幼馴染はアイドルになりたい (アッシュクフォルダー)
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第一話 アイドルになりたい幼馴染

俺は、石田秋彦。

公立中学に通う、中学三年生だ。

 

「みのりちゃん!」

 

「秋彦くん!」

 

この子は、花里みのり、一個年上の、幼馴染だ。

 

「ねぇ、合格した?

アイドルのオーディション」

 

「ううん、また、不合格だったよ…」

 

「そ、そっか…なかなか、なれるもんじゃないね

アイドルって…」

 

「そうだね…」

 

「どうしたら、いいんだろう…」

 

「それを、俺に聞かれても…」

 

「そうだよね、秋彦くんに、

そんなこと、言っても、わからないよね…」

 

「でも、みのりちゃん

頑張り屋さんで、ひたむきで、素直で優しいから、

きっと、アイドルになれるよ!」

 

「うんっ!ありがとう!秋彦くん!」

 

 

アイドルになりたい、幼馴染の為に、

俺は、何かしてあげたいと、思うのだった。

 

「そーだな…みのりが、アイドルになるには…

あっ、周りにいるか?アイドルになった子とか?」

 

「いるけど?遥ちゃんが、いたよ?」

 

「遥って、ひょっとして、桐谷遥ちゃんのこと?」

 

「知っているの?私、遥ちゃんのファンなんだ!

それでね、偶然にも、同じ学校なんだ!」

 

「スゲーじゃねーか!」

 

「うんっ!でも、遥ちゃん言っていたよ

わかってはいたけど…アイドルの世界は厳しいって…」

 

「そりゃ、そうだよ、

アイドルの世界って、言うのはな…」

 

「何だか、泣きそう…」

 

「…ゴメン、俺が悪かった…」

 

「いいよ…私の覚悟が、足りないだけだから…

もっと、頑張って、心が強くなるようにしないと!」

 

「そ、そうだな…」

 

 

 

後日、俺は、みのりと一緒に、CDショップへと

やってきた。

 

「アイドル、結構好きなんだね、俺もだけど」

 

「うん!大好き!だって、小さい時から、私に元気をくれたから…」

 

「かけがえのない宝物って物か…」

 

「もう!秋彦くん!私と、秋彦くん、何年付き合っているの?」

 

「そーだな、そう言えば、あの時は、

驚いたぜ?」

 

「えっ?」

 

「だって、小学校に上がるまで、俺と、みのりちゃん、

同い年かと思っていたぜ?」

 

「そうだったね…

昔は、よく、幼稚園や、公園で、よく遊んでいたね

私も、最初、同い年かと、思っていたよ」

 

「それでも、みのりちゃんが、小学校に、上がる時

俺は来年だよ?って、言ったからな~」

 

「まさか、私と一個違いとは、思わなかったよ~」

 

「にしても、中三の男子と、高一の女子が、

幼馴染で、同じ女の子のアイドル好きって、

ある意味、変わっているかも?」

 

「えーそうかな?」

 

「でも、俺は、全力で、応援する!

みのりちゃんが、アイドルに、なった後でも、

ファンとして、幼馴染として、支えてやる!」

 

「秋彦くん…ありがとう…」

 

「どういたしまして!」

 

何がともあれ、支えて応援することになった。



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第二話 みのりとデート

石田秋彦は、よく、クラスメイトから、

おかん、と、呼ばれており、社交的でコミュ力が、高いことから、

学級副委員長をやっている。

 

そして、俺は、昔のアルバムを見て、

思い出すのだった…

 

「懐かしいな…」

 

そのアルバムの中には、

幼い頃の、みのりと、俺が写っていた

 

俺とみのりは、幼稚園の頃からの仲で、

昔から、公園で遊んでいたりしていた。

 

小学校入学直前に、年齢が一つ違いであることが分かり、

それでも、二人は、仲良くしていた。

 

「みのりちゃん、今はアイドルになるために、

頑張っているんだ、俺も応援しないとな…」

 

と、独り言を言いながらも、眠りにつくのだった…

 

明日は、みのりちゃんとデートか…

楽しみだな…

 

 

翌日

 

「みのりちゃん!顔色悪くない!?

大丈夫!?」

 

「あ、秋彦くん…こ、これはね…」

 

「今すぐ、家に帰ろう!」

 

「えっ…ええええっ!?」

 

こうして、秋彦は、みのりと一緒に

みのりの家まで、帰り、

みのりの部屋で、みのりを寝かしつけるのだった…

 

「大丈夫?」

 

「ごめんね…秋彦くんのことが、好きすぎて…

眠れなかったの…」

 

「そっかーでも、頑張り屋さんなところが、

みのりちゃんらしいよ、

でも、寝不足は、ダメだよ?」

 

「うん…わかった…」

 

それから、みのりを看病してから、30分後、

再び家を出るのだった…

 

 

CDショップへやって来た…

 

「俺は、アイドルが好きだからな…

桐谷遥ちゃんとか!桃井愛莉ちゃんとか!

日野森雫ちゃんとか!」

 

「うんっ!それ、とっても、わかる!

私も、好きだよ!

実は、同じ学校に通っているんだ!」

 

「スゲーじゃねぇか!

じゃあ、あんなことや、こんなこととか、

知っているのか?」

 

「うーん、よくわからないけど、

でも、とっても、いい人だったよ!」

 

「へぇ~会ってみたいな」

 

「そのうち、会えるよ!」

 

「楽しみにしておくね!」

 

「うんっ!」

 

「それにしても、秋彦くんって、

ホントにアイドルが、好きなんだね!」

 

「男で、アイドルオタクって、引くよな?」

 

「ううん、そんなことないよ!

アイドル好きなんて、私!

