鬼滅の雲 (中太郎)
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プロローグ
第壱話 異端の誕生


人生初の小説でいろいろ至らない所もあるかもしれません。ご了承ください。
分かりにくい所や誤字脱字も多いかと思いますが、暖かい目で見ていただけるとありがたいです。


 ~現代~

鈴木冬弥(すずきとうや)はある漫画(鬼滅の刃)を買いに本屋に行っていたはずだった。本屋から出ると早く漫画を読みたい気持ちから真っ先に家に帰ろうと帰路に足先を向ける。その時だ、目の前が見えなくなるくらいの光が自分を覆った。

 

 

 

 ─明治 1898年 1月7日─

瞬きをして目を開けると

何故か和風の一軒屋で寝ていた 。

「なんで?」

 

訳が分からなかった。

そこから俺は記憶を遡った…

 

事故に巻き込まれて死んだのだと。そして、咄嗟のことで覚えておらず、事故以前の記憶を持ったまま転生したんだと。信じられないがそう考えるほか無いだろう。

 

 

◇頭を整理してから1時間後◆

 

得た情報から推察できるのは、まずここが明治時代であること。

そして、ここでの俺の名前が瑞雲秋雨(みずもあきさめ)

今日がちょうど誕生日で4歳になるということだ。

 

補足になるが、起きてからの出来事は、鬼が出るから持っておきなさいと親がお守りをくれたということくらいだ。

 

だが、両親の次の一言で全てが結びついた

両親「「これを持っていれば鬼狩り様が守ってくれるはずだ」」

 

秋雨「鬼…狩り様?」

 

まさか、鬼滅の刃の世界なのか?

 

よりによって転生先が鬼滅の刃とかやばいだろ! 

 

うん、アニメに転生出来るのは嬉しい。でも、もう少しマシなアニメ無かったの!! 神様〜!! 

 

せめてドラゴンボールとかさぁ戦闘系でもマシなのまだあるじゃん!! 

 

次の瞬間声が聞こえてきた

『そうじゃろうと思って運動神経、健康面、頭脳面で問題無し、いやむしろ最高のパラメーターの媒体に生まれ変わらせておる』

神様だった。もうこの瞬間から常識という2文字は捨てた。

 

神様の説明によると、この世界は予想通り鬼滅の刃の世界らしい。神様が生まれ変わらせたと言ったのは、魂の元は俺のままで、都合上4歳ぐらいに記憶が戻るように調整したからとのことだ。要するに俺が誰かに乗り移っているという訳でも無いらしいので安心した。

 

そして次に言われた言葉で俺は神様に感謝した

「ちなみに鬼殺隊に入りやすいように冨岡義勇? という者と縁を作っておいたから精々頑張るんじゃな。わしはこれで役目を果たしたさらばだ」

 

最高じゃん!! まじで神じゃん!!

推しと関係持ちとか 

 

そう俺の推しは冨岡義勇だった。

 

明治時代と言うことから推測するに義勇の関係者は救える。そうすることで義勇があそこまで無口にならずに済む、たぶん?

 

 

 

 ─4年後 1902年─

俺は今猛烈に疲れていた。神様の説明を受けてから鬼殺隊に入るために必死で頑張っていた。そして、もう1つ分かったことは両親は元隊士で今は引退した身だとのことだ。

 

もちろん1人で修行をしてなどはいなかった。

今、俺の隣で一緒にぶっ倒れている男は

 

─冨岡義勇 後に柱となる男であった

 

秋雨「はぁっ はぁっ……疲れたな義勇」

 

冨岡「なかなかやるな秋雨」

秋雨の両親が元隊士ということだけあって2人は木刀を使って修行をしていた。それも30分走り込みをして後である。

 

大人から見れば一見その走り込みは遊びをしているかのようにも見えるが、雪の中を竹刀を持ったまま、しかも重りをつけて走っているので十分に異常である。

 

 

当の本人達は気づいてないが4年間の修行ですでに並の鬼なら瞬殺出来る位の実力になっていた。

 

月明かりが差し込む部屋の中

修行の疲れを癒すために

秋雨は布団に入る。

これからどうしようか改めて考えた。

4年でまず全集中の呼吸の会得をするつもりだったのだが、2年前体力づくりをしている時に試しに「呼吸」を意識して、血管の流れや心拍数を考えて呼吸のみに集中していたら出来てしまったのだ……。

 

しまいには、そこからの1年で常中が少し出来るようになった。

そして、現在完璧に習得出来てしまっている.

 

 

 

秋雨「これ神様力加減ミスってない?」




いかがだったでしょうか?前書きしたように至らない所も多いと思いますし、
投稿頻度も少ないかもしれませんがそれでも見て下さる方のために頑張ろうと思います。

明治コソコソ噂話
義勇さんを見て秋雨さんは叫びそうになったけど、頑張って抑えたよ。


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序章
第弐話 改変の一歩


前回アンケートを答えてもらいましたが
そこまでペースは問題なさそうなので、変に変えたりせずに進めて行こうと思います。早いや遅いと回答された方 すみませんm(_ _)m


 ──1905年 ──

この年は「岩」の呼吸法を使用する岩柱

 ─悲鳴嶼行冥

が獪岳の手引きによって連れられてきた鬼のせいで冤罪をかけられる年である。

 

秋雨は修行の一環で義勇と旅をしていた時、野宿する場所を探していたら偶然人を襲っている鬼を見つけたので持っていた木刀で助けた。

 

しかし、倒す手段が今の時点で日の光に当てるか隊士の到着を待つしか出来ないのでその場に止めていた。

 

そして、察しがついた方もいるかもしれないが、この鬼こそが前述の鬼である。

 

そして、言うまでもなく秋雨と義勇により朝まで止められその鬼は日で焼かれてなくなった。正直、あと1分でも遅れていたら危なかったところを助けたのだ。

 

悲鳴嶼さんが冤罪で捕まることは止めることが出来たが、子供を二人助けることが出来なかった.........。

 

ちなみに、悲鳴嶼さんは今回の出来事で鬱になりかけていたので、鬼殺隊への道を勧め、鬼への復讐をしないかと誘っておいた。

 

俺達の事が御館様に話が通らないように悲鳴嶼さんには口封じをしてもらっている。

 

そして、鬼を連れてきた獪岳には悲鳴嶼さんから説教が下っているため原作のように成り下がることは無いだろう。また、念の為悲鳴嶼さんには獪岳の監視もするよう遠回しに伝えておいた。

 

 ─1906年─

旅は元々修行と偽って悲鳴嶼さんを助けるために行っていて、それも達成出来た。

 

義勇には、怪しまれないように鬼にも力が通用する事が分かったので後は各々で修行しようと理由をつけて旅を終えた。

 

何故かと言うともうそろそろ義勇の姉の蔦子さんが鬼に殺されてしまう時期だからだ。

 

それを助ける、いや、助けさせるために義勇が家になるべく居られる時間を作ったのだ。

 

そして、見事に予想が当たり義勇がそこに居合わせたことで蔦子さんを助けることが出来たのだ。

 

義勇「本当に...。秋雨……お前には……感謝してもしきれないな.........。お前が修行に付き合ってくれたおかげだ」

 

蔦子「義勇、秋雨くん。本当にありがとう.........。秋雨くんがいなければ義勇もここまで強くなれて無かったと思う。あなたがいたおかげよ」

秋雨「いえ.........。俺よりも義勇を褒め、、」

 

義勇「謙遜しなくて良い。お前が俺と修行してくれたおかげだ」

 

蔦子「そうよ。確かに義勇には感謝してるわ...。でも秋雨くんが修行に義勇を誘ってくれたおかげでこうして生きられてるのよ」

 

秋雨「…姉さんを助けられて良かったな」

 

蔦子「義勇、おいで」

義勇を手を広げて義勇を介抱する。

 

義勇「う、、ぁああ!、、姉さんを、、助けることが出来て、、本当に良かった」

 

義勇も緊張の糸が解れて感情を露わにする。

俺はその様子を後ろから眺めて涙していた。

 

 ─ひとしきり泣いた後─

俺らは鬼殺隊に入る決心をした。

今回のように襲われる可能性がある人を少しでも多く救うために! 

 

 

もちろん俺はこの出来事の前から鬼殺隊に入る気ではいたのだが、転生直後の覚悟とは訳が違い、明確な覚悟が出来たのだ。

 

義勇は、俺から鬼の話を聞いて、身の回りの人を守れる最低限の力はつけておこうと修行をしていた。

 

そして、悲鳴嶼の出来事で初めて鬼を目にして、そこで鬼に力が通用する事が分かった。そこに、今回の出来事と同じように、鬼に襲われてる人を助けたいという思いが加わり、鬼殺隊に入る決心をしたのである。

 

といっても義勇も俺もどちらも型も呼吸も分からない状況だ。なので、まず育手を探すところから始めなければ行けないのだが、生憎俺はこの1年間ただ遊んでいた訳ではなかった。

 

育手を探して、その育手の方に弟子に入れてもらい1年間急ぎで指導をして貰えるように頼み、水の呼吸を覚えていた。

 

そして、その練習は俺が知っていたものより更に想像を絶するもので、死ぬかと思ったのは内緒だ。

ここまで言えば、育手は誰か分かるだろうが

 

─鱗滝左近次 かつての水柱である

 

そして、どう見つけたのかというと、両親の顔見知りなこともあり、両親も俺の意見に前向きだったことで、意外とすぐに見つけることが出来た。何から何まで神様には感謝である。

 

話は戻るが、まだ型は完璧では無い。なので、義勇に紹介してそのついでに修行をするつもりだ。そして、まだ最終選別へ行く許可

が貰えてないので。型の復習とともに新しい技を考えようと思う。

 

 

実はもう岩は切れるけど.......




いかがだったでしょうか?
今回はほぼ原作死亡キャラ救出の話です。
次回から修行パート~最終選別開始まで書けたら良いなと思ってます。

明治コソコソ噂話
秋雨さんの両親は元水の呼吸の使い手で鱗滝さんに呼吸を教わってたそうだよ


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第参話 拾壱の型

主人公がますます、チートを開花させています。
もちろん、許せる範囲内?でですが...。
では、本編の始まりです。どうぞ


─前回の続き─

主に義勇の活躍で蔦子さんを助けることが出来た。当分の間、鬼はこの町にやってこないだろう。もし来たら倒すまでだが...。

 

なので今日は義勇に育手を紹介しようと思う。

 

秋雨「義勇」

 

義勇「どうした?」

 

秋雨「鬼殺隊に入るためには育手を見つける必要がある。この俺が1年間何もせずいたと思うか?」

 

俺はこの空白期間をいかに有用に使おうか考えていた。そこで考えた結果育手を見つけることにしたのだ。

 

義勇「…まさか!?」

義勇はあまり現実的ではない予想が頭に浮かんだ。

 

秋雨「そのまさかだ。俺は育手を見つけ修行を受けていた。その方をお前にも紹介しようと思う」

 

義勇「フッ、本当にお前と言うやつは...。どこまで無駄が無いんだ」

 

秋雨「早く行くぞ」

 

義勇「ああ」

 

 

─狭霧山にて─

左近次「わしは鱗滝左近次だ。お前が冨岡義勇だな。秋雨から話は聞いている。 鬼殺隊に入りたく修行を受けたいとな。」

 

義勇「はい。俺はまだ未熟である身のため、御指導よろしくお願いします。」

 

左近次「そうか、お前の姉さんは承知しているのか?」

 

義勇「その点は、家を出る前に話をしました。」

 

左近次「ならば、お前を今から儂の弟子とする。」

 

義勇「ありがとうございます!」

 

秋雨「良かったな!義勇」

 

義勇「ああ」

 

─錆兎「良い面構えをしているな!男らしくていい」

真菰「今戻りました!」

錆兎と真菰だ。一年前、俺が鱗滝さんに弟子入りを頼む際に既にいた。

それから一緒に修行をしている。今では、俺の数少ない友達の2人だ。

 

秋雨「錆兎、真菰どこに行ってたんだ?」

 

錆兎「いや、鱗滝さんに頼まれて買い物にな。」

錆兎達は鱗滝左近次に頼まれ今日新たに出来る弟弟子のためにご馳走を買いに街まで買い出しに行っていた。

 

義勇「その人達は?」

 

秋雨「ああ、紹介する。一緒に修行をしている錆兎と真菰だ。」

 

錆兎「お前の名は何と?」

 

義勇「冨岡義勇といいます」

 

錆兎「良い名だな!これからよろしくな義勇。ちなみに、俺にはため口でいい」

 

真菰「よろしく!私もタメ口でいいよ」

 

義勇「分かりまし...。分かった。よろしく頼む」

 

錆兎「それで良い」

 

左近次 「挨拶は済んだか?」

 

錆兎、義勇、真菰、秋雨「「「はい!!」」」

 

左近次「では、今から義勇に修行をつける。義勇ついて来い」

 

義勇「はい!」

 

左近次「弟子入りを認めると言ったが、本当に認めるのはこれからだ。

今からこの山の麓に出る。朝になるまでにここに戻ってこい」

 

義勇「分かりました。」

 

そう言って出ていった10分後鱗滝さんだけ帰ってきた。

俺らはと言うと戻ってくるであろう義勇のためにご馳走を準備している。

そして、その更に15分後義勇は帰って来た。

 

義勇「ハァ...ハァ、ただいま、、戻りました。」

 

左近次「よく戻った。落ち着いたらそこに座れ。飯を用意しておいた。」

 

義勇「ありがとうございます!」

 

そうして今、俺たちは、囲炉裏を囲むようにして座り、夕飯を食べている。

左近次「鬼や鬼殺隊については秋雨から話は聞いているのだったな」

 

義勇「はい」

 

左近次「では、明日から本格的に修行を始める。今日は腹いっぱい食べて明日に備えろ」

 

義勇「分かりました」

 

─それから10日後─

俺は今、育手に掟破りのようなことを頼んでいた。

 

秋雨「鱗滝さん、俺はこのままでは岩は切れない気がするんです。なので俺に雷の呼吸を教えてくれる育手を紹介して貰えないでしょうか」

岩は切れるが更なる高みを目指してのことだ。

 

左近次「秋雨、お前がこの話を切り出すには相当勇気が必要だったはずだ 。だが、そこまでして儂に頼むのだ。儂としても拒む理由は無い。元鳴柱を紹介をしよう。」

 

秋雨「ありがとうございます」

ここまであっさり紹介してもらえると思っていなかった。

正直、ダメ元で話をしたのだが、とりあえず教えて貰えるようで安心した。そして、今俺は支度をして山を出ようとしていた。

 

義勇「鱗滝さんから聞いた。鳴柱の元で修行を受けるそうだな。応援する」

 

錆兎「少し寂しくなるが、俺も義勇も秋雨を応援しているからな。」

 

真菰「秋雨辛いと思うけど頑張ってね!」

 

秋雨「ああ、ありがとう。では、たぶん1年後くらいになるだろうが、最終選別頑張ろう。またな」

真菰の応援が1番嬉しかったというのは内緒だ

 

錆兎「分かった。最終選別でまた会おう」

義勇と錆兎が見えなくなるまで俺は手を振り、下山した。

 

─1年後 1907年 最終選別 前日─

 

元鳴柱 桑島慈吾郎 の元での修行を終えた俺は再び狭霧山に来ていた。

 

瑞雲秋雨(みずもあきさめ)は背丈も伸び(150cm→160cm)

体格も大人寄りになっていた。

 

左近次「遂に来たか。この1年で大分見違えたな」

 

秋雨「はい!」

俺と同様に義勇、錆兎、真菰も1年前と見違えていた。

 

そして、俺は今岩を切ろうとしていた。

 

義勇「秋雨なら必ず切れる」

 

真菰「秋雨なら大丈夫!頑張って!」

 

錆兎「秋雨がこの1年で何を学んできたのか俺も見届けよう」

 

秋雨「見ていてくれ俺の1年間の努力の賜物を」

 

義勇、錆兎「「ああ!!」」 真菰「うん!」

 

─水の呼吸 拾壱の型 渦潮(うずしお)

 

次の瞬間義勇達を水が呑み込んだ。いや、実際には呑み込んでは無いのだが呑み込まれたかのような錯覚が義勇、錆兎、真菰、鱗滝までをも襲っていた。

 

秋雨の刀の実態は見えなくなっており、水が渦を巻いて刀に巻きついてるように義勇達には見えていた。

 

そこから秋雨が刀を一振すると、刀に巻きついていた水が渦の形のまま岩を覆い、気づいた時には岩は無くなっていた。

そう無くなっていたのだ...。切れているのではない、あまりの威力に岩が耐えきれず粉々になっていた。

 

義勇、錆兎、真菰は勿論のこと、鱗滝までもが驚いていた。

そして、それは本人も例外では無かった。顔には出して無いが、やってしまったと思う程度には驚いている。

 

左近次「文句なしで合格だ。しかし、加減を考えて技を使え」

 

秋雨「ありがとうございます。以後気をつけます...。」

 

義勇&錆兎「「お前本当に人間か?」」

 

秋雨「人間だっ!失礼な!」

 

─最終選別 当日─

 

俺たちは藤襲山に来ていた。

俺は既に知っていたので驚かなかったが、義勇達は藤の花が沢山咲いている様子に驚いていたようだった。

ちなみに俺たちは厄除けの面をしているため、他の者から見れば目立って見える。

 

義勇「凄い藤の花の数だな」

 

錆兎「本当だ。これほどに見事に咲かせられるものなのか...。」

 

真菰「すごい花の数だね...。」

 

秋雨「藤の花は鬼の弱点の一つらしいからな」

 

義勇&錆兎「そうなのか」 真菰「そうなんだ」

 

俺たちが話していると

産屋敷あまねが説明を始めた。

産屋敷あまね「──では行ってらっしゃいませ」

この時期にはまだ子供は産まれてないので、あまねさんが引き受けている。

 

─遂に俺たちの鬼狩りの一歩が始まる!─




次回から最終選別開始です。
遅いかもしれませんが、長い目で見てもらえると助かります。

明治コソコソ噂話
鱗滝さんは義勇さんの戻りが速くて驚いているけど、義勇さんを慢心させないように平然を装っているよ。


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第肆話 新たな道

今回で最終選別編がやっと終了します。流石に自分でもペースが遅いかとも感じますが、細かい性格故に飛ばすことが苦手で、小刻みにしか進めません。
そのことを分かった上で見てくれる方。本当にありがとうございます!
m(*_ _)m

では、本編です。どうぞ!


俺たちはそれぞれ、2人ずつに別れて他の選別者を救うのと同時に鬼を倒していた。俺と錆兎、義勇と真菰に別れている。俺は錆兎が心配なので、原作の緩和のことも考えてこのようにしている。

 

─秋雨&錆兎サイド─

秋雨「おい!あそこ!」

 

錆兎「分かっている!」

 

─ 水の呼吸 壱の型 水面切り ─

錆兎は息を研ぎ澄まし刀を横に一振した。

すると鬼は抵抗する間もなく首を落として消えていった...。

 

他の選別者を後一歩のところで救えることが出来た。

選別者「あ、ありがとう」

 

錆兎「立てるか?」

 

選別者「うん」

 

秋雨「俺たちについて来い!」

 

選別者「分かった」

 

このようにして、俺たちは他の選別者を救いながら、少しずつ仲間を作りながら徐々に鬼を倒していった。

 

そうして進んでいた時だ...。

辺りを異臭が包み込んだと同時に大きな足音がした。

ここまで言えば気づいているだろうが、そうあの手鬼である。

 

─義勇&真菰サイド─

真菰「錆兎達大丈夫かな?」

 

義勇「あいつらは心配しなくても死ぬことはないだろう」

 

真菰「うん、そうだねどっちも強いもんね!」

 

義勇「おい、鬼に襲われている人が!」

目の前で人が今喰われようとしていた。

 

真菰「うん、私が助ける」

 

─ 水の呼吸 弐の型 水車 ─

真菰は一瞬の間に、前に飛び込むように一回転しながら敵の間合いに入り、そしてそのまま首を切った。

 

村田「ありがとう!君凄く強いね!助かった!」

義勇の同期こと村田さんである。

真菰は照れるように頭をかいた。

真菰「そんな事無いよ///」

 

義勇「おい、お前立てるか」

 

村田「ああ、大丈夫だ」

 

義勇「一緒に行くぞ」

 

村田「ああ。それと、俺も出来る限りのことはしよう」

 

義勇「そうか、それは助かる」

こうして義勇達もまた錆兎達程では無いが徒党を組んで戦っていた。

 

─秋雨&錆兎サイド─

俺達と手鬼が鉢合わせそうになっているところに、義勇達も合流した。

 

秋雨「良いところに来た!義勇、真菰、この辺りがピリつくのを感じるか?」

 

義勇「ああ、今までの鬼とは明らかに違うな」

 

真菰「凄い力を感じる」

 

錆兎「お前達油断するなよ」

 

義勇、真菰「分かってる」

全員がかかろうとすると同時に俺は皆を止めた。

秋雨「待ってくれ、俺に戦わせてくれないか?」

皆がザワザワし始めた。

 

錆兎「まさか一人でと言うんじゃないだろうな」

 

選別者「あれを一人で!?」

 

村田「無茶じゃないのか?」

 

錆兎「秋雨、お前が強いのは知っている。だが、あれは...。」

 

秋雨「頼む、俺の新しい技を試したいんだ!」

 

錆兎「新しい技ってあれだけじゃなかったのか?」

錆兎が言うあれとは前日に見せてもらった型である。

 

秋雨「ああ、違う技。いや、呼吸だ。」

錆兎はそれに対して質問しようとするがそれは叶わなかった。

次の瞬間手鬼の声が響き渡る

手鬼「おー、たくさんいるなぁあ。俺の獲物がぁ」

その鬼の前に秋雨が1人で立っていた。

 

秋雨「その汚い声で喋るな」

 

手鬼「汚い声だとおぉ!...。ん?そういえばそのお面鱗滝の弟子の面だなあ」

 

この声だけは義勇達の耳にも入ったらしい

秋雨達「「「「なぜお前が鱗滝さんを知っている」」」」

 

手鬼「クッフフフフッこれは運が回ってきたなあ、4人もいるとはなあ、その面目印なんだよ、厄除の面と言ったか?それをつけているせいで皆俺に喰われた、皆俺の腹の中だぁ、鱗滝が殺したようなもんだぁ」

これを聞き義勇達も刀を握るが俺が手を広げて静止する。

 

秋雨「おい手鬼、貴様今までに何人俺たちの弟子を喰ってきた?」

 

手鬼「なぜ俺の名ま」

 

秋雨「そんな事はどうでもいい早く答えろ」

 

次の瞬間手鬼は指で数え始めた

手鬼「せっかちな奴だなぁ、俺は今までに人を50人は喰ってきたが、その中でも11人は喰ってきたなあクッフフフフッ」

 

秋雨「このクソ野郎が!絶対に許さない!」

 

手鬼「ごちゃごちゃうるさいガキだあ、死ねえ!」

手鬼は全ての手を存分に使い攻撃してきた。

しかし、次の瞬間その周りを雲が覆った。

それも、雷の混ざった雲が、だ。

 

手鬼「なんだ?」

 

皆「これは呼吸なのか!?」

 

─ 雲の呼吸 壱の型 源雷(げんらい)

そして、その雷は雲と共に全て手鬼に集約され、辺りが光ると共に手鬼が叫び声を上げて跡形もなく消えていった。そして、手鬼は消える瞬間秋雨と鱗滝の姿が重なるように見えていた

 

手鬼「あぁぁぁぁあぁあぁ!鱗滝ぃ....」

残っていても握る気は無いが、握れたかもしれない手すら無くなっていたので少し敵ながら同情する。

 

選別者達「す、凄い.......本当に1人で」

 

錆兎「強いとは分かっていたが、まさかここまで差がついていたとは!俺達も追いつかないとな!」

 

義勇「そうだな、秋雨はどこまで強くなるんだろうか、このままではどんどん差が開いてしまうな。俺ももっと頑張らなければな」

 

この後に義勇は努力の末、拾弐の型『凪』を考えた。原作とは違い、拾壱の型が既にあるので、拾弐の型となるのだが...。

 

ちなみに、拾壱の型『渦潮』も出来るため、この時点で原作の義勇を技数だけでは越している。

 

真菰「うん、そうだね!私も頑張らないと!」

 

 

秋雨には殺されたはずの先代の弟子達が見えていた

秋雨「良かった、、仇を討つことが出来た、、」

そしてその子供達は魂となり狭霧山の方向へと帰っていくように見えた。

 

 

─手鬼討伐後─

 

手鬼を倒した後、手鬼以上の鬼が出てくる事は無かったそれどころか、雑魚鬼すら出てこなくなった。

 

何故なら、俺が雲の呼吸を使った時に、鬼だけを覇気で戦意喪失させてしまっているからだ。もちろんこれは岩を切る時とは違い、反省を踏まえた上で、他の人に、ほんの少しでも被害が行くことが無いように加減してやった。

 

そして、そのまま俺達は最終選別を通過出来た。

 

産屋敷あまね「お帰りなさいませ。おめでとうございます。全員ご無事で何よりです」

 

 

秋雨「どうやら全員救うことが出来たらしいな」

 

義勇「ああ、そうみたいだ。誰も死ぬことがなくて良かったな」

 

産屋敷あまね「まずは隊服を支給させていただきます─階級は十段階ございます甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸─」

 

それからしばらくして俺達のところに鎹鴉が来た。

 

俺の鎹鴉は仕事が出来そうな感じで安心した。

鎹鴉「カアァァ!ヨロシクー!」

アニメでも見たが鴉が喋っているというのはやはり新鮮だ。

幸郎というらしい。

 

錆兎、真菰の鴉も問題無さそうだが

原作通り義勇の鴉が年老いているようで少し不安だ。

 

産屋敷あまね「皆さんには今から玉鋼を選んでいただきますが、刀が出来上がるまで10日から15日程お待ちいただきます。ではあちらから刀を造る鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し己の身を守る刀の鋼は御自身で選ぶのです。」

 

俺は言われた通りに鋼を選ぶ。俺は前世から直感が人並み外れて良かった。

なので、この世界でも自分の直感を信じて選んだ。

 

そしてそれに釣られ、俺の後に続くようにして他の人も手に取っていった。

 

 

全員受かることは出来たが、その後の皆の行動は十人十色だ。あまりの過酷さに諦めて隠になろうとする者や秋雨に憧れて切磋琢磨する者、マイペースにコツコツ頑張る者などがいた。

 

お館様『全員生き残ったのかい、とても優秀だね。また私の剣士が増えた.......どんな剣士になるのかな。最終選別の時に強い剣士がいたのだろう。そうでなければ全員生き残るなんてのは不可能だからね』




いかがだったでしょうか?最終選別編
遂にタイトルの伏線回収をすることが出来ました。
雲の呼吸、完成させるために主人公がいろいろ無茶な修行をしました。

明治コソコソ噂話
産屋敷家はまだ子供が産まれてないからあまねさんが担当してるよ!


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番外編 束の間の休息

この話は読まなくても、本編は問題無く読めると思いますが、それでも見て下さるという方には頭が上がりません。m(*_ _)m

では、番外編です。どうぞ!


──1907年 最終選別が終わったすぐ後の話──

最終選別が終わって刀がくるまでの間鱗滝さんのところで修行を続けていた。

 

その後、修行に一旦区切りをつけて、義勇と一緒に話し合って故郷に帰ることを決めた。そうして俺たちは一度疲れを取るために実家に帰ろうとしていた。

 

秋雨「久しぶりだな。この町に帰ってくるのも」

雷の呼吸を会得した後で一度は帰っているが、それ以来は帰ることが出来てなかった。

 

義勇「そうだな、まずはお互いの家へ帰ろう」

義勇も同様に最終選別前に鱗滝さんから休みを貰って一度帰ってはいるのだが、それ以降は帰ることは出来てないのだ。

 

 

─別れた後─

俺は実家に帰ってきて一言

秋雨「ただいま」

 

母「全く、、あんたって子は一度出ていったら連絡すらないんだから!」

 

秋雨「ごめんなさい」

 

父「まあまあ、母さん、良いじゃないか...。こうして久々に顔を合わせに来てくれているんだ歓迎しよう」

 

母「...。そうね」

 

父「それより、秋雨、背が伸びたんじゃないか?」

 

母「ほんとね!男前になったわね!」

父が言うように少し背は伸びたのだが、(160cm→170cm)

 

母の言う男前になったとは、俗にいう親バカというやつだ。

 

だが、分かっていても勿論照れるものは照れる

秋雨「そんなことないよ」

俺は照れ隠しのために頭をかいた。

 

その後俺は昼ご飯を振舞ってもらい。

美味しく戴いた。

 

─義勇家─

義勇は家に入ってただいまを言う前に泣きつかれた

義勇「たd」

 

蔦子「おかえりなさい」

 

義勇「姉さん?」

 

蔦子「どんだけ心配したと思ってるのよ。手紙の1つや2つ寄越してくれても良かったじゃない!!」

 

義勇「すまない、書く余裕がなかった...。」

 

蔦子「義勇らしいわね。まあいいわ...。おかえり」

 

義勇「ああ、ただいま...。」

義勇は、姉の蔦子にご馳走を振舞ってもらい、秋雨と同じように実家で世話になっていた。

 

義勇「鮭大根を食べるのは久しぶりだ、美味しい。姉さんの作るものは特に」

そう、義勇は鮭大根にだけは目がないのだ。

そして、無意識の内にベタ褒めしているのだが、この鈍感な男は気づいてない。

蔦子「本当に義勇は鮭大根が好きなのね!」

 

こうして、実家に一晩泊めてもらった後、俺たちは合流して、再び狭霧山へと向かった。

 

 

 

──10日後──

俺たちの元へと刀が届いた。正確には、刀鍛冶の方が持ってきて下さったのだが...。俺たちが狭霧山に着いたころに丁度いらした。

 

秋雨「もしかして、刀鍛冶の方ですか?」

 

?「君達は最終選別を受けた子かな?」

?「どうやらそうらしいぞ」

 

義勇「鱗滝さんの所まで案内します」

 

?「ああ、君たちは鱗滝さんの弟子なんだね」

 

そう言って俺たちは案内した。

この人達は、鉄谷さん、鉄導寺さんと言うらしい。

どうやら鉄導寺さんは義勇の刀を鉄谷さんは俺の刀を打って下さったらしい。

大人しそうな人達で安心した。

 

鉄谷「さてどのような色に変わるでしょうね?」

 

鉄導寺「私もとても気になります」

 

鱗滝「わしも予想が出来ぬな」

 

俺は刀を握った

すると刀に色がゆっくりと付いていく。

改めて染まった刀を見ると白と灰色が縞模様のように混じり合っている。

 

鉄谷「ほお、珍しいものを見ることが出来ました。二色に別れているのを見るのは初めてです。」

 

鱗滝「秋雨の呼吸のイメージと合っているな」

 

秋雨「はい、俺もこんな風に変わるとは思ってませんでした!」

 

次に義勇も刀を握ったのだが、

義勇の刀は原作の刀よりも透き通っているように見えた。

むしろ透明に近い感じだ。そして、黒い部分も無くなっている。

1色なのである。

 

鉄導寺「水のように透き通っている」

 

鱗滝「わしも長年水の呼吸を弟子に教えて来たがこのような刀は見たことがない。これは義勇が水の呼吸に一番適正だと言うことを表しているのだろう」

 

その時俺の鎹鴉が入って来て命じる

「瑞雲秋雨〜、北へ向かえ〜、北へ向かえ〜、そこでは夜な夜な人が拐われている〜」

 

余談だが、この後錆兎と真菰の刀鍛冶もやって来た。錆兎の刀は錆兎の髪の毛の色と同じように染まったらしい。

 

そして、鱗滝さんが言うには、これは炎の呼吸に適正があるのではとのことで、現在錆兎は炎の呼吸の育手の下で指導を受けている。補足しておくと槇寿郎のことではない。

 

真菰の刀は桜色と紫色の二色に染まったらしく、これはまだ前例が無いため、自分で見極めていくしかないらしい。それから、真菰は新しい呼吸を作ろうと

任務の合間を見て修行している。

 

 

 

 

──1910年 時透兄弟を助ける少し前──

俺は少しでも強くなろうと修行していた。

 

そして、俺は今透き通る世界に入りかけていた。

 

最終選別が終わってからの3年間俺はただ任務をこなしていた訳では無い。透き通る世界に入るために絶えず修行をしていたのだ。

 

もう1つ言うと透き通る世界に入るための修行をしている時に先に赫刀が出来るようになったので、俺は呼吸や痣を除いて、限りなく縁壱に近づいていた。

 

もちろん、天才では無く努力で得たものなので根本は違うのだが...。

 

それとは、別で新しい技が思い浮かばない。軽いスランプに陥っていた。

その後、何が足りないかよく考えた末、雲を技に昇華させるには風や太陽も不可欠だという考えに至った。

つまり、風の呼吸と日の呼吸を概念だけでも知る必要があった。なので、元風柱の下で修行している実弥や匡近と一緒に1ヶ月間風の呼吸を覚えた。

 

もちろん、型を覚えただけなので、これからも復習していく必要があるが...。

例えれば、コップはあるが水が少ししか入ってない状態なので満タンにしないといけないという事だ。

 

とりあえず、風の呼吸を覚えたことで考える幅が広がり技数を増やす事には成功した。なので、仕上がりを確かめるには実践あるのみという事だ。

 

日の呼吸は漫画で読んだ時に型を覚えているので、炭治郎が思い出した時に、技を見せてもらい、その時に概念を理解するだけで出来るだろう。何故教えてもらわないのかって?

 

 

炭治郎が教え方が絶望的だからだ




いかがだったでしょうか?
読むことに差し支えなければぐらいの気持ちで書いたのですが、ここまで読んで下さってありがとうございます!
次回は、ちゃんと進めていきますので、ご安心を

明治コソコソ噂話
義勇さんを呼びに行った時に秋雨さんは蔦子さんの顔を見れて安心してたよ


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第伍話 廻り出す歯車

今回は、救出パートです。
なので、話の内容自体はそこまで進みません。でも、後の話に関わってくるとので、読んでおいた方が良いと思います。


─1908年─

冨岡義勇は今鬼と戦っていた。

 

─後の風柱 不死川 実弥の目の前で

 

原作通り不死川の母が鬼になってしまってはいるのだが、玄弥以外の兄弟を救うことが出来ていた。そして、頸はいつでも切ろうと思えば切れるのだが鬼と被害者が身内同士であるため悩んでいた。

 

義勇「君のお母さんは今鬼になっている」

 

実弥「鬼?」

不死川実弥は、将来鬼を嫌というほど倒す柱になるのだが、当然そんなことは知るはずも無いし、鬼の事を知らなくて当たり前だ。なんせ、鬼というものをここで初めて見るのだから。

 

義勇「つまり人間ではなくなったという事だ。このまま放っておいたら他の人を襲ってしまうかもしれない。だから、、」

 

─「人を喰わない内に天国に送ろうと思う」

この言葉は暗に殺すことを意味していた。

 

義勇は殺すということをこの子の心を傷付けないように伝えるにはどうすればいいか先程まで考えていた。そして、絞り出した答えがこれだった。

 

この言葉に不死川は強く拳を握って返事をした。

実弥は、この男を一発でも殴っておきたいという気持ちを抑えて、義勇に言葉を返した。

 

実弥「クッ...。おふくろが人を喰うぐらいなら死んだ方がマシだ!」

 

義勇「そうか、ではすまないが切らせてもらう」

 

 

 

─水の呼吸 伍の型 干天の慈雨─

義勇は一切の殺意を込めずに近づいた。

 

そこから義勇は、ゆっくりと刀を入れこの技で不死川の母を優しく葬った。

そして、義勇は心の中で成仏出来るように祈っていた。

 

実弥は親が殺されたというのに、あまり不快には思わなかった。

それは、『干天の慈雨』の暖かい刃が周りにも少し風を通って伝わったからである。

 

しかし、実弥は母が無くなりどう生きていけばいいか分からず、膝を地面につくほど泣き崩れていた。

 

義勇「俺は鬼殺隊という組織に入っている者だ。そして、その組織をまとめている方がいるのだが、その人ならお前と兄弟を保護してくれるはずだ話しておこう」

 

実弥「ありがとうございます」

 

その後任務を終えた俺と不死川らを連れている義勇がばったり出会った。

秋雨「おー、義勇!その子供達は?」

 

義勇「秋雨か、こいつは不死川実弥というのだが、今そこで鬼に襲われていたのを助けてな。お館様に保護して貰えるよう鎹鴉に伝達を頼もうと思ったのだが生憎、俺の鎹鴉が届けられるか不安で...」

 

秋雨は、この言葉足らずでは無い義勇を見て感銘を受けているのだが、すぐに頭を振ってその思いを何処かに飛ばした。

 

義勇「どうした?」

 

秋雨「いや、なんでもない。そういうことなら俺が鴉に頼もうか?」

俺からすれば冨岡が不死川を連れている画は不思議でたまらなかったが、義勇が不死川を助けたことで、後の柱合会議での横暴や玄弥とのいざこざは無くなりそうで安心した。

 

 

そうして3時間後無事に不死川兄弟らを保護してもらえることになったのだ。

 

 

不死川実弥と不死川玄弥の二名は母の仇を討つために鬼殺隊に入りたいと俺たちに相談してきた。

 

俺たちとしては、不死川兄弟は両親もおらず、拒む理由も特に無いので、育手(実弥は元風柱、玄弥は岩柱)の元で指導を受けるように薦めておいた。もちろん、場所も教えてある。(時期的には匡近が修行を受けている頃です)

 

───3年後 1911年───

瑞雲秋雨はとある双子を助けるためにある山へ向かっていた。

 

双子ということで勘づいた方もいるだろうが

─「霞」の呼吸法を使用する霞柱 時透無一郎

とその兄 時透有一郎である。

 

──俺が来る少し前

時透兄弟が寝ようと布団を敷いて準備していた頃のこと

 

ドオオオン!! 戸を壊して鬼が入って来た。

無一郎、有一郎「「!!」」

突然の事に驚き、尻もちをつく二人

 

鬼「ニシャア....丁度いい獲物が二人も居るなあ」

 

有一郎「なんだお前は!!?」

有一郎は、尻もちついたまま鬼に指を指してそう言った。

 

鬼「見て分からねえのか?ひっひっひ」

 

無一郎「お、、おに」

 

鬼「!!鬼のことを知っているらしいなあ?面倒だ手っ取り早く殺してしまおう」

 

有一郎「ふざけるな!!勝手に入って来たと思ったらごちゃごちゃ喋るだけ喋って」

有一郎は腰を上げて斧を手に取った。その斧を目の前の鬼に向けて構える。

 

鬼「ひっひっ、そんな斧で鬼は殺せないぜ」

そう言って鬼は有一郎を攻撃しようと地面を蹴って突進した。

 

無一郎「兄さん!!危ない!!」

無一郎はもうダメだ間に合わないと思った。

 

 

─そして現在

俺はとてつもなく焦っていた。

 

もしかしたら間に合わないかもしれない。そう思い、俺は自分が出せるトップスピードを出した。もし柱達がこれを見たら、自分達よりも強いと肌で感じるだろう。

 

つまり、それくらいの速度という事だ。

そうして、俺が走っているとだんだん山が見えて来た。

そして、山の中に入ると襲われている兄弟を見つけた。

秋雨「あれだ!!」

 

─雲の呼吸 弐の型 巻き雲(まきぐも)

その瞬間秋雨の周りを雲が覆う。そして、刹那の間に刀にその雲のようなものは巻取られていく。次の瞬間、刀に集めた雲を鬼に向けて刀ごと振り下ろす。

 

時透兄弟にとっては、全てが瞬きをする合間に終わっていた。

 

気づいた時には雲が目の前の鬼を覆っていた。そして、雲が消えるとまるで神隠しが目の前で起きたかのように鬼が消えていた。

 

俺は急いで時透兄弟に駆け寄る。

 

秋雨「大丈夫か?!ケガはしてないか?」

 

無一郎「僕達は尻もちをついたぐらいです...。それより、鬼はどうなったんですか?」

 

秋雨「鬼は俺が倒した。だからもう安心して良い。それじゃ」

 

無一郎「っ!じゃあ先程のはあなたが、、ありがとうございました!!」

俺は、時透の家を後にする。

 

そうして、俺が出ていった少し後のことだ。

有一郎「待ってくれ」

有一郎は俺が時透家を出た後を追って走って来たらしい

秋雨「どうした?」

 

有一郎「あんた鬼殺隊なんだろ?俺たちを鬼殺隊に入れるために救ったんじゃなかったのか?」

 

秋雨「いや、俺が助けようと思ったから助けた。それだけだ」

 

有一郎「そうか、俺は鬼殺隊というものを勘違いしていたらしいな。」

 

秋雨「元気でな」

俺は有一郎の頭に手を置いて言葉をかけた。そして、俺は山を降りていった。

有一郎「ありがとー!!」

有一郎は秋雨が去っていってから恥ずかしながらも口に出して言った。

その時既に秋雨は麓まで下りていた。

 

 

俺は有一郎の声が聞こえたような気がした。




いかがだったでしょうか?
また、番外編のようになってはいますが、後々の話に関わってくるので、本編として入れてます。

明治コソコソ噂話
3時間の間に秋雨さんと義勇さんにおはぎを買ってもらえたので、不死川さんはとても喜んでいるよ


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第陸話 柱任命

主人公も着実に強くなっていきますね( ๑•̀ω•́๑)
そして、今回救出無しの戦闘となっているので、久しぶりのガチの戦闘が期待出来ると思います。楽しんで読んでください!

では、本編です。どうぞ!


──1911年 時透兄弟を助けた後の話──

俺は今、鬼殺隊に入って初めて強敵と戦っていた。

──十二鬼月の一人 下弦の参 比蔵(ひぐら)だ。

前髪は目が見えない程に伸びきっており、服装は黒一色で、とても隠密行動に長けてそうな見た目をしている。

 

強敵といっても秋雨からすれば大した事はないのだが、秋雨にとっては、比蔵が一応初めて合う十二鬼月の1人なので強敵として認識している。

 

比蔵「ハハハッ、お前強そうだな」

比蔵が、いきなり笑いながら話かけてくる。

 

秋雨「何故笑ってやがる?」

 

比蔵「俺と戦うやつはいつもすぐに死んでいくんだ。だからつまらない...。でもお前なら楽しめそうだから嬉しいんだ!」

 

秋雨「可哀想に。闘う脳味噌しか無いんだな...。」

 

比蔵「ふざけるな!!ぶっ殺してやる」

 

秋雨「ハッ、やっぱり脳筋じゃん」

俺は意味も無く煽った訳では無い。鬼の判断力を鈍らせるために煽ったのだ。

俺は呆れながらも刀を鞘から抜いて構える。

 

── 『血鬼術 鬼圧 』──

この技は自分の圧をかけて相手が動けなくなっているうちに、いたぶるというものだ。

 

比蔵「ハハハッ、お前もすぐに苦しむことになるだろう。なんせ、この術を受けて耐えれたものはいなかったからなあ」

 

秋雨「なにかしてるのか?」

 

比蔵「なっ!?」

比蔵は、どんなに強くてもこの技だけは耐えられないと思っていた。

それを相手は自分も知らない内に克服しているのだ。

 

秋雨「鳩が豆鉄砲をくらったみてえな顔してるな?さっき一瞬空気が気持ち悪くなったがひょっとしてそれが血鬼術だったのか?」

 

そうこの血鬼術は自分よりも遥か上にいる存在には効かないのだ。

もしこれが累と戦っていた時の炭治郎だったらひとたまりもなかっただろう。

 

しかし、皮肉にも、上弦ですら敵わないかもしれない相手に下弦の参が勝てる道理はないのだ。

 

秋雨「拍子抜けだな」

 

比蔵「ほざけえ!!」

比蔵は怒りのままに突進してきた。

 

比蔵は地面を強く蹴りながら近づき、関節の曲がりをフルに使って蹴りを放つ。それを秋雨は刀を使わずに上体を逸らすのみで避けてしまった。

 

これは、この時代で積んできた努力のおかげでもあるが、前世でかじっていた合気道の動きもここに表れている。

 

今度は低くしゃがんで蹴りで俺を地面に伏せさせようとしてくるが、俺は更にそれよりも低くしゃがんで足を引っ掛けて転ばした。

 

秋雨「呆気ないな、これが下弦の参とは反吐が出る」

 

比蔵「もう許さん貴様だけは絶対にコロス!!」

 

秋雨「はぁ、学というものが1ミリも無いな。もういいや、これで終わらせる!」

 

──雲の呼吸 参の型 霧雨(きりさめ)──

比蔵の頭上に雲が突如現れる。

次の瞬間、小さく鋭い数多の雨粒が自分に降っているかのような感覚が比蔵を襲った。

 

比蔵「なんだこの雨は!!グッ…あぁぁあぁぁぁ!!」

 

下弦の参 比蔵 は最期に何を言い残せることも無く儚く散っていった。

数多の鋭い雨粒の前には再生の力も歯が立たず、何も出来ることなく消えていった。下弦の参も圧倒的強者の前では弱者となってしまう。

 

 

──1911年 下弦を倒した後──

下弦の参を倒した後、俺はお館様に呼ばれていた。

そして、隣には実弥、その横には現在の柱達(岩柱、音柱、花柱、水柱、熱柱、藤柱)が並んでいる。

 

─水柱、熱柱、藤柱とは俺の親友達(左から順番に義勇、錆兎、真菰である)

この三人は最近下弦の伍、下弦の肆、下弦の弐を倒したらしく柱まで登り詰めている。

 

お館様「秋雨、実弥...。君たちを十二鬼月である下弦の鬼を倒した業績を称えて、階級甲改め、秋雨を雲柱、実弥を風柱に任命する。いいね?」

 

秋雨・実弥「「御意」」

何故か自然に返事をしていた。

それは実弥も同じようだ。

 

それにしても、原作だと、実弥がお館様に怒っていたはずなのに何故怒り出さないか疑問だったが、実弥が一悶着起こさなかった理由が分かった。

 

本当は匡近がこの時点で死んでたはずだったのだが、俺と修行した事で死なずに済んでいるようだ。ちなみに、匡近は死んではないが、戦うことは出来なくなってしまったらしく、隠として仕事するらしい。

 

 

──お館様の話が終わってから

義勇「秋雨、柱の就任おめでとう」

 

錆兎「良かったな!」

 

真菰「柱として一緒に頑張ろうね!」

 

秋雨「ああ!」

 

少ししてから実弥は俺に

実弥「あんたは、あの時に義勇さんと話してた人だよな?」

と話しかけてきた。

 

秋雨「そうだあの時は名乗っていなかったな。俺は瑞雲秋雨だ。よろしくな実弥。ちなみにタメ口でいいからな」

俺は手を差し出し、それに実弥は応じて握手してくれた。

原作よりも素直な実弥になっていてびっくりした。

実弥「おう!よろしくな!秋雨」

 

次に悲鳴嶼さんが話かけてきた。

悲鳴嶼「秋雨、柱として共に切磋琢磨していこう。」

 

秋雨「はい! 悲鳴嶼さん、そういえば獪岳って今どうしてます?」

 

悲鳴嶼「君のおかげで、良い子に成長している。嗚呼、君にはどれほど感謝すればいいのか」

 

秋雨「いえいえ!それなら良かったです。」

 

 

初めて会う人もいたので挨拶を済ませておく。(まあ俺は知ってるんだけど)

宇髄「お前の話は冨岡、錆兎、真菰から聞いている!もうとにかく強いとな!水の門派で一番強いとまでな!俺も期待している!だから、これからの任務で証明して見せろ派手にな!」

 

秋雨「はい!頑張ります!」

 

カナエ「少し前にね、鬼に襲われている私を悲鳴嶼さんが助けてくれたんだ。それでね、その恩人でもある悲鳴嶼さんがあなたのことを尊敬できる人だと話していたわ。」

 

秋雨「悲鳴嶼さんがそんなことを」

 

カナエ「うん、だからね、私もあなたのことを応援してるわ。頑張ってね!」

 

秋雨「ありがとうございます!頑張ります!」

今まで以上に頑張ることを胸に誓った。




いかがだったでしょうか?
遂に主人公が柱になりましたね!名前は雲柱と安直な名前にしました。
柱としてどんな活躍を見せるのか必見です!
鬼は下弦の「参」ということで、猗窩座をイメージしてます。

明治コソコソ噂話
下弦の参をあっさり殺しちゃって、下弦に新しい鬼が入るけど、倒せるかな?
と秋雨さんはヒヤヒヤしてるよ


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第二章~原作まで~
第漆話 一握りの幸せ


今回も救出パートとなります。
テンポが悪くてすみません。

では本編です。どうぞ!


