コミュ障ロリ魔王様のVtuber生活 in地球 (波土よるり)
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キャラ紹介
キャラ紹介 挿絵あり (3.13更新)


キャラ増えて分かんなくなりそうなので、一応ページ作って投稿。
このページは時間見つけてちょくちょく更新していきます。


以下はネタバレを含む箇所もあります。

最新話まで読んでから基本的に見てください。

また、挿絵も載せているので、自分のイメージを崩したくない方は【挿絵表示】を誤って押さないようにご注意ください。

 

 

 

 

もくじ(押すと各ページにジャンプします)

主人公(4期生)

 :ニーナ・ナナウルム

1期生

 :白月ノゾミ

2期生

3期生

 :近野千香

 :桃内百太

 :立花十華

 :一二三四

4期生

 :リリィ(天使)

 :レイ・ブレイブ(勇者)

 

 

 

 

[主人公]

 

ニーナ・ナナウルム(にーな・ななうるむ)

 

twuwitter@nina_nanaulm

ハッシュタグ配信タグ:#魔王様の宴

イラストタグ:#絵ーナ 

 ファンの呼称等 ファンの呼称:臣下

公式紹介文

一見幼い容姿をしているが、千年を生きる異世界の魔王。

地球のYootubeで流行っている『配信』をやってみたいと思い、魔王城から魔法で地球のインターネットにつないでいる。魔法力に秀でており、異世界から地球に一瞬でテレポートすることもできるとか。

 

 プロフィール          

 年 齢:1001歳

 誕生日:12月20日

 身 長:145cm

 体 重:40.9kg

 種 族:魔王

 チャームポイント:右目の泣きぼくろ

 

 イラスト            

 

【挿絵表示】

 

【挿絵表示】

 

【挿絵表示】

 

【挿絵表示】

 

【挿絵表示】

 

 

 備考              

 本作の主人公。

 前世は異世界の魔王様で、勇者に敗れて死んだが地球に人間の赤ん坊として転生した。普通に人間としての生活を謳歌していたが、高校卒業後引きこもりニート生活を5年間していたら極度のコミュ障になってしまった。

 コミュ障を治すきっかけになればと、キラキライブのVtuberになる。なんの因果か前世と同じく『魔王』としてVtuberになった。

 

 渾名(あだな)         

・AI2回行動音響兵器

・プレデター(魔王)

 

 

 

[1期生]

 

白月ノゾミ(しらつきのぞみ)

 プロフィール          

 年 齢:19歳

 誕生日:2月21日

 身 長:162cm

 職 業:大学生

 

 ノゾミちゃんの良さはその清楚さにあるんじゃよな。もちろん取ってつけたようなキャラクターじゃないぞ? あれは根っからの清楚じゃ。その所作一つ一つに気品が溢れているわけじゃ。ザ・清楚。清楚という言葉はノゾミちゃんのためにあるような言葉じゃ。その清楚さと素晴らしきハーモニーを奏でるあの溶けるような甘いヴォイス。たまらんのぅ…!ああ、もちろん、ノゾミちゃんの良さはそれだけではないぞ? ときどき抜けているのも我的にポイント高いのぅ。時々ゲーム配信で発揮する所謂いわゆるポンコツがもうすっごいカワイイのじゃよな! あれこそ萌えじゃな。普段がしっかりしているがゆえに生まれるそのギャップ!ギャップ萌えは良いとされているが、ほんとに良いものじゃな。この地球に生を受けて本気で良かったと思う瞬間の一つじゃ。

 ノゾミちゃんの魂が良いのは言うまでもないのじゃが、所謂“ガワ”も素晴らしいな。ノゾミちゃんのママはあの有名な『白い豆腐』先生じゃな。で、ノゾミちゃんの……ふへへっ。あのおっぱい良いもんじゃよね。デカすぎず小さすぎず。程よく大きい。素晴らしいおっぱいじゃ。マジでノゾミちゃんの子宮に宿ってノゾミちゃんの子になって吸い付きたいのよな。あんな甘々ヴォイスでよすよすされた日にはふへっ、たまらんのぉ。そうじゃそうじゃ、よすよすといえば、ノゾミちゃん時々ASMR配信とかしてくれるんじゃけど、あれええよな(恍惚)。

by魔王様

 

 

 

[3期生]

近野千香(ちかのちか)

 プロフィール          

 年 齢:16歳

 性 別:女

 誕生日:10月1日

 身 長:159cm

 職 業:高校2年生

 

 

桃内百太(ももうちももた)

 プロフィール          

 年 齢:17歳

 性 別:男

 誕生日:7月24日

 身 長:172cm

 職 業:高校3年生

 

 渾名(あだな)         

・百太郎(ももたろう)

 

 

立花十華(たちばなとうか)

 プロフィール          

 年 齢:15歳

 性 別:女

 誕生日:6月10日

 身 長:156cm

 職 業:高校1年生

 

 

一二三四(にのまえふみよ)

 プロフィール          

 年 齢:16歳

 性 別:女

 誕生日:5月6日

 身 長:150cm

 職 業:高校2年生

 

 

 

[4期生]

 

リリィ(りりぃ)

 プロフィール          

 年 齢:2525歳

 誕生日:12月29日

 身 長:170cm

 種 族:天使

 

 渾名(あだな)         

・異常性癖ペドフィリア天使

・ロリコン天使

・性癖の禁書目録

・異常性癖のバーゲンセール

・どうしてこいつが天使なんだろう?

 

 

 

レイ・ブレイブ(れい・ぶれいぶ)

 プロフィール          

 年 齢:17歳

 誕生日:1月1日

 身 長:176cm

 職 業:勇者

 

 渾名(あだな)         

・シンプルにサイコパスだと思う

・本当は魔王に入れるはずだった魂

 



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第一章 コミュ力 Lv.1
1配信目 じゃあまず年齢を教えてくれるかな?


最近Vtuberモノしか読んでなくてついに自分で書いてしまった…
みんなも書いて供給を増やしてね!
ハーメルンでは特殊タグも使えてVモノとの相性いいぞ!



 

「じゃあまず年齢を教えてくれるかな?」

 

 

 少し広めの会議室でスーツを着た男性が静かに問いかける。

 手を組み、肘を机につき、メガネを光らせ問いかけるその様は、さながら尋問。

 最近急成長中のVtuber企業『キラキライブ』の第4期生の最終面接が今まさに行われていた。

 

 問いかけるスーツの男性の他、左右に二人。

 いずれもスーツに身を包み、自分の机の上に置かれた採用候補生の資料を眉間にシワを寄せてパラパラとめくり、撫でるように見る。

 

 そんな『怖い』雰囲気を醸し出す三人に相対(あいたい)するは一人の少女。

 

 肩まで有る、まるで濡烏(ぬれがらす)のように綺麗な黒髪に、どこまでも見据えていそうな真紅の瞳。身長は低く、胸も控えめだが、それはむしろ彼女にとっては長所でも有るだろう。

 スーツの三人に臨むにはあまりにも幼く見えるその少女は、まるでどこ吹く風といった感じで三人を一瞥(いちべつ)するだけ。

 

 目を見て話せ、とは古くから言われる言説だ。

 一見すれば失礼とも取れるこの行動は、しかし彼女のその豪胆さを表しているのかもしれない。

 

「に……」

 

 少女の可愛く小さな唇が動き始める。

 資料を読んで彼女の情報を知っている三人は、これから彼女の口が(つむ)ぎ出す言葉を聞き逃すまいと傾聴する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑、22しゃい…! っ…! え、と…あの…… 22歳………です

 

 

 

 

 

 

 これまで応募してきた候補生の誰よりも上ずった声で、そして、盛大に噛んだ少女は、それはそれは赤くなり、頬に紅葉(もみじ)を散らしまくっていた。

 

 

 

******

 

 

↑、22しゃい…! っ…! え、と…あの…… 22歳………です

 

 

 

 ウォォぉぉおおおおおおい!

 

 ああ、終わった。

 我の完膚なきまでに完璧な社会性更生プログラムがあっけなく散った。

 

 ふぇぇぇえ……

 やっぱり人間怖いよ。目を見て話すとか無理だよ…… もうまじ無理。ケルベロスの三首()で回して落ち着きたいよぉおぉお。この世界にはいないけど……

 

 マジでまずいんじゃが?

 案外行けるかなって思ってた我が馬鹿でした。どう考えても無謀でしたね、本当にありがとうございました。

 引きこもりニート生活5年はここまで我の対人性能を破壊していたのか……

 勇者打倒決起集会の演説とかもう二度とできない気がするわ…… あんな大勢の前で演説とか気絶してしまうな。まあ今世でする必要まったくないわけじゃが。

 

 

「緊張するのも無理ないですが落ち着いてください。我々はあなたのありのままの姿を見たいのです。

 別に噛んでしまったことや声が上ずったことなどでは採用の合否には全く影響しません。ゆっくりで大丈夫です。私の質問に焦らず答えてくださいね」

 

 

 3人のスーツの真ん中の人が優しくしゃべる。

 確かメガネを掛けた初老のナイスガイだったと思う。入室してほんの一瞬見ただけなのであまり確かではないが、メガネをしていたのは間違いない。

 

 いやてか聖人かよ。優しいかよ。

 小汚い手を使う教会の人間にその優しさ見せてやりたかったよ。

 

「は、はい……」

 

「で、えっと、ご年齢は22歳ですね。

 すみません、書類にはもちろん記載されているのですが、その…… 随分とお若く見えたので一応確認のために」

 

「し、身長は、ちゅ、中学生くらいから伸びなくて、ず、ずっと149センチで…… む、おっぱいもあまりないですし…… へへ……」

 

「なるほど」

 

 なにが『へへ……』だよ、気色悪ぃ! 我、自分の事これほどまでに自己紹介できないのびっくりなんだけど!

 

 我はきっと未成年が間違って応募してきてないかって思われてるんじゃな。いやまあ、その感想は間違いではないと思うぞ。前世と違って今世の我は完全にロリじゃからな。

 中1のときにピチピチお肌を守ろうとして肌だけに不老魔法かけたつもりじゃったけど、もしかして我ミスってたか? 魔法かけるときにクシャミしちゃったのがあかんかったかもしれん…… うーむ、解呪しようにも今世の我ではまだできんからなぁ… ああ、前世のナイスバディの我が恋しいのう……

 

「では続いて。高校を卒業されたあとは特に進学や就職はされていないようですが、その間は何を?」

 

「えっと、その、株とか、あとヒットコインみたいな仮想通貨で投資を…… あ、あの!なので!結構お金、あります! で、でしゅので!お賃金は低くても問題ないです! むしろなくても大丈夫です!」

 

「いえ、そういうわけには参りません。ライバーの皆さんにはしっかりと賃金をお支払いせねばなりません。仕事に対価を払うのは当たり前です。

 それにしても株や仮想通貨ですか。私はやったことがないのでいまいちどういったものか把握しておりませんが、かなり勉強をしていないと難しいものだと聞いています。きっと勉強家なのですね」

 

「た、多少は勉強したけど、水晶でおおよその運命は見られるから……」

 

 前世で勇者に敗れて気がついたらこの世界に転生していた我じゃが、この世界の生活が楽しくて普通に人間の生を謳歌していた。サブカル文化最高じゃよね。

 

 で、小学校中学校高校と普通に進学。

 じゃが、高校を卒業したあとは進学も就職もしなかった。というより必要なかった。

 ラノベやアニメでよく舞台になる高校生活を体験するのは我的には必須だったが、別に大学には興味なかったし、お金もちょーっと運命を覗いて投資すれば面白いように金が手に入るんじゃからな。

 ポチッとボタン押して大金が手に入るとか我ってばまっこと天才!

 

 

 まあ、そのお金で自堕落な生活して部屋の外に5年間出てない結果、今の我が出来上がったわけじゃがな……

 

 

「これは単純に疑問なのですが、十二分なお金が有るのに当社の採用に応募した理由は何でしょうか?」

 

「お、お金があるから、生活には、困らないけど、そのせいでほんとに外に出なくて、いわゆるひ、引きこもりで、ニートで、社会性皆無で、会社員になれば多少は、強制的に良くなるかなって……

 でも、普通の会社員でOLは、もう、無理ってやる前から分かるから、会社員と引きこもり、の間みたいなVtuberならいいかなって……」

 

「そうですか。ですが、ライバーになったあとはもちろんリスナーに向かって配信をしていただくことになりますが、大丈夫でしょうか?」

 

「そ、それはダイジョブです! じ、実際に声で話すのは無理だけど、リスナーは文字だから、そんなのレッサーゴブリンみたいなものですし!

 あ、あと!5ちゃんねるでレスバ*1とかもしょっちゅうしてるのであ、アンチにも動じないです!」

 

 

 我が今回の採用に応募した理由は単純だ。変わるため。

 

 引きニートの我が社会性を取り戻すには会社員になるのが手だと思った。まあただ、普通の会社でOLやるのはハードルがエベレストなの自明の理。

 うーんと悩みながら、お気にのVtuberである『白月ノゾミ』ちゃんの配信を見ていたらノゾミちゃんが4期生募集のことをちらっと言っていてコレだ!と思ったわけじゃ。

 

 自堕落な引きニート生活に幕を引くにはコレしかない。

 

 それに、我には結構Vtuber適正があると思う。前世での力を使うこともできるし、人間にはなかなかできぬ芸当も何のそのじゃ。

 

「オフコラボ等をやられるライバーの方もいますが、そのあたりはどうですか?」

 

「お、オフコラボはできれば、い1年後くらいで……」

 

 

 うん、オフは無理じゃな!

 

「では通話をしながら一緒に企画をやるとか、そういったことは大丈夫ですか?」

 

「いや、あの、その、コラボ的なのはもうちょっとなれてからで……」

 

 

 オンラインでもコラボはハードル高いのじゃ……

 チャットで仲良くなってからならまあ、頑張れると思う。

 なんてったって、今でこそコミュ障の我だが、前世では勇者率いる人間軍と立ち向かう魔王軍の最高司令官その人じゃったのだからな! 感覚を取り戻せばコラボなぞ余裕ぞ! 今は無理じゃけど、いずれな。いずれ。

 

 

「ライバーは見た目をいくらでも『創る』ことができます。だからこそ、創る事ができない『魂』が魅力的であることが必要です。リスナーは『心』を見ます。

 何かアピールしておきたいことなどはありますか?」

 

「あ、えと、我!水晶で運命見たり得意です! ああと、ゲーム得意で、レーペックス*2のプレデター*3です!」

 

「なるほどなるほど、FPSゲームがお得意なんですね」

 

「他にも魔法、じゃなくて、マジックもできるし、魔獣、でもなくて動物と心通わせるのとか得意!です! 他にも気配消すのとか!握力500kgとか! それとか、声真似とかアニメ声みたいなのとか出せるし、あ、そうなんですよアニメとか結構好きで、なのでサブカル系の話にもついていけますね! 好きなジャンルとかはまあ王道を征く勧善懲悪もいいんですけど、悪役側、ヴィラン側を描いてくれるのが好きですね! やっぱり正義の反対は悪じゃなくて正義みたいな? 正直我魔王だから悪側の気持ちわかりまくりングなんですよね。一口に悪って言ってもその悪にも人間関係や他の人には打ち明けられないくらい過去があったりするわけで、そのあたり、描写をうまくやっている作品は名作の割合が高いですね打率8割はあります。あぁもちろん気に入った作品はBDを買うのはもちろん原作も買いますし何なら観賞用保存用布教用の3つは基本買いますね。まあ布教する相手があんまりいないのでSNSで主に布教でプレゼントしたり。ああSNSっていっても主に使うのはトゥウィッターですね。フェイセブックとかはちょっと。タッケトックとかもありえないですね。やっぱり民度というか、ああもちろんトゥウィッターも低レベルなのはいくらでもいますけどなんていうかSNSもそれぞれ空気感があってやっぱり我にはトゥウィッターがあってるみたいな」

 

「なるほどなるほど。独特な世界観もありますね」

 

 

…………

………

……

 

 

 

「終わったのじゃ…… 我はヒキニートから脱出なぞできぬのじゃ…… なぜ世界はこんな試練を我に与えるんじゃ……」

 

 

 自分の家に帰ってきて我はすぐベッドにダイブした。

 

 あああああああああああああ恥ずかしい! ヒートデーモン並に顔真っ赤になってしまうわ!

 

 上がってしまって声は上ずるし、かみまくるし、終始気持ちの悪い笑みを浮かべてしまうし…… 挙句の果てには得意なこと聞かれて余計なことまでしゃべるし。もうあれはアピールとかじゃなかったしね…… 気持ち悪い自分語り。隙きを見せた面接官が悪いと責任転嫁してもこのもやもやした気持ちは決して晴れることはない。

 

 ていうか今にして思えばダボダボなTシャツ着て面接受けたのは完全に失敗じゃなかろうか? お金はあるのだからスーツ買うべきだったような……

 

「まあ今日は我頑張ったほうじゃろう…… 久しぶりに昼間に外に出たし、面接もブッチせずに受けたし…… 及第点どころか100億点くらいじゃ……

 はぁ…… ノゾミちゃんの配信見よ…」

 

 

 そう言って我は去年組んだ自作PCをいつもどおり起動する。

 すると1件メールが届いていた。

 

 どうせいつものクレジットカードの利用通知かソシャゲのイベント案内じゃろうな。あー、もしかしたら同人ショップのクーポン券とかかもしれん。久々になにか買おうかな。

 

 

 

 

 

  優先  その他 

▽今日               

キラキライブ 
16:09

キラキライブ第4期生最終面接結果のご案内 

▽昨日   

○☓カード株式会社  
21:31

速報版:カード利用のお知らせ(本人)

DLマイショッププレミアム  
02:35

【DLマイショッププレミアム】回答で割引クーポンプレゼントのアンケート実施中!!

*1
レスポンスバトルのこと。要するにチャットでやる口論。あまり強い言葉を使うと弱く見えるので程々にしようね!

*2
一人称のシューティングゲーム。Apex楽しいよね。PS4でもできるぞ!みんなもやろう! 俺もやったんだからさ(同調圧力)

*3
Apexの一番上のランク帯こと。だいたい上位0.1%~0.3%くらいの上手な人。このランクの人はたぶんみんな人間じゃない。



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2配信目 【初配信】我こそ、ニーナ・ナナウルムである!【キラキライブ】

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:待機

:待機

:ヒャッハー!新鮮な黒髪ロリだぜぇ!

:角あるけど悪魔だったけ?

:待機

:↑トゥウィッターでは魔王って書いてあった

:✧+(0゚・∀・) + wktk✧

:異世界の魔王が戯れで配信やるみたいな漢字やったな

:↑めちゃくちゃ画数多そうな漢字やな

:待機のドヤ顔かわいい

:これはいいメスガキの予感。ワシにはわかる。

:待機

:メスガキソムリエかな?

:お巡りさんこいつです

 

 

 

「よし、いよいよ我の初舞台じゃ……! ここから我の日本での伝説が始まるのじゃな……!!」

 

 

 Yootubeにはすでに待機している人たちのコメントが流れている。我は大手Vtuber企業『キラキライブ』の4期生なので配信を始める前から注目されているのじゃ。さすがはキラキライブ。配信開始前に約3,000人も待機している。

 

 んん゛

 いやぁ…緊張しておるな(笑)。

 

 

 画面の向こう側に人がいるとはいえ、所詮は文字だ。5年の間にコミュ障になってしまったが文字ならば問題ない。案ずることはないぞ、我。

 普段どおり、5ちゃんねるで爆速レスバをするときのように、己に自信を持つのじゃ。

 

 そう思うとキラキライブの面接もチャットでやりたかったのう…… せめてリモートで面接してほしかった。いやリモートでも肉声で声かけられたら死か。肉声で会話とかむずすぎじゃろ。陽キャ共は何食ったらあんなコミュ力上がるんじゃ。

 

 

 ……っと。

 いかんいかん。あまりにも待たせるのは悪いな。そろそろ始めようぞ!

 

 

:お、きたか?

:キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!

:きた

:きたね

:キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!

:キタ━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━!!

:きた

:キタワァ.*:.。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。.:*☆

 

 

 

「よく集まったな皆の衆!

 魔王の中の魔王! ニーナ・ナナウルムである!!」

 

 

:うるせぇ!w

:うるせぇ!w

:初手鼓膜破壊はNG

:うるせえ!(腹パン)

:うるせぇ!ww

:うるせえ!

:みんな何言ってるんだまだ何も喋ってないぞ?

:↑鼓膜破れたニキは今すぐ耳鼻科いって

:うるさw

 

 

「あれ? すまん!音量調整が良くなかったようじゃな! すぐに直す!」

 

 

 

:うるさいwwww

:喋る前に直せ!www

:なあ、何も聞こえないよな?

:AI2回行動

:音響兵器魔王

:↑鼓膜破裂ニキは強く生きて

 

 

「ご、ごめんて……」

 

 

 いかんいかん。音量調整がおかしかったようじゃ。

 うーむ、配信なんぞ初めてじゃからな。まあしょうがないしょうがない。むしろ音量調整くらいミスるぶんには何も問題ない。

 えーっと、ここをこうして……

 あれ、音量ミキサーってどこでやるんじゃったかな。マイクとか普段弄らないからわからんじゃないか。

 ああ、これかな。これじゃな(確信)

 

 

「こんなもんでどうじゃ? 良さそうかの?」

 

:いい感じ

:ほどよい

:ていうか声可愛いですね

:声かわいいな

:ロリコンの私から言うとまだまだだけど、まあ100点かな。

:満点じゃないですかやだー

:ちょっと舌っ足らずでカワイイ

:メスガキソムリエもいるしロリコンもたくさんいそうだな

:何も聞こえないと思ってたらミュートにしてたわwwwww

:声かわいい

:↑鼓膜破壊ニキおちゃめかよww

:ニキwwww

 

「よしよし良さそうじゃな。それじゃえーっと、まずは自己紹介からじゃな。

 我の名はニーナ・ナナウルムじゃ!

 えーっと、異世界の魔王で、地球のYootubeで流行っている配信をやってみたいと思って、異世界から魔法でインターネットにつないでいる。のじゃ!

 ……え魔法で接続しているのか。そんな便利な魔法有るか? まあそんな感じ……なのじゃ!

 

:めっちゃ棒読み感ww

:のじゃ!ですべてをごまかすな

:絶対メモ見ながら話してるw

:配信開始3分で自分の設定に疑問を呈す女

:なのじゃ!(天下無双)

 

「いやぁ、あれ、もしかしたら魔法の接続状況が良くないのかもしれんなぁ! 我の感情のこもった自己紹介が棒読みなわけないからなぁ! あっはっはー!」

 

 

:急に都合良く魔法のせいにするなww

:草

:草www

:めっちゃ快活に笑うなw

:イメージする魔王様の笑いだわ

 

 いかんいかん、自分のプロフィールとかさらっとしか読んどらんからな。ちょっと焦ったぞ。我の前世と似たような感じじゃったからまあ行けるじゃろって思ったらあかんかったやん。

 まあでも正直魔法で接続している設定はどうかと思うぞ?

 そんな便利な魔法あったら前世で我が使わないわけがないからな! こっちの世界に転生してきて幾度となく思うたが、まっことインターネッツは最高じゃ! 日本のアニメ文化を堪能し放題じゃからのう!

 

 

「で、まあ自己紹介はそんな感じでいいとして、今日あとはタグ決めとマシュマロ*1を読んで終わるぞ!

 そうじゃな~、とりあえずリスナーの(みな)の呼称と、ファンアート用のタグを決めたいな」

 

 

:魔界の民とかどう

:どうせみんなオークみたいな顔だからオークでええやろ

:↑事実陳列罪

:↑全俺が泣いた。

:そのカワイイボイスでお兄ちゃんって呼ばれたいからお兄ちゃん

:お姉ちゃんを忘れるな(憤怒)

:オークなら豚だから豚どもとか罵ってほしい

 

「あれ、おかしいな。見た感じまともなのが全体の1割くらいなんじゃが?

 ていうかお主ら、お兄ちゃんって甘えてほしいのか豚と罵られたいのかどっちなんじゃ」

 

:どっちも欲しいに決まってるだろ!

:欲張りで何が悪い!

:1回言ってみてくれない?罵るときはちょっと低めの声で

:とりあえず1回どんな感じかお兄ちゃん呼びと罵倒よろ

 

「え、我がそれいうのか… 我一人っ子じゃし、別に悪いことしとらん奴らに怒るほど心せまくないんじゃが」

 

:まあまあ、騙されたと思って

:一人っ子なのか

:お願い!先っちょだけでいいから!

 

「別にやるのは構わんが… まあよい。ただしやるなら全力じゃからな! ……んんッ”

 『お兄ちゃんたち、今日も配信見てくれてありがとう!』

 『お姉ちゃんもありがとう! 後でギューってしてあげるね!』」

 

:ヌッ!

:あ……(尊死)

:ヌッ!

:何だこの甘々ロリボイスは…!(真理への到達)

:エッッッ!

:エッチコンロ、点火! エチチチチチ

:ヌッ

 

「『何を鼻の下を伸ばしておる!気色の悪い豚どもめ! ……なんじゃぁ? また顔をニヤつかせて…… ははーん、さてはお主、罵られて快感を覚えておるなぁ?

 どうしたんじゃ、ほれ。我みたいな小さな女子(おなご)に罵られてなんにも言い返さんとは(なっさ)けないのぉ。貴様はいわゆるザコじゃな。ほれ、ザぁコ♡ どうした?我に屈服するのか?』」

 

 

:ヌッ!

:ヌッ!

:エッッッ!

:その、下品なんですが…フフッ

:ヌッ

:エッチコンロ、点火!!! エチチチチチチチチチチチチチ

 

 

「えっと、喜んでくれるのは良いのじゃが、こういうのは今回で終わりにしよう。どっちも完全に我のキャラじゃない。

 ……じゃあ真面目に決めようぞ。何か案のあるものは書き込んでくれ」

 

:お兄ちゃん呼び助かるのに…

:異世界人

:もっと罵ってほしいのに…

:童貞とかどうでい?

:魔界人

:民民(たみたみ)

:魔王様親衛隊

:下僕

:家臣

 

「うーん、異世界人とか家臣とかが今の所ビビッと我のセンスにキテおるな。下僕はなんか言葉が下品でいやじゃのう」

 

:家臣ええやん

:家臣いいな。魔王様に使える者たちみたいで

:家臣いいなら臣下でもいいな

:意味的には家臣よりも臣下のほうがあってそう

:臣下ええやん

 

「よしじゃあ臣下に決めてしまうか。もしほかのライバーのとかぶってたらまた考えようか」

 

:臣下いい

:たぶんまだ臣下呼びは誰も使ってないと思う

:もし変える際はぜひ豚どもをよろしくおねがいします!

:お姉ちゃん呼びも忘れるな!

:お兄ちゃんたちって呼んで!

 

阿呆(あほう)め。そんな呼び方使えるわけなかろうに……

 で、次はー…… イラスト用のタグかのぅ。ちなみに我の知っているVは〇〇アートとか漢字の『絵』を自分の名前に入れてもじっていたりするな」

 

 

:魔王のアトリ絵

:ニーナアート略してニート

:略すなwww

:#ニートとか知らん人からしたらマジ意味不だろw

:絵ーナ・ナナウルムとかどうよ

:ええやん

:じゃあニーナ・ナナ絵ルム

 

 

「ニート言ったやつは後で地下牢でお仕置きじゃな。

 魔王のアトリエも良いがちと直球すぎるのぅ。絵ーナとかナナ絵ルムがいい感じじゃな」

 

:絵ーナって音の響きが『良いな』だから好き

:絵ーナ・ナナウルムいいかも

:絵ーナで良いけどその後にナナウルムなくて良くない?

:確かに絵ーナだけのほうが語感が『ええな』なんちって!w

:は?

:は?

:は?

:は?

:は?

:ごめんなさい

 

「これ、我の前で喧嘩するでない。しかしそうじゃな。絵ーナ・ナナウルムだと長いから、ナナウルムは省いて『絵ーナ』だけのほうが『ええな』!」

 

:え?

:は?

:え?

:え?

:パードゥン?

:鎮火しようとして新たに火を放つな

 

「ごめんて…… んんっ” 良し、ではタグは『絵ーナ』じゃ! 良いな?」

 

:OK

:おk

:おk

:りょ!

 

「じゃああとはマシュマロに答えて今日は終わるぞ!」

*1
マシュマロ:匿名で質問できるメッセージサービス。ネガティブなメッセージがあまり届かないようにAIがある程度投稿されたメッセージを選別する。マシュマロではメッセージを送ることを『マシュマロを投げる』と表現するが、マシュマロなのであたっても痛くない(チクチク言葉が来ない)よ!




掲示板形式もそろそろやりたい。




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3配信目 【初配信】我こそ、ニーナ・ナナウルムである!【キラキライブ】2

「よし最初のマシュマロはコレじゃな。3つ一気に紹介するぞ」

 

 

 

 魔王様はどんなシャンプーを使っていますか? 

 その黒髪とっても綺麗ですね! 

 匂い嗅いでもいいですか? 良いですよね!!! 

 あぁクンカクンカ!クンカクンカ! スーハースーハー!スーハースーハー! 

 いい匂いだなぁ…くんくん 

 

 

 

 

 魔王様が使ってるシャンプーやリンスはどんなものですか? 

 やっぱり異世界の技術が使われている 

 超すごいものなんですか? 

 

 

 

 

 魔王様のシャンプー教えて下さい!!!

 一緒のシャンプー使って魔王様になりたい! 

 絶対いい匂いのするシャンプーとリンスー使ってると思ってる! 

 

 

 

 

 

「これな、別に我が恣意的に選んだわけじゃなくて、トゥウィッターで募集したときに最初に来た3通なんじゃよね……

 え、なに臣下の(みな)はそんなにも我のシャンプー気になるの?」

 

:まあ気になるか気にならないかでいうとめっちゃ気になる

:1通目の圧がすごい

:1通目ルイズコピペ*1じゃね?ww

:絶対いい匂いしてると思う

:ほんとだ後半コピペのやつじゃんwww

:ああニーナ様の黒髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!

:高いシャンプー使ってそう

 

「ん? ああ既視感有ると思っておったが、あの有名なコピペかw

 で、シャンプーじゃったか。まあ別に隠すことでもないし教えても良いのじゃが、商品名とか出してよいのかな……?

 分からぬからボカして言うが、ボタニカル系のやつじゃな。1本1万円くらいじゃったかのぉ。リンスもそれくらいじゃな」

 

 

:ふぁっ?! 1万もすんの?!

:たっかwww

:俺なんて600円くらいのやつなんだけど……

:さすが魔王様w

:シャンプーとリンス2本合わせて2万円になりま~す!

:俺300円……

:涙拭けよ っハンカチ

:そんな高級なシャンプーって存在するのか……

:やっぱり高いとすごい効果あるのかな

:洗った瞬間光り輝きそう

 

 

「まあ言うて安いのとそんな変わらんぞ? 我も使っていて違いがよくわからん。お金は有るからなんとなく使っているだけじゃ」

 

:金持ちだな

:俺にもそのくらいの余裕がほしい。

:もしかしてとんでもないお嬢様なのか

:トップたるもの見栄を張ることも大事だから多少はね……?

:まあ言ったら王族だしな。俺ら凡人とは違うのだよワトソンくん。

 

 

「よし、次にゆくぞ」

 

 

 

 魔王様はゲームやりますか? どんなジャンルをやるのでしょうか。 

 気になって夜も8時間ほどしか眠れません。 

 ホラーゲームの配信とかも魔王様が配信に慣れてきたら観たいです。 

 魔王様のかわいいドヤ顔が怖さのあまり歪むところがみたいです。

 御一考のほどよろしくおねがいいたします。 

 

 

 

「まあ色々と突っ込むところは有るわけじゃが、お主、普通に寝れておるじゃないか。

 それに丁寧な言葉遣いしておるので一見良さそうじゃが、サラッと怖いこと書くな。女の子の顔が歪むところがみたいとか笑顔で言うお主がホラーじゃよ」

 

 

:ヒエッ

:笑顔で丁寧に人殺してそう

:ヒエッ

:丁寧な文章からクソみたいな性癖。

:女の子の泣き顔はそそるからね、しょうがないね。

 

 

「で、ゲームをするかどうかじゃが、我は普通にゲームやるぞ。それこそホラーゲームも別に嫌いではないな。まあ別にびっくりすることはあまりないがな。

 あとはそうじゃな…… 最近だとレーペックスレジェンズっていうFPSゲームをよくやっておるな。一応今シーズンもプレデターじゃぞ?」

 

 

:レーペックス楽しいよね

:ファッ?! プレデターとかマ?!?!

:プレデターなのか

:プレデターとかFPSつよつよじゃん……

:魔王様だけあって戦闘スキルつよつよかよ…

:プレデターって何?

:そんなに強いの?

 

「あぁレーペックス知らん者らに教えるとな、プレデターっていうのは一番上のランク帯のことじゃ。我はPC版で遊んでおるんじゃけど、機種別に全世界中、上位500人がプレデターに選ばれるのじゃ」

 

:ふぁっ?!

:ファ?!?!?!?!

:日本で上位500人じゃなくて全世界で上位500人?!

:せやで

:んなアホな…

:ほんとプレデター帯の人は人間じゃねぇわ……

:↑実際人間じゃねぇな

:↑(魔王様を見ながら)違ぇねえな…

 

 

「ま、そのうち臣下の皆に見せる機会もあるじゃろうて。

 んじゃどんどんいくぞ」

 

 

 デビューおめでとうございます!

 キラキライブ4期生は魔王様、天使様、勇者様の3人がデビュー 

 だとキラキライブ公式トゥウィッターでみました。 

 事前の打ち合わせ等で同期2人と会ったと思いますが、

 天使様や勇者様の印象はどんな感じでしたか?

 やっぱり勇者とは憎しみ合う関係なんでしょうか? 

 

 

 

 

「あー、コレなんじゃがな… まぁ、その…… 我、同期2人とまだ会ったこと1度もないんじゃよな。ついでにいうと通話したこともないんじゃよね」

 

:そうなんだ意外

:最初に軽い打ち合わせを同期とスタッフでするみたいな話聞いたけど

:やっぱり魔族と人間は相容(あいい)れないんやなって

:まぁ光属性の天使と勇者においそれと会わないのはRP的に正しい

 

「まあチャットでは頑張って同期の2人とも話したし、スタッフさんともチャットで段取りは決めたな。

 まあただその、えっと、我な、その…… 割とコミュ障なところが少しあってな。文字のやり取りならある程度良いんじゃが、肉声ではな…… いや、ほんとに少しじゃぞ? 100億分の1くらいじゃぞ?

 その…ちょっと引きこもりしてたら、すこーーーーしコミュニケーション能力に欠如が見られてな。肉声でしゃべるとか会って話すとかマジ無理なのね。ほんとまじ卍なわけじゃ。

 まあ、一応『打ち合わせ来てね』ってスタッフさんに言われてたんじゃけど、怒涛の長文ごめんなさいメール送ってなんとか我は行かずに済んだわけじゃな」

 

 

:ええ……

:えぇ…(困惑)

:陰の者であったか……

:やはり魔王様は闇属性

:コミュ障なのか意外

:なるべくして闇の王になったわけか……

:元気出せよ

:まあ連絡はしてるあたり真面目だと思う

 

 

「まあ、そのうち慣れたらコラボとかもしたいと思っておるし、いずれな。いずれ……

 ……っと、こんな暗い話をしていたんじゃいかんな!! 次のマシュマロ征くぞ!」

 

 

 

 

 好きなVチューバーとかいらっしゃいますか? 

 もしVチューバーのことあまり知らなかったら、好きな食べ物とか教えて下さい。 

 

 

 

 

「好きなVはもちろんキラキライブ1期生にして我の先輩にもあたり、全人類の母たる存在、白月ノゾミちゃんじゃな!」

 

:ノゾミちゃんとはいい趣味していらっしゃる

:ノゾミちゃんいいよな

:清楚枠で唯一本当に清楚であると噂のあのお方か

:マジ天使だよね

:声聞いてると癒やされすぎて浄化されるんだよねw

:↑もしかして:属性アンデッド

 

 

「そうなんじゃよね! いやぁ皆にもやはりノゾミちゃんの良さがわかるか! コメント欄でも言っているものもおるが、ノゾミちゃんの良さはその清楚さにあるんじゃよな。もちろん取ってつけたようなキャラクターじゃないぞ? あれは根っからの清楚じゃ。その所作一つ一つに気品が溢れているわけじゃ。ザ・清楚。清楚という言葉はノゾミちゃんのためにあるような言葉じゃ。その清楚さと素晴らしきハーモニーを奏でるあの溶けるような甘いヴォイス。たまらんのぅ…!ああ、もちろん、ノゾミちゃんの良さはそれだけではないぞ? ときどき抜けているのも我的にポイント高いのぅ。時々ゲーム配信で発揮する所謂(いわゆる)ポンコツがもうすっごいカワイイのじゃよな! あれこそ萌えじゃな。普段がしっかりしているがゆえに生まれるそのギャップ!ギャップ萌えは良いとされているが、ほんとに良いものじゃな。この地球に生を受けて本気で良かったと思う瞬間の一つじゃ」

 

 

:すっげえ早口で言ってるwww

:お、おう…

:おちけつ

:好きなのは分かったwwwwwww

:すっげえ気持ち悪い喋り方なのに可愛い声だから許されるw

:急にスイッチ入ったw

 

 

 

「ノゾミちゃんの魂が良いのは言うまでもないのじゃが、所謂“ガワ”も素晴らしいな。ノゾミちゃんのママ*2はあの有名な『白い豆腐』先生じゃな。で、ノゾミちゃんの……ふへへっ。あのおっぱい良いもんじゃよね。デカすぎず小さすぎず。程よく大きい。素晴らしいおっぱいじゃ。マジでノゾミちゃんの子宮に宿ってノゾミちゃんの子になって吸い付きたいのよな。あんな甘々ヴォイスでよすよすされた日にはふへっ、たまらんのぉ。そうじゃそうじゃ、よすよすといえば、ノゾミちゃん時々ASMR配信とかしてくれるんじゃけど、あれええよな(恍惚)。就寝前に聞いて寝るとその日の疲れがふっとぶんじゃよね。時々しかやってくれないから我はもっとやってほしくてな…… それで……」

 

 

:とまれ!www

:俺は止まらねえからよ……

:魔王特有の固有結界

:領域展開かな?

:すごい共感はできるんだけど、すっげえキモいな!

:ノゾミちゃんの配信あんまり見ないけど今度見ようかな

:ASMR配信はお世話になるから分かるんだけどさ…… ねえ?

:ほんと魔王様なにしてるんwww

:魔王が光に堕ちておる…

:そんなに言うならチャンネル登録しようかな?w

:俺も今度してみるか?w

 

 

「なんじゃチャンネル登録しておらぬのか?! そんなやつは我が魔王軍に居場所はないと思え?!

 良し! そうじゃ! 今日の初めての配信はやることある程度やったから、残りの時間でノゾミちゃんのアーカイブ動画を皆で見るか!

 ああ、もちろん我の画面には映さぬからな? 皆で同じページをみて再生数に貢献しつつ、我のところで感想を共有しようぞ!」

 

 

:うそ…だろ?

:嘘だと言ってよバーニィ!!

:何だこの魔王さまwww

:いや、え、えぇ…(困惑)

:後世に語り継ぐべき名配信

:あとにも先にもこいつだけだろうなw

:自分の宣伝を捨てて先輩の宣伝をする後輩の鑑

:初めての配信で他チャンネルを宣伝する女

 

「今から我のトゥウィッターにノゾミちゃんのASMRのURL貼るから、それをアドレスバーに貼り付けて入るのじゃ? 良いな?

 ……よし、ほれ貼ったぞ? この配信の概要欄に我のトゥウィッターがあるからそこからジャンプするのじゃ」

 

 

:はい!魔王様!

:マジでやるのか……

:ほんとにやるんだ……

:いや、良いんだけどさ… 良いんだけどさ……

 

「よしいいか? 3・2・1で我と一緒に再生ボタンおすのじゃぞ?

 ゆくぞ? 3・2・1――――――――」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「やってしまった…… やってしまったのじゃ……

 あかん。あれはあかん。我キモすぎじゃな? いやていうかあれノゾミちゃんにも迷惑かかるかもしれんし、最悪じゃ…… 嫌われたら本気でどうしよう…… キラキライブのスタッフさんにも後日めっちゃ怒られる気がする……

 はぁ……ノゾミちゃんのお気にボイスリピートして寝よ……」

 

 

 

 

白月ノゾミ

@Shiratsuki_Nozomi

今日デビューの魔王さまのニーナちゃんが私の動画紹介してくださったみたい!

ありがとニーナちゃん♡♡♡

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

勝手なことして本当にすみませんでした。そのうち焼き土下座します。なので嫌いにならないでください。ノゾミちゃんに嫌われたら生きていけません。

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

わわっ  どうして謝るの? ;(´◦ω◦`):

私の動画すっごい褒めてたってリスナーさんから聞いてとっても嬉しかったよ!

今日はどうしても用事があってニーナちゃんの配信みれなかったけど、次は絶対見に行くね!

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

見に来る際はぜっっったいに事前にお教えください。

PTA提出用*3のニーナ・ナナウルムで配信します。

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

( ˙꒳˙ )?

*1
ゼロの使い魔という作品のヒロイン、ルイズたんへの熱い愛を語った2ちゃんねるの有名なコピペネタ。知らない人はアニメを履修するといいと思うよ

*2
Vtuberの要たる絵・デザインを描いた絵師のこと。お母さん。

*3
PTA提出用とは、アウトをセーフに見せかける偽装工作である。――ニコニコ大百科より






感想や評価くださった方本当にありがとうございます。
執筆エネルギーに変換してほそぼそ頑張っていきます。


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4配信目 【Vtuber】キラキライブを語るスレ Part.☓☓☓

【Vtuber】キラキライブを語るスレ Part.☓☓☓

 

235:名無しの視聴者 ID:xl4E8R9ma

もうすぐ4期生の配信はじまるな

 

244:名無しの視聴者 ID:/XgoB14j9

4期生って3人がデビューだっけ?

 

246:名無しの視聴者 ID:ZJvpX34O7

>>244

そそ、確か魔王と天使と勇者。

配信もこの順番で魔王20時、天使21時、勇者22時からスタートだよ

 

250:名無しの視聴者 ID:2CZEJyc27

今回はファンタジー路線なのか

 

256:名無しの視聴者 ID:K8nFTQusj

前回の3期生はたしかバリバリの女子高生・男子高校生キャラだったからちょっと毛色が違うね

 

259:名無しの視聴者 ID:++wwvDIpp

誰かデビューする3人の名前教えてくれ

 

265:名無しの視聴者 ID:wIZXGumcF

>>259

魔王:ニーナ・ナナウルム

天使:リリィ

勇者:レイ・ブレイブ

 

ほらよ

 

269:名無しの視聴者 ID:To+/t932K

>>265

ありがとナス!

 

273:名無しの視聴者 ID:NmEMCuCak

人に頼るのもいいが、普通に自分で確認しろや

これだから最近の若いもんは…

 

魔王:ニーナ・ナナウルム

htttps://twuwitter.com/nina_nanaulm

天使:リリィ

htttps://twuwitter.com/Angel_Lily

勇者:レイ・ブレイブ

htttps://twuwitter.com/rei_brave

 

ほらよリンク貼ったから見ろ

3人ともかわいい女の子やで。ちなワイはリリィちゃんの清楚な見た目が好き。肩甲骨あたりから羽根が生えてるんじゃなくて腰から羽根が生えてるのちょっとエッチでいいと思う

 

274:名無しの視聴者 ID:kb0agNkZp

>>273

ツンデレじゃないですかやだー

腰から羽根えっちだよね

 

276:名無しの視聴者 ID:wuAurfXnY

男のツンデレほど微妙なものはないと思うの

 

277:名無しの視聴者 ID:XjfVmTVHR

誰が男だと言った?

 

282:名無しの視聴者 ID:xmCZYGmVB

美少女の可能性が微レ存……?

 

283:名無しの視聴者 ID:wutZD/458

>>282

(そんな可能性微塵も)ないです。

 

285:名無しの視聴者 ID:AcrF7t1aJ

悲しいなぁ

 

287:名無しの視聴者 ID:7zcrSZqDB

もうあと5分くらいで魔王ニーナ・ナナウルムの配信開始か

 

290:名無しの視聴者 ID:ZRf/x4Ded

魔王様のプロフィール画像のドヤ顔めっちゃかわいいよね

 

291:名無しの視聴者 ID:xYTsrs31M

魔王のママって誰だっけ?

 

297:名無しの視聴者 ID:cJcK976Kx

>>291

淡い色彩と美麗な線で有名な『不死鳥パパ』先生やぞ

 

298:名無しの視聴者 ID:qpVN+mPfT

ママかパパかコレもうどっちか分かんねえな。

 

299:名無しの視聴者 ID:mzNeFqqPZ

>>291

>>297

魔王のママは不死鳥パパ先生やが、なんなら魔王・天使・勇者は3人とも不死鳥パパがママやぞ

……書いといてなんだが、ママとパパがゲシュタルト崩壊しそう

 

303:名無しの視聴者 ID:sHbGL3On6

>>299

あの不死鳥3人もキャラデザしてるんか… すげえな

 

304:名無しの視聴者 ID:un6glgVko

>>299

つまり魔王、天使、勇者は3人姉妹なのか

 

308:名無しの視聴者 ID:06vRZ+xNg

同じ血を分けた3人がそれぞれ別の道を歩んで光と闇の両極にいるわけか

 

309:名無しの視聴者 ID:eATFkebM1

昔は仲睦まじかった姉妹が大人になってから敵として出逢う――

 

とってもエモいと思うの

 

314:名無しの視聴者 ID:3V/ZisLFy

>>309

想いを馳せるとエモいな

そのうちファンアートで描かれそう

 

318:名無しの視聴者 ID:/y8TXIhb/

+   +

  ∧_∧  +

 (0゚・∀・)   

 (0゚∪ ∪ +

 と__)__) +

魔王様配信まであと30秒!

 

322:名無しの視聴者 ID:wnEHuHBka

ワクワクテカテカ

 

328:名無しの視聴者 ID:+t9O5b5H8

お、はじまた

 

331:名無しの視聴者 ID:RCvPzVPVG

きちゃー

 

 

~~~

~~~

 

366:名無しの視聴者 ID:cx4aCYPWB

初手鼓膜破壊してきたなwww

 

367:名無しの視聴者 ID:Tu8Pp0Hoz

マジでくっそうるさかったw

スマホでイヤホンせずに聞いてたらかーちゃんに怒られました

でも魔王様の声がかわいいのでOKです…!

 

371:名無しの視聴者 ID:ZFuJsUbnh

AI2回行動の音響兵器魔王ってコメントすこ

 

376:名無しの視聴者 ID:XmFnHzto5

ていうかマジで声かわいいな

俺の性癖にド直球なんだが。。 過去1で好きな声かもしれん

 

381:名無しの視聴者 ID:Ms5u/wvhd

>>376

声かわいいし、お兄ちゃん呼びとか豚野郎呼びのときの声の変わり方すごかった

声の幅広そうだよな

 

382:名無しの視聴者 ID:CLn1tNdWu

豚どものときの「ざぁこ♡」がめちゃすこなんだけど?

すこすこすこ侍なんだけど?

え、好き。

自分、ガチ恋いいっすか?

 

384:名無しの視聴者 ID:JYZtiwtwv

>>382

あのザコ♡で今日のおかずはメスガキ系のにしようと思いました

 

385:名無しの視聴者 ID:g99DZHiLs

>>384

鶴の一声ならぬ、ロリの一声やな

 

388:名無しの視聴者 ID:x2NSuYHc3

まじでかわいい

普通の喋り方もロリっぽくてすこなんだけど、お兄ちゃん呼びのときのロリ声やばい

ボイス発売したら全買いするまであるんだが

 

389:名無しの視聴者 ID:Moxni0Nmf

みんな散々言ってるけどマジで声かわいい

口調もロリババア好きにはたまらん

 

~~~

~~~

 

512:名無しの視聴者 ID:QljDywmhK

【悲報】魔王様、陰の者であった【朗報?】

 

513:名無しの視聴者 ID:q+MzSMj1c

魔王様配信ではこんだけしゃべるのにコミュ障なのか

 

519:名無しの視聴者 ID:8OpHPnNss

同期とスタッフとの初配信の打ち合わせ断るのは相当だと思うわ

事前にちゃんと断りの連絡入れてるのは根が真面目なんやろうな…

 

525:名無しの視聴者 ID:ZGMq0prxR

なんで陰キャに育っちまったんだろうな

 

527:名無しの視聴者 ID:xFcxDmOV0

>>525

引きこもりしてたって、さっきちらっと言ったから、もともとそうでもなかったけど引きこもりのせいでコミュ障患った可能性はあるな

 

529:名無しの視聴者 ID:herdIlODD

打ち合わせ断るって相当だよな

まあ共感できてしまうが

 

532:名無しの視聴者 ID:I9glKcCbz

お金はあるって言ってたし何不自由ないニート暮らししてそう

親が金持ちなんかな

 

 

551:名無しの視聴者 ID:AjSmOP5VM

うわぁ!急に早口になるな!

 

554:名無しの視聴者 ID:ZJfFDe8oY

コレはコミュ障だわ…

自分の好きなことには早口になって饒舌になる。コミュ障で間違いない。ソースは俺。

 

557:名無しの視聴者 ID:t/dKgwqzc

可愛い声で言っているから許されているが、喋り方がガチのオタクや…

ガッツリ5分くらいノンストップでノゾミちゃんの良さを語られる臣下の皆に、敬礼ッ!

 

563:名無しの視聴者 ID:BO4kBvG8a

声はかわいい。声かわいいんだけど……

ノゾミちゃんの話してるときくっそキモいなwwww まあ共感できるけどw

 

569:名無しの視聴者 ID:Sw3j1o4dt

>>563

でも、あれ含めて魔王様かわいいと思うの

小さなロリっ子が自分の好きなものを頑張って説明してるの、かわいい… かわいくない?

 

575:名無しの視聴者 ID:7tuPSD7ds

>>569

かわいい(かわいい)

 

580:名無しの視聴者 ID:fb4TQ1Bv1

まあ、急に早口になるオタクくんムーブは置いておいて、

総評として魔王様くっそかわいい。

声だけじゃなくてなんかもう行動全てが愛らしい

 

585:名無しの視聴者 ID:FY0V2QE2a

トップに立つ威厳がありつつも、かわいい姪っ子みもある

 

588:名無しの視聴者 ID:WnWST5h2f

舐めてると何度も味が変わるアメみたいに味わい深い

 

591:名無しの視聴者 ID:TRPS7DDht

【速報】魔王様の初配信がノゾミちゃんのアーカイブをみんなで見る配信に早変わり

 

592:名無しの視聴者 ID:XHlIPJ3ZL

ほんとにノゾミちゃんのこと好きなんやな…

 

596:名無しの視聴者 ID:/+NTyy+x7

いや、うん。良いんだよ…

 

602:名無しの視聴者 ID:nE7Q5jxB0

いや俺もノゾミちゃんのASMR好きだから気持ちはすごーーーく分かるんだけど、自分の初配信なんだから…… ねえ?

 

605:名無しの視聴者 ID:jkRIHD9B7

そのうちノゾミちゃん本人とコラボしてほしい

 

610:名無しの視聴者 ID:o/4OPaElW

>>605

オフコラボしてノゾミちゃんに膝枕してもらう魔王様見たいわ

 

613:名無しの視聴者 ID:pC3f1mqN0

>>610

魔王様のコミュ障っぷりを見るにオフコラボは何年後になるのかな……(遠い目)

 

618:名無しの視聴者 ID:NjLV6QJDF

キラキライブのライバー皆優しいし温かいから、魔王様のコミュ障改善につながってほしい。

願わくば、キラキライブでの時間が魔王様にとって至福の時間に魔王様マジでかわいいな。ああすこすこ。すこすこすこ侍。めちゃすこ。ロリボイス可愛すぎて俺魔王様のお兄ちゃんになっちゃうんだけど?はぁ~、かわいい(クソデカため息)

 

621:名無しの視聴者 ID:nsoenoTvL

>>618

途中から心の声漏れてますよ

 

626:名無しの視聴者 ID:tLvX8b8fX

慣れたらノゾミちゃんに限らず色んな人とコラボしてほしい。

 

627:名無しの視聴者 ID:J/z8O9p3e

魔王様と一緒にノゾミちゃんの動画見るの意外と面白いなw

テレビの副音声聞きながら観るみたいにいい感じw

 

628:名無しの視聴者 ID:AgSy4C2u/

ノゾミちゃんのチャンネル登録者数がものの5分で600人以上増えてて草

 

631:名無しの視聴者 ID:16Cn3WOF3

ノゾミちゃん今日用事があって1日配信おやすみDayだけど、帰ってきてチャンネル見たら首かしげそうw

 

637:名無しの視聴者 ID:BpMIwdjid

トゥウィッターのトレンド入りも果たしましたね

 

640:名無しの視聴者 ID:GI05TkpuF

そりゃ世間がこんな面白ロリ魔王をほっとくわけないからな

 

642:名無しの視聴者 ID:z+GQ/W85T

ほんと草だわ




ずっとやりたかった掲示板形式がやっとできて達成感MAXです(気分高揚)



さっき確認したら、
日間ランキング:7位
オリジナル日刊ランキング:2位
でした……!!?!
当作品をご愛顧くださる臣下のみなさまのおかげです。ありがとうございます…!



