしまうだろう。

 

「…頭大丈夫かしら…?…とりあえず、名前は?」

 

「失礼なことを言われた気がするけど…僕は片桐 翔都です。そちらは?」

 

「博麗 霊鐘よ。」

 

「霊鐘さんですね。」

 

「ええ。…さてと、そろそろ人里よ。」

歩いていると、門が見えてきた。

 

「はい。もう無闇に外に出ないことね。」

 

「は、はい…?まあ、ありがとうございました。また、お会いしましょう。」

翔都は別に外に出た訳では無いのだが、霊鐘からすればそう思うだろう。

 

「え、ええ。(ふぁっ!?ま、また会いたいなんて言われた…!あー…今日が私の命日かしら…?…もしかしたらこれが幻、なんてこともあるかも…もしそうだったら私ももう終わりってことね…あのスキマ妖怪も笑えないかしら。)」

そんなことを考えていた霊鐘の前で翔都は少し笑い、

 

「では、また。」

浅く会釈をしてから門をくぐった。

 

「……………」

少ししばらくの間、霊鐘はこの門の前でしばし、ぼーっとすることとなった。

 

 




はい、えーと、主人公は片桐 翔都君ですね。
で、霊夢の前の代の博麗の巫女が博麗 霊鐘さんですね。

勝手に名前つけました。

翔都「よろしく~」

はい、よろしくお願いします。
タグにもあると思いますが、投稿頻度が何それ美味しいの、とかいう状態なもので、はっきり言って遅いです。頑張りますが、学生なので、そこのところもよろしくお願いします。

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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2話

ども。

最近寒いです…僕は公立校(中学生です) なので土曜がないのが救いです…(帰宅部。正確にはテニス部だけど幽霊部員)

翔都「部活行けよ…」

からだ動かすのあんまり好きじゃないんです…じゃあなんでテニス部入ったんだ、ってことになりますけど。


では、どうぞ。


「はあ、はあ、はあ…絶対こっち来るなよ…」

翔都は、路地に身を隠していた。なぜこうなったかは10分ほど遡る…

 

─────────────

 

───────

 

───

 

「…………あれ?」

霊鐘と別れてから、人里に入った翔都だったが、一回見てまず思った事。

 

「………タイムスリップですか?」

どう見ても翔都がいた所とは時代感が違いすぎる。全て木造建築で、馬が車を引いていた。時代劇の中に入り込んだ感覚だった。そこと、もう一つ。

 

「……?」

何か色んな所から視線を感じる。ここの人がチラチラとこちらを見ているのは分かった。だが、その中に、明らかにおかしい視線があった。

 

「あら、お兄さん。見ない顔ね?」

 

「イケメンじゃない…!」

 

「ねえねえ、こっち来てよー!」

…四方から何か声をかけられる。視線が確実に危ない気がするし、翔都からすればとても綺麗とは言えない顔であった。

 

「えーと、すみません…さらばぁっ!」

 

「! ! !逃げた…私たちから…?」

 

「追うわよ!」

 

「「「「待ぁてぇーー!」」」」

ドドドド

 

それで何故かどんどん追う人が増えていき、翔都の後ろを30人強の女達に追われることになっている。翔都は、そんなに足が速いわけではない。むしろ、少し遅いぐらいだ。

 

「くそぉ…今ばっかりはこの足の遅さを恨むっ…」

その時、走らない方法も思い付いた。

 

「こうなったら…賭けだっ!」

ダッ

 

家々の隙間に入り込んで撒く作戦だ。もうちょっと無かったものかと少し思う。

が、このお陰かどうかは置いておき、何とか撒いた。

 

そして、現在である。

 

「はぁ…はぁ…はぁ……ふぅー…何とか逃げ切ったか…さて、どうしたものか…」

撒いたは良い。撒いたのは。ここからどうしようか、といったところだ。

 

「誰か助けてくれる人はいないものだろうか…?…とりあえず、ここつたってどこかに出るか。」

そうして五分後。

 

「うーん…出れそうな所無いなぁ…あ、ここなら人通りも少ないかも。」

 

スッ キョロキョロ

 

「よし、ここなら…」

 

「ここならなぁに?」

 

「出れるってえぅえ!?」

いつの間にか横に女の子がいた。黒い服に金髪、赤いリボンを着けている。

 

「いつからそこにいたんだ…?」

 

「んー?さっきからなのだ~。」

全く気配すらも感じなかった。と言うかほんとに今気づいた感覚。

 

「お兄さんは誰なのだ~?」

 

「僕は片桐翔都。君は?」

 

「ルーミアなのだ~。…そういえば、翔都は私を見ても逃げたりしないのだ~?私は妖怪だぞ?」

翔都は、あれ、妖怪って全部あんな感じ(1話の時の奴)の奴だけじゃないのか、と思った。正直、めちゃくちゃ可愛い。ロリコンじゃないぞ。

 

「…もうすでにヤバい方の妖怪に会ったからね。なんと言うか…普通の()()()女の子みたいに見えてるよ。」

 

「…?可愛いって言ったのだ~?」

 

「?ああ。言ったよ?」

するとルーミアはちょっとづつ顔を赤くして下を向き、言ってきた。

 

「可愛いなんて初めて言われたのだ…翔都って言ったな?」

 

「?あ、ああ。」

 

「嬉しいのだ…だから…」

何やら急に嫌な予感がしだした翔都だったが、間髪いれずに内股になりながらルーミアは言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セッ○ス……して良い?」

 

「へ?」

周りが闇に包まれた。

 

「え?ちょ、待てぇ!」

ダッ

もうどこに行ってるのかすらわからない状況だが、とりあえず走る翔都。翔都の脳が、全身が言っている。こいつ、ヤバい!と。

 

「逃げられると思ってるの?」

だが、何か楽々並走してるルーミア。どうなってんだ。

 

「あーもう!どうすりゃ良いんだぁ!」

 

「私と気持ちよくなったら良いんじゃない?」

 

「それだけは確実に最適解じゃない!」

とは言ったものの、どうしようもない状況。翔都は全力で走っている。なのにルーミアは普通に浮いて追いかけて…浮いて?

 

「そ、それはズルくないか…」

飛んで追いかけてくるのから逃げるのは無理があるだろうましてや周りは暗黒状態で全く見えない。そして逃げている翔都は50m走のタイムが大学生で8秒95。

 

「うっそだろ…」

もう半分詰みゲーだろう。それでも何となく諦めるのは癪で走る。ルーミアも並走はするが、襲ってこないし。おふざけだったのかもしれない、と翔都は思ったが、とりあえず走る。すると、

 

「あっ、」

全く見えないお陰で何かに躓いてこけた。倒れた瞬間、さっきまでの疲労が一気にのし掛かってきた気がした。

 

「ぐ…」

 

「んー♪この時を待ってたのだ♪」

ルーミアは、相手を疲れさせ、動けなくなったところを襲うつもりだったのだ。

 

「ち…悪い…、許せっ!」

ダンッ

 

「きゃっ!」

飛びかかってきたルーミアに仰向けになってキックを食らわせた。ルーミアと共に黒い所も翔都から離れていく。

 

「あんな…感じなんだ…」

ルーミアのいる所には真っ黒な闇の玉があった。

 

「はぁ…はぁ…早く逃げないと…というか、ここどこなんだよ…まあ良い、それよりも逃げないと…」

タッ

 

「待てぇー!もう怒ったのだー!」

すごいスピードで、またあの黒い玉が追いかけてきた。

が、前に大きめの建物が見えた時、すぐに止まった。誰かが翔都達の方に来たのが見えたのと同時に。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「はぁ…え?…」

 

「ルーミア!お前か!」

 

「うぅー…」

青い髪に所々銀が混じっている赤い目の女の人だ。

 

「た、助…助かり…ました…はぁ…」

 

「いや、まだ助かってない位疲れてるみたいだが?」

 

「体力の…無さを恨みます…」

まあ、ともあれ何とか助かった翔都。少しの間ここ、寺子屋にいさせてもらうことになった。

 

彼女の名前は上白沢 慧音。ワーハクタクという妖怪とのハーフ。ただ、正確には後天的なもの、つまり、生まれつきではなく、後から半人半妖になった者。頭突きが得意。

 

 

ルーミアは慧音からの強烈な頭突きを食らっていた。

 

 

「いや…ほんとに助かりました。結構危なかったですよ。」

 

「申し訳ない…ルーミアが変に迷惑をかけてしまって…私は寺子屋の教師、上白沢(かみしらさわ) 慧音(けいね)だ。」

 

「片桐 翔都です。」

 

「悪いな、こんな汚い者の所で…」

 

「?汚い?いやいや、ちゃんと掃除もされてて、綺麗じゃないですか。というかそもそも、ここが寺子屋なら汚かったらダメでしょ…」

翔都は、寺子屋という言葉には引っ掛かったが、まあ、そこが子供の勉強する「学校」と同じようなものだとは知っているため、返答した。

 

「いや、そうじゃなくて…私の…姿がってことだ…」

 

「??いやいや、何を…慧音先生はお綺麗ですよ?」

 

「ふえっ?」

実際慧音はかなり恋愛やらには奥手である。そもそも、普通に男の人と話すことだけでも緊張する。しかも、目の前にいるのは超絶イケメン。自分など相手にもされないと思っていたが、突然言われた言葉を理解できなかった。

 

「え、え?え?あ、い、今…何て…」

 

「ですから、慧音先生はお綺麗ですよ、と。」

どこからともなく、ボフン、と音が聞こえた気がした。翔都の前で、慧音は真っ赤になってフリーズ、そのまま硬直して倒れた。

 

「…ふぇっ!?ちょ、け、慧音先生!?」

 

「き、綺麗…か…翔都殿…私はここで…おしまいのようだ…」

 

「はい!?いや、え、誰かー!?」

 

ドタドタドタ

 

「どうした…ってほんとにどうした慧音!?」

白髪のまた美人が入ってきた。

 

「ど、どうしましょう…」

 

「……まあ、ほっとけば気がつくかな?」

 

「いや、そんな雑で良いんですか。」

 

「まあ、多分な。あ、そういえばまだ名前を言ってなかったな。藤原(ふじわら) ()妹紅(もこう)だ。」

 

藤原 妹紅。蓬莱の薬を飲んで生と死の境界が無くなった元人間。ちなみに蓬莱の薬は()()()()()()()()が帝に送った物を奪って飲んだらしい。何てことをするのか。

 

「片桐翔都です。」

先程も同じような会話をした気がした翔都だったが、まあ気にしないでおいた。

 

「翔都か。…おっと、そろそろ授業が始まるから慧音に起きてもらわないといけないんだが…」

 

「…完全に伸びちゃってますね…どうします?」

二人の前には顔を真っ赤にして慧音が全く起きそうもない状態で倒れている。

 

「…お前、男だろう?」

唐突に妹紅が翔都に聞いた。

 

「?はい。そうですが…?」

 

「一回ぐらいならヤっても良いんじゃないか?」

…そして、特大のダイナマイトを投下した。

 

「…何でそうなるんですか…」

 

「?睡姦は嫌いか?」

 

「いや、そうじゃなくていや、好きなわけでも無いんですけどとりあえず起こすのが先なのでは?」

必死に理性を保つ翔都。不意打ちに対して吹き出しそうになったがこらえた。

 

「そうか、やっぱり顔か…いや、体型も含め、か。」

 

「はい?」

 

「まあ、そうだろうとは思ってたけどな。」

 

「あのー?なんの話を…?」

 

「?お前は私も含め、慧音が醜いから襲わないんじゃなくて?」

 

「僕、そんな獣に見られてるんですか…?というか、全然醜くなんかないですよ?むしろお二人ともお綺麗ですよ?」

 

「でも、起きそうにないしなぁ…あ、翔都は人に物を教えれるか?」

一気に顔が赤くなったが、隠すように話題を変える妹紅。

 

「…まあ、できないことはないですけど…あとどれ位でですか?」

 

「あぁ、ま、あと二、三十秒だ。」

いや、いくらなんでも、ね?秒単位で素人に任せますか?

 

「いや、急すぎますよ!何するかすら聞いてないんですよ!?」

 

「じゃ、頼んだ。」

そして妹紅は、逃げるように部屋から出ていった。

 

「え、えぇ~…」

どうしようか、と割と本気で悩んだ翔都だった。

 

 

 

 

──────────

「う、ううん?」

 

「起きたか?慧音。」

寝起きの慧音の目の前に妹紅が。

 

「はっ!?私は…?」

 

「大変だったぞ?二時間寝てたんだからな。」

 

「二、二時間も…そ、そうだ、翔都殿は!?」

 

「今寺子屋で教鞭を振るってるよ。」

絶賛、翔都はリバース寸前でこらえながら教鞭を振るっております。

 

「そ、そうか…迷惑をかけてしまったな…」

 

「何があったんだよ?ただ睡眠不足とかじゃないだろう?」

 

「なっ、何でもないッ!」

 

「?」

やはり恋愛やらには奥手な慧音であった。

 

 

 

───────────

 

 

「はぁ…お、終わった…」

部屋の片隅で翔都は安堵のため息をついていた。

子供たちがどこをやっているのかを教えてくれたのと、大学生だったのがうまくいってくれて、何とか乗りきり全員を無事見送った。

 

「中々やるじゃないか。教師に向いてるんじゃないか?」

 

「残り二、三十秒でこっちに振ってくるのもどうかと思いますけどね?」

 

「ま、臨機応変って奴だったな。」

そんな状況になった原因の妹紅に言われて翔都は一瞬イラッときたが、とりあえず静めておく。

 

「あ、そういえば慧音先生は大丈夫ですか?」

 

「あー…大丈夫と言えば大丈夫だけど…大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃない…かな。」

 

「?」

 

「まあ、見れば分かるさ。実際、私も何でこうなったか分からないんだ。」

 

「は、はぁ…」

まあ、原因は翔都の発した「綺麗」という言葉なのだが。

この後、翔都の寺子屋採用が決定したとか何とか、慧音や言われての私情が入っているとか何とか、色々噂が出てきたが、事実であった。




何か無理矢理になりました。すみません。

では、最後まで読んでいただきありがとうございました。


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3話

どうもこんにちはこんばんわおはようございます。

まだ二話しか投稿してないのにこの投稿頻度です。言いましたよね?
投稿頻度?なにそれ美味しいの、状態だって。

翔都「いや、そこは頑張ったほうが。」

気のせいです。では、

本編どうぞ!


「これからどうするかめどは立ってるのか?」

慧音が聞いた。

 

「それが…どうしようにもここに来たばかりで何もできないんですよね…何か、ここのことを詳しく教えて貰えないでしょうか?」

 

「わ、私がか?…あ、そ、そうだ、鈴奈庵っていう貸し本屋があるんだ!そこの方が詳しいと思うぞ!」

やけにテンパった感じで答える慧音。

 

「?そうですか?分かりました。じゃあ…それではまた。」

が、少し疑問に思った位で翔都は寺子屋を出ることにした。

 

「あ、ああ。」

 

ガラガラガラ

 

 

 

「…慧音。」

翔都が寺子屋を出た後、別の部屋から覗いていた妹紅が出てきた。

 

「も、妹紅…」

 

「…お前奥手すぎるだろ…」

呆れるようにため息をつき、妹紅は言った。慧音は、

 

「…あれが精一杯だ…あれ以上は精神が持たない…」

と、自分に言い訳をしていた。

 

 

 

「…何か悪いことしちゃったかな?」

翔都も少し考えていたが、まずそれよりも…

 

「……というか外出たはいいけどまた路地にいるんだよなぁ…どうしよう。…また人通りの少ないところ探そうかな。」

そんなことを考えていたとき、悲鳴のようなものが聞こえた。

 

「キャアァッ」

 

「んっ?…何だろう…悲鳴みたいに聞こえたけど…もし何か危険なことになってるなら行った方がいいな…」

 

タッタッタッタッ…

 

 

「グルルルルル…」

人里に赤い狼が侵入していた。大きさは翔都よりちょっと大きいぐらい。文句なしの男漁りである。

 

「うーわ…また出たよこのパターン。…今回は狼バージョンか…赤い狼は知らないけど多分この世界にはいるんだな…多分。赤いきつね食べたい。」

冗談はさておき。

 

「「「逃げろー!」」」

そんな声を聞いて、翔都は狼の右手を見た。

 

「あれ…子供か!?」

その手には、まだ十歳になってないであろう男の子が握られていた。

 

「ええい!迷ってられるか!」

 

ダッ!

