ストライクウィッチーズRTA「駆け抜けた空」 (鹿尾菜)
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一走目
part1欧州戦線1


マイクチェックマイクチェック…大丈夫ですね。

 

美少女たちと欧州の空を駆け抜けるRTAはーじまーるよー!

 

はいニューゲームをセレクトしてからタイマースタート!

飛ばせないオープニング(2分30秒)を流しながら走破予定のゲームについて解説していきます。

今回はかれこれシリーズ8作も出ている大人気フルダイブVRゲーム『ストライクウィッチーズ』略してストパンシリーズの最新作、『ストライクウィッチーズ Enemy front line』のRTAをやっていきます。

 

画面の前の皆さん見てるー?

 

本作品は舞台が現代だった前三部作から変わって再び第二次ネウロイ大戦の欧州を駆け抜ける戦いになってます。もちろんアニメで有名な各ウィッチ達と触れ合えるということで新規で始めた方も多いんじゃないのでしょうか。

さてOPも終わりそうなので難易度とキャラ設定の用意をしましょう!

 

はい所属をカールスラント、難易度は最高ランクのトップエースにしてオールランダム!

これでいちいち全てのデータを作っている時間を省きます。

ランダムで生成されるキャラは全て史実のエースパイロットをモデルにした方達なので下手に自作するより扱いやすいです。

……はいでました!

ランダム生成

難易度トップエース

 

 

アントナー・S・ハル(10歳)

カールスラント空軍所属

使い魔:雷鳥

固有魔法:重力加速

 

 

うーん言いづらいからレズね!(強制)要素皆無だけど。

嘘ですすいませんちゃんとハルちゃんと呼びます。

 

 

ではストーリー開始。今回はタイトルにある通りトロフィー『駆け抜けた空』を取得するため1939年第二次ネウロイ大戦勃発直後からのシナリオになります。

純粋なタイムだけなら501設立からやっても良いけど試走段階で5分しか違わなかったしトロフィーゲットできないからパス。その上難易度がトップエースの場合501からスタートさせると反攻作戦が全部大失敗してバクー油田すら陥落している大惨事になっている可能性があるのでRTA上ロスタイムが多いです(3敗)

 

では早速スタートです。

飛ばせないムービーパートです。

ここで本RTA唯一のキャラデザ確認です。

警報で叩き起こされたようですね。

画面前の姿見で自身の外見を確認しているようです。

まだ10歳の少女なので身長はルッキーニとほぼ同じ程度。髪は茶髪、毛先が銀色で肩あたりのショート。

少女らしく幼い外見ですね。こら、イエスロリータノータッチだぞ。

 

あ、視聴者の皆さまはFPS視点以外にも俯瞰視点など三つの視点から自由に観れますので各自自由に画面を変更してくださいね。

 

では早速表示に従って格納庫へダッシュしましょう。

もうとっくにタイマーは回っているのだ!

 

格納庫に着くまでにささっと経歴を確認します。確認しておかないと格納庫に着いた時に自身のストライカーがどこにあるのかわからなくなってしまいますからね。

メニューを開いてプロフィールに飛びます。

今回は…6./Ⅱ./JG52

第52戦闘航空団第二飛行隊第六中隊!やったね!ここの飛行隊はお姉ちゃんことバルクホルンが隊長をしている部隊だよ。ちなみにこの時のエーリカ(最推し)は第一飛行隊第六中隊長をやってます。

ですが必ず飛行隊長込み込みで飛ぶわけではありません。

今回はS/Cなので待機となっていた四機が上がります。

ストライカーユニットも通常の飛行機と同じでS/C待機でスタンバイしていない状態からではどんなに早くても20分ほど準備する必要があるんですね。

お、どうやら僚機のウィッチは既に集まっているようです。

おまたせー。

「遅い!配属初日だからと言って敵は待ってくれんぞ!」

 

失礼しましたあ‼︎タイムも待ってくれませんからねっ!

 

小隊長らしいウィッチに怒られましたが仕方がありません。そもそもS/C待機中だったのに寝てたこの子の方が大問題ですよ。

そういえば飲みかけのミルクティーがありましたね。あ、(察し)

 

そ、それじゃあ早速ストライカー起動です。チュートリアル?そんなもの飛ばせ飛ばせ。

 

では武器を手に持ち格納庫から出ましょう。

滑走路脇に雪が積もっているので1939年の冬からのスタートのようです。

 

ここからは小隊長の指示に従いながら各種チェックをしていきます。

初回以降はスキップすることが可能になるので容赦なく飛ばしますけどね。

ですがなかなかリアルに作りこまれているので遊びがいがあります。

 

 

さて離陸まで時間があるので現状をさらっとおさらいしていきます。えーっと画面右側のコンソール画面をご覧ください。

1939年12月27日時刻は午前5時40分

ヴァイクセル川防衛戦

 

ふぁ⁈クリスマス過ぎてるじゃないですか!誰だ!クリスマスまでに終わるとか言ったやつ(誰も言ってない)

ちなみにヴァイクセル川は本来ならポーランドの川ですが帝政カールスラントが防衛線として使っております。

やっぱりポーランドは道はっきりわかんだね。

おっと離陸のお時間がやってきました。

スロットル全開で空に上がります。

 

空に上がってからはスキップで空戦開始まで飛ばします。

では空戦です。

 

表示目標は小型ネウロイ2機の撃墜です。

チュートリアルはスキップ。

 

体の操作ができるようになったので早速目の前にいる小型ネウロイをヘッドオンで撃ち落としましょう。

単独で飛んでいるように見えますけど実は右後方に小隊長がくっついてきて周囲の警戒などのサポートをしてくれているので周りに気を配る必要は今のところありません。

まあ序盤も序盤なので背後から強襲してくる敵は少ないですがトップエース級は結構容赦しないんでね(4敗)

 

戦争序盤は小型であれば現在使用している機関銃でも問題なく落とせます。

正直地上進撃型ネウロイの方がこの時は硬くて厄介極まりないんですよね。

ああ^~いいっすね^~。撃墜した時の音がたまらねえよ。

 

はいでは次の獲物と称しましてそこの君!

丁度よく下方に入り込んじゃってますねえ。

 

ヌウッ、おらおら!落ちろ。堕ちたな(確認)

 

下にいる場合は撃ち下ろしとみこし射撃がやりやすいので便利なんですよねえ。

 

目標も達成したので帰投します。

ほいさいならー。

 

では着陸チュートリアルです。

チュートリアルはもう要らないんですけどねえ。でもこれみんな苦手みたいで結構失敗している人が多いらしいんですよ。

まあいいです。走者の華麗なる着陸を解くとご覧あれ。

 

はい角度とってー速度落としてフラップ下げて……

あ、やべ横風突風だ。あああそっちは滑走路じゃないいいい!もどれえええ!

 

 

 

ふう、いやー危なかったですねえ。危うく誘導路に降りるところでした。

あ、もちろんオーバーランもしていませんよー?ほらちゃんと滑走路手前2mで止まれましたし汗

 

では格納庫に戻ってユニットを解除しに行きます。最悪そこらへんで脱いでも良いのですがそれをするとユニットが放置されている状態になってしまい整備が受けられません。

整備不良で飛行するとエンジン出力が低下するなどのペナルティが課せられます。命を預ける道具はしっかり点検。ヨシッ(現場猫)

では帰投したので訓練にいきましょう。

基本基地での生活は自由に出来ますが余計なフラグを立てないためにも訓練参加は大事なことです。

 

 

各種ステータスを引き上げるには、実戦に出る他に訓練と実は食事を取ることによってできます。

 

ではステータスを見ていきましょう。

 

アントナー・S・ハル(10歳)

カールスラント空軍所属

使い魔:雷鳥

固有魔法:加速度

 

素早さ21 体力34 魔力38 運21 精密22

 

上限は250です。一般的には大体オール80くらいで十分です。ただし魔力と体力に関してはかなり力を入れておかないと色々と大変です。特に魔力は固有魔法や飛行距離や出力、上昇高度、そして魔力弾などを作り出す際に影響が出ます。量が少ないとそれだけでユニットの特性を最大限に引き出せず不利になります。

 

試しにさっき履いていたストライカーユニットBf109E-1で例をとってみると最大限界魔力量は50なので。能力を最大限活かすには魔力数値50が必要となります。

この数値は機体の高性能化でどんどん大きくなっていきます。扶桑の紫電や零式52型で100。ジェットストライカーことMe262などは150ほどです。

ちなみに宮藤専用と言われる震電だと最大の250となります。

ええい扶桑のウィッチは化け物か‼︎

 

体力の方は魔力に次いで飛行特性に大きく影響を及ぼします。特にドッグファイトや各種空中機動を行なった際のレッドアウト、ブラックアウト対策の他にも純粋な体力は所有可能な武器の上限や連続稼働時間の上昇に必須となります。

ただしこれらの要素はプレイヤー側のリアルデータで補正がある程度できるところなのでそんな沢山得るところではありません。

しかし、しかし運だけは別です!

走者としても運に見放されると非常に困るわけでしてね?

これが低いとエンジントラブルが起きたり武器が暴発したり着陸に失敗したりするだけで無く地上にいたとしても怪我をしたりトラブルイベントに巻き込まれたりしかねません(1敗)

こんなのただのタイムロスよ!

まあ運が高いからと言って良いわけではなく、運が高すぎると余計なイベントを持ってくることにつながるので走者としては嬉しく無いものですがそこは匙加減次第です。

 

うわ、私の運悪すぎ。と思った方はすぐに上昇させることをお勧めします。ついてないカタヤイネンは一人で十分です。

というわけで訓練をしましょう。正直訓練をしている間が最もイベントに巻き込まれる可能性が低いので事故回避にも使えます(回避できるとは言っていない)

 

 

訓練であげることが可能なステータスは素早さ、体力、魔力、精密となります。

運は食事か空戦でしか引き上げられません。

 

空中模擬戦が出来れば運も込みで全てを引き上げていくことが出来ますが統合戦闘団に配属されるか1942年にならないと解放されません。

こ↑こ↓ではとりあえずランニングをしていきます。

精密以外の三つのステータスが強化されます。

精密は…無くてもプレイヤーの技量でカバーできるのですぐに上げる必要はありません。

 

ちなみに模擬戦や空戦で手に入るポイントの量は倒した与えたダメージ量と消費弾薬によって変わってきます。

弾薬消費を抑えながらダメージを与えていけばそれだけポイントの伸びは変わっていきます。

訓練は等速なのでしっかり走り込みましょうねー。

まあ体感時間で30分ほどですが経過時間は2分程度なので大したロスにはなりません。

 

 

……では皆様のためにい〜今回のチャートについて説明していきます。

今回のルートは1939年からアニメ一期までをカールスラント、501経由で攻略していきます。

最短コースのためエンディングは誰ともフラグを立てない友情エンドを目指します。

最初はバルクホルンの妹ルートと迷ったのですが、試走を繰り返すうちにランダムで生成したキャラのうち2/3の場合で友情エンドの方のタイムの短縮が見られました。

おそらく宮藤と妹ポジをかけて争うイベントがネックになっていたと思われます(4回計測)

 

 

はい訓練が終わりました。

すぐさま食堂に向かいましょう。

食事ですが普通に食べる以外にも酒保やウィッチからの交換で手に入れられる嗜好品などによっても行えます。嗜好品によって運や体力などを引き上げたりすることができます。

もちろん今はスルーとなります。

 

では早速お食事を食べていきましょう。

ああ^~生き返るわ〜

 

まあ味覚機能はオフにしているから私は楽しめないんですけどねー。

味覚機能が入っているとロード時間が伸びるしスキップ機能と相性が悪いんですよね。

まあ皆さんご自由に楽しんでください。

 

ちなみにここの食事は交代制で食事を作れるウィッチが担当に入ります。一般兵の食事と違うのはそれだけウィッチが優遇されている証なんですね。ではでは丁度時間もいい頃合いなのでここらで配信を終わりにします。ご視聴ありがとうございやしたー

 

 




ストライクウィッチーズ

30年以上前の名アニメを元にした初のフルダイブVRゲーム
501統合戦闘航空団が舞台となる。非オープンワールド式
搭載されたAIによりリアルな反応をするキャラと百を超えるマルチエンディングが特徴

ストライクウィッチーズ2
502統合戦闘航空団が舞台。
DLCとして扶桑海事変のストーリーがある。

ストライクウィッチーズ3
スオムスいらん子中隊とアフリカ前線が舞台
初のオープンワールド採用により攻略ルートはプレイヤー次第と言われる。

ストライクウィッチーズX
504、503統合戦闘航空団を中心としたストーリーの作品。メインストーリーの他最も長い撤退戦から505統合戦闘飛行団結成、砂漠の虎などが収録されている。

ストライクウィッチーズⅣ
ShutteredSkies

前三部作からは舞台を変えて2015年
勃発した第三次ネウロイ大戦を描く近代航空戦
超音速での戦闘や数十発のミサイルによる板野サーカスにより売上数はシリーズ中第二位

ストライクウィッチーズ5
The Unsung war

第三次ネウロイ大戦の5年前。2010年が舞台
大西洋ネウロイ事変によって再び襲われた欧州。最前線となった訓練基地に所属するウィッチは事変の裏側に隠された陰謀に巻き込まれていく。
ストーリー重視のゲーム設定ながら人気の高い作品。今作と次作のみプレイヤーの所属が固定となる。

ストライクウィッチーズZERO
TheBelkanWar
5の15年前を舞台に人類間の戦争ベルカ事変を傭兵という立場から捉えていく作品。
ストライクウィッチーズの中で唯一人類間戦争を取り扱っている。
家庭用据え置きゲーム機PSV7では最後の作品


ストライクウィッチーズ
Enemy front line
新型のPSV8に移行してからの最新作
ゲーム媒体の進化により処理速度の向上と大容量化が行われた為今までの三倍近い内容が入っている。
1939年第二次ネウロイ大戦勃発から1942年の501の活躍を描く他、502部隊と501再結成を描くアフターストーリーで構成されている


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part2欧州戦線2

空戦で体を痛めるRTAはーじまーるよー

 

前回までのあらすじ

 

チュートリアルが終わった。

 

というわけで早速着任二日目です。

今日は素直に起床ラッパに叩き起こされたところから始まります。

 

基本空襲警報が無ければ基地内ならどこに向かっても良いですし外出許可を取れば基地の外にも出ることが可能です。

 

ただし入隊して三日カウントされないと外出許可は取れないので今回することは基本訓練です。

能力向上もできて余計なフラグも立たずこんなに良いことづくしの訓練をどうしてみんな嫌がるんでしょうね?

 

ちなみに前回行った訓練内容はクールダウンで一日たたないと使えないので今回はランニングでは無く射撃の訓練をします。

この訓練は体力や魔力は伸びませんがリロード時間短縮や射撃精度向上などに直結する器用を育てることができる二つのうちの一つです。

 

ではさっさと射撃訓練しましょうねー。

ここは最前線基地なので弾薬に関してはかなり豊富な上各国の軍が集まっているので様々な武器が揃っており訓練では一通り扱うことが可能です。

 

取り敢えず的に向かって撃つだけなので訓練の中では意外と簡単な部類に入ります。ちなみにカールスラントウィッチの初期装備はMG34です。

 

ただの訓練ですが効率よくステータスを向上させるには的の真ん中に当てる必要があります。

 

パンッ!パンッ!

 

真ん中付近に弾を当てるのは慣れていればどうってことはないですが初心者さんならエイム補正を組んだほうがいいですよ。でないと当たるものも当たりませんからね。

私はあると邪魔なので切ってます。

まあこんなの当たればなんだっていいんですよ。

 

とりあえず全弾使い切りましょう。

はい終了。いい感じに経験値も入りました。

 

では午後は出撃のお時間です。

前回のスクランブルとは違いこちらは作戦計画に基づいた真っ当な戦闘になります。

任務は爆撃機と攻撃ウィッチの護衛です。

川を渡り切ろうと複数箇所にネウロイが固まり団子になっているのでそこを爆撃機でまとめて吹き飛ばすそうです。本来は全てウィッチによる対地攻撃だったのですがウィッチの数が少ないため爆撃機も含まれています。

ちなみに爆撃機はJu88なので遅い上に当たり判定が大きく護衛任務では最難関の爆撃機となっています。

兵装はこのままで固定。

 

では出撃です。

スキップで一気に空からのスタートです。

目標は小型ネウロイ4機撃墜と所属小隊全機生還、護衛対象12機生還ですか。

ポジションは二番機。隊長機の後方です。隊長達との軽口が無線で飛び交っていますが返答を求められても考えてはいけません感じるのです。

 

ーーーーおい、あれは陸軍が発砲した音だとおもうか?

 

ーーーーいや、嵐の雷鳴だろう

 

 

 

というわけでして早速指示が出ました。

前作まであったレーダー画面の代わりに追加されている魔導探知画面に赤い光点が現れました。

同時に隊長が動き出します。こちらも一緒に動きます。ベテランの隊長といえど僚機は私なので隊長が襲われた場合何もしないでいると高確率で落とされます。

なので独自に動いても良いですが基本隊長と付かず離れずキープしておきましょう。

 

右後方から上昇中の小型ネウロイが見えました。

まず隊長機がダイブして一撃離脱をかけます。

二機撃墜で四機残しましたか。では私もダイブしましょう。

魔道探知機には反対側からもネウロイが接近していますがそっちは別の機体に任せましょう。

味方AIもそれなりに撃墜したりと仕事はしてくれます。

 

レティクルが赤くなったら有効射程に入った証。

タイミングを合わせてしっかり弾をばら撒きましょう。

はい一機撃墜。ですがここですれ違います。

普通であればここから立ち直す必要がありますがここで固有魔法を発動させます。

 

画面上部に継続時間が現れました。継続時間は20秒。

そーれ!

フルダイブゲームなので酔わないように気をつけてくださいね。

こっちは普段から鍛えているのでそんなことはありませんけどっ

はい体を反転させました。うちこぼした三機のうち一機を仕留めてしまいましょう。

 

はいこのままでは失速しますのですぐに体を戻します。

はいくるりんぱ。

 

残った二機は別の小隊機が撃墜してくれました。

ではしばらく間が開くのでここで視聴者の皆様のためにい〜

固有魔法解説をしていきまーす!

どんどんぱふぱふ!

はいこのゲームの固有魔法は前作までとは違い取得する場合通常のスキルを一切取得できなくなる仕様になっています。

そんな中でもランダムでキャラを生成した場合必ず固有魔法持ちになります。まあ固有魔法なしでは統合戦闘航空団に入るのは現実的ではないという判断なのでしょうね。

 

そして今回の固有魔法「重力加速」ですが、この魔法は主に空中機動をおこなった時に発生する見かけの重力加速度、普段GとかマイナスGとかいってるやつを軽減する効果があります。

そのため瞬間的に7Gや9Gがかかったとしても2G程度まで負担を減らしてくれることで通常のウィッチではなし得ない超高機動やドッグファイトが繰り広げられます。

特にマイナスGがかかっている状態ではエンジンが息継ぎしてしまう特性を持つマリーンエンジンの初期型を搭載しているストライカーでは息継ぎの低減にもなります。

 

問題は連続稼働時間が極端に短いため一回の戦闘では最長でも40秒ほどしか使えません。

また、使用するためにはHPを3割削って発動するためHPの残量に気を使う必要があります。

このように色々とデメリットが強い為なかなか扱いづらい固有魔法ですが使い所を間違えなければそれこそ天使とダンスだってできちゃいます。

おっとネウロイ第二弾が登場です。

今度は小型が6機上空から襲いかかってきました。

 

上昇しながら左バンクをして真横から襲いかかります。

高度不利でヘッドオンをするのは危険極まりないですからね。

反撃で光線がいくつも飛んできますがバンクとロール回避でやり過ごします。

 

 

ATフィールド全開ッ‼︎って違うかー

普通にシールド張って防いじゃいましょう。

では攻撃です。

ほい、あ、しくった。

ですがすぐ後ろで僚機をしていた隊長さんがすぐさま撃ち落としてくれました。

ありがてえ。

では一旦旋回しながら弾倉を交換します。ウィッチ支給のMG34機関銃はドラムマガジン仕様で継戦能力を高めていますが、持ち運びできる予備弾倉が少なく取り替えに少し時間がかかるのが実情です。

もう一つの武器はKar98Kで歩兵銃になってしまうのですが攻撃時間が極端に短い空戦でボルトアクション式歩兵銃じゃ瞬発火力が低く無理があったようでもう倉庫の肥やしになっています。

対物ライフル系や狙撃銃として使うなら便利なんですけれどね。

 

 

ではこちらに注意が向いたネウロイを旋回で振り切ります。

固有魔法を使って急旋回。まだ旋回しているネウロイの土手っ腹に弾を叩き込みます。

ウヒョー!この命中音たまらねえぜ!

ああ〜コアの(破壊される)音〜

 

一応緊急用にサブアームとしてワルサーP38が標準装備されていますが予備弾倉無しの緊急用でしかないです。

火力もしょぼいので目眩しに使えたら御の字といったところな武器です。

 

あ、突破したネウロイが爆撃機一機を落としちゃいました。すぐに援護に向かいます。

オラオラ何爆撃機狙ってんだゴラッ。免許持ってんのか見せろ。

いやーこの頃のネウロイは大抵ウィッチの方が脅威度が高いと認定してすぐウィッチに向かって行ってくれます。

なので囮作戦などもやりやすいんですよね。これが1942年になってくると戦術を理解し始めて初歩的ながらもロッテを組んだり重要目標を優先して叩こうとしたりしてくるので厄介なんですよ。

 

 

爆撃機が所定進路に入りました。それと同時に地上からの攻撃が行われます。距離が空いているため直撃するということはありませんしビームは対空砲弾と違って爆発して破片を飛ばしてくることはないので近くを通ったとしても当たっていなけれれば大丈夫です。

 

はい爆撃が始まりました。

下を見下ろすと雪が積もった大地に黒いネウロイが団子状態になっている場所がいくつか見られます。水深が浅いところや川岸同士の距離が近いところで顕著です。

 

あ、地上からの攻撃を爆弾倉に食らった爆撃機が吹っ飛びました。まだ投下すらしていないんですけどねえ。破片がこっちにも飛んできます。当たるとダメージなので距離を取ることにしましょう。

あ、乗員の指だ。

まあコラテラルダメージコラテラルダメージ。戦争にはつきものですよ。

攻撃ウィッチ達も地上に向かって降下して行きました。

あちらは緩降下で爆弾を落とし、ついでに対空戦闘を行なっているネウロイを機銃で攻撃しながら離脱します。

彼女達のストライカーもこちらと同じE型なのですがあちらは爆弾を取り付けて飛行することが可能なE-1/B型になっているためユニット下方に爆弾を乗せています。

一応投下した後は空戦に参加することが可能ですが基本彼女達は空戦をしません。

AIは帰投に必要な燃料が近づくと空戦をしなくなる特性があるのでおそらくそれが原因でしょう。重たい爆弾を抱えてここまできているので燃費は悪いわ載せられる燃料は減るわであまり評判は良くないようです。特にドロップタンクがないBf-109は行動半径が本当に辛いですからねえ。

やっぱりシュトゥーカが必要ですよ。後魔王閣下。

取りあえず全爆撃機が投弾を終えました。では反転して基地に帰りましょう。

もちろん帰りもエスコートですよ。

 

小隊集合の合図が出ましたね。小隊長の周囲の一定圏内に入るとそれでミッション終了です。

特に被弾もなく今回も高経験値いただきました〜。いや〜うまうまです。

 

 

はい帰投したのでさっさと部屋に戻りましょう。余計なフラグに巻き込まれるのはごめんですからね。

いやあそれにしても寒いですねえ。温度体感を切っているんですが雪降ってるのを見ると視覚的に寒く感じてしまいます。

 

「アントナー軍曹ちょっといいか?」

 

はい?なんですか小隊長。

おかしいですね。ここで小隊長が声をかけてくることなんてなかったと思うのですが……

 

「ちょっと付き合え」

 

……は?

 

イベント?……マ?

 

 




Bf-109メッサーシャルク

帝政カールスラントが開発したストライカーユニット。
同国では初めての宮藤式として開発された。
第二次ネウロイ大戦の全期間を通して活躍した同国の傑作ストライカーユニット。
搭載されている水冷式倒立V型魔導エンジンはその性質上マリーンエンジンなどと比べてパーツ精度が要求され高度で複雑な構造を持っている。
そのため整備性が悪く部品供給が滞っている末端地域ではマリーンエンジンを搭載した現地改修型などが生まれている。


Bf-109E-1
第二次ネウロイ大戦初期の主力機。
出力は1100馬力。
積載重量と継戦能力が低いもののそれ以外は概ね高い水準でまとまっている。
フォッケウルフ社のある設計主任からはサラブレットと呼ばれており現地整備士からは華奢で整備性が悪いと評価は良くない。
しかしその性能ゆえにウィッチ達からは概ね好評であり事実エースウィッチ達の多くはBf-109を愛機としていた。


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???1

その少女と出会ったのは12月も終わりの雪が降る日だった。

新しくJG 52に配属になったということで挨拶回りをしていたんだ。

その時点で彼女はいくつかの空戦をすでに体験していたようでね。彼女の初陣は知っているけれどそれは私が直接体験したことではなく、当時の小隊長だったウィッチに教えてもらったんだ。

 

 

 

 

JG52第二飛行隊第六中隊の第2飛行小隊で小隊長を務めるヴェカミ・フーベルク少尉はその日新入りを迎えに基地近くまで伸ばされた臨時駅までやってきていた。

「……あ、珍しく定着だ」

駅とは呼ばれているがプラットホームがあるわけではなく、荷物の積み替えをスムーズにできるよう少しばかり線路を地面より低い位置に設置しただけの簡素なものであり、素人目には駅ではなく信号場で停車をしているようにしか見えない状態だった。

だけれどそこに到着した列車からは次々と人が荷物が降りてくる。

送られてきた物資はどれも出発先がバラバラで、木箱やパレッドに書かれた文字もカールスラント語やブリタニア語、扶桑語とバラバラで統一感のかけらもなかった。

全てがごった返したかのような喧騒にどこかインドのような雰囲気を感じつつ、目的の人物を探すことに専念した。

軍人や荷物を運び出す男達に混ざって何人かのウィッチを見つけることはできた。だが目的の人物はなかなか見つからなかった。

書類に書かれていた年齢は10歳。年齢的に身長の事を考えれば見つけられないというのも仕方がないことだった。

「あの、もしかしてヴェカミ・フーベルク少尉でしょうか?」

だが、カールスラントの軍服の上から裏側が白、表が灰色のコートを着ている彼女は相当目だったらしい。

探していた人物の方からフーベルク少尉に会いに来た。

 

「ええそうよ。それで貴女が…」

 

「はい、アントナー・S・ハル軍曹です!本日付で第52戦闘航空団に配属になりました」

7歳下の彼女は、サイズが合わない軍服を無理やり着ているせいか腕などがぶかぶかになってしまっている、それでも精一杯の敬礼をしていた。

 

 

 

彼女は最低限の訓練を施されただけの徴用組、その第一陣なのだ。

9月にネウロイとの戦いが始まってから、本来防衛を行うはずであったダキアやヨーロッパ平原の国は僅か1ヶ月も経たずにほぼ壊滅。

現状では山脈と川に防衛線を引いて水際作戦と言った状態であるが、それゆえに撤退や退却ができず被害は積み上がっていた。

特に最前線のウィッチはそれが顕著であり、当初はカールスラントの西部に配備されていたJG52飛行隊も今年11月から東部の防衛戦にかき立てられていたのだ。

それでも各防衛戦では兵の消耗が激しく補充は必要だった。問題はその補充が想定していたものよりも多く、特にウィッチは数を揃えるのが平時からでも困難でどの部隊も定数割れが常態化していた。その結果生まれたのがウィッチの徴用組であった。

ネウロイの侵攻による時間的な制約で訓練過程と座学を一部削った結果最短2ヶ月で戦場に送られる彼女たちは、一通り問題ないと判断された者が補充要員として送られてくるが、それでも訓練学校で教育を受けた者達と比べてしまえば徴用組は戦力としてはどうあっても劣ってしまうのではないかというのが現場での噂だった。

 

だが軍は良くも悪くも現実主義者達の集まりである。いくら訓練の成績が、学校の成績がよくとも実戦で使えなければ何の意味もなさない。

逆に訓練課程に多少問題があっても実戦で有用と分かればそれなりに重宝されるものなのだ。

その点JG52はその事例が多いこともあり比較的マシな方だった。

 

だけれどまだ10歳の少女を戦場に送り出してくるなどどうかしているとフーベルク少尉は内心上層部に文句を言っていた。

自身が入隊したのは12歳といえど部隊配備は14歳だ。

それを入隊からたったの2ヶ月で部隊配備など非常識でしかない。これでは育つ逸材を種のうちから取り除いてしまうのと同じだ。

しかし同時に圧倒的な人員不足とそれによる戦力低下も理解していた。

「……?」

 

「どうしたの?戦場が怖い?」

 

「いえ……大丈夫です」

 

「あー、今のうちに言っておくけど、戦場ではそれなりにフォローするよ。ただ、戦場で最後に身を守れるのは貴女自身だからね。戦場は弱い奴からみんな死んでいくそれだけは忘れないで」

 

 

アントナー軍曹の表情が少しだけ強張った。だけれど軍に志願した時から覚悟はできています。その目は筋が通っていて、少なくともメンタルは大丈夫そうだとフーベルクは微笑んだ。

 

 

 

彼女の技術面がはかれるようになったのはその次の日の早朝だった。

 

 

その日の夜に降った雪を退かそうと滑走路に積もった雪を扶桑国から送られてきた小さな機械がコトコトと外に押し出していた。

扶桑国にあるリヤカーという人力の荷物車を六つ並べて繋げたような車体に、運転席とエンジンを乗せワイヤーで排土板を動かす子供の工作機械のようなものだったが、人力で行うよりも何倍もの速さで雪をどかしていくそれは見た目に反して意外にも頼もしい存在だった。

それが動くのを尻目にフーベルク少尉は朝のコーヒーを飲もうとしていた。

 

後1時間ほどでスクランブル待機が交代するというタイミングでそれは鳴り響いた。

空襲警報。同時にスクランブルを表す赤いランプが光った。

 

飛び跳ねるように愛機が止められている格納庫に駆け出した。

エンジンはすでに暖められていて、すぐにでも発進できる状態になっていた。

 

小隊は配属転換したばかりでまだ顔を合わせてから日が浅い。

一緒に駆け出していた仲間の中にアントナー軍曹はいなかった。だけれどそれに関して誰も文句は言わなかった。

ニュルンベルク郊外からここまで鮨詰めの列車を乗り継いて来たのだ。まだ幼い彼女の事を考えれば寝かせておく方が賢明だった。

だがフーベルクが武器のチェックを行なっていると、彼女が格納庫に転がり込んできた。

「遅い!配属初日だからと言って敵は待ってくれないぞ‼︎」

本当は叱りたくはなかった少尉だったが格納庫に遅れて来たという事実は変えられない。特に1秒でも惜しいと考えている周りの兵の非難がましい目線を吹き飛ばす為彼女は怒鳴った。

「すいませんッ!」

謝りながらもアントナーは手早く準備を整えていった。その手際は2ヶ月程度しか訓練をしていない者には思えないほど素早いものだった。その上迷いもない。まさしく自身と同じだと少尉は感じた。

すぐに準備を終えた彼女を四番機として、フーベルク少尉は滑走路に向かって動き出した。

滑走路端に向かっていくと、滑走路の除雪をしていた排土車が逃げるように滑走路から出てくるのとすれ違った。運転手達が帽子を振り回して檄を飛ばす。

「タワータワー、こちら迎撃部隊、全機出撃準備完了。これより滑走路手前で待機する」

全員が滑走路端に到着し、準備完了の合図を少尉に送った。

小隊長である少尉が管制塔に準備完了の報告を入れた。ほぼ同時に返答が返ってくる。

『了解。タワーより迎撃部隊、滑走路クリア。離陸を許可します。離陸後はすぐ高度制限を解除。バンクして方位0-6-0へ。西から1ノットの風』

 

「了解。出撃する」

 

 

空に上がってからも、何度か少尉は新入りの彼女を確認し続けた。

(飛行姿勢も安定している……随分と慣れたように飛ぶのね)

 

「敵機発見!下方200!」

2番機が下を通過しようとしている黒い点々を見つけた。素早く少尉は指示を出す。

最初に二番機と三番機のペアが上空から攻撃を仕掛け、ネウロイが攻撃に転じる前に一番機と四番機が追撃を浴びせる。

高度有利を取れたのを最大限に生かす方法だった。

「新入りは私の後をついてきて。結構振り回すけど見失わないでね」

 

「Jawohl」

動き出した少尉の後ろをピッタリとついてくるアントナー。

(ぴったり合わせてきている。それに軸線のブレも無さそう。もしかしたら掘り出しものかもしれない)

最初の攻撃で混乱したネウロイに少尉が機銃を浴びせた。

射程に捕らえていた時間は3秒足らず。その合間に二機のネウロイを撃破している。結果残りは二機だけとなった。

 

 

「さて新入り。貴女がどう戦うのか見せて」

ここで少尉は彼女の技量が気になり、試してみることにした。

「Jawohl!」

アントナーは少尉に返事を返しながら、残る二機のネウロイに飛び込んだ。

(ヘッドオン?怖くないのか⁈)

たしかにヘッドオンなら偏差射撃もあまりしなくて良い分効率は良くなる。だけれど当然ネウロイも反撃をする。放たれたビームをロールする事であっさりと回避し、目の前のネウロイに機銃弾を浴びせた。

最初の数発の着弾でコアがむき出しになり、そこに直撃弾が飛び込みコアを貫いた。

「よし一機撃墜だ」

同時に後ろをついてきていた少尉もネウロイを撃破する。

 

「なかなか肝が据わっているのね。それに射撃の腕も良い……貴女どこかで銃を使ってた?」

 

「え?いえ……銃を使ったのは訓練以外ではじめてです」

 

「初めて?」

(それにしては妙に扱いに慣れている。出撃前の準備も手慣れていたようだけど……やっぱり天性の才能ってやつかしら?実例は…ああ、あの子がいたわね)

最近ストライカーユニットの先端を黒い模様で飾り始めた子の事を考えながら、少女達は帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

次に彼女を語るとすれば、爆撃機の護衛任務についてだと少尉は言っていた。

確か3回目の出撃だったみたいでね。

その頃になると積もった雪や氷が川にも薄く張り始めていて川幅が狭まってきているところがいくつかあったんだ。

そういうところにタンク型や地上制圧型ネウロイが集まって川を渡ろうとしていたんだ。それを阻止するために爆撃機で空爆をすることになってね。

まだJu87のような純正爆撃型のストライカーは無いからJu88爆撃機とBf-109の爆撃機型を装備したウィッチとそれを護衛する方法を取ったのさ。

私はその時彼女たちよりももう少し南の方で爆撃機の護衛をしていたんだ。

 

護衛自体はうまく行ったらしいんだけど……

あ、もうこんな時間か。すまない、これからクリスの見舞いに行かないといけなくてね。

それじゃあ失礼するよ。

その時のことは今度話す。




MG34
開戦当初のカールスラントのウィッチは、空を飛ぶことが可能な歩兵という思想によって運用されていた。そのため武装においても一般的に歩兵が運用していた武装を使用していたが、攻撃可能時間が短く、目まぐるしく変わる空戦では歩兵銃などの武器では十分な攻撃を行うことができないと開戦してまもなく問題となった。
MG34は歩兵銃では空戦に役に立たないという理由から急遽ウィッチに配備が行われた汎用機関銃である。
カールスラント初の汎用機関銃であったMG34は、空冷式で7.92ミリ×57ミリモーゼル弾を毎分900発の速度で撃ち出すことが可能である。
これにより当初の問題であった火力不足は一応は解決したかに思えたが、使用弾が小口径であり、進化し続けるネウロイ相手には早い段階で火力不足となっていった。
それでも小型相手には十分な火力と小口径ゆえに弾薬搭載量が多かった為、戦争後期でも好んで使う者が多かった。


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part3 欧州戦線3

はい予想だにしない横槍に貫かれたRTAはーじまーるよー!

前回なんだかよくわからないイベントが入ってきてしまって困惑中のところから再開です。

 

さて、隊長に半ば強制連行されてやってきたのは医務室です。

どうやらレズちゃんの体を詳しく検査するようです。

検査というよりそういうプレイを始められそう。

ちなみに空戦や地上で負ったダメージ等は食べ物を食べたり寝ることで回復できますが、骨折や火傷などの状態異常はメディックか医療魔法が使えるウィッチ、或いは基地にある医務室に行かないと治りません。

しかしこのイベントははじめてだったなあ。たしかに状態異常の時にそれを放置していると医務室イベントが発生しやすいというのはありましたけれどHPが削れてるだけですよ?うーん(チャートが)壊れるなあ。

「やっぱり怪我していたのね」

いいえ、HPが減っているだけです。食べて寝てれば治ります。だから早く返してください。今、私は冷静さを欠こうとしています。

 

とりあえず治療してもらったからもうええやろ帰ろ帰ろ。

後ろで引き止めてくる声がしますがこれは無視でいいでしょう。

治ったなら全てよし!

 

さっさと寝ましょう。では三日目の寝室、ちなみにウィッチの部屋は4人一部屋という構造で、基本階級が同じ者同士になっています。

基本このゲームでは前日までは哨戒やS/C待機なので顔合わせができないということになっているため他のルームメイトとはここで顔合わせとなります。

まあ攻略不可能なモブですけれどね。それでも一定以上の交流を持てば親友程度の関係にはなれるそうで、それなりに作り込まれています。

ですが基本気にしないようにしましょうとにかく自己紹介が終わったらさっさと寝ます。何人か適当に話しかけてきますが基本適当に返しちゃっていいです。会話がイベントフラグになることもありますが、モブとの会話では気にすることはありません。確率上ゼロに近い物ですしむしろイベントに発展させる方が難易度が高いです。

はいではおやすみ今日は閉店!

 

 

 

 

はいおはようございます。今日も今日とて起きたらタイムアタック!

はい日付どころか月も変わって1940年です。この世界では日数換算で12日で一月が経過します。1939年は年末スタートなので三日で年越しです。

ハッピーじゃないニューイヤーです。いやはや戦争は地獄だぜ。

 

ちなみにネウロイがこちらの文化を知っているのかは不明ですが年始だけは襲撃がありません。まあゲーム的にもそうしないとキャラのイベントを発生させられなくなってしまうからなんでしょうけれどね。まあイベントなんて知ったこっちゃないですが。

とりあえずご飯を食べにいきましょう。丁度モブ達からも誘われているのでそれに乗じることにします。一見イベントのように思えますがこれはイベント扱いではありません。しかしこういう約束事を遂行している合間は余計なイベントが発生しなくなるので廊下での事故的イベント遭遇を防止することができます。

おお今日はソーセージだ!

うん、おいしい(棒)

 

とりあえず訓練しましょう。今日はランニングと腕立て伏せです。VRMMOの中では珍しく他のゲームや前作からデータの一部をコンバートする機能がないこのストパンシリーズではいかに体力スキルをあげるかが勝負となります。だからこれは理にかなったものなのだ。チャートにも古事記にもそう書いてある。

ちなみに基礎の体ががっちりしているのならそこまで必要はないですよ?このように片手で腕立て伏せをすることだってできます。

ただし訓練を連続で行なっているとエーリカ、クルピンスキー、ラルのいずれかが話しかけてくることがあります。ただし一緒に訓練をするだけなので好感度に影響はなくその後イベントが発生することもありません、逆に一緒に訓練を行うと多少強化率が上がります。デメリットは……強いて言えば会話分だけ若干ロスになるくらいですがこれくらい誤差だよ。

 

「今日も走ってるんだ。一緒にどう?」

 

言ってる側からこれですよ。午後の訓練をする前にそんな気がしていたんですよーね?私の気は鋭いんですよ。

断ることはできないので今回はエーリカとクルピンスキーペアと一緒にランニングでもしましょう。

まあ黙って訓練するよりも気分転換が出来ますからこっちも脳の負担が減って嬉しさマックス。ただしクルピンスキーてめーはダメだ。

なかなか恐ろしいことにこのニセ伯爵こっちをころっと落としてこようとします。私はそんなのに屈しないッタイムがあるんだああ!だからお茶どうなんて聞いてくるなっ行ったってイベント起きないんだから無駄足なんだよっ!

 

 

……はい訓練が終わったので今日は寝ましょう。

何やらルームメイトが話していますが適当に答えておきます。コミュ障だと押し切られることがあるのでキッパリと断ったりすることも大事です。

 

では今日も寝ましょうお疲れ様でした〜。

 

 

おはようございまーす!

お、早速早朝から空襲警報です。すぐに格納庫に向かいましょう。

って今日も朝食抜きになってしまいました。まあ仕方がありません。

ルームメイトかつ同僚ウィッチ達も駆け出していきます。流れに乗れば最短経路でたどり着くことが可能です。

ちなみに今回のミッションは一気に難易度が高くなります。

 

では軽くミッション内容を聞いていきましょう。

ミッション内容はインカムを入れると聞くことが出来ます。ちなみに隊長さんからのではなくなんとバルクホルンさんの生声です。

いやあ耳に薬じゃあ、本音を言えばエーリカの方がいいんだけど。

 

ではミッションの詳しい解説です。

 

このミッションはネウロイの大規模攻勢を食い止めるという物です。大雑把に言えばですけど。

詳しく説明すると地上の天然防壁である川をものともしない飛行型ネウロイがはじめて大集団で川を通過。ピケットラインに侵入したとの報告を最後に通信が途絶えたとのことです。

ああなんたる悲劇。

具体的な数は不明ですが中型が少なくとも30、小型はその倍以上いるとのことです。目的地は最前線基地であるここだそうで上げることができるウィッチや航空機を軒並み上げて対処に当たれとの事です。

 

ミッション到達目標はご覧の通り。

・基地の滑走路一本以上を死守

・小型ネウロイ八機の撃墜

・中型一機以上の撃墜

・小型ネウロイ3機の撃墜

・燃料タンク三つの防衛

・格納庫の防衛

 

さすがエース級やることが、やることが多い!

すでに空に上がった時点で基地防衛するしかない状態っていやあーきついっすわ。

一応スクランブル隊が先に出ていますが四機だけじゃ他勢に無勢だったようですぐに逃げかえって来ています。

ちなみに航空ウィッチだけでなく普通の戦闘機も混ざっての防衛です。

あんなものが役に立つとは思えないですが肉壁にでも使用しましょう。

どう考えてもアニメの千代田飛行隊と千歳飛行隊の二の舞でしかない気がするのですがね。

あ、無線から死亡フラグも流れてきていますね。すぐにインジェクトするんだ!急げ!

 

 

基地防衛戦なので離陸をスキップすると高度制限を解除されたところからとなります。この後は高度5000まで上がりネウロイの集団に備えます。

高度を上げていくのは基本隊長についていけば良いです。正直その方がこの時代の機体では効率が良いです。

高度有利をとったとしても速度が失速寸前だったら意味がないですし。なにかとウィッチクラスのサイズだったら上昇気流に乗る事で上昇力をカサ増しできますし。

 

では高度を一気にあげて敵に備えましょう。

では敵機が見えてくるまで倍速です。

はい、見えて来ました。ネウロイ集団です。

では高度を上げつつ最初は隊長にピッタリくっついていきます。

高度を上げつつなるべく横から殴り込む形でダイブを開始します。

 

難易度が低ければ最低撃破目標数を達成しておけばそれだけで十分ですが、こちらが殲滅する勢いで戦わないとこの難易度では防衛目標が軒並み消し炭にされかねません。

それに撃墜機数が足りないと501にスカウトされません。

エースでは最低撃破数にプラス2機ほど数を入れておけば安泰です。

しかしRTAをする場合一個一個の戦いに時間をかけることはできません。タイム短縮をしつつそこまで数が稼げるのは大規模作戦か大規模防衛戦のみなのでここは稼ぎどきです。

 

ですがしっかり反撃のビームが飛んできます。

回避できるなら回避したほうが良いですがここはシールドで防いで一気に通り抜けちゃいましょう。

中型の周囲を守るようにして飛んでいる小型を一機道連れにしていきます。

 

隊長機から離れてしまいましたがここからは個人プレーと洒落込みましょうや。

 

固有魔法を使ってその場でクルビット機動をしながらこちらを追いかけてこようとする小型を破壊します。

そのまま離脱。零式だったらここで反転して突き上げが可能ですがこちらとてBf-109。流石に無理はできません。

普通だったらですけれどね。

ここで再反転当然固有魔法のお世話になります。

 

時間もないので残りの弾は中型ネウロイに全弾叩き込みます。

ふうーすっとするぜ。MG34では威力不足と言われますがしっかり引きつけて全弾撃ち込めば高確率でコアに当たってくれます。大体コアの位置を覚えているのでできる戦法なのは違いないですがまあ気にしない気にしない。

弾の消費が多いのが難点ですけれどそれはご愛嬌です。

 

さて残りの小型ネウロイも脅威度は低いとはいえ残すと厄介なので始末しましょう。

では高度をあげつつ別のグループに向かいます。

次は…おっとビームの攻撃です。すぐ近くを飛んでいた普通の戦闘機が一瞬で蒸発し爆発しています。

回避運動をしながらネウロイの位置を確認です。後方から二機接近。

距離もないのでシザースをしながら逃げます。

あ、これは振り切れませんね。ではここでコブラ機動。魔法発動時間が残り10秒ちょっとですがまあ大丈夫でしょう。

オーバーシュートしたネウロイ二機に弾を叩き込んで離脱します。魔道探知画面で撃墜を確認できますからすぐに中型を叩きに行きます。正直、何機か小型が基地に攻撃をかけ始めているところですが、多少の損害は気にしないようにしましょう。

基地上空に入ろうとしていた中型ネウロイにアタックします。ビーム攻撃を避けつつ懐に潜り込んでコアを撃っちゃいましょう。ネウロイのコアの位置くらいは覚えておいて損はありませんのでね。狙える時はしっかり狙っていきます。

すぐ隣を飛んでいた中型もついでに攻撃しちゃいます。

撃破は出来ませんでしたがコアを露出させることはできました。

お、エーリカがトドメを刺してくれました。いやー機動がおかしすぎるあの子。流石黒い悪魔。もうこの時点で風格が現れてます。

お、ここでミッションコンプリート。残存ネウロイが引き上げていくようです。

 

地上被害は燃料タンク一機炎上、滑走路一本が被弾。他東側対空陣地壊滅とまあ被害は少ない方です。

ただし上空を飛ぶウィッチや戦闘機はかなり減っていますね。

いやー激戦でした。

って事で今回はここまでご視聴ありがとうございました。




JG52

正式名称帝政カールスラント空軍第52戦闘航空団
上級部隊第4航空艦隊
任務 制空
使用機材 Bf-109シリーズ
当初カールスラント最大規模の航空戦力を持っていた第4航空艦隊に所属する唯一のウィッチ部隊でありウィッチのみで構成された部隊としては同国最大規模を誇る。
第二次ネウロイ大戦勃発時にはカールスラント西部に配備されていたが東部側の戦線拡大に伴い東部防衛線に参加。
カールスラント撤退時には殿を務めた。
殿時の任務記録はほぼ破棄されるか消失しており正確な戦果を測ることは不可能である。
その後部隊半壊と共に再編された第3戦闘航空団に編入。
エースパイロットを多く輩出しており、ネウロイを最も多く排除した航空団と言われている。


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part4欧州戦線4

地獄の蓋が開いたストライクウィッチーズRTAはーじまーるよー!

 

前回までのあらすじ

天使とダンスだ。以上

 

 

では基地に着陸し終わったところからです。

着陸に関しては今回は数少ないスキップ不可案件なのでしっかりとこなしていきます。普段使っている滑走路がネウロイの攻撃で前半分使用できないのでウィッチは後ろ半分を使って着陸しろというかなり難易度上げた事ぬかしてきます。

滑走距離が短くなってしまっているということはその分進入速度を落として失速ギリギリで飛行することになります。

苦手な人はとことん苦手な物ですが扶桑海軍や空母への着艦が必要な場合では必須な技法なのでちゃんと覚えておきましょう。

今回はとっても早くて安全なRTA着陸術を教えましょう。

 

まず高度10mで巡航速度を維持します。速度を落とせと警報がなりますが無視です。滑走路端が見えたらエンジン出力をカット、滑走路端に入ったところで機首上げ動作をします。同時にフラップ全開。機首が上を向いたまま急減速で高度が下がります。後は自由落下になる前に機首を下げてタッチダウンです。

ちなみに純艦上ストライカーユニットなら余裕でできますがBf-109やFw190系は陸上機なのであまり高度が高すぎると着地時に破損します。

やるときは十分気をつけましょう。

 

では格納庫まで戻ります。格納庫に入ると自動でムービーになりますが、今回はスキップ不可なのでストーリーが終わるまで黙って見ていましょう。まあ会話はスキップ状態なのでこのゲーム初見ニキネキにざっと会話を要約するとですね。

 

えー…残念ながら我が小隊壊滅ぢました。

 

はい、隊長は無事でしたが三番機と四番機は残念ながらお陀仏です。

一応三番機だけはまだ息があるので隊長と一緒に見舞いに行きます。

 

大規模戦闘の後の医務室並びに臨時の救護室はまさしく戦場となっています。

ある程度規制が入っているのでそこまでではないですが、実際の戦場じゃもっと酷かったんでしょうね。

軍医と看護婦と医療ウィッチにとって戦いはこれからです。

 

お、三番機ネキさっきぶり。

一応三番機ネキは生きていますが左足が太ももから下でバッサリ切断されてしまっていてもう兵士としては使い物になりません。

一応義足という手がありますがそれ以前にメンタル面の方がダメなのですぐに後方の病院に移送する手続きが取られています。

そんなやりとりをしている合間にもどんどん怪我人が運び込まれてきます。

本当の地獄は基地にあった。

 

 

 

では隊長と少し話した後から自由に動かせるようになります。まあ速攻部屋に帰って寝るんですけれどね。ヨケイナフラグタテルノヤダ。

ちなみにルームメイトは誰一人…(帰って)きませんでした。

何がいけなかったんでしょうかねえ。

ノーマルやイージーなら部屋の子達も普通にいるんですけどねえ。

まあそういうことです。

ちなみに1人はさっきの医務室にいました。

わかりづらいと思いますが証拠映像をどうぞ。え?ここですよここ。私はちゃんと気づいてましたよえっへん。

 

 

 

お、部屋に入るとイベント?

あ、これロスマン教官や。

うち教官なしで初回から戦闘させられてるっすよ。頼むから模擬戦くらいさせてくれ…あ、ダメですか。さいですか。

 

えーっとなになに?エーリカが私を引き抜きたいって言ってる?ほーん…あ?クルピンスキーも?そんな選択あったらエーリカに決まってるやないかい!

そりゃあ推しですし?っていうのは冗談で、クルピンスキーの方に行くと女好きゆえにすっごい絡んでくるんですよ。しかも強制イベント起こるし。

それに対してハルトマンはある程度線引きしてくれているおかげであまり絡んでは来ないですね。こちらからグイグイいかないとイベントが起こらないタイプで、ある程度友好度を上げて行くと結構深入りしてきますがそうじゃなければ特にと言った感じなのでエーリカの方を希望しましょう。ちなみにラルさんはクルピンスキー寄り、バルクホルンはその中間くらいです。

まあこれはあくまで希望です。7割確定3割外れって確率で希望通り行かないケースが発生します。

じゃあこれで話は終わりです閉店!ほら出てって!余計なフラグを持ち込まないでね!

 

はいおはようございます。今日は吹雪ですね。こんな天気では出撃もなくネウロイの襲撃もありません。

さーて室内でできることは…部屋に籠ること‼︎

というわけでもなく普通に格納庫で整備訓練でもしてましょう。

といっても本格整備は出来ないので簡単な点検と応急修理方法を学んでいくという内容です。

 

 

はい、午後ですが第一飛行隊長から異動の命令が来ました。

詳細を聞きにいきましょう。

前回の爆撃で司令室は半壊しているので隣にある作戦立案室で説明をしてくれます。

 

えー……うちの小隊が壊滅して補充要員も来ないから再編で隊長の元を離れることとなりました。

結果として第二飛行隊第六、第四、第二中隊は解散。

残存人員はそれぞれ第一飛行隊や第二飛行隊の残る中隊に編入となりました。一応これで定数割れは収まったようです。平時からウィッチ不足で定数割れしているのが常態化していると結構感覚狂ってきますよね。

当然今の小隊長ともお別れとなります。

 

この隊長面倒見が良いから好きだったんですけどねえ。まあ前回余計なフラグを立ててきたのでここで離れることができるのはラッキーです。

ちなみに行先はエーリカの部隊、そう第一飛行隊第六中隊の第一小隊です。

やったね!(よくない)というのは冗談で、結果はまずまずです。

ここでストーリーは二つのルート分岐をします。

一つは一般兵のまま過ごして501結成後、宮藤と同時期に入る方法、もう一つが、エースウィッチとして活躍して501結成時にスカウトされるルート。

当然難易度は後者が高くなりますが総合的に見てエースウィッチの方がイベント選択の自由度が高くお時間うま味要素が大きいです。

なので今回はエースウィッチとして活躍するルートを元にチャートを組んでいます。

 

この後の流れを大まかに説明しますと、作中エースウィッチと一緒に戦い戦績を残すことで501設立時にスカウトされるようにします。

 

というわけで今日はもう寝ましょう。特に今の状態でエーリカに会えば必ずと言っていいほどイベントが起こります(4敗)

特に歓迎会と称して飲みに付き合わされたりクルピンスキーが高確率で乱入してきてロスマン教官が止めに入るイベントは長いので巻き込まれてしまったらリセ案件です。

 

 

というわけでおはようございます。朝ごはんを食べていると恒例となった出撃のお時間がやってきました。

昨日疲労回復に関するミニクエストを消化していないので疲労が溜まっている状態ですが特に影響はないのでこのまま出撃です。

疲労は友好度の上がり方が悪くなったりする物なので今は関係ありません。

 

 

「エンジン始動!」

今回は隊長がエーリカ・ハルトマン。ポジションは三番機。四番機をウィングマンにつける実質的なリーダーです。二機によるロッテ戦法を採用しているのは実はまだ欧州だとカールスラントだけです。

扶桑はウィングマン二機の三機編隊が最小単位。大陸国家リベリオンは実はまだロッテ戦法は研究段階です。

 

 

 

では空戦スタートです。

まあ今回は制空ミッションなので最初のミッションと大して内容は変わりません。

ミッションが始まったら早速上昇しながら加速していきます。

わざわざエーリカにくっついて飛ぶ必要はありません。

 

 

離陸後はいつも通りの空戦撃を繰り広げるわけですが、今回は僚機もいるのでヘッドオンで突っ込んじゃいましょう。

AIをうまく誘導する必要がありますがそこそこ優秀なのでちゃんと指示を出せばいうことを聞いてくれますの。

先頭に立つ私がシールドを行いネウロイからのビームを弾きます。

真後ろで隠れていた僚機がシールドを解いた瞬間射撃に移ります。こちらも射撃してネウロイの一団をサクッと壊滅させます。

スコアは小型三機撃墜、僚機も三機。共同撃墜二機いやー経験値うまうまです。

 

では高度を回復しつつ中型を狙いにいきましょうか。

お、丁度エーリカがいい感じに中規模な編隊に飛び込んで行ってますね。混乱しているでしょうから上から被せるように攻撃しちゃいましょう。

突撃ーッ!

トトト

あ、これは違った。

とりあえず撃ちます。火力が低いのはご愛嬌。当て続ければいずれネウロイは落ちます。

はいスコア二機プラスです。

はい全機撃墜で戦闘終了です。スコアは小型四機に中型を一機落としたエーリカがトップ。ついで小型五機撃墜した私と続いていきます。

まあこんな物ですね。いささか見栄えは悪いですが正直一撃離脱に徹したらこんなもんです。常に高度有利速度有利を心がけていれば被弾率も落ちますし。

まあそれなりに見越し射撃ができないと効果が十分発揮されないんですけれどね。

では帰りましょう。

 

 

基地に戻ったらしっかり格納庫に戻って地上パート再開です。

エーリカが何か話かけてきましたが適当に返事をして早めに切り上げます。

はい既に日はくれて寒くなってきましたので早めにオフトゥンに入って寝ましょう。

 

お、寝ようかと思いましたがここで呼び出しを受けました。エーリカが怒って呼び出しでもしているのでしょうか?こんな夜中になんのようですかい。

呼び出しはエーリカと私、それとロスマン教官とマルセイユ。

規則性のかけらもない……

えー僅か一日で直った司令室に集められているメンバーはランダムで排出されますが、このイベントでは選ばれたことが重要なのでここまできたら消化イベントじみたところがあります。

指令が来ました。

「エーリカ・ハルトマン以下三名はこれよりオストマルクからの援軍要請に基づいて、ドナウ川峡谷の防空任務へ派遣することになった。質問はないな。では各自12:00までに荷物をまとめてここに集合」

 

はいドナウ川峡谷、通称「鉄門」防衛線になります。

正式空域名称B7r人類防衛戦の決戦地ですってよ、おらわくわくすっぞ!

というわけで部屋に戻って荷物整理のお時間です。

 

 

まあ荷物なんてほとんど無いんですけれどね。

では今回はここまでという事でご視聴ありがとうございました。




B7r
第二次ネウロイ大戦初期に連合軍によって設定された欧州空域識別番号。
Aはブリタニアならびに欧州西部、Bが欧州東部方面
B7rと指定された空域は大戦初期の頃最終防衛ラインとなったカルパティア山脈南方の鉄門とダキア北部を囲うエリアである。
ダキア陥落から鉄門防衛戦までの合間最も激しい制空戦争いが繰り広げられた。連合軍はB7rを欧州戦略防衛上死守すべき場所とし、各国のエースを集めて対抗した。
その空に存在を許されるのは卓越した技量を持つエースのみであったことから、のちに伝説の空戦エリアと呼ばれるようになる。


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???2

えっと、これってもう回ってるの?

あ、回ってるんだね。りょーかい。

 

えっと?トゥルーデの予定が合わないから少し飛ばして私に取材って事でいいのかな?

せっかくだから私も取材して欲しかったなあ。

え?私の取材もあり?ラッキー!

 

 

それじゃああの子の事だね?

うんうん、じゃあどこから話そうかな……

 

 

 

 

 

1940年1月1日

「あ、また走ってる」

 

クルピンスキーとの会話が途切れ、少しの合間視線を窓越しに部屋の外に向けたエーリカ・ハルトマンは、数日前から時々外を走る少女を見つけた。

「お、年初めから立派な子だね」

 

「誰だっけ?」

女には目がない話し相手が、目を細めながら走る少女の情報を教えた。

「確かアントナー・S・ハル軍曹って言ったかな?3回目の出撃でネウロイを合計7機撃墜した新米エース」

そういえばトゥルーデがそんなことを言っていたと同時に受けた説教までプラスして思い出してしまいエーリカは少し顔を顰めた。それでもその実力に、なんとなく興味があった。

「ふーん……」

 

「興味出たかな?」

なるべく表情に出さないようにしていた彼女だったが、隣にいるクルピンスキーには全てお見通しだった。横目でエーリカが彼女を見ると、面白そうなものを見たと言わんばかりの表情。そっぽを向いて視界から外す。

「そんなんじゃないけどさー」

 

「僕は興味湧いた。ちょっと引っ掛けてくる」

ナンパしてくると言わないあたり格好はつけている彼女は、いつのまにか外を走るのに適した格好に着替えていた。

「あ、待ってよー」

 

 

2人が外に回ると、丁度半周してきたハルと遭遇することが出来た。

一周ほどしているはずの彼女は、しかし息が上がっているようには見えず自然体に近い状態だった。

隣に並んだクルピンスキーが真っ先に話しかけた。

「やあ、そこの努力家な少女、一緒に走らない?」

女誑し故にどうしたら女心をゲットできるかに精通しているクルピンスキー。しかし、ハルは年齢が幼すぎた。

「……えっと、その……」

困惑し始めるハルを、少し気の毒に思ったエーリカが割って入る。

「警戒されてるよ。私はエーリカ。こっちはヴァルトルート。いつも走ってるよね。あ、階級は気にしないでいいよ」

身長がまだ近いエーリカに、ハルもようやく落ち着いた。

「私はアントナー・S・ハル軍曹です」

 

「そっか、じゃあハルって呼ぶね。ところでさ、一緒に走ってもいいかな?」

 

「私は構いません」

今度はあっさりと承諾した。困惑していた表情も嘘のように消えている。

 

「あー……やっぱりそっちに靡いちゃったか」

クルピンスキーは頭を掻きながら苦笑するしか無かった。対するエーリカはそんな彼女にジト目を向けた。

「やっぱりってなにさー」

 

「いや?やっぱりエーリカは子供に好かれやすいなって」

 

「そんなんじゃないよ」

だがなんだかんだ年下がとっつき易いのはエーリカの方であった。

 

ただ立ち止まっていると、一月の冷気が押し寄せてきた。身震いをしたクルピンスキーとハルが走り出すのを、一歩遅れてエーリカが追いかける。

ランニングなのでそこまで飛ばすわけではないがそれでも彼女のペースは少し早い。エーリカはそう思った。

 

「いつも走ってるけど、走るのが好きなの?」

 

「そういうわけではないです。ただ、体を動かしている方が色々忘れられるんです」

 

「ふーん……なんだかトゥルーデみたい」

だが口には出したもののどうも違和感があると思った。

「ルームメイトにもそれを言われました。教官みたいに馬鹿真面目っぽいって」

たしかにそうかもしれないとエーリカは1人納得していた。昔の自分も真面目な方だったと自負しているが自分よりかはロスマン教官やラル少尉の方が近い。そんな考えが頭をよぎった。

 

「けど今日もこんなところで走ってて良いのかい?一応年初めの今日くらいは親元に帰ってゆっくりしたって良いんだぞ」

クルピンスキーの言うことはもっともだった。

実際ウィッチといえど10代前半どころか12歳以下も多数いる。

いくら人類のためとはいえど彼女達に無理を強いるのは軍上層部のプライドも多少は良い方向に機能したようで、年末の一日か年初めの一日くらいは家族の元に帰って良いと直直に発布されている。

実際私の小隊でも1人その日は帰っていた。

「他のルームメイトがそれをしているので誰か1人くらい部屋番をしないといけません。それに、私には両親はいないですから」

その言葉に三人の合間の空気が重たくなった。

「すまない。嫌なこと思い出させてしまったな」

 

「気にしないでください。戦争孤児なんて今時珍しいものでもないですから。それに私はたまたま魔力適性があって軍に行く道が残っていたから良いですが、そうじゃない子達なんて世の中には沢山います」

 

まるで足に重しがついたのではないかとエーリカは錯覚した。

「失礼なこと聞くと思うけど…生まれは?」

空気読んでくれとクルピンスキーを睨むが、時すでに遅しだった。

「生まれはカールスラントです。ですが去年の9月、家族で黒海の方に旅行に行ってて……」

 

「なんか…ほんとごめん」

 

「いいんです。普段聞かれないだけで秘密にしているわけではないですし」

いつのまにか横に並んでいたハルの表情をそっと覗いたエーリカは、少しだけ絶句しそうになった。

両親のことを話しているにもかかわらず、その表情はつらいというものより何処か諦めたような、悟ったものだった。少なくともまだ10歳の子供がするような物ではないというのはエーリカにもなんとなく理解できた。

「あ、気にしないでください。って言っても気にしちゃいますよね。でも、もう折り合いはつけたので大丈夫です」

 

「君が気にしてないと言うなら良いんだけど…辛くなったらいつでもおいで。話し相手くらいにはなるよ」

 

「絶対ついていっちゃダメだよ。ついていくなら自衛できるようにね」

 

「あはは……善処します」

 

 

しばらくは、たあいもない話をしながら走っていた3人だったが、途中でラルにクルピンスキーが呼ばれて離脱することになり、2人だけで走っていた。

五周ほど基地の周りを走っただろうか。そろそろ息が完全に上がったところで今日は終わりにしようとハルが言い出した。

 

 

走り終わったハルが部屋に戻るのをエーリカが見届けていると、丁度彼女のルームメイトが部屋から出てきた。

そういえば30分前くらいに汽車が駅に到着しているのが見えたなとぼんやりエーリカは考えていた。

 

ルームメイト達と何やら会話が弾んでいた。

悪いとは思いつつも聞き耳を立ててみると、ハル自身はあまり全員と顔を合わせたことがないらしく、今度歓迎会を兼ねて少し外出をしようという計画を立てているという内容が聞こえてきた。

「なーんだ、1人じゃないじゃん」

 

少しだけ過剰に心配していた自身が恥ずかしくなったエーリカだった。

 

 

 

 

それが私の初顔合わせかな。

第一印象はねえ……どこかまだ完成されていないエースかな。あの時からなんだかトゥルーデとか教官に近い雰囲気があったんだ。

でも飛び方を見た感じじゃまだ完成されてるとは言い難かった。

 

ああ、彼女の飛び方を見たのは大規模空襲の時でね。

丁度1月の2日、次の日だったんだ。

 

最初の異常は前線監視部隊からの通信が途絶えたところから始まったんだ。

そのあと緊急発進した偵察機が川を越えて基地に向かってくる大量のネウロイを見つけて大騒ぎさ。

 

数は基地に配属されていたウィッチと同じくらいだったんだけどあの時はローテーションで使えるユニットの数が限られていてね。

配備数の三分の一はオーバーホールしてたんだ。

しかも実際に飛ばせたのはその四分の三でしかなかったんだ。

たとえ組み上がっているストライカーだったとしても暖機運転をしたり各部にオイルを循環させたりする必要があるから離陸可能まで20分はかかる。しかも冬場はオイルが凍結しやすくてさ。結局オイル温める用のボイラーが一度に出せるオイル量を超えて一斉に発進させる事はできなかったのさ。

一応扶桑から送られてくるオイルはあの時から凍結しないしサラサラだったらしいけどそれは扶桑陸海軍の方に優先的に回っていたからね。

結局今と同じでその場にあるもので対応しないといけなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

1940年1月2日

 

「エンジンがかかったやつから離陸急げ!戦闘機以外は塹壕へ退避!」

ネウロイが到着するまでそう時間はなかった。

しかし地上にはまだ離陸できていないウィッチが残っていた。また爆撃機や輸送機、連絡機なども、一部が塹壕へ押し込まれようとしていてバンカーやランディングゾーンは蜂の巣を突いたような騒ぎだった。

エーリカはそれを横目に滑走路を駆け抜ける。

離陸直後の空はどんより雲で体感的にも視覚的にも寒く、防寒用に断熱魔法をかけていなければ数分で凍えてしまう空だった。

彼女の小隊以外にも周囲にはいくつもの小隊が急上昇を始めていた。

 

上昇して数分とたたずにネウロイの一団が遠くの空に見えるようになった。

エーリカは高度を取りながら狙えそうなネウロイを品定めしていく。

 

「最初は……よし決めた。チョッパーは一緒に突入。エッジとオメガは反対に回って。同時に突入するよ」

 

各員に指示を出しながら、二手に分かれてダイブをした。

高度が一気に下がり、体が後ろに引っ張られる感覚が強くなっていく。

前に突き出した機関銃の震えを手で押さえつけ、射程に入ったネウロイに銃弾を浴びせていく。

近くのウィッチを狙おうとしていたネウロイにとってはエーリカ達は死角だったのだろう。

行動に移る前にエーリカ達の射撃がネウロイの一群を撃破していた。

 

だが数が多く、そしてエーリカ達のようにうまくいっているウィッチだけではなかった。

 

シールドを張って身を守っていたウィッチの背後から、別のネウロイがビームを浴びせた。

ほぼ一緒に空に上がった戦闘機隊が、ネウロイの変則的なビームに絡め取られて爆散していく。

そんな光景がどこでも繰り広げられていた。

それでも中型一体を小型数体が取り囲むように守った群をバラバラに突入させてきているおかげかまだ防衛線は破綻していなかった。

 

しかし破局は近かった。

次の目標を探していたエーリカの勘が警鐘を鳴らした。

上空から何かが近づいている。そんな気配がして、まずいとエーリカが思った時には体は回避行動をとっていた。

続く僚機も回避を行なった。その直後さっきまでの飛行進路をビームが突き抜けた。それはエーリカ達に限ったことではなく、周囲を飛ぶ機体全般に言えることだった。

それは低く垂れ込めた雲の鱗片を纏うようにして降下してきた。

小型ネウロイよりもさらに大型の中型と分類されるネウロイ。

 

近づこうとする存在を各個体が庇い合うようにビームで応戦し、近づけさせない。

そんな敵の新たな戦術に混乱が広がる。

特に戦闘機の被害が拡大していく。

ビームが空を焼くたびにいくつもの爆発が空中で巻き起こる。

 

その隙をついて、防衛線を突破した存在がいた。単機で飛行していた中型ネウロイだった。

 

その中型が一体防衛線をすり抜けて基地上空に入り込んだ。

高角砲が、機銃が基地を守ろうと必死に応戦する。それを嘲笑うかのようにネウロイのビームが高角砲陣地を吹き飛ばし、周囲にあった機銃陣地を巻き込んだ。

すぐにエーリカは小隊を基地に戻す。

対地攻撃に夢中になっている中型なら隙は大きい。

燃料タンクが直撃を受け、吹き飛んだ。内蔵されていた燃料が炎の塊となって巨大な球体を作り出した。

巻き起こる煙と炎をシールドを使って防ぎ、死角となっていた正面にエーリカ達が飛び出た。

ネウロイが一瞬慌てたかのような動きを見せたが、次の瞬間四丁の機関銃によって、中型の体は大きく削られた。いくつかの弾丸がむき出しになったコアに当たったのかネウロイはその場で消失した。

だけれど安心はできなかった。

すでに高度を失い速度も低下していた。すぐに上昇を指示しようとして、エーリカ達の上に影ができた。

上から覆いかぶさるように中型ネウロイが飛び込んできたのだ。

防衛線が次々に突破されていたのだ。

 

シールドを張ったエーリカはまだマシだった。

若干遅れた僚機の左脚ユニットが煙を上げた。同時に高度が下がる。

残り2人はなんとか回避に成功したようだったがエーリカ達を援護する事は不可能な位置にいた。

エーリカだけならネウロイの攻撃範囲から逃げることはできただろうが損傷している僚機を置いていくことはできない。

ビームを防ぐシールドが限界を迎えた。

それでも1射分は防ぎ切ることができた。

 

しかしネウロイはすぐさま2射目のビームを放つ。

だけれどビームがエーリカ達を捉えることはなかった。

気づけば目の前の中型ネウロイはコアを破壊されて消失していて、その空いた空間を彼女が通り過ぎて行った。

先端が銀色になった茶色い髪。使い魔の証である小さな雷鳥の翼が頭に小さく生えた彼女は、鳥とは思えない変則機動で次のネウロイのところに飛んでいった。

彼女の僚機は見当たらない。逸れたのだろうか。

だが彼女は単機でネウロイを次々と狩っていった。

しかしそれ以上エーリカが考える事はできなかった。戦いは続いている。防衛線が突破されている以上少しでも敵を排除しないといけない。そうしなければ基地は消失してしまう。損傷した僚機に待避を命じて、再び空に駆け上がった。

 

 

 

基地に戻って来られたのはそれから30分後で、その時には基地は様変わりしていた。

高射砲陣地はいくつかが吹き飛び、負傷者が次々に運ばれていく。血と硝煙の匂いが格納庫にも、宿舎にも立ち込めていた。

燃料タンクの一つが燃えているせいか、あたりは真っ赤に染まっていた。

火災が収まる気配はなさそうだった。

 

小隊は全員生存。だけれど他の戦友の事が気になって、エーリカは医務室の方に足を運んでいた。

(戦場で見えただけでもかなりの数が落ちていた。知り合いの顔が無いといいんだけど…)

 

「あ、ハル……」

 

ハルの後ろ姿を見つけて声をかけようとしたエーリカだったが、その言葉が止まった。

それほどまでに彼女はショックを受けていた。

感じ取れたのはエースゆえの勘だった。

今の状態で下手に声をかけるのはやめておこう。それに昨日話しただけの少女だ。深入りするつもりもその時は無かった。

 

1時間後に、ヴェカミ・フーベルクから話を聞いたエーリカはひどく後悔することになった。

 

 

 

後で聞いた話だと、彼女のその時のルームメイトは1人を残して死亡、その1人も全身火傷で二日後に死んじゃったみたいなんだ。

小隊の方も2人落ちたみたいで1人は地面に叩きつけられて即死。もう1人は片足を切断しちゃって後方に送られたんだけど欧州脱出時の記録に残ってなくてね。

まあそれもほんの一角でしかなくて、あの時はウィッチだけでも20人が落ちて18人が戦闘継続不可能な傷を負ったか死亡。

そのほとんどが10代前半、経験が浅い子か新入りばかりだったんだ。

迎撃に上がった戦闘機も42機中30機が撃墜。ほとんどビームでやられたからパイロットの損耗が深刻でね。

 

 

なんか辛気臭い話になっちゃったね。ごめんごめん。

でもそれ以降だったのかな?彼女の戦闘スタイルが変化していったのは。

えっと…それ以前はまだエースとして完成されていない感じだったんだけど、それ以降の動きはどんどん完成されていったね。

迷いがなくなったというか、結構割りきって戦うようになった感じかな。

幼さってのがやっぱりまだ残っていたんだけどそれすら無くなって、なんだか年齢越されちゃった気がしたんだ。

 

あ、そろそろ時間だった。それじゃあ今度は私の取材もしてよね。




九八式多目的排土車

扶桑国が開発し、欧州や本国で運用された工作機械
当時リベリオンやブリタニアなどから送られてきていたブルトーザーに紛れてかなりの数が欧州各国で運用され、実質的に主力となっている。

構造はパイプフレームとベニア板によって構成された車体にエンジンとウェイト、運転席を取り付けた簡素な物
8つある車輪は自転車のものを使用し駆動は同じく自転車のチェーンによって伝達される全駆動式。それもそのはず製造会社は自転車やリヤカーを作っている会社。そのためサスペンションもリヤカーのもの。
排土板はワイヤーによって上下する。
見た目がかなりしょぼいせいかベニヤの玩具と言われていたが見た目相応に能力はそこそこあり、構造が簡素で軽量なため輸送に適しており故障が少なく自転車の部品が流用されているため修理も簡単ということから前線ではリベリオンやブリタニアの重機を差し置いてよく使われた。
アタッチメントを交換することでホイルローダーにもロードローラーにもできる。


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part5 欧州戦線5

はい激戦地区に送り込まれるRTAはーじまーるよー!

 

現在扶桑国が手配したトラック(94式六輪自動貨車)に乗せられてB7rの出張防衛に向かいます。

さてそんな最中ですが悲報です。めっちゃトラックガタガタ揺れるので酔いました。

いや〜こんなことって起こるんですね。三半規管のステータスは空戦を想定してかなり下げているので大丈夫と思ったんですけどね。

ええ、どこかのサイコロ芸人の如く寝っ転がって回復姿勢で伸びてます。

なまじキャラとの交友を深める時間として設定されているのでスキップできない仕様なのが腹立ちますね。運転席の方に座りたい。いやほんとこの時代の道路事情まで再現しなくていいですよ。一回跳ね飛んで幌枠に頭ぶつけましたし。

 

お、トラックが止まりました。どうやら到着したようです。

すごい!まだ基地なのに戦闘音が聞こえてきますよ。流石鉄門を守る基地えげつない。

 

えー基地着いてさっそくですが司令官らしい筋肉モリモリマッチョマンの男が出撃命令をしてきました。

まだ酔ってて気持ち悪いですが出撃します。

えー格納庫に機体があるのでそれを使えとのことです。とりあえず案内の整備兵についていきましょう。

 

ちなみにストライカーユニットは新型が送り込まれています。

ここでようやく新型機アンロックです。早速乗り換えましょう。

解放されたのはBf-109E-3型です。

この機体はエンジン出力をトルクに振って積載量を増やしたものです。

最高速度は5km/h落ちましたがその分重火器を搭載可能になっています。ただしその重火器があまり使い物にならないので実質的にはMg34二丁持ちになります。20ミリはモーターカノンになりかなり取り回しに難があります。

その上モーターカノンはこの時のネウロイ相手では結構オーバーキルです。これが1942年なら中型以上を相手取るのに便利ですけど。

 

これならエンジンを強化したE-4N型の方が絶対良いよまあない物ねだりしてもしょうがないのでモーターカノンで出撃します。

では離陸後は小隊長であるロスマン教官にくっついて行きます。空で迷子になるのはごめんです。

 

 

後ろの方でエーリカとマルセイユがバッチバチ(一方的に)争っています。

これは個人プレーになるパターンですね。ロスマン教官の胃が(タイムも)壊れないように二番機ポジは維持しておきます。

はい、ここで現状説明が入りました。先に上がったS/C隊が苦戦しているので援護よろしくだそうです。

かなり高高度で戦闘を行なっているらしく、下から突き上げるように突入するそうです。

トルクの太いE-3型ならではの戦術です。でも最高速度低いし重い物持ってると動きが遅れがちになるので気持ち早めの行動を心がけましょう(今更)

 

はい敵が見えてきました。先に交戦しているウィッチは扶桑陸軍とガリア空軍のウィッチです。

防戦一方に追い詰められているのですぐに援護に入ります。

それにしても小型にしては数が多いですねえ。目算二四機ってところですか。

では早速四機で突き上げに入ります。

上昇中は重力に逆らうので通常より銃器の射程も下がります。十分引きつけて、照準器からネウロイの姿が溢れ出すくらいで撃ちます。

一機撃墜。距離の余裕がないので一気に抜けます。抜けたら今度は固有魔法で体をクルビットのように反転。銃撃して逃げます。

 

 

ちなみにこの時最初の突き上げの時の反撃を回避しきれずに左腕を掠りました。

ビームなので攻撃を受けても熱で傷口が塞がれちゃうので致命傷にはなりません。痛覚も切っておけば大丈夫。

では下でスコアの競い合い(一方的)を始めている2人をよそに増援でやってきたネウロイを教官と一緒に倒しにいきましょう。

いやー流石20ミリ。中型だってどこに当たっても一撃で落とせます。

それに扶桑のものと違ってしょんべん弾道になりづらいのも高ポイント。

 

 

というわけで高度が十分ではないので教官と一緒にネウロイ相手に巴戦かけます。では空戦の教科書を参考にしてハイスピードヨーヨーをかけます。

速度での有利性が低いときはやっちゃダメですよ。すぐにおいていかれて背後に回られてズドンですから(1敗)

急旋回をしてオーバーシュートをネウロイ側が狙った時が勝負どころです。ここで一旦高度をあげ、そのまま捻り込むように旋回。

こちらが高エネルギー(速度有利)の時に使用するテクニックの一つです。それに斜め上から撃ち下ろしになるので弾もよく当たります。

ブレイクターンは計画的に。

 

 

現時点で三機撃墜。ロスマン教官が他の二機を撃墜して増援四機はあっという間に残り一機になりました。

早い早い。流石教官やってるだけある。

 

その一機も防戦一方から立ち直ったS/C隊が撃墜して空戦終了です。

敵性反応なしRTBのお時間です。

はじめての基地なので着陸は手動でやることになります。マタカ……

 

 

着陸時にマルセイユのストライカーが破損した以外特に問題なく終わりました。いやー目の前で急に火花散らして滑走路滑っていったんですもん。危うく突っ込むところでした。

 

では自由時間……あり?

 

なんかロスマン教官が腕を引っ張ってきます。そっちの腕は怪我しているんですけどー

 

 

 

えーロスマン教官によって医務室に連行されました。なんかこの件2回目な気がするゾ。ちょっと腕を掠めただけじゃないですか。えー…なんかよくわからないくらい心配されてる。意味がわからない。

いや確かに固有魔法を使うにあたって体力を消耗しましたけど…

ここにもいる回復担当の医療ウィッチに体を直してもらって小言のお説教タイムになりました。訳がわからん。

 

まあいいやとりあえずご飯食べたらベッドインしましょ。

ここでしか出会えないウィッチが2人ほどいますが会う必要も無いですし。

 

さて起きましたら時刻は午後7時。既に外は日が落ちて真っ暗です。こんな夜中に起きた理由は言わずもがな、夜間飛行のお時間です。

ちなみにここの基地は夜も任務があります。夜間ウィッチと一緒に哨戒任務に入るという物です。実質的に夜間飛行のチュートリアルになります。

 

 

夜間飛行の原則は、ナイトウィッチ無線で教えてくれる情報と、画面下の速度、高度、機体が傾いているかを表す姿勢表示器を頼りに飛行する事です。

基本月明かり以外の明かりはありません。最悪交戦となっても敵を視認するのは難しいので巴戦なんて不可能。一撃離脱に徹します。

まあマップを覚えておけば天体航法ができればどうにかできますけどね(それでも30キロくらいは誤差が出る)

ちなみにここでナイトウィッチと全く話さないかつ基地の人と一切会話をしない状態で過ごすと、ダキア陥落が夜明け前に発生します(2敗)

というわけでやっていきましょう夜間飛行。

 

今回のパートナーは…お、ハイデマリーじゃないっすか!当たりました!この子は自分から話しかけてくることは一切ないので基本無言タイムが維持できます。

では出発といきましょう!ヤッタぜ!もちろん離陸はスキップ。

 

高度をあげたところからのミッションです。基地自体が灯火管制状態なので真っ暗でなにも見えません。月明かりで多少は地形が見える程度ですがそれでもなにもわかりません。

こんな中飛ぶのはやっぱり計器飛行に限りますね(空間失調2敗)

 

今回の哨戒任務はこちらが変な航路を取らなければ特にネウロイと会敵することもなく終わります。ほんと飛んで終わるだけのナイトウィッチフラグ立て任務です。

では倍速。時々無線が混線していますが気にしないでいきましょう。

 

 

はい、終わりました。ではお布団に入って時間が経つのを待ちます。割り当てられた布団には何故かエーリカが入っていたので代わりにエーリカの布団を借ります。

と思っていたらエーリカが布団に戻ってきました。あ、これは退いた方がいいかな?

え?退かなくていいから話さないかって?なんか余計なフラグ立ちそうなので話しません。

 

……えーっとなんか勝手に話し始めているんですけどほぼ一方的な会話のバッティングマシンですよね?うち一言も返事してないんだけど…いやまあ適当に肯くくらいはしていますけど。

え?なんのために戦うかって?そんなの…タイムに決まってるじゃないですかやだー。というわけで寝ましょ寝ましょ。夜は疲労回復のお時間ですよ。

 

 

 

えーおはようございます。まだ夜も明けていない基地からの放送です。

まず最初のニュースから、基地通信室と、上空を偵察中のナイトウィッチから。大規模なネウロイの侵攻あり。ダキア東部進撃中。

 

計画通りに大規模なネウロイの軍勢がダキアに進撃。防衛線が突破され鉄門に向かっているとのことです。

来て早々大惨事になりました。うーん流石ですねえ。朝ごはんという名の戦闘配備食を格納庫で取りながら出発準備をしてしまいましょう。

ちなみに一回クリアしていると扶桑の零式11型とMC.202ファルゴーレ、スピットファイアMkⅠが選べます。

今回は選んでいる時間が(物理的に)無いのでさっさと武器を選んで離陸態勢に入ります。

装備点検を終えた部隊が次々にバンカーから出てきます。いやー圧巻ですよこの光景。

 

 

現在防衛線はダキア北部まで後退。

すぐに航空支援が必要との事で出せるありったけのウィッチと爆撃機が出撃態勢に入ってます。

 

ここから見えるだけでも96式陸攻(扶桑国海軍)や99式双軽(扶桑国陸軍)、ブラックバーン・ボウタ(ブリタニア空軍)、Ju88(カールスラント空軍)、さらに珍しいところではSM79(ロマーニャ)やRB20(これもロマーニャ)とパレードみたいになってます。

さらに戦闘機も試製零式艦上戦闘機や最新鋭の一式戦闘機隼、P-39エアラコブラなんかもいます。

飛びあがろうとしているウィッチ達も国際色豊かなユニットを履いてます。

来て早々になんでとエーリカがぼやいてますが仕方がないです。私の責任じゃないですからね?

それにこれは確定事項。制空戦に勤しむことにしましょうや。

 

取り合えず今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。

 




スピットファイアMkⅠ

ブリアニアが誇る水冷魔導エンジン搭載ストライカーユニット。
同国初となる宮藤式。
初期型のマリーン魔導エンジンは空戦時のマイナスGによって息継ぎをしてしまうため他のユニットと比べて空戦機動に制限がかけられていた。これはエンジン内のオイル循環が原因であり、MkⅣではグリフォン魔導エンジンに変更したタイプとして計画された。
しかしグリフォンエンジンの開発が遅れ、トラブルが頻発したことからマリーン45シリーズを搭載したMkⅤが1940年代後半から生産されている。


マッキ MC202
ロマーニャ製ストライカーユニット
元となったのはMC.200サエッタ。サエッタはロマーニャ初の宮藤式ストライカーユニットだったがエンジン出力が840馬力と非力で最高速度も遅かった。
その為更なる高出力エンジンの開発が求められたが当時ロマーニャにはそのようなエンジンがなく、最終的にタイムラー・ベンツDB601魔導エンジン(メッサーシャルクと同じ)を搭載し機体構造を改めたのがMC.202である。
特徴として左の翼が右の翼より20センチ長い。これはロマーニャの戦闘機にしばし見られる特徴であり、トルクモーメントの解消という点では一定の効果を挙げていた。
1940年初頭では試作段階のユニットが実戦試験を行なっている。


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part6欧州戦線6

はい空の上からこんにちわなRTAはーじまるよー

 

現在夜が明けたばかりの薄くらい空を大編隊と共に飛んでおります。いやー絶景ですよ。ジェントルマンがこんなに集まるなんてな。

そして地上では各国の戦闘車両が一斉に戦地に向けて行動を開始しています。

彼らは人類初の完全機械化旅団。歩兵の移動から武装の運搬、補給に至るまで全てトラックなどによって自動化された初の旅団です。

師団規模ならカールスラントやリベリオンに前例がありますがどちらも補給部隊を伴わない純歩兵部隊か戦車連隊に装甲輸送車を組み合わせたようなものでしかなく、トラック輸送を前提とした歩兵部隊とトラック、支援と前線突破や敵機甲戦力を撃破する戦車、歩兵支援と戦車支援をこなす自走砲、そしてそれらを支援する補給車両群によって構成されたものは世界初です。まあそれが連合軍が作り上げたっていうのはある種皮肉のようなものかもしれないんですけれどね。

ちなみに構成車両の多くがリベリオン、並びにカールスラントの車両です。その多くが重機関銃を積み込み歩兵支援を行えるようになっています。

それだけでなく、機甲戦力はリベリオンのM5重自走砲、M82自走榴弾砲車、カールスラントⅣ号D型と火力支援車両も豊富です。さらに2個中隊だけですが陸戦ウィッチも含まれています。

ですがそれらが本気を出せるためには戦闘機部隊とウィッチ隊が制空優勢を確保する必要があります。

まあそれができたとしても地上のネウロイは硬い上に数が多くまるでどこかの地球外生命体との戦いのような絶望的な戦闘を繰り返すだけとなりますけどね。BET◯かよホント……

 

さあここからが人類撤退戦の開始です。今までとは比べ物にならない大空戦群の開幕です。

こんなことしてよく戦力枯渇しないなと思いますが意外と初期の段階は徴兵もしていないし工場疎開の関係で武器弾薬が先に尽きます。

早速末期症状が出るっておかしな総力戦やなあ。

 

 

 

では高度を上げていきます。空にいるとかなり遠くでも結構早く到着してしまいます。

現在の戦況はダキアの防衛線がまるで紙のように破れてもはや北部に迫ってきています。ただし地上戦力はやや遅れているので空のネウロイさえ倒せればどうにか時間は稼げます。

でもこれ負けイベ臭が凄いのですよねえ。

まあとりあえずミッションの達成条件を確認しましょう。

おっふ…中型八機撃墜となってます。重たい。実に重たいぞトップエース!

 

しかしやらねばならぬ。

 

とりあえずいつものセオリー通り高度を取りに行きますが、ネウロイも高度を取る戦術を覚えてきているので上昇合戦となってあんまり高度の有利性は持てません。格闘戦に特化した扶桑のストライカーユニットならむしろ十八番な戦況ですがこっちはたまったものじゃありません。

特に爆撃機到達までに制空優勢を取る必要があります。

 

とりあえずここは単機で散開を…

 

『貴女は私とついてきて』

あ、ロスマン教官からついてくるように言われました。

うーん……従わないと強制的に連れ戻されそうなので、しばらくはついていきましょうか。そのうち乱戦になったらにしましょう。

 

では大人しく…若干二名おとなしくしない人達がいますがとりあえず無視してロスマン教官にくっついていきます。

周囲は前衛の小型ネウロイとの交戦がすでに始まっています。こちらも高度有利が取れなかったので仕方なしに巴戦を演じます。

 

 

ですがまだ速度で有利を保てる序盤は空戦技術を駆使して多少無茶な突っ込みをしてもどうにかできます。別に真後ろを取らなくても見越し射撃でどうにかできます。

 

ほい、そこのネウロイさーん。知ってるでしょう?経験値になるんだよーオラッ死ねええ!

そこのお前もしねええい!

真横から攻撃しようとしてきた小型もロール回避しつつ反撃を叩き込みます。

ここで改めて周囲を見ると……おやあ?ロスマン教官と逸れてしまいましたねえ(確信)

仕方がありません。ここからは一人で行くとしましょうか。

 

では加速して小型ネウロイとの戦いの場から離脱します。狙いはさらに高高度、雲の中を飛ぶ中型ネウロイ群です。

雲の中に隠れているので見つけづらいですが出現位置は固定なので作戦開始から一定時間が経過したら出現ポイントに置きエイムをしてささっと始末しちゃいます。

『雲の中だっ!でかいのがいるぞ!』

はい無線が入り目標表示が変更されました。今です。撃ち続けます。

20ミリは大火力ですがその代償に反動がとてつもなく大きいです。その上重く取り回しが難しいので置きエイムをする時はなるべく小さい動きで相手を満遍なく攻撃できる位置どりが大事です。

その為の大火力。圧倒的20ミリのパワーです。

MG34じゃ置きエイムができても中型以上じゃこうはいきません。

 

はい三機撃墜経験値おいしー!

では次の中型を倒しにいきましょう。こちらは雲の中から頭を出して攻撃をしてきます。

コアの位置はそれぞれ先頭部、後方部、中央部とランダム配置です。とりあえず20ミリをその場所に叩き込んでいくローラー作戦をしたほうが早いです。

ほい、五機目っと。

まあ中型は腐るほどくるんで数には困りません。

あ、マルセイユが丁度いい感じに中型を連れてきてくれました。死角から近づいて…えいや!

迎撃されない状態で一方的に叩けるのは快感ですねえ。

いやーやっぱ20ミリしか勝たん!

みてくださいよあんなに豆鉄砲を受けてもすぐ回復しちゃってめんどくさい奴が一撃で粉砕ですよ。

気分爽快!これぞ大口径の醍醐味!時間節約にもなります。

 

お、制空優勢確保と出ました。後続の爆撃機隊が一斉に投弾を始めています。

あ、地上からの攻撃で三機爆散してますね。うーん熾烈だ。

では残り二機の中型ネウロイもさっさと倒しましょう。

 

空に残っているのは殆どが味方ばかりで中型も含めてそんなに数はいません。

あ、丁度いいところに手負の中型が二機いますね。サクッと倒して終わりましょう。

ごめんねーでも生かすと色々と困るんだよねー。

特に学習して巣に戻られるとネウロイ自身の強化につながりますし。

では戦闘は続いていますがミッション終了で帰投します。次の戦いは第二次攻撃隊に任せるとしましょう。

 

ではいつも通りの格納庫からですが、今回はこのまま再出撃をします。ここからは本当に連続出撃が可能な状態になっているのでキャラ攻略をしない以上すぐにお空に戻る一択です。

では補給とストライカーの整備を行います。本来はストライカーの整備にリアル時間で10分かかってしまいます。なのでその間は別のユニットを装備します。

今回装備するのはこちらMC.202、武装は先ほどと同じで出撃です。

零式やスピットじゃなくてなんでこれ?と皆さん疑問に思うでしょう。

いやー実はこのユニット意外と直進安定性とピッチングが他の機種より少なくて扱いやすいんですよ。

ウィッチで空を飛ぶ時もどうしてもローリング、ピッチングは気にしておかないといけなくて、特に自分では真っ直ぐ飛んでいるつもりでも意外と斜めになっていたりすると機銃は当たらないんですよ(19敗)

特に零式とスピットは機体が横滑りする傾向が強く逆にBf-109やFw190、ロマーニャ製のユニットはその特性が低い傾向にあります。

なので多少の運動性はこちらの固有魔法でどうにかできるので扱いやすいこっちにしたわけです。

ただしこのMC.202は現時点では正式採用前の実戦試験型になります。

そのため防御性が量産機より低く、撃たれ弱さが目立ちます。特に液冷エンジンは被弾時の故障が空冷より深刻になります。冷却水漏れが高確率で発生しておじゃんです。

個人的には多少エンジンブロックに被弾してもエンジンオイルが漏れても、胴体に被弾しなければ問題ない扶桑系の方が好きだったりしますがRTAをやるとなるとこっちに軍配が上がります(特に加速性)

 

というわけで再出撃になります。無線機が騒がしいですがこれは第二波が過酷な状況に置かれており、現在すでに戦力の4割を損失。被害がさらに拡大しているからです。

こちらも第一次攻撃を行ったマルセイユとロスマン教官が被弾。落ちてはいませんがユニット損傷のため第三波は見送って第四波で出撃予定。

エーリカは…えー、落ちました。

まあ落ちたところを見たロスマン教官曰く不時着して無事らしく救援機が負傷者の回収ついでに連れてくるとのことです。前線から脱出することができるのかどうか心配になっているようですが大丈夫、ネームドは意外とタフなので明日には点呼にいますよ。

それにしても負傷者回収ってそこのヘリもどき?まあいいですけど……あれ、すっごい音がうるさいんだよなあ……

正式名称カ号8型多目的輸送機。それのブリタニア製造型です。いや見た感じ双発のスカイクレーンやんけ。なんでおるねん。

結構お世話になったのですが音のうるささだけは慣れないです。

 

まあいいです。とりあえず派遣組が誰もいないので一人離陸するムービーです。なんかかなしいムービーですが大した問題ではありません。

僚機はいないので単独ひゃっはー!

今回は…お、大型ネウロイのガンシップタイプ『ディアボルセヴォランティス』を撃墜と小型4機です。なんか長い固有名詞ですね。略してデヴォちゃんと命名しましょう。

いやーついにきました中ボス的存在!オラわくわくすっぞ!

あ、大隊長ウィッチから隊の再編を行うとの指示が出ました。

『なんだ、カールスラントのチビも迷子か。あー…ハイデマリー二番機に入れ』

え⁈ハイデマリーおるん⁈

ナイトウィッチまで昼戦に出すって切羽詰まってるにも程はあるんですけど……いやまあここはこっちの基地に来てから友好度を最も上げた子が入るのですが、おかしいなあ…試走じゃこんなことなかったのに(8回確認)。これどこかで好感度が上がった可能性があるなあ……まあ、まだガバじゃないからリセはしない…しないぞお!

というわけでキリが良いので今回はここまで、ご視聴ありがとうございました!




M5重自走砲
リベリオン製の自走砲。主砲M115 203ミリ榴弾砲。
主な任務は対歩兵支援。
1938年当時リベリオンではネウロイ大戦並びに国家間戦争を見越して新たな軍事ドクトリンとして師団を機械化する構想が上がっていた。その一環として作られたのが本車両である。
ベースはM3中戦車のシャーシ、エンジンと足回りを流用し、箱型の運転席とエンジンを置くスペースを新規設計。その上に左右を鉄板のカバーで覆ったM115203ミリ砲をオープントップで装備している。
比較的機動性があり、撤退時にも多くがネウロイの進撃速度を抑えつつ撤退に成功している。


M82自走榴弾砲車
リベリオン製の自走砲。主砲M 115 203ミリ榴弾砲。

一応自走砲車だが搭載砲は直射を前提に改造が加えられており、実質的に自走砲ではなく駆逐戦車に分類される。
主な任務も戦車に混ざっての直接攻撃である。
新規設計のシャーシによりM5重自走砲より全長がやや伸びている。
前面は35ミリの傾斜装甲。初期型は車体を鋳造で前面の装甲板のみを溶接していた。
戦闘室に砲を収めた為完全に自走砲ではなく駆逐戦車である。
エンジンはディーゼルエンジン。最高速度はM5より遅くなっているが前線では大口径榴弾砲搭載ということで重宝されていた。


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???3

こんにちは。取材でしたよね。ええ、こちらにおかけください。

そうね、前置きをしても長くなりそうだから早速初めましょう。

 

 

 

気になる子がいる。

最初は私の元を離れたばかりのエーリカからだった。

その次にクルピンスキーが私に相談をしてきた。元々教官を務めている身ではあったけれど、流石に私のところに配属されなかった新人まで網羅することはその当時できることではなかったから二人からの相談を受けて私は当時の航空団長に思い切って相談をした。

その結果私はその子と一緒にB7rへの派遣を命じられた。

クルピンスキーにはJG52から離れて羽を伸ばしてくるのも一緒にして来たらどうだと冗談交じりに言われたけれどとてもじゃないけれどそんな気分ではなかった。

それでもまだ余裕があった。B7rが激戦になるなんて知らなかったから。

 

 

私と彼女、ハル軍曹と会ったのは山脈に近い位置にあるエリアB7r防衛用の基地に向かう直前だったの。

同じ基地に向かうエーリカとマルセイユも一緒だった。

エーリカからは話しかければ素直に話すタイプで良くも悪くも入隊したばかりの自分と似ていると聞かされていた。

実際会った時は…少し鋭い目をしていた。笑顔もあまりなくて、本当に入隊して1ヶ月も経っていない子なのかって心配になっちゃったわ。

でも制服はどこかサイズがあっていなくて、身長も私とあまり変わらないから見た目だけは10歳で徴兵されたウィッチって感が出ていたわ。

 

私は身体基準が緩和されるまで入隊できなかったけれど、その基準もさらに下げられているんじゃないかって逆に心配になったわ。いくらなんでも10歳の少女まで最前線で戦わせなければならないなんて……

「でもこの子は3回目の出撃で合計7機撃墜しているからエースなんだよ」

 

「ふーん。こんな小さいやつがねえ……」

マルセイユが頭をくしゃくしゃと乱雑に撫で回す。子供を相手にしているようだ。というか年齢的に子供に違いないんだけれど。

「飛行時間はどれくらいあるの?」

 

「訓練で60時間、実戦は40時間です」

少なすぎる。たしかに徴兵組は訓練時間や座学を省略して即戦力として動員するからそのくらいしかかけられないというのはわかる。だけれど現場としてはそんな子を平気で戦場に出すなんて狂っているとしか思えなかった。

その他のことも色々話を聞きたかったけれど、彼女はトラックに揺られてすぐに酔ってしまった。

最初の方こそ聞けばそれなりに返答が返ってきたが、それ以上深くは聞くことが出来なかった。トラックの荷台に設けられた長い腰掛けベンチに転がって始終寝てしまっていた。

「あの子はさ…どこか生き急いでる気がするんだ」

エーリカが言うには、この前の大規模防衛戦の際にルームメイトと小隊の二機を亡くしていたようだ。

それなりに親身になっていた仲だったらしい。

あまりにも残酷すぎるものだった。少なくとも10歳の少女がしていいような体験ではない。

「この前もかなり危ない飛び方をしていたんだ。教官なら、なんとかできないかな?」

 

「できる限り、なんとかしてみるわ」

 

とは言っても私にできることは限られている。だけれどこれ以上生き急ぐような飛び方をさせないためにも、彼女の心をどうにかして解す必要があった。

だけれど戦争は、ネウロイはそんな私の決意も、彼女の心も弄び、破壊するかのように時間を与えてはくれなかった。

基地に到着したトラックを降りると、その基地の司令と思われる軍人が基地の喧騒を遮って歩いてきた。

「カールスラントJG52より派遣されましたウィッチ四名到着しました!」

 

「丁度よかった。たった今スクランブルに上がった部隊が多数のネウロイに囲まれて救援を求めている。残存のウィッチは爆撃機護衛から戻ったばかりですぐには出せない。急で悪いが救援に向かってくれ」

 

「了解しました!各員速やかに準備にかかります」

最前線らしいといえばらしいけれど、疲労が溜まっている状態での戦闘はあまり歓迎できるようなものではなかった。

それでも軍人は命令とあれば飛ばなければならない。仲間の救助となれば尚更だった。

 

一足先に送られて、格納庫で待機していたストライカーユニットを装着して空に上がったのは、基地に到着してから十分も経っていなかった。

「ハル、貴女は二番機よ。私についてきて」

自然と私が隊長位置となり、全員を指揮する立場になっていた。同時にハルは四番機の位置に居たけれど、私の側から離したくなかった。だから私はマルセイユを下げて彼女を二番機にした。

「了解しました」

しばらく隣を飛んでいたハルの飛行は、まだ戦場を飛んで1ヶ月しか経っていないということを含めても、かなり完成されていた。それだけでもかなりのものだった。だけれど、その瞳には静かに、そして相反する激しい憎悪が灯っているように思えた。

 

 

 

「まもなく会敵します。私とハルは右から、マルセイユとエーリカは左からよ」

私達が飛行している高度よりも、ウィッチ達が戦っている空は高度が高かった。

必然的にこちらが下から潜り込むような格好になる。しかし、これはある意味好機でもある。ネウロイ相手に一撃離脱をするときは上から襲いかかるのが多かった。そのせいか最近のネウロイはそれを学習してか上からの攻撃に敏感になっている節がある。であれば逆に下からの攻撃はまだ不意打ちになるかもしれないのだ。

 

「了解よ。ならこっちは好きにやらせてもらうわ」

「えっと……とりあえずマルセイユのバックアップしてるよ」

 

「無茶はしないで」

マルセイユとエーリカのペアなら大丈夫だろうと判断し、私達は二手に分かれた。まああの二人は競い合う癖があるからチームプレイはあまり期待できない。それでも息が合わないわけではないからエースって不思議。

一方向から飛び込むのではなく複数方向から同時に仕掛けるのが空戦のセオリーであり、最も安全な方法だった。流石のネウロイだって複数方向へ同時攻撃が可能な個体は小型では存在しない。

上昇しながら小型ネウロイ群の中を突っ切る。攻撃をしようとしていた個体を率先して撃破しつつ上に抜ける。

後方からはなたれるビームを回避しようと旋回して、一瞬見えた後ろでハルは私とは真反対、ネウロイの方向を向いて銃撃をし続けていた。

20ミリの薬莢が排出され続けている。

 

反撃のビーム群が彼女を取り囲もうとしていた。だけれどその時には彼女は再び元の進行方向に戻っていて、私の左隣を飛んでいた。

 

周りを見れば、追い詰められていたウィッチ達の周りにいたネウロイはすでにマルセイユ達にほぼ駆逐されていた。

 

 

「増援だ!」

誰がそう言ったのかは分からなかった。だけれどそれは私達が最も近くて、意識さえ向ければ認識することができた。

ほぼ同じ高度、一撃離脱をするのは難しい。それにここから無理に高度を取ろうとしてもおそらく追撃される方が早い。

ここは速度を使っての一撃離脱。そう思っていた。

「ハル、左側から突入するわ。ついてきて」

ネウロイの注意をひかないように移動。運良くネウロイ達は私達ではなく固まっているウィッチ達を脅威と捉えていた。

「…っ、わかりました」

 

「…ハル?」

少し動きがぎこちない気がした。

 

「ちょっとハル⁈」

隣で一緒に飛んでいたはずの少女は、いつのまにか真後ろに向かって飛んでいた。

慌てて旋回をしたけれど、その頃には攻撃をするネウロイに飛び込むように近づいては、力学を無視した機動でネウロイを翻弄し撃ち落としていた。

「なんて無茶をっこれは相当手が焼けそうね」

 

マルセイユ達の方に向かっていったネウロイも全て撃墜され、機銃の発砲音は聞こえなくなっていた。

その頃になって、ようやく彼女は速度を落とした。

 

「周辺に敵影無し。帰投する、RTB」

 

誰の声だったのか一瞬分からなくて、結局それが自分の言葉だっていうのに気づくのが遅れた。

「ハル!貴女血が…」

垂れた血が風に乗って飛んでいく。年相応に血色が良かった顔は、真っ青になっていた。

「あ、えっと…ただの鼻血です」

ヴェルカミから聞いていなければただの鼻血で済ませていた。だけれど彼女の固有魔法は、使用するたびにかなりの負担を彼女にさせてしまうという諸刃の剣だ。

心配だったけれど、私は医療の心得はほとんど持ち合わせていない。

結局基地に着くまでに鼻血は収まり、血の気も回復していた。

だけれど、武器をラックに戻し、ユニットを外している時の動きに違和感を覚えた。どこか片腕を庇っているような、そんな感じがして嫌な予感が頭を横切った。

「貴女、ちょっと待って!」

格納庫を出ようとしていた彼女を呼び止める。

「……なんですか?」

 

「腕見せなさい」

命令口調だったが拒否権は与えない。

腕を掴んでブカブカの服を巻くしあげれば、そこには痛々しい重度の火傷跡がついていた。ネウロイのビームによるものだ。相当な痛みがあったはずだ。それでも上から服を着て平然を装っているなんて……いや、大方こっそり医務室に行くつもりだったのだろう。

「っ…かすり傷です」

 

「ヴェルカミ少尉から聞いているわ。来なさい」

負傷していないはずの方の腕を引っ張り、医務室に連れて行った。

幸いこの基地も医療ウィッチが配備されていた。そのおかげで彼女の傷もすぐに治ることとなった。

だけれど怪我はより深刻に、そして広範囲に及んでいた。

「多少筋肉疲労が溜まっているのと血管が少し破裂しているくらいですね。でも頭部の血管は破裂すると危険ですよ?腕の方もそこまで深い傷じゃないですが放置しておくと破傷風になる可能性があるので気をつけてください」

医師の言葉に黙って頷くだけのハル。その目はどこか冷めていて、どこか他人事として捉えているようだった。

「ちょっとは貴女の体も大事にしなさい。……気持ちはわかるけど、貴女が壊れたって誰も喜ばないわ」

固有魔法すら本当は使って欲しくない。使用するたびにこんな傷を受けていてはいつか取り返しがつかないことになってしまう。

「……時間がないんです」

私より目線一つ分低い体が、隣を通り抜けた。

「……どういうこと?」

 

「なんでもないです。心配かけてすいませんでした」

 

「あ、ちょっとまだ話は終わって……」

医務室を出て行くハル。部屋に行くのは明白だったけれど、問題があった。

「というか部屋の場所知らないでしょっ‼︎」

ここについて早々に出撃をしたため部屋の場所など知りようがないのだ。

「……?あ、そういえば…そういうことでしたね」

 

言葉選びに何か違和感を感じた。だけれどそれの意味までは今もわからない。本人に直接教えてもらうしかないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「夜間飛行⁈ちょっと待ってあの子はまだ10歳よ!」

作戦司令室に私の怒鳴り声が響いた。

 

 

事の発端は本当に数分前。出撃の影響で遅い昼食を食べ終わったところで今後の出撃シフトを確認したところからだった。

そのシフトには、本日20時からハルが夜間偵察の任務に組み込まれている事が書かれていた。当然私やエーリカ達もだった。

さりげなく、当たり前のように書かれていたそれに私の感情は爆発した。

たしかに軍人である。だけれどそれ以前に、彼女は幼すぎる。

いくらなんでも怪我をした数時間後に今度は夜、それも経験がない夜間飛行を行わせるなど正気の沙汰ではない。

一応夜間飛行は一通り訓練学校で教わっているだろうが教わっただけで初めから優秀にできるなんてのはありえないのだ。

「だが書類を見る限り優秀だ。それにそっちはどうか知らんがここ一帯のネウロイは夜間はあまり飛んでこない。それでも夜間警戒を怠るわけにはいかないが、夜間飛行もナイトウィッチとのペアで飛ばすから危険は低い。問題あるかね?」

 

「ありませんけどッ……ですがあの子は昼間の戦闘で負傷しています‼︎」

そう、怪我の報告は、戦闘報告書としてまとめて先ほど提出した。時間もそこそこ経っているから目を通していないはずはないのだ。それでも飛ばそうというのだろうか?

「報告は受けている。だが彼女自身が進んで志願している。怪我は医療ウィッチが治してくれたから大丈夫だと」

作戦参謀はあくまでも本人の意思を尊重することにしたと取り合う気はないらしい。ならば私が代わりにと思ったけれど、私はハル達の次の夜間偵察飛行に組み込まれていた。エーリカやハルトマンも同じだ。それだけじゃない。ここのウィッチの消耗や現状の人員確保では、ローテーションすらまともに組める状態ではなくなっているのだ。

「こちらとしても心苦しいが……ここが落ちれば欧州全体の防衛線は機能しなくなる。無茶なのは承知だ」

そう、ここは現在山脈と川による天然要塞の中で最も弱いところを抱える絶対防衛線なのだ。

ダキアの平原と、山脈を貫く川が作り出した渓谷地帯。山岳越えが難しい地上のネウロイが唯一入ってきてしまう場所。

「ッ……わかりました」

 

こんなことなら無理にでも医務室に入れておくべきだった。

昼間に戦闘をしたのに夜まで空を飛ぶなんて、体が保つはずがない。一日二日はよくてもあんな事をし続けたら……

どうしてあの子ばかり…運がないの?それとも何かが彼女を追い詰めている?

上層部はなにを考えているのよ!

 

夜間飛行は、結局幸運にもなにも起こらずお陰で彼女は無事に帰ってきた。

私は話しかけようとしたけれど、彼女は眠いと言って部屋に戻っていった。無理にでも話をしたかった。だけれどあれは無理に近づけば磁石のように強く反発する。彼女を守らないと……危なすぎる。

けれど戦争は残酷にも、私の教え子達を巻き込んでは彼女達を祭り上げていった。

 

 

 

 

 

あ、もう時間?そんなに話していたのね……

 

貴女はあの子を探しているのね?

たしかに今の彼女の消息は分からないけれど、消失したJG52の末期の戦闘報告書と、1942年の501の戦闘報告書ならどこにあるかわかるわ。まあ、公開される事はないでしょうけど。

私がどうしてそれを知っているか?

秘密よ。

 

ところでこの後はどちらに?

ハイデマリーのところ……そう、前線基地だから気をつけて。




カ号8型多目的輸送機
製造 三菱、中島、川崎、川西
全長17.8m、全高4.85m、主回転翼直径17.95m
搭載重量3000kg、最大離陸重量4500kg
最大航続距離750km(増槽使用で970km)最高速度時速250km/h
発動機、ネ-0型発動機3基

扶桑国陸軍が開発したオーパーツ。
欧州での渾名はスーパーアンビュランス、フライングアンビュランスなど

発動機であるネ-0型はオストマルク人の技術者であるジェルジ・イェンドラシックによって作られたCs-1ターボプロップエンジンを元に改良されたものである。
元エンジンは現代エンジンの主流である軸流式エンジンというオーパーツじみたものでありながら燃焼問題で400馬力に制限されていた。
扶桑国に研究目的で送られた当エンジンは同国で魔改造を受けた結果本来の仕様通り1000馬力を発揮し連続稼働時間120時間を達成した。
これを元に作られたエンジンとして1200馬力ターボプロップのネ-0、ターボジェットエンジンのネ-5、ターボファンエンジンのネ-10がある。ただしネ-10は技術検証の意味合いが強く採用機はいない。ターボファンエンジンは最終的にブリタニアの機体が搭載する。
カ号8型は胴体並びにローター設計はリベリオンから呼び寄せたシルコスキー博士によって行われた大型輸送ヘリである。
機体はダンデムの2ローター三発機であり、コクピット後方が大きくえぐれた構造となっている。V-107とCH-54を組み合わせたような機体にAW-101のエンジン周りとメインシャフト類を前方のローターに乗せ、ドライブシャフトで後方のローターを回すような機体といえばわかりやすい。
コクピット後方の大きく抉れたところに専用のコンテナユニットを装着するかフックを使いサイズ、形状を問わない貨物輸送を行うことができた。また中島製造の改8型ではエンジンユニット左右に張り出しが設けられ、ここにドロップタンクを搭載することができた。
実際の運用では主に戦場で負傷者の移送やメディカルユニットによる移動式簡易医務室、貨物輸送を行なっていた。
欠点としてローターが生み出す騒音が異常に大きく、戦後の民政転用でも騒音問題が解決できず売れなかった。また最高速度が遅く、最前線での運用はネウロイへの通常火器の能力不足からも行われなかった。


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part7 欧州戦線7

大型ネウロイ討伐大作戦RTAはーじまーるよー!

 

 

はい今回は大型ネウロイ討伐作戦です。

現在作戦空域に到着したところです。既に戦力消耗は6割に達するなどかなりやばい状況まで追い詰められていますが人類は元気です。

目の前でリベリオン海軍F4Fが木っ端微塵になっていきました。いやー頑丈なはずなんですけどビーム相手じゃ装甲なんでコンマ数秒の差しか生んでくれませんわ。

 

下では擱座した九七式中戦車やⅣ号D型、ビームによって薙ぎ払われた地面がめくれ上がっています。そして戦場中央には巨大な機影「ディアボルセヴォランティス」が佇んでいます。

では周辺を飛ぶ中型と小型を先に殲滅し、大型ネウロイのギミックを解除していきます。というわけで作業中の退屈な画面を背景に、今回の撃破チャートをここに提示します。

まず周辺の中型二機と小型三機を撃破することでデヴォちゃんの装甲バフを解除していきます。

これを行わない場合でもクリアできなくはないですが37ミリ対戦車砲を持っていく必要があるのでおすすめはしません。

バフをクリアした後はコアを叩きますがなまじ胴体中央は攻撃が届きにくい位置にあるため、20ミリをもってしてもコアまで攻撃を届かせることはできません。通常ならここからさらに両翼を一度もぎ取ってさらにバフを解除させる必要がありますが、今回はそこまでデバフを入れません。

実はこのデヴォちゃん、結構な弱点をお持ちなのです。それが中央の特大ビームを撃つとき、この時だけ上下のビームの発射端になる部分が一時的に弱くなります。

許容範囲は直径10センチのサークル状のポイント。まあ狙撃銃じゃないと狙うのは難しいかもしれないですが気合があればどうにかできます。

 

 

では戦闘に戻りましょう二番機のハイデマリーと一緒に同時攻撃で中型ネウロイを撃ち落としてギミックを解除しました。

するとデヴォちゃんがゆっくりとですがこちらに動き始めます。まあ地上の残存兵力をきちんと攻撃しながらですけれど。

あ、戦車中隊がまとめて吹き飛びました。いやービーム相手じゃ形も残らず消失しちゃいますね。まるで内閣総殉職ビームだ。

 

ってかこれサイズ感でゆっくりしているように見えますけど実際は時速380kmと軽爆撃機程度は出てますよ。

では近づきつつまずは牽制射撃をします。

ちなみに大型ネウロイのコア位置は全個体固定位置にしかありませんので中型を相手するときよりかはかなり楽になっています。「ディアボルセヴォランティス」の場合はとてもわかりやすい胴体中央となっています。

全幅95m、全長34mとえらいでかい物体ですが形状はまだ歪というほどでもなく燕の翼をエイのような動体が持つ生物的なデザインをしています。

攻撃のビームが出るのも射程700mの小ビームが主翼側上下12箇所、胴体中央のコア上下付近に特大ビームとあまり多くはありません。

 

 

牽制射撃に反応して特大ビームを放とうとし始めました。ではちょっと遠い(750m)ですが狙ってみましょう。

えいや!あ、外れた。やっぱりこの距離ではダメですね。

取り敢えずビームを避けるため固有魔法を使って狐ジャンプします。進行方向と速度を変えずに体の位置だけが上下に動きますので酔わないようにしてくださいねー。

恐ろしいことにバディになった子は必ずプレイヤーの動きについていくよう調整が入っているらしく今の動きにもなんなく追従してきます。

ハイデマリー恐ろしい子ッ‼︎

 

ではそろそろ特大ビームが止まるので急旋回して近づきましょう。

デヴォちゃんの攻撃パターンは主に6つ。さっきの特大ビームで広範囲を薙ぎ払うものと特大ビームを24の小型ビームに分けて放つもの。翼の12箇所から迎撃ビームを出すものとそれに特大ビームを組み合わせたものが二種類。そして尻尾のような細い部分で直接叩いてくる方法です。

 

お、翼のビームで迎撃態勢に入りました。

はーいでは一旦ブレイクして下に潜り込みつつシールドを展開します。同時に固有魔法をフル活用して回避しつつ近づいていきます。

ビームのいくつかが擦りますがシールドのおかげで命拾いしました。

いやーシールドがなかったら死んでた。

無線機が騒がしいですね。ボリューム落としておきましょうか気が散ります。

特大ビームの充填が終わったようです。今度は胴体真ん中が光り輝いています。

 

距離は300ちょい。あーちょっと難しいですね。もうちょっと近づきましょう。

なんかハイデマリーが泣き叫んでいる声が聞こえますが無視です。20ミリのレティクルっておっきいんだよ!絞っても100mで30センチの円内80%の弾着率って結構悪いからね!

 

……大丈夫だってシールドがあればビーム直撃でも3秒は耐え切れるから!

3秒あれば十分十分。

 

ほら撃破ですよ。ちょっとビーム喰らいましたけど回避とシールドでどうにかなりましたししっかり弱点を70mで撃ち砕けたんだからね?なんでハイデマリーさん泣いでるんすか?

固有魔法の稼働限界時間だってまだ残ってる状態だしこれは実質パーフェクトでは?ほら喜んでくださいよ

それにしてもミッションコンプリートの表示が出るのが遅いですね。

 

 

 

 

「2機目の大型ネウロイ確認!同型です!」

 

あ……うそおお!なんでや!

こんなことってある⁈それ誤報じゃないの?ハイデマリーちゃん!え⁈誤報じゃない?

あーえっとですね。実は序盤の大型ネウロイ三機に関しては、5分以内に倒してしまうと2%の確率で同型か亜種の2機目が現れるんですよ。

いやまあ2%だよ⁈こんなの誤差やん!だって試走の時一回もエンカウントしたことないんだよ!うわーないわ〜

えー……リセ入れたいですが、ここで止めるとなんだか勿体ない(コンコルド効果)ので続行します。正直これだって1分で倒せれば修正可能なはず…

 

えーではですね……やっていこうかと…

想定していない事態なので体力と残弾数が心許ない。

 

 

では上からダイブして攻撃してみましょう。

うーんギミックはまだ有効みたいですね。相当柔らかいです。

ですが高度300mを低空飛行されているので上からの一撃離脱は引き起こしの速度と角度がかなりシビアで難易度が高いです。下からの突き上げも同様ですね。

まあ固有魔法のおかげで難なくこなせますけど。

おっと、撤退中の部隊が攻撃を受けて蒸発しました。うわーなんか残念すぎる。

いくら即応予備部隊があると言っても戦闘担当の6割の損耗は全滅判定でますからね。

こっちにも攻撃をしてきますがほとんどハイデマリーが引き寄せているので実質被害ゼロです。

では急旋回して今度は下から突き上げて行きます。オラオラ!……ありい?なんか下面は硬いですね。うーん…でもデバフが効いてるのは確かですね。

ならヨシ!

 

ではもう一回旋回します。これで固有魔法の稼働時間は0です。うーんあんなに余裕あったのになあ……まあいいか、再生が終わらないうちにもう一度…あ、こいつ学習してやがる。こっちが近づくと特大ビーム止めやがった。

あー20ミリ集中射撃でこじ開けますか。

ハイデマリーの7.92ミリと合わせれば貫通できないことはないですからね。まあタイミングが合わないといけないので、ちょっと修正かけますはーいセーの!オラオラオラ!

 

この辺にー(経験値が)美味いコアがあるんすよー

あ、弾切れ。うそーん……

20ミリは装弾数も携帯弾数も極端に少ないのでやっぱり継戦能力に難ありですね。

装填しないと……え?ちょっと装填中に攻撃するんじゃねえ!あっぶな⁈いや服が焦げる!

あああああ!最後の弾倉だったのに落とした!

やっべ…1発しか入ってないや。

えっと…まださっき開けた穴は修復していないな…よし!

 

固有魔法無しですがハイヨーヨーで強引に上からダイブかけます。

視界が真っ暗になりかけますがここは我慢我慢。シールドがビームの直撃で剥がれましたが、次弾までコンマでこっちの方が早い!残念だったなネウロイ!ロスタイムさせてくれた分経験値になるのだ!

お、翼のビームで牽制ですか?でも間に合いませんね。

 

てめえなんざッ!1発あれば十分だああああ!

はい命中終わり……ってあれ?

なんで終わってないの⁈か、回避ッ‼︎

いやああああ!右ユニット壊れた!

ハイデマリー!ヘルプうう‼︎ってお前は武器落としたんかい!

えーなんで⁈コアの位置は変わって……

ああああッ‼︎こ、こいつ同型じゃねえ!コアの位置が微妙に違う亜種だ!尻尾の先端が丸まっている程度の違いなんてわかるはずないやん!うわーガバった!やーらーかーしーたー!

 

あーもうリセやリセ!ユニットも壊れたしやってられっか!

 

「ほんと、1発有れば十分だね」

ん?なんか混線しましたね…

 

あ!エーリカや!地上から、こっちがえぐった隙間に機銃を叩き込みやがった!やったぜコア吹っ飛んだ!ってあんまり喜べないなこれ。

助けに来るってことはある程度親密度が高まっている状態なんですよ。

501の時にこのくらいならさして問題は無かったのですが今の段階で親密度が高まっているってことは……あー参ったなあ。

「大丈夫だった?」

えー……こう言う展開か……うーん、どうしようチャートが壊れるなあ。

いや待てよ?これもしかしたらまだ修復可能では……

ロスマン教官の方も何気に親密度勝手に上がってるようですしハイデマリーもなんか高いから……

せや!まだ修復はできる!取り敢えずこれでミッション完了みたいなので帰投しましょう。ええ、そんでマルセイユの好感度を上げるんや!

 

そうと決まれば善は急げ!

ほらさっさと帰るで!ユニット出力も落ちてるし壊れてるしいつ墜落してもおかしくないんだからね!

取り敢えず今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました!

 




F4Fワイルドキャット(F4F-3)

全長8.81m、全幅11.9m
空虚重量2560kg、総重量3563kg
最高速度496km/h
M2機関銃6丁
リベリオン海軍が使用する戦闘機
1939年より導入がはじまった新鋭機だが複葉機であるXF4F-1を元に量産された機体でありF4F-3は空母搭載能力をなくし燃料タンクを追加した陸上機モデル。
本来は競合機であるF2Aバッファローと同じく単葉機になるはずだったがグラマン社側は複葉機も活躍が可能と頑なであり欧州で第二次ネウロイ大戦が始まったことで単葉機への改修計画が流れてしまった。
戦場では唯一と言っていい複葉戦闘機であり運動性能は別にしても最高速度や過剰な兵装から上昇能力や俊敏性が欧州機に劣る。頑丈な機体もビーム相手には意味がなく早々に欧州の空から姿を消した。
その後改良されたF4F-5は単葉低翼の機体でエンジンを2000馬力級エンジン、ダブルワスプに換装した機体となっている。


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part8欧州戦線8

好感度調整から始めるRTAはーじまーるよー!

 

はい負傷して片肺飛行やってるところからです。

一応ストライカーユニット片足分でも飛行できるようなので片方壊れても割と飛んでいることができます。

まあバランスが悪いのでハイデマリーに肩貸してもらった方が早いです。

というわけで着陸です。スキップしたかったのですがオリチャー構築してたらスキップするのを忘れていたのはなにも言わないでください。いやまじで……ね?石投げないで!

 

ふう、では片肺着陸をしてみましょうか。丁度良いことにロスマン教官が滑走路端で離陸スタンバイしているのが見えます。

あれは第三次爆撃隊とその護衛ですね。地上戦力が撤退した穴埋めとして追加部隊が来るまで爆撃で対処するという表れです。

 

おっと高度が低くなってきましたね。ハイデマリーが肩貸してくれているのでほぼ自動的に降りられますがそれでも最後の調整はする必要があります。

よいしょっと……はい着陸。

 

では格納庫に戻ったら真っ先にマルセイユのところに向かいます。

好感度は目に見ることができないのですが、行動や言動から数値を推測することが可能です。

ロスマン教官やエーリカの行動からすると数値は35〜40台といったところです。

一方マルセイユは今のところ数値10以下と普通の反応です。

「……あれだったら医務室にでも行く?」

 

お、選択肢が出ました。ここは素直に彼女に従っておきましょう。ついでなので少しお話ししましょうよ。

「ハンナでいいわ。それにしてもあんた無茶な飛び方するのね」

お、まずはハンナ呼びからですね。まあこれはデフォです。

 

「飛び方はそれぞれだけどあんな無謀なことしてたらそりゃ怒られるわよ」

マルセイユはまだこちらに対してそこまで気を回す物だとは考えておらずかなりサバサバした会話です。

基本この態度は好感度を70まであげてもあまり変わりません。

 

「想像はしてたけどこれじゃあ手当は後回しね……いいわ、貴女ちょっときなさい」

 

お、どうやらキャラ別ミニクエストが始まったようです。

というわけで切り傷や擦り傷などの軽微なものの手当をしてもらいましょう。

すごい面倒見が良いお姉ちゃんムーブかましているマルセイユとか珍しいので皆様写真に収めておきましょう。

応急手当て程度ですがこれでも損失の2割ちょっとは回復できます。

「次からは気をつけることね」

なるべく被弾しないように努力します。

「ま、私がネウロイを圧倒しちゃえば良いだけね」

 

お、この反応が出たら好感度は十分です。

ここでエーリカの話題を出して好感度上昇を阻止します。

「は?あいつも同じようなこと言ってた?」

はい場の空気が少し硬くなりました。ですがなるべく無邪気を装いましょう。そうすることで好感度が下がってしまうのを防ぎます。実際彼女に嬉々としてエーリカの話題を出すと大抵ライバル心から当たりが強くなってきます。

「そうね…なら負けられない。どっちが上か久々に勝負ね。貴女も、いつまでも大型を単独で倒したくらいで浮かれていたらわたしが追い越すわよ」

エーリカは共同撃墜で大型仕留めてる旨のことを伝えましょう。

「共同撃墜?ああ、ならわたしは単独で二機撃墜よ」

マルセイユが言うと普通に出来そうだって思えるのが凄いところです。

「それじゃあ私は第四次の出撃があるからこれで。軽い傷の手当てだけだから安静にしてなさい」

というわけで調整完了。後はご飯でも食べて体力の回復に努めましょう!

え?戦闘食しかない?うーん、あまり美味しくはないですが手軽にさっさと食べられるから嫌いではないです。

まあ味は二の次で保存と携帯性重視にしたらそうなるわな。でも扶桑の戦闘食である塩を振ったおにぎりと沢庵数切れとかゲーム内なのにめっちゃ美味しいのなんなんですかね?

こっちの戦闘食は面倒だからか缶詰ぽいって渡されるだけっすよ。

 

まあいいやいただきまーす。

ご飯を食べているとハイデマリーが入れ替わりでやってきました。

これはどうやら彼女のミニクエストのようです。ですが彼女をこれ以上好感度上げるとハイデマリールートに入りそうなのでここは据え置きに(6敗)

正直彼女は口下手なのでミニクエストでもこちらから話しかけないでダンマリを決め込んでいるとあうあう言うだけで終わります。

ですが年齢もこちらと同い年であり友達が欲しいという願望はあるみたいです。ちなみに指揮能力はこの頃はそこまで高くありません。それでも小隊指揮は普通にこなせるとか軍学校を卒業して3ヶ月しか経っていない子なのか甚だ疑問です。

 

あ、流石に離れていきました。

 

はいそれではお布団に入りましょうか。今日は夜間出撃の予定もないのでぐっすり寝れますよー

 

 

 

おはようございまーす。

えー飛行停止1日を食らいました。

ロスマン教官とハイデマリーが結託して診断カルテをかなり大袈裟に盛って書かせたようです。

そのため養生期間として一日だけ出撃がなくなりました。そのかわり昨日の夜に戦場から帰ってきたエーリカが今日の本格防衛戦に駆り出されることになりました。

よっし、久しぶりですが訓練にいきましょう。

ついでだから現在のステータスはっと……

 

素早さ53 体力68 魔力75 運33 精密48

あーやっぱり運が低いですね。おそらく前回の出撃でユニットを破損させたことが原因とみられます。まあこの程度なら誤差の範囲でしょう。

では今日はやや低い精密を補う為にストライカーユニットの整備訓練でもしましょうか。

昨日ぬっ壊したMC.202を直す作業も兼任となっています。

このゲーミングの面白いところはしっかりとユニットのからくりも再現されているということです。

人によってはカスタム機を作ることもあるようですが今回は時間がないので原型を留めさせておきます。

Bf-109と同じ倒立V型魔導エンジンDB601でもこちらは輸出モデルなので少しばかり形状が違います。

ロマーニャのDB601シリーズのみ試作でターボチャージャーや水メタ噴射が取付けられます。

なぜか本家の方はDB605にならないと水メタ噴射は搭載できません。科学技術は世界一なはずなんだけどなあ。

…っとゴタゴタ言っている合間に訓練が終了しました。

ではお昼ご飯…また缶詰だ。いやまじで士気が下がりますよこんなの。この時代の缶詰系って美味しくないんだよ現代のと違って!

お、カールスラント組が帰ってきました。

午前に戦闘をしてきたエーリカが大型一機を単独撃破したようです。

やっぱりエーリカ天才や。

ちなみにマルセイユは中型を十分間で8機撃墜するという快挙を成し遂げてます。

やっぱりカールスラントウィッチは化け物や。

しかし勝利とは裏腹に戦線は崩壊。維持することも困難となっています。

即応予備部隊だけでなく周辺部隊にも出動をかけていますが派遣戦力はたかが知れています。

実は、扶桑国やブリタニア、リベリオンが更なる派兵をするのですがそれが戦地に入り実戦が可能になるには少なくとも3ヶ月は待たないといけません。特にリベリオンは自国が被害にあっていない事をいいことに第一次異形大戦と同じく欧州から金を巻き上げるのに必死な上戦時増産体制なんてこれっぽっちもやっていないので出せる戦力も兵力も史実よりずっと貧弱です。M3軽戦車なんて要らんわ。豆鉄砲にもならん。

 

というわけで本日午後はふれあいタイムで終わりましたとさ。各員の反応を見る限り特に上がっている様子もないのでこのままをキープします。

では再びおやすみなさーい!

 

 

 

はいおはようー!おきてー!朝だよカンカン!

起床ラッパが起きろと催促してきましたおはようございます。といってもまだ日が上がらない夜なのですけれどね。

 

今回は作戦行動に基づいてB7rの空を飛びますが、今回はダキアの平原ではなく鉄門上空の制空制圧戦です。

かなり押し込まれていますねえ。流石に戦力の損失が大きすぎてどうしようもなくなってきているようですね。

 

では今回はBf-109E-3に乗ります。ちょっと久しぶり感がしますね。

でもこの感覚がまた良い!試走でも何度も乗っていたからでしょうかね。なんとも言えない愛着があります。

 

ちなみにウェポンとしてガンポットが解放されたのでユニットに搭載する事が可能となりました。

純粋な火力は手に持つメインウェポンとユニット横のガンポッドで桁違いに跳ね上がりますがユニットの向きを足で調整する煩わしさと振動を足で受け止めるせいで安定性に欠ける上、上昇力、最高速度が低下するなどデメリットが多いです。正直使いこなせる自信がないので装備はしません。

 

ではミッションですが中型四機の撃破と航空偵察としてカメラで写真撮影をしろというものです。

前半は写真撮影、後半からが戦闘となります。

当然僚機はハイデマリー。

朝方出撃なので日が上がる頃に写真撮影を開始します。

ナイトウィッチは保険みたいなものです。

 

はーいでは夜明けです。すぐに撮影を始めましょう。

おおー地上はネウロイの大群がいますよ。この頃のネウロイはまだ蟻とか動物のような見た目のやつも多いしビーム射程もそんなに長くないですが、これがベルリン撤退とかやる頃になるとメカメカしさが増してビーム射程も高度8000まで届くようになります。恐ろしいねえ。

 

はい指定されたコースを飛んで撮影終わりです。

お疲れ様でした〜

はーい遅れてきたネウロイ御一行様はお帰りくださいなー。サインはあげませんよ。代わりに鉛玉をぶち込みますので。

 

まあ面倒なのでハイデマリーとは分かれて効率よくネウロイを撃破しましょう。

ではまず一機目。

はい、撃破。僚機のように側を飛んでいたネウロイがインメルマンターンで高度を取りながら背後を突こうとしてきました。

こちらはあえてループを描きながら上昇します。PvPや模擬戦では速度有利を活かしてそのまま距離を取ったりする方がお得ですがネウロイのガバAIならこっちの方が圧倒的に早いです。たまに落とされますけど(10敗)180°を若干超えて反転したところでネウロイの胴体が見えました。迷わず鉛玉を叩き込みましょう。

それと同時にハイデマリーも二機を撃墜したのでミッションコンプリートです。

いやー戦った戦った。

では帰りましょう。基地がカメラを呼んでいるのだ‼︎

 

 

 

はいただいまー。お、エーリカが出迎えてくれました。ですが何か表情が暗いですね。何かあったのでしょうか?(確信)

 

あ、原隊帰投命令が来ました。

ここはもういいらしいです。エーリカとかは命令無視でここに残ると言い始めていますが、帰投命令の理由が理由なので流石に帰る羽目になりました。

大規模なネウロイの群れが川を渡り始めているとの事です。正直こっち側が突破されてもまだガリア軍がありますが川の方が突破された場合今度はカールスラントが最前線となります。

 

まだ撤退作戦が立案されて始動するかしないかやってる時に一箇所だけならまだしも二箇所も突破されたら大惨事です。特に自国防衛が最優先なので戦力を引き戻す。と上層部が荒れた判決出したんでしょうね。

 

ちなみにナイトウィッチであるハイデマリーも戻るように指令を受け取っています。ただしこちらがJG52に行くのに対し彼女は新たに新設されるNJG1、第一夜間戦闘航空団に転属という形になります。

では名残惜しいとかここで戦力を引くかと文句が出る中ですが今回はここまで、ご視聴ありがとうございました!




ガンポッド

正式名称
AN/MG131GAN Pod System

ストライカーユニットの火力不足を補うために作られた後付けシステム。
使用機銃はMG131 13ミリ機関銃
本銃は口径7.92mmの航空機関銃であるMG15、MG 17を更新するために開発された。弾薬は13x64ミリB、この銃に合わせて新たに作られたもので、航空機銃故に通常弾・徹甲弾・魔導弾・曳光弾・炸裂弾などが用意されていた。
MG131の特徴は13mmという中口径ながら、全長が短く、新規格の弾薬を用いたことで、全体を一回り小さい7.92mm機銃と互換性のあるコンパクトなサイズに収めることができたことである。
だがネウロイ戦では航空ウィッチの火力が大幅に不足していた。
MGFFと言った20ミリ大口径機関砲を配備していたが、反動が大きく命中精度が低い、取り回しが難しいほど大型で重量があり、その上携行弾数が少ないなど問題が多かった。
そこで本機銃を無改造のまま、燃料タンクのような形状のケースに入れ、ユニットの左右に取り付けられるようにしたのがガンポッドである。

実際には人の脚の動きや開き具合で発射される方向が大きく変わってしまう。
振動がユニットだけで受け止めきれず絶望的に当たらないなど問題が多く手持ちのMG131Wが開発された事で戦場から姿を消した。


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???4

あの、記者さんですよね?初めまして、ハイデマリー・W・シュナウファーです。

こんな夜遅くにごめんなさい。どうしても昼間は睡眠時間に当てられていることが多くて……

 

それであの子の事で良いのね?

