アサルトリリィと呼ばれた男 (岡村優)
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長すぎるので複数回に分けます。

ネタバレを含む可能性がございます。予めご了承下さい。

また、疑念に思いましたら直接お願いします。


船坂家

 

元々の家名は、岡村家である。日本に置ける最も古い家でニニギノミコトと共に天下ってきた一族である。(諸説あり)その際、当時の当主が天照大御神より、天羽々斬を受け取り、代々天皇家を守護している。

 

当家では、天羽々斬を持つ者が当主とみなされ、現在百之助が269代目に当たる。

 

 

船坂百之助

 

年齢 17歳

 

誕生日 4月11日

 

身長 180センチ

 

武術 義経流兵法 薬丸自顕流

 

職業 学生 又は 近衛軍少将 (守護者)

 

所属レギオン 白襷隊→一柳隊

 

レアスキル

 

ルナティックトランサー 神速 七人御先 ラプラス ヘリオスフィア ファンタズム(後の2つは樟美と、天葉から血を吸った為)

 

好きな言葉 一所懸命

 

口癖 大和魂を見せてやる!  

 

性格

 

戦になると笑いながら敵を倒すが、基本的に殺生を好まず人間であれば苦しまない様に首を確実に斬り飛ばす。ヒュージであっても一撃で倒すことを美学にしており。根は優しい。日常生活に置いても後輩やら先輩が困っていると助けたりする。しかし、1年生からは嫌われていてその事で凹んだりする。 

   

 

使用武器 (現時点)

 

100式機関短銃→38式歩兵銃→99式長小銃改→40式歩兵銃

 

95式軍刀 天羽々斬 30年式銃剣→40式銃剣

 

14年式南部拳銃 MP17

 

19式対艦ライフル砲武御雷

 

経歴(本篇は、少し齧る)

 

皇紀2713年(西暦2053年)4月11日生まれ、双子の兄として誕生、物心つく前から船坂徳永(曾祖父)及び朽井迅三郎光景(先祖)から戦う為の技術を叩き込まれる。そうしている内に途中からゲヘナから助け出された冨永伊吹、弟の船坂裕也と共に戦う技術を叩き込まれる。

 

 6歳になると3人共、迅三朗より太鼓判を押され特尉待遇で三人と、姉達と共に台湾奪還戦に参加。船坂家の大半がこの戦いで戦死した。その後上が軒並み戦死したことにより百之助は、中尉となる。

 

 その後、ゲヘナなどの潜入や、強襲等を行い戦果を上げる。しかし、8歳の時の強襲作戦において夜々と言う吸血鬼に出会い。彼女の意思を継ぐことにし、彼女の力を継承した。(守護者になった)その際様々な要因が重なり精神が病んでしまい、船坂家一同の決定により百合ヶ丘女学院に伊吹と共に放り込まれる。

 

百合ヶ丘に放り込まれて直ぐは、周りが女子しかおらず、心を完全に閉ざしていたためなかなか馴染めず孤立していた。その事に気を揉んでいた学院側の配慮により当時の外征旗艦レギオンである白襷隊に入る。勿論この時の隊長は当時14歳であった船坂千夏

(百之助の姉)だった事もありとても可愛がられていた。そのおかげかだいぶクラスに馴染める様になり、依奈を始めとするクラスメイトから話し掛けられるようになった。

 

しかし、あいからわらず戦い方が捨て身の突撃であったのでそれに関してはクラスメイトだけで無く教官からも苦言を言われていた。が、どこ吹く風であった。

 

桜島防衛戦にて白襷隊前衛隊長に任命された。この役割はスピアヘッド(槍手)で最も戦死率の高い役割であり、大変重要な場所である。ひたすら正面を支え続けアルトラ級を撃破した。

 

その後も初等部時代は軍の命令でアルトラ級を遠距離から撃破したりしたため軍内部では「アルトラ級キラー」と言うあだ名まで付けられていた。(使用したのは武御雷)

 

中等部では、途中編入組(夢結、天葉)等が入って来るが。雰囲気が、軍人のそれである為受け入れられなかった。特に当時は夢結と対立していた。理由は百之助が戦いにしか興味がなく、戦いしか生きる道が無かったのを夢結が真っ向から否定していたため。ただ傍から見たらそれは痴話喧嘩にしか見られなかったそう。

 

因みにだがいつから付き合いはじめたかは本人達が頑なに言わない為現状では分からない。

 

中等部二年時に、甲州撤退戦が発令。これに参加した。

 

この戦いでは、百合ヶ丘の生徒20名が亡くなっておりその内の16名が白襷隊であった。白襷隊は退路を絶たれたリリィ全員と一般市民を助けるため自ら捨て身の突貫で退路を開きこれを維持、全員が脱出したのを確認した上で、全員の玉砕を持って敵を撹乱及び足止めを行い、百之助と、伊吹のみが生還した。(この二人に関しては不死身であったため。また、百之助に関して言えば昏睡状態)

 

この際、夢結はシュツエンゲルと恋人を失った(百之助は、戻ってきたが昏睡状態)事で自分を攻め、ふさぎ込んでしまった。

 

百之助は、百之助で、このことに関しては反省しており、できるだけ死なない様に心掛けることとし、夢結にスキンシップを取るようになり夢結をよく甘やかした。戦い方は、全く変わらなかったが。

 

これにより数多の通り名が付けられるようになった。(ゴシップも含む)

 

余談ではあるがヒュージの撃破数(アルトラ級のみ)180体以上、対人に至っては、不明である。

 

現在近衛軍第一師団長である。

 

 

 

冨永伊吹

 

年齢 17歳

 

誕生日 6月5日

 

身長 184センチ

 

武術 二天一流兵法 義経流兵法

 

職業 学生 又は 近衛軍大佐 (監視者)

 

所属レギオン 白襷隊→一柳隊

 

レアスキル ファンタズム

 

 

好きな言葉 乱れ撃つぜ!

 

口癖 死にたくないなら戦場にのこのこやってくるな。

 

性格

 

基本的に大雑把。基本的に人とは関わらない人間だが、人助けはしてしまう。百之助より人望が厚い(百合ヶ丘では)

 

使用武器(現時点)

 

ウィンチェスターライフルM1895→スプリングフィールドM14(予備)

 

刀二振り(銘なし) M1917銃剣→M6銃剣(予備)

 

トーラスレイジングブル二丁 トーラスジャッジ二丁

 

サバーニャ

 

経歴

 

皇紀2713年(西暦2053年)6月5日生まれ。産まれてすぐにゲヘナによって誘拐され、人体実験で無理やりチャームユーザ(男版のリリィ)に改造される。4歳の時にゲヘナの研究施設が防衛軍の特殊部隊により壊滅、その際助け出される。その後船坂家預かりになった。

 

その際百之助と出会い一緒に戦うことを決意、一緒に訓練受けた。その後百之助と共に、台湾奪還戦に参加。百之助を掩護し、二人共生き残る。

 

その後は百之助と共に、ゲヘナなどの潜入、強襲をした。百之助がその際精神崩壊直前にまで陥ったがこれを支えた。その後百之助と共に、百合ヶ丘に放り込まれる。

 

百合ヶ丘では、ほぼ無言を通す予定であったが流石に不味いと思い話しかけられれば答えていた。しかし辛辣過ぎたためクラスメイトからは嫌われていた。その後百之助と共に、白襷隊に入り百之助と共に奮戦した。

 

甲州撤退戦では瀕死の重症を負ったが、その際神と名乗る人物から不死身にしてもらったため直ぐに復活。

 

その後、御台場迎撃戦などの戦いにてひたすら他のリリィの代わりに重症を負っては復活を繰り返した。その結果他のリリィからは更に距離を置かれた。(天葉曰く死神)が、ほかのリリィを手当したりしていたためそこまで酷くは無かった。

 

現在近衛軍第一師団第一大隊長である。

 

 

船坂文香

 

年齢 15歳

 

誕生日 12月8日

 

身長 160センチ

 

武術 義経流兵法

 

職業 学生 又は 近衛軍少尉

 

所属レギオン 一柳隊

 

レアスキル 

 

ルナティックトランサー ブースト 縮地 円環の御手

 

好きな言葉 見敵必殺

 

口癖 ゲヘナは、絶対許さない…

 

性格

 

基本的には優しい。百之助のストッパーで、良く一般人に向けて言ってはいけないことを自重させる。言いたいことははっきり言うが少し感情がこもりすぎる癖がある。

 

使用武器

 

ブリューナク二機

 

HK45二丁

 

小太刀(銘なし)

 

経歴

皇紀2714年(西暦2054年)12月8日生まれ。船坂家の娘ではあるが愛人の娘である為母親によって6歳まで育てられる。

 

6歳の時、母親がゲヘナの強化リリィに眼の前で殺され、心に深い傷を負った。

 

その後、船坂家に引き取られ「船坂文香」となる。姉妹や兄弟とは仲が良かった。

 

7歳の時百之助が帰って来なかった為、一晩中泣いていた。

 

甲州撤退戦の後、百之助が重症を負ったことにより近衛軍に入隊、その二年後には百合ヶ丘女学院に入学する。

 

近衛軍第一師団第一大隊第一中隊第一小隊長である。

 

 

ギン

 

年齢 1080歳

 

誕生日 5月3日

 

身長150センチ

 

武術 不明

 

職業 刀鍛冶 又は 防衛軍少将 (監視者)

 

レアスキル ルナティックトランサー

 

好きな言葉 不明

 

口癖 言い回しが少々古い。

 

使用武器

 

大太刀、小太刀(銘は蝶と蜂)

 

性格

基本的には優しいが、自分の作った物を壊されると激怒する。しかしそれはそれで仕方が無いとは思っているので次はそうならない様に日々改良を続ける。酒が入ると小躍りし始める。

 

経歴

 

皇紀1650年(西暦990年)5月3日生まれ。父親は酒呑童子、鬼である。産まれてすぐに監視者となった。

 

 

5歳の時に襲撃を受け武士により父親が討伐される。その際、流石に子供は殺せなかったのかギンのみ生き残る。途方に暮れたギンであったが、刀鍛治に拾われ事なきを得る。

 

ひたすら修行を重ね一流の刀鍛治になったが鬼である為、山奥でひっそり暮らしていたが、ある日迅三朗が自分の家の刀鍛治とした。

 

その後迅三朗は、政権争いに巻き込まれて流人になった事を知り、また山籠り生活に戻った。

 

その四年後にまた迅三朗が来てまた連れ出した。そして頃くして迅三朗が自分と同じく監視者である事を知る。

 

迅三朗は、妻が死んだ段階で家督を子に譲り自身はギンと共に、山籠りをする。

 

ギンは腕は良かったので沢山の発注が掛かり、沢山の武具を生産した。基本的には迅三朗が対応した。(鎌倉後期から、江戸時代末期まで)

 

明治になり迅三朗とギンは迅三朗の本家から招集された。そのまま家に、組み込まれた。

 

その後は迅三朗と共に、軍刀を製作(迅三朗は、事あるごとに戦に参加していたが)

 

戦後は仲良く暮らしておりヒュージ出現の際には、ギンのみが継承していた技術によりチャームを、完成させ各国に売り込んだ。

 

現在でも新しくチャームを作った場合著作権により金がギンの元に集められている。

 

迅三朗とは、台湾奪還戦の後に結婚している。

 

 

朽井迅三郎光景

 

年齢 830歳

 

誕生日 8月1日

 

身長 140→170センチ(監視者になったため)

 

武術 義経流兵法

 

職業 元鎌倉御家人 防衛陸軍予備役大将 百合ヶ丘女学院教官

 

レアスキル 縮地 ヘリオスフィア ファンタズム 天の秤目

 

好きな言葉 一所懸命

 

口癖 一所懸命

 

使用武器

 

太刀 脇差 和弓

 

性格

 

命知らず、百之助が突撃戦法を取るのは迅三朗の指導によるもの。戦以外のことはすべて投げ捨て、それしか知らない。

 

経歴

 

皇紀1900年(西暦1240年)8月1日生まれ岡村家(後の船坂家)分家朽井家に生まれた。その後鞍馬山にて、今であれば虐待レベルの鍛錬を行い6歳で初陣。戦果を上げた。

 

家督を継いだあとは海賊狩りやら野党刈りやら行っていたが勢力争いに敗れ流人として対馬に送られる。

 

対馬では蒙古軍と戦い守護代である宗家家中の者や刀祓い(防人の末裔)と共に。対馬ヲは守ろうとするが壊滅。その後も生き残った者達とともにゲリラ戦をしていたが元軍の船に忍び込み博多に渡る。

 

その後も戦い2度の猛攻を退けた。その功績により流人から御家人に戻るが本家である岡村家が病で殆どが無くなったため迅三朗が家督を継いだ。元々4人の妻が居たが全員病で無くなった為に岡村家を継ぐ際、また妻を持った。

 

子供が生まれ、妻が死ぬとギンを連れて山籠りをした。

 

そのまま明治まで刀鍛治をしていたが岡村家に呼び出された。

 

その後も刀鍛冶と軍人をやっていたが日本に軍隊がなくなったため刀鍛治になる。

 

次に表舞台に舞い戻ってきたのは南極戦役でその後も防衛軍の上層部に居座り続けた。

 

最後の戦いは台湾奪還戦であった。この時、総司令官であったアメリカ軍の大将が判断を誤り戦線が打壊しかけた際、撤退を具申したが聞き入れずイギリス陸軍が孤立した。流石に不味いと感じた迅三朗は、宗助国から賜った平知盛公の甲冑を纏い、防衛軍の戦力を持ってイギリス陸軍の撤退を掩護、全滅を免れた。その際馬に乗って最前線で鼓舞した。

 

その後これ以上は戦闘は不可能となり全軍撤退。敗退した。

 

余談ではあるが。イギリス陸軍の指揮をとっていたのはイギリス王室の王子で後に王になった際、迅三朗はこのときの功績により爵位と勲章を賜った。その後イギリスで特集が組まれその都度出演し、今までの経緯やら、戦績やらを話しイギリスでは「サムライ」の名で通っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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設定2

船坂寧次

 

年齢 38歳

 

誕生日 5月25日

 

身長185センチ

 

武術 薬丸自顕流

 

職業 近衛軍中将

 

 

性格

 

愛妻家で人目をはばからずイチャつく。とても良い親父である(子供が二人いる。どちらもリリィ」

 

 

経歴

 

皇紀2692年(西暦2032年)5月25日生まれ。8人兄弟、船坂家次男として生まれる。

 

学生時代はやんちゃしていたようである。

 

表舞台に出てきたのは甲州撤退戦で、近衛軍の指揮をとった。

 

日本国防衛軍・近衛軍戦力

 

陸軍

 

140万人

 

70師団(空挺師団・戦車師団含む)

 

武装は自衛隊から引き継ぐ。

 

空軍

 

90万人

 

総機数3000機(戦闘機のみ)

 

武装は自衛隊から引き継ぐ。爆撃機などを新たに購入している。

 

海軍

 

95万人

 

8個機動打撃群 9個潜水艦隊 その他多数

 

総艦艇数約80隻

 

海軍の場合は、海上自衛隊の艦艇はすべて退役し、一新されている

 

大和型戦艦8隻

 

長門型戦艦8隻

 

改大和型空母8隻

 

護衛空母16隻

 

その他駆逐艦など

 

水陸機動軍(海兵隊)

 

30万人

 

12個水陸機動師団

 

おおすみ型強襲揚陸艦24隻(海軍も同じものを保有、足りない場合はそれを使う)

 

 

 

用語解説

 

運命の囚人

 

ヒュージを作った神々に対抗すべく、敵対する神々がリリィやチャームユーザから選びだした者たち。全員が不死者で、全員が単独で巣なしのアルトラ級を仕留めることが出来る。

 

守護者

 

運命の囚人の中から4人選ばれる。運命の囚人の中で最も強い力を与えられている。

 

現在の守護者

 

第一席 吸血鬼 船坂百之助

 

第ニ席 錬金術師 ハインリヒ・クンラート

 

第三席 魔女 ベアトリーチェ・モルティナーリ

 

第四席 聖女 ジャンヌ・ダルク

 

監視者

 

運命の囚人の中で守護者に選ばれなかったもの

 

冨永伊吹

 

ギン

 

朽井迅三郎

 

船坂愛奈

 

以下約5000名

 

兵器解説

 

大和型戦艦

 

同型艦 大和 武蔵 信濃 紀伊 周防 蝦夷 美濃 出雲

 

全長 580メートル

 

武装

 

主砲 61センチ超電磁加速3連装砲4基

 

副砲 20センチ超電磁加速連装砲2基

 

高角砲 76ミリオート・メラーラ スーパーラビット砲12基

 

その他 ファランクスなど

 

説明

 

この艦艇は、前級である長門型戦艦を超えるべく建造された旗艦級戦艦で、射程は脅威の400キロメートル。対艦ミサイルの射程を超えているため大艦巨砲主義が復活した。これによりすべての艦艇が装甲を持っている。また、この艦艇は自身の砲撃に耐えるよう設計されている。

 

 

長門型戦艦

 

同型艦 長門 陸奥 土佐 加賀 甲斐 薩摩 近江 対馬

 

全長 510メートル

 

武装

 

主砲 46センチ超電磁加速4連装砲4基

 

副砲 15センチ超電磁加速3連装砲2基

 

高角砲 76ミリオート・メラーラ スーパーラビット砲8基

 

その他 ファランクスなど

 

解説

 

クーデターの後、構想段階であったが突貫で開発製造した超電磁加速砲を載せるべく建造された戦艦。射程が予想を超えて優秀であったので各艦隊の旗艦として設計されている。また、アメリカ海軍の戦艦を遥かに越えていた。(パナマ運河の関係がある為大きく出来なかった。)また唯一、戦争に参加した超電磁加速砲搭載型戦艦である。

 

 

改大和型空母

 

同型艦 蒼龍 飛龍 瑞鶴 翔鶴 大鳳 龍鳳 天城 赤城

 

全長 580メートル

 

武装

 

艦載機数 97機(偵察機含む)

 

機関砲 ファランクス4基

 

解説

 

正規空母はすべてアメリカ海軍のお下がりで殆どが老朽艦であったためにそれを一新すべく建造された。なお、可及的速やかに建造しなければならなかった為大和型を再設計し、建造した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第一章
1話






一人の男のリリィが病院で目を覚ました。その男の名は船坂百之助だ。

 

「うん?ここは何処だ?甲州撤退戦はどうなった!?」

 

直ぐに病院だと気づき。ナースコールを押す

 

直ぐに看護師が来て俺を見るなり医師を呼びに行った。その後医者が全力で走ってきた。

 

「船坂さん目が覚めたんですね!」

 

「御託はいい、甲州撤退戦はどうなった!?」

 

「多大な犠牲を出しましたが成功しました。」

 

「そうか…くっ!!」

 

直ぐに立ち上がった。体を動かしてみる。問題はなさそうだ。

 

「すごい…2年も寝てたのに直ぐに立ち上がるとは…」

 

「うちの家系は頑丈なんでね…明日退院してもいいか?」

 

時計を見ながら言った。

 

「構いませんが…検査だけさせてください。」

 

「了解した。」

 

その後、医者が帰っていったので電話を掛けた。

 

『もしもし?』

 

「久しぶりだな…戦友」

 

彼の名前は富永伊吹。彼もまたリリィだ。

 

『ようやく目覚めたか英雄。白雪姫が待ってるぞ?』

 

「わかってるさ…夢結には済まないと思ってるさ。」

 

『そうかよ…いつ退院するんだ?』

 

「明日だ、迎えに来てくれよ。」

 

『マジかよ…いいぜ』

 

「夢結には言うなよ。」

 

『お前も意地が悪いな…了解した。じゃあな。』

 

「ああ…」

 

電話を切り。その他諸々の検査を受け、翌日退院手続きをした。

 

黒いブレザーの百合ヶ丘女学院の制服とコートを着て自分の武器。左側のベルトに30年式銃剣と刀を差し、右側のホルスターにはMP17を入れ、背中には九九式長小銃を背負った。

 

敵であるヒュージには、現代兵器は効かないこれは当たり前のことだが、これらの武器はマギが通るように改造したため関係がない。それにリリィが一般的に用いるチャームは、彼の場合強度不足なのだ。故に彼はそれらの武器を使う。

 

病院を出ると富永伊吹が待っていた。

 

「よう。戦友」

 

「遅かったな」

 

彼は背中にウィンチェスターライフルM1895軍用モデルを背負い腰には日本刀二本とトーラスレイジングブルを下げていた。おそらく彼は、両脇にトーラスジャッジも持っているだろう。

 

「トミー相変わらずの重装備だな…」

 

「お前も似たようなものだろう?」

 

「違いない!」

 

「所で今日、入学式なんだ。」

 

「俺らのか?」

 

「俺らは迎える側、高ニだぞ?」

 

「あれ?俺も進級してんのかよ?」

 

「そうだが?」

 

「は?勉強どうすんだよ?」

 

「夢結に教えてもらえ。」

 

「まじか…」

 

「白雪姫、滅茶苦茶泣いてたからなお前が入院した時…それに契りを結んだ先輩が戦死したし…まあ俺たちのレギオン…白襷隊は。俺たち二人以外全滅したからな…」

 

「嘘…だろ…あいつら死んだのか…」

 

コレには動揺を隠せない。

 

「まあそれでも頑張るしかないけどな」

 

「そうだな」

 

二人は学院に向う

 

 

 

 

 

 

 

 



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2話

「懐かしの我が家だ…」

 

「厳密には高等部だがな」

 

二人は百合ヶ丘の門を潜り構内を歩いていた。勿論気配を消していた為誰にも気付かれてはいない。理由は男だからである。

 

途中で騒ぎがある事を知ったのでそちらに向かった。すると二人のリリィが立っておりその周りに野次馬が集まっていた。

 

「中等部以来お久しぶりです。夢結様」

 

「何か御用ですか?遠藤さん」

 

「亜羅那と呼んで頂けませんか?そして入学のお祝いにチャームを交えて頂きたいんです」

 

「相変わらずの猪だな…」

 

「言うな…虚しくなるから。」

 

伊吹と百之助は亜羅那にあきれていた。すぐ近くに見慣れた顔を見たため後ろから声を掛けた。

 

「やあ、久しいな空葉。」

 

「は?え!幽霊!?」

 

この金髪の少女は、天野天葉だ。

 

「何でそうなるんだ…」

 

「冗談だよ。冗談」

 

「でも久しぶりに見たなあの猪」

 

「そう言わないであげて」

 

「へいへい」

 

「あの…何で男の人が居るんですか?」

 

と銀髪の少女が聞く。

 

その問いに答えたのは空葉だった。

 

「白襷隊の【アサルトリリィ】て聞いたことない?」

 

「ありますけど…」

 

「本人!」

 

「ええ!?都市伝説じゃ無いんですか!?」

 

「そっち!?」

 

そんな話をしていたら話が進んでしまっていた。

 

「お退きなさい時間の無駄よ。」

 

「ならその気になって頂きます。」

 

亜羅那は、言うが早いかチャームを起動する。

 

斧の形状に変化したそれはリリィ専用の兵器だ。

 

「あーあ」

 

「手加減はしないわよ?」

 

「お〜怖〜いゾクゾクしちゃう。」

 

そこに闖入者が参上する。

 

「は〜いそこ、お待ちになって。私を差し置いて勝手なことなさらないで貰えます?」

 

「何?貴方。」

 

亜羅那は、声のトーンが下がった。闖入者は。それを無視した。

 

「お目に掛かり光栄です。楓・J・ヌーベルと申します。夢結様には、私のシュツエンゲルになって頂きたく存じております。」

 

「しゃしゃり出てきてなんのつもり!?それとも夢結様の前座と言うわけ?」

 

「上等ですわ!」

 

闖入者改めヌーベルがチャームを抜こうとする。がそこでピンク髪の闖入者が現れた。

 

このスキに伊吹と百之助がそれぞれのライフルに着剣し、ちょうど真ん中に背中合わせで対峙し。ライフルの引き金を引く。

 

ターン

 

ダーン

 

 

「「そこまでだ」」

 

流石にこれには周りは困惑する。百之助は、フード付きのコートを空にぶん投げた。

 

「これ以上は白襷隊の【アサルトリリィ】が相手してやるが双方如何に!」

 

亜羅那に百之助は、99式を向ける。

 

「な…」

 

「男!?」

 

「アサルトリリィ!?」

 

周りはこの際無視する。

 

「邪魔しないでもらえますか?百之助様!伊吹様!」

 

「黙れ!猪!そもそもこっちは退院したばかりだっての!」

 

「なら引っ込んでもらいましょう。」

 

「やなこった!こっちは体訛りすぎて準備運動が欲しかったところでね」

 

「流石に分が悪いですね。ここは引きましょう。」

 

亜羅那は。チャームを仕舞った。

 

そのまま反対側の夢結の方に99式を向け180度ターンし伊吹と入れ替わった。

 

「で?ゆーゆは?どうする…!?」

 

夢結は、持っていたチャームを落とし。真っ直ぐ走り込んで百之助を押し倒し馬乗りになり、そして

 

バチーン

 

平手打ちをぶちかました。この時点で周りは困惑して静まり返っていた。

 

「お前!こちとら病み上がりだぞ!?死んだらどうしてくれるんだ!」

 

「貴方なんて…貴方なんて!死んでしまえば良かったんですよ!そしたら…こんなに…辛くなかったのに!」

 

見れば夢結の目から涙がポタポタと滴り落ちていた。

 

「済まなかった。」

 

「…一人に…しないで…お願い…」

 

これを上目遣いで言われてしまうと何も言え無くなってしまった。なので行動で示すことにした。具体的には唇にキスをした。

周りから黄色い変えが聞こえるが無視する。

 

しばらくして立ち上がったが。腕の中に夢結を抱いていたところに。生徒会のメンバーである出江史房がきた。

 

「何をなさっているの!…あなた達…」

 

視線の先には。百之助と夢結がいた。そして事情を察した。

 

「帰ってくるなら連絡ぐらいしなさい」

 

「忘れてた!」

 

「はぁ…変わらないわね。…それよりも!校内の研究施設からヒュージが逃げ出した。と報告が入りました。出撃可能な皆さんは、これを捕獲してもらいます。」

 

「分かりました。」

 

こう言ったのは、まさかの夢結だった。そして百之助の腕から抜け、行こうとしたときに止められた。

 

「待ちなさい夢結さん。単独行動は禁じます。」

 

「何故です?)

 

「このヒュージは、周りに擬態するとの情報があります。必ずペアで行動してください。」

 

「必要ありません。足手まといです。」

 

「貴方には、足手まといが必要でしょう。」

 

「なら俺が行こう。トミーあとそこの二人!付いて来い!」

 

「了解」

 

「「分かりました。」」

 

そうしてヒュージ探しに出かけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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3話

「で、お二人は付き合っているんですか?」

 

互いに挨拶したあとさっきのピンク色の髪の少女。

一柳梨璃は、百之助と夢結に聞いた。

 

それに答えたのは以外にも夢結だった。

 

「ええ、そうよ。…昔はここまで人を愛す事のできる人では無かったのだけれど」

 

「そいつは悪かったな…俺親の愛なんて受けたことなかったから、好きって何なのか分からなかったんだよな。」

 

「「へー」」

 

「それにしてもこれ全部ヒュージとの戦った跡なんですか?」

 

「そうだ…それに学園自体が…」

 

「海から来るヒュージを誘引し、地形を利用した。天然の要塞となることで市街地に被害を押さえるんだ。」

 

梨璃の問いに百之助が答えかけ途中から伊吹が答えた。

 

「途中で切るとは、酷いじゃないか…」

 

「お前の場合そのまま歴史の勉強になるから却下だ。」

 

暫く歩いていくと細い天然の通路に入った。

 

「何なんですのこの道は…」

 

疲れたのか楓が話を持ってくる。

 

「切り通しと言って千年ほど昔に作られた通路よ。」

 

「はぁ…歴史の勉強になりますわね。」 

 

暫く進むと少し開けた場所に出た。ので少し休憩していた。

 

「はぁ…入学式の前に疲れ果てましたわ…」

 

「なんにも出ませんね…」

 

その時壁の穴から敵が出てきた。気づいているのは百之助と伊吹だけだった。

 

「敵襲!!」

 

すぐさまライフルを構え発砲する。

 

ダーン

 

ターン

 

腕を二本吹き飛ばした。すぐさま排莢装填する。

 

ガシャンチャキン

 

それで全員が戦闘態勢に入ったが梨璃が反応が遅れた。

 

「チッ」

 

流石にまずかったのでMP17に持ち替えストックを展開射撃しながら梨璃を回収する。

 

トトトト

 

「キャ!」

 

 

「トミーこいつ抑えて!他の連中は一時撤収する!!」

 

「了解!」

 

「分かったわ」

 

「分かりましたわ」

 

梨璃を抱えたまま爆走する。

 

暫くしてから梨璃を下ろすと楓が壁ドンをした。

 

「チャームも扱えないのに何をなさるおつもりでしたの!?」

 

「ごめんなさい…私…」

 

「そう責めなさんな。こっちは分かってて連れてきたんだ。夢結、略式を教えてやってくれ、頼む。」

 

「正気ですの!?死んだら元も子もないですわよ!?」

 

「ええ…分かったわ。」

 

「夢結様!?」

 

「楓、俺達で警戒するぞ!」

 

「どうなっても知りませんわよ!?」

 

言うが早いかチャー厶を抜き周りを警戒する。暫くして伊吹が戻ってきた。

 

「悪い。逃げられた。」

 

「お前が逃すって相当だな。」

 

「来ましたわ!」

 

最初に反応したのは楓だった。すぐさま白兵戦に移行し。残りの二人で援護射撃をする。

 

ダーン

 

ターンターンターンターン

 

99式とウィンチェスターライフルが火を吹く

 

そして楓がチャームを持って敵の斬撃に対応する。しかし分が悪いと踏んだのか、煙幕を使い目くらましをする。

 

「厄介だな」

 

「こうも苦戦するとは…訛ったな…」

 

「こうも狭いと全力が出せんしな…」

 

 

突然敵が爆発した。

 

「好機だ!体制を立て直す。」

 

返事を待たずに移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 



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4話







「あのヒュージ相討ちを狙ったわ」

 

移動したあと夢結がこういった。

 

「ヒュージがそんな知能を?」

 

「一柳さんにお礼を言うべきね。」

 

「え?」

 

「一柳さんが私を止めなければ貴方今頃真っ二つになっていたところよ。」

 

「ぐ…貴方目は良いのね!」

 

楓の挑発に梨璃は、正直に答えた。

 

「田舎者なので視力には自信があります。」

 

すると煙幕が突然展開された。

 

ポンポンプシュー

 

「はわ!?何!?」

 

煙幕が充満した所で夢結にヒュージが襲いかかり夢結は、チャームを起動し反撃する。

 

ゴン!