 

「(鳩尾…神経が密集してて痛覚が敏感な所…すなわち弱点!そこを狙えば…!)」

 

「ぉおらぁっ!」

 

バゴッ

鳩尾めがけて思い切り右ストレートを放った。

 

「(っっつ…いってぇ…何て固さしてるんだ…でも…一般人でもダメージは与えれてる。…まずはあの子を助けてあげないと…右手だから…脇腹だっ!)おらっ!」

 

バゴッ

続いて左脇腹に膝蹴りを食らわす。

その時、左脇腹を触ろうとして右手を脇腹に当て、男の子が落ちた。その子を翔都はしっかりキャッチし、

 

「よし、一回退く!」

走り出した。一つの家の前にじっと翔都を見ている女の人がいた。恐らくこの子の母親だろうと推測し、翔都は男の子を渡した。

 

「お母さんですね。早くこの子を!」

 

「あ、ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

男の子の母親は翔都に何度もお礼を言い、頭を下げた。

 

「良いですから早く家の中に!(…多分こんなのがいるってことは倒す人もいるはず…その人が来るまで持ちこたえないと…)」

翔都は再びファイティングポーズをとる。

 

「(…とはいっても、妖怪は力がかなり強いって聞いた。僕がそう敵うとも思えない。でも…これでも足が遅いだけで知識と運動能力はある!)」

赤狼は右手を振りかぶった。鋭い爪が見えたが、

 

「一番遠いのは…左後ろっ!」

逆サイドに動いてかわす。そして、

 

「おりゃっ!」

隙を見つけては鳩尾辺りを殴る。手は痛くなるがしょうがない。

その時、

 

「翔都殿!」

聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「慧音先生…?」

この騒ぎを聞きつけ、まず慧音が来た。

 

「し、翔都殿!後ろ…」

翔都が声に反応して振り返ったとき、赤狼は手を振ってきていた。

 

「っ!まず…」

 

ザシュッ

 

「っっつ…」

何とか跳んで距離をとり、腕をクロスにしてガードしたため致命傷とはならなかった。が、

 

「う、腕…が…」

翔都の右腕に縦に二本、深い傷が入っていた。

 

「があぁ…やっぱり…傷つけられると…かなり痛い…」

 

「っぐ…!」

慧音は自分の行動の遅さを悔やんだ。もう少し、あと十秒早ければ翔都は怪我をせずにいれたかも知れなかったのだ。

 

「翔都殿、しゃがめ!」

 

「!?っ!」

 

ぁあ!」

とりあえず狼の近くまで飛んでいき、八つ当たりのように弾幕をゼロ距離でぶつけた。かなりの威力だったらしく、狼は吹き飛んだ。

 

「し、翔都殿!腕が…」

 

「慧音先生危ない!」

 

グッ

「!?」

 

ブン

さっきの狼が跳んで来て、右腕を振った。が、翔都が慧音を引っ張ったため、当たらなかった。

「! !も、申し訳ない…」

 

「これなら…いける!」

 

「翔都殿?」

翔都の頭に一つ、案が浮かんだ。

 

「気絶させるだけなら…出来る!」

 

狼が体勢を低くした瞬間、翔都はしゃがみ、狼が上を通った時に、両拳を狼の顎に突き上げた。つまり、アッパーだ。

 

「グルェァ!」

すると、狼はそのまま慣性の法則に従って落ちた。

 

「がぁっ!右手使うべきじゃ…無かったかも…」

 

「なっ!す、すごい…はっ!だ、大丈夫かっ!?」

 

「これが大丈夫に見えるなら…医者に見てもらった方が言いかもな…はは…」

 

ドサッ

 

「し、翔都殿!?(く…どうする…どうすれば……翔都殿が助かる可能性が高いのは…永遠亭か…だがあそこには…いや、迷ってる暇などない!)」

慧音は気絶した翔都を王子様抱っこをして飛んでいった。正確には疲労でバタッ、ってなっただけなんだが。

 

…ちなみにだが、あの狼、あの後すぐに来た霊鐘によって()()()()となった。

 

 

 

「妹紅!」

 

「?慧音、どうs…翔都!?どうした!何が!?」

 

「<かくかくしかじか>あったんだ!永遠亭に連れていってやってくれ!私では悔しいが()()()()に対抗できない…」

 

「…分かった。すぐに連れていく。」

 

ダダダッ

 

翔都を背負った妹紅は全力ダッシュで竹林を抜け、永遠亭に着いた。

ガラガラガラッ

 

「おい永琳(えいりん)!早く来い!」

 

「あら、もk…あんた、九代目(霊鐘)に殺されても知らないわよ?」

永遠亭から出てきたのは白い髪を後で束ねた、化け物不細工、八意永琳だ。

 

 

八意(やごころ) 永琳(えいりん)

永遠亭の女医兼薬剤師。腕はかなり確かで、治せない病気はないんじゃないかというレベルだが、何せ顔が化け物。吹き出物なんか考えられない様な顔に、体型はボンキュッボン。むしろ化け物の方が可愛いとよく言われる。

 

 

「私じゃない!話は後でするからとりあえずこいつを!」

 

「分かったわ。鈴仙!手伝ってちょうだい!」

 

「はい!お師匠様!」

 

 

鈴仙(れいせん)優曇華院(うどんげいん)・イナバ》

元月のウサギで、地面に着くほどの薄い紫の髪にうさぎ耳。そして、化け物顔。永琳の助手をよくやっている。

 

 

「って!男性じゃ…って何ですかこの怪我!?」

 

「だから急ぐのよ!このままだと傷が残る可能性があるわ!」

 

「わかりました!」

 

───────────────

 

───────

 

───

 

「…ぅう?」

翔都が目を覚ましたとき、見たことのない天井、見たことのない部屋にいた。

 

「…僕どうなったっけ?…えーと、狼の相手して…アッパー食らわせて……そっからの記憶がないなぁ…」

まあ、気絶してたから記憶があるわけないのだが。

 

『…気がついたかしら?』

翔都が考えているとき、声がした。

 

「え?…は、はい…えーと、どこから声出てます?」

が、どこにも人の姿は見えないのだ。

 

『そのベッドから出てるわ。』

 

「一種のホラー映画みたいなこと言わないでくださいよ…でも確かにこれから出てる…どうなってるんだろう…」

 

『何とか傷を残さずに治療できたわ。元通り普通に動くはずよ。』

 

「はい!?」

翔都が驚くのも無理はない。何せ腕に十五センチほどの深めの傷痕を付けられたにも関わらず、傷を残さずに治療できた、などと言っているのだ。翔都は袖を捲って腕を見てみると…

 

「…ほんとに残ってない…」

全く残っていなかった。傷のきの字も無かった。

それに、元通り問題なく動く。

 

「すごい…ありがとうございます!」

 

『良いのよ。これが仕事だし。』

 

「…ところでですが…何でこんなことしてるんですか?出てきて頂いても…」

普通に出てきても良いのに、何故こんな方法をとったのか、翔都は謎でしょうがなかった。

 

『あなた、外来人らしいわね?』

 

「?は、はい…そういうと聞きました。」

 

『なら知らなくてもしょうがないわね。ここは永遠亭っていう医療施設なの。』

 

「はい。」

 

『で、同時に化け物の巣窟とも言われてるわ。』

 

「なんちゅう言い草ですか…」

 

『いえ、その通りなの。ここにいる全員が全員不細工を越えた不細工…普通に見たら死ぬわよ。いえ、見てなくとも5メートル以内なら気持ち悪くなるわね。障害物があれば大丈夫だろうけど。問題ないでしょう?』

機械越しのはずなのだが、暗い感じが伝わってくる。

 

「…それは多分大丈夫ですよ。まだ推測の段階ですけど、おそらく、僕の中で醜美感覚が逆転してるみたいなんです。もし、そちらの言うことが本当なら、僕からすれば美人に見えると思いますよ。」

 

『え?……いえ、そんなことあり得ないでしょ?』

 

「…僕もそう思ったんですけど…どうやらその通りとしか言えない状況なんですよ…」

本当にそうである。今までに翔都が見てきた人はほとんどが綺麗とは言いにくい者達だったのだ。しかも、その度が上がれば上がるほど自信に満ち溢れた顔で寄ってくるのだ。

 

『…ふうん…じゃあ…鈴仙ー!ちょっと来て!』

 

『はいー!何か用ですか?』

機械の向こうで鈴仙が話に加わった。

 

『ちょっと彼の所に行ってきてちょうだい。』

 

『え?あの方に吐かせる気ですか?』

翔都は本心、おい、と思った。何故そうなる。弟子じゃなくて自分が来いよ、自分が、と。

 

『大丈夫よ。彼の目にはあなたは綺麗に見えるそうよ。』

 

『…師匠、とうとう頭やっちゃいましたか?』

前言撤回。弟子も弟子であった。

 

『問題なく動いてるわよ。さ、行ってきて。それとも新しい薬の被検体の方が…』

 

『では、行ってきますね。』

鈴仙はあっという間に意見を変えた。どんな薬かって?この世には知らない方が良いこともあるんだよ。

 

コンコン

 

「…し、失礼…します。」

 

「あ、はい、どうぞ。」

 

ガチャ

 

「(…え?)」

翔都の目には、美人しか映っていなかった。

 

「れ、鈴仙…優曇華院…イナバ…です…」

 

「ど、どうも…」

 

『で?見た感想はどうかしら?』

 

「か、可愛いですよ。とても。」

 

…パタッ

同時に何かが倒れる音がした。

鈴仙だ。

男性、しかも、超絶イケメンに可愛い、と言われ、脳が一瞬で沸騰してしまったのだった。

 

「ちょ、れ、鈴仙さん!?」

そんなことを知らない翔都はほぼ脊髄反射で鈴仙を抱えあげ(お姫様抱っこ)、部屋を飛び出した。怪我人なのにね。痛みはほぼ感じず、走っていたが、ちょっと冷静になってみれば、どうすればいいのか分からなくなった。

 

「(そういや、僕ここの構造知らないじゃん!えーと、どうしよ…変に鈴仙さん起こしても何だし…うん。一回部屋戻ろう。)」

ということで戻ってきたのだった。翔都は鈴仙をさっきまで自分が寝ていたベッドに寝かせ、永琳に聞いた。

 

「…えーと、まだお名前聞いていませんでしたよね?」

 

『あ、そういえばそうだったわね。私は八意永琳。ここの薬剤師兼女医よ。貴方の事は妹紅から聞いてるわ。片桐翔都君。』

そこに翔都は少し疑問を感じた。

 

「どうも…あれ、医者と薬剤師って兼用しちゃいけないんじゃ…」

 

『あら、外ではそうなのかしら。でも、この幻想郷には医者も薬剤師も私しかいないから兼用するより他ないのよ。』

 

「あ、そういうことでしたか。」

 

「う、うぅーん…?」

そんな会話をしていると、鈴仙が目を開けた。

 

「あ、鈴仙さん、おはようございます…とはなりませんね…大丈夫ですか?」

数秒間目が合い、その後、

 

「……ひやあぁぁぁっ!」

 

「ふぇぅっ!?」

凄い叫ばれた。翔都も驚いて変な声が出てしまった。

 

「へ、わ、私何でここで寝てるの…へ、しゅ、すみませんでしたぁっ!」

疾風のごとく部屋から出ていった。

 

『あらあら、初心(うぶ)ねぇ。』

 

「…まあそれより、今ので僕の醜美感覚が逆転してる証明はできましたか?」

 

『そうね。貴方なら…()()の相手もできるかも知れないわね…』

 

「?」

そんなこんなで翔都は()()()()()()()()と合いまみえることとなるのだった。




はい、大変でした。

もう永遠の醜き汚姫様は誰か分かりますよね…?

翔都「ひどい言われようだよなぁ…」

しょうがないです。恨むならあべこべに生れた自身の運命を恨んだいただきたい。

では、最後まで読んでいただきありがとうございました!


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4話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

何とか今年中にもう一本書けた…ちょっと飛ばしめで書いたので何かと粗いですが、


本編どうぞ!


「えーと…どういう意味で?」

 

『それより…ちょっと待ってね。そっちに今行ってるから。』

 

「あ、はい。」

 

 

《頭脳到着》

「はい。とりあえずそちらが意識のある状態で対面するのは初めてね。ここ、永遠亭の薬師兼女医の八意永琳よ。」

 

「はい。片桐翔都です。」

 

「で、さっきの話の続きだけれど…まあ要は貴方にはうちの姫様…輝夜の話し相手になってほしいのよ。」

 

《蓬莱山 輝夜》

見れば死ぬ顔を持つ元月の姫様。通称「永遠の醜き汚姫様」。洒落ではなく、本当に彼女の顔を見て無事だったものはいない。永琳でさえ、慣れるのに数千年かかったらしい。

 

「えーと、それは僕じゃないといけないんでしょうか…?」

 

「ええ。姫様の顔は普通の人…いえ、普通じゃなくても妖怪を含めて、見たらまず無事では帰れない顔なのよ。」

 

「どんな顔ですか…それ。」

 

「見れば分かるわよ。あ、でも貴方には死ぬほど美人に見えるはず、ということよ。オーケー?」

 

「えーと、拒否権は…」

 

「無いわ。」

即答だった。

 

「ですよね…選択肢が《はい》か《YES》なんですよね…まあ、良いんですけど。話だけなら…まあ。あんまりそこまで話弾まないかもですけど…」

翔都はそこまで人と話をするのは得意ではない。むしろ、初対面の人となれば苦手だ。が、

 

「良いのよ。男性と一回でも話が出来れば。」

 

「あぁ…まあ、僕でよければ。」

人が良いのか、承諾してしまった。

 

「すまないわね、こんなお願いして。てゐー!ちょっと来てー!」

 

「んー?なぁに?」

永琳がてゐ、と呼ぶと、翔都の腰辺りまでの兎の女の子が走ってきた。

 

「姫様のところに彼を連れていってきてくれない?」

 

「?殺す気なの?」

翔都は、え、ちょっと待って、純粋かと思いきややばいやつだったの?いやいや、本当にこの世界ではそれ位醜く見えるってことかな…?なら、僕にはそれこそ本当に死ぬほど美人に映ることになるけど…あれ、どっちにしろ死なない?僕。等々考えていたが、これまでバイクに轢かれて死んだことはあっても相手が醜すぎて死んだことも美人過ぎて死んだことも無いため、まあ大丈夫だろう、と自身の中で結論付けた。

 

「…っていうことで、彼には恐らく輝夜は絶世の美人に見えると思うのよ。」

 

「…それ嘘だったら本当に死んじゃうよ?良いのかなぁ?」

 