えっと…最初に言っておくけど彼女と一緒にいた時間は他の人と比べたら短い……ですよ。

 

 

1940年1月20日

B7r

 

当時私は軍学校を卒業してまだ三ヶ月しかたっていなかった。

あの時はどこの前線もウィッチの数…特に小隊指揮を行う少尉階級が不足していたの。

特に徴兵組は階級が軍曹だった。戦場で昇進すれば戦時少尉あたりまでいけるけどそれでもすぐには無理。だから軍学校を卒業したばかりでナイトウィッチだった私も、時々昼間に小隊長で駆り出されていたわ。

特にB7rの空域はそれが顕著だったの。

 

 

 

 

「……?」

新しくここにきた人かしら?

その日の夜間偵察飛行の僚機の名前に心当たりがなかった私は、アントナー・S・ハルという名に首を傾げた。

その時はそれだけだった。少しして同じカールスラント空軍のロスマンさんがその彼女を私のところに連れてきた。同じカールスラント軍人として事前に紹介をしておきたかったみたい。

 

 

その少女はどこか影があったけれど、その瞳に灯している意思はしっかりしていた。

紹介してくれたロスマンさんは、つい昼間に空戦をしてきたばかりで怪我をしているから無理をしてほしくないと言っていた。

「アントナー・S・ハル。ハルでいいよ」

 

「えっと… ハイデマリー・W・シュナウファー」

あの時は今よりも人見知りが激しくて、ほとんど会話らしい会話はしなかった。

ただ、私とほぼ同じ身長。聞けば年齢も同じだったからどこか親近感のようなものがあった。

「夜は…初めて?」

 

「初めてです」

笑わない子だった。いや、笑顔が生まれないって感じかしら?嫌なことがあった後とか……笑顔がなくなる。あんな感じ……

「そう……」

その時話したのはそのくらい。空で話せることがあるかなって期待したけど飛行中ハルさんはずっと無口だった。

でも怖がっているとか不安定とかそういうことはなかった。夜間を初めて飛ぶ人はみんな、顔や声に出なくても飛行姿勢や緊張度とかでわかるの。

真っ暗で、星か月明かりしかない世界では、自分がどうやって飛んでいるのか、敵がどこにいるのかがほとんどわからない。それが不安になるのね。

でも、あの子は初めてには思えない。すごく慣れた飛行をしていた。

まるでわかっているかのような…不思議な飛び方。多分、似ている飛び方だとエイラさんの飛び方がそれじゃないかしら。

 

ただ、その理由は聞かなかった。興味もなかったし……私も何か話そうとするような性格じゃなかったから静かで飛びやすかった。

あの時は……という制約がつくけど。

 

飛行記録は見ている?そう……

次の飛行が実質的なバディを組むことになった戦いね。

まさか次の日の昼間に叩き起こされるなんて思ってもいなかった。

 

 

 

その日朝からネウロイの大侵攻があってダキアはすでに国土の半分が失われていたの。

私は夜間哨戒から戻ったあと寝ていたのだけれど叩き起こされたのは昼前だった。

その時すでに第一次攻撃隊が戻ってきていて、まだ戦いは始まったばかりだってことを聞かされていた。

で、予想以上にネウロイの攻撃が激しくて第二次攻撃にナイトウィッチも導入するって指揮官が決めて……昼間の空だけど投入されることになったの。

だけど私はナイトウィッチ。それに、一度目を痛めて近眼なの……だから昼間の戦闘は苦手かな。

できなくはないし時々昼間の飛行もするけど……戦うってなったのはあの時が初めて。

「現状人数不足と僚機損失が多くなっている。離陸後は小隊長の指示に従ってくれ」

飛行隊隊長は、作戦説明と一緒に最後にそう付け加えた。

その時点で、私はどこの小隊に仮編入されているとかそういう情報は来ていなかった。

まだ戦場の空気にどこか染まっていなかった私は周りの子達に流されて、いつも使っているユニットを装備。気づけば空に飛んでいた。

愛銃と一緒だったけど結局沢山の人がいる空間も嫌いで、いつのまにか私は空で迷子になってた。

少し離れた所を飛んでいたから無線で小隊を再編している指示が出ていたのに気付くのが少しだけ遅れた。

「なんだハイデマリーも迷子か。よし、ハルの二番機に入れ」

すぐに無線が通じる範囲に戻ると、小隊長から一方的にハルさんの僚機に入るよう言われた。

階級は私の方が上だった。

だけれど昼間戦闘に慣れていない私にとってその配置換えはありがたいことだった。

「えっと……よろしく」

 

「よろしくお願いしますハイデマリーさん」

明るそうな声が無線機から聞こえたけれど、少し目を合わせただけでわかった。表情は相変わらず笑っていない。ただ、どこか楽しそうな雰囲気だけは無線越しの声で分かった。

「……」

 

「……どうやら戦況は良くないみたいです」

先に入れ替わりで随時突入していたウィッチの悲鳴と、怒号が聞こえて、戦力消失5割という状態だというのがようやくわかってきた。

「ちょっと荒っぽいけど…ついてきて。でも無理そうだって判断したらその時は離脱して」

「……は、はい」

地上で見た時とその時では雰囲気はまるで違った。近くを飛んでいるだけで分かる。あれは、やっぱり歴戦の人の感じがした。

 

地面が燃えていた。ビームが空気に乱反射して生まれた赤とピンクの可視光が地面を、空を舐め回し、地上や空に炎の塊が浮かび上がった。それはネウロイと戦い始めて初めてみる……夜間戦闘では見られなかった地獄だった。

そしてそれらを生み出す大きな黒い影。

 

「報告にあった大型ネウロイと中型多数を視認、交戦に入る」

 

ハルさんはそう言って加速した。少し遅れて私も追従する。

背後で彼女に向かって小隊長が叫んでいたような気がした。だけれどそれを無視するかのようにどんどん先に進んでいく。僚機の私もそれに従うしかなかった。

「周囲のつゆ払いをする」

高度を取りつつ、大型ネウロイの周りにいる中型を攻撃すると言い。

 

「私が援護って言ったら入って。それまでは上空で待機」

 

「え?ちょっと……」

目の前を飛んでいた彼女の体が下に向かって消えた。

慌てて目線で追いかけたものの、彼女はすでにネウロイの編隊に飛び込んでいるところだった。

そこからは……そうね、早かった。圧倒的すぎた。

 

わずか数分で二機の中型が消失した。更に格闘戦で小型も撃墜一機を数えた。そこまでの一連の流れを終えた彼女が上昇してくる。

「すごい……」

 

「ハイデマリーさん。そっちに一機行った」

 

「え⁈あ、はい‼︎」

見惚れていた。

すぐに周囲を見渡して、鳥と昆虫を掛け合わせたような見た目のネウロイが下から上がってくるのに気づいた。

すぐに攻撃。弾の半分くらいだったかな。その時消費したのは。

あの時から7.76ミリだとどうしても苦しかった。

 

「それじゃあ、ついてきて」

いつのまにか私のそばに戻ってきていた彼女は、地上を攻撃している大型に向かおうとしていた。その周囲に飛んでいるのは小型や中型のネウロイではなくウィッチや戦闘機たちだった。

その周りでは別のウィッチたちが攻撃をしていたけれど、なかなか近づけそうになくて、手をこまねいていた。そんな中に飛び込もうとする勇気は、10歳でしかなかったわたしには無かった。だけれどそこで怖いから嫌ですと言うことも、出来なかった。

 

近づけば当然ネウロイの反撃がある。大型はそれが熾烈で、普通のネウロイとはわけが違うのだ。

翼のようなところからいくつもの赤い光が伸びてきて、私達を追いかけるように追尾してきた。

ロールを繰り返して回避するけれど、近眼だった私は周囲の様子を確認するのが遅れ気味で怖かった。結局ずっと彼女の後ろを追いかけるようにして飛んでいた。それが結果的に良かったかどうかは……私が今ここにいるって事でわかる…よね?

 

それでも気づけば彼女はビームの中を縫うように飛んでいた。それに気づいたのはそれに飛び込んだ後だったけど。

「ッ!待って!こんなビームの中飛ぶなんて正気じゃない!」

 

私の声は尽く無視された。無線を絞っていたのは分かっているから必死に叫んだけれど、聞こえていないようだった。

体のすぐそばをビームの熱が通り過ぎていって。服が少しだけ焦げた。

だけれど被弾らしい被弾は不思議と起こらなかった。

ただ、それも対象が近づけばいつまで続くか分からなかった。

目の前からビームが迫ってきていた。咄嗟に私は左旋回。シールドを張った。だけれどハルさんは私より少し前にいたから回避する余裕はなかった。その上シールドを貼る事なくビームにまっすぐ突っ込んだ。

「ダメッ!」

一瞬ビームで体が焼け飛ばされる彼女の姿が映った気がした。だけれど、いつのまにか彼女はビームの射線から真上に移動していた。無茶苦茶な動きだった。

真上にジャンプするように垂直に移動するなど体にどれほど負担がかかるやら。

それでも隙は生まれていた。想定外の機動にビームが追従しきれない。

1回目の攻撃で上部に幾つかの弾痕を刻んだものの、コアの撃破には至らない。

翼のような形状の部分にいくつもの魔法陣が生まれた。ビームによる攻撃。一度急降下で下方に抜ける。

追いかけるようにいくつものビームが放たれ、一部は張ったシールドを叩いた。

大きくよろけたものの、攻撃の多くはハルさんに集中していた。

それを急旋回で回避し、回避しきれないものだけを的確に防いでいく。どこでそのような技術を学んだのか…いや学んだだけでなく完全に自分のものにしていた。

 

「上昇してすれ違う!攻撃始め!」

 

追従しながら再びネウロイの上方に出た。飛ぶのに必死になっていた私は狙いも定めず機銃を乱射していた。あのような非情な空を飛んだ経験がなくてパニックになっていたからだと思う。何か叫んでいたような気もするけどわからない。

急旋回で彼女はそこから反転降下、追撃のビームが出ようとしている胴体中央部に20ミリ炸裂弾を叩き込んだ。

あのような無茶な機動はあの子以外では見たことない。それほど彼女の戦闘機動はメチャクチャだった。

 

弾着した弾丸がビームを生み出す魔法陣の直下にあたり、コアが破壊されたのかネウロイ全体が破壊された。

偶然、いや偶然にしては出来すぎていた。

だけれどコアの位置がわかるような魔眼はあの時誰も持っていなかった。偶然としか言いようがない。

 

「大型ネウロイの排除を確認、周辺に敵影なし」

 

『了解した……ちょっと待て!なんだあれはッ!』

無線から流れた声が緊迫を帯びた。

雲の中からいくつものビームが放たれた。空を飛んでいた戦闘機が、不意を突かれたウィッチが、地上で負傷した友軍を助けようとしていた衛生兵や仲間が巻き込まれ、体も残さずビームに焼き払われていった。

それは雲の中から現れた。さっきと同じ大型ネウロイが、降下してきたのだ。

「……ッ大型ネウロイ二体目を確認‼︎交戦再開!」

 

「ウソッ⁈」

一体だけとしか聞いていなかったから私もハルさんも残弾が少なかった。

それでも倒さないといけなかった。このままでは撤退中の地上の人たちがもっと助からなくなってしまう。

だけれど不意を突かれ、雲という隠れ蓑から現れたそれに対して、こちらは高度が上がりきっていなかった。だけどハルさんは急旋回で重たい機関砲を振り回しながら大型ネウロイに突撃をしていた。

ビームを振り切るような機動で接近して、20ミリを叩き込んだ。だけど射撃のタイミングが合わずあまり有効打にならない。私の方も似たような感じだった。どうしてもビームを避けながらでは集中して一箇所には当てられない。それでもさっきのネウロイと同じ形状のこっちも、多分コアの位置は同じなはず。そう考えて撃っていたからそれなりに表面は削れていたの。その時はまだ回復までの時間も長かったから。

「……ッ!」

 

「あっ……」

 

地上に向けて放たれたビームが、戦車中隊を吹き飛ばした。地上に真っ赤な焼け跡だけが残る。

そこにいた兵士たちは、どうなったのか……想像したくなかった。

昨日基地で見かけた人や、夜食をくすねていた陸戦ウィッチ達も、あの防衛戦でみんな死んでいった。それを考えれば、あの瞬間は全体で見れば些細なものだったのかもしれない。

「キャッ!」

私も彼女も気を取られていた。

 

「ハルさん!」

ビームが彼女を直撃した。シールドを直前で張れたため大事には至らなかった。だけどその時装填中だった弾倉を落としてしまっていた。

「大丈夫……弾を落としただけ。薬室に1発残ってる」

 

「5秒だけ…ついて来れそう?」

「え…えっと…その……やってみる」

 

分かったと小さくつぶやいた彼女が再びネウロイに向かって飛び込んだ。

シールドを全開にして最小限の、でも追従しきれない程の機動でビームの中を飛んでいく。彼女を脅威と判断したのかネウロイは私ではなく向こうを攻撃し続けた。

先に私が射程に入った。

照準には溢れんばかりのネウロイの体。最初の攻撃で開けた穴はまだ修復途中だった。迷わず引き金を引いた。

少し遅れてハルさんがブレイクしている私のそばを通過して行った。

「お前なんかッ!お前なんか、1発あれば、十分だぁああ‼︎」

感情が、怒りが爆発していた。それは地上で撤退をしていた味方を消しとばした存在にだったか。あるいはそれを防げなかった自身に対してなのか。それとも別のものに対する八つ当たりのようなものなのか。それは今でもわからない。

ほぼゼロ距離、引き金が引かれ、残っていた弾がネウロイの体を貫いた。急速に動きが沈静化していく。

 

シールドを張るのが精一杯だった。衝撃で真上に弾き飛ばされ、視界が回っているうちに武器はどこかに飛んでいってしまった。あるいは下に落ちていったのだろうか。

 

 

「ネウロイ健在ッ⁈」

放たれた弾丸は、たしかにネウロイを貫通していた。だけれど、離脱をしようとしていた私達に追撃をしてきたということは、コアはまだ残っている。

一瞬見えたネウロイは、真ん中に開けられた大穴から、コアの一部が露出していた。

 

逃げないと…私もハルさんも丸腰だった。だけど彼女は片方のユニットが黒煙を上げていた。速度も高度も大きく下がっている。ユニットに被弾したみたいだ。

「ほんと1発あれば十分だね」

 

それは空からの攻撃ではなかった。

 

地上で擱座したM82自走砲のハッチに取り付けられたM2重機関銃から放たれた弾丸が、ネウロイの半分露出していたコアを貫いた。

「エーリカさん!」

 

「エーリカ……」

噂は聞いていた。つい最近になって撃墜数を増やしている若手エース。

すでに百機の撃墜を数えた黒い悪魔……

その本人はM82の上で手を振っていた。近くにはストライカーユニットも転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

周辺に敵がいないのを確認して、ふらふらと片肺飛行を続けるハルさんのところへ向かった。

「鼻…血出てる」

鼻から流れた血が、軍服をも汚していた。

「あ、ごめんね。いつものことなんだ」

いつものこと……出撃するたびに鼻血を出すなんて普通じゃない。それでも、その普通じゃない動きに私達は助けられた。それが悔しくもあり、逆に恐怖でもあった。

もしかしたらこの子は祭り上げられるのではないか…幼いながら、私はそんな事を考えていた。

正直あの飛び方は危険だったし、すごい体に負担がかかっているってことくらいは容易に想像できた。あんな飛び方していたら体が保たない。そんなの素人目にだってはっきりわかるくらいに……

その事を言いたかったけれど、どうしても言えるような雰囲気じゃなかった。片脚が故障したままなんとか基地に戻ってからもずっとそうで、一回昼食の時に話そうかと思ったけど……アイコンタクトだけで終わっちゃったの。基本空から降りたら私と同じで無口みたいだし。

マルセイユさんやエーリカさんは話しかけられたら話す子だよって言われたけど、わたしには親睦を深めるのは無理だった。

 

 

それでも友達になりたかった。折角の同世代だったから……だから私達は少ししてカールスラントに帰投する命令が来るまで、私とハルさんはペアで飛んでいた。

といっても基本私はナイトウィッチとして夜に飛んでいたから、彼女の僚機だったのはその後一回だけだったけどね。

その後夜間で飛んでいないかって?いいえ、飛んでいないわ。魔王とか呼ばれる対地攻撃ウィッチの夜間任務の護衛とかに専属で当てられていたし。

 

えっと…私の話はこれくらいだけど……

そう、ちょっと爆撃ネウロイが近づいているからうるさくなるけど…来客室は比較的頑丈だから安心して。

 

 

 

 

 

現在もなお続いている第二次ネウロイ大戦には謎が多い。

501によるネウロイの巣破壊作戦がその典型例だ。情報公開が少しばかり行われていたが、それに飽き足らず私は出所不明な裏情報にも手を出した。その資料に奇妙な類似点を見つけた。

一つは扶桑海軍の少女。もう一つは、カールスラント空軍の少女。そのうち後者につきまとう暗号。情報としては不十分なものが多い。だか私はそこに惹かれた。

二人の少女を追っていけば必ず何かがある。

この戦争の隠された姿か、あるいはただの御伽噺か。

幸いにも彼女たちと関わりがあった何人かの人物から話を聞くことができた。

 

私は『彼女』の足跡を追い、国境を越えた。

彼女たちから見た戦争と私の追う『彼女』の存在当事者たちの声全てを残そうと思う。

 




いつも使っているユニット

Bf109E-1/n
Bf109E-1型ストライカーユニットの夜間戦闘機バージョン。少数が生産されたのみで終わっており、Bf109シリーズで夜間戦闘機は無い。
特徴として強力で大型な無線装置と左脚に収納式の高度計と姿勢指示器速度計
右脚に天体観測航法の道具が装備されている。



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part9欧州撤退戦1

大規模な防衛戦セカンドが始まるRTAはーじまーるよー!

 

やってまいりました!第二次防衛戦のお時間です。

 

しかし人類はこの防衛戦に辛勝したものの、戦力が底をつき続く第三次で撤退するんですけどね。

 

でも撤退するだけじゃどうしようもないから防衛はしますよ?遅延撤退戦です。

ですが先になんとガリアが首都パリを落とされ南方方面に逃げるしかなくなり、アフリカ大陸はネウロイが大暴れ。カールスラントはダイナモ作戦で北方方面やブリタニアに脱出する計画が実行されてますが完遂させるためにはベルリン防衛を少なくとも9月まで続行させないといけません。地獄だな。

 

やることは変わりません。基本戦ってさっさとネウロイを落とせばいいだけです。

基地に戻ってくると、かなりウィッチ達が疲弊しているのがみて取れます。どれだけ過酷な戦場に成り果ててしまったのか。これは面白そうですねえ。

 

では早速帰ったばかりですがお部屋に直行。寝ましょう。

こちらはB7rと違って戻ってすぐ戦闘とはなりません。そのかわり明日は一番に叩き起こされて空襲防衛となります。

 

はいおっはよ〜ございます!では早速空襲に対処しに行きましょう。

今回は私が一番乗りです。おやあ?皆さん遅いですねえ(煽り)

 

ほらほら行きますよ。

それ離陸。

 

空に上がったらエンジン全開で上昇していきます。この頃のネウロイは高度4000以上から急降下で基地に攻撃する戦術を取ってきます。最もダメージが少なくなる方法らしいですが急降下は見かけによらず降下速度が遅くかなり接近するので被弾や被撃墜が多くなりやすい危険な戦術です。それでも主な攻撃がビームなので爆弾を落とすより命中精度は上がります。

アハトアハトが火を吹けば中型と小型程度は相手できますがダイナモ作戦の時にはビームの有効射程が伸び、その分攻撃時の高度は高く高角砲の命中率も下がります。

まあネウロイの進化は早いですからねえ。

 

お、ようやく見えて来ました爆撃型ネウロイ軍団です。

数は軽く五十を超えています。うーん恐ろしい。

ですがその分護衛のネウロイは一桁代とかなり偏っています。

この頃のネウロイの思考はわからんねえ。

まあ大方護衛戦闘機不要論でも学習しちゃったんでしょうね。

正直B-29を中国前線で運用するとか相応レベルだったら護衛不要論があってもいいんですけどそんなの絶対ありえないのでね。

 

というわけで護衛の小型ネウロイを先に倒しちゃいます。エーリカにくっついていればいいだけなので倍速。というより六機をあっさりとエーリカが平らげちゃいました。おこぼれ二機をもらっただけです。

後の爆撃機は…あー結構迎撃がしっかりしているのかあまり落ちていませんね。

クルピンスキーとかマルセイユとかラルとかネームドが頑張って落としてますけどコンバットボックスで戦われると普通のウィッチではなかなか太刀打ちできていないみたいです。

それでも半分まで数を減らしているあたり優秀じゃないわけじゃないんですよねえ。むしろネウロイが強すぎるだけ。

とりあえず弾は残っているので迎撃に入ります。

エーリカはここで弾切れになっているので固有魔法を使いながら物理的にネウロイを殴りに行ってます。

あんなのに付き合う必要はありません。

こっちはこっちで爆撃機を叩き落とします。

爆撃機型は総じて動きが単調なので偏差射撃が出来ればそんなに苦はないです。ほい、撃墜。それでも体が大きくダメージが通りにくいのでなかなか落としづらいんですけどね。20ミリなのになあ…やっぱり爆撃機相手には57ミリとか大口径が必要です。

あ、爆撃が始まっちゃいました。

爆撃と言っても地上をビームで薙ぎ払うだけなのですけどこれ現実に当て嵌めてみたらB-17のような機体が軽爆撃機みたいな動きして急降下したりするカオスな絵面なんですよねえ。

おおこわ。

あ、格納庫が吹っ飛びました。爆撃機四機がまとめて炎上してます。

とりあえず高度が下がったところを処しに行きます。

どうもーネウロイさん。知ってるでしょう?迎撃のお時間です。そこの君もどうだい?弾喰らわねえか?

 

はい爆撃機ネウロイが全滅したので戦闘終了です。

 

被害は爆撃機四機と格納庫一棟、それと管制塔と対空陣地、基地設営隊の車両の一部がやられました。大丈夫まだ致命傷だ。

 

管制塔がやられたので航空管制が使えなくなりましたが着陸はスキップするので問題なし。

 

では地上パートですが、皆さん疲弊してますねえ。まあ朝から出撃すればそうなりますよね。

でもクルピンスキーとエーリカなどエースはかなり元気です。

バルクホルンがエーリカに今のうちに部屋を片付けろと迫っています。あからさまなイベントなのでスルーしましょう。

汚部屋の片付けなんて501で十分だ。

 

 

 

 

ちなみにここでイベントを行わないとこの後出撃になります。一日に2回も出撃するのかと思いますが、既に川の反対側にネウロイが一部上陸しているため連戦となります。どこぞの魔王は朝昼夕と出撃していたようですがあんなの魔王だけで十分です。

今回は爆撃機の護衛、離陸するのは朝の爆撃を生き延びた爆撃機(9割)です。

午前の空襲中に送り狼の如く偵察を敢行したウィッチによればまだ動いていないようです(不正確)

ならヨシということで残ったウィッチを総出で護衛につかせます。既に私が着任した頃の8割しか戦力が揃っていませんが、この頃になれば徴兵組もわんさかやってくるので数の上では同じです。練度?知らんな(白目)

というわけでハルの元にも新入りちゃんが二人送られてきました。大丈夫でしょうかねえ。

部下を持った場合その部下が死亡したりするとこちらのコントロールを一時的に受け付けなくなる狂気状態になってしまいます。自由に使える手足が増える分色々と大変です。

「大丈夫だよ」

あ、エーリカがそう言ってくれるなら安心です。

ここでエーリカが難しいと言った場合は二人はエーリカに預けておかないと必ず落とされます。

頑張っててもムービーで落とされます。ですがエーリカが大丈夫という場合は絶対に生き残ってくれるので安心です。ただし地上で死ぬことはあるので注意しましょう。

お、新型軽爆撃機が追い越していきました。

1940年初めに採用されたばかりの最新鋭機Do301Bです。

うーんかっこいい機体ですねえ。一応地上ネウロイ程度なら大体はあれで片付けられる性能を持っています。空戦?まあ察してください。

おっとあっちは上昇していきました。ではこちらも上昇しつつ、周囲の警戒を行います。

魔導レーダーに反応が出たら勝負開始です。

 

はい空戦スタート。爆撃機隊に一直線に襲いかかってくるので結構対処は楽です。

ほら新米ども!端っこの二機をさっさと落としな!時間がないからね!はい、次!

うーん味方がいると楽ですねえ。

 

 

お、本命が来ました。

中型ネウロイですが今までの個体と違って見た目が飛行機に近く、速度と旋回性能はBf109E-1レベルまで跳ね上がっています。

完全なネウロイの真打です。

それにこちらは爆撃機を一切狙わずウィッチのみに攻撃をしてくるウィッチスイープ隊です。

このままだと新入りが被害を受けかねないのでエーリカに押しつけて単独で戦いに行きます。既に別の小隊四人が撃墜されています。あれは死んだなー。

 

数は九機

三機づつの小隊を組んで襲いかかってきます。

二機でロッテを組むこちらより小回りが利きづらそうな編成ですが全部エース級の性能だと大した違いはありません。舐めてかかるとすぐやられる初見殺しみたいなものです(6敗)

というわけでまずは一機の背後に回り込みます。シザースをしながらオーバーシュートを狙う機動に入りましたね。同時に反応した別の個体が背後を取ろうとしてきます。そしたら固有魔法を全開にしつつ体をクルピット機動で反転させます。照準にとらえたところで引き金を引きます。

有効弾は2発だけですが20ミリなら2発あれば十分です。ほい爆散。

目標のネウロイが急反転しつつ高度を上に取りました。ロールでこちらに追撃をしようとしてくるので下にブレイク。ロールをして狙いをつけられないようにします。

別の個体がこちらへ追撃に入り最初に追いかけた方が今度は援護にまわっています。高度が10mになるまで引きつけたらここで反転上昇。追従しきれなかったネウロイが地上に突っ込み消失しました。いやー残念でした。

とはいいつつエルロンロールと右ブレイクで上空からのビームを回避します。

後方に抜けていった一機が他の三機と合流しようとしています。一度距離を取って…お、エーリカが撃墜してくれました。既にほかの三機も撃墜しているようです。よし、残り三機ちゃちゃっと済ませてしまいましょう!

 

 

三機は丁度バルクホルンに襲いかかっています。お姉ちゃんガンバえー!あ、一機落としました。しかし不意を突かれて下方から襲い掛かられています。

今助けるよー!時間かかると(他の場所でのタイム短縮が)面倒だからね!

 

オラオラ!バルクホルンのおぱんつをしたから覗いていいのは女の子だけや!死ねええ‼︎

…チッ、直前で回避されました。なかなか鋭いですねあのネウロイ。

こちらも負けていられないのですぐに追撃しちゃいます。もう一機は復帰したバルクホルンとエーリカが共同で相手をしているのでこっちはこっちで集中して落としましょう。

 

こちらは攻撃をした直後に急旋回で回避する機動を取るのでなるべく近づきます。背後にビームを放ってきますがコツは恐れずに飛び込むこと。シールドをちゃんと張れば弾いてくれますからね。

急上昇で視界から消えました。こちらも無理やり急上昇。速度が大きく落ちましたが、動きが鈍っている瞬間を狙って弾をありったけばら撒きます。

体を大きくスライドさせるような回避機動を取られましたが、一発が命中。体の半分が吹き飛びました。回復される前に2発目を撃ちます。

 

はい終わりました戦闘終了です。いやーウィッチ7人が落とされましたが戦略的勝利です。

ただし継戦能力はほぼ失われたに等しいので厳密には負けですけどね。まあ細かいことはよしとしましょうや。じゃなきゃハゲるで上層部の人たち。

 

 

はい今日はこの辺りでご視聴ありがとうございました!




Do301

全長14.64m、全幅16.57m
空虚重量3605kg最大離陸重量5980kg
最高速度401km/h
固定武装
3.7センチflak18機関砲1門
20ミリMGFF機関砲2門

カールスラント空軍軽爆撃機

1938年、将来的にあがりを迎えて空を飛ぶことが難しくなった時にも戦えるようにと某魔王が知り合いのドルニエ社の開発主任に相談した結果生まれた爆撃機。
魔王の意見や爆撃機乗りの意見を参考に作られた機体でありA型からG型まではネウロイ戦仕様で装甲をほぼ搭載していない。
これはネウロイ相手には装甲をつけてもビームの前にはコンマ1秒の違いしかないという現場の意見からあえて装甲をなくすことで武装搭載能力を強化したものである。
機体構造はエンテ型推進式。エンジンはマリーンエンジンを元にした水冷V型18気筒。最大出力は常用2400馬力、水メタ噴射装置をつけて2670馬力である。その代わり大型である。これによって反転二重8枚プロペラを駆動させる。
機体構造はコクピット周りが圧延鋼板のプレス加工であり重量はあるが量産性とコストが低くジュラルミンより強度がある。
主翼は逆ガルでありこれは脚の長さを稼ぎながら頑丈にするためと言われている。また主翼付け根からストレーキが伸びており、機首の水平前翼が取り付けられている。
武装は機首部分に元高射砲である37ミリ機関砲と20ミリ機関砲。
主翼六箇所のハードポイントに250キロまでの各種爆弾、ロケット弾
胴体中央にドロップタンク、その横にもハードポイントが二箇所設けられている。
乗員一名。一部は後方に銃座を設けて二人乗りになっている。
A型
試作機
B型
先行量産機
C型
量産機、B型より部品点数が少ない。
D型
複座機
E型
海軍向け艦上攻撃機。雷撃と爆撃の両方が可能
F型
エンジンを2500馬力に向上させたもの
G型
機首武装を57ミリ機関砲二門へ変更。


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part10 欧州撤退戦2

戦線が後退するRTAはーじまーるよー!

 

前回のあらすじ。戦力消耗が大きすぎる。

 

 

では基地に戻ってきたところから再開です。

 

基地に戻ってからすぐに訓練を行うと、自動的にムービーとなります。

ついに戦線の維持構築が不可能となり、カールスラントは大きく撤退することとなります。

現在真下の方では鉄門が突破され、ガリアがかなりの速度で侵攻を受けている最中なのでそちらにも戦力を割かないといけないが故の処置だとバルクホルンとエーリカが会話しています。

しかし現状展開している部隊を背後に下げるためには必ず殿が必要となります。JG52はその貧乏くじを引かされたようです。

ムービー終了です。

というわけで訓練をしましょう(唐突)

いえ脈絡はありますよ?イベント後の行動で誰かに話しかける事でそれぞれの固有イベントに進むことになるのですが、挨拶程度しかしておらずほぼ絡んでいないバルクホルンは好感度が低く個別イベントには入らないし他のキャラの個別イベントに入ると好感度が一気に上昇することが多いですし。ここで話しかけない場合どのルートにも進まず撤退作戦が開始します(5回検証)

 

というわけで訓練です。ロスマン教官が何か言いたそうそうな目で睨んでいますが気にしないようにしましょう。

あれも一種のイベントです。

 

 

はい腕立て伏せと腹筋など基礎体力作りは終わりました。はいここで本来なら寝る時間ですが撤退作戦が開始されました。

ここからしばらくはまともに寝る時間は訪れません。疲労が溜まるのでなるべく嗜好品を使って疲労回復に勤しみましょう。

 

では撤退戦の出撃です。

今回のミッションは味方撤退を悟らせずギリギリまでこの基地を保たせる為に進撃を再開したネウロイを引き続けるというものです。そのため時間制限まで防衛ラインを死守するという少し変わったミッションです。同時に大型地上ネウロイを撃破しないといけません!

弾薬が足りなくなった場合後方に指定された補給ラインを通れば自動で基地に戻り弾薬の変更、補給が可能です。

このミッションでは基本短縮等が出来ないので、素直に戦います。武装はいつも通り20ミリ機関砲ですが、出現するネウロイの数を考えると一度は必ず基地に戻らないといけません。

特に途中で出てくる大型地上ネウロイを倒すためには60キロ爆弾が二つ必要となります。なので今回のユニットは新たにアンロックされたBf-109E-4/U2 戦闘爆撃ストライカーユニットになります。

ちなみにこの機体魔王様のJu87G型のプロトタイプとして対地攻撃用37ミリ機関砲が搭載できます。今回は対地攻撃がメインとなる後半にこれを搭載していきます。散々こき下ろしたガンポッドですが、こと37ミリのこちらは脚を開いたり閉じたりしてもしっかり正面に撃てるようオートジャイロとギアカムが組み込まれています。13ミリガンポッドより圧倒的に使いやすいですしあっちと違い対地攻撃用なのであまり問題になることもありません。

魔王ごっこが出来そうですが搭載弾数は10発。

弾丸は全て徹甲弾しか選べません。炸裂弾とか対戦車榴弾なんかはありません。しかも炸薬が強すぎるので8発までしか撃てません。9発目を撃った場合機体が空中分解するので慎重に運用する必要があります。

 

では出撃です。まずは20ミリ装備で対空戦を演じます。

ちなみに今日の部下は一人。銀髪で可愛らしい女の子です。

前回の二人は人数不足による配置変えでどこかに飛んで行っちゃいました。

ちなみにハルちゃんは相変わらずエーリカ小隊ポジです。

そろそろクルピンスキーとかバルクホルンのところにも行きたいですねえ。

 

正直バルクホルンの好感度調整をしておきたいです。彼女だけ初期値のままというのは寝覚めが悪いですし。それに好感度を上げるだけならバルクホルンは一番簡単です。ただし上がりすぎることが多くすぐバルクホルンルートに入ってお姉ちゃんお姉ちゃんになってしまいます(45敗)。

なので今回のような好感度を少しだけ上げるには飛行中のおしゃべりくらいで良いのですが生憎一緒に出撃していても離れて飛んでいるから無線越しの会話しか聞こえません。

クルピンスキーは……なんか好感度高いみたいなので放っておきます。

 

 

 

はい空戦開始です。前方3000から4000にネウロイの大群。中型と小型が合わせて九十と大御所です。

あいつら巣があれば無限に湧いてくるから始末に負えない。

 

では銀髪っ子ちゃんと一緒に高度を上げていきます。

最初から同高度で飛び込んでシールドで弾いていくのはこの場合数が多すぎてナンセンスです。

ほら真っ先に飛び込んだ小隊が集中攻撃を受けてどうしようもなくなってます。

では上から美味しくいただいちゃいましょう。一番近い中型と小型を…ほいっとな。

ほら相手は腐るほどいるんだから銀髪っ子ちゃん適当に撃って。

 

えー……いや適当に撃ってって言いましたけど二機撃墜するのに全弾使ってどうするんですか。しかも新型の13ミリ機銃なんだから弾たくさん入ってるでしょ。うーんさすが新人。

まだまだ戦いはこれからですよ。

というわけでここからはネウロイに追いかけられます。

ですが後方にシールドを張るなんて高度な技はハルも銀髪少女も持ち合わせていません。

なのでここは少女を先にいかせて、こっちは反転します。固有魔法を使って向きを変えつつ怪異に向かって真正面から20ミリを叩きこみます。

うん、流石20ミリ。縦に貫通した。

 

というわけで新人のところに戻りましょう。

なんか見つめてきてますけど放置放置。

おっと、こっちに向かってくるネウロイありです。

シールドを張って初撃は迎え撃ちます。

通過際に新人が13ミリで撃墜。背後に抜けたところを私も撃墜。

いやーまだ十分近くありますよ早く撤退せや。

お、そろそろネウロイの数も減ってきましたね。では…あそこにいる小型ネウロイ群に横から殴り込みをしましょう。丁度バルクホルンと部下が追いかけられています。

はい突入!

あ、感づかれたようです。散開して逃げられます。

一機だけでも!頂戴!新人、そんな距離からばら撒いても意味ないよ!届いてないし。

あーあ…また弾切れじゃん。

とりあえず一機はこっちで落としたので、一旦補給ラインに入って弾薬の装填をしましょう。

はい倍速。

着陸もぱぱっと終わらせちゃいます。お、バルクホルンも一緒ですね!ちょっとだけ会話でもしますかねえ。

お姉ちゃんお姉ちゃん。妹の調子どうよ?

あ、補給画面が開きました。

では弾薬の補充と新たに爆弾二つ、37ミリ機関砲を搭載してもらいます。

その合間ですが侵入したネウロイと高射砲隊の決死の防衛戦でも見てましょうか。

ビームで高射砲が消失。目の前にいた三号戦車を改造した自走高射砲が吹っ飛んでいます。

 

では離陸です。ネウロイの空襲中ですがお構いなしで離陸します。

あ、貨物機が一機落ちてきます。人員を後退させるのにピストン輸送をしていたものです。とりあえず離陸!

バルクホルン達も一緒です。

空に上がったバルクホルン隊が早速ネウロイを始末し始めました。

こっちは爆撃モードなので対空戦は諦めます。

 

はい再び戦場に戻ってきました。

では地上をご覧ください。もちろん上空にもネウロイはいますが、地上には大型ネウロイがヤッホーしてます。

航空部隊が全滅しても地上部隊は止まる気配がありません。

大型の方はなんとキャタピラを模した移動装置で地上を爆走中です。

なんだか昭和の陸上戦艦みたいですね。

残念ながらJG52部隊に爆撃任務をメインとしたウィッチはいませんので対空兵装のまま多くが敵と対峙しています。

一応地上の中型までなら対空装備でも簡単に撃破出来ます。

お、一部の子達が対地攻撃装備に換装するべく帰投を開始しています。

 

なら先に頂いちゃいましょう。

丁度クルピンスキーやラル達が地上の小型や中型を掃討して道を作っているようですし。

 

丁度いいのでそこを使わせてもらいましょう。

ちょっと時間が出来ちゃったので他の地上ネウロイが攻撃をしかけてきています。ですが対空弾幕としてはビームは不都合が多いです。特に対空面制圧は榴弾を使用した方が圧倒的です。

 

なので結構穴がありますので強引ですが通り抜けましょう。新人ちゃんは無理しなくていいよー。ついてくる?なら一緒にどうぞ。

 

はい大型ネウロイの上空に出ました。迎撃が来て危ないので60キロを投下して一気に離脱。上空に退避します。

当然60キロ4発だけでは撃破できません。

エーリカが隙をついて攻撃をしているようですが効き目なしです。そりゃあんた13ミリじゃ無理よ。

ということでなんか離脱中にエンジンを損傷した銀髪っ子ちゃんを離脱させて帰投させます。

左旋回で一気に60キロが開けた破口に照準を合わせます。37ミリ発射!まずは4発。うーん、コアまでは届きません。

どうやら新人が落とした2発のうち1発が外れたようです。ガバったなあ。

急旋回でもう一度射撃位置に着きます。

迎撃が復活しましたが、時間制限的にも厳しいので避けずに突撃します。4発叩き込んで、はい、破壊できました。

ようやく敵終了のお知らせです。

 

迎撃で翼が一部融解しましたがまあ問題はありません。では撤退として元の基地よりもさらに後方の基地へ向かいます。

今回はここまで。ご視聴ありがとうございました!

 

 




Bf-109E-4/U2

メッサーシャルクBf-109シリーズのユニットの中でE-4型をベースとした対地襲撃機仕様。
Ju87G型ストライカーユニットの先行試験を兼ねているため両翼端に37ミリ機関砲ポッドが搭載可能となっている。
37ミリ機関砲ポッドは13ミリ機関銃ポッドよりも洗練され、脚の角度や向きに合わせて正面を向くように自動調節する機構が備わっている。
しかし発砲の反動が強く、E-4型では左右同時に撃つようになっている。
エンジンは変わらずなので対地武装時はほぼ空戦は不可能。


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???5

こんにちは。貴女で良いのよね?

良かったわ。

 

ロミルダ・リーデルよ。よろしく。

多分、私が一番彼女と長く飛んでいたんじゃないかな…。

 

 

カールスラントの指定していた防衛線を破棄することになったあのタイミングで、私も空に上がった。

私も徴兵組でね。ただ、あの子よりは先に訓練校に行っていたさ。ただ、私が戦場に上がった時には既に部隊はかなりのダメージを負っていた。

その穴埋めとして派遣されるのだから損耗率は余計に上がる。一緒に来たはずの同期が初戦以降見かけなくなってしまった、なんていうのも珍しくないし実際私の同期でJG52に配属された子も二人初戦で死んでいった。

 

そんな戦場があの時の欧州だった。

私が上がった時、直前になって部隊変更が行われたんだ。それで、あの子の2番機になったんだ。

身長が私よりも低くて見た目には幼い少女だった。私もその時同じくらいだったけど……だけどそんな少女に私は、自然と従っていた。すでにそれだけの貫禄が彼女にはあったんだろう。不思議だったけど……あの地獄を何度も経験していたらそうなってもおかしくないな。

 

 

 

 

1940年

前線臨時基地

 

私がその基地に来た時には、すでに複数回の空襲を受けて基地の機能は致命的なダメージを負っていた。

その時にはすでに私の体もダメージで辛かった。

撤退する軍事品や兵を乗せてベルリンまで走り抜けてきた列車が、折り返しで基地に戻るのに便乗する形で私達補充のウィッチは戦地へ向かった。

だけどその時の列車はごつい機関車1両以外に人が乗れる車両はなくて、有蓋貨車にふとんと毛布、そして暖をとるための装備を一式載せて21時間の旅をしてきたのだ。

そして空襲は私が列車で揺られている合間の出来事だったらしい。焼けた瓦礫と化した管制塔と格納庫。そして司令部の建物が直撃を受け、現在は食堂を臨時の指揮所にしている状態だった。

瓦礫撤去もままならず、土木車両もいくつもやられてしまっては、作業も遅々として進んでいるようには見えなかった。

未だ白煙が立ち上っているくらいだ。すぐ近くでは消火活動がいまだに行われていた。

ストライカーユニットが収められているハンガー格納庫の隣の格納庫も、ビームで焼き払われた跡と、燃え跡が痛々しく残っていた。

中には、丸焦げになった新型爆撃機が残骸となって佇んでいた。

いくつかは翼がビームで溶断され、胴体もジュラルミンや圧延鋼が溶けて滴った跡がある。

そんな残骸を見ていると、何両かのトラックが隊列を組んで基地の入り口に向かっていった。

基地からはいくつもの車両がベルリンに向かって伸びる臨時道路に出ていた。

上級士官の多くが戦死してしまったことと、基地機能の喪失から後方へ撤退するという命令が出されていることを知ったのは、臨時で基地の指揮を取っているJG52の飛行団長が話していたのを聞いたからだ。

 

新人だった私にだってあの時の状況は絶望的としか言いようがなく、実際祖国の危機をヒシヒシと肌で感じていた。それでもどうすることもできなかった。

 

 

初出撃はそれから数時間後。第一飛行隊隊長だというバルクホルンさんが伝えに来てくれた。作戦は撤退する本隊の時間を稼ぐために空中、地上の双方の敵を落とし続ける事。時間として5時間。基地に戻っての再補充を何度か行う過酷なものだった。

 

同時に変更された部隊表はその時見た。

彼女の名前は知っていた。ベルリンやカールスラント中…いや連合国中の新聞に書かれていたんじゃないかな?まあ小さかったけど、エーリカ・ハルトマンに並んで飛んでいる写真は印象的だった。

 

記者さんはその暗号を頼りに来たんでしょ?その暗号が使われ始めたのもあの頃さ。

最初の印象は……一つ下の年齢にしてはかなり小さい……だった。それと同時に、ベルリンやニュルンベルクとは違う……血と硝煙の匂いが混ざり合った空気。それが彼女にまとわりついていた。

簡単な挨拶をした後、少しして彼女が行動方針を教えてくれた。

「私から離れないように、離れる時は私についていけない場合だけ」

 

「それ以外は……」

 

「特にないかな。生き延びることが第一だから」

簡単な指示だった。だけど教科書的で、ある意味訓練学校の延長戦のようなものだった。新聞に載るほどのエースなのだから何か秘策があるのかなと思っていた私は正直に言うと、あの時肩透かしを食らった気分だった。

だけれど、その理由は嫌というほど身に染みた。

「ついていけない時はどうすればいいの?」

 

「離脱するって言ってから左旋回で上昇。なるべく戦域の上に逃げるように」

 

「わ、わかりました!」

 

飛び上がった空は、どんよりと曇っていた。

それでも欧州では結構普通な空色で、地上から見る分には格段なにも変わらない。でも空から見れば恐ろしいほどの圧迫感があり、まるで空が迫ってくるようだった。

もしかしたらこの空は作り物の絵のようなもので何かの拍子に落ちてくるのではないかと漠然な不安に襲われた。

地上には最前線で戦っていた車両たちが基地の方に向かっていくのが小さなごまつぶのように見えた。

 

しばらく飛んでいると、目の前に黒い群衆が現れた。

 

同時に長機だった彼女が上昇を始めた。高度を取り相手の上から攻撃を行う。まさしく一撃離脱の定石だ。

 

上空高く上がった私達は、急降下でネウロイの群れに真上から飛び込んだ。

ビームが打ち上がってくる事はなかった。

先に彼女が撃ち、瞬く間に三機が落ちた。私も続いて目の前に入っていたネウロイに向けて引き金を引いた。

なかなか当たらない。後ろや横を通り抜けていくだけ。焦って加速した。

命中。空中で爆散。

戦場の高揚感に当てられて気が動転していた。

 

「大丈夫?」

彼女の冷めた声で、ようやく意識が落ち着いた。近くでは沢山のウィッチとネウロイが空中戦を繰り広げていた。

「大丈夫ですッ」

 

「ならまっすぐ飛んで。ずれてる」

 

「あ、申し訳ありません!」

 

「気にしないで」

その頃になってようやく機関銃のマガジンが空っぽになっていたというのに気がついた。

旋回を繰り返す彼女を追いかけながら、マガジンを交換した。30発入りの弾倉は撃ち続けたら数秒で撃ち尽くしてしまう。

 

すぐに目の前に敵機が現れた。その敵機の前を、別のウィッチが飛んでいる。

撃て。短い言葉が耳に聞こえて、反射的に私は敵を撃っていた。

二機撃墜。初戦でだ。

 

だけれどその分弾丸も多く使ってしまっていた。

そろそろ戦闘に支障が出てもおかしくない。

 

だけれど待ってはくれない。

すぐ真後ろからビームが追い縋ってきた。

狙いは甘く全く当たる気配のないものだったけれど、狙われていると理解させられるのには十分だった。

一瞬、彼女の姿が消えた。私はあっさりとパニックになった。

真後ろから追いかけられている時に長機が消えてしまったのだ。無理はない。

 

ネウロイから逃げようと、咄嗟に教え込まれていたシザース機動をしながら必死に逃げ回っていた。

「ねえ、もう追われてないよ?」

彼女の声がインカムから聞こえて、ふと横を見るとそこには彼女がいた。

いつのまにか後ろにいたネウロイの姿は消えていた。

「あれ…えっと…」

急に恥ずかしくなった。

「逃げなくていい。それに弾薬が切れそうだから一旦戻る」

 

「奇遇だな、私達も補給だ」

気がつけば、私たちの反対側にバルクホルンさん達がいた。

「なら、一緒に……」

彼女の表情は変わらなかったけれど、どこか嬉しそうだった。

 

 

 

基地は、先に帰ってきていたウィッチが弾薬の補充を行なっていたり離陸をしようとしていたりする光景で何処も騒がしかった。

その中を担架が駆け抜け、衛生兵が包帯を持ってとまさにカオスな空間と化していた。

着陸をした私は、彼女と一緒にエプロンの一角に止められた。隣には、一緒に降りたバルクホルンさん達もいた。

「対地攻撃に換装」

 

「了解しました!」

 

主翼の端に大型の機関砲ポッドが搭載されていく。その光景を見ながら、なんだかアメコミのロボット漫画のようだなと思った。

 

問題が起こったのは、もうすぐ換装が終わると言った時だった。

「クソッ!ネウロイが入ってきた!出せるウィッチは上げろ!」

 

「四番高射砲が吹っ飛んだ‼︎迎撃機を上げろ!」

滑走路の端っこに設けられていた高射砲がネウロイのビームで消し飛んだ。焼け残った砲身が爆炎とともに空に舞う。

「ダメだ!こいつら速いっ!」

空を通過していった黒い影を追いかけるように曳光弾が空に上がっている。

「救援のウィッチはいないか⁈まだ基地を失うわけにはッ‼︎」

 

オンにしていた無線から怒号と悲鳴が上がる。

 

すぐにでも空に上がって敵を倒したかった。だけどその時の兵装は対地爆装にしていた。その上まだ武装の安全装置などの解除に2分かかる予定だった。

「おい!後どのくらいだ!」

 

「後2分待ってください!」

隣で整備士とバルクホルンさんの怒鳴り声が聞こえた。

「こちらバルクホルン!制空装備に換装中、後2分で出せる」

 

長い2分だった。

エプロンで武装を換装している私たちを格好の目標と判断したのか、ビームがいくつも降り注いだ。

近くにあった高射機関砲が吹き飛び、咄嗟に張ったシールドにもビームが直撃した。

「準備完了!出せます!」

隣で兵装補充をしていたバルクホルンさんが、離陸態勢に入った。

ほぼ同時に私達も離陸準備が整った。

 

「こちら鬼、離陸準備が整った。サイファーと同時に上がる」

彼女はそう言って、エンジンをかけた。

重たくなったユニットが、必死に地上を動き出した。

すぐ近くをネウロイのビームが駆け抜けて、土が舞い上がり、対空戦闘を行っていた自走高射砲が融解して吹き飛んだ。

「急げ!もたもたしてたら地上でやられる!」

 

「まずい!輸送機が落ちてくるぞ!」

バルクホルンさんの声。

こちらが滑走を始めようとした直後、後ろにエンジンから火を吹いている輸送機が迫ってきているのが見えた。慌てて滑走路から逃げようとした。だけど、3人は逆に離陸するつもりだった。

ユニットが奏でるエンジンの音が大きくなった。

バルクホルンさん達が先に浮き上がった。こっちは重武装だから滑走距離が必要だった。

 

ようやく離陸。すぐに高度を取った。燃え盛る鉄の鳥が滑走路を横滑りして土手に飛び込んで爆発大破した。

 

「危機一髪ね」

 

先に上がったバルクホルンさん達が、すぐに基地上空のネウロイを攻撃していた。見えただけでも二人で四機を落としていた。

 

「行くわよ」

それを尻目に私達は、戦場に向かって方向転換した。ネウロイの意識がそれているうちにという事なのだろう。

幸いこちらを追撃してくるネウロイはいなかった。

 

戦場に戻ってみると、すでに空に残っているネウロイはほとんどいなかった。そのかわり、地上を埋め尽くすかのような黒い津波が押し寄せていた。それらの中に一際大きな…まるで陸上戦艦のようなものがいた。

そいつの起こす強大なビームで地上も空も燃えていた。

胴体中央の塔のようなものと、その左右にある小型の浮遊球体のようなものがビームの発射点だった。

「……脅威度が高い大型を倒す。ついてきて」

なんのことはないという雰囲気で彼女はそんなことを言い出した。

目の前であの大型に挑んだ小隊が近寄れずに退避しているのを見ながらだ。

「ついて…正気ですか⁈」

 

「どっちにしろあれを倒さないと戦線が突破される」

正気なのかと言いたかったけれど、誰かが倒さないといけないというのはわかっていた。その力を持っているのは私たちだけ……

「私はまだ初陣です!」

 

「関係ない。無理なら退避していいと言った」

ざっくり言い切った事にムキになった私はその時つい言ってしまった。

「……分かりました!ついていきます」

 

私は後になって知ったけれど、丁度私達が突入したタイミングは、一箇所だけネウロイの数が大きく減っていて、迎撃が薄くなっている場所だったらしい。だけれどあの時はそうは思えなかった。

 

地上からの攻撃が私たちの周りの視界を赤く染め上げた。一番密度が薄いところを狙って飛び込んだというのにそれでもかなりの威圧だった。

目の前をいくつものビームが通過していく。危機感を頼りに張ったシールドが時々大きく衝撃を受けた。同時にシールドが割れた音がして、目の前が真っ赤に染まった。落ちる。

そう思った。

だけれど次の瞬間には熱いという感覚が体を走り、間一髪でビームを回避したのだと悟った。

冷や汗が吹き出した。

「ついて来れているね」

 

変わらない口調。顔色ひとつ変えずに、彼女はあのビームの中を通り抜けたのだ。

異常だった。私は咄嗟に別のシールドを張る余裕が無かっただけ。でも、彼女はシールドを使わなかった。

直撃すれば死ぬのは確実。それも爆弾に、大口径機関砲を搭載しているせいでろくに回避運動すらままならない状態でだ。

 

それでも、あの時は溢れ出るアドレナリンと目の前に迫るネウロイの体にそんなことは考えていられなかった。迎撃の第二弾も来ていた。最初に見たウィッチたちがもらったのと同じ濃密な弾幕対空。だけれど、彼女に言われたとおりに回避を行い、彼女の後ろを追いかけ続けていると、不思議なことにそれらの弾幕は直撃をする事はなかった。時々シールドを展開したりすぐそばをビームが通り抜けていったけれど。それでも直撃をする事はなかった。

投下と言われて、爆弾を投下した。

軽くなった体が真上に浮き上がるのを利用して、一気に離脱。後方で爆発音がして、ネウロイの呻き声が聞こえた。

振り返ると、あの大型ネウロイの姿が大きく変わっていた。

体の前半分が抉られたかのように消失し、キャタピラのような足が再生を行うために止められた。

その足の構造は、どこか戦車を台座にしているように見えた。

まるで取り込んでいるみたいだ。

再度反転、あまり距離をとってしまうと周りのネウロイから攻撃を受けかねない。

急反転で意識が飛びそうになった。

彼女のユニットに装備された37ミリ砲が火を吹いた。あそこまで大きな弾丸だと、曳光弾がなくてもある程度見る事はできる。

弾丸が当たったところが大きくえぐれた。私もその場所目掛けて引き金を引いた。いくつ当たったのかはわからない。多分多くは外れたかもしれない。だけれど確実にコアに近づいている。そんな気がした。

別の場所からのビーム。そっちの方に意識を向けると。巨大ネウロイの後部から、小型の地上ネウロイが排出されていた。ネウロイを生み出すネウロイ…小型の巣の機能を持っている存在だった。そいつらが大破している母体を守ろうとして、その体によじ登ってこちらに攻撃をしていたよ。咄嗟にそれらに向けて引き金を……

 

地上の目標は空と違って動きが二次元的だから狙いやすい。お陰で私でも簡単に掃討することができた。だけれど私のユニットと引き換えだった。

ビームが左脚のユニットを直撃して、唸りを上げていたエンジンをダメにしていた。

「エンジン損傷!」

 

「離脱しなさい。まっすぐ基地に行くのよ」

 

「そっちは⁈」

 

「これを倒してからにするわ」

一人でやる気なのかと言いたかったけれど、それは中断するしかなかった。もちろん私の悲鳴でだ。

大型ネウロイの塔のようなところが復活して、そこからビームが放たれた。

ロールで回避。正面や後方からのビームは、直線的であるがゆえにロールで回避することで狙いを外す効果がある。そう訓練校では教わった。

実践してみてもその通りなように感じられたけれど、すぐ近くをビームが通過する恐怖は計り知れない。

そんなビームを気にもせず、離脱する私とは対照的に、彼女はまっすぐ向かっていった。一瞬彼女のユニットがビームに擦ったような気がした。

だけれど、それを確認する前に、37ミリ砲が火を吹いて、硝煙がその箇所を隠してしまった。

距離もすでに遠くなっていた。

 

そして彼女の心配をするよりも、私は片肺のユニットで着陸するという無理難題に対処することになってしまった。

幸いにも、基地に補給で降りていたバルクホルンさんとエーリカさんが無線で緊急着陸の方法を教えてくれたおかげで、私は滑走路横の土手に突っ込むだけで済んだ。

 

 

 

基地に私が戻ってから1時間後、彼女が戻ってきた。

鼻血の跡と溢れた血で服が真っ赤に染まっていた。ユニットも一部が融解して、変形してしまっていた。

巨大ネウロイはどうなったのか……後で聞いたら、あっさりと教えてくれた。

16発の弾丸が命中し、そのうちの一発がコアが吹き飛ばした。後部からネウロイを輩出していた胴体が崩れ去って消えていったらしい。

 

現在は残りのネウロイを掃討しているらしい。そこに彼女は必要ないらしい。

それを聞いて少し安心した。

その後バルクホルンさんに医務室へ連れて行かれていった彼女は、どこか釈然としていない顔だった。

 

 

 

 

彼女を世間は英雄という。

だけれど、それは人間が作り出した偶像崇拝に過ぎない。彼女は、いや、エースと言われる存在はもとよりどこか異常なんだ。

 

 

私も、戦場の空気に中てられておかしくなってしまったのだろう。

だけれど今になってもあの時の感覚ははっきり覚えていて、私がエースと言われる存在に近づいていくたびに、むしろ彼女の異常性が際立っているっていうのがよくわかるようになっていった。

知っている?エースって三種類に分けられるの。強さを求めるもの、プライドに生きるもの、戦局を読めるもの。

だけれど彼女はそのどれにも当てはまらない。そんな子……。

 

 

貴女も元ウィッチなら分かるでしょう?

 

 

 

 




ごつい機関車

カールスラント帝鉄51型機関車
1937年に製造された大型蒸気機関車
1939年からは各種構造を簡略化した戦時設計型が製造されていた。
構造はマレー式を採用する機関車。走り装置は3つあり、カールラント版トリプレックス。
足回りは2-D-D-D-6。
戦時設計型はランボードを廃止、除煙板を木造にしている他炭水車の構造も簡素化している。
ただし欧州撤退によって製造工場が疎開をしたため総生産数はあまり多くない。
戦後改良型の52型が登場。


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part 11欧州撤退戦3

最前線がカールスラント本国になったRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回無理な防衛ラインを放棄してカールスラント国境線まで前線を引き下げたところからの再開となります。

 

では基地に到着した後特に誰かと話すこともないのですぐに訓練に行きます。今回は魔力と体力を強化させたいので腕立て伏せでもしていましょうか。

ちなみに腕立て伏せ100回を2セットやるらしいです。普通だったらモヤシは死んでしまいます。もちろん疲労度をオフにしておけば気になりません。

 

「少しよろしいかしら?」

 

ん?あ、これは紹介イベント(自己命名)ですね。初めて会う攻略キャラがいる基地に行くと低確率で発生するんですよ。今回はミーナ少佐がやってきました。適当に聞き流しましょうか。

訓練途中なんですけど…あ、訓練継続したままですので特に問題はないです。ハイ……ロスもしているわけではないのでまあ問題ないです。今回は確率が甘えてきましたね。

後で全員集合との事だそうです。あと私と顔合わせをしておきたかったそうな。まあこれはキャラ紹介も兼ねているのでそのままです。

 

 

 

 

では皆さんのところにいきましょうか。ここからはムービーとなります。

所々でカールスラントの面々によるコントじみた会話が入りまして…

ではミーナさんより大事なお知らせです。

この度JG52は解散。新たに各飛行戦闘団のウィッチを集めたJG3に再編するというものです。

JG52はついさっきの撤退戦で戦力の4割を損失。1割が戦闘不能で後方移送と大打撃を受けています。

まあエース達は特に問題ないですが補充された新米と中堅をまとめて失ったのがかなり痛手です。

まあそこら辺は早送りで。

では解散、寝よ寝よ。

え?なんですかバルクホルンさん。

バルクホルンさんに呼び止められました。

面倒なので一文でおしゃナス!

 

勲章授与ですか。予定より少し早いですがここで勲章イベントが入りました。

一定の戦果をあげるともらえる勲章を、皇帝の手ずから受け取る大変律儀でお堅いイベントです。

正直、魔王を倒しに行く勇者ごっこのような雰囲気があって好きなのです。それに辞退すると印象が一気に悪くなるというよくわからないデメリット付きなので素直に受け取るを選択します。

勲章授与はどこの国に所属しても行われますがリベリオンは基地に来る国防長官に授与してもらうため一番簡単です。

その他の陣営は軒並み王国や帝国なので宮殿とか城とかで行います。見るだけならそっちの方が楽しいんですけどねえ。

 

ちなみにこのイベント確定で4回行うチャートを組んでいます。

余計なことを言うハルトマンと違って黙って粛々とやっておけば時間はそこまでかかりません(114敗)

 

それじゃあ寝ましょうかおやすみなさい(26時)

 

はいおはようございます。起床時間は朝の06:00時です。

4時間睡眠のせいで疲労が抜けきっていませんが起きるしかありません。

疲労ゲージは装備されていませんが視界に異常が発生しているかどうかで判別可能です。

というわけでここは酒保でチョコでも買って食べましょうか。

 

ちなみに酒保で手に入るお酒と煙草でも普通に疲労回復はできます。なんだこれは某潜入蛇も真っ青です。

ちなみに年齢によっても嗜好品の効果は変わってきます。

例えば10〜14歳まではチョコやお菓子系が最も効果が高く、逆に酒や煙草はほぼ変化しない。14〜17歳まではどれも普通。18歳を超えると酒、煙草の効果が高くなるという仕様です。

ハルちゃんにはタバコも酒もやってる暇なんてないんだからチョコで我慢してね。

あ、味覚は切っているので味を知りたい方はお手元の味覚スイッチをオンにしてどうぞ。

 

え?エーリカとクルピンスキーが何かヒソヒソしていますね。まあいいや。

 

 

では早速勲章授与にいきましょうか。

今回もらえるのは一級鉄十字章、騎士鉄十字章です。

二つ同時なのは戦局が関係しているらしいです。詳しくは攻略ブックを見たほうがわかりやすいですよ。

 

それにしても二級鉄十字章を飛ばしていきなり一級とはなかなかですねえ。

ちなみにハルトマンや他のエースも一部来ています。

正直この程度なら基地でポイって渡してくれていいんですけどねえ。

あ、空軍元帥直々なんですか。さいですか。

うーんこの……

 

 

ちなみにさらに上の剣付きの騎士十字勲章とか出てくると皇帝様登場です。

余談ですが黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章を取ることも出来なくはないです。

ただし朝出撃してご飯食べて昼出撃してご飯食べて夜出撃してご飯食べて寝るを繰り返して単独撃墜380機、共同撃墜100機以上とかいう化け物にならないと無理です。現在までに7人しか取得していないガチ勢ですら困難な何かですからね。

お、移動中の列車の中でエーリカちゃんからお菓子をたくさんもらいました。なんでしょうね?まあ貰えたのでヨシ!

 

美味しいかどうか?ええ美味しいですよ。あ、これ辛いんだ……ふーん?味覚切ってたからわかんねえべ。

 

電車が到着したのでホームにおります。

ここで多少自由時間、ベルリン観光ができます。今回はなにも寄らないので真っ直ぐ宮殿に向かいます。宮殿に入るとイベントです。

基本は画面上部に指定された姿勢を保つだけで良いです。

ちなみに守らなくても問題はありませんが大体ペナルティで2分ほど尺が伸びます(2敗)

 

はい終わりました。では帰りましょうか。

ここもベルリン観光ができますが必要ないので駅に戻って列車に乗るを選択すれば基地に戻ることができます。電車の中の風景はスキップ。

操作コントロール復活は基地にむかうトラックからです。

地震みたいな揺れ方をするメルセデスのトラックが時々蛇行を繰り返していますね。どうやら基地が空襲を受けているようです。ナンダッテー

 

 

ではベルリンから帰投したので早速戦争のお時間です。

基地到着前からぼちぼちネウロイに襲撃されていたことからもわかるように基地が襲撃を受けています。

僚機として前回から銀髪っ子がいるのですがその子は私が帰ってくるまで格納庫でユニットを守っていたようです。なんて健気な子(ニチャア)

というわけで早速離陸です。

第一次攻撃隊がどっか行っている今がチャンスです。今回はほとんど基地の被害はありません。

いやー皆さん優秀優秀。

 

空に上がったらそのまま空戦開始です。機首上げ50度で一気に上昇かけます。今回の爆撃ネウロイは高度4000からの高度をとった爆撃という名のビーム攻撃をしてきます。

ただし高度があると目標への命中率は極端に下がります。基地周囲や何もない土手には着弾しても重要な箇所への被弾がまだないことがそれを証明しています。

そのかわり迎撃する側は高度を上げるタイムロスが発生するのでかなり不利となります。

第一次攻撃に対処していたウィッチ達が降りてきています。弾切れか燃料補給でしょう。

では第二次攻撃のネウロイを撃滅しましょう。

今回は高度不足なので下から直接撃ちあげる典型的なインターセプトを行います。

距離があれば高度をとって上から逆さ落としに飛び込むこともできますがそれをすると時間がかかるので今回はパスです。

真下に入り込むと地上攻撃用ビームに巻き込まれる危険性があるので斜め下から潜り込み込むように攻撃を行います。

ちなみに今回も20ミリ機関砲で出撃しています。

新米ちゃんも20ミリが開放されていたのでそちらを載せています。これで一通りの火力はゲットできました。

 

20ミリを叩き込めー!いけー!

いえーい!四機撃墜。幸先の良いスタートです。

これは確率がデレてくれましたね。

 

それじゃあ今度は下りながら第二弾です。

ちなみに遠くの方に大型ネウロイがいますがそちらは今回の目標には含まれていないのでスルーして構いません。

多分ラルさんあたりがどうにかしてくれるでしょう。

その分小型、中型がたくさんやってきますがバーゲンセールと思って気持ちを持たせておきます。

20ミリなら、20ミリなら空を耕せるんです!

 

ちょっと強引な旋回で真上から叩き込みをします。この爆撃ネウロイ(正式名西欧2型)は上部と側面部に迎撃用小型ビームを撃つ魔法陣が発生するのですが、これがまあよく当たるの何の。かなり恐ろしい物なのでここはしっかりとロールで回避を行います。

回避をしながら20ミリを叩き込めば、今度は三機が吹っ飛びました。

うーん美味しい。

 

流石にここまで暴れたら護衛の小型ネウロイが来ちゃいますので左右に蛇行しながら狙いを定められないように飛行をします。

案の定後方に迫ってきましたね。こちらの方が速度優位が残っているので加速で逃げます。

振り切りました。エンジンの温度計と水温計が赤いゾーンに入っているのでエンジンの出力を落として冷却をしつつ次の目標を探ります。

 

では残りの単調極まりない空戦をスキップして、はい戦闘終了です。

若干被弾しましたが許容範囲に収まっています(落ちなきゃ良い)

ユニット側も空戦終了と同時にオーバーヒートしました。まあ放っておけば冷えて戻りますからいいんですけどね。

ダメージはいずれも軽い打撲程度のようです。よかったねえ。

試走の時にはヘタをすると骨折とかするんですけど今のところ致命傷は避けられています。

ダメージで視界が赤くなっていますが医務室に直行すれば良いだけなので問題なしです。

格納庫のイベントを全部スキップしてさっさと医務室に駆け込むんだ!

実際調整のために医務室に向かう予定があったので一緒に体も治してしまいましょう。これも一応オリチャーの影響です。

現時点でハイデマリー、エーリカ、ロスマン、マルセイユ、バルクホルンの好感度が同率。新たに入ったミーナとクルピンスキー、ラルの好感度を並べる必要があります。これはそのための布石です。

 

では医務室に着いたので今回はここまで、ご視聴ありがとうございました!

 




JG3
正式名称
帝政カールスラント空軍第3戦闘航空団
上部組織
第四航空艦隊

1940年、戦線縮小と部隊整理による統廃合で誕生した新たな戦闘航空団。
主体は撤退戦で殿を務め半壊したJG52とJG54のウィッチ飛行隊、壊滅したJG53のウィッチ残存部隊を組み合わせ、整備科、補給科、さらには陸戦戦力として3個高射砲中隊、装甲騎兵中隊(軽装甲車による偵察隊)、守備科、輸送科が加わる大規模な部隊となった。
この頃になるとカールスラント上層部でも陸空の戦力を統合し指揮系統を一本化することで柔軟に戦闘が行える連隊戦闘団と言われるものの構想が持ち上がっており、JG3はそれの空軍版として実験的に陸軍部隊を組み込み、実施検証を行なっている。


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part 12 欧州撤退戦4

空戦が発生している最中ですが空戦できないRTAはーじまーるよー!

 

はい、おはようの挨拶と共に空襲警報です。

ですが今日の空襲警報は気にする必要はありません。

というのも今日の出撃予定はありません。前回の出撃でストライカーユニットのオーバーホールイベントが入ってしまっため空戦を一回休みになります。

このイベントは出撃回数が一定回数又は各戦闘における機体の損傷の合計が一定値で発生するイベントとなっています。

今回はちょっと確率がデレてくれないところで無駄にダメージ負ったのが響いています。

というわけでちょっとだけ休息タイム。

毎回空戦をしていても大変ですからね。とりあえず現在の体力数値でも確認してみましょうか。

 

素早さ58 体力65 魔力75 運38 精密48

ははーん。とりあえず魔力お化けの兆候は現れてきていますね。

ちょっと精密と運が低いですが精密くらいはプレイヤーの力量でカバー出来るのでなんとかします。

というわけで今日も訓練に行くぞー!

デンデンデデデデン(しーん)

 

カーンが入って無いやんけ。

「なあ、ハル。ちょっといいか?」

 

……あ?なんですかね?

背後からクルピンスキー……

あ(察し)……クルピンスキーとのイベントが発生しました。

これは回避できないです。うーん、まあ好感度を上げておく必要がありましたし今回はリセをせずこのままイベントをこなすことにしていきます。

オリチャーをした影響ですがある意味リセ回避に役立ったしまあいいよね?

それで伯爵よ。何用ですか?

「ちょっと出かけないか?」

おー…デートイベントですか?

……あ、これ出かけるやつだ。

しゃーねえなあ適当についていきますか。

正直クルピンスキーって日常的での会話やイベントでの方が好感度が上がりやすくこういったデートやお出かけでは見かけによらず上がりづらいところがあります。

ところで外出許可は?

あ、とってきてくれたんですね。ありがてえありがてえ。

これで取ってこいとか言われたら伯爵にラリアットかまして腕の関節外すところでした。

 

 

え?列車乗る?あ、これベルリンか。

お出かけ可能な場所はカールスラント国内だと他に観光地がいくつもありますが買い物系のデートの場合必ずベルリンになります。

ちなみにこれどこの国になっても似たようなもので例外と言っていいのがリベリオンなんですよね。

リベリオンはニューヨークとサンフランシスコの二つが設定されています。まああの国広いからしょうがない。

むしろ泊まりで出かけるイベントじゃ無いだけ全然マシです。むしろデートイベントは選択肢適当に押しておけば勝手に進行する上に好感度の上がりも最低値が確保されています。

そのほかのイベントは適当な選択肢を取ると普通に好感度がマイナスにも振れます。なので倍速とか適当な選択肢を取るのは困難だったりします。

まあ、そういった要素は調整をするのによく使います。

行きの列車の中での会話ですが、適当でいいです。行きの会話なんてのは好感度にも何にも直結しない雰囲気会話みたいなもんですから。

お、そうだなくらいの返事でいいです。

はい到着しました。フランクフルト駅(現ベルリン東駅)です。美味しそうな名前をしていますがフランクフルターソーセージは残念ながら売ってません。昨日ならフランクフルト・アム・マインから送られてきたフランクフルトが売っているお店が空いていましたが現在はノーです。それもそのはず、前回来た時から一日しか経っていませんが現在のベルリンは撤退作戦がぼちぼち始まっており閑散としています。店も半分程度閉まっています。

ちなみにお時間はお昼を回っているのでまずはご飯です。

それにしても憲兵が駅にも配備されていて物々しい雰囲気ですねえ。置き引きとかスリ多発中?そりゃまたご苦労なことで……

 

 

ちょっとあそこのソーセージ焼きを…

「ハニー、ご飯はこっちだよ」

あ…ハイ。後ハニー呼びってことはまだ好感度は初期値ですね。

食事はどうやらレストランで取るようです。

まあなんでもいいんですけど……そうですねえ。ここは好感度を稼ぐ必要があるのでクルピンスキーと同じ料理を選択します。

では再び会話です。

食事の時も会話するって結構ありますけどこれ人によって違うんですよね。

黙って素早く食事をしてから話すタイプか食事と会話を同時進行するタイプか。カールスラント組だとロスマンとクルピンスキーが後者。エーリカとバルクホルンが前者。後はその時々で変わると結構明確に分かれます。私は後者なのでクルピンスキーとの食事って個人的には得意じゃないです。

 

食事の味?

知らんわ。設定開かないと味覚のオンオフ切り替えられないから今すぐ味わからないので……

とりあえず料理の見た目から適当に味を選択しましょうか。

「味覚……その…」

どうやら当たっていたようです。

大丈夫だって。まだ味覚は健在よ。単純にこっちがきってるだけだから。

それでこの後くらいはこっちに主導権が移るんでしょう?

 

あ、やっぱり移るのね。移らなかったら暴れてたところです。

では食事も終わったので会計をして出ましょう。

ちなみに所持金はほぼ使っていないので結構貯まっています。

軍属で制服、食事、シャワー無料かつ集団ですが部屋もあり必ず休暇が与えられる上に福利厚生がしっかりしてその状態で基本給現在の日本円換算で20万はかなり貯まりますよ。しかも戦闘手当てもつくのですから多少税金で引かれていようと帳簿は潤いますよ普通は。

化粧品系を揃えたり美に力入れるとすぐ減りますけどね。

 

ではベルリンの街並みを見ていきましょう。

と言っても装飾やお洒落な看板などは撤去されているので飾りっ気がないです。

とりあえずデートで寄る店は最低一箇所で良いのでキャラ攻略でよくお世話になったお店に向かいます。序盤ならここが一番安定するんですよ。

何度か攻略中に使いましたがあいかわらずなんかよくわからない店ですね。なんか首飾りとか色々売ってるお店ですね。

お菓子とかも売ってるんですけど普通に宝石の加工や金属品加工までするので本当になんの店なのかわからない。

 

取り敢えずクルピンスキーの好感度を稼ぐ必要があるのでペアルックのロケットペンダントを買います。

量産品と一点もののどちらかが選べるのですが量産品はガリア、オラーシャ、ブリタニア、リベリオンのウィッチが、一点ものはカールスラント、扶桑、ロマーニャ、スオムスのウィッチが好みます。

ワンメイクもの。その場で作ってもらいます。

「じゃあそれを4つセットで」

クルピンスキーさん?ペアルックとは……

まあいいやとりあえずアクセサリーから装備を押してつけておきましょう。

では好感度も丁度良くなったので帰りましょうか。え?服?……あーはいはいわかりました。

なぜだッ!断る選択肢が出てこなかった。

 

 

 

 

えー……お出かけ用の服買えって言われました。服持ってないだろと。朝からずっと軍服のままだったので…いや持ってましたよ?初期装備品でお出かけ用の服が二着とDLCの拡張パックの服が四着。

 

実はこっちに撤退するときに基地に置き去りにしちゃったので消失しちゃっただけです。

まあDLCの服はメニュー呼び出せばいつでも持って来れますけど想定していなかったデートなんだから仕方がないね。

 

取り敢えず適当な服屋に入ってと。

彼女に服を選んでもらうかどうかの選択肢が出たので迷わず選んでもらう事にします。

ではクルピンスキーが選んだ服を選んで着て…

ゴスロリじゃねえか!いやいいけどさ!好きだよ?ゴスロリ…でもどうして……めっちゃ目立つじゃ無いですかヤダー

まあいいか(すっとぼけ)

ほらこれでいいんでしょ帰りまーす。

ダッシュで駅に向かいます。これ以上余計な店に入るのはNGですからね。

では駅に停車している列車に乗り込めば基地に戻れます。この列車牽引している機関車えらく厳つい見た目してますねえ。どうしてマレー式機関車なんて導入しているんでしょうか……まあいいか。

 

帰りの車内でもクルピンスキーが何か話しかけてきました。こちらの呼び方が名前で呼んでいるので好感度は計算通りの位置にいるようです。返答は適当に選択しておきます。正直クルピンスキーの会話の選択肢ではあまり好感度の上下が発生しない分行動で示すタイプです。

 

はい基地に戻ってきました。

基地入り口でクルピンスキーと分かれます。

「どいたどいた!車両が入ってくるぞ!」

 

おっと守備兵に怒鳴られちゃいました。分かれて数歩しか歩いていないクルピンスキーも思わず苦笑いです。

こちらが道から離れた数秒後に新型戦車のⅣ号F型と九七式中戦車改がやってきました。これから前線に送られるのだろうと思うとなんだか資源の無駄使いな気がしなくも無いですがまあ大人の事情ってやつでしょうね。

それに対ビーム塗料が開発されて以降ならある程度までならビームも防げるようになりますし。

それでも地上兵力だと4秒とか7秒くらいだったかな。

直接照射されてしまうと無理ですね。薙ぎ払い程度なら耐えられると言った程度です。

 

ではでは、軍基地は今日も大忙しな光景を見つつすぐにお布団に直行です。

夕食?知らん。というのは冗談で、実は日帰りの外出をすると帰りの列車で食事は取ったということになっているのでわざわざ食事をする必要は無いのです。

では衣装を軍服に戻してと……

準備完了おやすみなさい!

 

はい、では今日はここまで、ご視聴ありがとうございました!




カールスラント陸軍Ⅳ号F型中戦車

車体長6.5m、全幅2.7m、重量30t
エンジン
バイマッハ製水冷V型12気筒(490hp)
整地最大速度38km/h
Ⅳ号D型中戦車をベースに改良を施した中戦車と言われているがほぼ別物である。
一説には予算確保を行うためにⅣ号の発展改良型として上層部に説明したためと言われている。
そもそも同じ部品が転輪周りしかない。シャーシすら新規設計であり後継のⅤ号戦車のシャーシとして使われるものである。
車体はⅣ号から大型化。車体全面は下に向かって傾斜。空間装甲と内装側にセラミックの薄い板を接着剤で装甲に貼り付けた複合装甲を採用している。
砲塔は内部構造や骨格は同じだが装甲は傾斜をつけた7角で構成されている。
主砲は火力が欲しいという兵士の意見を採用して7.5センチKwK40を採用。貫通能力を向上させている。


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???6

こんにちは。いやーこんなカフェによばれるなんて久しぶりだね。

502に入隊してからどうもロスマン少尉が他の女性と外に出るのを止めたがってね。

 

それで、この後はあそこのホテルにでも行かないかい?……もちろん冗談さ。ハルの事を知りたいんだろう。でもここじゃ人目が多いからね。どこか誰にも邪魔されないところに行こうじゃないか。

うん、やっぱりあそこのホテルがいいな。時間的にも丁度チェックインは始まっているからね。

 

 

 

 

 

 

まあ大体は彼女のことは他の人から聞いているんだろうね。

僕もそれなりにハルとは関わったけど、実は空ではそんなに一緒ではないんだ。むしろ彼女とは地上で何度か出かける仲だったよ。

彼女が501に入ってからはエーリカからの手紙でしか状況を知ることはできなかったけどね。

彼女は手紙とかを書かない子なんだ。

まあそれでもよければ話すよ。

 

 

 

1940年

 

 

「ふーん……あの子も年頃の女の子っぽいところあったんだね」

酒保から出てきたハルは、チョコレートを齧っていた。普段から訓練くらいしかしていないように見える彼女から見ればちょっとだけ意外な一面だった。

ああ、あの時の彼女は殆ど訓練しているところか食堂にいるか空で無線越しに話す程度しか会えない子が多くて妖精とか存在があやふやな子って言われていたんだ。まあ、実際には生き急いでいると言ったほうがいいのかな……少なくとも心構えはそんな感じだった。

そんな感じだったから、エーリカと僕がそれを見かけたのは運が良かった。その時はそう思っていた。

「そうっぽい。そういえば今度の勲章授与、ハルも一緒だったよね?」

エーリカはチョコを頬張っている彼女の姿を見て、もしかしたら戦う以外のことを教えてあげる糸口になるんじゃないかって思っていたらしい。

「あ、せっかくだしお菓子くらい持っていきますか」

その日は勲章授与式の二日前。折角だからベルリンに向かう汽車の中で色々とお菓子を食べさせてみたらどうだろうかってことになってね。

それ以前にも何度か似たようなことをして地上での趣味を見つけて欲しかったんだけど…悉く失敗していてね。

「カールスラント名物…今から買ってきて間に合うかな?」

「手作りはダメなのか?」

エーリカの顔が渋くなった。いやまあ、料理の腕が多少悪いのは僕も認めているけどそこまでの顔しなくてもいいと思う。それは今でも根に持ってるよ。

「私もあんたも料理できないでしょ。いいんだよ酒保で売ってたお菓子くらいで」

「……女の子に渡すお菓子くらい自分で作ったほうがいいと思ったんだけど」

 

 

 

 

 

授賞式に向かうからと言って専用列車が出るわけではない。

あの基地は鉄道駅からも少し離れていて、貨物列車は倉庫の方に引き込み線が伸びていたけど客車に乗るには町の駅に向かう必要があったんだ。

その上乗る列車も軍用と言えどただの客車でね。三等車と車両前後に防空機銃を積んだ無蓋車が連結されただけのものさ。

まあそんな室内だから基本は軍紀なんてあってないようなもの。一般の乗客と交ざっていたわけじゃないから特に身内には甘くなりがちなところもあった。

ハルはそんな中でもデッキと座席を行ったり来たりしながら誰と話すわけでもなくずっと外の景色を見ていた。

僕たちはちょっとミーナにお小言を言われていてハルと合流するのは少し遅くなった。

デッキで流れる景色をぼぅっと見ていた彼女に真っ先にエーリカが声をかけた。

「ねえハル、お菓子食べない?」

 

「お菓子ですか?」

不思議そうな表情をしていた。だけれど、他の人が言うように戦闘マシーンとかそんな感じではなく、普通の年頃の女の子だった。

「そうそう、ちょっと色々仕入れたんだよね」

 

「折角だからどうかな?」

 

「ええ、構いません」

少し悩んで、彼女は了承した。遠目でそれを見ていたロスマンもいつのまにか交ざって4人がけボックス席は埋まってしまっていた。

「なんでロスマン教官が」

 

「そこの伯爵の見張りです」

 

「酷いな。食べたいなら食べたいって言えばいいじゃないか」

 

「そ、そんなことありませんわよ!」

とか言いながらお菓子を頬張っているロスマンは見た目も相まってハルの姉妹なんじゃないかって思えたよ。

まあ、それは口には出さなかったけど……

 

「美味しいです」

一方のハルは、私達の会話には交ざらず、お菓子を食べては外を見るの繰り返しだった。

どこか絵になる。そんな感じがした。

それくらい可愛らしいんだ。

「味は気に入った?」

 

「ええ、結構酸っぱいんですね」

味の感想のはずが、齟齬が出た。手に持っているそれは辛いスナック菓子だった。けっして酸っぱいなんて感想が出てくるものでは無いしそもそも酸っぱいお菓子など持ってきてはいなかった。

「あれ?それ辛いやつだよね?」

 

「……え?」

 

空気が凍りついた。

「あ、すいません。そうでした」

必死に誤魔化そうと笑ってたけれど、不穏な気分は晴れなかった。

「まさかと思うけど……」

ロスマンが味覚に異常が発生しているのではないかと問い詰めたけれど、彼女は苦笑いでその追求をかわした。

「大丈夫です。まだ味覚はありますから」

まだってなんだ。ますます不安が大きくなっていくじゃないか。

気まずい雰囲気になってしまったのに耐えきれなくなったのか、彼女は意識を景色に戻してしまった。

詳しく聞ける雰囲気でも無かった。本人もあまりして欲しくはなかったのか、別の話題を持ち出して話をしていた。

だけれど、私達の心にはどこか不安が残った。

「お菓子……気に入ってくれたんだよね?」

列車から降りてしばらくしてから、エーリカがつぶやいた。

「多分……でも僕にもわからないな……」

 

「……」

「……」

味を楽しむことすらできなくなってしまうなんて想像したくないな……

 

 

 

 

 

 

 

授与式の後に意を決してその事を聞こうとしたけれど、帰りの列車では席が変わってしまっていたし、乗るタイミングがバラけてしまったため彼女を捕まえることはできなかった。帰りの列車の中で彼女はどこに座っていたのだろうか……

そのあとは…授与式から少ししてからかな。

私がユニットを全損させて少しの合間出撃不可になっている時だった。

ちょうどハルもユニットのオーバーホールを行なっていて出撃が無いタイミングが重なってね。せっかくだから誘ったんだよデートに。

ちなみにもう一人同じタイミングで休みだった人がいてね。……バルクホルンさ。

これは本人には言わないでくれよ。

僕がデートに誘ったところを偶然聞いていたらしくてすぐに外出許可を取り付けて後をつけていたらしい。

でも尾行が下手だね。僕もハルもすぐ気づいていたよ。

なにせ駅まで車を出したんだが真後ろピッタリを車で尾けてくるんだ。バレないと思う方がおかしいよ。

 

 

 

 

1940年

「ねえハル」

彼女を見かけたのはやっぱり訓練場。ずっと訓練ばっかりしていてなんだか、つまらなさそうに見えた。似てるとしたら…入隊したばかりのエーリカみたいな感じだね。それで、放っておけなくて咄嗟に声をかけていた。

「どうしたんですか?クルピンスキーさん」

 

「ちょっとデートしない?」

 

「……はい?」

 

「この前ベルリンは初めてだって言ってたでしょ。あの後は時間が無かったから無理だったけど、ベルリン、案内してあげるよ」

自分でもちょっと強引だと思ってたけれど、でも彼女を外に連れ出すにはこれくらいしか口実が思い浮かばなかった。

「別に良いですけど……」

断られる可能性が高いのは承知していたけど、結構あっさりと彼女は許諾をしてくれた。

「それじゃあ外に車を回しておくよ」

 

 

 

やはりベルリンに向かう列車に人は少なくて、どこか寂しい雰囲気だった。

すでに国境周辺の住民は避難を終えていたし、あの時はこれからベルリンの方も一般市民は避難せよって言う国家方針が発表されていたからね。

だけど国境側から避難してきた人もいて全員が避難できるにはまだ相当な時間がかかるだろうって言われていた。すでにベルリン周辺には難民のキャンプまで出来ていて、それら全てを移動させるには交通網の能力が足りなさすぎたんだ。

 

 

「ところでどうして軍服のままなんだい?」

まあ、人が少ない車内だからこそ、軍服を着たウィッチは目立った。僕だってオフのお出かけの時はちゃんと私服でおめかしする。だけれど彼女はおめかしはしていても服はそのまま。

デートに誘ったはずなんだけどなあと思ったけれど、返ってきた言葉は意外なものだった。

「実は…持っていた私服のほとんどをこの前の撤退の時に基地に残してきてしまって……形見だった服もあったんですけど」

それはデート…デートという口実で連れ出しておいてなんだったけど、重すぎて聞いたこっちの罪悪感がね。

あの基地からの撤退。僕は諸事情で元の基地に荷物を置き去りにしてあの基地にいたからそこまで問題ではなかった。

「なるほど、じゃあ服屋もまわり道に入れておくことにしよう」

それでも顔に出してはいけない。顔に出したら彼女だって悲しくなるから。

思い出くらい楽しいものでいてほしいからさ。

 

 

 

途中で列車がトンネルで止まって、ベルリンに到着したのは昼少し前だった。

予定は細かく決めていなかったから、先にお昼を取ることにした。

ベルリンからの避難が始まっても、ベルリンにギリギリまで残る人達はそこそこいる。彼ら彼女らを支えるためにもお店はいくつかがまだ開いていた。

その中の一つに僕が気に入っているお店はあった。多分ベルリンでも指折りの美味しさだったんじゃないかな。

 

人が少なくなってきていても、そこそこの人で店は賑わっていた。

 

「味は気に入ったかな?」

運ばれてきた料理を食べているハルは、側から見れば普通に食事をしていて味覚がおかしくなっているなんて思えなかった。それでも、少しだけ困惑しているようだった。

「……え、ええ」

ちょっと意地悪な質問だった。

「ところで、君の味覚はどこまで残っているんだい?」

味覚に異常が出ているのは知っていて、あえて試してみた。結果としてはまあ…返答としては大丈夫だった。でもそれは料理の風味からある程度味が想定できる場合だ。

「……少しだけ甘みを感じるくらい……」

驚くことはなかった。なんとなくそんな感じはしていたから。

「そっか…いつからなんだい?」

 

「……一週間前から。医者が言うには体の負担が原因の一時的なものらしいです」

 

「……なるほど。一時的なんだね?」

黙って頷いた彼女のそれが本当のことなのかどうかは今となってはわからないけど、多分あれは私たちを落ち着かせるための嘘だったんじゃないかな。

ハルの後ろの席に座って尾行しているバルクホルンをも落ち着かせるためのね。

「ハルは強いんだね」

彼女を責めることは僕には出来そうにない。いや、この狂った世界では誰一人として誰かを責める事なんてできない。こう言う時は切り替えるしかないんだ。事実は事実なんだってね。僕たちに出来るのは……いやなんでもない忘れてくれ。

「そんなこと……」

でも味覚のことはロスマンやエーリカに報告しておかないとね。

 

 

 

ああ、なんか重い話になってしまったねすまない。

それじゃあ楽しい思い出も話すとしようか。

 

 

食事を終えて少しばかりベルリンの市内を歩いていると、ハルの足が急に止まった。

「ここって……」

それは、雑貨屋のようなお店だった。

看板や目印になるであろうものは撤去されていて名前はわからないけれど、店自体は開いているようだった。僕も知らない店だった。

「雑貨屋みたいだね」

中に入れば雑貨屋という雰囲気は強くなった。だけれど置いてあるものが貴金属品、或いはアンティークなウィッチの装備などもありなんだか不思議な雰囲気があった。

「似たようなお店に行ったことがあるんです」

店中で商品を手に取りながら彼女はそう答えた。

「おや、お嬢さんもしかしてカールスルーエの店に行ったことがあるのかな?」

ふと店の奥から声がした。店主さんだった。

軽く会釈すると、なかなか良いボーイフレンドを連れているじゃないかと茶化された。いや僕女なんだけどなあ……

「多分そうだと思います。私、バーデン=ヴュルテンベルク州のウルムって街の生まれなので」

ボーイフレンドのところ否定して欲しかった。

 

「あそこは私の姉がやっているとこだよ」

 

 

 

それにしても雑貨というよりいろんなものがあって……やっぱり雑貨なのかな?でも宝石の隣に帽子とかよくわからない中東土産みたいなものもあるのって…

「これ……」

雑貨が頭の中でぐるぐるしていると、ハルが何かを見つけた。それは売り物ではなく、カウンターに置かれた小さな看板。

「ロケットペンダント?それもオーダーメイドで一点ものか…」

形やデザインも自由に決められるらしい。

ふうん……それなら…こんな感じのデザインでっと。

「それじゃあ4つお願いします」

 

店主さんが、奥へ行ってしばらくの合間金属を加工する音が響いた。

「お待たせ。出来たよ」

 

「すごい…もうできたのかい」

待っていた時間は5分にも満たないくらいだった。出来上がったペンダントを見てハルはどこか嬉しそうだった。

「私の固有魔法は特定の金属を変形させるものでね」

聞けば彼女は元カールスラント陸軍のウィッチだったらしい。あがりを迎えて退役してからは姉の店をベルリンにも出そうとして退職金を使い店を立てたらしい。

 

 

 

 

その店を出た後はほぼ忘れかけていたけれど彼女の服を選ぶことにしてね。見かけた服屋に入ってみたんだよ。

「すいません。流行とかよくわからないのでクルピンスキーさんが選んでくれませんか?」

「僕が?わかった」

服を選んでと言われたらちょっとだけ遊びたくもなるものさ。

ちょうどその店は普通の服以外にもアンティークなものとかも揃えていてそう言った方向の集客もしていたみたいでさ。

いくつかあったんだ。ゴシックロリータって呼ばれるドレスがね。

「これとかどうかな?」

 

「もしかして18世紀のゴシック服ですか⁈」

物凄く食いついた。

「お、もしかして気に入った?」

 

「こう言うの好きです!」

ちょっとふざけたつもりだったんだけどかなり喜ばれた。こう言う趣味があったんだなって思ったよ。うん、良かったなって安心した。彼女にも趣味があったんだなってね。

「……うんやっぱりその体型ならこれが一番だよ」

ちょっとふざけてみたけどハルはどうやら気に入ったらしい。お出かけとかで着る服を買いに行ったはずだったんだけどまあいいよね。

 

帰りの列車もずっと濃紺のゴスロリドレスを着ていて少し驚いたよ。

多分基地のみんなも驚いていたんじゃないかな……

ちなみにロスマンの分も買ってみたんだけど断られた。代わりにエーリカかハルに着せると言ったら渋々着てくれた。

似合ってると思うんだけどなあ……

 

 

 

 

とまあ…デートの話はこれくらいかな。一応地上では何度か会話もしたけど…結局あのあとはもう撤退作戦が本格化して地上でどこかに出かけるなんてできなくなっちゃったし、その後も色々あって彼女とは会わないうちに501に行っちゃったし。

空で戦っているところは少しだけ見たことはあるけど相変わらずだったみたい。

ロケットペンダント?ああ、これだよ。

彼女と僕、一応エーリカにも渡したんだ。後一つは…ハルが誰かに渡して欲しいって言って彼女に渡した。

それがどうなったかはわからない。

 

そうそう、ペンダントを作ってくれたお店なんだけど……

もう無いんだ。

うん、店主さんの名前も脱出した名簿にはなかったらしい。




九七式中戦車改

全長4.5全幅3.1m重量35t
最高速度45km/h
エンジン
ハ101空冷星形14気筒エンジン1410馬力
扶桑国陸軍革命兵器と呼ばれた戦車。
九七式中戦車と共通する部品が全くない。Ⅳ号F型と似ているが計画して行われたわけではない。
車体全長が大幅に伸び、大型化したエンジンのため後部が車体全体より一段高くなっている。
対ネウロイ用に開発されたため
車体に装甲はほぼ施されておらず、最大でも35ミリしかない。
車体は基本溶接接合。砲塔は四角く車体と同じ幅。
主砲105ミリ砲は砲身を海軍の九八式高射砲より流用している新規設計の戦車砲である。
無線を標準装備しているため集団での戦闘を念頭に設計され、戦後第一世代MBTの先駆けと言われている。


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part 13 欧州撤退戦5

防衛線を死守するRTAはーじまーるよー!

 

はい1940年4月です。

ついに大規模なネウロイの攻勢が始まりました。

来月にはベルリン陥落ですやったね!

 

というわけで前線に複数の大型ネウロイが出現。地上と陸上の双方から進撃が始まりました。

では早速出撃です。サイレンで叩き起こされました。まだ朝の3時なんですけど真っ暗な中出撃となります。

今回は新ユニットでの出撃となります。その名もBf-109E-4型v3です。簡単な説明をしますとDB601型エンジンの最終型で、原点に立ち戻って武装搭載能力を抑えているのが特徴です。

ではいつもの銀髪ちゃんと一緒に出撃です。一応上司は再編でヴェルカミ・フーベルクに戻っていますがこれも一時的なものに過ぎません。

えーナイトウィッチの先導が入りながらの夜間飛行です。

ですが満月がしっかり出ているのでそこまで真っ暗ではありません。それに前線は炎で真っ赤に照らされています。

 

無線が賑やかですが指示は聞く必要はありません。

早速上昇します。高度5000あたりまで上昇しながら戦場を見てみます。

この戦場は敵の発生ポイントがランダムとなるので確率に祈ります。

確率ちゃんは……デレてくれてませんね。

デレてくれる時は大型と小型が左右に分けて現れるのですが今回はかなりごちゃ混ぜになっていますね。

 

うーんまあいいや。

このまま突き進みます。高度を上げてこようとしている小型をまずは仕留めます。

20ミリなら小型中型共に一撃粉砕。

上昇に必死で速度と運動エネルギーが殆どないネウロイなんてただの的です。

外す方がおかしいです。

上昇していた六機をサクッと撃墜。後ろの銀髪ちゃんも四機撃墜です。

下では中型が邪魔をしているようなのでここから支援してあげましょう。

 

急降下爆撃を行い地上支援を行う爆撃機が近づいているので早めに処理しておかないといけません。

20ミリでどんどん上から撃ち落としていきます。三機撃墜した辺りで高度が足りなくなってきたので上昇です。

 

「後ろに敵!」

 

おっと、高度を下げたため狙われたようです。背後から中型三機が追い縋ってきます。

すぐに水平飛行。同時に左旋回でビームを避けます。銀髪ちゃんは右旋回。

旋回半径を縮めて中型の一機の背後を取りました。レティクルに入ったら射撃です。旋回中で胴体が狙いやすいですね。

すぐ隣の銀髪ちゃんが真後ろに向かって器用に機銃を放って撃退しています。

あれって結構難しいんですよね。飛行姿勢と速度が大きく減衰するのでここぞというときにやらないと大変なことになります。

 

 

では高度を上げながら魔導探知機を見てみます。

背後から複数の機影が固まって現れました。Do301と爆撃ウィッチの混成隊です。

では今度は大型ネウロイを引きつけます。

あの爆撃機はマップ中央を突っ切る形で通っていきます。それらの被撃墜を抑えるためにはネウロイを左右に分けて引き寄せておく必要があります。

大型ネウロイが左右に割れてしまっていますがこれをどうにかして右側に集めます。

時間短縮を兼ねるのでちょっとアクロバット飛行となりますがご了承ください。酔わないでねー

 

ではまずは高度を下げながらマップ左の大型ネウロイに銃撃を浴びせます。

他のウィッチに夢中になっていた大型ネウロイ、空中要塞型「ヴィルヘルム」がこちらを向きました。

ではここから接近します。

当然ビームが飛んできますがロールで回避です。ではある程度近づいたところで急旋回。

強引に体を戻したら左側に一直線です。後ろからビームが迫ってくるので時々後ろを見ながらロール回避で引き連れて行きます。

時々銀髪ちゃんが後ろに攻撃をして挑発を続けてくれます。

 

 

はいもう一体の大型ネウロイのところに到着です。エンジンスロットを全開にしながら目の前にいる二体目の大型ネウロイの真下を潜り抜けていきます。

同時にやや左に旋回。

……もうちょい左です。そう…ここ!

出力を下げて速度を落とします。

少しすると大型ネウロイ二体が真下に特大ビームを作り出そうとしています。

 

はいここです!加速!スロット全開!油温と水温が気になりますがまだ大丈夫。

 

真後ろを特大ビーム二条が追いかけてきます。

ちなみに地上には地上ネウロイがたくさん溜まっていました。それらが思いっきり巻き込まれて消失していきます。

はい、これで地上目標10体の撃破はクリアです。

わざわざ一体一体撃破していくのは時間がかかるのでフレンドリファイアでまとめて吹き飛ばす方法でサクッと処理しました。

後はこの大型飛行要塞を撃破すれば終わりです。

 

そろそろ夜明けが近くなってきたので東の空が明るくなってきました。

飛行要塞は全体的な形は飛び魚のような体に上下にサラのような構造物が生えています。

この皿に大量のビームを発生させる術式が浮かび上がります。

それらは基本攻撃パターンごとに変動していきますので覚えちゃいましょう。

 

コアの位置は意外にも上の皿と飛び魚のような胴体のつなぎ目です。頭っぽいところにもコアのようなものがありますがこちらはダミーコアです。

 

 

そんなの破壊しても意味ないので無視です。

ちなみにこのネウロイは形状の関係で今みたいに水平で飛び込まないと目標であるコアが狙えないと言う問題があります。

皿のようなものが実質的な盾にもなっているんですね。

 

お、この攻撃は……

上下からビーム十本入りました。

では高度を変えずに全て回避します。基本はロールで射線から逃げつつ、回避できそうにないものはこうしてシールドを張ります。現在の魔力量なら正面から受け止めても問題ないのですが斜めに受けそらすことで失速を抑えることができます。

まだ追従してこない分楽な部類になります。これを回避したらまずは一射。二射。

うーん弾丸の収束が良くないですね。もう一射。

はいコア撃破。大型飛行要塞撃破。

近くにいた二体目はバルクホルンが撃破しました。

これで大型は撃破完了。ミッション終了。

 

よしよし、区間賞!一時はダメな予感がしましたがバルクホルンが撃破してくれたおかげで大幅短縮です。すぐ帰りまーす。

 

はい帰ってからすぐ出撃です。

機材の修理もまだですが、滑走路手前の待機スペースよりミッションです。

おやあ?明るいはずですがどうも暗いですねえ(すっとぼけ)

 

はい上空に巨大ネウロイが四機現れ基地を蹂躙しています。

上空警戒に当たっていたウィッチが処理され作戦終了で帰投していたウィッチは再出撃がギリギリ。防衛網は力技と数の暴力で空も陸も押し切られました。

しかしまだ空が押し切られただけで地上の戦線はまだ前方にあります。たかが十数キロ空が先行したくらいでどうにかなると思ってるのでしょうかねえ。

まあ思っているからこうして攻勢をかけたのでしょう。

 

 

こりゃすごい大規模戦です。前回の基地襲撃が比較にならないレベルですね

滑走路が吹き飛び巻き上げられた土が吹き飛んできます。

対空陣地が消し炭になっていきます。

 

あ、燃料タンクが吹っ飛んでますねえ。

 

しかもこれここだけじゃなく各前線で発生しています。

なんとまあ悲劇なことですねえ(棒)

とりあえず緊急離陸します。

穴がまだ空いていない誘導路より飛び立ちます。帰りは……とりあえず後方の基地にいきましょっかな。

えーなんか大惨事になっていますが追撃はエーリカ達に任せてこちらは地上の支援を行います。

先程の襲撃でフーベルクとその僚機が地上で吹き飛ばされちゃったのでこちらが繰り上げて小隊長になりました。

 

 

では地上支援ですが…結構基地から近いです。なんならもう目の前に基地あります。

うーんやばいですね!

では早速空の敵を掃討します。使えるのは再び20ミリ機関砲のみ。

まずは空の目標からたたき落としていきます。

ここの航空目標は固定出現なので置きエイムでサクッと片付けます。

ホイホイッ。

ワンマガジンで目標数に達成です。

では今回のメインとなる地上目標を破壊していきます。

 

主な戦車型や地上を進む大型ネウロイは爆撃機や地上の戦車に任せてこちらが狙うのは主に対空戦闘を行う防空型ネウロイです。

モデルは様々ですがこの先頭に出現するのはカナブンや黒いGの外見をした胴体にビームを撃ち出す大砲じみた棒のようななにかが背中に生えたよくわからん気持ち悪いやつです。

なんか見てたらSAN値削れそうなので早めに処理します。

対空迎撃ネウロイなのですが流石に純戦闘機ストライカーの速度と軽快な動きに追従するのは難しいようでしっかりと攻撃を回避してから銃弾を叩き込めばすぐ破壊できます。

こいつらの特性上防御性はほぼ無いに等しい存在なのでね。

その代わり比較的小柄で森の中に隠れられたりすると意外と見つけきれません。

今回は平原での戦いなので遮蔽物もなく隠れられない存在はただのマトです。

 

ちなみに地上戦闘型ネウロイは軒並み対空能力は持ち合わせていないのがほとんどなので対空車両がいなければ気持ちが良い爆撃の雨が降ってきます。

どこぞの魔王閣下も飛んでいるんでしょうねえ。

 

 

それでは消化試合入りました。

あ、そうそう僚機ちゃん。

ロケットペンダントあげるよ。うん一個余ってたやつ。いらねえからよ。

ってなわけで、消化試合完了です。

では地上に戻りますが基地は滑走路が破壊され燃料タンクや弾薬庫も吹っ飛ばされたのでもう使えません。

なので後方40キロの地点にある基地に待避します。

E-4型になって燃費が悪化しているので途中で燃料切れの可能性もありますが特に今回被弾しませんでしたし大丈夫でしょう。

 

 

はい基地が見えてきました。

燃料も余裕があるので着陸しちゃいましょう!

では速度をあげて…着陸姿勢をとって…はいブレーキ。

タッチダウン。足が壊れそうになりましたが壊れてないので問題なし‼︎

というわけで今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。




メッサーシャルクbf-109E-4/v3

Bf-109シリーズでは最後の欧州工場開発型。これ以降は疎開された工場での生産開発となる。
シリーズ共通のタイムラーベンツDB601魔道エンジンを強化し、常用最大出力1250馬力、緊急ブースト時には最大で1310馬力まで出力を出すことが可能。
ユニット上の変更点は排気管、エアインテーク、主翼の形状を見直し、ガンポッドなどの搭載をやめウィッチの手持ち武装を主体とした原点に立ち返っている。
欠点として燃費が悪化したことによる航続距離の低下が挙げられる。
また爆弾の搭載能力もなくなり使い勝手が悪くなったと一部ウィッチの反発があった。


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part 14 欧州撤退戦6

空に上がれないRTAはーじまーるよー!

 

はい今回は文字通り空に上がれない戦闘がメインです。

 

えー前回着陸した基地であてがわれたお部屋に向かい寝るを選択するとすぐにムービーになります。

本来寝るまでの間にもメインキャラと親睦を深める時間になっているのですが今回は無視していきます。

ラルの好感度が調整たりてないところがありますが……まあいいでしょう。

現在小ビフレスト作戦が発動しているためこちらの主戦場ではなくやや北寄りの方にラルは配備されているのであげようにもあげられません。マルセイユもアフリカ送りにされたので出会うことは不可能です。

まあ無理にあげなくてもいいんですけどね。

 

というわけで朝6時です。早速出撃といきたいところですがこの基地の整備能力は後方予備としての機能しかなく私のユニットが整備できていないので出撃は無理だとのことです。

壊してないんだけどなあ。まあ仕方がありません。

バルクホルン達に少し休んでいてと言われてしまったので大人しく基地にいることにします。

ちなみに同じく飛行停止を受けているのは攻略できないキャラですがネームドのヨハンナ・ヴィーゼとハルトマンがいます。

ハルトマンはエンジントラブルで基地手前で墜落したので搭乗機の手配ができていないという不幸が原因です。

 

ではさっそくですが適当に訓練をしましょうか。

この基地は訓練場が無い代わりに基地のギミックを使って訓練を行うことができます。

例えば廃材として置かれている機関銃をダンベルがわりにすれば筋トレできます。

今回は時間短縮を兼ねてランニングにします。

ランニングはどこでもできる偉大なる運動だった。

というわけでお昼前の午前10時です。朝に出撃した子達が戻ってきて再出撃を順次行っている時間です。

 

 

では訓練終了。訓練が終わるタイミングでエーリカが話しかけてきてムービーです。

このムービーはエーリカ確定演出というわけではなく、現段階で最も好感度が高いキャラが現れます。少しおしゃべりをしていると、空襲警報です。

ものすごくうるさいです。いやーまじで無いわこの煩さ。

同時に爆発が滑走路の方から発生します。

滑走路の方に二人が向かいましたが残念なことに滑走路のコンクリートが吹き飛んで燃え上がっています。

 

とりあえず滑走路が使えなくなりました。

まあ午前の出撃を行う機体はもう空に上がっていっているので問題はありません。帰ってくるまでに応急修理が行えればですけど。

 

さてこの事態の原因は低空をかなりの高速(時速700km/h)で突っ込んでくる4つの機影を探知。パターンネウロイと判明したため警報が鳴らされた次第ですが、高速かつ低空だったためすでに基地の滑走路を攻撃。滑走路中央から斜めにビームでコンクリートが吹き飛ばされました。

 

数の割にダメージが少ないですがこれはネウロイが速度特化型で攻撃力が低く、さらに高速で駆け抜けたが故にどうしても攻撃時間が僅かになってしまったからです。

しかし再度反転して攻撃をしようとしています。上空警戒のウィッチは速度に追いつけず手をこまねいているようです。

一応攻撃は仕掛けているようですけど速度が速いからかなかなか攻撃が当てられないようです。その上追いつけない。

このままでは基地機能に重大なダメージを負うことになりかねません。

ではここから操作再開です。

通常なら指示通りにして相手を撃破していきますが、今回はそれよりも圧倒的に早い方法で撃破を狙います。

 

まずは管制塔の上に登ります。

普段は登ることができない場所ですが、ちょっとした小技で登ることが可能となります。まあこれくらいでしか登らない場所ですけどね。使うのはまず障壁魔法。地上でも張ることができるのを応用するのです。

ではまずは軽くジャンプ。

この状態で下向きに障壁を展開。

はい同時にメニューを表示して衣装欄を選択。すぐに戻してメニューを閉じます。

するとz軸の固定が一時的に外れて真上に大きく上がります。

いえーいとんでるぞおお!

おっと……はい、管制塔の上に着地しました。

成功率は8割と言ったところですね。1発で出てくれて助かりました。

 

ではちょっとだけ相手が突っ込んでくるのを待ちつつ、皆様のために〜こんなものを用意しました。

今回登場する高速攻撃ネウロイを通常手順で倒したものとなります。

基本の手順は格納庫から待機中の武器をパクッてきて滑走路近くで攻撃を行うと言ったものです。

地上の機銃と違って射程が短いですがそれは向こうも同じなので攻撃時に接近してきたタイミングで攻撃します。

偏差射撃ができないとちょっと時間がかかるので今やっているこちらの方法が圧倒的に早いです。

 

ちなみにこの高速ネウロイは耐久力がほぼないので最悪石をぶん投げるだけでもどうにかできちゃいます。

今回はここで障壁を展開。真っ直ぐ突っ込んできたところをぶつけて破壊します。

はいやってきました。ではATフィールド…じゃなかった障壁展開!

真っ直ぐ二機のネウロイが突っ込んできました。残りの二機は上空警戒のウィッチが撃破してくれたようです。

はい終わり。どうして負けたのか次回までに考えてきてください。

はいあっさり終わりました。

基地の被害も滑走路のみという奇跡です。

戦果リザルト画面が勝手に出てきたのでそれを戻しつつ、管制塔から降ります。

降りる方法は普通に飛び降りますが、地面手前で障壁を張ることでダメージなく着地することができます。ウィッチの可能性は無限大やなあ。

既に破壊された滑走路には工事車両群が群がって滑走路の埋め戻しを開始しています。

ダンプなどが砂を満載し基地を駆け抜けているので全体的に騒がしいです。

ちなみにダンプに接触すると問答無用でゲームオーバーです。謎の初見殺し。

ではちょっと訓練に戻りましょうか……

あれえ?

何故だかミーナのお説教が始まりました。おかしいなあ……試走じゃミーナルートでしか発生していないのに。

まあ良いですリセをする程度のものでもないですからね。1分くらい誤差だよ誤差。

えっと……お説教はこれで終わりかな?なんか正座していただけな気がしますが(すっとぼけ)

とりあえず終わりです。短かったですねえ。それにお説教というよりお小言に近い感じでしたし。

 

……は?

イベント終わったかと思えば急にイベント始まったんですけど。

なんでしょうかね?こんなイベント知らんぞ。攻略サイトにも書いてないお。

いやー収録中に焦りましたよ。

調べたところ隠し要素の一つらしく、ランダムで発生するみたいです。

内容は夕食をとっている面々の何気ない会話と試作ストライカーが運び込まれたというものです。

試作ストライカーに興味深々なのがクルピンスキーとロスマン、バルクホルン。逆にエーリカは新型への興味は薄いようです。国が滅ぶかどうかの瀬戸際なので試作まで実践導入するしかないというのはわかりますが正直基地の整備能力を考えると正式採用前で専属スタッフが整備点検しないとどうしようもなかったり部品の生産すら行われていないようなものを渡されてもすぐ消耗部品が枯渇して動かなくなるのではないかとのことです。

でも浪漫があるんだよなあ試作ストライカー。

 

ちなみにDLCコンテンツではブリタニア空軍第603技術試験隊として欧州を駆け抜けるイベントもあります。

ただし言わずと知れたブリタニア面が入るので悪しからず。

 

あ、え?なにこれ履いてくれって?えー……

なんか面倒なミッションが始まってしまいました。

待ってタイム大丈夫?せっかく確率に愛されて短縮できていた分チャラになっちゃう?

うーん……まあ(想定タイムになれば)いいか。

というわけで装着。(ブッピカーン)

Fw190の試作機です。空冷エンジンなので胴体がBf系より太めでエアインテークが大きくなっています。

それでも機体後方はBf109系のままだったり結構チグハグしてます。

 

それでは空に上がります。

なんか無線で技術士官がなんか言ってます。これが2回目の飛行?

馬鹿じゃねえの?

飛んでから言うなよそんなこと。しかもこれエンジン性能の試験機みたいなやつじゃん。

まあいいや。とりあえず指定されたところを飛行します。速度指示はないので飛ばせるだけ飛ばしますがなんだか油温が上がりやすいので出力は抑えておきます(スロットル9割)

では半分行程が終わったのでここからは空戦機動を模した動きになります。まずはロール。翼が軋んでいるんですが……うーん……

では次に反転して逆さまで飛行です。

マリーンエンジンならこんな逆さま飛行してたらエンジン止まります。ですが星形空冷エンジンではそんなことは起こりません。

マイナスGでも問題なくエンジンは作動してくれたようで試験終了です。

では滑走路に戻ってすぐに着陸です。

 

タッチダウンした後はゆっくりと格納庫に戻ります。

あ、次はクルピンスキー?

絶対嫌な予感がするぞ。ニパと並ぶブレイクウィッチーズだからなあ……

ふーん…随分とエンジン出力あげるんですねえ(全開)

はあ?

高度試験?やめとけやめとけ。一段変速タービンの空冷なんてたかが知れてるじゃないですかー。

あ、落ちた。

オイオイ、試験機落としたよ。

 

とりあえずイベント終了です。

では今回はここまで。ご視聴ありがとうございました!




試製Fw190

フォッケウルフ社によって開発されている新型汎用戦闘ユニット
空母艦載機型も同時に開発されている。これは扶桑国海軍零式艦上飛行脚をモデルとしたため比較的早くに設計が進んでいたが、工場の転移によって開発と生産体制が遅れている。
複列星形空冷14気筒エンジンを採用し全体的な強度を上げているほか整備性を考慮した設計でありBf-109がサラブレッドとすればFw190は軍馬だと言われている。
試製Fw190は胴体後尾がBf-109の構造を参考にしているほか空冷エンジンは未完成なため出力は量産機より低い。


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???7

お好きなBGmを流しながらご視聴ください

OPはContrail ○跡


1940年5月

 

あの日カールスラントは地獄に引き摺り込まれた。

 

 

『滑走路がやられるぞ‼︎』

 

『くそっ!通常兵器じゃ効果がない!誰か魔導弾を!』

『弾薬庫が吹っ飛んだ!』

 

『メーデーメーデーメーデー‼︎尾翼が吹き……』

混線する無線が流す悲痛な叫び声。墜落していく戦闘機に巻き上がる爆炎に高射砲の破片と砲身。そして人だったものの破片。基地の至る所でそれは起こっていた。

 

数時間前に大型ネウロイをトゥルーデとハルが撃破して国境沿いの防衛に成功した余韻は完全に吹き飛ばされていた。

前線と称された場所からは後方にあったはずだったけど、基地は襲撃を受けて燃えていた。

ネウロイが現れたのは南西。それだけならまだ良かった。問題だったのはそれらが大型だったこと。上空警戒に当たっていたウィッチだけじゃ戦力が足りなかった。だけど前線から戻ってきてすぐで再出撃はなかなか出来なかった。ローテーションで待機していたメンバーは少し前に地上支援のために飛んで行ってしまったばかりだった。

「あとどれくらいかかる⁈」

 

「後5分だ!本当はもう少し調整したいが……」

整備士の声がかき消されて、滑走路が吹き飛んだ。

緊急離陸をしようとしていた爆撃機が滑走路真ん中で火に包まれている。

そこにいくつもの光線が刺さり、機体が吹き飛んだ。

『待機中のウィッチに次ぐ、滑走路が吹き飛んだ。離陸距離を確保できない。離陸一時待て』

 

「滑走路が使えない‼︎まだ無事な誘導路を使え‼︎」

誰かが叫んでいた。まだ新人の子が制止を無視して滑走路を飛び始め、煙の向こうに消えていった。

少しして比較的小さな爆発が起こった。

「飛ばせない機体は放棄!後方へーーーー」

 

量子ビームがすぐそばを駆け抜けて、保有するその熱量で地面を真っ赤に融かした。遅れてプラズマ化した空気が衝撃波となって周囲に吹き荒れ、捲れ上がったコンクリの破片や融けて固まった土を吹き飛ばす。咄嗟にシールドを張ったおかげで直撃を受けても何人かのウィッチは無事だった。

 

それだけでは終わらず格納庫近くで給油作業を行っていたタンクローリーに引火した。

残っていた燃料が一気に炎となって膨れ上がり、薄い鉄板のタンクが風船のように割れ、爆発を起こした。

ホースで繋がれていた爆撃機が誘爆し、燃え上がる燃料があたりに飛び散った。

たちまち周囲は火の海に変わっていった。

 

「きゃああああっっ‼︎あ゛づ ーー」

 

フーベルク中尉が炎の中で悶え苦しんでいるのが一瞬見えて、二次爆発でそれは吹き飛ばされかき消された。

空に飛べないだけでここまで死の恐怖があるなんて知らなかった。

あの時ほど怖いと思った事はないよ。だって私と20メートルも離れていなかったんだから。

「ヒッ…‼︎」

隣にいた僚機の子が悲鳴を上げた。少し離れたところで火に飲まれた少女が転げ回っていた。多分……フーベルク中尉の僚機の子だったんじゃないかな。助けに行きたかったけれど、ユニットを履いたままではどうすることもできない。やがて丸焦げになったそれは大破したユニットの爆発と煙に隠れた。

 

追い討ちをかけるように格納庫が吹き飛んだ。何人かの整備員が格納庫の中でも作業していたしウィッチもいたはず。そんな格納庫は轟音と共に炎に包まれた。

パニックになる子も沢山いた。落ち着くように指示したけれどどうしようもなかった。指示も何もあったものじゃなかった。一応整備が完了した子から五月雨式で空に待避を始めていたから時間とともにその数は減っていた。

 

「ウィッチを守れっ‼︎対空車両、こっちだ!」

格納庫傍で攻撃を逃れていた対空車両が走ってきてすぐそばで対空戦闘を開始した。

4つに束ねられた砲身が黒煙が焦がす空に向く。

「右45度ォ‼︎中型接近!対空戦闘用意!」

「右45度よし、高角60度ォ‼︎準備ヨシ!」

「弾よし‼︎準備ヨシ‼︎」

「フォイアー‼︎」

 

20ミリ四連装砲が火を吹き、薬莢がばら撒かれていく。

何発かが直撃したのか中型ネウロイがふき飛んだ。

「撃墜‼︎」

 

「まだだ!次!」

 

私達の整備が終わったのは最後の方だった。その間にもシールドが保たなかった新人や魔力量が少ない子が被弾し吹き飛んでいく。

対空車両はこっちが張ったシールドに守られている合間はなんとか耐えていた。

「整備完了ッ‼︎」

一斉に整備員が離れていく。固定台のアンカーが外された。

「離陸!離陸!」

力を込めてエンジンを回す。

「すぐに退避だ!急げ!」

すぐ後ろで移動し始めた対空車両がビームの直撃で吹き飛んだ。

「管制塔!誘導路から離陸する!」

ハルの声だった。

燃え盛るタンクローリーの煙を突き抜けて彼女は誘導路に移動していた。彼女たちの小隊は元々対地支援任務だったから武装が重く離陸に距離が必要だった。

 

『了解した!離陸急げ!もう基地が保たない、上がれるウィッチは全員……』

その通信が最後まで行われることはなかった。管制塔がビームによって焼かれ、ガラスが内側から膨張する炎で吹き飛ばされた。

「出力全開!フラップ20度!」

こっちもすぐに離陸をする。

大破した燃料タンクから漏れた燃料が火災に引火した。

端っこで放棄されていた戦闘機や爆撃機を巻き込みながら誘爆を繰り返し、半地下構造の燃料タンクが吹き飛んだ。その光景はずっと忘れない。

燃え上がる管制塔の根元にビームが直撃。切断された建物が爆発とともに根本から崩れ始めた。

制空戦仕様の私達は先に飛び上がれたけど対地攻撃装備の子達はまだ離陸速度に達していなかった。

「全員止まらないで!」

先頭をいくハルの怒号が無線越しに聞こえた。

あの歳であんなに肝が据わってるのは凄いことだった。

空に上がったこっちはすぐに大型ネウロイを撃破するために高度を上げていたからうまく見えなかったけど、倒壊する管制塔には誰も巻き込まれなかったらしい。中型ネウロイは元から数が少なかったみたいで、先に上空に行った子達があらかた撃破していた。問題は大型ネウロイの方だった。

四機も固まって動かれたらなかなか手が出せない。その上攻撃に積極的なタイプ。いやーあれを倒すのは苦労したよ。近くに飛んできたハルがあれを倒すかどうか聞いてきた。たしかに戦力で言えば彼女は重要だった。

あの時から言われていたんだけど大型ネウロイは量による飽和攻撃より卓越したエース級のウィッチの少数精鋭の方が倒しやすいってのがあってね。

だから彼女はできれば欲しいところだったけど……私自身彼女にはもう飛んでほしくなかったってのもあるだけどそうは言っていられないのが戦争なんだよね……

だから少しでも生存性が高い方に彼女は送ることにした。

「こっちは私達が対処するよ。そっちは陸軍の支援に行って」

 

「了解です。健闘を祈りますブレイズ」

 

近くの鉄道駅は避難する兵と武装を載せた列車が緊急発車をして列をなしていた。

そこにも大型ネウロイ達は牙を剥こうとしていた。

すでに先頭の個体がビームを放っては、操車場に止められていた貨車が誘爆して吹き飛んでいた。

割り込んだウィッチのシールドで一部は防がれていたけれど焼け石に水に等しいものだった。

 

 

 

 

ああ、その時の新聞持ってるの?へえー珍しいねえ。普通そんなの保存していないと思うんだけど。まめだねえ。

まあ、基地の壊滅は書いていないでしょ?国民全体の士気に関わる事だからね。情報統制ってやつさ。

だけど大型四機を撃破したらね、それ以降は中型とか小型による物量攻めに奴らは切り替えたのさ。

前線を攻撃するにはそれが効率的って考えがあったんじゃない?あるいは大型ネウロイが巣から生まれてくるのに時間がかかるとか。

だけど例外的に重要拠点への攻撃には大型ネウロイが現れてたなあ。

 

……そのあとどうなったかって?どうってことないよ、後方の補給基地が最前線になったよ。

戦線もそれにあわせて10キロくらい後退したけど、そのおかげで防衛機能は高くなったみたいだし。ミーナから聞いた話だけどね。

まあ、上空警戒も一層厳しくなって、これである程度は大丈夫だと思ったんだけど……

 

それでもまた突破された。

あの時は……そうだね。その時はハルが結構活躍してたんだよ。

新聞には乗ってないだろうけどね。

 

 

 

 

 

後方基地が最前線になって二日目くらいだったかな。その日エースだった私の出撃予定は空いてしまっていた。

「うわー……やっぱ出撃無しかー」

心当たりが無かったわけじゃない。ってかありすぎた。

「当たり前だ。ユニットを自損させるなど何を考えているんだ」

 

「わざとじゃないよ。試運転してたらナットがいくつか吸い込まれちゃってさ」

ラジエーターとか吸気バルプが幾つか吹き飛んだだけで全損したわけじゃ無いのにトゥルーデは怒ってた。

「エアインテーク前にナットを置いたのは?」

 

「スイマセン……」

でも後悔はしていない。とりあえずエアインテーク前に小さいものを置くのはやめようって言う良い教訓になったと思っていた。

 

ミーティングの時間は終わっているから食堂に残っているのは出撃がない人たちだった。その中に見知った顔と意外な顔が交ざっていた。

一人はクルピンスキー。昨日墜落して夜遅くに基地に帰ってきたから驚くことではなかった。驚いたのは隣にいるハルの方。普段出撃か訓練くらいしかしていないように見えるハルが食堂でのんびりしていた。

「あれ?ハルもおやすみ?」

 

「あ、はい。ちょっと機体がオーバーホール中で」

基地に予備機はなく人数分しかまだユニットが揃っていなかった。基本点検してるか飛んでいるかという究極の二択しか無い。その弊害だったらしい。

「なるほどなあ……そこの壊し屋は…どうせ手配の機体が間に合っていないのだろう」

「あたり。よくわかったねバルクホルン。景品として君の機体を借りていいかな?」

 

「やらん。それに貸さん」

相変わらず性格は合わなさそうな二人だった。

「やっぱダメかー」

 

「貸したものほどお前は壊すからな」

まあ自分のものじゃ無いって意識が働くからねー。私も黒く塗って自分のものにしないとすぐだめにするからなあ。

「ならくれるかい?」

 

「だめだ。これから出撃なんだから」

そう言ってトゥルーデは格納庫の方に足早に歩いて行った。

「代わってはくれないのかい」

 

「休めと言われているんだから休めるうちに休んだ方がいいぞ」

 

「なんだ心配しているのか。じゃあそう言って欲しいよ」

 

 

 

 

で、弄りがいのあるトゥルーデがいなくなった後の食堂は少しだけ静かだった。

相変わらずクルピンスキーは他のウィッチにちょっかいかけようとしてたけどJG3の面々はもう彼女になれたみたいで大して靡いていなかった。

逆に隣に並んでいる私とハルの方がチヤホヤされたね。可愛いからだってさ。

「それ味ってわかる?」

事情を知らない少女から貰ったお菓子を食べていたハルに何気なく聞いてみた。どのくらい味覚が残っているのかが気になってね。

「ええ、多分美味しいですよ…ちょっと塩っぱい気がしますけど」

味についてはほとんど言わなかった。

思えばあの時にはもう味覚はほとんどだめになっていたんだろうね。

嗅覚が残ってる分完全に味がわからないってわけじゃ無いんだろうけどそれでもさ……

 

で、そんな感じで珍しく体を休めていた時なんだけど、不意に外が騒がしくなった。

空襲警報はなっていない。

何かあったのかなって思っていたら、爆発音が耳を擘いたんだ。

「なに⁈」

滑走路の方に火の手が上がっているのが見えた。

それと同時にスクランブルの警報が鳴って、一気に慌ただしくなった。

外に出てみると、滑走路中央の数メートルが深くえぐれて傷のように赤くなっていた。

ネウロイの襲撃。それは分かっていた。だけれどそのネウロイ自体がどこにも見えなかった。S/Cのウィッチ達が離陸をしようとしていたけど、滑走路の壊れたところを避けて飛ぶためかかなり遠回りな動きをしていた。

「何があったの⁈」

 

「分からん!ものすごい速いやつだ!」

 

「速いやつ⁈」

すぐに格納庫に行って予備のウィッチ用航空無線を引っ張り出して管制塔の指示を聞いてみる。

『再突入してくるぞ!上空警戒機は速やかに攻撃に入れ!』

 

『速度差が大きすぎて追いつけません!推定速度740km/h‼︎』

 

『何としても落とすんだ!ここが落ちたらベルリン防衛に支障が……』

今の高射砲なら750キロまで追従できるんだけどあの時の高射砲はまだ700キロで飛ぶ相手に追従することはできなかったんだ。

滑走路は使用不能。上空警戒のウィッチも速度差があって追いつけない。絶望的だったよ。

「あれ⁇ハルは?」

 

「僕たちと一緒に来てたんじゃ……」

外に出てくる時までは一緒だった。だけどそれ以降がよく分からない。格納庫に私達が行った時にはもう行動していたんだと思う。

格納庫の外に出てみると、ちょうどハルは管制塔の近くに走っていた。

何をしているんだろうと思っていたら、彼女はシールドを真下に展開して階段がわりに管制塔の真上に飛び上がっていた。

何があったのか私達にも最初は理解できなかった。

「何をする気なの?」

 

「わからない……」

管制塔の上で彼女はシールドを張っていた。

少し遅れて、黒い胴体がかなりの速度でシールドに突っ込んだ。ネウロイが破壊される時の独特な白い破片が管制塔に降り注ぐ。

少しして、彼女が降りてきた。

ネウロイを殲滅して……

 

 

 

あの時管制塔に登った彼女は、向かってくるネウロイに対してシールドを張ってぶつけたんだ。

物理的な攻撃。相手の速度が速いからぶつかっただけでも致命傷になるんだろうけど、あんなことしたら下手をすれば時速740km/hの物体の運動エネルギーをもろに体に受けることになりかねない。空中ならいざ知らず地上でそれをやったら吹っ飛んでいただろうね。

それでもネウロイの方が先に破壊されたから運動エネルギー自体が拡散しちゃったんだろうね。そのおかげで彼女は無事だった。

だけどあんなところに登ってそんな危険な行為をしたんだから、怒られても仕方がないと思う。

そのあとミーナに執務室に連行されていってたのは妥当だと思うよ。

 

でも数分で戻ってきてたしミーナ自身がすごく落ち込んでたからちゃんと説教をしたのかは謎だけど。

 

 

それで、記者さん。他には何を知りたい?

このペンダント?

クルピンスキーからもらったんだ。ハルとお揃いだから気に入ってるんだ。

中?写真だよ。

私とハルの飛行中のツーショット。

いいでしょー。

あ、もしかして彼女のこと初めて見る?もうちょっと綺麗に撮れてる写真あるけど見る?勿論記事に載せちゃだめだよ。ウィッチの写真って検閲対象だからさ。

 




2号対空車両
正式名称2号独立対空設備搭載車両

戦車輸送用の低床トレーラーとオペル・ブリッツをベースとしたキャブトレーラーで構成されている。
低床トレーラーは六輪式の重量貨物輸送用のものながらリフトアップをしているため走破性は若干上がっている。この車体の上にキャブ側に高射式装置を搭載。車体後部に20ミリ四連装機関砲あるいは37ミリ連装砲、ボフォース40ミリ連装砲などを搭載するスペースを設けている。
88ミリ砲を積んだ試作車両が疎開先の工場で施策されたものの、横向きでの装填の際に車外に降りる必要があり装填速度が通常より遅くなってしまうことから量産はされなかった。


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part 15 欧州撤退戦7

OP
wing of charg○


はーじまーるよー‼︎

 

はいオーバーホール中だった愛機が戻ってきました。

では早速出撃といきましょう。

今回も戦線防衛になります。

地上ネウロイ相手には面制圧が効果的だと言うのですが陸上兵力でそれをするためには制空戦の確保が絶対条件です。

近代戦術の多くは制空権と結びつく良い例です。

制空権が確保できていなければ対地襲撃機ですら運用できないんだから仕方がないね。

では早速航空戦です。

今回も開幕早々見飽きた上昇合戦が始まっています。

ですが私達の今回の目標は戦闘機ではなく随伴する小型の地上襲撃タイプと中型のガンシップ擬きです。

 

ネウロイが時代を先取りしている事に違和感を覚えますがそもそもガンシップとは名ばかりで防御力は低いわ速度は遅いわ。挙句に制空権が取れないとどうしようもないと使い道が限られてきそうな代物です。

正直現実だってアメリカくらいでしか運用して無いんだから使い勝手の程はお察しください。

当然制空権が確保されていないこんなときに突っ込んでこようものならあっさりと餌食になるに決まっているじゃないですか。

 

ほい地上襲撃される前にささっとガンシップ擬きを撃破していきます。護衛と制空隊は他のウィッチに引き寄せられているので今のうちに低空より接近。下から攻撃します。

実はこのときすり抜けの時に主翼端を擦ってるように見えますがそこの部分はテクスチャの関係で当たっているように見えるだけで実際には数ミリほど隙間があります。ギリギリ攻めるのたのちー。

高度が上がってきたらもう一度攻撃です。いやー目標が爆撃機だった時は楽だわ〜。

面白いようにぼろぼろ落ちていきます。

では少しだけ獲物を求めて加速している合間にちょっとだけネタバレしておきます。

えー今回は確定で墜落します。

 

 

イベントの一環なので開始したら速攻当たりに……というわけにはいかないんですよ。とりあえず前半は普通に敵を倒しつつ、ミッションを終わらせます。

とりあえず最後の目標を撃破してミッション完了です。

ミッションが終わるとムービーになりここでようやく主人公ちゃん初の被撃墜となります。

森の中から突然現れた小型ネウロイに不意を突かれて背後に回られます。

僚機ちゃんを逃すために囮となって低空を高速でロールしたり左右にブレイクしたりします。

すかさず味方が応援に入りましたが左飛行脚に被弾。火災と爆発が起こったのですぐにユニットをパージ。

残った右側だけで飛行を行いたいところですがこちらもエアインテークから破片を吸い込んで大破しています。とりあえず最前線ですが緊急着陸をします。

 

 

 

 

 

頑張って着陸に成功したところからコントロール再開です。

墜落してからの行動には大きく分けて二つのパターンがあります。

一つは救助を待つ。

もう一つは自力で基地に戻る。

ちなみに無線は着陸の衝撃で壊れたので使えません。サバイバルキットもナイフなどが無く、応急処置用の包帯だけしか残っていません。

 

……と言うわけで今回は自力で戻るを選択します。

比較検証してみたところ派遣軍の扶桑とリベリオンは待っている方が早いのですが現地軍のその他は自力で帰った方がベストタイムとして45秒の短縮が得られます。

 

 

では大破したユニットを捨ててさっさと帰ります。どうせあそこまで大破したら部品取りもできないスクラップなんだから戦線破棄で問題なし。

ただし戦線破棄を5回行うとネウロイに技術がコピーされます。主に人型ネウロイが強化されたりとデメリットになるのであまりやらないようにしましょう。

 

幸い最前線の目の前だったので飛んでくるビームを回避しながら味方のところに向かえば問題ありません。

こう言う時こそ匍匐前進の活用です。下手に立って走ろうものならビームの嵐に巻き込まれます。ネウロイ達が目の前の防衛陣地を最も脅威と見做してくれているので頭を上げなければ基本無視されます。

ご覧の通り真上を通過したビームで前線の戦車壕が有刺鉄線を融かしていくつか吹き飛んでいます。

当然戦車の残骸も空高く舞い上がっています。まあウィッチがいたところはシールドで守られた分ある程度原型はとどめていますけど。

なんかヤシマ作戦の時の被害状況みたいな光景です。

 

 

お、丁度いいところに陸戦ウィッチがおりますやん。

ダグインしてる戦車壕入れそう?

あっそーじゃあ入るねー。

 

あ、爆風で吹っ飛んだ。やべ、えっとダメージはないっぽいね。良かった良かった。おーい君!ちょいと来てくれい。

 

少しの合間的になっててちょうだいな。

後武器プリーズ。20ミリ機関砲が重たくてしょうがないんよ。

汎用機関銃とかない?MG34!それくれ!20ミリあげるから!

