傷が多い青年のアカデミア (yu-way)
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キャラ紹介と冒頭

私が考えたヒロアカオリジナルキャラクターです。とりあえず紹介と少しだけストーリー展開を


紅蓮猛 (ぐれんたける)

 

誕生日1月11日

 

血液型B型

 

好きなもの、日本茶、うまい棒、干物

 

嫌いなもの、口だけが達者な奴、弱いだけな奴

 

家族、両親、妹

 

 

個性オーラ

普通には見えない猛の体に宿っている正体不明のエネルギー、使用すると赤いエネルギーが全身に駆け巡り、その間は膂力や速力が爆発的に向上する事が出来る。エネルギーを別のものに変換する事も可能で、炎や氷、雷や風などもエネルギーに作り出す事ができ、更に治癒力を高めて切り傷や骨折を治す事も可能である。幼少期は個性の発動方法が分からなかったため無個性扱いされていた。当人はあまり気にしていなかったが7歳の時に妹を助けようとして、個性が発現する。だが扱いの難しい個性で発現するたびに怪我していた。それ以来自分の個性を制御し使えるようにずっと訓練してきた為、全身傷だらけである。使用すると髪の毛の色が黒から赤になる。個性だけでなく、体を鍛えて、独学で格闘技も習っており、個性を使わなくてもそこらのチンピラなら制圧する事が出来る。あまり他人とは話さないが無口では無い。あまり怒らないが怒るとかなり口が悪くなる、戦闘中も言動が激しくなる。ヒーロー志望ではあるが特段ヒーローに憧れや尊敬の念は無い、曰く、ヒーローになるのは後悔したくないかららしい。

 

 

 

 

 

「無個性ですな」

 

医者の何気ない一言が、俺の両親に絶望を突きつけた。

 

「そんな、猛、まさか無個性だったなんて……」

 

「なんで、そんなことに……」

 

幼いながらに、絶望していた両親の顔は忘れられなかった。無個性、そう診断されてから俺の生活は一変した。友人は俺を馬鹿にするようになった。絶望した両親は俺を見捨てて妹に愛情を注いだ。妹の方は俺に懐いていたが、甘やかされていくにつれて俺の言うことを聞かなくなり、俺は孤立していった。

 

「猛、お前は無理しないでいいんだよ?だってお前は……」

 

「なあなあ、あいつってよ~……」

 

「ねえねえ、お兄ちゃんてさ~」

 

「「「無個性なんでしょ(だから)」」」

 

無個性……それが……悪いことなの……?

 

と、普通なら絶望して心折れてるのかも知れないが、ぶっちゃけどうでもよかった。いやまあむかついたし実際殴り飛ばした事もあったが特に興味無かった。周りの奴らがヒーローを目指していたが、特別ヒーローが良いものだとは俺は考えてなかった。だけど7歳になってからある日……

 

「お兄ちゃんこっちこっち~」

 

「待てって、そんなに走ったら危な……!!」

 

妹が道を歩いていると、車が突っ込んで来るのが見えた。その瞬間の記憶はあまり無い、だけど……。

 

「危ない!!!」

 

ドゴォン、バキィ!!

 

「きゃっ!!お、お兄、ちゃん?」

 

「あ、はあ、あ、い、痛……」

 

気が付いたら妹を抱き抱えて道の反対側にいた。そして、自分の両足が折れてる事も分かった。

 

「あ、あ、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

絶叫して、気絶して、目が覚めたら病院にいた。そして医者に言われたのは

 

「君、個性が発現してたよ!!いやぁ~良かったねぇ~」

 

そこじゃねぇだろとか、妹はどうなったとか、あの車は何だったんだとかいろいろあったが、とりあえず……両足痛い。




雑で申し訳ない、正直続かない可能性が高いです。ちなみに妹や両親の名前は決まってません。


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個性を発現させてから、そして雄英受験まで

猛が初めて個性を発現させ、使えるようになってから、また彼の周囲の人間は変わった。彼を馬鹿にしていた者達は彼からの報復を恐れ距離を取り、妹を甘やかしていた両親は彼に再度愛情を注ぎ始めた。逆に妹は兄に助けられて以来言うことを聞くようになったが兄にべったりくっ付くようになった。そんな周りを見て彼は……

 

(馬鹿らしいな、発現した個性の事ばかりで、結局俺は見てねぇんだろ)

 

わざわざ口には出さないが、彼は周りの人間に失望し落胆していた。面倒だからと彼自身は変わらないでいたが、それとなく自分の周りから人を遠ざけた。交流を持ち続けたのは幼馴染みのみ、彼女だけが変わらずに接していてくれたので交流を持ち続けていた。

 

そして、個性を発現させてからしばらく経って気付いた事があったら。それは……

 

(発動するたびに何処かしら怪我しやがる……なんだこの不便な個性……どういうタイプの個性なんだ?)

 

個性の関係なのか、発動するたびに肉離れや裂傷、酷ければ骨折など何度も怪我をした。そうして発現から1年程経つと、また別の事が分かった。

 

(発動中は髪の毛が赤くなってる……それになんか身体全身に力が駆け巡ってるような……?)

 

「猛、どうしたの?また怪我したの?」

 

「お兄ちゃん、また~?」

 

「それは大変だ!!早く病院に行こう!!」

 

「やかましいから考え事してるときは話しかけないで」

 

そうして、彼は自分の個性について理解を深めていったが、最初は彼は自分の個性についてそこまで理解しようとはしていなかった。単純に発動させるたびに怪我をするのをどうにかしたいだけだったのである程度まででよかった。幼馴染みはヒーローを目指していたが彼はヒーローに興味が無かった。普通に就職して、普通の一般企業に勤める気でいた。だが、とある一件から、彼は己を鍛え、個性への理解を深め、強さを求め始めた。そうして、時は流れて8年後……

 

埼玉県、とある中学校

 

「紅蓮、本当に受けるのか?雄英を……」

 

「ええ、受けますよ、内申は足りてるし、試験の方も問題ないので」

 

「だが……」

 

「失礼します」

 

紅蓮猛は、現在雄英高校ヒーロー科への受験を控えていた。雄英高校ヒーロー科とは、偏差値79、倍率300倍の国内最高のヒーロー育成学科のある学校である。事実名のあるプロヒーローはこの雄英高校ヒーロー科を卒業しているのである。

 

(まあ、俺は別にトップヒーローみたいに有名になりたい訳じゃ無いんだがな……)

 

「おーい、猛~」

 

「ん~?……切奈か」

 

彼が職員室を出ると、彼の幼馴染み、取蔭切奈が待っていた。

 

「やっぱりいい顔されなかった?雄英受けるの」

 

「まあな、ギャルなお前が推薦で俺は一般受験なのは大変不服なんだがな……成績変わらねぇだろ」

 

「あははは、ま、いろいろ問題起こしてるからしょうが無くない?」

 

「言いがかりな上根も葉もない噂が大半なんだがな、ああいうのが無能っていうんだろうな」

 

「職員室の前で先生の事を無能呼ばわりするのも良くないと思うけどね」

 

ここ数年、彼に対する周りの評価はあまりよろしくは無い。というのも、彼は基本的に相手に対して良くも悪くも容赦が無いのでよく相手を怒らせている。その結果喧嘩に発展する事も少なく無いのだが、ことごとく相手をぶちのめしているで悪い噂が流れていたりするのである。実際には無い事実無根な話もあるのだが、彼が訂正しないので事実として認知されている。

 

「でもやっぱり意外だな~、猛が雄英受けるの」

 

「まあ、今でも特別ヒーローに憧れてもねぇしな、純粋に個性を自由に使えるようにしておきたいんだわ」

 

「だろうね~、ま、猛なら行けるって、自信を持っていこ~う」

 

「さすが推薦、言うことが違ぇや」

 

「まあね~、それじゃ、また明日ね~」

 

「ああ、またな」

 

そうして、帰り道も終盤、彼は一つとある事を思い出した。

 

「そういや、オールマイトは見つけたのかね、自分の後継者を……」




自分で読んでもクッソ雑、だけどなんか楽しい。ちなみに幼馴染みは取蔭切奈さんです。彼がヒーローを目指し始めた事や、オールマイトが後継者を探していた事を知ってる理由はおいおい解明します。次回は雄英受験ですかね。


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雄英入試

UA800件越え、お気に入り15件、誠にありがとうございます。質を高めるよう務めるので、ご意見やご要望があれば頂けると幸いです。


「ここが雄英高校か……デカいな」

 

雄英受験当日、猛は教師陣達から苦い顔をされながらも、なんとか雄英高校ヒーロー科を受験する事が出来たのだった。

 

(かなりの人数いるな……この中から36名か、そりゃ倍率阿呆になるわな)

 

ポン

 

「どうしたのさ猛、緊張してるの?」

 

「・・・・・いろいろ言いたいんだけど、今日って一般受験だけだよな?なんでいるんだ?切奈」

 

猛が考え事をしていると、後ろから取蔭が話しかける。

 

「推薦はまだだよ、応援に来ただけ」

 

「余裕だね~、羨ましいわ」

 

「あはは……ねえ、猛」

 

「何だよ」

 

「受かってね?頑張ってよ」

 

「・・・・・・・・」

 

グシャグシャ

 

少し不安そうに言う取蔭の頭を乱雑に撫でる。

 

「わっ、ちょっと!!」

 

「心配すんなよ、絶対受かるから待ってろ、終わったら牛丼でも食いに行こう」

 

そう言って、猛は雄英高校に入っていった。

 

「全くもう……人の気も知らないで」

 

 

 

筆記試験が終わり、猛は実技試験を待っていた。

 

(筆記の方は恐らく問題ねぇ、問題は実技試験……実技って何するんだろうか、調べ忘れた)

 

「今日は俺のライブへようこそ!!受験生のリスナー諸君!!エヴィバディセイヘイ!!」

 

そう思っていたら、試験説明が始まった。

 

(プレゼントマイクだったか、知ってはいたがやかましいな)

 

皆が緊張しているのか、プレゼントマイクのテンションについて行ける者はいなかった。

 

「こいつはシヴィー!!それじゃあさっそく実技試験内容を説明していくぜ!!アーユーレディー!?」

 

シーン……

 

「イエー!!」

 

誰も反応しないのが面白くなかったのか、ついには自分で言い始めた。

 

(虚しくならないのか?一人でやってて)

 

「入試要項通り、リスナーにはこの後、十分間の模擬市街地演習を行って貰う!!仮想市街地には、それぞれ3種の仮想ヴィランを配置してある、攻略難易度によってポイントが分けられていて、各々個性を使って行動不能にしてポイントを稼ぐのがリスナー諸君の目的だ!!武器の持ち込みは自由だぜ!!ただしリスナー同士の悪質な妨害みたいなアンチヒーローな真似は御法度な!!オーケー?リスナー諸君!!」

 

(なるほど、壊さなくても動けないようにすりゃいい訳ね、あれ?だけど4種って書かれてるが……)

 

「ご質問よろしいでしょうか!!入試要項には4種の仮想ヴィランを配置を記載されているのですが!!誤記載であれば日本最高峰の恥ずべき痴態であります!!」

 

猛が疑問に思っていると、同じ事を思っていたのか眼鏡をかけた受験生が質問をした。

 

(クソ真面目だな、あまり近寄りたくない)

 

「オーケーオーケー、ナイスな質問サンキューなリスナー!!それは0ポイントヴィラン!!いわゆるお邪魔虫だ!!戦わずに逃げる事をおすすめするぜ!!」

 

「分かりました!!失礼しました!!」

 

「それじゃ俺からの説明は終わりだ!!リスナー諸君には最後に我が校の”校訓“をプレゼントしよう!!かの英雄ナポレオン=ポナパルドは言った!!『真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者と更に向こうへ!”Pius Ultra!!”それではよい受験を!!」

 

そうして、実技試験の説明が終わり、受験生達は各々試験会場に向かう。

 

(さて、何処まで本気でやるかねぇ……)

 

そうして受験生達が身体を動かして準備運動していると

 

『はい、用意スタート』

 

「っ!!」

 

ズッダァン!!

 

先ほどのプレゼントマイクの声が響く。それと同時に猛は足にエネルギーを溜めて前方の受験生達を飛び越えて仮想市街地に走って行く。

 

(あれ?誰も来ねぇな……フライングしちまったか?)

 

と、少し不安に思うと

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れ!!先に出たリスナーに全部持ってかれるぞ!!』

 

プレゼントマイクの放送が入り、他の受験生達も慌てて走り出す。猛はというと、その言葉を聞いた瞬間、走る速度を上げ始め、最初の仮想ヴィランに接敵した。

 

「標的確認、ブッ殺ース!!」

 

「(これは確か2ポイントヴィラン……にしても)ちゃちぃな、こんなのじゃ止まらねぇ、よ!!」

 

ズガァン!!

 

猛が拳にエネルギーを溜めて振り抜くと、仮想ヴィランは一撃で大破する。

 

「さて、ガンガン行くとしよう」

 

そうして、猛は走る速度を保ちながら、目に付いた仮想ヴィランを手当たり次第に壊していった。

 

(これだけ脆けりゃ本気出す必要ないな、本気出すとなんかサ○ヤ人ゴッドみたいになるから抵抗あるんだよな……)

 

「何だよあいつ!!」

 

「一人で何体壊す気だ!?」

 

「てか早すぎだろ!!」

 

(無駄口叩くならポイント稼ぐ事に尽力したほうが良いだろ、馬鹿なのか?)

 

猛は考え事をしながらも、尚も仮想ヴィランを破壊していく。そうして残り時間が僅かになると……

 

ゴゴゴゴ……

 

突如地響きのような音が仮想市街地に鳴り響く、音の正体は説明でもあった0ポイントヴィランだった。その巨大さに受験生達は混乱で逃げ惑う。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

「あれはヤバいって!!」

 

「早く逃げないと!!」

 

そんな中、猛もとりあえず回避しようとしていた。だがその行動もとあるものを見つけて止まる。それは……

 

「うぐ……うぅ……」

 

先ほど0ポイントヴィランが現れた時、辺りの建物が少し壊れたらしく、その瓦礫が頭に当たったのか、頭から血を流して倒れている受験生がいた。

 

(おいおいおいおい、あれはまずいだろ!!)

 

猛は倒れている受験生に近付く、それと同時に0ポイントヴィランも近付いてきたのが分かった。

 

「おい!!大丈夫か!?」

 

「うぅ……」

 

瓦礫が頭に当たった衝撃のせいなのか、血を流しているせいなのか、猛の声に応答する事は無かった。

 

「やべぇ……さすがに放置出来ねぇなこれは……」

 

ズズゥン……ズズゥン……

 

「仕方ねぇ、他人を治すのは初めてだがやってみるか……見た感じ異形系個性の持ち主じゃねぇから問題ないだろ」

 

ズズゥン……

 

「だけどその前に……」

 

ヒュダン!!

 

猛は、0ポイントヴィランに向かって飛び上がった。

 

「うるっせぇんだよ木偶の坊が!!真紅砲拳(スカーレットフィスト)!!」

 

グッ、ズガァン!!ブシュウゥゥゥゥ!!

 

猛が0ポイントヴィランに向かって拳を振り抜く瞬間、髪の毛が赤く染まり、0ポイントヴィランの胴体には、融解したような巨大な風穴が出来た。

 

ヒュー……スタン

 

「たく……さて、治癒してみるか」

 

ポォォォ

 

そう言った猛の手に、エネルギーが集中しだす。その手を傷口に当てると、みるみるうちに傷口が塞がっていく。

 

「ふう……これで問題ねぇと思うが……」

 

ププー!!

 

『実技試験終了、実技試験終了、お疲れさまでした』

 

そうこうしていると、実技試験終了の合図が鳴る。

 

「ああ、もう終わりか……案外早かったか」

 

そうして、紅蓮猛の雄英高校ヒーロー科入試は、終了したのだった。

 

 

 

「まさか100ポイント越えが出るなんて……」

 

「ヴィランポイント85p、レスキューポイント65p、文句なしの合格点だな」

 

「しかもあの0ポイントヴィランをあんな壊し方した奴今までいたか!?てか一日に二体も壊されたぜ!?思わずYeah!!って叫んじまった!!」

 

「今年は全体的に質が良いですね……」

 

(あれは……紅蓮少年!!そうか!!君も来たか!!やはり!!)

 

教師陣が様々なことを話し合っている中、ガリガリの金髪の教師は緑谷出久ともう一人、紅蓮猛の事を考えていた。




また雑ですね。ちなみに私はヒロアカの漫画を持っていません。アニメを見たのも漫画を読んだのも昔でうろ覚えなので、いろんな小説の奴を参考にしています。


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合否判定が届く

雄英入試から二週間、猛は自室でごろごろしていた。

 

「合否判定通知書遅ぇなぁ……まさか足りなかったかぁ?あんだけぶっ壊したんだが……0ポイント壊したの悪かったのかねぇ」

 

そんな風に少しの不安を感じていたら……

 

ドタドタドタドタ、バタン!!

 

「お兄ちゃん!!結果届いたよ!!」

 

慌ただしい足音と供に妹である静香(しずか)が自室に飛び込んできた。

 

「おぉ、噂をすればって奴かね」

 

「早く!!早く見よう!!」

 

「何で俺よりも興奮してんの?」

 

そう冷静を装いつつも、実は内心そわそわしている猛は静香から合否判定通知書と書いてある封筒を受け取る。

 

「あれ?紙じゃねぇな……端末?」

 

封筒を受け取り中身を取り出すと、そこには小さな機械が入っていた。

 

「んだこれ……スイッチあるけどここ押せばいいのか?」

 

「早く!!早く!!」

 

「だからやかましいっての……どれ」

 

ポチッ、ブゥン

 

『はっはっはっはっはぁ!!私が投影されたぁ!!』

 

「うわぁ!?オールマイトだぁ!?」

 

小さな機械に付いていたスイッチを押すと、ナンバーワンヒーローのオールマイトが映像で出てきた。

 

「だから興奮しすぎだっての、名前負けしてるぞマジで」

 

『いやぁ、久しぶりだね紅蓮少年!!驚いたかな!?実は今年度から雄英で教鞭を取ることになってね!!』

 

「ええ~!?すご~い!!」

 

「お口チャックしてくれ、マジで」

 

『さて、気になっているであろう合否判定だが、筆記の方は問題なし!!全体で見ても第5位くらいの高得点だ!!』

 

「もごもごもご」

 

「静かにしような」

 

隣で騒ぐ妹がやかましいのか、ついには自分の手で妹の口を塞ぎだした。

 

『そして実技試験の方だが、ヴィランポイント85p!!この時点でも既に全体で一番高い!!だが我々が見ていたのはそこだけに非ず!!それはレスキューポイント!!完全審査制で、人助けやそれに伴う行動を取ると得られる隠しポイントだ!!そのレスキューポイントも65p!!合計で150p!!文句なしの主席合格だ!!』

 

「・・・・・・・・マジか」

 

猛は、自分が主席合格していた事にかなり驚いていた。

 

「もごもごもごもご~!!」

 

「くすぐったいから喋るなっての」

 

『ちなみに、君が助けた少女も無事合格していたよ!!怪我による後遺症等も特に無し!!君は気にすると思ったからね!!伝えておこう!!』

 

「そうか……良かった」

 

「もごもごもご?」

 

「いや……ちょっとな」

 

猛は、自分が治癒した少女が無事だと言う話を聞いて、心底安心していた。

 

(初めてやった他人への治癒が頭の傷だったからな……よくよく考えればヤバかったが、無事か、ヒヤヒヤした)

 

『さあ、来いよ紅蓮少年、ここが君のアカデミアだ!!』

 

ブウン

 

それだけ言い終わると、映像が終了したのだった。

 

「むぐ、ぷはぁ!!お兄ちゃんひどい!!」

 

「お前がうるさいのが悪い」

 

「でもでもでも!!主席合格だって!!主席だよ主席!!私お母さんとお父さんにも伝えてくる!!」

 

バタン、ドタドタドタドタ……

 

そういい残し、静香は猛の自室から飛び出していった。

 

「やれやれ、本当に騒がしい奴に育ったな、誰に似たのやら……さてと」

 

猛は携帯を取り出し、電話をかけ始めた。

 

プルルルルル、プッ

 

『もしもし、取蔭ですけど』

 

「切奈か?俺だ、猛」

 

電話の相手は、幼馴染みの取蔭切奈だった。

 

『お、猛、このタイミングで電話してきたってことは』

 

「ああ、合否判定来た、合格してたよ」

 

『やっぱり!!やったじゃん!!』

 

「ああ、後……」

 

『後?何?』

 

「いや……主席合格だった」

 

『えぇ~!?主席合格!?』

 

電話口から、取蔭の大声が響く。

 

「うるさい」

 

『そりゃうるさくもなるよ!!すごいじゃん!!』

 

「まあ確かにな……そんだけ、んじゃまた詳しくは今度で」

 

『待って待って!!うちのパパとママも話したいって』

 

「うそだろ、お前の母さんと父さん話長いじゃん」

 

『あはは、諦めて』

 

「Oh……」

 

そうして、猛は取蔭の両親からいろいろ根掘り葉掘り聞かれ、それが終わると今度は自分の興奮した両親から質問攻めにされてげんなりするのだった。




取蔭の両親が話長いってのはここのオリジナルです。ちなみに妹の名前は適当、後は助けた女の子はその内出てきます。ヒントはヒーロー名エミリー


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雄英入学と個性把握テスト

合否判定通知書が届いてから一ヶ月、猛は雄英高校ヒーロー科に入学する事になったのだが……

 

「・・・・・・・なあ、切奈よ」

 

「ん~?な~に~?」

 

「いやさ?やっぱりおかしくね?」

 

「何を今さら言ってんのさ」

 

「いやな?俺らの家からだとめちゃくちゃ雄英まで行くのに時間がかかる、だから部屋を借りた、そこまではいいんだけどさ……何で俺達二人で一つの部屋を借りる事になったんだ?」

 

実は、実家からでは雄英まで時間がかかるということで、そこそこの距離の場所に部屋を借りたのだが、同じく一人暮らしをしようとしていた取蔭とルームシェアをする事になったのである。

 

「いやさ?分かるけどな?一人娘が親元離れて暮らすのが心配なのはさ……でもよ、俺も男だぞ?信用しすぎじゃね?」

 

「そりゃあヒーロー志望が幼馴染みに簡単に手を出すとは思わないんじゃ無いの?」

 

「てかお前はいいのか?俺は静香がいたからそこまで抵抗無いけど……」

 

「今さら何言ってんのさ、私達付き合い長いじゃん」

 

「それもそうか……人の気も知らねぇで(ボソッ」

 

「なんか言った?」

 

「何にも、とりあえず行くぞ」

 

「あいよ~」

 

そうこうしながらも、二人は雄英高校の制服に着替えて外に出る。

 

「パンフレット見て思ったが……だせぇ」

 

「こらこら、自分がこれから通う学校の制服」

 

「いやだって……UAって書いてあるんだけど……はあ」

 

カチッ、ブゥン!!

 

猛は、駐車場にあったバイクにエンジンをかける。

 

「それ、猛のお父さんの?」

 

「そう、免許は持ってたし、たまに乗ってたし、入学祝いで貰った、ほれっ」

 

猛は、座席のシートを開けてヘルメットを二つ取り出し、片方を取蔭に渡した。

 

「いいのかな……制服で二人乗りって」

 

「届け出は出してあるから平気だろ、文句は言わせねぇよ」

 

「うーん……ま、いっか」

 

そうして、二人はバイクで二人乗りして雄英高校に向かったのだった。

 

 

 

ブルルルルルルルル、キィィ……

 

「着いたぞ~」

 

「ふう~、電車と違って楽~」

 

二人はそんなことを話ながら校舎に入っていくが、突如バイクに乗って登校してきた二人を見て、周りはただただ

 

((((なんだあのカップル!?))))

 

と、勘違いと困惑するのだった。

 

「猛は何組だった~?」

 

「俺はA組だった」

 

「ええ~!!私はB組だったんだけど~!?」

 

「ギャルが出てるぞ、しかし……成績は関係無いのか?」

 

猛は取蔭の成績を知っていたので、少し疑問に思った。

 

「はあ~、しょうがないか~」

 

「家は同じなんだ、気にすることはねぇよ」

 

「そうだね~、んじゃまた後で~」

 

そうして、二人は別々のクラスに入っていく。

 

(さて……クラスメイトは……)

 

猛が入ると、既に何人かの生徒が着席していた。

 

(これから3年間、こいつらと学ぶのね……どんなもんかな)

 

猛は自分の席を見つけると、荷物を置いて着席する。

 

(さて、どんな奴らがいるかねぇ……)

 

猛が来てから30分程、ポツリポツリと生徒達が集まり始め、あと少しで始業の時間になるところまで差し迫っていた。

 

「机に脚をかけるな!!雄英の先輩方や机の制作者に悪いと思わないのか!!」

 

「思わねーよ端役が!!テメエどこ中出身だ!!」

 

「ボ……俺は私立聡明中学校出身、飯田天哉だ!!」

 

「聡明~?クソエリートじゃねぇか、ぶっ殺しがいがありそうだなぁ!!」

 

「ぶっ……!?君は本当にひどいな!!本当にヒーロー志望か!?」

 

(チンピラがいるな~……後は試験で質問してた真面目君か、面倒だな)

 

そんなことを考えていると、がらりと教室の扉が開き、男女二人の生徒が入ってくる。

 

(あの二人で最後か?)

 

「すごかったよね~、あのパンチ!!」

 

「あ、いやあれは……」

 

「おい、お友達ごっこがやりたかったら他所へ行け、ここはヒーロー科だぞ」

 

ふと、二人の足下から声が聞こえ、そこを見ると黄色い寝袋がうごめいていた。

 

(なんだあのでけぇ芋虫、静香が見たら発狂しそう)

 

「はい、静かになるまでに8秒、時間は有限、君達は合理性に欠けるね」

 

すると、寝袋に入っていた人物が立ち上がる。

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

(担任かよ、てかみすぼらしいな、ヒゲくらい剃れや)

 

「早速だが、これを来てグラウンドに集合してくれ」

 

そう言って、担任の相澤は寝袋から体操着を取り出す。

 

(喧嘩売ってんのか、生温いんだが……てか体操着?)

 

 

 

「「「「個性把握テストぉ!?」」」」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるんだったら、そんな行事に出てる暇無いよ、雄英は自由な校風が売り文句、それは教師陣も然り」

 

そう言って、相澤はボールを取り出す。

 

「入試1位の紅蓮、中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

 

「っ!!」

 

相澤が入試1位というと、先ほどまで眼鏡をかけている生徒と言い争っていた生徒がものすごい勢いで睨んでくる。

 

「(怖~、面倒だからスルーだが)85メートルが最高だったかな?」

 

((((え?普通にすごくね?))))

 

「んじゃ、個性使って思い切り投げてみな」

 

そう言われ、紅蓮は相澤からボールを受け取る。

 

「・・・・・・本気で投げても?」

 

「ああ、いいぞ」

 

「それじゃ……」

 

ピリッ、ビキビキビキビキビキビキ!!

 

猛が個性を使うと、髪の毛が赤く染まり、エネルギーが全身を駆け巡る。

 

「ふぅ……どっりゃあ!!」

 

ビュウン!!ボォン!!

