怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~ (特撮恐竜)
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バディゴー!(前編)

いよいよ、怪獣娘×ウルトラマンタイガ正式版が始まります。
クロスオーバーユニバースとは違い、前編、中編、後編の3部構成になります。

また、クロスオーバーユニバース版には無かった描写も付け加えました。

よろしければ、どうぞ。



ウルトラマン、それは宇宙の平和を守ってきた光の巨人の名前である。広い様々な宇宙の中で特に地球では様々な怪獣や宇宙人が現れ、地球人に脅威を与えてきた。彼らが現れた地球ではその脅威を退いてくれた英雄として知られている。

 

 

 

そんなウルトラマンが遠い宇宙の果てで、地球人が知ることがない戦いがあった。

 

赤い2本角のウルトラマンと青い1本角のウルトラマンと銀と赤と黒のカラーリングでOの字のカラータイマーのウルトラマンが光線を青い仮面の巨人に放つが、仮面の巨人は笑いながらそれをよける。

 

「フハハハハハハ、ハハハハハハ、ハーッハッハッハッハッハ!!」

 

またメカニカルなカラーの胸にXの字になったカラータイマーのウルトラマンと目つきの鋭く、両腕にヒレのようなものがあるウルトラマンも光線を放つもそれも笑いながらよけ、腕から光線を放つ。二人のウルトラマンはそれをよける。

その時、仮面の巨人は飛んだ先で黒が目立つ銀と赤の黒のカラーリングで額にV字のクリスタルと胸にV字のカラータイマーのウルトラマンと額、耳、胸部、両肩、両腕、両脚にクリスタルをつけた赤と銀のウルトラマンの拳で下にあった小惑星に叩き付けられた。

7人のウルトラマンが小惑星に着地し、叩きつけられた仮面の巨人にクリスタルが全身のあちこちについた赤と銀のウルトラマン『ギンガ』が言い放った。

 

「トレギア、もう諦めろ!お前の野望はここで終わりだ!」

 

7人のウルトラマンたちが『トレギア』と呼ばれた黒い仮面の青い巨人に向かってファイティングポーズを構える。しかし、トレギアは余裕そうに言い返す。

 

「そいつはどうかな、ウルトラマン達よ。では、ごゆっくり。」

 

トレギアは飛び立っていく。ウルトラマン達はそれを追おうとするが、小惑星のあちこちで赤い光が灯しはじめる。

 

「しまった!罠だ!」

 

トレギアは爆弾を小惑星に仕掛けていたのだ。ウルトラマン達は脱出しようとするも間に合わず、大爆発に巻き込まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああああっ、なんだ、また夢か・・。」

 

場所は変わってどこかの宇宙の地球で一人の少年が目を覚ました。

少年の名前は白鳥ヒロキ、先日、神戸から東京へ引っ越してきた少年だ。彼はこの1か月間、ウルトラマン達とトレギアと呼ばれる巨人が戦う夢を見ていた。最初の頃はウルトラマン達もおぼろげだったが、今日ははっきりと見えてきたのだ。

 

「どうしてウルトラマンが、それにあのトレギアってやつも・・・。」

「ヒロキーッ、朝ごはんよ。」

「今行くからちょっと待ってて。」

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは今日から通う高校に向かっていた。夢にでできたウルトラマン達の事を考えながら。

 

「昔、お爺ちゃんから聞いたウルトラマンはあんな感じじゃなかったよな。詳しいわけじゃないから分からないけど、どのウルトラマンも見たことないし。なんでこの1か月、あんな夢を見るんだろう。」

 

昔、この地球でも怪獣や宇宙人の脅威があった時代があった。怪獣と人間が戦った第一次大怪獣時代と呼ばれたその時代は宇宙からやってきたウルトラマンの助太刀により、人類側が勝利した。

ヒロキの祖父はかつて第一次大怪獣時代を生き、あるウルトラマンとよく出会っていたため、よくウルトラマンの話をしていた。

しかし、ヒロキの夢に出てきたウルトラマン達はそのどれとも一致しなかったため、不思議に思っていた。

夢のことを考えながら歩くと、一人の少女とぶつかった。

 

「うわっ?」

 

「きゃッ?」

 

ぶつかった少女は自分と同じ学校の制服を着た、黄土色の髪の外国人の少女だった。

 

「(やばい。大丈夫かな。)あの、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫デス。」

「よかったです。じゃあ、ここで。」

 

そう言って、ヒロキは立ち去ろうとするが、少女に呼び止められる。

少女はヒロキをまじまじと見つめる。

 

「ちょっと待ってくだサイ。どこかで会ったことありまセン?」

 

そう言われて、ヒロキは戸惑う。目の前の少女は本当に一度会ったら、そう忘れることはないくらいの美少女だからだだ。しかも外国人でなれば、忘れるとは思えない。

ヒロキは考えていると、小学校の頃、友達になった外国人の少女を思い出していた。

 

「そう言われても、僕の同い年の外国人の知り合いなんて、・・・あれ、もしかして・・・クララちゃん?」

「え、もしかしてとは思いまシタが、ヒロキ?」

「うん、僕だよ。小学校の頃、家が近所でクラスも6年間一緒だった白鳥ヒロキ。」

「やっぱりそうデシタか! 久しぶりデース、ヒロキ!」

 

少女の名前はクララ・ソーン。ヒロキの小学校時代、家が近所にあり、クラスも一緒だったアメリカ人の少女である。つまりは幼馴染である。

彼女は中学校時代に東京に行くことになり、今まで会っていなかったのである。

会えたのが、嬉しかったのかクララはヒロキに抱き着いた。

 

「(む、胸が・・・大きい胸が当たってる・・・・ってそうじゃなくて!!)ちょっ、ちょっと待って。恥ずかしいし、何より君のファンにばれたらやばいよ。」

「大丈夫デスよ。今は通学か通勤中デス。ワタシに気付く暇はないはずデスよ。」

「そう言う問題じゃなくて・・・って僕らも学校に向かっている途中でしょ。遅刻しちゃうよ。転校初日から遅刻なんてカッコ悪いよ。」

「そうデスねって・・・その制服、ワタシの学校に転校してきたんデスよね?じゃあ一緒に行きまショウ。」

 

今、二人は色々なことを話しながら学校に向かっていた。

お互いの中学校時代の話や、東京にきてからのクララの話で盛り上がっていた。

 

「写真集買ったよ。すごいね。かなり活躍してて。」

「本当デスか!嬉しいデース!」

「僕も父さんも母さんも中学校に上がる頃にクララちゃんが怪獣娘だったと知ったときは少し驚いただけじゃなく、心配もしたけどかなり活躍してるようだしね。」

 

怪獣娘、それはかつて地球にいたあるいはやってきた怪獣や宇宙人の魂を継いだ少女の事である。彼女たちは受け継いだ怪獣に近い姿に変身することができ、怪獣によっては凄い力を使えることもあるらしい。

怪獣娘は様々な分野で活躍して、TVで見ることも多く、怪獣娘の格闘大会『大怪獣ファイト』は誰もが知っている。クララも怪獣娘の一人であり、現在ではモデルとして活動している。

 

「おじさまとおばさまは元気デスか?」

「元気にやってるよ。父さんは今でも宇宙開発に専念してる。お爺ちゃんの遺言をウルトラマンに伝えるんだって張り切っているよ。」

「元気そうで何よりデス。今度、会いに行ってもいいデスか?」

「いいよ。」

 

会話をしている間に学校に着いたようだ。ヒロキとクララは一旦分かれる事になった。

 

「じゃあ僕、校長室に行くから。」

「分かりまシタ。また、後デ。」

 

 

 

 

「白鳥は今日から俺のクラスになるな。神戸から転校してきて、緊張すると思うがクラスの皆、いいやつだから大丈夫だ。すぐに馴染むさ。」

「分かりました。」

 

そんな会話をしながら、ヒロキは担任である新垣と会話をしていた。

教室に着き、先に新垣が入る。

 

「えー。皆、今日、うちのクラスに転校生が来た。仲良くしてやってくれ。」

「転校生!?」

「どんなやつだろ。」

「皆静かにしろ。入ってきていいぞ。」

 

ざわつくクラスの生徒を嗜め、新垣はヒロキに声を掛ける。

教室に入ってきたヒロキは黒板に名前を書き、自己紹介を始めた。

 

「今日からこのクラスに入る事になりました。白鳥ヒロキです。よろしくお願いします。」

「ヒロキ!?ヒロキじゅないデスカ!!一緒のクラスだったんデスネ!!」

 

クラスには幼馴染のクララがいて、ヒロキを呼んだ。

 

「えっ、クララちゃん?えっ、僕クララちゃんと同じクラスなの?」

「どうやらそのようデスネ!同じ学校に通えるだけじゃなく、クラスも一緒なんて嬉しいデス!」

「おっ、おい、どういう事だ!?」

「モデルのソーンさんと親しそうに見えるぞっ!!どういう関係だ!!」

 

ヒロキとクララの会話を聞いて、クラスが(特に男子)がざわつき始める。

新垣はさりげなく話しかける。

 