75ミリあるからいらない?いいから持ってろ持ってろ。重くて機動力下がるから正直要らないっす。

 

はいわらしべ長者できました。

 

ではまっすぐ基地へ帰ろうと思いますが、どうやら別の方向からのネウロイの奇襲で前線部隊と後方の補給ライン付近が突破されかけておりまっすぐ帰ろうとすると挟み撃ちを実行しているネウロイと鉢合わせる危険があります。

 

まあ、深刻に考えなければどうとでもなるんですけどね(12敗)

ちなみに迂回なんてしません。真っ直ぐ突っ切ります。

救助を待った方が賢明だって?時間がないから仕方がないね。

 

では駆け足!取り敢えず地上での戦いは止まったら終わりです。常に駆け足止まらず。これが一番大事。後なるべく回避はネウロイに対して左右に動くこと。まっすぐ向かって行ったり反対に離れようとする場合が一番危険です。

 

地上ネウロイが見えて来ました。

 

 

 

では奴らの横っ腹をぶん殴りに行きましょう。MG34でまずは頭部のビーム発射の魔法陣が発生する部分を破壊します。

再生までは約45秒。その間に魔力で体を強化。思いっきりぶん殴ります、最もコアに近い外皮は背中の後方やや左側のポイントです。そこを石を持った拳で貫きます。

コアが破壊されたのでネウロイが消失しました。では先を急ぎます。次の個体を撃破じゃー‼︎

はいこの繰り返しとなります。

左右からの攻撃に関しては基本同士討ちとなるためか中々撃って来ようとはしませんので列の中にいるうちは意外と安全です。

はい四体倒してようやくネウロイ御一行の列を横断することができたのでジグザグに走ります。

後ろから攻撃をしてくるネウロイに狙いをつけさせないための処置です。

左右に着弾がいくつかしていますが命中しなければ問題なし!所々に空いているクレーターのような穴も使ってしっかり身を隠しましょう。ネウロイが人間を探知する方法は結局のところ目視によるものですし。

まあ大戦末期になると流石に学習したのか赤外線探知になっているようですけど。

とりあえずネウロイの攻撃圏内から逃れることができました。

 

 

 

ですが脅威がさったわけではありません。

航空優勢が取れていると言ってもあくまで優勢であって完全に除外できている訳ではありません。

なのでネウロイが上から攻撃を仕掛けてくると言うことも普通にあります。

恐ろしいですねえ。空からの攻撃。ないといいですねえ。

 

あ、襲ってきました。

距離的にMG34じゃどうしようもないので走って逃げます。

魔道探知機にビームが通過する射線が現れますのでそれを頼りにステップで回避しましょう。

タイミングが大事です。

 

ステップはなるべく転ばないようにしながら最小限の回避に努めてスタミナを温存しておきます。

はい右左右左。両腕の袖が焼けて無くなっちゃいましたけど半袖みたいになってくれたのでこれはこれでラッキーです。

 

お、上空援護が入りました。

扶桑国からレンドリースとしてカールスラントに送り込まれた零式戦闘機十四型戦闘機です。

なんかあれ零式戦っていうより五式戦に似てる気がするんですけど……まあいいや。

 

とりあえず空の脅威が消えたので基地まで一直線に帰ります。

 

途中で砲塔が故障して後方に戻る途中のⅣ号F型戦車に乗せてもらって基地にたどり着きました。

 

基地の方も対空砲火がいくつも上がって空に弾幕を張っていますね。

あーこっちも防空戦闘してら。

 

こりゃどこが戦線なのかわかんねえなこれ。

 

というわけで帰ってきてさっそくですが出撃要請が入りました。

とりあえず新しい軍服に着替えて格納庫に向かいます。

ちなみに同じように撃墜されてさっき戻ってきたばかりのバルクホルンも一緒に飛びます。

えー機体はですね。誰かの愛機だったものらしいです。

その子が地上で死んだので空きができたってことでしょうね。南無三。

上空に上がると僚機の銀髪ちゃんが近くで防空戦線を張っているので合流して加勢しましょう。

この子も随分と成長したねえしみじみ。

 

おっと弾切れっぽいですね。とりあえずマガジンを少し分けましょ。

大丈夫大丈夫。必要な分残してますから。

 

とりあえずは航空基地東側のポジションで中型を十機撃墜するだけの仕事なので特に見所はないので倍速です。

ちょっとだけエンジンストールしかけるトラブルがありましたがまあ気にしなくていいです。

ストライカーユニットはその構造上双発となってしまうので片方がエンストすると左右の出力バランスが一気に崩れてフラットスピンになってしまんですよ。まあしっかりと手順を踏めばウィッチ程度なら復帰は可能です。この辺り戦闘機と違うんですよね。

 

はい目標に到達。すぐに帰投して寝ます。

正直疲労ゲージ振り切れますよこれ。特に撤退作戦中は寝ている暇もないのでできる限り寝ることに時間を費やします。

ウィッチとじゃれあい?そんなのやってたらストーリー攻略時間が1.5倍に増えますよ。

というわけで今回はここまで!ご視聴ありがとうございました‼︎




零式艦上戦闘機十四甲型

全長8.9m 全幅11.2m 全備重量2900kg

発動機ハ42-11 公称出力1810hp/2550rpm
最高速度590km/h

武装20ミリ機関砲2丁 13.6ミリ機関銃2丁、120キロ爆弾1又は60キロ爆弾2

零式艦上戦闘機の欧州派遣によって得られた教訓を元に急遽設計された機体。
当初は航続距離に力を入れていた艦上戦闘機より欧州では短時間の発生出力が重要と言うことから設計中の局地戦(雷電)開発までの繋ぎとして作られたが局地戦の開発が凍結し紫電に統合されたことによる開発遅延を受けて1944年まで欧州の扶桑国海軍主力として飛び続けた戦闘機。
零式戦闘機に爆撃機用大型エンジンを乗せているため胴体とエンジン径が合っていないが段差で発生する空気抵抗を単排気管による排気で吹き飛ばす方法で吹き飛ばしている。
航続距離は990kmと大幅に減ったがその分上昇力と加速力に長けた機体となった。


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part 16 欧州撤退戦8

都市爆撃とジェノサイドを駆け抜けるRTAはーじまーるよー!

 

はいやってまいりました今回は欧州撤退戦メインイベント。ベルリン大空襲のイベントでございます。

 

前回の基地防衛以降も何度も基地や前線に中型小型の群れで攻撃をかけるネウロイに対して防戦一方ですが、こうやって基地機能と戦線の戦力を縛り付けている合間に、ついに本命の奴らが帝都に攻撃を仕掛けました。

ネウロイも無能に近いですが馬鹿ではないですから。航空戦のなんたるかを理解しているようです。

近代航空戦。それは戦線という概念を取り払い後方も前線も区別なく焼き尽くす無差別爆撃にその全てが詰まっています。

ネウロイにそれを教えられるという皮肉ですがそもそもこのような戦略爆撃はまだ検証の段階にあるあくまでも理論でしかないです。仕方がないのでしょうね。それにネウロイ相手に絨毯爆撃や戦略爆撃なんてまず無理ですし。

 

まあそんなこと言ったところで意味なんてありません。

とりあえず帝都防衛のためこの基地にいる全ウィッチと戦闘機を派遣します。ある意味基地の放棄と戦線の一部縮小という荒技で帝都防衛の戦力を抽出するというかなり大胆な行動です。というより帝都の戦線が戦線として機能していないからもう無理だろ。

 

では早速離陸しますが、なるべく持てるだけの武器を持っていきます。そうじゃないと今回ばかりはかなり厳しいです。

一応後方に補給ラインが設定されていますが武装満載でギリ使わなくて済みます。

使用機種はBf-109E-4/v3です。武装は20ミリ機関砲だけですがなるべく沢山の弾を持っていきます。多少過武装でも滑走距離が長くなるくらいなのでヨシ。

 

 

はいベルリン上空です。

完全に夕方から夜にかけての時間ですがかなり明るいですね。

おおー火災旋風が起こってますよ。

火の壁に阻まれて焼き殺されていく市民に低空を飛行してしまった飛行機やウィッチが火災旋風に巻き込まれそうになるなど混乱を極めております。

すでにベルリンは真っ赤に燃えています。

 

はいビフレスト作戦実施中ですがまだベルリンには2万を超える民間人がまだ残っています。そこに超大型とも呼べそうな巨大ネウロイが四機も襲撃している状態です。さらに一部の個体は地上への空挺部隊を搭載しているらしく六本足の地上ネウロイや頑丈な戦車ネウロイが次々に市街地に落下し虐殺の限りを尽くしています。

 

高度5000からの攻撃で街が綺麗に吹っ飛んでますねえ。あれはもしや火の七日間なのでは……

 

では戦闘開始です。

まずは周囲の小型を倒します。といっても二機しかいないのであっさり倒せます。

 

では本命の大型を倒しに向かいます。

 

 

あの大型ネウロイは地上を高高度から吹き飛ばすのに特化していますが、お世辞にも精密攻撃が可能なタイプとは言い難いやつです。

『超大型指定厄災国連識別番号八番』というよくわからない名前がついていますが、便宜上アルケオプテリクスという非公式名称が存在します。多分見た目が似ているからでしょうね。双胴なところとか。

攻撃方法は45秒のチャージで発射する極太地上攻撃ビームと、対空戦闘用の拡散ビーム100門というふざけた存在です。

まあその分飛行速度はわずか100km/hとおそろしく遅いです。

なので捕捉と攻撃に関してはユニットの性能が上がれば結構簡単にやれます。

 

ですが濃密な弾幕を単機で張ることが可能なその防衛火力で現時点でのユニットでは対処できないことがあります。

 

 

まあ現在のハルちゃんの体力と魔力量なら十分シールドで耐えていけるからあまり問題にはならないんですけどね。

とりあえずまずは攻撃……といきたいところですがあいつら高度5000にいるんですよねー。

正直今から高度あげてもちょっと辛いです。

 

なんとかあげました。高度5500。撃ちおろしで上からまずは攻撃です。

コアの位置は右側の胴体中央部分なのでかなり頑張って削らないとコアが露出してくれません。

 

もたもたしている合間にも地上で避難中の人達が吹き飛ばされていきます。

あ、避難民の列が吹っ飛んだ。

あーあ……

まあいいか。とりあえず囮になってくれたわけなので、僚機ちゃんと一緒に攻撃です。二人揃って20ミリ機関砲の応酬です。いやー火力は正義。一気に穴だらけになりましたがまだまだ。

とりあえず速度を合わせて真上で並走しながら20ミリを浴びせ続けます。

ビームが報復として飛んできていますが所詮対空ビームでしかないのでシールド張ればなんとでもなります。ようはチキンレースです。

一応僚機ちゃんも撃ってくれていますがシールドごと吹っ飛ばされたのであまり意味なかったです。

お、コアが見えました。

でもこっちも弾切れです。マガジン交換をしているとこっちが追い詰められるので間髪いれずに銃床でぶん殴りましょう。

 

はい撃破です。いかに巨大な相手でもコアさえ破壊できれば一瞬で撃破できてしまうのはネウロイの脆さですよねえ。

 

おっと、さらに大型ネウロイがやってきました。

ノーマルやイージーではただの大型ネウロイですが、この難易度でやってくるのは大型は大型でも空戦を行う大型ではありません。

 

地上に墜落するかのように市街地を破壊しながら胴体着陸をしたそれは胴体後方が大量の地上ネウロイで構成されており着陸後はそれらが一斉に母体から切り離されて地上にさらに進撃します。

それだけでなく複数の中型、小型ネウロイも現れまさに数の暴力です。

全てを切り離した大型ネウロイ自体はかなり小さくなっていますし速度も遅いので大した脅威ではないですがせっかく構築していた防衛線の内側に大量の地上勢力が現れたおかげでもう破綻です。

正確にはまだ破綻はしていませんが避難中の一般市民や避難誘導中だった警察が容赦なく巻き込まれていきます。

まだ安全だと思っていたところが地獄と早変わり。

 

 

おっと、僚機ちゃんが独断専行で急降下していきました。

後に続きましょう。

丁度ネウロイが避難している家族を攻撃しようとしているところでした。遠距離から攻撃を行ってみましたがやはり有効射程外だったのでビームの直撃をそらす程度しかできません。

次発までには到底間に合いそうにないですね。ここからはですが……

ロスマン教官が攻撃をしようとしていた個体を破壊してくれたしその後ろの個体は僚機ちゃんが撃破してくれました。

ですが直撃では無いとはいえ近くの建物に着弾したため降り注いだ破片で家族のうち母親が即死。まだ10歳以下の姉妹のうち一人は足を捻挫しました。

えーこの子達をどうにか避難させる必要がありますが、周囲にはネウロイが集まり始めています。

さてここで運要素が入ります。

このミッションは途中でルート分岐が行われるのですが、そのルート分岐がほぼランダムで決まるのでどちらかのルートで固定することができないんですよ。

まあどちらが来ても大して差は出ないのですが、難易度が若干変化します。

 

「この子を運んで!」

 

えー……あ、まあいいですけど。

こっちのルート来ちゃったんですよねえ……

気分としてはロスマン教官に子供を任せてこっちはネウロイの殲滅に行きたかったのですが……仕方が無いのでやりますよ。

はいおんぶして…抱っこしで。

うおおお、重たい。子供二人を乗せたら重たすぎる。

離陸滑走距離が長くなっているのでなるべく滑走に使う道はギリギリまで使います。

飛び上がったらすぐに左旋回。すぐ手前は建物に隠れて見えづらいですが火災旋風で飛び込めばほぼ即死です。シールドがあっても気休めにもなりません。恐ろしいトラップだ。

 

中型が多数襲来。後方より追撃してきます。

この時だけ背後からの攻撃は魔導探知機に攻撃予測範囲が赤く投影されるのでそれを見ながら回避します。

高度100mを超えるとゲームオーバーなので超低空を縫うように飛んでいきます。

市街地を超低空でかっ飛ばす自信がない方は屋根の上を飛ぶのをお勧めしますが正直攻撃が多くなって回避に時間を取られるのでお勧めしません。

練習して市街地をすり抜ける練習をしましょう。大丈夫ウィッチの可能性は無限大だから。

とりあえず狭い場所での回避は大きく取ると建物にぶつかる可能性が高いのが難点ですが、壁スレスレまで寄ったりギリギリを掠める程度まで詰められれば特に怖くはありません。

それにこういう狭い場所の方がネウロイを倒すギミックが多いのでね。

早速そのギミックポイントが見えてきたのでそれにネウロイのビームが当たるよう誘導します。

はい誘導成功。ビームの直撃を受けた教会が倒壊するのに合わせてネウロイが開けた穴を通過します。

一緒に飛び込もうとしたネウロイが巻き込まれて消失。一機撃墜です。

残る一機はこのまま引きつけて対空砲陣地に引き込みます。

通信を入れて射撃支援を求めます。砲陣地まで後500m、ネウロイの攻撃を避けるために地面スレスレを飛行します。

真上をビームが通過してましたがまあ当たらなければどうということはないキリッ

では次の角を曲がってゴールです。

はい急上昇。高度50まで上げます。

真下で対空砲がネウロイを迎撃しました。これで脅威は終わりです。後はさっさとこの二人を避難列車に乗せれば終わりです。

 

さて子供二人を乗せた列車が発車した後も更に後続の列車が出ようとしていますが、そこに突破してきた戦車型ネウロイが二機襲いかかってきます。

操車場に止められていた貨車や客車、機関車を蹴飛ばし、駅のホームをビームで蒸発させ破壊して飛び込んできました。

幸い後続列車も発車した直後なので駅を破壊したビームには巻き込まれませんでしたが出発待ちだった列車が一編成巻き込まれてホームで待っていた人々ごと真っ赤に溶けていきます。

 

ここでミッションが更新されました。

発車したばかりの列車を守るというものです。

というわけで高度120から緩降下。頭上から攻撃を浴びせます。しかし空戦機動を取り続け、燃料が限界に近づきます。それに乱暴に扱っているのでそろそろ異音がしてきました。

その上武器も暴発して銃身が吹っ飛んでしまいました。

まあミッションは撃破ではなく守ること。

発車したばかりの列車を守るために地面スレスレを飛び回って囮として飛び続けます。

必要な時間は1分。急ぎます。

 

とりあえずささっと周りを移動していればいいので特に見せ場もないので倍速です。

はいミッション終了。

燃料限界のため帰投します。

今回はここまでとなりますご視聴ありがとうございました。




ビフレスト作戦

Strategie Bifröst

帝政カールスラント軍令部にて試案、並びに最悪の場合として想定されていたカールスラント全土からの人類撤退作戦。

原案は第一次ネウロイ大戦終結後、大戦時のネウロイ(当時は怪異と呼称)の驚異的な進化を実感していたカールスラントは仮に将来似たような大戦が発生した場合における複数の想定を行なっていた。
そのうち最も最悪のパターンがビフレスト作戦として今次大戦において発動されることとなった。
当時の欧州はネウロイの急襲によりオストマルクが陥落、防衛戦線が早期に崩れカールスラント国境が突破され欧州中央部にまで侵攻を許していた。

国土防衛は不可能と判断した当時の皇帝フリードリヒ4世より、ビフレスト作戦は実施されることとなった。

ビフレスト作戦は、小ビフレストと大ビフレストの二つの作戦からなり、小は帝都ベルリンの破棄。周辺住民をネウロイの予想進路から避難させるもの。
大は全カールスラントから撤退し、南リベリオン大陸に建設中のノイエ・カールスラントへと避難するものだった。

しかし小ビフレスト作戦実行中にネウロイが帝都ベルリンを襲来。作戦は破綻しかけることとなる。
そのため軍令部はフリードリヒ4世の名にて防衛部隊に死守を命じる事となる。
それはベルリンすら囮とする大規模なものであり当時の総戦力の4割に及ぶ戦力が導入された。
徹底した死守と多くの部隊壊滅を引き換えにビフレスト作戦は8割成功となる。


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???8

相棒の凄さを上げるとしたらそうだな……

たしかに卓越した技術があったのもそうだけど、それよりも殆ど撃墜されたことがないってことかな。

少なくとも私が一緒にいた頃は一回しか撃墜されていないしそれ以降も以前も撃墜されたって話は聞かなかった。

 

似たようなウィッチは何人もいるが戦果を上げつつ必ず戻るとなると数えるほどしかない。

それに、墜落した時だって彼女は地上で戦果を上げていた。

 

 

 

 

ロミルダの言う被撃墜に関する情報は確かに一回しか確認できなかった。

その時のことを詳しく聞こうと、私はその当時、地上で戦っていた生き残りに話を聞いた。

あまり人数はいなかったが、それでもその当時彼女と接触した陸戦ウィッチを見つけることに成功した。

 

ヨハンナ・ミュラー少佐

 

元帝政カールスラント陸軍第35装甲連隊第1中隊所属。

現在は第12装甲連隊第2大隊長をしている。

 

 

 

 

あの時の任務はそれはもう地獄のようなものだった。

撃っても撃ってもネウロイは湧き続ける上に数時間ずっと撃たれ続ける。それでも確実に交代ができて比較的安全なところで眠ることができるという安心感から戦線の兵の士気は高い方だった。それでも少しづつ疲弊しているのが目に見えていたけれど。

そこにきて後方との分断を狙ったネウロイの奇襲だ。まさしく悪夢だった。

 

無線機が騒がしくなったかと思えば、後方にいたはずの燃料輸送部隊が最初に攻撃を受けたと報告してきた。

その時点で現場指揮官は状況を悟って一斉後退の指示を出そうとしていた。

そこに運悪く攻撃が着弾してしまった。

指揮官は無事だったが無線機や伝令が巻き込まれて一時的に展開中の各隊への連絡が途絶えてしまった。

 

わずかな時間とはいえ敵が分断を図って後方を攻撃している場合その時間が致命傷となりかねない。

 

上空のウィッチに援護を要請しようにもすぐには無理だった。

陸空での支援要請を円滑にするために地上部隊には航空参謀が配属されていたがその航空参謀も吹き飛ばされていてね。なんとか即死は免れていたけどすぐに航空要請を出すことは不可能だった。

上空で黒い煙が上がった気がして、一瞬だけ空を見上げた。黒い煙の筋がネウロイの群れの方向へ伸びていた。

 

「ウィッチが落ちた!」

 

叫んだのは私の隣で目の前に迫るネウロイを砲撃で吹き飛ばした扶桑の戦車長だった。最初は扶桑語だったが(後から教えてもらった)その次にカタコトのブリタニア語。

『落ち着け!どこに落ちたって?』

 

「前線より約800m、敵の目と鼻の先であります!」

 

支給されていた双眼鏡で落下したと思われるところを覗いてみるが、戦車砲や野戦砲の着弾による土煙やネウロイのビームで姿を確認することはできなかった。

多分落ちて死んだのだろうと諦め、再度目の前のネウロイを撃破する任務に戻ろうとした時だった。

 

 

下ろす途中だった双眼鏡の端に動くものが見えた。それが気になってすぐに目線を戻すと、そこには小さな人影がネウロイの攻撃を受けながらもこちらへ走ってくる少女の姿が見えた。

軍服は茶色く汚れ、時々砲弾で空いた穴に姿を隠しながら必死に走り抜けていた。

「こちらに向かってくる人影あり!先程のウィッチと思われます!」

手元の37ミリ対ネウロイ砲を構え直し、対ネウロイ用徹甲弾を装填。少女を狙っていた戦車型を撃ち抜く。

『本当か!援護射撃を行う!』

隣にいた扶桑の戦車が私の次に動いた。

『煙幕弾装填!ネウロイの視界を遮れ‼︎』

 

砲身に俯角を付けながら戦車壕を少しだけ登った扶桑の戦車が発砲。衝撃波が戦車壕の土を巻き上げ、一瞬視界を奪う。

少女とネウロイの合間で砲弾が着弾し、白い煙があたりに飛び散った。

 

「こっちだ!そのまま走れ!」

 

シールドを張って足場としながら大きく飛び跳ねた少女の真後ろを赤いビームが通過していった。

私の隣に飛び込んできた少女がハル少尉だということを知ったのはその戦いの後だった。

とにかくその時は色々と余裕なんてなかった。

少女に向けていた意識を再びこちらに戻したネウロイが進撃を再開した。

 

「大丈夫だった?」

 

体についた土を払い落としながら起き上がった少女は、背負うようにして持ってきていた20ミリ機関砲を下ろして、そばに寄ってきた。

見たところ怪我は無さそうだった。

「助けていただいてありがとうございます!」

目はどこか濁っていたけれど、それでも信頼できそうな感じがした。多分彼女がまだ幼い方だったからかもしれない。私は一人っ子だけど歳が近い妹とかがいたらもっと慈愛の感情が入っただろう。

 

「どうって事ないよ。それより航空ウィッチだよね?」

 

「ええ、すぐに基地に戻りたいのですが……」

 

「それなんだけどね。やめておいたほうがいいよ。今後方の補給線がネウロイの別働隊にやられていてね。多分南側から私達防衛線の戦力を包囲しようとしているみたいなんだ」

彼女をここで送り返すとネウロイの別働隊と鉢合わせになる可能性が高いと思ったから、情報を与えた。

小さく息を呑む音が聞こえた気がしたけど、それを確認する前に私の体は目の前のネウロイを撃破する任務に戻ってしまっていた。

 

「航空支援は……」

 

「航空士官が伸びちゃってるからしばらくは無理」

 

「助かりたいならなるべく纏まっていて。多分脱出するにしても何にしても一点突破で突っ切るだろうからさ」

 

実際包囲されかけている場合や包囲された場合でも突破の方法がないわけではない。包囲戦はその性質上戦力が薄く広がる性質があり、戦力を一箇所に集中し短期的に進む一点突破に弱い。

だから彼女もその時にと思っていたけれど、彼女の口から出たのは全く異なるものだった。

「分かりました。では自力で突破します!」

流石にその時は後ろを振り返って彼女を見た。ありえないとしか言いようがない感じだった。

まだ10代前半の少女が言い出すようなことではないから。

「言ってる意味わかってるの⁈」

 

「分かってます。ですがユニットもない航空ウィッチなんてお荷物同然です。それに策はあります」

策がある。そういう彼女の目には、光が宿っていた。

でまかせで言っているわけでも自暴自棄になっているわけでも無いようだった。

「指揮系統が違うから止める権限はないし……好きにして」

「わかりました……ところでそのマシンガンとこれ交換できます?」

「交換⁇交換って……まあいいけど」

 

交換として出されたのは20ミリ航空機関銃。設計はFF20ミリだから対空機関砲として使用しているやつと同じだったし問題はそこまでなかった。だけど最初は言っている意味が分からなかったよ。

わざわざ火力が下がるような事をするんだなって。

こっちは常に火力不足で扶桑とブリタニアの10センチ砲をウィッチに載せられないかってやっていたのにさ。

「これって地上で使うと重くて取り回しが……」

体格に合っていないのは確かだった。小柄な少女ではあの銃は重しにしかならない。

「わかった。持っていっていいよ」

 

「ありがとうございます」

 

「だけどどうするの?」

 

「まだ包囲は終わっていません。包囲中の敵は上手くやれば分断し各個撃破することが出来ます」

手慣れた手つきでサブアームだったMG34を準備して撃てるようにしながら少女はそう言った。

「そりゃ理論上はそうだけど……」

ただし理論上の話な上に一人では到底不可能なものだった。

「ともかく私は基地に戻ります。ではお達者で!」

 

そう言って少女は、戦車壕から飛び出した。追いかけるように少しの合間ビームが飛んできていたが、それもやがて止まり、再び前線の塹壕に向かって放たれるようになった。

 

 

少しして無線が騒がしくなった。それも後方の補給部隊からのものばかりだった。

補給線が寸断され始めてからあまり音沙汰が少なかった彼らになにがあったのか……それを知るのは無事に基地に戻れてからだったけれど、それでもなんとなく私は彼女がやったのだろうという確信があった。理由はわからないけれど……

『後方のネウロイが乱れた‼︎』

 

『今だそこをこじ開けろ!退路を塞がれるな!』

 

『航空支援を要請……』

結果として私達は彼女に助けられた。あの後包囲しようとしていたネウロイの別働隊が逆に分断された結果逆包囲でネウロイを各個撃破する事に成功。退路はしっかり確保できた。そのきっかけを作ったのは間違いなく彼女。会って礼をしたかったけど、その時以来私はついに彼女に会うことは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

シャーロット・H・クローリー大尉

 

元ブリタニア陸軍第二派遣軍第一中隊

現在は戦線を退き教育隊隊長としてブリタニア本土で陸戦ウィッチの指導に当たっている。

 

 

 

僕達陸戦ウィッチは航空ウィッチと違って魔力を移動に取られる事があまりないから、その分を防御シールドの強化に当てやすいんだ。

だからどこで戦っていても大抵の場合は盾として兵士を守る仕事をしていることが多いんだ。

1940年代は特にそれが顕著で、僕なんかは補給線の防衛に充てられる事が多かったかな。

まあそれだけ補給線への圧力が強かったって事なんだけどね。なにせ輸送車列が壊滅したなんていうのは日常茶飯時だったし。あれでよく補給が出来ていたなって今なら思うよ。

 

まだリベリオンは戦時体制に移行してないしガリアやカールスラントは工場疎開で一時的に生産力が激減していた。特にトラックの生産が滞っていたのはかなり致命傷でね。

ブリタニアの生産能力だけじゃ少しの損害でも輸送戦線では致命傷になりかねなかった。

船で欧州本土に上げられた物資の多くが港でそのままになっているって言ったら分かるでしょ。

船一隻が運び込む物資を鉄道で前線近くまで送り込んでも、そこから先のトラックが足りない。

一回の列車で1500t。トラック一台が1tから2t弱の輸送能力だったとしても700台以上必要になる。

だからトラックとかは戦車に次いで最重要防御目標に指定されていたんだ。

それでウィッチも車列の護衛に入ったわけ。

 

あの日ネウロイの第一波を最初に受けたのは僕の後方にいた第三中隊だった。

第三中隊はMk.Ⅳ巡航戦車で構成された機動戦車隊でね。

真っ先にネウロイに対して陽動戦を展開したんだ。

だけどネウロイは彼らには目もくれず、真っ直ぐに輸送隊にビームを向けてきた。

最初の直射で2台が消失。第二斉射はなんとか間に合った僕の同期が防いだ。

僕達だってネウロイを撃破しつつ輸送隊を安全なところまで退避させる為に行動をしていたけど、気づけば僕たちはネウロイを挟んで分断されてしまっていた。

 

シールドで車列を守ることに集中していた結果だった。

後方遮断。包囲殲滅をネウロイがしようとしているのだと気づいた時にはすでに何十体もの地上制圧型と戦車型が背後を固めてしまっていた。

中隊長は状況が逼迫している事を伝えようとしていた。

すでに輸送部隊の護衛でしかない僕達だけでは対処できる量ではなくなっていた。

絶望が少しづつ伝播していく感じがした。

そんな時だった。無線が一瞬混線し、ノイズが流れた。

「ーーーーsheit, das eine vom anderen zu unterscheiden.Niebuhr」

 

「なんだ?」

 

「カールスラント語?」

僕がわかったのはそれだけだった。

「はああっ‼︎」

 

飛び出した人影が、ネウロイの体に乗っかった。

少し遅れて金属がひしゃげるような、ガラスが砕け散るようななんとも言えない音がして、ネウロイの姿が消失した。

 

なにがあったのかを理解した時にはすでに次のネウロイの頭部が爆ぜ、胴体に少女が飛びついていた。

 

「Erzengel St. Michael, der herrliche General der himmlischen Armee,

Als eine große ーー」

また声が聞こえた気がした。ネウロイが消えた分、包囲が弱まった。

「列が乱れた!」

 

その隙を逃すほどあの時は余裕があったわけじゃない。後先考えず僕と、100mほど戦線側にいたロンドベル軍曹で空いた穴に飛び込んだ。

使っていたのがクルセイダー戦闘脚で良かった。火力は少し不満だったけど近づいてしまえば問題はないからね。

 

弾幕も撃破されたネウロイがいたところは薄くなっていた。

一時的なものでも押し込めば絶対的な致命傷になってくれる。

「Hoffentlich helfen Sie uns im spirituellen Krieg und entlassen Sie den Teufel‼︎」

 

目の前でさらに一機が撃破され。入り込んだ僕たちがさらに穴をこじ開け力技で道を切り拓いた。

どれくらいそうしていたか……

戦闘がいち段落した頃には僕とロンドベル軍曹の残弾はゼロ。砲身が焼ける寸前の状態だった。

気がつけば少女は消えていた。

 

あの戦闘での僕らの損失は輸送車両5台、48人が死亡。比較的少ないものだった。だけど彼女が割って入り突破口を開かなければさらに被害は広がっていただろうね。

 

あの少女がハル少尉だって知ったのは戦闘から二日経った頃だった。新聞の写真でね。

まさか空軍のウィッチだったなんてね。驚きだよ。あんな非現実かつめちゃめちゃな闘い方でネウロイを突破しちゃうなんてさ。

僕?無理無理、背中に目でもついてないと……

でも背中に目をつけないといけない時が来るなんて思いたくなかったよ。

 

あの時も彼女は多分僕たちの上空を飛んでいたんだろうね。

 

 

 

 

 

彼女の名は既に戦線によく知られていた。

もう一つの名も主にこの戦闘の後の記録から多用されている。

 




扶桑の戦車

Nさん「九七が出るだけと言っていたからブリキが来ると思ってたのに第二世代と第三世代の合間みたいな戦車が出たんですが」

A「だって君たちBET◯なみの強さじゃん」



トラック
正式名称GMC CCKW 8輪ロングホイールベース型(レンドリースモデル)
リベリオン製

全長7m
重量 4.9t
積載重量2.5t
リベリオン陸軍が採用しているロングホイールベース6輪型よりも長いシャーシを採用し重量分散を図ったモデル。
最前部の軸は非動力のため8輪ではあるが駆動系は6輪モデルをそのまま流用している。
CCKWの積載量2.5トンという数値は、あくまでもオフロードの劣悪環境下での余裕を持った数値であり舗装道路では4.5トンの積載能力を持っていた。
最高時速は72kmと、当時の軍用トラックとしては優れた性能を持っていた。


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???9

あの日

 

 

あの日を忘れたことはないわ。

燃えるベルリンを空から見ているしかなかったあの無力感、助けられたかもしれない命が散っていくのを見るしかなかったあの悔しさ。

 

 

あの子はあの空をどういう思いで飛んでいたのかしら……

 

 

 

あの日の第一報は新人の教育をするため空に上がった直後に入った。

あの時はネウロイの攻撃が激しくて補充されるウィッチもたった二週間の簡易訓練のみで送られてくる新人にも満たないような少女ばかりだった。

だから私や手が少しでも空いている人でなんとか訓練をしていたのよ。

 

最初の無線は航空管制塔が受け取った不正確な情報だった。

ベルリンが空襲を受けた。詳細は不明のまま。

ほぼ同時に帝都防空隊の無線が微かに混ざった。

雑音の向こう側に混乱しているパイロット達の声が聞こえた気がした。

 

すぐに訓練を取りやめて上空待機を命じられたわ。

少しして基地からウィッチや戦闘機があるだけ上がってきた。

普段ローテーションを組んでいるはずの子たちが一斉に上がってきていたのよ。

その中にミーナ少佐の姿を見つけて、私は状況確認を行うために近づいた。

私の考えでは、基地から援軍を出すにしても基地防空にも何人か人手は必要な上に戦線のエアカバーもしなければならない。この基地に少しだけ余裕があったとはいえど、連れ出せるのは四人くらいだと思っていた。

だけれどそれでは焼け石に水なのは誰にも分かっていた。

ミーナの側には、ハルと僚機の子が一緒に飛んでいて、やっぱり指示を受けていた。

「ミーナ少佐。一体なにが……」

 

「ああ、ロスマンさんちょうど良かったわ。これより当基地を破棄。全航空隊はベルリン防衛にあたります」

同時に現在死守している防衛線もベルリンまで後退させ、帝都防衛隊と親衛隊をも導入して大規模な延滞戦を行うつもりらしい。

「それって……」

実質的に首都を捨てるということだ。たしかに首都機能はノイエ・カールスラントに移転が行われている最中だから障害も最小限で済むかもしれない。合理的に考えれば帝都を囮とする案は色々と都合が良い。

だけどそれは避難していない民間人が最も多い場所で堂々と戦いをするということだ。理論的に最適でも倫理的には愚策に過ぎない。

「……市街地戦ならネウロイの侵攻速度を抑えられる。軍令部の考えよ」

ミーナ少佐は重々しくそう言った。

「同時に逃げ遅れている民間人の援護を行うわ」

そうは言っていたが戦いながら民間人の避難を行うと言うのはなかなか難しい。

 

「了解しました」

それでもそれを出来ないと言うのは無理というものだった。

「それでこの二人もそちらに加えて貰えるかしら?」

それは意外な言葉だった。ハルと、その僚機、確かリーデルだったかしら。コールサインはシェパード2。地上でも基本コールサインそのまま呼びだったのよね。本人も名前呼びを嫌っていたみたいだし。

「ハル少尉をですか?」

 

「ええ、今他の小隊員は戦線のエアカバーに行っているらしくて二人だけみたいなの。そのかわりそっちの新人2人は私が面倒見るわ」

2人、そして私のところには僚機の新人(出撃回数4回)だけが残され、私の隊にハル達が加わることになった。

正直な話ミーナ少佐に彼女たちを預けたのは正解だったわ。戦いに出すにはまだ早すぎた。ミーナ少佐がそんな新人達をまとめて次の前線基地に送って来れたからこそエースが重しをといて空を飛ぶことができた。

多分上層部からは使える戦力は全部導入しろとか言われていたのでしょうね。それを押し切ってまで新米を後ろに下げる決断をしたのは凄いことなのよ。

 

「わかりました。ではこれよりベルリンへ向かいます」

ハルと私との合間で会話があったかですか?いえ、あまり話しはしていません。少し力の使い方を考えたらどうかとアドバイスをしたのですが、こればかりはどうしようもないと言って取り合ってくれなかったわ。

 

私の小隊は三番乗りだった。

「ストライダー1空戦領域に到着しました。これより戦闘を開始します」

 

上空で様子を見ていた扶桑国のレーダー搭載大型機に無線を入れながら周囲の様子を確かめた。

ブリタニア供与のハリケーンMkⅢの小隊二つが既に戦局に加担していたけれど状況は芳しくなかった。

中型ネウロイに翻弄され、地上で暴れるネウロイになかなか手が出せないでいた。

駆けつけた時にはベルリンは炎に包まれていたわ。

至る所で火災旋風が起こっていて、そのそばを通過したハリケーンが乱流に飲まれてバランスを崩し、炎が機体に飛び移って炎上していた。

布張りの機体だから起こる悲劇だった。

それらの遥か上では超大型ネウロイ……そう呼称した方がいいような巨大な体が太陽を隠して、地上をビームで焼き払っていたわ。

 

地上で避難をしていた人達が、誘導をしていた警官がビームに巻き込まれてその姿を一瞬で溶かしていった。あの光景は今でも夢に出てくるのよ。

「……っ!目標左側の超大型!班ごとに分かれて左右から挟み込むわ!」

 

「了解!」

高度を一気にあげながら、隣にいた僚機が悪態をついた。

 

「なんてデカさなのっ!」

大型ネウロイはその大きさゆえに距離感が掴みづらい。

まだ射程に入っていない武器を撃とうとしていた隣の子を制止させていると無線が響いた。

 

『ハルッ!回避っ!』

 

見れば彼女は機関砲を発砲しながら大型ネウロイに突っ込んで行っていた。すでに彼女たちは高度をあげ切っていた。

 

曳光弾が吸い込まれるように伸びていき、返答と言わんばかりに彼女達を囲うようにビームが吹き荒れていた。

全てシールドで防いだようだったけれど、それでも火力を集中されたら押し返されてしまう。シェパード2が吹き飛ばされた。ハルは相変わらずだった。不規則かつ激しい動きでビームの殆どを回避しながらも、あくまで目標へ向かい撃ち続ける。

常人なら体の負担でとっくに落ちていてもおかしくないものだった。

 

「攻撃するわ。続いて!」

 

彼女達が注意を引いてくれたおかげなのか私達や避難民への攻撃も一時的に止んでいた。

その間に体勢を立て直しながら胴体中央。ビームを発射する魔法陣もどきが出現するあたりを攻撃で捻り潰す。

これでしばらくは攻撃ができなくなった。私たちの後を追いかけるビームはどれも小さいものばかり。この高度では地上に届くものではない。

そのままネウロイの上方へ抜けた時、すぐ隣をハルがすり抜けていった。

多分こっちの動きに合わせたのね。もうあの頃の彼女はエースウィッチの仲間だった。

 

そのあとこっちが反転して再攻撃をしようとしている合間に彼女によってその大型ネウロイは撃破されていたわ。

残る超大型ネウロイは三機。一つはエーリカ達が取りついていて、残るは二つ。

このまま順調にいけば一通りのネウロイは撃滅できる。そう考えていた。

 

 

そんな期待すらネウロイは許してくれなかった。

『新たな大型ネウロイ接近っ!これは……』

 

そのネウロイは異様に低い高度で飛んでいて、いきなり頭を下にして街に突っ込んだの。

建物をいくつも破壊し街に爪痕をつけていくかのように瓦礫と土を撒き散らして衝突したネウロイの後半分がいくつもの中型ネウロイに分裂した。

多分、空挺という概念をどこからか拾ってきていたのね。

どうもネウロイはウィッチや人間を洗脳して情報を得ていたみたい。

ブリタニアやスオムスはそれを知っていたみたいだけどカールスラントやガリアには伝えていなかったのよ。

 

だからネウロイの空挺による攻撃を想定していなかった。

 

比較的安全な場所を避難させていたつもりが、避難計画が完全に破綻した瞬間だった。

 

「あそこにはまだ市民が……」

 

ふと誰かが視界を遮るようにして急降下していった。

ハルの僚機、シェパード2だった。

それを追いかけるようにハルも急降下をしていた。

 

 

その先にいたのは、民間人とそれを殺戮しようとするネウロイだった。

気づけば私が一番にネウロイを射程に捉えていた。

 

マガジンを使い果たす必要もなく、ネウロイはその姿を消していた。

だけれどそれが直前に放ったビームは避難民の列を引き裂き、建物を瓦礫の山に変えていた。

 

「お母さん!お母さんっ!」

 

「っ……」

泣き叫ぶ声が聞こえて、下を見下ろすと、瓦礫のそばで泣き叫ぶ少女二人が見えた。

すでにハルとシェパード2がそばに降りていた。

瓦礫の下から女性の足が少しだけはみ出していた。

この姉妹の母親だったのだろう。守れなかった現実が胸を刺す痛みに変わる。

「ハル、二人を連れて行ける?」

気づけば、私はそう命令していた。ここにもネウロイの影が迫っている。生き残った避難民の多くはすでに走って逃げてしまっているのだろう。その場所に姿はなかった。

警官などがついているからそちらは大丈夫だろう。だけれどここに取り残された子供は放っておけば戦火に巻き込まれる可能性が高かった。

「……分かりました。避難列車まで連れて行きます」

少しハルは不満そうな顔をしていたけれど軍人にとって命令は絶対だ。

「シェパード2、ストライダー2貴女達は私と来なさい」

 

「「了解しました!」」

 

ハルを後ろに下がらせた理由?あの子が鼻血を垂らしていたから。

あの時にはもうすでに固有魔法で体を酷使していて……あまり負担をかけさせたくなかったのよ。

だけどそれが彼女にトラウマを植え付けてしまったのもまた事実。こんなはずじゃなかったのに。

 

あの後民間人二人を退避する列車に乗せた後、戦車型ネウロイが駅に飛び込んできて……

ツォー駅の悲劇、そう呼ぶ人もいるわね。

 

死者はわかっているだけでも1023人、行方不明者531人。重傷者322人うち数時間以内に死亡したのが184人。

駅舎と、出発待ちだった列車、それと駅構内で作業していた帝鉄職員40人。

大勢が犠牲になったわ。

直後に発車した避難列車を守るために彼女は無茶をしすぎたの。

私が駆けつけた頃には力の使い過ぎで吐血。一部血が肺にまで入り込んでいたわ。

あら聞いていないの?

彼女の固有魔法は行使直後に振り戻しが来るデメリットがあるの。特に内臓がダメージを受けやすいのとあまりにも強すぎると脳に障害が残る。

軍医はそう言っていた。

吐血まで行っていたのは気管支か胃に近いところが出血していたから。そこまでしなくてもと思いたかった。

でも戦争は人間の命なんて簡単に飲み込んでいくものよ。

 

 

 

 

 

 

当時彼女に助けられた姉妹はすぐに見つかった。

カールスラント空軍ではかなり有名な姉妹だったからだ。

姉のハンナ・ベヤス少尉と妹のアンネ・ベヤス軍医。

現在ガリアに進駐し、奪還したガリアの防衛に当たっている。

 

インタビューをする機会は得られなかったが、当時のことを詳細に記録した日記のページを複写したものを送ってくれた。

それには火災旋風とネウロイの攻撃を避けながら少女二人を無事に後方へ送ったことがこと細やかに記されていた。

 

彼女はこの後もベルリン防衛戦で戦い続け、エーリカやハルトマン達がガリアへ脱出する中、避難民の殿としてキール港より脱出しシェパード2と共にブリタニアに向かう。

 

 




扶桑の大型機。

キ49 一〇〇式電子偵察機 「電龍」

全長16.9m全幅20.4m全高 5.2m
重量10.21t
発動機火星二三型×2
出力1,820馬力 x2
最大時速480km/h(高度5,000m)
航続距離1980km
乗員6名(操縦士2名、機関士1名、電探員3名)

扶桑国が製造した広域偵察機。
キ49重爆撃機をベースにエンジンを強力な火星二三型へ変更。
爆弾倉にブリタニア製の電探設備を搭載。
アンテナ送受信機は爆弾倉真下と胴体上部の出っ張りカバーの内部に収められている。
最大探知距離は高度5000mで580kmまでを見ることができる。
電探自体が360°回転が可能なため機体を回さなくとも全方位の索敵が可能である。


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part 17 欧州撤退戦9

海峡まで後退したRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

前回ベルリン戦を行った直後でしたが、ここまででどのキャラともフラグを立てていない場合一気に海峡手前の基地に移動します。誰か一人とフラグが立ってしまっている場合ベルリン攻防戦第二幕やることになるのでリセ確。

 

現在1940年12月

前回ベルリン防衛戦が1940年5月なので半年以上経っています。

この間の経歴ではベルリン攻防と同時期にスオムスのスラッセンが陥落。したかと思えば2ヶ月ちょっとで勝手に奪還されたりベルリンが11月あたりにようやく陥落し大規模な撤退が始まりますが、前線の各部隊が孤立して各個撃破されたり頑張って北上してバルト海を越えて脱出したり北アフリカが押されてエジプトが陥落しスエズ運河、紅海とアラビア海の合間にあるアデン湾が使えなくなりました。

スオムスやバルトランドのことはスオムス軍配属で。

北アフリカの顛末はアフリカ前線に配属されるとストーリー群ができます。

 

 

では12月のテロップとともに新基地キール運河基地にやってきました。

この時点でミーナやバルクホルンと言った501メンバーはガリア方面へ撤退して遅滞戦闘を繰り広げています。

こちらは僚機ちゃんと共にキール港からノイエ・カールスラントへ脱出する人達を守る仕事に従事することになりました。

 

はい今回のミッションは避難民の護衛となります。

 

 

眼下には空母グラーフ・ツェッペリン、ドクトル・エッケナーを中心とする空母艦隊と、ブリタニア、カールスラント、リベリオン、扶桑各国の軍艦で構築された大艦隊がいます。

そちらの艦隊はこれからバルト海に向かいカールスラントを進撃するネウロイの群れを撃破し避難民を乗せた船の脱出を掩護する陽動作戦に出ます。

 

ちなみにこの陽動作戦。陽動のくせして戦力がすごいことになってます。

扶桑から参戦の紀伊型戦艦の尾張と駿河。軽空母祥鳳と瑞鳳

リベリオンがニューヨーク級戦艦2隻、空母レキシントン

ブリタニアは巡洋戦艦フッドとリヴェンジ級戦艦4隻、空母イーグル、ハーミーズ。

なんじゃいこりゃ。

空飛んでいても写真撮りたくなっちまうような大艦隊ですが時間がないのでスキップします(無慈悲)

なおカールスラントは無慈悲にもランドパワー重視の陸軍国家なので基本は輸送船の護衛にしかつきません。はーつっかえ。

もっと海軍に力入れてよ。

 

 

まあとりあえず上空援護にまわります。

ちなみに空母エッケナーがうちらの母船になります。

グラーフは航空隊の配備が間に合わなかったため格納庫を避難民でいっぱいにして輸送に徹します。

カールスラント海軍飛行隊はやっぱり貧弱だったよ。そもそも艦載機だって陸上機にフックつけたくらいの応急品なので固定脚の爆撃機はともかく脚が貧弱な戦闘機は訓練すら行われていないのでもはやカカシです。

ではここのチャートですが、前半は三分間耐久。後半は撃墜数の変則ミッションとなります。

 

 

港から出港しようとしている艦隊にネウロイの中型達が一斉に襲いかかってきます。

一緒に相手するのはなんとラル中尉です。

向こうが一応分遣隊司令なので彼女の指示には極力従うことにしましょう。

まあ、彼女の指示はかなり大雑把なものでネウロイを落とせとしか言ってきません。

 

 

では出港……はスキップ。

空の上から再開です。

キールを出て少ししか経っていませんが早速ネウロイの空襲が発生しました。

数は中型が36機。その後方に第二波48機。数の暴力です。

しかし囮艦隊は想定外の大型8機を引き受けているのでまあ、囮は成功しているのではないでしょうかねえ。

 

はい空戦スタートです。

最初の耐久の時はラルに従ってくっついて飛んでいるのが最も効率的です。その分無線が賑やかですが基本返答はしません。

 

とりあえずラルの周囲に集まる敵をぽこぽこと撃墜していけばOKです。

ウィッチの数が多くないので外縁の駆逐艦がビームの直撃を受けて大破炎上しましたがまあ問題はありません。

 

基本的にこのミッションの敵はウィッチそっちのけで艦隊に集中する癖があるので横からの偏差射撃が出来ればそれなりに簡単にタイムを稼ぐことができます。

射撃のコツは実際に使う場面になってから解説します。今は黙ってラルのお尻を追いかけていきます。

三分間で合計5機撃墜です。

弾薬は7割残っていれば問題ありません。

では3分経ちました。

ここから一旦ムービーが入りますが基本スキップ。

 

ここからはラルから離れて二人で行動です。

ムービーで何があったのかをかいつまんで解説いたしますと、第一波が過ぎ去ったのちにすぐやってきた第二波が二手に分かれ艦隊を挟み込むように展開したためこちらも戦力を分散させざるを得なくなったということです。

では目標数は24機。

めっちゃ数があるように見えますが基本こいつらウィッチを無視して艦隊を最優先で叩くので実質ボーナスの的当てゲームです。

では4機の編隊に真横から殴り込みをかけます。

コンバットボックスもどきをしていても護身用の機銃があるわけでもないので特に反撃はなし。ではここで偏差射撃の解説です。

偏差射撃は計算で理論上はどこに向かって撃てば良いかわかりますが、そんなの計算している暇もなければオートエイムは偏差射撃に対応していません(1敗)

なので簡単に偏差射撃ができる方法としては敵を横から射撃する場合は敵の速度に合わせて体を旋回させ、射撃する時に大きく敵の前に向かって旋回を強くしながら射撃をすると大体ちょうどいい感じに偏差射撃ができますの。もちろん20ミリは距離があると弾道が下に垂れてしまうので近寄る必要がありますが大抵の中型や小型は真上や真横は射角制限がかかるので狙いやすいです(3敗)

あとは勘ですね。数こなしてください。

解説している合間に戦闘終了です。

 

ミッション終了。では空母に戻ります。

ここからは初めての空母着艦を行います。

扶桑海軍なら真っ先に行うものですが、まあカールスラントだし仕方がないね。

ちなみにユニットは海軍仕様ではないのでかなり強引な着艦を行うことになります。

具体的にはフックではなくユニットの後ろに小さく出てくる補助輪を空母甲板のワイヤーに引っ掛けて止めます。

まあ引っ掛けなくても戦闘後の軽い状態なら制動距離が足りるのでそこまで心配する必要はないんですけれどね。

 

ですが空母の着艦の最も難しいところは侵入角度と向きを正しく空母と揃えることです。

一応ゲームなので現代空母で使用されている見やすい着艦誘導灯で降下角度を調整することができます。

これ意外と見やすくて便利ですよねえ。考えた人天才。

ではエンジンをフルスロットにして高速で空母に突っ込みます。

後は一気に足を下に下げて甲板を叩くようにして補助輪をワイヤーに引っ掛けます。

減速して下りるよりこっちの方が早いのでRTAでは必須の技です。

ワイヤーを引っ掛けたらエンジンをカット。体がグッと引っ張られたら成功です。

では格納庫にエレベーターで降ります。

扶桑から船体をもらっておきながらエッケナーはリベリオンの空母の特性を持っています。特に上部第一格納庫は側面を開放式にして飛行甲板の下にギャラリーデッキを持っています。

一応第二格納庫は閉鎖式の扶桑海軍のものになっています。それどころか後部のエレベーターは加賀エレベーターのように上に飛び出す二段エレベーターになっています。

なんだこのチグハグ。

というわけで海風がもろに入る開放型格納庫を後にして居住区に行きます。

とりあえずまずはご飯だよ!

うんおいしい!艦の飯は美味しくないと乗組員の士気が保てませんからねえ。

ではご飯を早く食べ終えて艦橋に向かいます。艦橋近くで囮艦隊が壊滅したという情報を聞くことで次のミッションのフラグが解放されます。

それとここからは即席チャートですが格納庫で整備員と話しているラルのところに向かいます。

彼女の好感度だけまだ少し低いのでここで他の人と合わせる必要が出ているからです。

とりあえず会話を……あ、これミニクエストだ。

彼女のお遣いをすることになるとは……まあこのくらいならまだそこまで大きく好感度が上がるわけじゃないので許容範囲に収まりますね。

 

 

というわけで航空隊長……ではなく飛行隊長に武器のおねだりをします。

特に新しく導入されたばかりのものですが回してくれるかどうかは会話の選択肢次第。

まあ余程のことがないかぎり問題はないですね。

はいお遣い完了。最新の機銃と試製ロケット砲をゲットしました。

ロケット砲というより迫撃砲を水平にして撃てるようにしたものなのでグレネードみたいな何かです。一応弾自体が火薬推進なのでロケット花火みたいなものかな。

 

では結果をラルに報告しましょう。

うん、これでよしっと。

では帰って手配されたお部屋……というより完全に三段ベッドの一つにスライドイン。寝ます!はいおやすみなさい‼︎

 

では真夜中におはようございます。

激しい揺れで叩き起こされました。というかベッドから吹っ飛ばされました。

艦内は真っ赤な灯りで薄暗く照らされています。

現在時刻は22時。

どうやら夜間にネウロイの攻撃を受けたようです。

空母グラーフが集中攻撃を受けています。

どうやら北欧から飛んできたネウロイのようです。

すぐに甲板に上がってみると遠くでグラーフが炎上しているのが見えます。

あーああれはもうだめですね。

こっちは船体後部に被弾。後部エレベーターが故障しているようでストライカーユニットの運び出しに苦労しているようです。

ですが準備が終わる頃にはすでにネウロイは引き上げてしまっています。

グラーフは犠牲になったのだ。

 

というわけで今回はここまでご視聴ありがとうございました‼︎




バルト海海戦
1940年12月14日

参加艦艇
扶桑国海軍
紀伊型戦艦尾張、駿河
祥鳳型航空母艦祥鳳、瑞鳳
睦月型駆逐艦4隻、神風型駆逐艦8隻、特型4隻
リベリオン海軍
ニューヨーク級戦艦ニューヨーク、テキサス
レキシントン級航空母艦レキシントン
ブルックリン級軽巡洋艦ブルックリン、フィラデルフィア
サマーズ級駆逐艦2隻、ベンハム級駆逐艦4隻、シムス級駆逐艦8隻
ブリタニア海軍
フッド級巡洋戦艦フッド
リヴェンジ級戦艦リヴェンジ、レゾリューション、ラミリーズ、ロイヤルオーク
航空母艦イーグル、ハーミーズ
リアンダー級軽巡洋艦リアンダー、ネプチューン、オライオン
トライバル級駆逐艦8隻、J型駆逐艦4隻

大ビフレスト作戦の発動に伴いカールスラント国民は二つの選択肢を取ることとなった。陸路でガリアを経由しダンケルクよりブリタニアに向かうルートとキール港より船を使い脱出するルートである。
このうちキール港に集まった避難民の脱出を掩護するため、西進するネウロイを足止めする作戦が立案された。そのうちの一つがバルト海に進撃した海軍戦力により地上のネウロイを撃破するものである。

しかし実際には扶桑海軍とリベリオン海軍は軍事演習を何度か行なっていたため共同作戦が可能であったがブリタニア海軍はガリア、カールスラントとしか合同演習を行なっていなかったためブリタニア海軍はリベリオン、扶桑連合海軍とは別行動を取っていた。

12月13日23時10分
キール港を出撃。

12月14日午前10時21分
沿岸に近いルートをネウロイの大群が通過しているのを偵察機が発見。
午前11時31分
グリフィツェ付近の海域での砲戦を開始。
午前11時52分
第6波に及ぶ航空ネウロイの空襲を受ける。


作戦結果
戦術的敗北
地上ネウロイの大部分を撃破。
被害
沈没
戦艦
尾張、ニューヨーク、テキサス、ラミリーズ、ロイヤルオーク
巡洋戦艦
フッド
航空母艦
祥鳳、レキシントン、ハーミーズ
軽巡洋艦
ブルックリン、オライオン
駆逐艦
神風型4隻、特型1隻、シムス級3隻、サマーズ級1隻、トライバル級3隻

大破
戦艦
レゾリューション
航空母艦
瑞鳳、イーグル
軽巡洋艦
フィラデルフィア
駆逐艦
神風型1隻、睦月型1隻、サマーズ級1隻、ベンハム級2隻、J級2隻

ウィッチ
MIA 26名
戦列復帰不能な負傷 13名


また同時に出港した第39避難船団も同じくして空襲を受けている他、夜間にも攻撃を受けている。
第39避難船団被害
カールスラント海軍
沈没
航空母艦
グラーフ・ツェッペリン
駆逐艦
Z1型2隻、Z17型1隻
中破
客船1隻(死傷者544名)


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part 18欧州撤退戦10

海を渡ってRTAはーじまーるよー!

 

ずっと空母にいたい気分ですが海がしけているので全力オロロンしている最中であります。

まじでこんなところまで再現しなくていいわ。うあー気持ち悪いです。これは想定外……オロロロッ(4敗+1)

 

 

えーお見苦しいところ見せました。このゲーム乗り物酔いまで律儀に再現するものですから堪ったもんじゃないです。しけの海は大型船舶でも揺れるっての。

あ〜〜気持ち悪い〜降ろしてくれ〜

 

とこんなこと考えていました。

まあこのあとすぐ降りることになるのですけれどね。

 

ではブリーフィングです。空母のブリーフィングルームってなんだかカッコいい。

ではウィッチ隊はここで空母を降りてガリアに退避したJG3の一部メンバーと合流します。

ブリタニアで補給を行い空路で向かうのですがここでも遅延戦闘を行うことになります。

少なくともダイナモ作戦と大ビフレスト作戦のガリア方面に避難した人達の撤退支援があるので再び欧州に戻ります。

 

というわけでさよなら空母よ!もう会うことはないだろう……と思いたいんですが意外とカールスラントも本気で空母作り出すんで1942年には何故か新鋭空母が就役するんですよ。

そうですフォン・リヒトフォーヘン級航空母艦ですよ。

小さいニミッツ級航空母艦のような船体にミッドウェイ級の就役当時の艦橋を載せたような空母です。

カールスラントの技術力は世界一いいいを地でいくトンデモ空母です。

ちなみに戦艦の方もH級の建造計画が再開した結果新たに15インチ砲搭載戦艦の新造が決定しましたがこちらは1943年末に就役予定です。

 

はい現在流れているのは発艦のための準備です。ストライカーユニットなら短距離離陸が可能なので甲板先にあるカタパルトは使う必要がないのですが色々ありまして現在甲板は殆どが艦載機で埋め尽くされています。

殆どが扶桑海軍とリベリオン海軍機。前回の囮作戦で帰るべき船を失った機体を受け入れた結果ですが正直言って載せすぎです。

ウィッチまでカタパルトで放り出すとか狂気かな?

 

無理やり増設されたひっかけフックをカタパルトと接続して、あとはこちらがエンジンをフルスロットルに入れれば射出されます。

さっさと発艦。

おっふ、相変わらずの衝撃ですなあ。

 

 

 

では遊覧飛行もそこそこに、ブリタニアはロンドンです。

まだネウロイの攻撃を受けていないので綺麗なものですが戦場の足音は近づいています。

街中の建物には高射砲がのせられ、市街地を走る車も制限されているのか軍用車が目立ちます。

食料などの配給制は行われていませんが空襲対策を施したり、地下鉄は避難場所となっているのかデカデカと避難経路の看板を立てていたりとピリピリした空気となっています。ベルリンと同じような感じですが彼方より人が多いのでその分ピリピリ感が強くなっているんでしょうね。

実際に1941年12月から1942年2月までの合間に空襲を何度か受けて燃やされるんですけどね。

まあそれは置いておきましょう。

 

ブリタニアの飛行場に着陸したら休息が入ります。

時間的にはご飯の時間です。

ちなみに撃墜数がこの時点で50機を超えているとブリタニアのウィッチに絡まれます。旨味がないのでご飯を受け取ったらすぐに格納庫端っこで食べちゃいましょう。ちなみに僚機ちゃんも一緒です。

 

ブリタニアウィッチの相手はラルに任せましょうや。

 

「ああこんなところにいたのか。二人とも付き合え」

 

……はい?

 

 

えー……何故か分かりませんがラルにロンドン観光連れ出されました。

また変なイベント……チャートにないよおこんなの。

でも一応このイベントが存在しないわけではないのですが……うーんでもここで出てきたことはないんですよねえ。チャートが壊れるなあ。

もちろん僚機ちゃんとラル氏の僚機も一緒です。わーい四人旅、ってやってる場合じゃないんですよねーこれはリセかな?

まあいいや。正直誤差だよ誤差!それにそっけない態度とっておけばラルの好感度も上がらないし問題なし。

 

でロンドン観光って言ってもバッキンガム?時計塔?遠くからちょろっと見るくらいじゃん。

ロンドン橋?あーあの意味がわからない童謡のね。あんなのただの橋じゃねえか。

 

「あのー…落としましたよ?」

 

あ、これ僚機ちゃんのロケットペンダントじゃないですか。どうもどうもありがとうございます。ってこいつ……リネット・ビショップやんけ。

えー……いやまだ軍属じゃないんですけど。ここでエンカウントは想定外でした。

うーんガバにガバが被ってしまった。

所属国以外のウィッチとの好感度ですが、基本は501に統合戦闘団に入ることで稼ぐことになるのです。しかし、一度顔見知りになっていると後で入った時の好感度上昇が速くなるんですよね。

うーんこれはリセ……でもないか!どうせ全員の好感度を上げることになるんだし調整次第やな!ヨシ!

なんかラルが余計なこと言ってきましたが適当に返答して会話を切り上げましょう。

それより飯だ飯!どっかで飯食って帰るぞおら!

ロンドンのメシマズ?しらん!この際メシマズでもなんでもいいわさっさと食べていくんだよあくしろよ。

え?ロンドンで美味しいお店知ってる?近い……なるほどそのルートがあったか‼︎ナイスリネット‼︎

とりあえずお礼だけしてじゃあノ。

 

とりあえずリネットが教えてくれたお店ですが大衆食堂でした。

うん、庶民舌にはありがたいものです。そもそも軍の戦闘食より圧倒的に美味しいしなあ。

なおそこらへんで売ってる鰻ゼリーとかフィッシュアンドチップスは美味しくないです。不味い安い早いのブリタニアファストフードなので期待しちゃいけません。あれは元祖ファストフード。美味しさなんて……

まあ美味しいお店は美味しいんですけどね。正直好みの問題かな。

 

というわけで食事してさっさと基地に戻ります。

これにて謎のお出かけイベント終了です。

 

はい、いらないイベントが終わったのですぐにミッションを始めます。再び空に旅に出ますがドーバーを越えてちょっと進むくらいなのでそんなに距離はないです。

 

はい基地に到着しました。ここの前線基地はまだ襲撃を受けていないので比較的綺麗ですが、何度も基地を破壊されている教訓から滑走路先端以外を全部地下に収納し滑走路の入り口を洞窟風にした秘密基地のような基地となっています。

なんだろうねすっごく心くすぐるシチュエーションですがいざ入ってみると生き埋めになりそうで怖いですわ。

しかも火災とか起こったらどうするつもりなんでしょうね?一気に酸欠して大惨事になる未来しか見えない。

 

はい到着後ですが、ラルから少し外の空気を吸いに行かないかという誘いを受けますがここは断ります。

同時にこの基地に一時的にやってきていたガリア軍高官とカールスラント軍の基地司令との口論が聞こえてきます。

 

現在カールスラントはほぼ壊滅。ガリアにて防衛線が張られていますが、カールスラント軍はあくまでも自国民保護並びに護衛なので戦線には参加しませんしガリアも必要なしと言って自分たちだけで防衛線を組もうとする気満々ですがお前らの戦力と戦略じゃ突破されるのも時間の問題なんだよなあ。

 

ほんとガリアとカールスラントって連携する気ねえなおい。ブリタニアは援軍は出すけどあくまで援軍だしリベリオンは艦隊が壊滅したらモンロー主義が再燃してるから兵器はともかく人はくれないという。

扶桑はアラビア海ルートが寸断されたのでルート回復のためにアデン湾付近に戦力を張り付けているし出せても希望峰経由じゃ時間がかかります。

もうやめたらこの戦線。

いやさあ、戦略目的くらいは同一にしようぜ。特にガリアとカールスラント。司令系統が違うのは仕方がないにしてもさあ。

これはミーナも501のような構想が欲しくなりますわ。

まあ来年の1942年まで待つ必要があるんですけどねー。

当然ガリアの撤退速度が早いのでガリア国民もカールスラント国民も脱出が間に合っていません。

おーいダイナモ作戦このままだと失敗しますよう(棒)

まあ何故か分かりませんがそんなことにはならないんですけどね。

口論が聞こえてきていた場合すぐに移動を開始します。

 

理由はここで少しだけイベントのカットを行います。

執務室で書類と格闘しているミーナのところに行って、会話をします。現在時点では好感度が多少なりともあるので比較的スムーズにミーナにつけ込むことが出来ました。

「一体……何人の人間が戦場で命を落としていると思っているのかしら」

 

 

▶︎数えちゃいけませんよ。人の命は数じゃないですから。

 最大効率で戦争が行われないだけマシです。

 おっそうだな。

 

とまあこんな感じに会話を繋げましてね。

「そうね……」

あらら黙っちゃいました。ではここから少しだけたたみかけましょうか。

 

連合軍が一つの指揮系統で統括して軍事行動を取れれば犠牲も少しは減るかもしれませんね。

 

 

はい構築終了です。

これでミーナに統合戦闘団の構想を抱かせます。

本来のルートではダンケルクからの撤退以降にイベントを挟んで行われる統合戦闘団結成のフラグをここで立てることでイベント自体を発生させないことが可能になります。

 

それじゃああとは帰って寝るだけです。おやすみなさーい。

というわけで今回はここまでとなりますご視聴ありがとうございました‼︎




航空母艦ドクトル・エッケナー

所属
カールスラント海軍

基準排水量36741t
全長260.67m 全幅35.32m 飛行甲板250m×30.48m
エレベーター3基
出力141,000hp 速力32ノット

乗員
1,640名
兵装
SK C/33 10.5cm連装高角砲6基、
SK C/30 3.7cm連装機関砲8基、
C/38 2cm四連装機関砲2基、同単装機関砲12基

搭載機
常用60機、補用20機


グラーフ・ツェッペリン級航空母艦の二番艦として就役した航空母艦であるが、フューリアスの戦隊構造を参考にしたグラーフ・ツェッペリンとは大幅に艦影が異なる。
基本の船体は扶桑海軍から購入した天城型戦艦のものを流用したものであるが、実験目的でいくつかの新規軸を取り入れている。
格納庫の被害軽減を行うために上段第一格納庫を開放式とし、格納庫上部と飛行甲板の間にギャラリーデッキを設けた構造としている。(第二格納庫は従来通り閉鎖式)
また機関配置や高角砲の装備、位置を変更したほか艦首をハリケーンバウとすることで海が荒れやすいバルト海、大西洋北部での活動をしやすくしている。

紀伊型戦艦
所属
扶桑国海軍

基準排水量 44502t
全長 252m 全幅 32.5m
機関
主缶
ロ号艦本式重油専焼缶 16基
主機
技本式オール・ギヤード・タービン 4基
機関出力 154001hp 速力 29.8ノット


舷側装甲290ミリHT+DS
水平装甲190ミリVC
主砲防盾290ミリVC

乗員1890名

兵装
六年式50口径41センチ三連装砲4基
50口径14センチ連装砲10基(欧州派遣艦は八九式12.7センチ連装高角砲へ換装)
九六式二十五粍機銃三連装14基、同単装20基
艦載機
水上機3機
呉二式二号カタパルト1機

八八艦隊計画艦として設計されていた戦艦であり、ワシントン海軍軍縮条約にて認められた保有枠の関係上建造計画が凍結。
その後技術の成熟を待って無条約時代突入を想定して建造されたのが本艦級である。
本来の船体構造は天城型や加賀型を元にしていたが、防御区画の短縮や大和型戦艦へ向けての布石もあり武装配置は長門型を基本にし副砲を左右に砲塔懸架として搭載している。
艦橋は工費縮小を兼ねて改装時に撤去された高雄型の環境資材を利用している。そのため艦橋基部は高雄型とよく似ている。
40センチ砲搭載艦として十分な攻守を備えた戦艦であり居住性も大和型に次いで良好であった。


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part 19 欧州撤退戦11

ダイナモ作戦護衛任務はーじまーるよー‼︎

 

 

現在戦場は大きく分けて4つの戦線が同時に進行しています。

一つはガリア軍による東部防衛戦。もう一つがカールスラント避難民護衛戦、ロマーニャ方面における防衛戦。そしてオラーシャ方面の油田防衛線です。

まあオラーシャの油田防衛戦とロマーニャの防衛戦ですがここは手出しができないので放置です。

最悪油田が陥落してモスクワが落ちようとも正直大勢に変化はないです。

私らがやらなければならないカールスラント避難民護衛戦は実質一回くらいなのでそこまで手間は取られません。

ただしガリアの戦線後退速度とカールスラント側の撤退速度が合わないのでアニメよりも大量の兵が取り残されるようです。

こればかりは運要素でしかないのでしょうがないですが、こちらも正直タイフーン作戦などの参加兵力が減るくらいなので大した問題ではありません。

 

ではこの基地を拠点として我々は何をするのかというともちろん自国民保護です。それ以外やることなんかねえよなあ。

というわけで基地配属二日目の昼にしてミッションが追加されました。

早速受けにいきましょう。

ん?ミーナさんが何か話かけてきました。なんでしょうか?

「ハル少尉、貴女に軍令部からのプレゼントよ」

おん?

プレゼント?あ、このイベントはもしかして……

 

新しい機体を入手しました

新しい武装を入手しました

 

きたああああああ‼︎

Fw190C-1試作高高度戦闘機‼︎

これは勝つる!やったぜ!

 

 

取り乱しました。えーわからない人に説明いたしますとこのプレゼントは難易度中以上で撃墜数エース75機以上になると30%の確率でやってくる美味しいイベントです。

プレゼントが送られてくる年度と所属国家によってプレゼント内容は変わってきます。

今回はTa152の試作の試作であるFw190先行量産機のエンジンスワップユニットです。

 

爆撃飛行脚のエンジンを載せて高高度対策としてなんとブリタニアが生み出した二段二速タービンを備えた機体で実用上昇高度は最高10800m、速度は9000mで510km/hを捻り出す高性能機です。

エンジンがデカくなった分運動性が若干落ちましたがハルの能力なら大したデメリットになりません。

さらに上昇速度は高高度戦闘機なので非常に高くbf-109G型をも上回ります。ベルリン空襲の時のような相手にはもってこいですし下からの突き上げや吊り上げなどの戦法も増えます。

 

そして武装は新開発の20ミリ単装機関砲MG213。なんとリボルバーキャノンです。

従来の機関砲に比べて圧倒的な射撃速度を持ちながらも構造自体はなかなかの小型軽量化がなされている恐ろしい機関砲です。

ただしガスが持つエネルギーのロスが大きく貫通力が若干低下しているのと構造が複雑なため故障が起きやすいのが難点です。

 

こんなにもらっちゃったら無双するしかねえよなあ。ちなみに能力値もしっかりあるので問題なく使いこなせます。

 

では早速出撃です。生まれ変わったハルの力を見せてあげよう。

ちなみに僚機ちゃんにも同じユニットを履いてもらいます。

実用試験だからね。でもFw190やbf-109系の高高度戦闘機モデルは量産可能な試作まで行っても結局量産されずにTa152に吸収されちゃうんですよねえ。まあ仕方がないか。

 

 

 

 

えー今回は避難民保護ということでして、画面左上に%表示が入っています。

この数値が一定時間の間60を切らないようにするのが今回のミッションです。つまり4割は見殺しにしていいってことですか!(外道)

いやまあ冗談ですけどね。でもコラテラルダメージだってあるからさ…

出たな高高度爆撃ネウロイ!

しかも前回と違ってシールド持ちです。やばいですね!

さっきから他のウィッチが攻撃していますが全く効果なしです。

ウィッチの攻撃が効かないと判断したネウロイが高度を上げながらウィッチ無視で地上へビームを放ちます。

あ、そこに着弾するとやばいです。一気に5割近くえぐれちゃいます。あーいけませんいけません‼︎

 

……ふう、シールドで防げてよかったよかった。

3人くらいウィッチが手伝ってくれたのですがそのうち1人が墜落しちゃいました。シールド張るのに力を使い果たしたようですね。まあ高度もそんなに高くないから平気かな。

まあいいやそこもお二人さん一緒にいきましょうや。

お、こちらの声に反応してくれました。

よしこれで4人小隊完成!

 

さてお名前は……

リベリオン海軍

ピート・ミッチェル少尉

 

ミリア・クーガー少尉

おや、君達リベリオン海軍の所属なんだ。ふーん……でも使っているのはF4F系ではなくP39エアラコブラなんですね。しかも丁度良いことにタービンをつけた試作機と同じモデルなので高高度戦闘にも対応しています。

でも加速がイマイチ……

まあいいや。

画面上の指示では敵を避難民の列から引き離すように指示を受けていますが、わざわざ従う必要などありません。ささっとコアを破壊してしまえば問題なしです。

というわけでやるぞー!

とは言いましたが正直シールド持ちは20ミリでも貫通が難しいのでちょっと荒っぽい方法で倒します。

正直これはダメージ受けるし痛いのでやりたくないんですよね。エーリカなら結構あっさりやるんですけどね。あれは規格外だから。

 

 

 

ではリベリオンの二人は周囲を飛び回って注意をなるべく惹きつけておくように指示。

挑発行為もしていますがネウロイが挑発に乗るほどの知性体なのでしょうかね。流石にしつこくとびまわられたら迷惑なのかさっきとは違いちょっとだけ攻撃リソースをウィッチに向けてくれました。

ではこのネウロイ唯一の死角となる胴体真後ろの上方に移動します。

 

Fw190の性能のおかげで楽に背後上方へ移動できました。

ではここから急速接近です。

僚機が警告しましたが無視です。では残り距離が40mのところでブレーキ。

ダイブしながらシールドを展開。シールド同士が接触したら迷わず銃をシールドに当てて射撃します。

ゼロ距離射撃気持ちいいいい。

流石に20ミリでもなかなか貫通しません。ですが同じ場所に何発も当てればいずれは貫通します。

10発叩き込んでようやくシールド割れました。では本体を攻撃します。

周囲からビームが殺到しますがいくつかはリベリオンの二人がシールドで防いでくれました。

では僚機と一緒にシールドの内側に入り込みます。

シールド持ちもベルリンの個体もコアの位置は変わりません。

 

容赦などせずマガジン使い切るつもりでゼロ距離射撃に徹します。そうじゃないと特大ビーム発射までにコアを破壊できません。

当然こっちもビームの追撃で多少ダメージを受けましたが誤差です。

でも弾が切れるまでにコアを撃破できそうにないのでここは僚機ちゃんに代わって…あ?何君も弾切れ?

お、ミッチェルさんお願いします。ここですここ‼︎

あ、ナイフ投擲……そうきましたか。まあコアが壊せればなんでもいいや。

 

……ようやくコアが破壊できました。

ネウロイが消失したので次のお相手を探します。

まだ時間は余っているのですからスコアくらい稼がせろや。

 

他の大型ネウロイは他のウィッチに任せるとして…こっちはおこぼれでも狙いましょうか。

 

かなり中型と小型が残っているようですからね。

リボルバーキャノンの錆となれ。

戦闘機を狙うネウロイを真横から攻撃しつつ他の敵もボコボコにしていきます。うん順調順調。

お、あんな固まって飛んでたらただの的の塊じゃないですか。

ちょうど位置的にも背後から……

 

あ、この個体後ろに攻撃できて……ああああやっばあぶなっ!危うく撃墜されるところでした。

パニックになって下に降下したので体力赤で止まってくれました。

危うくガバるところでした。これで落ちようものならリセなんてレベルじゃないですよ。

とまあ体力赤のハプニングがありましたがこの後順調に敵ネウロイを片っ端から落として(僚機が)くれたので経験値がかなり美味しいことになりました。

 

時間もタイムアップしたので帰路に就きます。当然カットです。

なんか燃料漏れの描写がありましたがカットすると全部自動で着陸まで持っていってくれるので特に気にする必要はありません。

 

 

視界が赤く染まっていますね。あー出血しているようです。手もヌルヌルしています。

うん、とりあえずよしっと……はいただいまーってなんですかそのストレッチャーは。え?怪我してるんだから?いやちょっと待って…こんなの聞いてないから!ストップ!ストップですよおおおお!

自分で行くからいいよ。

あーなんでこうなる。

数分で回復して終わりの怪我じゃん。

 

結局ただの怪我なので医療ウィッチに回復してもらおうと思ったのですが医療ウィッチがダウンしちゃっているらしいので包帯と止血されて医務室を追い出されました。

まあゲーム時間で1時間ほどかかっていますけど。誤差だよ誤差(ガバの足音)

 

それでミーナさんとラルさん?なんでそんな黒い笑顔浮かべているんですか?ユニットは燃料タンクが一個穴空いただけじゃないですか!

え?二日間は飛行停止?

それはまずいっすよ二日後には撤退イベントがあるんですから。

えーまあ飛行停止でも飛べるんですが命令違反はデバフがつくんですよ。

まあいいか。タイム的には今のところいい感じになっているのでこのまま行きましょう。というわけで今回はここまでですご視聴ありがとうございました‼︎




fw190c-1フォッケウルフ
試作高高度戦闘機

フォッケウルフ社によって23機製造された実戦試験戦闘機。
ベルリン空襲において現れた大型ネウロイ迎撃時の教訓より高高度性能と離陸後の上昇能力を強化したユニットの開発が急がれ開発されたのがこの機体である。
Fw190A型をベースとし、高高度性能を上げるためBMW801エンジンをベースに高高度でのエンジン性能低下を最低限とするため二段二速式過給機を搭載し8800mで1600馬力、実用最高高度10800mで1510馬力を絞り出している。
しかし高度8000m以上で空戦機動を行う場合エンジンストールが頻発する他、エンジンのオイル漏れが頻発しオクタン価の低い燃料では所定の出力の7割へ落ちてしまうことから開発は終了。そのデータはTa152の開発へ受け継がれた。


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???10

あの子のことか?もちろん知っている。

 

臆病な子だった。いや良い意味での臆病だ。

戦場という狂気が支配する世界では臆病な方が良い。危機意識が高く常に危険を取り除こうとする能力が育ちやすいからだ。

 

統合戦闘団結成時には是非とも502にほしくて引っ張ってこようとしたのだが、ミーナに取られてしまっていたし今になってもまだ別格だ。まあその見返りにいくつか物資の融通を利かせてくれたようだが……あの程度で彼女が釣り合うと思っているのだろうかな。

 

おっと、今のはオフレコで頼むよ。

あまり知らない方が身のためだ。

 

それで彼女のことだろう?言ってはあれだがあまり好かれてはいなかったな。それに私はバルバロッサ、彼女はタイフーン。それ以降は会っていない。……その話はミーナに聞いた方がいいさ。

船?空母グラーフか……いや知っているさ。忘れたくてもあれは忘れられそうにない。

それに、彼女をようやく知ることができた時だからな。

 

 

 

 

1940年末

 

私達はキール港からノイエカールスラントへ避難をする一般人を守るためにキース港に設けられた臨時飛行場にいた。

既にキール港と前線までの距離は40kmを切っていた。

その上投入できる航空機はほぼ尽きていた。正直言ってジリ貧に近い状態だった。

自国の船では到底間に合わないからリベリオンや扶桑からも客船や貨物船を回してもらってなんとか一般人だけは脱出が間に合いそうだった。

ウィッチに関しては……私を含めて10人。そのうち6人は徴兵でとりあえずまっすぐ飛ばすことができる程度でしかない状態で回されてきていた新米も良いところだった。

彼女と会ったのはそんな時だった。

前線で取り残された部隊を随伴しつつ、キール港にやってきた。

久しぶりに見た彼女はすでにやつれていた。それでも目に宿る闘志だけは健在だった。

だがタイミングが悪かったとしか言いようがなかった。

 

「船団護衛⁈何を馬鹿な事を……」

真っ先に怒鳴ったのはロミルダだった。ハルは終始黙って私の話を聞いていた。

「上からの命令だ。民間人を乗せた最後の船団。それを安全圏まで脱出させた後はブリタニア経由でダイナモ作戦の支援に当たるのだそうだ」

キールにはもう戻らない。それは航空ウィッチによる制空支援が無くなることを意味していた。

「そんなッ……なら前線にいる兵士は……」

残念だが彼女達が連れてきた兵も戦線死守のために駆り出されることになった。例外は負傷者くらいだろう。

「戦艦を中心とした部隊が沿岸付近からネウロイの増援を叩く。おそらく数日も保たないだろうがネウロイの攻撃が薄くなるその隙に脱出させるそうだ。方法は……聞かされていない」

そのためになるべく多くの武器と弾薬、食料は残していくつもりのようだ。

「そんな希望的観測……いくら陸戦ウィッチがいると言っても制空権は」

一番食い下がってきたのはロミルダだったな。

「……分かりました」

 

「ハル⁈」

 

「ネウロイは傾向として人が密集している場所を優先して攻撃する習性がある。もしかしたら前線じゃなくて艦隊や輸送船団に注意が引くかもしれない」

 

「そうだけど……」

 

「そうですよね。ラル中尉」

彼女は笑っていた。それが妙に印象に残っている。多忙でその時に何を考えていたかは忘れてしまったがな。

「……そう願っている」

正直反論されると思っていた私は肩透かしを食らった。あの判断もまた臆病ゆえのものなのかもしれない。

 

 

 

 

輸送艦隊は空母2隻を基幹としていたが実際に航空隊が配備され戦力としてカウントできる存在というのは結局のところ空母エッケナーのみ。

その上航空隊に関しても空母で訓練をしていたのは一週間ほどの者が多く機体の脚が着艦時に折れる事故が頻発していたから着艦訓練もまともにやっていない人達ばかりだった。

つまり一度の戦闘でほぼ艦載機は使い捨てに近い。頼みの綱はウィッチのみだった。そのウィッチも半分以上がまともに戦えない新米と来た。

本来であれば扶桑から派遣された空母がいたがそれも海軍の作戦に組み込まれていた。

当然ウィッチもそっちに引き抜かれていたさ。

今でこそあの作戦は囮と言われているが、どうやら第二次大戦序盤の陸空軍の活動に焦った各国の海軍……艦隊派と呼ばれる奴らが企画したものでね。

ああここもオフレコで頼むよ。

カールスラントは艦隊派が海軍では幅を利かせているからね。

あいつらビスマルク級以降の戦艦建造が白紙になった事を未だに根に持っているんだ。H級の建造が始動したのだからもう十分だと思うのだがな……

 

 

 

 

幸か不幸か出港して1時間ほどでネウロイが現れた。

その時私達はすでに空の上にいた。いつ襲ってくるかわからない相手だ。常に空にはウィッチを上げておくことになっていてね。

大型ネウロイは含まれていなかったがそれでも数で押されたらたまったものじゃないよ。いくらなんでも一度に相手にできる数には限界がある。

 

それでも私とハルはよくやった方だと思いたいね。自慢じゃないけど。

それでも被害を防ぐことはできなかった。

何度もネウロイを叩き落とし続けたが、40体近いネウロイを相手するのは不可能だった。とりこぼれたうちの2体が輪形陣に入り込んだ。

『ヘルマン・キュネン大破!戦列を離れる!』

『Z31、被弾!航行不能!』

 

ビームの直撃を受けた2隻の駆逐艦が海上で松明となって燃えていた。ネウロイはそのまま突き進もうとする。先に追いついたのはハルだった。

リベリオン国籍の客船にまっすぐ向かっていたネウロイ2体をあっさりと撃破、速度を乗せたまま急上昇で戻ってきた。簡単なことのように思えるがそれを僅か数秒の合間にできるというのはなかなか居ない。

一歩間違えれば船に衝突していたかも知れないものだからな。

だけれど素直に感心している場合ではなかった。

 

第二波が接近して来ていた。

輪形陣の左側を担当していた駆逐艦2隻が被害を受け一隻は既に甲板が海面に沈みつつあった。その分だけ輪形陣には穴が空き、そこを狙われると最後の砦である艦隊防御すら突破されることになる。特に船団の真ん中にいるのは非武装の旅客船や貨物船だ。

「ボスコート3、4を連れて艦隊右舷へ回れ。こちらはこのまま左舷側を受け持つ。ボスコート2、私に続け」

 

『ボスコート3、了解』

厳しい戦いだったな。それでも向こうは二手に分かれてくれていたから穴の空いた輪形陣を突破されるということにはならなかった。

 

 

ハルの方がどのような戦いをしていたのかは見れなかったが、話を聞く限りまた無茶な動きをしたらしい。鼻血は相変わらずだった。

 

だが新たに軽巡一隻が中破し、駆逐艦1隻がマストを破損した。

戦果?ハルが中型10体撃破で通算100機撃墜を達成したというくらいだ。ちなみに私は8体192体目だ。

 

だが戦闘はその2回で終わった。

日が傾くと奴らは現れなくなり、私達は空母に降りた。

その後格納庫で一悶着あったおかげか、戦闘後の反省会を開くことはできず、ハルの容体を気にしておけとだいぶ前に言われていたことを思い出した頃にはハルの姿は格納庫になかった。

 

 

まあその後少しだけ顔を合わせはしたが少々あってね。ああ気にしないでくれ。ちょっとお使いを手伝ってもらっただけさ。

どうもユニットや武装の調子が悪くなるようでね。代用品を飛行隊長から譲り受けたのさ。

 

そんな感じでてんやわんやしているうちに夜になってしまってね。ハルと話をすることができたのは大体20時少し過ぎだったな。

赤い蛍光灯と揺れる船内の空気が嫌だったから船外に出ていた。

 

キャットウォークに彼女は立っていた。

灯火管制をしているせいか真っ暗だった。それでも彼女の様子がどこかおかしいのはすぐにわかった。

 

「ハル、どうした?」

彼女の顔は真っ青だった。息もどこか上がっていた。

 

「作戦行動中だった連合海軍が壊滅したって……」

 

「……そう、か」

頭を殴られたような衝撃だった。だがそれをどこか納得してしまって、冷めた感情を抱いている私もいた。

「あまり言いふらさない方がいい。士気に関わる」

「わかってますけど、港であったリベリオンの戦艦の人たちやお菓子をくれた扶桑海軍ウィッチの人達は……」

「言うだけ辛くなるだけだ。それに……無事で……」

空気を切り裂く音がして床が左右にスライドした。

不意のことで踏ん張りが利かず、私もハルもキャットウォークの床に叩きつけられた。

不意に闇が明るくなった。

 

「左舷に被弾‼︎」

頭の上の方で声が聞こえて、見上げると艦橋要員が何人も見張りデッキに出ていた。

「ダメコン急げ!」

 

確かあの時のダメージは艦後方の格納庫外壁が溶解したんだったな。格納庫火災で機体とユニットが六機全損したのが最も深刻な被害だ。

 

「一体何が……」

 

昼間のように周囲が明るくなっていた。夜に慣れた目には眩しいくらいだ。

キャットウォークから見えたそれはエッケナーの後方に位置するグラーフが炎上しているものだった。

私達が見ている目の前でさらに赤いビームがグラーフの船体に吸い込まれ、爆発を起こしているのが見えた。明らかにネウロイの攻撃だったさ。だがどこからきているのかまでは分からなかった。

「グラーフがっ!」

 

「格納庫へ行け!私は飛行隊長を連れてくる」

 

 

 

 

 

整備中のユニットなども火災によって引き出すことができない状態だったが、なんとか警戒体制で準備されていたユニットは無事だった。

武装を飛行甲板で受け取り空に上がったが、その頃にはネウロイの姿は闇に紛れて消えていた。時間にして6分。だが遅すぎたのさ。

 

「ネウロイはっ⁈」

後から上がってきたハルとロミルダが合流するが、すでに戦う相手はネウロイから変わっていた。

「もういないらしい」

 

「グラーフはどうなっている?」

 

「右舷に傾斜。甲板は火の海だ。最後の通信では持って後30分と…」

行き足が止まったグラーフの船体は闇夜の海で不気味に赤く燃え上がっていた。

空にいるのに熱気が伝わってきたくらいだ。

「民間人救助にあたる……」

 

『こちらカールスラント海軍Z32。近隣の部隊並びに基地へ、当海域にて多数の民間人負傷者を確認、受け入れを求む』

近づいていた駆逐艦からボートと救命具が下ろされていく。

『こちらブリタニア空軍第3海上救難隊、我が基地に民間人の受け入れ準備あり。現在水上機を出した。到着まで40分』

 

『こちら扶桑海軍遣欧艦隊所属、第21輸送船団直掩空母龍驤。現在当該海域に向け艦載機を展開中。負傷者はこちらでも引き受ける』

 

何人かが傾斜が始まった甲板から海に飛び込んでいたが、それでも乗っている人数にしては異様に少なかった。

 

それに海に飛び込んだ者もかなりの数が再び浮いてくることはなかった。

冬の海の温度は1桁台だ。ネウロイの瘴気もごく微量ながら周囲に漂っている。

人間なんて10分もしないうちに低体温症か、水に入った時点で心臓発作を起こす可能性すらある。

一分一分が容赦なく人々の命を奪っていく。この空域にいるウィッチは数人。

人数も、時間も足りるものではなかった。

 

近くに駆逐艦がいたにもかかわらず救助できたのは民間人32名、乗組員15名。一万人近くが犠牲になった。

原因はネウロイの攻撃が格納庫を直撃したことだ。

避難民の大多数がいたところを直撃されたのだからどうしようも無い。その上30分という短時間のうちに沈没したこともある。早々に発電機がやられ電力が落ちたことで排水ポンプも消火装備も動かず必要な灯すら保てない……想像したくなかったな。

最初のうちは甲板に逃げ延びた人達を直接回収していたが、それも炎と煙で不可能になった。

ああ、ハルは最後の方は遺体を引き連れてきていたな……

さっきまでまだ生きていたって。……諦めろと言えるはずないだろう?

さっきまで生きていたはずの人達が物言わぬ存在になってしまうのを黙って受け入れろなんて。

 

結局、いつのまにか遺体回収になっていたがそれも沈没から1時間で中断。足早にその場を立ち去ったのさ。

その後も行方不明者リストを見ては黙って泣いている姿を見かけたよ。

だけどそんなの珍しくもなんともない。

欧州からの撤退での民間犠牲者は3100万人に上る。

あれも結局は氷山の一角なのさ。

 

 

あの時のことを引きずっていたのか、ブリタニアで少し気を休めさせようとしてロンドン観光に引き連れたんだが食事をするまであまり乗り気ではなかったな。

だがフィッシュアンドチップスやウナギゼリーが好きだなんて知らなかった。

あまり美味しいとは思えないぞあれ。

油でベトベトだしなんかふやふやしてたし。

 

 




H43型戦艦

ノイエカールスラントにおいて建造中の超弩級戦艦。
改ビスマルク級と呼ばれているが実際はシャルンホルスト級を大型化させた船体に15インチ三連装砲を三基乗せる改シャルンホルストとも呼べる船である。
諸元は一切不明であり1943年の就役までその姿は秘匿され続けていた。

ブリタニア海軍第3海上救難隊

扶桑国の二式飛行艇をライセンス生産したショート サンダーバードを有する海上救難隊。
飛行艇の他足の速い捜索機として水上偵察機が多数配備されている。


扶桑国海軍第21輸送船団

輸送船4隻、貨物船1隻、駆逐艦8隻、軽巡洋艦2隻、軽空母1隻で構成された臨時輸送船団。
欧州本土より極秘貨物を積載し扶桑国への帰路についていた。
旗艦龍驤には艦載機として海軍仕様のヘリコプターが搭載されていた。
救助に出たのはこの機体。


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part20 欧州撤退戦12

グダグダしている暇はないRTAはーじまーるよー‼︎

 

早すぎる撤退速度に避難のペースが全くあっていない地獄っぷりよ。

ですがこちらは飛行停止処分のためしばらく空に上がることはできません。

 

黙ってみているだけなんてと思いますが正直包帯ぐるぐる巻きじゃどうしようもないです。というわけで不貞寝をしていたのですが真夜中に起きてしまったようですね。

この時間に起きたということはミニイベントだな。

 

 

怪我をしている状態のままにしておくと発生する『痛くて寝つけません』が発生しました。痛覚をオンにしている皆様ご注意くださいませ。鈍痛が襲ってきます。いやもう襲ってきていたわ。

 

この場合の解決方法は一つ。医務室で鎮痛剤をもらうか夜風に当たるかです。

これ結構走者にも鈍痛で襲ってくる(痛覚を切っているけど動きや感覚の鈍さという違和感)ので手っ取り早く痛みを引かせるのであれば鎮痛剤となります。ただし鎮痛剤はかなりの依存性と副作用の幻覚が発生するので多用すると廃人になります。

まあ一回くらいええやろ……ん?そういえば……

あ、そうだ(閃き)

ちょっとだけチャートを変更して寄り道します(唐突)

まあロスしたって十数秒くらいだし誤差だよ誤差。

イベントの合間は外に出る扉か医務室の扉以外開けることは出来ないのですが、ステージ自体は昼間と共用のため各部屋が作り込まれています。

これを利用します。

扉の前でホームボタンを押してそれを戻す。これを行うことでハルを壁の外に押し出して……はい、司令部のお部屋に入ることができました。

 

ここで行うことは机から書類を引き出して一読しておきます。

どうせ後でやる必要があったわけですから今のうちにやっておくのが正解です。これで最終ルートのフラグを一つ回収しました。後二つほど必要になりますがまあそれは501が設立されてからなので今は必要ありません。

 

 

というわけで後は医務室で鎮痛剤を寄越せやオラします。

え?鎮痛剤がないだと……

ええなんだそりゃふざけんな!すっぞこら!

夜風を浴びるなんて時間かかるんじゃい‼︎えー……ないというなら仕方がねえ。とりあえず外につながる扉を開けて……すぐ戻る。

それじゃあ寝ますおやすみなさい‼︎

 

 

はいおはようございます!今日もいい朝ですねえ。曇り空ですが……

えー前回壊したFw190ユニットの修理が終わりました。

ただし予備部品があまりないので2回ほど修理を行うと修理不可能となってしまいます。気をつけて行かなければ(棒)

では今回のお仕事ですが、部屋で休んでいろとミーナ直々に言われてしまいます。

しかし、そんなことを言っている場合じゃないのがこの戦場。

基地の近くまで戦場が迫ってきているためか朝から忙しく皆さん出撃しては帰ってくるの繰り返しです。

 

それを眺めていろなんてねえ……まあ眺めているんですけど。

 

というわけで今回は厄災のようなネウロイの群れが出現します。

情報を得るために無線室に向かいます。

ここの建物かなり壁が薄いのと洞窟構造ゆえに声が響くのでかなりの情報を得ることができます。

 

 

空の状況が芳しく無い事が知れたらすぐに格納庫へ向かいます。

途中医療ウィッチを見つけたので治療しろと脅します。

ふーん…応急処置ねえ。まあ包帯が解けるならいいや。

 

では格納庫です。帰還したウィッチ、これから出撃する戦闘機とウィッチの作業が同時進行してかなり混乱しています。

 

お、扶桑のウィッチやん。ちーっす、今から君は僚機ね。

いつもの子は空に上がっているみたいだし。

それにしてもピンク髪って本当に扶桑のウィッチなんですか?

いやまあ扶桑のウィッチって出ているので扶桑のウィッチなんだろうけど……まあいいか。ピンクの方が目立つからね。

 

そんじゃあ出撃準備して……

飛行許可が下りていない?知らんわ。そっちで出せ管制塔。

お、ピンクちゃんが取ってくれました。

それじゃあ離陸します。

クリアードフォーテイクオフ。

 

離陸直後に滑走路に向かって幾つかのビームが飛んでくるので回避しましょう。

この場合はエルロンロールで真横に移動するのが賢明です。後は射程内にネウロイが来たところで攻撃しておきます。

すれ違い攻撃ですが今回はちゃんと当たったようです。時々無傷ですり抜けられる時があるのでね。

では上昇していきますが今回の戦闘は高くても高度5000前後でしか飛びません。なのでこのユニットの性能も持て余し気味です。まあそれでも加速力と上昇性に関してはかなりあるのでそこまで不利ということはありませんが……後ろのピンクちゃんが履いているユニットは零式なので旋回能力が全くこっちと噛み合いません。数段向こうが小回りが利きます。

まあ臨時編成だからそこは技量で誤魔化しましょうか。

 

 

とりあえず基地に向かってくるネウロイを落としていきます。

 

 

上昇能力が桁違いだから下からの突き上げです。下って意外と死角になりやすいんですよね。なのでこうすれば……ってピンクちゃんその20ミリしょんべん弾じゃないですかやだー。

うーん……まあいいか。とりあえず当てることはできているみたいですし。

では後ろから追いかけてきたネウロイをブレイクします。

固有魔法を発動させて体を縛るGを一時的に落とします。

足を一気に前に引き出してユニットの推進力を体の進む向きとは逆方向に向けます。

一気にブレーキをかけながら体を倒して一瞬だけ後ろを向き、背後から来ているネウロイを攻撃します。ピンクちゃんはオーバーシュートしましたが咄嗟に左旋回で射線から逃げてくれました。

空いた隙間にオーバーシュートした残り2機のネウロイが入り込んできます。

体を戻しながらそっちもささっと撃滅しちゃいましょう。

では固有魔法解除。速度が若干落ちましたがすぐに加速します。

ピンクちゃんは…どうやら私が攻撃している合間に横槍を入れてこようとしていたネウロイを撃破していたようです。なかなかやりますねえ。

でもまだ記念すべき2機目見たいです。意外なことにエースじゃなかったらしい。

 

次の相手を探しながら一旦上昇して……お、いたいた。低空をかなりの速度で基地に向かっていますね。時々ものすごい機動で飛び回って射撃の機会を与えないようにしているあたりかなり悪賢いですね。

ですがパターンが決まっているので大して怖くありません。緩降下しつつ予測位置に向かって弾幕を作っておけば、ご覧のように自分から弾幕に飛び込んで自滅していきます。

この辺りはピンクちゃんの方がうまいですね。なんだこいつニュータイプか?

いやあの天パと一緒にしちゃダメだ。

 

それに微妙に撃墜できていなくてダメージ負ったネウロイが戻って行っているようです。まあ撃墜ってなかなか難しいのよね。

こんな感じで基地防衛を勝手にやっているわけですが、無線はうるさいので切っておりましたが離陸から4分経ったのでスイッチを入れますの。

すると基地の方から撤退を知らせる暗号無線が全周波で発せられているのでしっかり聞きましょう。

残念ですが基地放棄となりました。

ここでミッション変更です。

防衛限界点に達したため前線を一斉に後退させる当初の計画が二日ほど早められた模様です。

 

というわけで……基地から人がいなくなるまで防衛しろということですが正直もうむりです。

まあ特段守れというミッションは課せられていないので目標のネウロイ4機を倒したら戦闘終了です。

基地がいくら爆撃されていようとお構いなしでダンケルクへ避難します。

 

 

 

あまり距離が離れているわけではないのですぐに到着しました。綺麗な街並みと思いたいですが爆撃の跡が所々にある上に長距離曲射砲がすでに射撃を開始しています。なんだこの地獄。

ちなみにダイナモ作戦の最後の方では輸送船団が出港した直後にネウロイが沿岸部にやってくるとかいうかなり際どいところで撤退を成功させた沿岸だったりします。それにしてもネウロイはドーバー海峡すら越えられないというのはなかなかおかしな話ですねえ。

 

ではダンケルクに設置されたウィッチ専用の臨時基地に入ります。

ウィッチ専用なので滑走路は1車線の道路のようなものでしかなくかなり狭いです。それに滑走路長もかなり短く飛行機は降りることが不可能です。

ここの基地には先に出撃していたハルトマンやミーナなどがすでに居ます。

ちなみに予定にない着陸なのでまた管制員にどやされましたがピンクちゃんに全部任せます。うちは飛行停止処分の身だからね。

 

はいでは着陸です。ちょっと視界がぼやけましたが問題はありません。

 

負傷しているはずのうちらが飛んでいるのが気になったようですねえ。

とりあえず怪我していない(外見だけ)ので無断出撃でとやかく言われますがそこまで深くは話さないのですぐに戻ります。そんで寝ます。

今は眠って体力を回復するんや。

(ゲージ中あたり)

どうせ医療ウィッチはまだ到着してへんしな。

あれがこっちに戻ってくるのは10時間後です。陸路って大変やなあ。

 

 

 

おはようございます……えー…なぜか医務室に運ばれました。

どうやら寝ている合間に見た目だけ直した傷が開いたり内出血したらしくピンク髪といつもの僚機が有無を言わさず連行したようです。

いやピンク髪はなに嘔吐しているんですか血に弱いのかい。

とりあえず医療ウィッチは到着していたようなのですぐに全回復させてくれました。

ちなみにピンクちゃんですが、どうやらうちの隊で預かることになりました(予定通り)

どうやら扶桑國の方の部隊が壊滅してしまったようで彼女一人を持て余すわけにもいかないということらしいです。なんや柔軟やなと思ったらどうやらお払い箱らしい。まあそういう日もあるよ。

ちなみにこのイベントは実は撤退戦途中で先程イベントフラグを回収したために追加で発生するイベントとなっています。ちなみに好感度設定は僚機ちゃんと一緒で備わっていないのでモブ扱いです。

 

というわけで変則的な三人小隊になりました。

今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。




フォン・リヒトフォーヘン級航空母艦

カールスラント海軍
全長310m 全幅57m 総排水量52045t
最大速力31kt
搭載艦載機数50〜70機

兵装
SK C/33 10.5cm連装高角砲6基、
C/38 2cm四連装機関砲6基、同単装機関砲12基


カールスラント海軍が初めて一から設計、建造した正規空母。
既存のどの海軍の航空母艦とも違う独特な船体形状ながらその後の空母のスタンダードとなったまさしくカールスラントの科学力は世界一と言える存在の一つである。
艦首を空母エッケナーで実績を積んだハリケーンバウとし、船内面積を確保しているほか飛行甲板をギリギリまで延長している。
エレベーターは艦橋構造物後方にサイドデッキエレベーターを一機、また艦中央に通常エレベーターを一機の計二機としている。
格納庫は一段とし艦載機の大型化を視野に入れて天井高を高くとっている。そのため1980年代まで現役航空母艦として活動することが可能であった。

戦時設計のため航空要員待機室が燃料タンクに挟まれていたり直線を多用したため船体のエネルギーロスが大きい、甲板の装甲化が行われていないなどの問題はあったがカールスラントでは数少ない洋上の航空基地として活躍しており兵からの評価も概ね高い船だった。


ピンク髪の扶桑海軍ウィッチ
烏李芽 真由美(うりめ まゆみ)少尉
連合軍クロウ隊三番機
(空母祥鳳飛行隊)


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???11

待たせたな(cv大塚)


「え?えっと……移動ですか?」

もう空を飛ぶのはしばらく無いと思っていた。だけど空に上がるのは意外と早かった。

扶桑国海軍欧州派遣団の航空隊長をしているおじさんは私に転属命令書を突きつけてきた。

その隣にはブリタニア空軍の偉い人もいた。

猪と熊を組み合わせたような獰猛で毛深い顔だって言ったら航空隊長からめちゃめちゃ怒られたから印象によく残っている。

「そうだ。戦力の再編と再配置の結果だ」

そう言って転換地を伝えてきた航空隊長(名前が難しいからおっさん呼びしてたらすっかり名前を忘れた)に思わず聞き返す羽目になった。

なんで僕が激戦地に……

「その〜理由を聞いても?」

 

 

「君が空母の生き残りで最も腕が上だからだ」

あの海戦で2機撃墜しただけだよね?いや記念すべき初戦果を評価してくれたのは嬉しいけどさ。

まだ入隊して1年経ってないよ?6ヶ月の短期訓練とさっき士官教育をさっと受けただけなんだけど……

扶桑国の人事は能無しなのかな?あるいは蟹味噌が入ってるんじゃないかな。

「いやそれは僕より上手い人が……」

 

「残念だがカールスラント空軍からも国籍を問わず『早急に』ウィッチの増援を要請されていてね。本国からの補給船も希望峰経由では時間がかかる」

どうやら拒否権はないみたいだ。

「わかりました……ああ病みそう」

 

「胃薬くらいは仕送りしてやろう」

なんだい偉そうに。いや実際えらいんだけどそうじゃない。

「要らないよ。せめて林檎だよ」

元々僕は国防に焦がれて入ったはずなのにどうして欧州に派遣されたんだっけ。扶桑食が恋しい。

「諦めてくれ」

 

ブリタニアから取り寄せてやる。そう思ったけどブリタニアの林檎の多くはもともと食用じゃないやつだったから食べるのには向かないらしい。

 

ロンドンの郊外に設けられた扶桑海軍作戦指揮所を出ると、天気は珍しく晴れになっていた。曇っているか雨が降っているかの二択ばかりだった天気にも気まぐれに微笑むことがあるようだ。

 

 

 

 

 

 

数日後僕は海峡を渡って欧州本土の土を踏んでいた。

避難する人を乗せるために本土方面に回送されていた輸送船に便乗してやってきた港は避難する人たちで溢れかえっていた。

そこからトラックに乗り換えて揺られること2時間。かなり沿岸から近い位置にその飛行場はあった。いや見た目にはただの丘のようにしか見えない。木に偽装した無線アンテナ群とレーダーユニットが小さく纏まっているところを見れば小さなレーダー監視設備のようにも見えなくはないけど。

決められた位置にトラックを止めていると、トラックの周囲の地面ごと地下に向かって降り始めた。貨物エレベーターもこうして偽装されていると本当にわからない。

「なんかモグラになった気分……」

 

滑走路の先端以外を地下に埋没させた巨大な基地は、まるでモグラか、昔やっていたリベリオンの映画に出てくる悪の組織の秘密基地のようなものに思えた。

エレベーターが降下をやめてトラックは再び動き出した。

少し走って幾つかの隔壁を通り過ぎて、格納庫のような区画にトラックは止まった。

 

どこか閑散としていて、でもストライカーユニットや戦闘機、各種部品はたくさん揃っていた。

それはガリアだけでなく扶桑のものやオストマルク、珍しいところではダキアの国籍マークをつけているものもあった。

 

 

 

空襲警報が鳴り響いた。

同時に格納庫区画に整備員やウィッチ達が駆けつけてきてはさっきまでのどこか閑散とした雰囲気を全部吹き飛ばした。

到着したトラックの運転手はともかく飛び降りて待避壕に駆け出していた。

「うわわっ‼︎」

トラックのそばでどうしたらいいか悩んでいると、航空隊長の腕章をつけた人が出てきた。すぐにそばに駆けつけて事情を説明するも何にも聞いてもらえない。とりあえず扶桑からの援軍としか聞いてもらえなかった。いやまあそれだけわかってくれればいいんだろうけどさ。

「えっと……僕はどうすれば……」

 

「時間がない!格納庫で待ってろ!」

 

「はいい‼︎」

勢いに押されて返事をしてしまったけど本当にどうすればいいんだ‼︎

 

近くでは医療ウィッチが包帯を巻かれた幼いウィッチを手当てしていた。

聞こえてくる言語はカールスラント語。何を言っているのかさっぱりわからない。だけど僕よりも二、三歳年下でまだ11歳とかそのくらいのように見えた。

 

 

「貴女、扶桑の?」

ふと手当てが終わったその子と目があった。少女が近づいてくる。肩に付けられた階級章は少尉。僕と一応同じ階級だった。

「えっと……待ってろって言われてさ。きたばかりなのにあの天パなんなんだよもう」

必死に覚えたブリタニア語で現状を説明していくとどこか納得した表情の少女がブリタニア語で返してくれた。

「ちょうど良かった。ユニットはある?」

 

「そこの車両に載せたままだけど……」

到着した時のまま未だ荷下ろしされない僕のユニットを指差し。一応自力で下ろすこともできるけど勝手に下ろしたら怒られる。

「各種準備は?」

 

「最前線に行くからって出発前に戦闘が可能なように整備はしてはあるけど……あ、燃料は入れてないよ」

そもそも陸送時に燃料を入れっぱなしにしてたら万が一の時危ないじゃん。

「ならそこに燃料給油ホースがあるからそれを使って。一緒に出るよ」

 

「出るって…さっき怪我治してもらってたんじゃないの⁈」

怪我直後に再び出るなんてどんな神経をしているんだ!

「治したから出るよ。僚機がちょうど居ないからさ」

そういう問題じゃないんだけど。っていうかまだ着いたばかり……いやまあ戦いにきたのは確かなんだけど……でもここまできてこんな穴で待っているのも嫌だなあ。ああ病む。

「うう、わかったよ」

 

「なら準備!」

 

幸い武器弾薬も一緒に持ってきていたから二、三回の出撃程度なら弾切れの心配はない。ユニットの予備部品が少なかったけどまあ大丈夫なはず。

そんなわけだったから僕は無断で装備を引き出すことに抵抗が弱かった。

 

 

まるでハンガー格納庫をいくつもつなげたかのようなドーム状の薄暗い天井を持つ滑走路端に出ると、管制室からの無線がうるさくなった。

だけど何を言っているのかいまいち聞き取れない。

「なんて言っているの?」

 

「発進許可が下りてないって」

 

 

「え⁈出てないの⁈どうするのさ!」

てっきり出ているのかと思っていたのに。じゃあ僕たち軍務規定に反してる⁈無断出撃ってそれはそれで服務規程違反なんじゃ…どうしよう!

「落ち着いて。貴女の名前は?」

 

「僕は烏李芽 真由美」

思わず答えちゃった。

それを聞いた少女は管制官と何かやりとりしたのちに、急にこっちに話を振ってきた。

「後の通信はお願い」

 

「……は?」

 

『…… Roger that。Ms.URIME Runway 45R, Line up and Wait.』

 

「あ、えっとラインアップアンドウェイト」

これでいいんだよ?なんかよくわからないんだけど……たしかに私の名前だったから反応しちゃったけど。

『Ms.URIME.Wind 120at 6Cleared for take-off. Runway 45R』

またきた。だからなんなんだこれ。えっと確か離陸オッケーってことだっけ?

「くりあーどふぉーでいくおふ!」

とりあえず復唱する。少し遅れて少女のユニット音が大きくなった。僕もそれに続いた。

「……最初から思ってたけどすごくカタコト」

 

「仕方がないじゃん!ブリタニア語なんてこっちに来るまでの間に船でやっただけだもん!」

そもそも僕はオラーシャ語の方が得意だ‼︎

祖母がオラーシャの出身だから。

「それに管制は基本扶桑語だった…」

まあ管制を受けたのは空母祥鳳と訓練空母鳳翔と扶桑国の航空管制だけなんだけど。

「じゃあ私も扶桑語で話す?」

その時には既に少女は流暢な扶桑語で話していた。喋れたのか。

「できるなら最初に言ってよ!」

 

「だって頑張ってブリタニア語で会話してたから」

ひどい話だ‼︎まあいいや気持ちを切り替えよう。もうすぐ空戦領域なんだし……

「そういえば名前を聞いていなかった……君は?」

 

「私は…ハル。アントナー・S・ハル。よろしくウリリメさん」

 

「リが一個多い」

 

「失礼噛みました」

 

「わざとでしょ」

 

「失礼かみまみた」

 

「わざとじゃない‼︎」

軽快な笑い声が無線越しに響いた。釣られて僕も笑っていた。

「気は解れたかな」

「解れたと思うよ美味しくないマシュポテト並みには」

 

 

 

「エンゲージ!」

同時にエンジン出力が一段上がった。

斜め前にいるハルについていくために無意識に出力を上げていた。

「敵の数は6、少ないけど格闘戦型だから注意」

正面からまっすぐ突っ込んでくる黒いゴマ粒のようなものが見えた。

真っ赤な熱線が飛んでくるのを予期してしまってシールドを展開した。少し遅れてシールドにいくつもの衝撃と熱が走った。なんとかシールドは持ち堪えてくれて、ネウロイの群れを通過していた。

ハルはその間にも何体かのネウロイを撃破していた。

反転する彼女に合わせて僕も旋回すれば、ちょうどネウロイの後ろに来ていた。何体かは密集から離れて反転しようとしていたけれどまだ時間がかかるようだ。

「了解!」

やばいやばい緊張してきた。どうしようこれで落とせなかったら基地に向かっちゃうよね?また祥鳳みたいに……いやいや考えるな!今はそんなこと考えちゃダメだ‼︎

「落ち着いて狙って。落とせなくてもプレッシャーを与えればいい」

 

「わ、わかった!」

照準の先にネウロイの黒い姿が入り込んだ。

思わず引き金を引いた。反動で銃自体が暴れて狙いがうまく定まっているようには思えなかった。だけれど目の前にいたネウロイの姿が爆散した。

 

「お、落とした?やった!」

 

「喜ぶ前に次!」

 

「はい!」

弾倉には少しだけ弾が残っていたけれどすぐに換装する。

自分より小さいハルに指図されるのは最初こそ少しだけ気になったけど戦場の空気に触れているうちに気にならなくなっていった。

 

「距離が遠い!もっと間合いを詰めて。扶桑の20ミリはそんな距離じゃ当たらないよ」

 

「使ったことあるの?」

 

「一回だけ。こっちの20ミリと同じでかなり下に落ちるけど」

 

返事をする前に再びネウロイのビームが迫ってきた。今度は背後だった。

慌ててロールで回避していたけれど、ハルの姿が見えなくなって慌てて横を見ると、彼女はネウロイをオーバーシュートさせていた。

僕も追従できずにネウロイと一緒に前に出てしまう。射線が重なった気がして咄嗟に左下方へ反転降下。直後に僕がさっきまでいた位置を曳光弾がすり抜けていった。

文句を言おうとしたけれど、それより先に下からハルに向かってくるネウロイとバッタリ出くわしてしまって咄嗟に銃で殴り倒していた。記念すべき4機目だったけれど全く喜んでいる場合ではなかった。

「危ないじゃないか!」

 

「回避してくれると信じていたから」

ニヤリと笑っているけれどそんなに急に信頼されても……

「僕病むよ⁈」

残ったネウロイを追撃しながらも、いつのまにか軽口の応酬戦になっていた。

対空砲の間合いにネウロイを誘導して砲撃するのを繰り返していると、生き残っていたネウロイが基地から離れていく。その合間に失った高度と速度を回復しながら、周囲を警戒していると基地の滑走路から輸送機や爆撃機が何機も出てきた。

「何かあったのかな?」

 

無線はブリタニア語だけでなくカールスラント語やオラーシャ語、ロマーニャ語まで混ざって大混線になっていた。もう聞き取れやしない。それでも彼女は情報を正確に聞き出していた。ただ、すごく嫌な予感がした。こういう時だけそういう勘は当たるのだ。祥鳳の時だってそうだった。

「……ただいまの時刻をもって基地を放棄する。私達で最後の上空警戒をしてだって」

 

「え…それって殿?」

 

「そうだよ」

やけにあっさり言われた。

「むりむり!新米にいきなり殿って何考えているのさ!」

 

「でもまともに飛べるウィッチは今のところ私達だけだからやるんだよ!」

 

「でもっ…」

 

「文句言う前に手を動かせ!ここは戦場‼︎泣き言なんか死んでから言って!」

 

「死んだら言えないじゃん!ああもういいよ!やってやるよどうなっても知らないから!」

そもそも無断で出撃しているんだけどね‼︎やっぱり泣き言言いたいよ‼︎

 

 

「ネウロイ接近!左手!」

言ってる側から来た!前線を突破されているのか大量のネウロイが迫ってきていた。

 

無理に落とさないように弾幕を張ってと言われて咄嗟に弾幕を張るようにマガジンを一つ使い切った。20ミリの弾数はそんなに多くない。それでも彼女の指示は的確で、僕が展開した弾幕に突っ込んだネウロイが四散した。

よしこれで5機目‼︎

ゾワっと背中に悪寒が走った。少しだけ左に体を逸らした。同時にすぐ近くを通ったレーザーが予備弾倉一個を削り取った。少しずれていたら直撃していた……怖い。

 

あ、ハルは……

「うらああああッ‼︎」

完全に目を離している隙に彼女は何体もの群れを撃滅していた。

それはすごいというより無謀だった。だけれどそれをやってのける……そこに英雄を見た。

 

それでも攻勢は止められない。二人だけで戦っているせいで戦線の穴を突かれては基地の外壁に爆炎が上がる。

地下の巨大塹壕は少しなら持ち堪えられるだろうけれどそれも限度がある。

既に無人となった高射砲群が吹き飛び、レーダー塔が切断され瓦礫となって崩れていく。

滑走路先端は何発ものビームで削られていた。

 

「撤退は⁈」

 

「あと5分だって!」

 

「5分とかもう無理!病んでいいかな⁈」

弾も後弾倉一個だけ。正直もう無理‼︎

「弾がないなら剣があるでしょ‼︎」

確かに腰に刀をぶら下げてるけど刀の使い方なんて二日だけ剣道やっただけだもん‼︎

「こんなのただの飾りだよ!いやまあ使っているようなヤバい奴もいるけど……」

扶桑国のエース組は刀さえあればなんとかなるとか言ってるけどあれは例外だから。例外が多い気がするけど……

「なら使って!私のナイフは両方折れちゃってるから!」

 

シールドでビームを防いだ彼女が反撃で懐から出した拳銃まで使っていた。一瞬彼女の死角に潜り込んだネウロイと目があった気がした。そいつの顔みたいな模様が嗤ったきがした。

「ああもう!神様でも邪神でも祟り神でもいいから見捨てないで!」

彼女の真下に潜り込み刀を抜いた。

 

ネウロイが粉砕される感触は覚えていたけれどそれから先は無我夢中で覚えていない。

刀も途中で折れちゃっていて、気づけば半分ほどになったそれでネウロイを破壊していた。いや破壊はできてなかったかな。ちょっと行動不能な傷をつけただけだった。

 

ダンケルクに設けられた臨時飛行場に降り立った時には武装も燃料も尽きていた。

「お、終わった。生きてる!」

 

「生き残れたよ……」

 

やったねと言いたくて後ろにいたはずの彼女を抱きしめようとして、彼女の体に傷がいくつも出来ているのを見た。

まるで傷が治っていくのを逆再生にしているかのようだった。

「あ……まさか」

 

「応急処置だけじゃダメだったか……」

 

「担架!持ってきて……」

 

「そんな気にしなくていいのに」

ちなみに僕は盛大に吐いた。血はやっぱり無理。慣れるはずがないじゃん。

それで、違反行為も全部記事にしちゃうの?

うーんやめて欲しいんだけどなあ……いやさ、上官に怒られるから……

え?怒られるの嫌なのかって?当たり前じゃないか胃が痛いんだよ!

だからせめて匿名にしてほしいなあ。

 




航空母艦祥鳳

祥鳳型航空母艦一番艦
扶桑国海軍

全長204m全幅19m基準排水量14053t
機関出力52000shp
最大戦速28kt

兵装
八九式12.7センチ連装高角砲2基
九六式二十五粍機銃6基同連装機銃4機

航空兵力
ストライカーユニット20機 +補用7機
零式艦上戦闘機6機2個小隊 +補用2機、分解状態でさらに4機分

剣埼型潜水母艦剣埼として建造されのちに航空母艦へ改造された。
ワシントン海軍軍縮条約の影響を避けるため戦時体制で容易に空母への改装が可能なよう設計、建造された船舶のうち潜水母船であった剣崎が第二次ネウロイ大戦の勃発とともに改装され誕生したのが本艦である。
1939年7月準戦時工事が発令された事に伴い空母として改装が始まる。翌年1940年6月に航空母艦への改造工事が完了。祥鳳と改名され第三航空戦隊に編入された。
その後訓練を行いつつもすぐに欧州派遣艦隊に組み込まれる。
その際高角砲を2基おろし対空機銃を増設しているほか魚雷、航空爆弾の搭載室を撤去し格納庫内部を防火シャッターで区切る、ウィッチ含む女性士官の長期派遣を可能とするため男女別のシャワー室、トイレ、ストライカーユニット専用の整備設備を追加するなどの改装が加えられた。

バルト海海戦にて大型ネウロイの攻撃を受け艦首を損失。
第二射を艦中央に被弾し浸水による蒸気爆発により轟沈。
生存者23名他航空隊生存者若干名


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part21 結成第501JFW1

絶叫系RTAはーじまーるよー‼︎

 

今回で欧州撤退は最後となります。

長かった。非常に長かった。

 

 

えー前回の怪我も無理矢理回復させたので戦線復帰となります。

 

というわけで基地で怪我を治しているうちに(5分ほど)戦いがダンケルク市内戦になっています。

ここまで来たらもう次の一回が最後の避難船団になります。

民間人は最後の人たち(軍発表)

それと撤退する軍人を載せるだけ乗せていくということですがそれらが出港するまで上空で戦い続けろとの事です。

船団には民間漁船などの海を最低限渡れるような小型船舶までやってきています。中には徴収される前に船長の判断でわざわざ危険を顧みずやってきた船もあるようです。無線を聴いていると分かるみたいですよ。聞いてる余裕ないですがね。

 

では部隊編成ですが、バルクホルンが3人組に加わり四人小隊になりました。

私ハルトマンがよかった。でもこの時のハルトマンはまだスーパーエースじゃないので戦力的に微妙なところがありますけど彼女は医者の娘なので戦場での応急手当てが時々発生したりするんですよ。開放条件は2回戦場で負傷することと同じ隊所属で発生します。

まあ気持ち程度なのであってもなくてもいいんですけど。

 

ただ医務室に行く手間が省けるからあって欲しいんだよなあ。

まあいいや出撃です。

 

では部隊ですが……

バルクホルン隊長と二番機が私ことハル。三番機にいつもの僚機ちゃん。四番機にピンク髪です。一応ピンク髪はこの前の戦闘でエースになったっぽいです。ふーん、エースなんだ。

すこぶる僚機ちゃんとピンク髪の仲が良くないですね。あ、これ理想の違いだ。

既に最前にいるネウロイが市街地に突入し激しい市街戦によって建物が倒壊しています。

あ、バルクホルン怒ってる怒ってる。

そんじゃエンゲージ。

一番機ポジが取れていないのであれですが実際には二機小隊で戦闘をするから意外と自由度はあります。

というわけでまずは置きエイム。ここでちゃんと置きエイム成功しないと周期が狂ってしまいます(3敗)

発砲のタイミングは僚機ちゃんのセリフが出て2秒後……

はい今です‼︎

 

こことここと…少し右にずらしたこの場所に弾丸をばら撒きます。

すると虚空より出現したネウロイがそのまま倒されてバイバイします。

これで地上撃破される戦闘機のムービーを同時にスキップすることができます。

 

お、ピンク髪はバルクホルンの補佐に回ったか。まああれはまだ若手だししゃーない。というわけで僚機ちゃんいくよー。

次の相手は置きエイムした位置とは反対側に湧いて出たネウロイの群れです。今までのような数機ではなく総勢20機による一斉攻撃です。

本来置きエイムをした方が本命でこちらは陽動の個体ですがまあ……順序が逆ですが気にしてはいけない。

 

ではネウロイが二手に分かれました。一つは高度そのまま。もう一つが高高度へ移動中です。

処理の順番ですが大抵の場合下の敵機から片付けていくのがセオリーです。しかし機体性能を加味する場合本来は上の敵を倒す方が早かったりします。まあこの辺りは上昇性に優れたリベリオンとカールスラント試作機、扶桑国局地戦機かロマーニャの水冷機の一部など機体が限られてしまうのであまり流行らないやり方なんですよね。

今回は上昇力ではこの世代の随一を誇るfw-190c型なので頑張って上昇してもらいます。

では昇りながら上空のネウロイとヘッドオン。ただし数が多すぎるのでシールドで全部防ぎます。では上方向へ抜け出たらここから急反転。能力全開で下に銃弾をばら撒いて撃破し続けながら上に離脱し続けます。

ネウロイは密集していたことが仇となっているのか回避する気がないのかどんどん落ちていきます。

ではここでこちらも移動方向を反転させましょう。

 

下方にはネウロイ達が再集結をし始めていますが縦に歪に伸びていますしその中の何機かがこちらに向かってきます。

再びそれとヘッドオンするように降下しましょう。下にいるネウロイの多くは上昇追撃中のネウロイが射線に入る関係でこちらを狙うことができません。

こちらは容赦せず弾を捨てる感覚でばら撒いていきましょう。追撃に来たネウロイを吹き飛ばして再集結中のネウロイのど真ん中に飛び込みます。ここからは水平に飛行しつつ旋回しながら全方位にいるネウロイを潰していきます。

いやー入れ食い入れ食い。

フハハ!みろネウロイがゴミのようだ!

おっと地上からの対空砲火です。おおこわい。

地上のネウロイ達が味方を誤射しながらもこちらを攻撃してきています。

あらかた周りのネウロイも倒せてきたことですので地上のネウロイもボコボコにしていきましょう。

 

倍返しです。銃身が煙を噴いていますがまだ赤くなっていないから大丈夫。

建物の陰に隠れるようにしている戦車型に20ミリの雨を降らせて撃破していきます。

お、撤退する兵を乗せた船が一隻ネウロイのビームで吹き飛びました。すかさずその周囲から援護の無線が溢れ出ます。

まあ無視しておきましょう。

 

今回のノルマは時間制限までネウロイを沿岸部に近づけさせるなというものなので船の損害は気にしなくていいですし近くのウィッチが対処してくれます。

あまり気分がいいものではないのですけれどもね。

 

というわけで地上のネウロイに八つ当たりです。

建物よりも低く飛びながらなるべく装甲の薄い上を狙って弾を叩き込んでいきます。

建物を倒壊させてネウロイを下敷きに……はい決まりました。

まとめて倒せるからいいぞおこれ。

でもやっぱり20ミリより30ミリくらい欲しいですね。地上を攻撃するときはですけど。でもハルちゃんの体型じゃ30ミリは取り回しが難しいのでダメです。

あ、扶桑が使ってる25ミリ(元オチキス社)は除いてください。なんだかんだ航空機関砲として使うとチートみたいな性能出ちゃうらしいのであれは出禁なんですよ。

 

 

ん?なんでここでムービーが入っ……

 

あ、バルクホルンとピンク髪。

「隊長!」

 

「大丈夫だ。掠っただけだ」

 

「ですがッ!」

 

「狼狽えるな。ユニットなんざ消耗品。ウィッチが生きて帰れば大勝利さ」

は?なんですかこのムービー知らないんですけど……いやこれなんやねん!うちのチャートにこんなムービー入るなんて聞いてないっすよ!

ってかピンク髪すごいうるさい。

……えー、バルクホルンさん何してるんですか。

えー…想定外すぎる……まあムービーひとつくらい誤差だよね。

 

 

まあいいや後30秒だし。

 

あ‼︎バルクホルンに向かっているネウロイ発見!これはいけませんお仕置きです。墜ちろ‼︎

へ、落ちたな。

 

はい、タイムアップ。程よく敵ネウロイは消失してくれました。

なんか途中にいらない演出があった気がするのですが気のせいですね‼︎

 

というわけで船団が出港し終わったのでこちらも避難します。眼下の町では最後の抵抗をしようと取り残された兵が決死の戦いに突入しています。

ちなみに彼らの約3割は生き延びてヒスパニアのピレネー山脈まで逃げることに成功しています。

こちらは燃料切れが近いのですぐに基地に戻る必要があります。

 

ではここからスキップが可能になるのでスキップしましょう。

 

 

海を渡ってブリタニアに到着です。バルクホルンがいませんねえ?どうしたのでしょうか(すっとぼけ)

実はスキップした時のムービーではユニットがついに壊れて海に着水した模様です。

一応ダンケルク帰りのブリタニア特殊潜航艇に回収されてこちらに向かってくるのですが2日かかります。ついでに腕を折ったので復帰まで時間がかかります。

 

ちなみにクリスちゃんですが特に寄り道をせずフラグを立てなかったため原作通りに意識不明になっています。

バルクホルンと話してサブクエスト引き出しておけば彼女を救うことも出来ますが今回はやめました。まあ死んでないし。

それに助けたところで旨味ないです。時には見捨てる選択肢を取ることも必要なのだよ……うう……

 

ではこれは置いておくとしまして……

 

欧州からほぼほぼ撤退してしまった人類ですがネウロイを殲滅する気満々のご様子です。

まあオペレーションタイフーンとバルバロッサは半年先になるのでしばらく休息となります。

ちなみにこの時期はネウロイも休息に入っているのか攻勢はロマーニャ方面のみに絞られています。ロマーニャがんばれ。

ちなみになのですがピレネー山脈はあまり積極的ではないようです。不思議ですね(すっとぼけ)

 

 

戦闘が終わったばかりですがすぐに物語を進めるためにミーナがいる司令部のお部屋へ向かいます。

本来はキャラの好感度をあげたりサブクエストを消化するために自由行動が4日ほど認められているのですが、そんなものは無かった。いいね?

 

ちなみにそろそろプレイヤーが疲れてきたのか少しだけ壁にぶつかったりすることがありますがご了承くださいな。

ご了承くださいなー

 

司令部に入るとミーナから第501統合戦闘航空団の結成が聞かされ、それに入らないかとスカウトされます。

もちろん即答でOK出します。

はい、これでハルちゃんは晴れて501の仲間になりました。結成初期メンバー入りです。

501初期メンツはご覧の通り

カールスラント空軍出身

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ少佐

ゲルトルート・バルクホルン中尉

エーリカ・ハルトマン中尉

カルラ・ハインリーケ・ランガー中尉

扶桑国海軍

坂本美緒中尉

扶桑国陸軍

諏訪真寿々少尉

ガリア空軍

ペリーヌ・クロステルマン少尉

ブリタニア空軍

ペトラ・ダンフォード軍曹

オストマルク空軍

ラウラ・トート少尉

曹が一人だけって……

相変わらずカールスラント組が多い。10人中5人がカールスラントってこれはブリタニアも茶々を入れますわ。

表向き自分たちが発案したのに実質カールスラント空軍の部隊になってるやんって気持ちわからんでもないわ。

 

では501結成となりましたところで今回はここまでとなりますご視聴ありがとうございました!




ブリタニアの特殊潜航艇
全長15m全幅1.85m 総排水量30t

X級試作潜水艦の先行配備艦
本土よりある重要書類等を積載していた。
バルクホルン救助には消極的だったが重要書類は魚雷に偽装した密封ケースに入れられていたため救助を実施した。
なお艦長による反抗の意思とも言われているが詳細は不明。

零式戦闘飛行脚三四型

零式ストライカーユニット三二型をブリタニア製マーリンエンジンへ換装したモデル。
バルト海海戦以降に烏李芽少尉が使用。
中高度から高高度での応答性が回復した模様。


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part 22結成第501JFW2

日常パートが続くRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回501部隊が結成され各国のウィッチ(半分はカールスラント)が集まったところです。

早速基地から車で揺られ沿岸部の寂れた町にやってきました。

ネウロイの侵攻を警戒してか町の住人のほとんどは北部や内陸部へ疎開したそうです。

そんな町の沿岸部で目を凝らすと霧の中に城のような建物が見えて来ます。

はい皆さんお馴染みのお城みたいな構造の第1期501部隊の基地です。

 

特に設定があったわけではないようですが、古いお城を改築して現在基地としての機能を持たせるつもりらしいです。

まあまだ改装中なのでしばらくはあそこは使われません。

 

そもそも空戦時間を稼いだり防空エリアを広く取るために既存施設ではなく沿岸部に作った臨時飛行場が少しの合間巣になります。

一応近くの軍備施設としてはワイト島の飛行場があるにはあるのですが位置の関係で防空エリア外です。

ガリアが陥落した今となっては防空任務はブリタニアにおける必須課題。故に501の主任務はブリタニア防空。もう後がないらしく必死ですねえ。

 

 

というわけですがしばらく飛行があるわけではありません。

実際ネウロイの攻勢が下火なんだから仕方がないのですがこの間は基本すっ飛ばしていきます。

方法は様々ですが、今回は501部隊一時除隊という方法をとります。

 

初期メンバーの場合何もしないとすっごいギスギス雰囲気がやってきます。

この辺りはバルクホルンと他のウィッチとの仲裁や和解やイベントをこなしていくことで軽減されますが世界の修正力故か普通に飛ばされたり何なりするのであまり意味はないです。

それでも不和を解消する事で好感度が上がったり信頼されたりと色々とメリットが多いですしキャラ目当てできゃっはうふふ目的で買った場合は基本こっちのルートです。

 

逆にここで好感度を全くあげないままにする事でバルバロッサ作戦の陽動戦に引き抜かれます。

これが一時除隊法。ただしこのイベントは負けイベであり同時にサバイバル戦上等のかなりアレなストーリーとなります。ただしこのストーリーのおかげで1943年を吹っ飛ばせるからなにかと早いです。濃いですけどね

こっちは戦争ゲームをやりたい派の人たちに向けて作られているルートです。様々な客層を取り込めるようにと配慮された結果なんですね。

 

 

というわけで早速ペリーヌが話しかけてきましたが好感度を上げる選択肢はしません。ついでなのでバルクホルンの視界からも逃げましょう。

あれは今クリス喪失で色々とやばいので年齢がクリスと近ければ近いほどバルクホルンルートに呑み込まれやすくなるデバフが発生します。なのでラウラをぶつけましょう(外道)

ブリタニアの彼女は……ナイトウィッチなので昼間はあまり出ません。ユニットもブリタニア製夜間戦用の特殊な物なので昼間の性能では上昇性くらいしか特徴がないです。

 

誰とも接触せずに四日間過ごすには建物裏で筋トレしているのが一番ですね。

ってこんなに筋トレしてるのに筋肉マッチョにならないの何でだろう。ちなみにお腹もあまり割れてません。

そこらに積み上げられている滑走路補修用の鉄板とか結構普通に持ち上げられるんですけどね。

まあいいや。というわけで今日も起きたら体力育成。

お、ピンク髪が遊びに来ました。

部隊は大丈夫なん?

あ、僚機ちゃんと上手くいってないのね。思想の違いかあ……

それは諦めなさいよ。みんな違うんだから。

それにネウロイは根絶やしにするのは変わらないでしょ。まあそんなことを言っていたら帰って行きました。

 

というわけで昼ごはん食べたらちょっとだけ哨戒で飛行します。

まあネウロイが攻めてくることはないのでサクッと終わらせます。

進路にある青色の輪っかを潜るだけなのでガンガン飛ばしていきますよー。501部隊の基地工事風景もなかなか良いものですすぐに見えなくなるんですけどね。

 

 

というわけで哨戒終了。

 

今日も体を鍛えるのだ。

ん?何でイベントが……

「なんだこんなところで鍛えていたのか」

あ、坂本サンじゃないですかーやっべ見つかった。

うーんまいったなあ。想定内のガバなんだけど実際にガバると非常に困る。

坂本サンとの初イベント発生条件が訓練を行うなので50%の確率でこうなるんですよね。まあロスはあまりしないのですがここで坂本サンの好感度を上げてしまうとバルバロッサの陽動作戦に参加するタイミングが遅くなってしまうんですよね。

「鍛えているのか。良い心がけだ」

しかもこっちに便乗して鍛え始めちゃったし。

割と真面目に体育会系のノリなんだよなあ嫌いじゃないけど。

 

 

よし終りっと…あ風呂?嫌です。

一緒になんか入りませんよ。

まあこれイベントなんで拒否権無いんですけどね。

おら喜べよ風呂シーンだぞ。

ちなみにR規制版じゃない通常盤なので風呂シーンは何故かスク水です。

うーんこの……実に外国で混浴ホットスプリングに行った感じ。

 

え?この戦争をどう思うかって?

そりゃ人類は愚かだからこうなったんだろうし愚かでいればそのうち滅ぶんじゃないんですかね?

特に現実のブリは嫌いなので正直一回滅べって思う(過激派)ってか一回くらいV1風自爆ネウロイでボコボコに破壊されて欲しい。

まあそう言っておけば坂本サンドン引きしてくれるので好感度が上がるのは防いでくれます。

 

ちなみにこのイベントついでにと言わんばかりにペリーヌが入ってきます。

先にペリーヌと会っているか会っていないかで会話が変わりますが合っていると結構早いです。ワンポイントアドバイスでした。

 

風呂から上がると偶然にもブリタニアのナイトウィッチと出会いました。

ここら辺ランダム配置なので厄介です。ここでバルクホルンでも出ようものならリセ再走案件ですので。

だって会話しただけで好感度変に上がっていくんだもん彼女。

とりあえず顔合わせだけしておきます。501が結成されて集まってから初の顔合わせですが好感度は上げないようにするのでさっぱり終わりました。

 

では今日はご飯を食べたらさっさと寝ます。

おやすみなさい。

 

おはようございます。えー……すっごい爆発音がうるさいですね。朝っぱらから何しているんだと思ったら防空練習をしていた。

いやまじでうるさいわ。あ、いつのまにかボリューム設定が上がってましたね。下げておかなきゃ。

部屋を出て食堂に行くと和食の香りがしてきました。

お、今日は扶桑組がご飯を作ったそうですね。

ちなみに白米は扶桑から送ってきてもらったらしいです。

当然味覚は切っているので風味だけでしか楽しんでませんよ。

正直鬱陶しいので嗅覚も切っておきたいところですがなんだかんだ嗅覚は敵察知に使うので切れない。

 

 

食事中にブリーフィングルームに集まれとの伝達を受けたので向かいます。

ちなみにブリーフィングルームと言ってもただの地図が貼ってあるだけの質素すぎるお部屋なんですけどね。

それでミーナさん何の御用ですかい?まあ内容は知っているのですけどね。とりあえず様式美ということで。

「買い出しに行ってきて欲しいの」

▶︎わかりました。ところで一人でしょうか?

 今日の買い出しはラウラさんとバルクホルンさんでは?

