個性:ミノ粉 (春猫)
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くじびきアンバランス

思い付き一発ネタ
タイトルが全てです


「お兄さん、今キャンペーン中なんで、くじ引けるよ、引いてかない?」

 

 ニコニコ笑いながら、良くある三角くじの入った箱を差し出す天使。

 天使なんだけど、生前良く見た感じの青と白のストライプの入った服を着ている。

 

 どう見ても□ーソンです……。

 羽根生やした金髪美形が□ーソンの制服アレンジした様な天使の衣装着て浮いてます。

 

 歩いてたら上から落ちて来たなんか(死角だったんで何だったのかは知らない)が頭に当たって(ヘルメットをかぶって無かったんで)即死。

 でもって、ここは死後の世界っぽい。

 最近じゃ死後は、ほぼ全員がすぐに次の転生ってことで、天国に来る人間なんて滅多にいないため、暇してる天国担当の天使が転生作業に手を貸してるんだとか。

 

 くじかぁ……生前、最後に引いたくじは鬼滅のだったなぁ……。

 あんま、欲しくない飲料しか当たらなかった。

 

 まあ、この手のくじは必ず引いてた俺なんで、当然、引くんですけどね。

 

「1枚だけ取ってくださいね……どれどれ? さっき引いた人はマック◯コーヒー(1本)だったんですけどね……お兄さんは何かな? お? おおおお! おめでとうございます! ジャ◯プ作品世界転生(特典付き)ですね! フ□ム作品とかクトゥルー系じゃなくて良かったですね」

「ありがとうございます」

「じゃあ、こっちのスクラッチをどうぞ!」

 これまた良くあるスクラッチくじ。

 10円玉では無く5円玉を貸してくれた。

 

 三択×項目3つ。

 どの作品に、どういう立場で、何の力を持って、転生するのかがこれで決まるのか。

 

「作品は(ワクワク)……ヒロアカですね! 立場は…モブ、ある意味ラッキー? 峰田くんとかに憑依転生とか罰ゲームですもんね!? 力はミノ粉? なんです、これ? 唐揚げ粉の親戚ですか? からあげくん、無限に出せるとかの方がいいじゃないですかねぇ。じゃあ、早速、転生行ってみましょうか?」

 

「あ、その前に一個質問いいっすか?」

「はい?」

「なんで□ーソンっぽい服なんです?」

「ウチの上司が立川詣でのついでに立ち寄った下界の□ーソン気に入っちゃったからですねぇ……ホント、あのクソ上級天使が! あ、いけないいけない、ついつい堕天しちゃうとこでした! それでは、良い来世を~!」

 

 

 

 こうして転生した俺だったが、速攻、母親に転生者であることがバレた。

 母ちゃんの個性「鑑定」。

 見るだけで、それがどういうものなのか分かるという優れものの個性である。

 

「まあ、余分な個性が一個ついてるようなもんさね、私がお腹を痛めて産んだ子に間違いない。ガキの内はせいぜい甘えな!」

 こんな母ちゃんだから、前世享年加算の年齢なんて気にせず育つことが出来た。

 わが母ながら実に男前である。

 

 サバサバとした性格の母ちゃんの職業はヒーロー兼検事。

 悪人、ヴィラン、弁護士そろって涙目である。

 個性、鑑定ってことになってるのに嘘は簡単に判別するからな。

 

 無意味なんで俺も素直になった。

 嘘、誤魔化し、照れ隠し、全部無駄。

 

 個性の性格上、自分が現場に出ることは無いが、警察、プロ・ヒーローには頼りにされてる。

 個性で何が出来るのか良く分からないヴィランへの対応なんかでも協力を求められたりしてる。

 

 

 現状、身の回りに原作登場人物は居ない。

 主人公のクラスメイトと幼馴染とかいう二次創作定番の設定は無かった。

 さすがモブ転生。

 両親は濃いけどな……。

 

 

 うん、父親も濃い個性持ち。

 

冨生(とみお)~! 縦笛が苦手なお前のために全自動スーパーリコーダーをつくってやったぞ! 口に咥えて吹くだけで、どんな曲でも名演奏ができる! 仕組みだ? そんなもん考えてちゃ発明は出来んぞ!?」

 

 俺の今世での名前は美延須 冨生(みのぶす とみお)、ミノフスキー粒子とト◯ノ監督の名前をもじったっぽい名前だ(元々、ミノフスキー自体がト◯ノ監督の名前のもじりだけど)。

 

 でもって目の前で騒いでるのが俺の父ちゃん。

 個性は「マッドサイエンティスト」原理もそれを作るための技術も無しに、トンデモアイテムを作り出すことが出来る。

 

 なまじ良く知っているものは逆に作れないから「絶対に転倒せず、坂道でも動力源無しに平地と同じ力で漕げる自転車(今の俺の愛車)」は作れても、普通の自転車や電動アシスト自転車は作れない。

 ボイスチェンジャー付き蝶ネクタイとか、腕時計型麻酔銃なら作れるかもな?

 

 父ちゃんはヒーローのサポートアイテム開発では知る人ぞ知る有名人で、原作有名どころで言えばエンデヴァーに強制排熱ベストを提供したりしてる(地味にエンデヴァーが強化されてるってことだよな?)

 

 理論も技術も裏付けが無いんで量産は出来ず、思い付き(閃き)が無いと作れないことから、同じ様なアイテムを頼んでも全く別のものしか作れないため、常に一品ものしか作れない(前述のエンデヴァーの強制排熱ベストも定期的に新作作っては送ってるが、毎回、構造、素材、形状が全く異なる)が、父ちゃんのアイテムを求める者が後を絶たない。

 あまりに要望が多いので会社を設立し、受注、受渡しなどは総てその会社経由のみで行い、本人は研究と開発のみに時間を費やしている。

 

 

 ……ということになってるが、マッドサイエンティストであると同時に家族大好き人間なんで、俺や母ちゃんにまとわりついて過ごしたり、注文されてもいないのに勝手に作った発明品を自慢げに見せて来たりするので、ウザいと思うことはあっても寂しいとか感じる暇が無い。

 

 うん、学校で使うには全く役に立たないけど、このリコーダー優れものなのは確か。

 指とか動かさなくても曲のイメージしっかり持って息を吹き込めば綺麗な音楽を奏でることが出来る。

 ギターバージョンとか欲しいな。

 エアギターしか出来ない俺でもスーパーギタリスト気分を味わえるじゃん?