すっごく、嬉しいよ!」

 

みのりちゃんは、心から、嬉しそうに、

笑っていた、そして、キラキラしていて、カワイイ

 

俺、やっぱり、みのり推しだ

 

オーディションに、落ち続けているけど、

それでも、頑張りたいと、思っている、

みのりを、これからも、応援してやりたいと思っている。

 

「私!もっと、もーっと!頑張るぞー!」

 

「その調子だよ、みのりちゃん」

 

これからも、応援してやりたい、

そして、守りたい、この笑顔を…



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第三話 命よりも

石田秋彦には、命よりも、大事で大切な、人がいた。

それは、花里みのりという、

とても、可愛らしい女の子だった。

 

茶髪に、ぱっちりとした灰色の瞳が

印象的な、ふんわりとした、心優しい女の子だ

 

家が近いことから、よく遊んでおり、

幼い頃から、みのりには、頭が上がらないくらい

感謝している。

 

ちなみに、今日は風邪気味の為、

俺は自分の部屋で寝ていた。

 

目を開けると、茶色い天井…

俺の家にして、俺の部屋だった…

 

「大丈夫?秋彦くん?」

 

「うぅ…大丈夫だ…これくらいの熱…

どうだってことは、ない…」

 

「そうかな?でも、すっごい、熱だよ?」

 

「じゃあ、寝ておく、風邪薬飲んでおくから、

ありがとな、みのりちゃん」

 

「どういたしまして!

あっ、おかゆ作っておくね!」

 

「ありがとな、それにしても、みのりちゃん、

風邪が、うつらないか、心配だ」

 

「う、うん、わかった、

じゃあ、私、もう、帰るけど、

あっ、モアジャンの、動画見ておいてね!」

 

「うん、わかった、見ておくね」

 

こうして、俺は、みのりが帰った後、

モアモアジャンプ!の、動画を見るのであった。

 

そこには、輝いている、みのりちゃんの姿が、

俺の目に焼き付いてきた

 

(みのりちゃん、こんなに、輝いているんだ

見守るんじゃない、助けてやらないと、

そして、応援しないといけない、

そんな、気持ちが、自然と湧いてくる…)

 

モアモアジャンプ!の動画を見た後

俺は、眠りにつくのだった…

 

早く風邪を治さないと、いけない、

学級副委員長として、

学級委員長を、補佐してやらないとな、

そして、学級委員長の隣にいるんだ、

半端は、出来なくなるな…

って、何考えているんだ…

石田秋彦、早く寝ろよ、風邪を治すために、

早く寝ろよ、俺

 

俺は、そう思いながら、夢を見た

こんな、夢を見た

 

それは…幼稚園の頃、

みのりが、幼稚園を卒園するときに

起きた出来事だった。

 

(ボク、おおきくなったら、

みのりちゃんと、けっこんして、

みのりちゃんをしあわせにする!)

 

(うんっ!わたし、まっているからね!

あきひこくんが、わたしをしあわせしてね!)

 

あの時、実は、俺の方が、

一つ年下であることに気づいて

その後でも、同じ小学校に通って、

ずっと、仲良くしていた。

 

懐かしいな…

 

でも、今の、みのりは、アイドルだから、

恋愛なんて、してはいけない…

 

それでも、俺は、将来的に、みのりちゃんを

幸せにしてやるんだ!

 

って、想い、思いながら、

俺は、再び眠りにつくのだった…

 

それから、翌日、

俺は、風邪が治ったことを、出会って、

みのりに伝えるのだった…

 

「風邪が治った、今度、デートに行かないか?」

 

「治ったんだね!うんっ!

久しぶりのデートだから、楽しみだな~!」

 

「あぁ、楽しませてやるからな!」

 

こうして、二人でデートの約束をするのだった…



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第四話 秋彦 こはねに出会う

今日はデートの日だけど…

みのりが、女の子の友達を連れて、

やって来るみたい。

 

「あっ、みのりちゃん!」

 

「秋彦くん!」

 

「この人が、みのりちゃんの、友達?」

 

「うんっ!小豆沢こはねちゃん!

すっごく、カワイイ子だよ!」

 

「は、初めまして…小豆沢こはねです…」

 

「よろしく、俺は石田秋彦

みのりの幼馴染だ」

 

「よ、よろしくお願いします…」

 

「それじゃあさ、今日は、どこ行く?」

 

「あっ、じゃあ、ゲームセンターに行かない?」

 

「ゲームは、あんまり、したことないけど…」

 

「大丈夫!バッチリ、フォローしてやるから!」

 

「本当に?秋彦くん、頼もしいね!」

 

「だろ?」

 

三人は、ゲームセンターに向かった。

 

「おっ、太鼓の玄人がある!」

 

「よーし!あっ、でも、二人でしかできないか…」

 

「じゃあ、交代でやろう」

 

「そうだね」

 

交代しながら、遊ぶのだった。

 

 

「よーし!じゃあ、次は、クレーンゲームで、

遊んでみる?」

 

「取れるかな?」

 

「取ってやるから、見てろよ!」

 

しかし、取れなかった

 

「あーごめん、4回もやったのに、

結局、取れなかった、

あっ、公園に行かない?」

 

「うん!あっ、こはねちゃんに、

聞きたいことがあったんだった!」

 

「えっ?私に?」

 

「とにかく、公園に行ってみるか」

 

三人で、公園に向かった。

 

 

「こはねちゃんって、イベントに出ているみたいだね!

私も、観に行きたいよ!」

 

「うん!みのりちゃんにも、

聴いてほしいな!私の歌を!」

 

「うんっ!あっ、私もね、動画で

アイドルやるようになったんだよ!」

 

「すごい!みのりちゃん、アイドルになったの?」

 

「とっても、まだ、なり立てだけどね」

 

「そうなんだ、でも、応援しているね」

 

「私も、こはねちゃんのこと、応援しているから!」

 

「二人は、同じ学校なの?」

 

「うん!そうだよ!同じ、宮益坂女子だよ」

 

「そうなんだね。

こはねちゃんって、イベントやっているんだ、

歌ってみて!」

 

「ここでは…歌えないよ…」

 

「私も歌ってあげるから、一緒に歌ってみようよ!」

 

「うん!みのりちゃんが、言うなら…」

 

みのりと、こはねは、アカペラで、

歌を披露するのだった…

 

「スッゲー!上手じゃねぇか!」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ!二人とも…その、可愛くて、

アイドルみたいだった」

 

「アイドルみたいって、大げさだよ…」

 

「でも、おかげで自信がついてきた!