 

「うわぁ!?」

 

「すげえ風圧!?どんな力だよ!!」

 

(やっべ、やり過ぎたな)

 

猛が思い切りボールを投げると、辺りに突風が吹いてボールがはるか遠くに飛んでいく。

 

ピピッ

 

そして、相澤が手元の端末でどれくらい飛んだか確認する。

 

「2780.5m……さすがにやるな」

 

「お、思ったより行った」

 

「まずは自分の最大限を知ること、それがヒーローになるために必要な事だ」

 

「「「「すっげぇぇぇぇぇ!!」」」」

 

「ほぼ3km!?どんなパワーだよ!!」

 

「てか髪の毛赤くなるって、それ俺と被ってる!!」

 

「でもこれ楽しそー!!」

 

そんなことを生徒達が話していると、相澤が口を開いた。

 

「楽しそう、か……ヒーローになるための3年間を、そんな腹づもりでやるつもりか?」

 

(あれ、なんか嫌な予感)

 

猛のその考えは当たり、相澤はとんでもない事を言い出す。

 

「よし、ならトータル成績最下位の者は除籍処分としよう」

 

その言葉に、騒いでいた生徒達が一斉に静まり返った。




初めての感想ありがとうございます!!その内ちゃんとした関係者表とか、原作のストーリーを少し改変しながら質の向上を目指していきます。ちなみに映画の話はやりません、てか出来ません。見てないので


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個性把握テスト、一つの確信

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

相澤の発言に、生徒達は静まり返った後、絶叫をあげた。

 

(うるっせぇよ!!こいつの今の感じからなんか察しろよ!!阿呆かよ!!)

 

そんな中、猛はなんとなく察していたのか、相澤の発言よりも生徒達の絶叫にイライラしていた。

 

「そんな、初日から除籍なんて……理不尽過ぎる!!」

 

「ヒーローになれば、事故や自然災害、ヴィランのような理不尽は突然やってくる。放課後にマックで駄弁りたい奴らもいるだろうが、ここはヒーロー科、我々教師は3年間、君達に受難を届け続ける。マイクの奴も言ってただろう?プルスウルトラさ、それに、生徒の如何は教師の自由……ようこそ、ここが雄英高校だ」

 

相澤のその言葉に、大半の生徒は、戦々恐々としていたが、一部の生徒は違うことを考えていた。

 

(上等だ……!!あの入試1位の奴に成績で勝って、俺が一番だって教えてやる!!)

 

(初日からたりぃなぁ……ま、そこそこでやりますか)

 

そうして、除籍をかけた個性把握テストが始まったのだった。

 

第一種目、50m走

 

「あ、一緒に走るのよろしくね!!」

 

猛の走る順番の時、一緒に走るのは全身透明な生徒だった。

 

「おぉ~……危ねぇからもう少し離れときな」

 

「え?危ない?それってどういう……」

 

「次の走者達、準備して下さい!!」

 

透明な生徒が猛の言葉の意味を聞くが、その前に自分達の走る順番が来た。

 

「位置について、よーい……ドン!!」

 

グッ、ドゴォン!!ピピッ

 

「ふぁ!?」

 

「あ、やっべ」

 

スタートの合図がなった瞬間、猛が全力で走り出すと、その衝撃で隣にいた透明な生徒は吹っ飛んでしまった。ちなみにタイムは

 

1秒22

 

だった。

 

「わりぃ、加減ミスった~」

 

「何だよ今のダッシュ……」

 

「踏み込んだ地面抉れてるぞ……」

 

「まさかこの種目で負けてしまうとは……」

 

猛は、始めの種目から一番の記録を取った。ちなみに吹っ飛んでいった生徒は計り直しをさせて貰っていた。

 

第二種目、握力

 

ギギギギ……

 

猛は握力計を握りながら、周りの生徒を観察していた。

 

(ふむふむ、あのポニーテールの女の子はいろいろ作り出せるのか、万力……アリなのか、それ……そんであっちのがたいのいいのは多分腕とか自分の身体を増やせるのか……?なかなかな記録を出してるな……だけどあいつ……緑谷っつたか、さっきから記録弱くね?)

 

バキン!!

 

「あ、やっちまった……」

 

余所見をしながらやっていたせいか、猛が握っていた握力計は握る所が外れて壊れてしまった。

 

「すんません、この場合どうなります?」

 

「紅蓮……仕方ねぇ、測定不能って事にしとけ……この握力計、1tまで測れる物なんだが……」

 

「やべえ、あいつマジでやべえ……」

 

「さっきからとんでもない記録しか出してねぇ……」

 

猛の第二種目での結果は、測定不能で終わった。

 

第三種目、立ち幅跳び

 

「どっ、せぇい!!」

 

ビュウン……

 

「うわ、またすげえ記録……あれ?」

 

「あいつ……空中に浮いてね?」

 

猛は、立ち幅跳びで飛んだと思ったら、空中で浮遊し始めた。

 

「おーい、この場合どうなんの?このまま向こうぎりぎりまで飛んで帰ってくればいい?」

 

「・・・・・・・・お前、その状態どれくらい維持出来る?」

 

「6時間以上はやったこと無い、多分もっといける」

 

「分かった、お前の記録は∞にするから戻ってこい」

 

相澤は、対応に困り記録を∞にした。

 

「記録∞て……」

 

「どうなってんの?何なんだあいつの個性……」

 

周りの生徒は、猛の個性がなんなのか分からなくなり始めていた。

 

第四種目、反復横跳び

 

ヒュッヒュッヒュッヒュッ

 

「あいつ分身してね?」

 

「増強系?だけど飛んでたよな……?」

 

まわりの生徒から見れば、猛の姿が分身しているように見えるほど早いスピードが出ていた。

 

ピピッ

 

「ふう……280回か、やっぱ調整ムズいな……足がいてぇし、あんまり速度でねぇや」

 

((((あれで!?))))

 

猛の発言に、驚愕が隠せない一同だった。

 

第五種目、ソフトボール投げ

 

猛は一番最初にやったので、ここでは見学していた。

 

(あのポニーテールの女の子、八百万って呼ばれてたが……大砲って……ヤバすぎね?万能個性過ぎるだろ)

 

そうして、他の生徒の種目を見ていると、一番最初に猛を睨んでいた男子生徒は705.9mという記録を出し、茶髪の女子生徒が∞という記録を出していた。

 

(ほぉ~、触った物を無重力状態にする……強いな、麗日って言ったな、触ればほぼ一撃ノックアウト、あっちのチンピラ……爆豪も強い、掌で爆発を起こす個性……便利だな)

 

そんなことを考えていると、今まであまりよい記録を出していない緑谷という生徒の番が来た。

 

(さて、あのもじゃもじゃ君はまだ個性を使ってねぇ……どうするのかな?というか個性使わない理由はなんだ?こういう運動系統には向かない対人用の個性とか?なら使わない理由も分かるが……だったらどうやって入試を合格したんだ?)

 

そうして、緑谷という生徒が覚悟を決めたような顔をしてソフトボールを投げるが、記録は46mだった。

 

「あ、あれ!?今確かに……!!」

 

「個性を消した、やれやれ、だからあの試験は合理的じゃない、お前のような者まで合格出来ちまうんだからな」

 

ソフトボールを投げようとした瞬間、相澤がどうやら緑谷という生徒の個性を消したようだった。

 

「個性を消す……そうか思い出した!!視ただけで他人の個性を消す、抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!」

 

担任の正体が分かったのか、緑谷は声を上げる。

 

(イレイザーヘッド……あぁ、アングラ系のあのヒーローね……それよりも個性を”消した”?って事は少なくとも精神系の個性じゃねぇ……じゃあなんだ?増強系なら使わねぇ理由が……ん?)

 

猛がふと校舎の陰を見ると、日本一有名なごつい金髪のヒーローが心配そうに見つめていた。

 

(オールマイト……?何でここに……ああ、そうか、そういうことね)

 

猛は、オールマイトが緑谷を気にしている事で、なんとなく事情を察した、その瞬間だった。

 

「スマーッシュ!!」

 

ビュウン!!ピピッ

 

緑谷は、二回目のソフトボール投げで、705mという記録をたたき出した。指は折れていたが、それでも立っていた。

 

「先生……まだ、動けます……!!」

 

「こいつ……!!」

 

その様子を見て、相澤も思わず口角が上がる。

 

(確定だな、やっぱり緑谷が……)

 

「コラァァァ!!訳を言え!!デクてめぇ!!」

 

その瞬間、先程まで睨み付けてきていた爆豪が緑谷に向かって掌を爆発させながら駆け寄る。

 

(馬鹿かよあいつ、全く……はあ)

 

ズガン!!ピキィン……

 

「んが!?ンだこれ……冷てぇ……!!」

 

「動けねぇだろ?馬鹿やってねぇで頭冷やせや、物理的に」

 

猛が足を踏み抜くと、爆豪をその場で凍り付かせた。

 

「て、めぇ……!!」

 

「睨むな睨むな、照れるだろうが。それにお前を助けてやったんだぞ?ヒーロー科で喧嘩なんざ即刻除籍だろうに、だろう先生?」

 

爆豪の睨み付けを軽くいなしながら、猛は相澤の方を向いて言う。

 

「確かにそうだが、勝手な真似はするな、何かあれば俺が止める、まだテスト中だし、氷溶かしてやれ」

 

「はーいはい」

 

「伸ばすな、それとはいは1回」

 

「はい」

 

パチン、パリン

 

猛が指パッチンをすると、爆豪を覆っていた氷が砕け散った。

 

「凍らせた……?マジで何なんだあいつの個性……」

 

「しかも一瞬で消えたわ、どういう原理なのかしら」

 

「増強系で発生系って事でしょうか……?」

 

「この野郎……!!」

 

「睨むなって、野良犬か?お前は」

 

「ンだとゴラァ!!」

 

「煽るな!!テストを再開するぞ」

 

そんなひと悶着もありながら、個性把握テストは再開された。

 

第六種目、持久走

 

「はっはっはっはっ、それ、ありかよ」

 

猛は、まさかの原チャリを作り出した八百万を見ながらそうぼやく、だが周りの反応は

 

((((いや、なんで原付バイクとほとんど並走してるんだ?))))

 

という、疑問だった。そして、最終的には、八百万の次に早い結果になった。

 

第七種目、長座体前屈

 

ググググ……

 

「ぐ……これは……苦手、だ」

 

「70cm……普通だな」

 

「いや、結構柔らかくね?」

 

「それでもさっきまでの記録に比べれば……」

 

この種目では、自分の個性を活かせないため、普通の記録に終わった。

 

第八種目、上体起こし

 

ヒュッヒュッヒュッヒュッ

 

「また早ぇ!?」

 

「てか押さえてる障子がキツそうだぞ!?」

 

「砂糖……お前も押さえてくれ」

 

「む、無理だろ!?早すぎだって」

 

「(うるせぇ……しかも言うほど早くねぇ)117回か……押さえてくれてありがとう」

 

「ああ、いや、別に……」

 

そうして、度々アクシデントがありながらも、無事に個性把握テストは終了したのだった。

 

 

「それじゃパパっと発表するぞ、トータルは単純に各種目の評点を合計した物だ。口でひとりひとり説明するのは時間がかかるので一括開示するぞ」

 

そして、相澤の手元の端末から、順位が出された。猛は1位で、2位が八百万、3位が轟という生徒、4位は爆豪で、緑谷は最下位だった。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

「「「「・・・・・・え?」」」」

 

「君らの最大限を引き出す為の合理的虚偽」

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

相澤の言葉に、特に絶望していた緑谷は絶叫を上げる。

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない、少し考えれば分かりますわ」

 

(どうだか、途中までは本気の目だった、だけど緑谷の能力を見て考え直した、って所か……よかったじゃないかオールマイト、緑谷が除籍じゃなくて)

 

猛は、ちらりと校舎の陰に目をやる。そこには相変わらずオールマイトが覗き見していた。

 

(緑谷出久……あいつがオールマイトの、ワン・フォー・オールの後継者か)

 

猛は一つの確信を得て、教室に戻っていった。




正直やり過ぎな気がしますが、猛の個性のコンセプトが運動系統や戦闘特化なのでこういった形にしました。ちなみに猛がワン・フォー・オールを知っている理由は後に分かります。後は漫画やアニメは緑谷視点からの話で、これでは猛の視点からの物語なので、原作の台詞がかなりカットされています。ご了承下さい。後は今回長すぎました。


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放課後に再会、買い物をする

個性把握テストが終わり、ガイダンスも終わったので猛は取蔭を待っていた。

 

(さて、どうするかな、オールマイトと1度話しておくか?ていうか緑谷……あいつ、ワン・フォー・オール制御出来てねぇよな?使い方(・・・)間違えてるし……明日以降でいいか)

 

「猛~、お待たせ~」

 

そんなことを考えていると、取蔭が駐輪場まで来た。

 

「おー、お疲れ」

 

「ねえ、なんで始業式いなかったの?静香ちゃん来てたのに」

 

「は?あいつも今日から学校だろうに……担任が合理的主義者だったからだ」

 

「は?どういうこと?」

 

「俺にも分からねえ、だけど楽出来たからもーまんたい」

 

「適当だねほんと……あ、そうそう、ちょっと猛に会いたい子ってがいるんだけど」

 

「俺に?」

 

「うん、おーいレイ子~」

 

取蔭が呼ぶと、校舎の陰から白髪の女の子が出てくる。

 

「あーっと……何処かで会ったっけ?」

 

「あの、入試で……」

 

「ん……?ああ、頭怪我してた子か!!そうかそうか、無事で何より」

 

猛は、自分が入試で頭を治した相手だと思い出した。

 

「お礼が言いたくて……私、柳レイ子、同じヒーロー科のB組、よろしくね」

 

「お礼なんざいいよ、俺は紅蓮猛、ヒーロー科A組、クラスは違うが仲良くしようぜ」

 

そう言って、猛は握手をしようと手を出す。

 

「うん、仲良くしよう」

 

ギュッ

 

柳レイ子はそれに応えて握手する。

 

「うわぁ、猛が女の子口説いてる~」

 

「殴るぞ切奈」

 

「所で、二人ともこれで帰るの?」

 

そう言いながら、柳レイ子はバイクを指さす。

 

「そうだが?」

 

「電車と違って楽だよ~?周りの反応は激しいけど」

 

「ま、ヒーローになるなら慣れといてそんはねぇだろ」

 

(すごいな……)

 

そう言って、猛は取蔭にヘルメットを渡す。

 

「それじゃ、レイ子また明日ね~」

 

「うん、取蔭と紅蓮も、また明日」

 

「ああ、それじゃあな~」

 

ブゥゥゥゥン……

 

そうして、二人はバイクに乗って走り去っていった。

 

「・・・・・・ちょっと、かっこよかった?」

 

 

二人が去った後、誰もいないところで、柳レイ子は呟いたのだった。

 

 

 

「だけどさ~、意外だよね~」

 

「なにがだ~?ていうか運転中は話しかけるな危ねぇぞ~」

 

猛と取蔭は、走りながらいろいろなことを話していた。

 

「猛が誰か助けるってさ~、あんまり無いじゃ~ん?」

 

「おいおい、一応ヒーロー志望だぞ?頭怪我してる奴を見捨てる程腐っちゃいねぇよ」

 

「そっかぁ、あ、晩御飯の買い物するから途中止まって」

 

「ん、分かったわ」

 

ブゥゥン、キキッ

 

二人は、近くのデパートの駐車場にバイクを停車させる。

 

「なに作るよ、折角だし干物買わねぇ?」

 

「折角なのになんで干物なのさ、もっと美味しい物にしようよ」

 

「干物旨いだろ」

 

「いや美味しいけどね?ほら、お肉とかさ……」

 

「てか両方買うか、明日の朝食にしよう」

 

「お、それいいね、両方買おうか」

 

そうして、端から見たら高校生のカップルがイチャイチャしてるようにしか見えないが、二人は買い物を済ませて家に帰ったのだった。




前回に比べて会話が多く短いです。ちなみに柳レイ子が惚れてそうな描写がありますが、ハーレムは予定してないです。次回は戦闘訓練です、誰と組んで誰と戦うかアンケートあります。


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戦闘訓練(前編)

翌日、その日は午前中は必修科目、高校の普通科でもやる必修科目の授業から始まった。ちなみにプレゼントマイクの授業の時は……

 

((((普通だ・・・・・))))

 

(四番だ……!!)

 

(クソつまんねえ)

 

各自様々な事を思っていた。ちなみに猛は……

 

(改めて見ると……インコみてえ)

 

と、授業とは全く違うことを考えていた。

 

そして必修科目の授業が終わると、大半の生徒は、食堂でクックヒーロー、ランチラッシュが作る格安学食を食べる。ちなみに猛は、食べやすいパンだけ買って屋上で食べていた。

 

「んぐんぐ……ああいうごちゃごちゃした空気は苦手だな……」

 

ガチャン

 

「あ、やっぱり屋上にいた」

 

「どうも」

 

猛が一人で屋上で昼食を食べてると、取蔭と柳がやってきた。

 

「どうしたよ、下で食ってたんじゃねぇの?」

 

「いやさ、どうせ猛は食堂では食べないだろうと思って」

 

「私は、あんまり人混みが好きじゃないし……」

 

「そうかい、そんじゃ、似たもの同士達で駄弁るか」

 

そう言って、猛は座ってる場所を少しずれ、そこに取蔭と柳が座る。

 

「猛はどうなの?クラス、誰かと喋ったりしてるの?」

 

「お前は俺の母親かっ!!別に、普通だよ、一人俺のことを物凄い視線で見つめて来る奴がいるが」

 

「「!!」」

 

その言葉に、取蔭と柳はあからさまに反応する。

 

「いやお前らが思ってるような事はねぇからな?男だし、多分俺が入試主席で入ったので、気にいらねぇんだろ、プライド高そうだし」

 

「なぁんだ、つまらない」

 

「そうなんだ……少し安心(ボソッ」

 

「ん?どうかしたレイ子」

 

「ううん、何でもない」

 

こうして、3人は駄弁りながら、ゆっくりと昼休みを終えたのだった。そして、午後の授業が始まった。

 

 

「わ~た~し~が~!!」

 

「来っ……!!」

 

「普通にドアから来たぁ!!」

 

午後の授業、それの担当をするのは、誰もが知るナンバーワンヒーロー、オールマイトだった。

 

「すげぇ!!マジで雄英で教師やってる!!」

 

「画風が違いすぎで鳥肌が……!!」

 

「あれ(シルバーエイジ)時代のコスチュームね!!」

 

皆がオールマイトの登場でテンションが上がっている中、猛はというと

 

(普通に登場出来ねぇのか……相変わらずだなあのおっさん)

 

辛辣な事を考えていた。

 

「私が担当する教科は、ヒーロー基礎学力!!ヒーローの素地を作るために、様々な特訓をする科目だ!!そしてそして、今日やることはこれ!!戦闘訓練!!」

 

「戦闘……!!」

 

「訓練……!!」

 

オールマイトがBATTLEと書かれたプレートを出すと、生徒達全員がざわめきだす。

 

「へえ、いきなり」

 

「そしてそれに伴ってこちら!!入学前に送ってもらった個性届と、要望にそってあつらえた、コスチューム!!」

 

オールマイトがスイッチを取り出し、スイッチを押すと、黒板の横から人数分のコスチュームケースが入った棚が現れる。

 

「さあ!!これに着替えてグラウンドβに集まるんだ!!」

 

「「「「はーい!!」」」」

 

そうして、生徒達は自分のコスチュームケースを持って更衣室に行く。

 

(さて、俺の要望通りかね……)

 

 

グラウンドβ、そこは入試でも使われた仮想市街地だった。猛が向かうと、既にほとんどの生徒が自分のコスチュームに着替えてグラウンドβに集まっていた。

 

「取り敢えず要望通り……少し、面白味に欠けるが」

 

猛のコスチュームは、上が赤い色の革ジャン、拳にはガントレットを装備しており、ズボンは黒のテーパードパンツ、靴が金属が編み込んである特注のブーツだった。

 

(まあ、近接戦主体の俺なら特に気にすることも無いか)

 

「わあ!!紅蓮くんかっこいい!!バイカーみたい!!」

 

そう言って話しかけてきたのは、先日個性把握テストの時、吹っ飛ばしてしまった透明の個性の生徒だった。その女生徒のコスチュームはというと……

 

「えっと……葉隠だっけ?服は?」

 

「えへん!!これが私の個性を最大限活かせるコスチュームなんだ!!」

 

葉隠という生徒のコスチュームは、ブーツと手袋だけ……ようは、全裸だった。

 

「・・・・・・恥じらいくらい、持ったら?」

 

「え?だって見えないし」

 

(羞恥心がかけている……)

 

「ヒーロー科最高」

 

猛の心配を他所に、ブドウのような生徒は親指を立てていた。

 

「いいじゃないか、かっこいいぜ諸君、さあ、始めようか有精卵ども!!」

 

そして、オールマイトの号令で、授業が始まる。

 

「先生!!ここは入試で使用した仮想市街地ですが、また市街地演習をするのでしょうか!!」

 

「いいや、もうニ歩先に踏み込む!!これから行うのは、2対2に別れて行う屋内での対人戦闘訓練だ!!」

 

「基礎訓練も無しにですか?」

 

「その基礎を知るためさ!!ただし、今回はただぶっ壊せばいいロボとは違うのがミソだぜ」

 

「勝敗システムはどうなりますか?」

 

「ぶっ飛ばしてもいいんすか」

 

「また相澤先生の時みたいに除籍とかあるんですか?」

 

「別れてとは、一体どういう方法で別れればよいでしょうか」

 

「んん~聖徳太子~!!」

 

(いや、静かにしろぐらい言えんのか、相変わらず人に教えるの向いてねえ)

 

そうこうしていると、オールマイトがポケットからカンペを取り出す。

 

「いいかい、状況設定としては、核兵器をアジトに所持したヴィラン側と、それを処理しようとするヒーロー側っていう状況だ!!ヒーロー側は、制限時間内にヴィラン側全員にこの確保テープを巻くか、核兵器を確保する事、ヴィラン側は核兵器を時間内守り切るか、ヒーロー側を全員確保する事が勝利条件だ!!」

 

((((設定アメリカンだな!!))))

 

オールマイトの説明を聞いて、大半の生徒が同じ事を考えた。

 

「ちなみに、チーム分けはこのくじを使って行う!!」

 

「適当ですか!?」

 

「ほら、最近は別の事務所とのチームアップも増えてるから、そういう状況も考えてるんじゃ無いかな?」

 

「なるほど、先を見据えての計らい、失礼しました!!」

 

「う、うむ、緑谷少年はよいところに目を付ける!!(やっべ、適当だった)」

 

(適当だったんだろうな……緑谷の機転で助かったな)

 

そうして、ヴィラン側とヒーロー側で別れた。猛はヴィラン側で、チームは芦戸という生徒だった。

 

「芦戸三奈です!!よろしく!!」

 

「紅蓮猛だ、よろしく」

 

「さあ、始めよう!!まずはDチーム対Aチーム!!ヴィラン側のチームは先に入って核を設置しておくこと!!」

 

そして、一番最初の組の戦いが始まろうとしていた。

 

(ヴィラン側のDチームは飯田と爆豪、ヒーロー側のAチームは緑谷と麗日……緑谷、なんかめちゃくちゃ爆豪にビビってねぇか?)

 

そう考え、今度は爆豪の方を見ると、爆豪は今にも人を殺しそうな顔をしていた。

 

(うわぁ……これは……なんかあるな)

 

猛の予想は、悪い形で当たるのだった。




なんか、とある小説を読んでたら猛の個性ってドラゴンボールっぽいのかなって思いました、髪が赤くなるところとか……狙ってはいません、ドラゴンボールは詳しくありませんし。猛のコスチュームに関してはいいのが思いつきませんでした。もっとこういうのがいいとかあったら教えてもらいたいです……ちなみに、戦う相手は轟&障子に決まりました。


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戦闘訓練(後編)

お気に入り90越え、UA5000件越えありがとうございます!!感想もどしどし募集してます。


「さあ!!戦闘訓練一組目、スタート!!」

 

戦闘訓練一組目が始まって早々、爆豪が緑谷に攻撃を仕掛けるが、緑谷はその攻撃を避ける。

 

(へえ、不意打ちだったのに避けれるのか、勘か?いや、そこまで研ぎ澄まされてねぇ。ありゃ、付き合いの長さから分かった必然の回避か)

 

猛はその攻防を見て考えを巡らせ始める。

 

「爆豪の奴、奇襲なんて男らしくねぇな!!」

 

「いやいや、奇襲も立派な戦術だぞ!!」

 

(緑谷少年、ここではあくまで教師と生徒、贔屓目無しに見させてもらうぞ!!)

 

避けられてから、緑谷が麗日を先に行かせる。爆豪はそれを止めずに行かせる。

 

(あらあら、私怨丸出し、情けねぇ)

 

そこから、爆豪が右の攻撃を入れようとするが、緑谷はそれを見こしてかカウンターで一本背負いをする。

 

「すげぇ!!緑谷の奴、爆豪の奴を投げ飛ばしたぞ!!」

 

(へえ、いいタイミングで投げるじゃん、だけど……なんだか、違和感があるな?)

 

猛が考えていると、今度は爆豪が己の籠手を使って攻撃しようとするのが見えたが、それを見ていたオールマイトが止めようと無線を入れる。

 

「爆豪少年ストップだ!!緑谷少年を殺す気か!?」

 

(いや、間に合わねぇなこりゃ)

 

オールマイトがストップをかけるが、爆豪は無視して籠手を使う。その瞬間

 

ドォォォン!!

 

画面を覆い尽くすほどの大爆発が起きる。

 

(馬鹿が、殺してたら終わりなの分かってんのか?)

 

やがて煙が晴れるが、ぼろぼろになりながらも立ち上がる緑谷が映る。

 

「爆豪少年!!次にそれを撃ったら強制終了で君らの負けとする!!」

 

(忠告が遅ぇ、ありゃもう緑谷をぶちのめす事しか考えてねぇ、どの道訓練としては既にやり過ぎだ)

 

猛の予想通り、その後は爆豪が一方的に緑谷を打ちのめしていた。その時の攻撃の時の個性の使用方法から、爆豪は戦いの才能があるのが見ていた生徒全員が分かった。

 

(あ~あ、才能の無駄遣い、何が緑谷をそこまで気に入らねぇのか……もしかして、ワン・フォー・オールの事バレてるんじゃねぇの?)