 

キンキン!

 

そのまま飛び上がりヒュージがそれを迎撃する。

 

直ぐにヒュージの触手が夢結を包み込む。

 

「夢結様!」

 

その時梨璃のチャームが起動する。

 

「丁度いい。梨璃と楓で夢結を助けてくれ。」

 

「何考えてますの!?」

 

「何事も訓練。」

 

「分かりました」

 

「どうなっても知りませんわよ!?」

 

二人は息を合わせ夢結を閉じ込めた触手を断ち切る。

 

「「はあああああ!」」

 

中から夢結が出てきたので声を掛ける。

 

「夢結!トミー!合わせろ!」

 

「ええ!」

 

「了解」

 

同時に切り込む。

 

三枚おろしにされたヒュージが崩壊しそれを楓以外全員がかぶった。そして検疫室に行き検疫を受けたあと待機室に送られた。

 

「お前。相変わらず意地が悪いな。」

 

「言ってろ…」

 

「新入生に任せるよりお前がやった方が早かっただろ?」

 

「それじゃ訓練にならん。それに直ぐに命を賭けることになるからさっさと実戦を潜らせる方が手っ取り早い。」

 

「そうかよ…なら、何も言わん。」

 

そんな話をしている間に検疫が終了したので外に出ると梨璃に楓が抱きついており、夢結がその向こうに歩いていたので全力で走って追いついた。

 

「置いていくとは酷いじゃないか。」

 

するとさり気なく手を繋いできた。

 

「貴方、意地が悪いわ…」

 

「よく言われる。」

 

「久しぶりに一緒に食堂に行きましょう。」

 

「構わないぞ」

 

食堂では、百之助は、うどんを食べていた。

 

「相変わらずうどんが好きね。」

 

「そうだな、まあ久しぶりってのもあるかな。…なあ、結局何人死んだ?」

 

夢結が膠着した。暫くしてから答えた。

 

「20人よ…」

 

「まじか…」

 

「皆…腕利きだったわ…姉様が死んで…貴方まで失ったら私、どうなっていたかしらね?…毎日苦しかったわ…」

 

「済まん…」

 

「もう…失うのは懲り懲りよ!」

 

夢結は、涙を流していた。百之助は席を立ち、夢結を抱きしめた。

 

「大丈夫…大丈夫だから…な?」

 

「う…う…あ…うわあああああ…!」

 

涙腺が崩壊したのか、心のダムが決壊したのか泣き始める。

 

「よしよし…辛い思いさせて悪かったな…ごめんな…」

 

泣き止むまで百之助は、頭を撫で続けた。

 

余談だがリリィ達は夢結が泣き止むまで遠巻きに見守っていたらしく後日百之助は、全員から弄り倒されたのはご愛嬌である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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5話

次の朝、百之助は入院する前の日課だった筋トレや走り込みをした後、シャワーを浴びていた。

 

「やっぱり訛ってるな…」

 

男子寮は二人しかいないので普通なら下宿しなければならないが理事長代行である高松咬月の意向により百合ヶ丘女学院の内部に作られていた。

 

シャワーを浴びたあと体を拭き制服に着替えて寮の食堂に向かう。ちなみに男子寮には食堂が無いので2年の女子寮で取らねばならない。なので朝早く行きさっさとご飯を食べて離脱するのである。

 

だが先客がいた。

 

「珍しいなこんな時間に起きてるなんて。夢結」

 

ちなみに今は午前5時である。

 

「たまたまよ。」

 

と、食べ終わったのか紅茶を飲んでいた。隣に座り、ご飯と味噌汁を食べる。

 

「久しぶりだが美味いな。」

 

「今日はどうするのかしら?」

 

「うーんこの後午前中は何もないから午後から工廠科に獲物を取りに行くが?」

 

「そう…」

 

食べ終わったので食器を片付け寮に戻る。制服を脱ぎベッドに潜り込む。

 

暫くしてドアがノックされた。

 

コンコン

 

「開いてるぞ〜」

 

「失礼するわ。」

 

これには動揺を隠せない。

 

「ちょ!?おま!?」

 

夢結は、構わず入ってくる。

 

「寝間着借りるわね。」

 

脱ぎ始めたので反対側を見る。

 

ジィ…シュルシュル…パサ

 

 

と着替え終わり百之助の入っていた布団に入ってきた。

 

「何しに来た?」

 

「夜這い?」

 

「今朝だし、まだ学生だぞ?」

 

「抱きしめて欲しいの。駄目?」

 

懇願されると破壊力抜群である。

 

「はぁ…分かった…俺の負けだ。」

 

抱きしめると異変に気付いた。具体的には柔らかいものが当たっていた。

 

「まて…ブラ付けてないだろ。」

 

「邪魔だもの。」

 

「お前な…欲情したらどうする気だ?俺の場合自制するの難しいんだぞ…」

 

「責任を取ってくれるのでしょう?それに最近血を摂取して無いでしょう?」

 

「そうだが…」

 

夢結がうなじを見せる。

 

「ほら。」

 

「分かったよ…完敗だ。」

 

すると百之助に変化が起きた。目が黒から青くなり黒い髪も白くなり、犬歯が牙に変わった。そして夢結の首筋に噛み付いた。

 

「あっ…う…」

 

百之助は暫く夢結の血を吸った後、元の黒髪と黒い目に戻し牙が犬歯になったところで夢結の首筋を魔術を使って治した。

 

「大丈夫か?」

 

「気にしなくて良いわ」

 

「そうかよ…」

 

今の行為について話しておくと、彼は吸血鬼であるので血を摂取しなくてはならないのだ。

 

「たく…あの婆さん吸血鬼の力を押し付けやがって…」

 

「まぁ…良いじゃない、困ってないでしょう?」

 

「まあな…」

 

「ふふふ」

 

夢結が百之助に口付けた。

 

「やっと笑ったな…そっちの方が良いぜ?」

 

「ごめんなさい…甲州撤退戦の後、ずっと笑えなかったの…だからいま驚いているのだけれど…」

 

夢結を強く抱きしめた。

 

「どうしたの?」

 

「済まなかった…」

 

「いいえ、私達は貴方に感謝する事は有っても謝る必要はないわ。」

 

「それでもゆーゆを悲しませたのは事実だろ?」

 

「だったら、抱きしめて私を安心させて?」

 

「分かった」

 

 

 

 



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6話

暫くしたあと、夢結と百之助は、制服に着替えた。着替え終わった所で夢結からある物を受け取った。

 

「本当は、昨日渡すべきだったのだけれど」

 

その手には3つの指輪が乗っていた。この指輪はリリィ全員が付けている物だ。

 

「これは?」

 

「貴方のシュツエンゲルと実の姉二人の指輪よ。」

 

「!…わざわざ済まない。」

 

百之助は、指輪を受け取ると引き出しに入っていたチェーンに通し首に付けた。

 

「じゃあ行こうか」

 

「ええ。」

 

寮を出て共用スペースに向かい少し早い昼ご飯を食べて工廠科に向かった。

 

「よお!昨日は世話になったな!百由!」

 

「そのへんにして上げなさい反省はしてるようだし。」

 

「や~ほんとごめん。今度埋め合わせするから」

 

こいつは真島百由である。

 

「分かったそれよりも俺の得物は?」

 

「廊下にある長い箱だよ。」

 

「了解。」

 

一端廊下に出て8m近い箱を開けると長いライフル型のチャームが出てきた。

 

「防衛軍が丹精込めて作った19式140口径57mm陽電子対艦ライフル砲、通称武御雷だよ」

 

「凄いな…変形機構は勿論オミットされてるだろうな?」

 

「うんだってそうしないと壊れちゃうでしょ?」

 

「そうだな」

 

直ぐに亜空間に収納する。

 

「いやー今のをご教授願いたいね〜。」

 

「馬鹿か、無理だ。」

 

「ですよね〜」

 

夢結も終わったらしく待っていた。

 

「じゃあありがとうな。」

 

「うん、またねー」

 

今度は射撃場に向う。

 

夢結と二人で射撃している頃、共用スペースでは…

 

百由と梨璃と楓そして二川二水が話をしていた。

 

「しっかし…よりによって夢結とシュツエンゲルとはね…」

 

そこに闖入者が現れた。

 

「辞めといたほうがいいぞ。」

 

「伊吹様」

 

「伊吹様」

 

「や〜トミー珍しいね話に割り込んでくるなんて。」

 

「あのーこの方は?」

 

「二水ちゃんは知らないか。トミー自己紹介してやって〜」

 

「ああ…元白襷隊所属富永伊吹だ。そうだな…保安官と言ったら分かるかな?」

 

「え?えええええええ!?」

 

二水は、驚いた上で鼻血が出ていた。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫です〜」

 

「そうか…理由は心の傷が癒えてないからだな。いくら百之助が帰ってきたと言っても傷が深いからな。」

 

「あ〜やっぱり…」

 

「それに百之助の方が傷が深いと思っているらしくあまり甘えられてないからな…」

 

「その百之助はどうなの?」

 

「あれは元々失う事が多かったからあまり気にしてないな、それでもレギオンが壊滅してるから何とも…」

 

「あー凄く可愛がって貰ってたもんね…」

 

「全員がシュツエンゲルみたいな物だったからな、俺もだが…」

 

「あのー白襷隊ってどうなったんですか?」

 

二水は、恐る恐る聞いてみる。

 

「18人中16名が戦死。残り2名は重症、ほぼ玉砕だな。もう再建もしないから昨日手続きをして無くなったぞ」

 

「「「!…」」」

 

「その…すみません…」

 

「気にせんでいいさ。もう終わったことだ。」

 

「心鋼過ぎない?」

 

「俺も百之助も、軍人の家系だから慣れてるのさ。まあ、どうしてもと言うなら…頑張れ。では失礼。」

 

 

「うんじゃあね!」

 

こうしてトミーは去っていった。

 

 

 

 

 



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7話

一通りの訓練を夕方までやった後、夢結と百之助は寮に戻る所であった。

 

「なあ、夢結…シュツエンゲルの契りをもう交わさないのか?」

 

「ええ…」

 

「そっか…」

 

暫く歩いていくと梨璃と楓と二水(この時二水の事を百之助は知らない)が歩いてきた。

 

夢結は、会釈して通り過ぎようとしていたが梨璃は、何かを伝えようとしていた。

 

「あっ…」

 

夢結が通り過ぎたあと梨璃から声がかけられた。

 

「まっ…待って下さい。」

 

夢結は足を止めた。

 

「夢結様!…私とシュツエンゲルの契りを結んでください!」

 

夢結の手は握り締められていた。

 

「私…夢結様に助けて貰って…夢結様に憧れてリリィになったんです。」

 

「誰に憧れるのかはあなたの自由だけれど、それと私のシルトになるのとではなんの関係も無いわ。」

 

「それは…」

 

「貴方とシュツエンゲルの契を結んでも、私の作戦遂行能力が低下するだけよ。それが貴方の望み?」

 

これには百之助も動揺を隠せない。楓が怒って近づいて来るのを手で静止し。夢結に問う。

 

「そこまで言わんでも良かろうに、素直に嫌だと言えば済むことだろう?」

 

梨璃の耳元で囁く。

 

「梨璃、素直に言えないんだよあいつは、本当にシュツエンゲルの契を結ぶ気があるか?あるなら説得するが?どうだ?」

 

「はい…」

 

「了解した。」

 

夢結を後ろから抱き締める。

 

「なに…」

 

「なあ…俺のシュツエンゲル…覚えてるか?」

 

「ええ」

 

「実は俺より戦力としては劣っていたんだ。」

 

「!?」

 

「でも、心が強かった…絶対に諦めなかった…どんな絶望的な状況下でも気丈に振る舞って周りを鼓舞し続けた…散るまで…最後まで…」

 

さらに強く抱き締める。

 

「死ぬときこう言ったよ…夢結ちゃんとお幸せに、だと…」

 

「なんで…」

 

「知るかよ…お前が辛いのは良う分かる…俺とて無くした身だ…だがな、梨璃に当たるのは筋違いだろ…それに…お姉様方はとても良くしてくださっただろ…受けたものは他の人に還元せねばならんよ…これは実の姉二人の言葉だかな…」

 

「そう…でも、私には…」

 

「成せばなる…俺のお姉様の言葉だ。俺も手伝ってやるから…な?それにあの娘は心に入れても痛くないぞ?保証する。」

 

「貴方は?結ばないの?」

 

「言われたら受けるさ…ただ俺の戦闘技術は、人殺しの技だから教えられんがな…」

 

「分かったわ…」

 

「なにがだ?」

 

「貴方を信じてみる。」

 

「そうか…」

 

夢結を放し向き合わせる。

 

「貴方の申し出を受け入れましょう。」

 

「え…」

 

「私が梨璃さんの守護天使、シュツエンゲルになる事を…受け入れましょう」

 

「夢結様」

 

「貴方にも付き合ってもらいますよ?百之助?」

 

「了解した。俺の剣にかけても。」

 

「そこまでしなくても…いいわよ」

 

「いいや…焚き付けたのは俺だからな…姉上に申し訳ないしな。」

 

「そう…」

 

 



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8話

翌日、夢結と梨璃が訓練をすると言うので訓練場に向かった。

既に始まっていたので隅の方で見学する。

 

「くぅ…!」

 

夢結が梨璃に打ち込み梨璃は、耐えきれてないようだ。

 

(スパルタだな…俺もお姉様や姉上にしごかれたっけ…)

 

と百之助は、昔を思い出していた。

 

「ヒュージとは、通常の生物がマギによって怪物化した物よ。マギと言う超常の力に操られるヒュージには同じマギを使うリリィだけが対抗できる…マギを宿さないチャームなど、それはただの刃物よ。」

 

「は、はい…」

 

 

「もっと集中なさい。そうすればチャームも動く…強靭になる。」

 

梨璃のチャームにマギが宿っていく…

 

タタタ…ガン!

 

そこに夢結が打ち込む。

 

「ぐぅ…あぁ!」

 

「素人相手になんてことを!」

 

(あれが一般的な反応だな。)

 

楓の言う事にそう思った百之助である。

 

「もう少し粘って見せなさい、梨璃さん。

 

「はい…」

 

タタタ、ガン!

 

「ゔあ!」

 

ガタン

 

梨璃は、チャームを落とし、膝を付いた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「軽いわね。」

 

「随分と手荒いですこと。私にマゾっ気があればたまらないでしょうね〜!夢結様のお噂は、存じておりますわレアスキルルナティックトランサーを武器に数々のヒュージを屠ってきた百合ヶ丘屈指の使い手トランス状態ではリリィ相手でも容赦しないとか!」

 

「楓さんそれは…」

 

楓の言葉に狼狽する二水。すると立ち上がった梨璃が言う。

 

「いいんです…私…私、皆より遅れてるからやらなくちゃいけないんです。だから…続けさせて下さい。」

 

この後も続けられ、日が沈むタイミングで止めを掛ける。

 

「そこまでだ…もう体が持つまい?それに明日もやるんだろうからもう休め…」

 

「ですが!」

 

「お前な…はぁ…強情だな…とにかく休め。夢結も…やり過ぎだ…俺の姉上じゃないんだから…」

 

「貴方のお姉様は、異常よ」

 

「確かに鬼以外の何者でもなかったがな。それでもぎりぎりで止めてたぞ?梨璃の場合突破してるからな。」

 

「そうね…この位にしておきましょう」

 

「だそうだ。」

 

「分かりました…」

 

夢結と二水と楓が帰っていく。

 

「はぁ…夢結…何考えてんだ?…昔はもっと優しかったと記憶してるんだが…」

 

「変わったのよ…」

 

「そうかよ…」

 

百之助は、夢結との間に壁を感じた。

 

「じゃあやる事あるから寮に戻るよ」

 

「ええ…」

 

夢結と別れたあと墓地に向かった。

 

ここには戦火で散って逝ったリリィたちが眠っている。

 

「大変遅くなりました…姉様方…」

 

同じレギオンだった戦友に、花を手向ける。一人一人に…だが自分のシュツエンゲルと二人の姉には、手向けなかった。理由は夢結が居ないからである。

 

(やっぱり夢結と一緒に来た時に手向けることにします。お姉様方…それまで…待っててください。)

 

    ーその頃女子寮風呂ではー

 

「おいたわしや〜梨璃さん〜痣だらけですわ〜ほらここも〜ここも〜あら〜こんな所も〜」

 

楓のスキンシップがどんどん過激なものに変わってゆく。流石にこれにはを耐えられなかったようで。

 

「そこは違います〜!」

 

と叫んでいた。

 

暫くして湯船につかっていた。楓だけ浮島に上がっていたが。

 

「はぁ…私には解せませんわ。そこまでして夢結様にこだわることないんじゃありません?」

 

「楓さんだって最初は…」

 

「こんな所で挫けていられないよ…だって私、夢結様のこと全然知らないから。」

 

するとアールブヘイムの一年、田中壱、藤堂亜羅椰、江川樟美の3名がやってきた。

 

「貴方が夢結様のシルトね。」

 

「まさか本当に物にしちゃうなんてね。」

 

「おめでとう梨璃さん…」

 

順番に壱、亜羅椰、樟美である。

 

「アールブヘイムの皆さん!?」

 

二水は、興奮しすぎて鼻を抑えた。

 

「丁度良いですわ。教えて頂けません?夢結様のこと。」

 

それに答えたのは壱だった。

 

「そうは言っても中等部は、校舎違うしね〜」

 

「でも、夢結様と言ったら…」

 

「甲州撤退戦…」

 

壱の言葉にアールブヘイムの二人は被せる。

 

「甲州…」

 

梨璃にとっても思い出深い戦いであった。何せ助けてもらったからだ。

 

二水が説明する。

 

「2年前…ヒュージの攻勢によって甲州の大部分が陥落した戦いですね?百合ヶ丘からもいくつかのレギオンが参加したものの、大きな損害を出して威勢を誇った先代のアールブヘイムが分裂するきっかけとなり、白襷隊が玉砕しかけたと聞いてますが…先輩方に伺っても口が重くて…」

 

「度胸あるわね…貴方も…」

 

「中等部だった夢結様も特別に参加したと…」

 

「なら知っているでしょう?夢結様はそこで自分のシュツエンゲルを亡くしてるって…」

 

流石にこれにはを動揺する面々。

 

「亡くしたと言えば白襷隊もそうですね」

 

「空葉様が言ってた…白襷隊は、甲州撤退戦の時リリィたちがヒュージの軍勢の中で孤立したとき。真っ先に退路を開き、嬉々として殿を引き受けて、笑って戦っていたって…」

 

樟美の言葉に動揺する面々。

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

「死体も笑ってたらしいよ…」

 

「うそ!?」

 

「まあ…空葉様曰く、先代のアールブヘイム全員集めても白襷隊一人に勝てないらしいから…」

 

「そりゃそうでしょう…何せ他のリリィとは考え方と命のあり方が違うんですから。」

 

いきなりの闖入者に困惑する面々。

 

「誰よ?」

 

亜羅椰が聞く。

 

「申し遅れました。船坂文香であります。船坂百之助とは、腹違いの妹です。」

 

と文香は敬礼する。

 

「「「「「「腹違い!?」」」」」

 

「はい…私の父は一個小隊ほどの愛人がいましたから…大体30人位…」

 

これには唖然とする面々。

 

「それで?違うとは?」

 

帰ってきた楓が聞く。

 

「他の人は存じ上げませんが…当時、所属していた兄上と二人の姉上は、自分の命が軽い物と考えていましたし、勝つ為なら死ぬ事も良しとする人たちでした。…そして、船坂家では戦死する事が美徳と教えられます。物心付くときには戦い方を教わります。…姉上二人の戦死を夢結様から聞いたとき耐えられませんでした…でも夢結様の方が辛そうでした…父はそうか逝ったかと言って直ぐに何処かに行きました。でも顔が笑ってました。」

 

楓が怒った。

 

「なんて親ですの!?子供が可愛く無いんですの!?」

 

「まだいい方です…父は手柄を立てた者しか興味が無ので。」

 

「はあ!?」

 

「私は放置されてましたよ?」

 

「なんて親…なの…。」

 

これには全員絶句するしかなかった。

 

「私の家系は軍人です。故に戦にしか興味が無く、それしか知らないのです。…もっとかんたんに言うと功名餓鬼ですね。」

 

「想像を絶するわ…」

 

「どう反応していいかわからない…」

 

「理解不能ですわ…」

 

困惑する面々。

 

「白襷隊の意味…分かりますか?」

 

「分からないわね…」

 

「敵陣に真っ先に斬り込む部隊の事を指すんです。」

 

「「「「「!?」」」」」」

 

「そして真っ先に死にます。敵が全滅するか…味方が全滅するまで…。」

 

「てことは…全滅するまで戦い続けるのが掟だったの!?」

 

「ええ…」

 

「理解できませんね…」

 

「戦うためなら死ぬことさえ良しとする…まるで日本兵ね?」

 

「その通りです。白襷隊は、それを自分達の命を持ってヒュージを食い止めました。…最後まで…」

 

「でもよく生きてたわね…あの二人…」

 

「結構ぎりぎりだったみたいですよ?見つかった時は満身創痍だったらしいですから…でも兄上が生きてて良かった…」

 

「どうして?」

 

「可愛がってもらいましたから…それに兄上が8歳の時から会ってませんから…会えるのが楽しみです。」

 

「そう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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9話

ある日の昼頃百之助は、木陰で木により掛かり黄昏れていた。理由は特に無い。ただそうしていただけだった。夢結の事は今日だけ伊吹に任せたのである。

 

「平和だな〜」

 

等と言っていたら眠くなったので目を閉じる。暫くして声を掛けられた。

 

 

「隣、良いですか?」

 

見れば自分と同じ黒髪と黒い目をした少女が立っていた。

 

「ど〜ぞ。」

 

「では、失礼します。」

 

少女が隣に座ってきた。

 

「寝る前に聞かせてくれ。お前…軍人だな? 雰囲気と空きの無い動きが軍人のそれだ。」

 

「よく、分かりましたね?」

 

「俺も軍人だからな。で?…何者だ?」

 

「そうですね…昔話をしても?」

 

その答えがその少女の事だと気付く。

 

「ああ。」

 

「昔々ある所に、とある軍人がいました。その軍人は、妻子もちでしたが一個小隊程の愛人がいました。その中の一人には、その軍人の子供を生みました。その子供は、6歳のときに母親を亡くし、軍人の元に引取られました。その家には、娘二人と子息がいました…引き取られた子供はとても可愛がられました…軍人以外の人達に…やがてその子供は一人になりました…そして2年前、姉二人が戦死し、兄が重症を負いました。…」

 

百之助は、話をぶった切った。

 

「そこまででいい!…文香…だな…?」

 

「はい…兄上…」

 

文香を抱き寄せ頭を撫でた。

 

「すまんかったな…やらかしたから帰れなかった…」

 

「それは知ってます…古参の方から聞きました。」

 

「そうか…」

 

「兄上…お願いがあります…」

 

「どうした?」

 

「私と…シュツエンゲルの契りを結んで下さい。」

 

「いいぞ」

 

「有難うございます」

 

「まさか…兄弟全員…ここに来るとは…」

 

「そうですね…」

 

暫くして共用スペースに向かい、書類を書き、提出した所。1時間ほどで受理され。現在、共用スペースで寛いでいた。

 

「百之助今、暇?」

 

振り向くと空葉とそのシルトがいた。

 

「立ち話も何だから、ここ座れ。」

 

「どうも。」

 

「有難うございます。」

 

二人が席に付く。

 

「結論から言うと暇だな。」

 

「そう。じゃあ…その娘が、貴方のシルト?」

 

「いや…情報早すぎだろ…」

 

「で?どうなの?」

 

「そうだよ…ついでに言っとくと俺の妹だ。」

 

「全然似てないよ?」

 

「そらそうだ…腹違いだもん。」

 

「何その小説みたいな設定?」

 

「俺の親父は愛人が沢山いたからな。」

 

「女として殺意が湧いたよ…」

 

「だろうね…」

 

「私、天野天葉。貴方、名前は?」

 

「船坂文香です。」

 

「そっか…本当に妹なんだ…」

 

「で?本題は?」

 

「実は…貴方の実力が私のレギオンで疑問視してる娘が居て…耐えられないから見せてあげてほしいの。」

 

「別に良いけど…相手は?」

 

「勿論私!」

 

「そうかよ。」

 

その時、面白い事を百之助は、考えついた。

 

「代わりにお願いがあるんだが…」

 

「なに?」

 

「お前のシルトと俺のシルトで模擬戦やってくれないか?」

 

「どうする?樟美?」

 

「受けます。」

 

「だって!でも何で?」

 

「俺だと秒で決着が付いてしまって訓練にならんからだ。」

 

「あ〜確かに…私ですら30秒持てば良い方だもん。」

 

「そんなに強いんですか?」

 

「強く無い…速いだけだ。」

 

天葉が頬を膨らませた。

 

「嘘つき…強く無かったらヒュージの軍勢に囲まれたとき、真っ先に突撃して道を切り拓くなんて芸当…出来るわけないよ。」

 

「お前が言うと説得力が違うな…まあ死にかけたわけだが。」

 

「ごめん…失言だった…」

 

「おいおい…気にすることはないだろう?」

 

「でも…」

 

「良いか戦友?…もう終わったことだ。それにああしなければ、もっと多くのリリィが戦死してたはずだ。20名で済んで良かったとさえ思ってるぞ俺は。大体…何で、皆気にしてんだよ…今は戦時、死体なんぞいくらでも積み上がる。いちいち気にしてられんわ。」

 

ここで百之助は、紅茶を飲む。

 

「姉上には、後を頼むと言われた。だから俺は姉上の遺言に従い敵を叩き潰す。…残された者は、志半ばで散った戦友の意志を継がなきゃならん。それは先祖にも顔向けする為でもあるが。…おれは嫌だぞ。この国の為に散って征った先祖たちに国が無くなりましたと報告するのは。」

 

「何で…何でそこまで前向きなの!…貴方!可笑しいよ!?姉を亡くしたんだよ!?」

 

「…そこがお前の良い所であり悪い所だ。それに俺が死んだらその時は…」

 

バチーン

 

辺りが静まり返る。文香による平手打ちだ。

 

「兄上!天葉様は軍人ではありません!普通の女の子です!託す相手が違います!この学院で死ぬ覚悟と失う覚悟があるのは、私と兄上と伊吹様だけです!」

 

「そんな事は分かってるさ…彼女たちはリリィだもん。軍人じゃない。」

 

「どうして…どうしてよ…何で死ぬのが怖くないの…」

 

「戦って死ぬ、この上ない名誉だ。…それに俺が死んだって悲しいやつ…夢結以外でいないだろ?」

 

「貴方ほんとに知らないのね…皆心配してたのに…」

 

「は?本気で?」

 

「お通夜状態だったよ?」

 

「ええ…俺をいじり倒すのが趣味みたいな連中なのに…まあいいや。行こうぜ?」

 

「はあ…」

 

「兄上…」

 

そうして四人で演習場に向かった。

 

 

 



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10話

演習場に来た百之助は、開口一番感想を述べた。

 

「しかしまあ…アールブヘイム、顔ぶれが変わったな!」

 

現在のアールブヘイムは、二代目に当たる。

 

「うん…色々あってね…」

 

「言わんでいいぞ〜…大体察した。」

 

「ごめん…」

 

「でどいつだ?俺の事を言ってるのは?」

 

「そこの三人。」

 

「なるほど…自己紹介は後回しな。」

 

「りょ〜かい」

 

「俺たちが最初?」

 

「なわけ無いでしょ!」

 

「了解…文香?行けるか?」

 

「何時でも…準備完了です。」

 

文香の腰には小太刀を差し。両手には二本のチャームが収まっていた。

 

「へえ…レアスキル、円環の御手なんだ…」

 

「まだあるぞ…ブーストとか。」

 

ブーストは、通常の3倍の威力が出るスキルで常時発動である。

 

「とかって事は…まだあるの?」

 

「何があるのかは知らない。」

 

「えぇ…」

 

二人が配置につく。依奈が号令を掛ける。

 

「両者構えて!…始め!」

 

「参ります!」

 

最初に動いたのは文香だった。一瞬で距離を取る。

 

「縮地!?」

 

次に目が赤く染まり髪が白く染まる。

 

「ルナティックトランサーまで!?」

 

一瞬で距離を詰め樟美に斬りかかる。

 

「!?…っ」

 

ギン!