──1911年の冬──

俺は柱となってから、絶えず任務を与えられ、順調にこなしていた。

 

柱には屋敷が与えられるのだが、そのおかげで、鬼が出る時間へと移り変わる暮れ時まで十分に集中して修行に打ち込めるようになった。

 

なので、俺は、現在赫刀と透き通る世界の2つを完璧に自分のものに出来ていた。痣はまだ修行中だ。

 

ちなみに痣が出ても生きられていた縁壱は透き通る世界が見えていたことが理由ではないかと考えている。そのため、まず透き通る世界から身につけた。

 

そして、俺は余裕が出来て、今は雲の呼吸の新たな技の開発のために風の呼吸を復習している。

 

ちなみに、雲の呼吸は壱の型の源雷、弍の型の巻き雲、参の型の霧雨の三つしか作ることが出来ていなかった。

 

源雷は積乱雲をイメージしていて、雷の呼吸から派生させて出来たものだ。

巻き雲は竜巻のような雲をイメージして、風の呼吸から派生させて作った。

 

霧雨は、文字通り霧雨をイメージして水の呼吸から考えて作ったのだが、正直この技は雲の呼吸よりも水の呼吸寄りなので、俺の理想としているものからは少し遠ざかってしまっている。

 

霞の呼吸を刀を握ってから2ヶ月で作り上げて、柱にまで成った原作の無一郎はやはり天才なのだろう。雲ではないにしても霞には近いものを感じるので尊敬する。

 

 

そして、その無一郎とその双子の兄である有一郎は、現在──俺の継子として修行していた。時は一週間前に遡る。

 

──柱に就任されてから二週間後──

俺が自分の屋敷で修行していると外から俺を呼ぶ声が聞こえてきたので、外へと出ていくと

 

??「秋雨さーん!いられますかー!」

 

秋雨「おー!時透じゃないか!どうしたんだ?」

そこには時透兄弟がいた。

 

屋敷の場所はまだ鱗滝さんにしか教えてないはずなのだが...。

 

無一郎「秋雨さんが僕達を助けてくれた時に教えて下さった、鱗滝さんという方の居る山に修行をつけて戴こうと伺ったのですが...。」

 

秋雨「だが?どうした?」

 

無一郎「体調を崩していらして、修行をつける代わりにこの場所を教えて下さったんです。それと、秋雨さんによろしく言っといてくれと仰ってました。」

 

秋雨「鱗滝さんが...。そうか」

それとほぼ同時に鴉が手紙を運んできた。

それを見ると鱗滝さんからの手紙でこのように綴られていた。

 

一部掻い摘んで説明すると

 

『儂は、今一時的にだが、体調を崩しておる。医師が言うには命に別状は無いとのことだ。だから、心配はしてくれなくて良い。それと、そちらに送った二人だが秋雨に迷惑で無ければ、継子として御指導をして貰いたい──』

 

とのことだ。

 

俺はどうしたものかと悩んでいると有一郎がどうしたのかと聞いてきた。

なので、俺は覚悟を決めて口を開いた

 

秋雨「よしっ!決めた!鱗滝さんの申し出とあっては俺も無下には扱えん。今から君達を俺の継子として迎えよう!改めてよろしくな!無一郎、有一郎」

 

無一郎、有一郎「「はい!」」

 

秋雨「いい返事だ!これから一緒に頑張ろうな」

 

──現在──

このようなやり取りをした末、今に至る。そして、無一郎、有一郎、共々俺の継子として頑張ってくれている。

 

無一郎は原作通り、流石の運動神経で、俺の教えることを次々に吸収していく。有一郎も無一郎程では無いが、中々の運動神経で、鱗滝さんのところで修行していた頃の俺より少し強いと言ったところだろうか。

 

秋雨は思った。「この双子有能過ぎないか?」と。

 

──継子として迎えて一週間後──

無一郎は全集中の呼吸を会得しかけていた。兄の有一郎も弟の無一郎と同じく全集中の呼吸を会得しかけていた。

 

俺の教え方が上手いとかそういうことでは無い。むしろ、たまにコツを教える程度だ。それだけで、ここまで上達するのだ。いずれ、この兄弟は無惨にとって脅威の存在と成り得るだろう。

 

そんな時だった。俺は継子の修行を見守っていたのだが、突然胸騒ぎがした。

そして窓から幸郎が入って来て叫ぶ

 

幸郎「カァァァー!胡蝶カナエ、上弦の弐と交戦中、上弦の弐と交戦中ー!」

そして、思い出した。俺とした事がうっかりしていた。

 

何故忘れていた!この時期は、花柱である胡蝶カナエが上弦の弐である童磨に襲われ、亡くなってしまった時期じゃないか!

 

俺は継子に一声だけかけて、出ていく。まだ、十二鬼月の存在を教えてない継子もタダならない様子を感じ取ったのか、玄関から出る時に一言

 

──「「お気を付けて!!」」───

 

秋雨「ああ!ありがとう!では行ってくる!」

 

屋敷を出ると雷の呼吸の応用で足にめいいっぱい力を入れて、踵を蹴り出して自分の出せる最高の速さを出して向かう。

 

俺は童磨が襲っているところに、カナエさんを庇うようにして前に割り込む。

 

──雲の呼吸 肆の型 波雲(なみぐも)──

 

その瞬間の波のような雲が童磨を襲った。

雲が消えるとそこには手の無くなった童磨がいた。

 

俺とて継子の修行をただ見守っていた訳では無い。技を考えていたのだ。そして、その末に出来た技がこの技だ。

 

童磨「今、きみ何をしたの?見えなかったよ凄い技だねぇ。あれ?手が戻らないなあ。どうして?」

 

秋雨「知らないな。お前の頭で考えたらどうだ?」

 

童磨「んー...。分からないけど、何でだろうきみ癪に障るなぁ...。」

 

俺は赫刀を使って攻撃した。なので、いつまで経っても童磨の手が戻ることは無かった。俺は少し目を逸らして、倒れているカナエさんを見る。

 

どうやら間に合ったようだ。重症は負っているが、かろうじて致命傷は避けて

いるようで、安心した。今すぐ助ければ死ぬことはないだろう。

 

カナエ「秋、、雨くん、、遅いよ、、」

カナエさんが安心したような声で声にならない声を絞り出して言う。

 

秋雨「すみません、遅くなりました」

 

そう俺が言った瞬間、安心したように笑って目を閉じた。

俺が来たことで緊張の糸が解けて寝たらしい。

一瞬死んでしまったのかとも思ったが、違うようで安心した。

 

再び童磨がウザったらしい声で俺に話しかけてくる。

童磨「きみ、邪魔しないでよ。せっかく俺が今から、この子を幸せにしてあげようとしてるところだったのにぃ...。」

 

秋雨「お前、喰うつもりだったんだろ?この下衆野郎」

俺が怒気を纏った声でそう言うと

 

童磨「下衆野郎って酷いなあ...。確かにそのつもりだったけどね。だから、早く渡してよ」

 

秋雨「渡すわけねぇだろ!!」

俺はこれ以上コイツと喋りたく無いので早くカナエさんを連れて退散することにする。この場にしのぶさんが居れば、『地獄に落ちろクソ野郎』とでも言っていた事だろう。

 

──雲の呼吸 伍の型 雲隠れ──

次の瞬間再び雲が童磨に迫る。しかし、先程の波のような雲では無い。最も雲らしい、はっきりとした雲だ。

 

そして、次に童磨が目を開けた時には二人とも消えていた。童磨は追おうかと考えたが既にどの方向に逃げたかも分からなくなっていたので諦めた。

 

 

──童磨から逃げた後──

秋雨「何とか逃げきれたようだな。」

秋雨は何故童磨を倒さずに一目散に逃げたのかというと、ここで童磨を倒してしまうと新たな上弦が追加される恐れがあるからである。

 

ちなみに、伍の型 雲隠れについては即興で作った技なので、不安ではあったが、童磨が追ってこないので成功したということだろう。

 

俺は、咄嗟に逃げたために今カナエさんをお姫様抱っこの状態で持っているので、途中で起きてしまったらどうしようと気が気で無かった。だけど、起きることも無く、問題無く、俺は蝶屋敷までカナエさんを運ぶ事が出来た。

 

俺は門の前で大きく叫ぶ

秋雨「誰か居ませんかー!?」

 

数秒後にカナエさんの妹

──後に蟲柱となる者 胡蝶しのぶ

が門を開けて出て来た。

 

秋雨「俺は雲柱の秋雨と言うものだ。早速だがカナエさんを手当てしてやってくれ」

そうして俺が言い終わるとほぼ同時に、しのぶさんは深く傷を負っている自分の姉に気づき悲鳴を上げる。

 

しのぶ「っ!! 姉さん!!...。秋雨さんと言いましたよね!そのままこちらへ着いて来て下さい!」

しのぶさんに言われたままに着いて行き、そして、部屋へと入りカナエさんを布団の上に寝かせる。

 

そこからのしのぶさんの対応。いや、年下なのでしのぶと呼ぶことにしよう。しのぶの対応は、迅速に行われ、手当ては終わった。少し経って、カナエさんの呼吸が、ぎこち無くではあるが回復して来ていた。

 

俺は、蝶屋敷を出た後、俺の帰りを俺の屋敷で待っているであろう継子のために急いで帰った。

 

 

 

 

──雲屋敷にて──

秋雨「ただいま」

俺が玄関を開けて入ると、

無一郎、有一郎「「おかえりなさい!」」

継子が出迎えてくれた。

 

無一郎「無事で良かったです!秋雨さんが帰ってくるまで心配でたまりませんでした...。」

無一郎が少し涙目になりながら言うので、

 

秋雨「ハハッ、俺が死ぬわけ無いだろ!」

俺が、無一郎の頭を撫でながら言う。

 

有一郎「そうだぞ!無一郎!俺たちの師匠がそう簡単に死ぬかよ!」

そう言う有一郎も実は秋雨に悟られまいと涙を堪えていた。

 

俺は、今日、童磨という大きな山場を一つ越えることができた。

 

 

これでカナエさんも死ぬこと無く終わったので、しのぶが自分を犠牲にして死ぬことも防げるだろう。そう思いながら、俺は布団に入り、目を閉じて深い眠りへと入っていく。

 

 

──その後お館様によって柱合会議が行われた──

お館様「一昨日、花柱の胡蝶カナエが上弦の弐と交戦した末に重傷を負った。そして、その怪我による後遺症で、再び戦場に戻ることは出来ないとの事だ。そのため、胡蝶カナエに代わり、妹である胡蝶しのぶを階級甲改め蟲柱として柱に任命しようと思う。異論は無いかな?」

 

俺含む柱 「「「「「「「御意」」」」」」」

 

お館様「しのぶもそれで良いね?」

 

しのぶ「御意」

しのぶも柱に倣って返事した。

 

少し間を置いて宇髄天元が質問をした。

宇髄「お館様、別件で話があります。秋雨が助けたと聞きましたが、上弦の弍を何故倒さなかったのかについて何か話はありますか?」

 

実弥「本当か!?」

 

悲鳴嶼「ああ...これはいくら恩人であっても庇えぬことだ」

皆から批難の声がかかる。

 

お館様「静粛に。その事については、秋雨の口から説明してもらおう。できるかな?秋雨」

 

秋雨「はい。まずは、カナエさんの救出を優先したこと。次に、上弦の弍であります故、その場で倒すことは難儀であったことが主な理由です。

 

それに仮にそこで倒してしまうと、もし新しい上弦の弍が追加された場合に対策が取れなくなるとこちら側が不利になると思い判断を致しました。」

 

お館様「では、次に上弦の弐についての説明もしてもらおうか」

 

秋雨「まず、血気術ですが、氷を使ってきます。なので、カナエさんは氷を吸ってしまったがために呼吸を使えなくなり、戦場復帰は不可能となってしまったのです。

 

そして、当たり前ですが、上弦の弐ということもあり全てにおいて強いです。戦闘面以外で気をつけることは、女性の方を主に狙う傾向にあるようで、女性の隊士は常に気をつけておく必要があるということです。

 

ついでに言っておきますが、助けに入る際に鬼に手が一生戻らないよう攻撃を施しました。なので、次闘う時に楽になるかと...」

 

お館様「丁寧な説明をありがとう。ここまでが秋雨の考えだが、反対の意見はあるかな?宇髄」

 

宇髄「いえ、非常に考えられた上での結論のようで安心しました。異論はありません。」

 

お館様「他の皆も大丈夫かな?」

 

皆「御意」

 

お館様「では、この事についてはお咎め無しということで。秋雨引き続き任務を頼むよ」

 

秋雨「御意」

 

 

 

 

こうして、原作通り胡蝶しのぶが柱となったのだった。

そして、その後、俺の時同様に柱同士で挨拶が行われたのであった。

 

秋雨「一昨日はご苦労だったな。」

 

しのぶ「秋雨さん!あの時姉さんを助けていただきありがとうございました!」

 

秋雨「いやいや、俺は当然の事をしたまでだ!それに、俺が遅れてなければカナエさんも闘えなくなることは無かっただろう。すまない...。」

 

しのぶ「そんなこと言わないで下さい!それを姉さんが聞いたら悲しみますよ!」

 

秋雨「そうだな!後ろ向きなことを言って悪かった。改めてよろしくな」

 

しのぶ「はい!お互い頑張りましょう!」

 

こうして無事カナエさんを救う事が出来たので本当に良かったと思う。




カナエさんを救う事が出来ましたね。
それと有一郎を前回救ったおかげで、新たに継子として登場しましたね。
主人公は相変わらず赫刀や透き通る世界といったチートを発揮していきます。


明治コソコソ噂話
しのぶさんは最近甲になったばかりで、ちゃんと柱として任務出来るか、ドキドキしてるよ


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第捌話 修復

今回も話自体は進まないのですが、これからの話に関わる重要な事で、この話を作らないと辻褄が合わなくなってしまうので作りました。
言わば、必要事項ということです。

では、本編です。どうぞ!


──西暦1912年 5月1日──

俺は今一人でお館様のところに伺っている。

何故かというと、俺や錆兎、真菰が柱となったことで柱の上限まで空きが一つしかなく、煉獄、小芭内、蜜璃の中で2人柱になれない者が出てしまう。

 

そうなると、原作に大きな支障を及ぼす恐れがあり、最悪の場合原作よりもハードモードになりかねない。なので、その問題を解決するためにお館様のところまで伺っている。

 

お館様「秋雨、話があると聞いているが、その話を聞かせて貰えるかな?柱合会議のように畏まると話しにくいだろうから、畏まらなくてもいい。」

 

秋雨「はい。では話をさせていただきます。鬼殺隊の制度に関する話です。」

 

お館様「鬼殺隊の制度に関する話?」

 

秋雨「大変失礼なことを話すかもしれません。なので小耳に入れる程度に聞いて貰いたいのですが」

 

お館様「いや、柱からの貴重な意見だ。期待してるよ」

その瞬間俺は何故か変なプレッシャーを感じたが気のせいだろう。

気にせずに話を進める。

 

秋雨「では話を進めていきます。鬼殺隊の制度に関する話と言うのは、柱よりも下の階級の隊士に関しての話です。単刀直入に申し上げますが、新たな階級、いや、新たな係を提案したいのです。その係と言うのは一般隊士、及び癸から甲までの隊士などを対象に、監視する係──隊士管理係です。」

 

お館様「隊士管理係?詳しく話を聞かせてくれるかな?」

 

秋雨「はい。まず、柱の者だけがつける職であり、そして、仕事内容は最終選別の監視や緊急時への備え、他の任務中の一般隊士の監視兼緊急時への備えを目的とするものです。

 

最終選別は監視のことを伝えずに行い、一般隊士には、状況によっては付き添いとして任務に同行させるものとします。」

 

お館様「内容は理解した。次は、理由を聞かせてくれ。」

 

秋雨「はい。その理由と致しましては、まず第一に隊士減少の防止を目的とし、次に、最終選別での死者を出さないことを目的として行います。尚、最終選別で助けられた者は試験を失格とします。

 

それと、それ以外に理由では無いのですが、お館様にとっても利益のあるお話かと思います。」

 

お館様「と言うと?」

 

秋雨「何故なら、柱の者が名目上柱では無く違う係として働く事となり、それにより柱という階級の威厳を保ったまま、新たな柱を迎えることが可能になるのです。」

 

お館様「今の話をまとめるとこうだ。つまり、新たに人が死ぬことを防ぐため、鬼を最小限の犠牲で仕留めるための最善策を考えた。ということだね?」

 

秋雨「はい。」

 

お館様「しかし、表向きの階級はどうするお考えかな?」

 

秋雨「その点は、原則三人までとして、隊士管理係兼、柱として扱ってもらって結構です。

 

そして、他の柱に説明する時には隊士の減少防止を目的としてこの職を創設したことにしてもらい、そして、それとは別で任務をこなす為の代わりの柱が必要だということにしてもらえれば、お館様の面子を守りながら話を進められるでしょう。もちろん、係に選ぶものはお館様の独断で決めてもらって結構です。」

 

お館様「なるほど...。よく考えられているね。今すぐという訳には行かないが、検討しよう。」

 

秋雨「ありがとうございます!」

 

お館様「それと、係の者だが、もしこの案が成立した場合、まず提案をした秋雨に就いてもらおうと思う。残りの2人は観察力に長けた2人、錆兎と真菰に任せようと考えているのだが、それで良いかな?」

 

秋雨「御意」

俺は、何とか柱の人数制限の問題を解決することが出来た。それから、イレギュラーである俺含む3人が選ばれたことが、俺としては助かった。

 

 

 

──10日後──

柱合会議が行われた。議題は昨日俺が話したことについてだ。もちろん、俺が考えたということは伏せて話して戴いてる。

内容は、俺が話したことと差異はないようだ。

 

お館様「──それで、係に就くものは私の独断で選ばせてもらうが、この中で特に観察力が優れていて面倒見のいいと思っている秋雨、錆兎、真菰の三人に任せる。ちなみに、監視に加えて任務を与えることもあると思うから、その時はこれまで通り頑張るように」

 

秋雨、錆兎、真菰「「「御意」」」

錆兎と真菰は少し驚いている様子だったが、今更変えることも出来ないので、どんまいとしか言いようがない。

 

 

 

──西暦1912年8月20日──

俺が、隊士管理係になってから少し経った頃の話である。

 

秋雨「どうだ?柱になってみた感想は?」

 

俺は──柱となった俺の継子、時透兄弟に話かけていた。

二人とも、2ヶ月前に鬼殺隊に入ったのだが、とてつもない速度で柱に登り詰めていった。

 

ちなみに、無一郎は透き通る世界を、有一郎は赫刀を会得しているが、どれだけ修行しても片方ずつしか会得出来なかった。つまり、天才にも得手不得手はあるのだ。

 

が、コンビネーションが群を抜いてずば抜けていて、どちらも同じ呼吸を使うため、異例のケースではあるが、二人で一つの柱──霞柱として就任している。

 

この組織意外となんでもありのようだ。

 

無一郎「今までとさほど変わり無いようですが、柱になった限りは責任を持って任務をこなそうと思います。」

 

有一郎「無一郎に同じです。」

 

秋雨「そうか。まあ任務は今までと比べものにならないくらい増えるから覚悟しとけ。」

 

無一郎、有一郎「「はい!」」

 

 

そして、現在の柱だが、甘露寺蜜璃を抜いて、煉獄 杏寿郎、伊黒 小芭内も加わっており原作通りのメンツとなっている。もう少ししたら、甘露寺も加わって来ると思うので、そしたら完全に原作通りとなるだろう。

 

─原作開始まで約3ヶ月




いかがだったでしょうか?

柱を入れるために主人公、いつも以上に頭を働かせました。
煉獄さんや小芭内は強さ的には原作と変わらないので、ご安心を

大正コソコソ噂話
お館様は、今までこうして意見してくれるような者がいなかったため、大変喜んでいるし、秋雨に好感を持っているよ。


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第三章~原作開始~
第玖話 時は来た


遂に原作開始です。ここに来るまで大分かかりました。
思ったより、長編になりそうですが、最期まで付き合って下さると嬉しいです。

では、本編です。どうぞ!


──西暦1912年 大正元年 12月20日──

俺は、現在あるところに来ていた。これからの歯車を大きく回す鍵となる人に会いに来ていた。物語の主人公である竈門炭治郎に。

 

彼は、鬼舞辻無惨によって家族を惨殺され、唯一残った家族──鬼となった妹を治すため鬼殺隊に入る。そんな彼の悲惨な運命を少しでも良くするために俺は動く。

 

 

──炭治郎視点──

炭治郎は今街まで炭を売りに行っていた。

「こんな日に山を下りてきたのかい、よく働くねぇ、風邪ひくよ」

 

「おーい!炭を売ってくれ」

 

「こっちも炭をちょうだい」

 

「炭治郎!ちょっと荷物運ぶの手伝ってくれねえか」

そうこうしている内に日が沈み、鬼が出る時まで一刻一刻と迫っていた。

炭治郎(遅くなっちまった.........)

 

しばらく歩いていると声がかかる。

三郎「こら炭治郎!お前山に帰るつもりか!危ねえからやめろ」

 

炭治郎「俺は鼻が利くから平気だよ」

 

三郎「うちに泊めてやる来い、戻れ」

 

炭治郎「でも...」

 

三郎「いいから来い!!」

三郎おじさんは少し間を置いて、真剣な顔つきで言う。

「──鬼が出るぞ」

 

── 一方その頃 ──

俺は竈門家で世話になっていた。

当然、鬼舞辻無惨の襲撃に備えてだ。

秋雨「突然押し掛けてしまいすいません。泊まるとこ探してて、急で悪いんですが泊まらせてもらっても良いですか?」

 

炭治郎の母、葵枝さんに話しかける

葵枝「遠慮しなくていいのよ、泊まるとこ探してたんでしょう?」

 

秋雨「はい」

三男の茂と次女の花子ちゃんが話しかけて来る。

 

茂「兄ちゃん泊まってくんでしょ!なら一緒に遊んでよ!」

 

花子「遊ぼ!遊ぼ!」

 

葵枝「こら人様に迷惑なことしちゃ...」

 

秋雨「構いませんよ、このところ旅続きで疲れてたんで良い癒しにもなりそうですし」

 

葵枝「そうかい?じゃあお願いするわね」

 

秋雨「はい!」

しばらくしてると四男の六太を背負った禰豆子ちゃんと次男の竹雄も部屋から出てきた。

 

竹雄「悪いな、茂と花子が世話になっちまって」

 

禰豆子「弟達と遊んでもらってありがとうございます!」

こうやって鬼になってない禰豆子ちゃんと話すのは新鮮だ。

 

秋雨「いえいえ」

そうして遊んでいると眠くなって来たのか、しばらくして茂達は寝てしまった。

 

みんなが寝静まり、葵枝さんと俺だけになったので話をする。

秋雨「今日は泊めていただきありがとうございます。それと折り入って話があるのですが...。」

 

葵枝「なんだい?話してごらん?」

 

秋雨「はい、実は俺、泊まるところが無くて寄ったんじゃないんです。」

 

葵枝「どういうことなの?」

 

秋雨「はい、俺は鬼殺隊の者で、嫌な予感がしたので寄らせて戴いたんです。俺の勘違いなら良いんですけど、ここに鬼が現れる様な気がして」

鬼が現れるのは分かっているのだが、一応濁して話を進める。

 

葵枝「そう...。で何故今そんな話を?」

葵枝さんの声が少し震えているのが分かる。

 

秋雨「もし本当に来るなら、もう余り時間は残っていないでしょう。なので...」

 

葵枝「!!」

 

その時だ。家の戸を突き破り、何とか目で追えるくらいの速さの攻撃が目の前まで迫って来たので、それを紙一重で躱しながらすぐさま刀を取り出し相手の手を切る。─鬼舞辻無惨の手を

 

鬼舞辻「チッ...何故貴様がいるんだ?」

まるで俺のことを知っていたかのように話かけて来る。それは当然だ、なぜなら他の鬼を通して伝わっているはずだから。

 

異変に気づいたのか禰豆子ちゃんが部屋から出て来る。

秋雨「!!部屋から出てきちゃダメだ!」

 

葵枝「禰豆子出てきちゃ駄目!!」

 

鬼舞辻「ほう...。他にも子供がいたか」

これ見よがしと言わんばかりに禰豆子に向けて触手を伸ばす。

 

禰豆子「母さんどうしたの?こんな夜中に…!?」

 

秋雨「させるか!!」

その触手を急いで切る。この際型は使っていない。下手に技を見せると対策されるかもしれないので敢えて伏せている。だが、無惨もそれだけで終わるはずも無く、触手を増やして攻撃してくる。そして、遂に俺は攻撃の一手を許してしまう。──禰豆子への

 

禰豆子「キャァア…うっ、、」

 

秋雨「禰豆子ちゃん!!」

 

葵枝「禰豆子!!」

 

鬼舞辻「お前を殺すことが出来なかったのは惜しいが、収穫は得られたので、良しとしよう。」

そうして、無惨が去ろうとするので俺が引き止めようとするが、無惨が血鬼術を使ったのか、純粋な威圧が俺をそこに留めていた。

 

鬼舞辻「今度こそ貴様も殺してやる。それまで待っていろ」

 

秋雨「待っ!」

次の瞬間に無惨はもう居なくなっていた。自分でも相当強くなった方だと思っていたのだが、それでもまだ鬼の祖には敵わないらしい。

 

 

一人で、無惨とほぼ互角に戦えている時点で秋雨も十分人間離れしているのだが、秋雨はそれを知らない。

 

 

葵枝「禰豆子!!」

今、禰豆子は強靭な精神力で無惨の血に抗っていた。

 

その末に疲れたのか眠ってしまった。次、起きた時にどうなっているかは分からないが、おそらく原作通り寝ることによって鬼としての本能を抑えていることだろう。

 

その間に俺は、戦いで負った傷を手当てしながら、皆への説明をしておく。そうこうしていると、朝になって炭治郎が帰ってきたので、炭治郎にも昨夜鬼が来て家が襲われたことを話しておく。

 

そして、俺が鬼殺隊という組織の人間であることや鬼という存在について話した。最後に禰豆子が鬼となったことを伝えると酷く驚いた。

 

炭治郎「なんで...。ウゥ・・・なんで禰豆子なんだよ。あぁあああ!!俺は、、そうとも知らずおじさんの家でぬくぬくと寝て...。皆ごめんな...。」

炭治郎はその場で崩れ落ち涙を流しながら虚しく叫ぶ。

 

葵枝「いいえ、こうして家に帰ってきてくれたんだもの。あなたが無事で良かったわ。炭治郎」

葵枝さんは炭治郎の背中を擦りながら精一杯励ます。

 

秋雨「ごめん...。俺がもっと強ければ禰豆子を助けることが出来たのかもしれない」

 

茂「兄ちゃんのせいでも、秋雨兄ちゃんのせいでもないよ!それに秋雨兄ちゃんは俺達を守ってくれたじゃん!」

 

竹雄「そうだよ。兄ちゃん。俺たちだってそんなこと知らずに眠ってたんだ。だから、俺たちも兄ちゃんの事は責めれないし、秋雨さんは身を呈してまで俺たちを守ってくれた。だから、悪いのは全て鬼なんだよ!第一、秋雨さんがいなけりゃ俺たちもっと酷い目にあってたと思う。本当にありがとう!」

 

 

その後炭治郎が鬼殺隊に入りたいと言ってきた。

 

当然それを葵枝さんや竹雄達が止める。俺としてはすぐOKするつもりだったのだが、そういう訳にもいかず、俺はその様子を見守る。

 

炭治郎「──母さん、禰豆子を人間に戻すためにはそうするしかないと思うんだ!だから頼む」

 

葵枝「はぁ...。しょうがないわね。」

 

炭治郎「えっ、じゃあ!」

 

葵枝「許すわ鬼殺隊に入ること。ただし、その代わり手紙は必ず送ってくること、それと絶対死なないこと約束できる?」

 

炭治郎「もちろん」

炭治郎は迷いのない目でそう言う。

 

葵枝「分かったわ。じゃあ秋雨さん、頼みますね」

 

秋雨「ええ、分かりました。それと、禰豆子さんが人を喰うことが無いように監視をしようと思うので、禰豆子さんを連れて行くことを承諾して頂けますか?」

 

葵枝「むしろ、こちらからお願いします。禰豆子を人殺しにはさせたく無いので」

 

秋雨「心配には及びません。禰豆子さんは俺が責任を持って見守りますので」

俺は微笑みながらも迷いの無い眼差しで言う。

 

葵枝「ありがとうございます!」

俺と葵枝さんの話が一段落着いて、今度は炭治郎が竹雄に向かって何か言おうとしていた。

 

炭治郎「竹雄」

 

竹雄「なんだよ」

 

炭治郎「母さんや皆を守るのはこれからお前の仕事だ。頼んだぞ!」

 

竹雄「そんなこと分かってるよ...。だから、兄ちゃんもたまには帰ってこいよな」

 

炭治郎「ああ、約束する」

 

花子「兄ちゃん!」

 

炭治郎「どうした?花子」

 

花子「.....気を付けてね!」

 

炭治郎「ありがとう!」

 

茂「兄ちゃん!死なないでよ!」

 

炭治郎「もちろん!兄ちゃんは強いからな!」

 

茂「そうだね!」

 

六太「...。」

 

炭治郎「ん?六太?」

 

六太「兄ちゃん...。帰ってくるよね?」

 

炭治郎「ああ!ちゃんと俺はここに帰ってくる!だから、心配しなくても良い」

 

六太「絶対だよ!」

 

炭治郎「もちろん!」

 

 

 

 

 

秋雨「炭治郎くん、話は済んだ?もう良さそう?」

 

炭治郎「はい!もう大丈夫です!」

 

秋雨「なら、最後に一つだけ聞いておくぞ、本当に鬼殺隊に入っても後悔しない?死ぬこともざらにある、それでもいいんだね?」

 

炭治郎「はい!禰豆子一人だけが辛いのは耐えられませんから。俺も禰豆子と苦を共にしたいんです。」

 

秋雨「そうか、炭治郎くんの覚悟は伝わった、でもこれだけは約束してほしい、君には家族がたくさんいる。だからこそ、君が死んだら悲しむ人は多い、絶対に死ぬんじゃないぞ!」

 

炭治郎「はい!心に誓います!」

 

炭治郎は皆の方を振り返り、一言

炭治郎「じゃあ皆行ってきます!」

そう覚悟した表情で言った。

 

 

 

秋雨「では炭治郎くん、今から俺に着いて来てくれ」

 

炭治郎「はい!」

そうして俺は禰豆子を連れた炭治郎と共に次の目的地へと向かうのだった。

 

そのはずだったのだが任務に向かっていた義勇と鉢合わせる。

 

義勇「秋雨、何故鬼を連れているんだ?」

俺は隠すようにして前に立つ。

 

秋雨「待ってくれ義勇話を聞け」

そして、俺は義勇に先程起こった出来事を話していると...。後ろが騒がしい。

どうやら禰豆子が起きたらしく、暴れている。

 

炭治郎「どうした!禰豆子!」

禰豆子が炭治郎の背中から降り、炭治郎に襲いかかる。

そして、禰豆子が炭治郎に覆い被さる形になる。

 

炭治郎「禰豆子!頑張れ!禰豆子!こらえろ!頑張ってくれ!鬼なんかになるな!しっかりするんだ!頑張れ、頑張れ!!」

その言葉に禰豆子は涙し、禰豆子は少し正気を取り戻した。

その時には、既に義勇が禰豆子の背後に回っていて刀を振り被ろうとしていた。

 

秋雨(しまった!!...)

だが、俺がここで下手に介入すると、悪い方向に流れてしまうかもしれない。

 

そう思い、見守っていると、そこからはある程度原作通りの流れになり、義勇が炭治郎と戦い、その末に炭治郎は気絶させられ、その倒れた炭治郎を庇うように威嚇する禰豆子を見て、義勇は殺すのを止めて手刀で気絶させた。

 

炭治郎達が起きるまでの間に義勇に鬼を連れていた訳を話す。

 

秋雨「これで分かっただろ、義勇。この兄弟は何か違うんだ。普通、鬼なら人を庇うような真似はしない。それも飢餓状態で、だ。しばらくの間、この兄弟は俺と錆兎、真菰の三人に鱗滝さんを合わせた四人で様子を見ていこうと思う。義勇はこの事を直接お館様と鱗滝さんに伝えておいてくれ。」

 

義勇「ああ、承知した。そう伝えておく。それと、その兄弟の事よく見ておけよ。」

 

秋雨「おう!もちろんだ!」

俺と話を終えた義勇は次の任務があるのか、そそくさと炭治郎達が起きる前に行ってしまった。

 

義勇が去ってから間も無く炭治郎達が起きた。

秋雨「起きたか!炭治郎くん」

 

炭治郎「あれ?あの人は?...。」

 

秋雨「ああ、義勇の事か。それならお前の目が覚める前に行ってしまった。」

 

炭治郎「そうですか...。」

 

秋雨「それと、禰豆子の事だが、今は日が差してないから良いけど、鬼は太陽の下にいると死んでしまう。だから、今の内になるべく、早く日陰になる所に行こう」

 

炭治郎「はい!分かりました!これから気をつけます!」

俺は漫画を読んで炭治郎のはきはきとした部分を知っていたが、実際にこうして元気よく返事をされると気持ちが良いものだ。

 

 

 

そうして、俺は一刻も早く、炭治郎と一緒に鱗滝さんのいる狭霧山へ向かおうと足を進めた。




禰豆子が、原作同様に鬼になってしまいましたね。
原作の修正力というものでしょうか?どれだけ変えても変えられないものは変えられないということですね。
次回も期待してお待ち下さい!

大正コソコソ噂話
義勇さんは、お館様や鱗滝さんにどう伝えればいいか悩んでいるよ。


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第拾話 主軸の整形

いよいよ物語が動き出していきます。
それと、ヒロインについての質問があったので、皆さんにも説明しておきますが、オリキャラを新たに作る気は今のところ無いので、原作キャラをヒロインとして登場させていこうと思います。(オリキャラを登場させる可能性もゼロではありません)




── 西暦1912年 12月21日 大正元年──

俺と炭治郎は禰豆子を太陽の下に連れ出さないように洞窟に来ていた。言わずもがな原作で最初に籠を作る為に入っていた洞窟だ。

 

秋雨「炭治郎くん。この調子なら籠は今日中に出来上がりそうだね。」

 

炭治郎「そうですね!そういえば、気になってたんですけど...。俺たちって今どこに向かおうとしてるんですか?」

 

秋雨「そうか!俺とした事がうっかりしていた!悪い悪い。今から向かう所はお前を指導してくれる方の居る所だ。」

 

炭治郎「そうだったんですね!俺はてっきり、秋雨さんが教えるための修行場所を探しているのかと...。」

 

秋雨「いやぁ、面目無い!確かに俺も教えるが、その人の事を伝えてなかったとはな...。いや、それと教えてくれるのはもう二人いる。その内一人は特に厳しいから、覚悟して掛かるように!」

 

炭治郎「はい!.....ってもう1人いるんですか!?」

 

秋雨「ああ、これも話して無かったな。俺の兄弟子と姉弟子に面倒見のいい奴がいてな。兄弟子は最初の内は厳しいかもしれないが、さり気ない気遣いもしてくれる実は面倒見の良い人だ。

 

姉弟子の方は、言葉がふわふわとしているところもあるが、戦う上で悪い癖などをしっかり指摘して直してくれる人だ。どちらとも仲良くしてやってくれ。」

 

炭治郎「そうなんですね!分かりました!」

 

秋雨「そろそろ行くか!炭治郎くん」

 

炭治郎「はい!行きましょう!」

どうやら今から張り切っているようだ。

 

──西暦1913年 1月10日 大正二年──

田舎で交通手段も限られているので、仕方なく、走っては寄り道の繰り返しで進んでいる。そうして、少しずつだが狭霧山に近づいていた。

 

俺一人なら1日もかからず行けただろうが、炭治郎はそうはいかないので、炭治郎の体力に合わせて向かっていた。

 

しばらく歩いて俺が立ち止まる。

秋雨「炭治郎」

今までと違う俺の雰囲気に気づいたのか。炭治郎も立ち止まり、真剣な顔つきになる。

 

炭治郎「…」

 

秋雨「気付いたか?」

 

炭治郎「はい...あのお堂の中ですよね?」

 

秋雨「最初の試練だ。あのお堂の中にいる鬼を倒して来い。武器は斧を持っていたよな?」

 

炭治郎「はい...。頑張ってみます...。」

炭治郎の肩が震えていたので俺は安心させるために声をかける。

 

秋雨「危なくなったら俺が助けに行く!だからお前は鬼を殺す事だけ考えろ」

炭治郎の肩の震えが収まる。緊張を解くことに成功したようだ。

 

炭治郎「分かりました!」

炭治郎は禰豆子とお堂へと走って行く。

 

そして、炭治郎はお堂の戸を開けた。すると、異様な光景が炭治郎の目の中に飛び込んできた。

 

──鬼が人を喰べていた

 

炭治郎にとっては、禰豆子以外の鬼を見るのも人が喰われているのを見るのも初めての事で、炭治郎の頭の中には恐怖と嫌悪感が渦巻いていた。

 

炭治郎「っ!人喰い鬼...。だけど、こいつを倒さないと秋雨さんに認めてもらえないんだ。殺るしかない!」

 

炭治郎「おい!鬼!こっちを向け!」

そう炭治郎が呼ぶと鬼が少し間を置いて振り向く

 

お堂の鬼「あ?なんだ?ここは俺の縄張りだぞ。俺の餌場を荒らしたら許さねぇぞ。...。んん?妙な感じがするな。お前ら人間か?」

 

お堂の鬼が炭治郎に飛びかかって行く。それに対して炭治郎は咄嗟に斧で鬼の

首に向かって反撃する。それにより鬼は確かに攻撃を食らったが、難なく再生した。その事に炭治郎は驚く。

 

炭治郎「!?」

そこに鬼は再び襲いかかり、鬼は炭治郎を押し倒し、手を押さえつけ、首を絞めて、立てないようにする。

 

炭治郎(速い!!...。それになんて力だ!!)

 

お堂の鬼「二度はやられねえよ。さあ頸を折るぞ.........」

その時、鬼の頸が禰豆子によって跳ねられた。

そこをすかさず禰豆子がもう一発腹に蹴りを入れる。

 

秋雨はこの時容赦無いなあと思いながら眺めていた。

 

お堂の鬼「てめぇえらぁあ!!やっぱり片方鬼なのかよぉお!妙な気配させやがってえぇえ!なんで鬼と人間がつるんでやがるんだぁああ!」

 

頭の切断された胴体の方が禰豆子に襲いかかる。

炭治郎「!!...やめろ!!」

斧を振り上げた炭治郎だったが、腕を生やした鬼の頭が飛びかかって来る。

それに対して、即座に炭治郎は攻撃の軌道を逸らし頭に向かって斧を振るう。

鬼は、炭治郎の肩を掴み、歯で斧を捕えていた。

炭治郎「どけーーーっ!!!」

なので、炭治郎は自分の頭を目一杯振り上げて鬼に頭突きを食らわせる。

 

お堂の鬼(こいつ硬っ...)

 

間髪入れずにもう一発炭治郎は頭突きをする。

 

お堂の鬼(頭が硬い!!!)

 

秋雨はその頭突きを見て痛そうと思った。

 

そして、炭治郎はその鬼を斧ごと木に投げつける。そのまま鬼は木と斧の柄で挟まった。

 

そんなことには目もくれず炭治郎は禰豆子を助けに向かう。

炭治郎「禰豆子ーー!!」

 

そして、禰豆子が襲われているのを見つけて炭治郎が突進する。しかし、不運なことにその先は崖であった。もちろん落ちる前に禰豆子が炭治郎の手を掴み落ちるのは阻止するのだが...。

 

そうして鬼の身体だけが崖に落ちる。その時、感覚だけ繋がっている頭に衝撃が伝わり、悲鳴を上げていた。

 

その後、再び頭の所へ炭治郎は戻り、止めを刺そうと短刀で斬ろうとしていた。その時、後ろから肩を掴まれる、炭治郎は驚いた。

 

鱗滝「そんなものでは止めを刺せん」

鱗滝さんには既に義勇を通して伝わっており、鱗滝は人目見るために山を降りて来ていた。俺は、もちろん、下手に介入せずに今回も見守るつもりだ。

 

炭治郎「ど、どうしたら止めを刺せますか?」

 

鱗滝「人に聞くな。自分の頭で考えられないのか」

 

炭治郎は近くにある石を見て、頭を潰すことを思い浮かべるが、当然、思いやりの強い炭治郎は、いくら鬼だといってもそんなことは出来るはずがなかった。

 

そうこうしているうちに夜が明けてしまい、鬼は日光によって焼かれてしまった。そこからの話は原作と同じように進んだ。

 

鱗滝「───儂の言っていることがわかるか」

 

炭治郎「はい!!」

話がある程度終わった頃だろうと思い、俺も炭治郎の前に出ていく。

 

秋雨「鱗滝さん、炭治郎と話をしても?」

 

鱗滝「ああ、構わん」

 

秋雨「炭治郎、俺はずっと陰から見ていたが、君は思いやりが強すぎる。こんな事では君の家族に示しがつかないぞ。

 

確かに、鬼は最初から望んで鬼になった訳じゃないかもしれないし、儚い生き物でもある。だがな、殺すことを躊躇うな、一度殺すと決めたら如何なる手を使おうと貫き通せ。情けをかけるな。」

 

炭治郎「はい!」

 

秋雨「炭治郎、鬼を殺すということは、結果的にその人を救うことになる。鬼は、人を殺し、罪を重ねていく。鬼となったら、鬼舞辻無惨の呪縛から逃れることは出来ない。だから、その呪縛から解き放って上げる。そう考えるんだ。いいか」

 

炭治郎「分かりました!肝に銘じておきます!」

 

鱗滝「.........ではこれからお前が鬼殺の剣士として相応しいかどうかを試す。妹を背負ってついて来い。」

 

鱗滝さんが走り出したので、それに合わせて俺も並走する。そして、その後を追って炭治郎が走ってくる。

 

炭治郎(速い!!この人は一体何歳なんだ?それとやっぱり全く足音がしない!!それに秋雨さんも同じように走っている!!俺と走っていた時は合わせてもらえてたのか!!)

 

俺は並走しながら、炭治郎にはこの速さはまだキツいだろうと思った。

 

秋雨(これで原作の炭治郎が、走り切っただけで認めてもらえたって勘違いしてた理由が分かったわ...。)

 

 

 

──狭霧山に着いてから──

炭治郎「ぜぇ、、ぜぇ、、こっ、こっ...これで俺はっ認めてもらえましたか?」

 

鱗滝「試すのは今からだ。山に登る」

炭治郎もこれには唖然としていた。

 

秋雨「炭治郎、辛いとは思うが頑張れ」

俺はせめてものフォローを炭治郎にする。

炭治郎「はい...」

 

そうして、炭治郎が山を登っていってから、俺と先に戻ってきた鱗滝さんの二人で炭治郎を待っていた。しばらくすると、炭治郎が戻ってきた。気のせいか原作で見たよりもボロボロになってない気がする。俺と道中一緒に走ったのが効いたのだろうか。

 

炭治郎「はぁ...はぁ...戻りました...。」

 

鱗滝「...お前を認める。竈門炭治郎」

 

 

錆兎や真菰は、一般隊士の管理が忙しいらしく、しばらく来れないらしい。残念だが、それまでの間は俺と鱗滝さんの二人で教えるしかないだろう。

 

 

そして、今、炭治郎にとっては最も辛い修行が始まろうとしていた。




今回で、やっと鱗滝さんに炭治郎が弟子入りしましたね。
こんなにスローペースで書いてるのに見て下さってる方には本当に感謝しかありません。

次回も期待して読んでください。

大正コソコソ噂話
鱗滝さんは義勇さんや秋雨さんの時と違って、時間をかけて戻って来たので、育てがいがあると思っているよ。


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第拾壱話 些細な変化

今回は、話が大きく進むことはありませんが、原作との細かい違いも出てきて、読む分には十分楽しめるんじゃないかなと思います。

では、本編です。どうぞ!


──西暦1913年 1月11日 大正二年──

炭治郎が鱗滝さんに剣士として認めてもらった日の翌日。

 

鱗滝「今からお前に修行をつける。」

 

炭治郎「はい!」

 

鱗滝「だが、その前に秋雨からも軽く話は聞いているとは思うが、鬼殺隊、鬼、育手について説明する。」

 

炭治郎「はい」

 

鱗滝「鬼殺隊...その数およそ数百名。政府から正式に認められてない組織だが(いにしえ)より存在していて今日も鬼を狩る。

 

鬼...主食・人間。人間を殺して喰べる。いつどこから現れたのかは不明。身体能力が高く、傷などもたちどころに治る。斬り落とされた肉も繋がり、手足を新たに生やすことも可能。体の形を変えたり異能を持つ鬼もいる。太陽の光か特別な刀で頸を落とさない限り殺せない。

 

鬼殺隊は生身の体で鬼に立ち向かう。人であるから傷の治りも遅く、失った手足が元に戻ることもない。それでも鬼に立ち向かう人を守るために...。

 

儂は”育手”だ。文字通り剣士を育てる。”育手"は山程いて、それぞれの場所、それぞれのやり方で剣士を育てている。鬼殺隊にはいるためには"藤襲山"で行われる”最終選別"で生き残らなければならない"最終選別"を受けていいかどうかは儂が決める」

 

炭治郎「分かりました!丁寧にありがとうございます!」

 

鱗滝「では、修行の内容を具体的に教える。」

 

炭治郎「お願いします!」

 

鱗滝「午前は秋雨が炭治郎の面倒を見る。やる事は秋雨に任せる」

 

秋雨「はい」

 

鱗滝「午後は儂が炭治郎に御教授しよう。まずは、昨日のように山を登ってここまで戻って来る。次に、体力がある程度ついたところで、刀の素振りに入る。そして、体が出来上がって来たら受け身の練習。

 

最後に、基礎を覚えたところで型などの練習に入る。仕上げは、今この場には居ないが錆兎、真菰という者に行ってもらうことにする。良いな?」

 

炭治郎「はい!頑張ります!」

 

そして早速俺が炭治郎に修行をつけていく。

 

秋雨「炭治郎。それでは今から修行を始める!心して掛かるように」

 

炭治郎「はい!」

 

呼吸法や型などは鱗滝さんが教える事になっているので、俺の方ではまず最初に体づくりを目安に練習メニューを考えていく。

 

秋雨「お前には今からこの箱を背負いながら修行をしてもらう。鱗滝さんの時も継続して行え」

そう言って俺は、鱗滝さんに禰豆子を入れるように作ってもらった箱に重りを入れて炭治郎に渡す。

 

これは、炭治郎に物を背負いながら闘うという感覚に慣れてもらうことと常に負荷を与え続けることで、その負荷が無くなった時に普段の倍の動きが出来るようにするという目的で行うものだ。

 

炭治郎「はい...くっ!...結構重いですね。これ」

 

秋雨「当たり前だ。炭治郎は、これからも常に禰豆子を背負いながら闘うことになるだろ?」

 

炭治郎「は、、い」

炭治郎は辛そうにしているが、俺は構わず話を進める。

 

秋雨「だから、その負荷に慣れる事が出来るようにその箱には重りを入れてある。徐々に重さを増やしていくつもりだ。そして、最終的には禰豆子の倍の重さの重りを背負いながら闘えるようになってもらう。最初の内は辛いだろうが、時期に慣れていくはずだ。今は耐えろ」

 

炭治郎「分かり、、ました。」

 

まず、炭治郎に準備運動をしてから、その状態のまま筋トレをしてもらう。

炭治郎は当然疲れているだろうが、気にしていては修行にならないので、甘やかす事無く、直ぐに鱗滝さんの元へと行くように急かす。

 

秋雨「これで、俺の修行は終わりだ。十分に休憩してから鱗滝さんの所に向かえ」

 

炭治郎「ぜぇ、、はぁ、、はい...。」

 

鱗滝さんの修行は大方原作通りに進んでいった。だが、俺の修行のおかげかペースは大分早くなっている気がする。

 

──炭治郎が修行し始めて半年後──

禰豆子ちゃんが眠り始めてから丁度半年が経っていた。

秋雨「炭治郎!最初の頃に比べてだいぶ動きが良くなってきたな!」

 

炭治郎「はい!鱗滝さんと秋雨さんのおかげですね!」

 

秋雨「そう言ってもらえると教えた甲斐が有るな!それでは、今日からは午後に鱗滝さんに加わって、この二人も修行をつけてくれる事になった。」

 

俺の横にいる二人が自己紹介をし出す。

錆兎「よろしくな!俺は錆兎だ!」

 

真菰「私は真菰。よろしくね」

 

炭治郎「はい!俺は竈門炭治郎と言います!よろしくお願いします!」

 

錆兎「男らしい良い返事だ!秋雨から話は聞いている。頑張っているようだな。」

 

真菰「一緒に頑張ろうね!」

 

炭治郎「は、はい!」

 

錆兎「俺たちは任務に追われてる身であり、毎日修行に付き合うことは出来ないが、それでも十分上達は出来るだろう。」

 

炭治郎「ありがとうございます!」

まだ、炭治郎は知らない。柱一人に教わるよりも、如何に効果的であり、他の隊士から見ればどれ程羨ましい修行なのかを...。

 

錆兎達は、錆兎が実戦形式で試合をし、それに対して真菰が癖を指摘する。という形で修行をつけていた。

 

──西暦1914年 2月2日 大正3年──

炭治郎が鱗滝さんの下で修行を受け始めてから約一年。

 

鱗滝「もう教えることは無い」

 

炭治郎「えっ」

 

鱗滝「あとはお前次第だ。お前が儂の教えたことを昇華出来るかどうか。この岩を斬れたら"最終選別"に行くのを許可する。」

 

炭治郎「鱗滝さん!待ってください!これっ!...。鱗滝さん!!」

鱗滝さんはそそくさと去っていく。それから鱗滝さんは何も教えなくなった。しばらく経ってから俺も教えることを減らし、見守る時間の方が増えていた。

 

それに加えて、錆兎や真菰も忙しくなったのか、あまり来れなくなった。なので、炭治郎は鱗滝さん達に習ったことを毎日繰り返していた。

 

炭治郎はいつもの修行内容を日記に留めていたので、そこに書いていたことをひたすら繰り返していた。ただ、半年経っても炭治郎は岩を斬れなかった。

 

炭治郎は原作よりもこの時点で遥かに強くなっており、全集中・常中もある程度出来るようにはなっていたが、呼吸がまだ完成してないため岩を切る程の威力は出ないのだ。

 

こればかりは、教えたところですぐに出来るものでもないので、俺は炭治郎がある程度のところまで上達するまで見守る事にしていた。

 

余談になるが、最近善逸が桑島さんの下で修行を始めたらしく、獪岳も原作の獪岳より優しくなっているらしく、相変わらず口は悪いが善逸とはなんだかんだで仲良くやっているとの事だ。

 

それと、6月に柱合会議で甘露寺蜜璃が恋柱に任命された。

これで、やっと原作の柱が全員揃ったので、無限城の戦いは問題無く進めれそうだ。なんなら、有一郎も加わっているため原作よりも簡単に倒せる可能性もある。無惨のことなので、油断は出来ないが...。

 

──西暦1914年 9月2日──

それから更に半年経った頃

炭治郎(足りない...。まだ鍛錬が足りないんだ!もっとやらないと...。もっと!俺だめなのかな?禰豆子はあのまま死ぬのか?わーーーっ!挫けそう負けそう!!)