 

選択肢は上。下に入れると勝手にミーナの好感度が上がります。

買い出しミッションスタートです。

 

ではラウラさんと一緒に買い出しです。ってかまだ基地すら完成していないのに既にバルクホルンと仲悪いって逆にすごいわ。

まあバルクホルンもバルクホルンでアレなんだけどさ。

廊下でエーリカとすれ違ったのでちょっと事情を説明して助けを求めます。

エーリカ助けて。

ちなみに好感度を稼いではいないので2:8の割合で助けてくれます。成功したら10秒の短縮ですが正直無理でしょうね。

「ごめんちょっと無理かな。私は同部屋の方をどうにかするから」

ほらやっぱり無理だった。

仕方がないのでトラックのところまで行きますと、自暴自棄になっているラウラが睨みつけてきました。おおこわいこわい。

せっかくなのでガン飛ばしてみますね。あ、怯んだ。

なんかごめん。

 

とりあえずこちらの運転で街まで買い出しに出かけました。

まあ大抵の場合は生理用品が主なんですけれどね。軍部から支給されないバグ。

そもそもウィッチ以外の女性兵士がいないってどういうことやねん。整備兵と防空兵と伝令と結構な人数いるのに。

まあ愚痴はここら辺にしまして、ラウラがものすごく睨んできてます。でも何も話しませんよ。

「……何も聞かないんだ」

 

いや何を聞けとおっしゃるつもりですかい?

話しかけて欲しかったそうですね、知らんわ。とりあえず君はバルクホルンとギスっててどうぞ。この二人は一度腹を割って話した方がいいと思う。

 

到着しました。

あまり民間人がいないせいで閑散とした街ですねえ。

多分テクスチャの問題とか容量の問題もあるのでしょうけど。

では生理用品と後は皆さんからいただいた葉書をもとにいろいろ買っていきましょう。

最速タイム出せるかなあ?ラウラが話しかけてくることがありますが適当に流しながらカチカチっと選択肢を選んでおいて大丈夫です。

ラウラはそもそも好感度設定無いですし。仲良くなるならない程度はありますが攻略キャラでも何でもないので。

まあ一部キャラの好感度を上げやすくしたり下げたりするバフ要員なのでルートによってはある程度仲良くなる必要もありますが今回は特に必要はありません。

ちなみにラウラと仲良くなるのは基地内でしか出来ないので。

買い物はこれとこれとこれと……

ん?ラウラが私のペンダントに興味を示していますね。

死んだ時に取り残された方が辛くなるだけだからやめたほうがいいよ。

とでも言っておけば色々刺激されてへんな展開にはならなくなるようです。

 

では買い物も終わりましたので帰りましょうか。

余談ですがトラックですが行動最速理論を試すチャンスです。

うーん2分10秒か。シャーリーが来た後によく使っている車の方だともうちょっと速いタイム出せるんですけどねえ……

 

 

買い物が終わった旨はミーナに伝えに行きます。

おやあ?ブリタニアの上級将校がいますね。

あ、何やらお取り込み中でしたか?そういうわけではない?

ふーん?あ、これは引き抜きか。早いねえ……

 

では今回はここまで!ご視聴ありがとうございました‼︎




ブリストル ブレニムMkⅢ夜間戦闘型

ブリタニア空軍が開発した夜間戦闘用ストライカーユニット。
大型かつ重武装を目指した機体であり運動性能は他のストライカーに劣る。
しかし積載量が大きいためさまざまな用途に使われる。性格的には対地攻撃ユニットに近い。
MkⅢはMkⅠ型をベースとしてエンジンを強化したモデルとなる。
それまでのブリストル社製マーキュリーMk8空冷エンジンからロールスロイス社のケストレルXXX型としている。
夜間戦闘装備として擬似魔導針のための装置とサーチライト、電源用の大型バッテリーと発電機を左脚ユニットに、右脚ユニットに12.7×99ミリM2機関銃弾用のドラム式ベルト弾倉を搭載している。
使用時にはベルトを引き出しM2に接続することでマガジンの交換なしに最大750発を連射可能となっている。


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???12

なになに?トゥルーデのところに行ってきて説教かまされたって?記者さんもまた何をやったのさ。

え?1941年……

1941年の事なら覚えているよ。

あーそれをトゥルーデに聞いちゃったかあ。

あの年は色々重いことがあったからあんまり聞かない方がいいんだよ。

 

なんなら私が教えてあげるよ。もちろん取材料は取るからね。

 

 

 

 

1941年

「統合戦闘団?」

 

「ええ、各国のエース級ウィッチを集めて集中運用するための師団クラスの編成よ」

 

ミーナに呼び出されたから来てみれば、何だか面白い事をしているようだった。欧州戦ですら連携することができなかった各国の軍を国連軍として運用するつもりか。

たしかにウィッチ同士なら多少はハードルも低いかな?

「人員は決まっているの?」

 

「そのうち辞令が行くわ。だけど、貴女達には先に聞いていこうと思ってね」

それは彼女の采配だったのかもしれない。

「それは勧誘?」

 

「希望と命令では後からの引き抜きに影響があるから」

ああそういう……

ふーん、まあいいかな。どうせここで燻っているってわけにもいかないんだし。

二日後に転属辞令書がやってきた。

だけど基地はまだ完成していなくて、私達の自己紹介は青空の下行われた。

結成といってもすぐに何かをするわけでもなかった。

501結成時の主任務はブリタニアの防空。ネウロイが来てくれないと出撃することができないからしばらくは訓練ばっかりだった。

それでも何度かネウロイの襲撃はあった。だけどそれは欧州にいた頃よりもかなり数が少なかった。

「ネウロイは動かないか」

空襲待機で私とトゥルーデとハルが珍しく一つの部屋にいた時にトゥルーデがそう漏らした。その声は地獄に引き摺り込もうとする死神の様な呪詛の念が含まれているようだった。

その2ヶ月前に妹を乗せた船がネウロイの襲撃にあって、大破させられたんだけどその時に妹は意識不明。1ヶ月の合間はすごい荒れていたけど、腕の骨折が治ってからはネウロイ絶殺状態だったね。いやあこわいこわい。

 

「流石に向こうも疲れたんじゃないの?」

だからなるべく気を立たせないように少し軽めに返す。意外かもしれないけどふざけていない程度なら軽く返した方がトゥルーデは気が落ち着くみたいなんだ。

「そういうものなのか……ハルはどう思う?」

あの時のトゥルーデをハルは苦手だったようで、彼女は私を挟んで座っていた。それは薄々トゥルーデもわかっていたようだった。だけどこの……待機中会話がないのは少し嫌だったのかこうやって話題を振っていた。

「さあ?私達はあまりにも敵を知らなさすぎる。ネウロイの生態、構造、社会構成の有無。思考パターン。全部わからない。だから結論を言えるわけじゃないけど……」

ハルはどこか冷めた調子でそう言った。欧州での戦い以降どこか彼女もすり減ってしまっているようだった。どこか冷めたような、だけどネウロイに対する敵意だけは健在で、それだけで生きているようだった。

「まあね、でもそれはお偉いさんが調べることだからねえ」

 

「でもネウロイ側の進化は早い。こちらの戦術も技術も精々が1ヶ月で真似される。多分……ドーバーを超えて来るのに時間はかからないんじゃないかな」

 

 

「そうか……確かにそうかもしれないな。アレが空を飛び始めてからそう時間もたっていないがもう高度10000に迫っているわけだからな」

 

「そういえばFw190の高高度迎撃戦闘機の計画凍結されたってさ」

彼女のユニット、fw190c-1は計画の無期延期で予備部品の供給が途絶えていた。だけど計画凍結で供給が再開する希望はなくなった。

「聞きました。まあ……当てがないわけではないですから」

 

「大丈夫か?一応こっちのつてでユニット一つくらいは手配できるが……」

「ロミルダの分もあるのでそのうち何かしら送られてきますよ。ブリタニアが余計な手を入れてこなければですけど」

 

「あーそれは確かにあるかもね……でもそんな警戒することかな?」

他国のユニットに口を出すような暴挙はしないと思うけどそれでも前例が幾つかあった。

「ブリタニアですよ。いっぺんネウロイに政治体制を破壊されて仕舞えば良い」

流石にドン引きだった。それも冗談じゃなくて本気でそう思っているようだったからなおさらだった。トゥルーデもこれには引いてた。だけど心あたりがあるような表情をしていたのは見逃さなかった。

「ブリタニアになんかされたの?」

私の言葉で我に返ったハルがハッとした表情で何でもないと繰り返した。

「……なんでもないです。こっちの事情なので」

エースの違和感が何か隠していることを教えてくれたけど、探りを入れてもはぐらかされてしまった。何だったんだろう?

「トゥルーデは?」

 

「いや、そこまでのことではないんだが……」

 

「なになに、親友にもいえない事かな?」

そんなもの気になるじゃないか。

「言ってしまえばそんなものだ。いや確証がないうちは言えるものじゃないからな」

「……まあそう言うなら」

その日は偶然にも何もなく終わった。

だけどそれは一日が終わったってわけじゃない。午後からは結局空を飛ぶことになった。

 

2時間後にはストライカーユニットを履いた私達は滑走路端で待機しながらミーナの説明を受けていた。

他国のウィッチと合同で戦うことになるから、そのために各国のウィッチ同士をペアとして模擬戦を行うと言ったものだった。

その1回目は、私とガリアのペリーヌ、ハルとオストマルク出身のラウラ。

 

「一応僚機らしいのでよろしくお願いします」

ハルはいつもと変わらないようだった。

「……」

あーラウラはさっきトゥルーデと喧嘩してたからすっごい不機嫌なんだよなあ。

空戦のことで突っ込みすぎだって言われたくらいでなんなんだかなあ……二人とも子供だなあ。

 

「よろしくね〜ペリーヌ」

 

「ええ、こちらこそよろしくお願いしますわ」

対照的にペリーヌはすっごい上品だった。ただ、周りへの当たりが弱いってだけでものすごく推しが強いし静かに我を推すタイプだね。

そういうのは少し飛べばわかるよ。

空は快晴。空気は澄んでいた。ユニットの調子も良好。ただ、性能をある程度寄せるために私とハルはBf-109Eシリーズ。

ペリーヌはVG.33、レッジアーネRe2000。

高度3000、ヘッドオンで通過してからが模擬戦開始。ブリタニア発祥の模擬戦の作法のようなものさ。

 

最初はどっちも腹の探り合いで何度か後ろを取ったり取られたりを繰り返していた。

ただ、途中から見極めたつもりになったのかラウラが突っ込んできては攻めた攻撃をするようになった。ハルは徹底して援護に徹している。そのせいで何度も攻撃の機会があったけれど悉く潰された。

それが気に入らなかったのかだんだんペリーヌの動きが荒っぽいものになっていった。私はフォローに徹することにしていた。

合わせたり口出しすると連携が乱れやすいからってのもあったし、模擬戦が終わった後の反省会で指摘すれば良いことをわざわざ空で言う必要はないからね。

ただ、二人揃って突っ込んでは旋回して相手のいないところに弾をばら撒いていくから戦闘終了は近づいていた。

「弾切れですわ!」

真っ先にペリーヌの銃の弾が切れた。調子に乗って消費するからだ。まあそれは向こうも同じみたいだけど……

「弾切れっ!」

ほぼ同時にラウラも弾切れを起こした。あれだけばら撒けばそうなるよ。

映像が残っているんだけど結構撃ってるでしょ。牽制も兼ねているんだけどあまりエース相手に通じる手じゃないよ。

戦闘力を有しているのは結局私とハルだけ……なんだか締まらない。

だけど実を言うと彼女と空で模擬戦をしたことはなかったんだ。

「それじゃあここからは、私達で決着をつけようか!」

小隊を解き、単騎戦闘に移る。

「そうですねっ!」

こっちが急制動と旋回でオーバーシュートさせても強引な旋回で後ろに張り付いてくる。

だけど射撃までの合間に今度はこっちが体の向きを変えて正面からヘッドオンをする。

なかなか勝負は決まらない。牽制射撃をものともしないで突っ込んでくる。彼女にはフェイントは効かない。私だってハルの考えはある程度読める。だからコブラのような宙返りをしてもなんとかフラットスピンで射線から逃げ出すことができた。

そうしているうちにユニットの燃料が先に尽きてしまって引き分けとなった。

互いに射撃機会は必中と思った時にしかやらないから結構弾が余っちゃったよ。

「おつかれさま。いやーやっぱ強いね」

 

「エーリカこそ。ユニットが壊れる限界だったのに全然ダメでした」

かなり強引な旋回や回避をしてたけどアレは予測ができていればある程度は対応できるからね。

 

視界の端っこでハルの事をラウラが見つめているのに気がついたけど、それをわざわざ言うほど私はお人好しでもお節介焼きでもなかった。

だけど無関心になれるかといえばそんなことはないよ。

悪くなるようだったら少しは合間を持つつもりだったさ。

ただ、ラウラとハルの関係はそこまで悪化することはなかったなあ。むしろあの後少しだけ改善したんだよ。

それはどうしてって?

 

えっとねえ……

しばらくしてラウラとトゥルーデが買い出しのシフトで重なっているのに気がづいた。

流石にあの二人を一緒にさせたら今は不味かった。だけど手空きのメンバーはなかなか見当たらない。

ミーナに相談したら一応代役を手配するって言っていた。それがハルだったと知ったのは彼女たちが出かける直前だった。

うーんやっぱり私ってお節介なのかな?

 

まあどっちにしても501の爆弾とか言われていたラウラに安全ピンが生まれたとあの時は思ったよ。

 

哨戒飛行の合間はそんなこと全く思わなかったけれどね。それでも買い出しの時に何かがあったみたいでハルに対しては結構態度が和らいでいたよ。自暴自棄なのは相変わらずみたいだったけど。

 

 

 

哨戒が終わって地上に戻ってきて少ししていると、ロミルダが私を尋ねに来ていた。また珍しいと思ったけど、一応同じ小隊だったから少しは話相手にはなるかなって気まぐれを起こしてさ。部屋に招き入れた。

え?いや今より物は少なかったよ。散らかっているんじゃないよ取りやすい位置にちゃんとあるから。

 

「えっと、確かハルの……」

 

「相談って良いですか?」

 

「私に?適切なアドバイスが出来るとは思えないけどなあ」

いや私が相談に乗るとかあり得ると思う?あり得ちゃうんだよなー。まあスーパーエースウィッチだからね。でも対人関係はなかなか難しいんだよ。

「実は最近ペアになった子と上手くいかないんです」

 

「それって扶桑から来たあのピンクの?」

アレで地毛なんだとか。

 

私達が抜けた後の人事がどうなっているのかは分からないけど、どうもハルが拾ってエースに仕立てた扶桑の子を引き継いだらしい。それで何がダメだったのか?尋ねてみると、どうも思想が合わないらしい。

「ネウロイを倒すという結果は同じなんですけどその過程が……」

 

「それは一生分かり合えるようにはならないよ」

今でも思うよ。一生分かり合えるものではないってね……

人が犠牲にならない戦争なんて戦争とは呼べないし、だからと言って人が簡単に死んで良いってわけでもない。何のことかわからない?ごめんね。ただの独り言だよ。忘れて。

そもそも人類が全員分かり合えたら国は一つになってるだろうし人類同士で争うなんて事はないから。

「そもそも無理に合わせなくても良いんじゃない?話を聞いた限りだとそんなに致命的に合わないってわけじゃないみたいだし」

 

「そういうものでしょうか?」

 

「そういうものだよ。結局人は人、何かで仕切られていないと生きていけないんだから」

 

「……」

結局納得したのかしなかったのかはわからないけれど、すぐに帰ったから用事は終わったんだと思う。そう思いたいな……

「ハルの意見も聞いてみるかなあ」

だけどそれを聞く前に、買い出しから帰ってきたばかりのハルは司令室に呼び出されていた。

私はハルに元僚機の相談のことを言う機会を逃してしまった。

 

 

 

それから数日後、ハルが配置転換になった。

それはバルバロッサ作戦の一週間前だった。




VG.33

ガリア空軍

エンジン
イスパノ・スイザ12Y-31液冷魔導エンジンV型12気筒 860馬力
最大速度558 km/h

航続距離
最大1200km

VG.33は、ガリアのアルスナル国営航空工廠にて開発されたガリア国第二世代ストライカーユニットである。
はBf-109Dシリーズと同等の戦闘力を有しているといわれ、飛行性能も特出した点はないが汎用性に優れており非常に扱いやすいものであった。
しかし開発の遅延により量産機がロールアウトした時にはすでに性能は陳腐化し始めており、改良型のVG.33bis、後継機としてVG.39が計画されていた。
ガリア空軍からの発注によって200機の製作が予定されていたが、ガリアの工場疎開までに完成していたのは僅かに20機だけであり、さらに実際に空軍に引き渡されたのは5機に過ぎなかった。
疎開先の工場でもVG.39の開発が優先されたためVG.33はごく少数しか存在しない珍しい機体となった。

ペリーヌが使用するVG.33はエンジン出力を1121馬力へ拡大しフラップの性能を向上させると言ったbisに準ずる改造を施した改造機である。


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part 23 死闘バルバロッサ1

超兵器が出てきてもおかしくないRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

 

ラウラとお買い物をして一日経ちました。

今日はどうやらミーナさんからのお呼び出しで一日が始まったようです。

なのでご飯を食べたら早速司令室に行きましょう。書類関係やらのチェックをしているミーナさんが出迎えてくれます。

 

 

「バルバロッサ作戦が近々予定されているのは知っているわよね」

 

そりゃもう公然の秘密ですからね。

そもそもこの時点ではネウロイ側が謀略などにより相手から情報を引き出すということができない存在であったので情報統制や管制を行う必要がなかったため極秘作戦以外は大体みんな知っています。

ネウロイもウィッチを洗脳して取り込んだり操ったりできるんだから情報を知るということを覚えたら良いのにと思いますがそれができるのは1944年になってからです。

まあ知ったところでどうするとかいう知能はないのかな。

 

「そのバルバロッサ作戦に貴女の参加要請が入ったわ」

早速引き抜きっすね。ちなみにこの時はあくまでも参加要請なので命令ではありませんし書類上は部隊引き抜きではなく別部隊からの派遣ということになってます。実質方便みたいなものですけどね。

ここでは「要請を受諾し、参加の意思を表明する」を選択します。

なんかミーナさんの顔が曇ってますけど大丈夫ですか?クマができてるじゃないですかやだー。ちゃんと睡眠とってくださいね。

 

 

というわけで早速出発しましょうか。

行き先はポーツマス海軍基地……ではなくそこから出港した第一陣の艦隊と沖合いで合流します。

あ、エーリカとラウラさんがお見送りに来てくれました。他の面々はシフトの関係で来れなかったようですね。まあ良いや。

「……とりあえず必ず帰ってくるから」

ラウラはしっかりワイト島に飛ばされてくださいね。じゃないと原作の子が入れなくなるので。

 

 

艦隊を上空からじっくりみれるチャンスですが時間が押してるのでさっさと所定の位置に行きます。

ほい到着、着艦許可をくれたフォーミダブルに着艦します。

装甲が施されているためトップヘビーを避けるために甲板が海面に近いですね。お陰で荒波の飛沫が甲板に降り立った途端に歓迎してくれました。

 

はいしばらくは再会したピンク髪と僚機ちゃんの会話を流しながら、まだ未プレイかつこっちのルートを取らなかった方達のために〜今回の作戦の目的地を説明しましょう。ついでに短縮のためのチャートもです。

えーでは発表いたしましょう。目的地はずばり!リバウ。陽動作戦にしてバルバロッサ作戦の第一段階です。

カールスラント方面や北方が陥落した時点でリバウ基地も放棄されており中くらいの大きさのネウロイの巣のようなものが確認されています。未だ大きさは小さいので前線基地のような扱いと設定では書かれているものです。できればこれを破壊します。

 

チャートは基本敵を叩き続けるだけですが、一度撤退命令が出る場合があるのですがこれを無視して艦隊上空に張り付き続けます。

撤退すると道中のスキップが出来ず変なところに行ったり他の艦隊との合流で時間がかかります。

 

 

それとそろそろ写真のお時間かな?

窓から外を覗いている場面ですが……いるかないるかな?

 

お、いますねえ陽動作戦に駆り出された扶桑の巨大戦艦。八八艦隊計画で生まれた高速戦艦。何故か46サンチ三連装砲を持ち大和より大型な軍艦です。(その後に大和が竣工しているあたりテストシップ艦な気がする)

その名を戦艦越後。何だろうなあ……この溢れ出る英国面。前方に砲を集中配備した形のせいですね。

 

でもネルソン級よりも低速、高速での運動性とかは良好で爆風問題もあまり問題になってないとか扶桑国驚異の技術力。

ちなみに残念なのは居住性らしい。

なおこの世界のネルソンは前に主砲を偏らせることなく堅実な見た目(軽量砲弾を使う主砲の欠点と防御力の問題がありますが)になっています。一隻あたりのサイズ制限なんてものを設定しなかったワシントン海軍軍縮会議のおかげですね。

 

おっとブリーフィングです。

 

具体的な作戦は旧リバウ基地に向けて艦隊で突入し、ネウロイを引き続ける。

最大でも8時間経つか、それまでにバルバロッサ作戦の暗号符牒が入れば撤退を行うという過酷な任務です。

ただし過酷な割に投入される戦力は並大抵のものではありません。

参加艦艇はほかに加賀型戦艦の加賀と護衛の三個駆逐隊、利根型防空巡洋艦で構成された第14戦隊、改装された5000t軽巡が二隻、航空母艦イラストリアス級のフォーミダブル、就役したばかりなヴィクトリアスと二隻の護衛としてブリタニアの駆逐艦が二個駆逐隊分と防空軽巡洋艦4隻を有する大御所です。ただし上陸部隊を引き連れていないため規模は小さく見えます。

 

 

 

上空援護に選ばれたのは私と僚機ちゃん、それとピンク髪、フォーミダブルの航空隊ウィッチと防空戦闘機、ヴィクトリアスに配属されたリベリオン海軍のウィッチとリベリオンから送られたF4F-5を駆る航空隊。

他の船の艦載機はもっぱら偵察か着弾観測に徹します。

ブリタニアの海軍機があんまりにもあんまりなので最新鋭で量産が開始されたばかりのシーファイアに載せ替えられています。ただし脚が折れやすいのは相変わらずなので着艦はお察しください。

基本戦闘で消耗する機体と着艦で消耗する機体が同じ数なので大抵1回目の空襲が終われば壊滅します。はーつっかえ。

もうやめたらこの航空隊。

ちなみに扶桑の空母は祥鳳が沈んだため代わりの空母として瑞鳳と龍驤が入っていますが地中海方面へ導入された伊勢型戦艦を含む艦隊の護衛任務がありこちらにはこれません。

 

こっちに配備されるのは改装中の隼鷹型ですが1943年まで待たないと来ません。しかも終始右に3度ほど傾いてます。

赤城が1944年に送られてくるまで扶桑国海軍は空母に悩まされ続けます。その赤城も派遣初手で駆逐艦8隻を失い大破するので洒落にならないんですけどね。

 

そもそも、欧州行くって言ってるのになんで護衛の駆逐艦が魚雷てんこ盛りの陽炎型なんだかなあ。主砲が平射砲だからろくに対空戦闘できないのに。

扶桑海事変で何を学んだのでしょうか。

 

おっと走者の愚痴はここまでにしまして、では空に上がります。

ブリタニアの航空隊長に話しかけてミッションを開始するを選択します。

 

空母の艦内見学はあきらめましょう。

正直狭っ苦しいですね。

 

風上に向かって全力疾走する空母からの発艦です。まあ特にこれといった見どころもないのでスルーしましょう。

これが爆弾や魚雷を抱いた雷撃機なら一度飛び上がった後海面近くまで落ちながら飛ぶスリル満点な光景が見れますけどね。

 

空に上がったらすぐに高度3000mに上昇。敵ネウロイに備えます。

といっても置きエイムを続けるだけなんですけどね。

第一波は五月雨式に突っ込んでくるだけなので各個撃破の典型例となりました。

いやー置きエイムと20ミリの火力は良いですねえ。

特に高度を変える必要はないです。みんな同じ高度で突っ込んできますんで。

ピンク髪も時々生き残りを食っています。なんか僚機ちゃんと口喧嘩してますが……

 

はい、第一波殲滅しました。

続けて第二波です。残りの残弾が少なくなっていますが先に降りたウィッチと航空機の補給が終わるまでは離れることはできません。

 

ここでの目標は撃沈される艦艇が駆逐艦2隻以内というものなので一隻見殺しにして誘蛾灯のようにするのが最速です。

やってくるネウロイも左右から同時攻撃です。防空能力がすぐに飽和してしまいます。

いやあ流石に同時攻撃は防げませんわ。

置きエイムは第二波は最初の4体しか位置と時間の問題でできません。

ともかく突っ込んでくるネウロイと旋回勝負で背後をとって一体一体丁寧に仕上げていくしか方法はないです。

それでも小型のみの編成なのでどこに当てても一撃で落ちます。

あ、そろそろ弾切れしそうだわ。

とりあえずヘッドオンでナイフ突き立てます。時々ビームが掠めていきますが加速に魔力全振りしている最中なのでシールドは展開しません。というか出来ません。

いくら魔力お化けになりかけていても加速に力注ぎながらシールド展開はまだ無理です。

 

あ、ブリタニアの駆逐艦がビームで艦橋を吹き飛ばされました。

動きが鈍っているところに次々とビームを受けて誘爆しています。

あーあ……バラバラに爆散しました。

ですがそれにネウロイが集まってくれたおかげで艦隊の被害はなんとか皆無です。

では第二波がどこかに行ったタイミングで補給のために空母に着艦します。ほぼ燃料と弾薬を使い切っているので滑走距離はかなり短いです。これくらいなら戦艦の甲板にも降りることが可能です。実際大和型やアイオワ級、航空戦艦に改造された存在なら普通に降りることができます。発艦はカタパルトを使えばなんとでもなりますし。

 

給油と弾薬補充で艦橋の側で待機していると遠くで駆逐艦と軽巡が爆散するムービーが入ります。

ついでに防空戦闘機やウィッチも何人か落ちていき水飛沫をあげています。

まあ今のところはこちらが優勢なのですけれどね。

フォーミダブルも盛んに対空砲を撃ちあげてネウロイを撃破していきます。

はい補給完了です。対空戦闘と回避行動で大荒れの甲板から発艦していきます。

合成風力がないので飛び出した直後に少し落ちかけましたが特に問題なく全員発艦。

第四波迎撃に加わります。

今度は高度4100に上昇しそこから急降下で突入していきます。

 

速度を乗せたまま一列になっているネウロイを通過気味に攻撃していきます。

結構楽に倒せましたね。

 

あ、ネウロイの攻撃が5000t級軽巡を破壊していきます。

うーんまあ3隻以内に被害を抑えればいいのでこのままにしましょう。

誘蛾灯第2隻目。集まったネウロイを片っ端から落としていきましょう。意識が船に向いているネウロイなど敵にもならないです。ただの的です。

はい少し間が開くのですぐに上昇。第五波は中型を含む防空隊殲滅部隊です。ここに来てようやくファイタースイープに戦術を切り替えたようです。

爆撃タイプを含んだ通常の戦爆連合では埒が明かないと考えたのでしょう。

 

遅い気がしますが連戦でウィッチの疲労も溜まっているタイミングでこれをされるとかなり響きます。

早速一個飛行小隊が溶けました。

というわけで今回はここまでですご視聴ありがとうございました‼︎




越後型戦艦越後

所属
扶桑国海軍

基準排水量86020t
全長282.69m 全幅39.32m
機関
主缶
ロ号艦本式重油専焼水管缶16基
主機
艦本式タービン4基4軸
出力191,000hp 速力30ノット

舷側装甲410ミリ
水平装甲230ミリ
底部二重装甲 一枚当たり45ミリ
主砲防盾620ミリ
いずれもVH甲鉄

乗員
3290名
兵装
四五口径九一式四六センチ三連装砲3基
六十口径三年式一五糎五センチ連装砲8基
四十口径八九式十二糎七高角砲12基
九六式二十五粍機銃三連装54基同連装4基単装30着

本艦の建造経緯は扶桑国海軍八八艦隊計画において計画されていた巡洋戦艦群がワシントン海軍軍縮条約により立ち消えとなった事に端を発する。
軍縮によって認められた艦艇は長門型2隻、加賀型2隻のみ、その後紀伊型が建造されるも第一次ネウロイ大戦と扶桑海事変による扶桑型と金剛型の消耗の結果残された戦艦比叡、戦艦扶桑、損傷が激しすぎて修復が不可能な山城を置き換える目的で建造許可を取った戦艦でありその設計に携わったのは八八艦隊の計画を担当していた者であった。
3隻合計で90000t近い総排水量を確保できた海軍は巡洋戦艦として本艦の建造認可を受けている。諸外国への通知も同じく巡洋戦艦であるがその様相は既存の戦艦を超えるものであった。
本艦を脅威と考えたリベリオンは早急にアイオワ級を設計し直した。
昭和12年竣工した越後は三年次海軍補充計画における大和型戦艦建造のためのテストヘッドを兼ねていた。
前代未聞の46センチ砲を搭載しつつ規模を抑えるために越後は主砲を妙高型や高雄型のように艦橋前に三基、15.5センチ副砲をまとめて艦橋構造物後方へ配置した構造となっている。ただし後の大和型がさらに排水量で小型となっている。その分予備浮力と武装の搭載余地が大きく取られていると初代艦長斉藤二郎は証言している。
主砲の射撃指揮は原則として艦橋トップの13m測距器、予備としての後部艦橋の13m測距器を使用していた。
1940年の改装でリベリオン製のレーダー射撃式装置のアンテナを射撃指揮所トップに追加している。
艦橋は紀伊型で定評のあった塔型を採用。直通エレベーターは装備されていないほか上から昼戦艦橋、夜戦艦橋、航海艦橋、司令塔という構造であり大和型とは若干仕様が異なる。
バルバロッサ作戦従事前の改装によりバルジの追加、高角砲、機銃の数が増やされ、21号対空電探を艦橋後方に増設したレーダーマストに載せている他、高射式装置を九一式から九四式へ変更している。

航空装備として15.5センチ副砲群の後方に格納庫を設けており零式水観を4機、甲板に3機まで搭載可能。カタパルトは2基。

対空能力は非常に高く高角砲と機銃だけでもハリネズミとなっている。さらに15.5センチ連装砲は仰角を80度まであげられる為対空射撃が可能。
46センチ砲も三式対空弾を搭載しているため対空射撃が可能。

よく手鞠を持った女の子の霊が出ると言われている


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part 24死闘バルバロッサ2

弱き者から脱落していく過酷なRTAはーじまーるよー‼︎

 

第六波襲来でついに大型艦にも被害が発生します。

こっちがファイタースイープ狙いの空戦ネウロイと戦っているうちに低空から20体のネウロイが飛び込んで行きました。

制空戦闘機が攻撃を阻止しようとしますが防空砲の射程に入るまでに4機を撃墜したにとどまります。

防空態勢がついに飽和しました。

後は防空砲による防御しかありません。

真っ先に狙われたのは戦艦加賀。輪形陣からやや外れた位置にいたのが原因です。左舷にビームを被弾し副砲が損傷しました。

さらに追撃が行われようとしましたがシーファイアが同士討ち上等と言わんばかりに防空砲の射程にまで入り込んでネウロイを撃破しました。

また空母フォーミダブルが艦橋に被弾。艦長を除く首脳陣が戦死し行動不能に陥ります。さらに戦艦越後にも小さいビームが何発か船体に穴を開けます。

ファイタースイープ隊を撃破したので大型艦の救援に入ります。

いくらAIが優秀といえど基本は主人公頼りなところがあるせいか無視しておくとミッションの失敗条件に引っかかります。

すぐにフォーミダブル上空に飛び込んでネウロイを撃破し対空砲で撃墜される前にフライパス。戦艦越後を攻撃しているネウロイを流れるように撃破していきます。

 

眼下にいる巨大戦艦は見た目こそ健全そのものですが、船体が通った後には白い波飛沫ではなく黒く七色に光る液体が撒かれています。

燃料タンクか燃料移送パイプが損傷し燃料漏れが起こっているようです。

そして第六波が去ったタイミングで戦闘開始から6時間が経過しました。

ようやく待ちに待った電文が入ります。これで陽動作戦は終了。対空戦闘が終わった直後ですが早速艦隊一斉転舵となります。

輪形陣を崩さずブリタニアと扶桑の艦隊は見事な転舵を行ったかのように見えます。しかししれっと輪形陣から抜け出した艦が見えました。

 

ここで燃料タンクに損傷を負った戦艦越後が艦隊の転舵に反してリバウへ進路を向けたままとなります。

帰りの燃料が乏しく、途中で脱落する可能性があることと、艦隊の生き残りがネウロイの勢力下から脱出するまで踏ん張り続けるため単艦で突入するそうです。

まあうまくいけばリバウ近くに座礁し、地上部隊と合流することも視野に入れているのでしょうね。

 

上空のウィッチは本艦に構わずとか言ってますけどここは艦隊防空の任を無視して越後の援護にまわります。

分岐選択肢が出ました。ではハルちゃんは「越後の護衛を全うする」の方を選択します。

ブリタニアの飛行隊長(フォーミダブルの飛行隊長が戦死したため指揮を受け継いだヴィクトリアスの飛行隊長)が命令違反だという警告を送ってきます。うるさいので無線を切ります。

お、僚機ちゃんとピンク髪ちゃんもついてくるようです。

まあ、あのまま艦隊に残っていると戦闘一回分のロスですのでね。時間にして40回分の比較では5分短縮できました。

 

ちなみに艦隊離脱は他にも空母フォーミダブル所属のブリタニアのウィッチが二人。そして防空巡洋艦筑摩から緊急発進した扶桑のウィッチ二人。さらに扶桑海軍の駆逐艦磯風が随伴します。

愛されてるなあ。

 

 

 

では上空援護の前に、一度越後の後部航空機作業甲板に着艦します。これがまた難しい。空母のように着艦を想定して作られた甲板ではないのでかなりの難易度です。

まず斜めに艦尾側から侵入し、機関砲を避けてタッチダウン。航空機運搬レールに気をつけながらブレーキで止まります。

止まれないと副砲群に飛び込むことになります。まあウィッチなので大惨事にはならないですけど。

まあここにいる他のウィッチは一騎当千とまではいきませんがちゃんとエースなので下手なことはしないでしょう。

 

 

では越後での補給ですが、20ミリが一回分、それを使い切った場合零式の機関砲として使っている九七式七粍七固定機銃があるのでそれのウィッチ仕様である丁1型を供与してもらう事になります。

連射速度と携行弾数が大幅に増えるのですが火力不足がどうしても拭えない。

戦いは瞬間火力なんだよ瞬間火力。

まあ20ミリを使い切らなければ良いだけです。

ではカタパルトで空に飛び上がります。

流石に甲板が短すぎです。専用の補助装置があればアニメの宮藤みたいに垂直発進も可能です。

ですがあれは恐ろしいほどの燃費の悪さと宮藤だからこそできる芸当なので迂闊に真似しちゃダメでですよ。大人しくカタパルトから打ち上げられましょう。

やるなら専用のユニット固定装置が必要になります。

めっちゃ火薬臭い。後ものすごい衝撃。

油圧カタパルトが欲しいですわ。

まああれもかなり衝撃は強いんですけどね。

 

はい、ミッションが変更されました。

越後と磯風の体力をともに70%以上残した状態で日の入りまで戦うミッションです。

 

戦闘機がいなくなり防空ウィッチの数も護衛も全くと言って良いほど足りていません。

しかしやり遂げることは出来ますしこれ無くして最速タイムは取れないのですよ。

では第七波が襲来です。

知ってかしらずか今回は戦爆連合のネウロイです。

しかし全て小型。リバウのネウロイの巣では中型を数機生み出すのが精々なため数を揃えるには小型を主力とせざるをえないようです。しかし数45機はまさしく暴力です。

まあ、倒せば良いんですよ。

 

ヘッドオンすると散開されて逃げに入りました。こいつらは護衛の空戦ネウロイです。無視。急旋回で離脱。

隣のグループに向かって再度ヘッドオン。

こっちはまとまったままです。攻撃をするにはまとまって一箇所から突っ込んだ方が効果が最も大きくなるため爆撃隊はなかなか編隊を解くことが出来ません。

当たりなので予測位置に20ミリをばら撒いて先頭集団を撃滅します。その合間にピンク髪と僚機ちゃんが飛び込んでネウロイの爆撃隊を撃滅していきます。

他のウィッチは空戦型のネウロイの相手をしているものの爆撃ネウロイが壊滅したのに気づいて目標をウィッチから戦艦越後に切り替えました。

 

ただでさえ速度差があまりない空戦型がこちらを相手にせず戦艦に一直線に突っ込まれたら追いつけるわけありません。

越後に被弾がいくつか発生します。しかし小型の空戦型ネウロイが放つ攻撃など戦艦の前には無力。

左舷側の対空砲群が半壊してますがまだやれます。喫水線の下にもダメージが入っているようですが誤差の範囲。

こちらが追いつくまでにマスト下の電探室がやられましたが、電探は磯風も持っているのでまだ大丈夫。

 

それに日没後はネウロイは航空攻撃を諦めます。まもなく日没となります。つまりここが正念場ということです。

まあ移動しない上都市や軍港なら夜間攻撃も簡単でしょうが洋上を進む船を夜間で捕捉するのは困難な上に洋上という指標物が全くない空間での飛行はそれだけでも迷子の因です。特に夜間は天体観測航法くらいしか無いですし。一応基地とか空母なら位置ビーコンを複数の場所から放って誘導することも出来なくはないですけどネウロイにはそんなものできませんので。

日が落ちるとネウロイの姿もぱったり消えました。

補給と休養のために越後に降ります。

 

再出撃の為の武装変更を行っておきます。

20ミリは品切れのため7.7ミリ機関銃二丁に変更です。ついでなのでナイフから扶桑刀に切り替えます。リーチが長くなった分この刀は下手に使えば一瞬で折れる極端な刀です。それでもナイフより圧倒的に戦闘力が上がるので20ミリが無くなったことによる火力低下を補う目的で持っていきます。

 

 

火災による黒煙を引きずりながら越後がようやくリバウに到着しました。

ようやく此方を認識したのか飛行ネウロイが何機か出てきます。

こちらもカタパルトで発進です。

本戦闘のミッションは護衛対象の越後が消滅するまで戦い続けるというものです。

夜間ですが周囲がほんのり明るいしこれから明るくなっていくのでそんなに気になるものではありません。ピンク髪が夜戦の経験が無いくらいです。

闇夜の空に不気味にネウロイが赤いビームを放ってきます。

ロールで回避をしながら横合いより殴り込みます。うーん小型がメインなのに数発当てないと落ちませんね。やっぱ火力足りないわ。

少しだけネウロイの撃墜に苦戦している合間に少し奥の風景をご覧ください。

ガッツリとまではいきませんが結構小さいネウロイの巣がありますね。

まあ戦艦程度の大きさなので本当にできたばかりの巣のようです。

小さいとはいえ巣は巣なので問答無用で46センチ砲が火を噴きました。上空からならよく見えます。

一応着弾観測機も上がっていますがこちらも決死の着弾観測です。

あ、被弾した零式水偵が粉々になって火の玉に変わりました。

 

さらに地上からの反撃で越後も次々に被弾していきます。地上にいるネウロイは新タイプです。防御力を犠牲に火力に特化した自走砲ネウロイです。

その火力たることや口径36センチのビーム砲です。某宇宙戦艦の冒頭あたりの戦艦が搭載していた砲程度の火力はあります。

ウィッチのシールドすら焼け石に水です。

舵が破壊され、右舷側の対空砲火群が沈黙。浸水が発生したのか傾斜が始まりました。

空戦をしながらですが自走砲ネウロイを撃破します。防御力皆無なので7.7ミリでも胴体中央のコアに届いちゃいます。というか普通に貫通して地面に土煙をあげています。これで少しは安心です。

すぐに越後の傾斜が戻り砲撃再開。しかしネウロイの巣には微妙に直撃しない。

はいお空のネウロイを倒しちゃったんでちょっと見学です。

再び地上からの応射で、マストを直撃。電探室の残骸とマストを吹き飛ばします。

高角砲も新たに2基が吹き飛び、そばにあった機銃弾薬の木箱をいくつか誘爆させています。

艦橋トップのレーダー射撃用アンテナも破壊されました。どこから飛んできているのかわからないビームで後部艦橋と艦橋基部にあった兵員待機室が被弾炎上。満身創痍です。

 

あ、座礁しました。

しかし砲火は健在。再び放たれた46センチ砲弾でようやく巣が破壊されました。

ただし相打ちでビーム数発が艦橋に直撃します。

夜戦艦橋と昼戦艦橋、防空指揮所とトップの射撃指揮所も大きく破壊されました。同時に電路が損傷し主砲の動きが止まります。

一応シールドで守りましたがあまり意味ありませんでした。

では護衛目標が消失したのでミッション終了です。

 

護衛し続けた駆逐艦磯風は反転離脱。燃料に余裕がないブリタニアのウィッチは磯風に緊急着艦(ほぼ突っ込んでる)。

こちらはバルバロッサ本体と合流するために北上します。

 

では今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました‼︎




ブラッドフォード級防空軽巡洋艦

全長188m全幅20.3m
基準排水量11020t

機関
主缶
アドミラリティ式重油専焼三胴型水管缶4基
主機
パーソンズ式ギヤードタービン 4基4軸推進

出力83000shp 最大戦速34kt
乗員880名

兵装
Mark III 1938年型 11.4cm連装高角砲10基
ボフォース40ミリ四連装機関砲6基
エリコン20ミリ単装機関砲20基

タウン級巡洋艦のグループの一つであり船体はエディンバラ級のものを流用して設計されている。
主砲はイラストリアス級にも搭載された高角砲を艦橋前に三基、後部へ3基と2本の煙突を挟むように左右2基づつの合計10基とし、艦載機運用能力と魚雷発射管を撤去し某空戦闘に専念をしている。
また、新たにCIC室や電探室を建造時から設置した関係で艦橋は元のエディンバラ級とは異なっている。
アトランタ級防空巡洋艦にも影響を与えた本艦級であるが、高射指揮装置が二組しかなく防空能力は高いとは言い切れない。しかしCIC室と新鋭の電探により他の艦との連携力が高かったことから6隻が建造された。


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???13

「久しぶり、相棒。まだ生きてる?」

 

再会早々無線機越しの会話はそうやって始まった。僕はその相棒呼びは好きじゃないんだけど。どうもロミーは気に入っているらしい。

「生きてるよ」

そんな返しができるのはユーモアがあるからなのだろうか?

「えっと……そろそろ扶桑に帰りたくなってきた」

相変わらず扶桑国ウィッチなのに周りはブリタニアやカールスラントのウィッチばっかりな状態にそろそろ僕のホームシックも限界に近くなってきていた。まあホームシックって言っても家に帰ったらちょっと色々気まずいところがあるから日本にホームシックしてるところなんだけど。

「この戦いが終わったら申請してみれば?」

 

「あのおっさんが許してくれるとは思えない……」

せめて味噌汁でも飲めたらなあ。米はいいから味噌汁ちょうだい。ってか味噌ちょうだい。

 

そんな事を言いながら、港を出港したばかりの空母の甲板にゆっくりと降りていった。僕にとっては久しぶりの空母着艦だった。ブリタニアの空母は扶桑のものとは着艦誘導方法が違ったからかなり迷った。正直自信無くした。

なんで空母着艦経験がほとんどないハル達の方が上手いのさ。

 

「すごい……隣の戦艦が巡洋艦に見える」

 

「戦艦越後。デカイでしょ」

 

ブリタニアのウィッチ達からはモンスターという単語が聞こえてきた。

ちょっとだけ誇らしく思ったけど別に僕自身とは何も関係がないと思い直して病んだ。

そもそも周り全員他言語文化でコミニュケーションすらまともに取れない空間とか僕頭おかしくなりそう。

あ、元から話す人いなかったしそんなに生活変わってないや。

ただここのみんなは何故か僕やハルに色々聞いてこようとしていた。ロミーもそんな感じだった。

聞きたいことはわかるけどそんな良いものでもないし僕はただ飛んでいるだけだからって言うと落胆されそうでどう答えていいかわからなくなって病みかけた。

 

 

やっぱりブリタニアの空母は祥鳳よりも大きいからか安定していて揺れも少なかった。ただ揺れの周期がかなり大きくてトップヘビー感はあった。

だけれど僕達の母艦だからこそ、二日いただけでも愛着が湧いた。艦はどこか人間臭いところがあるって言われているからね。ハルもなんだかんだ言いながら人並みの愛着はあったみたいだよ。

食事の時に教えてもらった。

 

『ネウロイの大群北東20°高度4000にて接近中!ウィッチ隊は直ちに発進せよ』

最初の警報が鳴ったのは格納庫待機が命じられて5分後。トイレから戻ってきたばかりなのに。

休んでいる暇もおにぎりも食べている暇もなかった。せっかく扶桑の艦からの差し入れだったのに。

ウィッチの武装は前方側のエレベーターでまとめて甲板に上げられていった。そのエレベーターで僕たちも甲板に上がる。

ストライカーユニットを装着して前に続いて発進。合成風力のおかげでかなり簡単に飛び上がる。だけれどネウロイが接近する前に高度4500まで上がらないといけない。なかなか忙しい。

 

それもハルについていく。相変わらず無茶苦茶な動きをしていた。それもかなり磨きがかかっていて、ネウロイを困惑させるのには十分すぎるものだった。

僕はそうそうついていくのを諦めてハルが意図的に集めてくれたネウロイを撃つか、彼女とロミーが開けた突破口で20ミリを暴れさせるだけだよ。そもそも僕は見越し射撃が苦手だから接近して攻撃する癖があるんだ。

 

だけど一人がどれほど突出していても、全てを落とせるわけではない。最初こそ五月雨式に飛び込んでいたネウロイは急に組織的な攻撃をしてくるようになった。同時にこっちの防空体制を飽和させようと複数方向からの同時攻撃だった。

下で外縁防衛をしていた防空軽巡五十鈴が何発ものビームを船体に受けて炎上していた。

 

 

何度か補給と整備のために空母に着艦しては対空戦をしている最中に飛び出すといった荒技を繰り返して、いつのまにかお昼は過ぎていた。

でも食べる気にもなれなかった。

空襲と空襲の合間に医療設備が整っている空母にはたくさんの負傷者が運び込まれて、一部は格納庫や甲板を横切って運ばれて行っていた。血の匂いや既に息絶えた人からドッグタグを取り外す人。置き場がないからと白い布を巻かれて通路の端に転がされた死体。多くはひどく損傷したものばかりだった。

 

それでも平然とおにぎりを頬張ってユニットを装着するハルをウィッチのみんなは奇異の視線で見送っていた。

いわくどんな時でも食べておかないと身体がもたないかららしい。こっちは精神がもたないよ。

ロミーも流石に飲み物くらいしか飲んでないし。

 

僕達が空に上がるとまた何隻かが炎上していた。外縁部の駆逐艦だった。外縁にいる駆逐艦は他の艦からの援護射撃を受けづらい。だから防空空域を突破された時に真っ先に犠牲になるのは駆逐艦か軽巡からだった。

すでに炎上している駆逐艦にいくつものビームが殺到する。シールドでいくつかを防いだけれど、炎上する初春型駆逐艦の船体は長くは保ちそうになかった。

魚雷に引火しなかった分なんとか轟沈だけは防げたのが唯一の救いだろう。

それでも母艦だったフォーミダブルの艦橋が吹き飛ばされたり火災で炎上したりと午後も全く休まることはなかった。

 

ウィッチも何人かがいなくなっていて、疲労が限界に近づいていたよ。

旗艦である加賀にもいくつかのビームが命中した。

 

ハルが合間に飛び込んでビームを防ぎ、ようやく敵がいなくなったタイミングで、無線がブリタニア語で何かを叫んだ。

それは事前に取り決められていたもの。そして囮艦隊である僕達にとっては転舵の指示だった。つまり作戦のうちの最も大事なところは完了したって事だった。

それが失敗なのか成功なのかはわからない。だけれど僕たちの戦いは一旦区切りがついたって事だった。

眼下ではすでに加賀とその護衛の艦艇が転舵をしていた。

だけれど航跡は全てが曲がりくねったわけではなかった。

越後はそのままの航路を維持したまま艦隊から離れていった。

正直そんなことしても無駄だと思った。だけど人間ってどこか理屈では割り切れないところがあるんだよね。僕だってあんなところで引き返すのはなんだか悔しいしいずれにしても越後を途中で座礁させるか燃料切れで漂流するかしか選択肢は残っていなかった。

結局死にゆく越後を見送ろうとしていたらハルが越後の援護をすると言い出した。

 

「ハル⁈」

あろうことか隊長は越後を援護すると言い出した。ロミーもそれに賛成していた。多数決の法則ならすでに僕の運命は決まっている。

「あ……わかったよ‼︎最後まで付き合ってやるっ!もうどうにでもなれ‼︎」

 

それに越後が戦うのなら、最後まで見届ける必要がある。

日が暮れるまでの時間もそんなにないから、ここが正念場だと言い聞かせるしかやけを起こした僕を奮い立たせるには方法がなかった。そもそもまだ新米のウィッチなら正念場からは逃げるべきではと思うんだけど……

 

結局夜も戦うハメになった。

夜くらい寝かせてよ。

 

 

 

 

 

バルバロッサ作戦

初期の連合軍の作戦の中でも特異な作戦と言える。

人類が国という境を超えてネウロイという厄災に立ち向かった初の作戦であり、同時に人類が真の意味での共同作戦というものが不可能であると言う事を教訓として残したものでもあると言える。

 

本作戦は北方方面に脱出したカールスラント軍の戦力を中心とし、各方面よりかき集められた各国の兵力を追加した大規模な戦力によりスオムス方面の奪還、並びにカールスラントまでの道を開こうと言うものだった。

 

しかし実際には情報不足とネウロイに対する認識不足。また政治的判断により各国の軍の情報が統制されなかったことにより、三分の一が完了した段階で中断となった。

この一連の作戦においてカールスラント軍は残存戦力の4割を損失。その多くはブリタニアとガリア軍が影響していると噂されている。

 

だが一方では、人の可能性を見ることも可能だとロミルダは言った。実際、アントナーは可能性は確かにあったと言っていたそうだ。

 

それはバルバロッサ作戦における第一段階、リバウ陽動作戦での事らしい。

当時を詳しく知るため、私はリバウ陽動作戦に従事した人達を取材することとした。

 

 

 

 

 

ロア・ダール

元ブリタニア海軍航空隊

最終階級中尉。

1942年に退役。現在は小説家、脚本家をしている。

 

 

 

 

あの作戦は最初から陽動だと聞かされていた。その上で希望があるのなら艦を降りても良いと航空隊長は言っていた。

実際それに従って何人かの若いウィッチや、まだ戦力化ができていないウィッチは艦を降りた。彼女達が抜けた穴を埋める形で、エースウィッチはやってきた。

当時伝説となりかけていたカールスラントのウィッチは、戦果に反して幼かった。

それでもウィッチとしての腕が確かなのは知っていた。同時に、嫉妬すら覚えた。他国であり、彼女が経験してきた修羅の道を私は理解していなかった。

 

 

それを経験するのは二日後だった。

その日ネウロイの勢力圏内に入ってから1時間で敵の襲来があった。

最初こそ数の力で押し返すことができていたが、時間が経つにつれて一人、一隻と少しづつ脱落していた。

疲労も限界に近かった。何度も空に上がっては燃料がギリギリになるまで戦い降りる。艦内は出撃準備と着艦後の整備が重なって混乱寸前の混沌が入り交じっていたし、負傷者が運ばれて行ったりと血の匂いも濃くなっていた。もはや国籍がどうとか実力がどうとかそんな事をいちいち考えている余裕など無かったわ。

ハル達?

ああ、何度か見かけたが全く疲労も悲観もしていないように見えた。ただ淡々と、空に上がっては敵を落とす。まるで空の銃座だった。機械のように正確無慈悲に、ネウロイを落とすことに特化した動く銃座。

 

 

「フォーミダブル被弾!艦橋が燃えています!」

その声は先に発艦した部下のものだったのか……

 

私が飛び出した直後、後方で母艦が火を噴いた。

振り返ると、フォーミダブルの艦橋が炎に包まれていた。

炎が甲板にも降りかかり、発艦を待っていたシーファイアが炎上していた。さらに1発が艦尾に命中し黒煙が一層濃くなった。

それを見て頭に血が上がった。

 

配下の子に深追いしすぎだと言われてようやく目が覚めたくらいだ。

指定された空域から離れかけていた事を理解して直ぐにネウロイの突破を阻止する任務に戻った。

 

 

『上空のウィッチに次ぐ、道は開かれた。作戦を終了し当海域から離脱をする』

広域無線がそう告げた。眼下では艦隊が一斉に転舵をしていた。

その中でも一際目立つ巨大な戦艦は転舵をすることなく直進をしていた。

その航跡は七色に光る黒い液体に染まっていた。

『こちら戦艦越後。燃料漏洩により港までたどり着けない。艦隊撤退の時間を稼ぎつつ予定通りリバウへ向かう。他の艦は我を顧みず撤退せよ』

 

『こちら空母フォーミダブル所属アントナー少尉。越後を援護する』

 

 

撤退命令は下された。だけれど私はそれには従わずに、カールスラントのウィッチ達と共に戦艦の突入を掩護する事とした。

母艦を傷つけられ、戦友を奪った存在に一矢報いるのを手伝いたかったのよ。

ああ、類稀な勇気が共通の美徳だったわ。

 

扶桑の巨大戦艦は幾つも被弾して火を吹いていた。私も何機かのネウロイを阻止していたが防戦一方だった。

だけどその中でもハルは次々にネウロイを落としていった。その姿は戦場での女神そのものだ。

彼女がいれば戦艦は大丈夫だと根拠のない自信も当時は込み上げていた。

 

その根拠のない自信のおかげで私は磯風の援護を徹底することが出来た。

 

短い合間であったが、確かにそこには共闘があった。

それが怒りによるものなのか、他国の兵士であっても犠牲を少しでも減らすためという献身的な感情からくるものだったのかはわからない。

ただあの時の私達は国という概念などどこかに消えていたかもしれない。

分かり合えるとまではいかないが、もしかしたら理解すると言うことくらいはできるのかもしれないな。

 

 

 

結局私は磯風に着艦した時に脊髄を損傷してね。

あれ以降空は飛べなくなった。だが後悔はしていない。

 

 

 

 

 

 

越後は座礁してネウロイの小さな巣を破壊した。

英雄的に語られる戦いはそこで終わる。

今でも天高く引き上げられた砲も、ボロボロになった船体も見ることができる。

だけど生き延びた乗員と僕たちにはそこから北に向かってバルバロッサの本隊と合流すべく必死の飛行が待っていた。





陽炎型駆逐艦磯風

全長124m全幅10.8m
基準排水量2033t

機関
主缶ロ号艦本式缶3基

主機
艦本式衝動タービン2基2軸
52,000馬力 最大戦速34kt

乗員239名

主兵装
九八式十糎高角砲A型砲架3基
九六式二十五粍高角機銃三連装7基同単装8基
九二式四連装魚雷発射管四型2基(予備魚雷無し)

九四式爆雷投射機1基、三型装填台1基
爆雷投下台水圧三型2基
九一式爆雷 36個

欧州派遣艦隊の護衛として他の陽炎型とともに改装された防空駆逐艦の一隻。
秋月型防空駆逐艦の配備には時間がかかることから陽炎型駆逐艦を突貫工事で改装する事で対空性能を強化している。
陽炎型12番艦磯風はその中でも主砲を九八式10センチ砲へ変更した最初の艦である。従来の12.7センチ高角砲を搭載することとなった他の陽炎型よりもより対空性能を上げるため磯風は予備魚雷を撤去し25ミリ機関砲の増設を行なっている。


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part 25 始動第501JFW1

燃料切れから始まるRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

前回の戦闘の後なるべくバルバロッサ本隊へ近づく為に淡々と北上したわけですが本隊手前でついに燃料切れとなりました。

他二人はまだ燃料が残っているので飛行し続けてもらいます。

 

では早速地面に降下していきますが、えーここはわざと失敗する事で怪我をします。ただし死なない程度に怪我をするというのは案外難しいものです(5敗)

練習をするのも容易ではなくセーブも難しいのでなかなか大変でした。いやあ我ながら今回はいい出来だと思いますよ(自己陶酔)

 

わざと着陸時に先端を地面に接触させ突き刺さるようにすることで急制動を発生させます。基本100キロ近い速度で動いている人がそんな急制動に耐えられるはずもなくストライカーユニットから投げ出されて地面を転がります。所々でシールドを張る事で致命打を回避しつつ重傷の状態に持っていきます。

 

軟着陸失敗で地面をごろごろごろ。

視界はすぐに止めていますが三半規管が壊れそう。しかも身体中鈍痛の嵐です。痛覚強くしている人は悶えるでしょうね。

 

では負傷状況ですが、現在時点での負傷は胴体5箇所の打撲、2箇所の擦り傷、2箇所の木の枝による刺し傷。腕の骨折。それと出血箇所が多いことによる出血性ショックです。

ショック状態で一時的に意識を失います。これによって次に目覚めるのは医療用テントの中にすることが可能となります。

ただ意識不明にするのはかなり難しいので今回1発で出てくれたのはラッキーです。

 

怪我の状況を説明されたのちにしばらく安静にしておけと言われます。

ちなみに他の二人は原隊に戻り普通に空戦に勤しんでいます。

 

 

 

 

場面変わって501部隊の基地になりました。

 

この間何があったのかがすぐに画面上に表記されます。

まあ要約すると後方の病院で骨折が治るまで療養させられましたというだけです。

リハビリも含まれていましたがとりあえず半年くらいで復帰です。

それとは別に後遺症ガチャを引いてしまいました。

大怪我に当たるダメージを負い、医療ウィッチによる援護が受けられない状態の場合において初めて病院送りとなるのですが、その際に25%の確率で後遺症が発生する場合があります。

今回の場合は色覚異常で映像がモノトーン化するデバフです。

こうなりたくないのならしっかりと戦えということなのですよ。

ちなみにこのデバフは一定時間経つと解消されるので問題はありません。タイミングとしてはアニメ一期中盤あたりになります。

 

 

 

とりあえず復帰直後ですが早速エーリカに抱きつかれました。

 

では久しぶりの訓練といきましょう!

素早さ61 体力67 魔力88 運36 精密45

 

運だけが相変わらず低いですね。

まあ仕方がありません。

墜落事故を起こした影響もあるのでしょうね。

あ、ペリーヌに話しかけられました。どうやらキャラ別のランダムイベントのようです。この話しかけてくるキャラはランダムなので色々なキャラがあります。

内容は……興味ないので読み飛ばしています。どうせ後で会わないかとかそんなものでしょうね。当然無視して構いません。

 

こっちは時間がないんでね。

では1942年の最後の戦いです。

格納庫でストライカーユニットを選択すると自動で戦闘に移行します。先程ペリーヌが話しかけてきていたので僚機はペリーヌです。

この戦闘を機に一度隊から抜けます。ただし隊が変わるわけではありません。出向でスオムスに向かうというフレーズが少しだけ入ります。

多分マロニー派による工作の一つです。

マロニーめやってくれますね(棒)

扶桑国じゃマロニーちゃんって名前で売られているのに……もしやこれはマロニーの乱⁈売り場を封印しなければ。

 

では航空戦となります。流石に私とペリーヌだけでの出撃とはならず、バックアップで坂本さんが入ります。

ネウロイはブリタニア本土へ向けて飛行中の小型で構成された物たちです。

ただし中央の中型はビット兵器のような超小型の六角形の個体を5つほど展開させて攻撃してきます。

完全に機動戦士とか超時空要塞やんけ。

 

対処法は現在考えられているものとしてはとりあえず画面上にビームの軌道が全部出るので全部防ぎましょうというものだけです。

実際小出力なのでシールドでも結構防げますし。

これがショックカノンレベルだったらちょっとやばかったですね。

 

シールドで防御しつつ本体を直接叩きます。

攻撃をするとビットバリアをしてくることがありますがゼロ距離まで迫ればそんなことも起こりません。

コアの位置は他の中型と同じで胴体中央。銃剣を突き立てて固定してから数発撃てばコアが破壊できます。

 

早速実践してみます。

近づいて近づいて……ビット兵器の妨害はシールドでゴリ押しします。

ペリーヌが周囲の小型ネウロイを引き連れているうちに中型に取りつきました。流石に同士討ちになるからかビット兵器は攻撃してきません。

がむしゃらにネウロイが暴れていますが素早くトドメを刺してあげます。

 

ほい、処理完了。後はペリーヌが撃ち漏らしたおこぼれをもらっちゃいます。

経験値うまうま。

あ、ペリーヌに何か言われましたが無視しておきます。

 

 

 

 

では一旦サラダバー。501よ。

後で絶対私は帰ってきたごっこするからさ。

それにしても横暴な指揮官ですねえ新しく入ってきたマロニー。

ただしカールスラント組が多かったのも事実なのでしょうがないところがありますけれどね。

あ、ラウラがめっちゃ目死んでる。ありゃギスギスが限界に近くなってるな。

ブリタニアのウィッチは夜間爆撃対策のためにブリタニア本土に戻され扶桑陸軍ウィッチは試験機の墜落事故で療養のために扶桑国に戻ると。

 

代わりの人員来るんですかね?

一応ナイトウィッチはオラーシャのヤベーやつ。

陸軍ウィッチの補充はスオムスのヤベー奴がやってくるようですけど。現実だったらペリーヌの心が疲れちゃいそう。あ、坂本さんがいるから平気ですよ。

流石人外部隊とか陰で噂される501の人選。

これが攻勢部隊として生まれていてなおかつ魔王が全盛期なら彼女も入隊してたんだろうなあ。

 

 

これが終わると1944年まで飛ぶことになります。

ちなみにこれ一種のバグのようなものです。複数のストーリーの分岐が分かれたりくっついたりするシステムの関係とまだアップデート前の段階で解放されていないストーリーがあるためこのようにすっ飛ぶ仕組みになっています。

なのでアップデートが来ていますがそれを行わずバージョンを古いままで挑んでいるというわけです。

 

ちなみにバルバロッサに参加しないルートを取ると501にずっと残り続ける事となってギスギス調停したり後からくるメンバーと仲を深めたりすることとなります。

ちなみにそこで色々とすると宮藤を501に参加させないルートというのもできたりしますがウォーロックやらが鬼となります。お勧めしません。

 

はい場面転換1944年です。

 

 

場面はロマーニャからの超長距離移動飛行が終了しもうすぐ基地が見えてくるであろう空域です。

高度は3000m巡航速度。

1944年に入るとアニメ一期スタートなのですが、501残留では基地スタートとなります。

 

ここからすぐのところを空母赤城を中心とした欧州派遣艦隊が航行しています。

アニメ版では空母と駆逐艦のみでしたが流石にそれはないだろうということで空母赤城に5000t級巡洋艦2隻、駆逐艦二個戦隊がついています。

 

はい宮藤初登場回ということで空母赤城を迎えに行きます。

と言っても基本は進路をそのままとし、半分ほど消化すると敵襲の通信が入ります。

すぐに反転。全速力で赤城援護へと向かいます。

 

遠くの空が対空弾幕で黒くなっているのが見えればもうすぐ空戦域です。さあショータイムです。

ちなみに眼下では大破した駆逐艦が2隻。黒煙を上げて停止しているのが見えます。画面のデータによると駆逐艦浜風と時津風。

どちらも防空仕様にされたものです。

赤城はまだ被弾していないのですが、戦闘機はわんさか落ちています。流石大型ネウロイ。強い。

X-3という呼称がアニメ版では使われていますが、ゲーム版では名称が変わり

アルティメイトハリケーンとなっています。

見た目がHo229にどこか似ていますが攻撃力はかなり高いです。ちなみに防御力もめっぽう高いです。

あ、軽巡が一隻破壊されました。轟沈とまではいきませんが艦首を失っています。

ネウロイは再び艦隊上空を通過しようとしています。

こちらへ注意を引くために上方から降下しつつ後ろへ抜ける攻撃です。

 

坂本さんが味方航空機と共に駆け上がってきているので注意を引き続けるために旋回ししつつわざと横から殴り込みをかけます。このネウロイは上も下も死角がないタイプの攻撃をしてきますが意外にもパターンは三種類しかありません。ただし数でゴリ押ししてくるのが厄介なところです。

坂本さんが横に上がってきて気を引いてくれと指示を出してきました。

素直に従いつつ、攻撃です。20ミリをいくらかぶち当てますがコアまで届きません。というより仕様として前半はこれを撃破するのは不可能です。

なので手を抜きながら戦うこととします。

お、坂本さんがコアを発見しました。

 

しかしなかなか辿り着けません。こちらもビームが濃密すぎて回避しながら飛び込むこともシールドで押し返すことも不可能です。

さてどうするか?

とりあえず駆逐艦に向かう攻撃を防ぐためにシールドで防ぎ続けましょう。

宮藤が飛び出すのには2分かかるのでそれまでは艦隊保全のために動きます。

アニメ一期開始より戦闘評価が若干変化しまして、味方を守るということも評価されるようになります。

正直戦わなくてもどうにかなるということです。

実際宮藤達に任せるのが最適解だったりします。

今戦闘はそれが最適解かつ最短ルートなので防衛に徹することとしまして……2分経ちました。

さっそく宮藤が空に上がってきます。

赤城に攻撃が来て飛行甲板を破壊しました。かわいそう。

というか艦載機が古い96艦戦とか舐めてんの?やめたらこの戦争。せめて零戦系列連れてきなさいよ。

まあ愚痴はともかく空に上がった宮藤ともっさんのおかげでネウロイは撃破されました。

早いね。宮藤が上がってから30秒と経っていないよ。流石負けイベント。

というわけで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました‼︎




長良級防空軽巡洋艦


所属
扶桑国海軍

基準排水量5576t
全長162m 全幅14.2m
機関
主缶
ロ号艦本式重油専焼水管缶8基
主機
三菱技本式高圧衝動型・三菱パーソンズ式低圧反動型4基4軸

出力87000hp 速力33ノット



乗員
477名
兵装
40口径八九式十二糎七連装高角砲 4基
九六式25mm3連装機銃 11基同単装機銃 6基


扶桑国海軍が所有している軽巡洋艦のうち旧型化していた長良型を大改装して生まれた防空軽巡洋艦。
改装箇所は機関部に至るまでの多岐に亘り、艦橋は後方へ移動し煙突を2本にまとめている姿から完全に竣工時の面影は見当たらない。
高角砲は艦橋前に二つ、後部マストの後ろに二つを山成に配置。艦載機カタパルトを第一、煙突の後方へ移設している。
電探として21号電探と13号電探を搭載したほか94式高射指揮装置を4つ搭載するなど複数目標への同時対処能力は高い
一番艦長良、由良は改装後すぐにバルバロッサへ導入され越後護衛として奮闘した。


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part 26 始動第501JFW2

宮藤がやってきたRTAはーじまーるよー‼︎

 

空母赤城以下生き残った数隻の艦船がのんびりと501の基地周辺に仮停泊しています。

この後501との物資交換をした後ポーツマスに向かいます。派遣の艦隊が既に三分の一の戦力を消失しているあたり結構重症な気がする。だけど対価で大型ネウロイを撃破できているからトントンかな。

欧州に元から派遣されている戦艦や空母と合流すればそれこそかなりの規模の艦隊になるし。

 

おっと考察はここまでにしまして、宮藤の紹介が行われています。ついでにこちらの501部隊復帰も通告しておきましょう。

じゃあ座席に……は?横に並べと(知ってた)並べと?

うん、こうやって並ぶとなんか同い年の友達です感出るね。

あ、宮藤ちゃん銃要らない?ならくれや。君の支給されたその銃結構サブウェポンとして重要なんやで。主に取り回しで。

あっそう支給品だからダメと。

ではいなかった合間に加入したメンバーのシャーリー、リネット、ルッキーニとの挨拶です。

スオムスとオラーシャの二人はギリあっているので挨拶イベントはこの場面では特にありません。ちなみのリネットはこの時の印象は若干悪いです。まあ仕方がないね。むしろハルちゃん見たら余計に拗れそう。

ちなみに撃墜数は200機台に載っているので勝手に尊敬の意思表示がされます。

スキップされた1943年は何をしていたのか知りませんが合計で10機加算されています。意外と少ない。

挨拶が終わったら最後はもう一回宮藤のターン。ちなみにスキップ可能です。

スキップじゃい‼︎

 

 

ではここから操作可能となります。複数のイベントが同時に存在しているのですが、ここからは昔からの手法で進めていきます。

まずミーナに話しかけて、宮藤の訓練教官をしたいと言います。

専属で教官任務を行うことはできないが不定期なら大丈夫と言われればOK、はいなんのことはなくイベント宮藤を訓練せよが始まります。

なんだかんだ言って最初のイベントがこれとな。

 

訓練というよりとりあえず訓練方法は色々ありますが目標数値を達成すれば良いと言うことに絞ると最短ルートは2つ浮かび上がります。

 

一つは空戦練習をさせること。ただしこれは宮藤の体力パフォーマンスが低いままで行うと好感度が上がらないデバフが付与されます。

好感度が上がらないのは今回のRTAでは良いことなので是非推奨です。

後でこちらも模擬戦で鍛えておく事にします。

 

もう一つは、淡々と走らせる事。とりあえず基地の周囲を3周させればOKです。

ただしこっちは体力以外何も鍛えられないです。

でも宮藤は魔力チートなのでむしろ推奨だったりします。

さすが主人公、素質がえぐい。というかピーキーすぎる。なんやねんステフリで魔力に全フリしたんか。

恐ろしいことするなあ。

 

えー……話がずれました。今回取るのは空戦訓練です。

正直な話走り込みは坂本さんがやってくれているんですよね。

これ以上体力おばけにしてどうする。

 

ではそらに上が……あが……あ、一応飛べたのね。

上がるところから始めようとしましたが普通に離陸は出来ました。こちらも離陸です。しかし選べるユニットが訓練の時は扶桑製96戦ってなんだかなあ。

まあ世界最初のストライカーユニットで数あまりしてるってのはあるのでしょうね。

とりあえず基本的な旋回と上昇、降下。そして加速と減速をさせます。

あ、リネットが合流しました。零式、96、スピットファイアの不思議な並びが出来ました。なになに?心折っていいの?冗談だけど。

とりあえずまずはこちらに付いていくことを主眼にして練習させます。

なんにしろまずは僚機を見失わないことが大事。次についていく事。いやーしごかれました。

そろそろ訓練が半分消化したくらいなのでペリーヌが乱入してくる頃合いです。走者が眠気でふらふらし始めた頃合いですが気を引き締めてかかります。

 

お、噂をすればペリーヌ。

わざわざ哨戒の帰りに寄ってきたみたいです。エーリカもいます。

 

暇人かお前ら。いや暇人ではないや。だってエーリカは午前中ずっと記者の取材受けてたし。いやあプロパガンダって大変だねえ。

まあペリーヌは坂本さんが連れてきた泥棒猫ゲフンゲフン、泥棒猫が気になるんでしょうね。

 

流石にエリペリと戦えとか無理だからね?何冗談みたいに言ってるんだお前実際やろうとしただろ。リセだぞ?リセ案件だぞそれは。

というわけで今回はペリーヌvs宮藤アンドリネットの謎戦闘が始まります。ハンデとしてペリーヌにタッチできたらOKという……なんだこの鬼ごっこ感。

だけどそれあんまりハンデになっていないんですよね。だってリネットの長所は狙撃。動き回って空戦するのでないし。宮藤はそもそもユニット飛行二回目の赤子。

一回で飛行に成功しているというだけでもはや動きは少しだけ教えたに過ぎません。

 

 

テロップに5分後って出ました。5分しか保たなかったんかい。

うわほんとにぐったりしてる。

ペリーヌ容赦がない。流石、そういうところ嫌いじゃない。

じゃあ今日は帰りましょうかー鬼じゃないですからね。

うんうん、何もっとやりたい?へー……じゃあペリーヌに教えてもらってね。さあエーリカよ帰ろうじゃないか。

宮藤、強く生きろ。リネットは……空戦覚えるのも一つの手だからね。

あ、空襲っすか?

あ、ハイ。現場急行します。

ネウロイの中規模な編隊が接近中とな。

エーリカとペリーヌはともかくハルちゃんは主兵装がペイント弾なんだよなあ。実質非武装。

一応サブウェポンのワルサー拳銃(軍支給品)と扶桑刀(越後からパクった)があるので最低限の戦闘はできますけど……

時間稼ぎと注意を引くくらいはしてやるか。

新米2人は自力で基地に戻りなさい。え?やれる事?対空銃座の弾薬補充くらいはやることあるんじゃない?

まあこのくらい言っておけばくっついてはきませんので……

 

……はい⁉︎なんでくっついてくるの⁈

たしかに試走の時にも何回かこういう事あったけど!なんで本番で‼︎

え……ネウロイとの距離が近いからもう避難が間に合わない?そんな鬼畜な。

とりあえず応援が来るまで6分と。ペリーヌのせいでバテバテな2人をお守りしろと。

無茶な事を言ってくれる。

さすが最高難易度。やれるものならやってみろ感出してる。だけどこっちはタイム狙ってんだ。今更ハンデなんて屁じゃねえ。

 

 

ほらお前ら、ハルに続け!あの2人でネウロイを叩く。君らの任務は生きて帰ることじゃい!余計な動きはするなを選択してこの2人の動きを縛ります。

まあそれでも3割くらいの確率で命令違反するんですけど。

軍教育を叩き込まなければ。

というわけでこっちは高度を上げつつなるべくネウロイから狙われない立ち位置に移動していきましょう。

いざとなれば上から仕掛けて一撃離脱くらいは出来るので。

 

群衆のネウロイは大抵の場合外側の個体群が制空隊、その内側に護衛隊、そして真ん中に屯している爆撃隊に分かれています。

エーリカとペリーヌが真っ先に相手にしたのは当然制空隊です。

ここからは基本制限時間内で生き残るだけなので手出しをせずずっと隅っこを飛び続け……ちょっと遊びましょうか。

どうせ制限時間内は何してもタイム短縮は無理ですからね。

そーれ突撃。

とりあえず武器は刀だけで護衛のネウロイをかき乱します。

一度下に抜けたらそのまま一気に速度を乗せて離脱。リネットはともかく宮藤はまともに旋回することすらおぼつかないので基本直線でしか飛べないと思っておいた方がいいです。

なので程よく隊列が乱れたら能力を使用して、反対方向を向きながらワルサーで二機を撃破します。

弾倉全部使って二機はあまりコスパがよく無いですね。まあ拳銃で100mも離れていたらこんなもんでしょう。

 

十分距離が離れたところでタイムアップ。増援に来てくれたルッキーニとシャーリーが加わりネウロイの部隊はあっさりと殲滅しました。

尻尾を巻いて撤退するという事を知らないネウロイらしい最後です。

 

 

では帰投しましてリザルト画面はスキップして。

基地内探索パートですぱふぱふ。

 

ここですることはリネット、シャーリー、ルッキーニ、宮藤の好感度をエーリカ達と同じ程度に調整することです。

本来のチャートであれば淡々と訓練をするだけなのですが現在の能力値でも問題は全くないです。正直力が有り余りすぎて敗北を知りたい状態だったりしました。

多分この時の見立て予想ではタイム差はあまり出ないと考えていたようです。

 

というわけでまずはリネットからです。

まずはリネットと話して少しばかりフラグを立てます。

元気にしてる?

あ、すっごい落ち込んでるねえ。

訓練の成果を全く実戦でいかせてないことから戦果が伸び悩み、501部隊という各国のエースがわんさか集まる空間で劣等感に悩まされて、さらに入ってきた宮藤がもうストライカーを操っているようになっていて自信を完全に無くした……なんやこの地獄。むしろ焦っている程度で済んでいるのがすごいわ。

 

なるほど、とりあえず落ち着いていればよいと思うよ。

だってリネットがポカする原因って精神的緊張が原因だから。

 

このせいで下手に熱血するとかもっと熱くなれよすると余計に逆効果となります。

なのでここは励ましや慰めより無理に戦わなくても良いと言っておきましょう。そもそも子供を死地に送り出している時点で少年兵とやってること変わらんし。

では会話が終わったので次の目的地に向かいます。

ちょっと建物を挟んで反対側に向かうのでショートカットします。

現在エリアは4階。

ちょうどよく向かい側の窓が空いているポイントを見つけました。

窓から隣の建物に飛び移るには一旦空中に出る前に足場を確保するテクニックが必要になります。

近くに小さな花瓶があったのでこれを使用しましょう。

まずは花瓶を窓から投げます。

すぐさま窓枠を蹴って飛びだちます。タイミングを合わせて空中で花瓶を下に蹴ることで反動を利用し滞空時間を稼ぎます。

 

……では無事に建物を飛び越えることができたので、坂本さんの所に向かいます。この時間は滑走路のそばにいます。坂本さんに話しかけて、ミニイベントを開放します。

では本日はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました!

 




ウルトラマリン スピットファイアMk.Ⅴb

製造国ブリタニア王国

製造会社 ウルトラマリン社

エンジン
ロールス・ロイス マーリン45型水冷魔導エンジン(離昇出力1450馬力)
最高速度605km/h(4500m)


ブリタニアのストライカーユニットの代名詞とも言える機体。運用開始は第二次ネウロイ大戦が勃発する一年前の1938年。設計自体は古いが改良の余地やエンジンの換装を比較的行いやすい基本設計のため新型機開発が遅々として進まなかったブリタニアでは改良され続けてネウロイ大戦終結まで第一線で使用され続けた。
当初は補助翼や胴体の一部が布張りであったがMkⅤからは全金属に改められた。また初期のマーリンエンジンを搭載したモデルでは背面飛行時にエンジンがストールする欠陥があったことで知られている。
リネットが使用するユニットはMkⅤをベースにラジエーターやインテークなどを高速飛行用にしたMkⅤb(モデル350)であり外見の特徴としては補助翼が四角く切り落とされた形をしている。



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???14

元オラーシャ陸軍 親衛第16戦闘機連隊アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉

現在は連合軍第502統合戦闘航空団に所属している。

 

 

 

その日私はバルバロッサ作戦本隊の前衛として最前線深層での強行偵察を行なっていました。

ネウロイの巣がどこにあるのかを探るという副次的な目標もありましたけれど基本は本隊へのネウロイの攻撃を阻止する役目が主でした。

強行偵察といっても被発見率を優先してなるべく早く早朝の日が出ないうちに回り日の出と共に帰投するフライトプランです。今でも最前線のガリアなどでは行われている方法ですわ。

 

『こちらイーグルアイ。スプーキー1どうぞ』

 

「スプーキー1。どうかしましたか?」

広域通信が入ったのは夜もそろそろ明ける時間。早朝の出撃をしたもののネウロイは攻めて来なくてあと5分で交代要員と交代するといった時間だった。

 

『救難信号を受信した。場所はそこから東方45km。少し距離があるが確認できるか?』

 

「スプーキー1、了解、燃料は余裕がある。現場付近でも5分は戦闘可能。」

 

救難信号の知らせはあまりにも不可解すぎた。その日近くを飛行する味方の情報は入っていなかった。それがまさかリバウを攻撃した部隊の生き残りがこちらに飛行してきていたなんて。普通わからないわ。

『スプーキー1、こちらイーグルアイ。救難信号はカールスラントのウィッチと判明。地上回収班も回した。スプーキー1は救助要請者を空から見つけ上空警戒を行え』

 

「スプーキー1了解。地上部隊との通信中継は行えますか?」

 

『ネガティブ。周辺領域全体の電波が良くない。地上との通信はこちらでも不可能だ』

 

「この付近よね?……」

ネウロイが瘴気を撒いていても、自然というのはなかなか強靭で地上は鬱蒼としていた。

だけれどその木々がビームによって焼き裂かれ、爆発と衝撃波が景色を一変させた。

木々に留まっていたであろう鳥たちが一斉に逃げ出し、空も地上も物々しい雰囲気となる。

空から見えた光景に唖然としました。

木々の隙間から見えていたネウロイが突然撃破された。

何が起こったのか分からなかった。救助対象者もその付近にいるのかもしれないと思い高度を下げて様子をみた。

 

 

「なに……してるの?」

 

おそらく救助対象者と思われる存在がネウロイとタイマンをしていた。言い間違いじゃないわ。タイマンよタイマン。戦車型ネウロイに組みついてはなにかを叩きつけ、振り解かれながらもまた攻撃を繰り返す。木々の隙間から見えたのはそんな光景だった。

 

「スプーキー1対象を発見、方位……」

ビームとシールドが交差して、踏ん張りきれなかった少女が飛ばされるのが見えた。

「ッ……援護します!」

 

地上にいるネウロイを攻撃する場合最も装甲が薄いと言われている後方上部を狙うのがセオリーとなる。

焦っていてもこちらが落とされれば事態はより悪化する。

 

一度旋回してネウロイの背後をとり射撃を行い地上ネウロイを撃破することには成功した。だけれど場所が森だからということもありネウロイを見つけ、後方から攻撃するというのはなかなか難しかった。リベリオンとブリタニアで開発された赤外線スコープがあれば多少はマシだったかもしれないけれどあの時はあるもので対応するしか無かった。

狙ったネウロイが粒子となって消失するのと同時にいくつものビームが周囲や地上を抉り取り、爆炎と煙が全てを覆い隠すかのように巻き上がった。

救助要請者、ハルさんの姿もその時見えなくなりましたね。

「ロストコンタクト!救助要請者を見失いました!」

 

それでも目の前の地上からビームが放たれて、シールドを張ったりと忙しいことこの上ない。

日が昇った直後で太陽が水平線の近くにあることも影響して地上への攻撃は眩しさとの勝負でもあった。

ハルさんの姿は煙が晴れてようやく見つけることができた。

案の定というべきかネウロイの歩行脚に踏みつけられて身動きが取れなくなっていた。

すぐさま攻撃。狙いが甘かったと思ったけれど、スコープから対象が離れるときにはネウロイはやられていた。だけれどまだ相当な数が地上を闊歩しているのが見えた。

しかし燃料計は無慈悲にも減りつつあった。

戦闘機動をしつつもブースト圧や燃圧を絞って飛行時間を稼いではいた。だけれどそれで絞り出されるのはせいぜい1分か2分が良いところだ。

破局はすぐに訪れた。

「fuel bingo!これ以上は無理です!……帰投します!」

 

燃料計が危険水準になっていた。ミイラ取りがミイラになるわけにもいかない。悔しかったが、帰投するしかなかった。

一応地上部隊も到着していたが、空からの援護があるかないかでは相当違う。他のウィッチも緊急発進をしていたはずだったけれど私が去った後20分ほどあの空域は空白だった。

その間地上から回収に向かった方は相当な攻撃を受けていただろう。

実際2時間ほど経って基地に戻ってきた陸戦ウィッチ達の装備はボロボロだった。

私は彼女と直接会っているわけじゃないけれど、それでも大怪我をして少しの合間リハビリをしたって聞いているわ。

そもそもあの時の子が鬼、ハルさんだったと知ったのはもっと後だったのよ。

 

まあ言われてみれば確かにあの戦い方は鬼と呼ばれるだけあるわ。化け物には化け物をぶつける……そんな光景って言えるかもしれないわね。

批判的?ええ、私は彼女をよく知らない。だけれどあの戦い方は鬼という名の化け物……戦争が生んだ狂気の産物よ。それも惹かれる人が多い……

 

 

戦争は人を狂わせる。貴女も気をつけてね。

 

 

 

 

 

 

元スオムス陸軍 第12師団第34連隊第6中隊隊長 アウロラ・エディス・ユーティライネン大尉

 

現在は連合軍第502統合戦闘航空団第2補助部隊として主にストライカーユニット、ウィッチの回収を任務としている。

 

 

 

それで近くにいた私達に回収の鉢が回ってきたというわけさ。

それでも空をいくよりかは時間がかかる。

一応上空には空戦ウィッチがついてきてくれていたからそこまで気負うほどでもないしな、ちょっと味方を拾って帰ってくる。それだけだよ。

 

 

三号突撃装甲脚D型を受領したばかりでね。その慣らしも目的だった。

 

だが私達が到着する前に状況は逼迫していった。

向かう途中で入ってきた情報は結構バラバラだった。けどそれをいちいちまとめてね。なるべく辻褄があうように並べたのを紙に書いておいた。

一応残っているぞ。確か……ああ、あったあった。これだよ。

 

 

最初は救難信号。ついで、墜落したハルの僚機からの無線。これで正確な墜落地点がわかった。まあ私たちに届いたのは最後の方だったがな。

その前に入っていたのが陽動作戦参加のウィッチが野戦飛行場に緊急着陸したってやつだ。

後空のウィッチから入った無線で地上ネウロイとの交戦状態に入っているってのが会敵30秒前。

 

実際にはビームが飛んでくるのとほぼ同じだったな。

シールドが心地の良い音を立ててビームを弾いた。ネウロイのビームって不思議だよな。まるで砲弾みたいに弾けるんだ。

 

ストライカーユニットの破片を握りしめて、ネウロイのコアに突き立てていた。

 

彼女が負っていた傷の殆どは墜落時に出来たものらしい。久しぶりに陸戦にスカウトしたくなったさ。

あそこまで根性があるなら空でのあがりを迎えたってしばらくは陸で戦える。その素質も十分ある。

 

まーただ…私の持っていた武器が不良品だったみたいでね。2発目撃ったら砲身が裂けた。

本当さ。初期不良ならよくあることだ。それに弾薬も湿気ていたみたいで命中したが炸裂しなかった。

だけど隊の戦力は私とフィーナだけだからな。撤退なんてしたら回収できない。

どうしたかって?殴って突き刺すのさ。砲身が裂けたくらいなら問題ないだろ?それに裂けた砲身がちょうど良くナイフみたいになってくれてな。いやーアレは使いやすかったな。まあ砲撃できればそれが良いに越したことはないがな。だがあの時は救助対象がネウロイに張り付いて戦っていたからなかなか撃てるようなものでもなかったのは事実だ。

 

「なあフィーナ、そのバトルライフルってやつ貸してくれないか?流石に壊れた砲じゃ心ともない」

 

「もう予備弾が無いんで無理ですよ。こっちは弾薬不足で出てるんですから」

それもそうだった。そもそもこっちは前線基地への応援で到着したばかりだ。弾薬は最低限のものしか持ってきていない。7.5センチ24口径歩兵支援砲は私だけだったしな。

「銃があっても弾がないとはこれいかに」

 

「仕方がないでしょう。ほとんどガリアとカールスラントが持っていっちゃうんだから。まあその分バカみたいに消費してるみたいですけど」

 

「なら私達はあいつと同じように戦うのが良いみたいだな」

 

「元々そのつもりでしょうよ。晩年貧乏国家なんですから」

実際丸太くらいなら武器にできるからな。

「そうだな。まあ、そう悪いものでもないさ」

 

そんな会話をしていたのは覚えている。緊張感がない?仕方がないさ。救助対象が元気に暴れまわっていたんだから。

本当にこいつ救助必要なのかって心のどこかで疑問符がついて回ってたよ。

 

数分だったかな。戦いは終結した。

当然ネウロイの殲滅でだ。

 

救助対象者は私が確保したのちに気絶した。何にも話さなかったしこちらとコミュケーションを取ろうとする気も無かったようだ。

「随分と派手に戦っていましたね」

 

「そうだな……増援が来る前に引き上げる」

 

怪我の具合?そりゃ酷いものだが不思議と命に直結するようなものは無かったな。

血を失いすぎているといったところがあったが……急げば問題はない。もっとひどい怪我をした奴を何人も見てきたからな。人間なんだかんだあっさりとは死ねないものだよ。

もがき苦しんで……それで死ぬのさ。

空のウィッチはあまり怪我を見慣れていない事が多いから結構取り乱すことが多いが私らから見れば彼女は墜落したにしては随分と軽症の類だった。

 

ただ、私の背中にいる合間ずっとうわ言を言っていたな。

カールスラント語っぽくて何言っているのかはわからなかったけどな。ただエチゴって単語は聞こえたな。

さてもう良いかな?

残念だがこれ以上話すことはないよ。私のことなら多少は話すけど。

まあ、一度妹からその子のことを聞いたが、随分と無茶をしていたってのは知っていることだな。妹が無茶って言うほどだから相当無茶なんだろうな。

 

 

 

戦艦越後。

リバウの海に座礁したまま横たわるそれを、かつてその空で戦った3人のうちの2人は墓標だと言う。

彼女は越後とつぶやいた時何を思っていたのだろうか。




Do317C空中通信中継機
3号機イーグルアイ
全長30.43m
全幅39.56m
空虚重量20.56t

発動機タイムラーベンツDB603A 1700馬力×4基
最高速度540km/h
航続距離2790km

戦場近くの空域に展開し司令部や基地通信と戦場との無線を中継、又は通信補助を行う他少数のウィッチや戦闘機への管制を行う機体。

戦場と司令部との距離が物理的に開いたことと、戦線が広域に渡ることから地上での有線通信だけでは敷設並びに時間がかかる。また無線ではネウロイ側の妨害や無線機の出力が低いこともあり交信可能な距離が限られていることから開発、製造が許可され6機が量産された。主にスオムス方面および東部前線に展開し当該空域にて通信網を支えている。
機内は与圧されておらず武装もついていない。
しかしそれほど高高度を飛ぶ事が無いため終戦まで与圧キャビン搭載の改造は行われなかった。
乗員は機長、副機長、機関士、無線通信士5名で構成されている。

機体はリベリオンの爆撃機モデル299を元にしてドルニエ社が開発したDo317をベースとしている。しかし通信設備などを整える関係上胴体は左右に拡張され、胴体も2m延長されているの機首周りはDo217から爆撃席を無くして埋めたような見た目になっている。
他のDo317との見分け方として水平尾翼が延長され垂直尾翼が水平尾翼に入り込んでいる。
製造された6機はそれぞれ名称が付けられており機体左右の胴体に書かれている。1942年末より各機固有の塗装を施されている。
1941年末から調達が始まりキーノート、スカイアイ、イーグルアイ、ゴーストアイ、マジック、カノープスの6機が配備されている。

キ49 百式電子偵察機と組み合わせて運用する事で早期警戒管制機化ができる。


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part 27 始動第501JFW 3

やってきましたミニイベントRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回坂本少佐のミニイベントを開放したところからの再開です。

 

アニメではほとんど描写がないのですがリネットと宮藤が仲良くなる3話、アニメ呼称X-4、X-5型ネウロイが出現するまでには実はそれなりの時間がゲームでは設けられています。

当たり前といえば当たり前ですが時間短縮のためには容赦なく削らなければならない。

そこで本来のルートではミニイベントはミーナのクエストを誰にも見つからず1人で達成するチャートを組んでいました。

しかしオリチャーのために最低でもペリーヌ、リネット、ルッキーニ、シャーリーの好感度は上げる必要があります。坂本少佐はこのイベントの完了で勝手に上がるから問題なしとします。

ナイトウィッチとヘタレちゃんは最悪あげなくてもなんとかなります。正直あの2人はくっつけておけば良いだけなので。

そこで今回は同じミニイベントでもシャーリーと一緒に行うことになる坂本少佐のストーリーを行います。

掻い摘んで説明をするとミーナに頼まれるものはミーナと共に本土へ向かうちょっとしたデートイベント(やってることは政争)です。

なお坂本少佐のミニイベントは買い出し。それもシャーリーとプラス一名連れていけるオプション付き。

ただしこっちは選択次第で中盤からガンアクションが炸裂する007になりかけます。

共通するのはどちらもイベントに分類されるものでクエストと違い一本行うだけですぐ本編ストーリーを開放することが可能なものです。

ただしアニメ本編のみです。アニメ前を描いていたものやアニメとアニメの中間点となるストーリーにはありません。

さてオリチャー故に正規ルートとは外れましたが最後に帳尻が合えば問題はないいいね?

 

このミニイベントは本来アニメをVRで楽しみたいんじゃっていうライトユーザー向けの措置だったりするものです。正直ミニイベントを行わなくてもクエストクリアか時間経過で開放されます。

 

さて坂本少佐のミニイベント『扶桑食のすゝめ』

内容は宮藤の着任祝いとしてミーナが厨房に立ってしまったことが引き金となり味噌、醤油が著しく不足してしまったのがことの発端です。

ミーナ厨房インはクエストで存在するのでその時の事案を体験できたりします。

そのため臨時の買い出しを頼まれるというのがイベント内容です。

 

ではまずイベントキャラであるシャーリーに話しかけに行きます。場所は基地の入り口付近に設けられている車庫です。

その中に駐車スペースから引き出されて待機スペースにいるトラックの下にシャーリーはいます。

声をかけると、シャーリーが出てきました。スピード狂だけど隊の中では一番の人格者で良心な人です。心が洗われます。

彼女は坂本少佐から話は既に聞いているから準備ができたら出発するとのことです。必要人数は後1人ですが、スクランブル待機や夜間飛行待機で寝ている人は省かれます。また宮藤は現在坂本少佐に体力作りをさせられているので参加不可です。

ミニマップ下に連れて行ける子が表示されていますが、シャーリーと同じく暇を持て余している(訓練をサボっていた)ルッキーニ、或いは先程緊急戦闘になって訓練が中止となって暇になったリネットの2人だけです。

距離が近いのはルッキーニですが彼女を連れていく場合鬼ごっこが発生します。なのでここは格納庫付近に未だいるリネットを連れていくことにします。

車庫から格納庫まではダッシュです。

最短コースを取る場合屋根に上がったりする必要がありますがこの辺りはパルクールを練習すると効率が上がります。

本当はリスクが高いので試走の時も元のチャートでも地上を迂回するルートをなるべく取るようにしていましたがタイム短縮のため致し方ありません。

ちなみに動きはウィッチの基地をパルクールで遊んでみた動画などを参考にしています。

ちなみにアニメスタートトップランカーはパルクールで移動ばかりしている変態です。流石に(そこまでの技量は)ないです。

まあウィッチなのでシールドを張って足場にしたり短時間だけなら浮遊魔法くらいはストライカー補助なしで行けるから意外と難易度は低いんですよね(2敗)

 

はいリネットを見つけました。まだ表情くらいよあのこ。まあ良いやとりあえず説得振りますか(CoC脳)

はいリネット確保。買い物付き合えや一緒にこい‼︎

ゴタゴタ言ってないでついてこいや‼︎

 

 

説得成功。トラックに詰め込んで早速本土に向かいます。

ただしロンドンではありません。

行き先は扶桑艦隊が停泊しているポーツマス港。ワイト島の近くで派遣されたばかりで色々損傷した赤城などがドック入りしています。

ちなみにブリタニア海軍の艦の多くはデヴォンポートの方にいますのでこっちには巡洋戦艦一隻と空母ユニコーンを基幹とした小さい艦隊しかいません。

そもそもユニコーン自身は航空機補修艦であり空母扱いされていませんし(でもエレベータがでかいから使い勝手はいいらしい)

 

 

とりあえず用があるのは扶桑艦隊です。

埠頭まで車で乗り込むことができます。

車を降りたらまずは戦艦の側にいる補給科の佐官クラスの将校と交渉しましょうか。

おーいそこの兄さんや。ちょいと物品交換交渉に付き合ってくれや。

そうだなあ。実はかくかくしかじかまるまるうまうま。

坂本少佐が困っているから味噌としょうゆくれや。

交渉はド直球にこちらからの見返りを伝え、それから用件を話します。

先に相手へのリターンを話すことでリスクの内容を薄れさせるテクです。案外NPC相手でも使えるんですよ。

 

こちらから渡すものはワインを12本。坂本少佐が持たせてくれた最大分からは一本少なく引いておきます。

これはシャーリーの分として取っておくことにしています。

……答えはイエス。交渉成立です。

後はシャーリーに任せて暇してしまっているリネットと散歩をしてきます。

まあやることは散歩と称して積もる話と相談ですね。

前回戦わなくても良いんじゃないと言った言葉に対する返答として戦うと言ってきました。

戦うのなら自信を持てと言いたいですが正直ここで彼女を追い詰めるとメンタルブレイクします。

リネットが何かを見つけたようです。

殺戮の跡が残る駆逐艦。ネウロイに襲われたブリタニア海軍ヴァンパイアです。

かろうじて沈没は免れましたが艦橋から先はネウロイのビームで原型をとどめていません。

その横には赤城を守って大破した駆逐艦が係留されています。修理待ちなのでしょうが他国の軍艦を他国のドックで直せるものなのかしらねえ。

あ、黒焦げのあれは人の腕か。残ってるものだね。

ただ、欧州で行われたネウロイによる虐殺に比べたら可愛いものですね。

 

 

▶︎自信がないのは戦う理由がないからなんですよ

 仇をとりましょう

 人類の存亡をかけていると言っても過言ではない

 

 

答えは一番上のもの。正直兵士を戦う気にさせる一番の方法は敵に対して怒りを生み出させる事ですからね。

そしてネウロイ相手ならこちらに圧倒的正義があると思わせやすい。

つまり怒りと正義を煽れば人は簡単に戦う存在へと変わるわけです。

 

まあそれを狙ったというわけではないですけれど彼女の好感度が上がりました。実際には好感度というより信頼度とか興味と言った感情でしょうけど好感度しか設定されてないんだから知らんわ。

 

ではトラックのところに戻りましょう。

シャーリーがちょっとだけ街で買い出しをしたいというので付き合ってあげます。

ここがどんぱちする可能性があるポイントです。

街に出てすぐ浮浪者の子供がぶつかってきます。典型的なスリです。

対象は基本主人公。体格差があまりないからぶつかってきたら尻餅つきました。

大丈夫だったというシャーリーとリネットを安心させつつ選択肢。

▶︎財布がない‼︎

 子供……戦争孤児ね

 いきましょう

 

どんぱち回避のためには二番目と三番目、RTA中は二番目を選択します。

ちなみにどんぱち相手はリベリオン国家社会主義党とかいう集団の回しものなので超面倒です。この動画を作っている最中にDLCで出てきたコラボイベントで細かくやっているのでそちらをどうぞ(堂々のステマ)

 

実際は財布は盗まれていますが所持金全ロスというわけにはなりません。持ってきているお金はスリ対策で二つの財布に分けており盗まれた方には所持金の3割しか入っていません。

 

ちなみにシャーリーが財布大丈夫かと聞いてきますが大丈夫と答えておきましょう。ここで盗まれたと答えるとさっきの子供を探す事になりますからね。

ではシャーリーの買い出しですが向かう場所は食事を取る場所以外どこでも良いです。

 

それこそ適当な店でいいわけなのですぐ近くにある服屋にでも入りましょうや。

シャーリーとしては車の部品や機械屋に連れていくと好感度がかなり稼げるのですが戦時下で部品なんてねえ……

ロンドンにしか無いんですよそういう店。

 

ではシャーリーの服選びに付き合います。主にリネットを着せ替え人形にしてね。

あ、ゴスロリ服売ってるじゃん。そうそうこういうの欲しかったんだよ。おら、あくしろよリネット。試着室一つしかないんだから。

うん良い感じだねえ。

ん?このロケペン?貰い物。エーリカもつけてた?そりゃエーリカとお揃いだもんね。

服選び終わった?それじゃあさっさと買って帰りましょうや。

では買い物も終わったので帰りましょう。

すぐにトラックに戻ります。味噌や醤油の保管は氷を入れた専用の箱で行っていますが氷なので時間は限られます。

そのことを伝えるとシャーリーのタイムアタックが始まります。ちなみにトラックよりやっぱりバイクがいいのだとか。

なんだか九七式側車付自動二輪車(鉄の竜騎兵)とか喜びそう。

まあ速さはないけど。

 

 

では基地に到着です。

これにてミニイベントは終了。1日も終わりました。

ではさっさと食事を取りベッドに潜り込みます。

7時間睡眠を終えて起床したら本日はここまで。ご視聴ありがとうございました‼︎

 

 




三号突撃装甲脚D型

製造国 帝政カールスラント

製造会社 タイムラー・ベンツ社

エンジンマイバッハ HL120TRM 4ストロークV型12気筒混合魔導エンジン
310馬力
最高速度40km/h
懸架方式 トーションバー方式


元々突撃装甲脚は歩兵支援を行うために作られたものであり、装甲脚との違いは砲が本体固定式であり基本前方に向けてしか撃つことが出来ないという点が挙げられる。
本車両は1939年の第二次ネウロイ大戦勃発に伴い開発がスタートした。
戦況が極めて切迫していたことから三号装甲脚をベースとして短時間のうちに量産に漕ぎ着けた。
三号装甲脚の後継であるIV号戦車の部品を多く流用したⅣ号装甲脚が開発されるまでの繋ぎとしても本車両は使用され、大戦を通して常に第一線にあり続けた。
構造は飛行脚と同じく脚に相当する部分にエンジンユニットと無限軌道、立脚時の擬似足をまとめた主機ユニットを持ち、背中にリュックサック式の魔導補助ユニットと接続されている。補助ユニットから右肩の上にサブアームを通して75ミリ24口径砲が装備されているのが装甲脚と突撃装甲脚の主な違いであり、装甲脚では主砲装備は手持ち式で左右最大30〜60°まで旋回させることができる。
仰角こそ取れるが突撃装甲脚の場合左右扁平旋回はできず、ネウロイとの機動戦闘はほぼできない。
このサブアームは他にも機関銃や武装ラックとして使用可能であり歩兵武装であれば一般の歩兵2人分の装備を持っていくことができた。



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???15

「はあ……」

 

坂本少佐の合図で訓練を終えてから気分は沈んだままだった。

 

あ、申し遅れましたリネット・ビショップです。

みんなからはリーネって呼ばれてます。

 

私には最近になって大きな悩みができました。

 

それは扶桑から坂本少佐が連れてきた新人のウィッチ。宮藤芳佳ちゃんです。

 

芳佳ちゃんはストライカーユニットを二回目で早くも飛ばしてしまい、不完全ながらも飛行することができてしまっています。

飛行ができるようになるまで一週間かかった私とは大違いで才能の差を見せつけられた気分です。

これで芳佳ちゃんが最低の人だったら私も悩みなくたくさん妬んで恨んで陰口を叩いてどこかスッキリしながら自己嫌悪に浸れたのかもしれない。でも芳佳ちゃんは優しかった。だからマイナスの感情で鬱憤を晴らすこともできずその優しさで心を勝手に痛めていました。

 

 

もう一つの悩みは、これは悩みと言えるのかは分かりませんが飛行訓練をすることになった少女の方です。

アントナー・S・ハルさん。

エーリカさんに並ぶとも言われるスーパーエースです。エーリカさんとは違って新聞など表にはほとんど出てこないけれど私達ウィッチや軍の合間では色々と噂になっている少女です。

私より幼い子がそんなエースになっているというのも少し劣等感を刺激されたのですが差が空き過ぎているため最早比べるのも無理な話です。

あ、ルッキーニちゃんは別です。あそこまで無邪気だと毒気が抜けます。ある意味心のオアシスです。

 

 

今日の訓練も、最初はフラフラだった芳佳ちゃんはハルさんの指導で少なくとも誰かについていくということはできるようになった。スゴイ飲み込みの速さ。

 

今回は二回目の飛行訓練。同時に空中での射撃訓練も行うことになっていた。

 

「宮藤さん、まず銃を構えてみて」

 

「こうですか?」

 

「そのまま……リネットさん、指摘してみて」

自分よりも年下の子に教えを乞うと言うよくわからない状況。その上指摘を頼まれた。

「わ、私ですか?……脇が開きすぎているのと……引き金に指がかかってます。銃身も下に向いちゃっている……そんなところでしょうか?」

どうやら私の答えはハルさんの想定通りだったみたい。

こうやって指摘を緩和しようと言うやり方みたいだった。別に芳佳ちゃんは気にしてないと思うけどなあ……

ただそんな光がない目線で見られると少し怖い。

軍は上層部は違うけど現場は実力社会だし。

「銃の指導はされなかった?」

 

「えっと、もともと戦闘に参加する予定がなくって」

銃を持ったのはこれが初めてだったらしい。

「うん、わかった。それじゃあ正しい銃の持ち方としてまず引き金に指をかけるのは撃つ時だけ。それ以外は構えの姿勢でも引き金に指はかけない。いくらペイント弾と言っても痛いからね」

 

あとできれば人に銃口は向けちゃダメだよ。これが普通の訓練隊だったら鉄拳飛んでたんだろうなあ。

 

そんな感じで青空の中、代わり映えしない景色と銃声で訓練は終わるはずだった。

「あら、宮藤さんじゃない」

 

「やっほーハル!新人教育中だった?」

哨戒に出ていたペリーヌさんとエーリカさんの2人と出会したのは訓練を終えて帰投をしようとしていた時だった。

 

 

『ふうん……貴女も誰かにものを教える事が出来たのですね。貴女の飛行スタイルは独特ですので』

 

『まあ、普通に飛ぶこともできるけど普通に飛んでたら私は今頃死んでいるだろうし』

 

『ご謙遜なさって、宮藤さんの様子はどんなものですか?坂本少佐が連れてきた子なので少しは気になっていますが』

 

『原石。磨き方次第で化けるかどうかは決まる』

ガリア語でいきなり会話を始めたハルさんに私と宮藤さんは困惑するしかなかった。

「……ハルさんはなんて言っているの?」

 

「ごめん私もガリア語はさっぱり」

宮藤さんの問いには私も答えられそうになかった。

「あー2人ともただの世間話してるみたいだよ」

唯一分かったのはエーリカさんだけだった。

「エーリカさんわかるんですか?」

 

「私はこれでもスーパーエースだからね。ガリア語とオラーシャ語、ブリタニア語は話せるよ」

 

「え⁈凄いですね!」

 

「ハルはもっとすごいんだからね。どこで習ったのかは本人言わないけど扶桑語、ガリア語、ブリタニア語、オラーシャ語、ロマーニャ語、スオムス語はしゃべってたよ」

 

「……んん⁈」

 

流石に変な声が出た。それを不審に思ったハルさんが会話を切り上げてこっちを向いた。

 

「……なんですか?」

 

「いや、ハルがたくさん言葉を喋れるよねって話してただけ」

 

「あら、言葉くらいなら私もカールスラント語とブリタニア語は喋れますわ」

 

「もしかしてここの部隊の人達って……」

 

「いえ、カールスラント組がおかしいだけで普通はブリタニア語程度ですわ。まあ国によっては公用語が複数ある場合もあるので一概にとは言えませんけど。スオムスがまさしくそれですからエイラさんはスオムス語とオラーシャ語、ブリタニア語は話せるようですわ」

 

「だってブリタニア語だけじゃ意思疎通できないんだもん」

 

「同じく、言語の壁で情報漏れが起これば戦場では死に直結しますから」

戦場を知っている目だった。

それを見ていた宮藤さんはどこか目を伏せていた。あまり戦争の話題を出してほしくないみたいだった。

 

 

 

『501司令のミーナよ。たった今基地のレーダーが複数のネウロイ反応を探知したわ。哨戒の2人はすぐに現場へ、訓練隊は可能なら離脱して』

 

「エーリカ了解。ネウロイ撃破に向かうよ」

 

「そちらは早めに離脱しなさい」

 

2人がエンジンを全開にして飛んでいった。

私達はハルさんに続く形で基地へ向かう。だけれどネウロイは賢かった。

 

『訓練隊、こちらアンダーシーカー。鬼、聞こえているか?別方向からネウロイの集団を発見。そちらの西側にいる。包囲されるぞ』

今度はミーナさんではない男の声が無線から流れた。それと同時に青空の彼方にポツポツと黒い塊が見え始めた。

「了解した。離脱不能と判断し攻撃に移る」

 

 

「でも私達の銃は……」

 

訓練のみだったから持ってきているのはペイント弾だけだった。戦えるような装備ではない。

ハルさんは実弾を持っていたはずだけれど数は多くないしそれに私達という足手纏いがいる状態では……

 

「私が予備でマガジン一つ分、後はナイフと予備でワルサーを持っている。ここで2人を放置するのはもっと危険。それに……戦場の空気には慣れておいた方がいいから」

私の心を見透かしたかのように、光のない濁った目が私の思考を掻き乱した。

 

「リネット、宮藤。貴女達は私だけを見てついてきて。意識は常に私」

 

「大丈夫、準備はしているから死神は来ないよ」

 

 

 

ただただ振り回され続けた。丸腰の私達は反撃ができないから挑発以外は逃げに徹する。それ自体は良かったけどあまりにも動きが激しすぎて基地に戻った時には少しの合間立ち上がれなかった。シールドを張る暇もなく、周囲をいくつものビームが通過していてもそれらが私達に当たることはなかった。それほどの高機動飛行は尋常じゃない。途中で芳佳ちゃんは吐いていた。

私も銃を持つ手がこれほど重かったことはない。ユニットもどこか重りのように感じた。

 

それでも生き残った。

途中からミーナさんとバルクホルンさんが応援に来てくれたおかげというのもあるけれど、アレはハルさんがすごいからだった。

私の自信のようなものも、宮藤さんに対する嫉妬のような心も全て吹き飛ばされてしまった。美しくも力強く飛ぶハルさんの姿がそうさせたのかあるいは才能に魅せられたのか。

だけれど彼女の人となりが、狂信や信仰という類の感情が芽生えるのを阻止してくれた。

 

格納庫で少し落ち込んでいたの。そしたら、いつのまにか彼女がいたのよ。

 

「戦わなくてもいいんじゃない?戦う理由を見出せないなら無理に戦えなんて誰もいってないし」

 

「それ貴女が言う?」

 

「復讐心……だから。義務とか矜持とか、理想論で命かけて戦えるのはただの狂信者よ」

本当に子供なのだろうかと思ってしまうほどの毒舌だった。思わず目を見開いて凝視してしまう。

「国のプロパガンダで煽動された使命感なんて続くわけないわ。信念がない状態で戦ってもそうなるだけ……気分転換と言ってはアレだけれど、出かけない?」

 

「外出ですか?」

 

「ええ、ミーナさんが扶桑から持ってきた味噌と醤油を全部使ったらしくて坂本少佐が入手してくれって」

 

「あちゃ、なんというか……」

扶桑の人にとって味噌と醤油は死活問題らしい。私を心配してくれているのはわかるけれど、それでもどこか打ち解けるのは無理そうだった。

なんで私がここにいるのだろうか。今はそれが疑問だった。

 

「……」

「リネットも一緒か。よしよし、トラクション掛けたいから2人は荷台な」

全力で断りたくなった。

シャーリーさんの運転でトラックは道を跳ねたり片輪走行したりと缶詰に入れられてラグビーをされているみたいだった。

乙女がしていい声じゃないものも出してたし正直言いたくない。

 

「……死ぬかと思った」

 

「でもタイムはあまり伸びてないなあ」

ハルさんも流石に疲れた表情をしていたけれどそんなに気にしている様子はなかった。

私が揺れが収まったと思って頭をトラックから出せば、磯の匂いが鼻をついた。

ポーツマスの港だった。

ただ、停泊している軍艦の大半は扶桑海軍の軍艦だった。

 

 

 

ハルさんが扶桑語で海軍士官と話し始め、シャーリーさんは基地の外にストライカーユニットの部品調達で行ってしまい、私だけがただ残された。

散歩でもしていようかなと港をフラフラ歩いていると、焼け焦げた独特の匂いがしてきた。

鼻を刺激する匂いの元は、ボロボロに破壊された駆逐艦だった。

祖国の駆逐艦と扶桑海軍のものと幾つかがまるで人類の敗北を見せつけるかのようにそこに係留されていた。

 

「これが現実なのさ」

一体いつからそこにいたのだろうか。振り返るとハルさんが静かに立っていた。

扶桑海軍の人との交渉は終わったらしい。私のそばを通り過ぎて前に出た彼女はボロボロになった駆逐艦の船体に手を触れた。それを見る目は、どこか悲しそうで、その瞳の奥に炎が揺らいでいるようだった。

「……欧州の殆どがこの駆逐艦みたいにされた。女子供も見境なくね……」

 

「祖国を……人類をこんな風にしたくはありません」

思い出した。訓練を受けて、実戦でなかなか結果が出せなくて忘れていた動機。母から聞いていた第一次ネウロイ大戦、そしてロンドン大空襲。

「……それは使命感から?それとも英雄になりたいから?」

 

「守りたいものを守る……それだけです」

 

「そっか、なら後は訓練の通りの手順を実践で確実にこなせるかどうかだ」

 

「う……まあそうですけど」

 

「ようは気の持ち様だよ。訓練だと思えばいいのさ」

そう言うものなのだろうか?だけれど私達がやられたら、私達の後ろにいるのは……

「どうせ個人の技量の差なんて大勢に影響するなんてことはほぼない。それは一騎当千のエースウィッチを集めた戦闘団をもってしてもね。だけれど逆に言えば凡人でも活躍することはできるのさ。近代戦になってからその傾向は強くなっている」

 

「どうしてそれを」

 

「気負いすぎているからだよ」

そう言って彼女は街にいくと歩き出した。

もうあの炎は瞳になくて、ただただ濁った目が私をのぞいていた。




P-51D Charlotte special purpose machinery

製造国リベリオン合衆国

製造会社 ノースリベリオン社

エンジン
ネイピア セイバーⅤ水冷魔導エンジンカスタム(離昇出力推定3100馬力)
最高速度未計測

1940年代欧州戦線で不足するストライカーユニットの生産を補うため、ブリタニアはリベリオンのノースリベリオン社にユニット生産を打診した。
ブリタニア側はリベリオンのメーカーの機体をライセンス生産することを持ちかけるも敢えて自社開発の道を選び、計画立案からわずか9ヶ月で試作機を完成させた。

当該機は大量に生産されたP-51、その中でもシャーロット専用のカスタム機である。
元になった機体はP-51D型
エンジンは本来マーリン61系エンジンをライセンス生産したものだがエンジンスワップを行いネイピア セイバーⅤエンジンを搭載している。また速度を上げるためとして機体は珍しく無塗装に小さく国籍マークとパーソナルマークが描かれている。
最高速度と加速度に出力を使えるようにしているため高高度性能はD型より低下している。


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part 28始動第501JFW 4

リー芳のフラグが立つRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回までにリネットの好感度を目算で規定値に上げたので本編を通過していきます。

宮藤の方は別で動いているようでアニメと同じシチュエーションとなります。

格納庫に向かうとミッションを始める選択肢が出現します。

 

ミッションを始めた場合空襲警報が鳴り出撃の準備を行うことになります。

基地のいろんなところにいた501メンバーがわらわらとユニットに乗って出撃していきます。遅れずにユニットを装備して離陸しましょう。

今回使用するユニットは501部隊仕様のBf109G-6N。パーソナルマークはクロスボーンと正面を向いたシェパード犬。

初期パーソナルマークですがなかなかかっこいいですよねえ。501部隊仕様にするとパーソナルマークが描かれる仕様なのちょっと素敵。

性能はエーリカの機体と似たようなものです。武装がちょっと違うくらいなのとタービン過給機の仕様が少し違うのでエーリカ仕様より若干初期加速が強くなっているくらいです。そのかわり速度域が上がってくると加速性が悪化してきます。武装は連装型30ミリキャノン砲、副装備はナイフのみとなります。

まあ重いです。

では何をするかと言われれば、私は上空待機という名の基地援護です。

特に後から上がってくる宮藤達のバックアップをするのが最短コースとなります。

ついてこない事を不審に思った坂本達が何か聞いてきても適当にユニットの不調と言っておけば命令違反を回避できます。

 

ちなみに倒してしまっても構わないのだろうすると宮藤とリネットの仲だけでなく宮藤の能力にも影響が出てリカバリーが難しくなります。

一応リカバリーはしっかりとイベントで用意されていますが普通に時間かかります。

 

 

というわけで簡単なネウロイ放置コーナー。

 

坂本達と迎撃に向かうと自動で宮藤達のみでの対処となるのですが、それでは時間がかかってしまいます。

意外と基地から引き離すためにこの囮ネウロイは基地から微妙に離れる航路を取っていますから帰投を考えるとタイムが悪くなります。

そこで今回は宮藤達とほぼ同じ位置にいながら宮藤達の手柄を取らないチャートを構築しています。

 

第二戦線で待機していたエイラとミーナが迎撃に失敗したら行動開始です。

エンジンを吹かしてまっすぐ正面から突っ込んでいきましょう。

30ミリ機関砲は大口径で強力かつカールスラント製とあって基本性能はオーパーツに片足を突っ込んでいます。しかしこの機銃最大の弱点がオーパーツ化を防いでいます。それはジャムと暴発が非常に起こりやすいというものです。

 

大口径武器かつ高速で稼働する部品の集合体であるからなのか乱暴に引き金を引いたり強く引きすぎる、又は銃横を叩くと給弾不良がすぐに起きてしまいさらに引き続けるとそのまま暴発して吹っ飛ぶという致命的欠陥。ユニット固定の機関砲でこれは致命傷すぎる。なのでG-6N型は人気があまり無いんですよねえ。カールスラント製は同時解放でFw190Dバルクホルン機とBf-110シリーズの一部がいますし。まあ人気ない機種ですが今回はこの欠点を利用します。

 

普通に戦闘する場合どうしても主人公ちゃんとネウロイの一騎打ちとなってしまうので、それを防ぐための措置となります。

戦闘を強制終了する方法は武器故障が起きることか撃墜されること。撃墜は死亡に直結する可能性があるのでリスクが高すぎます。

怪我した状態で海水浴するのは危なすぎますからね。

 

 

はいでは引き金を強く思いっきり引きます。初弾は発射しましたが次弾がジャム。あーあ、暴発した。

咄嗟に銃を捨てたので手への怪我はしませんでしたが武装がなくなりました困ったなーナイフだけじゃどうしようもないなー(棒)

正面からくるネウロイをバレルロールで回避しつつ水平飛行中から45度バンク。そのまま斜めに上方宙返りし速度を高度に変えながら後方上空に出ます。

こうすることでリネット達の射線から逃れつつ戦場を俯瞰しやすい位置に移動します。

ネウロイも素通りしちゃったのでやや高い位置から追跡しますがエイラ達との戦闘で後部の装備を切り離しているため速度はかなり上がっています。

なんか雪風やってるみたいです。

 

お、ちょうどいいところに新米2人がいますね、おおいそこのお二人さんあと頼みますわ。

 

初弾はリネットが安定しないので外れます。着弾修正を送りますが次弾も回避されます。

おお?どうやら宮藤に秘策ありなようです。いいですねえ仲間がいるというのは。

 

お、倒したようです。空にネウロイの残骸が散っていきます。

では原作通りにネウロイを2人が倒してくれたので落下しそうな2人をキャッチして吊り上げます。

 

うおおお、重い‼︎流石に2人分の重量は重たかった!ここまま基地にさっさと帰ります。

基地到着。いい加減エンジンかけてくれと思いましたが最後まで2人が飛行を再開することは無かったですね。

レシプロユニットはエンジンが一度止まると再点火がかなり大変なんですよ。発進補助装置が専用の作られるくらいですからね。

 

基地に帰ってきたら早速2人がミーナに呼び出しを食らっています。先に帰ってきていたようですね。手伝ってくれてもよかったのではないでしょうかねえ。

素直に連れていきましょう。

さてさて英雄となった2人ですが命令を下していないにもかかわらず勝手に出撃したことで若干ミーナにお説教を食らいましたが事態が事態だったため上への報告はせず内々で処理するので不問とされました。

ユニットを損失した場合また違ったんでしょうが今回はユニット損失はさせていません。

だって代わりのユニットが到着するまでそのキャラが出撃できなくなってしまうからね。

 

それは困るのよすごく困る。主にバルクホルンがね。

だって宮藤の件で愚痴ってきたり年齢云々で怒ってきたり宮藤が入ってきてからこの時期は情緒不安定が悪化しているんですもん。なんやねんって思うけど仕方がない。

とりあえずしばらくは出撃がなくなるのでルッキーニの好感度上げをしに行きます。

途中で通る事になる格納庫でシャーリーに話しかけます。

「丁度いいところに。そこのスパナとってくれない?まさかこれじゃサイズが合わないなんてさ」

 

うん、いいよー

 

ふむふむ、どうやらシャーリーも好感度が想定値にあるみたいなのでこれ以上シャーリーに絡むのはやめておきましょうか。

ちなみにルッキーニの好感度を上げようとするとクエストによってはシャーリーの好感度も上がることがあるので今のはその確認です。

まあシャーリーとルッキーニが一緒になったクエストなんて絶対長くなるんですけれどね。

まもなく夕方になりそうな時刻ですのでルッキーニは訓練場にいます。

 

お、いましたいました。では話しかけまして……あ、この選択肢なら最速のイベントは多分これかな(うろ覚え)

もうすぐご飯の時間だという会話をしていきます。ちなみに今日の夕食当番は誰でしょう?そう私です。

というのは冗談でご飯を作る場合は厨房に行けば勝手にその日の当番としてあてがわれますのでいつ当番でもいいわけです。とりあえずルッキーニがご飯を作るところが気になると言うふうに誘導すればいいだけなので。

 

はいクエストスタートしました(ヨシ)

ルッキーニくらいの性格なら胃袋掴めば好感度勝手に上がるので案外ちょろい。

実際ルッキーニルートは初心者向け。

適当に会話をしながら厨房へ向かいます。え?ミーナさん何しようとしているんですか厨房なんて入っちゃダメですよ貴女は。

 

ではお料理の時間となります。

なお料理はガチで作る必要があります。

一応別ゲームからスキルをコンバートしていれば楽は出来ますけど走者は料理スキルは持っていないので力技で攻めます。まあルッキーニもいるから人手は足ります。

 

んー……カールスラント食とか言われるであろうドイツ食を作ってもいいですけどポトフでも作りましょうか。なおポトフはフランス食。

まあソーセージとキャベツが入るから実質カールスラント食ということで。

ですが流石にこれとパンだけじゃ足りるわけがない。

「え?量多くない?」

「あ、ルッキーニは厨房入るのはじめて?」

「そうだよ」

ウィッチも結局はパイロット。消費カロリーと摂取カロリーは普通に一般パイロットと同等かヘタをするとそれ以上という大食らいです。

501のエース達も見た目によらず食事の量はかなり多いです。

「へーそうなんだ」

「貴女も食べ盛りだから大概よ」

ポトフの調理はルッキーニに半分任せて……

というか料理の味調整とか調味料は全部ルッキーニに任せてと。

うーんルッキーニの好感度がイマイチ上がっていませんね。

ならば煮込みパスタでも作りますか。

具材はいい感じに量があるソーセージとキャベツの余りとパスタ麺。うんこれもかなりあまり気味やな。

ルッキーニ気になるかい?トマト缶が見つからなかったから牛乳とバターでクリームパスタにするけどいいかなあ?

「全然いいよ!パスタ作れる人なかなかいないんだよ!」

おいおいRPBS(リアルパスタベイキングスキル)くらいとっておきなさいよ。焦げ付かないように茹でるのが面倒?なーに言ってんだい掻き混ぜるんだよ下から掬うようにな‼︎

まあこのゲーム鍋のサイズとか気にしなくていいんですけどね。でも手動で掻き回す方が料理の美味しさは上がるみたいです。

多分鍋のサイズと茹でる麺の量を考慮しているんでしょうね。

鍋がでかければある程度中でお湯の流れが出来てパスタがぐるぐる動きますけど麺が多すぎると対流で流れず底でくっついてしまうんで。

焦げ付くと鍋の耐久も下がるから一度にたくさん茹でる場合は要注意ですよ。

 

はい料理完成。

お食事タイムですよー。

 

料理の評価は……上々ですね。

味覚オフで味見できていませんが分量は全部ルッキーニに教えているので大丈夫でした。

 

えーと唐辛子は……あ、これは塩?ふーん視覚白黒だからわからんわ。

宮藤サンクス。うんうん美味しい(わかってない)

ルッキーニの好感度も程よく上がってくれたので今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました‼︎




Bf109G-6N

製造国 帝政カールスラント

製造会社 メッサーシャルフ社

エンジン
タイムラー・ベンツDB605N-6水冷魔導エンジン
離昇出力1770馬力

Bf-109メッサーシャルクの後期改良型。
エンジンをDB605系列の強化エンジンに乗せ抱えているため特徴的な出っ張りが生まれている。
G-6N型はG-6型をベースに加速性と高高度性を重視し翼の先端をG-6型より小さく切り詰めた直線番長といえる機体。
開発ツリーとしてはBf-109D型からG-1型と分岐派生。
またロケットブースターを搭載した高高度試験機モデルの母体となった。


Bf109G-2Ra
製造国 帝政カールスラント

製造会社 メッサーシャルフ

エンジン
タイムラー・ベンツDB605A-Ra
離昇出力2100馬力

ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが使用するストライカーユニット。
Bf109G-2をベースとした中高度高速ストライカーユニット。
ユニット補助翼が思い切った前進翼となっており高速性能を強化しながらも格闘戦に優れておりその旋回性能は零式に勝るとも劣らない。
試作ユニットの記号が入っているがこれは試作と称して製造予算を認可させた名残りであり24機(試作2機を含む)が製造されたれっきとした量産機。
その飛行速度は高度6110mで880km/h
中低高度での速度性能から強行偵察機としての運用が多く、事実として連合空軍偵察航空飛行団特殊戦第5飛行戦隊に13機配備されている。(大抵はロケットブースターを搭載)


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part 29始動第501JFW5

ガバが死に直結するRTAはーじまーるよー。

 

アニメでいえば第四話に当たる時系列を走っていますハルちゃんです。

今調べてみたらハルちゃんのユニット損耗率結構高かった。

 

順調にいくと宮藤とバルクホルンの衝突があり、首を突っ込む場合主人公はそれに巻き込まれていくと言う流れになっていきます。

バルクホルンと宮藤が絶賛不仲していますね。

「ならハルさんは……」

 

「あいつは……技術がある。能力もある。ネウロイはお前の成果なんて待ってくれないんだ」

 

あ、これ宮藤に痛いところ突かれましたね。こちらに気づいたバルクホルンがこっち来いと目線で訴えてきています。

 

ここは断りましょう。

というよりしばらくバルクホルンとペアを組ませておきます。宮藤も頑張れ。

2人揃って胃がキリキリ舞してそうですけど。

そもそも現状ではバルクホルンに下手に肩入れすると対象が宮藤からハルちゃんに移るだけになるので何にも変わらないです。

ではその代わり何をするのかと言いますと、皆さま覚えていますでしょうか?

えーかなり前となりますがとある書類を一読するために部屋にバグ技で無理やり侵入しましたね。

チャート最後の解放に必要なものになる(意訳)と言っていたものの続きをやります。なので宮藤を身代わりにする必要があったのですね。

 

 

向かう先は軍令部。ここでミーナが予算を奪取するために毎回陰謀を張り巡らせています。今回はその手伝いです。恒例ミニイベントとお馴染みロンドン回ですよう。

本格的に幼女を巻き込んできましたよこの指揮官。

 

「貴女、そこそこ頭が回るでしょ?」

 

というわけでミーナにくっついてロンドンへお出かけです1919。ミーナに話しかけると丁度出かけるところだと言われて一緒について行く?と聞かれますのでYESと返答しましょう。

移動は車ですが今までお世話になったトラックではなく士官クラスが移動に使用する黒の車です。しかし何故にフォードGPA……水陸両用車なんて何に使うんだか。

しかもご丁寧に幌をつけて士官用車両扱いしてるし。

訳がわからん。キューベルワーゲンどうしたし。

「あれね、取り上げられたわ。なんでも新しい指揮官がほしいって言ったみたいで。」マロニーめ許さん。

こんなやつ輩出するブリタニアは滅んでしまえ。

「紙の上で鉛筆とサイコロを転がしてるしか仕事がないような奴らにはさぞお似合いでしょうね」

「それ貶してるの?」

 

「飽きてそのうちロールスロイスの高級車に乗り換えるよ。キューベルワーゲンは戦場で使用する車です。街で苦労もなく食事ができてベッドで寝れるような連中にはサスペンションもエンジン音も座席も合わないでしょう」

 

「言いたい放題ね……」

時計塔とか宮殿とか博物館とか爆破したい衝動を抑えていると場面転換ですぐに連合軍司令部に到着です。

統合戦闘航空団は連合軍空軍司令部直属なのでこう言うアクロバットに司令中枢に予算くれくれ打診が出来ちゃうんですよね。

今回は異常に消耗率が高い弾薬とストライカーユニット整備部品購入の予算が目当てです。

ですがここの司令部員はなかなか予算を許諾してくれません。

めっちゃ渋ってきます。なので詭弁で対抗です。ついでなので本土防空に支障が出ると脅すとブリタニア出身の人達が少しばかり慌て出します。

最後まで頑なに首を振らないのはリベリオンとオラーシャ。

したたかな奴らめ。

まず午前の部は終了しました。

「ふう、貴女のおかげで追及が楽ね」

では予算を取得するためにちょっとだけ交渉材料を取得しにいきます。そのついででちょっと寄り道するつもりです。

 

 

では必要な資料を見ておきますか。

場所はこの建物の四階。軍の最高指揮官か参謀クラス、それに連なる物しか入れない大事な情報室にそれはあります。

『ブリタニア軍令部への反応兵器開発に関する情報』です。

反応兵器…核兵器の開発自体はそこまで極秘というものではありません。

実際世界各国の国で研究開発が元から行われており、大戦勃発と共にこれらは統合されて合衆国のロスアラモスに各国の資金援助によって巨大な研究施設が作られています。

そこまでは誰でも閲覧可能な情報となっています。

そこで何が行われているのかはともかくですけど。

 

この世界における核兵器は各国共同開発ということになった結果1944年には1号爆弾が完成することとなります。

しかしそれは総重量9t、サイズも既存航空機に載せるには不可能なものです。

B29の開発計画はリベリオンの戦略思想の変化によって開発されずその能力はジェットストライカー開発に使われています。

さらに核兵器開発自体も最大の出資者であるリベリオンは数度にわたる洋艦隊の壊滅とパナマ運河崩壊の復興に予算が取られ開発がまるまる一年ほど遅延。1946年1月に総重量6tまでダウンサイズした2号爆弾が開発されますが大戦終結と共に開発も凍結という結果となっています。

一応扶桑国のZ機計画がありましたが計画段階で破棄。そもそも当時の核兵器がネウロイの巣まで到達するのは普通に考えて無理であり戦術、戦略価値はなかったそうです。(テキストコピペ)

 

この情報と前に一読した物を知ったことによりルートが大まか開放されました。

後は最後のピースです。しかしこれは今ではないのでまた今度ということで元の任務に戻りましょうか。

 

予算と物資確保の交渉材料ですが、正直なくても問題ありません。そもそもここで成功させるとミーナの好感度が上がってしまうのでダメです。(予算確保や資材確保では上がらない)

元のチャート通りになんの成果も得られませんでしたごっこします。

まあ資料がなくても資料のリアル知識を持っておりそれを脅しとして使うことができるのでわざわざ集める必要が無いだけなんですけど。

今回はリベリオンとオラーシャの説得なので楽ですがルートによっては全ての国から予算がないと言われる可能性があります。気をつけましょうね(1敗)

 

 

ではハッタリかましてリベリオンが折れたところに話を戻しましょう。

ちなみに予算といってもそんなに大きな額になっているわけではありません。

認可の途中でネコババされているから必要額に行っていないだけです。

ネコババめ、もう許さねえからな。

 

基地に戻ってきたらさっそくですが宮藤とバルクホルンの和解空戦を強制的に始めます。そのためにミーナのミニイベントをクリアする必要があったのですね。

ちなみに主人公が何もしなくても普通に全員のゴタゴタは勝手に解消されているので宮藤ちゃんチート説あるよこれ。運要素強いけどね。

 

使用するユニットは前回同様のものを使います。

30ミリは使いこなせれば強いんだ。

え?他の30ミリがあるし37ミリの方が収束が良いって?しかも各種対戦車砲弾撃てるって?

私にとっては最高の機関砲だ。MK108が世界一だ。そう信じているんだ……

いいか、君たちがこの銃よりもっと優れたものがあるって知っているならどうしてそれを教えてくれなかった!(カタログ詐欺)

いいか!これは世界で一番良い銃だ!一番優れた機関砲なんだ!

意地でも信じてるから使ってるんです‼︎

 

では戦闘参加ですが基本は手を出さずバルクホルンの援護に徹します。

本人は快く思っていないようですが……

バルクホルン基準ではハルは見た目と年齢こそ妹ではあるが庇護欲が湧かない上に妹より殺し屋な雰囲気なんだそうな。それエーリカと同じ感じじゃん。

まあ良いや。

では敵の解説です。

アニメでの名前はネウロイX-7。ゲームではサドキエルと聖書からやってきたかのような名前になっています。

なお天使というより悪魔なのですが……

まあポイントはこいつめっちゃ強いと言うことです。

見た目はさることながら運動性は非常に強くアムロでも乗っているのかというほど周囲の攻撃を回避してはこちらの未来位置に正確にビームを撃ち込んできます。しかもビームは三つの翼の両端から死角なく放たれるのでお手上げです。

正直言って戦いづらいどころか近づきたくない相手です。

まあ倒せなくはないんですけどね。結構ゴリ押しですが……別の方のRTAでは作戦開始20秒以内に接近して扶桑刀で切り裂いて倒すとかなかなか頭おかしい事しているのですが今回はしません。

バルクホルンには生贄になってもらいましょう。

まあ良いやとりあえずバルクホルンが……あ、ようやく落ちた。

意外と粘ったね。いやまあ援護してたけどさ……

ちなみにこの攻撃意外とシビアなので援護しないと味方撃墜の場合直撃による即死が8割。アニメのバルクホルン強運だったんやな。

宮藤とペリーヌが落ちたバルクホルンの元に向かったので残りのウィッチでネウロイを抑えます。あくまでも抑えるに徹底します。

普通に倒そうと思えば倒せますがそうなるとバルクホルンが変に拗れます。

端的に言うとシスコンがロリコンになるので色々と厄介です。

ロリコンバルクホルンのおねロリは好きなのですがトロフィー獲得に関わってくるので今回はパス。

 

 

お、宮藤に叱られてようやく復帰したようです。

後は彼女に任せましょうか。

シールドの使いすぎと高機動で体がガタガタですよ。久しぶりに鼻血出ましたよ。

最近体力と魔力が上がったからだんだん鼻血出さなくなっていたのに。

おっとなんですか宮藤さん。

え?診断させろって?いやですよ。

大丈夫だって心配するな(フラグ)

 

って宮藤に構っている場合じゃなかった。ヤッベ水平灯はどれ⁈着陸誘導灯は⁈

白黒視界じゃわからないからなるべく目を離さないようにしてたのに……

まあ良いやフラフラだけど無理矢理着陸……おっと、ユニットが地面叩いちゃいました。

右ユニット側面部が大破しました。うーん……まあ平気だな(適当)

そもそもユニット自損はゲーム上何にも問われないのでノーカンノーカン。ここからガバしなければまだ巻き返せるから。

 

え?何軍医に見せろって?なんで?いやいやちょっと待って何そのイベント知らないんだけどあーもう宮藤まで‼︎

いやだああガバじゃないか!やめ…これからまだやることがあああ!

またガバったよ!

というわけで今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました‼︎

 




反応爆弾

正式名称核兵器。
一般人への情報制限から反応兵器と呼ばれていた人類の切り札となり得たかもしれない兵器。
通常の火薬爆弾と比べて高威力かつ超高熱と衝撃派で最初に作られたものも理論上はどの大型ネウロイが出現してもシールドや硬い胴体を破壊してコアを破壊可能とされていた。
研究開始は意外と古く1930年代から大学機関にて研究が行われていた。
当初は原子核の崩壊が主な研究であったが次第にそれは兵器への転用が検討され始めた。
1940年代には扶桑国で行われた実験でプルツニウム237の生成と連鎖核反応が観測された事をきっかけに各国は対ネウロイ兵器としての開発を念頭に合同で研究開発が行われるようになった。
しかし実現のためには大量のウラン精製が必要であった他爆縮レンズの開発に膨大な資金が必要とされた。
結局1944年に一発が完成したものの総重量9.4t全長8m直径4mの巨大なものとなり爆撃機へ搭載することは不可能であった。
このため本国が無傷であるリベリオンと扶桑はそれぞれ核兵器搭載用の超重爆撃機の計画をスタートさせたが扶桑に至っては爆撃機の所有権が陸軍か海軍かで大揉めになりそもそも予算が通常軍備に取られているせいで計画は白紙化
リベリオンはX-30としてB-29の開発を中止してエンジン6発の巨鳥を作ろうとしたが現実的に考えて鈍足の爆撃機でネウロイの近くまで行くと言うのは不可能であるとして計画中止。
核兵器も予算不足により戦後は基礎研究が細々と続けられ、結局発電所や船舶の動力としての利用がされたのみであった。



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???16

こんにちわ。貴女が手紙の方でよろしいかしら?