 

一撃入れ反撃される前に反対に飛ぶ。そしてまた斬りかかる。

 

ギン!

 

「ぐぅ!」

 

「凄い…完全な一撃離脱…」

 

暫くしてまた距離を取ったが今度はチャームを投げた。

二つのチャームが空中を飛翔する。

 

ガン!ガン…ガラン。

 

樟美が弾き飛ばしスキができる。そこに太ももから抜いたHK45、2丁を発泡する。

 

ババババ

 

それをとっさに回避する樟美。

 

「危なかった…」

 

直ぐにホルスターに戻し、小太刀を抜いて突貫する。

 

「ふっ!」

 

斬りかかる。そのままつばぜり合いに以降…すると文香は、樟美のチャームを掴み足を払って押し倒す。

 

どさ…チャキ…。

 

 

「参りました…」

 

小太刀を放り頭にHK45を突きつけていた。

 

「それまで!」

 

「有難うございました。」

 

樟美を立たせ。礼をする。

 

 

「よくよく考えたらおかしいよね?レアスキルって一つ以上持てたっけ?」

 

「無理だな。」

 

「貴方も4つ持ってたよね?」

 

「あぁ…」

 

「その手の研究してる人からして見れば…卒倒するわねこれ。」

 

「まあな…内の家の連中は何故か複数持ってんだよな…」

 

「謎だね…」

 

「あぁ…次は俺らだな。」

 

「えぇ…」

 

ガチャ…チャキン

 

MP17にマガジンを刺しコッキングする。

 

カチン

 

MP17をホルスターに収め。刀を抜刀する。

 

「あれ?ライフルは?」

 

「この距離ならいらない…むしろ邪魔だ。」

 

「そう…」

 

依奈が号令を掛ける。

 

「両者構えて!…始め!」

 

両者は、同時に地面を蹴った。

 

 



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11話

「はあああ!」

 

「キェェェェ!」

 

空葉は下段から百之助は上段から切り込む。

 

キン!

 

両者鍔迫り合いへ移行しそのまま切り込む。力負けしたのは百之助だ。

 

「くっ…」

 

空葉は上段から切り込んで来る。力負けすると判断し、刀を放り空葉のチャームを左手で掴み右手で、MP17を突きつける。

 

「参りました…」

 

「それまで!」

 

「ふい〜危なかったわ…やっぱり体が鈍ってるな。」

 

「そう?…そんな風には見えなかったけど?」

 

「流石に2年わな…」

 

そんなこんなでアールブヘイムのミーティングルームに一行は向かった。

 

「へぇ…白襷隊のミーティングルームがアールブヘイムのミーティングルームになってるんだ。」

 

「ええ…そうよ。」

 

百之助は周りを見回しながら聞きそれに天葉が答える。

 

「じゃあ…これは知ってる?」

 

言うが早いか左側の壁にカードキーを翳す。すると機械音が聞こえてきた。

 

『ロックを解除します。』

 

ギュイーン…ガン!

 

壁が開き中から沢山の武器が出て来た。唖然とするアールブヘイム一同。

 

「は?え?…何これ?」

 

「いや…見ての通りだけど?」

 

「普通の武器じゃ無いよね?」

 

「リリィ用の武器だよ?」

 

「いやいやいや…おかしいよね?」

 

「なにが?」

 

「どう見ても通常の兵器だけど?」

 

「おいおい…俺が使ってるのと同じやつだよ。」

 

「えぇ…」

 

百之助は壁から一丁のライフルを手にする。

 

「美炎姉様の64式小銃だ。持ってみる?」

 

「遠慮しとく…」

 

「あっそう…本命はこれじゃなくて…あった。」

 

ライフルを戻し一振りの直刀を手にする。

 

「天羽々斬…久しぶりだな。後は戻しとこう。」

 

武器庫中央に有るリーダーに翳すと先程の機械音がなる。

 

『ロックします。』

 

ギュイーン…ガン!カチャン!

 

もとの壁に戻った。

 

「さてと…お〜い!帰って来〜い!」

 

「…」

 

振り返ると唖然とするアールブヘイム一同。

 

「何…あれ…」

 

と切り出したのは渡邉茜だ。

 

「詳しくは言えないぞ?…この国の闇みたいなものさ。」

 

「なによ…それ…全然、今まで分からなかったわよ…」

 

「そらそうだ…言うつもりも無かったんだから…空葉は、知ってるだろ…俺の古巣…」

 

「えぇ…でも話半分で聞いてたのだけれど…」

 

「本当さ。」

 

「いっそ見なかった事にするわ」

 

「そうしてくれ…これでそこの三人組も分かっただろ?」

 

首を立てに振る三人組。

 

「自己紹介をしよう…2年の船坂百之助だ。よろしく。」

 

「その妹の、船坂文香です。以後お見知りおきを。」

 

「一年、金箱弥宙です…」

 

「一年、高須賀月詩です…」

 

「一年、森辰姫です…」

 

「よろしくな」

 

その後紅茶を頂いて撤収した。

 

 

 

 

 



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12話

「ふい〜ここまでにしとくか…」

 

「分かりました…」

 

百之助と文香は、戦闘訓練をしていた。

 

「それに、これから当番だ…やりすぎたけどな。」

 

「はい…」

 

二人とも白熱しすぎてやり過ぎてしまったのである。おかげで疲労困憊であった。

 

「行くぞ…」

 

「はい…」

 

そのまま戦場、に向かう。

 

 

「おーい百之助!当番か〜?」

 

見れば遠くから手を振っていた。彼女は、吉村・Thi・梅であり、先代のアールブヘイムに所属していた。その近くまで行く。

 

「あぁ、そうだぜ。」

 

「そっか…まあよろしくな!隣の娘はシルトか?」

 

「あぁ…自己紹介しな。」

 

「船坂文香です。」

 

「船坂って事は…お前の妹か!?」

 

「そうだ」

 

「まじか!…私は吉村・Thi・舞!よろしくな!」

 

「はい、こちらこそ。」

 

近くで夢結を見かけたのでそちらに行くことにした。

 

「ゆ〜ゆ。よ!」

 

「貴方も来てたのね百之助。」

 

「おう。」

 

「そう…久し振りね…文香ちゃん」

 

「え?」

 

百之助は、疑問が浮かんだ。

 

「はい…お久しぶりです…結夢様。」

 

「え〜と?…何で?」

 

それに答えたのは文香だ。

 

「甲州撤退戦で報告に来たんです…」

 

「まじか…すまん…二人とも…」

 

「いえ…」

 

「良いのよ。」

 

流石に重いので話を切り替える。置いてきぼりにされていた梨璃のためでもあったが。

 

「梨璃は、あの後受け切れたのか?」

 

「はい!さっきですけど…」

 

「そうか!やったな!」

 

「所でその長いのは何ですか?」

 

梨璃が指差したのは、百之助のチャー厶だ。

 

「これか?チャームだよ?」

 

「長過ぎません?」

 

「良いんだよ…撃って見せたほうが早いか…」

 

他のチャームは、射程圏外だが百之助が持つチャーム、武御雷は例外である。

 

チャキ

 

バイポッドを立てて狙いをつける。

 

「届くんですか!?」

 

「あぁ問題ない。」

 

既にヒュージが射程圏内である。

 

カチ。ピューン!

 

引き金を引くと砲口の200倍のビームの奔流がとぼしる。(武御雷は、57ミリ砲である。)

 

ドカーン

 

直撃したが何かがおかしいと百之助は、思った。

 

「手応えがないな…こいつはノインベルトの半分の威力なんだが…」

 

「いやいや…可笑しいでしょう?何でそんな威力あるのよ…」

 

「それに関しては後回しで良いか?」

 

「えぇ…」

 

梨璃と文香は、あまりの出来事で固まっていた。周りも同様だ。

 

「もういっちょやって見るか…」

 

さっきの様に引き金を引く。また爆発した。しかし何かがおかしいと感じていた。

 

「うん…やっぱり効いてないな…」

 

爆炎が晴れ敵の全貌が明らかになる。

 

「うそ…だろ…」

 

ヒュージには、無数のチャームが刺さっていた。

 

「そうか…俺に仇を討てと…そうゆうことか…なあ夢結!?」

 

夢結の方を向くとルナテックトランサーを発動させていた。そのまま突貫する。

 

「おいまて!」

 

「兄様!目が青く、髪も白くなってます。」

 

心配した様子で文香は、困惑していた。

 

「だろうな…だってあのヒュージに刺さってるのは、白襷隊全員のチャームだからな!」

 

言うが早いか百之助は突貫した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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13話

「どうすっかな…」

 

百之助は、怒りに任せて突貫したが、長年の戦闘経験からこのヒュージが撃破不可能であることを感じていた。

 

「仕方ない使うか」

 

そう言ってポケットから取り出したのは緑色の液体の入った注射器、ブースタードラッグだ。それを首筋に刺し一気に注入する。

 

「グッ!ガアアアアアア!」

 

全身に苦痛が走るがすぐに収まった。

 

「はぁ…はぁ…よし…」

 

さらにルナティックトランサーを発動。この時点で身体が臨界寸前である。

 

「アハッ!ハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

そのままヒュージに突っ込み、切り刻み続ける。笑顔で。

頭がおかしくなったのでは無く、本来は戦う事に歓びを感じるが故に、こうやって笑うのだ。ただひたすらに刀、九五式軍刀を振るう。

 

「何…あれ…」

 

「笑って…ますの…?」

 

「はあ…」

 

待機を食らった他のリリィ達はドン引きである。文香は、心配そうなため息を付いていたが…

 

「しかし兄上、ブースタードラッグを使いましたね…でなければこんな機動出来ません…」

 

「「ブースタードラッグ?」」

 

梨璃と楓が首を傾げた。

 

「ブースタードラッグと言うのは、人間を一時的に強化する薬です。当然副作用があり…持って20分です。…良くて戦闘不能、最悪死に至る代物ですよあれは…」

 

「「な!?」」

 

乱入者が二人突然現れた。

 

「あれ使ったんだ…あの戦争屋!使うなと何度も言ったのに!」

 

「百由様?どうしたんじゃ?」

 

百由とミリアム・ヒルデガルド・V・グロピウスである。

 

「百之助は、麻薬を打ち込んで戦ってんのよ!」

 

「それは…不味くないかの?」

 

「不味いに決まってるでしょ〜!」

 

「あの…百由様…とミリアムさん?…何故ここに?」

 

梨璃が何故居るのか言う。

 

「ああ〜工廠科とは言え、私達もリリィなの。結構戦えるのよ〜!」

 

「今日は、当番と違うがの。」

 

こう話してる間でも夢結は暴走状態、百之助は高笑いしながら戦っていた。

 

「夢結様と百之助様、凄い。」

 

「じゃが、片方は暴走。もう片方は頭のネジが飛んでおるようじゃ、それに危なっかしいの…」

 

「百之助はともかく夢結は、なまじテクニックがあるから突っ込み過ぎるのよね…百之助は、元からああだけど…」

 

「兄上は、久し振りの戦場ですからはしゃいでるだけだと思いますよ?それに私達船坂の家系の者にとって戦場は故郷ですから…私も含めて…」

 

「貴方は?誰?」

 

百由は、声の主に問う。

 

「申し遅れました、船坂百之助の異母兄妹にあたります。船坂文香です。以後お見知り置きを。」

 

「ワーオ、妹さんか。よろしくね!…因みに何人兄弟?」

 

「認知している中では、40名中30人目になります。」

 

「うわあ…凄いね…」

 

「父上が節操なしですので、まだまだ増えるかと…」

 

「…聞かなかったことにする。」

 

「それが良いでしょう。…兄上!?」

 

単眼鏡で文香が覗いた先では、夢結に攻撃され、血を流す百之助が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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14話

「夢結!」

 

百之助は、夢結が突っ込み過ぎているので一時退却させる為に戦いながら声を掛けていた。

 

「おい!夢結!止まれ!…この、馬鹿!」

 

夢結は、ルナティックトランサーを発動させてトランス状態である為百之助の声が聞こえない。(百之助の場合、ルナティックトランサーは、ブースタードラッグで半ば強引に制御している。)

 

そのまま戦闘を続行。このままではどちらも死ぬ可能性があるので百之助は、勝負に出た。

 

「やるか」

 

その時にヒュージに刀が刺さってることに気付く。

 

(あれは…奏姉上の鬼切鶴姫!?)

 

その刀を左手に、右手に軍刀を持ち夢結に向かって突貫する。

 

「…!…!」

 

キン!

 

チャームと刀二本がぶつかり合う。

 

「夢結!落ち着け!お前も死ぬ気か!」

 

それでも夢結は止まらない。ここでブースタードラッグの効果が切れた。

 

「クッ…!」

 

全身が麻痺し始めたのだ。そこに夢結の重い一撃が迫る。それを二本の刀で迎撃するが。力が足りなかったため左腹に夢結のチャームが食い込む。

 

「ぐあ!」

 

焼ける様な痛みが走り血が吹き出る。そこで夢結のルナティックトランサーが解けた。

 

「!百之助!…ごめんなさい!」

 

「…いやいいんだ…夢結が無事なら…」 

 

そこに文香が現れる。

 

「兄様!夢様様手伝って下さい!」

 

「ええ…」

 

言うが早いか二人で百之助を抱え離脱し、さっき駄弁っていた所に戻る。

 

「ちょ!百之助!?大丈夫なの!?」

 

「不味いの…血が止まらぬ…」

 

「「…」」

 

百由が心配し、ミリアムが処置する。楓と梨璃、夢結は、思考停止中だ。

 

「これは…駄目なやつ…ですね…兄様…言い残す事はありますか?」

 

「…あとは頼む…」

 

「分かりました。」

 

そう言うと文香は、HK45を抜いた。

 

「それでどうする気!?」

 

「介錯します。」

 

「「え?」」

 

辛うじて反応した梨璃と楓だがあまりの事に絶句した。

 

パァン

 

確実に頭を撃ち抜いた。

 

「何で…」

 

「戦場では慈悲です。」

 

「けど!」

 

「まあ見てて下さい…」

 

暫くして血が逆再生するように戻っていき傷口が塞がった。

 

「「「「「…は?」」」」」

 

「これが兄上が不死身と言われる由縁です。死ねないのですよ。」

 

暫くして文香が崩れ落ちた。

 

「文香ちゃん…どうしたの?」

 

帰ってきた梨璃が聞く。

 

「………………………………………………産気付きました。」

 

「………………………………………………今なんて?」

 

「…赤ちゃんが生まれそうです…」

 

「「「「「え?えええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?」」」」」

 

流石にこれには全員がびっくりである。

 

「…貴方…まさか妊娠した状態で飛んだり跳ねたりしてたの?」

 

「…はい…」

 

我に返った百由が指示を飛ばす。

 

「夢結は、百之助を保健室に連れてって!グロッピーは、保健室に事情を説明して!楓ちゃんと梨璃ちゃんは文香ちゃんを連れて保健室に!急いで!」

 

「分かりましたわ!」

 

「わかりました!」

 

「わかったのじゃ!」

 

「分かったわ!」

 

全員が忙しくなった。

 

因みにヒュージは、他のリリィ達が何とか撃破したそう。

 

 

 

 

 



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15話

百之助は目を覚ますと辺りを見回した。

 

「保健室…か…」

 

説明しておくと百合ヶ丘を初めとするガーデンの保健室はほぼ大型の病院に匹敵する設備と人員が揃っており。ほぼ全ての治療を受けることが可能である。

 

「百之助、起きたのね…」

 

そう言いながら入ってきたのは秦祀、生徒会のメンバーである。

 

「おう…死にぞこなったがな。」

 

祀は、呆れたように百之助を見る。

 

「はぁ…船坂の人は皆嬉々として死地に立つけど取り憑かれてるのかしら?あなたの妹も妊娠した状態で戦っていたし…さっき生まれてたけれど…」

 

「………………………………………………今なんて?」

 

「貴方の妹さっき子供を産んだわよ?」

 

「…何にも知らないんだが?」

 

「そう…後で行ってあげたら?」

 

「そうする。所で夢結は?」

 

「懲罰室自分で入ったわよ?」

 

「いつまでだ?」

 

「何時でも。」

 

「分かった。今から行ってくる。」

 

「本当は安静にしててと言いたいところだけれど…いいわ」

 

「済まない。」

 

祀が出ていったので着替えて懲罰室に向かう。中に入るとベッドに座って夢結が静かに泣いていた。

 

「ゆーゆ…」

 

「嫌…来ないで…」

 

拒絶されたが無視する。

 

距離を詰め強引に顎を持ち上げる

 

「…!」

 

目が泣き晴らして赤くなっていた。

 

「藍色の綺麗な瞳だ。…俺は好きだ。ゆーゆが。」

 

「恋人を殺そうとする様な女の何処が良いの…?」

 

上目遣いがとても可愛らしかった。刀やら銃やらを置き夢結の隣に座り、抱き締めながら頭を撫でる。

 

「それはね、ゆーゆ。手の感触、肌の温もり、抱き心地、サラサラした髪、心臓の鼓動、唇の感触、ちょっとした仕草、表情一つ一つが全て愛おしいのさ…君のシルトに嫉妬する程に…」

 

「…///!」

 

この時点で夢結の顔は林檎のように赤く熟れていた。額にキスをし、ベッドに押し倒した。

 

「ああ…夢結…今すぐに襲ってしまいたい…」

 

百之助は、夢結の腕を押さえつけ、唇を重ね舌を差し入れ口の中を蹂躙する。暫くして唇を離すと、惚けた顔をしていた。耳元で囁く。

 

「愛してるよ夢結。君は一生、死ぬまで可愛がってあげるからね?」

 

「あ…う…う…///」

 

夢結は、このプロポーズ紛いの言葉の為、思考が停止してしまい。顔を赤く染め上げ百之助を見上げていた。

 

余談ではあるが後でこの事に関して夢結は、こう回想している。

 

ー恥ずかし過ぎて死にそうだった。だけど、とても嬉しかった。とー

 

その様子を見ていた三人組がいた。ここは誰も入る事が許されない領域だ。

 

「ふふふ、百之助、男になったわね。」

 

そう言うのは赤い髪と目を持った少女だ。

 

「ベアトリーチェ…今はそれどころではないでしょう…」

 

苦言を言うのは金髪碧眼の少女。

 

「良いじゃないハインリヒ、そう思わない?」

 

「そう思いますが…ジャンヌは、どう思いますか?」

 

話を同じ金髪碧眼の少女に聞く。

 

「そうですね…成長したと言うことでしょう」

 

「ですがこれから人類は神々との全面戦争になるでしょう。その時は我らも動かねばなりません。」

 

「そうですね」

 

「そうね…」

 

「夜々の後継、百之助…また逢える日を楽しみにしています。どうかその時まで壮健なれ…」

 

三人が何者かは本人達と百之助以外はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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16話

暫くして共に落ち着いた辺りで梨璃を呼び出し、百合ヶ丘の墓地に行くことにした。

 

「梨璃、今から墓地に行くからな。一応言っとくが霊感は無いよな?」

 

「無いですけど…何でですか?」

 

「リリィで霊感があると取り憑かれる可能性があるからだ。」

 

「そうなんですか!?」

 

「霊感がある場合…まあ神職関係者が大半なんだが稀にそうゆう人がいるからな。大抵はそういう人は巫女になるんだよ。」

 

「全く知りませんでした…」

 

「これは教科書やらには無いが…そもそもリリィとヒュージの戦いは何千年にも渡るんだ。」

 

「え?でも何処の国でも50年前からって…」

 

「妖怪とか魔女刈りとか陰陽師とか聞いたことない?」

 

「あります。」

 

「妖怪は、ヒュージ。魔女刈りの魔女とか、陰陽師はリリィだ。」

 

「そうなんですか!?」

 

「知り合いに錬金術士が居てね。その人に教えてもらったんだよ」

 

「私それ、初耳なのだけれど?」

 

「ほんとは教える気が無かったんだけど…なんとなく。」

 

「そう…」

 

話題を変えることにした。

 

「どっち先にする?」

 

「百之助の方が先よ…そのおかげで生き残ったのだから。」

 

「分かった。所で梨璃、甲州撤退戦は知ってるよな?て言うか居たよな?」

 

「何で知ってるんですか?」

 

「逃げてる時にお茶渡さなかったか?」

 

「あっ…受け取りました。でも髪の毛白くて長かったし、目は赤と青のオッドアイの人でしたよ?」

 

「俺だ。」

 

「ええええええええええええ!?」

 

「まあ異能やら、体質やら、レアスキルやらを使ってたから。分からんだろうが…俺だ。」

 

そのまま吸血鬼としての力を引き出す。すると髪が白く染まり、腰のあたりまで髪が伸びる。目は青くなる。

 

「コレが見たやつだろ?」

 

「はい」

 

直ぐに引っ込め、元に戻す。

 

「とまあ…そう言う事だ。着いた。」

 

見ればお墓がずらりと並んでいた。

 

「梨璃、俺は三人の姉を亡くした。まあレギオンの姉様方入れるともっと沢山なんだが…とゆうかここには俺の腹違いの姉妹達が合わせて30名近く眠ってるんだよ。」

 

「そんなに…」

 

「文香は40人て言ってたけど。俺が知ってる限りでは、約100名程腹違いの姉妹が居るんだ。殆ど戦死したか大怪我を負って入院して植物状態だが。」

 

「そんな…」

 

「後でとんでもない事言うから心の準備しといてくれ。」

 

「分かりました…」

 

まず右から4番目の墓に来た。そこには船坂奏と書かれていた。

 

「姉上、遅れました。」

 

そう言うと花を添え好きだった蜜柑を置く。そして手を合わせる。

 

そのまま右隣の墓の前に立つそこには船坂七々と、書かれていた。

 

「いつも膝枕して頂き有難うございました姉上。」

 

さっきと同じように花と蜜柑を置き手を合わせる。

 

そのまま右隣の墓に移動し花と蜜柑を置く。そこには、藤堂美炎と書かれていた。

 

「可愛がって頂き有難うございます。美炎姉様。」

 

手を合わせ最後に右端の墓に移動する。

 

「夢結。俺いた方がいい?」

 

「ええ」

 

「分かった。」

 

夢結は、花を添えた。そこには川添美鈴と書かれていた。

 

「私も貴方のように割り切れればいいのだけれど…」

 

「そんなもん慣れない方がいいに決まってる。本来戦争なんざ子供の出る幕なんて無いんだよ…今がおかしいだけで。」

 

「そうね…梨璃これを見て…」

 

「はい…」

 

夢結は首に下げていたロケットを開けるそこには写真が入っていた。

 

「この方が…お姉様のシュツエンゲル?」

 

「そう…私の…お姉様…」

 

「川添、美鈴様…」

 

「懐かしいな…面倒見の良い人であったけれど…」

 

「そうね…」

 

そうして墓地を、後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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17話

百之助は、このまま言うべきか悩んだ結果まだ言わないことにした。

 

「さっき言おうと思ったけど辞めるよ、またの機会にしよう。」

 

「分かりました。」

 

梨璃もあまり重いことは聞きたく無かったので利害が一致した。

 

「それよりも…文香の子供見に行こうぜ?」

 

「それは良いわね…行きましょう」

 

三人は保健室に向った。すると共用スペースで楓と二水がいたので声を掛ける。

 

「二人とも文香の子供。見に行かないか?」

 

「ええ!行きますわ!」

 

「私も行きます!」

 

と言う事で保健室に向った。すると保健室近くで百之助は旧大日本帝国陸軍の軍服を深緑に染めた服を身に着けた二名の軍人を見つけた。

 

「父上、爺上お久しぶりです。」

 

「百之助か…久しいな」

 

「そうじゃの…最後に見たのは8つの時じゃったから…大きくなったの…」

 

百之助と夢結以外の三人は困惑していた。夢結は構わずあいさつした。

 

「お久しぶりです。」

 

「夢結ちゃんか…久しぶりだな。」

 

「久しいの…」

 

梨璃が切り出す。

 

「あの…この方々は?」

 

「自己紹介してやって…」

 

「ん?ああ…大日本帝国、防衛陸軍大将、船坂景だ。百之助と文香の父だ。」

 

厳密には日本国が正しいのだが他国か帝国と呼ぶせいでそのままなし崩し的にそうなったのだ。

 

「同じく、防衛陸軍元帥、船坂景雲じゃ。祖父じゃな。」

 

これには三人とも絶句した。防衛軍のトップとその部下であるからだ。

 

景雲は、名乗ろうとした。三人娘を手で静止した。

 

「卿らは名乗る必要はない…知っておるからの。」

 

「「「分かりました(わ)」」」

 

「所で何で爺上までいるのさ?」

 

「それは…じゃな…」

 

景雲が濁したがそれを途中でさえぎった

 

「私が文香嬢と卿に会いたかったからだ。」

 

振り向くと声の主と共に伊吹が歩いてきた。周りの人達は目を見開いて固まった。

 

「お久しぶりです今上天皇陛下。」

 

「卿と私の仲であろう?昔のように呼ぶが良い。」

 

「では照久。これでいい?」

 

「それで良い。我が友よ。」

 

周りを置いてきぼりにして照久は名乗る。

 

「今上天皇、照久である。リリィ諸君、今日は非公式であるから楽にせよ。」

 

そうは言っても天皇陛下であるから楽にできない…と言うのが周りの意見であった。助けてと目線が百之助に突き刺さる。

 

助け船を出したのは景だった。

 

「陛下、皆萎縮してしまっています。ですからもう少し砕けて話されてはいかがですか?」

 

「おお…それはすまぬ…。照久だ、よろしく頼む。」

 

流石に砕け過ぎではないかと思う一同である。しかしチャレンジャーがいた。梨璃だ。

 

「照久様、百之助様とどういう関係で…?」

 

「梨璃!?」

 

これには夢結が悲鳴に近い声をあげた。

 

「よい、私の最初の友が百之助なのだ。その次が伊吹であるが。」

 

「そうですか…」

 

痺れを切らした百之助が促す。

 

「とりあえず保健室入ろうぜ?」

 

「そうであるな。」

 

そして一同は保健室に入った。

 

 

 

 

 



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18話

保健室の奥が病棟になっておりそこの中の一つに入った。文香は一行を見るなり目を見開いて驚いていた。

 

「陛下!?爺上父上まで…皆さんも、お揃いで…」

 

百之助はおもむろに近づきて文香の抱いていた子をを見ながら愛おしそうに言った。

 

「抱いても良いか?」

 

「はい…兄上…」

 

素直に抱いていた子を百之助に渡した。その子はすやすやと寝ていたのでとても可愛いかった。

 

「可愛いな…性別はどっちだ?」

 

「女の子です。それと…この子マギが使えるみたいです。」

 

「そうか…で?名前は?」

 

「決めてません…兄上が決めてください。」

 

「では、七々で」

 

「そんなあっさり…」

 

あっさり名前を決めた百之助に梨璃が何か訴えてきた。

 

「死んだ姉上の遺言でな…まあでもいいじゃないか」

 

「いいと思います。」

 

「文香ちゃんまで…」

 

「照久、抱いてみる?」

 

「良いのか?」

 

「さっき自分で言ったこと忘れたか?」

 

「そうであるな…」

 

そう言いながら七々を照久に渡した。

 

「確かに愛おしいと感じる。…そこのお嬢抱くかえ?」

 

と隣にいた夢結に聞いた。

 

「そうさせて頂きます。」

 

そんなこんなで七々は、リリィ達に変わる変わるたらい回しにされている間に百之助が切り出す。

 

「七々の父親は?分かってるのか?」

 

「はい…でもお教えする事はできません…」

 

「なに?何故だ!?」

 

「流された…私の責任ですから…」

 

文香の目には涙が流ていた。

 

「父上!爺上!今すぐ退室を!」

 

「どうしたのじゃ?」

 

「言いにくいのでしょう…後でお教えしますから…」

 

「しかし…」

 

そこで助っ人が現れた。ここの医者で先生でもある山田先生と生徒会の祀が来たからである。

 

「親御さんですか?お話が…」

 

「…分かりました。」

 

四人が退室する。

 

「で?教えてくれるか?」

 

「嫌です…」

 

そこで照久が痺れを切らした。

 

「上官命令である。言え!」

 

一瞬固まったが観念したようで…

 

「久仁殿下です…」

 

「何!?」

 

流石にこれには動揺を隠せなかった。ここの全員が…

 

「てことは…七々ちゃん…内親王殿下!?」

 

丁度、二水が抱いていた所で爆弾が投下されたことで全員が動揺していた。

 

「あの愚弟!…許さぬ…」

 

「陛下…落ち着いて…」

 

「止めるな…首を飛ばさねば気が済まぬ!」

 

と出で行こうとしたので全力で止めにかかった。(その時、七々は文香の腕に返されていた。)

 

「文香…それは事実か?」

 

「はい…」

 

「陛下嘘は言ってないです。異能で確認しました。」

 

「あい分かった。…やはり殺す…」

 

「まぁまぁ…落ち着いて…過ぎた事ですから…」

 

「卿は、憎く無いのか?」

 

「そんな事はないです。可愛い妹ですから…」

 

「そうか…安心した。」

 