 

「これは凄いね、父ちゃん! でも俺の音楽の授業では無意味だけど」

 

 縦笛ということでお分かりの様に、今の俺は小学生だ。

 父ちゃんはエンデヴァーが直接の知り合いだが、同じ町内に住んでるのは最近知った。

 焦凍くんとニアミスしないかな? などと思ってるが、少なくともウチの小学校には居なかった。

 エンデヴァーも仕事人間だから、家にはほとんど寄り付いていないため、御近所さんでもニアミスどころかテレビ以外で目にすることは無い。

 

「なんだってぇ~! これは天才の私としたことが、根本的なミスをぅ! ティンと来た! グローブ形状で装着し眼鏡型のスキャナーで読み込んだ楽譜を強制的に運指させるスーパー縦笛プレイヤー養成ギブスを作るしかない!」

「やめてぇ~!」

「待ってろよ、冨生! 学校どころか世界で一番の縦笛奏者にしてやるぞ!」

「やめてぇ~(半ギレ)!」

「ワハハハハハ……」」

 

 高笑いを浮かべながら自宅裏の研究室に走り出す父ちゃん。

 

 こうなると母ちゃん以外、誰にも止められない。

 

 まあ、俺のことが好きだからやってくれてるのは分かるんで文句は言えない。

 

 

 あ、父ちゃんも俺が転生者だってこと知ってるよ。

 それ聞いて「冨生という実例があるんだ、前世は存在する! 皆、忘れてしまっているだけなんだ!」とか言い出して「前世思い出しヘルメット」ってのを一晩で作ったってのを母ちゃんから聞いた(物置の掃除させられた時に見つけて「これなに?」って聞いたら「懐かしいわねぇ」って母ちゃんが教えてくれた)。

 

 そうして思い出した父ちゃんの前世はウルト◯マンAに倒された超獣、母ちゃんの前世はプリ◯ュアの中の一人だったそうだ。

 詳しいことは聞いて無いけど、現在の濃さが納得出来る前世だ。

 

 くじ引き転生の俺なんて大したことないな!

 

 

 さて、俺の「個性」だが、公にはミノフスキー粒子を扱う能力とは知られていない。

 父ちゃんや母ちゃんとも話し合った結果だ。

 

 この世界において、ミノフスキー粒子は俺の個性でしか存在し得ない。

 核融合から物体の浮遊までこなすトンデモ有能粒子なのにもかかわらずだ。

 父ちゃんの発明でも発生器が作れなかったのだから、この世界で自然に存在することは無いのだろう。

 

 この世界におけるミノフスキー粒子は、ある意味ていとくんの未元物質みたいなもん。

 素直に個性の全貌を表明するのは危険過ぎる。

 

 いや、絶対AFOが狙ってくるよね?

 良くて個性強奪、悪けりゃ脳無その他のための万能素材扱い。

 バラバラに切り刻まれた上に、そのパーツの争奪戦が起きる。

 

 個性の制御は脳だろうが、ミノ粉は細胞が発生させてるのかもしれないからなぁ……。

 ヒロアカってダークな部分は、とことんダークだからな? 

 友情、才能、勝利のジャ◯プマンガの王道だけど、設定的には闇深だし……。

 原作で語られて無いけど、無個性起因のいじめとかで自殺する子供とか後を絶たなそうだし、将来を悲観した親による無理心中とかもあるんじゃね?

 

 ま、そうした事はともあれ、俺の個性は「電波阻害」ってことになってる。

 小学校でもスマホ持ち込んでる子は結構居るんで「美延須、授業中は電波阻害頼むな、個性を伸ばす練習だ、練習」と担任の福本先生に毎日頼まれてる。

 

 おかげで誰も俺の個性を疑うことは無い。

 

 強化されりゃ、軍事行動やテロなんかで有用な力とも言えるけど、今は最大でもせいぜい小学校の体育館程度の閉鎖空間でしか出来ないということになってるんで、そういう目で有望視する人間も居ない。

 

 二度目の小学生生活も慣れたもんだが、小学校の授業にしても国語や算数はともかく、社会なんかは結構違うし(そもそもが小学校の社会はローカルネタ多いし)、理科も個性の研究の過程で発見された新事実なんてのもあって、微妙に教科書の内容が違うから前世の知識頼りは危険だ。真面目に授業を受けている。

 

 元・成人男子にしてはクラスメイトとは割と上手くやってるんじゃないかな?

 父ちゃん作った非売品のテレビゲーム(裸眼で3D表示、ヒロアカ原作の合格案内のオールマイト映像より凄いぞ?)とかで一緒に遊んだりしてるし。

 

 原作への関与?

 関わるのも危険だけど、モブゆえに下手に避けようとしてナレ死とかありそうなんだよね。

 光学兵器ならミノ粉で対処出来るけど、個性が溢れてる社会だから、対応出来ない脅威の方が多すぎてね?

 

 番外編のヴィジランテの方が脅威度は少ないけど、たぶん現時点がヴィジランテの時間軸か、その少し前なんだよねぇ。

 焦凍くんがタメらしいことからの推測。

 ヴィジランテの時間軸でデクくん小学生だって言うし、今の俺も小学生。

 

 あっ! エンデヴァー強化されちゃってるから、苦労マン、ヤバくね?

 

 

 そんなことを自分の勉強部屋で個性訓練(ミノ粉によるミノフスキー・クラフトでフヨフヨ浮いてる)しながら考える俺であった。

 

 

 

 




サブタイトルは、ここでも余所でも苦労してるんで、内容の一部を含んだ、他の作品タイトルで行くことにしました
これならそうそうネタに詰まることもあるまい(慢心)


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中二病でも恋がしたい

あんま、細かいトコまでは調べずに書き始めたんで、ショートくんの地元が静岡らしいとか知りませんでした(一応、マンガはアカデミアもヴィジランテもすまっしゅも読んだんですけどねぇ(;´Д`))
富士山とか文中で全く触れてない……


 

 過ぎてしまえば早いもので、小学校生活もあっという間に終わり、今の俺は中学生となっている。

 

 凝山中学、つまりショートくんとは、おな中だな。

 でも、彼は推薦入学だからなぁ、一緒に雄英入試とか、それに向けて勉強とかは無理そうだな。

 

 クラスは違うし、ニアミスも無い。

 何組かきちんと聞いたことは無いが、休み時間になると廊下に女子が増える教室があるから、あそこが焦凍くんのクラスだろう。

 近寄るなオーラが現時点で既にバリバリなんだろう。

 原作初期もそうだったしね。

 天然さんなんだけどね、実のトコ。

 

 

 でもって、小学校の時と同様に先生にいい様に使われてるが、中学生ともなると色々知識を振り回す様になって「先生ぇ~、ヒーロー科じゃないのに個性使わせるのはアウトじゃないっすかぁ?」などと突っ込みを入れる巨田の様な奴も居る。

 

「まあ、教育委員会とかプロヒーローとかの目が有ったらアウトだな。ただ、著しい被害をもたらしたり、人に迷惑をかけたりする様な個性使用でなければ、それほど目くじらを立てられることも無い。例えば巨田が授業中にトンでも無く臭い屁をこいた時に清澄の『空気制御』で臭いを外に出してもらうとか、誰からも文句は出ないだろう?」

 

 逆髪先生(自分の髪を操作する個性、手で持ちきれない荷物を髪で抱えたり、手が塞がってる時に髪で教室のドア開けたり、日常的に割と個性使ってる、なもんで男性教師に関わらず超長髪)が、ツッコミをいれた巨田(自分の体の任意の一か所を大きく出来る個性、ウケないどころか女子ドン引きの下ネタギャグにしかその個性を使ってないアホ)をネタに笑いを取っている。

 

 清澄さんは空気制御ということになっているが、一種の空間支配だな。

 現状1.2m立方の範囲の空気を制御し、それを動かすことが出来る。

 どういうことかというと、範囲内の特に指定しなければ空気全体を、指定すれば例えば「酸素と窒素以外」なんかを一塊として動かせる。

 現状は小さな範囲の操作だが、大きな範囲を扱える様になったり、圧縮したり出来る様になれば、一気に強個性となる。

 

 避難が済んだ後の火災現場なんかで、周囲の酸素だけ取り去ってやれば鎮火も早い。

 そこまで行かなくても有毒ガスやウィルスの隔離も出来るし、相手の顔の周りの酸素を無くして昏倒させるとか、ヒーローとしても活躍出来る個性だと思うよ?