 

炭治郎「頑張れ俺!!頑張れ!!!」

 

錆兎「うるさい!男が喚くんじゃない!見苦しいぞ炭治郎!どんな苦しみにも黙って耐えろ。お前が男なら、男に生まれたなら」

岩の上から声をかかる。

 

炭治郎「錆兎さん!」

その瞬間炭治郎目がけて錆兎が岩から飛び降りて木刀で斬りかかってくる。

咄嗟の事に炭治郎は慌てながらも刀の柄で防御する。が、錆兎がそれを蹴り飛ばし、炭治郎を転ばせた。地面に背をついた炭治郎に錆兎は言い放つ。

 

錆兎「鈍い...。弱い...。未熟...。そんなものは男ではない。」

 

原作の錆兎なら今の炭治郎でも勝てただろう。だが、今の錆兎は柱となっており、原作の錆兎よりも強くなっている。なので、今炭治郎は原作よりも厳しいことを強いられていた。

 

炭治郎「急に何するんですか!!」

 

錆兎「お前の方こそ何をしている。」

 

炭治郎「何って...。鍛錬を.........」

 

錆兎「いつまで地面に尻をついているのか、構えもせずに」

 

炭治郎「!!」

炭治郎はその言葉を聞き、直ぐに立って構えた。

 

錆兎「さあかかってこい──」

 

炭治郎は少し落ち着いてから、素早く錆兎との距離を詰め、刀を振るう。

しかし、錆兎もそれをただ棒立ちで受ける訳もなく、それに応じて錆兎も木刀で受け止める。そして、炭治郎は刀ごと重力に引っ張られたかのように転ばされた。

 

錆兎「お前は何も自分のものに出来てない。出来た気になっているだけだ。鱗滝さんに何を教わった?秋雨が何を言っていた?俺との練習はどうした?知識として覚えるんじゃない体に覚えさせろ!」

 

炭治郎「はい!」

錆兎は練習の時と比べものにならない速さで、炭治郎に向かって木刀を振るっていた。

 

錆兎「お前の血肉に叩き込め!もっと!もっと!もっと!!俺達が教えたことを決して忘れることなど無いように骨の髄まで叩き込むんだ!」

 

炭治郎「やってる!毎日やってる!必死で!!...。でも全然駄目なんです!前にっ...進めないんですこれ以上」

炭治郎も実戦形式で試合をしているので、やられてばっかりでは無かったが、遂に炭治郎も押され始めていた。

 

錆兎「進め!!男なら!男に生まれたなら!進む以外の道などない!!かかって来い!!お前の力を見せてみろ!!」

 

炭治郎「あぁあああ!!」

 

炭治郎は全力で最後の一振のつもりで攻撃する。それに合わせて錆兎も攻撃する。結果は分かっているだろうが、もちろん炭治郎が負けた。

 

錆兎「あとは任せたぞ」

 

真菰「うん」

 

それからもこれまで以上に錆兎達は炭治郎の練習に付き合うようになった。

 

──西暦1915年 2月10日 大正4年──

炭治郎は全集中・常中を完全に自分のものとし、水の呼吸も完璧に使えるようになっていた。ちなみに、流石に真剣では危ないので、木刀に変わっていた。

 

錆兎「半年でやっと男の顔になったな」

 

炭治郎「今日こそ勝つ」

そして、炭治郎が、今いる所から放てる最高の攻撃をした。それに対して錆兎も遅れをとらないようにすぐさま攻撃をする。

一瞬で勝負は決まった。この日この瞬間初めて炭治郎の刃が先に錆兎に届いたのだ。

 

錆兎「強くなったな...。炭治郎」

 

錆兎は安心したような笑顔で炭治郎にそう言った。

錆兎「今の炭治郎なら岩を切るのも容易いだろう」

 

炭治郎「本当に...。ありがとうございます!」

 

その後、炭治郎は無事に岩を斬ることに成功した。そして、岩を斬れたことで鱗滝さんに最終選別に行く許可をもらうことが出来た。

 

炭治郎が、修行の時に伸びた髪を切り終えると、鱗滝さんが厄除の面を炭治郎に渡した。

 

 

 

─最終選別の日──

鱗滝「──"最終選別"必ず生きて戻れ。儂も妹も此処で待っている。」

 

秋雨「お前のことだ。受かるとは思うが、油断はするなよ」

 

炭治郎「分かってます。」

 

錆兎「俺もお前のことを勝てると信じて待っているからな」

 

真菰「炭治郎なら負けないよ!頑張って!」

 

炭治郎「それじゃ皆さん行ってきます!」

炭治郎はそれだけ言って山を降りていく。

 

 

 

──"最終選別"に向けて─




いかがだったでしょうか?

今回で遂に炭治郎が修行を終えたので、次回から本格的に最終選別が始まっていきます。お楽しみに!

大正コソコソ噂話
秋雨さんは意外と教えるのが上手なんだって


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第拾弐話 実った力

今回は、最終選別に入っていきます。
大した変化はありませんが、原作と違うところもあるので、そこに気づいてもらえるとより楽しめるかなと思います。

では、本編です。どうぞ!


──炭治郎が藤襲山に着いてから──

俺は今炭治郎とは別の道を通って最終選別の舞台へと向かっていた。幸いなことに、今回隊士管理係として最終選別の監視を任されたのだ。これで、他の隊士の救出、監視と共に炭治郎の成長具合も見ることが出来る。

 

 

炭治郎は藤襲山に登ろうと階段を上がっていた。

藤襲山には藤の花が咲き乱れており、その景色に炭治郎は見惚れていた。

 

炭治郎(すごい...。藤の花が...咲く時期じゃないはずなのに)

門をくぐると、他にも最終選別を受けるであろう剣士が沢山いた。

炭治郎(こんなにいるのか...)

 

産屋敷輝利哉と産屋敷かなたの説明が終わり、いよいよ最終選別が始まろうとしていた。

 

産屋敷「「では行ってらっしゃいませ」」

 

 

 

─森の中─

鬼「オイオイてめぇは向こうに行け!俺がこいつを喰う!」

鬼2「いや貴様が失せろ!」

 

炭治郎はいきなり二人現れたことに驚くがすぐに切り替え鬼を倒すことが出来るかを考える。

 

炭治郎の心臓が激しく脈を打つ

 

鬼「俺の獲物だぞ!」

鬼2「黙れ!」

鬼「先に殺った方が喰えばいいだろうが!」

鬼2「久方ぶりの人肉だ!!」

 

そう言いながら鬼は炭治郎に襲いかかった。

それに対して炭治郎は即座に全集中・水の呼吸をして隙の糸に沿って刃を振る。

 

炭治郎「肆ノ型 打ち潮」

波に打たれるような斬撃が鬼の頸を刈り取る。それによって鬼の体は跡形も残らずに灰のようになって消えていった。

 

炭治郎は鱗滝さんにもらった刀で頸を斬ると骨も残らないことに気付き、少し虚しく思う。

 

そんな炭治郎は、鬼に対しても情を忘れずに祈祷する。成仏してくださいと──

 

俺はその様子を木の上から見守っていた。

俺は炭治郎が教わった事をしっかりものに出来ていることに一先ず安心した。

 

炭治郎は、原作の手鬼のような鬼も他にはいないので特に苦戦すること無く、その後も順調に進み最終選別を生き残り、無事に受かることが出来た。

 

俺が、殺されそうな人を全て助けたため死者はいなかった。それと、手鬼がいなかった影響か原作よりも受かってる人が多かった。

 

 

 

──最終選別後──

産屋敷かなた&輝利哉

「「お帰りなさいませ。おめでとうございます。ご無事で何よりです。」」

しばらくして産屋敷家の説明が終わる。

 

受かった中で特に知っているのは炭治郎、善逸、カナヲ、玄弥、ここには居ないが伊之助の五人だけだ。

鎹鴉が来てしばらくすると玄弥が暴れ出す。そう、あの事件だ。

 

玄弥「どうでもいいんだよ!鴉なんて!」

 

玄弥が産屋敷かなたの頭を掴もうとするのを俺がすんでのところで止める。

秋雨「玄弥やめろ」

 

玄弥「秋雨さん!?なんであなたがここに?」

俺が居ると知らなかったのか玄弥がとても驚く。ちなみに、柱になってからは1度会っているので顔見知りだ。

 

秋雨「いいか玄弥?刀なんてな!後で手に入るんだよ!それよりもお前は今何をしようとした!?」

 

玄弥「こいつの頭を...。」

 

秋雨「はぁ........知らないなら教えとくが、このお方は鬼殺隊を束ねる、お方のご子息様だぞ!」

 

ここで、ようやく玄弥が事の重大さに気づいたのか焦り出す。

玄弥「すみません!そうとは知らず!」

 

秋雨「謝るのは俺じゃないだろ?」

身体を産屋敷かなたの方向に向け辞儀をする。

 

玄弥「すみませんでした!」

 

かなた「いえ、構いません」

 

輝利哉「お話は済みましたか?」

そのあと、産屋敷輝利哉の玉鋼に関する説明は終わり、いよいよ玉鋼を選ぶ時が来る。

 

輝利哉「──鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は御自身で選ぶのです」

炭治郎は鼻を頼りに鋼を選ぶ。それに釣られるようにして他の剣士も玉鋼を取り始める。

 

善逸「多分すぐ死にますよ俺は」

善逸が何か言っていたが、気にしないことにする。

 

 

 

 

俺はただ、監視に来ていた訳では無かった。

秋雨「炭治郎、合格おめでとう!」

 

炭治郎「あっ!秋雨さん!ありがとうございます!」

 

秋雨「それと、疲れただろ?」

 

炭治郎「はい」

 

秋雨「そう思って水と、食べ物を持ってきた」

 

炭治郎「えっ!本当ですか!嬉しいです!」

炭治郎に水を入れた容器とおにぎりを渡す。

他の皆も羨ましそうに見てくるので...

秋雨「ほら、他の皆も食っていいぞ!」

当然それも考えて余分に持ってきていた。

 

善逸「良いんですか!?本当に!?」

 

秋雨「ああ、いいぞ!」

 

善逸「やったー!!ありがとうございます!神なの?あんた神なの?」

善逸に続くように皆がお礼を言いながらそれらを持っていく。

 

俺は善逸に話しかける

秋雨「そういえば、善逸」

 

すると、善逸がおにぎりを食べながら言う

善逸「はひ...なんでふか」

 

秋雨「頑張っているようだな。お前の師匠から聞いている。獪岳とも仲良くやっているようだしな」

 

おにぎりを食べ終わると善逸は驚いたように返事する

善逸「えっ、なんでそのことを」

 

秋雨「一時期、俺も桑島さんに教わっていたからな」

 

善逸「そうなの!?俺知らないんですけど!?」

 

秋雨「知らなくて当たり前だ。だいぶ前のことだからな。」

 

善逸「なるほど!」

 

秋雨「まあ、何はともあれ頑張れよ」

 

善逸「はい!精一杯頑張ります!!」

 

秋雨「それと、強くなりたかったら炭治郎に聞くのが一番の近道だ。俺がいろいろ教えているから、戦いなどで困った事があれば炭治郎に聞くといい」

 

善逸「分かりました!そうさせていただきます!」

なんだか、さっきから子分感が増した気がするが気のせいだろうか。

 

秋雨「炭治郎は分かるよな?」

 

善逸「耳飾りをつけた赤毛の子ですよね?」

 

秋雨「そうだ。それと、これから任務で一緒になることも少なくないだろう。仲良くしてやってくれるか?」

 

善逸「もちろんです!」

善逸も義勇の次に好きなキャラでもあるので、沢山喋れて嬉しいというのは内緒である。

 

 

 

──最終選別が終わって──

 

お館様「8人も合格したのかい。優秀だね。また私の剣士(子供たち)が増えた.........どんな剣士になるのかな」

 

 

 

──山を降りてから──

秋雨「さあ、皆のいる所に帰ろうか」

 

炭治郎「はい!」

 

そうして、俺は炭治郎と一緒に狭霧山に帰る。

最終選別で手鬼がいなかったおかげか、炭治郎も疲れておらず、日が暮れることなく家に帰る事が出来た。

 

炭治郎(着いた...鱗滝さん...禰豆子...)

鱗滝さんの待っている家の前まで行くと、禰豆子が戸を蹴り飛ばして出てきた。

 

炭治郎「あーーっ!禰豆子ォ!お前っ...起きたのかぁ!!」

禰豆子ちゃんはこちらに気づいて走ってくる。

 

炭治郎「禰豆子っ...」

炭治郎も歩いて近づく。

お互いの手を背に回して抱き合う。

 

炭治郎「わーーっ!お前なんで急に寝るんだよォ!ずっと起きないでさぁ!死ぬかと思っただろうがぁ!!」

炭治郎は泣きながら言う。

 

それを見て鱗滝さんが二人を庇うように抱いて一言

鱗滝「よく生きて戻った!!!」

 

鱗滝さんの面の隙間から涙が出ているのを見て、俺もつられたのか涙が出る。

 

 

 

 

──十五日後──

炭治郎の刀が届いた。

炭治郎「あっ、鱗滝さんあの人かな?」

風鈴の音がなる。

炭治郎「ふ、風鈴」

笠に風鈴をぶら下げた怪しげな人物がこちらに向かって歩いてくる。

 

??「俺は鋼鐵塚という者だ。竈門炭治郎の刀を打った者だ。」

 

炭治郎「竈門炭治郎は俺です。中へどうぞ」

炭治郎がキリッとした表情で言う。

しかし、鋼鐵塚さんは中には入らず、そこで話をする。

鋼鐵塚「これが"日輪刀"だ」

 

炭治郎「あの...どうぞ中へ」

炭治郎は困った表情になる。

 

鋼鐵塚「俺が打った刀だ」

刀を入れた箱を開けながら言う。

 

炭治郎「お茶を入れますよ」

そのあとも鋼鐵塚さんの説明は続いて、ようやく刀の説明が終わり、中へと入る。

鋼鐵塚「さぁさぁ刀を抜いてみなぁ」

 

炭治郎「はい」

そうして炭治郎が鞘から刀を出す

鋼鐵塚「日輪刀は別名色変わりの刀と言ってなぁ、持ち主によって色が変わるのさぁ」

すると炭治郎の刀が黒く染まる。

炭治郎「おおっ」

 

鋼鐵塚「黒っ!」

 

鱗滝「黒いな...」

 

炭治郎「えっ、黒いとなんか良くないんですか!?不吉ですか!?」

 

鱗滝「いやそういう訳ではないが...あまり見ないな漆黒は」

 

秋雨「他の呼吸に適正があるってことだと思うから、それは追追考えようか」

 

炭治郎「はい」

 

鋼鐵塚「キーーッ!俺は鮮やかな赤い刀身が見れると思っていたのにクソーーッ!」

そう言いながら鋼鐵塚さんは炭治郎を雁字搦めにする。

 

炭治郎「いたたっ危ない!落ち着いてください!何歳ですか!?」

 

鋼鐵塚「三十七だ!」

 

秋雨はアニメで見た通りだなあと思った。

 

すると炭治郎の鎹鴉が入ってくる。

 

鴉「カアァ!竈門炭治郎ォ北西ノ町ヘ向カェェ!!鬼狩リトシテノォ最初ノ仕事デアル」

 

炭治郎は鴉が喋っていることに驚き、仕事と言う言葉に反応する。

 

鴉「心シテカカレェェ!北西ノ町デワァァ!少女ガ消エテイルゥ!毎夜!毎夜!」

 

炭治郎の任務が始まろうとしていた。

炭治郎の監視は特にお館様に命じられているので、引き続きしていく必要があり、俺もついて行かなければならないのだが...。正直、物語の鍵を握る主人公について行く言い訳が出来たので俺としては助かる。

 

遂に闘いの大きな歯車が廻り出す!




大正コソコソ噂話
善逸は、秋雨さんと仲良くなれたらいいなと思っているよ。


遂に炭治郎の最終選別が終わりましたね!
次回から、本格的に戦いが始まっていきます。
お楽しみに!


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第拾参話 初任務

今回から本格的に戦いが始まっていきます。大変永らくお待たせしました。


ここまで読んで下さりありがとうございます。
読んで下さる方がいる限りは最後まで書き続けようと思います。

では、本編です!どうぞ!



──西暦1915年 大正4年 3月4日──

俺は今炭治郎の任務に同行して、北西の町へと来ていた。

原作よりも炭治郎が強くなっている事で早く着くことが出来たとは思うのだが、原作の修正力とでも言おうか。俺達が着いたのは残念なことに和巳さんの婚約者の里子さんが既に殺されてしまった後だった。

 

俺達は和巳さんを見つけて尋ねる。

 

炭治郎「和巳さん!ちょっとお話を聞きたいのですが、いいですか?」

 

秋雨「お時間があればで宜しいのですが...。」

 

和巳「ええ...。」

そうして俺らは案内された。

 

和巳「ここで里子さんは消えたんだ。信じて貰えないかもしれないが...」

 

炭治郎「信じます!信じますよ!信じる!」

それを言うと炭治郎は地面の匂いを嗅ぎ出した。

 

俺は和巳さんに炭治郎が何をしているか伝えておく。

秋雨「炭治郎は鼻がいいので地面に残っている鬼の匂いから鬼の居場所を見つけ出す事が出来るんです。」

 

和巳「鬼って?」

 

秋雨「嘘みたいな話ですが、この世には人喰い鬼がいて、それを退治するために俺達は鬼殺隊という組織に入ってるんです。」

 

和巳「そんなことある訳が...。」

話していると夜になり、鬼が出る時間となる。

 

秋雨「炭治郎!」

 

炭治郎「はい!」

ほぼ同時に鬼の気配を感じ、鬼が居る場所に向かって二人で走り出した。

 

和巳「どうしたんだ急に!!」

その人間離れした早さに和巳さんは驚いた。

 

炭治郎「匂いが濃くなった!!鬼が現れてる!」

シンクロして俺と炭治郎が屋根に飛び乗る。

 

和巳(と、跳んだ...鬼の話、鬼殺隊、本当に...)

 

鬼の気配のある場所に立つと炭治郎が日輪刀を地面に向かって突き刺す。すると、次の瞬間、悲鳴が上がると共に突如地面に沼が現れた。

 

その時に、気絶しているトキエさんが沼の中に居るのを見つけて、炭治郎が急いで引っ張り出して後ろに下がる。

 

炭治郎はその鬼が異能の鬼だと気づく

 

秋雨「異能の鬼だな。血気術を使って来る。気をつけろ!」

 

炭治郎「はい!気をつけます!」

 

炭治郎は鬼に質問をした。

炭治郎「攫った女の人たちはどこにいる!!それから二つ聞く...」

 

すると鬼はギリギリと歯ぎしりを立てて沼の底へと戻って行く。

 

秋雨「お前は鬼を倒せ!和巳さん達は俺が守ってるから、気にせず闘え!」

 

炭治郎「分かりました!それじゃあ頼みますね!」

沼鬼は潜っている間も匂いを消せないため、炭治郎には手に取るように動きが分かった。

 

炭治郎は鬼が近づいて来たことに気付き、伍の型で迎え撃とうと待ち構える。

 

すると、一斉に鬼が沼の中から三人出てきて炭治郎に襲いかかる。

しかし、3人に分かれているのは予想外だったのか、炭治郎は咄嗟に型を変えて対応する。

 

炭治郎「三人!!!...やれる!!.....捌ノ型 滝壺!!」

滝が打つような斬撃が容赦なく鬼を襲う。

 

しかし、途中で技を変えたために完全に倒すことは出来なかった。

沼鬼は逃げるように沼に潜って行った。

 

炭治郎は三人とも全く同じ匂いだということに気づいた。基本的に鬼は群れないと聞いていたことから、一人の鬼が三人に分裂しているのだと分かった。

 

 

次の瞬間、和巳さん達の方へ一人の鬼が現れ、襲いかかろうとしていた。なので、すかさず俺が助ける。

 

──雲の呼吸 陸の型 雲の裂け時──

雲が鬼を包み込み、その雲を斬るようにして真空刃が鬼へと迫る。

そして、雲が消えた時には既に鬼は灰となり消えていた。

 

炭治郎「す...凄い!!...」

 

秋雨「こっちに構うな!!炭治郎は鬼を倒すことに集中しろ!!」

 

炭治郎「すいません!!」

 

 

 

二人の鬼が喋り出す。

沼鬼2「貴様ァアアア」

 

炭治郎「!?」

 

沼鬼2「邪魔をするなァァァ!!女の鮮度が落ちるだろうがァ!!もう今その女は十六になっているんだよ!早く喰わないと刻一刻で味が落ちるんだ!!」

 

沼鬼「冷静になれ俺よ。まぁいいさこんな夜があっても。この町では随分十六の娘を喰ったからな。どれも肉付きが良く美味だった。俺は満足だよ」

 

沼鬼2「俺は満足じゃないんだ俺よ!!まだ喰いたいのだ!!」

 

和巳「化け物.........一昨晩攫った里子さんを返せ」

 

沼鬼「里子?誰のことかねぇ.........この蒐集品の中にその娘のかんざしがあれば喰ってるよ」

 

和巳さんが里子さんのかんざしを見つけて涙した。それに気づいた炭治郎は酷く怒り顔が険しくなる。

 

それを知ってか知らずか、鬼が炭治郎の隙をついて襲う。だが、炭治郎は難なく躱して刀を振る。しかし、経験不足からか、常中を身につけていても頸を斬ることは叶わなかった。

 

そこにもう一体の鬼が壁から現れて両手を使って炭治郎を攻撃する。それに対してしゃがんで対処する。しかし、しゃがんだ炭治郎の目の前に鬼の手が迫る。

 

それを炭治郎は、後ろに身を引いて、紙一重で躱す。

しかし後ろから、もう一体の鬼が攻撃しようとしていた。

 

それを禰豆子が箱を蹴り開けるように蹴りを繰り出して制する。

 

沼鬼「何故人間の分際で鬼を連れてる」

 

禰豆子は鬼に向かってかかと落としをする。

炭治郎「禰豆子!!深追いするな!!こっちへ戻れ!!」

その言葉で禰豆子は、下からの鬼の攻撃を前方に宙返りして躱しながら戻ってきた。

 

秋雨「和巳さん達は俺と禰豆子ちゃんに任して行け!」

 

そうして炭治郎はわざと沼に入って行った。

炭治郎「もしも俺が負けた時は禰豆子を頼みます!!」

 

沼鬼「ククク、苦しいか小僧。この沼の中には殆ど空気もない!さらにこの沼の闇は体に纏わりついて重いだろう。ハハハハ!!」

 

沼鬼2「地上のようには動けんのだ、ざまをみろ!!浅はかにも自ら飛び込んできた愚か者め」

 

炭治郎は、技の準備をしていた。

 

足場もない不安定なこの場所でも使える型。

上半身と下半身の激しい"ねじり"で強い渦動を発生させる技だ。

 

炭治郎(匂いが来た!!隙の糸!!)

 

──全集中・水の呼吸 陸ノ型 ねじれ渦!!

渦は鋭く大きな刃となり、周囲を巻き込んで切り裂いていく。

 

しかし、それで倒せたのは一人だけだった。

もう一人の鬼は危険を察知したのか、地上に炭治郎よりも先に戻っていた。

 

炭治郎(うっ.........苦しい!!早く上へ。禰豆子!!)

 

地上では、今禰豆子が闘っていた。流石の秋雨も不意をつかれたのか反応が遅れた。そして、下手に介入して禰豆子を傷つける訳にもいかないので秋雨はどうも出来ずにいた。

 

遂に、禰豆子は鬼の攻撃を許してしまい額に傷が付く。

 

和巳「あっ!!」

 

沼鬼(よし!!その面に風穴開けてやる!!)

その時だ、鬼の手が切られる。炭治郎が地上へと戻って来たのだ。

 

炭治郎「妹に触るな!!お前たちは腐った油のような匂いがする!酷い悪臭だ。,一体どれだけの人を殺した!!」

 

沼鬼「女共はな!!あれ以上生きていると醜く不味くなるんだよ!だから喰ってやったんだ!!俺たちに感謝しろ」

 

炭治郎が沼鬼の口を切って、凄みのある声で言う。

炭治郎「もういい、鬼舞辻無惨について知っていることを話してもらう。」

 

沼鬼「言えない!言えない!言えない言えない!言えない!」

沼鬼は恐怖で震えながら首を横に振る。

沼鬼「言えないんだよオオオ!!!」

沼鬼が最期の抵抗をしてくるので炭治郎は仕方なく頸を切る。

炭治郎(ああ.........また何も聞き出せない。禰豆子!!)

 

秋雨「心配しなくても良い。禰豆子ちゃんは回復するために眠ってるだけだ。」

 

炭治郎「そうですか...。」

炭治郎(ごめん.........ごめんな。もう少し待ってくれ兄ちゃんがきっと人間に戻してやるからな)

炭治郎は禰豆子のおでこに自分のおでこを当てながら禰豆子のことを想う。

 

 

炭治郎は和巳さんの安否を確認する。

炭治郎「和巳さん大丈夫ですか?」

 

和巳「.........自分の婚約者を失って大丈夫だと思うか」

 

炭治郎「.........和巳さん。失っても失っても生きていくしかないんです。どんなに打ちのめされようと」

 

和巳「お前に何がわかるんだ!!お前みたいな子供に!!」

 

炭治郎は悲しいような微笑みを見せた。

炭治郎「俺たちはもう行きます。これを.........里子さんの持ち物があるといいのですが.........」

俺と炭治郎は一礼をする。

和巳「.........!!すまない!!酷いことを言った!!どうか許してくれ!すまなかった.........っ」

和巳さんは炭治郎が自分と似たような境遇に在ることを感じ取り、申し訳なく思うのであった。

 

炭治郎と俺は手を振りその場を後にする。

 

炭治郎は家族こそ失ってないものの禰豆子は鬼になっており、戻らない限りは失ったも同然なのだ。炭治郎もまた悲しい少年である。炭治郎は和巳さんの思いも背負って無惨への執念を増幅させる。

 

炭治郎の鴉がやって来る

鴉「次は東京府浅草ァ鬼ガ潜ンデイルトノ噂アリ!!カァアア!!」

 

次の闘いの幕が開けようとしていた。




大正コソコソ噂話
炭治郎はほんの少しの匂いでも嗅ぎ分けることが出来るよ


いかがだったでしょうか?

やっと沼鬼を倒しましたね!
次回は、番外編にはなりますが、本編にも少し繋がってくるので、読んでいただけると幸いです。



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番外編 明日に向けて

今回は話し自体は進まないのですが、これからに関わってくる場面でもあるので読んでもらいたいと思います。

では、番外編です!どうぞ!


──西暦1914年 2月6日 大正2年 1年前のこと──

俺は炭治郎への指導を一通り終えて、時間に少し余裕が出来たので炭治郎に一声かけてから下山する。

 

秋雨「炭治郎」

 

炭治郎「はい」

 

秋雨「少し用事があるので、山を下りる。では行ってくる。」

 

炭治郎「分かりました。行ってらっしゃい!」

 

 

 

俺が今何処へ向かっているのかというと蝶屋敷に向かっている。

カナエさんの容態を見に行くために土産を持って行く。

 

秋雨「すいませーん!秋雨です!誰かいますか?」

 

しのぶ「はーい!今そっちに行きますね」

しばらくしてしのぶが屋敷の中から出てくる。

秋雨「おー!しのぶか!久しぶりだな元気だったか?」

 

しのぶ「ええ、それなりに...。それより今日はどういう用件で?」

 

秋雨「ああ、変な意味は無いんだが、カナエさんの容体が気になってな」

 

しのぶ「変な意味があったら困りますよ!」

 

秋雨「ハハハ!そりゃそうだ!」

 

しのぶ「からかわないでください!」

 

秋雨「悪い悪い、それと土産を持って来たんだけど.........」

 

しのぶ「えっ!土産を!?ありがとうございます!立ち話もなんですから中で話ましょうか」

 

秋雨「ああ....」

しのぶの変わりように少し驚くのだった。

 

それからカナエさんのいる部屋に案内される。

しのぶ「姉さん。お客さんよ」

 

カナエ「あら、秋雨くんいらっしゃい!」

 

秋雨「どうも、久しぶりです」

 

カナエ「久しぶりね。しのぶから秋雨くんの話は聞いてるわ。なんでも、隊士管理係?として頑張ってるって」

 

 

しのぶ「姉さん!私が話したってことは隠してよ!」

 

カナエ「え?どうしてよー」

カナエさんはどうやら分かっててからかっているようだ。

 

秋雨「ハハハッ!」

 

しのぶ「秋雨さんも笑わないでよ!もうっ!二人してからかって!」

 

秋雨「ごめんごめん」

 

しのぶ「もういいですよ.........」

しのぶが呆れたような顔で拗ねる。

 

カナエ「姉さんがからかい過ぎたわ。ごめんね。それで、秋雨くん。今日はどうして家に?」

 

秋雨「あっ!そういえば、そうでしたね。時間が空いたので、カナエさんの様子を一目見ておこうと思って寄ったんです。」

 

カナエ「そうだったの」

 

秋雨「カナエさん、あれから体の調子はどうですか?」

 

カナエ「特に問題なく過ごせてるわ。それとね、まだ言ってなかったんだけどね。もしかしたら鬼殺隊としてまた戦えるかもしれないの」

 

秋雨「えっ!?本当ですか!?でも肺が傷付いて二度と戦えないって.........」

 

少し機嫌が直ってきたのか、しのぶが説明する。

しのぶ「それは、私が説明します」

 

秋雨「ああ頼む」

 

しのぶ「姉は、最初に診察した時、肺に重症を負っていて、その時は日常生活すら出来るか危うい状態でした。なので、私が薬を処方して、なんとか日常生活出来るところまで回復したんです。そこまでは、秋雨さんもご存知かと思うんですが.........」

 

秋雨「そうだったな」

 

しのぶ「それからも肺を完璧に治せるように、ダメ元で薬を改良して、それを姉に飲んでもらってたんです。そしたら、ここ最近で肺が以前と遜色ないくらいに回復していて.........」

これはしのぶの調合のおかげでもあるが、秋雨が早めに助けたのもあるだろう。

 

秋雨「そんな事が有り得るのか?」

 

しのぶ「もちろん私も疑いましたよ。だけど、何度確認しても同じなんです。」

 

秋雨「本当に?」

 

カナエ「そうよ。まだ、感覚が鈍ってるから、修行し直さないと行けないけどね。」

 

秋雨「じゃあ、また戦えるんですね!」

 

カナエ「うん!だから一緒に戦う事があればその時はよろしくね!」

強引に俺の手を取ってそう言って来たので、少し照れながら返事する。

 

秋雨「はっ、はい!もちろん!」

 

しのぶ「何、照れてるんですか!やっぱりそういう目的で.........」

 

カナエ「もしかして姉ちゃんに妬いてるの〜?しのぶちゃんも可愛いところあるじゃない!」

 

しのぶ「そんなんじゃないわよ!秋雨さんも用が済んだんなら早く帰ってくださいよ!」

しのぶが俺の背中を押して、追い出すように門まで送り出す。

 

秋雨「えっ...。しのぶ?どうし...」

 

しのぶ「なんでもいいですから!早く!」

 

秋雨「分かったよ.........」

訳も分からないまま俺は屋敷を後にした。

 

後で聞いた話だと、階級は蟲柱としてしのぶが代わりを務めているので、甲として鬼と闘っているそうだ。もちろん、甲と言っても、力はすっかり取り戻しているので柱と並ぶ強さだ。

 

 

──そして現在 西暦1915年 大正4年 3月5日──

沼鬼を倒して1日経った頃の話だ。

どうやら、明日から炭治郎と禰豆子の監視の強化として、カナエさんとしのぶも派遣されるそうだ。正直、話し相手と華がどっちも増えるので嬉しい限りだ。

 

しのぶは現在、柱として戦っているので大丈夫なのかとも思ったが、隊士管理係があるおかげで余裕が出来ているそうだ。

 

 

 

俺は、炭治郎の呼吸についての話をしていた。

 

秋雨「炭治郎」

 

炭治郎「はい」

 

秋雨「少し前にも話をしたが、君の呼吸についてのことだ。」

 

炭治郎「はい!」

 

秋雨「ああ、君の刀は黒に染まった。つまり、それは水の呼吸に適してないということでもある。」

 

炭治郎「えっ.........」

 

秋雨「だが、安心して聞いて欲しい。水の呼吸に適してないから、これ以上強くなれないという訳ではない。むしろ、水の呼吸以外にも強くなれる道はあると言える」

 

炭治郎「どういうことですか?」

 

秋雨「要するにだ。新しい呼吸を考えようってことだ。」

 

炭治郎「新しい呼吸.........ですか?」

 

秋雨「ああ、炭治郎。どんなに些細なことでも良い。新しい呼吸を考えるきっかけになりそうなものはあるか?」

 

炭治郎「.........あっ!そういえば、昔父にヒノカミ神楽という舞を教わって、今までずっと欠かさずに行ってきたんですが.........」

 

秋雨「ヒノカミ神楽?知らないなぁ...。やって見せてくれないか?」

知っているが、俺が知っていてもおかしいので、敢えて知らないフリをしておく。

 

しかし、俺は油断していた。炭治郎は匂いで嘘を見分けられるのを忘れていたのだ。

 

炭治郎「秋雨さん本当に知りませんか?」

 

秋雨「!?…すまない、実は知ってたんだが、本で言葉を見たことがあるだけで詳しくは分からないんだ。だから、言うほどのことでも無いと思ってな」

 

炭治郎「分かりました。それでは、始めます!」

そうして炭治郎は、ヒノカミ神楽の一連の流れを見せてくれた。

 

炭治郎「これで、全てですが、秋雨さんどうでしょうか?」

 

秋雨「凄く洗練された動きだ。舞というよりも、炭治郎が見えない何かと闘っているように見えた。」

 

炭治郎「そうですか!それじゃあこれが.........」

 

秋雨「ああ、多分炭治郎の新しい呼吸となるだろう。」

 

炭治郎「でも、どうして舞として受け継がれて来たのでしょうか?」

 

秋雨「それは、多分始まりの呼吸をつくった剣士が、無惨に知られないように密かに受け継いだのだろう。だから、舞として受け継がれてきた。呼吸と気づく者がいつか現れると信じて.........」

 

炭治郎「なるほど」

 

秋雨「そして、その気づいた者が炭治郎、君だ」

 

炭治郎「えっ、でも気づいたのは秋雨さんじゃあ.........」

 

秋雨「いや、遅かれ早かれ俺が言わずとも気づいていただろう。だから、君が気づいたことにしておく。」

 

炭治郎「分かりました...。」

 

秋雨「それでなんだが、ヒノカミ神楽に関わる詳しい話を聞かせてくれ。何かまた、気づく事があるかもしれない。」

 

炭治郎「はい!」

すると、炭治郎は耳飾りと共に受け継いでくれと父から言われたことや、父はずっと舞っていたのに、自分は長く舞えないことを教えてくれた。

 

炭治郎「──父は長く舞えたのに、俺は舞えないんです。なぜなんでしょうか?」

 

秋雨「炭治郎。一つ確かめたいことがある。もう一度、今度は途中で止まらずに最初と最後の動きを繋げるようにしてやってみてくれないか?」

 

炭治郎「最初と最後を.........とりあえずやってみます!」

俺が言ったように炭治郎は、今度は続けるように舞う。

 

炭治郎「秋雨さん!さっきと違って、いつもより疲れを感じません」

 

秋雨「やはりか.........」

 

炭治郎「やはり?.........」

 

秋雨「ああ、俺の実家にな今は無いけど、呼吸に関する本が置いてあってな、そこに日の呼吸という呼吸について記述があった。」

もちろんそんな本は無いが、嘘も方便というやつだ。

 

炭治郎「日の呼吸.........」

 

秋雨「その呼吸の内容が今の炭治郎の舞の内容と酷似しているんだ。それで、もしやと思って言ってみたのだが、どうやら炭治郎のヒノカミ神楽と日の呼吸は同じらしいな。その本には、繰り返し型を行うと一つの型となると書いてあったので、それを試してみたんだ。」

 

炭治郎「そうだったんですね!秋雨さん、ありがとうございます!これから時間がある時に練習していこうと思います!」

 

秋雨「それがいいだろう。その時には俺も練習に付き合おう」

 

炭治郎「是非ともお願いします!」

 

秋雨「舞としてやっていたから、まだ闘いむきではない部分がある。だから、その辺を俺と一緒に考えていこう」

 

炭治郎「はい!」

 

秋雨「それと明日から炭治郎と禰豆子の監視として二人派遣されてくる。」

 

炭治郎「えっ!?」

 

秋雨「心配しなくていい。俺の知り合いだし、鬼とはどうすれば仲良く出来るのか考えているくらいだ。もう一人は鬼を懸念しているが、俺の知り合いだし、姉妹で派遣されてくるから、姉のほうが説得もしてくれるだろう。」

 

炭治郎「そうなんですか!それを聞いて安心しました」

 

秋雨「さあ明日も早いから、そろそろ寝るぞ」

 

炭治郎「はい、おやすみなさい」

 

秋雨「ああ、おやすみ」

 

そうして、次の日の朝カナエさん達と合流して、次の目的地の浅草へと向かうのだった。




大正コソコソ噂話
秋雨さんは俺(炭治郎)の日の呼吸を見て、技の研究をしたいと思っているよ。

いかがだったでしょうか?
今回はヒロインの導入と炭治郎の強化に関わってくる話でした。
次回からは、また戦いに入っていくので楽しんで読めるかと思います。


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第四章~改変は止まらない~
第拾肆話 出会い


今回は、ヒロインの導入を主に話を進めています。
なので、最初のところは完全オリジナルで、イメージに沿って書けてるか不安な部分もあるかもしれません。
違和感があれば感想でお願いします。



──西暦1915年3月6日 大正4年──

浅草に行く翌日の朝

出発する前にカナエさんと合流する。

 

秋雨「カナエさん、久しぶりです!しのぶも久しぶりだな!」

 

カナエ「秋雨くん!久しぶりね!今日から長いこと一緒になるわね!」

 

秋雨「そうですね!よろしくお願いします!」

 

カナエ「こちらこそ!」

 

しのぶ「秋雨さん私の事忘れてませんよね?」

 

秋雨「当たり前だろ!よろしくな!」

 

しのぶ「なら良いんですけど.........」

 

カナエ「それとそっちの子は炭治郎くんだっけ?」

 

炭治郎「はい!竈門炭治郎です!」

 

カナエ「元気の良い子ね!私は胡蝶カナエ、よろしくね!」

 

炭治郎「よろしくお願いします!カナエさん!」

 

しのぶ「私は胡蝶しのぶです。よろしく」

 

炭治郎「はい!よろしくお願いします!しのぶさん!」

 

カナエ「君の話はよく聞いているし、辛かったと思う。だから、君の妹さんにいきなり斬りかかったりとかしないし、必ず守るから安心してね」

 

炭治郎「はい!ありがとうございます!」

 

秋雨「良かったな。炭治郎。理解してくれる人が他にもいて」

 

炭治郎「はい!」

 

しのぶ「悪いけど、私はまだ認めきれてないの。ごめんね、過去に酷い目に逢って.........鬼には嫌な思い出しかないの」

 

炭治郎「っ!!.........そうですか」

 

秋雨「炭治郎。しのぶのようにすぐに認めてくれない者もいる。だから、それはこれからの任務で証明して行く必要がある」

 

炭治郎「確かに、そうですね。一筋縄ではいけない事もあるかもしれません。ですが、俺も半端な覚悟で鬼殺隊に入ってません!恥じぬ事なきように頑張ります!」

 

秋雨「いいぞ、その意気だ!」

 

カナエ「二人とも仲が良いんだね!私も混ざりたいなあ.........」

 

秋雨「いずれ仲良くなれますよ!」

 

カナエ「そうかなあ」

 

炭治郎「そうですよ!カナエさん!」

 

カナエ「そうだと良いけど」

 

しのぶ「ちょっと!!三人とも何、話に夢中になってるんですか!早く行きますよ!」

 

秋雨、カナエ、炭治郎「「「あっ!はい!」」」

しのぶを放って三人で喋っていることに妬いたのだろうか。

 

 

俺達は急いで浅草へと向かった。

 

 

──浅草にて──

炭治郎は街は初めての都会にめまいすらしているようだ。

 

秋雨「炭治郎?大丈夫か?」

 

カナエ「炭治郎くん?どうしたの?」

 

しのぶ「大丈夫ですか?」

 

炭治郎「大丈夫じゃないかも....」

 

秋雨「初めての都会で慣れないんだな。人気の無いところに行こうか?」

 

炭治郎「はい...」

 

禰豆子も夜ということで箱から出てはいるが、あまりの明るさに参っているようだ。なので、うどん屋さんに行く。

 

秋雨「すいませーん!山かけうどんを四つください」

 

店主「あいよ」

 

先にお茶だけ貰って飲んでいるとお茶を置いて炭治郎がスっと立ち上がる。

 

炭治郎「はあ...はあ...はあ...はあ...」

炭治郎が突然人混みの方に向かって走り出して行ったので、俺とカナエさんが急いで追いかける。

 

秋雨「炭治郎!どうした!?」

 

カナエ「炭治郎くん!?」

 

しのぶ「どうしたの!?」

 

炭治郎「無惨の匂いがするんです!鬼舞辻無惨の!!!」

 

秋雨「確かに気配がするが.........待て!炭治郎!!」

 

カナエ「これが無惨の気配!?」

 

しのぶ「凄い力を感じますね.........」

 

炭治郎は静止も聞かずに走っていく。そして、遂に炭治郎の手が無惨の肩に届く。

 

炭治郎が刀を抜こうと手をかける。

 

無惨の娘?「おとうさん、だぁれ?」

 

無惨「私に何か用ですか?随分慌てていらっしゃるようですが...」

 

無惨の奥さん?「あら?どうしたの?」

 

無惨の娘?「おかあさん」

 

無惨の奥さん?「お知り合い?」

 

無惨「いいや困ったことに少しも──....知らない子ですね。人違いではないでしょうか」

 

無惨の奥さん?「まぁそうなの?」

少しして俺とカナエさんが追いつく。

秋雨「すいません。こいつが勘違いしたようでして.........」

 

無惨「そうですか。それでは、私はこれで.........」

その時だ。無惨は目にも見えぬ速さで通行人の頸の後ろを引っ掻き、鬼へと変えた。

炭治郎、秋雨、カナエ、しのぶ「「!!」」

 

通行人「うぐっ」

 

通行人の奥さん「あなた.........どうしました?」

鬼になった通行人は自分の妻に襲いかかる。

 

通行人の奥さん「あっ!」

 

炭治郎「やめっ.........!!」

もちろん鬼が聞くはずもなく、通行人の奥方であろう人は肩を噛まれた。

 

通行人の奥さん「キャアアアッ!」

 

他の通行人「あっ!」「何だ!」「どうした!」「血が!」

 

炭治郎はすぐに鬼となった人を引き離して、自分の布巾を鬼の口に詰め込む。

奥さん「あなた!!」

 

炭治郎「奥さん!!こちらよりも自分のことを!!傷口に布をあてて強く押さえてください!」

 

鬼「グゥウ!グォオ!」

 

無惨「麗さん危険だ。向こうへ行こう」

 

カナエさんとしのぶの二人が鬼となった通行人を押さえつける。

炭治郎「カナエさん!しのぶさん!この人の事頼みます!」

 

カナエ「分かったわ」

 

しのぶ「あなたはどうするつもり?」

 

炭治郎「無惨を止めます」

 

しのぶ「待っ....」

 

無惨が去ろうとした時に、炭治郎が無惨に向かって叫んだ。

炭治郎「鬼舞辻無惨!!俺はお前を逃がさない!どこへ行こうと!」

そして、炭治郎がまた追いかけようとするのですぐさま炭治郎の羽交い締めして行かせないようにする。

炭治郎「秋雨さん!止めないでください!」

 

秋雨「炭治郎!!お前の気持ちは分かる...。だが、お前が行って何になる?あいつは柱全員でかかっても倒せるか怪しいくらいなんだぞ!今はまだ耐えろ!」

 

無惨の妻?「どうしたのかしらあの子達........ねぇ月彦さん」

 

炭治郎「地獄の果てまで追いかけて必ずお前の首に刃を振るう!!!!絶対にお前を許さない!!」

その時に、炭治郎の耳飾りが露になる。

 

無惨「さあ?私には分かりません.........行きましょうか(あの耳飾り.........)」

そうして無惨は去っていった。

 

秋雨「やめろって!!落ち着けよ!!」

 

 

そこに警官がやってくる。

 

警官「貴様ら何をしている!」

警官「酔っ払いか!?離れろ!!」

警官「下がれ!下がれ!どけ!!」

 

カナエ「だめなんです!拘束具を持ってきてください!」

 

しのぶ「お願いします!」

カナエさんが離さないので警察の方が引き剥がそうとする。

カナエ「やめてください!今は私達しかこの人を押さえつけられる人がっ!!」

 

警官「あっ!なんだこいつの顔.........これは.........正気を失っているのか」

警官「二人を引き剥がせ!」

警官「分かった!」

 

カナエ「やめて!この人に誰も殺させたくないの!邪魔をしないで!お願いですから!」

 

次の瞬間

──「惑血 視覚夢幻の香」──

辺りを花の紋様が覆う。

警官「わぁあ!なんだこの紋様は!」

警官「周りが見えない!」

そして、俺はこれの正体を知っている。

次に二人の鬼が姿を見せる。珠世さんと愈史郎だ。

 

しばらくして、少しほとぼりが冷めたのか炭治郎は力を抜く

炭治郎「秋雨さん、もう離して大丈夫です」

 

秋雨「そうか」

そう言って俺は炭治郎を離した。

 

炭治郎「そうですよね.....一人で倒せる訳ありませんよね.........俺、仇を見つけて舞い上がってたようです。すいません」

 

秋雨「いや...。分かったなら良いんだ」

 

珠世「あなた達は鬼となった者にも『人』という言葉を使ってくださるのですね。そして、助けようとしている。ならば私もあなたを手助けしましょう」

 

炭治郎「.........なぜですか?あなたは...あなたの匂いは...」

 

珠世「そう...私は──鬼ですが医者でもあり、あの男、鬼舞辻を抹殺したいと思っている」

 

カナエ「鬼でもそういう方がいるんですね!私、初めて知りました。それと助けて下さった事、感謝します。」

 

秋雨「助けていただいてありがとうございます!貴女に助けてもらってなかったら今頃牢屋の中だったかもしれない」

 

珠世「あなた方は助けるだけでなく、鬼に感謝までして下さるんですね.........」

 

しのぶ「貴女は一体?」

 

珠世「それは後ほど話します」

 

 

俺は出来れば、鬼になる人が出ないようにしたかったが、出てしまったのだから、しょうがあるまい。

 

それにもし、あそこで刀を出して無惨の手を切っていたりなどしたらそれこそ、警察沙汰なのだ。

 

無責任かもしれないが、珠世さんに会うためにもこうするしか無かった気がするし、仮に俺が無惨の手を切って止めさせようとしたところで、更に悪い方向に行くのは目に見えていたのだ。

 

 

 

──一方無惨の去った後──

無惨の娘?「お父さんは来ないの?」

 

無惨「仕事があるんです。商談に行かなければなりません。さっきの騒ぎも気になります。」

 

麗「あなた....」

 

無惨「大丈夫、警官に尋ねるだけですから」

無惨はそうして路地裏に入っていき、三人の人を殺した後で配下を呼び寄せる。

 

朱紗丸、矢琶羽「「何なりとお申しつけを」」

 

無惨「耳に花札のような飾りをつけた鬼狩りの頸を持って来い。いいな」

 

今、別の場所でもう一波乱が起ころうとしていた。




大正コソコソ噂話
秋雨さんは鬼舞辻との遭遇で下手に原作と変わらないように凄く考えて動いたよ。

いかがだったでしょうか?
今回は胡蝶姉妹が加わり、また新たに変わってく部分もあると思ういます。
次回お楽しみに!


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第拾伍話 意外な味方

今回は少し話が進みます。
最近、スローペースになってきているなと自分でも感じているところです。
遅いかもしれませんが最期まで書き切るつもりですので、付き合ってもらえると嬉しいです。




──西暦1915年 3月6日 大正4年──

無惨と遭遇した後の話。

 

俺達は禰豆子を連れ戻すために、一度うどん屋さんに戻ってきた。

 

店主「俺はな!!俺が言いたいのはな!!金じゃねえんだ!お前が俺のうどんを食わねって心づもりなのが許せねえのさ!!まずその竹を外せ!!何だその竹!箸を持て箸を!!」

 

炭治郎が店主の持っている箸を取って、凄い勢いで完食した。

 

炭治郎「ごちそうさまでした!!おいしかったです!!」

 

店主「わかればいいんだよわかれば!!」

 

カナエ「ふふっ、炭治郎くんって面白い子ね」

 

しのぶ「凄いですね...。色々と」

 

俺は苦笑いになりながらも一応言葉を返しておく。

秋雨「あ、ああ.........」

 

 

 

炭治郎「ごめんな禰豆子置き去りにして.........」

禰豆子はそう言う炭治郎の袖を引っ張って、鬼の愈史郎がいる方を睨む

 

炭治郎「あっ、待っててくれたんですか?俺は匂いを辿れるのに.....」

 

愈史郎「目くらましの術をかけている場所にいるんだ。辿れるものか。鬼じゃないかその女はしかも醜女だ」

 

それを聞いた炭治郎が激しく動揺する。何故かカナエさんまで

 

炭治郎「醜女のはずないだろう!!よく見てみろこの顔立ちを!町でも評判の美人だったぞ禰豆子は!」

 

カナエ「酷いわ!こんなに可愛い子を醜女だなんて!!」

 

秋雨「ちょっ....カナエさんまで!?」

 

しのぶ「姉さん!?」

 

愈史郎「行くぞ」

そんなの露知れず愈史郎はスタスタと進んでいく。

 

そのあとも着くまで抗議していた。

愈史郎「戻りました」

 

炭治郎「この口枷のせいかも......痛っ!」

 

カナエ「そうだわ!それの......うっ!」

 

炭治郎には俺から、カナエさんにはしのぶから鉄拳が下る。

 

秋雨、しのぶ「「いつまで言ってるんだ!」」

 

珠世「おかえりなさい」

 

炭治郎「あっ...大丈夫でしたか?お任せしてしまいすみません」

 

秋雨「ご主人の方はどこに?」

 

珠世「この方は大丈夫ですよ。ご主人は気の毒ですが拘束して地下牢に」

 

秋雨「そうでしたか...。教えていただいてありがとうございます。」

 

珠世「いえ、あなた方に教えるのは当然の義務ですから」

 

炭治郎「人の怪我の手当てをしてつらくないですか?」

炭治郎は愈史郎から殴られた。

炭治郎「うっ」

 

愈史郎「鬼の俺たちが血肉の匂いに涎を垂らして耐えながら、人間の治療をしているとでも?」

 

珠世「よしなさい、なぜ暴力を振るうの?名乗っていませんでしたね。私は珠世と申します。その子は愈史郎、仲良くしてやってくださいね」

 

愈史郎の険しくなった顔を見ながら皆が同じことを思う。

(無理だな、これは.........)