いつも感想や評価ありがとうございます。
感想とっても楽しく読んでおります。返信の文考えるのが楽しいですね…!
評価の際のコメントも返信はできないですがとっても楽しく・嬉しくニヤニヤして見ています。


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5配信目 【レーペックス】雑談しながら銃を撃つのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

昨日はすみませんでした……!! のじゃ…

 

:初手謝罪は草

:のじゃ(鳴き声)

:ええんやで

:昨日結局ノゾミちゃんの登録者1300人くらい一気に増えたなw

:気にせんでええぞ。俺らも楽しかったゾ

:配信二日目で謝罪したVtuber

:トゥウィッターでノゾミちゃんにも許してもらえたから大丈夫やで

:なお、ノゾミちゃんは魔王様の発言を知らないものとする。

:ノゾミちゃんに対して敬語でトゥウィートしてるの草草の草だった

:トゥウィッターではのじゃロリが迷子だったなw

 

 

「いや、マジでな。マジですまんかったと思っておる。

 配信終わって少し冷静に考えてみたら、我、もしかしたら、ちょーーっと、ほんのすこーーーーーーーし気持ち悪い言動をしていたかもしれんと思ってな? 臣下の皆にも悪いことをしたなーって… トップたるもの簡単に謝罪するべきではないが、コレばかりは…すまん、なのじゃ……」

 

:少し…?

:大丈夫だよ普通に気持ち悪かったから

:少し(当社比)

:ちょっと(極大メテオ)

:少しとは一体…ウゴゴゴ!

:キモくてかわいい魔王様大好きだから大丈夫だぜ

:懲りずにノゾミちゃんアーカイブ副音声配信は定期的にしてほしい

:ごめん俺『少し』の意味勘違いしてたから広辞苑で調べてくる

 

 

「……ん? というかちょっと待て。

 そういえば、よくよく考えてみたら昨日ノゾミちゃんとトゥウィッターで『会話』したんじゃよね… あのノゾミちゃんと…? 画面の向こう側のノゾミちゃんと…… ふへっ、ノゾミちゃんと……! ノゾ(ミん)として恐悦至極じゃないか…! あぁ…(すずめ)のようにピョンピョンと跳ねて走り回りたい気分じゃのう… お祝いに世界征服しようかのぉ?

 そうじゃ!そうじゃ! 臣下の皆もトゥウィッター見たのじゃよな?! ノゾミちゃんの使う顔文字かわいいよな? あぁいやもちろん顔文字そのものよりノゾミちゃんの存在の方がかわいいのは自明の理というか火を見るよりも明らかじゃが、それは一旦置いておいて顔文字のセレクトがやはりノゾミちゃんの心を映しているというかな、言葉遣いも可愛らしくてまさに女神が現世に顕現している説が間違いないのはQ.E.D.証明完了なのじゃが――――」

 

:魔王様漏れてます漏れてます

:反省してないw

:タピオカ飲む感覚で世界を掌握しないでくれ

:魔王様の暗黒面が溢れ出ておりますぞ

:あぁ、おいたわしや……

:助走なしに高速で喋りだすのやめーやw

:↑カタパルト*1かな?

:息継ぎせずにしゃべるの怖ぇーよ…

:あー…始まったよ…

:魔王様急に発作始まるから…

:ヨダレ垂れてますよ

 

 

「おっといかんいかん。この話はまた別枠でやろうかの。

 さて―― ん゛んッ 今日は配信のタイトルどおり、我が最近良く遊んでおるFPSゲーム『レーペックスレジェンズ』をやっていくぞ。

 この前の配信で我がプレデターだと言ったことに対して疑問を持っておる者がおるようじゃからな。論より証拠とはよく言ったものじゃ。魔王軍最高司令官ニーナ・ナナウルムの実力、とくと見るがよいぞ」

 

:別枠で話の続きするのか……

:まあ正直本当にプレデターなのか半分信じれてない自分がいる

:ぶっちゃけ嘘やと思ってる

:プレデターって全世界で上位500位までなんやろ?

:自分の王の実力が信じられない者がいるのか?!

:王の実力を疑うとは何たる不届き者!

 

 

「アカウントは我がキラキライブへ所属する前から使っているものじゃから、スキンやらチャームやら色々揃っておるが気にしないでくれ。40万円くらいは課金したかのぅ?

 それじゃあランクマッチやっていこうかの」

 

:うわほんとにプレデターじゃん…

:私の目がおかしくないなら、ホーム画面に44位って書いてあるんですけど……

:44位?(;つД⊂)ゴシゴシ (゚Д゚)え?

:プレデターなだけでもビックリなのに44位とかマ?

:44/500とかマ?

:魔王様ガチで魔王様じゃん…

:コレは魔界トップ

 

 

「レーペックスのことあまり知らぬ臣下もおるから軽く説明するが、レーペックスは基本的に3人1チームで戦うゲームじゃ。他のバトルロイヤルFPSみたいにソロでやるわけじゃないぞ。

 ……まあ、我は一緒にやる友達おらぬし、ボイスチャットが苦手じゃから野良*2でしかやったことないが、友達おるなら友達とやったほうが連携取れるし、……たぶんもっと楽しいはずじゃぞ」

 

:あっ…

:あっ……

:悲しいかな…

:ていうか野良でプレデター44位ってヤバない?

:※プレデターの人は基本フレンドとボイチャで連携とってます。

:野良で44位はやばい

 

 

「しかし! 案ずることはないぞ!!

 このレーペックスはボイチャが出来ぬ者のために、『〇〇の武器を見つけたぞ』とか『あっちに敵がいる』とかをボタン操作で指示・連携が取れるのじゃ!」

 

:そうなんだよね

:ボッチにも優しい仕様

:コレ他のゲームでも取り入れてほしい

:操作してるキャラが代わりに喋ってくれるんだよな

:へーいいじゃん

 

 

「レーペックスではキャラクター一人ひとりに特殊能力みたいなのが有るのじゃが、我が使っておるレエスというキャラクターは時空の裂け目(ポータル)を作り出して素早く移動したりできる、んーまあ、簡単に言うと忍者みたいなキャラじゃ。

 ああ、あと。我のマウス設定は基本感度最大じゃから画面移動が激しいと思う。酔いやすい者は自分のマウスカーソルを画面の真ん中に持ってくると良いぞ」

 

:レエス使うのか

:ガタッ 魔王様が感度ビンビンで激しいって?!!?

:↑座れ

:魔王様に(よこしま)な感情を向けるな()れ者め

:アイエエエ!?ニンジャ!? ニンジャナンデ!?

:部下の画面酔いを気遣う上司の鑑

 

 

「じゃあ仲間と一緒の地点に降下して武器を漁るわけじゃが…… お、我が愛用しておる武器がいきなり落ちておるな。よいぞよいぞ。

 我が愛用しておるのがこの2丁じゃな。ヘッドショットのダメージが大きいスナイパーライフルと、連射性能の高いこのサブマシンガンじゃ。

 

 ――っと味方が襲われておるな。助けに征くぞ」

 

 

 

 道具漁りを早々に引き上げて味方のいる場所へ向かう。

 我は他の仲間2人と少し離れた場所にいたから気がつくのが少し遅れてしまった。敵は3人。仲間の2人はすでにダメージを受けていてほとんど瀕死。

 

「我が仲間(とも)を随分とかわいがってくれたようじゃのぅ? 小童(こわっぱ)ども――」

 

 少し離れた位置からスコープのついていないスナイパーライフルで敵の一人の脳天をぶち抜く。

 仲間たちが敵を削っていてくれたおかげでヘッドショット1発で敵はダウン。

 

 すぐさまもう一人の敵にスナイパーライフルでヘッドショットをお見舞い。だが、ボディアーマーも紫色の良いのを着ているらしく、頭に当たったものの、ダウンまではしなかった。

 もう一発、と行きたいところだったが、流石に2発も当てたので残りの敵2人は脱兎のごとくすぐに建物内に隠れた。

 

「面倒臭いし、一気に詰めてしまうか」

 

 せっかく与えたダメージが回復されるのももったいないので、ここは一気に敵へ詰め寄る。

 武器もスナイパーライフルからサブマシンガンに切り替え。

 

 先程スナイパーライフルで削った敵にサブマシンガンでとどめを刺す。

 

 ――ッ。左後方か。

 

 残った一人の(かす)かな足音が聞こえた。

 すぐに視線を移動し、照準の真ん中に敵の頭を定め、撃つ。

 

 もちろん敵もただのカカシではない。

 撃ち返してくるので、なるべくその弾に当たらないように『かがむ』や『ジャンプ』を駆使し避ける。

 

「ぬぅ―― 削りきれんな」

 

 

 2人目を倒し、すぐさま3人目との戦闘に移行したのでリロード(弾の再装填)を挟んでいない。

 加えてサブマシンガンの装填数を拡張するマガジンも拾っていない。そんな状態ではリロードを挟まず2人を倒すことは難しい。

 

 もちろんこのままリロードしてもいいが、その間も敵はこちらを攻撃してくる。

 

 ならばスナイパーライフルへ持ち替える。

 リロードよりも持ち替えるほうが幾分か早いのだ。

 

(しま)いじゃ」

 

 スナイパーライフルを腰撃ちで構え、脳天に鉛玉をプレゼント。

 敵は無残な棺桶に早変わり。

 

 

 

「ふぃーっ いっちょあがりじゃな!」

 

 

:……やば

:エイム*3やばない?

:ほぼほぼすべてヘッドショットだったんですが……(唖然)

:しかも魔王様の体力あんまり減ってないし…

:エイムもやばいけどキャラコン*4もやばい

:やばい(語彙力)

:はぇー、このゲーム勝手に敵の頭に照準がいくゲームだったんすね~

:鳥肌たった……

:コレがプレデターちゃんの実力ですか(畏怖)

 

 

「ふっふーん! どうじゃ! これで臣下の皆も我の実力が分かったじゃろう♪

 さて、実力も見せたことじゃし、あとは適当にレーペックスやりながら雑談でもしようかの。コメント見ながらやっておるから、どしどしコメントしてよいぞ」

 

:このランク帯でそんな余裕あるんですか…

:これは魔族の王だわ…

:コメント見ながらランク戦を……?

:魔王様もしかして目玉10個くらいある?

:戦いが終わったあとちゃんと味方蘇生して回復アイテムも配ってるの優しくてすこ

 

 

 

 

*1
航空母艦などから航空機を射出するやつ。速度0からものの数秒で200~300km/時まで加速するらしい。現代技術やばい。

*2
フレンドとチームを組むのではなく、知らない人と組んでやること。

*3
狙いをつける。照準を合わせること。

*4
キャラクターコントロール。操作キャラを自在にコントロールする技術のこと。




いつも誤字報告等々ありがとうございます…!(汗)
3,4回くらい推敲してもまだあるねんな…



ちなみにハーメルンでは『ここすきボタン』というのが最近実装されていて、
PC版ならダブルクリック、スマホなら左右スワイプで、「ここすきやわぁ~」って一文(行)に投票できたりします(1行につき10回まで)。
感想とか送るの恥ずかしい方にも安心ですね!

小説情報→最下部の『ここすき一覧』から確認可能なので、他の読者がどんなところが好きなのか知ることが出来てちょっとおもしろいですよ
(まあスマホだと誤爆しやすいのが難点ですが…)


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6配信目 【レーペックス】雑談しながら銃を撃つのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

前回あとがきで『ここすきボタン』のこと呟いたら、沢山の人が投票してくださってありがとうございました!
ここすき一覧』で見ると、やっぱり皆早口になるところとかイケメンになるところが好きなんですね~!




「お、よしよし。スナイパーライフル用のスコープが手に入ったな。

 さすがの我でもスコープ無しのアイアンサイトでの遠距離射撃は3割くらいしか当たらんからのぉ」

 

:3割は当たるんだ……

:スコープなしの敵は画面上では数ドットだと思うんですけど…

:4倍と8倍に倍率変更できるスコープじゃん。ワイもよくそのスコープ使う

:スナイパーとか全然当てられんから尊敬する。

 

 

「お、遠くに敵がおるな。1人しかわからんが、せっかくじゃから撃っておくか。あ、あかん。1発外したの。次こそ…

 ……お、ダウンしたの。まあここから距離有るし、詰めるのは別にせんでええか」

 

:もしかして前世デューク西郷とかだったりする?

:ヒエッ…

:たまたま魔王様に見つかったがために…

:スコープ覗いてから撃つまでが早すぎる…

:マジで覗いてから撃つまで1秒もないんだけど

:魔王様って昨日の同期の配信ってみた?

:もうこいつ一人で良いんじゃないかな…

 

 

「昨日の勇者と天使の配信か? 一応我も見たぞ。見たんじゃけど…… なんというか、その…… ふたりとも、随分と我が想像していたのとは違ったな」

 

:それはたしかにそうw

:まあ、俺も見る前はノゾミちゃんに次ぐ清楚系かなって思ってた時期があった。

:どういうこと?

:勇者の方しか見てないけど、天使もそうだったのか……

:見てないから全然わからん

 

 

「んとな、まあ、これは我の主観がかなり入っておることを前提に聞いてほしいのじゃが……

 我な、勇者と天使にはまだ会ったことも喋ったこともなくて、チャットで少し話した程度なのじゃ。だから臣下の皆と同じく、彼奴(きゃつ)らのプロフィール画像とか、設定とか、そのくらいしか知らなかったんじゃよ。

 で、勇者のイラストの印象は、前に我を倒しに来た勇者みたいな感じじゃなっていう感じじゃ。優しいけど実は人情に熱い系の人かなーって。

 天使の方は清楚系の雰囲気を醸し出してるから清楚な感じの人かなって」

 

:私にもそう思っていた時期がありました。

:まあ言うて中の人はイラスト通りとも限らんしな

:中の人とかいうな

:ふむふむそれでそれで?

:俺もそう思ってた。……そう思ってたんだ。

 

 

「まずは勇者なのじゃが、まずあやつ、声は綺麗で、なんていうか透き通るような声をしておってな。我も『お、これは我の見立て通りじゃな。さすが我』って思っておったのよ。声の通り優しい系の人じゃなーって。

 そしたらさ、あやつ『画面いっぱい見てたら目が疲れてきちゃったー、()()()()()()()()()からちょっと待っててね』って言うたんじゃよね。

 分かるか?

 透き通る声で落ち着いた配信してたらいきなりそう言い出すから、我びっくりして画面二度見したし、ヘッドホン壊れてるかと思ってBluetoothの接続し直したからな」

 

:草w

:草

:きれいな声やなーって思ってた矢先になw

:草www

:勇者さっそく人間やめてて草

:魔王に対抗するには、人間をやめるような、大変な修行をだね…ねぇ?

 

 

「その後も『人間は大変だよねー』発言とか、好きなものは?って聞かれて即答で『悲鳴』とか答えたからな? めっちゃ純粋な声でそう答えたからな?

 我はこう思ったね、『ぶっちぎりでイカれたやつ』じゃって。

 あと、勇者は基本的に笑顔なんじゃが、“ガワ”のイラストの設定がおかしかったのか知らんが、ときどき目をかっぴらくから心臓止まるかと思ったぞ」

 

:糸目キャラが目を開くときみたいな感覚をワイは覚えた

:正直魔王様より魔王様してた

:人間って怖いなー、とずまりすとこ

:ニンゲンコワイ

:スタッフが勇者と魔王の中身入れ間違えた説

:あの眼光には石化効果ありそうだよな

 

 

「でな? 勇者も大概じゃが、天使も相当じゃったぞ?

 自己紹介の最初の10分は良かったのじゃが、そのあと急に『だるまになってる女の子いいよね』って言い出したぞ? 両手両足を切断した女の子がいいんじゃとよ。天使怖くね?

 『自分はロリコンというよりペドフィリアよりなんだよね』とか『オルファクトフィリア(体臭性愛)でもあるよ』とかもうアウトじゃろ……

 

 我、同期が本気でやばいなって思った。まともなのがいないんじゃよね… もう完全に重大なインシデントが起きているエビデンスがフィックスしているんじゃ……」

 

:屍姦も言ってたなwwwwwww

:マジでびっくりしたわw

:初配信で異常性癖暴露したロリコン天使がいるってマ?

:完全に堕天した天使だったね…

:【悲報】魔王様の同期、まともなのがいない

:早口ろりオタクの魔王様が相対的に一番まともという…

:キラキライブの中でもぶっちぎりでイカれた2人だった

 

 

「そのあともずっと異常な性癖のこといってたぞ……

 

 おっと、また敵部隊と遭遇じゃな。

 というか、いつの間にか残りの部隊この1部隊だけじゃな。チャンピオン目指して気合をいれるぞ!

 

 仲間が手榴弾で牽制している隙に場所を移動して、1人スナイパーで抜いて…… んー、ダウンまでは流石に無理じゃの…… ポータルで退路を確保しつつ…… お、仲間1キルナイスじゃ! …サブマシンガンで倒して、投擲武器で削って…… 近距離サブマシンガンで……

 よし、チャンピオンじゃな!」

 

:酒の肴感覚で殺される敵さん…

:コメント返ししながらチャンピオンとか…

:ほんとうまいなプロ級だろ

:お仲間も素晴らしい動きだ

:マジで動きに無駄がない

:チャンピオンすげー!

:仲間もいい動きしてた

:投擲の精度エグくね?

:ていうかさ、あんまりこういう事言いたくないけど、チート使ってるんじゃね?

 

 

「よしよしgg*1じゃ、仲間(とも)よ!

 

 ん? ……何? 貴様―― 我がチートを使っておるじゃって?」

 

:急に声低くなるの怖い

:ゾクってした…

:魔王モードの声こわ。。

:そりゃチート使ってるとか言われたら怒るわ

:怖…

:まあでも確かに上手すぎる気はする

:あからさまなチートとまでは行かないまでも、リコイル制御するソフトとかコンバーターとか挟んでそう

 

 

「そうか――。実力かどうかも分からぬ(たわ)け者がおるか。……良いじゃろう。ちょうど試合が終わったところじゃ。ちょっとまっておれ」

 

 

 そう言ってゲーミングチェアから立ち上がる。

 

 たしかに、あまりにも我が上手すぎるからチートを疑いたくなるのは仕方のないことかもしれんな。じゃが、我はあくまでも実力で勝負する。純粋な力と力のぶつけ合いこそ意味がある。そこに変な小細工をつかおうものなら容赦はしない。

 

 で、チートを疑っておる者にはチートを使っていないことを見せるのが一番じゃろう。

 つまり手元を映せば良い。

 あと、起動中のアプリケーションの一覧も見せれば良い。

 もちろん完全にチートを使っていないという証明にはならんじゃろうが、見る人が見れば分かるじゃろう。

 

 といっても手元配信用の専用の機材を持っておるわけじゃないからのぅ…

 

 うーんとしばらく悩んで、スマートフォンで代用することにした。

 

 カメラ用の三脚は押入れに転がっていたので、それにスマホを養生テープで固定して……

 スマホに変換ケーブルをかませてUSBでパソコンにつなげて……

 手元が映るようにスマホの角度を調整して……

 スマホの映像を配信画面に出力して……

 タスクマネージャーで起動中のアプリ一覧もだして……

 

 

「よし、これでどうじゃ? 皆にも映っておるか?」

 

:手元配信だー!

:魔王様の私生活のほんの一部が見える!

:ま、魔王様の小さな御手が…?!

:魔王様の手めっちゃ白くて綺麗…!

:魔王様手ちっちゃw

:チート全然疑ってないけど、これにはチート疑ったやつに感謝

:キーボードめっちゃきらきら光ってて草w

:たぶんマウス同じの使ってるけど、それ思うと魔王様の手まじでちっちゃいなw

:きゃわわぁぁぁあああああ

 

 

「よしよし大丈夫そうじゃな。手元映しながらもう一試合やってやろう。きっと我の実力を信じざるを得ないと思うぞ?」

 

 

 

*1
good gameの略。楽しかったよとか、いい試合だったっていう意味。




ちょっと長くなりそうなのでここで一旦くぎり。



お昼頃に魔王様のイラスト(3DCG)を載せたキャラ設定の話を差し込み投稿したのですが、想像以上に魔王様の3Dを見てかわいいって反応を頂きまして、ありがとうございます!‬(..◜ᴗ◝..)
(自分のイメージを大事にしたい方は【挿絵表示】をクリックしないようご注意ください)

【挿絵表示】

ご質問があったのでお答えしておくと、魔王様の3Dは『コイカツ』というゲームでパーツを選んで作成したものになります。
ただ、あの、その…… コイカツ自体はえっちなゲームですので、18歳未満の方はコイカツで検索とかしないでね!
コイカツはキャラクリ好きはMODも入れて無限に遊べるゾ!おすすめ!




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7配信目 【レーペックス】雑談しながら銃を撃つのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】3

前回6配信目の天使について、
『酒乱で配信…? 淡い雪の方とかぶってね?』と感想欄で心配される方がいらっしゃったので、天使は異常性癖ペドフィリア天使にジョブチェンジさせました。
酒乱でも全然違う性格にして差別化しようとはもともと思ってたんですが、無用な混乱をまねくのも良くないですからね。
まあというかぶっちゃけ天使にそこまで出番は予定していn(殴




「よし、早速試合開始じゃ。今回もさっきと同じようにランクマッチやっていくぞ」

 

:お手並み拝見

:お手並みはさっき見たのでおてて拝見

:手元配信とか見たことないけどどんな感じやろ

:タスクマネージャーみた感じは変なソフト使ってへんな

:手の大きさからするにマジでロリなのか…

:中も外もロリとか…ガチ恋いいっすか?

:↑ダメです(一般常識)

 

 

「お、我がジャンプマスターじゃな。降りる場所を決められるわけじゃが……

 そうじゃな、あそこの地区に降りよう。

 皆も降りるときはジャンマスであってもちゃーんと周りを見るのじゃぞ? ……むっ。他に2部隊が同じ場所に向かっておるの」

 

:開幕から激戦の予感

:他の場所に避けるか?

:魔王様ジャンマスも上手いな…

:ジャンマスなんでか他の部隊に追い抜かれるんだよなぁ…

:↑魔王様みたいにジグザグに飛ぶと早くなるぞ

 

 

 我らが降りる地点には、我らの他に2部隊。

 他に2部隊いるというのは正直やりにくい。1部隊と戦っているときに横槍が入る可能性があるし、戦い終わったあとに漁夫の利を得ようと襲いかかってくる可能性が高い。

 

 こういう場合は初動が大事じゃ。

 いかに早く武器を揃えるか。

 いかに早く防具を揃えるか。

 

 

「うーぬ…… 我が愛用武器はそう簡単には手に入らぬか。

 これは要らぬし、こいつも要らん。入れ替えて、しょうがない。これで我慢じゃな。アーマーは青か。まあしょうがないの。むしろ全然及第点じゃ」

 

(あさ)るのはっやww

:マウスの動きが尋常じゃない

:バッグの画面早すぎて視認できないんだけど

 

 

「今回はショットガンとピストルじゃな。どちらも1発の威力が比較的高いの。ショットガンの方はちと連射速度が遅いが。

 

 ――っと。

 

 足音が聞こえるな。

 味方のを除いて少なくとも2人。もう()よったか」

 

:足音で敵の人数まで分かるのか

:拾ったのは中距離近距離か

:人数まで分からん普通

:おててカワイイ

:自分の足音を敵と誤認する、そう私です。

 

 

「我らは室内、彼奴らは外じゃ。

 扉や遮蔽物をうまく使って…… ピストルでヘッショ狙って…… ワンマガジンでとりま1人ダウンさせて…… もう1人来てるからショットガンで…… ドンッドンッ…… 倒して…… 我のアーマーが削れておるので倒したやつのに素早く着替えて…… 最後の1人は…… 2Fにおるな…… 外から登って不法侵入か… ならば詰めて…… ドンッドンッ…… OK 部隊全滅じゃな」

 

:仲間も頑張ってるのに魔王様が全部もってっちゃう…

:マウスとキーボード両方とも異次元で草

:もしかして指1本1本に意識あります?

:指が全部違う動きしてるンゴwwww

 

 

「もう1部隊は来なかったな。よしよし。

 ほれ、お主らこれを使うのじゃ。体力も減っておるじゃろ」

 

:○早すぎて来れなかった ☓来なかった

:お前の殺戮が早すぎるんだよ…

:回復アイテムにしっかりピン指して優しい

:ほんと死体漁るの早いな…

:アイテム画面ほんと一瞬で草

:脳の処理速度が俺らと違うんだよ

:処理領域が64スレッドくらいありそう

 

 

 仲間の回復も済んだ。

 この地区に残っているだろうもう1部隊の討伐に向かおう。

 

 先程の死体漁りでアーマーもだいぶ良いのが手に入ったし、回復アイテムもそこそこ潤沢じゃな。まあただ、武器はぱっとしたものを持っていなかったのでショットガンとピストルを継続して使用するしかない。

 

「まて、何だかあそこの岩…… 殺気を感じるの…」

 

 殺気…というよりも、これは我の『直感』に近いかもしれぬ。

 いくつもの血で血を洗う凄惨(せいさん)な戦場で、幾度となく救ってくれた我の直感。ここは信じてみるべきじゃろうな。

 

 手榴弾に持ち替えて岩の後ろに投込む。

 

 すると慌てて敵の1人が出てきた。

 

:なぜいると分かったし…

:殺気……?

:え、このゲーム殺気感じられないと無理?

:漫画の主人公並に殺気を感じるなw

:殺気ってなんだよwww

:殺気で察知ってか?w

:戦闘センスが卓越しておられる…

 

 

「ふっふっふー! やはり居たな! こそこそと待ち伏せしてこの我を(あざむ)こうなど、1000年早いな!!

 そら、鉛玉のプレゼントじゃ!」

  

 岩の陰から慌てて出てきた敵をピストルで撃ち抜く。

 ドンッドンッドンッ と小気味よく3発を頭に打ち込みダウン。

 

 とどめを刺すため更に打ち込もうとすると左前方からライトマシンガンの弾が飛んできた。

 

 視線を素早く向けるとどうやら残りの2人。

 我のアーマーはほぼ削れておらぬのでそのまま突っ込む。

 

 ドンッドンッ と軽く撃ち込みつつ、建物の壁を蹴りあげ、高速で空中を飛び敵の背後を取る。

 

 これはウォールジャンプと呼ばれるテクニックだ。

 文字通り壁を使いジャンプする技で、ボタン入力がシビアだが、壁をモーションなしに登れたり、高速で敵の背後を取ることができる。

 

 そして背後からさらに撃つ。

 

 残った1人はショットガンで処理。

 

 

「一丁上がりじゃな!」

 

:手元の動きが異次元過ぎて……

:普通にウォールジャンプつかっとる

:この間わずか10秒

:空中方向転換も使ってたぞ…

:高等技術をさらっと使うな

:手の動きが同じ人間とは思えない

:エグっ…

:キャラコンやば…

:手元配信なのに画面に集中しててみてなかった

:ほんとに被弾しないな…

:体力ほぼ満タンやん…

 

 

「ふはははははは! どうじゃ見たか!!! これが我の実力じゃ!」

 

:疑ってごめんなさい

:存在がチートじゃん…

:なんでそんなに上手いの?

:本当は人間じゃなくて戦闘アンドロイドなんだろ?

:魔王様やぞ

:岩の後ろにいるのなんで分かったん?

 

 

「なんで上手か、か…… まあ我も一応練習してウォールジャンプとか習得したし、練習かのぅ?

 岩の後ろに居たのが分かったのは、まあ直感的に分かったとしか…」

 

:練習してもあんなに上手くなれません先生

:ウォールジャンプ実戦で使えんわ…

:ブラックハウンドのスキャン要らないな…

:エイムも練習の賜物?

 

 

「エイムか? エイムはそんなに練習しておらんな。

 まず全部の武器の反動(リコイル)を暗記するじゃろ? そしたらその武器に応じてリコイル制御を毎回同じようにやればいいだけじゃ。こんだけマウス動かせばこんだけ動くっていうのは全部覚えておるし… 敵の動きに合わせて動かすだけじゃからのぅ… どうやっとるか改めて聞かれると答えにくいな」

 

:まず全部の反動を暗記します←無理

:んなアホなwwwww

:なに使わせても強いのか…恐ろしい子…

:前提条件がきつすぎる

:記憶力がやばたにえんの無理茶漬け

:Q.なぜ強いのですか? A.強いから

:魔王様にとっては歩くのと同じくらいの認識

 

 

「まあそんな感じじゃ。

 それじゃあ、チート疑惑も晴れたということで手元のカメラは切るからのう? …ほいっと」

 

:あぁ、お手々が……

:おてて助かるのに…

:今まで見た手元配信で一番異次元だったな…

:なぜ切る必要が有るんですか?(怒り心頭)

:おててで助かる命だって有るんですよ!!

 

 

「お手々で助かる命ってなんじゃよ……」

 

:そりゃお前余命わずかな俺の命がだな…

:もうすぐガンに効くぞ

:インフルエンザにも効くぞ

白月ノゾミ:ちょっと遅れちゃったけど来た!

 

 

ぷぇアゥ?! ノじょミちゃん?!?! 

 na nanann de nozomi tyann ga konnna?!?!??! e e imi ga wakaranai ware ha yumedemo miteirunoka …?

 

:なんか今異世界言語が聞こえましたね

:人間の可聴音域ぎりぎりだったな

:ノゾミちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

:なんぞその声www

:ごめん人間の言葉でお願い

:母国語でてますよ

:後半なに言ってるか聞き取れんww

白月ノゾミ:昨日トゥウィッターで見に行くって約束したからね!

 

 

「うウェッへへへ… あ、あのこんにちは… ふへぁへっ… 本日はお日柄もよく……」

 

:魔王様、前!前!

:銃声銃声!

:お日柄とか聞いてないから敵!

:魔王様敵来てる!!!

:お日柄より敵気にして?

 

 

「うぇあ? 敵! ぇあ、ちょ、まっ……!」

 

:死んだw

:死んだww

:初死にがくっそ情けないwww

:仲間も死んじまった…w

:一瞬で溶けたw

:まあ棒立ちやったでなw

 

「あぅ… すまん、仲間(とも)よ…」

 

白月ノゾミ:ご、ごめんね。試合中にコメントして…

 

 

「いや!全然!ノゾミちゃんは悪くないのじゃ!むしろ攻めてきた敵が悪い!言うなれば女神との邂逅に水を差した背信者、背教者、どんな言葉を使っても言い表すことの出来ぬ大罪人どもですじゃ!ノゾミちゃんとの会遇を邪魔した彼奴らにはそのうち地味に嫌な呪いを遠隔でかけてやりますのじゃですよ!」

 

:のじゃろりと敬語が喧嘩してるな

:魔王様は神と敵対してそうなんですが…w

:ほんと早口だと息継ぎないなw

:リモートで呪いかけるなw

:時代はテレワークだからな

:リモート呪いは草

白月ノゾミ:私のせいで負けちゃったけど…さっきの戦いとってもすごかったね!かっこよかった!

 

 

「かっ…! ノゾミちゃんが我のこと格好良いと… うぇへァ…

 よし! ノゾミちゃん見ててくださいなのじゃ! ノゾミちゃんのために爪痕*1ダブハン*2もりもりで棺桶の山を作りますですのじゃ!」

 

 

 

 

***

 

 

 

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

ニーナちゃんの配信とってもかっこよかった!!!

試合の途中で気が散るようなコメントして本当にごめんね( ´•̥̥̥ω•̥̥̥` )

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

きょ、恐悦至極でございます。

試合のことは本当に大丈夫なので気にしないでください。むしろ気をそらした我が悪いのです。というより空気読まないあの敵が悪いです。最大級の呪力を込めて腹痛呪いしておきました。

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

呪いもできるんだね!さすが魔王様!

ニーナちゃんのお話とっても面白かったし、今度一緒にコラボ配信とかしたいな!

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

ごめんなさい。我、いわゆるコミュ障で…ちょっと……

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

初配信でニーナちゃんがしてほしいって言ってた、よしよしもしてあげるよ?( ¯꒳¯)b✧

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

アーカイブ観られたのですか……

その、とっても甘美なお誘いですし、本当はノゾミちゃんといっぱいお話してみたいんですけど… ごめんなさい、もうちょっと心の準備が出来てからお願いしたいです。

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

うーん…そっかぁ…残念(´つω・`)シュン

じゃあいつでも私待ってるからね!ニーナちゃん♡♡♡

*1
1試合で20キルする

*2
1試合で4,000ダメージ以上出す




天使の再構築に当たって異常性癖調べたんですけど、
世界は広いですね(遠い目)


【挿絵表示】





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8配信目 アンニュイな魔王様

あけましておめでとうございます。٩(´꒳`)۶
本年もよろしくおねがいいたします。


【挿絵表示】


新年に似つかわしくない、ちょっぴり大人っぽいビターなお話ですが、どうぞ。


 

「ふぅ…… 今日の配信も終了じゃな」

 

 

 配信を終了しYootubeを閉じる。

 

 昨日から始まったVtuberとしての生活。

 まさか自分が4期生に合格するとは思っていなかったから、なんというかまだ現実味が薄い。面接であれだけ噛み噛みで、加えてスーツじゃなくてダボダボのTシャツで受けて、オタク特有の早口を披露して合格するやつなんて、後にも先にも自分だけだろう。

 

 まぁただ――

 

 ふっ、と自然に口角が上がる。

 

 

 ――Vtuberとは存外楽しいものだな。

 

 

 ふと時計を見ると夜の10時近かった。

 配信を始めたのが夜の7時頃だったから、かれこれ3時間くらいは配信をしていた計算になる。

 

 どうやら久々に熱中していたらしい。

 

 もちろんレーペックスは好きなゲームだから普段から熱心にやっているが、やはり観客がいるというのは違った熱が入るのだ。

 

 

「ん? メッセージかの?」

 

 そんなふうに考えているとピコンッと調子の良い電子音がスマホから鳴った。

 どうやらキラキライブからのメッセージらしい。

 

 もしかしたら……

 

 頭の中に少し嫌な考えがよぎる。

 

 勝手に手元配信したのを怒られるかもしれない。

 チートを疑われてついかっとなってやってしまったが、冷静に考えたら運営に一言いってからやるべきだったかも…… まあ、過ぎてしまったことは仕方がない。

 

 

『ニーナさん

 お世話になります。キラキライブ企画部マネージメント課の真根(まね)です。

 配信、私も観ていたのですが、やっぱり手元配信やる前に私に一言ほしかったです……』

 

 

 メッセージの相手はニーナ・ナナウルムのマネージャーを務めている、真根(まね)からだった。まるでマネージャーをするためだけに有るような苗字だが、本人はこの苗字をいたく気に入っているらしい。

 そして、内容はやはり手元配信へのお小言だった。

 まあ仕方がない。これは自分が悪いとニーナも理解している。

 

『すみません、真根さん。チートを疑われてついカッとなってやってしまいました。』

 

『まぁ、ニーナさんはまだ3Dモデルもないし、そもそもうちの3Dのトラッキング技術ではニーナさんの繊細な動きについていけないでしょうから、結局は疑いを晴らすために実写の手元配信になってたかもしれないですけど…

 ニーナさんは“バーチャル”な存在なんですから、現実のことで何かしようと思ったら私に相談してくださいね! 絶対ですよ! ニーナさんのご希望に添えるように、私、頑張りますから!』

 

『承知しました。ありがとうございます、以後気をつけます。』

 

 

 ニーナさんのために私頑張ります、か――。

 相変わらず優しい奴じゃ。

 

 

 マネージャーの真根とは一度だけ実際に会ったことがある。

 

 本当は会いたくなかった…… というと語弊があるが、ニーナのコミュニケーション能力の欠如を考えるに、会うとまともにしゃべれない。ならばチャットが良かったというのが本音だが、何かと現実はうまく行かないものだ。

 ともかく、やはりマネージャーと一度も会ったことがないというのは何かと不都合があるということで、ニーナは会社から呼び出されて行った。

 

 電車で会社に行くのは人が多すぎてしんどかったので、テレポートで誰にもばれないように近くまで行ったり、会社の受付の人にうまく喋れなくて迷惑をかけたり、警察官に迷子だと思われて四苦八苦したり…… まあ、あの日は頑張ったとニーナも自分自身を褒めてやりたい。

 

 真根のことを一言で表すのであれば、『優しい』の一言に尽きるだろう。

 ニーナはまともに目を合わせられなかったのでよくは分からないが、パッと見た感じ、顔立ちもきれいなお姉さんだったと思う。

 新卒採用されて今年で3年目らしいが、とにかく縮こまり挙動不審なニーナのことを気にかけてくれた。まともに喋れなくて本当に申し訳ないと思ったが、あれがニーナの精一杯なのだ。許してほしい。

 

 

『そういえば、同期のレイさんとリリィさんがニーナさんとコラボしたいなぁって言っていましたが、やはりまだ無理そうですか?』

 

『そう、ですね…… ごめんなさい、まだちょっと…

 ただ、私もこのままではいけないのは分かっているので、ちょっとずつ前進できるように色々考えます。』

 

『分かりました。私にできることがあれば何でも言ってくださいね!

 夜分遅くにごめんね、今日の配信もとっても良かったよ! またね!』

 

『はい、ありがとうございました。』

 

 メッセージアプリを閉じて、ふぅ、と目を伏せる。

 

 ニーナ自身も分かっている。

 このままではいけないと。

 コミュ障を直すために一歩を踏み出さなくてはいけないと。

 

 ただ、その一歩踏み出す勇気が出ないのだ。

 大衆を前に演説をしていたあの頃のニーナが見たら、きっと笑うに違いない。

 

 ふっ、と自嘲気味に笑う。

 

 

 そんなふうに考えを巡らせていると、目を閉じているからか、外で降っている雨音がやたらと大きく聞こえてきた。

 

 

「雨、か――」

 

 そういえばあの日もこんな雨の日だった。

 ニーナの今世での両親が他界した日。あの日も今日みたいにひどく雨が降っていた。

 

 

 ――全くもって変わり者の人間じゃったな。

 

 生まれて1週間も経たないうちにしゃべり始め、1ヶ月もしないうちに歩きだす赤子など普通は気持ち悪いに決まっている。今世の両親はそんなニーナを気味悪がるどころか、天才だともてはやしていたく喜んでいたのを覚えている。

 小学校の入学式や、七五三、誕生日にいたるまで、一人っ子のニーナの記念日にはそれはそれは盛大に祝ってくれたものだ。

 

 

 そんな二人は交通事故であっけなく死んだ。

 即死だった。

 

 ちょうどニーナは修学旅行中で両親とは離れたところにいた。

 

 ニーナも蘇生魔法を使うことはできる。しかし、蘇生魔法とは制約が多い。

 事故が起きて数秒以内にニーナがそこにいればあるいは出来たのかもしれない。が、ニーナがそのことを知ったのは事故が起きて30分後だった。テレポートしてもどうしようもない。

 

 儀式がかなり大変だが、事前に水晶で両親の運命を見ておけば――

 両親に外に出るなと言っておけば――

 

 ただ、そんなのは結果論だ。

 

 

 それに、ニーナは知っている。

 人間とは(もろ)い生き物だ。いつかあっけなく死ぬ。それが偶々あの日であったというだけのこと。

 この世界の仕組みがどうなっているのかは知らないが、二人の魂が迷わないように、前世で師匠から教わった(まじな)いもかけてやった。

 

 だから別に悲しくはなかった。

 

 

 ――我に断りもなく死ぬとは勝手な奴らじゃ。

 

 

 だけど、ときどき寂しくなる。

 

 

「家族、か――。この家は1人で住むには広いのぅ」

 

 両親が生きている頃は手狭にも感じたが、今は広く感じる。

 そのせいかは知らないが、今日みたいにアンニュイな気分になってしまうとこの家で1人でいることが、なんというかときどき寂しい。

 

 いっそのことペットでも飼おうか?

 前世でもケルベロスを3頭ほど飼っていたが、犬を飼うというのは良いかもしれない。いや、猫も良いかもしれない。前世では猫っぽい魔物もいたが飼ったことはないから意外と良さそうだ。

 

 しかし、問題が一つ有る。

 ペットショップに行くのであれば、つまり店員と対峙しなくてはいけない。他のお客さんもたくさんいることだろう。そこに行くまでの道のり然り。ぶっちゃけ嫌だ。

 

「しかし、これを一歩にするのも悪くない、か――?」

 

 コミュ障脱出への一歩とするのも悪くないかもしれない。

 そうだ。これはなかなかの妙案な気がしてきた。

 

 例えば、これに縛りを設けるのはどうだろうか。

 

 ペットは生体だからネットで買うのはそもそも無理だが、ペット用品はネットで買える。ここであえてペット用品関連はネットで買わないという縛りを設けて、強制的に外に出る機会を増やす。

 うん、良いかもしれない。『家族』のためなら頑張れる気がする。

 

 そうと決まれば、まずは情報収集だ。

 

 

 

 ああ、いや、その前に奴に連絡しておこう。

 

 

『真根さんへ――

               』

 




はい、ちょっぴりビターなお話でした。
次話はドッタンバッタン大騒ぎな配信かな…?

着物魔王様カワイイので置いておきますね。

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9配信目 【雑談】新しい家族じゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

「新しい家族を紹介しようと思う」

 

:どういうことだってばよ…

:か、彼氏……?!?!?!?

:お、おちけけけけつ

:おいおいもちつけよ

:餅つくな。おちけよつ

:Vtuberになって10日で彼氏いる発言マ?

:彼氏じゃなくて俺の子だろ?

:俺の子のことだよ。びっくりさせんなよw

 

 

「いやいやなんで彼氏とか赤子の話になっとるんじゃ。新しくペットを飼ったのじゃ。

 ほれ、この画像を見よ。2匹とも女の子じゃ」

 

:ぬこだー!

:猫きゃわわ

:はぇー、2匹とも美人さんですねー

:かわいい

:二匹とも真っ白美人

:かわいい

:ママとパパに飼う許可もらった?

 

 

「許可もらうも何も、我がこの家の家主じゃからな。それに両親はすでに他界しておる」

 

:そうなんか…

:すまん、悪いこと聞いた。

:無神経やったなすまん

:そっか…一人暮らしか

 

 

「よいよい、人間はいつか死ぬものじゃ。それに何年も前の話じゃしの。きっとあの二人も天界で笑ってこの配信を見ておるじゃろ。

 で、今日はこの子らの名前を皆で決めようと思うぞ。

 ああ、もちろん変な名前はなしじゃからな? 分かっておるじゃろうな? 女の子に下品な名前をつけようとする輩は漏れなくリモートで呪いかけるからの」

 

:ヒエッ

:声こえーw

:ごめんなさい。

:低い声助かる

:ゆるして

:真面目に考えるお!

 

 

「あと、そうじゃな。1週間くらい前にやった手元配信の反省をして、今回は猫飼うことを事前にマネージャーさんに相談済みじゃ。名前を臣下の皆と一緒に決めることも言ってあるから安心してくれて大丈夫じゃ」

 

:マネに怒られたやつかw

:ちゃんと反省しててえらい

:おてて配信のおかげで生きる意味が見つかったからありがとうやで

:おてて見れて嬉しかった。

:まあ別にお手々で炎上してないしええやろ

:むしろファン増えたまであるな

:またお手々配信してほしい。

:猫ちゃん達はペットショップで買ってきたの?

 

 

「ん?あぁ、いや、この子らは保護猫じゃ。

 猫を保護しているNPO団体から譲り受けたわけじゃな。

 毎年多くの猫達が行政で殺処分されていると知ってのぅ…… 少しでも助けになればと思うてな」

 

:保護猫なんか

:さすが魔王様お優しい

:猫捨てるとかマジ人間サイテー

:やっぱ人類は滅ぼすべきや

:捨て猫もまだまだ有るしな

:猫は家から勝手に出て繁殖して地域で増える

:うちの近所も猫多くて困ってるわ

 

 

 猫を飼うと決めてから、すぐにマネージャーの真根さんにメッセージで相談した。猫を飼うこと自体はさほど問題ないじゃろうが、猫に絡めた配信をしたいと思っておったからの。

 ある意味“現実”のことを配信で出して良いかの確認じゃな。

 真根さんからは『一応確認します』のメッセージのあと、すぐにOKの返信が来た。

 

 真根さんからの了承を得たあとすぐに『猫』についてインターネットで情報を集め始めた。

 最初はペットショップで買おうかと思っていたが、調べていくうちにその考えを改めた。もちろんペットショップが悪というわけでは断じてないが、保護猫という、様々な理由で保護される猫がたくさんいることを知ったので、せっかくなら保護猫にしようと思った。

 日本では年間3万匹も猫が殺処分されると聞いたときは正気か疑ったぞ。あんなクソカワイイ生き物を殺すなどとんでもない。

 

 ただ、『保護猫』というのは少々、というかかなり厄介じゃった。

 保護猫団体に「猫がほしいです!」と言ってすぐに貰えるものではないのじゃ。

 

 里親になるには各々の団体が定める『審査』がある。

 我が行ったところはコーディネーターの人と面談をして、猫の住む間取りや部屋の写真等の必要書類の準備、アンケートの記入。それらをクリアして、初めて猫を迎え入れることができる。

 

 つまり、端的に言って、コミュ障の我にはむちゃくちゃハードルが高い。

 

 いや面談て……

 面談は無理やて……

 

 もういっそペットショップへ逃げてしまおうかと思ったが、我は挫けなかった。年間3万匹ものかわゆい生き物の命が殺処分されている現状を打開する一助になればと、我は茨の道を選んだのじゃ。いやマジで茨の道じゃった。面談のときとか、我は終始『(@ん@;)』みたいにぐるぐるの目じゃっただろう……

 

 

「いやぁ…… 里親になるために面談とか有るのじゃが、マジで死ぬかと思ったのぅ。もう何話していたか動転しすぎて全く記憶にないな…… 『家族』のためとはいえ、我、頑張った。うん、頑張った。我は偉い子じゃ…! 我はまっこと凄いのぅ!

 で、やっと審査に合格して今日この2匹が我が家に来たというわけじゃな」

 

:まじか、魔王様すげぇ…

:えらい

:えろい

:ノゾミちゃんとのコラボ断るぐらいコミュ障なのに頑張った

:頑張って魔王様偉い!!

:やるじゃん

:俺も魔王様見習わないとな…

:保護猫ってこの子が良いって指定するの? 向こうが指定?

 

 

「いや、こちらでどの子が良いか選べるぞ。

 我もいろんな子を見せてもらったが、この姉妹が一番輝いていたから此奴らにしたのじゃ」

 

:どゆこと?

:白色だから輝いてた?

:魂の価値を覗いたんだろ察しろ

:魔法力を見たんだよ

 

 

「この姉妹な。我が近くを通ったときに必死に訴えかけてきたんじゃ。姉の方は妹のことを。妹は姉を。それぞれが自分じゃなくて姉妹を優先しておった。

 姉のために、妹のために、貴方がいいご主人さまになってあげてください! ってな」

 

:よく分かるな。うちの猫何考えてるか分からん

:はぇー、魔王様感受性豊かなんすねー

:文学的な表現ですてき

 

「ん? あ、違うぞ。我は動物が何を考えているのか分かるんじゃ。

 まあ分かると言っても人間同士みたいな高度な会話ができるわけじゃなくて、うーん…… なんて言ったらよいか… イメージ映像を伝え合う、みたいな感じかのぅ? 嬉しいとか怒ってるとか、そういった感情も分かるぞ」

 

:ふぁっ?!

:魔王様動物と話せるんか…

:すげえロリだ

:昔テレビで動物と話せる外国人とかいたな

:動物と意思疎通出来たら楽しいだろうなぁ

:メルヘン魔王

:そんなファンタジーやメルヘンじゃあないんですから

:ファンタジーだしメルヘンやぞ(魔族の王)

:メル…ヘン……?

 

 

「よしほれ、前置きはこのくらいじゃ。名前を決めるぞ。

 一応2匹の情報を伝えておくと、やんちゃでお転婆なのが姉で、クールで物静かなのが妹じゃ。2匹とも真っ白な毛色じゃな」

 

:白だからシロ!

:ホワイト!

:キュアホワイト

:ふたりはぷいきゅあ

:白色だから…… 雲ちゃんとか

:雲ならク○ウドとか

:↑やめなよ

:↑興味ないね

:クラスファーストさんの名前だすなよ

 

 

「これ、真面目に決めんか。まあホワイトはシンプルじゃがありじゃな」

 

叱咤(しった)魔王たすかる

:ごめん

:クリスタルちゃん

:宝石の名前はどう? サファイアちゃんとか

:ブラン(フランス語で白)

:雹(ひょう)とか霰(あられ)は?

:氷ちゃんは?

:六花(りっか)と天花(てんか)

:白(はく)

 

 

「よしよし、皆真面目になってきたな。えらいぞー。

 フランス語か。なかなか良いチョイスじゃな、フランス語は音がおしゃれな気がするしのぅ。

 して六花(りっか)天花(てんか)か。『花』が入っててカワイイが、どんな意味なのじゃ…?

 あー、ちょっと待っておれ。今グーグル先生に聞いて調べておるから…

 ……

 ほぅー… 六花も天花も雪の別名なのか。

 六花は雪の結晶を花に例えた呼び名で、天花は天から降ってくる雪を花に見立てたのか…… うーむ、日本語はやはり趣があるというか美しい言葉が多くて良いのぅ!」

 

:はえ~、雪に別名あるんすね~

:日本語って綺麗だな

:『和』な日本語綺麗だよな

:美しいな

:また今日も一つ賢くなった

 

 

「我、この六花と天花けっこう好きなのじゃが、皆はどうじゃ?」

 

:いい希ガス

:綺麗でかわいい!

:ええやん

:勝手にカタカナで考えてたけどええやん

:和でええやん

:毛色雪みたいだし良いと思う

 

 

「よし、じゃあ此奴らの名前は六花と天花じゃ。

 姉が六花で、妹が天花じゃ。

 ほら、どうじゃ? お主らの名前じゃぞ? …そうじゃそうじゃ。お主が六花で、お主が天花じゃ。ん……? 違う違う、姉のお主が六花じゃ。天花はお主の妹のことじゃ。よしそうじゃ、それでOKじゃ」

 

 

 配信の画面から少し目を離し、近くでじゃれあっている姉妹に話しかける。

 姉の方はやはりやんちゃで、名前がついて嬉しいのか我に飛びついてきて、妹はクールにちょこんと座ってこちらを見ている。

 

 名前をつける、という行為には魔術的にも意味のある行為だ。

 

 名前がつけば、存在が確固たるものになる。

 ただの動物から、もう1段階上の存在へとシフトする。

 

 ……とはいっても、六花と天花はまだ良くわかっていないらしい。2匹とも疑問符を浮かべておるわ。

 まあまだ1歳にも満たない子猫じゃ。

 子どもに難しいことを言っても通じないじゃろう。

 

 ふっ、カワイイ奴らめ。

 

 そんなふうに微笑ましく見ていると、ふいに姉の六花が配信をしている画面の方へジャンプして行ってしまった。

 

 

「これ六花、今配信中なのじゃからその机に乗るでない。あ~、ほらトラッキングソフトが我のきゅーとな顔を認識できておらぬじゃないか。ほれ、こっち来い。

 まったく、猫なで声で甘えてきおって……

 

 あぁーもう、カワイイのぅ! 顔をうずめるとこの世の天国じゃな~! うへぁ… 天花もこっちへ来てよいぞ? そう寂しそうにするでない。姉妹まとめて相手してやるからのぅ!  うふふぇ、カワイイのぅ…

 考えてみればお主ら人間なら小学生くらいか。子を持つ母はこんな気持なのかのぅ」

 

:ママー!!

:ママ!