 本人にはその気がないみたいだけど。

 

 

 ふだんの俺は授業中は電波阻害に加えて、こっそりと空気椅子でミノフスキークラフト強化に励んでる。

 ミノフスキードライブなら高速移動も出来るが、生身の強化やサポートアイテム無しにチャレンジするのは余りにリスキーだ。

 フィールド・モーターの原理使えばパワーアシストも可能かもしれんが、よほど熟練しない限り原作のデク君並みに体を壊すだろう。

 いや、理論上はドライブって亜光速までいくんだぜ?

 

 Iフィールドも家では練習して、割と瞬時に展開出来る様になってるけど、見た目で「何か変なことやってる」って分かっちゃうから授業中の訓練は出来ない。

 いきなりライフルやサーベルは怖いんでビームシールドを目指してる、シールド出来れば応用でビームローターも行けるから、父ちゃんにそれ用のモーターを作ってもらった。

 太陽光蓄電でフル充電状態で3時間は動かせる。

 

 ちなみに「よし、まかせとけ!」と言った父ちゃんが最初に俺に手渡したのはタケ◯プターだった。

 父ちゃん、これ、ミノ粉無しで空飛べちゃうよ……。

 

 

 ミノフスキーフライトなんてのもあるけどなぁ。

 浮くだけのクラフトならともかく、粒子空間での力場展開で揚力を得るとか、学園都市の能力者的演算能力が必要じゃね?

 感覚で行けるんかなぁ……?

 

 

 サイコミュ兵器もいいよね。

 でも、俺、ニュータイプ能力皆無なんだ。

 

 眉間にイナヅマどころか、もやっとした感情の雰囲気を感じたりとか、何かの予兆を掴んだりとか出来やしない。

 

 じゃんけん無茶苦茶弱いし……。

 生まれてからこの方、2連勝以上したことが無い。

 大抵、勝負所では負ける。

 

 ただ、ニュータイプの感応波がミノ粉を振動させるのを使った通信ということなので、ミノ粉自体を制御出来る俺の場合、受信はともかく送信は可能かもしれない。

 操作は可能かもってことだな。

 

 

 メガ粒子はまだ作れてない。

 Iフィールドによるミノ粉の圧縮、それによる縮退・融合だからねぇ。

 ソーラ・レイモドキの方が楽に出来そう。

 太陽光をフィールドで圧縮、収束する方が簡単だよね?

 昼間の屋外しか使えんけど。

 

 こっちはIフィールドの練習を地道に重ねるしかないだろう。

 

 

 中学生になった俺だが、部活には入らず帰宅部だ。

 

 とは言っても自宅で個性練習ばっかりしている訳では無い。

 雄英を目指すかは決めて無いが、高校はヒーロー科を目指そうと思ってる。

 父ちゃんの後を継ぐ研究者方面に進むにしろ、ヒーロー資格があった方が便利だ。

 

 

 ミノ粉を扱えるとは言え、肉体的には一般人。

 母ちゃんのコネで古武道の道場に通って鍛えているのだ。

 

 ここでは無手だけでなく、刀その他の武器術も学べる。

 

 いや、やっぱ使いたいでしょ? ビームサーベル!

 生身なんでどっちかって言うとライトセイバーになるかもだけど。

 あるいは幽遊◯書の桑◯?

 

 現状、足捌きと型、素振りオンリーだけど、けっこうキツイ。

 これまで動かしたことの無い筋肉の使い方してる感じ。

 

 道場生は警察関係者ばっかり、俺みたいなガキは一人も居ない。

 武道ということで尾白辺りいないかな、と思ったけど、住んでる場所が全然違うか?

 

 ヒーロー目指してるとかいう連中は全く居ない。

 道場生も実力を高めるためというより、警察なんかで実務についてる人間が自分の腕を落さないよう稽古してる感じ。

 つまり俺以外オッサンばっか。

 女っけなど師匠の奥さんであるお婆さんしか居ない。

 

 花が無い中学生活である。

 

 中学での俺はショートくんとは違って「俺に近寄るな」オーラなんか出してないハズなんだけどな……。

 外見だって、母ちゃん譲りで目つきキツイ(二次性徴始まって顔つきが鋭い系になった)けど、それなりに整ってる方だと思う。

 

 エン◯ジェル伝説の北◯くんみたいな外見じゃ無いハズなのに、扱いは北◯くんに近い。

 

 え? 俺って勘違い系主人公だったの?

 いやいや、それは無いでしょ?

 両親チートだけど、俺はモブ転生だよ?

 

 まあ、それはいいとして、女子に近寄ると一歩後ずさられるのは凹む。

 小学校時代とかはここまで避けられて無かったのになぁ……。

 

 小学校時代とか、周りも自分も子供っぽくて、色恋沙汰とか関心なかったけど、中学生ともなると周りもそういうの活発になるしねぇ。

 

 いやぁ、女子と絡むのって難しいねぇ。

 上鳴くんマジリスペクト。

 峰田君まで行っちゃうとね、流石に……だけど。

 

 素振りをひたすら続けながらそんなことを考える。

 素振りでも足捌きセットだから、足も疲れるんだよね。

 振る事に意識行き過ぎて、足捌き変になると師匠の竹刀が飛んで来る。

 

 青あざ、内出血、蚯蚓腫れはデフォですわ。

 あ!? そのせいか、周囲にドン引きされてんの?

 

 修正食らわない顔面は綺麗なもんだが、腕や足はそんな状態だもんな。

 問題抱えてるか、ヒーロー志望ガチ勢だよな、そんな奴。

 

 目つき悪い痣だらけの奴とか普通逃げるわな。

 

 あ~あ……。

 自業自得な上に、今から軌道修正かけても余計気味悪がられるわ。

 

 余りに凹み過ぎて師匠に心配されてしまった、申し訳ない。

 

 

 

 帰り道、気分転換にゲーセン行ったら、耳郎っぽい子が居た。

 本人?