 

緑谷の過去を知らない猛から見れば、爆豪の緑谷への異常とも言える攻撃性は、そのくらいしか思い浮かばなかった。

 

「お、おい、ヤバくねぇか!?」

 

一方的にやられていた緑谷だが、最後の一撃に個性を全力で使おうとしているのが見え、爆豪も全力で攻撃しようとしていた。

 

「双方訓練中止……!!」

 

オールマイトがそう言おうとした瞬間、緑谷と爆豪の攻撃が交差するが、緑谷は爆豪に攻撃を当てずに、そのままアッパーをして最上階までぶち抜く。その時の破片を利用して、飯田から核を確保しようとする麗日が核を回収した。

 

「・・・・・ヒーローチーム、ウィィィィン!!」

 

「勝った方が倒れて、負けた方が立ってるぞ……」

 

「なんだったんだ、今の戦い……」

 

(ただの馬鹿共の茶番劇だろうが、本当に大丈夫かよオールマイト、あれがワン・フォー・オールの後継者で……)

 

猛の心配を他所に、気を失った緑谷は保健室に連れて行かれ、訓練の講評が始まった。

 

「今回のMVPは飯田少年だ!!」

 

「ケロ、勝った緑谷ちゃんか、お茶子ちゃんじゃ無くて?」

 

「理由が分かる人はいるかな?」

 

「はい、オールマイト先生」

 

オールマイトの言葉に、八百万という少女が手を上げ発言する。

 

「それは、飯田さんが状況設定に順応していたからですわ。見るからに、爆豪さんの行動は戦闘を見た限り、私怨丸出しの独断。そして屋内での大規模戦闘は愚策。緑谷さんも同様、受けたダメージから鑑みてもあの作戦は無謀としか言いようがありませんわ。麗日さんは中盤の気の緩み。そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為は出来ませんわ。相手への対策をこなし、核の争奪をきちんと想定していたからこそ飯田さんは最後対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ。」

 

八百万の言葉に、飯田は何故か感動しているのか胸の所で手を押さえていた。

 

「(思ったより言われた)ま、まあ飯田少年もまだ固すぎる所があるけどな!!概ね八百万少女の言うとおりだ!!」

 

「常に下学上達、一意専心に励まねば、トップヒーローになどなれませんわ」

 

(こいつもこいつで固え、難しく考えすぎだっつの)

 

そうしていると

 

「紅蓮少年は何か無いかな?」

 

オールマイトが猛に話を振る。

 

「ああ~……?はあ、まずオールマイト、あんただよ」

 

「え!?私!?」

 

猛の言葉に、大半の生徒が驚愕の表情を見せる。

 

「こんな普通じゃあり得ねぇ状況設定にするんだったら最初から大規模攻撃は規制するか禁止にすべきだろうが。それから爆豪がやらかす前の忠告が遅ぇ、緑谷への視線を見れば馬鹿やらかすのは見えてただろうに。初めての授業だとか新任の教師だとか、もろもろ差し引いてもはっきり言ってあんたのミスもデカい。危うく一人死んでたぜ?取り敢えず射線は少し上にずらしてたみたいだが……」

 

猛の言葉で、オールマイトはどんどん萎縮していく。

 

「んで、後の奴らは大方八百万が言った。飯田に関しては、1対1で残り時間少ないなら、麗日に接敵して近接戦するべきだった。あいつの個性も屋内じゃ大した効力がねぇし、逃げ回るより戦うべきだった」

 

猛の言葉に、飯田は「なるほど……!!その手もあったのか!!」と、納得していた。

 

「ンでまぁ、後は馬鹿共の茶番劇、以上、終わり」

 

「誰が馬鹿だ!!」

 

「お前以外誰がいるんだ野良犬」

 

「なんだとてめぇ……!!」

 

「やめろよお前ら!!」

 

猛の言葉に、爆豪は詰め寄ろうとするが、近くにいた赤髪の男子生徒が制止する。

 

(ぐ、紅蓮少年、相変わらず毒舌だな……)

 

オールマイトは、猛の言葉の切れ味にすっかり小さくなってしまっていた。

 

「それじゃ、時間もねぇから次だ次、縮こまってねぇで早く進行しろよナンバーワン」

 

「う、うむ!!そうだな!!それじゃあ次は、ヴィラン側が紅蓮少年と芦戸少女!!ヒーロー側が轟少年と障子少年だ!!」

 

そうして、猛の出番がやってきて、ペアの芦戸と供にビルに入っていく。

 

「よーし!!核は何処に設置する?」

 

「ああ、それは決まってる。三階」

 

「なんでなんで?最上階じゃないの?」

 

「いや、多分今回の相手は階層関係ない」

 

「へ?どういうこと?」

 

「すぐに分かる、取り敢えず個性の詳細教えてくれ」

 

「オッケー!!私の個性は酸!!粘度とか溶解度とか変えれるけと、あんまり強いのを出すと自分の服とか皮膚が溶けちゃう!!対人では調整が難しいんだ」

 

「なるほど」

 

猛は、芦戸の個性を聞いて、どういう作戦にするか考えていた。

 

「(下手すると相手が死ぬか……攻撃には出来ねぇな)俺の個性はオーラ、身体の中にある正体不明のエネルギーを扱える。いろんな事に転用出来るから応用が幅広いってのが特徴、使いすぎるとぶっ倒れるけど」

 

「オーラ?正体不明のエネルギー?どういう個性?」

 

「詳しく説明する時間がねぇ、とりあえず……」

 

『それでは!!戦闘訓練二組目、スタート!!』

 

ピキピキピキピキ……

 

「うわわ!!何これぇ!?」

 

戦闘訓練が始まると同時に、猛と芦戸の足下を、それどころかビル全体を氷が覆った。

 

(やっぱり……)

 

「ど、どうする!?溶かす!?」

 

「落ち着け、奴さんもう来るぜ」

 

猛の言うとおりに、ビル全体を凍らせたであろう轟が歩いてくる。

 

「戦ってもいいが、足の皮膚が剥がれたらマトモに戦えねぇだろ?」

 

轟は、もう既に戦いは終わったという顔をしていた。

 

「はあ~……轟、お前、馬鹿なのか?」

 

「は?」

 

真紅の庭(クリムゾンフィールド)

 

ボォォォォォ!!

 

「な!?」

 

轟は、猛の足下からビル全体に広がるように出た紅い炎で、一瞬で氷が全て消えた事に驚愕していた。その瞬間を、猛は見逃さなかった。

 

ヒュッ、ズガン!!

 

「が……!?」

 

動きの止まった轟の頭に、猛は容赦なく蹴りを入れる。轟はそのままビルの床に沈む。

 

「それじゃ、確保テープ巻いといて、障子仕留めてくるから」

 

「え?う、うん!!」

 

猛の言うとおりに、芦戸は轟の腕に確保テープを巻く。

 

コツコツコツ、ガラッ

 

「ちょ、どっちから行くの!?」

 

猛は、ビルの窓に近付いて鍵を開ける。猛はそのまま下を見ると、驚愕して動いていない障子を見つける。

 

「それじゃ、終わらせてくるわ」

 

ピョン

 

「ちょっと!?」

 

ヒュー……ガツン!!

 

「ごはっ!?」

 

猛はそのまま窓から飛び降りると、障子の頭に肘を落とす。

 

「悪ぃな、頭蓋を割らないように手加減したから許してな」

 

そうして、気絶した障子の腕に確保テープを巻く。

 

『ヴィランチーム、ウィィィィン!!』

 

猛の戦闘訓練は、あっさりと勝負が付いたのだった。




やっぱり全体的に雑ですね、すいません。次回は猛達の戦いを見る別の生徒目線から始めます。


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訓練終了、ナンバーワンとの雑談

猛と芦戸のペア、轟と障子のペアの戦闘訓練が始まる前、その様子をモニタールームで皆が見ていた。

 

「なあ、このペアの戦いどうなると思う?」

 

「推薦入学者と入試1位……どちらが勝つんだ?」

 

「紅蓮の奴、個性よく分からねぇからな……」

 

そして、戦闘訓練が始まった瞬間、轟はビル全体を凍らせた。

 

「ううむ、仲間や核、建物も傷つけずに、敵も弱体化させるとは……!!」

 

凍った影響か、オールマイトは若干震えながら喋る。

 

「なんだよあれ、無敵じゃねぇか……!!」

 

「こんなのどうやって勝つんだよ……!!」

 

「いくら紅蓮でも、あれじゃあ……」

 

皆が勝負は決したと思っていた。だが、その思いはすぐに無くなることになる。

 

「お、おい!!一瞬で氷が溶けたぞ!?」

 

「紅蓮はやっ!!てか轟反応出来てねえ!?」

 

「ていうか、あれどうやったん……!?」

 

「流れるように側頭部への蹴り……すごいな……」

 

「あんな凍らせられてたのに、漢だぜ紅蓮!!」

 

猛が氷を溶かし、その結果動揺した轟の頭に蹴りを入れる瞬間を見た皆々は、それぞれ様々な感想を述べていた。

 

(さすがだ紅蓮少年!!あれでは止められないか、君は!!)

 

そして、芦戸に轟を任せて、窓から飛び降り障子の頭に肘を落とす、気絶した障子に確保テープを巻いて、猛達の戦闘訓練は終わった。

 

「ヴィランチーム、ウィィィィン!!」

 

「お、おい、障子生きてるか?あれ」

 

「三階から飛び降りて肘鉄って……ヤバくないか……?」

 

「頭蓋を割らないように手加減したから生きてるよ」

 

皆がざわつく中、猛と芦戸は、気絶した二人を連れて戻ってきた。

 

「オールマイト、とりあえず寝かせとくぞ、加減したからその内起きるだろ」

 

「いやいや、頭への攻撃だからね、念の為保健室に連れて行こう」

 

「んなヘマするほど下手くそじゃ無いんだが……まあいいや」

 

猛は、先ほど気絶した緑谷と同様に、轟と障子も保健室に連れて行かれる。

 

「さて、訓練の講評だが、MVPは紅蓮少年だ!!」

 

轟と障子が連れて行かれた後、猛達の戦闘訓練の講評が始まる。

 

「だよな!!すごかったぜあの蹴り!!」

 

「しかも氷を一瞬で全て溶かすとか!!どんな火力!?って感じだった!!」

 

「それに、近くにいた芦戸さんに影響を与えないかつ、核にも影響を与えない……とても繊細な個性の操作でしたわね、さすがです紅蓮さん」

 

「大した事はしてねぇよ、轟の個性を考えればこう来ると思ってたから、攻撃に対するカウンターを用意しておいただけだ。見たところ近接戦はカスだし、あいつ」

 

「見ただけで分かるのか?」

 

「鍛えてはいるみたいだけど、なんていうか……鍛えただけですって感じだった。蹴りいれたとき軽かったし」

 

「そうなのか……すごいな……」

 

「私は何も出来なかったな~、ちぇ~」

 

「ペアがあいつじゃしょうがねぇよ」

 

そうして猛達の戦闘訓練の講評が終わり、次々と戦闘訓練が行われていく。それを猛は静かに見ていた。

 

(名前と顔は一通り覚えれた……ふむ、結構見た感じ、再現(・・)出来そうな個性は2、3個だな……こいつらの動きだと、俺とやれそうなのは轟と爆豪くらいか……緑谷は、まあこれからの成長度合いによるな、現在値が低い分、何かきっかけがあればドンと跳ね上がるだろう、まあ、先生がオールマイトなのは問題ありだが……)

 

そして、最後の戦闘訓練が終わると、意識が戻って無い緑谷以外がモニタールームに集まった。

 

「さて!!私は緑谷少年に講評を聞かせないといけないので失礼!!みんなは着替えて教室に戻るように!!」

 

そう言って、オールマイトは急いで戻っていった。

 

(活動限界か……やれやれ、仕方ねぇ)

 

「おーい!!紅蓮戻ろうぜー!!」

 

「悪ぃ、俺はオールマイトに用がある、先戻っててくれ」

 

ビュン!!

 

「はやっ!!やっぱあいつやべえ!!」

 

そう言い残して、猛はオールマイトを追う。

 

 

 

 

「ふう……授業をやると活動限界ギリギリだ……」

 

「変わらねぇな、常に限界まで動き続けるの、その内ぽっくり死ぬぜ?」

 

「な!?紅蓮少年!?」

 

「おう」

 

オールマイトは、いつの間にか後ろにいた猛に驚く。

 

「本当、何時ボロが出るか分からねぇなあんた、その内バレるぜ?その姿」

 

オールマイトの姿は、いつもの筋骨悠々とした姿ではなく、ガリガリの細身になっていた。

 

「いやぁ、面目ない……久しぶりだな、紅蓮少年」

 

「ああ、3年振りか、あんたと顔を合わせたのは……んで、そんな話をしに来た訳じゃねぇ」

 

「分かっているとも……君なら、もう気付いているのだろう?」

 

「まあね、緑谷出久、あいつがワン・フォー・オールの継承者……あんたの弟子だろ?」

 

「うむ、その通りだ……君はどう思ったかな?緑谷少年について」

 

「どうもこうも、あれじゃ早死にするよ。気付けば手遅れになるね。本当にあいつで大丈夫なのか?個性の使い方も間違ってるし……つか、あいつ、元から持ってる個性は?」

 

「いや、彼は元から持ってる個性は無いんだ」

 

「は?」

 

そこで猛はオールマイトが緑谷にワン・フォー・オールを継承するに至った訳を聞いた。

 

「なるほどね、あんたらしい理由だわ。しかし無個性か……ますます心配だな」

 

「その理由は?」

 

「まず身体がちゃちい、どれだけ鍛えさせたかは知らねぇがどう考えても足りてない。次にあんたに憧れ過ぎだ、あいつ、あんたになろうとしてるみたいだぜ?」

 

「ふむ……緑谷少年には自分の道を歩んで欲しいのだが……」

 

「まあ、その辺りはあんたが軌道修正しろよ、ある程度なら俺も手を貸せるしな」

 

「助かるよ紅蓮少年……そうだ!!緑谷少年の状態を確認しなければ!!失礼するよ紅蓮少年!!」

 

そういうと、オールマイトはいつもの姿に戻り緑谷の所に向かった。

 

「本当、教師に向いてねぇなあの人……さて、帰るか……」

 

そうして、猛は着替えて教室に戻り、残りの授業を受けた。

 

(しっかし、平和の象徴……新しく人柱を作っても、この個性社会の為にならない……分かってるのかね、オールマイト)

 

「なあ紅蓮!!俺達これから反省会するんだけどどうだ?爆豪の奴はさっさと行っちまってよぉ!!」

 

「あー悪ぃ、待たせてる奴がいるからまた今度な、えっと、切島だったな」

 

「おう!!待たせてる奴がいるなら仕方ねぇな!!また明日!!」

 

そうして、猛は取蔭と合流して帰宅したのだった。




今回取蔭ちゃんの出番無いです。よくよく考えると飛び降りてるのに手加減ってなんだろうという事に気付きました。そろそろオールマイトとの関係を明らかにしたいなと思っています。


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学級委員長決め、不穏な影

翌朝、いつものように猛と取蔭が学校に向かうと、校門の辺りにマスコミがたむろしていた。

 

(オールマイトが教鞭を取ってるからか……うぜぇな、大義名分があれば吹き飛ばすんだがな)

 

「どうする猛、入れなくない?」

 

「まあまあ、見てなって」

 

カチッ、ブゥゥゥゥン!!

 

猛はバイクのギアを上げて一気にエンジンを吹かす。

 

「うわ!?ちょっと!!」

 

「危ない!!」

 

その音に驚きマスコミ達は猛のバイクを避ける。そして猛達は普通に校舎に入る。

 

「うわぁ、今の問題ないわけ?」

 

「大丈夫だろ、エンジンを大袈裟に吹かしただけで法定速度は守ってるし、あっちが勝手に避けただけだ」

 

ガツン

 

「ぐおっ」

 

「よくない」

 

猛の後ろから、相澤が持っていた出席簿で頭を叩く。

 

「紅蓮、マスゴミが面倒くさいのは同意するが避け方はもう少し考えろ。問題になったら責任を問われるのはお前のご両親だからな」

 

「あたた……強く叩き過ぎだよ相澤先生、割れたらどうする」

 

「んな簡単に人の頭蓋が割れるか、とりあえず口頭注意で済ましてやるから、早く教室行け」

 

そう言って、相澤は何時までも校門の辺りにいるマスコミへの対処しに向かった。

 

「怒られてやんの~」

 

「笑うなっての、たく……」

 

そして、猛と取蔭も教室に向かうのだった。

 

 

 

「昨日の戦闘訓練お疲れ~、VTRと成績見させてもらった」

 

始業の時間が始まると、マスコミへの対処を終えたのか、相澤が昨日の戦闘訓練について話し始める。

 

「爆豪、お前もうガキみたいな真似するな、能力あるんだから」

 

「・・・・・・分かってる」

 

「で、緑谷はまた腕をぶっ壊して一件落着か」

 

「っ!!」

 

緑谷は先日の個性把握テストの時の事があり縮こまる。

 

「個性の制御、何時までも出来ませんじゃ通させねぇぞ、俺は同じ事を言うのが嫌いだ……それさえクリアすれば、出来ることは多い、焦れよ緑谷」

 

「っ、はい!!」

 

「んで、紅蓮、お前は戦い方考え直せ、相手を失神させるなら頭部への攻撃は効果的だが、一歩間違えれば大惨事になる場所でもある、急所への攻撃は控えろ」

 

「了解~」

 

「語尾を伸ばすな」

 

「了解」

 

そうして、昨日の戦闘訓練への相澤からの講評が、終わる。

 

「さて、今日は急で悪いがみんなに……学級委員長を決めてもらう」

 

「「「「学校っぽいの来たー!!」」」」

 

相澤の一言に、猛以外のクラス全員が沸き立つ。

 

(学級委員長ねぇ……柄じゃねぇしパスだな、それにやる気も出ねえしな……誰がいいかねぇ……真面目君な飯田か……後継者って事で緑谷でもいい……新しいオールマイトを増やした所で意味はねえし、緑谷にして欲しい所だが……)

 

猛が考え事をしていると、投票により学級委員長を決める事になった。そして、投票の結果、緑谷が四票、八百屋が二票という結果になった。

 

「僕四票!?」

 

「何でデクに!?誰が!!」

 

「まあお前に入れるよりは分かるけどな」

 

(同感)

 

そうして、学級委員長を決めた後、また普通の授業を受けて、いつも通りのメンバーで屋上で昼食を取っていた。

 

「へえ、そっちではその緑谷ってのが学級委員長なのね」

 

「紅蓮はやらないの?」

 

「やらねぇよ、面倒くせぇ」

 

「あはは、言えてる」

 

「それに俺や切奈は他を牽引する事に向いてねぇ、前線で動いた方が良い」

 

「私は前線向きの個性じゃないけどねぇ」

 

「使い方次第だろ、やらしい戦い方も出来るしな」

 

「なにそれスケベ」

 

「首外してやろうか」

 

(仲良いな~……羨ましいな……)

 

レイ子が二人の会話に少し嫉妬していると……

 

ウウー……

 

「え!?な、なに!?」

 

「これって……」

 

「警報だな」

 

『緊急警報発令!!セキュリティ3が突破されました!!生徒の皆さんは屋外に避難してください!!これは訓練ではありません!!繰り返します……』

 

「ど、どうする!?早く逃げないと……!!」

 

「こっからじゃ時間かかるよ!?猛抱えて降りられない!?」

 

「落ち着け柳、切奈、下見てみな」

 

猛がそう言って、二人は屋上から下を見た。そこには、今朝校門にいたマスコミ達が侵入していた。

 

「おおかた、馬鹿なマスコミ達が勝手に入ってきたんだろ、焦ることはねぇよ」

 

「な、なんだ……ビックリした……」

 

「もう~、これだからマスコミはやだな~」

 

(問題は、マスコミがどうやって雄英の警備を突破したか、なんだよな、普通のマスコミにはそんなことは出来ねえ……虫が入り込んだ、かな)

 

この時の猛の予想は、いやな形で当たることになるのだった。ちなみに食堂で何かあったらしく、学級委員長は飯田になった。




ようやくUSJ編に行けます。少し原作改変がございます。


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USJの襲撃、前編

あけましておめでとう御座います、今年もゆっくりとよろしくお願いします。


「今日のヒーロー基礎学力は、俺とオールマイト、それとあと一人の三人体制でやることになった」

 

翌日、いつも通り普通の授業を受け、午後のヒーロー基礎学力の授業になった。内容は、多面的に行動出来るようになるための人命救助訓練だった。

 

(やることになった、って事は、予定が変わった訳か、まあ百パー昨日の一件が絡んでるな)

 

「なお、今回はいろいろな場所が制限されるだろうから、コスチュームの着用は各々の判断に任せる。15分後に表にあるバスに集合」

 

それだけ言って、相澤は出て行く。その後、生徒のほぼ全員がコスチュームを着てバスに集合した。ちなみに緑谷は先日の戦闘訓練での破損でコスチュームではなく体育着だった。そして、バスに乗って訓練会場に向かった。ちなみに、この時委員長になった飯田が妙に張り切っていた。

 

「こういうタイプだったか~!!」

 

「なんか、すごくに張り切ってたね、飯田君……」

 

「緑谷ちゃん、私、思った事は何でも言っちゃうの」

 

バスに乗っていると、蛙吸梅雨という生徒に緑谷が話しかけられる。

 

「な、なに?蛙吸さん」

 

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

「つ、つつつつ、つゅ、ちゃん」

 

(テンパり過ぎだろ、童貞か)

 

「あなたの個性ってオールマイトに似てる」

 

「え!?い、いやそんな」

 

(たまにいるよね、こういう鋭い勘の持ち主)

 

蛙吸の言葉に同様する緑谷だが……

 

「待てよ、オールマイトは別に自分の力で身体壊したりしないぜ?あれは似て非なる物だろ」

 

切島の一言に救われた緑谷だった。

 

「でも単純な増強系は派手でいいよな~、俺の個性は地味だからさ」

 

「そうかな?切島君の個性も十分プロで通用するカッコイイ個性だ

と思うよ!!」

 

「プロか~、でもやっぱ派手で強いって言ったら、爆豪と轟、あとは紅蓮もだよな!!」

 

(俺にも飛び火するんかい)

 

「そういえば、紅蓮ちゃんの個性は結局どういうタイプなのかしら?炎や氷も出していたし、空も飛んでいたわ、パワーもあるし」

 

蛙吸の質問に、猛はどうやって答えるか悩んでいた。

 

(全部を教えたら面白味がねぇ、それに教えたところで意味ないし……はぐらかすか)

 

「その内詳しく教えてやるよ、俺も理解しきれねぇ個性だしな」

 

「だけどそれだけ派手ならプロになったらすぐに人気でるよな!!」

 

「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なそう」

 

「あぁ!?んだとこら出すわ!!」

 

「ほら」

 

「この付き合いの浅さでクソを下水で煮込んだ性格って認識されてるのってすげぇよ」

 

「てめぇのボキャブラリーはなんだこら殺すぞ!!」

 

(かっちゃんがイジられてる……!!信じられない光景だ!!さすが雄英!!)

 

(クソを下水で煮込んだ性格……ふふっ)

 

上鳴電気という生徒の発言に、内心笑っていた猛だったが、もうすぐ到着という事で、相澤の号令で静かになる一同だった。

 

 

 

 

 

 

「すっげー!!USJかよ!!」

 

到着した施設は、様々な状況を想定してか、水場や林など、他にも多種多様な施設が一つの建物内に作られていて、小さなアトラクションのようにになっていた。

 

「皆さん、お待ちしていました」

 

「わー!!13号や!!私好きなの!!」

 

そこに居たのは、主に災害救助で活躍するヒーロー、13号だった。

 

「ここは水難事故、土砂災害、火事、etc……あらゆる事故や災害を想定した、その名も嘘の災害事故ルーム、略してUSJ!!」

 

(((((USJだった!!)))))

 

「ネーミングどうなってんだ……」

 

雄英高校のネーミングの無さに、猛は心の声を隠せなかった。

 

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせの筈だが」

 

「実は、出勤までに制限ギリギリまで活動してしまったらしく……今は休憩室で休んでいます」

 

「不合理の極みだな……仕方ない」

 

(活動限界まで動いたのか、何やってんだあのおっさん……)

 

他の生徒達には分からない事だが、事情を知ってる猛はオールマイトに若干あきれていた。

 

「ええ、それでは始める前に小言を一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ……」

 

(((((増える……)))))

 

「ええ~、皆さんしていると思いますが、僕の個性はブラックホール、あらゆる物を吸い込んで塵にします」

 

「その個性で、人を救い上げるんですよね!!」

 

「ええ、でも、簡単に人を殺せる個性でもあります、皆さんの中にも、そういう個性の方がいるでしょう」

 

13号の一言に、周りの空気が引き締まる。

 

「この個性社会は個性行使を資格制にすることでかろうじて成り立っています。 相澤先生の授業で個性の使い方を学び、オールマイト先生の授業で個性を人に向ける危うさを知ったと思います。この授業では人命のため、個性をどう使うかを考えていきましょう。みなさんの個性は人を傷つけるためでなく、救うためにあるのだと心得て帰ってくださいな。以上ご清聴ありがとうございました」

 

13号の言葉に、生徒達は拍手を送る。その時、猛だけが異常な気配に気が付いた。

 

(なんだ……?この感じ……殺気か!?)

 

猛は、気配を察知してすぐに動ける体制になる。

 

「それじゃ、まずは……!?」

 

相澤も気が付いたらしく、下の広場に、黒い霧のような物が現れ、そこから何人もの武装した者達が現れる。

 

「一塊になって動くな!!13号は生徒を守れ!!」

 

それを見た相澤は、ゴーグルをして戦闘体制に入る。

 

「なんだあれ?入試の時みたいにもう始まってるのか?」

 

「違うな……あれは……」

 

「動くな!!あれは敵だ!!」

 

「おかしいですね……先日いただいたカリキュラムによれば、オールマイトがいらっしゃる筈でしたが……13号とイレイザーヘッドしかいませんね」

 

「なんだよ……こんだけ大衆連れてきたのに……平和の象徴いないなんて……子供を殺せば来るのかなぁ?」

 

これが、雄英高校の1年A組に襲いかかる、初めての脅威だった。




次回、紅蓮猛vs脳無……の、予定です。


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USJ襲撃、中編

「ヴィランンンンンン!?ヒーローを育成する学校に侵入してくるとか馬鹿だろ!?」

 

突然の敵の強襲に、生徒達は慌て始める。

 

「先生!!侵入者用のセンサーは!?」

 

「もちろんありますが……」

 

「反応してねぇって事は、誰か電撃系統の個性持ちがいるな、そんでセンサーを妨害してる……どっかの馬鹿が考えるレベルの作戦じゃねぇ、用意周到、着々と準備を進めてたんだろうさ」

 

みんなが慌てる中、猛は冷静に分析する。

 

「13号、避難開始、学校に連絡しろ、上鳴も個性使って連絡試せ」

 

「っす!!」

 

「先生一人で戦う気ですか!?先生の個性じゃ一対多数は……!!」

 

敵の中に飛び込もうとする相澤を見て、緑谷が声を上げる。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん」

 

それだけ言って、相澤は敵達と対峙する。首に巻く捕縛武器を使い、敵達の個性を消しながら、確実に一人ずつ減らしていく。

 

「すごい……!!先生は多数との戦闘が、先生の得意分野だったのか!!」

 

「緑谷、分析してねぇで早く来い!!」

 

相澤の戦いを分析している緑谷の首根っこ掴んで猛は出口に向かい始めた。

 

「ちょ、自分で行けるよ紅蓮君!!」

 

「そうかよ、だったらたったと動いて……!?」

 

「させませんよ」

 

避難し始めた生徒達の目の前に、黒い靄のような敵が立ちふさがる。

 

「初めまして、我々は敵連合、僭越ながらこの度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

(は……?息絶えって……オールマイトを、殺すってこと!?)

