魔法剣士のヒーローアカデミア (WATAHUWA)
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入試開始!

オリキャラは魔法剣士にしようかとおもっていたんですけど”剣でした”か”カードキャプターさくら”か悩み、多重クロスにしました。

それではプロフィールから始めます。






札野マホ

 

 

【挿絵表示】

 

 

名前の由来は「(カード)の魔法」から

 

猫耳に見えるリボンが特徴。親戚にヒーローが居て、剣術を教わった。特技は母から教わったヴァイオリン

 

好きな物:家族と愛犬、カレーライス(父特製)、パンケーキ(母特製)

 

 

 

「それじゃあ行ってくるね」

 

そう言ったのは猫耳に見えるリボンをつけた女の子、札野マホだ。

 

「マホなら大丈夫だと思うけど気をつけてな」

「ワン!」

 

そう言ったのは父と愛犬・ウルシ(ミニチュアシベリアンハスキーの仔犬)。今日はマホの高校入試。しかも受ける高校は名高い雄英高校。名だたるヒーロー達を輩出し、偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件と言われるほどヒーローになるための登竜門で入学するのも難しすぎると言われている。なので父は不安そうだ。すると母がマホに確認する。

 

「マホ。不安な時の呪文は?」

「絶対大丈夫だよ!」

 

笑顔で答える。

 

「よろしい!それじゃあ行ってらっしゃい」

「ん!行ってきます!」

 

「「頑張れ―――!!」」

「ワンワン!」

 

電車に乗り、しばらくして到着したマホ。

 

「ん――…でかい」

 

雄英に相応しい校舎だった。するとあることに気づいた。緑頭の男子と茶髪ボブの女子が話している。そして女子は去った。

 

(あの後ろ姿……もしかして)

 

 

マホは男子の前に出てみる。

 

「え?え?」

 

そばかすの大人しめの男子。この顔は間違いない。

 

「やっぱりヘドロ事件の子だ!」

「えぇ!!かっちゃんじゃなくって僕!?」

 

ヘドロ事件とは?

 

どろどろのヘドロな敵が中学生を人質にとり、暴れた事件である。その中学生を助けようとしたのが目の前の男子・緑谷出久だ。

 

「うわ―…恥ずかし。あの後ヒーローにお説教されたのに」

「まあ、無茶だったけど。友達を助けようとした行動は間違いなくヒーローだったよ」

 

「え?ホント!?」

 

マホの言葉に男子は驚いた。

 

「ん。それじゃあお互い頑張ろうね」

「う、うん!」

 

ー入試会場ー

 

筆記試験は終わり、次は実技試験の説明を聞くのだが…

 

《受験生のリスナー俺のライブにようこそ!!!エディバディ、セイヘイ!!!!!!!》

 

 

そう叫んだのはボイスヒーロー・プレゼントマイクだ。受験生はノリノリの彼の様子に無言。少々可哀想である。プレゼントマイクの説明によれば、これから10分間の模擬市街地演習が行われる。持ち込みは自由で各自指定の演習会場へ、とのこと。

 

 

 

《演習場には“仮想(ヴィラン)”を三種(・・)多数配置してありそれぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!各々なりの個性で仮想敵を行動不能(・・・・)にしポイントを稼ぐのが君達(リスナー)の目的だ!》

 

(ん?三種?)

 

マホはあることに気づく。説明プリントには四種とあったのだ。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

真面目そうな眼鏡の男子、飯田天哉が手を上げる。彼も気づいたようだ。

 

 

 

「プリントには四種・・の敵が記載されております!誤載であれば、日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めて、この場に座しているのです!」

 

そしてブツブツ言う出久に厳しく注意する。そんな飯田を落ち着かせ、プレゼントマイクはそれについて説明した。四種目の敵は0Pのお邪魔虫。各会場に一体配置され、大暴れしている「ギミック」だそうだ。

 

《俺からは以上だ!

 

最後にリスナーへ、我が校“校訓”をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン・ボナバルトは言った!

 

 

真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!!

 

Plus Ultra(プルス ウルトラ)!!それでは皆、良い受難を!!》

 

その言葉を胸に受験生たちは演習場へ向かった。

 

「おー」

「ま、街だ」

「いくらかけてんだ?」

「流石雄英」

 

演習場は何処からどう見ても街だった。

 

《ハイスタートー!》

 

プレゼントマイクの声にマホは走った。

 

 

 

 

走ったのだが……

 

「ん?来ない?」

 

マホ以外走っていなかったのだ。するとプレゼントマイクが叫ぶ

 

《どうしたあ!?実践じゃカウントなんざねえんだよ!!走れ走れぇ!!リボンちゃんは先に走ってるぞ!!賽は投げらてんぞ!!?》

 

プレゼントマイクに言われ、マホ以外の受験生は走った。

 

《標的補足!!ブッ殺ス!!》

 

デカいロボット数体が現れた。セリフからしてあれが仮想敵だろう。

 

「『(ソード)』!」

 

マホの右手にレイピア型の剣が現れた。そして…

 

スパパパパパ

 

華麗な剣術で一気に倒していった。

 

「えええ!?」

「速すぎ!!」

「全部倒されるぞ!!」

 

後から来た受験生は慌てて仮想敵を倒す。そうしている内にマホはドンドン倒していく。

 

(かなり減ってきた。てことはそろそろ)

 

ずずう・・・ん

 

『何アレ――――――ー!!!Σ(・□・;)』

 

マホ以外受験生が驚いた仮想敵。超巨大ロボットだ。間違いなくこいつがお邪魔虫の0p仮想敵だ。

 

「あれ無理じゃん!!」

「逃げろ―――!!」

 

思わず逃げる受験生たち。マホも一旦退避しようとした時だ。

 

「あ!」

 

目元が隠れた茶髪の女子が転んでしまった。マホはすぐに駆け寄る。

 

「しっかりして」

「う、うん」

 

女子は立ち上がる。すると0p敵は近づいてきた。

 

「……しょうがないな。『(シールド)』」

 

光は女子を守る。

 

「倒してくる」

「ええ!?危ないよ!!」

 

慌てる女子にマホは言った。

 

「私達、ヒーローになるために来たんでしょ?」

「あ」

 

マホの言葉に女子はハッとなる。

 

「絶対に大丈夫だよ。私がいるから」

 

そう言って剣を空へ向けるマホ

 

「『(サンダー)』!」

 

バリバリバリ

 

雷を纏った剣を持つマホ。そして走った。

 

 

ズゴォン!!

 

 

一気に貫かれた0p仮想敵は倒れた。

 

「ね?大丈夫だったでしょ」

「う、うん」

 

「『盾』解除」

 

そう言って女子の周りの光を消す。すると

 

《終了―-----!!》

 

実技が終了した。結果はいかに

 



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雄英高校
最初の試練!


「行ってきます!」

「「行ってらっしゃい!」」

「ワン!」

 

両親とウルシに見送られてマホは登校する。雄英に受かったのだ。夢への第一歩である。しばらくして雄英に到着したマホ。すると

 

「ア!試験の子!」

 

目元が隠れた女子だった。

 

「あ、あなたも受かったんだ」

「うん!私小森希乃子っていうの!あの時はホントにありがと!」

 

小森は試験のお礼を言う。

 

「私は札野マホ。希乃子ちゃんよろしく」

 

マホと小森は談笑しながらクラス発表の掲示板を見に行く。その結果

 

「あー…残念だったぁ」

「…ん。せっかく友達になったのに」

 

マホはA組。小森はB組になってしまったのだ。

 

「たまには会おうね」

「ん!メール送るよ!」

 

残念がる二人は渋々自分のクラスへ向かうのだった。

 

(もうすぐA組…ん?)

 

扉の傍で出久と茶髪ボブ。飯田が話していた。

 

「おはよう!」

「え!あ、試験の……えーと」

 

出久は言うが自己紹介をしていなかったのでマホの名前を知らない。

 

「あ、自己紹介まだだったね。私は札野マホ。3人は?」

「み、緑谷出久です」

「私は麗日お茶子!」

「ぼ…俺は飯田天哉だ!よろしく!」

 

自己紹介をしていた時だった。

 

「お友達ごっこは他所へ行け ここはヒーロー科だぞ」

 

『(なんか!!!いるぅぅ!!!)』

 

寝袋に入った男が寝っ転がっていた。

 

「ふ、不審者!」

『(確かに!!!不審者!!!)』

 

マホの言葉に生徒たちは同意してしまった。寝袋に入り寝っ転がった男。そして栄養ゼリーを一気に飲んだその姿は確かに不審者だ。

 

 

「ハイ。静かになるまで8秒かかりました」

 

そう言って起き上がる男性の名前は相澤消太。この1-Aの担任だ。相澤は寝袋から体育着を出し、「グランドに出ろ」と言う。

 

ー女子更衣室ー

 

「ねえねえせっかくだから自己紹介しない?」

「ん!賛成!」

「いーね!やろう!」

 

肌も髪もピンク。目が黒で触角がある女子が提案する。その提案にマホと透明人間が同意した。

 

「芦戸三奈っていうのよろしく!」

「札野マホだよ」

「私は葉隠透!個性は見ての通り透明人間だよー!」

「私は麗日お茶子!」

 

雰囲気が蛙の女子が言う。

 

「蛙吹 梅雨よ。梅雨ちゃんて呼んで」

 

続いて耳たぶがイヤホンジャックになっている女子が言う。

 

「ウチは耳郎 響香。よろしく」

 

次は凛としたふるまいの女子。

 

「八百万 百ですわ」

 

着替え終わった女子たちはグランドへ行く。最初の試練があるのを知らずに

 

 

「個性把握…テストォ!?」

 

 

お茶子が慌てて「入学式は!?ガイダンスは!?」と聞くが相澤は「ヒーローになるならそんな悠長な行事に出る時間ないよ。」と言う。

 

「 雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」

 

今から行う個性把握テストとは個性アリの体力テストだ。相澤は分かりやすく説明するために、マホに話しかける。

 

「札野は入試1位だったな。中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

「23メートルです」

 

不良のような男子に睨まれながらマホは答える。

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいい。早よ。思いっきりな」

 

「はい」

 

マホは円へ向かう。

 

(個性で飛ばす。なら使うのは)

 

マホが投げた瞬間、「『(ウインディ)』!」と叫ぶ

 

ビュオオオオオ

 

「何!?」

「風!?」

 

その風に飛ばされ、ボールはかなり遠くに落ちた。

 

「まず、自分の最大値を知る。それが、ヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

そう言って結果を見せる相澤。690メートルと表示されている。その結果に周りは「面白そう!」と言う。しかしその言葉はまずかった。

 

「………面白そう…………か。ヒーローになる為の3年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?」

 

遊び感覚の彼らに相澤は恐ろしいことを言った。………最下位の者は見込みなしと判断し除籍処分にしようと言ったのだ。当然、周りは文句あり。お茶子が代表として「理不尽すぎる!!」と言う。するとだ。

 

「普通だよ」

『え?』

「ほう」

 

マホが説明する

 

「おじさんが言ってたよ?災害、事故、敵事件。このヒーロー社会では理不尽は当たり前だって」

 

「札野の言う通りだ。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー」

 

雄英は生徒たちにたくさんの理不尽を与えてヒーローにするのだ。こうして一番最初の試練が始まった。

 

***

 

始まった最初の試練・個性把握テスト。まずは50メートル走。エンジンがふくらはぎにある飯田は純粋に走り、お茶子は服や靴を軽くして走る。へそからビームを出す男子・青山はビームを出す勢いで進む考えを披露した(ただし途中で落ち、またビームを出す前に芦戸に抜かれた)。マホはさっきから睨んでいる男子・爆豪と走ることになった。

 

「マホちゃん頑張れ―――!」

「ん!」

 

「ヨーイSTART!」

 

「爆速ターボ!!!」

「『(ダッシュ)』!!」

 

ビュン

 

「3秒04」

「やった!」

「4秒13」

「何ぃ!!?」

 

マホは飯田と同じ3秒04。爆豪は4秒13だ。4秒13でも十分速いのに爆豪は納得出来ずマホを睨む。一方、マホはお茶子と飯田と話をしていた。

 

「マホちゃんすごーい!」

「まさかオレと同じだとは!」

「長時間は流石に無理だけどね」

 

ー握力ー

 

ピピ

 

「これは平均だな」

「ん。これはね」

 

25.71kgだった。

 

ー立ち幅跳びー

 

「……先生。私の場合はどうすればいいんですか?」

「?」

 

どういうことなのかというとマホは実践する。

 

「『(フライ)』」

 

ふわぁ

 

『飛んだ!?Σ(・□・;)』

 

飛んだマホに生徒たちは驚く。相澤はマホに確認した。

 

「どれだけ飛べる」

「私の体力次第です」

 

「∞っと」

『無限でたぁ!?』

 

ー反復横跳びー

 

「ほ!ほ!ほ!ほ!ほ!」

 

「おー!速い速い」

 

結果60回。平均より多い。

 

ーボール投げー

 

お茶子が∞を出したため、『二度目!?』と驚かれた。

 

「んじゃまぁ(球威に爆風を乗せるー!)死ねぇ!!!

 

ボオォン!!

『・・・・・・・死ね?』

 

爆豪の個性は爆破。爆風でボールを飛ばしたのだ。物騒なセリフをはいた爆豪の結果は……

 

「705.2m」

「どーだデカリボン!!」

 

マホに勝ったおかげか機嫌が良くなった。次は出久なのだが全然記録が伸びていない

 

(むしろ躊躇している?)

 

そして彼の結果は

「46m」

 

出久は本気で投げようとしたのに結果が出なかった。理由は相澤は個性を「消した」から。それを聞いて出久は相澤の正体を叫ぶ

 

「視ただけで人の個性を抹消する個性!!!抹消ヒーロー、イレイザー・ヘッド!!!」

 

人の個性を消す。たったそれだけの個性だが、それを補うように近接格闘にも対応する凄い人物だ。ちなみになぜ有名じゃないのかと言うと

 

「メディアに出たくない」

 

 

………ただそれだけだ。そして相澤はあることを出久に言う。その言葉に腹を括ったのか、2回目のボールを投げた。結果は

 

705.3m

 

爆豪の記録を超えたのだ。その後、すべてのテストが終わった一同。そして衝撃の言葉に驚く。

 

 

「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

『は―――――!?』

 

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えれば分かりますわ…」

 

皆の様子に呆れる八百万だった。こうして生徒たちは最初の試練・個性把握テストをクリアしたのであった。

 

帰り道

 

「マホちゃーん!」

「希乃子ちゃん」

 

小森が声をかけてきた。

 

「マホちゃんのクラス入学式に出てなかったね。どうしたの?」

「個性把握テストやってたの」

「個性把握?」

 

マホはかくかくしかじかと小森に説明する。

 

「そっかー嘘で良かったねー」

 

話を聞き、嘘でよかったと安心する小森。ただしだ。

 

「あれ、嘘じゃなかったよ」

「え」

 

除籍処分は本当にするつもりだったのだ。なぜやらなかったのかというと出久のボール投げで前言撤回しただけだ



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がんばれ初授業!

 2日目、とうとう始まった授業。午前中は小・中と変わらない普通の授業。午後は全員が楽しみにしているヒーロー基礎学。そして教師は……

 

「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!!」

 

 アメリカン風のヒーロー・オールマイト! 人気No1のヒーローが教師なのだ。彼自身も楽しみにしていたのか銀時代のコスチュームを着ている。

 

「今日はコレ!! 戦闘訓練!!! そしてそいつに伴って……こちら!!!」

 

 オールマイトがリモコンを押すと壁から人数分のケースが現れた。これは生徒の要望とサポート会社によって出来上がったコスチュームだ。自分専用のコスチュームに生徒たちは大盛り上がりである。

 

「着替えたら順次グランド・βに集まるんだ!!」

『はーい!!!』

 

 ー女子更衣室ー

 

「わあ 梅雨ちゃんのコスチューム蛙だ!」

「ケロ。個性が蛙だからね。お茶子ちゃんのも素敵よ」

 

 梅雨がお茶子のコスチュームを褒めるがお茶子は「私はお任せにしちゃったからぱっつんぱっつんだよー」という。

 

「うお! ヤオモモ大胆!!」

「は、発育の暴力」

 

 ダンサーのような芦戸とパンク系の耳郎は胸元から臍まで露出するレオタード風のスーツを普通に着こなしている八百万に驚く。

 

「でも、これは手直しされたものですわ」

 

 残念そうに言う八百万が描いたコスチュームイメージを見た制作会社が

 

「貴方のご要望されたデザインは”コスチュームの露出における規定法案”に触れてしまいますので手直しすることをお許しください」

 

 と手直ししたのだ。

 

「でも似合ってるよー」

「え!? もしかしてあんたそのまんま!?」

 

 葉隠は手袋とブーツだけだった。確かに透明人間なら当然の考えだが女子としてどうだろう。

 

「透ちゃん、風邪ひいちゃうよ?」

 

 心配するマホ。マホのコスチュームはというとだ。

 

『ドレスアーマー!!』

 

「やば! カッコイイ!!」

「かわいいし!」

「おしゃれー!」

「素敵よマホちゃん」

「凛々しいですわ」

「ゲームのキャラだ!!」

 

 マホのコスチュームは大好評であった。

 

 

 グランド・β

 

 男子たちと合流した女子たち。

 

「お──ミニスカ! パンチラ!」

 

 そう叫んだのは葡萄頭の男子、峰田実。彼は変態。幼児と勘違いしてしまう程の身長と相まってマホのスカートの中が見れると興奮する。ただしだ。

 

「スパッツ履いているから大丈夫」

 

 マホ本人はスパッツ履いているので気にしていない。なので

 

「がく」

 

 峰田は膝をついてしまった。

 

 ***

 

 今回の授業はビルの何処かにある核の回収。敵組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦をやるのだ。生徒たちはさっそくくじを引く。

 

「Cだれだー」

「私Iだよー」

「あ、俺もI」

「D! さっさと来やがれ!!」

「Dだがそれはないぞ!!」

 

 くじを引いた後、生徒たちは同じチームの者と組むがマホだけ動かない。

 

「札野さんどうしたの?」

 

 話しかけてきたのは出久だ。

 

「出久君。これの意味はわかる?」

 

 そう言って見せるマホ。

 

「オ、オールマイトマーク!?」

 

 オールマイトをデフォルメ調のマークにした奴だった。

 

「お、引いたのは札野少女か。今年のA組、B組は奇数だからね!! どうしても一人あまるから私が相手をすることになったのさ!!!」

 

『え────!!!』

 

 相手がオールマイト。かなり恐ろしい。実力差があるため心配になってしまう。ただしマホはというと

 

「ん! がんばる!!」

 

 ノリノリなのか目を輝かせていた。帰ったら確実に両親に自慢するだろう。

 

 まずは一回戦。

 

「Aコンビがヒーロー!! Dコンビが敵だ!!」

 

 ヒーローチームは出久・お茶子で敵が爆豪・飯田だった。

 

「なんか因縁対決になりそうだねー」

「ん。出久くんはかっちゃんって呼んでいたから……幼馴染かな?」

 

 出久たち以外の者はモニターで様子を見る。始まった瞬間勝手に飛び出し、見つけた瞬間出久に攻撃を仕掛けたのだ。

 

(自分勝手な行動。勝己君の様子からして自尊心の塊。チームワークも全然ダメ。対して出久君とお茶子ちゃんは作戦をしっかり考えている)

 

 出久が爆豪の相手をしている隙にお茶子を先に行かせていた。

 

(そして天哉君はお茶子ちゃん対策で掃除。あ、見つかった)

 

 なぜかお茶子は噴き出しており、そのせいで見つかっていた。

 

「お茶子ちゃんなんで笑ったのかしら?」

「天哉君は真面目だから敵の演技をやったのかな。『俺は敵だ~』って言う風に」

「あー確かに」

 

 マホの言葉に周りは納得する。ちなみに飯田が言ったセリフはというと

 

「これも飯田家の名に恥じぬ立派な人間となる為の試練! なりきれ! (ヒーローになる為悪に染まれ!!)俺はぁ……至極悪いぞぉお

 

 だった。すると爆豪は出久に手を向け、手榴弾型の籠手に手を当てる。

 

「爆豪少年ストップだ殺す気か」

 

 オールマイトが叫んだ瞬間だ。

 

 ドゴオオォォン!! 

 

 大爆発が起こった。個性把握テストで見せた以上の威力だ。

 

「本当は敵になりたいのか!! 爆豪はよ!!」

「うーん 一応ヒーロー科に来ているからならないとは思うけど……」

 

 その様子に周りは悩む。ヒーローになりたいからヒーロー科に入った。でも今の爆豪はどう見ても敵。せめてその性格を直してほしい。

 

(あれは自分にも危険すぎる。個性を扱う技術は凄いのに)

 

 爆豪の様子、余裕がないのだ。すると出久は攻撃を仕掛けに行く。爆豪はカウンターを決めようとしたが……

 

 ドゴオオォォン!! 

 

 出久は爆豪じゃなく、天井に攻撃をしたのだ。その瓦礫は上の階にいるお茶子の武器になる。飯田が怯んだすきにお茶子は核を回収した。

 

「ヒーローチームWIIIIIIN!!」

 

 勝ったのはボロボロになった出久と個性を使い過ぎて具合悪くしたお茶子だ。ただし

 

「今回のベストは飯田少年だけどな!!!」

 

 爆豪の自分勝手な独断。愚策の大規模攻撃。出久も同じく大規模攻撃、そのせいで重傷がダメ。お茶子の場合は中盤の気のゆるみと最後の攻撃が乱暴すぎた。そのため、敵として考え、行動した飯田がベストだった。ちなみに飯田の注意すべき点は一つある。それはマホが説明することにした。

 

「戦闘中に一人で掃除はさすがにどうかと思う」

 

「そ、そうだった──―!!! (汗)」

 

 



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魔法剣士VS平和の象徴!!

その後も続けた戦闘訓練。一回戦以降の生徒たちは自分や周りが危険にならない方法で戦闘訓練をする。中でも一番は半冷半燃(つまり半分氷、半分炎)の個性を持つ男子、轟焦凍。彼は同じチームの両肩から膜のある2対の触手を生やした長身の男子・障子目蔵から情報を聞いた後、建物全部を氷漬けにしたのだ。敵を動けなくし、安全に核を回収は見事である。そしてとうとう生徒たちが一番興味ある戦闘が開始される。

 

「札野対オールマイト!」

「どっちが勝つかなー」

「うーん。札野は入試1位だったみてぇだし…わからん!」

 

「さて札野少女!どっちがヒーローをやろうか!」

「それじゃあじゃんけんで勝った方にしましょう」

 

公平にじゃんけんで決めることにした。

 

「最初はグー!!」

「じゃんけん」

「「ポン!」」

 

オールマイトはグー。マホはチョキだ。

 

「私の勝利!!」

 

なのでオールマイトがヒーロー役。マホが敵役になり、飯田が審判することになった。すると八百万が手を上げた。

 

「よろしいでしょうか?」

「どうぞ!!」

 

八百万は言う。

 

「飯田さんは無線の声が聞けるのでお二人の様子がさらに分かります。でも私達は聞けません。なのでスピーカーを用意してもよろしいでしょうか?」

「あー確かに」

「画像だけだとなー」

 

「んーそうだな。よろしい!許可します!札野少女もいいよね」

「ん。大丈夫」

 

許可をもらったので八百万は自らの個性・創造でスピーカーを造った。

 

 

***

 

核(ハリボテ)の前に到着したマホ。マホは言う。

 

「『剣』」

 

剣を出し、切っ先を核に向けると

 

「『盾』」

 

今度はオールマイトが回収できないよう盾を出す。

 

「それじゃあ後は…『(サイレント)』」

 

人差し指を立て「静かに」のポーズをとる。それをやった後、マホは剣で周りの壁をつつく。音は聞こえない。

 

***

 

「ええ!?剣を出した!?」

「盾も出したし」

「音も聞こえないよ!?」

「あぁ!札野の個性!」

「何々?」

 

「つまり魔法だ!」

「じゃあマホちゃんが何かを言う度に起こったのは…」

「呪文かー」

 

生徒たちは納得する。すると

 

《飯田少年!準備はOKだ!》

「は、はい!それではヒーロー対敵開始します!」

 

そう言ってタイマーを付けた。

 

***

 

それを聞いたマホは走る。『静』のおかげで足音は無い。隠密行動にもってこいだ。

 

「おっと敵発見!!」

「!」

 

オールマイトが現れた。

 

「さあ敵よ!大人しく捕まるのだ!!」

「~~!!~~~~!!」

 

マホは叫ぶが『静』をやっているため声が聞こえない

 

「………聞こえないぞ!!(汗)」

「Σ(・□・;)」

 

マホは「静かに」ポーズをした後、すぐにそれをやめる。

 

「大人しく捕まらないぞヒーロー!!」

 

声が聞こえた。

 

「(あーやっと聞こえた)くらえ!」

 

オールマイトは走る。技は使わない。建物の中でやったら確実に崩壊するからだ。

 

三連突(トリプル・スラスト)!!!」

 

ガガガ

 

「むむ!?」

 

覚えのある技に驚くオールマイト。マホは聞く。

 

「降参する!?」

「しない!!」

 

***

 

「すっげー!」

「魔法剣士だ!!」

 

魔法を扱えるからまさに魔法剣士のマホ。その姿に驚く。

 

「オールマイトが押されてる」

「マホちゃん強ーい」

「少し違う」

 

『え?』

 

言ったのは轟だ。

 

「オールマイトは力が強い。いつもの必殺技を使えば崩壊は確実だ。それをわかっているから札野って言ったか。あいつは攻撃をしてはすぐに柱の傍に居るんだ。」

「じゃあマホが押しているのは場所が建物の中だからってこと?」

 

芦戸の問いに轟は頷く。そのオールマイトはというと…

 

「(う~んやりづらい。札野少女よくわかっている。………こうなったら)では!!」

「ん!?」

 

マホを相手するんではなく核を回収に切り替えたのだ。マホは『駆』で追いかけるがやはりオールマイトの方が速い。とうとう見つけてしまった。

 

「よーし私の勝利!」

 

オールマイトが核に触れようとしたら

 

バチバチ

 

「む!?」

 

 

『盾』により弾かれた。

 

(ま、マズイ)

「オールマイト覚悟!!」

 

マホが確保テープを巻こうとしたら

 

 

ジリリリリリリリリリリリ!!