 

 音ゲーやってるのを横目にガンシューをやった。

 ヒーロー社会の影響なのか、殺すのでは無く倒すという設定になっており、また一般人を撃ってしまうとマイナスポイントと、撃ちまくってストレス解消という訳にはいかなかった。

 

 なもんで、弾幕系縦スクロールシューティングをプレイ。

 下手にエキサイトするとミノ粉の影響で電算系お釈迦になるし、ゲーセン利用出来る様になったのは中学入ってからである。

 ゲームは基本、父ちゃん作のものしかやったことが無い。

 前世なんか、ここまで育っちゃえばノーカンだよな?

 

 つまり、俺はゲームが下手である。

 

 あっさりと自機を使い切り、ジュースの自販機でカラメルミルクティを買って飲む。

 耳郎っぽい子の姿は無かった。

 髪型とか違ったし、別人かね?

 個性とか覚えてても出身地とかまでは覚えてない。

 

 雄英目指そっかなぁ?

 目標、雄英ならガチ勢ムーブしても不審に思われないよな。

 理想は1-B入りか?

 1-Aよりは危険度低いよな?

 物間ウザいけど……。

 

 可愛い子も確か多かった……ハズ?

 角取とかいいよね?

 男は物間と鉄哲しか覚えてない。

 

 いや、そんなもんだろ、数多居るヒロアカ世界転生者なんて?

 心操の方が遥かにメジャーじゃん、1-B男子より。

 

 人数増えるパターンならともかく、そうで無けりゃ誰かを蹴落とすことになるんだし(哀れ青山くん、ホント二次で消されるパターン多過ぎ)。

 

 飲み終えたカラメルミルクティをゴミ箱に捨てると、自宅へと向かう俺なのであった。

 

 

 




主人公が習いに行ってるトコは無手での組手とかもやるような古武道なんで、剣道の防具とか着けてません(なもんで、木刀と道着くらいしか持ってないのでゲーセン寄り道出来ます)
師匠の修正は竹刀ですが、素振りは木刀でやらされてます
最終的には本身で稽古させる様なトコです
本身の感覚を覚えないとビームサーベルで自分の足とか切っちゃいますしね、将来的に(素人が日本刀振り回すと太もも斬っちゃうそうです)

あ、耳郎は別にヒロインじゃありません
出身地調べたらショート君と同じ静岡だったんで、ニアミスしてもおかしくないか? と思って


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エアマスター

次で入試行くか、それともすっ飛ばして入学後にするか?



「雄英なぁ……普通科なら問題無く合格圏だけど、成績はともかく、お前の場合、轟ほど強い個性じゃないだろ? ヒーロー科は厳しいと思うぞ?」

 中3になり進路の話が普通にされる様になったが、俺の志望である雄英のヒーロー科進学に関して、担任の逆髪先生の判断は積極的には勧められないというものであった。

 

 なまじショート君という雄英ヒーロー科推薦問題無し案件が居るため、それが基準となってしまっている感があるが、表向きの俺の個性と同レベルの生徒が見事に不合格となった過去の実例も数件ある。

 教師としては安易な挑戦をけしかける様な真似は出来ないってこったな。

 

 

 

 表向きの個性だが、流石に電波阻害だけでヒーロー志望は無理があるので「力場制御」と個性登録の変更を行っている。

 表向きの個性でやってるのは、電波の阻害、電子機器の破壊、物を浮かせる力場の発生と制御、力場による光学的なバリアである。

 これで十分、通用すると思うんだけどな、雄英入学試験。

 

 なんせ、俺らの年の入試実技のロボは電子機器。

 ミノ粉の大ざっぱな使用で、個別に対処しなくても範囲で動作不能に出来る。

 よーい、どん! で瞬時のロボ全滅すら可能。

 

 まあ、対ヴィラン代役のロボへの対処なんで、電子機器であることを前提とした個性使用による攻略はアカンかもしれんが。

 

 

 バリアはビームバリア。

 なんとかメガ粒子の生成を可能としたんで、実はビームライフルもビームサーベルも使える。

 ビームバリアはレーザーやビームに対抗するもので、質量兵器には無力なため、ツッコミが入っていないが、メガ粒子はヤバイ。

 

 個性ってけっこうふわっとした説明で済ませられてる部分あるんで、シールドだけなら「力場で!」だけで説明済んじゃうんだよ。

 

 ショートくんの氷にしたって、空気中の水分凍結だけじゃ明らかに量が多い、氷そのものをゼロから生成してるとしか思えないけど、その辺、ツッコミ一切入ってないだろ?

 オールマイトのパワーもあのサイズで可能な力を軽々超えてる(まあ、実質無限パワーのハルクとかヒーローものはそういうもんなんだけど)。

 だからシールドだけならミノ粉とかメガ粒子なんかに触れずに誤魔化せるんだ。

 

 

 ライフルやサーベルだと手加減とかも難しいしなぁ。

 サーベルは下手すんとオールマイトの手とかでも切り飛ばせるかもしれん。

 ライフルも殺傷設定のSLBって考えると凶悪さ分かるだろ?

 

 時間さえかければ(あるいはエネルギーCAP揃えれば)トンデモない範囲を消し飛ばせるかもしれないが、それを実際に試すのも難しい。

 大気中では減衰するとかいう話もあるが、どの程度の距離でどの程度減衰するかってのもなかなか試せない。

 

 

 色々と考えて、クラフトから更に発展させてフライトに挑戦してるけど、現状、グライダー的な滑空で、推力による強引な駆動とかまでは出来てない(案ずるより産むが易しでやってみたらフライト出来た)。

 

 ソーラレイモドキは一応成功してるが、実質、ソーラ・システム。

 ある意味、虫眼鏡で太陽光集めるのに近い。

 コロニーレーザーとは程遠い(コロニーレーザーやるならメガ粒子砲の方がまだ楽に出来る)。

 これはSLBの魔力集めて撃つのをイメージ基にしてやったら出来た。

 太陽光のエネルギーをIフィールドの筒内に蓄積圧縮し、力が溜まったトコで出口を開いてやるって感じだな。

 当たれば金属でも蒸発する。

 対物オンリーで対人不可だな。

 

 

 ヴィジランテの方に目からビーム出来る奴居たし、青山君のレーザーとかもあったし、もしかするとこの世界の人(最低でもヒーローやヴィラン)は光線系に一定の耐性持ってるかもしれないってのもあるんだよなぁ……。

 

 かといって「平気だろ?」と普通に使って人殺しになるのも嫌だし(その点ではヴィランの方が個性無制限に使える強みがあるんだよね)。

 

 

 対物の練習は出来ても対人練習がねぇ……。

 実際の使用とか脳無相手くらいしか無理じゃね?

 十分な効果があった場合でも殺さずに済む相手なんて、それくらいしか居ないよ?

 

 他のヒーローとかどうやってんだろうね?

 エンデヴァーとか13号先生とか個性自体の殺傷力高いのに「人殺し」とかしてないっぽいし、個性の制御とか凄いレベルじゃね?

 頑丈な相手でも殺さない戦いが出来てるってことだろ?