 

珠世「つらくはないですよ。普通の鬼よりかなり楽かと思います。私は私の体を随分弄っていますから鬼舞辻の呪いも外しています」

 

炭治郎「かっ体を弄った?」

 

珠世「人を喰らうことなく暮らしていけるようにしました。人の血を少量飲むだけで事足りる」

 

炭治郎「血を?それは.........」

 

珠世「不快に思われるかもしれませんが、金銭に余裕の無い方から輸血と称して血を買っています。勿論彼らの体に支障が出ない量です。愈史郎はもっと少量の血で足ります」

 

秋雨「それを聞いて安心しました」

 

カナエ「そんな方法があるんですね」

 

しのぶ「鬼でも理性を保てている方はいるんですね覚えておきます」

 

しかし次の言葉でみんなが固まる。

珠世「この子は私が鬼にしました」

 

全員「え!?」

 

炭治郎「あなたがですか!?でも...えっ?」

 

秋雨「鬼舞辻以外は鬼を増やせないと.........」

 

珠世「そうですね。それは概ね正しいです。二百年以上かかって鬼に出来たのは愈史郎ただ一人ですから」

 

炭治郎「二百年以上かかって鬼にできたのは愈史郎ただ一人ですから!?んっ!モゴモゴモゴ.........」

何か失礼なことを言いそうな気がしたので炭治郎の口を押さえる。

 

炭治郎「ぷはっ!何するんですか!」

 

秋雨「今何か失礼なことを言おうとしただろ?」

 

炭治郎「はっ!なんて事を」

炭治郎はやっと気づいたのか炭治郎は口を閉じる。

 

珠代さんも何となく察したのか一言つけ加えて話し出す。

珠世「良いんですよ、気にしてませんから。

 

それで一つ....誤解しないでほしいのですが、私は鬼を増やそうとはしていません。不治の病や怪我などを負って余命幾許もないそんな人にしかその処置はしません。その時は鬼となっても生き永らえたいか訊ねてからします。」

 

炭治郎「珠世さん、鬼になってしまった人を人に戻す方法はありますか?」

 

珠世「あります」

 

炭治郎「!!教えてくださっ...」

 

愈史郎「寄ろうとするな珠世様に!!」

その様子を見て、俺達は笑いを堪えてた。

皆「「「.........」」」

 

珠世「.....愈史郎」

珠世さんが怒った様子で言う。

 

愈史郎「投げたのです珠世様殴ってません」

 

珠世「どちらも駄目です」

そう言うと珠世さんは真剣な顔に戻って話し出す。

珠世「どんな傷にも病にも必ず薬や治療法があるのです。ただ、今の時点では鬼を人に戻すことはできない」

 

炭治郎「.........」

 

珠世「ですが、私たちは必ずその治療法を確立させたいと思っています。治療薬を作るためにはたくさんの鬼の血を調べる必要がある。

 

あなたにお願いしたいことは二つ.........一つ 妹さんの血を調べさせて欲しい。二つ できる限り鬼舞辻の血が濃い鬼からも血液を採取して来て欲しい。

 

禰豆子さんは今極めて稀で特殊な状態です。二年間眠り続けたとのお話でしたが、恐らくはその際体が変化している。通常それ程長い間人の血肉や獣の肉を口にできなければ、まず間違いなく凶暴化します。しかし、驚くべきことに禰豆子さんにはその症状が無い。この奇跡は今後の鍵となるでしょう。」

 

もう一つの願いは過酷なものになる...鬼舞辻の血が濃い鬼とは即ち鬼舞辻に...より近い強さを持つ鬼ということです。そのような鬼から血を()るのは容易ではありません。それでも貴方はこの願いをきいてくださいますか?」

 

炭治郎「....それ以外に道が無ければ俺はやります、珠世さんがたくさんの鬼の血を調べて薬を作ってくれるなら、禰豆子だけじゃなく、もっとたくさんの人が助かりますよね?」

 

珠世「.........そうね」

珠世さんの微笑んで言う姿を見て照れている炭治郎を愈史郎が睨む。

 

今まで黙ってたしのぶが口を開いて珠世さんに何か言おうとする。

しのぶ「珠世さん話があるんですが......」

 

その時だ、愈史郎が叫ぶ

愈史郎「!?まずい!ふせろ!!」

 

その声に合わせるように皆が伏せる。

炭治郎は禰豆子を庇うように、愈史郎は珠世さんを庇うように、そして、俺は胡蝶姉妹を庇うようにして伏せた。

 

毬が突然家の中へと入ってくる。それもとてつもない威力と速度で、だ。

 

まあ、俺にしてみれば止まっているようなものなのだが、不意をつかれたので流石の俺も焦る。

 

 

 

家の壁に空いた穴から二人の鬼が顔を覗かせる

朱紗丸「キャハハッ!矢琶羽のいうとおりじゃ。何も無かった場所に建物が現れたぞ」

 

矢琶羽「巧妙に物を隠す血鬼術が使われていたようだな。そして、鬼狩りは鬼と一緒にいるのか?どういうことじゃ?それにしても朱紗丸お前はやることが幼いというか......短絡というか...汚れたぞ。儂の着物が塵で汚れた」

 

朱紗丸「うるさいのう私の毬のお陰ですぐ見つかったのだから良いだろう?たくさん遊べるしのう。それに着物は汚れてなどおらぬ神経質めが」

 

炭治郎(毬.........!!)

 

朱紗丸「キャハハ!見つけた見つけた!」

すると次の瞬間、むちゃくちゃな投げ方で毬を投げてくる。そして、その毬は不自然な軌道で曲がり、愈史郎の頭に向かって飛んでいく。

 

なので、俺はそれをすんでのところで防ぐ。

 

──雲の呼吸 漆の型 雲散霧消──

毬を雲が包み、それを毬ごと吹き飛ばすような一振が行われる。

すると既に愈史郎の前から毬は消えていた。

 

愈史郎「毬を丸ごと消した!?」

 

朱紗丸「お前今何をしたんじゃ!?」

 

矢琶羽「彼奴があの中で一番強いようだな」

 

秋雨「フッ、さあな?」

 

朱紗丸「誤魔化すでない!!」

 

矢琶羽「まぁいいではないか、どうせ殺すのだあの男も」

 

朱紗丸「キャハハッ!それもそうじゃのう!ん?耳に飾りの鬼狩りはお前じゃのう」

 

秋雨「彼奴、お前を狙っているようだ!珠世さん達は俺や胡蝶姉妹で守る!だから炭治郎は禰豆子ちゃんと一緒に彼奴らを倒せ!出来るな?」

 

炭治郎「もちろんです!」

 

珠世「私たちのことは気にせずあなた方も戦ってください。守っていただかなくて大丈夫です。鬼ですから」

 

しのぶ「いえ、そういう訳にはいきません。あたし達も守るのが仕事ですので」

 

珠世「っ.........そこまで言われては遠慮も出来ませんね。鬼の私たちにここまで親切にしてくださってありがとうございます」

 

カナエ「しのぶも鬼の事少しは理解出来たようね」

 

しのぶ「そんなんじゃないわよ」

 

カナエ「素直じゃないんだから.........」

 

 

愈史郎が突然怒り出す。

愈史郎「俺は言いましたよね?鬼狩りに関わるのはやめましょうと、最初から!俺の目隠しの術も完璧ではないんだ!貴女にもそれはわかっていますよね!──貴女と二人で過ごす時を邪魔するものが俺は大嫌いだ!許せない!!」

 

朱紗丸「キャハハッ何か言うておる面白いのう楽しいのう!十二鬼月である私に殺されることを光栄に思うがいい!」

 

炭治郎「十二鬼月?」

 

珠世「鬼舞辻直属の配下です!」

 

朱紗丸「遊び続けよう!朝になるまで!命尽きるまで!」

朱紗丸は腕を増やして毬を投げてくる。

 

秋雨「炭治郎!この鞠は切っても無駄だ!さっき俺がやったように丸ごと粉々にする必要がある!」

 

炭治郎「そんな.....どうやれば?」

 

秋雨「愈史郎さん!炭治郎を手助けしてもらえませんか?」

 

愈史郎「おい!間抜けの鬼狩り!矢印を見れば方向がわかるんだよ!矢印をよけろ!!そうしたら毬女の頸くらい斬れるだろう!俺の視覚を貸してやる!!」

愈史郎は炭治郎の額目掛けて紙を飛ばす。

 

炭治郎「愈史郎さんありがとう!俺にも矢印見えました!禰豆子!木だ!!木の上だ!!」

そう言われた禰豆子は木の方に向かって走る。そして、跳躍して矢琶羽に蹴りを放つ。

 

炭治郎「水の呼吸 参の型 流々舞い!!」

毬を華麗に斬りながら徐々に近づいていき、遂に鬼の手前まで迫る。

そして、鬼を斬る。

 

炭治郎は原作の炭治郎よりも強くなっているため、手だけでなく脚までも斬ってしまう。

 

流石の主人公補正だ

 

炭治郎「珠世さん!この二人の鬼は鬼舞辻に近いですか!?」

 

珠世「恐らく」

 

炭治郎「では必ずこの二人から血をとってみせます!!」

 

新たな闘いの幕が開ける!




大正コソコソ噂話
俺(炭治郎)は秋雨さんから日の呼吸を使うなと言われているから、水の呼吸を使っているよ。

いかがだったでしょうか?
今回は、やっと朱紗丸達を倒すところまで進めることが出来ました。
なので、次回からは響凱との戦いに向けて話が進んで行きます。


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第拾陸話 光明の兆し

上げるのが、少し遅くなりました。すいません

今回は、戦いの描写を結構多めに入れたつもりなので、楽しんでもらえると嬉しいです。

では、本編です!どうぞ


──西暦1915年 3月6日 大正4年──

朱紗丸、矢琶羽との闘いの続き。

 

禰豆子が矢琶羽を蹴るが、矢琶羽はあっさり禰豆子を弾き飛ばしてしまう。

 

愈史郎「気をつけろ!!少しも油断するなよ!もし本当にそいつらが十二鬼月なら、まず間違いなくお前が今まで倒した奴らより手強いぞ!!」

 

炭治郎「はい!分かりました!気をつけつつ!少しも油断せず!まず倒....今まで.........はい!!頑張ります!!」

今まで倒した奴らより強いことを聞いて一瞬驚くが、とりあえず頑張ることを伝える炭治郎。

 

その後で俺は愈史郎さんにだけ話をする。

秋雨「愈史郎さん.....あいつら十二鬼月では無いと思うんです」

 

愈史郎「なぜそう言える?分かるのか?お前に」

 

秋雨「はい、下弦の参と戦ったことがあるんですが、あの鬼共からはそれ程脅威を感じないんです。それに、十二鬼月の目にあるはずの数字が無いんです。」

 

愈史郎「確かに十二鬼月にしては弱すぎるかもな」

 

珠世「ならば今の炭治郎さんでも十分に対処可能ですね」

 

秋雨「ただ、本当に十二鬼月なら鬼舞辻に近い血を採れたかもしれないのに.........」

 

珠世「それはこれから採っていくしか無いかと」

 

秋雨「そうですね.........」

 

 

 

 

朱紗丸「キャハハハハ!」

朱紗丸はすぐに再生して、次の攻撃の準備に入る。

 

そこを炭治郎が攻撃しようとすると吹き飛ばされた禰豆子が炭治郎の方に飛んでくる。

 

炭治郎「!!」

炭治郎はそれをしっかりと受け止めるが、それでできた隙を朱紗丸が狙って攻撃しようとする。

 

朱紗丸「さぁ死ね!!」

毬を飛ばしてくるので、それを炭治郎は難なく避ける。

 

愈史郎「鬼狩り!!お前はまず矢印の男をやれ!!毬の女は俺たちと妹で引き受ける!」

 

炭治郎「.........!!わかりました!!禰豆子.........絶対に無茶をするなよ」

禰豆子はサッと立ち上がり朱紗丸の方へ、炭治郎は矢琶羽の方へ互いに走り出す。

 

炭治郎(見えた!!隙の糸!!)

 

その瞬間

矢琶羽「何という薄汚い子供じゃ。儂の傍に寄るな」

矢琶羽がそう言うと、隙の糸が切れる。

 

 

そして、矢印の方向へ引っ張られ炭治郎が縦横無尽に叩きつけられる

.........ことは無かった

 

秋雨「炭治郎!!型を使え!!何でもいい!!」

炭治郎はしっかりと聞き取り、型を使い即座に回避する。

 

炭治郎「助かりました!!」

 

秋雨「俺は炭治郎が本当に危ない時にしか指示は出さないから、ここからは自分で考えて戦え」

 

炭治郎「はい!!」

 

矢琶羽「朱紗丸よ、そちらにいるのは逃れ者の珠世ではないか。これはいい手土産じゃ」

 

朱紗丸「そうかえ!」

朱紗丸は話しながらも禰豆子や珠世さん達の方に毬を投げる。

珠世さんや愈史郎はしのぶとカナエさんが守っている。

なので、俺は禰豆子の援護をする。

禰豆子は飛んで来た毬を躱すが、原作通り毬を蹴ろうとするので、俺がそれを阻止する。

 

秋雨「雲の呼吸 陸の型 雲散霧消」

毬を最初に斬った時と同じように丸ごと消す。

 

秋雨「禰豆子ちゃん、後は出来るか?」

禰豆子が秋雨に頷く。

 

朱紗丸「邪魔をしおって!矢琶羽!頸は全員持ち帰れば良いのかの?」

 

矢琶羽は土埃を払いながら返事する

矢琶羽「違う、逃れ者と鬼狩り共だけだ。他はいらぬ」

 

炭治郎「.........!!」

再び炭治郎に向かって数多の矢印が襲う。

避けていたが遂に炭治郎に当たる。

 

矢琶羽「全てが儂の思う方向じゃ!腕がねじ切れるぞ!」

炭治郎は矢印と同じ方向に回転しながらよける。

 

炭治郎(このまま攻撃され続けるとまずい!!反撃しなければ.........直接触れないようにあの矢印の向きを変えるんだ)

 

そして、炭治郎は技を出して矢印を無効化して矢琶羽に攻撃する。

炭治郎「ねじれ渦・流々」

まず矢印を巻きとり、その勢いのまま炭治郎は刀を振る。

 

炭治郎「弐の型・改 横水車!!」

特に問題なく矢琶羽の頸を斬る。

 

しかし、原作ではこのあと、矢琶羽が炭治郎を道づれにしようと矢印で攻撃するはずだったので俺は炭治郎に向かって忠告する。

 

秋雨「炭治郎!!そいつお前を道づれにする気だ!!速くそいつを倒せ!!」

 

 

炭治郎「!!.........水の呼吸 拾壱の型 渦潮!!」

炭治郎は、体と頭を丸々消し去るための型を出す。

次の瞬間炭治郎が刀を一振すると刀から渦が発生する。そして、周りの空気を強靭な刃へと変えながらその渦は進み、鬼を丸ごと吸い込むようにして渦が攫っていく。

 

そう、これは俺が考えた型なのだが、あらゆる状況に備えて教えておいた。そして、まさに今役に立ったという訳だ。

 

炭治郎「はぁ...はぁ...秋雨さんの型、役に立ちましたよ!」

刀を掲げながら炭治郎が叫ぶ

 

秋雨「ああ!よくやったぞ炭治郎!」

 

一方、禰豆子の方はというと.........

先程の一撃でどういう攻撃か見抜いたのか、禰豆子は毬を蹴り返せるようになっていた。

 

朱紗丸は真下に毬を弾ませて、それを禰豆子に向けて蹴る。

それを禰豆子が蹴り返し、更にそれを朱紗丸が蹴り返す。そうした蹴り合いの末に朱紗丸は蹴毬をやめて、手を使い全力投球してくる。

 

だが、禰豆子は足で受け止めてそれよりも速く返す。

すると毬が朱紗丸の顔の横を通り過ぎて塀に当たる。

 

 

 

朱紗丸「おもしろい娘じゃ!今度はこちらも全力で毬を投げてくれようぞ!」

そこに炭治郎が割り込む。

 

炭治郎「待て!今度は俺が相手になる!」

 

朱紗丸「儂はそちらの娘と戦いたかったのだがのう.........矢琶羽を倒した鬼狩りと戦う。まぁ、それもまた一興じゃ!」

また朱紗丸が毬を投げてくるので、炭治郎がすかさず斬る。

そして、矢琶羽が死んだことにより、毬は一度斬ればそこで落ちる。

 

朱紗丸「くっ!貴様ぁっ!」

 

炭治郎「これで終わりだ!水の呼吸 壱の型水面斬り!!」

遂に炭治郎の攻撃が朱紗丸へと届き、朱紗丸の頸が斬れる。

 

珠世「炭治郎さん!これを!」

珠世さんが炭治郎に向けて注射器を投げる。

珠世「それで鬼から血を採って下さい。」

 

炭治郎「分かりました!」

炭治郎はまだ残っている鬼の体に注射器を射し、血が採れたものを珠世さんに渡す。

 

珠世「ありがとうございます。私は禰豆子さんを診ます。先程の戦いで怪我した部分があるかもしれないので」

 

 

朱紗丸の居た方から声がする。

朱紗丸「ま....り....ま....り」

そんな朱紗丸に炭治郎はまだある毬を朱紗丸のいた所まで持っていく。

炭治郎「.....毬だよ」

 

朱紗丸「遊.........ぼ....あそ....」

もう一度言いかけたところで消えてしまう。

 

炭治郎「.........」

炭治郎は悲しそうな顔になる。

そんな炭治郎にしのぶが声をかける。

しのぶ「炭治郎くんは本当に鬼に優しいんですね.........」

 

炭治郎「いえ....そんなこと...。」

 

 

遠くから見守っている俺達もその様子を見ながら思う

カナエ「しのぶも少し鬼に優しくなった見たいね」

 

秋雨「そうみたいだな」

 

 

しばらくして禰豆子の診察が終わり、珠代さんとの別れの挨拶をする。

 

珠世「私たちはこの土地を去ります。鬼舞辻に近づきすぎました。早く身を隠さなければ危険な状況です。それに上手く隠しているつもりでも医者として人と関わりを持てば鬼だと気づかれる時がある。特に子供や年配の方は鋭いです。炭治郎さん」

 

炭治郎さん」

 

炭治郎「はい!?」

 

珠世「禰豆子さんは私たちがお預かりしましょうか?」

 

炭治郎「えっ」

 

珠世「絶対に安全とは言いきれませんが、戦いの場に連れて行くよりは危険が少ないかと」

 

炭治郎「.........」

炭治郎が悩んでいると禰豆子が炭治郎の手を強く握る。

炭治郎「!!」

禰豆子の意思を感じ取ったのか炭治郎はその手を握り返し、珠世さんに言葉を返す。

 

炭治郎「ありがとうございます。でも俺たちは一緒に行きます。離れ離れにはなりません。一生」

 

珠世「.........わかりました。では武運長久を祈ります。」

 

愈史郎「じゃあな....俺たちは痕跡を消してから行く。お前らももう行け」

 

炭治郎「あっはい。じゃあ....日が差してるし、箱を」

 

愈史郎「炭治郎、お前の妹は美人だよ」

最初に醜女と言ったことを撤回するように愈史郎さんは言った。

 

そして、去る前に珠世さんにしのぶが先程話そうとしていたことを伝える。

 

しのぶ「珠世さん」

 

珠世「はい。どうされましたか?」

 

しのぶ「私、鬼狩りと共に医者としても活動していまして、薬を作れるのですが、禰豆子さんを人間に戻すための薬を作るお手伝いが出来ないものかと思ったのですが...先程この話をしようとしたところ鬼が来たもので.........」

 

珠世「なるほど、それで手伝いというのは?」

 

しのぶ「はい、珠世さんの作る薬に合う材料を、私の方から届けられないものかと考えていたのです。そうすることで、禰豆子さんをより速く人間に戻すきっかけになるでしょうから」

 

珠世「私一人ではやりにくい部分もあるので助かります。ですが、どのように届けるつもりで?」

 

しのぶ「その点なんですが、次の隠れ場所まで、私の鎹鴉を着けさせてくれませんか?」

 

愈史郎「駄目だ!そんなことしたら、また鬼に場所が分かってしまうだろ」

 

珠世「愈史郎!静かにしてなさい」

 

愈史郎「はい!!」

 

珠世「構いませんよ。今は禰豆子さんを治すことが第一ですから」

 

しのぶ「ありがとうございます」

 

カナエ「しのぶも変わったわね」

 

しのぶ「禰豆子さんじゃなかったら私もこんなこと頼んでないわよ」

 

秋雨「まあ何であれ、禰豆子のこと気にかけてくれてるんだ。ありがたいよ」

 

しのぶ「秋雨さんまで、どうしたんですか?」

 

秋雨「本心を言ったまでだよ」

 

しのぶ「そうですか.........」

 

愈史郎「おい、もう用が済んだなら行け」

 

皆「はい」

 

俺たちは珠世さんの居た家を出て、次の任務先へと向かう。




大正コソコソ噂話
愈史郎さんは誰が珠世さんと仲良くしていようと嫉妬するよ

いかがだったでしょうか?
今回は朱紗丸と矢琶羽の戦いが遂に終わりを迎えました。
次からは、響凱との戦いに入っていきます。
お楽しみに!!


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第拾漆話 戦友

今回は、秋雨やしのぶ、カナエさんが新たに混ざることで原作からほんの少しだけ変わります。
改変と言えるほどの違いはありませんが、読んでもらえると嬉しいです。

では、本編です!どうぞ!


──西暦1915年 4月3日 大正4年──

珠世さん達に会ったり、朱紗丸、矢琶羽の二人と戦うなどの出来事があった後。

俺たちは、次の任務のために南南東に向かっていた。

かなり遠い場所のため、宿を取るなどしながら長い時間をかけて行く。

そして、途中で遭遇した鬼を倒したりもした。

 

しばらく歩いていると前方から汚い高音が聞こえる。

俺はこの声の主を知っている。善逸だ。

 

善逸「頼むよ!!頼む 頼む 頼む!!結婚してくれ!いつ死ぬかわからないんだ俺は!!だから結婚してほしいというわけで!!頼むよォーーーーッ」

道の真ん中で女性に縋り付きながら叫んでいる。その女性が目に見えて嫌がっているのが分かる。

 

炭治郎「何だ?」

鴉も叫んでいる

炭治郎の鴉「カァアーッ!」

 

しのぶ「何ですか?あれ」

 

カナエ「何?」

 

秋雨「善逸!」

 

しのぶ「知り合いなんですか?」

 

秋雨「炭治郎の同期だ」

ちゅん太郎がこちらへ飛んで来て炭治郎に説明するために鳴いた。

ちゅん太郎「チュン!チュン!(ずっとあの調子なんです!止めて下さい!)」

炭治郎はチュン太郎の言葉をすぐに理解して善逸を止めに行く。

炭治郎「そうか分かった!何とかするから!」

 

善逸「助けてくれ!!結婚してくれ!」

炭治郎に服を無理やり引っ張られて女性から引き離される善逸。

 

炭治郎「何してるんだ!道の真ん中で!その子は嫌がっているだろう!!そして雀を困らせるな!!」

 

善逸「隊服!お前は最終選別の時の...」

 

炭治郎「お前みたいな奴は知人に存在しない!知らん!!」

 

善逸「えーーーーーーっ!!会っただろうが!会っただろうが!お前の問題だよ!記憶力のさ!」

 

炭治郎「さぁもう家に帰ってください」

 

女の子「ありがとうございます」

 

善逸「おいーーーーっ!!その子は俺と結婚するんだ!俺のこと好きなんだから!」

女性は遂に堪忍袋の緒が切れたという様子で善逸を滅多打ちにする。

流石にやばいと思ったのか炭治郎が止める。

 

炭治郎「落ちついて」

 

善逸「うわぁぁん!!」

 

女の子「いつ私があなたを好きだと言いましたか!!具合が悪そうに道端でうずくまっていたから声をかけただけでしょう!!」

 

善逸「俺のこと好きだから心配して声かけてくれたんじゃないの!?」

そして、女性が去ろうとする。

 

善逸「待って!!待っ...なんで邪魔するんだよ!!」

 

炭治郎が蔑むような顔で善逸を見る。俺達も白い目で見ていた。

しのぶ「.........」

 

カナエ「色々と酷いわね.........」

 

秋雨「善逸.........」

 

善逸「何なんだよ!その顔!!あんたらもやめろーっ!!なんでそんな別の生き物見るような目で俺を見てんだ!」

炭治郎は何も言わない。

善逸「お前責任とれよ!!お前のせいで結婚出来なかったんだから!」

まだ皆がそのままなので善逸が怒る。

善逸「何か喋れよ!!俺はもうすぐ死ぬ!!次の仕事でだ!!俺はな!もの凄く弱いんだぜ!舐めるなよ!俺が結婚できるまでお前は俺を守れよな!」

 

炭治郎「俺の名は竈門炭治郎だ!!」

 

善逸「そうかい!!ごめんなさいね!俺は我妻善逸だよ!助けてくれよ炭治郎!」

俺はそのやり取りを見て内心笑いそうになる。

 

自己紹介が済んで、善逸が今までの経緯を説明する。

会話しているうちにデッドヒートしだしたのか、善逸が再び叫び出すので、炭治郎が少し宥めてから、歩き出す。

 

しのぶ「もう二度と道にいる女性に縋り付くのはやめましょうね」

 

善逸「ぐっ!」

 

カナエ「善逸くん、あれは駄目だと思うわ」

 

善逸「うっ!」

 

秋雨「流石にこれは庇い切れんわ。ごめん」

 

善逸「秋雨さんまで!?」

 

鋭い言葉の矢が次々と善逸を射る。

 

炭治郎「善逸の気持ちも分かるが雀を困らせたらダメだ」

 

善逸「えっ...困ってた?雀?なんでわかるんだ?」

炭治郎が雀の言っていた事を翻訳して伝える。

 

しのぶ「炭治郎くんは本当に分かるんですか?」

 

炭治郎「はい」

 

カナエ「嘘じゃないよね?」

 

炭治郎「嘘じゃないです!」キリッ

 

秋雨「まじで?」

 

炭治郎「はい」

すると善逸が俺たちの言った事をまとめて炭治郎に聞いた。

 

善逸「マジで言ってんの!?鳥の言葉が分かるのかよ!?」

 

炭治郎「うん」

 

善逸「嘘だろ!?俺を騙そうとしてるだろ!?」

 

その時、炭治郎の鴉が鳴いて次の指令を出すので、善逸含む全員で一緒にその場所へと向かう。

 

 

 

 

 

 

──そして、一軒の屋敷に着く。

炭治郎「血の匂いがするな...でもこの匂いは...ちょっと今まで嗅いだことがない」

 

善逸「それより何か音しないか?あとやっぱり俺たち共同で仕事するのかな?」

 

炭治郎「音?」

 

カナエ「私は何も感じないけど?」

 

しのぶ「私もです」

 

秋雨「俺も嫌な感じはするが匂いや音は分からないな」

 

炭治郎「!!」

そうしていると、炭治郎が何かに気づいたのか木々のある方へ目を向ける。

 

そこには怯えている正一くんとてる子ちゃんがいたので、炭治郎がどうしたのか聞く?

 

炭治郎「こんなところで何してるんだ?」

しかしまだ怯えたままなので、善逸の雀を取り出して見せる。

すると少し安堵した様子になったので、炭治郎が話を聞き出す。

炭治郎「何かあったのか?そこは二人の家?」

 

正一「ちがう...ちがう...ばっ...化け物の家だ...」

 

しのぶ「化け物の家?」

 

正一「うん。兄ちゃんが連れてかれた。夜道を歩いてたら、俺達には目もくれないで兄ちゃんだけ...」

 

炭治郎「あの家の中に入ったんだな?」

 

正一「うん...うん...」

 

炭治郎「二人で後をつけたのか?えらいぞ。頑張ったな」

 

正一「.........うう.......兄ちゃんの血の痕を辿ったんだ。怪我したから......」

 

炭治郎「大丈夫だ。俺たちが悪い奴を倒して兄ちゃんを助ける」

 

てる子「ほんと?ほんとに....?」

 

炭治郎「うん、きっと...」

 

秋雨「きっとじゃない。絶対だ」

 

炭治郎「そうですね....」

 

善逸「皆、なぁこの音何なんだ?気持ち悪い音.......ずっと聞こえるんですけど、鼓か?これ....」

 

カナエ「音なんか聞こえないよ?」

 

炭治郎「音なんて.........」

 

その時、家の二階から突然血だらけの男性が飛び出てきた。

それを間一髪のところで俺が受け止める。

 

炭治郎「秋雨さん!その人は無事ですか?」

 

秋雨「大分怪我をしているが、死ぬことは無いと思う」

 

炭治郎「はぁ.........良かった」

炭治郎が安心して息をつく

 

男性「あ....ありがとう」

 

秋雨「いえいえ」

 

 

 

次の瞬間、屋敷の中から雄叫びが外に響く。

 

秋雨「しのぶ!カナエさん!この人のこと頼んでもいいですか?」

 

しのぶ「もちろんです!」

 

カナエ「秋雨くんはどうするの?」

 

秋雨「正一くん!この人は君の兄さん?」

 

正一「に..兄ちゃんじゃない.........兄ちゃんは柿色の着物着てる.........」

 

秋雨「そうか.........ありがとう!カナエさん、俺と炭治郎と善逸の三人で必ずこの子たちの兄を助け出します!」

 

カナエ「分かったわ」

 

善逸「えっ!?俺も!?」

 

炭治郎「善逸!!行こう!」

善逸は嫌そうな顔で首を横に振る

それに対して、炭治郎は般若のような顔をして

炭治郎「そうか、わかった」

と言うので、善逸は急いで、行くと口に出す。

 

炭治郎が正一くん達の方に近づき、禰豆子の入っている箱を置く。

炭治郎「もしもの時のためにこの箱を置いていく。何かあってもこのお姉さん達と一緒に二人を守ってくれるから」

 

 

 

 

 

 

そして、俺、炭治郎とまだ怯えている善逸の三人で屋敷に入る。

──屋敷の中

善逸「炭治郎、.....なぁ炭治郎守ってくれるよな?」

 

炭治郎「ああ、俺も守るし、いざとなったら秋雨さんも守ってくれるはずだから安心して戦おう」

 

善逸「えっ!?だから俺戦え無いって言ってるじゃん!!無理だよー!やっぱり俺ここで死ぬんだーーーーっ!」

 

炭治郎「善逸静かにするんだ。お前は大丈夫だ」

 

善逸「気休めはよせよォーッ!!」

突然、床の軋む音が屋敷に鳴り響く。

耳が人一倍良い善逸はその音に真っ先に驚いた。

 

善逸「キャアアア!!」

善逸の尻が炭治郎に当たる。

 

善逸「あっ!ごめん.........尻が」

その時屋敷中に鼓の音が響き渡る。そして、その音に合わせて部屋が変わる。

 

炭治郎が一人で飛ばされ、俺は善逸と二人まとめて部屋に飛ばされる。

 

 

─炭治郎side─

炭治郎(部屋が変わった!!いや俺が移動したのか?鼓の音に合わせて)

すると部屋の前を鼓をたくさんつけた鬼が通り過ぎようとする。

 

炭治郎はいくつかの匂いの中でもこの屋敷に染みついたきつい匂いだと気付き、この鬼が屋敷の主だと分かる。

 

─ 一方、俺と善逸─

善逸「もう何なの!?炭治郎とははぐれるし、やっぱり俺死ぬ死ぬ死ぬ!こんなん死ぬわ!先輩が守ってくれたところで結局死ぬわ!!」

 

秋雨「落ち着けって!大声出したら鬼に居場所バレるだろ!!」

 

善逸「はっ!ヤバいヤバいこれ絶対見つかるじゃん!!」

 

秋雨「し〜.........

俺は人差し指を立てながら、静かにするようにジェスチャーをする。

 

善逸「あっ!.........

慌てて口を塞ぐ善逸

 

俺に着いてくるように善逸に手で誘う

そして、極力音を立てないように気をつけながら進む。

しばらく進んだところに襖があるので、そっと開ける。

そこに居たのは伊之助だった。しかし、凄くやばい雰囲気を放っており、思わずサッと閉めた。

 

伊之助「ふしゅうううう」

まるで猪のような声を出していて、人とは思えないような物体がそこに居る。

 

秋雨「あっ........失礼しましたー.........」

 

善逸「えっ!?今なんか居たよね!?見間違いじゃないよね?」

 

俺は襖に背をつけて、張り付くように隠れる。そして、それを真似して善逸も襖に背をつけて隠れる。

 

その瞬間、襖が勢いよく音を立てて開き、颯爽と伊之助が走って行く。

 

秋雨「はぁ.........ビックリしたわー!」

 

善逸「あれ人間!?鬼!?いや、どっちでも無かったですよね!?」

 

秋雨「いや、気配は人間だった。多分人間だ」

 

善逸「人間なの!?尚更ヤバいじゃん!!ある意味鬼より恐いよ!!」

 

 

 

──炭治郎side──

鼓を沢山つけた鬼─響凱がブツブツと喋りながら部屋の前を通り過ぎようとしている。

 

響凱「──あいつめ.....あいつらめ!」

 

不意打ちをする絶好の機会なのだが、そんなことが出来ない男、炭治郎は馬鹿正直に宣言してから斬り掛かる。

 

炭治郎「俺は鬼殺隊!階級・癸!!竈門炭治郎だ!今からお前を斬る!」

 

斬る直前で響凱は鼓を叩く。

すると部屋が回転し出す。炭治郎は壁にしゃがみながら、手足を強くついて倒れないようにして即座に対応する。

 

炭治郎(畳が側面にある...部屋が回転したんだ!これがこの鬼の血鬼術!屋敷全てが鬼の縄張り...!!)

 

そこに猪の被り物をした日輪刀を二つ持った上裸の男が、障子を突き破って入ってくる。

 

 

 

今、響凱との戦いが本格的に始まろうとしていた




大正コソコソ噂話
秋雨さんは直感で危機回避能力を補っているよ

いかがだったでしょうか?
今回は、いよいよ善逸や伊之助と出会うことが出来ましたね。
次回からはいよいよ響凱との戦いが展開されてきます

お楽しみに!


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第拾捌話 鬼の蔓延る屋敷

すみません、上げるのが遅くなりました。
今回は戦いの描写を結構頑張ったつもりです。
なので、そこを楽しんでもらえたらと思います。

では、本編です!どうぞ!


──西暦1915年 4月3日 大正4年──

響凱と炭治郎が戦っているところに突如として猪の皮を被った男が現れた。

伊之助「さァ化け物!!屍を晒して、俺がより強くなるため!より高く行くための!踏み台となれェ!!」

そう言うと、伊之助は畳を勢いよく蹴って攻撃態勢に入る。

すると響凱はまたブツブツと喋りながら鼓を叩く。

そして、部屋が回り、伊之助は炭治郎を踏み台にして勢いをつけて鬼に向かって行く。

 

炭治郎「そいつは異能の鬼だ!!無闇矢鱈に斬り掛かるのはよせ!!」

また部屋が回る。

 

伊之助「アハハハハハ!ハハハハハ!!部屋がぐるぐる回ったぞ!面白いぜ!面白いぜェ!!」

そこにまた響凱はブツブツと喋って鼓を鳴らす。

だが、先程とは違い獣の爪が襲うように真空刃が炭治郎達を襲った。

それを二方共器用に躱す。

 

炭治郎「.........!!」

 

伊之助「いいねェ!いいねェ!アハハハァ!」

段々と鼓を叩くのが速くなっていく。

炭治郎はどの鼓にどんな効果があるのか理解してきた頃、また部屋が変わる。

 

炭治郎「!!」

今居る部屋から廊下へと出ると、また人が喰い散らかされている。なので、違う道を使って行く。

そして、死骸とは違う匂いのする部屋を見つけ、勢いよく開ける。

 

── 一方、俺と善逸──

しばらく歩いていたのだが...。

善逸「はぁ......はぁ....はぁ」

善逸の息づかいが荒いので注意するべく声をかける。

秋雨「善逸.........」

 

善逸「ヒャーッ!!ウォ!!ウォォォォッ!!」

善逸が叫び出して俺に訴えるように話してくる。

善逸「合図 合図 合図.........合図をしてくださいよ!話しかけるなら急にこなくてもいいでしょ!心臓が口から飛び出る所でしたよ!もしそうなってたらあんた確実に人殺しだからな!!わかるか!?」

 

秋雨「なんか.........すまん。ただ、ちょっと汗・息・震えが酷すぎて.........」

 

善逸「ああ、そうですか!!俺だって精一杯頑張ってるんですけどね!!」

 

秋雨「いや悪いんだが、こっちまで不安になるというか.........」

 

善逸「それは、すいませんね!!でもね!でもね!?あんまり喋ったりしてると鬼とかにホラ!!見つかるかもしれないでしょ!?だから極力静かにした方がいいと思うんです!俺は!どう!?」

善逸が叫んでいると、建物と床にできてる隙間から鬼の声が聞こえてくる。

 

善逸「ほら御覧!!出たじゃない!出たじゃない!!」

 

秋雨「いや、お前のせいだろ!?とにかく、ここじゃ戦いにくい!走るぞ!」

 

善逸「アーッ!!来ないでェ!!来ないでくれェやめてーッ!!!おおおお美味しくない!!きっと美味しくないよ俺!真面目な話を!その人は鍛えすぎてるから硬すぎて不味いから!!」

 

秋雨「なっ!善逸後で覚えとけよ!」

 

善逸「すいません!!こう言うしか無かったんです!!」

 

鬼「喰ってみねえとわかんねぇだろォ」

そう言って鬼が舌を伸ばしてきて、水瓶を割る。

 

善逸「何それ舌速ァ!!水瓶パカッて.........ありえないんですけど!!」

善逸が倒れるので俺が声をかける

秋雨「善逸立て!!」

 

善逸「はあああ!!膝にきてる恐怖が八割膝に!!おおおお俺のことは置いて逃げて下さい」

 

秋雨「そんなこと出来るかよ!先輩が逃げたら示しがつかねえだろ!」

 

善逸(なんて良い人なんだ!この人を信じて正解だった!)

 

秋雨「いざとなれば俺が守る。だからお前の力を俺に見せてくれ!」

 

善逸「そんな!俺に力なんて!?」

 

鬼が這いずって近づいてくる。

鬼「ぐひひっ!お前の脳髄を耳からぢゅるりと啜ってやるぞォ」

 

次の瞬間、善逸は失神して、眠りに入る。

秋雨「フッ.........お前はもう終わりだよ」

俺は鬼に向けてそう告げる

 

鬼「はぁ?なんだそいつは!ぐひゃは!!死ね!!」

鬼が俺達に向けて舌を伸ばしてくる。

 

秋雨「善逸.........そろそろ起きろよ」

俺がそう声に出したその時、善逸は仰向けになった状態から素早く刀を抜いて鬼の舌を斬った。善逸が、すうっとゆっくり立ち上がる。

 

鬼「──!!」

 

そして、善逸は型を構え、研ぎ澄まされた呼吸を口から音を出して吐く。

鬼はその別人かのような変わり様に驚き目を見開き、冷や汗を流している。

 

善逸「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」

そう口に出した瞬間、そこに雷が落ちたかのような音が鳴り響き、鬼が気づいた時には鬼の頸は既に斬れていた。

 

しかし、倒したと同時に善逸は目を覚ましたので、善逸は酷く驚く。

善逸「急に死んでるよ!何なの!?もうヤダ!!もしかして、これ秋雨さんが.........」

 

秋雨「違う。そいつは善逸が斬ったものだ」

 

善逸「へっ!?嘘でしょ!?俺そんな力無いよ?」

 

秋雨「お前は気づいてないだけだ。実際、失神してる時に人が変わるように起き上がり、型を使い鬼を斬った 」

 

善逸「そうなことありえるの?」

 

秋雨「ああ、そろそろ行こうか」

強引に話を切って立ち上がる。

 

善逸「待ってよ!その話詳しくっ!」

 

──その頃炭治郎は──

清「!!」

いきなり入ってきた炭治郎の存在に思わず驚き、鼓を叩こうとするが炭治郎が止める。

 

炭治郎「待って!!」

するとてる子たちの兄、清は鼓を叩くのをすんでのところで止めた。

 

清「あなたは.........」

 

炭治郎「俺は竈門炭治郎、悪い鬼を倒しに来た。さぁ傷を見せて。独りでよく頑張ったな」

そして、炭治郎は予め持っていた薬を清に塗る。

炭治郎「よしできた!痛みが引いたろ?」

 

清「うん.........」

 

炭治郎「ここで何があったか話せるか?」

清はここで起きたことを事細かに説明した。

そこで、炭治郎は初めて稀血について知る。

 

炭治郎「俺はこの部屋を出る」

 

清「えっ!」

 

炭治郎「落ち着いて大丈夫だ。鬼を倒しに行ってくるから。俺が部屋を出たらすぐ鼓を打って移動しろ。

 

今まで清がしてきたように誰かが戸を開けようとしたり物音がしたら、間髪入れずに鼓を打って逃げるんだ。

 

俺は必ず迎えに来る清の匂いを辿って....。戸を開ける時は名前を呼ぶから.........もう少しだけ頑張るんだ。.........できるな?」

 

それに対して、清は何も言わずに頷いた。

 

炭治郎「えらい!強いな!行ってくる!」

炭治郎は勢いよく走り出すと同時に鼓を叩くように清に伝えて部屋を出る。

そして、再び響凱の元へと現れる。

 

炭治郎は鼓の観察をよくしながら戦う。部屋の回転に上手く対応して爪の攻撃を躱す。

 

炭治郎「秋雨さんの修行に比べれば.........っ!!(ぐうう〜!!回転と攻撃の回数が多い!!)」

秋雨のした重りの修行は炭治郎にとってかなり糧になっていた。

しかし、いくら修行しても、経験が少なくカバー出来ない部分もあった。

原作のように骨は折れてはないものの打開策が無いのは原作と変わらなかった。

 

その時、炭治郎は鱗滝さんの言葉を思い出す。

鱗滝『水はどんな形にもなれる。升に入れば四角く、瓶に入れば丸く、時には岩すら砕いてどこまでも流れていく』

 

炭治郎(そうだ...そうだ!!水の呼吸は拾種類の型がある!どんな敵とも戦えるんだ!どんな形にもなれる!!決して流れは止まらない!!真っ直ぐに前を向け!!己を鼓舞しろ!!)

 

炭治郎「頑張れ炭治郎!頑張れ!!俺は今までよくやってきた!!俺はできる奴だ!!そして今日も!!これからも!!俺が挫けることは絶対に無い!!」

 

響凱は今、自分の過去を振り返っていた。そして、その過去を思い返し、怒りが湧いていた。

 

響凱「消えろ!虫けら共!!」

─尚速 鼓打ち──

響凱は今までと比べ物にならないほど速く鼓を叩いた。

 

原作より強くなったと言っても、一が十になったわけではなく、一が三になったと言えるくらいなので、少し成長が早まったくらいなのだ。

なので、炭治郎もすぐには対応出来ずに、一撃を喰らってしまう。

炭治郎(.........!!)

その時だ。攻撃により生じた風で、響凱の書いた小説が炭治郎の前にひらりと舞い落ちる。

 

炭治郎「!!」

そして、炭治郎はその小説を踏まないように脚を畳につけて攻撃を避ける、

炭治郎は小説を踏まないように避けたことで、少し冷静になることができていた。

 

冷静になれたことで、感覚も研ぎ澄まされて、爪の攻撃の前にするカビのような匂いにも気づくことが出来た。それを踏まえた上で炭治郎は次の攻撃に移る。

 

──全集中・水の呼吸 玖の型 水流飛沫・乱──

炭治郎は回転に身を任せるように流れるように響凱の懐へと入り込み、隙の糸に向かって刃を振るった。

 

炭治郎「君の血鬼術は凄かった!!」

炭治郎は今まで戦っていた鬼を褒めるように言って斬った。

 

響凱「小僧.........答えろ.........」

 

炭治郎「!?」

 

響凱「小生の...血鬼術は.....凄いか.........」

 

炭治郎「.........凄かった。でも、人を殺したことは許さない」

 

響凱「.........そうか」

響凱は自分のした事を後悔するかのように最後にそう言って消えていった。

 

 

 

その後炭治郎は急いで清の待つ部屋へと行くと勢いよく戸を開けて叫ぶ。

炭治郎「清!!」

 

清「うわぁーっ!」

清は近くにあった物を手当たり次第に炭治郎に投げつけた。

 

炭治郎「なんで物を投げつけるんだ!」

 

清「たっ炭治郎さん。ごめんなさい鼓が消えちゃって混乱して.........」

 

炭治郎「さ、外に出よう」

怪我をしている清を背負いながら入口へと向かう。

 

炭治郎「あっ、善逸と秋雨さんの匂いがする。外に出てるな二人共無事みたいで安心した.........」

 

炭治郎(なんだ?外が騒がしい)

 

──炭治郎が来る少し前──

俺と善逸は炭治郎より一足先に外へと出ていた。

そのすぐ後を追って伊之助も出てきた。

そして、禰豆子の存在に気づいたのか、伊之助が急に声を上げる。

 

伊之助「おい!その箱の中に居るのは鬼じゃねえのか?なんで倒さねえ?」

 

しのぶ「誰ですか?あなたは.........」

 

カナエ「先に名乗りなさい」

 

伊之助「そんなことどうでも良い!倒さねぇなら俺が倒す!!どけ!!」

伊之助は躊躇いもなくカナエさん達を蹴り飛ばす。

 

秋雨「おい!おまえ」

 

善逸「貴様アアアァ!!この方々に!今何をした!!」

 

伊之助「ああん?邪魔だから蹴っ」

伊之助が言い終わる前には善逸が殴っていた。ミシッという音がしたのは気のせいだろうか.........

 

 

流石、女性には目の無い善逸だ。かくいう俺も黙ってはいなかった。

 

秋雨「善逸!」

 

善逸「あっ、すいませんっ!!つい手が.........」

 

秋雨「よくやった!!後は俺に任せとけ!!」

 

善逸「えっ!?良いの!?」

 

伊之助「てめぇいきなり何しやが.........っぐは!!」

 

善逸に続いて俺も殴る。

 

伊之助「強えぇ.........こいつ強えぇ!!おい!お前俺と戦え!!」

 

──今に至る──

炭治郎は、衝撃的な画を目にする。

 

炭治郎「えっ!?秋雨さん何やってるんですか!?」

 

秋雨「こいつが禰豆子を殺そうとして、箱を守っていたしのぶやカナエさんを蹴ったからこうした」

 

炭治郎「隊員同士で戦うのは御法度じゃないんですか?」

 

秋雨「これは正当防衛だから良いんだよ!」

 

伊之助「早く戦え!」

 

秋雨「言われなくてもやってやるよ!」

 

しのぶ「ちょっ!!......秋雨さん!」

 

カナエ「秋雨くん!?」

 

伊之助が殴りかかってくるので、俺はそれに対して、左手で技を逸らして右手で腹めがけてボディブローをかます。そして、隙を与えないように続けて頭に蹴りを放つ。

 

伊之助「グゥっ!.........」

 

伊之助もそれに応じて、身を極限まで屈んで突きをしてくる。なので、それを俺は下段突をして攻撃を受ける。

 

そして、原作だと炭治郎は伊之助よりも低く低く攻撃をしようとして相手のペースに持ち込まれていたはずなので、同じミスをしないように気をつける。

 

伊之助は回し蹴りをしてきたので、それを俺は脇で挟んで脛を肘打ちする。

伊之助は耐えられずに脚の力を緩めた。

 

そして、低く攻撃するのを諦めて中段突きをしてくるのでそれを掴んで、伊之助の肘を無理やり曲げさせて、後ろに回して拘束する。警察などがよくやるような押さえ方だ。

 

これで懲りたかと思ったのだが、まだ懲りてないようで伊之助がまた戦えと騒ぎ出すので、炭治郎が頭突きをした。

 

炭治郎「ちょっと落ち着けェ!!」

 

とんでもない音がしたが大丈夫だろうか...。

 

あまりの衝撃に伊之助がよろつき、猪の皮の被り物がとれる。

そして、伊之助の女性顔負けの整った顔が露わになる。

 

善逸「えっ!?女!? 顔...!!」

善逸はまさかこんな美形が入っているとは思わなかったのか、凄い驚く。

 

実際に見るのは初めてなので、俺も内心は驚いていた。

伊之助が女だったら惚れてたところだろう。

 

伊之助「何だコラ...俺の顔に文句でもあんのか.........!?」

 

炭治郎「君の顔に文句はない!!こぢんまりしていて色白でいいんじゃないかと思う!!」

 

伊之助「殺すぞテメェ!!かかって来い!!」

 

炭治郎「駄目だもうかかって行かない!!

 

伊之助「もう一発頭突いてみろ!!」

 

炭治郎「もうしない!!君はちょっと座れ!大丈夫か!」

 

伊之助「おい!でこっぱち!!俺の名を教えてやる!嘴平伊之助だ!覚えておけ!!」

 

炭治郎「どういう字を書くんだ!」

 

伊之助「字!?じっ.........俺は読み書きができねえんだよ!名前はふんどしに書いてあるけどな.........」

 

善逸「!!」

 

正一「止まった.........」

伊之助は言い終わる前に脳震盪を起こして倒れた。

 

そして、そのあとで炭治郎はしのぶさんとカナエさんにこっぴどく叱られた。

もちろん俺が一番叱られたが.........

 

 

 

何はともあれ無事に響凱を倒すことが出来たので安心した。




大正コソコソ噂話
善逸が殴った時伊之助の肋が折れているよ

いかがだったでしょうか?
今回は、善逸が闘う姿を書くことが出来ました。そして、ついに響凱との戦いに切りがつきましたね。

次回は、ついに那田蜘蛛山に向かいます。
お楽しみに!


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第五章~那田蜘蛛山編~
第拾玖話 一旦の休息と備え


ここまで読んで下さった方ありがとうございます!
初めての小説で右も左も分からない状態で、趣味感覚に始めたこの小説。
飽きずにここまで読んでもらえて感謝感激雨あられと言うものです。
引き続き頑張っていこうと思います!!

では、本編です!どうぞ!