 

 

《あ、時間切れ!敵勝利!》

 

 

飯田が慌てて言った。

 

「どっちが強いかまだわからないけど」

「オールマイトが手加減しているとはいえ」

「マホちゃん凄いねー!」

「入試1位は伊達じゃないってことか」

 

一方で爆豪はショックを受けていた。幼いころから道端の石ころ。でくの坊も同然の出久に負けた。ビル全体を凍らせる轟の個性に自分は敵わないと思ってしまった。手加減してもらっているとはいえオールマイトといい勝負をしたマホの足元に及ばないと思ってしまったから



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マスコミパニック

 今、雄英高校には悩みがある。それは……

 

「オールマイトの様子を教えてください!」

 

 オールマイトが教師になったことにより連日マスコミが押し寄せてくるのだ。生徒たちは「用事があるから」と逃げるように校舎に入ったり、見た目の筋骨隆々と答えたり、真面目に答えたり(ただし長い)している。マホにもマスコミが聞いてきた。彼女の答えは……

 

「聖徳太子と叫んだりしてましたよ」

 

 

 実際、授業で生徒たちに勝敗のシステム等々たくさん聞かれた時「聖徳太子ィィ!!!」と叫んでいたから。

 

 

「聖徳太子!? どういうことですか!?」

「といっても……それでは」

 

 門に入ろうとするマホ。

 

「もう一言! もう一言お願いします!!」

「カンペ見ながら説明してました」

 

 そう言って門に入った。

 

 ーホームルームー

 

 相澤が現れる。昨日の戦闘訓練の結果について爆豪と出久は注意されていた。

 

「急で悪いが今日は君らに……」

 

 それを聞いた生徒たちはまさかまた臨時テストかと思った。緊張気味の生徒たちに相澤は言う。

 

「学級委員長を決めてもらう」

 

『学校っぽいの来た────―!!!』

 

 ただの委員長決めだった。生徒たちが叫んだ後、すぐさま自分がすると手を上げる。

 ただしこのままでは決まらない。すると飯田が「これは投票で決めるべき議案」と提案してくれた(ただし飯田自身も「自分がなりたい」といわんばかりに手を伸ばしていた)。こうして投票することになった生徒たち。その結果は……

 

「僕 四票────!!!?」

 

 委員長は出久。副委員長は二票だった八百万に決定した。

 

 ーお昼の食堂ー

 

 出久はまだ不安そうだ。そんな彼にお茶子、マホ、飯田は「ツトマル」「同じく」「大丈夫さ」と言ってあげた。そうお話をしている中、驚きの事実が判明した。

 兄は大人気のターボヒーロー・インゲニウムだったのだ。(出久曰く65人の相棒を持っている)インゲニウムの話をしている飯田の表情は生き生きしている。

 

「私と同じなんだ」

「「「同じ!?」」」

 

 同じ。つまりマホにも家族にヒーローがいるという事だ。

 

「だれだれ!?」

「どんな人!?」

「ヒーロー名は!?」

 

 思わず聞いてしまう3人。マホは答える。

 

「お母さんの従弟がフェンリル」

「フェンリル!? 狼の仮面を被り、剣を振るう剣術ヒーローフェンリル!?」

「お母さんの従弟さんがフェンリルだったんや!!」

「なるほど! 札野くんの見事な剣術は彼の指導のお陰なのか!!」

 

 その正体に3人は驚いてしまった。

 

「ん。小さい頃観たアニメの魔法剣士がカッコよくって『剣』を作ってね。其の後、個性が魔剣のおじさんから剣術を習ったの。三連突もおじさんから教わったものだよ」

「「「おお~~~~」」」

 

ウウ────────

 

 

「警報!?」

 

 警報が鳴り響いたのだ。しかも《セキュリティ3が突破されました》と放送が入る。セキュリティ3が突破されたという事は校舎内に侵入者が現れたという事。とにかく生徒たちは屋外に避難する。ただしだ。

 

「いてえいてえ!!」「押すなって!」「ちょっと待って倒れる!」「押ーすなって!!」

 

 危機への対応が迅速すぎてパニックを起こしてしまったのだ。小学校で習った避難の心得”おかし”を確実に忘れている。

 

「どわ────しまったー!!」

 

「出久くん!?」

「デクくん!!」

「緑谷く───ん!!!」

 

 出久が人ごみに巻き込まれ、流されてしまったのだ。

 

「きゃ!」

「おっと! お茶子ちゃん大丈夫!?」

 

 マホは倒れかけたお茶子を慌てて支える。するとあることに気づいた。

 

「お茶子ちゃんあれ! マスコミ!!」

「えぇ!?」

 

 窓の外には入れないはずのマスコミが居たのだ。

 

「じゃこれマスコミが原因なん!?」

「ん。確実に」

 

 すると「うわ!!」と飯田の声が聞こえた。

 

「飯田く───ん!!」

「大丈夫───!?」

 

 お茶子とマホは心配して声を上げる。

 

「どちらでもいい!! 俺を……浮かせろ麗日くん! 札野くん!」

「へ!?」

「ん!?」

 

 浮かせろの言葉に疑問を浮かべたがマホは行動した。

 

「上手くバランスとってね!! 『翔』!!」

 

 マホの『翔』により飯田は浮かぶ。そして彼が起こした行動は

 

「ヌオオオオオオオオ!! (汗)」

 

「「ええ!?」」

 

 エンジンをふかし、回転しながら進んだのだ。そして飯田は非常口に到着。非常口ポーズをし、あることを大声で叫んだ。

 

「皆さん……大丈ー夫!! ただのマスコミです! なにもパニックになることはありません大丈ー夫!!」

 

彼の説明により生徒たちは落ち着いたのだった。

 

ー午後ー

 

他の委員決めをする。その前に出久はあることを言った。

 

「委員長はやっぱり飯田くんが良いと…思います!」

 

皆パニックになった時、飯田は見事落ち着かせた。カッコよく人をまとめられるなら彼がやったほうがいいと思ったのだ。実際、その様子を見ていた赤髪の男子、切島 鋭児郎と上鳴も納得する。そんな彼らの後押しに飯田が委員長になったのだった。



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USJ襲撃事件

「すっげ―――――!!USJかよ!!?」

 

興奮する生徒たち。今日のヒーロー基礎学は人命救助訓練。相澤とオールマイト、もう一人の3人体制でやることになった。そして少し離れたところにある訓練場はあの有名なテーマパークUSJにそっくりだ。そんな生徒たちにスペースヒーロー・13号が言う。ここはあらゆる事故や災害を想定した訓練場。その名も

 

U(ウソの)S(災害や)J(事故ルーム)

 

そのまんまのUSJだった(汗)。生徒たちも心の中で叫んでしまう。

その後、13号は小言を4つ言う。でもその小言はとてもためになる。なので「ステキ—!」「ブラボー!!ブラーボー!!」と生徒は称える。流石ヒーローだ。

 

ぞわ…

 

「!?」

 

マホに寒気が襲った。

 

「マホどうしたの?」

 

マホの様子に耳郎が聞くがマホは答えない。じっと中央広場。というよりそこにあるモヤを睨んでいるだけ。するとそのモヤに気づいた相澤の様子もおかしい。そのモヤから現れたのはたくさんの手をコスチュームの様につけた男。彼に連れられて怪しい雰囲気の一行が現れた。それを見た相澤は「一かたまりになって動くな」と叫ぶ。するとモヤから色んな人物が現れた。これは訓練ではない。あれは…

 

(ヴィラン)だ!!!!」

 

セキュリティ完璧の雄英に敵が現れたのだ。

 

現れたのは敵。あのマスコミが入って来れたのはこいつらのせいだった。警報装置は作動していない。確実にこいつらが壊したのだろう。こいつらは敵連合。そして目的を黒いモヤが教える。

 

「平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

 

オールマイトを亡き者にするためだった。するとモヤの敵・黒霧は自らの体であるモヤを大きく広げ、生徒たちを飲み込んだ。

 

ズズズズズ…

 

「!?」

 

マホは驚いた。

 

ゴオオォォ……

 

下は燃え盛る炎。火災ゾーンに移動されていたのだ。

 

「うわああぁぁ!?」

 

少し離れたところに太くて大きい尻尾が個性の男子・尾白 猿夫が落ちていた。

 

「『翔』!」

 

ふわぁ

 

「!?」

 

『翔』のおかげで浮いたマホと尾白。マホは違う方向へ行かないようガシッと尾白の腕を掴む。

 

「猿夫くん大丈夫!?」

「札野さん!無事でよかった!それに助かった!」

 

尾白は1人でもクラスメイトが無事だったことに安心する。

 

「とにかく降りよ!」

「ああ!」

 

マホの提案に頷く尾白。降りようとした時だ。

 

ぶぉ

 

「わ!?」

「きゃ!?」

 

火炎放射が来たのだ。

 

「ガキ見っけー」

 

敵がぞろぞろ現れたのだ。様子からして全員火炎系の個性だ。

 

「札野さん!一旦離れよう!」

「ん!力抜いていて!引っ張っていくから!」

 

マホの指示に尾白は力を抜く。

 

ごぉ!!

 

マホは尾白を連れて燃えていない建物の陰に隠れた。

 

「『盾』」

 

さらにマホは敵や炎が来ないよう『盾』を出す。これで少しの間は大丈夫だ。

 

 

「にしてもオールマイトを亡き者にするってイカレているな」

「さっきの様子からして手がたくさんの男と黒い靄が黒幕だね」

 

マホの言う通り黒幕は先程の男2人のようだ。

 

「不幸中の幸いは火災ゾーンのやつらがチンピラで私たちの個性を知らないことだね」

「え?知らないってどういうこと?」

 

尾白の説明にマホは教える。

 

「梅雨ちゃんが居ないからだよ。梅雨ちゃん見ての通り、個性が蛙だし、教室で水難は独壇場だって」

「そっか。知っているなら確実にここに飛ばされてる!」

 

その説明に尾白も納得した。

 

「敵の目的はオールマイト。倒す算段があるならチンピラは邪魔でしかない!」

「ん。なら私たちがするのは一つ」

「「戦って阻止する(かつ)こと」」

 

チンピラは後で必ず戦闘中のオールマイトの邪魔をするだろう。なら自分たち生徒はチンピラに勝ち、戦闘中のオールマイトの邪魔を阻止することだ。

 

「私はあいつらの個性をしのげるよ『(ウォーティ)』」

 

そう言うとマホの手のひらに水が集まった。

 

「それをあいつらに」

「ん。ぶっかける!そしたらすぐに個性は使えない。だからその隙に」

「ああ!俺が倒す!」

 

マホの『水』で隙が出来た瞬間、尾白が倒していくのだ。

 

「『盾』解除。それじゃ行ってくる!」

「気をつけて!」

「ん!猿夫くんもね!『剣』そして『駆』!!」

 

マホは『駆』で現れる。チンピラたちは「倒せ――――!!」「襲え――――!!」と叫ぶ

 

「『水』!」

 

『え……』

 

「喰らいなさい!!アクア・クリエイト!!!」

 

ザッパアアアン

 

「うわ!!しまった!!」

 

ぼ…

 

「ちっちぇ火しか出ない!!」

 

慌てるチンピラたち。その瞬間

 

「は!!」

 

バキ!!

 

「ぐは!!」

 

「せい!!」

 

ドゴ!!

 

「ふぐ!?」

 

マホの『水』のおかげで炎がしょぼい火しか出なくなったチンピラたち。その隙をついて尾白は格闘技で倒していく。

 

「ええい!!女を狙え!!」

 

しかし

 

「は!!」

 

ガガガ

 

マホを狙ってきたが三連突で倒される。しばらくして……

 

「やったぁ!!!」

「私達の勝利!!!」

 

所々煤がついているが全員倒した。チンピラたちを倒したマホと尾白は気絶したチンピラたちを引っ張って脱出する。

 

「皆大丈夫かなぁ?」

「無事だといいけど……」

 

「ああ!お前達無事だったか!!」

 

雄英教師のヒーローだった。

 

「先生!!」

「何とか大丈夫です!!」

 

飯田が非常事態を伝えてくれたのだ。出久と人命救助訓練の教師三人は重傷だったが全員生きている。こうして襲撃事件は幕を閉じた。

 

 

 

 



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次の戦い

「・・・・・・・・・・」

 

今、マホは悩んでいる。それの理由はこの仔。

 

「くぅ~んくぅ~ん」

「どうしよお母さん」

「うーん。こればかりは簡単に行かないわ」

 

マホの愛犬・ウルシだ。雄英に行く時間なのだが、USJ襲撃事件があったおかげでウルシがとても心配している。全然マホから離れない。そのため出発するのが出来ないのだ。その様子に母もどうしようと考える。

 

「ウルシ、大丈夫だから。必ず帰って来るから。そしたら沢山遊ぼ?ボール転がしやったり、ウルシが好きなブラッシングしてあげるから。ね?」

「く~ん」

 

マホはウルシに優しく言い聞かせる。それが功を奏したのかウルシは渋々離れてくれた

 

「それじゃあお母さん行ってくるね」

「ええ。なにかあったら(つるぎ)君達や警察に連絡するのよ?」

 

母はヒーローである従弟・フェンリルや警察に頼ることを言い聞かせた。

 

「ん。分かった」

「行ってらっしゃい!」

「ワン!」

 

 

こうしてマホはやっと家を出た。

 

 

ー雄英高校校門ー

 

「ああ!マホちゃんだ!!」

「希乃子ちゃん」

 

B組の友達、小森だ。

 

「マホちゃん大丈夫!?メールじゃ心配ないってあったけど…やっぱり心配で」

「ん。私は怪我していない。」

 

やっぱり小森も心配していたようだ。自分のクラスに着くまでマホは安心させるように話すのだった。

 

 

ーA組ー

 

「おはよう」

「マホおはよー」

「やっぱり心配された?」

「ん。かなり心配された」

 

特にウルシに

 

にしても今心配なのは相澤である。両腕粉砕骨折、顔面骨折をしているため、しばらくは来れないだろう。そう思っているマホだったが…

 

「お早う」

『相澤先生復帰早えええ!!!』

 

包帯グルグル巻きのミイラになって現れたのだ。プロ精神が半端ない。更に彼は表情は見えない(包帯のせい)が真剣な様子であることを伝える。

 

「戦いは終わってねぇ」

 

それを聞いて生徒たちは身構える。まさかまた敵が現れたのか。

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

『クソ学校っぽいの来たあああ!!』

 

学校生活の定番イベントだった。しかし雄英体育祭はただの体育祭ではない。TVでも放送され、スポーツの祭典と呼ばれた「かつてのオリンピック」に代わるビッグイベント。主にヒーロー科の生徒が活躍する為、現役プロヒーローもスカウト目的で大勢観戦に来る。生徒たちにとってアピールできるイベントなのだ。敵に侵入されたとしても中止してはいけないイベントである。

 

 

「あんなことあったけど…なんだかんだテンションあがるなオイ!!活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ一歩を踏み出せる!」

 

そのためか皆ノリノリ。気合が入っていた。

 

 

 

 

 

 



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雄英体育祭
体育祭開始!


 相澤から体育祭が迫っていると聞かされ、A組は大変だった。その他のクラスから敵情視察されるは、普通科の男子から宣戦布告されるはなのだ。こうして二週間は早く過ぎていく。

 

 ー体育祭当日ー選手宣誓

 

「男子代表1-A爆豪勝己!! 女子代表同じく1-A札野マホ!!」

 

 過激なコスチュームで有名なヒーロー、ミッドナイトが爆豪とマホを呼ぶ。入試トップの男女が宣誓を行うのだ。まずは爆豪から。

 

「せんせー 俺が一位になる」

 

 やっぱり言ってしまった。当然、

 

 

ブ──!! ブ──!! ブ──!! 

 

 他のクラスのブーイングが始まる。

 

「静かに! 静かに!! 札野さんの宣誓が出来ないでしょ!!」

 

 ミッドナイトのおかげでなんとか止まってくれた。

 

 

「宣誓!私たちはヒーロー科、普通科、サポート科、経営科に関係なく!Plus Ultraの精神で雄英高体育祭に臨むことを誓います!!それでは最後に一言」

 

『?』

 

「とても緊張して不安というなら、オールマイトのようなステキな笑顔でこう言ってみましょう。『絶対に大丈夫』」

 

『・・・・・・・・・・』

 

「以上女子代表・札野マホでした」

 

そう言ってマホは頭を下げた。生徒たちは自然と拍手を贈った。

 

「ただいまー」

「マホちゃん!」

「札野最後の言葉良かったぜ!」

「うん!緊張気味の子落ち着いたかも!」

「自分で考えた言葉ですの?」

 

「違うよ!お婆ちゃん、お母さん、私に受け継がれた無敵の言葉!」

 

マホの説明にA組は思わず『おぉ』って言ってしまう。一方ステージではミッドナイトが種目の発表をし始めた。

 

第一種目は

 

「今年は……コレ!!!」

 

障害物競争

 

コースは約4Km。コースさえ守れば何をしたって構わないそうだ。

 

(確実に個性アリの競争。そしてスタートゲートが狭い)

 

「スタ―――――――――ト!!」

 

「『翔』!」

「え!?飛んだ!?」

 

スタートが出た瞬間、マホは『翔』をする。なぜ飛んだのかというと

 

「最初のふるいだからね」

 

そう言った瞬間、地面が凍った。

 

「ん。やっぱり焦凍くんか」

 

暫く進むとA組全員が脱出していた。轟の戦闘を見たからこそできたのだ。峰田が轟に攻撃しようとした時だ。

 

ドゴオォン!!

 

峰田が襲われた。襲ってきたのは入試の仮想敵だった。

 

《まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!》

 

一体だけでも大変な0P敵が大量に現れたのだ。しかし……

 

「『剣』!『雷』!」

 

ゴロゴロゴロ

 

《なんだなんだ札野!剣を出したと思ったら雷がほとばしってるぞ!!》

 

「くらえ!!」

 

ドゴオオオオオオオォン!!

 

《貫いた――――――!!スゲェ!!カッコエエ!!まさに魔法の剣!!》

 

ヒーローたちや観客たちも驚いている。

 

「倒れるぞ」

 

ガッシャアアン

 

《1-A轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!》

 

0P敵を倒れやすいように凍らせたのだ。進む二人。次なる関門はこれ

 

《落ちればアウト!!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール》

 

そこはどうやって作ったのだろう。底が見えない深い谷。一応渡れるが少ない足場と綱だけだ。

 

「ゴメンナサイ!経営!」

《あ――!そうだった!空飛べるんだった!!》

 

マホからすれば意味なかった。普通に1位の轟を追いかける。その後ろを爆速ターボで追いかける爆豪が居た。

 

「1位の子も凄いが2位の子も凄いな」

「ああ。個性なんか魔法の様だし」

「考え方次第で色んなことできるな」

 

 

こうして到着した最終関門は一面地雷原だ。

 

《地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!!》

 

此れも当然の事

 

「はっはぁ俺は―――関係ね―――――!!」

「同じく」

 

爆豪とマホには関係なかった。爆豪と轟の引っ張り合いが始まる。

 

「失礼するねー」

「させるか!」

 

ドゴオォン!!

 

「おっと!」

 

爆豪が爆破攻撃を仕掛けるがマホは避けた。先頭を行く3人。その時だ。

 

 

 

ドゴオオオオオオオォン!!

 

「えぇ!?Σ(・□・;)」

 

そのことにビックリしたマホ。出久が地雷を爆破させて爆豪の様に飛んできたのだ。

 

「出久くん過激すぎだなー」

 

爆豪でもないのに過激だ。マホ、轟、爆豪は一旦、引っ張り合いをやめて進むことに専念する。その出久は3人の前で失速する。と思ったら

 

カチカチカチカチ

 

「ん?この音って…」

 

 

 

 

ドゴオオオオオオオォン!!

 

 

出久は第2波をやったのだ。こうして

 

1位・出久

 

2位・轟

 

3位・爆豪

 

4位・マホの順にゴールした。

 

 

 

 

 

 



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騎馬戦と過去

 障害物競争を通過した生徒たちにミッドナイトが教える。今度の種目は

 

「コレよ!!!」

 

 騎馬戦

 

 

 これはチーム戦。さっきの障害物競争の結果にしたがって各自にポイントが振り当てられる。そして1位は

 

「10000万!!!!」

 

 この競技は下克上なのだ。

 

(出久君大丈夫かなー)

 

 友好的な出久。マホは虎視眈々と狙う視線に耐えられるかと心配そうに見ていた。ミッドナイトは生徒たちに説明する。

 

 チームを決める時間は15分。出来上がった騎馬に全員の合計ポイントが書かれたハチマキが与えられる(しかも取りやすい)。最終的に奪ったハチマキのポイントで結果を競うのだ。更に重要な説明が一つ。

 

「ハチマキを取られてもまた騎馬が崩れてもアウトにならないってところ!」

 

 

 なので一旦奪われて身軽になる作戦もできるのだ。こうして交渉が開始された。

 

(といっても私はどうするか)

 

 マホの個性・魔法は基本的にいろいろできる。誰とでも組んでも大丈夫なのだ。

 

(…………なら私は頭がいい人。私の個性を使いこなせる人にしよう)

 

 ならあの人に決めた。マホはすぐさまその人物の下へ向かう。するとその人物も近づいてきた

 

「札野」

「焦凍くん」

 

「やるか」

「ん」

 

 轟は戦闘訓練の時、一番の成績だった。彼ならできると思ったのだ。彼も組むなら色んなことが出来るマホならいいだろうと思ったようだ。

 

「次は八百万と飯田にする」

「私の個性対策と機動力だね?」

「ああ」

 

 マホの個性の一つ『雷』などの対策が出来る人物。なので絶縁シートなど作り出せる八百万が適任。そして猛スピードで行動できる機動力は飯田が適任だ。

 

「百ちゃんの説得は私に任せて」

「ああ。俺は飯田のとこへ行ってくる」

 

 マホの視線には考える八百万。マホは彼女に近づいた。

 

「百ちゃん。一緒にやろ」

「札野さん! いいのですか私で!?」

「ん! USJで電気くんの個性を防いだんでしょ。なら私の『雷』もできるはずだよ」

 

 じーんときた八百万は「お任せくださいな!」と応えた。

 

「札野。飯田も許可取れたぞ」

「ん」

「轟さん!? 飯田さん!?」

 

 まさか轟と飯田を引き入れていたことに驚く八百万だった。

 

 こうして15分後……

 

 全チームが完成した。

 

《いくぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!! 

 

 3!!! 

 

 2!! 

 

 1……! 

 

 START!》

 

 殆どが出久チームを狙うだろう。なので轟チームは後半になったら狙うことにした。なので、

 

 ゴオオオオオオ

 

「おお!?」

「なんだ!?」

 

 飯田のエンジンと八百万が作ったローラーブレードで逃げている。するとプレゼントマイクが《残り時間半分を切った》と連絡してきた。それを聞いた飯田は方向転換する。そこに居たのは出久チームだ。

 

「そろそろ奪るぞ」

 

 睨み合う轟と出久。轟はマホたちに指示をする。

 

「飯田前進」

「ああ!」

「八百万ガードと伝導の準備」

「ええ!」

「札野やれ」

「ん! 『雷』!」

 

 ぱち……ぱち……

 

『うん?』

 

 周りは疑問符を浮かべる。轟達が絶縁シートを被った瞬間だった。

 

「スタン・ボルト!!」

 

 

バリバリバリバリバリバリバリ

 

 轟チームに近づく騎馬たちは電気ショックで気絶寸前。さらには轟によって足を凍らせられた。

 

「一応貰っておく」

「皆ごめんねー!」

 

 何チームかのハチマキを奪う轟。今度は出久チームを狙うがギリギリ氷を避けられていたため逃げ回る。しかも逃げ方がよく考えていた。すると飯田がある事を言う。なぜか「使えなくなる」というんだ。

 

「トルクオーバーレシプロ バースト」

 

 超加速で出久チームのポイント全部を奪った。

 

 

《10! 

 9

 8

 7

 6

 5

 4

 3

 2

 1

 TIME UP!》

 

 1位 轟チーム

 

 2位轟チームを狙って来た爆豪チーム

 

 3位 宣戦布告した普通科、心操チーム(騎馬を組んだ上鳴、尾白、庄田はなぜか疑問符を浮かべている)

 

 そして4位は 轟の元ポイントを奪えた出久チームだった。

 

 

 

《以上4組が最終種目へ……進出だああ──────!!》

 

 

 こうして終わった騎馬戦。生徒たちはお昼休憩に入ろうとした時だ。

 

「札野」

「焦凍くん?」

 

 なぜか轟が待ったを掛けた。そばにはなぜか緊張気味の出久がいる。

 

「話したいことがあるんだ。……時間あるか?」

「ん。いいよ」

 

 人気のない場所で轟はマホと出久に言う。曰く騎馬戦の最後の場面、出久の気迫はまるで本気のオールマイトみたいに思ったらしい。轟は真剣な表情で出久に聞く。

 

「オールマイトの隠し子か何かか?」

「えぇ!?」

 

 轟の言葉にマホは隣に立つ出久を見る。確かに出久の個性はオールマイトの個性に似ている。隠し子の可能性が高い。

 

「出久君そうだったんだ。…………内緒にしておくね」

 

 出久の人生を心配したマホは内緒にすることを約束する。その言葉に我に戻ったのか「違うよそれは……」と慌てて否定する(隠し子じゃなかった)。マホは疑問に思う事が出来た。先ほど出久が「そんなんじゃなくて……」と言ったから。つまり繋がりがあるということ。轟もそこを指摘した後、自分の父のことを言う。彼の父はNo2ヒーロー・エンデヴァーだ。生ける伝説オールマイトが目障りで、越えられないと思ったエンデヴァーはある策にでたらしい。

 

 個性婚

 

 昔、問題視された倫理観の欠落した前時代的発想をエンデヴァーはやった。轟の個性が半冷半燃なのは母の個性を受け継いでいるからだ。そのせいで母は精神的な苦痛に陥り、熱湯を炎が出る左側に浴びせたそうだ。轟が出久につっかかるのは母に酷いことをしたエンデヴァーを見返すため。エンデヴァーの個性を使わず一番になることで完全否定するため。壮絶な過去、壮絶な決意に出久は口を閉ざしてしまう。

 

「札野に話したのはそれが理由だ」

「「え!?」」

 

 マホに話したのがそれが理由という事にマホと出久は驚いた。

 

「あいつの事だ。今度は俺と強い女子に個性婚させるつもりだ」

 

 今度は息子に個性婚をさせようとすることにマホと出久は固まる。

 

「それで俺の中では札野。お前が一番強い。狙うのは確実だ。もし親父が「息子の嫁に来ないか」って言って来たら即拒否しろ。ぶん殴っていい。俺が許す」

 

 轟は同級生を母と同じ目に遭わせたくないと思い、可能性の高いマホに聞かせたようだ。

 

「わ、わかった! 思いっきり殴るし蹴る!! 水ぶっかけて少しの間個性を使えないようにするから!!」

 

 まさに女の敵。マホはしっかりと応えた。マホの様子に轟は頷く。これなら大丈夫だろうと分かったようだ。

 

 

 *

 

 昼休憩終了

 

《さァさァ皆楽しく競えよレクリエーション!》

 

 プレゼント・マイクが放送する。

 

《それが終われば最終種目 進出4チーム総勢16名からなるトーナメント形式!! 一対一のガチバトルだ!!》

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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ガチバトル

尾白と庄田が棄権する(上鳴は二人の分までがんばるとのこと)というひと悶着があったもののトーナメントが決まった。内容は以下の通り。

 

・緑谷VS心操

・轟VS瀬呂

・上鳴VS芦戸

・飯田VS発目

・塩崎VS札野

・常闇VS八百万

・鉄哲VS切島

・麗日VS爆豪

 

この順番になった。

 

「茨ちゃーん!私とだね!」

「はい。お互いに頑張りましょう」

 

マホは希乃子を通じてB組女子とも仲が良い。なので髪が茨の対戦相手・塩崎茨に話しかけた。

 

出久VS心操

 

出久は尾白から心操の個性を教えられたが。心操がわざと怒らせたために彼の個性・洗脳に陥った。もうダメかと思ったが、尾白が教えた正気に戻る方法、「衝撃を喰らう」を実行。出久の執念と今までの授業で培った体力によって心操は場外。出久の勝利だ。

 

 

 

轟VS瀬呂

 

「次は轟と瀬呂か!」

「どっち勝つと思う?」

 

A組のみんなでどちらが勝つか予想する。

 

「マホちゃんはどっちだと思うかしら」

 

梅雨の問いにマホは考える。

 

「範太くんは遠距離はできるからね。開始直後に焦凍くんを捕まえて場外に出せば勝てるけど…」

「轟ちゃんの氷もすごいものね」

「ん。範太くん以上の速さで来られたら即終了になっちゃう」

 

一体どちらが勝つか。するとプレゼントマイクの合図が出る。マホの予想通り、瀬呂は轟を自分の個性・テープを使って捕まえる。その勢いで場外に出そうとしたのだが

 

 

キィン

 

バカでかい氷山を一瞬で作り出し、瀬呂とミッドナイトを氷漬けにした。

 

「どーんまい」

「どーんまい」

 

(……焦凍くん)

 

母から受け継いだ個性を嫌いな父から受け継いだ炎で溶かす轟の姿。事情を聞かされたマホと出久から見ればひどく悲しく見えた。

 

 

上鳴VS芦戸

 

《スタート!!》

 

「おりゃああ!!」

「おっと!!」

 

酸ボールを投げる芦戸。慌てて避ける上鳴。

 

「場外に逃げてくれよ?」

 

バチバチバチ

 

放電する上鳴。しかし芦戸は

 

「当たらないよー!!」

 

フィールドをわずかに溶かし、滑りやすくする。そうして出来上がった機動力で上手く逃げている。しばらくして

 

「ウェーイ」

 

個性の使い過ぎで上鳴は馬鹿になった。なので

 

「てい!」

どん

 

「ウェイ」

 

「上鳴君場外!!芦戸さんの勝利!」

 

芦戸が勝った。

 

飯田VS発目

 

「何だアレ」

「あの子出久君たちと組んでた子だよね?」

「う、うん。発目さんはサポート科なんだけど…」

 

 

サポート科は自分が作った物(しかも事前に申請)したものを使える。なので彼女自身も装備していたのだが飯田もなぜか装備していた。飯田曰く「対等に戦いたいとアイテムを渡して来た」とのこと。無下にできなかったそうだ。

 

「天哉くんらしいね!」

「うーん。発目さんてそんなこと言う人かな」

 

出久はなぜか疑問に思っている。

 

「ん?どんな人なの?」

「実は彼女が僕と組んでくれた理由。僕といれば目立つからって」

 

彼女は自分が作ったサポートアイテムを見せつけるために一番目立つ出久と組んだそうだ。

 

「………まさか」

 

その説明にマホはなんとなくわかった。

 

《私の「オートバランサー」があってこその動きです!》

 

マホの思った通り自ら作ったサポートアイテムを売り出すために利用しただけだった。

 

 

 

塩崎VS札野

 

 

《今度は女子同士の対決だ!!B組からの刺客!!キレイなアレにはトゲがある!?塩崎茨!

 

色んな魔法を披露!魔法剣士!札野マホ!》

 

すると塩崎は根は真面目なのか「刺客とはどういうことでしょう」とプレゼント・マイクの方へ振り向いた。

 

「茨ちゃん待った!私が敵だったらどうするの!?」

 

慌てて塩崎に話しかけるマホ。すると塩崎は真顔で一言

 

「貴方は敵ではないじゃないですか」

「まあそうだけど」

 

《START!!》

 

ゴオオオオオオ!!!

 

襲い掛かる塩崎の茨。マホは落ち着いている。

 

「『剣』!」

 

『剣』を出し襲い掛かる茨を切ったマホ。彼女はそのまま塩崎を場外にするため走ろうとするとだ。

 

ずる

 

ずる

 

「! 切ったのが」

 

マホが切った茨が動き始めたのだ。

 

「私の髪は切り離しも可能です。棄権してください」

 

《どうする札野!出すか魔法!》

 

「茨ちゃん。私は棄権しないよ。むしろ茨ちゃんがした方が良い」

「え?」

 

「『(ファイアリー)』!」

 

ゴオオオオオオ

 

「な!?」

 

《火が出たぁ!!火が出たぞ!!切られた茨が燃えていく!!》

《相手が植物なら火は有効だな》

 

「茨ちゃん棄権して」

「………はぁ分かりました」

 

流石に相性が悪すぎる。塩崎は棄権することになった。

 

「札野さんの勝利!」

「『水』!」

 

マホは水を出し、燃えている茨にアクア・クリエイトをする。

 

《おー。消火された!火災現場でも活躍しそう!》

 

常闇VS八百万

 

 

黒影(ダークシャドウ)!!」

「創造!」

次は常闇対八百万。先手を打ってきた黒影に対抗し、盾などを出したが弾き飛ばされる。何とか対抗しようとするが

 

バシ!