「大丈夫よ。鈴仙の顔を見て可愛いってこと言えるのなら大丈夫よ。」

 

「じゃあ大丈夫だね。」

大丈夫なのか。まあ、そんなこんなで話がつき、翔都はてゐに付いていっている。

 

「あのー、てゐちゃん?」

 

「?なーに?」

 

「ここってどんな所なのかな?」

 

「ん?どんな所って?」

 

「いや…ごめん、忘れて。」

 

「?変な人うさね。」

翔都としては、この幻想郷と言われるところの詳しい情報を貰おうと思っていたのだが、よくよく考えてみれば、相手からすれば変な話にもなりうるのだ。

 

「…ここだよ。本当に良いの?」

 

「まあ…永琳さんも大変みたいだったし…話し相手ぐらいならね。」

 

「ふーん…じゃあさ、一つ私からも聞いて良い?」

てゐが振り返った。

 

「ん?良いけど?」

 

「君の目には!私ってどう見えてる?」

そして、キラキラした目で翔都に聞いた。

 

「どうって…」

ふわふわした耳に、大きくぱっちりした目。ピンク色のワンピースを着ていて…

 

「可愛いと思うよ。」

 

「そ、そうか…じゃあ、行ってらっしゃい!」

ドン

ピシャッ

翔都は、背中を押され、部屋の中に入れられた。そして、てゐが戸を閉めた。

その反動で翔都はこけてしまった。

 

「いてて…もうちょっと優しく入れてくれても良いと…思…」

そして、顔を上げた翔都の前にいたのは、今まで見たことの無いような美人な人だった。

 

十秒ほど沈黙があり、見つめ合う形になっていた。そして、

 

「…きゃぁぁぁあああ!?」

 

「うおぉぉぉぇあ!?」

輝夜の声に驚いた翔都も叫ぶこととなってしまった。

 

これが翔都と輝夜の出会いであった。

 

「すみませんごめんなさいすぐにここから出て何で戸が開かないの!?」

まあ、向こうからてゐが押さえているからなのだが。

 

「だ、大丈夫…なの?」

 

「へ?」

 

「私の顔…見たのに?」

 

「あ、もしかして輝夜さんですか?」

 

「え、ええ…」

 

「(え、ちょっと待って本当に美人とか言うレベルじゃない美人なんですけど!?…あ、でもこれで僕が醜美逆転してることの裏付けにもなったわけか。いやそれより)き、綺麗…」

 

「え……?い、今なんて…」

 

「き、綺麗ですよ。とても…(やばい…言葉が出てこないっ…緊張か!?やばい…大学で単位落ちそうなテストの結果見るときより緊張してる…)」

いちいち例えが分かりにくいのは置いておいて、翔都からすれば本当に絶世の美女が目の前にいたのだ。

 

「…」

 

「か、輝夜さん…?」

輝夜はじっと俯いていた。

 

「えーと、説明すると…「うう…」ど、どうしました?」

輝夜は泣いていたのだ。

 

「(まずい!泣かせちゃった!?な、何がダメだったんだろう…え、わ、分かんないよ!?)」

 

「え、えーと、何か…すみません…」

 

「いえ…違うの…嬉しいの…この顔を見て綺麗なんて言ってくれた方…初めてだったから…ちょっと()()()になっちゃったの…」

同時に翔都は嫌な予感がした。

 

「えーと?」

 

「このままだったら襲っちゃうかも♡」

 

「いや噓でしょ…」

翔都は部屋から出ようとするが、開かなかった。何故ならてゐが(以下略

 

「出ないのね…?じゃあ襲ってもいいってことよね…?」

 

「いえ、断じて違います。」

 

「問答無用よぉ!グべ」

輝夜が変な声を上げ、動かなくなったので翔都が顔を上げると、輝夜の頭に馬鹿でかい注射器をぶっさす永琳がいた。

 

「はぁ…てゐ、いたずらもほどほどにしてちょうだい。翔都さん、ごめんなさいね。」

 

「いえ…いやそれより!輝夜さん大丈夫なんですか!?」

輝夜は若干痙攣しながら倒れている。

 

「大丈夫よ。ちょっと数時間眠っててもらうだけだから。」

 

「いやあのサイズの注射器刺したら永遠に…というかよくありましたね、あのサイズ…」

 

「輝夜用に作ってたのよ。普通の注射器でなんか効かないもの。」

まあ、蓬莱人なので。

 

「えぇ…」

 

「まあ、ともあれごめんなさいね。こちらから頼んでおいてこの仕打ちっていうのもね…」

 

「いえ、良いんですよ。結果何事もなかったんですし。」

 

「そう…本当にごめんなさい。」

もう三度目となる謝罪。翔都としても反応がしにくくなるため、言っておく。

 

「何回も謝らないでくださいよ…特に気にしてないですから。」

 

「本当…?…あ、そういえば…外来人なのよね?」

 

「え、ええ。恐らく。」

 

「泊まるところはあるのかしら?」

 

「あ、一応慧音先生が泊めてくれると…」

 

「そう…チッなら良かったわ。」

 

「今舌打ちしませんでした?」

 

「気ノセイヨ。」

 

「ア、ハイ。」

まあ、そんなこんなはあったものの、帰ることとなった。

 

「妹紅、お待たせ。」

妹紅は縁側?みたいな所に腰掛けていた。

 

「お世話かけます。妹紅さん。」

 

「良いんだよ。これも仕事の一つだしな。じゃ、行くか。」

 

「はい。永琳さん、ありがとうございました。」

翔都は振り向き、お辞儀をした。

 

「良いのよ。」

 

「鈴仙さんにてゐちゃんも。」

 

「ふぇっ!?わ、私は別に…」

 

「また来るなら来てねー。あ、落とし穴気を付けてね。まあ妹紅がいれば大丈夫だろうけど。」

 

「てゐはいたずらしてあんまり迷惑かけないようにするところからね。」

 

「あ、あははー…」

 

「う、うん。気を付けるよ…じゃあ、また。」

ちなみに、結局輝夜は最後まで寝たままだったとか。

 

 

 

「…で、あそこ(永遠亭)で何があったんだ?」

 

「まあ…[かくかくしかじか]ありまして…」

 

「なるほどな…また今度殺しに行かないとな…」

 

「へっ!?」

まあ、完全に普通の人だと思っていた妹紅から火が出たらそりゃあ驚く。

 

「えーと、大丈夫ですか?」

 

「ん?何がだ?」

 

「いや…火が。」

 

「ああ。これか?永琳から聞いてないのか?」

 

「いえ…なにも。」

 

「私と輝夜と永琳はな、昔に蓬莱の薬っていう薬を飲んで、蓬莱人…つまり不老不死になったんだ。」

そこで、翔都には一つ、考えが出てきた。

 

「え、もしかして…かぐや姫…?」

 

「?」

妹紅は首をかしげているが、翔都は質問を続けた。

 

「もしかして輝夜さんって昔、月の人でしたか?」

 

「え、何でお前それ知ってるんだ?」

当たりであった。

 

「あ、やっぱりかぐや姫だったのか…そういえば帝の蓬莱の薬が誰かに奪われて使われたっていう説もあったよな…それが妹紅さん…なのかな?」

 

「おい、翔都…」

 

「あ、はi…」

ふっと妹紅の方を見ると、妹紅があり得ないものを見るように見ていた。

 

「お前…何でそれを…」

 

「あ、違うんです、これは…「あー…」…?どうしました?」

妹紅が右手で顔を隠しながらうつむいた。

 

「…ちょっと嫌な記憶思い出しちまってな…まあ、黒歴史?ってやつか。ま、ともあれ早めに慧音のとこ戻るぞ。」

 

「あ、ちょっと妹紅さん待っ…速っ!?」

 

タッタッタッタッ

 

 

「はあ…はあ…はあ…つ、疲れ…」

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫に…見えますかぁ?」

ほぼ全力疾走で走っていたため、翔都はとても疲れていた。

一方妹紅はというと…

 

「ふー…」

息一つ上がっておらず、煙草を吸っていた。

 

「体力どうなってんですか…」

 

「うん、翔都殿…どうした?」

 

「いや…全力疾走が…無理あっただけ…です…」

 

「あ、ああ。そうか。とりあえず水飲んだ方がいいぞ。とりあえず上がりな。」

 

「は、はい…ありがとう…ございます…」

お礼を言って、翔都は家に上がった。

そして翔都が奥にいった頃…

 

「…慧音。」

妹紅が慧音のほうを見ずに小さめの声で慧音に言った。

 

「?どうした妹紅。」

 

「あいつ…翔都は何者だ?」

 

「?外来人だろう?」

慧音は首をかしげながら答える。

 

「いや…ただの人じゃないかもしれないぞ…」

 

「何でだ?」

 

「…私の過去を知ってたんだ…ほとんど誰も知らないはずなのに…」

 

「何…?本当なのか?」

 

「ああ。輝夜が月の人間だったことまで知っていた。…それを踏まえて…何者だと思う…?」

 

「…さあな。私も迂闊なことは言えないし…だが、妖怪の類いではないだろう。半妖の私が言うんだ。間違いない。」

 

「そうか…でも何者なんだ…片桐翔都…」

 

この後説明したら一応ちゃんと納得してもらった翔都であった。




最後まで読んでいただきありがとうございました!


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5話

どうも、こんにちはこんばんはおはようございます。

いや、遅くなりました。今回の話はまあ、相変わらず駄文ぐだぐだです。

では、本編どうぞ!


「…うーん…」

ということで翔都は今鈴奈庵に来ている。持ち前の足の速さ(50m走9秒台)で女性達から逃げ、何とか入ったのだ。途中ものすごい剣幕を振り撒きながら走ってくる人がいたがなんとか撒いた。そして今この幻想郷とやらの詳しい本を探している。一応本の貸し出しもしているらしいが…そもそもどの本が詳しいのかすらわからないため、どうしようもない。

 

「特に詳しいのって…どんなのなんだろう…」

 

「何かお探しですか?」

 

「あ、いえ、僕外来人でして、この幻想郷について書かれてる本がないかと…」

ここの人はまともな人で助かっていた。翔都は、里の人達のような事になっていたらどうしようか、と思っていたが、杞憂になって良かった。

 

「なら…こちらはどうでしょう?」

 

「えーと…」

またちょうど知りたい事が書かれている本を出してきてくれた。

 

「あ、良いですね。わざわざありがとうございます。えーと…これ、借りてもいいですか?」

 

「あ、はい。分かりました。貸し出しの期間は一週間ですから、守ってくださいね。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

ガララララ

 

「さて…走るか。」

 

タタタタタッ

 

「ふう…毎日これぐらい走ってたら体力付くかも…?まあとりあえず本、読もうかな。」

 

 

《青年読書中》

 

 

「えーと…整理するか。」

 

・幻想郷内の男性対女性比は2:8

 

・美しい人というのは吹き出物が出来、全体的にだらりとしている感じの人であり、逆に醜い人というのはすべすべした肌に、ボンキュッボンの体型をした感じの人のことを指す。

 

・男性は宝と同等と思われている。

 

・男性を傷つける=重罪

 

・特に男妖怪は会うことができれば一生分の運を使い果たすレベル。

 

「…主に男女内の情報としてはこんな感じ…かな?」

結構すごいことになっていた。

 

「醜美逆転は分かってたけど…男女比2:8って…極端だなぁ…そして条例が重い…」

翔都自身、ここまでとは思っていなかった。これは女性達もここまで男性が少なかったらここぞとばかりにアタックしてきて、その全員が翔都からすればそこまで綺麗ではないわけである。

 

「うん?翔都殿、どうかしたか?」

 

「?ああ、慧音先生。いや、ちょっと…ですね、この世界のことを調べてたら色々僕の世界と違ってたので…」

 

「なるほどな…なら、あのー…翔都殿の、世界の話でも…してもらえないか?」

やはりまだぎこちなさがあるのだろうか、所々詰まりながら言った。翔都は、

 

「はい。良いですよ。」

笑顔で答えた。

 

 

 

 

 

 

「…って感じなんですよ。」

 

「なるほど…いや、まさか本当にそんな世界があるなんてなぁ…」

 

「はい、僕からしても醜美逆転なんてほとんど考えたことも無かったですし…それに、ここでは僕の世界と逆転してるのは女性だけみたいですし。」

翔都自身、本人は普通ぐらいと考えているが、結構整った顔をしているのだ。しかしそこまで虐げられてない所から考えても醜美逆転しているのは恐らく女性のみだろう。

 

「ほう…なるほどな…いやー…一回そちらの世界に行ってみたいものだな。」

 

「慧音先生が行ったら多分めちゃくちゃモテると思いますよ。」

 

「そ、そうか…///」

照れていた。

 

「はは、じゃあ、そろそろ買い出し行ってきますね。」

 

「も、もうそんな時間か、ああ。頼むよ。」

 

「はい。行ってきます。」

 

タタタタタタ

 

 

「ふう…買うものはこれで全部…かな。」

 

「きゃ!」

 

ポテッ

買い出しを終えて帰っているとき、目の前でまだ十歳いってない程の女の子がこけた。反射的に翔都は女の子の前でしゃがんだ。

 

「大丈夫?」

 

「…痛い…」

ふと見ると膝から血が出ていた。

 

「えーと…あ、水あった。ちょっとだけ染みるかもだけど我慢してね。」

 

「ヒッ、つ、冷たい…」

 

「ごめんごめん、ちょっとだけ我慢して、土を落とさないといけないから。…で、本当は消毒液があればいいんだけど…流石に持ってないからな…いいか。」

そういって服の袖で傷口を押し、圧迫止血した。そして、最後に絆創膏を張った。

 

「はい。これで大丈夫。」

 

「…ありがとう。お兄ちゃん。」

 

「ふふっ、良いんだよ。気を付けてね。」

 

「うん!じゃあね!」

そういって別れた直後だった。

 

ゴゴゴゴゴ…

 

「!?」

 

「な、何だ!?」

地震だった。比較的弱く、揺れは早めに終わったのだが…

 

ギギギ…

 

「…あ、まずいかも…」

翔都の目の前にあった塔(?)が倒れてきた。が、翔都はほとんど身動きが取れず、

 

ガシャアァァン

 

「お、おい!あんちゃん大丈夫か!?」

 

「大丈夫ですか!?」

里の人が急いで塔をどかしたが、翔都はそこにはいなかった。

 

 

 

「………なにこのデジャブ…」

再び知らない森の中。いや、正確に言えば山の中である。

 

「さっきまで人里にいたのになぁ…何か死んだらどっかにリスポーンする特異体質とかなのかぁ?」

まあ、そんなことをぶつぶつ言いながら周囲を散策していた時だった。

 

ドドーン!