──西暦1915年 4月3日 大正4年──

響凱を倒した後の話。

伊之助が炭治郎の頭突きによって気絶した後、俺たちは亡くなってしまった人の埋葬を行い、正一君達と別れ、新たに伊之助を入れた6名で山を降りた。

 

秋雨「次の任務は今までの退治とは訳が違う。本当の十二鬼月と戦うんだ。だからしっかり休まないといけない。そうだよな?しのぶ」

 

しのぶ「ええ、そう御館様から伝言を預かってますが.........」

 

カナエ「義勇くんもくるのよね?しのぶ」

 

しのぶ「はい」

 

炭治郎「えっ!義勇さんもくるんですか?」

 

秋雨「そうだ、本来なら俺やしのぶ、カナエさんがいるからよっぽどの事がなければ柱は二人も要らない」

 

炭治郎「じゃあ.........」

 

善逸「そんなに強い鬼がいるってこと!?イヤァァァア!!!!」

 

伊之助「けっ、情けない奴だな。強い鬼と戦えるんだろ?楽しみじゃねえか」

 

善逸「俺はお前とは違うの!!」

 

炭治郎「善逸、怖がったところでしょうがないよ。どうせ行くんだから」

 

秋雨「そうだぞ、いい加減覚悟を決めろ」

 

善逸「は.........はい」

 

秋雨「改めて話すが、そこでは隊士が何人も行っては殺られている。だから、もしかしたら上弦の可能性も視野に入れておいた方がいい」

 

炭治郎「上弦って.........確か十二鬼月の中でも特に強い.........」

 

秋雨「ああ、だがまだそうと決まった訳では無い。だから、緊張しなくてもいいが油断はするなよ」

 

炭治郎「はい!」

 

そして、鴉に連れられて俺たちは藤の花の家紋の家に来ていた。

それと今回の怪我の具合だが、しのぶが診察したところ、伊之助、炭治郎、善逸の順で悪いらしい。

 

秋雨(伊之助が一番重症って.........炭治郎の頭どんだけ硬いんだよ)

 

鴉「カァアーッ!休息!!休息!!負傷ニツキ完治スルマデ休息セヨ!!」

 

しばらく門の前に立って待っているとおばあさんが家の中から出てくる。

 

善逸と伊之助以外がお婆さんに話す。

炭治郎含む4人「「「「あっ!夜分に申し訳ありません」」」」

 

善逸「お化けっ.........お化けだ!」

挨拶もせずに言う善逸に炭治郎が怒る。

炭治郎「コラッ!!」

 

お婆さん「はい.........鬼狩り様でございますね。どうぞ.........」

 

伊之助はというとお婆さんの頭をつついていたのですぐに止める。

 

秋雨「やめとけ(やべぇ.........笑いそう)」

 

そして、部屋へと案内される。

するとまた善逸が妖怪だと言い出す。

 

善逸「妖怪だよ!炭治郎!あの婆さん妖怪だ!速いもん!異様に!妖怪だよ!妖怪ババァ.........」

炭治郎に拳骨をくらう。

 

そして、改めて診察したところ、伊之助は善逸が最初に殴った時の衝撃で肋が三本、炭治郎は響凱の攻撃を喰らった時に肋を一本、善逸は軽傷だがかすり傷を少々と言った具合だ。

 

炭治郎たちの診察をした後、俺たちは夕食を済ませて、布団に入った。

夕食を食べる際など何かにつけて炭治郎や俺に挑発してきたが、食べ物くらいでは怒らなかった。最初に殴った善逸にも挑発をかけていたが、流石に善逸も食べ物の事では怒らないようだ。

 

炭治郎「2人共肋が折れているとはな.........」

 

伊之助「コイツらも折るか?」

 

秋雨、善逸「「なんでだよ!?」」

 

 

 

伊之助「コブが痛ェ...」

 

炭治郎「ごめん」

 

炭治郎は謝罪したが、伊之助はしのぶやカナエさんに謝罪していない。

 

秋雨「伊之助、後でしのぶとカナエさんに謝っておけよ」

 

伊之助「断る!」

 

炭治郎「謝るんだ!」

 

伊之助「断る!」

 

善逸「謝れよ!」

 

伊之助「断る!」

 

 

頑なに謝ろうとはしなかった。

一方、しのぶ達はというと、禰豆子と(箱に入れて)別の部屋で寝ている。

 

そして、就寝する少し前、善逸が炭治郎に向けて箱に入っている鬼の事を聞いた。

善逸「.........炭治郎誰も聞かないから俺が聞くけどさ、鬼を連れているのはどういうことなんだ?」

 

炭治郎「!!善逸.........分かってて黙ってくれてたんだな。善逸は本当にいい奴だな。ありがとう」

 

善逸「おまっ!そんな褒めても仕方ねえぞ!!うふふっ!」

そう言ってはいるが嬉しそうだ。

 

炭治郎「俺は鼻が利くんだ。最初から分かってたよ。善逸が優しいのも強いのも」

 

善逸「いや強くはねぇよ。ふざけんなよ」

 

秋雨「いい加減認めろよ。あの鬼を倒したのは善逸なんだよ」

 

善逸「だから俺そんな強く無いですって」

 

秋雨、炭治郎「.........」

 

炭治郎「鬼は俺の妹なんだ」

 

善逸「えっ.........でも鬼なんて連れてたら鬼殺隊に」

 

炭治郎「ああ、確かに隊律違反になる。でも、人を今まで1人も喰ってない。それに飢餓状態の代わりに寝ることで食欲を抑えている」

 

善逸「ほんとに?」

 

炭治郎「本当だよ。でも、それを証明しないといけないから、こうして柱の人達が付いてるんだ」

 

善逸「そんなんだ.........」

 

秋雨「そうだ、柱の中には鬼は問答無用で斬るって奴がたくさんいる。だから、そいつらにも鬼の事を少しでも理解してもらうためにこうして俺たちが同行してるんだ」

 

善逸「そうだったんですね.........だから、こんなに強い方がたくさん」

 

秋雨「ああ、余談だが、十二鬼月とは1ヶ月後に戦う事になるだろうから、その間に体を治す。そして、そのあとで身体のなまりを取るために修行をする。」

 

善逸「嘘でしょ!?」

 

秋雨「本気だけど?それと怪我していても出来る修行もあるから、それから先にやっていくよ」

 

炭治郎「そんな修行が?」

 

秋雨「あっ、炭治郎は同時進行で日の呼吸についても一緒に研究するよ」

 

炭治郎「はい!ありがとうございます!」

 

伊之助は疲れたのか既に寝てしまっていたので、次の日の朝に説明しておいた。

 

──西暦1915年 5月15日 大正4年──

藤の花の家紋の家にて養生して1ヶ月後

 

炭治郎、善逸、伊之助が全集中・常中が出来るようになり、炭治郎は日の呼吸が完璧に使えるようになった。伊之助は我流で教えようが無いので剣筋などの荒いところを直しておいた。善逸はというと.........

 

秋雨「もっと速く!!」

 

善逸「はっ.........はい!!」

俺と打ち合いをしていた。

 

秋雨「遅い!!こんなんでは鬼の頸に届かないぞ!!」

 

善逸「も.........もう、、無理ィ!!」

 

秋雨「はぁ.........まあ1ヶ月だとこんなもんか。良くなったほうかもな。後は身体を休めとけ」

少し呆れたように俺は言った。

 

善逸はかすり傷が多かっただけなので、意外と早く治り、炭治郎や伊之助よりも早く修行に入っていた。そのおかげで、俺が雷の呼吸の心得があったこともあり、善逸は壱の型以外にも使えるようになっていた。

 

これで、壱の型しか使えない善逸では無くなった訳だ。

原作と比べたら、炭治郎よりも上がり幅はあるだろう。原作では、最後まで全部の型を使えなかった善逸が全ての型を使えるようになっているのだから。

 

それから、少しして鴉の指令が来た。

 

炭治郎「では行きます!お世話になりました!」

 

秋雨「ありがとうございました!」

俺、炭治郎、善逸の三人でお辞儀をした。

 

しのぶやカナエさんは医師としての仕事もあるので、一度蝶屋敷へと帰還していた。なので、任務に来るのは遅れるようだ。

 

 

そして、いよいよ俺たちは那田蜘蛛山に向かって出発した!




大正コソコソ噂話
秋雨さんは俺(炭治郎)の日の呼吸を見て、新たな技を思い付いたらしいよ

いかがだったでしょうか?
今回はあまり話は進みませんが、次からは、しっかり戦いに入っていきます。
なので次回お楽しみに!



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第弐拾話 那田蜘蛛山

今回は、タイトル通り那田蜘蛛山編に入っていきます。派手な動きはありませんが、原作との細かな違いに気づいてもらえると嬉しいと思います。

どうぞ!本編です!


──1915年 5月17日 大正4年 那田蜘蛛山──

現在、俺たちは那田蜘蛛山からすぐのところまで来ていた。

突然善逸が俺たちを静止するように声をかける。

 

善逸「待ってくれ!!ちょっと待ってくれないか!怖いんだ!!目的地が近づいてきてとても怖い!!」

 

伊之助「なに言ってんだこいつ、気持ち悪い奴だな..」

 

善逸「お前に言われたくねーよ!猪頭!!気持ち悪くなんてない!普通だ!!俺は普通でお前らが異常だ!!」

 

秋雨「ここまで来て怖がってても仕方.........」

 

炭治郎「!!」

炭治郎が後ろを見るので

 

秋雨「どうした?.........!!」

 

隊員「たす.........助けて.........」

俺も炭治郎の見ている方向を同じように見ると、倒れ伏せている隊員がいた。

嫌な予感がしたので、いち早くその隊員の側に駆け寄る。

 

炭治郎「.........速い!!」

 

伊之助「.........!!見え無かった」

 

善逸「速っ!!!」

 

その隊員の身体をよく目を凝らして見てみると、何やら糸のようなものが張り巡らされているので、俺はすぐに勘づいてその糸を斬ろうと刀を出す。

 

隊員「えっ.........何を」

 

秋雨「大丈夫斬ったりしない」

そう言って俺は器用に隊士の身体に付いている糸だけを斬る。

 

炭治郎「秋雨さん!今何したんですか?」

 

善逸「へっ!?今、刀出してたよね?」

 

伊之助「そいつ.........斬ったのか?」

 

秋雨「んなわけねーだろ.........この人の身体中に糸が付いてたから斬っただけだ」

 

隊員「俺にも糸が繋がってたんだ.........ありがとうございます!」

 

秋雨「何があった?簡単でいいから話してくれ」

 

隊員「蜘蛛の糸で.........操られるんだ。まだ他にも隊員が.........」

 

秋雨「そうか!ありがとう!後から応援が来るはずだから、その時に手当してもらえるだろう。それまで我慢出来るか?」

 

隊員「はい、何とか.........」

 

秋雨「炭治郎!」

 

炭治郎「はい、何ですか?」

 

秋雨「塗り薬持ってるか?」

 

炭治郎「はい!ありますよ」

 

秋雨「ありがとう。これで少しは痛みが緩和されるはずだ。自分で塗れるか?」

 

隊員「はい.........」

 

秋雨「俺たちは他の隊士を救うために山に行く。助けておいて悪いな.........」

 

隊員「いえ、そんな.........。」

 

秋雨「じゃあ行ってくる!善逸は落ち着くまで見ておいてやれ」

 

善逸「分かりました!!」

何だか少し嬉しそうだ。戦わなくて済むからだろうか.........

 

炭治郎「はい!」

 

伊之助「俺が先に行く!!お前らはガクガク震えながら後ろをついて来な!!腹が減るぜ!!」

 

炭治郎「伊之助.........」

 

善逸、秋雨「「腕が鳴るだろ」」

 

──山に入ってから──

 

伊之助「チッ!蜘蛛の巣だらけじゃねーか!邪魔くせぇ!!」

 

炭治郎「そうだな」

 

秋雨「気をつけろよ。蜘蛛に糸を付けられるかもしれないからな」

 

炭治郎「伊之助」

 

伊之助「何の用だ!!」

 

炭治郎「ありがとう。伊之助が先陣を切って行くって言ってくれた時とても心強かった。山の中から捩れたような.........禍々しい匂いに俺は少し体が竦んだんだ。.........ありがとう」

 

伊之助は藤の花の家紋の家に居た時に、人の暖かさというものを肌で知り、それからというもの人の暖かい言葉に弱くなっていた。

 

そして、今伊之助は炭治郎の思いやりによって、ぼーっとなっていた。

 

炭治郎がふと木々の中に目を向けるとそこに人影が見えたので、俺たちに声をかけて来た。

 

炭治郎「!!伊之助!秋雨さん!」

そのあと、そっと背後に近づいてから炭治郎がその人に声をかける。

 

驚いたのか、その人は勢い良く振り返った。

 

炭治郎「応援に来ました。階級・癸、竈門炭治郎です」

 

秋雨「階級・柱、隊士管理係の瑞雲秋雨だ」

 

村田「!!.........お前は最終選別の時の!」

そうあの村田さんである。最終選別の時に出会ってはいるので一応顔見知りだ。

 

伊之助「お前柱だったのか!?」

伊之助が何か言っているが気にせずに話を進める。

 

秋雨「村田、何があったのか詳しく話してくれないか?」

 

村田「俺の名前覚えててくれたんだな!少し前、鴉から指令が入って十人の隊員がここに来たんだ。山に入ってしばらくしたら、隊員が隊員同士で斬り合いになって.........!!」

 

 

──産屋敷にて──

今、柱が二人新たに向かわされようとしていた。

 

御館様「──"柱"を行かせなくてはならないようだ。義勇。しのぶ」

 

義勇、しのぶ「「御意」」

 

しのぶ「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに、冨岡さんもそう思いません?」

 

義勇「無理な話だ。鬼が人を喰らう限りは」

 

しのぶ「そうですね。()()()()()()()().........」

 

 

 

──山の麓にて──

 

善逸「怪我治りそう?」

 

隊員「うん、良くなった方だと思う」

 

善逸「そっか。全く勝手だよな.........みんな」

 

隊員「仕方ないよ。他の隊員救うためなんだし」

 

善逸「はぁ、こんな時禰豆子ちゃんが居てくれたらなあ.........あー!!あいつ!!禰豆子ちゃん持ってったァ!」

 

隊員「どうしたの?」

 

善逸「こうしちゃいられない!ごめん。行ってくる!」

善逸は急いで山へと入って行く。

 

隊員「えっ.........」

 

善逸「なんで俺の禰豆子ちゃん持ってってんだぁー!!!とんでもねぇ炭治郎だ!危ないトコ連れてくな女の子を!!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!禰豆子ちゃあん!!!」

 

いきなり置いていかれた隊員は唖然として、山に入って行く善逸を見ていた。

 

隊員「何だったんだろう.........」

 

 

 

 

 

──那田蜘蛛山にて──

俺達が村田と合流してからの話。

 

伊之助「アハハハハッ!ハッハァーッ!こいつらみんな馬鹿だぜ!!隊員同士でやり合うのが御法度だって知らねえんだ!」

 

炭治郎「いや違う!さっき秋雨さんが言っていた!この人たちも蜘蛛の糸で操られているんだ!!糸を斬れ」

 

秋雨「糸を斬るだけじゃ駄目だ!蜘蛛が操り糸を繋いでいる!このままだと、最終的に俺達が殺られる。だから操っている鬼自体を倒さなきゃならない!」

 

伊之助「お前より俺が先に気づいてたね!!」

 

秋雨「伊之助!鬼の位置を正確に探る力を持っていたら頼む!後は俺たちで操られてる人を何とかするから、伊之助は.........」

 

その時、周りの空気が重くなり、皆の頭上にいきなり影が出来る。

まだ二十歳にも満たない、少年のような姿をした鬼が糸の上に俺たちを見下すようにして立っている。

下弦の参──累だ。

秋雨は参と描かれている目に驚いていた。

なぜなら累は伍だったはずなのだ。

 

秋雨(まさか.........!!俺が下弦の参を倒したことで未来が変わった!?俺が炭治郎達を修行してなかったら危なかったな.........)

 

累「僕達家族の静かな暮らしを邪魔するな.........お前らなんてすぐに母さんが殺すから」

 

炭治郎は母さんと言う言葉に疑問を抱く

 

その時伊之助が操られている隊員を踏み台にして跳び上がる。

伊之助「オラァ!!」

刀を振りかぶったがあと少しのところで届かない。

 

伊之助「くっそォ!!どこ行きやがるテメェ!勝負しろ勝負!!」

伊之助はそのまま地面に自由落下するところを俺が伊之助と同じ位置まで跳び上がり受け止める。

 

 

秋雨「危ねぇ!」

 

炭治郎「地面を蹴るだけでもうあんなとこまで.........すごい!」

 

村田「!!むちゃくちゃな奴だな.........」

 

伊之助「何のために出てきたんだ?」

 

秋雨「それは分からんが、いずれあいつと戦うだろうから覚悟しておいた方が良い」

 

炭治郎「あの子は恐らく操り糸の鬼じゃないんだ!だからまず先に.........」

 

伊之助「あーあーあー!!わかったっつうの!鬼の居場所を探れってことだろ!うるせえ二人揃って!」

 

伊之助は刀を地面に突き刺して、刀を手から離して、しゃがみ両腕を広げて五手を張り呼吸をする。

 

 

──獣の呼吸・漆ノ型 空間識覚!!!──

荒れ山育ちの伊之助は触覚が優れており、その自慢の触覚を使って空気の微かな揺らぎを感知し、直接触れていない鬼の場所を突き止める。

 

伊之助「見つけたァ!そこか!!」

 

 

 

 

──その頃──

累「誰にも邪魔はさせない.........僕達は家族五人で幸せに暮らすんだ。僕たちの絆は誰にも切れない」

 

今熾烈な戦いが繰り広げられようとしていた!




大正コソコソ噂話
善逸は皆が行った後、しばらくそわそわしていたよ。

いかがだったでしょうか?
累が下弦の参となって登場しましたね。
今の炭治郎たちなら問題無いとは思いますが.........


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第弐壱話 大戦の幕開け

皆さん、おはこんばんは!

今回は那田蜘蛛山での戦いが始まります。長くなるかもしれませんが、なるべく短く収められるように頑張ろうと思います。

では、本編です!どうぞ!




──那田蜘蛛山にて──

現在、俺たちは操られた隊士と戦っている。

そして、伊之助が操っている鬼の居場所を見つけたのだが、この隊士達に足止めされて行くことが出来ないでいた。

 

村田「ここは俺たちに任せて君も先に行け!!」

そこで、村田がこのままでは拉致があかないと思ったのか、炭治郎と伊之助に向かって叫ぶ。

 

炭治郎「えっ.........」

 

伊之助「小便漏らしが何言ってんだ!!」

 

村田「誰が漏らしたこのクソ猪!!テメェに話しかけてねぇわ黙っとけ!!」

俺はこのやり取りを見て笑いそうになるが必死に堪える。

 

村田「情けない所を見せたが俺も鬼殺隊の剣士だ!!ここは何とかする!!糸を斬ればいいというのがわかったし、ここで操られている者たちは動きも単純だ!蜘蛛にも気をつける!鬼の近くにはもっと強力に操られている者がいるはず。三人で行ってくれ!!」

 

炭治郎「.........わかりました!!感謝します!!」

 

秋雨「任せて悪いな村田」

 

村田「これくらいどうってことない」

 

伊之助「一発殴ってからな!!誰がクソ猪だ!!戻って来たら絶対殴るからな!」

 

秋雨「いいから速く行くぞ!!」

 

 

炭治郎が伊之助を強引に連れて行き、しばらく走ったところ

伊之助「アイツ絶対ぶん殴ってやる!!」

 

炭治郎「そういうこと言うのやめろ!!」

 

伊之助「クソ猪とか言われたんだぜ紋次郎!」

 

炭治郎「炭治郎だ!!」

 

全員「「「!!」」」

 

二人の隊士を殺したと見られる、操られた隊士が目の前にいた。

 

隊員「駄目.........こっちに来ないで。階級が上の人を連れて来て!!そうじゃないとみんな殺してしまう!!お願い.........お願い!!」

 

累の母がたぶん累に早く倒すように急かされたのだろう.........

操られた者がむちゃくちゃな剣さばきをしながらこちらに迫ってくる。

 

隊員「逃げてェ!!操られているから動きが全然違うのよ!!私たちこんなに強くなかった!!」

 

少しでも遅れるとこの人の骨が折れるかもしれないと思い、鬼が操るよりも速く俺は隊員の背後に回り糸を斬った。

 

隊員「えっ!!いつの間に!?」

 

秋雨「俺は階級・柱、及び隊士管理係の瑞雲秋雨だ」

 

隊員「あなたが噂の隊士管理係.........」

 

炭治郎「.........流石だ。速い!」

 

伊之助「.........いつあそこまで行ったんだ?」

 

秋雨「ここは俺に任せて速く行け!!」

 

炭治郎「.........!!秋雨さん!ありがとうございます!!」

 

伊之助「分かった!!速く行くぞ!すみ太郎!!」

 

炭治郎「だから炭治郎だ!」

 

炭治郎達が行った後

先程の隊員とは違い、関節が変な方向に曲がっていたり、骨が見えていたり更に重症の隊員二人が出てくる。

 

隊員2「こ...殺してくれ.........手足も...骨...骨が...内蔵に刺さって...るんだ...動かされると....激痛で...耐えられない...どの道...もう...死ぬ。助けてくれ...止めを刺してくれ...!!」

 

先程の隊員にやった時と同じように素早く背後に回り糸を斬る。

そのまま地面に倒れると危ないので、支えて優しく仰向けに倒して寝かせる。

 

そして、その間も蜘蛛が再び糸を繋ごうとするので、自分に繋げられないように気をつけながら、その人たちの近くにいる蜘蛛も斬る。

 

 

 

 

累母「.........!!ありえない、こんなに早く斬られるなんて.........あの人形を出すしかないわね......!!」

 

 

──炭治郎&伊之助──

 

伊之助「こっちだかなり近づいてるぜえ!!」

 

炭治郎は鬼を匂いから探り、木々の中に隠れている鬼を見つけた。

 

炭治郎「伊之助!!」

 

伊之助「俺の方が先に気づいてた!!」

 

炭治郎、伊之助「「!?」」

 

そこには頭の無い両手が蜘蛛のような二足立ちの鬼がいた。

 

伊之助「頸が無ェェェ!!アイツ急所が無ェぞ!無いものは斬れねぇ!!

 

どっ.........はァ!?」

伊之助は頸が無い鬼の対処法が分からず混乱していた。

 

 

炭治郎「伊之助!」

 

伊之助「どうすんだ!どうすんだ!」

 

炭治郎「落ち着け!!袈裟斬りにするんだ!!右の頸の付け根から左脇下まで斬ってみよう!広範囲だし!かなり硬いと思うが多分...」

言い終わる前に伊之助が先走って行く。

 

伊之助「イヤッハーッ!」

 

炭治郎「待て!!一緒に...っ」

その時には既に伊之助は鬼の攻撃が届く位置にいて、攻撃しようとしていた。

 

しかし、鬼もただ攻撃されるだけの的では無かった。次の瞬間、鬼による素早い攻撃が伊之助を襲う。

 

それを伊之助はあと少しのところで躱して後ろに下がるが、蜘蛛に糸を繋がれていたのか動きが止まってしまう。そして、鬼の手が、動けない伊之助に迫る.........

 

そこを炭治郎が伊之助の前に出て庇う、真っ直ぐに突き刺そうとしてくる鬼の手を刀で後ろに流して、鬼に次の攻撃をさせないように刀をいつもより速く振ってわざと鬼を後ろに引かせる。

 

炭治郎「伊之助!!一緒に戦おう!一緒に考えよう!この鬼を倒すために力を合わせよう!」

 

伊之助「てめェェ!!これ以上俺をホワホワさすんじゃねぇぇ!!邪魔だそこ!!」

 

炭治郎「俺を踏め!!」

炭治郎は鬼の手を躱しながら伊之助が踏めるように、身を屈める。

 

炭治郎「伊之助!跳べ!!」

伊之助は禰豆子の入った箱を踏み台に鬼の頭上を高く跳んだ。

 

炭治郎はブレイクダンスをするかのように、頭だけで身体を支えながら、鬼の手足を斬る。

 

──日の呼吸 参ノ型 烈日紅鏡

左右対称の鋭い斬撃を放ち、流れるようにして鬼を斬った。

 

炭治郎「袈裟斬りだ!!」

 

伊之助はその合図に合わせて鬼を袈裟斬りにする。

そして、斬った流れで、そのまま伊之助が炭治郎に突進する。

 

伊之助「速く鬼の頸斬って来やがれェ!!ふん!ぬア゙ア゙ア゙ア゙ア゙アアア!!」

炭治郎の身体を下から持ち上げて空高く投げる。

 

炭治郎は突然投げられたことに驚いたが、すぐに冷静になり、操っている鬼を見つけて、斬る構えに入る。

 

炭治郎「壱ノ型........」

 

しかし、なぜか鬼はその攻撃に対抗しようともせず、むしろ殺されることを待っているかのように頸を差し出す。

 

炭治郎はそれに気づいて、すぐに型を変えて鬼の頸を斬った。

 

──水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨

次の瞬間、優しい雨に打たれているかのような感覚が鬼を支配して、そしてそのまま痛むことも苦しむことも無く、ただ暖かい雨に包まれて死んでゆく。

 

そして、鬼は感謝するようにお礼をするように炭治郎に助言をして消えていく。

 

累母「十二鬼月がいるわ。気をつけて...!!」

 

炭治郎「!?」

炭治郎はその言葉に酷く驚いた。秋雨から聞かされてはいたのだが、鬼の口から聞いたことにより、真実味が増したのだ。

 

それと同時に、十二鬼月の血を採れるかもしれないので、嬉しくもあった。

炭治郎の胸の内は、驚きと喜びの感情で満たされていた。

 

 

炭治郎は伊之助のところに急いで戻る。

 

伊之助「倒したかよ!!」

 

炭治郎「倒した。伊之助大丈夫か...」

 

伊之助「俺に対して細やかな気遣いするんじゃねえ!!いいか?わかったか?俺はお前に出来ないこともできるんだからな!もう少ししたら俺の頭もお前の頭より硬くなるし!それからな.........」

 

──善逸side──

善逸は、炭治郎達を見つけようと四方八方を歩いて回っていた。

 

善逸「ぎゃっ!蜘蛛!!」

手に乗っていた蜘蛛を見つけて思わず払う。

しかし、この行動は間違っていなかった。

なぜなら毒を持った蜘蛛なので噛まれたら危険だからだ。

 

善逸「炭治郎たちも見つかんないし最悪だよ!どこ行ったのよ!どっちよ!!そして、くさいんだよ!この辺!!くさい!!もう泣きたい!!」

 

蜘蛛がカサカサ音を出しながら善逸へと近づく。

 

善逸「蜘蛛がカサカサする音すごい気持ち悪いし!いや蜘蛛も一生懸命生きてるんだろうけどさ!」

まだ音がするので、善逸が振り向くと.........人面蜘蛛がいた。

 

善逸「こんなことある!?人面なんですけど!!人面蜘蛛なんですけど!!どういうこと!これどういうこと!?夢であれ!夢であれよお願い!!夢であってくれたなら俺頑張るから!起きた時禰豆子ちゃんの膝枕だったりしたらもうすごい頑張る!畑を耕します一反でも二反でも耕してみせる!!

 

悪夢から覚めてくれぇーーっ!!

 

しばらく走ると、糸で吊るされている家や人がある場所に行き着く。

そして、その家から一際デカい人面蜘蛛が姿を見せる。

 

善逸はそのデカさに驚き急いで逃げる

善逸「俺お前みたいな奴とは口効かないからな!!」

 

累の兄「くふっ.........逃げても無駄だぜ。お前はもう負けてる」

 

善逸「話しかけんなよ!!嫌いなんだよお前みたいな奴!!」

 

累の兄「手を見てみな。くふふっ」

 

善逸「はぁ!?手!?手が何さ!!何にもなってないけど!?」

 

累の兄「毒だよ。咬まれたろ?蜘蛛に.........何にもなってないだと!?」

 

善逸「ああ、何にもなってないけど?もしかして、やたら蜘蛛が身体についてきたのもお前のせいだったの!?」

善逸はあの後も何度か蜘蛛が身体についてきたが直ぐに気づいて全部払っていた。

 

累の兄「はったりなんだろ?今更遅いんだよ.........」

 

善逸「だから!!何にもなってないんだってば!!」

 

累の兄「何!?本当に噛まれていないのか?」

 

善逸「そう言ってるじゃん!!」

 

累の兄「あの数の蜘蛛を全部振り切ってきただと!?でもどうせここでお前は毒に侵されて蜘蛛になる。俺の毒でな.........くふ。見てみろ時計だ」

そう言うと鬼は時計を出して丁寧に時間を指して症状を説明し出した。

 

善逸「ギャアアアッ!!ギャーーーッ!!」

足元に人面蜘蛛が寄ってくる。

善逸「アーーッ!」

善逸は悲鳴を上げて逃げる。

 

累の兄「逃げても.........」

 

善逸「無駄ね!ハイハイハイ!!わきャッてんだよ!!わかってんの!!」

善逸は木の上に逃げる。

 

累の兄「何してるんだお前」

 

善逸「うるせーーよ!!うるせぇ!!」

 

累の兄「怯えることはないぞォ。毒が回りきって蜘蛛になったら知能もなくなる」

 

善逸「いや、だからそれが嫌なんだわそれが!!なんでわかんないのお前さ...!!友だち・恋人いないだろ!嫌われるよ!!ひぃいいい!!ひぃいい!嫌だ嫌だァ!あんなふうになりたくないひぃいいいい!!」

その時善逸は自分の人生を思い返し、嘆いた。

 

善逸「でもさァ俺だって精一杯頑張ってるよ!!なのに最期髪ずる抜けで化け物になんの!?嘘でしょ!?嘘すぎじゃない!?」

その間も人面蜘蛛は登って来る。

 

善逸「ヒギャ...登ってくんなよ!!ちょっとでいいから一人にして!!ちょっとでいいから!」

ついに善逸は数多の人面蜘蛛に囲まれ気絶して、木から落ちる.........

 

─雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

落ちる身体をしっかり着地して守り、勢いよく木を蹴って鬼へと向かって行く。

 

─血鬼術 斑毒痰

鬼はそれに対して毒を吐いて対応する。

 

それを善逸は器用に空中で身を捻り、避けた。

 

累の兄「飛びかかれ!!」

人面蜘蛛が迫ってくるが、それを型を出し、斬って後ろに下がる。

 

─雷の呼吸 弐ノ型 稲魂

抜刀状態から放たれる五連攻撃が人面蜘蛛を無情にも葬り去る。

 

善逸は走馬灯を見ているかのように師の言葉を思い出す。

桑島『善逸、極めろ。泣いてもいい逃げてもいい。ただ、諦めるな。信じるんだ地獄のような鍛錬に耐えた日々を。お前は必ず報われる。

 

極限まで叩き上げ、誰よりも強靭な刃になれ!!一つのことを極めろ』

 

鬼は再び毒を吐いたが善逸は難なく避ける。

 

累の兄「刺せ!!もっと毒を打ち込め!!」

人面蜘蛛はその合図で毒針を口から出して善逸を刺そうとするが、善逸は型を出して、蜘蛛を一体一体確実に倒して行く。

 

──雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

無数の斬撃が人面蜘蛛を襲う。本来なら少しずつ相手にダメージを蓄積させて行く技なのだが、相手は弱いため、一回で斬れてしまう。

 

そして、次の瞬間、今までとは違う、空気が揺れるような気配が辺りを包む。

 

──雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 六連

鬼はその違和感にすかさず毒を吐くが善逸には当たらない。

 

善逸は上弦にも劣らない速さで、吊るされた家を突き破って鬼の頸に迫り、遂に鬼の頸を斬る。

それから、その家の上に落ちて、受け身をとった。

 

善逸「はぁ.........はぁ何とか毒を食らわずに倒せたぁ」

善逸は呼吸を使い、回復をする。

 

こうして、炭治郎と伊之助は母鬼を倒して、善逸は兄鬼を1人で倒した。

残るは父鬼、姉鬼、そして.........

 

─下弦の参 累である。




大正コソコソ噂話
秋雨さんは蜘蛛が少し苦手らしいよ

いかがだったでしょうか?
いよいよ本格的に闘いが始まりましたね。修行をした炭治郎たちならば大丈夫だとは思いますが、果たしてどのように変わっていくでしょうか?

次回お楽しみに!


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第弐弐話 戦闘

今回は、シンプルに闘いが多いのでこのようなタイトルにしました。
(決して、思いつかなかったとかでは無いです。.........多分)

では、本編です!どうぞ!


──那田蜘蛛山──

善逸が累の兄を倒した後。

 

ドドォォン!!

雷の様な音が鳴り響く。

 

炭治郎「今の音...雷が落ちたのか?」

 

伊之助「知るか!!」

 

炭治郎「雷雲の匂いはしないと思うけど.....刺激臭が強くなっててわからない...」

 

善逸「炭治郎!!伊之助!!」

 

伊之助「紋逸!!」

 

善逸「善逸だから!」

 

炭治郎「善逸、どうしてここに?」

 

善逸「炭治郎ォォオ!!」

善逸が突然炭治郎に怒鳴り出す。

 

炭治郎「えっ!何があったんだ?話してくれ!!」

 

善逸「.........禰豆子ちゃんを何で連れて来たんだよ!!」

 

炭治郎「なんでって...残して行く訳にもいかないだろ?」

 

善逸「俺に任せて置いていけば良かっただろォ!!」

 

炭治郎「ご、ごめん.........それよりどうしてここが?」

炭治郎は咄嗟に謝ったが何故誤っているのかは自身でも分かっていない。

 

善逸「途中で秋雨さんに会って『炭治郎たちはあっちだ』って教えてもらったから」

 

炭治郎「そうだったのか」

 

その時だった.........

バシャッ!

 

突然川の方から音がして、見てみるとそこには白髪の長髪を結んだ鬼がいた。

 

善逸「えっ!!鬼!?」

 

伊之助「おおお!!ぶった斬ってやるぜ!!鬼!コラ!!」

 

炭治郎「伊之助!」

 

善逸「待っ.........」

 

鬼「お父さん!!」

累の姉は逃げながら叫んだ。

累の姉がそう呼ぶと、突拍子もなく上から、蜘蛛のような顔をした大柄の鬼が現れる。

 

咄嗟に炭治郎が伊之助を後ろに引っ張って助ける。

三人「「「!!」」」

 

父鬼「オレの!家族に近づく!な!!」

次の瞬間、鬼の口から言葉が発せられたと同時に鬼の強烈な突きが放たれる。それを炭治郎たちが避ける。すると、突きによって生じた衝撃波で、川の水が跳ねて底が露になる。そして、川の底が呆気なく砕かれた。

 

もし、これを食らっていればひとたまりもなかっただろう。

 

炭治郎が先手必勝と言わんばかりに相手が攻撃するよりも速く型を出す。

炭治郎「日の呼吸 壱ノ型 円舞」

 

上から下に向かって、美しい弧を描く強烈な斬撃を放つ。

しかし、刃は鬼の手で防御され、鬼の手にも刃が通ることは無かった。

これが原作通りだったら手は容易く斬れていただろう。だが、仮にも下弦の参の血を受けもらっているであろう父鬼。そう簡単には倒せない。

 

そして、刃が抜けないでいる炭治郎に鬼の拳が飛んでくる。これを伊之助が下に斬りつける。

 

伊之助「硬えええ!!」

 

鬼が腕を上に上げて、振り払おうとするので、その前に鬼の身体を蹴って後ろに宙返りして躱す。

 

鬼が手を上げて無防備になったところを見逃さない。

 

シイイイィィィ!!

辺りに呼吸音が響き渡り、その音がし出した数秒後

 

──雷の呼吸 肆ノ型 遠雷 ──

放射状に稲妻が発せられ、鬼の身体が発行して、光が収まった頃には鬼の身体は血だらけになっており、両手も斬られていた。

 

伊之助「すげええ!!これあいつがやったのか!?」

 

炭治郎「やっぱり善逸は強いんだ!!」

 

鬼「俺の家族に近づくなァアアア!!」

善逸に向かって、突進して手を思いっ切り振るが、善逸は後ろに跳んで避ける。

 

その隙を狙って後ろから伊之助が斬り掛かるが、鬼は斬られる前に気づいて、振り返りながら肘打ちをする。

 

その攻撃を伊之助は咄嗟の判断で、鬼の手に刀を刺して、それを支えに攻撃を躱すようにして足を後ろに振り上げ、その勢いで前に宙返りする。

 

伊之助「危ねぇ.........」

 

それとほぼ同時に炭治郎が木を斬って、鬼の上に木を倒す。

鬼は木の下敷きになり、炭治郎が攻撃しようとする。

 

しかし、鬼が木を持ち上げて、炭治郎ごと遠くに吹っ飛ばした。

 

伊之助「けんたろう!!」

 

善逸「!!炭治郎」

 

炭治郎「二人とも死ぬな!!俺が戻るまで!死ぬな!!絶対に死ぬな!!」

炭治郎は吹っ飛んでく間、善逸たちに忠告しながら吹っ飛んで行った。

 

 

──その頃──

秋雨(あいつらなら問題無いとは思うけど大丈夫かな?)

 

その頃カナエさん、しのぶや隠の人達がやってきたので、怪我人を任せて炭治郎達の元へ向かう。

 

カナエ「あっ!秋雨くん!!」

 

しのぶ「大丈夫でしたか?秋雨さん」

 

秋雨「俺はもちろん大丈夫なんだが、こいつらの怪我が酷い。この隊員達のこと頼んでもいいか?」

 

しのぶ「はぁ.........相変わらず冷静に言いますね」

 

カナエ「あれ?炭治郎くん達は?」

 

秋雨「先に行って、鬼と戦ってるはずです」

 

カナエ「なんで秋雨くんが行かなかったの?」

 

秋雨「いや行っても良かったんだが、この隊員達に蜘蛛が寄ってくるんでそれを倒すのが忙しくて.........」

 

しのぶ「なるほど。では、ここは私達に任せて早く向かって上げて下さい」

 

秋雨「ああ!恩に着る!!」

急いで俺は炭治郎達の気配がする方向へ向かう。

 

秋雨は直感という機能を昇華させ、気配を感じ取れるようになっていた。

ちなみにこれはつい最近のことである。

 

 

──炭治郎の飛ばされた後──

炭治郎は吹っ飛ばされて、地面に叩きつけられそうなのを型を出して防ぐ。

 

─日の呼吸 拾弐ノ型 炎舞──

大きな半円を描いて地面に向けて斬撃を二度放つ。

一度目で落下速度を落として、二度目の斬撃で着地によるダメージを無くす。

 

炭治郎「!?」

目の前を見ると.........

 

姉鬼「ギャアア!!」

そこには累の糸で顔面を血だらけにされている累の姉の鬼がいた。

 

累「何見てるの?見せ物じゃないんだけど」

 

その姉は涙を流していた。

炭治郎「.........何してるんだ...!!仲間じゃないのか!!」

 

累「仲間?そんな薄っぺらなものと同じにするな。僕たちは家族だ。強い絆で結ばれているんだ。それにこれは僕と姉さんの問題だよ。余計な口出しするなら刻むから」

 

炭治郎「家族も仲間も強い絆で結ばれていればどちらも同じように尊い。血の繋がりが無ければ薄っぺらだなんてそんなことはない!!

 

それから強い絆で結ばれている者は信頼の匂いがする!だけどお前たちからは恐怖と嫌悪の匂いしかしない!こんなものを絆とは言わない!紛い物...偽物だ!!」

 

そこにあの男がやって来る。

サイコロステーキ先輩だ。

 

先輩「こんなガキの鬼なら俺でも殺れるぜ」

 

炭治郎「!?誰だ!!」

 

先輩「お前はひっこんでろ。俺は安全に出世したいんだよ。出世すりゃあ上から支給される金も多くなるからな。隊は殆ど全滅状態だが、とりあえず俺はそこそこの鬼一匹倒して下山するぜ」

 

炭治郎「よせ!!君では...」

 

累が攻撃の準備をする。

 

その時

──雲の呼吸 漆の型 雲散霧消

累がサイコロステーキ先輩が名前の通りバラバラになるまで後少しのところを俺が助ける。

 

先輩「!!.........はっ、危なかったあ」

 

秋雨「君はもう山を降りろ。そんな様ではこれからやっていけない」

 

先輩「なんだと!」

 

秋雨「もう一度鍛え直してもらえ。風柱の住所だ。ここへ向かえ。絶対だ!いいな?」

普段出さない様な声を出して、圧をかける。

 

先輩「は、はいィ!!」

サイコロ先輩はそう言って下山して行った。

 

話は終わったかと言わんばかりに累が話しかけてくる。

累「お前、いま何て言ったの?」

その瞬間、空気が重く濃くなった気がした。

 

炭治郎「何度でも言ってやるお前の絆は偽物だ!!」

 

──一方、善逸と伊之助──

父鬼から一時離れ、隙を伺っていたが、我慢出来なくなったのか伊之助が鬼の前まで出ていく。

 

善逸「伊之助!!」

 

伊之助は炭治郎が戻ってくるまでどうしようかと考えていた自分に嫌気がさしたらしい。

 

伊之助「オォオ!!クソがァア!!豚太郎の菌に汚染されたぜ!危ねぇよ所だったァァ!考える俺なんて俺じゃねぇぇえぇ!!」

 

伊之助は片方の刀を先に鬼の腕に振り下ろし、さらにその刀の上からもう一方の刀で押して、鬼の体に刃を通す。そして、ついに腕を斬り落とす。

 

伊之助「しゃァァ!斬れたァア!!簡単なことなんだよ一本で斬れないならその刀をブッ叩いて斬ればいいんだよ!!だって俺刀二本持ってるもん!ウハハハハ!!最強!!」

 

しかし、鬼は何を思ったのか伊之助から逃げるように伊之助に背を向けて走り出した。

 

伊之助「何逃げてんだコラァアア!!」

 

次の瞬間

──雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・神速

善逸の体から雷が出るようにして善逸から音が鳴り響く。

伊之助「なんだァ!?」

 

そして、善逸は目にも止まらぬ速さで鬼に追いついて、鬼の体を横に真っ二つに斬った。

 

伊之助「速ぇ!!すげええ!!」

 

善逸「早くこいつの頸斬れ!」

 

伊之助「!!そんなん言われなくても分かってるわ!!」

─獣の呼吸 参の牙 喰い裂き

倒れた鬼の頸に向かって、真下に向かって二刀を振るう。

その刃は交差するようにして鬼の頸に入り、二方向から加わる力によって鬼の頸が斬れた。

 

そうして父鬼は灰のようになり消えていった。

 

 

そこに、義勇がやって来る。

義勇「秋雨からお前たちの話は聞いている。あの鬼は十二鬼月では無いが、よくやった。秋雨からご教授されているだけあるな」

 

善逸「あ!あなたが秋雨さんの話していた.........」

 

義勇「柱の冨岡義勇という者だ。二人共大分疲れが見えるな。後は任せて休んでおくといい」

 

伊之助「あ?何言ってんだよ!俺は怪我もしてないし、疲れてもねぇよ!半々羽織り!!」

 

善逸「!!ここで強がり言ったって仕方ないだろ?休んだ方がいいって!!」

 

伊之助「じゃあお前だけ休んどけよ!!とにかく俺は疲れてねぇ!!」

 

善逸「いや、それは嘘だろ」

 

義勇「怪我はしてないようだが、これ以上戦えば身体が無事ではいられないだろう。己の状態も分からない奴は戦いに関わるな」

 

伊之助「ハアアア!?何言ってんだよ!!ふざけんなよ!」

 

善逸「もう止めとけって!!この人は俺たちの身体気遣ってくれてるんだってば!!」

 

──累との戦い──

累「お前は一息では殺さないからね。ズタズタにした後で刻んでやる。でもさっきの言葉を取り消せば一息で殺してあげるよ」

 

炭治郎「取り消さない!!俺の言ったことは間違ってない!!おかしいのはお前だ!!」

 

秋雨「よく言った!炭治郎!!」

 

炭治郎は勢いよく累の方に飛び出して行く。

 

その時累は糸を飛ばして来るが炭治郎は華麗に避ける。

 

累(思ったより頭が回る奴だ。恐怖に怯まない。...まぁ関係ないけどね)

 

炭治郎は下の方に飛んできた糸に向かって型を使う。

─日の呼吸 肆の型 灼骨炎陽

灼熱の炎の如き強大な力を持つ高速回転斬りが、累の強靭な糸を切る。

 

 

 

戦いの幕開けを知らせるように.........




大正コソコソ噂話
善逸は、型を使うと本当に雷が落ちたように地面が焼けるよ。

いかがだったでしょうか?
今回はついに累の闘いに入って来ましたね。
炭治郎達は原作崩壊した累の強さに打ち勝つことができるのでしょうか?

次回お楽しみに!


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第弐参話 吉と凶

少し遅くなりましたが、今日の分です。
今回は白熱した闘いを表現するのに大分苦労しました。

では、本編です!どうぞ!



──那田蜘蛛山にて──

炭治郎が日の呼吸を使って、累の糸を斬る。

 

累「!?糸が切られた.........」

累は、飛ばされて来た炭治郎を弱いと認識して見くびっていた。

その炭治郎が自分の糸を斬ったのだ。びっくりして当然のことである。

 

ちなみに、炭治郎がなぜ父鬼を斬れずにいたのかというと、日の呼吸を実践で使った経験が乏しく斬れる域まで達していなかったのだ。

 

それが今ここで斬れるまでの急成長を果たしたという訳だ。

 

炭治郎(さっき斬れなかった鬼の体と変わらないくらい硬い!!日の呼吸が使えて無かったら危なかった.........)

 

累「お前にはもう加減しないよ」

 

炭治郎「全力だろうと俺は死なない!!」

 

累の糸は速くなり、糸の数も多くなる。

 

──雲の呼吸 拾の型 風雲の龍・現(ふううん りゅう あらわれ)

次の瞬間、雲が現れて、段々形を変えていき、それはやがて龍のようになる。

そして、その龍のような雲は噛みちぎるようにして糸を喰っていく。

 

炭治郎「秋雨さん!」

 

秋雨「大丈夫か?」

 

炭治郎「はい!ありがとうございます!!」

 

秋雨「俺は援護に回るからお前が倒してみろ。炭治郎」

 

炭治郎「分かりました!やれるだけやってみます」

 

累「ねぇ.........さっきから何なの?お前」

 

秋雨「俺はこいつの師匠だ。間違っても俺に勝てるとは思わないことだな」

 

累「自分を過信しすぎだと思うんだけど.........」

 

秋雨「過信じゃないさ。俺は過去に下弦の参倒してるからな」

 

累「!!.........まさかお前が!?」

 

秋雨「へぇ俺のこと知ってんの?なら尚更倒そうと思わないことだ。もし俺を攻撃しようものならお前の頸をすぐに斬るからな」

 

累「話すのに夢中で気づいてなかったね。攻撃の準備してるの」

 

秋雨「!?しまった炭治郎の方か!」

秋雨が間に合わないと思ったその時.........

 

炭治郎の目の前が血で染まる。

禰豆子が箱から出て、炭治郎を庇ったのだ。

 

炭治郎「禰豆子!!」

禰豆子のそばに駆け寄り炭治郎は不安そうに声をかけた。

 

炭治郎「禰豆子.........禰豆子!兄ちゃんを庇って.........ごめんな.........」

 

累は震える指先をこちらに向けて、兄弟かどうかを聞いてくるので炭治郎はそんなことは今はどうでもいいと言った様子で累に叫ぶ。

 

炭治郎「だったら何だ!!」

 

累「兄弟...兄弟...妹は鬼になってるな...それでも一緒にいる.....」

 

姉鬼「る.........累」

 

累「妹は兄を庇った...身を挺して...本物の絆だ!!欲しい...!!」

 

姉鬼「!!ちょっ!ちょっと待って!!待ってよお願い!!私が姉さんよ!姉さんを捨てないで」

 

累「うるさい!黙れ!!」

そう言って姉鬼の頸を累がはねた。

 

累「結局お前たちは自分の役割もこなせなかった。いつも.........どんな時も」

 

姉鬼「ま、待って...ちゃんと私は姉さんだったでしょ?挽回させてよ.....」

 

累「.........だったら今山の中でチョロチョロする奴らを殺して来い。そうしたらさっきのことも許してやる」

 

姉鬼「わ、わかった...殺してくるわ」

姉鬼が斬られた自分の頸を持って去ろうとするので俺が姉鬼の後ろから刀を当てて、身動きが取れないようにする。

 

秋雨「挽回させる機会なんて俺が与えない」

 

姉鬼(速い!!こいつがいる限りどうせ死ぬんだ.........ならいっその事ここで死んだ方が...)

 

秋雨「!?」

突然姉鬼の力が弱まるので秋雨は驚いた。

 

姉鬼「殺すなら速く殺しなさいよ」

 

秋雨「......」

──雲の呼吸 捌ノ型 天神の慈悲(あまのかみのじひ)

天神が歓迎するかの様に暖かい雲が鬼を包み込み。雲と共に鬼は消えていった。

 

秋雨(恐怖に包まれた中で生きてきたんだ。最後くらいせめて優しく包んであげないとな)

 

累「坊や話をしよう」

姉の死を何とも思ってないのか、平然と話し出す。

 

炭治郎「くっ.........!!お前.........」

流石に殺されたのが鬼といえど炭治郎はその態度が許せなかったらしい。

 

累「僕はね感動したんだよ。君たちの絆を見て体が震えた。この感動を表す言葉はきっとこの世にないと思う。でも君たちは僕に殺されるしかない。悲しいよねそんなことになったら。だけど回避する方法が一つだけある

 

──君の妹を僕に頂戴。大人しく渡せば命だけは助けてあげる」

 

炭治郎「.........何を言ってるのかわからない」

 

累「君の妹には僕の妹になってもらう。今日から」

 

炭治郎「そんなことを承知するはずないだろう。それに禰豆子は物じゃない!!自分の想いも意思もあるんだ!お前の妹になんてなりはしない!」

 

累「大丈夫だよ。心配いらない。絆を繋ぐから。僕の方が強いんだ。恐怖の絆だよ。逆らうとどうなるかちゃんと教える」

 

炭治郎「ふざけるのも大概にしろ!!恐怖でがんじがらめに縛り付けることを家族の絆とは言わない。その根本的な心得違いを正さなければお前の欲しいものは手に入らないぞ!!」

 

秋雨「炭治郎の言う通りだ。そんなもんは家族でも何でもない。言うなれば奴隷、上手く言っても駒だ。さっき、偽りとはいえ、自分の姉が死んで何にも思わなかった奴が絆を語るな」

 

炭治郎「秋雨さん.........」

 

累「鬱陶しい大声出さないでくれる?合わないね君たちとは」

 

炭治郎「禰豆子をお前なんかに渡さない!」

 

累「いいよ別に殺して奪うから」

 

炭治郎「俺が先にお前の頸を斬る」

 

累「威勢がいいなぁ。できるならやってごらん。十二鬼月である僕に...勝てるならね」

 

累は目元までかかった髪を持ち上げて、『下参』と書かれた目を見せる。

 

炭治郎、秋雨「「!!」」

炭治郎は、累が十二鬼月であることに驚き、俺は累が見せた目の中に『参』という文字を見つけ驚いていた。

 

秋雨(俺が下弦の参倒してるから未来が変わったのか?確かに伍にしては強いと思っていたが.........)

 

 

累「僕はね自分の役割を理解してない奴は生きてる必要がないと思ってる。お前はどうだ?お前の役割は何だ?お前は僕に妹を渡して消える役だ.........」

 

秋雨「違う!!炭治郎にそんな役を勝手に与えるな。炭治郎は禰豆子の兄であり、家族だ。お前の役割を教えてやるよ。

 

──今から殺されて惨めに死んでいく役だよ」

俺は言葉に怒気を含んで、圧をかける。

 

累「.........嫌な目つきだね。メラメラと.........愚かだな。もしかして──...