「なんだ、白鳥はソーンと知り合いなのか。」

「ハイ、ワタシの幼馴染デス。今日、偶然再会したんデス!」

『何ぃぃぃぃい!!』

『外人のロングヘアーでモデルの怪獣娘の理系美少女が幼馴染だとぉおお!!』

『許せん、許せんぞー!!』

(クラスの男子全員からの怒声が煩いんだけど。)

 

クラスの男子がヒロキに嫉妬の炎を燃え上がらせる中、新垣は何喰わぬ顔で言う。

 

「そうか、だったら、お前が校舎を案内してやってくれ。顔馴染みなら、変に緊張しないだろうからな。」

「ハイ!」

「えー、というわけで、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

時間はお昼休み、昼食を取った後、ヒロキはクララに学校を案内してもらう。

ただ、ヒロキは周りからの視線が気になった。全員が妬みや嫉妬、怨念がこもった目だったからだ。

 

「ここが音楽室デスヨ。ってヒロキ聞いてマス?」

「えっ、ああ、聞いてるよ。ちょっと周りの視線が気になっただけ。」

「それならいいのデスガ・・・。」

 

怪獣娘として、モデルをしている彼女は学校内でも一番の有名人だ。容姿もスタイルも抜群な笑顔が明るい性格のクララは男子女子問わず、一番の人気者である。それ故、今日来たばかりの転校生が親しい事を妬まずにはいられなかった。

 

「うわ~、ズルい転校生だぜ、幼馴染ってだけで・・・。」

「なんで、あんな人がクララお姉様の・・・。」

「私達、女子でさえあまり親しい人はいないのに・・・。」

 

そんな中、ヒロキとクララは屋上に辿り着く。

クララは浮かなそうな表情を浮かべるヒロキに話しかける。

 

「ここからの眺めは最高デスヨ!!」

「そうだね・・・。」

「ヒロキ?」

「ああ、御免。皆からの視線が痛くてさ。」

「Don't warry。皆、ヒロキの事を知らないからデス。ヒロキも皆と一緒に時間を過ごせば、仲良くなれマスヨ!」

「そうか、そうだよね!!僕、頑張るよ!!」

「その意気デス!」

 

丁度、チャイムが鳴った。ヒロキとクララは教室に戻ろうとする。

そこでクララはヒロキにあるものを手渡した。

 

「チャイムが鳴ったよ。戻った方がいいよね?」

「そうデスネ、戻りまショウ。それとヒロキ、これを。」

 

クララが渡したのはクララの変身後の姿が写ったチケットだった。

 

「今日の午後4時30分に日比谷公園でGIRLSのイベントがありマス。今日の午後、空いてたら「行くよ。」本当デスか!」

「幼馴染の活躍を生で見たいし、予定もないからいいよ。」

「ありがとうございマス!ヒロキ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になって、ヒロキは学校から抜け出せない状況に追い込まれていた。

彼女からGIRLSのチケットを貰った事がどこからともなく漏れ出し、クララのファンに追いかけ回されていたからだ。

クララは準備のために先に行ってしまったため、一緒に行く事は出来ず、学校中の彼女のファンの標的になってしまった。

 

「あーっ、どうしよう!!このままだと「ねえ、君こっちこっち!!」

 

途方に暮れているヒロキを1人の少女が声を掛ける。

ヒロキは彼女の方を振り向き、警戒するも、彼女は誤解だと言う。

 

「大丈夫!!君をあいつらに売り渡したりしないよ!信じて!」

「・・・分かった。どうすればいい。」

 

ヒロキは迷うも、今は藁にも縋りたかったので、彼女に着いていく事にした。

 

「靴を持ってコンピューター室に来て!」

「分かった!!コンピューター室だね!」

 

ヒロキは下駄箱から靴を回収し、コンピューター室に向かった。既にさっきの少女がいて、匿う準備をしてくれていた。

 

「こっちに隠れて!」

 

ヒロキはパソコンが並ぶ机の下に隠れた。やがて、足音が多く聞こえてくる。

 

「あの転校生を探せーーーっ!!」

 

男子達がヒロキを探して走るも、コンピューター室を素通りしていく。

ヒロキは少女にお礼を言った。

 

「ありがとう、助かったよ。」

「どういたしまして。」

「でも、どうして助けてくれたの?」

 

ヒロキの疑問に少女が答える。

 

「あたし、クララとは中学校からの同級生なんだ。あたしさ、わけあって、友達がいなかったんだ。クララも怪獣娘でモデルやっててさ、素のクララ・ソーンとして見てくれてる友達はあんまりいなかった。」

「けどそんなあたし達が授業で、2人組作らなきゃいけない授業でクララと組んだんだけど、その時に、趣味であるコンピューター関係について熱く語り合った。それがあたしとクララの友情の始まりかな?」

「そうだったんだ、でも、僕を助けた事と何の関係が?」

「今までのクラスメイトはクララの事をモデルのクララ・ソーンか怪獣娘のキングジョーとしか思っていない。だから、嬉しかったんだ。モデルのクララ・ソーンとしてでも、怪獣娘のキングジョーとしてでもなく、素のクララ・ソーンを見てくれる男の子の友達がいることが。」

「だから、そんな君があいつらに振り回されるのを見たくないって思ってさ。君の事はクララから聞いていたから、いつかは会う事になると思ってたから。」

 

少女は説明を終えると笑顔を受かべながら、手を差し伸べた。

 

「話が長くなって御免ね。あたし、旭川ピリカ。」

「僕は白鳥ヒロキ、これからよろしくね、旭川さん。」

「ピリカでいいよ。あたしもヒロくんって呼ぶから。」

「よろしくね、ピリカさん。」

 

2人は自己紹介を追えると、これからどうやって学校を出るか話していた。

 

「このコンピューター室を出て、右に曲がるとあまり人が出入りしない階段と裏口があるの。今は遠くにいると思うから、脱出するなら今だと思う。上履きはあたしがこっそり戻しておくから、心配しないで。」

「分かった。ありがとう、ピリカさん。」

 

ヒロキは、靴とカバンを持って、ピリカに見送られながら、コンピューター室を出る。

彼女の言葉通りヒロキは学校から脱出する事が出来た。

 

 

 

 

 

 

午後4時15分頃、

 

「やばい、間に合うかな?」

 

ヒロキは会場である日比谷公園に向かっていた。ヒロキは走れば間に合うと思い、走り出した。

走って5分位たったとき、ヒロキは一人の青年にぶつかってしまった。

 

「あっ、す、すいません。」

「結構さ、少年。」

 

その男は片手に風船を持っており、半分が白、半分が黒のブラウスを着ており、まるでピエロを思わせる青年だった。

 

「何かあるのかい?何やら急いで走っていたようだが。」

「今日、久しぶりに怪獣娘になった幼馴染に再開してこの先にある日比谷公園で怪獣娘のイベントがあって・・・・・。」

「へぇ、怪獣娘の・・。」

「今日、久しぶりに会った幼馴染が怪獣娘で、彼女に誘われて、丁度僕も怪獣娘になった彼女の活躍を生で見たくて・・・・・。」

「だったら、行くといい。今日という日は君にとって忘れられない日になるだろうからね。」

「はい、それじゃ。」

 

ヒロキは走っていった。

その男は走るヒロキの後ろ姿を見て呟いた。

 

「今日は君にとっても、怪獣娘にとっても本当に忘れられない記念すべき日になるよ。楽しみにしててくれ。」

 

ヒロキだけじゃない、大半の人が気づかなかった。この男がこれから、怪獣娘の世界にとてつもなく大きな脅威を齎そうとしている事を・・・。




次回は怪獣が登場です。

感想もお待ちしております。


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バディゴー!(中編)

作業用BGMとしてZERO to INFINITYと RESTARTを聞いております。

ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀におけるタイガ達の活躍が待ち遠しいです。

最凶獣『ヘルベロス』登場


日比谷公園ではGIRLSの怪獣娘と職員がイベントに向けて準備していた。GIRLSとは、国際怪獣救助指導組織と呼ばれる怪獣娘のための組織である。主な活動内容は怪獣娘の保護やカウンセリング、怪獣娘の研究、怪獣娘が生活できるよう支援する組織である。

他にも、未知なる脅威から人類を守る防衛組織としても活動している。

 

「あーっ、緊張するよーっ!!」

 

そう叫んだのはウエスタンを思わせるビキニのような獣殻に頭に4本の角があるカプセル怪獣の怪獣娘である『ミクラス』である。

 

「大丈夫だよ、お前なら。」

 

ミクラスを励ましたのは鍛え抜かれた太い手足と黄色の獣殻に覆われており、下半身はフリルのような飾りと尻尾の先にはリボンと可愛らしさを詰め込んだどくろ怪獣の怪獣娘『レッドキング』である。

 

「そうですよ、あたしたちだって無事ライブ出来たんすよ!」

「ミクちゃんなら絶対成功させられるよ!」

 