 

「!?」

山の奥の方から衝撃音がした。何となく行ってみると…

 

「なっ…!?」

大量の天狗や河童が倒れている真ん中に一つの人影があった。

 

「っ!?」

急いで自分で自分の口を覆い、音を立てないようにする。よく見ると短く角が生えている。鬼だった。

 

「お?誰かいるのか…?」

足音は近づいてきていた。

 

「(まずいまずいまずい!どうしよう!このままじゃ、あそこの仲間入りになるよね!?考えろ考えろ…!)」

その時だった。

 

「夢想封印!」

 

ドドーン

 

「ぐぁ!?」

 

「(え?)」

ふと目を開けると、見覚えのある人が立っていた。

 

「れ、霊鐘さん!」

 

「翔都さん!?何でこんなところに!」

 

「説明は後で!とりあえずあれを…!」

その時、鬼が飛んだ。しかし、狙いは霊鐘でも翔都でもなく…

 

「!霊夢!避けろ!」

霊夢と呼ばれた霊鐘から少し離れたところにいた女の子だった。

 

「うがあぁっ!」

 

「きゃ!」

 

「危ない!」

 

バゴォン

 

しかし、その音は霊夢に鬼が与えたダメージではなく…

 

「し、翔都さん!?」

()()()()()()()()ダメージの音だった。

 

「はぁ…はぁ…」

よく見ると翔都の右腕の周りに電気のような物が螺旋状に浮いていた。

 

「うがっ!」

 

「はあぁっ!」

 

ダゴン

鬼が飛びかかっていったが、翔都はその隙を見つけ、地面に叩きつけた。そして鬼は気絶した。

 

「はぁ…」

翔都はため息をつくと、ふらっ、とバランスを崩し、倒れた。

 

「翔都!」

そこで、翔都の意識は途切れた。

 

 

 

 

「…………あ、」

気が付くと見たことのない天井かあった。

 

「…昨日もこんな感じだったような気が…でここどこだろう…」

 

「大丈夫か?」

声のした方を見ると霊鐘が腕を組んで壁にもたれかかっていた。

 

「あ、霊鐘さん。あぁそうだ、山みたいな所に飛ばされて…そうだ!あの鬼は!?」

 

「?それは翔都が倒しただろう?驚いたよ。」

 

「え?僕が?」

 

「え?」

 

「はい?」

 

「…覚えてないのか?」

 

「あー、と…あの鬼が霊夢?ちゃんの所に飛びかかって…からの記憶が…あ、霊夢ちゃんは…」

 

「ええ、無事です。もう遅いから寝ろって言ったんですけど「おにーさんがおきるまでおきてる!」って言って今布団の中に。」

ふと時計を見るともう十二時を過ぎていた。

 

「あ、すみませ…いてて…」

 

「! !大丈夫か!?」

 

「だ、大丈夫です…なんかちょっと筋肉痛みたいなのが…」

 

「ふむ…無意識中に何かあったのか…?」

 

「無意識…ですか?」

霊鐘は腕組みを解き、言った。

 

「翔都は外来人だって言ってたよな。」

 

「あ、はい。」

急な質問だ。

 

「もしかしたら外で死んで幻想郷に来た時に何か能力を身に付けたのかもしれないな。」

 

「そんなことあり得るんですか?」

 

「分からない。少なくとも今まではそんなことは無かったが…紫に聞いてみれば何か分かるかもしれないが…」

 

「が?」

 

「襲われるかもしれないから私から聞いておこう。今日は泊まるといい。」

その()()()()という言葉の意味はそのままの意味である。

 

「あ、はい…すみません…」

 

「いいんだよ。慧音にも話をしておいたから。」

 

「何から何まですみません…」

 

「良いんだよ。良いものも見れたし…

 

「はい?」

 

「い、いや、何でもないっ!」

 

「?」

顔を赤くして首をぶんぶん振った霊鐘を見て、翔都は首をかしげるばかりだった。





最後まで読んでいただきありがとうございました!


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6話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

この間弟に本のブックカバーバラバラにつけられていちいち直す羽目になりました。
やることが陰湿なんだよチクショウ。




とまあそういうことで、

本編どうぞ!


「本っっっ当にすみませんでしたっ!」

 

「い、いや、翔都殿が悪いわけではないのだから…」

何でこうなってるかって?いや、昨日は普通にお使いの途中だったにも関わらずああいうことになったから色々と迷惑と心配をかけてしまったからである。

 

「いや…本当に僕自身も何が何だかよく分かってないんですけど迷惑をおかけしました。」

 

「あー…いや、まあ、そのー…ああ…とっ、ところでっ!」

男性に謝られるような経験も持ち合わせていない慧音はどうすればいいのかわからず、話題を転換させた。

 

「は、はい?」

 

「翔都殿、何か能力を持ったと聞いたが…どういう物なんだ?」

 

「いや…僕自身覚えてないんですよね…霊鐘さんが言うには「腕の周りに電気みたいなのが浮いて鬼を一発で倒した」らしいですけど…」

 

「鬼…か。また不可侵の条約を破って出てきた奴か…」

 

「不可侵の条約…?」

 

「ああ、いや、何でもない。そんなに大きな話でもないんだ。」

手を振って慧音は少し苦笑いした。

 

「?そうですか。」

 

「ところで、本当に体の方は大丈夫なのか?」

 

「あ、それはもう大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。」

 

「はうっ!」

今まで男性にお礼を言われることなど全く無かった慧音からすれば少々ショックが大きかったらしく、

 

「?どうかしました?」

 

「い、いや!何でもないっ!」

そう言いながら慧音は床に頭突きした。何やってるんだか。

 

「ちょ、慧音さん!?何をっ!?」

それで床にヒビが入った。どんな固さしてるんだろうか。

 

「はっ!あ、いや何でもない…」

 

「?本当に大丈夫ですか?何か変ですよ?」

 

「いやっ!本当に何もないからっ!」

急いで頭から()()()()考えを叩き出し、平静を保つ。

 

「…まあ、何もないなら良かったですけど…。」

明らかに何かあるが、本人が言ってくれなければ分からない翔都はまず慧音を信じることにした。

その時、

 

トントン

 

「慧音ー、いるかー?」

どちらにも聞き覚えのある声。

 

「開いてるぞ、霊鐘。」

ガラガラガラ

 

「お邪魔ー。」

 

「お邪魔ーって…挨拶ぐらいちゃんとしたらどうなんだ。」

 

「良いじゃないか。ああ、それより、翔都。」

 

「あ、はい。」

 

「紫に色々と聞いてみた。たまに、博麗大結界を乗り越えて入った外来人の内、外で亡くなった人が何らかの力を持つことがたまにあるらしい。多分、翔都もその類いだと思うぞ。」

 

「そうですか。わざわざすみません。紫…さん?にもお礼を言っておかないとですね。」

 

「あー…止めといた方がいい。昨日も言ったが、多分拐われて襲われるのがオチになる。」

と霊鐘が言った瞬間、

 

「失礼ねぇ、少しは我慢するわよ。」

空間が裂け、人が出てきた。

 

「え?…………うぇ!?」

きれいな二度見を決めた翔都の横で慧音が半分顔を手で押さえている。

 

「慧音さん?」

 

「いや…紫がこの部屋にもスキマを繋いでいたのをすっかり忘れていた……」

 

「あらあら、大丈夫よ。()()襲ってないから。」

まだ、のところに妙なアクセントを入れて言った紫に、

 

バゴッ

 

「うぐうっ」

 

「はぁ…もし本当に襲ったりしたら陰陽玉で首から上消し飛ばすからな。」

霊鐘が拳と冷ややかな目と一緒に恐ろしい脅しをプレゼントしていた。

 

「うむぅ…良いじゃないの!ほら、霊鐘も混ざって◯◯◯な事とか●●●とかしてみたく待って待ってら、藍、ら――ん!」

色々とアウトなことを言った直後にあのスキマとやらから金の尻尾が出てきて紫を食べた。

 

「はぁ…紫様、せめて人前ではもう少し節操を持っていただけると助かりますが。」

そう言いながら尻尾と一緒にこれまた綺麗な人が出てきた。

しかし、翔都はそれより、

 

「えーと、とりあえず、あれ何ですか…?」

 

「ああ、スキマか。」

 

「どうなってんですかこれ……」

 

「紫は、<境界を操る程度の能力>っていう能力を持ってるんだ。その派生で空間の境界を操って使ってるんだ。」

 

「…どこでもドアが出来てたのか…」

 

「?どこでも…?」

 

「あ、いや、こっちの話です。」

 

「翔都殿だったな。すまない、紫様が迷惑をかけた。」

 

「あ、い、いえ、」

結構どぎまぎしてしまっている。

何せ翔都からすれば(超絶)美人が4人一つの部屋に集まっているのだ。ここの世界の人が見れば一瞬にして天に召され…いや、天に召されそうになった魂からもう一回魂が出ていくような地獄絵図だろう。

 

「ぷはっ!藍ー!あーもう髪が乱れちゃったじゃないの。」

 

「安心してください。紫様は髪以上に顔含め全てが地獄絵図なので。」

 

「あなた式の分際でいい度胸してるじゃないの、年中発情狐!」

 

「言いましたねメス老いぼれ!」

 

「おっ…老いぼれって…この」

 

「あ ん た ら う る さ い!」

バゴッ

ドゴッ

 

「すまない…バカが迷惑をかけた。」

 

「いや、それより大丈夫なんですか?あの二方。」

翔都の視線の先には頭から植えられた足が計4本生えていた。

 

「ああ、紫も藍もあれでも大妖怪の一人だから心配ないさ。すぐ戻る。」

流石にそのままにしておくのも気が引けた翔都はとりあえず引き抜こうとして、まずは紫の方に向かい、

 

「よっ!とうわあぁっ!」

ドサッ

 

「いててて…あ」

勢い余って倒れてしまった。

お約束通り紫が上で。

 

「……………………」

 

「……………あの、退いてもらえないと立ち上がれないんですけど…」

 

「………翔都って言ったわね。」

いきなり紫が口を開いた。

 

「え?あ、はい。」

 

「とりあえず一回私と交「「「うおぁぁあ!」」」ぐぼっ!」

紫が何か言おうとした瞬間、修羅(三人)となった慧音に頭突きを食らわされ、霊鐘に頭を撃ち抜かれ、藍(二人に引き抜いてもらった)の尻尾に再び全身を食べられ、あり得ない方向に節々を曲げられていた。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!紫さんー!?」

翔都が駆け寄った時には時既に遅し。

なんと言うことでしょう。人の姿をしていた大妖怪が見るも無惨な姿になっているではありませんか。

 

「あ、顔が吹き飛んだことで幾分かマシになりましたね。」

冷徹かつオソロシイ笑顔を浮かべる藍にうっすら冷や汗をかきながら紫を見る。すると、

 

「くぁ=n(ev2jk(3vねなる!」

言葉になら無い言葉を発しながら紫の姿が戻っていく。

 

「ちょっと!流石に酷くない!?彼は私の顔をあんな間近で見ても悲鳴もあげずにいてくれたのよ!?こんなの運命以外の何物でもないわよ!?」

 

「あのー…僕の境遇言っておきますが…<カクカクシカジカ>なんですけど…」

 

「どうだって変わり無いわよ!」

 

「え、えぇー…」

 

「とりあえず、何しに来たんだ紫。」

呆れたように霊鐘が聞いた。

 

「あ、そうそう、まだ知らない事も多いかと思ってここの世界の事を教えに来たんだけど…」

 

「えーと、ある程度の事なら調べました。男女比の状態とか…あと、異変?についても。」

 

「あら、早いのね。優秀じゃない。やっぱり私の運「先に進めろ」…もう……まあ、言えば、あなたにお願いしたいのは()()()()()()()の相手よ。」

 

「次の博麗の巫女…というと霊夢ちゃんですか?」

 

「ええ。そうよ。あの子の相手をしてくれていれば、霊夢にもいい影響が出るかもしれないし、あなたのその()()()()()()()についても何か分かるかもしれないし。あなたからしても悪い事ではないでしょう?あなたには霊夢は可愛く見えているんでしょうし。」

 

「あー、いや、僕で良いのであれば引き受けますけど…」

 

「ふう…ありがとう。では、私はここら辺で。」

ヴォン

 

スゥゥー…

 

「…何というか…特殊な方ですね…。」

 

「無理に言葉を探さなくて良いぞ。変なやつだしな。」

酷い言われようである。一瞬ちょっとおぉぉぉ…、とよく分からない叫び声がした気がしたが、恐らく気のせいだろう。

 

「そうかぁ…正体不明の能力…かぁ…何か変な能力じゃなければ良いんですけど。」

 

「本人の自覚していない能力なんて今まで見たことすらなかったからな。」

 

「…まあ、大体皆自覚してるみたいですしね…あ、皆さんはどんな能力を使わなかった持ってるんですか?」

翔都は三人を見る。すると慧音、藍、霊鐘の順に、

 

「私が今は歴史を食べる(隠す)程度の能力で、」

 

「私が式を操る程度の能力だ。紫様が境界を操る程度の能力で…」

 

「私が霊力を操る程度の能力だな。」

 

「…なるほど…」

 

「まあ、慧音は能力が変わるだろう?」

ふと霊鐘が口を開いた。

 

「ちょ、その話は…」

 

「?…ああ、そうだったな。」

 

「え、何かあるんですか?」

 

「いや、翔都は知らない方がいい。」

 

「??」

慧音は満月の日になると、ハクタクという半妖の部分が出てくるのだ。そうなったとき、まあ、性欲含め、溜まった煩悩が頭に流れ込んでくる事が多々あるのだ。大体は霊鐘にもらった博麗印の札で家に自分を封印して過ごしていたが、よくよく考えてみれば今は翔都が慧音の家に泊まっている身である。もしも欲の向く先が…いや、100%向くであろう、翔都に。だから、少々挙動不審になっても気にされない程度にはやっておかないといけない。が、今月の満月がもう10日後であることに慧音が気づくのはちょっと後。

 

「まあ…多分そのうち分かると思うぞ。そう遠くない気がする。…勘だがな。」

博麗の勘である…と言いたいところだが、残念ながらほぼ必然になるだろう。

 

「じゃあ…ちょっと霊夢ちゃんの所に顔を合わせに行ってきますね。…そういえば面と向かってなかったですし…」

 

「じゃあ、私がついていくよ。」

 

「ああ。…あ、今日はちゃんと帰ってきてくれよ?」

言った瞬間慧音の顔が火を吹いた。よく考えれば…夫を待つ妻みたいだな…とか、まあ、そう言うことを考えていたのだ。が、翔都は慧音のそういう考えには気付かずに少し笑って、

 

「はい。また迷惑をかけることになっちゃいますしね。じゃあ。」

ガラガラガラ

 

翔都が家を出た後。

「はぁ……あれ?そういえば今月の満月って…」

 

「…そういや10日後だな。」

結構あっさりめに藍が言った。

 

「………ど、どうしよう…どうしようぅぅぁぁああ!?」

…まあ、こうなった。

まあ、いくら叫ぼうと策は出ず、とりあえず今月は大人しく自室に封印しようか、と考えていた。

同じ屋根の下に男がいて、毎月と同じように部屋で自慰をするだけで済むかといえば……どうなるだろうか。

結構自分が怖くなったりする。




はい、とうとう題名を背き始めましたね。一般人じゃなくなってきた…
まあいいや。頑張ろう、うん。

ゆかりんひどい仕打ち受けましたね…この世界では藍しゃまは(表向き)大丈夫な方です。

では、最後までお読みいただきありがとうございました!


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7話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

最近前書きに書くような事がなくなってきました。
って書こうとしたら一つ思いつきました。
挿し絵ってどうやって投稿するんですか?
もしかしたら挿し絵を投稿するかも知れないので。では、




本編どうぞ!