 

(やっぱりな……だったら、緑谷は死なせられねえ……ワン・フォー・オールを失うのは避けねぇと……)

 

「本来ならばここにオールマイトがいらっしゃる筈、ですが何か変更があったのでしょうか。まぁ……それとは関係なく、私の役目はこれ」

 

「「おらぁ!!」」

 

黒い靄が話していると、切島と爆豪が攻撃を仕掛ける。

 

「その前に、俺達にやられる事は考えなかったのか!!」

 

「馬鹿共が!!どけ!!」

 

「駄目だ二人とも、どきなさい!!」

 

「危ない危ない……そう、生徒といえど優秀な金の卵」

 

二人の攻撃は、黒い靄に全く効いていなかった。そして、黒い靄がゆっくりと生徒達を包むように広がる。

 

「散らして、嬲り殺す」

 

「ちっ!!」

 

猛は咄嗟に近くにいた生徒二人を蹴り飛ばす。そして、そのまま黒い靄に飲み込まれたのだった。

 

 

 

「・・・・・・ここは」

 

気付くと、猛は森林エリアにいた。

 

「俺以外には……こいつらだけか」

 

そして、辺りから身を潜めていた敵達が姿を現す。

 

「へへへ、来たぜ獲物がよぉ!!」

 

「餓鬼一人だけかよ!!つまんねぇぜ」

 

「13人……舐められたもんだな、お前ら如きが俺とやるのかよ」

 

ボォォォォ……

 

そう吐き捨てた瞬間、猛の髪の毛は黒から赤に変わる。

 

「あ!?なんだこのガキ!!」

 

「属性、電撃……落ちろ」

 

バチッ……バチバチバチバチ、バァァァン!!

 

「「「「「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」

 

猛を中心に、紅い電撃が走った。そして、敵達は一瞬にして行動不能にされたのだった。

 

「お前らに時間かけてらんねぇんだわ、早く移動するか」

 

ドンッ!!

 

そして、敵達を蹴散らした後、猛は先ほど相澤が戦っていた広間に走った。

 

(イレイザーは強い、だけどあの数を一人じゃ無理がある……それに真ん中にいた黒い脳みそ剥き出しだった奴は、いやな気配がした……加勢したほうがいいか)

 

少し走り、広間に着くと、先ほどの脳みそ剥き出しの敵に、腕を握りつぶされ、地面に叩きつけられている相澤が見えた。

 

「手を……離せ!!真紅砲拳(スカーレットフィスト)!!」

 

ボォン!!

 

勢いそのまま、猛は脳みそ剥き出しの敵に向けて拳を放つ。敵の腹に巨大な風穴が空く。

 

「紅蓮君!?」

 

「紅蓮ちゃん!?」

 

「紅蓮ンンンンン!?何やってんだぁぁぁぁぁ!?」

 

声のする方を見ると、緑谷、蛙吸、峰田が水の中にいた。

 

「はあ……?なんだよこいつ……躊躇いなく殺しに来やがったじゃん……本当にヒーロー候補せいかよ……」

 

「悪いが、敵相手に手加減出来るほど強く無いんでな」

 

脳みそ剥き出しの敵に攻撃を入れた瞬間、猛は相澤を抱えて距離を取る。体中に手を付けている敵は、首元をガリガリと掻きながらこちらを睨む。

 

「でもまぁ……無意味だけどなぁ……」

 

ジュクジュク……

 

「・・・・・は?」

 

脳みそ剥き出しの敵の腹に空いた風穴が、いやな音を立てながら再生していく。

 

「こいつは対平和の象徴……改人脳無……お前の攻撃は意味がないのさぁ……」

 

手を体中に付けている敵は、猛を見てほくそ笑む。

 

「そうかよ……だったら」

 

ゴキリ

 

「こいつをこの場でぶっ殺す、そうすりゃてめぇの顔をぶん殴れるよなぁ!?ゴミクズ共が!!」

 

「口悪……脳無、殺せ」

 

「かかってこい、首から上を取り外し可能にしてやる」

 

猛は、脳無に向かって走り出した。




回数を重ねるたびに雑になってる……?戦闘時はものすごく口が悪い紅蓮猛君なのでした。最近ワンパンマンを久しぶりに読んで新しいネタが思いついてます。何番煎じかも分からないネタなのでその内設定だけ出しそうです。


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USJ襲撃、後編

「くたばれ、木偶の坊!!」

 

ドォン!!

 

猛は、個性で自分の身体を強化し脳無を思い切り殴る。だが、脳無にダメージは無かった。

 

「こいつ……!!再生系統の個性じゃねぇのか!?」

 

猛は、脳無の攻撃を避けながら距離を取る。

 

「残念だけど……打撃は効かないんだよ……脳無はオールマイトの攻撃を耐えれるように造られた人間サンドバッグだからさ……だけど何でさっきの攻撃は効いてたんだ……?」

 

「教えるかよ、てめぇの足りない頭で考えやがれ!!」

 

ヒュッ!!ドゴォン!!

 

「………っ!!」

 

脳無の拳が、猛の横っ腹をギリギリで掠める。猛の後ろの壁は拳の風圧で破壊された。

 

「おいおい……ふざけたパワーじゃねぇか……オールマイト並かよ……しかも……」

 

ポタポタ……

 

「掠っただけで横っ腹裂けてやがる……クッソ痛ぇ……」

 

「ひひひひひ、だからさ、言っただろ……?お前じゃ脳無には勝てないよ……」

 

体中に手を付けている敵は、嗤いながら猛を見ていた。

 

「そうかねぇ、対平和の象徴だか何だか知らねぇが、物理が効かねぇなら搦め手使うさ……それに、傷なら治せる」

 

ポォォォォ

 

猛は自分の裂けた横っ腹に手をかざす。すると、血が流れていた傷がみるみる内に塞がっていった。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ?身体強化したと思ったら回復まで出来るのかよ……チートかよ……脳無」

 

ブオン!!ドォン!!

 

「っと!!あっぶねぇ……」

 

体中に手を付けている敵が脳無に命令を下し、脳無は猛に攻撃をするが、猛はギリギリで回避する。

 

「属性、電撃、纒」

 

バチッ、バチバチバチバチバチバチ!!

 

猛は、先ほど雑魚敵達を倒した時のように、体に電撃を纏う。

 

「なんだ……?赤い雷……?どういう個性だよ……」

 

「さぁねえ?聞かねえで自分で考えろよ、分からねぇだろうけど、な!!」

 

バァァァン!!

 

電撃を纏った拳で、脳無を殴り飛ばす。

 

「だからさ、打撃は効かないって……」

 

「ぎ、キュァァァァァァァ!!」

 

「は?」

 

先程まで攻撃が全く効いていなかった脳無が、突如苦しみ始めた。

 

「やっぱりな、ショックを無効化、もしくは吸収するタイプの個性、確かにオールマイトにはキツいだろうが、俺なら対処方があるんだ、よ!!」

 

ドォン!!

 

今度は、脳無の頭を電撃を纏った状態で蹴りを入れる。

 

「キョエァァァァァァァァ!!」

 

「お前……脳無に何をした!!」

 

「体内を焼いてるんだよ、電撃を使ってな」

 

「はあ……?脳無には超再生もあるんだぞ……?ただの電撃でそこまで苦しむ筈が……」

 

「ただの電撃なら、な!!」

 

ヒュッ、ドンッ!!グッ、バァン!!

 

猛は苦しむ脳無に、連続で攻撃を入れていく。

 

(俺の電撃は正確には電撃じゃねえ、一発貰えば常に対象に残り続ける。いくら超再生があろうがそれを上回るダメージが入れば細胞は死滅し続ける……見た感じ、痛覚はあるみたいだしな……だけどこれは正直燃費が最悪!!あんまり長くやるとぶっ倒れる!!速攻で決めるしかねぇ!!イレイザーの方もヤバそうだしな!!)

 

少し離れた先にいる相澤の状態を見た猛は、勝負を長引かせるのは良くないと判断した。

 

ガァン!!

 

「キュア!?」

 

脳無の顎に猛のひざ蹴りが直撃する。猛はそのままたたみかける為に連続で攻撃をし続ける。

 

「そろそろ、立つのも辛いか!!脳みそ野郎!!」

 

バチィン!!

 

猛の肘打ちがまた脳無の顎に直撃する。その一撃で、脳無は膝を付く。

 

「とどめだ!!真紅砲……」

 

ガシッ

 

「あ?」

 

ピシッ、ピシピシピシピシピシ

 

「調子に乗りすぎだよ……お前」

 

拳を構えた猛の右腕を、黒い靄を通して手を体中に付けている敵の手が掴む。掴まれた所が、次第に崩れていく。

 

「やっば!!」

 

「紅蓮君!!前!!」

 

ズゴン!!

 

「ごっ……!!」

 

その手を振り払おうと、拳を収めた猛の腹に、脳無の拳が突き刺さる。緑谷が気付いた様だったが、少し遅かった。

 

ドッゴォォォォン!!

 

猛は、そのまま、辺りにあった木をなぎ倒しながら、壁に叩きつけられた。

 

「はあ……やっと死んだか……いいアシストだったよ黒霧」

 

「いえ、奴のせいで脳無を戦闘不能にされても困りますから」

 

「でもまあ……生徒が一人逃げたなら……プロの応援が来るよなぁ……さすがに何十人のプロは相手に出来ないし、帰ろっか、生徒を一人殺せたし」

 

「そうですね、死柄木弔」

 

黒霧という敵と死柄木と呼ばれた敵は、猛が死んだと思っていた。

 

「ぐ、紅蓮君……そんな……」

 

「け、ケロォ……」

 

「おいおいおい……や、ヤバいって……」

 

近くで見ていた蛙吸、峰田、緑谷も顔を真っ青にしていた。

 

「ああ、でも……平和の象徴の矜持……もう少し折ってから帰ろう!!」

 

ビュン!!

 

そして、死柄木は、近くにいた蛙吹の元に一瞬で近付き、蛙吹の顔に手をかざそうとする。

 

「おい」

 

「「「「「!?」」」」」

 

だが、その行動は、後ろから聞こえた猛の声で中断された。

 

「お前、生きて……!?」

 

ズドン!!

 

「がっは……!!」

 

「死柄木弔!!」

 

猛は、驚いた死柄木の腹に蹴りを入れて、3人から距離を取らせた。

 

「紅蓮君!!無事、で……」

 

「無事なわけ、無いだろ」

 

緑谷達は驚愕していた。自分達を助けた猛は、体のあちこちから血を流していて、触られた右腕はボロボロになっており、左足がおかしな方向に向いていた。

 

「お前ら、イレイザー連れて、この場離れろ」

 

「な、駄目よ紅蓮ちゃん!!そんな怪我してるのに……!!」

 

「そ、そうだよ紅蓮、動けるんだったら、お前だって……!!」

 

「俺以外に誰が、あのデカ物相手に出来んだよ、ここで押さえとか無いと誰かが殺される。それに、お前らがいた方が動きにくい」

 

「で、でも!!紅蓮君、足が……!!」

 

「こんな、もん、ふんっ!!」

 

バキッ!!

 

猛は、折れている左足を無理矢理元の方向にはめる。

 

「そ、そんな無理矢理……」

 

「はあ……痛ぇ……何で生きてんの、お前……」

 

死柄木は蹴られた腹を押さえて猛を睨み付ける。

 

「生憎、俺は簡単にくたばる性分じゃねぇんだわ……」

 

「あっそ……だけどもう死にかけだろ?脳無、とどめをさせ」

 

そうして、脳無は猛達の元に向かって来る。

 

(仕方ねえ……動けなくなるがこいつは止めておかねえとやべぇ!!残りの全エネルギー使う!!)

 

パンッ!!

 

「属性転換、氷結!!」

 

ピキッ、ピキピキピキピキピキピキ

 

猛が手を叩くと、その手から少しずつ氷が出始める。

 

「悪いな、奥の手使う……凍ってろ、氷結大牢獄(アイスエイジ)!!」

 

ピキピキピキピキピキピキ……ピキャァン!!

 

「は……?なんだ、これ……」

 

猛が手を振り抜くと、脳無を巻き込み、巨大な氷の柱が出来る。

 

「ごっふぁ!!」

 

ビシャッ

 

その直後、猛は吐血しながら膝を付いた。

 

「はぁ、はぁ、ゴフッ」

 

「紅蓮ちゃん、しっかり!!」

 

「な、なんだ紅蓮、この氷……赤くねぇか?」

 

猛が出した氷は、若干赤みがかっていた。

 

「お前……なんだよこれ!!何で崩れない!!」

 

死柄木がいくら氷に触れようが、氷は崩れる様子を一切見せない。

 

「これは、正確には、氷じゃ、ねぇ、壊れるとかいう、概念は、ねぇ、俺が解除しなきゃ、一生、このまま、だ」

 

「クソ、クソクソクソクソ!!訳が分からねぇ個性だな……でも、だったらお前が死ねば、解除されるよな?」

 

(正解、真面目にヤバい、オーラ全部使っちまったからもう動けねえ……肋骨もかなり折れてる、肺に刺さってるのか知らねぇが息がしづらい……どうすっか……)

 

「黒霧、手伝え……あの子供達を殺す」

 

「分かりました」

 

そうして、死柄木と黒霧が向かって来る。

 

「ひゃぁぁぁぁ!?やっぱ逃げるべきだっただろぉ!?」

 

(どうするどうするどうする!?紅蓮君は動けない!!一撃入れても隣のワープの個性がある!!どうやってこの場を……!?)

 

緑谷がそうして考えていると

 

ドゴォン!!

 

突如、USJの扉が吹き飛ばされる。

 

「もう大丈夫!!何故って!?我々が来た!!」

 

そこには、オールマイトを含めた、雄英の教師達がいた。

 

「オールマイトォォォォォ!!」

 

「あーあ、来ちゃったよ……ラスボス……脳無は駄目か……帰って出直すか、黒霧……」

 

ズガンズガンズガン!!

 

死柄木の両手足に弾丸が撃ち込まれる。

 

「死柄木弔!!くっ!?これは、吸い込まれる……13号!!」

 

負傷した死柄木をかばうように、ワープゲートを開く黒霧だが13号がブラックホールで吸い込み捕獲しようとする。

 

「クソ……今回は失敗したけど……次は殺すぞ……平和の象徴……お前もだ……餓鬼!!」

 

そう言い残し、黒霧と死柄木は消えた。

 

「げほっ、なんとか……助かっ……た」

 

ドチャ

 

それを見届けると、猛は意識を失い倒れた。

 

「紅蓮君!!」

 

「紅蓮ちゃん!!」

 

「うぉぉぉぉ!!死ぬな紅蓮んんんんんん!!」

 

「揺らしては駄目だ峰田少年!!紅蓮少年!!しっかりするんだ!!紅蓮少年!!」

 

その後、残っていたUSJ内の敵達は教師達が倒し、重傷なのは13号とイレイザーヘッド、そして猛のみだったが、全員命に別状は無かったのだった。




うわぁ、雑で申し訳ない。あと、かなり原作改変して申し訳ない。原作のここ大好きなんですけど、オリ主いるし変えた方が良いかなと……ちなみに脳無はこのあと猛が目を覚ますまでコチコチです。後、前回言ったワンパンマンとの少しだけクロスオーバーネタも設定だけ出しておこうかなと思ってます。


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戦い終わり、病院での一幕

「・・・・・・・・・んぐぅ、イテテテ……」

 

猛が目を覚ますと、そこには白い見覚えのない天井の部屋だった。

 

「あー……何処だ、ここ……イテテテ」

 

ベッドに寝ていた猛は、上半身を起こすが、自分の体に走る鈍い痛みにもだえる。

 

「生きてた、か……ふう……」

 

「起きたか」

 

「うおっ!?あだっ」

 

部屋の窓の近くには、包帯でぐるぐる巻きにされた相澤が立っていた。

 

「あまり動くな、まだばあさんの個性で回復仕切れてない」

 

「いや、それあんたが言う?自分の怪我理解してるか?」

 

「お前ほどひどくはねぇ、たくっ、無茶しやがって」

 

「どう見てもあんたの方が怪我ひどいだろ……俺は無茶しなけりゃならねえ時しか無理しないよ」

 

そう言って、猛は改めてベッドに横になる。

 

「まあ……お前のお陰で死者はゼロ、怪我人もお前と俺、13号くらいしか重傷なのはいない」

 

「そりゃ良かった、あそこであのデカ物なんとか止められて良かったわ……所で今何時?ここ何処?」

 

「午後の8時だ、ここは病院」

 

「マジ?5時間以上寝てたわけ?」

 

「いや、29時間だ」

 

「マジかよ」

 

相澤の言葉に、丸一日以上意識を失っていた事を伝えられ、かなり動揺する猛だった。

 

「かなり意識飛んでたのね、死ななくて良かった」

 

「ああ……すまなかったな」

 

突如、謝罪と供に相澤が頭を下げる。

 

「は?なにが?」

 

「俺がやられたせいで、お前に無茶させた、結果的にお前は生死を彷徨う事になった、全て担任である俺の責任だ」

 

「いや、あいつはオールマイトの対抗策って事で敵達が連れてきたんだろ?そこまで気を落とされても困るぜイレイザー」

 

「だとしてもだ、本来は守られるべき生徒が教師を守り、しかも死にかけたんだ、謝罪はすべきだろう」

 

「そういうもんかねぇ……」

 

猛は、ベッドに横になりながら、相澤の事を見る。

 

「それと、これは単純に聞きたい事があるんだが……お前、その体の傷、どうしたんだ?」

 

治療された時に分かったが、猛の体は細かい傷跡だらけだった。

 

「昔、いろいろあった……とだけ、今は」

 

「・・・・・・・教える気は無い、か?」

 

「今は、まだね、その内教えるさ……もう少し寝る」

 

そう言って、猛は相澤に背を向ける。

 

「・・・・・・分かった、今は体を休めろよ」

 

そう言って、相澤は病室から出て行こうとする。

 

「ああそうそう、お前のご両親、妹さん、B組の取蔭と柳がずっと心配してたから、明日来ると思うぞ、覚悟しとけ……それと、なるべく相澤先生と呼ぶように」

 

それだけ言い残して、相澤は病室から出て行った。

 

「・・・・・・・・忘れてた、静香まで来るのか……騒がしくなりそうだな……」

 

憂鬱になりながら、猛はもう一眠りするのだった。

 

 

翌日、猛の病室は、昨日とは比にならないくらいに騒がしくなっていた。

 

「お”兄ぢゃん”~!!無事でよがっだ~!!」

 

「猛の馬鹿!!何でこんな事になる怪我するのよ!!話を聞いたとき心臓止まると思ったわ!!」

 

「本当に……無事で良かった……」

 

「お前らうるせえよ!!病院では静かにしろよ!!」

 

猛の病室には、妹の静香、取蔭と柳が朝から来ていた。

 

「つうか、学校はどうしたよ、サボりか?」

 

「昨日と今日は臨時休校になったんだよ、敵が侵入してきたからって」

 

「私はサボった!!」

 

「おいこら、ヒーロー目指すならサボるな」

 

猛は、静香の頭にげんこつを落とした。

 

「てか、親父達は?来てねぇの?」

 

「いたたた……来てたよ?だけど病院のお医者さんと話すって」

 

「やれやれ……まあ、今日には退院出来るらしい、問題ねぇよ」

 

猛は、崩壊していた右腕をぶんぶんと振って無事をアピールした。

 

「あんまり無理しない!!昔から怪我しても無茶ばっかりするんだから!!」

 

「紅蓮は、もっと自分の体を大事にするべきだよ」

 

「うんうん!!そのとーり!!」

 

「はあ……わぁったよ、だから、もう泣くなよ切奈」

 

気付けば、取蔭は静かに泣き始めていた。

 

「切奈……大丈夫?」

 

「あー!!お兄ちゃん泣かした~!!」

 

「だからな……分かった分かった、今度からはこんな入院しねぇように気を付けるから」

 

「ぐすっ……約束だよ?」

 

「ああ、どこまで守れるか分からねぇけど」

 

「そこはしっかり守るの!!」

 

「紅蓮……約束は守ろう?」

 

「針のむしろ過ぎる……」

 

その後、合流した猛の両親からも説教を受け、猛は終始げんなりしていた。




遅くなり申し訳ない、それと、最近呪術廻戦の方も熱が上がって来てしまい、ワンパンマンとのコラボよりも先にそちらを作りたくなっております、私です。


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迫る体育祭、秘密を知る訳

雄英高校、休み明けのその日、猛以外全員の生徒は教室に集合していた。

 

「なあ……誰か紅蓮の事聞いてねぇの?」

 

「ケロ……紅蓮ちゃん」

 

「紅蓮……おいら達をかばって……」

 

だが、クラスにはいつもの活気は無く、特に峰田、蛙吹、緑谷の表情は暗かった。

 

「だ、大丈夫だよ!!きっと戻ってくるって!!」

 

「で、でもよぉ……あいつ、めっちゃ血を吐いてたんだぜ……?あんなボロボロで……」

 

「紅蓮君……」

 

「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」

 

ガラッ

 

「あ?なんだこの空気、お通夜か?」

 

そんな事もつゆ知らず、猛はいつもの調子で教室に入ってくる。

 

「「「「「紅蓮ンンンンンンンン!?復活早っ!!」」」」」

 

「うわうるさっ、なんだなんだ、なんかあったのか?」

 

「そりゃこっちのセリフだわ!!お前無事だったのかよ!!」

 

「紅蓮ちゃん、体は大丈夫なの……?」

 

「ぐ、紅蓮君!!無事で良かった!!」

 

峰田、蛙吹、緑谷は猛の傍に駆け寄る。

 

「あー、俺は自分で治癒が出来るからなぁ、死にかけはしたが、問題はねぇよ」

 

問題無くはねぇだろ、みんなはそう思ったが、この男には常識は通用しないようだった。

 

「それよりもほれ、早く座れって、もう朝礼始まるぞ」

 

「そういえば、相澤先生の代わりは誰か来るのか?」

 

「そりゃ相澤先生も重傷だったしな……」

 

ガラッ

 

「おはよう」

 

みんなの心配も他所に、包帯でぐるぐる巻きにされた相澤が教室に入ってきた。

 

「「「「「相澤先生も復帰早ぇぇぇぇ!?」」」」」

 

「相澤先生、無事で良かったわ」

 

「無事では無いと思うが、やっぱまだ病院で寝てた方が良くねぇ?」

 

「俺の安否はどうでもいい、それに、まだ戦いは終わってない」

 

「まさか……」

 

「また敵が……!?」

 

相澤の言葉に皆に緊張が走る。

 

「雄英体育祭が迫ってる……!!」

 

「「「「「クソ学校っぽいの来たぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」

 

「うわうるさっ」

 

だが次の言葉で、一気に教室が沸き立つ。

 

「待って待って!!敵に襲撃されたばっかりなのに問題無いんですか!?」

 

「逆に開催する事によって、雄英の盤石さを示すらしい。だが、警備は例年の5倍にするそうだ……それに、内の体育祭は最大のチャンス、敵如きで中止していい代物じゃねぇ」

 

「いやそこは中止しよう……?体育の祭りだよ……?」

 

「峰田くん、雄英体育祭見たこと無いの?」

 

「あるよ!!そういう事じゃなくてさぁ……!!」

 

「プロヒーローで有名になりたけりゃ雄英体育祭でプロヒーローに見て貰う事が一番手っ取り早いからな、ただでさえ3回しかないのに中止したらあれなんだろ」

 

「そういう事だ」

 

相澤は猛の言葉を肯定する。

 

「ちなみに、1年の選手宣誓、主席の紅蓮がやることになってるからな」

 

「だっっる」

 

「文句を言うな」

 

「あーい」

 

「伸ばすな」

 

そうして、朝礼は終わり、午前は終了したのだった。

 

「だけどよぉ、あんな事があったけどよぉ、やっぱ楽しみだよな!!」

 

「障子はいいよなぁ、そのガタイでいやでも目立つからなぁ」

 

「自分の有用性を知ってもらわないと意味が無い」

 

(全員気合いが入ってるねぇ……さて、と)

 

猛は、いつもの屋上ではなく、応接室に向かっていた。

 

ガラッ

 

「ちぃーっす、来たぞ~オールマイト」

 

「ああ、すまないな紅蓮少年、病み上がりで」

 

「ええ!?ぐぐ、紅蓮君!?」

 

中に入ると、いつものムキムキではなく、ガリガリになったオールマイトと緑谷が座っていた。

 

「お、オールマイト、良いんですか!?」

 

「ああ、紅蓮少年は私の秘密を知っている数少ない人物だからね」

 

「ワンフォーオールの事も知ってるぞ~」

 

「え……ええ!?」

 

あまりの事に、緑谷は驚愕が隠せずにいる。

 

「驚き過ぎ、やかましいわ」

 

「だ、だって、なんで知ってるんですか!?」

 

「そりゃ簡単、ワンフォーオールは元々、俺が継ぐ話があったんだよ」

 

「え………えぇぇぇぇぇぇ!?」

 

緑谷出久にとって、衝撃の事実が発覚したのだった。




気が付けばかなりのお気に入りとUAありがたいです。自分で見ても雑なので、ここの場面はもっと詳しくみたいなどがあれば教えていただきたいです。


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主人公との特訓、開始

「そんなに驚く事かね」

 

「驚くよ!!え!?紅蓮君が、本来ワンフォーオールを……」

 

未だに驚いている緑谷に、オールマイトは説明を始める。

 

「ああ、君に出会う1年前さ、私が後継を探し始めた頃にね……断られてしまったが」

 

「ど、どうして……?」

 

「そりゃ、人柱になる気は無いからさ」

 

「ひ、人柱……」

 

猛は、普段と何も変わらず、だが真剣に話し始めた。

 

「平和の象徴、敵だろうが災害だろうが、どんなピンチでも笑って解決する最高のヒーロー……世間のオールマイトに対するイメージはそうだな?」

 

「う、うん!!僕も小さい頃から憧れて……」

 

「そう、誰でも憧れる……だから理解しない」

 

「理解、しない……?」

 

猛の言葉に、緑谷は疑問を抱いた。

 

「それって、どういう事……?」

 

「簡単な話だ、誰もオールマイトが負ける事なんざ考えられて無いんだよ、だからヒーローを目指す」

 

「だから、ヒーローを……」

 

「そう、自分が負けてもきっとオールマイトが解決してくれる、たとえ自分が死にそうでもオールマイトが来てくれる、そんな甘えが現行ヒーロー、ヒーロー候補生の心には染みついてる」

 

猛の言葉に、緑谷は衝撃を受けた。確かに、オールマイトなら助けてくれる、そう思っている人達が大多数なのは分かるからだ。

 

「だがオールマイトだって人だ、怪我もするし病気もする、いずれは……死ぬ」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「それが分からない奴が、ヒーロー側には少な過ぎる……なあ、オールマイト、あんた後どれくらいフルパワーで動けてられる?」

 

「・・・・・恐らく、1時間も無いだろう、マッスルフォームだけなら2時間くらいは持たせられるが……」

 

「1時間……」

 

オールマイトの弱体化の進み具合に、緑谷の表情が曇る。

 

「俺はなぁ、緑谷、そんな世の中を変えたいんだよ、誰もが平和の象徴たり得る力を持てば、この世界はもっと平和になるはずだ……だから受け取らなかった、平和の象徴にはなってはいけないから」

 

「平和の象徴に、なってはいけない……」

 

「だからさ、緑谷、まずはお前に強くなって貰う、だから俺が来たのさ」

 

猛は、緑谷の前に腕輪のような何かを出した。

 

「これは?」

 

「特殊な重り、手足に付けてみな」

 

「う、うん」

 

緑谷は猛の指示通りに重りを両手足に付ける。

 

「取りあえず……5倍でいっか」

 

ピッ、ガツン!!