 

 うーん、どうやれば「殺さない様に出来るか」をクリアしないとライフルやサーベルは厳しいなぁ……。威力を抑えて対処しようにも相手が動く、特に高速移動系の個性(飯田くんとか)相手だと「間違って」急所に当たってしまう可能性もある。

 

 

 結果、現状での個性の制御は「浮く」「飛ぶ」がメインとなってる。

 

 飛ぶのは楽しい。

 街中では大っぴらには練習できないけどね。

 

 道場に来てる警察のオッサンの中に「鳩」の異形系個性持ってる人が一人居るんで、個性の話を相談したりしてみたこともある。

 お奨めされたのが、ハングライダーとかパラグライダーとかの合法的に飛べるスポーツで感覚を鍛えるというもの。

 さすが、法の番人、法的にアウトなことは言わないな。

 

「お金もかかるしなぁ」と父ちゃんに相談したら「ウチの会社の実験施設でならサポートアイテムの実験名目で飛ぶ訓練出来るぞ?」とあっさり解決した。

 

 持つべきものはチートな親だな。

 

 俺にとってはあまり意味の無かったタケ◯プターとかでも、プロヒーローにしてみれば垂涎のサポートアイテム。

 で、それを手に入れてもいきなり実践投入とかは難しいんで、自前でテストやる人もいるが、トップヒーローとかじゃないとそうした場所を用意するのも難しいってので、父ちゃんの会社の方の施設でテストをすることになる。

 そうした試作段階や実用前のチェックに使う実験施設があり、飛行、降下、滑空などのサポートアイテムも作ることから、空を飛ぶ練習が出来る場所も実験施設内にある。

 

 ヘルメットを被り、ゴーグルを着けて、父ちゃん特製の防御スーツ(強い衝撃を防ぐ)を着て訓練。

 

 まあ、外的な強い力が加わらない限り墜落はほぼ無いんだけどね。

 ミノフスキークラフトに関してはスイッチ的な操作が可能となってる。

 一旦オンにすれば意識を無くしてもスイッチを切らない限り浮く。

 これは寝る時に訓練した。

 寝る前に浮いて、起きても浮いてれば成功。

 これを繰り返してマスターした。

 夏場は普通に寝るより涼しい。

 

 速度だの機動性だのは現状大したことはないが、安全性に関して言えば、空を飛ぶ系の個性の中では圧倒的上位と自負している。個性バテしない限り落ちない。

 

 生身で飛ぶのもいいけどシル◯ーサーファー的な飛行にも憧れるな。

 エ◯レカ7的とも言う。

 色々サポートアイテムも仕込めそうだし、父ちゃんに相談してみるか……?

 

 父ちゃんに作ってもらったモーター使ってビームローターによる飛行も出来るけど、メガ粒子の生成と制御ってミノ粉扱うのより難しいんだよ。

 エネルギーCAP作れりゃ多少楽になるけど、父ちゃんの発明はワンオフだから、ビームサーベル用の柄と兼用になってる奴しか成功例無いんだよねぇ。外部の人間に頼むってのも問題あるし、サポート科に進学して自力開発ってのも一つの手か?

 

 まあ、今日は生身の飛行訓練だ。

 直立状態で1メートルくらい浮く。

 フィールドで力場を調整し、顔を向けた方向へ滑り落ちる様に上昇する。

 

 下の方で父ちゃんがはしゃいでる声が聞こえる。

 

 滑らかに100メートルくらいの高さまで上昇。

 高く浮くだけなら既にミノフスキークラフトの訓練で試したことがある。

 高所恐怖症だったら失神するかもね?

 下を見ると多少怖くはある。

 

 現状、イメージは滑空なんで、速度は鳥の滑空とあまり変わらない。

 鳥よりは重力から解き放たれてるんだけど、速度を出すのは難しい。

 

 アニメや実写の飛行機映像なんかも参考に見てるけど、自分の飛行とカッチリイメージが重なってないんだよねぇ……。その辺、上手く行けば一気に高速化も出来そうなんだけど。フライトの元ネタのVガン自体あんま見て無いんだよなぁ。

 

 やっぱ大気圏内の機動だとマク□スのバル◯リーの方がガンダム系より参考になるかな?

 ガンダムの場合、宇宙空間のイメージ強いからな。

 

 あ! これ、フライトの応用でほんの少しだけ浮いてホバー系っぽい機動も可能じゃね?

 ホバー移動モドキなら、それほど場所選ばずに練習出来るしな。

 古武術と組み合わせても面白いかもしれない。

 ヒロアカ世界で言えば苦労マン的な機動?

 

 

 空中での動きを一通り試して(水平にスライドするとかは割とあっさり出来た)、らせんを描く様にゆっくりと地上へ滑空。

 着陸は思いついたホバーっぽい動きで地上を少し移動してから静止して着地。

 割とイメージ通りに出来た。

 ガウォーク形態からドムの走行へ移行って感じ。

 

 安全考慮した装備で、周囲のフォローも期待出来る状態ってことで、伸び伸びと飛行できた。

 楽しかったな。

 父ちゃんと話をして、道場を少し減らして、土日の午後はここに来て飛ぶ練習をしていいということになった。

 

 

 

 

 明けて翌日、道場に行き、師匠に土日の練習を減らすことを伝えた。

 最近は無手の方では約束組手に近いものになり、剣の方は木刀での師匠相手の打ち込みと、本身を用いた型稽古になり、素振りや組手の型は自分で定期的に繰り返し鍛錬することになっている。

 

 打ち込み稽古で「ちょっと個性使っていいですか?」と了承を得た上でホバー機動から薙ぎ胴とか狙ったら「腰が入ってない!」とケツに木刀修正食らった。

 

 クソ痛ぇ……。

 

 




現状の個性の状態でも自制無しに使えば入試クリア楽勝なんですよねぇ(試験内容&評価基準知識あるし)
入学後も1-A入っちゃうとヴィラン襲撃時に黒霧とか死柄木とか、メガ粒子砲ブッパしちゃえば倒せますし(ただ殺しちゃう危険性が)
飛べて謎粒子使えてビームブッパ出来るとか、ていとくん+むぎのんかよ……


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ぼくらの

早くもサブタイ選択に苦しんでおります


 

 中学生活も終わりに近づき、受験が差し迫る今になってショート君と顔見知りになった。

 

 とは言っても会話を交わしたりはしていないし、向こうはこちらの名前も知らないだろう。

 

 どういうことかと言うと、受験直前まで道場通いを続け痣や内出血だらけの姿で入試当日を迎える訳にもいかず、また雄英入学後も道場に通い続けることは不可能だということもあって道場を辞めたのだが、体が鈍ってはいけないと道場で動かなくなった分を補うべくランニングを始めたのだ。

 

 最初の頃は「俺の他にも走ってる奴が居るんだな」程度の感覚だったが、どうもショート君の早朝ランニングコースと俺のコースが重なる部分があり、そこに差し掛かる時間がほぼ同じ、なんとなく競争めいた事を何回かする内に「コイツには負けたくねえ」的な男の子の意地のぶつかり合いが発生したのだ。

 