「…霊夢ー?」

 

「あ、お母さん!…あ、」

 

「あれ、霊夢…ちゃん?」

そこにいたのは…

 

「お?翔都、会ったことあるのか?」

あの時、転んでいた女の子だった。

 

「あー、君が霊夢ちゃんだったんだ。」

 

「あ!そうだ!あの時のお兄さんだ!」

 

「あの時って?」

 

「霊夢が転んで迷子になった時!」

 

「あー…あの時言ってたお兄さんって翔都の事だったのか。」

 

「うん!」

まさかこうなるとは翔都も思ってなかった。確かに、言われてみれば霊鐘と似たような巫女服だった気も…しなくもない。

 

「…ところでだけど、そこにいるのは?」

翔都は振り返って茂みの方を見る。

 

「ふぇ」

さっきから黒い三角帽子が見え隠れしている。

 

「?…あ!魔理沙ー!」

 

「え、えぅ…れ、霊夢に意地悪するなぁぁ!」

 

「へ?」

魔理沙、と呼ばれた魔法使いの衣装のようなものを着た女の子が走って来て、腕を目一杯伸ばして翔都のお腹の辺りをポカポカと叩いてくる。が、言っても霊夢とそう変わらない年齢の魔理沙。叩く力も強いわけではなく…

 

「…………えーと、」

とりあえずパニックを起こした頭を再起動することを試みるのを優先した。

翔都の頭で考えられるのは、恐らく、この魔理沙という女の子は霊夢と友達であり、翔都が霊夢に何かしら嫌がらせをしていると思い、こういうことになったのだろう、といったところだった。

 

「えーと、魔理沙ちゃん?」

 

「うぅぅぅ!」

腕が疲れてきてるのか叩く力が更に弱くなってきている。プラスして、半分涙目になってきている。

 

「はぁ………」

 

「魔理沙、どうしたの?」

霊夢が()を出しながら聞いた。

 

「こいつがぁ…れ、霊夢に意地悪…じようとじたがらぁ…」

 

「??おにーさんは何もしてないよ?」

 

「いいや!ぜぇったい裏でやってるに決まってるじぇ!」

 

「そんなことないもん!おにーさんは私も助けてくれたの!」

 

「…えぅ?」

えぅ?とは。どこから出た声だろうか。

 

「ほ、本当かじぇ?」

 

「うん!二回も!」

1回目が怪我の時で、2回目が妖怪退治の時である。

 

「そうだぞ、魔理沙。」

 

「う、そ、そうだったのか……」

 

「いいって。でも、ここじゃあそういうことも少なくないみたいだし…魔理ちゃんは霊夢ちゃんを守ろうとして動けたんでしょ?それは凄いことだよ。」

翔都がそこまで言うと…

 

「うぅ…」

パタッ

顔を真っ赤にして魔理沙は倒れた。

 

 

 

 

 

ー10分後ー

 

「…………ぅぁ?」

 

「魔理沙、気がついた?」

魔理沙の視界には逆さの霊夢が。

 

「れ、れいむ……はっ!」

魔理沙は勢いよく起き上がり…

 

「「うにゃっ!」」

ゴン

二人の頭と頭がぶつかった。

 

「うぅぅ…いたぁい…」

 

「うぐうぅぅ…」

 

「はぁ…何やってるんだお前達。」

呆れたように言う霊鐘。

 

「大丈夫?」

 

「うぅ…」

 

「ご、ごめんじぇ…」

 

「…ふふ、」

翔都は少し笑って二人の頭を撫で、ポンポンと優しく二人の頭を叩いて言う。

 

「…さて、自己紹介がまだだったね。片桐翔都。人里に住んでる大が…人だよ。」

 

「私、博麗霊夢ー!で、こっちが魔理ちゃーん!」

 

「ちょ、霊夢私の分まで言ったなぁー!あと私は霧雨魔理沙!名前が魔理ちゃんじゃない!」

恐らく年長さん位の年の二人がドタバタとキャットファイト繰り広げているのを見て翔都も思わず少し笑ってしまい、まず挨拶をする。

 

「ふふ、よろしくね、霊夢、魔理沙。」

 

「「よろしく(だじぇ)!」」

かなり元気な返事が返ってきた。

 

「…それより、魔理沙は翔都に言わなくちゃいけないことがあるんじゃないか?」

 

「…あぅ…」

またすこし魔理沙が下を向く。

 

「霊鐘さん、」

 

「いや、動機がどうであれ、間違ったと思ったらあやまるのが人の道理だ。」

 

「うぅ…た、叩いて…ごめんなさい…」

 

「…いいよ。よく言えたね。」

翔都はそう言って柔らかく笑い、魔理沙の頭をもう一度ポンポンと叩く。

 

「うにゅぅ…」

と言って魔理沙は顔を真っ赤にした。

 

「?…魔理沙、どっか悪いの?」

 

「ち、違うじぇ。」

 

「?顔赤いよー?」

 

「な、何でもないからあ!」

そう言って魔理沙は飛び出していき…

 

「あて」

ポテッ、とこけた。

 

「魔理沙こけたー!」

 

「うー!」

そう叫んで、箒にまたがり、階段から跳んだ。

 

「あっ!」

飛び降りたのかと翔都が思わず声を出して駆け寄ろうとしたとき、ふわふわしながら魔理沙が飛んでいった。

 

「…魔法使い…?」

 

「ああ。師匠に憧れて、だとよ。」

 

「師匠ね…ちょっと会ってみたい気もするかも。」

魔理沙の師匠…どんな人だろうか、と思いながら口に出した瞬間、

 

「呼んだかい?」

 

「うわびっくりしたぁ…」

後ろにいた。緑の髪に月の飾り(?)をつけた杖を持った綺麗な人が立っていた。

 

「いつのまに居たんですか…」

 

「さっき来たよ。…にしても、本当に逃げないんだねぇ…」

少しあごを触りながら彼女は言った。

 

「はい?」

 

「排泄物に泥水をぶっかけたような顔ってよく言われるけどね。」

 

「どういう比喩表現ですか…少なくとも僕には綺麗に見えてますよ。」

 

「ほう…そうかい。…ああ、名前を言ってなかったね。アタシは魅魔。悪霊さ。」

 

「どうも。片桐翔都です。」

翔都は少しお辞儀をして答える。

すると、魅魔は、少し驚いたような顔をして、

 

「…あれ、聞いてたかい?」

 

「…?何をです?」

 

「いや、アタシが悪霊だって。」

 

「はい。聞いてますよ?」

すると今度は少し首をかしげ、言った。

 

「?…妙だねぇ…悪霊って何か知ってるかい?」

 

「はお。知ってますよ。でも、魅魔さんはそんなに悪い感じじゃ無いと思ってますよ。」

 

「ほう、そりゃあ何でだい。」

 

「だって、本当に祟ったり呪ったりするのが目的なら、もう既に僕祟られるなり呪われるなりされてますよ。それに、魔理沙ちゃんも貴女の事を慕っているみたいでしたし、だからこそ魔法使いになりたいって言ったんじゃないですか?」

 

「…なるほど…中々ここがきれる人みたいだね。」

魅魔は頭をトントン、と頭を叩いて言った。そして、

 

「さて、そろそろ帰った方がいいよ。どこぞの執念深い祟り神が理性のタガを外さないうちにね。」

魅魔は少し八重歯を見せて笑った。顔は笑っているが目が獣であった。

 

「っと、そうですか。では、霊鐘さん、魅魔さん、失礼します。」

若干冷や汗が出た翔都であった。

 

「ああ。送ろうか?」

霊鐘が気遣ったが、

 

「大丈夫です。道は覚えてるので、では。」

翔都も翔都で気を使わせないよう、と断った。

 

「ああ。また。」

 

そして、翔都が見えなくなった時、魅魔が口を開いた。

「…ふう。中々危なかったなぁ…あいつ…翔都といったか。あいつは何だ?聖人君主か何かか?」

あながちまちがってないのかもな…と霊鐘も考えたが、その前に、

 

「もし襲うようなことになったら私が殺ってやるから安心しろ。」

注意喚起である。

 

「安心できないねぇ…この間霖の字にも博麗の符を投げられたよ。あげたのはお前さんだろう?」

 

「さあどうだか。それにしても仲良いねぇ、お熱いようで。魔理沙ちゃんを挟んだ新婚夫婦か?」

 

「はは、煽るのはそれ位にしとけ。祟ってやろうか?」

 

「お、やるか?」

魅魔が杖を、霊鐘がお祓い棒と札を準備し、リアルファイトが始まる直前で意外な制止役が入った。

 

「あ、魅魔ー!」

 

「おや、霊夢。」

魅魔、霊鐘共々、流石に幼すぎる子供の前でリアルファイトをする訳にいかない。

渋々といった感じで杖、札をしまった。

 

 

 

 

 

「、翔都殿。おかえり。」

 

「…慧音先生…ハァ…ただいま…。」

かなり疲れた状態で翔都が帰ってきた。

 

「どうした。息が上がってるぞ?」

 

「ちょっと…全力ダッシュを…」

 

「…そうか。どうだった、霊夢とは。」

 

「…前に会ったことがありました。それと…霊夢ちゃんの親友の魔理沙ちゃんとも友達になりました。」

 

「おお、早いな。」

 

「それと、魅魔さんとも。」

そういった瞬間翔都は慧音に肩を掴まれた。

 

「え?」

 

「会ったのか、魅魔と。」

目が怖い。

 

「…はい。」

 

「何もされなかったか!?」

いきなり叫ばれて結構驚きながらも答える。

 

「へ?い、いえ、何も…あ、でも、理性のタガを外さないうちに帰った方がいいとは言われました。」

そう翔都がいうと慧音は手の力を緩め、

 

「…ふぅ…良かった。…そうか、一応理性が勝ったか…だが、気を付けた方がいいぞ。あいつ結構面倒な性格してるからな。」

 

「うーん…そうは見えませんでしたけどね…悪霊だとは言ってましたけど。」

 

「…まあ、何もなければ良かった。他には無かったよな?」

 

「まぁ、帰りに妖怪に追いかけられましたけどそれ位ですかね。思いの外僕が速くなってましたし。」

 

「よし、どんな妖怪だった?しばいて来る。」

 

「いやいやいやいや大丈夫ですから!」

 

「ふふ、冗談だ。」

まさか慧音の口から「しばく」なんていう言葉が出るとは思っていなかった翔都は若干ビビった。

それに、冗談と言うまで目がマジだった。恐らく冗談じゃなかったのだろう。

 

「あ、そろそろお昼でしたね。」

 

「ああ、それならもう私が作ったよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「いや、良いんだ。最近翔都殿に任せていたからな。」

 

「いえ、僕も居候させてもらってる身ですし。」

まあ、正確には料理が出来なくなるような事が無いようにしたのだが。なぜそう思ったかって?半分は教師という立場上。もう一つは、()()のためである。




魅魔様はあんまりよく知らないのでそう出てこないと思います。というか旧作自体あんまり思わしくないかも。まあ、頑張ります。
こーりんは多分そのうち出します。

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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8話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

急に時間が飛び、投稿間隔も開きましたが気にしたら負けです。では、




本編どうぞ!


あれから時は流れて数年…霊夢や魔理沙も中学生程の年齢になった。

そして、いくつか環境、周りが変わった。

まず、家を建ててもらった。流石にずっと慧音先生のところで居候、というわけにいかず、河童達に手伝ってもらって独り暮らし用の家を建てたのだ。翔都も河童が手先が器用だとは思っていなかった。

あと、あの日から十日後、まあ()()()()()()があって、事情を把握した。が、まあ、襲われかけはしたものの何とかセーフ。慧音自身も自覚していて、何とか、というのもある。

 

そして、

この頃…というより最近、翔都は少し自身に違和感を覚えていた。

まあ言えば、あまり歳を取ったように感じないのだ。まあ、普通にしていればそう感じ取れるものでもないはずだが、写真を見ても全くといって良いほど変わっていない。その事を霊夢に話してみると、もしかすると幻想入りした時、半分ほど妖怪化して能力を得たんじゃないか、と言っていた。確かに妖怪化していたなら歳も取りずらくなるだろう。半分ほど妖怪って…半人半妖ですかね?慧音先生と同種になったのかな、等々考えていた。まあ、そんなある日…

 

「ぅう…………あれ、」

朝起きて、伸びをした後翔都は、おかしい、と思った。あまりに暗すぎるのだ。曇ってるのかな?と思って窓から空を見てみると…

 

「え?」

空が真っ赤だった。黒ずんだ赤い霧に空が覆われていたのだ。

 

「…異変かな。」

恐らく異変。そう翔都は半分決定していた。確かに、空を覆うだけならちょっと日光が当たりにくくなる位で済むだろう。

しかし、問題はそこではなく、

 

「主犯が何を考えているのか、だよね…。…霊夢のところに行ってみようかな。」

 

──────────────────────

「霊夢ー。」

…返事はない。まだ寝ているのか。時計を見れば六時半。良い子は起きる時間だ。

 

「入るよー?」

またしても返事がなかったため、入る。と、

 

「…はぁ……」

翔都はため息をつき、片手で顔を覆った。霊夢は座った状態で巫女装束のまま机に伏して寝ていたのだ。

 

「霊夢、風邪引くよ。」

 

「んみぃ…」

何がんみぃ…か。

 

「霊夢ー。」

肩を揺すってみると、

 

「ん、んん…ん?」

目が開いた。

 

「おはよう。霊夢。」

2秒ほど間があった。

 

「な、なんで入ってきてるのおぉぉぉ! !?」

暴走した。ドタドタドタドタ、とけたたましい音をさせながら走っていく。

いや、夢想封印食らわされなかっだけ、まだましであった。この間起こしに来た魔理沙が真っ黒になっていたのを翔都はしっかり見ていた。

まあともかく、眠気から覚醒してくれて良かった…いや、チガウ。

 

「ち、ちょ、翔都さん…入るなら一言位断って…」

隣の部屋からカーテン越しに言ってくる。少しずつ声が小さくなっている。

 

「いや、入るよー、って言ってから入ったからね?」

 

「う、嘘ぉ…」

 

「はぁ…ともかく、多分異変。」

 

「ど、どんな?」

カーテンから真っ赤になった顔だけ出して聞いてくる。

 

「空が赤い霧で覆われてる。」

 

「な、なるほどね…分かったわ。ちょっと準備するから待っててっ!」

 

「ああ。あ、それと、寝るときは寝間着ぐらいは着た方がいいと思うよ。」

 

「?」

ふと自分の服装を見て霊夢の顔が更に赤くなり…

 

「翔都さんのバカあぁぁぁ!」

ドタドタ…

走っていった。何って、()()()が見えていたのだ。いや、別に下心があったわけではなく、見えてしまっただけである。

それはさておき、境内に戻り、霊夢を待っていると、箒に乗った少女が。

 

「霊夢ーー!」

 

「、おはよう、魔理沙。」

魔理沙が飛んできていた。

 

「おはようだぜ、翔都。もしかして、()()のことか?」

魔理沙は上を指差して言った。

 

「うん。さっき霊夢を起こしたから、多分もう出てくると思うよ。」

 

「なるほどな。よく夢想封印されなかったな。前私は黒こげにされたぜ?」

 

「何とかね、助かった。」

そんな話をしていた時、

 

「あら、魔理沙。汚い顔下げてどこに?」

 

「お互い様だぜ。この霧の事だぜ。」

これは二人の中のコミュニケーションだから翔都は止めようとはしない。二人とも承諾の上の挨拶である。

 

「、準備できた?」

 

「翔都も来るのか?」

 

「まあ、自分より年端いってない女の子だけここで行かせるのも少々問題になりかねないしね?」

それもそうである。これでも翔都は霊夢達より10歳程年上なのだから、二人に全任せ、というのもいささか気が悪いのだ。戦う程の力は無いが、知識ばっかりは無駄にあるのだ。

 

「ここでは女の方が強かったりするけどな。ところでだが、霊夢。何でそんなに顔が赤いんだ?」

ふと魔理沙が霊夢に聞いた。霊夢はすっ、と顔を隠して、

 

「なっ、なんでもないわよ!…それと、翔都さんはここにいて。」

話題を変えた。

 

「え、何でまた。」

 

「何でって、ここで男性に怪我でもさせるわけにいかないでしょ。後でどうなったものか分からないわ。」

まあ、それもそうである。男性が怪我をした、なんてことになれば幻想郷内の東西南北、あらゆる所から女達が集まってきてもおかしくない非常事態に値するのだから。

 

「…そうかな…?…分かった。こっちで待ってるから。」

 

「あ、ありがとう。」

 

「よし、じゃあ言ってくるぜ!」

 

「うん、気を付けてね。」

ヒューン

 

 

 

 

 

「…霊鐘さんは行かなくて良かったんですか?」

二人が飛んでいった後、ふと翔都が口を開いた。

 

「もう私は引退した身さ。今はもう霊夢に継がせてるんだ。私がここにいるのを知ってるのも翔都だけだからな?」

 

「…そうですね。…でも、近頃起きていた異変とは規模が違いますよ。」

 

「…まあ、霊夢と魔理沙なら大丈夫さ。あの二人は強いからな。」

 

「…そうですね。」

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…また目に悪そうな色してるわね…」

その頃二人はやけに目に悪そうな館の前にいた。

 

「まあ、ここに間違いないだろ?」

 

「そうね。…どんな醜い奴がいるのかしら。」

門にもたれ掛かって寝ている赤髪は有意義に無視しつつ、館に入る二人。

 

「さて、じゃあここで二手に分かれましょうか。」

 

「そうだな。その方が効率が良さそうだぜ。」

そういって二人が分かれた瞬間、

 

「っ!」

ブン!