はじめまして、ピエレッテ=アンリエット・クロステルマン。ペリーヌと呼んでくださるかしら。

驚かれました?これでもブリタニア語はマスターしていますのよ。まあ、ガリア国民としては珍しい方かもしれませんけれど。

 

 

ピエレッテ=アンリエット・クロステルマン中尉

元501統合戦闘航空団所属。現在は自由フランス空軍第602飛行隊所属、また戦災孤児の養育などを行なっている。

通称ブループルミエ

 

 

 

私達軍人は常に死と隣り合わせ。

それゆえに精神に不調をきたす子は何人も見てきましたわ。私も自由フランス軍に入った直後は戦友が口数が少なくなって睡眠薬を常用する様になって行ったり乱用で医務室に送り込まれて行ったりするのを何度も見てきましたわ。

エースだからといえど十代の少女ですもの、その例外ではないわ。だからウィッチ各自で自分の気を正気に保つように色々と努力をしていますの。

 

ただ努力を怠ったり元からそれができない子もいるの。

それがあの子だったわ。まあ気持ちはわからなくも無いですけれど。私も一時期同じような状態でしたし。

 

 

 

1942年

 

「アントナー…アントナー・S・ハル」

 

「空に上がってからの挨拶で申し訳ありませんわ。ペリーヌ・クロステルマンですわ」

始めてあった時の彼女はどこか纏っている雰囲気が私に似ていて、同族ゆえの傷の舐め合いと言うのかしら。そういった慰め合いを心のどこかで望んでいたわ。

いまとなっては恥じるべき考え方ですけれど、身内を目の前で焼き殺された身としては復讐の炎を纏っているハルさんはどこか心惹かれる存在だったのですわ。

そういう方は何人もいて、時間もそれほど経っていないから尚更ですわ。

ただ、その代償は重かったと聞いていますわ。

味覚障害のことはエーリカから聞きました。私が医療に従事出来ていたらもしかしたら治せたかも……いいえそれはただの傲慢ですわ。医者という道を自らの手で捨てたこと、後悔しているのよ。

 

話が逸れましたわ。

 

 

ハルさんと話したのは着隊すぐの防空戦の最中だったのですわ。本来はエーリカさんが私とペアを組んでいたのですが、ユニット不調で彼女が飛べなくなってバックアップで待機していた彼女が出たというわけよ。

第一印象は……機械みたいだったわ。まあ一回だけ空で死線を潜りに向かっているときの印象なんてのはそんなものよ。

元々彼女は二日後に出向という形で北アフリカ戦線に向かう予定だった。だから私が彼女を理解するには時間が足りなかったわ。

それでもあの無茶苦茶な飛び方は一回だけでも印象に残りますわ。

対峙したネウロイはコアのない小型ネウロイを浮遊砲台のように使ってくる敵だった。

最初に接敵した戦闘機隊のスピットファイアは近づくこともできずにビームで焼き尽くされていたわ。

 

彼女はシールドと機動だけでビームを避けて母体のネウロイに張り付いていたわ。私を半分囮として使っていたみたいだったけれどあれをされたらこっちは囮に徹していた方が良いと言うのは本能的にも理論的にも正しい行為よ。

たしかにネウロイに取り付いて撃破する方法はありますけれどそんな事を進んで行うような子は後にも先にもあの子くらいなものです。まあ撃墜王や魔王とか呼ばれている方たちもたまにやると言っていましたけど。

 

だけれど当時の私は……いえ今もそうですけど常識はずれだったしカールスラント軍人らしからぬ振る舞いで驚かされました。

まあその後にもっと悪い意味で驚かされたのですけれど……

 

戦闘自体はこれと言って問題もなく終わりましたわ。ただ、戦闘が終わってから気づいたのですが、彼女は鼻から血を流していましたわ。

どこか怪我をしたのではないかと心配になりましたが、彼女は大丈夫だと言って聞きませんでした。

どこか機械的で他人との交流を最小限にしようとしている……そんな雰囲気がして当時の私もムキになってそっぽを向いてましたの。

まあ鼻血に関しては衛生兵にちょっと診てもらうよう引きずっていきましたけれど。

ですがそれ以降彼女と顔を合わせる事はしばらくありませんでした。

 

 

 

 

1944年

次に彼女とお会いしたのは1944年。そうですわ、宮藤芳佳が501に入隊した日ですわ。丁度戦線引き抜きから解放された彼女が戻ってくる日と重なっていたのよ。

飛び方は相変わらず危険極まりなくて見ていると危なっかしいものでしたわ。ただ、不思議と僚機として飛ぶと何故だか信頼できたのよ。エースってどこか人を引き寄せるカリスマがあるみたいですわ。

それでも戦うのは嫌いと言った宮藤さんに対しても少し柔和な表情をしていたし後輩……に当たる人にはそれなりに優しい。空と地上では性格が全く違うようでした。

 

 

そんな彼女が宮藤さんとリネットさんの教官をやることになったと聞いた時少しばかり心配になりましたわ。

いくらなんでもまだ飛び始めたばかりのひよっこではあの癖が強すぎる飛び方はどう考えても悪影響でしかないですわ。

まあ坂本少佐の手を煩わせるよりかはマシですけれど。

 

それでも一緒に飛んでいるリネットさんのことも気になったので帰りついでに様子を見ていたのですが、彼女は教育熱心だったようですわ。

口数も少ないし笑顔というものもない機械みたいなのは変わりませんでしたけれど、考えを改めましたわ。

ただ実際のところどうかはわからない。気は進まなかったけれど基地に戻ってから宮藤さんに一度だけ尋ねたわ。

「宮藤さん、ハルさんのことはどう思いますの?」

 

「どうって……」

「他人の事に疎くても噂くらいは知っているのでしょう?」

「えっと……まあ、宣伝映画のモデルになっていると坂本さんにも教えてもらいましたので。それとハルさんは優しいと思います。ただ、ネウロイのことになるとちょっと怖いです」

「……その怖さは少なくとも故郷を奪われた人にとっては共通の怒りなのよ。貴方が戦うのは嫌だというのは勝手だけれど、神経を逆撫ですることがあるということくらいは理解しておきなさい。多分ハルさんも怒っていらっしゃいますわ」

「……すいません」

 

「私に謝られても困りますわよ、それは本人に言ってください。それと後宣伝映画のことはハルさんの前では話題にしないように」

「どうしてですか?」

「本人がその映画を嫌っているからよ。よくできているし俳優も優秀だけど事実を思想誘導と綺麗事で塗り固め死を英雄と美化するだけの厠の落書きだってね」

「うわ……」

 

正直毒がすごいのよ。

意外だったかしら?ハルさんはブリタニア語とガリア語で話すと決まって毒舌になるの。面白いでしょう。

物資の調達にミーナ中佐がハルさんを連れて行った時も司令部の面々に対して対等に渡り合って論戦をしていたようですし。本当にあれが15歳だというのが恐ろしいですわ。ええそうよ宮藤さんと同世代…だけれど10歳からずっと空を飛んでいらしたようですわ。

 

 

 

 

 

 

「……英雄?」

 

「はい、空母の中でも扶桑でもハルさんやエーリカさんは人類の英雄だってみんな言っていたんですけど、隊に入ってからそういう事は聞かないなって」

 

その日私は宮藤さんとハルさんと共に哨戒飛行をしていた。本来の哨戒は2人で行うものですが、まだフラフラとした飛行で編隊を組むのが精一杯の宮藤さんがなるべく生き残れるようにという配慮だった。

 

「戦争に英雄なんていない。死に損ないか殺戮者だよ」

 

「え?」

 

「そもそも英雄なんて言葉は殺戮に勝った勝者を着飾る言葉でしかない。やってる事は人類同士でもネウロイ相手でも同じだよ」

 

「でも人類を救っているのは確かですよね?」

 

「その思考で固まっていたらいつか使い潰される。人類なんて立派なものでもないんだ。英雄と持ち上げてくる相手には警戒くらいはしておくべきだよ」

 

「2人とも話しているところ悪いですがネウロイ発見よ」

黒い点のように見えるそれはまだ遠くて見逃しそうではあったけれど運良く見つけることができた。

「こちらも見つけた。数は2、偵察かな」

 

「ど、どこですか?」

 

「2時の方向やや上方の黒い点‼︎」

 

「宮藤は私に続いて」

 

「はい‼︎」

 

ハルさんと宮藤さんが上昇していく。私は相手への囮として高度を上げずにエンジンを吹かした。

こちらに気づいているのかネウロイが進路を変えた。

 

だけれど私に接近して熱線を撃つ前に、上から降下して飛び込んだ宮藤さんとハルさんによってネウロイは撃破された。

両方とも宮藤さんの射撃だったらしいわ。

 

「周辺に敵影無し。哨戒に戻る」

 

 

ハルさんの様子はその時からどこかおかしいような気がしていたのですわ。いいえ、私が気づいていなかっただけで本当は超音速で突っ込んでくるネウロイを宮藤さんとリネットさんで撃墜した時からずっと様子が変だった。

 

これはその当時の戦績記録よ。ハルさんの分は『公式に残っている』のはこれだけなのだけれど、異様に撃破数が減っているでしょう?ヘタをすると一回の出撃で一度も撃破していないわ。

逆にこの時の他の人、特に後輩に当たるウィッチを見ればわかると思うけど撃破数が真逆のように伸びているわ。宮藤さんやルッキーニさんなどの後輩に手柄を譲っているのよ。

 

多分ハルさんはご自分の体がそう長くないと思って後輩を成長させようとしていたのでしょうね。

 

バルクホルンさんが負傷した時の戦いでついに破綻したわ。

あの戦いのネウロイは強かったわ。あの時自暴自棄になっていたとはいえバルクホルンさんを撃破したほどの相手ですもの。

 

それを一時的にとはいえ負担を押し付けたのが仇となったみたい。

完全復活したバルクホルンさんとは裏腹に彼女は基地に戻る合間かなり飛行がふらついていたわ。

着陸にも失敗して進入角度を誤ってそのままストライカーを自損させたときには流石に全員青くなっていたわ。

すぐ後に続いて着陸した宮藤さんが無理矢理ハルさんを医療室に連行するくらいにはね。

一応の上官であり教官相手でも容赦せず怒鳴りつけて連れて行った姿は普段のあの子からは想像できないわ。まあバルクホルンさん相手にもやってるのだけれど。

 

何があったのか?

あの子の味覚障害は知っているのでしょう?

最初に言ったように戦争では精神に不調をきたす人が多いわ。大抵の場合は精神的なものだけれど僅かに体の神経や動きに障害が出る場合があるの。彼女の場合は身体的なものだったわ。

エーリカさんによれば42年の段階で味覚障害。それから2年の合間に視界の色彩障害と軽度の感覚麻痺が発生していたのよ。

思えば食事の時にも調味料を取り間違えたりしていた……もっと早くに気づくべきだったわね。

もう、遅いのだけれど。それに、その後も何度も……

 

医療の道を諦めた今の私には少なくとも空を離れたであろう彼女の体が回復していることを祈るしかないわ。

 




映画

『リバウの咆哮』

カールスラント、ブリタニア、扶桑国の共同で製作された宣伝映画
扶桑国では『扶桑海の閃光』についで人気が高い
大元のストーリーはリバウ突入を敢行した戦艦越後とその護衛を全うしたカールスラントと扶桑のウィッチの話となっているが史実と違い扶桑、カールスラント、ブリタニアのウィッチは各一名づつ架空のエースとされており若干の脚色が付け加えられている。
また特撮映画として後年高い評価を得ている。
扶桑、ブリタニア海軍監修による1/50の撮影用艦船模型は現在でも海軍博物館に保存されている。
撮影協力
カールスラント空軍
扶桑海軍航空隊
扶桑海軍連合艦隊第二艦隊
ブリタニア空軍
ブリタニア海軍





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part30始動第501JFW 6

盛大にガバったRTAはーじまーるよー‼︎

 

えー現在医務室で精密検査を受けてしまっているハルちゃんの映像を流しております。

さてこんな状態ですが皆様に謝らないといけません。RTA盛大にガバってしまいました。何がいけなかったのでしょうかねえ。

んー……思い当たる節が絞りきれない。

とりあえず眠眠で頭が働いていなかったであろう私はこの時何を思ったのかリセをせずこのまま完走することに決めましたとさ。

実際飛行停止で安静にしていろと言われてしまうとミッションが受けられなくなってしまいストーリーの進行に影響が出てしまいます。

まあ進められないわけでもないんですけどね。かなり大変なんで嫌なんだよなあ

それに……そのね?

ここで停止くらうと最悪水着が見れない(モチベ)いやほんとチャートに組んでいるんで水着見れないのは私のモチベに関わってきます。

飛行停止日数が何日になるか……

医者の反応は?……2日‼︎ギリギリセーフッ‼︎

 

危ない。実に危なかった。2日後の検査で問題が無いようだったら飛んでいいということになりました。

501メンバーや医者は反対しているようですが上層部の決定です。

多分この決定はマロニーによる工作の一種でしょう。例のアレを有効的に披露するためには比較対象となりかねないエース級ウィッチは目の上のたんこぶ。

おそらくエーリカなども可能ならば葬りたいけど手を汚したく無いので戦闘に駆り立てて消耗させておく。まあこんなところでしょうね。

でもその計画と例のアレ本当に君のような三下だけでどうにか出来てると思ってるう?

 

では飛行停止食らっているので基地内探索でタイム短縮します。

何回か試走してダメだったチャートに基地内探索で時間を潰すチャート組んでいたのでそれを流用します。

基地内で過ごす場合どのルートが最短で1日を終えられるのでしょうかね?教えてえろい人。

チャート破綻してるって?

ここからミスが無ければまだレコード出せる(白目)

とりあえずレコード出ればどこ通ってもいいのさ。チャートは手段の一つに過ぎないんだからね!

 

 

とりあえず私が導き出した方法ではドアの出入りを繰り返す事で無理やり時間経過を早まらせるやり方です。

場所はどこでもいいので最も近い寝室の扉で出入りを繰り返しましょう。

8回繰り返すと、1日が終了します。

 

はいご飯……あのー宮藤さんまさか流動食なんて作ってどうしたんです?病人じゃないんだから栄養を……

「体の負担を考えたらこれの方がいいんですよ」

病人じゃねえか。唐辛子くらい入れてほしいよ。

 

お、サーニャだ。久しぶりチッスチッス。

夜間に飛ぶことが殆どのサーニャと昼間に出会えるとはなかなか珍しいですね。お祈り要素の中でもなかなか確率の厳しいものでしたがデレてくれたのはある意味幸運でしょうか。

一応好感度自体はそこそこあるのですが調整がエイラ絡みで面倒なんですよね。

片方の好感度を上げるともう片方が下がらないものの極端に上がりにくくなるとか攻略するのが超面倒な仕様になってしまっています。

やっぱり製作陣はエイラーニャなんだ。わかっているね。エイラーニャを破壊するものはそれ相応の対価を払わなければならない(2敗)

 

 

エイラがここでお粥の味見をしなかったということは想定している値より若干下に振れているようですね。

まあそんなに問題というわけでも無いですけど、エイラも同じくらいかなあそうなると。

あ、違うな、こっちは鼻歌歌っているから数値がもっと低めだ。無いというわけじゃないんだけどもう半分あげないと無理か。

んーまあ二人同時に上げればなんとかなるやろ。それにそこまで好感度上げるわけでもないし。

 

まあエイラはツボを押さえれば割と簡単なんですけどね。

エイラルートに入るためにはそれ相応の攻略が必要ですが友達程度の好感度を稼ぐだけの本チャートであればサーニャをベタ褒めするとか本人すごいわっしょいしてあげれば十分です。

 

 

さて、二人の対処はこれからやるので、他の人の好感度確認と。

坂本少佐はミニイベで稼いだ分で十分、シャーリーとルッキーニ、ペリーヌ、リネットも想定値(目算)

カールスラント組は好感度が元からあるから良いとして、宮藤は普段の訓練で問題なく稼いでいると。

うんまあ大丈夫だろう。実は怪我がバレた時に宮藤の好感度が下がったのですがこの時には気づいていません。

訓練での好感度上昇なんて微々たるものなのでヤバいですね。

 

サーニャの夜間出撃の見送りに行きます。

エイラも確実にいるのでこれほどのタイミングはないです。

 

なお話しかける時はエイラからです。間違ってもサーニャから話しかけてはいけません。

サーニャはまだ猶予があるのですが目の前でサーニャといちゃつかれたらエイラは猶予無しであっさり嫉妬します。好感度上がりがかなり面倒になります。

なのでエイラから先に話しかける必要があったのですね!

 

いけま……あ、やべ。

しくった。サーニャに先に話しかけちゃった。

やっべえええお、おちけつ!ここは深呼吸だ。ヒッヒーすうううっ……

 

やべえよやべえよ。

ま、まだだここからリカバリーしてミスがなければノープロブレム‼︎

 

それに先駆者がいなければ……実質世界一位だから汗。

 

「……何?」

うん、えっとサーニャに差し入れなんだけどチョコ、よければ二人で食べて。それじゃあ!さいならー!

とりあえずこれで影響を最小限にしてと、サーニャの好感度は帰ってきたタイミングで確認して、先にエイラを見てみましょうか。サーニャが帰ってくるまでは食堂で一人待っていたりします。すごく良妻なんだよなあ。

 

「ナンダ?さっきから」

 

おおう、やっぱり警戒体制に入られてしまっています。参ったねえ。

 

ここはサーニャのことが好きかどうかで責めるべきですね。意外と効果があるんですよこれ。

それでサーニャのことが好きなんでしょう?

「ち、違っ…そんなんじゃ!」

 

「へーその動揺は当たりだね」

 

「違う!断じて違うゾ‼︎」

なんでサーニャが絡むと中学生になってしまうんだろう。ヘタレ。

「じゃあサーニャが他のウィッチとくっついてしまうというのも……君が否定し続けるといつかは誰かと幸せになってしまうのかも」

 

「そんなッ!それは困る‼︎」

 

君に手をかそう。大丈夫私は君を応援する者だ。

「それって……」

私はエイラーニャが見たいんだ。心のオアシスだからね。

「ならどうしたらサーニャともっと仲良くなれるかナ?」

 

▶︎夜食でも作ってみたら?

 デートに誘ってみたら?

 

夜食にしましょう。

デートなんて誘おうものならかなり長くなります。主にエイラがへたれるからだ。それに下手すると好感度が暴走する可能性もありますので体感3割くらいですけど。

 

「夜食かあ、あんまり美味しいものは作れないんだけどナ」

 

はいエイラは料理が出来ないわけではないですが作った回数が本当に少ないので美味しいかと言われたら家庭的と答えるような微妙なラインにおさまります。

まあサーニャ相手ならむしろ手を加えるよりそのままがいいのですけれどね。

食材の切り方くらいはどうにかしてあげましょう。なのでさっそくですが作りに行きますよ。

 

 

えーではサーニャに合わせて今回はオラーシャ料理。まあロシア料理を作っていきましょう。

ただロシア料理は香辛料がほぼ無くハーブと乳製品で味を整えていく料理が多いので誤魔化しが効きづらいところがあります。

そもそもこっちは大戦真っ只中なので香辛料は値上がり気味です。

ちなみにウクライナなどで見られるひまわり畑ですがあれは綺麗だからとかで植えているのではなくひまわり油を取るために栽培しています。大体どの料理にもひまわり油が使われているようです。

でも肝心のビーツやスメタナは無いです。

まあザワークラウトと肉があるのでシチーでも作りましょうか。夜食だからガッツリするものは喜ばないですし。

シチーくらいなら作れるでしょ。

そのままぶち込んでスープを作るくらいでいいでしょう。とりあえず軽く味付けしてあげればええんやない?とアドバイスしてあげましょう。

 

下手に出汁とか使うと味がかなり喧嘩気味になります。ロシア料理は良くも悪くも素材の味が主な所がありますからね。

ガンガンに香辛料を入れていく西欧料理と混ざるにはもう少しだけ時間が必要ですし。

 

はい野菜切ってーそれも切って入れちゃえ。

ジャガイモは……ちょっと土っぽくなるかもしれないからなるべく葉物で。(日持ちもしないし)

味付けはザワークラウトと肉の出汁(缶詰加工されちゃってなんの肉かわからない)

「なんか酸っぱい……塩入れないカ?」

「十分味ついてるよ。塩入れなくてもよそった後で軽くチーズ入れればいいと思う」

「そうなのか……」

「試しによそったやつに塩入れて味見してみたら?」

 

「ほんとダなんか辛くなった」

 

「あまり塩気が強いと途中で諄くなってくるんですよ」

 

……うん、結構簡単やな。ぶち込んで煮込むだけだから。

 

はい上手にできましたー。それじゃあ早くサーニャを迎えに行くぞオラ‼︎

エイラを食堂に置き去りにして滑走路に向かいます。

あいかえってきました。

このカットムービー何故かカメラアングルと言い魅せ方と言い戦闘妖精やん。

サーニャは戦闘妖精だった?

 

まあいいやおかえりなさーい。

 

「ただいまハルさん」

お、この反応は…どうやらチョコの差し入れはかなり効いたようですね。

許容内だと思うんですけど……あ、これは許容範囲内ですね。

 

「エイラが食堂で夜食を作って待っていてくれているよ」

 

「本当?ならお言葉に甘えるわ」

ではエイラのところに誘導してあげてと、ほーらエイラ。貴女の彼女さんがやってきたよー。

お、いい感じに仲が良くなっていますねえ、ではハルちゃんは邪魔をせずクールに去るぜ。

では今回はここまでご視聴ありがとうございました‼︎




MiG60S1M

開発国オラーシャ帝国
開発局MiG(ミール・ガスゥダールストヴァ)設計局

エンジンAM-35A(上昇出力2400馬力、高度8000mで2223馬力)

MiG60はMiGが開発した最初のストライカーユニット。

オラーシャにおけるユニット開発は難航し、他の設計局と共同開発が行われた。そこで製作された共通フォーマットのユニットをベースに、各設計局が独自にアレンジを加えていく方式をとった。

MiG設計局はこうして誕生したユニットに60番を与えた。
番号そのものは軍に導入された順に番号を振っていく方式とされたため欠番は無い。
開発まで紆余曲折があったMiG60だが、工場の疎開で品質が安定しなかったことや、設計を急いだことによりMiG60には数多くの不具合が発生、実用化までにはそれらを克服する必要があった。
S1M型は高高度性能に優れたAM-35A型エンジンを搭載した量産機S1を改修したモデル。
高高度での出力確保のため大型のタービンを搭載しユニットの外側に大きく飛び出している。このタービンが猫の鳴き声のような音を奏でるため黒猫あるいは黒豹という愛称がある。またプロペラのように見えるエーテルの干渉波が反二重している

オラーシャの戦線は東と西に分断したため、欧州方面に残されたウィッチは本国からの補給を受けることが困難になり、カールスラントやブリタニアで入手可能な部品でユニットに現地改修を行う例が多かった。


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part 31始動第501JFW 7

謹慎が解かれるRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

 

謹慎終了直後のフライトプランはですねえ、夜戦です。

意味深ではなく普通に夜間に飛行して戦闘するだけの何かです。

 

当然僚機はサーニャです。

なお宮藤も一緒に飛ぶようです。

ストーリー的には丁度水着回である第5話の日の夜です。

本来はシャーリーが夜間飛行に入る予定でしたが昼間にシャーリーがユニットぶっ壊してしまうのでこうなります。

夜のために寝ておけ?睡眠は多少遅れたっていいんですよ。とりあえず水着を見なければ……あれ?そういえば水着持ってないやんけ。はーつっかえ。

まあタイムの前には水着もワンカット見るだけです。ほらほら貴重な水着タイムやで。目に焼き付けておけよお、うん英気も養いました。

ちなみにお着替えシーンは未収録です(スチル絵はある)

 

ただこのゲームの水着回っていうのはどのシリーズでもろくなことないです。

例えばユニットを装着したままで泳いで生存するとか着衣水泳で二、三時間浮いていろとか水中に潜ったら助教に派手にひっくり返されたり押し込まれたりで嵐の海の再現で生き延びる訓練とか海兵隊じみたものでかなり実践的なことばかりです。正直美少女が海兵隊の訓練受けましたっていう企画が出来ちゃいそうです。

ちなみに扶桑海軍スタートだと訓練でそれやるのでヤバいです。筋力値がリベリオン海軍と扶桑海軍キャラに限って高くなる傾向があるのはこれのせいだろう。

ちなみにリベリオン海兵隊と扶桑海軍陸戦隊は陸戦ウィッチも持っているようでそっちも筋肉おばけが多いのだとか。

ウィッチって華麗な女の子っていうより筋肉マッチョのアマゾネスなんだよなあ……

きゃっはうふふな水着遊びなんてないんですよ。そもそも大半の人がスク水だし。ビキニ系水着なんてなかったんや……いやあるんですけど軍は採用していないので。

いやーカオスな水着とか沢山あって力入れているのはわかるんですけど基本衣装扱いだからそれ着てずっと過ごすことになるので痴女やんけってツッコミ入るんですよ。

 

あ、ロマーニャは採用していたかな。本国の赤パンツ?とかは偶にほぼ水着で飛んでいたりするし。

そもそもウィッチはパンイチで飛んでいるからお尻見れるし水着は誤差だね誤差。

だから水着回は揃ってしょぼいか怖いのか。

ZEROの時は水中訓練時に空襲起こるとか地獄ですし。04では水着で空に上がる羽目になってますし。

というわけで見学も楽しいですよ。まあ見て行く時間的余裕は無いですけど。

 

 

 

 

ここからシャーリー出撃後までは自室と廊下をガチャガチャ出入りして時間を潰します。

四回ほどで十分でしょう。

格納庫に行くとシャーリーが素っ裸にタオルを巻いた状態で宮藤達に連れられています。

知っているか。あれでも常識枠なんだよ彼女。

 

そして坂本少佐に話しかける事でフライトプランが狂っているという悩みとともにシャーリーの代打として夜間飛行に入ってくれないかと聞かれます。

当然YESと答えておきましょう。

ちなみに現在のシャーリーはユニット全損で予備ユニットも部品取りのためにバラしていた状態です。

本国から501宛の荷物を積んだ貨物船が大西洋で消息を絶ってしまい物資供給に翳りがみえているためです。

この貨物船には他にもカールスラントの武器弾薬や予備部品が積まれていました。特にMk-108機関砲の弾などは数が少ないので補給が滞っている現在は使用不可能です。残念!

 

というわけでミッションを早速受けに行きます。

ここで夜間飛行を行っておくことで次に来るエイラーニャ回の夜間飛行を丸っとカットすることができます。

実際501部隊配属ルートではナイトウィッチスタートでない限り夜間戦闘は一回だけで十分です。

特定の夜間戦闘が必要とかそういうことはありませんでした。

 

では格納庫に行きミッションを選択します。

 

さてユニット選びの時間です。

今回のユニットは夜間飛行ということでHe219ウーフーにします。

持っていく武装はフリーガーハマーっと。

 

では出撃となります。

一瞬で空が夜になりましたよ。いやー真っ暗です。今と違って灯りもほとんどない上に新月の四日前。こりゃ魔道探針儀が無ければ飛べないわ。

まあ雲の上に出たら多少はマシになるのでしょうけれど。

 

ちなみに飛行灯はある程度上がったら消します。

宮藤が迷いそうになっているので手を握って誘導してくれているサーニャにくっついていきます。

今回の戦闘は通常のネウロイ相手ではありません。

ミッション解説にもあった通り対ウィッチ戦となります。

お、真っ暗闇の中謎のウィッチがやってきました。

真正面。衝突の危険があるため上昇して右旋回。しかし向こうも上昇と左旋回で迫ってきます。

ではヘッドオン。隣を通過して行きました。

見たところブリタニアのウィッチのようです。少なくともストライカーはブリタニア製です。

ちなみにそれは洗脳され操られているウィッチなのですぐに攻撃です。

本当なら警告などを行なったりしますがこちらから攻撃すればキャンセルできます。

ただし殺してしまうと問答無用で強制終了になるので相手のユニットを狙っていきます。

ただし持っている武器は火力が最も高いフリーガーハマーなんですけどね。

サーニャも使っているこれですが、本来フリーガーファウストと呼ばれる携帯対空ロケット砲は1945年にならないと登場しません。

一応試作のフルトファイストA型は1944年に作られていますがそちらは四連装型のようですし。

まあこちらでは早期開発されたのでしょうね。

ちなみにPLが使えるフリーガーハマーはA型であり四連装にした代わりに小型軽量で扱いやすく予備弾の携帯を可能にしたモデルです。

単発での発射と4つまとめての発射が可能で信管は初期型が磁気信管、後期型がリベリオン製VT信管或いは扶桑製VT信管(トランジェスタ)です。

なおカールスラントは扶桑製ベースでVT信管の自主製作ができちゃっているので1945年からはカールスラント製VT信管がちらほらと20ミリ機関砲にまで搭載されています。

……見た目がM202ロケットランチャーなのは気にしちゃだめ。筋肉モリモリマッチョが地上で使ってる幻想見えちゃうから。ちなみに普通であればパンツァーファウストか地雷放り投げで戦車型ネウロイは対処する模様。

頭おかしくなりそう。

 

背後をいい感じに取れていますがサーニャと宮藤に制止されてしまいます。一応まだ敵味方の識別が出来ていないからなのですが悠長な事していると死にますので。

 

「待ってくださいハルさん!あれは味方ですよ!」

 

「ならコンタクトを取れ」

 

「やってるけど応答がないわ!」

 

「なら……敵だ」

 

「やめてハルさん!やっていることがわかっているんですか!」

サーニャが叫んでいますがそのサーニャの元に別の洗脳ウィッチが襲いかかります。こちらのことばかり気にしていたせいで完全に見落としていたようです。

そっちは宮藤とサーニャに任せましょう。

ではこちらはこちらで決着をつけます。

現在洗脳ウィッチは真後ろ。速度はこちらが優勢気味ですが引き離せません。

なので反転して一度ヘッドオン。

但し距離が近いのでここは素通りです。ある程度左右に体を振りながら旋回します。夜間戦闘ユニットは総じて通常ユニットより機動が緩いですね。

まあ能力補佐があるのである程度までは機動性を確保できるのですけれど。

 

 

ハイ再びヘッドオン。向こうもちょうどヘッドオンで対面状態です。この状態で少しだけ待機していると向こうが仕掛けてきます。

体を真横にハイGジャンプ。射線から逃げつつもロケットを撃ちます。

しかし距離が近すぎるのと命中させると不味いのでわざと外します。安全飛行距離が決まっているため信管もこの距離では作動しません。

ある程度すっ飛んでいったところで、予備ウェポンの拳銃狙撃タイムです。向こうも間髪入れずにこちらに機銃をばら撒きますがシールドで防がせて貰います。

ここお祈り要素。銃スキルがあるかリアルで銃を扱っていて慣れている場合でも5割で外します。

さて今回は…5発でクリア!うんよきかなよきかな。下手すると弾倉空になるまで撃っても当たらないってことがあるので。

 

吹っ飛んだ破片で主に洗脳ウィッチのユニットが故障。まあ体も若干怪我したっぽいですが大丈夫でしょう。こちらも片方のユニットがエンジン不調を起こしましたが大丈夫です。

宮藤に落ちていくウィッチを回収させたら一旦集合です。

サーニャの方も片付いているようで既に気絶したウィッチがサーニャの肩に乗せられています。まあなんという……

宮藤が何か言ってきますが取り敢えず軽く流しておきます。

では一度基地に戻ることにしましょう。

ミッション完了。うん、まずまずの区間走でした。

 

では夜間着陸です。

滑走路のライトはもちろん全部点灯。それでも昼間の着陸より難易度が高い。

高度計と睨めっこしながら高度を落としつつ滑走路におります。速さ優先でフラップを出さずに一気に降りてそのまま格納庫前まで。

はい着陸。

どうやどうや今度はユニット壊さなかったで。

 

 

お、どうやら後遺症だった視界の白黒化がようやく解除されました。

うん色が見えるのって気持ちがいい!

 

おっと、ミーナと坂本による尋問会の開催です。

視認ののちに交戦とあるが君はこれを味方だとは考えなかったのかね?

 

私の勘は敵だと言っている。

まあそんなところです。そう言っておけばまあ解放されました。お咎めも無しです。

ちなみに洗脳されていたウィッチはブリタニア空軍所属で昨日から行方不明になっていた子達らしいです。

若干怪我を負ったものの戦線復帰自体はすぐにでも可能だそうな。ただし洗脳されていた影響を調べるために少しばかり病院と研究所送りなのだとか。

うわー可愛そう。頭いじられちゃってマッドサイエンティストに捕まっちゃうんだ。

 

では今回はここまで、ご視聴ありがとうございました。




He219Eウーフー

開発国帝政カールスラント

開発ハインケル社
エンジンJumo213E(離昇1750馬力)
最高速度585km/h


欧州陥落直前よりネウロイによる夜間爆撃が都市攻撃において頻発していた。
それらは当初各国に大きな衝撃を与えた。当時使用されていたユニットや戦闘機は主に昼間戦闘でしかまともに使うことができず視界がほぼない夜間での迎撃戦や制空戦では不利であった。
そこで各国は夜間戦闘機の開発に着手する事になる。
当初は固有魔法の魔導針を持つウィッチによるナイトウィッチ隊での迎撃を行なっていた。
これは一定の戦果を挙げるも数が少なかった。
そこで魔道機械を搭載し擬似魔導針を使用する事で固有魔法の有無を解消しようとした。
当初カールスラントの夜間ストライカーは戦闘爆撃機などに使用されていた重戦闘機Bf110を使用していた。
しかし夜間攻撃を行うネウロイが大型化かつ高高度を長距離で飛行してくることが頻発し始めると純正の夜間ストライカーの新規開発の必要性に迫られた。
He219は1943年から運用が始まった夜間ストライカーである。
E型はエンジンを高高度戦闘に対応するため二段三速過給機を装備し高高度用のインタークーラーを追加したJumo213Eエンジンを搭載したモデル
DB603エンジンより出力は落ちるが高高度でも発生出力が低下しづらいため7000m以上ではDB603より有利である。


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???17

こんばんは、夜遅くにごめんなさい。

 

私もエイラも同じ意見にたどり着いていたのだけれど、ハルは戦いには精神面で致命的に向いていないわ。

意外だったかしら。そうでもないわよ。月のように見えて実はただの石ころだったなんていうのは意外とよくあるの。

多分彼女は戦う時だけ心を殺していたのね。だからあそこまで非情になれる。

 

意外と地上でのあの子は世話焼きな普通の少女。

私のためにエイラと一緒に夜食を作ってくれたり飛行中に食べて欲しいってチョコを持ってきてくれたり、他にも色々とあるけれどどれも世話焼きって印象を植え付ける事にしかつながらないわ。

それに彼女が負った代償を考えればもう飛んでほしくはなかった。あの時の501からももうそこまでして無理をしなくてもという声はあったわ。体が保たないから休ませようって。でもそれはことごとく上層部が却下していたみたいだけれど。

 

 

 

 

 

 

ハルと一緒に飛んだ回数はそんなに多くはない。私がナイトウィッチだってこともある。そしてハル自身がナイトウィッチとしても飛ぶことが一応可能だったっていう事情もあるの。

魔導機械の擬似魔導針は固有魔法を魔導機械で再現するために作られた装置。だけれどそれはウィッチの適正によって性能が大きく変化する。適正があったハルは501部隊では私の予備人員でもあったの。

私にもしものことがあって飛べなくなった場合は彼女が代わりに飛ぶ。だからあまりフライトスケジュールは重ならない。意図的にそうなっているの。

 

思い返してみれば夜間でも人間離れした動きをしていた。

本人は固有魔法を使っているからできることだって、エーリカさん達となんら変わりはないって言っていた。だけれどその動きは尋常ではなかった。

一撃離脱が基本の戦いに変化していった中で、その動きは格闘戦に特化しているように思えた。

 

 

それを見ることが出来たのは彼女が後遺症の治癒期間を終えてすぐの空だった。

 

後遺症は知っているのね。

その、私はナイトウィッチで彼女と基地で会うことが殆どなくて……異変に気づけていなかったの。味覚障害はエーリカさんと飛んだ時に彼女が話してくれたから知っていたけれどそれがもっとひどくなっていたなんて。

ごめんなさい……気づいてあげられなくて……

 

あ、ごめんなさい。話を戻しましょう。本当は一週間治癒に専念して欲しかったのだけれど……上層部にそんな余裕はないって言われちゃって、宮藤さんが回復魔法の練習と称して結構な頻度で体の回復を手伝っていたから多少はマシだったんだけど……

 

だからあまり戦闘の危険性とかが低くて負担が少ない夜間飛行になるべく当てる事にしたの。

一応見張り兼衛生兵として宮藤さんも一緒にね。

それでも神様という存在が実在するなら文句の山ほどを言ってあげたいわ。

 

 

「ハルさんっていろんなユニット使っていますよね」

普段は静かに飛んでいるハルも、宮藤さんがいるとどこかお喋りになっていた。

普段の静かな空とは違う賑やかな空。

「試験機だったり中古機だけどね」

 

元々統合戦闘隊は各国のウィッチが集まってできた部隊。それゆえに各国のプライドがありそれはストライカーユニットにも影響していた。

各国様々なユニットとそれを整備する整備員も各国からの派遣よ。

だから格納庫では規格が違うネジやボルトで溢れかえっていて整備性は最悪。

それもあって専用機を持たない私たちは整備が終わって使える機体をとりあえず使うことが多かったの。意外だった?

 

「へえ、でもカールスラントの皆さんって機体が全然統一されていないですよね制空ストライカーでもBf109とFw190って二種類ありますし」

Bf109は私も使っていた。使い勝手は良かったけれど航続距離が致命的に無いのは哨戒任務がメインのわたしにはあまり合わなかった。その辺りはスピットも似たようなものみたいだけれど。

 

「基本はみんなチューニングの関係で専用機でそれ一筋ってことが殆どだけど私は別に個人に合わせてチューニングしたことは無いからね」

 

「そうなんですか?」

エースは能力を最大限に引き出すために専用のチューニングをしている。だけれど私やハル、それにまだ新米だった当時の宮藤さんやリネットさんの使う機体はチューニングは行われていなかった。

「ええ、私は任務に合わせて用途を変えて使ったりの方がしっくりくる。それにメーカーからの実戦試験でデータを取ったりする事も多いし。その辺りはサーニャさんも同じでしょ」

 

「ええそうよ」

 

「そのユニットのデータ?」

オラーシャ初の宮藤式ストライカーユニット。祖国防衛の切り札とされているユニットだけに試験は複数のウィッチで行われていた。

「いくら試験してもそれは試験でしかない。実戦のデータの方がなんだかんだ重要なのよ」

 

「そうだったんですね……あまり詳しくなくて」

 

「坂本少佐が言ってたけれど扶桑は大陸から飛来するネウロイ相手にデータを取っているらしいよ」

ハルやバルクホルンさんは詳しいけれど、私は他国の事情には疎かった。だから聞き流している事にしていた。

静かな空を見上げながらどこか賑やかな飛行がその時は続いていた。

「全然知らなかった。そういえば陸軍の試験飛行隊なら横須賀を出港するときに飛んでいたような……」

 

「私からしたらどうして扶桑もリベリオンも陸軍と海軍で似たような機体ばかり導入するのかわからない。リベリオンはそれに戦略空軍も入るし」

今でもそう言われている。ハルの言っていることもわからなくは無かった。

501が解散してからもきっとそうなっているのでしょう。私は俗世の事はあまり詳しくないけれど。

 

「扶桑の陸軍と海軍は仲が悪いんです。元々陸軍長州、海軍薩摩でしたし」

わたしにはよくわからなかったけれどハルはどこか納得していた。

「非常時にまでそんなことしているのか……」

 

「何かあったんですか?」

 

「この前扶桑海軍の夜間ストライカーユニットと陸軍の夜間ストライカーユニットを見せられてさ。なんで同じ用途の似たような機体がそれぞれあるんだろうって。それも部品の共通化がされてないし」

 

「あー……えっと?」

 

「確か海軍の方が月光、陸軍は屠龍だったかな?」

 

「あはは……あれはちょっとわたしにもわからないです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雑談を挟みながらの飛行も折り返しになった。

「何?」

私の魔導針が反応したのはその時だった。夜間ストライカーユニットに搭載されている擬似魔導針は固有魔法より能力が劣る。だから真っ先に探知する事になるのは私の方よ。

「どうしたの?」

「不明……いえ捕まえたわ」

 

「A2sより接近する飛行体あり……これはウィッチ?120秒後に交差」

 

「こっちも捉えた。上昇して回避します」

 

「了解よ。高度7300、右旋回」

擬似魔導針も目標を捉えたようだった。このまままっすぐ飛んでいると衝突の危険性があった。

「向こうも上昇?」

 

「やる気?」

 

「待って、味方よ。応答がないけど……」

魔導針の反応では明らかに人型。ネウロイのようには見えなかった。

「どうして味方と言い切れる」

 

「あの、ハルさん?」

ハルの雰囲気はその時点で変わっていた。いつもの戦いの雰囲気。無線機から聞こえる声が冷たく張り詰める。

 

少しして私達のすぐ隣をウィッチが通過していった。

一瞬だけ暗闇の中で見えた姿は、輪郭も曖昧なものだったけれどあの時の私達にはネウロイであるようには思えなかった。

 

「見たでしょハル、味方よ敵じゃないわ」

通過したウィッチが反転して来ようとしていた。それに合わせてハルも隊列を離れて旋回に移っていた。

「ならコンタクトを取れ」

 

「やっているわ。応答がないの無線を切っているわ」

 

「なら、敵だ」

 

彼女がそう言った瞬間だった。

敵という単語に反応したかのように反転してきたウィッチから曳光弾の光が飛んできた。

そばにいた宮藤さんを抱き込むようにして手繰り寄せ、シールドを張っていた。こっちは距離があったから旋回で十分回避できた。

「待ってくださいあれはネウロイじゃ…」

 

「死にたくなかったらサーニャと一緒にいろ!」

銃撃の隙間を狙ってハルからロケットが放たれた。魔導針では直撃コースをとっていない完全な陽動。

だけれどハルに意識を向け続けていることは出来なかった。

直ぐ近くにもう一人、ウィッチが来ていた。

ネウロイに洗脳され操られるという事例があるというのは知っていた。1944年の時にはすでに警戒するようにと連合軍からも指示が来ていた。

だけれど実際に対峙して分かったのは、味方を、人間を撃つ事になる恐ろしさ。

自分自身が殺人をしてしまうのではないかという嫌悪感だった。

幸いあの時は宮藤さんもいたから気絶させて保護することができた。

何度か巴戦に持ち込んで私が囮になって相手をしているうちに宮藤さんが首筋に峰打ちをして強引に。坂本少佐に教わったのですって。

だけれど二対二だったらどうなっていたか……

私達の方が片付いた時、ハルは容赦なくロケット砲でウィッチのユニットを破壊していた。

破片でユニットだけを破壊する。そのために安全距離圏内でロケットを誘爆すらさせていた。

 

破片の直撃で二人のユニットから煙が出ていた。

最初に落下して行ったのは洗脳されていたウィッチ。すぐにハルが受け止めていたけれどハルのユニットも片方から煙が上がっていた。

 

「まずい!」

 

気絶させたウィッチを宮藤さんに預けてハルの救助に向かった。二人の首根っこを引っ張り上げるようにして落下軌道から離脱。久しぶりにユニットが軋みを上げた。

「大丈夫?」

 

「猫の鳴き声がはっきり聞こえるくらいには」

ハルもウィッチも体はズタズタに引き裂かれていた。だけれど致命傷というものでも無さそうで、かすり傷だと言っていた。

宮藤さんもかすり傷程度だから治癒魔法でどうにかできると言っていた。実際基地に戻る途中で既に二人の傷は塞がっていた。

 

 

 

 

 

「どうして……あの時撃ったんですか?」

 

「敵だったから」

 

「でもウィッチですよ。もしあそこで敵じゃなかったとしたら」

 

「戦場でIF(もし)はない。自分の判断を信じて最善の結果を選ぶしかない。あの時は偶々あれが最善の結果だった。それだけ」

彼女の過去がどれくらい悲惨だったのかは私には想像がつかない。自身が下した判断で多くの人が傷つき倒れていった。話してくれることはあってもそれを理解することは難しかった。理解できたとしたらその時、私はハルのように振る舞うことは出来そうにない。

「……わたしにはわかりません。敵ってなんなのですか」

「撃ってきたら、敵さ」

 

「そんなの……撃って撃ち返して、また撃ち返されて終わらないじゃないですか」

 

「そういう考えは軍に入ったからには甘いと切り捨てられる。だけれど貴女はそれでいい。でなければ私のように殺戮兵器になるしかなくなる」

 

「殺戮者には戦いを終わらせる事は不可能なのよ。貴女が戦いを終わらせたかったら……その考えは捨てないことね」

彼女は自分を殺戮兵器と言っていた。地上にいるときの彼女からは考えられない事だった。

襲ってきたウィッチ?ブリタニア本土の病院に送られた後リベリオンへ向かったって聞いたけれど詳しいことはわからないわ。ただ一度だけ手紙が来たわ。

ハルのことは恨んでいないってね。

 

 

あ、スクランブル……行かないと。

話の続きは帰ってきてからね。

 

 

「サーニャ!サーニャ!東からお客さんダ!すぐに上がれってさ」

 

「わかった、ありがとう」

 

「ナンダ?お客さんがいたのか」

 

「ええ、ハルの事を聞いているみたいなの」

 

「ふーん、ハルかあ。…今何してるんだろうなア」

 

「生きていれば会えるわよ。空はひとつだから」

 




リベリオン戦略空軍(RSAF)

上部組織
国防総省
下部組織
リベリオン陸軍支援航空軍団RSAAC)
リベリオン海兵隊支援航空軍団(RSMAC)
リベリオン戦略航空軍団(RSSAC)
1941年リベリオン軍に設立された新たな軍。通称リベリオン空軍。
この組織はリベリオン陸軍航空隊を前進としており設立時に海軍所属の海兵隊支援航空隊を取り込んでいる。
しかしこの組織の名前にもあるように戦略攻撃こそが本来の目的でありその運用も重爆撃機とそれらを護衛する戦闘機で構成されている戦略航空軍団が戦力の7割を占めている。
現在はブリタニアに前線基地があり欧州本土のネウロイへの戦略爆撃を行なっている。
一度に平均300機から600機の大編隊で飛び立つため見た目には派手である。
現在XB-36と言った本土から欧州や太平洋の前線基地から大陸への渡洋爆撃が可能な機体を開発中
また長距離爆撃機をエスコートするために長距離飛行が可能な護衛戦闘機やストライカーユニットを開発している。


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part 32反攻第501JFW 1

好感度が一定値入っているからチャート通りにやって良いか不安になってきたRTAはーじまーるよー‼︎

 

えー前回戦闘終了と共にルート分岐のお時間がやってまいりました。

洗脳されていたウィッチ達の証言から人型ネウロイの可能性に行き当たることでそれを追うことになる501離脱ルート。

もう一つはそれらを行わず501に残り続けるルート。

今回は駆け抜けた空取得のために501残留を行います。そのため自室にいるミーナのところには寄らずに自室に戻って寝ます。

 

ではたっぷり寝た後はすぐに朝食に向かいます。宮藤との仲が微妙によろしくないというか好感度が上がりきっていないのですがチャートではここでバグスキップのための手段を講じる必要があります。

ただこれは全員の好感度が初期値のままの時でしかやっていないのでタイムへの影響が分かりません。

まあやれば確実に速くなるのは確かなのでチャート通りに行きます。

 

朝食を食べていると宮藤が味覚は大丈夫なのかと聞いてきますがオンにするつもりも無いので見た目判断で適当に答えましょう。

はい栄養補給完了。

 

 

 

 

ではストライカーのところに行ってミッションを選択します。通常のミッションの下に緊急出撃のマークが出ています。これは第5話以降になると出現する楽しいスコア稼ぎのミッションです。

ただし最高難易度では途端に牙を剥き超大型ネウロイが鬼強で出現する蹂躙パーティになります。

ただしこのミッションでは撃墜されてもミッション失敗扱いにはならずまた死亡しません。

ただし重傷を負いますけれどね。

 

というわけでいざ出撃!

一緒に出撃するキャラは501+αからランダムに決まります。

おや今日はピンク髪も出てくるんですね。

おっと名前ちゃんと覚えないと、烏李芽ねはいはい。

 

 

今回の出撃メンバーは坂本少佐と宮藤と烏李芽とエーリカ、ミーナねえ。

見事に扶桑とカールスラントで固まってら。

ちなみにユニットはBf-109G-6でいきます。本当は前回の夜戦で履いたやつでも良かったのですが護衛との戦いを考えたらこれ一択です。Fw-190は墜落未遂の時の損傷のままで修理が後回し。

残っている選択肢の中ではこれが最速を狙える機体です。

カラーリングは黒いチューリップでエーリカとお揃い。パーソナルマークだけ違います。

また国籍は501の部隊マークがそのまま識別票として貼られています。

設定ではエーリカの予備機を借りている状態のようです。

あ、烏李芽のやつストライカーが紫電じゃんすげー

 

「まもなく会敵する。クロウ、シェパードが先行。戦術飛行2だ」

 

「ブレイズ、ランページは隊列が乱れたところを狙え」

 

ピンク髪と一緒に先行、エーリカと宮藤がそれに続くと。坂本少佐(ハートブレイク)とミーナ(ハウンドドッグ)は戦闘指揮に徹するので戦力外カウントしましょうか。

まあもうすぐ上がり迎える人達ですし仕方がないね。

 

はい敵が見えました。今回の敵は超大型ネウロイ「モビーディック」です。

実はこのネウロイは名前が違いますが小説に登場するディオミディアです。

数は四体。コンバットボックスで真っ直ぐブリタニア本土へ向かっています。ちなみに夜間爆撃でも時々これが飛んでいるらしくブリタニアの工業は北リベリオン大陸ファラウェイランドへ疎開。五大湖工業地帯とともに北ブリタニア大陸の一大工業地帯を形成しているようです。

お陰でブリタニアは重工業地帯が廃材の山に変わっています。

唯一無事なのは強力な防空能力を有する海軍基地と造船所くらいですね。

 

ならこのネウロイはどこにいくのかというと単純に人口密集地を攻撃しにいくだけです。

 

ちなみにあれのあだ名はアイスキャンディー。

由来は今ご覧の通り途切れることがない大量のビーム弾幕から取られています。

攻略が難しいことで有名ですが途切れずに攻撃を続けるなんてのは不可能です。

実際サイズの割に同時対処が可能な数は3でしかなくそれ以上の人数でタコ殴りにすると結構当てられます。ただしサイズの問題で弾丸が通るかと言われたら微妙ですしこの難易度では護衛のネウロイが一緒にくっついています。

ついでに言えばモビーティック2と呼称されている個体はアーセナルバードよろしく小型ネウロイを翼の下に大量に取り付けています。

 

一定時間が経過すると小型ネウロイを大量に放ってくるので真っ先に潰します。一応上で扶桑の電子偵察機が情報をくれているのでどこに何がいるのかは魔道探知機を見ればなんら問題はありません。

まじで電子偵察機がないとこれ敵と味方しか言ってくれないから困ったもんですよ。

たまに落とされる事があるから注意しましょう。

 

 

さあ戦闘開始です。

烏李芽が喋っている途中ですがそんなものキャンセルだキャンセル。

早速コンバットボックスでの対空防御が展開されました。

あれに当たればいくら強力なシールドを張っても数秒しか保ちません。なるべくエルロンロールで進路を割り出されないようにします。

結構正確に攻撃してくると思いがちですがビームなんて結局は実体弾と同じで発射から弾着まで僅かに時間差があり偏差射撃の必要があります。

なので進路を複雑化させたり突っ込む時にもロールで進路を乱せばそれなりに有効な弾幕回避ができます。

スレスレをビームが通過するので怖いですけど慣れればサーカスだからさ。

 

 

目標を2番に絞って一撃撃ち込んでそのまま上に離脱。

左右にシザースかけつつ反転して上から撃ち込みます。烏李芽もしっかりついてきています。これは確率デレしていますね。

ただし集弾がうまくいかなかったので微妙にコアが露出しただけです。30ミリ機関砲痛恨のミス。

ちなみにエンジンっぽい部分を狙うと案外落下はします。(撃破とは言っていない)ただしコアは胴体後方か左の主翼付け根にあるので基本そこを狙いましょう。今回は後から飛び込んだ宮藤がやってくれました。

上と下にいた護衛の小型ネウロイが一気に追いかけてきました。

坂本少佐がコアの位置を探していると思いますが待ってるとロスに繋がるのでさっさと次を倒します。後ろから追いかけてくる護衛ですが、普通に同士討ちするしモビーディックすら巻き込んで攻撃するので護衛とはなんなのかと思いたくなってきます。

 

 

お、ちょうど良いところにエーリカと宮藤がおるやんけ。

あれに護衛をなすりつけたろ。

オラ戦ってろ。

 

まあエーリカと宮藤はチートキャラだからね仕方がないね。ほらもう護衛が全滅したよ。他のネウロイを攻撃し始めているのでその合間にこちらはもう一体のデカブツを倒しちゃいます。一回翼を30ミリでへし折ってから烏李芽と一緒にコアを叩き潰します。

こっちの個体はどうやら胴体後方だったようです。まあちょうど良い位置ですね。ボッコボコにしてあげます。

ほらほら機体の制御ができずに一方的に殴られる怖さを教えてやろうじゃないか。

あ、時間ないのでささっと倒しますねー。

はい爆撃ネウロイ隊半壊、護衛は…全滅していますね。

 

護衛のネウロイが壊滅したので本気でビーム攻撃してきました。

いやーえぐいですねえ。では早速あれにぶつかりに行きます。

 

このバグ技を使用する場合大型を2機撃墜してからとなります。

またビームに被弾と同時にメニュー画面を開いてミッションをリセット。後は左脚と右脚を前後に3回ブラブラするだけでOKです。この時被弾ダメージで身体に深刻な欠損が発生していることが条件となります。

失敗した場合はリセット。

さあどうかなあ……

成功の場合はミッション終了と共に病院のベッドに移動します。

んー…お!成功しました‼︎

 

今回の被害は、はい左腕が肘より先損失しました。

ついでにおでこも三針縫ってますね。

まあ痛覚切っているからそうでもないんですけどこれリアル寄りに痛覚設定している人は気をつけてくださいね。マジで痛いですし幻肢痛が起こりますし。

まあそれ以外は問題なさそうなので良いかなあ。この世界の義手はウィッチ用のものだと魔力補助で手首関節と三本指のマニピュレーター程度は使えますし左手なら利き手じゃないのでリカバリーも利きます。

 

本来怪我を負うとミッションが受けられなくなり治療まで時間経過が停止します。しかし先程のバグ技により時間経過停止機能を無効にすることができます。

治癒にかかる時間は計測では宮藤が謹慎処分を言い渡されるまで。よしよしチャート通りこれぞガバ無しよ(慢心)

あ、バルクホルン。どうやら今日は妹が起きる日みたいです。

 

腕をなくしたくらいどうって事ないから。

あ烏李芽も来てるのね。めっちゃ泣いてるやん。泣き顔すごいことになってるよ。

二人ともヘーキヘーキ。大丈夫だって。

バルクホルンはなに色々勝手に追い詰めちゃっているの?うーん……だから好感度上がるのは避けたかったのですがこれはもしや他のキャラも似たり寄ったりでは……まああの好感度ならヤンデレルートは無いから大丈夫かなぁ。

 

 

ちなみに腕をなくしていますがユニットを履く脚を無くしたわけじゃないのでウィッチ引退とはなりません。

そもそもまだ5年も飛べそうなエースをむざむざ引退させるほど人類は余裕ないという設定です。もうちょっと裏設定に突っ込むとマロニーの士気低下工作と言われています。

考察班ではマロニー裏にいる灰色の男達による指示と言われていますがそこら辺は考察でしかないです。

それにプレイヤーだし。

 

というわけで早速義手制作です。なおプレイヤーが人体欠損を引き起こす場合はウルスラ・ハルトマンが義手義足を作ってくれます。

ジェットストライカー作ってなかったっけ?まあ他に設定活かせそうな子がいないからなんでしょうね。

 

では早速腕の調整とリハビリです。

ちょっと倍速。フルダイブVRの場合腕や脚の感覚も脳波でとっているせいで意外とリハビリが洒落にならない難しさです。

特に義手の関節はボール関節なので人間には出来ない動きができてしまう上に3本指なので物を掴むのもコツが入ります。5本指かつ掌というものがある腕より格段に自由度が落ちますがまあ銃器を使うのなら問題はないです。

 

というわけで今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました‼︎




紫電11型

運用国 扶桑国

開発会社
山西航空機

発動機
ハ45-11(誉11型) 1800馬力
遠心式スーパチャージャー付き

最高速度580km/h(高度5600m)

扶桑国が開発したストライカーユニット
扶桑国が運用する局地戦闘用ストライカーユニットであり欧州ではインターセプターと呼ばれる迎撃機に分類される。
そのため航続距離は扶桑製ストライカーユニットの中でも格段に短い。
しかしその性能は短機能高高度戦闘を想定して作られておりユニットの限界速度は806km/hまで引き上げられ水平速度も580km/hと高速である。

それゆえに零式より旋回性能は劣らざる負えないが実際の運用ではそこまで深刻なものではなく上昇性と加速能力による一撃離脱を得意とする機体ながらそれなりに格闘戦も出来てしまうという欧州機から見れば頭おかしいに入る。
翼の位置を下に下げエンジン出力を調整した紫電改(紫電21型)がすぐ登場したため11型は少数生産(201機)に終わった。
また元の機体が水上戦闘ストライカーである強風のため紫電改より全重量がやや重い。


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part33反攻第501JFW2

走者は女の子です


腕を無くしたRTAはーじまーるよー

 

新しい義手を貰ってちょっとだけ喜びの舞をしているハルちゃんとお見舞いにやってくる人たちを軽くいなしていくプレイを倍速でどうぞ。

ちなみにすぐ隣には某魔王がいます。こっちは脚を無くしたようですが普通に義足を履いては窓から脱走して帰ってくるを繰り返しております。

あれを見てたら腕一本くらいどうってことないように思えてくるから不思議。

 

ちなみに腕を無くしたくないという人は参考記録ですが腕を失わないでやったタイムとEDを横に流しておきますね。

まあガバが無かった部分かなり早いタイムになっているように見えますがこっちのルートよりトータルで30秒ほど長くなるのでこのバグを見つけた海外ニキには感謝です。

 

 

ちなみに流動食は美味しくないようです。味覚を切ってはいますが見た目からしてもう美味しそうに見えない。これ本当に食べるん?

食べてる感触も食べるというより飲み物なんだよなあ。チキンブロスない?いやD型ポリペプチドは関係なしにさ。

 

冗談はそこそこにしておいて腕の動かす練習です。まあ……慣れですね。チャートをやる前に一度義手をつけて練習するのをお勧めします。ちなみにほぼリハビリ期間1日で終わりました。

驚異的だというテキストが出ていますね。

 

流動食が不味いからって言っておきましょうか。

後魔王が脱走していますよ。

 

ついでなのでここでルート解放に必要な最後の情報を回収しに向かいます。

時間帯は午前0時から6時の合間。場所は病院近くの連合軍司令部です。

そこの建物の三階にあるマロニーの書斎に忍び込む必要がありますが、実はこれ6話以降で日付が13日の金曜日に病院入り口付近で見ることができます。

 

まずは病院から脱走です。某魔王も脱走していることから判るように病院の警備は結構ザルです。

というわけで窓から逃げ出します。ここは五階なので着地の時にシールドを張って減速しましょうね。

でもうまくやらないと時間がかかりますし減速が足りないと足首を挫いたり骨折します(4敗)高いところから飛び降りる訓練をしておいた方が良さそうですね。

 

では病院の裏門から出て正面に回り込みます。

病院前ではマロニーを乗せた車と護衛を乗せたトラックが一台ヘッドライトをつけたまま停車しています。

実はこれちょっとしたイベントでマロニーの車のタイヤがバーストしてしまい動けなくなってしまっている状態です。

 

必要な書類はマロニーの車の中にあります。

当然そばには見張りがいますし周囲にも護衛の兵が立っています。

ちょっとしたスパイミッションです。他の走者様でも見た光景かもしれませんね。

 

では早速書類を見に行きましょうか。

 

見とけよ見とけよ〜

 

まずは匍匐前進でトラックの下に入ります。街頭の灯りの範囲外なら匍匐前進していれば見張りのために下車している兵には接触しない限りバレません。

 

トラックの下に潜ったらトラックのタイヤの空気圧を抜いて、石を放り投げて近くにいる兵士にトラックのパンクを気づかせます。

こうすることで見張りの兵士全員がタイヤに向かっていくので今度は近づいてきた兵に石を投げて警戒態勢にわざと入れさせます。

ここからが勝負。警戒態勢でアラートが入ったらその場所から即座に移動。立ち上がって走っても大丈夫です。すぐに車に近づいて書類が入ったバッグをセレクト。書類確認が終わったら今度はマロニーに石をぶん投げてすぐ移動。正面門を乗り越えて茂みに入ればもう大丈夫です。

あんな堂々と兵の前を通ったのに大丈夫だったのかって疑問に思うでしょう?

最初見た時は私も目を疑いました。

 

理屈としては潜入ミッションなどで警戒態勢に入った兵はまず攻撃を加えてきた相手のいる位置に向かいます。

この際に銃や石など飛び道具を使うと非発見攻撃という判断で放り投げた地点まで向かうのですがまず兵士はそこまで向かうという行動が優先コマンドで流れているらしく移動してすれ違ってもなんの反応も示しません。

その上夜間は極度の近眼なのか探知距離が低いです。大体正面1mくらいかな。

警戒態勢に入るのは半径20m内の人なので今回の場合その場の全ての人間が攻撃地点に集まり普通に車の書類もガラ空きになります。

 

 

一度書類を見ると警戒態勢がリセットされる仕組みなので必然的に近くにいるマロニーに石を投げてもう一度警戒態勢を取ってもらいます。

ウィッチに石投げつけられて「あ痛っ」で済む彼って意外と頑丈。

ちなみにあの書類はウォーロックの2機目とそのコアが手に入ったという事が書かれた書類です。ちなみにコアの鹵獲にはやっぱりウィッチ隊を使ったそうな。第013飛行中隊かあ通称はイスカリオテだ‼︎

 

 

後は安全に病室に戻れば良いだけです。戻り方はシールドを足場にして窓から入ればOK。終始裸足でしたがまあ大丈夫でしょ。

 

そして夜明けまで倍速。グダグダしているのを流しながらピンク髪からの差し入れの林檎を食べているとミーナさんがやってきました。

 

 

では宮藤が謹慎処分を受けたということで入れ替わりに戦線復帰です。

人型ネウロイというよりウィッチ型ネウロイというべき存在は一期のキーパーソン。

ネウロイと人類との合間でコミュニケーションによる意思の疎通の可能性を示しています。

まあそれもなんだかんだあって潰されちゃったのでネウロイの気分的にはズォーダー大帝なんじゃないんすかね?一応捕らえているネウロイを返せという交渉用に作った存在なのでしょうけれどそれでも対話とコミュニケーションという一種の新生命とのコンタクトが取れる機会だったんですがね。

まあそりゃ人類滅ぼすかにシフトしますわな(出来るとは言っていない)

しかも仲間が戻ってきたと思ったら敵に改造されちゃって闇堕ちしてましたなんてねえ……

 

 

ちなみにネウロイに仲間意識があるのかと言われるとかなり微妙なところであの宝石のようなコアに意思が宿るのかとか意思がある生命体であるならあれはどう言った定義になるのかとか色々あるわけです。

考察班で最も有力視されている説はネウロイは存在するが人間からは認識できないかコアのようにしか識別出来ないのではないかと言うものです。

ならあの黒い部分もこちらで言えば機械部品の一つなのかもしれないという。

 

まあ考えたところでそんなものの答えなんて出てくるはずもないので病院を出たら迎えのトラックに走り込みセレクト。

道中はカットで501の基地に到着です。なんか建物の外壁が崩れているんですがこれは……

あ、侵入してきた小型ネウロイを倒すための致し方がない犠牲と。まあ死傷者が出ていないだけマシなのか。

でもそこって元々ハルちゃんとペリーヌが使ってた部屋があった場所じゃん。ペリーヌ部屋なき子になってしまっているのか悲しい。

では宮藤に会いにいきましょう。

あ、ミーナさん久しぶりですね。何その追い詰められて鬱寸前の顔してるん?笑って笑って。

え?手袋つけておけって。はいはいわかりました。

これ培養の細胞で包まれないかねえTみたいに。

そしたら違和感なくなるんだけどね。

 

 

では宮藤との交流戦です。

宮藤のお部屋にお邪魔しまーす。……ふうん?こりゃちょっとやられていますねえ。好感度は、あー下がってる。このままだとまずいのですぐに好感度上げましょねー。

人型ネウロイに対する考えで共感と自分の意見をぶち込んで宮藤の味方ですオーラ振りまけば丁度いい感じに……はい好感度上げ完了。

こうやって好感度を稼ぐのと同時に彼女の自室謹慎破りを助長させます。

 

 

 

それじゃあ部屋をでまして適当に時間を潰しましょうか。

あそうだった(今更)ちょっと幻肢痛で腕が痛んでいる為視界が少しチラつきますが気にしないようにしてくださいね。

 

 

あ、空母赤城と空母フォン・リヒトフォーヘンが並んでる。

片方がタイムスリップしてきたみたいな違和感がありますね。

今回はバルクホルンとエーリカ、ルッキーニが一緒に飛んでいます。とりあえず今回は真下にいる空母をどういうわけか嗅ぎ分けて飛んでくるネウロイを叩き落とします。

ちなみにこの航路は普通に501制空圏内なので安全という理屈で航行しているらしいです。

数はそんなに多くないですしサイズもそんなに大きなものは来ないので嵐に前の静けさとも言えます。

ただしこのミッションはストーリーミッションです。

 

ちょっとだけ面倒ですがあの僚機ちゃんと一瞬相見えるイベントが入りますの面倒なのでスキップです。

 

ネウロイの処理ですがいつも通り適当に倒していくだけでOKです。終盤なのに楽に倒せるラッキーな任務だったなあ。まあエーリカが終始エスコートしていたしバルクホルンがめっちゃ頑張って無双していたのでおこぼれ倒したくらいなんですけどね。これが撃墜数世界5位の肩身の狭さ。

あ、吐血した。

まあこのくらいなら平気か。

 

 

はいミッション完了。と思いきや何やらユニットの様子がおかしいですね。

ミーナさんに様子を見てもらうとなんと燃料が漏れているとのこと。被弾の痕跡はないからパイプが外れた可能性があるらしいです。完全に整備不良なんだよなあ。

流出量から見て基地に戻るのは無理なので空母におります。

一緒にエーリカが付き添ってくれました。

 

 

はいフォン・リヒトフォーヘンに着艦します。なぜか戦闘に参加しなかったピンク髪も赤城から飛んできました。

いたのかよと思いたかった。多分走ってた時はそう思っていたはず。

 

ライトチェック。色が見れるってすごく楽。

はい着艦。綺麗に決まりました。

まあ燃料も無くなっていたし簡単でしたね。

後に続くようにしてエーリカが降りてきました。そして付き添いでピンク髪も勝手に降りてきました。お前なんやねん金魚のフンかよ。

 

では着艦してユニットを外したばかりなのですが艦長から呼び出しを受けました。何かあったのでしょうか(すっとぼけ)

すぐに航海艦橋に上がってアンダーセン艦長にご挨拶。それでそれでなんですかあ。

 

おやあ宮藤が脱走したって?そりゃ大変だなあ。

後僚機ちゃんも行方不明らしい。おっそうだな……

 

 

では今回はここまでご視聴ありがとうございました‼︎

 

 




XB-30

開発国 リベリオン合衆国

開発会社
コンヴェア社

全長51m
全幅70m
全高14m

エンジン
プラットアンドホイットニーR-4360-7(試作モデル)8基
一基あたり最大出力3000馬力
反二重6枚プロペラ

最大航続距離141860km
最大爆装重量18t
最高速度613km/h

武装
AN-M2重機関銃 12丁

乗員10名

リベリオンが開発していた超重爆撃機。
XB-29が頓挫した場合の保険と考えられていたが反応兵器搭載機の想定重量が当初の予定より引き上げられたことでXB-29の開発が中止になり予備プランとしてボーイングの技術者までもを巻き込んで開発されていた機体。
特徴はそのサイズとエンジンである。一基あたり3000馬力を発生させるエンジンを推進式で翼に四基づつ搭載し翼に収納している。
このため翼自体も厚いところでは2.3m近くあり機内から点検ダクトを使用して各エンジンを点検することができた。ただし与圧されていない。
機内は機首側と機尾側に与圧室を設け爆弾槽上部を通るダクトで繋がれている。
また防御火器も充実しており機体上部二箇所と機首下方爆撃手席の後方、動体左右、最後尾に遠隔操作型の砲搭に連装でまとめたM2重機関銃を搭載。
その巨体と構造で開発コストは高騰していた。
さらに試作4号機(1号機は低出力エンジンの飛行試験機、2号機は破壊耐久用、3号機と4号機でコンペ)が何者かに奪われ後にブリタニア北部で残骸となって発見されている。
無事に残った3号機もエンジン不調でコンペの成績は良くなかった。


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???18

エイリーヌとエイラーニャの二つに揺れてました


空が綺麗だと思ったのは何年ぶりだっただろうか。

ネウロイとの戦いの中で私はふとそんな感想を抱いていた。原因はエーリカを従えて飛行する一人の少女。

 

 

ネウロイを倒す。いつのまにか空を飛ぶ理由を戦いにしてしまっていた。その事が空に対する憧れを歪めて貶めている気がしてならなかった。

だから空を飛ぶことを目指した理由は忘れることにした。

 

1944年、私は欧州にいた。

 

 

 

1944年のブリタニアの戦闘は一週間のうちの決まった時間に襲来する定期便とそれ以外の時に仕掛けてくる臨時便の大きく分けて二つがある。

 

「超大型ネウロイ発見!数は四!無理に倒さなくても良いわ」

 

「扶桑海軍より増援のウィッチが二分後に到着する」

その日飛んできていたのは臨時便だった。

私達の他にも何人かのウィッチが上がっているようだったが海軍のウィッチ二人しか見えなかった。

「えっと、お久しぶりです坂本少佐」

そのうちの一人は私が扶桑にいた時に一時期部下だった奴だ。まさかハルと一時期僚機を組んでいたとはな。世界は狭いものだ。

「烏李芽中尉か。久しぶりだな」

 

「ハルは相変わらずで?」

 

「ああ、相変わらずだな。だが流石に今回はエーリカとペアを組ませてある。そうだな……宮藤の僚機を頼めるか?」

 

「わ、分かりました」

 

「かなり大きいな……それに数も多い」

 

「一体ずつコアの位置をお願い。まず先頭から」

 

ミーナ中佐は全体指揮と私の護衛。魔眼を使用している最中は突発的なことに弱くなってしまうしもうすでに20歳だった私はシールドの出力も時々不安定だった。

コアの位置を無線で伝えると、ネウロイの真上に陣取ったハルトマンとハルが逆さ落としでネウロイに迫った。

だが凄まじい弾幕ですぐに攻撃は出来なくなった。

常にビームが途切れることなく襲ってくる。あれでは普通にシールドを展開しても数秒が限度だ。

 

『大型ネウロイ撃破‼︎』

だが彼女は非常識の塊だった。

 

真上からの攻撃を諦めながらも、ビームを放つ部分を破壊し、ネウロイの横を通過しながら攻撃をしていた。

やれと言われたら出来なくはない。だがネウロイのビームに捕捉される危険が高くハイリスクだ。

もう一体はハルとの距離が離れすぎてしまったハルトマンが共同で撃墜した。

その頃にはブリタニアのウィッチも集まってきていて数の差でどうにか出来そうだという油断が広がっていた。

『新たな反応!早い!501の基地を狙ったやつと同じだ‼︎』

 

「厄介だ」

前線に一瞬だけ広がった動揺。そこを突かれて瞬く間に二人のウィッチがユニットを破壊された。

空戦領域から逃げようとする二人をビームが絡めとろうとしていた。

私が合間に入り刀でビームの方向をずらした。それで一人は助かった。

もう一人は割って入った宮藤のシールドが間一髪で防いだ。だが宮藤のあの規格外のシールドも数秒で穴が空いていた。

『あのネウロイは、どうやら複数のビームを一点に集中させたりすることができるようです』

砲門数は最低でも50、照射時間を短くしてビーム威力を減衰させないようにしているというわけか。

「とんだ化け物だ」

 

未だその化け物は二体残っていた。そしてそこに飛び込んでくるように、高速で飛ぶネウロイが現れた。今度は囮などを使わず、その姿も分離した状態のあまり大きくない歪な飛行機のような見た目だった。それが戦場の空を駆け抜けようとする。

私とミーナで抑えに入った。以前の報告から20ミリでも十分に攻撃は通用する。

見越し射撃で二回、引き金を引いた。

20ミリは翼のように飛び出た部分を抉り取り、その軌道を大きく乱れさせることに成功した。

「ネウロイが‼︎」

 

「危ないっ‼︎」

 

ネウロイの進路上に突っ込んでしまったウィッチが一人、空中で衝突していた。音速に近い速度で突っ込んだネウロイは胴体がひしゃげて瞬く間に消失。衝突の瞬間にシールドを展開したため直接的なダメージはある程度軽減されていた。

しかし気絶をしてしまったのか少女が落下していく。

 

落ちる彼女を一番近くにいた烏李芽が捉えた。

『待って待って重いんだけど!都姫中尉昼食べ過ぎだよ!あー病みそう……』

「もうすぐ第二迎撃隊が来るわ。到着まで三分!」

「烏李芽、そいつを連れて撤退だ。宮藤、二人のエスコートを」

『了解しました‼︎』

 

『大型ネウロイ加速‼︎』

 

「なんだと⁈」

高度を下げながら加速するその大型ネウロイは、爆撃機型と呼ばれていたはずだった。だがそれは翼を大きく反転させ、形をみるみるうちに変化させていった。黒にハニカム構造が浮かび上がっていた体も赤い発光パターンが幾何学模様を形成しながら変化する異様な姿になっていた。

「ネウロイが進化した……」

 

「少佐、調べるのは後よ撃破しないとコアの位置は?」

 

 

私がコアの位置を調べようとした途端それはすぐ近くの少女達に襲いかかった。

一瞬で一人が蒸発した。確かブリタニアから来た増援だった。

その姿を直接見たわけではなかった。だけれど無線から聞こえる悲鳴と怒号で何があったのかは察した。

コアの位置は簡単に見つかった。

ネウロイが目標を変えて後退中の宮藤達を狙ったのはその直後だった。

ミーナ中佐は小型のネウロイへの対処に追われていた。

気づけば体を動かしていたがコアを探るためにやや高度を上げていたのがまずかった。

警告を出したが既にビームが幾千と伸びていき、宮藤と烏李芽中尉を覆い隠そうとしていた。

 

私とミーナでは間に合わない。

そこに飛び込んでくる二つの影があった。

一人は宮藤を守るように飛び込みもう一人はビームの発射源を銃で撃ち抜こうとしていた。

宮藤のシールドすら数秒しか持たないビームを複数受けるなど無茶だ。

私が到着するまで数秒。その数秒の差がもどかしかった。

展開されていたシールドに真っ先にネウロイのビームと接触。拡散したビームを撒き散らしていた。だがそれも一秒に満たないもので、黒と赤の爆発が周囲を覆った。

だが威力が減衰していたこととハルトマン中尉がビームの発射点を破壊してくれていたことでどうにか宮藤達のシールドは耐え切ることができた。

 

彼女の姿が一瞬確認できた。

反射的にそれを目で追い、次の瞬間には追いかけていた。

 

 

大破して炎上するユニットが体から分離され木の葉のように舞いながら分解していった。

高度200でようやくハルを捕らえた。

 

彼女は腕を失っていた。

降下中にすぐそばを手の部分だけが落下していくのが見えていた。残念だが手首から先はビームで灰になってしまっていたらしい。回収することもできなかった。

彼女の腕も出血はしていなかった。ビームで焼き切れたせいで傷口が塞がっていたからだ。いや炭化していたんだ。

他にも銃弾の暴発やストライカーの破片で体はズタズタだった。

宮藤がすぐに治癒魔法をしていなければ傷は増えていただろう。

 

正直生きているのが不思議なくらいだった。

 

残りのネウロイは中佐とハルトマン中尉が激昂して殲滅していた。あそこまで二人が感情をむき出しにするのも珍しいくらいに……

 

 

 

 

連絡を受けて待機していた緊急車両が既に滑走路に待機していた。彼らにボロボロになってしまった彼女の体を預けると、すぐに緊急車両の中に連れ込まれていった。少しの合間止まっていたその車はサイレンの音を鳴らして走り出した。

基地の設備ではどうすることもできなかったため病院まで連れて行くことになったらしい。

私の手は彼女を離した時から少しだけ震えていた。

血も傷も嫌というほど扶桑の海で見てきたはずだった。自分ではもう慣れたと思っていたがどうやらまだ感性は残っているようだった。それでも指揮者として動揺したところを見せるわけにもいかなかった。それはミーナ中佐も同じだった。

 

格納庫に戻ったミーナ中佐は報告書をまとめるため司令室に戻ろうとしていた。だがその足取りはどこかおぼつかなかった。

「五分、外すわ……」

 

「え?あ、わかった」

 

「ハルトマン中尉、後を頼んだ」

 

「え⁈坂本少佐も⁈」

 

あれは放って置けなかった。

 

 

 

やはり中佐は手洗い場で顔を洗っていた。勢いよく蛇口から溢れ出る水の音だけがその場を支配していた。

 

「私はあの子が十歳の頃から飛んでいるのを見てきた……」

 

「あんな事になるなら意地でも止めておけばよかった。それなのに……あの子を信じすぎた。盲目的に、あの子なら大丈夫だろうってどこか楽観視していた」

 

「私達にもしものことがあったらまた数万という人名が失われる。私は、いつも部下の命と守るべく人の人数を天秤にかけていた。今回も……あの子が今日どこか不調そうだったのを感じ取っていたのに天秤にかけたのよ」

 

「それであの子は……私が命令で強制的に止めていればこんなことにはならなかった!それなのに……防衛に成功した、作戦は成功しましたと、平然と……当然という私は、なんなのよ‼︎」

 

激昂した彼女は私の体に掴みかかった。

体格上はやや彼女の方が大柄だ。私の体が鏡とぶつかり、やや高い不協和音が響いた。

 

しばらくの合間肩で息をしていた彼女は落ち着きを取り戻したのかごめんなさいと小さく謝った。

「落ち着いたか?」

 

「ええ、落ち着いたわ」

 

「そうか……」

 

「ごめんなさい取り乱してしまって」

 

「構わないさ。そうでもしなければ指揮者など務まらないよ」

 

 

 

 

 

手洗い場を出ると格納庫の方が俄に騒がしくなっていた。喧嘩でも発生しているのかと様子を確認するとどうやらハルが撃墜された事を聞き出そうとハルトマン中尉と宮藤をルッキーニやシャーロットが取り囲んでいた。

「どうしたんだ?」

 

「あ、バルクホルンさん。実は……」

 

待て宮藤彼女に話すのは……

ああ…バルクホルンの目が死んでいくのがはっきり見える。

 

「……すまない。少し肩を貸してくれ」

「肩?トゥルーデどうしたのさ……」

「自己嫌悪と後悔でな……」

 

「わわ!肩で泣かないで!泣くなら部屋まで連れて行くからほら行くよ」

 

アントナー中尉め。置土産がすぎるぞ。体を治して帰ってこい……

 

 

 

 

 

付き添いで病院にいた烏李芽中尉から涙声の電話が入ってきたのは夜も白くなってきた頃だった。

確認のためにミーナ中佐を起こして様子を見に行ったら見事に平然としていた。

いや平然としていようと心を閉ざしているようだった。時々左手を使おうとして左腕が宙を行ったり来たりしていた。その度にハルはまだ慣れなくてと少し悲しげに苦笑していた。

無機質な白い布の上に落とされた袖は途中からしか膨らみを持っていなくてそれが現実を知らしめていた。

 

「ハルさん、もう起きて大丈夫なの?」

 

「ええ、腕以外は特になんとも、宮藤さんが治癒魔法かけてくれていたのでしょう?」

そうだと答えた。だが治癒魔法でも失った腕を治すなんて事は出来そうになかった。

「ハル中尉…その、腕は」

 

「気にしないでくだい。自業自得ですし、戦争では珍しくもないですし」

 

「だけど……」

 

「利き手じゃないから平気ですってば」

 

 

 

片腕を失いながらも、彼女の戦意は全く失われていなかった。

だが私としては後方勤務にさせるのが得策だろうと考えていた。少なくともアグレッサーや教導隊あたりが良いのではないかとな。

まあ彼女の復帰は通常より早められてしまったのだがな……それも戦線復帰だ。

原因は上層部の権力争いなど色々あったがとどめを刺してしまったのが宮藤が自室謹慎になったことだ。理由は軍機だ。私からはいえないさ。

人数不足を補うために退院が早められたんだ。

 

あまり言いたくはないのだが、ミーナは泣いていた。喜べるものか。まだ病人のような子を再び最前線に放り投げるなど狂気の沙汰だ。

だがその狂気がまかり通ってしまうのが戦争なんだ。私達が戦争をしているというのをつくづく思い出させられたよ。

 

「何そんな悲しそうな顔しているんですか?」

司令室にやってきた彼女は定型文通りの挨拶をした後ミーナ中佐にそう言った。

「だって……そんな体でまた飛ぶなんて」

 

「せっかく復帰したのに、笑ってくださいよ」

 

片方になってしまった手でミーナの頬を触っていた。

 

「そう……ね。でもその手は目立つから、これをつけていなさい」

それは彼女が手編みで作った手袋だ。ちなみに私も手伝った。半分くらいだがな……

「手袋ですか。頂戴します」

 

 

 

その日早速彼女は空に上がっていた。

中佐はお腹を押さえていたし私としてもどうして彼女がシフトに入ったタイミングでネウロイがくるのか恨めしかった。

 

 

 

部屋に戻ると言った彼女だったが彼女の部屋はネウロイ襲撃で壁に穴が空いていた。同室のペリーヌも場所を移動するほどである。新たにあてがわれた部屋には私が案内をすることになった。

 

「復讐心で飛び続けるか……」

 

「坂本少佐……なんですか?」

 

「いや、復讐の鬼になるなとは言わないが、戦って戦って戦えなくなった時どうするつもりなんだと思ってな」

既に腕を失い、人類トップクラスのネウロイキラーとなり、それでもまだ飛ぼうとする少女に、どこか破滅願望を感じてしまっていた。

「その時はその時です。旅客機でも飛ばしてみるのもいいかもしれませんね。あるいは……絵でも描こうかなって」

 

「そういえば絵が得意だったな」

 

「得意ってほどじゃ無いですけど、好きでした」

西日が逆光として彼女の顔に影を落としていた。まるで彼女の表情が記憶から消えて彼女という偶像だけが残るような考えが働いた。

「なら、せっかくだから自画像をお願いできないか」

彼女をこちら側に繋ぎ止めておかないとふとした拍子にどこかへ消えてしまいそうな、漠然とした不安が頭を横切った。

 

「自画像ですか?ええ良いですよ」

 

 

 

 

 

「こんな感じで……」

自画像自体は2時間ほどで完成した。画材道具は無かったから鉛筆だけだったが、それでも鉛筆でここまで表現できるのかと感心した。

「これは、ずいぶんと上手いな。芸術は素人だがすごいということはわかる」

 

「一芸くらいあった方がいいだろうって母が指導してくれたんです」

 

「そうだったのか。なら生き延びなければな」

 

「今はまだ死ぬ気は無いですよ。死にたがりって思われているみたいですけど」

 

「覚えがあるなら善処しろ」

 

「時間があれば……」

私の言葉に苦笑いを返すだけだった。

「時間?」

 

「なんでもないです。気にしないでください」

 

 

 

 

さて、扶桑までの長旅だがこのくらいで良いのか?

そうだろうな、足りるはずがないか。良いさ、時間はまだある。それに私も退屈だったからな。

 

だが夜風を浴びるのは少し厳しくなってきた。続きは部屋でどうだ。

一応これでも元扶桑郵船が持っていた北太平洋航路の定期旅客船だ。部屋はそこそこ期待できるよ。

 




零式艦上戦闘脚二二甲型

運用国 扶桑皇国、ブリタニア連合王国、ロマーニャ公国

開発会社

宮菱重工/中島飛行機

発動機
栄(マ)二一型 

離昇出力1400馬力


扶桑皇国海軍の代表的なストライカーユニットである零式艦上戦闘脚の派生機。
欧州での零式二一型の戦訓を取り入れ、魔導エンジンを出力を向上した栄(マ)二一型に強化した三二型をベースに航続距離増大を図るため燃料タンクを大型化し艦上戦闘脚としたのが二二型である。

坂本美緒少佐が使用する二二甲型はエンジンと機体各部に大規模な強化改良を行った強化モデルでありその改良は金属ガスケットやシリンダーのスリーブ化インタークーラー追加、ブローオフバルブと言ったエンジン系の改造から不燃性燃料タンク、構造各部強化など多岐にわたる。
そのため急降下時の限界速度の向上と上昇性能が大きく向上しつつ航続距離を二一型据え置きとしている。
坂本少佐の愛機尾翼No.V-103
坂本美緒少佐が急降下した際に翼に皺がよりフレームも大きく歪んでしまった為修理不可能とされ部品取りとなる。
その後赤城飛行隊よりAI-152を受理している。


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???19

えっとだな……サーニャの話は幾らでもするけどアイツの話はあまりできないぞ。そんなに興味がなかったわけじゃない。軍機が厳しいからナ。

まあ話せはしないけど独り言だから誰にも喋ってないっていうなら別だけどなー。

 

アイツはそうだな、第一印象はバルクホルンみたいに堅物っぽい雰囲気。残念賞だったんだがその時の印象はエーリカみたいに何考えているのか分からないだったかな。

嫌がるわけでも抵抗するわけでもなくニヤって笑っていてさ。

不思議なヤツだったなー。

501の中ではあまりいないタイプ。

他人を放って置けないタイプかなって思ったけどそういうわけでもなくて無関心な時は徹底して無関心。

でも空に飛んだらすっごい強いんだ。

501が設立した直後の戦闘で私と一緒に飛んだ時は一回の戦闘で10体撃墜だ。

あの円卓の噂も頷けたよ。

 

でもどこか危なっかしいような、タロットカードはそう言っていた。

危ないってな。

 

 

よく目が死んでいるって言われてるけど別に最初から死んでいたわけじゃないんだな。

一時期501から引き抜かれていた時期があったけどその時に何かあったみたいでな。1944年に戻ってきたときには目が死んでた。

何があったのかはわからない。教えてくれなかったし、ミーナ中佐に調べてもらおうにも権限が足りないみたい。

マア501結成当時は私は501じゃ無かったんだけどナ。空戦エリアの関係で時々空で顔を合わせていたから知っているのさ。

 

「久しぶりダナ」

 

「久しぶりですエイラさん」

もうちょっと目に光があったはずなんだけどナア?

「なんでそんな辛気臭いんだ?胸も相変わらず残念賞だし」

胸を触っても反応が微妙なのは変わらなかった。揉み応えもやりごたえもなくてちょっと寂しかった。ただ無表情でも無感情でも無いから喋っていて楽しくないってことはないぞ。結構可愛いところあるしな。

「……エイラさんは約束守れる方ですか?」

 

「ん?当然ダロ」

 

「じゃあ墓まで持っていける約束は?」

 

「おやおやあ、そんなに私が信用できないかなーー?」

 

「サーニャさん絡むとヘタレになるみたいですし」

 

「ちょ⁈ナンダソレ‼︎サーニャは関係ないだろ」

 

「じゃあサーニャさんに耳元で秘密を教えてって迫られたら我慢できます?」

しかも声真似が上手くてさ。一瞬本当にサーニャに話しかけられているんじゃないかって錯覚した。

「それは……その、内容によるなあ」

「目が泳いでるじゃないですか」

頬を膨らませて抗議するアイツに対して私は何もいえなかった。

どんな秘密だって?それは言えない。アイツと約束したからな。墓場まで持っていくつもり……あ、でも忘れるのは嫌だから何かに書くかもしれないなあ。

え?だって秘密だけど秘密じゃなくなる日が来て欲しいからさ。

 

でもなんで私だったかは言えるぞ。

アイツ曰く一番口が硬そうだったからなんだとか。

 

エーリカがいるだろって言ったさ。だけどあれはあれで秘密を共有すると気負わせてしまうから嫌なんだとか。私に気負わせるつもりかよ。

「だって一番気負わないのはスオムスくらいですし」

 

「そういうものかねー」

「そういうものなんですよ」

 

 

空を飛ぶときのアイツか?そうだな……あまり思い出したくはないかな。

だってアイツが腕を失ったのも怪我をするのも全部空だからさ。

私は未来予知があるから絶対にネウロイの攻撃は当たらない。シールドを張らなくても回避ができる。

アイツもどこかそれに近い飛び方していたんだ。いわば同類みたいな感じ。

 

 

……初めてアイツと飛んだ時か。また妙なことを聞くもんだな。あ、いや、アイツを調べているってだけで相当変わっていると思うけどさ。

1942年も暮れだったな。

 

地上には暑いとか寒いとかあるけど空に上がれば年中寒い。息は相変わらず真っ白。そのかわり空気が澄んでいるから遠くまで見通しやすい。

『まもなく接敵。高度6000、そちらからは下方200の位置だ』

 

「了解。情報に感謝する」

扶桑の電子偵察機からネウロイの情報をもらった混成編成が上昇していく。

あの時は小型ネウロイ群だったから私とアイツ以外は普通の戦闘機での戦いさ。

私達は戦闘機の護衛。そういうのが気に入らないっていうウィッチも何人かいるのは知っているよ。でもだからって言って疎かにするような任務でもないし。

その時はまだ501じゃなかったんダ。でも丁度私の僚機をやる奴が怪我して飛べなくなってさ。代わりに新設された501から来たのがアイツだった。

だけど初めてのやつとペアを組んで飛んだ空は、ずっと静かだった。

あいつ何にも話さないんだな。私もお喋りじゃないから仕方がないんだけどさ。

 

 

敵が黒いゴマ粒のように見えた。

数はこちらと同等くらい。

一斉にダイブしていく戦闘機。扶桑のものやリベリオン、ブリタニアと国際色豊かだったな。落ちていくときはみんな等しく炎と黒煙を上げていたけれど。

それでも小型ネウロイ相手なら互角の勝負だった。実際ネウロイの方は最初の攻撃で多くが落とされていたから数の差で押し潰され始めていた。

 

 

『上空に中型ネウロイの反応。数は6、いや12。B42より接近』

 

「了解、迎撃に向かう」

 

子分がやられて黙っていられなかったらしく親玉が出てきた。だけど数が多かった。

それにその時出てきたネウロイは想定していたやつじゃなくて完全に戦闘タイプだった。

ビームの雨で12機が一斉に被弾。爆散して落ちていった。

「突撃する」

 

「了解」

 

中型ネウロイに突入する合間いくつものビームが降ってきていたけど私達を捉えることはできなかったな。当たらないビームなんてただの光の筋でしかない。

 

最初は予知系能力でも使っているのかって思った。

だけどアイツは固有魔法は予知じゃなくて重力に作用するものだってさ。つまりアイツの回避は未来予知じゃなくてビームの射線を読んで回避しているってわけなんだ。

たしかに普通のストライカーじゃできない、正気じゃない動きをすることが多々あった。

 

中型は私達をビームが包んで一分経たずに一体が落ちた。加速して先行したアイツがやったのさ。私も続いたんだけどいつものように数を落とすことはできなかった。私が落とすより早いんだ。どこかネウロイに鬼気迫るものがあった。

戦い自体も十分たらずに終わった。ネウロイの全滅を以てね。

 

アイツはあの空で私の二倍のスコアを叩き出した。数を争っているわけじゃないし嫉妬なんかしない。アイツもスコアを自慢に思っている様子はなくて、ただずっと地上を見ていた。私もそれを目で追っていた。

 

「敵ネウロイ確認できず、帰投する」

 

地上では未だに落ちた戦闘機が燻って黒煙の柱をいくつも上げていた。

なんだろうな、アイツと飛ぶと虚しさだけが残る気がしたんだ。

いつもの戦場と変わらない。誰かが死んで、誰かが生き残るそれだけ。不思議だったな。

 

1944年になってもそれはあまり変わらなかった。

アイツと飛ぶたびにネウロイを倒したって喜びとかより、勝者と敗者しか存在しない空が虚しく感じた。

それにアイツは目を離したらどこかに消えていってしまいそうなほど不安定に見えた。

タロットもなんだかアイツの時だけいろんな答えが出てこっちが混乱したよ。なんだアレ。あそこまで荒れることなんか普通ないんだけどなあ。

 

あいつがさ、腕を無くすほどの大怪我をしたって聞いた時についにそうなったかって最初思ったんだ。心配だったけどアイツはあんまり気にしていないような気がした。周りの心配なんて微風みたいなこと考えているようなやつだからな。どうせみんなからどう見られているのかも気にしていなかったんだろうな。

目が覚めた後にどうにか時間をとってサーニャと一緒に行ったんだ。アイツ普通の病人面してた。

腕を無くしたからもうちょっと取り乱していると思ってたんだけど……

普通に起きて林檎食べてる姿はただの風邪ひきさんみたいだったな。

私は呆れた。心配を返して欲しかった。

「ハル?」

 

「あ、サーニャさんとエイラさん」

 

「その、墜とされたって聞いて駆けつけたんだケド」

治癒魔法のおかげなのか目立つところに包帯を巻いているとかそういうことはなかった。それがどこかアンバランスな感じがしたなあ。

「皆さん心配性ばかりですね……」

たしかに腕は無かった。だけど四股を無くした兵士は沢山いるから珍しいものでもない。でもそれが知り合いとかだと結構胸が締め付けられる。

 

見ているのが辛くなったサーニャが最初に出て行った。気持ちの整理をつけさせてやるべきだったなって後で坂本少佐に言われた。

「私、ナースさんと話してくる」

 

「あ、サーニャ……」

 

「すぐ戻るわ」

 

「エスコート下手すぎません?」

 

「し、しょうがないダロ!」

 

 

「しょうがないって……ゲホゲホッ…」

ただの咳かと思った。だけどあまりにも咽せる勢いが強くて様子がおかしくって。大丈夫かと思って顔を近づけたら血の匂いがしたんだ。

口を押さえている手を見たら血が溢れていた。

「おいそれ‼︎」

 

「誰にも言わないでください」

サーニャがいなくて良かったと思った。サーニャには刺激が強すぎるからな。今思えばアイツ我慢してたんだろうな。

「いやどうみたって……」

 

「能力の反作用で揺り戻しが来るんです。治癒魔法で治せる部分はどうにかなっていますけど、柔らかい臓器はダメージが溜まっているみたいで」

治癒魔法を自分にかけて誤魔化していたようだったが食道とか一部の臓器はもうズタズタだったらしい。それをさらに誤魔化していたんだよ。

秘密でもなんでもないさ。アイツ自身言わなかっただけで秘密にしていたわけじゃないって言ってたしな。

「医者はなんて言ってた?」

 

「ぱっと見では健康だって……」

 

「それ絶対ダメなやつダロ!」

医者の言うことが一番信用できない瞬間だったなあ。

「ええ、このまま飛んでいれば10年保つかどうか」

そんなボロボロになるまで飛んでいたのかってショックだった。だけれどアイツに飛ぶなって言えるわけないじゃないか。アイツを無理に止めても絶対飛ぶに決まっているさ。エースって言うやつはみんなそんなやつばかりだからな。

「ミーナに知らせる」

だけどそれでも飛ばしたくはないからな。

「!やめてください、それだけは……」

 

「……いつまでなら飛んでも大丈夫ダ?」

 

「……飛べて後一年」

 

「一年か……」

 

「わかった。じゃあ約束だ。一年飛んだら後は精一杯生きるんだ」

嘘ついたら高度8000でシュールストレミングの缶を服の中で開封させるって言ったら顔真っ青にして首振ってたよ。いやーしてやったりだね。

「わかりました」

それだけってそれだけさ。私をなんだと思ってるんだ。

人並みの心配をすることしか私はできないよ。それにアイツも人並みの心配で十分だって顔していたし。だけど約束は守るやつだからな。

この約束もまだ有効なのさ。だからアイツが今どこで何をしているのかはわからないけど、あまり心配はしていないよ。まあ、どこかで楽しく過ごしているんじゃないかな。

 

たまには顔出してほしいって思うんだけどさ。

 

 

 

 

 

エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉は取材の後ある乗船チケットを差し出した。それは扶桑行きの船のものだった。

「タロットカードが言っていたんだ。隣の客室の少佐に話を聞いたらどうだ」

良いのかと聞けばちょっとしたツテで取ってもらったから財布は痛んでいないと返ってきた。

 

「アンタが欲しい答え見つかるといいな」





エセックス級航空母艦エセックス

全長270.7m
全幅35m
基準排水量29000t

機関
バブコック&ウィルコックス社製ボイラーx9基
パーソンズ式蒸気タービン 4基4軸推進

出力39400hp
最大戦速32kt/h
航空艤装

エレベーター2基
油圧式カタパルトH-2

最大搭載機数91機

武装
38口径5インチ連装砲4基
38口径5インチ単装砲6基
ボフォース40mm四連装機関砲8基
エリコン20mm単走機関砲40基


リベリオン海軍が建造した戦時急造の航空母艦。
船体設計はヨークタウン級をベースに拡張したものを基礎としている。建造にあたっては帝政カールスラントの設計者も参加しているため艦首のエンクローズド化がなされているほかエレベーターは2基ともサイドエレベーターとされている。
一番艦のエセックスは1943年に就役。その後北大西洋方面での活動を主にしていたがアイスランド沖で座礁。
機関は無事だったため航空基地として使用されていたが1944年6月ネウロイの攻撃で甲板を破壊され放棄された。


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part 34 反抗第501JFW 3

次回最終回?


全力で命令を違反するRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回宮藤が命令違反で基地を飛び出したという一報を聞かされたところから再開です。

現在チャートを組んだルートではここで二つの選択肢が登場となります。

 

▶︎命令を無視し宮藤を追いかける

 命令に従い待機する

 【ロックがかけられています】

 

はい前回までに色々機密書類を閲覧していたことによって生まれたこの選択肢を迷いなく推します。

 

ロックがかかっているのはまた別なものです。

では命令無視を始めます。ここからは逆賊覚悟で進むことになるのでヘタをするとその場で撃ち殺され兼ねないです。気をつけましょうね(3敗)

まずは格納庫に直行。一緒に降り立ったエーリカのストライカーに近寄り細工をします。これでエーリカは追って来れなくなります。ピンク髪は無視で問題ありません。

むしろこっちは手を出すと後で色々困ることになるので手を出しては行けません。

 

続いて自分のストライカーに入ります。

これが実質最後の出撃みたいなものなので搭載兵装などは全て固定一択。

いちいち武装カスタムとかしている暇ないんで。

 

ユニットはTa-152Ra

カールスラントのストライカーではジェットストライカーを省いて最高の上昇性と高高度戦闘性を持つ怪鳥です。

武装はMk-108W1丁、MG-151W 2丁、フリーガーファウスト1機、補助兵装のワルサーP38、近接用ナイフ2つこれに増槽とサバイバルキット。左脚に煙幕発生装置、右側翼下に落下式閃光弾1発、加速用補助ロケットに増槽です。ゴッテゴテやんけ。

ではユニットは格納庫にあるのでここから無理やり飛び上がりましょうか。エレベーターで飛行甲板に上がるという手もありますが追っ手とチェイスしながらエレベーター操作するとかタイムロスでしかありません。そもそも格納庫内部からだって発艦できますから。

重武装で引き上げが重たいですがあまり問題はありません。

 

格納庫を斜めに進みながらサイドエレベーターの開口部から飛び出します。

艦載機の合間を縫って若干浮き上がったらやっぱり艦載機を飛び越える楽しい映像が撮れました。RTA中でしたがちょっと興奮しちゃいましたね。

 

スターツアー○とかこんな感じで楽しいですよね。

 

 

 

 

では早速…宮藤みーつけた!

 

はーい宮藤さーん帰りましょうね棒

なになに嫌だ?確かめちゃう?ほうほう、知ってた。

当然断ってくるでしょう。では宮藤戦です。

ここも戦闘の結果で変わります。

1分間宮藤を攻撃しないと自動的に宮藤を逃すルートに入ります。

なのでぐるんぐるんと巴戦したり空に飛行機雲を沢山描いていきましょう。

へッ、この武器は全部貴様へのハンデだ。おめえなんかこわかねえ!きやがれい‼︎

 

ぐるんぐるんと巴戦で軽く相手してあげてますが零式相手に巴戦で勝てる機体なんてなかなかいないのでなるべく上昇合戦していましょうね。

持ち味の加速を生かさないでどうする。というわけでこっちも後ろを取らない向こうは後ろを取れないで八方塞がりです。燃圧を抑えて燃料消費を抑える経済飛行も忘れちゃダメですよ。この後辛くなりますんで!

あ、戦闘終了です。早かった。

宮藤と結局別れていきました。結局あの茶番劇はなんだったんだか。

 

この後は501の基地には戻らず追いかけてきたピンク髪ちゃんと合流します。ちなみにピンク髪を説得してちょっとだけランデブーした後にアイスランドで座礁しているエセックス級航空母艦に着艦します。逃避行だぜうぇーい!

 

ピンク髪はハルを見失ったと伝えに空母赤城に戻りました。まあその後すぐに地上基地に移動しているんでウォーロック戦では赤城守れないんですけどね。また母艦が沈む。

 

飛行甲板が捲れ上がって大穴が空いていますがウィッチならギリ止まることができます。艦内には廃棄された艦載機などがそのまま残っています。当然航空燃料もまだまだあります。

燃料補給をしたらしばらくここで待機します。

ウォーロック戦を宮藤たちが演じるまで二日。格納庫探索をして使えるものを探しておきましょう。

うーん、レーションくらいか。

航空武装はM2重機関銃しかありません。リベリオンは20ミリ機関砲の開発に失敗したりしているので20ミリ機関砲がリベリオンツリーに出てくるのは大戦後からとなります。

一応キャノン砲や一部陸軍機が20ミリ以上の大口径砲を使っていたのでないわけではないのですが悲しいかなめっちゃしょんべん弾でまともに当たらないわ集弾率は絶望だわすぐ故障するわでいい点ないです。

後燃料タンク追加。金具と配管さえぴったり合えば何使ってもいいんだから使えるんだよなあこれがリベリオン海軍用燃料タンクはカールスラントの純正タンクよりでかいので航続距離の増加に一役買ってくれます。

 

 

 

1日目はこれで終了させます。二日目、さあ本番です。朝からユニットをふかして離艦します。

燃料タンクが片脚に二つも付いている姿はなかなか異様な光景ですね。

まあ燃料タンクは一個が戦場までの移動ですっからかんになるんですけどね。

 

 

 

はい501が解散しウォーロックが始動してしまいました。

ネウロイの巣に対して攻撃を仕掛けています。

広域無線の情報がこっちにも漏れてきています。

ですがまあ色々ありまして0号機はあっさりとネウロイ化し赤城を襲い始めました。

 

ここに彼女達の死闘が始まりました。

その空域を掠めるようにして別の編隊が飛んで来ました。一応赤城からでも見えたのではないでしょうか。

 

 

0号機を囮としてもう一体のウォーロックがやってきました。こちらにもネウロイが向かっていますがそれは通常のウォーロックではないのか周りには別働のウィッチ隊がついています。

核兵器搭載ウォーロック初号機。ポストウィッチを担う次世代兵器であり、運用方法によっては迎撃困難な自立型自爆兵器としての運用も可能であると知らしめるための、戦後の国のパワーバランスを変えかねないゲテモノです。

今からそれを破壊しに向かいます。

未だ試験機というか実戦検証機でしかない存在です。反応兵器の重量でどうしても非武装となってしまうためウォーロックの護衛が必要でしたがマロニーがバカやっているせいで護衛任務への投入が出来ず仕方が無しにウィッチが護衛しています。

 

近づいたネウロイたちがあっさりウィッチ達に撃墜されました。

ここで地上から上がってきたピンク髪ちゃんと宮藤が来ました。

 

丸ボタンを連打しながらも宮藤に対する選択肢が出たら空母赤城の援護に回れと伝えます。

 

▶︎坂本少佐たちを頼んだ

 あれを撃破するのを手伝ってくれ

 

 

 

ほぼ同時刻でシャーリーとルッキーニがこちらに合流しました。しかし赤城が襲われているということから彼女達も赤城援護に回らせます。いやまじでここで501の全員が向こうに行かないと坂本少佐が死にかねない(2敗)

 

シャーリー達があれはなんだと聞いてきましたがあれは存在しては行けない兵器なんだとでも言っておきましょう。

 

 

 

ちなみにこのルートに入るとミーナと坂本はこのことを知っているようです。しかし原作でも分かる通り赤城の問題もあって501のほとんどの戦力はそちらに向かって行ってしまっています。

 

超めんどくさい。

まあこちらにはピンク髪ちゃんがいますし。ちなみにこの戦いはウォーロック突入をネウロイの巣消失まで妨害し続けていれば良いだけでいいので意外とヌルゲーです。ただしそれをやるとミッションだけで30分くらい戦うことになってだるいので全員倒しちゃいましょう。

 

ウィッチ対ウィッチの戦いが始まりました。

 

ただここでウィッチを殺してしまうと駆け抜けた空を取ることは出来なくなってしまいますのでストライカーユニットのみを破壊していきます。

相手のユニットはリベリオン/ブリタニアの共同制作で誕生したXF-8型。史実F-8Fがモデルですがもはやオリジナル機です。

 

ではここはMG-151で攻撃します。

 

20ミリ機関砲なのでシールドも結構簡単に叩き割れます。

何よりユニットを一撃で破壊しつつウィッチを傷つけないという任務にはぴったりです。

 

まずは手頃な位置にいる一人目。敵の僚機が背後から襲ってくるので向こうより先に素早くユニットを破壊します。

真後ろにシールドを張るような器用なことができる子はなかなかいないので真後ろからの攻撃は結構当たります。

はい撃墜。素早く体をやや上に向けてコブラ。向こうはオーバーシュートされた途端右旋回。まあ分かってるんですけどね。

未来位置に射撃してすぐ左旋回。苦戦しているピンクちゃんを援護します。

あれでも一応一人落としているんですよね。すごいなあすごいなあ。

 

ピンクちゃんと敵の合間に投棄していない燃料タンクを一個切り離しそれを撃ち抜くと。

 

これで視界を一時的に奪えます。咄嗟に炎の中を通ったので前に向かってシールドを貼っているので背後に回り込んで破壊っと。

 

ピンクちゃんが逃げた先でもう一人を落としてくれたのでこれで全ウィッチを撃墜しました。

当然死んではいません死者0です。

続いてウォーロックを破壊します。

ロケットブースターを焚いて一気に接近。0号機譲りの高機動性で逃げようとしますがパターンを読めれば結構簡単に追いつけます。

まずは外部の装甲板を吹き飛ばします。行けフリーガーファウスト‼︎

全弾発射。予備弾はないのですぐ捨てます。

流石に回避できない至近距離からの攻撃はNPCでも回避できません。黒煙を吐いたウォーロックへのトドメです。

MG-151の最後の射撃。

狙うは安定翼。

 

ちょっと狙いづらいですが狙えればコントロールを失ってすぐに地面とキスをしてくれますあの個体のままであれば。

空っぽになったMG-151は廃棄。どんどん軽くなっていきますね。

はい撃墜です。これでもう安心ですね。では帰りましょうかとは問屋がおろしてくてないのです。

ずっとエリア端っこでウロウロしていた最後の一人が襲いかかってきました。

タイミングを合わせて左旋回。

回避に成功しましたがピンク髪が落とされました。まあ死んでないからいいでしょう。

 

「久しぶり、相棒」

 

やあやあラスボスちゃん。

こんにちわ。

 

では今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました‼︎

 

 




Ta-152Ra

開発国
帝政カールスラント/扶桑皇国

開発会社
フォッケウルフ、中島飛行機

エンジン
ハ-47液冷V18気筒
補助ロケット
離昇出力1730馬力
2230馬力(MW50水メタノール噴射使用)

航続距離1500km
最高速度760km/h

開発が難航していたTa-152(Fw-190Ra4)の開発を扶桑国の航空企業と合同開発に切り替えた結果生まれた試作機。
エンジン周りと翼、魔力振り分けなどの調整を中島が、そのほかをフォッケウルフが行った。
特徴として補助推進機として使い捨てロケットブースターを内蔵している。さらにストライカーとして初めて推力可変装置を備えているためエンジン出力を変えることなく減速を行うことができる。
ウィッチの援護装備を搭載可能であり積載重量も1tと爆撃機並みである。
それでいて最高速度と加速性が良く扶桑国譲りの機動性が合わさり高性能のまとまっている。ただし開発時用が高く一部部品が量産性に向いていかいことから生産能力に疑問が残る。


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???20

後3話
今日中にもう一本


お久しぶりね。扶桑から戻ってきた足で来るなんて余程の事かしら。

たしかに話しづらい事かもしれないわ。場所を変えましょう。

外に車を用意しているわ。中で話しましょう。

 

 

 

元連合軍第501統合戦闘航空団隊長ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐

 

ガリア解放の立役者である501部隊隊長でありアントナー・S・ハルの上官でもあった女性。

現在は原隊であるカールスラント第三航空団に復帰している。

 

 

 

宮藤さんから色々聞いてここにきたのでしょう。坂本少佐が手紙に書いていたわ。

本当は隠しておきたかったけれど……

ええ、そうよ。あの話は事実。そして人類が悪魔に魂を売ることになりかけたものよ。

私だって最初は知らなかった。そんな事が起こっていたなんていうのは全くと言っていいほど。それでも噂として断片的に存在していたわ。噂好きの隊員がいたから。

曰くリベリオンで新型の兵器が作られているってね。最初は面白半分で聞いていた。本気になんてしていなかった。

だけれどハル中尉はそうじゃなかった。

そしてそれは最悪の形で実現されることになったわ。

 

 

 

その兆候を最初に見つけたのが彼女だった。

1942年、そうよ。計画はそこから始まっていたの。

ただ私も俄には信じられなかった。ハルもそこまで本気にしてほしくは無いような雰囲気だった。

 

 

それからね。時々私の机に書類を盗撮した写真が置かれていたわ。時々あの子がどこかへ休暇を取って出かけているのは知っていた。それ以上は言わせないで。あの子が法に触れるようなことをしていたのはわかっているわ。でも確証がなかった。

 

ウォーロック計画

ウィッチに代わる新たな対ネウロイ…そして次世代の戦力となるべくして開発された汎用決戦兵器。

それはネウロイのコアを人為的に制御する諸刃の剣だった。

それに当時開発されていた反応兵器を搭載しネウロイの巣に突っ込ませる。

ネウロイと互角以上に戦うことを目的として作られた存在だから可能である。考案した存在はそう考えたようね。

 

だけれどそれで全ての巣を破壊できたとして、人類はどうなるかしら?

ウィッチですら迎撃するのが困難な存在が街ひとつを滅ぼせる戦略兵器を持って首都に飛び込む。

そんな光景が絶対に起きる。少し考えればわかることよ。人類は愚かですもの、ネウロイ大戦の頃からいがみ合って人類の危機なのに対立し続けていたの。人類共通の敵が消えたなら近い将来人類同士で争うことになるわ。

その時にそんな殺戮兵器が実用化されていたら……

 

考えただけでも嫌になるわ。

正直止めたかったけれど私は一介の中佐でしか無いわ。

 

 

でも軍部も完全に一枚岩ではなかった。その計画自体が一部軍上層部の認可を受けず極秘で行われていたものよ。

中止に追い込む事が出来ないわけじゃなかった。軍内部の派閥争いを利用すればいいのよ。幸い502にも適任がいたし、普段から横領しているのだからこれくらい手伝わせたってバチは当たらないわ。

そういうわけで一時期上層部はかなり揉めていたのよ。その時に何人もの人間が更迭されたり不慮の事故にあったみたいだったけれど詳細はわからないわ。

ごめんなさいね。

 

さて詳しい話はここまでよ。せっかくだから駅まで送るわ。

 

それとその時ハルと交戦した人から話を聞きたいなら、はいこれ。連絡先くらいは教えてあげるわ。何人か行方が分からない子もいるみたいだけれど大抵の子はまだ連絡がつくはずよ。

 

 

 

 

 

 

 

アリア・S・フロイセン

元013飛行中隊隊長。ガリア空軍出身で現在は退役しガリアで暮らしている。

 

あの時の私達の任務は急進派の切り札となるはずだったウォーロックの護衛。

 

最初は手空きの寄せ集めとして組み上げられた統合戦闘団でも戦闘隊でも無いブリタニアの1飛行隊に過ぎなかった。

そのうちに増員や配置変換が行われてブリタニアとガリア、ロマーニャのウィッチが交ざった混成編成となったのよ。

本来であればウォーロックのコアとなるネウロイのコアを鹵獲するのが私達の主任務のかなり極秘の部隊だった。

だけれど、本来ウォーロックの護衛につくはずだったもう一体のウォーロックを現場指揮のマロニー大将が独断で使用してしまった為私達が護衛に当てられることになった。

 

「これの護衛任務……しかし想定されている運用をするにしても私達だけでは守り切れるかどうか」

 

「トレバー大将は囮に使える。そちらにも一名増援を送る。それで十分だ。作戦に変更はない」

 

「増援は一人だけ……命令には従いますが部下の命を預かる身としては納得いきません」

私達は撃墜数こそエースではあった。だけれどネウロイの巣に隊のみで接近して帰ってこれるほど過信はしていなかったわ。上官はそんな私の内心を見透かしていたのか薄ら笑いを浮かべながら増援の少女のプロファイルを投げ渡してきた。

「増援のウィッチはスーパーエースだ。これで満足か」

そこに書かれた少女の名前を見て私は一瞬驚いた。しかし私の疑念はそこでようやく落ち着くことができた。

後は戦うのみ、これで戦争は一気に終わる。そう思っていた。

 

 

 

本来なら私達の相手はネウロイでしかなかった。

ネウロイの巣が生み出す黒い雲が周囲を薄暗くしていた。

だけれど私達に恐怖というものはなかった。仲間を信じて、最新鋭のストライカーを信じて飛ぶだけだった。

 

「二時の方向にウィッチ!」

近づいてくるネウロイを叩き落とし周囲に敵影が無くなり全員がどこか安心したように心が緩んだ時、彼女は行手を阻むかのように現れた。

「ウィッチ?」

 

『こちらでも確認した。指揮系統から離脱しているアントナー中尉だ。攻撃してくるなら排除せよ』

本部からの通信は無慈悲だった。だけれど相手は命令違反の逃亡者。引き金を躊躇する理由は消え去った。ネウロイと同じように弾を当てて落としてしまえばいいと思った。

隣にもう一人少女がいたけれどそっちも聞けば命令違反をしている子だった。

「命令違反者だ容赦しなくていい」

 

ウォーロックの護衛を残して四人が最初に接敵した。

二人が高度をあげてもう二人がほぼ同じ高度で挟み撃ちにする。数で優勢だからこそ取れる戦法よ。

 

「ブレイク!ブレイク!」

だけれど数の有利はトップエースの前では全くの無意味だった。

四人からの一斉射撃はシールドすら使われずあっさりと回避されてしまった。

通過後に上に回った二人が旋回してこちらの離脱を掩護するはずだった。だけれど彼女の真上を通過したときにはすでに一人のユニットが黒煙をあげていた。

上方500fを通過する一瞬で私達に当ててきたのよ。

それもユニットだけ狙ってね。

 

いくら頑丈だったとしても20ミリ機関砲を浴びたらストライカーだって一撃よ。悔しいのだけれど。

扶桑のウィッチが追撃を始めた。させはしまいとそれを追いかけようとしたけれど、僚機が彼女に捉えられていた。

 

「だめだ振り切れない!」

何度もハイG起動で振り切ろうとしていたけれど恐ろしいほどピッタリと彼女はそれに合わせて真後ろに居座り続けた。

「今向かう!」

だけれど所詮は一人。高機動で二人とも位置エネルギーも速度も落ちていた。すぐに私は背後を取っていた。しかしこちらが攻撃のために引き金を引いた瞬間、彼女と目が合った。

「……え?」

気がつけば照準器から彼女が消えていて、やや遅れてストライカーを金属が叩く音がした。

右のストライカーが真っ二つに割れてエンジンだった残骸が飛び散った。左のストライカーも翼が弾け飛びエンジンが異常振動をしていた。

バランスを失い飛行することもできなくなって私は浜辺に墜落した。幸い片方のユニットが一応とはいえ無事だった為私は生き残ることができた。

だけれどあの圧倒的な力は今も覚えている。

見上げた空にいくつもの黒煙が生まれ容赦なく仲間が次々と落とされていった。たった二人。それも実質的な戦力は一人だけだったはずなのに8人が何も出来ずに落とされていった。

そして守るべき雛鳥さえも……

 

だけれど憎しみは湧かなかった。全員がユニットを破壊されただけでその命までを失ったわけではなかったしあの兵器にどこか負い目を感じていたから。

不時着の時の怪我で重傷を負うことはあったけれど。

私も片足と腕を骨折してね。飛ぶのは止めたわ。

今の暮らしも気に入っているわ。

 

 

 

 

 

マルセラ・B・フランチェス中尉

 

元013飛行中隊であり当時あの空にいた中では最年少。現在も原隊であるロマーニャ空軍第33航空隊で飛んでいる。

 

鬼とはよく言ったものね。あの人が触れたものはなんでも壊れていった。

他のエースと違うのは彼女が人間相手にも交戦をしたということね。だからこそ鬼なのよ。

人間相手に実弾を撃つ、人が人を殺す典型的な戦争。忘れかけていた生存に対する本能が嫌でも刺激されたわ。

 

あの時の僕もエースと呼ばれていたわ。勲章だってもらっている。戦っている合間は恐怖を感じたことはなかった。

それはあの時も同じはずだったの。

だけれどあの人と交戦して、何かが芽生えたわ。

何度後ろをとっても振り切られてしまう。まるで雲を相手にしているようだった。少なくとも三回も後ろを取ってその度に何度も背後に瞬間移動されてしまった。

 

銃を持つ手が震えていた。

それが恐怖だと気づいた時には、僕のストライカーにはいくつもの弾痕が刻まれていた。

僕……あまり褒められた生き方をしてきたわけじゃない。捨て子だった。生き抜くためになんでもしていた。それで一回捕まってウィッチの適性があったから軍に入れられた。でも荒れていたからさ。

被弾した時女神は微笑んでくれなかったんだろうねって。運がなかったってちょっとした笑い話みたいに思えたよ。

漏れ出たオイルと燃料に引火して火災が発生した。最悪だった。早く火を消さないと体まで炎に包まれてしまうし下手をすれば収納空間に足だけが残って切断されてしまうかもしれない。

空中で炎上するストライカーをパージするしかなかった。それはある意味空にパラシュート無しで飛び出すようなもの。

幸い片方はまだ黒煙が上がっているだけだった。

そのもう片方のストライカーも安定翼が破壊されていてまともに飛ぶこともできなかったのだけれど。

それでも怪我をせずに地面に降りることができたのは運が良かったとしか言いようがない。

 

 

あっという間だった。不時着した僕を確認しようとしたのか彼女が低空まで降りてきてた。その目はどこか絶望しているような、くらい失望が見て取れた。

戦いはまだ続いている、すぐ近くで見上げていて感じたのは恐怖だった。

次に畏怖。無駄のない動きで後ろに回り込みストライカーだけを破壊していく。人並み外れた動きをしながら、統合性が取れていて美しいとまで感じる空戦。僕の頭上で繰り広げられていたのはそんな戦いだった。

 

 

怒りは彼女が奪い去ってしまった。

その後は上層部の保身もあって私達は結局何も言及されずに、原隊に戻るよう言われた。

当然この話もなかったことにしておいてね。下手にバレると首が物理的に飛ぶからさ。今更そんなことで死にたくはない。

ところであいつはまだ生きているのか?

……まあ悪い奴ほどなかなか死なないからね。本物の英雄は先にみんな死んでいく、僕も、あの人も、みんな地獄が待っているだろうね。

まあ、それも強者としての証なのかもしれないね。地獄で鬼相手にエースを取るのもいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

場数を踏むたびに、相棒の強さが目についた。

並んで飛ぶこっちのことなんてお構いなし、ひたすらに戦い続けた。心のうちにあった脆さも弱さも全てを強さで隠すように。

それは私が一時的に彼女の元を離れていた合間に余計に強く感じた。

あいつがあげる戦果、そして負傷。それを聞くたびに心のどこかでモヤモヤが溜まっていった。それがなんなのか気づいた時にはすでに引き戻せないところまで来ていたんだけどね。

もっとあいつと飛んでいたかった。




XF-8

開発国
ブリタニア連合王国/リベリオン合衆国

開発会社
スーパーマリン、グラマン


エンジン
Cs-20M魔道ターボプロップ
軸出力2500馬力(高度3000m)

航続距離1000km

最高速度660km/h


リベリオンとブリタニアで共同制作された次世代ストライカーユニットとなるはずだった存在。
世界初の魔導ターボプロップエンジンを搭載しエンジンの性格としてはカールスラントが開発しているジェットストライカーに近い。ただしこちらは最終的な推進力をレシプロ魔導機関と同じ方法で取り出す。それらの中間にエネルギー変速をかけることで両者の効率を上げている。
問題は燃費が悪く航続距離が致命的に短いこと。ユニットの整備体制が追いついておらず整備性が良くないことが挙げられる。
またエンジン出力の応答性がレシプロよりも遅くジェットストライカーほどではないが加速に時間がかかる。


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part 35 完結第501統合戦闘航空団

本日二回目まだ続くよ

筆が乗ってる時は大体病んでるよ


フラメンコ踊りたくなってくるRTAはーじまーるよー‼︎

 

ラスボスちゃんの登場です。

今回のラスボスちゃんは僚機ちゃん。

ルートによってはエーリカがラスボスを務めるパターンもありますが正直あれがラスボスになった時点で詰みです。大人しくやられましょう。

 

このラスボス戦はほぼイベントのようなものなのでタイムを短縮する要素がありません。悲しすぎる茶番劇だよ。

しかもいくら撃っても後半戦にならないと倒せない仕様になっています。

一応ダメージは与えられるので残っている30ミリ機関砲で軽く攻撃をすることにしますがなんやねんってレベルで攻撃回避してくるわ追尾かわすわでこっちの能力使ってもなかなか追いつけません。君アクーラじゃ無いんだから。

 

 

いくら旋回しても全然追いつけません。あ、鼻血出した。

まあこの戦いが実質最後だからいいか。

さっきからハイG機動のオンパレードで体壊れそう。しかも撃ってもシールドで弾かれるんですよね。

おかしいなあこのルートのラスボスはシールド張らないはずだったんだけど。どこかでガバっていたみたいですがここまで来てリセットは嫌なので続行しました。まあシールド張れるくらいでいい気になるなって話ですけどね。

 

ここ何やっているかわからなかったと思いますが、ここは背後から突っ込んできた僚機ちゃんを上昇戦に持ち込むふりをして宙返り。オーバーシュートの瞬間に30ミリを叩き込んだのですが見事にシールド貼られてカウンター食らいました。

シールドがあって助かった。

追ってくるので煙幕を焚いて視界を奪います。まあどういうわけか少し迷うだけで最短コースで修正してくるので僚機ちゃんニュータイプなんじゃないかって最近思い始めたんよ。

あ、墜落していたウォーロックが復活した。

まあコア破壊していないから仕方がないね。反応兵器の側にコア置くとか鬼畜以外の何者でもない。誤射して誘爆でもしようものなら大惨事ですからね。

コントロールはどうやら僚機ちゃんがラジコン感覚で操っているそうな。ただし迎撃されてはたまらないのかまっすぐ真上に向かって飛ばしています。

 

「これで戦争は終わる!相棒はもう戦わなくていいんだ」

 

「目先の利に囚われて人類を滅ぼす銃を作る気か‼︎」

 

やっぱり茶番じゃん。

あ、吐血した。流石に能力使いすぎたか。後十秒くらいしか使えないや。

隙を突かれまして余計にダメージ喰らいましたがまだ平気です。義手が掠った弾で壊れただけです。片手で撃てば大丈夫大丈夫。

 

閃光弾投下。

画面がしばらくホワイトアウトしますがレーダーはそのまま見えるので僚機ちゃんの背後に回り込みます。

視界が戻ってきました。やっほう僚機ちゃん、辞世の句を読め。

 

残念ながら30ミリ全弾叩き込んだのですが倒れませんでした。これは体力値と魔力値が高い最悪なものを引いてしまっていたようです。所々加速力があったりしていたのでもしやと思っていましたがこれは一番引きたくなかったパターンです。

パラメータはデレてくれなかったかあ。

しかもあちらが使用しているユニットはHiMAT(高G下空中機動)とEPCM(電子、感覚対抗手段)を搭載したゲテモノ機です。

機動性だけならなんとかなるのですが魔法による視覚妨害もあって機銃弾もかなり近づいてしっかり狙い撃たないと当たらないという極悪仕様です。

それに向こうの方が加速は上なので正直追いかけっこでは分が悪いです。

 

なので通常の機関砲より接近戦が得意なショットガンや拳銃、ナイフなどの方があれは倒しやすいです。

 

ここでネウロイの巣が消滅しました。向こうがやってくれたようです。これであんたの戦う理由もなくなりましたねなどと煽っていましたが結局次の巣に使えばいいとか言ってきたので止めに行きます。

 

ともかく30ミリは品切れ。残るは予備武装とナイフ。うん大丈夫大丈夫許容できる。

P38を装備して接近します。向こうもそれがわかっているのでなるべく遠くから近寄らせないような攻撃をしてきますが加速で負けていてもこっちはトップスピードで勝るので最短コースを描くように飛べればすぐに近づけます。これが出来なければ時間がかかるだけなのでRTAでの必須スキルと言えるでしょう。

では接近したので攻撃です。拳銃弾でもなかなか狙いが定まりませんね。

あ、被弾した。

まあユニットの補助翼が吹っ飛んだだけなので誤差です。

まあ向こうもエアインテークに被弾してエンジン出力が落ちました。これでさっきまでのように絶対出力で負けて追いつけないという心配は無くなりました。それに裏付けされたHiMATも使用不可です。

後はダメージを与えていくだけです。

 

背後に回って素早く攻撃。拳銃しかないけどダメージ入っているんで問題なしです。

30ミリを使うと人まで死んじゃうからね仕方がないね。元々残弾ゼロなので殴る武器としてしか使えないですけど。

 

かなり叩き込みましたけれどやはり拳銃弾では限界がありました。やっぱりぶん殴ります。

ちょっと上昇して上から降下で叩きつけ。うんうん打撃系だからダメージかなり入りましたよ。外装が剥離してパラパラ外れました。あともう一息です。お?なんややる気かい?

銃剣かあいいなあ銃剣。こっちは重機関砲だから着剣出来ないんだよなあ。

 

ちなみにストライカーのみ破壊する場合まずP38などの拳銃では40発必要になります。正直そんなに弾丸持って来れないので打撲ができる重機関銃は貴重な存在です。打撲一回は速度によってかなりダメージ量が変わりますが平均して拳銃弾4発くらいにはなりますので。

 

 

ダメージが一定になると再び前から攻撃するように言われます。ヘッドオン合戦だ。

ちなみにこの状態では正面にあるエアインテークと燃料タンク部分以外を撃ってもダメージが入らなくなります。

ではまずは拳銃を7発当てた後すれ違いざまにナイフをストライカーに突き刺します。そのまま思いっきり引っ張っちゃいましょう。

金属同士の擦れる歯が浮く音がしますのでご注意ください。あとカウンターされるので気をつけてください。私は誤ってカウンターを喰らいました。脇腹にナイフが刺さっています。まあ抜かなければ出血も最低限なので大丈夫でしょう。

 

一撃では破壊しきれなかったようです。もう一回ヘッドオンです。カウンター対策で最後の閃光弾を投下します。

ちょっとだけここビビりました。

拳銃弾は品切れになったのでナイフで代用です。

そのまま通過。ユニットが吹っ飛んで炎上しながら僚機ちゃんが落ちていきます。

欧州の土地に一番乗りだねやったじゃん。

 

 

 

はいというわけで撃破。僚機ちゃんの後を追いかけるようにしてウォーロックがフラフラし始めました。一応まっすぐ飛んでいるようですけど長くはもたないでしょう。これにて戦闘は終わりました。

ウォーロックは制御を失って迷走した挙句成層圏まで上昇したのちに太陽をつくりました。

誘爆してるやんけ。

超高高度爆発です。一時的に通信機器がダウンしました。

はいミッション完了。後は基地に戻るだけとなります。

……は?なんでエーリカ来てるんですか?

え、まさかここでガバった?そんなの嘘だ!絶対嘘だ!ここまできて!もうタイマーストップは目前だったのに!いやじゃこっちは飛ぶんじゃ!

501基地に帰るんじゃい!

なに、一緒にみんなで帰る?ごめんそれ長いわ。

 

先に帰りまーす。

燃料は使い切るつもりで全開にしています。ですが一部被弾で出力が上がらないようです。多分シリンダーが1つ潰れていますね。

まあここまでくれば誤差です。

さあファンファーレ‼︎

 

基地に着陸して滑走路方面に出ているマークを押すと基地に帰投してくる501のみんなが見えます。では、この後はエンティングイベント発生です。

帰ってきた全員を出迎えて501が目的を達成したことにより解散となったことを知らされます。

あ、まあ当然と言えば当然ですが今のハルちゃんは軍の命令ガン無視し続けていたので追われる身です。すぐに離陸していきましょうか。

 

ちょっとエーリカが追いかけてきましたが軽くあしらって空の彼方へ逃げます。こんなところで営倉エンドなんて嫌じゃい。

単純に好き嫌いの問題なんじゃい‼︎

 

あ、これ空戦だ。うーんミッションじゃないけどここで戻されると長いだろうからこのまま振り切ります。武器はナイフだけですがこのナイフもユニットを破壊した為折れる寸前です。もう一本比較的耐久度があるナイフがお腹に刺さっていますがこれを抜くとそのまま墜落してしまいそうなので却下。

追いかけっこですがこういう時はストライカーの性能に任せましょう。

こちらとてTa152なんじゃい。

Bf109G-6なんて目じゃないんだよ。

 

 

はい上昇限界高度に達しました。

エーリカは追いつけないようです。ここまで来たらもう安全やな。ほいイベントも終了したみたいです。やったねこれでもう安心……

 

あ、エンジンが……




ADFX-1(Fa-1)Morgan

開発国
帝政カールスラント

開発会社
ファルツ航空機

エンジン
ネイピア・セイバーH20
出力2850hp

航続距離1200km

最高速度840km/h



帝政カールスラントにて開発されていた全天候多用途先頭ストライカーユニット。次期主力戦闘機の開発を目的としたADF計画に基づいて開発された最新鋭機である。
Ta-152型より胴体直径で20センチ、全長で40センチほど大型化しその分新たなウィッチの支援術式を搭載している。
翼は可動式であり速度帯では前進翼、後退翼と180度反転する仕掛けになっている。
EPCM、HiMATなど新たに考案された魔術式を組み込むことで戦闘能力を極限まで引き上げている。
また最高速度だけでなく加速性が強化されており強力な出力も相まって異次元の飛行を可能にする。


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???0

まだ続くよ


こんにちは。取材って実は初めてなのですごく緊張しています。

何を話せば良いのでしょうか?

「そんなに固くならなくていい」

 

は、はあ……

えっとハルさんの事ですよね?手紙にはそれが知りたいって。どこまで話していいかって……本当は全部話したいですけど流石に軍機を話すわけにはいかないですよね。

 

「私が後で検閲をする。だから全部話して良い」

 

わかりました。

 

 

 

 

 

「アントナー・S・ハル。只今より連合軍第501統合戦闘航空団に復帰。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐の指揮下に入ります」

空を飛んでいた時とは全然違うなあ、軍人さんだ。

 

「復帰受諾しました。こちらでも誠心誠意軍務に努めることを期待しているわ」

それがただの定型文だって教えてもらったのは一週間くらいしてからだった。

それ以降彼女が軍人らしくきっちりしているところは地上では見たことがなかった。

バルクホルンさんの方が軍人らしい。

 

 

だけど空に上がるとその態度は一変した。

雰囲気から何から体が纏っているオーラみたいなものが違ったんです。同じ年齢なのに歴戦の兵士って感じがして実力を測る試験飛行中ずっと緊張してました。

「どうだ?宮藤は」

恥ずかしいですけれど最初は飛行すら覚束なかった。私でも分かっていることだったのでかなり言われるかと思いました。

「……ど素人ですね。一週間ください」

だけれどハルさんは面白いって顔していました。

「一週間で良いのか?」

 

「ええ、二日有れば最低限。一週間あったらマシな新兵程度までなら」

 

実際私は四日で新兵と呼ばれました。訓練?地獄でした。魔力が枯渇寸前まで追い詰められては何度も回復させられて追いかけ回されました。

銃も持ちましたけど普段使う20ミリじゃなくてハルさんが使ってるひと周り大きな30ミリでした。重さも二倍くらい違っていて振り回すのも大変でした。

 

流石に地上では普通の筋トレばかりでした。

 

 

 

 

印象深い事……

軍機だと思うんですけど……坂本さん大丈夫ですか?