 

僕に勝つつもりなのかな!!」

累は蜘蛛の糸を使い、禰豆子を自分のところに引き寄せようと宙に引っ張り上げた。

 

炭治郎「禰豆子!!」

 

俺は咄嗟に飛び上がり、糸を斬って、禰豆子ちゃんをしっかりと掴んで着地した。

 

累「ちぃッ!!.........後少しのところを.........邪魔しないでよ」

 

秋雨「お前、禰豆子ちゃんを何だと思ってやがる?物じゃねえんだぞ!!炭治郎。禰豆子ちゃんは俺が護っておく、お前は心置き無く闘え」

 

炭治郎「.........はい!!」

炭治郎は言われた通りに累へとかかって行く

 

累は糸を炭治郎の周りに張り巡らせる。が、炭治郎は体を低く逸らしながらバク転をして躱した。そして、再び攻撃の体勢に入って型を構える。

 

──日の呼吸 参ノ型 烈日紅鏡

炭治郎は左右対称の鋭い斬撃を放ち、糸を斬りながら、どんどん累の方へと近づいて行く。

 

炭治郎(このまま距離を詰めていけば勝てる!!)

 

累に攻撃が届く位置まで入った時、

累「ねぇ糸の強度はこれが限界だと思ってるの?」

突如そう言って累は炭治郎の目の前に攻撃を仕掛ける。

 

──血気術・刻糸牢

今までの糸とは違い、蝶が蜘蛛の巣にかかるのを待つかのように、炭治郎の目の前に蜘蛛の巣を張った。

 

累「もういいよお前は。さよなら」

そして、その糸は炭治郎に死を告げるように迫る。

 

 

その時.........




大正コソコソ噂話
秋雨さんは刀で斬る力がとても強いらしいよ

いかがだったでしょうか?
今回の話の中で、闘いが段々ヒートアップして来ましたね。
炭治郎は果たして、どうなってしまうのか

次回、お楽しみに!


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第弐肆話 当然の結末

皆さん、おはこんばんは!

今回は、ついに炭治郎と累の戦いに決着がつきます。
本当にこの那田蜘蛛山編長くなりましたが、これからも読んでもらえると嬉しいです。

では、本編です!どうぞ!


──前回の続き──

炭治郎は今、累の血気術によって殺されそうになっていた。

しかし、当の本人は走馬灯を見ていた。殺されそうになった瞬間、炭治郎の頭の中には今までの記憶がパズルのようにして断片的に流れていた。

 

死の直前に人が走馬灯を見る理由は、一説によると今までの経験や記憶の中から迫りくる死を回避する方法を探しているという。

 

そして、断片的な記憶の中に、際立って目立つ記憶があった。その記憶は炭十郎との会話だった。

 

炭十郎『──息の仕方があるんだよ。どれだけ動いても疲れない息の仕方。正しい呼吸ができるようになれば炭治郎もずっと舞えるよ。寒さなんて平気になる。

 

炭治郎。この耳飾りだけは必ず途切れさせず継承していってくれ。約束なんだ』

 

炭治郎は見事にこの刹那の間に死を回避する方法を見つけ、それを行動に移そうと動き出す。その際、炭治郎は考える間も無かった。なので、体の赴くままに動いた。言わば炭治郎の潜在的な力がこのタイミングで目覚めたのだ。

 

──ヒノカミ神楽 円舞

炭治郎は美しい弧を描く斬撃を放って、目の前に迫る累の糸をいとも簡単に斬った。

 

それは、炭治郎が先程まで使っていた日の呼吸とは違い、無駄のない精錬された動きで、俺が目を見張る程に凄いものだった。

 

しかし、瞬きする間もなく新しい糸が張られた。炭治郎の身体は人並外れた域に達していた。考えずとも身体が自然に動くのだ。

 

一息で殺そうとした炭治郎からの思わぬ反撃。累にはそれを防ぐ術も無く、諸に炭治郎の一撃を食らう。そして、炭治郎の剣は最速で累の頸に届いた。更に炭治郎の日輪刀は加速し、ついに累の頸を斬った。

 

炭治郎「俺と禰豆子の絆は誰にも邪魔させない!!」

炭治郎の台詞が、少し違うのは俺が助けたからだろうか。

 

悲しいかな、原作なら自分の糸で頸を切っていたはずだが、生憎累にそんな暇は無かった。

 

累の頸は無情にも呆気なく斬られた。

 

炭治郎(視界が狭まる。目が見えづらいぞ。呼吸を...乱発しすぎたせいか?耳鳴りが酷い。体中に激痛が走ってる。早く回復しなければ。俺はまだ戦わなければならない。伊之助を助けに行くんだ。早く!!)

 

累は消える瞬間、喋り出す。

累「もういい...こうなったら全員道連れだ」

─血気術 殺目籠──

累は持っている全ての力を余さず使って俺たちに最後の抵抗をした。

俺と禰豆子、炭治郎の周りに獲物を捉えるようにして籠の形をした糸が迫り、細切れをするべく糸は縮まっていく。

 

俺は問題無く糸を斬るが、炭治郎の方が危ない。

秋雨「!!炭治郎!」

俺が助けに行くよりも早く。誰かが糸を斬った。

 

秋雨「...義勇!!」

 

義勇「...秋雨か!ここに居た鬼はお前が斬ったのか?」

 

秋雨「いや、違う。炭治郎が斬ったんだ」

 

義勇「炭治郎が!?それは真か?」

 

秋雨「ああ、本当にギリギリだったがな...」

 

 

俺は禰豆子ちゃんを炭治郎の所まで連れていく。

炭治郎「禰豆子.........」

禰豆子は酷く疲れている様子の炭治郎を見て心配しているようだった。

秋雨「禰豆子ちゃん。炭治郎は大丈夫だよ。炭治郎は強いからな...」

 

炭治郎「.....秋雨さん」

炭治郎は安心したような緊張が解けたような表情で微笑んだ。

 

累が行き場を無くした子供のように俺たちの方に歩を進めてきた。

そして、ついに立つ力も無くしたのか倒れた。

何を思ったのか、炭治郎に向けてゆっくり手を伸ばした。

 

炭治郎はその鬼の体の中から大きな悲しみの匂いを見つけて、思わず、消えかけた累の背中に手を回した。

 

その時、累は炭治郎の手の温もりを受け取り、人間の頃の記憶を全て思い出す。

 

累は、自分の犯した罪を後悔した。そして、出来ることなら両親に謝りたいとも思った。

 

累「でも...山ほど人を殺した僕は...地獄に行くよね.........父さんと母さんと...同じところへは...行けないよね...」

 

幻想か、現実か、累の目には本当の人間の頃の両親が現れているように見えていた。

父『一緒に行くよ。地獄でも。父さんと母さんは累と同じところに行くよ』

累の魂は人の頃の姿となる。

 

累「全部僕が悪かったよう。ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい.........ごめんなさい.........!」

そして、累の魂は親の魂諸共地獄の業火へと包まれて消えていく。

 

もちろん秋雨達には見えてなかったが、秋雨たちは気づいたら涙を流していた。

 

だが、涙を流していない男が一人だけいた。その男は炭治郎に向けて、説教をするように一言こう言った。

 

義勇「人を喰った鬼に情けをかけるな。子供の姿をしていても関係ない。何十年何百年いきている醜い化け物だ」

 

炭治郎「殺された人たちの無念を晴らすため、これ以上被害者を出さないため...勿論俺は容赦なく鬼の頸に刀を振るいます。

 

だけど、鬼であることに苦しみ、自らの行いを悔いている者をそんな風には言わない。

 

鬼は人間だったんだから、俺と同じ人間だったんだから、そんな事を言わないで下さい。

 

醜い化け物なんかじゃない。鬼は虚しい生き物だ。悲しい生き物だ」

 

秋雨「義勇。確かに人を喰らった鬼の罪は消えないし、死んだ人が生き返る訳もない。鬼が悔やんだって死んだ人は報われない。だが、俺たちが本当に斬るべき鬼は──鬼舞辻無惨ただその鬼だけだと言うことを忘れるな」

 

義勇「ああ、そうだな。気をつける」

 

そこにしのぶがやって来る。

何故か、刀を抜いて....

次の瞬間、何を思ったのかしのぶが義勇に斬り掛かる。義勇は同じように刀を抜いて、防御する。

 

しのぶ「今、何をしようとしてましたか?冨岡さん」

そこに居る禰豆子を義勇が斬るのでは無いかと考えたのだ。

 

冨岡「別に何もしようとしてないが?」

 

秋雨「あっ!そういえば話したこと無かったな。しのぶ」

 

しのぶ「この後に及んで何か言うことが?」

 

秋雨「義勇は、禰豆子が鬼だと言うことをずっと前から知っているんだ。だから、禰豆子を突然斬ったりはしないよ。もし勘違いしてるならすぐにやめてくれ」

 

そう言うとしのぶはゆっくりと刀を鞘に納めた。

しのぶ「はぁ.........何でもっと早く教えてくれないんですか」

 

秋雨「そりゃあこんな形で会うとは思ってなかったし.........いきなり斬りかかってくるんだもん

 

しのぶ「ん?今何か言いましたか?」

 

秋雨「!!いや何も...」

 

しのぶ「まあいいでしょう。それより何事も無く終わったようで良かったですね....」

 

しのぶが話しているところに俺の鴉が飛んで来た。

 

幸郎「伝令!!伝令!!カァァァ!伝令アリ!!」

 

皆「!?」

 

幸郎「炭治郎・禰豆子!両名ヲ拘束!本部ヘ連レ帰ルベシ!!」

 

皆「!!」

 

幸郎「炭治郎及ビ鬼ノ禰豆子、拘束シ本部ヘ連レ帰レ!!炭治郎額ニ傷アリ竹ヲ噛ンダ鬼禰豆子!!」

鴉は基本的に中立的立場であるのだが、如何なる時もお館様の伝令は絶対で忠実なのだ。

 

お館様には当然禰豆子の話しは伝わっている。つまり、今禰豆子の事を柱の皆に説明すべきだとお館様が判断を下したのだ。

 

 

 

──産屋敷にて──

隠「起きろ!起きるんだ!起き...オイ、オイ!コラ!!やい!てめぇ!!やい!!

 

いつまで寝てんだ!さっさと起きねぇか!!」

 

そうして、炭治郎が次に目を覚ましたのは産屋敷の庭の上だった...




大正コソコソ噂話
カナエさんやカナヲは蝶屋敷で、患者を手当てしているよ。

いかがだったでしょうか?
原作とは違って炭治郎の力だけで累を倒すことが出来ましたね。
これで柱合会議での柱からの見方も少し変わることでしょう。

次回お楽しみに!


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第六章~インフレは常に加速してく~
第弐伍話 柱合会議


今回は、柱合会議オンリーの話です。
戦闘が無いので、話だけになりますが、飽きずに読んでもらえると嬉しいです。

では本編です!どうぞ!


──西暦1915年 5月18日 大正四年──

累と戦った後、鬼殺隊本部に炭治郎は連れてこられていた。

そして、現在、鬼殺隊柱合裁判にかけられようとしていた。

 

隠「──さっさと起きねぇか!!柱の前だぞ!!」

 

炭治郎は俺たち以外の柱に会うのは初めてだった。

 

柱とは鬼殺隊の中で最も位の高い九名の剣士である。本来なら九名だが、二人で一つの柱として認められている者がいるので実際には十名なのだが...

 

柱より下の階級の者たちは恐ろしい早さで殺されてゆくが彼らは違う。鬼殺隊を支えているのは柱たちだった。

 

悲鳴嶼「ここは鬼殺隊の本部だ。お前は今から裁判を受ける。竈門炭治郎」

 

煉獄「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」

 

宇髄「ならば俺が派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。もう派手派手だ」

 

甘露寺(えぇぇ...こんな可愛い子を殺してしまうなんて。胸が痛むわ。苦しいわ)

 

悲鳴嶼「あぁ...なんというみすぼらしい子供だ。可哀想に生まれてきたこと自体が可哀想だ」

 

無一郎(何だっけあの雲の形。何て言うんだっけ)

 

有一郎「如何なる理由があろうとも、鬼は悪だ!それを庇うなど言語道断」

 

悲鳴嶼「殺してやろう」

 

煉獄「うむ」

 

宇髄「そうだな。派手にな」

 

炭治郎は禰豆子がいないため屋敷内を見渡した。

すると、木の上から声がかかる。

 

伊黒「そんなことより冨岡たちはどうするのかね」

 

炭治郎「!?」

 

伊黒「拘束もしてない様に俺は頭痛がしてくるんだが...鴉の伝達によると隊律違反はその四人も同じだろう。どう処分する?どう責任を取らせる?どんな目にあわせてやろうか」

 

宇髄「全くだ...どの面下げてここに来てるんだか...」

 

煉獄「まぁ待て2人共。まずはこの少年に話を聞く方が先だ。少年話せるか?」

 

炭治郎「......っ」

 

煉獄「水を飲んだ方が良いな。胡蝶、水を持っているか?」

 

しのぶ「はい。鎮痛薬が入ってるため楽になるかと...怪我が治るわけでは無いですが...」

そうして炭治郎は水を飲ましてもらって話し出す。

 

炭治郎「...俺の妹は鬼になりました。だけど人を喰ったことはないんです。今までもこれからも人を傷つけることは絶対にしません」

 

その間も伊黒達の思惑は変わることなく、伊黒、悲鳴嶼の二名が否定をする。

 

炭治郎「聞いてください!!俺は禰豆子を治すため剣士になったんです。禰豆子が鬼になったのは二年以上前のことで、その間禰豆子は人を喰ったりしてない」

 

宇髄「話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが!人を喰ってないこと、これからも喰わないこと口先だけでなくド派手に証明してみせろ」

 

甘露寺「あのぉ、でも疑問があるんですけど...お館様がこのことを把握してないとは思えないです。勝手に処分しちゃってもいいんでしょうか?」

 

炭治郎「.....」

 

甘露寺「いらっしゃるまでとりあえず待った方が.....」

甘露寺の意見は至極真っ当で、この言葉には誰も反論は出来ず、押し黙ってしまう。

 

炭治郎「妹は俺と一緒に戦えます。鬼殺隊として人を守るために戦えるんです!だから!...」

そこに実弥が禰豆子の入った箱を持ってやってくる。

 

実弥「オイオイ何だか面白いことになってるなァ」

隠が焦って不死川を止めるべく、抗議する。

 

実弥「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかィ。一体全体どういうつもりだァ?」

 

隠「胡蝶様申し訳ありません...」

 

しのぶ「不死川さ...」

 

秋雨「実弥。勝手なことをするな!!」

 

甘露寺(しのぶちゃんも秋雨さんも怒ってるみたい。珍しいわね。カッコイイわ)

 

実弥「勝手なことだァ?鬼を庇っておいて何様だ?説明できるのか?この状況がァ」

 

秋雨「下ろせ。お館様がいらしたら説明する。だから今は大人しくしておけ」

 

実弥「チッ!!....良かったな。あんたじゃなけりゃこの鬼刺してたところだ」

実弥はそう言って禰豆子の箱を床に置いた。

 

「お館様のお成りです」

産屋敷家のご子息が言うとお館様がいらした。

 

お館様「よく来たね。私の可愛い剣士たち」

 

炭治郎「!?」

 

お館様「お早う皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと。嬉しく思うよ」

 

炭治郎は顔を上げたままだったので、実弥が強引に炭治郎の顔面を地面に付ける。

 

そして、皆一斉にしゃがみ、皆同じように頭を下げる。

 

実弥「お館様におかれましても、御創建で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます」

 

お館様「ありがとう。実弥」

 

実弥「畏れながら柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士についてご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか」

 

お館様「そうだね。驚かせてしまってすまなかった。炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めてほしいと思っている」

 

柱一同「!!」

 

お館様「当然、理解できない者や信用出来ないと言った者もいると思う。鬼を滅殺してこその鬼滅隊だ。だから、少しの間だけど秋雨や胡蝶姉妹の監視下で任務をしてもらっていた。秋雨、説明できるかな?」

 

秋雨「俺は仮にも隊律違反を犯した身です。この私でもよろしいと言われるのならば話しますが...」

 

お館様「そうかい。じゃあ頼むよ」

 

秋雨「はい。私は、炭治郎を鬼殺隊に入る前から見てきましたが、その鬼、禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保っています。信じ難い話ですが、睡眠をとる事で鬼としての本能を抑えてます。

 

飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過致しました。任務中も人を喰うことは無く、むしろ人を守るために戦ってもいました。もちろん直ぐには信じることが出来ないでしょう。ですが、紛れもない事実です。

 

私、冨岡、胡蝶姉妹の四名がここに表明します」

 

お館様「ありがとう。それから、元水柱である鱗滝左近次様からも手紙を頂いている。それによると『禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び鱗滝左近次、義勇、秋雨、錆兎、真菰の五名が切腹してお詫び致す』とのことだ。

 

それから、胡蝶姉妹には私からお願いした。だから、そこの2人はお咎め無しとする」

 

炭治郎は切腹してまで庇う秋雨たちの心意気に涙した。

 

実弥(くっ!!.........秋雨の言葉とあらば俺も信用するを得ん)

 

宇髄(....何故だ!!何故この男の言葉はここまで重いんだ)

 

伊黒「....切腹するから何だと言うのか。死んだところで何の保証にもなりはしません」

 

煉獄「伊黒の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!!殺された人は戻らない!」

 

お館様「確かにそうだね。人を襲わないという保証ができない。証明ができない。ただ、人を襲うということもまた証明ができない」

 

伊黒「!!」

 

お館様「禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいること、人を護って戦った事もまた事実。禰豆子のために五人の者の命が懸けられている。これを否定するためには否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」

 

伊黒「.........っ」

 

煉獄「....むう!」

 

お館様「それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している」

 

宇髄「!?」

 

煉獄「そんな!まさか.........」

 

悲鳴嶼「柱ですら誰も接触したことが無いというのに...!!」

 

有一郎「こいつが!?」

 

宇髄「能力は!?場所はどこだ!?」

 

無一郎「戦ったの?」

 

秋雨「待て!!!そんな皆して聞いても答えられる訳無いだろ?俺も一緒に見たんだ。俺から説明しよう」

 

煉獄「本当か!!それは助かる!」

 

宇髄「まず鬼舞辻の能力を...」

 

ゆっくりとお館様が自分の口の前に人差し指を立てて皆を静まらせた。

 

お館様「鬼舞辻はね。炭治郎に向けて追っ手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。

 

恐らくは禰豆子にも鬼舞辻にとって予想外の何かが起きているのだと思うんだ。分かってくれるかな?」

 

柱一同「.........」

 

秋雨「実弥」

 

実弥「ぁあ?なんだ?」

 

秋雨「お前は稀血だったな?」

 

実弥「そうだが。それがどうした?」

 

秋雨「炭治郎。今からする事を許してくれ」

 

炭治郎「えっ...」

 

俺は禰豆子の箱を持ち、屋敷の中に上がろうとする。

秋雨「禰豆子の証明のために入っても」

 

お館様「ああ、いいよ」

 

秋雨「では、失礼仕る」

 

そう言って俺は日陰に入る。実弥を連れて。

実弥「なぁ秋雨、お前何を...」

 

その瞬間俺は禰豆子の入った箱に刀を刺そうとする。

炭治郎「禰豆子ォ!!やめろーっ!」

 

一同「!?」

突然のことに驚いているようだ。

 

炭治郎がその時立とうとするので、伊黒が上から押さえつけて肺から空気を逃がす。

 

そうして禰豆子の箱を刺す。

実弥「さっき俺のこと止めておいて何やってんだ!!」

 

秋雨「実弥、少しで良い。血を」

 

実弥「!!.....ちっ、そういうことかよ。最初からそう言えよ」

ここで俺の意図を読んだのか、実弥が自分の腕を刀で少し切って、血を出す。

 

秋雨「禰豆子。出てこい!!」

禰豆子の箱を開ける。

 

そして、禰豆子が姿を顕にする。

禰豆子「フゥ.........フゥ.........フゥ」

実弥の血を前にして興奮しているようだ。

 

 

 

しのぶ「伊黒さん。強く抑えすぎです。少し弛めてください」

 

伊黒「動こうとするから押さえているだけだが?」

 

しのぶ「....竈門君。肺を圧迫されている状態で呼吸を使うと血管が破裂しますよ」

忠告されているにも関わらず炭治郎は呼吸をする。

その間にも禰豆子は血を前にして苦しんでいた。

 

しのぶ「竈門君!!」

 

炭治郎「ガ!ァ!ア!!」

そして、ついに拘束を外して、伊黒の手を跳ね除けて禰豆子の方に走っていく。

 

一同「!?」

炭治郎の持つ底力に驚いているようだ。怪我をしていても諸共しない精神力、強靭な肉体。炭治郎もまた稀有な人間の1人なのだ。

 

炭治郎「禰豆子!!」

 

禰豆子「!!」

禰豆子は炭治郎の声かけに1度、炭治郎の方に目を逸らした。

禰豆子(人は守り、助けるもの。傷つけない。

 

──絶対に傷つけない!!)

禰豆子はそう決心してからもう一度此方を向く。

そして、しばらく見つめてから、はっきり目を逸らした。

 

お館様「どうしたのかな?」

 

産屋敷ひなき「鬼の女の子はそっぽ向きました」

 

産屋敷にちか「瑞雲様に三度刺されていましたが、目の前に血塗れの腕を突き出されても我慢して噛まなかったです」

 

産屋敷「では、これで禰豆子が人を襲わないことの証明ができたね」

 

一同「!!」

 

俺は禰豆子のことを申し訳なく思い、介抱する。

秋雨「...禰豆子...すまない.........こんな事して、炭治郎悪かった許してくれ....いくら証明のためとはいえ...本当に悪いことをした」

そのあとで俺は炭治郎の方を向き、泣きながら土下座をする。

 

炭治郎「いえ.....顔を上げてください」

 

お館様「炭治郎、秋雨。それでもまだ禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう。証明しなければならない。これから炭治郎と禰豆子が鬼殺隊として戦えること、役に立てること」

 

炭治郎(何だろうこの感じ。ふわふわする....)

 

お館様「昨日の戦いで炭治郎は下弦の参を倒したようだね。上弦を倒しておいで。そうしたら炭治郎の言葉の重みがかわってくる」

 

炭治郎(声?この人の声のせいで頭がふわふわするのか?不思議な高揚感だ.........!!)

 

炭治郎「俺は...俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します!!俺と禰豆子が必ず!!悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう!!」

下弦の参を倒したということもあってか、その言葉は満更ただの慢心には聞こえなかった。

 

お館様「期待しているよ。でも、今の炭治郎にはできないだろうから、上弦を一人でも倒そうね」

 

炭治郎「はい」

原作では皆笑いを堪えてたりしたけれど、下弦を倒した実績からか、そのような者はいなかった。

 

お館様「それから秋雨、小芭内、実弥勝手な行動を慎むように」

 

秋雨含む三名「御意」

 

お館様「炭治郎の話はこれで終わり。下がっていいよ。そろそろ柱合会議を始めようか」

 

そうして裁判は幕を閉じた。




大正コソコソ噂話
秋雨はお館様にだけ、禰豆子にする事を先に話しておいたよ。

いかがだったでしょうか?
今回で禰豆子の事も公になり、柱に知れ渡りましたね。
何とか何事も無く済んで良かったですね。

次回お楽しみに!

※都合上この先話のペースが遅くなる可能性があり。


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第弐陸話 賽は投げられた

皆さん、おはこんばんは!

平日に書いたものは話のテンポが遅くなることがあります。
学生なもので、書ける時間も限られてきます。
ご了承ください

では本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 五月十八日 大正四年──

炭治郎の裁判が終わった後の話。

炭治郎は蝶屋敷に連れて行かれた。お館様が炭治郎の去り際に『珠世さんによろしく』と言っていたので、柱合会議で聞こうと思う。

 

──柱合会議──

お館様「では柱合会議を始めるよ」

 

柱一同「御意」

 

お館様「まず、今回の任務の件だけど秋雨、しのぶ、御苦労だったね」

 

秋雨、しのぶ「ありがとうございます」

 

お館様「それと秋雨と炭治郎が無惨を見た件について話を伺いたいのだけどいいかな?」

 

秋雨「御意、まず無惨の見た目ですが、全身スーツの男で、白い帽子をしていました」

 

宇髄「でも、秋雨から過去にも会った事あると話を聞いたけど、そんな見た目じゃ無かったよな?」

 

秋雨「はい。無惨は人間に紛れて生活しています。なので姿形は自在に変えられるものと考えています」

 

煉獄「そうか!では無惨をどのように見分けたのか話を聞きたい!」

 

秋雨「はい。無惨は目だけは変えられません。猫のような黒目をしていて、周りは充血したように赤くなっています。それとこれは、見た者の五感で差異があるとは思いますが、圧倒的な気配があるので直ぐに気づけるかと...

 

それと人を鬼に変えるところを目にしましたが、一秒もかかってはいなかったように思えました。戦う時に鬼に変えられたりなどしないように気をつける必要があります」

 

お館様「秋雨、有益な情報をありがとう。報告にあるように鬼の被害は今まで以上に増えている。人々の暮らしがかつて無く脅かされていることだね。鬼殺隊員も増やさないといけないが皆の意見は」

 

しのぶ「人が増えれば増えるほど制御統一は難しくなっていくものです。今は随分時代も様変わりしていますし」

 

秋雨「お館様。珠世さんのことをご存知であられたこと、話を伺いたいのですが....」

 

お館様「珠世さんのことは鴉から話を聞いていた。しのぶと協力して鬼を人間に戻す薬を作っているらしいね」

 

煉獄「なんと!それは真かしのぶ!!」

 

しのぶ「はい。まだ試作段階ですが、作っております」

 

お館様「彼女もまた鬼なのだが、敵意はないし、むしろ鬼殺隊にとって貴重な人材だ。禰豆子のこともあって、受け入れ難いかもしれないが皆にも容認してほしいと思っている」

 

煉獄「うむ!先程の鬼を見て、考え改めた!鬼もまた未知の存在!殺すだけでは何も変わらない!」

 

煉獄以外の柱「......」

柱の中でも上位の力を持つであろう煉獄さんが言うのだ。誰も反論できまい。

 

お館様「理解してもらえたようで何よりだ。しかし、今回、これだけ下弦の参が大きく動いたということは那田蜘蛛山近辺に無惨はいないのだろうね。浅草もそうだが、隠したいものがあると無惨は騒ぎを起こして、巧妙に私たちの目を逸らすから、なんとももどかしいね。

 

ここにいる柱は戦国の時代、始まりの呼吸の剣士以来の精鋭たちが揃ったと思っている。

 

宇髄天元

煉獄杏寿郎

胡蝶しのぶ

甘露寺蜜璃

時透無一郎、時透有一郎

悲鳴嶼行冥

不死川実弥

伊黒小芭内

冨岡義勇

瑞雲秋雨

 

ここにはいないが、真菰、錆兎

 

私の子供たち、みなの活躍を期待している。

以上で柱合会議を終わる」

 

 

──蝶屋敷にて──

後藤(隠)「ごめんくださいませー」

 

女隠「ごめんくださいませー」

 

後藤「ごめ....全然誰も来ねぇわ。勝手に上がるのもなぁ...庭の方回ってみるか?」

 

──蝶屋敷・庭──

後藤「お前自分で歩けよな」

 

炭治郎「すみません。ほんともう体中痛くていたくて...」

 

女隠「お爺さんかよ。あっ いる、人いる」

 

後藤「あれはえーっと....そうだ。継子の方だ。お名前は...」

 

炭治郎「継子って確か.........柱が育てる隊士のことですよね?」

 

後藤「栗花落カナヲ様だ。相当才能があって優秀じゃないと選ばれない。女の子なのにすげぇよなあ」

 

炭治郎はその女の子に見覚えがあった。

 

女隠「胡蝶様の申し付けにより参りました。お屋敷に上がってもよろしいですか?」

カナヲは隠をニコニコして見ている。

 

女隠「よろし.........い?」

カナヲは隠をニコニコして見ている。

 

女隠「よろしいですかね.........?あの...えー」

カナヲは隠をニコニコして見ている。

 

こんな一方通行な会話が続いた後。後ろから声がかかる。

アオイ「どなたですか!!」

 

女隠「胡蝶様に.........」

 

後藤「いえっ!あのっ!」

 

アオイ「隠しの方ですか?怪我人ですね。こちらへどうぞ」

スタスタと歩いて行ってしまった。

 

──蝶屋敷・病室──

善逸、伊之助の両名がベッドに寝ていた。

 

炭治郎「善逸!!」

 

善逸「ギャーッ!」

 

炭治郎「大丈夫か!?怪我したのか!?」

 

善逸「た...炭治郎...」

 

善逸「うわぁあ炭治郎聞いてくれよーっ!起きたら全身筋肉痛で体全く動かないんだよーっ!さっきからあの女の子にガミガミ怒られるし最悪だよーっ!」

 

炭治郎「伊之助は?村田さんは見なかったか?」

 

後藤「ちょっと離れろよ.........俺関係ない.........」

善逸は鼻水を垂らして隠に抱きついていた。

善逸「村田って人は知らんけど伊之助なら隣にいるよ」

 

炭治郎「あっ!ほんとだ!思いっきりいた!!気づかなかった!伊之助!!無事で良かった...!!ごめんな助けに行けなくて...!!」

 

伊之助「.........いいんだ。気にするな」

 

炭治郎はいつもの破天荒では無い伊之助を見て驚く。

 

善逸「あのあと、俺が鬼の胴体切って、伊之助が鬼の頸切ったんだけど、なんか自分があんまり役に立て無かったとか言って落ち込んでんだよね。それですごい丸くなっててめちゃくちゃ面白いんだよな。

 

ウィッヒヒッ!」

 

炭治郎「なんでそんな気持ち悪い笑い方するんだ?どうした?」

 

 

怪我の状態はこんな感じだ。

炭治郎は、顔面及び、腕・足に切創。擦過傷多数。全身筋肉痛。重ねて肉離れ、下顎打撲。

 

善逸は、全身筋肉痛。重ねて肉離れ、足骨折。最も重症

 

伊之助は、全身筋肉痛。重ねて肉離れ。

 

禰豆子は寝不足。

 

4人は蝶屋敷でそれぞれが回復するための休息に入った。

禰豆子は寝まくり、炭治郎と善逸は痛みに耐えまくり、

伊之助「ごめんな。弱くって」

 

炭治郎「がんばれ伊之助!がんばれ!」

 

善逸「お前は頑張ったって!」

落ち込みまくる伊之助を両側から励ましまくる。

そんな毎日だった。

 

お見舞いが来た。

村田「よっ」

 

秋雨「大丈夫か?怪我は?」

 

炭治郎「村田さん!秋雨さんも!」

 

村田は那田蜘蛛山での仔細報告のため柱合会議に召喚された。

 

村田「地獄だった....怖すぎだよ柱。なんか最近の隊士はめちゃくちゃ質が落ちてるってピリピリしてて皆。那田蜘蛛山行った時も命令に従わない奴とかいたからさ.........その育手が誰かって言及されて」

 

秋雨「まあまあ、村田のせいじゃないと思うよ、俺は」

 

村田「ほんと、庇ってくれるのは秋雨だけだよ」

 

秋雨「オイオイ.........」

 

村田は愚痴ばっかりだった。

しのぶ「こんにちは」

 

村田「あっ!どうもさよなら!!」

しのぶがやってくると逃げるように村田はそそくさと帰って行った。

 

しのぶ「どうですか。体の方は」

 

炭治郎「かなり良くなってきてます。ありがとうございます」

 

しのぶ「では、そろそろ機能回復訓練に入りましょうか」

しのぶは満面の笑みでそう言う。

 

炭治郎「.........機能回復訓練?」

 

こうして、炭治郎たちの過酷な訓練が始まった。




大正コソコソ噂話
秋雨は敬語は出来ても、畏まったのは苦手らしいよ

いかがだったでしょうか?
今回は、柱合会議~炭治郎たち療養までを書きました。
戦いはしばらくの間無いかもしれませんが、この先も楽しんで読んでもらえるといいかなと思います。




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第弐漆話 高め合う仲間

皆さんおはこんばんは!

今回、戦いの描写はありません。
あるのは修行とリア充のみです。

では本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 六月一日 大正四年──

炭治郎たちが胡蝶家に療養し始めて二週間後。

炭治郎と伊之助は今、リハビリのために柔軟・反射訓練・全身訓練を行わされていた。

 

秋雨「アオイ。炭治郎たちの訓練の様子見ててもいいか?」

 

アオイ「別に構いませんが」

 

しばらくして炭治郎と伊之助がやって来た。ちなみに善逸は骨折のため来れない。

 

アオイ「まず、二人に訓練の内容を説明させていただきますね。まず、あちら寝たきりで硬くなった体をあの子たちがほぐします。

 

それから反射訓練。湯飲みの中には薬湯が入っています。お互いに薬湯をかけ合うのですが、湯飲みを持ち上げる前に相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせません。

 

最後は全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですね。私アオイとあちらのカナヲがお相手です」

 

秋雨「少しいいかな?」

 

アオイ「?何か分からないことでも?」

 

秋雨「いや、鬼ごっこの後に訓練を加えて欲しいんだ」

 

アオイ「訓練を?」

 

秋雨「ああ、炭治郎たちに木刀を持ったまま目隠しをしてもらう。そして木刀を俺に向かって当ててくるというものだ。その際俺は跳ぶことを除いて、一歩も動かずに避ける」

 

アオイ「訓練の内容は分かりました。でも何の目的で?」

 

秋雨「五感に頼らずに戦えるようにだよ」

 

アオイ「なるほど」

 

秋雨「それと出来ればカナヲちゃんにも参加してもらいたいんだ」

 

アオイ「カナヲも?それはどうしてですか?」

 

秋雨「変な意味は無いさ。ただ、炭治郎たちの競争相手がいる方が良いかなと思って」

 

アオイ「そういうことなら大丈夫ですが」

 

秋雨「わがまま言って悪かったな」

 

アオイ「いえ」

 

それから炭治郎たちの過酷な訓練が始まった。

炭治郎たちが、帰ってくる度にやつれた顔を見せるため善逸は不安だった。

 

 

二日後に善逸も少し遅れて訓練に参加する。

説明を聞いた善逸は炭治郎たちを連れて一旦裏に出ていく。

声がデカすぎて全部筒抜けだったが.........

 

どうやら、炭治郎たちが女の子と練習していたことに嫉妬しているらしい。

 

全員「.........」

 

その後善逸・伊之助にも気合いが入った。

善逸は柔軟でも弱音を吐かず反射訓練、全身訓練共に勝ち星をあげたが、さっきのことで善逸への目は厳しく、ボコボコにされてた。

 

秋雨(善逸.........どんまい)

 

負けず嫌いの伊之助は度が過ぎてるくらいに勝ちに急いでいた。

 

原作では常中が出来ずにカナヲに叩きのめされていた炭治郎たちだったが、この世界線では既に常中を身につけているため順調に勝ち進んでいく。

 

しかし順調だったのはここまで。

秋雨には敵わない。誰も彼の湯飲みを押さえることはできないし捕まえることができない。そして、今日まで秋雨に木刀を当てられた者はいない。

 

伊之助「紋逸が来ても結局俺たちは当てられずに終わったな」

 

善逸「改名しようかな。もう紋逸にさ.........」

 

炭治郎「秋雨さんにはどうやっても近付けないのだろうか?」

 

善逸「俺に聞いて、何か答えが出ると思っているならお前は愚かだぜ」

 

炭治郎「.........」

 

それから五日間秋雨に負け続ける日々が続く。

伊之助も善逸も秋雨の髪の毛一本すら触れなかった。

 

負け馴れてない伊之助はふて腐れてへそを曲げた。善逸も早々と諦める態勢に入る。

 

訓練場に来なくなった。

 

炭治郎だけが申し訳なさそうに来た。

それから更に五日経ったが勝つことは出来なかった。

 

修行終わりの炭治郎にすみちゃん達が手拭いを渡そうと後ろに立つ。

 

炭治郎「わっ、びっくりした!ごめん。どうした?」

 

「「「.........」」」

 

きよ「手拭いを.........」

 

炭治郎「わぁ!ありがとう助かるよ!優しいねぇ」

 

きよ達はそう言われて喜んでいた。

 

きよ「これ、秋雨さんからです」

きよ達は秋雨から炭治郎の修行に関するメニューをもらっていた。

 

炭治郎「.........ん?」

 

きよ「そこに書いてあることをやるようにと.........」

 

そこにはおびただしい数の練習内容が書かれていた。

炭治郎「.........これ全部?.........出来るかな?」

 

きよ「秋雨さんはこれを毎日繰り返して強くなったと言ってました」

 

なほ「頑張ってください」

 

すみ「炭治郎さんならできますよ!」

 

炭治郎「そうか.........!!ありがとうやってみるよ」

 

炭治郎は次の日から全力で取り組んだ。

 

炭治郎(全っ然できない。できなーい!!全部やろうとしても途中で体が追いつかなくなる。体づくりだ。今までの倍努力をするんだ。頑張れ!!頑張ることしかできないんだから。俺は昔から。)

 

──十五日後──

炭治郎は屋根の上で瞑想をしていた。

そこにしのぶがやってくる。

 

しのぶ「もしもし」

 

炭治郎「ハイッ!」

 

しのぶ「頑張ってますね。お友達二人はどこかへ行ってしまったのに。一人で寂しくないですか?」

 

炭治郎「いえ!勝てるようになったらやり方を教えてあげられるので!」

 

しのぶ「.........君は心が綺麗ですね。炭治郎君頑張ってくださいね。どうか禰豆子さんを守り抜いてね」

 

しのぶは親が鬼に殺されて以来、鬼に対しての怒りは蓄積されていくばかりだったが、禰豆子や珠代さんや愈史郎のような鬼もいるということを知ってからしのぶの鬼を見る目は変わっていた。

 

もうしのぶに怒っている匂いは残っていなかった。

 

炭治郎「.........頑張ります」

 

 

──炭治郎の訓練を終えた後──

俺のところにカナエさんが来た。

秋雨「あっ!カナエさん。どうしたんですか?」

 

カナエ「ううん。炭治郎くん達の様子はどうかなって思って聞きに来ただけ」

 

秋雨「そうですか。善逸と伊之助は最近来てませんが、炭治郎は諦めずに来てくれてますよ」

 

カナエ「そう.........まあ相手が秋雨くんだものね。諦めるのも納得出来るわ」

 

秋雨「なんですか、その言い方!?それじゃ俺が人外みたいじゃないですか!!」

 

カナエ「十分人の枠からズレてるわよ」

 

秋雨「そんな.........」

 

カナエ「それだけ凄いってことよ」

 

秋雨「まあ.........それならいいですけど」

 

カナエ「思えばあの時からだったわ。秋雨くんのこと意識し始めたのは…私が上弦の弐と戦ってる時、倒すことよりも自分の身よりも、私の身だけを心配して戦ってた。まるでああなることを知ってたかのように.........」

 

秋雨「どうしたんですか?急に」

 

カナエ「私、あなたの底知れない力に惹かれたの。急かもしれないけど…好きよ秋雨くん」

 

あまりに突然だったため、すごくたじろいだ。そして、カナエさんは驚く程に美人なので、そんな人が俺のことを好きだなんて信じられなかった。なので、聞き間違いかと思い聞き返す。

 

秋雨「!!えっ.........それって友達としてとかじゃあなくっ.........て?.........」

 

カナエ「ううん、異性として好きなの」

 

秋雨「えーーっ!!ほんとに?」

 

カナエ「もしかして嫌だった?」

 

秋雨「いやいや、あまりにも突然だったから。.........嬉しいです」

 

カナエ「!!.........じゃあ」

 

秋雨「ああ、俺もカナエさんのことが好きです!是非俺なんかで良ければ付き合ってください!」

 

カナエ「はい」

 

こうして、1ミリも予想してなかった、青春が訪れる。




大正コソコソ噂話
秋雨は転生前非リアだったため、少し初心なところが多いらしい

いかがだったでしょうか?
今回、機能回復訓練が始まりましたね。

そして.........
なんと秋カナができました。これからどうなっていくのか必見です!

次回もお楽しみに!


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第弐捌話 迫る戦

皆さん!おはこんばんは!

戦いの描写は少ないですが、飽きずに戦い以外のところも読んでもらえると助かります。

では本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 六月二一日 大正四年──

炭治郎が秋雨のやっていた修行を始めて五日が経った日のことである。

 

炭治郎は極度の疲労困難に陥っていた。

それ故に炭治郎の体は伊達では無いほどに鍛え上がっていた。

そして、最後に残った修行。走り込みをする時にそれは起きた。

 

 

炭治郎(あれ?いつもならこの辺でもう走れなくなるはずなのに.........なんだ?全然疲れを感じない.........)

 

俺はその様子を遠くから見守っていた。

秋雨「嘘だろ?この段階で.........!」

 

炭治郎の額のキズが、いつものような歪で淡い色をしておらず。形が整っていて色も濃くなっていた。正しく、痣だ。この段階で痣が出たのだ。

 

俺の見立てでは透き通る世界を先に習得してもらう予定だったのだが、先に痣が出てしまったのだから仕方ない。この際痣による体力の消耗に耐えられる体をつくってもらうしかない。

 

主人公が二十五で死ぬとか嫌だからな。

 

 

秋雨「炭治郎。俺の期待に応えて強くなってくれたな」

 

炭治郎「あっ!秋雨さん!ありがとうございます!」

 

秋雨「今日の機能回復訓練は特別だ。覚悟しておけよ」

そう言うと秋雨そそくさと行ってしまった。

 

炭治郎「特別って.........一体?」

 

 

午後になり機能回復訓練が始まる。

まず、秋雨との反射訓練。いつもなら秋雨に歯が立たない炭治郎だが、今日は違った。炭治郎が秋雨に互角についていく。秋雨も一応手加減はしているが.それについて行くだけでも凄いものだ。

 

そして、遂に秋雨が湯飲みに蓋をするよりも早く炭治郎が湯飲みを捕ったのだ。

 

しかし、薬湯をかけずに俺の頭の上に置いた。やはり、炭治郎は優しい。

 

次に秋雨との全身訓練及び鬼ごっこに移る。

いつもなら秋雨と距離を離されたまま終わっている。

 

秋雨「炭治郎。さっきの走り込みの時の感じを思い出せ」

 

炭治郎「!!そういうことだったのか」

炭治郎は俺の意図に気付いたらしい。

 

そして、走り始めるが、最初はいつものように大差をつけられたまま走り出す。しばらくすると、炭治郎が急に速くなった。痣が発動したのだ。

 

秋雨「!?」

 

きよ達「いい勝負です!!頑張って!!」

 

遂に炭治郎が俺の腕を掴んだ。もちろん手は抜いているが、それでも炭治郎よりは速く走ってたはず。それでも追いついたのだ。やはり炭治郎は主人公だ。

 

きよ達「勝ったー!!」

和気あいあいとしていて凄く和んだ。

 

秋雨「炭治郎、次で最後の訓練だ。今から木刀を持ってかかって来てもらう。目隠しもしなくていい。俺は一歩も動かずに木刀だけで攻撃を防ぐ。一撃でも当てられたら晴れて免許皆伝だ」

 

そうして炭治郎と俺の撃ち合いが始まった。

最初は劣勢だった炭治郎もコツを掴み出したのか、俺についてくる。というよりも俺の苦手な位置に正確に打ってくる。

そして、遂に炭治郎の木刀が俺の体を捕らえた。

 

秋雨「よくやったな。.........それよりも最後急に俺の急所だけを狙うように攻撃してきたが、どうやったんだ?」

 

炭治郎「おかしなことを言うんですが.........途中から秋雨さんの体が透けるように見えて、それが剣を導いてくれるんです」

 

秋雨「炭治郎、それは努力の賜物だ。大事にしていけよ」

 

炭治郎「秋雨さん、もしかして…あなたも」

炭治郎はまるで知っていたかのような返答をする秋雨の様子から炭治郎は秋雨も出来るのだと解釈するのであった。

 

秋雨「さあね…」

 

そんな炭治郎に対して濁すように言葉を返しその場を後にする秋雨だった。

 

しかし、炭治郎の成長を素直に喜べない者が二人いた。

炭治郎の様子を傍らで見ている伊之助と善逸は炭治郎に追いつかないとということで頭がいっぱいになっていた。

 

善逸と伊之助は炭治郎とは違い、努力というものが苦手だった。

 

でも、その二人が苦手な努力をしようとしてまで炭治郎に追いつこうとしていた。だけど、炭治郎に置いていかれてしまった焦りからなのか、丁寧に教えてもらっても上手く覚えられ無かった。

 

秋雨「炭治郎がやっていたのは過度の練習により身体能力を潜在的に強くするというものだ。全集中・常中の次の段階だと考えてくれればいい。

 

もちろん厳しいものになるし、体が追いついてこない事もあるだろう。ただ、これをやれば柱と同じかそれ以上の実力になることが期待出来る」

 

そこにカナエさんとしのぶがやって来た。どうやら2人のやる気を焚きつけるために来たらしい。

しのぶ「柱を越せなくていいんですね。仕方ないです。できないならしょうがない。しょうがない」

明るい顔で伊之助を煽る様子には秋雨も少し恐怖を感じた。

 

伊之助「はぁーん!?できてやるっつーの!当然に!!舐めんじゃねぇよ!乳もぎ取るぞコラ!」

 

しのぶ「頑張ってください!善逸君!一番応援してますよ」

 

善逸「ハイッ!」

しのぶは善逸の手を取って顔を近づけてそう言う。

 

善逸も顔を赤くして大奮起する。効果抜群のようだ

 

 

カナエさんが俺の方に来て俺に話かける。

カナエ「秋雨くんは教えるのも上手いのね」

 

秋雨「いやいやそんなことないですって///」

急に言われたので俺は少し萎縮してそう答える。

 

カナエ「今更敬語で話すことないのに.........」

 

秋雨「分かったよカナエさん。いや.........カナエ」

 

鈍感な炭治郎と伊之助は気づかなかったようだが、善逸はそういった事に敏感なようだ。

 

善逸「え?あんたら出来てんの!?」

 

秋雨「ん?なにが?」

 

善逸「いや.........とぼけんなよ」

 

秋雨「だからなにが?」

 

善逸「もう分かってるから!!」

 

秋雨「あっ、そう?正直に言うと、そうだけど」

 

善逸「うん.........うん分かってたよ。だって前から雰囲気良かったもん。でもさあだからってホントに.........」

善逸の感情は分からないが落ち込んでるのは確かなので慰めておいた。

 

秋雨「善逸には禰豆子ちゃんがいるでしょ」

耳元で善逸にそう言っておいた。

善逸は予想外のフォローに唖然としていた。そして言葉が出てこない善逸を不思議に思ったカナエが秋雨に聞くがそれを秘密にする秋雨。

 

カナエ「ねぇ今何て言ったの?」

 

秋雨「なんでもないよ」

 

カナエ「意地悪だなあ。全く!!教えてくれてもいいのに!」

頬を膨らませて怒る姿は可愛すぎて見惚れる程だ。

──九日後──

善逸は、痣が出ない変わりに透き通る世界が出来るようになった。順番としては正解だ。痣の疲労を抑えるには透き通る世界の習得しか方法は無いからである。

 

伊之助は、赫刀が出来るようになった。それと、ほんの少しの間だけど透き通る世界にも入ることが出来るように。

 

そして、文句無しで秋雨の訓練を突破。

伊之助「やってやったぞコラァ!!」

 

善逸「俺は誰よりも応援された男!」

 

しのぶ、秋雨の二人は人に教えるのが柱の中でも特に上手かった。

炭治郎は案の定説明が下手だった.........

 

──無限城にて──

累が殺された後、下弦の鬼は鳴女の血鬼術によって無限城に招集された。

無惨が鬼の前に姿を変えて、現れた。

 

無惨「頭を垂れて蹲え。平伏せよ」

この言葉で全員が無惨だと気付いて頭を下げる。

 

その後、原作通り、無惨によって下弦の鬼は下弦の壱である魘夢以外が殺された。

 

無惨「最期に言い残すことは?」

 

魘夢「そうですね。私は夢見心地で御座います。貴方様直々に手を下して戴けること。他の鬼たちの断末魔を聞けて楽しかった。幸せでした。人の不幸や苦しみを見るのが大好きなので、夢に見る程好きなので

 

私を最後まで残してくださってありがとう」

 

無惨が魘夢に血を与えた。

無惨「気に入った。私の血をふんだんに分けてやろう。ただしお前は血の量に耐えきれず、死ぬかもしれない。だが順応できたならば、さらなる強さを手に入れるだろう。

 

そして私の役に立て、鬼狩りの柱を殺せ。耳に花札のような飾りをつけた鬼狩りを殺せばもっと血を分けてやる」

 

こうして、魘夢は鳴女によって地上に戻された。

魘夢の頭の中には炭治郎の姿が流れていた。

 

魘夢「うふ。うふふ.........柱とこの子供を殺せばもっと血を戴ける...夢見心地だ.........!!」

 

新たな戦いの火蓋が切られようとしていた。




大正コソコソ噂話
炭治郎たちは、数分なら一人で上弦と渡り合える力を持っているよ。

いかがだったでしょうか?
炭治郎は着実に縁壱に近づいていってますね。
善逸も伊之助も段々強くなっていきますね。
どこまで強くなるのか見物です。

次回もお楽しみに!


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番外編 遠出

皆さん!おはこんばんは!
上げるのが遅くなりましたが、今回は番外編ということで話は進みません。
続きを期待して下さっていた方にも楽しんで読んでもらいたいと思います。

では番外編です!どうぞ!