 

後ろに妙な気配を感じた霊夢はお祓い棒を後ろに振った。すると、

 

「あら、よく分かったわね。」

メイド服の銀髪がいた。

 

「…あんたは?」

 

「私は紅魔館のメイド、十六夜咲夜です。この館の当主、レミリア・スカーレットに代わり、貴女方をもてなす用、言われております。」

咲夜はスカートの先を少しつまみ、礼をする。

 

「ふーん。私は博麗霊夢。知っての通り、博麗の巫女よ。じゃあ早速だけど、あんたの主人の所まで連れていってくれるかしら?」

 

「話、聞いてたかしら?どこに主人の敵をわざわざ連れていく様な者がいるのよ。」

 

「なら…人間だろうとスペルカードルールに則って退治するまでね。」

霊夢はスペルカードを五枚抜いて言った。

 

「ええ。来なさい。」

 

 

 

「うおー。こりゃあ宝の山だぜ!」

一方魔理沙の方はばかでかい図書館にいた。

 

「これなら…二冊位借りていっても問題ないよな?」

 

「問題大有りよ。」

 

「お?」

ふと声のした方に魔理沙が振り向くと、紫の髪が立っていた。

 

「お?もう今は朝だぜ?何でパジャマでいるんだ?」

 

「これが普段着よ!」

あまり抑揚はないが、起こっているのは分かった。

 

「はぁ…あのねぇ、貴女、勝手に人の本を盗んでいこうとしないでくれるかしら?」

 

「いいや?誰も盗もうとはしてないぜ。私はただ死ぬまで借りようとしてただけだぜ?」

 

「それを盗むって言うのよこの泥棒ネズミ!」

 

「うおっ!」

紫髪が弾幕を撃ってきた。

 

「いいぜ。力ずくは大好きなんだ。弾幕はパワー!この霧雨魔理沙様が相手してやるぜ!」

 

「はぁ…私はパチュリーノーレッジ。…貴女みたいな少し魔法をかじった程度の子供で…私に勝てると思ってるのかしら…!」

 

ドドオン…

 

 

 

 

結果は…まあ、霊夢達の圧勝だった。霊夢は咲夜の時を止める能力を見破り、お札で動きを封じて降伏勧告、魔理沙はコンセプト通り火力を生かした弾幕でパチュリーを真っ向からねじ伏せ、本を何冊か拝借していった。

そして…

 

「さて、ここが黒幕の部屋よね?」

 

「…はい。」

コンコンコン

 

ガチャ

 

「あら、…あなたが博麗の巫女ね?」

 

「はいはい。とりあえず、用件は分かってるわよね?」

 

「ええ、勿論。そして、私も望むものは同じよ。貴女を倒せばこの幻想郷は我が手に落ちたも同然。そう…博麗霊夢、お前さえ倒せば!」

 

「えーえー、そうね。私を倒せばたしかに手に入るかもね。ま、もっと面倒なスキマ妖怪とかいるけど。そっちの方が面倒か。まあ…それにしても、人の事言えた身じゃないけど、こんな醜いやつばかりのところ、制圧してどうする気?まああんたもだから意外とお似合いなのかもね。」

 

「言わせておけば…!いいわ!満身創痍じゃ済まなくしてあげるわ!」

 

「ええ、やってみなさい!」

 

 

 

 

「…………?」

その頃、翔都は博麗神社で本を読んでいた。

 

「……?」

が、妙な胸騒ぎに襲われていた。

 

「…何だろう?何となく…嫌な予感がする…?」

特に何も変わっていない。さっきから普通に博麗神社の縁側に座っているだけだ。

 

だけなのだが、

 

「うーん……」

ずっと腹の中にモヤモヤしたものが溜まっている感覚がある。

 

「……」

もしかすると、と考えが出てきた。もしかすると…

 

 

 

霊夢と魔理沙が負ける──、

 

 

 

「いやいや、」

頭を振って考えを改める。そうだ、あの二人が負けるわけがない。そう考えることはできても、モヤモヤは消えない。

 

「……はあぁ…」

行くか、と思う。

方向は、二人が飛んでいった方に進めばあるはず。霊夢の勘は凄いのだ。しかし、翔都は飛ぶことができない。そのため、

 

「…走っていくか。」

そう速いわけでもないが。

 

そう思った。が、

 

「え?」

今、走ってみるとどうだ。二人が飛ぶ速度には届かないものの、明らかにスピードが上がっている。

 

「これなら…いける!」

 

 

 

 

「[紅符]レッドマジック!」

 

「[霊符]夢想封印!」

 

「[恋符]マスタースパーク!」

ドドオォン

 

「「はああぁぁ!」」

ドドーン

 

「まだまだよ!」

ドドオォン

霊夢と魔理沙の高密度弾幕に一人で対応しているレミリア。

しかし、かなり体力も限界に近くなっていた。

 

「(はぁ…ここまでね。じゃあ最後っ!)紅色の幻想郷!」

まあ、当たらず、そのまま負け判定に────

 

「[禁忌]レーヴァテイーーン!」

 

「! !?」

ドドドォーン

 

「フ、フラン!?」

 

「お姉様ばっカりズルい!私モ遊ぶー!」

 

「ちょ、何あんた!?」

 

「誰でモいいでショ?ともかく、私トも遊んでヨ![禁弾]カタディオプトリック!」

 

「うおっ!」

ドドドーン…

 

「ちょいちょい、冗談キツいわよ!こちとらあんたの主人の相手してたばっかりなのよ!」

 

「ソこがズルいの!フランとも遊んでヨ!何でオ姉様ばっかリなノ!」

 

「あーもう!わーったわよ!あんたも一緒に相手してやるわよ!」

 

「やっタ!ジゃあ私からイくね![禁忌]クランベリートラップ!」

上から七色の大きな弾幕が降ってくる。

 

「あー…また避けにくい弾幕展開するわねぇ…」

 

「まだまだ![禁忌]カゴメカゴメ!」

次は緑の細かい弾幕が升目のように霊夢達を囲い、それを歪ませながら大きな弾幕が通ってくる。

 

「いや、嘘だろ!?」

 

「アハハは![禁忌]フォーオブアカインド!」

さらに四人に増え、

 

「「「「[禁忌]レーヴァテイン!」」」」

その四人がバラバラに燃える剣のようなものを振り回してくる。そして、その軌道にも弾幕が出来る。

 

「くっ…流石に…」

 

「うーン、反撃してキてよー!こレじゃ面白くナいヨー。」

 

「く…まだだ![恋符]マスタースパーーク!」

魔理沙がミニ八卦炉を構え、エネルギーを集結させて放った白熱光線が四人のうち、一人を消し飛ばした。

 

「ザーん念、ハずれだよ。」

 

「はぁっ![霊符]夢想封印!」

ドドドーン

そして、虹色弾幕が二人を消し飛ばした。

 

「あはハ!そウ!オもシロイよ!そうコナくっチャ![禁弾]スターボウブレイク!」

空から虹色の線弾幕が飛んでくる。

 

「うっわ、確実に姉よりめんどくさいわね…!」

 

「…魔理沙!上!」「霊夢!前だ!」

 

「「…え?」」

二人が叫んだとき、確かに、それぞれ弾幕が迫っていた。そして…

 

 

ドドドドドドド…

激しい衝撃音が鳴った。




戦闘シーンはあべこべが入れられません…
でも、これはあべこべ東方ものです。戦闘シーンを除けば。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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9話

どうも、こんにちはこんばんはおはようございます。

まさかお気に入り登録してくれた方が90人近くいることに驚きです!

では、本編どうぞ!


バン!

と音を立てて翔都は紅魔館といわれていた館の扉を開けた。真っ先に目に入ったのは床、壁、天井、そしてこの扉にも刺さっている大量のナイフ。が、

「…ここに誰もいないってことは…多分霊夢か魔理沙が勝ったな。」

 

霊夢も魔理沙も、だれも殺そうとしたりはしない。そもそもスペルカードルールに則っていれば死ぬことはない。血が床などにも付いていないことから恐らく、二人のどちらか、またはふたりが勝ったのだろう、と推測した。カーペット等も赤いが、血の赤さとは違う。

「…奥か。」

 

かすかに爆発音が聞こえる。どうやらあいては只者ではないらしい、と思った。が、

 

「守れるだけでも…守らなければ…か。」

そう呟き、奥に進んだ。

 

 

 

 

「あっぶないわね!もうちょっとで直撃だったわよ!」

 

「咄嗟にスペルカードが使えて助かったぜ…」

 

「アハハ!そうコナクっちゃ![禁弾]時を刻む時計!」

フランはそう叫び、十字の真ん中に球がある弾幕を回しながら飛ばしてくる。

二人がなんとか避けるとすぐさま、

 

「[禁忌]恋の迷路!」

と叫び、また躱しにくい一ヶ所だけ隙間の空いた弾幕を円形に何重にも重ねて撃ってくる。

 

「あーもう!反撃の余地がないわ!」

 

「アハハははははは!早くコワレチャエ!」

何とか避けきった直後、

 

「くっ…[霊符]夢想封印!」

一瞬の隙をついて、霊夢がスペルカードを放った。が、

 

「アハハ!じゃあそれ![秘弾]そしてだれもいなくなるか!?」

 

「まずいっ、霊夢!避けろ!」

魔理沙が叫んだが、霊夢はそれどころでなく…

 

『まずい…』

頭では分かっている。しかし、急すぎたためか、体が強ばって動かない。直撃する直前、

 

バァン!

「霊夢!」

 

霊夢は下に引っ張られ、青白い弾幕の軌道から外された。そして、

パァン

と弾けた音がして、青白い弾幕が黄色に吹き飛ばされた。

「…え、」

霊夢に見えたのは、見たことのある顔と、螺旋状に渦巻く電気のようなもの。目が金色に光っている男性。

 

「大丈夫か!霊夢!魔理沙!」

 

「し、翔都さん!?」「翔都!?」

 

「あはハ!次はあなたがワたしのおもちゃなノ?」

 

「…ああ、そうだな。相手してやるよ。」

霊夢の体が粟立った。明らかなまでに雰囲気が違う。いつもの優しい、柔らかな雰囲気とはうって代わり、人が変わったようにいる。

 

「でも…ちょっと疲れてきちゃってるから…スグニオワラセルネ?… オ ワ リ 。…[QED]495年の波紋!」

青い弾幕が球形に広がり、また別のところで弾幕が破裂し、新しい球形に広がる。しかし、

 

「……はっ!」

翔都が右腕を一度回し、左から右に一閃、横に振った瞬間、

 

バチバチバチバチ!

 

雷が横から飛んでいき、更にそこから縦にも弾幕が不規則に飛んでいって、青弾幕が消し飛ばされる。

 

「ワアッ!すごいすゴい!さっきノで壊れちゃウと思ったノニ!じゃあ…ホンキ![禁忌]フォーオブアカインド!…[秘弾]そして誰もいなくなるか!?」

先程の青白い弾幕が四倍、不規則に揺れながら飛んでいく。しかし、

 

「…[雷虎]白虎の猛進。」

翔都が右腕を上げると下から上へ、一閃の閃光が走り、その光の柱からいくつもの雷弾幕が飛び出ていき、フランの弾幕を相殺…否、圧倒していく。

青い弾幕から四人のフランに戻り、弾幕を展開しようとしたとき…

 

「…かかった。[雷力]轟雷。」

真っ直ぐ伸ばした右手の先にはフランの()()

 

「っ!」

そこから雷が分岐しながら飛んでいく。

 

「キャッ!」

ドドォーン…

 

「あ…はハ…あはハはハはハハはは!」

狂ったように笑い、

 

「「「「[禁忌]レーヴァテイン!」」」」

4人のフランがレーヴァテインを振り回してくる。

それに対し、翔都は…

 

「[雷神器]トールハンマー・ミョルニル。…[逸話]討ち破かれし霜の巨人!」

巨大な雷を纏ったハンマーが現れ、それを振り回して、レーヴァテインをも一つ残らず消し飛ばす。そして追加で弾幕が分裂しながら飛んでいく。

 

すると、その効果が終わるのを待っていたかのように、四人が別々のスペルカードを宣言する。

「[QED]495年の波紋!」

「[禁忌]カゴメカゴメ!」

「[禁忌]恋の迷路!」

「[禁忌]レーヴァテイン!」

青い弾幕が広がり、緑の細かい弾幕に動きを制限され、円形に弾幕迷路が展開され、赤い剣と同時に赤い弾幕が軌道に沿って翔都に飛んでいく。が、翔都は避けようともせず、

 

「…[奥義]武甕槌大神の暴走」

目を閉じ、宣言した瞬間、翔都から大量の雷の線のような弾幕が縦横無尽に数百の規模となって高速で飛び回り、弾幕を次々に消し、レーヴァテインをも弾いていった。

 

「! !」

ドドドドドドド…

 

 

 

 

「す、凄い…」

 

「…翔都って…あんなに強かった…のか…?」

 

「いえ…私でも初めて見たわ。」

 

「私でも…って、何お前が一番翔都のことを知ってるみたいな風で言ってるんだ?」

 

「…ゴホン…それより、多分あれが母さんが言ってた翔都さんの能力…そうね、言うなれば……『守る程度の能力』といったところなのかしら…?」

 

「守る程度の能力…か。本来なら私達が守らなきゃいけない立場なんだけどな。…加勢、するか。」

が、加勢はもう必要なく…

 

「……………」

じっと翔都が見る方には、レミリアに抱えられたフランが。

 

「あ、」

 

「しー。」

魔理沙が何か言おうとしたとき、翔都は口に人差し指を縦にして、少し黙ってな、と魔理沙に言う風にでもした。

 

「お姉…様…」

 

「フラン…大丈夫だった?」

 

「うん…でも…でも!勝てなかった…負けちゃったよおぉ…悔しいよぉ……」

 

「……いや、」

翔都が口を開いた。

 

「…?」

 

「実際は…負けててもおかしくなかった。…まだ、フランは本気を出せてないはずだから。」

 

「フランは本気でやったもん!」

 

「いいや、全然本気じゃない。」

 

「違う!」

フランは首を振って否定する。

 