 

「おっ!?」

 

「緑谷少年!?」

 

猛が手元にあった機械を操作した瞬間、緑谷は崩れ落ちる。

 

「お、おおおおも……」

 

「紅蓮少年、やり過ぎでは!?」

 

「うーん、最初から5倍は重かったか、2倍にするか」

 

ピッ

 

「あ……少し、楽に……でも、重い」

 

「これは内の両親の会社で作られてる特殊な重りでな、両手足に付けて起動させると全身に設定した倍率の重さがかかるんだわ、寝るときと風呂入る時以外は付けてな」

 

「す、すごい……!!こんなに便利なもの、貸してくれるの?」

 

「ああ、なんだったらくれてやるよ、それ中古品だし」

 

「そ、それは悪いよ!!ていうか、紅蓮君のご両親ってサポート会社か何かに勤めてるの?」

 

「ああ、聞いたことねぇ?クレナイコーポレーション、内の両親そこの社長」

 

「ええ!?そんな大手サポート会社の!?」

 

「ああ、それと、明日放課後体育館に来てくれ、やりたい事があるし、オールマイトも来いよ」

 

「それはいいが、何をするのかね?」

 

「何か?決まってんだろ」

 

猛は、口角を上げながら言う。

 

「個性の使い方を教えるんだよ」




お久しぶりです、新生活への準備で忙しくなってました。これからもまちまち投稿します。それとタグ増やします。敵側もやるのを忘れてたのでその内やります。


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宣戦布告を受ける、訓練が物騒

猛と緑谷、オールマイトの3人の話が終わり、その日は普通に授業を終えた……のだが。

 

「な、何事だぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

皆が帰ろうとしていると、1-Aの教室に、他の科の生徒達が押し寄せていた。

 

「君達、A組に何か用かな?」ビシッ

 

「なんだよ、出れねーじゃん、何しに来たんだよ!!」

 

「敵情視察だろ、雑魚」

 

(邪魔くせぇな~)

 

峰田の一言に、爆豪がキツい言葉で返す。

 

「敵の襲撃を耐えきった連中だからな、体育祭の前に見ておきたいんだろ……そんなの意味ねぇから、どけモブ共」

 

「知らない人のことモブって言うのやめなよ!!」

 

(無理だろ)

 

腕を振りながら、飯田は爆豪に注意する。そして、けだるそうな生徒が一人見に来ている奴らを押しのけ出てくる。

 

「どんなもんかと見に来たがずいぶん偉そうだなぁ。ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ……普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ知ってた?体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって その逆も然りらしいよ………敵情視察?少なくとも俺は調子のってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」

 

「・・・・・・・へえ」

 

その言葉に、興味なさげだった猛は口角を上げてその生徒に近付く。

 

「ははは、随分でけぇ口叩くじゃねぇか、ええ?いいねえ、面白え、お前、名前は?」

 

「・・・・・・心操人使、だけど」

 

「心操、いいぜ、お前は俺が直々に叩き潰してやるよ……紅蓮猛だ、覚えておきな」

 

そう言って、猛は他の生徒達をかき分けて教室の外に出た。

 

「紅蓮……怖……」

 

残された生徒達や、A組の生徒(一部除く)の心境は一致していたのだった。

 

「おつおつ~、災難だった……どしたの?猛、嬉しそうにして」

 

A組の混雑具合を見て、迎えに来ていた取蔭が猛の顔を見て疑問に思う。

 

「くっくっく、いやなに……なかなか骨のありそうな奴がいるなと、思っただけだよ」

 

「すんごい悪人顔、今の顔で外に出たら捕まるんじゃない?」

 

「お?今日は歩いて帰りたいみたいだな」

 

「ごめんなさい」

 

そうして二人は、軽口を叩きながら、いつものようにバイクに乗って帰るのだった。

 

「あ、明日用事があるから電車で先に帰ってくれよ」

 

「なになに?デート?」

 

「殴ろっかぁ?」

 

 

翌日の放課後、緑谷とオールマイト、そして猛は体育館を借りて準備運動をしていた。

 

「あの、紅蓮君、個性の使い方を教えてくれるって、一体どういう……?」

 

「そのまんまの意味だよ、お前は生まれてからついこの間まで無個性だった。だからお前は個性の使い方を間違えてる。そこを治すんだよ」

 

「間違えてる……?」

 

猛の言葉に、緑谷はよく分かっていなかった。

 

「オールマイト、これからかなり手荒い事をするが……手を出さずに見ててくれよ?あんたの出番はこの後何だからな」

 

「紅蓮少年……?どうする気なんだい?」

 

「まあ……まず手始めに」

 

ゴキッ、コキッ

 

猛は、拳を鳴らし口角を上げながら……

 

「ボコボコにぶちのめしてやるよ」

 

物騒な事を言い始めた。




新生活辛いですが、これからもたびたび投稿します。


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訓練開始、あざだらけにする

長らく投稿せず申し訳ございません。これからもちまちま投稿を続けていきますので、よろしくお願いします。


「な、何を言ってるんだい紅蓮少年!!そんな危険な事を……!!」

 

「悪いがオールマイト、俺は感情論やら根性論やらが大嫌いなんだわ、遅れまくってるこいつに綺麗事並べても仕方ねぇ、必要だからやるんだよ」

 

猛は何処までも現実主義者、聞き心地のいい言葉で濁すような事はしない。

 

「ま、待って待って!!ボコボコにするって、何で突然そんなことに……」

 

「だから、必要だからだよ、ボコボコにするとは言ったが、一方的に殴られろとは言ってねぇ、ようは俺の攻撃を避けつづけて反撃してこい。個性を使ってな」

 

そう言って、猛は重心を前傾に傾けて、構えを取った。

 

「構えろよ、大怪我したくなきゃ、な!!」

 

ヒュッ、ドゴッ

 

「がっ……」

 

猛の拳が緑谷の腹にもろに入る。たまらず緑谷はうずくまる。

 

「だから言ってんだろ、構えろ」

 

「待って、てば!!個性の使い方、間違ってるって……何処が間違ってるのか教えてよ、突然殴られても分からないよ!!」

 

「時間があればそうするが、体育祭まで時間がねぇ……だが、確かにヒント位はくれてやった方が良いか……ヒント、俺とオールマイトの動き方」

 

「紅蓮君とオールマイトの、動き方……?」

 

「もっと言えば戦い方だが……これ以上は自分で考えろ、よっ!!」

 

ヒュッ

 

「うわぁ!?」

 

猛が緑谷めがけて蹴りを放つが、緑谷は転がって避ける。

 

「反撃しねぇと血まみれになるぞ、個性使えよ」

 

猛は転がっている緑谷を、見下ろしながら言った。

 

「紅蓮少年!!やはりこれは無茶苦茶では……!?」

 

「黙ってろオールマイト、個性の使い方は考えてからじゃ遅いんだよ。それにこいつの使い方……体ぶっ壊れてからじゃ遅いだろうが」

 

猛は首を回しながら緑谷に近づいていく。

 

「緑谷、お前言われてたよな?イレイザーに、焦れよって……本当に焦ってるのか?お前、クラスでダントツ遅いんだぞ?無茶ぐらいしてみろよ」

 

「・・・・・・・・僕だって、焦って無いわけじゃない!!」

 

緑谷は立ち上がりながらそう言った。

 

「だったら見せてみろよ、たくっ……もう少しヒントやるか」

 

猛は右手にオーラを集め始めた。

 

「これがお前の個性の使い方、エネルギーを一カ所に集めて全ぶっ放、対して俺とオールマイトは?これ以上はまじで言わねえぞ」

 

そう言うと猛は右手のオーラを拡散させた。

 

「僕の使い方……紅蓮君とオールマイトは……そうか!!紅蓮君とオールマイトは一カ所に力を集中させてる訳じゃ無い!!」

 

「そう、お前はワンフォーオールの力を一カ所に溜めて使ってる。だから許容上限でもぎりぎりになる。だがオールマイトは?そんなラグ無いだろ、全身にまんべんなく力を入れる。そうすりゃ負担も拡散するし動きも自由が利く……てか最初に教えろよ継承したのあんただろオールマイト」

 

「うぐっ!!」

 

猛はじとっとした目でオールマイトを見つめる。その目にオールマイトは少し縮こまる。

 

「い、いやぁ、自分で気付いた方が力になると思ったし……それに、継承出来たの受験の日当日で」

 

「だったら受験後の合否発表の後時間があっただろうがそれに今年まで個性無かった奴がこんな特殊な個性扱いきれるわけねぇだろうが誰もがあんたみたいに最初から100%の力を扱える訳じゃねぇんだよもっと責任感を持て!!」

 

「はい……」

 

(オールマイトが説教されてる……)

 

すっかり縮こまるオールマイトだが、そんな事を気にせず猛は緑谷の方にむき直す。

 

「おら、気付けたんだからやってみろよ」

 

「う、うん……個性を、一部ではなく、全身に……!!」

 

ビリッ、パチパチッ

 

猛の言葉と供に、緑谷は全身に個性を纏わせる。

 

「これ、想像よりキツい……!!」

 

「だけどそれが正しい個性の使い方だ、とりあえず今の上限で普通に動けるようになれよ」

 

「これが正しい使い方……ワンフォーオール、フルカウル!!」

 

「いや名前はどうでもいい……さて、んじゃあ本番だ」

 

ピリッ

 

猛も全身にオーラを纏わせる、そして、髪が赤く染まる。

 

「今からちゃんと攻撃するから、防ぎつつ反撃、今度はしっかりしろよ?」

 

「う、うん!!」

 

「オールマイト、いつまでもしょぼくれてねぇでしっかりしとけよ」

 

「う、うむ、して紅蓮少年、私は一体何を……?」

 

「何を?はっ、決まってるだろ……緑谷を保健室に連れてくんだよ、後でな」

 

「「え?」」

 

その言葉を最後に、猛は攻撃を始めた。緑谷は抵抗するが……さすがに経験値が違いすぎた結果、全身に青痣作るはめになったのだった。その緑谷を保健室に運ぶ最中、オールマイトは思った。

 

「あれ?私が居た意味……これだけ……?」




いやぁ、雑で申し訳ない。でもやっぱり、オールマイトって教師に向いてないんですよね多分……ナチュラルボーンの天才だからですかね。ちなみに今風に罵倒されてますが、オールマイトの事は全然嫌いじゃありません。やり方は正しいとは思えないだけで。


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家での一幕、体育祭を迎える

「割と遅くなっちまったかな、他にもいろいろ準備してたし……反省反省」

 

緑谷との戦闘訓練の後、効率のいい身体能力の上げ方、先日渡した重りの設定を変更出来るリモコン等を渡していたので少し帰るのが遅くなった猛だった。

 

ガチャッ

 

「たでぇま~帰ったよ~」

 

「あ、お帰り猛」

 

「本当に一緒に暮らしてるんだ……お邪魔してます」

 

「初めまして、お邪魔してます」

 

家に入ると、取蔭の他に、柳ともう一人、サイドテールの女の子が居た。

 

「あれ、柳じゃん、後は……どちらさん?B組の人?」

 

「そうだよ、拳藤一佳っていうんだ、よろしく」

 

「おーよろしく、紅蓮猛だ」

 

そう言って猛は荷物を置くと着替えるために自分の部屋に行った。

 

「猛が遅いからさ~、暇だし呼んじゃった」

 

「悪かったよ、訓練に付き合ってたら遅くなっちまった」

 

「へぇ、珍しいね、猛が誰かの訓練に付き合うなんて」

 

「そうでもねぇだろ」

 

そうして、猛は着替えてリビングの床に座る。

 

「紅蓮、怪我の方はもう大丈夫なの……?」

 

「そう言えば、大怪我した奴がいるって噂になってたっけ、紅蓮だったんだね」

 

「噂になってんのかよ……大丈夫だ、リカバリーガールに治してもらったし、俺自分の個性で治癒出来るし」

 

「へえ、万能……」

 

「昔はそうでも無かったのにね~」

 

キッキンの奥から、四人分の飲み物を持った取蔭が出てくる。

 

「猛はさ~、昔は個性使うたび怪我してたよね、かなりの頻度で」

 

「そうだな~、筋肉が弾けるのはもちろん、骨折とかしまくってるから、骨が若干歪んでのな、俺」

 

「大丈夫なの?それ」

 

「まあ、大丈夫ではねぇけど、問題はねぇよ……それよかお前ら、もう結構遅いが大丈夫か?」

 

猛が時計を指さすと、既に時間は六時を過ぎていた。

 

「そうだね、あんまり遅いとあれだし、帰ろっか」

 

「うん、そうしよ」

 

「送ってやろうか?もう結構暗いぜ?」

 

「大丈夫だよ、あたしらだってヒーロー科だし、駅からもそこまで遠く無いしさ」

 

「気持ちだけで」

 

「拳藤、レイ子、また来てね~」

 

そうして、二人は帰って行った。

 

「ふわぁ、寝みい」

 

「・・・・・・・ねえ、猛」

 

「ん……どうしたよ、切奈」

 

先程までとは打って変わって、取蔭は真剣な顔で猛に話しかける。

 

「もしさ、今度の体育祭、私が勝ったら……話したい事があるんだ。聞いてくれる?」

 

「・・・・・・いいよ、その代わり、俺が勝ったら俺の話を聞けよ……俺も、言いたい事がある」

 

取蔭の言葉に、猛も真剣な表情で答える。

 

「うん、もちろん……所で、選手宣誓猛でしょ?何を言うの?」

 

「あ~……喧嘩、売ろっかな」

 

そして、あっという間に時間は過ぎ、体育祭本番を迎える事になる。




なんとなく分かるかも知れませんが二人とも両想いなんですわね。だからそうそうにくっつけて取蔭を泣かしたいんだ。そういう癖なんだ、私は。


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再編のお知らせ

みなさま、お久しぶりでございます。かなりの間投稿してなくて申し訳ありません。私生活でちょっと面倒ごとが起きたり体調崩したり怪我したりてんやわんやしてたんですが、ようやっと時間が取れたのでちょっとづつ投稿を再開していこうと思っております。

 それに伴い、傷が多い少年のアカデミア、タイトルとかを一新して内容を新しく作り替えようと思います。理由としては、まず主人公は確かに傷だらけですが、それが何か意味あるのか?と考えて、意味は特にないことに気づきました。この主人公のコンセプトとして、特に重たい過去を持ってるわけではないけど最強な夢主、なわけでして、じゃあもっとそれを表したほうがいいよな、と思い立った次第です。

 そしてもう一つの理由としましては、主人公が思ったより弱いことですね。物語序盤からもっと強くして最強にしちゃっていい気がしまして、決してミルコの両腕捥げてるのきついなとかミッドナイト死んでるの悲しいな救済してあげたいなとかそういった理由ではないんですよ。ただもうちょっと主人公の火力とか破壊力とか上げてやりたいなと思ったわけです。

 あとは、改めて見返すとかなり雑すぎること、青山君がいないのはまずいことに気が付いたりとかですね、あと家族関係に関することとかももうちょいひねれるなと思っています。そのため、登場人物とかは出さないけどほかの作品の設定を少し取り入れて主人公を強化しようと思っています。だけど以前に投稿していた内容のほうを続けて投稿してほしいという人もいるかはわかりませんが、面白いと言ってくれた人がいるのも無視するのはどうかと思うので、少しアンケートを取らしていただきたいです。アンケート内容としては

 

①以前投稿していた内容から変えずに、続きから投稿してほしい

 

②内容・タイトル再編集で全然いいよ新しく投稿しちゃって問題なし

 

この二択になります。ちなみに仮に主人公を強化するとなった場合、取り入れられる内容としては、ケンガンアシュラ・ケンガンオメガより、先の先、超人体質、狐影流、怪腕流、二虎流、呉一族の技、呪術廻戦の反転術式が出てきたりします。別に主人公が全部使うわけではなく

 

 

主人公、超人体質、怪腕流、反転術式、狐影流(羅刹掌)

 

主人公妹、超人体質、狐影流(瞬き)

 

取蔭切奈、二虎流(途中から)

 

オリキャラ、二虎流、呉一族の技

 

 

こんな感じです。ちなみに主人公、主人公妹以外にももう一人オリキャラとありますが、別に王馬さんではないです、どちらかといえば立場的にはムテバさん的な感じの人です。あと多分この人はほぼ出ません、あまりぐちゃぐちゃにしたくないので。あとはほかにも普通に格闘技の技やら武器術やら出てきます。こんな感じでぐちゃぐちゃになるので、アンケート協力お願いします。




ちなみに主人公は紅蓮猛、妹は静香のことです。


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体育祭の始まり、選手宣誓

また少しお待たせして申し訳ございません。そしてアンケートの協力ありがとうございます、まさかの前回の続きからというのが多くて驚きました。再編に使う予定だった設定は今度別の小説で使います。


体育祭当日、1-A控室

 

「みんな準備はいいか!?もうすぐ入場だ!!」

 

「コスチューム着たかったなー」

 

「公平に期す為着用不可なんだよ」

 

本番を目の前に、各々が集中力を高めている中

 

「ふわぁ……ねむ……」

 

猛は普段通り、気だるげな感じに座っていた。

 

「紅蓮君、すごいいつも通りに見えるけど、緊張しないの?」

 

近くで座っていた緑谷は緊張してガチガチになりながら猛に話しかける。

 

「別に緊張なんざしねえよ、こういうのは普段通りに動ける奴が勝つんだから」

 

「な、なるほど……」

 

「ま、緊張のしなさすぎも問題だからそろそろ気を張り始めようとは思うが…お前は緊張のしすぎだ、よっ!!」

 

バチィン!!

 

「いったぁ!?」

 

猛は、緊張している緑谷の背中を張り手で叩いた。控室に弾けたような音が響いた。

 

「うわっ、痛そ……」

 

「さあ!!準備が出来たら行くぞ!!」

 

そして、入場の時間になり、飯田がみんなを会場に連れて行こうとしている時だった。

 

「緑谷、ちょっといいか」

 

「轟君…なに?」

 

「客観的に見て、実力は俺のほうが上だと思う……お前、オールマイトに目をかけられてるよな、別にそこを詮索する気はねえが……お前には勝つぞ」

 

「・・・・・・・・っ!!」

 

普段よりもぎらついた眼で、轟は緑谷に宣戦布告した。

 

「紅蓮、お前もだ」

 

「ああ?」

 

そしてそのまま、轟は猛にも宣戦布告し始めた。

 

「初回の戦闘訓練、正直完敗だった、USJの時も誰より強いヴィランと戦って生き残ってる……だけど、今度は俺が勝つ、絶対にだ」

 

「・・・・・・・・」

 

轟は変わらずぎらついた眼で猛に宣戦布告していたが、当の猛は轟をつまらない眼で見ていた。

 

「無理でしょ、お前じゃ」

 

「なっ……」

 

「俺に勝つ?お前が?自身の持ってる力を全部使ってないお前が?はっ、笑わせるなよ三下、今のお前なんざ遊びにもなりゃしねえよ」

 

「お前っ……!!」

 

猛の挑発するような物言いに、轟は激昂して詰め寄ろうとした。

 

「おいおいやめろって!!喧嘩腰になるなよ本番前に!!」

 

そこを、近くにいた切島が仲裁に入った。

 

「喧嘩腰になってるのは轟だけでしょ、俺は事実を言ってるだけ」

 

「なんだとっ……!!」

 

「だからやめろって!!」

 

「ま……見せてやるよ、お前と俺の差、今のままじゃ絶対に埋まらねえから」

 

そう言って猛は一足先に会場に向かった。

 

(力を全部使ってないだと……それでも、俺は……!!)

 

 

体育祭、会場、そこは多くのヒーローたちの歓声が響き渡っていた。

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが!!我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトル!!どうせてめーらアレだろこいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも関わらず、鋼の精神で乗り越えた期待の新星!!1年A組だろぉぉぉぉぉ!!』

 

プレゼントマイクの紹介とともにA組の面々が会場に入場していく。

 

「う、うわあ、人がすんごい……」

 

「めっちゃ持ち上げられてんな……なんか緊張するなぁ、なあ爆豪」

こと

「しねえよ、ただただ上がるわ」

 

「さて……暴れますか」

 

ヒーロー科A組の面々が様々なことを思いながら入場していく中、ヒーロー科B組、普通科、サポート科、経営科が入場してきた。

 

「選手宣誓!!」

 

そして、すべての生徒が入場すると、壇上に18禁ヒーローミッドナイトが上がった。

 

「おお、今年の主審はミッドナイトか!!」

 

「校長は?」

 

「校長は、例年3年ステージだよ」

 

「18禁なのに高校にいていいものなのか」

 

「いい!!」

 

「そこ!!静かにしなさい!!選手代表!!1年A組、紅蓮猛君!!」

 

「ういーっす」

 

ミッドナイトに呼ばれ、猛は壇上に上がった。

 

「えーっと、宣誓、頑張りまーす、以上」

 

「ええ、それだけ?ほかに何かないの?」

 

あまりの短さに、ミッドナイトは苦言を呈す。

 

「え~……まあ、とりあえず優勝すること前提で、全員叩き潰すから、やる気のある奴だけかかって来いよ、以上」

 

それだけ言い残して、猛は壇上から降りた。生徒たちからは非難の声が集まるが、一部の生徒たちは闘志を燃やしていた。

 

(絶対に勝つ……!!勝って、親父を否定してやる!!)

 

(上等だ赤髪野郎!!俺のほうが上だって証明してやんよ!!)

 

(猛……私、勝ちに行くから)

 

「さーてそれじゃあ早速第一種目に行きましょう!!」

 

「雄英ってなんでも早速だね」

 

そして、ついに雄英体育祭が始まった。




次回、ようやく体育祭、体育祭が終われば切奈との関係に名前が付くんですけどね(盛大にネタバレ)


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第一種目、障害物競走

何とかちょこちょこ続けていきたい所存です。


「いわゆる予選よ!!毎年ここで多くのものが涙を飲むわ(ティアドリンク)!!さて運命の第一種目!!今年は……これ!!」

 

ミッドナイトの号令とともにモニターに第一種目が表示された。

 

「障害物競走……!!」

 

「ふぅん、そういう感じのをやるのね、なるほど」

 

「そう!!11クラスでの総当たりレースよ!!コースはこのスタジアムの外周約4キロ!!我が校は自由さが売り文句、コースを守れば、何をしたってかまわないわ!!」

 

「へえ?そうなんだ……面白そうじゃん」

 

ミッドナイトの言葉に、猛は不敵な笑みを浮かべる。

 

「さあさあ!!位置につきまくりなさい!!」

 

そして、用意されたスタート地点に続々と生徒たちが集まり始めた、そんな中、猛はというと……

 

「あれ?主席の子、一番後ろにいないか?」

 

「本当だ、あれだと走り出したとき前に出れないだろう」

 

なぜか一番後ろを陣取り、靴を脱ぎ捨てていた。

 

(三流どもが、これだけ人がいりゃ分かるだろうに……)

 

パッ、パッ、パッ

 

『スタート!!』

 

そうこうしているうちに、スタートを告げるランプが光り、障害物競走が始まった、それと同時に

 

ヒュゥゥゥ・パキパキパキパキパキ!!

 

進もうとしている生徒たちの足元を氷が覆った。

 

「最初の、ふるい……!!」

 

「んだよこれさみぃぃぃ!!」

 

「凍った動けねえぇぇぇ!!」

 

「このやろー!!」

 

最前線にいた轟が、生徒たちの足元を凍らせて、いち早く前に出た、一人を除いて。

 

ガッガッガッガッガン!!

 

「なっ!!」

 

「残念でした」

 

気づけば、猛が轟の横をすさまじい速度で通り抜けた。

 

『うぉぉぉぉ!?実況しようと思ったら1‐A紅蓮、すっげえ速さで轟の前を出て先頭に躍り出たぞお!?あいつ一番後ろにいたよな!?』

 

『壁を使ったんだ』

 

『壁ぇ?』

 

『スタート地点の壁を見てみろ』

 

相澤の言葉通りに見てみると、生徒たちが動けなくなっているスタート地点の壁には、不規則なへこみが出来ていた。

 

『おそらく轟が凍らせてくるのを読んでいたんだろ、生徒たちが動けなくなっている地上よりも、上の空いてる空間を使って脱出、それと同時に自身の加速も兼ねてたんだろうな』

 

『マジかよ!!すげえ判断力だな!!』

 

『上を使えるんだったら使う、実に合理的な判断だ』

 

「くそっ……!!最初に止めたかったが」

 

すでに猛は、轟に目をくれずに、さらに加速して前に進んでいた。そして、他の回避した生徒たちも続々と迫ってきている。

 

「待ちやがれ赤髪野郎ぉぉぉぉぉ!!」

 

「さすがに早いですわね紅蓮さん……負けませんわ!!」

 

そして、猛のほうは、第一関門に取り掛かろうとしていた。

 

「ターゲット確認……大量」

 

「これって入試の0pヴィランか、しかも面倒な量がいるな」

 

猛の目の前には、入試の時に出ていた0pヴィランが大量に設置されていた。

 

『さあさあ、先頭の紅蓮、すでに最初の関門、ロボ・インフェルノに差し掛かったぜぇぇぇぇぇ!!』

 

「仕方ねえな、後続に道、作ってやるか」

 

ピキピキピキピキ、ギュゥゥゥゥン、ドォン!!

 

猛は自身の個性のエネルギーを指先に集中させ、速度を保ったまま飛び上がった。

 

「邪魔だ木偶の坊!!真紅剛剣(スカーレットセイバー)!!」

 

ヒュッ、ズガァン!!

 

そしてそのまま腕を横になぐと、赤いエネルギーがロボットたちを溶解させながら真っ二つに破壊した。

 

「掃除かんっりょう!!」

 

グッ、ドォン!!

 

そして、地面に着地すると同時にさらに加速し始めた。

 

『うおぉぉぉぉ!!先頭紅蓮、まさかの障害物のロボたちを一蹴しちまいやがったぜ!!てかなんだ今の攻撃!?』

 

『・・・・おそらくだが、入試試験時に使った技のエネルギーを、一点に圧縮させて、一気に放出させたんだろう。攻撃範囲を絞ることで余計な被害を出さず、かつエネルギー自体は圧縮されて破壊力そのものは上がっている、雑に見えて繊細な一撃だ』

 

『見た目によらずに技巧派ってことか!?似合わなねぇぇぇぇぇ!!』

 

「殺すぞあのインコ頭」

 

そうこうしている間に、猛は第二の関門にたどり着いた。

 

「なんだこの馬鹿でけえ穴は、いつ作ったんだ……穴ってか、渓谷っぽいけど」

 

『おおっと紅蓮!!早くも第二の関門、落ちたらアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール!!』

 

猛の目の前には、大小様々な足場と、その足場をつなぐロープが架かっている巨大な渓谷に見える穴だった。

 

「まあ……意味ねえけどなあ!!」

 

ズッダァン!!

 

猛は目の前の足場を無視して、そのまま飛び出した。

 

『おっと紅蓮血迷ったか!?足場を無視して……って、飛んでる!?』

 

猛はそのまま空中を速度を殺さずに走るように滑空し始めた。

 

『なんだあれぇ!?なんで空飛んでるんだぁ!?』

 

『あれに関しては俺にもわからん、どうやってるのか説明もないからな』

 

そして猛はさらに速度を加速させながら、最後の関門に取り掛かる。

 

『おおっと紅蓮!!後続たちはまだ第二関門突破してねえぞ!!誰よりも早くたどり着いた最終関門、その実態は、一面地雷原!!怒りのアフガンだ!!地雷の位置はよく見りゃ分かる仕様になってっから、目と足を酷使して……』

 

『マイク、実況が遅い、もうすぐ終わるぞ』

 

『ってあれぇ!?一個も踏んでねぇ!?』

 

猛は速度を上げながら、地雷も避けて一直線にゴールに向かっていた。

 

『なんであの速度で地雷を一個も踏んでねえんだ!?意味わかんねえ!!』

 

『これに関してはあいつの瞬間的な判断力、反射神経がずば抜けてるとしか言えん』

 

『どうなってんだよ今年の一年は!!そんなことを言ってたらもう地雷原抜けてやがるぞおい!!』

 

猛は地雷原を抜けると同時に、足にエネルギーを溜めて一気にゴールを突っ切った。

 

「おし、一番乗り~」

 

『おいおいおいおい!!気づきゃもうゴールしてんぞ!!紅蓮猛、他を圧倒して一番先にスタジアムに戻ってきやがったぁぁぁぁぁ!!』

 

ウォォォォォォォォォ!!