「はぁ…こりゃ大変だ、俺の首も飛ぶ…」

 

「何故だ?」

 

「ちょっと耳を貸してください。」

 

「ああ…」

 

「件の親王殿下に文香を護衛に付けたのは私ですから…」

 

「そうであるが…しかしだな…どう考えても愚弟が悪い訳で」

 

「責任は私が取らされるでしょう?」

 

「そんな事はない…そもそも卿の所属する軍隊は防衛軍とは違い、私の直属の部隊だ。責任を取るなら私だ」

 

「いや…それは流石に…」

 

このままでは拉致が開かないのでひとまず陛下が謝ることとした。

 

「文香嬢…愚弟が…した事については、私が代わりに謝罪する。

すまなかった…」

 

「陛下!?頭を上げて下さい…!」

 

山田先生が戻ってくるまで陛下はひたすら平謝りをしていた。

 

 

 



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21話

「で?何がどうなってるんですかこれは…」

 

山田先生達が帰って来て、陛下がひたすら謝っていたので怪訝に思ったらしい。百之助が説明する。

 

「実はですね…」

 

これまでの経緯を話すと。山田先生は、納得したようで頷いていた。

 

「なるほど…で?文香さんの子はどうしますか?」

 

「普通に考えて親父に実家に連れ帰って貰って育ててもらうのが良いんですが…なにせ…父親がその…」

 

「なるほど…皇族ですからね…」

 

「私は別に連れ帰って貰っても構わんが?」

 

「陛下…しかしですね…」

 

「文香はどうしたいんだ?」

 

「自分で育てたいです…」

 

「それは無理だろ…ここは全寮制だぞ…いや待てよ…トミー。俺の所で夜は面倒見ていいか?」

 

「別にいいぞ?何なら手伝ってやろうか?」

 

「済まない恩に着る。」

 

そこで田中先生がとんでもない事を言う。

 

「授業中は私が面倒を見よう。」

 

「先生!?」

 

「良いじゃない、だって子供と親を引き剥がしたくないもの。それに学校やめたくないでしょう?」

 

「有難うございます…先生」

 

これには脱帽である。

 

 

「それでいいですか?元帥閣下?」

 

「わしは構わんぞ?」

 

まさかの即答である。

 

「父上!?」

 

「そもそもお前が外で子供を沢山作ったのが原因であろうが。子供のワガママくらい一つや2つ聞いても良いのではないか?」

 

「分かりました…」

 

「それで決まりだな。」

 

「やったね文香ちゃん!」

 

梨璃を始めとしてリリィ達から祝福の声が掛けられた。そのどさくさに紛れて祀に抱くか聞いてみる。

 

「祀、抱いてみては?」

 

「良いのかしら?」

 

「良いですよ」

 

と言いながら文香が祀に七々を渡す。

 

「案外重いのね…とても可愛いわ…有り難う。」

 

そのまま直ぐに文香に返す。

 

「文香ちゃん今日はこのままここに居なさい。」

 

「はい」

 

「では我らは引くとしよう」

 

「分かったまたな…次はどうなるか分からないけど」

 

「違いない。」

 

そう言って陛下達は帰っていった。

 

残ったのは先生とリリィ達だ。その時百之助は、重大な事に気が付いた。

 

「さてと…どうしよう…」

 

「どうした?」

 

「赤ちゃんの世話分かんないや…見たの今日が初めてだし…」

 

「確かに…」

 

百之助と伊吹が青ざめていたが山田先生が助け舟を出してくれた。

 

「大丈夫大丈夫、手取り足取り教えてあげるから。」

 

「有難うございます。」

 

夢結が呆れていた。

 

「それでさっき…よくもまあ大口叩いたわね?」

 

「あはははは…」

 

「とりあえずお開きにしましょう…早くしないとお風呂入れなくなるわよ?」

 

「「「あ…」」」

 

そんなこんなで撤収した。

 

 



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22話

百之助は、横に居る文香に呆れていた。

 

「まさか…翌日から復帰するとは…思わなかったよ。」

 

「ですが兄上…身体が訛ってしまいます。」

 

文香は、七々を抱いていた。

 

「分かった…」

 

二人は共用スペースに向かうと、人だかりが出来ていた。

 

「なんだろう?」

 

「さあ?」

 

覗いてみると梨璃が暴れる夢結を取り押さえていた。

 

ジャンプして人だかりの中に入った。

 

「何があった?…なるほど。」

 

ポスターを見て納得した。

 

「百之助様…助…けて…下さい。」

 

「了解。」

 

夢結の前に立ち前から抱きしめ、キスをした。周りは黄色い悲鳴で充満したが無視する。

 

「落ち着いたか?夢結?」

 

「ええ…でも…恥ずかしいわ…///」

 

顔を百之助の胸に埋めるが耳が真っ赤なので赤面してるのが丸わかりである。頭を撫でながら周りを見渡すと周りの野次馬達も赤面していた。

 

「何故…こうなった?」

 

「そりゃ、見慣れてないからよ。中等部からいる私達はともかく、他の娘は見慣れてないから。」

 

「そいつは悪かったな…天葉。」

 

天葉が呆れたように言う。

 

「もう結婚しちゃえば?…そっちの方が嬉しいんだけど?」

 

「それにはノーコメント。」

 

「あっそ。でも、何でそんなベッタリなのかは教えてくれても良いんじゃない?」 

 

一瞬百之助は、考えた。これに関しては実体験であり。重いからだ。

 

「10%…これが何を指すかわかるか?ヒントはそうだな…これだ。」

 

百之助は、虚空から指輪がたくさん付いたチェーンを出す。

 

「何それ?」

 

「なんだと思う?」

 

それを空葉に放る。

 

「よっと…………リリィが身に着ける指輪だよね全部…」

 

受け取った天葉は、分かったようだ。

 

「結論から言おう。そのチェーンに付いているのは…戦死したリリィの指輪だ。そして10%とは白襷隊に所属していたリリィで生きてここを卒業できた数値だ。」

 

この言葉に周りのリリィは、戦慄した。

 

「何故そんなに死んでるのかって?簡単だ、戦い方が違うからだ。白襷隊以外は基本的に戦線を維持する為の部隊だ。それに対し白白襷隊は、槍だ。敵陣を引っ掻き回し一対多数戦闘で敵を撹乱または突破する。最も戦死率の高い部隊なのさ。それを嬉々として受け入れる白襷隊は、並のリリィでは務まらない。だから基本的に、国の為なら死ぬ事すら受け入れる事ができるリリィが集まって出来たのが白襷隊だ。因みに殆どが軍人の家系のリリィだ。…俺はその中でも槍の矛先を担当していた。ここは最も死亡率が高い位置だ。話しがずれたな…それといちゃつくのとなんの関係があるかって?簡単だ。リリィとて人間、すぐ死ぬ。だから悔いを残さない為にも言いたい事は言ってしまう。その人が死んでしまったら言えなくなって、それが傷になってしまうから…君たちもそうだよ?…言いたい事は…すべて相手に伝えたほうがいい…喧嘩したなら直ぐに謝るべきだ…死んでしまったら…言えなくなってしまうのだから…だからこそ俺は戦場に立つ、そう言った事が少なくなる様に…戦死者が増えないように。そして今まで戦場で散って行った戦友を始めとしてこの国の為に散って行った、先祖たちの為にも俺はその意志を継ぐ。」

 

「そう…なのね…」

 

「でも、俺はこのまま戦争が続けば良いとすら思っている。何故なら平和とは戦争の準備期間であるからだ。ヒュージがいなくなったら今度は人類同士で殺し合う。その時先頭に立つのは俺達かもしれないからな。」

 

「何それ…」

 

天葉は、目を見開き絶句している。

 

「だって、どこの軍事資料も作戦用紙にもそう書かれてるし…俺の親父陸軍大将だから。情報が入って来るんだもん。今の所親父が抑えてるし、陛下が許可しないから、不可能だけど。」

 

その言葉に胸を撫で下ろす一同である。

 

「とまあそいうことで説明を終わる。」

 

それで百之助は、これ以上は何も言わんとばかりに夢結を抱きしめた。



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23話

「で?今日はどうすんだ?」

 

野次馬がいなくなったところで百之助、文香、夢結、梨璃は共用スペースにて紅茶を飲んでいた。

 

「まだ決めてないわ。」

 

「エッへへ〜」

 

「そうか…ところで夢結のシルトは、顔がとろけてるが良いのか?」

 

梨璃は完全にとろけていた。

 

「良くないわよ…梨璃貴方これから講義でしょう?予習は?」

 

「分かってはいるんですけど〜今お姉様の顔を見ていられるのが幸せで、幸せで〜」

 

(駄目だこりゃ…)

 

(駄目ですね…)

 

(迂闊だったわ…)

 

と梨璃以外の面々は同じ事を思った。夢結は何かを閃いたようで…

 

「梨璃、貴方にお願いがあります。」

 

「ハァイ〜何なりと〜」

 

梨璃のサイドテールが揺れていたのが子犬の尻尾みたいであった。

 

「レギオンを作りなさい。」

 

「は?」

 

「分かりました!」

 

「即答!?」

 

「へ?…レギオン?て何でしたっけ?」

 

「おいー!?知らんで答えたんかい!」

 

ズサー

 

「二水ちゃん!?」

 

今のは二水が頭からスライディングしたのである。

 

「あはは…御機嫌よう…ははは…」

 

「二水さん、お願いします。」

 

「はっはい!レギオンとは基本的に9人一組で構成されるリリィの戦闘隊員の事です。」

 

「因みにアールブヘイムや白襷隊がそれだ。」

 

「所で二水さん…お祝い有難うございます。」

 

夢結は、静かにキレていた。

 

「ど…どういたしまして」

 

「けど、どうして私がレギオンを?」

 

「貴方が最近弛んでいるから、少しはリリィらしい事をしてみると良いでしょう。」

 

「リリィらしい…分かりましたお姉様!精一杯頑張ります!」

 

夢結は紅茶を飲んでいたが次の言葉で吹き出した。

 

「なんたってお姉様達のレギオンを作るんですから!」

 

「ブフ!」

 

「大丈夫か?」

 

「ええ…」

 

「所で…お姉様達とは?」

 

「へ?お姉様と百之助様と伊吹様と文香ちゃんですが?」

 

「あー…俺と伊吹と文香以外で9人集めてくれ。そしたら入るから…」

 

「何でですか?」

 

「それに関してはレギオンが出来たら教えてあげるよ…どうせ全員が知っててもらった方がいいからな。」

 

「分かりました!」

 

「では早速勧誘です!」

 

梨璃と二水は、走って行ってしまった。

 

 

「いえ…そうゆう意味では…」

 

「諦めろ…なるようにしかならん。」

 

「では私は失礼しますね兄上、夢結様。」

 

「ええ…」

 

「おう。」

 

文香は、退席していってしまった。

 

「貴方…良かったの?」

 

「何が?」

 

「貴方の居たレギオンの特殊性を考えたら、他のレギオンに入ると、運用に支障が出るのでは無いかしら?」

 

「確かに一利あるが…問題ない。そこは考えてある。」

 

「そう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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24話

しばらく夢結とお茶を楽しんでいたが電話がなった。叔父上からだ。

 

「済まん夢結。叔父上から連絡が来た。」

 

「分かったわ行ってらっしゃい。」

 

「ああ…」

 

百之助は寮の自室に戻りモニターとカメラを繋ぐ。すると旧大日本帝国陸軍のカーキの軍服を着た50代の男が出てきた。敬礼する。

 

「お久しぶりです。船坂寧次中将閣下。」

 

『おう!久しいな!船坂百之助少将!元気そうで何よりだ!』

 

この男は船坂寧次近衛軍中将だ。

ここで近衛軍の事を話しておくと。防衛軍とは系譜が異なり、前身は皇宮警察、その前は近衛師団であるので旧大日本帝国陸軍の系譜である。因みに防衛軍の前身は、自衛隊だ。故に近衛軍は、防衛軍とは違い戦果を挙げると直ぐに昇進するためこのように十代で少将になる事ができるのだ。

 

「小官に何か問題でも起こしましたでしょうか?」

 

『いやいや、そうでは無い。目が覚めたと兄上が言うから本当か確かめたかっただけだ。』

 

「そうですか…所で小官は、大佐だった筈です。いつの間に少将に?と言うか…部屋にある軍服の階級章もいつの間にか少将になってるんですが…」

 

寧次中将はその言葉に、笑った。

 

『ハハハハハハ!…すまん。甲州戦役で他大なる戦果を挙げただろう?前任の近衛友作少将が自ら予備役になったから。貴官が繰り上がった、そうゆう事だ。因みにもう97歳だからもう無理だと言ってたぞ?』

 

「なるほどそうゆう事でしたか…という事は小官は、近衛第一師団長になったわけですね?」

 

『ああ!…あともう一つ有るんだが…』

 

「何でしょう?」

 

「貴官、一柳梨璃の血縁関係を調べているんだろう?」

 

「…何故それを…」

 

『私も調べていたからな。きっかけは兄上が避難民の名簿見てたときその名前を見て固まってたからだが…』

 

「私は異能で確認しました。」

 

『なるほど貴官の異能は、覚えた相手の血の記録を見るんだったな…』

 

百之助の異能は他にもあるのだが今は割愛する。

 

『結論から言うと兄上の子供だ。』

 

「やはりですか…」

 

『いい加減にして欲しいんだがな…こればかりはどうにもならん…今は落ち着いているが。まだまだ出でくると思う。』

 

「分かりました…」

 

『本人には、言わないほうが良いだろう…混乱するだろうから…』

 

「そうします」

 

『そうしてくれ…では、また』

 

「ハッ!失礼します。」

 

通信を切り。射撃演習場に向かう。

 

演習場には夢結と梅がいた。

 

「やあ梅!夢結も。」

 

「おう!百之助!今からやるのか?」

 

「おう!」

 

百之助は、99式長小銃に弾を込める。

 

チャキン…ガ…カキン

 

「貴方相変わらず古いライフル使ってるわね…」

 

「これが一番頑丈なんでね…一番使い慣れてるってのもあるけどな。」

 

そう言いながら初弾を入れ発砲。即座に排莢装填。

 

ダーン!チャキン…カランカラン

 

「それ、旧日本軍が使ってた奴だろ?でも、他の奴より長くないか?」

 

「そりゃ長いだろうぜ…この銃実は試作銃で厳密には99式長小銃じゃ無い。それをわざわざ引っ張り出して刻印入れて大東亜戦争に投入したやつだからなぁ。全長が160センチだからとても長い、取り回し最悪だが、着剣したら完全に槍になるから使いやすいぞ?」

 

「へえ?でも持ち歩くとき大変じゃないか?」

 

「それはあるな…でも長い分リーチが長いから重宝してるんだぜ?」

 

「へー」

 

その後は駄弁りながら射撃練習をし、その後解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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25話

「やれやれ…どうしてこうなった。」

 

ある日百之助は、中庭で昼寝をしていたら身体が重かったので起きてみたら。左側に文香、右側に夢結が寝ていた。起こすのは酷だったので頭を撫でていたらいきなり声が掛けられた。

 

「両手に花ですね、百之助?」

 

見れば金髪碧眼の少女が立っていた。

 

「珍しいな…で、何のようだ錬金術師。いや、ハインリヒ・クンラート。」

 

「手厳しいですね。真祖夜々の後継、船坂百之助。それはそうとさっさと結婚なされてはいかがですか?」

 

「法律の問題で不可能だ。歳が足りん。」

 

「そうですか…月日が経つのは早いですね…。」

 

「そうかよ…」

 

「その娘を離しては成りませんよ。ただひたすらに愛してあげなさい。貴方が息絶えるその時まで…」

 

「そうするつもりだが?」

 

「なら安心ですね。」

 

「で?何しに来た?」

 

「その娘の心を折り、貴方しか愛せないように洗脳調教して監禁し、貴方無しに生きられない身体にして差し上げようかと。」

 

内容が滅茶苦茶怖かった。

 

「…いや…怖すぎるだろ…」

 

「後遺症を残さない薬を作るなど錬金術師にとって造作も無い事です。依存性の高い媚薬作りましょうか?」

 

「薬漬けにする気満々じゃねえか…」

 

このマッドサイエンティストは、頭がぶっ飛び過ぎてないかと思う百之助である。

 

「そうですか?私がいた時代は錬金術師は、そうやってましたが…」

 

と、心底意外そうにしていた。

 

「昔の錬金術師、頭のネジ絶対飛んでるだろ…」

 

「他の人が来たので失礼します。」

 

言うが早いか直ぐに消えてしまった。

 

「何だってんだ…」

 

もう一度寝ようとすると声を掛けられた。

 

「さっきの誰?」

 

「お前か…天葉。」

 

見れば天葉が仁王立ちしていた。

 

「で?誰よ?」

 

「言ってもわからんだろ…」

 

「また会うかもしれないでしょう?)

 

「はぁ…ハインリヒ・クンラート。約300年前の錬金術師だ。俺らの大先輩に当たるリリィだよ…」

 

これには首を傾げる空葉。

 

「何で生きてるのよ?」

 

「一回死んでるぞ?自爆してな。そしたら神が不老不死の体を作って魂入れられたんだよ。」

 

「何よそれ…」

 

「同じようなのがあと3人いてそれらは、【守護者】と言われてるぜ?」

 

「へぇ…」

 

「まあ…ヒュージとの戦いは遙か昔から有るからな…詳しい話はできんが…」

 

「そう…その時は教えて?」

 

「いいぜ?」

 

「じゃあ邪魔したら悪いからこれで」

 

「おう!」

 

こうして天葉は、去っていった。

 

「さてと…寝ますかね…」

 

そうして百之助は、深淵に飲まれていった。

 

 

 

 

 



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26話

しばらく昼寝を楽しんだあと。夢結の電話が鳴り始めたので三人は飛び起きた。そして梨璃からのヘルプであった為、文香を除く二人は急いで向かった。すると、見知らぬ一年生二人がいた。

 

「で?どうしたんだ?梨璃?」

 

「実は…」

 

梨璃曰く、片方の子が一流のリリィで有る事を証明する為に立ち会ってほしいとのことだった。

 

「なるほど…君たち名前は?」

 

「郭 神琳(クオ シェンリン)と申します。神琳で結構です。百之助様。」

 

と赤と茶色のオッドアイの娘は、そう名乗った。どうやら百之助の事を知っているようだ。そしてもう一人に声をかける。

 

「こちらこそ、よろしく。…で君は?」

 

こちらの娘はおどおどしている。自虐的な娘のようだ。百之助は、この娘が手練である事を見抜いていたがもう一つ気になっていた。

 

(何でこんなに自信がないのか…)

 

「王 雨嘉(ワン ユージア)です…雨嘉で…お願いします。」

 

「おう…所で…なんでそんなに挙動不審なんだ?それに何故自分を卑下する…雰囲気がどことなく手練のそれなんだが…」

 

「…私はへぼリリィだから…」

 

百之助は、絶句した。何処がへぼリリィなのか説明をしてほしいレベルであった。

 

(お前の様なへぼリリィいてたまるか!!寧ろ遠距離で狙撃されては堪らんぞ!?)

 

直感で狙撃手である事を見抜いていた。

 

「いやいや…雨嘉…一つ言わせてくれ…お前の様なへぼリリィが居てたまるか!!どう見ても!歴戦の猛者だよ雰囲気が!!」

 

と雨嘉の肩をがっちり掴み前後に揺らした。周りはドン引きである。

 

「百之助…落ち着きなさい」

 

「けどな…」

 

「私…姉や妹に比べて…出来が悪いから…」

 

なるほどそれでかと思う百之助である。

 

「最大交戦射程は?」

 

「4.5キロです…けど…」

 

「…世界記録知ってるか?」

 

「いえ…」

 

「4.1キロだ。」

 

これには驚愕する一同。

 

「すごーい雨嘉さん!」

 

「十分凄いから!!全然へぼリリィじゃ無いから!!寧ろ伸びしろあるから!!!!自信をもって!?」

 

とまた肩を掴んで前後に揺らした。

 

「でも…出来が悪いから…必要とされて無い…だから…アイスランドから追い出された…」

 

こいつは重症だと天を仰ぐ百之助である。

 

(と言うかそれ絶対違うと思うぞ…)

 

「そうか…もう何も言わん…神琳…君が言いたい事が分かった気がするよ…」

 

「有難うございます…分かっていただけて。」

 

「へ?」

 

と梨璃だけが分かってなかった。

 

「では行きましょう。」

 

そしてヒュージを迎撃するための廃墟の一角に来ていた。

 

百之助、梨璃は雨嘉と、夢結と神琳で別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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27話

廃墟の屋上の上に来ていた。

 

「少し待ってくれ準備するから」

 

「はい…」

 

百之助は、空間収納から袋を取り出した。その中から99式狙撃眼鏡改と曲げられたボルトハンドル、着剣装置用バイポッドを取り出し。既存のストレートボルトハンドルを曲げられた物に換装し狙撃眼鏡とバイポッドを装着する。その際、残弾が入ってないか確認し空打ちをした。これにより99式長小銃は、99式長狙撃銃となる。

 

カチン…チャキン!

 

「準備完了したぞ。」

 

そう言うと、バイポッドを展開し腹這いになり、狙撃眼鏡を覗く。

 

「分かりました。」

 

「雨嘉さん!あなたの事教えて!」

 

「うん…私の姉も妹も今もアイスランドに残って戦っているの…一人だけ故郷を離れるよう言い渡されて…私は必要とされて無いんだって思った。ごめんなさい…百合ヶ丘は世界的にトップクラスのガーデンよ。…ただ故郷を守りたいって気持ちは、特別ってゆうか…」

 

「うん…それ分かるよ…」

 

(梨璃…君が言うと説得力があるぞ…)

 

と思う百之助である。

 

電話がなった。雨嘉が電話に出る。

 

すると遠くが光った。

 

(多分あれが狙撃目標…)

 

百之助は、99式狙撃眼鏡改の倍率を4倍から8倍にする。(倍率を可変出来るように改造してある。等倍から12倍まで。)

 

(なるほど…神琳か…)

 

「うん…え?…そんな訳!」

 

電話を切る。

 

「どうして…」

 

どうやら読み通りの用だ。そこで梨璃が雨嘉のストラップの猫に反応した。

 

「雨嘉さん!猫好きなの?」

 

一瞬狼狽えたが持ち直した。

 

「え?…う、うん」

 

「可愛いね〜その子。」

 

「うん!これ…持っててくれる?」

 

「え?うん…」

 

少し迷ったが梨璃は、雨嘉の電話を受け取る。

 

雨嘉は。自前のチャーム【アステリオン】を構える。そして自身のレアスキル天の秤目を発動。

 

「遠距離射撃?目標は何なの?」

 

「神琳…」

 

「え!?」

 

「こちらでも確認した…君のタイミングで撃て。」

 

「了解。」

 

「アワ!アワ!危ないよユージアさん!」

 

「一柳さんと神琳は、私にチャンスをくれたの…だから私も貴方達を信じてみる。」

 

「え?チャンス?」

 

ドォン!

 

対物ライフル並みの砲声を響かせる。その弾を神琳は弾く。

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ドォン!

 

「ヒット」

 

ここで風が出てきた。

 

(残り2発行けるな…)

 

風に合わせて銃口を動かす。

 

ドォン!

 

「ヒット!ラスト一発!」

 

さらに風が出でくる。さらに修正。最後の一発が吐き出される。

 

ドォン!

 

「ヒット!?」

 

その弾は弾き返され戻ってくる。

 

それを雨嘉は、両断した。

 

「全弾命中。お疲れさん。」

 

「はい…」

 

「10発…」

 

そこで電話が鳴った。電話に出る。

 

「神琳…!」

 

「う〜やったー!」

 

「有難う梨璃。」

 

「え?」

 

梨璃はなんの事か分からないようだった。

 

「梨璃がこの子を褒めてくれて…私、貴方のレギオンに入りたいって思えたから。」

 

「それが有難う?」

 

「うん…有難う…」

 

百之助が立ち上がった時に何かを思い出したようだ。

 

「今思い出した…なんか見た事あると思ったら…俺が6歳のとき、アイスランドに行った時の娘では無いか?」

 

「はい?」

 

「王 秦崙(ワン タイロン)の次女だろ?」

 

「はい…」

 

「父上が君の父上と友達でな。俺が六歳の時、父上と母上、姉上二人と、妹とでアイスランドの君の家に、行ったことあるぞ?その時君は母上の影に隠れてたけど。最終的に【お兄ちゃん】と言ってたの思い出したわ!」

 

「あ…」

 

それで思い出したようだ。

 

「久しぶりだなユーちゃん?」

 

「お兄ちゃん!」

 

と抱きついてきた。

 

「アワワワワ!」

 

と梨璃がキャパオーバーであったが…

 

「多分君の母上は、君に世界を見せたかったのでは?」

 

「そう…でしょうか…」

 

「俺はそうだと思うがな。」

 

 

しばらく離してくれなかった。そして夢結に怒られたのはご愛嬌である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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28話

ある日、百之助に、大きな荷物が届いた。送り主は、船坂景である。

 

「何が入ってんだこれ…」

 

「分からん…」

 

伊吹には、手伝ってもらう為に来てもらっていた。

 

「でかいな…」

 

「銃にしては長すぎるし、刀にしてもこれはおかしい…チャームは使わないから除外だ。」

 

「とりあえず開けてみるか…」

 

「だな…」

 

と、二人でダンボールを開けた。すると大小2つの風呂敷に包まれた物とガンケースが出てきた。

 

「ガンケースは後回しにするとして…この2つは何だ?」

 

唸っていると息吹がダンボールから手紙を見つけた。

 

「百之助。手紙があったぞ!」

 

「どれどれ…」

 

手紙は2通ありどちらも百之助宛であった。

 

1つ目は船坂大将からで、梨璃に守り刀を渡してほしいとのこと。

 

2つ目は天野海軍中将からで、妻が亡くなったのでその旨を娘、つまり空葉に、伝えて欲しいとの事だった。

 

「何方も…言いにくいな…しかも丸投げ…」

 

「そうだな…」

 

「梨璃に付いては、一柳陸軍中将に聞かないことには言えんだろうし…天葉は、滅茶苦茶怒られそう…」

 

「やるしか無いだろ…」

 

「だな…」

 

翌日、講義が終わった後、空葉に声をかけた。

 

「天葉…ちょっといいか?」

 

「ん?どうしたの?」

 

「二人だけで話を…」

 

「嫌よ。アールブヘイムのミーティングルームに来て。」

 

「…分かった…でも…後悔はするなよ…」

 

「分かった。」

 

そう言って自室に戻り例の箱(大きい方の包み)を空間収納に格納した。そして、軍刀を下げた。

 

直ぐにアールブヘイムのミーティングルームに行った。

 

コンコン

 

「どうぞ。」

 

と中から天葉の声がしたので入室する。

 

「失礼する。」

 

入ると全員が揃っていた。

 

「で、何のよう?」

 

「実はだな…これを天野海軍中将から渡すよう言われたんだ…」

 

そう言いながら空間収納から包みを出す。

 

「えらく長いね。」

 

「言いにくいから…開けてくれないか…頼む…」

 

そう言うとテーブルに置いた。

 

「百之助、貴方大丈夫?」

 

「なんとか…これきついんだよ…頼む…開けてくれ…」

 

「分かった。」

 

そう言うと天葉は、風呂敷を開けその中の木箱を開けた。そこには一振りの刀が入っていた。

 

「…これ…お母さんの…リリィ現役時代の刀…なんで…!」

 

「先月…亡くなられたそうだ…」

 

「うそ…嘘よ!」

 

「本当だ…現役時代に受けた傷と、ブースタードラッグの乱用により身体がズタボロだったんだよ…」

 

百之助は、顔を直視出来なかった。でも分かっていた…泣いていることには…

 

「ブースタードラッグって…貴方が使ってた奴…」

 

「1世代前のだがこれで合ってる。」

 

百之助は、ポケットから注射器を取り出して見せた。

 

「なんで…貴方にお願いしたの…」

 

空葉は、声が震えていた。

 

「夏には会えなくなる可能性があるからだ。」

 

「え?」

 

「防衛海軍は天野中将率いる第2艦隊を持って、ヒュージネストに攻撃を仕掛ける…何処かは言えない。」

 

「無理よ!リリィですら無理なのに!!」

 

「だから…俺にお願いしてきたんだろう?…帰れないから…そして…愛する娘に顔向け出来ないから…」

 

「軍人って…何でそうなの!?…何時もそう!…何で…」

 

「自分の一所を懸命に守り抜くために…愛する物を守る為に…祖国をまもりぬくために…その為なら命すら投げ捨てる。それが軍人と言う生き物だ。」

 

「…貴方もそう?」

 

「今更だ…この身はいつ死んでもおかしくない…いつ死んだって良い…それで何かを守れるならば…それで良い…それに…戦場は…俺にとって故郷だ。」

 

「貴方…狂ってる!…可笑しいわよ!?」

 

「俺は所詮戦争屋…人殺しだ。だから死んだって誰も気にしないし、寧ろ罵る奴も居るだろう。それで良いんだよ。」

 

「あの…百之助様?…リリィでは無いのですか?」

 

と恐る恐る樟美が聞いてくる。」

 

「ああ…突撃擲弾兵…まあ…リリィの事だが…俺は軍人だ」

 

これには全員が絶句した。

 

「そもそも白襷隊は全員が軍人だぞ?俺のシルトも含めて…」

 

「そう…なんですか?」

 