 クール系のショート君だが、ああ見えて実は負けず嫌いだ。

 俺は最初はどうでもいいと思ってたんだが、競った後の互いのコースが分岐する地点での別れ際、自分が勝った時のショート君の「今日も俺の勝ちだったな」的表情にちょっとムキになった。

 

 なんとなく毎朝競い、一喜一憂し(負けるとその日一日悔しい)、一言も交わさなきゃ、接触も無いけど、ライバル関係っぽいものになってる。

 

 

 受験は雄英一本、とは言ってもヒーロー科と普通科両方の受験だ。

 

 志望者の多さからヒーロー科の受験が先に行われ、サポート科、経営科、普通科の受験が後になることから可能になる受験スタイル。

 個性で可能なこととしてソーラレイモドキを公にすることで、なんとか逆髪先生もヒーロー科受験を納得してくれたようだ。

 

 

 あ! あとこの間、初めて生オールマイト見た。

 

 模試の帰り、暴れてるヴィランが居て「初エンデヴァー遭遇か?」とか思ってたら、オールマイトが来た。

 

「私が来た!」の安心感スゲエな。

 人としての質量というか存在感というか熱量というか、確かに別格だわ。

 

 漫画だとトゥルーフォームや教師としてのへっぽこぶりで矮小化されてるけど、オールマイトは確かにヒーローの頂点だわ。

 そりゃ、人間だから欠点もあるけど(特に漫画だと、この世界の俺ら一般人が知ることのない情報とかも見れるからな)、街の婆さんとかが拝んじゃうのも分かるし、デク君や苦労マンが憧れるのも当然だわな。

 

 雄英行きゃ、この人が居るんだろ?

 そりゃ受験対策にも力が入る。

 

 

 空を飛ぶのは流石に音速超えはしてないが、父ちゃんの会社の試験場を使わせてもらった練習で飛行機レベルの速度は出せる様になった。

 

 その気になれば自宅から雄英に通学出来るな…しないけど。

 父ちゃんに自分の背よりちょっとだけ大きいサーフボード形状のサポートアイテムを作って貰って、それで飛ぶ練習もしてる。

 地上では(長さを少し縮めて)盾になるし、アイテム収納も出来る(父ちゃんはもっと色々仕込んだり変形させたりさせたかったらしい)。

 

 サーフボードに乗った場合の方がアクロバティックな機動がし易い。

 イメージをしっかりと想像しやすいのと、ボードの方がミノフスキーフライトに適した形状だからってのの両方だろう。

 

 ヒーロー科入学後ならともかく、受験時には使えないだろうから、今は生身での飛行メインだけどね。

 

 

「美延須、雄英だって?」

「ああ、一応ヒーロー科が第一志望」

 巨田はバカだから、他の連中より気にせず俺に話しかけてくれる。

 お礼も兼ねてエガちゃんのネタを教えてやったんで、以前ほど女子から顰蹙をかわずに済んでるっぽい(「タヌキのキ◯タマ~!」で実物巨大化はセクハラを通り越してるもんなぁ…許されるのは小学生までだよな、そのネタ)。

「ウチの中学は轟とお前の2人が雄英か~?」

「蔵館さんが経営科受けるとか聞いたけど?」

「蔵舘、お金大好きだもんなぁ」

 

 隣のクラスの蔵舘さんの個性は「銭勘定」ばら銭でも、金庫内に無造作に積まれた塊でも一目で正確な金額を把握する上に、偽札なんかはどんなに精巧でもその金額にカウントされない(それで偽札が発見されたことが何回かあり、警察や銀行に内々に頼まれてチェックしたこともあるんだとか)。

 財布の中身ぶちまけた時なんか、ブチまかれた金額を正確に把握してるから、見つけ損ねた硬貨があるとか教えて貰うという形で世話になった奴も何人か居る。 

 

 お金が好きだからそういう個性なのか、そういう個性だからお金が好きになったのか、ともかく彼女が「お金大好き人間」であることは全校生徒が知っている。

 雄英経営科志望と聞いて皆が納得している。

「ああ、あいつなら成功するな」って。

 

 まあ、そんなこともあり、この学年の成績トップ3は俺、ショート君、蔵舘さんで競ってる。

 

 うん、雄英目指す以上、俺、成績いいんだよ?

 でも、巨田とか以外、あんまり話しかけてくれない。

 

 俺が有名ヒーローになったら、何故か中学時代の親友が生えてくるんだろうけどな?

 

 

 

 そうして、迎えた雄英ヒーロー科入試当日。

 飛べばあっと言う間、当日、自宅から出発しても間に合うけどヒーロー資格取得前にそんなことは出来ない、前日に会場近くのホテルに泊まり、余裕を持っての会場入り。

 

 なんか、凄そうな奴いっぱい居るけど、見た範囲内に原作で見た顔は居ない。

 ってことは、こいつらは合格出来なかったってこと。

 

 頑張って色々やって来たし、実技試験の内容と評価基準を知ってると言うアドバンテージもあるけど、それでも不安だな?

 

 ここからでは見えないけどデク君が飯田君に注意されてる声が聞こえる。

 

 ああ、原作のスタートだね。

 

「僕のヒーローアカデミア」が「俺のヒーローアカデミア」になるかどうか?

 

 ここまでくれば腹をくくるしかない!

 

 

 

 筆記試験は無事終了、ちなみに俺が一番得意なのは国語。

 速読術とかは出来ないけど、素で普通の人間より文を読むのが速い。

 文庫本とか厚さによっては一時間未満で読破出来る。

 で、この文を読む速さ、国語以外の教科でも強みになる。

 俺がなんとか雄英合格圏内に入れた要因だ。

 

 見直しとかもしっかりしたんで、ケアレスミスでの思わぬ失点とかも無い。

 

 

 という訳で実技試験。

 知ってる顔は口田くんくらいかな?

 彼の個性はこの課題向きじゃないけど、素の攻撃力も高いんだっけ、彼は。

 

 プレゼント・マイクが叫んでる。

 返事をして悪目立ちをしたりはしないが、拳を突き上げるくらいはしてあげよう。

 

 試験スタート、前に進むみんなを尻目に上空へ。

 

 漫画やアニメだと視点が色々動くから問題無いけど、死角が多いし、そういうトコに敵ロボ多いなぁ。

 

 まだ、ほとんど接敵してないこともあり、要救助者、要支援者は居ない。

 他の受験生から遠い位置に居るロボから破壊。

 

 胴体か頭ぶち抜くのが簡単だけど、試験の主旨を酌んで足と腕を破壊する。

 ソーラレイモドキ、殺傷力高いからね。

 遠いトコからやってるのも、学校側がフォローする余地も無く、他の受験生をミスで殺してしまう危険性があるためだ。

 

 

 たぶん、ヴィランポイントは確保出来たと思うんで、他の受験生のフォローに回ろう。

 

 対ロボ向けの個性じゃなかったんだろうなぁ。

 手や足なんかに怪我をしてるのが何人か居るし、疲れ切って座り込んでる子も居る。

 

 ただ、まあ、現時点ではそうそう諦められるものでもないだろうから、声をかけ、希望者だけを搬送する。

 男でもお姫様抱っこで空を飛ぶ。

 黒歴史が量産された。

 

 

 本人やる気でも終了時間間近になったら、問答無用で退避させるけどね?