 

「あ!」

「八百万さん場外!!」

 

力に押し出されてしまった。

 

切島VS鉄哲

 

「「おおおおおりゃああああああ」」

 

バキィ

 

「「グハ!!」」

 

切島の個性は硬化。鉄哲は金属化。個性ただ被り。

 

「「おおおおおりゃああああああ」」

 

ドゴ

 

「「グハ!!」」

 

殴り合いの実力もほぼ同じ。なので

 

《全然決まんね―――!!!》

 

プレゼントマイクの言う通り全然決まらない。しばらくして

 

「両者ダウン!!引き分け!!」

 

回復後、腕相撲をすることになった。そしてとうとう一回戦最後の組が始まる。

 

麗日VS爆豪

 

「次ある意味最も不穏な組ね」

「ウチなんか見たくないなー」

 

梅雨は心配そうに、耳郎は恐ろしく感じるのか腕をさする。

 

「私も。どうみても仔猫対虎にしか見えないよ」

 

マホの例えに周りは納得する。爆豪とお茶子。不安でしかない。

《START》

 

プレゼント・マイクの合図が出た瞬間、お茶子は速攻を仕掛ける。しかしそれでも爆豪の方が断然上。観客のヒーローたちは「女の子をいたぶるな」とブーイングを出す。すると相澤がマイクと通じて《帰って転職サイトで見てろ》と言ったのだ。理由はある。

 

「勝あァつ!!」

 

それを合図に瓦礫が流星群の様に降り注いできた。姿勢を低くし、突撃しまくった理由。それは武器になる瓦礫を爆豪に「作らせていた」からだ。

 

 

ボオオオオオン!!!

 

しかし爆豪は大爆破をして瓦礫を回避した。爆風で倒れてしまったお茶子はなんとか立ち上がり、走ろうとしたが

 

バタ

 

限界が来たせいで倒れ、爆豪の勝利になった。そして最後…切島と鉄哲による腕相撲の結果はというと

 

「「んんんんんんんんんんんん」」

 

「ガァ」

 

ガン!!

 

《引き分けの末キップを勝ち取ったのは切島!!》

「うおおおおおおお」

 

切島の勝利だった。こうして一回戦は一通り終わった。

 

 

 

 



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第二回戦

《今回の体育祭、両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並びたち今!!緑谷バーサス轟!!START!!》

 

二回戦の最初の組は出久と轟。プレゼント・マイクの合図が出た瞬間、轟は大量の氷を仕掛ける。出久はその氷をデコピンで破壊した。当然、使った指はボロボロである。

 

(二人とも…)

 

事情を知っているマホは心配そうに出久と轟を見る。

 

 

「デクくん大丈夫かな」

「開始早々、指を怪我しているしな」

「んー。焦凍くんが個性を使い過ぎたら一応勝てると思うよ」

 

「使い過ぎたら?」

 

マホの言葉にお茶子は疑問符を浮かべる。

 

「真冬の外にコート無しで出るとするでしょ?焦凍くんはその状況。更にその状態で吹雪が吹いて来たら?」

「なるほど!動けなくなる!」

 

飯田は答えを言う。

 

「焦凍くんの場合、左の炎を使えばそんなことはならないんだけど今はね」

 

『?』

 

マホの言う通り左の炎を使えば体温調節もできる。しかし轟の事情によって使わないだろう。

 

「でも出久くんの個性は見ての通り、使う度に怪我をする。もしかしたら自滅が先になるかもしれない」

「そ、そんな」

 

出久の指はボロボロ。右手の指は全滅してしまった。自滅が先になりそうだ。でもその時だ。

 

 

「全力でかかって来い!!」

 

なんと出久が轟を煽り始めたのだ。

 

「ええ?どういうこと?」

「なぜ緑谷くんは煽っているんだ!?」

(もしかして出久くん。焦凍くんを救おうと)

 

優しい出久の事だ。もしかしたら轟を救おうとしているのかもしれない。

 

ドゴォ!!

 

轟の腹に一撃を入れる出久。その勢いで轟は飛ばされる。

 

《モロだぁー!! 生々しいの入ったあ!!》

 

プレゼントマイクの言う通り生々しい音だ。

 

「うお!緑谷スゲェ!!」

「まさか勝つのか!?」

 

「マホちゃん!轟君もしかして…」

「ん!限界が来た!でも勝率は微妙!」

「微妙なのか!?」

 

マホが勝率が微妙と言った理由。出久の手がもう限界。なのに出久は轟に炎を使わせようと煽るからだ。

 

「今焦凍くんが炎を出したら出久の勝率0なの!」

「なのに緑谷くんは煽っているのか!!」

 

すると轟を殴りつけていた出久があることを叫ぶ。

 

 

 

「君の!力じゃないか!!」

 

その言葉に何か響いたのか

 

 

ゴオ

 

「使った」

 

轟が炎を出したのだ。出久と轟はこれで最後と言わんばかりに超パワーと大量の氷を出す。

 

「やばい!『盾』!」

 

マホはA組全員が入る大きさの『盾』を出した。その瞬間だった。

 

ゴオオオオオオ!!

ステージが大爆発を起こしたのだ。

 

「なになになに!!?」

「爆発!?爆発起きたのか!?」

「でも俺たちは平気!?」

「飯田ちゃんなんで爆発したか分かるかしら?」

 

梅雨の問いに飯田は答える。

 

「轟くん、最初に氷を大量に出しただろ?あれはフィールドを極限まで冷やすため!!そして高温の炎を出した瞬間、熱され膨張!!その結果が大爆発だ!!」

 

「ええ!?」

「二人大丈夫なのか!?」

「煙で見えないよー」

 

 

そう言っていたらマホがあることに気づいた。

 

「ア!出久君いた!」

 

出久は場外に居たのだ。一方、轟はフィールドにいる。

 

「緑谷くん……場外。轟くん三回戦進出」

 

こうして出久は医務室に運ばれた。マホ、お茶子、飯田、梅雨、峰田が代表として行く。そして出久の診察結果は…

 

「これから手術さね」

『シュジュツ―!!?Σ(・□・;)』

 

やっぱり手術しないといけない結果だった。

 

《さあさあ補修終了!!次はコレ!!強力な酸を使った機動力で上鳴を翻弄!芦戸 三奈!対するは思いっきり利用されちゃったよ!!眼鏡な爆走野郎飯田 天哉!!》

 

直されたフィールドには飯田と芦戸。今度はどっちが勝つか。

 

《ではSTART!!》

 

プレゼントマイクが合図する。その瞬間

 

「レシブロバースト!!!」

「へ?」

 

がし

 

芦戸を掴む飯田。そのまま……

 

 

「ヌオオオオオオオオ!!」

 

ごおおおおおお

 

「わわわわわわ!!速い速い!!!」

 

ドンドン押されていく芦戸。そして

 

とん

 

「あ。」

「芦戸さん場外!!飯田くんの勝ち!!」

「あ―――ん!負けた――――!!」

 

勝ったのは飯田だった。

 

 

 

《魔法剣士!札野マホ!対!影のモンスター使い!常闇踏陰!!START!!》

 

 

合図を出した瞬間、常闇は「捕まえろ!」と黒影を出す。『雷』を出す前に場外させるようだ。

 

ガシ

 

《おっと捕まったぞ札野!!》

 

「黒影!!外へ!!」

「アイヨ!!」

 

しかしだ

 

「ごめんね『(ライト)』!」

 

カッ

 

「ギャ――――!!!(泣)」

「Σ黒影――――!!!」

 

『光』によって悲鳴を上げる黒影。思わずマホを落としてしまう。

 

「そして『風』!」

 

ゴオオオオオオ

 

「む!?」

 

『風』で作り出した強風に飛ばされた常闇。場外になった。

 

「常闇くん場外!札野さんの勝利!」

 

「エーン!眩シー!(泣)」

「踏陰くん。黒影って暗いの好きなの?」

「ああ。闇は体力だ。」

「それじゃあお詫びに」

 

マホは手を黒影に向ける

 

「『(ダーク)』」

「ワ!」

 

闇が黒影に纏まりつく。そして…

 

「フッカーツ!!」

「おお!?」

 

復活するのだった。

 

最後は切島対爆豪だ。防御力が高い切島の方が有利かと思ったのだが…

 

《ああ―――効いた!!?》

 

最初は効いてなかった爆豪の攻撃が効いてきたのだ。

 

「ええー!どういうことー!!」

「三奈ちゃん。二人と騎馬組んでたわよね?」

「理由分かる?」

 

梅雨と耳郎の問いに芦戸は答える

 

「爆豪の爆破でも耐えられるからって!実際耐えてたし何で!?」

 

するとマホが思い当たることがあるのか言い始めた

 

「まさか疲れ始めている?」

「え?」

 

「おじさんから聞いた事あるんだけど鋭児郎君のような個性はずーっと力を入れているようなものなの。その状態で戦い続ければいつか綻ぶ。だからおじさんはその時が攻撃のチャンスだって言ってた」

「つまり爆豪はそのチャンスを見つけたって事か」

 

マホの説明に上鳴は納得する。

 

ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

「死ねぇ!!!」

 

ドオン!!

 

そうしている内に爆豪は爆発を込めた連打で切島を倒した。

 

《爆豪エゲツない絨毯爆撃で三回戦進出!!これでベスト4が出揃った!!》

 

 

『轟VS飯田』『マホVS爆豪』となった。

 



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準決勝開始!!

《飯田天哉 対 轟焦凍!!》

 

ヒーロー一家出身者同士の対決だ。

 

《START!》

 

その合図に轟はいつもの様に氷で攻撃を仕掛ける。飯田は見事な立ち幅跳びで攻撃を回避。一気に間合いを詰める。そして

 

「レシプロバースト!!」

 

自慢のスピードを乗せた蹴りをする。轟はギリギリ避けた。

 

「おお!避けた!!」

「スゲェ!!」

 

しかし飯田は2回目のレシプロバーストを轟の頭に入れたのだ。

 

「うわ…」

「アレは痛い!」

 

その様子に思わずマホとお茶子は頭を押さえてしまう。そう思ってしまうのは無理もない。一方、飯田は轟を掴み、場外へ投げ飛ばすために走った。

 

プスン

 

「え!止まった!?」

「まだ時間残ってるぞ!?」

「どうして!?」

 

 

飯田のレシプロバーストは爆発的な加速を可能にするのだが時間制限があるのだ(実際、本人も「謝った使用法」と言っている)。しかしまだ一応、時間は残っている。なのに止まってしまったのはおかしい。

 

「もしかしてマフラーに詰まってる!?」

「え!?てことは轟が!?」

 

マホの言葉に瀬呂が言う。この場合、轟が何かをやったに違いないからだ。すると飯田が凍っていく。

 

「轟って繊細な技術もできるんだなー」

「いっつも大技で一発だったからな」

 

「それじゃあ私行ってくる」

「気をつけてね!!」

「無理するなよ!!」

 

マホの相手は爆豪なので周りは凄く不安なのだ。

 

《さあさあ次は札野 対 爆豪!!どっちが決勝に進むか!?楽しみー!!》

 

フィールドにマホと爆豪が立つ。

 

「やっぱり不安ー」

「ケロ。マホちゃん大丈夫かしら」

「実際勝負するのはこれが初めてだからなー」

 

「俺は札野さんがギリギリ勝つと思うな」

「え!?どういうことだよ尾白」

 

USJで一緒だった尾白が説明する。

 

「俺と札野さんが居たのは火災ゾーンだったから敵の個性は火炎系だったんだよ」

「そっか札野さんは水の魔法を持っている。かっちゃんはニトロのような汗を爆破させているから水で流せばしばらくは使えない。なので爆破による高速移動も少しの間はできない。対して札野さんは高速移動もできるし、剣術もできる。勝てる可能性が高い…『こえーよ』…あ」

 

治療を終えた出久の分析にA組はツッコむ。とりあえず勝てる可能性が高いのだ

 

《それじゃあSTART!!》

 

「『(フリーズ)』!!」

 

ガキィン

 

現れたのは轟程ではないが氷山だった。

 

《札野氷山出した!氷も出せるのかよ!!》

 

しかしマホは警戒を緩めていない。すると小さな爆発音が聞こえてくる

 

「(そろそろ来る)『剣』『水』」

 

マホは『剣』と『水』を出す。

 

ドゴォン!!!

 

爆豪が現れた。

 

「アクア・アロー!!」

「爆速ターボ!!」

 

ザパア

 

ドォン

 

マホは水の矢を放ち、爆豪は爆速ターボで避ける。

 

「爆破で穴開けたのかよ!!」

「しかも出てきた瞬間水攻撃だし!!」

 

「アクア・クリエイト!!」

「く!」

 

上から来た水に爆豪は避ける。

 

閃光弾(スタングレネード)!!!」

 

カッ

 

「ん!?(眩し!)」

 

《爆豪!札野の真似して目くらまし仕掛けたぞ!!札野大丈夫か!!》

 

「(このまま居たら喰らう!)『駆』!」

 

ドゴ

 

「ち!(避けられたか!!なら逃げられないぐらいの大技喰らわせてやる!!!)」

 

爆豪は地面に爆速ターボを放ち、宙を飛ぶ。

 

「(大技!なら私は…)属性剣・水!」

 

マホは『剣』に『水』を纏わせる

 

 

榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!!」

水竜牙突(アクアドラゴンファング)!!!」

 

跳躍中に両手を左右逆方向に向けて爆発を連続発生させ、その反動で錐揉み回転しながら相手に突撃し、その勢いを乗せたまま相手に特大火力の爆発を叩き込む大技を仕掛ける。それを対抗するようにマホは『剣』に『水』を纏わせ、フェンリルから教わった高威力の突き技・竜牙突(ドラゴンファング)を水竜牙突に変えて放った。

 

 

ドゴオオォォン!!

 

「マホちゃん!!」

「札野さん!!」

「札野!爆豪!」

 

その威力にA組は心配する。

 

《爆豪はまさに人間榴弾!!対する札野は暴れる水のドラゴン!!どっちが立ってる!?俺は札野に立っててほしい!!》

《私情入れるな》

 

すると立ち込める煙が晴れてきた。そこに立っていたのは

 

「爆豪くん行動不能!札野さんの勝利!!」

 

マホだった。といっても彼女もボロボロである。

 

《札野だ――――!!やった!!よって決勝は

轟 対 札野に決定だあ!!!》

 

 



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決勝戦

マホは控室へ向かっている。フィールドの整備が終るのを待つために。

 

ガチャ

 

「ん?」

「………」

 

控室を開けたら対戦相手の轟がいたのだ。

 

「んー?あ、2か!ごめんね!間違えた」

 

控室を確認した後、間違えていたことに気づいたマホ。彼女は謝罪し、自分が待つ控室に行こうとしたら

 

「なあ」

「ん?」

 

轟が声をかけてきた。マホは立ち止まるが「……何でもねェ」と言う。何かを察したマホは轟の前に座った。

 

「やっぱりまだ悩んでる?」

「………緑谷と戦うまで”考える”なんて考えもしなかった。」

 

 

マホは考える。なにか助言をしたあげたいのだが、事情が事情。助言はその時の状況によるからだ。

 

(んー。それじゃあ少しはマシになるように)

 

マホは立ち上がる。

 

「?」

 

マホはスウ…と深呼吸すると

 

「♪~♫~」

 

歌を歌い出したのだ。そのことにポカンとする轟。でもその歌はとても落ち着く

 

「♬~……おしまい。落ち着いた?」

「……ああ」

 

音楽療法と言う物がある。音楽などを患者に聴かせることで、心身ともにリラックスしたり、ストレスを軽減させたりする効果が見込まれる。マホは悩む轟を落ち着かせるために歌ったようだ。そのおかげか轟も落ち着いた。

 

「それじゃあ整備そろそろ終わると思うし、行こっか」

「ああ……ありがとな

 

 

 

 

決勝戦がとうとう始まる。

 

《決勝戦!!轟 対 札野!!今!!START!!》

 

合図が出た瞬間、大量の氷を作り出した轟。ただし

 

「『盾』!」

 

『盾』のおかげでマホはピンピンしている

 

「『剣』『火』」

 

ぼ…

 

「バースト・フレイム!!」

 

ゴオオォォ!!

 

《おぉ!!広範囲の炎攻撃!!でっかい穴が出来た!!》

《火を出すのは当たり前だな》

 

衝波斬(ソニック・ウェイブ)!!」

 

ガ!

 

「ぐ…(衝撃波か!)」

 

『剣』から出た衝撃波に飛ばされる轟。轟がすぐさま氷壁を作り場外を回避した。

 

(さすが!!)

 

 

またマホは『剣』で攻撃を仕掛ける。しかし轟はギリギリ避け、左手でマホの手を掴んだ

 

「ん!?(やばい!)」

 

だが轟は炎を出さず、マホを投げただけだ。

 

「(んー。ならアレを使って)属性剣・火」

 

今度は『火』を『剣』に纏わせるマホ。氷が襲い掛かるが

 

重撃斬(ヘビー・スラッシュ)!!!」

 

ズバァ!!

 

強力な横薙ぎ・重撃斬でぶった切る。

 

《今度は氷をぶった切った!あれかなんでも斬っちゃう斬〇剣かよ!》

 

(やっぱり炎は出してくれないなー。しょうがないけど)

 

マホは仕方がないと割り切っていたらだ。

 

ボン!!

 

「てめェ虚仮にすんの大概にしろよ!!」

 

「ん!?」

 

医務室にいるはずの爆豪だった。医務室送りにしたマホは当然の事、A組も驚きを隠せない。爆豪はそれを気にせず叫ぶ。自分に勝ったマホを相手に本気を出さない。それがイラつくのだ。

 

「何でここに立っとんだクソが!!!」

 

しかし轟は答えない。出久と戦って、自分はどうすればいいのか分からなくなってきているのだ。

 

「負けるな頑張れ!!!」

 

すると出久も何を思ったのか叫んだ。その時だ。

 

ボ…

 

轟が炎を出したのだ。

 

《轟炎出した!!爆豪と緑谷の叱咤激励が効いたか!?》

 

「それじゃあ私も本気出さないとね。どっちが強いかな?」

 

マホは火力を上げ走った。

 

 

炎竜牙突(フレイムドラゴンファング)!!!」

 

今度は炎の竜牙突だ。轟も左手を出す。

 

ドオオオオオォォォォォン!!

 

「どっち!?」

「煙で分からん!!」

 

少しずつ煙が晴れてきた。

 

「ア!札野が倒れてる!!」

「でもなんで轟尻もち着いてるの?」

 

フィールドには尻もちをつき、ポカンとする轟。隣にはヘッドスライディング状態のマホ。手には『剣』は無く、目の前にデカい穴があった。

 

「ミ、ミッドナイトせんせ…」

「は、はい札野さんどうしたのかしら!?」

 

ミッドナイトは慌てて駆け寄り聞く。

 

「ごめんなさい。魔力切れました。」

 

弱弱しく説明するマホ。それを聞いたミッドナイトは

 

「札野さん行動不能!よって轟君の勝ち!!」

 

「札野大丈夫か?」

 

流石に心配する轟。

 

「ん…カレーたくさん食べて寝たら大丈夫」

 

こうして優勝は轟になった。

 

 

 

 

 




歌は「夜の歌」です。あれ好き


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授与はやっぱり!

ボリボリ

 

「このハリボーって美味しいですね!」

「だろー?しっかり食べて体力回復させな!」

 

しばし気絶していたマホは保険医・リカバリーガールから貰ったハリボーを食べている。リカバリーガール曰く「体力が消費しているだけならこれがいい」らしい。ちなみに爆豪と轟はというとだ

 

「デカリボン気絶なんていい度胸だなゴラ!!!」

「まて札野は個性を使い過ぎたんだ。怒るな」

「てめーもそうだ舐めプ野郎!!炎出したと思えば消したなんてふざけんじゃねー!!!」

 

マホは気絶。轟は炎を消したのだ。(尻もちは曰く札野の技の衝撃が凄かったの事)なので爆豪は怒り狂っている。余りの暴れっぷりにリカバリーガールは生活指導のハウンドドッグを呼び、鎖でグルグル巻きにしてもらった。

 

 

「それじゃあ轟君、札野さん。ついてきてね」

「「はい」」

 

「ん”~~(怒)」

 

轟とマホは素直にミッドナイトについていき、爆豪はハウンドドッグに俵担ぎされていた。表彰台は地下にあり、トップ3人はそれに乗って地上に出るそうだ。すると轟がマホに話しかける。

 

「札野…オレお母さんに会いに行く」

「ん!?……行くの?」

 

その問いに轟は頷く。

 

「緑谷が抱えている物壊してくれたおかげだと思う。だが俺が吹っ切れて終わりじゃダメだと思って……」

「お母さんを助けようとしてるんだね?」

「ああ。………ただ正直不安だ」

 

もう何年も会っていない母に会いに行く。ちゃんと話ができるかどうか不安そうだ。

 

ぽん

 

「!」

 

「宣誓で私言ったよね。不安な時は?」

「………『絶対に大丈夫』」

「ん!」

 

『絶対に大丈夫』

 

その言葉のお陰で落ち着いたようだ。

 

***

 

轟とマホは束縛されている爆豪の隣の表彰台に立った。しばらくして花火の音が聞こえ、天井が開き、三人が乗った表彰台が地上に現れた。やっぱり生徒たちは爆豪の姿にドン引きである。

 

(ん。気持ちはよくわかる)

 

「メダル授与よ! 今年メダルを授与するのはもちろんこの人!」

 

「私が、メダルを「我らがヒーローオールマイト!」来た!!!」

 

・・・・・・・・・・。

 

カッコよく出てきたのにセリフがミッドナイトと被ったオールマイト。悲しみのあまり震えていた。察したミッドナイトは「かぶった」と手を合わせて謝罪する。とりあえず気を取り直してメダル授与をすることになった。まずは3位になった爆豪。

 

「爆豪少年 ……っとこりゃあんまりだ。」

(確かに)

 

オールマイトの言葉にマホは思わず頷いてしまう。流石にガチガチの拘束具に猿轡は可哀想。なので猿轡だけ取ってあげた。……が

 

「3番なんてなんの価値もねえんだよ!ゴミなんだよ!!」

 

爆豪本人にとっては3位はゴミ当然なのだ。まあ女子に負けたから納得する。オールマイトは「メダルは受け取っとけよ。自分の傷として!決して忘れぬよう」と銅メダルを首にかけようとする。当然嫌がったが

 

「セイ」

「!!!」

 

下の歯に挟まるようにしておさまった。

 

「次は札野少女!宣誓良かったよー!『絶対に大丈夫』!良いね!その後の競技も凄かった!」

「ん!ありがとうございます!」

 

オールマイトは2位になったマホの首に銀メダルを掛ける。

 

「今度は力の配分に注意しよう!そしたら次は金メダルだ!!」

「ん!必ず1位の表彰台に立って見せます!」

「その粋だ!」

 

最後は1位になった轟。

 

「轟少年、おめでとう。決勝で左側を収めてしまったのはワケがあるのかな?」

 

その問いに金メダルを首にかけた轟は答える。すべてを答えた轟にオールマイトは抱きしめる。

 

「今の君ならきっと清算できる」

 

そう言って。

 

 

「今回の勝者は彼らだった! しかし皆さん! この場の誰にもここに立つ可能性はあった! 競い、高め合い、さらに先へと登っていくその姿! 次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている! てな感じで最後に一言! 皆さんご唱和下さい!」

 

そして「せーのっ!」に合わせて皆は叫ぶ

 

プル「お疲れさまでした!!!」トラ!!!……え?

 

そこはプルスウルトラでしょオールマイト!!』

 

締めもかっこよく決められなかったオールマイト。とりあえず。雄英体育祭は終了した。

 

 

 



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職場体験
決めよう!ヒーロー名!


 

「よーしよーし気持ちいい?」

「くぅん♪」

 

体育祭の翌日、今日と明日は振替休日だ。なのでマホはウルシにブラッシングをしてあげている。ウルシもマホによるブラッシングが気持ちいいのかご機嫌だ。

 

「マホ—!剣くんからお電話よー!」

「! ウルシおじさんからだって!」

「ワン!」

 

マホは急いで電話がある場所へ向かう。

 

「はいどうぞ」

 

「ん!」

 

マホは受話器を耳に当てる。

 

「おじさん久しぶり!」

《おう!久しぶりだなマホ!!2位おめでとう!よく頑張った!!皆も褒めてたぞ!!》

「ん!!」

 

フェンリルの言葉にマホは嬉しそうだ。

 

《それでマホ。明日か明後日は学校に行く日だろ?》

「ん!先生が今日と明日はお休みって言ってた!」

《そうか…実は体育祭が終った後は色んな人に囲まれるんだ》

 

真剣な感じにマホに教える。

 

「か、囲まれるの?」

《TVに出たからな!しかもお前はトップ3になっている!なので確実に色んな奴らに囲まれるだろう》

 

「おじさんも囲まれたの?」

 

マホはフェンリルに聞く。フェンリルも雄英OB。しかも3年の体育祭で1位を取ったのだ。

 

《ああ。普通に出ただけでも色んな奴らに話しかけられた。しかしそれは序の口。3年で優勝した時はそれはもう色んな奴らに囲まれた。そのせいで思うように進めず遅刻してしまった。なのでマホ!!》

 

「ん!」

《行くときは普段より早めに出ろ!そうすれば時間ギリギリにはつくだろ!》

「ん!分かった!」

 

フェンリルの助言にしっかり頷くマホであった。

 

ー登校日ー

 

「え!?あなた雄英のマホちゃん!?」

「ん!」

「わあ!ホントに「ん!」って言った!!」

 

「君凄かったよ!」

「ホントかっこよかったわ!」

「ん!」

 

「わあ!魔法のお姉ちゃんだ!!」

「本物だ!!」

「ステキ—!!」

「ん」

 

「お姉ちゃんゲームのキャラみたいでカッコ良かった!」

「…ん」

 

「2位なんて女の子なのに凄いな!」

「家の娘「おねーちゃんかっこいい」ってファンになったんだ!」

 

『頑張れよ!ヒーロー!』

「………ん」

 

フェンリルの言う通り、たくさんの人たちに囲まれたマホであった。

 

ー雄英高・下駄箱付近ー

 

(おじさんの言う通り凄かった)

 

マホは登校しただけで疲れ気味だ。

 

「札野」

「! 焦凍くん」

 

話しかけてきたのは轟だった。彼も少々疲れ気味である。確実に轟も囲まれたことがよく分かった。

 

「お母さんに会って来た」

「上手くいった?」

「ああ。お母さんもあの日を後悔していたのか泣いて謝ってくれて………和解した。これからは積極的にお見舞いに行く予定だ」

「おお!」

 

和解出来たおかげか何だか丸くなった雰囲気だ。エンデヴァーの虐待レベルの教育がなかったらこっちが素のようだ。

 

 

「おはよう」

 

『おはようございます!!』

 

包帯が取れた相澤が現れた。怪我の具合はもう大丈夫みたいだ。

 

「んなもんより今日の”ヒーロー情報学”ちょっと特別だぞ」

 

その言葉にA組は身構える。まさか小テストか?点数が低い者は除籍処分か?

 

「「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」

『胸ふくらむヤツきたああああ!!』

 

大声を出す生徒たちを睨んで黙らせた後、相澤は説明する。プロの活動を実際に体験して より実りある訓練をするために「職場体験」をしに行くのだ。ヒーロー名考案はそのためである。

 

「まぁ仮ではあるが適当なもんは……「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」

 

現れたのはミッドナイト。彼女曰くそのまま世に認知されプロ名になってる人が多いらしい。実際、相澤も当時のプレゼント・マイク命名「イレイザー・ヘッド(消しゴム頭)」のままだ。

 

ー15分後ー

 

 

「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」

 

トップバッターはへそからビームを出す個性・青山。彼は自信満々に見せる。

 

「輝きヒーロー、"I can not stop twinking."」

『短文!!!』

 

まさかの短文。しかも和訳が「キラキラが止められないよ☆」だった。ちなみにミッドナイトの判定は「Iを取ってCan'tに省略した方が呼びやすい」だった。

 

「じゃあ次アタシね!」

 

芦戸が自信満々にホワイトボードを見せた

 

「エイリアンクイーン!!」

「2!!」

 

血が強酸性の危険な奴だった。ミッドナイトも青ざめながら「やめときな!!」と叫ぶ。(その後、芦戸はピンキーになった。(良かった))とりあえずこの空気はかなりマズイ。悩む生徒たち。すると梅雨がヒーロー名を発表した。

 

「フロッピー」

「カワイイ!!親しみやすくて良いわ!!」

 

こうしてやっと変な空気が無くなった。この後、生徒たちは憧れのヒーローのリスペクト。自分の容姿。個性にあったもの。自分の名前そのまま等のヒーロー名を発表する。どれもなかなか良かった。ただし…

 

「爆殺王」

「そういうのはやめた方が良いわね」

 

爆豪は敵名だった。

 

「ボ〇バーマンの方がまだマシだと思う」

「あら!懐かしいわねボ〇バーマン!」

「ゲームじゃねぇか!」

 

昔のゲーム・ボ〇バーマン。マホの言う通りネーミングだったらそっちがまだマシだ。

 

「札野さん、なんで昔のゲーム知ってるの?」

「ん?おじさんゲーマーだから一緒にやった。」

「Σ(・□・;)」

 

フェンリルがゲーマーだという事に緑谷は驚いてしまった。

 

「爆豪くんは後にすることにして…札野さんいけるかしら?」

「ん!大丈夫!」

 

マホはホワイトボードを持って前に出る。

 

「魔法剣士ヒーロー・フラン!」

「かわいい!!しかもサインオシャレ!」

『おお!!』

 

名前の傍にサインを描いたマホ。ミッドナイトの言う通りサインのデザインはオシャレだった。A組は思わず声を上げ、(確かにサインも必要)と考える。こうしてヒーロー名発表会は終わった(ただし爆豪は「爆殺卿」と意味ないので後回しだった)

 

 

 



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職場体験!!