「大勢失ったし、大勢殺した。…俺達は本来、リリィを狩るためのリリィだ。だから人殺しは沢山やった。…これからもそうだろう…」

 

「そんな…そんなのって…あんまりです!!」

 

全員が涙ぐんでいた。

 

「君たちはこちら側には来るなよ…それだけは…やめてくれ…」

 

「空葉…」

 

「何よ…」

 

「この前の続きたが俺が戦死したらその時は、笑ってくれ…君の泣き顔は見たくない。と言うか…百合ヶ丘のリリィ全員だけど」

 

「嫌よ!…何で…何で…そんな…そんな事言うのよ…」

 

「俺は戦う事しか出来ないから…それで悲しむ人が少なくなればいい」

 

 

「貴方の事で悲しむ人は入らないのね!?」

 

「知るか…誰も困らんだろ…」

 

「顔も見たくない!!出てって!!」

 

「分かった…じゃあな戦友さらばだ…」

 

そう言って百之助は出て行った。



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29話

百之助が出て行ってしばらく経った後、依奈は何かを思い出すように言う。

 

「百之助も、変わったわね…昔は戦う事しか…頭に無かったし、何も話してくれなかった。それにリリィを【戦友】って言う事も無かったのに…」

 

「え?」

 

「初等部に編入されて初めて会った時、目が死んでたし、自分の名前しか教えてくれなかった。受け答えも[ああ]だけだったし」

 

「今と全然違う…」

 

と樟美は、声をかろうじて出すことができた。

 

「それに…笑わなかった…と言うか表情がこの世の終わりって感じだった。そして、もっと危ない戦い方してた。具体的には、味方が射撃してる中を突っ込んでヒュージを斬狩してたよ。」

 

「危な過ぎる…」

 

「これには流石に文句を言ったら。[問題ないこちらが避ける、だから安心して射撃して]と言ってたわ。」

 

「いやいや…頭のネジが可笑しい…」

 

「それに比べればさほど気にならないよ…今はそこまでじゃないからね」

 

依奈は、一白置いた。

 

「多分編入される前から…戦場に身を置いていたんだと思う。それにこう言ってた。[死者のいない戦場なんてものは無い、あるとすれば人間を物と定義したときか、戦を無かった事にしたときかだ。]って、多分経験からだと思う。」

 

「そんなのって!」

 

これは全員が…聞きたくなかった。

 

「あるのよ…そして…私達にはどうする事もできない…ただ寄り添うしか出来ないのよ…」

 

ここで依奈は、紅茶を飲んだ。続きを紡ぐ為に。

 

「甲州撤退戦の前、白襷隊が何か儀式してたでしょ?」

 

「ええ…」

 

「確かに…」

 

天葉と茜は、思い出すように言う。

 

「これ…白襷隊の伝統儀礼で…死ぬ為の儀式よ…」

 

「「な!?」」

 

「ワイングラスにワインを注いで、天高く持ち上げ[フロージット]と叫び一気に飲み干しグラスを叩き割る。…これ元々神風特別攻撃隊の出撃前の儀式を改変した物よ。…もとはアニメを参考にしたらしいけど…そして…生き残ってしまった…それが苦痛になっていると思う…本当は死にたいんだと思う…」

 

これには全員が押し黙ってしまった。

 

「100人近くいた姉妹達は、殆どが戦死してしまって…もう心が…折れてる可能性すら有る。夢結もああだし…もう耐えられないのかも…」

 

「ちょっと待って!姉妹が100人近い!?可笑しくない?」

 

これに反応したのは、茜だ。

 

「異母姉妹よ…殆どは…」

 

これに答えたのは天葉だった。

 

「何よ…それ…」

 

「話を戻すけど…百之助にとって…私達は…ただの重り…現世に繋いでおくための…百之助は、ああ言うけど…私達が悲しむから…死ねないのかも…」

 

壱が言う。何かできるのではないかと…

 

「でも…私達に出来ることはあるんじゃ無いですか?何かしてあげることだって…」

 

「死者に会うことは出来ない。これだけは…どうしようもない…

彼が百合ヶ丘の墓地に行くと半分くらいは花が手向けられてる…これが意味するの分かる?」

 

「う…」

 

「全員が死んだ姉妹達よ…」

 

更に場が重くなってしまった。

 

 

 

 

 

 



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30話

「やっぱり…こうなるよな…軍人って、理解してもらえないのかな…」

 

そう言いながら百之助は、自室で寛いでいた。

 

「勉強は…教本丸暗記しちゃったし…一柳中将には、面会許可貰ったし…風呂入ったし…することがねえ…」

 

百之助は、とてつもなく暇を持て余していた。どうするか考えていたらでかいガンケースが目に止まった。

 

「あれ…開けてみるか…」

 

ロックを解除し開けると一丁のバトルライフルが出てきた。その銃は、AR−15系列の銃で、MーLOKの16インチハンドガードに20インチの着剣装置の付いたヘビィバレルに、可変ストック、ハンドガードギリギリに付いたアングルグリップ、ハイマウントで、覗く方が大きく銃口側が細くなっている、等倍から12倍のスコープ。もちろん脱着式のサブレッサーに、刀身が50センチの銃剣、そして…バックアップサイト。セミフル切り替え可能。使う弾は7.62mmNATO弾。

 

「何じゃこりゃ…銃の名前は…あった…」

 

ガンケースの隅の方に手紙が入っていた。

 

「なになに…」

 

差出人は、変な銃を作っては送り付けて来る変人マイケルブローニングからだった。

 

「名前は…40式歩兵銃…あの人相変わらず変な名前付けるな…」

 

弾倉は30発入り弾倉だった。

 

「これ案外使えるんじゃない?…マギは…通るな…」

 

チャキ!

 

構えてみたが、さほど重くないし撃ちやすそうだ。着剣出来るのも追加点だ。

 

「やばいこれ…いい…心が踊るわ…」

 

一回ガンケースに入れ、息吹の部屋に行く。

 

「トミーちょっと来てくれよ」

 

「あ?いいけど?」

 

自室に招き入れ。銃を見せる。

 

「どうかな!」

 

「これ…いいな…ボルトストップとか全部アンビだから操作しやすいだろ…いいな…」

 

そう言いながら百之助に返す。

 

「だろ?」

 

「弾は7.62mmNATOだろ?ヒュージ相手でも問題なさそうだ。」

 

「分かってくれたか…戦友」

 

「これは…感動する…でも作ったの誰だ?」

 

「マイケルブローニングさんから。」

 

「本当か?あの人変なものしか作らないのに…今回のはいいな。」

 

「問題は、何処まで出来るのかだけど…どうだろう?」

 

「こればっかりは実際に使うしかないだろう?」

 

「それもそうか。」

 

とそんな感じで話していたら夢結が来た。

 

コンコン

 

「開いてるぞー?」

 

「失礼するわ」

 

「…何しに来たし…」

 

「空葉の様子がおかしいのだけれど…何か知らないかしら?」

 

顔は、笑っていたが目が怖かった。

 

「うぐ…心当たりしかありません…」

 

すると夢結は、呆れたように百之助を見る。

 

「はあ…貴方相変わらず天葉と、折り合いが悪いわね…」

 

「まあ…今回のは…時間がたたんとどうしようもないぞ…」

 

「どうしたのよ…」

 

「天葉の家の問題だからそっとしておいてくれ。」

 

「分かったわ」

 

「済まないありがとう…」

 

「邪魔したわ…」

 

そう言って夢結は出ていった。



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31話

百之助は、とある場所に来ていた。

 

ー宇都宮要塞ー

 

この要塞は、近衛軍第一、第二近衛師団の守る天皇陛下の仮住まいであり、近衛軍及び防衛軍の総司令部であり、関東方面軍司令部でもある。大変重要な要塞である。

 

百之助は、この要塞に関東方面軍司令官一柳竜也中将と面会する為に百合ヶ丘からオスプレイで来ていた。

 

「久しぶりだ…お?」

 

「船坂百之助閣下!お待ちしておりました!」

 

彼は百之助の部下であり、双子の弟でもある。互いに敬礼した後歩いて行く。

 

「船坂祐也大佐…久しいな」

 

「ハッ、小官が途中までお供します!」

 

「ありがとう…いつも通りで良いぞ?)

 

「そうさせてもらうよ…兄上」

 

「所で佳奈美とは進展は、あったのか?」

 

「親父じゃないんだから…」

 

「だろうな。」

 

そんなふうに、他愛のない話をしながら歩いて行くと途中で、一柳中将の副官である八島尊少佐に引き継いでもらい、関東方面軍司令官室の前まで来る。

 

「八島少佐です。船坂百之助近衛少将をお連れしました。」

 

「入り給え。」

 

「ハッ、失礼します!」

 

「それで?話とは?…まあ…座り給え。」

 

「はい、お言葉に甘えて…」

 

「どうしたんだ?」

 

「実は…御息女の一柳梨璃の話なのですが…」

 

百之助は、経緯を話した。

 

「なるほど…それについてはいつか話すつもりであったので。それが早まるだけなのでか構わない。」

 

「分かりました…では、そのように。」

 

「少将…娘を、頼む。」

 

「この命に変えましても。我が妹を守り通します。」

 

「済まない…ありがとう」

 

「では失礼します。」

 

「では、また。」

 

そうして百之助は退室し、百合ヶ丘に戻った。

 

その時は既に夜であった。息吹から梨璃の誕生会をやると言われていたので共用スペースに向った。

 

「おー夢結が可愛い顔晒してるじゃないか〜!」

 

「百之助様!?」

 

「おー梨璃。なかなか過激なことしてるな〜?」

 

「百之助?嫉妬したのか?」

 

「馬鹿かよ!妹に嫉妬してどうするんだ!?」

 

「「「「「「「「「へ?」」」」」」」」

 

全員が固まった。

 

「どうゆうことだ?」

 

「それはな梅、梨璃と俺は異母兄妹だ。」

 

「どうゆう…事ですか?」

 

「それはな…実は君の母上は、一柳竜也中将と結婚する前からお腹に子供を抱えていたのだ。…つまりそういう事さ。」

 

「まじか…」

 

「ええ…」

 

流石に動揺を隠せない一同である。

 

「うちの親父が君にこれを渡すそうだ。」

 

そう言いながら小さい箱を渡す。

 

「これ何ですか?」

 

「開けてみて?」

 

開けると中から守り刀が出てきた。

 

「いいんですか?」

 

「良いんだよ!貰っとけ!あとこれも!」

 

「なんですかこれ?」

 

手紙である。

 

「君の父上からさ。」

 

「分かりました。」

 

「百之助、レギオンメンバー揃ったわよ?」

 

「じゃあ入る。」

 

「即答!?」

 

「よろしく頼む。戦友諸君!」



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32話

百之助は梨璃のレギオンが発足したため、伊吹と文香とともにミーティングルームに向かう。

 

「白襷隊のミーティングルームを使うらしいぞ?」

 

「は?アールブヘイムが使ってなかったか?」

 

「あそこは俺らしか使えないものがあるからだろ?」

 

「それもそうか。」

 

と百之助と伊吹は、文香を話から置いてきぼりしながら向かう。

 

「ここだな…」

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

と中から夢結の声が聞こえたのでそのまま入る。

 

「おー集まってるな。」

 

「これで全員揃ったな!」

 

と梅が全員を見渡しながら言った。

 

「で?話すんでしょう?百之助?」

 

と夢結が百之助に話すよう促す。

 

「ああ!忘れとった…」

 

「何をだ?」

 

と忘れてたと言わんばかりに百之助オーバーリアクションをとった。それに疑問を浮かべる伊吹。

 

「傾注!現時点を以って情報統制を解除する!諸君には守秘義務がある事を理解されたい。」

 

と百之助、伊吹、文香は敬礼する。

 

「なんか物々しくなってきたわね…」

 

「我々はここの生徒である前に一回の軍人である。その事を理解されたい。」

 

百之助は、一白置いた。。

 

「日本国近衛軍第一近衛師団長、船坂百之助少将であります。」

 

「同じく、第一近衛連隊長、富永伊吹大佐だ。」

 

「同じく第一小隊長、船坂文香少尉です。」

 

「まじか…」

 

「…」

 

「ええええ!?」

 

と、皆驚いていた。

 

「まあ…色々あってここに居るんだが…その…軍と協同で事に当たるときどうしても原隊で行動しなければならなくて。その場合俺ら含めて9人だとノインベルト戦術がつかえないから…」

 

「なるほど…」

 

と皆納得していた。

 

「百之助もう一つのは話さなくていいのか?」

 

と伊吹が聞いてくる。

 

「それに関してはもっと詳しい人に話してもらおう。…居るんだろ?ハインリヒ、ジャンヌ、ベアトリーチェ。」

 

すると窓側にある後から3人が出てきた。

 

「やはりバレましたか。」

 

「でしょうね」

 

「坊やは、鋭いわね」

 

ハインリヒ、ジャンヌ、ベアトリーチェである。

 

「どっから出てきたのじゃ…」

 

「だれだ?」

 

「あらまあ。」

 

「全然気付かなかったぞ!?」

 

と、驚いていた。

 

「自己紹介頼む。」

 

「錬金術師、ハインリヒ・クンラートです。以後お見知りおきを」

 

「オルレアンの乙女、ジャンヌ・ダルクです。」

 

「ベアトリーチェ・ポルティナーリよ」

 

「ちょっと待って…全員歴史上の人物じゃない…」

 

と夢結は、驚いていた。

 

「安心してください…一回死んで体は再構築してますから…人間では無いですよ?」

 

「「「「「「「そう言う問題じゃない(のじゃ)(ですの)!」」」」」」

 

とハインリヒの言葉に突っ込む一同

 

「私達は守護者です。人類の…神々と戦うための」

 

「で?その守護者がなんの関係が…」

 

「百之助もその内の一人だからよお嬢ちゃん?」

 

「…はい?」

 

「死んで再構築された訳ではないが、俺も守護者なのさ。」

 

 

「「「「「「「え?ええええええええええええ!?」」」」」」」」

 

「じゃあ…貴方が死なないのはそう言う事?」

 

「そのとうりさ」

 

厳密には違うのだがそう言う事にする。

 

「うわあ…」

 

「何千年と戦い続けているのよ、私達は…ヒュージと」

 

「百之助は、まだ17歳なのでそこまででは無いけれどね」

 

「何かとてもヤバイものを聞いた気がする…」

 

と全員真っ青である。

 

「そういえばハインリヒ・クンラートって男ではなかったかしら?」

 

夢結が聞く。

 

「ああ…男装してたからですね」

 

「そうですか…」

 

「ここまで胸大きくなかったんですけど…これはこれで良いものですね」

 

と自分の胸を揉む

 

「はわわわわ…」

 

と約1名顔真っ赤なのがいた。

 

今日も平和である。

 

 

 



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33話

レギオン名は一柳隊に決まり、日々訓練に明け暮れていた。

 

「疲れた…」

 

「おいおい…軍人が何言ってる…」

 

「だって久しぶりにトミーと立合ったんだもん…」

 

「そうだな…」

 

と百之助と伊吹は、木陰で休んでいた。

 

「所で…」

 

「何?」

 

「何故膝に仔猫が居るんだ?」

 

百之助の膝の上に白い子猫が乗っていた。

 

「母猫がヒュージにやられてこの子が残ったんだよ…で、懐かれてる…」

 

「まじか…と言うか…小さすぎない?」

 

この子猫は手のひらサイズであった。

 

「生後3日だ…」

 

「まさかの生まれたて…」

 

「寮で育ててやりたいけどこればかりは…」

 

「難しいよな…」

 

「仕方がないから玄関にダンボールの箱で飼ってるんだけど…夜は心配でな…」

 

「わかる気がする。」

 

そこに同じレギオンメンバー達が寄ってくる。気配を察知した子猫は百之助のポケットに隠れる。

 

「あらら隠れちゃった…」

 

「何をしているのよ…」

 

「木陰で休んでる。」

 

「お兄ちゃん…隣いい?」

 

「構わんぞ?」

 

雨嘉が右隣に左側に夢結が座る。

 

「結局ほぼ全員揃うのかよ…」

 

「所で先輩、なんで哺乳瓶持ってるんだ?」

 

哺乳瓶を見て聞いてくるのは安藤鶴紗である。

 

「あー…鶴紗手を出せ。」

 

「?いいけど…」

 

その上にポケットから子猫を取り出し鶴紗の手に乗せる。

 

「ちっちゃい///」

 

「生後3日の赤ちゃんだ、大切に扱えよ?」

 

「猫の赤ちゃんそこまで小さいのは見たことないわよ…」

 

「そうか?」

 

「あら可愛い!」

 

「ちっちゃい…」

 

と神琳と雨嘉も釘付けである。

 

「珍しいな母猫は?」

 

「梅、昨日のヒュージに押しつぶされてた。」

 

「まじか…」

 

「名前は何ていうんですか?」

 

「決めてないぞ梨璃、[鷗外]て呼んでたけど。」

 

「お前絶対、高瀬舟読んでただろ…」

 

「そうだな…読んでた…でも何で分かった?」

 

「昨日お前の机に置いてあった、しかも出版当時の古いやつ」

 

「何でそんなに古いの持ってるのよ…」

 

「実家の倉庫にあった。」

 

「ええ…」

 

「まあ、博物館級の代物だからぞんざいには、扱えんけど…」

 

「お前が使ってる武器も博物館級なんだが…」

 

「言われてみれば確かに…けど一番頑丈なんだよな…」

 

「40式歩兵銃は?今日使ってないけど…」

 

「今度使うさ、今はまだ使う気にならないな」

 

「そうかよ…」

 

「所でグロピウスは?」

 

「工廠科)

 

「なるほど」

 

「所で先輩、この子猫はどうするんだ?」

 

「寮の玄関で飼ってる」

 

「良いのか?それ」

 

「良いんじゃね?寮母さんとかいないし」

 

「限りなく黒に近いグレーでは?」

 

「そうとも言う!」

 

今日も百合ヶ丘は、平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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34話

数日後、一柳隊はアールブヘイムのノインベルト戦術を見せてもらうため、とある建物の屋上に来ていた。そこにはパラソルやら椅子やらテーブルやジュースまで置かれていた。

 

「オイオイ…天葉、遊びに来たんじゃないんだぞ…」

 

「良いじゃない、そこまでヤバイのは来ないんだし?」

 

天葉の答えに呆れた百之助である。

 

「アホか、起きたらどうするんだ?」

 

「その時は…他のレギオン呼ぶかな…」

 

「アールブヘイムが敵わないってどんな状況よ…」

 

夢結は、そんな事は起き無いと考えていた。

 

「いやいや…最悪の状況を常に考えとかないともしもの時死人が出るぞ?」

 

「白襷隊出身者の実体験は説得力が凄くあるわね…」

 

「一応元、槍の穂先だったんでね…俺がいたポジションが一番戦死者が出る所だから…よく分かるんだ。」

 

「あははは…」

 

天葉は、百之助の言葉に笑うしかなかった。

 

「あの…ここで見学ですか?」

 

と、梨璃が聞いてきた。

 

「ええ、私達の戦闘を見学するなら、特等席でしょう?」

 

「あの夢結がシルトの為に骨折りするなら協力したくもなるでしょう。」

 

「アッハハ、貴方夢結をこんなに可愛くしちゃうなんてあなた一体何者なの?」

 

天葉と依奈は、どこか嬉しそうだ。

 

「え?私はただの新米リリィで…」

 

「有難う、天葉。」

 

どうやら夢結は、恥ずかしくなったようで梨璃の言葉をぶった切った。

 

「気にしないで?貸しだから。」

 

「ノインベルト戦術を見たいんでしょう?お見せする暇もなく倒しちゃったらごめんなさいね?」

 

百之助は、異能でヒュージを識別していた。

 

「そいつは無理だな…あれ、レストア。」

 

「本当に?」

 

「ああ…だが…なんかヤバそうだ…」

 

そう言いながら、異能を限界まで引き上げる。ヒュージの内部構造にある物を見つけた。

 

(あれは…まさか!)

 

「天葉!行くのを待て!…アールブヘイムだけでは対応できん!」

 

「どう言う事よ?」

 

「夢結?一つ聞きたい…お前のダインスレイブ…今どこにある?」

 

「それは…お姉様が持って行ったわ…」

 

「なるほど…じゃああのヒュージは、君にとって…仇と言う訳か…」

 

「なぜ?」

 

「あのヒュージ…君のダインスレイブでマギを操ってやがる。…つまりノインベルト戦術が無効化される可能性がある。」

 

「何ですって!?」

 

これには全員が戦慄した。

 

「最低でもマギスフィアが3つ必要だな。」

 

「なんて…事。」

 

何か思いついた伊吹が聞いてくる。

 

「百之助、あの大砲ならヒュージネスト破壊出来るから抜けるんじゃないか?」

 

「確かにあれならフルパワーなら抜けるだろうが…問題は、直撃させたら校舎が吹き飛ぶぞ?何せ核弾頭並みの破壊力だからな。」

 

「何それ?」

 

天葉がそれは何かと聞いてくる。

 

「これさ。」

 

空間収納から自身のチャームを取り出す。そこに現れたのは57mm対艦ライフル砲、武御雷だ。ついでに砲弾も3発ほど出す

 

「何それ!なっが!!」

 

流石に8m近い砲身を持っているのでとてつもなく長い。

 

「ちょっとノインベルト戦術の威力で撃って見るわ」

 

地面に置きうつ伏せになる。

 

「実弾発射モード!」

 

そう言うと武御雷のバイポッドからパイルドライバーが発動、本体を固定する。そして薬室を開き砲弾を放り込み、ボルトを蹴り飛ばして装填する。すると砲弾にマギをチャージしノインベルト戦術と同等の威力の砲弾になった。その上で余剰砲身…二枚のレイルがマギによって展開される。

 

「全員!耳を塞げ!!」

 

全員が耳を塞いだのを確認し、トリガーを引く。すると砲弾が砲身内を加速し、余剰砲身で更に加速され砲口初速8000Mで射出された。更に砲身が50mm後退しその勢いでボルトが後退、そのまま勢いよく薬莢が排出される。

 

「ドゴォーン!!」

 

効果はいかに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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35話

弾はオレンジ色の一筋の光となりヒュージに向かって、飛翔する。

 

ドカーン!!

 

ヒュージは、直撃する瞬間マギリフレクターを展開した。だが…

 

「ヒビが入ったな」

 

見ればマギリフレクターは、ヒビが入っていた。直ぐにマギを使って時間停止魔術を使い、砲弾を装填した。

 

「今から作戦を考えよう」

 

「貴方まさか…時間を止めたの?」

 

周りの様子を見て天葉は、絶句した。他のリリィ達も同様である。

 

「ああ、この為だけにな。」

 

「相変わらず突拍子の無いことをするなお前は…」

 

息吹は、百之助の行動に呆れると共に称賛もしていた。

 

(なるほど…作戦を練るために、時間を止めたのか…)

 

「で?作戦は既に考えてあるんだろう?」

 

「その通りだが…一応確認を取る必要が有るだろ?俺は2つのレギオンの隊長じゃ無いからな。」

 

「私は構わないわよ?」

 

「私も問題無いです。」

 

梨璃と天葉は、作戦立案するのを許可した。

 

「了解した。 まず第一段階は、俺のチャームでさっきの倍の威力の砲弾を以て、敵のマギリフレクターを完全に破壊する。 

 

次の第2段階では、間髪入れずにアールブヘイムがマギスフィアを叩き込む。トミーと文香はそれを掩護、で敵の中からダインスレイブを取り返すか破壊する。

 

第3段階は、一柳隊がマギスフィアを叩き込む。その時か、第2段階時に敵の増援が来るかもしれないから、その時はトミーと文香はそれを牽制しろ、倒す必要はない。…ここまでで質問はあるか?」

 

息吹が手を上げた。

 

「増援の規模は?」

 

「飛行型ミドル級が最低でも200。」

 

「無理じゃないか?」

 

「出来るだろ?お前のチャームなら。」

 

「使っていいのか?」

 

「俺も使ってしまったからいいだろ?」

 

「了解。」

 

次に手を上げたのは文香だ。

 

「紅の舞を披露してもいいですか?」

 

「寧ろやれ。」

 

「分かりました。」

 

「他に質問は?」

 

「あの…紅の舞って何です?」

 

聞いてきたのは樟美だ。

 

「レアスキルルナティックトランサーと、縮地を極限まで高めて使う俺の家の十八番だよ。…慣れてないと暴走するという曰く付きの技だけどね?」

 

全員が…アホなの?という顔をしていた。

 

「まあなんとかなるさ!トミー行ける?」

 

そこには両腰にチャームを羽のように付けた息吹がいた。

 

「何時でも」

 

「ちょっと待って!それ、どうやって使うのよ!?」

 

「このチャーム…サバーニャは、ちょっと特殊でな?ちょっと見てて」

 

そう言うと息吹は、チャームにマギを込める。するとチャームが起動した。

 

『シールドピット展開!シールドピット展開!』

 

すると、片方につき7枚、計14枚の羽が分裂し息吹の周りに回るように展開する。

 

「「「「「「「「「「「「「「「は!?」」」」」」」」」」」」」」」

 

全員が絶句した。

 

「こいつは敵の射撃兵器を遮断する為の物なんだよ。」

 

そう言って、そのシールドピットからライフルピットをその上に展開する。

 

「こっちは攻撃用。」

 

「何ですか?どこ製ですか?」

 

と、笑顔で聞いてくるのは二水だ。

 

「これ?マイケルブローニングとか言う銃器設計技師がガンダムを見て酔狂で作ったものさ。現状俺しか使えないけど。」

 

そう言いながら展開したピットを格納する。

 

「うわあ…」

 

これ以降は、特に質問は無かったのでそのまま作戦に移行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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36話

「今から作戦を開始する!!」

 

了解とばかりに全員の、チャームが発光。それを見た百之助は、武御雷を発砲。今回は遅延信管では無く衝撃信管だ。

 

ドゴーン!!

 

砲弾が敵に向かって飛翔し、着弾。直ぐに信管が発動。さっきより大きい爆炎と砲声が響き渡る。

 

ドカーン!!

 

すると敵のマギリフレクターを完全に破壊する。そのままアールブヘイムがノインベルト戦術を開始、伊吹と文香は、敵を牽制する。頃くして敵の増援が到着。数およそ200

 

伊吹は空中で停止し敵を睨む。

 

「百之助の読みが当たったな…やはりこのチャームを使うならこれでしょ」

 

そう言いながらピットを分離攻撃体制に入る。

 

「乱れ撃つぜ!!!」

 

敵の攻撃をシールドピットで防ぎながらライフルピット及びウィンチェスターライフルで攻撃する。

 

ガンガンガガガン!ターン!カチャン!ピピピューン!

 

 

「絶対敵に、回したくないね…」

 

「同意するわ」

 

天野と依奈が伊吹の一方的な戦闘に絶句する。

 

一方文香は、全身を赤く染め上げ、縮地で全力加速…出鱈目な機動で動き回りながらヒュージに斬りつける。

 

「ハアアアアアアアア!!」

 

「こっちもおかしいのだけれど…」

 

「すごい…」

 

夢結と梨璃も文香の戦い方に圧倒されていた。

 

 

そうこうしている内に、亜羅揶がフィニッシュショットを決めた。そして待ってましたとばかりに伊吹は、切れ目からダインスレイブを引っこ抜いて百之助に向かってぶん投げる。

 

「百之助!受け取れ!!!!」

 

 

「ナイスだ戦友!!」

 

百之助は、受け取った。

 

その時手負いのミドル級ヒュージが天葉に砲撃しようとしていた。

 

すぐさま軍刀を抜刀。天葉に向かって叫ぶ!

 

「天葉!後ろだッ!!」

 

その声で天葉は、その方を見るが間に合わないと思い恐怖で目を瞑ってしまった。

 

「畜生め!!」

 

百之助は、縮地の上位レアスキル…神速を使い4キロ以上あった距離を一瞬で駆け抜け、砲撃と同時に下段から砲弾を切り上げるが。刀身が限界であったのととっさであるのでマギの供給を怠った為に刀身が折れ。自分の脇腹に直撃した。

 

「がは…!」

 

そのまま1メートル殆ど吹き飛ぶ。

 

「百之助!?」

 

天葉は、直ぐに駆け寄る。見れば百之助からは血が大量に出血しており…手のつけようが無かった。

 

「…そ…ら…は…無事…か?」

 

「ええ…ええ…無事よ…」

 

「なら…いい…」

 

そう言いながら百之助は、大粒の涙を流している天葉の頬に手を当てる。

 

「泣く…なよ…笑って…くれ…」

 

ドカーン!!

 

一柳隊がレストアを撃破した様だ。

 

徐々に人が集まってくる。皆、そんな…嘘…て感じの顔をしていた。生き返るのを知っている人以外。

 

「後…10分…ぐらい…で…お迎え…来るかな…?」

 

「そんな事…言わないでよ…お願いだから…死なないでよ…」

 

「天葉…諦めろ…もう無理だ…助からない…」

 

と言いながら伊吹が天葉の肩に手を乗せるが…

 

「なんでよ!せっかく…甲州撤退戦で生き延びたのに!こんな…こんな事って…」

 

そこに追い打ちをかけたのは文香だ。

 

「兄上言い残すことはありますか?」

 

そう言いながらHK45を構える。

 

「今…まで…お世話に…なり…ました。戦友…諸君…あっち…で待ってるから…」

 

文香はそのまま引き金を引こうとする。

 

「やめて!」

 

と百之助を庇おうとする。他のメンツは放心状態でついて行けていない。

 

構わす引き金を引く。

 

パン!