 

プレゼントマイクの実況が終わると同時に、すさまじい歓声がスタジアムに轟いた。

 

「すごいなあの子は!!どこかで訓練受けてたのか!?」

 

「いきなりサイドキック争奪戦だな!!」

 

「すげえ逸材だ!!」

 

「おーおー、騒いでやがるなぁ有象無象共が」

 

自身を称賛する声など気にせず、猛はスタジアムをぐるりと見渡した。

 

(さてさて、体育祭が終わりゃ恐らく職場体験があるはず、どこにしようかねぇ)

 

そうしていると

 

ボォォォォォォン!!

 

猛のいるスタジアムの外から、巨大な爆音が鳴り響いた。

 

「なんだぁ?爆豪の奴、個性で前の奴吹き飛ばしたか?」

 

タッタッタッタッタッタ!!

 

そうしていると、スタジアムのゴールから走る音が聞こえてきた。

 

「お、ようやくもう一人戻ってきたか、はてはて誰かね、轟?爆豪?」

 

そして、ついに二人目の完走者が現れた。

 

「はあっはあ……!!」

 

「お~……意外、だったかな、お前かよ緑谷」

 

それは、後方にいたはずの緑谷出久だった。

 

「なんだなんだ、特訓の成果1ミリくらいは出たか?てかさっきの爆発なに?」

 

「いや、それは……運が良くて……」

 

「ふうん、運ねえ」

 

タッタッタッタッタッタ

 

「ハア……ハア……クソがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ハア……ハア……」

 

「お、お前らも来たんだ」

 

その後、緑谷の後から轟、爆豪を皮切りに続々と生徒たちがスタジアムに戻ってきた。そして、上位42名の生徒が戻ってきた後、第一種目が終了した。

 

「いやぁ、すごいね紅蓮君、デク君!!悔しいよ畜生!!」

 

「この個性で後れを取るとは……やはりまだまだだな俺は!!」

 

近くにいたのか麗日と飯田が話しかけてきた。

 

「い、いや、たまたま運が良かっただけで……」

 

「たりまえだろ、楽勝だわ、最高速度出さなくて済んでよかった」

 

「な!?紅蓮君はあれよりも速度が出せるのか!?」

 

「うん、今回は7割くらいだったな」

 

そうしていると、ミッドナイトがまた壇上に上がった。

 

「さあ!!これにて第一種目は終了、順位は御覧の通りよ!!」

 

ミッドナイトが指示を出すと、スクリーンに生徒たちの順位が映し出された。猛はそれを見ながら、少し考え事をしていた。

 

(B組の連中が大分後ろにいる……なんでだ?第一種目で体力を消費したくなかった?だけど何人かはトップ争いしてたよな……切奈は40位?ふぅむ……あ、そういうことね)

 

猛がB組の面々の思惑に気が付くと、ミッドナイトが次の競技の説明をしだした。

 

「予選通過は42名、落ちちゃった人たちも安心なさい、まだ見せ場は用意されてるから!!そして次からいよいよ本戦よ!!取材陣も白熱してくるからみんな気張りなさい!!さ~て第二種目、私はもう知ってるけど何かしら!?そうこう言ってる間に~これ!!」

 

そして、スクリーンには騎馬戦と映し出されていた。

 

「騎馬戦……!!」

 

「個人競技じゃないけどどうやってやるのかしら」

 

「参加する子たちには2~4人のチームを自由に組んで騎馬を組んでもらうわ!!基本は普通の騎馬戦と同じルール、一つ違うのは、先ほどの結果に従いポイントが振り分けられること!!」

 

「なるほど、入試と同じ得点を稼ぐ形式ってわけね」

 

「分かりやすくて助かるぜ」

 

「つまり騎馬の組み合わせによってポイントが変わってくると」

 

「あんたら私がしゃべってるのにすぐ言うわね!!」

 

ミッドナイトが自分の解説が出来ずに少し怒っていたが、すぐに解説を再開し始めた。

 

「まあその通りよ!!そして与えられるポイントは下から5ポイントずつ!!42位な5ポイント、41位なら10ポイントといった具合よ、そして1位に与えられるポイントは……1000万!!」

 

「へえ?」

 

ミッドナイトの1000万という言葉に、その場の全員が猛のほうを見る。

 

(つまり1位を落とせば……!!)

 

(どんな順位でも逆転があり得る……!!)

 

ミッドナイトはその様子を見ながらにやりと笑った。

 

「そう……上位の奴ほど狙われちゃう、下剋上サバイバルってことよ!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

その場の全員の視線にさらされながらも、猛もまた、不敵な笑みを浮かべた。

 

「面白れぇ、ぶっ潰してやるよ三下ども」

 

かくして、第二の種目、騎馬戦は始まるのだった。




騎馬戦はさっさと終わらせて早くバトルやりたいっすね、それよりも早く体育祭編終わらせてヒロインとくっつけたい、そんで号泣させたい、推しの泣く顔からしか得られない栄養がある。


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第二種目、騎馬戦

バーに色がついてるのに気づいてなかった……ありがたやありがたや、コメントもうれしいです、返信はできてませんが目は通してるので


「上を行く者には更なる受難を……雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるよ、これぞさらに向こうへ(PlusUltra)ってね!!予選通過1位紅蓮猛君!!持ちポイント1000万!!」

 

ミッドナイトの言葉の後に、その場にいる42名全員の視線が猛に向けられた。そんな状況下でも、猛は不敵な笑みを崩さなかった。

 

「制限時間は15分、振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイントが表示されている鉢巻を装着すること!!終了までに鉢巻を奪い合い、所持ポイントを競うのよ、とった鉢巻は首から上に巻くこと!!あんまり取りすぎても管理が大変になるわよ!!そして一番重要なのは、鉢巻を取られたり、騎馬が崩れたとしても、アウトにはならないってこと!!」

 

「てことは……42名からなる10~12組の騎馬がずっとフィールドにいるってことか?」

 

「いったんポイント取られちゃって身軽になるのもありだね!!」

 

「それは全体のポイントの変動がわからなきゃリスキーだろ、下手をうちゃ自滅につながりかねん」

 

ミッドナイトの説明が終わり、各々が思案している中、猛もまた考え事をしていた。

 

(さて、俺のパワーに耐えられる、かつ俺のやり方に賛同しそうな奴……いるっちゃいるが、俺とは組みたがらねえだろうなぁ、俺のこと敵視してるし)

 

「個性発動ありの残虐ファイト!!ただし、これはあくまでも騎馬戦!!悪質な崩し目的での攻撃等は一発退場とします!!それではこれより15分!!チーム決めの交渉スタート!!」

 

そして、チーム決めの時間になると、生徒たちは各々組みたい相手のところに集まり始めた。だが、猛の周りにはあまり人は集まらなかった。

 

(さてどうするか~、ぶっちゃけ俺を騎手にしてくれるなら誰とでもいいんだけど……)

 

トントン

 

「ん?」

 

「猛、組も?」

 

後ろから猛に話しかけてきたのは、幼馴染の取蔭だった。

 

「お?俺と組むのか?クラスメイトといろいろ考えてたんじゃねえの?」

 

「あは、やっぱりばれてたか~……ま、戦略的にありだと思ったから乗ったけど、ここからなら関係ないでしょ、猛と組んだほうが勝率高いし、不服?」

 

「いや?全然いいよ、だけど……俺のやりたいこと、分かるよな?」

 

「あっはは、もっちろ~ん」

 

そんなこんなで猛と取蔭が組んでいると、さらに二人組むために話しかけてきた。

 

「紅蓮君、組もう!!」

 

「お、お前ら……ははは、ちょうどいいや」

 

そして、15分後、すべての騎馬が決定した。

 

『そろそろ起きろよイレイザー!!15分のチーム決め兼、作戦会議が終わって、ついに12組の騎馬がフィールドに並び立ったぜ!!』

 

『・・・・・・なかなか面白れぇ組がそろったな』

 

「さあ、見せつけるぞ!!切奈!!」

 

「うしっ!!」

 

「緑谷!!」

 

「うん!!」

 

「麗日!!」

 

「おっしゃぁ!!」

 

猛の騎馬は、取蔭、緑谷、麗日からなる、合計10000340ポイントになった。

 

『よぉーし組み終わったな!?準備できたかなんて聞かねえぞ!!行くぜ残虐バトルロワイヤルカウントダウン!!』

 

プレゼントマイクのカウントダウンによって、ついに騎馬戦が始まろうとしていた。

 

『3……2……1!!スタート!!』

 

そして、カウントダウンが終わった瞬間、猛たちの騎馬に二組向かってきた。

 

「実質それの奪い合いだろ!!てか取蔭!!なんでA組の奴と組んでるんだよ!!」

 

「勝てるんだったら組むよそりゃ」

 

「はっはー!!いただくよ紅蓮君!!」

 

二組の騎馬が向かってくるなか、猛は体制を変えた。

 

「行くぞ、倒れんなよ!!」

 

グッ、バァン!!パシッ!!

 

「なあ!?」

 

「ええ!?」

 

そのまま騎馬を足場に前方に大きく跳躍して、向かってきていた二組のポイントを奪う。

 

ヒュー!!スタン!!

 

「え!?紅蓮!?」

 

「よお拳藤!!頭上失礼!!それともらっておく!!」

 

スタァン!!

 

そして、さらに前方のにいた拳藤の騎馬ポイントを奪いながら、そのまま足場にして少し離れたところに跳躍していった。

 

「嘘!?守らないの!?てかそっちに行ったら地面じゃ……!!」

 

ダダダダダ!!タン!!

 

拳藤の騎馬のポイントを奪った後、猛が跳躍した先に猛の騎馬たちが全力で走ってきて猛をキャッチした。そして、猛はそのまま騎馬に指示を出した。

 

「ナイスタイミング!!」

 

「予定より大分位置離れてるんですけど!!」

 

「そういうもんだ、気にするな!!麗日、個性解除!!緑谷、麗日の分までお前が重さを引き受けろ!!できるだけ麗日の体力消費するな!!」

 

「「りょ、了解!!」」

 

「あ、あれってありなわけ!?」

 

「地面についてないので、ありよ!!」

 

『おいおいおい1位の騎馬全然守ってねえぞ!?それどころかめちゃくちゃ攻めてやがるぜ!!クレイジィィィィィィ!!』

 

 

 

少し前、騎馬を決め終わった後の作戦会議中……

 

「「全部取る!?」」

 

「おう」

 

猛は、後から騎馬に加わった二人に作戦を説明していた。

 

「1000万あるのに守らないの!?守ったほうが勝率高いんじゃ!?」

 

「安直だな麗日、こういうのは最初からある程度持ち点を増やしておいたほうがいい、仮に俺のポイントが取られても保険ができるし、1000万持ってる俺たちが攻めてくるとはあいつらは考えてないだろ、隙になる……何より、な」

 

「「?」」

 

「ただ守るだけなんてつまらねえだろうが、やるんだったら圧倒的、絶対的に勝つ」

 

猛は、不敵な笑みなままそう言い放った。

 

「ふふっ、そういうと思ったよ、んで?どうするの?」

 

「まず初手で俺が向かってくる奴らからポイントをかすめ取る、速攻で向かってきそうな奴は多分2、3組前後、十分俺一人で取れる数だ、麗日、お前は始まった直後俺が全員の視線釘付けにするから切奈と緑谷の重さなくしてくれ、自分は軽くしなくていい、緑谷はフルカウルで一気に俺の着地する地点にきて、大体……中央から3、4mってところに着地するから、切奈はブレーキ役、足を分離させてスピードをうまくスプリングの要領で止まってくれ、その後は随時指示出す、さあ、勝とうぜ」

 

 

 

 

(すごい!!おおむね紅蓮君の言うとおりになってる!!しかも跳躍だけであの距離を飛べるなんて……!!このままいければ勝てる!!)

 

「うわっ!?なんやこれ!!取れへん!!」

 

着地した先の地面紫色の紫色の何かが張り付いて取れなくなっていた。

 

「それ、峰田君の!?一体どこから……!!」

 

「ここだよぉ~緑谷ぁ~紅蓮~」

 

そうこうしていると、背中を自身の複製腕で覆った障子がこちらに向かってきていた。

 

「ははっ!!なるほど考えたな、おっと!!」

 

ビュン、クイ

 

「やるわね、紅蓮ちゃん」

 

障子の背中に隠れていた峰田と蛙吹が、攻撃を仕掛けてくるが、猛はそれを首をずらすだけで難なく避けた。

 

「麗日動くなよ、焼き切る」

 

ボォォォォォォ

 

猛は自らの手から紅い炎を出して麗日の足にくっついていた峰田のもぎもぎを焼き切った。

 

「緑谷ぁ!!切奈ぁ!!前進しろ!!」

 

「ええ!?」

 

「おっけ、信じるよ!!」

 

猛は緑谷と取蔭に指示を出して、そのまま正面から来ている障子に前進した。

 

「はっはぁ!!血っ迷ったなぁ紅蓮!!1000万もらい~!!」

 

「・・・・・うし!!避けろ!!」

 

ビュン!!

 

もう少しで正面衝突というところで、猛は障子を避けるように指示を出した。

 

「あれ!?避けた!?」

 

「峰田ちゃん!!それ」

 

「あー!!俺の鉢巻が~!?」

 

だが、なぜか障子の複製腕で隠されていた峰田の鉢巻は奪われていた。

 

「くっくっく、相手の個性が不明な場合避けるのが吉だぜ峰田」

 

「そういうこと」

 

ふよふよ、ポイッ

 

いつの間にか離れていた取蔭の右手が猛に峰田の鉢巻を渡した。

 

「すごい!!それが取蔭さんの個性!?」

 

「そ、まあこうなるとは思ってたからね、あらかじめ取っておいたんだ」

 

「ナイスだよ切奈、どんどん行くぞ!!」

 

ダァン

 

そして、再度猛は騎馬を足場にその場を高く飛び上がった。そこに、一人急速接近する奴がいた。

 

ボンボンボンボンボン!!

 

「調子に乗ってんじゃねえぞ!!赤髪野郎ぉぉぉぉぉ!!」

 

「そろそろ来ると思ったぜ爆豪!!」

 

猛は、空中で体をひるがえすと、爆豪と正面から向き合った。

 

(空中なら、たとえ飛べたとしても俺に分がある!!)

 

爆豪はそう思い、右手で猛は爆破、そして1000万を奪取してその場を離れる気だった。だが、一つ思い違いをしていたことがあった、猛の空中を移動するすべは、空中を飛んでいるというわけではないということに。

 

ダンッダンッダンッ!!

 

「んな!?」

 

「残念でし、た!!」

 

ガシッ、ブオン!!

 

猛は空中を跳ね回ると、爆豪の鉢巻を奪い、そのまま逆方向にぶん投げ、そのまま空中で浮遊し始めた。

 

『おいおいおい!!空中で跳ね回ったぞ!!どうなってんだありゃ!?』

 

『やはりただ空を飛んでるわけではないのか』

 

「次は、あっちかな!!」

 

ドォン!!

 

猛は空中で狙いを定めると、今度はそちらに向かって真っすぐ跳躍した。

 

「くそっ!!目立ちたがり屋め!!円場、ガード……!!」

 

「おせぇよ三下ぁ!!」

 

ズガァン!!

 

そのまま、目の前にいた生徒の鉢巻を全部奪い取ると、もう一度跳躍して元の騎馬に戻っていった。

 

「猛!!時間少ないよ!!あといくつ!?」

 

「あいつが割かし持ってたからそれを奪って8組分!!残りは……」

 

ズン!!

 

「そろそろ獲るぞ……!!」

 

「あいつらが持ってる」

 

着地し終わった猛の騎馬の元に、轟の騎馬が立ちふさがった。

 

『おおっとついに!!2位の騎馬が1位に襲い掛かるぞ!!どうやってしのぐんだ紅蓮猛、残り時間は5分を切ってるぜぇ!!』

 

「残り5分、お前ら、まだ動ける?」

 

「楽勝だよ」

 

「うん!!行ける!!」

 

「うちも平気!!」

 

全員の確認を取った猛は、にやりと笑った。

 

「よし、完勝、するか!!」

 

ドドドドドドドドド

 

そうこうしている間に、猛にポイントを奪われた騎馬の面々が、一斉に攻めてきた。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!!取れ!!1000万取れ!!」

 

「鉢巻返せー!!」

 

「行けー!!攻めろ障子ぃ!!」

 

だが、猛の注意は目の前の轟の騎馬に集中されていた。

 

「そうはいかせねぇ!!」

 

パキパキパキパキ

 

「仕掛けてくるな、それに……お前ら、ちょっと耐えててくれ!!」

 

グルン

 

猛は轟の様子を見て、騎馬の腕を使って逆さで宙ずりになった。

 

「え、ちょ、紅蓮君何を」

 

「いいから!!踏ん張ってろ、来るぞ!!」

 

「無差別放電、130万ボルト!!」

 

バチチチチチチチチチチ!!

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「うがががががががががが」

 

「かみなりぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

パキパキ、パキィン!!

 

『おおっと轟チーム!!全部の騎馬を巻き込んでの放電攻撃ー!!』

 

『近づけてから上鳴の放電攻撃で動きを止めてから、さらに轟の氷結で確実に足を止めさせる、それを八百万の個性でサポート、さすがというか、第一種目でかなりの数に避けられてたから、対策してきたな』

 

『解説センキュー!!』

 

「・・・・クソ、守られたか」

 

「はははは!!やっぱそう来るよなぁ!!バランスがいいチームは、大体勝ち筋が決まってくるもんだぜ轟」

 

猛は、地面すれすれで上鳴の電撃を一身にうけ、さらには轟の氷結を溶かしていた。

 

「猛大丈夫!?ダメージは!?」

 

「モーマンタイ!!いいから足止めるな、轟の左を陣取り続けろ」

 

「・・・・・・!!」

 

そこからは、轟と上鳴が攻撃しようとすれば猛がけん制、ガードし、取蔭、緑谷、麗日の三人は猛の指示通りにつかず離れずを保ち、轟の左を陣取り続けていた。

 

『なんと紅蓮チーム、ここまで1ポイントも奪われることなく!!残り一分までこぎつけた!!このまま逃げ切るのかぁぁぁぁ!?』

 

『うるせえ』

 

轟のほうは、自分の攻めがうまくいかず、かつ、自身の使いたくない左側(・・・・・・・・・・・)に陣取られ続けて攻めあぐねていた、だが、ここで飯田が動き出した。

 

「みんな!!残り一分弱、俺は使い物にならなくなる……頼んだぞ!!」

 

「飯田?」

 

(来るか、狙い通りだ(・・・・・)

 

「しっかり捕まっていろ、獲れよ!!轟君!!トルクオーバー……」

 

ドルルルルルルルルルルル!!

 

その時、飯田の足から、けたたましいエンジン音が鳴り響いた。

 

「レシプロ、バースト!!」

 

ブォォォォォォォォン!!

 

飯田天哉の奥の手、レシプロバーストは、トルクと回転数を無理矢理上げて凄まじい爆発力を生む、その時発生する速度は、通常ならば見切れない速度だった、それを、狙っていた。

 

「な、なに……!?」

 

「はっはっは、残念でした!!」

 

猛は猛スピードで突っ込んできた轟の手を上体をひるがえすことで回避、そのまま轟の持っていたすべての鉢巻を取っていた。

 

「奥の手を使うんだったら、もう一個作戦を考えておくべきだったな、飯田みたいな個性の奴は、大体速度に全振りしていることが多い、来るとわかってりゃそこまで怖くねえよ、そんで……」

 

『さあそろそろ行くぜカウントダウン!!10、9、8、7……』

 

飯田の決死の猛攻も空しく、終了のカウントダウンが始まった。

 

「く、くそ!!もう一回!!」

 

「うぇ、うぇ~い」

 

「無理だろ、その状態じゃ」

 

ボォン!!

 

「赤髪野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

だが、もうすぐ終わるというところで爆豪が飛んできた。

 

「遅かったな爆豪、攻め時ミスったな」

 

『6、5、4、3、2、1、タイム、アーップ!!』

 

それでも、爆豪が届くことはなく、終了を告げるアナウンスが流れた。

 

『おいおいおいどうすんだこれぇ!?本来だったら上位4チームが決勝進出するところがすべての鉢巻を独占しちまったぜ!!どこまで圧倒的なんだこの男は!?紅蓮チーム、堂々決勝進出だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

ウォォォォォォォォ!!

 

プレゼントマイクの終了宣言から、会場にいたヒーロー達は大歓声を上げていた。だが、一部の者の見る目は少し違っていた。

 

(なんてざまだ焦凍!!こんな醜態をさらすとは……!!)

 

そして、生徒たちの胸中も穏やかじゃなかった。

 

(クソッ、クソクソクソクソ!!また、あいつに……!!)

 

(何やってんだよ、俺は……!!今のままじゃ、親父を否定出来ねえ……!!)

 

「でも、決勝進出が一組だけでは意味がないので、紅蓮君を除いた残り11チームで再度決勝に進む3チームを決めます、紅蓮君のチームは先に休憩に入ってていいわよ」

 

主審のミッドナイトの判断で、猛の騎馬を除いたチームで再度騎馬戦をやり直すのだった。

 

「うっし、飯行こうぜ~」

 

「はあ~猛に合わせてマジで疲れた」

 

「うち、あんまり役に立てとらんかったな……」

 

「そ、そんなことないよ麗日さん!!」

 

そうして、猛のチームは一足先にスタジアムを後にした、その後姿を、轟焦凍は、射殺すような目で見ていた。




思ったより強くなってるなこの主人公……モチベーションが続く限りなるべく多く出したい、そう思う私なのでした、決勝も途中と決勝はかなりオリジナル展開です


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閑話、最終種目に向けて

さあ、モチベーションが続く限りどんどん量産しなければ……よくよく考えればこの主人公かなり性格終わってるな、まあ、仕方ないね


「たくよぉ……人が昼飯食って気持ちよく寝てたのに、なんだよ、話って」

 

騎馬戦が終わった後、猛たちが抜けたのち、その後12名、轟、飯田、八百万、上鳴、爆豪、芦戸、瀬呂、切島、心操、常闇、発目、尾白の決勝進出が決まり、皆が昼食を取り始めたころ、とっくに食事を終えて眠っていた猛と、まだ食事をとっていた緑谷を轟が呼び出していた。その目は、変わらず射殺すような視線を放っている。

 

「まあまあ……それで、轟君、話って、なに?」

 

「・・・・・・完敗だった、第一種目も第二種目も、お前ら二人に完封された、それだけじゃねえ、紅蓮、お前には特に気圧された、まるでオールマイトみたいだと思った……なあ、お前ら……オールマイトの隠し子かなんかか?」

 

「「はあ?」」

 

あまりに素っ頓狂な答えに、緑谷と猛は間抜けな声を上げてしまう。

 

「いや、僕のお父さんは今海外にいるけど……隠し子じゃないとか、証拠は提示は出来ないけど、そんなんじゃなくて……」

 

「俺の親父はクレナイコーポレーションの副社長だが、今は多分本社で仕事中……てか、なんで突然そんな素っ頓狂なとこ言い出したわけ?完膚なきまでにぶっ潰しすぎたせいで頭弱くなったか?」

 

「ぐ、紅蓮君言いすぎだよ……でも、確かに、逆に聞くけど、なんで僕たちにそんな……」

 

疑問を投げかける二人に、轟は重たい空気で話し始めた。

 

「・・・・・そんなんじゃないってことは、少なくとも緑谷は何かしらオールマイトと言えない繋がりがあるってことだよな」

 

(ご名答、抜けてそうに見えて意外に頭が切れるな、さてどうすっかな)

 

「俺の親父はエンデヴァー、知ってるだろ、万年No2ヒーローだ、もしお前たちが、No1ヒーローの何かを持ってるなら俺は……猶更勝たなきゃいけねえ」

 

「・・・・・あれ?これって長くなる感じ?帰っていい?」

 

「紅蓮君!!話は最後まで聞こう!?」

 

面倒な気配を察知して適当に済ませようとする猛を、緑谷は制止しながら轟の話を聞き始めた。

 

「親父は上昇志向が極めて高い奴だ、ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せた、だけどそれゆえに、生きる伝説であるオールマイトが目障りでしょうがなかった……自分でオールマイトを超えられないと悟ると、次の策に出た」

 

「・・・・ふむ?なるほど、ずいぶん前時代的なことをやらかしてんのね、エンデヴァーって、ちょっと引いたわ」

 

「紅蓮君、どういうことか分かったの?」

 

いまいちよくわかってない緑谷は、すでに理解している猛にどういうことなのか聞いた。

 

「いやね、ちょっとだけ気になってたんだよ、どうして熱と冷却なんて反対の個性を宿してんのかってさ……個性婚だろ?第2、3世代あたりで問題になってた、自身の個性を強化するためだけに配偶者を選んで子供を作るってやつ、倫理観的に大問題だから諸々規制が入ってるはずだけど……まあ確かに、エンデヴァーなら可能か」

 

「その通りだ、実績と金だけはある男だからな……母の親族を丸め込んで、母の個性を手に入れた……俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げて、自身の欲求を満たそうってこった……うっとおしい!!そんな屑の道具にはならねえ……!!」

 

そうやって自身の身の上を語る轟の目には、憎しみが渦巻いていた。

 

「記憶の中の母はいつも泣いている……お前の左側が醜いと、そう言って母は俺に煮え湯を浴びせた」

 

「・・・・・・・っ!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ざっと話したが、俺がお前らに突っかかるのは、見返すためだ、親父の個性なんざなくたって……いや、使わずに一番になることで、奴を完全否定してやる……!!」

 

轟の話した自分の過去に、緑谷は思わず顔を引きつらせていた、自分とはあまりに違う話に、少なからずビビっていた。そんな緑谷に対し、猛は……以前と変わらない、興味のない目で轟を見ていた。

 

「話せないなら別にいい、お前らがオールマイトのなんであろうと、俺は右だけでお前らの上に行く、時間取らせて悪かったな」

 

そういって轟はその場を去ろうとした、だが、猛の一言でその足を止めることになった。

 

「無理だよ、お前じゃ」

 

「・・・・・・なんだと?」

 

「確かに、お前の家の事情は重たいもんだよ、認めてやる、俺には無いもんだ……それを知った上で、お前には無理だ、断言してやるよ轟」

 

「ちょ、紅蓮君……!!」

 

「黙ってろ緑谷、今轟と話してんだ」

 

制止する緑谷を無視して、猛はさらに言葉をつづけた。

 

「お前、氷結だけで上に行くって言ったな?んじゃあ教えろよ、今後敵と戦うことになって、相手に氷結が全く効かない相手だったら……どうするつもりなんだよ、ええ?みすみす周りの人間死なせる気か?」

 

「っ、それは……」

 

猛の言葉に、轟は反論できなかった。

 