あ、大丈夫。わかりました。

 

私はある時人型ネウロイを見ました。それは普段の殺意を持ったネウロイじゃなくて、こちらと交渉の意思を見せてきました。

ただその時は無断出撃ということもあってその場は有耶無耶になってしまいました。

「おそらくあれは鹵獲していたネウロイのコアを返せという意思表示だった可能性が高い」

坂本少佐はそう言ってますけど私は別の意図もあったんじゃないかって思うんです。

 

「自室謹慎で済んだのか。運が良かったな」

声がした。気がつけば部屋にハルさんがいた。

「ハルさん⁈どうして……」

 

「宮藤の代わりだよ。話は聞かせてもらった」

私のせいで義手になってしまった腕を動かすたびに機械の駆動音が響いた。

 

「ハルさん……ハルさんはあの人型のネウロイをどう思うんですか?やっぱりネウロイは敵だから殲滅するべきですか?」

つい聞いてしまった。カールスラントやガリア出身の人達にとってデリケートすぎるからあまり話すなと坂本少佐には言われていました。だけれど聞いてみたかったんです。一番ネウロイを憎んで一番自身を顧みない行動をするあの人に。

「我々は敵を知らなさすぎた。それだけだよ」

少し笑っていた。

「私は親も兄弟も家も…全てを失った。残されたのは滅んだ家督を継ぐ名前だけ」

 

「……」

 

「正直戦争なんてものはただの復讐の舞台装置でしかないの。もし敵に意思があり自己決定権があり生物となんら変わりない存在だとしても私は全力を以てそれらに復讐するわ」

紡がれる言葉には怒気が含まれていた。だけれどそれもすぐに拡散して普段の優しい雰囲気に戻った。

 

「だけど宮藤、貴女がネウロイと対話することが可能と思うのなら貴女を信じるわ」

 

「それって……でもネウロイが憎いんじゃ」

 

「憎いと言うことと対話可能かどうかと言うのは別問題よ。まあ、対話可能だとなってしまうと困る勢力は上層部にたくさんいるし人類の多くがネウロイによって悲しみと憎しみを植え付けられたと言うことは覚えておいて」

 

「……はい」

 

「その上でネウロイが戦いを望んでいないというのであれば、それを貴女が確かめてみたいというのなら私は応援するわ。その結果がどうであれ受け止めるのは貴女よ」

 

「……わかりました」

それだけ言うとハルさんは部屋から出て行った。

 

 

そのあとハルさんと会ったのは空の上でした。

居ても立っても居られなくなって覚悟を決めて飛び出したんです。

重罪だっていうのはわかっていました。だけれど確かめたかったんです。なぜか他のみんなはついてきていませんでしたけれど。

「実はな、あの時出撃可能だったストライカーが軒並みエンジンに細工されていてな。おそらくハルがやったんだろう」

 

 

えっとハルさんでしたね。飛び立ってからしばらくしてハルさんが進路に被さるように降下してきたんです。

……後で聞いたらハルさんは私が飛び出したのを知って無断出撃をしていたそうです。

 

「覚悟を示して」

重武装で私の前に現れた彼女は一言そう言いました。

「そんなッ」

 

「ルールは簡単。背後を取れたら勝ちよ」

 

一方的に始まった戦い。だけれど重武装をしている彼女に全くと言っていいほど追いつけませんでした。

後ろを取れたと思ったらいつのまにか目の前から消えていて上や下に現れる。

神出鬼没。どこに出てくるかもわからない。

だけれど捕まえようという雰囲気は無かった。

多分あれは試験をしていたんだと思います。不思議とそう思えたんです。

 

それで一か八かで背後を取った時に見えた癖のような動きを追って木の葉落としをしたんです。

そしたらハルさんの背中がずっと目の前にあって、声が聞こえたんです。

「まあ、合格ね。行きなさい。彼女達が追いついてくるわ」

 

「ハルさんは?どうするつもりですか」

 

「ちょっと私も反抗してみようと思ってね」

 

そう言って義手を隠していた手袋を私に押し付けてきた。

帰ってくるまで預かっていて欲しいと言ってそのまま去ってしまった。

実はこの手袋、私がミーナさんに作り方を教えたんですよ。坂本少佐も途中で加わってたっぽいですけど。

 

「なんだ、妙に作り方が上手いと思ったら宮藤が教えていたのか」

 

 

 

 

 

 

 

「坂本少佐に呼び出されたかと思ったらまた貴女か……」

 

「話すことは残っているのだろう。特にあの出撃のこととかな」

うげえ、あまり知られたくないのに。給料減俸されると困るんだよ。

「睨まないでくださいよ。仕方がないじゃないですか……ああ病みそう」

 

本当は言いたくなかったんです。だってあれで私は昇進遅れてるんですよ?ひどい話だ。銃殺刑とか降格処分じゃないだけマシって言うけど僕は危険飛行手当とか出てないんですからね⁈

そりゃまあ、ハルの口車に乗ったのは不味いと思ったんだけどあそこで断ってたらその場で撃ち落とされてたからね?僕悪くないからね。

 

 

宮藤さんが命令違反で飛び出したって聞いてしばらくしてから緊急出動がかけられた。最初は宮藤さんを止めるものかと思ってたけれどそうじゃない。

聞けばハルまで無断で空母から武装して飛び出してしまったらしい。エーリカのユニットまで破壊して追跡妨害をかけていたのだとか。

お陰で僕がまた飛ぶハメになった。

しかもユニットの調整が遅れて僕が追いついた時には宮藤さんとのゴタゴタは片付いていたみたいだし?

その時に言われたんだよ。

「奴らが動き出す。人類が自滅の道を選ぶことになるかもしれない」

 

「なにそれ?」

 

「これを、見たら焼いて破棄して」

 

「ちょ、これ機密文書じゃん!なんでこんなのッ‼︎無理無理!」

正直その場で吐いた。緊張とか色々と……盛大にゲロったんだよ!

「いいから読んで!それで私を追うか味方になるか考えて!」

 

「うう、胃が痛くなってきた」

 

 

その文書の内容は……あー忘れた。うん、忘れたことにしておいて。

思い出したらトイレ行きたくなってきそうだし。

 

結局僕はハルの逃げ場として座礁していたエセックスを教えた。

僕は悪くないからね。あそこで軍に彼女を引き渡したらもっとひどいことになるんじゃないかって気がしたから……うん。それにお咎めなしだし。

 

その後?ちょっと色々怒られちゃって地上転属だよ。お陰で赤城沈没からは助かったんだけどさ。空中哨戒中にハルに拉致られた。

いや知らないよ。マロニー大将が無茶しているから止めに行くよってほぼ無理やりだよ。訳分からなかったよ。

 

そのまま引っ張られてみればウォーロックって言うコアを流用した兵器がいるわそれの護衛のウィッチに襲われるわでろくなことなかったよ。

 

僕? 僕はただ付いて飛んでただけだよ。

スコアだって、僕一機墜とす間にあの人は五機墜としてますし。もちろん殺してないよ。ハルに殺すなって厳命されたからユニットだけ破壊したんだよ。

でもそれなりに足手纏いにならないようにしてたんだから。

そのせいで変なクセができてるっぽいんだけど。

まあ、結局僕落とされたんだけど。うん、勝ったと思ってたし実際ウォーロックは落としちゃってたし。

ハルも僕も油断してた。

誰だろうね……僕は知らない。ハルとはそれっきり会ってないよ。

 

そもそもハルと飛んでいるってだけで軍規違反もいいところだし反逆罪とされたっておかしくないんだからね?一応上層部が責任逃れで暴れたからこっちも不問にされたんだけど。

 

今何しているんだろうね……

 

 

 

ロミルダ・リーデル。

元カールスラント空軍第3航空団所属。

アントナーの相棒であり、敵だった少女。

 

 

 

あの日私は死ぬはずだった。だけれど死ねなかった。

ネウロイの支配から解放された直後の欧州に墜ちた。

瓦礫となり瘴気によって荒廃した大地が続いていた。

虚しくなった。だけれど、植物が、木がその中でも僅かに生きていた。まだ欧州は死んでいなかった。

反応兵器はそれすら吹き飛ばし全てを無に返すものだと後になって聞かされた。

落とされたことでスッキリしたのかな。でも心に残る感情はまだ健在だ。

だが私ですら落とせなかったあいつを誰が落とせるんだろうな。

 

 

私はまだ戦場にいる。

見つけたいんだ。あいつが守ろうとしたものを……あいつがいう人の信じる力ってやつを。

人間同士信じ合えれば無益な足の引っ張り合いなんて無い。憎悪も生まれない。あの兵器だってうまく使ってくれる。ハルもそれは賛成していた。人が信じる力を本当に理解できた時、それは日の目を見るべきだって。だけれどそれができないのもまた人間なんだ。

答えなんて無いのかもしれない。だけど探したいんだ。

今はそう思う、それでいいと思う。

この記事はあいつも見るのか?なら、会ったら伝えておいてほしいな。

相棒まだ生きているか?またな戦友。

 

 

 

 

 

アントナー・S・ハル

第二次ネウロイ大戦を駆け抜け、畏怖と敬意の狭間で生きた少女。

彼女は数年の合間空にいた。その後の消息は不明。

今回、彼女の人間性まではついに迫ることは出来なかった。

だけれど彼女の話をする時、皆どこか嬉しそうにしていた。それが答えなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解放されたばかりのダンケルクの街は、廃墟からの復興を既に始めていた。

崩れた瓦礫が至る所に残りながらも、新たな建物を作る足場が組み上げられ、至る所にモノリスのように立っていた。

 

1944年も終わりを迎え雪がモノリスを白く彩り私の吐く息も白く空気に溶けていった。

書き終わった原稿は会社に提出するためのもの。本来の原稿は軍の検閲を突破できない可能性が高い。

だけれど10年、20年後なら突破できるかもしれない。その時まで取っておくつもりだった。

 

「お隣よろしいですか?」

営業を再開したカフェのテラス席は他にも空いていた。だけれどその女の子は私のところにまっすぐやってきた。

 

流暢なガリア語だった。

やや赤みがかった紺色のケープ付きコートを羽織り同じ色のオラーシャ帽を被った少女はぱっと見はオラーシャ出身のように見えた。

「ええ構いません」

 

「ありがとう。貴女は記者なの?」

 

「ええ、よく分かりましたね。ガリア中央新聞の記者よ」

 

「へえ、でしたらその原稿はコラム記事か連載記事のものですわね。本になる予定がありましたら買わせていただきますわ」

鋭い少女だ。だけれど悪意があるわけではないようだった。少女は私が見つめているのに気づいてごめんなさいと一言謝って人を観察するのが好きなのだと言った。

よく見れば顔の左頬に線のような火傷跡があった。

「ああこの傷。少し前にヘマをしましてね。気にしなくていいですわ」

 

紅茶を飲みながら少女は元々軍にいたと言うことを話してくれた。

空を駆ける楽しさと、広大な空の中に放り出される喪失感。元ウィッチだったわたしにもわかる感情だった。

話が弾んでいた。少女がそろそろ行かないといけないわと席を立った。

 

今日行われる元501のメンバーによる展示飛行を特等席から見にいくつもりなのだとか。

 

 

机の上にはロケットペンダントが置かれていた。どこかで見た模様。ふと机に広げた資料に目が落ちた。

そのペンダントと瓜二つのペンダントをエーリカがロミルダが見せてくれた。

 

「あら、いけませんわ。うっかりしていました」

ペンダントを落としたことに気がついた少女がそれを持ち上げた。その手は左手。少しだけズレた手袋から金属の輝きが見えた気がした。

「あ、ちょっと待ってください。もしかして……」

反射的に顔を上げた。そこにはいたずらが成功した少女の笑顔があった。

「ようやく気づいてくださいましたわね。改めましてわたくし……」

 

 




ボーイング247F

開発国
リベリオン合衆国
開発会社
ボーイング
全長15.7 m全幅22.6 m全高 3.8 m
空虚重量4t
エンジン
エンジン プラット・アンド・ホイットニーS1H1-G ワスプ 2基
出力550 hp
巡航速度300km/h
元リベリオン国内の旅客輸送に使用されていた機体。
DC-3に置き換えられ早期に姿を消したが中古として多くが第二の人生を歩んでいる。
そのうちの一機は一部座席を取り払い下方と上方に大型の窓を設けた遊覧飛行機としてある個人によって使用されている。


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part 36 最終回

本日2話目


フハハっ‼︎まだだ!まだ終わらんよ‼︎

高度12000m、エーリカがくっついてきていますがみるみるうちに小さくなっています(勘)

高度を下げつつ位置エネルギーを運動エネルギーに変えていきます。

火災が発生しているユニットを分離。降下角度を下げて滑空させつつ残りのユニットで逃げ延びます。こっちもオイル漏れでエンジン温度が上がってしまっています。水温計も振り切れて完全に沸騰状態です。

あと少し、残るユニットが火を噴きましたが火災爆破の時間は20秒。こっちがエリア外に逃げ出すまでは12秒。

エリア外に出ました。ガハハ!勝ったぞ!

 

火を噴いていたユニットがついにイカれて空中に放り出されていますがしれっとシールドなどを使って減速しながら地面に降り立っているのでセーフ。ここで死んだら発狂ものでしたよ。

 

はいイベント終了‼︎直後の暗転でタイマーストップ!

 

 

 

 

 

タイムは4時間21分10秒。

 

ガバさえなければ4時間15分を切れていましたね。まあ他にこのレギュで完走している人は居ないのでどちらにしろ私が世界最速。いいね?決して参照タイムじゃないからね?

ではエンティングを流しながら完走した感想をぼちぼちと話していきましょう。

やっぱり疲れたよおおお!フルダイブのゲームでRTAやると休憩勧告の問題もあって本当に時間に追われるんですよ。ノンストップでやることになりますからね。しかもめちゃくちゃ疲労感が残りました。すぐにでも寝たいです。

 

後致命的なガバだったのか好感度調整でした。あれがなかったらなと思いましたがリカバリーできたからセーフ(アウト)

他にもちょくちょくガバしていますがガバしないRTAなんて人外にしか出来ないんだからいいんだよ。

再走?私が疲れ果てちゃうのでしません(しないとは言っていない)

 

本作ストライクウィッチーズenemy front lineは魅力的なキャラクターと生活を共にし、派手なドッグファイトをメインとした戦争ゲームです。

英雄として成り上がっていけばいくほど、人類が追い詰められれば追い詰められるほど難易度が上がっていく調整は業前の仕上がりです。

 

分岐と自由度から人の数だけストーリーがあると言われるだけあります。

ストライクウィッチーズ初心者にお勧めするならこのゲームと言っても差し支えないです(沼に引き込む意味で)

そんな自由度の高いゲームだからこそ、動画を見てくれた皆さん…もっと早く出来るぞって思う方はぜひ走ってください。私も走ったんだからね?(呪い振り撒き)

 

まあフルダイブでRTAをする場合現実でも多少技能を持っているとか体鍛えていますとかそう言うところも必須になってくるので無理のない範囲でお願いしますね。

それでは本RTAはここまで。残りの時間は最後のスタッフロールと成績確認の時間です。

 

ではまたどこかでお会いしましょう、さよなら、さよなら、さよなら。

 

 

 

 

 

 

 

あ、間違えてセーブしちゃった。まあ良いか。記念に取っておこう。

 

 

 

 

 

 

フレーバーテキスト

 

 

アントナー・ジークリンデ・ハル

 

1929年4月20日生

23時05分生まれのためギリギリおひつじ座

分家ではあるが貴族家系であり継承の序列は4位。

その事を知ってはいた、本人は特に気にすることはなかった。自由奔放に自然の中で育った悪く言えば野生児。しかし礼儀作法もそつなくこなしていた天才肌。父が外交官であり語学に堪能であった。

そんな環境で空への憧れを強めていった。

1939年、欧州に出現した巣と発生したネウロイにより家族を失う。

復讐のために空軍へ入り徴集組として空を飛ぶ。

コツを掴むのが早く期待の新人として噂された。

 

鬼気迫る戦いでネウロイを倒し続けていたが心を許せる戦友を持った。

その戦友が散っていったときには密かに泣いた。

 

さまざまな戦域を飛び新たな戦友を見つけた。

他のエース達に気に入られるようになり、復讐心は和らいでいった。

 

統合戦闘航空団に入ってからは後輩育成に力を入れ部隊内での総撃墜数は多くない。

いつしか復讐心は消えていた。

 

戦友と空で対峙し自らの意思を押し通した。

 

 

トロフィーエースウィッチ

ネウロイを5体以上倒した。

 

トロフィー大エース

ネウロイを200体以上単独撃墜した

 

トロフィー大物狙い

大型ネウロイを15体以上単独撃墜した。

 

トロフィー地上のエース

地上戦でネウロイを5体以上単独撃破した。

 

トロフィーナイトエース

夜戦でネウロイを5体以上単独撃墜した。

 

トロフィー戦友

ネウロイを100体以上共同撃墜した。

 

 

トロフィー恋の手伝い

サーニャとエイラを引き合わせた。

 

トロフィー探し上手

ルッキーニを二回以上見つけた。

 

トロフィー料理上手

料理を作り二回おいしいと評価を受けた。

 

トロフィークレイジードライブ

運転でシャーリーを喜ばせた。

 

トロフィー明日への希望

核兵器使用を阻止した。

 

トロフィー軍の威信

ウォーロックを撃墜した。

 

トロフィー駆け抜けた空

出撃回数1000回の合間敵味方のウィッチを殺さない

損害率を5割以下に抑えた。

 

トロフィー諜報活動?

機密文書を三回閲覧した。

 

トロフィー最高の仲間達

第501メンバー全員と仲良くなった。

 

 

トロフィー隻腕のハンター

片腕のない状態でネウロイを10体以上撃破した。

 

トロフィー教官?

宮藤の訓練を2回行った。

 

トロフィー帰りたい場所

欧州解放に携わった。

 

 




本編は完結しました。
呪いも振りまきました。
ブレイブと2とRtBが残ってます。

気が向いたら続くかも



ハルちゃんイメージ


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part 0.1戦艦越後の最後1


おまけという名の休憩

【挿絵表示】






昭和一七年。私は電測士として戦艦越後に勤務をすることとなった。

戦艦越後が戦乱の続く欧州へ派遣される1ヶ月前のことであった。

 

 

総排水量90000tに迫る巨大な鉄の城はその姿を呉のドライドックに横たえ、いくつもの部品や配管に包まれ静かに鎮座していた。

この巨大な戦艦が生まれたのは昭和10年。海軍内部で行われた派閥闘争を発端としている。

 

当時幅を利かせていた大砲屋と呼ばれる戦艦を主とする派閥と航空機こそ戦争の主力であるとする航空屋の争いは熾烈を極めていた。互いの勢力を削ろうとする動きにより、戦艦比叡、扶桑、山城が廃艦となってしまう。

これらは表向きの理由こそ同型艦が居なくなってしまい戦隊を組むのに支障が出る。直進性と要求速力を満たせない。そもそも廃艦にした方が安いほどの損傷を負っているという理由ではあったが明らかに航空屋の横槍である。

しかしなまじ数が多く一大勢力であった大砲屋はそれら3隻を失う代わりにと代用艦の建造計画を押し通してしまった。

3隻合計で90000t。順当に行けば45000t前後の戦艦2隻が妥当と思われていた。しかしワシントン軍縮会議で一隻当たりの艦のサイズを規定していなかった事がここで建造計画を歪ませることとなった。

 

 

当時海軍航空隊で教導隊に所属していた私は又聞きでしかなかったが、当初45000t級2隻の建造のはずが一週間もしないうちに90000t級一隻の建造計画となって行った。

当時それほどの巨大戦艦を作る船台もドックも無かった。それら港湾施設の整備は将来への投資として国交省が、そして2隻より1隻の方が建造予算も必要人員も減るという理屈から大蔵省がそれぞれ説得され、議会にて予算が通ってしまった。

 

その後はあれよあれよと言う間にこの巨大な鋼鉄の城は扶桑国の威厳として生まれることとなった。それが昭和14年のことだった。

 

 

 

対空火器の増設や電探の増築などで姿形は多少変われど、わたしには教導訓練時に焼き付けられた就役直後の姿のままであった。

 

 

ドライドックから越後がその姿を現したのは私が配属となった二週間後であった。

化粧直しをされ真新しいペンキの匂いが鼻を突く艦内を迷ってしまわないよう経路を覚える作業をしていた時であった。

 

突如艦内スピーカーが声を上げた。

「〇八一〇ヨリ出港準備作業ヲ行ウ。出港ハ一六〇〇」

かかる不時の出港。

欧州派遣は一週間後であると聞いていた。それが前倒しとなったのだ。こうなってしまってはとてもじゃないが悠長にしていられない。成熟訓練は航海をしながら行うこととなる。元からの乗組員は問題ないが増設された機銃群、高角砲群の要員や電探員、そして艦内構造が変化したことで応急処置要員までもがてんやわんやであった。

同時に前例のない出撃。されば出撃か。

 

 

私が配属された電探室は従来まであった艦橋内部のものではなく煙突後部の三脚マスト直下に増設された小屋のようなところであった。

 

越後には建造当初から艦橋トップの射撃指揮所上部に大型の21号対空電探を、昼戦艦橋横の見張り台スポソンに11号水上電探を搭載していた。

しかし今回の改装でそれらに加え煙突と後部艦橋の合間に設けられていた傾斜した三脚マストから垂直に枝分かれする形で増設された電探マストに43式電探を搭載していた。

この電探は高度情報を索敵することができる優れもので電探自体も旋回しつつ全方位を監視できる画期的なものであった。

それまでの21号や11号と比べ探知距離が上がり死角が随分と減ったものだった。しかしスコープなどの監視装置を元の電探室に置くことができなかった。

仕方がなしに設けられた私の配置場所は装甲が施されているわけでもない為常に死の恐怖が付き纏うこととなった。

尤もネウロイのビーム相手には装甲厚など気休めにしかならず、装甲不要論すら巻き起こっていたほどだった。

実際対ビーム防御塗料が生まれてからはそれに拍車がかかった。

 

 

何はともあれ、欧州へ移動する合間航行とともに行われた訓練は疲労と不眠を蓄積させる猛訓練であった。

大型の戦艦といえど外洋のうねりには逆らえず、時には嵐の中を突っ切っり右へ左へ振り回された。

 

ようやく到着したブリタニアでも上陸などする間もなく出撃が待っていた。

しかし私達の士気は高かった。

 

私と同じ電測員として配属された少年が残した日記からの引用だ。

『我ラ如何ニコノ時ヲ期シテ待チシカ。我ラ前線ノ将士トシテ合戦願望スルナリ。相手ニ不足ナシ』

厳しい訓練から解放されるという喜びもどこかにあったのだろう。しかし扶桑海事変を知る者としては素直に喜べなかった。

どれほどの船が生きて次の戦場へ出れるのか。どれほどの将兵が生き残り次の大戦の糧となれるのか。そのことばかりが頭を掠めた。

 

作戦が始まる頃になり艦内は噂で持ちきりであった。どこに行くのかどのような艦編成なのか。欧州の軍艦は見えるのかなどなど。

それらを圧するようにして凛とした声が艦内スピーカーから相次いで伝令を出した。

「各分隊、可燃物を上甲板に出せ」 「各員、身の回りのものを整理し、私物を吃水線下に格納せよ」

 

一度陸へ向かう内火艇の指揮を取ることになった。

異国の大地に到着した内火艇を降りると、挨拶をしにきた少女達に声をかけられた。それに思わず振り向いたのはそれが扶桑語であったからだった。

護衛任務に就くウィッチ隊の少女達だった。

扶桑の少女もいたが、それは一人だけで他はカールスラント人が二名ブリタニア人六名だった。

声はたった一人の扶桑の少女から出されたものだった。

ピンク色の髪が朝凪に揺れていた。

「えーっと……リバウまでの航空支援を担当するフォーミダブル第二航空隊です。臨時編成カールスラント空軍と扶桑海軍より僕が派遣されています。……ねえこれ必要?」

 

「必要必要」

驚いたことにカールスラントの少女は扶桑語が話せるようだった。毛先が銀色の茶髪を左右に振るようににやけ顔を晒しながらその少女は扶桑の少女をからかっていた。

「扶桑語話せるんだからハルがやれば良かったじゃん」

 

「そんなこと言わないで」

 

「まあリバウまでの空は任せて。なんとしても主力は守り通す」

 

「国は違えど軍人は皆同じ。空の守りは任せました。期待しています」

 

「期待されました。アントナー・S・ハル精一杯の努力をします」

どこか砕けた口調だったが流暢な扶桑語でありチグハグな雰囲気であった。

それ以前に私は彼女の名前に驚きを隠せなかった。

空を飛ぶものとして知らぬものはいない大エースウィッチであったのだ。カールスラントではエーリカ・ハルトマン、ゲルトルート・バルクホルンらと並んで名前が上がる事すらある。

彼女たちは随伴する航空母艦フォーミダブルを母艦とし艦隊の空を守り通すのが役目だった。

 

 

 

 

慌ただしさの割にゆっくりとした出港であった。

先行するはブリタニアの空母二隻と護衛の巡洋艦、駆逐艦。

それに続くように我が越後は動き出した。90000tの巨体は艦首に菊の御紋章を朝日に輝かせ、周りを圧して不動盤石の姿だった。他に随伴する艦は戦艦加賀、巡洋艦利根、駆逐艦が多数。扶桑海軍の精鋭が集っていた。

 

その中でもやはり越後の姿は目立っていた。

主防御区画を縮めるため四十六サンチ三連装砲を艦首側にまとめて三基搭載した姿は他のどの国にも無く、港で見送る人々は皆越後の姿に気を取られていた。

 

 

私の持ち場には通信士二名と電測員二名が常時入ることとなっている。二交代制のシフトを組み大抵は決まったペアで電探監視を行う。

私のペアは佐々木中尉であった。江田島を卒業してすぐここに配備された新米であったが、海軍学校で新型電探の構造は熟知していた。私より扱いに慣れていると言える。

「この越後に搭載された新型が他のどの艦よりも高い位置にあるおかげで艦隊の目として機能しているのだ」

まるで息子を自慢げに紹介する父親のような存在であった。年齢は私の方が数年上であったから年が少し離れた弟というべきだったが、年齢以上に老け顔だった彼は弟というより兄に近い存在だった。

 

ブリタニアを出港して1日が経つと、艦内を駆け巡っていた噂や囁きも鳴りを顰め、代わりに戦地特有の緊張感が流れてきた。

各電探兵器の動作を確かめ、昼頃は戦闘配備のまま昼食となった。それは夜になっても変わらず、毛布や布団が無くなった仮眠用のベッドで体を痛めながら寝ることとなった。

ふと今朝方に会ったあのカールスラントのウィッチのことを思い出した。

彼女達もこのような硬いベッド擬きの上で寝ているのだろうかと。

 

 

日が昇るのと同時に戦闘配備が発令された。既にここはネウロイの勢力下に入っていた。遠くに見える空母からひっきりなしに戦闘機が上がっているのが見えた。

その日の朝食も戦闘配食。おむすび二つと沢庵だった。

 

 

一〇一二電探が編隊らしきものを捉えた。

21号電探が早くに目標を探知。私達の電探もそれに続いた。

通信士にその旨を達すると、艦内はすぐに静寂に包まれた。

電探、目標追尾のまま刻々と情報を伝声していく。

「……300、包囲1-6-0度高度…」

 

それらはすぐに僚艦の空母にも伝えられ、空母の航空士官が上空に上がったウィッチと戦闘機隊に情報を伝えた。

ネウロイの集団に導かれるようにウィッチと戦闘機の混成隊が吸い寄せられていった。

艦隊からかなり離れた位置で行われた防空戦は、二十分足らずで決着がついた。

 

 

「第一波ネウロイ襲来ナレド航空隊ニヨリ全滅。引キ続キ対空警戒厳トナセ」

 

通信士が艦橋から送られてきた通信を読み上げる合間、私は電探スコープを食い入るように覗き込んでいた。

変化はすぐにきた。本艦より右前方の位置に白い点がいくつも現れた。スコープ画面の横に設置された方位版と照らし合わせて方位を、その横で佐々木中尉が高度情報を読み上げた。

「新たな目標右舷前方!方位0-3-6、高度4500m。速度200ノット」

 

「もう一つ出てきた。包囲3-0-0、左右からのハサミうちだ!」

 

情報は21号でも捉えられていた。すぐに防空隊が二手に分かれていくのがスコープの上で確認できた。

少しして乱戦の中を抜けてくる反応が現れた。その数十を数えるか数えないか。

先程の戦闘で弾薬切れや燃料が足りなくなる機体もそろそろ出てくる頃合いだった。

「敵機は十、突込んでくる!」 

 

ネウロイの攻撃は巨大で目立つ本艦へ集中は必至だった。艦長下命「射撃始め」 が下る。

最初に巨大な閃光と振動が轟き、振動と轟音で耳が壊れそうになった。

四十六サンチ砲が三式対空弾を放ったのだ。

遅れて高角砲二十四門、機銃百門以上が一瞬砲火を開いた。 護衛駆逐艦の主砲も一斉に閃光を放つ。

室内でも外で聞こえる轟音が響き渡り怒鳴り声すら時々聞こえなくなった。

スコープに映る敵の数が減っていき、すぐにその数は消えた。

それと同時に射撃も止む。

 

 

 

第三波の襲来でついに駆逐艦が被弾した。

弾薬切れのウィッチが空母に戻り補給をしている合間の防空隊の密度が低くなる時に襲来したため防空体制に穴が空いたのだ。

ブリタニア海軍の駆逐艦ヴァンパイアが炎に包まれた。

 

戦いは第六波まで続いた。

しかし戦力の消耗極めて甚大。第五波で被弾、落伍した駆逐艦初雪の穴を埋めるべく駆逐艦が陣形を変更していた。そこに複数のネウロイが飛び込んできた。

猛烈極まりない防空砲の攻撃の中、一際目立つ振動と轟音が響いた。ついに被弾した。

 

被弾は後ろの方から聞こえていた。

「四番副砲被弾!応答なしの模様」

四番副砲がビームの直撃を受けて融解した。

内部で発射を待っていた弾薬が誘爆し、爆発の熱と衝撃が決して硬くない外版を内側から風船のように押し広げて砲塔が破裂した。

幸い誘爆は砲塔内部だけで済んだが砲塔内部は全滅だった。

その瞬間は電探室からは見えなかった。ただ轟音がして灯り取りのために設けられた扉窓の外を破片が飛んでいくのが遠目に見えた。

 

元々八基積み込まれていた六十口径十五糎五連装砲のうち艦橋横のものは高角砲を四基、三連装機銃四基の増設と引き換えに撤去していた。

残る四基のうちの一基が使えなくなったのだ。

 

電探室の側に設けられた増設機銃座の音がやかましく唸り、少しして歓声が聞こえた。

ネウロイを撃墜したのだろう。

しかし同時に艦首の方からも爆発と振動が響いた。

今度は窓から見える外の光景に変化が生まれていた。

広い甲板の先に少しばかり見える海面の色が虹色に光る黒いもので覆われようとしていた。

燃料タンクがやられたのだと悟った。

 

 

「さらにネウロイ十接近……いや待て!その背後にウィッチだ!射撃中止!同士討ちになる!」

 

佐々木中尉がスコープを除き血相を変えた。

扉を開けて外に上半身を乗り出すと、対空砲が炸裂し黒くなっている空を器用にネウロイだけを落としていくウィッチの姿が見えた。アントナー・S・ハルであった。瞬く間に全てのネウロイを落としていった。

圧巻と表現するしかなく、その光景を見ていた機銃要員も歓声を上げていた。

 

しかし破綻は既に起こっていた。

 

 

 




『戦艦越後とウィッチ達』
畜生書房
1943年出版
戦艦越後最後の出撃となったリバウ突入作戦を生存者の一人である元ウィッチ隊美咲明乃少佐が綴った作品。
またのちに有名になるある少女の事が書かれた最初の作品でもある。


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part 0.2戦艦越後の最後2

ブレイブ書きます(走れ)


撤退が決まった。

 

第六波が去った後、長距離無線で撤退の暗号が流れてきた。

出力が強く後部電探室の通信設備でもそれを捉えることができた。

 

この時既に戦艦加賀が後部三番主砲損傷、右舷に破口があり浸水。速力低下

空母フォーミダブルは艦橋に被弾。艦長以下首脳陣が戦死。

駆逐艦吹雪、子日が轟沈。深雪は艦首を損失して漂流していた。

 

艦隊司令部が乗艦している旗艦空母ヴィクトリアスは直ちに反転し戦域を離脱すると各艦に通達していた。しかして越後が反転することはついになかった。

凛とした艦長の声、艦内スピーカーより響く。

「越後は現在燃料タンクを破損。重油漏れにより港までの帰還は不可能と判断。艦隊の離脱を支援するため単艦にてリバウへ向かう。退艦希望者は直ちに後部内火艇格納庫へ集結せよ」

スピーカーがその旨を達し了るや、艦内は静粛が支配した。

又聞きではあるがこの時退艦を希望したのは38名。全員が巡洋艦利根に収容され無事に生還している。

 

また本艦を支援するために駆逐艦磯風、カールスラントウィッチ二名、ブリタニアウィッチ二名、利根から出撃した扶桑海軍のウィッチを含めてさらに三名が残ることを決めた。

 

「ウィッチが補給のために後部甲板へ降りる。元ウィッチは手伝えと艦長命令だ」

 

「了解した。すぐに向かう」

 

この時点での被害は先の被害を除けば右舷側の高角砲が一基大破した程度であったが、この時吹き飛ばされた砲身によって右舷側の直立セルが破壊され後部へ向かうには左舷側のラッタルを使うしかなかった。

 

着艦は経験が豊富な扶桑海軍のウィッチの方が上手い。最も上手であったのが自信がなく小動物のような烏李芽曹長であったのは意外ではあったが。

次に上手かったのはカールスラントの大エース。アントナー曹長と僚機のロミルダであった。

彼女達はユニットを脱がずに弾薬と燃料の補給を受けると再び空に戻っていった。

ウィッチ達が全員離艦して五分ほど経った頃。艦内スピーカーがネウロイ来襲を知らせた。

第七波であった。そしてそれは本日最後の襲撃であり最も激しいものとなった。

すぐに持ち場へ駆け戻る。私の死に場所はここでは無いと。

 

しかして状況は良いとはいえなかった。

上空を守るウィッチの数も足りず、ネウロイの数は六十を数えた。

しかし奮闘の末その数は半減していた。

ネウロイが高速で近づいてくるのがスコープ上に映し出される。既にスコープだけでなく見張りもその姿をしかと目に焼き付けている事だろう。

 

対空砲が音を埋め尽くし、空を黒くしていた。それらを掻い潜り幾つかの爆発音がしていたが防空砲と機銃の音は止む気配はない。

「左舷に浸水!傾斜しています!」

通信士が部屋が傾いているのに気が付き叫んだ。

「落ち着け隔壁は閉鎖されている!指示に従え」

 

「了解!」

しかし傾斜するというのは危険なことである。各高角砲へ給弾を行なっている揚弾装置は機銃弾、高角砲用のもので七度、主砲や副砲のものは五度の傾斜が発生すると使用不能となってしまう。さすれば空からの敵に対してほぼ丸裸に近い状態になってしまう。

しかしすぐに傾斜は回復していった。反対側のバラストタンクに注水をしたのだ。

しかし被弾は止まらない。ついに左舷煙突直下の機銃と高角砲が被弾し吹き飛んだ。破片が窓からもよく見えた。その中には肉一片も混ざっていた。

 

「電探故障!」

 

電探に映っていた光の線と線が消えていた。

ネウロイが至近で撃破されたことによる破片被害で電探が故障をしたのだ。

咄嗟に様子を見に電探室を飛び出した。直後に音が消えた。

 

爆風で体が吹き飛ばされ一段下の高角砲の上に落下した。偶然体が高角砲の手摺りのぶつかり海に落ちるのを防いでくれた。

 

「あ、そんな……」

 

直撃したのは後部マスト付近だった。私の体の真後ろ。丁度電探室のところであった。

破壊されたのは電探室ばかりではなくマストの付け根もだった。

マストが倒壊し、付け根付近にあった電探室の残骸は押し潰されてしまっていた。

マストの多くは海に向かって落下し付け根の残骸だけが残った。

 

整備に整備を重ね、今日まで備えてきた兵器は四散して部品の残滓すら残らなかった。

 

私は運良く外に出た直後だったから吹き飛ばされただけで済んだのだった。

その数秒ほど動けずにいると、後部艦橋に次のビームが着弾した。

一瞬膨らんだように見えた後部艦橋が根本から爆発して吹き飛んだ。真っ赤に燃え、ひしゃげた金属の瓦礫がそこにはあった。

 

 

測的副隊長の伝令、甲走る声。

艦橋配置であった彼が状況を把握するためやってきたのだ。

「後部艦橋被弾の模様、直ちに被害を‼︎」

近くにいた私に向けて放たれた声は攻撃の最中で途切れ途切れであった。

「大丈夫か!」

 

「こ、後部マスト倒壊!後部艦橋にビーム直撃、か、艦橋消失しました」

 

「わかった‼︎生存者救助にあたれ、伝令に行ってくる」

後部電探室の残骸は後部艦橋の爆発に巻き込まれて大半が消失しており通信士も佐々木中尉も電探室勤務者はどこにも見えなかった。

後部艦橋も同じようなものであり、室長砲術長以下二十一名の後部艦橋要員は全員戦死であった。

艦橋後部のラッタルを伝い一度下に設けられた連絡通路に降りようとし、手摺右の鉄壁に肉片がこびりついているのが目に留まった。誰のものかもわからない。

船体の至る所で爆発が起こる。四周から迫る閃光の雨なり、越後の精鋭持ってしても回避極めて困難なり。

小爆発が船体各所で起こる。しかし類稀なる重装甲はそのことごとくを弾き甲板を焦がすだけにとどめた。

 

その直後二射目の太いビームが迫ってきていた。直撃する。目を閉じ、その場にしゃがみ込んだ。

しかしいつまで経っても体を溶かす熱線も衝撃波も来ない。

目を開けると、アントナー曹長がシールドでビームを防いでいた。

その表情は先ほど見た生気の薄い表情と変わりはなかったが、その目には光が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

空襲はそれで終わりであった。

各所の高角砲、機銃が沈黙し、焼けた銃身、砲身を冷却するために濡れた布がかけられる。すぐに水は湯気に変わり黒煙に混じって空へ消えていった。

 

越後が受けた最終的な被害は艦首近くの居住区への被弾。

左舷側二箇所の喫水線付近に破口。

左2番、4番、8番、右1番、5番の高角砲と機銃座10基が全損。後部電探、マスト、後部艦橋の被弾喪失。

2番、4番副砲の全損であった。

同期であり幼馴染の畠大尉も戦死した。

第五波襲来中一度艦橋へ向かっている途中で機銃指揮所で指揮を取っている姿を見たのが最後だった。ああ許してくれ。あの時一言の返礼もできずそのまま走り去ってしまった。無惨に散っていったのも礼を怠りしか。

しかし主砲とそれらを稼働させる各設備、そして機関は無事であった。越後はまだ生きていた。多くの骸を連れながら、リバウへの進路はそのままであった。

 

持ち場を失った私は火災消火や遺体回収をする救護班や生き残りを尻目にウィッチ達の着艦支援を行うこととなる。

既に日は水平線に落ち、闇が迫っていた。甲板には誘導灯がわりに発煙筒とランタンを持ってきて対応せし。

 

 

戻ってきた少女達は、一時の休息が与えられた。

リバウ突入まで2時間。突入後も再び上空で援護を行うのだ。

最初に越後に降りた時より一人足りない。噂を聞けばブリタニア人が落ちたらしい。

 

未だ燻る火災の灯りが海を甲板を煌々と照らし、皆の顔に影を落としていた。

皆無口であった。すぐそばではバラバラになった体の一部が集められ、白い布を被せられていた。

二番副砲の近くにあった機銃座を指揮していた軍曹のものだ。

機銃座は吹き飛ばされ、甲板の木や土嚢ごと吹き飛ばされていた。

降りてきた少女たちもショックを隠せない様子であった。その中で一人表情ひとつ変えずに佇む人影があった。それこそアントナー曹長だった。

しかし声をかけることも憚られ、手の空いた私も負傷者の救護、もとい残骸撤去を行うよう命じられた。

 

佐々木中尉と通信士二名はついに見つからず、最低限、後部艦橋跡地へつながる通路を確保したところで私の持ち場は下の高角砲へ移された。

 

ひしゃげた高角砲が二基、一つは内部で即応弾が誘爆したらしく内部は血の海だった。遺体と呼べるものなし、もう一つは溶解して爆風避防楯の天辺が消えていた。

発生した熱でこちらも内部で誘爆が発生していたが爆風の多くは先に空いた天井の穴から抜けていた。

まだ生乾きの血、爆風で焼かれ歪んだ内壁に叩きつけられた頭のない肉塊。四散した四肢、体の一部であったもの、一部は焦げ爛肉となっていたそれらは、点々軍装の破布らしいカーキー色が残っていた。

それが二つほど、四肢の有無はあれど転がっていた。

十数分前までここで活躍した戦友達は、ここに宿し四つの魂は何処に。

他の八名は四散して姿形も残っていない。空虚であった

それら、甲板への引き出しに苦労することとなった。

しばらくして見知らぬ少女が手伝いに参加していた。

「どこの分隊だ」

手を休めることなく尋ねる。

「連合軍第501統合戦闘航空団第一飛行隊第二小隊員であります」

覇気の抜けたような口調だった。振り返ればアントナー曹長。

その横にはもう一人カールスラントの軍服を着た少女と、烏李芽曹長がいた。

耐性がないのか烏李芽曹長は高角砲の手すりに掴まり嘔吐を繰り返していた。

「ウィッチ?どうしてここに、貴様は休息していたはずじゃ」

 

「友軍の弔いくらい手伝わせてください。申し訳ありません、私が不甲斐ないばかりに」

肉片を回収していたためか手首までを紅く染め上げ、少女は頭を下げた。

「……気にやむな。まだ艦は生きている。代わりにリバウ突入まで必ず援護してくれ」

 

「わかりました」

 

「そういえば扶桑語が上手なのだな」

 

「父が外交官でしたので」

その時初めて彼女が笑った。

「そうだったか。すまない。手を煩わせてしまって。まもなく夕食だ。戦闘配給になるが食べていってくれ」

正直私は食べる気にはならなかった。しかしここで食べなければ戦で力は出せない。食べるのも作業のうちなのだ。

「わかった二人ともあまり見てると食べれなくなるよ」

 

「僕もうお腹良い……」

 

「昼だって食べてなかったじゃん。烏李芽もロミーも無理にでも食べないと」

少女には辛いものだろう。かくいう私もアガリを迎え艦配属となるまでは彼女たちと同じ身であった。気持ちもわからなくはない。

 

運ばれてきた食事を手早く済ませ、電測副隊長の指示を仰ぐ。食事の味はしなかった。味わう暇も無かった。

 

 

間も無くして艦はリバウに突入した。その時刻二〇四四。

私は艦橋内部にある越後が元から設けていた方の電探室へ入ることとなった。

 

 

21号電探は高度の情報を測ることができず、また捜索範囲も狭いものだった。

しかし対空電探はそれしかなく、唯一の空を見れる電子の目であった。




航空母艦フォーミダブル

ブリタニア海軍所属
イラストリアス級航空母艦
基準排水量23,500トン

全長227m最大幅29m
飛行甲板229.6m×29m
機関

アドミラリティ重油専焼三胴式水管型ボイラー6基(3軸)

出力111,000馬力
最大速力30.5 ノット、

乗員1,200名
兵装
Mk Ⅲ 11.4 cm高角砲連装8基、
ボフォース40ミリ四連装機関砲8基
20mm機銃連装18基+同単装14基

装甲
飛行甲板:76mm

搭載機
55機

イラストリアス級航空母艦。
艦橋に被弾し艦橋要員が戦士し応急操舵において戦線を離脱するも、高高度からのネウロイの自爆当然の攻撃によりエレベーターに被弾格納庫内部で誘爆が発生し4時間後に沈没。奇しくも越後座礁の二分前であった。


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part0.3戦艦越後の最後3

完結


越後の電探室は二つある。一つは艦橋基部の装甲に覆われた司令塔の後方に直結する形で。もう一つは先程破壊されたマスト直下。

 

残ったこの電探室は畳10畳ほどの広さを持ち、その多くを電探機器が占めている。中にいるのは四名の電測員、と同数の通信士。

そして開いたままの扉からは操舵員以下航海科の要員が司令塔内で操艦を担当していた。

電探室は同時に無線室を兼ねており各部署の情報も一同にこの場所に集約される。

 

後部格納庫から引き出された零式水上偵察機と水上観測機が着弾観測のために離艦していく。

 

総員第一種戦闘配備。空襲警戒と対地攻撃備えのラッパ高々に響く。

 

リバウ突入。

それと同時に対空電探がネウロイの巣とそこから溢れ出る航空ネウロイを捉えた。

数は増えていく。それらと前進したウィッチ隊が交戦になり乱戦模様が電探に映される。

夜空を睨む見張り員も空で何が起こっているのかを必死に見ていることだろう。

それとは別に地上からの砲撃。ビームが巻き起こす電波の乱反射を21号が捉えた。捉えたものの対処することはできず左舷中央部に被弾。

金属が融解し爆発で近くの二十五粍三連装機関砲が吹き飛んだ。

一度右舷に傾いた船体が再び左舷に傾斜。素早く右舷バラストタンクへの注水が行われるも傾斜復旧ならず。

右舷側居住区画への注水を開始せり。右舷防水区画の左舷浸水区画と対称となる部位に注水し左右均衡を図るものだ。

 

連続した被弾に応急科員の死傷が多く、防水遮防作業困難となる。防水区画の一部に浸水する。

区画は全艦千百五十箇所に細分されて浸水を最小限に抑えるが水圧は徐々に非浸水区画境界の鉄壁にかかり浸水を拡大していく。これを防ぐため非浸水区画の内側より太い円材と布を当てて鉄壁を支え決潰を遮防する。これが応急科員の任務であった。されど喫水下への被弾が連続し浸水が拡大し隔壁が決壊。応急科の人員を飲み込んでいく。

それでも反対側の防水区画の一部に注水を行い少しづつ傾斜が復旧していく。

しかしそれは浮力を犠牲としたものでしかなく、喫水線は下り速度は低下していた。

ネウロイの巣までの距離35000m、主砲が発砲を開始した。腹の底から轟く砲撃。振動が伝わってくるけど高く打ちあげられた四十六サンチ砲弾がスコープに映し出される。

最初の試射弾着は1発が港湾設備に着弾。ネウロイの巣より手前でコンクリートの残骸と設備の一部を高く巻き上げるにとどまる。

着弾観測機の情報より直ちに射角修正。

大きな振動。体が跳ねあげられ椅子から転げ落ちた。黒煙が立ち込める。

艦橋のすぐそばに着弾した模様。詳細は不明。

地上からの攻撃。その正体ようやく判明する。巣を防衛する大型タンクのネウロイによる攻撃であった。その威力、三十六サンチ砲に匹敵せり。

 

90000tの船体が軋みを上げ揺さぶられる。まるで缶に入れられて殴られたかのようであった。

「電探故障!」

対空電探粉砕が粉砕された。蔽い迫る敵、ただ肉眼を以て対応するのみ。

水上電探は連戦で調子が悪くなったのか反応が良くない。

 

外の様子はどうなっているのかが気になる反面、爆音と弾雨の応酬に恐怖して甲板に出る勇気なし。

「無線も故障!誰か艦長に伝令を!」

致し方がなし、気が進まないが手空きなのは私だけであった。

艦内のラッタルを駆け上がり、十階分を駆け上がる。途中何度か足場が揺れて、転びそうになる。

艦橋に到着。

状況を報告するも張り上げる声途切れかけ。

被弾相次ぐ。左舷側の高角砲全滅。火災鎮火不可能。

報告次早に舞い込む。

 

後部航空機甲板付近に被弾。副舵故障。主舵だけでは船体の動きが緩慢となる。

「艦首バウスラスター始動!転舵0-1-0‼︎」

越後は湾内や港内での操舵性を上げるために艦首に貫通式のバウスラスターを搭載している。航行中はその効果は薄れてしまうが、副舵の代わりにはなる。

「予備無線室に切り替え!中継引き継げ!」

 

「対空砲各個の指示で攻撃!」

次々に指示が出される。しかし指示よりも入ってくる被害報告の方が多い。

後部艦載機格納庫にも被弾した。着弾観測機として飛び出した機体、帰る場所を失ってしまった。

 

艦長の指示が飛ぶ。

操舵員が操舵をしているのだろう。しばらくして艦橋から見える風景がずれた。

船体が大きく震える。

 

主砲再び咆哮。されど命中弾無し。

爆風被害で甲板から逃げ遅れた兵が吹き飛ばされ海に落ちた。構う者あらず、反撃と言わんばかりの砲撃。

陸地で小爆発が相次ぐ。航空ウィッチ達が地上砲火を幾ばくか破壊したようだった。

一部はウィッチを狙い空にビームを放つ。

ウィッチ隊の必死の攻撃は越後への被弾を幾ばくか軽減させ、応急処置の時間を与えてくれた。その中でも無線は一人の少女の戦果を伝え続けた。

 

しかしそれを聞いている余裕はすぐに消え去った。

ネウロイの砲撃が着弾。直線を描き飛んできたビームが水飛沫を上げ左舷側の視界を遮った。

 

 

 

遅れて衝撃が走る。艦橋の床が左右に大きくずれた感覚。聴力が一時的に喪失した。被弾は二発。一つは艦橋下方に命中、夜戦艦橋を破壊した。もう一つは艦橋基部に命中した模様詳細不明。元から残骸となった高角砲と機銃がいくつか吹き飛び赤く焼け爛れた金属が続く破壊の爪痕が艦橋窓からちらりと見えた。

 

同時にウィッチ達の防護をすり抜け飛んできた中型飛行ネウロイが水面下へ攻撃をしようと右舷より接近する。

 

雷撃機の如く少しの合間直進態勢を保つその間、目標の変化は上下だけに限られる。照準発射は容易ではあったが左右に稲妻型に反転突っ込みをかけてきていた。

これでは目標は上下だけでなく左右変化も大幅で、機銃のような単純な兵器の照準能力を超えてしまっていた。

無論高角砲や機銃指揮所の方で対処はしていたが、それでも夜間であり視界が限られて弾着状況は頗る不良だった。

五発の発砲毎に一発入る曳光弾で赤茶色の弾道と目標との交叉状況から誤差を確認、発射距離、角度を修正するも追尾できる角速度を超過してしまっており至近の弾着すら難儀状況だった。

当時搭載されていた九四式高射指揮装置は優秀なものであったが旋回速度が追いつけておらず始終照準が定まらなかったと生存した高射指揮装置の操縦員は言っていた。

 

また高角砲も八九式であり旧式化が既に始まっているものであった。

近接戦として搭載された二十五粍機銃弾の初速は毎秒千メートル以下。ネウロイの平均速力の僅か五乃至六倍に過ぎない。

斯くも遅速の兵器をもって行う曳光修正恰は素手で飛ぶ蝶を追っているようだった。

 

右舷側にビームが放たれるのと危険を冒して飛び込んできたウィッチの攻撃がネウロイを殲滅するのは同時だった。

ビームが右舷甲板に着弾し、二十五粍機銃の三連装砲塔が直撃、至近弾相次ぎ空中に飛散。最も高いもので三十メートルほど上に吹き飛ばされ、部品と銃身を撒き散らしつつ数回転して轟々落下。

身を置く場所としては修羅場であり 機銃員の死傷者数甚大。

喫水線に被害無し。されど機銃群に甚大な被害あり。

右舷側防衛火器半減。

機銃要員がのたうち回る。それらが波で洗われ紅く甲板を染め上げる。

「電探室、司令塔応答なし」

 

「操艦切り替え!第一艦橋にて操艦する!」

 

「ヨーソロー!操舵輪頂きました!」

 

「確認に戻ります」

敬礼をし再びラッタルを駆け降りる。

艦内のラッタルは夜戦艦橋の被弾とともに破壊され下は滅茶苦茶になっていた。仕方なしに艦橋外のラッタルで降りてゆく。火災煙をもろに被り喉が痛かった。火災の熱を受けて手摺熱せられし、掌を火傷する。

しかし飛び込んできた光景に手の痛みを忘れ呆然としてしまう。

 

 

電探室も司令塔も重装甲で守られた場所であった。しかし先程勤めていた時とは別の場所かのように変貌してしまっていた。

装甲はとけ、爆風と熱線が吹き荒れた室内は機材も人も焼け爛れ、爆風で叩きつけられた人とも呼べぬ塊が壁に押し付けられていた。それは司令塔の方も同じであり、圧死した人間の骸が転がっているに過ぎなかった。僅かに二名息のあるものが司令塔の方にいた。しかし彼らを救助する衛生兵の姿は見当たらない。

大丈夫かと声をかけるも肋骨と脚を骨折し自力での脱出は不可能であった。

 

被弾による断線が相次ぎ僅かに被害を逃れていた電球が切れた。

電源断絶相次ぎ必死の復旧作業が展開されるも主砲並びに主砲射撃を行う電源以外の復旧は放棄。電動兵器は逐次無用の長物と化する。

被弾の衝撃途端に増える。火災煙広がりどこで何が起こっているのかの把握困難。

状況を報告するため再び艦橋へ戻ろうとするも艦橋外のラッタル破損につき使用不能。上部との連絡通路絶たれる。

仕方なしに再び戻り負傷者を救護室へ連れて行こうとするもその頃には既に事切れていた。

艦橋横の見張り台へ出て戦闘の様子を眺めるもブザーが鳴り響き慌てて艦内へ戻る。

 

電源が回復した主砲が斉射を行った。

今までの砲撃とは全く違う腹を叩く衝撃と通り抜ける轟音。全てを吹き飛ばさんとする衝撃波で火災が吹き飛んだ。一斉に鎮火する炎。

陸地に今までの分をまとめて返すかのような爆発が生まれる。ネウロイの巣は未だ健在。越後全力砲撃。四十秒後に再びの斉射。巨艦越後の本気である。見たかネウロイと歓声が上がる。

徹甲弾、そして通常弾を交ぜた砲撃が巣を周囲ごと更地としていく。

 

反撃のビームが3本命中。煙突が破壊されるも越後は止まらない。手摺を掴む私の手も震えを隠せない。

一際大きい衝撃。体がついに投げ飛ばされ水飛沫が体を包んだ。

海面に叩きつけられた際息を吐いてしまい苦しみが大きくなる。

 

上下がわからなくなりもがき苦しむ。

やがて意識が遠のき死を覚悟した。死に方用意。しかしてこのような結末は望みたくなかった。

 

 

「気が付いたか中尉」

私はどういうわけか駆逐艦磯風に救助されていた。

海水を含んで重たくなった毛布が体に巻き付いていた。

 

 

あの時の衝撃は越後が座礁したものであった。体を支えていた手摺が折れ、放り投げ出されたわけだ。

私はその後漂流しているところをウィッチが見つけ磯風に連れて行かれたのだそうだ。

その他にも何十人かが磯風の甲板にいた。

遠くには燃え上がり崩壊したネウロイの巣とそのそばで炎上する戦艦の姿が親指大の大きさで宵闇に浮かび上がっていた。

その空ではいくつもの爆発が生まれ、いまだにウィッチ達が戦っている姿が見えた。

艦内スピーカー艦全体に通信を開く。

「最後の斉射を行し。ネウロイの巣壊滅せり、しかして越後は艦橋に被弾。通信途絶せり。戦闘終了、磯風は当海域を全力で離脱せよ」

ウィッチ隊の声であった。

「ウィッチならびに残る生存者は陸路を通りバルバロッサ本隊と合流を試みる。我に構うな、我に構うな」

 

それが実はアントナーからのものであった事を知ったのはブリタニアの港に帰港してからのことだった。

 




なお越後は戦後観光スポットとなる


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part 0.4試走篇

IF

 

「あの子?うん知ってるよ。話せば長くなる」

彼女は黒い悪魔と呼ばれたエースウィッチ。エーリカ・ハルトマン。

彼女の語りで全ては始まる。

 

 

 

おまけという名のRTA試走篇はーじまーるよー‼︎

 

今回は駆け抜けた空取得のために走った試走のうちタイムだけは最短(ワールドレコードではない)を見せていきます。

こらそこ、手抜きじゃないとか言わない。

 

本チャートは

正真正銘エーリカラスボスをした時のものです。

駆け抜けた空を獲得しない場合であればエーリカラスボスになった方が通常レギュのRTAではある程度までは早くなります。ただしエーリカとは相討ちしてしまう為デッドエンドか怪我エンドでのクリアとなります。

それに半年ほど前に別のルートでワールドレコードが更新されているのであまり走ることがなくなったルートでもありますね。

 

ちなみにルートとしては大して変わりませんが、僚機ちゃんではなく常にエーリカべったり反応兵器賛成コースで仲違いを狙います。

ちなみに501結成と非結成の大きく二つのルートに分かれますがこれは現状ではお好みでどうぞ。

タイム更新や新たな技でどちらが最短コースになるかはまた変わるかもしれませんからね。

 

今回はこのルートで駆け抜けた空が取得できないかどうか探るために走った試走です。

結論を言うと本編で採用されていない時点でお察しください。

 

 

 

チャート内容は本編を走った時とあまり変わりません。一番最初に少しばかり運要素が絡んでくるので当たりが出るまでリセマラするくらいですね19回目に出ました。

アントナー・S・ハル、1939年カールスラント空軍JG52のエーリカと同期同隊の仲良しっ子です。

ちなみに本家エーリッヒさんの初出撃は1942年ですがエーリカ1941年などから此方では1939年あたりにはJG52に配属し初陣を迎えているということになっているようです。

名物のロスマン追いかけ燃料切れというカオスな姿を見てみましょうか。

まあ早送りですし正直見ている暇ありませんけれどね。

戦闘終了間際に何故かロスマンさんから逃げるエーリカと合流します。近くにいたのでちょっと捕まえて動きを止めてあげます。

どこ見て飛んでるとかその手に持つ銃は飾りかとか言ってあげましょう。

というわけで基本の道中は早送り。

 

やることが大して変わらないからね仕方がないね。ちょっと違うのは本走と違いエセ伯爵とか言われる彼女との絡みがかなり多くなることです。

エーリカ以上に口数が少なく無口キャラとして通しておきましょう。それとこの時は走者が寝不足でよく墜落(とっても三回くらい)してました。その度に地上戦ばっかりやってます。

地上戦も楽しいから好きなんですけれどね。

途中で配置換えがありますがここで上司に抗議してエーリカとべったりしておきましょう。

ちょっと色々と手を使ったせいで上層部から睨まれていますが特に問題はありませんでした。ただし今回問題がなかっただけですので確率上20%ほどで左遷もしくは昇格無しのデバフが入る可能性があります。

 

ちなみにエーリカと撃墜スコアはプラマイ10以内に抑えておく必要があります。というかぶっちゃけこの辺りの調整はエーリカの僚機ポジにいるためのものです。

「君が小隊長やってよ」

は?はああああ⁇何を言ってらっしゃるの?阿呆なの⁈ガバなの⁈

 

なんでエーリカが僚機ポジ……まあ良いか(目逸らし)

バルクホルンに目をつけられる可能性が高くなりますが誤差だ誤差……確率さんお願いです余計なことしないでくださいなんでもしますから。

……とまあこんなお祈りしながら進めていきましたが結構後は順調に流れました。

欧州からガチ撤退しつつタスケラレナカッタナーカナシイナーと嘆いておけばまあ大丈夫。

 

道中で5%ほどの確率で発生するクリスイベントが発生しますがここはやはり面倒なのでクリスは原作通り意識を失ってもらいます。ただし放置するわけではなく(放置したら死亡確定)ちゃんと意識を失っている彼女を回収します。

 

バルクホルンには是非ともエーリカを妹に……

は?私に妹重ねないでくれます?ヤメテクダサイ、それに妹なら宮藤が適任でしょうが!

エーリカ助けて‼︎おいエーリカ逃げるな。バルクホルンの友人だろう妹役やれよオラ‼︎

 

 

ブリタニアまで下がったところでバトルオブブリタニア開幕です。

ただし空軍戦力の損耗が原作より大きく(大ビフ作戦のせい)ブリタニアのロンドンやポーツマスは爆撃で瓦礫になってしまいます。途中飛行船型ネウロイもいたしこれ絶対狙ってましたよね?

 

「トラファルガー広場はいかがしますか?」

「燃やせ。ネルソン像は倒せ。 ロンドン塔、大英博物館、大英図書館、全部破壊しろ。不愉快だ」

「タワーブリッジは?」

「落とせ。ロンドン橋もだ、歌の様に」

まさしくその通りになりましたね。これには笑顔の絶えない職場の方々も心の底からにっこり笑顔です。

 

 

その戦乱の最中各国から撤退してきた軍が一堂に集結しています。ここでミーナが501の結成を上層部に提案しました。

 

今回は501結成ルートを通ります。

ちなみに501創設までミーナとは全く面識を持ちませんでしたがバルクホルンに目をつけられていたためスカウトされた形となります。

まあ仕方がないね。というわけでここからは501で部隊評価を上げます。

チャート自体は昔からある定番のルートをとっています。まあこれも試走中にいくつか新しいルートが入ってきているんですけれどね。

 

501に入ってからも基本はエーリカ以外とは関わりをなるべく持たないようにします。

例外はシャーリーと坂本さんとペリーヌ。

 

シャーリーは好感度を上げておくことでロンドンへの足として使えます。まあ使わなくてもいい場合もあるのですが本走と違いミーナの付き添いをすることが無いのでシャーリーは必要です。それに早いですし。

 

 

坂本さんとペリーヌは宮藤対策です。坂本少佐が宮藤の育成をプレイヤーに頼むのは実は好感度が30以上50以下の場合です。それ以上の場合宮藤の教育をまかされます。育成と教育では行う内容が大幅に異なり教育の方は主に実戦で僚機としてついてこいするだけ。

さらにペリーヌの好感度を50以上にする事で手を煩わせるわけにはいかないとペリーヌが教育を代わると提案してきます。

なのでペリーヌと坂本少佐の好感度を上げておく必要があったのですね(メガトン)

 

というわけで三人の好感度を上げてから原作突入です。宮藤と坂本少佐を乗せた空母赤城とその護衛を救助しつつここら辺もあまり本走と変わりません。向こうと違い全キャラの好感度を調整する必要が無かったので淡々と任務をこなしていきます。ただしこっちも二回墜落し片目を最終的に失いました。髪も白い部分が増えています。

アイパッチで隠している姿地味にカッコいい。

 

 

 

そして人型ネウロイの話が上がり見事に宮藤が脱走。追尾を他のメンバーに任せてやってきたマロニー大将の相手をします。

「君達には云々というわけで501は解散な。OK?」

 

「OK‼︎ズドン」

……全権はミーナ持ちなのでそれまで待機していろと言っておきましょう。マロニーが逆に面白い気に入ったという目で見てきます。こいつロリコンだ。やばい警務科さん!こっちです!

 

で、501が見事に解散させられました。解散後はそれぞれ原隊に戻されるのですが、ハルだけはそのままウォーロックの護衛任務に就くことになります。

輸送艦からコンニチハしてるウォーロックって地味に可愛い。

 

 

 

今回は反応兵器搭載型のウォーロックは登場しません。

駆け抜けた空を取得するためにスパイとヤバい奴らに情報をリークして研究施設を襲撃させました。開発はこれで史実通り1945年となります。

「貴様は面白いやつだウォーロックの援護をやれ。アレはまだ未完成だ何かあったら困るからな」

 

「面白いやつだ気に入った殺すのは最後にしてやろう」

ちなみに悪戯で司令室に鎮圧化学兵器6号こと催涙ガスの爆弾を仕掛けておきました。

鼻水と涙を垂らして苦しむがいい。

この時仕掛けたやつで拘束するために突入したバルクホルンもダメージ受けたみたいですが誤差ですね。

 

ウォーロックの試験運用に先立って護衛として飛び立ちます。途中でウォーロックが暴走するのですがエーリカラスボスである場合暴走前にエーリカが単身決着をつけにやってきます。まあチャート上どうしてもエーリカの好感度は上がっていますし比較的高いままで裏切り行為をしているのと変わらないので言うてこのエーリカはヤンデレの気質が強い方です。まあ明るくて奔放なのは変わらないんですけどね。

 

 

こうしてウォーロック戦となりますがハルとエーリカがガチバトルしている合間にウォーロック暴走と赤城轟沈とイベントが詰め詰めされちゃいます。

空母赤城はどうあがいても沈没する定めなのだ。

赤城生存ルートは無い。

 

ちなみに今回は相討ちです。生存するためにはこれしか道はありませんでした。

一応エーリカ相手に勝利する事も出来るのですが(超面倒)その場合エーリカがガチで死亡するので普通に旨みなしです。しかもそこまで行くのがおどろしいほど大変なのでタイム的にただのロスでしか無いですし。

相討ちで落とされて地面に叩きつけられましたが普通に無事だし生きてます。

近くに落ちたエーリカと和解してイベント終了。同時にすぐそばにあったネウロイの巣も消失。ハッピーエンドっぽい終わり方ですがネウロイの巣の消失に巻き込まれなかった大型と中型が二人に襲いかかります。そこで立ち上がる二人が映り暗転するのでここでタイマーストップ‼︎

 

記録は4時間02分1秒14

 

まあこんなものやろ(テキトー)

試走の感想は、駆け抜けた空取れてないやんけ。

こんな感じでチャート構築は114514回を超える試走によって生み出されていくんやで。

ちなみにワールドレコードは3時間47分51秒4となっています。

というわけで今回はここまでおまけのご視聴ありがとうございました‼︎

 

 

 




C-97ストラトフレイター

運用国
リベリオン合衆国

開発会社
ボーイング

全長33.7m全幅43.1m
最大離陸重量79t

エンジン
プラット・アンド・ホイットニー R-4360 4基
最高速度600km/h
航続距離6920 km

B-29をベースに開発された巨大輸送機。積載貨物重量は40tを超え当時最大級の大型輸送機であった。
シリアルナンバー4042号機(B-29の改造機であり後3桁ナンバーは通し)はウォーロック輸送用に改造されブリタニア空軍所属として運用されていた。


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二走目
part 37 入隊?第502JFW 1


走り始めたので初投稿です。


はい、よーいスタート‼︎

 

おまけで走るコンテンツはーじまーるよー‼︎

走者再びの空。

ニ◯RTA wikiを確認しましたが、なーぜーかー先駆者様がいらっしゃらなかったのでレギュはこちらで決めさせていただきます。

計測開始はスタートボタンを押してからエンディング手前の暗転画面が出るまで。デスルーラは禁止。

 

えー前回501第一期のRTAを走り終えた後ですが、流れでやっちゃえということで502ルートこと欧州制覇の旅を素敵な仲間としていく物語をやっていきます。

この区間走RTAですがあまり走っている人は見ないので不思議なんですよね。

まあ思い当たる原因がない訳では無いんですよ。

 

502ルートは501一期を解放してから出ないとプレイできない。

502ルートで使えるキャラのうち501からの引き継ぎキャラと502で新たに作り直すキャラとでは前者がタイムは早いものの501ルートで育成するのは時間がかかる。

そもそもRTAとしては501一期→502→501二期→DLC(映画+RtB)

で全て通して走るのが通例なので502単体ではタイムが無いということが挙げられます。

(自身が異端児だとは言わない)

ですがせっかく前回のハルちゃんデータが残っているのでこれを使わない手はない。ということからちょっとだけ走ってみたら何かいい感じのチャートを組めてきたので走ってみました。

 

映像ではデータ引き継ぎを行いブレイブウィッチーズのOP(また飛ばせない)を視聴しておりました。

 

導入はそれぞれのキャラの引き継ぎデータや新規制作データによってそれぞれ変わっていくため同じ導入はほぼないとか言われています。一応パターンはあるんですけれどね。

「こんなところにいたとは、探したよ」

例えば大エースかつ軍を除隊している場合はこのようにグンドュラ・ラル本人がスカウトをしにくるところから始まります。

 

現在はどうやら自室にいるようです。経歴は牧師さんの庭師をしているそうな。

なんだろうこのHIT◯AN。

絶対この牧師さん死んでしまうん?とか思いましたが普通にこの牧師さん最後まで生きているようです。

 

▶︎よくここがわかりましたね

 降参します

 

上を選択してこのまま進めます。下だと軍法会議が待っているのでそんなの面倒すぎます。

「怖がるな。君への嫌疑は不問にされているんだよ」

ラル曰くもう一度軍に戻らないかと。給料面ではそれなりの優遇をしてくれるそうです。何このヘッドハンティング。

もう一度コマンドー部隊を再編成したい。君さえ良ければ……

この下りだな。

ちなみに軍法会議ルートも結局は無罪で済むという仕様です。何のための軍法会議だったんだ。

「君さえ良ければどうだ?502に来てみないか?」

 

 良いですよ

▶︎条件付きでなら

 一回きりです大佐

はいでは502ルート最短ルートを取るために真ん中表示を選択しました。

一番下はなんやねん。彼女少佐だし。筋肉マッチョマンにでもなるんか?なるんか⁈

上を選ぶと途中501グループと接触しててんやわんやしたり結構面倒な事態になってしまいます。

特にこのデータ最後がねえ。

多分一部キャラは好感度が初期値より高い状態と言うだけで病んできます。

 

では次に条件設定ですがこれはあらかじめ決めておきました。

この条件は502のウィッチではなく補給隊として。それも偽名でならやると伝えます。

ラルとしては戦闘員として手元におきたかったようですがこれは困ったというところでしょう。

ここでちょっと譲歩して空に上がるのも部隊指揮に徹するのを条件とすることで納得してもらいます。それでもダメと言うなら多少の訓練教官も良いと伝えます。

癖の強い子とかを言い聞かせられるならと言われました。

誰でしょうねー……十中八九菅野デストロイヤーでしょうけど。

 

「わかった。ではそれで行こう」

 

というわけで場面転換。間に入っていたムービーは残念ながらカットです。後で別撮りしたものを載せておきます。(データは試走のものなので蛇っぽい)

どうやらハルちゃんはパリ郊外の小さな家で生活していたようですが義手も整備の問題から普段は外してのんびりとした生活をしていた模様。

 

こんな少女に再び前線に立てってラルさん知らんぞどうなっても。

特に501メンバー。まあ知らなければ問題ない。エセ伯爵ことクルピンスキーがいますが意外と秘事は守ってくれます。

ちなみに裏話として補足しておくとラルはラルでハルを守るために手元におこうとしているようです。なんだかんだ命狙われていますからねハルちゃん。

 

特に反応兵器を推進していたブリタニア政界とかリベリオンの一部軍人。

 

 

というわけで何やら怪しい手を幾つか使って502の前線基地にやって来ちゃいました。

ちなみにハルちゃんの外見ですが501にいた時より銀髪面積が多くなっています。

なるほどこれならバレない?いやバレるやろ。

偽名登録作業がありますがレズ……じゃなくてマッコイ……でもなくてデフォルトのハルで決定です。

 

では早速ですが背後で基地の機能説明や各種機能の説明をメタ的に教えてくれている合間、皆さん暇ですよね。暇でしょ(強制)

なので〜みーなーさーまのたーめーにー……軽く502について解説していきます。

番号からわかる通り統合戦闘航空団として二番目に設置された部隊であり、501の成果に気を良くした上層部がなら東部方面にも欲しいよねと言うことで当初東部方面で活動していた各国のウィッチを集め司令系統を一本化したことで生まれたのが第502ブレイブウィッチーズです。

この部隊は第501部隊が主目標とする防衛部隊ではなく攻勢部隊であり長期遠征と戦線移動による転換を頻繁に行う部隊でもあります。

そのため構成人員は輸送科と基地防衛隊が最も多いのが特徴です。

(501は整備科と補給科がメイン)

ただし輸送科は地上部隊のみで航空輸送がまだ編成されていません。そこにぶち込むようです。

航空輸送科とはいいますが人員は私のみで特に何をすると言うわけではないので自由にやって良いとの事です。

自由にというので早速輸送機で物資買い出しに向かいます。

まず502部隊のみんなが必要とするリストを貰います。飛行機で後方へ向かい手配と品回収、そして帰投し物資を渡す。

これが基本の仕事になります。

もちろんストーリーを進めるためにユニットに乗ることもありますけれどね。どうですか意外と簡単でしょう。

 

 

というわけで1944年9月。既に主人公である雁淵ひかりが着任して二日ほど経っています。

もしやラルさんひかりの偽装とついでだからってことで偽装入隊させた?いやあり得るんだよなあ前科多いしこの人。

でははじめてのお遣いはラルのリクエストから。

扶桑海軍が雁淵孝美と一緒に送ってくれるはずだった食料品関係がゴタゴタでまだ港に止まってしまっているからとってきて欲しいそうです。

輸送機は各自で選べます。

 

港ということで今回は水上機しか選べません。まあここは速度全振りでと……

それじゃあ行ってきますねー。

ウィッチとして飛ぶのではなくパイロットとして飛ぶのは久しぶりですねえ。いやー案外大変ですよ。このゲームこういうところ凝っているので40年以上前のフライトシミュレータくらいの細かさありますので。

 

まあこの辺りは暗記して見なくてもできるようになりましょうね。チェックリストの確認作業が省かれているし滑走路端からスタートだからこれでも血抜きと内臓処理した魚みたいにかなり簡略化しているんですよ。なんで滑走路端でエンジン切っているのかはわかりませんが……

 

ではエンジンの始動が出来たので後は離陸するのみ。エンジンを全開に、フラップは全て下ろし車輪のブレーキを外したら速度計を確認して機首上げ。

 

一番早い方法は高度400で真っ直ぐ飛びます。高高度に上がるには時間がかかりますからね。

ただし帰りは海風と気流に乗せて燃費と速度を稼ぐので高度3000まで上がります。行きだけですよこんなの。

 

 

実際の地形より簡略されていますのでまっすぐ飛行していれば着きます。8倍速でぱぱっと飛ばしましょう。

 

 

はい到着。着水はそのまま海にダイブするように。結構荒技ですがこれが一番早いです。ただし入水角度を間違えて翼や底を破壊しないように注意しましょうね。

後びびって速度を無理に落とすと機体が傾きすぎて機体後尾をベリっとやっちゃうことがあります。

 

 

はい荷物受け取り完了です。空母蒼龍がすぐ隣にいるのでRTAじゃなきゃ写真撮ってた。

ちなみに蒼龍型は戦後カールスラントとガリアにそれぞれ売却されて余生を過ごしたとか。

ではではそんな空母を見ながら離水です。

離水するのが一番難しいって言われているのですがRTAとの相性は意外と抜群です。

とりあえずフラップ開いてエンジン出力上げて波を読むんです。

上手い感じに波に乗れれば一気に飛び上がれますから。ゲーム特有の謎物理法則舐めないでください。

 

 

後はそのまま上昇して気流に乗ります。だから行きはこの気流に逆らうので低空を飛ぶ必要があったんですね。

ちなみに帰ると基地上空でネウロイと空戦が繰り広げられていますが無視して着陸しちゃいましょう。

一応付き合って防護機銃で攻撃しても良いのですが時間の無駄です。これただのボーナスなのでさっさと着陸するが正解です。倒すなんて世界ランカーの方が輸送機縛RTAしていた時くらいしか見たことないし。いやーあれはえぐいですわ。出来なくはないですがやりたくはないですね。

 

というわけで今回はここまでご視聴ありがとうございました‼︎




ブローム・ウント・フォス BV 222D

開発国
帝政カールスラント
開発会社
ブローム・ウント・フォス

全長37m全幅46m

空虚重量30,715 kg
全備重量55000 kg

最大積載重量21000kg
エンジンJumo 213F(1750馬力)×4

最大速度390 km/h

航続距離6,100 km

武装
MG151機関砲2基



カールスラントが運用していた大型飛行艇。
主に陸上と海上を行き来するために作られており胴体下部に折りたたみ式の車輪を搭載している。水密区画があるため機内への引き込みはせず機外に設けた凹みに収納する。
この機体の武装は機種にパイロット操作のMG151を一基機体上部に手動旋回式のものを一基搭載している。
C型までは防弾版を機内にも張っていたがD型では搭載能力向上のためコックピット周りにしか貼られていない。
主に海軍と空軍で運用されており前者はその大規模な貨物ペイロードを生かし救難飛行艇、並びに磁気対潜装備や吊り下げ式集音マイクを搭載した対潜哨戒機として運用されていた。


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????1

推しが引退したので初投稿です


502JFWに意を決して飛び込んでまだ二日。昨日1日のタイムスケジュールと1日の予定表。そして配分された部屋と各種備品配給品の説明が終わったのが昨日。

今日から本格的に訓練が始まるはずだった。

その訓練はストライカーを履いて待機している最中に鳴り響いた空襲警報で中断になった。

「空襲警報!」

 

「無線は開けたまま!このまま離陸するわ」

幸い実弾射撃も行う予定だったから持ってきてる弾は全て実弾。一通りの戦闘はできるはずだった。

「離陸!通常の人達は2分後ろを追いかける形になりそうね」

ロスマン曹長に続いて離陸。高度を上げていく。雲を突き抜けて青い空の中に出た。ネウロイはまだ目視で視認することはできない。

「あれ?」

 

「どうしましたか!」

 

「水温が上がってる?ちょっと後ろの方を見てくれないかしら」

 

少し後ろに回ってロスマン曹長のユニットをみると、白煙が上がっていた。少しづつ煙が濃くなっていく。

 

「白煙が出てます」

 

「なら冷却水漏れね。仕方がないわ……戻るわ」

ロスマン曹長が使用しているBf109は液冷のエンジンを搭載している。エンジン冷却を冷却液という液体によって行うものでその冷却液が漏れているのだという。こうなったらもうどうする事もできない。

「わ、わかりました」

 

「BW3、冷却液漏れにより帰還する。ええ、多分ラジエーターあたりのパッキンが粗悪品だったのよ」

 

『ちょっと待て。ひかりはこっちが預かる』

反転しようとした私たちを呼び止める声がした。それはあの菅野だった。あまり仲良くはなれそうにないなと思っている人だった。

「菅野さん?何を言っているんですか」

 

「そいつの実力を確かめるんだ」

なんだか無線の向こうでも嘲笑っているような気がしたかと思えば、既に彼女はすぐ近くに来ていた。

「危険よ。まだ実戦なんて」

 

「どっちにしろこっちは実戦部隊だ。ここで使い物にならなきゃ意味がねえ」

言い方はムカつくが正論だった。それも命をやり取りするもの。

「……わかりました。ですが無茶をさせないように。怪我をさせるようなことがあればこちらの権限で貴女にそれ相応の処罰を下しますから」

ロスマン曹長がついに折れた。

「わかった」

 

「新入り、あんたがどれくらい使えるのか試してやる」

ニパさんはずっと困惑したままだった。明らかに菅野の独断専行。それでも対応するあたり本当にこの部隊はすごいところなのだ。

「ニパの後ろだ」

 

「えっと、急になんだけどよろしくね」

編隊飛行。だけれどそれはすぐに崩れ去った。

ロスマン曹長と別れて数分で、ネウロイの先陣と接触した。

その数は四つ。その後ろに中型のネウロイを含む編隊もいた。

 

「最初の四つ、そっちは後ろの二つとでかいの!」

真っ先に菅野が前衛の小型ネウロイ達に飛び込む。

 

「またそんな適当な指示……じゃあ私についてきて」

 

 

私達は後ろにいた中型のネウロイを含む編隊に真上から飛び込んだ。

だけれどわたしにはどこに何がいるのかよくわからなかった。ニパさんについて行くので精一杯なところがあったから。それでも一応攻撃はした。中型のネウロイはでかいからよく見えた。

 

だけれどなかなか落とすことは出来なかった。

 

少しして前衛のネウロイ達を片付けてきた菅野が合流してきた。

3対1数の劣勢を感じ取ったネウロイが回避行動をやめて基地に進路を変えた。無理やり飛び込むつもりだ。

 

 

「畜生とまらねえ‼︎」

中型ネウロイが加速した。それでも速度差はまだあった。だから一旦前に出て正面に回り込む。

菅野も同じことを考えていた。

だけど私は魔力量が少なくてあまり力を入れられなかった。だから偶然にも私達と菅野の攻撃は同時になった。

クロスファイア。だけれどそれが当たることはなかった。

爆撃ネウロイは動きが遅いなんて嘘だった。そいつは中型でかなりの大きさだったのに、エルロンロールで私達の正面攻撃を回避した。

旋回するネウロイの真下を通り一旦後方に抜け出る。後ろを追いかけてくるビーム、気を抜いたら死神が首に添えた鎌を振り下ろしてきそうな寒気がした。

 

「あいつ……」

「あ……あれ?」

ニパさんのユニットが急に調子を悪くした。速度が落ちて私の横を降下しながら旋回していった。私との接触を避けるためだ。同時に彼女は射撃位置につくことができなくなってしまった。

つまり射撃を行うのも射撃位置につくのも私と言うことになった。

 

「ッチ……おいお前!空戦の教本くらいは覚えてるよな?」

 

「え⁈覚えてるけど」

 

「ならついてこい!んで死なないで基地に戻れ!」

なんか無茶苦茶なこと言い出した。

 

今の位置はネウロイの後やや上方。ここから軽く降下してネウロイを上から左右に分かれて攻撃するつもりだった。

 

 

 

私と菅野の攻撃は確かにネウロイにあたった。だけれどそれはコアを破壊するには至らず右の翼を根本から破壊するだけだった。でも普通の飛行機ならそれだけでも素手のコントロールを失う。しかし相手はネウロイだ。バランスを崩して錐揉み状態になることもなく高度を下げながらも基地にまっすぐ向かっていた。

 

中型のネウロイはまだ進撃を続けていた。いや翼の部分がやられてバランスを崩したからそのまま飛び込むつもりなんだ。

爆撃ネウロイは基本地上に対して平行に飛ぶ。だけれどあいつはそれができないからそのまままっすぐ自分自身を質量兵器とするつもりだった。

ビーム攻撃ではなく質量攻撃。それもあの巨体ではかなりの破壊力があるはずだった。

 

こうなったらぶつけてでも止めないと…

 

 

 

『蛮勇を見せようとするのも良いが、その前に右に避けろ』

扶桑語だった。

「はい?」

 

無線に割り込んできた言葉。体を少し動かすと空気を切り裂く音が聞こえた。嫌というほど耳にした弾丸の飛ぶ音だ。

その直後、滑走路に向かっていたネウロイの背中の部分にコアが露出した。

チャンスだった。

咄嗟に銃口を向けて引き金を引いていた。

20ミリの曳航弾がいくつもネウロイに吸い込まれ、コアが破壊されその姿は爆発四散した。

結構いろんな方向に弾が飛んでいってしまっていたけれどそれでもなんとかなった。

 

「やった!」

 

『初撃墜おめでとう』

 

すぐ側を今度は巨大な質量が通り過ぎた。

また敵が来た!そう思った。だけれどそこにいたのは敵ではなくて巨大な飛行艇だった。

カールスラントの国籍識別表の上に箒に乗った魔女が荷物をぶら下げているシルエットが描かれた二式大艇のような飛行艇だった。

大きく違うのは車輪を下ろして着陸をしようとしているところだった。

二式大艇は陸送用の車輪こそあるけれど着陸はできない。

「あれ何?」

 

「カールスラントのBV222D型だ。倉庫に眠ってたやつ」

ああ、布をかぶっていたあれか。菅野の馬鹿にしたような言葉でもすんなりと頭に入ってくる。

 

滑走路に正対し、ゆっくりと滑走路に降りていった。

「やるねえ。空戦中なのに着陸しちゃったよ」

エンジン不調が直ったニパさんが戻ってきた。

「あ‼︎ネウロイが!」

見れば今までどこに隠れていたのか小型ネウロイが飛行艇に向かってまっすぐ急降下していた。数秒後には飛行艇を射程に収めそうな勢いだった。

「ヤッベ!止めねえと!」

菅野が飛び出した。

「ちくしょう間に合わねえ!」

 

『大丈夫だよ落ち着いて』

 

再び扶桑語。あの機体には扶桑のパイロットが乗っているのかな。

 

そう思考したのも一瞬。小型ネウロイがビームを放ったタイミングで飛行艇が急旋回をかけた。

地上での急旋回。片方の車輪が浮き上がり主翼端が地面と接触しそうになった。だけれど機体は傷つくことなく大きく動き、射線を大きく外されたビームは滑走路の土を巻き上げるだけだった。

攻撃が失敗したことを悟ったネウロイが急上昇で離脱をしようとする。そこに狙いをつける菅野と私。

 

だけれど狙いをつけた場所にネウロイが来る前に、ネウロイは飛行艇上部の旋回機銃によって撃破されてしまった。

 

 

上空のネウロイは全滅していた。

すぐに基地に戻るよう指示が出る。私が最初で次がニパさん、そして最後が菅野。

ニパさんは降りる時にユニットがオイル漏れを引き起こした。本当に運が悪いんだ。そういえばさっきも空で出力が落ちていた。もしかしてこの部隊ってユニット整備とかあまりしないのかな。なんだか菅野もニパさんもユニットがエースの使う専用ストライカーじゃ無いみたいだし。

 

 

 

地上に降りた時には飛行艇もエンジンを止めて駐機場に押し込まれていた。

フラップが戻され乗降口が開かれていた。

「こんにちは」

飛行艇から降りてきたのはたった一人だった。

私と同じか一つ上くらいの年齢のように見える少女。茶髪の先端が銀色になった少し変わった髪。どこかで見たことがあるような気がしたけれど思い出すことはできなかった。

 

「やれやれカッコつけたがりだな」

ラルさんは呆れていた。だけれど少し笑っているように見えた。

「そんなことないですよ」

 

ラルさんと話す時だけ流暢なカールスラント語。それ以外ではブリタニア語、そして私達との交信は扶桑語で。

不思議な少女がサングラスをしたままこちらに向き直った。

「紹介がまだだったな。今日から航空輸送を担当するジークフリンデ中尉だ」

 

「ラル少佐より紹介されました。好きに呼んでいいよ。後何か必要なものがあったら遠慮なくリストに入れてね。追加料金さえ払えばクレムリンだって持ってくるから」

クレムリンは流石に冗談だと思うけれど……

「ところでさっきの攻撃って……」

 

「私一人で全部やったよ。特に人員がいるわけじゃないからね」

 

「上部銃座まで移動したんですか⁈」

機体を急旋回させた後すぐにコクピットから銃座までつくなんて無茶苦茶だ。

「動線は確保していたし既に撃てるように準備はしておいたからね。そうじゃなかったら回避だけにとどめておいたよ」

そう言って彼女は飛行艇側面のハッチを開けた。中にはいくつもの箱が積み込まれていた。

 

背後でフラッシュが焚かれた気がした。

この時彼女を、基地に取材に来ていた記者が何枚か撮っていた。だけれどそのカメラはラルさんが没収して、しかもその記者も部隊随伴の戦場記録者として身柄を拘束してしまった。

そんなに見られたら困る人なのかななんて疑問だった。

 

「それと積み下ろしの手伝いしてくれる人はいるかな?一応持ってきたのは扶桑の食糧なんだけど」

疲労で体が重かったけれどみんなで1時間かけて積み下ろしをした。結構な量が機内に入っていた。あんな重たくなった飛行艇で空襲の中に飛び込むなんて度胸があるんだなあ。

 

 

 

 

 

「……ユニットの不調って多いのかな?」

 

「ああ、この前来たBf109とFw190D型の冷却液周りのパッキンが不良品でな。すぐに液漏れを起こす」

 

「そっか。一応後の機体は大丈夫?」

 

「サーシャが趣味兼任で整備しているが数も多いし何より部品の供給が最近滞りがちだ」

 

「地上の補給大隊はこの前大規模攻撃を受けて半壊したままだからな」

 

「物資に余裕ができたと思ったんだがなあ」

ラル少佐と中尉が何かを話していた。だけどカールスラント語だったからストライカーがどうとかという程度しかわからなかった。多分隊全体では関係のない話なのだろう。

 




紫電改

運用国
扶桑皇国

開発会社
山西飛行機



エンジン
ハ-45-12エンジン(誉21型)
離昇出力2200ps

ストライカーユニット紫電11型以降のユニット。紫電改という呼ばれ方をしているが書類上では紫電21型と呼ばれる。
これは兵器名称付与標準に基づき兵器採用前の試製機として「試製紫電改」とされたものの名残りであり呼び名自体は紫電改、紫電21型と決まっているわけではない。
紫電11型で問題となっていた速度と旋回性能を引き上げるため主翼の位置と構造を変更し全体の防御力や強度を変えず50kgほど軽量化することに成功している。また自動空戦フラップの改良により紫電よりも応答性が良くなっている。


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????2

牛乳配達の馬車が動き出す。そっと体を転がして馬車の下から出て庭の草むらに隠れる。

士官学校での新隊員教育以来だ。幸いあの時と違って地面は乾いているから服が汚れる心配はあまりしていない。

 

 

 

彼女が家に入る前にこちらも開け放たれている窓から部屋に入り込む。

そこはダイニングのようなところで小さな丸い机が置かれていた。

少しして彼女が部屋に入ってきた。銃を片手にそっと扉を開けて……

「軍は抜けても軍人はやめられないか、私はラル。覚えているか?」

 

こちらに敵意がない事を示してから彼女の様子を伺うと、警戒をあっさりと解いていた。たしかに私と彼女は知り合いだしなんなら私が率いている隊へスカウトしようとしたこともあった。

「ええ、覚えていますよラル少佐」

銃を下ろしてくれた彼女だがよく見るとその銃は弾が入っていなかった。単なるコケ脅しのようだ。

「今は中佐だ」

 

「でしたらラル中佐、よくここがわかりましたね」

 

「それなりにつてはあるつもりなんだ」

大半が民間の伝手だったがな。よく政府の目を掻い潜って1ヶ月もの合間身を隠していたものだ。まあ軍が本気で探していないという証拠でもあるのだが……

 

「それと、もう一人お前に会いたいって奴が来ている」

今の今までずっと笑みを変えなかった少女の顔が、驚愕に染まった。

窓から入ってきたのは金髪、そして人類最強の撃墜王。

「……こんにちは。久しぶりだね」

 

「エーリカ……」

村の入り口あたりでウロウロしていたから首根っこを捕まえて引き連れてきた。どうやら独力であそこまで調べ上げていたらしいその根性を気に入ってというのが表向き彼女を巻き込んだ理由だが軍服を着ていなくても彼女の面は多くの人が知っている。あまり騒ぎを起こされると何があるかわからないというのが本来の理由だ。

「待て待てどうして逃げようとする」

何故か逃げようとするハルを制止させるとどこかばつの悪そうな、悪戯がバレた悪ガキのような顔をしていた。

「いいよ。別に怒ってないから」

 

「怒ってない?本当ですか?」

 

「まあ、あそこで急に逃げ出したのは色々言いたいけどでも許す」

エーリカはやけに真剣だった。

 

 

「他にもハルが生きているってこと知りたい人は沢山いるけど……」

だがあまり教えられそうにはない。情報のコントロールができなくなるのはこういう些細なことからだ。

「生憎だが君は今狙われている立場に立っている」

私が変装をしてそこら辺の馬車でやってきたのもカモフラージュが目的だ。牛乳配達の馬車なら近づいても怪しまれない。無論基地からずっと尾行されていたのなら仕方がないがそのような気配は無かった。

彼女がこうして潜伏しているのはおそらく向こうも探ればすぐにわかる。私だってこうしてすぐに居場所を突き止めることができたのだからな。今までしてこなかったのはその必要が薄かっただけ。しかし今は情勢が変化した。

「ウォーロックの件ですか?」

 

「ああ、特に反応兵器の方だな」

 

「あれらは今までの組織の、国家としてのパワーバランスを大きく変えかねないものという認識だった。だが兵器の脅威というのは実戦で使用されてこそのものだ」

 

「なるほど、それで……」

ゴタゴタが収まりつつある今その原因を作った本人を標的とするのはまあわかりきっている事だ。特に彼女はウィッチだ。復讐心から抹消までは行かなくともおそらくウィッチ至上主義と絡めて謀略の道具にするに違いない。

「くだらない報復と思うな。奴等も必死なのだよ。面子の問題でな」

正直人の主義思想にとやかく言うつもりはないが実害が出るようでは口を挟むのも仕方がない。

「面子か……それで向こうがそれなりの行動に出ると」

 

「単純な話だな。それに今のお前さんは軍から見ても逃亡者と変わらない状況だ。軍に君の味方がいても表立って動けない。状況は悪いんだ」

 

「……そういうものですか」

 

「そもそも今のご時世じゃ人並みの生活をする場合すぐに足はつくさ。特にお前は目立つからな」

 

「目立つものでしょうか?」

いくら髪を帽子などで隠してもハルの纏う雰囲気は見る人が見ればわかる。そういう独特の空気を纏っているのだ。

「自覚がないのが恐ろしい」

「それで貴女の用件は?」

 

「そうだな、私が来た理由は……」

 

 

 

 

 

水上機から荷物を運び終えて全てのチェックを終えたハルは、どこか落ち着かない様子で視線を動かしていた。

「ははは、まさか飛行艇でネウロイを撃破するとはな」

少しくらいねぎらいの言葉をかけてやるべきだと思ってそう言ってみたが、ピンと来ている様子がなかった。

「地上への攻撃は機動が読みやすいですからね。雷撃機みたいに水平攻撃をするわけでもないですし」

さらりと恐ろしいことを言う。そういえばルーデルもそんなことを言っていたな。目標の方が勝手に照準に入ってくれるのだとか。

「そう言えるのは大エースくらいさ」

言わんとすることはわかるがそれは理屈の上での話だ。実際にそれを冷静に対処して回避、反撃を行えるなんていうのはなかなかいない。少なくとも私クラスのエースあたりだろうか。扶桑の軍艦は降下を見切って回避をするというがあれは例外だ。

それにしても飛行艇の方はあのような動きをさせて大丈夫だったのだろうか。外版にシワが寄っているように見えるのだが……どう見ても無理な動きで機体が撓んだ証拠だ。これは一度本格整備をしないとまずいな。

 

だが声をかけた理由はそれが主なものだからではない。

 

「ところでこのストライカーなんだが……」

格納庫の中に止められているそれはロスマンがさっきまで使っていたユニットだった。冷却液がパネルの隙間から溢れコンクリートに水溜りを作っている。幸い冷却液切れで部品が熱破損するということはなかった。さすがロスマンだ。教導隊にいるだけあって腕はトップエース級だ。

「……?」

 

「冷却液のパッキン。不良品という説明をしているが、実の所これらは細工されたんだ」

まだバラしていないが同時期にここに搬入された部品を先ほど調べたところよく見るとなんらかの不良が発生していた。小さいものだが出荷時に検品すればすぐにわかる不良だ。

材質による不良とは訳が違うのだ。

「細工ですか?」

あの部品は別の隊に向かう予定だったものの一部をくすねてきたものだ。その時の検品では確証はないがこんな傷は無かった筈だ。そもそも見てわかるような傷見逃すはずがないだろ。だがそれらがここに到着した頃には細工されていたというわけだ。

整備記録を確認すると整備したのはまだ経験がない整備士なのだろう。部品の欠損に気がつかず取り付けてしまっていたようだ。

「ああ、おそらくマロニー派の一部……反ウィッチ派の工作だろう」

心当たりがないわけではない。軍部の裏側もある程度把握していると自然とそういう情報は入ってくる。

特にマロニーを頭に担ぎ上げ、人間主導の戦力をという存在は飾り頭が無くなっても未だ大部分が顕在だった。むしろ頭がなくなって地下に潜り始めてしまったというべきだろうか。

まあ似たようなものにウィッチを主体としたウィッチ至上主義の一派もあるからどちらが正しいとは言えないがな。

「501がガリア解放を成し遂げたからですか……」

勘がいい。説明の手間が省ける。

「現在大規模な奪還作戦が計画されているのはここだからな」

ウィッチに活躍をこれ以上されると困るのだろう。こんな時に何を足の引っ張り合いをと思うがそれもまた人間らしい。全員が右向け右でも困るからな。

「……やれやれ、また面倒な」

だが同時にこの面倒なことは大昔から変わらずあった政争のようなものだ。

「まあ、貴様は気にするな。こちらでどうにかする」

 

「ところで、あの新入りはどうだ?」

そう、ハルをわざわざ呼んだ理由だ。

実は彼女の軍役はまだ有効な状態になっているのだ。本来なら不名誉除隊をするべきだが現状上層部のゴタゴタで罪自体が不問とされてしまったために休養中という扱いになっている。だがそれでは他の誰かが見つけてはまた戦場に戻されるかもしれない。ならばなるべく教官職に送り込みたいが教官は現在ポストが空いていない。暫定的に私の下で教育係をしてもらうことでなるべく戦火を遠ざけたかった。

それに教育が必要な子が偶然にも一人入ってきているからな。

502のメンバーが常時いれば彼女に負担を背負わせるということもないはずだ。

「根性はありますけどそれ以外は全然、後半年くらいは訓練させておきたいって感じです」

「それでどこまでいける?」

 

「半年あれば原石からダイヤモンドくらいには」

 

「大きく出たな」

 

「だが本人の意思でここに残っているんだ」

彼女が残りたいと言い出したことだ。その言葉に込められた強い意志を感じ取ったから私は彼女を戦場に残した。その判断を間違っていたとは未だ思っていない。いや、まだ判断はわからない。

「ならロスマン教官で十分ですよ」

 

「……ロスマンだけじゃ間に合わないかもしれないからな」

というより不安だからな。彼女は教導隊ではあったが今は実戦部隊だ彼女に何かあればひかりの訓練はできなくなる可能性が高い。その可能性を潰すためにも彼女の持つ技術と能力は必要だ。

「なるほど……なら一週間。基礎はなんとかなっているようですし魔力量が少ないというのはこっちの工夫でなんとかして見せます」

「それだけでいいのか?」

 

「本人の意思が固いならどんな過酷な訓練でもできますよね」

 

「違いないがあまり急ぎ過ぎるなよ。君が教育をすると変な癖ができるってミーナが言っていたからな」

それがどこまで真実なのかは解らないが……

 

「……善処します」

まあ変な癖と言ってもあまり気になるようなものではないらしいが。

失礼しますと一言言い放ち格納庫を後にする彼女は、どこか纏う雰囲気に変化が出ているように思えた。気にしすぎだろうか……確かに軽い変装で誤魔化しておいて欲しいとは言ったが……

一昨日まではあそこまでドライな空気じゃなかった。

「もしかして彼女……多重人格者か?」




試製紫電改2

開発国
扶桑皇国

開発会社
山西飛行機

紫電シリーズにおける21型改良の31型を艦上搭載能力付随型としたタイプの試作機
正式名称は試製紫電31型甲、通称はチドリ。
元々空母艦載機用としては紫電21型乙が製造されていたが、欧州での戦訓を元に自動消火装置並びに簡易夜間飛行補助器具、IFF敵味方識別装置などを搭載しエンジンのトルク配分を見直した31型が開発されていた。本機体はその31型を空母へ搭載できるようにした試作機である。主だった改装は21型乙と同じである。
また31型系列では部品の規格を欧州と共通させておることで外版以外のネジ部品や欧州製のエンジンなどを積載する事が可能となっており欧州派遣における整備性の向上を図っている。本機もその流れを汲むが艦載機用の構造は本機のみの固有のものであり共通化はされていない。


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part 38 入隊?第502JFW 2

 新米ちゃんを教育(二回目)するRTAはーじまーるよー‼︎

 

 走者が呼ばれた理由は物資輸送と新人教育の二本立てでしてこのうちの後者を今回早速やっていきます。

 新人教育が通常のミッションに組み込まれているのでひかりちゃんの練度を一定以上にしないとストーリーが進まない仕組みになっています。コード解析をしたジャパンニキ曰くコード書き換えRTAなどは出来なかったそうな。

 まあ仕方がないね。フルダイブゲームは基本的にプログラムという概念がありませんから。

 

 

 ではひかりネキ育成計画チャートを右枠に表示しておきます。

 ちなみに基本は空での空戦訓練がメインです。地上での訓練はロスマンさんに任せましょう。

 ここで重要なのがロスマンとなるべくエンカウントしないようにするということです。NPCの行動は内蔵されたアルコリズムに従って一定のパターンで動くようになっています。しかしそれではリアリティが出ないためプレイヤー情報を元に個別にランダム行動を引き起こすようになっています。これにより一人一人で若干行動が変わることがありますがそう大したことではないので通常プレイでは意外と無視されがちな情報です。

 しかしRTAではそんな運要素に直結すること知らないというのは致命的にまずい事態をひき起こします。

 例えば今画面で写っているように……写っているように? 

 あ……ロスマンに正体看破されるイベント発生しているやないか‼︎どうしてぇええええ‼︎

「貴女ハルでしょう」

 

 ストレートに聞いてきますね。お姉ちゃん怖いよ。

 一応こっちは尉官なので階級は上なはずですがウィッチ同士は階級感覚が緩いことが多いですからね。それに相手は教導隊です。新米育成をする人なので階級が上がっても頭は上がりません。

 

 正体バレ早くないですかね? まあ隠すつもりないんですけどそもそも隊長が身分隠させているんだからそれ尋ねるのはかなり首突っ込むことになりますよ奥さん。

 夫のエセ伯爵が泣いちゃいますよ。まあ冗談ですけど。

 

 

 そうですよ

 ▶︎ちがいます

 お前を、殺す(デデン)

 

 取り敢えず全力で否定を押し続けます。こうすることでロスマンの好感度を上げることもせずこのイベントを終了させることが可能です。

 ちなみに三回くらい聞いてきます。お願いだから今は黙っていてと泣き落としでどうにか場を収めました。これ以上時間を増やさないで。

 まあ20秒くらい誤差だよ誤差(焦)

 

 ちなみに伯爵は初っ端から身バレしているのでこのイベントは発生しません。ただし話しかけるを三回すると銀髪の長いカツラと赤い勝負服を渡されます。

 身長があればそこそこ似合うんですけどね。

 まあとりあえず何かガバがあったように見えたけどあれは問題ない何もなかった。

 

 とりあえずひかりネキの育成計画始めていきます。まずは自分についてくる事を最優先とさせめちゃくちゃな機動で振り回します。ついてこれないのは当たり前なので手を繋いでの飛行です。

 注意する点はこの時点で彼女の魔力量はかなり低く、どうしても長距離やエンジン出力にものを言わせた戦い方、シールドの出力や持続時間に難が出てしまいます。

 

 これらの克服は力の使い方を効率化させてあげるところにあります。

 まずは飛行から。

 とりあえずエンジン切って逃げ切れや。こっちは機材がないから零式練習飛行脚やで。というかこれしか選べないですし。

 もちろん武装なし基地の上空での訓練です。

 

 はい、たっぷり1時間振り回しましたのでそろそろ帰投しましょう。着陸も優雅に決めてこそのエースですことよ。

 まあタイムもあるので多少荒っぽい着陸になりましたが零式はそもそも艦上機なので何も問題ない。イイネ? 

 ブレイクウィッチーズの仲間入りなんてごめんですからね。

 

 

 

 ではここからは日常場面(勝手に命名)ですが最初の二回は格納庫へ向かいます。サーシャことアレクサンドラ・イワーノブナ・ポクルイーシキン大尉のところに向かいます。

 ちなみにサーシャはアレクサンドラの愛称です。名前と愛称がここまで一致しないのもまたオラーシャの深いところ。

 最初の四日までは彼女に話しかけても超塩対応されて好感度も何もあがりません。彼女の好感度上げが主に行われるのは五日後からとなるからです。

 そのためこの段階で話しかけることで時間短縮を図ります。

 

「何か用かしら?」

 

 手伝うよ

 ▶︎調子はどう? 

 必要なものはある? 

 

「あまり気分が良くないわ。朝から頭痛だったの」

 

 頭痛薬を渡すと好感度が上がりますがそんなことすればチャート構築がおかしくなってしまいのでここは水で濡らしたタオルを頭に押し付けおきましょう。

 それにしても頭痛なのにこんなところで整備のお手伝いとは大変ですね。

「攻勢部隊の宿命よ。ただユニットの不備は私達にとって命に関わるから面倒はある程度見れるようになっておかないと」

 

「機械いじるのが好きなんですよね」

 

「ええまあ……」

 

 はいこんな感じの会話を終えるともう夕食です。ですがラル中佐の配慮で食事時間はずらされているため食事の時は基本一人です。今回は高確率で下原定子がいましたね。基本はどこに行った。これでは応用が基本ではないか(確率)

 

 まあ話しかけなければそこまでではありませんが、実は下原定子と食堂でエンカウントすると初回はイベントが入りますちくせう。

 みんなが活躍している中であまり活躍できていないかも? そんなことないよ。

 そもそも活躍することが目的じゃなくて道中の過程を野外が見て活躍していると言っているだけだから。

 んー髪伸ばしてテレビから出てくればそれなりに活躍できるんじゃないんですか? 

 冗談ですよ。

 

 まあこんな感じで結構適当に返事しておけばOKです。

「なるほど……」

 

 それより飯だ飯! おら、あくしろよ。

 

 

 

 はい、おはようございます。

 では今日のミッションは輸送のお仕事です。

 サーシャさんが早速依頼を持ってきました。なんでもひかりを除く全員分のストライカーユニットの整備備品。エンジンの消耗品が欲しいのだそうだ。

 ついでだから武器もいくつか持って来れるのなら。

 おそらくひかりのチドリは来たばかりでまだ予備部品がたくさんあるから大丈夫なのでしょう。

 

 

 では今日は輸送能力に極振りした巨大機を使います。

 その名もアブロ ランカスターC.Ⅰ輸送機

 ランカスターをベースに作られた輸送機で自衛武装を撤去しているため最大積載量は驚異の12t B-29も真っ青な積載能力を持っています。これならストライカーの消耗品以外にも基地で必要となるものをたくさん売買できるねやったね。

 まあ商いは今回ほぼしないんですけどね。

 

 では早速エンジンをかけていきましょう。筋肉プレイをしている方なら筋肉式エンジン始動方法があるのですが流石にそんなことできるほどハルちゃんは強くないので普通にエンジン始動させます。

 無事にエンジンが始動できたら各種チェックとエンジンを軽く暖気させて、滑走路端まで管制官の指示で移動です。

 あ? なんかcautionのマークが出ましたね。

 

「空襲警報!」

 

 アイエエエエエ⁈ナンデ‼︎ネウロイナンデ⁈

 ネウロイの定期空襲です。どうしても早朝の離陸と重なるんですがこれをやり過ごしているとかなりのロスタイムなので今回は強行します。さすが最前線基地。ここから地上の戦線までも僅か750キロ足らず。わかってはいましたがタイムのためとはいえ空襲下での離陸は怖いですよ。

 

 ええいネウロイめ! 辞世のハイクを読め‼︎

 しかも今回は非武装なので、まあガン無視して真っ直ぐ飛ばせば良いだけですから。

 

 ではエンジンをフルスロットまで上げて……イイゾ〜コレ。

 このエンジンサウンドですよ。ブリタニアのエンジンは良い心地がいい。

 離陸後は素早く車輪をしまい上昇させます。荷物を乗せていない飛行機はかなり運動性が良いと聞きますがランカスターはそうでもありません。元の設計がどこか古っぽいのと武装撤去をしても重量が減らせただけで空気抵抗軽減の恩恵は大して受けていません。

 まあそんなものですから後ろから迫ってくるネウロイを離陸直前のランカスターは回避できません。

 

 ですが大丈夫、今日空に上がっているのはロスマンとクルピンスキー。早速ネウロイをボコボコにしてくれました。

 お、ロスマン教官とクルピンスキーが途中までエスコートしてくれるらしいですよ‼︎なんと親切に。これはありがてえ。

 前回の飛行艇と違ってこっちは完全に非武装だから攻撃されたらひとたまりも無いんだよなあ。

 

 それにコックピットの視界だとほぼ死角だから本来ならどこから敵機が来るかなんて分かりません。ただしパターンは決まっているので覚えておけば回避できます。

 例えば四秒後のマップA11地点からネウロイ二機が上から攻撃。回避のために左へ四度旋回します。

 こんな感じです。あと襲撃ポイントは一箇所で、これは前方からヘッドオンして通り過ぎたのちにウィッチを無視して左旋回で襲ってきます。回避するには急降下をかけます。

 地面スレスレの20ftまで降りればまあ良いでしょう。この高度では木々に衝突する可能性があるのでなるべく平原を飛行するようにします。

 

 はい空戦領域を抜けました。ここからはフリー飛行でささっと物資が置かれている街に向かいます。ついでなので自腹で色々購入しておきます。

 軍属から一旦外れていたため半分民間人扱いなんですよね今のハルちゃん。

 偽名ですし。なのでこうして軍事物資の現金購入が可能です。

 まあ現金と言っても軍票ですけどね。しかも流してくれる量は多くはありません。

 と言うわけで必要物資の受け取りと買い物という名の略奪を……

 ちなみに今回集める物は右側に出したリスト通りです。

 特に武器以外の下着や衣服といったものは重宝されます。官給品だけじゃこの時代女の子は辛いのよ。

 

 ではキリが良いところとなりましたので今回はここまで! ご視聴ありがとうございました‼︎




アブロ ランカスターC.Ⅰ
開発国 ブリタニア連合王国

開発会社
A・V・ロー社


全長:21.3m 全幅:31.2m 全高:5.01m

空虚重量:16,783 kg

乗員3名(操縦士、副操縦士、機関士)
エンジン
ロールス・ロイス マーリン60型エンジン4基
出力1705hp×4
最高速度
450 km/h
航続距離
4000km(貨物6000kg搭載時)
上昇限度
7800m
搭載貨物重量
最大搭載量
12000kg

ブリタニアが運用しているランカスター爆撃機をベースとした輸送機。
爆撃機型との違いは機体右側に大型の扉が設けられ、内部爆弾倉を撤去し広大な空間を確保している荷物スペースと直結させていることである。
また爆撃装置並びに武装撤去に伴い主翼端や機首の形状を変更。機首の爆撃手席や窓は無線と燃料タンクへ変更されている。
主翼下左右一箇所にパイロンを設け物を載せることも可能

一時期この機体をベースにブリタニアは反応兵器搭載機をランカスターB型シリーズからの改造で製作しようとしていた。


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????3

ラル中佐から専属で航空輸送隊兼訓練指導補佐要員という嫌に横に長い肩書きを与えたウィッチを配属することにしたと言われたのはそのウィッチが着任する僅か数時間前の事だった。

なんでもひかりさんの指導を行う事になる私の負担を抑えるためにため探し出してきたそうだ。

正直あの子の事を考えればここで一回心をへし折って覚悟を見極めるつもりだったけれど、ずっと定数割れを引き起こしウィッチ人数は3/4を満たす状態でしかない私達には、数少ない戦力である。だから手放すかどうか賭けるよりここで徹底的に扱いて兵士にしたい……隊長としての内心が透けて見えた。

「それで航空輸送隊はわかりますが訓練補佐とは……もしかしてアガリの方ですか?」

 

「プロフィールの書類の制作に少し手間取っていて今渡すことは出来ないのだが……まだアガリではない。少々事情があって原則的には戦闘以外の事に従事してもらうつもりだ」

 

「……承知しました」

しかしそんな人事異動をどうして本人到着の数時間前に言うのか。皺寄せというほどではないがそこそこ大変なのだ部屋割りとか食料とか給料とか配給品とか諸々。

 

 

 

しかし到着した少女を見た時、私は思わず隣にいたクルピンスキーと顔を合わせることとなった。

その少女は501部隊解散後に行方不明となってしまったあの少女にそっくりだったからだ。髪が伸びていて頬の傷など雰囲気は変えているつもりだろうけれど、彼女とは短くてもそれなりに付き合いがあった。それに行方不明になってからエーリカやバルクホルン達に色々と聞いていた。

感覚も体もボロボロになってそれでも飛び続けて……正直聞いているこっちとしては辛いものがあった。

 

「……」

 

「……」

 

その少女が目の前にいるのだ。一瞬ラル中佐に詰め寄ろうかと考え、クルピンスキーが既に中佐に詰め寄って怒っていた。いや一応上官なんだけど……

 

「君達には関係のない事だ。詮索を禁ずる」

完全に硬い言い方。それが本気であるという彼女の合図。掴みかかろうとするクルピンスキーの頭を押さえて強引に礼をさせる。あのままでは謹慎処分ものになっていた。

「承知しました……」

 

「……っ承知しました」

中佐が彼女を出迎えに行ってくるとその場を離れた。去り際にすまないという独り言が聞こえた。

「貴女らしくないわよ」

 

「いやーごめん。ちょっと頭に血が上がった」

 

「全く……それに戦いに引きずり戻したわけじゃないんだし……隊長にも隊長なりの考えがあるのよ」

 

「そう……だったね」

 

 

ひかりさんの着隊挨拶のようなものと同じで、少しして彼女も着隊挨拶が行われた。

夕食直前の時間だった。

 

自己紹介と着隊挨拶が手短に終わり、ずっとサングラスをかけたままの彼女は流石に注目の的だった。

だけれどどこか近寄り難いというか……ちょっと雰囲気も相まって怖いという印象を彼女を知らないみんなに与えていた。

そのせいかあまり彼女に話しかける人はいないように思えた。皆萎縮してしまっているのだろう。

 

「サングラスは……外さないのですか?」

ひかりさんが遠慮も躊躇もなくそれを尋ねた。

「すいません。昔から目の病気で羞明が酷いので」

 

「言葉遣いは丁寧なんですけど……なんだか組の人間みたいな……組ってマフィアの事です」

ホテルベルリンみたいなものかしら?たしかにエレオノーレ・シュミットの隣で警護してそうな感じするのだけれど……

まあ知っているのは私だけだから例え話としても通じることはないでしょうけれど。

 

 

 

 

訓練をするときの飛び方、明らかにあの飛び方はあの子のものと一緒だった。

やっぱりそうなのだろう。他人の空似という考えは元から捨てていたがやはりここまで来ると確証が欲しかった。

だから適当な理由をつけて彼女にひかりさんの訓練を行わせた。

 

彼女の飛び方には変わった癖があった。旋回中の脚の動かし方がそれだった。

独力で身につけたためなのだろう。

 

 

飛行を終えて戻ってきた彼女を私は問い詰めることにした。だけれど本人の意思は尊重したかった。なんのために偽名まで使いここに戻ってきたのか。それを聞きたかった。

案の定彼女は先にひかりさんを戻して、ストライカーユニットの飛行後点検を始めていた。

「貴女、ハルでしょ」

私が入ってきたことに気づいてはいたようだったけれど、私が何のためにここにきたのかわかっているような素振りで作業の手を止めた。

 

「……はて?なんのことです?私はニーマント・ジークフリンデ」

 

「そう、それで通すつもりなのね……みんな心配していたのよ?」

 

「……ハルはまだ行方不明です。ですがずっと行方不明というわけにはいきません。今はまだ帰ってくる時ではないだけです」

 

結局彼女は認めなかった。だけれどずっとそうしているつもりはないというのは伝わってきた。

結局、彼女は誰も信用できず孤独と戦い続けるつもりなのだろう。

それが彼女の選んだ道だったとしてもやっぱりその背中を押し出そうという気には中々なれなかった。

 

 

「そう……ならちょっと頬貸して」

軽く頬に手をぶつけた。軽い、水辺に石が落ちたようなそんな軽い音で。頬の肉が手を受け止めていた。

「……本気のお叱りはハルが帰ってきてからにしておいてあげるわ」

 

「……伝えておきます」

 

サングラスの向こうの瞳は何を見ているのだろう。

再び機体の点検に戻った彼女からは結局その答えは見つからなかった。

見つからなかったからちょっとだけ驚いた顔が見たくなって、私は彼女の点検を手伝うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

次の日の午後まで彼女とは顔を合わせることはなかった。カメラを返してもらったばかりの従軍記者の元ウィッチと午前中は取材をしていたようだった。わたしにもひかりさんの訓練教官という任務があった。

それが終われば上空警戒。

 

シフトの関係かあるいは使用するユニットの関係か私はクルピンスキーと組むことが多い。その日上がったのもやっぱりクルピンスキー。そして下原さんだった。

「輸送機が出るわ」

その言葉に下を見ると、四発の大型機が格納庫から引き出されていた。

飛行艇とは違う巨体と色。格納庫の奥で誰も使わず放置していたブリタニアの機体だった。

 

それを見ていると、基地全体に空襲警報が鳴り響いた。同時に無線機が何かを喋っていたがチューニングが悪いのか機材不良か上手く声は入らない。

 

「空襲⁈」

 

「レーダー管制室コンタクト」

少しして無線のノイズが小さくなった。

『方位2-2-0より接近するネウロイの編隊を捉えた。どれも小型のものと思われるが数が多そうだ』

第一報はそれだけだった。この野戦飛行場には固定式の大型レーダーは配備されていない。その代わりに8台のレーダーを載せたトラックがいてそれらが基地周辺で索敵を行なっていた。だけれどこれは出力が限られている。

「数と高度は?」

 

『近くのレーダー車両からの情報では数20から30。通信途絶により続報の詳細や高度情報は無し。今近くを飛行している雷鳥08にコンタクトを取り測定してもらう。今は高度4500で待機』

 

「アイコピー」

 

『雷鳥08より続報。敵ネウロイは100m以下の高度で飛行中。数は40ほど。後10分で会敵する。ウェポンフリー』

どうやら地上スレスレを飛行していたらしくレーダーが捉えるのが遅れたらしい。

電子偵察機も地上近くの物体を捜索するには地上から跳ね返ってくるレーダー波との識別が必要となる。

 

 

 

その個体が見えた。既にこちらも見つけているのだろう。一部のネウロイが上昇を始めていた。

散開。こちらの人数が圧倒的に少ない多対一での効果的な迎撃は結局のところ編隊を解いて自由に戦うということしかない。

近くの基地からの応援を期待したいが応援の情報は無かった。

 

何度かネウロイを空中で叩き落としていくけれど、段々と高度が下がっていた。このまま低空を飛行する攻撃隊を狙うことにする。

「落ちて!」

 

金属同士がぶつかる不快な音がして、ネウロイの黒い体が錐揉みで地面に叩きつけられた。

だけれど少しづつ基地との距離が近くなっていた。

他の仲間が緊急発進するまではまだ時間がかかる。整備中のユニットはともかく、冷え切ったエンジンを始動させるには暖機運転やチェックを行うため早くても20分はかかる。

空戦における20分は致命的だった。

さらに実際に稼働できる稼働率も今は一時的に低くなっていた。上空警戒を始めた時に動かせたユニットは予備含めて5機。そのうち3機は今戦っているから、すぐにあげられるのはあと2機。

 

そんなことを考えながら別のネウロイを追いかけていけば既にネウロイは滑走路の近くに迫っていた。

だけれど動きが鈍い。すぐに撃墜となった。

 

滑走路の端に出てきていた輸送機の側を通り過ぎた。

轟音を立てて四つのエンジンが巨体を動かす推力を作るためにプロペラを回していく。

その轟音が一瞬で後方に抜けていった。

ネウロイを追って低空に降りていた私のそばで、滑走路に出ていた輸送機が動き出そうとしていたのだ。

 

管制塔の無線が混線する。

『まだ間に合う。管制塔、離陸許可を』

 

『わかった。MF01離陸を許可する。そこにいると破壊された時に邪魔になるからな』

 

振り返ればブレーキが外され、機体がゆっくり動き出していった。

冗談だと思いたかった。だけれど彼女のことだ。なんとなく納得してしまう自分がいた。

上空で下原とクルピンスキーに抑えられていたネウロイが動く輸送機に釣られてウィッチへの興味を輸送機に変えた。

上昇中の私が抑えに入る。

MG151機関砲の射程に入ったネウロイからすぐに撃墜を重ねていく。

 

少しだけ体を捻って旋回。逃げようとする方向を予測して弾をばら撒く。

だけれど数が多く全てを迎撃することはできない。シールドでビームを防ぎながらネウロイ達の合間をすり抜ける。

すぐさま反転。天地がひっくり返り、ネウロイの黒い姿が再び見える。

 

距離も時間もなかった。焦りで手が震えた。

 

ネウロイが背後上空から襲いかかってきていたがまるで見えているかのように輸送機は攻撃直前の絶妙なタイミングで機首を振った。機体が左に旋回し、その機体のすぐ真横、何もいなくなった空間をビームが素通りしていった。

速度差でネウロイはそのまま上昇に転じて逃げていく。

 

 

だけれど私が狙うネウロイとは別方向から高速で接近するネウロイがあった。

その後ろにはクルピンスキーがぴったりくっついていた。

『まずい!追いつけない』

そのネウロイの進路上にはあの輸送機が

『そんなッ‼︎MF01回避!』

 

『見えているよ』

 

エルロンロール。大型機が大きくロールした。その少し前には左に軽く旋回をしているのだ。失速寸前の速度。翼が地面を擦るのではないかと不安になる。だけれど不思議と輸送機は墜落することなく姿勢を安定させ、上昇を始めた。

「うそぉ」

 

「輸送機なのに……」

 

さらに別の方向から飛んできたネウロイも、また同じように攻撃は空振りに終わった。

流石にドン引きとしか言えない感情が渦巻いた。

そんな私達をよそに再度攻撃位置に就こうとするネウロイ。だけれどそんなことはさせなかった。

もうこれ以上彼女には戦っていてほしくない。その思いがどこか心の中をよぎった。優秀な兵を育て上げる私がもう戦ってほしくないなんて考えるなんてね。

 

「やるねえ、どうやって攻撃見切ったの?」

クルピンスキーが輸送機の横についた。私も反対側につき輸送機のエスコートを始める。ネウロイは基地ではなく輸送機の方を目標に定めたようで、生き残りの6体が接近していた。

二人でそれらを片付けていく。

下原は万が一があった時に備えて基地上空に残るそうだ。第二波や低空を隠れて接近するネウロイがいるかもしれないし。

 

『簡単よ。わかるから……』

理由にならないというかかなりスピリチュアルな回答だった。

ただ、なんとなくだけれどわかるような気がした。単純に空に上がったら六分頭というように思考力が低下していただけなのかもしれないけれど。

 

『もうすぐ空戦領域を抜けるわ。エスコートありがとう』

 

 

 

「帰ってきたら一杯やろうな。だから美味しいジュース見つけてきてね」

 

「そこはジュースを用意しておくとかじゃないのかしら」

 

「いいのいいの。エスコートのサービス」

 

『わかった。見つけたら買ってくる。以上交信終わり』

 

 

空戦領域を離脱する輸送機は、あっという間にその姿を米粒のように小さくして視界から消えていった。

 




ニーマント・ジークフリンデ
プロフィール
年齢18歳
身長162cm
血液型O型
BWH 77 54 78

使い魔 雷鳥

所属
カールスラント空軍

一体何トナーなんだ。

アントナーの身長より5センチ、バストを3センチ、年齢を3歳盛っている。
厚底ブーツを履いているわけではない。
髪型も腰あたりまで伸ばして頑張ってイメチェンしたつもりらしい。

ラル「最初あいつはカボチャの被り物を被るとか言っていたんだが流石にやめさせた」


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????4

その日私はいつものようにストライカーユニットの整備をしていた。

 

戦闘指揮官に任命されている身ではあったが、ストライカーの整備状況がそれはそれは酷いものだった。それで思わず整備を手伝ってしまったのがこの部隊での私の立ち位置のようなものになってしまっているわけだった。

 

結局、こうしていることで思い出したくもない事を忘れていられる。それが一番大きかったかもしれない。

整備しているストライカー、そのメンテナンスハッチに人影が映った。

「……」

 

「あら、人がいたのね」

 

振り返れば、先日着隊した不思議な少女がいた。

ラル中佐やロスマンさん達と同じカールスラント空軍の軍服を綺麗に着こなした謎の多い少女。つけたままのサングラス、それが妙に似合っていなくて、なんだか入りたてのカールスラントマフィアを思わせるというのも頷ける。

 

「頼まれた部品を持ってきましたわ」

カールスラントの軍服で流暢にオラーシャ語を話されると違和感が恐ろしいまでに相手の印象を歪める。

そのせいか目の前の少女は一瞬にしてよくわからない少女へと変貌した。

さらにその背後には予備部品が入った箱がいくつも台車に乗せられていた。

「あら、オラーシャ語を話せたの」

 

「ええ、それなりに話せますわ」

どうしてお嬢様語なのかはわからないけれど、というかそれがさらにイメージを掴みづらくしているのは間違いなさそうだった。

 

 

 

 

「チドリを除くユニットの予備部品ですわ」

チドリ、扶桑から来た試験ストライカーユニットは専用の部品が必要ならしくバラしてみないとまだどの部品が必要になるのかがわからなかった。だから彼女にはそれ以外のユニットの部品を頼んだのだ。

「一応向こうにいた扶桑の山西の開発者に聞いてみましたが試験機なので予備部品と専用整備員は向こうで用意して送るそうですわ」

 

「ああ……えっと、ありがとう」

抜かりはないということらしい。

元々あのユニットは戦闘試験が終わったらすぐに代わりのユニットと交代するはずだった。それがどういうわけか……十中八九ラル中佐なのだろうけれど、ひかりさんのストライカーとしてここに置かれることになったわけだった。

戦力アップと簡単に言うけれどウィッチが未熟な上に事実上のオンリーワンな機体なんて整備性の悪化にしかならないということを分かっているのだろうか。

 

「手伝いましょうか?」

 

「手伝えるの?」

 

「まあオーバーホールまで」

意外であった。こういう整備は結局のところ男が好きとしていることが多く人々の意識としても女性が行うような事じゃないという風潮がどうしても強い。女性らしくとはよく言ったものだ。

「ならそっちの脚のエンジンを下ろしてくれるかしら?作業着と工具はそこの控室にあるわ」

 

すぐに着替えに行く彼女。一応同じ階級なのだけれど私の方がこの場では上にいた方がいいと判断したのだろう。

戻ってきたジークフリンデ大尉はどこか着なれた感じが既に出ていた。

しばらくユニットをいじる音だけが格納庫に響く。

 

「……やっぱり一個つかない」

 

「配電線ですか?」

 

「そうね、プラグ単体で火は出しているから配線かしら?」

 

 

「こっちセルモーター焼けてますね」

 

「部品取りから取ってきた中古だからそろそろとは思っていたけれど……やっぱりダメね。リビルド品にするから廃棄しないでおいてね」

 

「シリンダー欠けてますわ」

 

 

 

 

「よくそこまで整備できるわね」

改めて少女を見れば慣れた手つきで既にエンジンをばらしていた。

ここまで手早く出来るのはそういう経験が多いということ。半分趣味な私と違いそんなに機械に興味があるようには見えない。つまりは……

「撤退戦の殿ばかり務めていたので……」

 

「なんとなく察したわごめんなさい」

やっぱりそう言うことだった。

「いえ、隠すようなことでもありませんし事実ですので。そちらも相当苦労なさったのでは?」

 

「よく分かったわね……私も似たようなものよ」

 

「整備班もいない撤退する地上軍の直掩。燃料が切れたら畦道に強引に降りて燃料補給。ストライカーは共食い整備は当たり前。途中から片方は出力ゼロだったわ」

それでも生き残れただけマシだった。当初40人いた仲間は結局10人しか残らなかった。

そのうち一人は両腕を失い、もう一人は気付け薬でおかしくなって共に後方送り。その後の消息はわからない。

「どこも似たようなものですね。こちらも防衛線死守で連続出撃。基地要員まるごとすり潰されても戦うしかない。まああの時は概ねどこの状況もそんなものでしたわ」

 

「変わらないわね」

 

準備不足。言ってしまえばそれまでだったけれど、人類はあまりにも敵を知らなすぎた。

空からの攻撃は第一次ネウロイ大戦で効果的だと証明できていたが、ネウロイがそこに物量戦という概念を持ち込んだことでどこの国も防衛戦術の見直しを迫られることとなった。

 

元々航空機は数が限られることとあくまでも地上戦力の補佐でしかなく航空優勢は地上戦闘を行いやすくするだけという認識だった。

「結局ネウロイを見て航空主兵論が盛んになっていますけど、それが人員の消耗を早めている一端ですわ」

 

「……続けて」

 

「航空機主兵論は結局のところ物量戦を行い数の力で押しつぶすというだけです。相手がこちらを上回るほどの物量を持っていれば消耗戦にしかならない。去年あたりから航空機主兵論に翳りが見えてきたのもそれが原因ですわ」

 

なるほど聞いてみれば確かにそうであった。

結局大量導入でしか戦線を打破する事は難しい。航空戦力では地上戦よりもその傾向が顕著だった。

基本地上では防衛と攻勢で戦力差は変化するが戦力劣勢でも防衛戦で耐えるならなんとか戦力差二倍まではどうにかできる。

 

だけれど航空戦では戦力差二倍では防衛戦でも基地まで破壊されてしまい話にならない。特に開戦初期にはそのような光景がオラーシャでは多発していた。

 

オラーシャは国土防衛に縦深防御戦術を取り入れていたという問題もあったのだけれど。そもそもあれはネウロイ相手に効果があるかどうか眉唾であった。実際効果があったといえばあったのだろうが補給という概念が理解し難い方法で理不尽にも行われていたせいであまり進撃速度は低下しなかった。

それもあったのかもしれない。

 

特に個人の戦力が戦略に寄与しづらくなってきた今次大戦で個人が大活躍し英雄として祭り上げられるような戦争は終わるかもしれない。

 

そうしているうちにオーバーホールが終わったのか大尉はエンジンの部品を仕分けしていた。

かなり目立つ部品からネジまで使えないと思われるものが積まれていく。

「……早いのね」

 

「手先ばかりが器用になってしまったものでして」

「そう……これからも手伝ってくれる?」

 

「わたくしの手が空いている時でしたらいつでも」

 

「ありがとう。後その言葉遣いどうにかならない?妙に違和感があるのだけれど」

やはりここは言うべきだろう。

「そう言われましても……一応これでも貴族の分家ですので」

 

「本物だったわけね。まあいいわ」

 

結局貴族のようには最後まで見えなかった。むしろあれは完全に軍人であり戦いのプロにしか見えない。私達と同じ、その割にどこか甘い蜜のように人を惹きつける魔性が見え隠れしている。おそらくそれは魔法の一種。無意識に放っているそれは、普通の人には気づけない。

「……」

まあそれが悪いとは言えない。結局のところ本人次第であるから。

 

 

 

 

戦いで命を落とす少女、目の前でビームに焼き尽くされ分断された体が落下していく。

シールドごと弾き飛ばされ地面に叩きつけられて首が曲がらない方向に曲がって死んだ少女。

 

全て私の同期であり、部下であり、上官だった人達。

地上を逃げる一般人とそれを守ろうとするオラーシャ陸軍の自走高射砲。それらがビームで薙ぎ払われ、爆発の連鎖が人々を飲み込んでいく。

 

久しぶりに悪夢を見た。

再びみるようになった悪夢。呪いのようにそれが私の心を地面に引き摺り下ろそうとする。

空を飛ぶのがどこか怖いと思ってしまったらもう飛べなくなってしまう気がして必死に目を逸らしていた。その代償なのだろう。

 

生き残るのに必死で目を逸らしていた。結局どこまで行っても死は付き纏う。そしてそれは練度の低い者からと大抵決まっていた。

そして負担が大きくなり段々とベテランも落ちていく。

いくつもの目線が地上から私を見上げていた。光がなく虚に、目を開けたまま死んでいたいくつもの顔が私を睨みつけていた。

恐怖でしかない。そして彼女、彼らを殺戮し続けたネウロイを殺せと生き残ったなら殺せと私を追い立てる。

そうだ。これは贖罪だ。生き残ってしまったことへの……そして死んでいった者達の弔い。

 

そこでようやく目が覚めた。いやに鮮明に覚えている。未だ瞳を閉じれば瞼の裏に死んでいった仲間の顔が焼き付いている。

 

 

 

 

 

「それで……これは?」

朝食を食べ終わって気持ちもだいぶ落ち着いてきた頃、格納庫の方に大型の荷物がいくつも搬入されていた。輸送機から下ろされたもので誰が持ってきたものなのかは明白であった。

 

「物資輸送ついでに持ってきた。安くしておくわ」

ジークフリンデ大尉が箱の中身を取り出しながらそういった。

入っていたのは武器だった。それも20ミリ機関砲。そして弾丸は開発されたばかりの徹甲榴弾と硬芯徹甲弾だった。

どうしてそれをと思ったけれどそれよりも先に安くしておくと言う彼女の言葉に反応してしまった。

「待ってくださいタダじゃないんですか?」

 

「反抗作戦の集積物資から合法的に買いつけたのですわ」

さらっととんでもないことを言い出した。それは横領……あるいは横流しというべき事態ではないのだろうか。まあこの辺りはラル中佐もよく行っているからあまり強くはいえないのだけれど。

「書類上は我が部隊の備品とされているが……流石にここまでやるとはな」

荷物搬入を見届けていたラル中佐も少し呆れているようだった。

当たり前だ。正式配備が始まったばかりの最新の武器弾薬を買い付けで取ってきてしまうのだから。バレたらとんでもないことになってしまう。

「書類を少しくらい書き換えれば用意できますけれどもタダで使うというなら返却してきますわ」

 

結局払った。だけれど法外な値段をつけられたわけでもなく、ちょっとしたお小遣い程度でありその実かなりささやかなものだった。

実際酒保で酒を購入するのと大して変わらない程度であったのだ。

その結果、ブレイクウィッチーズ達が余計に増長してしまったのが玉に瑕なのだけれど……




MG-155G

20ミリ機関砲

世界初のガスト式機関砲。
駆動原理
2丁の機関砲がシーソー状のリンクで平行連結され、交互に装填と発射を繰り返す事で高速発射を実現している。そのため砲身が2本あり連装砲に見えるが2砲身で1門である。

ガトリング砲より軽量で信頼性があり連射速度を稼ぎながらもガトリング砲のように発射までのラグが無いため世界最強の機関砲とも言われている。
使用弾薬は徹甲榴弾、硬芯徹甲弾などを使用しネウロイの硬い装甲を食い破る事を目的としている。


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part 39入隊?第502JFW 3

走れ走者ちゃん!なRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

前回お買い物開始で終わったところですね。引き続きお買い物を楽しみましょう。

今回回るポイントは四箇所。

場所は街全体に分散しているのでRTA屈指のセンスと運が求められています。

空港に降りながらですが停止ポイントは駐機場に定められた駐機スペースに向かって直接降ります。

こうすることで滑走路から長ったらしい誘導で駐機場まで向かうシーンを全てスキップできます。

というわけで着陸。後はフットペダルで進行方向を調整しつつ駐機場に飛び込みます。

 

エンジンを切って着陸後チェックリストを消化。機体を飛び降りたら最初の目的地である空港隣のストライカーユニット部品集積場へ行きます1919。

 

本来は建物の中を通っていくのですが憲兵とか管理所を通過するのがロスにつながりますので外を行くことにします。風が気持ち良いゾ〜これ。

 

パルクールとか出来る様になっていると良いですが出来なくてもまあなんとかなります。

空港のフェンスはよじ登るのはちょっと辛いので確定で止めてあるトラックのボンネットと屋根を使って飛び越えます。

もしここのトラックより早いルートがお好みでしたらシールドを足場にして飛ぶこともできますよ。タイミングがシビアなんで安定をとっていますが。

実際RTAでシールドを足場にしている人って大抵二、三回ガバってるのでガバるならこっちをとった方が気持ち早かったりします。

 

 

 

では倉庫前に立っている将校に話しかけて依頼の整備部品を回収します。

502の依頼で持ってくるように言われているものは基本502への輸送待機と同じ扱いなので購入云々は発生しません。

しかしここから回る三箇所ではそうはいきません。お金を消費しつつ物品購入を行うわけです。本走はデータ引き継ぎのため問題はありませんがニューデータでこの区間をクリアしようものなら大抵は所持金稼ぎでぐるぐる回すことになりその分だけタイムに差がつきます。

だからみんな通しでプレイするんですね。

 

 

 

まずはトラックをパクリ……ゲフンゲフン。借ります。

倉庫横に止まっているトラックは自由に使っていいトラックなので何も問題は無いいいね?

キーだってかかったままですし。ちなみに始動する時は軽くアクセルを煽りながらセルモーターを回す必要があります。

 

ちなみに道交法なんてものは無いので歩道を走ろうが一方通行を逆走しようが問題はありません。

というわけでこの三箇所巡りの旅のコースはこのようになりました。

 

地図を見るとわかるのですが途中ショートカットが入ります。

では二倍速でどうぞ。

 

 

なんで等速にする必要があるんですかね?