:魔王様ぜったいだらけた顔してるやろwww

:来世は魔王様の子宮にやどりたいな

:声がトロけてるwwwwww

:なんかほんとに会話できてそう

:魔王様かわいいw

:少なくとも相思相愛だな

:猫を吸って蕩けてるww

:ちょいちょいトラッキングされる顔がめっちゃニヤついてるwww

 

 

「よし、それじゃあとはいつもどおりゲーム実況でもするかの。

 六花も天花も我の実況が見たいか? そうじゃろうそうじゃろう。よしほれ、特別に机の上に乗る許可をやろう。あまり画面の前を通っちゃダメじゃぞ?」

 

 

 

 ――今日は少しだけ騒がしいゲーム実況になりそうじゃな。

 

 

 




やっと投稿できた……
年始が忙しすぎて草超えて森超えてモーリーファンタジー状態じゃ…(瀕死



他のVtuber小説の方みたいにマシュマロや、やってほしいことリクエストみたいなものを募集してみたいと思います。
もしよかったら下記活動報告へ書いてくださるととっても嬉しいです。

マシュマロ募集リンク
やってほしいこと募集リンク


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10配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.○▽【キラキライブ】

130:名無しの下級臣下 ID:tgbaYEItB

そういえばもうPart○▽か。魔王様スレめっちゃスレの伸びいいな

 

132:名無しの下級臣下 ID:XhFUP9gRp

魔王様ほんとおもしれー女

 

133:名無しの下級臣下 ID:Xx0dzLGIz

こんだけ魅力的ならまあそら伸びるわ

 

135:名無しの下級臣下 ID:3ZsYp9mCq

面白いしカワイイしゲームつよつよだしカワイイし、マジで隙がない

さすまお

 

136:名無しの下級臣下 ID:9f3OZwG1g

コミュ障という最大の弱点があってだな…

 

139:名無しの下級臣下 ID:Jh8TQkb78

コミュ障で早口オタクというw

 

142:名無しの下級臣下 ID:balr5rU+B

なぜ笑うんだい? 彼女のコミュ障は立派だよ

 

145:名無しの下級臣下 ID:n09gq2Gvp

コミュ障込みで魔王様大好き。ファッションコミュ障じゃなくて共感できる

配信で合間合間に出てくるコミュ障話すこ

 

148:名無しの下級臣下 ID:+IcodpNf4

実際リスナーにはコミュ障でオタクの人多いだろうしぶっ刺さってそう

 

149:名無しの下級臣下 ID:e2PnQzXT7

昔はコミュ障じゃなかったって言うけど、ほんとかよw

 

151:名無しの下級臣下 ID:JIoxiQIQg

数日遅れでレーペックス配信見てきたけど、アレやばくない?

普通にプロだろ…… つうかプロ以上だろ……

 

154:名無しの下級臣下 ID:rsy1Nqusc

5つくらい前のスレで、とある臣下が魔王様のゲームIDをプロの過去動画の中で見つけてたぞ

 

プロが2ヶ月くらい前に動画の切り抜きトゥウィッターに投稿してて俺もその切り抜き見たけど、「この野良の人すげー」ってめっちゃ絶賛してたぞ

 

157:名無しの下級臣下 ID:Mcb0/ulpn

>>154

プロゲーマーの花鼻(はなはな)のやつだったけ?

すごすぎて花鼻がフレンド申請送ったけど返信なかったやつなwwwwww

 

159:名無しの下級臣下 ID:wJa9bWk+t

>>157

めっちゃフレンドになりたかった…!って悔しがってたやつなw

今ならその野良が魔王様って分かるから余計に花鼻くやしがってそう。あの人V基本好きだし

 

162:名無しの下級臣下 ID:FJTxpW4sK

今なら分かる。

魔王様絶対コミュ障でフレンド申請スルーした。

 

163:名無しの下級臣下 ID:sRVIcYu73

マジで上手いんだよなぁ…

 

165:名無しの下級臣下 ID:MVRHW9qM8

レーペックスやったことない人は分からんと思うけど、プレデターってだけでやばいんだ。

それだけじゃなくて魔王様野良でプレデターなんだ…

キャラコンが異次元なんだ…

エイムがほぼ全弾ヘッドに向かってるの怖いんだ…

長距離アイアンサイトで当てるな…

1vs3で勝つな…

 

166:名無しの下級臣下 ID:G6kaej0e9

普段は単にカワイイだけなロリだけど、戦闘になると急にカッコよくなるんだ…

 

167:名無しの下級臣下 ID:yCy36YAPP

格好いい魔王様ほんと好き。抱いて!

 

168:名無しの下級臣下 ID:YOnz8Ns8w

あんなにかっこいいのに、おててはちっちゃくてカワイイんだ… ペロペロしたいよね

 

170:名無しの下級臣下 ID:kNpCpACHN

>>168

お巡りさんこっちです。

 

173:名無しの下級臣下 ID:EEbxvumaJ

お手々配信良かったよな

 

176:名無しの下級臣下 ID:nY36wsnGW

なんかお手々配信やるの良くなかったって言ってた人いるけど何でなん?

チートの疑い晴らすためやし、おててカワイイし、個人的に無問題なんだが

 

179:名無しの下級臣下 ID:tj/oWLNeR

>>176

仮にも“V”tuberやからな。バーチャルが現実を持ち出すのを嫌う層は一定数いる。

あと勝手にやったのがいかんかった。

まあ別におてて嫌った層はほとんどいなかった気がするけどな

 

180:名無しの下級臣下 ID:IGQgUOEUn

そうなんか。

顔出すならあかんと思うけど、手ぐらいええやんって思ってまうわ

 

183:名無しの下級臣下 ID:bBns45LMI

価値観なんて人それぞれやからな

 

185:名無しの下級臣下 ID:YYfYfBTO3

社会人は報告・連絡・相談ってそれ一番いわれてるから

電話一本して許可もらってからの配信ならあの配信はなお良かった

 

186:名無しの下級臣下 ID:/mlNt+Vyr

昨日のお猫様の配信は反省してマネージャーに事前承諾もらってるから許してあげて

 

188:名無しの下級臣下 ID:mZPNnmENL

>>186

成長できてて偉い!

グリフィントールに810億点!

 

189:名無しの下級臣下 ID:A2/LbvxCU

甘杉ィ!

 

191:名無しの下級臣下 ID:UA33Vgsf/

激甘採点すぎて草

 

193:名無しの下級臣下 ID:kYahHks8q

お前の魔法学校ジンバブエドル並に点数インフレしてそうだな

 

196:名無しの下級臣下 ID:9QZxM5nET

スリサリンの人たちブチギレてそう

 

199:名無しの下級臣下 ID:cxqO4kqzC

猫様のアーカイブ今見てきた。

猫にメロメロな魔王様かわいい

 

201:名無しの下級臣下 ID:YmTYpTXnc

>>199

わかる

 

202:名無しの下級臣下 ID:6e0d+eW8Y

猫も2匹ともメスだし、これは魔王様と猫様達の濃厚な百合の香り

種族を超えた愛情いいと思う。ワシは一向に構わん

 

203:名無しの下級臣下 ID:NryFOY/JV

>>202

俺も混ぜてよw

 

204:名無しの下級臣下 ID:coBeu8mHE

>>203

お前魔王軍議会で満場一致で死刑だよ

 

205:名無しの下級臣下 ID:rXfQaAwpe

魔王様動物の気持ちも分かるらしいな

 

208:名無しの下級臣下 ID:lznF6ytdV

>>205

六花と天花に話しかける魔王様尊い

ほんとに子どもあやしてるみたい

 

210:名無しの下級臣下 ID:RWOhdXoWb

魔王様の凄いところ

・かわいい

・尊い

・レーペックスで冷酷非情な神エイム/プロ級の腕前

・キュート

・動物と意思疎通ができる←new!

 

212:名無しの下級臣下 ID:U1rgzqyXg

六花と天花って名前いいよね

 

213:名無しの下級臣下 ID:QxzV7TmPi

下手に小洒落た名前よりいい

 

216:名無しの下級臣下 ID:cvq+uEGB9

言葉分かるっていうのは感受性豊かって事なんだろうけど、それがコミュ障の原因なんかな

感受性豊かな人って繊細というか、豆腐メンタルな気がするし… HSPだっけか?

 

219:名無しの下級臣下 ID:Ea1Q2QmFz

>>216

そうかもしれんが両親他界してるのが大きい気がする

いつかの雑談配信で昔は全然コミュ障じゃなかったって言ってたし、両親の死で引きこもり→コミュ障の可能性

 

220:名無しの下級臣下 ID:MS+b6Tg/S

勝手に詮索して暗い話やめようぜ

そんなことよりお猫様という新しい『家族』が出来たことを喜ぶんだ!

 

221:名無しの下級臣下 ID:6X0rfNAmn

お猫様の役職は魔王軍幹部だろうな

つまり俺ら下級臣下の上司だ

 

222:名無しの下級臣下 ID:3vgUaI/9O

猫が上司とか嫌でごぜーます

 

225:名無しの下級臣下 ID:wgis+zrg2

>>222

人類なんて太古の昔から猫様の奴隷なんだよ

 

226:名無しの下級臣下 ID:58FYvXOs5

魔王様やっぱりコラボまだ無理だよなぁ……

 

227:名無しの下級臣下 ID:eDVxnMeYV

>>226

俺も他のライバーとコラボしてるの見たいけど、まあもう数カ月は無理じゃろうな

 

230:名無しの下級臣下 ID:dfGaSyX+V

ノゾミちゃんとコラボしてたじたじになる魔王様みたいんじゃ~^

 

233:名無しの下級臣下 ID:r/qXxnDAs

ノゾミちゃんもいいけど、先に同期とコラボしてほしい。

同期の天使と勇者、同期とコラボするときは3人揃ってからって健気に待ってるし

 

235:名無しの下級臣下 ID:C/ECJ5Hp8

>>233

ペドフィリアとサイコパスだけど、意外と優しい一面があるから困る

 

237:名無しの下級臣下 ID:HLi2H5gnD

二人とも常識有る方だからな。

なお一部が極端に欠けている模様

 

238:名無しの下級臣下 ID:RMVvVScdt

もうすぐ登録者5万人いくし、記念コラボは…… 無理やな

 

240:名無しの下級臣下 ID:34kd53Hi+

そういえばもうすぐ5万か、早いな

 

242:名無しの下級臣下 ID:8mQRpyA3Z

2週間で5万はかなり早いほうだよな

 

243:名無しの下級臣下 ID:paKzs8dJq

記念で何かやってくれるかしら

 

244:名無しの下級臣下 ID:2yOIB8ddQ

他のライバーと織りなすシナジー効果をみたいんじゃぁ

 

 




もっと更新したいんじゃ…(忙殺される日々)



次回は活動報告で頂いたものを交えつつ、マシュマロ配信しようかな
よかったら↓でマシュマロ募集してるので気軽に書いてくださいね!
マシュマロ募集リンク





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11配信目 【雑談】マシュマロ焼いて食べるのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

今回は活動報告で頂いたマシュマロを試験的に採用してみました。マシュマロくれた方とってもありがとうございます!
書いて頂いたものと私が汲み取った意図が違っていたらスミマセン。

マシュマロは焼くとおいちい!




 

「今日の雑談枠は溜まってきたマシュマロを食べてゆくぞー」

 

:魔王様が溜まってて食べる(意味深)だって?!

:おちつけ

:久々のマシュマロだ―

:この前送ったやつ読んでくれ!

:焼きマシュマロおいしいよね

:ガキの頃キャンプで食べた焼きマシュは格別じゃった…(憧憬)

:あの頃に戻りてえな…

 

 

 

 はじめてマシュマロおくります! 

 魔王様、本は好きですか? 

 好きならどんなジャンルをよく読みますか? 

 おすすめの本があれば知りたいです! 

 いつも配信を見て尊死しては復活させていただいてます! 

 これからも頑張ってください! 

 

 

 

「いつも見てくれてありがとうなのじゃ。

 我は結構本好きじゃな。特にライトノベルが好きじゃ。まあラノベに限らず普通の小説もいっぱい読むの。

 ジャンルは特に『これが一番!』とかはないのぅ… まんべんなく好きじゃな。ファンタジーも現代恋愛ものもコメディも。基本雑食かな。

 して、おすすめの本か。

 

 ……うーむ。

 

 ラノベだと『この素晴らしきワールドに祝賀を!』が今年一番じゃな。爆裂魔法を使うあの娘、なかなか魔法の醍醐味を分かっておる。

 いわゆる普通の小説だと『ホーリーポッター』が良かったの。特にホーリーポッターは我の使う魔法とは体系が違うようでの、なかなか魔法に対する解釈が面白くてな。実写映画も観たし、日本語版小説も全巻買ったし、英語の原文のやつも買って読んだのぅ。原文も翻訳版もそれぞれの良さがあってよいの。で、オリジナルに満足したら今度は二次小説を探してひたすら読んだな」

 

:このすば好きなのかw

:爆裂娘と趣味が合うの草w

:ホリポタガチ勢かよw

:頭のおかしい爆裂の人に理解を示してる…

:やはり火力バカは正義

:魔王様も紅魔の一族の可能性が微レ存…?

:『魔法』の解釈という点で評価してるのは魔王様らしいな

:ホリポタ英語版ももってんのか…

:あの電話帳みたいな洋書全巻

:ていうか魔王様英語読めるの?英語版は観賞用?

 

 

「英語は読めるし、喋れるし書けるぞ? 我の母国語と文法が似ているからな、結構すぐ覚えられたぞ。我『覚える』の得意じゃからな。

 発音も我の国の言葉より音が少ないからわりかし楽にいけたの。

 数年前に受けた英検は1級じゃし、その時トーイックも満点じゃぞぉ?

 

 ふっふーん♪ どうじゃ? 我すごいじゃろ? ほれ、我を褒めることを許可しよう! ほれほれ、我を称えるのじゃ」

 

:すげえ

:めっちゃドヤってる

:ドヤり魔王様助かる

:素直に凄い

:俺トーイック200点なんやけど…

:マジでペラペーラじゃん

:200点ニキは小学生からやり直して、どうぞ

:魔王様すごいな

:さすまお

:掛け値なしに凄いと思う

:普通にすごくて感心してる

 

 

「え、いや。素直に褒められるとなんかちょっと反応にこまるんじゃが… なんじゃよお主ら… ……意外と素直じゃん。

 で、200点のお主は、もうちょっと頑張れ。英語は学生のときだけじゃなくて大人になっても結構使うからの。ゲームの最新情報をいち早く手に入れたいなら英語要るからな」

 

:テレ魔王様かわいい…!

:てれおう

:まあなんだかんだ英語多少読めると助かる場面多い

:ツンデレ

:急に意味不明なカタカナ英語きても分かるとき有るしな

:エビデンスがー

:サステナビリティとかな

 

 

「あるあるじゃなw 『コミットメント』とか『アジェンダ』、『フィックス』…エトセトラじゃ。いやまじで日本語でおkってなるのぅw

 それじゃ、次のマシュマロじゃ」

 

 

  魔王サマにはじめてあ・げ・る❤(ネットリ) 

 魔王サマってぇ、人生のちょっとしかない学校生活楽しめたかしらぁん。 

 オネェサン気になりすぎてもう夜しかね・れ・な・いぃ 

 

 ってことで、一番楽しかった学校生活の思い出どうぞ 

 ...ぁコミュ障だからないかww 

 

 

 

:うわ…w

:コミュ障に学校の思い出きくな… 聞くなよ…(落涙)

:Wow...

:個性が強い

:しっかり寝れてるし…

:悪寒がした。

:魔王様に喧嘩を売るとは命知らずなやつ…

:ヒエッ

:最後の一文に何も言い返せない

:リスナーの半数が死にそう

 

 

「まあ待て皆の者。この程度の煽りで動じる我ではないぞ? 普段から5ちゃんねるで訓練している我の敵ではないわ。

 ただまあ、こやつは今頃お腹が痛くなって、今日はおトイレ様と熱い夜を過ごすやもしれぬな。のぉ?『オネェサン』? ……まぁ30分くらい頑張れ」

 

:しっかり効いてるじゃないですかーやだー

:効いてる効いてるw

:あれまじでお腹痛くなってきた

:5ちゃんを嗜む魔王様とは…?

 

 

「ま、冗談はさておき、皆には言っていなかったかな。

 我、別に昔はコミュ障じゃなかったぞ?

 まあそもそもコミュ障をどういうふうに定義するかにも依るしの。今の我はある種コミュ障と言えるかもしれないが、別にそこまでコミュ障じゃないかもしれない。今配信をしているように『文字』としてのお主らには全く動じておらぬ。つまりこの配信に於いて我はコミュ障ではないと言うことも可能じゃ。そも人間を画一的にコミュ障と割り振ることは出来ぬな。人間は多面的じゃ。とどのつまり人間はだれしもコミュ障を内包しているわけで我もまあ目を合わせながらしゃべるとかはなかなか難しいが目を見なければ喋ることも出来なくもないかもしれなくもないし意思疎通はできるわけであるから我はコミュ障じゃないと――」

 

:あぁ。また発作が。。

:大丈夫、キミはコミュ障だよ

:ちょっとマジで今世紀最大でお腹痛いんだけど…

:コミュ障あるある壱ノ型――言葉ノ定義

:コミュ障以外なにものでもないよ

:学校生活の楽しかったことは結局なんなんだwww

:魔王様そもそも魔王だから学校行ってないだろ

 

 

「おっとすまぬ。学校生活の話じゃったな。

 そうじゃな… 高校3年のときの体育祭が1ばn…… あー、えっと、魔界からテレポートでお忍びで地球に来て、こぅー…、日本の高校に潜入調査したのじゃが、体育祭が一番楽しかったの」

 

:そういう設定かw

:設定守ったw

:テレポートできるんですねぇw

:そういうことなら何も問題ないな!w

:魔界意外と地球から近いのかもしれん

 

 

「親の転きn… じゃなくて、父上と母上の指示で潜入する高校を変えたのじゃが、転校先の高校の体育祭がとっても楽しかったのぉ…! 最初はクラス内で多少の不和があったようなのじゃが、最後は皆笑って仲良くなって、優勝をもぎ取って大団円じゃったな。いまでもその時の写真は額縁に入れてとっておる。

 懐かしいのぉ…… 卒業と同時に皆と疎遠になってしまったが、今頃どうしておるかな…」

 

:体育祭とか仮病で休んだわ

:はーい、二人組つくってー

:↑やめろよ卑怯者!

:二人組はPTSD起こすのでNG

:魔王様と一緒だったら体育祭も楽しかったのかな…

:なぜ体育祭はあるのに勉強祭はないのですか?

:ほんとに昔はコミュ障じゃなかったのか

:クラス内の不和って?

 

「不和は、まあ…いわゆるイジメがあったの。気の弱そうな女の子が我が転入する前からちょっとイジメられてたみたいでの、まあ、最後は我のカリスマによって解決したから大丈夫じゃ!」

 

:さすまお

:今日イチのさすまお

:俺もイジメられてたんご…

:全盛期の魔王様が想像つかん

:さすまお!

 

「よしよし次のマシュマロどんどんゆくぞー」

 

 




長くなりそうだったので一旦区切り。
次話はマシュマロ回の続き予定。
誤字報告いつもありがとうございます!((汗



今日はかっこいい魔王様置いておきますね

【挿絵表示】




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12配信目 【雑談】マシュマロ焼いて食べるのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

 

 レーぺックスで魔王様がレエス使い 

 というのは分かったのですが 

 他の人が先にレエスをとったときは、

 どのキャラを使用しているのでしょうか? 

 

 あと、操作性や能力、使用感とか抜きで 

 単純にキャラとして好きなキャラを教えて欲しいです 

 

 

 

 

「レエスが他の人に取られたときは…… 重力を操るホライズンとか、フックショットで有利なポジションを取りやすいウェイファインダーとかじゃな。重力で上に飛んでそのまま狙撃するのとかフックショットで移動しながら撃つのとか結構楽しいのぅ。

 まあ基本的にどのキャラクターでも使えるからノリで選んだりもするぞ」

 

:流石に全部のキャラは使えんなぁ

:重力おばあちゃんすこ

:自分を大砲だと言い張るネキをすこれ

:上空から狙撃とかコワイんご…

:俺キャラ2~3個しか使えんわ

:別のキャラ使うと脳がバグる

:別キャラだとアビリティ勘違いして使っちゃうわw

 

 

「で、えーっとあとはキャラ性能を抜きにして好きなキャラか……

 うーむ、そうじゃな…… すべてのキャラにバックストーリーがあって全部好き… なんじゃが、強いてあげるのであれば、レエスとワトソンかの。

 それぞれ個別でも好きなんじゃが、トゥウィッターの二次創作とかで時々見かけるレエスとワトソンの漫画がすきでのぉ~。アレはとってもよいのぅ」

 

:レエワトすこ

:あのちょっぴり甘い百合が良いんだよな

:レエワト好きとは趣味が合う

:主とは良いお酒が呑めそう

:レエワトいいよね

:レエワトじゃなくてワトレエだと私は強く言いたい

:ワトレエも良い。全部良い。(ヨクバリス)

:レエスの胸盛るペコ~

 

 

「おお! 皆にもあの良さが分かるか! いやぁ~、アレはほんとに良いからの~。

 レエスとワトソンだけじゃなくて、基本的にレーペックスの二次創作全部好きなんじゃよね。他のFPSゲームとは違って、レーペックスは操作キャラクターが『キャラ』として個性が強くて二次創作が捗るんじゃよね~

 ミラージとオクトンの絡みも良いし、ランバートとワトソンも良い!」

 

:分かりみが深すぎる

:分かる(分かる)

:二次創作が盛んなのは良いコンテンツの証

:レペの同人誌買いました

:ワトソンのエッチな声いい

:↑回復の声エッチだよなw

 

 いや~、レエワトの良さが分かるものが臣下の皆の中にも多くて我は嬉しい!

 

 レーペックスはもちろん『ゲーム』として素晴らしいものであるが、ゲームそのものの部分だけでなく、それを取り巻く部分も素晴らしい。特にキャラクターが良い!

 他のFPSゲームだと自分の操作するキャラクターは個性がなかったり、あるいはあっても薄かったりするのが多い。その点レーペックスはキャラクターの生い立ちがしっかりと設定されておる。ゲーム内でキャラ同士の掛け合いがあったりもするしの。

 

 そういった魅力的な基盤が用意されているのであれば二次創作も盛んになるのもある意味では当然かも知れない。

 そもそも我がレーペックスをやり始めたのも、トゥウィッターで流れてきたレーペックスの二次創作漫画が発端だったりするのだ。

 

 

「この話はまだまだ語れるが、まあ、テンポよく次へ行こうかの」

 

 

 

 初マロ?ってやつだぜ!魔王様! 

 俺は魔界で土の精霊をやってる者だ。 

 突然で悪いが助けてくれねえか? 他の精霊共がおかしくなっちまったんだ! 

 

 闇の精霊は「僕がお兄ちゃんだ」ってブツブツ言ってる。 

 光の精霊は「私がお姉ちゃんにならなきゃ」ってどっか行っちまった。 

 火の精霊は「おてて…おてて…」と虚ろな目してやがる。 

 水の精霊は「おみず…あの子のおみず…」なんて言って荒れちまった。 

 風の精霊は「くしゃみ、くしゃみさせなきゃ」って意味わからんこと言ってる。 

 

 このままじゃ俺がレーペックスのランク上げる時間が減っちまうぜ! 

 せっかくプラチナまで行ったってのによ! 

 

 

 

 

:お、おぅ…

:Oh...(ネイティブ)

:これが俗に言うクソマロですか?

:魔界の精霊って愉快なんですね

:精霊たちが魔王様にひれ伏してる

:精霊がゲームやるな

 

 

「うん、我は最初ちょっと良く分からなかった。

 うん、とりあえずまあプラチナランクおめでとう」

 

:魔王様からのじゃロリの霊圧が消えた…?!

:魔王様も引いておられる

:魔界でもトゥウィッターあるのか…

:地球のYootubeで配信者やる魔王もいるくらいだし、多少はね?

 

 

「うん、まあ、レーペックスができるってことは人型の精霊じゃろうから、結構高位な精霊なんじゃろうけど、え、なに、今どきの精霊は魔界でYootube見るの…? 大丈夫? 大半の人間は魔法行使するとき精霊から補助受けたりするって聞いてるけど、人間魔法使えなくなってない? 大丈夫?」

 

 まあ、もちろん我もこのマシュマロが本気で言っている訳ではないことは分かっておる。ネタをネタとして楽しむのはインターネットに住まう者の必須技能じゃ。

 ネタと分かった上で、真実を交えてネタを更に昇華させる。これぞエンターティナーじゃ。

 

 人間の使う魔法について、前世で家庭教師兼執事のセバスから聞いた覚えがある。

 

 いやぁ、勉強はしておくもんじゃな。

 その時は『そんなもの知ってなんになる?』なんて思っておったが、人生何が役に立つか分からんの。

 

:精霊だって動画見たいんだよ

:精霊にも娯楽が必要だから…ねぇ…?

:精霊にも人権を!

:精霊は魔王様の臣下だった…?

:わしブロンズ帯から抜けられぬで候。

:精霊も魅了する魔王様さすが

:プラチナとかすごいやん

:異世界では精霊から補助受けて魔法使うのか

 

 

「そうなんじゃよね、人間って魔族と違って体内にある魔法器官が貧弱らしくてな、精霊から補助を受けてやっとまともに使えるらしいんじゃよね。セバスチャンが確かそう言っておった。

 まあ、勇者と一緒にいた魔法使いみたいに一部頭おかしいのもいるがの」

 

:だれだよセバスチャンw

:そりゃ執事やろ

:世界観がしっかりしてるのね

:魔族は人間と違う臓器があるんすねー

 

 

「セバスはセバスじゃ。我の執事…… あー、いや元執事じゃな。

 我がいなくても元気にしておるかなアイツ… と、まあこのマシュマロはこのくらいにして、お次はこれとこれじゃ」

 

 

 こんにちは魔王様! 

 魔王様がコミュ障なのは重々承知なのですが、 

 やっぱりコラボしてるのもみたいです! 

 コラボ……無理そうです? 

 

 

 

 

 魔王様まだコラボ無理そう? 

 会話デッキがないなら天気デッキとかどう?

 死生観デッキも割と使い勝手良いと思うけどいかが? 

 臣下達とコラボシミュレートとか会話デッキ構築配信とか良いと思う 

 

 他のライバーとの相乗効果みたいお…

 でも無理はしないで 

 

 

 

 

「とりあえずこの2つを紹介したが、結構コラボに関するマシュマロも多かったんじゃよね。

 ……

 コラボ…… コラボのぅ…… やはり皆見たいのか?」

 

:みたい

:そら見たいわ

:同期とコラボ、しよう!

:天気デッキはやめとけ

:ノゾミちゃんとコラボしようぜ!

:3期生達高校生もいいぞ!

:無理はしてほしくないけど、コラボ見たい

:もうすぐ5万人だし、記念でコラボどうよ!

:たしかに登録者もうすぐ5万だな

 

 

「そうじゃのぉ… 確かにマネージャーさんからも5万人記念なにかやりましょうって言われたし…

 コラボか…… うーむ」

 

:別にどもってもいいし

:コラボでコミュ障発揮しても別に誰も怒らんて

:キラキライバーはみんな魔王様=コミュ障って知ってるからな

:別にオフコラボじゃなくていいから

:成長するための大事な一歩だと思ってさ

 

 確かに、コラボをするというのはコミュ障改善への重要な一歩になるだろう。もともとコミュ障改善を主目的にVtuberをやっている我にとって、コラボはいつかは通らねばならぬ道じゃ。

 

 じゃが、今の我にできるのか?と自問してみればすぐに答えが返ってくる。

 無理じゃ、と。

 そらそうよ。うん、分かったと気軽にコラボできるなら、とうの昔にやっておる。

 

 じゃがなぁ、こうして臣下の皆にもやってほしいと言われることも多い。その期待には応えてやりたいし……

 あとあれじゃ、マネージャーの真根さんに「軽めのコラボ、どうです?」とキラキラした絵文字が散りばめられた文章をこの前送られた気がする。

 

 うーむ……

 

 

「皆は我と他のライバーが出会ったらどういう配信になるのか見てみたいのじゃよな……?」

 

:そうそう

:みたいけど、無理はしないでね

:みたい

:見て二次絵かきたい

:3期生のアイツとか相性いいと思うんだよなー

 

 

 臣下の皆はコラボをしているところが見たい。

 真根さんのチャットを見るに、会社的にもコラボはしてほしいじゃろう。

 しかし、我はコラボできそうになく、小気味良い会話もできそうにない。

 

 さて、これらの要件を満たす解決策は有るのか。

 

 

 

 ……いや、有るな。

 

 ――我の完璧な頭脳が、今、瞬時に『答え』をはじき出した!

 

 

「ようし、分かった。お主らのその欲求を満たしてやろう。良いことを思いついたからの。クフっ。フハハハハ、……いやぁ~、まっこと我は天才じゃのう!」

 

:どうした急に

:急に魔王笑い始めた

:?!

:なになに?

:何やる気だ…

:急にコワイお…

:え、怖い怖い

:不敵な笑い

 

 

「マネに確認してからじゃが、ふフフ、楽しみに待っておれ」

 

 






もっと更新頻度上げたいお…


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13配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.○▲【キラキライブ】

656:名無しの下級臣下 ID:fQweuA7eg

魔王様のトゥウィッターの猫ちゃんかわわ~!

 

657:名無しの下級臣下 ID:6npEdEJ78

普段はなんていうかちょっと文章が硬いけど、六花と天花ちゃんのトゥウィートのときだけ文章がふにゃふにゃしててかわヨ

 

658:名無しの下級臣下 ID:8f6f+5zix

まじかわいいよなw

 

661:名無しの下級臣下 ID:ciBn/j6dN

お猫様も魔王様も可愛い

絶対あの空間いい香りする

 

664:名無しの下級臣下 ID:HR5uDLmdl

最近のこのトゥウィートすこw

ニーナ・ナナウルム

@nina_nanaulm

六花も天花も食欲旺盛でな、写真の通り食事後は口の周りにご飯がいっぱいついておるわw

毎回拭き取ってあげるが、にゃんというか、もうまじ可愛いの♡

拭くときかわよく目をつぶるのじゃよね~! にゃ~♡♡♡

 

665:名無しの下級臣下 ID:A7Y8NxkxW

>>664

かわいい(確信)

 

666:名無しの下級臣下 ID:crGRIGZxU

>>664

これは可愛いの権化

 

668:名無しの下級臣下 ID:j2kniV+ZY

お猫様たちもすくすく育っているようで私は嬉しい

 

670:名無しの下級臣下 ID:LKBbBNOYf

先週くらいからスパチャ解禁されてるし、俺らの投げ銭で天花と六花に良いもの喰わせてほしい

 

672:名無しの下級臣下 ID:c/SxL9s89

>>670

俺らより良いもん食わせたい

 

674:名無しの下級臣下 ID:Mwqg65+BW

スパチャも新人にしては結構な額いってるしな

 

675:名無しの下級臣下 ID:hc6aLaTm0

今日魔王様の5万人記念配信だけど、結局なにやるんやろ

 

678:名無しの下級臣下 ID:YbJzE+x+6

この前の配信でコラボ匂わせてたけど、普通に考えて無理やろなぁ…

 

679:名無しの下級臣下 ID:VKjp31u56

結局コラボ無理なのでゲーム配信します、とかになりそうw

 

681:名無しの下級臣下 ID:2LIWvz/lX

まぁそれはそれで魔王様らしいけどなw

 

683:名無しの下級臣下 ID:OdanEUqtC

でもあそこまでコラボ匂わせといてやらないはないんじゃないか?

 

686:名無しの下級臣下 ID:OIJYq7qrp

コラボやるならまあ1人しかしないと思うけど、誰だろ?

意外と同期2人とやったりするのかな

 

688:名無しの下級臣下 ID:kuTz3G6iO

ノゾミちゃんとやるに1万ペリカ

 

690:名無しの下級臣下 ID:kzQEO1N76

ノゾミちゃんはむりやろ

 

692:名無しの下級臣下 ID:3GD154cYa

ノゾミちゃんはなぁ……

一番ない気がするわ… やってほしいけど魔王様の心臓がいくつあっても足りない。尊死してしまう

 

695:名無しの下級臣下 ID:jSmAKOCXX

3期生の千香(ちか)ちゃんとかどうやろ?

 

698:名無しの下級臣下 ID:/pUNPfM0f

ちーちゃんとかバリバリのギャルじゃん。

そら無理ってもんよ。属性が違いすぎる

 

700:名無しの下級臣下 ID:f3TWpX7mD

3期生なら桃内(ももうち)百太(ももた)が良い!

 

701:名無しの下級臣下 ID:OPCc6SX+r

百太郎は男じゃん、無理やろ

 

702:名無しの下級臣下 ID:w6wMiLms6

同性でも無理そうなのに異性は厳しいやろな

 

703:名無しの下級臣下 ID:Uc8QPmYis

まあ百太郎との絡み見たいのはわかる

 

706:名無しの下級臣下 ID:Bq6oQb4/z

やっぱり僕は王道を征く、同期の勇者と天使……ですかね

 

708:名無しの下級臣下 ID:aYABfbIYw

天使はやめとけ悪いことは言わない。

あんな歩く性犯罪者予備軍と魔王様を会わせてはいけない(親目線)

 

711:名無しの下級臣下 ID:uiiqrQieL

まあダルマ性癖持ちのペドフィリアとか危険物取扱者でも触りたくないしな

 

713:名無しの下級臣下 ID:SYKIlOsf+

あの天使、ネクロフィリア(死体性愛)も持ってるんスよ…(恐怖)

 

716:名無しの下級臣下 ID:6hgKEMFtM

世の中の全ての事象に対して興奮してそう

 

718:名無しの下級臣下 ID:gzE+/4ciq

ヒエッ

怖いンゴ…

 

721:名無しの下級臣下 ID:WLpXfdYRq

性癖のバーゲンセールやな

 

723:名無しの下級臣下 ID:4TUOU4W30

禁忌性癖のキメラ

 

725:名無しの下級臣下 ID:93GZ3DlA6

あんな天使がいるとか、天界はどうなってるんですか?

 

726:名無しの下級臣下 ID:xDfcLuSQm

神はすべてを許すので……(精一杯のフォロー)

 

729:名無しの下級臣下 ID:nM4dY2cid

その点勇者は割と選択肢として有りじゃないか?

確かにサイコパスだけど常識は比較的有る方だし、サイコパスだけどやさしい人間的な面もときどき垣間見えるし

 

731:名無しの下級臣下 ID:dP7TNhScl

明らかに比較的(当社比)じゃないですかーやだー

 

733:名無しの下級臣下 ID:JLXrfbj4O

可愛い生き物に対して純粋に「食べちゃいたいくらい可愛い」って言ったときの切り抜き好きw

本当に食べたいとは思ってないと思うけど、あれのコメント欄すこすこすこ侍

 

 

…………本当に食べたいとは思ってない、よね…?

 

734:名無しの下級臣下 ID:cAFkof9gw

まあいうて2人とも流石に自重するやろ。これまで普通に生きてきてるはずだし

 

736:名無しの下級臣下 ID:cXSxnLhCl

マジレスするなら普通に大丈夫だと思う。

あの2人もキラキライブという会社に属する社会人だし、相手のことを思いやることはできるでしょ

 

 

 

 

 

 

…たぶん

 

737:名無しの下級臣下 ID:f4V3x0T6H

>>736

もっと自信持って言ってくださいよォ!!

 

739:名無しの下級臣下 ID:sZ+2iH3tD

マネージャーとはチャットで交流あるみたいだし、マネージャーをVにしてコラボする説、有ると思います。

 

741:名無しの下級臣下 ID:KIvhJQl4Y

それはそれで面白いなw

 

743:名無しの下級臣下 ID:XjIWBv5Vp

立ち絵1枚用意しておけばVと言い張れるからなw

 

744:名無しの下級臣下 ID:VUf8IxGzv

で、結局コラボの詳細っていつ発表なの?

もう配信開始まで40分くらいだけど

 

747:名無しの下級臣下 ID:M6EM8whRW

>>744

なんか直前で発表するって言ってた気がする

 

749:名無しの下級臣下 ID:86Yio1eZV

そそ、配信開始30分くらい前とか言ってたかな

 

752:名無しの下級臣下 ID:KPz3LnKPb

キラキライブのライバーのトゥウィッター見ても誰も魔王様とコラボやりますって言ってないから情報統制しっかりしてるな

 

753:名無しの下級臣下 ID:1AIDGFCOJ

誰やろなぁ…ワクワクするわ

 

756:名無しの下級臣下 ID:joeWzDv28

結局魔王様がVtuber始めてから1ヶ月以上ソロでしか配信してないしな。俺も楽しみ。

 

757:名無しの下級臣下 ID:TRpeZvR4E

そろそろ30分前だな

 

 

 

771:名無しの下級臣下 ID:IexW67D/D

おい、やべーぞ!

魔王様(とつ)待ち配信*1するってよ!

 

773:名無しの下級臣下 ID:UV6TM1mFh

は??????

 

774:名無しの下級臣下 ID:2pC4KBBLy

嘘は良くないよ

 

775:名無しの下級臣下 ID:uAYq/cISb

凸待ち配信とか一番ありえなくて草

 

777:名無しの下級臣下 ID:EcsLWTAZq

マジだって!

トゥウィッターみろ

ニーナ・ナナウルム

@nina_nanaulm

今夜の5万人記念配信は『凸待ち配信』をすることにしたぞ

10人くらいは凸待ちしようかのwww

ふふふ、ハーハッハッハ! 皆の驚く顔が目に浮かぶのぅ!

 

780:名無しの下級臣下 ID:j44TIQpY2

ついに頭がおかしくなってしまったのか… おいたわしや…

 

782:名無しの下級臣下 ID:BzLaQUt4w

まじじゃん… アゼルバイジャン…

 

785:名無しの下級臣下 ID:1cvjh3AwC

冷静に考えてなにかの間違いじゃない?

 

788:名無しの下級臣下 ID:2BX7quK97

トゥウィッターのリプライも困惑だらけで草w

爆速でいいねとリツウィートされまくってるしw

 

791:名無しの下級臣下 ID:abw5WlE8b

え、え?

まじでやるの?

 

792:名無しの下級臣下 ID:2t6NF6ukQ

これ無謀だろ

 

795:名無しの下級臣下 ID:SXw/e5O3n

勇気と無謀を履き違えるなうんちゃらかんちゃら

 

798:名無しの下級臣下 ID:EHWR2VFN9

1人目の凸で爆死して配信終了だろこれ

 

800:名無しの下級臣下 ID:VNImtwa8f

??????????(理解不能)

 

803:名無しの下級臣下 ID:0Qg1goTXA

どうなるんだこれ…

 

805:名無しの下級臣下 ID:Z4mrOAPj7

なにか考えがあるって言ってたし、普通に凸待ちするわけじゃないと思うけど… まじどうなるんこれ…

 

 

*1
他のVtuberから通話を待つ配信のこと。〇万人記念配信とかならお祝いの言葉をもらったりする。『凸』は『突撃』の意味だとか。





掲示板は楽しいなぁ…!
魔王様一体なにやるつもりなんだ!?(他人事)



-追記-
感想で魔王様の身を案じる人が多くて楽しいから返信したいんですが、私が次話について要らんこと言っちゃいそうなので今回感想返信は控えておきます
ごめんね…!


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14配信目 【#魔王様の宴】5万人記念で凸待ちじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

【#魔王様の宴】5万人記念で凸待ちじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

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:この配信大丈夫なんか…?

:魔王様爆死会場はここですか?

:お墓って普通に日本式で大丈夫?

:十字架のほうがいいんじゃね

:あぁ、おいたわしや……

:皆、もっと魔王様のこと信じろよ!

:とりあえず1万円くらい香典置いとけばおk?

水引(みずひき)しっかりしたのにしとけよ

:魔王様の宗派分からんからのし紙どれにすればええんや…

 

 

「あのな、お主ら我のことなんじゃと思っておるんじゃ…… 揃いも揃って我が死ぬだの、我が息絶えるだの、お墓立てようだの…」

 

:配信キタ━━━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━━━!!!!

:はじまったw

:凸待ちとか魔王特攻の攻撃じゃん…

:死のカウントダウンが…

:キタ━━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━━!!!!

:だって……

:Criticalヒットで死ぬじゃん…

 

 

「お主らが我のことをどのように見ているのか、よーーく分かった。

 じゃが、くふふ、今日は主らが思う我とは一味(ひとあじ)二味(ふたあじ)もちがうぞぉ? 今宵(こよい)限りのコミュ力お化け魔王、ニーナ・ナナウルムの実力を見せてやろう――」

 

:何する気なんだ

:今宵限りなのか

:くふふって笑うのかわいい

:マネージャーに代わってもらうのはダメだぞ

:え、なになにコワイ……

:凸待ち0人とかやめてクレメンス

:今からでもゲーム配信にしていいのよ?

:0人は笑えないから…

:やめろ、その先は地獄だぞ――

 

 

「まあまあ、見ておれって(笑)。

 っと、早速お一人目が来てくださったぞ。立ち絵も画面に映して…… じゃあ、自己紹介の方してもらっても良いかのぅ?」

 

「はい、皆さんこんにちは~。はじめましての方ははじめまして! 好きな色はパステルカラー。煌々(きらきら)美術大学に通う大学生の白月(しらつき)ノゾミです。

 ニーナちゃん、5万人達成おめでとう~!♡」

 

「と、言うわけで記念すべき1人目はキラキライブ1期生にして至高の存在、白月ノゾミちゃんじゃ!」

 

:ファ?!

:ノゾミちゃん?!?!?!

:へぁ!?

:????????????????

:え?え?

:んっっっ????

:は??????

:????

:ええええええ

:( ^ω^)おっ?

:え?あ?

:ふぇあ???

:なぜに?!??!?

:( ^ω^)?

:????

 

 

「いやぁ~、ノゾミちゃんもお忙しいのにわざわざ来てくださって、ありがとうなのじゃ」

「ううん、全然! かわいいニーナちゃんの為だもん! 一番乗りしようと思って待機してた!」

 

「本当にありがたいお話じゃ。実は何を隠そう我はノゾミちゃんの大ファンでしての、今お話しできてとっても興奮しておるのじゃ」

「知ってるよ~、いつも見てくれてありがとう!」

 

:え、え、え???

:幻覚?????

:??????

:え、マジなに流暢(りゅうちょう)に喋ってるん?

:誰だお前

:声もマジモンのノゾミちゃんだし、え?え?(CPU100%)

:まじでどういうカラクリ?

 

「この前発売されたボイスも素晴らしかったのじゃ。ASMR配信とかもよく拝聴しております」

 

「ふふっ、本当にファンしてくれてるんだね。

 私もニーナちゃんの配信みてるよ~? 初めての配信で私のこと大好きって話をしていっぱい喋ってるのも見た!」

 

「いやぁ~、アレも見られましたか。いやはやお恥ずかしい限りじゃ(笑)」

 

:俺は夢を見ているのか……?

:私の愛娘が立派に会話してる…(落涙)

:いつもの魔王様じゃない…

:僕たちのコミュ障魔王様を返して!!!

:誰よこの女!

:カラクリ分かったわ

:↑マジか!?

:ここが…桃源郷なのですね…

:これ普通に録音だろ

:あー、録音か

:事前に台本用意して各々(おのおの)録音はありそう

:確かに録音だわ

 

「なんじゃお主ら。我が喋っておるノゾミちゃんが録音だと思っておるんか……

 まったく…… 我は悲しいぞ…」

 

:魔王様は録音じゃないっぽい

:バレてあせってるw

:自分は実際に話して、ノゾミちゃんは録音かw

:録音とは考えたな

:ノゾミちゃんよく協力してくれたなw

:タイミングみて再生ボタン押してると思うと草

:それは草w

:草というか普通に悲しい…

:タイミングみてボタン押すの結構技術()るくて草

:草だけど笑えねえw

 

 

「おいおい、お主ら本気でそう言っておるのか? 普通に悲しいぞ…… いや、逆に我のことをよーく理解しているということかもしれんのぅ。一概に怒れんわ。

 じゃが、これだけははっきりと言っておくぞ? ノゾミちゃんは録音ではない(・・・・・・)ぞ?」

 

:命乞いはみじめだぞ

:もう自供しちゃおう、魔王様?

:諦めて投降して?

:録音じゃないなら証拠よろ

:エビデンスが重要なんですよ

:魔王様… (´;ω;`)ブワッ

:かつ丼あげるから素直に話して

 

 

「ノゾミちゃん、こやつらこんなこと言っておりますぞ……」

 

「むぅ…… 私、本当に録音じゃないよ?

 そうだ! じゃあ証拠に、みんなのアカウント名読み上げるね!

 えーっと、『アザラシ』さん、『M-007』さん、『しふぉん』さん、『パンジャンドラム*1』さん、『田中』さん、『魔王様のおみ足ペロペロ1番隊』さん…… って、この方すごい名前ですね… アハハ…」

 

:?!?!?!?!?

:ファ?!

:ワイの名前呼ばれた!?

:まじで録音じゃないんか?!

:ぺろぺろ1番隊ってなんだよ…

:?!

:ま、まて。まだ全て仕込みの可能性が(震え声)

:俺の名前呼ばれた!

:おみ足ペロペロしたいのは分かるけど名前w

:どこかの英国の失敗兵器もいますね…

 

 

「おお、ノゾミちゃんナイスなのじゃ!

 ふふふ、どうじゃお主ら? これで録音ではない(・・・・)ことが分かったじゃろぉ? して、足を舐めたい変態がおるようじゃな? まったく、ノゾミちゃんになんてこと言わせるんじゃ…! まぁ、我のことを()いておるのは分かるから今回は不問にしてやろう」

 

「録音じゃないって分かってくれたみたいで良かった!」

 

「それじゃノゾミちゃん、もっとお話しましょうなのじゃ。

 えっと…… どんな話をしておったかのう……」

 

「えーっと、お互いがお互いの配信を見てるよーって話をしたところだったっけ?」

 

「おお、そうじゃそうじゃ。

 我、ノゾミちゃんの配信の中でもASMR配信が一番好きなのじゃが、最近ASMR動画のアップがなくて寂しいのじゃ…… もっと欲しいのう…… という個人的な願望を言ってみたり… チラッ」

 

:まて、まだ頭の整理ができていない

:なに個人的な要求してるんw

:そんな要望言えるまでコミュ障改善したんか(涙)

:たしかに最近ノゾミちゃんのASMRなくてツラ谷園

:普通に会話再開して草w

:草に草を生やすなデコスケ野郎

:まじかー、こんな日が来るなんて……

:うれし涙で画面が見えねえ…

:(´;ω;`)ウッウッ…

 

 

「うーん、ASMR動画に使うマイクって普通のマイクじゃなくて、『バイノーラルマイク』っていうんだけど、実は私、自分のを持っていないんだ~。

 性能が低いマイクだと音質悪くてリスナーさんたちに申し訳ないし、やるときはちゃんとしたのをレンタルしてやってるの」

「そうじゃったのか…… バイノーラルマイクって結構良いお値段するからのぉ」

 

「そうそう! 最高級のダミーヘッドマイクなんて100万円するって聞いてビックリしちゃった!」

「なるほど、つまりはノゾミちゃん専用の最高級のマイクがあれば良いわけじゃな。メモメモ…」

 

:ダミヘって100万もするんか

:魔王様なにメモしてるんw

:リスナーのために妥協しない配信者の鑑

:魔王様良からぬこと企んでそう

:ノゾミちゃんレンタルだったのかアレ

:バイノーラルは安いのだと音質があれだしな

:やすいのでも1万はするぞ

 

 

 

「今日はありがとうなのじゃ、ノゾミちゃん!」

「ううん。こちらこそありがとう! いっぱいお話できてたのしかったよ! またね~」

 

 

 

「……どうじゃ、お主ら?

 これが―― これこそが、魔王ニーナ・ナナウルムなのじゃ」

 

:めっちゃドヤってるw

:いやまじか…

:無事に会話が終わった……

:通話が終わった今でも信じられん

:すごい夢うつつな気分

:でも俺まだ信じてない

:名前読み上げも絶対仕込みなんだ!(自己暗示)

 

 

「まだ疑っておる者も結構おるのぉ…… ククッ、きっとお主らは配信が終わるまで理解不能じゃろうな。

 ……っと、続いてのお客様がお見えになったの。皆もよく知る、あのお二人さまじゃ」

*1
パンジャンドラム:第二次世界大戦中に英国で生まれた妖怪珍兵器。欠陥兵器。英国の人は紅茶を静脈注射するらしいのでこういう発想に至ったと思われる。ニコニコ動画でレース大会が開かれており、近年日本で謎の人気を博している。ぱんころ~





魔王様、いったいどんなカラクリなんだ…(すっとぼけ)
前回の感想欄で近いこと言っている人もいますがドンピシャはまだいませんね(余裕の表情)。
まあ、たいそうなカラクリじゃないので聞いたら「は? そんなちゃっちいカラクリ? 処すぞ」ってなると思います。



今日はラクガキ魔王様

【挿絵表示】


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【定期】
Twitterとかpixivでもときどき生活してるので、よかったら遊びに来てください。
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15配信目 【#魔王様の宴】5万人記念で凸待ちじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

「ちょっと待っててくれ、今立ち絵を画面表示する準備をするからのぅ……

 よし、OKじゃ。

 それじゃあ、お二方とも、自己紹介よろしくお願いするのじゃ」

 

 

「皆さん、こんレイ~。はじめましての方も結構いらっしゃるかもしれないわね~。キラキライブ4期生で、()()魔王様()の同期のレイ・ブレイブよ~。

 一応勇者をやっているから、魔王様とは敵かもしれませんね。ふふっ 5万人達成おめでとう~」

 

「同じく魔王様の同期で、天使やってるリリィだぜー! 5万人おめでとう、魔王様!」

 

「と、言うわけで同期の勇者レイ・ブレイブと、天使のリリィじゃ」

 

:同期キタ - .∵・(゚∀゚)・∵. - ッ!!

:ついに来たッ!!

:この日をどれほど待ちわびたことでしょう…

:幾千もの月日を超えて、ようやく…(涙)

:あれ、また画面が歪んでる…(感涙)

:待ちわびた4期生全員集合配信ッ…!

:全員集合が5万人記念っていうのもいいな…

:あぁ…

:敵同士の勢力が仲良く配信するエモい様が見れるんだぁ…

 

 

「魔王と勇者、そして天使。相容(あいい)れない者たちじゃが、今日は休戦という感じで楽しく配信しようぞ」

 

「ええ、もちろん~」

「あったりまえだ! この日を私達は待ってたんだからな!」

 

「いやぁ、お待たせしてしまったな。じゃが、待った分だけ今日のニーナ・ナナウルムは絶好調じゃ!」

 

 

 凸待ち配信2人目、そして3人目はニーナの同期である4期生の二人だ。

 勇者という設定のレイ・ブレイブと、天使設定のリリィ。

 

 目を(つぶ)って聞いていると、まるで柔らかにそっと包まれているような、透き通るきれいな声で話すレイ。その声を聞いたものは『清楚』の二文字を思い浮かべるだろう。ニーナもそう()()()

 しかし、レイを端的に表すのであれば『やばいヤツ』だ。落ち着いた口調から不意打ち気味に繰り出される、天然とも、お茶目ともとれるサイコパスのような発言。そのギャップがリスナーに人気で、『疲れたから目玉を取り替えてくる』発言や、『食べちゃいたいくらい可愛い』発言など、よくニヨニヨ動画に切り抜き動画がアップロードされる。

 

 他方、リリィは『活発』『豪快』そんな言葉が似合うような、なんというか話を聞いていて気分がいいお姉さんだ。

 男勝りな性格から女性リスナーにも人気だが、彼女を端的に表すのであれば『やばいヤツ』だ。何がやばいのかと聞かれれば性癖がやばい。『ロリコン』程度であれば、まあそんな感じなのね、で終わる。しかしリリィは『ペドフィリア』『ロリコン』『達磨(だるま)性癖』『ネクロフィリア』、その他諸々。それら全ての性癖を併せ持つ、いうなれば性癖の合成獣。某匿名掲示板では性癖の禁書目録ともっぱらの評判だ。ちなみに男の子も女の子も、男の()()んなの子も、全部好きらしい。

 とは言っても、性癖はアレだが、性癖を除けば、性癖に目を瞑れば、割と気のいい近所のお姉さんみたいな性格なので、リスナーからは割と慕われている。

 

「ふふ、調子いいんだから~。本当に待ってたのよ~? 魔王様がシャイでなかなかコラボできなくて、でもコラボしたいーって、天使様と一緒に魔王様のマネージャーさんに相談したこともあったわね~」

 

「あったあったw 結局振られちまったけどな」

 

「いやぁ、すまんかったのぅ… じゃが我も日々精進しておる。こんな仮初(かりそめ)ではなく、いつか本当に… あ… ん゛ん゛ッ!」

 

 

:『本当』に……?

:今なに言い淀んだ?

:仮初?

:おいまて今なに言おうとした

:やっぱなんかカラクリあるんか

:でも二人とも別人でもなさそうだしなぁ…

 

 

「あ↑、いや、なんでもないぞ↑? のう?勇者に天使」

 

「ええ、魔王様は何も言ってないし、何でもないわ~」

「当たり前だぜ! 本当だぜ! 嘘じゃないぜ!」

 

:限りなく怪しさMAXで草

:草

:草

:声裏返ってますよ魔王様

:汗ダラダラ流してそうw

:その汗舐めてもいいですか?