「そんでもし、左側の力を使えば勝てる相手で、使わずに相手に負けました、なんて言ったら……笑いものじゃ済まねえぞ、カスもいいところだ、親父以下の屑になり果てるだけだ」

 

「なんだと……!!」

 

「それにな、右側だけで俺の上に行く?大言壮語もほどほどにしておけよ、そもそも氷結は完封してやっただろうが、少なくとも今のままじゃ絶対に俺には勝てない、いや、俺以外に勝てるかだって怪しいね、全員お前みたいに中途半端じゃねえんだよ」

 

「・・・・・・・っ!!」

 

そして、猛は轟に驚きの言葉を投げかけた。

 

「いいか轟、親父を恨むのも憎むのもてめえの自由だ、それは別に構いやしねえよ、だがお前のやろうとしてることのためだけにヒーローになるんだったら……俺はお前を再起不能までに追い込む、二度と戦えない体になるまで徹底的に壊す……覚えとけ」

 

それだけ言って、猛はその場を去っていった、轟は猛の言葉に、その場から動けなくなっていた。

 

「ええっと……轟君、僕は紅蓮君みたいに割り切った物言いは出来ない……正直、君の話を聞いてまだ混乱してるし……でも、僕だって負けられない、僕を助けてくれた人たちに応えるためにも、僕は、君に勝つ!!」

 

「・・・・・・」

 

緑谷の言葉を聞いた轟は、そのままそこから去っていった。そして、昼休憩も終わり最終種目発表前に、予選で落ちてしまった者たちへの全体参加種目が用意されていた。予選で落ちたものが続々と集まる中、1年A組の女子に視線が集まっていた。

 

『ん?ありゃ?何やってんだ1年A組!!?』

 

『何してんだあいつら……』

 

なんと、アメリカから呼ばれたチアリーダーと同じ格好をしているのだった。

 

「騙しましたわね!?上鳴さん峰田さん!!」

 

「馬鹿だろあいつら!!」

 

「まあいいんじゃない?本戦まで時間空くし、気を張り詰めててもきついしさ?いいじゃん!!やったろ!!」

 

「透ちゃん、好きね」

 

結局葉隠の一言により、1年A組女子たちは、チアリーダーの格好をして全体参加種目に出場する生徒たちの応援をすることになったのであった。

 

『さあさあみんな楽しく競えよレクリエーション!!それが終わればいよいよ最終種目、進出4チーム、16名による、トーナメント形式の、ガチバトルだ!!』

 

最終種目、それは一対一で戦う個性を使ったトーナメントだった。

 

「ははは、おあつらえ向けじゃん」

 

「トーナメントか……!!いよいよ毎年TVで見てた舞台に立つんだな!!」

 

「去年てトーナメントだっけ?」

 

「形式は違くても毎年サシで競ってるよ」

 

そうしていると、主審のミッドナイトが壇上に上がった。

 

「それじゃあ、組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ、組が決まったら、レクリエーションを挟んで最終種目の開始とします、それじゃあ1位のチームから淳に……」

 

「あの、すいません」

 

すると、あまり表情が明るくない尾白が手を挙げて発言した。

 

「俺、辞退します」

 

なんと、せっかくの最終種目を辞退すると言い出した。

 

「尾白君!?なんで!?せっかくプロに見てもらえるチャンスなのに!!」

 

「俺さ……騎馬戦、終盤にかけて記憶がぼんやりとしかないんだ、多分あいつの個性のせいで……チャンスの場だってわかってる、それをふいにするのが愚かなことだって……でもさ!!みんなが力を出し合って争ってきた座なのに、こんな訳の分からないままそこに並ぶなんて、俺にはできない!!」

 

「尾白君……」

 

「気にしすぎだよ!!本戦でちゃんと成果を出せばいいんだしさ!?」

 

「私だって全然だよ!!」

 

「違うんだ……俺のプライドの問題なんだ……あとなんで君たちそんな恰好なんだ?」

 

『なんか妙なことになってるな……どうすんだ?』

 

『こういう場合は主審のミッドナイトの判断になるが……』

 

「そういう青臭いのは~……好み!!尾白君の棄権を認めます!!」

 

結局、主審の判断により、尾白の棄権が認められ、5位の拳藤チームから選ばれることになった、が

 

「いや、そういう話で来るんならさ、終盤全然動けてなかったあたしらよりも、最後まで頑張ってた鉄哲チームじゃね?馴れ合いとかじゃなくさ、普通に」

 

「お、おめぇら~!!」

 

なんと、拳藤チームも最終戦を棄権し、鉄哲チームから鉄哲が繰り上がりで最終種目に参加することになり、その後くじ引きで、最終種目の組み合わせが決まった。

 

 

第一回戦、緑谷vs心操

第二回戦、轟vs瀬呂

第三回戦、取蔭vs上鳴

第四回戦、飯田vs発目

第五回戦、芦戸vs常闇

第六回戦、紅蓮vs八百万

第七回戦、切島vs鉄哲

第八回戦、麗日vs爆豪

 

 

「八百万が最初ね~、運がないな」

 

「負けませんわ……!!」

 

「あ~?麗日~?」

 

(ヒイィィィィィ~!!)

 

「飯田ってあなたですか!?」

 

「む?いかにも俺が飯田だ」

 

「ひょー!!よかった実はですねぇ~」

 

(意外に早かったな、来いよ緑谷、この手で倒してやる……待ってろよ、紅蓮)

 

(あちゃー、こっちの山になっちゃったか……猛、待っててね)

 

三者三様、様々な思いを胸に、最終種目へと進んでいくのだった。




心操君チームはどうやって最終種目に出たのだろうか、まあうまくやってるでしょう。彼なら、原作通りのところはダイジェストで、オリジナル展開だけ詳しくやります、ご了承を


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最終種目、一回戦

さて、いよいよ本格戦闘ですね、どうにか次回で体育祭の決勝まで終わらせたいところですね。


『さあ、レクリエーションも終わりついに始まるぜ最終種目!!第一回戦、成績の割になんだその顔、ヒーロー科、緑谷出久!!対、ごめんまだ目立った活躍なし!!普通科心操人使!!ルールは簡単、相手を戦闘不能にするか、場外に押し出す、もしくは参ったとか降参させても勝ちのガチンコ勝負だ!!怪我上等だ、こっちにはリカバリーガールが待機してるぜ、道徳倫理観は一回捨てておけ!!』

 

「へえ?倫理とか道徳とか捨てていいんだ?良いこと聞いた」

 

(((((やばい、紅蓮がすごい顔して不穏なこと言ってる!!)))))

 

プレゼントマイクの言葉に、今度は獰猛な肉食獣のような笑い方をしている猛を見て、他の生徒たちは不安を感じていた。あまり長い付き合いではないが、皆が何となく猛の性格を理解してきている証拠だった。

 

『ただし!!命にかかわるような行為はクソなので一発アウトだぜ!!ヒーローは敵を捕まえるため(・・・・・・)拳を振るうからな!!』

 

「あ~……ま、そりゃそうか、残念残念」

 

(((((た、助かった~!!てか、本気で殺すつもりでやる気だったんですか!?))))))

 

とりあえず猛は元の表情に戻ったが、生徒たちの胸中には不穏なものが残るのだった。

 

『そんじゃ早速始めようか!!レディィィィィィィィ!!スタート!!』

 

そして、プレゼントマイクの号令で、ついに始まった最終戦、だが、緑谷は心操に詰め寄ろうとした瞬間、突然顔から表情が抜けて動きを止めてしまった。

 

『おいおいどうした!?大事な初戦なんだから盛り上げてくれよ!!緑谷、開始早々完全停止しちまったぜ!?』

 

「ああ!!緑谷、せっかく忠告したのに!!」

 

「・・・・・・・尾白、あいつの個性って、もしかして問答によって発動する精神系統の個性だったりする?」

 

「あ、ああ!!開始前に緑谷には教えたんだけど……」

 

尾白の言葉に、猛は冷静に状況を整理し始めた。

 

(なるほど、おそらく自分が投げかけた言葉に対して返答すると発動するのか、事前情報があったにも関わらず、返答したってことは……大方、最終種目を棄権した尾白のことを罵倒したか、あいつの性格考えりゃ、自分に対する罵倒よりもよほど効くだろうさ……にしても、尾白から情報をもらっておいてこの体たらくか、馬鹿たれめ)

 

『マジでアホ面でピクリともしねえな!?もしかして目立ってなかったけど、心操って実はめちゃくちゃやばい奴なのか!?』

 

『だからあの試験は合理的じゃないってんだ……心操の奴、ヒーロー科の実技試験で落ちてる、普通科も併願してたってことは、落ちること前提だったんだろ、あいつの個性は十分強力なものだが……あの試験内容じゃ、ポイント稼げねえよ』

 

そして、心操の個性で自分の体のコントロールを奪われている緑谷は、そのまま場外に向かって歩き出した、会場の誰もが緑谷の敗北を確信していたが、猛だけは別の目で見ていた。

 

(さて、緑谷はこのままじゃ負け濃厚、どうする?このまま諦めるのか……違うよな?わずかだがお前の面倒を見たから分かる、お前は周りの人間が思うよりも負けず嫌いだ、見せてくれよ緑谷、オールマイトがお前に感じた可能性って奴をさ)

 

そして、あと一歩、緑谷が足を踏み出せば場外負けになるというところで、異変が起きた。

 

バキッ!!ビュゥゥゥン!!

 

なんと、自身の個性を暴発させて、心操の個性を解除してみせた、代償として指が二本折れたが、その様子をみて、猛は笑みをこぼしていた。

 

(かっかっか、土壇場、だけど少しだけ見せたな、可能性……楽しませてくれるね緑谷、そう来なくちゃな)

 

その後、立場は逆転、一気に不利になる心操だったが、何とか緑谷に再度返答させようと必死だったが、最後は緑谷に場外に投げ出され、心操は一回戦で敗北した。だが、そんな心操の姿を見て、クラスメイトや会場にいたヒーローは彼の健闘をたたえるのだった。

 

(残念だよ心操、お前は俺が潰してやる予定だったが……ま、その内また戦う機会があるでしょ、気長に待つとしようか)

 

その後、第二回戦、轟vs瀬呂が始まるのだが、瀬呂は始まった瞬間に自身のテープで轟を拘束、場外に引きずり出そうとしたが……その勝敗は、一瞬にして決するのだった。

 

「わりぃな」

 

ピキ、ピキピキピキピキィン!!

 

轟は普段のクールな表情と打って変わって、憎悪に支配された表情で、氷結の最大火力をぶっ放した。その結果、スタジアムを突き抜けるほどの氷塊が現れて、瀬呂の不意打ち空しく、轟の二回戦進出が決まった。

 

(おーこわっ、大した火力だよ轟……それだけに、惜しいな、今のお前じゃ、確実に俺には勝てないさ……ま、きっかけがあれば心変わりするだろ、俺と当たるまでに、乗り越えられりゃいいが)

 

その後、轟の氷塊が撤去されると、第三回戦が始まった。

 

『ステージを乾かして第三回戦!!B組からの刺客、騎馬戦1位チームの意地を見せられるかぁ!?取蔭切奈、対、スパーキングキリングボーイ、上鳴電気!!』

 

「ねえ紅蓮君、取蔭さんの個性って、手を切り離すだけじゃないよね?どういった個性なの?」

 

いつの間にか隣を陣取っていた緑谷が、猛に対し疑問を投げかけてきた。

 

「あ~……あいつの個性はトカゲのしっぽ切り、簡単に言えば体をバラバラにして動かせる、それだけの個性なんだけど……ま、使い方次第で化けるさ、見てろって」

 

『それじゃあ始めるぜ~スタート!!』

 

「体育祭が終わったら飯とかどうよ、多分一瞬で終わるからさ」

 

「え?ナンパされてる?舐めすぎじゃない?」

 

「行くぜ~、無差別放電、130万、ボルト!!」

 

バチチチチチチ!!

 

上鳴は、取蔭に自身の放電への防御策がないと思い、後先考えずに電撃をぶっ放した、だが、それが取蔭に完全に直撃することはなかった。

 

「ふい~、あっぶな、セーフセーフ」

 

取蔭は、自身の上半身のみを分裂、空中に浮かせることで上鳴の電撃のダメージを下半身のみに抑え、戦闘不能になるのを防いだ、そして、電撃を放った上鳴はというと

 

「うぇ、うぇ~い」

 

個性の反動により、頭が著しくアホになっていた。

 

「さ~て、場外まで運ぼうね~」

 

「うぇ~い」

 

ひょい、ひゅ~

 

そのままは取蔭は、上鳴を掴んで場外に運び出した。

 

「上鳴君場外、取蔭さん二回戦進出!!」

 

「いえ~い」

 

『上鳴あっさりやられた~!!だせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』

 

『あの阿保が……』

 

あまりの醜態に、担任の相澤も思わず悪態が漏れる。

 

「なるほど、取蔭さんの個性ならああいう風に自身のダメージを分散させて最小限にすることができる……!!すごい個性だね、紅蓮く、ん……?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

興奮している緑谷は隣にいた猛に再度話しかけるが、当の猛はまるで、先ほどの轟のような表情で上鳴を見ていた。

 

「ぐ、紅蓮君?どうかした?」

 

「・・・・・・いや?切奈が勝ったことに不思議はねえよ、あいつの事はよく見てきたからな」

 

(め、目が全然笑ってない!!死ぬほど怖い!!)

 

『さあー!!どんどん行くぞ頂点目指して突っ走れ!!第四回戦!!ザ・中堅って感じ?飯田天哉、対、サポートアイテムフル装備で登場!!サポート科、発目明!!』

 

そんな中、第四回戦が始まるが、飯田のほうはなぜか普段使っていないはずのサポートアイテムを装備して登場した、当人曰く、発目の事情を組んで装備をつけさせてもらいたいという話だった。結果、ミッドナイトの好みに刺さったので、飯田の装備を認めて第四回戦が始まった……が、実態は自分のアイテムをでかい企業に紹介がしたい発目の嘘の事情であり、終始発目の自作のサポートアイテム紹介に終わり、満足した彼女は自分で場外になり、結果的に飯田は二回戦に進出することになった。

 

「・・・・・なんでヒーロー科って一定数頭が弱い奴がいるんだ?馬鹿なのか?」

 

「い、飯田君は真面目過ぎたから……それで乗せられちゃっただけだと思うよ」

 

その後、第五回戦、常闇対芦戸の試合が始まったが、芦戸の酸は常闇のダークシャドウに効くことはなく、自慢の身体能力を生かすことも出来ずに終始防戦、場外に弾き飛ばされ常闇の圧勝で終わった。

 

「常闇君すごい……身体能力の高い芦戸さんが何もできなかった……」

 

「まあ、あのくらいやるだろ常闇は、お前らが自分で騎馬に組みに来なかったら声かけるのあいつの予定だったし」

 

「そ、そうなんだ……あれっ!?紅蓮君次だよ!?行かなくていいの!?」

 

「ん?ああ、もう次か」

 

『それじゃあ始めるぜ第六回戦!!万能創造、推薦入学とあってその実力は折り紙付きだぜ!!ヒーロー科、八百万百!!そしてそしてぇ!!ついに出るぞこの男が!!今んとこ全部圧倒的な成績を収めている、紅蓮猛!!ってあれぇ!?まだいねえ!!』

 

「紅蓮君!!早く来ないと棄権とみなしますよ!!」

 

また会場に立っていなかった猛に、ミッドナイトが警告を出す。

 

「はいはい、今行きますよ、っと」

 

トォン、スタッ

 

そんな猛は、観客席から会場まで跳躍してその場に立った。

 

『なんと紅蓮!!観客席からジャンプしてきたぜ!!面白い演出してくれるじゃねえの!!それじゃあ第六回戦、スタート!!』

 

そして、ついに八百万と猛の戦いが始まった。

 

「待たせて悪かったな八百万、痛くしないから安心しろよ」

 

(紅蓮さん……まともにやりあえば勝ち目はありませんわ、ですが、油断している今のうちに、武器と盾を創造できれば……まずは盾を!!)

 

八百万はまず、自身を守るための盾を創造で作り出した、猛はその様子は、何もせずに見守っていた。

 

(・・・・・?動かない?)

 

「ん?ああ、武器と盾作りたいんだろ?作っていいよ、お前の準備が終わるまで何もしねえから安心しろ」

 

「・・・・・どういうつもりですか」

 

八百万は、自身を甘く見ている態度に、不快感をあらわにする。

 

「どうもこうも、そのまんまだよ八百万、分からねえほど馬鹿じゃないだろ?お前と俺の間にある差、壁があるどころじゃねえんだ、だからお前が丸腰の状態のとき、俺はお前に攻撃を加えない、そのくらいハンデがあっていいとこだろ」

 

「・・・・・・!!後悔させますわ!!」

 

ズズズズズズズ、ズンッ!!

 

八百万は猛の言葉に怒りをあらわにし、まさかの大砲を創造してみせた。

 

『おおっと八百万-!?人に向かって大砲をぶっ放すのはまずいぞ~!?』

 

(当然ですわ、この中に入っているのは砲弾ではなく捕縛網、このサイズの捕縛網を、この距離なら避けるしかない!!そこを捕えますわ!!)

 

八百万としては、大砲を使い隙を作った後、別の道具を創造して捕縛するつもりだったのだろう、だが、その隙を作るほど、猛は優しくなかった。

 

ヒュン、トンッ

 

「ぇ・・・・・?」

 

どさっ

 

一閃、八百万が大砲を創造し終わった直後、猛は距離を一瞬で詰め、八百万の首元に手刀を落とし、意識を刈り取った。

 

「な?痛くなかったろ?ミッドナイト、失神だ、決着だぜ」

 

「・・・・・八百万さん失神!!紅蓮君二回戦進出!!」

 

『おおおい!?今何をどうやって距離を詰めたんだ!?スゲぇぇぇぇぇぇ!!』

 

『あいつ一人、頭が抜けてるどころじゃないな……本当にどこかで訓練を受けてないのか?』

 

「受けてないっすね~……んじゃ、退場するよ~」

 

猛はさっきとは違い、ちゃんと出入り口からその場を後にするのだった。

 

「紅蓮君すごすぎる……八百万さんが創造でアイテムを作ってから攻撃に移ろうとするまで、棒立ちだったのに……一瞬で失神させるなんて……」

 

(やっぱ強いな~猛って……でも、勝たなきゃ、ね)

 

猛への驚愕、疑問、動揺が残る中、第七回戦、個性のかぶってる切島、鉄哲の戦いが始まった、終始お互いに殴り合い、結局は二人とも失神、その後腕相撲にて切島が勝利、二回戦への進出を決めた。そして、一回戦最終試合の、第八回戦、麗日対爆豪の戦いが始まった、攻め続ける麗日だったが、爆豪の反射神経によりことごとく迎撃、爆破されていた。その容赦のない攻めに、次第に会場から不満の声が上がり始めた。

 

(たくっ、三下どもが、マジでやってる奴らの茶々入れてんじゃねえよカスどもが、ぶっ殺すぞ)

 

そんな声を聴いて次第にイライラし始める猛だったが、担任の相澤が、そんな声を一蹴した。爆豪は相手を認めているから全力で戦っているのだと、本気で勝ちたいからこそ、油断も手加減もしないのだと、その言葉を聞いて猛は自身の怒りを鎮めた。

 

(さすがだねイレイザー、あんたのそういうところが好きだよ俺は……それに、もうすぐ決着だろ)

 

直後、流星群が降り注いだ、麗日は自身が爆破を受けながらも、その時に生じていた瓦礫を空中に滞空させていて、それを一気に降り注がせた。

 

(あえて低い体勢で戦っていたのは、上に注意を向けさせないため、いい考えだったよ麗日……よく戦ったよ)

 

起死回生の一撃、麗日はここで勝負を決めるべく距離を詰めた、だが

 

パチ、パチパチパチ、ボォン!!

 

轟音、爆豪は降り注ぐ瓦礫の流星群を一撃で吹き飛ばして見せた。麗日は、それでもなお戦おうとしたが、とっくに自身の限界を超えた個性の使用に、体力を使い切り、その場に倒れ伏した。そして、ミッドナイトの判断により、爆豪の勝利が決まり、一回戦のすべてが終了したのだった。




ダイジェストにするって言った割には長くなってしまった、もうちょい割ればよかったなと思いました……この主人公、本当に15、6の子供なのか疑いたくなる判断能力と洞察力の持ち主……オリ主だし、こんなもんか


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最終種目、二回戦

ダイジェストにするのが難しい……二回戦、常闇君がかなりかわいそうです、それでも良ければよろしくお願いします


『さあ!!休憩そこそこに、そろそろ二回戦始めようかぁ!!』

 

一回戦がすべて終わってから少し休憩をはさみ、二回戦が始まろうとしていた。その第一回戦、その選手である緑谷は、入り口で猛と話をしていた。

 

「どうだったよ緑谷、麗日は無事だったかい」

 

「う、うん、とりあえずは……でも」

 

「ふぅん、まあ頑張ったでしょ、爆豪相手に考えてた、思考を止めずに諦めねえってのは、強くなる奴にしかできねえさ、心配いらねえだろ」

 

「・・・・うん!!そうだね!!」

 

「・・・・・・んじゃま、気張れよ緑谷、今のお前の出力じゃ、フルカウルを使っても不利なのは否めない、頭を使いながら動け」

 

「う、うん、そそそ、そうだね」

 

「・・・・・・はあ、やれやれ」

 

バチィン!!

 

「いったぁ!?」

 

「あと緊張しすぎ、肩の力抜け、ドジるなよ」

 

猛は緊張している緑谷の背中を張り手ではじくと、その場を去っていった。

 

「やれやれ、気弱なのは問題ありだぜ緑谷……そんで?俺になんか用かよ、エンデヴァー」

 

「ほう、気づいていたのか」

 

猛の歩いて行った先に、フレイムヒーローエンデヴァーが待ち構えていた。

 

「そりゃあんたみたいな存在感の強い男、そうそういねえからな……んで、なんですかね」

 

「いやなに、素晴らしい活躍だと思ったまでよ、スピード、パワー、高温……オールマイトに匹敵する個性を持っている」

 

「回りくどいのは嫌いなんだ、要件がなけりゃ失礼させてもらう」

 

不快感をあらわにしながら、猛はその場を後にしようとした。

 

「まあ待て、君……卒業後、我が家に婿入りする気はないかね?」

 

「・・・・・ああ?」

 

エンデヴァーの言葉に、猛は思わず足を止めた。

 

「焦凍……あいつには姉がいるんだが、歳は少し離れているが、容姿は優れているほうだ、どうだろう?悪い話では……」

 

ズガァン!!

 

エンデヴァーの言葉を中断するように、猛は壁を殴り壊した、その額に青筋を立てながら。

 

「寝ぼけてんのか……それとも早くもボケてるか?エンデヴァー」

 

「貴様……!!」

 

猛の全身から発せられる怒りの気配に、思わずエンデヴァーは身動ぎした。

 

「今のは聞かなかったことにしてやる、次こんな寝ぼけたことを言ったら……メディア各所にてめえの家の実態、てめえがやった裏工作……全部バラす、分かったらその汚ねえ面見せんな、うっかり殴り殺したくなる」

 

そして、猛は怒りの気配を纏ったまま、その場を後にした。

 

(あれがNO2の実態か……聞いてたよりもひどいな、しかし俺らしくねえ……マジで手を出すとこだった……)

 

猛は自身の行いを恥じながら、観客席に戻ってきた。

 

「あ、紅蓮君どこ行ってたん?そろそろデク君と轟君の試合始まるよ!!」

 

「麗日か、少し緑谷の激励に……どうしてその目、潰されたか?」

 

いつの間にか観客席に戻ってきた麗日の顔を見て、思わず猛は突っ込みを入れた。

 

「ああいや、これは……」

 

「ま、何となくわかるけどな……さて、どうなっかね」

 

『さあ!!今体育祭トップクラスの成績の者がついに並び立った!!まさに両雄並び立つといったところだ!!緑谷vs轟!!スタート!!』

 

そして、二回戦が始まった瞬間

 

ピキピキピキピキ、バァン!!

 

瞬間、氷結と超パワーのぶつかり合い、轟の出した氷結を、緑谷の超パワーでかき消す展開になった。そこから、同じような展開が続いた。

 

(轟の氷結の最大火力は今のあいつじゃ弾けねえ、どの程度で攻撃してくるかも分からねえ、だからぶっ壊れるの覚悟で100%でぶっ放すしかない……正しいが、両手足合わせて指は20……いや、今のあいつの頭に足を使うことは入ってねえ、つまり指10本分でしか攻撃出来ねえ、距離を詰められなきゃジリ貧もいい所……急げよ、緑谷)

 

だが、緑谷の奮闘空しく、自身の指は傷ついていった。そしてついに、轟の氷結に緑谷は捕まりそうになった、が

 

ドォォン!!

 

先ほどよりもはるかに強力な一撃が、轟の氷結を打ち砕いた、その代償として、緑谷は腕を壊してしまった。

 

(あ~あ、こりゃもう駄目か……まあこれは想定内、仕方ねえか、俺の次の相手は……)

 

ドォン!!

 

「は?」

 

緑谷は、ついに自身の壊れた指で攻撃し始めた。その様子を見て、猛は思わず間抜けな声を出した。

 

(おいおいおい何を考えてんだ!?その指の負傷は笑えねえレベルだぞ!?武術で行う部位鍛錬とかでも、骨折はよくあるし俺もしてきた!!だけどその怪我は訳が違う!!無茶しすぎれば……!!)

 

ドォン!!

 

猛の心配をよそに、緑谷は壊れた指を酷使し始めた。だがその甲斐あってか、数発轟に重たい一撃を入れていた。だが、轟へのダメージはあまり大きくなく、逆に緑谷は傷ついていくだけだった。

 

(だ~もう!!あいつの馬鹿さ加減を理解しきれてなかった!!あいつマジで……!!)

 

「君の!!力じゃないか!!」

 

「・・・・・・はあ、あの馬鹿、お人好し過ぎるぜ」

 

緑谷の言葉を聞いて、轟の表情が変わった、それを見て、猛も思わずため息が漏れた。

 

(確かにそういった役目は俺じゃねえと思ったさ、だけどお前……なるほど、オールマイトが選ぶわけだよ、俺にはできねえよそういうことは)

 

猛は緑谷の様子を見て、オールマイトが後継者に選んだ理由を理解した。そして、そんな緑谷にあてられたのか、轟の様子も変わった。

 

ボォォォォォォ!!

 

「俺だって、ヒーローに……!!」

 

なんと、今まで使っていなかった左側の炎熱を使い始めた。

 

「マジかい……!!やりやがったよあの馬鹿が!!」

 

「焦凍ォォォォォォォ!!やっと己を受け入れたか!!そうだ、いいぞ!!ここからがお前の始まりだ!!俺の血を持って俺を超えてゆき……俺の野望をお前が果たせ!!」

 

猛が轟の変異に驚いていると、おそらく観客席にいて試合を見ていたであろうエンデヴァーが轟に激励を飛ばした。

 

『エンデヴァーさん今頃激励か……?親バカなのね』

 

そして、轟は個性の火力を上げ始めた、緑谷も迎え撃つべく、最後の気力を振り絞ろうとしているさまを見て、ついにミッドナイトと傍に控えていたセメントスが止めに入ろうとした。

 

「は・・・・・あっははははははは!!」

 

「ほえっ!?ぐ、紅蓮君どうしたん!?」

 

その様子を見て、猛は突然大きな笑い声をあげた。

 

「馬鹿だぜ緑谷!!お人好しが過ぎる!!ああ、そうか!!そういう人間かお前は!!いいねぇいいねぇ面白ぇよお前は!!最高だ、こんな馬鹿垂れ久々に見た!!楽しい生活になりそうだ!!あはははははははは!!」

 

猛が自身の愉悦を爆発させた時

 

ドゴォン!!