セーラー服にスク水のような獣殻を身に覆われ、背中に翼が生えただだっこ怪獣の怪獣娘『ザンドリアス』と頭に三日月のような角と尻尾を身に付けスク水のような獣殻に覆われた古代怪獣の怪獣娘『ゴモラ』がミクラスを励ます。

 

「そろそろ本番デース。」

「みんな、準備はいい?」

 

暗い茶色の腰まで届く髪に金色の獣殻をまとった宇宙ロボット『キングジョー』の怪獣娘に変身したクララが開始することを伝えにきた。

白と水色の獣殻に水色の髪の分身宇宙人の怪獣娘『ガッツ星人』が皆の様子を聞く。

 

「あたしは大丈夫です。いつでもギターを弾けますんで。」

 

パンクファッションを思わせる獣殻に大きな耳とギターを持った騒音怪獣の怪獣娘『ノイズラー』が答える。

 

「おジョー、何かいつにも増して張り切ってない?」

「ハイ!今日はワタシの幼馴染が来てくれてマス!折角来てくれたのデスから彼にも楽しんでもらいたいデース!!」

「へ~、キングジョーさんの幼馴染が・・・。」

「だから、尚更張り切ってたんだね。」

「ようし、行くぜ!お前ら!」

 

レッドキングがそう言うと皆が日比谷公園に設置された会場に向かっていた。

今日のイベントを成功させるために。

しかし、彼女はこの時は気付いていなかった。

今日という日が最悪な意味で忘れられない日になることに。

 

 

 

 

 

 

「よし、間に合った。」

『本当に来てよかったのか、さっきの男は嫌な感じがしたぜ。』

「またこの声か、いいんだよ。今日は幼馴染の晴れ舞台を生で初めて見れる日だし、約束したからな。」

 

ヒロキは頭の中から聞こえる変な声に対してそう答えた。実は1か月前からヒロキは頭の中から突然声が聞こえてくることがあった。

最初こそ、戸惑いもあったが、今では慣れてしまっている。最初は曖昧に聞こえたものの、ここ1週間ははっきり聞こえるようになった。

先ほどの青年に会った後、その声に、今日のイベントに来ることを反対されていたのだ。

 

「友達との約束を守るのは当然だろ。」

『そうか・・・。』

「みんなーっっっ、今日は来てくれてありがとーーーっ!!!」

 

ゴモラが会場に現れ、イベントに来た観客にお礼を言った。

その後からレッドキングが決めポーズをきめ、ガッツ星人とキングジョーが手を振った。

 

「クララちゃん・・」

 

ヒロキと怪獣娘に変身したクララの目が合った。キングジョーはヒロキにウインクした。

その瞬間、会場が歓喜に溢れた。 

 

「す、凄い・・・。」

 

幼馴染の影響がここまですごいとは思っていなかったヒロキは思わず、呟いた。

 

「早速、今日を盛り上げるために大怪獣ファイトエキシビジョンマッチを開催するよ-!」

 

ゴモラが宣言するとどこからともなく会場に設置されたリングに光が灯る。そこにレッドキングとミクラスが向かい合わせになっていた。

司会席にはガッツ星人とキングジョーが座り、開催を宣言する。

「さて、さてさてさて、大怪獣ファイトエキシビジョンを始めるよ!司会は私ガッツ星人が!」

「解説は私、ゴモラが務めるよ!」

「まずは選手紹介!赤コーナーは大怪獣ファイト初代チャンピオンレッドキング、青コーナーはデビューしたばかりの新人ファイターミクラス!」

「3分間の試合になるよ。それでは2人とも準備はいい?」

「「OK!!」」

「それでは大怪獣ファイト、レディーーーゴーーーッ!!」

 

ゴングが鳴り、試合が始まる。レッドキングはミクラスに先攻を譲った。

 

「来な!ミクラス!」

「勿論!!どりゃあああああ!!」

「先攻はミクラス!飛び上がりました!!」

 

ミクラスは飛び上がり、その拳をレッドキング目掛けて、降下する。レッドキングは右腕でその一撃を受け止めた。

ミクラスは受け止められたと知るとレッドキングから距離を離す。

 

「高いところから勢いを付けたパンチを放って、先攻を取るつもりだったんだね!でも甘いよ、ミクちゃん!」

「いいパンチだぜ、ミクラス!!」

「あざっす!ずっと鍛えてましたから!!」

 

ミクラスは飛び上がり、飛び蹴りを放つ。レッドキングはまたも右腕で受け止める。

しかし、ミクラスはレッドキングの右腕を軸にして、回し蹴りを放つ。

レッドキングも流石にこれは受け止められず、まともに蹴りを食らう。

 

「おおっと、レッドに回し蹴りが命中したーーー!これは大きいぞ!!」

「いいぜ、ミクラス!!強くなったじゃねえか!けどな!」

 

レッドキングはすぐに立ち上がり、ミクラスに拳を放った。ミクラスはなんとか避けるも、リングを利用して、反動でドロップキックを放つ。

 

「俺だって、まだまだ負けられねえんだよ、再びチャンピオンに帰り咲くまではな!!」

「うわあっ⁉︎」

「負けじとレッドのドロップキックが命中!!これは大きなダメージの筈!!」

 

ミクラスはレッドキングのドロップキックをまともに受けてしまう。しかし、ミクラスは体を立ち上がらせ、レッドキングに向き合う。

彼女は怪獣娘になる前から大怪獣ファイトを見ており、レッドキングの大ファンでもある。今回のイベントで正式な試合ではないエキシビジョンマッチとはいえ、レッドキング相手に戦える事が誰より嬉しかった。見習い時代から気にかけてくれたレッドキングに自分の成長と全力をみせたいという思いが彼女を立ち上がらせたのだ。

 

「先輩、あたしはまだまだです!まだまだやれますよ!」

「上等じゃねえか!時間もねえ!次で決めるぜ!」

 

レッドキングは右腕に力を溜める。ミクラスも同じく右腕に力を溜め出した。残り30秒になったところで、2人は走り出す。

 

「うおりゃあああああああああ!!」

「どおりゃあああああああああ!!」

「この一撃にレッドちゃんもミクちゃんも賭けたみたいだね!!」

 

お互いの拳がぶつかり合う。その衝撃は凄まじく、客席のヒロキにまで届いた。

 

「す、凄い。どっちが勝ったんだ・・・。」

 

ミクラスとレッドキングはお互いの放ったパンチで激しくぶつかり合う。やがて、2人の体はお互い後ろに吹っ飛ぶ。2人とも地面について、試合終了のホイッスルが鳴った。

 

「そこまで!!この勝負、決着つかず!それでも、お互い全力を出したいい試合だったと思います!会場を盛り上げてくれた2人の大怪獣ファイターに拍手を!!」

 

ガッツのその声と同時に客席から2人を称賛する拍手が起こる。

レッドキングとミクラスはお礼を言いながら手を客席に振る。

 

「みんなーっ、ありがとな!!」

「これからも大怪獣ファイトをよろしくーーーっ!!」

「続いて、ザンドリアスとノイズラーの生ライブをお届けするよーっ!!」

 

ガッツ星人の言葉と同時にライブステージにはマイクを構えたザンドリアスとギターを構えたノイズラーが準備万端な状態で構えていた。

 

「みんなーっ、アタシ達の曲を聞けーーーっ!!」

「いくよ、準備はいいーっ!?」

 

観客から歓声の声が挙がる。観客の様子に満足した2人はライブを始める。

 

「それじゃあ、行くよ!!曲は『Forgive me, kay?』!!」

 

2人のライブは観客を湧かせるいいライブだった。ギターの音にザンドリアスの歌声がマッチして、ヒロキも盛り上がっていた。

 

「いいぞー!!」

「「イエーイ!!」

 

『Forgive me, kay?』の後も彼女達は『Ultra Spiral』、『ヒトツボシ』、『Sign』、『ドラマティック』、『ZERO to INFINITY』に 『RESTART』の7曲を歌った。

どの曲も観客を盛り上がらせたところで、一旦休憩に入る。休憩に入ったので、ジュースを買おうと思ったヒロキの所に1人の怪獣娘が来た。襟巻と角がついたパーカーのような獣殻をつけたカプセル怪獣『アギラ』だ。

 

「白鳥ヒロキさん・・・?」

「そうだけど?君は怪獣娘だよね?何か?」

「キングジョーさんが呼んでるから、一緒に来て。」

 

そう言われて、彼女に着いていくヒロキ。

彼女に案内されて、舞台裏らしきテントに入るとさっきまでステージに立っていた怪獣娘達がいた。

勿論、怪獣娘に変身した幼馴染もいた。

 

「アギラちゃん、ヒロキを連れてきてくれてありがとうございマス!」

「クララちゃん!?どうして僕をここに!?」

「皆にヒロキの事を紹介したかったんデス。ヒロキ、生で見る怪獣娘のイベントはいかがデシタ?」

「凄く盛り上がったよ。ありがとう、誘ってくれて。」

「ワタシも誘った甲斐がありマシタ。皆さんに紹介シマス!ワタシの幼馴染、白鳥ヒロキデス!」

「は、初めまして、白鳥ヒロキです。」

「よろしくな!」

 