:↑ダメです。

:ペロッ この味は…!嘘をついている『味』だぜッ!!

:でもやっぱり仕掛けが分からん

 

 

「し、仕掛けなんかないのじゃ!

 そういえば、我、最近ペットの猫を飼っているのじゃ! 猫って可愛いのじゃよの?!」

 

「私もそう思うわ魔王様~」

「私もそう思うぜ! 六花と天花かわいいよな!」

 

:フリが雑ゥ!

:急な方向転換は魔王様の特権

小生(しょうせい)も可愛いと思います。

:ワイトもそう思います。

:俺も。

:わたくしもそう思いますわ。

:ワッチも。

:拙者も。

 

 

「六花がお茶の入ったコップ倒したときも可愛さで許せるぜ!!」

 

「そうじゃのう! あのときは怒るべきところじゃったが、あんなつぶらな瞳で見られたら怒れんわい」

 

:うーむ、本当に仕掛けが分からん。

:相手のボイスミュートして字幕読んで会話してるとか?

:意外と本当にコミュ障改善した説

:別に何でもいいや。

:魔王様のコミュ力MAXの姿見れるだけで私は嬉しい。

:事前にやっぱり録音かなぁ?

:録音だと莫大な量になりそう

:チャットで会話しつつ、音声ミュート、あると思います。

:俺は本当にコミュ障治したんだと思う

:魔王様は努力家

:俺は魔王様を信じるぜ!

 

 

 コメントを見る限り、大丈夫そうだ。

 

 ニーナはふぅ…と、マイクに音声が乗らないように小さく安堵の息を漏らす。

 危なかった。自分の失言で危うく計画がぱあになるところだった。しかしとっさの機転でバレずに済んだ。「さすが我」と自分を褒める。

 

 

 

 ――さて、もう少し六花と天花の話題を続けようかのう?

 

 

 そう考えているニーナの目に、ふと、一つのコメントがとまった。

 

 

 

 

 

 

 レイ・ブレイブ:その勇者、私じゃないわ~

 

 

 

 





ちょっと短いけど、今日はここまで。
次話は明後日くらい…… タブン…



感想でも結構感のいい人たちが気づき始めている…!

お願い、バレないで魔王様!あんたが今ここでバレたら、リスナーたちを騙しまくるっていう約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、いっぱいだませるんだから!

次回、「リスナーにバレる」。デュエルスタンバイ!


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16配信目 【#魔王様の宴】5万人記念で凸待ちじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】3

レイ・ブレイブ:

その勇者、私じゃないわ~

 

 

「なん…じゃと……!?」

 

 

 思わず声に出してしまった。

 それくらい我にとっては衝撃的だった。

 

 おかしい、たしか勇者レイ・ブレイブは現在ゲーム配信中のはずじゃ…!

 キラキライブ公式アプリで各配信者の配信スケジュールも確認したし、なんならレイのトゥウィッターも見て確認したぞ!?

 

 ライバーにバレるのは想定内じゃが、勇者! お主にバレるのは完全に想定外じゃ!

 それにまだ凸待ち3人目じゃ! 6~7人目くらいまでは行けるという我の目論見が外れるなど、有りえぬ!

 真根さんとも確認した、我のこの完璧でパーペキな作戦に穴などあるはずがないのじゃ…!

 

 普通に考えて、配信しているライバーがこちらの配信を見ることはない。

 リスナーも二つの配信を同時視聴するやつなんてほぼいない……と思う。

 

 その、はずなのに……!?

 

 

 

 リスナーだけじゃなく、キラキライブのライバー達にもちょっとしたイタズラをプレゼントしようと、真根さんと綿密な打ち合わせをしてある。

 

 凸待ち配信に出演させるライバー本人に連絡をするべきか迷ったが、言わないほうが面白くなると思う、という我の意見を真根さんは尊重してくれた。

 まあ、ライバーのイメージダウンになってしまわないよう、口を酸っぱくするくらい真根さんに「発言には注意してね!」と釘を刺されたが。それでも我の願いを精一杯叶えさせてくれようとする真根さんはやはり優しいのじゃ。

 

 ゲリラ的に5万人記念配信の内容を発表したのも計画を上手く運ぶためだ。

 何日も前に『凸待ち配信をします』なんて言ってしまえば、レイやリリィ、その他のライバーが自分の配信時間を少しずらして、我の凸待ち配信に来る可能性があったのじゃ。

 

 ……まあ、今世の我、別にそこまで人望ないから自分の配信時間ずらしてまで来る稀有なやつなんているとはあんまり思わんが…… まあ、早々にバレてしまわぬよう、念には念をいれた。

 

 それがどういうわけじゃ?

 なぜレイがコメントしている……?

 

 ……まて、おちつけ、我。

 別にこれは致命傷じゃない。そうじゃ、まだ舞える…! こんなにも早くほころびが生じるとは想定外じゃが、まだ戦える! 余裕のよっちゃんじゃ!

 

 そう! ニセモノが本物になってしまえば良いのじゃ!

 何という妙案! さすが我! まっこと天才じゃ!

 

 

:ふぁ!?

:勇者が二人……! 来るぞユウマ!

:なん…だと…!

:どういうことw

:いったいなにが始まるんです?

:勇者がコメント欄にいるんだがw

:ドッペルゲンガーですかね

:素晴らしい『なんだと』イタダキマシター

 

 

「まて、皆の者。えーっと…… いいか、このコメントの勇者は幻影じゃ。そう、お主らが生み出した幻影じゃ。いわゆる集合的無意識からくる共有された幻影じゃ…!

 さあ、レイを(かた)る幻影よ! 静まり(たま)え! 静まり給えぇぇぇええ!」

 

:あせってるあせってるwwwwww

:幻影は草

:苦しすぎるw

:幻影は無理じゃろ

:ニセモノって言うけど、本物のアカウントなんですよコレ

:垢本物だからその言い訳は苦しいwwww

:でも魔王様と喋ってる勇者の声本物だしなぁ……

:勇者に声がそっくりの友達とか?

:魔王様友達おらんやろ

:↑やめろよ……

 

 

「そうじゃそうじゃ! 皆の言う通り、こちらの勇者が本物じゃ! のぅ?勇者?」

 

「ええ、魔王様の言う通り私が本物よ~? 天使様もそう思うでしょう?」

 

「あったりまえだぜ! この勇者が本物だぜ! うそじゃないぜ!」

 

:どういうこと???

:?????

:頭が混乱してきた…

:勇者のアカウントが乗っ取りにあってるとか?

:コメントが偽物なん?

:?

:(^q^)ぇぁ?

 

 

「ふふふ、どうじゃ? 幻影の勇者よ、そなたが本物だというのなら、そのことを証明できるかのう?

 出来ないじゃろう? そう、出来ないのじゃ! なぜならこちらには勇者の『声』がある! そなたは『文字』だけじゃ! ふふふ、フハハハハハハ!!! 理論要塞セオリティカル! 貴様にこの城を攻略できるかのう? フハハハ!!!」

 

:魔王様が魔王様してるw

:テンションがおかしいw

:いや絶対魔王様ウソ付いてる

:どうやっとるんや…

:声真似とか?

:いやでもここまで声真似で似せるのとか無理やろ

:1人ならまだしもノゾミちゃんや天使もいるしな……

:声真似が超絶上手い魔王様、あると思います。

 

 

レイ・ブレイブ:

一つ、質問いいかしら~?

 

 

「なんじゃなんじゃ? ほれ言うてみ? 特別に許可しようぞ」

 

 

レイ・ブレイブ:

私、()()()()()()のことを()()()って呼んだことないのだけれど

 

 

 ――え? マジ?

 

 確かに我に対する一人称が分からず、我に呼びかけるとき一瞬逡巡(しゅんじゅん)してしまったが…… え、皆、我のこと魔王様って呼ぶんじゃないの?

 ……あ、いや、ノゾミちゃんとか我のこと『ニーナちゃん』って呼ぶじゃないか?! 何たる不覚ッ! 我の完璧な事前調査にも抜けがあったということなのか……!

 

 じゃ、じゃが、まだ焦るような時じゃない。

 そう、相手に対する呼びかけ方くらい、日によって変わることだって、なくもない……だろう!

 

 

「い↑、いやぁ、勇者はきっと5万人記念配信という、ある種格式ある(もよお)しに合わせて、呼び方を『魔王様』にしてくれたのじゃろう?」

 

「そ、そうよ~? 親しき仲にも礼儀ありという格言もあるわ~ ニーナちゃんの言う通りよ~?」

 

:苦しすぎて窒息死しそうwwwwww

:魔王軍の勇者が焦ってるw

:魔王様、息、してる?w

:勇者が焦ることはないから、やっぱり嘘じゃないか!

:草

 

レイ・ブレイブ:

じゃあ、もう一ついいかしら~?

 

「な、なんじゃ…… ま、まだあるのか……」

 

:勇者に魔王が怯えてるwwww

:明らかに焦ってて草オブ草w

:草

:怯えてるやんw

:蛇に睨まれた(かえる)かな?w

 

レイ・ブレイブ:

どうして立花ちゃんがお茶をこぼしたことを、()()()()()()()知っているのかしら~?

 

「な、なにを言って……   …ッ! そ、それは…… きっと我の配信を見て知ってじゃな… のぅ?」

 

「そそうだぜ! ああたり前田のクラッカーなのだじゃぜ!」

 

 

レイ・ブレイブ:

ニーナちゃんはそのことを配信でもトゥウィッターでも言ってないわ~

 

 

 我は思わず天を仰ぐ。

 あかん、我、完全にやらかしてもうてるんじゃぁ…

 

 さっき焦って立花と天花の話に方向転換したときに、リリィと我はこう言ってしまった。

 『六花がお茶の入ったコップ倒したときも可愛さで()()()ぜ!!』

 『そうじゃのう! ()()()()()怒るべきところじゃったが、あんなつぶらな瞳で見られたら怒れんわい』

 

 アウトじゃぁ……

 

 ――い、いや、ま、まだじゃ! 諦めるな我!

 

「じゃ、じゃが、こちらで勇者がしゃべっているのはどう説明するんじゃ? ほれ、説明無理じゃろう? 無理…じゃよね……?」

 

:弱気になるなwww

:ふんばれよw

:語尾が弱いですよ

:逆に言えばそこしか対抗手段ないやんw

 

レイ・ブレイブ:

ニーナちゃん、声真似が上手ってマネさんから聞いたわ~

 

 

 真根さぁぁぁああああぁあん!!!

 いや、確かに我、面接のときとかに声真似できるとか言っちゃったけど! 真根さんもそのこと知ってるけども!!

 

「い、いやぁ… そんなに上手くないのじゃけどよな~……」

 

レイ・ブレイブ:

ニーナちゃんと勇者、()()()しゃべることは出来るかしら~?

 

 

 OH...

 Holy shit...

 

 詰みです。対戦ありがとうございました。

 

 

「……」

 

:なんとか言えよ魔王様

:黙ってて草

:え、マジで声真似なの?!

:声真似ならそれはそれで驚愕なんだけどw

:ふぁ?! まじ声真似なん?!

:真似上手すぎひん?!

 

 

 ……レイの言う通り、我の声真似じゃ。

 

 我の声真似は、前世で習得した魔法『コエモシャル』。

 師匠にも「お前のコエモシャルの精度は魔界一だろうな… 子どもの遊びで使うような魔法をここまで高めたのはお前が初めてだよ…… はぁ…」って褒められたのじゃからな!

 

 そんな我の『コエモシャル』を見破るとは……!

 

 

 

「フッ……

 

 フフフ… フハハハハハハハハハ!!! よくぞ見破った勇者よ!

 我の完璧で隙のないパーフェクトでマーベラスな計画をよく見破った! 素晴らしい! 素晴らしいぞ!

 

 ……こんなに早く見破られるとは想定外じゃが、全然悔しくなんかないんじゃもん! 本当じゃもん!

 皆が混乱の渦に巻き込まれる中、後日ネタばらし配信しようと思ってたけど、全ッ然!くやしくなんか、ないんだからね!

 

 じゃが、我が宿敵として不足はないことは分かったのじゃ。僥倖(ぎょうこう)といえるじゃろう!!

 今日はこのくらいで許してやる! さらばじゃ!」

 

:悔しそうw

:心底くやしそうで草

:草

:草

:魔王様涙目じゃんwwwwww

:敗走魔王

:wwwwwww

:計画は完璧でしたか……?

:計画にも穴はあるんだよな…

 

レイ・ブレイブ:

わたし、()められたわ~

 

 

 

 

 

この配信は終了しました

 

 

 

 




というわけで、次回は釈明配信。



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17配信目 【#魔王様の宴】凸待ち釈明会見をいたします【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

【#魔王様の宴】凸待ち釈明会見をいたします【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

:釈明会見草w

:結局声真似なんだっけ?

:声真似だけど詳細不明

:配信の背景がいらすとやで草

:テレビの謝罪会見みたいw

:無駄に背景凝ってて草

 

 

「えー、では…… 本日はお忙しい中、我、ニーナ・ナナウルムの釈明会見にお集まりいただき、えー、ありがとうございます。

 これより、我が先日行いました、凸待ち配信の詳細について、えー、ご説明したいと思います」

 

:草&草

:カメラのフラッシュまで再現してて草

:ちゃんと左上に注意書きあって草

:wwwwwwwww

:※フラッシュの点滅にご注意ください

:おもしれー女

:演出で腹筋崩壊次郎なんだがw

:ほんとおもしれー女w

 

 

 配信を開始し、困り眉の顔をしたニーナの立ち絵をとぼとぼと登場させる。

 イメージするはニュースでたびたび行われる謝罪会見。記者団に囲まれてまるで断頭台へ向かう当事者。

 

 別にニーナ自身はそこまで悪いことはしていないと思っているが、今回はそういうテイストの配信で行こうと思う。これも一種のエンターテイメント。

 

「えー、では、恐縮ながら、席に座らせていただきながら、進めさせて、えー、いただきたいと思います。

 ……よっこいしょういち」

 

:そのしゃべり方なんなんwww

:いちいち“えー”って言うな

:立ち絵細かく動かしてて草

:こころなしか笑いをこらえてる?w

:ちょいちょいネタが古いんだよw

:空気ヒエッヒエで草

 

『質問よろしいでしょうかー?』

「あ、はい。ではそちらの女性のかた、どうぞ」

 

『なぜズルをしてまで凸待ち配信をしたのでしょうかー?

 リスナーの中には、本当に魔王様がコミュ障改善したとピュアに信じた人もいたんですよ!』

 

:記者団の音声も用意してて草

:この記者の声も魔王様なんだよな……

:1人おままごと

:記者も魔王か…

:アルティメット一人遊び

:イマジナリーフレンドかな?w

:自作自演魔王

:会見も自作自演で大森林

 

「はい。えー、純粋に信じてしまった方もいると、たしかに、聞いています。

 コミュ障がそんなに簡単に改善するなら苦労ないじゃろ、と言いたいですが、ピュアッピュアな臣下には、本当に申し訳ない。メタル男並にそう思っております」

 

:なんやねんその態度

:煽ってるのか謝罪してるのか…w

:完全に煽ってて草

:本当に申し訳ない(笑)

:謝罪する気なくて草w

 

 

『で、何でこんなことしたんですか! 国民は怒っているんですよ!』

 

「はい、えー、我は、皆様に楽しんでいただきたいと思ってこの配信を企画いたしました。

 コミュ障な我が、なぜか平然と他のライバーと話す。それは皆様にとって、とても衝撃的なものかと存じます。

 なぜだ?なぜだ?と皆様は混乱して、後日、我がネタばらしをする。

 そんなちょっとしたイタズラだったんです。かわいいかわいい我がするそんなイタズラに、リスナーはメロメロになることは自明の理であり、火を見るより明らかであります」

 

『なるほど…… つまりはみんなに楽しんで欲しいがために、このような行動にでたと』

 

「そのとおりです」

 

『分かりました。そういう理由であれば国民も納得すると思います。

 魔王様の素晴らしいお心遣いに感服いたしました。以上です』

 

:記者団、魔王軍の回し者じゃんwww

:「以上です」じゃねーよ!w

:もっと追求しろよw

:完全に回し者で草

:さすがは一人芝居

:こうして歴史が捻じ曲げられるんやな

:プロパガンダかな?

 

『魔王様、わたくしもよろしいでしょうか?』

 

「えー、はい。では、そちらのハンサムな男性の方、どうぞ」

 

『そもそも、あの凸待ち配信は本当に魔王様の声真似でやられていたのでしょうか?

 あまりにも声真似の精度が高く、“魔王様はどれだけ多才なのか”、“天は二物を与えすぎィ!”、“魔王様は天才だ”、そういった驚きの声が散見されると思うのですが』

 

「はい。あれは我の声真似です。

 より正確に言うのであれば『コエモシャル』という異世界の魔法になります。中級魔法に分類され、声帯を一定時間魔法的に変化させる魔法ですが、ここまでの再現度は我の技量の高さ故です」

 

『なるほど。魔王様が天才だからできるわけなのですね…… 今のはメラ○ーマではない、メ○だ、のようなものであると……

 さすが魔王様です。尊敬の念を禁じえません。以上です」

 

:だーかーらー!www

:完全に魔王様よいしょ会見で草

:以上じゃねーってwwwww

:ていうか、男の声もだせるの!?

:魔王様こんなイケボだせるんか!

:さらっと男性ボイスも出せる事実に驚愕

:いやでもすげー特技だな

:普通にものまね芸人として食っていけるな

:↑コミュ障がTV出れるわけないだろ定期

:かなしい

 

『こちらもよろしいでしょうか?』

「はい、では精悍(せいかん)な顔立ちのおじさま、どうぞ」

 

『今回はちゃんとキラキライブ本部に話を通しているのでしょうか?

 以前にも、レーペックス配信において会社の許可なく無断でおてて配信をしてマネージャーに怒られたのでは? 国民は怒っていますよ』

 

「はい。レーペックス配信の件では世間の皆様にご心配をおかけいたしまして、大変失礼いたしました。

 今回の凸待ち配信の件につきまして、我のマネージャーと度重(たびかさ)なる協議を()て、実行に移っております。また、マネージャーを通じ、キラキライブ上層部にも話がいっていることを申し添えます」

 

『わかりました。過去の失敗を(かて)に、次へ活かす。

 成長できてて偉いです。グリフィントールに5000兆点あげたいと思います。以上です』

 

:ふぁーwwwwww

:グリフィントールインフレしすぎw

:魔王様グリフィントールなのか…

:絶対あんたスリサリンやろ…

:完全に魔王軍が用意した記者団で今年はじめて笑ったw

:今年初笑い兄貴は来年もっといい年過ごして

:このハスキーいけおじボイスも魔王様なん!?

:おじさまボイスも良いな

:ていうかもうボイス販売してくれ

 

「さて、他にご質問は……

 まだまだあるようですね。もう少し会見を続けましょうか」




会見はもうちっとだけ続くんじゃ。



最近忙しくて感想返せていなくてごめんなさい。
皆さんから頂いた感想は全部読んでおります。なんなら2~3周は読んでます。
皆さんの感想面白いんですよね。
凸待ち配信の感想とかニヤニヤしながら読んでました。

前回くらいからページ下部にアンケート置いているんですけど、読者の20%くらいはVtuber全然見ない方なんですね…
1割未満だと思ってたのでびっくりしました。



【宣伝(定期)】
高評価 感想 などいただけるととっても嬉しくてモチベ維持になります。もし良かったらお願いします。
また、気に入ったら お気に入り登録 もぜひしていただけると嬉しいです。

カクヨムさんでもマルチ投稿しているので良かったらこちらも応援よろしくお願いします。
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18配信目 【#魔王様の宴】凸待ち釈明会見をいたします【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

「では、そこの我並にかわいい女性のかた、どうぞ」

 

『会社への(報告)(連絡)(相談)が出来ていたことは非常に素晴らしいのですが、声真似をしたライバーへの連絡はしていたのでしょうか?

 ものまね芸人も許可なくやる場合も多いですが、勝手に声真似されると困るライバーもいると思います! 国民は怒っています! そのあたりについていかがでしょうか?』

 

:国民は怒っています()

:怒っています(にこやか)

:絶対怒ってないやろwwww

:終始よいしょなんですがそれは

:記者が1ミリも非難するきなくて草

 

 

「はい、えー、国民の皆様には大変、申し訳なく思っている、えー、次第で、あります。

 声真似をしたライバー本人に、連絡はしておりません。しかし、各ライバーのマネージャーさんには事前にご連絡させていただき、あらかじめマネージャーさんには許可をとっていることを申し添えます」

 

『なるほど。ではなぜ本人に連絡をしなかったのでしょうか?』

 

「普段、我はコミュ障が(ゆえ)に、他のライバーさんとの(から)みがありませんが、ライバーさんにもイタズラをプレゼントし、一緒に楽しんでいただけたらと思った、えー、わけであります」

 

『つまり、他のライバーさんに楽しんでほしいから。そういう純粋な心から、本人に連絡をしなかった。

 そして、ライバーとリスナーを巻き込んだ、一大イベントへと昇華したかった。そういうことでしょうか?』

 

「全くもって、そのとおりでございます」

 

『魔王様の思慮深さに私、脱帽でございます。お答えありがとうございました』

 

:マネージャーには許可もらってたんか

:まあ最低限のラインは守ったか

:よいしょを欠かさない記者団

:記者団いっつも感服してんな

:ノゾミちゃんのASMRの件は何で知ってたんや

 

 

「ん? ああ、えー、今の件について補足、させていただきます。

 我は凸待ち配信中に『ノゾミちゃんがバイノーラルマイクを自分用には持っていない』というお話をしましたが、これはノゾミちゃんのマネージャーさんへチャットで事前インタビューをした際に知りました」

 

:インタビューw

:なぜ事前準備がしっかりしてるのに凸待ち3人目でバレたのか

:事前調査しっかりやってるやんwww

:すぐに看破した勇者ェ……

 

 

『魔王様ー! 今の件に関してご質問よろしいでしょうかー!』

 

「はい、どうぞ」

 

『白月ノゾミさんのマネージャーに事前インタビューをしていたとのことですが、天使や勇者にも同様にマネージャーへのインタビューをしていたのでしょうか?』

 

「はい、そのとおりです。

 ちなみにトゥウィッターで凸待ちの告知をした際、10人くらい凸待ちする旨の発言をしたことからも分かるかもしれませんが、我は今回、10人分、各マネージャーさんへのインタビューをし、また、各ライバーの動画を視聴し、調査をしておりました」

 

:10人分の努力を一瞬で(ほうむ)り去る勇者w

:やっぱ勇者が魔王を倒すんやなwwww

:悪は敗れるwwww

:正義は必ず勝つんやで

:勝ったほうが正義やしな

:ていうか10人分も声真似できるんか……

 

 

『ちなみに、他には誰を予定していたのでしょうかー?』

 

「そうですね…… 勇者と天使のあとには3期生の近野千香(ちかのちか)さんや、立花十華(たちばなとうか)さんを予定しておりました」

 

『なるほど。魔王様の完璧な計画を瞬時に看破する勇者はやはり恐ろしいですね。

 今回の件で、我々魔族一同、より気を引き締めなければと思いました。以上です、ありがとうございました』

 

「はい、ありがとうございました」

 

:我々魔族……? 妙だな……

:記者ついに化wけwのw皮wをw

:こいつらwww

:ついに我々魔族とか言い出したwwwww

:完全にサクラやないかwwwwww

:草

 

 

『魔王様! そもそも本物の勇者が凸待ち配信に来てしまったのはなぜでしょうか?

 本来、本物の勇者はゲーム配信中であり、また、凸待ち配信の告知もゲリラ的であったことから、勇者が来てしまうことは想定外だったと思うのですが』

 

「はい、良い質問ですね。

 まず前提としてお話しておきたいのですが、他のライバーさんにバレることは、我としても想定内です。自分は凸待ち配信に出演していないのに、画面には自分がいて、しかも喋っている。不思議に思うのは当然ですね」

 

『つまり、勇者が凸待ち配信に来てコメントをすることも想定内であったと?』

 

「いえ、それについては想定外です。

 凸待ち配信を開始してすぐに他のライバーの方からコメントがあっては、企画が1分で崩れてしまいますよね?

 ですので、我はキラキライブの各ライバーのスケジュールを確認し、配信スケジュールが我の凸待ちと(かぶ)る人を意図的に抽出し、その人らを1人目~5人目くらいまでに設定していました」

 

『ということは、凸待ち配信の1~5人目まではバレることを想定しておらず、6~10人目でバレる分には想定内、ということですね。

 魔王様の明敏(めいびん)な頭脳に感服いたします。しかし、そうするとなぜ勇者はゲーム配信中であるにも関わらず、凸待ち配信にコメントできたのでしょうか?』

 

「我も気になり、凸待ち配信終了後、勇者に直接チャットでなぜ凸待ち配信に来られたのか問いただしました。

 すると、あやつなんて言ったと思います?

 

 『急にゲーム配信を切り上げてニーナちゃんの配信見たほうが良い気がしたから行ったの』ですって。

 

 え、普通に意味分からなくね?

 我はそう思いました。

 リスナーの伝書鳩*1、すなわち配信中の伝言行為があったならまだ分かりますが、そういったことは一切なかったそうです。我自身も伝書鳩行為がなかったことをアーカイブ動画にて確認いたしました」

 

『勇者のマネージャーがうっかり漏らしてしまったとかでもなく、単なる虫の知らせで来たと?』

 

「はい、そうです。

 勇者というのは総じて幸運値が高い傾向にあり、また直感に(ひい)でている者が多いです。しかし、レイ・ブレイブは例外中の例外。いや、規格外と言ったほうが良いかもしれません。本当に人間なのか(はなは)だ疑問であります。そのくらい意味不明です。たすけて」

 

:ゆwうwしwゃw

:勇者君さぁ…w

:やはり勇者は人間やめてる

:直感でそんなピンポイントにくる?w

:ユウシャコワイ

:魔王様助け求めてて草

:あの勇者目玉のスペアあるしな

 

 

『なるほど…… 魔王様の計画を台無しにするなんて、勇者はやはり許せないやつですね…!』

 

「それについては我から補足させてください。

 先程、凸待ち配信終了後、勇者とチャットで会話したというお話をしましたが、その際話の流れから、勇者に今回の企画内容をお伝えしました。

 勇者からは『私のせいで配信が終わってしまって本当にごめんなさい』『反射的にコメントしてしまってごめんなさい』という旨の謝罪をすでにチャットで受けています。

 まあ、そもそも我がライバー本人に意図的に企画を話していなかったことに(たん)を発しているので、ぶっちゃけ我の自業自得なのですが、勇者の名誉のためにも一応、ご報告申し上げます」

 

:まあぶっちゃけ企画知らんかったら意味不明だしな

:事故は起こるさ!(機関車並感)

:↑トーマスさんはお帰りください

:敵に対しても(おとし)めることはしない魔王様さすが

:事故だよ事故

 

 

『敵である勇者に対してもその真摯なスポーツマンシップ…! さすがは魔王様です!

 ……もしかして、勇者だけでなく、天使も魔王様の凸待ち配信のトリックを見破っていたのでしょうか?』

 

「いえ、天使はスケジュール通り、自分とリスナーの性癖暴露大会をしていたようです」

 

:天使wwwww

:天使さんさぁwwwww

:おい天使wwww

:www

:あいつ1時間ずっと性癖の話で喋りっぱなしだったな

:天界は恐ろしいな

 

 

 

「他にご質問はよろしいでしょうか?

 ……大丈夫なようですね。それでは、我の凸待ち釈明配信は、これにて一区切りとさせていただきます。皆様の貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」

 

『魔王陛下バンザーイ!』

『バンザーイ!!』

『魔王様バンザーイ!』

『バンザーイ!!』

 

:完全に正体現してて草

:記w者w団w

:正体現したわね

:バンザーイ

:釈明…会見……?

:拍手喝采で草www

 

 

*1
「〇〇(他のライバー)が△△(配信してるライバー)のことを☓☓って言ってたよ」というようなリスナーによる伝言行為。その配信の主役はもちろん配信をしているライバーなので、伝書鳩行為を不快に思うリスナーや配信者は多い。双方の許可がないなら基本的に迷惑行為になるのでやめたほうが良い。






今日お気に入り数が7,000件突破してました!
ここまでやって来られたのも皆さんのおかげです。
皆さんありがとうー!フラーッシュ!



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19配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.@*【キラキライブ】

【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.@*【キラキライブ】

 

 

458:名無しの下級臣下 ID:qJq++3Zj5

釈明配信見終わってやっとネタが分かってスッキリした

 

461:名無しの下級臣下 ID:YgYOZ+pRi

ネタが分かった今でも理解できんわ…

なにあの声真似…… あれもう本人だろ

 

463:名無しの下級臣下 ID:577JteTWT

え、ていうかさ、釈明会見の男性ボイスも魔王様なの?

流石に男性ボイスは違くない?

普通に考えて性別違う声出せなくないか

 

464:名無しの下級臣下 ID:3fp81Sx/L

>>463

釈明会見の男性ボイスも魔王様だぞ

トゥウィッターで本人がそういってる

ニーナ・ナナウルム

@nina_nanaulm

疑問に思っておる者が多いようじゃから追加で補足するが、会見中の男の記者の声も我の声真似じゃ。

まあ正確には『コエモシャル』じゃが。我の立ち絵が反応しないようにリップシンクを適宜切りつつ生アフレコしてたわけじゃな。さす我。

 

468:名無しの下級臣下 ID:L6buJfEEc

>>464

まじか…

 

472:名無しの下級臣下 ID:ei7/JLNBs

>>464

コエモシャルを譲らず世界観を守ってるのすこ

 

474:名無しの下級臣下 ID:T9zaNMOFk

>>464

さすまお!

リップシンクもちゃんと切っててえらい!

 

477:名無しの下級臣下 ID:HT+fEwNkU

そもそもの疑問なんだけど、女性が男性の声って出すことできるんか?

 

481:名無しの下級臣下 ID:dmaCJhnt7

>>477

声の低い女性もいるやろ?

あと、世の中には両声類(りょうせいるい)という人種がいてじゃな……

 

485:名無しの下級臣下 ID:9oyZPn7ZA

両声類とか初めて聞いたわ

なんぞ?

 

486:名無しの下級臣下 ID:rn3HXEHhn

>>485

ggrks(ググれカス)、と言いたいところだが同じ下級臣下のよしみで教えてやる

両声類ってのは、男声も女声も自在に操れる人種のことや。

もちろん両生類からきてる

 

487:名無しの下級臣下 ID:AoHpDpTEW

やさしいせかい

 

490:名無しの下級臣下 ID:9oyZPn7ZA

>>486

サンガツ!

 

492:名無しの下級臣下 ID:rN/On/MsQ

やさいせいかつ

 

494:名無しの下級臣下 ID:370e6S0+8

ここの臣下達、Vtuberスレの中でも群を抜いて民度良いと思うわ

ここに住み着いてから快適なんじゃぁ…

 

497:名無しの下級臣下 ID:25FtO/dyu

魔王様という圧倒的カリスマ存在がトップに居るからな

 

501:名無しの下級臣下 ID:hrRbVZius

圧倒的カワイイ存在の間違いダルルォ?!

 

502:名無しの下級臣下 ID:ftZZ1KfQI

魔王様の声真似って一卵性双生児なみに本人に似てるだろコレ…

 

506:名無しの下級臣下 ID:ykCOvU/rZ

>>502

ワイ、大学で音響を研究している准教授

真面目に魔王様の声帯を研究したい

 

508:名無しの下級臣下 ID:PFIcVRd4T

魔王様を研究材料のモルモットにするなど言語道断

神秘の隠匿の禁を犯すな

 

509:名無しの下級臣下 ID:zD5gueDDY

お前を頃す(デデーン!

 

513:名無しの下級臣下 ID:9+86nuVID

凸待ち配信で、なんていうかいい夢を見させてもらった気分

いつか魔王様が声真似1人おままごとじゃなくて、本当にコミュ障治して魔王様と他ライバーの織りなすてぇてぇ空間を見ながらゆっくり息を引き取りたい

 

515:名無しの下級臣下 ID:GeQbv08bd

わかる。

分かるけど生きて

 

519:名無しの下級臣下 ID:pi2urCDiF

『声真似1人おままごと』ってなにげに辛辣(しんらつ)ではないか?

ボブは(いぶか)しんだ…

 

522:名無しの下級臣下 ID:/AvLwuWec

>>519

事実だとしても言って良いことと悪いことがあるよな。

事実だとしても。

 

524:名無しの下級臣下 ID:XUvxoY2W+

>>522

なぜ2回も言った! 理由を言え!

 

527:名無しの下級臣下 ID:HlfhzCD1L

最初凸待ち配信って聞いたときはびっくりしたけど、(ふた)を開けたら1人おままごと。

これはこれでとっても面白くて良かったわ

 

528:名無しの下級臣下 ID:TlChD1/CS

>>527

凸待ちズル配信がバレてあたふたしてる魔王様カワイイぺろぺろしたい

 

530:名無しの下級臣下 ID:LYTFqSRo1

この凸待ち配信絶対Vの歴史に残るだろ

 

532:名無しの下級臣下 ID:DWNwGWEQN

釈明会見も凸待ちに負けず劣らずよかった

 

535:名無しの下級臣下 ID:+VpLQEoR/

釈明会見の魔王様の口調ツボなんだが、わかる?

 

539:名無しの下級臣下 ID:hXv+3VTVJ

>>532

分かる

 

541:名無しの下級臣下 ID:wwax1hazV

終始丁寧な口調で草だったわw

 

542:名無しの下級臣下 ID:KXMefF0aB

のじゃロリさんのことを忘れないであげて

 

544:名無しの下級臣下 ID:/Ro+xRxQL

完全にのじゃロリじゃない魔王様新鮮で面白かった

 

546:名無しの下級臣下 ID:2CD9xCeKP

釈明会見で、勇者が魔王様のところにコメントしたのは勇者の超感覚のせいって聞いて草生えて林はえて森だったわ

 

547:名無しの下級臣下 ID:mi3qyBBV9

勇者いっつも人間やめてんな

 

549:名無しの下級臣下 ID:H1BEzQLMm

勇者はたぶん本当に人間じゃなくて、ニュータイプかなんかなんだよ知らんけど

 

551:名無しの下級臣下 ID:R8KrQGUVB

ええ!?

ってことは、天使もニュータイプなんですよね当然!

 

553:名無しの下級臣下 ID:DqRQrsjOD

>>551

それがですね、奥さん。あの駄天使そんな凸待ち配信があったとはつゆ知らず、裏で性癖暴露大会してたんですよ

 

555:名無しの下級臣下 ID:jCYgmTeo8

天使の配信全然見てないから知らんけど、なにやってるんやアイツ……

 

558:名無しの下級臣下 ID:AhIrQQO5n

>>555

凸待ち配信の日は、好きなエロ漫画家のおすすめ作品の紹介してたぞ

どれも特級呪物並の変態性癖漫画や

 

562:名無しの下級臣下 ID:mQ6f4fk8+

なんなら紹介してたエロ漫画の作者がコメント欄に現れて大盛りあがりやったな

 

564:名無しの下級臣下 ID:IfSzF6oeA

盛り上がりに盛り上がり、予定時間の3倍配信したで

 

567:名無しの下級臣下 ID:3UCUiEDui

あいつほんと我が道を征くな……

 

568:名無しの下級臣下 ID:3bfdgI41U

天使だけ見てる世界が違いますね…

 

570:名無しの下級臣下 ID:LrMe2q9qM

マオウサマ バンザーイ!!!

 

574:名無しの下級臣下 ID:g+pbpXm6X

記者団(魔王軍)すこ

 

576:名無しの下級臣下 ID:q663I6Hmb

最後の魔王様万歳のところで飲んでたコーヒーこぼした

 

580:名無しの下級臣下 ID:L0QfyD7yn

万歳っ!ばんざああい!!(魔王軍)

 

581:名無しの下級臣下 ID:moBZDZTiA

(^q^)マオウサマバンザイ!

 

 

 

 






久々の掲示板でした
(^q^)マオウサマバンザーイ!!!


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20配信目 【I WANNA BE THE SATAN】鬼畜ゲーをプレイするのじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

【I WANNA BE THE SATAN】鬼畜ゲーをプレイするのじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

 

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:(^q^)マオウサマバンザイ!!!

:アイワナじゃん

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:クリアできるかな?

:記者団おおいな

:へんに記者団定着してて草

 

 

「さあ、お主ら! 今日は鬼畜ゲーと名高いアイワナの派生作品『I WANNA BE THE SATAN』をやっていくぞ!」

 

 海外のとあるプログラマーによって作成された、PC用フリーアクションゲーム『I WANNA BE THE GUYS』。通称アイワナ。

 どう考えても権利関係的にアウトな素材が使われていたりするが、一応フリーゲームとして配布されている。

 

 理不尽なトラップによる死因が多い鬼畜ゲーとして名高いが、随所に様々なゲームのオマージュが散りばめられており、思わずフフっとなってしまう。そんなセンスのあるトラップが日本人にも受け、昔ニヨニヨ動画で大きく流行した…… らしい。

 

 らしい、というのは、実のところ我はあまりアイワナについて詳しくない。

 鬼畜ゲーであるというのはなんとなく知っておるが、プレイしたことはないのじゃ。

 

 今回はそんな『アイワナ』に影響を受けた人が作った派生作品の一つ、『I(アイ) WANNA(ワナ) BE(ビー) THE() SATAN(サタン)』を実況プレイする。

 

 『I WANNA BE THE SATAN』を直訳すれば、『私は魔王になりたい』。

 一応主人公が魔王になるために旅をするという設定らしいが、ぶっちゃけストーリーなんてアイワナ系にはあって無いようなものと聞いておる。

 

 アイワナ派生作品のタイトルは慣例的に『I WANNA BE THE 〇〇』とすることが多いらしいので作者もあんまり考えずSATAN(魔王)にしたのじゃろう。

 

「じゃあ、早速プレイしていこうかの。まずは難易度選択か……」

 

 難易度はEASY・NORMAL・HARD・NIGHTMARE(ナイトメア)の4つじゃな。

 難易度の違いで何が変わるのかの説明が選択メニューに無いが、うーむ、どれが良いかのぅ?

 

「ま、我ってば(すで)に魔王じゃし、アイワナやったこと無いけど最高難易度のNIGHTMAREで問題ないじゃろ」

 

 ほい、っとNIGHTMAREを選択。

 

:あ

:あーあ

:やらかし

:もうクリアできないねぇ

:あー…

 

「え、なんじゃなんじゃ?

 我まだ難易度選択しただけなんじゃけど?」

 

:その難易度、セーブ出来ないぜ?

:セーブポイントなくなるよ

:ノーミス前提や…

:変更したほうがいいよ

:せめてHARDのが

:難易度ってセーブポイントの数の違いだけだぞ

 

 

「まじか…… まあでも逆説的に言えばノーミスでクリアすれば良いのじゃろう? よゆーじゃよゆー 我、魔王ぞ?」

 

:フラグ

:涙目魔王期待

:レーペックス上手いしワンチャン?

:レーペックスとはゲーム性全然違う

:そういえば権利関係大丈夫?

:あーそういえば配信してOKなんか?

 

「ん? ああ、心配ご無用じゃ。

 たしかに主らが心配するように、アイワナ系は権利関係的にアウトなものも多いが、I WANNA BE THE SATANはアイワナ系にしては珍しく、ドット絵からBGM、SE(サウンドエフェクト)、全て作者の自作じゃ。

 他作品のオマージュやらパロディやらもあるが、パロディとして許容される範囲のものしかない……と我のマネージャーからは聞いておる。

 

 加えて作者がQ&Aで『You are free to stream or create videos of I WANNA BE THE SATAN. You are also free to monetize your videos in all the standard forms of video monetization. Enjoy!』と言っておるように、配信も許可されとるし、収益化も許可されておる。まあ今日の配信は収益化しておらぬが」

 

:発音良すぎて草

:全然話聞いてなかったけど英語の発音綺麗すぎてびっくりした

:ちゃんとマネにも許可もらってて安心

:英語つよつよ魔王様

:英語得意やったなw

:むしろ配信可能なのこれくらいしかないしな

:ぶっこ抜きないんだ

:サタンって全部作者が自作してるのか…

:作者ってかサークルで作ってたな確か

 

 

「さ、NIGHTMAREでがんばって征くぞー。

 ふむふむ、Shiftキーでジャンプで、Zキーで銃攻撃、方向キーで移動じゃな」

 

 ゲームが始まってまずは操作感を確かめてみる。

 特に癖もなく、シンプルな操作でいい感じに自キャラが動いてくれる。ジャンプは2段ジャンプまでできるようじゃな。

 

 I WANNA BE THE SATANは2D横スクロールアクションで、簡単に言うなら某マリオ兄弟のゲームみたいな感じ。

 マリオ兄弟のようにジャンプして障害物を飛び越えたりもするが、主人公は最初から銃を持っているので、それで敵を倒すらしい。

 

「とりあえず1面は敵が出てこんのかのぅ? ま、このステージはチュートリアルみたいなもんじゃろう」

 

 左上のところに行けば次の面に進む感じじゃな。

 右に進んで、リンゴがなっている木々を抜けて、今度はリンゴの木の上の足場を左上に行く、という感じで大丈夫じゃろう。

 

「最初は簡単じゃな。

 横に進んで…… って危な! え、急に木になってるリンゴが落ちて来たんじゃけど?!?!?」

 

:よく避けれたな今の…

:魔王様すげ

:初見でリンゴアタック避けるのか…

:チッ

:避けやがったw

 

「なるほどじゃな。これが鬼畜ゲーたる所以(ゆえん)か。

 しかーし! 我が一枚上手(うわて)だったようじゃな! 魔王にはそのようなザコトラップ通用せんわ! ふはははは!」

 

 なんじゃ意外と大丈夫そうじゃないか。

 NIGHTMAREにしてしまって少し心配しておったが、この程度であればOKじゃ。それに、今のでリンゴが木から落ちてくるのは分かったからの。落ちてくると分かっているものを避けることなど容易(たやす)いわ。

 

「ほいほいーっと。らくらくリンゴの木は突破じゃ。

 全部のリンゴが落ちてくるわけではないのか。ま、次はリンゴの木の上の足場を渡って左上の扉のところに行けばよいのじゃろう? 簡単じゃな! 鬼畜ゲーとは名ばかりではないか! ふんふーん♪」

 

:あ、ここは…

:(こい…こい…!)

:得意げ魔王様たすかる

:鼻歌すこ

:ドキドキ

 

「ふんふーん♪ よっ…… ヴぇア!?」

 

 ファ?!

 なんじゃ今の?!?!?

 

 木の上の足場を渡っていたら今度は木になってるリンゴが“上に落ちてきた”んじゃけど!!? 死んだんじゃけど我!?

 

「なんじゃ今の!? リンゴがなぜ上に落ちてくるのじゃ!?

 重力仕事してないじゃないか! こんなのアイザック・ニュートンが驚きすぎて冥界から復活してしまうじゃろ?!」

 

:草w

:予想通りの反応で安心した

:凄い声でたなw

:ゔぇあ!

:ニュートン「?!」

:wwww

:ww

:こらニュートンさんもビックリですわ

:ニュートン「えー…」

:ニュートン「ワシに言われても…」

:wwww

:仕事してない重力さんサイドに問題がある

 

 

「スゥー……

 しかも死んだら最初からか…… なるほど。 難易度NIGHTMAREにしたからセーブポイントは今後一切出てこない。つまり、死んだらまたここからか……

 なるほどのぅ……」

 

 我は思わず天を仰いだ。





というわけで久々にゲーム配信。
活動報告で頂いた案を参考に、箸休め的な回を作ってみました。送ってくれた方ありがとうございます!


【定期】
・作者Twitter:https://twitter.com/yoruri3


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21配信目 【I WANNA BE THE SATAN】鬼畜ゲーをプレイするのじゃ!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】2

「また―― 最初から、じゃのう……」

 

:すげえ哀愁ある感じ出すやん…w

:魔王様、そろそろ休憩しよう?

:悲壮感がやばいwwwww

:親の顔より見たリスポーン地点

:もっと親のリスポーン地点見ろ

:親のリスポーン地点ってなんだよ

 

 通算何回目の死じゃろうか。

 100を超えたあたりからもう、数えるのをやめてしまった――。

 この風景も随分と見慣れてしまった。

 

 ……というか何じゃよ?!

 噂に違わぬ鬼畜ゲーじゃな! ビックリじゃわ!

 

 別に良いのじゃよ? リンゴが上に落ちても。

 重力さんだって、時には疲れて仕事をしたくないときもあるじゃろう。そりゃあしょうがない。でもな、リンゴが我にホーミングしてくるのはあかんじゃろ。

 

 まあいいよ。

 百歩譲ってリンゴはそういう危険な地球外生命体だとしよう。

 

 じゃが、この世界のあらゆるものは主人公に厳しすぎる。

 

 地面に設置された三角形の『針』は火星へ旅立つロケットのように突然空へ飛び立つし、ていうか、そもそも何で地面に大量に針が設置されてるんじゃ。

 歩いていたら通路の幅めいいっぱいの大きさのトゲトゲな壁が高速で主人公潰しに来るし……

 向こう側にジャンプして渡ろうとしたら足場が1マス突然動いてヒョイッという効果音とともに主人公が死ぬし……

 

 

 そんな過酷な世界にもめげずに、我は先程2面のボスまで攻略した。

 さすが我。

 セーブポイント皆無の難易度NIGHTMAREで素晴らしい戦果じゃ。

 

「なあ、このゲーム知っておる者がおったら聞きたいんじゃが、我さっき2つ目のボス倒したじゃろう? クリアまであとどのくらいなのじゃ?」

 

:ボスって4~5体だっけ?

:ボスは確か5体

:後少しで半分くらいかな

:たぶん半分くらい

:サタンは若干短い

 

「了解じゃ。ふふふ、ならばクリアはできそうじゃな。

 プレイ開始から既に10時間くらいか。そろそろ我も慣れてきたし、このままクリアまでぶっ通しで配信するのじゃ!」

 

:え

:まさかの耐久配信

:もう既に耐久

:流石に休憩しようぜ…

:10時間もやったんだから休憩したほうが……

 

「六花と天花にご飯とおやつあげたときに休憩してるから大丈夫じゃ。

 いや、流石にちょっと疲れてきたのう…… ちょっと待っておれ」

 

:でしょう?

:突然席たってどうした

:どした?

 

「じゃーん! こんなときの日のために買いだめしてある『バケモンエナジードリンク』通称モンエナなのじゃ! ウェへへぁ…w 夜ふかしの友にはこいつが最高なのじゃ…w」

 

:あかんw

:じゃーん。かわいい

:完全に目がイッてそうw

:ぐるぐる目になってるw

:魔剤www

:そなたもモンエナ教の敬虔な信徒か…

:かわいいからのあかん

:深夜テンションみたいになってて草

:キメてんだろ… くれよ……

 

「さあプシュッと開けて…… ウェへへ…w ウェヒ…w

 さあ、『I WANNA BE THE SATAN』よ! そなたをクリアするまで我は全力を持ってお主を相手取ろうぞ!」

 

 

「やった…… ふふふ…

 皆の者――! やったぞ! クリアじゃ!! クリアなのじゃぁぁぁあああ!」

 

:ついにやりおった

:88888888*1

:8888

:おめでとう!

:めでてー!

 

 ついにクリアしたのじゃ!

 コメント欄も『888888』や『おめでとう』などのコメントが高速で流れ始める。皆も我のこの偉業を祝福してくれておるようじゃ。

 

 『Congratulations!』の文字とともに、エンドロールが流れはじめる。

 

 あぁ―― 我は本当にこのゲームをクリアしたのじゃな……

 なんと感慨深いものであるか――。

 

 ちらりと部屋の時計を見上げると、朝の10時。えっと…… つまり我は何時間ゲームやったのじゃ?

 あれ、始めたのが土曜日の午前9時で、今が、えーっと、日曜日の午前10時。

 

「我、25時間もこのゲームやっておったのか……」

 

:そうだよ

:昨日寝るまで見てて起きたらまだやってて草

:途中バケモンエナジードリンク飲み始めて心配した

:魔剤5本もキメてて草

:ナイトメアじゃなかったらもっと早く終わってたな

 

「あぁ――! 今、我、猛烈に、嬉しい!

 うぉぉおおぉああああ! やったのじゃぁああ! 六花に天花! 見ておったか我の勇姿! ほら、もっと(ちこ)う寄れ! ママが抱っこしてやるぞ!

 どうじゃった?我の勇姿? ……そうかそうか! いやぁここまで来られたのもお主らが我のことを癒してくれたおかげじゃ! ほら、よしよししてやるぞ! よ~しよしよし~」

 

:音声遠ざかってて草

:六花と天花抱っこしてクルクルしてそうw

:なにこのカワイイ空間

:くそ!画面が邪魔で魔王様のカワイイ姿を見に行けない

:よっぽど嬉しいんやなw

:ナイトメアクリアするとは思わんかった

:ガッツあるな魔王様

 

「良し! マネージャーにもクリアしたこと伝えるぞ!

 えーと『マネさん! 我、アイワナをNIGHTMAREでクリアしたのじゃ!』っと」

 

:マネにも送ってて微笑(ほほえ)ましい

:嬉しそうに報告する(めい)っ子かな?

:こんな娘が欲しい人生だった

 

 いやぁ、やばいのじゃ。

 自分でも分かる。今の我、アドレナリンが出まくってて、最高にハイってやつじゃな!

 

 この喜びをもっと分かち合いたい!

 

「そうじゃ! 勇者と天使にもこの喜びをチャットで分けてやろう!」

 

:あら意外

:勇者たちと連絡とってるんだ

:大丈夫コミュ障でない?

:チャットだと交流あったんだ

 

「ん? ああ、この前の凸待ち配信があった後、勇者たちとはなんだかんだチャットでやり取りする機会も増えてのぅ。まぁまだ音声通話はしたこと無いのじゃが……」

 

:仲良さそうで何より

:うんうん(ニッコリ)

:チャットだと意外とコミュ障じゃないもんな

:文字だけならレスバもできるらしいしな

 

「とりあえず皆も25時間ご苦労じゃった。まあ流石に我の配信をずっと見ておった者はいないとは思うが、夜ふかししたものもおるじゃろう。今日は身体をしっかりと休めるのじゃ」

 

:ずっと見てたぞ

:25時間ずっと見てましたがなにか?

:25時間ニキ意外といるやん……

:夜の2時以降起きた試しが無いわ

:さすがに眠い……

:魔王様は体調大丈夫?

 

「我の体調か? 全然大丈夫じゃよ。

 むしろ普段よりも快調かもしれんのぉ! 途中からバケモンエナジードリンクを何缶か飲んだからか、目がギンギンにさえての!w 集中力も増しておる気がするわい」

 

:草w

:ヤバそうw

:モンエナは飲みすぎるとやばいから程々にな

:配信いっぱい見たいけど、身体は大事にね

 

「心配せんでも我は大丈夫じゃ。なんせ魔王じゃからな。

 じゃあ、配信終了しようかの。皆の者、またなのじゃー」

 

:乙

:乙

:おつつ

:ノシ

 

 

 この配信は終了しました。

 

 

***********

 

 

「やっぱりまーちゃんなのかな……」

 

 

 

*1
パチパチパチって拍手する様子を8(パチ)で表すインターネット古来より伝わる表現方法






次回、魔王様、動くようです。


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22配信目 【告知】臣下の皆に、重大発表があるのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

【告知】臣下の皆に、重大発表があるのじゃ【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】

 

:どうしたどうした?

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:え、なに突然の配信でビックリなんだけど

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:記者団めっちゃいるな

:事前告知も何もなしで配信とな?

:重大発表……?

:はよ寝ろ

:怖い

 

 ん゛ん゛ッ!

 いやぁ、久々に緊張しておるな、我。

 

 緊張のあまりトゥウィッターでの配信告知し忘れて配信開始してしまった。どうやらまだバケモンエナジードリンク5本が抜けきっておらぬようじゃの。

 ま、今からでもトゥウィッターで配信することを呟いておこうか。

 

 ……よし、これでOKじゃ。

 

 

「あー、あー… 聞こえておるかのぉ?」

 

:聞こえてるよ^^

:聞こえてるぜよ

:お、はじまった

:なんか声色が緊張してる

:アイワナ終わってすぐ配信?

:聞こえてますわ

:アイワナ終わったばっかやん

:(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

:え、まじで重大発表怖いんだけど

 

 

「よし、聞こえておるの。

 ……ふふふ、大丈夫じゃ案ずることはない。偉大なる我の大躍進、その発表じゃ」

 

:大躍進?

:?

:なんじゃ?