職場体験。

 

体育祭の様子でプロヒーローに来て欲しいと指名があった者はその中から選び、指名がなかった者は事前に雄英がお願いした受け入れ可の事務所40件から選ぶ。マホの場合はプロヒーローからの指名。マホに来てほしいと指名したのは4000件以上。水の魔法を使ったからバックドラフトに魔法ヒーロー・マジェスティック。火の魔法を使ったのでエンデヴァーもいたほどだ。しかしマホは違うヒーローの下へ行く。

 

職場体験当日

 

「マホちゃんいらっしゃ―――い!!!」

「Σふぐ!!」

 

アマンダ

 

個性:髪

鉄レベルの丈夫な髪。塩崎のように伸縮自在。切り離しも自由自在なのでサポート会社に依頼し、鞭に加工してもらった。ミッドナイトとは同級生。それゆえにコスチュームが過激。

 

「おいアマンダ!マホ嬢ちゃんが死にかけてるぞ」

 

ドナドロンド

 

個性:鬼

鬼のような外見で威圧し、怪力と特注の丈夫な斧で敵を倒す。

 

「マホくんが来るたびに締めないでください!」

 

クリムト

 

個性:精霊召喚

召喚した精霊にお願いして魔法を使う。周りが個性的なので苦労人

 

「さっさと放してやれ!怒られるぞ」

 

ジャン・ドゥービー

 

個性:使い魔召喚

使い魔を召喚する。ただし召喚した使い魔はスケルトンや幽霊。

 

 

「マホ――大丈夫か―――――!!!」

 

現れたのはマホの親戚であるフェンリル。マホが選んだのはフェンリルが所属しているヒーローチーム『チームアレッサ』だ。

 

「ん。大丈夫」

 

アマンダの腕から抜け出したマホはペコリと頭をさげる。

 

「これからよろしくお願いします」

『こちらこそ!』

 

 

***

 

「きゃーマホちゃんコスチュームかわいい♡」

「ふはははドレスアーマーか!なかなか似合うぞ!!」

「ん!」

 

「それじゃあマホ。ヒーローについて説明するからよく聞くように!」

「ん。わかった」

 

 

「まずはヒーロー活動についてだ。」

 

「ヒーローは一応公務員ですが一般的な公務員とは何もかもが著しく異なるんです。」

 

「仕事内容は基本的に我らチームアレッサの様に犯罪の取り締まり!13号のような人命救助!」

 

「そして任務が完了したら貢献度を申告する。その後専門機関の調査を経て給料が振り込まれるんだ。ここまで分かるか?」

 

フェンリルの問いにマホは「基本歩合なんだね」と感想を言う。

 

「あとは”副業”をすることを許されているの。ただし公務に定められた当時相当もめたらしいわ。今、副業が出来るのは市民からの人気と需要に後押しされた名残よ」

 

アマンダの言葉にマホは化粧品のCMによく出るスネークヒーロー・ウワバミを思い浮かべた

 

「それじゃあ説明は終了。いざパトロール!……したいんだがな」

「ん?」

 

フェンリルの様子に疑問符を浮かべる。

 

「実は今日の午後、病院へ慰問に行くんだ」

 

ドナドロンドの説明に「ん。なるほど」と納得する。せっかくの職場体験。最初はヒーローらしくパトロールと思いきや副業だから肩を落とすだろうと思っていたようだ。

 

「大丈夫!副業も大事な仕事なんだから!私は何するの?」

「マホ~~お前ホントイイ子だな~~~」

「お前を育てた両親は凄いな!!」

 

フェンリルとドナドロンドは思わず泣く。

 

「私たちはピー〇サインを歌うんです。」

「だからマホには得意なヴァイオリンを頼みたいのだ!!」

「事務所に置いてあるヴァイオリンはしっかり手入れしてあるから安心して使って」

「ん。わかった」

 

こうしたマホの最初の仕事は慰問だった。

 

「それでは皆さん!今日来てくれたヒーローはこの方々です!!」

 

看護師の言葉を合図にチームアレッサが現れる。

 

「チームアレッサだ―――!!」

「アマンダ美人ー!」

「ジャン面白ーい!!」

 

入院患者たちは大喜びだ。そしてヴァイオリンを持ったマホが後から現れる。

 

「あ!雄英だ」

「2位の子ね!!」

「わあ嬉しいな!!」

「コスチューム可愛い!」

「個性にあってるー!」

 

雄英体育祭で2位を取ったマホが現れたことに患者たちも驚く。

 

「えー皆さんこんにちは!チームアレッサです!」

「今日は皆の者が元気になるように我らが来てやったぞ!!」

「歌を歌うので皆さんも手拍子したり、歌ったりしてほしいです」

「頑張るので楽しみにしてほしい!」

「雄英から来たマホ…じゃなかった。フランちゃんはヴァイオリンをやりまーす!」

「よろしく」

 

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

 

患者たちの拍手が終わった後、マホはヴァイオリンでピー〇サインを弾き始める。フェンリルたちもそれに合わせて歌い始めた。すると少しずつ患者たちも手拍子したり、歌ったりする

 

 

『ワアアアアアアアアアアア!』

パチパチパチパチパチ

 

拍手喝采を貰うチームアレッサ。すると

 

「お姉ちゃん 鬼〇やってー!」

「ア〇パンマンがイイ!」

「わたしパプ〇カー!」

「落ち着いた曲もやってほしいのう」

「Σん!?」

 

まさかのリクエストだった。

 

「お、おじさんどうする?」

「この場合やるしかないんだ」

 

「じゃあさっきの4つだけ」

 

『ワアアアアア!』

 

リクエストに応えるマホ。最後の落ち着いた曲は轟に歌ってあげた歌だ。リクエストをすべて終わらせると

 

 

『ワアアアアアアアアアアア!』

パチパチパチパチパチ

 

患者たちはまた拍手喝采を贈る。こうして慰問は大盛り上がりで終わった。

 

ー夜ー

 

「それじゃあ最後にニュースだ。情報を集めるのも大事だからな」

「ん!」

 

フェンリルがTVをつける。

 

《今日の一番気になるコーナーです!本日〇〇総合病院でチームアレッサが慰問に来てくれました!》

 

『ん?』

 

《しかも職場体験に来たのでしょう。雄英体育祭で活躍した札野マホさんが見事なヴァイオリンを披露しました。》

 

映像にはヴァイオリンを弾くマホとそれに合わせて歌うチームアレッサ。

 

《次は入院患者の感想です》

 

映像が変わる

 

《いやー歌もそうでしたし、ヴァイオリンも見事な物でした!》

《とても楽しかったです》

《おねーちゃんじょうず!!》

《今度は〇トロやってほしい!》

 

映像がスタジオに戻った。

 

《いやー本当に上手でしたねー》

《敵との戦闘や救助活動も大事ですけど慰問で皆さんを楽しませるの大事ですね。》

 

「また囲まれるな!!」

「………やっと落ち着いたのに」

 

その後、そのニュースを見たA組一同とB組女子からメールが届き、さらには『お母さんから「どれも上手だけど最後の1曲が一番素敵だった」ってメールが届いたぞ』と轟からメールを見て、マホが驚いたのは言うまでもない



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保須市の非常事態

今日、チームアレッサとマホは保須市へ出張に来ている。数多くのヒーローを死傷させる敵・ヒーロー殺しが保須市に現れたのだ。

 

「マホさんどうしたのですか?」

「ん」

 

「そうね。具合でも悪いの?」

「ん」

 

「我特製ドリンクでも飲むか?」

「飲まない」

「即答か!!」

 

「本当にどうしたんだよマホ嬢ちゃん」

「保須市になんかあるのか」

 

マホは説明することにした。

 

「体育祭で上位になった眼鏡男子いたでしょ?」

「ああ!いたな!」

「なかなかの機動力であった!!」

「騎馬戦一緒に組んでいた子よね?」

 

アマンダが確認する。

 

「ん。その子インゲニウムの弟なの」

『え!?』

 

実は体育祭の最中、ヒーロー殺しは飯田の兄・インゲニウムを再起不能、引退に追い込んだのだ。なので最近の飯田の様子がおかしい。どう見ても強がっているとしか思えない。

 

「しかも選んだ職場体験先が保須市で」

「あーなるほど」

「それは心配するな」

 

職場体験先が保須市なのだからインゲニウムが兄だと知っている者達は心配なのだ。チームアレッサも納得する。

 

***

 

 

保須市のヒーローたちと連携してパトロールをしたが昼間は異常はなかった。

 

「やっぱり夜に現れる?」

「可能性が高い。マホ、気を抜くな」

「ん」

 

しっかりと答えるマホ。その時だ。

 

 

ドガアアアアァァァン!!

 

『!?』

 

大爆発に驚く一同。遠くから爆発音が聞こえた方角を見ると煙が燃え上がっていた。

 

「お前達行くぞ!!」

 

『おう!!』

 

すぐにそこへ行こうとした一同。すると

 

♪~

 

「?」

 

マホの携帯にメールが届いた。確認すると思わず目を見開く。

 

「おじさん達待った!」

 

ガシ!

 

「ぐえ!?マ、マホなんだ。今それどころじゃ」

 

マントを引っ張られ、苦しい思いしながらマホに聞くフェンリル。しかしマホの行動で苦しいのは吹き飛んだ。

 

「これ見て。」

 

そう言ってメール内容を見せるマホ。メールは出久からで内容は『江向通り4-2-10の細道』とあった。

 

「これって保須市の住所だよね?」

 

マホの言う通り、これは保須市の住所だ。今の状況で、保須市の住所だけが届く。チームアレッサはすぐにわかった

 

「SOS!」

「細道ってことはヒーロー殺しか!!」

 

なぜか保須市にいる出久はヒーロー殺しに遭遇。SOSとしてメールをA組全員一斉送信をしたようだ。

 

「よし!俺は細道の方へ行く!ジャン!サポート頼めるか!?」

「任せたまえ!!」

「マホはその子の救助、大急ぎで安全な場所へ退避だ!!」

「ん!!」

「アマンダ、ドナドロンド、クリムトは当然」

「爆発が起こった場所へ急行だろ!?」

「任せてください」

「マホちゃん気をつけるのよ!!何かあったら必ず呼ぶのよ!!」

「ん」

 

 

チームアレッサはすぐに行動を開始した。マホはフェンリルとジャンと共にメールの住所へ走る。少しして到着すると例の細道から人影。インディアン風のヒーローに背負われた出久。飯田。轟だった。全員ボロボロのケガだらけ。しかも轟は恐らくヒーロー殺しだろう。そいつを縛り、引っ張っている。

 

「出久くん!天哉くん!焦凍くん!」

「札野さん?」

「札野か」

「札野さんも来てくれたんだ……フェンリルとジャン・ドゥービーだ――――!!いたたた」

「ああ!重傷なのに大声出しちゃ駄目だよ!!」

 

「な、なぜフェンリルとジャン・ドゥービーがここに」

 

驚くインディアン風のヒーローにフェンリルが説明する。

 

「緑髪の子のメールがフランのとこにも届いたんだ」

「だから我らは全速疾走で来たのだ!!」

 

「それじゃあ4人とも応急処置しようね。一番ひどいのは誰?」

「緑谷と飯田だ」

「それでは我も手伝おう!!その前にこれを飲め!!我特製ドリンクだ!!」

「ジャントドメを刺す気か!!(汗)」

 

ジャン特製ドリンクは体にいいのだが味は悪い。どれだけマズイのかと言うと元祖青汁を更にまずくしたものである。なのでケガ人に飲ませるという事はフェンリルの言う通りトドメを刺すようなものだ。

 

「4人とも飲まないでね。体には良いんだけど味だけは駄目だから」

「わ、わかった」

 

「なぜおまえがここに!!!」

「グラントリノ!!!」

 

現れたのはヒーローコスチュームを来たお爺さん。どうやら出久の職場体験先のヒーローのようだ。彼は「座ってろっつったろ!!!」と見事な飛び蹴りをする。様子からして出久は指示を無視したみたいだ。そうしている内に他のヒーローたちが現れ、縛られているヒーロー殺しを見て驚いている。フェンリルたちが説明していると飯田は頭を下げる。自分のせいで大怪我を負わせたことを謝罪した。でも兄がヒーロー殺しのせいで再起不能に落ちたのだから何も見えなくなってしまったのは無理もない。そう話していた時だった。

 

「伏せろ!!」

「え?」

 

グラントリノの大声に驚く出久。その瞬間だった。

 

バサ

 

翼が生えた脳無に出久が攫われたのだ。このままではマズイ。

 

「アンディ召喚!!少年を助けよアンディよ!!」

 

ジャンがドラゴン型のスケルトンを召喚する。ジャンの指示に飛んだアンディだが

 

バサ

 

「え?」

「止まった?」

 

脳無が止まったのだ。落ちる脳無と出久。しかし出久は無事だった。アンディが助ける前にヒーロー殺しが「助けた」からだ。なぜ敵であるヒーロー殺しが出久を助けたのかはわからない。ただしその直後、奴は気絶していた。相手に立ち向かった状態で。しかしヒーローたちは動けなかった。奴の気迫が恐ろしかったのだ。

 

ー病院ー

 

マホはお見舞いに来ている。付き添いとしてフェンリルとドナドロンドも一緒だ。

 

「「ハンドクラッシャ―――――!!」」

 

「ハンド?」「クラッシャー?」「何だそりゃ」

 

出久と飯田の爆笑に3人は疑問符を浮かべる。とりあえず病室に入ることにした。

 

 

「3人とも来たよ。具合はどう?」

「札野」

「フェンリル」

「それに…ドナドロンドだ!!さすが物凄い威圧感!!」

 

様子からして大丈夫そうだ。

 

「にしてもどうして大笑いしてたの?」

 

マホの問いに轟が真剣な表情で言う。

 

「実は……俺に関わったら緑谷と飯田の手がダメになってしまった。………呪いか?」

 

「「ブハ!!」」

 

フェンリルとドナドロンドは噴き出す。

 

「ギャハハハハハハハハハハハハ!!!」

「面白いこと言うな!!!気に入ったぜ坊主!!」

 

もう大爆笑だ。

 

「?  札野も気をつけてくれ。お母さんを楽しませてくれたお前が怪我するのは嫌だ」

「……ん!わかった」

 

轟とマホが約束しているとだ。

 

「とりあえず坊主共。あの状況で単独行動を起こすとはいい度胸。「ヒーローの心得百か条」を教え込む必要があるな」

 

「「「え」」」

 

「ま、待ったドナドロンド!!3人は酷い怪我してんだよ!!!」

「せめて退院してから!!今やったら精神的にマズイ!マズイから!!」

 

マホとフェンリルはドナドロンドを説得する。しかし「駄目だ!!」と言う!!

 

「ひとおぉつ!人より努力を惜しまず!!」

 

「「「!!」」」

 

「ふたあぁつ!不埒な悪に染まらず!!」

 

「「「………!(汗)」」」

 

「みいぃっつ!みんなに迷惑かけない!!」

 

「「「………!(汗)」」」

 

「よおぉっつ!良い子なヒーロー!!」

 

「「「………!(汗)」」」

 

「いつぅつ!いつでも笑顔でパトロール!!」

 

「「「………!(汗)」」」

 

 

 

ドナドロンド名物「ヒーローの心得百か条」は単独行動を起こした者へのお説教である。看護師が「病院で騒いではいけません!!」と来るまで絞られたのだった

 

 

 



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合同訓練

ベストジーニスト

 

雄英高校OB。ベストジーニスト8年連続受賞等輝かしい経歴を持つ大人気ヒーローである。そんな彼には悩みがある。

 

「爆豪くん。そういう性格だと敵と勘違いされてしまうよ」

「ああ!?うるせぇ!!!」

 

職場体験に来た爆豪だ。なぜ爆豪がここに居るのかと言うとベストジーニスト本人が指名したため。その指名した理由は敵の勘違いされてしまう程ギラついた爆豪の性格を矯正するためである。しかし髪型を8:2までにしか矯正できない(実際、髪もワックスたっぷり塗り付けないとできなかった)。

 

(もうすぐ最終日。どうしたものか……ん?待てよ)

 

ドナドロンド名物「ヒーローの心得百か条」ならば多少は修正できるかもしれない。実際、合同訓練でお願いした時、爆豪ほどではないが問題児は大人しくなった。丁度明日はチームアレッサと合同訓練だ

 

(これだ!!)

 

ベストジーニストは電話をとる。

 

 

プルルルル

 

「はい こちらチームアレッサ事務所です。ご用件をお願いします」

 

そう言って電話を取ったのは少年の姿の幽霊・ステファン。ジャンが召喚した使い魔だ。普段は事務。有事のさいは戦闘にも現れる、ジャン曰く人型では一番な幽霊だ。

 

 

《ヒーロー事務所『ジーニアス』の代表、ベストジーニストです。ドナドロンドいますか?》

 

「はい 少々お待ちください。ドナドロンドさ―――ん!凄いですよベストジーニストです―――!」

 

「ベストジーニスト?ちょっと待て!」

 

ドナドロンドは慌ててきた。

 

「はいこちらドナドロンド」

 

「何するんでしょうねマホさん」

「ん。明日は合同訓練なのに」

「明日の打ち合わせはもう終わらせてますよ?」

「ん?そうなの?」

 

ステファンとマホが離れたところでヒソヒソ話していると話し終わったのかドナドロンドは受話器を置いた。

 

「ドナドロンド話終わった?」

「ああ、終わった。マホ嬢ちゃん明日は頑張るぞ」

「ん?」

 

一体どういうことなのか

 

 

ー翌日ー

 

「・・・・・・・・・・どなた?」

「爆豪だ!!忘れるなデカリボン!!!」

「いやいや爆豪君の髪あり得ない程変わっちゃってるからどなたって言われるのは仕方がないぜ?」

「ん!おじ…フェンリルの言う通りだし、勝己くん自身普段から人の名前全然覚えてくれないじゃない。名前を覚えないことがブーメランになって帰っただけ」

「ぐ」

 

確かに爆豪は全員モブ扱い。多少覚えてもマホの様に外見の特徴しか言わない。なのでブーメランになって帰ってきた。3人の様子にドナドロンドは納得する。

 

「確かにお願いしたくなるな」

「見ての通り性格は変わらず。修正できたのは髪型だけです」

 

ドナドロンドとベストジーニストの話を聞いてマホは納得。

 

(ん。なるほど。お願いしたくなるよね。…………終わった後勝己くんどうなるんだろ)

 

出久、轟、飯田は看護師が来たおかげで途中で終わった。ただしぐったりしていた。爆豪の場合はどうなるか気になる。

 

「じゃあまずは「ヒーローの心得百か条」10セット教え込む必要があるな」

 

そういうとドナドロンドは爆豪の頭をがしっ!と鷲掴みする。

 

「てめ!何しやがる!!」

 

「ひとおぉつ!人より努力を惜しまず!!」

 

「!!」

 

「ふたあぁつ!不埒な悪に染まらず!!」

 

「………!」

 

「みいぃっつ!みんなに迷惑かけない!!」

 

「てめ!!うるせ!!」

 

爆豪は当然、爆破しようとしたが

 

ザパア

 

シュルルルルギュ!

 

「むぐ!」

「暴れちゃ駄目!」

「彼女の言う通り暴れない」

 

マホの水魔法アクア・クリエイトをぶっかけられ、ベストジーニストの繊維を操る個性・ファイバーマスターで縛り付け、及び口を塞がれる。

 

「よおぉっつ!良い子なヒーロー!!」

 

「………!」

 

「いつぅつ!いつでも笑顔でパトロール!!」

 

「………!」

 

こうして合同訓練が終わり、チームアレッサが帰った後は…

 

 

ボオォン!!ボオォン!!

「あいつ絶対倒す!!!」

 

「すまないドナドロンド。無理だった」

《ハハハハハ!!!また「ヒーローの心得百か条」10セットをやってやるよ!!》

 

「ヒーローの心得百か条」10セットは幼い頃から頭も良く何でもできる天才である爆豪にとって屈辱的なお説教。ドナドロンドを必ず倒すと宣言するのだった。

 



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期末テスト
次の試練


職場体験を終えたA組。出久やお茶子の様にとても為になった日々を過ごせた者もいればウワバミのもとへ行ったのだが、副業ばかり(しかも二人はCMに出演)、ヒーローらしいことはパトロールだけだった八百万やただヒーローとしての心構えを教え込むため指名された爆豪の様にヒーローとしての体験が全然出来ず、「行く場所間違えた」と思った者が出た職場体験であった。(ちなみに大笑いする切島と瀬呂に怒った爆豪はボンっと爆発したおかげでいつもの髪型に戻った)。その成果は授業でわかる。そんな数日後

 

「えー……そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間一ヶ月休める道理はない」

「まさか……」

 

相澤の言葉に身構えるA組。まさかまた敵か?

 

 

「夏休み林間合宿やるぞ」

 

『知ってたよやったー!!!』

 

盛り上がる教室内。そう…実は夏休みの間、林間合宿をやるのだ。自然の中でヒーローとしての訓練の他に肝試し、花火、カレー等皆でやるので更に盛り上がる。……が

 

「その前の期末テストで合格点に満たなかった奴は……学校で補習地獄だ」

 

「みんな頑張ろーぜ!!」

 

期末テストが赤点だったら補習地獄。それは絶対にヤダ!!期末テストまでは確実に勉強漬けだ。しかもヒーロー科は普通のテストの他に演習試験もあるのだ。座学では赤点確実の芦戸と上鳴はそれはそれは恐怖でしかない。

 

「お二人とも、座学なら私、お力添えできるかもしれません」

「ん。百ちゃんの言う通り私も手伝うからさ」

 

「「ヤオモモ―――!!マホ―――!!」」

 

座学1位の八百万と2位のマホの言葉に喜ぶ芦戸と上鳴。2人にとって天の助け同然だった。

 

 

「演習の方はからっきしでしょうけど……」

「ん?」

 

マホは彼女の様子に疑問符を浮かべた。耳郎達の教えてほしいの言葉で元気を出したがさっきの八百万はとてつもなく元気がなくなったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

勉強会当日・八百万の家。

 

 

 

「ん?二人なんかご機嫌。」

「なにかあったのですか?」

 

マホと八百万はなぜかご機嫌の芦戸と上鳴に聞く。

 

「実はB組の拳藤が対ロボット実践演習だって教えてくれたんだよ!!」

「しっかり者だし、知り合いの先輩から聞いた話だって言うから間違いないね!!これでペーパーテストに専念できる!!」

「まあ。そうでしたの」

 

その説明に八百万は納得する。しかしマホは

 

「ん~~」

 

あまり信じていない。

 

「え!?札野ってB組女子と仲いいよね?」

 

耳郎が聞く。マホはB組女子とも仲が良い。なのに信じていなさそうだ

 

「ん。B組とも仲いいよ。でも内容変更なるかもしれない」

『え!?』

 

内容変更

 

その言葉に勉強会に来た者達は固まる。

 

「だって入試に体育祭も対ロボットだった。今私達ヒーロー科は訓練のおかげで大分強くなっている。さらにはUSJ事件にヒーロー殺し事件があった。そんな年に対ロボットは簡単すぎない?」

 

『・・・・・・・・・・・・・(汗)』

 

確かに相澤は個性把握テストでビリは除籍処分と言った。期末テストの説明もテストが赤点だったら補習地獄と言った。物凄く難しくなる可能性が高い。

 

「「どうすんの!!?」」

 

青ざめながら聞く芦戸と上鳴にマホは言う

 

「ん。腹を括るしかないね。とりあえず「ヒーローの心得百か条」くらいは覚えていた方が良いと思う」

 

『「ヒーローの心得百か条」?』

 

疑問符を浮かべる皆にマホは教える。

 

「ドナドロンドが何かあったら思い出せと大声で教えてくれたこと。聞く?」

 

『聞く!!!』

 

テスト内容が難しい。さらにわからないならプロヒーロー直伝の言葉を覚えた方が良い。皆は聞くことにした

 

 



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試験開始

ー期末テスト(座学)当日ー

 

テストが開始した。緊張な空気の教室。しばらくしてすべてのテストが終わると芦戸と上鳴が立つ。

 

「ヤオモモ!マホ!できた―――!!」

「なんとか全部埋められた!!ありがと!!」

「ま、まあ」

「ん。よく頑張った」

 

赤点確実の芦戸と上鳴が言ったので座学の方は大丈夫だろう。後は演習試験だ。

 

 

 

ー演習試験当日ー

 

「それじゃあ演習試験始めていく」

 

教師が沢山いた。

 

(……まさか)

(マジで)

(変更!?)

 

マホと勉強した者達はマホの言う通り内容変更するのかと思った。

 

「諸事情あって内容を変更しちゃうのさ!」

 

校長の説明はマホが思っていた通りの理由だった。変更内容は二人一組(または三人一組)対教師一人の戦闘だ。

 

 

・セメントスVS切島&砂藤

 

・エクトプラズムVS蛙吹&常闇

 

・パワーローダーVS飯田&尾白

 

・イレイザーヘッドVS轟&八百万&札野

 

・13号VS青山&麗日

 

・根津校長VS芦戸&上鳴

 

・プレゼント・マイクVS口田&耳郎

 

・スナイプVS障子&葉隠

 

・ミッドナイトVS瀬呂&峰田

 

・オールマイトVS爆豪&緑谷

 

 

相手は上記の内容である。A組は各々相手教師に連れられて演習場へ向かった。

 

***

 

 

相澤は轟、八百万、マホに説明する。

 

・勝利条件:制限時間30分以内に指定の出口まで逃げるor専用のカフスで教師を捕らえる

・教師側ハンデ:自身の体重の半分の重りを手足に装着する。

 

「それじゃあ準備しているからお前たちは合図が出た瞬間スタートしろ」

「「「はい」」」

 

しばらくして…

 

《皆 位置についたね》

 

リカバリーガールからの放送が流れた。

 

《それじゃあ今から雄英高1年期末テストを始めるよ!レディイイゴォ!!!》

 

「行くぞ!」

「ん!」

「は、はい」

 

3人はスタートした。轟は作戦を言う。八百万が何か小物を創り続ける(創れなくなったら相澤が来た証拠)。視認できたら轟が引きつけ、マホと八百万がどこかにある脱出ゲートへ走るだ。

 

「ん。わかった」

 

的確な作戦にマホは頷くが八百万の様子がおかしかった。無表情でロシアの人形マトリョーシカを造り始めた。

 

(なんか怖い)

 

美人なのに無表情になっている八百万の肌からポコポコとマトリョーシカが出る。マホの思っているようになんか怖かった。

 

「何か出せっつったがお前なんだそれ」

「ロシアの人形マトリョーシカですわ」

 

轟も何か変な気分になったのか八百万に聞く。八百万は答えながらマトリョーシカを腰につけた。様子からして何かを仕込んでいるようだ。ちなみになぜ無表情なのかと言うとスランプに陥ったようだ。

 

「(どうすればいいんだろ…ん?)百ちゃん人形」

「札野の言う通りマトリョーシカ」

「!」

 

マホと轟の言う通りマトリョーシカが出てなかった。

 

「「来るぞ(よ)!!」」

「すみませ…「と思ったらすぐ行動に移せ」

 

相澤はスパイ〇゛ーマンのようにぶら下がっていた。

 

「札野!八百万行け!」

「ん!」

「ハッ…あ」

 

マホはすぐに八百万の手を引っ張り、走った。

 

***

 

(百ちゃん頭が混乱している。スランプの原因はこれ。)

 

マホは八百万の様子でスランプの原因がわかった。

 

(……なら)

 

ガシ

 

「え?」

 

マホは方向転換し、八百万を掴む。そして

 

 

ギリギリギリ……

 

「Σイタタタタタタ!なぜ今関節技を!?」

 

八百万にフロント(ギロチン)チョークを決めるマホ。離れたところで様子を見ている相澤は(何やっているんだ?)と呆れている

 

「八百万百!!」

「Σは、はい!!」

 

いきなりの事に大声で応える八百万。マホは言う。

 

「「ヒーローの心得百か条」その七を答えよ!!」

「え?あ、七つ・何かあったらすぐ落ち着く」

 

慌てて答える八百万。マホは「よろしい!」と放した。

 

「(ほう…ヒーローの心得は何のことかよくわからんが上手く正気に戻したな)体育祭以降自信の喪失が見てとれる」

 

八百万に攻撃を仕掛ける相澤。このままではマズイ。そう思ったが…

 

「創造!!」

「ん!?使えた!?」

 

今は使えないはずなのに使えたのだ。

 

「札野さん!一旦戻ります!!」

「……ん!」

 

何かを思いついたようだ。

 

「させるか」

「百ちゃん行って!」

「はい!」

 

八百万を行かせるマホ。

 

「行かせねぇよ」

「大丈夫」

 

ドゴォ!!

 

「な!?」

 

見事な蹴りを入れたのだ。流石に怯む相澤

 

バキ!

 

今度は拳だ

 

(なぜ格闘技を使える!?)