 

頭を貫通し百之助は、息絶えた。

 

「なんで…自分の兄を撃てるのよ!」

 

「兄だからです。…それに戦場では介錯しなければ苦しみ続ける事になるんですよ!…苦痛を与えるのがお望みですか!?」

 

天葉と文香の言い争いに全員が釘付けである。だからこそ気付かなかった。

 

天葉の頬を百之助がつねった。

 

「よお!心配かけたな!元気か?」

 

「は?え?…は?」

 

皆絶句である。知ってる人以外、絶句である。

 

「なんだよ…みんな揃って豆鉄砲を食らった鳩みたいな顔しやがって…たかが一回死んだからって死ぬとは限らんのだぞ?」

 

「いやいや…その理屈はおかしいぞ百之助。」

 

「そうかな?」

 

「お前が特殊なんだよ」

 

「それもそうか!」

 

天葉を抱きしめ安心させようとする。

 

「すまんな…心配かけて。」

 

「う…わあああああ!」

 

涙腺が崩壊したのか大声で泣き始めた。他の娘たちも。

 

暫くは百之助は、全員から抱き締められるという体験をした。

 

 

 

 



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37話

翌日、天葉の声が共用スペースに響いていた。

 

「百之助!貴方の事を教えてもらうわよ!拒否権は無いから!」

 

一人で緑茶を飲んでいた百之助は、溜息を尽きながら湯呑を置いた。

 

「ハァ…いつかこうなると思ってたよ…了解…でも、話せることと話せない事があるからな…そこは分かってくれよ?」

 

「分かった。」

 

百之助は、談話室の使用許可とアールブヘイム及び一柳隊全員を招集した。

 

「済まないな…全員集まってもらって…で、俺について話そうと思うのだが…まず俺の家の歴史から学ぶ必要があるな。」

 

「船坂家の?」

 

「そうだ…でだ、船坂といえば、俺以外で誰が出てくる?勿論歴史上での話だ。」

 

皆、それぞれ考え混んで難しい顔をしていた。夢結が直ぐに答えた。

 

「船坂徳永、陸上自衛隊幕僚長。約50年前ヒュージ出現のどさくさに紛れてクーデター…4.11事件を起こした人ね。最終的に自衛隊が国防軍に、皇宮警察から再編され、近衛軍になった事件ね。」

 

「正解だ。じゃあその人のご先祖は?」

 

「流石に誰も分からないわ…」

 

「分かった。…大日本帝国陸軍北支那方面軍司令官、岡村寧次陸軍大将だ。」

 

「は?」

 

「え?」

 

「ウソ…」

 

「苗字違うよね?」

 

と言うように全員が違う反応を見せた。

 

「苗字は、変えざる負えなかったんだ…A級戦犯だったから。」

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

「第二次世界大戦終結時、A級戦犯だったんだよ…だから名前を変えた。」

 

「そんな…」

 

雨嘉は、目を見開いていた。

 

「そして連合国側はこれをを手に入れたかったんだ。」

 

そう言いながら空間収納から一振りの剣を取り出し、机においた。

 

「これは…まさか…」

 

「そうだ天葉…神剣、天羽々斬だ。」

 

それを聞いたメンバーは、絶句した。

 

「それって…古事記に出てくるあの…天羽々斬ですか?」

 

聞いてきたのは、梨璃だ。

 

「そうだ、正真正銘、本物の天羽々斬だ。」

 

「…」

 

全員が息を呑み、そして驚愕した。まさか神話上の、武器が出てくるとは思わなかったからだ。

 

「船坂…いや、岡村家は先祖代々天皇陛下とこの国を敵対する人間や化外から、守護して来た。これからもそうだろう。そして戦って死ぬことはこの上ない名誉だとそう教えられて育ってきた。戦しか知らずそれ以外に生きる道が無かったから…」

 

「それで…死ぬ事が喜びだったのね」

 

「そうだ夢結…そして化外とは、昔のヒュージの呼び名だ。そして、太古の昔から人類の戦いは続いているのさ。」

 

「じゃあ…歴史が間違ってるの?」

 

「そのとうりさ。…そして、化外を生み出したのは神々だ。それに対抗する為にそれに敵対する神々がリリィを生み出した。その中から4人選び出しそれぞれに別の能力を与えた。それが[守護者]だ。俺はその内の一人、吸血鬼、船坂百之助と言う訳さ。…だから死ぬことが出来ない。そういう事さ。これ以上は話せない…」

 

「何よそれ!あんまりだわ!何で百之助に、そんな物を背負わせるのよ!」

 

「トミーもだよ天葉、こいつはその下の、[監視者]だけど。」

 

「二人とも!?」

 

全員が絶句した。伊吹が話を繋ぐ。

 

「元々俺はゲヘナが生み出した人工リリィだけどな?元々ただの人間だったぞ?…それに強化リリィをたくさん殺したしな、俺も百之助も…」

 

これには何も言えなくなった。

 

「とまあそんな感じだ。…まあ俺の吸血鬼としての力は、夢結一人に依存してるからなんとも言えないけど…」

 

「はい?」

 

「吸血鬼は、血を吸う相手が多いほど強くなれるんだよ。だがら、夢結一人で賄っているから夢結の負担が大きいのさ。」

 

「じゃあ私が立候補するわ。」

 

「天葉姉様がするなら私も。」

 

天葉と樟美が立候補したが、百之助は、顔を赤く染めた。

 

「なあ!?!?!?/////」

 

そしてそのまま突っ伏してしまった。

 

「百之助、お前ほんとに言うのは出来るのに言われるのは駄目なんだな…」

 

「うう…しゅみましぇん」

 

呂律も回って居なかった。

 

(駄目だこりゃ…)

 

「百之助の代わりに説明してやる。…天葉と樟美から求婚されたらしい…」

 

「え?」

 

「は?」

 

周りがざわめき出す。構わす伊吹構わす続けた。

 

「吸血鬼の場合、血を吸われると言うことは妻になるという事なんだよ。」

 

「「…////」」

 

 

「ありゃりゃ…」

 

「はわわわわ///」

 

「アラアラ」

 

皆顔が赤くなった。沈黙したが夢結が沈黙を破った。

 

「良いんじゃないかしら?法律は2年前に改定されて重婚可能になったのだし、勿論二人がそれで良いのなら…だけど?」

 

「「考えさせて(下さい)…」

 

と二人は考えることにした。そのまま話は、お流れとなった。

 

 

 



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38話

夏休みが近くなったある日、共用スペースにて百之助は一柳隊の面々に提案をしていた。

 

「夏休み、何処か旅行行こうぜ?皆で!」

 

「いいですわね!」

 

「良いですね!」

 

「心が踊りますね」

 

「行きましょう!」

 

「良いなそれ!」

 

「いいの!」

 

「何処に?」

 

「良いんじゃないか?」

 

「いいと思います。」

 

と、大半がOKであったが。…夢結は、それに異を唱える。

 

「降りるわけ無いでしょう?私達はリリィよ?」

 

「手は打ってあるぜ?これだ。」

 

百之助は、懐から封筒を出し夢結に手渡した。そこには、長期の外出許可と書かれていた。

 

「どうやったのよ…」

 

「理事長代行に交渉したに決まってるだろ?」

 

当たり前じゃ無いかといわんばかりである。

 

「ハァ…何処に行くのよ…」

 

「それは今からに決まってるだろ〜?」

 

そこにアールブヘイムの主将たる天葉が便乗して来た。

 

「私達も便乗していい?」

 

「そんな事もあろうかと…用意したぜ」

 

百之助は、また懐から封筒を出した。

 

「流石百之助!抜け目ないね!」

 

因みに、百之助赤面事件(夢結命名)は、一旦保留したのだ。

 

「で?何処にする?」

 

そこに口を挟んだのは息吹だ。

 

「百之助の実家はどうだ?あそこなら訓練もできるし、風呂は温泉だし、近くの神社でお祭りあるし、良いんじゃないか?」

 

「確かに、生き残ってる姉上達は、ここの卒業生だしな…訓練も出来るな…でもど田舎だぞ俺の家…」

 

「田舎も何も、山一つ所有してるからど田舎なんだろうが。それでもその地域の土地全部所有してそれを貸してて金があるから家もでかいだろうが…俺、最初行ったときプチ要塞だと思ったぞ?」

 

「お褒めいただき光栄だが…何もないぞ?」

 

「オイオイ…お前のお母様も、リリィだろ?昔話してくれるんじゃないの?」

 

「いや…確かにそうだが…皆それでいいか?」

 

皆、頷いた。

 

「決まりね!」

 

「まじかよ…分かったよ…電話すればいいんだろ?」

 

そう言いながら本家に電話した。すると老人の声が聞こえた。

 

『もしもし?』

 

「お久しぶりです葉山さん。」

 

『おお…お久しゅう御座います。百之助坊ちゃま…爺は、今お声が聴けて感激しております。』

 

この人は先祖代々、船坂家に仕える執事だ。

 

「葉山さん。今年の夏休み、帰省しようと思います。ついでに20人ほど来ますがよろしいですか?』

 

『奥様に確認を取るので少々お待ち下さい。』

 

「分かりました」

 

『では、このままお待ち下さい…」

 

頃くして葉山さんが出て来た。

 

『ぜひ連れてくるようにとの事でした。』

 

「分かりました。」

 

『移動はヘリにしますか?それともバスにしますか?』

 

因みにどっちもも所有している。

 

「ちょっと待って下さい…」

 

『はいわかりました』

 

百之助は、全員にどちらにするか聞く。

 

「ヘリとバス…どっちがいい?」

 

「はぇ?」

 

「へ?」

 

「何故その二択なのよ…」

 

葉山さんは聞こえてたようで…

 

『オスプレイもありますよ?』

 

「オスプレイもあるってよ」

 

「いやいやいやおかしいでしょ!」

 

そう言うのは天葉である。

 

「流石に…グランギニョルの総帥の娘である私でもオスプレイは無いのですけれど…」

 

電話を、スピーカーにして聞く。

 

「他のは無いんですか?」

 

『他のですか…二式大艇は如何ですか?それとも戦闘機?はたまた戦闘車両ですか?』

 

「あのー突拍子過ぎてついて行けないんだけど…」

 

と天葉は天を仰いた。

 

百之助は、考えるのを辞めた。

 

「葉山さん。オスプレイでお願いします。」

 

『承りました。では、修了式が終わったあたりに向かいに行きますね?』

 

「はい、お願いします。では」

 

『はい、会える日を楽しみにしています。』

 

そのまま電話を切った。

 

「百之助…お金持ちだったのね…」

 

「そんなことはどうでもよくないか?」

 

「「「「「「「「「「「「「よくない!」」」」」」」」」」」

 

そういう事で決まった。

 

 

 

 



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39話

修了式が終わった後、ヘリポートに旅行準備をして集まっていた。

 

ババババババ…

 

「来たぞ」

 

「本当に、オスプレイで来たのね…」

 

全員見上げて絶句した。何せ軍にしか納品されてないものであるからだ。

 

着陸したあと、操縦席から出てきたのは、70代ぐらいの男性であった。

 

「葉山さん。お久しぶりです。」

 

「大きくなられましたな…さあ皆様方乗ってください。」

 

「はい!」

 

後ろのハッチから全員乗り込んだ。

 

「壁に掛かってるヘッドセットを付けろ!」

 

と、百之助は叫んで指示する。

 

「全員付けたな聞こえたら手を上げてくれ」

 

全員が手を上げたので無線は機能していると判断した。

 

「これが無いと聞こえないからな…」

 

『でしょうね』

 

『あははは…』

 

『にしても、こんな物どうやって…』

 

「それは言えないな」

 

『でしょうね…』

 

『そういえば思い出したんですが…船坂徳永氏って、南極戦役の生き残りでしたよね?』

 

と、二水が聞いてくる。

 

「その通り、そして俺の祖父…船坂景雲もその一人だな。理事長代行もだが。」

 

『やっぱり…』

 

「俺の家の連中はマギが使えなくても何故かヒュージと戦えるから世界中の学者たちが紛糾するんだよな…あ、ついでに言っておくと、俺の曾祖父船坂徳永は、まだ生きてるぞ?何時でも戦えるように体鍛えてるし…文香、何歳だったっけ?」

 

『98歳です。兄上。』

 

『『『『『『『『『『『『『!?』』』』』』』』』』』』』

 

 

「だそうだ…後、家の家で生き残ってる姉上は、一人だけで、百合ヶ丘の卒業生で、レギオンは白襷隊だ。因みに、白襷隊を作ったのは、祖母だったりするんだけどな…祖母は、既に亡くなってるから聞くことはできないな」

 

『白襷隊って、歴史が長いんですね…』

 

二水は、歴史が長いことに驚いていた。

 

『船坂家よりかは短いけどな』

 

「そう言うなよトミー。後な、俺の親父と、天葉の親父、梨璃の親父は防衛大学校同期なんだ。」

 

『そうなんですね…』

 

『自分の父なのに知らなかった…』

 

「因みに、甲州撤退戦を指揮したのは、俺の叔父で船坂寧次中将だ。近衛軍だけどな…まあ本人にノウハウが無いのに良くやったよ叔父上は、ホントは対人戦専門なのにな」

 

『甲州撤退戦…』

 

『激戦だったわね…』

 

『沢山リリィが亡くなった。』

 

『死にかけたしな…』

 

『大変だったな…』

 

『二度とあの規模の作戦が無いことを祈るわ…』

 

と、話が重くなってしまった。そこで天葉は、話を変えた。

 

『甲州撤退戦、から2週間経ったとき、百合ヶ丘中等部は空気が重かったわ、でも…廊下で血まみれの百之助見たときびっくりした。生きてたんだって…そう思った。皆、ライフルの銃口を地面に向けて歩いている百之助を見て固まったわ。教官たちでさえ、声をかけられなかった…夢結が抱きついて…みんな我に返って、急いで病院に搬送した時理事長代行の顔、良く帰ってきたって感じの顔をしてた。』

 

『そんな事もあったわね』

 

「俺、自力で帰ってきたのかよ…」

 

『覚えてないの?』

 

「済まん…最後に、レストアと刺し違えた辺りから覚えてない…」

 

『オイオイ…』

 

 

 

 

 



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40話

他愛もない雑談をして、目的地に付いた。後部ハッチを開けるとそこには3人の少女と青年がいた。

 

「久しぶり!佐奈、由奈、玲奈、裕也!」

 

「「兄上!お帰り!」」

 

最初に挨拶したのは佐奈と由奈だ。この二人は双子でとても良く似ている。はっきり言って見分けがつかない。

 

「おにいさま!おかえり!」

 

この子は末っ子の玲奈だ。

 

「宇都宮要塞以来だね兄上!」

 

「所で、愛奈は?」

 

「後で来るさ!…取り敢えず場所を移そう!」

 

「わかった!」

 

取り敢えずローターの音がうるさいので先に泊まる場所に案内する為に屋敷に入る。

 

「広すぎないかしら…」

 

「夢結、指摘はごもっともだが、ここは要塞を兼ねてるんだよ。」

 

「ええ?…防衛には向いて無いよね…」

 

「昔の話だよ天葉。」

 

「あっそう…」

 

頃くして目的地に付いた。

 

「ここだ。」

 

「広く無い?」

 

「なんの為の襖だ?レギオンごとに区切っても良いし、しなくても良い。

 

「なるほど…」

 

荷物を置いて自己紹介する事とした。

 

「俺は兄上の双子の弟で裕也だ。歳は17、趣味は昼寝だ。」

 

「はいはーい次私ね!佐奈だよ!趣味は剣術だよ!15歳!」

 

「私は由奈…佐奈は双子の姉よ。得意なことは狙撃。歳は姉と一緒」

 

「すえっこのれなです。としは、6さいなのです。とくいなことは、はやうちです。」

 

その時軽快な足音が聞こえてきた。

 

タタタタタタタタタタタタ!

 

襖を開けて入ってきたのは…

 

「父上!お帰り!」

 

と、少女が百之助に飛びついた。

 

「「「「「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」」」」

 

「紹介しよう、この子は愛奈、義理の娘だ。」

 

「はあ!?」

 

流石にこれには全員が絶句した、

 

「色々あってな…ゲヘナ関係だ」

 

約2名ほど顔を顰めた。鶴紗が聞いてくる

 

「…ブーステッドリリィ?」

 

「それならまだマシだな…間違ってはいないが…人工リリィで、現在あるブーステッドスキルすべて持ってるんだよ。…可愛そうな事に…」

 

「なあ!?」

 

「そんな事すれば暴走するぞ!?」

 

「鶴紗…この子は、一応[監視者]なんだよ…だからそれは無い…この子は、4年前にゲヘナを強襲した際に保護した子なんだよ…それで、戦時特例法を適用して俺が親になったってわけ。ついでにハインリヒに頼んで、普通に使えるようにしてもらった。」

 

「じゃあ先輩…その子大丈夫なのか?」

 

「ああ…問題ない。暴走した時始末は、俺が付ける。助けたのは俺だからな。」

 

「分かったよ…百之助様…」

 

「愛奈自己紹介。」

 

「はい父上。船坂愛奈です。歳は…15だったかな?趣味は…無いです。得意な事は、人殺しです。」

 

「言い方…」

 

「だって父上、今まで戦う相手が人だったんだもん。」

 

「そうだった…補足しておくと、この子はリリィと殺し合いをさせられてたんだ。」

 

「…さすがゲヘナ…やる事が汚い」

 

「俺もそう思う…」

 

その後、皆で雑談をしばらく楽しんだ。

 



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41話

「百之助様、ギン様がお見えです。お通ししても宜しいですか?」

 

話してる途中に船坂家使用人の一人である仲居さんが話しかけてきた。

 

「じゃあ俺たちは母上の所に行ってくるから」

 

「わかった。」

 

「「お姉ちゃんたちバイバイ。」」

 

「「なのです。」」

 

百之助と、文香を除く船坂兄弟は退室した。

 

「仲居さん。ギンを入れて。」

 

「分かりました。」

 

するとちょこんと、角の生えた銀髪赤眼の少女が入ってきた。

 

「じゃまするぞ。」

 

と言って輪の中に入ってきた。

 

「百之助、注文の品すべて持ってきたぞ。」

 

「早くないか?」

 

「じゃから突貫で作ったんじゃろうが!…大体貴様は自分の命を何だと思っとるか!!いいか?貴様が折った刀はな、化外相手でも十分戦える代物じゃったんだぞ!?分かっておるのか!このうつけがッ!!」

 

物凄く御立腹である。

 

「すみませんでした…」

 

「ハァ…船坂の者は、血の気が多くて、挙句の果てには自分の命を軽視しよる…だから嫌なのじゃ…」

 

「戦場で散るのはこの上ない喜びだし、俺自身戦う為に戦ってるからね…と、以前の俺なら答えただろうね。」

 

「ほう?」

 

「今は、好きな人の為に生きて帰らねばと思ってるし、その人を守る為に戦うことにしたよ」

 

その言葉に夢結が顔を赤らめ、それを見たギンが獲物を見つけたかのような顔をした。

 

「ほほう!色を知ったか!良きかな良きかな!なら問題あるまい!…大切にせえよ?」

 

「分かってるさ」

 

「さて…本題に入る前にだ、安藤鶴紗とはどの娘かの?」

 

全員が鶴紗を見た。

 

「わたしがそうですが…」

 

「フム…確かに面影があるの…貴様の父上とは、交流があってな、遺品を渡そうかと思ったのじゃ」

 

「ッ!?」

 

ギンは、いうが早いか鶴紗の前に大きいガンケースを置いた。

 

「…これはの、戦死した際に身に着けていた戦道具じゃ…持っていけ。本来貴様が持つべき物じゃからな。」

 

「何故貴方が持ってるんですか?」

 

「聞きたいかの?…百之助…教えてやれ、知っておろうが。」

 

「分かったよ…全員落ち着いて聞いてくれ…[静岡陥落]って知ってるか?」

 

「それと鶴紗になんの関係があるんだよ…」

 

「梅、それはな…静岡陥落の原因を作ったのが、防衛陸軍第一大隊大佐、安藤鶴太だったからだ。」

 

「なぁ!?」

 

「そんな…」

 

「違う!父は…玉砕を謀ったんじゃ無い!撤退しようとした時には…もう…」

 

「時間が無かった。全部調べてるよ。だから知ってる。」

 

「分かった…続けて先輩。」

 

「あの戦には、俺も参加しててな。その時に死体の散乱した。防衛陣地があったので武器弾薬とドッグタグを俺が回収してたのさ。その武器は元々ギンと、その弟子が作ったものだから。ギンが持ってたってわけさ」

 

鶴紗は、ガンケースに目を落とした。

 

「そう…ですか…」

 

「…開けて見るが良い…」

 

言われるがままにガンケースを開ける。そこには64式小銃改、64式銃剣改、軍刀、30発入り弾倉6個、M17とホルスター…そしてドッグタグもはいっていた。

 

鶴紗は、ドッグタグを持ち上げ…

 

「うッ…うわアアアアアアアアアアアアアア!…お父さん…うッうッ…」

 

涙腺が崩壊した。

 

「あのうつけめ…娘を残して征くとは…ふざけるで無いわ…」

 

頃くして鶴紗が泣き止んだ所で本題に入る。

 

「自己紹介がまだじゃったの、儂は酒吞童子の娘でギンと申す。この国の兵の刀は全て儂が作ったものじゃ…貴様らが使うチャームとやらの原型を作ったのは儂じゃ。」

 

「そうなんですか!?」

 

二水もびっくりである

 

「おうよ!…ほれ、百之助お前のじゃ」

 

亜空間から刀を取り出しその中の長い物を百之助に渡した。

 

百之助は袋からだし鞘から抜く。

 

「込めてみい」

 

百之助は、マギを込める。すると刀身の刃先が青く光る

 

「おお…」

 

「試作の低振動術式を組み込んだ刀じゃ…普通の物より肉厚で作っておいたぞ」

 

「有難う!」

 

「おう!いい仕事したぞ!全部合わせて19振り!お望みどうり作ってやったわ!文香は持っとるから別にして…貴様らの刀じゃ受け取れ!」

 

「はい?…まさか…わたし達のため?」

 

天葉を始めとして首を傾げる。

 

「そうだが?チャームが戦場で壊れたときの為に持っとけ。」

 

「いいのかしら?」

 

「おう!」

 

全員が刀を受け取る。

 

「取り回しやすい様に、小太刀にしておいてやったわ!…いや〜いい仕事したの〜」

 

「ありがたいわね」

 

全員がこれには感謝することになろうとはこの時は思わなかった。

 

 

 

 



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42話

「所で百之助、貴様[守護者]になったのだな。」

 

「ああ。」

 

「夜々の後釜だな。と言うか喰ったのであろう?」

 

「いや?託されただけさ」

 

「そうか…」

 

ギンは一瞬、悲しそうな顔を見せたが直ぐに元の顔に戻った。

 

「所で貴方は人間ですか?」

 

そう聞くのは壱だ。

 

「その質問を待っとったぞ?答えは否、人では無いわ。」

 

「では…」

 

「この角で分からんか?鬼じゃ。」

 

そう言うと頭に付いた二本の角を指差す。これには、百之助と文香以外がポカンとしていた。

 

「正確には、人間と化外の中間じゃな。化外の、なり損ないじゃからの。」

 

「鬼ってもっと怖いのかと思った…」

 

「昔は人を食いよったぞ?効率が悪いからやめたらしいの。儂は食うたことないが。」

 

この言葉に全員が一瞬強張った。

 

「その…いつの話ですか?」

 

梨璃が恐る恐るギンに、問うた。

 

「500年前かの?正確には忘れたが、確かそれぐらいだったはずじゃ」

 

「そ、そうですか…」

 

その時、百之助の端末がなった。

 

ぴー

 

「はい、百之助です。」

 

『兄上、手荒いお客さんが来た。』

 

出たのは裕也だった。そのままスピカーにする。

 

『エレンスゲとルドビコの混成部隊、数は30。どうする?』

 

「な…」

 

「何で…」

 

これには全員が動揺する。

 

「天葉、梨璃。ここにゲヘナの強化リリィは居るか?」

 

「…言わなきゃ駄目?」

 

天葉は難色を示し

 

「いないと…」

 

「私だ。」

 

「え!」

 

鶴紗は梨璃の言葉を遮った。

 

「…分かった。」

 

取り敢えずいるのは分かったため指示を飛ばす。

 

「命令は2つだ。1つ目は全員生きて帰ってこい。2つ目は。生きてれば良い、全員生け捕りにしろ。そして、引きずって俺の前に全員連れてこい。…文香、娘を母上に預けて行って来い。」

 

「分かりました。」

 

『きついが分かったよ兄上』

 

「儂も行こう。」

 

「済まないギン。」

 

「構わんぞ」

 

そのままギンと文香は退室した。

 

「仲居さん。そこいる?」

 

「はい。」

 

「ひい爺様連れてきて!大至急!」

 

「分かりました。」

 

その後。6分後に船坂徳永、百之助の曾祖父が来た。勿論自衛隊の野戦服。及び装備でだ。

 

「百之助様。お連れしました。」

 

「お通しして!」

 

「百之助、久しいな…で何用か?」

 

どう見ても、60代で筋肉ムキムキの爺さんにしか見えないが。98歳である。

 

「ネズミが潜り込んだらしいです。」

 

「よほどの死にたがりじゃな…」

 

チャキン

 

そう言いながら89式小銃に弾を込めた。

 

「で?呼んだのはなぜじゃ?」

 

「雑談と護衛。」

 

「なるほど…儂以外で護衛に最適なのはおらんからな。」

 

「自己紹介してあげて。」

 

「相分かった…儂は、元日本国陸上自衛隊幕僚長、船坂徳永である。わかりやすく言えば4.11を起こし、南極戦役をくぐり抜け、数多の戦場で生き残ってきた人間じゃ。」

 

「…御幾つですか…」

 

「98じゃ、まだまだ若いのには負けんぞ。」

 

「…歩く軍神と言われてるぜ。…死にかけた事すらないから。」

 

全員絶句した。何せ生ける伝説である。

 

「この家には道場があるからの。手取り足取り何時でも指導してやろうぞ。戦場で生き抜く術をな?」

 

「末恐ろしいお祖父様ね…」

 

「夢結…同意するが…この人は、リリィですら勝負にならない。文字通り最強だ。」

 

「手合わせしてくれるんですか?」

 

そう聞くのは辰姫だ。

 

「何時でも掛かってきなさい。色々教えて信ぜようぞ。」

 

「凄い…英雄から教えてもらえるなんて…!」

 

二水は、リリィでは無いこの老人を。尊敬の眼差しで見つめている。…案の定鼻血が出ていた。

 

戦闘が終わるまで。昔話を皆で聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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43話

「兄上、相手の現場指揮官持ってきた。…他は独房に放り込んできた。」

 

裕也は担いでいた大きい麻袋を百之助の前に放り投げた。

 

「んッ!?」

 

中から少女と思われる声がした。

 

「流石に乱暴過ぎない?」

 

「こいつ他の連中捕まったら。撹乱し始めたんだよ…」

 

「なるほど…。殺すか。」

 

そう言いながら百之助は、懐から14年式拳銃を取り出しコッキングした。

 

チャキン!