:はよ寝ろ

:寝ろ

 

 お、よしよし。

 ようやっとコメント欄の皆も食いついてきたな。

 

 ふふふ、皆の驚く様子が目に浮かぶわい。

 

 

「さぁ、心して聞くがよい!

 我、なんと勇者と天使と、オフコラボすることにしたぞ!」

 

:はいはい声真似声真似

:あー、おk

:オフコラボ(1人)

:1人ならたしかにオフだな!ヨシ!

:まじで?!

:また1人おままごとするの?

:そろそろワイらも魔王様の精神状態が心配

:モンエナ5本のダメージが相当とお見受けする

 

 

 あ、あれぇ……?

 コメント欄の反応が予想と違うのじゃが……???

 

 コメント欄の9割くらいは疑っておるのじゃが???

 もうちょっと“えー!魔王様すごーい!”というのを期待しておったのじゃが……

 

「え、いや、まじでやるのじゃけど……」

 

:うん。“分かってる”よ

:そういう(てい)やもんね

:生暖かい目で見ればええんやろ

:本当にやるの?

:りょーかい

 

「いや、まじでガチでやるのじゃ!

 まじリアルガチじゃから!

 信じてくれ! この前の凸待ち配信で騙したことは詫びるから! え、なに、このオオカミ少年のような状態は!?」

 

:信じろって言われても

:まじなん?

:無理があろうかと思われます

:そんな嘘で騙そうなど、おハーブ生えますわ

:狼魔王

:↑なにそれかっこいい

 

 

 な、なぜじゃ……

 いやまあ確かにコミュ障の我がいきなりそういうこと言い出すと信じ難いかもしれんが……

 

 この前の凸待ち配信でそんなに皆は疑心暗鬼になっておるのかのぅ。

 こんな幼女の必死な訴えを無下に扱うとはなんて奴らじゃ。

 ……自分で幼女とか言っちゃうの恥ずかしいな… 前世と合わせて我、1,000歳以上なのに。

 

 しかしどうしたものか…

 我の折角の決意表明配信がまったく信じられないとは……

 

 

レイ・ブレイブ:

ニーナちゃんの言っていることは本当よ~

 

:ふぁ?!

:勇者参戦ッ!

:え

:マジなん?

:本物のアカウントじゃん…

 

リリィ:

本当なのだぜ!

 

:え、マジ?

:まじ……………!?

:(;つД⊂)ゴシゴシ (゚Д゚)え?

:天使まで来たw

:まて、まだ信じるな

:( ゚д゚)

:ふぁーwwwwwwww

 

 

「おお、ナイスじゃふたりとも!

 ふふふ、どうじゃお主ら? これで信じる気になったかの?」

 

:ほんとにオフコラボするんか…

:いま天使のトゥウィッターみたけどマジっぽい

:Oh...(ネイティブ)

:勇者もオフコラボするってトゥウィートしてる…

:どないしてこんな事になったと?

 

「いや実はな、アイワナ終わって、勇者たちと3人でチャットしてたのじゃが、その時ふと、我の頭に素晴らしい案が浮かんだのじゃ! そう!『オフコラボしよう!』とな!」

 

:えぇ……

:?(純粋な疑問符)

:☓素晴らしい ○無謀な

:魔王様疲れてたのか…

:はよ寝ろ

:寝てないから脳みそバグってるやん

:そんなに死にたいの?

:話、きこうか?(´・ω・`)

:十字架たてるか

 

 

「まあまて。話は最後まで聞くもんじゃ。

 ふふふ、我、そろそろコミュ障治ってきてると思うんじゃよ。もうすぐVtuber始めて2ヶ月じゃろ?

 六花と天花のキャットフードやその他諸々は通販に頼らず、近くのホームセンターに我が直接行き、店員との金銭授受を経て購入しておる。店員さんとも会話しておるわけじゃ。

 加えてこの前の凸待ち配信で思ったんじゃよ。こんだけシミュレートで勇者たちと話せているのなら、本番もできるんじゃね? とな。チャットなら全くの無問題なのじゃ。こりゃもう大丈夫じゃろ」

 

:挑戦するのは良いことだけど…

:せめて普通のコラボを経てからに…

:いきなりオフは無謀ぞ

:なんでオフコラボからにしたんだ…

:せめてもう少し難易度低い人と…

 

「どうせやるなら、より高みへ。

 あぁ… 我はなんて向上心に溢れた素晴らしい魔王なんじゃ…… まっこと我は天才じゃのう! ゥワッハッハー!」

 

:あぁ魔王様…おいたわしや…

:調子ノリノリ魔王

:そもそも魔王様天使たち見たことあるの?

:実際に会ったこともなかろうに…

:会ったことないのにコラボ大丈夫なんか

 

「む……

 そういえば、たしかに勇者や天使に実際に会ったことはないな。勇者や天使がどんな容姿の女子(おなご)か知らん。

 チャットでオフコラボすることをまあ、ノリで決めてしまったわけじゃが、問題ない… うん、問題はない…… あれ…… 大丈夫じゃよな……? なんか急に心配になってきたんじゃけど……」

 

:ほらwwww

:今からでもやめとき

:悪いことはいわんからまだ止めとけwww

:モンエナ抜けてきたなw

:冷静になってきてて草

 

レイ・ブレイブ:

今からでもやっぱり辞める?ニーナちゃんの大丈夫なタイミングでOKよ~

 

リリィ:

2週間後に予定してるけど延ばすか?

 

 

「い、いや、大丈夫じゃ。うん、何も問題はないのじゃ。我のこれまでの修行の成果を思えば不可能などではない。うん、そうじゃそうじゃ。ふふふ、問題はまったくないのじゃ。

 それに魔王たるもの、一度交わした(ちぎ)りを(たが)えることなど、……あんまりあってはならぬ。

 ……あれ、なんか変な汗かいてきた… エアコンの設定温度間違えたかのぅ? ハハ…」

 

:大丈夫かなこれ…

:不安しかない……

:天使が信用ならん

:マネージャーには言ってある?

 

「マネージャーに言って許可はとっておる。

 まあ連絡した時『え?』『……え?』って返信が来たけどのぅ。会社に諸々の許可は一応、勢いでとってある」

 

:草

:至極まっとうな反応で草

:そらそうよ

:マネージャーが常識人で安心した

:マネとコラボで手を打っとけ

 

 

「案ずるな皆の者! 我、昔はコミュ障じゃなかった話は雑談枠で散々したじゃろう? ちーちゃんと遊んでたときのような感覚を思い出せばよゆーじゃよゆー!

 それにオフコラボまで2週間もあるんじゃ。なんとかなるじゃろ!」

 

:大丈夫かなぁ

:だれだよちーちゃん

:昔はコミュ障じゃない(当社比)

:フラグ乙

:これは一級フラグ建築士の才能ありですね

 

 

「そんなわけで2週間後にオフコラボなのじゃ! 詳細は追って知らせる!」

 

 

 

***********

 

 

「人違い…… じゃない」

 

 





モンエナ飲んだこと無いけど美味しいのかな


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23配信目 てんこうせい


ずっとやりたかった話書けた




 

 

「はじめましてなのじゃな! 我は■■■■じゃ! 気軽に■■ちゃんと呼んでくれ。変な時期に転校してきたが、よろしく頼むぞ皆の者!」

 

 うつむいて自分の机の木目模様を見ていると、元気な声が聞こえてきた。

 ああ、そういえば転校生が来ると昨日のHR(ホームルーム)で先生が言っていた気がする。まあ私にはそんな事関係ないけど。

 

 しかも何この口調。

 現実世界で「のじゃ」口調の人とか初めてだ。

 

 

「それじゃあ、■■さん。■■さんの席は…… あそこの一番うしろの窓際の席ね」

 

「了解じゃ… おっと、了解です!」

 

 私は顔を上げて、その『変な』転校生を見てみた。

 肩まで有る、まるで濡烏(ぬれがらす)のように綺麗な黒髪に、どこまでも見据えていそうな真紅の瞳。

 幼い顔立ちだが、パーツ一つひとつが整っていて、可愛くて綺麗。

 

 『了解じゃ』と『了解です』を間違えて言ってしまったようで、あはは、とからから笑っている。どうやら先生に対してはのじゃ口調ではなく、ちゃんと丁寧語で話すつもりらしい。

 

 身長は低く、胸も控えめ。

 まあ、俗っぽい言い方をすれば、ロリっ子だった。というより、本当に高校3年生なのだろうか? 中学1年生というなら納得の身長だが、本当に私と同い年なの?

 

 

 転校してきていきなりこんな目立つ行動してこの子は大丈夫だろうか。

 

 学校という閉じられた空間で、出る杭は容赦なく打たれる。

 こんな時期に転校してきたというだけでもアレなのに、更に口調で悪目立ちするとは恐れ知らずなのか、世間知らずなのか。

 

 まあ…… 別に私が心配することじゃないけれど。

 

 あわよくば彼女が私の“代わり”になってくれないかな…… なんて。

 

 ……いや、私は何を考えているんだ。

 はぁ…… 私って最低だな。

 

 何も知らないあの子が私のスケープゴートになってくれないかな、なんて少しでも思ってしまった。

 

 

「■■さん、なにその口調w ウケるんだけどw」

「ふっふっふー、変な時期の転校生、そして少し変わった口調。これ以上無いほどのキャラ付けじゃろう?」

「自分でキャラ付けって言っちゃうのジワるんだけどw」

 

「■■さんのその髪型カワイイね!」

「これか? これはツーサイドアップという髪型じゃ。ロリっ子の我に似合っておるじゃろう?」

「ロリっ子って自分で言っちゃうんだ(笑)」

 

「その…… ■■さんって、本当に高校3年生…?」

「まてまて、言いたいことは分かるが、(れっき)としたJKじゃ! そう!花も恥らうJKじゃ!

 それにほら、我身長は低いけど、威厳とか、あるじゃろ?」

「そんなドヤ顔で言われても…… 威厳かぁ…」

「え、威厳…… 我無いのか…?」

 

 

 転校生は先生に指示された席につくやいなや、周りの子達に矢継ぎ早に質問されている。

 まあ、いいと思うよ。キャラ付けって自分で言っちゃうのはどうかと思うけど、アニメのキャラみたいで個性はたってる。

 

 意外にもクラスの連中にはキャラ付けが上手くヒットしているらしいし。

 

 ……でも、やりすぎないようにね。

 私みたいになっちゃ世話ないし。

 

 そんなふうに少し離れた席の彼女に思いを馳せて、私は再び自分の机の木目模様を目でなぞっていた。

 

 

 

 

 転校生がうちのクラスに来てから数日が経った。

 

 この短期間で彼女は驚くほど早くクラスに溶け込んだ。

 あんな目立つ振る舞いをして、なおかつ男子とも仲良くやっている様子を隠そうとしない。女子に人気の隣のクラスのイケメン君とも仲良くしている。

 普通なら女子の嫉妬心や反感を買っても良さそうだけど、彼女はそんなことにはならなかった。

 

 クラスカースト上位の女子とも仲良くやっているし、授業と授業の合間の休憩時間にもクラスの男子たちと面白おかしく話をしている。

 

 彼女はよほど世渡り上手らしい。

 小さな身長も相まって、彼女はクラスのマスコットキャラクター的な位置づけになっている。

 

 はぁ……

 私も彼女くらいコミュニケーション能力が高かったら、もっと違う学校生活があっただろう。

 

 

「■■ちゃん、今日一緒にお昼ごはん食べよう!」

「お、良いぞ良いぞ。学食でよいかの?」

「やった! うん、学食にしよ!」

 

「え、なになに■■ちゃんとご飯食べるん? 私らも混ざってOK?」

「良いぞ良いぞ」

 

 お昼ごはんもクラスの子たちと一緒に難なく食べている。

 まったくもって羨ましいね。

 まあ、私は今日も変わらずトイレの個室か、もしくは階段に座って食べようかな。最近は暖かくなってきたし、トイレや階段で食べるのもツラくない。

 

 ふと転校生の方を見る。

 いつもどおり、からからと快活に笑って楽しそうだ。

 

 

「お、そうじゃ! そこな眼鏡の文学少女。お主も一緒にお昼どうじゃ?」

「……へ?」

 

 ちらりと転校生を見ていたら、ふいに目があってそんなことを言われた。

 ……思わず変な声がでちゃったじゃん。

 

 すると転校生に話しかけていたクラスカースト上位の女子が、あざ笑うようにニヤニヤしながら話し始めた。

 

「あー、■■ちゃん。アイツは誘わなくて大丈夫だよ」

「ん? どうしてじゃ。我、あの文学少女と喋ったことまだ無いから良い機会じゃと思ったのだが」

「アイツ、つまんない子だし、『ウザい』んだよねー。ねぇ?」

「そーそーw」

 

「ふーん、そうなのか。じゃあ、お主ら的にはこのメンバーで良い感じかのぅ?」

「うん、皆で『楽しく』ご飯たべよう!」

 

 カースト上位の女子たちはわざと私に聞こえるように、『ウザい』とか『楽しく』とか喋る。いつものことだ。そう…… いつものことだから気にする必要はない。

 

 転校生もそれ以上なにも言わなくて良い。その女子たちに噛み付くとろくなことはないから。

 

「……そうか。了解じゃ。

 ん? お主、肩にゴミが付いておるぞ。……よっと、ん。OKじゃ」

 

「取ってくれてありがと。じゃー、またお昼のときにねー!」

 

 話はおわったらしい。

 転校生にそう言うと、自分の席に戻っていった。

 

 ちらりと時計を見るともうそろそろ2時間目の授業が始まる時間だ。2時間目はたしか数学の授業だったか。

 数学の鬼山先生は鬼のように厳しいからね。さすがのクラスカースト上位でもお行儀よく、始業のベルがなる前に席に戻るようだ。

 

 転校生はそんな女子を見送ると、ふいに小さく呟いた。

 

「……やっぱりのぅ」

 

 何がやっぱりなのか。

 はぁ…… いけない。ついつい他人が喋ることを無意識に拾ってしまう。私のこの地獄耳は余計なことまで拾うのだ。

 

 早く家に帰りたい。

 

 

 

******

 

 

「5千でいいからさ」

「ねえほら早く出してよ」

「ウチらも暇じゃないからさーw」

 

 最悪だ。

 

 放課後に呼び出しを食らったときから嫌な予感がしてたけど、お金をたかられるのは想定外だ。

 いままではとにかく無視をされたり、ウザいとかキモいとか、わざと聞こえるように言われたり。そんなことぐらいだった。

 こんなに直接的なものは始めてだ。

 

 今日は特別虫の居所が悪いらしい。

 

 

 今は放課後の、生徒たちの大部分が既に帰ってしまった頃。

 今日は部活が全校的に無い日だし、先生も職員室にこもっているだろう。そもそも、校舎の中ならまだしも、校舎裏の端っこの方なんて誰も通りがからない。

 まあこの女子たちもそれを見越してやっているに違いないけれど。

 

「今日さぁ、■■ちゃんに話しかけられてたとき、チョーウザい顔してたの自覚ある?」

「ほんと、ニヤついててキモかったわーw」

 

「そんなキモい顔見せられた私達の気持ち分かる? これはその慰謝料ってわけ」

「そーそーw いしゃりょーいしゃりょーw 正当な権利なわけー」

 

 間の悪いことに、今普通に5千円を持っている。

 お金を持っていない、なんて嘘をついてやり過ごすこともできるかもしれないが、バレたらより最悪だ。

 

 はぁ……

 

 もう普通に渡してしまおうか。

 お母さんたちにバレたら財布を落としてしまったとか適当に言えば良いや。

 

 この最悪な空間から一刻も早く抜け出したい。

 私の心の中はそんな弱い思いで埋め尽くされる。

 

 

「ほぅー……」

 

 そんなふうにうつむいて考えていると、ふいに頭上から声が聞こえた。

 

 私を助けてくれるヒーローなんていないのに。

 神様なんてこの世にはいないのに。

 

 

「放課後に4人で校舎裏か――」

 

 ピンチにさっそうと現れる白馬の王子様もいないのに。

 悪をくじく魔法少女だってこの世にはいないのに。

 

 あるのはただ、弱肉強食の世界だけなのに――。

 

 

 

「――随分と楽しそうじゃのぅ。何をしておるのか、我にも詳しく教えて欲しいものじゃ」

 

 小柄な少女がフェンスの上に座っていた。

 

 肩まで有る、まるで濡烏(ぬれがらす)のように綺麗な黒髪が、そよそよと風に揺れ、どこまでも見据えていそうな真紅の瞳はこちらを見下ろす。

 

 

 弱い私が悪いんだ。

 だから、助けを願うなんて烏滸(おこ)がましい。

 

 けれど、彼女の真紅の瞳に魅入ったとしても、それくらいは許してほしい。

 

 だって、あまりにも綺麗だったのだから――。






というわけで唐突な過去編でした。
たぶんあと2~3話過去編です。



(感想欄を見ながら)モンエナマスターがいっぱいだぁ…


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24配信目 わたしのまおうさま

「――随分と楽しそうじゃのぅ。何をしておるのか、我にも詳しく教えて欲しいものじゃ」

 

 フェンスの上に座りながら、転校生はこちらをその真紅の瞳で見下ろしていた。

 

 まるでアニメのワンシーンのような登場に私は脳みそが一瞬フリーズしたし、どうやら私のことをイジメている女子たちもフリーズしている。

 意味が分からない。

 いつからそこに居たのだろうか。全然気が付かなかった。

 

「……よっと。

 これ、何を(ほう)けた顔をしておるのじゃ。何をしていたか教えてくれんのか?」

 

 転校生はフェンスから軽々飛び降りると、私をイジメているリーダー格の女子に、何も臆することなく言い放つ。

 怖いもの知らずなのかこの転校生は。

 

 リーダー格の女子は取り巻きの2人と目配せをしてどうしようか悩んで口を開いた。

 

「あー…… ■■ちゃん。別に、4人で仲良くお話してただけだよ。

 

 ……なぁ?」

 

 なぁ?と言いながら、私をギロリと見てリーダー格が相槌を求めてきた。

 もし、私がここで『違う』『喝上げされてる』なんて言おうものなら、このイジメっ子達は激昂(げきこう)するだろう。私へのイジメは後々、より苛烈になる。

 

 いや、私へのイジメだけならまだいいけれど、この転校生へのイジメに繋がるかもしれない。

 転校生が先生にこのことをチクったら、私に加え、転校生までイジメの標的になる。ただでさえこの転校生は目立っているんだ。

 

 ……苦しむのなんて、私一人だけでいい。

 

 どうせ先生にチクったところで何も変わらないし、先生にばれないように、イジメはより陰湿なものになるに決まってる。

 

 だから、ここでの答えは一つだ。

 

「……うん。話してただけだよ」

 

 私の口から出た言葉はあまりにも弱々しかった。泣きそうだ。我ながら情けない。

 

 けれど、これでいい。

 助けを求める必要はない。耐えてればいいんだ。

 

「……そうか。――本当にそうなのじゃな?」

 

 転校生は目をすうっと細めてリーダー格を見る。

 こころなしか声も低く、ドスが利いている気がした。

 

「ほんとほんと。ほら■■ちゃん、下校時間なんだから、お家に帰らないと駄目でしょー」

「そうそう、いい子は帰る時間なんだから」

 

 リーダー格とその取り巻きはけらけら笑い転校生を帰そうとする。

 今ここで帰れば何もしない、ここでのことは忘れろ、そう言いたげだ。

 

 そんなイジメっ子達を一瞥(いちべつ)すると、転校生は残念そうに深い溜め息をつく。

 

「はぁ…… なんて陳腐(ちんぷ)な嘘なのじゃ」

 

「は?」

 

 リーダー格は明らかに不機嫌な声で返した。

 

「陳腐な嘘じゃと言っておる」

「……なにそれ。こいつだってお話してただけって言ってるじゃん。それとも何? 証拠でもあんの? ちょっとカワイイからって調子乗ってない?」

 

「『5千でいいからさ』『ねえほら早く出してよ』『ウチらも暇じゃないからさー』

 こんなことを言っておったのう?」

 

 転校生はまるでミュージカルで歌う俳優のように、得意気に言う。

 それは紛れもなく、先程イジメっ子たちが私に対して言っていた言葉。

 

 ニヤリと笑いイジメっ子たちを挑発した。

 

「ッ! ……盗み聞きとか趣味悪くない?」

 

「さあ? お主の肩に乗った、小ぃさなおまじないが我に教えてくれたのやもしれんのう?」

 

 ギロリと睨むイジメっ子達を全く意に介さず、転校生は自分の右肩をちょんちょんと得意気に人差し指で叩く。

 どういう意味だろうか? 盗聴器でも仕掛けた? でもイジメっ子の右肩にそんな機械はついてなさそうだし、変なものもついていない。そもそもそんなモノつけようとしたらバレるだろうし。

 

「……で? 何? 先生にでもチクる? チクったらどうなるか分かってる? 誰を敵に回すか」

 

「……くくく。カハハハハハ! それは脅しのつもりか? この我に? いやぁ、ククク…… 久々に片腹が痛いのう。

 別にチクるつもりなど毛頭ない。

 我が要求することは簡単じゃ。『帰れ』。そして二度とこのような阿呆(あほう)なことをするな。これだけじゃ」

 

「はぁ? なに言って――」

 

 イジメっ子の言葉を遮るように、転校生は言葉をかぶせた。

 鋭く、けれども慈愛をもった眼差しで。

 

「帰れと言っておる。

 ……悪いようにはせんから帰れ。貴様の境遇に同情せんわけではないが、これは駄目じゃ。

 ……なんじゃ? 不満か?

 

 ――これは命令じゃ。貴様らに拒否権はない。帰るのじゃ」

 

 そのとき転校生のきれいな瞳が(あや)しく輝いた気がした。

 本当にあの小さな転校生と同一人物なのか疑いたくなるほど、目の前の少女は威圧感が増していた。

 

 いや、威圧感と表現するのは少し違うかもしれない。

 

 私の語彙力では上手く言い表すことが出来ないが、オーラのようなものを感じた。

 従わざるを得ない、絶対強者のオーラ。

 

 

「――ッ! チッ、いくよあんたら」

 

「え、おい」

「おい、置いてくなって! おいってば!」

 

 そんなオーラに当てられたのか、リーダー格は一瞬ビクッと震えたかと思うと、そそくさ逃げ始めた。

 リーダー格が逃げ帰るのと同時に、取り巻きもあたふたとついていく。

 

 あのイジメっ子3人を撃退しちゃったよこの子……

 何者なんだ。

 

 イジメっ子3人組が帰っていくのを見届ける転校生をふと見ると、両手を腰に当てて少し寂しげに怒っていた。

 

「まったく…… このようなことで自己を肯定しても仕方がないじゃろうに。

 ほら、文学少女。いつまでそのような情けない顔をしておる」

 

「……助けてくれて…… ありが…とう」

 

 私の喉から出た言葉は震えていた。

 ……ははッ、らしくない。大丈夫だと思っていたが、どうやら私は相当怖がっていたらしい。

 

 両目に浮かんだ涙を拭って、転校生を見る。

 

「ん。それでよい。感謝を言える偉い子じゃ」

 

「……でも、私を助けないほうが良かったよ… 貴女(あなた)きっとターゲットにされちゃう」

 

「ターゲットとはイジメのターゲットか? そんなこと、天地がひっくり返っても有りえんわ。

 ……それにのぅ、我のクラスからイジメはなくなるぞ。良いか、これは予測じゃない。確固たる未来じゃ」

 

「貴女は強いね…… 私も貴女みたいに強かったら……」

 

「■■じゃ」

 

「え?」

 

「我の名じゃ。いつまでも“貴女”呼びは嫌じゃしの」

 

「え、ん? 魔王……?」

 

「魔王じゃない! ■■じゃ! まあ発音は似ておるが…… いやむしろ魔王で間違いないのじゃが… いやまあ、別に魔王呼びでもいいけど…… まあ主が呼びたいように呼べ。許す」

 

「じゃあ、■■ちゃん。いや… それだと普通だし、まーちゃんって呼ぶね。……魔王様。ふふっ」

 

 先程イジメっ子3人を相手取って毅然としていたこの小さな転校生があたふたしている様子がなんだかおかしくて、思わずくすっと笑ってしまった。

 

 あんまり笑っては失礼かと思っていると、転校生がフッと顔を近づけてきた。

 突然のことで危うく転びそうになった。急に顔近づけてくるのはびっくりするよ……

 

 転校生はその小さく華奢な手を私の顔に伸ばし、まるで娘の成長を慈しむ母のように、転校生はとてもあたたかな笑顔を私に向けた。

 

「やっと笑ったな。お主はいつも暗い顔をしておったが、主の顔には笑顔が似合うぞ。きれいな顔をしておるのにもったいない」

 

 転校生の手が私の伸びた前髪をさらさらと梳く。

 

 私は自分の顔が熱くなるのが分かった。

 まるで恋する乙女のように。

 

 いや、いやいや。

 相手は同級生の女の子だし。意味分かんないし!

 落ち着け私。

 

「それで、主の名をまだ聞いておらんかったな」

 

「……ハッ! んん゛ ……■■。■■■■」

 

「そうか、じゃあ主はちーちゃんじゃな! 主とは話が合うと思っておるのじゃ。明日のお昼ごはん、我と一緒に食べるように! これは命令じゃ」

 

「え?」

 

 突然のお誘いに思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「主がブックカバーに使っておるの、アレ、魔法少女ナナニカ・ニカナの4巻初回限定特典じゃろ? 我もナナニカのファンなのじゃ」

 

 まーちゃんは去り際にこちらを振り向いて、まるでいたずらが成功した子供のようにニシシと笑った――。

 






過去編はこれぐらいで終わり、かな…?
次話はたぶん時間軸元に戻ります。



【定期】
もしこの作品を気に入っていただけたらお気に入り登録や高評価などいただけるととっても嬉しいです。
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P.S.
人生で初めてモンエナ飲んでみましたがオロナミンCみたいで普通に美味しかったです。


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25配信目 誰じゃお主

【悲報】ニーナ・ナナウルム氏、オフコラボまで一週間を切ってしまう。

 

 我の脳内には某5ちゃんねるのようなタイトルが浮かぶ。

 

 うん、やばい。

 とってもやばいのじゃ。

 

 どうやばいかって? そうじゃな…… すごくやばいのじゃ。

 

「あぁ^~ こんなんじゃいかんのは分かっておるのじゃがのぅ~。六花に天花よ、我はどうしたら良いのかのぅ?」

 

 ソファでゴロゴロしながら、六花と天花に話しかける。

 

 あいも変わらず、小奴らはかわいいの~。

 近くに寄ってきた2匹をわしゃわしゃ~っと撫でまわす。

 

「ニャー」

「ニャッ」

 

「そりゃ楽しく遊ぶだけでいいというのは分かるのじゃけど~。それができたら苦労しニャいのじゃ~」

 

 分かる。分かるよ。

 六花と天花が言いたいことはよーく分かる。

 オフコラボと言っても何も特別なことをする必要はない。勇者レイ・ブレイブと天使リリィの両名と楽しくお話をするだけで良い。そりゃー分かっておる。

 

 でも無理そうなのじゃ~……。

 

 2週間前、ノリで二人とオフコラボをすることに決めてしまった。

 あの時は行ける気がしたんじゃ。なんて言うのかのう、アイワナをクリアしたものだけが味わうことのできる万能感とでも言おうか。

 

 で、まあ若干不安になりつつも、オフコラボまで2週間もあるし大丈夫大丈夫と思っていたら知らぬ間に1週間経っていたんじゃ。

 

 あれ、もしかして我、時間跳躍(タイムリープ)してる……?

 

 なんて現実逃避をしてみても現実は非情なわけで、オフコラボまであと1週間の事実は変わらない。

 

 いや、我も流石にまずいと思って準備してるんじゃよ?

 一昨日amazonesで注文した『コミュ力ゼロのクソ雑魚根暗ヒキニートでも分かる! コミュ障脱却100の方法!』という本は手元に届いておるしな。まあまだ半分くらいしか読んでおらぬが。

 

 ぶっちゃけね、1週間も経って、我冷静になってきたんじゃよね。

 あれ?オフコラボでまともに話せる未来が見えぬな、ってね。

 

 そも、まだ一度もリアルで会ったことがない女子(おなご)二人といきなりオフで遊ぶって無謀じゃね? コミュ力普通の人でも結構きつくない? なんで1週間前の我はそんな約束したの?(静かなる怒り) アフォなの? 死ぬの?

 

 もちろん、オフコラボは投げ出したくない。

 約束を(たが)えるなんてことはしたくないし、我とのコラボを待ってくれておるリスナーやあの2人にも(むく)いたい。

 

「やばいのよな~」

 

 ソファに仰向けに寝転びながら天花を手で抱っこして天に掲げる。

 にゃーにゃー鳴いてカワイイのじゃが、我の心は晴れぬ。

 

 うーむ、どうしようか。

 いざとなったら最終奥義もあるのじゃが……

 

 とりあえず六花が自分も抱っこしろと我の身体をよじ登ってくるので姉妹まとめて高い高いする。

 

 “ピンポーン”

 

「んぁ? なんじゃ?」

 

 高い高いしていると、玄関の方から訪問を知らせる音が鳴った。

 誰かウチに来たようだ。珍しい。

 

 amazonesの注文なら玄関前にいくつも設置してある宅配ボックスに入れてくれるし、まあ大方なにかの営業の人か、もしくは宗教の勧誘じゃろう。一応玄関のドアカメラを確認してそれっぽかったら居留守してスルーしよ。

 

 六花と天花を床にそっとおろし、玄関近くに設置してあるドアカメラのモニターを見る。

 

「……誰ぞ?」

 

 モニターに映っていたのは、想像していたどれとも違った。

 プラチナブロンドの髪に、メイクでバッチリ目元を強調した若い女性。簡単に言ってしまえば、いわゆるギャルがそこにいた。

 

 うーむ…… こんなタイプの訪問者は初めてじゃ。

 なにかの営業、ではなさそうだし、宗教の勧誘…… でもないかのぅ? あーいや、美人局(つつもたせ)的な何か(サムシング)

 

『うーん、居ない……? せっかく会いに来たのに…… サプライズは良くなかったかなぁ……』

 

 モニターのスピーカーからギャルの声が聞こえてくる。

 

 うーむ、こやつ間違えて我の家に来たのか?

 

 当然我にはこんなイケイケギャルの知り合いなんぞ居ないし、そもそも知り合いそんなに居ないし……

 

 もしかしてアレか? ここらへんに住む友達の家に初めて遊びに来たはいいけれど、友達の家の外観を詳しく聞いてなくてそれっぽい家でとりまインターホン鳴らしてみた、的な?

 ……ありうるのぅ。こんなイケイケな感じなんじゃ。そんな感じでテキトーに間違えて我の家に来てしまった説はある。

 

 うーむ、映像のギャルは表札の位置をちらりと確認しておるし、もしかしたら此奴の友達が我と同じ苗字かもしれんな。

 ……しかし、この辺りで我と同じ苗字のやつなんていたかのぅ?

 まあ引きこもりしてるから最近引っ越してきた者とか知らんし、同じ苗字のご近所さんがいるやもしれんな。

 

 ほれ、気がつけ。

 ここはお主の友達の家ではないぞ。

 

 

 ……少し待ってみたが間違いに気がつく素振りはないのう……

 

 可哀想じゃし、ドアホンに出てみるか……?

 ……そうじゃな、ここで臆していてはいかん。これもオフコラボの練習の一環と考えれば良い。うん、出てみるぞ。よし、出るぞ。ほら、出るぞ我。

 

 んん゛。

 

 意を決して、我はモニター付きドアホンの通話ボタンを押した。

 

「ぁ、あのぅ~…… たぶん、家、間違えて、ます。よぉ~……」

 

 うっそじゃろ?! なんでこんな震え声なん?!

 1週間後オフコラボのやつの第一声がこれとかマジ?! やばい。余計オフコラボ不安なんじゃけど?!?!

 

『あ! よかった居た! 久しぶり!!!』

 

 我が自分の震え声に驚いていると、モニターの中のギャルがパァッと弾けるような笑顔になった。

 え? いや、久しぶりっていうか、たぶんはじめましてこんにちはじゃけど。

 

「ぇ、と、たぶん人違い、です……」

『ううん! 人違いなんかじゃないわ! 久しぶり、まーちゃん!!』

 

 ん? まーちゃん?

 え、まーちゃんと我を呼ぶやつなんて限られておるが…… ぱっと浮かぶのはちーちゃんじゃが、ちーちゃんでは絶対ないしな…… アヤツは眼鏡かけた、ザ・文学少女じゃし……

 

『ほら、私だって! ちーちゃん! 貴女の大親友、ちーちゃん!

 ……んもう、疑り深い! ほら、これ見て!』

 

 

 ギャルが取り出したのは、一冊の本。

 魔法少女ナナニカ・ニカナ4巻初回限定特典のブックカバーをまとっている本だ。ちなみに、このブックカバーは現存数が少なく、ファンの間でプレミアがついているモノ。まあもちろん我は持っておるが。

 

 え? ていうかソレ持っておるって……

 

 マ?

 え? ちーちゃん? マジでこのギャルがちーちゃんなの……?

 

「マジでちーちゃん…なのじゃ……?」

 

『そう言ってるでしょ。まったく、まーちゃんってば疑りすぎなのだわ…… ふふっ』

 

 やっと信じてくれたのが嬉しいのか、ギャル―― 暫定(ざんてい)ちーちゃんは嬉しそうに微笑んだ。

 

『とりあえず、中に入れてほしいわ』

「りょ、了解なのじゃ? ?????? 今カギ開けるのじゃ?」

 

 我は自分でもよく分からぬまま、暫定ちーちゃんを家に招き入れた――。





「なのだわ」っていう口調すき(突然の性癖暴露)



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26配信目 5年で人はあまりにも変わる

「改めて久しぶり、まーちゃん!」

「は、はい…… どうも……」

 

 何が何だかよく分からぬまま、我は暫定ちーちゃんを家の中に招き入れた。

 

 ふわっとしていて柔らかそうな、プラチナブロンド色のウルフボブの髪。

 涙袋をぷっくりとさせたメイクに目を引かれるが、ソレ以外は薄めのメイク。いわゆる一部だけを強くメイクする『引き算メイク』というやつじゃろう。元の顔がいいからこそより引き立つナチュラル寄りのメイク。

 片耳だけイヤリングをしておるし、ネイルもバッチリキメておる。

 

 うーむ、改めて見ると、完全にギャルじゃ。もう、これは紛れもなくギャルなのじゃ。少し前のギャルではなく、今どき(・・・)のギャルといった感じじゃの。

 

 ……本当にちーちゃん?

 いや、たしかにドアカメラのモニター越しじゃなくて、実際に肉眼で見るとこやつの顔はちーちゃんの顔なのじゃが…… ちーちゃんの従姉妹と言われたほうがまだ納得できるんじゃが……

 

「ふふっ、そんなふうにチラチラ見なくてもいいのよ? ガッツリ見ればいいじゃない?」

「ん、いや、その…… 本当にちーちゃんですか?」

 

「ちゃんと本物のちーちゃんよ。忘れちゃったの? ご飯とかよく作ってあげたじゃん」

「それはそうじゃけど……」

 

 たしかにちーちゃんにはよくご飯を作ってもらった。

 我の両親が亡くなってからじゃろうか。それより前にもましてちーちゃんは我の家に頻繁に来るようになった。あのときは掃除や洗濯料理なんかをやりに頻繁に来てくれたのぅ。

 我が自分でやるから大丈夫じゃと言っても“まーちゃんカップ麺ばかりだから駄目”とか言われたな。

 

 うん、そういう思い出は確かにあるのじゃけど、まじで変わり過ぎなんじゃよ。記憶のちーちゃんと外見全然違うじゃん?

 前髪で顔が隠れててメガネを掛けてザ・文学少女。あの頃のちーちゃんは何処へ行ったのじゃ……

 

「なんで、ギャルになっておるのじゃ?」

 

「イメチェンよ。イ・メ・チェ・ン。

 高校卒業するときに、大学進学で一人暮らしになるし、大学デビューで吹っ切れようと思ったの。あと、魔ナニカ(魔法少女ナナニカ・ニカナ)に出てくるニカナの相棒もこんな感じの明るい子だったでしょ? その子目指したの」

 

「そ、そうか。メールでやり取りしてても全然分からんかった……」

 

 

 ちーちゃんは“ふふん”と得意気だ。

 

 実はちーちゃんとは高校卒業後もメールでやり取りをしている。

 月1くらいのゆるーいやり取りじゃが、我にとってなんとも心が休まる関係じゃ。

 

 で、メールでは全然ちーちゃん変わってないのじゃよ。

 

 なんていうか、大和撫子(やまとなでしこ)(しか)りというような『たおやか』『おしとやか』の擬人化みたいな感じなんじゃ。めちゃくちゃ綺麗な日本語でメールをくれるもんじゃからギャルになるとは全く思っておらんかったぞ。

 

「そ、そういえば最近忙しいとかメールで言っておったが、きょ、今日は大丈夫なのか?」

「もちろん、大丈夫だわ。ライバーにも慣れてきたし、まーちゃんのために今日一日空けてきたんだから! それに、これからはもっといっぱい会えるわ!」

「な、なるほど……?」

 

 終始頭に疑問符が浮かびながらも、なんとか状況が飲み込めてきた気がする。

 うん、とりあえずまあ、ちーちゃんがギャルになったことは理解できた。よくわからんが我のために今日一日空けてきてくれたというのも理解した。

 

 そんなふうに我がちーちゃんとのやり取りに四苦八苦していると、我の隣りで六花と天花が“シャー…”と低い警戒音をだしてちーちゃんを威嚇していた。

 

「六花、天花。そう警戒せんでもよい。こやつは我の旧友じゃ」

 

 我の両サイドでちーちゃんに警戒している六花と天花に言う。

 いきなり見知らぬギャルが来てびっくりしておるのじゃろう。2匹とも我のことを心配して両サイドでいつでもちーちゃんに攻撃できるように構えておる。

 

 我が警戒を解くように言うとひとまず2匹とも構えを解いた。

 

「ふふ、可愛い騎士(ナイト)さんたちね。お茶が入ったコップを倒しちゃうお茶目さんとは思えないくらい頼りがいがありそうね。

 ……それよりまーちゃん、何でさっきから私の目を見て話してくれないの?」

 

 ちーちゃんが少しうつむき気味の我の顔を覗き込むように下から目を合わせに来る。我は目を流すことでソレをしれーっと回避する。

 

 うぐぅ…… ソレを聞かれるか。いやまあ気になるよね。

 

「い、いや、ソレはのぅ……

 ……か、隠してても仕方がないのう。我、実はちょーーーーっとだけコミュ障気味でな」

 

「やっぱりね。うーん…… 私でもそうなんだ」

 

「……ははっ、情けないじゃろう? メールでは変わらず威勢のいい我がこんなんになって。……嫌いになったかもしれんな?」

 

 ちーちゃんの前ではなるべくあの頃のままの強いまーちゃんでいたかったのじゃがな。こんな『まーちゃん』に幻滅しても致し方ないじゃろう。

 

 するとちーちゃんは我の頭を両手でそっとつつみ、ギューっと我を抱き寄せる。

 

「なっ! なに…んぐぅ!?」

 

「私がそんなことでまーちゃんを嫌いになるわけ無いじゃない――。

 神様も、ヒーローも。誰も救ってくれなかった私を、突然現れた『魔王』が助けてくれたのよ?」

 

 春の日差しのような、柔らかい声でちーちゃんが語りかける。

 よしよしと、我の頭を撫で、そっと髪に触れる。

 

 ――まったく、こやつは……

 

 しかし、今は少しだけちーちゃんの甘い優しさに身を委ねるとしよう。

 

「というより、ちょっとコミュ障のまーちゃんむしろ可愛いわ! そんな上目遣いで見られると守ってあげたくなっちゃう!」

 

 ちーちゃんは我をもっとギューッとする。

 

 ば、バカもの!?

 や、やめろ、苦しい……! い、息が…!

 

「や…めんか…! く、くるじぃ」

 

「あ、ごめんねまーちゃん」

 

 ジタバタ抵抗してやっと解放された。

 こやつの胸についたたわわな果実のせいで危うく窒息するところじゃぞ!?

 

「なんじゃ!お主、自分の胸が大きいアピールしたいのか?! まったく……!

 ……というより、なんか高校のときより胸大きくないか?」

 

「うーん、どうなのかしら? 多少は大きくなったのかな?」

 

「今何カップじゃ」

 

「この前測ったときはEカップだったかしら?」

 

 ふーん…… そうなんだ~……

 

 我の胸を見てみる。

 自分で自分の胸元を見ても、普通に床が見えるし、つま先見るのも余裕。

 

 あれ、おかしいな? 見えてないだけかな?

 我の胸は透過性質があるだけで本当はたわたな果実がついているのでは?と思って自分の手で抑えてみても、やはりそこにはシンデレラサイズの胸しかないわけで。

 

「……チッ

 

「やーん! 胸の大きさ気にしてるまーちゃんも可愛い!!!」

 

 むぐゅぅ…!?

 またもやギューッと抱き寄せられた! ぐるじい!

 

「やめんか! なんじゃ!? そんなに我に心理的ダメージ与えたいのか!??! まったく……

 ……それで? 今日は突然来てどうしたのじゃ? 胸の大きさ自慢のために来たのなら容赦せんぞ」

 

「あ! そうだった忘れるところだったのだわ。

 今日来た目的はズバリ! まーちゃんのオフコラボ成功大・作・戦!」

 

 ……ん?






胸は大きくても小さくても良い。
重要なのはそれを愛することだ。
         ――サ・クシャ



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27配信目 オフコラボ成功大作戦

「今日来た目的はズバリ! まーちゃんのオフコラボ成功 大・作・戦!」

 

「……オフコラボ成功大作戦?」

 

 まるで昔の匂い漂うTV企画のようにフリップでも持ち出さん勢いのちーちゃんに首をかしげる。

 

 なんじゃそれ? もうちょっとまともなネーミングできんかったのか。

 まあ確かに、目前に迫った我のオフコラボが成功するよう頑張る作戦、というのは字面から分かりやすいの。ただな、名前が少々古臭くてナウいヤングの我にはちと合わんというか……

 

 ……って、そんなの気にすることじゃないわ!

 なぜちーちゃんが我のオフコラボの件を知っているのじゃ!? というかそもそも、我がVtuberになったことはまだちーちゃんには伝えてないぞ!?

 

「そう! まーちゃんのオフコラボが成功するように頑張る大作戦を決行するのだわ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれちーちゃん! その前に、なぜお主がオフコラボの件を知っておるのじゃ!?」

 

「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれたわ。まーちゃんって、Vtuberのニーナ・ナナウルムでしょう?」

 

 にししと、したり顔で言うちーちゃん。

 こやつ、我の正体を一瞬で看破しおった。

 

「な、なぜ分かったのじゃ…… いやまあ、いつかちーちゃんには言おうと思ってたけど…」

 

「ふふん♪ そして、なんと私もVtuberなの!

 近野(ちかの)千香(ちか)。キラキライブ第3期生の近野千香。つまり、まーちゃんの1個先輩なのだわ!」

 

 えっへんとドヤ顔でちーちゃんは言う。

 ……? ちーちゃんもVtuberなの? へぁ?マジ?

 

 ん? しかも近野千香って……え? 我と同じキラキライブ?

 

 近野千香。

 キラキライブ3期生、高校2年生という設定のギャル属性ライバーじゃ。歴史が好きのいわゆる歴女で、また時折出る頭の良さそうな発言など、遊んでそうなギャルっぽい見た目とのギャップが人気だ。

 

 我もときどき近野千香の配信を見ておるが、え、マジ……?

 ……今にして思えば、たしかに声質は似てる気がするし、ちーちゃんも近野千香も歴史好きじゃな… 頭もいいし……

 

「おっと、少し待ってくれ。今、我の脳に搭載しておる最新世代CPUが使用率100%近いのじゃ……」

 

 まてまて。

 少し状況を整理しよう。

 

 我はもちろんキラキライブ4期生のVtuberニーナ・ナナウルムじゃ。で、我がニーナ・ナナウルムであることがちーちゃんにバレている。

 そもそも、ちーちゃんにはいつか話そうと思ってたし、まあこれは別にいい。たまたま我の配信を見て気がつく、なんてこともあるじゃろう。我はもともとの性格のままニーナをやっていて、キャラを作っていることもないから、気づくことも低確率だが、まあなくはない。

 

 しかし、しかしじゃ。

 ちーちゃんも知らぬ間にVtuberになっていた、と。

 しかもただVtuberになっただけじゃなくて、我と同じキラキライブに所属し、我の1つ先輩にあたる3期生の近野千香である、と。

 

 ……こんな偶然あるぅ?

 

「ライバー活動にも慣れて色々落ち着いてきたから、今日の来訪はまーちゃんへの報告も兼ねるの」

 

「こんなことってあるんじゃなぁ……」

 

「大学進学で遠方に行くことになって離れ離れになっちゃったけれど、こうしてまた会うことができた。しかもVtuberとして同じ場所で二人が出会う……! なんて運命的なのかしら! やっぱりまーちゃんとは赤い糸で結ばれているのね……!」

 

 混乱している我をよそ目に、ちーちゃんはなにやら興奮して悦に浸っている。

 

「我がニーナ・ナナウルムだといつ頃から気づいておったんじゃ? キラキライブのスタッフにでも聞いたのか?」

 

「ううん、そうじゃないわ。実際に聞いてみたわけじゃないけど、流石にいくら同じライバーだからってスタッフの人もおいそれと個人情報を渡さないわ。

 ただ単純に、私が一人で気がついたの」

 

 ちーちゃんは顎に手を当てて考え始める。

 

「えっと、最初は後輩3人のプロフィール画像見てたらこの魔王様まーちゃんっぽいなぁって、気になって初配信から見てたわ。

 

 何回も配信見てるとやっぱりまーちゃんに似てるって改めて思ったわ。声も、喋り方も、息遣いも、雰囲気も、間のとり方も。まあただ、高校のときのまーちゃんとは少し違う感じもしたし、1億3千万人もいる日本人の中でまーちゃんと似てる人が居てもおかしくないし、最近まで違う可能性も考慮してたわ。

 でもこの前の配信で私とまーちゃんとの逢瀬に関連した話がちょろっと出た辺りでやっぱりまーちゃんだ!って100%の確信に近づいたって感じかな」

 

 たしかに最初の頃は我の身の上話なぞほとんどしておらんかったが、そうか、声とか喋り癖とかでなんとなく分かってたのか。

 もしかしたらちーちゃんだけじゃなくて、かつてのクラスメイトの何人かにバレてる可能性もあるのかも、じゃな。

 

「で、さっそく本題に入るわ!

 まーちゃん、近々レイさんとリリィさんの2人とオフコラボやるんでしょ?」

 

「う、うむ」

 

「でも、コミュ障患ったから上手くできるか不安なんでしょ?」

 

「う、うん……」

 

「私はコミュ障克服を一生懸命に頑張るまーちゃんの手助けがしたいと思って、居てもたっても居られず、こんなのを準備してきました!

 というわけで、はい、コレ!」

 

 ドンッ!っとちーちゃんがかばんの中から取り出したのは紙の束。

 図などが入りつつも、びっしりと文字が書かれたA4の紙が何枚もある。

 

「これは……?」

 

「私がまーちゃんのために独自で調べ上げた、勇者と天使の情報をまとめたものよ! 『敵を知り己を知れば百戦危うからず』。兵法で有名な孫子の一節!

 戦いに勝とうと思うならば、まずは相手を研究して知る。そして、知った上で、自分の得意・不得意を知り、フォローする。これこそ、オフコラボ成功大・作・戦、なのだわ!!!」

 

「な、なるほど……」

 

 たしかに、戦いにおいて情報というものは極めて重要じゃ。

 先代魔王が情報部局を強化して戦況を大きく変えた話はセバスから耳にたこができるくらい聞かされた。

 

 戦いにおいて、純粋な戦闘力もさることながら、情報も大事、コレに異論は我もない。

 

 なるほど、この理論を今度のオフコラボにも活かそうというわけか。

 

「コミュ障と一口に言っても様々なコミュ障があるわ。まーちゃんの全配信をかかさずチェックしている私が思うに、ある程度相手のことを知っていて、()つ会話のネタも豊富にあれば、まーちゃんはある程度話せると思うの!

 たとえば、ここ! 勇者は犬を2匹飼っていて、天使は猫を1匹飼っているわ! つまり、まーちゃん含め、3人には『動物を飼っている』という共通点がある! 会話デッキとしてコレほど優秀なものはないわ!」

 

「……!」

 

 我はハッとした。

 これぞ天啓!

 

 そも、オフコラボの成功とはなにか。

 今回のオフコラボの成功判定はシンプルじゃ。楽しくオフコラボができたか。もっと言い換えれば、楽しくお話し、遊ぶことができたか。

 

 つまり、会話が重要だ。

 

 その点において、会話で使う話題、すなわち『会話デッキ』を用意しておくというのは有用だ。

 ちーちゃんに言われるまで全然考えが及ばなかった!

 あまりに弱気になって、我はただ漠然と『楽しくおしゃべりしよう』としか考えていなかったのだ。何たる不覚か。

 

 もしこのまま当日を迎えていたら、我は『天気デッキ』というただ1枚のぺらぺらカードで勇者と天使に挑まねばならなかった。そんなの魔王にひのきの棒で立ち向かうアホと一緒じゃ。

 

 ちーちゃんの言うように、相手のことを知り、共通の話題があれば楽しくおしゃべりができる! ……はず!

 なにせ我は前世も今世も魔王じゃ!

 そう! 今でこそすこーーしコミュ障だが、かつてはブイブイ言わせていた魔王なのじゃ!

 

「ちーちゃん、ありがとう……! 我は暗雲立ち込める茨の道に、今、一筋の光を見た!」

 

「まーちゃん! 今日はまだまだ長いわ! 一緒に敵勢力の研究しましょう!」

 

「ああ――!」

 

 さあ、頑張るぞ――。

 

 我はようやく登り始めたばかりじゃからな……!

 この果てしなく遠い魔王坂を!

 

 我らの戦いはこれからじゃ!!

 






Q.なぜ投稿が遅れたのですか? 国民は怒っていますよ?

A.ウマ娘をやっていました。面目次第もございませんが、タマモクロスちゃんの実装はよ。


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28配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!!【キラキライブ】

【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!!【キラキライブ】

 

 

21:名無しの下級臣下 ID:pH1tR0gLj

さて皆さん。明日はついにオフコラボ当日なわけですが……

 

24:名無しの下級臣下 ID:xDTkorxeO

審判の日がついに来てしまうのか…

 

27:名無しの下級臣下 ID:G0BouNxGu

見たいような見たくないような、でもやっぱり見たい

 

30:名無しの下級臣下 ID:wRBTXg5jV

ほんとにやるんかコレ?

 

33:名無しの下級臣下 ID:AfzUmNoyB

魔王様にオフコラボができるわけ無いだろ!いいかげんにしろ!

あと300年は待ってからにしな

 

36:名無しの下級臣下 ID:XLPspZn3K

300年とか俺ら死んでるのでNG

 

38:名無しの下級臣下 ID:z9t7qwO7Q

骸骨(がいこつ)剣士になって復活すればええんやで

 

40:名無しの下級臣下 ID:BV6Y8hO1U

かつて臣下だったガイコツたちがわざわざ墓場から蘇ってPCつけてVtuber見るの想像したら草

 

44:名無しの下級臣下 ID:1w7AEYuMZ

カタカタ骨鳴らしながら見てるの草of草

 

48:名無しの下級臣下 ID:J2o6JHAO6

カタカタカタ…w

 

49:名無しの下級臣下 ID:DpsEOgaPI

まあオフコラボは普通にやるでしょ

トゥウィッターで一昨日告知してるし、ここからドタキャンはよっぽどないかと

ニーナ・ナナウルム

@nina_nanaulm

3日後に迫ったオフコラボじゃが、3人でたこパ(たこ焼きパーティー)することになったぞ。

我は3日後のために友人とともにコミュ障対策してるから皆の者安心して見てくれていいぞ!

 

51:名無しの下級臣下 ID:pnoLJ4ogt

おなご達がキャッキャウフフしてる空間尊い

 

53:名無しの下級臣下 ID:B0Ua+bJcC

私、魔王様の告知で「たこパ」っていう単語を初めて知ったの……

 

55:名無しの下級臣下 ID:BYURcAu92

おじいちゃん… 若者言葉についていけていないのね

 

57:名無しの下級臣下 ID:XhiJJp0Rh

今なんでも略すしな

たこパとか鍋パとかおこパとか

 

61:名無しの下級臣下 ID:2ZpoZHD4D

>>57

鍋パはなんとなく分かるけど、おこパってなんや?