 

マホたちの相手が相澤の理由。それは個性を使えないようにし、苦手だろう近接戦闘をさせるためだったのだ。

 

「理由を教えます!!おじさんが個性が強いほど頼りがちになるから格闘技もできるようにしろと言われました!!」

「……なるほど(フェンリルの言う通りだな)」

 

マホの説明に相澤は納得する。実際、自分も「一芸だけじゃヒーローは務まらん」と、炭素繊維に特殊合金を編み込んだ帯状の「捕縛武器」を首に巻き、近接格闘にも対応しているからだ。

 

(なら札野を相手しているよりも八百万だな)

 

相澤は八百万を追いかける。マホも急いで相澤を追いかけた。一方、八百万は轟の元へ来ていた。

 

 

「あオイ札野と相澤先生来ているぞ!」

 

宙づりにされている轟はマホと近接戦闘しながら近づく相澤に気づく。八百万はまだ悩んでいたが

 

「八百万!!何かあるんだよな?」

 

轟の言葉で正気になった。

 

「済んだ?」

「百ちゃん離れて!!」

 

相澤に蹴りをいれて逃げる時間を稼ごうとした時だ。

 

「轟さん 札野さん 目を閉じて!!」

「ん!?」

 

マトリョーシカを投げる八百万の言葉に疑問を浮かべたがマホはすぐに着地し、目を閉じる。

 

カッ

 

マトリョーシカに仕込んでいたのは閃光弾だったのだ。

 

「私ありますの!相澤先生に勝利するとっておきのオペレーションが!!」

 

轟とマホを救出した八百万のオペレーション。そのおかげで轟&八百万&札野で相澤を捕まえることができた。他のチームもクリアしていることを願う

 



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林間合宿
いざ林間合宿!!


「ゔうううううううマホごめんね~~…」

「せっかく「ヒーローの心得百か条」教えてくれたのに思い出せなかった」

「ん。校長の攻撃なら思い出せないのは無理ないよ」

「オレに至っては個性のせいで眠っちまったしよ」

「ん。これは仕方がないよ」

 

マホはクリアならずになってしまった勉強会に参加した者を謝罪を受ける。

 

赤点が5人(芦戸、上鳴、瀬呂、切島、砂藤)も出てしまったA組。しかしそれは嘘。赤点取った者こそ合宿に参加しないといけない。つまり合理的虚偽だ。(ただし赤点は赤点なので補習時間がある)。こうして全員が参加できる林間合宿。A組数人は合宿に必要な物を買いにショッピングモールに行ったのだが……

 

「お茶でもしようか 緑谷出久」

 

出久が一人の時、USJ襲撃実行犯の一人・死柄木弔が現れたのだ。不幸中の幸いなのか「ヒーローの心得百か条」を思い出した出久のおかげで犠牲者は出なかったこと。事情を警察から聞いた雄英は合宿はいつも使っている場所ではなく、違う場所ですることになった。

 

ー合宿当日・とある場所ー

 

「煌めく眼でロックオン!」「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「ワイルドワイルドプッシーキャッツ!!」」

 

猫耳メイドをイメージしたコスチュームを纏った女性ヒーロー2名がポーズを決める。彼女たちはマンダレイとピクシーボブ。4人組のヒーロー集団・ワイルドワイルドプッシーキャッツだ。ここは彼女たちの私有地。そして宿泊施設は…

 

「あの山の麓ね」

『遠っ!!』

 

合宿に使う宿泊施設はメチャクチャ遠い。様子からして確実にアレだ。

 

「合宿はもう始まってる」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

雄英名物・不意打ちで開始されたのだ。ピクシーボブが作り出した土砂でA組は森に流されていく。マンダレイ曰く「魔獣の森」へ。実際…

 

「マジュウだ―――!!?」

 

魔獣が出たのだ。しかしそれは土くれ。正体が分かった瞬間。マホ、出久、轟、爆豪、飯田が瞬殺した。

 

「た、助かったー」

「瞬殺かよ」

 

5人の躊躇のなさに感謝はしているはちょっと引き気味である。こうして一行は魔獣に邪魔されつつも宿泊所へ足を勧めた。

 

 

ー夕方・宿泊施設ー

 

魔獣のせいでボロボロで到着した。マホはそこまでボロボロではないが個性の使い過ぎでウトウトと船漕いでいる。ピクシーボブが出久、轟、爆豪、飯田に「三年後が楽しみ!ツバつけてとこ―――!!」とツバをつけられたり(結婚が遅れ気味らしい)、出久がマンダレイの従甥(従兄弟の息子)の洸汰に男の大事な物を殴られるは「つるむ気はねえよ」と言われるはと大変だった。とりあえずA組は荷物を部屋に持っていく。お昼抜きだったせいか全員沢山食べる。そして最後は…

 

『温泉だ――――!!!』

 

入浴なのだがなんと温泉だったのだ。マホ達は体を洗った後、温泉へ入る。

 

「気持ちいいねぇ」

「温泉あるなんてサイコーだわ」

「ん!疲れた後の温泉は最強だ!」

 

そんな話をのんびりしているとだ。隣から「峰田くんやめたまえ!」と飯田の声が聞こえてきた。

 

「あ、あいつまた!!」

「懲りない方ですわ!」

「ん。ならこうしてやる。『水』」

 

マホは『水』を出す。アクアアローを喰らわすためだ。

 

「速っ」

「校訓穢すんじゃないよ!!」

 

声からしてそろそろ出るだろう。マホは構える。……が出てきたのは

 

『洸汰くん?』

 

洸汰の後頭部だった。

 

「ヒーロー以前にヒトのあれこれから学び直せ」

 

見張りをしていた洸汰の正論によって峰田は落ちた。

 

「ありがと洸汰くーん!」

 

お礼を言うと洸汰は思わず振り返ってしまった。子供には刺激的な光景。なので

 

『洸汰くん――――!!?Σ(・□・;)』

 

落ちてしまったのだ。

 

「洸汰くん大丈夫―――!?」

「しっかりして――――!!」

 

女子たちが慌てて叫ぶと「大丈夫!キャッチした!」と出久の声が聞こえた。その言葉に安心する女子たち。こうしてとても濃い一日目が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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合宿2日目

合宿2日目AM5:30

 

A組はまだ眠たげだ。今日から本格的に始める。合宿の目的は全員の強化及びそれによる”仮免”習得。

 

「というわけで札野こいつを投げてみろ」

 

そういってあるものをマホに投げる相澤。マホはそれをキャッチする。

 

「ん?個性把握テストの」

 

相澤が投げたのは個性把握テストに使ったボールだった。

 

「入学直後の記録は690m…どんだけ伸びてるかな」

 

成長ぐあいを見るようだ。

 

 

「それじゃあ…『風』!!」

 

 

ビュオオオオオ

 

個性把握テストと同じように飛んで行ったボール。しかし結果は

 

「693.1m」

「ん!?」

「あれ?」

「思ったよりは」

 

周りは1kmは飛ぶんじゃないかと予想したのだが少ししか伸びていなかった。

 

「ん?」

 

投げたマホ本人も疑問符を浮かべる。相澤は成長しているのは精神面や技術面、体力面だけで個性そのものは伸びていないそうだ。

 

「今日から君らの”個性”を伸ばす。死ぬほどキツイがくれぐれも死なないように」

 

『(死なない様に!?)』

 

恐ろしい内容のようだ。しかし疑問がある。

 

「私達21人同時に鍛えるの大変じゃない?」

「B組入れたら42人だよな?」

「たった6名で管理できるんですか?」

 

マホの問いに「だから彼女らだ」と言った。

 

「煌めく眼でロックオン!!」

「猫の手 手助けやって来る!!」

「どこからともなくやって来る… 」

「キュートにキャットにスティンガー!!」

 

『ワイルドワイルド プッシーキャッツ!!!』

 

「フルverだ――――!!」

 

昨日は居なかったメンバーを入れてのフルverでポーズを決めた彼女たち。フルverを見れて出久は大喜びだ。彼女たちは鍛え方を説明をする。

 

1.ラグドールが自らの個性「サーチ」で皆の弱点を調べる。

2.ピクシーボブの個性「土流」(魔獣は彼女の作品)で皆に合った鍛錬場を形成。

3.マンダレイの個性「テレパス」でどこが悪いかと複数の人にアドバイス。

4.パワー系の男(元・女性)の虎が殴る蹴るの暴行する(色々ダメ)。

 

この4つでA組・B組を鍛えるのだ。A組は過激な内容に思わずゴクリと喉を鳴らす。

 

「じゃー行くよー…「サーチ」!!」

 

ラグドールのサーチの結果は

 

 

青山 優雅

一秒以上射出すると腹を壊すのでひたすらレーザーを射出し続ける。

 

芦戸 三奈

溶解液の長時間使用に耐える皮膚の耐久度強化。なので色んなものを溶かす。

 

蛙吹 梅雨

跳躍力とベロ力等地力を鍛える。

 

飯田 天哉

合宿の外回りをひたすら走り、地力を鍛える。

 

麗日 お茶子

使い過ぎると酔うので酔っている状態でも“個性”を使用し続けて鍛える。

 

尾白 猿夫

尻尾を強くするためにひたすら硬い物を殴り続ける。

 

切島 鋭児郎

筋力と硬度を上げて相乗効果を狙うから硬化状態で尾白に殴られ続ける。

 

口田 甲司

個性が声なのでもっと大きく出すように物凄く大きく発声練習

 

砂藤 力道

効果時間とパワーの増幅のために糖分を摂取しながら「個性」を使い続ける

 

障子 目蔵

複製速度強化や、複数同時複製時のコントロール調整

 

耳郎 響香

ジャック部分を鍛えて音質をよくする様にジャックをひたすら打ち付ける

 

瀬呂 範太

テープの容量、強度、射出速度を強化するためにずっとテープを伸ばし続ける。

 

常闇 踏陰

「暗闇下でも黒影を制御する」ために洞窟の中で黒影と喧嘩。

 

轟 焦凍

使い分けに気を取られすぎなのでお風呂につかりながらの氷結使用で体を氷結に慣れさせ、同時にお風呂の温度を燃焼で一定に保つ。

 

葉隠 透

透明人間なので気づかれない行動できるように障子とかくれんぼ

 

爆豪 勝己

汗が爆発するなら汗腺を広げて爆破の規模を大きくするためにドラム缶風呂に手を浸けながら爆破

 

札野 マホ

眠くても魔法を使い続ける。

 

緑谷 出久

単純な増強型“個性”なので、地力を鍛えるために虎と我ーズブートキャンプ。

 

峰田 実

もぎり続けると血が出るのでもぎり続けても血が出ない頭皮を作るためにもぎり続ける。

 

八百万 百

砂藤と一緒にものを食べながら「個性」を使い続けてる(作る物はクオリティの高いもの)。

 

 

……である。

 

こうして始まった地獄の個性伸ばし訓練。後から来たB組は地獄絵図だったと語った。

 

 

 

 

 



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最悪の一夜

合宿3日目。今日も地獄の“個性”伸ばし訓練をやるA組・B組。しかし今夜はあることがある。

 

「クラス対抗肝試しを決行するよ!」

 

ピクシーボブの言う通り、今夜は夕食の後、夏のイベントらしい肝試しなのだ。

 

「楽しみだねー」

「ん!気合一段と入るね!」

 

なのでマホの言う通り気合が入る。こうして本日の夕食後

 

「腹もふくれた皿も洗った!お次は…」

「肝を試す時間だー!!」

 

補習組の芦戸は大喜び。しかしだ。

 

「これから俺と補習授業だ」

「ウソだろ」

 

相澤曰く日中の訓練が疎かになっていたのでこっちを削るらしい。

 

『うわああ堪忍してくれえ試させてくれぇ!!』

 

「ああああああ皆あああああ(汗)」

 

 

相澤に引っ張られていく補習組。マホはその様子が気の毒でしかなかった。今回の肝試しは個性使っても良し!だ。まずは驚かし組としてB組が森へ入る。

 

「それじゃあくじ引きするよー!同じ番号の人と組んで!」

 

ラグドールが箱を差し出す。皆は中の紙を取った。

 

(8)

 

マホは8番。周りを探すと出久は「あ、8番」と言った。

 

「出久君!私も8番!」

「札野さん!よかった!」

 

A組に補習組がいる。なので1人になるんじゃないかと不安だったのだ。

 

全員、組が出来上がったのだが…

 

「おい尻尾…代われ…!」

 

爆豪は轟と組むのが嫌すぎて尾白に言う。一方、尾白と組む峰田は八百万と組む青山に必死にお願いしていた。尾白が可哀想である。こうしてやっと始まった肝試し。マホは一番最後の8番なので出久に話しかける。

 

「出久くん脅かし方どうする。私は肝試しに相応しい魔法があるからそれを使うの」

「どんな魔法なの?」

 

肝試しに相応しい魔法。その内容に出久は興味を示す。

 

「『(イリュージョン)』って魔法なんだけど相手が思っている物の幻を見せるの」

「ああ!怖い怖いって思っていれば怖いのが出るんだね!」

 

マホの説明に出久は納得する。確かに使い方によっては肝試しに相応しい魔法だ。

 

「ただね。ちょっと難点もある」

「難点?」

「例えば対象者が「暑いなーアイスでも食べたいなー」って思うでしょ?」

「ま、まさか」

 

思っている物の幻を見せる魔法。つまりだ

 

「ん!特大アイスの幻が出るの」

「うわぁ。それじゃあB組の皆が怖がっていると良いね」

 

 

出久の言う通りB組が怖がっていることを願おう。

 

***

 

進む肝試し。5組目のお茶子・梅雨ペアが森へ入る。少しした時だった。

 

 

「何このこげ臭いの……」

「黒煙……」

 

森から黒煙が出ているのだ。

 

「マンダレイ!虎!ちょっと様子見てくる」

「お願い!」

 

ピクシーボブが様子を見に森へ入ろうとした時だ。

 

バキッ

「あ!!」

『ピクシーボブ!!』

 

峰田は真っ青に青ざめる。だってだ。

 

「何で敵がいるんだよォ!!!」

 

雄英は敵連合に見つからない様に最後まで秘密にしていた。なのに峰田の言う通り敵連合が現れたのだ。

 

敵連合がなぜここに居るのかはわからない。とにかく生徒たちの安全を考え、マンダレイは「委員長引率!」と言い逃がす。しかし

 

「………飯田くん先行ってて」

「緑谷くん!?何を言ってる!?」

「緑谷!?」

「出久くんどうして!?」

 

飯田たちの問いに出久は珍しく無視。マンダレイに「僕知ってます!!」と叫ぶ。

 

「一体どういうことだ!?」

「あ、まさか洸汰くん!?」

 

マホはあることに気づく。洸汰はここに居ない。なのでこの非常事態に気づいていないはず。

 

「まった!出久君!」

「札野さん今それどころじゃ!!」

「違うの!『静』」

 

マホがしー…と静かにポーズをする。

 

「足踏みしてみて」

「?」

 

出久は足踏みしてみると足音が聞こえない

 

「敵にバレない様に足音と呼吸音だけ消した。後時間制限があるから大急ぎで行動ね」

「……うん!ありがと!!」

 

足音・呼吸音を消してもらった出久は急いで洸汰のもとへ向かった。

 

「皆行くよ!」

「けど緑谷大丈夫なのかよ!?」

 

峰田の言う通り心配になる。

 

「確かに不安だけど……勝己くんと比べれば考えて行動は出来る方だから!」

 

確かに洸汰を安全に連れてくるとなると爆豪よりできる方だ。それにより飯田たちは納得。出久を信じ、施設に行くしかなかった。

 

 

「先生!!!」

 

施設に到着すると相澤は交戦中だった。しかし敵は泥水の様になって消えた。

 

「先生今のは…!!」

 

峰田は思わず聞く。そんな峰田に相澤は「中に入っとけ」と言う。

 

「すぐ戻る」

 

そう言った後、森へ入った。生徒たちの保護や敵退治に行くようだ。

 

((A組B組総員戦闘許可をする!))

 

少ししてマンダレイのテレパスが来た。それを聞いた生徒たちは腹を括る。

 

マホたちが補習組と合流した時、またマンダレイのテレパスが届いた。

 

 

((敵の狙いの一つ判明!!生徒の「かっちゃん」!!))

 

『爆豪!!?』

 

敵の狙いがまさかの爆豪ということにA組は驚く。マンダレイはテレパスで爆豪に戦闘を避け、単独で動かないことを伝える。

 

「なんで敵の狙いが爆豪なんだよ!?」

「知らねーよ!!」

 

実は敵連合が狙う理由は体育祭での行動が「ヒーローより敵のほうがふさわしい」と思われていたのだ。

 

「ガキども見っけー!」

『出たァ!!』

 

敵が現れた。

 

「三連突!!!」

「がぁ!!」

 

『剣』を出したマホの三連突によって倒された

 

「マホ~」

「助かった~」

「ん!ケガ無くてよかった!」

 

こうして主にB組担任・ブラドキングとマホが宿泊施設の守備を担当した。ただし

 

「う…」

「札野!?」

「マホどうしたの!?」

「あ!時間切れか!!」

 

合宿のおかげで魔法を使える時間は長くなった。しかしとうとう時間切れになってしまったのだ。

 

「マホ休んでて」

「後は俺たちがなんとかするからよ」

「ん…ありがと」

 

そう言ってマホは気絶した。

 

 

後から聞いた話によると爆豪はなんとか救出できた。しかしその代償とばかりにオールマイトは…………この日の戦闘により引退することになってしまった。

血まみれでガリガリの姿で……

 

 

「次は君だ」

 

そう言い残して

 

 



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入寮

本日、ガリガリのオールマイトと物凄く珍しく髪を綺麗にし、無精ひげを剃り、スーツを着た相澤は生徒たちの家庭訪問をしていた。生徒たちの安全を考え、全寮制になることを詳しく説明するために。当然、被害にあった生徒の家庭は本当に大変だったが生徒本人の説得によりなんとかクリアした。

 

「次は札野少女だね」

「札野の両親は一般人だが親戚にフェンリルがいる。チームアレッサとも仲が良いから送り迎えを頼んでいる可能性も高いですね」

 

こうしてオールマイトと相澤はマホの家へ向かった。

 

***

 

両親とマホはオールマイトと相澤の前に座る。すると父が言った。

 

「………本当にガイコツの様になってしまったんですね」

「ええ…まあ」

 

父は悲しそうに言う。実は父もオールマイトのファン。なのでガリガリの姿のオールマイトにショックを受けていたのだ。

 

「ちゃんと療養してくださいね」

「はい、ありがとうございます」

 

母にも心配されてしまうオールマイトであった。

 

「それでは全寮制についてなのですが」

「はい。私達三人で話し合いました」

「寮に入ることに同意します」

 

両親の言葉に相澤とオールマイトは驚く。

 

「いいんですか?」

「や、やけにあっさりだね」

 

「知っての通り、親戚にフェンリルが居ます。私は昔から雄英は厳しくも生徒たちのことをちゃんと考えていると聞かされました」

 

「娘たちの安全を考えての全寮制なら文句は言いません」

「なので…」

 

「「「よろしくお願いします」」」

 

マホの場合、意外とあっさり許可された。

 

「それじゃあ寮に入るということで……それと札野。質問したいこととかあるか?」

 

相澤の問いにマホは「はい」と答える。

 

 

「ヴァイオリンと…ウルシ!おいで!」

 

「「?」」

 

「ワンワン!」

 

現れたのは生後8ヶ月のため、すっかり大きくなったウルシだった。

 

「私の愛犬、ミニチュアシベリアンハスキーのウルシです!小型犬なのでこれ以上は成長しません!」

「ワン」

「わあ。かわいい子だねー」

 

オールマイトは「よしよしー」とウルシを撫でる。ウルシも気持ちよさそうに撫でられている

 

「つまり札野はヴァイオリンとその子を連れていきたいんだな?」

「はい!大丈夫ですか?」

 

マホは心配そうに聞く

 

「耳郎も楽器を持ってくるし、口田も兎を連れてくる。大型犬は流石に無理だがその子は小型犬なので大丈夫だ。躾はちゃんとできてるな?」

「はい!人懐っこいので皆と仲良くできると思います!」

 

相澤の問いにマホはしっかりと答える。

 

「なら許可する。………それと」

『?』

 

相澤は真剣な表情で聞いた。

 

「猫はいるか?」

「居ませんよ?」

「…………そうか」

 

相澤はどこか残念そう。その様子でマホたちはわかった。

 

『(猫派か!!)』

 

相澤が猫派だということに驚きつつもマホとウルシは入寮することに決まった。

 

 

***

 

 

本日から生徒たちは学生寮“ハイツ・アライアンス”に入る。一人一部屋。エアコン、トイレ、冷蔵庫、クローゼット付き。本当に学生寮なのか?と思ってしまう程の贅沢空間だ。そのせい慎ましい生活をしていたお茶子は倒れた。今は生徒たちは自分の家から持ってきた家具などで思い思いに飾り付けたりする。

 

「それじゃあ私たちも家具を置こうね!」

「ワン!」

「ここに私のベッド置いて……ここに机を置いて…その隣にタンス。その上にヴァイオリンで…ここにウルシのベッド。この辺りにトイレっと」

 

「ワンワン!」

「ん?」

 

ウルシが何かを持ってくる。それはウルシ愛用のおもちゃだ。

 

「ん!それはベッドの傍のおもちゃ箱だね」

 

しばらくしてマホとウルシの部屋が出来上がった。

 

「それじゃあ私、皆と会って来るからお留守番お願い」

「ワン!」

 

マホはウルシにエサを与え、一旦皆に会いに行くことにした。エレベーターで降りる間に他の女子たちと合流する。話題はやっぱり部屋だった。

 

「私は可愛く出来たよー!」

「私もー!」

「ん!私も上手くできた」

「うーん。ウチはちょっとね」

「私も色々ありまして」

「私はホントに普通。」

 

すると芦戸は「お部屋披露大会やらない?」と聞く。

 

「いーね!せっかくだから男子も誘お!」

 

こうして男子も強引に誘うことにした。

 

ー1階共同エリアー

 

そこには男子たちが寛いでいた。芦戸はさっそく「お部屋披露大会しませんか!?」と誘う。その中で数人の男子が青ざめた。

 

「わあああダメダメちょっと待――!!!」

 

出久が大慌てで叫ぶが間に合わなかった。

 

「オールマイトだらけだ。オタク部屋だ!!」

 

出久らしいオールマイトグッズが満載の部屋だった。

 

「フン下らん」

 

常闇はいきなり始まった披露大会を下らんと一蹴したが葉隠と芦戸に押しのけられた。

 

「黒!!怖!」

 

中二病満載の部屋だった。一蹴した理由は確実に見せたくなかったのだ。(常闇哀れ)一方、青山はノリノリで見せてくれたのだが…

 

「まぶしい!!」

 

ミラーボールや鏡等々眩しいもの満載。思ってた通り。想定の範疇を出ないと評価された。峰田も見せる気マンマンだったが様子からして確実に怪しいの満載だろう。無視にすることになった。

 

「ワァー普通だァ!!」

 

女子たちに普通普通と連発された尾白はけっこう落ち込み気味。

 

「難しそうな本がズラッと」

「メガネクソある!」

 

飯田の部屋は大量の本とメガネがあった。

 

「チャラい!!」

 

上鳴は手当たり次第なチャラい部屋だった。女子たちの評価に上鳴、尾白、常闇、青山は釈然としない。すると無視された峰田が叫ぶ。

 

「誰がクラス一のインテリアセンスか全員で決めるべきなんじゃねえのかあ!!?」

 

こうしてクラス全員でお披露目大会をすることになった。皆の部屋を見るとその人らしい。何もない。ギャップがある等々面白い。男子で一番すごかったのは…

 

「和室だ!!Σ(・□・;)」

「造りが違くね!?Σ(・□・;)」

 

轟の部屋だった。本人曰く実家が日本家屋の為フローリングは落ち着かないそうだ。本当にどうやってリフォームしたのか…

 

「……がんばった」

 

………頑張ったそうだ。こうして女子たちも部屋をお披露目した。楽器だらけの部屋だったり、女の子らしい部屋だったりと個性的な部屋である。次は……

 

「マホちゃんの部屋だね」

「ん!私の部屋」

 

マホの部屋だ。

 

(俺と爆豪と同レベルの実力者で)

(座学はクラス2位!)

(ヴァイオリンの腕前はプロ級の札野さんの部屋)

(ほんま気になる!)

 

「ただいま」

『ただいま?』

 

その言葉に周りは疑問符を浮かべながら部屋を覗き込む。

 

「ワンワン♪」

 

『犬だ―――!!』

 

尻尾を振って駆け寄るウルシ。犬がいたことに周りは驚く

 

「マホちゃん犬飼ってんだ!!」

「ん!毛が漆黒だからウルシってつけたの!」

「ウルシ!?」

「ハスキーだハスキー!」

「ん!正確にはミニハスキー。ハスキー犬の小型版だよ!」

「…!…!」

 

すると口田が抱っこしたがっている。

 

「ん!良いよ!ウルシ」

「ワン!」

 

ウルシは口田のもとへ行く。口田は上手に抱っこし、優しく撫でる。すると

 

「くぅ~ん♪」

 

気持ちよさそうだった。そんなウルシの姿に周りは…

 

『かわい~~♡』

 

メロメロだった。

 

の後、他の女子の部屋のお披露目を終わらせ、やっと結果発表になった。

 

「砂藤―――力道―――!!!」

「はああ!!?」

 

和室にした轟の後だったため、かなり普通だった砂藤の部屋だった。ちなみに理由は…

 

「ケーキ美味しかっただそうです」

「味と食感完璧だったよ」

 

「部屋は!!」

 

その時、ふるまったシフォンケーキが理由だった。

 

 



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仮免試験
仮免試験開始!


本日、雄英は国家資格ヒーロー活動認可資格免許(の仮免)を習得するために会場である国立多古場競技場に来ていた。雄英の他にも色んな高校も来ている。今、彼らはオールマイトと同じくらい顔色が悪い男性。ヒーロー公安委員会の目良から説明を受けていた。

「ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます」

 

しかし条件達成者は先着100名だった。(目良曰く「運がアレだったとアレしてください」)そして条件は以下。

 

・ターゲット3つを体につけ、ボールを持つ。

・ボールが当たり、そのターゲットが3つ光ったら脱落。

・3つ目のターゲットに当てた人が倒したことにする。

・二人倒した者から勝ち抜き

 

これがルールだ。雄英にとって入試以上に苛烈だった。さらに雄英はテレビで自らの個性。戦闘パターンを見せている。つまりだ。

 

「杭が出てればそりゃ打つさ!!!」

 

襲い掛かる他校。しかし雄英はUSJ事件。合宿所襲撃事件と理不尽に陥っている。これくらい

 

「どうってことない」

 

マホは衝波斬でボールを弾く。当然、周りのみんなもこの日のために作った必殺技でボールを弾いた。

 

「締まっていこう!!」

 

こうして苛烈な仮免試験・一次選考が開始された。他校からのボールを弾く雄英。すると他校の男子が両手を地面に当てる。

 

「最大威力 震伝動地」

 

バク

 

「Σん!?」

 

まるで震度7の地震。地面に大きな亀裂が入った。

 

「『翔』!」

 

マホは『翔』で空を飛ぶ。

 

「あ!雄英!!」

 

他校が気づいた。しかし彼らは仕掛けない。マホは空を飛べるし、剣術もできる。遠距離戦もできるからだ。

 

「チャンス『風』」

 

シュンシュン

 

「なんだ?」

「あんな遠くから投げるのかよ」

 

マホはボールを投げようとしている。他校は避ければいいと思っている時だ。

 

「ソニック・シューター!!」

 

ギュン

 

「速!!」

「避けろ!!」

 

すぐに避けた他校。投擲はどうしても真っ直ぐ飛ぶ。

 

「よし!やりかえ……」

 

ドゴ!

 

「ぐふ!?」

 

避けたはずなのに顔に当たった。

 

「ん。残念。やっぱり(これ)で仕掛けるか」

 

そう言ってマホは剣を構える。

 

「え、えぇい!」

 

ぶお

 

「ん!?」

 

煙幕代わりに霧が現れた。

 

「『風』!」

 

ゴォ

 

マホは『風』で吹き飛ばしたが逃げられた。

 

「逃げ足速い」

 

マホは違う他校生を狙うことにした。時々、通過者が出た放送が流れる。

 

「ん!獲物発見」

「させるか!!」

 

すると瓦礫が浮かび上がる。お茶子と似たような個性のようだ。瓦礫はドラゴンの形になっていく。

 

「うお!すっげ!!」

「ドラゴンだドラゴン!」

「ん。芸術的だね」

 

周りの他校生は思わず目を輝かせ、マホはその芸術的な姿を褒める。

 

 

「いっけぇ!!」

 

仕掛ける他校生。ただしだ。

 

「『翔』!」

 

マホは『翔』であっさり避ける。

 

地表砕き(ダウン・ブレイク)!!」

 

ドゴオォォン!!

 

上段から剣を振り下ろす地表砕きによってドラゴンは破壊された。そしてドラゴンを作った他校生はと言うと

 

「Σドラゴォォン!!!(泣)」

 

せっかくカッコよく作ったドラゴンが破壊されて泣きながら叫んでしまった。無理もない(汗)

 

ゴン!ゴン!ゴン!

 

「まずは一人」

「ああ―――!!」

 

さらにマホによって直接ターゲットを攻撃されリタイアしてしまった。マホは気にせず周りの他校生へ走る。

 

「げ!来た!」

「一旦退避…」

二連斬り(ダブル・スラッシュ)!!」

 

ドガ!ドガ!

 

「「ぐは!!」」

 

素早い2段攻撃・二連斬りを決めた後…

 

ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!ゴン!