 

会場でも更なる爆発が起きた、轟の氷結によって冷やされた空気が、炎熱によって引き起こされる空気の膨張、さらには緑谷の渾身の一撃が重なり、今までより一番大きな爆発が起きた。

 

『なんだ今の……お前のクラス何なの……?てか勝敗は!?』

 

ゴォォォォォォ……

 

煙が晴れると、緑谷は壁に打ち付けられていて、轟のみがステージに残っていた。二回戦第一試合は、轟の勝利が決定した。

 

「緑谷君場外!!轟君三回戦進出!!」

 

「緑谷の奴、煽っておいてやられちまったよ」

 

「無策で煽っただけか?」

 

「気迫は買う」

 

「騎馬戦までは面白い奴だったんだがなぁ」

 

会場にいるヒーローたちの反応は良くなかったが、猛は変わらず面白さそうな表情で見ていた。

 

「くっくっく、楽しみだよ緑谷、お前が完璧に力を使えるようになるの、待ってるよ」

 

(((((いや、紅蓮怖すぎじゃないか!?)))))

 

その後、破損した会場の修復、ケガ人の搬送が終了した後、二回戦第二試合が始まろうとしていた。

 

『えー、いろいろありましたが、二回戦の第二試合始めようか!!超スピードを持つ男、飯田vs正直こっち応援したい、B組の刺客取蔭!!スタート!!』

 

『おい、問題発言してんじゃねえ』

 

「さて、やりますか」

 

「よろしくお願いします!!」

 

クラウチングスタートに近い構えを取る飯田に対し、取蔭は少し上体を低く構えた。

 

「レシプロ、バースト!!」

 

飯田は、自身の奥の手レシプロバーストで、取蔭に分裂される前に場外に押し出すつもりだった、だが

 

(な、いない!?)

 

一瞬、取蔭は飯田の視界から消えた、そして

 

ガチッ、ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

「な、が、は」

 

「それはさっき見せてくれたよね~、甘い、よ!!」

 

取蔭は飯田の視界の外から腕を掴み、足で首を掴んだ腕ごと締め上げた。それはトライアングルチョーク、柔術における三角締めだった。

 

『ああっと取蔭、まさかの飯田の爆速に対応!!締め技に移行した~!!』

 

『あれは……三角締めか、来ることが分かってて対応できたんだろう、じゃなきゃ見切れねえ』

 

「あ……か……」

 

「取蔭さん、その辺でやめてあげなさい」

 

「あ、オとしちゃった、降参させるつもりだったんだけど……ごめんごめん」

 

そうして、取蔭は意識を失った飯田を解放した。

 

「飯田君失神!!よって三回戦進出は、取蔭さん!!」

 

「すごいなあの子!!あの超スピードを対応したぞ!!」

 

「しかも締め技で締め落とすなんて、反応速度が半端じゃないよ!!」

 

「飯田も悪くなかったけどな~」

 

取蔭の活躍に、会場のヒーローたちは大いに盛り上がった。B組の面々も騒ぎ立てていた。

 

「すごいよ切奈ー!!」

 

「このまま優勝しちゃいノコ~!!」

 

「とてもbeautifulデース!!」

 

「やるんだ取蔭ーA組のメンツを潰してやるんだー!!あっははははははは!!」

 

「漢だぞ取蔭ー!!」

 

「いやあたしは女だわ」

 

そして、飯田を医務室に運んだ後、第三回戦、猛と常闇の試合が始まろうとしていた。

 

『盛り上がってきたぜ二回戦第三試合!!またまた圧勝するか!?紅蓮猛、対ここで食い止めるか⁉なんだかんだこいつもやばいぜ、常闇踏蔭!!スタート!!』

 

「押さえろ、ダークシャドウ!!」

 

「アイヨォ!!」

 

常闇は始まった瞬間、自身の個性、ダークシャドウで猛の動きを止めようとする。

 

「さて、悪いな常闇……瞬殺する」

 

対する猛はそういうと、体制をかなり低く構えた、先ほどの取蔭とは違う、どちらかといえば獲物を狙う肉食獣のような構えを取った。

 

ビキビキビキビキ

 

その構えを取った瞬間、猛の両足のふくらはぎが膨らみ始めた。

 

「あれって……やっば!!常闇!!ガードして危ない!!」

 

その様子を見て、観客席にいた取蔭は思わず声を上げて常闇に警告を言うが、それは少し遅かった。

 

ヒュン、ドグォ!!ボキボキボキボキ!!ドゴォン!!

 

「ごふぁ!!」

 

一閃、瞬間的に爆発的に速度を上げた紅蓮の一撃は、常闇の骨を砕き、向こう側の壁に叩きつけるほどだった。叩きつけられた常闇は、そのダメージの高さ故に吐血し意識を失った。

 

「あっちゃ~……遅かった」

 

「常闇君場外!!紅蓮君三回戦進出!!常闇君無事!?」

 

ミッドナイトは常闇の様子を見て、すぐに救護に向かった。

 

『おいおい常闇生きてんのか!?かなり吐血してんぞ!?』

 

「殺しちゃいねえよ、骨が砕けた感触したから、しばらくは意識戻らないと思うけど」

 

『おい紅蓮』

 

プレゼントマイクの隣で沈黙を保っていた相澤が口を開いた。

 

『最初にマイクが説明しただろうが、命に関わるレベルの攻撃をするな』

 

「分かってるよ、だから殺さねえように手加減したんでしょうが、もしマジで殺す気だったら、体貫いてるよ」

 

『・・・・・・それでもだ、やりすぎには注意しろ』

 

「はいはい、了解ですよ~」

 

「あれで手加減してたのか……?」

 

「さすがにはったりだろ……」

 

「いやでも、改めてやばいな紅蓮……」

 

(やりすぎだよ~!!骨折るくらいならやると思ってたけど、どう考えてもそれ以上のダメージあるでしょ!!猛の馬鹿!!)

 

会場は一時どよめいていたが、その後、常闇の生死に問題ないことが分かると、二回戦最終試合、爆豪対切島が始まった。最初は切島の硬化に苦しめられた爆豪だったが、次第に切島の個性が続かないことに気が付いた爆豪の猛攻に、切島は戦闘不能になり、爆豪の勝利に終わった。そして、運命の三回戦が始まった。




Q、この主人公の手加減とは何なのか

A、殺さないこと

やっぱ若干どころかかなりイカれてるなこの主人公……あと漫画読み返して思いましたが、最初期のエンデヴァーってやっぱりかなりやばい奴ですね……三回戦、足りない語彙で頑張ってやらねば……多分二回に分けます。


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最終種目、準決勝前編

今回は全編通してオリジナル展開、自己解釈自己都合、そんで取蔭ちゃん頑張る回です、許せる方だけお願いします。


『えーっと、いろいろあったけど、とりあえず出そろったぜトップ4!!』

 

プレゼントマイクの言葉に反応し、会場のモニターに三回戦に進んだ四人の生徒、轟焦凍、爆豪勝己、取蔭切奈、そして紅蓮猛の写真が写される。

 

『さあこの中で誰が優勝するか、みんな予想してくれよ!!ちなみに俺は取蔭に勝ってほしいと思ってる!!』

 

『それは予想じゃなくて願望だろうが』

 

『シビィィィィィィィ!!イレイザーは誰が有利だと思う?』

 

『・・・・・・さあな、現状全員まだ自身のすべてを出し切ってるとは思えない、どんな奥の手を持ってるかによるだろうが、全員優勝する可能性がある』

 

『なるほど~、んじゃそろそろ始めっか!!』

 

4人の紹介が終わり、いよいよ準決勝が始まるとなった。第一試合の取蔭は、入場口のところで心を落ち着かせていた、その表情は、普段よりも暗く固くなっているように見えた。

 

(ふう~……大丈夫、考えはある、負けるな、少し予想と違ってるけど、絶対に決勝に……)

 

「切奈」

 

と、後ろから、いつの間にか猛が立っていて、取蔭に声をかけた。

 

「緊張してるか?」

 

「猛……どうだろ、緊張というよりは……怖い、のかな」

 

取蔭は猛の問いに対し、少し震えながら答えた。

 

「猛も知ってると思うけど、私の個性は轟の個性のはるか下、相性も最悪、全然土俵が違う、同じ推薦入学のはずなんだけどね……本当情けなくなる、飯田にだって正直ギリッギリ、あのレシプロだって事前に見れなきゃ反応できなかったし……一回戦で見せたあの大氷壁をやられたら一発アウト、試合になるかは運しだい、そもそも騎馬戦だって猛と組んでんかったら勝てなかった、ほんと、やになる……」

 

「・・・・・・・」

 

猛は、取蔭の心の吐露を黙って聞いていた。取蔭の劣等感は、猛には理解できない。なぜなら猛は取蔭でないから、自身の持たない劣等感に対して安易な同調や同情は意味がないとわかっていた。だから、猛は今自分にできる最大限をすることにした。

 

ポン、ぐしゃぐしゃ

 

猛は取蔭に近づき、取蔭の頭を乱雑に撫でた。

 

「わ、ちょっと」

 

「切奈」

 

そして、取蔭と視線を合わせて話し始めた。

 

「俺にはお前の思いとか、苦しみとか、多分分かってやれない。そんな簡単なものじゃねえことぐらい聞かんでも分かる……だから、俺がお前に対して思ってること……負けるな、轟に、自分自身に、お前の努力を一番近くで見てきた俺が、お前を信じてる、信じられる、だからお前も自分を信じろ、疑うな、自分の力や個性を、お前なら勝てる……頑張れよ」

 

それだけ言って、猛はその場を後にした。取蔭は少し呆けた顔をしていたが、そこからすぐに、いつもの表情に戻った。

 

「なにさ、もうちょい気の利いた事言ってよ言うなら……ふふふっ、うしっ!!勝つか!!」

 

そして、覚悟を決めた取蔭はフィールドに立った。そこには、すでに轟が立っていた。

 

『そんじゃあサクサク行こうぜ準決勝!!第一試合!!ここまで見事な快進撃!!B組女子の花形、取蔭切奈!!対、超チート個性でこのまま優勝まで行っちまうのかぁ!?轟焦凍!!』

 

「切奈ー!!このまま優勝まで行っちゃえー!!」

 

「勝ってキノコパーティーするノコ~!!」

 

「がんばれ~!!切奈~!!」

 

「行け取蔭ー!!A組のメンツを潰せー!!」

 

「いやもっとマシな応援しろよ!!」

 

観客席から、B組の生徒たちの声援が聞こえてきた。

 

「なあ、これどっちが勝つと思う?」

 

「いや~さすがに轟だろ」

 

「取蔭も頑張ってるけどなぁ」

 

「相性が悪すぎるよ、さすがに轟だろ」

 

だが、会場に来ているヒーローたちの声は、轟の勝利を確信しているような声だった。

 

(そんなの分かってるっての、でも……勝つ!!)

 

一瞬、その空気に飲まれそうになる取蔭だったが、猛の先ほどの言葉を思い出し、持ち直した。

 

「三流どもが……下らねえ戯言しか言わねえなら口を閉じてろよ……」

 

そんな中、少しキレながら観客席に猛は戻ってきた。

 

「あ、紅蓮君、どこかに行っていたの?」

 

そこには、両腕の治療が終わった緑谷が猛の隣の席を陣取っていた。

 

「少し用があった、そんだけだよ」

 

「そうなんだ……紅蓮君は、どっちが勝つと思う?」

 

「・・・・・・普通なら轟だろうよ、相性とか規模とかを考えれば、不利なんて言葉じゃ表せない」

 

「そうか……やっぱり」

 

「でも」

 

「え?」

 

緑谷の言葉を中断して、猛はにやりと笑いながら言葉をつづけた。

 

「轟は切奈を知らねえ、あいつは頭の回転も速いし、機転の利かせ方もうまい、何より……俺は切奈を信じてる」

 

猛の言葉が終わると同時に、プレゼントマイクがスタートの号令をかけようとしていた。

 

『それじゃあ行くぜエブリバディ!!準決勝第一試合、レディィィィィィ!!スタート!!』

 

パキ、パキパキパキパキ!!パキィン!!

 

轟は始まった直後、取蔭に向かって氷結を放った、一回戦の時ほどではないが、それなりの規模の氷塊が切奈に襲い掛かった。

 

『おおっと!!いきなり準決勝決まったかぁ!?すげえ規模の氷塊が取蔭を襲ったぁ!!』

 

「ふう……これで決勝に」

 

ビュン!!

 

「な!?」

 

勝利を確信していた轟の右側から、取蔭の拳が飛んでくるが、ギリギリのところで轟は拳を避けた、だがその行動を取蔭は読んでいた。

 

ガンッ!!

 

「がっ!?」

 

取蔭の拳を避けて、体制が崩れていた轟の左側から、みぞおちに蹴りを叩き入れた。

 

『ああっと取蔭ー!!さっきの氷塊避けて反撃ぃぃぃぃぃ!!轟の腹に蹴りが突き刺さるぅぅぅぅぅぅ!!てかどうやって氷塊避けたんだ!?』

 

「今の、いったいどうやって避けたんだ……!?それにあの距離だって、詰めるのは簡単じゃないはずなのに……!!」

 

「避けきったわけじゃねえよ、あれを見てみな」

 

そういう猛は轟の出した氷塊を指さした、よく見るとそこには、取蔭の靴が凍らされているのが分かった。

 

「あれは、靴……?」

 

「正確には、足首から先だ、よく見りゃ足のパーツが細かく凍り付いてんのが分かんだろ」

 

猛の言葉通り、轟の氷塊には、取蔭の足のパーツが細かく分裂して、凍り付いているのが見て分かった。

 

「切奈の個性、トカゲのしっぽ切りは、自身の体のパーツを分裂させてそれを自在に操ることができる、分裂させたパーツは時間経過で動かなくなり、動かなくなったパーツから本体で再生させてゆく……んだが、この時、動かせるエネルギーの残ったパーツを動かさないで放棄する、そうすることで本体に一瞬でそのパーツを再生させる、再生させた時に生じられるエネルギーにより高速移動も可能、あの感じだと氷結が完璧に当たる寸前に自身の足を切り離したんだろう、だから氷塊が死角になって切奈の動きを捕えられなかった、そんでもって奇襲と……なんだ、出来てるじゃん切奈」

 

猛は説明を終わると、今までとは違う、見守るような視線とともに笑みを浮かべた。

 

「げほっ、この!!」

 

轟は取蔭の一撃にむせながらも、再度氷結で取蔭の動きを封じようとする、が

 

ガツン!!

 

「ごはっ!!」

 

轟が氷結を打つ前に轟の左側に回りながら、戻しておいた右手で顔を打ち抜いた。そして、轟の顔が少し下に下がった瞬間

 

ヒュッ、ゴシャッ!!

 

「ぶっ!!」

 

顔面をそのまま蹴り上げる、無防備な状態で蹴りを受けた轟は、鼻血を噴き出した。

 

『ひょえ~!!取蔭の猛攻止まらず、轟鼻血ブーだぁぁぁぁぁ!!痛そぉぉぉぉぉぉ!!』

 

『確実に当たるタイミングで攻撃をしているかつ、轟の氷結が来ない左側を陣取ることで自身の身の安全も確保し続ける……考えられて洗練されてる動きだな、練り上げられている』

 

『解説ナイス!!』

 

『ただ、この作戦には欠陥がある、取蔭が気づいてないとは思えないが……』

 

「焦凍ぉぉぉぉぉぉぉ!!何をしている、左を使えぇぇぇぇぇぇ!!」

 

相澤の解説の最中、観客席にいたエンデヴァーが声を張り上げる。

 

(クソ親父……!!)

 

(やばい……!!左を使われる前に決めなきゃ負ける!!)

 

これが取蔭の予想と違うこと、轟が二回戦で炎を使うのを見て、自身の勝ち目がかなり薄くなるのを恐れていたのだ。だが、頭の中では冷静に、現状を分析していた。

 

(轟はまだ左の炎を使うことにためらいがある、エンデヴァーの声援がいい証拠!!緑谷の時みたいに使われる前に!!)

 

ドンッ!!

 

「がはっ!!」

 

「終わらせる!!」

 

取蔭は再度轟のみぞおちに蹴りを入れた、だが、轟もただやられるわけではなかった。

 

カチィン

 

蹴りを入れられた瞬間、轟は取蔭の足を凍結させた、これが原因で、少し取蔭の機動力が落ちた。

 

「クッソ、おもっ」

 

「それじゃ動けねえだろ!!」

 

ガシッ!!ピキピキピキ

 

轟は取蔭の右腕の上腕部を掴み、氷結させて確実に動きを止めようとした、だが

 

ブチッ

 

「なんだ、それっ!!」

 

取蔭は自身の上着ごと右手を丸ごと切り離した、そして、動かす分のエネルギーを再生に利用、腕が高速再生される勢いを使い

 

ズガァン!!

 

「がっは!!」

 

轟の左の頬を打ち抜いた、先ほどよりも重い一撃に、さすがの轟もふらつき始めた。

 

「このっ、だったら!!」

 

パキパキパキパキ

 

轟は氷結を使い取蔭から距離を取り、再度巨大な氷塊を出そうとした。

 

「まだまだぁ!!」

 

ブチッ、ギュン!!

 

だが、取蔭も氷結された足を切り離し再生、すかさず距離を詰めようとしたが、轟もこれを読んでいた。

 

パキパキ、パキィン

 

「げっ!!やられた」

 

「これなら動いても仕方ねえだろ」

 

轟は取蔭が近づいてきた瞬間、取蔭と自身を覆う氷結のドームを作った、これで左側に回り込まれようが、最小限の動きしかさせないようにしたのだ。

 

「だったら!!」

 

ダダダ!!ガシッ

 

「な、お前、何考えたんだ!?」

 

そんな様子を見た取蔭も戦術を変更、まさかの両足タックルを行い轟を持ち上げた、そして

 

「よい、しょお!!」

 

ガギャアン!!

 

「ごっ……!!」

 

そのまま轟の後頭部を氷塊に叩きつけた、あまりの衝撃に、轟の口から空気が漏れる音がした。

 

『取蔭容赦なし!!なんとなんと轟を氷塊に叩きつけたー!!さすがの轟も失神したかぁ!?』

 

『いや、かすかだが轟もまだ動いている、あいつもかなりタフだな』

 

『いやタフすぎだろぉぉぉぉぉ!!轟も半端じゃねえ!!まだ勝敗わかんないぜ!!』

 

「おいおいおい!!轟相手に攻め続けてるぞ!!」

 

「これ、まさか相性不利を覆すんじゃないか!?」

 

「すごいや取蔭さん!!個性の扱いだけでなく、体術もかなり研ぎ澄まされてる……これなら!!」

 

実況や観客のヒーローたち、緑谷は取蔭の猛攻に沸き立っているが、猛はというと、先ほどとは違い、かなり険しい表情で見ていた。

 

(どうかな、確かにいい感じに攻め続けられてる、一見すりゃ切奈が優勢だろう……だけど……)

 

猛は、説明に出していない高速再生によるデメリットを考えていた。

 

(あれは通常の切り離して操作するよりもはるかに体力を消費する……今までで既にかなりの回数分裂、再生を繰り返してる、加えて切奈の打撃は体重の関係上そこまで重くはない、不意打ちで打ってるから効いてるが轟を昏倒させるまでじゃない、しかもこのフィールド……早く決めなきゃ負けるぞ、切奈)

 

猛はフィールドの様子を見ながら、取蔭の身を案じるのだった。

 

ピキピキピキ、ピキャアン!!

 

その直後、轟の作った氷のドームから、巨大な氷塊が現れた。

 

『おおっとここで轟の大氷結がまたまた炸裂ぅ!!あの狭い空間じゃ避けるのはきついかぁ!?』

 

クルクルクル、スタン

 

プレゼントマイクの実況をよそに、取蔭は回転しながらの跳躍でその場から逃げることに成功していた、だがその表情は険しいものになっていた。

 

(はあ、はあ、クッソ!!今ので失神させたかった!!これじゃダメか……なら、やっぱり)

 

「げほっ、げほっ、無茶苦茶しやがって……でも、もう逃がさねえ」

 

轟も氷塊のドームから出てくるが、轟のほうも決して少ないダメージではなかったが、それでも自身の勝ちを確信している表情だった。

 

「お前の高速移動……正直よく分からねえ原理だけど、これなら逃がさねえ」

 

「あ~……これを作ってたんだ」

 

『おっと、よく見りゃフィールドの氷塊が取蔭の周りを完璧に囲んでいるー!!これじゃ避けられねえぞ!?』

 

轟は、氷結を使い、攻撃をもらいながらも取蔭の周りに氷塊の壁を作り、確実に動ける範囲を削っていた。

 

「正直こんなやられると思わなかった……鼻も頭も腹もいてえよ、すげえ技術だった……だけど、これで終わりだ」

 

パキパキパキパキパキパキィン!!

 

そして、ついに轟の大氷結が放たれた、避けられない現状に、誰もが取蔭が敗北だと思った、だが、取蔭のほうはまだ諦めていなかった。

 

(来る!!覚悟決めろ取蔭切奈!!ここで決めなきゃ女が廃る!!)

 

ヒュン、バチィン!!

 

「いって、なんだ?」

 

もう少しで決着というところで、轟の頬に何かがぶつかった、てっきり取蔭の拳が飛んできたと思っていたが、それはよく分からない何かの破片だった、だが、それが決定的なミスだと、その直後に気が付くのだった。

 

「それ、私の脇腹の肉片」

 

「は?」

 

「油断したねえ!!」

 

シュドッ!!

 

一瞬、轟の注意が逸れたお陰で、氷結の勢いが少し収まった、その刹那の隙に、取蔭はその場を脱出、轟のみぞおちに肘を叩き入れた。

 

『まだ取蔭は諦めてなかったぁ!!いつの間に分裂させてたのか分からねえけど、とにかくまたまた大氷結から脱出してみせたぁ!!すげえ根性だな!!』

 

「げっほ!!また」

 

ヒュン、ガァン!!

 

「がっ……!!」

 

そして、腰から下半身と上半身を分裂させる要領で回転、低くなった轟の頭、こめかみに肘を落とした、その瞬間に、取蔭は最後の攻撃に移った。

 

ヒュッ、ガシィ!!

 

「な!?ごぁ!?」

 

(ここで決めなきゃ負ける!!)

 

一瞬、本当にわずかな時間、轟の意識が途切れたのを利用して、轟の後ろに回り腕で首を絞め、足を胴に回した。取蔭の狙っていた最後の技、それは柔道における裸締めである。

 

(これなら氷結関係なし!!この位置なら後ろの氷塊が邪魔で場外には行けない!!さっきとは違う、確実に落とす!!)

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

取蔭は轟の意識を完璧に刈り取るべく、腕の力を上げてさらに轟の首を締め上げた。

 

『ここに来て締め技ー!!取蔭切奈、あいつの引き出しは無限かー!?』

 

『これを最後まで狙っていたのか……!!』

 

「行ける!!行けるよ切奈!!」

 

「絶対に離しちゃ駄目ノコー!!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!決めちまえ取蔭ー!!」

 

「これマジですげえぞ!!」

 

「あの状況から避けきって締め技に移行って、大した度胸すぎだろ!!」

 

(序盤の攻撃で締め技の意識を消して打撃の警戒をさせて、さらには高速移動を使ってのかく乱、そんで氷結に囲まれた状態からの最後の裸締め……ここで決めれなきゃ負ける、落とせ!!離すなよ切奈!!)

 

最後の攻防にクラスメイトや実況も盛り上がり、猛もこれが最後のチャンスだと悟り、内心取蔭の応援をしていた。

 

(や・・・・べ・・・・・意識、が・・・・・)

 

「焦凍ぉぉぉぉぉぉ!!左を使え!!使うんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

(ク・・・・ソ・・・・・親、父・・・・・・俺、は・・・・・・・)

 

轟は意識がもうろうとしている中、父親の声を聴き、自身の左の力を使うべきか迷っていた、そこに

 

「がんばれ!!轟くん!!」

 

(みど、りや・・・・・・俺、は・・・・・!!)

 

先ほど二回戦で戦っていた緑谷の声が聞こえてきた。その声を聞いて、押さえていた力を轟は解放した。

 

ボォォォォォォォォ!!

 

「あっつ!!」

 

緑谷の言葉が響いたのか、轟は左側から炎を噴出した、さすがの取蔭も、その炎の熱に焼かれて一瞬裸締めを外しそうになる

 

「ぐ、がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ごあっ!!」

 

だが、雄たけびを上げ、自身が焼けるのを覚悟で再度腕に力を入れ轟の首を締め上げた。

 

「焼けたって知るかぁ!!全身凍り付いたっていい、腕が捥げたっていい!!離してたまるかぁぁぁぁぁぁぁ!!落ちろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

(こ・・・・あ・・・・・)

 

ダラン

 

「そこまで!!取蔭さん、轟君を離して」

 

「・・・・・・・!!」

 

取蔭の雄たけびの直後、轟の体から力が抜けるのが確認できたミッドナイトは、すぐに轟と取蔭に近寄り、轟を離すように伝え、そのまま轟の安否を確認した。

 

「・・・・・・轟君失神!!よって決勝に進むのは、取蔭さん!!」

 

ウォォォォォォォォォォォォ!!

 

取蔭の勝利が宣言された瞬間、会場には今までにないほどの歓声が沸き上がった。

 

『すげぇぇぇぇぇぇ!!これ、マジで決勝勝っちまうんじゃないか!?相性なんざ覆して、B組の取蔭切奈、堂々と決勝進出だぁぁぁぁぁぁ!!』

 

『最後まで諦めなかったから掴めたんだろうな……大したものだよ』

 

「やったぁぁぁぁぁ!!切奈すごいよぉぉぉぉぉ!!」

 

「B組の誇りノコー!!」

 

「あっはははははははは!!A組がなんぼのもっじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「やべえ!!物間のキャラがぶっ壊れてるけど、そんなの気にする余裕がねえ!!やったぞ取蔭ぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「おいおい、轟負けちまったぞ」

 

「絶対轟行くと思ってたわ、なんなのあの根性……」

 

「轟くん……大丈夫かな……」

 

(切奈……だから言ったろ?お前なら大丈夫だってさ、おめでとう)

 

勝利の歓声に包まれる会場だったが、勝者である取蔭はふらふらになりながら会場を出て行った。

 

(薄氷の勝利すぎ……体力残ってないし、全身ボロッボロ、決勝勝てるかな……いや、ここまでやったんだから勝つ!!その前に……飲み物となんか食べれるものでエネルギー補給……いや、その前に医務室か……)

 

決心を新たに、取蔭は医務室に向かった、準決勝第一試合、不利ながらも取蔭の勝利で幕を下ろすのだった、そして、第二試合が始まる。




飯田君に放った程度よりちょい強めの氷結くらいならこれで避けれると思うけど、改めて見直すと取蔭ちゃんくっそ強化されてるな……はい、というわけで決勝に進むのは取蔭ちゃんなわけですが、轟君、あの感じでかなり打たれ強いの何なのでしょうかね、こればかりはほぼ原作再現、次回、暴れん坊対暴れん坊、フィールドぶっ壊れるんじゃねえかな


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