エリーチカのクロス・ランニング (特級厨師)
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―スポーツ男子アイドルとの出会い―

絢瀬絵里よ

スクールアイドル活動に参加するようになってから日課にしている川沿いの道のランニング

みんなより参加が遅れた分を補うために始めたんだけど、

道中すれ違う様々な人達との出会いは密かな楽しみになったわ

 

ほとんどはすれ違いざまに挨拶を交わすだけだけど、

それでもランニング中の気分転換、そして刺激になってくれるの

 

そんな事を考えてたら早速、人影が見えてきたわね

 

どんどん近づいて来て…

そして…

 

絵里・男性「「おはようございます」」

 

私と彼はすれ違いざま、同時に挨拶をする

そしてお互い走り去る

 

それにしても…今日は思わぬ有名人と出会ったわね!

 

彼の名は桜庭春人

王城大学附属高校のアメフト部の選手…そしてプロのアイドル

 

あの学校のアメフト部の活躍は他校の生徒会の方達との交流会で知っていたわ

王城の生徒会長が彼らのプレー動画…を再生しているスマホ片手にアメフト部所属の2年生2人の自慢をしていたっけ?

その内の一人が彼だったわね

 

そんな事を思い出していたら…

 

桜庭「あの…スクールアイドルの…μ'sの絢瀬絵里さん…ですよね?」

 

後ろから声をかけられた

振り向くと声の主はやっぱり桜庭春人君

 

絵里「…ハラショー!」

 

驚いたわ!

まさかプロのアイドルの方がμ'sや私の事を知っていたんですもの!

 

そんな驚いている私の様子を気にせず、

彼は私達μ'sのライブ動画をしばしば観てくれている事、

さらに私のダンスについても称賛の言葉をかけてくれる

そして…

 

桜庭「貴女達を見ると気持ちが引き締まります!」

 

…と、言葉通りの引き締まった表情を見せる桜庭君

 

!?

 

今まで様々な人達に私達のライブについて色々な感想を頂いたわ…

 

キラキラ輝いてる!

楽しい気持ちになる!

元気が出る!

 

…といった風な感想は聞かせてもらっていたけど、

彼のように…気持ちが引き締まる!…とか言われたのは初めてね

 

…どういう事なのかしら?

 

そんな私の驚きと疑問を感じ取った彼は理由を教えてくれる

 

桜庭「貴女達、μ'sは似ているんですよ

   俺達、王城ホワイトナイツのライバルに…!」

 

絵里「えっ!?」

 

桜庭「…あ、すみません!

   いきなりこんな事言われても訳が分からないですよね?」

 

絵里「いえ…

   良かったら…聞かせて頂けませんか?」

 

忙しい身分の彼には申し訳ないけど、少し興味があるわ

それに私を引き留めてあんな風に切り出した以上、おそらく彼も話したい筈…

 

桜庭「そうですか?

   では…」

   

そう言った後、彼はあるアメフトの弱小チームの話をしてくれた

そのチームは最初は今の2年生が3人だけのチームだった事…

だから他の部活から助っ人を頼まなければ試合に必要な人数も確保できないような有様だった事…

でも徐々に同志を集めつつ力をつけ、今回の大会予選では数々の強豪を撃破して、関東大会進出を果たした事…

等々…

 

確かに…μ'sに似ているわね

流石に立ち上げ時のメンバーの離脱とか違いがない訳じゃなかったけど…

 

それについては9人まで増員した後、結局ことりの離脱を回避できた私達より、

むしろまだ3人の時に2人だけになったそのチームの方が事態は深刻だったでしょうね…

 

でも!

それでもその抜けた人が予選の準決勝でチームのピンチに駆けつけての電撃復帰はハラショーな展開だわ!

 

いずれにしても恐らく桜庭君は同じように短期間で同志を集めつつ、

力をつけてランキングを急激に上げたμ'sに自分達のライバルを重ねたといったところね

 

桜庭「俺達があいつらを脅威に思っているように…

   きっとA-RISEも貴女達を脅威に思っている筈ですよ」

 

確かに…脅威とまで思われているかはわからないけど、

UTXでの件もあって一目置かれている自覚はあるわ…

 

桜庭「まぁそれはそれとして…

   あの…

   サインもらえませんか!?」

 

絵里「…えぇ!?」

 

…唐突ねw

 

でも…まさかμ'sや私の高評価を頂けるだけじゃなく、

サインまでお願いされるなんて…!

 

とりあえず手帳とボールペンを渡されたので、

それにサインをして返したわ

 

それと…

 

ここは私も…サインをお願いすべきよね?

折角プロのアイドルにサインをお願いされたのに、

こちらはお願いしないというのは遠慮じゃなくて…失礼よね?

 

でも…私の方は生憎…何も筆記用具を持っていないわ…

 

絵里「あ、あの…」

 

サササッ

ピリピリピリ…!

 

桜庭「これ、良かったらどうぞ!」

 

私が言い淀んでいる内に彼は私がサインしたのとは別のページに彼自身のサインをし、

そのページを千切って渡してくれたわ

 

絵里「ありがとうございます!」

 

桜庭「いえいえ」

 

気が利く人ね

さすがプロのアイドル、やっぱりただのイケメンと言うわけではないのね

 

それにあの手帳、恐らく本来は私のようにサインペンや色紙を持ち合わせていないファンにサインを渡すために常備しているのね

そういえば切り渡しやすいように手帳のページにはミシン目が入っていたわ…

 

…用意周到ね

でもこれは私達も見習うべきだわ

今日の練習の帰りにでもみんなと買いに行こうかしら?

 

桜庭「では、そろそろ行きますね

   サイン、ありがとうございました!

   これからも応援してますんで、ラブライブ頑張ってください!!」

 

絵里「あ、こちらこそ、ありがとうございました!!

   あ、あの…」

 

桜庭「!?」

 

絵里「その…ライバルチームの名前は何て言うんですか?」

 

桜庭「泥門デビルバッツ…です!

   …では!」

 

そして彼は走り去っていった…

 

本当は同じ格上の立場のA-RISEに感情移入してるでしょうに…

そんな事、全く感じさせず力強く激励してくれた

 

いえ…もう彼には自分達の方が格上という傲りはないのかもしれないわね

 

…………………………………

 

さて、私もそろそろ行こう

でも…

 

やっぱり気持ちが昂るのを感じるわ!

 

半ばお世辞でしょうけど、それでもやっぱりプロの方に評価されたこと

そして分野は違っても同じような境遇から勝ち上がってきた人達がいるという話は何よりの励みになるわ

今日の練習はいつも以上に張り切れそう♪

 

そしてこの事を穂乃果やにこ達にも教えてあげましょう!

きっとみんなにとっても励みになるに違いないわ!

 

それにしても…

そのライバルチーム…泥門デビルバッツを創った人ってどんな人なのかしら?

どうせならそれも聞いておけばよかったわね

 

まぁ…きっと穂乃果みたいに元気いっぱいにチームメイト達を引っ張ってくれる人よね!

一度…会ってみたいわね




登場人物紹介

桜庭春人
アメフト漫画、アイシールド21の登場人物
この話での登場時期は関東大会トーナメント抽選直後
また絵里の予想とは違い、A-RISEじゃなくホントにμ's推し
境遇と好みが関連しているとは限らない
まぁ人間そんなもん


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