これからも、頑張るぞー!」

 

「その調子だよ、二人とも、支えてやらないとな

それに、みのりちゃんの、そばにいないと…」

 

「秋彦くん、私のそばにいてくれるの?」

 

「当たり前だろ?何年幼馴染やって来たと思っているんだ!」

 

何がともあれ、これからも、ずっと、

支えてやると、誓うのだった…。

 



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第五話 アイドルの試練

俺は、石田秋彦。七百中学に通う、中学三年生だ。

 

そして、一つ上の花里みのりは、

俺の幼馴染である。

 

「みのりちゃん!どうだった?

アイドルのオーディション?」

 

「ダメだったよ…また、不合格…」

 

悲しい表情をしていた、みのりが、目の前にいて、泣いた

俺まで、泣きそうになった、そして、泣いたのだった…

 

「どうしたら、いいんだろう…合格するには…」

 

「何かを成し遂げるって、凄く、難しいことだよね…」

 

「でも、夢を叶えるために、みのりちゃん、

すごく、頑張っているじゃん、

俺は、そのことを、誰よりも、知っているし!」

 

口が上手な訳じゃない、

何とか、彼女が、目標とする、アイドルになるには、

どうしたら、いいんだろう?

って、ついつい、悩んでしまうところである。

何とかしてあげたいと、思ってしまうのだった。

 

「何かないか?あっ、身近にいたよね?

アイドルの知り合い!」

 

「うんっ!遥ちゃんに、愛莉さん!

それに、雫さんも!」

 

「すごい!」

 

「でも、アイドルの世界は、非常に厳しいみたい

難しいって、言っていたし…

でも、そんなの、最初から、わかっているし、

何があるとしても、頑張って、追いかけていくつもり!」

 

「その意気だ、全力で応援する!」

 

こんなことしか、言えない、自分に、腹が立った

 

そして、みのりが、泣きそうになった。

 

「こんな、私でも、なれるのかな…?アイドルに?」

 

「俺もいるから、頑張るしかないよ!

ずっと、一緒に応援するよ!」

 

と、俺は、みのりを励ますのだった。

 

「私が弱いだけなの、心と精神が強くならないとね…」

 

「…」

 

二人で泣いた…目一杯、泣くのだった…

 

そして、泣き止む頃になり、俺は口を開くのだった。

 

「俺もそうだけど、アイドルが、好きなんだね」

 

「えっ?うん!アイドルは、大好きだよ!

何だって、小さい頃に、私に勇気をくれたから…」

 

かけがえのないってことか…と、勝手に嬉しくなった

 

「何年幼馴染やっていると、思っているの?」

 

「そうだね、秋彦くん、私を何度も助けてくれたし…」

 

「なぁ、みのり」

 

「どうかしたの?」

 

「俺たち、これから、どうなっていくんだろう?」

 

「うーん、私にも、わからないよ…

そんなこと…」

 

「だな、まぁ、今は、頑張って、努力するしかないな」

 

「そうだね…」

 

「何かいい方法が、あればいいんだけど?」

 

「うーん、あっ、考えたんだけどさ!

笑顔動画で、アイドルするのは、どうかな?」

 

「まぁ…それでも、いいんじゃない?」

 

「見てくれるかな?」

 

「もちろんだとも!」

 

「じゃあ、出来たら、真っ先に教えるね!」

 

「あぁ、楽しみにしてるよ」

 

何がともあれ、楽しみが一つ増えて、

希望が見えてきた気がするのだった。

 

 



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第六話 アイドルのキャッチフレーズ

石田秋彦は、早速、幼馴染のみのりが所属する

モアモアジャンプの動画を閲覧するのだった。

 

そう言えば、前にも言っていたけど、

モアジャンの動画、それなりの閲覧回数があるな…

 

 

後日

 

「みのりちゃん!」

 

「はーい!」

 

「みのりちゃん!

モアジャンの動画見ているよ!

もう、カワイイ!」

 

「え?ほんと?

見ていてくれて、嬉しいよ!秋彦くん!」

 

「みのりちゃんが、カワイイ!」

 

「そうかな…?」

 

「みのりちゃんが、一番、カワイイと思う!」

 

「い、一番!?お世辞でも、嬉しい!

ありがとう!私もっと、頑張るから、

秋彦くんが、応援してくれると、嬉しいな!」

 

「俺は、ずっと応援する!」

 

「うん!秋彦くん、ありがとう!」

 

「だって、幼馴染だからな!」

 

「いつも、一緒にいたからね、

秋彦くんには、すごく、感謝しているよ!」

 

「俺も、みのりのおかげで、毎日が楽しいよ!

みのりは、学校生活は、どうだ?

俺は、中学で、副委員長をやっているけどね」

 

「楽しいよ!みんな、親切で優しい人ばっかりだもん!

副委員長やっているよね!すごい!

秋彦くんって、昔から、世話好きだったから、

めっちゃ、想像できるよ!」

 

「オカンって、言われたり、しているんだぜ?」

 

「オカン?面白いね!」

 

「みのりちゃんが、笑うと、

俺も、嬉しい気持ちになるよ!」

 

「ホントに!?そう言ってもらえると、

すごく、嬉しい!

アイドル好きの、秋彦くんに言われると、

なんだか、自信がつく!」

 

「前にも言っていたけど、アイドル好きって、

引かれそうな気が、するな…って、思っていたけどね」

 

「引く訳ないよ!だって、私も、アイドル大好きだし!

キラキラしていて…可愛くて、すっごく、憧れる!

いろいろ、お話できるから、秋彦くんが、

アイドル好きって、聞いて、嬉しいんだ!」

 

「そう言ってくれると、嬉しい!」

 

「秋彦くんは、ずっと、私を助けてくれたり、

力を貸してくれたり、笑顔にしてくれたり、していたし!