 

 なんか、見てる範囲じゃ「なんでコイツ合格しなかったんだろう?」って奴もいるねぇ。

 筆記が悪かったのか、それとも漫画じゃ描かれて無かったマイナス評価基準があったのか。

 

 そうしてレスキューポイントを稼いでいると、0ポイントのお邪魔仮想ヴィランが登場。

 

 周囲をチェックしたが、可愛い女の子が逃げ遅れてるとかヒロアカ二次のお約束展開は無かった。

 葉隠とか居なかったハズだから、万が一、逃げ遅れの可能性があるとしたら保護色同化系の個性持ちだけど……念のため、地上で確認しとくか?

 

 ホバー風移動しつつ声かけ。

 退避済みだね、これ。

 無駄足、乙。

 

 お邪魔はヴィランじゃなく、ロボ扱いして平気だよね?

 

 まあ、倒れると二次被害の危険もあるし、日常では余り使えない個性使用をやってみよう。

 

 ミノフスキー粒子による電算機器への干渉。

 クラフト使ってお邪魔ロボの顔の高さに上昇。

 不安定じゃない、直立してるタイミングでミノ粉アタック。

 

 

 

 はい、終了~!

 

 後ろの方で小鳥が飛び交ってたの、もしかすると口田くんが要救助者チェックしてたのかもね?

 彼の性格からすると凄くありそう。

 

 よっぽどの番狂わせ(俺以外の転生者が居るとか?)が無ければ、無事、合格出来たと思う。

 

 

 ……思うんだけど、漫画と違って高校卒業後も俺の人生は続く。

 だから、保険として普通科も受験。

 高校受験浪人はね、流石に避けたい。

 ヒロアカ本編じゃその手の話出て無かったけど、雄英目指す奴の中には一年くらいなら浪人してでも、って奴もいるかもね?

 

 そんなこんなで入試も終了。

 あとは合格発表を待つだけ。

 

 ショート君との朝の勝負は続いてる。

 最近じゃ、これ見よがしにパワーアンクル見せつけて来るのがムカつく。

「ハンデつけてやるよ!」ってか?

 くそっ、こっちはそんな装備したら、父ちゃんに「そんなものより、このスーパーアスリート養成ギブスを使うのだ!」とかトンデモ装備用意されかねないんだぞ!?

 

 

 そんな毎日を過ごしていたある日「私が投影された!!」と合格通知が届いた。

 大喜びで父ちゃんが母ちゃんに電話して、その晩は久々に3人での夕食。

 

 

 こうして「俺のヒーローアカデミア」が始まることとなったのだった。

 

 




雄英入試のヒーロー科、その他の受験日分割は捏造です


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デカスロン

デカスロン マイナス3ですね
「競技」で頭に浮かんだ漫画がこれでしたんで


「は~、つっかえ…あれれ~君の個性って全然使えないんですけどぉ?」

「このアホが! 俺の個性はバカには使えねえよ、この能無しが! 他人の、それも初見の個性を使うなら、単純な強化系か体の硬軟とかの性質を変えられる個性か、見た目で明らかな付与が出来る系の個性にしとけや!」

 

 無事、雄英に入学を果たし、密かな目論み通り1-Bに入れた俺は、最初の授業らしい授業、個性把握テストで盛大に物間と口喧嘩をする羽目になっていた。

 

 

 

 ヒロアカ二次でお馴染み個性把握テストだが、良く知られてる1-Aの内容に対し、1-Bはどんなもんだったか全然知られてないため、俺はちょっとワクワクしてた。

 体育祭では余り(物間と円場くらい?)明らかにされず、クラス対抗戦で1-Bの個性がお披露目された感じだったしな、原作じゃ。

 

 

 あ、クラス総人数は原作と変わらず、20名。

 拳藤さんとか、小大さんとか目の保養になる面子はしっかり居たよ?

 拳藤さんは人気キャラになるのも当然のルックスだし、小大さんはファンクラブとかあったんだよね、たしか、中学時代には?

 ヒロアカ全体的に美人、可愛い子多いからね。

 そこで生きる野郎どもにとっては有難いこっちゃ。

 

 

 女子は原作通り、男子はあのちょっとヴィランというサイコパスというか入ってる感じのカマキリくんが居なかった。

 南無~!

 まあ、彼は男子校とかの方が合ってるよね?

 

 俺は入試上位だったっぽいし、合格枠の中で元々彼が足切りラインギリギリだったってことだろう。

 うん、少しは気に病んでるよ?

 

 

 まあ、それは置いといて、個性把握テスト。

 不審者っぽい相澤先生と比べて、威圧感あるブラドキング先生は当然、最下位除籍処分なんて言い出すことも無く、原作1-Aに比べれば弛緩した空気で試験が開始された。

 

 最初の試技は回原君がやった。

 ブラド先生、最初は推薦枠の骨抜君にやらそうかと考えてたみたいだけど、ほら、骨抜君の個性って投擲に大して影響無いだろ?

 普通に投げさせて、個性使って投げさせてってのをデモする例としては不適切だから、骨抜君を見た視線を動かした先に居た回原君を指名したようだ。

 個性使用により飛距離が伸びて、皆も盛り上がった。

 

 父ちゃんの研究所で色々試させて貰ってた俺とは違い、普通の学生は個性の性格にもよるけど、自分の力を試したり、実感したりする機会は少ないからね。

 初めて全力出せるって喜んでる奴も結構居た。

 

 

 第1種目、50m走。

 このクラスでこの競技、本来なら一番速かったのはカマキリくんだったんだろうね。1-Bって個性で速さを上げられるのって、ビースト宍田くんくらい。

 他は自ら鍛えた身体能力での勝負なんで、ホバーモドキダッシュの出来る俺と競える相手は居なかった(後になってキノコちゃんが自分を押す形で次々キノコ出せば速度出せるかもなんて思ったけど、危険過ぎる移動法か?)。

 

 記録は2秒42、たぶん飯田君より速い。

 ほら、俺は飯田君フリークとかじゃないから、彼の個性把握テストでの正確なタイムなんか知らないし……。

 

 

 ここまでは良かったんだけど、俺より順番が後だった物間が、暫定1位の俺の個性を無断でコピー。当然使いこなせる訳も無く、反省の色も無くつっかかって来やがったんで罵倒し返したという訳だ。

 

 こいつの個性的に、各競技の上位者の個性をコピーすることでトータルでの上位入賞を目指すというのは分かる。

 

 除籍処分とかの脅威も無いのにムキになって上位を狙うのも、原作でのマウント取りたがりのこいつの性格を知ってれば、頷ける話だ。

 

 こいつの性格は、入学間もない現時点でも、既にクラスの大半にある程度周知されてるので、最初は何事か? と見ていたクラスの連中も「ああ、また物間がやらかしたのか」と次の競技に関心が移っている。

 

 

 まあ「勿体ないよなぁ……」

「何、上から目線で居るんですかねぇ!? 理解不能の変態個性持ちのくせにぃ!?」

「いや、そのクソみたいな性格は今更どうしようも無いにしても、人当たりがもう少しマトモならお前の個性も生きるのにな(哀れみの目線)」

「そんな目で見るとか、何を自分が上位者だと勘違いでもしてるんでしょうかね、残念なのは見た目だけじゃないみたいですねぇ!?」

 いや、ホント、たぶんこいつがコミュ強の人格者だったら強キャラ過ぎるからこうなってるんだろうけどさ。

 

 こいつの個性って、ある程度コピー元を絞った方がプロでやるなら生きるんだよね。

 間違ってもカ◯シ先生方向でのコピー活用は出来ないだろ?