 

「「ああああああああ!!!(汗)」」

 

哀れ他校生たち。

 

《はい!55人目出ました!》

 

《通過者は控え室へ移動してください》

(通信機になってる)

 

マホは言われた通りに控室へ向かった。

 

***

 

「お」

「焦凍くん」

 

控え室手前で轟と合流した。

 

「54人目は焦凍くんだったんだ」

「ああ。意外と時間喰っちまった」

 

控え室に入る2人。すると「自分もスタンプマン好きっスよ!!」と熱血系な男子が他校生とお話していた。

 

「勝手に円陣に入ってきた変人」

「………言っちゃ駄目だろ」

 

しかしマホが言うのは無理もない。彼は夜嵐イナサ。雄英と同レベルの難関校・士傑高校の生徒で勝手に雄英の円陣に入ったり、「雄英大好き」と言ったり、自分達の年の推薦入試でトップの成績で合格したのに辞退した男だ。

 

「推薦なら入試ん時会ってるはずだが…」

「ん?そうなの?」

 

しばらくして……

 

《100人!!今埋まり!!終了!です!》

 

通過者100人埋まった。結果は…

 

「っしゃああああ!!!」

「スゲェ!!こんなんスゲェよ!」

「雄英全員一次通っちゃったあ!!!」

 

ラストは青山のおかげで雄英全員通ったのだ。



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救助

ドゴオォォン

 

『(何故!!)』

 

控え室にあるTVに映った映像。それはこれからやるだろう試験のフィールドの様だったが爆発した。受験生たちは心の中でツッコむと目良は説明する。

 

《この被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます》

 

第二次は救助。設定はテロによるもの。それは間違いなくオールマイトが引退してしまった「神野事件」だ。

 

10分後

 

《START!》

 

その合図に受験者は走った。……が

 

「おじいちゃんが!!ひっ潰されてぇ!!」

 

「ええ!大変だ!!どっち!?」

 

大泣きする子供に出久はどっちを先に救出すればいいのか悩むと

 

「減点だよォオ!!」

 

「!?」

 

救助者役が採点する形式だった。

 

 

「(まさか要救助者が採点だったとは)ん?もう大丈夫です!私が来ました!」

 

軽傷の女性の傍によるマホ。すると女性は「夫が…」と言う。

 

「任せてください!『(ツイン)』!」

 

ボン

 

「増えた!?」

 

分身の術の様にマホがもう一人増えたのだ。

 

「お願いね」

「ん!『(パワー)』!」

 

マホが女性の体を確認している間にもう一人のマホは怪力になる魔法『力』で瓦礫をあっさり持ち上げる。

 

「もう大丈夫です!私が来ました。怪我の確認します。まず歩けますか」

 

応急処置しながらマホは確認する。

 

「い、一応」

「呼吸は大丈夫ですね。すぐに安全な場所に向かいましょう」

 

そう言ってマホ2人は要救助者役の男女を連れていく。

 

(これなら家族や友達を先にと言われても慌てずに行動できる。)

(この子は安心させる言葉をかけ、的確な応急処置をしながら様子を聞いてきた。減点なし)

 

「「男女の救助者です!」」

 

「女性は軽傷です!」

「男性は足を怪我しています!」

 

「双子!?」

 

双子と勘違いされてしまったマホであった。

 

「う~ん」

 

他校生が瓦礫の前で悩んでいる。

 

「どうしました?」

「要救助者が瓦礫の奥に居るんだ。意識はあるんだが行けない」

 

少し瓦礫を動かすと崩れてしまうようだ。

 

「任せてください『(ウッド)』!」

 

そう言うとつる草を出し、瓦礫を支える。

 

「さらに『(リトル)』!」

 

ポン

 

「Σ親指姫!?」

 

マホが親指姫サイズになったことに驚く他校生。でもこの小さい体なら奥へ行ける。マホはドンドン奥へ進んだ。

 

「痛いよー」

 

奥に進むと頭を怪我した子供がいた。

 

「もう大丈夫!私が来たからね!まずは『盾』!」

(なるほど。これならこれ以上怪我しない)

 

万が一瓦礫が崩れてもこれ以上怪我をさせないようにするためだ。

 

「そして『小』!『光』!」

(さらに瓦礫から脱出できるように小さくし、安心させるために明かりをつけるか)

 

子供も小さくし、光で安心させるために『小』と『光』をやった。

 

「明るくなったから怖くないよ!怖くない場所に行ったら手当てしようね!痛い所はどこかな?」

「あたまー」

「頭か!よし任せてねー」

 

マホは子供を背負い、外へ向かった。

 

「出ました!」

「要救助者も小っちゃ!!」

 

子供も小さくなっていることに他校生は驚いた。

 

ボン

 

「怪我は頭なので避難所に連れていきます!」

「よし頼んだ!!」

 

ー避難所ー

 

「頭を怪我していますけど、ケガ自体は深くありません!受け答えもハッキリしています!」

「それじゃあこっちへ」

 

 

 

その時だった。

 

ドオオオン!!

 

『!!?』

 

爆発が起きたのだ。

 

現れたのはギャングオルカとその相棒たちだった。救助の設定はテロ。彼らは敵役として参加していたのだ。

 

「(ん。あの人にピッタリだ)『(ヴォイス)皆さん!敵から距離を置きます!ヒーローの指示に従って避難してください!」

 

魔法を拡声器代わりにして叫んだマホ。マホの言葉に周りはハッとする。

 

「ケガ人はこっちへ!」

「落ち着いてついて来てください!」

「重傷者は背負って!」

 

受験者は急いで行動を起こす。

 

ガガガガガガ

 

大量の氷の壁が出来上がった。

 

「焦凍くん!」

 

轟がギャングオルカの気をそらしてくれた。

 

「皆さん今の内に!」

「急いで!」

 

制圧能力のある轟が来てくれたのなら大丈夫だろう。マホは周りのみんなと共に救助及び避難の続きを始めた。しかしなぜか轟と夜嵐は喧嘩する。そのせいで突破されて相棒たちがこっちに来た。

 

「任せて!『闇』!」

 

 

黒い闇が渦巻いている。

 

召喚(サモン)!暗黒魔狼(ダークネスウルフ)!!」

 

「ガアアアァァァァァァァ!!!」

 

『ウルシ!!?Σ(・□・;)』

『Σいぃ!?』

 

マホの愛犬・ウルシがバカデカくカッコよく出てきたことにA組は驚き、正面から見た相棒たちは怯んだ。

 

 

「新技・使い魔召喚だよ!」

「モデルはウルシなの!?」

「ん!大正解!」

 

出久の問いにご機嫌よく答えるマホ。すると一次試験で地面を破壊した男子がまた地面を破壊してくれた。ウルシと男子のおかげで相棒たちを足止めで来た。半分はケガ人の救助及び避難。もう半分はギャングオルカたちの相手だ。

 

しばらくして…

 

ビ―――――――

 

『!!』

 

いきなりの音に固まる受験者たち。この音の理由はこれだ。

 

《仮免試験全行程終了となります!!!》

 

二次試験が終わったのだ。後は結果発表だけである。

 

《とりあえず合格点の方は五十音順で名前が載っています。今の言葉を踏まえた上でご確認下さい》

 

名前が出た瞬間、全員は自分の名前を探す。

 

「ふ…ふ…」

 

緊張気味にマホも名前を探す。そして…

 

「あったぁ!!」

 

”札野マホ”

 

マホの名前があった。他の皆も見つけたのだが……

爆豪と轟の名前がなかった。理由はわかる。爆豪は知っての通りケガ人を全然心配しない自分勝手な言動。轟は夜嵐との衝突。負傷した受験者を攻撃に巻き込みかけるという致命的なミスを犯してしまったからだ(当然夜嵐も落ちた)。夜嵐はそのことを反省しているのか「ごめん!!」と頭を下げた。

 

「あんたが合格逃したのは俺のせいだ!!俺の心の狭さの!!ごめん!!」

 

轟自身も反省しているのか「よせよ」と言った。しかしその後ある連絡があった。

 

《三か月の特別講習を受講の後個別テストで君達にも仮免許を発行するつもりです》

 

目良曰く至らぬ点を修正をすれば合格者以上の実力者になる者らしい。それを聞いた三人は当然受けることを決めた。

 

 

 

ーハイツ・アライアンスー

 

「ワンワンワンワン」

「うぐ!ただいまウルシ」

「おー派手な出迎えだなウルシ!」

「御主人大好きっ子だねー!」

「てゆーかエレベーター使った?」

 

ウルシの派手なお出迎えに嬉しそうにマホは言う。ウルシの甘えっぷりに周りは思わず笑顔だったり、エレベーターをあっさり使ったことに疑問符を浮かべたりだ。

 

「よしよしウルシ見てよ」

「?」

「ほら仮免許証!合格したよ。偉い?」

「ワンワン♪」

 

マホが合格した。それを知ったウルシは凄く嬉しそう。こうして雄英以上に過激な仮免試験は終わった。

 



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インターン
仮免講習


校外学習(インターン)

 

参加できればプロヒーローの下にてサイドキック扱いで働きに行き、経験を積むことができる。以前やった職場体験の本格版だ。本来1年は参加できないのだが最近の事件の影響。保護的な環境では生徒を強く育成できないとの意見もあり、1年は実績の多いヒーロー事務所に限りインターンを許可するとなったらしい。 マホはチームアレッサの下へ行くことに決めたのだが、初日はなぜか事務所ではない場所に行くようにと言われた。その理由はわかる。

 

「なんでテメェが一緒にいるんだよデカリボン!!」

「行く先が近いのか?」

 

爆豪と轟と行く方向が同じ。つまりインターン初日は仮免講習のお手伝いだ。

 

「ん。仮免講習のお手伝いみたい。」

「そうか。がんばるな」

 

仮免合格したマホとチームアレッサが手伝ってくれる。轟はしっかり頑張ろうと決めた。

 

 

ー会場(の出入り口)ー

 

そこには轟達を含めた講習生たちが並んでいる。彼らの前にはギャングオルカとチームアレッサがいた。

 

「今日から仮免講習が始まる!お前ら腹を括って挑むように!!それではまずドナドロンドから大事な話を聞いてからだ。」

(ドナドロンド!)

(あれか!!)

 

轟と爆豪はすぐに分かった。

 

「お前ら仮免不合格になったんならこれをしっかり覚えとけ!!」

 

『?』

 

「「ヒーローの心得百か条」だ!!」

「「ヒーローの心得百か条」!?」

「すっげー!ドナドロンド直々に教えてくれるのか!!」

「楽しみだなー!!」

 

ドナドロンドのヒーローの心得百か条を知らない講習生たちは呑気だ。

 

「静かに!!」

『!!』

 

ギャングオルカの声に講習生たちは驚きつつ背筋を伸ばす。ドナドロンドは「それじゃあ行くぞ」と講習生たちに言う。

 

 

「ひとおぉつ!人より努力を惜しまず!!」

 

『!!?』

 

「ふたあぁつ!不埒な悪に染まらず!!」

 

『………!(汗)』

 

「みいぃっつ!みんなに迷惑かけない!!」

 

『………!(汗)』

 

「よおぉっつ!良い子なヒーロー!!」

 

『………!(汗)』

 

「いつぅつ!いつでも笑顔でパトロール!!」

 

『………!(汗)』

 

こうしてドナドロンド名物「ヒーローの心得百か条」10セットを喰らった講習生たちはほとんどがぐったりしていた。

 

「それじゃあコスチュームに着替えて会場内に入るように!」

 

ギャングオルカに言われ、講習生たちはぐったりしながら『……は…はい』と応える。

 

「はいじゃない!!講習中はサーイエッサー!!と応えよ!!」

『サ…サーイエッサー!!』

(軍人だ)

 

マホはその光景に軍人だと思ってしまった。

 

***

 

コスチュームに着替えた講習生たちは会場内に入る。

 

 

「うお!町中だ!!」

「クオリティ高!!」

「人がいるぜ?」

 

 

会場内は一つの町の状態だ。ギャングオルカは説明する。

 

「町中でどのように行動するかを講習する。」

「あ」

「確かにテロばっかじゃねーよな」

 

「理解したなら無線機持って班に分かれろ!」

 

講習生たちは別れる。轟と爆豪は夜嵐、その他2人だ。

 

「分かれたな?それではSTART!!」

 

 

講習生たちは町へ入った。

 

「普通だな」

「普通っスね!」

「あれだ。パトロールも兼ねてんだよ!」

 

町中を進んでいるとだ。

 

「きゃああああああ!!!」

 

『!?』

 

女性の悲鳴が聞こえた。轟達はその場所へ走る。そうしている内に「ギャ!!」「うわ!?」と声が聞こえる。

 

「どうしっすか!?」

「何があった!」

「さっさと答えやがれ!!」

「あ…あれ」

 

被害者役の女性がある場所を指さす。

 

ばさぁ…

 

 

「私は敵名・怪盗フラン。美しく輝くお宝を奪いにやってきた。」

 

仮面とマントを羽織ったマホ(奪ったバッグあり)だった。

 

「敵役は札野か!」

「じゃあ捕まえてやるよ!!体育祭のリベンジだ!!」

 

爆豪は爆速ターボで一気にマホの下へ飛ぶ。ただし

 

「『翔』」

 

すか

 

爆速ターボより動きやすい『翔』であっさり避けた。

 

「ああ!避けられた!!」

「それじゃあ飛ぶ時間が長いオレが行くっス!皆は下から追いかけてくれっス!」

「わかった」

 

一旦、上と下に分かれて行動することにした

 

「怪盗フラン!大人しく捕まってください!!」

「言われて止まる敵なんていない」

「それもそうっスね!!じゃあ強引に!!」

 

 

ゴオオオオオ!!

 

「!」

 

暴風にマホは一旦降りた。周りに人がいる。上からマホが降りたので驚いた。

 

「『剣』」

 

マホは電灯を切る。その為、倒れてきた。

 

「うわ!」

 

悲鳴をあげる男性。夜嵐は方向転換して男性を助けた。

 

「大丈夫っすか!?」

「減点!!」

『え?』

 

そのセリフに夜嵐たちは固まってしまう。

 

「お前が方向転換したせいで逃げられてるぞ!!人数いるだろうが!!仲間を信じてねぇのか!!」

「ああ!!」

 

 

ごもっともだ。人数いるならマホを追いかける方と男性を助ける方に分かれればいいのにだ。

 

「ほら怪盗フラン逃げていくぞ!!」

 

そうしている内にマホはドンドン逃げていく。5人は急いで追いかけた。

 

 

***

 

「あー全然追い付かねェ」

「札野は個性使わなくっても速いんだな」

「…ア!無線機!!」

『?』

 

講習生の1人が言う。

 

「無線機あるなら連絡し合えばいいじゃんか!!」

「そうだ!!ドナドロンドのヒーローの心得にあったよな!!」

「6つ・無線機あるならチームワークって奴っスね」

「確かに札野を捕まえるにはそれしかねぇな」

 

「………ちっ」

 

他校生の言葉に一同はやっとチームワークをすることになった。

 

 

その結果

 

「やっと捕まえられたね」

 

とうとうマホは捕まった。ただし

 

「でも不合格」

『えぇ!!?』

 

マホに不合格と言われた。

 

「どういうことだデカリボン!!」

 

当然文句を言うのは爆豪。

 

「一般人を危険な目に遭わせた。チームワークするのが遅い。捕まえるのが遅い。なによりこれを被害者に返せって言うの?」

 

『・・・・・・・・・あ』

 

マホが見せたのは奪ったバッグ。バッグは5人の個性のせいでボロボロだ。不合格になるのは当然である。なので

 

 

「指導―――――!!」

バキ!!バキ!!バキ!!バキ!!バキ!!

 

『ふぐ!!』

 

ギャングオルカの平手打ちを喰らってしまった5人であった。



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少女救出作戦

ある屋敷の前。マホ、出久、切島、お茶子、梅雨は雄英ビッグ3と呼ばれる3年先輩の通形ミリオ、天喰環、波動ねじれ。フェンリル等の沢山のヒーローと警察官と共にいた。この屋敷は死穢八斎會邸宅。いわゆる極道と呼ばれる組織団体の一つで その組織に”エリちゃん”という小さな女の子がおり、死穢八斎會はその子の肉体を原料に薬を作るという非道な計画を行っていたことが判明した。ヒーローたちはエリちゃんを救うために集まったのだ。

 

 

刑事がインターホンを鳴らそうとしたら

 

ガォン

 

 

「何なんですかァ」

 

いきなり体格が良すぎる男が戸を壊し、暴れるがお茶子、梅雨、ねじれのインターン先・リューキュウ事務所が対処することになった。敷地内に入ると切島曰くこてこての人が現れる。

 

「来るんじゃねぇ!!」

 

個性を発動するヤクザたち。

 

「邪魔ですよ」

「控えよヤクザ共!」

 

クリムトとジャンが倒す。それでも現れるヤクザ。そんなヤクザは

 

「「「邪魔!」」」

 

フェンリル、アマンダ、ドナドロンドが一気に倒した。

 

「すっげー」

「さすがチームアレッサ!」

 

「ここは任せてください」

「エリちゃんは頼んだぞ!!」

「ありがとよ!!」

 

クリムトとジャンが足止めをしてくれた。

 

「さーてエリちゃん助けに行くわよー!!」

 

アマンダは結構ノリノリだ。

 

「さすが子供の守護者!」

 

アマンダは「子供の守護者」と言われるほどの子供好き。なので小さい女の子であるエリちゃん救出はかなり本気だ。

 

「ふ、札野さん危ない!」

「! 『剣』」

 

天喰に言われ、マホは『剣』を出す。

 

気刃斬(オーラ・ブレード)!」

 

ズバァ!!

 

 

「グハ!!」

 

ヤクザは無動作で飛ばす不可視の刃・気刃斬で撃退された。

 

「先輩ありがとうございます!」

「う、うん」

 

 

「火急の用や土足で失礼するで!!」

 

一気に入り込むヒーローと警官たち。するとオールマイトの元相棒。サー・ナイトアイが「ここだ」と言う。そこにあったのは花が活けてある花瓶。エリちゃんの元へ進む隠し通路がこの下にある。隠し通路を開き、一気に下に降りる一行。相手の個性でぶ厚い壁が出来ているがマホ、出久、切島からすればどうってことない。

 

 

「ワン・フォー・オール フルカウル!!シュートスタイル!!!」

烈怒頑斗裂屠(レッドガントレット)!!!」

「三連突!!!」

 

ドゴオオォォン!!

 

3人の技によって壁は破壊された。進もうとした時だ。

 

ズズズ

 

「道が!!うねって変わっていく!!」

 

地下を形成するコンクリに入り込んで”生き迷宮”になっているのだ。ここは透過の個性を持つミリオが先に行くことになった。すると床が大きく開く。落ちるとそこは広間だった。

 

「おいおいおいおい空から国家権力が…」

「!」

 

やつらは本当に全面戦争をしたいようだ。それを見たフェンリルとファットガムが戦闘準備をしようとしたが天喰が「俺一人で充分だ」と言う。何人ものヒーローがこの場に留まっている状況が相手の思うつぼだからだ。天喰の説得と「ミリオを頼むよ」の言葉を受け、一行は先に進む。だが…

 

「先輩…大丈夫かな…やっぱ気になっちまう」

「うん…」

「ん…メンタル弱いし」

 

マホの言う通り、天喰はメンタルが弱い。どれほど弱いのかと言うとねじれに「ノミの心臓」と言われるほどだ。切島と出久とマホは心配してしまう。

 

「大丈夫だ!」

「「え?」」

「おじさん?」

 

心配する3人にフェンリルは言う。

 

「ビッグ3って呼ばれてるんだろ!?」

「それに雄英に入ったのよ!?」

「メンタル弱いって言うならは入れねぇよ!!」

 

フェンリルに続いてアマンダとドナドロンドが言う。確かに名門校である雄英に入れるならそれなりに度胸があるということだ。3人の言葉に同意したのかファットガムが大声で聞かせる。

 

「背中預けたら信じて任せるのが男の筋やで!!!」

 

「先輩なら大丈夫だぜ!!」

「逆に流されやすい人っぽい」

「ん!ちょろいね」

 

更に進んだ時だった。相澤の近くの壁が動き始めた。邪魔な個性を持つ相澤を確実に一人にするためだ。

 

しかしファットガムが相澤を突き飛ばして強引に救出する。相澤は助かったが代わりにファットガムがどこかに連れていかれた。

 

「フェンリル!鋭児郎くんも一緒に行っちゃった!!」

「Σマジか!?」

 

実は切島も助けに行ったのだがファットガムの肉布団に埋まってしまったのだ

 

「切島くん抜け出せてるかな」

「ん。せめて顔だけでも出してほしい」

 

「ファットガムが傍にいるなら生きているはずよ。」

「アマンダの言う通りだ。合流したいなら行くぞ。その方が合理的だ」

 

グニャリ

 

『わあ!?』

天井、壁、地面が勢いよくグニャグニャ動き始めた。思うように進めなくなる一行。更には全体が迫って来るのだ。錠前ヒーロー・ロックロックがしばらく動かせないようにしたが…

 

「ホラ!また!来るぞ!!」

 

でもそれは出久が破壊した。エリちゃんを救うために紡いだ道を止めないためにも。

 

ブアッ

 

「開いた!?」

 

今度は広くした瞬間

 

ドドドドド

 

一行を分断した。

 

「お前ら大丈夫かー!?」

「デク―!?イレイザー!?アマンダ―!?ドナドロンドー!?」

 

フェンリルとマホが叫ぶと

 

「フランちゃーん!!私とドナドロンドは大丈夫よー!!」

「おい!!皆!!無事か!?」

 

アマンダとロックロックが応えてくれた。更に他から警官の声が聞こえてくる。

 

ゴゴゴゴ

 

「ん!?また!?」

「フラン!とりあえず肉壁から脱出するぞ!!」

 

フェンリルは魔剣を構える。マホも「ん!」と応え、『剣』を構えた。

 

 

「「竜牙突!!!」」

 

ドゴオォォン

 

 

「ふー」

「やっぱり竜牙突はすごいね」

 

「フェンリル!!フラン嬢ちゃん!!」

「フランちゃん無事でよかったー!!」

 

その後もエリちゃん達を探すチームアレッサ。

 

「あ!見ろ!」

 

外に出てしまったがエリちゃんを見つけた。傍に出久がいるのだが2人の様子がおかしい

 

おそらくエリちゃんの個性の暴走。しかしだ。

 

とさ

 

あっさりと倒れたのだ。

 

「デクちゃん」

 

現れたのは相澤を支える梅雨。相澤の個性で暴走を消したのだ。

 

「エリちゃん!」

「デクくん!」

 

マホとフェンリルが慌てて2人の傍による。

 

「う…エリ、ちゃんは」

「ひどい熱を出してる!」

「個性の使い過ぎのようだ!医者に診せないといけない!!」

 

エリちゃんは救急車で病院に運ばれた。しかし隔離させるらしい。出久の情報なのだがエリちゃんの個性は巻き戻し。ケガ人を怪我をする前の時間に戻すなど良い使い方もあるのだが治崎は彼女の血や細胞を使用して、「“個性”を破壊する銃弾」を作ると悪用していた。それにエリちゃんは反抗できない様に治崎に脅された。「お前のせいでまた死ぬぞ」と。精神的なケアも必要なのだ。

 

 



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雄英文化祭
文化祭準備 その1


エリちゃんが入院してしばらくしてだ。

 

「文化祭があります」

『ガッポォオォイ!!(学校っぽいの略)』

文化祭が始まるのだ。A組はさっそくどうするかと考える。しかしアイディアが多い。不適切、実現不可、よくわからない物。お堅い物があるため全然決まらない。無情にもチャイムが鳴ってしまった

 

「実に非合理的な会だったな。明日、朝までに決めておけ。決まらなかった場合公開座学とする」

『(公開座学…!!)』

 

 

まさに恐怖でしかない。早く決めないといけないのだがインターン組は補習。なので決めるのは他の皆に託した。

 

 

「それじゃあ補習始めるぞ。その前に」

 

『?』

 

「緑谷、エリちゃんが、お前に会いたがってる」

 

正確には出久とミリオを気にしているそうだ。意識が戻ってから始めて言った要望。暴走する気配もないので面会が許されたのだ。その言葉に出久は行くことを決める。

 

 

こうして面会当日。

 

「みーどりやくーん!!行くよ―――!!!」

 

フルーツセットを持ったミリオが出久を呼ぶ。その声に出久は「はい!」と応え、玄関を出た。

 

「それじゃあ行ってきます!」

「まった出久くん!」

 

リボンをつけた紙筒を持ったマホが待ったをかけた。

 

「札野さん?」

「どうしたんだい札野さん!!」

「『(フラワー)』」

 

ぶわ

 

「わ!?花だ!」

「おー!!すごいねこれ!!」

 

紙筒の中から色んな種類の花が沢山現れた。その光景に出久は驚き、ミリオは興味津々。

 

「魔法の一つ『花』です。お見舞いに行くなら花は大事でしょ?全部お見舞いに相応しい花にしたから!」

「うん!ありがとう!必ず渡すね!」

 

マホが出してくれた花はとても綺麗で尚且つお見舞いに相応しい。出久は笑顔で受け取った。

 

 

数日後

 

「うーす」

「補習今日でようやく穴埋まりました本格参加するよー」

「何に決まったの?」

 

インターン組の補習はようやく終わりちゃんと参加することが出来るようになった。マホの問いに芦戸が「ダンスとライブに決まった!」と答える。

 

「ダンスチームと演出チームとバンドチームに分かれてやるの!」

「今は歌う人決めてる!」

「へ?うたは耳郎ちゃんじゃないの?」

 

耳郎の趣味は音楽。実際部屋は楽器だらけ。なのでボーカルは耳郎がいいとお茶子は思ったのだ。しかしなぜか耳郎はやりたがらない。なので切島、峰田、青山がやりたがったがジャンル違う。音痴。わけわからんなので却下になった。

 

「札野は上手いぞ」

『え?』

 

言ったのは轟だった。

 

「え!轟どういうことだ!?」

 

上鳴が聞く。

 

「ジャンルは違うがとても上手い」

「そう言えば札野さんヴァイオリンをしていましたわ」

 

八百万の言葉を聞いて周りはマホを見る。

 

「札野ちょっと歌ってみてくれ!」

「ん」

 

切島からマイクを受け取り、マホは歌う。

 

「♪~♫~」

 

「Σ(・□・;)」

 

「♬~……おしまい。」

「うま!たしかに上手い!!」

「ジャンル違うの残念!!」

「札野!ロック系は歌った事あるか!?」

 

瀬呂の問いにマホは「ない!」と正直に答える。

 

「そっかー」

「そりゃ残念だ」

 

すると葉隠が「今回は耳郎ちゃんだと思うんだよ!!」と推薦する。だって耳郎も歌が上手いからだ。実際、耳郎本人が歌うと

 

ゴォ!!

 

「耳が幸せ―!!」

「ハスキーセクシーボイス!」

 

ハスキーボイスでハートを鷲掴みにし、満場一致にさせた。こうしてボーカルは決まったので耳郎と楽器をやるバンド隊、演出隊、ダンス隊を決めたA組。明日から一段と忙しくなるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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文化祭準備 その2

A組は各隊に分かれて練習を始める。共同スペースにはマホ、轟、切島、瀬呂、口田、ボールで遊んでいるウルシが居た。

 

「それではこれをやろうぜ!!演出!!会議を始めるぜ!!」

「芦戸のチームスノーマンズ以外でやってみたい演出あるか?」

 

気合を入れる切島。瀬呂の問いにマホが「ん」と手を上げる。

 

「魔法の中にライブに相応しい奴が4つほどあるんだけど」

「マジで!?」

「見せてくれ!」

「どんなやつなんだ?」

「?」

 

興味津々の男子たちにマホは「それじゃ」と準備する。

 

「まずは『(グロウ)』」

 

ふわ…

 

「おー」

「蛍だ蛍!!」

 

「次は『光』」

 

カッ

 

「眩し!!」

 

「その次は『(バブル)』」

 

「今度はシャボン玉か!」

 

シャボン玉が現れたことにウルシは尻尾を振る。

 

「最後は『花』」

 

ぶわ

 

「うお!!」

「花か!?」

 

「ワンワン!」

 

花が現れたことにウルシは捕まえようとする。

 

「よしよしウルシ食べちゃメだよー」

「(コクコク)」

 

マホと口田に言われウルシは「ワン!」と応えた。

 

「それでどれがイイかな?私は『花』がおすすめ」

「その『花』は色んな花を出せるのか?」

 

マホの問いに轟は聞く。

 

「ん!季節関係なく色んな花が出せるよ」

「じゃあ花びらだけっていうのは出来るか?」

 

今度は切島が聞いてきた。

 

「ん!できるけどやりすぎると室内が埋まっちゃう」

「(それじゃあここぞという場面だけにしないといけないね)」

 

演出はまず『花』

 

「次は誰が提案するか?」

「んじゃ今度はオレ!」

 

次は瀬呂だ。

 

「ステージ近くの奴らは楽しめると思うけど遠くの奴らはステージの様子がよくわからないだろ?」

「あーそういえばそうだな」

「ん!大きな画面が無いからね」

 

切島とマホは納得する。確かにステージ近くならバンドとダンスがよく見れて楽しめるが遠くにいる人たちからすれば小さく見えるので物足りないだろう。

 

「それで轟の出番だ!!」

「おれ?」

 

瀬呂の言葉に轟はキョトンとする。

 

「轟の氷で足場を作る!そしてその足場の上でダンス隊が踊るっていうのはどうだ!?」

 

『おぉー!』

 

確かに足場を作れば遠くまで行ける。そこで踊れば遠くにいる人たちも楽しめそうだ。

 

「うん?ちょっと待て!滑って思うように踊れなかったらどうするんだ!?」

 

切島が慌てて聞く。

 

「それだったら衣装の靴に滑り止めつけるのはどうだ?実際俺もやっている」

「ん。それなら大丈夫そう」

 

轟の滑り止めの提案によって瀬呂のアイディアも合格した。

 

「甲司くんは何やりたい?」

 

マホの問いに口田は説明する。

 

「(色んな所から照明が動くのやってみたい。動物たちに手伝ってもらえばできると思う)」

 

動物達に手伝ってもらって照明を動かすだ。こうして色んなアイディアを出す5人。更に出してみる。

 

「なるほど!そりゃ良いアイディア!!ダンス隊に打診してみようぜ」

「待てよでもそうなると人手が足りねェぞ」

「ん……バンド隊から引き抜いたら駄目だし、ダンス隊に相談した方が良いね」

 

 

なので外で練習しているダンス隊に相談することにした。

 

「おーいダンス隊!!ちょっと話が…Σってエリちゃん!!?」

「ん!?なんでエリちゃんここに!?」

 

切島とマホは驚く。入院しているはずのエリちゃんが雄英に居るから驚くのは無理もない。

 

「オッスオッス!って俺の事は知らねーか!」

「エリちゃん体の具合はどう?」

「くぅーん?」

切島とマホとウルシが聞くが緊張しているのかミリオの後ろに隠れてしまう。それを見たマホは慌ててウルシを抱っこした。

 

 

「エリちゃん、この人が札野マホさん!お花を贈ってくれた人だよ」

 

出久が説明するとエリちゃんはちょっとだけ出て来てくれた。

 

「あ、あの……お花ありがと」

「ん!どういたしまして」

 

エリちゃんのお礼にマホは笑顔で応えた。するとエリちゃんはマホの腕の中に居るウルシを見る。ウルシも興味津々だ。

 

「……ウルシ、驚かせない?」

 

確認するとウルシは「大丈夫!!」と言う感じに鳴く。

 

「この仔ね。ウルシって言うんだよ。触ってみる?」

 

抱っこしながらエリちゃんに見せるマホ。エリちゃんは恐る恐る触ってみる。

 

「くぅーん♪」

「……ウルシカワイイ」

 

その様子を見てマホは試しにエリちゃんの前に降ろしてみた。降ろしてもエリちゃん自身気にしていない。ウルシの性格が功を奏した。

 

「にしても先生。どうしてエリちゃんがここに?」

 

実は出久とミリオはエリちゃんを文化祭に誘っていたのだ。でも準備期間に来ているのには訳がある。

 

「この子からすれば非日常。パニックにならないように慣れさせようってことだ。」

 

その説明に納得した。

 

「ウルシバイバイ」

「ワン!」

 

こうして出久とミリオはエリちゃんを案内するために校舎へ向かった。

 

 

 

「いや~エリちゃん元気そうだね!」

「ん!エリちゃんの為にもがんばらないと」

「そういえば切島ちゃん、どうかしたの?」

「ア!そうだった!」

 

 

 



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文化祭開始!