ヒロキは怪獣娘に自己紹介する。怪獣娘達も、ヒロキに自己紹介する。

 

「キングジョーさんに男の子の幼馴染がいたなんて、ちょっと羨ましいです。だって、気心の知れない幼馴染との恋とか憧れるじゃないですか!!」

「僕とクララちゃんはそういう関係じゃないよ!それに、そういうのって漫画とかアニメの話でしょ。現実では中々無いと思うけど。」

「そんな事無いと思いますよ。アタシのクラスメイトにも幼馴染で両想いなのに、喧嘩ばかりのやついますから。」

「まあ、おジョーとは久しぶりに会ったみたいだし、そういう事も無さそうだけどね。」

 

ヒロキがザンドリアスとノイズラーと話をしているところにガッツ星人が割り込む。彼女はキングジョーの胸を指差し、ヒロキと会話する。

 

「ねえ、ヒロは久しぶりに会った幼馴染のアレをどう思っているの?」

「ブッ!!」

 

ガッツ星人の質問にヒロキは思わずキングジョーから貰ったジュースを噴き出しかけそうになる。

ヒロキは大きな声でガッツ星人に言い返す。

 

「あのさ、いきなり同年代の異性にそんな事聞く!?」

「でもさ、ぶっちゃけ気になるでしょ。男の子なら尚更。」

(つーか胸の大きさなら君も変わらないんじゃ・・・)

 

視線がガッツ星人の胸に目がいきかけながら、ヒロキは思う。

キングジョーが黒いオーラを出しながら、ヒロキに笑いかけていた。

 

「ヒロキ~ッ!」

「待って、誤解だよ!決してやましい事は思ってない!本当だから!!」

「本当デスカ~?ガッツにデレデレしてるように見えましたガ~?」

「本当だから!!」

「あの・・・そろそろ、休憩時間は終わりです。キングジョーさん、準備してください。」

「オー、そろそろデスカ~。では準備がありますから、行きマスネ。ヒロキ、後で聞かせてくだサイネ。」

「う、うん・・・。」

 

ヒロキはキングジョーの言葉に引き攣った笑みを返して、会場に戻っていった。

そんなヒロキをゴモラは慰めていた。

 

「まあ、色々ある事はあるから。あんまり引きずっちゃ駄目だよ。」

「ゴモラさん。」

「ゴモたんでいいよ。」

 

 

 

そして、メインイベントであるキングジョーとの握手会が始まった。ヒロキのだいぶ前に並んでいた黒いスーツの男性がキングジョーさんとの握手でテンションが高くなっていた。

 

「いつも応援ありがとうございマス。」

「今日もキラッキラですね!最高の気分です!」

 

黒いスーツの男性の番が終わって、しばらくしてからヒロキの番がいよいよ回ってきた。

キングジョーはヒロキを見た。彼女は笑顔だったが目は一切も笑っていなかった。まるで逃がさないといわんばかりに。

 

「いよいよか・・・。早く終わらせて、誤解だと説明しよう・・・。」

 

ヒロキは覚悟を決めた時、晴天だった空に黒い渦のような雲が発生した。

 

「何だ、あれ。」

 

怪獣娘達も黒い雲を気にしていて、有事に備えていた。彼女達は、ある人類の脅威とも戦っているため、警戒態勢に入っていた。

 

 

 

 

 

 

その頃銀座の高いビルから日比谷公園をみている男がいた。

それは先程ヒロキとぶつかった白と黒のブラウスを着た男だ。

 

「いい盛り上がりだ、怪獣娘の皆。では私からも贈り物を。」

「・・・・・・・・ヘルべロス・・・・・・。」

 

男が風船を手放すと同時に呟いた瞬間、雲から赤い光弾が降ってきた。それらは銀座の町に降り注ぎ、建物を破壊する。

 

「何だ、何が起こっているんだ!?」

誰かがそう言った瞬間、雲から何かが落ちてきた。

それは腹と背中の部分が赤いカラーで目立ち、全身のあちこちに刃物のような突起が生えた60mはある怪獣としか言えない生物だった。

怪獣の名は最凶獣『ヘルベロス』、宇宙に名を馳せる凶悪な怪獣だ。

地球から絶滅したはずの怪獣が再び地球に現れた。

その時、人々は思い出した。怪獣の恐怖とその脅威的な力を。




後、どれくらい投稿できるか分かりません。

最低でもクロスオーバーユニバースの方の怪獣娘×Zの1話の後編は更新したいです。


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バディゴー!(後編)

怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースをご覧になった方はもうとっくに知ってると思いますが。オーブのサブタイトルを探せを入れています。
タイガだけでなく、Zや来年のウルトラマンとのクロスオーバーでも取り入れていきます。

サブタイトルが分かった方は感想の方に書き込んで欲しいです。

それではどうぞ。


「嘘だろ・・・、あれって。」

『グオオオオオォォォォォッ!!!!!』

「ほ、本物の怪獣だーーーーーーーっ!」

「逃げろーーーー!!」

「皆さん、落ち着いてください!」

「係員がいますから、彼女達の指示に従って避難してください!!」

 

 町に現れた本物の怪獣に怯え、逃げ惑う人たち。

日比谷公園に来ていた人々をGIRLSの制服を着た職員とアギラと眼鏡を掛けた銀色のメカニカルな獣殻に覆われたカプセル怪獣の怪獣娘『ウインダム』が誘導する。

そこにミクラスが合流した。

 

「アギちゃん!!ウインちゃん!!」

「ミクちゃん!ボク達と合流して大丈夫!?」

「うん、あっちは先輩達が対応してる!あれってどう見ても・・・・、本物の怪獣だよね?」

「そうだと思う。あんなに大きいし、口から火球を吐いてるし電撃を角から出してるし。」

「あれが本物の怪獣・・・。初めて見ました。」

 

3人は口から火球を吐きながら、銀座の町を破壊する怪獣『ヘルべロス』に視線を向ける。

怪獣娘にとって怪獣はGIRLSの記録映像でしか見たことがなく、直接見るのは初めてである。

そんな3人の『ソウルライザー』怪獣娘の変身を安定させ、暴走を防ぎ、携帯としても使えるデバイスに通信が入った。

 

 

 

 

場所は変わって、GIRLS東京本部司令室にて左右に分かれた赤く長い髪の風船をつけた友好珍獣の怪獣娘『ピグモン』が3人に通信をしていた。

 

「無事ですか!?アギアギ、ミクミク、ウインウイン!!」

『3人とも無事です!それよりもピグモンさん、』

「本物の怪獣が現れたことは把握しています!現場はどうなっていますか!?」

『怪獣が吐いた火球で多くの建物が破壊されました!今日のイベントに来た人たちは無事です。でも、どうして本物の『待ってください、怪獣の背中が赤く光ってます!』、みんなーっっ!!!!』

『レッド達に何かあったんですか!!?」

『怪獣に立ち向かって、ごめんなさい、みんなを助けないと!!』

「アギアギ!?・・・アギアギ!?・・・・・アギアギーーーッ!?」

「みんなに何があったの!?」

 

黒が混じるピンクの長い髪とアンテナのような角と長い尻尾がつき、白と黒の獣殻に覆われた宇宙怪獣の怪獣娘『エレキング』がピグモンに聞く。

 

「レッドたちが怪獣に向かっていって、・・・かなり最悪な状況になっています。」

「マガバッサーとマガジャッパを連れて、私も向かうわ。」

「お願いします。エレエレ。」

 

そう言って、エレキングは指令室を出ていった後で、ピグモンは呟いた。

 

「どうして、今になって本物の怪獣が・・・。ダメダメ、ピグモンがしっかりしないと・・・、皆さんどうかご無事で・・。」

 

時間を遡って、日比谷公園ではヒロキがヘルべロスに視線を向けて立ち続けていた。

 

「あれが本物の怪獣・・・。嘘だろ。あんなにデカいのか。」

「・・・ちょっとヒロキ。」

「でも、どうして、怪獣はもうとっくの昔に。」

「ヒロキッ!!」

「クララちゃん、何!?」

「何じゃないデス!!早く避難してくだサイ!!他の客はもう避難しまシタよ!!」

「えっ・・?あっ・・。」

 

ヒロキはキングジョーの声で周りを振り返ると、すでに会場にいたレッドキング、ゴモラ、ガッツ星人、そしてキングジョーしかいないことに気付いた。

他の客に加え、ミクラスとザンドリアスとノイズラーも会場の警備をしていたアギラ達もいなかった。

 

「ごっ、ごめん。」

「怪獣が気になるのは分かるけどよ、自分の命は大切にしなきゃ駄目だぜ。」

「怪獣は私たちに任せて、君は避難所に行って。」

「折角、会えたのにこんなところで永遠の別れは嫌デスよ。」

「分かった・・・って皆さんは・・?」

「決まってんじゃん。あの怪獣と戦う。」

「マジですか!?」

 