 

「その前に顔を拝んどこう。」

 

そう言って麻袋の紐を解き袋から中身を出した。

 

「ゲヘナの赤いコートを纏ってるけど…下に着てるのは確かにエレンスゲだな…所で首に付いてるのは何だ?」

 

「んーーー!」

 

何か言おうとしてるが布を噛まされているため声にならない。手首と足首にリリィ用の手錠が嵌っていた。

 

「ああ…それ。変なことしたら首が飛ぶ装置だ。」

 

「おいおい…まあいいや…布を外してやれ。」

 

「了解!」

 

「鶴紗、こいつ知ってる?」

 

「いや…知らない。」

 

「そうか…」

 

「で?どうしようか?」

 

「拷問しても良いんだけど…それは最後だな。」

 

「物騒なこと言わないでよ…」

 

天葉は、顔が青ざめていた。

 

「まあ、そう言うな…ほんとに最終手段だから。」

 

「ふう…」

 

「安心してるところ悪いが、こっちは怒り心頭なんでね…答えなければ撃つ。」

 

因みに中々の上玉である。

 

「…分かったわ。でも彼女達を開放してあげて…」

 

「それは却下だ。で?何しに来た。」

 

「…船坂愛奈、安藤鶴紗、富永伊吹、森辰姫、この4名の捕獲よ。」

 

「ほほう…それでこの人数か…残念だったな?ここを襲うなら防衛軍8個師団を持ってこないとここは落ちんし。確保できないぞ?」

 

「でしょうね…でももう遅いわ…ギカント級がここに向かっているもの。」

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!たかがギカント級如きでここが落ちるとでも?…馬鹿だな!」

 

「ギカント級?それなら最初に倒したぞ?」

 

裕也の答えに全員が絶句した。

 

「え?」

 

「あんなん敵ですらないぞ?そもそもうちの連中単騎でギカント級を屠るからな?」

 

「いや…おかしいから…」

 

依奈は、考えるのをやめた。

 

「で?どうしようかなぁ…」

 

「ただで返すのもな…」

 

「いや、何する気よ…」

 

「真霧に投げるか…」

 

「ああ…あの拷問と調教が得意なアイツか…」

 

「調教させよう全員。」

 

「了解。」

 

「ちょっと待…んぐ!?」

 

再び口を封じられ麻袋に放り込み口を閉めた。

 

「じゃあな!」

 

裕也は、そのまま退室した。

 

梅は、静かに怒っていた。

 

「百之助…」

 

「ん?」

 

「見損なったぞ…」

 

「これが普通だよ?ここに侵入した時点で生きて返すつもりは無い。殺しても良かったんだから。それよかマシでしょうよ」

 

「法的機関とは…」

 

「ゲヘナが紛れ込んでるから却下。それにこれで240回目だ。」

 

「まじかよ…」

 

「そういう事さ」

 

百之助は、もうこれ以上来ないでほしいと内心思っていた。

 

 

 

 

 

 



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44話

「あ、真霧?調教ってお願いしたけど、指揮官以外洗脳で。後、指揮官以外はどっかの山のわかりやすいとこに捨てといて。」

 

百之助は、気が変わった為真霧に電話していた。

 

『分かった。任せろ』

 

「済まないね」

 

『構わんよ?』

 

「じゃあな」

 

『おう』

 

そう言って電話を切った。

 

「儂は戻るぞ?」

 

「うん。ありがとう!ひい爺様!」

 

そう言って徳永は、退室した。

 

「さてと…風呂の前に母上に会いに行きますかね。」

 

「情報量が多すぎるんだが…」

 

「それは仕方ない。何せ従兄弟もここに住んでるしな。」

 

これには全員が呆れた。

 

「なん世帯よ…」

 

「知りません。」

 

「自分の家だよな?」

 

「忘れました。」

 

「ええ…」

 

そんな事を話していたら襖をいきなり開けた人物がいた。

 

「母上!?」

 

「何時まで経っても来ないから来てしまったわ。」

 

そう言いながら和服を着た女性が入ってきた。百之助によく似ており、髪と目が黒く妖艶な雰囲気を漂わせていた。

 

そして百之助の隣に座り、百之助を抱きしめた。

 

「!…母上!?」

 

背丈で言えば百之助の方が17センチ殆ど大きい。百之助の母は夢結と、同じ身長である。

 

百之助は、自制するのに必死であった。何故なら母親とはいえ胸がとても大きいからである。

 

「良いじゃない…久しぶりなんだから…」

 

こう言われてしまうと、反論できない百之助である。

 

頃くして百之助を離した女性が自己紹介を始めた。

 

「私は、百之助の母で船坂知恵よ。貴方達の先輩にあたるわ。所属レギオンは白襷隊だったわ。」

 

「あの…もしかして…母の戦友ですか?」

 

そう聞くのは天葉だ。

 

「ええそうよ天音とは。ルームメイトだったわ。他にも。二川瑞希、一柳理那は同じレギオンだったわ。」

 

「私の伯母と、戦友…」

 

二水は何かを思い出そうとしていた。

 

「私のお母さんも…」

 

梨璃は、初めて知ったという顔をした。

 

「因みに私の旧姓は、安藤よ。わかりやすく言うと安藤鶴太の従姉妹に当たるわ。」

 

流石にこれには驚きを隠せない面々である。

 

「あ、あ〜!思い出しました!会津防衛戦の英雄じゃないですか!!」

 

「あら!そんな古い事をよく知っているわね。…甲州撤退戦より多い戦死者数を出した戦で、当時の百合ヶ丘でも7割の戦死者を出したのよ。それで百合ヶ丘の殆どのレギオンが戦闘不能になったわ。…その生き残りももう…二人しか残っていないのだけれど。」

 

知恵は、何処か悲しそうな顔をした。

 

「母上…これをお返しするのを忘れてました…」

 

そう言って鬼切鶴姫を知恵に渡した。

 

「もう2年も経つのね甲州撤退戦から…」

 

「はい…」

 

「…終わったことを悔いても仕方無いじゃない?散った友の思いを胸に…戦うべきよ…」

 

「はい…母上…」

 

「一所懸命を貫きなさい百之助。貴方はそれで良いのよ。」

 

「分かりました母上…」

 

「詳しい話を聞きたいと思うけど、今は風呂に入って来なさい。さっき千夏が入って行ったから。会えると思うわ。」

 

「げ…千夏姉上帰って来てるのかよ…」

 

「良いじゃない。久しぶりに一緒に入ったら?」

 

「母上…俺を窒息死させる気ですか?…まあいいや全員風呂の準備してくれ。」

 

そのまま解散となった。

 

 



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45話

百之助は、先に風呂に入っていた。

 

この風呂はもはや銭湯のそれで有り、ここに湧いているのは本物の温泉だ。

 

「相変わらず広いな…何人入れるんだよ…」

 

そう言いながら風呂場の奥にあるドアを開け更に奥のガラス張りの露天風呂のような場所に出た。

 

「ここも変わらないな…月見えるし…」

 

「やぁ、百之助。久しぶり。」

 

「千夏姉上お久しぶりで…………………何で守護者が3人も居るの…」

 

百之助は、声のする方に振り返って…固まった。百之助によく似た女性の横には、ハインリヒ。ベアトリーチェ。ジャンヌ。がいた。

 

「貴方を含めて4人全員いますよ?」

 

「そうだね~ベアトリーチェ…」

 

「私も居るがな?」

 

「陛下…何故…居るんですか…」

 

「良いではないか。それにここは、落ち着く。」

 

「左様で…」

 

「こっちに来なさい。…百之助。」

 

「分かりました…」

 

百之助は、観念して千夏の横に座った。すると千夏に抱きしめられた。

 

「…姉上…苦しい…」

 

「我慢なさい。」

 

しばらくこのままであったがアールブヘイム及び一柳隊の面々が来た為中断した。一柳隊の面々は守護者3名を見て膠着した。

 

「はじめまして。船坂家長女、船坂千夏だ。よろしく。」

 

「千夏様!?」

 

依奈が目を見開き、驚いていた。

 

「あれ?知り合い?依奈。」

 

「天葉知らないの!?桜島防衛戦で活躍したリリィで、アルトラ級を撃破した立役者よ!?」

 

これには全員が絶句である。

 

「あ〜それ…百之助が大破まで追い込んで私が撃破しただけなんだけどなぁ」

 

と千夏は苦笑していた。

 

「あの時は武御雷。故障してたから大変だったな。」

 

「大変だったね〜一歩間違えたら全員が戦死してたけどね〜」

 

と、船坂姉弟はお茶を飲む老人のようにくつろいでいた。

 

「まあ…当時の白襷隊の面々は…甲州撤退戦で…戦死してしまったけど…そんなのは些細なことさ!戦場で死人が出るのは当たり前!悔いても仕方ないし、終わった事だから、前に突き進むだけさ!数多の戦場(いくさば)で散って逝った先祖や戦友…いや、英霊達の意思を継ぐために!前に進むのさ!!」

 

「貴方の家系は、可笑しいわね…どうしてそう…前向きなのよ」

 

と、天葉は苦言を言う。

 

「そりゃ…うちは戦しかないから。」

 

「そうだ。天皇家の懐刀、最強の将騎、最古の防人、神々の血を持つもの、夷狄を討つ一族の末…それが船坂百之助少将だ。」

 

そう言って風呂場中央の岩陰から陛下が出てきた。それを見た一部が青ざめた。

 

「貴方は?」

 

「この国で一番上に居るものだが?」

 

「………陛下、人が悪いですよ?」

 

「……は?」

 

「へ?」

 

「え?」

 

知らない連中は今なんて言った?という顔をした。

 

「私は今上天皇である…卿らの同級生である百之助は、私の友だ」

 

「「「「「「「「「「「「「ええええええええええええええええええええええええ!?」」」」」」」」」」」」」

 

びっくりである。

 

「百之助!陛下と友だちだったの!?聞いてないよ!!」

 

そう言いながら天葉は百之助の頭を揺らす。

 

「天葉、揺らすのやめろ…小さい頃はよく遊んでたんだよ…」

 

「初めて見たわよ!?天皇陛下!!」

 

「そうであろうな私は基本人前やらに出てこないからな。あ、今日はそんな事は気にしないで気楽にやってくれまえ。」

 

「…そうは言っても…天皇陛下…」

 

と依奈も顔が青ざめていた。と言うかほぼ全員がである。

 

「私で驚いていたらそこの三人はどうなるのだ?」

 

「さあ?」

 

全員が3人の女性を見た。

 

 



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46話

「あ、私達ですか?…どう説明しましょうか…」

 

ハインリヒは頭を抱えた。が、何処か気楽だ。

 

「守護者については俺が説明既にしてるから自己紹介でいいぞ?」

 

百之助は、助け船を出した。

 

「そうですか!それなら楽ですね!」

 

「…いや…待って…守護者なの!?」

 

「はい!守護者です!私の名は錬金術師、ハインリヒ・クンラートです。よろしくお願いしますね」

 

「同じく、オルレアンの乙女、ジャンヌ・ダルクです。よろしく。」

 

「同じく魔女、ベアトリーチェ・ポルティナーリよ。宜しくね、子猫ちゃんたち?」

 

「………歴史上の人物…よね?名前継いでるだけよね?」

 

「依奈、残念ながら…本人だよ。」

 

アールブヘイム全員が絶句した。

 

「あの…歴史だと…全員が死んでるんですが…」

 

「樟美、彼女達の体は新規設計で神々が作った体に魂を入れてあるから。間違ってないよ。」

 

「いやいやいやいや…」

 

「落ち着け…壱、そこらへんは納得するしかないんだよ。」

 

「でも!」

 

「守護者に理屈は通じません。分かった?」

 

「分かりました…」

 

強く言うと壱は、引き下がった。するとギンが、入って来た。前を隠さずに。

 

「よう!さっきぶりじゃの!守護者揃い踏みではないか!」

 

「それは良いから!前を隠せ!」

 

「儂は気にせんが?」

 

「こっちが気にするんだよ!!」

 

「ほう!まあ良かろう」

 

ギンは、前を隠し風呂に使った。

 

「言っておくが儂は監視者じゃからの。守護者連中と同類じゃ、覚えておくが良いぞ!」

 

全員が想定していたためこれには驚く者は居なかった。

 

「反応が薄いの…」

 

「いや、分かるだろ…」

 

「そうか…」

 

見るからにシュンと、していた。

 

「でもさ…凄いよな…チャームの元を作ったのギンじゃん?」

 

「昔からあった技術じゃが?」

 

「ギン以外で当時、知ってた奴いたか?ギンがいなかったら失われてたぞその技術。」

 

「そうじゃな。」

 

「その点はありがたいと思ってるよ?そのおかげで…戦える力があるんだから。」

 

「そうかえ…まあワシも…そろそろ刀鍛冶、辞めようと思っとるよ…もう、潮時じゃて。」

 

「それは困る…俺の刀はギンの作った物だから、これからも作って欲しいんだけど…」

 

「安心せい、完全に辞めるわけではない…来月から百合ヶ丘に赴任するからの。儂だけじゃなく、美保野と、千夏も一緒じゃ。」

 

「は?もっさんと千夏姉上と一緒に百合ヶ丘に来るの?」

 

「指導教官としてな?」

 

 

これには全員絶句である。

 

「百由様喜ぶの…これは…」

 

グロビウスは、真っ先に百由が思い浮かんだようだ。

 

このあと頃くして全員風呂から上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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47話

皆が泊まる部屋で晩ごはんを食べた後皆で花札やらゲームやらで遊んでいた所で柱を叩く音が聞こえた。

 

コンコン。

 

「はい?」

 

「朽井だ。入っても良いか?」

 

「いいか?」

 

皆構わないと言わんばかりに頷いた為。入れることにした。

 

「どうぞ。」

 

「失礼。」

 

そう言って入って来た人物は鎌倉時代の武士の格好をした人物だ。はっきり言うと場違いな人物である。

 

「ご先祖様…どうされたので?」

 

「面を拝みに来ただけである。…立派になったな…まるで武士(もののふ)の様な面構えだ。」

 

「武士(ぶし)としての心得は教わっておりませんが…」

 

「ぬかせ、拙者がそう言うのだ。主は立派な武士である。異論は認めぬ。」

 

「左様で。」

 

そこで宙弥が皆の代わりに聞く。

 

「あの…何方ですか?」

 

「拙者か?百之助の先祖で朽井迅三朗光景と申す。以後見知り置かれたい。」

 

それに百之助が補足した。

 

「補足しておくと、元寇襲来の時の人で元鎌倉御家人、参加した主な戦いは、蒙古進行、日清日露戦争、支那事変、大東亜戦争、日中戦争、南極戦役、そして…台湾奪還戦。」

 

全員が驚愕した。何せ、参加した戦いがほぼ国の命運がかかっているものだからだ。

 

ここで、日中戦争と、台湾奪還戦について説明しておく。

 

日中戦争とは、日本が富国強兵をひたすら行った為に脅威に感じた中国が宣戦布告、40年前に沖縄に進行した。それに伴い米軍及び防衛軍、が迎え撃ちこれを撃破、陸海空全てに置いて中国軍が全滅。中国軍の3分の1を失った。この際陸軍を指揮していたのが迅三朗であった。

 

次に台湾奪還戦であるが、これはヒュージによって壊滅させられた台湾を奪還するために世界各国が共同で作戦を展開した物の敗北を喫した戦いだ、この戦いでは船坂家の3分の2が戦死した。

余談ではあるが百之助は、当時6歳で参加していた。

 

「一応、拙者は、防衛陸軍予備役大将である。」

 

流石に全員が言葉を失うレベルであった。

 

「俺も参加したぜ?台湾奪還戦。…6歳だったがな。」

 

更に追い打ちをかけた。

 

「まあでも、蒙古よりマシであったな…」

 

「比べるもんがおかしい…」

 

「そうか?…まあ総指揮官が馬鹿過ぎたのが問題だったのだが…それで負け戦になったようなものだ。」

 

「まじかよ…」

 

「状況把握がまるでなっていなかったからな。まるで初めて戦を経験した様な指揮官であった。仕方がないから拙者が前線の指揮をしてやったわ…とんだ貧乏くじであったが。」

 

「そのおかげで日本が一番戦死者が少なかったけどな。」

 

「違いない。」

 

 



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48話

色々雑談やら迅三朗の戦話やらを聞いていたら11時になったためそのまま寝ることにし、男連中は退散した。

 

「百之助、己の為に戦をせよ。けして、誰かの為に戦をしてはならぬ。…我らは、戦をするしか道が無いのだから。」

 

「それは、愛する者を守る為でもですか?」

 

「そうでは無い、誰かの代わりに戦をするなと言いたいのだ。…主は、背負い過ぎておるからな。…我らの一族のことは我らが背負う物、主だけ背負う必要は無い。…他の者であれば、他の家の者達が背負う物だ。それを背負う必要は無い。」

 

歴戦の戦士の言葉はとても…重かった。

 

「心得ました。ご先祖様。」

 

「主には必要は無いやも知れぬが…我らは死ねぬ。この世から化外共が居なくなるその時まで。一所懸命を貫け。」

 

「分かっております。我ら監視者、及び守護者は…いや、運命の囚人は、戦をするしか無いのだと。」

 

「分かっておるなら、それで良い。では、また明日な。」

 

「はい、明日からよろしくお願いします。」

 

「うむ。」

 

そう言って百之助と迅三朗は、それぞれの部屋に戻った。

 

 

 

百之助の部屋は洋室と和室を混ぜた様な部屋である。10畳程の部屋で入って右側にガンラックがあり。18丁殆どのライフルがずらりとならんでおりその隣にはタンスがある。一番奥の右側にベッド、左側に机。その左にはガラス張りの棚があり、その中には、拳銃用のガンラックがあり棚に拳銃が、ずらりと並んでいる。そして、ベッドと机の間には刀掛けが置いてある。

 

百之助は、ガンラックに自身のライフルと、拳銃を置き刀掛けには軍刀と、天羽々斬を置いた。そして机に向かいパソコンを起動、溜まっていた仕事を開始した。本来は年齢を鑑み、部下にしてもらうのだが、百之助自身勉強の為にいくつか回してもらっているのだ。約一時間ほどでそれをこなし、時間を見たら午前零時30分であった。

 

「緑茶飲んで寝るか…」

 

そう言いながら拳銃用のガンラックの下の棚から湯呑と急須を取り出し、机の上にあるポットと茶缶を使い急須に茶葉とお湯を入れ、お茶を作る。しばらくしてから湯呑に注いだ。

 

吹き冷ましながら飲む。

 

「あー落ち着く。」

 

するとドアがノックされた。

 

「どうぞ…」

 

「百之助様…」

 

入って来たのは樟美だ。

 

「樟美!?…こんな時間に男の部屋に来るとは…イケナイ娘だな?」

 

そう言いながら樟美を左手で抱き寄せ、右手で顎を持ち上げた。

 

「襲われても文句言えないぞ?」

 

要は早く帰れと言う事であるが、樟美はそのままの意味で受け取った。

 

「不束者ですが…よろしくお願いします////」

 

と、顔を赤らめながら行った。

 

「そう言う言葉は軽々しく使う物では無いぞ…」

 

まさかの予想外の言葉が返って来て困惑気味である。

 

「はい…」

 

樟美は、シュンとなった。

 

「で?何しに来た?」

 

「実は…朽井様の話を聞いたら…眠れなくなってしまいましたのでここに来ました。」

 

「確かに…あれは刺激が強すぎるな…」

 

「一緒に寝ても良いですか?」

 

と、瞳を潤ませながら訴えてきた。本来は追い返すのだが事が事なので了承することにした。

 

「…分かった…今日だけだぞ…」

 

「有難うございます!」

 

見るからに明るくなった。

 

「百之助様、そこの拳銃…見ても良いですか?」

 

「構わないぞ?気に入ったものがあれは取ってやるが。」

 

「お願いします。」

 

そう言って、樟美はしばらく見ていたが左隅に4丁並んだ同じ銃の中の一番端の銃を指差した。

 

「これがいいです。」

 

「どれ…M712シュネルフォイヤー8インチか…これまた面白いの選んだな」

 

そう言いながら取り出して樟美に手渡す。樟美は、まじまじと見たあと困った顔をした。

 

「使い方わかりません…」

 

「後ろにある長いのがハンマー、その横が安全装置。左側面に付いてるのはセミフル切り替えボタン今の配置がセミオート、つまり引金を一回引いたら一発発射される。右側のボタンはマガジンリリースレバー、押せば落下する。最後にスライドだがこの取っ手を後ろに引いたら装填される。」

 

と、手取り足取り指導した。

 

「有難うございます…これ借りても良いですか?」

 

「構わんぞ?何なら撃ち方教えてやるが?」

 

「有難うございます!」

 

滅茶苦茶嬉しそうだ。

 

(天葉曰く余りそう言うの好きじゃ無いと聞いてたんだが…どう言うことだ?)

 

この時百之助は、樟美が百之助に対してどんな感情を抱いているのか知る由もなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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49話

男の最大の敵は女である。何故なら男は女に弱いからである。

ー 船坂百之助近衛軍大将 ー

後にテレビにて【ヒュージと人間による長年の戦争は、なぜ終わらないのか?】と言う番組でのヒュージ以上の天敵はと言う質問に対する答えである。


「百之助様…」

 

「どうした?樟美。」

 

二人は同じベッドに入り、樟美に背を向けて寝ていた百之助に声を掛けた。

 

「怖くて…なので…抱き締めて下さいませんか?」

 

「…分かった。」

 

百之助は、樟美を抱き寄せ落ちたら困るので180度反転し、壁側に樟美を持って行った。そして右手で頭を撫でた。

 

「有難うございます////」

 

「椿の香りがするな樟美は…」

 

「///」

 

ちなみにだが百之助は、暗闇でも目が見えるので表情が丸わかりである。

 

「百之助様…あの…その…///」

 

「ん?」

 

「…好きです…///」

 

「そうか…分かった。こんな男で良ければ…君を愛そう。」

 

「私はイケナイ娘です。躾けて百之助様の物にしてください///」

 

「血を貰おうか。」

 

「はい///」

 

百之助は樟美の着ていた浴衣ヲははだけさせて首筋に歯を突き立てる。

 

「あっ///ひゃん///」

 

部屋に矯声が響いた。

 

「ごちそうさま」

 

「お粗末さまでした///」

 

まだ樟美の顔は赤い。

 

樟美の上に馬乗りになり、左手で樟美の右手首を掴み右手で顎を持ち上げる。すると少し怯えた表情を見せた。

 

「安心しろ…今から襲う訳じゃ無い。」

 

と言うとこくんと頷いた。顔を近づけ唇を重ねる

 

「!?」

 

最初は強張ったがすぐに脱力した。更に舌を差し入れ樟美の口を蹂躪する。

 

「んっ///」

 

最初こそ戸惑っていたものの直ぐに舌を絡ませてきた。頃くして唇を離すと惚けた表情を見せた。

 

「その表情良いな。」

 

「はぅ///」

 

桜色の唇がとても色っぽく見えた。

 

「もっと〜」

 

と。せがんで来た。

 

「イケナイ娘に、オシオキをもしなくてはね。」

 

言葉に魂を乗せる。

 

「脱げ」

 

「や…あっ///ひゃんあっあっあん///なにこれぇ///」

 

「身を持って理解した様だな。」

 

そう言いながら樟美を脱がせる。首には紋様が浮かんでいた。

 

「これはな反逆防止のために付いてるのさ。…体が切ないだろ?」

 

「ゆるひてくだひゃい///」

 

「だーめ、オシオキにならないでしょう?」

 

そう言いながら抱き上げ、背筋に指を這わせる。

 

「ひゃん!?あっ///らめえ!イっちゃうの〜///」

 

流石に気の毒になって来たため解除する。

 

「はぁ…はぁ…いじわりゅ…しないで…」

 

「次はもっと凄いことしようかな。」

 

「や…やぁ///」

 

「大丈夫だよ。それは結婚してからだよ?キスしてあげるから。機嫌直して?」

 

「はあぃ///」

 

今度は横になり樟美を抱き寄せ唇を合せる。直ぐに脱力して嬉しそうにしていた。

 

頃くして唇を離し。樟美に浴衣を着せ抱き締めて樟美が寝るまで頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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50話

天葉に、樟美と寝ていたのを見られた時、命は無いと覚悟した。

ー 船坂百之助近衛軍大将 ー

自身の著書に置ける回想にて。


朝百之助は、自分の体がいつもより重い事に気付いた。

 

見れば上に樟美が乗っかっていた。

 

「可愛い…」

 

そう言いながら樟美の頬を撫で、自身の左側にそっと寝かせた。

 

「ちと弄び過ぎたな…後で謝ろう。」

 

そう言いながら頭を撫でる。

 

暫くするとノックされたので慌てて樟美を布団の中に隠す。

 

「どうした?」

 

すると天葉が血相を変えて入って来た。

 

「百之助!樟美知らない!?」

 

(あっこれは…詰んだな)

 

一緒に寝たと言えない百之助である。

 

「さぁ?風呂は?探したか?」

 

「見てない…」

 

「風呂入ってる可能性は…」

 

その時布団から出てきた樟美が寝ぼけながら百之助にキスをした。

 

「百之助?後でお話があります。…いいわね?」

 

静かに怒っていらっしゃる。これは私刑確定である。

 

「あっはい…」

 

そう言うと直ぐに天葉は、出ていった。

 

「百之助様?頭撫でて?」

 

言われるがままに頭を撫でる。

 

「///」

 

呑気なものである。

 

その後二人は別れて着替えた。

 

そのまま重い足取りで皆のが泊まってる部屋についた。

 

「失礼します…」

 

アールブヘイムの面々は顔が笑顔だが目が笑っていなかった。樟美を除き。

 

対象的なのが夢結である。

 

一柳隊の方は困惑気味である。何があったのかさっぱりのようだ。

 

「百之助?何故樟美と寝てたのかしら?」

 

天葉の言葉に全員が状況を把握した。百之助を見る目が剣呑な物に変わっていく。

 

「弁解は、聞くわよ?」

 

(もはやこれまでか…)

 

「見苦しいからしないよ…煮るなり焼くなり好きにしてくれ…」

 

「あっそう…まあ、ヤッて無いみたいだから何もしないけど…」

 

天葉は、樟美から直接聞いていたため事情を把握していた。その言葉を聞いて空気が和やかになった。しかしそこに伊吹が爆弾を投下した。

 

「血を吸ったようだが?」

 

再び、怒る天葉。

 

「樟美?どう言うこと?」

 

「…そのままの意味です。天葉姉様、私は百之助様の子供を産み育てたいのです。」

 

「…本気なのね?」

 

「はい。」

 

「分かったわ」

 

「ちょっと天葉!」

 

抗議をしたのは依奈だった。

 

「本人がそう言うのだから良いじゃない?」

 

「それは…そうだけど…」

 

「百之助もその気だから血を吸ったんだろうし。」

 

天葉は、百之助を見る

 

「全くもってその通りだが…お前の返事も待ってるんだが?」

 

「それは…もう少し待って…」

 

「了解した。言っておくが、俺は天葉の事好きだからな?」

 

「それって…どう言う…」

 

明らかに狼狽している。

 

「そのままの意味だが?逆に他の意味があるか?」

 

「そう…ね」

 

天葉は、顔が赤くなっていた。

 

全員が落ち着いたあと朝ごはんを食べ道場に向かった。

 

 

 

 

 

 



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51話

私は百之助が泣いた所を見たことがなかった。…まさかそこまで心が壊れていたとは当時は思いもよらなかった。

ー 百合ヶ丘女学院教官船坂天葉 ー

リリィ特集番組にて。


道場にて、船坂徳永と朽井迅三朗による訓練の後、百之助と伊吹は、行く所があるからと直ぐに出ていった。

 

その後、直ぐに迅三朗と徳永が全員集めると、迅三朗が切り出す。

 

「今日は、百之助…いや我ら一族にとって大切な日なのだ。」

 

「何でですか?」

 

梨璃が純粋な目で迅三朗を見た。

 

「…台湾奪還戦…前線が突破され…数多の命が散って逝った日だ。」

 

これには全員が絶句した。更に追討ちをかける。

 

「この戦いで船坂一門の約2/3が戦死した。」

 

「そんな…」

 

全員の顔は暗い。

 

「百之助は自身の戦友、姉達を介錯して回ったのだ。もう助からぬ…そう判断して。」

 

「…………………」

 

誰も答えることが出来なかった。そんな事をした事も体験した事も無いからだ。(文香を除く)

 

「数にして843回…介錯した。そして…心が壊れた。表情が無くなったのだ。」

 

一拍置いた。

 

「今は、鎌倉時代では無い。なのに人を、たくさん殺した。それが引き金かどうか分からぬが目が死んでいた。…拙者にはどうすることも出来なかった…」

 

生生し過ぎて顔が青くなっている娘も居た。それでも続ける。

 

「それから色々あって…このままではいかんと思い…元部下が運営していた百合ヶ丘女学院に無理を言って放り込んだ。」

 

「それで…初等部3年生の時編入されたんですか。」

 

依奈が納得がいったと…そういう顔をした。

 

「うむ…あのままでは相当不味かったのでな…そのおかげか知らぬが笑うようになった。御礼申し上げたい。有難う。」

 

迅三朗と、徳永が頭を下げた。

 

「やっと…納得した…あんなに突撃する理由が…」

 

天葉は、続ける。

 

「私達を死なせない為ね…戦友や、姉達を失ったように…私達を失いたくなかったから…馬鹿ね…それなのにずっと反発して…受け入れないで…否定してたんだ…私」

 

天葉は、静かに泣いていた。

 

「天葉…」

 

「天葉様…」

 

「天葉姉様…」

 

アールブヘイムの面々はこの前の一件を見ていたので。天葉を心配していた。

 

頃く沈黙していたがそれを夢結が破った。

 

「所詮、私達は民間人。彼は軍人だから…死なせたくなかったのかもしれないわね…でも…彼は私達を戦友と言ったわ。その時点で背中を預けられるとは判断していたと思うわよ?」

 

その答えには初等部より一緒にいた依奈が肯定する。

 

「百之助は、私達を貴方方と、初等部の頃は言ってたわよ?絶対戦友とは言わなかった。だから少なくとも肩を並べるに値すると判断したのではないかしら?」

 

そこに文香が、追討ちをかける

 

「そもそも兄上は、女性が戦場に立つこと自体嫌がってましたから劇的な進歩かと。」

 

「そうかしら…」

 

そんな話をした後、夜風呂場にて全員から抱きしめられた百之助である。

 

 

 

 



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52話

船坂家とは恋と戦によって成り立っている一族である。しかし舩坂の男達は揃いも揃って鈍感であり、自身が恋をした事を自覚するのに時間がかかり気付いたときには遅かったりする。

しかし、百之助の場合。あの三人の娘はそれを理解し自ら己を差し出したのだ。

ー 元鎌倉御家人 現近衛軍第一突撃騎兵連隊長朽井迅三郎光景大佐 ー

自身の日記にて。(後に出版)


「何しに来たし…」

 

「「「夜這い?」」」

 

百之助は夢結、天葉、樟美の答えに頭を抱えた。

 

因みに今は23時で、更に百之助の部屋である。

 

「勘弁してくれ…」

 

「それよりも樟美に拳銃渡したでしょう?私のは無いの?」

 

夢結は、何故か御立腹の様だ。

 

「それならここから選んでくれ…」

 

そう言いながら棚の鍵を外して開けた。

 

「私も良い?」

 

「良いけどさ…良いのか?人殺しの武器なんか…」

 

「良いの良いの!だってそれ言ったらチャームだって人殺せるし!」

 