今度は、私が、秋彦くんを助けたり、

力を貸したり、笑顔にする番だね!」

 

「みのりが、みんなに、暖かい心を分け与えてくれたら、

それでいいよ、こたつかな?」

 

「こたつ…?えへへ、そうかな?」

 

「アイドル会の、こたつになりたいって!

動画で言っていたじゃん!」

 

「なりたいけど…ダサいって、言われちゃって…」

 

「まぁ、何て言うか、もっと、いい表現があればなって

思っちゃうんだよね…」

 

「例えば?」

 

「アイドル会の、布団や毛布になるとか!」

 

「布団や毛布?こたつも、だけど、

なんか、いいかも!」

 

「でも、よくよく、考えたら、あんまし、

参考にならない気がする…」

 

「そうかな?」

 

「ちょっと、考えさせてね」

 

俺は彼女のキャッチフレーズに、悩むのだった。



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第七話 私は必要な存在?

みのり…絶対何かあったろ。

 

みのりが、その顔の時は何かあった顔。

 

なんかうまくいかないこととかあった?

 

話聞くよ。

 

大丈夫って…みのり、全然大丈夫って顔してないから。

 

何年、みのりと一緒にいると思ってんだよ。

みのりのことなんて全部わかる。

 

だから話してよ。

 

話したら楽になったりするじゃん。

俺は、どんな話でも受け止めるから。

 

「秋彦くん…あのね…」

 

「どうかしたの?」

 

「えっとね、実は私、モアモアジャンプに

所属しているでしょう?

それでね、私だけ、浮いてる気がするんだ…」

 

「浮いてる?」

 

「私だけ、素人だし、何より、

みんなの足引っ張っている気がするし」

 

「なんだ、そう言う事だったんだ

…とりあえずこっち来て」

 

「えっ?」

 

「いいから、いいから」

 

そう、顔はこっち。

 

目そらさないで俺の目見て。

 

やっと目合った。

 

今日ずっと下向いてたんだよ。

 

俺のこと全然見てくれなかった。

 

ほら、俺の顔よく見て。

 

泣きそうな顔すんなって。

大丈夫。

 

みのりに対してじゃなくて

 

だってさ、みのりが、

ただでさえ辛いのに

さらに辛いこと言わせちゃった。

 

みのりを気遣わなきゃならなかったのに。

 

そんなの幼馴染失格だろ。

 

ああ、泣くなって。

なんでお前が泣くんだよ。

 

もう。

 

秋彦は、みのりの涙を、ハンカチで拭き取った。

 

びっくりした?

 

お前の涙なんて見たくないから。

 

泣かないでよ。

 

あ、でも。

涙流すたびに、俺が拭き取ってあげる。

 

だから泣くなら、俺のいるところで泣いてね。

 

あ、こっちも。

 

ハンカチで拭き取る

 

涙止まった?

 

「うん…ありがとう…秋彦くん…」

 

「どういたしまして」

 

うん。みのりには涙は似合わない。

 

ほら、離れようとしないで。

 

辛かったろ。

みのりがそこまで落ち込むって相当だから。

 

だから、話せるときに話してくれればいいよ。

 

ん?

 

ごめん。

無理に話させたいわけじゃないんだ。

 

だからいいよ。

 

みのりが話してくれるなら、もちろん聞くけど。

 

 

「私って必要ないのかなって」

 

「そんな事、言った奴がいるのか?」

 

 

みのりのこと必要ないって言ったやつがいるの?

 

そんなわけねえじゃん。

 

誰、そいつ。ボコボコにしたいんだけど。

 

みのりに、そんな言い方するなんて許せない。

 

みのりが止めるなら我慢するけど。

 

でもこれだけは言わせて。

 

少なくとも、俺は必要な存在だよ。

俺の生きる理由なんだから。

 

それだけは変わらない。

 

他の誰が言ったって。わかった?

 

ほら、少しは嫌な気持ち楽になった?

 

謝んなくていいって。

 

それよりも「ありがとう」が聞きたい。

 

その方が嬉しい。

 

無理だけはしないで。

かわいいところも弱ってるところも全部見せて?

 

俺がまた言ってあげるから。

みのりは俺の生きる理由だよ。

大好き、ありがとう。



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第八話 中学の後輩

帰宅しようとしていた頃、

二年生の女の子が、俺に話しかけてきた。

 

「先輩、お疲れ様です。

今日も遅くまで残って総会してたんですね」

 

「そうだね、林田さんは?」

 

「え、わたしですか?いえ、先輩が残っているので

わたしも残っていただけです。何か問題でも?」

 

「ひょっとして、怒っているとか?」

 

「いえ、別に怒ってません。

ほら、いいから!下校時刻迫ってるんですから!」

 

「わかった、今から、帰る準備するから!」

 

 

そして、俺は帰宅の準備をした。

 

「遅いですよ、先輩。下校時刻ギリギリじゃないですか」

 

「ごめん、ごめん」

 

「もう…行きますよ。さっさと帰りましょう」

 

「だから、怒っているの?」

 

「いや、だから怒ってませんって

人のどこ見て怒ってるって言ってるんですか」

 

「あーなんか、ごめん」

 

「じゃあ聞きますけど、先輩、このあいだの休日、

駅前にいましたよね?女の子と一緒に。あれ誰ですか?」

 

「幼馴染だが?

 

「幼馴染、ですか…へ、へー。

先輩にも話せる女子がいたんですね。

知らなかったです」

 

「意外か?」

 

「い、いえ。別にどうもしません。

先輩が休日にどう過ごそうと、先輩の勝手ですし…」

 

「そりゃ、そうだけど?」

 

「そ、そうじゃなくて!

遊びに誘って欲しかったって言ってるわけじゃありません!

うう〜…やっぱり、先輩にはわかりませんよね…」

 

「…」

 

後日

 

「ちょうど、良かったです。連絡先が欲しいです。

いらないとは言ってません!ほら、携帯貸してください!」

 

連絡先を交換した。

 

「これでよしっと。はい、先輩。

電話番号とメールアドレスで、連絡がとれるようにしました」

 

「それで…その…俺が好きなのか?」

 

「も〜…そういうことを言ってるんじゃないのに…」

 

「でも、俺のこと、好きっぽいけど?」

 

「だ・か・ら!そういうことじゃありません!