──那田蜘蛛山に入る少し前の話──

俺は今桑島さんのところに伺っていた。

 

秋雨「久しぶりです桑島さん!」

 

桑島「おお!秋雨か!どうした?」

 

秋雨「獪岳に用があって」

 

桑島「獪岳に?それはまた珍しいのぉ獪岳ならあっちにおるが.........」

 

秋雨「そうですか。ありがとうございます!」

案内された通りに獪岳の所まで行く。

 

秋雨「獪岳」

 

獪岳「あ?なんだあんたか.........」

 

秋雨「今善逸に修行をつけてるんだけど、獪岳はどんな様子かと思ってな」

 

獪岳「そんなことで来たんですか?」

 

秋雨「それで、話がある。善逸はもう少しで雷の呼吸を最後の型まで覚えられる.........」

 

獪岳「あいつが?流石にそれはないでしょ。だってあいつ、俺がいくらコツとか教えても無理だったんですよ」

 

秋雨「まあ、評価はどうであれ、仲良くやっているようで何よりだ。お前がコツを教えるなんてな」

 

獪岳「はぁ?仲良くなんて無いですよ」

 

秋雨「ホントに嫌いなら修行を手伝ったりしないさ」

 

獪岳「.........まぁ、百歩譲って壱の型が凄いのは認めますよ。でもその話はうそですよね?」

 

秋雨「いや本当だ」

 

獪岳「まじであの根性無しが?」

 

秋雨「そう。その根性無しが」

 

獪岳「最後の型まで?」

 

秋雨「根性から叩き直してやったわ」

 

獪岳「秋雨さん、鬼っすか?」

冗談だろうが、洒落にならないので一応拳骨をお見舞いする。

 

獪岳「イテッ!.........冗談ですって。でも本当にそうなら、兄弟子としての立場が.........」

 

秋雨「それで、善逸に変な嫉妬とか持たれても嫌だから、俺がお前に壱の型教えてやるよ」

 

獪岳「変な嫉妬ってなんですか?」

 

秋雨「んー.........ひねくれて鬼になったりとか?」

 

獪岳「洒落になんないっすよ。それ」

 

秋雨「.........悪い」

 

まあここまでの茶番は置いておいて、本気で、獪岳が壱の型を覚えられるようにスパルタで修行をつけた。

 

──二日後──

秋雨「まあ技の内容としてはこんな感じだ」

 

獪岳「は.........はい」

 

秋雨「一度この丸太に向かって型を使ってみろ」

そこら辺の木を適当に斬って、持ってくる。

 

獪岳「でも.........」

 

秋雨「どんなに粗末でも良いからやってみろ!」

 

獪岳「ハイッ!!」

 

そう言って獪岳は壱ノ型を構え出す。

──雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

獪岳のいたところから雷鳴がして、次の瞬間には丸太は斬れていた。

 

秋雨「まあ、まだ改善の余地はあるが、型は出来てるからもっと修行すれば完璧出来るはずだ」

 

獪岳「分かりました。本当にありがとうございました!俺、善逸が出来てるのに壱ノ型が出来ないのが少し悔しかったんです。でもこれで心置き無く戦いに専念出来そうです」

 

秋雨「そうか.........良かったな。頑張れよ。それと、俺からもう1つだけ助言」

 

獪岳「なんですか?」

 

秋雨「朝から晩まで全集中の呼吸を切らさず生活しろ。寝る時も食べる時もだ」

 

獪岳「そんなこと.........出来ないですって!」

 

秋雨「無理じゃない。現に俺も善逸も出来るからな」

 

獪岳「は、はい.........やってみます」

 

秋雨「じゃあ俺はこれで」

獪岳に背を向けて去っていく。

 

獪岳「お元気でー!ありがとうございましたー!」

 

秋雨「おう!」

 

こうして俺は1つの不安の種を潰しておいた。そして、俺は希望の種を1つ育てたのだ。これで何か変わるといいのだが.........

 

桑島「秋雨!ご苦労じゃったな!獪岳は壱ノ型を無事出来るようになったのか?」

もう答えは知っていると言わんばかりの表情で言われたので俺は迷わず答えた。

 

秋雨「もちろん!」

 

桑島「そうか!そういえば、善逸はどうしておるんだ?」

 

秋雨「元気にやってますよ。まだ根性無しは治りきってませんが.........」

 

桑島「ハッハッハ!相変わらずじゃな!どうだ、壱ノ型以外も少しは出来るようになったのか?」

 

秋雨「ええ、まだ戦いに使えるような代物でも無いですが、一応全部できるようにはなってます」

 

桑島「!?全部!?あの泣き虫がか?」

 

秋雨「はい、あの泣き虫が」

 

桑島「どう教えたんだ?」

 

秋雨「まあそれは秘密ってことで」

 

桑島「冷たい奴じゃなあ.........」

 

秋雨「すみません」

 

桑島「まあええわ。善逸のこと頼んだからな!」

 

秋雨「はい!じゃ俺はそろそろお暇させていただきます。さようならー」

 

桑島「ああ、気をつけるんじゃぞ!」

 

秋雨「はい!お元気で!」

 

こうして、獪岳と桑島さんに別れを告げて、炭治郎たちの居る所へと帰って行った。

 




大正コソコソ噂話
善逸と獪岳の絡みは好敵手のような感じらしいよ

いかがだったでしょうか?
獪岳の動きを書いてなかったので、あとから矛盾が起きないように書きました。

次回は本編を進めるのでご心配なく


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第七章~無限列車編~
第弐玖話 機は熟した


皆さん!おはこんばんは!

今回も戦いの描写は無いですが、恋愛シーンはあります。
リア充ばk(.........おっと口が滑りそうに

では本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 七月五日 大正四年──

炭治郎たちの怪我も癒え、積み重なる任務に備えて、炭治郎を中心に強化することが出来た。

 

これならどんなことが起きようと対応可能だろう。

 

炭治郎達は蝶屋敷を離れる前にしのぶに診察をしてもらい、そのあとで炭治郎は皆に挨拶をしに行った。

 

炭治郎「アオイさん!俺たち、次の任務に向けて出発するよ。今までありがとう!」

 

アオイ「そうですか。もう行かれる。短い間でしたが同じ刻を共有できて良かったです。頑張ってください」

 

炭治郎「ありがとう.........」

 

アオイ「お気をつけて!」

 

炭治郎「忙しい中俺たちの面倒みてくれて本当にありがとう。おかげでまた戦いに行けるよ」

 

アオイ「あなたたちに比べたら私なんて大したことはないのでお礼など結構です。選別でも運良く生き残っただけ。その後は恐ろしくて戦いに行けなかった腰抜けなので」

 

炭治郎「そんなの関係ないよ。俺を手助けしてくれたアオイさんはもう俺の一部だからアオイさんの想いは俺が戦いの場に持って行くし」

 

傍から見れば口説いているような言い分だが、これを意識せずにしているのだから炭治郎も隅に置けない。

 

炭治郎「また怪我したら頼むねー!」

それを置き台詞にしてアオイの前から去る。

 

次に炭治郎はカナヲに挨拶をしに行った。

カナヲは縁側に座って居た。

 

炭治郎「あっいたいた。カナヲ!俺たち出発するよ。色々ありがとう.........君はすごいね。同期なのにもう継子で、俺たちも頑張るから。」

 

カナヲはニコニコしている。

カナヲ「.........」

 

炭治郎「えーっと」

炭治郎は話を進めようとしたが返事が返ってこないから困っていた。

 

カナヲはニコニコしている。

カナヲ「.........」

 

炭治郎「.........」

 

カナヲはニコニコしている。

カナヲ「.........」

 

すると何やらカナヲが服から取り出した小さな何かを親指で真上に投げた。

そして、落ちてきたそれを手の甲で受け止める。

 

カナヲ「師範の指示に従っただけなので。お礼を言われる筋合いは無いから。さようなら」

 

炭治郎が気になってカナヲに質問責めする。

炭治郎「今投げたのは何?」

 

カナヲ「さようなら」

 

炭治郎「それ何?」

 

カナヲ「さよなら」

 

炭治郎「お金?表と裏って書いてあるね。なんで投げたの?」

 

カナヲ「.........」

 

炭治郎「あんなに回るんだね」

 

カナヲ「指示されてないことはこれを投げて決める。今あなたと話すか話さないか決めた。話さないが表。話すが裏だった。裏が出たから話した。

 

さよなら」

 

炭治郎「なんで自分の決めないの?」

 

カナヲ「.........」

 

炭治郎「カナヲはどうしたかった?」

 

カナヲ「どうでもいいの。全部どうでもいいから自分で決められないの」

 

炭治郎「この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ。きっとカナヲは心の声が小さいんだろうな。うーん.........指示に従うのも大切なことだと思うけど...

 

それ貸してくれる?」

何を思ったのか炭治郎はカナヲから裏表のあるコインを受け取る。

 

カナヲ「えっ?うん。あっ.........」

 

炭治郎「ありがとう!よし!投げて決めよう!」

 

カナヲ「何を?」

 

炭治郎「カナヲがこれから自分の心の声をよく聞くこと!」

炭治郎はコインを高く飛ばした。

 

炭治郎「表!!表にしよう!表が出たらカナヲは心のままに生きる」

 

手の甲に乗せてそれをもう片方の手で抑えて取る。そして、その手をどけた。

そこには表が書かれた方が上になって乗っかっていた。

 

炭治郎「表だーっ!カナヲ!頑張れ!!人は心が原動力だから!心はどこまでも強くなれる!!」

 

カナヲ「.........」

驚いて言葉も出ないようだ。

 

炭治郎「じゃ!またいつか!」

 

カナヲは颯爽と去ろうとする炭治郎の背中に問いかけた。

 

カナヲ「なっ........なんで表を出せたの!?」

 

炭治郎「偶然だよ!それに裏が出ても表が出るまで何度でも投げ続けようとおもってたから!元気で〜!」

 

秋雨は炭治郎の様子を屋根の上から見守っていた。

そして、炭治郎の前に飛び降りた。

 

秋雨「よっと!.........」

 

炭治郎「うわっ!.........てどこ乗ってるんですか!?」

 

秋雨「そんなことはいい」

 

炭治郎「いや良くないですよ!!」

 

秋雨「挨拶は済んだか?」

 

炭治郎「はい!バッチリです!」

 

秋雨「それよりお前.........これからお別れだってのに2人も口説いてどうすんだよ?」

 

炭治郎「え?口説くって?」

 

秋雨「ああ.........いやなんでもない。気づいてないならそれで良いんだ」

 

炭治郎「えー!何言おうとしたのか教えてくださいよ!」

秋雨はそそくさと行ってしまった。

 

──出発する前の日の夜──

秋雨はカナエのいる部屋へとお邪魔していた。

 

秋雨「カナエー!居るか?」

 

カナエ「私ならここにいるけどどうしたの?」

 

秋雨「そろそろ出発だから伝えに来たんだ」

 

カナエ「えっ!?でも指令はまだ来てないよね?」

 

秋雨「うん。でも次の指令が来た時に動きやすいようにしておこうと思ってな」

 

カナエ「なるほど。そういう事だったのね。分かった準備しておくわ。ありがとう!」

 

秋雨「大したことはしてないよ」

 

カナエ「ううん.........わざわざ伝えに来てくれたんだもの。大したことよ」

 

秋雨「そっか。とにかく次の任務も頑張ろうな」

 

カナエ「そうね!」

 

秋雨「カナエ」

 

カナエ「ん?どうしたの?」

 

秋雨「好きだよ」

 

カナエ「私もよ。.........絶対二人で生き残ろうね」

 

秋雨「いや、二人じゃない。皆でだよ。」

 

カナエ「フフっ。そうね。.........秋雨くん」

 

秋雨「ん?」

 

その時カナエが突然顔を近づけて来た。俺も元非リアだが、雰囲気くらいは分かる。

 

そうして自然な流れで俺も顔を近づけ、遂に互いの口が触れた。

カナエ「おやすみ」

 

秋雨「.........おやすみ」

突然の事で反応が遅れたが少し遅れて俺もおやすみの言葉を返した。

 

この日俺は生涯で初めてのキスを経験した。

初めてのキスはあまりにも急で、新鮮だった。

そして、俺の口と心を奪っていった。




大正コソコソ噂話
カナエさんは意外にもこれが初恋らしいよ

いかがだったでしょうか?
恋愛シーンが1番苦労しました。果たしてこの二人はこれからどうなっていくのか。必見です

次回もお楽しみに!


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第参拾話 無限列車編・序

皆さん、おはこんばんは!

ここまで飽きずに読んでくださってありがとうございます!
読んでくださることが1番の支えになります。

では、本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 七月五日 大正四年──

俺たちは蝶屋敷で皆にお別れの挨拶をして、次の目的地へと向かった。

ちなみにしのぶは家を大分任せっきりにしていたため、禰豆子の存在も公認になったこともあり一旦別行動となる。

 

善逸「えーっ!!まだ指令来てなかったのかよ!!居て良かったじゃん!しのぶさんちに!!」

 

炭治郎「いや.........治療終わったし一か所に固まっているより...」

 

善逸「あんな悲しい別れをしなくても良かっただろ!」

 

炭治郎「いや.........指令が来た時動きやすいように...」

 

善逸「バカバカバカァ!!」

 

伊之助「オイ!」

 

善逸「今忙しい!!」

 

伊之助「オイ!!.........オイ!!」

 

善逸「何だよ!うるさいな」

 

伊之助「なんだあの生き物はー!!」

そこには無限と書かれた蒸気機関車があった。

山育ちの伊之助は列車というものを見たことも無く、知らなくて当然だった。

 

伊之助「こいつはアレだぜ。この土地の主...この土地を統べる者この長さ威圧感間違いねぇ。今は眠ってるようだが油断するな!!」

 

善逸「いや汽車だよ。知らねえのかよ」

 

秋雨「列車だ。人を乗せて移動する便利な物だよ」

 

伊之助「シッ!!落ち着け!!」

 

善逸「いやお前が落ち着けよ」

 

カナエ「都会じゃないとそうそう目にしないもの。仕方ないわよ」

 

伊之助「まず俺が一番に攻め込む」

 

炭治郎「秋雨さんの言っていた列車ってこれのことだったんですね!!」

 

秋雨「そうなんだけど.........これどうするよ?」

伊之助の方を指差す。

 

伊之助「猪突猛進!!」

列車に体当たりしていた。

 

善逸「やめろ!恥ずかしい!!」

 

その時警笛が聞こえてきた。

駅員「何してる貴様ら!!」

 

善逸「げっ!!」

 

駅員「あっ!刀持ってるぞ...!!警官だ!警官を呼べ!!」

 

秋雨「まずい!!逃げるぞ!!全速力だー!!」

 

俺たちは列車が発車したのと同時に走り出した。

そして、追手の目につかなくなったところで列車に飛び乗る。

 

──列車の中──

秋雨「政府公認の組織じゃないからなあ。鬼殺隊は。今は銃刀法違反で刀持ってるってだけで騒がれる。鬼のことも信じてもらえないから弁明の余地もない」

 

炭治郎「一生懸命頑張ってるのに......」

 

善逸「まあ仕方ねぇよ。とりあえず刀は背中に隠そう」

 

伊之助は刀が丸見えな背中を見せて威張っていた。

善逸「丸見えだよ。服着ろ馬鹿」

 

炭治郎「無限列車っていうのに乗れば煉獄さんに会えるはずなんだけど.........既に煉獄さん乗り込んでるらしい」

炭治郎には煉獄さんに聞けば日の呼吸についてもっと極められるかもしれないと伝えてある。

 

実は煉獄さんを救うための口実なのだが.........

 

善逸「その人に会うのかよ。じゃあ切符買ってくるから静かにしてるんだぞ」

 

炭治郎「わかった!ありがとう!」

 

伊之助「うおおおお!!腹の中だ!!主の腹の中dっ!」

 

秋雨「静かにしろ!」

軽く伊之助の頭を叩く。

 

善逸「柱だっけ?その煉獄さん。顔とかちゃんとわかるのか?」

 

秋雨「派手な髪で声もハキハキしてるから、すぐ分かるさ」

 

炭治郎「大丈夫だよ。匂いも覚えているから、だいぶ近づいて...」

 

??「うまい!!」

人一倍大きな声が響いた。

 

??「うまい!!うまい!」

その声のする両に入っていくと煉獄さんが駅弁をひたすらに食べている姿があった。

 

善逸「あの人が炎柱?ただの食いしん坊じゃなくて?」

 

カナエ「そうよ.........ね?秋雨くん」

 

秋雨「ああ.........」

 

煉獄「うまい!」

 

炭治郎「あの...すみません」

 

煉獄「うまい!」

 

炭治郎「れ、煉獄さん」

 

煉獄「うまい!」

 

炭治郎「あ、もうそれはすごくわかりました.........」

炭治郎が困っている様子なので、俺が代わりに話しかける。

 

秋雨「俺が話そう。.........煉獄」

 

煉獄「うむ!秋雨か!こんなところで会うとは!」

 

秋雨「任務の付き添いでな」

 

煉獄「何か用があるのか」

 

俺は日の呼吸について事細かに説明した。

元々はヒノカミ神楽から考えて作ったこと、炎の呼吸とは別物であることなどを分かりやすく説明した。

 

煉獄「うむ!そういうことか!だが知らん!「ヒノカミ神楽」という言葉も初耳だ!少年の父がやっていた神楽が戦いに応用できたのは実にめでたいが、この話はこれでお終いだな!」

 

炭治郎「えっ!?ちょっともう少し...」

 

煉獄「俺の継子になるといい面倒を見てやろう!」

 

秋雨「いやそういうことじゃなくてだな!ってどこ見てんの!?」

 

煉獄「炎の呼吸は歴史が古い。炎と水の剣士はどの時代でも必ず柱に入っていた。炎・水・風・岩・雷が基本の呼吸だ。他の呼吸はそれらから枝分かれしてできたもの。溝口少年!君の刀は何色だ!」

 

炭治郎「!?俺は竈門ですよ!色は黒です」

 

煉獄「黒刀か!それはきついな!」

 

炭治郎「きついんですかね?」

 

煉獄「黒刀の剣士が柱になったのを見たことがない!さらにはどの系統を極めればいいのかもわからないと聞く!」

 

秋雨「その点は大丈夫だ。ある程度目安はついている。日の呼吸の適正者のみが黒刀になるのだと俺は考えている」

 

煉獄「うむ!そうか!秋雨が言うのなら間違いは無いだろう!俺の所で鍛えてあげよう!もう安心だ!」

 

秋雨「いや、なんでそうなる?」

 

その時伊之助が窓から身を乗り出して叫ぶ。

伊之助「うおおお!!すげぇすげぇ!速えぇぇ!!」

 

善逸「危ない!馬鹿この!」

 

伊之助「俺外に出て走るから!!どっちが速いか競争する!!」

 

善逸「馬鹿にも程があるだろ!!」

 

煉獄「危険だぞ!いつ鬼が出てくるか分からないんだ!」

 

善逸「嘘でしょ!鬼出るんですか!この汽車!」

 

煉獄「出る!」

 

善逸「出んのかい!嫌ァーッ!!鬼の所に移動してるんじゃなくてここに出るの?嫌ァーッ!俺降りる」

 

煉獄「短期間のうちにこの汽車で四十人以上の人が行方不明となっている!数名の剣士を送り込んだが全員消息を経った!だから柱である俺が来た!」

 

善逸「はァーッ!なるほどね!!降ります!!」

 

車掌「切符..拝見..致します...」

 

炭治郎「??何ですか?」

 

煉獄「車掌さんが切符を確認して切り込みを入れてくれるんだ」

 

多分だが、切り込みを入れると切符に触れた対象者が眠るように細工されているのだろう。

 

だから、切り込みを入れるよりも早く、俺は席を立ち車掌さんの腕を掴む。

秋雨「待ってくれ!車掌さん!あんた酷い汗かいてるな。何かあったのか、教えてくれ!!」

鬼気迫ると言った感じの声で車掌さんに訊く。

 

車掌「.........実は.........」

そう言って車掌さんはこれまでの経緯を話してくれた。

突如列車に鬼が現れて、その鬼は俺たちを眠らせた対価として良い夢を見させてあげると車掌さんに言ったと言うのだ。

 

煉獄「なるほど!そうであったか!それにしても秋雨は何故気づけたのだ?」

 

秋雨「勘だよ。少し嫌な予感がしてね」

 

煉獄「そうか!勘だけで気付くとは凄いな!」

 

──その頃──

列車の上には、まだその事を知らない者がいた。

 

?「夢を見ながら死ねるなんて幸せだよね」

 

下弦の壱──魘夢だ。




大正コソコソ噂話
しのぶさんが、炭治郎たちを煉獄さんと同じ任務に同行させるようにお館様にお願いしたらしいよ。

いかがだったでしょうか?
今回、無限列車編に入りましたね。これからどのように改変されていくのか見物ですね!


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第参拾話 無限列車編・前編

皆さん!おはこんばんは!

無限列車編、今まで以上に長くなるかもしれませんが、最後まで付き合ってもらえると助かります。

では、本編です!どうぞ!


──西暦一九一五年 七月五日 大正四年──

俺たちは眠らされる事無く、無事に全員が起きていた。

車掌「でも、これで私は夢を見ることが出来なくなって.........」

 

秋雨「いいですか?どんなに辛いことを夢で補おうとしたところでそれは夢でしかないんです。だから僕達人間は前を向いて歩いてくしかないんですよ」

 

煉獄「その通りだ!夢は夢で終わる!それに良い夢を見られるとは限らない!」

 

車掌「!!.........そうですよね。でもこのままでは、あの鬼に全員.........」

 

煉獄「大丈夫だ!俺たちが責任を持って守る!」

 

車掌「貴方たちは一体?」

 

秋雨「鬼狩りですよ。それじゃ俺達は鬼を倒しに行ってきます!」

 

そうしているところに魘夢の手と幸せな夢を見せてもらおうとした4人が鬼の手に付いて入ってくる。

 

魘夢「あれ?君たちは何で眠ってないのかなァ?」

 

秋雨「俺がここにいる限り誰も危険に晒させはしない」

 

魘夢「へぇー君が邪魔したんだね。.........お眠..─」

眠らされる前に俺は魘夢の手を粉々にした。

 

そして、そこにいた四人に話しかける。

秋雨「君たちはどうしてこ.........」

 

次の瞬間、三つ編みの女の子が俺の話を遮って錐を振り回してくる。

 

女性「邪魔しないでよ!あんたたちが来たせいで夢を見せてもらえないじゃない!!」

 

炭治郎「!!秋雨さん、この人達自分の意思で!」

 

秋雨「分かってる。皆!怪我させないように押さえつけてくれ!」

 

煉獄「承知した!」

 

伊之助「ふん!任せとけ!」

 

善逸「恐いなぁ.........」

 

秋雨「カナエは後ろの4両を見に行ってきてくれ!炭治郎は前の4両を頼む!戦ってる時は目を瞑れ、それともし眠らされた時は夢の中で自分の頸を斬れ」

頸を斬れば意識が戻ることを何故知っているのか訊かれないか不安だったが、どさくさに紛れて気づいてないようだ。

 

カナエ、炭治郎「「了解!」」

 

炭治郎とカナエがこの場を離れた後、この四人を拘束して話を聞く。

秋雨「君たちも幸せな夢を見せてもらおうとしていたんだね。ただ、鬼は幸せな夢を見せるだけで終わらない。最後には喰われ、鬼の糧とされることだろう」

 

女性「あんたには分からないわよ!!幸せな現実見てきたあんたたちのような人間には私達の気持ちなんか!!」

 

秋雨「じゃあ戻るか?幸せな夢かどうかも分からない夢を見に、現実から逃げてまで死にに行くか?」

 

女性「.........」

 

秋雨「俺たちは毎日血の滲む様な任務を課されている。そんな中、微かな幸せを嗅ぎ分けて見つけてるんだ。俺たちはいつだって死に片足は浸かっている。でも君たちにはまだ道がある。生きているという幸せが」

 

四人「.........」

 

秋雨「色々と厳しいことを言ったかもしれないが、俺たちはそろそろ鬼を殺しに行かなければならない。.........頑張れよ」

俺たちは乗客を死なせないため、鬼の手から救うために戦いの場へと向かう。

 

──炭治郎side──

炭治郎は一度車両の外へと出た。

炭治郎「ぐっ!」

外は鬼の重たい匂いで満たされていた。

炭治郎は鬼の匂いを嗅ぎ取り、鬼のいる先頭車両に向かうために列車の上に上がる。

 

幸い、眠らなかったため、魘夢が列車と結合する時間は無かった。

そして、鬼の手と視覚は共有出来ないため、炭治郎たちが起きたことをまだ知らない。

 

魘夢「!?ありえない.........眠ってないの?眠ってたら良い夢を見れたのに.........」

 

炭治郎「人の心の中に土足で踏み入るな!!俺はお前を許さない!」

炭治郎は人の心につけ込んで、人を操るこの鬼に怒りを感じていた。

 

魘夢は焦りを感じながらも訪れた一つの好機に嬉々としていた。

それは炭治郎が耳飾りをつけていたからだ。炭治郎を倒せば無惨に血を貰える。そう思い、魘夢は興奮した。

 

──秋雨side──

列車の中は、魘夢の肉片が列車と結合するべく這い回っていた。

非常に気持ち悪い。

 

秋雨、善逸「「気持ち悪!!」」

 

伊之助「なんだこれ?気持ち悪い」

 

煉獄「鬼の肉片だろう。列車と繋がろうとしている!秋雨!」

 

秋雨「あ、ああ.........分かった(映画で見た時も相当気持ち悪いと思ってたが実物で見ると吐きそうなくらい気持ち悪い)」

 

善逸「初めて秋雨さんの悲鳴聞いたかも.........」

 

秋雨「多分、今回切りだ。.........多分」

 

そのあと、煉獄さんが後方の3両、善逸と伊之助が前方の2両、カナエが後方の3両を護る形で別れていた。

 

俺は炭治郎の様子を確かめるべく急いで向かった。

 

 

──炭治郎side──

炭治郎はすぐに型を構えた。

──日の呼吸 陸の型 日暈の龍・頭舞い

 

魘夢は口のある不気味な手を向けて炭治郎に血鬼術を放つ。

──強制昏倒催眠の囁き

魘夢の手「お眠りィィ」

 

炭治郎は型を構えた時から目を瞑っていた。

炭治郎は目を瞑っていても、普段と変わりない動きが出来ていた。

炭治郎(!!目を閉じていても分かる!.........そうか!秋雨さんの訓練のおかげだ!)

そう、炭治郎は機能回復訓練で行った、秋雨との修行で空間把握能力が極限まで高まっていたのだ。

 

そして、炭治郎はものともせずに魘夢に一直線に向かって走る。

 

魘夢「何故!何故眠らない!!.........!?目を瞑っている」

これではどれだけ血鬼術をしようが眠るはずは無かった。

 

炭治郎は竜のようにうねりながら流れるようにして魘夢に近づいて行った。

そして、まるで通り過ぎたついでに斬るようにしてすれ違いざまに鬼の頸を斬った。

 

ほぼ同時に俺が着く。

秋雨「もう倒したのか?」

 

炭治郎「はい。何故でしょう前に倒した下弦の参の鬼よりも歯ごたえがなかったような.........」

 

秋雨「なんだろうか.........鬼は今目の前で死んだはずなのに、嫌な予感がするんだ。鬼を倒した時はいつも心のモヤがとれるように無くなるのだが、それがこないんだ」

 

炭治郎「鬼の匂いがするんです。倒したら消えるはずなのに.........」

 

炭治郎、秋雨「.........まさか」

 

二人の勘は間違っていなかった。鬼の肉片は煉獄さん、いや煉獄と言おう。

煉獄たちの前から姿を忽然と消した。

 

灰にならずに.........

 

今、秋雨たちの知らないところで鬼の反撃は始まろうとしていた。




大正コソコソ噂話
秋雨は眠らされて記憶でも見られたら大変だから、今までで1番思案したらしいよ。

順番を間違えて上げてしまいました。
申し訳ありません。

もしも、先にこちらを読んでしまった方がいたら、深くお詫び申し上げます。
m(*_ _)m


少し粗相もしましたが、次回もお楽しみに


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第参弐話 無限列車編・中編

皆さん!おはこんばんは!

この無限列車編、これまで以上に物語が動きそうです。
最後まで楽しんで読んでもらいたいと思います。

では本編です!どうぞ!


──列車内にて──

有限無く湧いてくる肉片を相手に煉獄たちは戦っていた。

しかし、魘夢の頸を斬ったと同時にその肉片は消えた。

 

煉獄「肉片が消えた!」

 

カナエ「倒したのかしら?」

 

煉獄「いや!まだわからない油断するな!」

 

伊之助「消えたってのにまだムズムズするぜ」

 

善逸「嫌な音が消えない」

 

魘夢は死んだように見えただけだった。

実は魘夢は頸だけを真っ先に列車に融合させていた。

 

──列車の屋外にて──

魘夢の体が消えて少ししてから、声が聞こえてきた。

 

魘夢「あの方が柱に加えて耳飾りの君を殺せって言った気持ち、凄くよくわかったよ。存在自体が何かこう、とにかく癪に障って来る感じ」

 

魘夢は死んでなどいなかった。炭治郎が頸を斬ったと思ったそれは魘夢の体の1部だったのだ。これには、流石の俺も驚いた。

 

魘夢「素敵だね。その顔、そういう顔を見たかったんだよ。頸を斬ったのにどうして死なないのか教えて欲しいよね。いいよ俺は今気分が高揚してるから。

 

赤ん坊でもわかるような単純なことさ。うふふっ。それがもう本体ではなくなっていたからだよ。今喋っているこれもそうさ。頭の形をしているだけで頭じゃない。君が呑気に喋っている間に俺はこの汽車と融合した。

 

この列車の全てが俺の血であり、骨となった。うふふっその顔!いいねいいねわかってきたかな?つまりこの汽車の乗客二百人余りが俺の体をさらに強化するための餌。そして、人質。ねぇ守りきれる?君たちだけで。この汽車の端から端までうじゃうじゃとしている人間たち全てを

 

俺におあずけさせられるかな?」

 

秋雨「嘘だな」

 

魘夢「なに?」

 

秋雨「貴様は本来皆が眠っている間に融合するつもりだった。しかし、俺たちが眠っていないからだいぶ予定が狂ったはずだ。そして、急いで頸から上のみを融合させた。そうだろ?」

 

炭治郎が斬り掛かると列車に溶けていくように消えた。

魘夢「うふふっ。そう思っているならそう思ってもらって構わないよ。ふふふっ」

 

秋雨の推理は間違っていない。魘夢のこれは強がりだったのだ。

 

秋雨「炭治郎!あいつはまだ完全に融合仕切ってない!多分列車の先頭に頸はある!早く行くぞ!」

 

炭治郎「わかりました!」

 

──列車内にて──

煉獄「黄色い少年!猪頭少年!ここは俺と胡蝶で何とかする!君たちは竈門少年と秋雨が居る場所に向かえ!」

 

伊之助「ふん!お前に指図されるのは気に食わねえが!従わざるを得ねえそんな気がするぜ!」

 

善逸「行くよ!行くけどさあ!なんで俺なの!?」

 

──列車の屋外にて──

伊之助「ウオオオ!」

 

善逸「ちょっと待ってくれよー!」

 

そんな声と共に列車の天井を突き破って善逸と伊之助が出てくる。

伊之助「ついて来やがれ!子分共!!ウンガァアア!!猪突猛進!伊之助様のお通りじゃアアア!!」

 

秋雨「伊之助!!善逸!!鬼はこの列車と外から融合しようとしている!!肉塊が無いか探してくれ!!」

 

伊之助「なるほど!!そういうことかよ!!厄介な野郎だぜ!全く!!」

 

善逸「融合!?」

 

炭治郎「早くしないと手遅れになる!!頼む!!」

 

善逸「わかった!」

 

伊之助「二人して言わなくても分かるっつーの!」

 

そう言って伊之助達は列車の外を隈無く探してくれた。

その間に俺たちは鬼の頸を探す。

 

──列車内にて──

今列車内ではまた肉塊が増え出していた。

いままで箱に入っていた禰豆子も異変を感じて箱から出て戦っていた。

乗客を護るため、己の身を挺して戦っていた。

 

その様子は煉獄の目にしっかりと入っていた。

煉獄「竈門少年の話は本当だった!彼女は人を守る立派な鬼殺隊の一員だな!」

 

カナエ「良かったわ!認めてもらえて」

 

──列車の屋外にて──

伊之助「クソッ!外になんて居やしねえ!!中だ!!中に逃げやがった!!」

 

善逸「!!禰豆子ちゃんが危ない!!」

 

伊之助が技を使い、列車の中に入るための穴を開ける。

──獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂き!!!

伊之助は優れた触覚を頼りに器用に乗客だけを避けて鬼の肉塊と共に列車を四方八方に斬りつける。

 

伊之助「どいつもこいつも俺が助けてやるぜ!須らくひれ伏し!!崇め讃えよ!この俺を!!伊之助様が通るぞォオ!」

 

──列車内にて──

禰豆子は乗客をを取り込もうとする肉塊を手当り次第に攻撃していった。

しかし、その過程で禰豆子は肉塊に両手を包み込まれ、逆に取り込まれそうになっていた。

 

禰豆子「...!!」

もう駄目だと思ったその時...

 

ドォン!!

雷鳴と共に禰豆子に巻きついていた肉塊が斬れる。

 

──雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟──

善逸が危機一髪のところで現れて、禰豆子と乗客を傷つけないように空中を縦横無尽に駆け回り、肉塊を次々と消していく。

 

善逸「禰豆子ちゃんは俺が守る

 

──列車の屋外にて──

秋雨「善逸達も頑張ってくれてるようだな!俺達も頑張るぞ!」

 

炭治郎「はい!」

 

俺たちは先頭の車両へと急いだ。

炭治郎「!!.........秋雨さんの言う通り先頭の方から匂いが」

 

秋雨「俺の勘は絶対だからな」

こんなところぐらいはカッコつけてもいいだろう。

 

秋雨「目を開けるなよ炭治郎!」

 

炭治郎「分かってます!!」

 

──雲の呼吸 肆ノ型 霧雨

雨を集中させて、先頭車両の天井を破り中に入る。

 

炭治郎「凄い.........!!」

 

車掌2「なんだお前は!!でっ出ていけ!!」

 

炭治郎「!!.........人が!!」

 

秋雨「分かってる」

 

俺はまだ鬼の侵食が進んでない窓から人を抱えて飛び出る。

秋雨「お前は頸を斬れ!!車両の真下が鬼の頸だ!」

 

炭治郎「はい!」

 

──獣の呼吸 弐の牙 切り裂き!!!

その時伊之助が助けに来た。

 

そして、伊之助の技により鬼の骨が見える。

そこを炭治郎がすかさず攻撃する。

 

──日の呼吸 弐ノ型 碧羅の天──

日輪の輪郭のように円を描き刀を振るう。

魘夢の巨大な頸の骨を一太刀で断ち切る。

 

こうして意外にも呆気なく、伊之助と炭治郎の活躍により魘夢は死んだ。

もちろん、機能回復訓練が無ければ成せなかっただろう。

 

炭治郎の痣による、反応速度の上昇と身体能力の向上。伊之助の赫刀による回復の阻止により原作よりも迅速に倒せたのだ。

 

秋雨が車掌を連れ出した後

 

車掌「夢の邪魔をするな!!」

秋雨は錐を刺そうとしてくる車掌の腕を左手で掴んで、右手で車掌の首に手刀を入れて気絶させた。

 

それとほぼ同じくらいに炭治郎たちが下弦の壱の魘夢を倒した。

 

炭治郎「秋雨さん。倒せました!.........その人は」

 

秋雨「安心しろ、襲われそうになったから気絶させただけだ」

 

炭治郎「ふぅ...良かった」

 

こうして、何も起きることなく、無事に任務を終えた。

.........と思っていた。

 

そう、あいつが現れるまでは.........




大正コソコソ噂話
秋雨は、炭治郎を何とかして柱にさせたいと思っているらしいよ。
(ほぼ俺の願望)

何とか無事に魘夢を倒すことが出来ましたね。
最後のあいつとは一体誰なのか必見です。

次回お楽しみに!


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第参参話 無限列車編・後編

皆さん!おはこんばんは!

今回の話で終わらせようとも思ったんですが、意外と長引いてしまいました。
なので、無限列車編は映画くらいの感覚で捉えてもらえると良いと思います。

では本編です!どうぞ!



──魘夢を倒した後の話──

下弦の壱──魘夢の凄まじい断末魔と揺れがした後で少し遅れて煉獄達もやって来た。

 

煉獄「倒したのか!秋雨!!」

 

カナエ「流石ね!!秋雨くん!」

 

秋雨「ああ!だけど倒したのは俺じゃない」

 

カナエ「えっ!?じゃあ誰が?」

 

秋雨「炭治郎が倒したんだ」

 

カナエ「嘘ッ!凄いじゃない!!炭治郎くん!」

 

炭治郎「いえ、そんなこと.........」

 

伊之助「オイ!!俺のこと忘れてんじゃねえぞ!」

 

秋雨「忘れてないよ。伊之助がいなかったら無理だっただろうな。よく頑張った」

 

炭治郎「本当に伊之助が来てくれて心強かったし、助かったよ。ありがとう」

 

伊之助「ふん!お前だけじゃ頼りねぇからな!!」

伊之助はそっぽを向いて言ったため、照れているのは丸わかりだった。

 

秋雨「ハハッ」

 

伊之助「何笑ってんだよ!!」

 

煉獄「それにしても!伊之助少年!!竈門少年!!本当によくやった!!これからも精進を怠らないようにな!」

 

伊之助「当たり前だ!!」

 

炭治郎「はい!!」

 

秋雨「善逸はあっちにいるようだ。皆で行こうか」

 

煉獄「そうだな!」

 

ドォン!!!!

 

俺たちが列車の方に行こうと歩を進めると、後ろの方で何かの落下音がした。

 

俺は予想出来ていた。多分猗窩座が来た音だろう。

 

しかし、現実は想像よりも過酷だった.........

猗窩座「強者が沢山いるなあ!()()()殿()!!」

 

黒死牟「まぁ待て、あのお方の言っていた、耳飾りをつけた少年と灰色の髪をした者がいる。まずは彼らから葬ろうぞ」

 

秋雨(何故だ!何故黒死牟が.........!!それに猗窩座の目の数字.........あれは!?)

 

煉獄「上弦の弐.........と壱!!」

 

俺は聞き逃さなかった。やはり、俺の見間違いでは無いようだ。

猗窩座はどうやら入れ替わりの血戦に勝ち、弐になったらしい。

 

俺は油断していた。無惨という存在を.........

 

秋雨(くっ!目的のためならここまでやると言うのか無惨は)

 

炭治郎「上弦!?それも壱と弐って.........」

 

秋雨「.........最悪だ.........皆...自分の身のことだけ考えろ。俺が全力で...守る!!」

俺は予想外の出来事に緊張していた。

 

炭治郎(.........!!秋雨さんが緊張している!?)

 

カナエ「秋雨くん.........」

 

秋雨「大丈夫だ。全て俺が招いた状況だ。責任は全て俺が取る」

あまりの恐怖故に発せられた言葉だと周りは思った。

しかし、決してそんなものでは無かった。

 

秋雨の目には依然決意と希望の色が表れていた。

煉獄「うむ!それでこそ秋雨だ!良い目をしている!」

 

伊之助「アイツ.........!やる気だぜ」

 

善逸(秋雨さんの中で渦巻いていた緊張の音が鎮まった!!いつもの秋雨さんよりも研ぎ澄まされた音が.........)

 

炭治郎「.........秋雨さん!!(緊張の匂いでも無いし、恐怖を感じている匂いでもない。覚悟の匂いだ)」

 

カナエ「死なないでね.........秋雨くん」

 

秋雨「もちろん」

 

黒死牟「話は済んだか?」

 

秋雨「ああ。バッチリだ」

 

黒死牟「そうか。ではこちらから行かせてもらおう」

 

猗窩座「俺は耳飾りの少年を殺す」

 

黒死牟「では私はあの灰色の髪の男から殺らせてもらおう。では行くぞ!!」

 

開戦の合図が響く。

 

猗窩座は宣言通り炭治郎を殺しにかかった。

炭治郎「!!」

 

──日の呼吸 捌の型 飛輪陽炎

咄嗟の判断で猗窩座の突きに対して炭治郎は型を放つ。

 

炭治郎の刀は独特な軌道で振り下ろされた。そして、その攻撃は猗窩座を錯覚させた。

 

猗窩座「フッ、そんなとこから当たる訳が無いだろう。愚かな.........!!馬鹿な刀身が伸び.........」

 

避けたつもりだったが、炭治郎の振った刃は猗窩座の手を容赦無く斬りつけた。

 

猗窩座とほぼ同時刻黒死牟が俺に襲いかかる。

 

──雲の呼吸 零ノ型 隠月の深雲(いんげつのしんうん)──

秋雨は黒死牟の攻撃を全て相殺しきっていた。

まるで敵の攻撃が全て意味を成していなかった。

まるで雲が月を隠すかのように.........

 

この型は対象の敵のみに効果のあるものだった。

この技は一人の敵を相手に反射速度が一時的に爆発的に跳ね上がる。

人並外れた集中力とどこに攻撃が来るのかを直感から予想出来る、秋雨にのみ会得可能な業だ。

 

秋雨とて考え無しにこれまで修行してきた訳では無かった。

 

黒死牟「貴様は何者だ?何故その歳にしてここまでの業が成せる?」

 

秋雨「さぁな.........自分でも解らない」

 

黒死牟「貴様も彼奴と同じだとでも言うのか?」

 

秋雨「彼奴?()のことか?」

 

黒死牟「!?.........何故貴様がそれを知っている」

 

秋雨「俺を倒して聞いてみたらどうだ?」

 

黒死牟「何処までも腹の立つ奴だ.........」

 

その戦いを見ていた者は秋雨に畏怖の念すら抱いていた。

煉獄「ありえない.........!!人間の域を遥かに越えている!!本当に人間なのか?」

 

伊之助「凄ぇ.........入る隙も無ぇ.........」

 

カナエ「.........!!あの人、どれほどの力を隠しているのかしら?」

 

一方、炭治郎の方はというと.........

 

猗窩座「いい刀だ。素晴らしい提案をしよう。お前も鬼にならないか?」

 

炭治郎「なるわけないだろ!!」

 

猗窩座「見れば解る。お前の強さ。柱だな?その闘気練り上げられている。至高の領域に近い」

 

炭治郎は経験こそ少ないものの、積み重なる修行によって柱と同等、いやそれ以上の力を身につけようとしていた。

 

炭治郎「俺は竈門炭治郎だ!柱じゃない」

 

猗窩座「!?.........俺は猗窩座。柱でも無いのにその闘気!!失うには惜しい。鬼になろう炭治郎。そうすれば百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。強くなれる」

 

炭治郎「ならない!人が人で無くなればそれは死んだことと何も変わらない!!人は死ぬからこそ老いるからこそ人なんだ!死も老いることも忘れてまで俺は強くなりたいなんて思わない!」

 

煉獄「俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ。この少年の言うように、老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ。

 

老いるからこそ死ぬからこそ堪らなく愛おしく尊いのだ。強さというものは肉体に対してのみ使う言葉ではない。俺は.........俺たち鬼狩りは如何なる理由があろうとも」

 

「「鬼にならない」」

 

猗窩座「そうか」

 

猗窩座との戦いに煉獄も加勢した。

 

 

伊之助はこの混乱の中、乗客を庇ったのであろう倒れている善逸を見つけた。その腕には禰豆子も抱えられていた。

 

伊之助「!!善逸!!」

 

伊之助も初めて会った時とはだいぶ心も変化していた。

以前の伊之助なら気にも止めなかっただろう。でも今は違った。人情と言うものが芽生え始めていたのだ。

 

伊之助「しっかりしろ!善逸!!」

 

善逸「.........」

命に別状はなさそうだが、意識はまだ回復していないようだ。

 

伊之助「気ィ失ってやがる!!」

伊之助は善逸の羽織を少し剥いで善逸の怪我をしているところを止血した。

伊之助は炭治郎が止血している所を見て覚えていたのだ。

 

 

 

──術式展開 破壊殺・羅針

猗窩座の足元に結晶のような紋様が出る。

そして、次の瞬間先程とは桁違いの速さで向かって行く。

「鬼にならないなら殺す」

 

──炎の呼吸 壱の型 不知火

煉獄は流石、柱と言うべきか、迷い無く型を構えて走り出す。

 

──日の呼吸 壱の型 炎舞

炭治郎もそれに続くように型を構えて突っ込んで行く。

 

 

 

 

戦いはまだ始まったばかりだった。




大正コソコソ噂話
無惨は本来黒死牟だけのつもりだったけど、近くにいた猗窩座も向かわせただけだそうだよ

いかがだったでしょうか?
黒死牟が来ると予想してた人はいなかったと思います。
黒死牟の加わったこの戦い、果たしてどうなっていくのか?

次回お楽しみに!


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第参肆話 無限列車編・後編

皆さん!おはこんばんは!

言い訳にはなってしまいますが、学生の身なもんで、書く時間を確保出来ず、話が小分けになってしまいます。時間が出来たらしっかり作るつもりですので、それまではすみません。

では本編です!どうぞ!


──猗窩座・黒死牟戦──

今、鬼殺隊史上最も厳しい戦いを強いられていた。

 

──月の呼吸 伍ノ型 月魄災禍──

黒死牟はノーモーションで無数の月輪の刃を纏った斬撃を繰り出してくる。

 

黒死牟「お前は本当に人の身なのか?痣者でも無く、日の呼吸の使い手でも無いというのに.........」

 

秋雨「そうかもな.........俺はとうの昔に人間辞めてるのかもな.........鬼でも無ければ人でも無い。次元を超えた魂、分からないんだ俺自身が.........」

 

黒死牟「それはどういう.........」

 

秋雨「自分でも解らないものを答えられるかよ」

 

──雲の呼吸 肆ノ型 波雲──

その瞬間、波が押し寄せるように雲が現れ技を攫っていく。

 

黒死牟「!?まさか本当に私の業を無に還すというのか」

黒死牟は恐怖していた。目の前の鬼でも無く、人間も辞めた──瑞雲秋雨という男に

 

その場にいる誰もが目を疑った。

先程まで黒死牟は型を使わずにこちらを様子見をするように戦っていた。

 

なので、周りも攻撃を防げるのも理解は出来たが、今度は初見の技をまるで知っていたかのように無傷で受けきるのだ。これには猗窩座や技を使った本人の黒死牟ですら驚いた。

 

猗窩座「なんなんだあの男は?黒死牟殿の攻撃を見切り、更には無傷で受けきっているだと!?」

 

炭治郎「!?(俺は今まであんな凄い人に教えてもらっていたのか.........!)」

 

煉獄「柱とは名ばかりだ....秋雨こそ柱と呼ぶに相応しい!」

 

秋雨「猗窩座!!待ってろよ.........こいつを倒したら今度はお前の番だ!!」

 

猗窩座は圧倒的強者の前に震え上がっていた。

強者と戦えることからの興奮と純粋無垢な強さに対する恐怖の感情の両方を抱いていた。

 

しかし、猗窩座は直ぐに我に戻り、煉獄達との戦いに集中すべく、動き出す。

 

猗窩座「今まで殺してきた柱たちに炎はいなかったな!柱と同等の力を持つ見習いもだ!そして俺の誘いに頷く者もなかった!なぜだろうな?同じく武の道を極める者として理解しかねる!選ばれた者しか鬼にはなれないというのに!

 

素晴らしき才能を持つ者が醜く衰えてゆく!俺はつらい!耐えられない!死んでくれ杏寿郎、炭治郎!若く強いまま!!」

 

──破壊殺・空式

 

──炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり

 

猗窩座の数多の真空撃と煉獄のうねりを用いた刀が炎を纏いながらぶつかりあう。

 

虚空を伝ってくるこの拳は非常に厄介で、頸を斬るには近づく必要があった。

煉獄が頸を斬るべく極限まで近づく。それに加勢して炭治郎も近づいた。

 

猗窩座「この素晴らしい反応速度!この素晴らしい剣技も失われていくのだ!杏寿郎!悲しくはないのか!」

 

煉獄「誰もがそうだ!人間なら!!当然のことだ!!」

 

炭治郎「失われなどしない!!俺たちが生きている限り!」

 

──炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!!

炎が虎の形を作って、猗窩座へと牙を向く。

それに続くように炭治郎も型を出す。

 

──日の呼吸 拾壱ノ型 幻日虹!!!

高速の捻りと回転で攻撃を躱す。

 

視覚の優れた猗窩座はそれを目で追うが、それが裏目にでた。残像を捉えてしまい、背後に回られた。

 

──破壊殺・乱式!!!

それに対抗して猗窩座も殴打を乱撃するが、前後に挟まれているため二人に攻撃するために威力は半減し、追い込まれていた。

 

──日の呼吸 陸ノ型 日暈の龍・頭舞い

今度は虎に加えて、龍のようにして陽が猗窩座の目の前に現れる。

 

やがて、双方の攻撃が止まり、周りを覆っていた砂埃も消えた。

 

 

そこには、血だらけで手を失っている猗窩座と左目が潰れ、片手が無くなった煉獄と肋骨の砕けた炭治郎がいた。

 

炭治郎「煉獄さん!すいません!!俺のせいで.........」

 

煉獄「悲観するな!!君のおかげであの鬼に傷をつけられたんだ!自分を誇れ!!」

 

炭治郎「でも、目と左手が.........」

 

煉獄「手と脚がある限り俺は戦える!」

 

猗窩座に有効打を与えることが出来たのは間違いないが、煉獄は炭治郎を庇って左目を炭治郎は煉獄を庇って肋骨が折れてしまっていた。

 

猗窩座「ガハッ!!.........傷が戻らない。鬼であれば瞬きする間に治るはず.........鬼が人間に負けるというのか...そんなもの俺は認めない!!」

この回復の遅れには炭治郎の攻撃が深く関係していた。

炭治郎の日の呼吸による斬撃が陽の光がもたらすような一撃を猗窩座に浴びせていた。

 

煉獄「俺は俺の責務を全うする!!ここにいる者は誰も死なせない!!」

 

炭治郎「俺は皆の想いに応える!!お前を倒す!!」

 

煉獄は片手で出せる、最大限の力を込めて構えた。

炭治郎はその煉獄に倣うように型を構えた。

 

炭治郎(煉獄さんの足を引っ張るな!引っ張るな俺!!今出せる全力を尽くすんだ!)

 

──炎の呼吸 奥義 玖ノ型・煉獄

日の呼吸 円舞一閃

 

猗窩座「素晴らしい闘気だ.........それ程の傷を負いながらその気迫、その精神力!一部の隙もない構え!やはりお前たちは鬼になれ!炭治郎、杏寿郎!!俺と永遠に戦い続けよう!!」

 

──術式展開 破壊殺・滅式

 

煉獄はこれ以上、戦いを長引かせないために一瞬で鬼に致命傷を与えようとしていた。炭治郎はそんな煉獄に応えるように考えに考えて型を放つ。

 

猗窩座はそれを迎え撃とうと持つ力を全て使った。

 

煉獄は炭治郎とほぼ同時に攻撃に移る。

 

その攻撃は人力を超えていた。それを速さが物語っていた。

 

炭治郎は秋雨から聞いたことのある、雷の呼吸の話を参考に即興で型を編み出した。そして、今この場で現実のものとした。

 

これは秋雨が期待も兼ねて話したことだった。

 

そして、次に土煙が消えた時、そこには.........