ヒロキは驚いた。彼女達には戦わなければならない人類の敵がいることがヒロキもニュースを見ていたため知っていた。

しかし、今回はその人類の敵よりも更に脅威的である。いくら彼女達が怪獣の力を持っているからって戦えるような相手ではと思った。

 

「本気デス。戦わなければ、大勢の命が危ないデスから。」

「相手は本物の怪獣だ!!クララちゃんにいくら強力な怪獣の力があるからって・・・相手が悪いって!!」

「大丈夫デス!ワタシを信じてくだサイ!!」

 

他の3人もヒロキに声をかける。

 

「キングジョーなら大丈夫だ。怪獣娘だからな。」

「君はおジョーの幼馴染なんでしょ?だったら幼馴染の君が信じてあげなきゃ。」

「ワタシたちは頑丈だから心配しないで。おーい、ザンちゃん、ノイちゃん!!」

 

他の客の避難誘導をしていたザンドリアスとノイズラーがやって来た。

 

「先輩達!」

「ちょうど良かったデス。ワタシの幼馴染をよろしくお願いシマス。」

「了解です!行きましょう!ヒロキさん!」

「ザンドリアスちゃん、ノイズラーちゃん、ヒロキをお願いシマス。」

「ハイ!!」

 

彼女達は怪獣に向かっていった。ヒロキと二人の怪獣娘はそれを見送っていた。

 

「ほら、早く行きますよ!!」

「ししょー達は大丈夫ですよ、それにあなたの幼馴染は強いです!無事だと信じましょう。」

「・・・そうだよな・・・。僕が信じなくてどうする・・・。」

 

呟いてヒロキは避難所に向かっていた。

 

 

 

 

「まずは、その口を封じないとね。」

 

ガッツ星人が分身して、ヘルべロスの頭に光線を放つ。その光線は対象を捕縛できる拘束光線だ。

火球を吐かせないために口を封じる作戦に出た。

続いてキングジョーの腰の一部のパーツが分離して、光線を放つ。

 

「オラァッ!!!」

 

レッドキングがヘルべロスの頭に拳を叩きつける。

ゴモラは尻尾を叩きつけヘルべロスを攻撃する。

しかし、

 

『グオオォォォッッ!!!」

 

ガッツの拘束光線はいともたやすく破られる。

 

「私の光線が効かないなんて。」

「この間のガタノゾーアの怪獣娘と同じくらい、いや、それ以上だぞ・・・・・これは。」

 

ヘルべロスは自分に向かってきた小さき者たちをまとめて始末しようと考えた。その背中を発光させ、背中の刃状の背びれから無数の光弾が発射された。

最初に銀座に降り注いだ光弾の雨と同じものが彼女達に襲いかかった。

 

「「「「なっ!!?」」」」」

 

流石にこれは避けられない。そう感じた彼女達はせめてと腕で頭を守った。

しかし、光弾の雨は彼女に降り注がなかった。

彼女達の頭上を透明なバリアが守っていたからだ。

 

「ゼットン・・・・・・。」

 

黒い獣殻に覆われ、額に黄色い水晶がついた宇宙恐竜の怪獣娘『ゼットン』が張ったバリアに守られていたからだ。

 

「すまねぇ、助かった。」

「・・・遅くなってごめんなさい・・・。」

「大丈夫・・・、とは言えないな。これはかなりやばいよ・・・・。」

 

ガッツがそう言って、目の前の口から火球を吐き、背中から光弾の雨を降らせながら暴れる怪獣を見る。

 

『グオオオォォォッ!!!!!』

 

 

 

 

ヒロキは避難所で怪獣と怪獣娘の戦いの様子を見ていた。遠くから見ても不利な状況だと分かった。

 

「クララちゃん・・・・・・。」

 

怪獣に立ち向かっていった幼馴染を考えたとき、

 

「健一ーーっ!?どこーーーーっ!?」

 

自分の母より10くらい下の女性が叫んでいるのを聞いた。周りの人たちが声を掛ける。

 

「どうしました?」

「小学生の息子がいないんです!!」

「何だって!!」

 

その会話を聞いた瞬間、ヒロキはその会話に割って入った。

 

「僕が探しに行きます!その子の特徴を教えてください!」

「君、本気か、怪獣が暴れているんだぞ!?」

「だからって、このままにしていいわけないじゃないないですか!!お子さんの特徴を、早く!!」

「えっ、オレンジのパーカーにリュックサックを背負っていて、リュックにはレッドキングのキーホルダーをつけています。名前は健一です。リュックに名札があるからすぐに分かるはずです。」

「分かりました。探してきます。」

 

ヒロキは外に飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

「こいつを食らいやがれ!!!」

 

レッドキングが怪獣に破壊されたビルの一部を頭に叩きつける。彼女達は傷だらけだった。

口からの火球と角からの電撃は避けやすいが、背中の突起から放つ光弾は雨のように降り注ぐ。

直撃を避けても、まわりに着弾した衝撃波や爆風に巻き込まれてしまうからだ。

それらが怪獣娘に確実にダメージを与えていた。

 

『グオオオオオォォォォォッ!!!!!』

「ダメだっ!!全然効かない!!」

「一体、どうすれば・・・・・・。」

「せんぱーーいっ!!!」

 

後ろを振り返るとアギラ、ミクラス、ウインダムが走ってきた。

 

「アギ、どうして・・・!?」

「仲間を放っておけないよ。」

「後はアタシ達が、おりゃあーーーーー!!」

 

ミクラスがヘルべロスに拳を叩きつけるが、微動だにしない。

 

「全然効きません!!」

 

ウインダムが額からのレーザーで攻撃するが、ヘルべロスは物ともしない。

 

「・・・・・なら私が・・・・。」

『グオオォォォッ!!!!!』

 

ゼットンが放つ火球でようやくダメージが与えられた。

今がチャンスだとアギラはピグモンに怪獣の攻略法を聞く。

 

「ピグモンさん、アギラです。ガッツ達は無事です。」

『本当ですか!?良かったです!?」

「あの怪獣はどうやったら倒せますか?GIRLSの記録なら怪獣の弱点もあるはずです!」

『・・・・・アギアギ、今銀座に現れた怪獣は今までに出現報告がない新種の怪獣です。だから、弱点も全く分かりません。』

「えっ・・・、それじゃあどうすれば・・・。」

 

 

 

 

アギラが怪獣をどうすれば止められるか考えていたその頃、ヒロキは逃げ遅れた子供を探していた。

 

「おーーーーーい、健一くーーーーん!!!駄目だ、聞こえないのかな・・・。」

 

有楽町の方に顔を向けたとき、地面に落ちたリュックを見つけた。リュックにはレッドキングのキーホルダーと「健一」と名前が書いてある名札があった。

 

「これ、リュックだよね?ってことは近くにいるかもしれない。」

 

建物の近くまできた時、「助けて」と叫ぶ声が聞こえた。

ヒロキは声のする方向に向かって走り出した。

 

「大丈夫かい!?」

「お兄ちゃんは・・・!?」

「君のお母さんに頼まれて君を探しに来たんだ。僕と一緒にお母さんの元へ帰ろう。」

「待って、まだ怪我した猫が取り残されているんだ!!」

「えっ!?」

 

健一を見つけたヒロキが少年の指さす方向に目を向ける。

すると怪獣に破壊され落ちてきた瓦礫の隙間に猫が閉じ込められていた。瓦礫に挟まれているのか、血が出ていた。

 

「まずい。早く助けないと!!」

 

ヒロキは瓦礫をどかそうとする。まずは自分の手でどかせる瓦礫から手をつけ始める。

 

「危ないから、君は離れてくれ!!」

 

健一はうなずく。しかしここで大きい瓦礫が出てきた。

 

(これはどうする・・・・。どうすればどかせる。漫画ではてこの原理でこういうものをどかしていたけど・・・、実際はどうなんだ。・・・やるしかないか。)

 

「何か、硬くて丈夫な棒みたいなものはない。」

「ちょっと待ってて、すぐに探してくるから。」

 

猫は生きてはいるが弱弱しく泣いている。

 

「頑張ってくれ、絶対に助ける!」

『おい、本当に助けるのか、今ならまだ逃げられるぞ!!』

「またか、何を言っているんだ、目の前で苦しそうにしている命がいるんだ!!どんな命も見捨てていいわけないだろ!!ここで見捨てて逃げ出したらカッコ悪いし、あの子の気持ちを踏みにじることになってしまう!!そうなったら、僕は一生後悔する!!だから、絶対に助ける!!!」

「お兄ちゃん、これなんかどう?」

 

健一が鉄パイプを指差しながら戻ってきた。

 

「ナイス、これを使おう。」

「うん!」

 

(小さな命の為に体を張れる、やっぱり、こいつとなら・・・。)

 

「よし、助けた。お母さんのところへ戻ろう!」

「うん!」

 

その時、ヘルべロスが角から放った電撃がヒロキの上のビルに直撃した。

ヒロキは健一を突き飛ばした。瓦礫から小さな命を抱えた少年を守るために。

 

「うわあああぁぁぁぁぁ!!」

「えっ、お兄ちゃん、お兄ちゃーーーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

『ヒロキ、おい起きろ、ヒロキ!!』

「まだ聞こえてくる、もしかして、僕はもう・・・。」

『目を開けろ、ヒロキ!!』

 