なんで、わたしが、先輩と仲良くなりたいって話になるんですか!

先輩のバカ!」

 

「俺は、バカかもな」

 

「いーですよーだ。今はわからなくても。

いつか絶対わかる日がきますから。

それまで首でも洗って待っててください。

それじゃ、今度こそ失礼します」

 

「なんだったんだ?今のは?」

 

先輩の連絡先かぁ…ふふっ、これで先輩と直接

会わなくてもお話しできる。…えへへっ、やった♪

 

二年生の女の子は、満足気だった

 

「満足気じゃん、後輩ちゃん」

 

と、俺はボソッと言うのだった。

 

でも、俺には、花里みのりちゃんがいるから、

絶対に、他の女の子とデートなんてしないけど!

 

でも、後輩には、いずれ言わねーとな…

 

 



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第九話 アイドルのファン

今日も、石田秋彦は花里みのりと一緒にいた。

 

「なぁ、みのり、今日のモアモアジャンプの

動画見たよ!もう、みのりちゃん、マジでカワイイかったよ!」

 

「えへへーそうかな?」

 

「なんか、流行りのアイドルと一緒に

共演したらしいな?」

 

「うん!そうなの!

あの時は、失敗しそうだったけどね」

 

「でも、最後まで、頑張ったじゃん!」

 

「うん!秋彦くんに、それに、ファンのみんなの

おかげだよ!」

 

「みのりちゃん、ファンが出来たんだね!」

 

「うん!わたし、自身が付いてきたよ!」

 

 

すると、一人の女の子が、やって来た

 

「あっ、花里みのりさんですか…?」

 

「えっ?そうですけど?」

 

「コラボ動画観ましたよ!

とっても、よかったです!」

 

「観てくれたの?ありがとう!」

 

「あの…みのりさん…

私と一緒に、お買い物にいきませんか?」

 

「ええええっ?わ、わたしと、お買い物!?」

 

「はい!私、みのりさんのこと、色々と知りたくなりました!」

 

「それは、嬉しいけど…どうしようかな…?」

 

「行ったらどう?俺はこの場で退散するからさ」

 

「えっ、でも、秋彦くんが、いないと…

心配になっちゃうな…」

 

「隣の人は?」

 

「石田秋彦だ、花里みのりの幼馴染で、

中学三年生だ」

 

「そうなんですね!」

 

「あぁ、キミの名前は?」

 

「私は木山夏海って、言います!

中学二年生です!」

 

「今更だけど、木山さんって、七百中学の子?

制服着ているから、何となくかな?

って、思ってて」

 

「はい、そうですけど…」

 

「俺も七百中学なんだ、奇遇だね」

 

「そ、そうですね…」

 

 

すると、秋彦の携帯から、着信が鳴った

 

「もしもし?え?学級委員長から呼び出し?

わかった、今から行く」

 

「どうかしたの?秋彦くん?」

 

「ごめん、俺、呼び出しがあるから、

二人で、楽しんで来いよ」

 

と、石田秋彦は、この場から、去った。

 

「うんっ!じゃあ…夏海ちゃん、

一緒に行こ!」

 

「はいっ!」

 

 

こうして、みのりと夏海のデートが始まった

 

「あの、さっきの人は、何だったんですか?」

 

「わたしの大切な幼馴染でね、

石田秋彦くんは、とっても、頼りになるの!」

 

「頼りになる、幼馴染…何だか、スゴイ…」

 

「わたしの、抜けている所を、カバーしてくれる人…かな?」

 

「そうだったんですね…」

 

「それで、どこに行く?」

 

「私、みのりさんをコーディネートしたいです!」

 

「コ、コーディネート!?」

 

「はいっ!みのりさんは、ハッキリ言って…

着ている、練習着が、ダサイと言うか、何と言うか…」

 

「そうなの?」

 

「ご、ごめんなさい!

カワイイ練習着の方が、似合うような感じがして…」

 

「じゃあ、一緒に買いに行く?

可愛い練習着とか、着てみたいな!」

 

「私に任せてください!」

 

「うん!頼りにしているよ!」

 

こうして、二人で、みのりの練習着を買いに行くのだった。

 



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第十話 身近に感じる事

聞きなれた、元気な声。

見慣れたシルエットが目の前の家から出てきた。

もう、何度も通ったか、覚えていないであろう、

その家も、ずっと変わらない。

 

「おはよう!秋彦くん!」

 

元気な声だったのか、俺は一安心した。

 

「最近、どうかな?」

 

「すっごく、楽しいよ!

秋彦くんが、背中を押してくれたから、

アイドル活動、めちゃくちゃ頑張っている!」

 

俺の幼馴染は、アイドルをしている。

俺の大好きなアイドルに、大切な友達になるって、考えた時

すっごく、ワクワクしたのを覚えている。

 

でも…

 

「俺、背中を押すような、スゲーこと、したっけ?」

 

「してくれたよ!だって、あの時…」

 

ゆっくりと、語り始める、みのり。

あの時、と言われていく日々は、いくつも、浮かんでくるが、

その中でも、特段に、みのりを輝かせた出来事のことだろうか

 

同じ記憶い思いを駆け巡りながらも、みのりの声に耳を傾けた

お昼前の出来事だった。

 

 

ちょっと、最近の話、みのりが、アイドルになる前の話

 

「はぁ…」

 

後ろから、驚かすように声をかけてきたのは…

 

「ため息なんて、ついて、どうしたんだよ?」

 

「び、びっくりした…」

 

石田秋彦だった。

 

「暗い顔で悩み込んでいて…俺、何で気づかなかったんだ…」

 

とは、言うもの笑顔で向かいの席に座る秋彦

こういう時は、みのりが悩みを打ち明けるまで、

話が終わるまで、付き合う笑顔だ。

 

やっぱり、幼馴染には、敵わないって、実感する。

 

「じゃ、じゃあ!悩みを聞いてくれる?」

 

恐る恐る問いかけると、嘘偽りのない、いつも通りの笑顔で…

 

「あったりまえじゃん?」

 

みのりが、どんなに輝いて見えたか、

その輝きが周りに明かせなかった心の内を引き出してくれる、

重い口がだんだんと軽くなってくる感覚

 

「あのね…私、アイドルになりたいの!」

 

開かれた瞳の奥に輝きを増した。

 

「あ、ああ、アイドル!?」

 

「う、うん…」

 

「俺さ、実はアイドルが好きなんだ!」

 

珍しく早口で、私さえも置いてけぼりな、早さで、

アイドルについて、語りだした、秋彦。

 

「元気をくれる存在って、憧れるよな!