 

64:名無しの下級臣下 ID:bLMgf1sxw

>>61

お好み焼きパーティーやぞ

 

68:名無しの下級臣下 ID:l6dpYBY7l

何でもかんでも略すの止めてクレメンス…… 新しい言葉覚えるの辛いんや

 

71:名無しの下級臣下 ID:vQHpJIFa/

おこパは激おこぷんぷん丸パーティーの略の可能性が微レ存

 

74:名無しの下級臣下 ID:FYErEzK01

>>71

(そんな可能性)ないです

 

78:名無しの下級臣下 ID:wcxFMGptX

魔王様友人とコミュ障の対策してるってトゥウィッターで言ってるけど本当に大丈夫なんかね?

 

79:名無しの下級臣下 ID:FIzg8Nc7Y

そもそも魔王様って友達いたんだ

 

80:名無しの下級臣下 ID:tC1ItVoZ0

火の玉ストレートやめいや

 

81:名無しの下級臣下 ID:PllKqgDz5

トモ・・・ダチ……?

 

82:名無しの下級臣下 ID:XCGRl3ghN

どんな対策かな

友達と目を合わせながら喋る練習とか、どもらないように友達と喋りまくるとか?

 

85:名無しの下級臣下 ID:REsoYW4Em

そもそも友達とは普通に話せるんやっけ?魔王様

 

88:名無しの下級臣下 ID:7wGwQWRaa

どうなんやろ

というか普通に友達いてお父さんはホッとした

 

91:名無しの下級臣下 ID:dq4xHEdH4

後方父親(づら)やめろ

 

94:名無しの下級臣下 ID:t1a/aVJ8q

今更だけど、何でオフコラボやるって宣言しちゃったんだよ…

普通にオンラインでライバーとゲームとかして仲良くなってからオフコラボやればよかったのに

どう考えても無理だよ。もうマジ無理・・・栗鼠(りす)化しよ・・・

 

96:名無しの下級臣下 ID:9wsQAkrRE

魔王様がオフコラボ宣言したときリスナーの誰も信じてなくてくさだった

 

99:名無しの下級臣下 ID:gu1sYmHcv

オオカミ少年と一緒や

嘘はついちゃいけないんやなって

 

103:名無しの下級臣下 ID:NAu4GOSkm

オフコラボやるって言ったのって、アイワナの耐久配信後の思いつきだからなぁ…

モンエナも確か5本キメてて完全に深夜テンションでおかしくなってたと思われ

 

105:名無しの下級臣下 ID:Vfw4clmKg

アイワナ配信普通に考えて頭おかしいよな

なんだよ25時間配信って… 寝て起きたらまだ配信してたンゴ

 

107:名無しの下級臣下 ID:Vb/8RGcxY

晩飯食べながら配信見て、朝ご飯のときも同じ配信を見る。

こんな体験そうないな

 

108:名無しの下級臣下 ID:YzoqN1can

ここまでの長時間耐久配信は久々… というか初めて見た

 

112:名無しの下級臣下 ID:itRI4JUDE

普通に途中で諦めると思ってたけど、ちゃんと完走してて普通に感心した

 

113:名無しの下級臣下 ID:L2CzzVX6+

根性あるよな魔王様

 

116:名無しの下級臣下 ID:VrU6tqC0A

なお途中からモンエナ5本でご乱心の模様

 

118:名無しの下級臣下 ID:1Aqu/8hk5

こんなにも長時間耐久できるのエライ!!!!

 

122:名無しの下級臣下 ID:P1nxGCT6j

(^q^)マオウサマバンザーイ!!!

 

124:名無しの下級臣下 ID:j7Lqw22JV

定期的にべた褒め勢と記者団出てくるの草

 

125:名無しの下級臣下 ID:CvcJbSrSn

記者団は配信前の待機所で定型化してるしな

 

127:名無しの下級臣下 ID:88N2PEeDi

魔王様がアイワナクリアしてマネージャーと勇者と天使に報告のチャットしてたの微笑(ほほえ)ましすぎて画面の前でニヤニヤしてしまいましたことを謝罪申し上げます。

 

130:名無しの下級臣下 ID:/qduNLDk8

なんていうか、小さな子が頑張ったことを親に褒めてほしくて目をキラキラしている様子を私は思い浮かべてしまいましたことをご報告申し上げます。

 

134:名無しの下級臣下 ID:nkDwPIF5z

魔王様ってガチ恋勢より、親目線勢のほうが多そう

 

138:名無しの下級臣下 ID:aRzpJcG8t

そら、そう(あんな可愛い女の子が自分の娘だったらと夢想するのはしかたがない)よ

 

142:名無しの下級臣下 ID:m3cwOpjXV

魔王様がやったのって難易度NIGHTMAREだったけど俺がやったら一生クリアできなさそう

 

143:名無しの下級臣下 ID:yHo1kzZjI

そもそも一番簡単(セーブ箇所が多い)なEASYですら初心者ならクリアむずい

 

146:名無しの下級臣下 ID:rGex8FiKG

ナイトメアまじで1個も途中セーブ出来ずに最初から最後までノーミスだから頭こわれちゃ^~う

 

147:名無しの下級臣下 ID:rJDBkvrMn

TAS御用達のモード

 

148:名無しの下級臣下 ID:vbgOTaa2d

NIGHTMAREクリアできる人は人間じゃないと思うの

 

151:名無しの下級臣下 ID:pr3+IsYP1

魔王様は人間じゃない定期

 

154:名無しの下級臣下 ID:YTLi1cLPZ

勇者も人間じゃないぞ

なお、本人は自分のことを人間だと思っている模様

 

158:名無しの下級臣下 ID:UpaqN/Dew

勇者人外説やめろ

目玉は取り替えるけど人間やぞ

 

159:名無しの下級臣下 ID:HeC0Jdcx6

なんにしても明日が楽しみや

 

162:名無しの下級臣下 ID:B/lwqVy/E

いつも土曜日は普通に仕事やけど明日の配信のために、明日は有給とったンゴ!

 

163:名無しの下級臣下 ID:nF+jzUhBZ

有給とってエライ!

 

164:名無しの下級臣下 ID:tvd4mRquv

上司になんて言って有給とったの?

 

165:名無しの下級臣下 ID:B/lwqVy/E

「推しの晴れ舞台なんです。」って正直に言ったら、「そうか。目に焼き付けてこい」って

 

168:名無しの下級臣下 ID:eA9j0BMV5

上司の器が広すぎて羨ましい

 

169:名無しの下級臣下 ID:7Gnj+i7Wr

ウチやったら「は?」で一蹴(いっしゅう)されて終わりやな

 

173:名無しの下級臣下 ID:i3mnEGK2Q

娘の晴れ舞台のために仕事を休む姿は(まご)うことなき父親の姿

 

175:名無しの下級臣下 ID:h/vrpEpUn

明日がきっかけで色んな人とコラボしてほしいな

 

 






この話書いてて初めて「おこパ」という単語を知りました。
知らなかった事実にまじ「メンブレ(メンタルブレイク)」ってやつですよ


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29配信目 オフコラボ前哨戦 ―旅立ちの日―

「留守番、よろしく頼むぞ。六花、天花」

 

「ニャ!」

「にゃー」

 

 我を見送りに来てくれた六花と天花の頭をしゃがんで撫でまわす。

 

 ふっ。

 ()い奴らじゃ。我の緊張も少しほぐれるというものだ。

 

 今日はついにオフコラボ当日。

 ちーちゃんと血の(にじ)むような修行を経て、我は強くなった。もう何も恐くない。こんな気持初めて。身体が軽いのじゃ。

 

 さて、と。

 六花と天花を撫で回すのを止め、2匹に少し下がるように指示を出す。

 

「テレポートを使ったのは真根さんと会ったとき以来か。Vtuberを始める少し前…… 1,000年の(とき)と比べれば瞬く間じゃが、随分と久しく感じるのぅ」

 

 ひとりごちり、目をゆっくりと伏せ意識を集中させる。

 自分を鼓舞する意味合いも込め、ふぅと小さく息を吐く。

 

 よし。

 

 あの風景を思い浮かべながら、魔力を乗せた言葉を(つむ)ぐ。

 

「求めるは遥かな雲路(くもじ)の果ての情景。灯火の揺らぎよ、煌々(こうこう)と輝き、照らし、悠遠なる旅路へと我を(いざな)え。――テレポート」

 

 シュンッ、と空気を切るような(かん)高い小さな音とともに、我の身体が六花と天花の前から消え、次の瞬間には全く別の場所へと我が出現する。

 

 ビルとビルの間の狭い道。裏道とでもいえばよいか。

 以前キラキライブ本社へ来たときにここを見つけて、“なんてテレポート向きの場所なのじゃ”と思ったものだ。

 

「よしよし、無事テレポートできたな」

 

 まあそもそも、完全詠唱までして失敗するようなことがあれば、我は恥ずかしさで死んでしまうだろう。

 歴代最強の異名を持つ我が失敗するなど万に一つもありえない。

 

「やっぱり詠唱すると気分が上がってよいの…!」

 

 ふふふ、と不敵に口角が上がる。

 

 テレポートは高度な魔法だが、我にかかれば短縮詠唱はもとより詠唱破棄など容易(たやす)い。あえて詠唱をするメリットはいくつかあるが、教科書的に挙げれば、消費魔力の軽減や魔力コントロール難度の緩和、威力向上などだろう。

 

 しかし!

 詠唱をする最大のメリットは他にある!

 

 

 ――そう! カッコイイ(・・・・・)のじゃ!

 

 

 カッコイイは全てに優る。

 これは我の持論じゃが、やはり魔法はかっこよく、オサレに使う必要がある。実際、自分の気持ちを高めることは魔法行使に良い影響がでるとの魔法大学の研究成果も確かあったはずだ。

 今世で中二病だと揶揄(やゆ)される言動も、異世界の基準に照らせば決して馬鹿にできなかったりする。

 

 やはりカッコイイは素晴らしい。

 さっき我がテレポートするときとか、詠唱しているときにスカートがいい感じになびくように魔力コントロールしたり、目を紅く光らせたりしてたしな!

 

 いやぁ、さすが我。

 前世で魔王に就任するよりもずっと前の幼少期に、魔法詠唱大会に出場したことがあるが、あの時を思い出すのう…… 先駆者が打ち立てた記録を塗り替え、各賞を総なめにした実力は衰えておらんな! 我ながら(たくみ)の技じゃ。

 

 ちなみに、詠唱はある程度自分でいじることができる。お好みで文章を変更することも可能だ。

 まあ、欠かすことの出来ないファクターはどうすることも出来ぬが。

 

「さて…… ここからが本番じゃ」

 

 前置きはこれくらいにして、オフコラボへと意識を向ける。

 

 今、我がいる場所はキラキライブ本社が入っているビルと、その隣のビルとの間の小さな裏道。

 キラキライブ本社はこのビルの7階と8階だ。

 

 うーむ、改めて考えると、東京のこんな一等地のビルの2階層分も借り上げているんだから、キラキライブの資金力と言うか『強さ』を感じる。

 

 今日のオフコラボはキラキライブの多目的ルームの一室を使用して行われる。つまりこのビルの8階だ。

 以前マネージャーである真根さんにどうしても会わなくてはいけなかったときは7階の一室だったので、実は、我はまだ8階へ足を踏み入れたことがない。

 

 スマホのロックを解除して、真根さんから事前にもらったメールを改めて確認する。

 要約すれば、メールには『7階の総合受付で私と合流して、一緒に行きましょう』と書かれてある。

 

 

「第一ミッションは7階で真根さんに会う。じゃな」

 

 もう一度気合を入れ直して、いざ鎌倉。ビルの7階へ向かう。

 

 ま、我ってば既にコミュ力の化身みたいな所あるから余裕だけどな。

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

「ぁ、あ↑の。 えっ……と」

 

「あら、可愛らしいお客さん。お父さんやお母さんは一緒?」

 

 あかん。

 びっくり。

 

 いやもうね、流石に我も自分のことだけどびっくりしたよね。

 キョドってるし、挙げ句、受付の人に迷子みたいに思われてそうだし。受付の人、小さい子に話しかける時特有の目線を合わせるためにしゃがむヤツやってくれてるし……

 

 まて。

 頑張るんじゃ我。そう、コミュ障脱却への重要なステップであるオフコラボはすぐそこなのじゃから。

 

「あ↑の、ま、真根さんは…… いらっしゃいますか?」

「マネさん? あ、真根さん? マネージメント課の真根さんかしら?」

 

「はぃ。えと、あの、私、えと、ニーナ・ナナウルムで、魔王なんです」

 

 しどろもどろになりながらも、なんとか伝えると、受付のお姉さんは合点が言ったようにパンっと小さく両手を叩いた。

 

「あ、思い出しました……! ニーナさんですね。真根さんが来る前に小さな女の子が来たら連絡するように仰せつかってます。802ルームでオフコラボの件ですね?

 いやぁ現実でも可愛いだなんて、さすが魔王様です…!」

 

「は、はぁ… ありがとうございます」

 

 急に褒められたんじゃけど、なんなんじゃ?

 

「ごめんなさい。ついいつもの癖が……

 コホンッ。今真根さんを呼び出しますので少々お待ち下さいね。あ、今飴ちゃん持ってるんですけどおひとつどうですか?」

 

「ぁ、りがとう、ございます…」

 

 うむ。

 とりあえずなんとか第一ミッションはクリア…… 出来たかな……?

 

 頂いた飴玉を口に含んで、受付近くの椅子に座って真根さんを待つ。

 足をプラプラさせて待っていたのじゃが、なぜか先程の受付のお姉さんがチラチラとこちらを見てくる。……はぁ、そんなに挙動不審で可笑しかったかのぅ。時折ニヤニヤしておるし、なんだか凹むわ。

 

 そのまま座って待っていると、程なくして真根さんが来た。

 

 あいも変わらず元気いっぱいの娘だ。

 手を振ってこちらに駆け寄ってくるのじゃからな。ん、ていうか、若干恥ずかしいから手を振るの止めて。ほら、なんか周りの人も何だあれって見てるから。

 

「おまたせしました。ごめんなさい、ホントはこの受付の前で待っているつもりだったんですが、ボイス収録関係が長引きまして…… 申し訳ないです」

 

「だいじょうぶ、です。今日は、ょろしく、お願いします」

 

 真根さんの案内で8階の多目的ルームへ向かう。

 

「もう既にコラボ用の準備はしてありますので、あとはニーナさん、レイさん、リリィさんの3人が配信するだけです。

 配信開始時間までまだありますので、軽い自己紹介と、コラボの最終確認をしましょう。

 

 あ! そうだ! 今日はニーナさんにもいっぱい楽しんで欲しくて、上司を説得して兵庫県明石市の最高級のタコを仕入れてありますよ! ニーナさんのお眼鏡にも適うと思います!」

 

「りょ、了解です」

 

 ただのたこ焼きに最高級のタコ使うのもったいない気がしなくもないが、真根さんのご厚意はありがたくいただこう。というか軽く上司を説得しちゃう真根さんなにげに凄いな。

 

「今日の会場はここです。レイさんとリリィさんは先についてますよ」

 

 緊張でゴクリと唾を飲む。

 ある種、我にとっても待ち望んでいたイベントが、この扉の先にある。

 

 精一杯、楽しんで、話して、頑張る。

 

 

 ――よし、いくぞ。






何と今回の話で10万文字を超えました…!

初心者の物書きにとって、10万文字というのは壁であり、目標なんですよね。
大体文庫本1冊が10万文字なので、この数字がよく出てきます。

なので、10万文字達成して、私、めっちゃ嬉しいです。
やばいです。やばたにえんの無理茶漬けです。

誇張でもなんでもなく、読んでくださり、応援してくださる読者の皆様のおかげです。
これからもコミュ障ロリ魔王様のVtuber生活 in地球をよろしくおねがいします…!

p.s.
詠唱考えるためにブリーチの詠唱参考にしまくりました。



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30配信目 オフコラボ前哨戦 ―エンカウント―

 多目的ルームの扉をカチャリと開ける真根さんの後ろに付いて、我も部屋の中に入っていく。

 

「あら?」

「お?」

 

 そこには既に二人の女性が居た。

 部屋に入った我に気が付き、二人ともこちらを振り向く。

 

 一人は少し明るめのブラウンのロングヘアの女性で、ニコニコとしていて、タレ目が特徴的。

 透明感のある肌に、色っぽい唇。それと、まあ、大きなお胸。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む。そんなスタイル。一言で表せば大人なお姉さんな感じじゃな。

 

 背も我より高い。というより、我が身長149センチじゃから、たいていの場合皆のほうが背が高いんじゃけどね。目測で165センチ前後くらいじゃろうか?

 

 

 もうひとりは先程の女性よりも少し暗めのブラウンのショートカットヘア。

 背は…… 170以上はある気がする。150もない我からすると結構背が高く感じる。

 

 我の方を向いてニッ、と爽やか?に笑う。なんだかスポーツが得意そうな感じの活発な女性という印象。

 

「レイさん、リリィさん。ニーナさんが見えました!」

 

「ど、どうも……」

 

 部屋に入っていく真根さんの後ろに付いて行って、一応挨拶する。まあ、目線はすぐにそらしてしまったけれど。いや、これは仕方ないんじゃて。ある種の生存本能とでも言うべきものなのじゃ。

 

「あらあら~、やっぱりニーナちゃんだったのね~。チャットではやり取りしていたけれど、こうして会うのは初めてね。勇者レイ・ブレイブよ~」

 

 大人な女性―― レイがこちらにとことこ歩いてきて、挨拶をしてきたので一応挨拶を返そう。うん、会話はキャッチボールじゃ。もらったら返さねばなるまい。……真根さんの影に隠れながら。

 

「魔王の、ニーナ・ナナウルム…… です。本名は――」

 

「あぁー! ニーナさんストーーップ!!」

 

 びっくりした!

 何ぞ?! 急に真根さんの待ったがかかった。

 

「ニーナさん、ライバーと話すときは基本的に、相手のことはライバーの名前で読んでください」

 

「え?」

 

「配信中にポロッと本名を言ってしまって身バレ、という事態を防ぐためです。

 特に今回はニーナさんにとって初めてのコラボですので、万全を期すために、レイさんとリリィさんの本名は知らずに配信をお願いしたいです。後々慣れてきたら本名を教え合うことは別に禁止しませんので、今日はとりあえずそういった感じでお願いできないですか?」

 

「わ、分かりました」

 

 なるほど確かに配信中に相手の本名を口走ってしまうことは想定されるか。……そういえば、数年前にキラキライブではない別のハコでそういった事件が起こったような気がする。業界全体的にここらへんのことが敏感になっているのかもしれんな。

 

 特に我、頭の中は割と冷静だけど、同時に、めっちゃ緊張してガクブル状態でもあるから危険じゃな。

 

 ナイスストップ、真根さん。

 

「ぇと、じゃあ、改めて、魔王の、ニーナ・ナナウルムです。よろしく、です」

 

「こちらこそよろしくね~。

 ふふっ。何だかこんな事言うのは失礼かもしれないけれど、真根さんの後ろに隠れているの、お母さんの後ろに隠れる子どもみたいでほっこりするわ」

 

「我、一応、お酒飲める大人だぞ。……です」

 

「ごめんなさい、私、思ったことすぐに口に出してしまうの。ふふっ、そう拗ねないで~」

 

 我のことを完全に子供扱いしておるな。

 たしかに今世の我は完全にロリっ子じゃが、今に見ておれよ? 前世のダイナマイトボディの我みたく、今世でもボン・キュッ・ボン!な感じになるからの! すぐに我が貴様を子ども扱いしてやろうぞ!

 

 ……とは言っても、望み薄なんじゃよね…… 中学からまったく身長伸びておらんし。やっぱりあの時使った魔法があかんかった気がする。

 

「で、私が天使のリリィだぜ。

 ……ったはー↑ 何だか、自分が天使って紹介するの恥ずいな!

 にしてもアレだな。レイが言うように、ニーナって現実(リアル)でも小さい(ちんまい)んだな!」

 

「……我大人」

 

 で、もうひとりがリリィか。

 リリィは現実でも変わらず男勝りな性格っぽいのじゃな。

 

 にしても二人して我のこと小さい小さい言うが、我、れっきとした大人ぞ? なんなら前世合わせたら千年以上生きてるぞ?

 

「わぁーってるって。でも、それはニーナの武器だぜ? 私はもとより、世の中のお兄様・お姉様を(とりこ)にできる素晴らしい武器だ。誇れ。

 あ、そうそう。こうして初めて会ったわけだが、チャットのときと喋り方変える気は私あんまないから、ニーナもタメ口でいいぜ! じゃ、そゆことで今日はよろしくな!」

 

 そう言って、すっと右手を差し出して来るリリィ。

 

 ……これは握手を求めているのだろうか。

 

 え? マジ?

 出会って1分で握手とかコミュ力高すぎない? ――こやつ、さては陽キャだなッ?!

 

 ……え、やっぱコレって握手するんだよね? もうちょっとステップ踏まなくて大丈夫?

 

 

「ったぁー! なに照れてんだよ!」

「うぇ、えぁ」

 

「ほら、はい! にぎにぎ。じゃ、よろしくな!」

 

「ょ、よろしく……」

 

 我が脳内でそんなことを考えていると、しびれを切らしたリリィが我の右手を強引に引っ張って強制的に握手をした。

 

 いや、え、うん? お?

 もしかしてお主、コミュ力のステータスカンストしてるな?

 

 いきなりのことで、恥ずかしさや照れで頭からプシューって煙がでてる気持ちじゃ…… っと、いかんいかん。しっかりせい、我。今日のために、我だってレベ上げしてコミュ力のステータス上げて来たんじゃから。

 

 それに、リリィはきっと、我がコミュ障だから自分からアクションしてくれたんじゃ。ちょっと強引ではあったが。

 うむ。そう思うとなんともありがたい話じゃ。

 

 よし、我も今一度、活を入れて頑張ろうかの。

 

 

 ――と思っていたのじゃが、握手した後のリリィの方を見ると、自分の右手を見て何やらニヤニヤしている。……変態さんですか?

 

「はい、じゃぁ皆さんのファーストインプレッションは上々でアゲアゲって感じですね! ささ、立ち話もなんですし、座って話しましょう!」

 

 真根さんの言う『ファーストインプレッションが上々でアゲアゲ』というのはよくわからないが、真根さんに付いて部屋の中央にあるダイニングテーブルの席につく。

 

「さっきレイさんたちには軽く話しましたが、ニーナさんも来たので改めて詳しく説明しますね。

 この多目的ルームはオフコラボで使うことをもともと想定している部屋の一つになります。なので、見ての通り、キッチンとか冷蔵庫、机に、椅子。様々備え付けられています」

 

 真根さんが人差し指を立て、得意気に説明する。

 

 レイとリリィのインパクトがすごすぎて最初はあまり気にしていなかったのだが、よくよく見てみると、この部屋は『普通』の部屋だ。企業が持つ会議室のような場所ではなく、一般家庭の普通の部屋。

 リビング、ダイニング、キッチンがひとつになった、少し大きめのきれいな部屋だ。少し違うのは、配信用のパソコンが何台か設置されている点だろうか。

 

「で、今日は記念すべき4期生の初オフコラボなので、存分にリスナーに味わってほしいと考えています! よって、配信が始まったら、ここの部屋には3人だけです。スタッフという雑味(・・)のない、純粋な味つけなわけです!

 あ、もちろん何かあるといけないので、私はすぐ隣の部屋に待機して配信をみています。

 すぐに私を呼び出せるワンタッチの助っ人ボタンも一応預けておきますね。はい、ニーナさん」

 

「ぇ、はい。ども……」

 

「それを押すとBluetoothで信号が飛んで、私のスマホに通知がきます! 私も配信を見ているので、配信を介して私を呼んでも大丈夫ですが、リスナーにバレずに呼びたいときとかに使ってください」

 

 真根さんから渡されたのは、手のひらサイズの小さなボタン。四角い銀色の土台に、赤い円形のボタンが取り付けられたモノで、なんていうか、『ポチッとな!』って押す感じのボタン。

 一応赤いボタンに『お助け!』って白字で書いてあるけど、大丈夫これ? 爆発しないか心配なんじゃけど?

 

「さ、配信時間も迫ってきていますので機材のセッティングの最終確認しますけど、その前に質問とかあります?」

 

「……あ、ぁの~?」

 

「はい、ニーナさん! どぞ!」

 

「冷蔵庫の、近くにおいてある、クーラーボックスは…… なんですか? あの、その…… 何だか生命的なエネルギー感じるんですけど……」

 

 我が消え入りそうな声で真根さんに聞いてみると、真根さんは待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で答えてくれた。

 

「ふっふっふー。さすがはニーナさんです! アレには生きたタコ(・・・・・)が入っています! つまり鮮度バツグンです!」

 

「え」

 

「心配ご無用です! リリィさんは料理の腕がプロ級なので、タコを()めるのはもちろん大丈夫ですし、3人で作るたこ焼きも超絶美味しいこと間違いなしです!」

「おう、私に任せとけ! ちなみに、生きたタコを提案したのは私だぜ」

 

「え」

 

 

 

 

 

 ――え?






生きたタコは吸盤で吸われて痛かった思い出しかないです。
次はやっとオフコラボ本戦かな…?



【定期】
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31配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】

天使リリィの一人称を下記の通り変更しました。
(設定見直したら“私”だったのに知らぬ間にオレっ娘にしてた)

オレ → 私




【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム|キラキライブ】

 

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:ドキドキ

:もうすぐか

:魔王様の勇姿が見れるな

:既にてぇてぇ

:なにげに勇者と天使の絡み初だから楽しみ

:てぇてぇ空間はここですか

:既に空気が尊い

:視聴者の数がエグイw

:同時接続数20,000超えwww

:ふぁーw

:3人のそれぞれのファンが来てるからな

:有給とって来た!

:たこ焼きが食べられると聞いて

:てぇてぇ

:まだなのかー!

:尊すぎてシンドイ

:とりあえずうんこ済ませてきた

:魔王様が天使に食われないか心配

:食われる(意味深)

:ガタッ

:ナイスゥ!(やめろ!)

:この日のために1週間仕事頑張った

:勇者と天使に責められてタジタジな魔王様が見られると聞いて

:天使のオフでの対応が気になる

:天使は自制しないと警察のお世話に……

 

 

 待機画面には既にたくさんのリスナーが来ていた。配信開始前にも関わらず、既に同時接続数が2万人を超えている。

 もちろん我だけじゃなく、レイやリリィのファンもここに来るわけで、要するに3人分のファンが一堂に会しているわけなので、視聴者数も当然多い。まあ、それを加味してもすごい人数が多いけどな。

 

 いやぁ…… やばい、めちゃくちゃ緊張してきたのじゃ……

 

 こんなに緊張するのはセバスのお気に入りのティーカップを割ってしまってセバス相手に(しら)を切り通す大立ち回りをした時に匹敵するな…… 結局割ったことバレて火山が爆発するかの如く叱られたわけじゃが。あいつマジで普段温厚なのに怒る時やばい。静かにめちゃくちゃ怒るんじゃよね……

 

 と、そんなことは今は良い。

 今はこのオフコラボに集中するのじゃ、我。

 

 そして思い出せ、ちーちゃんとの秘密の特訓を。

 久しぶりにちーちゃんとお泊りできて楽しかった…… じゃなくて、特訓のおかげで我は自信を持つことが出来たはずじゃ。さっきレイとリリィと軽く会話をしたが、そこそこいい感じに話せたと思うぞ。うん、さすが我。略してさす我。

 

 ん゛ん゛ッ。

 

 我の第一声で配信をスタートするとさっき2人と決めた。

 レイもリリィも我の開始宣言を待っておる。ここはビシッとキメて、オフコラボ成功への景気づけにしようぞ。

 

:お?

:キタキタ!

:配信きちゃ!

:きちゃ

:きちゃ

:wktk

:キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

「皆のもにょ(・・・)! ……皆の者! お、オフコりゃボ始めるぞぉ!」

 

:ズコーッ

:ε=ヾ(⌒(_´-ω・)_ズコー

:草

:うそやん…

:新喜劇並みにずっこけたわw

:かわいい

:かわいい

:えぇ……

:うそん…

:皆のもにょてwwwww

:かわいい

 

 

 ウォォぉぉおおおおおおい!

 

 なぜに!?

 なして!?!?

 なんばしよっとね?!

 

 クソッ! レイとリリィが目の前に居るせいで普通に緊張してしまったのじゃ! これではせっかく我が今まで積み上げてきた『尊敬すべき魔王様』というイメージに傷がついてしまうじゃないか!

 

 

「ニーナちゃん緊張しなくても大丈夫よ~。落ち着いて、一緒に頑張りましょう」

 

 あたふたしていると、レイが後ろからそっと包み込むように抱きついてきた。

 

 なんじゃこの包容力は……

 温かみがあってふわふわと内から浮かぶ安心感に加え、背中に当たるレイの程よく大きな柔らかい双丘が……

 

 って違う!

 

「おおおおお主、なに急に抱きついてきてるんじゃ!?!?」

 

「あら~? ごめんなさい、抱き心地が良さそうだったからつい~」

 

「あ! レイ、お前だけずるいぜ! 私にも抱かせろ!」

 

「ば、ちょ、二人して抱きつかないでくださ…… 抱きつくな!」

 

:あぁ^~

:あら^~

:あらあら^~

:キマシタワー

:ふむ。続けたまえ。

:てぇてぇ

:何だこの尊い空間は。たまげたなぁ…

:勝手にたまげてろ

:フーン、エッチじゃん

:キマシタワーの建築予定地はここですか

:私にも抱かせろ(意味深)

:鼻血が…

:あは^~

:理想郷(アヴァロン)はこ↑こ↓にあったのか

 

 

 抱きついてくる2人を振りほどき、乱れた服を正す。まったく。

 

 まあ…… ちょっと緊張はほぐれたかもしれないから、感謝しないこともないこともないのじゃけど……

 

「ニーナ、お前、すごい抱き心地いいな」

 

「そ、そんな低音ボイスでかっこよく言ってもダメでs…… ダメなのじゃ!」

 

 凄いしみじみと噛みしめるようにリリィが言う。

 リリィは女性にしては声が低く、本気を出すとめちゃくちゃかっこいい声、いわゆるイケボがだせる。こちらをまっすぐ見て言うもんだからすぐさま目をそらしてしまった。カッコイイ声で言っても、いきなり抱きつくための免罪符にはならん!

 

 というか、うーむ…… ちーちゃんとの練習のおかげである程度は話せておるが、やはり目を見て話すの無理じゃね? というか普通の人ってどうやって目を見て話してるのじゃ? 何らかの特殊能力かの?

 

 それに敬語がついつい出てしまう。

 

 ちーちゃんとの作戦会議でちーちゃんから“なるべく敬語は使わないほうが良い”と口酸っぱく言われている。

 

 敬語というものは、ある種壁を作りやすい。

 一応レイとリリィは初対面なので敬語を使いたくなるし、そもそも陰キャあるあるだと思うが会って間もない人にタメ口とかハードル高いじゃろ。

 

 じゃが、ぐっと距離を縮めるためにも「敬語は使うべからず」とちーちゃんから言われておる。

 さっきレイとリリィにもその旨伝えて断ったのじゃがのぅ…… なかなかうまくいかぬ。

 

 

「ふふっ。少しは緊張がほぐれたかしら~?

 それでニーナちゃん、今日は私達と何をするんだったかしら?」

 

 レイがクスクスと笑い、我に話題を振ってくる。

 

 そうじゃそうじゃ。

 今日はたこ焼きパーティーをすることはトゥウィッターで発信しているが、一応何をやるのかは言わんとな。

 

 話題振りありがてぇのぅ。

 ナイスじゃ、勇者レイよ。

 

「う、うむ。今日はたこ焼きパーティーじゃ。

 で、うん…… 誠に遺憾ながら、なぜかタコを締めるところから始めるのじゃ」

 

:どゆこと?

:タコをしめる?

:ん? タコまだ生きてんの?

:ゆでダコ買ってきてないの?

 

「それについて私から補足するぜ!

 今日のたこパはスタッフさんの粋な計らいで、一級品のタコを使用する。しかもまだ生きてるタコだから鮮度も抜群だぜ。産地直送だ。

 ……まあ、要するに、幼女が触手と格闘する場面から、この配信はスタートするわけだな。ちなみに生きたタコは私が提案した」

 

:草

:お前か

:事案の影に天使有り

:ふむ、続けたまえ。

:幼女×触手ですか… いいと思います。

:触手プレイとはいい趣味

:産地直送(魔王様のSAN値が直葬)

:安定の天使クオリティ

:天使くんさぁ……

:料理できる?大丈夫?

 

 

「私はタコ締めるのとか普通にできるし、レイも割と料理できるって聞いてるから、ニーナが無理そうなら私達が代わってやる感じだぜ」

 

「ニーナちゃん、頑張って」

 

「……頑張るのじゃ」

 

「大丈夫だって! 私が手取り、足取り、ねっとりと、教えてあげるからな。へへっ… ジュルリ… おっと、たこ焼きが早く食いたくてつい」

 

:やりたくなさそうで草

:ヨダレ…? 犯罪臭がしますね……

:お巡りさんこいつです

:本当にたこ焼きが食べたくてヨダレ出ましたか?

:天使が天使してて草

:もしもしポリスメン?

:狂人がそばにいて魔王様可哀想

:触手にロリコン天使ですか。続けて。

 

 

「……変態め」

 

「クハッ…! やば、今の上目遣いの“変態”、いいぜ……」

 

恍惚(こうこつ)とした顔をするでない! 良い顔が台無しじゃぞ」

 

「ふふっ」

 

:おいそこ代われ天使

:天使ずるいぞ

:今の「変態」いいね

:はぁ…好き……

:良うわからんけど勇者のママみが凄い

:既に尊死(とうとし)してる人多そう



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32配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】2

おまたせしました……!

年度末と年度始めが異次元に忙しくてびっくりしました。
ぼちぼち再開していきます(汗)



↓間があきすぎたので前回までのあらすじ↓

ついに魔王様オフコラボ!
たこ焼きパーティ!
タコはまだ生きているから締めるとこからね!



「えっと、じゃあ早速調理に入るわけじゃが…… タコ、キモイな…」

 

 目の前に置かれた8本の足を持つ無脊椎動物を見る。

 ……キモい。

 

 え、めっちゃキモくない?

 

 我もタコは食べたことあるよ? タコはとっても美味しい。

 でも、我、生きているタコ見るの初めてなのじゃけど、想像を絶するくらいキモいんじゃが?

 

 え、なにこの生き物。

 

 そういえば地球上でタコを食べるのはほぼほぼ日本人だけ、という記事を見たことがあるが、初めて食べようとした日本人凄いな。宇宙的な恐怖(コズミックホラー)的な何かを感じるじゃろ普通。目の前のタコも何だか冒涜(ぼうとく)的な動きでうねうねしてる。

 我の居た異世界にも似たようなキモいのいるけど、アレを食べようとするやつなんておらんかったぞ。まあそもそも魔物は総じて不味いけどな。

 

「え、えと、リリィ…… あの、えっとその… 我は、どうしたらよい、でs、良いのじゃ? コイツ“死にたくねぇー!”的な感じがひしひしと伝わってくるのじゃけど」

 

「アッハッハ! そりゃ死にたくないだろうけど、食うためには締めないとな。

 まずはこの調理用のハサミでタコの目と目の間を、こぅ、ブスっとイっちゃってくれ」

 

:魔王様ドン引きで草

:勇者がクーラーボックスから取り出した時点で怪しかったしなw

:そりゃタコはキモイよw

:食べようとする日本人の勇気に、敬礼ッ!

:タコ「死にたくねぇ!」

:そういえば魔王様動物の言葉分かるな

:草

:魔王様言葉分かるけど締めれる?

:声聞こえるならツラそう

:心優しい女の子になんてことさせるんだ…

:↑この子魔王なんですが…

 

 

「ニーナちゃん、コメントでも心配されているけれど、その…… 大丈夫?

 辛いなら私が代わるからね。私別に締めることに何も思わないから」

 

「あ、そそのことなら、大丈夫。じゃ。

 我魔王じゃし、命のやり取りとか、年の数よりしてるし、まったく問題ない、のじゃ。強がりでも、な何でもなくて、それこそ人間と話すより、100億倍、くらいは気がラク、じゃ」

 

:さすが魔王様

:よ、魔王様

:キャラ守るのもいいけど無理しないで

:さすまお

:まあ魔王様だしな(無理はしないで)

:勇者がまた何か怖いこと言ってる

:タコなんて瞬殺ですよ

 

「……うん。わかったわ。頑張って、ニーナちゃん」

 

「ほらほらニーナ、タコが逃げようとしてるぜ?」

 

「わ、分かっておるわ! うぬぅ…… てい」

 

 とりあえず取り押さえて、まな板の上から逃げないようにする。

 うぇあ…… ヌメッとして気持ち悪いのじゃ……

 

「って、痛いのじゃ! や、やめろォ! 吸盤でひっつくな! ぶ、無礼者! 我が魔王と知っての狼藉(ろうぜき)か! いた、い痛いのじゃ、やめて…」

 

「ふむ。コレが現実(リアル)の触手プレイか。……まぁ、100点かな」

 

:草

:魔王様に触手が絡まってるのか

:草

:wwwwwww

:ふぅ……

:ふぅ

:うーむ、触手プレイはいいなぁ

:天使がハスキーボイスで珍妙なこと言ってんねぇ!w

:天使w

:魔王様……ふぅ……

:いつもの天使でわらった

 

「くくく、この我に歯向かう度胸は認めてやろう……! しかし、その程度ではこの我には届かぬと知れ!」

 

「ノリノリね、ニーナちゃん」

 

「んじゃニーナ、ほら、サクッとイッちゃいな。ほら、ここら辺だ。ちゃんと締めれたらタコの色が変わるから、もし締めが甘かったら刺してから中でぐりぐりってしてくれ」

 

「大丈夫じゃ、急所の場所は、ある程度、分かる。“輝き”がある、場所じゃ」

 

 吸盤がまだ若干痛いが、とりあえず押さえつけて、右手に持つハサミで狙いをつける。

 

 タコの知能はイヌ並。人間に例えれば3歳くらいの知能はあると聞く。

 我に弱者をいたぶる趣味などない。できる限り苦しませずに死なせるのが我の流儀じゃ。ならば一撃でこいつを(ほふ)ってみせよう。

 

「てぁ!」

 

「お、なんかいい感じの雰囲気だな」

 

 狙い澄ましてハサミを穿(うが)つ――。

 

 するとすぐにタコの身体の色が薄くなった。

 身体から色が抜け落ちても8つの足はしばらくバラバラに動いていたが、徐々に力をなくしていった。

 

「出来たっぽい……かの?」

 

「お、やるじゃねーかニーナ」

 

:さすが魔王様!

:やればできる子

:さすまお

:大丈夫? 頭よしよしする?

:天使がお父さんみたいでほんわかする

:料理出来てエラい!1万点!!

 

「んじゃ次は内臓とかを取り出すんだけど…… 若干難しいからな、レイ、やってくれるか?」

 

「合点承知よ~」

 

「んじゃニーナはちょい休憩な。ほら、おてて洗ってちょっと横で待っててくれ」

 

「う、ぅむ…」

 

 言われたとおりまな板の前から横にどいてレイにバトンタッチする。

 一応どう処理するのかレイの横からちょこんと覗く。

 

「タコの()の筋をブチブチ切りつつこうやって裏返して…… ね? こうやると内臓があるからブチブチとって…… あ、これがスミ袋よ」

 

「え、お、うん……」

 

:勇者w勇者w

:勇者がwwww

:いや正しいけど言い方ァ!

:ブチブチw

:魔王様ドン引きで草

:内臓をブチブチ取り除きます(清楚)

:これが清楚枠ちゃんですか?

 

「でね、タコの口と目玉も邪魔だから、こやって摘んで引きちぎって、目玉は包丁で周りに切れ込みをいれて……

 はい、完成。分かれば結構簡単よ」

 

「う、うむ…… 画面の前の皆、には、分からんと思うんじゃけど、結構グロかったぞ」

 

:うん。知ってる。

:ブチブチ引きちぎる音が聞こえてたから知ってる

:勇者の効果音からして結構分かる

:まあ内臓はグロいわな

:オレグロいの苦手なんだ

 

「うしっ! お疲れさん。あとはぬめりを取って茹でるだけだ」

 

 タコをボウルに移し、たっぷりの塩をまぶして準備万端。

 リリィの話によると、結構ぬめりを取るのに揉む必要があるらしい。

 

「じゃ、ニーナ。タコを揉んでぬめりを取ってくれ」

 

「りょ、了解じゃ」

 

 ボウルの中で念入りにタコを揉む。

 ここでしっかり取っておかないと美味しく食べられない。

 

 ……くっ!

 結構力がいるし、つかれるのぅ!

 意外と重労働じゃ……

 

 そんなふうに我が必死になってぬめりをとっていると、リリィが顎に手を当てて何やら真面目な雰囲気で近づいてきた。

 

 

「……ふむ。

 幼女がぐちゅぐちゅニチニチといやらしい音をたてながら、太くて猛々(たけだけ)しいモノを必死にマッサージする。……なるほど。(ひらめ)いた」

 

 

:ガタッ

:通報した

:ものはいいよう

:お巡りさんこっちです

:嘘はいっていないな

:天使!w

:ふーん、エッチじゃん

:そこに気がつくとは…やはり天才か

:草

 

 

 

 ――リリィ、お主言い方ァ!

 

 

 





とりあえず何でも食べようとする日本人
クトゥルーの神々って意外に美味しいかも知れない


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33配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】3

Q.なぜたこ焼きを食べるまでに数話も使っているのですか?

A.幼女の触手プレイが書きたかったんです。本当に申し訳ない。


 タコを締めて内臓の処理もして、タコを茹でてようやく準備が完了した。

 

 茹でるときも少しコツが有るようで、リリィの指導のもと、タコの足先からちょんちょんと少しずつ入れて、タコの足をカールさせながら茹でる。

 いい感じに茹でたら鍋から取り出し、粗熱を取って、終わり。

 

 うーむ、意外と大変じゃった。

 やっと下処理が終わったのぅ。食材は通販で買うのが主な我じゃが、やって初めて分かる大変さじゃ。

 

 それになんていうか…… リリィが料理得意なのが結構ギャップが凄いの。

 的確に指示を出してくれるし、意外と結構頼もしい。普段の配信では下ネタ特盛の配信で、どっちかって言うとがさつな印象もうけるしな。

 リリィは見てくれは悪くないし、黙っていれば美人なのじゃけどのぅ…… 彼奴の性癖がそれをすべて台無しにしてる感がやばい。9割方いいけど、残りの1割のアクが強すぎる。

 

 レイも結構手先が器用じゃな。もともと配信でも言葉遣いは綺麗じゃし、清楚のイメージもあるしの。料理の知識はリリィに劣るっぽいが何をやってもそつなくこなす感じがするな。

 ……まあ、発言が時々物騒じゃけど。なんかタコの下処理のときもおよそ清楚とは程遠い発言をちらりと聞いたりした気もしなくもない。

 

「おしっ! タコの準備も終わったし、生地の準備もソースも準備万端だ!」

 

「うふふ、ようやく食べられるのね。私、お腹ぺこぺこだわ~」

 

「わ、我もぺこぺこ、なのじゃ」

 

:急にオレもたこ焼き食べたくなってきた

:こっちまでお腹へってきたわ

:幼女の触手プレイ配信が終わってしまった…

:みんなよく頑張った!エライ!

:まだ幼女のお食事配信があるじゃろ

:なにげに魔王様の食事してる配信初めてな気がする

:勇者レイも初めてやぞ

:天使はビール飲みながら性癖暴露大会してたけどな

:あのビール配信か…

 

「ふっふっふー、今日はただたこ焼きを作るわけじゃないぜ? ……じゃーん! これを見てみろ!」

 

「ん?」

 

 そう言って部屋に設置されている冷蔵庫から元気よくリリィが取り出してきたのは、小皿に分けられた色々な具材。リリィはテキパキとそれらをテーブルに並べていく。

 

 ネギもあるし、チーズもある。桜えびやウィンナーなんかもある。

 

「これも、たこ焼きに入れる…… のじゃ?」

 

「そうだ! ただ単にたこ焼きを作って食べるのも美味しいが、今日は折角のたこ焼き『パーティ』なんだ。もっとハイカラに行かないと損だからな! キラキライブのスタッフさんと一緒にスーパーに行って揃えてきた」

 

 フッとドヤ顔のリリィ。

 

 どうやらリリィは今回のたこ焼きパーティオフコラボに結構力を入れてくれているらしい。材料の買い出しの段階からスタッフと一緒に行っていたのか。

 というか生きたタコを提案したのもたしかリリィじゃし、我の想像以上に裏で動いてくれているようじゃ。

 

 まあうん、タコは茹でてあるタコを買ってきても良かったのじゃぞ?

 

「チーズに桜えび、ウィンナーにトマト。色々な具材があるわね~」

 

 気合十分のリリィを見て、レイもふふっと微笑んでいる。

 

:おー、ええやん

:タコだけじゃ味気ないしな

:チーズ入れたたこ焼き最高ゾ

:桜えびか

:トウモロコシとか意外にいいぞ

:トマト入れたたこ焼き美味いんか…?