ヒロキが目を開けると周りが赤いオーラに包まれた不思議な空間にいた。

 

「何だ、ここは!?」

『お前の心の中だ。』

「また聞こえる、君は一体誰だ、姿を見せてくれ。」

『いいぜ。』

 

ヒロキの目の前で光が集まって人型になっていく。そして光が晴れると明らかに人間ではない声の主がいた。

ヒロキは驚いていた。それは銀色が目立つ少しの赤が混ざったカラーリングに牛のような角、そして胸に丸い水晶があった。

それはまさしく、

 

「う、嘘だろ?君はウルトラマンだったのか?」

『ああ、そうさ。』

 

実はヒロキの夢の中には出てきたウルトラマンは7人だけではなかった。

彼らがトレギアと呼んだ仮面の巨人の罠にはまった後、3人のウルトラマンが現れた。

目の前のウルトラマンは夢の中で筋肉質な赤と黒のウルトラマンと青い後ろに伸びたトサカが特徴のウルトラマンと一緒にギンガ達の前に現れた。彼らはギンガ達から何かを受け取り、トレギアに立ち向かうも敗北していた。

 

『お前の中に7年間ずっといたんだ。』

「ええっ?7年も、なんで、どうして?」

『話は後だ。今はヘルべロスを何とかしないと。』

「そうだ、なんで怪獣が現れたの!?地球から怪獣は絶滅したはずなのに!?」

『その話も後だ。お前の力を貸してほしい。今の俺は肉体が維持出来ないんだ。』

「力を貸して欲しいって、どういう事?」

『お前と一体化すれば俺はこの星で戦える』

「僕と・・・。でもどうして・・?」

『お前は危険な状況でも命を助けようとする勇気と命を絶対に見捨てない正義感を持っている。お前のような勇敢な地球人の協力が必要なんだ。』

 

ヒロキは少し考えた。今、目の前のウルトラマンに力を貸せば、確かに暴れている怪獣『ヘルべロス』を倒せるだろう。しかし、ウルトラマンになればもう二度と後戻りは出来ない戦いに巻き込まれるような予感がした。

しかし、幼馴染もヘルべロスに苦戦し、今は傷だらけだ。また頭の中に健一とその母親や自分の家族、そしてモデルをやっている怪獣娘の幼馴染の顔が思い浮かんだ。彼らを守れるなら・・・。

ヒロキは答えを決めた。

 

「分かった。君に力を貸すよ、一緒に戦おう。」

『そうこなくっちゃな、ヒロキ!』

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは気付いたら、瓦礫のすぐ隣にいた。健一が話しかける。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫、健一くん、避難所の場所は分かる?」

 

健一が首を縦に振り、頷く。ヒロキは笑みを浮かべ、話しかける。

 

「お兄ちゃん、ちょっとやることが出来たから、先に逃げてくれ。」

「分かった。お兄ちゃん、名前は。」

「そう言えば言ってなかったね。僕は白鳥ヒロキ。」

「ヒロキお兄ちゃん、また会おう。」

 

健一は猫を抱えて、避難所へ走っていく。ヒロキはヘルべロスを見据える。

その時、ヒロキの右腕にブレスレットが現れ、夢で見た3人のウルトラマンがつけていた手甲と同じものに変化した。

 

「これって・・・。」

『タイガスパークだ。それで俺になれ!俺はお前でお前は俺だ!』 

「これでウルトラマンに・・・。」

 

ヒロキの左手はさっきのウルトラマンの顔がついたキーホルダーが握られていた。

ヒロキはタイガスパークの下部にあるレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

  

キーホルダーを左手で持ちタイガスパークが付いた右腕を左手の前に重ねた。

右手でキーホルダーを持ち直した後、力強く握り、タイガスパークに光が集まる。

 

『叫べヒロキ、バディゴー!!!』

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

キーホルダーを持った右手を上に掲げる。

一点の光から銀色が目立つカラーリングにウルトラ兄弟の6男であるウルトラマンNo6ウルトラマン『タロウ』を思わせる角をしたウルトラマンが右手を前に伸ばして巨大化する。

ウルトラマンタロウの血を引く息子にして『光の勇者』の2つ名を持つウルトラマン、その名は

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「シェアッ!」

 

 

 

 

 

「きゃあああああああ!!!」

「うわあああああああ!!!」

 

ゴモラと加勢に来たミクラスが悲鳴を挙げながら、吹っ飛んだ。

ヘルべロスに戦いを挑んでいた怪獣娘は傷だらけになって倒れていた。もう立ち上がる気力も出ないくらい体力を消耗していたのだ。

ヘルべロスは背中を赤く光らせる。彼女達にとどめをさすために。

ゼットンはバリアを張ろうとした、仲間達を守るために。

 

その時だった。

光の巨人ーーーウルトラマンーーーが現れたのは。

 

ウルトラマンタイガが高く飛び上がり、燃え盛る銀座の町に着地する。着地と同時に炎が消え、怪獣娘を含む多くの人々がそれを見ていた。

タイガはヘルべロスの前で倒れていた怪獣娘達をその手に抱え、安全な場所に下した。

 

『これで彼女達も大丈夫だ。』

(良かった。間に合って。さて、後は・・・。)

 

タイガは目の前のヘルべロスに向かって構えた。

 

「シュアッ!!」

 

怪獣のいなくなった地球で光の戦士の戦いが再び始まろうとしていた。

 

 

 

 

「あれって、第一次大怪獣時代に現れて、怪獣との戦いに力を貸してくれたっていう・・・!!」

「そう、その名はウルトラマン。ウルトラマンタイガ。」

 

怪獣娘達が振り返ると白と黒の服を着た青年が立っていた。ヒロキがぶつかった青年だ。

 

「彼はある伝説のウルトラマンの実の息子さ。どうやら、この地球に流れ着いていたようだね。」

「ウルトラマン・・・タイガ。」

 

全員でタイガを見上げる怪獣娘達。

しかし、ふと振り返れば、さっきの青年が消えていた。

「い、いない?」

「今の人は一体?」

「せんぱーい!」

 

そこにエレキングが青い獣殻に覆われ、翼の付いた風ノ魔王獣『マガバッサー』と青いおかっぱヘアーのビキニに近い獣殻の水ノ魔王獣の怪獣娘『マガジャッパ』を連れてやってきた。

「皆さん、大丈夫ですか?」

「今、手当てしますから!」

 

3人がヘルベロスと戦った怪獣娘達を手当てする中、タイガとヘルベロスは戦闘を始める。

ヘルべロスが尻尾で先行をかける。タイガはバク転で刃が付いた尻尾の一撃を回避した。再び構えるタイガ。

 ヘルべロスの背中が光った。怪獣娘達を苦しめた光弾の雨を放つつもりだ。ヘルべロスの背中から破壊光弾が雨のように発射される。

 

『スワローバレット!!』

 

ウルトラマンの光線技で有名なスペシウム光線の構えの逆を取って放たれた光弾が、ヘルべロスの背中からの光弾を全て撃ち落とす。

 

(町への被害は避けたね!)

『今度はこっちから行くぞ!!」

 

ヘルべロスへ向かって駆け出し、飛び蹴りを放つ。そのまま顔に右フック、回し蹴りを放つ。

そのまま飛び上がって、チョップを放つもヘルべロスも腕で受け止める。

ヘルべロスは両腕を振り回す。これを避け、頭を掴んで投げ飛ばす。

 

「シェアッ!!」

 

倒れたヘルべロスの背中に連続でパンチを叩きこむ。しかし、ヘルべロスが起き上がり、タイガが倒れる。

起き上がったタイガは再び頭を掴んで投げる。起き上がったヘルべロスに正面から連続で再びパンチを叩きこみ、ドロップキックをお見舞いした。

ヘルべロスが角から電撃を放つも腕で受け止める。その時、胸のカラータイマーが点滅し始める。

 

「胸のランプが点滅してる!!」

「確か資料によれば、ウルトラマンは地球で活動できるのは3分間だけだとあったわ。」

「ええっ、それじゃあ・・・もうウルトラマンは限界ってことですか!?」

 

ヘルべロスが口から火球を放つもチョップで切り裂く。火球はタイガの後ろで着弾し、爆発した。

タイガはタイガスパークを装備した右手を天へと向けた。両手を重ね、手を腰の位置まで持っていく。

虹色のエネルギーがタイガに貯まり、左腕を上に、右腕を下に支えとして両腕をT字に組んだ時、そのエネルギーは光線となって爆発した。

タイガが父であるウルトラマン『タロウ』から受け継いだストリウムの名を持つ必殺技、その名は

 

『(ストリウムブラスターッッッ!!)』

 

必殺技は直撃したもののヘルべロスはまだ倒れていなかった。

予想外の事態にヒロキは慌て始めた。

 

(やばいよ!!必殺技が効いてない!!)