はいショートカットかつかなりの難所にやってきたからなんですけど。

ここの坂道はガードレールなどがない上に傾斜緩和でかなりグネグネしているのであえてまっすぐ飛び降ります。

海外ニキはよくやってますが大抵真似すると頭から落ちるポイントです。安易に真似できないというか香港映画っぽいなとか思うこと間違いなしなものですが実はポイントはちゃんとあります。

まずは道から飛び出すときの角度と位置。

飛び出す角度は道路端に車体が垂直かつハンドル角はまっすぐにしておく必要があります。

誤差は左右でプラスマイナス2°と言ったところです。

そして位置ですが、最初のカーブ手前の土嚢で斜面が保護されている位置です。

この位置は他の斜面と違い土嚢分高さが確保されていてトラックの前方が地面とキスする前にタイヤの方で接地してくれます。ただし時速は50km/h以上でないと効果は発揮できません。手前の直線でギリギリまで加速する必要があります。だから荷物を載せていない状態でここに行く必要があったのですね。

 

 

車体が浮いたら後は祈りましょう。

ちなみにこれが後二回あります。車体が接地したらすぐに坂に向かって車体の角度を修正する必要があり大変です。まあシャーリーなら喜びそうですが。

あ、やっば速度が乗り切ってなかった。あかん、あかんて‼︎

 

 

セーフセーフ。

バンパーが擦れて歪んでしまいましたがまあ大丈夫でしょう。

後はサスが壊れていなければなんとでもなります。

 

 

では第一の目的地に到着です。

降りたら軍票で必要な物資を買い叩きます。ここは弾薬置き場になっているので貰えるものは弾薬です。

 

購入するのは20ミリ以上の弾薬です。一応M2と12.7ミリとかでも良いのですがあんまり旨味がないというか正直瞬発火力不足です。ありがとうございました。

M2は名銃なんだけど必ずしもゲームで優位かと言われたらそれは違うと言える。

結局上のサイズで20ミリとなるわけですがその中でもやはりカールスラント製でしょうか。

カールスラント製20ミリ機関砲は実の所各種弾丸が手に入るまさにチートな機関銃です。

通常弾、徹甲弾、破砕榴弾、焼夷弾、徹甲榴弾、硬芯徹甲弾、曳航弾

これだけ豊富な弾薬があるのなら大抵のネウロイはどうにかなります。

まさしく科学力は世界一。

というわけでオラーシャとかブリタニアとかロマーニャの弾丸は見向きもされず……倉庫の肥やしになってくださいな。

ま、悪くはないんですよ?カールスラント以外の弾薬もそこそこ高性能なものはありますしブリタニアと扶桑の弾丸は20ミリからトランジェスタを使った近接信管入ってますし。

でも結局は使い勝手なんですわ。20ミリの近接信管なんて直撃することはあり得ないので貫通力はほぼないし20ミリじゃ破片も微妙に少なくて有効打にならないんですよ。

その割に徹甲弾系の貫通力は低いし。

というわけでまた倍速。

この間気づいたのですが多分リアタイヤが一個パンクしています。プレイ中では気づかなかったのですが編集中になんだか振動が多いのでちょっと調べて確認できました。

まあタイヤの一個くらい長時間運転するわけじゃないので誤差です。

 

 

続いてやってきましたのは銃本体が置かれている場所。弾薬が置かれている場所のすぐ近くです。

弾薬と銃をどうして分けて保存しているんでしょうかねえ。

とりあえず先程カールスラントの弾を買ったから銃もカールスラントに置き換えましょう。正直弾薬共通化で他の銃器で使っても問題はないですが様式美というやつです。

ちなみに私の得意な武器は銃器なら全部。無誘導空対空ロケットは苦手かなあれは偏差射撃したって銃弾より初速がやや遅いしその上弾自体がでかいから風の影響とかで結構弾道特性がぐちゃぐちゃになるのではっきり言って要らない。

 

後は食料です。

こちらは嗜好品をメインにしておくのが良いでしょう。食料品の配給は一応滞りなく行われてはいますが酒保などで手に入れるようなチョコやビスケット、ジュースなど嗜好品に分類される食べ物、飲み物はどうしても不足しがちです。

悲しいかな軍は嗜好品は後回しになるのよ。ちなみにタバコと酒も普通にみんな飲めますしこちらも買えます。ルートによっては酒を使って酔わせて介抱するイベントがあったりしますがこれは少年少女たちも見るきゃっはうふふなRTAだから軍の暗部なんて見せられません。

 

というわけでチョコとジュースを購入して車に載せます。あくしろよ。

 

 

あ、そこの少女。だめだよ人のものとっちゃ。これあげるからどっかいきなさい。

しっし!

あーあ集まってきちゃった(キスギィ‼︎)

孤児は散った散った。明日を生きたいのなら孤児院に行くか軍に入りなさい。まあ適性があればの話だけど。

とりあえず君たち軍で使い潰される道を歩みたかったらここへ行きなさい。タイムに響くからね?

うん、素直な子達だ。ロスはしていないいいね?ロスした?辞世の俳句を詠め

介抱してやる。

 

 

 

とりあえず失った時間はすぐに取り戻します。

ちょっとオリチャーを発動させますがまずは基地に戻りましょう。

 

飛行機に荷物を移し替えたらすぐさま輸送機を動かします。

チェックリストと安全のしおりを読みながらすぐに輸送機を滑走路に持っていきます。

エンジンをフルスロットルにして速度が乗ったら機体を軽く持ち上げます。

次に車輪をすぐにしまって空気抵抗を減らし、急上昇します。

荷物重量でかなりゆっくりですがエンジン出力には余裕がありますし燃料は往路で半分使っているのでなんとかなっています。

おおお耳が痛い。

急上昇しているせいで気圧変化で耳がやられました。クッソ痛あ。

耳抜きクソ雑魚選手権に出たら堂々の一位です。

 

復路もあまり目立つようなこともなく平和な空の旅ができたので八倍速で飛ばしちゃいましょう。

 

502JFWよ!私は帰ってきたぞ!

 

502の配属されている基地に着陸するのですがここでもタイム短縮を図ってオリチャーしています。正直あまり意味なかったです。駐機場に突っ込むように着陸すると最悪止まりきれなかった時格納庫や他の飛行機と黒塗りの高級車してしまいますから。

ちなみに失敗したことはないので免許見せろは今回はなしで。

 

 

 

さて帰ってきたところ何やら基地全体が騒がしいですね(棒)

今日はミニイベントの日というのはあらかじめ決まっているのでやっていきましょう。このミニイベントからは逃れられない。

チャートにも組み込んでいるだけあってこれの回避術を私達はまだ知らない。

 

あ、ニパが落ちただけです。そこまで深刻ではないです。仕方がないので迎えにいきますか。え?珍しくクルピンスキーも一緒に落ちているって?これは1/1918514の低確率パターンじゃないですか。

どうせ墜落地点は決まっているので捜索するという面倒な手間が省けてくれるのが幸いです。

 

それに救助は地上部隊に任せつつこちらは空から探してみつけて無線で報告するだけの簡単な作業です。

扶桑のヘリが使えるようになると最前線への戦闘捜索救難とかいう本来なら専門のチームが必要となる仕事をすることができるわけです。

 

一応地上部隊ではあのエイラの姉さんの部隊がそれにあたります。空軍の航空救難団はまだ結成されていないので陸軍飛行隊所属になるんでしょうね。

というわけで今回はここまで!ご視聴ありがとうございました‼︎




ガリア国有鉄道

ガリア共和国の運輸省の下に設けられており実質的にガリア全土の鉄道網を所有している。
ガリア鉄道網は、6大鉄道会社と呼ばれる鉄道会社を中心に発達したが1930年代になって自動車ヘの大転換が行われ経営環境が悪化。1938年に国営会社1社を含む次の5社を統合し国有化した。
現在連合軍東部方面軍への物資輸送の半分を担っている。
本来はカールスラント国鉄が担うことになっていたが彼らはビフレフト作戦によって保有車両の約半数を損失しており輸送能力は大幅に低下していた。
ガリア国鉄は復興のために多くの車両が必要であったが政治的パフォーマンスのため放棄されていた車両や本土脱出の際に放置したものの破壊されずに残った多くの車両を強引に整備して使用している。


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????5

ま、待たせました


「いやあ、まさか僕まで巻き込まれるなんてね」

大破したストライカーを脚から外し最後に木から降りてきたクルピンスキーさんに頭を下げる。

こうなってしまったのも私のストライカートラブルと被弾が重なった結果予想外の方向へ体が吹っ飛んでしまったことによるものだった。

ネウロイの追撃態勢に移っていたクルピンスキーさんも反応が遅れ、無事私と接触。二人揃って墜落した。

「本当にごめんなさいクルピンスキーさん‼︎」

 

その上不時着した衝撃で私達のストライカーユニットは完全にお釈迦になってしまった。

整備工具も何もないこの場所ではどうすることもできない。

黒煙を吹いて機能を停止しているユニットを鹵獲されないように破棄。燃料タンクを破壊して燃やす。

外装のアルミはあっさりと溶けてエンジンと頑丈な骨格だけになった燃えるユニットが四つ。

 

 

「気にしないでいいよ。たまにはピクニックというのも悪くはない」

幸いにも私もクルピンスキーさんも運良く擦り傷で済んだ。落下地点が木の上だったからクッションになってくれた。

そのかわりストライカーは今目の前で燃やす羽目となった。

直撃を受けている私のストライカーは爆発で吹っ飛ばなかったのが不思議なくらいだ。吹っ飛んでいたら脚を失っていただろうなあ。

 

 

 

「一応墜落は向こうもわかっているだろうしともかく基地まで戻ろう。コンパスは無事だからなんとか迷わなくて済みそうだ」

 

私もよく森の中を歩いたことがあるけれどどうしても森というのは迷いやすい。道が整備されているならともかく木々によって視界が狭められて似たような景色ばかり続くと人間は方向感覚を失いやすい。

その上足場は人が歩くには不向きすぎる。こちらはストライカーを履く関係でブーツや登山靴のようなものは履けない。裸足なのだ。

 

 

「うわ、ここからは少し草原か」

 

木々と言う天然のカモフラージュが無くなる。時々森の中にはこうしてそこだけ剥げているかのようにポッカリと草原が現れることがある。大抵そこの土地の瘴気の量に左右されるからだけれど今はあまり好ましくない。ここらへんの空域はまだネウロイの制圧圏だ。

 

「上空警戒」

 

「了解。上空警戒」

 

残された武器……護身用の拳銃のセーフティを外して身構える。空から丸見えになっている状態は非常に危険だった。

そして案の定その危険はやってきてしまった。

風切り音が聞こえ、次の瞬間クルピンスキーが叫んだ。

 

「やっばい‼︎走れ走れ!」

 

「……ッ‼︎ネウロイ‼︎」

駆け出した直後上から嫌な音がした。自然の風とは違う荒い、切り裂くような風が吹いた。

 

草原までの距離と後ろから迫るネウロイの気配。素早く計算をしてネウロイの攻撃が地上を耕す方が先だとわかってしまう。

武器は拳銃とコンバットナイフのみ。射程にすら入れない。

死の恐怖が背中から迫ってくる、喉に死神が鎌をかけてきた気分だった。シールドで防ごうにも展開速度が間に合わない。

 

 

轟音、それと共に大型の機影がネウロイの上にかぶさった。

それに気がついたネウロイが攻撃を中止して急上昇に転じていく。

何があったのか私もクルピンスキーさんも後ろを振り返った。森まで後3mの距離だった。

その直後ジュラルミンの破片がそばに落下した。

 

ランカスター爆撃機……だけれど非武装。輸送機モデルだった。その左の翼端の外板がいくつか外れている。どうやらネウロイを翼で叩いたらしい。

左旋回してその輸送機は空域を離脱しようとしていく。

それをネウロイが追いかける。

執拗に攻撃していたのが嘘のようにネウロイはそれに引き寄せられていった。

 

 

「あれって!」

 

「間違いない大尉の!」

再び私達は走り出した。彼女は囮になってくれている。ならば早くこちらが逃げないと彼女が落とされてしまう。

 

 

いくつものビームが空中に線を描き、だけれどそのどれもが輸送機を捉えることはなかった。

機体をまるで避けるようにビームが飛んでいく。

大きくバンクをしつつ急激に機体が垂直になった。急激な失速でネウロイと輸送機との合間が急激に縮まった。

最後に見えたのは追い越そうとしたネウロイが不意に持ち上がった左の翼の端っこと接触した瞬間だった。

ジュラルミンが太陽の光を反射して空に輝いていた。

やや遅れてネウロイがバランスを失い地上に墜落した音が聞こえた。

だけれど輸送機の方も無事では済まないはずだった。

 

「……ッ‼︎前‼︎陸戦ネウロイ!」

 

 

木々の合間に潜むようにして黒い体と赤いハニカムの構造体が鎮座していた。

直前まで茂みで、それもやや明るい草原から森に飛び込んだから視界が対応するまで発見が遅れた。

 

それらが正面をこちらに向けようと動き出すのと、上から液体が降り注がれるのは同時だった。

森の中に撒き散らされる燃料につけられた独特の刺激臭。

上空を通過していく輸送機の両翼から、白くスモークのように燃料が漏れていた。

「ええい!」

 

咄嗟に手に握っていた拳銃を気化した燃料の雲に向かって発砲した。

十分空気と混ざり危険水準まで薄まった燃料の雲に、発砲時の高温を纏ったままの弾丸が飛び込んだ。

たちまち燃料が引火し、体積を何倍にも高速で膨張させていく。

 

爆風で体が吹き飛ばされ、クルピンスキーと一緒に木の合間を何回も転がった。

 

 

 

 

 

 

 

体が吹き飛ばされてから起き上がるまでにかかった時間は数秒だった。

幸い直ぐ近くにいたニパはかすり傷ひとつ負っていなかった。かく言う僕も特に怪我という怪我はしなかった。膝小僧を擦りむいたくらいだ。

 

陸戦ネウロイはその姿を半分ほど破壊されてはいたがそれでもコアは無事だったらしく木々を燃料として燃える炎の中で怪しく蠢いていた。

回復し切る前に直ぐその場から離れる。

幸いにして救助隊と合流できたのは十分後だった。

 

 

僕たちが毎度のように救助隊に回収されて基地に戻ると、ちょうど輸送機が着陸した直後だった。

ニパが顔を青くしながらその機体に駆け寄っていく。僕は……多分大丈夫だなっていう確証があった。誰かに不幸が訪れる時は首筋に少しだけ痛みのようなものが出る。だけれど今はそんな痛みのようなものはない。なら大丈夫なのだろうというわけだ。

「ひどい……」

 

 

一見無事に見える機体は左翼の端が吹き飛び、右側のエンジンも一機が黒煙をあげていた。

煙を噴き出すエンジンには既に消火剤が吹き付けられていて煙は細く薄くなり始めていた。

コクピット周りにも何かにぶつかった跡があるのか右側が押しつぶされたかのように破損していた。

それでも、案の定何事もなかったかのように降りてくるハル。その姿はラルに連行されるようにして司令部の建物に連れて行かれた。

 

 

 

機体は大破としか言えないほど壊れていたけれど、機内は驚くほど無傷だった。押し潰された操縦席を除くけれど。

 

機内から次々と下ろされていく武器弾薬に食糧、娯楽品。これほどの荷物を積載しながらもネウロイ相手に奮闘するなんて……

僕もできないことはないだろうけれど保って3分だろう。これほどの操縦能力にウィッチとしての才能まであるまさしく天才。

軍部もラル中佐も手元に残したいわけだ。

だけれどそれは命を削り続けるという代償をもたらす。頭が痛くなってくる。

 

 

操縦席に僅かに残った血痕。数滴ではあるけれど彼女は出血していた。でもさっきは外傷はなかった。なら……やはり無理な機動で体が壊れているのか。あれだけ無茶をすれば当たり前か。

「……やっぱりどうにかするしかないか」

 

だけれど彼女が素直にやめてくれるとも限らない。こちらの勝手な思い込みを押し付けるのは僕のポリシーにも反する。まずは彼女と話すべきだ。

 

 

ハルは15分ほどして飛行隊長室から出てきた。

 

 

 

「また絞られたのかい」

萎れた様子もなく、サングラスで目元を隠したままの彼女は小さく頷きながら苦笑した。

「説教は受けたけど五分くらいだった」

そのまま鼻を押さえて廊下を早足で歩く。鼻を抑える手の隙間から赤黒い液体が見えた。

「トイレかい?鼻、血が出ているよ」

ハンカチを渡せば慌てて鼻を押さえた。布に赤いシミが浮かび上がった。

「あはは……ちょっと無茶しちゃったから」

 

「そこまでしてどうして、戦場で暴れるんだい?僕が言ってもあれだけどもう戦うのを止めるべきだと思う。たしかに戦況は苦しいけどでも確実にネウロイは追い詰められているはずだ」

流石にボロボロの体のまま放っておくわけにはいかない。

「一時、戦うのを辞めました。気持ちを整理させたかったから」

 

「ならどうして……」

 

「戦うのを辞めてからずっと悪夢を見るようになったんです」

 

「悪夢……」

 

「夢の中で、私が助けられなかった人達が、私が手をかけて殺した人達がネウロイと一緒に襲ってくるんです」

 

「ブリタニア空軍のジェシィって子……アフリカ前線で僚機として一緒に飛ぶことが多くて、兵役が終わったら故郷で絵描きになるんだってよく絵を描いてもらっていました。私も絵が描けたから色々教えてもらってたんです」

彼女の話は終わらない。

「いつも通りの空襲で終わるはずだった。だけど大型ネウロイが強襲をかけてきて、彼女、格納庫で緊急発進の準備をしていたんです。そこにビームが直撃して……」

 

「でもまだ生きていました。下手にシールドを貼ったみたいで手足がなくなって白い肌が真っ黒に焦げていたのに…それでも生きていたんです」

 

「彼女、なんて言ってきたと思います?殺してって……」

 

「それで楽にしてあげたのかい」

手のひらが汗で濡れていた。

「ええ……その子もよく悪夢に出るんです。でもこっちに戻ってからそれが一切なくなったんです。だから、その点ではラルさんには感謝しています」

 

「君は……」

 

「多分終わらないんですよ。ネウロイを駆逐し終わるまでずっと……だから私は戦場にいるんです」

勝手に勘違いしていた。あれ以降行方をくらませたからきっともう戦いたくないのだろうって思い込んでいた。

彼女の戦いはまだ終わっていなかった。

 

「無茶は……無茶だけはしないで」

 

「分かってますよ。このままじゃ死んでも死に切れません」




多分続く


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走者はPSV7時代からストパン全作品やってる狂者


冬の嵐が近づいていた。

 

基地の上で派手な飛び方をしていた輸送機が地上に降りた。

どのようなパイロットが乗っているのか気になりカメラを構えたまま近くに行けば、コックピットから降りてきたのはひとりの少女だった。

日の光が彼女を祝福しているようで、私は思わずシャッターを切った。

ファインダー越しに彼女は少し微笑んでいた。

 

その写真は隣にいたラル中佐にカメラごと取り上げられて、歴史の闇に葬られた。

 

カメラが返ってきたのはその少し後で、同時に私は第502戦闘航空団専属の従軍記者となるように言われた。

私としては願っても無い幸運だった。

そう思えたのはほんの一瞬で、攻勢部隊であるが故に固定の基地を持たず直ぐに移動する部隊に随伴するのは流石の元ウィッチでも辛いものがあった。

常に余所者であると言う感覚から解放されず、基地の中で厄介になり続ける。

記者になって日が浅い今だから私は大丈夫だが隊員には目に見えないストレスが溜まっているはずだ。

 

しかしその事を訴えるにしても報告するにしても従軍記者は準軍属の立場となり自由が一部制限される。

 

 

 

1944年

私は部隊専属の輸送隊に同伴して移動している。

ある意味では私を502に縛り付けることになった元凶のようなものだったが、現役ウィッチにして輸送機を操る彼女と話しているうちにそのような被害者意識などはどこかに消えていた。

 

気さくにブリタニア語を操る少女と私だけの輸送機の中は、広いのかと思っていたが大して広くはなかった。私が座っている航法士席の後方、貨物室は武器と弾薬を満載しており足の踏み場もなかった。

目の前の操縦席に座り重たい輸送機を操る少女は時々故郷ブリタニアの事を聞いてきた。

実のところ生まれも育ちもロンドンである私はあまりブリタニアの他の地域の事情に詳しくはない。取材のために全国を渡り歩いたことはあったがあくまでも取材の一環であった。

その上ロンドン空襲で新聞社の本社が破壊されてしまいこうして戦地に近いところで取材をし続けることになっている。

気づけばそのような愚痴を漏らしていた。

「随分と揺れますね」

 

「乱気流の近くを飛んでいますから。もう少しで抜けるはずです」

 

コックピットの窓に目線を向けると、左側に大量の雲が浮かんでいた。それが乱気流というものだった。その乱気流の中に赤く輝くものが一瞬見えた。

 

少しして無線が騒がしくなった。それと同時に少女がエンジンのスロットルを押し込んだ。

機内に響くエンジンの轟音と振動の四重奏が一際大きくなった。

「どうかしたのですか?」

 

「ネウロイ接近。戦闘に移ります」

 

「ネウロイ⁈」

さも当然のようにネウロイと言うが、それと戦う術を持たない機上とあっては恐怖の象徴のようなものだった。だけれど当のパイロットは全く動じることもなく、その恐怖も幾分か和らいだ。

「写真撮りますか?それならそこの屋根に観測窓がありますよ」

 

「気楽に言ってくれるじゃない」

それでもネウロイの今の姿を見るチャンスでもあり、恐怖を押し殺し航法士席のにある観測窓から外を覗いた。

上空にはいくつもの白い線が浮かんでおり、それらが交差してはネウロイの爆発が小さく見えた。

カメラを構えていると、扶桑のウィッチに追いかけられたネウロイが真上を通過した。

咄嗟にカメラのシャッターを押し続ける。機体が激しく揺れて白い模様が描かれた景色が大きくずれていく。

 

大きく揺れ動く機体、ネウロイの姿が観測窓から見えた。

背後に回り込もうと旋回をしているようだった。小さなエイのような見た目をした個体だった。その後尾には垂直尾翼のようなものも作られていた。

 

「後ろにつかれた。回避する」

 

旋回していた機体が大きく跳ね飛ぶような動きで横に動いた。立っていられなくなり転倒しかけてしまう。

「座席に座って!」

 

「わ、わかった‼︎」

世界がひっくり返る。

コクピットには真っ赤な閃光が見える。だけれど不思議と機体に被弾した振動は聞こえてこない。

後ろから攻撃されているのにそれを見切っているようだった。ビームの熱がここまで伝わってくるようだった。

 

直掩が割って入ったのか急に攻撃が止んだ。機体の大きな揺れもおさまった。

戦いは急速に終息していった。

不思議なもので時間の感覚を忘れていた。

少しして基地が見えてきた。あまり大きくはない前線基地。しかしそこには他の部隊も到着しているようで滑走路の周囲は騒がしいように見えた。

整備中の戦闘機やストライカーユニットがそのように見せたのだろう。

 

一本の滑走路の左右に並ぶいくつもの航空機とユニット。基地全体が意志を持つ戦闘兵のようだった。

 

 

 

 

502の中で最も最初に降りるのがこの機体だ。非武装で荷物を乗せた輸送機などいつまでも空にいるわけにはいかない。

未舗装の滑走路に降り立った機体が砂を巻き上げ小刻みに揺れるのを感じながら、死の恐怖に纏わりつかれていた事にようやく気がついた。膝が震えていた。

「エンジンのチェックをしておくから先に降りていて構わないよ」

 

そう言いながら計器に視線をむけ続ける少女を、私は何枚か撮っていた。

 

 

 

 

 

 

輸送機を操りネウロイの攻撃を回避し続ける少女。ウィッチだからというのもあるだろうがそれでも神業染みている。

しかしそれは彼女にとっては日常のようなものであり、いつのまにか私も慣れてしまっていた。アレはそういうものなのだと思えるようになるほど、彼女はネウロイ相手に輸送機で優位に立っていた。時には単独での撃墜記録すらあると言う。

 

そんな少女は、ここに来るまでの経歴が全くの謎だった。元ウィッチであることに変わりはないのだがアレほどの動きができるのはエースウィッチくらいだ。そう何人もいるものではない。

 

 

少女のことが知りたくなり話を直接聞いてみることにしたのは、ロスマン曹長に少女の事を尋ねた後になってからだ。どうにも少女の話をすると悲しげな顔をする。

その理由を知りたかった。

 

「私のことが知りたい?502のメンバーじゃなくて?」

他のウィッチの子たち同様にその少女にも個室が与えられていた。

部屋に響く少女の声はどこか悩んでいる様子だった。

「ええ、是非とも教えてほしい」

 

「……軍機もあるからしゃべれないことが多いと思うけど……多少なら」

そう言って彼女は小さなレコードプレイヤーを持ってきて音楽をかけ始めた。それは私もよく知っているクラッシックの曲だった。

「最近音楽も好きになってきてね、お気に入りの曲も出来てきたんだ。特にこの人のは気持ちが落ち着くんだ」

 

「それで私の何を知りたいのかな?もちろん謎は謎のままの方が良い事もあるかもしれないけれどね」

それもそうだろう。記者として働き始めてから公開しない方が人々は幸せでいられる情報というのがたくさんあると言うことを知った。だけれどそれでも好奇心は刺激されてしまうのだ。

 

だから私は彼女に尋ねようとした。そのタイミングを測ったかのように基地にサイレンの音が鳴り響いた。

「ああもう‼︎空襲警報だ」

 

 

 

 

少女が走り出した。

外を見ると戦闘機とウィッチ達が一斉に滑走路に向かっていた。

 

その中には502のメンバーもいた。あのラル中佐も空に上がろうとしていた。

その時に離陸したのは基地所属のカールスラント空軍第312航空隊ウィッチ一個中隊。そしてブリタニア、リベリオン混成の連合軍第108戦闘機隊一個中隊。連合軍第502統合戦闘航空団の6人だった。

 

空襲は今まで502と共に移動してきた中で最も熾烈なものとなった。

冬将軍到来を前にして持てる戦力の大半をネウロイは投入してきたらしい。

非戦闘員として退避した防空壕の中では司令部と直通する緊急電話がずっと怒鳴り声を上げていた。

 

そのうちに基地全体が騒がしくなり銃声と爆発音が基地に響き始めた。

地上基地での空襲は2回体験したことがあったがその時とは比べ物にならないほどの激しい音と揺れが襲い掛かった。

 

爆発音が遠いうちに防空壕から出て外の様子を見れば、滑走路の端っこでビームと機銃が交差していた。

 

 

 

何度目か防空壕から出て空戦の写真を撮っていると、爆炎と黒煙が半分以上覆っている滑走路にウィッチの影が見えた。

 

直後後方の私がいた塹壕付近にビームが着弾した。土がめくり上がり、爆風で体が飛ばされた。

幸いにも土の上を転がっただけで済んだ私は、誰かに首根っこを掴まれて別の防空壕に連れ込まれた。そこは対空戦闘時に航空管制を行う半地下構造の施設だった。

 

 

『こちらレイブン1、離陸します』

聞き慣れた声。あの少女の声だった。ストライカーユニットを履いた彼女は飛び出そうとしていた。

「ダメだ。ラル中佐に止められている。離陸は許可できない」

無線機を持つ航空管制官の声に、怒鳴り声が重なった。

『そんな悠長なことしてたら基地が吹っ飛ぶぞ‼︎基地上空で迎撃するだけだ‼︎』

既に構えた重機関銃を空に向けて撃っていた。

 

「……離陸を、許可する。だが基地上空での迎撃に専念しろ」

 

了解とカールスラント語が聴こえて、防弾式の窓ガラスから見えていた彼女の体が動き出した。ストライカーユニットの爆音が戦闘音に負けないくらい大きく響いた。

空に上がった少女は、防衛線を突破し、滑走路を破壊しようとしていたネウロイを撃破し急上昇に転じた。

 

そのまま基地に迫っていたネウロイがいくつも空に白い破片をばら撒いて消えていく。

少しして基地を襲う振動がピタリと止まった。

塹壕から飛び出すと、上空ではたった一人の軌跡が空にいくつもの飛行機雲を作っていた。

未来が見えているのかのようにビームを避け、黒い体を赤く光らせるネウロイを火線が絡めとる。まるでサーカス、あるいは曲芸飛行でも見ているようだった。それほどまでに彼女の姿は美しかった。

 

ネウロイの攻撃はそれっきり基地に来ることはなく、十分の短い合間に司令部は戦闘が終了した事を宣言し空襲警報は解除された。

 

 

しかし被害は甚大だった。

あの戦闘で数十機の戦闘機がビームで消し飛ばされ、パイロットたちは全滅し迎撃に上がったウィッチ達も四人が戦死した。

介錯した方がマシな重傷を負った者も多く、数時間の内に死者の数は増えていく。

地獄の一端を私はただただ撮り続けた。その中にはあの少女の姿もあった。




MG151/20Umbau

MG151機関銃を20mmに拡大したモデルの改良型。主に1944年から量産が始まったためMG151/20 1944とも呼ばれる。
特徴的な変更点として給弾機構が金属製分離式弾帯となり元のMG151/20のように撃ち終わった弾帯を巻き取る機械やぶら下げたままとする必要がなくなった。
このためウィッチであれば保有弾数が増加し継戦能力が向上した。
またベルト給弾機構のため理論上はリロードの必要性はないが当時の分離式弾帯は5発の非分離弾帯を連結した構造で、250発以上は連結ピンの強度が足りず接続する事ができなかった。

なおウィッチ用として新たにスコープなどを搭載するためのレールが追加されハンドグリップと銃床が金属から木製に変更されている。


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part40 進撃 502JFW 1

はーじまーるよー

 

さて今回はクルピンスキーとニパの援護を行います。

というのもこのミニミッションでは墜落した隊員を探す場合必ずネウロイの襲撃が起こります。

本来このミッションはストライカーユニット装備で行うものとして作られたミッションなのですがそれを他の戦闘機や地上部隊と言った兵などでも行えるようにと後から仕様変更されたようなのです。

そのためこのように非武装機でもクエストが発生してしまうため輸送機籠りを行うこのルートは難易度が高いと言われています。

ただし流石にゲームバランスがぶっ壊れるためか非武装機を使う場合ネウロイの強さはノーマルモードまで下げられています。それでもネウロイ相手にこんな機体じゃどうしようもないです。

 

 

これで安心一安心、実際パターンを見極めてしまえば全く問題はありません。正直非武装機なら逃げ回るだけで問題はありません。しかし全くうま味がないのと実は輸送機の機体のダメージ判定の件などちょっと加味したところタイム的には倒しちゃった方が早いということがわかりました。

 

まあ以前から似たような事をしていますがあれは武装がついているからやっていました。この機体に武装はありません。

ではいかにしてネウロイを撃破するのかと言われればそれはもちろん翼端とコックピット部分をぶつけるだけです。

順に説明しましょう。ゲームの特性上現実の飛行機に近い挙動をしますが例外もあります。

 

まず空力特性ですが実はこれ、一つ一つの機体に飛行特性を持たせているだけなので損傷などで翼が捲れたり破損した部分が生じたところでそこが空気抵抗となるような事はありません。

つまりいくら前面が潰れていてもエンジンが無事で然るべき推進力が出ていればカタログスペックから疑似環境データの係数をかけた実測数値分は速度も高度も出せるわけです。

 

 

また当たり判定と機体のダメージ表現は連動されているのでリアルに見えますが実は飛ばすために必要なパラメータに影響するのはエンジンとエンジン内側、水平直の尾翼と胴体の翼から後ろにかけて。

翼端とコックピットはいくら壊れているように見えてもただのテクスチャに過ぎず飛行には影響ないのです。

 

なのでこのように速度を落としてオーバーシュートさせるのと同時に翼端を振り回せばネウロイを撃墜することも可能です。

体当たり撃墜と判定は出ています。まあ落とせればなんでもええやろ。

 

ノルマとして設定されているのは二機の撃墜です。これは墜落キャラの援護ミッションでは全て共通となっています。

さっき一機倒したのであとは目の前からヘッドオンをかけてきているこのネウロイを落とせば終わりです。この場合正面のコックピットをぶつけると良いでしょう。

パイロットに死亡判定が出るのを避けるため副操縦士席の方をぶつけます。

まあ誰もいませんが。

 

 

 

 

 

はい、ミッション完了です。さっさと帰ります。このミッション発生するとタイムロス以外の何物でも無いのですがやらないと主要キャラが死んでしまうので困ります。特に輸送機プレイでは主要メンバーが一人でも欠けると詰みに近い状況になります。

 

 

ちなみに現在は時系列で言うと4話に相当する部分となっており基地に帰ると壁上りで塔を登るひかりちゃんが見れます。格納庫から自室までの最短距離を進む場合丁度見れるので倍速でももしかしたらパンツが……

 

なんで等速にする必要があるんですかね?

 

あ、パンツ見えた。

……これだけです。ほんと申し訳ありません!許してくださいなんでもしますから。

 

 

 

 

この後のチャートでは輸送を終了後に基地移動が入ります。この基地移動を行ったのちにこのルートで2回のみ存在するストライカーユニットを使い戦闘を行う場面の一回目がやってきます。

 

 

基地移動は幾度か行われるのですが、ゲームオリジナルのシナリオとして4話と5話の合間は少しばかり盛られています。

4話終了後一応ひかりちゃんが実戦配備になったタイミングで行われる基地移動は特に脚色ライターがあの虚◯◯なので結構きつい内容となっています。

 

しかも地味にスキップできない。

バグ技でイベントやミッションをスキップするなどの裏技が初期の頃はあったのですが私がやっているバージョンでは修正パッチが入っているため使用できません。

まあ世界最速記録も修正パッチ込みでやっているのでレギュレーションに違反はないイイネ?

 

というわけで画面では輸送機を飛ばして基地を移動するシーンが流れております。

ここは何もしなくても自動で物語が進んでいくので楽ですね。

それに502の全ウィッチが飛ぶなんてなかなか見られる光景じゃないです。RTA中ですがここは等速に戻してじっくり見ることにしましょう。

 

はいでは堪能したので8倍速でお送りいたします。

 

 

 

 

 

 

はいやってきましたストライカーユニット使用のお時間ですどんどんぱふぱふ。

空襲警報が鳴ったら真っ先に格納庫へ行き出撃ボタンを押します。

ここでステータスを確認しましょう。

 

アントナー・S・ハル(15歳)

カールスラント空軍所属

使い魔:雷鳥

固有魔法:加速度

 

素早さ99 体力102 魔力111 運70 精密140

 

 

うん問題は無いです。これくらいあれば普通のプレイでも何も問題はありません。

ではここでセレクトボタンと戻るボタンを同時に選択して下準備を行います。

こうすることでこの後挟まれる兵装選択と機体選択の場面、ムービーをカットすることができます。

これはセレクトで呼び出した画面越しでもゲーム内時間が進む事を利用して強制的に時間の進みをカットする仕組みです。

501の時に使用しなかったのは、あちらでやると高確率で画面がバグるかデータがクラッシュしてしまう事が多発したからです。DLCコンテンツとサブストーリーとなる502、映画版のみ使用できる物なのでおそらく容量の問題ではないでしょうか。

 

 

それと機体選択を飛ばしていますが今回使用するユニットはFw-190D-9、通称長鼻のドーラです。

 

 

Ta-152が量産されながらもこっちも量産されているのは単純にTa-152が中低空でのエンジン出力や機動性を犠牲にした高高度迎撃ストライカーユニットであり、中高度での空戦は今まで通りFw-190系とBf-109系がカールスラントの主力であるからです。

なお一期終盤は高高度戦が多かったのに対し502では中高度のミッションが多いので使いやすさと選びやすさ(実は選択時のデフォルト機)でFw-190を最後まで使うことに決定しました。特に他意はない。

 

 

 

では空に上がります。

空力的にはBf-109系列に近い特性を持つD-9は実のところハルちゃんの固有魔法との相性はあまり良いとは言えません。

Ta-152シリーズと違いFw-190はひっくり返ったり高Gになると冷却液の循環不良やオイルの偏りによる発熱、異常振動などが発生しやすい癖があります。

 

まあこの辺りはTa-152と試作機系を除く大抵の液冷エンジンに言えることなので仕方がないのですが。

だからストパンのオンラインではみんなして空冷大馬力ばかりが戦場を駆けているんですけどね。

話を戻しまして……

 

出撃した場合のミッション達成条件は中型ネウロイ5機の撃墜、これだけです。

たったこれだけなので地上で空襲が終わるまで待っているより絶対早いわけです。

 

さて離陸直後の正面には固定で小型ネウロイが配置されています。

無視すると背後から狙い撃ちされるのでしっかり叩き落としてあげます。

小型なのでそんなに手こずる相手でもありません。

残りの敵は基本ランダム配置ですが一応出現エリアはある程度絞り込めますので探し回る必要はありません。

 

ネウロイどこやー

 

ネウロイどこやー

 

ネウロイどこやー

 

(中型)ネウロイおらんやんけ‼︎

 

 

 

ネウロイおった‼︎

なんか団子になってスポーンしていたみたいですね。そりゃ見つからないわけだ。

ここからは単純作業となるので、画面は8倍速でお送りしますが皆様流石に退屈なことでしょう?退屈ですよね?ということでみーなーさーまーのために……

 

このようなものを用意しました。

 

 

普段は一人称視点ですが録画再生機能を使い一時的に三人称視点に変更して別途収録したものです。

見やすいように地上とほかのウィッチと戦闘機のコックピットからの3点が数十秒おきに切り替わっていきます。

これで今まで以上に戦闘が良く見えるようになりました。

普段から一人称でプレイしていますがこうやってしたから地上から見上げるというのもなかなか良いものですね。

こう、実録とか映像記録のようなところがありますの。

 

本編では全機撃墜が完了したのでミッション完了です。ちゃんとダメージ無しでやり過ごしました。ここでダメージを負うと回復までの合間動きに支障が出るのでガバの元です。よしよし今のところガバ無しで進んできていますね。

リザルトは飛ばしてさっさと進めていきましょう。

 

戦いが終わってみんな一安心している中ですがこっちは栄養補給と規定の睡眠を取ったらすぐに輸送ミッションでノルマを稼ぎに行きます。

あ、この輸送が終わったらその次は雁淵ひかりの訓練が待っています。

もうすぐ雪が降りそうだとか言ってるのに忙しい事この上ないですがさっさとやっちゃいましょう。でないと割と深刻な方面でVRの休憩時間が割り込んできます。

セーブもしないルートなので強制退出させられたら洒落にならないです。

 

と言い訳でさっさと飛び出しましょう。ひかりが何か言ってきましたがとりあえず無視です。

 

 

 

というわけで今回はここまでとなります。ご視聴ありがとうございました‼︎




Fw-190D-9
開発国
帝政カールスラント

開発会社
フラック・ウルフ社

エンジン
Juma213A-1液冷魔導エンジン
MW50出力増強装置付

最大出力1850hp (MW50使用時)
常用出力1740hp(高度5000m)

航続距離1100km

最高速度720km/h

Bf-109とならびカールスラント空軍を支えるストライカーユニットFw-190A型は戦場での荒い扱いに耐える極めて優れたストライカーユニットであった。しかし空冷魔導エンジンであるMW801は1段2速の遠心式過給器を搭載するものの高度6,000を超えると出力が急激に低下する欠点があった。


もとよりネウロイの高性能化は予想されていたため主任設計者のタンクはFw 190の実戦配備以前に既に性能向上策を検討しており機体設計にも相当な余裕を持たせていた。
 しかし当時のカールスラントは工場疎開が行われており新型機の設計はおろか正式採用の軍事品すら生産が縮小し不安定となっていた。このため計画が動き出したのは1942年初め頃となる。

この時に液冷搭載機としてDB603 Aを搭載したC型、液冷のJuma213Aを搭載したD型が計画された。

C型はエンジン搭載部分を延長し液冷魔導エンジンDB603Aを搭載、主翼配置を変更した機体だったが、DB603の機械的信頼性の悪さと構造の複雑さから空軍技術局はDB 603 Aエンジンの使用に難色を示していた。
事実搭載しているタービンのインペラの強度が弱く出力制限を必要としたほか、エンジン本体の故障も多く、また機体全体の飛行性能も安定性を欠くものだった。そのため実践試験を行ってはいたが開発は早期に中止され以降はD型一本に絞られることとなった。

D型は液冷魔導エンジンJuma213 A-1を装備。エンジンマウント部分および胴体後部を延長し垂直尾翼も増積している。
また機体右側面には過給器空気取り入れ口が突出している。
液冷エンジンに不可欠なラジエーターはエンジンの前面に環状に配置(環状ラジエーター)され空気抵抗の増加を避けさらに改造箇所を極力エンジン周りのみに限定するという効果をもたらした。
D型の開発はA-6型をもとにエンジンを載せ替え短期間に製造された試作機D-6を実践試験で使用し改良型の試作機D-1が製造された。

D-6、D-1、酸素供給装置を搭載したD-2を元に1944年6月末には2機のプロトタイプが完成し、こうして1944年8月以降、Fw 190 D-9、愛称ドーラが量産されることとなった。
量産型が何故D-3型ではなくD-9型であるのかは不明である。

作中機は主翼下に使い捨ての加速用ロケットブースターと水メタノール噴射装置MW50を搭載し速度性能を極端に引き上げるなどの改良が行われている。


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????7

軍で共同生活を送るようになって分かったことに、共同生活を続けると一週間で性格は表に出るというものがあった。

お姉ちゃんもよく言っていたし多分間違ってはいない。特に502の仲間は癖の多い人が多かった。

その中でもあの人は、結構不思議な人だった。感情の起伏が激しいというか子供っぽいと思えるところがあったかと思えば普通に扶桑でお世話になった教官のような逞しさを見せたりする。

でも一つ言えるのは、人の努力を踏み躙ることが異様に大嫌いなんだなってこと。

 

「うわあああ!」

 

「おっと危ない…」

 

柱を手で登らないといけない試験。何度か登っては落下してを繰り返していると、時々危ないってところが何回も訪れた。

そのたびにこうして彼女は私を受け止めた。大抵頭や受身が取れない姿勢で落下した時限定だった。

普段声をかけることもなく、どこにいるのかもよくわからないけれど、なぜか助けてくれる時だけは出てくる。そんな変わった人の印象だった。

 

「頭から落ちたら危ないから気をつけてね」

サングラスをかけたままで表情はよくわからない。だけれど心配してくれているのはその声で何となくわかった。

「あ、ありがとうございます」

 

「流石に即死と後遺症は魔法じゃ治せないし」

物騒なことを口走る。ちょっと震えた。

「怖いこと言わないでくれません⁈」

 

彼女の片腕は金属特有の硬さと冷たさを持っている。それが何なのかは少し前に教えてもらった。

だからこそなのか、言葉の重みが違った。

それ以来しっかりと受け身は取るようにしている。

 

 

 

「壁をよじのぼるってのは結構難しいものだからね」

 

ある時、私が塔を登る中下で冷やかしていた菅野といつのまにかそこに加わって何かを話していた彼女の声がふと耳に入った。少しして体がいうことを聞かなくなり落下して、地面から痛い刺激をもらって少しだけ休んでいるところでアドバイスを聞いてみることにした。

「コツとかってあるんですか?」

 

「んー……それは壁をよじのぼるコツ?それとも上まで行くだけのコツ?」

不思議な答えだった。

「それってどっちも同じなのでは?」

 

「全然違うよ。よじのぼるってのは方法の一つ、上まで行くだけならたくさんの方法がある。例えば……」

 

そう言って彼女は飛び上がって空中に静止した。菅野も私も驚きを隠せなかった。

「こうやって足場を空中に作って登る方法もあるよ」

 

「うぇ⁈どうなってるんですか‼︎」

 

「空中に障壁を張ってその上に乗っかってるだけだけど」

さらりと言っているけれど……ああこの人もやっぱりロスマンさんと同じで凄い人だったんだな。

 

「障壁……シールドにそんな使い方が……というかよくユニット無しでシールドを出せますね」

ゆっくりと地上に降りてきた彼女は何事もなかったかのように他の方法もあるよと実践していった。壁に両手で張り付くところは同じでも、そのあと体を振り子のように左右に振って上に大きく飛翔したり壁を脚だけで登っていったり……

「後は魔力消費を抑えるために二足歩行で足裏だけで壁に張り付くとか、いっそのこと魔力を使わないでクライミングするとか」

 

「ですが、これは魔力の使い方を……」

 

「でもロスマン教官が言ったのはストライカーユニットを使わずとってこいでしょ?方法を指定していないってことは努力と工夫次第ってことだよ」

例えば手だけに魔力を流して魔力量の低さを補うとか。

「でも魔力なしのクライミングは……」

流石にこの壁に指や足を引っ掛ける隙間はない。

「まあ考え方は教えたわ。後は自分で考えなさい。魔力量なんて少なくてもコントロール次第でどうにでもカバー出来るわ」

 

結局それ以降彼女は私に声をかけることは無かった。

それでも、少ない魔力量をどうやってやりくりするかを考えるきっかけにはなったのかもしれない。

 

次の日、私は帽子を回収する事に成功した。土砂降りだったし天候大荒れだったけど。

 

 

「あんた……あいつに何教えてるんだよ」

 

「元々諦めさせるための無茶振りなのだから向こうだってそれなりに無茶振りしてもらわないとフェアじゃないでしょ」

 

「チッ、お人好しめ」

 

「一応教官補佐だからね。それに菅野さん、貴女もほぼ毎日見ているって事は心配しているのでしょう」

 

「……違う。単純にいつ諦めるか賭けをしてるだけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に彼女と喋る機会があったのはその数日後。

大量のネウロイの迎撃の時だった。

ブレイブウィッチーズは攻勢部隊で、基本的にどこかの基地に所属しているわけではない。遊撃隊として常に前線を移動し続ける。そういう部隊だった。その日も最前線の活発化に合わせて訪れた基地で大規模な空襲を受ける事になった。

迎撃に上がったのは502だけじゃなく基地のウィッチや戦闘機も沢山いた。

それほど大規模な空襲。この頃、ネウロイの多くはまず超低空で最前線に配備した警戒レーダーを破壊して基地や街に攻撃を仕掛けていた。

 

だから大抵離陸から迎撃までの時間的余裕はあまり無かった。

戦う事自体は初めてではない。だけれどあそこまで大勢で迎撃をしたのはあの時が初めてだった。

乱戦になって、周りでは黒煙を上げて落ちていく機体や破壊されたネウロイの白い結晶が撒き散らされ目が回りそうになる。情報量が多い。初めて経験する乱戦だった。

今日のバディはロスマンさんだった。

 

「回避‼︎」

 

「え?……うわわ‼︎」

 

炎上する戦闘機が私達の真上から進路に飛び込んできた。

反応が遅れた私は回避方向を間違えて、ロスマンさんとはぐれてしまった。

黒煙が消えた時には周囲は乱戦になっていた。

 

 

背後からネウロイ⁈

 

チドリの性能で引き離そうとするけれど向こうも食らいついてくる。上昇合戦では空冷式のチドリのエンジンではすぐに出力が出なくなってしまう。

左右にシザースをしようとするけれど全く撒くことができない。このままじゃジリ貧だった。

 

さらに私に気づいたネウロイが前方に逆さ落としで割り込んできた。

やられる‼︎そう思って目を閉じてシールドを張ったけれど、いつまで経ってもシールドに衝撃はこなかった。

 

「全く、背後につかれたらオーバーシュートで前に出せと言っただろ」

気がつけば周囲にいたネウロイは一体残らず消失していた。

「えっと…ジークフリンデさん?」

あっという間だった。

私が一丁持つのがやっとな大きな機関砲を二丁持ち、さらに予備弾薬を大量に携帯していながら、全く重たそうに見えない軽快な動きで私の隣に並んだ。

「流石に基地がやられるかどうかの時に上に上がれないのは我慢ならない。ロスマン曹長はどうした?」

 

「えっと……逸れました」

 

「なら私のバディにする。ついてこい」

 

彼女の戦闘は、私が新型を使っているにも関わらず追いつくので精一杯だった。

聞けば使っていた機体はチドリと大して性能差はない。高高度戦闘がしやすいというだけで中高度での出力ではチドリの方が優っていた。

それなのに圧倒的な戦闘を繰り広げていた。

 

機銃弾があっさりと2体のネウロイを絡め取って、粉々にした。たった1連射。それだけでネウロイは落ちていく。まるで手品みたいだった。

さらに背後上空から逆さ落としを仕掛けてきたネウロイにすら素早く火線を伸ばす。

私が振り返った時には既にネウロイは破壊されていた。

「ぼさっとするな!まだいるぞ!」

 

「はい!」

 

視野が狭くなっていた。すぐ近くをネウロイが通過しようとしていた。それに向かって銃を振り回す。だけど弾丸はネウロイの後ろを通過していく。

「もっと前を狙え……そこだ!」

 

言われるがままに引き金を引いた。数発がネウロイの黒い胴体を貫いて、空中に四散させた。

その時にはその周りにいたネウロイもいつの間にか消えていた。ジークフリンデさんが倒してしまっていたらしい。

 

「今のであらかた撃破した…みたいだ」

滑走路はほぼ無事で、基地への被害は最小限で済んでいた。だけれどそのかわり基地の周囲は地上からいくつもの黒煙が立ち上っていた。それら全てが戦友だった者達が残した……空の墓標。

その一つにジークフリンデさんは降りて行った。

 

木々の枝にストライカーユニットの残骸がばら撒かれ、その下で激しく炎上しているストライカーユニット。それを履いていたウィッチは、変わり果てていた。

ついさっき基地にきた私達を出迎えてくれた基地所属のカールスラント空軍飛行隊の隊長だった人だ。もうすぐアガリが近いと言っていた女性はお腹を上下に分断され、僅かに無事だった骨と内臓がかろうじて下半身を繋いでいる状態だった。

上半身もビームが直撃したのか左腕から胸の辺りまでごっそりと削られていた。

それでもまだ息はあった。光の無くなりかけていた瞳が少しだけこちらを向いた。

少しでも楽にしようと回復魔法をかけようとして、それより早く乾いた音が1発。そして瀕死の女性は動かなくなった。

 

「……」

 

「そ、その人はまだ生きて……」

 

「もう助からないわ。このまま苦しむよりこうしてやるのがせめてものやすらぎよ」

見ればそんなのはわかる。いくら回復魔法があっても治せる限度というものがある。お腹から体が上下に轢断していたら……

それでもそれを良しとしてしまったら何かが壊れてしまいそうな気がした。

「私が上がってすぐ、目の前でネウロイにやられたのよ。私の銃じゃ間に合わなかった」

 

「それは……」

 

「責めるのなら、強くなりなさい」

顔を見せることなくジークフリンデさんは飛び上がった。私は何もいえなかった。

「ごめんなさい。頭に血が上った……頭冷やしてくる。貴女も気分が悪くならないうちに戻りなさい」

 

少ししてロスマンさんと合流できた。ロスマンさんはストライカーユニットを半損させていて低空を飛ぶのがやっとだった。

ことの顛末を説明したら、どこか寂しそうな表情をしていた。

「あの子は……ごめんなさいね。色々複雑なのよ」

 

 

最終的に基地には戻って来れたのは私達ブレイブウィッチーズを除いて戦闘機36機中12機、ウィッチ10人中6人だった。

24機の戦闘機のパイロットもウィッチも全員戻らなかった。

 

 

 

 

「もう今更、私の手はとっくの昔に同胞の血で汚れているのよ。今更1人2人増えたところで何も変わらないわ」

 

 

「ならなおさら貴女は戦場にいるべきじゃないわ。ラル中佐には話しておくから……」

 

「また悪夢に悩まされる日々に戻れって?私はもう戦場に頭から浸かってるのよ今更日常になんか戻れないわ」

 

「そんなこと……」

 

「あると思う?道をゆく車の音でも、日常の些細な音でも強いトラウマを思い起こしてしまうの。でもここなら……そんな事はない。だからどうなろうと私はここにしがみつく」




零式多目的排土車

製造国
扶桑

製造会社
大松製作所


八九式多目的排土車があまりにも陳腐な見た目であり単車としてのスペックにおいても他の国の排土車よりも劣っていたことから扶桑国陸軍が製造を依頼した新型車。
車体はトラックの台枠に鉄板をボルト止めしたオープントップの車体を被せたものとなっている。
エンジンとしてトラックに使われるガソリンエンジンを流用し現地での整備性を確保しつつ、やはり足回りもトラックのものを流用しているためキャタピラではなくタイヤとなっている。
それでもベニヤの八九式よりかは随分と立派なものとなり性能もさることながら車輪駆動のため市街地や基地などでは機動性が高かった。
ただし車体サイズの割に重量が足りず死重を乗せるのは相変わらずだった。

あだ名は鉄板の玩具
しかし名前のわりに整備性は良好な上に舗装されている場所では無双の機動性があったため都市復興に大いに役に立った。
たまに鉄板を外してベニヤとした軽量化個体もあったが本土では気候の関係で木造の耐久性が悪く早々に鉄板に戻された。


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????8

基地の復旧は想像以上の速さで行われていった。

 

穴だらけになった滑走路も熱線により吹き飛ばされた防空陣地も1日後には何事もなかったかのように穴が埋め戻され、どこからか運ばれてきた機銃が再び取り付けられた。

それでも基地に残った被害の爪痕は消えるわけではない。

滑走路の端っこに積み上げられた残骸、基地の医務室だけでは病床が足りず天幕が張られ負傷者と死体がいくつも担ぎ込まれた救護所の光景。

わずか数時間のうちに破壊と構築が繰り返されていく。

 

死者45名、負傷者32名。それがこの基地の負った人的損害だった。

数字で言うのは簡単だが一人ひとりの人生があったのだと思えば、数字で語って良いものではない。だがわたしには彼ら彼女らの事を知る術は残っていなかった。

だから出来るだけ写真を撮った。その地で起こった事を出来るだけ残そうとした。

負傷者からも話を聞けるだけ聞いた。

しかしそれもすぐにできなくなった。

 

戦いが終わって10時間。ふと立ち寄った指揮所の近くで、ラル中佐と基地司令のマッキンレー少将が話しているのが聞こえた。

盗み聞きをするわけではなかったが、つい気になって使い魔の力で聞き耳を立てた。

「受け入れ不可能とはどういうことですか?」

 

「先ほどの攻撃で基地のレーダーシステムと無線システムに不調が出ている。どうやら故障したらしい。それに基地の弾薬庫と食糧庫もやられている。正直この基地では君たちを置いておくことは出来そうにない」

マッキンレー少将の声はどこか悔しそうだった。

「しかし基地戦力は壊滅状態です。このままでは……」

2回目の攻撃があったら耐えられない。そう言いたかったのだろうか。

しかしラル中佐のその言葉は遮られることとなった。

 

「君達502にここの基地の護りまでさせるわけにはいかんよ。ラドガ湖のすぐ近くに前線基地がある。規模は小さいが、無線設備もここより幾分かましだ。司令部に掛け合ってそっちに行けるように手配する。なに自分たちの身は自分たちで守るさ」

 

「でしたら基地移動までの間、輸送隊をお貸しします。飛行機での輸送ですので重量物は運べませんが食料と衣料品、弾薬輸送ならお力になれるはずです」

 

 

 

 

 

「忙しくなった……」

荷物輸送とはいえど一度後方に行くには変わりがない。だから私も準備と荷物を整えるために一度機上の人になろうとした。

ややしぶられたものの写真フィルムの補充の必要もあるといえばジークフリンデは許可を下ろしてくれた。

数時間のうちに大量のフィルムを消費しており、またいくつもの取材メモも会社の方に送っておきたかった。

 

しかし意外なことに輸送機には私とジークフリンデ以外にも2人の乗客がいた。

「勝手にストライカーを履いて出撃した罰よ。営倉送りにならなかっただけマシだと思いなさい」

ロスマン曹長と502のトップであるラル少佐。

格納された補助席を降ろして堂々とした態度で座る2人に対しても、少女は顔色ひとつ変えず機体を飛ばす準備をしていた。

「貴女方も輸送に同行するのですね」

少し意外だった。

 

「物資調達なら得意分野だ。それに少し向こうに行く用事ができてね。パウラは付き添いだ」

 

 

ロスマン曹長はよくパウラというあだ名で呼ばれている。だけれどジークフリンデはそのあだ名で彼女を呼んだことはない。

一線を常に引いている。そう捉える事もできるが、そのような雰囲気は特にない。

「後方基地に用事ですか?」

 

「まあ色々あるのだよ」

 

ラル少佐は肝心なことは答えてはくれない。ただ、それを深く聞こうとは思わない。

そうしているとエンジンシリンダーが動き出しプロペラが回る音が聞こえてきた。四つあるエンジンが全て動き出すと騒音で周囲の音は聞こえづらくなる。

「なら乗客三人、快適な空の旅をお楽しみください」

その中でも凛としたでもどこか無機質に寄っている少女の声が響いて、エンジンの音が一際大きくなった。

体が座席に押しつけられる感覚が強くなる。

 

 

 

 

 

離陸してから少しして機体が安定を始めた。その頃になれば私もシートベルトを外してハルのそばに寄っていた。あの記者は飛び立って早々に寝息を立て始めた。元軍人とは言っても何十時間もずっと駆け回っていたのだから仕方がない。それに今はそっちの方が好都合だった。

「……いいかしら。ハル」

空白の副操縦士席に入り込み、横目で彼女を見れば、眉ひとつ動かさず人形のように前だけを見つめている顔が映った。

普段いろんな表情をしているだけあってこうして無表情のような、無機質のような表情というのは珍しい。いや、もしかしたらこれが素なのかもしれない。

「人違いですけど……まあいいです、どうかしましたか?」

 

「どうして飛び出したりしたの?無茶をしたらどうなるかわかっているでしょう。それとも英雄気取り?」

 

「そんな崇高なものじゃないです。あの時、誰かを護りたいって想いとは別に戦いたいって願望が体を支配していました」

それでも口に出したことは本当です。

嘘をついているようには思えなかった。

 

「それは……」

 

「闘争、復讐心とは違うただの……戦いたいというどうしようもない感情です」

復讐心で飛んでいる子は多い。彼女だって最初に出会った時はそうだった。だけれど戦いたいという本能から戦いに身を投じるなんてあまりにも狂っている。

「気付きました。結局私は戦いの中でしか己を見出すことしかできないんです」

 

「……なら、戦わない方法で存在意義を見つけ出す訓練が必要ね」

 

「協力してくれますか?」

正直なところ心理学は専門外だけれど、それでも教え子のことを放って置けるわけではない。

「ええ、可能な限りね」

 

 

 

 

 

 

「積み込み完了です。怪我人を乗せてまた戻ってきますのでそれまでには戻ってきてください」

滑走路脇で荷物の積み込みが終わった輸送機に戻りつつハルはそう言った。

 

急ぐようにして機体が動き出し、暖機運転もそこそこに空に飛び立った。物資の多くは医療品と弾薬で、それが積載量ギリギリまで積み込まれていた。

 

 

「今更だが……彼女を戦場に連れ戻したのは間違いだったかもしれないな」

ラル少佐がつぶやいた。

「本当、今更ですね」

 

「だが、彼女の力が必要なのも事実だ。現状我々は個々の犠牲を躊躇できるほどの余裕はない」

部隊を指揮する者にとっては、人は数とみなすしかない。死んだ者一人一人の顔を思い浮かべてしまっていたら戦闘指揮など出来ない。

それは私も戦場で部下を持つようになって実感するようになった。

地上で吹き飛ばされた戦友、掌握下に入れた若いウィッチが落とされる光景。

それでも意志力で全てを黙殺するしかない。

だけれど時々我に返るとその時ただの数字と見做した人達の事を思い出す。

 

「分かっています。ですが戦場には極力出さないようにしないといつか失ってしまいます」

笑えるほど甘い気持ちだった。自己満足の域に入るのかもしれない。それでもそう言いたかった。不思議なものだ。戦場に出すために教育をしたのにも関わらず今度は戦場に出したくないだ。

 

一方的な気持ちの押し付け。だけれど不思議とその気持ちの押し付けを許してしまう。魔性なのだろうか?

 

「分かっている。ここにきた目的も半分ほどそっちだからな」

 

 

 

 

 

「それで、アントナー・S・ハルは死亡したと?」

私達502JFWはその性質上指揮系統が複雑化しやすい。

防衛部隊として結成されたわけではなく攻勢部隊として常に戦場を移動する関係上どこの国の指揮系統にも一時的に編入される。そのため実際の大元である国連軍東部方面軍の最高指揮官の指令以外でも動く事がある。

 

今目の前にいる元帥も本来であるなら502の直接上官に当たる人物ではない。

ただハルの捜索を依頼していた人物に過ぎない。それでも作戦立案などに深く関わっている他、彼自身がハルを狙う派閥の一人であるからこそこの報告を上げる事にしたわけだ。

これでどれほど奴らが乗ってくれるかはわからない。それでも時間は稼げるはずだ。特に戦時中なら。

 

「ええ、先日行方不明になっていたストライカーユニットを発見しました。機体の番号からハルのもので間違いはないでしょう。その近くにはネウロイとの戦闘の形跡もわずかに残っていました」

 

「しかし最後の出撃の際彼女は西へ向かったのではなかったのかね?」

流石に不審に思われたが向こうとしても死んだという最も欲しい事実を無視することはできない。

「途中で方向変換をしたと考えられます。燃料においても偏西風を利用すれば飛行することは可能です」

実際に彼女が使っていたユニットは彼女経由で私たちが確保している。元々壊れていたものだ。証拠を求められても問題はない。案の定彼はストライカーの引き渡しを迫った。

快く快諾すれば拍子抜けした様子でこちらが何も知らずにただ事実を上げているのかもしれないという憶測を強くしていたようだった。

 

「……承知した。報告書は受け取る。これ以降の調査はこちらで行う。貴官は通常の任務に戻ってくれ」

憶測をいくつも浮かべていたけれど彼は不備を突っ込むことは出来なかった。内心としても最も欲しい事実だから否定はしたくないのだろう。人というのはそういうものだ。

 

「了解しました」

部屋を出るときにそっと振り返ると彼はどこかに電話をかけていた。

おそらくハルの事はすぐに伝わるだろう。これで良かったの……良かったよのね?

気づけば自然と声が出ていた。

 

「これで良かったのですよね……」

最初こそ確保したハルを隠し通す算段だったけれど、彼女に伸びる手は相当に早かったらしい。ラル少佐は詳しいことは言わなかったけれど相当焦っていた。そのため急遽ハルの軍籍を抹消する事にした。それが正しいのかどうかはわからない。

この事を知っているのは私とラル中佐だけ。

「本人の承諾は取っていないが、軍部から身を守るためにはこれしかないさ。幸い他人になりすますのは難しいわけじゃない」

戦争が残した負の側面。その一つを利用する。正直褒められた事ではない。だけれどそうする以外に私達は彼女を魔の手から逃す方法はなかった。

 

「全く柄にもない……後で本人に伝えてくださいね」

 

「分かっているさ」

この事を知ってハルはどう思うだろうか……怒るだろうか泣くだろうか?それとも、苦笑いをして気にせずにいつも通りの生き方をするのだろうか。

多分そうだろう、そんな気がしていた。

 

 

 

輸送機が戻ってきたのは1時間ほど経ってからだった。

機体の昇降口から重傷者が担架で運び出されては建物に運び込まれていった。

その光景を押さえ込み、感情を殺す。同情するのも哀れむのも今ではない。この戦争が終わって数字で覚える必要が無くなってからだ。

 

「……忘れません」

 

「そうだな……絶対に忘れるわけにはいかないな」

 

荷物と共にどこからか戻ってきた記者と共に輸送機に乗り込めば、ハルはずっとコックピットにいた。

「燃料給油完了まで後10分。フライト前チェック」

 

淡々とした口調で読み上げられていくチェックリスト。

輸送機が離陸するまで機内は負傷者が残した特有の血の匂いと澱んだ空気にどこか無言だった。

薄暗い室内はどこか不気味だった。帰りもまた食料などの輸送をするため貨物室には荷物が満載されていたがその荷物の隙間から視線を感じるような気がした。

 

それでも空に飛び立つ。輸送機の動きに狂いはない。それを操るハルは相変わらず人形だった。

 

「なあ、隣良いか?」

 

ラル少佐が動いた。少しして複数の言語による会話が始まった。

言語の変換についていけず蚊帳の外に追い出された私は、少しだけハルの表情を見ていたけれど結局その表情は苦笑だった。やっぱり予想通りというか、なんだか少し悲しくなる。

 

 

私は自分達の行った一人の少女の抹消という事実から目を背けたくて、外を見ようと上部に設けられた観測窓から暇潰しに周囲を見ていた。

双眼鏡があればと思ったがこの窓は天体観測用の窓だから双眼鏡はついていない。

高度5000を巡航速度で飛行する輸送機は普段ストライカーを履いて飛ぶよりも静かで、エンジンの騒音と外気の寒さが体に染みた。

座席に戻ろうとしてふと、視界の隅に違和感を感じた。思わず降りかけていた腰を再び椅子に戻して空を見た。

夕焼けになり始めた空の向こう側、黒い粒のようなものが前方上空に現れて、そこから複数の赤色の光が伸びてくるのが見えた。

 

 

 

 




超大型指定厄災国連識別番号八番

通称「アルケオプテリクス」

武装
対空用小型ビーム照射装置100門
地上攻撃用ビーム発射口4門

最高速度
推定100km/h

最大飛翔高度
推定6000m

ベルリン大空襲時に始めて観測された超大型ネウロイ。大型ネウロイの中では8番目に確認されたものでありほかの大型ネウロイよりも一回り以上大きい。
外見の特徴は船の船体を上下逆さまにして二つ横並びにさせたものに台形の翼が左右についた構造。垂直尾翼のようなものはなくエンジンと思われるものは胴体中央部分にエンジンのような丸い筒状のものがある。

兵装は胴体中央部分と上部、下部にそれぞれ小型の半球体のような突起物がありそこから小型の砲身のようなものが飛び出して対空ビームを発射する。
胴体下部二箇所、上部二箇所に口径12インチの単装砲を備えており主に地上を薙ぎ払うのに使用されている。


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part41 進撃502JFW 2

輸送機なのにネウロイに襲われっぱなしなRTAはーじまーるよー‼︎

 

前回数少ないストライカーユニットによる映えのある戦闘シーンをたっぷり等速で流した後ですが、今回は倍速のオンパレードです。

 

まずはいつも通りのミッションとして輸送のお仕事をしていきます。

ここも当然最短ルートを通って移動を行いますのでちゃんと練習してコーナーで差をつけよう!

ちなみに右下に流しているのは1回目の最短ルート移動練習です。すっごく速くなってるはっきりわかんだね。

 

おっと?何やら格納庫の前でラル少佐が頭にハテナマークを掲げています。

これはクエストの予感‼︎しかし心を鬼にしてスルーです。

正直ラル少佐のクエストをこなすと高確率で暗部が絡むルートが顔を出してきます。見た目によらずラル少佐はやばい。はっきりわかんだね。

ちなみに格納庫にいるラル少佐は確定で軍政戦争が始まります。やっぱりやばいじゃないか(呆れ)

 

 

というわけで今日のお仕事です。うま味のない単調な輸送任務なので8倍速です。必要物資として指定されているのは弾薬と医療品。502向けのものではないためあまりお金稼ぎは出来ませんが仕方がない。

機体は前と同じランカスター C-1。変わり映えしませんが使っていきましょう。

 

 

それでもかなり暇になってしまいますよね?暇だろ?

というわけでみーなーさーまーのために……ク

このようなものを用意しました。

 

 

この後の物資の補充があるのですがここでかの有名なRTA技であるワープ技を使用します。

やり方を知らない方のために軽く解説すると到着した基地の航空機格納庫の壁部分で視界ズームを行います。その後素早くメニューを開き音量設定を引き出します。その後ズーム解除の操作を行いメニューを閉じます。するとどうでしょう。一瞬だけロードで世界がカクカクしますが目的地の弾薬庫内部にやってきたではありませんか。

まあこの方法が使えるのは弾薬庫と格納庫の位置関係が南北になっていなければ出来ないのですけれどね。

これに該当している基地は五ヶ所だけです。少ない……

素直に基地を移動するより感覚で1分くらいは削れるのではないでしょうか?

こればかりは何回で成功するかによります。

 

背景も基地に到着したらしいので早速ですがやっていきましょう。

8倍速……よし一回成功です(2敗)

とりあえず今回は3回で成功しました。なので一回成功です。

 

しっかり弾薬庫の中にワープできていますね。弾薬庫なので火気厳禁。少しの火の気や衝撃もアウトです。

では歩哨に声をかけて弾薬を掻っ払っていきましょう。

おら補給物品よこせや!

後必要なのは医療品ですがこっちは医務官室に向かう必要があります。

 

ここから医務官室はそんなに遠くないのでそのまま向かいます。

走れ走れ。あ!トラック邪魔ァ‼︎急に出てくるなや!跳ね飛ばされたじゃねえか!

あータイムがアぁぁ……ま、まあこれだけなら誤差だよ誤差ウン……

 

おい医官‼︎医療品よこせ‼︎

 

……はい。アクシデントがありましたがタイム的にはおおむね問題なく飛行機に戻ってこれました。すぐに乗って離陸しちゃいましょう。時間は待ってくれないのだ。

はい8倍速でお送りいたします。

特に何も……

なんで等速に戻す必要があるんですかね?

 

 

ああこれはネウロイ襲来ですね。いやーこの時は焦りましたよ。

ネウロイ君輸送機襲いすぎじゃないですか?これ絶対情報漏れしているゾ。

そうじゃなきゃ考えられませんよ。それか偵察が存在するとかですかね?まあゲームの仕様といえばそれまでなのですが、そういう仕様にも意味付けをしたくなってしまうのが性なのです。

 

ですがもうすでに基地のエリアに入るのでネウロイ襲来のイベントは実質無視出来ます。

輸送機の本務は戦闘ではなく輸送なのだ。戦闘は戦闘職の方々に任せて後方職は戦場から逃げましょう。

 

基地についたら輸送任務を終了させてストーリーを進めます。

うーんあまり儲かりませんね。流石に基地に売りつける事はできませんし。

まずは台所にいる下原、次に台所を覗いているジョセの順に話しかけます。

いやージョセも下原もかわいいなあ。

内容としては二人の悩みを聞くだけなのであまり新規性はありません。ただかわいいだけです。

ともかくとしてこれで第5話に突入するフラグが出来ました。

 

 

 

では早速5話突入です。

チャート表を右下に表示しておきますのでご覧になりながらご視聴を続けてください。

と言ってもチャートの関係上ここはあまり時間がありません。

オリチャーの予定も今のところありませんので5話はさっぱりと進めることにしましょう。楽しみにしていた方は自分の目で確かめろ(ダイマ)

 

 

ではジョセと共に菅野のお部屋に向かいます。ここでジョセにつきっきりになることで一時的にジョセ攻略ルートに入ります。こうすると次の場面は遭難のところまで他のイベントが発生しなくなります。

イベントスキップの方法としてはかなり古典的ですが未だに修正アプデ来ていないあたりバグ判定ではないようです。

 

一応下原や菅野でも同じ事はできますが単純に出現場所が多く探す手間があるので今回は没です。

5話に限っていえばこの時点で場所固定されているジョセくらいしか選択肢がないというだけです。

一応運任せですが時々菅野の部屋に行くよりも速く下原を見つける事は出来ますが運の悪い走者には無理です。運要素が強い時は安全策をとる方が結果的に速いのだ。びびりとかいうんじゃないよ!

 

 

ジョセ攻略状態となったらすぐに格納庫に移動してミッション画面を開きます。ジョセ達が無事遭難するところまで一気にカットできました。イイぞー順調だ。

この後ご褒美シーンが入りますが当然イベントはスキップです。

 

 

 

ジョセ達が消息を絶ったという情報が入りました。捜索救難のためにこちらも出撃ミッションがやってきました。

この任務は吹雪という悪天候下で特定のポイントを通過するだけのミッションです。

途中でネウロイの襲撃がありますが航空型ネウロイはほぼやってきません。やってくるのは地上からの攻撃なのでこれがまた大変です。

地上の高射砲型は低高度を飛ぶ場合恐ろしい命中精度を誇ります。挙句こちらは的の大きな輸送機です(ランカスターC1)やべえ絶対当たる。

まあ場所を覚えておけばなんとか回避は出来ますがね。

 

ちなみにこのミッション途中は別に彼女達を見つけられなくても問題はありません。当然見つけた方が早く終わるので見つけにいきますけれどね。

 

ジョセ達のスポーンポイントは完全ランダムですので地道に探す必要がありますがコツを掴めば結構簡単に見つけられます。

用は現実の捜索救難の方法を真似れば良いのです(脳筋)

 

意外と現実に似せて作られているので現実世界の方法がそのまま使えるのが大変便利です。

ただし航空機で見つける事はできても救助を行うのは不可能です。吹雪で地上の救助隊は身動きが取りづらく空からの救助もウィッチは飛行不可能でしょう。輸送機も着陸地点などないので当然吹雪が強くなれば帰ります。

まあここから救助することも出来なくはないですが時間がかかるのでやめます。まあ死なないからいいでしょう(外道)寒い中でちゃんと色々解決してください

 

 

というわけで早速三人を見つけます。

 

……見つけました。

結構な距離飛んだぞオイ‼︎結構遠くにいたじゃねえか。途中でネウロイと鉢合わせしたぞ!やばかった。私は何も見ていないからセーフだ。セーフ

 

しかし一面銀世界になり始め視界もゼロになってきています。すっごい白くなってる。

このまま接触を続けるのは不可能なのですぐに帰ります。なんか下から叫ぶ声が聞こえていましたがあきらめましょう。着陸場所なんかないんです。

 

 

基地に機体を戻したら後は基地イベントを二つクリアします。

一つは勿論お馴染みの大惨事料理大会。料理が士気に関わるってはっきりわかるんだね。

当然味も再現されていますが味覚オフをしているので問題はなし。いやまあ嗅覚で分かるのですけれど。

それにしても酷い見た目と食感です。そりゃみんな士気ズタズタになるはずです。特にこの時どうなるかわからないという不安と苛立ちに苛まれている心境には重たいものです。

悪気はなかった伯爵もしょんぼりです。いやそもそもここまで料理下手なのは致命傷でしょう色々と。料理教えてもらった方がいいよ。

 

では倍速にしましょう。

次のイベントは基地の隊員の誰かに話しかけるというものです。ね?簡単でしょう?

一人話しかければそれだけで十分なのですぐ近くにいるラル少佐に話しかけましょう。

内容は普段と変わらないのでスキップしていきます。

続いて格納庫に向かい端っこに放置され埃をかぶっているストライカー機体に触れるとストーリーの映像に切り替わります。勿論全カット。

簡単に言えば吹雪が止んだというだけです。

帰投した三人を迎える502メンバーという中々微笑ましいシーンをスキップし(無慈悲)こちらは輸送任務に戻ります。

今回は輸送量より速度を必要とするため100式輸送機二型を使用します。

最高速度450km/hはそこまでではないですが特筆すべきは巡航速度。なんと高度3800mで380km/h。

これ荷物満載時のものです。とんでもねえ速さだ。その代わり燃費は恐ろしく悪いので航続距離が妙に短いです。やっぱりそこはトレードオフなのね。

 

というわけで早速ノルマを達成しにいきます。

加速が良いので、すぐに機体が持ち上がります。後はスロットを全開にしつつ帰ってくるまでやりましょうや。

特に何もないので8倍速でお送りします。

行って帰ってくるだけ。物品は寒冷地用のエンジンオイルと機械油。それとストライカーユニット。寒冷地用オイルくらい準備しておけと思いたいけれど仕方がない。天候を操るネウロイのせいで色々と予定が狂った為ですからね。

 

はいご注文の品でーす。まいどありー。

仕事が終わったのでご飯のお時間です。ちゃんと食べないと途中でぶっ倒れるからね仕方がないね。

おいしいであろうご飯を食べつつ今回はここまで!ご視聴ありがとうございました。

 




100式二型輸送機

製造国
扶桑国

全長16m
全幅22.6m
全高4.90m

空虚重量 5.53t
最大離陸重量9.8t
エンジン
ハ108空冷星型14気筒(離昇出力2100hp)×2
最高速度450 km/h
巡航速度390km/h
航続距離2800km

扶桑国が開発し導入した中型輸送機。他国の大型輸送機と比べると見劣りするもののエンジンをハ108に換装したことで高出力化を果たした。
ただしエンジンの信頼性と燃料消費の事から最高速度は抑えつつ巡航速度を高速化するためにギア比を調整されている。
また加速力が他の輸送機より群を抜いておりパイロットからはばんえい馬かと思ったらダービー馬だったなどと言われている。


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????9

「敵襲‼︎」

いくつものビームが機体の側を通過した。気づけば機体が大きく左右に揺れ、私は副操縦士席に座り込んでいた。

エンジンが大きく唸り、黒い影が窓の向こうに見えた。機体の中から切り取られた小さな空だけでは戦場を見ることは叶わなかった。

「メーデー!メーデー!メーデー!こちら第502JFW第一航空輸送隊!現在ネウロイの襲撃を受けています!」

幸い後席にいたロスマン曹長が無線機で救援を呼んでいた。

 

「基地が攻撃を受けています!現在こちらに回せる戦力は無いとのことです」

 

ストライカーがあれば私達が護衛に行けたが、無いものは仕方がない。悔しいが今この場では……

「……ッ‼︎」

大きく急旋回した直後、小さな呻き声が聞こえた。脇腹を抑えるハルの姿が視界の横に映って、戦闘中にも関わらずそちらを見つめた。

 

「どうしたジークフリンデ中尉?」

 

「なんでもありません……」

脂汗を浮かべながらも操縦桿を操作するハルが大丈夫はなずはなかったが、この場では強く言えなかった。いや、何かできるはずだ。

「武器は?」

 

「医療品の箱の側にMG43があります」

片手で指を差した先には、一丁だけだったが機関銃が置かれていた。弾丸は小さいが相手は小型ネウロイ。勝算は十分。ならば後は……

 

荒い息遣いが聞こえてきた。彼女に何か異常が起こっているのは確かだった。だがここで私が彼女につきっきりになるのは無理だ。まずはこの場を乗り越える。

 

「中尉、操縦桿を借りるぞ」

 

「ラル中佐⁈」

 

「任せたまえ、これでも操縦免許は持ってる」

このデカブツを飛ばしたことは無いのだがな。まあ基本は同じなはずだ。

「……分かりました。ユーハブ」

流石に観念したのか操縦桿から彼女は手を離した。

「アイハブ。ロスマン、敵の位置は?」

 

「方位090!真後ろから来ます!」

敵は2体。貨物を積んだ鈍足の輸送機ではなかなか困る相手だ。ラダーを踏んで横滑りをさせたいが大型機はバランスが崩れやすい。

急に機内に冷たい風が吹き荒れた。後ろでロスマンが側面の乗降扉を開けて身を乗り出したのだ。

「狙いが定めきれない‼︎」

揺れる機体から銃座無しで狙いを定めるのだ。当然そうなる。

回避のために上昇。ビームが主翼の真後ろを通過したのがバックミラーに映った。

まずいな……ジリ貧だ。

体にかかるGと死と隣り合わせの緊張で呼吸が荒くなる。それでも、たとえ脳に十分な酸素が送られていなくとも、血が頭に上がらず視界がブラックアウトを起こしかけても私の頭は異常に冷静だった。

「水平飛行を維持、右に旋回方位062」

隣から声がした。ひどく落ち着いた声だ。ああ、下の階級の者に指示を受けるなんて指揮官として失格だなちくしょう。

「了解した!」

それでも体は機体を動かす。久しぶりではあるが中々覚えているものなのだな。

後ろでMG 43の独特な射撃音が聞こえた。1連射。1秒にも満たないその音と共に、爆発音が聞こえた。

「ネウロイ撃破!もう一体上から来ます!」

機体をロールさせて上からの攻撃を避ける。翼が軋みを上げ、重たい機体を支える。主桁が今にも折れそうだ。

「左旋回290!同時に機首上げ20度!」

再びの指示。同時に体にかかるGが強くなった。自分の腕が定められた動きをしただけだと気づいた時には、後ろから再び発砲音が響いた。

「ドンピシャ‼︎」

同時に赤い光が翼を掠めた。

高熱で表面のジュラルミン板が融解した。

「周囲に敵影無し。ネウロイ殲滅です」

だけれど結局被害らしい被害はそれだけだった。

「全く、冷や汗物だよ」

 

ハルは操縦席で蹲るようにして体を抑えていた。

「大丈夫なの⁈」

操縦席を覗き込んだロスマンが記者と共に彼女をコックピットから引き摺り出した。

操縦に手を取られ彼女がどうなっていたのかは定かではなかった。

機体はもうすぐ基地に着く。医務室が無事であれば良いのだが……

 

 

 

結果から言えば彼女は肋骨の骨折と打撲を起こしていた。

どうやら荷物を積み込んでいる最中にトラックに撥ねられたそうだ。

その場でどうして言わなかったのだと問い詰めたが、任務の方が優先だと言われてしまった。軍人としてはそうなのかもしれないがハルを失うのは大きな損失だ。すぐにでも病院に送りたいがそうも言っていられない。ともかく医務室で安静にさせるしかできなかった。

 

しかして私達は別の基地に移動しなければならない。彼女の代わりとして輸送機は私が操縦することとなった。

予備のストライカーと弾薬を載せられるだけ載せた可燃物と化した機体は運の良いことにネウロイの襲撃を受けることなく基地へ持っていくことができた。しかし輸送の滞りが私たちに与えていた影響は計り知れないものだった。

 

結局私達は彼女の力がなければ継戦能力を維持できなくなり始めていた。

それほどまでに軍部の圧力と利害関係、対立は私達を飲み込んでいたのだが……

 

 

 

 

 

 

 

機体の整備は待ってくれない。

 

軍用機は機械的に無理をして作られて少し動かすだけ、いや動かさずにおいておくだけでもどこかしらが壊れる。

ストライカーユニットも例外ではない。必ずどこかが壊れるし部品は摩耗する。オイルだって基本的には一回の飛行ごとに追加で注油しないといけない。

整備班に任せておけば良いと言われるけれど、自分達が命を預けるものだから私は自分で手入れを行う。

 

たまに手伝いにくるあの不思議な少女以外、そういう時は静かだったけれど、その日は朝から妙に騒がしかった。

ジークフリンデ中尉が格納庫内にきたかと思えば凍結に強いオイルを持ってきたから置き場を確保したいと言い出し、かと思えば機体の整備を一緒になって始め、それが終われば今度は輸送機を格納庫から引き出しエプロンで作業をしていた。

かと思えばラル中佐とクルピンスキーがやってきてはジークフリンデ中尉をどこかへ連行しようと簀巻きにしていた。

多分医務室から抜け出してきたのね……

飛行隊長としての業務もあるから私はその光景を尻目に臨時の哨戒任務の人選のため事務所に戻ったけれど、ジークフリンデ中尉ってどこかで見たことがあるなとふと思い出した。

 

だけれど記憶を辿る前に目の前の仕事に忙殺されそのことはすっかり忘れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

臨時で組み込まれた哨戒任務についたひかりさん達が飛んでから1時間ほどして雪が降り始めた。まだ冬には早い季節。だけれど午後を回ってから急激に気温が下がった。ネウロイの瘴気で環境や気候に影響があるというのは聞いていたけれどここまで悪化するなんて……

 

さっき格納庫で多少話した程度だけれどあの三人のことが気にかかる。新人のひかりさんはこのような悪天候の飛行は経験が少ないしジョゼさんと下原さんもやはり悪天候の飛行は苦手なはずだ。

仲間なのだからというのもあるけれど二、三軽く話した程度の会話が最後の会話になってほしくない。

だけれど状況は刻一刻と悪化していた。

 

「行方不明?」

レーダー室を兼ねた発令所に私が到着した時、真っ先に無線手から告げられた報告はそれだった。

数分前に三人との通信が途絶えたのだ。

彼女達が飛行していた空域は吹雪が強くなっていて、基地周辺も雪と風が強くなっていた。

季節は確かに冬に向かってはいたが、急に吹雪が発生するなど想定外。その上無線機の調子も悪くなり始めた。

滑走路も積雪が発生して除雪車を引き出す始末。発令所と飛行場の管制室は大忙しになった。

 

「もう一度コンタクトを取って。全周波数で呼びかけるのよ。緊急回線も使用して」

レーダーでは探知不可能な距離を偵察していたためレーダーで捜索することはできない。頼りの無線機をどうにか修理しつつ指示を出していると軍靴の奏でる乾いた音が部屋に響いた。

 

「やっているようだな」

 

「ラル中佐!」

 

「消息を絶った三人についてだが、墜落した可能性が高いと判断する。現在時より捜索班を編成する。人選はサーシャに任せた」

 

「わかりました」

 

だけれどそうしている合間にも天候は悪化していき吹雪が吹き始めた。

気温も急激に下がり、オイル凍結と路面の凍結が多発していた。

私にとっては懐かしい、でもどこか思い出したくないと頭が否定する光景。

幸いストライカー用のオイルは寒冷地用のものをジークフリンデ中尉が運んできていたおかげで動かすことはできそうだった。

細部の凍結防止もそこそこに皆の準備も中頃となったところで無線が鳴った。

『こちらジークフリンデ中尉。離陸準備完了。いつでもどうぞ』

 

「待て。まだ療養中だろう。離陸は中止だ」

ラル中佐が制止をかけた。彼女に命令を下す権限を持っているのはラル中佐だけ。こちらとしても普通の大型機での捜索は会敵時のリスクが高すぎる。

『天候が悪化しています。このまま悪くなればウィッチでは飛行に支障が出ます。大型の飛行機なら多少天候が悪化しても問題はありません』

 

「だが……いや、許可をする。ただし無理はするな。準備が出来次第こちらも空に上がる。だから逐一報告を回せ」

一刻を争う状況、それも人命がかかっている状況でラル中佐は『中佐』としての判断をとった。

『了解』

 

「なら私も行きます」

 

「アレクサンドラ大尉?」

普段のサーシャ呼びではない。指揮官としての反応だ。

「ここは私の故郷。雪の中での行動なら私が最も優れている自負があります」

実際吹雪の中での飛行は何度も経験した。それに飛行隊長でもある。部下の安否を確認するもの上官の義務だ。

「……わかった。それ以外の者は即応待機だ」

 

『ストライカーの積み込みは時間がない。幸いこっちは武装した機体だから何かあっても気にしないで』

耳に取り付けたインカムから届く声は単調だったけれどどこか自信に溢れていた。あるいは強がりなのかもしれない。

「了解していますわ」

指揮所から格納庫へ向かい普段使っている武器を引き出して滑走路に向かうと、レシプロ機特有の爆音を響かせた機体が滑走路の隅っこに止まっていた。

 

そこにいたのは中型の機体。一体どこから持ってきたのかそれはカールスラントの爆撃機Ju88だった。確か格納庫に何機かあった機体であるのは覚えている。機体番号を見ると別の基地へ移動となった爆撃隊が置いて行った機体であるのは間違いなかった。

 

しかし乗っているのは一人だけ。なんとも贅沢な乗り方だった。

 

 

「爆撃機で捜索ですの?」

コックピットにいるであろうジークフリンデ中尉と無線越しに話をしつつハッチを開けて機内に体を滑り込ませた。

「航続距離も長いしこの機体は下の方の視界が広いから下手な機体より捜索能力は高いよ」

 

なるほどそう言われれば理にかなっている。であればコックピットから一段下の全面ガラス張りとなっている場所が最も見えやすい操縦手席の隣に移動するべきね。

乗り込んですぐに体が後ろに引っ張られるような感覚と共に機体が動き出した。プロペラの回転で雪が舞っているのが見える。

 

「問題は季節外れの吹雪と日没。日没まで4時間あるけどこの天候じゃすぐに暗くなっちゃう」

 

「そうね。なら急ぎましょう」

 

 

 

 

 

「吹雪いてきた。視界不良、高度を下げる」

 

「ダメ。高度はこれ以上下げると木にぶつかる。高度そのまま」

 

風に煽られ機体が大きく揺れる。天候は大きく悪化し強風と大量に打ち付ける雪で周囲の視界は殆どなくなってしまった。

湖を越えてペトロザボーツクという街の上空をフライパスしたが既に避難の終わったその街は雪の中に隠れていて何も見えなかった。

周囲の林間部まで捜索を広げたけれどこれまで2時間全く手がかりはなくただただ悪化する天候によって発見確率だけが落ちて行った。

「……わかった。高度はこのまま。あと1時間粘る」

 

「わかったわ。あと1時間が限度ね」

 

「……‼︎」

 

「前方の地面!緑色のストライカーを見つけたわ!」

 

「あった!紫電改ね……」

だけれどその直後、機体が大きく下がった。下面が木々に擦れる音がして翼が枝を叩いたのかバリバリと引き裂かれる音が響いた。

「吹雪が激しい。機体が持っていかれる!旋回不可能!」

操縦桿をめいっぱい引いたジークフリンデ中尉。機体が一瞬上を向くけれど、次の瞬間左下に叩きつけられるように揺れた。

「乱気流⁈」

左を見れば翼にいくつもの氷が張り付いていた。似たようなことが起こるのは乱気流に飛び込んだ時と昔読んだ本に書いてあった。

 

「いやこれは……」

ふとジークフリンデ中尉の顔を見た。その怒りに満ちた表情にようやく彼女をどこで見たのか思い出した。

リバウから来て墜落しネウロイと戦っていたあの少女。アントナー・S・ハル。でもそのことを考える余裕はなかった。

「あれは……」

彼女は何かを見つけたらしい。だけれど私がそれを見る前に機体は大きく横を向き、翼端を木々に擦りながら気流から離脱していた。

ただ、一瞬だけ黒い何かが空にいたような気がした。

 

 




DP28V軽機関銃

製造国オラーシャ連邦

口径7.62mm 使用弾薬7.62x54mmR弾 装弾数47発
作動方式ガス圧作動方式
発射速度500-600発/分 銃口初速840m/s 有効射程800m

1927年に設計されたオラーシャ連邦の主力軽機関銃。
整備性と耐久性を重視して設計された機関銃であり初期型は部品点数が少なくやたら頑丈であった。
その反面リコイルスプリングがガスピストン近くに収められており射撃に伴ったガス管の過熱の影響を受け、熱膨張による変形が作動不良を引き起こすことが多かった。

アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン大尉が運用するDP28はウィッチが航空戦で使用する事を前提に改良されたモデルであり通常型のDP-28との違いは二脚式の脚がなくなり銃床部を短くしているほか減音器の形状の違い。取り回しをしやすくするため銃身部をやや短くしている。
そのため散布界が通常型より広がっているがウィッチの平均交戦距離が500m以内であることから問題ないとされた。


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????10

「雪は止まないわね」

激しく揺れていた機体は嘘のように静かに吹雪の中でも滑らかに飛んでいた。

「仕方がありませんこのまま着陸します」

雪に埋もれた滑走路は除雪が間に合わないのかはたまた除雪しようにも天候が悪いのか誘導灯の光すら見えない状態だった。それにも関わらず正確に彼女は機体を滑走路に着陸させた。場所を覚えているかのような正確な動き。雪の上でも全く滑らせる事のない速度調整。

まるでオラーシャの航空輸送のようだった。

 

機体を止めた彼女と共にラル中佐に報告をあげれば、訓練員の教官を務めているロスマン軍曹もやってきての会議となった。

問題は彼女が見たというその特殊なネウロイだった。

季節外れの吹雪の原因とも言えるそれが何を目的としているのか。ネウロイの行動原理、思考方法。その全てが謎のまま。それでも何をしようとしているのかを考えなければならない。

 

 

「ネウロイによるなんらかの軍事作戦の可能性はほぼ確実だ。早いうちにどうにかしないと……」

そうでもなければこのようなことをしてくるわけがない。

 

「でもストライカーはこれじゃ飛べそうにないし…」

天候に弱い空軍戦力の妨害を狙ったものなのかあるいは吹雪による軍事的揺動なのか。

だとすればすぐにでも地上戦力が押し寄せてくるはずだが吹雪はネウロイにとっても行軍の妨げになる。

そもそもあれはどのように戦略をとっているのか。あるいは何のために戦うのか?

いずれにしても本来なら飛行隊長である私の仕事ではない。それでも考えなければならない。味方を失わないようにするために……

「だが相手も無限に力を発揮できるわけではない。そのうちエネルギーを溜めるために一度天候の操作を止める可能性がある。そのタイミングで出撃を行う」

希望的観測に過ぎないが現状ではそれ以外に方法はない。

 

あの子が地点まで誘導することなども考えられるけれど視界不良ではレーダー未搭載機ではいささか危険すぎるし目標地点まで誘導するのが難しい。

その上さらに厄介な問題があった。

 

大型ネウロイを相手にする場合は装備はかなりの重装備が必要となる。しかし現状ではそのような武器はない。せいぜいが歩兵機関銃と呼ばれる7.76mmの分隊支援火器程度だった。無論ロケット砲などはあるが予備弾数の問題から現状では2発が限界だった。

ひかりさんと下原さん、菅野さんが使用する扶桑の20mm機関砲なら大火力ではある。だけれどその機銃は二人が使っている以外のものは故障整備のためすぐには使えそうになかった。

「彼女達がもしかしたら倒してくれるかもしれません。目をつけているのでしょう?」

そう言ってジークフリンデは口角を吊り上げて笑っていた。

「502にいる時点で伊達ではないわ……ただそれだけよ」

ロスマン軍曹はそう小さくつぶやいた。

 

 

 

現状私たちにできることは何もなく、その日の出撃と捜索は不可能との判断が下された。

少しの合間菅野さんを宥めていれば、格納庫から外に出て頭に雪を乗せながら外で立っている少女を見つけた。

案の定それはジークフリンデで、まるで人形のように無表情な顔で、それでも瞳は何かも見ているようだった。

「何しているのかしら?」

 

「待っている。それだけ」

 

不意に吹雪の勢いが落ちた。わずか数分で雪が止み、雲は晴れなかったものの天候は急速に回復した。自然気象ではやはりなかなか起こり得ない事だ。

「止んだようだな」

 

「ええ、止んだみたいですね」

 

 

「なら彼女達のおかげだ」

そう言い切ったジークフリンデ。心なしか安心しているようだった。

「信じているのですね」

 

「軍人として考えれば我々は失格なのかもしれないが……英雄としてなら合格だと私は思っているからね」

 

「それは私もですか?」

 

「統合戦闘航空団全体に言えることだよ」

 

そう言って彼女は用は済んだと言わんばかりに歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

空は完全の晴れ渡ったものの降り積もった雪と一時的に下がった気温は全く回復せず広範囲に冷気が残ったままだった。

そのため急遽越冬用の装備を引き出すこととなり基地は上から下まで大忙しとなっていた。

スリップ防止のタイヤチェーンに凍結防止の塩巻きと滑走路の除雪。そこに通常の業務が入る。

そんな中でもウィッチは比較的手が空いていた。

そんな中、ラル中佐は指令書を持ってきた。

内容は周辺状況の偵察。

 

飛行隊長の私にとっては頭の痛くなるものだった。

「偵察と言っても……」

今偵察として使えるのはジークフリンデしかいなかった。そんな彼女を珍しくクルピンスキーとロスマン軍曹は止めようとした。

 

たしかに彼女は怪我人だ。それは今も変わらない。一応医療魔法で治したとは言っていたがそれでも普通は安静にする必要がある。しかし実際にはそういうわけにもいかない理由があった。

 

「僕たちが見に行くじゃダメだったのかい?」

 

「偵察機の方がカメラの性能が良いし、現在出撃可能なユニットはトラブルもあり4機のみよ。直掩などを考慮したらとてもじゃないが偵察には出せないわ」

 

ただでさえエースの専用機として調整が施されているユニットが大半を占めている上に国もバラバラで部品の共通化も出来ていない。

そんなユニットは一度壊れればそれはもう悲惨だった。

定期修理として三機が離脱している中にさらにひかりら3人のユニットが緊急整備をすることとなった。パッキンからソケットから殆どが急激な温度低下と戦闘飛行で破損していた。ひどい場合には魔力伝達回路に亀裂ができている始末だ。特にオイルも凍結しかけた状態で動かしたせいか魔道エンジンそのものが焼け付きかけていた。

さらにニパが全損させた分と巻き込まれた地上の予備機。その結果稼働機は4機のみとある意味危機的状況となってしまっていた。

 

「私は全く構わないよ。まあ昨日使った機体は整備が必要だから出すことはできないけれど……手は打ってある」

 

一人静かに椅子に座っていたジークフリンデは、書類を何枚か机から持ち去り歩き出した。

Ju88は無理な飛行と急激な温度低下でフレームに歪みが発生し、外版に皺が出来ていた。しばらく飛行は無理だろう。なら手は打ってあるとはどういう事なのだろう?

 

 

 

格納庫から牽引車によって引き出されてきたのは前に乗っていた機体ではない。全く別の機体だった。

一切の塗装を施されていない超々ジュラルミンの外板が雪で反射した光を浴び、明るく輝いていた。

鋭い機首と両翼の大型エンジン。双発の偵察機では世界有数の高速性を持つ非武装機。私も何度かお世話になったことがあるそれは扶桑国陸軍100式司令部偵察機だった。

どこから持ってきたのか分からないけれどその機体は機体番号の部分が削られていた。

「どうやってこれを?」

 

「調達くらい朝飯前だよ」

そういうものなのだろうか?

 

 

国籍マークの代わりに連合軍を示すマークをつけた無塗装の100式司令部偵察機二型の後部席に乗り込めば、少しして機体は動き出した。どうやったら扶桑の偵察機などが手に入るのかは知らないけれど、その事を聞き出そうと言う気にはならなかった。

偵察機と言っても502にはウィッチ以外の航空要員は一人しかない。必然的に偵察機のカメラ撮影を行うのは待機組のうちの一人、飛行隊長の私となった。

 

 

 

後席と前席は距離が離れている。そのため会話も機内の有線電話を利用することになる。あまり視界が開けていない後席の窓からでは周りの状況は確認しづらい。

それでも地上の様子は備え付けられた偵察カメラのファインダー越しに見ることができた。

木々がある一線を境になくなった。その下には雪を被った大地とは違う、波打つ水が光を反射する途中で動きを止められたような歪な氷の面を持つ湖があった。

 

「湖…凍っていますね」

本来であればこの湖が凍結するのは後一ヶ月半ほどかかる予定だった。その想定は脆くも崩れ去ってしまった。

「もしかしてこれが目的だったのかしら?」

カメラで凍った湖を撮りつつあのネウロイの目的を探ることにした。

 

天候を操れる特殊なネウロイ。戦闘機や兵器をモデルにした存在ではない、人類の想像の模倣からある意味解放されたような存在。

そこまで独自に進化しているということはそれによって人類が想定していないような戦略を取る。それでも大元の考え方は同じ。いかに自軍を送り込めるかだ。

ならあれが冷気を出していたのはこれが理由だったのかもしれない。

「だとすると相当厄介なことになりそうだ。ネウロイの侵攻が始まれば準備不足を突かれて戦線が崩壊するぞ」

特にこの近くの大隊本部があるペテルブルク基地は補給路の確保が難しい地形となっている。その分防衛戦では無類の強さを発揮するが物資の搬入が終わりきっていない現状ではその強さはほとんど活かせない。

 

 

ふと氷の上に黒く動く胡麻粒が見えた。

 

「戦車型ネウロイ、湖の上を移動中。数は3。その後ろに小型の地上ネウロイが続いている」

 

「え……」

既に進撃は始まっていた。数からして本体ではない。戦闘偵察隊のようなものなのだろう。移動速度こそ遅いが機甲戦力があるとそれだけで脅威となる。

 

「既に進撃中。写真を撮るから無線を頼む」

流石に非武装機のこちらは攻撃することはできない。そのかわり敵発見の報告と写真を撮って情報を集める事が最大の攻撃になる。

 

「分かりました!」

撮影を開始した直後、背筋に悪寒が走った。一瞬だけ後ろを向けばそこには黒い点が青空に浮いていた。徐々に近くなっていくそれは黒い体と赤色のラインを入れた敵だった。

「後方よりネウロイ!」

 

「撮影は終わっているね。高度を上げる」

 

 

機体が大きく揺れ、体がシートに押さえつけられた。

さらに左右に体が打ち付けられ、視界が黒くなり思考力が低下した。典型的なブラックアウト。機体が上昇中でも左右に揺れエンジンの音が耳の奥で微かに反射する。

それは不意に終わりを告げた。気を失うのでは無いかと思っていたが今度は頭に強制的に血が昇る。マイナスGがかかった証拠だった。

 

 

何が起きているのか理解をする間もなく、何度も左右に上下に体が大きく跳ねやがてそれは収まった。

どうやら振り切ったらしい。こんな無茶な機動をされたら身体が保たない。

 

基地に戻ったら注意をしないと……このままでは彼女は飛行機すらまともに飛ばせなくなってしまいそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

今時珍しい青色の塗装を纏った大型のセダン車が基地からやや離れた位置に止まっていた。

かなり年季の入った車ではあったが所有者は愛車として気に入っているようだった。

その車に軍用の外套を着た一人の少女が乗り込んだ。

少しして車は統制で入手が難しくなったガソリンを消費して動き出した。

「ご機嫌よう。ミス・ジークフリンデ。ハルと言った方がよろしいかしら?」

運転席の黒髪の女性は助手席に座る少女に気品のある態度で臨んだ。

「ご機嫌よう。それで貴女は……」

興味無さそうな返事をしつつも態度だけはきちんとしている少女。だが2人の目は相手の真意を探ろうとする不信感によって作られていた。

「エドヴァルナ・フォン・シュレイナ元カールスラント空軍のウィッチですわ」

 

「ああ……黒騎士か」

記憶をたどりつつ、第一次ネウロイ大戦のエースウィッチにその名前があったことを思い出した。今でこそアガリを迎えた彼女だったが、元が貴族であった事とその政治的才能で現在でも将校として軍をやっている女性だった。

 

「今回は貴女を直々に招待しに参りましたわ」

 

「招待?」

 

「ええ、ネウロイと名付けられた厄災から人々を守る我々ウィッチは今でこそ英雄として扱われていますが何度もその力を恐れた人間から迫害され魔女裁判と称して虐殺が行われてきました」

 

「そんなウィッチを守る為に私達は派閥を組み軍の中で勢力を伸ばしてきたのですわ」

 

「ああ……ウィッチ過激派か」

 

「そのような俗称があるのは知っていますがこれは正当な権利ですわ。それに人類はウィッチに護られるべきなのです。そうすれば今まで払ってきた犠牲もかなり減らすことが出来ましたわ」

 

「……傲慢。私はそんなところには興味はない」

心底興味がないのか少女の瞳には失望と無感情の二つの感情が浮かんでいた。

「ネウロイの巣を破壊する作戦の準備が進められていますわ」

 

「だからなんだというの?」

人類の一大反抗作戦。元々はガリアにあった巣を破壊する為に集められていた戦力が巣の消失と共に浮いた為丸々転用する事となったものだ。公然の秘密として囁かれているそれを今更なぜと少女は首を傾げた。

 

「私達もその作戦に一枚噛んでいるのですわ。秘密兵器と共にね。これがあれば人類とウィッチの関係は対等になるわ」

無論ネウロイの殲滅もそれにかかる人類の損耗も大幅に軽減できるそう彼女は付け加えた。

「今でも十分対等……」

それでも少女は女性の考えには首を縦には振らなかった。

「意見が合いませんわね。まあ、あのプレゼントも有効に使っているようですし同意するとみなしてよろしいかしら?」

 

「100式のことは感謝している。文句は言わないし好きにすればいい」

 

「貴女も貴族なのですからもう少し口調には気をつけたらどうです?」

 

「カールスラント語はどうしてもこうなるの。『ガリア語でしたら貴族の言い回しも可能ですわ』」

 

「『あら、でしたら今度からガリア語にいたしますわ』」

 

「『詳細は後日連絡いたします。それまではいつも通りに』」

 

車が停車した。基地から少し離れたところにあるレストランの前だった。少女は何でここと思いつつも店の入り口に向かって歩き出した。

「では、ご機嫌よう」

背後で車が動き出す音がして、周囲の音はレストランの中から漏れる陽気な声だけになった。




100式司令部偵察機二型

開発国
扶桑
運用
扶桑陸軍/海軍


全長11.00m 全幅14.70m 全高3.88m
自重3,2t 全備重量5,05t
最高速度630km/h
航続距離2,474km/4,000km(落下タンク装備)
発動機 ハ112-II(1350hp)


扶桑国陸軍が運用する高速偵察機。
高速性を追求したゆえの細身で流線型の胴体と、空気力学に基づいた新設計のエンジンカウル、特徴的な尾翼といった従来の扶桑機とは異なるスマートな外見を持ち、性能面でもネウロイの迎撃を振り切る高速性、優秀な高空性能および上昇限度、長大な航続距離を有していた。
二型は一型からエンジンをより強力なハ-112Ⅱに換装しより最高速度と加速性を高めた機体となっている。
元の計画では2000馬力級エンジンを搭載する予定であったが2000馬力級エンジンの寿命の短さゆえに偵察機には向いていないことから従来のエンジンを金属ガスケットの使用やシリンダーのスリーブ化など小改造で高出力化したエンジンを搭載する事となった。
また高速化に伴い武装を撤去し非武装の機体となっている。


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雪は相変わらず地上を白く染め上げていた。それでも天候だけは快晴の状態だった。

地上での訓練を行う予定だったけれど急遽変更となり私はジークフリンデさんと共に空に上がっていた。

珍しくストライカーユニットを履いているジークフリンデさんの姿はどこか歴戦のものだけが持つ強い殺気と、独特の気力の無さが漂っていた。

 

それでも私のストライカーと比べたら彼女が装備しているのは旧式となったBf-109のB型だった。出力も紫電改の半分くらいだ。

 

「空戦の掟?」

 

「そう、空戦の掟……まあ教範に良く書いてある基本のようなものだけれどね。今日はそれを教えようと思う」

そう言いながら練習空域まで進んだジークフリンデさんは地上でのブリーフィング通りに高度を上げ始めた。今回はシールドの使用は禁止。純粋に空戦技術のみを見るものだ。

元々ニパさんが空戦指導を行う予定だったけれど彼女が直前になってストライカーを破損させてしまったため急遽空いていた彼女が教官を務める事になった。

「原則としてネウロイはウィッチとの空戦を得意としない個体が殆どだ。だがそれは相手が今までこちらを圧倒するビームと強力な再生機能を持っているからだ」

 

「それは確かにそうです……」

姉もそう言っていた。だからか最近では大馬力の機体でも空戦能力を求められることが増えていた。特にリベリオンのストライカーの特性である高速と加速性だけでは戦術面での不利が増えていた。

「だが現状のネウロイはウィッチとの空戦に特化し始めた。今までの対ネウロイ戦術は更新が余儀なくされるだろうな」

 

そう言いつつ距離を取ったジークフリンデさんが旋回してこちらに向かってきた。教練空中戦は互いがすれ違ったら始まりとなる。

「相手もまた進化をし続けている。装甲を厚くし、機動性を上げ、人類から知恵を模倣しつつある。それでも戦い続けるしかないんだ。逃げ場なんてどこにもないのだから」

頭で分かっていても緊張する。手に持っている銃が汗で滑りそうになる。

 

すれ違った。空戦開始!

一気に体を回し反対を向いたところで最大出力。旋回で方向が変わった運動ベクトルを切り替えて追尾に入る。

パワーはこっちが上。すぐに背後まで追いついた。出力を絞って追い越したりしないようにしつつ背後に回り込む。

ジークフリンデさんは左右に旋回を繰り返して射線を確保させないように動く。不規則なフェイントも入って最小限の動きで逃げ回られる。

それでも水平飛行での旋回は速度を失う。いずれこっちが……

 

目の前から彼女が消えた。

左旋回に入った途端だった。

 

「パワーダイブ⁈いやあれは…垂直落下‼︎」

それはどこかで見たことある戦術。零式ストライカーが最も得意とする扶桑ウィッチの熟練者が使う技。

Bf-109でそれをやってくるなんて想定外だった。

こちらも垂直降下。重力加速度に体を押すストライカーの力が合わさり急激に速度が上がっていく。

目標を定めようとして、目の前のジークフリンデさんが見えなくなった。それどころか眩しくて目を閉じてしまった。

「雪原が太陽の光を反射して目眩しにッ‼︎」

 

「周囲の状況をもっと確認することだ。あの場合は無理にパワーダイブをせず一度距離を取って仕切り直しのが良い。出力上はそちらが上なのだから高度と速度の優位性を確保するんだ」

横で声が聞こえた。咄嗟にそっちに向けて弾をばら撒く。反撃を許してはならない。当たらなくても撃たれている状況は嫌なもの。

 

降下をやめると少し上に彼女が飛んでいた。上?ああ‼︎最低高度きってる‼︎

もともと決められていた最低高度は350m今はそれよりも下だった。

 

「大目に見るから上がってこい」

そう言いながらも上空から急降下でこっちを狙ってきていた。

咄嗟に銃を向け模擬弾をばら撒く。今度は命中する弾丸があったのか攻撃をやめて右旋回で回避を始めていた。

そのせいで放った弾丸は全てが宙を切った。

その間にこっちは急上昇で逃げる。

「ぐうううッ‼︎」

体にかかる負荷で視界が暗くなっていく。思考が鈍って何をしているのかわからなくなる。

機体を大きく旋回させて背面飛行に移る。パワー勝負なら向こうよりこっちが……

「そこでその機動を行うのは良い判断だが、背中がガラ空きだ」

背中に銃口が突きつけられた。完全に負けた。やっぱりまだまだ敵わない。

息を整えつつ元の高度に戻るとそこで評価が言い渡された。

「まあ筋は悪くないがやはり魔力量不足からくる絶対出力の低下は難しいな。紫電改の性能は上手く出せているが、肝心なところで動きが鈍っている」

 

「そんな……」

 

「でもまあ、技量でカバーが利くからそこはやり方次第だ」

 

「少なくとも出力だけならこちらの方が低い。最後のパワー勝負へ持ち込むのは良い判断だ」

そう言って履いているストライカーを指差すジークフリンデさん。機械の指と機械の脚がぶつかって金属の甲高い音が響いた。人でないようで、でもやっぱり人なんだなっていう不思議な感じだった。

「だがこちらが空力という科学の法則によって縛られているのに対し向こうはそのような縛りはほとんど存在しない。だからあまり定石に囚われる必要もない」

確かにそうだ。でもそうするとさっきのは……

「有効でないネウロイがいたら君は上昇中にシールドを張って動きを封じられシールドが破壊されるまでタコ殴りに合うだろう。私がネウロイならそうする」

 

課題が見つかったのだから帰ろうと彼女が言いかけたところで緊急通信の呼び出しを始めていた。ラジオ電波の軍用国際緊急周波数だ。

 

『周辺を飛行している部隊、こちら基地通信所。たった今ペテルブルク基地に攻撃があった。状況確認のため直ちに急行せよ』

 

「ペテルブルクが⁈」

衝撃…とまではいかないけれどそれでもいざ来るとなったら驚いてしまう。それでも周囲に敵影はないし空襲の警告は無かった。哨戒から漏れたのかな?

「グリフィス1了解した。これより上空警戒に向かう」

 

「グリフィス2、了解しました!」

 

 

ペテルブルク基地から上がる黒煙は2本だった。

 

「破壊されたのは西側と東側監視塔か……」

ペテルブルクの基地は元々城壁で囲われた城下街を丸々徴収し大型の基地としている。

後から追加された設備と元からある古い建物の混在した新旧モザイクな基地。

その中で、古い街並みとは裏腹に後から造られた監視塔は遠くからでも目立つ。四つあったうちの二つが今黒煙と共に瓦礫となっていた。

近くには軍の救急車が何台か来ていて、真っ黒に焦げた人のようなものや怪我をした兵士が収容されようとしていた。思わず吐き気が込み上げてくる。それを無理やり抑えるのに少しだけ時間がかかった。

その間襲撃があったら大変な事態になっていただろうけれど、周囲にネウロイはいなさそうだった。

侵攻に伴う前段階攻撃というわけではないみたいだった。だとすればこれは……

 

周辺警戒の交代ウィッチが来た。任務を引き継いでもらって地上に降りると、ラル中佐が基地司令と話していた。

「攻撃はどのようなものだ?」

 

「ビーム反応は無かった。周囲からもネウロイの持つ固有波は出ていない」

 

「だとすれば超長距離狙撃…この破壊のされ方から言って実体弾のようなものか?」

 

「ならば結果待ちか……」

 

 

結局肝心なことは分からなかった。だけれど破壊の跡だけが確かにそこにあった。

 

 

「そろそろ燃料が切れる。帰るぞグリフィス2」

気がつけば燃料計はかなり下の方に針があった。このままだと途中で燃料切れになる。

「分かりました。ところでこれって……」

悔しい思いがあったけれど今の私たちではどうすることもできなかった。

 

「……ネウロイも進化しているということだ」

ただ一言。それだけが重たく言い放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

帰投した私達と入れ替わりで出撃していったサーシャ隊長達が街の外でネウロイを発見したのは日没直前だった。

だけれどその時にはさらに攻撃を加えられて基地の航空弾薬庫が破壊された。

内部に置かれていたウィッチ用、航空機用の弾薬、爆弾が一斉に誘爆し、周囲100mは全てが吹き飛ばされていた。幸い周囲は盛り土で囲ってあり被害は最小限だった。

 

詳細な情報がようやく出たのは次の日になってからだった。基地は夜の合間もずっと警戒体制でその間ほとんど寝ることは出来なかった。

眠い目を擦りながらブリーフィングルームに向かうと、いつ寝ているのか分からないラル中佐とジークフリンデさん。まだ寝起きで機嫌が良くなさそうな502の面々がいた。

だけれど部屋自体が普段よりも狭い。何かの荷物が布をかぶって部屋の三分の一を占領していた。

「総合的な情報収集の結果が出た。監視塔を破壊したネウロイは超長距離狙撃型と判明した。これは体の一部を分離させ砲弾のように飛ばすものだ」

 

 

「ネウロイの体の一部を…だとすれば着弾一周辺はかなりの瘴気が舞っているのでは?」

 

「その通りだ。現在速やかに除染作業をおこなっている。だがこのまま砲撃が続くようでは基地機能は一週間で麻痺する」

ビームと違って本体を直接ぶつけてくる。

ネウロイの本体も巣ほどではないにしろ瘴気を放っている。直ちに環境や人体に影響が出るというわけではないが除染は必須であるしその間その場所の修復は行えない。

「ダーティボムか。厄介だ」

 

「しかし実体弾を曲射でピンポイント攻撃を放つとなると精密な観測情報か終末誘導が必要となる。もしかしてだが観測のネウロイが潜んでいるのではないか?」

そう聞いたのはジークフリンデさん。

確かに普通の榴弾砲だったら前線に観測班を置いて正確な情報を収集する。ネウロイも目視が不可能な距離を正確に狙うのはいくらなんでも単体では不可能なはず……

「あたりだ。おそらく攻撃を行うネウロイとは別に街の中に潜伏しているネウロイがいる可能性が高い。砲撃を行うネウロイとマーカーのネウロイ。これら二つが今回我々に与えられた目標となる」

 

 

「でも基地の弾薬庫は……」

昨日吹き飛ばされたせいで弾薬の不足が……

一会戦分は残っているらしいけれど地上のネウロイを攻撃する武器は全く残っていなかった。

だけれどその点は問題ないと声が上がった。一斉にみんなが振り返る。

「武器の手配ならもう既に済ませている。好きに使うといい」

そう言って部屋の隅に置かれていた布を被った大量の荷物を指差すジークフリンデさん。その手が布を引っ張ると、下から大量の重火器が出てきた。

20mm以上の大口径砲にロケット兵器。さらになぜか巨大なハンマーのようなものまであった。

 

「これ……ロケット?」

 

「オラーシャで開発されたロケット兵器。弾頭部はパンツァーファウストのものを使いコルダイトの推進剤で発射後4秒間加速される。地上制圧には最適な武器だ」

 

「37mm機関砲まで……」

 

「弾丸もセットだ」

 

一体どうやってこれだけの武器を集めたのか。それでも確かにそれは私達にはありがたいものだった。

「物資を融通してもらうのに苦労したが、持っていけ」

 

 

「これは責任重大ですわね」

武器の心配は無くなった。つまり全力で戦えと言うことだろう。少しだけ背筋に緊張が走る。いつまで経っても実戦は慣れない。

「当然タダではないがな」

 

「また金を取るんですか⁈」

やっぱりタダではなかった。

「個人物資の融通はあまり誉められたものではないからな。公正な取引だ。勿論割引はしておく」

 

この前ものすごく安い焼夷榴弾を買ったら思いっきり不発ばかりして使い物にならなかったって菅野が怒っていたけれど……そう言った類じゃないか心配になってきた。多分大丈夫だよね?

サーシャ隊長がすごく怖い顔をしているのだけれど……うん大丈夫。

「対ネウロイ警戒レーダーを積んだ哨戒機をこちらに回してある。長距離攻撃のネウロイはそちらで捜索するがマーカーネウロイの方はそうはいかない。なので君達の中で何名かが目視で捜索してもらう事になる」

 

 

その捜索班に私とサーシャ隊長とニパさんが選ばれたのは何かの縁だったのだろうか?

いや、今更そんな事考えても仕方がない事なのかも。




Bf-109B-1

運用国
帝政カールスラント他

開発会社
メッサーシャルク社
エンジン
Jumo 210 A(出力680hp)

到達最高高度5400m


カールスラントを代表するストライカーユニット。
第二次ネウロイ大戦全期間を通し、性能と生産数の双方で世界最高峰に立ちつづけ、同大戦を象徴する名ユニットとして世界的に知られた。
「小型の機体に強力なエンジンを搭載する」という理念を徹底し、かつ最新技術を大々的に取り入れている。

Bf-109B(ベルタ Berta)は、背負式の試作機V-4号機を宮藤理論を採用し脚部収納を採用し新開発のJumo 210 A魔道エンジンを搭載した改造機が原型となっている先行量産型であり合計で24機2個中隊分が量産された。
1936年のヒスパニア戦役に送り込まれ実戦試験を行ったのちC型、D型と同様に量産機のE型にデータを引き継ぎ、用途終了となっている。一部は現役にとどまり現在でも運用されている。


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part42 激闘JFW502 1

事故は偶然の産物ではないRTAはーじまーるよー‼︎

 

 

今回もチャートをチャーッと処理していく内容となっていきます(クソ寒ギャグ)

前回5話の分のミッションが終わりまして合間に挟まる飛ばせないムービーを見るところからです。

案の定3人でネウロイを倒しました。しかし凍りついた湖をネウロイが闊歩し始めて基地に近づいていくという不穏な映像の終わり方をしていましたね。

 

というわけでさっそく第6話チャートに入ります。

まずはいつもの輸送任務ではなく偵察ミッションを処理します。6話攻略条件として一回は偵察ミッションを行う必要があるのでその為ですね。

 

海外ネキの方のチャートを参考にさせてもらっているところがある本チャートですが海外ネキはここでの偵察ミッションを一旦輸送任務の後にする事で途中に挟まる会話をイベントカットしています。

ですが彼方はキャラが502メンバーの主要部にいるからであり通常主要メンバーではない今回はそのような事をしなくともイベントは発生しません。

 

というわけで早速偵察任務。

でもこれって指定された航路をずっと飛んでいるだけなので8倍速。特に動画映えもせず経験値も貯まらないうま味のない任務なのでやりたくない任務でした。

 

さてこれが終われば今度はひかりちゃんの教官ミッションです。6話解放時における必ず行うミッションなのでみんな知っているとは思いますが改めまして……

通称教官殺しのチートひかりです。

アニメではこのタイミングではまだパッとした戦績や戦闘力があるわけではないように思えるひかりちゃんですが、当然ネームドであるが故に無茶苦茶強いです。

ひかりちゃんはこちらのスペックに合わせて強化されていく上に物理法則ガン無視な機動やこちらの動きに合わせた回避などもしてくるため普通に鬼つよです。

ヘタをするとパターン攻撃しかしてこないラスボスネウロイより強いです。

そのためついたあだ名が教官殺し。何とまあ恐ろしい子!

別に倒さなくても良いのですが、倒すことが出来ないわけではないので今回は倒すルートで攻略します。そっちの方がその後に入る諸々の会話イベントがカットできますし。

ちなみに海外ネキは倒さないルートをとっています。それでトップランカーなんだから恐ろしい。

 

 

ちなみに倒す際のコツはなるべく巴戦に乗ってあげる事です。

意外かもしれませんが紫電シリーズは格闘戦闘能力の高さと高出力のエンジン故にある一定の負荷がかかると劇的に性能を低下させるトラップが組み込まれています。

 

さてサクサクっとひかりちゃんをペイントまみれにしたところで勝利時の特殊ムービーが……カットされました。

当たり前だよなぁ?

というわけで報酬画面をさっさと閉じてミッションを終わらせます。

この後すぐにラル中佐に話しかける事でストーリーが解放されます。

まあ簡単に言えば長距離砲撃をしてくるネウロイを倒すだけですが輸送機弄るのがメインのこのチャートではド派手な戦闘があるわけでもありません。

 

 

 

パパッと着弾観測、マーキングネウロイと砲撃ネウロイを見つけ出します。

と言っても実際に倒す必要はなく、砲撃を行うネウロイの位置を報告すれば良いだけです。

実際この任務ってやっている人が少ないのか中々情報が無いのですよね。というわけで一人で偵察ができる機体という事で前回に引き続き百式司偵を使いましょう。

いやーストライカーユニットを除けばこの機体の性能はピカイチですわ。速さこそ正義。基地の近くなので攻撃してくるネウロイもいません。

ここは8倍速でパパッと……

なんで等速に戻す必要があるんですか?

 

えー…実はですね。攻撃してくるネウロイはいないというのは嘘です。ハイ……実を言うと試走でもあったのですが地上からの攻撃は普通にあります。

通常の対空型ネウロイが上手く森の中にアンブッシュしているようで謎の精密さでこっちを狙ってきます。

これ難易度によって変わるので注意しましょう。だから情報の少ないミッションは嫌なんだ。

 

というわけで実はここちまちまダメージ受けてます。

翼端とか被弾して燃料吹いています。お、そうだな(他人事)

燃料なんて気にする必要はありません。被弾もHPが残っていれば問題なし。

ハイ、ミッション終了です。帰りましょう。

 

さて格納庫に戻ればまたムービーイベントです。

ニパとサーシャのドタバタコメディ……というわけでもなく単純にニパのやらかしをとりあえずなんとかするサーシャというのをさまざまと見せつけられる謎のテェテェ補給時間です。

あ〜癒されるわ。

 

ちなみにここで話しかけるを選択するとてんとう虫の御呪いのくだりがカットできたりするのでこの後の展開も仲違い無しで進んでいく旨味しかない状態になります。

とりあえずやってみましょう。

サーシャがユニットの落書きに気付きました。

怒るサーシャに対しててんとう虫という事を教えてあげると早とちりした事を謝罪するサーシャが見れます。

これで終わり。倍速に戻しましょう。

一旦ご飯を食べて眠ったら、再度ミッションを受けに格納庫に。

ミッションを選択したら後は出撃です。今回も偵察ミッション。しかし今回は偵察機ではなく爆撃機での任務となります。

途中で爆弾を投下するお仕事が入るから仕方がないね。

 

まあ載せる爆弾もそんなに必要ではないので今回は九九式襲撃機を使用します。基本設計は古いですが扱いやすいですし初心者向けの機体でもあります。同時にこれでネウロイを撃墜するパイロットもいるから手に負えない。

九九艦爆と名前も形もどこか似ていますが全くの別物。間違えちゃダメだぞ。

 

こいつで狙うは砲撃を行うネウロイ。マーキングネウロイは今回はノータッチです。一応こっちもやれなくはないですがあんなちっこいのが細々と動いているんです。飛行機じゃ攻撃なんて無理です。

というわけで早速ネウロイを炙り出しましょう。

と言ってもやることは偵察ミッションと同じで原則は決められたルートを飛んで攻撃位置を確認するだけです。

発射位置を観測しつつ次のターゲットポイントを予測していく作業ですがこれをわざわざパイロットがしないといけないのがなんとまあ。ちなみにアシストオンにしておけば地図上に次の射点のポイントがマークされます。

正直そっちより誤差縮められるので基本はアシストしていませんがね。

 

早速砲撃です。前のミッションで得ている射撃点の情報と今回狙っている場所を加味すると……南東方向。グリットはG-18。まあこんなもんでしょう。

後はやってきたウィッチ達が最初にネウロイを攻撃するのでその間も偵察に勤しみましょう。

最後になってネウロイを足止めするために爆弾を落としてやります。

1発落とせば十分なので落としたらさっさと離脱しましょう。

ビームは真っ正面から飛んできてくれた方が回避しやすいので楽です。これが機銃弾だとかだと回避スペースが確保できないのでなかなか辛いところがあるのですけれど。

特に急降下爆撃を行うときはそれが顕著に出ます。今回は機体が機体なので急降下はしませんが。

はい、終わりました。ネウロイが撃破される直前に砲撃を行いましたがこれはニパが守ってくれて終わります。

 

こちらはさっさと飛行場に蜻蛉返りします。襲撃機は加速が遅いのでなるべく減速するようなことはしたくないのでほんと直線軌道を描いて降下したままの高度を維持します。

これでもイリユーシン2とかよりも速度は速いんですけどね。

 

基地に戻ると大破したユニットと一緒に帰ってくるニパとサーシャのムービーが挟まりますがこれはスキップできないので休憩時間とします。

現在想定していたよりも少し遅れて(汗)ま、まあなんとかなるやろ。

というわけで次の話が解放されるまで経験値と金を稼いでいきます。

 

いつもの輸送ミッションをチャートに組み込んでいるので早速飛ばします。またこの金稼ぎだぜ。ちなみに金に関してはこの後ちょっとでかい機体を購入する必要があったりするので結構必要になります。

このチャートでは各話の合間に一回挟む分とメインミッションの報酬で購入可能になるようにはしています。ただしあまり下手なことをすると修理費などで軍資金も飛んでいってしまうので一回分だけ余裕を持たせています。

 

おっと、今回は珍しく人員輸送ときました。物資輸送と違い確定でネウロイと交戦することになります。通常は輸送機ではなく雷撃機や爆撃機を輸送に使うことが多いですがアレらは案外速度が乗りません。その上もらえる経験値の関係で大型輸送機を使用します。

今回は爆撃機でもある一式陸攻。海軍さんの機体です。

 

早速指定された飛行場までひとっ飛びです。空っぽの航空機なので燃料の事を気にする必要はあまりないので今回もフルスロットルかつ低空飛行となります。帰りは偏西風の関係で高高度に上がります。

行きの空は平穏そのもの。護衛がつくわけでもなくのんびりとした空の旅を……飽きてしまうでしょうからみーなーさーまのたーめにー…機内上映をしましょう。

 

クッ…ではなくさっきカットしたムービーの一部をお送ります。

この作品意外とムービーに力が入っているせいかVRなのに1ムービーで15分くらいあるんですよ。なんだこの見るゲームとか言われるメタルギア感……

 

というわけでこちらのムービーも到着までで区切ります。こうしてみるとボリュームたっぷりなストパンですね。

 

はい要人を乗せ終わったので帰りです。要人輸送では飛行中に乗せている人物との会話が入ります。

今回はなんとあのウルスラ・ハルトマン以下研究者御一行です。なかなかやべえ天才集団。

それと編集中に気付いたのですが離陸速度を間違えてかなり滑走路でチンタラ加速していました。誤差…誤差だよ。

途中でネウロイが相変わらずの勢いでやってくるので当然のことながら交戦……するはずないじゃないですか。大型機で戦闘機に戦いを挑むなんてアホですよアホ(ブーメラン)こういうのはいつの時代も変わらず三十六計逃げるに如かず。

いつもの手です。基地まで突っ走ればOk。

ん?んー……

……あ、ヤッベこれ回避できない。

 

やっべやっべ‼︎

あああああ‼︎

 

どうしようどうしよう…基地ラインは越えているんだけど……

えーはい、輸送機落としちゃいました。

やべえよやべえよ。ま、まあゲームオーバーってなったわけじゃないしセーフセーフ。一応これ着陸後の扱いみたいですし……なんか機体も翼側が燃えているけどまあ大丈夫…うん、ミッションは完了していて特に怪我や異常状態というわけでもないようですのでこのまま続行です。疲労マークが出ているのがアレですがまあ眠れば治る(キリッ)

 

まじめに解説するとこの時焦って加速しすぎているんですよ。そのせいでネウロイの攻撃とタイミングを合わせていたのがずれてしまってこうなりましたはい。一応翼端に被弾しただけなので最後まで揚力が保ったようです。

焦ったら危ない。これ重要でした。

ガバ中の幸いこれいかに。

というわけで今回はここまで。ご視聴ありがとうございました!




九九式襲撃機

開発国
扶桑国 

運用 
扶桑国陸軍


全長9.21 m
全幅12.10 m
自重1.87t
ハ26-II 離昇出力940hp
武装
翼内12.7mm機関砲二丁
後方7.7mm旋回機関銃一丁
爆装
最大200kg

扶桑国陸軍が地上部隊の支援を行う機体を欲した事から開発された襲撃機。
固定脚と古臭い見た目の割に各部は装甲が施され、対ビーム用塗料も塗られている事から航空機の中では珍しくビーム耐性がある。
現在では後継のキ-94の配備が始まっており一部の機体は欧州戦線へ転属後中古払い下げとなった機体が多い。


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私が空を飛ぶ理由?元々はお姉ちゃんに憧れてたからだったんだ。

昔からいろんなことをそつなくこなして、海軍ウィッチ航空隊にも次席で予科練を通過して順風満帆。そんな姉が誇りで、それに憧れて、どこか対極的な心境も持っていました。

でも対極的な感情はやる気に変えて今ままで飛んできたつもりです。魔力量が人より少ないと言われても……

 

でも流石にあれを見せられたら憧れで、姉を越えようとして飛んでいる自分がなんだか恥ずかしくなった。

空を飛ぶことの意味ってなんだったんだろうなって……でもやっぱり考えても人それぞれのものでしかないっていう結論しか出なかったんです。

 

 

 

 

彼女はあの作戦で3度の死に接した。

そう言ったのは502JFWの長であるラル中佐だった。

 

1度目の死はペテルブルク基地東方120km地点の上空。長距離砲撃ネウロイを捜索するための偵察機の中でのことだった。

 

 

扶桑国の機体でありながら国籍はカールスラントという歪な存在となった百式司偵のコックピットでジークフリンデは操縦桿を握っていた。

小柄な体格ゆえに余裕のある広さに見える機内で手持ち無沙汰だった彼女は機内電話で後席に乗っている偵察員と会話をしていた。

 

 

「揺れの方は大丈夫かな?」

 

「ええ、快適ですよ。流石の操縦技術です」

 

「そっか……そういえば君の出身はこの街だったね」

 

「ええ、生まれも育ちもこの街です」

まだ20にも満たない少年兵である彼は、司令部の気まぐれな倫理観故になるべく後方職種に回されていた。しかしペテルブルク基地が最前線となってしまった現状では、彼もまた戦線での戦いを余儀なくされていた。

 

そんな彼と話をしながらも周囲の様子を観察していた彼女はこの時小さな光を見つけた。

それと同時に空を黒い物体が高速で飛翔していく。間違いなくそれは放物線を描いて飛翔する砲弾であった。

「通信急げ。位置を送ったら写真撮影に入る。カメラ準備!」

 

 

「了解!砲撃ネウロイを見つけた。位置情報グリットA-3、……森の中に対空ネウロイ!攻撃を受けている」

機体が旋回している最中だった。突然森の中から赤く高熱を放つ光が機体に殺到した。

旋回を止めて上昇に入る。それでもネウロイの射程からは逃れることができない。

「く!撮影を行いますから水平飛行を……」

 

「了解した。ちょっと荒っぽくなるけど頑張って撮って」

それに真っ先に気がついたのは、南西に20kmの地点を訓練飛行していたラル中佐だった。

魔道無線は特性上特定の周波帯がなく、通信機を入れておくと魔道通信が届く範囲内の会話が全て丸聞こえになる。

 

ジークフリンデが使っていたのは魔道通信機だった。

『これ以上の偵察活動は不可能と判断し離脱する』

 

ビームが幾つも空に向かって立ち上り、その中で銀色の無塗装の双発機が木の葉のように舞っていた。

幾つも立ち上ってくるビームのうちの一つが機体に直撃をするコースをとっていた。

その光線はパイロット席を中心に出現した障壁によって弾かれる。それでも弾かれたビームの一部が機体に穴を開けていた。

 

すぐに援護に駆けつけたラルによって撃墜こそ免れたものの、帰ってきた彼女の機体はボロボロで、風防も一部が吹き飛び翼には大きな穴ができていた。

エンジンから漏れた煙が空に一筋の線を描いていた。

同時にオイルとガソリンも漏れていて、着陸した機体は未舗装の滑走路面にオイルの跡とガソリンを垂れ流しにしていた。引火しなかったのは奇跡かもしれない。

滑走路から離れた機体はすぐに消防車によって消火剤が撒かれていた。

「よく帰ってきたものだ……これはもう修理不能で廃棄処分するしかないな」

格納庫に引き込まれていく機体は素人の私でさえ廃棄処分にするしかないほど壊れているように見えた。

電球の光の下でズタズタになった機体を前にジークフリンデはどこか寂しげな表情をしていた。

ストライカーを外したラル中佐は落ち込むなとジークフリンデの肩を叩いたが、その表情が戻ることはなかった。

「仕方がありません……撮影機材が無事だっただけよしとしましょう。ところで後ろの彼はどうなったの?」

「腕を怪我していたようだが、意識もしっかりしているし問題はなさそうだ」

後で知った話だが後ろの席に座っていた中尉も割れた風防の破片で腕に切り傷を負ったが深い傷ではなく軽傷だったそうだ。

ただし内臓に負担がかかっているらしくしばらくは安静にしている必要があったらしい。

同じように廃棄された機体も被弾とは別にさまざまな箇所に歪みと外板の皺が出来ていたらしく相当な無理をしていたようだ。

まさしく彼女だからこそのものだろう。

 

502JFW従軍記者の手記より抜粋。

 

 

 

 

その日の空は快晴に尽きる。そんな天候だった。昨日大破した機体はいまだに手付かずのまま僕たちのストライカーユニットの隣に放置されていた。

ボロボロになった機体を眺めていると、外からエンジンの始動する音が聞こえた。音のした方に行ってみるとやけに旧式な見た目の単発機とハルがそこにいた。

「まさか……またでるのかい?」

 

「なんだいクルピンスキー?これのことかな?」

 

「そうだけど……でも昨日の今日で疲労が溜まっているはずじゃ…」

 

「少しでも戦力は多い方がいいと基地司令の判断だ。今回は爆装して出るつもりだ」

無茶苦茶な答えだった。

下を覗き込むと黒く怪しく輝く円柱状の爆弾が確かに吊り下げられていた。そういえばこの機体も偵察機にしてはなんだか不自然すぎる。カメラ機材を搭載するスペースはほとんどないようだし固定脚でどう見ても遅そうな見た目、その上やたらと分厚くて頑丈そうな主翼ときた。

しかしネウロイのビーム相手では装甲なんてあって無きに等しい。コンマ数百秒ほど蒸発するのが遅くなるくらいだ。

「九九式襲撃機。百式のスペアとして用意しておいた機体を使うことになるなんてね」

正直何があるか分からないや。ハルは笑いながら最後の調整を行なっていた。

 

僕としてはもう飛んでほしくないしこんな機体でネウロイの攻撃の中に突っ込むなんて正気の沙汰ではない。

それでも彼女はそんなこと知らないと言わんばかりの顔で機体の調整を続けていた。命令だから、彼女が拒否をしないから……言い訳なら幾らでも出来るけれど結局僕は彼女を止めることを諦めてしまった。

「後ろの座席は?」

二人乗りの機体だ。後ろの席にも誰かが座るはずだったけれど、今その場所は空席のままだった。

「居ない。だけど問題はない。それに一人の方が楽だ」

彼女にとっては結局どんな機体であろうと1人の方が良いみたいだった。誰も近づけたくない。そんな拒絶の反応だった。

こうなってくると流石の僕でもお手上げだった。

 

「まあ、飛ぶときは多分近くにいるから援護はよろしくね」

 

「観測機が援護されてたらダメだよ。ちゃんと離れたところから観測しないとね」

 

「威力偵察だからそれは難しいかな」

 

難しい顔をされても困るのだけれど……いっそのことぐるぐる巻きにして放置しておこうかな?