太陽みたいに、遠くから、俺達を応援してくれるみたいにな!」

 

「うんうん!」

 

実際、同感する、部分が多かった。

アイドルについて語る、俺が楽しそうで、

なんだか、みのりまで、楽しくなっていった。

 

しばらく、話し倒した秋彦が急に切り出した。

 

「そっか~みのりが、アイドルか…きっと、似合うし、

トップにだってなれる!」

 

一瞬耳を疑った。

 

「え?」

 

聞き返さば、当たり前だろ、とでも、いわんばかりの顔で

紡ぎだされる言葉たち。

 

 

「俺にとって、太陽みたいな存在で、

いつも、明るく素直で、人の事を考えていて、

好きなことに一生懸命な、みのりなら、

きっと、立派なアイドルになれるよ」

 

そう言ってくれるのは、嬉しいが…

 

「でも、私より、カワイイ子も、いっぱい…」

 

いじける、みのりの手を握りながら、

重なる視線の中で、交わされた会話を今でも忘れない…

 

「アイドルって、見た目だけじゃないだろ?

もちろん、みのりは、可愛いけど、それだけじゃない」

 

「えっ?」

 

「みのりは、俺にとって、希望を与えてくれる人なんだよ、

毎日を楽しくしてくれる希望みたいな。

だから、なれるよ」

 

「誰かに希望を…」

 

大好きで憧れる遥ちゃんも言っていた、

そんな、希望、そんな希望に私は慣れるかな…

 

ただ、ドキドキして、ワクワクして、

やる気が出てくる…

 

「私、アイドルになるよ!」

 

みのりは、トップアイドルを目指すのだ。

トップアイドルになっても、俺は支えると誓った。



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第十一話 早寝早起き

…あ、やっと出た。

もしもーし?おーい、起きてるか?もしもーし。

ほら、朝だぞー、今日も学校だぞー、起きろー!

…むにゃむにゃ言ってて何て言ってるかわからないんだけど。

ほら、ちゃんと目を開けて!俺の声聞こえてるか?

 

こーら、ケータイを遠くに離そうとしないの、

お布団の中に潜り込もうともしなーい!

「…何で分かるの?」って、

みのりのことだからすぐ分かるに決まってるだろ。

 

ほーら、今日は天気が良いぞー。

朝は少し肌寒いかもしれないけど、

お昼からは少しずつ暖かくなって気持ち良さそうだ。

 

 

天気が良いからって授業中に寝たり、

ボーッと外を眺めてるのはダメだからな。

 

しかも「今日のお弁当なんだろう…」て

独り言と小さいお腹の音まで聞こえてたんだからな。

 

 

あ!あと、消しゴム新しいのも持ってくること!もう残り少なかっただろ?

「…何でそんなことまで覚えてるの?気持ち悪い…」

って、昨日お前が残り少なくなった消しゴム使いにくいって言って、

勝手に俺のやつと交換したんだろうが!

俺が使いにくくて取り返そうとしても、

そのまま取って1日使い続けるし…!しかも持って帰るし…!

 

 

まったく…みのりは本当に手がかかるし自由なんだよな…。

俺は、みのりの幼馴染であって、お世話がかりじゃないんだぞ?

いや、まぁ…お世話がかりみたいなもんか?

幼馴染だし…でもそれにしては頼りすぎだよな。

いつになったら自立しようと思ってくれるんだか…。

 

 

ほら、俺の声聞いてたらだんだん目が覚めてきただろ?

そうそう、そのままゆっくり起き上がって…

「まだ眠いー!」じゃないの。

自分で窓のカーテン開けて、ちゃんと

朝の空気部屋に入れて動かないと。

うん?ちゃんと立ち上がった?

じゃあ、窓際まで歩いておいで。

 

 

(電話が切れて、そのままカーテンと窓を開ける)

 

 

はいっ、おはよう!!

ははっ、すっごい寝癖出来てるぞー。

いつまでもパジャマ姿だと置いていくからな?

ちゃんと着替えて、朝ごはん食べて。

玄関の前でいつもの時間に待ってるからな。

さっき言ったことも忘れないように!

ほらほら、まずは顔を洗っておいで。

 

 

ちゃんと学校行く時にはいつもの、

可愛い姿の、みのりを見せてくれよな…?

まぁ、そんな無防備な姿も可愛いんだけどな…(小声で)

 

 

いーや、何も言ってないよ?ほらほら、

早く準備しないと時間もくるし置いて行くぞー。

今日も一日、一緒にがんばろうな!

 

「やっぱり眠いよ~秋彦くーん!」

 

「早寝早起きすることだな」

 

「そうだね!よーし!頑張るぞ!」

 

「立ち直り早い!」

 

何がともあれ、みのりは早起きするのだった。



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第十二話 一緒に料理

今日の、みのりは、ご機嫌だった。

 

「フラゲ♪フラゲ♪

きょーうは、嬉しいフラゲの日~♪」

 

「ご機嫌だね、みのりちゃん」

 

「うんっ!」

 

「ねぇ、アイドル活動、最近どう?

俺は毎日、見ているぜ?」

 

「そうなんだ!ありがとう!秋彦くん!」

 

「学校生活は?」

 

「充実しているよ!遥ちゃんに、

愛莉ちゃんに、雫ちゃん

それに、みんながいてくれるから、

楽しいよ!」

 

「そんな、みのりを見ていると、

俺も幸せな気持ちになるよ、

あっ、変な意味じゃないから!」

 

「幸せな気持ちになるの!