 

 

文化祭当日・AM9:00

 

 

《Good Moorrrnin!ヘイガイズ!準備はここまで、いよいよだ!!今日は1日無礼講!学年学科は忘れてハシャげ!》

 

プレゼントマイクの放送を合図に文化祭が始まった。A組バンドが始まるのは一時間後の10時だ。本当に楽しみである。

 

 

「出久君がいない?」

 

演出に必要なロープを買いに行った出久がまだ戻っていないのだ。

 

「それが、ロープを買い出しに麓まで行ってまだ戻ってきてないんだ」

 

「は?緑谷が?」

 

「買い出しひとつで何してんだあいつ!」

 

「もー!!」

 

そうしている内に時間が過ぎていく。仕方がなくスタンバイに行くことにした。

 

 

「おー客いっぱいだな」

「ああ。後は」

「緑谷ちゃんと戻っているのか」

 

出久が間に合っているといいのだが…

 

ブー―――――――

 

始まってしまった。舞台の幕が開いていく。それを見た客たちは

 

「1年ガンバレー!」

 

「ヤオヨロズ――!!!」

 

「どんなもんだぁ!?1年ー!!」

 

「ヤオヨロズー!ヤオヨロズー!ヤオヨロズー!」

 

盛り上がっていく

 

「ん!?出久君居た!!」

 

マホが声を上げる。舞台にダンスの衣装を着た出久が居たのだ。

 

「あ―――間に合ったか――――…」

 

瀬呂は安心する。

 

「んじゃ後は」

 

「いくぞコラァァァ!」

 

舞台でドラムスティックを持つ爆豪が大声を上げる。

 

《雄英全員!音で殺るぞ!》

 

ドゴオオオオオオォォン!!

 

ドラムを叩くと同時に爆炎が上がった。それに合わせてバンド隊も楽器を奏でる。

 

「開幕爆発!!ツカミはド派手に!」

「ん!結構効いているよ」

 

バンド隊の音楽に合わせてダンス隊も踊り始めた。

 

 

《よろしくおねがいしまァス!!!》

 

ハートを鷲掴みにした耳郎のハスキーボイスが響きわたる。少し踊ると出久と青山がステージの真ん中へジャンプする。二人のステップは息ピッタリだ。更には出久はなぜか青山を上に投げた。理由はコレ。

 

ピカ

 

『人間花火かよ』

 

「ミラーボールなんだけどなぁ」

「……あれは仕方がねぇよ」

「(コクコク)」

 

轟の言う通り人間花火に見えてしまうのは仕方がなかった。

 

ポポポポポポポポ

 

障子が峰田のモギモギボールを遠くへ投げる。

 

 

 

「よっしゃ今だふだせろろき(・・・・・・)!!」

 

「ん!!」

 

「セイ」

 

「おお」

 

切島の言葉にマホ、瀬呂、轟は構える。口田も鳥たちに照明を動かすことをお願いしていた。

 

「サビだ ここで全員ぶっ殺せ!!!」

 

「『花』!」

 

ぶわ

 

パキパキパキ

 

マホの花びらが舞い、轟が峰田のモギモギボールと瀬呂のテープを凍らせる。出久が買ってきたロープによって宙づりになる青山と鳥たちによって周りは一段と派手になった。

 

 

「行ってこいダンス隊」

 

 

 

障子によって氷の足場に投げられたダンス隊は氷の足場の上で踊り出す。

 

「行け切島」

 

そう言って轟は氷の塊を渡す。切島は「おう!」と応え、Tシャツを脱いだ。

 

「ダイヤモンドダストじゃあ!!」

 

ゴリゴリゴリ

 

芦戸提案・チームスノーマンズを披露する切島。周りのダンス隊も各々がんばって練習したダンスを披露した。ステージで歌っている耳郎にいたってはだんだんテンションがあがってきたのかついアドリブを入れてしまう程だ。そしてテンションがあがっているのはここにも一人。

 

「わああ!!」

 

エリちゃんだ。エリちゃんの心にあの男の言葉が巣くっていた。そのせいでエリちゃんは笑えなかった。でも今は違う。A組が作り出したこの場を見て笑ってくれたのだ。

 

「ん!エリちゃん発見!」

「おお!喜んでるじゃん!」

 

エリちゃんを見つけたマホたちも嬉しくなる。そしてラスト…

 

じゃん♪

 

《皆さん!!!アリガト――――――!!!!》

 

『ワアアアアアアアア!!!』

パチパチパチパチパチパチパチパチ

 

A組に拍手喝采を送る観客たち。エリちゃんも小さな手で一生懸命パチパチと拍手をする。こうしてA組バンドは無事に終わった。

 



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遊びましょ!!

「わあ…」

「これはなんとまあ」

「………すまない。やりすぎた」

「………ん。私もゴメン」

 

楽しんでくれた観客たち。彼らが外に出た後、体育館はというと轟とマホが作った大量の氷と花びらで凄いことになっていた。轟とマホは謝る。

 

「いやいや大丈夫だって!!」

「おかげで盛り上がってくれたんだしさ!!」

「さあ!お掃除お掃除!」

 

A組は次に始めるB組(やるのは劇)のために掃除を開始した。花びらとマホが『剣』で細切れにした氷を運び出す。

 

「お茶子ちゃん顔色悪いよ?」

「お茶子ちゃん少し休む?」

「いや片付けやらないといけないし」

 

マホの言う通り、お茶子の顔色が悪い。個性伸ばし訓練のおかげで浮かばせる時間などが長くなったとはいえ客たちを持ち上げたりしたので酔ってしまったのだ。

 

「緑谷少年、緑谷少年」

「オールマイト」

 

オールマイトが来た。理由はこれ。

「どーして遅れちゃったのかなー?」

「う!」

 

戻るのが遅かったことについてのお説教だった。オールマイト曰く「着歴見たら驚くぞきっと」と言う。10件以上出したのは確実だった。するとミリオと来たエリちゃんが感想を興奮気味に言う。

 

「女の人の声がワーってなって私…わああって言っちゃった!」

 

心から楽しんだこと伝えるエリちゃん。それを聞いた出久は涙が出そうになる。客たちも楽しかったと言ってくれた。

 

「ごめん!」

「コケ下ろす気で見てた!!」

 

ここ最近の事件はA組のせいと思っていた生徒も楽しんでくれたのか謝罪していそいそ去っていく。最近の事件のせいでストレス溜まっていた生徒たちも喜んでくれた。

嬉しくなるA組。ただし

 

「早く氷全部!!片付け!!済ませようや!!」

 

峰田がイラつきながら急かしている。

 

「峰田どうしたの?」

 

耳郎の疑問にマホは考える。

 

「んー。ハーレムパートが不評だったからじゃない?」

 

マホの言う通りダンスで峰田のハーレムパートの時は不評だった。それにイラついているのかと思いきや

 

「早くしねえとミスコン良い席取られるぞ!!!」

 

 

本気で叫ぶ峰田。その様子に耳郎とマホは

 

「………心配して損した」

「……ん」

 

***

 

片付けを終えた後、A組とミリオはエリちゃんを連れてミスコンの会場へ向かった。ミスコン会場は当然人が一杯。エリちゃんは興味津々で周りを見る。少しして司会が現れた。

 

 

《さあ今年も始まります!ミス雄英コンテスト!!今年もミスコン女王・絢爛崎か!?それとも新しい美女か!?それでは一番の方どうぞ!!》

 

その司会の言葉に合わせて女子が現れる。その瞬間、彼女は個性でパフォーマンスを披露し始めた。このミスコンはただのミスコンではない。特技もそうだが自分の個性でどれほど魅力的に披露することが出来るのだ。

 

数人の女子がパフォーマンスを披露した後、実行委員は何やら数枚の板を2列に分けてステージにセットした。セットし終えたことを確認した司会が言う。

 

《次はヘアスプレーのCMで話題!隠れファン急増中の1年拳藤!》

 

八百万と一緒に職場体験した拳藤が緊張気味に現れる。

 

《それではスタート!》

 

それを聞いた拳藤はドレスのスカートを掴む。そして

 

ビリィッ

 

『え!?』

 

スカートを裂き即席スリットを作った。彼女は驚く観客を気にせず、走る。

 

「ふ!」

 

拳藤は個性”大拳”。手を大きくするを使い、手刀で1列目の板数枚を破壊したのだ。それを見た彼女のファンは盛り上がった。

 

『ケンドー!!シュシュッと一吹きケンドー!!』

 

その言葉に応えるかの様に拳藤は2列目の板を破壊する。その様子に司会も《素晴らしいパフォーマンスです!!》と褒める。

 

「拳藤さんの手刀すごいねー!」

「手のひら大きいからホント威力あるよね。怪我防止のグローブあったらさらに過ごそう」

 

次は2年連続ミス雄英に輝いた絢爛崎。自分の顔を大きく作った乗り物に乗っている。

 

(マツゲすごい)

 

絢爛崎はマツゲがとてつもなく長い。

 

「な、なんかある意味すごいね」

「ん。美人か分からないけどすごい」

 

出久の言葉にマホは頷く。もしかしたら美人だからじゃなくて顔面力が凄かったから投票されたのかもしれない。エリちゃんも無意識に思ったのか「何する出し物?」と聞いてくる。

 

《お次は去年の準グランプリ!!3年の波動ねじれ!今年はどんなパフォーマンスを披露してくれるか楽しみです!!》

 

現れたねじれ。彼女は個性を使い、宙に浮かぶ。

 

「わあ」

「キレー」

 

まるで宙で舞うねじれ。その姿は踊る純真無垢な妖精。周りは誰もが驚き、見惚れた。一通り舞うとねじれは降りてくる。

 

《幻想的な宙の舞!引き込まれました!》

 

観客もねじれに拍手を送る。ねじれはやりきったという表情だ。しばらくして全員のパフォーマンスが終わった。こうしてA組たちは各々文化祭を楽しむ。エリちゃんも楽しそうだ。

 

「あ、皆!そろそろミスコンの結果発表だよ!」

 

ミリオの言う通り、そろそろ結果発表の時間だ。一行はミスコンの会場へ向かう。

 

《それではみなさん!ミス雄英の座は誰のものか!!結果発表します!!》

 

司会が叫ぶ

 

「誰が優勝かなー!」

「ん!私は波動先輩にした」

「私もよマホちゃん」

 

誰が優勝か楽しみに見ている。

 

《第3位から発表します!第3位……拳藤一佳!!》

「え!?」

 

3位になったことに拳藤はビックリ。ただし同じクラスで病んでる男子・物間は「なんで3位なんだい!?」と不満げだ。

 

《第2位!準グランプリ!!準グランプリは……絢爛崎美々美!?》

「なんですって!?」

『おお!!』

絢爛崎は準グランプリになったことにショックを受けた。客たちは驚く。

 

《今年のミス雄英は……波動ねじれ!!!

「や、やった!!」

『ワアアアアアアア!!!』

 

パチパチパチパチ

 

「波動さん」

「絢爛崎さん」

 

絢爛崎は笑みを浮かべながら手を差し出す。

 

「おめでとう。」

「あ、ありがとう!」

 

こうしてエリちゃんを楽しませた今年の雄英文化祭は幕を閉じた。エリちゃんは相澤とミリオに連れられて病院に戻る。相澤に「近い内にすぐにまた会えるハズだ」と言われて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

11月下旬

 

「雄英で預かることになった」

「Σ近い内にまた会えるどころか!!」

「Σ早かったね!!」

エリちゃんは雄英にひきとられることとなった。

 

 

 

 

 



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A組B組合同訓練
A組 VS B組 1回戦!!


体育館γ。そこには個性や必殺技に合わせ、少しずつコスチュームを変えてきたA組が居た。

 

「百ちゃんもマントにしたんだ」

「ハイ!イメージは魔法使いですわ!」

 

マホと八百万は防寒対策としてマントを付けている。すると芦戸も「私冬仕様~」と言う。

 

「カッコイーでしょーが」

「ん!首が温かそう!」

 

マホの言う通り首にはモコモコがあり、温かそうだ。

 

その様に話していると「まーずいぶんと弛んだ空気じゃないか」と話しかける者が現れる。そこに居たのはB組。今日の授業はB組と合同訓練なのだ。するとちょっと心がアレの物間が一枚の紙を見せながら大笑いする。

 

「見てよこのアンケート!文化祭でとったんだけどさァーア!A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇どちらが良かったか!見える!?2票差で僕らの勝利だったんだよねえ!!入学時から続く君たちの悪目立ちの状況が変わりつつあるのさ!!」

「ふーん」

 

「ふーんって札野さん!悔しくないのかい!?」

「正真正銘雄英が責任もって調べた公式じゃないから嘘臭い」

 

「Σ(・□・;)」

 

確かにこの結果はちょっと心がアレの物間が調べた物。正真正銘雄英が責任もって調べた公式じゃないから嘘臭く思ってしまう。そして物間はショックを受けたもののすぐに入れ替える。

 

「そして今日!!AvsB!! 初めての合同戦闘訓練!!僕ら「黙れ」

 

相澤が捕縛布で物間の首を絞めた。さすが相澤。雄英一の合理的な行動だ。物間を強制的に黙らせた後、ブラドキングが「今回特別参加者(ゲスト)がいます」と言う。

 

『ゲスト?』

 

疑問符を浮かべるA組・B組。相澤とブラドキングの後ろから現れたのは

 

「ヒーロー科編入を希望している普通科C組、心操人使くんだ」

 

『あ~~~~~~~~~!!!』

 

今年の体育祭で唯一本戦に立てた普通科・心操だった。マスクを着け、首には相澤の捕縛布が巻いてあった。

 

(そっか。これは彼にとって編入試験)

 

マホはすぐに分かった。実は雄英体育祭は普通科にとって「成績次第ではヒーロー科生徒の枠を取れる可能性がある」とても大事な行事。そして今回、心操がここに居るという事は普通科でも本戦に立てた成績を認められ、ヒーロー科に入れる可能性が出来たからだ。

 

「立派なヒーローになって、俺の個性を人のために使いたい。この場の皆が、越えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」

 

(ん。本気だ)

 

心操もかなり気合が入っている。

 

「じゃ、早速やりましょうかね」

 

相澤が言う。今回は、A組、B組の対抗戦。相手を自陣営の牢に入れると捕まえたと判定される。先に相手チーム全員を捕獲できれば勝利だ。心操は試験の為、2回行うことになった。

 

まずは一回戦。A組は梅雨、口田、上鳴、切島、心操。B組は円場、鱗、宍田、塩崎だ。

 

《第一試合START!》

 

ブラドキングの合図により第一試合が開始された。

 

 

A組が移動していると円場を乗せた宍田が襲い掛かる。彼の鼻は

 

《私は鼻が利くですなァアアア!!》

 

「ん!?」

「場所バレバレ!!」

「まずいじゃん!!」

 

居場所がバレているならマズイ。慌てるA組。しかしだ。

 

 

《よっしゃ蹴散らせ宍田――-!!》

《任されましたぞォォォ!!》

 

ぴた

 

蹴散らさなかった。

 

「ええ!?」

「宍田どうした!!」

「ちょっと宍田くん!?」

「早く憎きA組を蹴散らしなよ!?」

 

B組が言っても宍田は動かない。その様子を見てマホはわかった

 

「洗脳されている」

 

『ええ!?』

 

マホの言葉にA組・B組は驚く。

 

「様子が体育祭の出久くんと同じ。マスクに触れていたからあれは仲間の声に変える変声機。味方の声だったら確実に答えるからね」

「マジかよ!!」

「マホちゃんよくわかるねー」

「ん。おじさんが個性の特徴はサポートアイテムで意外とわかるもんだって言ってた」

「なるほど。確かに腕にグローブつけてたらパワー系だし、プレゼントマイク先生も大きなスピーカーも着けている。ブツブツブツ

『こえーよ』

 

「さらにマスクの効果はそれだけじゃない」

『?』

 

さらに心操は捕縛布で宍田を捕まえようしたが円場の技で動けなくなった。そうしている内に口田と切島、円場は牢に入れられた。

 

「心操くん戦闘スピードには着いて来れないね。」

「ん。それは経験の差だね」

 

出久の言葉にマホは言う。するとお茶子が「あれ?梅雨ちゃん何かやってる?」と言う。

 

「あ、ホントだー」

「何をしているのでしょうか」

 

お茶子の言う通り梅雨は心操と上鳴に何かをしていた。それをやり終えた後、3人は走る。

 

《蛙吹氏が3人向かってきてる!》

「え?」

「どういうこと?」

 

宍田の言葉にA組とB組は疑問符を浮かべる。

 

「ん。そっか」

「札野わかるのか」

 

轟の問いにマホは答える。

 

「さっき自分は鼻が利くって言ってたからね。それを覚えてた梅雨ちゃんは自分の匂いをつけてたんだよ」

「ああ」

 

確かに宍田は「私は鼻が利くですな」と叫んでいた。そうすれば宍田は姿を見ない限り「梅雨が3人になっている」と思ってしまう。

 

すると塩崎が上鳴を捕まえた。塩崎は蔓でとても丈夫な牢屋。盾を作り出す。きっと合宿の個性伸ばし訓練はとても丈夫な蔓の伸ばすこと。そして必殺技開発は簡単に破れない蔓だろう。そうしている内に鱗が《ツル張り直せ》と塩崎に言うと

 

ぴた

 

塩崎も洗脳された。これも心操。そのせいで宍田は疑心暗鬼に陥り、鱗とのコミュニケーションできなくなった。

 

「す、すごい」

「これじゃあ味方とコミュニケーションが取れない」

 

こうして心操の活躍により第一試合はA組が勝った。

 

 

 

 



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2回戦!!

2回戦

 

A組は青山、八百万、常闇、葉隠。B組は拳藤、黒色、吹出、小森だ。

 

《ガンバレ拳藤第2チーム!START!!》

 

ブラドキングの偏向実況で始まった。

 

「個性は拳藤さんしか知らないけどどうするんだろ」

「ん?サポートアイテムで意外とわかるってさっき言ったけど容姿やコスチュームデザインでもわかるものだよ」

「えー!そうなん?」

 

「黒い男子はなんだか影とかに入りそうだし、希乃子ちゃんのコスチュームデザインはキノコだからなんだかキノコ菌とか出しそうだし、漫画の男子は………絵の具現化でもしそうだな」

「あーなるほど」

 

マホの説明にお茶子は納得する。

 

「(マズイ当たってるのあるぞ!)」

「(吹出の個性も近いし!)」

 

B組は慌ててしまう。そうしている内に2回戦開始。実際、映像でも黒色は黒影から出てきたり、パイプの影に入り込んでいた。さらには

 

《ヘーゥプ!!》

 

『青山(君)――!?Σ(・□・;)』

 

青山が物凄い速さで移動させられたのだ。

 

「どーしよ!青山くんが!!」

「マホちゃん何かわかるかしら」

「相手が影なら光で影を少なくすればいいんだけど」

「なるほど!だから青山を捕まえようとしたんだな!!」

「ん!鋭児郎くん正解!」

 

青山の個性はへそからビーム。文化祭の時のような人間花火をすれば影が減る。つまり黒色は影に入ることが出来ない。なので切島の言う通り青山を先に捕まえたのだ。

するとマホは気づく。

 

「ん!踏陰くん来た!」

 

《黒影 黒の堕天使》

 

『飛んだ!!!Σ(・□・;)』

 

なんと常闇の背中に翼が生え、空を飛んだのだ。A組・B組関係なく驚いてしまった!

 

「常闇飛んでる―――!?」

「翼作ったのかよ!?」

「ん?……ちがう!アレ黒影の腕(・・・・)だ!!」

「腕ぇ!?」

 

マホに言われ、常闇の翼を観察する。

 

「マジで腕だ!!」

 

実は黒影は常に浮遊状態。常闇を抱えて移動ができるのだ。青山はおかげで救出された。さらに青山は八百万の指示通りレーザーを放つ。そのおかげで黒色が見つかった。

 

「やった!」

「見つかった!」

 

その時だ。

 

ポム

 

『え?』

 

生えたのはキノコ。パイプなのにドンドン増えていく。さらには八百万たちの体からも生えているのだ。

 

「こ、怖い」

「ホラーだ」

「精神攻撃にも使えるな」

 

この個性はマホが思った通り、小森だった。

 

「札野。この場合どうすると思う?」

 

瀬呂の問いにマホは「んー」と考える。

 

「希乃子ちゃんには悪いけどビニール袋に入れるかエタノールをぶっかけるかする」

「エタノール?」

 

疑問符を浮かべる瀬呂。すると轟が言う。

 

「確か滅菌スプレーの材料だった気がするんだが」

「ん!正解」

 

マホが考え出したのは小森をビニール袋に入れる。またはエタノールをかけてキノコ菌を飛ばさせないようにするだ。

 

《ゴンッガンッドガッあ―――~ズドッズンッ》

『?』

「これって…」

「擬音?」

 

吹出の声に疑問符を浮かべるA組。その瞬間だった。

 

ばかでかい

 

ゴンッガンッドガッズドッズンッ

が出てきたのだ。

 

「なんか出た―――!!」

「ド〇えもんかよ!?」

「コエカタ〇リンだ!!」

 

吹出の個性は絵の具現化ではなく擬音の具現化だった。その様子はまさにド〇えもんである。

 

「これはマズイ。八百万さんが分断された。確実に格闘タイプの拳藤さんが現れる」

 

出久の言う通り、拳藤が八百万に攻撃を仕掛けてきた。

 

「大丈夫」

「え?」

 

マホの言葉に出久は固まる。

 

「百ちゃんは落ち着いている。大丈夫だよ」

 

試験でマホと八百万と組んだ轟も落ち着いている。

 

「あいつを警戒すんなら4人の総力でまっさきに潰すべきだった」

 

八百万はあるものを出した。

 

『大砲~~~!!!?』

 

まさかの大砲。石の拳藤も怯む。しかし八百万は文字の向こうへ撃った。

 

「え?なんで」

「何かあるのか?」

 

その疑問の答えはこれ

 

《ゴーグル!?とエタノール…滅菌スプレーだ!!》

 

『おお!!』

 

常闇の下へ届いたのは吹出たちを見つけるための暗視ゴーグル。キノコ菌を増やさないための滅菌スプレーだった。滅菌スプレーを吹きかけた常闇は小森と黒色を、葉隠は吹出を探しに行く。

 

深淵闇躯(ブラックアンク)夜宴(サバト)”》

 

『おおおおおおお!!』

 

常闇は見事小森を攻撃、黒色を捕まえる。しかしだ。

 

《ゴホッ》

 

常闇が苦しそうにせき込みだしたのだ。

 

「あれ?常闇どうしたの?」

「どうした常闇!!」

「……あ!気管支に菌が入っちゃったんだ!!」

 

咳き込む。そばにはキノコ菌を出す小森。それにより出久は分かった。さらには八百万と葉隠が拳藤に捕まってしまった。

 

《第2セット!!4-0でB組勝利!!》

『よっしゃー!』

『あ~~~~』

 

こうして第2回戦はB組が勝った。

 

 



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3回戦!!

3回戦。A組は飯田、轟、障子、尾白。B組は鉄哲、骨抜、回原、角取だ。

 

「次はどんな感じになるかな?」

 

葉隠の言葉に切島は言う。

 

「俺はわかるぜ!!鉄哲がいるからな!」

 

性格も似ている。個性も似ている鉄哲がいる。

 

「ん。鋭児郎くんと同じ性格だから絶対」

 

 

ドゴォ!!ドゴォ!!ドゴォ!!

 

《小細工無用!来いや死ようぜ真っ向勝負!!》

『やっぱりかい!!』

 

A組・B組に言われる鉄哲だった。

 

「あ、だんだん開いていくよ!」

 

ズア

 

「やっぱり出たぜ氷壁!!」

「しかも改良してる!!」

 

巨大な氷壁を出すといつも視界を遮られてしまう。しかし轟は見事改良をしたのだ。

その時

 

どろぉ

 

「柔らかくなった――!!」

「骨抜だ!!」

 

氷が柔らかくなったのだ。

 

「そういえば体育祭で出久君達の傍、柔らかそうだったね。あれも彼がやったの?」

 

マホの問いに出久は答える。

 

「うん。すごく柔らかくなって大変だった」

 

実際に轟たちは大苦戦だ。しかしそこにやって来るのがヒーロー。

 

《インゲニウムはいつでもどこへでも駆けつける その為の脚!!俺はもう!ずっと!フルスロットルだ!!》

 

『え!?』

 

飯田の言葉にA組は驚く。

 

「えー!?飯田くんレシプロバースト使ってるの!?」

「確かレシプロバーストって間違った使い方って言ってたよ!」

「ん!しかもマフラーに何か詰められたら止まっちゃうし!」

 

お茶子の言う通りレシプロバーストは間違った使い方。更にマホの言う通りマフラーに何か詰められたら止まってしまう。飯田はどうして自信満々に言えるのか。

 

《新技「レシプロターボ」!!!》

『オオオオオオオ!!』

 

飯田の新技に思わず出久たちは大興奮。しかも飯田曰く10分は止められないそうだ。確かにグラントリノより断然速い。

 

 

 

その一方、尾白は回原と戦っている。普通に戦っている。

 

「なんか押され気味だけど戦ってる!」

「あら?尾白さん涙目ですわ」

 

八百万の言う通り尾白は涙目だ。

 

「確かに」

「涙目だな」

 

マホは尾白と回原の様子を観察する。

 

「あ!指に金属つけてる!!ドリルの状態になってるから痛いんだ!!」

「ドリル!?」

「そりゃ痛い!!」

 

すると尾白の様子に気づいた飯田が回原を捕まえた。

 

「あーよかった!」

「じゃあ次は轟と障子だな!」

 

今度は轟と障子の様子が映し出された。轟は炎の壁で防御している。其の熱さに流石に角取は逃げ、障子が追いかける。ただし…

 

《なんで俺がてめェの相手かしてっかわかってねェなァア!!》

 

「え?」

「どういうこと?」

《効かねェからだよ》

 

 

鋼質化状態の鉄哲は真っ赤になっていたのだ。

 

「ええ!真っ赤!!」

「ん!しかも平気そう!」

 

マホの言う通り平気そうだ。ちなみにいつも鉄哲と個性ただ被りと言われている切島はというと

 

「なんでだ鉄哲!!俺とただ被りじゃねぇのかよ!!」

 

なんだかんだでショックを受けていた。

 

「そうだ鉄哲くんの個性は正確には硬化じゃなくて金属化。だから金属だからこそできる方法を合宿でしたんだ。マズイ。低温や高温の中でも活動が可能になったから熱と冷気を操る轟くんにとってはまさに天敵『だからこえーよ』あ」

 

でも出久の言う通り轟にとって今の鉄哲はまさに天敵。炎攻撃、氷攻撃は効かないだろう。

 

「皆!轟君の炎が!!」

「え!?増えてる」

「いや限界に達しそうなんだ!!」

 

そのせいでカメラが壊れてしまった。

 

「あー壊れたー」

「ん。続き見逃した—」

 

「それじゃあ違う場所に設置されているカメラから…」

 

相澤はリモコンで違うカメラからの映像を出した。

 

《これは全員ダウン!?》

 

轟、飯田、鉄哲、骨抜が倒れていたのだ。

 

「あー!轟達倒れちまった!!」

「え!?熱中症!!?」

 

高温がきつかったようだ。

 

「あ、引き分けになる」

「え!?なんで」

 

マホは説明する。

 

「ポニーちゃんの様子からして動かせる角が多分4本。でも目蔵くんパワーがあるからどうしても捕まっちゃう。だからポニーちゃんはやるのは一つ」

 

角取は轟とB組を捕まえ、障子が届かない空へ飛ぶ。

 

 

《投獄数1-1引き分けだ!!!》

 

引き分け狙いだ。。轟を助けるために身代わりになった飯田は絶対悔しいだろう。でも出久はそう思わない。だって轟を助けるために走った飯田の姿はとてもカッコ良かったからだ。



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4回戦!!