 そっち目指してるっぽいけど。

 

 

 ……物間と騒ぎすぎて、ブラド先生のゲンコツ食らった……師匠の木刀ほどじゃねえけど、痛え。

 

 

 

 握力はフィールドモーターの原理で測定器に力をかけて破壊し、測定不能。

 

 立ち幅跳びは「あ、空飛べるんですけど、どこまで飛びます?」

「測定結果、無限大……」

 

 反復横跳び、ホバーの応用で左右に高速移動したけど「足を地面に着けてない!」と失格。

 上体起こし、前屈は武道やってた関係上、それなりに柔軟はしてたんで上位陣入り。

 

 ボール投げは手抜きに見えない範囲でそれなりに頑張った。

 いや、本気だとIフィールド内にボール入れて、ボール消し飛ばさない程度のメガ粒子ブチ当てるとか、力場形成してレールガンモドキ(やったことないし出来るかもわからない)でぶっ飛ばすかになるからね?

 

 ボールにミノフスキークラフト効果を発生させ、手から離す際にフライトの効果を与えて投げるという常識の範囲内。

 だって、柳さんとか角取さんとか、やり様によっちゃ無限大狙える人居るんだもん。

 

 でもって総合順位は反復横跳び失格が響いて3位。

 物間は50mでの低記録(俺の個性使おうと悪戦苦闘してる内に時間経過)が響いて17位、ザマァ。

 キノコちゃんにも負けるとかwww。

 

 

 

 そうして普通の授業も始まった。

 英語のプレゼント・マイク、過去編見るに留学経験とか無さそうだけど、発音はいいよね。

 映画とか音楽とかで学んだんかね?

 あるいは留学生の彼女が居たとか?

 

 でもって、俺は物間の被害担当艦扱いなのか、昼飯時とかもこいつの相手をしている。

 拳藤さんに手を合わせて頼まれちゃ断れないよな?

 

 

「だから、自分に自信持つのはいいけど、ナチュラルに他人見下そうとするんじゃねえよ!」

 食堂で見かけた1-Aの連中に軽い毒を吐く物間を、庄田君や鉄哲(なんか君付けるのに違和感ある)と引きずりながらぼやく。

 原作じゃ、この時期まだ1-Aに絡みに行ってなかったハズなんだけどなぁ……。

 主人公周りに絡んでないだけで、他の連中には絡んでたんかね?

 

「なんだかんだで物間の世話役が板について来たな、美延須は」

 既成事実化しようとすんじゃねえよ、鉄哲は!

 

 まあ、拳藤さんが原作ほど苦労してないのは俺のお陰かもしれんが?

 初めて物間が物語に登場したのって体育祭だから、それ以前のこと分からんけどさ?

 

「ヒーロー科はウチと1-Aだけだし、比較対象にもなりやすいから、対抗心持つのもわかるけどね」

 庄田君は動ける恵体だけど、サモハンとかに比べるとスリムだよね。

 真面目なんで助かるというか、1-Bって1-Aに比べると真面目なタイプ多くね?

(まあ、物間程度に言いくるめられてた奴も体育祭の描写見るといるけど)

 

「せっかくランチラッシュ先生の美味しい料理なんだから、素直に飯食っとけよ!」

 ホント、クソ美味ぇ、これが学食料金で提供だもん、食い意地張ってる奴には天国だよな、雄英は。

 我が家は高収入の割にエンゲル係数高かったから、割といいもん食ってきたんだけど、たまの外食よりランチラッシュ先生の料理の方が上だぞ?

 なんか、力出そうな感じするくらい。

 

「なんで、コイツの世話になってるなんて訳の分からない話になってるんですかねぇ!?」

 飯食ってる時くらい静かにしろよ、まったく、物間は物間だなぁ。

 だから初登場時はクール系ムーヴしてたのに、ネタキャラに成り下がるんだぞ?

 

「飯時くらい騒ぐな、おお、今日も飯が美味いな!」

 鉄哲もなぁ、見た目ほど脳筋じゃないんだけど、良くも悪くも細かいことを気にしないからなぁ……。

 いい奴ではあるんだ、いい奴では。

 

「まあ、マジレスすると、物間がプロでやってくには煽りたがりの部分控えめにすべきだな。対ヴィランに戦闘時のギミックとして使うならともかく……。お前がプロで成功するパターンとしては、気心知れた仲間で組むヒーローチームの司令塔か、大手ヒーロー事務所のスーパーサイドキックってトコだろ? 人当たりは良くした方が得だぞ?」

 コピー元を「利用する」って感覚が強いっぽいんだよね、少なくとも現状の物間は。

 

「ん、どういうことだ?」

「ああ、なるほど、アマチュアじゃなくてプロならそうなるよね」

 庄田君は分かってくれたみたい。

 鉄哲はもう少し自分の頭でも考えろ?

 

「学生の内は手近な個性で色々な使い方を訓練するのもいいけどさ、プロなら特定の個性をコピー元のその個性の持ち主から学んだ上で、必要とされる個性を現場に合わせて選べる方が望ましい」

「必要な時に必要な個性が手に入るか分からないしね」

「チームの場合、チームメンバーの個性を本人の次くらいに理解した存在になれるから、状況に応じて適切な個性使用の指示が出せるな、手が足りない場合は自分がメンバーの個性使えるし」

「大手事務所だと同時に複数の現場に対処することも多いから、自分が行く現場で不足しそうな個性を別働班からあらかじめコピーできるのは強みってことよね?」

 

「なるほど、つまり物間は今のままじゃダメってことだな?」

「うるさいなっ! そんなことくらい想定済みに決まってるだろう!」

 

 あれ?

 いつの間にか他のクラスメイトも周りに寄って来てる。

 

 1-Bってクラスのまとまりと、クラスメイト同士の個性の理解がけっこう良かった印象だけど、そうなっていくプロセスに俺もこうして関与してるってことかね?

 

 

 うん、まあ、こんな感じで俺の雄英生活はスタートしたのだった。

 

 ……でも、物間のフォローを俺に全投げしないでね?

 

 

 




ノリで良く考えず主人公を1-B入れちゃったけど、クラスメイトの個性はともかく口調とか勉強し直さなきゃなんで、次回投稿は少し間が空きます


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