『焦るな、オーブレットを使え!』

 

その瞬間、夢に出てきたウルトラマンの一人、カラータイマーがOの字になったウルトラマンがタイガに自身の力を宿したブレスレットを渡したビジョンが浮かんだ。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークの下部にあるレバーを引いた。左手に銀河を渡る風来坊ウルトラマン『オーブ』の力を宿したブレスレットが現れた。

左手を右手に重ねた時、オーブレットから光がタイガスパークに集まる。

 

〈オーブレット、コネクトオン!!〉

 

タイガにオーブのビジョンが重なり、ストリウムブラスターと同じ構えをとる。両腕をT字に組んだO字の波導が展開され、ストリウムブラスターにオーブの力が加わった。

 

『(スプリームブラスターッッッ!!)』

 

オーブの力でパワーアップした必殺光線に耐えられず、ヘルべロスは大爆発した。タイガの勝利だ。

爆発の中から小さな光がタイガの中に入ってきた。

ヒロキをそれを掴んだ。光は指輪になった。ヘルべロスの顔が入った黒いオーラを放つ不気味な指輪に。

 

(これは・・・。)

『ウルトラマンの力を感じる・・・。』

 

戦いが終わったことを確認するとタイガは空に飛び立っていった。

 

「シュアッ!!」

 

 

 

 

 

 

それをみつめる一人の男がいた。ヒロキと日比谷公園で会い、怪獣娘達にタイガのことを教えた白と黒の服を着た青年だ。

 

「良き旅の終わり・・・。そして・・・始まり・・・。」

 

その男『霧崎』の影には人間ではない異形が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に僕があの怪獣を・・・。」

『どうやらこの星は俺がいなきゃ、駄目みたいだな!』

「なんだよ、随分と偉そうなウルトラマンだな・・・。」

「ヒロキお兄ちゃーーん!!」

 

ヒロキとタイガが話しているところに健一がやって来た。

 

「健一くん、あの猫は?」

「命に別状はないから大丈夫だって。」

「そうか、良かった。」

「あの猫、うちで飼うことになると思うけど、いい?」

「いいんじゃない。小さな命を助けようとした君ならきっと大丈夫だよ。だから自信を持って。」

「うん!!」

「健一ーーっ!!」

「お母さんが読んでるから、もう行くね。ありがと、ヒロキお兄ちゃん。」

 

健一は手を振って母親のところへ戻る。その際、健一の母親に頭を下げられた。

2人は笑顔で去っていく。

 

『見ろよ、俺達が守った笑顔だ。元気でなーー!!」

「(そうか、僕達が守ったんだ)元気でねーー!!」

 

ヒロキはあの少年の笑顔を守れて本当に良かったと感じていた。

そして、この人達のような笑顔を守れるよう強くなりたいと思っていた。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+????)

ヒロキが子供の頃、心を通わせた小さな怪獣。その怪獣との悲しい別れの裏には、奴の影が蠢いていた。俺たちと切っても切れない因縁を持つ蒼き巨人。奴の名は。次回!

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~



トレギア



この世界は矛盾に満ちている・・・。』


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トレギア(前編)

自分の中ではOPは『Buddy,steady,go!』、EDは『ヒトツボシ(三森すずこバージョン)』ですが、皆さんは好きなタイガ関連の曲と怪獣娘関連の曲で構いません。


夕方の橋の下、少年と少女がチョコレートを持ってやって来た。その2人が小学校時代のヒロキとクララである。

2人は最近出来たある友達に会いに来たのだ。

 

「チビスケ、今日も来たぞ。」

 

ヒロキ達の視線の先には段ボール箱に何かが入っていた。それは青い色のナマズの顔のような大きなトカゲのような生物だった。

この生物は今から2週間前に2人が学校の帰りに見つけたのだ。最初は猫が捨てられていると思い、見に行ったのだが、それが猫から余りにもかけ離れた姿だったため、最少は混乱したものの今では心を通い合わせ友達になったのだ。

 

「チビスケ、ほらいつものやるぞーっ。クン!クン!パッ!」

 

そう言って、ヒロキはチビスケと名付けた謎の生物に向かって、手を振りパッ!のところで手のひらを広げる。チビスケはヒロキの手の動きに合わせて、首を動かし、口を開いた。

 

「えらいデスねチビスケちゃん。ほら、ご褒美デスよ。」

 

クララがチビスケに手に持っていたチョコレートをあげる。するとチビスケは嬉しそうに食べ始まる。

 

「チビスケ、ホントにチョコレートが好きなんだね。」

 

2週間前に見つけて以来、2人はチビスケが何の生物なのか調べていた。学校や図書館で動物図鑑や爬虫類の本を片っ端から漁っても、チビスケが何の生物なのか分からなかった。

でも時間がたつにつれて、それも気にしなくなった。2人とも気にせず仲良くなっていったのだ。

そんな2人の前にサングラスを掛け、黒い服を身に纏う男が現れた。

 

「おじさん、誰?」

 

「・・・・・こんなところに逃げていたのか。」

 

男は一言呟くとチビスケを乱暴に掴んだ。当然、ヒロキとクララは抗議を挙げる。

 

「おい、何するんだよ!!」

「それは立派な動物虐待デスヨ‼︎」

「こいつは我々のものだ。返してもらう。」

「ふざけるな!!」

 

ヒロキは男に体当たりをするが、あっさりとかわされる。

 

「チビスケちゃんを放してくだサイ!」

 

クララが男に組み付くも、振り払われる。クララは頭を打って気絶してしまった。

 

「クララちゃん!お前何すんだよ!!」

 

再びヒロキは男に体当たりをするが、かわされてしまう。ヒロキが振り向くと、その男の顔が人間のモノではない異形の顔になっていた。目の位置がちぐはぐに付いた頭部が上に長いその姿はまさしく、

 

「う、宇宙人・・・?」

「確かに返してもらったぞ。」

 

第一次大怪獣時代以来姿を見せなかった宇宙人におびえるヒロキ。宇宙人は光に包まれ、上に浮かび上がっていく。

しかし「助けて」と叫んでいるように見えるチビスケを見て、ヒロキは宇宙人に飛びついた。

 

「やめろーっ!!チビスケが嫌がってるだろーっ!!」

「・・・っ!このガキ、宇宙人を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる!!」

「うわーーーーーーっ!!」

 

宇宙人はヒロキを蹴りつける。ヒロキは思わず宇宙人から手を離してしまう。宇宙人は既に地表からかなり離れたところにいた。こんなところから落とされたら間違いなく命はない。ヒロキは叫びながら、自分の最期を覚悟した。その時、赤い光の粒子がヒロキを包んだ。

 

目を覚ました時はヒロキは地上にいた。あの橋の下に、クララの隣で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『というわけだ。お前の勇士の証明を見て、お前を選んだんだ。』

「あの時、タイガが助けてくれてたのか。」

 

時代は流れ、ここはヒロキの家のヒロキの部屋である。ヒロキはいつからタイガが自分の中にいたのか説明されていたのだ。幼い頃、自分の命を助けてくれたタイガにお礼を言った。

 

「ありがとう、タイガ。あの時、タイガが来てなければ、僕は・・。」

『いいって事さ。』

「その頃から、僕の中にいたってことは怪獣娘のことも。」

『勿論知ってるぜ。驚いたぜ、まさか先輩達が戦った怪獣達の魂が、地球人の女の子に宿っているなんてさ。』

 

数々の星を旅してきたタイガにとっても怪獣娘は非常に珍しいらしい。そんなタイガもヒロキの次の質問には困った反応を見せながら答えた。

 

「それで、何であの怪獣は現れたの?」

『ああ・・・・それかぁ・・・、正直な話、俺にも分からないんだよなぁ・・・。』

「ええっ!?分からないの!?」

『ただ、あの現れ方を考えると、誰かに呼び出された可能性が高いな。』

「誰かって・・・・一体誰が・・・。」

『さあな、確実に地球人じゃないだろうけどな・・・。』

 

2人は部屋を出て、ベランダに出る。そこでも会話は続いた。

 

「まさかお爺ちゃんが昔よく会ったと言ってたウルトラマンとこんな形で関わる事になるなんてな~。」

『お前の爺ちゃんがウルトラマンと?』

「当時怪獣と戦っていた防衛チームのお兄さんが家に下宿していたんだって。」

『へ~。』

「しかも、そのお兄さんがウルトラマンだったらしいんだ。」

『へ~・・・ってマジ!? マジか、その話!?』

「本当らしいよ。確かそのウルトラマンの名前は・・・。」

 

ヒロキがウルトラマンの名前を言おうとした時、テレビから聞き逃せないニュースが流れてきた。

 

『本日、東京湾岸にて、謎の巨大生物が目撃されました。警察や政府は鯨と公言していますが、どう見ても鯨とは思えない姿に市民らは・・・』

 

TVにはアナウンサーの声と同時にトカゲを思わせる尻尾と背中が海面から姿を見せて泳いでいる映像だった。思わずヒロキはタイガに声を掛ける。

 