「なら、…何で能力を使わなかった。」

 

「! !」

 

「まだ上手く使いこなせてないんだろ?だから使えなかった。…いや…正確には使わなかった、か。下手をすれば()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「!!!」

フランが大きく目を見開いた。

 

「…これまで、()()()()()()()()と必死に一人で戦う事を強要されてきていた…()()()が表に出てしまえば、自分の意思とは関係なく殺してしまいかねなかった。…だからそれを自分の力で制御できるように、閉じ籠った…だろ。」

翔都は淡々と考察を話していく。

 

「な、何で…それを…」

 

「…フランの放った[QED]495年の波紋。QEDってのは証明の最終記号。そして、495年…ここで終わらせる。この戦いが…幽閉から495年経った時の成長した様…これこそが結末の証明なんじゃないのか?」

 

「……………」

 

「…まあ、あくまでもこれは考察だよ。…そして、それを変える事が出来るのはレミリアだと思ってる。…後はそちらに任せるよ。」

 

「…」

 

「姉としての…するべき事を見つけな。そして、誰も悲しまなくていい、全員が笑える場所を作って見せて。」

 

レミリアは、ふぅー、と息をつき、

「……はぁ…本当に…只者じゃないわね。」

 

「それはどうも。…じゃあ、次は…そちらがフランと話す番だよ。」

 

「…そうね……フラン…本っ当にごめんなさい。…散々寂しい思いをさせちゃったみたいで…本当にごめんなさいね。」

 

「…うん…私も…ごめんなさい。」

 

「…フランが謝ることじゃないわ。」

 

「ううん。わたしも…悪かったわ。言うことも聞かなかったし…迷惑ばっかりかけてたし…」

フランがそこまで言うと、レミリアはフランをギュッと抱きしめ、

 

「迷惑なわけないでしょう?私の大事なたった一人の妹なのよ。…これからは…私もフランのためにも頑張るわ。」

 

「…ありがとう、お姉様…。」

そう言うとフランはレミリアに抱きついた腕に力を込め、わあわあ泣き出した。

レミリアもうっすらと目を潤ませていた。

 

 

「ふふ…やっぱり…仲は…良かった…んだよ…ね……」

ドサッ

 

そう言うと翔都は目を閉じ、倒れ込んだ。

 

「! !翔都!?」

 

「…大丈夫。少し眠ってるだけみたいね。…そりゃそうだわ。元々一般人程度の霊力であんな子の相手をしてたんだもの、無理もないわ。」

 

「ここの部屋を一つ、お貸しします。」

 

「ああ、ありがとうね。咲夜。…何でそんな恐る恐るな訳?」

咲夜の肩がビクーン、と跳ねた。

 

「い、いいえ、だ、大丈夫y、よ。」

 

「あ、噛んだ。」

 

「も、もうっ!良いですからっ!」

 

そう言った瞬間、いつの間に来たのかあの門番が

「咲夜さんは男性に対して本当に奥手でちょっと待っ翔都さんを持ってますから!ナイフを装備したら翔都さんが落ちちゃいますからっ!」

余計な口出しをして咲夜にナイフを投げられそうになるが、翔都を盾にして何とか抑えさせた。

「…そうね。お説教(身体に叩き込む型)は後でした方がいいわね。」

 

「どうかそのまま忘れてください…」

 

「無理ね。そもそも貴女、敵前で寝てたのよね?」

 

「うっ…」

門番は項垂れた。

 

「…で、あんたいつまで翔都を王子様抱っこしたままでいるのよ?」

 

「はっ……」

一瞬咲夜の目が揺れた。

 

「あっ、いやっ、その…」

珍しくあたふたする()()()()()()()()()を前に、先程来た小悪魔とパチュリーもクスッ、と笑っていた。

 

「もっもう!連れていきますからねっ!?」

と言った瞬間に咲夜が消えた。まあ時間を止めただけだが。

 

「ふふっ、あの子も初心ね。」

 

「そういうパチュリー様だって精神安定剤が無かったらここに来れてないじゃないですか。」

 

「そ、そうだけど…」

語尾がモニョモニョなるパチュリーにまた小悪魔が笑い、金具付きの魔導書で脇腹を抉られていた。

 

「はぁ…本来私達が守らなきゃいけない人に守られちまったな…」

 

「…私達だけじゃないみたいだけどね。」

 

「?…あぁ、そうだな。」

手を繋いで眠った二人の吸血鬼を見て、霊夢と魔理沙、二人が肩をすくめた。

 

 

 

 

ー廊下ー

「………私で良かったのかしら…」

咲夜は独り言を溢していた。無論、翔都の事である。

 

「…目が覚めるまでいた方が良いのかしら…でも、こんな不細工にそんな権限はないわね…でも、目が覚めた時に一人だったらどう思われるかしら…ああ…どうしたら…」

考えても最適解が出ない。その時、

 

「…あの…」

 

「……あぁ…やっぱり私なんかが部屋にいたら気持ち悪くて危害を加えてしまうかしら…それに拒絶されてしまったら私どうすれば…」

 

「あのー…」

 

「…ええ、少し待って下さい…今答えを出しますので…え?」

声の主は…

 

「あの…もう、歩けるので下ろしていただいても…」

五秒フリーズ。

 

「…きゃぁぁぁぁぁぁああ!?」

バコッ

 

「うげ」

驚いた拍子に咲夜は翔都を落としてしまった。

 

「すっ、すみません!しゅみません!すぐに失せますからすみませんでしたぁっ!」

 

「ち、ちょっと待ってください!」

 

「すみません…本当にごめんなさい…」

先程から謝ってしかいない気がする。

 

「いえ…えーと、お名前…」

 

「あっ、はっ、い、十六夜咲夜と申しますっ!」

普段の三倍速でものを言う咲夜。

そのため、

 

「…え?」

翔都には、「い───咲夜」と聞こえており、うまく聞き取れなかったために咲夜に一歩近づき…

 

「えーと、すみません、上手く聞き取れなかったので…」

パタッ

咲夜を気絶させた。

 

「…え?」

二回目の、え?である。まあ、意味は違っているが。

男性にめっぽう弱かった咲夜は翔都に一歩近づかれてオーバーヒートを起こしてしまい、気絶したのだ。

 

「…どうしよう…とりあえず皆のところに…皆のところってどこだろう…?」

以前も間取りがわからないくせに走って出て結局部屋に戻るはめになったことがあったが、今回はとうとう元の場所すら分からない状態である。

 

「…仕方ない…この人が起きるまで待とうかな…?…いや、流石に床に眠らせるのは…」

流石に地面が固いだろう、ということで翔都は咲夜をお姫様抱っこして、廊下を歩いていき、目についた部屋に簡素な字で「咲夜」とかかれているのを見て少し躊躇ったが、そのまま入らせてもらい、ベッドにそっと寝かせておいた。よく見てみると咲夜さんめちゃくちゃ美人だなぁ、と思いながらも流石に部屋に居座るのは気が重いため、ドアの外で待つことにした。

 

 

 

 

「…ふぇ…」

目が覚めてまず一回。どこだろう、ここ。

何というか…清々しいような、暖かいような夢を見ていた気がしていたが、気のせいだったろうか。

先程は…妹様と翔都様が勝負をして…疲れきったのか倒れた翔都様を空いている部屋に案内していて…

等々そこまで思い出してまた顔が赤くなっていく。

翔都に近寄られて頭がオーバーヒートを起こして倒れたのだ。

じゃあなぜ今咲夜が寝ているのか。もしかすれば翔都がレミリアのところに戻って来たのかもしれない…が、さっき気付いたがここは紛れもなく咲夜の部屋。レミリアは人の部屋に勝手に入るようなことはしないが…もしかすると………

 

 

コンコン

そこまで考えるとドアを叩く音がした。お嬢様かしら、と思い、はい、と答えると、ドアは開かれずに声だけ、

 

「あぁ、大丈夫ですか?急に倒れたものですからどうしたら良いのか分からなくて…元来た道も分からなかったので、目についた部屋に…」

紛れもない、翔都の声である。また意識が飛びそうになるが、耐える。

 

「あ、は、はい。もう…大丈夫です…」

 

「…調子が悪いようなら寝ていても大丈夫ですからね?」

 

「は、あ、ありがとう…ございます…」

つまり、ここに連れてきたのは翔都であり、連れてきてもらうためには触られなくてはいけなくて、しかも先程までスペルカードルールに則った戦闘をしており、汗もそれなりにかいているわけで…

 

「う、うぅぅ…」

とりあえずこのままではいけない、と早く自分を落ち着かせ、部屋から出ようとする。が、どうも足が動かない。

 

「……」

拒絶されるのが怖いのだ。

優しくしてくれたとは言えどもこの顔。化け物扱いされても無理はない。否、恐らくされるだろう。今まで自分を罵ってこなかった男はいない。が、だからといってそのままにしておく訳にも行かない。恐怖心を振り払ってドアを開ける。

 

「あ、もう大丈夫なんですか?急に倒れるから少しびっくりしちゃいましたけど…」

咲夜自身ともあまり背も変わらない、むしろ少し高めの所から声が聞こえる。

 

「は、はい。ご迷惑をお掛けしました…。」

 

「いえいえ、そちらが大丈夫なら良かったです。」

 

「…では、戻りましょうか?」

 

「あ、はい。」

が、いつまで経っても拒絶の言葉も罵倒も聞こえてこず、優しい声が聞こえてくるのみ。たまらず咲夜は聞いた。

 

「…あの…醜く…ないんですか?」

唐突だったか、と若干悔いた。が、

 

「?…あ、そうか。いえ、全然。咲夜さんは綺麗ですよ。」

 

「ふぇ…?ほ、本当…ですか…?」

 

「はい。とても綺麗な方に見えてますよ。」

 

「そ、それは良かったです。」

 

「(あれ、何か気に触ること言っちゃったかな?)」

内心咲夜は飛び上がっていた。口角が上がってしまうのも必死に耐え、出した言葉がかなり無愛想になってしまった。結構本気で悔やんだ咲夜であった。




次からちゃんとあべこべの本分を書きます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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10話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

それなりにお久しぶりです。
なんで遅れたかって?

期末テスト
追試
補習

…スリーアウトです。
一教科だけでよかったです。





では、本編どうぞ!




紅霧異変の後、翔都は二日ほど起きていない。

単に力を使いすぎたのだ。体力は回復して、一時的に動くことはできていたのだが、霊力が足りなくなっていたのか、一度眠ったとき、その力を回復させる分起きなかったのだ。

 

「………………ん、」

そして、今起きた。

 

「…お昼…?………寝すぎたぁっ!」

急いで布団から出て着替える。

翔都の感覚では紅霧異変の次の日の感覚なのだが、その日は昼過ぎから寺子屋で授業があったのだ。

そのまま走って寺子屋まで行く。

すると、門の前に慧音が立っていた。

 

「! !翔都!もう大丈夫なのか!?」

 

「…はい?」

もう、とはどういうことだろうか。そんなに傷を負った訳でもないのだが。

 

「二日も起きてないと聞いたから…」

 

「えっ?」

 

「…聞いていないのか?」

 

「…何をどなたにですか?」

 

「…聞いてないみたいだな。翔都殿はあの紅い霧の異変の後、丸一日間ずっと家から出て来なかったんだ。それで心配した霊夢が紫に頼んでスキマを開けたら、ずっと眠った状態でいたから、もう起きないんじゃないかって半泣きになってたよ。魔理沙も心配して落ち着きがよりなくなってたしな。で、その後更に一日経過して起きたって訳だ。」

 

「…そうだったんですか…二人には謝らないとなぁ…」

 

「そうだな。…私も死ぬほど心配だったなんて恥ずかしくて言えないよな…

 

「?何ですか?」

 

「い、いや、何でもないっ!」

慧音が何か言った気がしたが、本人が否定しているのでそちらを優先する。

 

「?そうですか?…ってじゃあ、僕の仕事の分、慧音先生が…?」

 

「ああ、気にすることはないさ。なんてったって翔都殿は異変を解決してたんだからな。寺子屋の仕事より大変なことをしてたんだから。」

 

「すみません…ご迷惑をおかけしました。」

深々と翔都は頭を下げた。

 

「良いんだよ。それより、霊夢達のところに行ってあげなよ。」

 

「はい。ありがとうございました。」

 

 

 

 

 

「…霊夢ー?」

 

「!翔都ー!」

 

「翔都!」

吹っ飛んできた二人を受け止める。が、受け止めきれず(というかそりゃそうだ)、そのまま倒れた。

 

「よかった!二日も目を覚まさないからすっごく心配したんだから!」

 

「ごめんね。心配してくれてありがとう。」

 

「良かったぜ!」

 

「うん。魔理沙もありがと。…それより、ちょっと離れてくれないと起き上がれないんだけど…」

 

「あ、ご、ごめんなさい。」

そう言って霊夢と魔理沙は翔都から一度、離れる。

 

「そうだ、翔都さんの能力なんだけど、多分これかな、って言うのが見つかったのよ。」

 

「!本当?」

 

「ええ。ちょっと上がって。」

 

「うん。」

 

 

 

「…っていう事だから、多分『守る程度の能力』とか、そういう感じの能力だと思うわ。」

 

「守る程度の能力…ねぇ。」

翔都は部屋に入れられ、二人から説明を受けていた。

 

「ここじゃあ本当は女性が男性を守らなきゃいけないんだけどな。」

 

「ええ。…そういえば、翔都さん、戦ってる時とかの記憶って無くなってるって母さんから聞いてたんだけど…」

 

「あー、それが、今回のは若干うろ覚えだけど記憶にあるんだよね。多分、あの頃より体力が増えたのか、その…妖力?とか霊力?っていうのがついたのか…」

 

「なるほどね…じゃあ、もしかしたら霊力を増やす練習とかしたら自分の意思で使えるようになるかもしれないわね。」

 

「そうかな?あ、そうだ。じゃあ、霊夢、付き合ってくれる?」

 

「ふえぇっ!?な、わ、私!?急すぎるでしょ!」

 

「え、いや、霊力を増やす練習とかも何か分からないし…そういうのも霊夢なら付き合ってくれるかと思ったんだけど…」

 

「あ、そ、そういう…わ、分かったわ。ちょっと残念だけど…

翔都は、()と勘違いしたのか、顔を真っ赤にして慌てふためく霊夢を、可愛い、と思っていた。

 

「…ん?何か言った?」

 

「な、何でもない!」

 

「(霊夢のやつ…ちょっと羨ましいぜ…)たまには私も手伝ってやるぜ。」

 

「、魔理沙も、ありがとう。」

その時、

 

トントン

「霊夢ー?」

 

「あら?この声は…」

ガラガラ

 

「ごきげんよう。」

 

「やっぱりレミリアね。」

 

「翔都はいるかしら?」

 

「あー、いるわよ。翔都さんー、レミリアが呼んでるわー。」

霊夢に呼ばれた翔都は玄関まで行く。

 

「あ、レミリアさん、こんにちは。」

 

「ええ、ごきげんよう。大変だったらしいじゃない、全然起きてこなかったなかったとかで。」

 

「はい、でも、もう大丈夫ですので。」

 

「…?おととい会ったときとはまた雰囲気が違うわね。何と言うか…腰が低くなったと言うのかしら。」

怪訝そうに聞いてくるレミリア。

 

「能力が出てたみたいなので…」

 

「なるほどね…まあいいわ。咲夜、あれを。」

 

「はい。」

そう言うとレミリアの隣にいた咲夜の手に三通手紙が現れ、翔都に渡された。

 

「そこにいる二人を含めた三人分の招待状よ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

招待状を受けとる際、咲夜の手に少し指が触れた。

何故か咲夜が若干顔を赤くしていたが気にすることは無いだろう、と思っておいた。

 

「ふふ、ええ。…にしても、本当に醜美逆転なんてあり得るのね…」

 

「まあ、そうですね。もう5年以上ここにいるので周りの反応はもう慣れましたけど。」

 

「そう。何なら咲夜を伴侶に選んでくれても良いのよ?