4回戦。マホ、爆豪、瀬呂、耳郎、砂藤は自分たちの陣へ向かう。その時だ。

 

「いいかお前ら作戦がある。協力しろ」

 

「「「「え?」」」」

 

マホたちは固まってしまった。あの爆豪が「協力しろ」と言ったのだ。

 

「爆豪あんた変な物食べた?」

「頭ぶつけたのか?」

「棄権した方が良い?」

「リカバリーガールのとこ行くか?」

 

マホたちは思わず心配してしまう。

 

「なんだその言葉は!?アァ!?特にデカリボン!!この俺が棄権するわけねーだろうが!!!」

 

「だって勝己くん初めての戦闘訓練は勝手に行動するし、体育祭では気絶した私や炎を消した焦凍くんに文句を言うし、ドナドロンドとジーニストでも矯正できなかったし、仮免ではその性格のせいで落ちるは、出久君にイラつきをぶつけて謹慎喰らったんだよ!?そんな勝己くんが「協力しろ」だよ!!天変地異の前触れだよ。きっと敵がまた雄英を襲撃するよ!!」

 

「「「確かに」」」

 

「……ぐ」

 

瀬呂、耳郎、砂藤にも納得されてしまった爆豪だった。取りあえず爆豪の作戦で行くA組。ただし

 

「遅ェ―――ンだよのろまが!!」

 

やっぱり自分勝手だ。彼らの作戦はこう。爆豪が先に走り、マホ、瀬呂、耳郎、砂藤がサポートする作戦だ。

 

 

「止まれ!いる!!」

 

髪が見えた。耳郎は指示通り自慢の耳で周囲を探るが…

 

「やっぱやられた」

 

「ハイしゅーりょう」

 

B組・取蔭だ。彼女の個性はトカゲのしっぽ切り。全身をバラバラにして行動できるなんだが怖い個性だ。色んな場所にばら撒いた肉片が物音を立てるので耳郎は何処にB組がいるのか分からない。

 

「勝己くん屈んで!『凍』」

「!」

 

「わ!!ヤバい!!」

 

取蔭を動けないようにするために『凍』を出すマホ。それに気づいた取蔭は慌てて逃げた。

 

その一方、耳郎たちは自分たちの個性を逆手に取られ、苦戦を強いられている。しかしマホとあの爆豪が助けにきた。あの爆豪がチームワークをしている。そのおかげでB組がだんだん劣勢になっていく。

 

「あ、5人目発見!響香ちゃん行ってくる」

「了解!」

 

マホは5人目の下へ走る。

 

「げ!まず!!」

 

B組5人目の男子は迎撃の準備をする。その一方、マホは『剣』を出した。

 

「衝波斬!!」

 

ドゴオォォン

 

「ぐは!!!」

 

マホの衝波斬を喰らった男子は気絶する。その間に一番迷惑な取蔭を爆豪が攻撃する。

 

「ゼロ距離閃光弾」

 

ゼロ距離で放たれた閃光弾。そのおかげで取蔭もやられた。

 

「よっしゃ!」

「さっすが爆豪!!」

「容赦ないねー」

「敵相手に容赦するか!!さっさと運ぶぞ!!デカリボン!!デカ犬を出せ!!」

「デカ犬?」

 

疑問符を浮かべるマホ。マホのウルシは小型犬。デカくない。すると耳郎がある事を思い出す

 

「あ、もしかして仮免に出した大きいウルシ?」

「あーあの子か!でも勝己くん。あの子は狼だからね」

 

そう言ってマホは『闇』をする。

 

「召喚!暗黒魔狼!!」

「ガアアアァァァァァァァ!!!」

 

暗黒魔狼(後にデカウルシと呼ばれる)が召喚される。

 

「この5人を乗せてほしいんだけど」

「ウォン!!」

 

デカウルシは気絶したB組を乗せやすいように伏せをする。

 

「いやー賢いなこいつ」

「ん!モデルがウルシだから賢いのは当然だよ!」

「あー確かに」

 

そう言いながらB組を乗せるマホたち。デカウルシはA組の陣へ運んだ。

 

《わずか5分足らず…思わぬチームワークでA組5-0の勝利だ!!》

 

こうして第4回戦はA組が勝った。

 

『やった―――!!!』

 

マホたちは大喜び。観戦していたA組も大喜びだ。

 



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5回戦!!

最後の第5回戦。A組は出久、お茶子、峰田、芦戸。B組は物間、柳、小大、庄田、心操だ。

 

「心操が出るな」

「一応攻撃パターンは分かったけど」

「ん。やっぱり心配だよね。始まった瞬間B組を探し出して捕まえる作戦にした方が良いと思う」

 

マホの言葉を聞いて飯田は「第4セットの爆豪君達と似てるな」と感想を言う。ただし耳郎のように探索が出来る者がいない。なので5回戦は機動力がある出久が爆豪以上に頑張らないといけないのだ。

 

《キャア》

 

「え!?」

「見つかったのか!?」

 

お茶子の悲鳴に思わず慌てるA組。ただしマホは言う。

 

「お茶子ちゃんじゃないと思う。喋ったらいけない決めていると思うからね」

「さっきのは心操か」

「ん。焦凍くん当たり」

 

味方の悲鳴を聞かせ、応えさせようとしたようだ。すると出久と物間が会う。出久は当然喋らず、当然物間は出久を煽りまくっている。

 

「心操の個性か」

「ん。体育祭の時の様に煽って応えさせるつもり。(でも出久くんは対策を考えているはずだし。煽っても応えないはずだけど)」

 

すると物間もそう思っていたのか今度は爆豪をバカにし始める。出久の性格からして味方をバカにした方が必ず応えるはず。

 

《平和の象徴を終わらせた張本人がさぁ》

 

「……ねえ。ホントに彼もヒーロー志望?」

「・・・・・・・・うーん。た、多分」

 

爆豪が外見なら物間は中身が敵に見える。マホの問いに拳藤は小さい声で多分としか答えられない。

 

 

ズズズズズズ

 

「え!?何あの黒いの!?」

「どういうことだ!?」

「新技か?」

「出久君パワータイプだよ!?ああいう技は無いと思う!」

 

出久の様子がおかしい。黒い物がまとわりついたり。鞭のように出久を叩きつけたりしたのだ。

 

「緑谷!!」

「どうしよう緑谷君が!!」

「先生!!」

 

飯田が慌てて言うと相澤は「わかっている」と答え、オールマイトとブラドキングと一緒に出久の元へ向かった。

 

「大丈夫なのか緑谷」

「先生早く着いてー」

「いや。心操がいる」

「ん?どういうこと?」

 

轟の言葉にマホは疑問符を浮かべる。

 

「心操の個性は洗脳だ。緑谷を洗脳すれば暴走は止まる筈だ」

 

「そっか!!」

「心操頼む!!」

「お前が頼りだ心操!!」

 

するとお茶子もそう思ったのか《洗脳を!!デクくんを止めてあげて!!》と叫んだ。操も出久を”助ける”ために行動を起こした。

 

《緑谷ァ!!俺と戦おうぜ》

 

自身の声で笑顔で言う心操。すると出久も苦しみながらも《応!!》とハッキリ応えた。その瞬間、黒い物は止まり、出久の中に入り込んだ。

 

「……止まった?」

「ん!止まった!」

「緑谷ちゃん、大丈夫そうよ」

「よっしゃー!よくやった心操!!」

「MVPだぜ!!」

「心操くん偉い!!」

 

暴走を止めた心操をA組・B組は褒める。

 

《え!?まだ終わってないんだけど!!》

 

物間が攻撃を仕掛けてきた。

 

「物間ァ!!流石に心配しろよ!!漢じゃねぇよ!!」

 

物間の行動に鉄哲は怒鳴る。本当に行動はヒーローらしくない。そうしている内に全員集合の大乱戦が始まった。すると出久の個性をコピーした物間が《君の”力”貰ったよ!!》と腕を振り上げる。しかしそれははったりだったのかお茶子に捕まった。

 

「あ、はったりだった」

「ん。出久君の個性は強力すぎだからね」

「大怪我するわけにはいかないさ」

 

マホと飯田の言う通り出久の個性は強力すぎなので初めて使うのはリスクがある。さすがの物間も使わなかった。

 

ズズ

 

「あ、またでた黒いの!」

 

また出久から黒い物が出たのだ。

 

「あ!でも使えているよ」

「ん!ホントに少しだけ使えてる!」

 

出久は黒い物を捕縛布のように動かし、パイプを受け止めたのだ。しかしすぐに消した。その様子を見た心操は乱戦している峰田たちのもとへ移動する。出久も乱戦に巻き込むためにだ。一方、峰田と芦戸はだんだん劣勢になっていく。

 

「うお!劣勢!!」

「A組ガンバー!!」

 

その時だ。

 

トン

 

「お茶子ちゃん!」

「見事な手刀だな」

 

お茶子が柳に手刀を入れ、小大を峰田のモギモギに着けたのだ。芦戸もそのことに驚いた庄田に見事なアッパーを喰らわせる。そして出久も…

 

ダァン!

 

 

心操を捕らえたのだった。こうして第5セットも勝利したA組。合同訓練もA組の勝利となった。ちなみに心操の試験の結果はというと

 

「心操は2年からヒーロー科に入って来る」

 

トラブルもあったが合格できたのだった。

 

 



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真冬のトラブルと楽しみ
2人の頑張り


「?」

 

真冬の朝、ウルシが起きる。なんだか外がいつもと違う感じがする。犬用ベッドから降り、まだ寝ているマホの横を通り過ぎ、カーテンを捲って外を見た。

 

 

「ワンワン!」

 

ウルシは掛け布団を頑張って引っ張った。

 

「ん-?ウルシどうしたの。朝の散歩はまだ早い。」

「ワン!」

 

起きてくれた。ウルシは寝ぼけるマホのパジャマを引っ張り、窓の近くまで寄せる。

 

「んー?」

 

マホは疑問符を浮かべながらカーテンを開く。

 

「・・・・・・・・雪だ―――――!

 

外に雪が積もっていたのだ。

 

「ウルシ雪だね!!」

「ワン!!」

「ちょっと待ってね!すぐ支度するから!」

 

早く外に出たい。マホは大急ぎで支度する。傍ではウルシが「早く早く」と言っているのかワンワン鳴いている。そしてマホの支度が終った。

 

「よし!行こう!!」

「ワン!!」

 

 

マホとウルシは下へ降りた。

 

「ワンワン!」

 

ウルシは雪へダイブする。

 

「ウルシ真っ白ー!」

 

雪で白くなったウルシの姿にマホは思わず笑ってしまう。その声が聞こえたのかA組も現れた。

 

「雪だ―――――!!!心頭滅却で乾布で摩擦!!!」

 

切島は乾布摩擦をしようとする。

 

「ワンワン!!」

 

犬は喜び庭駆け回りの歌詞通り、走り回るウルシ。そんなウルシの様子に上着を着て現れた芦戸は言う。

 

「ウルシ元気だねー!」

「ん!小っちゃくてもハスキーだからね!寒いの大歓迎だよ」

「ワン!」

 

するとウルシはマホと芦戸の傍による。「2人も遊ぼーよ!」と言っているみたいだ。

 

「ん!遊ぼうか!」

「よーしやろうやろう!」

 

 

こうしてA組は仮免講習最終日・及びテストでいない爆豪と轟、個性・蛙がゆえに寝てしまう梅雨を抜かして雪遊びを楽しんだ。

 

 

ー夕方ー

 

「よぅし完成だ!」

『おぉ―――!!』

 

気が早すぎるがお祝いとしてケーキを作ったA組。するとだ。

 

「ワンワン!」

『Σ(・□・;)』

 

ウルシがTVに向かって吠えたのだ。

 

「どうしたのウルシ!何かあった?」

 

マホは慌てて傍による。ウルシは「あれ見て!」と言う感じにまたTVに向かって吠えた。

 

《今日の一番気になるコーナーです!つい先ほど年末近いこの時季を狙ったひったくり集団が個性を使って通行人たちのバッグを強奪しました》

 

『うん?』

 

《そんな時、現れたのはヒーローではなかったのです!》

 

映像が変わる。映っていたのは…

 

『爆豪!?』

『轟!?』

 

仮免講習及びテストを終わらせたと思われる爆豪と轟だった。爆豪がひったくりを攻撃しつつも奪われたバッグ類を奪還、さらには危険な目に遭いそうだった女性を個性で助けた。一方轟は個性で暴れるリーダー格を体育祭で出久に放った技(でも威力はかなり低め)で倒した。

 

 

『さっそくヒーロー活動!?』

 

 

しかも取得30分後にやっていたそうだ。

 

その翌日のホームルーム…

 

「轟と爆豪にTVの取材が来ます」

 

『取材が来たああああ!!!』

 

二人にTVの取材が来ることになった。

 



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メディア演習

 

「本日はよろしくお願いします」

 

男性が挨拶する。轟は「こちらこそお願いします」とちゃんと挨拶をするのだが

 

「当り前だろうが」

 

爆豪はやはり上から目線だった。

 

『(上から目線だ―――!)』

 

男性はというと

 

(あーやっぱりかこの子体育祭で文句ばっかりだったんだよね。トラブルなく行けるかなー)

 

体育祭の爆豪の様子のおかげで不安そうだ。

 

「やっぱり不安そうだね」

「ん。基本的な性格は変わってないからね」

「大丈夫なのか?」

 

A組も離れたところから心配そうに見守る。

 

「それでは最初の質問です。」

 

そう言ってインタビューを開始したのだが…

 

「それでは次の質問。その時、お二人は息が合っていました。やはり仲良く訓練する仲なのですか?」

「はあ!?仲良くねーよ!!」

「仲良いです」

「ウソつくんじゃねーよ!!舐めプ野郎!!」

『(やっぱりだ―――!!!)』

 

A組が思っていた通りの展開になっていた。

 

(も…もう終わってほしい)

 

男性自身も早く終わってほしいと心の底からお願いしていた。後日、放送されたTVには爆豪が半分しか映っていなかった。インタビュー2回目も同じ状態。そして3回目のインタビューも

 

 

「普段から仲良く訓練されているんでしょうか!?」

 

女性の問いに爆豪はムッスと「そう見えンなら眼科か脳外科行った方がいいぜ」と大人相手に失礼な答えを言い。轟はホケーと「仲は良いです」と答える。当然爆豪は

 

「テキトーこいてンじゃねーぞいつ仲良くなったんだコラ」

 

轟の返答に怒鳴る。

 

『(まただ――――!!)』

 

当然、後日放送されたTVには爆豪のインタビューだけカットされていた。

 

***

 

今日の授業はメディア演習。自称・現役美麗注目株のMt.レディが特別講師として現れた。ステージを作り、TVカメラがたくさんある本格的な場所で授業を行う。皆は中々ちゃんとできていた(爆豪も1人だけでやったらちゃんと出来ると判明した)。

 

《次は魔法剣士ヒーロー・フランさん!魔法は色々あるのですが自分で考えてつくっているんですか?》

 

Mt.レディの問いにマホは答える。

 

「はい。あんな魔法があったら役に立ちそうだなー。と考え、その魔法のイメージを思い浮かべて作っています。例えば剣があるなら盾も作った方がいいよねって感じにです」

 

《なるほど!それじゃあ初めて個性が出た時もそのようなことを考えていたんですか?》

「はい。実は幼稚園の頃、担任の先生が結婚したんです」

《まあ!なんてステキな話!!》

 

女として結婚はステキな話題だ。

 

「それで小さかった私は「何が欲しい?」って先生に言ったんです。先生は「お花1本あるだけで十分嬉しいよ」って言ったんですが、私は小さかったので「お花は沢山あったほうが嬉しいよ」って思ったら……」

 

《思ったら?》

「上から大量の花がドバッて落ちてきたんです。部屋が埋まるぐらい大量の花だったので私や友達は大泣きして、先生たちは大慌てで救出してましたね」

《えぇ!?Σ(・□・;)》

 

最初に作った魔法が花。そのことに驚くMt.レディに対し、演出隊と出久は『(あれか)』と思い出す。

 

「それが私の初めての魔法『花』です。今でも『花』は役立っていますよ!文化祭の演出だったり、お見舞いに役立っています。あ、良かったらどうぞ」

 

そう言って可愛い花を出す。

 

《まあ!ありがとうございます♥》

 

こうしてマホの演習も終わった

 

 



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A組クリスマス

本日はクリスマス。サンタ服を着たマホとサンタ帽子を被ったウルシ(耳用の穴があって被せやすい)が居た。

 

「お座り」

 

マホが言うとウルシはお座りをする。

 

「お手」

 

マホが右手を出すとウルシは左手を出す。

 

「おかわり」

 

左手にかえるとウルシも右手にかえる。

 

「お寝んね」

 

そう言うとウルシは寝たふり。

 

「よし!」

 

ウルシは起き上がった。

 

「メリークリスマス!ウルシ!」

「ワン!」

 

「今日はクリスマスだからね!ごはんと犬用ケーキはいつもより豪華にしてみました!」

「ワンワン♪」

 

用意されたごはんと犬用ケーキを見てウルシは尻尾を振る。

 

「でもってクリスマスプレゼントどうぞ!皆とパーティーやっているからこれで遊んでてね」

 

そう言って新しいおもちゃを出すマホ。本当は連れていきたいのだが衛生上の関係で連れていけないから先に食事とプレゼントを用意したのだ。

 

「ワンワン!」

 

ウルシはご機嫌よくご飯を食べ始める。マホはヴァイオリンと用意したプレゼントを持って1階共同スペースへ向かった。

 

「皆お待たせ」

「お!ウルシくんの説得終わらせたか札野くん!」

「・・・・・・・・サンタ?」

 

マホは固まる。応えてくれたのは立派な髭をはやしたサンタだった。

 

「マホちゃん違う違う!」

「ほらここよく見ろ!」

 

そう言って上鳴はあるものを指さす。

 

「あ!天哉くんか!」

 

帽子と立派な髭でよくわからなかったが着けている眼鏡は間違いなく飯田の物。飯田が盛り上げようとコスプレをしていたのだ。

 

「あーびっくりよくできてる」

「そうだよなー」

「私たちもビックリしたよ!」

 

皆の言う通り驚く程こだわりがあった。クリスマスを盛り上げようと頑張って用意したとよくわかる。

 

「それでは!!」

『MerryChristmas!!』

 

パン!パン!パン!

 

飯田の合図により皆はクラッカーを鳴らす。こうして楽しいクリスマスパーティーが開始された。しかも

 

『サンタのエリちゃん!』

 

サンタ服を着たエリちゃんが相澤に連れられて来たのだ。ちなみに本人は「とりっくぉあとりとー…?」とクリスマスではない行事のセリフを言う。(多分ミリオが色々教えたからゴチャゴチャになっているのだろう)

 

「それじゃせっかくだからクリスマスソングでも」

「あ、それウチもやる!」

 

そう言ってマホと耳郎はヴァイオリンとギターを用意する。

 

「お!いいね!」

「ジングルベルやってー!」

「赤鼻のトナカイも!」

 

♪~

 

「「ラララ ラララー♪」」

 

マホのヴァイオリンと耳郎のギターと歌に合わせて歌ったり。砂藤が作ってくれたご馳走を食べたりと楽しむA組。

 

「それではそろそろプレゼント交換をしよう!」

『待ってました―――!!』

 

飯田に言われA組は用意したプレゼントを出す。方法はひも飴のようなくじ引きだ。

すると出久がエリちゃんに言う。

 

「エリちゃん先に良いよ」

「え?」

「ん!こういうのは小さい子が先!」

「エリちゃん先にどーぞ!」

 

周りのみんなも「先に選んで—」「どれでもいいぞー」と促す。

 

「そ、それじゃあこれ!」

 

そう言ってエリちゃんはそのうちの一本を持つ。

 

「じゃあ俺はこれ!」

「私は…これ!」

「私はこれにするー!」

「爆豪!お前も選べよ!」

「あ?そんなもん選ぶか!」

 

文句を言う爆豪。しかしだ

 

「隙あり!」

「あ!?」

 

芦戸が適当に選んだものを爆豪の足につけた。これで参加することになる。

 

「黒目テメェ」

「ナイス芦戸!」

 

どんどん選んでいくA組。全員が選んだ後、飯田が「せーので行くぞ!」と皆に言う。

 

「では!」

『せーの!!』

 

グイッと引っ張るA組。さっそくプレゼントを見る。

 

「お!それ俺の」

「あ、やっぱりね」

 

蛙の雑貨を選んだ瀬呂はアジアンテイストの肩かけを持った耳郎に言う。

 

「わあ!ダンベル!」

 

芦戸が選んだのはダンベル。用意したのはきっと切島だ。しかし…

 

「自分が買った奴じゃんか」

「………いらねぇ」

 

喜ぶ人もいれば自分が用意したものを選んでしまった上鳴や青山のブロマイドに落ち込む峰田もいる。爆豪は眼鏡だった。

 

「こ……これはどうするべきだろう。金庫か?」

 

 

金の延べ棒だった(用意したのは絶対八百万だ)飯田は保管方法に悩む。

 

「オールマイトだ!」

「ぼ、僕はお餅」

 

お茶子はオールマイトのマスコット。出久はお餅。お互いのプレゼントを交換したみたいなので2人も顔が赤い。

 

「あ!ケロちゃんだ!」

 

マホは女の子に大人気のファンシーキャラクター・ケロちゃんのぬいぐるみだ。

 

「あ!それ私が用意した奴だー!」

 

声を上げたのはプレゼントだろうマフラーを持った葉隠。確かに彼女の自室は可愛いぬいぐるみだらけだった。

 

「透ちゃんありがとー!」

「いえいえ!マホちゃんが用意したのなんだったの?」

「ん。私は忍者バッグ。男女兼用でカッコいいのだよ」

 

そう説明するマホ。すると「これか」と轟が見せる。

 

「大事に使う」

「ん!ありがと!」

 

こうして楽しいクリスマスパーティーは終わった。

 

 

 

 



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2度目のインターン
2度目のインターン


 

 

現在、ヒーロー科は2度目のインターンを行っている。前回は任意だったが今回は課題なので全員参加だ。そしてマホはというと当然チームアレッサのところでインターンをしている。ただし

 

♪~

 

 

『あーかーいーりんごーにー♪口びーるよーせーてー♫』

 

今は老人ホームへ慰問していた。

 

パチパチパチ

 

「いやーとても楽しかったよ!」

「昔よく聞いた曲だからついはしゃいじゃったわ」

 

相手が老人たちなので老人たちが好きな曲を演奏したマホ。マホのヴァイオリン演奏とチームアレッサの合唱が楽しかったのか老人たちも歌ってくれた。

 

「はい。飴ちゃんあげましょうね」

「ん!ありがとうございます」

「婆ちゃん、大事に食べるね!」

 

お礼としてマホとチームアレッサは飴玉を貰う。

 

***

 

帰り道

 

「喜んでもらえて良かったわねー」

「ん!お爺ちゃんたちが喜びそうなの選んでよかった!」

「頑張って練習したもんなー」

 

老人たちに喜んでもらえてマホはご機嫌だ。

 

「あ――!チームアレッサだ!!」

「見てマホちゃんがいる!」

「確かあの子のヒーロー名ってフランだっけ?」

「すみませーんサインくださーい!」

 

『はーい♪』

 

チームアレッサとマホは各自自分のファンにサインを書く。

 

「わ――!ありがとうございます!」

「ん!」

 

自分のファンに考えたサインを渡すマホ。そうしているとだ。

 

 

「敵だ―――――!!」

『!!』

 

敵が現れた。一般人の声にマホたちは真剣な表情になる。

 

「ジャン!」

「うむ!いでよ!ステファン!!」

 

マホが言うとジャンはステファンを呼び出す

 

「ステファンお願い!ヴァイオリン預かってて!」

「了解しました」

 

「よし全員行くぞ!!」

『了解!!』

 

フェンリルの言葉にマホたちは頷く。チームアレッサはすぐさま現場に向かった。

 

 

「まずい攻撃が効かねェ!!」

「対抗できるヒーローが来るまで牽制するぞ!!」

 

ヒーローたちが相手をしているのはドロドロのスライム敵だ。どんなに強力な個性を使っても効果がないのだ。

 

「来たぞお前ら!!」

「状況はどうですか?」

「チームアレッサ!」

 

対応していたヒーローたちはチームアレッサが来てくれたことに安心する。

 

「見ての通り相手は体はスライム状!打撃攻撃も全然効きません!」

「そうか…ならフラン!」

「ん!」

 

フェンリルに言われて前に出るマホ。

 

「あーいう敵の対応はわかってるな?」

「ん。大丈夫」

 

「なんだとぉ?嬢ちゃんよー。体育祭で調子に乗ってるんじゃねか?」

「乗ってない。だって私が勝つから」

 

そう言ってマホは手を出す

 

「『凍』!!」

「!?」

 

 

ガキン!!!

 

スライム敵はマホの魔法『凍』によって氷像になった。

 

「体がドロドロなら凍らせればいいの」

 

こうしてスライム敵は水槽に入れられ、逮捕された。



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運命の日

ブオオオオオオオ!!!

 

「キャ―――――!!」

「わ―――――!!」

「あ!バッグがぁ!!」

 

町中で響きわたる轟音と悲鳴。バイクに乗り、個性を使って暴れ回る敵が現れたのだ。

 

 

 

「ひゃっほう!楽しいねぇ!!」

「そうそう!!」

「個性あるのに使わせない法律最低!!」

「ストレス溜まるっつうの!!」

「個性を使えばバッグ奪えるし!」

「バイクで暴走!!個性使いまくり最高!!」

 

暴走と盗みを楽しむ敵たち。するとだ

 

 

「逃がさない!!」

 

連絡を聞き、マホが『翔』で追いかけてきた。

 

「逃げるよバーカ!」

 

「これ以上進ませない!!『(ループ)』!!」

 

マホは最近考えた魔法。空間を無限ループさせる『輪』を発動させようとする。しかしだ。

 

 

ドドドドドドドド

 

飛んできたのはたくさんの羽根。そのおかげで暴走行為をしていた敵は気絶した。

 

 

「あれ?俺がいなくても大丈夫だった?」

「え?」

 

敵たちを仕留めたのは常闇のインターン先であり、ちょっと前、オールマイト引退後のヒーロービルボードチャートJPでNo.2ヒーローに任命されたホークスだった(No.1ヒーローはエンデヴァー)。

 

「ホ、ホークス?え、じゃあ踏陰くんも?」

「あれ?ホークスこっちに来てたのか?」

「あ、フェンリルさんどうも」

 

ホークスはフェンリルに挨拶する。

 

「あいつは留守番!今日はフェンリルさん達に渡しておきたい物がありまして!」

「ん?」

「渡しておきたい物?」

 

ホークスの言葉にマホとフェンリルは疑問符を浮かべる。

 

「これです」

 

ホークスが見せたのは『異能解放戦線』というタイトルの本。まだ個性が"異能"と一般的に呼ばれていた時代に、自分と同じ解放主義者達をまとめ上げ異能解放軍を結成したデストロという敵の自伝だ。

 

「最近本屋で売っている奴か」

「店頭に並んであるよね」

「そうです!とりあえず事務所に帰ったら読んでみてください。特にマーカーが引いてあるとこ!2番のおすすめなんですから!あ、フランちゃんもどうぞ!ニュース見たよーヴァイオリン上手だった!」

 

そう言ってホークスは凄いスピードでマホとフェンリルに『異能解放戦線』を渡す。

 

「あー…じゃあ後で見るよ」

「ありがとうございます」

「それじゃ!」

 

そう言ってホークスは自分の個性”剛翼”で飛んで行った。

 

「………なんだったんだろうね」

「さあな。とりあえず読んでやるか」

 

『異能解放戦線』を受け取ったマホとフェンリルはホークスによって気絶した敵たちを警察に引き渡した。

 

 

3月…

 

 

学業とインターンを両立しながら数か月。そろそろ春休みが終る頃だった。

 

♪~

 

マホはメールを開く。

 

《魔法剣士ヒーロー・フランへ 3月〇日のインターンは遠征である。心してかかるように。フェンリルより》

 

今度のインターンが遠征だった。しかもA組全員、その日は遠征という。間違いなくエリちゃんの時の様に合同任務だ。

 

 

数日後…

 

「お前達にとてつもなく大事な話がある。」

 

教室で相澤に言われるA組。思わずゴクリと喉を鳴らす

 

「敵連合のアジトが判明した」

『えええええぇぇぇぇぇぇ!?』

 

思わず声を上げる。そんなA組に相澤は当然

 

 

ギロ

 

しーん

 

 

睨み付け静かにさせた。

 

「あるヒーローが潜入調査した結果分かった事だ。当然、俺たちヒーローはそれを逃すわけにいかない。そして当日、間違いなく戦闘になる。神野区・泥花市のように極力犠牲者を出したくない。なので一般市民の避難をお前達生徒とプロヒーローの相棒たちに任すことになった。」

 

『…………。』

 

真剣に聞くA組。さらに相澤は言う。

 

「明日その作戦会議をヒーローの下でやる。絶対その内容を忘れるな」

『はい!!』

 

A組はしっかりと応えた。

 

そして当日

 

エンデヴァーの相棒・バーニンが山を指さしながら説明する。

 

「あの麓のヒーローたちがいる!我々は後方で住民の避難誘導だ!」

 

とうとう作戦が決行されることになった。ヒーローが勝つか。敵が勝つか。

この場にいる全員はわからない。分かるのは神だけだ。

 

 

 



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