:(それはたこ焼き生地をまとったただのトマトなのでは…)

:バリエーション豊かなのいいゾ~これ

 

 たこ焼き器の電源は少し前に入れてあるので、十分に温まっている。

 

 我とレイもいそいそと席につく。

 

 

「っし! じゃ、焼いてくぜ!」

 

 どこから取り出したのか、リリィはたこ焼きの屋台で使うような油引きを取り出し、手際よくたこ焼き器に油を塗る。

 塗り終わったらそこに生地を入れ、タコを始めとした具材を入れていく。

 

 じゅー、と食欲をそそる小気味よい音が鳴りはじめる。

 

 そのまま焼けるまでしばらく待ち、垂れそうになる涎を抑えつつ、頃合いを見計らってひっくり返す。

 

 そうして見慣れた球体が出来上がった。

 

「う、うまそうなのじゃ…… ジュル…」

 

 思わず涎が垂れそうになる。

 

 香ばしい良い匂いが鼻孔をくすぐり自分の胃がまだかまだかと喚いている。

 

「まあまてニーナ。もう少し焦げ目がついてからだ。

 ……っし、そろそろいいんじゃないか?」

 

 リリィから許しが出たら竹串で焼き上がったたこ焼きを刺して、そのまま自分の口へと運ぶ。

 もちろんアツアツなのでふーふーして、はふっと食べる。

 

 ~~~~っ!

 

 美味いのじゃ!

 

 外はパリッと香ばしく、中はトロリと柔らかく、中に入ったタコも良い風味を出している。自分で下処理をしたからなのか、あるいは皆でやったからか、より一層美味しく感じるっ!

 

 ん~~~~! 美味い!

 

 

 そうやって美味しく味わっていると隣に座っているレイがフフッとこちらを見て柔らかに笑ってきた。

 

 

「……な、なんじゃ? 我の顔にな、何かついておるか?」

 

「ううん。ニーナちゃん、とっても美味しそうにたべるな~って思っただけよ~」

 

「確かに、私らと話すときはまだ結構緊張してるけど、今は破顔していつも以上にかわいい顔してるぜ?」

 

「ばっ……! か、かわ……!」

 

 

:魔王様照れてるw

:かわいい

:かわいい

:くそかわ

:これは可愛いの権化

:可愛いは正義ってそれ一番いわれてるから

:画面が邪魔でみれない

:はぁ~…かわいい(クソでかため息)

 

 

「お、そうだニーナ、ニーナ」

 

 何かを思いついたように、反対側に座っていたリリィがとことこ歩いてこちらに来た。

 

「ほら、あ~ん」

 

「あ、あーん……?!」

 

「ほら、私がふーふーしてやったからもう熱くないぜ。プレートから上げて少し経ってるしな」

 

:ガタッ

:くそ!天使そこ代われ!

:ナイス天使

:てめ天使!

:ずるいぞ天使!

:オレも魔王様にあーんしたい!

:どけッ!俺がその役だ!

 

「なんなら私が口に含んで、それをキスしながら食べさせてあげようか? あ~んよりそっちのほうが良いか? 私は一向に構わんぞ」

 

「な、そ、そんなことできるわけなかろう…! そ、それにあ、熱い熱くないの問題じゃなくて、じゃな……! よいか? 我もう大人ぞ?!」

 

「照れんなよ。ほら、リスナーにサービスしてやろうぜ。ほら、あ~ん」

 

 う、うぬ……

 ええい!ままよ!

 

 目をぎゅっと瞑り口を開ける。

 

「ぁ、ぁ~ん…」

 

「うぇへへへwへwへw 可愛いなぁ…w はいあーん」

 

「んむぐ。…………ま、まぁうまいのじゃけど……」

 

 そりゃまあ美味しい。

 さっき食べたから知ってる。けれど目の前にレイがいて気が気じゃなかったぞ。コミュ障なめるな。目をつぶってたから良かったけど、あんな至近距離はコミュ障にはきついのじゃ!

 ていうかコミュ障に何やらせてるのじゃ。だいぶ段階すっ飛ばしやがったよね!?

 

 まあ、うん。たこ焼き美味いからいいけど…… いいのじゃけどさ…

 

「ニーナちゃんには申し訳ないけれど、小さな可愛い子を見ているととっても癒やされるわね~

 さて、それじゃあたこ焼きを食べつつ焼きつつ、そろそろ事前に準備したマシュマロも食べていきましょう~?」

 

「お、そうだった! たこ焼きで頭いっぱいだったけどマシュマロの返信もやるぜ!」

 

「そ、そういえば、さっきマネージャーさんが言っておったの」

 

 オフコラボの配信を始める前にマネージャーの真根さんが言っておったの。

 3人の初めてのコラボ、しかもオフコラボということで色々オフコラボに合わせたマシュマロが来ていた気がする。

 

 えーっと、どんなのが来ておったかの……?

 

 






というわけでやっとたこ焼き食べられました。

そしてマシュマロ募集したいと思います!
マシュマロ募集リンク

オフコラボをしている3人へお気軽にご質問ください。
(次話に載せるかもしれないので、その辺りもご了承ください)



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34配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】4

前回募集したマシュマロで作ってみました。

たくさんの応募ありがとうございます…!

いっぱい頂いたので次話もマシュマロ返ししよう。


「じゃ、マシュマロ返していくぜ! 最初はコレだ」

 

 

 ニーナ!ニーナ!ニーナ!ニーナぁぁあああわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ニーナニーナニーナぁああぁわぁああああ!!!

 あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ニーナ・ナナウルムたんの綺麗な黒の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!

 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!

 

 配信初回のニーナたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!

 レーぺックスかっこよく決まって良かったねニーナたん!あぁあああああ!かわいい!ニーナたん!かわいい!あっああぁああ!六花と天花も名付けされて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!

 

 ぐあああああああああああ!!!黒髪のじゃロリなんて現実じゃない!!!!あ…配信もレーぺックスもよく考えたら…

 ニ ー ナ ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!

 

 そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!魔王城ぁああああ!!

 

 この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?画面のニーナちゃんが僕を見てる?

 画面のニーナちゃんが僕を見てるぞ!ニーナちゃんが僕を見てるぞ!のじゃロリのニーナちゃんが僕を見てるぞ!!

 レーぺックスのニーナちゃんが僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!

 

 いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはニーナちゃんがいる!!やったよ勇者!!ひとりでできるもん!!!

 あ、画面のニーナちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!

 あっあんああっああんあ天使ぁあ!!り、六花!!天花ぁああああああ!!!ノゾミちゃぁあああ!!

 ううっうぅうう!!俺の想いよニーナへ届け!!魔王城のニーナへ届け! 

 

 

 

 

 

「ニーナ!ニーナ!ニーナ!ニーナぁぁあああわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー――」

 

「ばっ、読み上げんで良い! な、なぜそ、それを選んだんじゃお主?!」

 

「あらあら~」

 

:草

:いつものコピペ

:読み上げようとしてるの草

:天使w

:最初からカロリー高くて草

:さすがのセンスだ。気に入った殺すのは最後にしてやる

:納得の選出

:これは天使

 

 

「え、いやだって。この1~2ヶ月の私の気持ちを見透かしたかのような素晴らしいマシュマロだったからしょうがないのぜ……」

 

「おおおおおお、お主のぅ……!」

 

「ちなみに今、私は猛烈にニーナの黒髪セミロングをクンカクンカしたいお!!!!!」

 

「や、やめんか! く、来るでない! 手をわ、わきわきするな……!」

 

「ふふふ、さぁお嬢ちゃん、おじさんとスケベしようや… へへっ……」

 

「あらあら~、おいたはダメよリリィ? ニーナちゃん怖がっているわ~」

 

「え、あ、うん。ごめんなさい。うん、謝るからさ、レイ、私の腕掴むのやめようか。ぎぎぎって嫌な音を立てながら腕を後ろに回されて私の腕の関節が悲鳴を上げてイテテテ! 痛い! ギブ! レイ! 私ギブ! ごめんて!」

 

「ふふっ、物分りが良い子は好きよ~」

 

「この空間やばい奴しかいないのじゃ……」

 

:くっそwww

:この数秒で3人の関係性が分かるなw

:悪はやっぱり敗れるんだよなぁ

:悪(天使)

:勇者が魔王守ってるの草

:勇者(ボディガード)

:勇者力つよいなw

:たしか勇者握力70kgあるで

:ヒエッ

 

 

「じゃ、じゃあ次のやつ行くのだぜ……」

 

 

 3人でじゃんけんをして、負けたふたりがお互いに告白してください。

で、勝った人はそれについてコメントをしてください。

 

 

 

 

「んなッ?!」

 

「ほう……」

 

「あらあら~」

 

:ガタッガタッガタッガタッ

:↑おちけつ

:魔王様負けろぉ!(魔王様頑張れ)

:↑逆だったかも知れねぇ…

:はよはよ

:わくわく

 

「ま、まてまだやると、決まった、わけでは……」

 

「なんだ魔王様ともあろう御方が敵前逃亡か~?」

 

「ぐぬ…! い、いいじゃろう! わ、我が勝てばよいだけじゃからな! 歴代最強! 一騎当千の強者と名高い我が、じゃんけんであろうと負けるはずないのじゃ!」

 

「ふたりともやる気満々ね~」

 

「よ~し、行くぞ! 最初はグー、じゃんけん――」

 

「「「ポンっ」」」

 

:魔王様すーぐ乗せられる

:魔王様声震えてますよ

:まあ、魔王様未来が見えるともっぱらの噂ですし

:頑張れ天使

:↑なんか水晶必須って言ってたゾ

:(いけるか……?)

:どうだ……?

:天使と勇者の告白も結構期待

 

 

「――~~~~っ!!」

 

「っし! お前ら!私の役割は果たしたぜ!」

 

「あら~、負けてしまったわ~」

 

:天使の一人勝ちか!

:ナイス天使!

:こればっかりはナイスと言わざるを得ない

:勇者の告白ってどんなだろう……?

:↑貴女は一生私が守るとか?

:なにそれええやん

:一生守る(拉致監禁)かもしれん

:草

 

 

「んじゃ私の勝ちだからな、二人には愛の告白をしあってもらいまーす! イエーイ!どんどんぱふぱふ!」

 

「ぐぬぬ……」

 

「じゃあ私から行くわ~」

 

「お、じゃあレイからな。3・2・1,キュー!」

 

 我が悩んでいるのを尻目に、レイがこちらを向く。

 

 一瞬目があったが、我はすぐさま目をそらす。

 いや、コレばっかりは条件反射なんじゃ。許せレイ。

 

 するとレイがこちらに近づき、我の両頬を手のひらで包み、強制的に我の顔を前に向ける。そうすると必然的に我とレイの目と目が合うわけで……

 

「にゃ、にゃにを……?!」

 

「ニーナちゃん」

 

「は、はい↑」

 

「ニーナちゃん。貴女のことが大好き。今までも、そしてこれからも。気がつけば貴女のことばかり考えているの。

 ――これから先もずっと、私は貴女のことを愛していいかしら?」

 

「……!」

 

 まっすぐこちらをみて、柔らかに、けれど力強くレイは言う。

 

 我は自分の頬が紅潮しているのが分かった。

 

 な、なんじゃ…?! こんなにもまっすぐな言葉が存在するのか?!

 う、狼狽えるな我。

 

 

:百合の花が咲いたよ

:キマシタワー!

:はぁ、好き。

:(鼻血)

:百合は素晴らしき無形遺産

:ここにキマシタワーを建てましょう

 

「っかぁ~~~~~!!!! 良い! すごく良いぜレイ!

 いつものどこか天然な性格と、今の着飾らないまっすぐな告白のギャップがたまらん! 照れるニーナもサイッコーに良い! いいねボタンを何回も押したい気分だぜ。

 さあ、それに対してニーナはなんて応えるんだ?!」

 

「わ、我も、……そなたのことが――」

 

 うぐぬぅ……

 こ、告白なんて一度もしたことないのじゃぞ?! 前世でも告白はされど、したことなぞない!

 

 ていうかなんかさっきのレイの告白で動揺しているからか知らんが、全然考えがまとまらん!

 

 なんて言えばよいのじゃ?!

 とりあえず好きって言わなきゃいかんのじゃろ?!?!

 

 ええーい!!

 

「そなたのことが―― 大好き、じゃ」

 

「っぐ…!」

 

「なはっ……!」

 

 

:おおおおおおおお

:え、今勇者が限界化*1した?

:ぐって勇者が言ったよな?

:ついに勇者が魔王に堕ちた?

:っぐ…(致命傷)

 

 

「な、なんじゃ、わ、我にとってはこ、これが精一杯なのじゃ」

 

「いや、そうじゃないぜニーナ。素晴らしいんだ」

 

「わ、私も今のはとってもキたわ~。なんだか久しぶりに心臓の鼓動が早く感じるわ~」

 

 

「いやぁやばいぜ…… ちょっとたこ焼き食べて休憩するぜ……

 ……この桜えびたこ焼きうまいな…」

*1
限界と化すこと。「限界オタク化」の略。



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35配信目 【#異世界たこパ】オフでたこパを開催じゃ【レイ・ブレイブ/リリィ/ニーナ・ナナウルム】5


募集したマシュマロの続きです。
いっぱいご応募ありがとうございました…!




「チーズが入っているたこ焼きって意外と美味しいのね~」

 

「だな。結構イケる」

 

「う、うむ」

 

「じゃあ、次のマシュマロは…… これにしましょう」

 

 

 

 水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素、ケミカルX 及びその個人の遺伝子の情報 

 

 

 

「これはなんの材料なんだ? 理科の実験の途中かなにかか?」 

 

「ふっふっふー。これは、人間の材料じゃな。結構オタクには有名じゃぞ? 若干変なのも混じっておるが、我の世界でも(おおむ)ねこの素材が通説じゃったな。人間はこれらの材料から出来ておるが、ここから完璧な人間を作るのは地球上でも、我のいた世界でも、まだ誰にも出来ておらんな。

 かくいうこの我も魔法大学時代は人体錬成の研究―― まぁもっと平易に言うとホムンクルスの研究をしておったのじゃがこれがまあ難しいのなんの。ゴーレム学をもともと専攻しておったからそこからの応用で、地球で言うところのAIみたいな思考回路を持ったホムンクルスの錬成に一応は成功したの。ただなぁ、魂や感情の定義付けがどうしてもうまく行かなくて結局は完璧なホムンクルスには程遠かったの。一部の感情が突出してしまうし普通の人間みたいな平準な感情或いはときに波風立つ感情というものは――」

 

「うおっ?! 急に饒舌になるなッ?! びっくりするわ!」

 

:魔王様特有の早口

:自分の好きな分野で早口になるオタク君

:ああまた発作が……

:全然息継ぎしなくて草

:wwww

:い つ も の

:おいたわしや魔王様

:そんなんやからコミュ障なんやぞ

 

 

「感情に乏しいホムンクルスは比較的容易に作成することは可能じゃが、これを逆に、一部の感情のみ突出するようにしても比較的簡単につくることはできる。まあ比較的簡単とはいっても作成には莫大なコストと労力が必要不可欠なわけで――」

 

「さあ、それじゃあ次に行くわ~」

 

 

 3人でお泊まりオフコラボしてください 

お願いしますなんでもしま(ry 

 

 

 

 

 三人オフコラボでゲームを所望します!! 

 

 

 

 

 次回のオフコラボはいつですか? 

 気になって夜も9時間しか眠ることができません。

 正直なところ、オフじゃなくてオンでも良いのでコラボ見たいです。

 例えばホラーゲーム実況とかどうでしょうか?

 天使様や勇者様はホラーゲーム耐性があるかも知れませんが、

 おそらく魔王様は耐性が低いと私は睨んでいます。

 ということはつまり、魔王様の悲鳴やら泣く様が聞けるわけです。

 私はその声が聞きたいと思っています。

 ご一考のほどよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

「ほらニーナちゃん。次のマシュマロよ。

 次のオフコラボはいつですか? ですって~ どうする~、ニーナちゃん~?」

 

「え、あ、う、うむ。すまぬ…… う、うむぅ…… オフ、コラボ…… い、いや、というか最後の何じゃよ?! 最後送ってきたやつ、お主の文章のほうが幽霊なぞよりよっぽど怖いわ!」

 

:ん?今なんでもするって…

:草

:後半正体現してて草

:コラボ乱発してもいいぞ

:今回でコラボだいぶ慣れた?

:なんか最後のやつ、最初期のマシュマロで似たような文章あった希ガス

:悲鳴大好きニキwww

:快眠で草

 

「ホラーゲームか…… なるほど閃いt――」

 

「閃くんじゃない! お、お主よいか? やめろよ? たとえ誘われても我はやらぬからな……! ホラーゲームほど意味の分からんものはないぞ? びっくり系は最悪別に良いのじゃが精神系ホラーだけはぜっっっったいにダメじゃ。なんていうのかの、暗い部屋に日本人形とかおいてあるやつとか精神がおかしくなるようなやつとかダメじゃ。ピザ屋のバイトとかもダメじゃぞ。昼間に見てもどこか不気味なおもちゃが夜に歩いてるとか――」

 

「ニーナちゃん落ち着いて落ち着いて。ふふっ、まぁ、そうね~。今後の参考にしますってことにしましょう?」

 

「うーむ、単純に誘ってもダメなら何かの罰ゲームか……」

 

「おおおおお主、何をブツブツい、言っておるのじゃ……?!」

 

 

:あいかわらずの天使で草

:ピザ屋キボンヌ

:草

:魔王様結構打ち解けてきたなw

:悲鳴ニキのマシュマロすこ

 

 

「さあ、次へ行きましょうね~」

 

 

 私は魔王軍のしがないゴブリンです。

 実は、ニーナ様はあまりコミュニケーションに()けておりません。

 我らが(あるじ)此度(こたび)の“おふこらぼ”なるものを

 楽しめておられますでしょうか?

 心配で昨日は寝付くことが出来ませんでした。

 

 勇者殿、天使殿。

 ニーナ様は照れ隠しで尊大な態度をとってしまうこともありますが、

 根はとても優しくて部下思いの良い主なのです。

 どうか、我らが主を温かい目で見守ってください。 

 

 

 

「んにゃっ……!」

 

「今、“ニャ”って言ったよな」

「あらあら~、魔物のくせに意外といいこと言うわね~」

 

 

:めちゃくちゃ真面目で草

:いい部下やん…

:ゴブリンのくせしていいヤツ

:ゴブリンどもは皆殺しだ

:↑スレイヤーさんは落ち着いて

:(魔物の“くせに”…?)

:悲鳴ニキのマシュマロのあとにこれは草

 

「で、実際どうなんだ? 私的にはニーナも結構楽しめてると思うんだけどな~。最初の方は緊張しまくりだったけど、今はもう結構慣れてきてる気がする」

 

「う、うむ…… 確かに最初、ほどは緊張してない、と思う。結構なんだかんだ話せてるし……

 その… 事前の練習の甲斐もあるし、なんていうか…… その…… お主ら、結構いいやつじゃしな」

 

「あら~。そんなこと言われると抱きつきたくなっちゃうわ~。……えいっ!」

 

「って言うとるそばからだ、抱きつくな! そういうところは好かんのじゃ…!」

 

「ふふっ」

 

:てぇてぇ

:てぇてぇ

:素晴らしい

:あら^~

:てぇてぇ

:日本が核を持たない理由

:これがVtuberですか

:ふーむ

 

「まぁ、まだニーナは目を合わせて私らと話してくれないけどな!」

 

「しょ、しょうがないじゃろ? 人の目を見て話すとかそんなレベルは無理じゃ。あと1年は待ってほしい」

 

「1年は長いわね~」 



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36配信目 魔王様のペットになるボイス

「ふんふんふーん♪」

 

 鼻歌を歌いながらパソコンを操作する。

 

 今日は魔王ニーナ・ナナウルム様こと、まーちゃんのボイス発売日だ。

 

 そう、まーちゃんの初めてのボイス販売なのだ……!

 もちろん購入した。

 

 私は普段、Vtuberのボイスをあまり買わないが、今日は別だ。爆速で買った。光の速さで買った。何なら家にあるイヤホンが調子が悪かったので、事前に良いやつを買ってある。準備万端。

 

 今回のボイスはまーちゃんの登録者が15万人を突破したことを記念して収録されたものだ。

 

 つい先日、登録者10万人突破記念でオフコラボがあったが、そのオフコラボ開催直後に今回のボイス収録の話が持ち上がったらしい。初めてのボイス収録にまーちゃんはてんてこ舞いだった。まああのテンパりぶりもカワイイことこの上ないのだけれど。

 

 オフコラボのときはちょっと協力したけれど、今回は普通の“ニーナ様のファン”としてボイスを聞きたかったので、ネタバレ回避のため、収録会場に付いていくことはしなかった。

 まーちゃんは「えぇ?! 来てくれないのか?! キラキライブのし、知らない人とお、お仕事とか無理じゃ… 無理ゲーじゃ……」と嘆いていたが、オフコラボで仲良くなったレイさんとリリィさんも同日にボイス収録があるので、一緒に行ってくれることになって、なんとか納得してくれた。

 

 涙目になりながらも頑張って収録に行くまーちゃんとっても良かった。

 まーちゃんってどんなことしてもカワイイから凄い。はぁ…… あのときの表情、ムリ。尊い。。。

 

 ちなみに、レイさんとリリィさんも同じく登録者15万人突破記念のボイス収録だそうだ。

 魔王、勇者、天使の3人は登録者数が各々ほとんど一緒なので、○○記念、というのが結構時期がかぶったりする。

 

「やっと準備完了なのだわ」

 

 そんなふうに思いを馳せていると、ダウンロードが終わった。

 

 現在時刻、休日の13時過ぎ。

 

 ボイス販売開始時刻の13時ジャストにすぐさま購入して、パソコンにダウンロード。そして、それをスマホに移して、ベッドへGO。

 

 今日はこのビッグイベントのために他の予定を何も入れていない。

 存分に楽しむのだわ!

 

 先日買った、そこそこ良いお値段のするイヤホンをセットして、ベッドに仰向けになって目を閉じる。

 

 ボイスを聞くときは、なんていうか、自由で救われてなくちゃいけないのは常識だ。

 

「ペットになる準備は万端ね!」

 

 今回のボイスのタイトルはなんと『魔王様のペットになった件』。

 販売ページの説明文もそそる内容だ。

 

 日本ではない、遠い、遠い世界。

 ある日あなたは人類と敵対している魔王軍に捕まってしまいます。

 屈強な魔物に連れていかれた先には、小さな魔王様がいました。魔王様はその小さな唇で貴方に命令を下します。

 『人間よ。お主には、我の愛玩動物―― すなわちペットになってもらおう』

 妖艶に笑う魔王様は心底楽しそうです。

 

 一体どんなボイスなのか、ワクワクが止まらない。

 タイトル的になにかいかがわしいものを想像してしまいそうだ。まあ私はそれでも一向にかまわないけれど。というよりまーちゃんのペットになることを断る人は多分いないだろう。

 

 スマホの画面でミュージックアプリを起動して、パソコンから取り込んだボイスを選択。

 ボイス時間は40分。初回用と2回目以降視聴用の2つがある。結構力が入った作品だ。

 

「んし」

 

 精神統一して再生ボタンを押す。

 

 程なく、コツ…コツ…と冷たい石畳を歩く音が流れる。同時にジャラジャラと、金属と金属が当たる音がする。状況的には、手錠をかけられて、鎖で魔物たちに引っ張られて、暗い石畳を歩かされている感じ…かな?

 

 しばらく靴音だけが続き、ギィ…と重い扉が開く音がした。

 

 そしてまた歩かされ、ドサッという音がする。

 魔王様の前に突き出された感じだろう。

 

 

『くくく…… 呆けた顔をしおって。なんとも…いじり甲斐のありそうな人間じゃ』

 

 聞き慣れた、けれども雰囲気の違う、甘く可愛い声。

 今の私は、魔王軍に捕らえられ、魔王の前に突き出された哀れな人間。

 

 ――あぁ、やばい。ゾクゾクする… 今までこういうシチュエーションの買ったことないけど、存外いいかんじじゃん。

 

 魔王ニーナ・ナナウルムから見下されながら状況の説明が始まった。

 

 私が魔王軍につかまったこと。

 ここから逃げ出すことは出来ないこと。

 魔王様が新しいペットとして人間を飼いたいと思っていたこと。

 

『やはりトップたるもの、変わったペットを飼いたくなるものなのじゃ。ふふふ、安心して良いぞ? ちゃんと人間の飼い方は調べてあるからの!

 ……あぁ、そうじゃった。これをしないとセバスから怒られるからな。ククッ。ほれ、顔をこちらに向けよ』

 

 コツコツと靴音がこちらに近づいてきて、布のこすれる音が近づいてきて、いたずらっぽく魔王様が笑う。

 そして、『チュッ…』という口づけの音がした。

 

『今のはちょっとした隷従魔法じゃ。お主が我に謀反を起こさぬようにな。

 これをしないとセバスが煩いんじゃよねぇ。ニーナ様の身の安全が~、とか。こんな小童(こわっぱ)に我がやられるわけなかろうに。のう?

 ククク… そう怯えるな。お主にとっても悪い話ではないぞ? なんせ、この我から寵愛を受けられるんじゃからのう。それに…… お主、人間の世界では色々とストレスがたまる生活をしておったじゃろう? ククッ、我に隠し事は無駄じゃ。“視える”からの』

 

 魔王様は“さて…”と話を続ける。

 

『お主は愛玩動物じゃ。つまり、我から大切に可愛がられることが仕事なわけじゃが……

 もう夜も更けてきたのぅ。ほれ、我の寝室にいくぞ。……なんじゃ? 愛玩動物なのじゃから、我と一緒になるのは当然じゃろう?』

 

 べ、ベッド……!!

 

『ケルベロスがまだ小さいころは一緒のベッドで寝ておったのだがのぅ。体長が12メートル超えの今となっては流石に一緒のベッドで寝るのは厳しくてな…… 我は構わぬのじゃけど、セバスがダメっていうのじゃ。“そんな図体の大きな生き物を城内にうろつかせてはいけません”とな。ちーとばかし厳し過ぎと思わんか?

 ……うーむ、相づちはしてくれるが、お主、随分と無口なやつじゃのう。まあよい。最初は少しツンケンしてるくらいがちょうど良いのじゃ』

 

 そんなふうに魔王様から話しかけられつつ、コツコツと小気味よい靴音が響く。

 

『ここが寝室じゃ。なかなか良いベッドじゃろう?

 さて、ふぁ~あ…… じゃあ……寝るかの。……ほらどうした。お主、もっと(ちこ)う寄らんか』

 

 魔王様の着ている服の擦れる音か、はたまた掛け布団の音か。布が擦れる音が心地よい。

 そして魔王様の吐息が耳元で聞こえる。

 

『ふふっ…… そう照れるな。()いやつめ。

 お主が人間界でどういう扱いを受けていたのかはある程度知っておるぞぉ? 仕事か学業かは知らぬが、随分と疲れる生活をしておったじゃろう。今日も随分と疲れたんじゃないか?

 もう、そのような生活は綺麗サッパリ忘れろ。

 我はお主を愛でる。それすなわち、お主は我に甘えて良いということじゃ』

 

 魔王様の心地の良い囁き声が耳を撫でる。

 

 まるで本当に隣に魔王様がいるみたいだ。

 

『ケルベロスは顎の下を撫でるのが好きじゃったが、お主は人間じゃからな。頭をよしよしと撫でるのが良いじゃろう。飼い方を調べた本にもそう描いてあったしな。

 ほら、よしよ~し。いっぱい甘えろ~。我の愛情を拒否するなど愚行にも程があるからな』

 

 なんだろう。

 すごく気持ちよくて心地よくて、このまま眠りについてしまいそう。このボイスは安眠用のボイスだったのか…… 毎日聴こうかな……

 

『ふふっ。眠くなってきたか? うとうとしている姿もなかなか可愛いじゃないか。

 お主をペットにして正解じゃ。

 ……そうじゃ。子守唄でも唄ってやろうか? 我がよく母上に唄ってもらっていた唄じゃ。

 

 ~~♪ ~~~♪』

 

 どうやら日本語じゃないようだが、不思議と耳に馴染む、優しい音色。

 このボイスのために作ったのかな? 凄いいい曲ね。

 

 

*****

 

 

「良い……」

 

 ボイスが終わって、自然とその言葉が私の口から溢れた。

 

 あ~! やばい。

 まーちゃんのちょっぴり嗜虐的な声色も、耳元で囁かれるような声も、とっても良かった。

 

 人間の世界なんて未練ないから、魔王様の従順なしもべになるしかないわ!

 

 やっぱりまーちゃんは最高だ。

 いやぁ、本当に素晴らしいのだわ!

 

「ボイスだけでも素晴らしいのに、こうやって沢山のまーちゃんに囲まれながら聴くボイスはより一層最高だわ……!」

 

 そう言って、私は部屋を見渡す。

 天井や、四方の壁。至るところに“まーちゃん”と“ニーナ・ナナウルム”の写真が貼ってあり、どこに目を向けてもまーちゃん達と目を合わせることができる。

 

 部屋にはニーナ・ナナウルムのグッズももちろんすべて完備してある。

 

 私は壁にある一枚の写真を見る。

 オフコラボ前のまーちゃんとの特訓のときに撮った写真だ。 

 

 恍惚としながら、なんとはなしにその写真を右手で撫でる。

 

 

「あぁ…… まーちゃん。やっぱりまーちゃんは素晴らしいのだわ……」

 

 

 これからもずっと推して(・・・)いこう――。

 

 

 



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37配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.#$【キラキライブ】

GWなのにダラダラと邪神ちゃんドロップキックしか観てない...
邪神ちゃん初めて観てるけど面白いな... ぺこら養いたいな...





【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.#$【キラキライブ】

 

 

36:名無しの下級臣下 ID:BwLLNQoM2

皆はボイス買ったか?

 

37:名無しの下級臣下 ID:Z9LoHV9e4

魔王様、勇者、天使。いずれも販売開始の13時に買ったがなにか?

 

40:名無しの下級臣下 ID:ul48Fbreo

>>37

下級臣下の鑑

 

41:名無しの下級臣下 ID:a9tcb2CS5

正直俺買うか迷ってるんだけど、どうしよっかな…… Vtuberのボイスとか買ったことなくってさ。Vのボイスって結構高いじゃん?

買って後悔しないかな

 

42:名無しの下級臣下 ID:72s6tWn1l

絶対後悔しない

 

44:名無しの下級臣下 ID:QzMFtyMSy

確かにVのボイスって結構高いけど、今回の魔王様のボイスに関しては間違いなく買いだよ。

 

45:名無しの下級臣下 ID:FpCJFjDLf

魔王様のボイス収録時間が合計1時間弱もあるし、初回用と2回目以降の2本立てとかいう超豪華仕様だぞ。

初回用はペットになる導入が入ってて、2回目以降用のは添い寝から始まるから寝る前に使いやすい。

 

46:名無しの下級臣下 ID:UMa5Ymnf9

ボイスとしての完成度高いし、普通に安い

 

48:名無しの下級臣下 ID:5xSbijaYj

なんならおまけで子守唄だけVer.もあるしな。

 

50:名無しの下級臣下 ID:pP+HcLZdA

子守唄ほんとすこ

たぶんこれから寝る前に毎日ループ再生すると思う。

 

53:名無しの下級臣下 ID:+s7Vhs5S5

おk、分かった!

めっちゃ迷ってたが、ここの臣下達がそこまで推すなら買うわ!

 

55:名無しの下級臣下 ID:FC4wL2AVY

ようこそ、魔王様の子守唄沼へ…(満面の笑み)

 

58:名無しの下級臣下 ID:6xby3r+pZ

そんなに子守唄いいの?

 

59:名無しの下級臣下 ID:JAyBU7mVa

子守唄が良いというよりは、ベッドシーンが全部良い。

ほんとに魔王様が隣に居るんじゃないかと錯覚してしまう。

 

62:名無しの下級臣下 ID:09XFx+LmL

>>59

ベッドシーン(意味深)

 

65:名無しの下級臣下 ID:HBl7YtTzT

音響もかなりこだわってるよな。

というか魔王様だけじゃなくて、異世界3人組のボイス全部音響すごい

 

68:名無しの下級臣下 ID:9YcY0oObv

キラキライブも着実に技術面で進化してるからな

 

69:名無しの下級臣下 ID:4HNa++laZ

子守唄、日本語じゃなくてたぶん造語、というか適当な言葉を歌ってるんだけど、めっちゃ心地よい。

魔王様の優しい声に、温かいメロディ。

素晴らしいの一言です。

 

72:名無しの下級臣下 ID:3Kv3Njq3o

>>69

あれ今回のボイスのためにキラキライブが作ったのかな?

かなりしっかりした曲だけど

 

74:名無しの下級臣下 ID:aAgakyEFl

一応魔王様がトゥウィッターで言及してる。

メタ読みすればたぶん魔王様の持ち込み

ニーナ・ナナウルム

@nina_nanaulm

ボイスに収録されている子守唄、皆気に入ってくれているみたいで我は嬉しいぞ!

あれは我が作曲したわけじゃなくて、我の国に古くから伝わる歌じゃ。我も小さい頃はよく母上に歌ってもらっていたぞ。懐かしいのぅ…

 

76:名無しの下級臣下 ID:vWnM9o14O

魔王様すげーな。曲もつくるとか才能の塊かよ

 

79:名無しの下級臣下 ID:QYFwHk87B

実際魔王様は凄い多才

 

81:名無しの下級臣下 ID:XgieRI85f

魔王様の写真壁に貼って、グッズ置きまくって囲まれながら聴くとより一層良いぞ!

 

84:名無しの下級臣下 ID:m35CwiqL9

そんな頭のおかしなことするやつおらんてw

 

87:名無しの下級臣下 ID:XgieRI85f

>>84

やってるが?

 

88:名無しの下級臣下 ID:AZB2emeGo

ヒエッ

 

90:名無しの下級臣下 ID:k0+hhmEh2

>>87

ストーカー犯みたいなことしてんなお前w

 

91:名無しの下級臣下 ID:DSuS2Nea7

>>87

キッショwwwwwww

 

94:名無しの下級臣下 ID:XgieRI85f

ただ単に推してるだけだよw

 

96:名無しの下級臣下 ID:JU7Q0SMAE

異常かどうかは周りが判断するんやで

 

97:名無しの下級臣下 ID:6Mcg2kotP

臣下の中にも頭のおかしいやつはいるんやなって

 

100:名無しの下級臣下 ID:Kqef9C3HC

そういえば、今回のボイスってオフコラボのあとに話が持ち上がったんだっけ?

 

102:名無しの下級臣下 ID:4kq206uYw

>>100

そそ、オフコラボのあと3人の登録者数がうなぎ登りになって3人とも15万人超えたから、じゃあ記念も兼ねて作りましょうかってなった

 

105:名無しの下級臣下 ID:yKV08k0wH

オフコラボ良かったよな

 

108:名無しの下級臣下 ID:kgfafIpfg

オフコラボからはや数週間か

時が経つのは早いな

 

111:名無しの下級臣下 ID:xON458bK2

>>105

一緒にたこ焼き機買ってきて作ってたわ

たこ焼き機でたこ焼き作るのとか学生の時以来だけど、結構楽しかったw

 

112:名無しの下級臣下 ID:0eVJpJhd3

>>111

一人でやってて楽しいんですか?

 

114:名無しの下級臣下 ID:pqFBOpmA3

>>112

友達2人と一緒にやってたんだが?

 

115:名無しの下級臣下 ID:aerFMak05

一緒に推しVtuber見ながらたこ焼き作れる友達居るとか羨ましすぎンゴ…

 

116:名無しの下級臣下 ID:HeRsYnazu

俺は魔王様と勇者と天使と一緒にたこ焼き作って食べてたが?

一緒に食卓を囲んでいたが?

悔しくないが?

 

118:名無しの下級臣下 ID:hvzLnVmmj

>>116

やめるんだ……

これ以上傷口を広げることはない…

 

119:名無しの下級臣下 ID:akgssbxto

オフコラボで幼女にぬるぬる触手プレイをさせた名プロデューサーがいるってマ?

 

121:名無しの下級臣下 ID:aiT4JerUr

>>119

材料の仕入れからスタッフと一緒に仕込んでいた天使がいたらしいですね

 

122:名無しの下級臣下 ID:+YiHdAX51

天使のそういうところすこ

 

124:名無しの下級臣下 ID:t9JAfTYJW

???「こうやってブチブチに筋をとって、引きちぎるのよ~」

 

127:名無しの下級臣下 ID:8BKcPSVs4

人間のふりをしている勇者の話はやめるんだ

消 さ れ る ぞ ?

 

128:名無しの下級臣下 ID:h97tFYsbZ

まあでも勇者が人間じゃないのは当たり前というか、あの勇者実は――

……誰だよこんなじかんnうわなにをするやめr

 

130:名無しの下級臣下 ID:kZlCIhKm+

その後彼を見たものは居なかった

 

131:名無しの下級臣下 ID:5jaSZJ5D5

一件落着やね

 

133:名無しの下級臣下 ID:ZmEsWWcWX

>>128

>>130

>>131

草。久々にこのテンプレ見たけどなんかほっこりした

 

 




小説家になろう様でも投稿はじめました

https://ncode.syosetu.com/n2729gy/

アチラにも住んでいる方はなろうの方でもよろしくお願い… _|\○_シヤァァァァァス!!


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38配信目 【雑談】オフコラボの振り返りがメイン【キラキライブ/天使リリィ】

知らぬ間にGWが終わってるンゴねぇ…(諦観)

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小説家になろう様でも投稿はじめました。
よろしくおねがいします。↓
https://ncode.syosetu.com/n2729gy/




 

 

「おっす、皆! 私の声とBGMの大きさ大丈夫か?」

 

:おk

:ちょうどいい感じ

:オフコラボの話と聞いて

:いいかんじ

:問題ない

 

 

「オッケー。大丈夫そうだな。で、今日は配信のタイトルにもある通り、3週間前に行ったオフコラボの話をしようかなと思ってるぜ」

 

:いいじゃん

:オフコラボよかったぜ

:天才プロデューサー

:ボイス買ったよ!

:ボイス3人とも買った!

 

「お、そうそう。私ら4期生のボイスが絶賛発売中だからよろしくな! 購入してくれた人はサンキューだぜ!

 で、うーん、何から話そうかな…… 皆はなんか質問あるか?」

 

 そう私がリスナーの皆に質問を投げかけると、コメント欄が加速する。

 

 実際に初めて4期生が会って、印象とかどうだった?

 たこ焼き美味しかった?

 魔王様に触手プレイさせたのナイスすぎ

 魔王様のコミュ障具合どうだった?

 リリィが本当に料理できるの草だった。今まで疑ってゴメンゴ…

 勇者と魔王様の愛してるゲーム間近でみてどうだった?

 

 ……ふむふむ。

 概ね皆のコメントはまとめるとこんな感じかな?

 

 よし、じゃあここらへんの話をしようか。

 

「そうだな~、実際にニーナとレイに会った印象は…うーん……

 レイとはデビュー前に数回会ってるけど、やっぱり清楚な感じがしたな。なんていうか、育ちが良さそう?な感じだな。たこ焼きとか食べてる様子も上品だった」

 

:はぇ~、勇者そうなんすね~

:勇者はお嬢様か

:確かに言葉遣いとかも綺麗だしな

:↑お、そうだな(すっとぼけ)

:ブチブチに千切るという発言は上品ですか?

:目玉取り替えてくるね~(清楚)

:上品とは・・・うごご

 

「ま、まあ発言内容はともかくとして、第一印象は間違いなく清楚・上品だぞ?

 あの日も落ち着いた色合いの大人っぽい服で… あ~、どこまでリアルのこと言っていいか分からんが、まあ服装くらいいいか。とにかく『落ち着いた女性』って感じだった」

 

:人は見かけで判断してはいけない(戒め)

:見た目『は』清楚なんだな!

:中身はゾンビみたいなものだから…

:言葉だけは丁寧だからな

:発言内容がヒャッハーすぎる

 

「で、ニーナは皆の想像通り、コミュ障だったぜ!」

 

:草

:自信を持ってコミュ障って言うなw

:草

:おハーブ生えますわ

:これはモーリーファンタジー

 

「配信前によろしくなって握手したんだけど、握手もなんか躊躇(ちゅうちょ)してたから私から強引にしたな。

 あと、全然目を見て話してはくれなかったな~。事前練習のおかげか配信中の会話は割と出来た気がするけど、目だけは一生合わなかったな。

 あんなにロリ顔でカワイイのにもったいないぜ!」

 

:これだから陽キャは……

:最後の発言で台無しだよ

:うーん、これは事案w

:事案

:お巡りさんこっちです

:魔王様に変なこと真顔で言ってそうw

 

 

「いやいや! 私はなんにも変なことしてないのぜ?!

 ただ少し、ニーナに人生経験してほしいと思って生きたタコでヌメヌメ触手プレイをちょーっとしてもらって、そろそろ仲良くなってきたなーってタイミングでニーナにあ~んして食べさせただけだぜ!?!?」

 

:ギルティ

:有罪じゃん

:推定有罪

:最初から最後まで有罪じゃん

:↑最後までチョコたっぷりのお菓子みたいだな

:ぐぬぬ

:満場一致でギルティです。

:羨ましい

:★そういえば、タコとか食材の仕入れってリリィがやったんやっけ?★

 

「がーん…… 皆が私の弁護をしてくれないのだぜ……

 あー…、私が食材の仕入れに行ったってより、スタッフと一緒に準備した感じかな。生きたタコは私が提案したし、結構企画の段階から一緒にやらせてもらってた。裏方の仕事も結構楽しかったぜ」

 

:これな、意外と天使やるよな

:えらい!

:めっちゃやる気じゃんw

:オフコラボにかける思いが強い

 

「まー、なんていうか、私ら4期生が初めて一堂に会する場面だったしな。

 私も“いっちょ記憶に残る素晴らしいコラボにするか!”って感じで結構ノリノリだったな」

 

:己の情欲以外は素晴らしい天使

:性癖だけがダメな女

:性癖以外は完璧なんだけどな。。。

:仲間思いのいい女

:ホント性癖以外はいいんだよなぁ

:神はすべてを許すからね、しょうがないね

:おお、神よ!なぜ変な性癖を植え付けてしまったのか

:★魔王様はどんな服装だったの?★

 

 

「マイナーな性癖は世界を救うから良いんだぜ!

 ん? ああ、ニーナの服装か。ニーナさ、まじであのまんまのロリっ子でさ。私びっくりしたんだよね。“ああ、天使はここに居たんだな”ってね」

 

:天使はお前定期

:天使はお前だよwwwww

:あんたが天使じゃwwww

:魔王が天使とは・・・?

:天使www

 

「いやいやマジでこの世の宝な感じのロリっ子でさ。オーバーサイズのダボッたいTシャツに、下はショートパンツでさ、そのくせのじゃロリ口調じゃん?

 “おいおい、オタク君の好きなものてんこ盛りじゃん”っていう感想でしたね、はい」

 

:天使が興奮してるw

:性癖暴露大会なみに言葉に熱がこもってるw

:魔王様マジでロリっ子なのか…

:↑古参はおてて配信でロリっ子なの常識ぞ

:おてては確実にロリだったしな

 

「まあ、コミュ障なのは配信と同じでさ。なるべく優しく声掛けしたり、会話のパスがしやすいように話そうなって、ニーナと合う前にレイと打ち合わせしてたんだよな。

 あと、ニーナも交えてチャットで色々交流図って少しでも打ち解けられるようにな。

 その甲斐もあって、目こそ合わせられなかったが、結構ニーナと打ち解けられてさ、なんていうか、オフコラボしてよかったな…って感慨深かったよ」

 

:はぇ~、リリィいいとこあるやん

:その心遣いやっぱ天使イケメンやわ

:これがコミュ強か…

:随所に心遣いが観られた良い配信だったな

 

 

「んで! 抱きついたときにニーナのおっぱいというか、ちっぱいに触っちゃってさ――!」

 

:ヽ(・ω・)/ズコー

:あーあ、台無しだよwwwww

:おいー!wwwwwww

:イケメンかよって思ったら変態だった…

:人がせっかく見直していたのにw

:草

:急に方向転換するのやめいwww



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39配信目 ビッグイベントを企画中なんです!ぜひ!

『キラキラフェスティバル……ですか?』

 

 ある日の夜、突然真根さんからチャットが来た。

 

 内容はよく分からなかったが、キラキラフェスティバルなるものに出てほしいというものだった。我はその単語を初めて聞いたが、なんのこっちゃ分からんぞ?

 

 とりあえず復唱する形でチャットにそう返信する。

 

『そうです! キラキライブを応援してくれるリスナーさんたちへの感謝も込めて、会場を借りてやる大きなイベントを現在計画中なんです。

 ライブがメインで、その他にも色々なイベントを企画中です』

 

『ライブというのは?』

 

『歌って踊るライブのことです。それにニーナさんも出てほしいんです!』

 

 我は内心えぇ…と思う。

 

 たしかにVtuberでも現実の人間のように、現実の会場を借りてライブをすることはある。キラキライブより1年先輩のVtuber会社もたしか半年くらい前にライブをやっていたと思う。

 知らない人からすると、「現実に存在するわけではない存在がライブをやる?どゆこと?」となるだろうが、実は前例が結構ある。Vtuberに限らず、ボーカロイドみたいな電子アイドルも現実でイベントをやってたりするのだ。

 

 学校や会社で使うプロジェクターやスクリーンは、スクリーンに対して、直接前から光を当てて映像を写しているが、こういったバーチャルとリアルを融合させたライブでは、透明なスクリーンに後ろから光を当てて、あたかもそこに存在するように見せる技術を使っている。

 ホログラムみたいな技術はまだないが、現代の技術でも似たようなことはできるのだ。

 

 なので、キラキライブが現実で大きなライブをやるとしても、別に不思議でもないし、応援したいと思う。

 

 

 じゃけどね?

 我に出演しろというのはいささか酷じゃなかろうか?

 

 我、自慢じゃないけど、コミュ障じゃからね?

 うん…… 言ってて悲しくなるけど、コミュ障なんじゃよ。コンビニで“袋はどうされますか?”って聞かれて、“え、え、あ、い、いります……”って言っちゃうくらいにはコミュ障じゃからね?

 

 そんな我に、大勢の前で、歌って踊って、皆を笑顔にしてください!っていうのは結構無理言ってると思う。

 

 まあたしかに? 最近は結構コミュ障とか改善してる気もするけどね?

 オフコラボとか大成功だったし?

 

 我、自分の成長が恐ろしいけどね?

 

『私にライブはまだ早いというか…… 無理な気がします。

 せっかくお金を払って見に来る人に申し訳ないというか……』

 

『大丈夫です!

 ニーナさんはきっと大勢の前に出ることを不安視されていると思うのですが、そこはVtuberですから問題ないです。

 お客さんの前には、大きな透明スクリーンが設置されていて、そこに等身大のライバーの皆さんが映し出されます。ライバーの皆さん自身は別室のキャプチャ部屋で歌って踊っていただきます。つまり、直接出るわけじゃないのです』

 

 

 確かに我はVtuberじゃから、直接お客さんの前に出ることはない、か。

 別室でモーションをキャプチャするための機器に囲まれながらライブをやるわけだな。

 

 うーむ…… それならできるのか?

 

 いや、でも、普通に考えて、あまり話したことのないキラキライブのスタッフさんと一緒にやり遂げられるか? レイやリリィ、ちーちゃんならまだしも、全然話したことのないライバーだってたくさんいる。

 コミュ障の我が見知らぬ人に囲まれてうまくできるか……? ボイス収録のときの比じゃない。甚だ疑問ぞ?

 

 

『うーん……』

 

『ファンの皆さんもニーナさんが出演してくれることをきっと期待しています!

 それにあれですよ! ニーナさんが目標にされているコミュ障脱却にも一役買うと思うんです!

 スタッフやライバーの皆さんと一緒に大きなことを成し遂げる。きっと皆さんと仲良くなれます』

 

『うーむ……』

 

『ニーナさんには私、個人的にも絶対来てほしいんです!

 他のスタッフさんもそう思ってます。この前のオフコラボ、社内でめちゃめちゃ評判良かったんですよねぇ』

 

 

 うーむ……

 

 ん? 今なんと?

 

 

『そんなに評判良かったですか?』

 

『ええ! たじたじなニーナさんが可愛かったこともそうですが、なによりコミュニケーションがあまり得意ではないのに、オフコラボに一歩踏み出したその勇気を称える声も大きかったです。特に部長がめちゃくちゃ褒めてました』

 

『そんなに褒めてくれたんですね…』

 

『そりゃすごかったですよ! 部長って、たしかニーナさんの面接も担当してたんですけど、“自分の目標を見失わずに、着実に前へ進んでいる。誰にでもできることではない”って手放しに褒めてました!』

 

 ふふふ、そんなに褒められるとて、照れるのぉ~。

 

 部長とやらは我の面接を担当していたのか。

 ふふふ、なかなかどうして良い審美眼をもっているじゃないか。

 

『そんなに褒められると悪い気はしませんね…!』

 

『私含めファンのため、部長のようにニーナさんに期待している人のため、そして何より、ニーナさん自身の飛躍のためにも、参加、いかがでしょう…?!

 ニーナさんの声とっても綺麗だし、歌も映えると思うんです!』

 

 そこまで言われると悪い気はしない。

 

 やはり、見る人が見ればわかるものだ。

 我は成長している。そして我は素晴らしい。

 

 ……ふふふ。

 

 いかん、口角が自然とあがってしまうな(笑)。

 

『そこまで言われてしまうと断れませんね。分かりました。頑張ってみます』

 

『ありがとうございます!

 では早速参加の方向で調整しますね!』

 

 まあ、不安もあるが、……ふふふ。なんとかなるじゃろう。

 

 我ってば、まっこと天才じゃしな!





まあ、なんとかなるやろ(他人事)


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40配信目 魔王様3D

 我は今日、キラキライブの本社に来ている。

 

 先日の真根さんとのチャットでキラキラフェスティバルへの出演を了承してからすぐ、真根さんから3Dを試してみて欲しいという依頼があった。

 そういえば我、3Dモデルないけどどうするのかな?と思っていたが、どうやら魔王、勇者、天使の異世界3人組の3Dモデルは水面下で製作中だったらしい。今回のキラキラフェスティバルの話が持ち上がったので、じゃあそこで3人のお披露目もやりましょうという話になったとのこと。

 

 ちなみに、今日は我、テレポートでキラキライブ本社に来ているわけではない。

 なんと、電車とバスという公共交通機関を使ったのだ!

 

 ふっふっふ。

 さすが我。

 

 成長が著しすぎてびっくりじゃ。

 

 キラキラフェスティバルなんていう大きなイベントに出演するのだ。

 これくらい出来なくてはいけないからな。

 

 ……まあ、かなりしんどかったのは内緒じゃな。

 

 そもそも電車の切符の買い方とかすっかり忘れていたからのぅ……

 困っている我を見かねた駅員さんが教えてくれて事なきを得たが。心優しき駅員さん、ありがとう。挙動不審な我を助けてくれて。

 

 

「よし」

 

 頬を軽く叩いて気合を入れる。

 

 さあ、キラキライブ本社の受付に突撃じゃ。

 

 

「あ、あの。ニーナ・ナナウルムですけど、あの、その、3Dモデルの件でき、来ました…!」

 

「あらニーナ様…じゃなくて、ニーナさんですね。ふふっ。お久し振りです。

 今日は3Dモデルの試着でしたね。真根さんから聞いています。ではこちらの名札をつけて801室までお願いします。

 ……お一人で行けそうですか? なんでしたら私も一緒に……」

 

「い、いえ。大丈夫、なのじゃです。わ、我も成長しているので…!」

 

 キラキライブ本社の受付で許可証をもらって、801室まで向かう。

 本当はキラキライブ本社にあまり来たことないし、一緒に来てほしいけれど、ここは我慢じゃ。我だってもう一人前のライバーなのじゃからな!

 

 ビクビクしながらも、なんとか8階まで向かう。

 

 途中すれ違う人たちが心配そうにこちらを見てきた気もしなくもないが、きっと気のせいじゃろう。むしろ我が魅力的すぎてこちらに目を奪われているだけな気がする。うん、絶対そうじゃな。

 

「ここ、か」

 

 コンコンコンと3回ノックして、部屋へ入る。

 

「あ! ニーナさん! よかったぁ~! 心配してずっと携帯握りしめてましたけど、杞憂でしたね」

 

 部屋へ入るやいなや、真根さんがこちらへ寄ってきて声をかけてくれた。

 

「お、来たなニーナ。迷子の案内放送がかかるんじゃないかと心配してたぜ?」

「こんにちは~、ニーナちゃん。オフコラボ以来ね~」

 

 真根さんの後ろにはレイとリリィも居た。

 今日は二人の3Dモデルの試着もある。オフコラボ以降、二人とはちょっとだけ距離が近くなった気がするし、居てくれるのはすごく安心する。

 

 ま、まあ、我の昨今のコミュ力レベルの上がり方を考えれば、二人が居なくてもよゆーじゃけれどな!

 

「それじゃ早速やっていきましょうか!

 とりあえず、お三方にはまず、3Dモデルを見てもらいますね」

 

 そう言って真根さんは男性のスタッフに指示を出す。

 カタカタカタというキーボードの小気味よい音がなると、部屋に設置されている大きなモニターに3人のモデルが映し出される。

 それぞれが2Dのイラストをそのまま3Dに落とし込んだかような、綺麗なアニメグラフィック。素人目に見ても相当手のこんだ3Dモデルだということが分かる。

 

「おお! 凄いな」

「ほんとうね~、かわいいわ~」

「う、うむ」

 

 各々(おのおの)感嘆の声を漏らしていると、腕を組んで真根さんがドヤ顔をしている。ついでに、さきほど真根さんが指示をだしていた男性スタッフもメガネをクイッとしてドヤ顔だ。

 

「ふふふ。そうでしょうそうでしょう? 私が監修しつつ、私の1年後輩の彼のチームが腕によりをかけて作ってくれましたからね!」

 

 真根さんがそう言うと、後ろの眼鏡の男性スタッフがより一層ドヤ顔をする。

 

「それじゃあ、早速試着してみましょうか。

 モーションキャプチャには、マーカーの付いたこの専用の服をきてもらいます。アチラに更衣室がありますので、着替えてきてくださいね」

 

 渡されたのは全身真っ黒のスーツ。

 関節部などにマーカーが付いた、一見するとウェットスーツのような服。

 

 これを着ることによって、機材を通じて3Dモデルに動きを反映させるわけじゃな。

 

 更衣室へ行き、早速着替える。

 

 うむ、服のサイズも結構ジャストじゃ。

 真根さん、いい仕事するではないか。

 

 レイやリリィも隣でキャプチャスーツに着替えているが、このスーツはある程度体にピッタリした服だ。まあ、つまり、体のラインが結構出るわけで……

 

「チッ…」

 

 我は思わず小さく舌打ちをする。

 どうして我の周りは胸が大きいやつしかおらんのじゃ。

 

 まあ別にいいけどね?

 人は見かけじゃなくて中身だし? 我って大人の魅力の権化的なとこあるし?

 

「さて、じゃあ早速やってみましょうか」

 

 そんなことを頭の片隅で考えていると、スタッフたちがあれやこれやとテキパキ準備をすすめる。

 

 機器に囲まれながら、スタッフさんたちからの指示を待つ。

 スタッフさんたちがいそいそとパソコンとにらめっこしながらしばらく調整をしてくれると、3Dモデルに我の動きが反映された。

 

「おお……!」

 

 これは凄いな。

 若干動きにノイズが乗っているが、リアルタイムに動いておる。

 

「おおすげ」

「すごいわ~」

 

 レイもリリィも興奮気味だ。

 

「じゃああとはお三方に動きのサンプルをいくつか頂いて、こちらで調整しますので、もう少々お願いしますね」

 

 3Dモデルを持つVtuberは、『視聴者』としては何度も観ているが、こうして自分がなると感慨深いものがあるのぉ。





サイキン イソガシイ
イソガシイ ノ ヨクナイ

5000チョウエン ホシイ