レミリアは、そっと翔都の耳元で囁いておいた。

 

「れ、レミリアさん!?」

 

「ふふ、ま、その時になったらいつでも来て頂戴。咲夜、そろそろ帰るわよ。」

 

「は、はい…。」

そう言って帰っていく二人を後ろから若干呆然としながら翔都は眺めていた。

 

「翔都ー?どうしたんだぜ?」

 

「あ、いやっ、何でもない!」

 

「ほーん。レミリアに何か言われたかー?」

魔理沙がニヤニヤしながら顎辺りを撫でながら聞いてくる。

 

「!」ビクッ

 

「ハハハ!翔都は分かりやすいからなぁ。ヤマをかけても分かるぜ。」

が、山かけだったようで、

 

「…(やられたぁ…)」

 

「で?何て言われたの?」

 

「いや、あ、それよりこれ。レミリアさんから招待状だって。」

自然に会話の軸を外していく翔都。

 

「ほー。あいつもここのルールに乗っかってくるなぁ。ま、招待されてなくても行くんだけどな!」

 

「ここのルールって…異変のあとの宴会の事?」

 

「そうだぜ!」

以前に一度だけ宴会に参加したことがあった翔都だが、まず未成年が普通にお酒を飲むのはおかしいと思っていたが、ここでは常識に囚われてはいけないらしい。ちなみに翔都自身は普通にお酒には弱い。

 

「あんまり飲めないんだけどなぁ…」

 

「安心しろ!無理矢理にでも飲ましてやるぜ。」

魔理沙がガッツポーズで言ってくる。

 

「流石にやめて。色々死ぬよ…。」

 

「まあ、適量嗜む程度なら問題ないでしょ。」

 

「霊夢も魔理沙も適量の域越えてる気がするんだけど。」

 

「「私達からすればあれが適量よ(だぜ)。」」

そう言いながら瓶二本普通に飲む輩がどこにいるか。二人とも中々酒豪なのである。

 

「あの量は確実に適量の域越えてるでしょ。…まあ、二人とも瓶三本目入っても顔赤くもなってなかったけど…」

翔都は瓶半分いかずにギブアップだったが。

 

「翔都が弱すぎるのよ。」

 

「いや、二人が強すぎるんだよ。」

 

「いーや、私達は正常だぜ。」

 

「辞書で正常の意味を調べて二十回は音読した方がいいと思うよ。」

恐らくこの二人は正常の意味をはき違えているのだろう。そうでなければこんな事にはならない。国語の成績が悪いだけに違いない。そうとも。

 

 

 

《時間と場所は飛んで紅魔館》

 

「あ、咲夜さん、手伝いますよ。」

 

「いえ、翔都様はお客様ですので、お手をかけさせるわけにはいきません。」

 

「そ、そうですか…」

完璧なメイドは伊達ではないらしく、確かにオーバーワークレベルで仕事をこなしている。

 

その時、

「お兄さまーー!」

 

「!うわっ!」

ドテ

後ろからフランが吹っ飛んできた。

 

「あれ、お兄様どこ行ったの?」

 

「フラン、下。」

フランに敷かれた状態で翔都は答える。

いつの間にか翔都はフランに「お兄様」と呼ばれるようになっていた。

 

「あ、ご、ごめんなさい。」

 

「いや、いいよ。でも、降りてくれないと立てないんだよ。」

 

「じゃあおんぶしてー。」

 

「…わかった…よっ、と!」

 

「うわー高ーい!」

そのままフランをおんぶすると、何故か霊夢と魔理沙が黒いオーラを出しているのは気のせいなのだろうか。いや、気のせいだろう。うん。気のせいだ。うん。気のせいにしよう。

よし勝った。(何に?)

 

すると、レミリアが階段から降りてきて、

「ふふ、改めて自己紹介するわ。紅魔館の当主、レミリア・スカーあ、」

そのまま階段から転げた。

翔都は咄嗟過ぎて全く反応できなかった。というか他の人も含め。

で、当の本人は…

 

「うー…」

頭を抱えてうずくまっている。

 

「……だ、大丈夫ですか!?」

そこから1秒後、翔都の体が言うことを聞くようになった。

 

「うー…」

咲夜が、あちゃー、といった様子で片手を顔に当ててうつむいている。フランはその1秒後、キャッキャッ、と笑い始めた。

すると、

 

「うにゅうぅぅー!お部屋戻るーー!」

 

「そーれ!」

レミリアが羞恥心で部屋に引きこもろうとするのをフランが飛んで押さえつけた。

 

「お兄様ー!見て!お姉さまの髪さっきのでぼさぼさ!」

 

「ああああ!翔都!見たらぶっ飛ばすわよ!グングニルよグングニルッ!」

まあ、翔都はそんな気は毛頭なく、姉妹のキャットファイトを微笑ましく眺めていた。

 

「あー…お嬢様…妹様…」

 

「…咲夜さんも大変ですね…」

 

「!ゴホン…い、いえ、そ、そんなことは…」

翔都が話しかけるだけで顔を真っ赤にする咲夜。それを見て笑い、ナイフをぶん投げられる門番…もとい紅美鈴。

 

「…賑やかだね…」

ふと霊夢に言う翔都。

 

「流石に賑やかすぎる気もするけどね。」

少し笑いながら答える霊夢。

 

 

「ああああ!フラン!離しなさい!」

 

「やだー!お兄様のところいくよ!」

 

「ちょ、本当に駄目だから!」

 

「さ、咲夜さん!一回落ち着きましょう!?ね!?深呼吸ですよ!深呼吸!」

 

「スゥーハァー…よし、[幻符]殺人ドール!」

 

「いや深呼吸の意味はどこへギャアァァァ…」

 

「…パチュリー様、どうします?これ……」

 

「…どうしようもないわね。美鈴はそのうち復活するでしょうし、レミィとフランは…喧嘩するほど仲が良いのよ。」

 

「いや、そのうちレミリアさん本気でグングニルぶん投げてきますよ?それに、今ここでさらっと解決すれば、翔都さんからかっこいい!って言われて、これからも頼られる事になるかもしれませんよ?

 

「…………流石に精神安定剤がいくつあっても足りなくなるわ。」

 

うまくいけばそのまま仲良くなってベッドイン…何て事もあるかもしれませんよ?

 

「…こぁ、ちょっと調子に乗りすぎね。その醜い顔を見せれなくしてあげようかしら?」

 

「あ、すみません…」

 

 

「ちょっ、え、ドウシヨウ?」

一番うろうろしているであろう翔都である。

 

「…あれ、どうにもできなくない?」

うっかりフランとレミリアの所に行ってしまえば、レミリアからグングニルが飛んできてもっと悲惨な事になるであろう。

いつの間にか美鈴はいなくなっているため、この姉妹をどうにかしようと思うのだが…

 

「…そうだ、能力使えないかな?」

自分の中で守護の感情を何となく高めてみる。すると、

 

「、いった。」

腕に雷のようなものが渦巻き始めた。

 

「はい、フラン、レミリアさん、一回落ち着きましょう?色々ぐちゃぐちゃになってますから。」

とりあえず二人を引き離して止める。

 

「あああああ!見るなあぁ!」

予想通りにグングニルを出すレミリア。が、予想はできていたため、

 

ガシッ

 

「はい、ストップ。」

腕を掴んでスペルカード強制終了。

何気に一番気力を使ったのはここかもしれないな、と後々翔都は思った。

 




多分次もこんな感じです。

ではでは、最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


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11話

どうもこんにちはこんばんはおはようございます。

いつの間にかUAさんが10000人を越えていました…感激です。
さらにお気に入り登録してくださった方が100人もいてくださると言うのが本当にうれしい限りです。
本当にありがとうございます!



では、本編どうぞ!


あのあと、翔都にグングニルをぶん投げかけたレミリアは咲夜からお説教をもらい、魔理沙にマスタースパークされて霊夢に夢想封印されていた。結構恐ろしかった。翔都は、鬼の形相ってこういうのを言うんだなぁ~と思いながら見ていた。

一応宴会…らしきものにはなったが、フランに椅子に座った状態で膝の上にずっといられ、うまく身動きが取れない状態で悪ふざけした魔理沙に酒瓶を口に突っ込まれ、そのままノックダウンした。

酒に弱いのは変わらないし、そこからほぼ記憶はないのだが、そのあとに、ハイライトオフしたフランに魔理沙がキュッとされかけていたのは何故かものすごいはっきりと覚えている。レミリアと咲夜が割と本気で止めに掛からなきゃいけなかったらしいところも。

 

で、現在。

 

「…昨日もこんな感じだった気がする…」

まあ、二日酔いで頭が痛いなんて事にはなってなかったと思うが。

 

「…確か頭痛止めは……ん?」

壁を向いて寝ていた翔都が起き上がると、隣に違和感が…

 

「!?ふ、フラン!?」

フランが丸まって翔都の横で寝ていた。

 

「うんー…?あ、お兄さま…、おはようー…」

 

「あ、うん、おはよう…じゃなくて!何でここにいるの!?」

このショックで二日酔いの頭痛は消えた。

 

「昨日霊夢がお兄さまを連れてきたときに入っちゃったのー…」

絶対咲夜さんとかレミリアさん心配してるじゃん!と翔都は考え、

 

「…うんフラン、多分咲夜さんとかレミリアさんが凄い心配してると思うから、帰った方がいいよ。」

 

「んー…分かった…だっこしてー…」

子供か、と思ったが、見た目は子供なのでまあよしとする。実年齢は翔都の20倍程なのだが。

 

「よいしょ、…軽いね。」

 

「えへへ…」

 

「…さて、」

どうやって帰ろうか、と思う。フランは吸血鬼。日光に当たると死んでしまう。日傘があれば問題ないらしいが、そんなものは翔都の家にはない。ついでに日焼け止めもない。

そのため…

 

「…普通の傘で大丈夫かな?」

雨用に買った雨傘を指して外に出る。何とか大丈夫のようだ。

そしてそのままお休み中のフランを抱えて、飛んで紅魔館に向かっているときだった。

フランがギュッ、と翔都の服を握りしめ、蚊の鳴くような声で言った。

 

「…行っちゃダメ…行かないで…」

涙を浮かべていた。

怖い夢でも見ているのだろうか。

 

「…フラン、大丈夫。僕はここにいるよ。」

そう翔都が言うと、フランは握りしめる手を緩め、少し笑ったように見えた。

 

そんなことがありながらも紅魔館…

 

「あ、翔都さ…い、妹様!?」

珍しく(珍しいらしい)起きている美鈴が驚いて声に出す。

 

「朝起きたら家にいて…家、日傘とかないので雨傘で来ちゃいましたけど…」

 

「えっ、も、申し訳ございません!」

またいつの間にか美鈴の後ろに出てくる咲夜。

 

「では、今日はこれで。」

雨傘を畳み、翔都は一礼をして紅魔館を去っていった。

 

その後…

「…咲夜さん、妹様、起きてますよ。」

 

「え?」

 

「起きたのはさっきみたいですけど…」

 

「えへへ…美鈴にはばれちゃうか~…」

 

「妹様…翔都様のご迷惑になりますので、もう勝手に家に行ったりしてはいけませんよ?」

 

「はーい♪」

どこまで分かっているのか…と咲夜は小さくため息をついた。

 

 

 

「焦ったなぁ…」

で、ただいま帰宅中の翔都。

 

「まさかフランが忍び込んできてるとは思わなかった…」

家に入ろうとしたその時、

 

「ちょっと良いですか?」

 

「うん?」

一人の女の人に声をかけられた。

 

「私、新聞記者の射命丸文と申します。取材をしたいんですけれど、よろしいでしょうか?」

 

「あ、はい、良いですよ。外で何なので一回中入りますか。」

そう答えるとまず名刺を渡してきた。

清く正しい射命丸と言われているらしい、射命丸 文だ。何となく興奮している気がするのは翔都の気のせいだろうか。

 

…………………………………………………………

 

「はい、ありがとうございました!」

 

「いえ、それは問題ないんですけど…こんなの使います?」

新聞の取材、ということだったが、好きな食べ物とか好きなタイプの女性とか聞かれていた。

それ新聞に使われたら普通に個人情報漏洩なんですが。

 

「ええ!勿論必要ですよ(私が)!」

 

「あまり個人情報は細かく乗せてもらいたくないんですが…」

 

「あやや、そうでしたか。では、一部だけ、載せさせていただきますね。」

 

「あ、それと、」

帰ろうとする文を翔都は一度呼び止める。

 

「?」

 

「その新聞って僕ももらえたりします?」

 

「!もっ勿論です!毎月の購読料があれば届けさせていただきますよ!」

一気にテンションが上がったのが目に見える文。分かりやすい。

 

「じゃあ…僕も頼んで良いですか?」

 

「!!ありがとうございます!」

そう言って凄い速度で飛んでいく。…飛んで?

 

「あ、妖怪だったんだ…分かんなかった…」

見た目は普通の人だった。まあ、敵意があるわけでもないから大丈夫だろう、と翔都は思っておいた。

 

 

 

「よっし!」

その頃、文は空を飛びながらガッツポーズをしていた。

 

「断られると思ったのにまさか購読までしてくれるなんて…神?彼こそが神かしら?」

 

「…文さま、何言ってるんですか?」

 

「ああ、椛。」

白髪に盾と大剣を持った哨戒任務中の犬走椛と会った。

 

「あの噂の人里の男性に新聞の取材を頼んだらオーケーしてくれたんですよ!それに家にまで上げてもらって、おまけに購読までしてくれるって言ってくれたんです!」

 

「えっ…それでガッツポーズを…にしても、文様の顔で取材をしてくれるって事は…どういうことでしょう?」

 

「…椛、バカにしてるんですか…?彼は聖人だってことですよ!取材と称していくつか情報ももらいましたし…」

文はパラパラとメモ帳をめくりながら言う。

 

「それ、大丈夫なんですか?」

 

「バレなければ問題ないですよ!」

文はグッ!とグーサインを出しているのに対して、椛ははぁ…とため息をつき、

 

「ばれたら大天狗様か天魔様に絞められかねませんけどね…」

 

「それはないでしょうけど…特に天魔様。恋愛とかほぼ興味なさそうですし。」

 

「あー…確かに言われてみれば…」

半分以上ワーカホリックと言われている天魔にとっては本当に恋愛なんぞ知ったことはない、なのだろう。

顔の事も容姿の事も気にも留めない性格と言われている上、そもそも部屋から出てこないわけである。

大天狗の方は、あまり新聞には目を通さない感じのため、バレても怒られる可能性は確かに低いかもしれない。

 

「…でも、天魔様とか何気に乙女な所とかあったら面白そうですよね…」

 

「アハハ…何気にありそうですね…じゃ、今日はこの辺で、私は早く新聞を作らないといけないので!」

そう言って文はすごいスピードで飛んでいった。

幻想郷最速は伊達ではないといったところか、後からすごい突風が吹いていた。

 

「…後で私も行ってみようかな…」

椛はほんのり乙女な所もあった。




そろそろいろんなキャラクター入れていきたいなぁと思っています。
まあ、キャラ崩壊がある可能性高めですけど…ご容赦ください。

ではでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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