よーし!私、もっと、もっと、頑張っちゃうぞー!」

 

「なぁ、みのりちゃん、今日はヒマかな?」

 

「うーん、まぁ、ヒマだけど?」

 

「じゃあ、一緒に料理する?」

 

「いいよ!何作る?」

 

「そうだな…簡単な料理がいいけど、

どうしようかな?」

 

「うーん、あっ、私、サーモンが食べたい!」

 

「みのりは、サーモンが好きだったな、

俺も好きだけどな、

でも、サーモン料理って、ハードル高いしな…」

 

「うーん、それも、そうだね…」

 

「じゃあ、肉じゃがか、ハンバーグだな…」

 

「でも、今はサーモンが食べたい気分だし…」

 

「わかった、じゃあ、サーモン料理でも、

作ってみるか!」

 

「ハードル高そうだけど、大丈夫かな?」

 

「大丈夫だよ、なんとかなる!きっと…」

 

「そうだね!やってみないと、わからないもんね!」

 

 

こうして、みのりと秋彦は、

商店街の魚屋さんで、サーモンを買うのだった。

 

 

秋彦の家にて…

 

「よーし!サーモン切るぞ!

実際、授業で包丁の使い方、学んだから…

多分、いけると思う!」

 

「頑張ってね!秋彦くん!

あっ、私も手伝おうかな?」

 

「うん、じゃあ、野菜、切ってくれないかな?」

 

「ブロッコリー…ないよね?」

 

「もちろん、無いよ!

ブロッコリー苦手だもんね」

 

「さすが、秋彦くん!わかってる!」

 

「よーし!サーモン料理、絶対に成功させるぞー!」

 

 

秋彦はレシピ本を、二冊取り出して、

サーモン料理を、研究するのだった。

 

「なんで、レシピ本?」

 

「あ…サーモン料理って、よくわからないから、

こうやって、読んで、研究しているんだよ」

 

「うんっ!そうした方が良いね!」

 

こうして、秋彦はサーモン料理の研究をしていた…

 

 

「じゃあ、生のサーモンと、

焼いたサーモンだったら、どっちが好き?」

 

「うーん、どっちも、捨てがたいし…

焼きサーモンのお寿司なら、好きだよ?」

 

「じゃあ、こうしよう、

サーモンを炙って、イクラも入れて…

焼きサーモンイクラにしようか?」

 

「丼にはしないの?」

 

「まぁ、それでも、いいな」

 

「よーし!じゃあ、一緒に作っちゃおう!」

 

「そうだな!」

 

こうして、二人で、焼きサーモンイクラを

作るのだった…

 



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第十三話 ゲーセンとクレープとペンギングッズ

花里みのりと石田秋彦は、一緒にゲーセンデートをしていた。

 

「秋彦くんと、ゲームセンターに行くなんて、

久しぶり~!」

 

俺の幼馴染の、みのりは、そう言っていた。

 

「そうだな!久しぶりだな~!」

 

ワクワクしている、俺がいる!

 

「あっ!太鼓の玄人で勝負しようよ!

なんか、やりたくなってきた!」

 

「よし!みのりが勝ったら、言うこと聞いてやる!」

 

「よーし!頑張るぞー!」

 

みのりは、音ゲーが得意だったな、

だが、好きなゲームの為、負ける訳にも、いかない。

 

しかし、俺はみのりに負けてしまう。惨敗だ。

 

「じゃ~何聞いて貰おうかな?」

 

と、みのりは、ニヤニヤしながら、

俺にこう言った。

 

「一緒にプリクラ撮ろ!」

 

「お、おう、いいぞ…」

 

って、プリクラって、俺、何されるんだ!?大丈夫か?

 

(カメラを見てね!3・2・1!パシャッ!)

 

と、機械の言葉と共に、プリクラが、撮れるのだった。

 

「うわっ!秋彦くん!カワイイー!」

 

恥ずかしい…変な顔になってるじゃん…

 

「じゃあ!クレープ奢ってくれる?」

 

「わかったよ!」

 

みのりと秋彦は、一緒にクレープ屋さんにやって来た。

 

「私!イチゴクリームクレープが食べたい!」

 

「わかった、えっと…450円か…」

 

秋彦は、イチゴクリームクレープの、代金を支払った。

 

「ありがとー!秋彦くん!」

 

「アイドルだから、甘い食べ物、控えた方が良いと思うけどなー」

 

「うぅ…そうだけど…たまにはいいかな?」

 

「遥ちゃんに、怒られそう…」

 

「そう…だよね…うん!今月のクレープは、

これだけにしておく!

あっ、何でも、言うこと聞いてあげるんだっけ?」

 

「今日だけだぞ?」

 

「そうだよね、じゃあ…ペンギンのグッズを買いたい!

遥ちゃんに、勧められて、可愛いから、

集めようかなーって、思って!」

 

「お!いいじゃん!じゃあ、買いに行くか!」

 

「うんっ!」

 

みのりと秋彦は、ペンギングッズを専門とした、

お店にやって来た。

 

「ここか、可愛いグッズが、いっぱいあるなー」

 

「うーん、高いのを買ったら、秋彦くんに、

迷惑だからな…」

 

「なるべく、安いので、お願いします!

俺、あんまり、小遣いないから!」

 

「うーん、じゃあ、このストラップ!