そう言いながら二人は拳銃を選ぶ。

 

頃くして二丁の銃が選び出された。

 

「天葉は、デザートイーグル50AE6インチ。夢結は、MK23。夢結は良いとして天葉…なぜそれ選んだ。」

 

「え?銃口が大きいから?」

 

「体壊すからやめとけ…他のにしてくれ…」

 

「分かった。」

 

次に選んだのはグロック21改である。

 

この銃は原型であるグロック17を9ミリから45ACPにしたものである。それを更に銃身を8インチまで伸ばし。スライドやら本体やらをそれに準じたものにしたものだ。

 

「ライト付ける?」

 

「付ける」

 

それにライトを装着した。天葉に手渡す。

 

「明日射撃場に行こう。道場の訓練の後に4人で。」

 

「どうせなら皆で行こうよ?持たせた方がいいでしよ?」

 

「それもそうだな」

 

そういうことで決まった。

 

「樟美が選んだのってどれ?」

 

それに百之助が机の中から出す。因みに渡しては無かったのだ。

 

「これ。」

 

「なんか古臭いね?」

 

「そうだろうな…原型が第一次世界大戦時のだしな」

 

「へ〜」

 

「さてと…寝るかね…」

 

そのまま百之助は布団に入る。すると左側に夢結。上に樟美右側に天葉が入ってきた。

 

「正気か?…まあいいや…で?天葉、そういう事で良いんだな?」

 

「うん」

 

「分かった…」

 

夢結と天葉と樟美を抱きしめた。結構ぎりぎりである。

 

「そういえば天葉の血は吸わなくて良いのかしら?」

 

「朝でよくね?」

 

「そう…でもほかの子たちが来たら詰むわよ?」

 

百之助は、少し考えそうする事とした。

 

「それもそうか」

 

言うやいなや樟美と位置を反転させた。

 

「きゃ!」

 

「天葉だけだとあれだから三人とも吸う」

 

そう言いながら天葉の首筋に歯を突き立てた。

 

「あ…」

 

口の中に鉄の味が充満する。十分に吸ったあと今度は樟美の血を吸う。

 

「ん…」

 

次は夢結だ。

 

「あ…う」

 

「ごちそうさま」

 

「「「うふふふ」」」

 

「な…何だよ…」

 

天葉が代弁する。

 

「いや、優しいなと思って。」

 

「何処がだ?」

 

「公平にする為にわざわざ三人の血を吸ったでしょう?」

 

「そうだな…」

 

「認めるんだ?」

 

「図星だからな。」

 

「そっか」

 

そのまま4人で寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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53話

全員に拳銃を持たせる。これは生存率を上げる為よ。決して人と戦う為では無いわ。

ー 百合ヶ丘女学院教官船坂夢結 ー               

クラスメイトに対して言った言葉。後にドラマ化 (これに関しては夢結が台本を作る際に協力していた。)


一同は、射撃場に来ていた。

 

この射撃場は。本家から20メートル離れた場所に入り口があり、そこから階段か、エレベーターで地下に向かう。(何メートルだったかは不明)

 

「もっさん!いる!?」

 

「だれがもっさんや!山本さんと呼べ言うとうやろが!!」

 

そう言いながら繋ぎを着た女性が出てきた。

 

「良いじゃん別に…昔からそう言ってたんだから…」

 

「ええ加減にせんか!言うていいのはあんたの母だけや!…まあええわ…何の用や?」

 

百之助はガンケースを渡す。

 

「ブローニングのおっさんが作った奴なんだけど整備できる?」

 

山本と呼ばれた女性がガンケースを開け、手に取る。

 

「これはこれは…兄弟子なら奥にいるから整備でけるで?」

 

「ブローニングのおっさん帰って来てんの?」

 

「せや。昨日帰って来たで?」

 

「まじか…」

 

「所で百之助…後の連中は誰や?」

 

百之助の後ろの人集りを見て聞いてくる。

 

「…拳銃選んでやって欲しいんだよ。」

 

「と言う事は…ウチの後輩か。」

 

「そう言う事。」

 

「それは…自己紹介せな。ウチは百合ヶ丘出身で山本美保野言うもんや!よろしゅうな!」

 

「因みにギンの弟子だよ。」

 

「なるほど…」

 

と皆さん納得のご様子である。

 

「拳銃とホルスター、それとマグポーチやな…付いてきいや!」

 

全員が美保野に付いていく。

 

奥の倉庫に来た。

 

「ここには色んな国の色んな拳銃があるで!好きなの選びいや!」

 

20分後全員が決まったようである。(夢結、天葉、樟美及び既に持っている面子は除く。)

 

レギオンで揃えたようでアールブヘイムがM17、一柳隊はUSPである。どちらも45口径だ。

 

「なんや…早いな…じゃあこれやな」

 

と言いながら腰にベルトを付けていく。それにはマグポーチやらホルスターやらが右側にほぼ全て集中しており左側に刀を差すためのホルダーが付いている。

 

美保野は同じものを装着しホルダーに刀を差す。

 

「これ位置ずらすと、刀の鞘のほうが上向きになって格納されんねん。」

 

刀の鯉口を持ち後ろにずらすと、鞘が上向きになった。

 

「抜くときは反対な。」

 

また鯉口を持ち手前にスライドさせると元の位置に戻った。

 

「すご…」

 

「画期的過ぎてびっくり…」

 

と、全員がびっくりである。

 

大きい箱を美保野は取りだした。

 

「マグポーチと銃本体からマガジンを抜いてこの箱から弾入れえや」

 

全員弾を入れる。

 

「射撃場に行くで…その前に説明しましょか。レンジでは絶対に撃つまで弾を入れてはならんで?例外もあるけど基本的には入れるなや?後耳が聞こえんくなるからヘッドセットつけえや。ええか?」

 

全員が頷いた。

 

「ほな行こか!」

 

射撃場に向かった。

 

 



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54話

最初私の夫である船坂百之助大将から渡されたこの銃を手にした時、とても怖かった。でも初めて船坂百之助大将の射撃を見たときまるで映画のワンシーンの様にカッコ良かった。それがこの銃を持つ理由よ。

ー 百合ヶ丘女学院教官船坂樟美 ー

生徒から拳銃について聞かれた時の答え。


「まだヘッドセットはつけなくてええで!使い方の説明せなあかんから!」

 

全員集めて説明する。

 

「M17からいくで!M17は、マガジンを入れてスライドを引けばオッケーや!スライド後部にあるのがセーフティや!上げればロックがかかるその手前がスライドストップや!下にあるのがマガジンキャッチで押せば自重で落下する!」

 

カシャン!チャキン!カシャン!カンカン!

 

「USPもほぼ一緒や!ただセーフティを下に下げるとデコックされるでセーフティでは無いから気い付けや!マガジンキャッチは、押すんやない下げるんや覚えときや!百之助!射撃姿勢見せたって!」

 

「了解。」

 

百之助は、MP17からスライドを外しM17にスライドを取り付ける。

 

「え?その部品共通だったの!?」

 

「マガジンもだぜ天葉!」

 

そう言いながら弾を装填する。

 

「構え方は簡単だ!右手を真っ直ぐにして左手を添える。以上!ヘッドセットを付けて!」

 

 

全員がつけたのを確認する。

 

「撃つぞ!」

 

「OK!」

 

パン!パン!

 

2発発砲。その後マガジンを。外しスライドを引き弾を除き引金を引いて撃鉄を落とす。

 

「以上だ!」

 

「弾は、無くなったらうちに言いや!出したるさかい。」

 

全員が頷いた。

 

「トミーここ任せてええか?」

 

「いいけど?」

 

「ほな頼むで…百之助!ちょっときい!」

 

「何さ?」

 

「ええから!」

 

そのまま美保野に付いていく。工房の奥に1つのチャームがあった。それはまるで38式の様な形をしており銃剣が銃身の下に装備されていた。スリングは横に付いている。

 

「今度軍に納品する試作機や。感想聞きたいんやけどええか?」

 

「良いけど…知ってるよな?」

 

「知っとるわ!」

 

「分かったよ。」

 

「ほな登録済ませえや!」

 

「あいよ!」

百之助は、自分の腕を切り血をチャームに流し、マギも流す。すると起動した。

 

「射撃モードとランスモードがあるんや。ランスモードでも撃てるけどな!」

 

ランスモードにすると銃剣がスライドして展開される。

 

「外見が38式に似てるな…」

 

「格闘しやすいようにしてるんや」

 

「なるほど」

 

「撃つ必要は無いで!それはこちらでやるから!」

 

「了解。」

 

そうしてチャームを元の場所に戻す。

 

「これなら俺でも使えるな。」

 

「せやろ!でもまだ先なんや…色々問題もあってな…軍の要求がアホか言いたくなるんや…何せ空挺用、狙撃仕様、歩兵仕様、軽機関銃仕様、挙句の果てには騎兵仕様…泣きたなるわ…」

 

「一新する気満々じゃねえか…で?何処の軍だ?」

 

「近衛軍や…何でも新しい部隊を新設するとかで…」

 

「それ言っていいのか?」

 

「良く無かったらあれ見せへんわ。」

 

「そっか…」

 

その後夜になるまでずっと訓練した。

 

 

 

 

 

 



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55話

百之助様のお母様?お金を沢山持っていて色んなチャームメーカーに投資なさってる御方ですわ。私のグランギニョル社も資金援助を受けてチャームを開発していますの。感謝しても仕切れませんわ。

ー グランギニョル社総帥 楓・J・ヌーベル ー


数週間が過ぎ、今日の夜夏祭りがある為女性陣は、知恵と文香が着付けを手伝っていた。

 

「百之助!良いわよ!」

 

「了解!」

 

そう言って百之助、裕也、伊吹は、入室した。因みに裕也とは射撃訓練やらで全員が仲良くなったのである。

 

「「「…!?」」」

 

三人とも声を失った。予想を超えていたからだ。

 

「感想はないの?」

 

と天葉は、少々怒り気味だ。

 

「すまん…予想を超えて綺麗だったから…」

 

「「同じく」」

 

その言葉に女性陣は顔が赤くなった。

 

百之助は、話を逸す、事にした。

 

「所で母上、幾らかかりましたか?」

 

「なんの事かしら?」

 

と、とぼけるように言う。

 

「母上の手持ちにここまで綺麗なのは、無かったでしょう?正確に言うと新品ですね?」

 

子供のいたずらがバレた様に言う。

 

「だって…素材が良いんですもの…それに似合った物にするのは当然でしょう?」

 

「だからといって千總の着物ってどうなんです?値段張ったでしょう?」

 

「ノーコメント」

 

「はぁ…で?それどうするんですか?」

 

「勿論プレゼントするわ。」

 

全員がえ?と言う顔をした。

 

「家にあっても困るもの…あげるわよ?」

 

「そんな事だろうと思いましたよ」

 

そこに伊吹が補足する。

 

「君達が着てるその着物はブランド物で、ガチの伝統工芸品だ。それをくれてやるってさ。」

 

「うそ…」

 

「はい?」

 

「まじか…」

 

「で?総額いくらよ?」

 

「中古のランボルギーニが買えるかもしれないわね?」

 

「やっぱり…」

 

全員が真っ青になった。

 

「お…お金…」

 

「ああ…気にしなくていいわよ?私のポケットマネーですから。それに使わないと貯まるばかりで勿体ないから。」

 

「言われてみればそうだな…普通に巡洋艦が買えるレベルだったはず。」

 

「それは古いわよ?今は原子力空母2隻買えるわ。」

 

「いやたまりすぎだろ…」

 

「因みにそれでも半分しかないわよ?半分国債に使ったから。」

 

「まさかの国に投資しやがった。」

 

「寄付と言ったほうがいいかしら?」

 

「やる事がおかしい」

 

「大丈夫大丈夫!色んなチャームメーカーに投資したりガーデンに投資したりしてるから結構ホクホクなのよ?この前は競馬場作ったわよ?」

 

全員絶句である。

 

「そもそも貴方達チャームの開発資金何処から来てるのか知ってるかしら?」

 

「いや、知らんし。」

 

「私のお金よ?」

 

「まじか…」

 

「だって…私の時、チャームが貧弱で沢山失ったんだもの…今は当時の物でもマギクリスタルが改良されて出力が強化されているから格段に戦死する確率が減っているもの。」

 

全員がなんとも言えない雰囲気になった。

 

 



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56話

百之助は、妻の事になると全力でやる。

ー 近衛軍第9近衛師団長 冨永伊吹 ー

インタビューにて


百之助達は、夏祭りに来ていた。しかし、割り振りが…

 

「何故夢結、樟美、天葉だけなんだ…」

 

「気を使われたわね…」

 

「ですね…」

 

「だね…」

 

と、四人で回っていた。

 

「トミーは、トミーで神龍と、嘉雨なんだよな…」

 

「あっちは、あっちでそういう事だからね?」

 

「良い意味で想定外だ」

 

「それはそうと何故軍服?」

 

「この夏祭りの主催は、護國神社だ。慰霊の意味も兼ねてるのさ。だからだよ。…まあ、周りの牽制も兼ねてるが」

 

「そ、そうなんだ。」

 

「で?どこから行く?」

 

「「「射的」」」

 

凄い形相である。

 

「お、おう」

 

かくして、百之助達は射的屋に向かう。

 

「おじちゃんいくら?」

 

「おう!4人で2000円だな。」

 

「はいはい。…2000円だね。」

 

「まいど!…いま思い出したが…あんちゃん7歳の時来なかったか?」

 

「水臭いな…来てたじゃんか…久し振り!」

 

「おう!そっか…大きくなったな!」

 

「何?知り合い?」

 

「昔、家に出入りしてた人…元気そうで安心した。」

 

「ガハハハハハ!昔の事だぜ?」

 

皆、当てていくが倒れない。

 

「むぅ…」

 

「はぅ…」

 

「倒れない…」

 

「コツはあるんだぜ?それに倒れるのは確認済みだよ?」

 

と、おじさんは言う。

 

(おっちゃんいかさましない主義だからな…)

 

「あんちゃん…代わりに取ってあげなよ?いつもの奴、わざとやってるぜ?」

 

「まじで?」

 

百之助は、土台を見回す。

 

(見つけた。相変わらず緊急手段残してんだから…」

 

狙った先はナットが付いていないボルトだ。

 

ぽん!ピキーン!ガッシャーン!

 

「ええ…」

 

「え…」

 

「へ?」

 

そうボルトが外れて崩れ落ちたのだ。

 

「じゃあヌイグルミ3つ貰おうかな。」

 

「3つ?全部持ってっていいんだぜ?」

 

「いや…3つでいい」

 

「分かったよ。」

 

3つ受け取り退散することにした。

 

「じゃあね」

 

「おう!来年も楽しみにしてるぜ!」

 

その後かき氷食べたり焼き鳥を食べたりしていた。

 

「あの人優し過ぎませんか?」

 

「昔からそういう人なんだ。…変わらないんだよ。」

 

「足取りが…不自然でした…」

 

「台湾奪還戦で負傷して…退役したんだ…娘さんはリリィだったけど…病弱でね…そのまま逝ったよ。」

 

「そう…ですか…」

 

「まあ気にする事じゃない…君達が背負う物では無いから。」

 

「貴方もよ百之助…」

 

「分かってるさ」

 

「ならいいわ」

 

「喉乾いただろ?なんか買ってくるよ。」

 

「分かった」

 

「分かりました」

 

「ええ」

 

百之助は、ジュースを買いに言った。

 

ラムネを屋台で4本買い、直ぐに合流すべく夢結達のいる場所に戻った。するとチンピラ3人に絡まれていた。

 

(離れなきゃよかった…)

 

今更であるが少し興味があったので聞き耳ヲは立てる。

 

「良いじゃん。行こうぜ!」

 

「お断りいたします。人を待ってるので」

 

樟美に関しては天葉の後ろに隠れてしまっている。

 

「興味が無いから!」

 

「はぅ…」

 

チンピラ共はポケットから何かを取りだした。

 

(あれは不味い!)

 

「そうか…じゃあ強行手段を取ろうかね。」

 

臨戦態勢だ。どちらも。

 

「そこまでだ。後、俺の女に手ェ出すなや。」

 

と、全力で殺気を放つ。

 

「誰だ!」

 

「見てわからんか?軍人だよ?」

 

「クッ!」

 

ナイフを展開する。

 

「やめとけ、手加減できなくなるから。」

 

「何を!」

 

一人が向かってくる。そいつのこめかみに14年式を突きつける。

 

「これが何かわかるよね?」

 

これには固まるしか無かった。

 

「拳銃とナイフどっちが強いと思う?」

 

「チッ!」

 

「分かったらとっとと失せな。」

 

「クソ!」

 

チンピラ共は退散した。

 

「物分りが良くて安心した。」

 

「こっちは全く安心出来なかったけど?」

 

「すいませんでした。」

 

「まあ過ぎた事だから」

 

「樟美おいで?」

 

「百之助様ぁ!」

 

そう言って樟美を抱きしめ、頭を撫でる。

 

「うぅ…」

 

「怖かったね…」

 

その後少ししてから全員合流して楽しんだ。ついでに百之助は、伊吹をいじってぶん殴られた。

 

家に帰ると葉山さんから渡す物があると呼ばれた。

 

「で?駐車場に何があるんですか?」

 

「旦那様より2台の車を百之助様と伊吹様に差し上げる様に言われております。」

 

頃くして白いシートを被った車2台の前に来た。

 

「これですか?」

 

「そうです。」

 

そう言って、シートを取った。

 

「これは…」

 

「こいつは…」

 

その中から出てきたのは、ランボルギーニであった。

 

「FKP37シアンと、LPI910−4アステリオンでございます。」

 

「まじか…」

 

「うわあ…」

 

二人共絶句である。

 

アステリオンは、青。シアンは、深緑だ。

 

「お前シアンに乗れよ。」

 

百之助は、伊吹にシアンを促すが…

 

「いや、俺はアステリオンだ。」

 

「なんで?」

 

「俺の好きな人が使ってるチャームがアステリオンだからだ。しかも青。」

 

「了解。」

 

「ではお二人にこれを。」

 

渡されたのは、車の鍵だ。

 

ちなみにだが、二人は軍人なので免許を持っている。

 

「因みにこの車は、どちらも装甲化されていますので防弾性能はピカイチです。その分重くなったものの、馬力を上げることで速度を維持しております。」

 

「了解しました。」

 

「分かりました。」

 

二人は獰猛な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 



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55話

まさかあんな事になるなんて…

ー 百合ヶ丘教官冨永雨嘉 ー

自身の回想にて


新学期が始まり一柳隊は、探索していた。理由はヒュージの残骸が浜に打ち上げられていたからだ。

 

「しかし、姉上やもっさん、ギンはともかく…ご先祖様まで指導教官とは…」

 

「あれはびっくりしたよな…」

 

そう、迅三朗まで指導教官になったのだ。

 

「そんな事より昨日、戦闘ありましたっけ?」

 

「無かった筈だが?」

 

「ハイ、無かったはずです。」

 

梨璃の問に百之助が答え、二水が同調する。

 

「共食いでもしたんじゃろか?」

 

そう言うのはグロピウスだ。

 

「ヒュージを形作るのは全てマギの力だから物を食べたりしないはずです。」

 

と、二水は反論する。

 

「マギを失えばヒュージは、巨体を維持出来ずその場で崩壊するはずよ。軟組織は一晩で無機質まで分解され、骨格も数日で…」

 

「それがまさに今…」

 

「この匂いまだマシな方…」

 

辰紗は周りを見回しながら、雨嘉は鼻を抑えながら。それぞれ言う。

 

「ふえ〜!」

 

二水は、狼狽えてしまっている。

 

「なんだこれ?」

 

百之助は、判断に困っていた。視線の先には黄色い物体が転がっていた。

 

「何でしょう?」

 

梨璃と、百之助は同時に首をかしげた。流石は血を分けた兄妹である。

 

「梨璃、つついてみてくれ俺は出てきたら切る。」

 

「分かりました。」

 

チャームと40式を両者構える。

 

「行きます…」

 

するとチャームが起動。

 

「へ?うわ!…何今の?」

 

「な…」

 

梨璃は、チャームを百之助は中の物に釘付けである。

 

「梨璃さんどうしたんですかぁ?」

 

「あ、二水ちゃん!今…チャームが…」

 

「へ?梨璃さん!?」

 

「へ?どうしたの二水ちゃん?」

 

「どうしたー?」

 

「何か見つかりまして?」

 

梅と楓がやって来た。

 

「梨璃さん後…」

 

「へ?ふぇ!!」

 

見れば少女が抱きついていた。

 

(嘘だろ!?だって…あいつは…俺が…手に掛けたんだぞ!?)

 

「な…ん…だ…と」

 

百之助の心を代弁したのは息吹だ。

 

「梨璃から離れろ!!」

 

そう言うやいなや百之助が刀を抜いた。

 

「何をしているの!?」

 

見れば夢結が百之助を睨んでいた。

 

「分かったよ。」

 

そう言って刀を収めた。

 

緊急を要する為に保健室に急いだ。

 

処置室にて。ガラスの向こうにいる少女を見ていた。

 

(どう見てもあいつだ…)

 

百之助と、息吹にとっては忘れられないことのようだ。

 

「はあーこんな所にいても私達に出来ることなどありませんわ…」

 

「出来る事はしたわ…梨璃、行きましょう?」

 

楓と夢結がここを離れようと言う。

 

「もう少し、ここに居ても良いですか?」

 

「え?」

 

皆何言ってると言う顔をした。

 

「俺は祀に用があるから俺も残る。」

 

「分かったわ…斬らないでね?」

 

「分かっとるわ。」

 

そう言って百之助と、梨璃以外は退散した。

 

頃くして祀が来た。

 

「こんな所で何をしているの?貴方達?」

 

「あ。」

 

「よ。」

 

 

「御機嫌よう梨璃さん、百之助も。」

 

「御機嫌よう!ええっと…」

 

「2年の秦祀よ。初めまして。」

 

「失礼しました祀様!たしか…お姉様お同じお部屋の…方ですよね?」

 

「夢結から何も聞いてない?」

 

少し不機嫌だ。

 

「はい、何も…」

 

「はぁ…まあ、予想道理だわ…フゥンこの子ね?そうで無くとも貴方、相当な有名人なのよ?もっぱらゴシップ的な意味だけど。」

 

「はあ…」

 

「こんな所にいないで、貴方達も入って。」

 

そして処置室に入る。

 

「あの…祀様はどうして…」

 

「言い忘れていたけど私も生徒会なのよ?と言っても代理なのだけれど。」

 

「あ、祀ちょっとお話が」

 

「良いけど…」

 

処置室の奥の部屋に二人で入った。

 

「あの子のDNAこれと一致するか見てくれ。…可及的速やかに。」

 

「理事長代行には話さない方がいいかしら?」

 

「今はまだ駄目だ。頼む…」

 

「はあ…分かったわ…」

 

「すまん有難う。」

 

そのまま二人は一緒に処置室を出る。

 

「俺行くとこあるから」

 

「百之助様、分かりました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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56話

シアンだったかしら?とても乗り心地が良かったわ。私は好きよ?…最も運転はしたくないけれど。

ー 百合ヶ丘女学院教官船坂夢結 ー

回想にて。


所変わって共用スペースにて一柳隊の面々は、お茶会を開いていた。

 

「百之助の事何があったか教えてくれないかしら?伊吹?」

 

と、夢結は伊吹に問うが…

 

「…軍規によりお答えしかねる。」

 

とその表情は硬い。

 

「そう…なら、仕方無いわね?」

 

「ぶっちゃけて言うと判断に迷ってる…まだそうと決まったわけではないしな…」

 

「分かったわ…」

 

「それはそうと帰って来ませんわね〜あのお二方。」

 

と、しびれを切らした楓が言う。

 

「梨璃に関して言えば。自分が助けたから、世話を焼きたいのでしょう…正義感の、強い子だから。気になるなら貴方も行けばどうなの?」

 

「治療室はお喋り禁止ですのよ?せっかく梨璃さんといた所で黙ったままどうしろと?」

 

「いや、見舞えよ…」

 

と、辰紗はつっこむ。

 

「以外だな〜!黙って居てもできる事はありますわ〜!とかなんとか言うと思ってたのに〜!」

 

面白がって言う梅

 

「なるほど!その手がありましたわ!」

 

「アホか。」

 

楓に伊吹がつっこむ。

 

「おう!楽しそうだな!」

 

「百之助…」

 

「夢結、言いたいことは分かるが今は言えないぞ…最ももう答えは出てるがね…トミー、やっぱりあいつの娘だ。異能で確認した。」

 

「やっぱりか…あいつら一度ならず2度も苦しめるか…」

 

「怒りで腸が煮えくり返りそうだ。」

 

と、百之助と伊吹は怒っていた。

 

とそこに、救世主が現れる。

 

「お姉様〜!」

 

と、梨璃が駆けてきた。

 

「梨璃、どうしたの?そんなに慌てて。あの子が目を覚ましたの?」

 

と、夢結が、子を諭すように言う。

 

「いえ、まだ寝てます。ぐっすりと。私、お姉様に戦術理論の講義で教えて欲しいことがあったんですけど…」

 

キーン

 

「うわあ〜間に合わなかった〜!これから講義なんです。御機嫌ようお姉様。」

 

そのままパタパタと駆けていった。

 

「夢結と、百之助は授業無いんだっけ!」

 

「取れる単位はもう既に取ってあるから。」

 

「俺の場合は、軍で終わってるからなぁ」

 

因みにそれが百之助が進級出来た理由である。

 

「…あっそ…じゃあな」

 

「御機嫌よう」

 

「またな」

 

「あら?」

 

そこには梨璃の教本が置いてあった。

 

「忘れて行ったか…」

 

「そのようね…」

 

「所で夢結、ドライブしないか?」

 

「良いわね。」

 

と、二人は校門を出る。

 

百之助は、道路にシアンを空間収納から出す。

 

「何度見ても凄いわね…」

 

「だろ?」

 

そう言いながら車の鍵を開け、乗りエンジンをかける。

 

ブオーン!!

 

百之助は、運転席と助手席にあるミサイルボタンの様なパーキングボタンを押し、車を走らせる。

 

「音が凄いわ」

 

 

「分かるけどな!」

 

そう言いながら3時間ほどドライブを楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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57話

あの時の百之助は、何かを決心した様だった。その覚悟は私達の、予想を遥かに上回っていた。

ー 百合ヶ丘女学院教員秦祀 ー

インタビューにて。


「梨璃の教本、持ってっとくよ。」

 

「あら、そう?じゃあお願いしようかしら?」

 

ドライブを終えたあと百之助は、夢結から梨璃の教本を受け取った。そして、処置室に向う。

 

すると案の定梨璃が探していた。

 

「あれ…ええっと…あの教本どこやったっけ…」

 

「お探しの物はこれかね?」

 

百之助は、そう言いながら教本を渡す。

 

「百之助!?有難うございます!」

 

「礼なら夢結に言え。気付いたのは夢結だからな」

 

「はい!」

 

「ハクション!」

 

くしゃみの主を見た。すると寝ていた少女が起きていた。

 

「具合はどお?気分は?どこから来たの?名前は?歳はいくつ?」

 

「落ち着け…びっくりしてるぞ?」

 

「すみません…私、一柳梨璃。」

 

「リリ?…うふふ…」

 

その少女は笑いながら顔を背けた。

 

「いいじゃない笑ってる顔、見せてよ?」

 

その少女は梨璃に笑顔を向けた。

 

その時梨璃の指輪に少女の手が触れた。

 

ポーンリリリリリ。

 

「へ?指輪が…これ私のマギじゃ無い。

 

「?」

 

「そう、その子はリリィよ?」

 

「祀様、百由様」

 

「よう」

 

「えへへ御機嫌よう梨璃ちょうどさっき結果が出た所でね〜保有マギの値を示すスキラー数値は50、ちょっと心許無いけど…リリィは、リリィね!」

 

「スキラー数値50って…私がリリィに受かった時の数値です。」

 

「そして俺の数値の1/100だな」

 

「あんたがおかしいのよ…それはともかくとして、それは奇遇ね?」

 

「この子がリリィ」

 

「あ、百之助、ほぼ一致したわよ?」

 

「やはりか…決まりだな…祀これを」

 

百之助は、祀にUSBを投げ渡す。

 

「これは…?」

 

「今日までにゲヘナがやらかした研究のすべてが入ってる。…もしもの時の保険だ。」

 

「そんな物何処から!?」

 

「それに関してもそれに記されている。…はっきり言おう。この子は俺の義理の妹だ。この子の母の力を継いでいるからな。」

 

「それは、どう言う…」

 

「詳しく聞きたいのなら…ギン教官、朽井迅三郎光景教官に聞いてくれ。俺より詳しいし、元戦友だから。理事長代行でもいいがね。」

 

「……分かったわ」

 

「後、もう一つ…その情報は軍の一級機密事項だバラすなよ。」

 

「了解…」

 

「では俺は失礼する。」

 

そう言って百之助は退室した。

 

(クソ…8歳の時の不始末が今頃になって回って来ようとは!夜々すまん…やらかした…)

 

寧ろ8歳児に責任を押し付ける方が酷であろう。でも百之助は、自分の不甲斐無さに怒り狂っていた。

 

(やはりゲヘナは、皆殺しにして晒し首にしてやる!!)

 

大変物騒である。

 

(だか…妹を守り抜きます…全力で)

 

 

 

 




設定は、もう少し様子をみます。


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