 

砲撃を行うネウロイは案外簡単に位置を特定することができた。

今までの観測データと、上空の九九式襲撃機をから送られてくるリアルタイムのデータを元に攻撃発揮位置を特定した。

これがウィッチだけだったら確かに場所の特定に時間がかかっていたはずだ。

 

「くッ…弾幕が濃すぎる!」

問題はそれが自衛のための戦闘力を有していて、しかも大型ネウロイに匹敵する攻撃力だった。

「陽動に乗らないなんて悪知恵が働きますわね!」

最初に陽動として弾幕を張ったジョゼの動きに動じることなく、背後から襲撃しようとしたラル中佐をビームで牽制する。

 

陽動に乗らず正確にこちらの意図を読んで攻撃してくる。確実にネウロイも知恵を身につけている証拠だ。マーカーネウロイの撃破に向かった3人も追跡に手間取っている。このままだと砲撃の方がおこなわれてしまう。

 

ジークフリンデが体験した2度目の死はその直後に起こった。

「これよりネウロイに対し爆撃を敢行する!」

すぐ隣を白色の物体が通り過ぎていった。それが上空でネウロイを捜索していたはずの九九襲撃機だと気づいた時にはすでに手遅れだった。

「ちょっと何考えて……」

 

「偵察機は黙って情報を集めていればいいんだってば!」

だけれどこちらが何を言おうとも、既に降下を始めてしまっている機体は止まることなく僕達の合間をすり抜けた。

ジークフリンデの機体がビームの合間をすり抜けて投弾した。

まるでビームが避けていっているみたいに思えて、危なっかしいけれど不思議とどこか落ちる心配は起こらなかった。

爆弾はネウロイの片脚を破壊して地面に穴を開けた。体を支えられないネウロイが大きくバランスを失い地面に崩れビームの精度が大きく乱れた。その隙を狙ってみんなで一斉にコアを破壊。だけれど直前でネウロイは砲撃を行った。

きっとマーカーネウロイがいるところ……通信施設だ。

 

真っ先にそれを伝えたのもまたジークフリンデだった。

無線施設は複数あるからその場所が破壊されても被害は最小限に抑えられる。マーカーネウロイを撃破した3人も離脱を行ったはずだった。だけれど無線機からはニパが無線設備を庇って墜落したとの知らせが流れた。あの子何しているんだろう。

 

それでも作戦は終わった。彼女はピンピンしている。なんとなくホッとして、戦場にはあってはいけないはずの空気が流れていた。遠目に帰投する九九襲撃機をみる。

主翼の一部が融解しているものの飛行そのものに影響はなさそうだった。

 

それでも固定脚だったところもいくつか被弾したのか融解して溶け落ちていた。

それを見て顔から血の気がひいた。

彼女の最後の死はまさしくそれによって引き起こされた。

着陸できないのだ。胴体着陸も考えられたけれど、片方の脚が残っているためバランスが悪く最悪の場合機体が大破しかねない危険があった。

 

「胴体着陸を敢行する。ウィッチは先に着陸して」

 

「そんなの!」

 

「損傷機は最後に降りるのが規則でしょ。ほら早くいって」

本当はコックピットから引き摺り出したかったけれど飛行中の機体は帯電していて感電の危険があって不用意には触れない。どうすることもできなかった。

 

 

それでも燃料の少ない機体は降りるしかなかった。

着陸の際壊れかけていたフラップがついに機体から脱落し、大きくバランスを崩した機体は破損した方の脚を滑走路に叩きつけ、土埃と火災を起こしながら滑走路中程で止まった。

「まずい!火災だ!」

 

ああなんてことだ。まだ脱出もしていないのに機体は半分炎に包まれていた。

すぐに機体に駆け寄った。

だけれどこちらの心配を他所に、彼女は元気にコクピットを粉砕して脱出してきた。キャノピーを破壊する際に片腕を傷だらけにしながら。

義手となっていた方の腕は着陸の時にどこか壊れたのか機械の部品を内部から垂らしながら力なく垂れ下がっていた。

……いくらシールドを手に展開して割ったとしても破片は普通に当たる。

「血だらけじゃないか!」

 

「ガラスの破片だよ。やっぱり怪我はするもんだね……」

当たり前なんだけどなあ……彼女はどこかそういうところに無頓着だった。

 

 

結局その日、マーカーネウロイと狙撃ネウロイは両方とも駆逐されて、基地には束の間の平穏が戻った。

それでもネウロイによって破壊されたものの代償は大きく、基地の戦闘力に大きな足枷がつくことになった。

後、彼女の腕にも消えない傷が幾つも残った。

 




SC.100 航空爆弾

最大直径250mm
全長1560mm
重量104kg
炸薬量40kg

カールスラント空軍が運用している通常爆弾。
第二次ネウロイ大戦初期、カールスラント空軍の地上攻撃用爆弾は概ね5種類が存在したが、そのいずれもが重量50kg、250kg、500kgのサイズであった。
このうち地上の移動目標へは50kg、250kgが多様されていたがネウロイの攻撃性の激化で通常の攻撃機や爆撃機では地上攻撃がしにくくなっていた。
そのため攻撃ウィッチとして地上爆撃をウィッチに担当させる運びとなったがウィッチ自身が持ち運ぶことができる重量は自衛火器の重量を含め爆弾重量100kg、それも1発というのが限界だった。
そのため既存爆弾では火力が最も小さい50kg爆弾しか運用できないという制約が発生した。
そのため当初ウィッチ用に開発されたのがSCW.100、100kgウィッチ用航空爆弾であった。これをベースに航空機搭載型用としてアタッチメントを追加し、姿勢安定用の尾翼部分の形状を変更したのが本爆弾である。


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「基地の状況はかなり深刻になっています」

長距離砲撃を行うネウロイが排除されて一週間。ようやく落ち着きを取り戻しつつあった基地に再びの忙しさがやってきていた。だけれど私達は蚊帳の外に置かれていた。

ここの基地に502が入ってからてんてこ舞いだったけれどここのところ目立った出撃はない。

それどころか今まで行っていた飛行訓練も頻度が減っていて、地上での体力と魔力の錬成が増えていた。

 

そんな中で与えられた自由な時間を基地の散策に充てていたら、格納庫の中でラル中佐の声が聞こえた。

「ただでさえ兵站が難しい地形なのにこのままでは冬を越すのも難しいときたか」

話を盗み聞きする気は無かったけれどそれでも聞こえてくる内容を無視するわけにはいかない。

やっぱりあの時の攻撃は相当に深刻だったみたいだ。

「そのため基地司令から航空輸送隊の応援要請が入っています」

会話の相手はサーシャさんだった。

「却下だ。あれはこっちの隊の分の輸送でギリギリな上に一機しかない」

たった一機で基地の活動を維持できるほどの戦略資源を用意するなど無理だ。

 

珍しくラル中佐は声を荒げていた。

 

それでも結果が良くなるなんてことはなくて、気候としてももう川が凍りつき雪が降り積もる極寒の大地に変わりつつあった。

地上の輸送網も天候と気候で滞りが発生していた。そうじゃなくても最近は戦車型ネウロイや装甲ネウロイによる輸送隊への少数奇襲戦が多発しているらしい。

ゲリラ戦って言われる手法なんだとか。

 

そのせいもあってこの基地は燃料も食料も弾薬も全てが不足していた。

それは末端の兵士でしかない私のところまで聴こえてくる。そうであるからなのか基地の人達の士気は日に日に下がって来ているように感じた。

 

 

「どうかしたのかな?」

真後ろから声をかけられて思わず心臓が飛び出しそうになった。

「ジークさん?」

 

「ちょっとラル中佐に呼ばれていてね……まあ物資不足は今に始まった事ではない。君が気にすることでもないよ。今まで通り普通に生活する事を心がけるんだ」

 

「それで…状況は打破できるんですか?」

 

「信じて待つしか今はないね。さあ君も行った行った。あまり盗み聞きするような事でもないからね」

そう言って彼女は部屋に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

私とラル中佐が物資のことで頭を悩ませていると、目的の人物がやってきた。

型にはまった綺麗な敬礼をしつつ、少女はやや不機嫌そうな声色をしていた。

「今日呼んだのは他でもない。君の休息についてだ」

「休息ですか?通常の規定時間は休んでいると認識していましたが」

 

「それはあくまで通常のでしょう。私達ウィッチと飛行機乗りは規定時間飛行したらその分特別休暇が入るのよ。貴女の場合未消化だけで後半月は休んでいられるのよ」

というよりも休ませないといけない規定になっている。ただでさえウィッチは数が少ない上に彼女は貴重な輸送機パイロットだった。

「そうは言っても今は戦時ですから」

彼女は今のところ休暇を取るつもりはない。とキッパリ言い切った。

「戦時でも規則は規則よ」

 

むしろ戦時だからこそ規則を正しくしなければならない。そうでなければ戦争という狂気に人はあっさりと飲み込まれてしまう。

彼女にはそれがわかっているのだろうか……

 

 

命令で強制的に休みを取らせようとラル中佐が話し始めた途端、基地の直通電話が鳴った。タイミングの悪いものだ。

会話の内容が不穏なものになっていく。

「中規模な輸送?しかしですね……分かりました」

基地の有線電話を切ったラル中佐が紅茶に砂糖を大量導入しているジークに向き直った。

「残念だが君に仕事だ。基地司令よりももっと上からのものだそうだ。拒否権はなさそうだが大丈夫か?」

完全に上層部が規律ガン無視をしてきた。更に書面での通達までしてきた。タイミングを測っていたとでもいうのだろうか。伝令が命令書を持ってきたのはそれから1分後だった。

 

中身を確認したジークは一言だけ呟いた。

「問題ありませんラル中佐」

 

「ですが規定の飛行時間はとっくに超えています。疲労の事も考えたら……」

 

「問題ないですよサーシャさん。輸送機ニ機と護衛にガンシップとウィッチですよね?空中輸送ではなかなか見られない重護衛です」

 

どのようなものを輸送するのですか?ここまでくると要人あたりしか思い浮かびませんけれど?

「人員輸送だ。なんでもカールスラントの企業が開発している最新鋭のストライカーユニットだそうだ」

なるほど確かにそれは護衛も厳重にならざる終えませんわ。しかしどうしてそれをこちらに回してくるのかしら……確かにストライカーも使えると言う点では非常時には適任かもしれませんけれど。

 

それを伝えるとやや困った顔でラル中佐は向こうのご指名だよと教えてくださった。

相手のご指名……つまり今回の輸送を担当するどこかにジークの事を知っている人がいる?

 

「しかし機体はどうするの?今使っているのは物資輸送で酷使しているから整備ローテを考えても使えないわ」

そもそもあの機体すら実際にはここの基地の余剰機を借りているだけで定期輸送任務以外での使用は原則禁止だった。

 

「向こうが用意をしてくれているらしい。後はパイロットだけだそうだ」

 

自前でパイロットを用意できなかったのかしら?それはそれでおかしな話だけれど……

そこまで思考したところでラル中佐は咳払いをして私の意識を引き戻した。

ともかく既に決まっている事。それを覆す権限はこちらにはないのだった。

 

 

それでも護衛はこちらから出すことにした。ウィッチ2名。決して多いとは言えないけれど現状出せるウィッチは2人だけだった。向こうも2人ウィッチを出してくれるはずだから問題はないと思いたい。

 

 

それが二日前のこと。

輸送機が荷物を乗せて待機している基地までの移動はハルと言えどもストライカーを使用する事となり、そのストライカーを持ち帰るために輸送機に積み込む作業に時間がかかり離陸時間は少し超えていた。

そのため元のフライトプランよりもかなりの遅れが発生していた。

 

嫌なことというのは連続してやってくる。

護衛のウィッチ4名はしかし実際には離陸直後にエンジン故障が発生した子と離陸前から既に故障で上がれず復路の護衛はこちらが送ったクルピンスキーとロスマンのウィッチ2名…それもこっちの戦闘航空団のメンバーだけとなってしまった。

 

だから既に私は心配していた。だけれど同時に彼女だったらなんだかんだと戻ってくるのではないかと根拠の無い安堵感もあった。

 

「まあ護衛はあの二人だし……なんとかしてくれるわ」

こちらの基地に大きな危機が迫っているとも知らずに……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネウロイの大群。同高度より接近。120秒後に交差します!」

行きは良い良い帰りは怖い。そんな声が聞こえてきそうな状況だった。それでも相方はロスマンだから大丈夫。そんな安心感があった。

 

「こちらマギア1戦闘に入ります。マギア2はスターボートに、輸送機はAngel20。フォーメーションは崩さないで。こっちで押さえつけておくからその合間に…」

的確な指示だった。追加の情報が入ってこなければ……

「だめだ。右下方よりネウロイ10体。上昇中!」

「さらに大型のネウロイ反応!電子偵察機より入電!大型ネウロイが基地に向かって進撃中との事です!」

 

「そんなッ‼︎」

どうやら大戦闘の中に迷い込んでしまったらしい。一瞬ロスマンも動揺したけれど直ぐに気持ちを切り替えた。

「これより延滞戦闘に移ります。マギア2、散会。第二群へ向かって」

 

 

「チェスター1はチェスター2、3の護衛に入る‼︎」

チェスター1、輸送機隊の隊長機で、その任務は部隊の対空防御。そのために積荷を乗せず代わりに大量の防護武装を搭載している。元々重武装なB-17のうち左右一箇所と下部二箇所、に20mm機関砲、そして12.7mm機銃も4丁を追加したまさしく空中戦艦だ。

それがネウロイに向けて搭載している武装を最も効率的に投射できる位置に移動していた。

流石に数が多くて一度に対処できる相手を超えていた。

四体のネウロイが抜けた。それに対して輸送機達から指向可能な全ての武装が火を吹いた。

たちまち鉄のシャワーに飲まれた二体が爆散し、二体が降下して離脱していった。

 

それでも上から、下からと散開したネウロイが五月雨式に襲ってくる。こちらもウィッチが二人だけ。それで40体近いネウロイを抑え続けるのは手が足りなかった。

それでもなんとかなっているのはガンシップの弾幕があったから。

ネウロイに感情があるのかは分からないけれど、狙いがガンシップ一機に集中した。

 

「チェスター1主翼に被弾!制御不能!」

弾幕を突破したネウロイの光線が重武装のB-17の主翼を吹き飛ばした。

それまで砲火を上げていた機体が業火に包まれ、スピンしながら高度を下げていった。あれはもう助けられない。諦めるしかなかった。

同時に輸送隊があっさりと丸裸になった。輸送機に向かうネウロイを撃破するけれど焼け石に水だった。

 

彼女が操縦するチェスター2にもネウロイが殺到していく。

胴体の数箇所に魔法陣が生まれてシールドが張られた。だけれどビームを弾いた際の衝撃で大きく揺さぶられていた。

「私も操縦します!」

 

「出来るの?」

 

「当然ですよ。科学者とも有れば自前で飛行機くらい飛ばせないと」

なんだか頭のねじが飛んでいるような会話が無線機から聞こえた気がするけれど構っている暇はなかった。エスコートはまだ時間がかかる。それどころか基地にも攻撃が行われているから中々離陸ができない状態だと魔導無線は伝えてきていた。

 

左右にシザースしながらネウロイの攻撃を躱していたチェスター2……一式陸攻に新たなネウロイが迫っていた。

それを追いかけて、後ろから銃撃を浴びせるも全く怯む様子はない。それどころか回避すらせず体を削られ、コアを破壊され爆散した。その直前に放った光線が陸攻の翼端に偶然当たってしまった。

「右翼端被弾!」

燃料が噴き出る。それが空に虹色の霧を生み出した。

「くッ…15番の燃料コックを閉じて」

無線機からは機内での格闘の様子が手に取るようにわかるほど鮮明に声が聞こえていた。

 

二ヶ所、それも間を空けずにネウロイが飛び込んできた。たった二人じゃすぐに前衛がパンクしてしまう。今度からはもっと護衛を増やすべきだって進言しておこう。援護に入ろうとしたところで上から来たネウロイに背後から襲われた。そのせいで一体だけ撃ち落とし損ねた。

「また来る!」

僕が撃ち損じた方のネウロイが輸送機の防護機銃に絡め取られて爆散するのとネウロイのビームが輸送機に命中するのは同時だった。

「左エンジン火災!」

 

「消火装置故障!作動しません!」

翼から火を噴いた。

「左エンジン、燃料カット。主翼内部の燃料も全部投棄!」

それでもまだ機体は飛んでいた。

滑走路まではもう少し、基地外縁の高射砲が既に射程圏内に入っているのかあたりには黒い爆発、高射砲の援護射撃が撃ち上げられ、ネウロイの攻撃も止み始めていた。

それでも輸送隊は満身創痍だった。

傷がない2機が先に降り、炎が未だにチラつく翼を振りながら最後の一機、ハルの搭乗機が着陸態勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「運んで欲しいのはこの人達よ」

 

「最重要人物…ウルスラ・ハルトマン?ジェットストライカーの……」

 

「計画のためにはどうしても魔導ジェットが必要なのよ。そのため現物を入手したいのだけれど作動テストや燃焼、取り扱いのノウハウは紙と物を置かれても分からないから本人達から伝授してもらうしかないのよ。表向きはジェットストライカーの試験運用だけれど」

 

「回りくどい」

 

「用途が用途なだけに正規では確保できないのよ。貴女だって分かっているでしょう」

 

「……気になることがある。これは結局……」

 

「あまり外部に情報を漏らしたくないわ。今は内緒」



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時々思うことがあるんだ。

この戦争がなかったら私達は出会わなかった。自分達が本来目指していた夢を追いかけていたんじゃないかって。

でもそれってなんだか寂しい気がする。今のこの環境がよかったってわけじゃないけど……背中を預けられるほど信頼できる相手ができるかって言われたら難しいんじゃないかな。

 

 

 

ーーそれって私のこと?でも私はただジェットストライカーを作っているだけの主任技師よ?

 

関係ないよ。この武器を作った人だって立派な戦友なんだからさ。

武器にだって命を預けるんだから信頼は変わらないよ。

 

そう言っていた少女はその三日後に両脚を失って、後方に戻される途中で行方不明になった。

移送中の輸送車列がネウロイの攻撃の余波で被害を受けた。ビームが直撃した車両群は原型を止めず、人の体など瞬時に蒸発してしまったから。何も見つからない。だから行方不明。

 

試験飛行を行うウィッチだった彼女もまた、前線でのウィッチ不足から戦場に送り出された。

卓越した飛行技術と試験機を飛ばすため、いつ事故が起きても対処できる知識と発想と忍耐が求められる。替えが利く存在ではなかった。

にも関わらず彼女は死んでいった。

それがなぜだったのかは今となっては分からない。運命というものがあるならひどく残酷なものだ。

 

 

 

その後の研究チームの半壊や工場移転でジェットストライカーは開発自体が遅れて、未だに小数が実験的に導入されているにとどまっている。

それでも完成した機体はこのボロボロの飛行機の機内にある。

振動で揺れる機内で鎖にしっかり固定された台座に寝かせられた機体。

 

Me262 。

それに使用される軸流式魔導エンジンは操縦者から引き出された魔力を増幅用のエーテルと混ぜて燃焼室に組み込まれた燃焼魔導式に導入させ、手前側のファンで圧縮させた空気と混ぜて急速膨張させることで後方への高圧排気を実現させて推進力を得ている。

レシプロ魔導エンジンと違うのはここで、レシプロの場合は純粋にエーテル混合魔力を推進魔導式に直接入れることで推進している。

しかし推進魔導式は組み込み術式がかなり複雑な上に魔導効率はせいぜい30%。残りの大半は熱として放出される。

そのため熱くなりやすいので現状では複数の魔導式をローター式に次々と起動させて断続的な推進力を得る方法としている。

 

ジェットストライカーの方がより高効率で高出力を出すことができる。さらに部品点数も少なく燃焼魔導式は構造が単純だった。

だけれど製造に手間がかかる。特に燃焼室は現在の素材では10時間の飛行にも耐えられないものだった。

 

彼女が死んでなお、ストライカーは次のステップに移行する事が出来ないでいた。

それでもなおこのエンジンはストライカーの新たな主流になる。宮藤理論がそうだったように……今もそう思っている。

 

 

 

 

 

機体が大きく揺れて思考放棄から解放してくれた。コックピットの窓からは滑走路がよく見えた。

隣のコックピット席に座る少女は、先端が白くなった茶髪を揺らしながら操縦桿を握っていた。

「右エンジンに愛着は?」

 

「全く無いわ」

 

「ならエンジン停止……両方のエンジン停止での着陸は?」

流石にそのような経験はない。飛行機だって訓練飛行とストライカーの移送で飛ばしたくらい。片肺での飛行だって経験はなかった。機内を揺らす振動が止まった。同時にエンジンの音も聞こえなくなり風切り音だけになった。

「流石に……そっちはあるの?」

 

「ストライカーでも機体でも何度かね」

 

「なら安心よ」

 

「最終アプローチに入った。このまま降りる!」

先に降りていた仲間達が乗っている機体が滑走路の端っこから抜け出そうとしているのが見えた。

こっちは既に速度が出せない。速度計は失速寸前だった。フラップ操作をする少女の手が少しだけ震えていた。

滑走路まで届くか。手前の草地に飛び込むか。コックピットからは真下がどうなっているのかはわからない。

少しして機体がガタガタと揺れ始めた。そして大きな振動。計器のガラスが砕け散って機体が左右に大きく揺れた。着陸したらしい。私達と積荷はなんとか無事に基地に辿り着く事が出来たらしい。

私達の機体を避けるようにして戦闘機が次々と滑走路に向かっていく。

緊急発進だった。基地は恐ろしいほどに慌ただしくて、戦闘機だけじゃなくて大型機も動ける機体が次々に動き始めていた。

ボロボロの機体は滑走路脇の誘導路でついに停止した。

 

 

後で聞いたところによれば基地はその時大型ネウロイの接近を受けていた。しかし502の新入りの子が中心となって撃破をしてくれたらしい。

そうでなければ基地にはかなりの損害が出ていたはずだった。多分着陸したばかりの私達も危なかっただろう。

 

そうは言っても機体の方もかなりボロボロで、左エンジンは大半の部品を失ってボロボロになっていて、右翼側は翼の1/3が消失していた。どうやら着陸の直前に壊れて落ちたらしい。

それでも積荷と私たちは無事だった。

そしてパイロットも……

 

 

 

 

 

ジェットストライカーは普段使われていないという小さな格納庫に持って行かれた。

物置として使っているのか除雪道具などが端っこの方にまとめて置かれているだけの寂しいところだった。

基地は攻撃に参加した機体が戻ってきたり使用された対空砲や兵器の整備で忙しそうで、私達他所の技術者には関心を払っていなかった。

だからこそ使われていなくて人のこない一角を与えたのだろう。

機密指定の多いものだからそう簡単に見せびらかすわけにもいかない。カールスラント軍上層部はそう考えているのでしょう。

 

多国籍軍が入るそんな前進基地に私たちを呼びつけた本人が到着したのは一通りのメンテナンスが終わって戦闘配備のままの基地で遅めの昼食を取った後だった。

 

エドヴァルナ・フォン・シュレイナ伯爵。

名前くらいなら知っている。軍の世界では知らない人が少数派とも言えるカールスラント空軍の最強ウィッチの1人。黎明期のストライカーユニットで活躍した人だった。

20代ながらいまだに美しい彼女は、不釣り合いな古いカールスラント空軍制服に身を通し挨拶もそこそこにストライカーユニットを見学していた。

 

エンジン部分を見ながら、彼女は何か納得したかのような、それでいて目的通りと言うような安堵した雰囲気をしていた。

その後ろにニーマント中尉の姿があった。

「最大の利点は小型化と高出力化が同時に行えるという点というわけか。たしかに画期的なエンジンであるのには間違いない」

 

「ええ、現在のユニットのエンジンの1/4のサイズで二倍に当たる出力を出すことができます」

現在のところは……だけれど。

「……ちょうど良いエンジンね。決めたわ。研究資金は伝えた通り出します」

伯爵は私に向き直り、資金提供を申し出た。

「本当ですか⁈」

 

「ただし、条件として新しい魔道ジェットエンジンを作って欲しいの」

 

「新しい?それは……」

 

「条件はこちらで指定するけれど難しいものではないわ。一回のみの稼働で稼働時間20分。エンジンの直径は380mm以内。推進力はこれの7割。極めて簡易的で構わないわ。数は一つでいい」

そんな条件…航空機用エンジンとしては聞いたことがない。いや稼働時間だけいえば動力付きグライダーとかならあるけれど……一回切り?もしかしてロケット兵器V1のようなものの動力として使うのだろうか?

「それは……」

 

「一ヶ月以内で出来るかしら」

かなりのハードスケジュール。だけれど聴いた限りの条件ならなんとかなりそうだった。

「問題ありませんけど…そのようなもの何に使うのですか?」

 

「貴女には知る必要のないことよ」

その言葉にどこか鋭い殺気が含まれているような気がした。伯爵の隣で黙って聞いていたニーマント中尉は首を横に振ってこちらに黙るように促していた。そこまでされたら私はもうどうすることもできなかった。

それでも次の瞬間には何事もなかったかのように元の雰囲気になっていた。

「でもまあ、長旅でお疲れのご様子ですし皆様方の宿泊は私の屋敷でどうかしら」

 

「それは有難いけれど……よろしいの?」

 

「呼びつけておいて歓迎もしないというのは人としてのモラルに欠けますわ」

 

 

 

 

彼女の屋敷は基地からそう離れていないところにあった。近くの街までは車で1時間ほどと言ったところだろうか。民間人の自主避難地域に指定されているものの、それでも屋敷に人は残っているようだった。

夕食の用意ができるまで待合室で待たされることになった私達。だけれどウィッチの私だけは別の部屋でジェットストライカーについての所見を聞きたいからと連れ出されていた。

あたりは暗くなり始めていたけれど、日は確かに空を赤く染めていた。窓からは併設されている孤児院が見えた。庭に出て子供達が遊んでいる。こんな時間であっても子供たちは元気そうに、戦争の狂気など知らぬと言わんばかりに遊んでいた。

私の視線に気がついたのか伯爵が隣に来てつぶやいた。

「皆この戦争で肉親を失った子達ばかりです。中には戦災だけじゃなく両親揃って戦地へ向かって帰らなかった子も……」

 

「中にはウィッチとしての力を発現させている子もいます。このまま戦争が続けば彼女達でさえ戦場に送り出される……終わらせないといけませんわ」

 

「……全くですね」

 

ふと気づくと私と伯爵しかいなかった部屋を子供が覗き込んでいた。子供と言ってもルッキーニと同じくらいの歳のように見える少女だった。

「こんにちは。孤児院の子?」

 

「違う。私は……リサ。リサ・シュレイナ」

もしかして年の離れた姉妹?でもそんな話は聞いたことがない。でも普通の子供だった。黒色の艶がある髪に少しだけオシャレを意識したワンピース。溢れ出る気品は確かに貴族のものだけれど、でもどこか一般の人のようにも感じる。

「リサちゃんこんにちは」

 

「リサは私が孤児院を立ち上げる前に、別の孤児院から引き取った子なの」

疑問に答えてくれたのは伯爵だった。そこの孤児院もまた戦争孤児を引き受けている場所で、リサちゃんは何人もいる戦争孤児の1人だったらしい。

「そうなのですね」

 

「よろしく!眼鏡のお姉ちゃん」

 

「私はウルスラ・ハルトマンよ」

 

「ならハルトマンさん」

 

 

「さあ、リサ。私達は大事な話をしているから…彼方にいる中尉と遊んでいなさい」

扉の外にいつのまにか立っていたニーマント中尉(多分夕食に彼女も誘われていた)に伯爵はリサを預けた。

預けられた側も満更でもない様子で彼女を連れて部屋を去っていった。

 

「……あれくらいの年の子供は勉強と遊びに精を出すのが良いのよ」

「全くですね……」

だけれどニーマント中尉はそんな年齢でもなかったような……まあいいか。

 

さて、それじゃあ言われている新型エンジンの開発の事をどうにかしないと。研究所に戻ればすぐにでも作れる。結局耐久性と持続時間の問題がジェットエンジンの問題だから、それがほぼないとなれば物を作るのは簡単かも知れない。

 

でもそれでは面白くない。効率化と高出力化。どこまで行けるか楽しみね。

 

 

 

 

 

 

「自己紹介してなかったけど貴女は中尉さんって名前?」

廊下に響く少女の声は、弾みのあるハキハキとしたものだった。それに返答する声は反対に小さめで、少しだけ覇気がなかった。

「違うよ。私は……ただの魔法使いだよ」

 

「魔法使い‼︎私も魔法が使えるんだぁ‼︎」

 

「そうだったんだ。じゃあ……頑張って良い魔法使いになるのかな?」

 

「ううん、魔法使いもいいけどやっぱり冒険家かな……世界にはまだまだ沢山未開の地があるって言うから」

 

「なら魔法が使えるのは冒険にうってつけだな」

 

「笑わないんだね。私の夢」

 

「何を笑う必要があるの?立派な目標じゃない。それに未知への探究は人類にいろんなことを教えてくれるからね」

 

「じゃあ!いつか冒険家になっていろんな大発見するから……楽しみにしててね!」

 

「ああ……悪い奴らとの戦いを終わらせた後ね」

 

「それでお姉さんは魔法使いになってみてどうだったの?」

 

「…空を自由に飛べると思ったけど、いざ飛んでみると空も意外と狭いなって思えてきたよ」

 

「ならもっと高く飛んでみたら?宇宙とか!」

 

「それもいいかもしれないね……誰も、ネウロイも人類もいない未知の世界。もしかしたら私も冒険がしたいのかもしれないね」

 

「じゃあ一緒に冒険しない?人数は多い方がいいでしょ‼︎」

 

「考えておくよ」




jumo004BM

開発国
帝政カールスラント

開発会社
ユンカース社

コンプレッサ8段
燃焼器4
タービン1段
推力910 kgf
回転数8,700 rpm
圧縮比3.14:1
推力重量比12.2 N/kg

世界初のジェットエンジンの座こそ扶桑皇国に譲ったものの、魔道ジェットエンジンにおいてはカールスラントが先んじて量産と配備に漕ぎ着けていた。

カールスラントの魔道ジェットエンジン開発はユンカース社とBMW社の2社が行なっていたが、ジェットエンジンの開発を同時に行うBMWは開発リソースを集中することができず当時製作していたBMW003魔導ジェットエンジンは想定出力を下回る数値しか出ていなかった。
そこでカールスラント技術省は空軍から出向していたウルスラ・ハルトマン中尉をユンカース社に派遣し魔道ジェットエンジンの開発に加えた。
開発は好調となり推力670kgfのjumo004が誕生することとなり軽量化と高出力化をおこなったjumo004BMが量産エンジンとして産声を上げることとなった。


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part 43 激闘 JFW502 2

ハルちゃん今期最後の空飛びRTAはーじまーるよー!

前回の墜落しかけた輸送任務の後から再開です。

 

輸送任務でようやく必要なフラグの回収が終わったので7話から9話までをここで一気に進めていきます。

特に7話に相当するイベントはこちらから自発的に発生させない限りほぼ最小限で終わります。

 

というわけでちゃーっとチャートの方を消化しましょうか。

 

今回はサトゥルヌス祭。こちらの世界でいう古のクリスマスのようなものです。

クリスマスといえばパーティと馬鹿騒ぎなイメージがありますがこの世界では宗教色の強めな粛々としたものに近い感じです。欧州の祭りは結局儀式や祭式の域をまだ抜けていないんでしょうね。

一応扶桑国には文化として大正時代には既に入ってきていたそうです。

 

というわけで502のこのイベントは色々と不足するものを調達していく物集めイベントとなりますが別に参加しなくても問題ありません。各キャラの好感度を上げるイベントなのでキャラ攻略の点では稼ぎポイントですがね。

ちなみに今回のように輸送機ポジにいる場合食料関係の輸送で全員から好感度をたくさん得られますが今回運ぶのは一種類だけです。それも各員の要望ガン無視です。そんな要望ばっかり出されても重量オーバーです。

なお味噌は欲しい。味噌があれば扶桑の2人は少なくとも戦闘力に20%加算されますから。

 

はい、では早速何を運ぶのかを説明しますとアエロサンが本来担っていたスオムス軍からの502へ対する食糧輸送です。

これを選択すると7話最後のメリークリスマスのシーンのゲーム版が現れて7話が終わります。

すっげえ早いぞこれ。ちなみに通常のウィッチでやる場合もこの輸送の護衛ミッションを選ぶと一気にここまで持っていけるのでよく他の方のRTAでも使われる方法ですね!

 

というわけで早速ストーリーを進めていきます。

まずは菅野と会話します。これで7話の序幕分のストーリーが展開されていますが3倍速で流すとして、途中で選択肢が出ていましたがあそこの選択肢はどれを選んでも問題ない選択肢達ですのでこのまま行きます。皆さんも好きに選んでね。

ムービーが終わったら早速格納庫に向かいミッションを開始しましょう。

 

ガシャ!ボテン!

……今金網に引っかかりました。ロスタイムです。でもまあミスは誰にでもあること。このくらいなら誤差だしリカバリーも効くから大丈夫。

さてさっさと進めましょう。

輸送機はこのミッション限定のアエロサンなども使えますが、地上を動く関係上速度が遅いです。

しかし今回のミッションで離着陸を行う場所は整備された滑走路ではなく不整地の真っ只中なので普通の機体では着陸失敗のリスクが高くなります(3敗)

そこでご登場!我がカールスラントが誇る不整地でも運用できて高翼のランプハッチを持つ近代的な輸送機Ar232Bの出番です。

特徴はなんと言ってもムカデみたいな補助輪。出しっぱなしのため空気抵抗になりますが、そこはエンジンの出力の力技でどうにかします。

 

 

スオムス軍は連合軍の前線基地とは少し北西の方に前線基地を自前で持っています。

こちらの基地は滑走路一本の元々が古い民間飛行場だったのを接収して使用していますが、民間なだけあって意外と鉄道の線路が飛行場に乗り入れています。そのため補給の観点から言えば連合軍の基地より断然良いという謎仕様という裏設定があったり。

まあその分小さくて大軍が駐留出来る設備がないのでスオムス軍が単独で運用しているのでしょう。

というわけで到着です。道中は何もないので4倍速です。

ここで物資の補給をしていると当然エイラーニャがやって来ます。

はい、約束されたイベントです。大人しくムービーを……倍速じゃい‼︎

そもそもスオムス軍のエイラはともかくサーニャはなぜおるんねん。なんてところですがちゃんと理由があります。

ゲーム未プレイの方には申し訳ありませんがちょっとだけネタバレしてモヤモヤをスッキリさせましょう。

 

まずスオムス軍基地に集められた物資はニパの原隊であるいらん子中隊の皆様がかき集めてくれた物資となっています。

その過程でエイラがサーニャにも相談した結果、サーニャがオラーシャ軍から融通してもらうことに成功。その物資をアエロサンでここの基地まで輸送するのを護衛していたというわけです。

まあそれをわざわざスオムスの基地から502まで直接護衛までして届ける必要性が?と思いますがこれもまたサーニャがある極秘資料の運搬の命を持っているからです。まあそれは8話に繋がるのでここでは割愛。

説明している合間にムービーが終わったようですので帰りの便に乗ります。

 

というわけでオラーシャ、スオムス連合軍の護衛の元、物資を送り届けます。

その途中でニパがピンチになっているので護衛の2人を先行させてネウロイを倒してもらいましょう。

ちなみにクリスマスなので2人揃ってサンタのコスプレで飛んでいます。なんだかんだサービスというか遊び心がある子達なのが良く描かれていますね。

 

というわけでミッション終了。7話のエンドムービーを流しつつ8話のためにまた経験値貯めに行きましょう。

 

 

ここからは輸送ミッションを3回行えば貯蓄と併せて貯まる計算です。幸運にもこの3回はネウロイとの戦闘も発生せずに済みました。

 

 

はい、終わりました。

 

では早速8話に入りましょう。

と言っても8話は輸送機縛りでは余計にやることが無いです。

かと言ってタイムを巻けるのかと言うと実はウィッチでミッションに参加しても大して変わりません。

 

ではどうするかと言えば、単純に合間に組まれている輸送ミッションを行なっていくだけです。部屋の出入りで時間をすすめる方法もあるのですが、あれとこっちでは単体で計測したところタイム的には変わらなかったので、気分転換と見栄えのために飛行機を飛ばします。

前回選んだAr232Bのままで機体選択はされているのでそのまま続投です。

 

このミッションはどうやら人を輸送しているらしいのですが誰を輸送しているかまではテキストでは出ません。ただの人員としか書かれていません。多分普通の兵隊でしょうね。基地から後方に下げる任務なのでまあそんなものでしょう。

 

ちなみにこのミッションが終わったらムルマン基地に負傷したクルピンスキーと一部物資を積んで帰るミッションを引き続き行います。

まずはムルマン基地の近くにある飛行場へ向かって、そこでミッションを起動させます。

ここの基地は海軍基地として整備されて戦艦や空母などの大型艦も入ることが出来る様になっています。ただし安全圏とか言っておきながら大型ネウロイはよくやってくるのでなんちゃって安全圏。

 

負傷したクルピンスキーが機内で話しかけてきますがとりあえずそこのぶどうジュースでも飲ませておきましょう。ちなみに中身は十中八九ワインです。

全てのワインを飲みきられる前にミッションをクリアする事でトロフィーが解除されることでも有名なものですね。

ちなみにネウロイとの遭遇は今回もありませんでした。めでたしめでたし。

 

ちなみにワイン大好きな感じに描かれていますが実のところロスマンもラルも結構ワイン飲みます。お前らカールスラントなんだからビールだろと思うかもしれませんがワインです。

ビールの生産はノイエカールスラントでは麦が殆ど食料へ優先される関係でビール自体が品薄になっていると言う設定があるためです。

ついでに豆知識。

あの伝説のアイキャッチの画像ですが、何故かパワーアップしてクエストとして収録されています。

ルート上通らないのですが興味がある方は是非プレイしてください(唐突なステマ)

ちなみに鉄路と道路の補給路が再開しているので輸送ミッションも数が少なくなっています。そのため輸送以外で経験値貯めがしやすい着弾観測と航空偵察のミッションをこなしていきます。

これ3回やらないといけないのが取れ高のマンネリズムなんですよね。

というわけで……みーなーさーまーのために、こんなものをご用意しました。

ク⭐︎輸送機でネウロイを倒したり攻撃を回避したりするコツです。

 

基本輸送機や貨物機で戦闘空域を飛ぶ場合は覚えゲーの度合いが高くなります。基本ウィッチでの戦闘では疑似乱数によるランダムな配置で敵をスポーンさせることが多いですが、輸送機、爆撃機、戦闘機、水上機のカテゴリーに入る一般飛行機での戦闘は疑似乱数ではなく固定スポーンです。なので攻撃パターンと出現位置さえ覚えればさほど難しくはないですがエリアが広くそう簡単にいかないのがゲームというものです。

そこで今回はコックピット外からの攻撃を避ける方法を教えましょう。

簡単に言えば三人称の機体後方の視点にして視界端が赤くなり始めたら機体を取り敢えず動かせば回避できます。

 

というわけで覚えなくても出来る回避術でした。

 

では9話を解禁していきましょう。

9話は先の7、8話と違いガッツリ絡むのが避けられない仕様になっています。

というわけでここでもひかりの教官をしていきます。

慣熟訓練ということで今回は編隊での出撃です。編成は固定なので変えられない模様。

なお今回の戦闘がストライカーを使用する、ネウロイとの最後の戦いです。

今回は最後ということでパッと花を咲かせましょう。Ta-152Raでの出撃です。今のところこれが最も高出力な機体になりますが宮藤が操る震電の方が数段強い事実の前には霞んでしまいますね。

武装はMk-108Wこと30mm機関砲。これと予備としてワルサーを一丁。まあこんなものでしょう。扶桑刀は流石に使いません。

なお今回は実弾を持っての訓練となります。編隊はひかり、ニパ、菅野の3名。見事にブレイクしてくれそうなメンバーです。

 

訓練飛行を半分ほど行うと、ネウロイが出現します。

モデルは処刑人の剣という物騒なものですが形状として空を飛べるような形では全くないです。呼称はX-28。小説版の名称はリッテシェット。

攻撃力はそこまで高くありませんが、大型ネウロイの部類に入るクラスの大きさのためかなり厄介です。

ただし装甲自体は持っていないか薄いので柔らかい方ではあります。

というわけで敵をボコボコにしたいところですが、大型ネウロイの特徴で中々頑丈です。手持ちの30mmでも中々コアまで辿り着かないほどです。固いというより分厚いと言った方が正確でしょう。

というわけでまずは編成を解除します。2人には陽動を担ってもらい、後は菅野を連れて真っ正面に突っ込みます。菅野に命中しそうなものだけシールドを貼って防ぎつつ、後は突貫を命じながら30mmを全弾叩き込めばOKです。

ちなみにムービー以外で菅野に突貫を命じてもあんな拳で突っ込むようなことはしません。普通に武器を真っ正面に叩き込みます。

コアが破壊されるとムービーになります。

まあ、菅野の無茶振りでせっかくのストライカーは壊れて海ボチャするんですけどね。

あれは寒い。一応ストライカーも回収されているのでセーフですがどうやって回収するんですかね?たしかにストライカーを装着したままの泳ぎの訓練は宮藤達もしていましたけど救助されている映像ではストライカー映っていないんですよ。

 

というわけでストライカーに乗る機会が無くなった。これはハルちゃんウィッチ引退だな?

まあ冗談ですけれどね。

では正座させられる菅野を見つつ、本日はここまでとなります。

ご視聴ありがとうございました‼︎




Ar232B
開発国
帝政カールスラント
開発会社
アラド社
全長23.5m
全幅33.6m
自重1.24t
貨物積載量2t
エンジン
BMW DB601E×4基
出力1350hp×4
航続距離 1340km
最高速度304km/h
武装
13mm MG 131 機関銃 2丁

Ar232は1941年の終わりに量産が開始されたカールスラント初の近代的な輸送機となる。
この機体は翼下に張り出した箱状の高翼機構造とそれからくる後部ローディングランプ、荷物の積み下ろしに便利なように高い位置にある尾翼、胴体底部に小さな車輪を多数持つことで不整地に着地できる仕組みを持つなど、現代まで続く輸送機の基礎のほぼ全てを取り入れていた。
B型は第二ネウロイ大戦勃発後ノイエカールスラントに転居した工場にて製造された改良型である。
従来まで使用していたBMW801エンジンが戦闘機に採用された影響で供給不足となり水冷エンジンのDB601に換装。小改良を加えた機体となる。


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????15

「……風邪?」

夜間飛行の訓練をひかりにするはずだったニーマントさんは、夜の予定が無くなったと1人呟いていた。サングラスを部屋でも暗い時でもつけていて、私にとっては不思議な印象のままだった。

「そう、風邪だよ。うん……」

戻ってきたばかりの輸送機の点検の手を止めたニーマントさんの顔には心配の感情が浮かんでいた。

「ここ数日連続出撃していたし……元々ひかりはそこまで魔力量が多いわけではない。まあそんなところ?」

「よくわかったね。どこかで聴いてた?」

朝からずっと基地にいなくて、事情を知らないはずだったけれどそれでも推測は鋭いものだった。

「いや、ニパの話だけでも結構推測はできる。まあ風邪なら水分と栄養をつけないといけないが……」

 

「そうなんだ。食糧がさ……」

前の攻撃で食糧庫や弾薬庫を焼かれたのはかなり不味かった。なんとか風邪自体は治癒魔法でどうにかなるとしても体の免疫力や体力を維持するには食べて体力をつけてもらうしかない。

補給路の鉄路だってまだネウロイに占拠されていてどうすることも出来ない。唯一の頼みは空輸と少数のトラックと陸戦ウィッチを伴った鼠輸送だけだった。

それでも基地の人達や私たち502の総員1023名の食事を補給し続けるのは至難の技だった。

「一応リベリオンからの食糧供給でどうにかなっているけど……ダメなのかい?」

そのリベリオンもどうやら国内で生産したはいいけど派遣している部隊が消費しきれなかった分や国内で余った在庫のCレーションを送りつけているようで、殆どが1939年の初期製造品や1941年までの改良がされる前のもので、肉と野菜のシチューと書いてあるのに野菜しか入ってないとか味の面でもあまり評判は良くなかった。

 

「流石にあの主食が豆ばかりだったり野菜ばかりだったりのCレーションだけじゃ士気に影響が出るよ」

 

「食べられればなんでもいいと思うけど……」

 

「そうかな……でももう食糧もまともに残ってないし…」

 

「あれの便利なところは輸送効率と摂取カロリーだから。味なんか気にしちゃダメだよ」

彼女らしいといえばらしい反応だった。普段の食事もあまり顔を合わせることはない。

「ところでニーマントさんはご飯は食べたの?」

 

「機内でCレーションを食べてるから大丈夫だよ。尤もその様子じゃあまり美味しい昼食ではなかったようだけれど」

 

「あはは……下原さんは頑張ってたんだ。だけどやっぱり物がないからね」

どうやら扶桑の料理で水団と言うらしいけど…なんか生煮えに近い小麦粉の塊だった。

結局量も少なくて少し困っていた。それでもまだ最低限の食事ができるだけマシなのかもしれない。

 

 

 

 

「そういえば明日はサトゥルヌス祭だね」

思い出したかのようにニーマントさんがつぶやいた。その言葉が頭の中で無意識のうちに隅っこに追いやっていた事を思い出させた。

「そうだった!その件で相談があるんだ!」

 

「相談?」

 

「このままだと基地のサトゥルヌス祭が中止になっちゃうんだ。でもやっぱりひかりにはこの基地に来てよかったってそう思って欲しいんだ」

 

「なるほど……必要なものは?」

 

「えっと……スオムスは簡単な贈り物と豪華な食事をみんなで食べる事が多かったかな。後ガリアはケーキを作るらしいよ」

 

「なら食事がメインか。後はキャンドルとか木。酒も良いかも……分かった。明日までになんとかする」

 

「本当⁈」

そんな簡単に出来ることなの⁈

「ラル中佐と私である程度は当てがあるからどうにかしてみるよ」

当てがあったの⁈本当にラル中佐とこんな対等に何かができる人って……何者なんだろう。

「そっか……なんとかなりそうかな?」

 

「……ところでニーマントさんってスオムス語を話せたんだね」

「よく言われるけど言語はある程度分からないと色々と意思疎通が大変だからね」

少し困った顔で彼女は応えた。たしかに言語の壁はある。

今連合軍内部でもその事が少しだけ議論されていて、言語学者を集めて分かりやすくて戦場でのやりとりに必要な最低限の言葉で意味が伝わる言語を作っているらしい。この言葉は形容詞も少なく、簡素で高速に情報を伝えることが可能なんだとか。

 

 

でもあんなに色々できて、ウィッチとしての素質もあってどうして輸送機にばかり乗っているんだろう。あれくらいなら本当にどこの国でもエースウィッチとしてやっていけそうだけど。そもそもあの人……カールスラント人?だよね……

 

疑問が新しくできてしまったけれど、ラル中佐のところに歩き出した彼女を止めることはできなかったし、その後も気がつけば彼女はまたどこかへ飛び立ってしまった。

プロペラ機の音が遠くから聞こえてきた時には、飛び上がった機体を窓の外から見つめることしか出来なかった。

既に気温は氷点下から上がらない。飛行機雲がよく見えた。

 

 

 

 

 

ムルマンスクの海は、真冬であっても凍ることはない。

凍てつく寒さに反してその海の水は氷点下にならない。だからこそ最北の不凍港で、前線に近いが故に輸送艦やオラーシャ海軍艦艇がひしめいていた。

駆逐艦や駆潜艇、そして少しの防護巡洋艦がひしめいている軍港に、巨大な翼が降り立った。6発あるエンジンのうち2基を動かしてゆっくり進む飛行艇はあまりの大きさに駆逐艦が小さく見える。

ある程度まで湾内に入った飛行艇に内火艇が横付けされ、扶桑海軍の白い軍服をきた彼女が降りてきた。

「お久しぶりです坂本少佐」

 

「ああ、久しぶりだサーニャ」

埠頭に登った少佐は、あの頃と変わらず強い覇気を出していた。

「それにしても…すごい飛行艇…」

 

「世界を半周できる超大艇さ。これがなければ後二日はかかるところだったよ。まあ積もる話もあるだろうが場所を変えよう」

 

「そうですね。車も用意していますので行きましょうか」

私がここに呼ばれた理由。北欧方面を視察する坂本少佐のお迎えとなっている。坂本少佐直々の指名だった。

でも実際には少し違った坂本少佐用に用意された車に乗ると、坂本少佐が引き連れていた付き人の方が運転席に座った。

 

「防音仕様になっていますから、もう話しても大丈夫ですよ」

 

「なるほど、しっかりと暗号は機能していたみたいだな。なら本題だ。これを502のラル中佐に届けてほしい」

 

それは小さなロケットペンダントだった。特に凝った模様がされているわけではない。

「中身は……」

「ガリア奪還時の情報だ。どうやら502を中心として我々のように巣を攻略できると思っているらしい」

 

そこまで言った坂本少佐は言葉を一旦区切った。同時に車が動き出した。

「ああ……想定していた損耗よりも少なかったから…」

 

「そうだ。事情を知らない上層部が作戦を前倒しで強行しているのが現実だ」

また無茶な攻勢をかけるつもりなのね。でもここで攻勢が失敗すればまた世界は逆戻りしてしまう。危うい拮抗の上で成り立っている欧州戦線の現実を知っているのかしら。

「しかし我々のあの作戦は軍の中でもかなりの機密だ。だからラル中佐でも情報を引き出せなかったらしい。それで二週間前に連絡が来た」

 

「それではペテルブルクまで運べば良いのですね?」

 

「頼んだよ。くれぐれも気をつけてくれ。軍機の当事者である私達は一応監視されているからな」

少しだけペンダントが重たく感じた。後でもう少し隠し場所を工夫しないといけないかもしれない。

私たちの車の後ろを、トラックがついてきていた。

 

「あまり振り向かない方がいい。護衛とは言っているがどう考えても監視だよ」

「厳しいですね……」

 

「ある種の爆弾だからな。人の口に戸は立てられない。生きている以上秘密がいつ漏れるか分からないからな」

 

 

 

二日ほど坂本少佐と行動を共にした私はそのままペテルブルク基地に向かおうとしたけれど、軍の補給隊の支援という急務が入ってしまった。行き先はスオムス軍のタクティカルエアベース。そう呼ばれている小さな基地だった。

なんでもこの荷物の最終的な行き先はペテルブルク基地。ある意味では好都合だった。

小さな双発機を護衛し、向かった先には別の大型機が滑走路の端っこで狭そうに駐機された本当に小さい基地だった。

「サーニャ!久しぶりだな!」

だからなのかな。見知った声はすぐに聞こえてきた。

「エイラ。先週あったばかりじゃなかったかしら……」

 

「いいだろ?細かいことは気にするなって……」

少しだけ見上げる格好になってしゃべる。久しぶりって感じではないけれどどこか落ち着く感じがする。

少ししていると視界の隅で駐機されていた大型機が牽引車で動かされ、連れてきた飛行機の横に駐機された。

 

「あっちの機体にオラーシャからの荷物を載せ替えるらしい。無愛想なパイロットなんだなあ……ずっと降りてこないし。あ、あいつがパイロットか……」

コックピットのハッチが開いて、サングラスをかけた少女が降りてきた。

どこかで見たことある。というかあの毛先が銀色の髪の毛は彼女しかない。こちらを意図的に避けるように視線を逸らしているあたりあからさますぎて、少しだけ思考が止まってしまった。

「……」

それはエイラも同じだった。でも回復はエイラのほうが早くて、青筋を浮かべて彼女はハルさんに近づいていった。

「……あいつ」

 

「元気そうだな?」

 

「……久しぶり」

 

「久しぶりじゃないよ!なに心配かけさせてんだバカ!」

大胆にもエイラは首を掴んでハルさんを引きずってきた。その頃には私も思考は戻っていて、逆になんて声をかけていいのかわからなくなっていた。怒ればいいのか喜べばいいのか。泣けばいいのか笑えばいいのか。分からなくて、混乱して、口から出てきた言葉は結局再会を喜ぶものでは無かった。

「心配していたんですからね?無茶ばかりして……結局最後まで…」

 

「公式には彼女は行方不明になっている。私は何者でもないよ」

あまり変わっていない彼女にどこか安心を覚えている自分がいた。

「ふーん?そうかそうか……そのくせ502で運び屋やってるのか」

エイラの言葉に苦笑するハルさん。そういえば501にいた時はあまり笑っている印象はなかった。少しづつ変わっているのかな。

「ラル中佐の頼みだよ。そもそもストライカーはほとんど使ってないし体も休めているよ」

 

「ンーなら安心した」

 

「信じるの?」

絶対また無茶なことしてそうだけれど……

「人に言われて変えるような奴じゃないけど嘘はつかないからナ」

 

「それに……私はまだ飛び続けないといけないから」

 

「まあ、人手は必要だナ…」

それは否定できなかった。オラーシャも、いいえ。どこの国もウィッチは喉から手が出るほどほしい。それこそ国籍関係なく、自軍に引き入れたいと思っているくらいだ。それほどまでに航空ウィッチは少ない。特にウィッチの消耗は開戦からずっと変わらなくて、なんとか訓練課程の見直しとかで保っているのが現実だった。

 

「……再会はもういいかな?荷物が積み終わり次第出発する。サーニャ中尉は今のうちに休んでいて」

 

「なんであんたが指揮してんダ?」

 

「大尉ですので」

 

結局飛行機が出るまで数時間かかった。

その頃には夜の闇も流石に無くなっていて、日差しが伸びていた。短い北欧の昼が始まっていた。




三式飛行艇

開発国
扶桑国

開発会社
川西航空機

全長30.4m
全幅98m
空虚重量30.4t 最大積載量10t 最大離水重量55t
エンジン
ネ-0-31型6基
出力2550HP×6基
最高速度460km/h
航続距離14500km
武装
九九式二〇粍二号機銃四型 4丁
三式十三粍機銃一型 8丁
乗員16名

扶桑国が開発した大型飛行艇であり二式飛行艇の開発経験と技術を活かして作られた。その巨体から超大艇、あるいは超大型飛行艇とも呼ばれる。
三胴型の胴体と大型の高翼配置を持つ機体であり扶桑国では初の設計だったが形としてはリベリオンのP-38などの前例がありさほど珍しいものでは無かった。また燃料タンクの構造なども一式陸攻や二式飛行艇で使用された技術を用いており見た目の割には新技術の導入は控えられている。
胴体中央部分はコックピット部分とキャビン部分とされ見た目は一式陸攻の胴体を短くしたような構造となっている。
左右にはフロートを兼ねた左右胴体部分があり、主翼、尾翼などが一体となっている。
気流の乱れを避けるため水平尾翼は垂直尾翼より上となり左右の胴体をつなげるように垂直尾翼内側に設置されている。
発動機は左右主翼に3基づつの合計6基。ネ-0ターボプロップエンジンを搭載している。31型は大型機用にサイズを拡大し出力を上げたもので2500馬力を超える出力を誇る。
武装として20mm機銃を中央胴体の上部に連装式、左右胴体の上部に単装として収めている。共に電動式の動力銃座となっている。
副武装は二式飛行艇から強化された13mm機銃となり左右胴体側面に連装型、後部、前部に単装型で備えられている。
各胴体はそれぞれチューブ式の乗員通路で繋がれている。
主に輸送機としての運用が主であるが主翼には武装を搭載するハードポイントが設けられており爆弾あるいは魚雷を搭載する事も可能となっている。


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????16

 

一時は食中毒とネウロイ襲来が重なって基地が壊滅的打撃を受けるかと思われていた。なんとかギリギリのところで援軍が間に合ってくれたからよかったが、あれは私も肝が冷えた。

ハルが機転を効かせてくれなければ一体どれほどの被害が出ていたことやらだ。

そんな基地を救った立役者たちは今サトゥルヌス祭を楽しんでいる。

そんな中で全員の輪に入らず1人だけストライカーユニットが保管されている第二格納庫にいる影の立役者は冷めた目でストライカーを見つめていた。

「なんだ?混ざらないのか?」

声をかけた私に我に帰ったハルは少し寂しそうに一言呟いた。

「混ざる必要も無いでしょう。基地を救った英雄でも無いですし、私はただの輸送隊員ですよ」

 

「貴官も変わらないさ。全員もれなく英雄だよ」

強がりを言っているように聞こえて、何が彼女をそこまで追い込むのか不思議だった。ここ数ヶ月彼女を見てきて思ったのが、よくこのじゃじゃ馬を彼女は制御し続けたという賞賛だった。

だけれどそのじゃじゃ馬も最強のじゃじゃ馬だ。一騎当千。そんな言葉がぴったりと当てはまる。

「英雄なんて……呪いの言葉に変わりはないですよ」

その言葉は、強がりと切り捨てるのを躊躇するほどの確信を持っているように思えた。

「そういうものか?」

 

「選択と切り捨て」

 

「大を生かすために小を切り捨てる。近代戦はそんなものです。個人の活躍よりもよりそっちが重視される」

ストライカーを履いて空を飛んだ時にはそんなこと夢にも思っていなかった。誰かを助けるために誰かを見捨てなければならない。それを英雄と呼ぶのを彼女は嫌っていたのだ。

「現代戦に英雄はいらない……か」

 

「そもそも個人の戦闘が戦局に寄与する場面が減っているからこそ英雄の定義は切り捨てと選別になってきているのです」

いや、英雄の本質が露わになってきたのだ。それは大昔から、紀元前の英雄ですら行っていた行為と、それに寄って得られた勝利という栄冠の本質。

「だが501に与えられた英雄の称号は違うだろう」

501は、ガリアを覆っていたネウロイを破壊し欧州の地を解放した。その立役者であった。それも戦力も最小限に、誰もかける事なく。それこそ選択をしなかった成功例では無いのだろうか。

「……誰かの思いを切り捨て、誰かの理想を砕いて得られた称号のどこに違いがあるのですか」

だけれど彼女の表情が晴れることはなかった。事情を深く知らない私が軽々しく突っ込んで良い話でもなかったようだ。

「そうか。たしかにそうかもしれないな……ならば私はあえてその英雄の道を行くことにしよう」

 

「……英雄なんてなるものじゃないですよ」

 

「生憎その称号は頼み事をするときに使えるからな」

 

「貴女らしいですね。変わらない……どこか安心しました」

気がつけば彼女は破顔して笑っていた。呆れたような、安心したようなそんな表情だった。

「そっちこそ変わらないな」

 

「私は中途半端に止まることを選んでいましたが……突き抜けてみようかなって気にはなりました。まあ、これに本格的に戻るのはまだやめておきます」

そう言ってストライカーユニットを見つめていた。

「いつでも言ってくれ。君の意志ならば私は尊重する。誰が何を言ってきたとしても気にするな」

 

その後も少しだけストライカーを見ていた彼女は、冷えるからみんなのところに戻ろうと言い、格納庫を後にした。

 

戻れば何やら騒がしい。

どうやら、例の従軍記者が全員の集合写真を撮ると言うことになった。当然ハルの扱いには困ったが、集合写真には入れないでおいた。

彼女は気付けば広場に戻ってきて皆が集まっているところを遠くから見つつ、絵を描き始めていた。鉛筆をいくつか使い分けながら素早く、あっという間に描きあげていく。そっとそれを見ていると視線に気づいた彼女が少しだけ視線を向けた。

「写真も良いですけど、絵でも残しておきたいじゃないですか」

 

「合理的ではないな。だが悪くない」

 

「これでも絵には自信があるんです」

たしかに彼女の言葉通り絵の才能は高かった。だがそこに彼女の姿はない。私としては彼女自身の……いや、記憶は記録として私が残すとしよう。

 

少しくらい写真があってもいいだろうと、記者にこっそりと彼女の姿を撮ってもらった。

絵描きに夢中になっていると流石に警戒心も散漫になるようで、普段よりも自然な微笑みを切り取れた気がした。

 

 

 

 

 

 

人間が概念として生み出した時間というものは日が登っていようと、未だに夜の闇に包まれていようと同じ時間であることを示す。

やっぱりまだ暗いな。なんて思っても起床の時間であることには変わりない。それどころか本来の起床時間を大幅に過ぎていた。

 

任務が終わって、多少戦闘もして直ぐに基地に戻されるのかなと思っていたけれど、案外上層部も融通が効くらしい。

サトゥルヌス祭が終わって数時間後には帰るつもりで支度をしていたら、少しの合間ペテルブルク基地での休養が許可された。なんだか気を遣わせてもらっているような気がする。でもこれでサーニャと一緒にいられるぞ。

 

「あれ……まだいたんですか?」

気がつけば部屋の同居人。というか本来4人用の部屋を一人で占有していたハルが、戻ってきていた。普段から部屋にあまりいない事の多いこいつだったけどまさかサトゥルヌス祭が終わった日の未明から飛行機でどこかに飛んで行くなんて思っていなかった。

こいつもしかして501の時より生活習慣乱れているんじゃないだろうな……

 

「少しの合間ゆっくりしていくからそのつもりでナ」

 

とりあえずサーニャと安心して出かけたいからあまりこっちにもサーニャにも心配かけさせるなと釘を入れておく。

さてと……サーニャを探さないと。中佐に呼ばれてたしもしかしたら隊長室かな。

そう思って部屋を出たけれどなんでかハルもついてきていた。

「なんでついてくるんダ?」

 

「単純に中佐に挨拶しにいくだけです」

行き先が同じだったと言う。まあいいか。

 

「……なあ、なんで生きているって知らせないんだ?別に501の仲間なら大丈夫だと思うけどナ」

ちょっとだけ一緒に歩いていて沈黙の状態が嫌になって尋ねた。

「情報漏洩は最低限にするべきですから」

どうやらこいつはこいつで厄介な連中に目をつけられているらしい。やっぱりマロニーとか言う頭おかしいやつとそれと同じ思考の過激派は面倒で仕方がない。これじゃあネウロイ戦争が終わっても平穏は来そうにないな。

「そうは言っても結構バレてるよナ」

でもこいつもこいつで変装しないのはなんだか訳がわからない。結局見る人がみれば直ぐにわかるし。

「もうちょっと変装した方がよかったかな…」

 

「ダロウナー」

だからってカボチャの被り物は絶対違うぞ。なんだその仮装。

いやサトゥルヌス祭で使う予定だった?それはもうなんも関係ないだろう。謝肉祭がギリギリだぞ!

 

 

 

隊長室でサーニャと合流できて、ハルにデートと冷やかしを受けそうになりながらも一緒に出かける約束を取り付けることができた。入れ違いにハルは隊長室に入っていき、少ししてどこかにふらりと行ってしまった。

 

「ハルさん?」

 

「なんか中佐に用事があったみたいだぞ」

 

サーニャは、あいつが前線部隊に戻ってきていることに難色を示していた。気持ちはわかるけどあいつはあいつでなんだかんだ戦場に戻ってくるからなあ……無茶しないならいいけど。

でも前みたいに思い詰めた表情でもないからまだマシなのかな。

 

そう考えながら偶然格納庫の前を通りかかったらあいつがいた。途中でお弁当というか間食を貰ったりしていたからその合間に先を越されていたらしい。それにしたって神出鬼没なやつだナ。

格納庫でハルが菅野ってやつ相手に何か商売みたいなことしてた。

「これが新型の弾丸?」

 

「焼夷炸裂徹甲弾。いる?」

 

「いらねえ!この前だって焼夷弾安くしておくって言うから貰ったのに不発ばかりじゃねえか!」

おいおい、それはまずいだろう。

「あれは安かろう悪かろうだよ。でもこれは違う。対魔道処理を施したギルティング・メタル製高貫通弾頭と遅延信管。炸薬は炸裂時に魔導共鳴を起こすように調整された対ネウロイ用のwh-1火薬を使用した最新のものだよ」

 

 

「何してんだアイツ……」

 

「さ、さあ?」

そもそもなんでそんな最新鋭の弾丸持ってきているんだよ。多分リベリオンが作ったやつだろうけど。

「重量は?」

 

「扶桑の二号型の弾丸用は120発装填型で40kg。多少通常より重くなるけどそこは割り切ってほしいな」

態度が軟化してる。あれは心がぶれてるな。

「まあそのくらいなら許容範囲だが……」

釣られ始めた菅野を横目にデートの準備だ。これ以上他の奴らに邪魔されるのはごめんだ。

 

 

あ!クルピンスキー⁈なにサーニャに言い寄ってるんだ!サーニャをそんな目で見るな!

 

 

ああもう‼︎サーニャ、こっちだ‼︎

 

 

 

結局言い寄ってくる虫を追い払うのにかなり時間を要した。気がつけば太陽が低いながらもある程度の高さまで登っていた。

 

 

 

低くて太い音がして、いつのまにかハンガーには変わった形の旅客機が止まっていた。それのエンジンが空吹かしをしていたらしい。機首には第127輸送航空団のエンブレムであるライフルを咥えたコウノトリが描かれていた。

だけどその輸送航空団は今は南東部の前線を中心にして飛んでいたはずだったしどう見てもそれは輸送機じゃなくて民間機だった。徴用機なんだろう。

それに乗り込もうとしているのは子供が二人と、それにつきそう女性。アガリを迎えて引退したウィッチに見えるな。

いや、それよりも前にどこかで見た事があるような気がする。どこだったか……あー思い出せない。

「なんか……どこかで見たことがあるな」

 

「エドヴァルナ・フォン・シュレイナ伯爵じゃないかしら?」

 

「知っているのかサーニャ?」

 

「第一次ネウロイ戦争の時のエースウィッチ。同時にネウロイ戦争終結後は冒険家として南リベリオン大陸のアマゾン地域の探検とかをしていたはず。確か昔父の書斎に本があって、よく読んでいたの」

 

「そんなに有名な人だったのか」

そんな冒険談とか自伝は読んだ事なかったな。は!これはもしかしてサーニャへのアプローチに……急いで調べないと!

 

 

機体の側で誰かが点検を行っていると思ったら、それはハルだった。さっきまで菅野と商談してなかったかあいつ。

そう思って格納庫をみれば、何か弾薬箱を抱えて何処かに行く菅野の姿があった。

まさかあいつ…飛行機の運行前に片手間で商売擬きしてたのか?やっぱり頭おかしい。

「見送りかな?」

サーニャも気がついたのかじっとりした細目であいつを見ていたら、視線に気がついたあいつはこっちに歩いてきた。相変わらずなんか無表情だな。あれが表の仮面らしい。

「そんなところだな……お客さんなのか?」

 

「ああ、病気の子供たちを本格的な医療が可能なところに連れて行くんだ」

聞けば子供二人は伯爵が経営している孤児院の子どもらしい。ウィッチとしての能力がすごく強いけれどそれに伴う体の異常…後天性魔力障害を発症したらしい。治療法自体は確立されているけれど、設備などの問題でそれが出来るのは一部の大病院くらいしか出来ない。欧州は軒並み大陸から避難した関係で医療設備はほとんど存在しない状態だったそうだ。

「そっか、頑張れよ」

 

「頑張ってください」

 

「二人ともありがとう。デート楽しんでおいで」

 

なんだかあいつが笑うとこっちも釣られて笑ってしまう。折角だしあいつにもなんか街でプレゼントを見繕うか。サトゥルヌス祭の時あいついなかったし。

 

基地を出る時に頭上轟音が伸びていき、振り返ればあいつが用意していた飛行機が飛び去っていくのが見えた。飛行機雲を伸ばして最初は腕くらいの大きさに見えていた機影はほんの数秒で空の青色の中に溶け込んでいった。

戻ってきたらプレゼントを渡すついでにもう少しこれまでの事を聞いてみようと思ったけど、私達が基地を去るまでに彼女が戻ってくることはなかった。

 

仕方がないからプレゼントはひかりとか言う扶桑海軍のウィッチに代わりに渡してもらう事にした。

まあ、あいつらしいといえばあいつらしい。

 




GA-43

開発国
リベリオン・カールスラント
開発会社
ジェネラル・アヴィエーション社
ユンカース社

全長13.13 m全幅16.15 m
空虚重量2.4t
全備重量4.1t
エンジン
Wright R-1820又はユモ211
最高速度312 km/h
航続距離790km

本機は1931年代に製造されたリベリオンの単発で10座席の旅客機である。
ジェネラル・アヴィエーション社製造は5機であるがライセンス生産並びにエンジン換装の発展型をカールスラントのユンカース社が担当しており戦前ではカールスラント国内線でユモエンジンを積んだ機体が15機運行していた。
戦争が始まるとこれら機体は徴用され輸送機として運用されていた。そもほとんどは東部前線に回されている。


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????17

 

飛行機の中というのは外に漏れたくない会話をするときにはこれ以上とない密室空間になる。

シュレイナ伯爵は客席に子供を乗せつつ、自身は客室から独立したコックピットでその少女と2人きりになっていた。

 

「連合軍の反攻計画が前倒しになったわ。こちらも計画を急がないといけなくなった」

ゆえに彼女が現在抱えている悩みを、相談という形で漏らすには十分な機密性を持っていた。

「それはまたなんとも急な話で……後ろの2人と関係が?」

後ろの席の子供は伯爵の養子であるリサ。そして彼女の親友であり最も治療が必要とされている少女、レナータだった。

「別に、あの2人は関係ないわ。貴女にはね」

 

「しかしこの時期に功を焦るとは」

 

「まだ失敗したと決まったわけではないでしょう」

 

「では何が彼らを急がせたと思います?」

言葉に詰まる少女。別に伯爵は答えを求めているわけではなかった。そのため少女の考えが纏まるよりも先に伯爵が自分で答えた。

「ようは資本、金よ」

第二次ネウロイ大戦で本国を失った先進国と欧州各国。海洋貿易国家の扶桑とリベリオン。その両者に差はあるかも知れないが、いずれにしても軍を維持し、さらにネウロイと戦っていく上では莫大な資本が必要となる。ブリタニア、ガリア、カールスラントを見本にすれば、大戦勃発後の国家予算は実に8割が軍事に回されている。当然徴兵に徴兵を重ね男手は不足。国の基幹産業である工業、農業そのものが維持できるかどうかの瀬戸際。国力も既に戦争に耐えうる限界に近づいているのよ。

もう一年、あるいは保って二年。元々第一次ネウロイ大戦で欧州はそれなりにダメージを負っていたけれどそれが回復したところでのこの戦争よ。元々の時点でネウロイとの戦いは短期決戦と決められていたのよ。そうでなければ経済が破綻してしまうから。

「しかし現状は戦争は長期戦に。各国は早期決着を望んでいると」

 

「それに貴女たち501にも原因があるのよ。上手く立ち回りすぎて巣の攻略は想定よりも早く終わらせられると上層部は勘違いしているわ」

本来予算の問題なら今私達が生み出そうとしている秘匿兵器こそ圧倒的低予算で作れるわ。それこそ駆逐艦一隻ほどの値段でネウロイの巣そのものを消失させることができる。伯爵である私の資産で用意できるのだから本来ならどこの国の利益になるはずよ。問題は時間がないってこと。このまま反攻作戦が実施されれば人類の被害は目も当てられないわ。

「ネウロイの巣は人間だけじゃ太刀打ち不可能なのよ。それを上層部はわかってない。機甲師団6個、歩兵師団編成12個…ウィッチ隊を含めてこの数じゃ……」

 

「無茶な。上層部は何を考えて……いや、あの時もう少し損害が大きければもしかしたらこうはならなかった?」

思い当たる節がないわけではないと言った感じに少女は唸る。

「今更考えても無駄よ。兎も角、計画を前倒しにしないといけないけれど現状では完成が間に合うかどうか……」

 

「それが本題か……」

 

「今輸送船団の荷物に紛れ込ませて手配しているけれどそれが無事に届くかどうか」

 

「それほどまでに重要なのね?」

 

「最悪の場合反攻計画自体を遅らせるかしないと……貴女ならどうするのかしら?」

 

今度は本当の質問だった。少女は伯爵の方を少しだけ見つめてから、徐に口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

輸送船団は改ダイドー級軽巡洋艦ヴァーノンを旗艦とし、トライバル級駆逐艦4隻で構成された第42駆逐戦隊とハント級駆逐艦4隻で構成された第52駆逐戦隊の2個駆逐艦隊による護衛艦隊の護衛のもと洋上を15ノットの巡航速度で進んでいた。

TC35船団と名付けられたそれはこの時期にしては比較的波が静かな海を白波を立てて突き進んでいた。

 

船団の先陣を切って進むヴァーノンはダイドー級の中では最新鋭に当たる艦で航空ウィッチの運用を可能としていた。

艦首側第一番砲塔を撤去し、その空間にウィッチ射出用の専用カタパルトを設けていた。カタパルトは砲塔下部の給弾機構の跡地に設けられた小型エレベーターに載せられており、そのまま一層下の整備デッキに降りることが可能となっている。

そんな旗艦の会議室に1人の少女が呼び出されていた。呼び出した相手は輸送船団の指揮官であるライアン・アーカート少将。

 

「出港が早まってすまなかったな。まだ休暇中ではなかったのかな?」

席に着くなりアーカート少将は少女に詫びながら、コーヒーでもどうかなと尋ねた。勿論答えを聞いているわけではない。

 

「ご心配なく。こちらは命令とあらばいつでも出動できるように準備していましたので。それにしてもまた急ですね」

少女ことブリタニア空軍ウィッチのロベルタ・マナーズ大尉。ラトランド侯爵の称号を持つ家系の長女であり、継承序列一位の貴族だった。今回の船団護衛のためブリタニア空軍が船団に派遣したただ1人のウィッチだった。

 

「反攻計画が前倒しになったのだ。仕方がないさ。上層部は何を考えているのやらだ」

 

「このまま戦争が長引くのを嫌ったのではないでしょうか?」

 

第二次ネウロイ大戦が始まってから既に5年が経っています。欧州の国は国そのものが消滅したところもあれば、本国を失い植民地に国家機能を移設せざるをえなくなりました。それらの国は国力そのものが大きく衰退しています。このまま国家そのものが衰退したままですと扶桑、リベリオンと言った直接の被害をあまり受けていない国の属国か経済植民地としての未来が待っている。各国首脳はそう考えているのでしょう。尤も私達ブリタニアもまた本土こそ失っていませんが第一次ネウロイ大戦の時の対リベリオン債務で戦争前から首が回らなくなり始めていました。

軍縮条約や植民地の一部切り崩しと経済政策でどうにか資本の抽出に当たっていましたがそれも第二ネウロイ大戦によってほとんど吹き飛びました。債務だけで既に第一ネウロイ大戦の時の二倍近い債務が発生しています。

これ以上は経済にも影響が及びますし国の経済が破綻してしまいますわ。

 

「だからこそ早期の決着を望んでいるのでしょう」

ロベルタは区切りをつくようにそう言った。

 

「金と政治か。しかしそのために大勢の将兵を無駄に死なせるわけにはいかん。いくら501がネウロイの巣を想定を下回る損害で撃破したとしてもだ。奇跡というのは何度も起こるものではない」

ましてや今度の巣は501による戦闘すら学習している可能性がある。ますます手強い相手になっているだろう。ネウロイの学習能力は恐ろしく早く、新兵器や新戦術でも半年足らずでそれらに対抗する力を備えてしまう。実質的な人類の優位性は殆どないと言っても過言ではないのだ。

 

「これから払うお金より将兵への見舞金の方が安く上がると考えているのでしょう。幸いブリタニアは徴兵をほぼ行っていませんから国内の人員余力の点で言えばまだ余裕があるのでしょう」

 

「それはあまりにも乱暴ではないかな?」

 

「ですが事実です。現に航海日程の短縮のため総司令部から送られている航路はネウロイの勢力圏にかなり接近しています。本来であればもう少し西側に迂回した航路を取るべきです」

 

彼女がそこまで言ったところで警報が鳴った。艦が搭載している対空レーダーが接近するネウロイを捉えたのだった。

 

 

「状況!」

 

「方位2-3-2の方位より大型ネウロイ接近。距離20マイル。まもなく視認できます」

初老の艦長は落ち着いた口調で答えた。未だに目視では捉えられていないものの、移動速度からすれば後1分ほどでこちらからも視認出来そうだった。

 

「周囲への救援は?」

 

「最も近いのは現在502から派遣されたウィッチ4名。現在こちらに急行中。会敵予想時刻は04」

瞬時にウィッチ隊が合流できるまでの時間とネウロイの射程に船団が入るまでの時間を計算したアーカート少将は船団が十分ほど攻撃にさらされるのを瞬時に悟った。

「現状は我々だけでの対処か」

 

「マナーズ大尉、後2分で発艦します!」

 

「急がせろ!接近されるとこちらの戦力では大型ネウロイは抑えきれん!」

軽巡洋艦と駆逐艦8隻でTC35の6隻の輸送船を大型ネウロイから守り切らなければならない。

 

 

だが現実は無情だった。

相手が大型ネウロイであったことも災いし、主砲の射程に入る前に、ネウロイからの先制攻撃を浴びることになった。

最初の十数発のビームは船団の近くに着弾するも派手な水飛沫を上げるだけにとどまった。

マナーズ大尉の牽制により狙いが集中していない証拠だった。

しかし駆逐艦に直撃のコースを取るビームが出た時、ついに破局が訪れた。

船団右舷にいたハント級駆逐艦の艦首で砲弾を撃ち上げていた主砲の真下に赤い閃光が吸い込まれ、主砲直下から船体が吹き飛んだ。

甲板で砲を操作していた十数人はまとめて爆炎の中に消え、破片と共に細切れになった体を海に、艦橋に吹き飛ばした。

艦首は引きちぎれ、艦橋から前を失った駆逐艦は速度こそ船団に合わせてゆっくりであったものの、突っかかるようにして海面に突き進み、スクリューが海面に露出するほど艦尾を上げたままゆっくりと沈み始めた。

その一隻が開けてしまった穴から多数のビームが輸送船に向かっていった。

間一髪それらはマナーズ大尉のシールドで弾くことが出来たものの、全てを防ぎ切ることはできずシールドが割れ、ビームの残滓がストライカーのエンジン部を直撃。爆発と共にマナーズ大尉は輸送船の甲板に叩きつけられた。

 

「ウィッチがやられた‼︎」

 

「敵ネウロイ船団正面に回り込もうとしています!」

ヴァーノンの艦橋に次々と報告が入る。

アーカート少将は不味いことになったと内心毒突いた。

洋上を進む船と違い空を飛ぶネウロイは数倍の速度を出すことが出来る。それゆえに船団がネウロイから逃れることは不可能だった。

ウィッチという護衛を失った船団の周囲にいくつものビームが着弾し、トライバル級が衝撃と波で大きく船体を揺さぶられる。

 

「船団の頭を押さえる気か‼︎」

「させん!輸送船の盾になる!取り舵いっぱい!」

艦長が咄嗟の指示が飛ぶ。

ヴァーノンが大きく揺れ、輸送船に向かっていたビームの合間に船体を押し込んだ。

衝撃に備えようと手摺を掴んでいたアーカート少将だったが、船体を貫くはずだったビームは一向に船体を貫かなかった。

 

「間一髪。…こちら502統合戦闘航空団派遣隊隊長クルピンスキー。これより船団の援護に入る!」

 

 

 

 

 

「ってことがあってさ。マナーズ大尉に看病してもらうことになったからもう少しここにいるよ」

 

救助されて基地の救護所に収容された僕を、ハルが迎えに来たのは救助されたその日の夜だった。

昼間に献身的な看護を受けたしひかり達も出発は明日だから迎えが来るまでゆっくり出来ると思っていたけれど、これは想定外な早さだった。

 

「ダメです。ロスマンさんからの命令で基地に到着している物資やストライカーと共に早急に回収するようにとの命令です」

うわ、絶対報告が入っているやつだ。だけどハルもハルだよ。早急にって言われてこんな深夜に病人叩き起こすなんて。

「つれないこと言わないでよ。もう少しだけかわいこちゃんと……」

絶対零度の冷めた瞳が見つめていた。完全に怒っている時の目線だ。よくロスマンもしている。

「マナーズ大尉は公爵家の長女ですし彼女自身も現在伯爵位を持っているれっきとした貴族ですけど…将来公爵を継ぐ貴族に手を出す気ですか?」

 

「う…いやそういうわけじゃ……」

なんとなく育ちがいいと思ってたら本当の伯爵だったのね。

「後ロスマンさんが嫉妬しますよ。彼女ああ見えて嫉妬深いですから」

 

「え……それ初耳」

まあ、仕方がないか。ひかり達には置き手紙を残すとして……あ、もしかして物資も一緒に持っていくってことは葡萄ジュースも飲めるかも。




改ダイドー級軽巡洋艦(ヴァーノン級軽巡洋艦)

一番艦ヴァーノン

基準排水量5500t
全長156.05m全幅15.39m

主缶
アドミラリティ式重油専焼三胴型水管缶4基
主機
パーソンズ式ギヤードタービン 4基4軸推進
最大出力62,000 shp
最大速力32.25kn/h

乗員530名
装甲
垂直装甲 76mmNC
砲塔前盾、バーベット 25mmDS
水平装甲(弾薬庫)51mmNC
水平装甲(機関部)25mmNC

兵装
13.3cm(50口径)連装高角砲4基8門
ボフォース40mm連装機関砲4基8門
エリコンFF20mm連装機銃6基12門
53.3cm水上魚雷発射管三連装2基



第一次ネウロイ大戦から急速に発達した航空機が艦隊の脅威となることを予見したブリタニア海軍は従来旧式化した巡洋艦の主砲を高角砲へ乗せ替えた防空巡洋艦を運用していたが、改装ゆえの非合理さや老朽化が深刻となっていた。
そこで新規に防空巡洋艦ダイドー級を計画した。
本来ダイドー級は16隻が建造される予定だったが、建造中に第二次ネウロイ大戦が勃発し、主砲の5.25インチ砲がキングジョージ5世級戦艦の副砲にも使われるなど砲の生産が追いつかなくなっていた。
そこでダイドー級は4隻で建造が打ち切られる事となった。

しかし予算の上では5隻が1936年度予算で計上されておりこの一隻分の予算を投じて建造されたのがヴァーノン級軽巡洋艦である。
本艦はウィッチを運用するウィッチ母艦としての機能を持たせるべく元より生産が追いついていない5.25インチ砲を一基減らし空いたスペースにストライカーの格納庫と武器弾薬庫、燃料タンクも予備部品室などを設けた設計となっている。
その他の兵装としてボフォース40mm連装機関砲を艦橋横と第二煙突前方の左右に二基づつ。20mm連装機関砲を左右に三基づつ搭載している。

予算の都合で建造された艦のため同型艦はおらず、本艦以降は砲の数wっ一基減らし艦橋を改装したベローナ級(準ダイドー級)が建造されることとなる。


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????18

才能とは生まれついた天性的なものと、絶え間ない努力によって開花した二つしか存在しない。そして圧倒的多数は後者である。

 

ーーエドヴァルナ・フォン・シュレイナ伯爵著『スタンレー山脈の魔物』4章よりーー

 

 

 

欧州、それも高緯度となる土地の冬は恐ろしく寒くなる。

日照時間も短く、朝であってもまだ日は昇らない。

そんな夜間飛行とほぼ変わらない明るさの中でも、空を飛ばなければならない。

「こんな暗いんじゃナイトウィッチの時間じゃないのか?」

夜の闇に慣らしたものの、それでも先導のウィッチ。ニーマントとか言うやつの飛行灯火が無かったら直ぐに迷いそうだ。

一応横にニパとひかりの野郎がいるにはいるがニパの航行灯火は離陸してから直ぐに片方が切れた。

そう言う意味でもこんな時間に訓練をさせられるなんて冗談じゃなかった。特にこの姉の代わりに来た負けず嫌いは夜間飛行もおぼつかない。

さっきからふらふらしたままだ。

まあ、経験がないなら仕方がねえな。

「訓練飛行空域に入る頃には日も昇ってくる。帰る頃には朝日が拝めるよ」

 

「それにしても寒いですよ」

 

「そっか、魔法力をあまり回せてないから……」

ニパがマフラーを首元に巻いた。世話焼きが多いのは結構だがそんなので強くなれるのだろうか。

「じゃあ帰れば良いんじゃないか?」

 

「それは嫌です」

 

 

しばらくの無言。その合間にも日は昇り始めて星空が赤みを帯びて明るくなってきた。まだ暗いがそれでもはっきりと見えるくらいにはなってきた。

 

「もう間も無く訓練空域だ。到着後は模擬戦。私は管野とペアを組む。ニパとひかりでペアだ。そちらから攻勢をかけてくれ」

迷いなく目の前で一定の距離を保って点いていた飛行灯が消えて、位置表示のための小さな赤い光がぼんやりと輝き始めた。

同時にあいつはニパと共に高度を上げていったのか扶桑の空冷発動機の音が遠くなっていった。

 

「あんた……俺だけ苗字呼びだな」

状況が始まるまで少し時間があった。沈黙のままというのも気分が良くなくて、直ぐに思い浮かんだことをそのまま口に出した。

「いやだったかい?」

 

「いや、別に……ただ気になっただけだ」

 

「あまり人と馴れ合うのが好きじゃなさそうだったからね」

 

「あっそ。ならそうしてくれ」

確かに無駄な馴れ合いをするくらいならこのくらいの距離感の方が安心して背中を任せられそうだ。それに腕も良い。

ただし見た目はそれこそ伯爵やニパに比べたら十分子供。多分ひかりと変わらないくらいのガキ。だけど雰囲気だけは歴戦な変わったやつだ。

素性はわからねえが訳ありなんだろう。こうして正式な502ではないにも関わらず嚮導から教官までこなしている。

 

「無駄話は終わりだ。ブレイク」

早速仕掛けてきた2人の火線を左に体を捻って逸らし相手が通過するのを待つ。

飛び込んできたのは1人だけ。もう1人は接触を危惧して上昇していた。連携に失敗したな。

下に行ったやつはやっぱりひかりの野郎だった。そのまま上昇に転じながら距離を取っていた。だけどバディとも距離取ってたら互いに支援できないじゃないか。

 

今回使えるのは弾倉一つ分。予備弾倉は実弾の入った緊急時用だ。

だから無駄にあいつを追う事はしない。各個撃破だ。

ネウロイ相手にするより頭も使わないといけない。普通にぶん殴って撃破するのとは訳が違う。だから実戦の方が絶対に成長に繋がる。それを分かっているのだろうか。

そんな疑問が頭を通って、直ぐに頭を振ってそれを追い払った。

 

ニーマントは後ろでニパに対して牽制射撃をしていた。背面飛行でMG42を上に撃ちあげていた。

ニパと高度差はそこまでない。発動機を吹かしてその高度差を埋めるために上昇。

背後に回るために旋回をするから速度は必然的に落ちていく。ふと視界の端にひかりの姿が映った。あまり時間をかけてはいられない。

ニパと目が合った。ヘッドオン。真正面からの弾の撃ち合いを演じる。こっちの20mmは弾道特性がいいわけではない。それでも距離が近いから狙いを絞らずともなんとかなった。

ニーマントの援護射撃もあってニパは逃げられない。

「もらった!」

 

「させない!」

 

いつのまにか背後にひかりが迫っていた。振り返った途端水平線から昇った太陽が目を眩ませた。ひかりへの反撃を諦め眩んだまま左捻りで射線から逃れようとする。左腕を何かが掠めた。模擬弾だ。非殺傷の弾丸だけど当たると当然痛い。

それでも撃墜判定になるには胴体に2発以上撃ち込むのが条件だからまだ大丈夫。

高度が失われて速度が上がっていく。視界が戻ると左右を弾丸が通り過ぎていった。あまり良い精度ではない。狙いが甘っちょろい。

これなら……言いかけたところで無線機がノイズと共に鳴った。

 

 

「訓練中止。訓練中止。招かれざる客が来た」

 

「ネウロイ⁈なんでこんなところに!」

 

「知るか!取り敢えず倒せば良いんだろう」

弾倉を実弾が入った方に交換しつつ高度を上げていけば、雲の中から巨大な黒いハニカム構造のパターンが見えた。

円形の外枠と中心の構造物。空力とかガン無視した理解に苦しむ姿だ。それに大きさもかなりでかい。コアの位置は多分真ん中の構造物の中。

先に接敵したニーマントとニパがネウロイに近づいていく。指揮権がニーマントに移ったのかニパが追従する形だった。

ネウロイのビームが2人の姿を隠しかけ、シールドが弾いた光が四方八方に広がっていく。

何射かしたのか白い破片が空中に散った。ネウロイ上部を通過した2人に攻撃が集中して俺らには見向きもしない。

 

「硬いな」

 

「20mmが効かないなんて!」

 

 

ほーん?じゃあここらでやるとするか。

スロットルを全開に。紫電改が一瞬ストールしそうになって、次の瞬間濃い魔力と燃料と空気の混合気を吸い込んだ発動機が身体を蹴り押した。

 

20mmを連射し続けて、外装を幾らか削り取る。

引き金がロックした。ガチんと金属が当たる軽い音がして弾丸の排出が止まった。20mmが空になった。錘にしかならないそれを捨てて拳に推進に使う魔力以外の全てを注ぎ込む。

視界がハニカム構造で埋め尽くされ、捲れ上がって破壊されたそこに拳がぶつかった。

破壊。破壊。魔力で強化された拳が弾丸すら弾くネウロイを飴細工のように破壊して、コアを砕いた。

途端に視界が真っ白になり、腕にかかっていた負担が消えた。

多少ネウロイの破片で服が破けたけどこのくらいなら縫えばいい。

「よっしゃ!俺にかかればこんなの…」

 

急に体が崩れた。足元が不安定になって浮いていられなくなった。

覗き込めばストライカーから黒煙が上がっていた。

「しまッ‼︎」

 

高度が下がっていって、相対的に速度も上がっていく。海水浴まっしぐらなコース。

だけれど体が水面に着く前に誰かに体を抱き上げられた。

「出撃のたびにストライカーを壊していたらまた怒られるぞ」

 

ニーマントの声が後ろからした。だけど扶桑語だったから一瞬誰なのかわからなかった。

「すまねえ……けどストライカー破損は別に良いだろ」

機体なんか消耗品。ネウロイが倒せればそれで良い。

「機体は確かに消耗品だが紫電改はまだ量産出来ていないし予備部品も少ない。そんな使い方していたら直ぐに零式が支給されるよ」

 

「そんときはオメーに頼むよ」

 

「生憎だけど予約は受け付けていないのでね。メッサーシャルクならまとまった数があるからそちらにする?格闘戦と速度なら紫電に負けず劣らずだよ」

 

「いらねえ。紫電改が一番だ」

 

抱き上げられ腹に抱えられたまま基地に向かって彼女は進路を変えた。めんどくせえお説教が待っているんだと思うと少し憂鬱だったが、ネウロイを倒せたしトントンだ。

 

「……君はどうして空を飛ぶの?」

 

「決まってんだろう。ネウロイを駆逐する。一匹残らずだ!大体訳分からん奴にいいように蹂躙されるのが気に入らない」

それにウィッチの適性があったならもっと……あの人と肩を並べて飛ぶためにも。

「そっか。なら安心した」

どこかホッとしたような声色だった。

「安心?」

 

「なんでもない。……正義だなって思っただけ」

 

「正義にはその憤怒がある。そして、正義の憤怒は進歩の一要素である」

 

「ヴィクトル・ユーゴー。管野、よく知っているね」

 

「まあ、好きだからな。そういうの」

 

結局話が弾む前にひかり達が合流してあまり会話は弾まなかった。

しかも夕方になるまでずっと正座までさせられた。おかげで足が痺れた。畜生、良いじゃねえかストライカーの一つや二つくらい。今回は全損したわけじゃないし。

 

夜になっても痺れが残ってて寝付くことができず散歩がてら愚痴の一つや二つ溢したかったが、ストライカーの格納庫で萎れてたひかりのやつの手前そんなことが出来るはずもなく夜は過ぎていった。

 

 

 

 

 

「調子は?」

相変わらず脚は吊られたまま。骨こそくっついたけれどまだ安静にしていないと直ぐに折れてしまうらしく復帰には時間がかかりそうだった。

そんな私を訪ねてきたのは、珍しいことにハルだった。病室に運び込まれてから一度も姿を見せにきてくれなかった子が来たという事はきっと悩みがあるのだろう。

何を悩んでいるのか考えながら、体の調子を逆に聞き返してみた。彼女の体も相当に負担がかかっているはずだ。特に今日は訓練でストライカーを履いていたしネウロイと交戦までしている。

「良好だよ。怪我はまだ治りそうにないけどね。そっちは?隠さないで教えてね……どこまで残ってる?」

 

「色彩は問題なし。腕は相変わらず……」

そこで彼女の言葉が詰まった。悩んでいるようだった。消灯されていて暗い室内だから表情はわからなかったけれど。

「……味覚と嗅覚。どれくらい?」

夜食の入ったバスケットをベッドの横の机に置いてからハルは呟くように教えてくれた。

「……全くしないです」

 

「両方とも?」

 

「ええ……嗅覚は多少なら」

既にかなり深刻なところまで来ている様子だった。

「そっか。教えてくれてありがとう」

 

「……誰にも言わないでください」

 

「……保証はしかねる。既に君の健康状態じゃ軍属である事すら不可能だよ」

そもそもそんな身体でどうしてまだ戦おうとするのか。身近な誰かが傷ついていくのを見ているのはかなり堪える。こうして怪我で何もできない状態だと特に気持ちはナーバスに寄っていく。意識していてももどかしさと怒りと焦燥が込み上げてきて胃が痛み出す。

本当にここら辺でこの子を止めないときっと後悔しそうだった。後悔ならずっと昔からしているけれど……

「それでも戦うのはどうして?」

 

「誰かの願いと、ネウロイを倒せる希望を踏み躙ったからにはその責務を最後まで全うしないといけないからです」

 

「それは……」

ウォーロックの事を言っているのだろうか。だけどあれは……

「失礼します」

 

「あ、待って……」

制止も聞かずに彼女は部屋を後にしてしまった。虚しく宙をきる手が布団の上に落ちた。

「もう良いんだって言ってるのに……頑固なんだから」

彼女も性格的には癖が強い方で、ロスマンやラル曰く食えない奴なのかもしれない。あ、夜食美味しい。

相変わらず料理の腕は落ちていない。ハルの手料理の味だった。

 

小さな紙がバスケットの中に隠されていた。片手でも開けやすいように工夫がされていた。

 

「なんだか照れるなあ」

 

『復帰するのを待っています。やはり貴女がいないと502は寂しさがあります。大尉より』



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お久しぶりですので初投稿です。

ちょっと報告のような取り止めのないものです。時間があったらお立ち寄りください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292335&uid=112629


海には落ちなかったけれど雷が落ちた。

飛行隊長のサーシャは口煩くストライカーの破損の事を言ってくる。

確かにここの補給能力じゃ補充が利きづらいというのは承知だ。こっちだってストライカーが無かったら困る。

だけれどそれを別にしたってストライカー破損はネウロイ撃破と等価交換で良いじゃないか。どうせ機体は消耗品。ネウロイを撃破できてウィッチも生きて帰ってくれば万々歳じゃないか。

そう思ったけれどそれを口にすれば余計に彼女は怒った。そんな事、わかっているんだ。だけれどネウロイを撃破するためのコラテラルダメージってやつだ。

 

大破した機体を前にしても別に特段何かが込み上げてくるということはなかった。機体に愛着があればと思ったけれど、結局機体は機体でしかない。ただの道具だ。

 

「まあ、結局は生き残って来れれば良いけれどそれは最低限というだけ。ベテランなら機体も壊さず持って帰るものだよ」

ストライカーを見つめていると、あいつがやってきた。相変わらずサングラスをかけて無愛想な表情を変えない。だけれど整った横顔から見える瞳は、慈愛のようなものを含んでいた。

だけれど彼女の言葉に対してどこか自分がまだクルピンスキーよりも下だと思われているようでお腹の底でドロドロとした熱い不快感が込み上げてきた。それは喉を通る時に嫌味に変換されていた。

「わかったよ……だけどそういうあんたはいろんなところの機体を使っているな。節操ないんじゃないか?」

 

「用途に合わせて選んでいるんだよ。軍事機密があっても輸送機とかは多少は融通がきくからね」

そんな負の感情のようなものなど意にも介さず彼女は答えた。単純に気づかなかっただけなのかもしれない。

「ストライカーも国籍問わず揃えられるのにか」

 

「ストライカーは別物だよ。いろんな手段で揃えているだけだよ」

そんな簡単に揃えられて堪るか。そう思ったけれど、実際彼女が部品を揃えていてくれなければ今頃半数ほどの機体は飛行不能になっていただろう。

「まるで武器商人だ」

 

「そうかもしれない。結局、軍人であっても忠誠を誓うべき国家は私には見つけられなかったから……」

興味深い言葉だった。

「あん?カールスラント空軍じゃねえのか?」

着ているフライトジャケットと制服はカールスラント空軍で間違いはないはずだ。それでも軍に属していながら国に忠誠を誓わないなんていうのは恐ろしく矛盾しているものだった。

私だって多少なりとも扶桑国に対して忠誠は誓っている。

「そうだけれどね…忠誠っていうのは他者から貰うものではないから」

 

「……忠誠は栄養、誇り、欺瞞、虚栄、合理性、愚かさ。それら全てを理解した上で自ら選択しなければならない」

 

「レヴンスキーの椿の館かな」

 

「知っているのか?」

 

「昔読んでいたんだ」

 

 

「……そうだ。ストライカーを大事にして貰うために一緒に部品の調達に行かないかな?」

 

「はぁ?なんでそんなこと……」

 

「アレクサンドラ大尉からも言われているんだ。ストライカーを壊しすぎる人には教育が必要だってね」

 

ああ畜生。余計な事を……

 

 

 

新しく導入されたストライカーである紫電改。あいつが使う紫電改二型の元になっている機体だ。ただし中の構造と機構の一部が変更されていて部品の共通化は半分ほどだそうだ。そんで昨日の損傷で壊れた部品は予備パーツが無いから取りに行かないといけなかった。それもサンクトペテルブルクから遥々欧州の端っこであるブリタニアまでだった。

 

薄く張った氷を砕いて作った水上機用滑走水面から飛び立った零式水上偵察機は途中で補給を受けて大西洋に出た。

揺れる風防から外を眺めていると海面に何かが見えた。

 

「お、扶桑海軍の艦隊だ」

眼下に広がる海に、いくつかの船の姿が見えた。三列になって左右に駆逐艦と思われる小さくて細い船が4隻づつ。中央の列の先頭は軽巡洋艦のようだった。その後ろは平べったい板を載せたような艦影。航空母艦だ。

艦隊に近づくにつれて艦影がはっきりと見えてくる。

第二次ネウロイ大戦が始まってから蒼龍型を元にした戦時設計型の航空母艦として建造された雲龍型航空母艦だった。

飛行甲板には陸軍の通常戦闘機やストライカーが専用ラックごと置かれていた。

「欧州への航空機と部品の輸送をしているらしいな……あれにこっちの部品も載っているのか?」

 

「紫電改と紫電、零式ストライカーの整備部品一式だよ。荷揚げされるのを待つつもりだったけど事情が事情だから先に取りに来たんだよ」

 

 

阿賀野型軽巡洋艦が艦隊からやや離れて機体回収のため旋回を始めた。

外洋での着水をしやすくするための行動だ。

水上機は旋回する艦の内側、一時的に波が艦尾の生み出す乱流で堰き止められ穏やかになっているところに降りる手筈だ。

 

出力が下がっていき、ゆっくりとフロートが水面を叩いた。

オレにとって阿賀野型は何かと縁がある艦だった。海軍航空隊にウィッチとして入隊した後に真っ先に送られる海軍航空隊新兵教育隊に入隊する。そこで二ヶ月の基礎訓練を行ったのちに予科練航空隊に配属となる。そのどちらにも実際の軍艦に教育名目で乗り込むことになる。

しかしウィッチは軍人といえど女子であり、それも年齢が非常に幼い。そのため軍艦に乗り込んで行う教育の為には男しかない軍艦の中でも専用の設備を持たせなければならない。オレの一つ前の代では練習艦になった旧型巡洋艦である龍田を使用していた。しかし龍田はオレの代では機関故障で動かすことが出来ず、当時元ウィッチの女性士官の運用を前提に建造された最新鋭巡洋艦であった阿賀野型の一番艦阿賀野が当てられた。

阿賀野型は旧式化した天竜型や5000t級軽巡洋艦の置き換えのために建造された量産型軽巡洋艦だった。

軽巡洋艦と言っても排水量は7000tと一昔前の重巡洋艦に迫るものだった。

だけれど海上におけるネウロイの脅威が航空攻撃となって行った開戦直後から阿賀野型の水上、水雷戦闘を重視した時代遅れな設計の烙印を押されていた。

 

しかし今眼下にいる阿賀野型はオレの記憶にある姿とはだいぶ違っていた。

 

主砲は単装砲の高角砲になり、魚雷発射管も撤去されているのか左右は高角砲と機銃が犇いていた。

軍艦として洗練された姿は、無骨なハリネズミになっていた。

 

航空機を吊り上げるデリックが並走する機体にフックを引っ掛けた。

発動機が止められて機体が航空機用作業甲板に載せられた。

 

「ニーマント大尉です。連絡にあった通り物資の受領に参りました」

 

翼を伝って甲板に降り立ったオレ達のところに2人の士官がやってきた。

 

「TB12船団司令の新堀だ。ようこそ我が艦隊へ」

扶桑人にしては彫りが深い、整った顔つきの士官は新堀と名乗った。階級は大佐。見た目の年齢からしてかなりのエリートなのだろう。

その隣にいるのは中佐だった。おそらく巡洋艦でその階級であればそれは艦長クラスである事は違いなかった。

「軽巡洋艦酒匂艦長の空知です。艦隊合流後に内火艇を下ろして輸送船まで案内します。準備ができるまでお待ちください」

どこか艦長というよりも参謀というのが似合っていそうな空知少佐は、言葉の柔らかさとは裏腹に一切表情を変える事がなかった。

 

 

 

しかし、内火艇の準備が終わる前に、艦全体にラッパが響き渡った。

海軍で嫌というほど聞いた音色。戦闘用意のものだった。途端に艦内が慌ただしくなった。艦長も船団司令も気がつけばどこかに駆けていってしまい。取り残されてしまった。

「おい!この艦にストライカーは⁈」

航空整備員と思われる整備員を取っ捕まえて聞いてみたものの、返ってきたのはそんなもの積んでいないという答えだけだった。

畜生!ウィッチはいるのにストライカーがないなんて。

 

 

 

 

 

「通信参謀、状況知らせ!」

船団司令部とは違い艦長である空知は第一艦橋にいた。副長は既に対空指揮を行うために防空指揮所に上がっていた。

そのため彼は第一艦橋にいた通信参謀に問いかけた。

「北東よりネウロイ接近中!大型と中型の混成部隊と思われます!右舷見張り員からの報告ですと中型1、小型4が真っ直ぐ船団に向かっているとのことです」

 

「近くの航空隊に救援を!第14駆逐隊は進路0-5-0!」

 

「それが、ブリタニア空軍中央指揮所から入電がありまして現在ブリタニア北東方面が大規模な空襲を受けています!」

その言葉に空知は珍しく表情を変えた。その場にいた誰もが余り見ない艦長の表情の変化に内心驚いていた。

「なんだと⁈それでは……」

 

「救援を出すことは出来ないとの事です」

 

「……我々だけで対処する事になるとは。第20駆逐隊は輸送船団の護衛を継続せよ。旗艦酒匂と第14駆逐隊は敵を足止めする!進路そのまま!」

 

本来であれば対空戦闘に最も適した陣形である輪形陣への組み替えを行いたかったものの、今から陣形を変えていては輪形陣を構築中の混沌としたところにネウロイの攻撃を受ける事となる。空知は歯噛みをしたが現状ではこのまま単縦陣で戦うしかなかった。

ネウロイは最も脅威度が高い軽巡洋艦を含んだ戦闘艦5隻の集団に一直線に向かっていた。

 

やはり奴らは輸送船には目もくれないか。

「ネウロイからの攻撃です!」

赤い閃光がゴマ粒のように見えるネウロイを覆い隠した。次の瞬間艦の周囲にマストよりも高い水柱が上がった。最も近いものでも酒匂から200m離れている。衝撃こそあったがそれほど距離があれば船体そのものには被害はない。

「距離は?」

 

「7600m!」

各艦の指向可能な砲兵装がお返しと言わんばかりに空に向かって放たれた。

駆逐艦に搭載された12.7cm高角砲が毎分10発の速射性で連続して火を噴き、酒匂の1番、2番砲がさらに図太い砲火をあげる。

空にいくつもの黒い花火が上がり、ネウロイの姿が翻弄されていく。しかし怯んだ様子を見せないそれらはお返しと言わんばかりにビームが返され、海面に水柱を上げる。

「取舵一杯」

 

操舵員が舵輪を大きく右に切った。20度の角度左舷側に旋回するべく艦首の向きを変え始めた。

ネウロイに対して最大限の火砲を叩き込めるように横を向けるつもりだった。

 

その瞬間、ネウロイのビームが後部クレーンマスト基部に命中し炸裂した。

爆発と共に空知は前方に放り出され、窓枠に顔面をぶつけた。

意識が遠のきそうになるのを根性で堪える。背中に粘り気のある温かいものが質量を持ってぶつかった。艦首が切った海水が降りかかり倒れ込んだ彼の鼻や口に流れ込んできた。

なんとか起きあがろうとして背中を起こすと背中のそれはあっさりと転げ落ちた。

ようやくのことで立ち上がると周囲の情景は一変していた。

天井がなかった。艦橋の上部構造の一部が被弾時の爆発の衝撃で吹き飛ばされてしまっていた。

 

背後にあったはずの方位盤、高射指揮装置、電探が一体化された構造物とその前方に設けられた防空指揮所は跡形もなく消失していた。爆発の衝撃で吹き飛んだのだろう。

「状況……」

 

船体が傾斜したままだった。取舵をとったままになっている事に気がついた彼はすぐに操舵輪に飛びつき、運動エネルギーを相殺した。

切りすぎていた舵を面舵をとって修正する。

それにしても他の士官はどこに行ったのだと激痛を訴え出した体に鞭を打ちながら彼は考えた。

 

 

 

非戦闘員となってしまったオレとジークフリンデは第三甲板にある兵員待機室に押し込められていた。

だけれどジークフリンデが零式に旧型ながらストライカーが置いてあるのを思い出し事態は一変した。それを使えと言ってくれた彼女の為に甲板に上がろうとして、激しい振動でラッタルから落ちた。

 

被弾したのだ。直ぐに甲板に上がったものの、周囲は一変していた。

ネウロイのビームが直撃したクレーンマストの根本は融解し、周囲にあったものを根こそぎ吹き飛ばしていた。

煙突もファンネルキャップが吹き飛び、後部側は裂け目が出来ていた。

艦橋トップも被害を受けたのか火災が起こっていた。

 

「艦長!無事か!」

気がつけば艦橋に駆け上がっていた。肉が焼ける匂いと硝煙と海水の匂いが混ざった刺激臭が立ち込める。

「君は…管野君だったか。私以外は全滅のようだ。他の区画の状況は分かるか?」

 

「後部クレーンマストが左舷側に倒壊しているけど以上の事は……」

ついでに零式は吹き飛ばされて残骸になっていた。ストライカーが無事とは思えない。

「分かった。すまないが操艦を頼めるかな?」

白い軍服のところどころが赤く染まっている。満身創痍と言っても差し支えなかった。

「いや、やった事は無いんだけど」

 

「大丈夫だ。こちらで指示をする。今は人手が欲しい」

 

『電探室より艦橋‼︎新たなネウロイの反応あり‼︎』

 

艦橋要員は艦長以外の全員が死んでいた。

人としての最後にしては惨たらしいものばかりだ。

足を踏み出した時何か柔らかいものを踏んだ。下を見ると、ピンク色のミミズを巨大化させたようなものがあった。

腸の一部だった。

 

「ああくそう!」

 

それから十分の合間、地獄のような艦橋でオレは指揮を取り続ける羽目になった。こんな光景を見たいが為に軍に…ウィッチになったわけじゃ無い。オレは……護るために強くなりたかったんだ。

ああそうか。ストライカーが壊れていたら肝心な時に出る事が出来なくなるんだったな……確かにそうだった。

 

 

 

「管野、ストライカーの準備は出来たよ。操舵を代わるから行っておいで」




軽巡洋艦酒匂

阿賀野型軽巡洋艦4番艦

建造国
扶桑国

運用
扶桑国海軍


全長174.5m全幅15.22m
基準排水量6651t/満載排水量8402t

機関
主缶 艦本式ボイラー6基
主機 艦本式タービン4基
推進器 4軸
出力 102,000hp
速力 35.0kn/h
乗員 730名
兵装

62口径2式15.2cm単装砲 4基4門
60口径九八式10cm連装高角砲4基8門
九六式25mm三連装機銃8基


球磨型から始まる5500トン型軽巡洋艦を水雷戦隊の旗艦としていた扶桑国海軍は兵装の強大化と軽巡洋艦の汎用性、火力強化のため大型化を模索し始めた。

昭和十四年度の第四次海軍軍備充実計画で新型軽巡洋艦6隻の建造が承認された。このうち4隻は水雷戦隊旗艦用とし大蔵省に請議された。軍令部からの要求性能は基準排水量6,000トンで15cm連装砲4基、61cm四連装魚雷発射管2基、水上機2機とカタパルト1基、最大速力35ノットとされた。
しかし実際に建造が始まった頃に発生した第二次ネウロイ大戦により、航空脅威が異常なほどの明瞭さを持つようになった結果として2番艦能代が就役した段階で新型軽巡洋艦は大規模な改装を余儀なくされた。
その結果として3番艦,4番艦は大きく姿を変え収益することとなった。

後に1番艦,2番艦も同様の改装を行うこととなり1944年1月にはこれら4隻は戦力化され数雷戦隊の新旗艦として誕生していた。


船体
船体の大型化に伴い基本設計は従来の5500t級巡洋艦から古鷹型重巡洋艦を参考とする事になった。
第一第二砲塔を前部に、第三第四砲塔を後部に背負い式としたオーソドックスな武装配置とし、艦隊指揮所として機能する司令塔を艦橋基部に設けている。
艦橋後部には煙突と半分一体化したマストを持ちこの上に対空電探、対水上電探、電波探信儀などの電子装備をひとまとめにして設置している。
また艦橋トップには射撃指揮所、高射式装置を搭載し一部構造物はマストと一体化している。
煙突後方には航空機用作業甲板が設けられ、カタパルトと合わせて2機の水上機を運用できる。


武装
従来搭載を予定していた15.2cm砲は元を正せば金剛型戦艦に搭載していた物をベースに装填装置を一部改修した旧式な水上戦闘用の砲であり対空戦闘には全くの役に立たない代物だった。
そこでこれらを撤去し、砲塔部を流用して全く新規に誕生したのが62口径15.2cm高射砲である。周辺装置の問題や自動装填装置の大型化に伴い従来の砲塔リンクを流用する場合単装砲でしか搭載できなかったものの改装の手間と時間を考慮してそのまま搭載している。

魚雷発射管を撤去し、スペースと重量を確保して副砲の10cm高射砲を搭載している他対空機銃の増設を行っている。



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????20

お久しぶりですので初投稿です。

ちょっと報告のような取り止めのないものです。時間があったらお立ち寄りください。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=292335&uid=112629



 

最初は何を言っているのか理解できなかった。

血といろんなものが焼ける焦げ臭い匂いの中で頭がおかしくなってしまったのだろうかとさえ思った。艦首が切り裂いた波が窓ガラスのなくなった正面から流れ込んできて血混じりに床を洗い流していく。

真上を見ればビームが空を裂いて近くの海面をたたきに向かって行った。

「ストライカーって……壊れたんじゃ」

そうだよとあっけらかんとした返事が返ってきた。

「まあ水上機ごと壊れてたけどそこまで酷い破損じゃないからすぐに直した。応急修理だから20分保つかどうかだけどね」

だからこの場は任せてさっさと空に行けと、扶桑語で彼女は言った。操舵輪の一部を既に手にしていた。代われという合図なのだろう。

「あ、ありがとう」

 

 

艦長、操舵代わりました。

背後で聞こえる声を振り切って来た道を引き返した。あの空間に居たくないと言う心理もどこかにあったかもしれない。

左右に小刻みに舵を切る酒匂。機敏に船体を傾けさせては甲板に海水をぶち撒ける。体が何度も手摺や壁にぶつかり、まともにまっすぐ走るのも難しい。

機関砲の弾が収められていた木箱が、使用した薬莢が、弾倉が至る所に散らばって波や揺れで移動したり海に落下していく。脚で幾つか蹴飛ばして、ようやく航空機作業甲板に到着した。

飛行甲板もマストも相変わらずメチャクチャになっていたが、水上機の残骸の側にストライカーユニットが確かに係留ロープで残骸に括り付けられ留め置かれていた。

だけれどそれは欧州で勝手を知っている紫電改でも、訓練で使用していた零式練習飛行脚でも無い。ある意味では骨董品に近い存在だった。

「零式……21型⁈またとんでもなく古い機体だ」

 

九六式ほどでは無いにしても初期型である21型は既に一線から淘汰されていた。今では空母艦載ですら52型が主流だ。

それでもこれで戦うしかなかった。

武装は20mmの1号型。訓練では専ら2号だったから触ったのは初めてだ。

2号よりも短い銃身。確か教官の話ではかなり弾道が山なりになるからやや上方を狙って撃つ、それもかなり近づいてだ。と言っていた。

兎も角やってみるしかねえ。

「管野、発進!」

離陸に必要な滑走をする場所が見当たらずかなり無理をした全力発進だった。それでも応急修理だとは感じさせない力がそれにはあった。残骸を避けつつ、艦を飛び立つ。速度を上げつつ急上昇に移る。

「出力は全然ないけど、相手は低空なら零式だって!」

 

まずは後続の駆逐艦に攻撃をしようとしている小型ネウロイの横を強襲。銃弾はやや上方を流れていったが狙われている事を悟ったネウロイは反転上昇に移った。

だがこっちの方が速い。地表に近い潮混じりの濃い空気を吸い込んだ発動機が一瞬ストールしそうになる。それでも次の瞬間には有り余る出力で体が蹴り出された。

見越しは大体掴めた。照準もいい。後は引き金を引くだけだった。

20mm弾がネウロイの側面を抉り取ってコアごと吹き飛ばした。

まず一体目。

 

旋回しつつ上昇して新たな敵を探す。

次、他の駆逐艦を襲っているやつ。こいつは動きが甘い。簡単に背後を取れた。破片が空に飛び散った。周りのネウロイがようやく脅威に気づいたらしい。もう遅い。

「撃墜!」

次、中型ネウロイを護衛しているやつ。

横っ腹を叩けばあっさりと破壊された。

艦を攻撃していたネウロイが背後に回って来た。チェック6の声が無線から聞こえた。出力を絞って強引にターン。相手よりも狭い旋回半径を描いて背後に回り込む。

射撃。弾倉の中は半分。

 

半数を撃破した段階で残弾は後マガジン一個分。中型ネウロイは依然として艦隊全体を攻撃していた。

だが小型は数が減って来たことで艦隊の防空火器の密度が上がって撃墜される個体が多くなった。

「丸裸には出来たが…あいつ対空防御もかなりやりやがる」

いつものように拳でといきたいが、零式だとこっちがアレを撃破するまで保ちそうにない。コアを叩く前にストライカーが死んだら意味がねえ。

「こうなりゃ……一か八かだ‼︎」

 

相手のコアの位置を20mmで探る。

あの大きさの相手じゃこの1号機関砲の貫通力じゃコアまで届かない。それでも多少周りの装甲を抉ることはできる。

黒い装甲が剥がれ落ち、赤い光が銃弾の開けた穴から見えた。光が濃い位置。そこがコアに1番近いところ。

 

「見えた‼︎あそこがコアか‼︎」

 

周囲の組織を修復される前にコアを直接叩く‼︎

 

 

「はあああああッ‼︎」

 

ビームが放たれる前に、オレの拳が装甲ごとコアを貫いた。

 

 

 

 

 

 

いくら事前に準備を行なっていたところで軍隊にとって戦争というのは組織経営において悪夢でしかないものだった。

その戦争に備えるのが軍隊ではあったけれど、同時に軍隊なんてものは人間が作り上げているものでしかないのだった。

だから予測し得ない人員、装備の損耗を無視してしまえるものではなかった。

「水上機と予備ストライカーの完全損失。紫電改の予備部品の回収でどうしてこんなに損失が出るのよ……」

原因は分かりきっていた。だけれど口に出さずにはいられなかった。

水上機は基地では数少ない機体であり滑走路が使用出来ない状態でも運用可能な後方戦力だった。

それに積まれていた予備の零式もエンジンは完全に焼けてしまいもう鉄屑にするしかない状態だった。

「まあ良いわ……なんとか正面戦力だけでも最低限維持できるようだし。もう戻って良いわ」

言いたいことは他にもあったものの、私は……サーシャは、最終的には損耗と補充の天秤に従った。

 

身長差があまりない管野とニーマントが部屋を後にする。けれど廊下の声は意外とよく聞こえるものだった。

 

「……すまなかった」

管野が謝っていた。

「何のことかな?」

 

「零式ストライカー壊しちまって」

 

「構わないよ。どうせ耐用年数が近かったしあのまま置いてても時代に取り残されるしか無かっただろうからね」

「まあ、命があって五体満足なら最低限。機体も無事で一流って考えくらいでいいと思うよ」

本当にその通りだと思う。命があっただけ良かったのだろう。それでも覚悟しなければならない。502の飛行隊、それを整備する後方支援隊。誰かは死ぬことになるという現実を……

 

 

港に緊急入港した輸送船団と残存の護衛艦隊は旗艦以下2隻が大破判定を受けて緊急修理のため埠頭に横付けされていた。

補給品と食料などの物資関係の調整で港に行くことになった私は、少しだけ出来た時間にその艦を見ることにした。

乗ってすぐに感じるのは血の匂いと焼けこげた匂い。

艦橋の上を損失し煙突からマストから屑鉄の山のようになっている軽巡洋艦の艦橋。

血と海水が混ざったものが床に広がり、いまだに片付けられていない人だったものが無数の破片となって散らばっている。

割れた窓ガラスの破片を踏んだのか足元から砕ける音がして、下を向けばそこにはガラスだけでなく肉片のようなものがいまだに残っていた。

気分が悪くなり足早に艦橋を降りた。こんなところで管野もニーマントも、艦長さんも戦い続けたのか。

「なぜ生きているのか不思議でならないな…」

艦橋要員であの時唯一生き残った空知艦長は、至る所に包帯を巻きながら艦橋を見ていた。

「本当によく乗り切って……」

 

「君たちの所のウィッチがいてくれたからだよ。艦を代表して礼を言う」

彼女はしっかりと務めを果たしていた。ならもう少しだけ優しくしても良かったかもしれない。

 

ペトロザボーツクに向かっているネウロイを排除しろと言う命令が来たのは僅か二日後の事だった。

 

 

 

 

 

 

陸路からの補給を脅かしかねない位置を絶妙な速度で移動するネウロイはかなりの大型で尚且つ奇怪な姿をしているそうだった。偵察機の撮った写真には縦に太い柱のような胴体からいくつかの横棒が伸び出たような姿のものだった。今までも異質な見た目のネウロイはいたけれど空を飛ぶネウロイでこれほど現実離れした見た目は初めてだった。

さらに厄介なのはこれに続くように地上にもネウロイの群勢が存在すると言うことだった。

地上のネウロイはこちらの軍隊を真似ているのか戦車型と装甲型が大体12体で一塊りのように集まって進撃していた。いずれも進撃速度は比較的ゆっくりだった。だけれど補給路に並行するようにして移動するそれはゆっくりであればあるほど強い圧力となって輸送隊にかかっていた。

特に空と地上の両方から挟撃される危険性がある。そのため輸送隊では一部を夜間に少数の部隊で高速で送り込む鼠輸送に切り替えられていた。

 

グレゴーリ攻略のために兵力の温存が必要とされる現状では、ネウロイに最も効果的である502の単独での撃破が求められている。

 

おそらく飛べる人は全員飛ぶことになるだろう。怪我をしているクルピンスキーや隊長、機体の整備ローテーションが被っているジョセを省くと……未だ疲労が抜けていないであろう管野を連れて行くのは避けたかったけれど中途半端な戦力では太刀打ちが難しい。

特に管野は突っ走る性格だから気をつけないと。

 

でも輸送を担当する彼女にまで戦線に……いや今更よね。ストライカーの腕も落ちていないし爆撃機で出撃だってしている。それに地上の相手をさせておくのならまだ大丈夫。ええきっと……無茶をさせたくはないけれどそれでも彼女は空に戻ってしまう。空に心を囚われているから。

「ならそれなりの武器と機体は用意しないといけないわ。彼女のためにもね……」

「本当に頭を悩ませるわ」

 

それでも止まるわけにはいかないのだった。

 

 

 

 

 

お見舞いついでに大型ネウロイの写真を持ってラル中佐がやって来たのは、日も暮れた午後5時だった。電球の灯の下で白黒のピンぼけした写真は見づらいところがあったけれどしっかりとその特異な形状を収めていた。

「ふぅん、これはまた変わった形だね」

今までも特異な形状のネウロイはいくつも目にして来た。その中でもこれはずば抜けていた。翼のような存在がない上に進行方向がどちらかわからない。雲がなければ真上から撮ったと言われても違和感がない。残念ながらこれは真正面から撮ったものだそうだ。

「コアの位置も特定できていないから余計に手がかかる相手だ。無論その方が食いごたえがあるのは確かだがな」

まあ確かに常識的な空飛ぶ形からはかけ離れているけれどこれはこれで攻撃力が高そうだった。立体型の城。空中要塞のような存在だろうか。

「隊長もまだ怪我が治り切ったわけじゃないんですからこれはお預けですよ」

かく言う僕自身も怪我はまだ治らない。回復魔法を使えばもう少し早く治せるかもしれないけれどジョセに無理をさせるわけにもいかない。

「わかっている。しかしいざとなれば出るしかない」

その時が来ないことを祈りたいものだね。病人まで前線で戦うようになったらそれはただの地獄でしかない。ただそれはいいとしても……

「だけどあれは……出していいのかな?」

滑走路に面した病室だからエプロンに止められている飛行機たちや飛び立つみんなの姿が普段から見える。そんな中に一機だけ今まで基地では見たことがない機体が止まっていた。この作戦のために用意された機体。それを操るのはもちろん彼女。そしてあれを用意したのは意外なことにサーシャだった。

「地上のネウロイを撃破するためらしい。火力も防御力も十分だ」

 

「確かにそうだけど、でもそれは戦場に出すって事だよね?」

 

「確かに戦場に出す事になる。私としても望んでないしやめてほしいとは思っている。だが文句は山ほどもあるだろうが今は人手が足りない。彼女も導入しなければウィッチが持てる火力だけじゃ地上と空の両方を抑えるのは難しいのだよ」

 

「難儀だね」

 

「難儀だ。それでも、やるしかないのだ」

代償は払う。今更私の手が汚れようともうとっくに汚れているから変わらない。戦争が終わったら私は責任を取る。そのつもりだ。

 




Do301H
製造国
帝政カールスラント

開発会社
ドルニエ社

全長15.23m、全幅16.55m
空虚重量3605kg
最大離陸重量6580kg
発動機
DB605EA
最大出力2510hp MW50使用時2630hp
最高速度401km/h
固定武装
MG213 30mm砲3基3門

ドルニエ社が開発した攻撃機であるDo301の中でも進化し続けるネウロイに対抗するべく強化を行ったのがH型である。
従来のG型までとは異なりコックピット下部と側面に装甲が入っている。
また各部に改良が施され、大きく変更された点としては胴体後部に収められたエンジンがDB605へ変更されたこととそれに伴うエアインテークの形状変更。胴体右側に大きく飛び出た過給タービンなど。またエンジン変更に伴いカウル形状も変わり全長が若干伸びている。
武装は固定武装として機種に新開発の30mm機関砲を3本束ねて装備している。
ハードポイントも強化と増設が行われている。
主翼片側に4箇所の8箇所(右翼から1番〜8番)に加え胴体に4箇所(右前から9番〜12番)で12箇所とし対戦車用大型空対地ロケット砲をレールランチャーを介して2番と7番に4発づつ。120kg爆弾を9番から12番、60kg爆弾を4発まとめて3番から6番まで、空対地小型ロケット砲の発射レールを1番と8番に搭載する事を前提としている。


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上空を移動するネウロイはその姿を隠そうともせず、悠々とその姿を威嚇に使っていた。意外にも高度が高い。だけれどこちらのユニットの性能なら問題はない。私達の遥か下を銀色の光が通り越した。

地上のネウロイを襲撃するために前進する攻撃機だった。たった一機。だけれどそれを駆るのはカールスラント屈指のウィッチだ。

 

『地上ネウロイの姿が見えた』

私達の攻撃開始と同時に、地上でいくつもの爆発が上がった。

早速の攻撃だった。たった一機で派手にやっている。

あれでは確認された地上ネウロイは残らず吹き飛んでしまったのではないか。そう思えた。

意識を部隊に戻せば、ネウロイに対して突出している影が見えた。

しきりにビームが放たれては部隊全体を覆うようにして広がっていった。

無論そのような散漫とした攻撃で落ちるような人は502にはいない。突出している影。管野中尉もまたネウロイからの攻撃は私たちと同じ程度だった。

近づいても攻撃を強めたりしない?牽制射撃にしては何かが変だ。

いや、それだったとしてもひかりさんの方に攻撃が集中気味のような気がする。

もしかして位置?

 

「まさかこの動き……」

試してみる価値はあった。ひかりさんに援護を頼みつつ、持ってきていた重ロケットを全弾斉射。6本の白煙が上がって、ビームの隙間を縫うようにして飛んでいった。

ロケット弾は銃弾と違って大きい上に速度が遅い。だから2発はビームによって迎撃されたって

だけれど残り4発はきっちりと狙った場所に命中し、その弾頭を炸裂させた。

一際大きな爆発と共にネウロイの下半分が抉れるようにして吹き飛んだ。

破壊された後から覗く赤い光。間違いない。コアだ。

「やっぱりコアだわ!」

 

「なるほど、コアを守るようにして反撃していたわけか」

 

「それなら‼︎」

「待って管野中尉‼︎」

 

サーシャの悲鳴じみた声が聞こえた。突出気味だった管野さんが加速してコアに飛び込もうとしていた。まだ外装は回復していない。好機のようにも見えた。だけれど不自然なほどに周囲の攻撃が止んでいた。

「管野さん!回避‼︎」

いくつものビームが集中して管野さんに降り注いだのは私の警告が届くのと同時だった。

咄嗟の判断だろうシールドを展開して急降下に入っていた。だけれどシールドを張られるのは想定済みだったようで、ネウロイは狡猾にもシールドを叩き割るように、一点集中の攻撃をしていた。

負荷に耐えきれないシールドに綻びが生まれて、ガラスが砕ける音がした。

 

閃光が空に瞬いて、一瞬管野さんに飛び込むような影がその光に溶けたのが見えた。

 

爆発と共に爆煙をまとった影が二つ出てきた。1人は管野さんで、もう1人は飛行隊長。

 

意識がなくただ自由落下するだけのサーシャを間一髪で管野さんが捕まえた。

明らかに指揮ができる状態ではない。指揮権は自動的に次席のもの、(階級ではなく軍歴や戦闘資質)私に引き継がれた。

真っ先に下した命令は、とても簡素かつ有無を言わせないもの。

「作戦中止‼︎作戦中止!」

管野さん1人ではサーシャを引き上げるのは困難だった。2人がかり。実質戦力は大きく低下して私とひかりさんだけ。それだけの戦力であれを倒そうなんてのは無理があった。

 

 

 

だけれど戦場に深入りしてしまっている現状では負傷者を連れたままの撤退も非常に困難というしかない。

ジリ貧。そういうにふさわしいものだった。それでも指揮官であるからには虚勢を張り、不安を部下に悟られないようにしなければならなかった。演じることで動揺を最小限とする。私も、そして部下にも。それが上に立つ者の定め。

 

引き攣った頬が釣り上がる感覚が不快感として伝わる。

 

「時間を稼ぐ。撤退の支援は必要だろう?」

 

 

 

 

 

銀色の翼が翻って、ネウロイを下方から銃撃していった。

地上攻撃を行っていた彼女が舞い上がってきた。類を見ないプッシャー型の機体がビームの中で舞い踊っていた。

 

離陸前にはみることができなかったその機体は、通常の茶色や緑の迷彩の上から翼の端が黄色く塗られた変わった塗装をしていた。まるで迷彩効果なんて無視したような奇抜な、昔のストライカーのような騎士のような風格があった。

 

ネウロイに対して残った武器、機関砲を振り回す機体は、不思議なほどにビームに当たらない。

相変わらずの動きだった。むしろストライカーを履いていた時よりもキレが良くなっているような気がした。

 

「ちょ!そんなのまともじゃないですよ!」

大型ネウロイ相手に飛行機が一機。それも純粋な戦闘機ではなく地上攻撃機だ。ひかりさんが叫ぶのも無理はなかった。

『ひかり、[まともでいる]という贅沢は後で楽しめ』

だけれど帰ってきたのは冷たい返答で、それでいて戦場の中では的を得ているなんとも言えない矛盾に満ちた答えだった。

「そんな……」

絶句しているひかりさんを下がらせる。時間を無駄にしてはいけない。こうしている合間にもサーシャが助からなくなるかもしれない。

 

「貴女1人だけを行かせるわけには行かないわ」

あの子を盾にするという選択肢も私は取ることはできない。飛行隊長のサーシャがやられた今、現場指揮は私の責だ。責任者は最後まで殿として残る。そう教わった。

『声が震えているよ』

 

「貴女こそ声が震えているわよ」

 

『ははは、なら私も貴女も同じ病気というわけです。臆病。帝国空軍の精鋭2人が困ったものですね』

 

臆病者。そうなのかもしれない。教導、それを主体として今まで飛んできた私には指揮を取る勇気は実はあまりないのかもしれない。

作戦遂行より生かすこと。生き残ることを主体とする。戦争の目的を裏切る行為だ。

『まあ、生きていればまた再攻撃できます。ともかく今は時間を稼ぐべきです』

 

「ええ、誰に頼まれた訳でもない。ましてやこの状況で最もこの場から逃がしたい人が地獄で暴れるというのだもの。生きて地獄から帰るようにするのが指揮官の務めよ」

 

 

 

 

別に深くまで踏み込んで攻撃する必要は無かった。

ただ、撤退していく味方があれの射程圏外に逃れるまでの合間どうにかして攻撃を引き付け続けられればよかった。

だけれど相手も莫迦ではない。すぐに私達の意図に気がついて、撤退する管野さん達を狙い撃ちにし始めた。

そうなってしまったら相手に狙い撃ちさせる余裕を与える事はできない。必然的に距離が詰まる。

私の武器は6連式のロケットランチャーで、全弾をコアへの攻撃の時に使い切ってしまってただの伽藍堂になっていた。予備の武器は拳銃のみ。

大火力が当たり前になった空には細やかな音と光しか生み出さない。それでもやるしかなかった。

5分に満たない遅滞戦。されど、永遠に続くかのような恐怖が体にまとわりついていて、私達が攻撃圏内から逃れた頃には嫌な汗が身体中に沸いていた。

大型ネウロイは地上の仲間がやられた事を知っているのか、こちらへの進撃をやめてその場に停滞していた。

追撃の心配はなさそうだった。

 

 

ビームでシールドが突破される寸前までいったのは何度あっただろう。発動機の調子が悪い。みれば、オイルが漏れていた。

白くなって吹き出すオイルは、次の瞬間にはストライカーの外装をその液体内部に含んだ煤によってたっぷりと黒く汚していた。

 

どうやら高機動の繰り返しで負荷がかかりすぎたらしい。被弾ではなく自壊。それでも基地までは飛行できる余裕は残っていた。最悪隣を飛ぶ攻撃機の翼にしがみつけばいい。

 

それよりも心配だったのはサーシャの容体だった。

即死した訳ではないのは明らかだったし、その後もまだ息はあったようだから基地まで保ってくれているとは思いたい。

しかし何事にも運が悪いということもある。もしかしたら502としては初めての戦死になるかもしれない。そんな考えが頭を横切った。

だけれど基地に戻るまでは分からなかった。祈るしかなかった。自分自身のストライカーが保たない事よりも重要なこととして頭は考えていたようだった。

 

 

 

 

 

幸いにも彼女は無事だった。

着陸して直ぐに容体を見に行ったら、すでに山場は超えていた様子で血の滲んでいる包帯を取り替えられている最中だった。

意識は戻っていないものの呼吸は平常のように見えた。

重症だったけれどジョゼの回復魔法と、的確な応急処置でなんとかなったのだった。だけれどすぐに戦線に復帰することは出来ない。怪我の具合からもう2度と飛べないという事にはならなかったけれどそれでも数週間は空に上がるのは無理だろうということだった。

それでも目標だったネウロイの撃破という命令は待ってはくれない。作戦に失敗したからといって目標自体がなくなる訳でも、ましてや他の部隊が代わりに戦うという訳でもない。

 

欠けた戦力は無事なメンバーで穴を埋めて再び空に出る事になる。

それに時間も無い。地上のネウロイの増援が戦略偵察部隊によって確認された。

まだ大型ネウロイとは合流していないものの、時間は24時間あるか無いかだ。もし合流されてしまったら再び進撃が再開されてしまう。

休んでいる暇も、責任を感じている暇も無かった。

管野さんには悪いけれど、自らを責めるのは後にしてもらうしか無い。

その事を伝えに病室を後にするも、肝心の管野さんはなかなか見つからなかった。普段居そうな場所を探してみたものの、私はあまりにも管野さんの事を知らなかった。一体どこに行っているのだろうか。

ダメ元でストライカーの整備区画に行ってみると、いつもの茶色いフライトジャケットを身に纏った姿で管野さんはストライカーを覗き込んでいた。

手には工具が握られている。

「ここに居たのね」

 

「ロスマン曹長?」

私が近くにいたことにようやく気づいたのか慌てた表情で彼女は振り返った。

整備をしようとしていたらしい。床にはいくつかストライカーから取り外された部品が置いてあった。

「明日の早朝、あのネウロイを撃破しに出るわ」

 

「……」

 

「階級上は貴女が指揮官よ」

 

「ジョゼはどうした?」

本来であれば少尉であるジョゼが行うべきだったけれど現状彼女は出撃できそうに無かった。

「ジョゼはサーシャの看病もあるし医療処置で魔力を消耗しているから明日の出撃は無理よ」

その上彼女は少尉であっても同時にパラメディックとしての技能と役割を持つ。部隊指揮を取るには兼任することが多すぎるのだった。

「あんたはやらないのか?」

 

「私には部隊指揮の才能はないわ」

その上に階級上の問題もある。臨時で指揮をするならともかく通常軍曹が指揮を取るなんてことはない。分隊であれば別だけれど。

 

「……わかった。なんとしてもあのネウロイを潰す。後…今日はすまなかった」

少し迷いがあった様子だったけれど、管野さんは迷いを振り払った。

「気にしないで、まだ取り返しはつくから。ちゃんとあれを倒せたならね」

もう少し言いたいことはあったけれど、言葉は続かなかった。いや、続ける必要はなかった。

 

おそらく彼女は迷うだろう。納得しきれていない部分のことが多いだろう。それでも今の管野さんならその迷いは断ち切れる。

あの戦闘スタイルは諸刃の剣でもあるけれど上手く使いこなせたら、戦略級の戦闘力を発揮する。

なら後は空に上がってからだ。

 




紫電改 管野専用機ver
開発国
扶桑皇国
開発会社
山西飛行機
発動機
ハ-45-21(誉21型)
離昇出力1980hp

紫電を基本とし翼の位置や形状、胴体部分の強度設計の見直しなどを行なった機体であり、零式の後継機である試製17式艦戦の開発遅延に伴い暫定的に零式後継機として運用された機体。
局地戦闘機であるため航続距離の問題があったものの欧州のストライカーと比べた場合平均的なものであり主な戦線が欧州であったことからさしたる問題とはならなかった。
管野直枝が運用するのは機体番号4357号機。この機体は主だった改装やチューニングは行われていないものの、本人の運用方法の問題から修理機会が非常に多く、オリジナル紫電改の部品の他にBf109の燃料ポンプ、紫電のエンジンカウル、ピットファイアのプロペラスピナーなど使える部品を片っ端から集めて修理している。そのため細部は純正と比べ異差がある。
また主桁の一部が本人の飛行特性によりやや左に歪んでいるため全体的に左に行きたがる癖がある。
一時期排気タービンを搭載していたがターボラグを嫌ったため短期間のうちに取り外されている。そのためエンジンカウル一部が不自然に出っ張っている。




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