お揃いで、買っちゃう?」

 

「そんじゃ、それ買おう!」

 

秋彦は、ペンギンのストラップを購入するのだった。

 

 

 

場所は、公園に移る。

 

 

 

「秋彦くん!今日は楽しかったよ!ありがとう!」

 

「俺も楽しかった!」

 

「みのり…」

 

「秋彦くん?どうかしたの?」

 

「また、遊びに行こうな!」

 

「うんっ!」

 

二人は、またいつか、デートすると、誓うのだった。

 

 



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第十四話 みのりと秋彦の過去

花里みのりは、

ある年の、4月14日生まれの、牡羊座。

 

石田秋彦は、

一年後の、ある年の、11月27日生まれの、射手座。

 

彼は、一つ年上の花里みのりという、

幼馴染がいた。

 

彼女との出会いは、幼稚園の時である。

 

不運に見舞われていた、みのりを、

秋彦が励ましたことと、助けたこと、

そして、家が近いことから、

次第に、幼馴染になっていった。

 

みのりには、

みんなに希望と夢を与えるアイドルであって欲しい。

と、秋彦は、いつしか、

そう思うように、願うようになった。

 

みのりはトップアイドルになる夢、

秋彦は、それを支える存在でありたい。

 

と、それぞれの夢と目標に向かって、

今日に至るまで、頑張っている。

 

「秋彦くん!」

 

「みのりちゃん!」

 

「わたし、アイドルになったら、

ファン第一号の、秋彦くんに、恩返しがしたいの!

それはね、キラキラのステージで、

秋彦くんに、夢と希望を届けたいの!」

 

「俺も、それまで、待っているから。

そして、いつまでも、応援しているから!」

 

と、幼少期に、約束した夢は、

今でも、二人は覚えている。

 

そう、例え、どんなことになろうと、

二人には、夢を捨てきれなかったのだ。

 

みのりがオーディションで、何度も落ちようと、

秋彦の心が折れかけようとしても、

それでも、めげずに、頑張るしかなかったのだ。

 

「今日も、たくさん、がんばるぞー!」

 

「うん、俺も、気合を入れないとな!」

 

 

アイドルの夢は、非常に難しくて険しいことは、

もう、死ぬ程、わかっている。

何度も、諦めかけようとしても、

何度も、心が折れようとしても、

それでも、叶えたい夢を、簡単に手放す訳にはいかない、

そう、一度決めたことは、意地でも成し遂げたい力が、

二人には、あるのだ。

 

 

でも、どうしたら、叶うのか?

明確な答えが、見つからない。

 

当然だった。

 

ただ、頑張るだけじゃ、努力だけが、

夢や目標を叶えるとは限らない。

 

わかってはいた。

でも、叶えたい願いは、無理でも、叶えたい。

 

応援してくれる人もいれば、

ごく一部に、バカにする奴もいた。

 

バカにする奴と、度々、ケンカをしていた。

下手したら、取っ組み合いをしていた。

 

みのりと秋彦には、意地と根性がある。

根気も誰よりもある。

 

叶えるための力も、十分にある。

 

そう願いを叶えるために、

信じた道を突き進む以外に、方法は無い。

 

 

ちなみにだが、

来年、秋彦は高校に進学する予定である。

進学先は、都立 神山高校の全日制である。

 

みのりは、宮益坂女子学園の高等部の二年生に、

なろうとしている。

 

 

 



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第十五話 お任せ!学級副委員長!

石田秋彦は、公立七百中学校の三年二組の、

学級副委員長である。

 

今日も、学級副委員長に依頼が来ていて…

 

「なぁ、学級委員だろ?

何とかしてくれよ!」

 

「よーしっ、この俺が、学級委員の名に懸けて、

ぱぱっと、解決しちゃうぞ!」

 

内容は、喧嘩の仲裁だった。

 

「おいおい、何があったんだ?」

 

「実はよ、宗田と田上がケンカしてさ、

プロレスごっこして、大変なんだよ!」

 

「どういう訳で?」

 

「いつもの口喧嘩のはずなのに、

ヒートアップしたって感じでさ」

 

「わかった。俺に任せろ」

 

「さっすが、うちの学級副委員長!」

 

と、同じクラスメイトの、松岡が、

体育館の入り口に案内された。

 

 

早速、その現場に

 

「おい、ケンカはよせって」

 

「あー実はよ~コイツと口で口論していたけどさ…」

 

「思わず、殴り合っちゃって…」

 

「プロレスごっこは、立派な暴力だろ?」

 

「そうだけど…」

 

「あの二人、仲悪いはずなんだけどな~」

 

「まぁまぁ、ケンカする位だったら、

距離を取ったらいいじゃねーのか?」

 

「あぁ、そうだけどさ…

俺と田上、高校も同じなんだよな」

 

「どこなんだ?」

 

「公立の旭正高校だ」

 

「あの共学の高校か」

 

「進路先を、別々にしたいけど、

俺らの学力じゃ、これ以外に通えれないしよ~!」

 

「そこは、進路指導の先生だな…」

 

「お前等、元々、どんな関係なんだ?」

 

「昔は、仲良しだったけど、中学になってから、

いがみ合うようになってさ」

 

「女の子一人を奪い合ってたしな…」

 

「それで、仲が悪く?」

 

「あぁ」

 

「マジか…」

 

「しかしも、あの子、俺らの後輩が好きで、

確か、高木雅利って奴が好きでさ…」

 

「二年生の高木雅利か」

 

「あぁ」

 

「アイツ、俺ら三年生を差し押さえて、

二年生のくせして、女の子にモテモテなんだよ!」

 

「地味に腹立つ!」

 

「…そうか、そうだよな」

 

「おい、石田はどうなんだ?」

 

「俺?」

 

「幼馴染がいるんだろ?」

 

「どうだろうな…付き合っているか、

まだ、不確かなモンだしな…」

 

「その取り合っていた女の子は?」

 

「高木と同じ二年生の、中村って女の子」

 

「その子が好きだったのか?」

 

「あぁ、一目ぼれでな」

 

「救いようがねーケンカだったな!」

 

「あぁ、悪かったな…」

 

「俺もだ、この子が好きだったのにな…」

 

「しかも、中村って子は、高木が好きでな…」

 

「マジかよ…」

 

「中村梨子…あの子のお姉ちゃんたち、

宮益坂女子学園に通っているらしいぜ?」

 

「それも、中等部と高等部」

 

「そうか、みのりと同じ学校だな」

 

「石田はいいよな~みのりって子がいて!」

 

「羨ましいな~おい~」

 

「アハハ…」

 

笑うしかなかった。



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