ヨクバラズ 1オクエン デモ イイヨ
タイキン モラッテ グウタラセイカツ シタイ


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41配信目 ライブの練習

 3Dモデルの試着の日から数日後。

 

 今日はライブの練習のためにキラキライブ本社へお呼びがかかった。

 一応3Dモデルの日以降も真根さんや他のスタッフさんとも打ち合わせが何回かあった。以前までの我なら全部文字のチャットでなんとか済ませてしまうところだが、なるべく音声による打ち合わせも入れるようにしている。

 直接会って打ち合わせをするわけではないが、これでも我にとっては大きな1歩だ。

 

 キラキライブに入る前と比べたらだいぶ成長したな、我。

 さすが我。略してさす我。

 

 しみじみと思いを馳せたいところではあるが、現実に戻ろう。

 

 

 打ち合わせを重ねていくごとにライブでの我の役回りも決まってきていて、我は異世界3人組で歌うのと、あと、なんと! 白月ノゾミちゃんとのデュエットも任されたのだ! ぐへへ、ノゾミちゃんとデュ、デュエットとか…… 考えるだけで垂涎ものだ。

 

 ノゾミちゃんとはまだお互いの配信でコメントを残したり、トゥウィッターでお付き合いをする程度ではあるが、このライブを機にぐっと距離も縮まって、あんなことやこんなことも……

 うへぇへぁ…

 

 その分緊張も凄まじいがな。

 

 で、でも、ら、ライブが終わったら、こ、コラボとか誘ってみちゃったり?!

 

 うーむ…… 冷静に考えたら色んな意味で死亡フラグになりそうじゃの。

 ノゾミちゃんとコラボとか心臓を3つくらい用意しないともたないな。……イカかな?

 

 

 で、今日はライブの練習だ。

 Vtuberのライブの練習と聞けば、現実のアイドルのライブ練習となにか違うことをやるのかも?と思われるかも知れない。しかし、3Dモデルがお客さんの前に出るとはいえど、踊るのは中身である我なので、結局のところ、ダンスと歌のレッスンになる。

 

「よろしくお、お願いします」

 

「うし、いっちょやるか!」

「お手柔らかにお願いするわ~」

 

 上下赤色のジャージを着て、レイとリリィと一緒にトレーナーさんに挨拶をする。

 

 なんていうか最近レイとリリィと一緒にいることが本当に増えた気がする。

 オフコラボがきっかけになって、ゲームでもちょこちょこ一緒に遊ぶ。まあ配信外でだけど。なんていうかまだリスナーの皆に見せられるような代物(しろもの)じゃない気がするからのぅ。どもりまくりで挙動不審のフルコースじゃ。

 

 でも、そろそろオンラインコラボしても良いかも知れない。

 

「はい。じゃあまずは3人のリズム感をみるから軽いステップからですね。

 私がお手本を見せるから、そこで見ててくださいね」

 

 そう言ってトレーナーさんが曲に合わせてステップを刻む。

 

 むむ。

 簡単なステップと言っていたが、存外難しそうな気がするが?

 

 え? 何その足さばき?

 

「はい。じゃあ、とりあえずやってみましょうか」

 

 とりあえず見様見真似でやってみた。

 トレーナーさんの指導を受けつつ、何回かやってみる。……結構難しいな…

 

 

「うーん…… そうですね。結構3人共筋は良いと思います。

 ただ、リリィさんはちょっと振りが大雑把すぎで、ニーナさんは振りが小さいです」

 

 た、たしかにちょっと気恥ずかしくて振りが小さかったかも知れぬな。

 うーむ、難しい。

 

 

「本番では後ろの方のお客さんにも見えるように、大きな振りが必要ですが、大きく振るにも繊細さも必要です。まあ、結局は練習あるのみです。

 さあ!どんどんいきますよ―!」

 

 

 

***

 

「ぜぇ…はぁ……」

 

「はぁ…はぁ……」

 

 そこからみっちり3時間練習した。

 

 いやびっくりじゃよ。

 ダンスってこんなにも疲れるんじゃな…… 歌いながらダンスはもっと疲れた……

 

 優秀な自宅警備員であるこの我に、なんという仕打ち。ぐぬぬ。

 

「はい。皆さんお疲れさまです」

 

「楽しかったわ~」

 

 ぜえぜえと息を切らしている我とリリィを尻目に、なぜかレイは全く息を切らさずにニコニコしている。

 もちろんレイも我らと一緒にみっちり3時間練習していたわけで、なんなら一番キレッキレに動いていたまであるわけだが……

 

 え? 意味が分からんが?

 何だこのフィジカルおばけ?

 これが世界を救う勇者の体力か――。

 

「うん、レイさんはさすがですね。動きに無駄がなく、体力も素晴らしいです。

 ニーナさんやリリィさんはもう少し体力をつけてくださいね」

 

「お、おう」

「りょう、かい、じゃ……」

 

 これはアレじゃな、自宅でゲームしながら運動できるリングフットアドベンチャーをみっちりする必要があるのう…

 

 

 そのまま今日は解散となった。

 

 我はまだ少し息が上がっていたので、そのまま地面にぺたんと座っていたのだが、隣で座っていたリリィはだいぶ体力が回復したのか、うんしょと立ち上がった。

 

「ふぁ…あー! つっかれたー! いやあ、ひっさびさにこんだけ動いたわ!

 なあ、帰りにアイスクリーム食べに行こうぜ!」

 

「あらいいわね~」

 

「天真駅近くに33-4アイスクリームができたらしいしな! ニーナも天真駅から帰るだろ? 帰りにちょっくら寄ろうぜ」

 

 今日はテレポートを使わずに来てるからたしかに天真駅から帰るが…

 そんなコミュ強リア充みたいなことできるじゃろうか?

 

 ……ええい! 思い切りが大事じゃな!

 

「う、うむ」

 

「うっし!決まりだな!」

 

 

 それに高校生時代を思い出してなんだか懐かしい気持ちがして、悪くない。

 

 懐かしいのう。放課後に友達と他愛もない話をしながら、夏の暑い日にはコンビニで安いアイスを買って食べたが、アレは格別美味しかったの。

 鬼山先生の出す宿題が多すぎるって文句をみんなで言ったり、アニメの話をしたり……

 

 ふっ。

 

「な~にニヤついてんだニーナ?」

 

「うわっ」

 

 昔に思いを馳せていたら急に後ろからリリィが抱きついてきた。

 

「び、びっくりするじゃろう?!」

 

「いいじゃねーか。ニヤついて楽しそうだったし? なあ?」

「ふふっ、そうね。なんだか楽しそうだったわ。何を考えていたのかしら?」

 

「いやべ、べつに…… 昔を少し思い出していただけ、じゃ」

 

「ふーん。ま、そのあたりはアイス食いながらじっくりと聞きますか」

「あら、楽しみね。じゃあ行きましょうか」

 

「あ、ま、まってくれ。我を置いていくなんてとんだ罰当たりじゃぞ――!」

 

 地べたから急いで立ち上がり、リリィとレイの背中を追いかける。

 その背中を見てふとあの日々が重なる。

 

 そしてふと感じた。あの日々と同じくらい、今が“楽しい”と感じている自分がいる。

 

 

 

 ――ああ、悪くないな。

 



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42配信目 ライブの練習2

 今日はやばい。

 とってもやばい。

 

 何がやばいのかといえば、今日は、なんと!

 ノゾミちゃんとの合同練習だ!

 

 ノゾミちゃんには何度かコラボを誘われたりしたのだが、我の心が持たないので今までちょっと遠慮していた。お互いの配信のコメントで交流したりトゥウィッターで交流したりは最近は割とあるがの。

 

 それがいきなりノゾミちゃん本人とオフで会い、かつ一緒にライブの練習なんて……!

 

 楽しみがやばすぎるが、緊張もやばたにえんの無理茶漬け状態じゃ。

 

 ……落ち着け、我。

 何事も第一印象が大事じゃ。初めて現実でノゾミちゃんと会うわけじゃが、ここの対応が今後の我とノゾミちゃんとの関係性の構築へ多大なる影響を与えることは火を見るより明らかじゃ。

 

 ……んんっ゛

 

 

 

 

「きょきょきょ今日はよよおおおろしくお願いしマス!!」

 

 90度腰を折ってした挨拶がこれだよ……

 

 え?あ? 第一印象? 

 彼は遠い旅にでたよ……

 

「ニーナちゃんってば緊張しすぎだよ~! ふふっ。今日はよろしくね!」

 

 緊張しまくりの噛みまくりの挨拶をして、顔を上げれば、そこにはこの世の「善」と「かわいい」を詰め込んだように微笑み、我を気遣ってくれる聖母ノゾミちゃんの姿。

 ああ、ここが天国ですか? え?違う? じゃあノゾミちゃんは現人神(あらひとがみ)かなにかかな?

 

「なんだかんだ、ニーナちゃんとこうしてお話するのは初めてだね~! ニーナちゃんってばイラストそのまんまみたいにカワイイ!」

 

「か、かかっかかカワイイなんてそそそれほどでもないでございますのですのじゃ」

 

 ノゾミちゃんにかかかカワイイと褒められたぞ!

 おいおいおい、今日の我大丈夫か? 帰り道で交通事故にでも遭うんじゃないか?

 

 というよりカワイイのはノゾミちゃんなのじゃ。

 ノゾミちゃんこそイラストと遜色ないくらい、というかそれ以上にカワイイのじゃよ。低身長の我より少し背が高くて、お目々パッチリ、肌はきめ細やか。サラサラの髪に思わず指でツンとしたくなる柔らかそうな頬。

 おいおいおい、神は、こんなところに至宝を落としてしまったようじゃな!

 

 はぁ~…、好き。

 

 うーむ、というかマジで天は二物を与えずとかまっぴら嘘じゃね。間違いない。

 これほどまでにカワイイのに、ASMRでおなじみのあま~い神ボイスも合わさりまさに最強。ニコニコと人懐っこそうな表情にグッと来る男子諸君は多そうだ。

 

「お二人とも、そろそろ時間ですのでレッスンの方始めてもよろしいですかー?」

 

「あ、はーい!

 じゃあ、ニーナちゃん。今日はよろしくね! 一緒に頑張ろう!」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

 うぇっへっへへ。

 ノゾミちゃんまじかわいいなぁ。はぁはぁ。ノゾミちゃんはマジprpr。

 

 あれ? ていうか、我、意外とノゾミちゃんといい感じで話せていないか?

 具体的に言えば100点満点中、300点くらいのコミュニケーションできてるな?

 

 我、成長したな――

 

 

 自分の成長具合と、今日この日を迎えられたことに感謝しつつ、トレーナーさんのところへ向かう。

 

 今日のレッスンは、本番でやるノゾミちゃんとのデュエット曲の練習だ。

 特に振り付けの細部を詰めつつ練習するのが今日の目標だ。ある程度振り付けは決まっているが、我やノゾミちゃんらしい振り付けをもうちょっと増やしたものにしたいとのことらしい。

 

 なので、一回通しで練習してみる。

 ノゾミちゃんとやる曲はカッコカワイイ曲調で、少しテンポがはやいが、振り付け含め、デュエットの資料は事前にもらっていたし、ある程度予習もしてあるから大丈夫だ。

 

 

「うーん、ここってさ、あんまり動きないよね~。ニーナちゃん、二人でなんかここにポーズ入れない?」

 

 ノゾミちゃんが事前の配布資料に指を指しながら提案する。

 

「ぽ、ポーズなのじゃ?」

 

「そうそう! たとえば…… トーテムポールとか!」

 

「と、トーテムポールな、なのじゃ?」

 

「ニーナちゃん! トーテムポールっぽいポーズお願い! 3・2・1・キュー!」

 

「え、え、え、こ、こうなのじゃ?!」

 

 突然のノゾミちゃんからのフリに、とりあえず頭にパッと浮かんだ鳥のトーテムポールをイメージして、両手を広げて立ってみる。

 ……トーテムポールというより「T」の字みたいじゃな…

 

「いいね! じゃあ、私はここだね!」

 

 ノゾミちゃんは満足そうにうんうんとうなずくと、Tの字で立っている我の前に座って、我と同じように両手を広げる。

 

「うん、完璧っ!」

 

 ノゾミちゃん的には完璧らしい。

 

 ノゾミちゃんってば、結構配信でも天然なところがあるからのぅ。

 ま、そこがカワイイんじゃけどな!

 

 謎ポーズをしつつ、大層満足そうな顔をしているノゾミちゃん、ギザかわゆす!

 

「うーん、あとはそうだなぁ~……」

 

 配布資料を手に、ノゾミちゃんは他にアレンジできそうなところをうーんと唸りながら探してる。

 その眼差しは真剣そのもの。

 

 配信と変わらない、ふわふわとした雰囲気も似合うノゾミちゃんだが、真剣に取り組むその姿は、「かっこいい」という言葉がまさにふさわしい。自然なギャップ萌えに思わず惚れる。

 

 ――っと、我もいつまでもミーハーな気構えでやっていてはいかんな。今一度シャキッとせんとな。

 

 ノゾミちゃんのキュートさに浮足立っていたが、今一度気を引き締め直した。

 



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43配信目 【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!;【キラキライブ】

【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!;【キラキライブ】

 

 

1:名無しの下級臣下 ID:BeNsPo1oi

株式会社キラキライブ所属の魔王ニーナ・ナナウルム様を愛でるスレです

 

・次スレは>>950が宣言して立ててください

・立たない時は>>960が立ててください

・荒らしや煽りはNG登録して徹底スルーしましょう

・スルーできずに構う人も荒らしです

 

■魔王様公式トゥウィッター

 htttps://twuwitter.com/nina_nanaulm

 

■キラキライブ本スレ

 htttps://kakuunosure/kirakilive/465498987

 

■前スレ

【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!>【キラキライブ】

 htttps://kakuunosure/kirakilive/465679854

【Vtuber】魔王様を見守る臣下達 Part.!<【キラキライブ】

 htttps://kakuunosure/kirakilive/465465432

 

 

 

 

10:名無しの下級臣下 ID:UILCvHF8M

>>1

スレ立て乙

 

11:名無しの下級臣下 ID:w6447lUS4

(・ω・`)乙

 

こ、これは>>1乙じゃなくてポニーテールなんだから変な勘違いしないでよね!

 

13:名無しの下級臣下 ID:OoWXFqDQx

そろそろきらきらフェスティバルまで1週間を切ろうかというところですが

 

15:名無しの下級臣下 ID:26qorgvQl

魔王様が出演すると聞いて爆速でチケット買ったあの日からドキドキが止まりません

 

18:名無しの下級臣下 ID:Nu6FTiYGW

キラキライブの総合スレも盛り上がってるな

来週が楽しみだ。

 

20:名無しの下級臣下 ID:Idnq870aF

発表あったときはまだ何ヶ月も先かって思ったけど意外とすぐだったな

 

22:名無しの下級臣下 ID:LSRY6WiHK

魔王様大丈夫かな

 

24:名無しの下級臣下 ID:46rYICc8G

ダイジョブでしょ

配信初日から観てる古参だけど、だいぶコミュ障改善してきてる気がする

 

27:名無しの下級臣下 ID:7tcHf1+yK

でたーw

後方古参面奴www

 

28:名無しの下級臣下 ID:7nGK4j0PI

トゥウィッターでノゾミちゃんと二人で練習してたって言っててタマゲたわ

 

29:名無しの下級臣下 ID:PgLD2DB/u

大好きなノゾミちゃんからコラボのお誘い断ってた昔の魔王様が見たらなんて言うだろうな

 

31:名無しの下級臣下 ID:J7lswqJko

>>29

これか

なっつw

白月ノゾミ@Shiratsuki_Nozomi

返信先:@nina_nanaulmさん

呪いもできるんだね!さすが魔王様!

ニーナちゃんのお話とっても面白かったし、今度一緒にコラボ配信とかしたいな!

ニーナ・ナナウルム@nina_nanaulm

返信先:@Shiratsuki_Nozomiさん

ごめんなさい。我、いわゆるコミュ障で…ちょっと……

 

 

34:名無しの下級臣下 ID:E6hcVWIqJ

今改めて見ると相当コミュ障だなw

 

36:名無しの下級臣下 ID:NOEiWpB+6

魔王様成長したんやなって・・・(しみじみ

 

39:名無しの下級臣下 ID:M8Yc3zRpv

やっぱ~魔王君の成長を…… 最高やな!

 

41:名無しの下級臣下 ID:9FIk3xKVg

今更基本的なことでスマン

透明のスクリーンにモデルを映してライブをするのはわかったんだけど、それってリアルタイムでライバーが歌って踊るの? 事前録画なん? パブリックビューイングみたいな感じ?

なんかいまいちバーチャルもののライブがよーわからんのだが

 

44:名無しの下級臣下 ID:KUEAsSh+c

>>41

基本的にはリアルタイムトラッキングのはず

ただ、同時にトラッキングする人数が多くなればなるほどラグとか色々不具合がおきる。もし出演ライバー全員での曲とかがあるなら事前録画かもな

 

47:名無しの下級臣下 ID:yTqCYdcuY

>>44

はえー、サンガツ

技術の進歩ってすげーな

 

48:名無しの下級臣下 ID:Ped34Mc13

??「かがくの ちからって すげー!」

 

49:名無しの下級臣下 ID:gCVxO2Ztb

バーチャル系はボーカロイドのライブしか観たことないけど、マジでそこに居るみたいで感動するで

会場の一体感とかすこ

 

51:名無しの下級臣下 ID:hl28H+1nS

いーなー

現地チケット取れんかったから俺はオンラインの観戦チケットなんだよな~

 

52:名無しの下級臣下 ID:JHpbSmoPS

オンラインで視聴するのも結構良いぞ?

リアルタイムでユーザーのコメントが流れるし、「一緒に観てる」感は結構あるで。コメント見ながらライブ見れるのは「ならでは」や

 

53:名無しの下級臣下 ID:QbeLE21jT

現地チケは結構競争率エグかったからな

ちなワイはオンライン組や・・・(悲)

 

55:名無しの下級臣下 ID:0wPl3IQpW

ワオも・・・(悲しみ)

 

57:名無しの下級臣下 ID:FbVEOXIiA

ていうか魔王様の3Dモデルって初出なんやろ?

くっそ楽しみなんだが

 

59:名無しの下級臣下 ID:1uQmYaKi9

天使と勇者も初出だな

 

60:名無しの下級臣下 ID:zcvUNwI9J

最近のキラキライブ3Dの出来結構良いからな

 

62:名無しの下級臣下 ID:so8I/oTAU

なお最初の1期生の3Dは…

 

65:名無しの下級臣下 ID:g0jECEjeW

>>62

その後のアップデートでクオリティ上がったから・・・(汗)

 

67:名無しの下級臣下 ID:99cTum3Ma

>>62

もうゆるしてやれよwww

 

70:名無しの下級臣下 ID:XPvJnr935

あれは嫌な事件だったね…

 

71:名無しの下級臣下 ID:xnCMFZAjK

一番最初の1期生のはひどかったなw

お世辞にも良いとは言い難かった

 

73:名無しの下級臣下 ID:Jd+kjTDgP

顎が凶器

 

74:名無しの下級臣下 ID:P+dDI7vIe

マジで顎で人殺せそうな造形やったな

 

76:名無しの下級臣下 ID:kkhXivQYG

3Dだともろ中の人の性格というか人間性が出るから楽しみだけど解釈違い起きそうで怖い

 

78:名無しの下級臣下 ID:BJFs6R72i

全部ひっくるめて愛すればいいじゃん?アゼルバイジャン

 

79:名無しの下級臣下 ID:YSZpUY34d

この前のオフコラボの天使の振り返り配信で魔王様が身長低い幼女だとはっきりしたので結構安心してる

 

81:名無しの下級臣下 ID:Fo8T7jwFq

ていうか3Dモデルで解釈違いってそうそう起きない気がするけどな

普段の配信みてればだいたいそれが動きに反映されてる気がする。

 

84:名無しの下級臣下 ID:YMcdurFJh

(天使は実はガニ股かもしれんな・・・)

 

86:名無しの下級臣下 ID:6w0oj/jZD

>>84

(それは否定できない・・・)

 

88:名無しの下級臣下 ID:nVSNEgGwK

まあ別に天使はガニ股でもああそうかとしか思わんなw

 

91:名無しの下級臣下 ID:gPe5K18sC

わかってねーな

ああいう男勝りな感じの女子がときおり見せる乙女らしさにキュンと来るんだろ

 

92:名無しの下級臣下 ID:nape2JMxI

乙女らしさ(性癖暴露大会)

 

95:名無しの下級臣下 ID:aFZiv558/

(勇者は首がぐるんぐるん周るかもしれない・・・)

 

96:名無しの下級臣下 ID:ZSb4S156b

>>95

(それは全く否定できない)

 

98:名無しの下級臣下 ID:okb5GWq2X

否定しろw

 

100:名無しの下級臣下 ID:fG8firkXq

否定しろよw

 

103:名無しの下級臣下 ID:i7WcTuF0o

(ファ○チキください)

 

105:名無しの下級臣下 ID:DbR7bR4kM

ファ○マに行ってきてください

 

107:名無しの下級臣下 ID:vAu4Xe5RJ

こいつ、脳内に直接……!!!

 

108:名無しの下級臣下 ID:zpAnpcr4E

みんな、有給は持ったな?!

 

109:名無しの下級臣下 ID:yIXnTr2if

>>108

行くぞォ!

 

110:名無しの下級臣下 ID:Sneev0izw

はぁ~、早く来週にならんかな

 

 




なにげに>>1を初めて書いたで候。


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44配信目 本番

 セミのなく声もうるさくなってきた夏真っ盛り。

 ついにキラキラフェスティバルの当日を迎えた。

 

 かく言う我は例にもれず、控室でガクガクブルブル状態で緊張していた。

 

 いや、うん。

 しょうがないのじゃ。

 

 なにせこのキラキラフェスティバルを行う鳳凰(ほうおう)館は1万人収容可能な大規模な施設なのだ。チケットもすべて完売。オンラインチケットもかなりの数が売れていると聞いている。

 

 すなわち、我はこれから1万以上の人と対峙しなくてはいけないわけだ。

 まるで人間と魔族が繰り広げた戦いの中でも1番苛烈と名高いハーゲイエスの戦いのように。

 

 胃がい、いたい……

 我の胃腸のヒットポイントがやゔぁい。一応胃薬飲んだんじゃけどのぉ……

 

 練習のときはイケルイケルって思っても本番になると急に緊張しだす現象まじでやめてくれ。

 

「ニーナちゃん、大丈夫?」

 

 そんなふうにガクブルな我を見かねたのか、みんなの天使、ノゾミちゃんが声をかけてくれた。ふわっと包まれるような優しい声に幾ばくか我の不安が和らぐ。

 

「ちょ、ちょっとばかり緊張してしまいましてなのじゃです」

 

「ふふっ、ニーナちゃんってば、緊張しすぎて語尾が不思議ちゃんね」

 

 緊張と動揺のあまり、いつもののじゃ口調と丁寧口調が変なふうに合わさった謎の語尾を錬成してしまったが、それにノゾミちゃんはクスリと笑う。

 そのさまはまさに天使のほほえみ。

 

 思わずノゾミに惚けてしまう。

 

 思えば、モニターを介して、いち視聴者として観ていた大好きな配信者と、こうしてライブをやることになるとは人生は何ともわからないものだ。

 

 他人と話すことがままならなかった我がその配信者と、(まだぎこちないが)こうして話すことができるようになったのは、まあ、結構成長したなと自分を褒めたい。

 けれど、やはり1万の人を相手にしたライブというのは今まで経験してきたどの体験とも全然違う。

 

 我、大丈夫かな?

 

 幾分か過去の魔王としての自覚を取り戻してきたとはいえ不安だ。コミュ障にライブって無理難題なのじゃ…… 

 でも、やると決めたからには覚悟をキメねば……! 弱気になってはいかん。

 

 

 そんなふうに決意を新たにしていると、不意にノゾミちゃんが我の頭を腕で包み、すっと抱き寄せた。

 

「うぇあ?!」

 

 あまりに不意打ちだったため変な声が出た。

 

「そんなに緊張しなくてもいいわ。

 いっぱい練習したし、ライブの1番手の私達1期生が会場を温めておくんだから。ニーナちゃんはそのあと、私と一緒にデュエットを楽しむだけ。そのあとはリリィちゃんとレイちゃんと歌ってフィニッシュ」

 

 まるで年上のお姉さんが小さな子供をあやすように、優しく微笑む。

 

「ね? 大丈夫そうでしょ?」

 

「ひゃ、ひゃい…!」

 

 少しびっくりしたが、おかげで少し、いや、だいぶ緊張がほぐれた気がする。

 

 そうだ。

 今日この日のために練習をいっぱいしてきたのだ。

 

「お、なんだニーナ、ビビってんのか~?」

 

 ノゾミちゃんと甘美なひとときを過ごしていると、控室に入ってきたリリィが我の頬を後ろから両手で挟んでうりうりする。

 

「や、やみぇんっか!」

 

「リリィ、あまりニーナちゃんをいじめてはだめよ~」

 

 糸目でニコニコしているレイがいつものゆるふわな語調でリリィに言うが、リリィはうりうりするのをやめない。

 

「ええい! いい加減にやめんか!」

 

「はっはー! でもいい感じで緊張ほぐれただろ?」

 

「む、むぅ……」

 

 リリィがにししと笑う。

 こやつは…… まあ、リリィなりに気にかけてくれているのは分かるし、実際緊張若干ほぐれたけど。

 

「やっほーまーちゃん、案の定緊張してるのね」

 

 むぅ…と頬を膨らませていると、控室の扉が開き、ちーちゃんこと近野千香が入ってきた。

 今日もナチュラル寄りのメイクできれいにキメている。

 

「ちーちゃん」

 

「ちーちゃんパイセンじゃん。どもー」

 

「どうもですー。まーちゃんがお世話になってまーす」

 

 リリィと軽い挨拶をし、ノゾミちゃんやレイにも次々と挨拶をしていく。

 軽々としたフットワークにこれがコミュ強なのだと理解する。

 

「私もまーちゃんと一緒のライブしたかったな~。まあ、一番最後に全員でやるのだけど」

 

「悪いな」

 

「あ、いや。別に妬んでるとかじゃなくて、純粋にリリィさん達が羨ましいだけなのだわ。

 それにまあ、普通に考えたらまーちゃんがずっと推しているノゾミ先輩と、同期のリリィさんとレイさんを差し置いてやろうとも思わないわ」

 

 それから一呼吸おいて、ちーちゃんは口を開いた。

 

「一番最初はノゾミ先輩とでしたね。

 ノゾミ先輩、まーちゃんのことよろしくお願いします」

 

「もちろん! まかせて、ニーナちゃんと一緒に最高のステージにするわ!」

 

 ノゾミちゃんが両手を胸の前で構えて、“頑張るぞい”のポーズをする。

 かわいい。

 

 リリィやレイにも同じようによろしくおねがいしますとちーちゃんは腰を折り、リリィとレイはそれに“まかせろ”“まかせて”と笑顔で答える。

 

 まるでちーちゃんは我の保護者みたいだなと思わず心のなかでツッコミを入れてしまったが、こんなにも我のことを思ってくれる友がいるなんて、我はなんて果報者じゃろうか。

 

「ちーちゃん」

 

「ん? 何、まーちゃん?」

 

「いや、その…… ありがとうなのじゃ」

 

「……!」

 

 なんだかちょっぴり恥ずかしかったが、精一杯の笑顔でありがとうと伝える。

 うん、やっぱり真正面から感謝を伝えるのは慣れんな!

 

 にははと照れていると、ちーちゃんもなんだか顔を赤面させている。

 

 なぜお主が照れる。

 

「白月さーん! そろそろスタンバイの方、よろしくおねがいしまーす!」

 

「あ、はーい! 今行きまーす!

 それじゃあ、ニーナちゃん、先に行ってるね」

 

 スタッフさんに呼ばれて、ノゾミちゃんが控室を出ていった。

 

「ていうか、ニーナも1期生の次だろ? 準備しとけよ」

 

「お、う、うむ」

 

 

 

***

 

 

 

 定刻になり、会場に設置された巨大なモニターに数字が表示され、カウントダウンが始まる。

 

 5・4・3・2・1・・・

 

 カウントが0になった瞬間に、会場の照明が一気につき、きらびやかにあたりを照らす。

 会場に訪れたリスナー達がペンライトを振りながら歓声をあげた。

 

「す、すごいのぉ……」

 

 トラッキングルームのすぐ横に設置されている控室のモニターで会場の様子を観て、口から自然とその言葉が溢れた。

 なんとなく理解はしていたが、バーチャルじゃない、まさに“本物”のライブだ。

 

 出迎えの歓声がやまぬまま、1期生5人が登場し、曲を披露する。

 

 1期生が映し出されている透明なスクリーンの幅いっぱいを使うように、5人で踊って歌いはじめる。

 

 あたかもそこに存在するように映し出されている1期生は、“バーチャル”を通してはいるが、本当に楽しそうだ。やはり我はノゾミちゃんのファンなのでどうしてもノゾミちゃんばかりを観てしまうが、ノゾミちゃんも楽しそう。

 

 ライバーがときどきお互いに目配せというか、目を合わせている様子とか、もう本当に素晴らしい!

 

 これがエモいか……

 

 あっという間に4~5分くらいの曲が終わってしまった。

 

「皆さん、こんにちはー!!!」

 

「今日はキラキラフェスティバル in 鳳凰館へ来てくださってありがとうございま―す!

 皆、盛り上げていきましょーっ!」

 

 会場のリスナーを焚き付けて、ボルテージを更に上げる。

 

 うおおお……

 このあと我の番だと思うと、めっっっっっちゃ緊張してきた……

 

「ニーナさん、スタンバイおねがいしまーす」

 

「ひゃ、はい!」

 

 曲が終わって、1期生たちはまだライブ特有のトークをしているが、我は隣のトラッキングルームに向かう。

 

 トラッキングルームにはノゾミちゃん含む、1期生の方たちが当然いる。

 先程控室で見ていたトークの続きをしていて、5人ともすごく楽しそうだ。5人のじゃまにならないように隅の方で出番をまつ。

 

 ふいにノゾミちゃんがこちらに気がついて、ニコッと微笑んできた。

 

 あぁ、もう、そういう仕草全てが天使なんだけど?

 カワイイかよ。

 

 ……かわいい(確信)

 

「それじゃあ、みんな、どんどんいくよー!」

 

 しばらくのトークの後、会場が暗転し我の出番がいよいよ始まる。

 

 ノゾミちゃん以外の1期生4人がはけ、我はノゾミちゃんとともに所定の位置につく。

 ……おちつけ、自分。

 練習いっぱいしたんだから大丈夫だ。

 

 暗転のまま、曲のイントロ部分が始まる。

 

 ――いよいよだ。

 

「ニーナちゃん」

 

 隣のノゾミちゃんがこちらをみて、かろうじてマイクが音を拾わないくらいの小声でつぶやく。

 

「一緒に楽しもうね…!」

 

 そう。

 楽しむ。

 

 そうだ、何を恐れることがある。

 今からするのは、“推しとのデュエット”という最高に楽しいひと時だ。

 

 ノゾミちゃんのする微笑みには全然及ばないが、自分を鼓舞するために我もニヤリと無理やり笑い、ノゾミちゃんに小声で返す。

 

「ああ、当然じゃ……!」

 

 

 ほどなく、イントロが明け、軽快な曲調が始まった――。

 

 モニター越しに見る会場のリスナーたちの様子も見ながら、練習した歌とダンスを披露する。

 ときにノゾミちゃんとのアイコンタクトも交え、ステップを刻む。

 

 ああ――、楽しい。

 

 純粋にそう感じた。

 

 それに、我とノゾミちゃんの歌とダンスが、会場をこんなにも沸かしていると思うと、充足感に体が満ち溢れる。

 コミュ障をこじらせ、出るのが少し億劫(おっくう)だったライブが、こんなにも幸せだとは。

 

 画面越しで見る会場。

 我たちの歌で沸く、リスナーたち。

 キラキラと照らす照明の光。

 

 周りのものすべてが輝いて見えた。

 

 

 この瞬間が永遠に続けば良いのに――。

 

 

***

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 あっという間に楽しいひと時が終わった。

 結構動きのあるダンスだったので、自然と息が切れるが、何の不快感もない。達成感しかない。

 

 拍手や、わぁ~!という歓声が会場を包む。

 

「はい、ありがとうございましたー!

 改めましてこんにちは! さっきの曲から続けて登場の白月ノゾミですー! そしてー……」

 

「ど、う、うむ。

 っと、魔王ニーナ・ナナウルムじゃ」

 

 一瞬“どうも”って挨拶しそうになったが、我はニーナ・ナナウルムなのじゃから、もっと魔王らしく、尊大な態度でなくてはな。

 

 次の曲の準備の間、我とノゾミちゃんのトークでつなぐことになっている。

 普通のライブでもよくある曲と曲のトーク、いわゆるMCじゃ。

 

「ふふ、ニーナちゃん、相変わらず緊張しすぎ!

 あ、そういえば、ニーナちゃんって3D初お披露目なんだよね!」

 

「そ、そうじゃな」

 

「くるくる~って回って、みんなにももっと見せてあげて!」

 

「こ、こうか?」

 

 

 いわれた通り、手を広げてくるくると回ってみる。

 

「うん、やっぱりかわいい!

 いままで立ち絵ではあまりわからなかったけど、黒いドレスにブーツってかわいいね!

 ね? 会場のみんなもかわいいと思うよね?」

 

 ノゾミちゃんの煽りを受けて会場もわーっと沸く。

 

「ノゾミちゃんもか、かわいいのじゃ」

 

「ふふっ、ありがとう! 私もくるくる回ってみようかな」

 

 ノゾミちゃんも手を広げてくるくる回り、会場のリスナーが沸く。

 

 

「ふふっ。そういえばさっきのパフォーマンスはやっぱり緊張した?」

 

「そ、そうじゃな。そもそもノ、ノゾミちゃんと話したりましてやライブを一緒にやるなんて緊張以外の何物でもなかったのぅ。

 それにこ、こんなにも大勢の人を前にしてライブをやるなんて、デビューしたての我から思えば、まずありえんかったじゃろうな」

 

「そっか。ニーナちゃん成長したってことだね!」

 

「う、うむ。これもひとえに、今まで支えてきてくださったリスナーのみんなやスタッフさん、それに他のライバーさんのおかげじゃ。ありがとう。

 

 えっと…… その……

 

 み、みんな、大好きじゃーー!!!」

 

 

 い、言ってやったぞ!

 今日のMCではリスナーのみんなにも感謝の気持を伝えると決めていたからな!

 

 我の“大好きじゃ”の声に反響するように、会場が沸く。

 

「ふふっ。私もニーナちゃんのこと大好き」

 

「の、ノゾミちゃん…!」

 

 ノゾミちゃんがぎゅっと抱きついてきた。

 

 おいおいおい、我、幸せの絶頂期じゃん……!

 

 

***

 

 

 そのあとも少しMCをして、我らの出番の終わりが近づいてきた。

 

「さあ、お次の準備もできたようです! キラキラフェスティバルはまだまだこれから! みんな、いーっぱい楽しんでいってね!」

 

「キラフェスはまだまだ始まったばかりじゃ! 皆のもの、どうか心ゆくまで楽しんでくれ!」

 

 

 

 興奮冷めやらぬまま、我らはそのまま舞台の外へ捌けていく。

 

 

 

 ノゾミちゃんと先程のデュエットの感想を言い合いながら、我はいろいろなことを思い出していた。

 

 はじめはVtuberになるなんてどうなるかと思ったけれど、存外楽しい。

 コミュ障はまだちょっとだけ残っているけれど、随分と改善した気がする。コミュニケーションの輪が広がって、ノゾミちゃんやレイ、リリィ達とも、と…友達になれた……と思う。

 

 ちーちゃんともお互いがVtuberになっているなんて不思議な状態で再会できたし、キラキライブのスタッフさんやリスナーさんとの交流も楽しいと感じている自分が居る。

 

 そんなふうに思いを馳せると、自然に口角があがった。

 

 ああ――、Vtuberになってよかったな。





めっちゃ難産ダッタ…(ゲッソリ

ちなみにほそぼそ新作始めました
https://syosetu.org/novel/266121/


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45配信目 BARキラキライブ


(え、前話って半年前なの……?)

というわけで、新作の方ばかりじゃなくて不定期にぼちぼちこちらも更新再開していこうと思います。
再戦、よろしくお願いいたします。

今回は前話(ライブやって歌った)の続きというか後日譚というかエピローグ的なサムシングです。


 女の子は自分のスマートフォンに映された7桁の数字と、当選番号が映された会場のモニターを何度も何度も目線を動かして確認する。

 

(あああああぁぁあああ当たった――!?)

 

 嬉しすぎて小躍りしそうになるのを必死に抑えるが、女の子の口元は嬉しさを隠しきれず緩んでいた。

 

 女の子が当選した番号、それは“BAR(バー)キラキライブ”の当選番号だ。

 キラキラフェスティバルで前半のライブが終わり、後半の部が始まるまでの間にこの“BARキラキライブ”というイベントが開催される。

 

 キラキラフェスティバルのチケットを買うと無料で各種イベントへの参加申し込みができるのだが、当日発表される番号と見事一致していればそのイベントへ参加することができるというものだ。

 女の子が申し込んだ“BARキラキライブ”は、バーテンダーとして働いているという設定のライバーと話すことができる。

 

 そして女の子が申し込んだのは、当然、一番に自分が推している魔王さまこと、ニーナ・ナナウルムだ。

 特徴的な“のじゃ”口調と、コミュ障ながら尊大に振る舞うというかわいいギャップに一目惚れして以来、配信を欠かさず見ている。

 

 かく言う女の子もコミュ障を(わずら)っており、なかなかうまく人と話すことが出来ないのだが、憧れの魔王さまと話すために今日のイメージトレーニングに抜かりはない。数分間のおしゃべりだが、有意義なものにするんだと自分を奮い立たせる。

 

(ウヘヒヒ…… 魔王さまとお話できる! ウヒヒ……)

 

 

 

***

 

 

 イベント開始の時間――。

 

 

「魔王さま、コミュ障でこのBAR大丈夫? やってける?」

 

「大丈夫に決まっておろう! 我は魔王じゃからな!

 まあ、実は言うと昨日まではこのイベント若干というかめっちゃ不安じゃったけど、ライブ終わってからなんか吹っ切れたのう! 画面越しなら饒舌になることいと易しじゃ!」

 

 

「もうすぐ自分、大学受験で…… 元気がでるような励ましのお言葉いただけたら嬉しいです」

 

「いやもうお主受験する時点でめっちゃ立派じゃよ。我なんて高校卒業したら進学もせず就活もせずにニートやってたからのぅ。

 ただそうじゃな…… 励ましの言葉か。

 お主はきっと勉強中はスマホを封印したり、ゲーム時間やラノベを読む時間を減らしたり、頑張ってきておるじゃろ? だから主ならきっと大丈夫じゃ」

 

 

 ついにイベントがはじまった。

 順番に番号を呼ばれ、ステージの上で当選した人たちが思い思いの話を魔王さまとしている。

 

 一人あたりに割り振られた時間は数分間。

 これを多いと見るか少ないと見るかは人によって違うだろうが、ここにいる多くの人がもっとライバーと話したいと思っているだろう。自分もその1人だ。

 

 いつもモニターの中で見ていた人と直接――もちろん魔王さまは透明なスクリーンに投影されているのでそういう意味では直接ではないが――話すことができる。こんなにも胸が踊ることもそうないだろう。

 

 魔王さまことニーナに話す内容は考えてきてある。

 あぁでもないこうでもないと時間のない中で必死に考えた内容だ。

 

「では2434114番の方ー! ステージにお上がりください」

 

「!」

 

 来た。

 ついに来てしまった!

 

 ドキドキと鼓動を早くする心臓を感じながらステージに上ってバーカウンター風の席に座る。

 緊張している自分を察してくれたのか、目の前のスクリーンの魔王さまがニコリと優しく微笑んだ。

 

「そう緊張せんでもよいのじゃぞ。取って食ったりするわけじゃないからの」

 

「は、はい」

 

「いやぁ、我が他の人に『緊張するな』とか言うの違和感ありまくりじゃの。

 ……それで、お主とは何を話そうか。

 励ましの言葉が欲しいとか、今日のライブの感想やら世間話やらを話したり、前の奴らは色々な話題を持ち込んできたのじゃが、お主は何か話したいことはあるかの?」

 

 ――よし、言おう!

 

 女の子は息を小さく吸った。

 

「あ、あの! これは私じゃなくて、友達(・・)の話なんですけど、その子、Vtuberがとっても好きで、Vtuberに出会って人生が変わったとかも言っていて、魔王さまが大大大好きで……」

 

「うむ」

 

「その子、Vtuberが好きすぎて、自分もあの楽しい空間に行きたいって思って、Vtuberの企業に応募しようとしてます。

 あ、まだライバーとして応募するか、スタッフとして応募するか決めてないんです(・・・・・)けど、あ、決めてないらしいんです(・・・・・・・・)けど、いまいち応募する勇気が出なくて……

 実はその子も少しコミュニケーションを取るのが苦手で、そんなんで応募して良いのかなって…… 社会人としてどうなのかって……」

 

 言ってしまった。

 言っちゃった。

 

 女の子はいざ言ってみると少し後悔してしまっていた。

 いきなりこんなにまくし立てて言ってしまうし、Vtuberになりたいとかその企業でスタッフとして働きたいとかいきなりこんな事話されて、きっと魔王さまは困ってしまうだろう。

 

 ――もっと無難な話にすればよかった。

 

「ふむふむ」

 

 少し憂鬱な気持ちになってしまった女の子とは対象的に、魔王さまは真剣な顔つきになった。(魔王様は3Dモデルだから仔細まで表情はわからないが。)

 魔王さまは顎に手を当てて少し考えると、優しい眼差しで答えてくれた。

 

「そうじゃな…… その“友達”はきっと本当にVtuberが好きなのじゃろう。

 “友達”は日々の抑圧された生活に嫌気がさしておった。やりたいことも目標も特に無くただ惰性で過ごす日々。毎日毎日同じことを繰り返す日々はどんどん色が落ちていった。

 そんな折、Vtuberというコンテンツに出会い、日々がどんどん色づいていった」

 

「え?」

 

 『なんでそんなことまで分かるんですか?!』と思わず口にすると、魔王様は『我は魔王じゃぞ?』と得意げに笑う。

 

「Vtuberというのは見た目をいくらでも『創る』ことができる。だからこそ、創る事ができない『魂』が魅力的であることが必要じゃ。まあ、これはある人の受け売りじゃが……

 もちろんライバーだけではない。スタッフになるにしても、『魂』を込めて共に世界を『創っていく』という情熱や想いが必要じゃ。

 つまりその点、“友達”は充分魅力的じゃな。性格も良いし、可愛い声もしておるおなごじゃ。Vtuberのことがとっても好きなようじゃし。少なくとも、我には魅力的に視える(・・・)の。

 我の人を視る(・・)目はたしかじゃ。

 もし、その“友達”が自分に自信がないとか言っていたらもっと自信を持っても良いほどお主は才に溢れておると言っておけ」

 

「は、はい…!」

 

 

 魔王さまは一呼吸おくとニッと笑った。

 

「なにせ超絶コミュ障の我がライバーになって、こんな大きなイベントに来れたんじゃからな! 不可能だと思って可能性を潰してしまうのはもったいないぞ――!」

 

 

 





次回「魔王さまコミュ障脱却?陽キャ入り? 我無敵ゾ?」
デュエルスタンバイ!


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第二章 コミュ力 Lv.2
46配信目 【#魔王様の雑談】今夜も色々適当に!【キラキライブ/ニーナ・ナナウルム】


「我ってばもう向かうところ敵なしじゃと思う」

 

:何の話?

:唐突にどうした?

:さっきまでの味噌汁の話題どこにいった?

:ん?

:何が?

:味噌汁のこと?

:?

 

 おっといかんいかん。

 盛り上がりに盛り上がっていた味噌汁の話題をほっぽり出してつい唐突に喋ってしまった。

 

 ちなみに我は味噌汁には豆腐を入れない派閥なんじゃが、豆腐を入れる派の勢いが凄くてコメント欄も結構盛り上がっていた。

 というか今日まで全然気にして生きてこなかったけど、普通のご家庭では味噌汁に豆腐って入れるものなの? もしかして我って少数派?マイノリティ? いや、言い換えれば孤高の存在か…… くくく…悪くない。悪くないか?

 

 ……っと。そういう話は一旦置いておいて話を戻すと、我、マジでもう敵なしなんじゃと思うんじゃよね。

 

 

「いや我さ、今日の雑談でも散々言ってきたのじゃけど、コミュ障だいぶ治ったと思うんじゃよ」

 

:それはそう

:確かに初期から見たら見違える

:大人になったな

:だいぶ喋れるよね

:確かに

:通話ならもうだいぶ喋れるよね

:だいぶキョドらなくなった

:人権あるくらいには喋れてる

 

 

「『通話ならもうだいぶ喋れるよね』って言うとる者がおるように、我、通話でならだいぶいけるんじゃよね。

 ほら、つい3日前にもレイとリリィと3人で通話しながら一緒にゲームしたんじゃよ。で、我は思ったね。もう我はコミュ障ではない、コミュ()じゃと。

 我の唯一の弱点であるコミュ障が治ったということは、我は最強完全体になったというわけじゃ」

 

:ゲーム一緒にできたのは同期だからでは?

:言い過ぎで草

:強い言葉を使うと弱く見えるよ

:過信は禁物

:蛮勇は勇気とは違う

:オフコラボした唯一のライバー達だからじゃん?

:同期ですらやっとだからなぁ…

 

 

 散々な言われようじゃ。ひどい。

 まあでもある程度言われるのも仕方のないことじゃ。なにせニーナ・ナナウルムとしてデビューしてから今までの間にコミュ障を晒しまくってたんじゃからな。うんうん。臣下の皆がそう思うのも無理からぬ事じゃ。

 

 しかし臣下の皆は知らない。

 我がもともと大勢の魔族を引き連れて人間と戦っていた本物の魔王じゃと。

 

 我は自分のことじゃからよーーく分かる。前世がそういうコミュ力レベルマックスなところにいたわけじゃから、ある程度の訓練があればコミュ障からの脱却なんて容易いと。

 つまり何が言いたいかと言えば、キラキラフェスティバルという一大イベントを完璧に乗り切った今の我はコミュ(りょく)レベルが50レベくらいは上がっていると思う。なんならレベル999くらいあるかもしれん。

 

 

「ふふふ……」

 

:まあでもそれなりには成長したよね

:同期との打ち合わせに参加しなかったのが懐かしい

:キラキラフェスティバルもちゃんと成功させたしな

:イベントもよかったよ!

:レベル1くらいは上がったかな

:BARキラキライブ出来たし、まぁ…

 

「『BARキラキライブ出来たし』ってコメントあるけどそうなんじゃよ。

 我、見知らぬ人とお話できてるんじゃよ? なんか人生相談みたいなこともしたし、世間話的なこともしたしの。

 で、じゃ。

 我、そろそろ他の色々なライバー達とのコラボを積極的にしても良い段階な気がするんじゃよね。ほら、今まではマトモにコラボ配信したのって同期のリリィとレイしかいないし」

 

:蛮勇はやめろ

:俺たちも色んな人とのコラボ見たいけど…

:大丈夫かなぁ

:がんばれ!

:当たって砕けろっていうしね!(玉砕する未来)

:過信は禁物とはこのこと

:がんばれ!(無理やろなぁ…)

:いけるで工藤!

:じゃあ手始めにノゾミちゃんと対面コラボしよか

 

 

 あれ…… おかしいのぅ。

 我が他のライバーとコラボを積極的にしようと言えば、コメント欄がものすごい勢いで『やめておけ』『もうちょと慎重に』『無理そう』という言葉達で埋め尽くされている。

 

 まったく。臣下の皆は心配性じゃな。

 

 案ずることはなにもないのにのぅ。

 まあたしかに、臣下の皆は我が前世で魔王をやっていたということは分かるわけないしの。我が魔族軍の皆の前で演説をしていたことや人間軍との戦いで最前線で指揮をとっていたことなんて知る由もないじゃろう。

 皆の心配はありがたい限りじゃが、我にはそういった経験値があるのじゃ。失敗する要素などどこにもない。皆無じゃ。

 

 一時的にコミュ障になってしまっていただけで、我ってば元は陽キャじゃし。

 ふふふ……

 昔の感覚が戻ってきたわけじゃ……

 

 これが全能感。

 

 どんなことをやっても、何をやっても成功する気しかしてこない。

 

 そう、我の辞書に『失敗』の二文字は載っていないのじゃ。

 あるのはただ『成功』のみ。

 

 

「ふふふ……」

 

 この試みが成功すればもう1人で寂しくゲームをする必要はないのじゃ。

 レーペックスレジェンズもパーティを組んでボイスチャットしながら連携取って…… ふふふ…… これで晴れて陽キャの仲間入り……

 

「案ずるな皆のもの…… キラキラフェスティバルを成功させた我に不可能という言葉はもはやありえない。

 善は急げと先人は言った。

 さあ、さっそくライバー専用の連絡アプリで突発コラボをしてくれそうな人を探すのじゃ! フフフ…… フハハッハハ! ハハ……ゲホッゲホッ…… む、むせた…」

 

:先が思いやられる

:魔王様がそう仰るなら……

:頑張って欲しいけど心配

:同期のどちらかは誘ったほうが良いんじゃないか?

:誰とコラボするんや…

 

 

 




魔王様コミュ力Lv.999だし、勝ったな。
風呂入ってくる!



【宣伝】
もう1本連載してるので、もしよかったらこちらも
( 。・ワ・)っ https://syosetu.org/novel/266121/


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47配信目 だだだだ大丈夫だ、も問題ない(震え声)

「やっぱり、今回も駄目だったよ……」

 

:草

:開幕10割で草

:配信始まってすぐに敗北宣言はコミュ障の特権

:大丈夫だ、問題ない

:エルシャ○イ

:草

:あいつは話を聞かないからな…(蛮勇)

:ワイらはさんざん止めたんやで

:まあ、良いやつだったよ…(追悼)

 

 

 配信を開始して悲壮感満載でしゃべる。

 

 何がやっぱり駄目だったのか――。

 それはもちろん、数時間前のコラボ配信だ。

 

 キラキライブの一大リアルイベント、キラキラフェスティバルで行われたライブも大成功させ、キラキラフェスティバルの合間で行われた『BARキラキライブ』というファンとの交流イベントも大成功させた我は端的に言って調子に乗っていたんじゃろう。

 もうコミュ障は完治したから大丈夫、そう思っていたのじゃ。

 

 コミュ障が治ったのじゃから他のライバーとコラボして友達100人できるかなチャレンジも容易いじゃろうと思ったわけじゃ。

 

「我はまだコミュ障陰キャヒキニート属性から脱却できないのか――」

 

:いやまあ割と良かったと思うよ

:そんな落ち込むな

:開幕はアレだったけど途中からいい感じやったぞ

:他人とコラボできて偉い!

:コラボできたので+1億点

:偉大な一歩だから(フォロー)

 

 モニターに流れるみんなのコメントを横目に、我は部屋の窓から空を眺める。

 澄み渡る青空を気持ちよさそうに泳いでいる鳥をぼーっと見る。鳥は自由じゃな――。

 

 

*****

***

 

 

 

 遡ること数時間前――。

 

 

 

「それじゃ始めるニャ。

 んんっ。ニャッハロ~。靴長(くつなが)猫美(ねこみ)ニャ」

 

「こんばんは~、八百万(やおよろず)高等学校ゲーム部所属の(にのまえ)二三四(ふみよ)です。皆よろしくね~」

 

 

 善は急げとライバー専用のチャットアプリで我とコラボしてくれる人を募集したところ、すぐに反応してくれたライバーが二人いた。

 

 一人は靴長(くつなが)猫美(ねこみ)

 名前からも察することができるが、童話『長靴をはいた猫』がモチーフのライバーで、立ち絵も長靴を履いている。ネコミミ娘の獣人族じゃ。

 とても可愛らしい見た目とは裏腹に、よく『腹黒ネコ』『物語をかき乱す糸目キャラ』とリスナーから言われている。ゲームのNPCに対する行動や少し胡散臭い喋り方などからそんなふうに言われているのだが、実際悪い顔をして楽しそうにゲームをプレイしている。

 我も時々配信を見ているから知っているのじゃ。

 

 もう一人は(にのまえ)二三四(ふみよ)

 彼女はキラキライブの3期生で八百万(やおよろず)高等学校のゲーム部に所属している高校2年生の女の子だ。ゲーム部に所属しているというだけあって、基本的にどのジャンルのゲームでも上手にプレイする。

 おっとりとした喋り方が特徴的なライバーで、ゲームというインドアな趣味もあるが、ソロキャンプというアウトドアな趣味もあって雑談配信ではよくキャンプの話もしている。この前の雑談配信では案件でもなんでも無いのにオススメのキャンプ道具の紹介をしていた。

 

 

 この二人が我の突発コラボ募集に手を上げてくれたわけじゃ。

 そして今日は2時間程度、三人一組で遊べるFPSゲーム「レーペックスレジェンズ」で遊ぶことになったわけで、普通に彼女たちをリスナーとして知っているから一緒にゲームできるのはリスナーとして嬉しい、嬉しいのじゃが……

 

「ほらニーナちゃん。自己紹介しなくて良いのニャ?」

 

「ゆっくりで大丈夫だよ~」

 

 いやね、もうね、心臓バクバクなんよ。

 エンジン音かっていうくらいドドドドドって心音がうるさいんじゃ。

 

 あれ、おかしいな。

 我ってコミュ障から完全脱却したんじゃなかったかの?

 

 あぁ! これはあれか!

 武者震い的なサムシングか! それなら納得じゃな! 叡智(えいち)も極め、武も極めた我が戦いの前に嬉しくて震えてしまうのは当然のことじゃな! なにも案ずることはないな!

 そうじゃな! これからするのは配信の冒頭で軽く自己紹介するだけのことじゃもんな! 何も難しくないな!

 

 アッハッハ! 楽勝楽勝!

 

 

↑、こんにち↑なのじゃ。、今日はよよよろしくお願いしましゅなのじゃ……」

 

 ホーリーシット!

 オーマイゴッド! 聖属性の神なんて我の敵じゃけど!

 

「あはは~、緊張してるねニーナちゃん」

 

「まあニーナちゃんのこれまでを知ってれば当然予想できた反応ニャ~」

 

:草

:草

:これは大草原

:やっぱりこうなったねw

:挨拶できて偉い!

:ネコと234の前で挨拶できて偉い!

:緊張してるけどこの子かわいい

 

 

 猫美と二三四、それにリスナーたちの生暖かい視線がつらい。

 

 顔がヒートデーモン並に熱い。

 緊張して声が上ずるし噛みまくるし、なんじゃこの挨拶は!? 我自分にびっくり!

 

 なんでキラキラフェスティバルのイベントのときにはすらすらと知らない人とでもお話できていたのに、今日になってこんなコミュ障晒してんの? バカなの? 死ぬの? コミュ障脱却どこ……ここ?

 キラキラフェスティバルでペラペラ饒舌になって喋れたのはライブステージをノゾミちゃんと成功させてアドレナリンドバドバで奇跡的にかつての勘を取り戻せたからなの……?

 

 なにがコミュ力レベル999じゃよ……

 完全にコミュ力レベル1か2くらいじゃぁ……

 

「ほらほらニーナちゃん、ボクたちまだ初めて喋ったばっかりだから緊張するのはしょうがないよ~。今日一緒に遊んで気軽に話せるくらい仲良くなろうね~」

 

「そうなのニャ。気を落とすこと無いのニャ。

 ニャーたちとの仲は伸びしろしか無いのニャ」

 

「よ、よろしくなのじゃ……」

 

:てぇてぇ

:これが尊いですか?

:ネコと234の気遣いがてぇてぇ

:何だこの甘い空間

:はぁ~、好き。

:てーてー

 

 

「それに、今日はボク、すごく楽しみなんだ~。

 ニーナちゃんレーペックスすごく上手なんでしょ~? 配信、アーカイブでだけど見たよ~。ボクもマスターランクまではいったことあるんだけど、ニーナちゃんみたいにプレデターになったことなんて無いからそんな上手い人とできて今日は嬉しいよ~」

 

「にゃにゃ! そういえばニーナちゃんFPS激ウマだったのニャ!

 ふっふっふ…… ニーナの旦那ぁ、今日は期待してますぜなのニャ~? 敵チームをボコボコにぶちのめすのニャ~……」

 

「わ、我も二人とゲームできてと、とても嬉しい、のじゃ。

 通話してレーペックスするの自体初めてじゃし、パーティくんでやるのも初めてじゃし、楽しみ……なのじゃ」

 

:魔王様……(泣)

:おいたわしや我が主……

:ニーナさんそんな強いんだ

:↑世界44位ゾ

:フレンドとやるの初めてなの草

:がんばぇ~






コミュ力Lv.2に上がったのでアンケートも新しくしました。
ちなみに私は親分の炭酸ジュース風呂の動画が一番初めに見たVtuberの動画だったと思います。
そこからシロちゃんのサイコパス動画にハマってこの世界にハマりました……シミジミ(回顧)


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