大正コソコソ噂話
秋雨さんは、黒死牟を倒すためだけにこの技を作ったらしいよ。

無限列車編が終わったら少し区切りをつけて休みに入ろうと思います。
もちろんその間もストックは増やし続けるつもりなのでご安心を

次回もお楽しみに!



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第参伍話 無限列車編・終

皆さんおはこんばんは!

今回を持って、漸く無限列車編が終わります。
長くなりましたが、ここまで飽きずに読んでもらえて感激です!

では本編です!どうぞ!


──猗窩座対煉獄、炭治郎戦──

土埃が晴れると、そこには頸こそ斬れていないもののもう戦えないであろう惨めな姿の猗窩座がいた。

 

善逸の応急処置をしていた伊之助とカナエはその様子に釘付けになっていた。

 

伊之助「あいつらやりやがったぜ!!でもなんで頸を斬らねえんだ?」

 

カナエ「わからない.........でも今ので猗窩座は力を使い切ったはず。もう勝負はついたわね」

 

 

黒死牟はその状況に驚きを隠せないようだった。

黒死牟「上弦の弐となった、猗窩座が殺られる.........そんな事があってはならない」

 

秋雨「鬼も人智を超えた努力には適わなかったらしいな。

 

──お前も」

 

──雲の呼吸 拾壱の型 晴天の弔い(せいてんのとむらい)

次の瞬間、黒死牟を陽の光が襲った。

もちろんこれは夜が明けて太陽が出た訳ではなく、人一人から発せられた業が辺りを光で満たし、辺りを光らせていたのだ。

 

黒死牟「熱い!!夜明けか!?.........いや違う。これもお前の!!.........ぐああぁぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」

辺りに黒死牟の咆哮が鳴り響いた。

そして、光が収まった時には黒死牟の姿は既に無かった。

 

死んだかと思われた黒死牟だったが、秋雨はいまいち手応えを感じてはいなかった。

 

秋雨「.........おかしい。この業はいつものように消し去る技ではないはず...」

そう、この型は日の呼吸を参考に秋雨が考えたものであり、太陽の熱を具現化させたもので一瞬で消し去るような技では無かったからだ。

 

陽の力を込めた刀で敵の頸を斬り、回復させる間も無く倒すだけで、身体そのものは消えるまで残ってるはずだった。

 

黒死牟「今のは危なかった.........」

黒死牟はあの時、型を出して技から逃れていた。

秋雨が黒死牟だと思って攻撃したそれは黒死牟ではなく、黒死牟の残像だったのだ。

 

秋雨「!!.........やはりか」

 

黒死牟「猗窩座はもう再起不能のようだ。あの様ではどの道あのお方に殺されるだろう。夜明けも迫って来ている。私はここらで引かせてもらうぞ」

 

秋雨「逃がすか!!」

 

炭治郎達も此方に気づいたようだ。

炭治郎「アイツ!!仲間を仲間と思ってないんだ。許せない!!」

そういうと黒死牟に向けて炭治郎は刀を投げつけた。しかし、当然当たることは無くすんなり避けられてしまう。もちろん炭治郎も原作より強くはなっているが、呼吸は使ってないため威力は無かった。

 

だが、その刀は結構な力を入れて投げられたようでどこに行ったかわからなくなってしまった。

 

刀について秋雨は、今後の展開を考えるとこの方が良さそうだと思ったので、特に何も言わなかった。

 

煉獄「同胞をこうもあっさり切り捨てるとは!」

 

俺は直ぐに次の攻撃を仕掛けようとしたが、黒死牟の足元に突如襖が現れて、その中に逃げるようにして入っていった。おそらく鳴女の能力だろう。

 

秋雨「チッ!!.........自分の仲間を見捨てて、逃げる...か。つくづく嫌な存在だ」

 

 

──猗窩座戦後──

秋雨「この鬼のこと任せてくれないか?」

 

煉獄「むう...秋雨程の手練でも上弦の壱には適わないのか.........それとこの鬼を任せろとはどういうことだ?」

 

秋雨「まぁ見ていろ」

そう言って俺は猗窩座に注射をした。

 

煉獄「秋雨!何をしているんだ!」

 

炭治郎「秋雨さん?」

 

しばらくすると猗窩座の身体の傷が治り、紋様が消えていき、髪の色も黒に変わっていく。

炭治郎「!?.........禰豆子の匂いに似ている」

 

煉獄「どういうことだ?これは.........!!」

 

秋雨「よかった.........炭治郎がそう言うなら間違いない。成功したんだ珠世さん達の開発が!」

 

煉獄「話がいまいち読めないのだが.........話してくれないか?」

 

秋雨「珠世さんとしのぶは禰豆子ちゃんを人に戻すための第一歩としてこの薬を作ったんだ。人には出来ずとも鬼を限りなく人に近づける薬を」

 

炭治郎「えっ!?でも今までそんな話は」

 

秋雨「もちろん全ての鬼に使える訳じゃない。無惨に忠誠心がある者には一切効かない。しかし、この猗窩座という鬼は無惨への忠誠心よりも鬼であることに重きを置いているようだったので試してみたって訳だ」

 

煉獄「しかし、この鬼はこれまでに何人もの鬼を喰らっている。禰豆子殿とはわけが違うだろう!!」

 

炭治郎「この鬼からは激しい憎悪と悲しみの匂いがしてました。多分、深い苦しみの中で生きてきたんじゃないかなって思うんです」

 

秋雨「煉獄。俺からも言わせて欲しい。確かに鬼はいち早く殺すべき存在だ。でもな、俺はそんな鬼でも救えるなら救いたいと思ってるんだ」

 

煉獄「.........わかった。秋雨の顔に免じて許そう。ただし、害だと思えば直ぐに頸を斬るからな」

 

秋雨「ああ、それで構わない。わがままを言ってすまないな」

 

煉獄「殺すだけが道ではないからな」

 

秋雨「.........?」

俺は煉獄の口からそんな言葉が出るのは意外だったため、首を傾げた。

 

秋雨「お館様には珠世さんから予め伝わっているだろうが、一応話しておいてくれ」

 

煉獄「うむ!承知した!」

 

炭治郎「秋雨さん、これからどうするんですか?」

 

秋雨「とりあえず、先に善逸達連れて蝶屋敷に行っててくれ」

 

炭治郎「わかりました」

 

秋雨「俺はこいつが起きるまではここにいるつもりだ」

 

炭治郎「はい」

 

少しして、善逸が意識を取り戻して、伊之助とカナエも一緒に此方にやって来た。

 

三人は一斉に同じところに注視した。

善逸達「.........!!」

 

善逸「煉獄さん...その手と目.........」

 

伊之助「どうしたんだ!?まさかアイツにやられたのか!!」

 

カナエ「煉獄くん...」

 

煉獄「大丈夫だ。もとより鬼殺隊にいる限りは命の保証などない。生きていることが大切なんだ。竈門少年!」

 

炭治郎「なんですか?」

 

煉獄「俺は君の妹を信じる。鬼殺隊の一員として認める。汽車の中であの少女が血を流しながら人間を守るのを見た。命をかけて鬼と戦い、人を守る者は誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ。

 

胸を張って生きろ」

 

炭治郎「.........!!煉獄さん.........」

 

煉獄「こんな有り様ではもう鬼殺隊として戦っては行けないだろう。俺は柱を下りる。

 

炭治郎、君を日柱として推薦する!」

 

炭治郎「はい!.........って...え?日柱?柱って事ですか?そんなにいきなり!?」

 

煉獄「どうした?厳しいか?」

 

炭治郎「いえ、もちろん柱となったなら今まで以上に精進するつもりですけど、少し急だったもので.........」

 

猗窩座は善逸達に今見つかると厄介な事になりそうなので、俺が目につかない日陰になる所まで運んでおいた。

 

善逸「汽車が脱線する時.........煉獄さんがいっぱい技を出しててさ、車両の被害を最小限にとどめてくれたんだよな」

 

炭治郎「そうだろうな」

 

善逸「手と目を失うなんてそんな.........ほんとに上弦の鬼が二人も来たのか?」

 

炭治郎「うん」

 

煉獄「竈門少年は充分過ぎるほど善戦をしてくれた!何も悔やむことは無い!」

 

炭治郎「はい.........」

 

善逸「それに秋雨さんでも倒せないなんてそんな.........!!」

 

秋雨「あと一歩だったんだ.........でもその時に逃げられた」

 

善逸「上弦の鬼はそれ程に強いんですか?」

 

秋雨「ああ、そりゃ出鱈目な程にな.........周りを護るので精一杯だった」

 

善逸「.........いや.........護れるだけでも凄いと思うんだけど」

 

カナエ「でも皆で生き残ることが出来て良かったわ。ね!秋雨くん」

 

秋雨「そうだな」

なんか善逸に睨まれたような気がする。

 

その後俺だけその場に残り、他の皆はその場で解散した。

 

 

──数時間後──

猗窩座が目を覚ました。

 

猗窩座「!?.........何で俺は生きている?何故殺されていない?」

 

秋雨「お前、何も違和感ないのか?」

 

猗窩座「お前は.........!!黒死牟殿と戦っていた」

 

秋雨「雲柱の瑞雲秋雨だ。それよりも何か異変は?」

 

猗窩座「そういえば、眠気が.........」

 

秋雨「そうか.........ならば多分お前は無惨の呪いが解けているはずだ。あれほど怪我すれば飢餓状態に陥るはず.........しかし俺を襲って来ないのを見ると.........」

 

猗窩座「秋雨、俺の身体に何をした!」

 

秋雨「呪いを解いただけだ。それと鬼の力は失ってないはずだ」

 

猗窩座「.........たしかに」

 

秋雨「猗窩座、提案があるんだが.........」

 

猗窩座「なんだ?言ってみろ」

 

秋雨「お前は鬼である以上、無惨が死ねば共に消えて亡くなる。どうだ、それまで俺たちと共に戦うというのは」

 

猗窩座「ハッハッハ!何を言うかと思えば.........

 

最高の申し出じゃないか!いいだろうその話乗った!」

 

秋雨「いいのか?」

 

猗窩座「お前が望んだことだろう。無惨の呪いは解けているんだ。ここで逃げてもお前に殺されるだろうし、仮に逃げたとしてもこんな状態では間違いなく殺されるだろうからな。」

 

秋雨「そうか.........よろしくな猗窩座.........」

 

猗窩座「共に戦おう!秋雨!それと俺のことはこれから伯治と呼んでくれ」

 

秋雨「わかった。改めてよろしく、伯治!」

 

秋雨と猗窩座は硬い握手を交わした。

 

こうしてこの戦いは幕を閉じた。




大正コソコソ噂話
猗窩座は上弦の鬼の中でも忠誠心が一番低いらしいよ。

何と猗窩座が味方として勢力下に入りましたね。
予想していた方も全く考えていなかった方もいることでしょう。

一応、次回で一区切りとします。なので、2月の間だけ投稿を一切お休みします。急ですが、ご理解をお願いします。

では、次回お楽しみに!



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閑話 戦いは始まったばかり

皆さんおはこんばんは!

ここまで読んでくださった方の中には次が早く読みたいという方もいるかと思います。ですが、二月中、忙しい日が続くことが多くなりそうなので、三月まで活動を休止させていただきます。

急なことですみませんm(_ _)m


──あの戦いのすぐ後の事──

上弦の壱、黒死牟は無惨に先程起きたことを報告しに行っていた。

 

黒死牟「無惨様」

 

無惨「例のものは見つけたのか?」

 

黒死牟「調べましたが、確かな情報は無く、存在も確認できず──青い彼岸花は見つかりませんでした」

 

無惨「で?」

 

黒死牟「無惨様の御期待に応えられるようこれからも尽力致します。ご命令通りにあの者を始末することが出来ず大変申し訳ありません」

 

無惨「お前は何か思い違いをしているようだな。黒死牟。鬼が人間に勝つのは当然の事、しかし、お前は柱の始末どころか柱でも無い者の始末もままならない。

 

私の望みは鬼殺隊の殲滅、一人残らず叩き殺して二度と私の視界に入らせないこと。複雑なことではないはずだ。それなのに未だ叶わぬ...どういうことなんだ?

 

なんのためにお前がいる?何故人間に勝てない?お前がそんなようでは鬼の士気が下がる。.........黒死牟!!お前には失望した。まさか命令一つもまともにこなせないとは.........()()も堕ちたものだな。下がれ」

 

無惨の言い分は最後まで理不尽極まりないものだった。

己でも一撃で殺せなかった相手を自分よりも弱者として位置している者に始末しろと言うのだから.........

 

黒死牟は秋雨に憎悪の感情を煮えたぎらせていた。

無惨のいる場から離れた後黒死牟は木に向かって秋雨の姿を思い浮かべながら八つ当たりしていた。

 

黒死牟「次に会った時がお前の最後だ!!.........お前さえいなければ!!」

 

 

──無限列車戦・後──

猗窩座は無惨の呪いが解けていたため、無惨のところにはあの後行っていない。

 

秋雨「それより猗窩座、お前これからどうするんだ?」

 

猗窩座「とりあえずは、俺も鬼殺隊として鬼の殲滅に手を貸そうと思う」

 

秋雨「幸い、お館様には話は伝わっていることだろうから、俺たち鬼殺隊としてはとても助かる。だが、だからと言って、おいそれと皆の前に出す訳にはいかない」

 

猗窩座「それは今まで鬼として、敵として位置し、人も沢山殺して、喰ってきたんだ。そんなことは承知の上、俺は暗躍者として活動するのが普通だろう」

 

秋雨「物分りが良くて助かる。お前の言うように、内通者及び暗躍者として行動して欲しい」

 

猗窩座「それはわかった。しかし、鬼殺隊と遭遇した場合はどうする?」

 

秋雨「柱以外の者ならいち早く離脱し、柱の者なら事情を説明すれば納得するはずだ.........たぶん」

 

猗窩座「おい、随分と適当な回答だなぁ.........」

 

秋雨「柱の者は血の気が多いのが沢山居てな」

 

猗窩座「そういうことか」

 

秋雨「とりあえず、これからよろしく頼んだぞ!」

 

猗窩座「ああ!鬼になる前の記憶も取り戻した。俺が殺した者への償いになるかは分からないが全力で努力しよう!呼び方は今まで通りでいいからな」

 

秋雨「ああ」

 

俺は最低限のこれからの予定を猗窩座と話して、猗窩座と解散した。

 

それから今回の件は漏れ無くお館様に伝わっていた。

お館様「二百人の乗客は一人として死ななかったのか。杏寿郎は頑張ったんだね。秋雨のおかげで柱以外の者も力をつけてきている。私はもう長くは生きられない。でもこれで、安心して後を任せられるよ」

 

──二日後──

柱合会議のために柱が招集された。

その場には炭治郎も呼ばれていた。

 

炭治郎「皆さん!お久しぶりです!」

 

宇髄「おお!お前あん時の!今度は何やらかしたんだ?」

少し冗談を含むようにして宇髄が挨拶をした。

 

実弥「おい、お前最近暴れ回ってるらしいなぁ」

 

秋雨「悪い言い方するな。炭治郎は任務を頑張ってるだけだ」

 

蛇柱「そんなことより俺は煉獄の姿が見えないのが気になるんだが?」

 

秋雨「それも後で分かるさ」

 

産屋敷「お館様のお成りです」

しばらく話しているとお館様がいらしたので、俺が最初の挨拶を済ませ、話をお館様に振った。

 

秋雨「──今回の件についてはお館様から皆に説明願います」

 

お館様「承知した。まず、炎柱である煉獄杏寿郎の事だが、一昨日の任務で片腕と片目を失ってしまった。そのため、これからの任務に支障が出る可能性があるとのことで柱を辞退した。

 

それによって、柱が一人減ってしまった。だから、煉獄は柱としてある者を推薦した。それが、階級乙─竈門炭治郎というわけだ」

 

炭治郎は助けがあったといえど脅威と成り得る鬼を幾度と倒して来たため、階級は伊之助達の中でも断トツだった。

 

宇髄「こいつが柱?何かの間違えでは?」

 

実弥「まだ鬼殺隊に入って一年も経って無いんですよ!そんな者を柱に迎えるなど!」

 

蛇柱「認めない。認めない。鬼を連れた隊士が柱になるなんて俺は認めない」

 

お館様「静かに。.........確かに納得の出来ない者もいるだろう。しかし、私は煉獄の意見を無下に扱いたくは無い。それに、彼が自信を持って推薦する者を私は信じている。皆にも分かって欲しい」

 

柱「.........御意」

 

秋雨(さっきまで散々文句言ってたのに.........本当お館様リスペクトしすぎでしょ.........)

 

お館様「炭治郎」

 

炭治郎「はい!」

 

お館様「今をもって君を日柱に任命する。活躍を期待してるよ」

 

炭治郎「ありがとうございます!煉獄さんの分まで頑張ります!」

 

煉獄の話と炭治郎の柱任命の話が終わった後、今回得た情報を共有して、柱合会議を終えた。




大正コソコソ噂話
猗窩座への信用度
炭治郎→まあまあ
煉獄→まだ少し疑ってる

3月の頭からいきなり再開とはいかないかもしれませんが、3月中には再開するつもりですのでご理解を


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第八章~改変が勝つか修正が勝つか~
第参陸話 より高みを目指して


本当にお待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。
m(_ _)m
学生な者で、何かとやる事が重なり中々暇が出来ず、こんなにも期間が空いてしまいました。

今回の話は短いし、久しぶりと言うこともあり設定が一部飛んでしまっているかもしれませんが、自分で読み直して修正していくつもりです。それと、慣れるまで週一で上げていこうと思います。しばらくはこんな形になると思いますが、ご理解いただけるようお願い致します。

矛盾している部分があれば随時修正していくのであればコメントで指摘お願いします。


──西暦1915年 7月14日 大正4年──

あの戦い、いわゆる「無限列車編」から1週間が経っていた。

 

蝶屋敷にて

現在、蝶屋敷には6人の隊士が患者として居る。

 

煉獄、炭治郎、伊之助、善逸、カナエ、秋雨の6人だ。

 

その中でも、片腕の損失と目の失明をした煉獄が一番の重症患者で、次にその煉獄と一緒に戦っていた炭治郎、上弦の壱と戦っていた秋雨が損傷が大きい。伊之助、善逸、カナエの3人はこれといって目立った怪我は無いが、肉体的疲労が大きく、一応念のため療養しているというところだ。

 

そんなところに今日は大勢がお見舞いに来ていた。

 

善逸「炭治郎!秋雨さん!良い知らせがあるんだ」

 

秋雨「?どうしたんだ?そんなにニコニコして」

 

炭治郎「.........善逸?」

 

煉獄「うむ!良い面だ!」

 

 

 

冨岡「今日は皆でお見舞いに来た」

 

錆兎「大丈夫か?怪我の具合は」

 

真菰「皆、無茶するんだから...特に秋雨?上弦の壱と一人で戦うなんてどうかしてるよ」

 

秋雨「ウッ!.........面目ない(正論すぎて辛い.........)」

 

無一郎「その通りですよ。秋雨さんの強さはよく知ってますし、それは鬼殺隊だって鬼を逃がさないのが第一ですけど、戦える人がいなくなるのはもっと危ないんです」

 

有一郎「無一郎の言う通りだ。時に煉獄さん、あんた柱辞めてこれからどうしていくつもりで?」

 

煉獄「.........それなのだが、戦うことはもう適わないが人に教えることは出来るだろう?だから無惨との戦いに向けて、隊士全般を鍛えていこうと思う。少しでも皆の役に立ちたいからな」

 

炭治郎「煉獄さん.........俺、貴方の意志も背負って今まで以上に頑張ります!」

 

煉獄「うむ!とても良い意気込みだ!」

 

義勇「これは油断してられないな」

 

カナエ「そうね!私たちも頑張りましょう」

 

その後も今回の任務についてあったことを一通り話した。秋雨が上弦の壱と戦って無傷だったことや煉獄と炭治郎が上弦の弐と戦ったことなどを主にはなしていった。

 

ちなみに今伊之助は外に出て修行中だ。どうやら今回の任務で上弦の鬼との戦いに加勢できなかったのが相当悔しかったようだ。

 

皆が帰った後の話

 

炭治郎「煉獄さん」

 

煉獄「どうした竈門少年!」

 

炭治郎「俺、正直煉獄さんとなら上弦でも勝てるんじゃないかと思ってたんです。でも、現実は煉獄さんと戦ってやっとあの様だった。それに煉獄さんはもう戦いには行けない。

 

だから、一人でも十分に戦えるようにもっと強くなりたいんです!煉獄さんの知っている限りの情報を教えて欲しいんです」

 

煉獄「竈門少年!俺の生家、煉獄家に行ってみるといい。歴代の炎柱が残した手記があるはずだ。もしかしたら日の呼吸についてもっと詳しく記されているかもしれない。明日俺と一緒に行ってみよう」

 

炭治郎「はい!」




大正コソコソ噂話
秋雨は前世で、最終巻を1度しか読んでいないから、無惨戦が不安らしいよ。
(ワニ先生)

次回上げるのが何時になるかは決まってませんが、とりあえず、長い休みに入るまではこんな感じなのでご了承ください。

今年は忙しいことが多いので、余裕を持って上げられるか分かりません。
なので、落ち着くまでは勝手ながら不定期更新とさせていただきます。
すいません(◞‸◟ㆀ)


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第参漆話 煉獄家訪問

投稿頻度がとてつもなく少なくなってしまいました。
もしかしたら、これまでみたいに投稿するのは無理かもしれません。
それでも、読んで下さる方には頭が上がりませんm(__)m
話の展開も遅くなってます。ご了承ください


──西暦1915年 7月15日 大正4年──

炭治郎は煉獄に言われた通り、煉獄と共に煉獄家へと向かっていた。

 

杏寿郎「竈門少年、もうそろそろで家に着くぞ。日の呼吸について何か知れるといいな」

 

炭治郎「はい!」

 

それから数分歩いた後に煉獄家へと到着した。

玄関先では杏寿郎の弟、千寿郎が箒がけをしていた。

 

杏寿郎「千寿郎!ただいま戻ったぞ!」

 

千寿郎「兄上!!おかえりなさい。…隣の方は?」

 

杏寿郎「ああ、この前話した竈門少年だ!」

 

炭治郎「君は千寿郎…君?」

 

千寿郎「ええ、そうです。僕は煉獄千寿郎です。あなたの話は兄上から聞いています。兄上と助けて下さったと」

 

炭治郎「そんな!俺はただ一緒に戦っただけで…」

 

杏寿郎「ハハッ、謙遜しなくていい!!君に助けられたのもまた事実だ」

 

ある程度挨拶を終えると杏寿郎の父、槇寿郎が家の中から出てきた。

 

槇寿郎「騒がしいぞ!馬鹿息子!帰ってきたなら一言言え!!」

 

杏寿郎「父上!!昼間から酒など体を壊しますよ!」

 

槇寿郎「俺は元柱だ、酒程度で体は壊さん」

 

杏寿郎「ですが、父上…」

 

槇寿郎「しつこいな、お前も大丈夫だと言っているだろう!それより何故今頃になって帰ってきた!」

 

杏寿郎「実はこの少年に見せたいものがあって」

 

槇寿郎「この少年?そこにいる小僧か?」

 

炭治郎「竈門炭治郎です!よろしくお願いします!」

 

槇寿郎「炭治郎というのか、覚えておこう。とりあえずここでは何だから中で話をするぞ」

 

炭治郎「はい」

 

炭治郎は煉獄家の中へと案内された。

 

槇寿郎「そこに座れ」

 

炭治郎「はい」

 

そこには座布団が四枚置かれていて、槇寿郎と対面する形で座った。

槇寿郎も酔いが少し覚めたようで先程よりも落ち着いた喋り方になっていた。

 

槇寿郎「さっきは言いそびれたが、杏寿郎、その腕はどうした?」

その腕というのは杏寿郎のなくなった片腕のことだ。

 

杏寿郎「これは上弦の弍との戦いで失ってしまって…しかし、生きて戻れただけでも幸いでした。竈門少年がいなければ生きて帰ることすら出来なかったでしょうから」

 

槇寿郎「そうか…炭治郎、息子に変わって礼を言おう、杏寿郎を救ってくれてありがとう」

槇寿郎はこれでもかと言うくらいに長いお辞儀をした。

 

炭治郎「いえいえ、顔を上げてください」

 

槇寿郎「そうだ、今日は家に用があるんだったな。話してくれ」

 

炭治郎「はい、日の呼吸についての事なのですが…」

その話を出した瞬間、槇寿郎は目の色を変えて炭治郎を見入った。特に耳飾りにである。

 

槇寿郎「その耳飾りは!まさか、炭治郎は日の呼吸の使い手なのか?」

 

炭治郎「はい、そうですけど…」

 

槇寿郎「ハッハッハッハッ!そうか…それが本当なら無惨のやつを殺れるやもしれんと言うことだな」

 

杏寿郎「父上?」

 

槇寿郎「はっ!すまんすまん、取り乱した。日の呼吸とは始まりの呼吸であり、一番初めに生まれた呼吸、最強の御技!

 

そして全ての呼吸は、"日の呼吸"の派生!つまり、無惨を殺せる可能性を一番秘めていると言える。」

 

杏寿郎「確かに竈門少年の一撃は鬼にとって部が悪そうだったがそこまで凄い呼吸とは!」

 

槇寿郎「それで、話が反れてしまったが家に何の用があって来たんだ?」

 

炭治郎「それは煉獄さんからここなら日の呼吸について詳しく書かれてる手記があるかもしれないとお聞きして…」

 

槇寿郎「悪いが、その手記あるにはあるのだが、今はとても読める状態じゃないのだ」

 

炭治郎「そうですか…なら仕方ないですね」

炭治郎はとても残念そうにした。

 

杏寿郎「すまない竈門少年こんなところまで足を運んでもらったというのに」

 

槇寿郎「しかし、今は読めないが俺は前に何度か読んだことがある。話でもいいと言うなら話そう」

 

炭治郎「本当ですか!!ぜひお願いします!」

 

槇寿郎「では話そう、これは最初の方に書いてあった言葉だ──

 

…という訳だ。これで少しでも役に立てればいいのだが」

 

炭治郎「日の呼吸について一から知ることが出来て良かったです!ありがとうございました!」

 

槇寿郎「それなら良かった。俺が日の呼吸について分かるのはここまでだ。実技の方は杏寿郎が助けられた程だから言うまでも無いだろう。これからも杏寿郎と仲良くしてやってくれ」

 

炭治郎「もちろんです!今日はありがとうございました!」

 

杏寿郎「父上、今日はいろいろと助かりました。俺はまだやることが残っているのでそれが落ち着いたら、またここに戻ってきます。では…」

 

槇寿郎「ああ、気をつけてな」

 

杏寿郎「はい!!」

 

千寿郎「兄上、炭治郎さん、お元気で!!」

 

杏寿郎「ああ!また会おう!」

 

炭治郎「はい!そちらこそ!」

 

2人はそう言って煉獄家をあとにした。

 

少し歩いたところで杏寿郎は立ち止まる

 

杏寿郎「少しいいか?炭治郎」

いつもとは違い炭治郎の名前を呼び捨てで呼ぶ杏寿郎。

 

炭治郎「どうしたんですか?煉獄さん…?」

 

そう言うと杏寿郎は懐から何やら大事そうに包まれているものをおもむろに出した。

 

炭治郎「…これは?」

 

杏寿郎「俺の日輪刀の鍔だ」

 

炭治郎「…日輪刀の…鍔ですか?」

 

杏寿郎「ああ、竈門少年に使ってもらおうと思ったんだ。」

これまた普段の杏寿郎とは打って変わってとても落ち着いた声で話す杏寿郎。

 

そんな煉獄に驚きながらも炭治郎は再び質問をした。

炭治郎「…どうして俺にそれを?」

 

杏寿郎「俺はもう最前線では戦えない。だから、竈門少年に俺の意志を託そうと思う!!」

 

炭治郎「…!!嬉しいです。一緒に戦うことが出来て、俺…煉獄さんの分まで戦います!」

 

杏寿郎「一緒に戦う…か!良い表現だ!なら俺一人分強くならなければな!!」

先程の落ち着いた様子が嘘のように元気に話し出す煉獄。そして、煉獄の性格からして冗談とも取れないような言葉が煉獄の口から繰り出される。

 

炭治郎「ははは…」

思いがけぬ試練が炭治郎に降りかかるのであった。

 

二人が帰った後の煉獄家

千寿郎「失礼します」

父の居る部屋の襖に手をかけ開ける。

 

槇寿郎「どうしたんだ?」

 

千寿郎「先程兄上が改めて父上に体を大切にして欲しいと」

千寿郎はそれだけ言うと襖を閉めて部屋を後にする。

 

槇寿郎「ふっ…。余計なお世話だ。お節介なところは誰に似たんだか…。とにかく生きて戻ってきてくれて良かった…うっうっ」

杏寿郎が生きて帰って来たことに喜び一人泣くのであった。




大正コソコソ噂話
秋雨はこの後、槇寿郎さんに挨拶の意味も込めて、炭治郎が突然家を伺ったことに対して師としてお詫びの手紙を送ったらしいよ。

槇寿郎さんはあれから少し酒を飲む量を減らすようになったのだとか



久々に書くのでミスが多いかもしれません。それと途中、槇寿郎の話を割愛させていただきました。すみません。


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参捌話 波乱の予感

本当に遅くなってしまいすみません。とりあえず、今年いっぱいはこんなペースで書かせていただくことになるかと思います。戦いのシーンが少ないですが、次話くらいからアクションが増えて行くかなと思います。

では、続きをどうぞ!m(__)m


──西暦1915年 7月15日 大正4年──

煉獄家から帰る途中である。

煉獄「竈門少年先程も煉獄家にいる時に少し話したと思うが、俺は用があるからこの辺で別れようと思う!」

 

炭治郎「分かりました!気をつけて!」

 

煉獄「また会おう!」

煉獄は鬼殺隊の中で階級が低い者を招集するために動き始めていた。もちろんそれは、煉獄が鍛え上げるために、である。

 

炭治郎は蝶屋敷まであと少しの所まで帰って来ていた。ところが、少し後ろに人影が見えたので凝視して見ると、そこには鋼鐵塚が立っていた…

 

鋼鐵塚「刀を失くすとはどういう料簡だ貴様ァアアアア!!万死に値する…万死に値するゥ!!!」

そう叫びながら鋼鐵塚は全速力で炭治郎を追いかける。

 

鋼鐵塚「アアアアアアアア!!!」

 

炭治郎「すみませんすみません!!もうほんとにごめんなさい!!」

炭治郎も謝りながらも全速力で逃げた。

 

夜明け近くまでこの鬼ごっこは続いたという。

 

 

 

それから時は過ぎ…

 

◇蝶屋敷◆

あの列車での壮絶な戦いから四ヶ月が過ぎようとしていた。

 

その間秋雨は鍛錬はもちろんしているが、カナエと多くの時間を共有していた。

 

まあ平成育ちの若者としてはなんら不思議では無い。しかし、軽いスキンシップやお出かけをするなどして仲を深める程度だ。

 

炭治郎たちはというと毎日鍛錬をしながら、合間に入る鴉からの指令に従い、それぞれ鬼を倒しに行った。

 

炭治郎は柱だが、今以上に戦い、「無惨に警戒でもされたら敵わない」と思った秋雨が御館様にいつも通りの話術で善逸たちと同じ扱いにしてくださいと頼んだので展開に支障は無いだろう。

 

秋雨の指導があってか一人で行く任務の時も善逸は駄々をこねなくなった。やはり寝ずに戦えるようになったことが成長への引き金になったのだろう。

 

善逸「禰豆子ちゃんの応援が欲しいなあ…」

しかし、善逸も人の子そう簡単に性根は変わらないのであった。

 

伊之助は以前より尚更猪突猛進になった。

伊之助「骨が砕けるまで走り込みだ!!来い!!お前ら!」

実際に走りに行く炭治郎たちであった。

 

炭治郎「善逸!もうちょっとだ頑張れ!」

 

善逸「分かってる!!だいたいなんでこんな目に会わなきゃ行けないんだよ!!」

騒ぐ元気はあるようだ。

 

秋雨「なんで俺まで?」

そう言いながらも秋雨は敢えて絶妙に1番前を保守していた。炭治郎たちに慢心させないためだ。

 

善逸「涼しい顔して今更!!?」

それには善逸もツッコまずにはいられなかった。

 

▕ ┉ 数日後 ┉ ┃

その日は特にいつも通りの蝶屋敷だった。そして、何かあるといけないので特に任務も無かった俺(秋雨)は珠代さんからの研究の進行に関する手紙を読んだり知人に当てて手紙を書いていたりしたところだった。

 

 

◇蝶屋敷の外◆

 

単独任務を終え蝶屋敷に帰還していたところだった。

 

蝶屋敷の門近くまで来ていた炭治郎の耳には、蝶屋敷の庭から響く悲鳴がはっきりと聞こえた。

 

炭治郎「!?」

足早で庭に行く。

このタイミングで俺も気づいて外に出た。

 

そこでは──

 

アオイ「放してください!私っ…この子はっ…」

 

宇髄「うるせぇな黙っとけ」

「音」の呼吸法を使用する音柱▷宇髄天元がアオイを肩で担ぎとなほを

脇に抱えて持っている異様な光景が広がっていた。

 

きよ「やめてくださぁい」

 

すみ「はなしてください…」

二人はそんな事態に泣いてしまっている。

 

担がれているアオイとなほが一緒にいたカナヲに助けを求める。

 

アオイ「カナヲ!」

 

なほ「カナヲさまーーっ」

 

そこでカナヲは炭治郎に言われた『心のままに』という言葉を思い出し、宇髄を行かせまいとアオイとなほを掴んで引き止める。

 

そんな普段のカナヲからは想像も出来ない行動にアオイたちは引き止めたことに驚きながらも嬉しくも思うのだった。

 

いつまでも無言で掴んだまま話さないカナヲに耐えきれず怒鳴る宇髄、それを合図にきよとすみが一斉に宇随に飛びかかる。

 

ここで俺と炭治郎はその現場を見る。

炭治郎「女の子に何をしてるんだ!!」

 

秋雨「宇髄!手を放せ!」

そこで二人は改めて見て思った。

 

群がられてるいるのか、捕まっているのかどっちなのだろうと

 

きよ「人さらいです〜っ!助けてくださぁい!」

 

宇髄「この馬鹿ガキ…」

 

きよ「キャー!!」

よっぽど怖かったのか大声をあげるきよ

 

その様子を見て宇随に頭突きをかますべく勢いよく飛び出す炭治郎。

 

秋雨「おいっ!やめっ…」

気づいた時には遅かった。炭治郎から繰り出された渾身の頭突きは、炭治郎が原作よりも遥かに強くなっていることもあってか、宇髄が避けるのが間に合わずクリーンヒットしてしまう。

 

その時中に放り出されたきよとすみを俺とカナヲでキャッチした。

 

秋雨はそんな炭治郎に呆れるしかなかった。

 

宇髄「イテテテテ…お前マジでやる奴があるか!?1発殴らせろ!!」

 

秋雨「まあまあまあ…」

 

ガチギレする宇髄を宥める

 

俺を除き炭治郎たちは宇髄のことを人さらいや、変態呼ばわりした。

それには、当然キレる宇髄。

 

秋雨(え?俺が宥めてたの見てたよね?馬鹿なの?)

炭治郎に付き合う善逸の気持ちを改めて知る俺

 

宇髄「てめーらコラ!!誰に口利いてんだんだコラ!!俺は上官!!柱だぞこの野郎!!」

 

秋雨(そりゃそーなるわ)

これには俺も唖然として声も出ない。

 

炭治郎「お前を柱とは認めない!!むん!!」

 

宇髄「むんじゃねーよ!!お前が認めないなら何なんだよ!?秋雨がいなかったら今頃てめーらどうなってたか知らねえぞ!!」

 

宇髄はその後もキレたまま説明を続け、任務で女の隊員がいるから連れて行くとのこと、それに継子じゃないものは胡蝶の許可をとる必要も無いとまで言う。

 

きよがなほは隊員では無いことを言うと宇髄は放り投げる。それを炭治郎がキャッチし、人でなしと叫ぶ。

 

しかし、アオイは一応隊員なので連れて行くとのこと。

 

そこで炭治郎たちは反論する。

炭治郎「人には人の事情があるんだから無神経に色々つつき回さないでいただきたい!!アオイさんを返せ!!」

 

宇髄「ぬるい、ぬるいねえ。このようなザマで地味にぐだぐだしているから鬼殺隊は弱くなっていくんだろうな」

 

秋雨「おい、言い過ぎだ宇髄頭を冷やせ」

これには流石の俺も口を出さずにはいられなかった。普段、敬語で話してはいるが、この時ばかりはそんなこと言ってられなかった。

 

宇髄「ちっ…確かにお前の言う通りかもな今回は従ってやるよ」

 

秋雨「確かにこいつはまだ感情任せな所もあります。ですが、こいつのそんな性格のおかげで煉獄さんが助かったのも事実です。少しは認めてあげてください」

 

宇髄「はっ、分かった分かった認める。」

 

炭治郎「俺はこいつじゃなくて炭治郎です!!秋雨さん!」

 

秋雨「まあこういうところは困ってるんですけどね…はは」

苦笑いをしながら言う。

 

宇髄「なんかお前も大変そうだな」

なんか謎に同情されて少し悲しくなる。

 

宇髄「んで、結局どうするんだ?」

 

秋雨「アオイさんの俺たちが行きます」

 

そこにベストタイミングで伊之助たちも帰ってくる。

伊之助「今帰ったところだが俺は力が有り余ってる。行ってやってもいいぜ!」

 

善逸「ア、アオイちゃんを放してもらおうか。たとえアンタが筋肉の化け物でも俺は一歩もひ、引かないぜ!」

善逸は原作よりもつまらず喋っているイメージだ。こんなところにも根性を鍛え直した成果が現れるとは…

 

一瞬宇髄の気迫におされる炭治郎たちであったが意外にも宇髄本人はケロッとしていた。

 

宇髄「あっそォ、じゃあ一緒に来ていただこうかね」

 

その様子に炭治郎もビックリする。

炭治郎「!?」

 

宇髄「そうだ、こいつ返しとくわ」

と宇髄が言ってすぐアオイさんは返されだ。

 

秋雨「で?どこ行くんですか?宇髄さん」

 

伊之助「どこ行くんだオッさん」

 

後ろを歩きながら訊いた。

すると宇髄さんは「日本一色と欲に塗れたド派手な場所」と言った。そして、そのあとに付け足して宇髄さんは言う

 

 

()()()()遊郭だよ」




いかがだったでしょうか?

この辺は大した変化がないので原作がしっかり頭に入ってる人は読まなくても分かるかもしれませんが一応話の流れなので入れさせていただきました。

大正コソコソ噂話
秋雨さんの背は宇髄さんとそれほど変わらないらしい


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番外編 天才を越えるのは別角度から

今回は空白の四ヶ月間について少し付け加えました。
蛇足にはなりますが、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。


これは秋雨たちが任務で遊郭に行く前の話、四ヶ月間の物語である。

 

◇蝶屋敷◆

俺はこの四ヶ月間を有効に使うべく、カナエと出かけたりする以外は全て修練に時間を設けていた。

 

炭治郎は赫刀も使えるようになり、ほぼ縁壱になりつつあった。それは潜在的な部分だ。そればかりはどうしようも無く、他の部分で補わせようと考えていた。

 

教えるためには自分が出来なければいけないので、俺は今その他の部分なるものを習得しようとしていた。そして、そのために俺はある男を呼んでいた。

 

秋雨「よ!久しぶり」

 

猗窩座「どうしたんだ一体?急に呼び出すなどして」

その男とは猗窩座のことだった。

 

秋雨「俺の修行に付き合って欲しくてな」

 

猗窩座「そういうことなら、別に構わんが…」

 

秋雨「なら良かった。お前にしか頼めないことなんだ」

 

猗窩座「俺にしか頼めないこと?」

 

俺は猗窩座に試合稽古をしてくれるように頼み、それを猗窩座はすんなりと了承した。

 

そして、試合は俺の開始の合図によって行われた。

 

猗窩座「行くぞ!」

 

秋雨「来い!」

猗窩座は目一杯地面を蹴って俺目がけて一直線に拳を突き出した。

 

そして、俺は予測し、早めに躱す。

躱されたことなど気にせず、今度は俺の顎めがけて下からの突きを繰り出す。

 

それも即座に見抜き、躱す。

すると次は反撃を食らわないようにと猗窩座は足を90度回転させて体を左に向けてから、右足で横に蹴り出した。

 

俺はその攻撃も猗窩座に対抗するように体を左の方に捻って躱した。

 

そこを狙うように猗窩座は右足を下げて即座に正面に向き直し左で回し蹴りを俺の腹部に当てに来る。しかし、その攻撃も来ることが分かっていたので後ろに引いて避ける。

 

猗窩座「なあなんで避けるだけで攻撃はして来ないんだ?」

 

秋雨「いや、これでいいんだよ」

 

猗窩座「?」

その言葉に頸を傾げる猗窩座

 

秋雨「さあ続けるぞ」

 

猗窩座「あ、ああ…」

 

 

猗窩座が攻撃をし、それを俺が避ける。ただそれだけのことを一日中続けた。

 

─稽古が終わった後

 

猗窩座「そういえば一度も攻撃はしてこなかったが何故だ?」

 

秋雨「俺は剣で防ぐことも出来た、だがそれをしなかったのには意味がある」

 

猗窩座「やはりよく分からない」

 

秋雨「例えば刀が折れたり、飛ばされて取れない状況になったらどうする?」

 

猗窩座「それは…そうか!」

どうやら猗窩座は理解出来たようだ。

 

秋雨「そう、間に合わないんだよ刀を取りに行っていたら。だから、相手の攻撃を全て躱すことで死からは免れるわけだ」

 

猗窩座「でもそんなことは不可能に近い。それこそ秋雨程の実力が無いとな」

 

秋雨「いや出来るはずだ。人は基本来ると分かったものに対して、その場で考えて対処する。それでは遅いんだ。」

 

──1日後

蝶屋敷で炭治郎に話しかける。

時刻は1時を回っており、昼食を食べ終わり、少し休憩をした後のことだ。

 

秋雨「炭治郎、少しいいか?」

 

炭治郎「はい、なんですか?」

 

秋雨「お前に教えたいものがあってな」

 

炭治郎「教えたいもの?」

 

秋雨「今から俺に刀で攻撃してこい、どんなふうでもいいから」

 

炭治郎「でも…」

 

秋雨「大丈夫だ俺は死なない」

 

炭治郎「そこまで言うなら、容赦しませんよ、本気で行きますけど良いんですね?」

 

秋雨「ああ、来い!」

 

俺がそう言うと炭治郎は正面に攻撃するように思わせてから、あえて後ろに回り込み俺の不意をつこうとした。しかし、俺にはそれが既に分かっていた。なので、いとも簡単にまた体だけを捻り躱した。それからも猗窩座との練習の時と同じく攻撃と躱すを交互に繰り返し、1時間が経った。

 

炭治郎「はぁ…はぁ、おかしい確かに隙を狙っているはずなのに」

 

秋雨「何故、当たらないか分かるか?」

 

炭治郎「なぜですか?」

 

秋雨「あらかじめ空気の動きからお前の攻撃を肌で感じて無意識に避けているからだ。そして、炭治郎には今から俺の言うことをやってもらう」

 

炭治郎「はい!」

 

秋雨「俺の攻撃を一日中躱し続けろ。以上」

 

炭治郎「へ?聞き間違いじゃないですよね?」

 

秋雨「さあ刀を納めて、構えろ」

そう言って俺は刀を納めた。それに倣うように炭治郎も刀を納める。

 

炭治郎「は、はい!わかりました!」

 

秋雨「行くぞ!」

 

俺の合図によってそれは唐突に始まる。

猗窩座の攻撃を真似て炭治郎に攻撃を繰り出す。

最初のうちは戸惑って攻撃に当たっていた炭治郎だったが、途中からコツを掴んだのか徐々に躱しはじめる。

 

そして、4時間経った頃、全てとまではいかないが、8の割合で避け、2の割合で受けをするようになっていた。それからも次の日の朝になるまで続けた。

 

炭治郎は結局全てを避けるようにはならなかったが、避ける精度も受けの精度も相当上がっている様子だった。

 

秋雨「はぁ、炭治郎そろそろ終わりにしよ…うか。流石の俺も疲れかけていた」

 

炭治郎「……は……はぁぃ」

炭治郎は今にも倒れそうだった。

 

その日の昼

 

蝶屋敷で縁側に座り、水分をとって休憩しているところだった。

 

秋雨「今日は疲れただろう、一緒に飯でも食べに行かないか?」

 

炭治郎「いいんですか!?」

 

秋雨「もちろん」

 

炭治郎「ならお言葉に甘えて」

 

秋雨「カナエとカナヲも来ないか?」

しのぶはその日は任務があり出払っていたため、誘えなかった。

 

カナエ「あら、行っていいの?」

 

カナヲ「私は…」

少し行くのを遠慮している様子だった。

 

カナエ「カナヲも行きましょうよ!」

 

カナヲ「う、うん…じゃあ行こうかなぁ」

 

その日は昼食を食べたあと商店街にも出かけて、色んなところに行った。実は、このお出かけには知られざるもう1つの狙いがあった。

 

カナヲと炭治郎をくっつける作戦だ。

二人っきりにするために俺とカナエは二人でその場を一旦離れる。

 

炭治郎「あれ?秋雨さん達は…」

 

カナヲ「……はぐれちゃったのかな?」

 

炭治郎「探しに行こうか」

 

カナヲ「えっ…ちょっと///」

炭治郎に手を引かれて少し照れるカナヲであった。

 

炭治郎「うーん、いないなあ」

 

カナヲ「あの…手」

 

炭治郎「手がどうかした?もしかして嫌だった?」

炭治郎ははぐれないように手を引いていただけのつもりだったが、カナヲは異性に手を掴まれるそんな初めての事に戸惑っていた。

 

カナヲ「ううん、嫌じゃないよ」

 

炭治郎「なら良かった、じゃあ他のところ探そうか」

 

カナヲは途中にある団子屋に目が止まった。

 

炭治郎「団子食べたいの?結構歩いたし休憩しようか」

 

カナヲ「…うん」

 

団子屋の店員「あら二人ともお似合いね」

炭治郎はそういったことに鈍いのでなんのことか分からなかったが、カナヲは解ってしまったようで、照れていた。

 

炭治郎「?」

 

カナヲ「えっ?いや…そんなんじゃ///」

 

炭治郎「三色団子2本ください」

 

店員「はーい、今持ってくるわね」

 

しばらくして三色団子2本と茶が2杯運ばれてくる。

店員「お待ちどおさま」

 

炭治郎「ありがとうございます!」

 

カナヲ「…どうも」

 

 

 

炭治郎「どう?三色団子美味しい?」

 

カナヲ「美味しい…」

 

炭治郎「そういえばカナヲ最初に喋った時よりもよく喋ってくれるようになったよね」

 

カナヲ「炭治郎が心のままに話すことを教えてくれたから」

 

炭治郎「そっか、でももっと思ったままに話してもいいんだよ」

 

カナヲ「じゃあ聞いて欲しいことがあるんだけど…いい?」

 

炭治郎「いいよ、話してみて」

 

カナヲ「私、炭治郎に感謝してる、こうして私が話すきっかけを与えてくれたのも炭治郎だし、しのぶが鬼に対して前向きになれたのも炭治郎がいてくれたおかげだと思ってる。それとね、もう1つ感謝してることがあるの」

 

炭治郎「もうひとつ?」

 

カナヲ「私に人を好きになることを教えてくれたってこと」

 

炭治郎「!?それって」

 

店員「兄ちゃん鈍いねぇ…そりゃあ告白だよお、ほら」

店員のおばあちゃんが炭治郎の肩を叩いて、カナヲの告白に答えるように促す。

 

カナヲ「///」

 

炭治郎「俺もカナヲのこと好きだよ」

 

店員「青春だねぇ」

 

ここまでのことは俺たちは予想してなかったが、とりあえず成功ではあるので素直に喜ぶ。

 

カナエ「やったわ!!あのカナヲが自分から告白したわ、恋の力って偉大ね」

 

秋雨「大成功だな」

 

そこから偶然を装い何事もなかったかのように二人の前に戻る。

 

秋雨「こんなところにいたのか」

 

カナエ「あらどうしたの二人とも顔赤いわよ!ふふっ」

 

炭治郎「いやっ、これは!」

 

カナエ「さあ帰りましょっ!」

あえて触れないようにするあたり流石だなあと思った。

 

炭治郎「は、はい」

 

カナエ「あ、…うん」

 

それから、蝶屋敷に着くまで二人とも顔を赤らめたままだった。

 

 

 

─2日後─

 

 

◇蝶屋敷◆

炭治郎の修行を再開する。

 

今日も一日中稽古をしたが、ようやく全てを避けられるようになってきた。しかし、まだ意識下で避けているから明日も続けるつもりだ。

 

さらに日付が変わり

──5日後

 

ようやく、無意識に避けられるようになってきたようなので、刀を使うように言う。

 

秋雨「今日は刀を使おうと思う。炭治郎も刀を抜け。今までのことを忘れず戦えよ」

 

炭治郎「はい!」

 

今までで1番密度の濃い修行になるだろう。

そして、どちらも動くことなく見合い、同じタイミングで飛び出した。

 

秋雨「はぁ!」

 

炭治郎「はっ!」

 

お互い、自分の領域を守りながら、近づいていく。その領域はぶつかり合い、刀同士が織り成す音は、やがて、ひとつの曲を創造する。

 

そして、その曲は遂に終わりを迎える。秋雨の不意をついた攻撃は炭治郎にいなされ、俺はそれに反応して避けようとするも、それすら炭治郎は予測していて、俺が避けた先には刃があった。それにも気づいてはいたが間に合わなかった。

 

そこで炭治郎が刀を引いてなかったら死んでいたかもしれない。

 

秋雨「炭治郎、よくやった俺の負けだ。頑張ったな」

 

炭治郎「はい!ありがとうございます!俺、忘れないように何回も復習します!」

 

秋雨「呼吸と合わせる練習もしておけよ」

 

炭治郎「はい!」

 

まあ他にも色々あったのだが、それはまた別の機会にでも…




いかがだったでしょうか?楽しんで頂けたでしょうか?
今回の技については、他の漫画からインスピレーションを受けて入れている部分もあるので、説明が拙い部分がありますがご了承ください。
猗窩座と練習しているのは山奥で蝶屋敷でしているわけではないのでお間違いなく。

大正コソコソ噂話
猗窩座は意外と面倒見が良くて炭治郎の修行にも付き合ってくれたよ


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