「タイガ!!これって、怪獣っぽくない?」

『その可能性は高いだろうな。』

「もし、この映像に写っているのが怪獣なら、この間怪獣が現れた原因の手掛かりになるかも」

『そうだな!行くぞ、ヒロキ!!』

 

ヒロキは家を飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってGIRLSの講義室にヘルべロスが現れた時に現場にいた怪獣娘が集まっていた。

 

「皆さん、先日は大変お疲れさまでした。」

「驚いたよ。まさか本物の怪獣が現場にいきなり現れちゃうんだもん。」

「どうして怪獣が現れたんでしょうか?」

 

その言葉にピグモンが口を開き、ガッツ星人が下を巻きながら呟き、ウインダムがピグモンに質問する。

 

「実はあの怪獣コードネーム『ヘルベロス』が出現した理由については未だに詳しく分かっていません。今後、再び怪獣が現れる様な事があれば、GIRLSが対処する事になりました。」

「また、怪獣が現れたら私達が・・・・。」

「ピグモンさん、あのウルトラマンについて何か分かった事はありますか?」

「新しく現れたウルトラマンさんについても詳しいことは分かりません。ただ、あのウルトラマン『タイガ』が現れて、一部の怪獣娘達が心が騒ついたと言っていました。」

 

ピグモンの言葉にミクラスが驚き、キングジョーが友人の火山怪鳥『バードン』の怪獣娘である『火野ユリカ』の言葉を思い出す。

 

「一部の怪獣娘が⁉︎」

「そう言えば、ユリカがあのウルトラマンを見た時、心に何か騒つくものを感じたと言っていまシタ。何が心を騒つかせたのでショウカ?」

「現在、確かなのは再び地球に怪獣が出現した事と新しいウルトラマンが地球にやって来た事です。」

「現状、ウルトラマンに頼るしか無いのが辛いぜ・・・・。」

「まーでも本来は怪獣は地球からいなくなったわけだし、これからは出現しない可能性もあるし、大丈夫でしょ。」

「またゴモたんリゾート状態!?」

 

ピグモンの言葉にレッドキングが反応し、ゴモラがハンモックに寝転がっており、アギラが突っ込む。

そんな状況の中、一人の職員が講義室に入ってきた。

 

「失礼します。ピグモンさんにお客様が来ています。」

「ピグモンに・・・?後でいいですか?」

「はい、分かり「久しぶりだね、トモミちゃん。」

 

講義室に入ってきたのはスーツを着た40代~50代位の男だった。ピグモンから出た言葉に怪獣娘達は驚いた。

 

「シンゴ叔父さん!?」

「「「「「叔父さん!?」」」」」」

「やあ、怪獣娘諸君、姪がお世話になっているね。私は佐倉シンゴ。君達がピグモンと呼んでいる怪獣娘の実の叔父さ。職業は刑事。よろしくね。」

「「「「「よ、よろしくお願いします。」」」」」

「というかピグモンさんにお世話になっているのはむしろあたし達です!見習い時代からあたしとアギちゃんとウインちゃんの面倒を見てくれました。」

「そうか、そうか。これからも姪をよろしく頼むよ。」

「はい!」

「皆さん、いい加減にして下さ〜い!!」

 

佐倉と怪獣娘達がピグモンについて談笑しようとした時にピグモンが大きな声を出す。大事な話を中断されて、ご立腹なようだ。

 

「悪い悪い。大きくなったもんだなって思ってさ。あのトモミちゃんが人に指導する立場になったんだからさ。たまには、実家に帰って両親に顔を合わせてあげなよ。」

「もう、それを言うために来たんですか⁉︎私の事、子供扱いしないでください!これでも20歳(はたち)超えてるんですから!それと、父と母にはちゃんと連絡しますし、ある程度、落ち着いたら休暇を貰って帰りますから心配しないでください!」

(ピグモンさんって20歳(はたち)超えてたんだ。)

「そうか。そうか。分かったよ。」

「用事はこれだけですか?」

「まさか、トモミちゃん達GIRLSに頼みがあってきたんだ。」

そう言って、シンゴはカバンから何かを取り出した。それは無残に破壊された監視カメラだった。

 

「東京湾岸沿いの倉庫に設置された監視カメラだ。」

「何ですか、この監視カメラ・・・!?」

「どうやったら、こんな壊れ方を?」

「記録媒体は無事だったから、その時の映像がある。これを見てくれ。」

 

マガバッサーとマガジャッパが唖然とする中、シンゴはモニターにカメラの映像を写した。するとそこには衝撃的な映像が写っていた。

3人のサングラスをかけた作業着の男達が見たことのない機械を操作していた。男たちがカメラに気付くと男の1人がサングラスを外した。すると、男の目が赤く光り、目から光線の様な物が放たれた。そこで映像は終わった。

 

「これを見てどう思う?こんな事が出来るのが人間だと思う?」

「確かに、怪獣娘の中には出来る者もいるかもしれませんが・・・。」

「でも、この映像に写っていたのはどう見ても男だよな!?」

「普通の人間には絶対に出来ないわね。」

「まさか、この3人は宇宙人⁉︎」

「断言は出来ないがその可能性が高い。確実なのは何らかの組織が動いているという事だ。しかもこの3人が写った近くで、こんな映像も記録されているんだよ。」

 

ピグモン、レッドキング、エレキングが映像の感想を言った後、モニターに別の映像が写し出される。それは先程ヒロキとタイガがニュースで見た巨大な黄色いヒレが付いた何かが泳いでいる映像だった。

 

「これってさっきのニュースでやってた・・・・・。」

「ああ、そうさ。政府は鯨だって言ったけど、こんな鯨いないし。一応聞くけど、これが鯨に見える?」

「私も気になっていました。どう見ても鯨とは思えません。」

「だろ。さっきの映像の3人が宇宙人だとするならば、この映像に写っているのは怪獣の可能性がある。集団で動いているから、組織化された宇宙人の集まりによる地球侵略かもしれん。」

「怪獣の可能性があるって・・・かなりヤバいじゃないですか‼︎それに宇宙人も現れた可能性があるんですよね‼︎」

「けど、宇宙人って、地球にはもういないんじゃ・・・。」

「だから、君達に頼むんだよ。」

 

ザンドリアスが反応し、シンゴの言葉にウインダムが頷いて答えた後、ノイズラーが叫ぶ。アギラがシンゴに宇宙人の有無を聞く。

そして、シンゴはピグモンに頭を下げて頼み込む。

 

「大変申し訳無いが、この3人の宇宙人と思われる男達を探してくれ。この間の怪獣事件といい、訳の分からない事件ばっかり起こって、警察も手一杯なんだ。頼む!」

「いいですよ。引き受けましょう。」

 

シンゴの頼みにピグモンが頷く。ウインダム、エレキング、アギラも後に続いて発言する。

 

「この事件は明らかにGIRLSの管轄ですからね。」

「それにこの3人が本当に宇宙人で、怪獣らしい生物の出現に関与しているなら・・・。」

「以前、銀座に現れた怪獣の手掛かりになるかもしれませんから。」

「ありがとう、怪獣娘諸君。よろしく頼むよ。今度、お礼に焼き肉奢ってあげよう。」

「本当ですか!わーい!わーい!」

「おいおい、この事件を解決してからだぞ。」

 

シンゴの焼き肉を奢るという言葉にはしゃぐザンドリアスをレッドキングが嗜める。そしてピグモンがその場にいた怪獣娘の皆に向き合う。

 

「それではGIRLS出動です。」

「「「「「了解!」」」」」

 

怪獣娘達による湾岸に現れた怪獣らしい生物と宇宙人らしき人物の捜査が始まろうとしていた。




早くギャラクシーファイトでアーリートレギアVSトライスクワッドが見たいです。

また来年のTVシリーズでノイズラーの活躍も見たい。


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トレギア(中編)

タイガは物語のシリアスさを除けば怪獣娘と相性がいいと思います。

トレギアだけでなくヴィラン・ギルドや地球に移り住んだ宇宙人が関わっているので、怪獣が現れた理由に説明が付きやすいです。

最近のウルトラマンで一番怪獣娘とクロスオーバーさせたら相性がいいのはR/Bだと思いますが。


海獣『キングゲスラ』登場


ヒロキは怪獣らしき生物が目撃された湾岸地域に来ていた。そこでタイガと話しながら歩いていた。

 

「ニュースでは背びれのようなものが写っていたけど、何の怪獣か分かる?」

『流石に背びれだけじゃ、どうしようもないぜ。まあ、似た怪獣はいるけどな。』

 

ヒロキとタイガは海を見ながら、今回の怪獣について話していた。ヒロキは右腕に視線を向ける。

いざ、怪獣が現れたら、自分が戦わなきゃならない。もし怪獣なら水中でも活動できるから水中戦になるかもしれない。そう思いながら足を進めていた。

しばらくすると、大きな倉庫が見えてきた。ヒロキ達は足を止めた。

ヒロキの視線の先には3人の怪獣娘だった。ガッツ星人とマガバッサーとマガジャッパだ。3人は倉庫の作業員から聞き取り調査をしているようだった。ヒロキは隠れて聞いていた。

 

「それでこの3人の作業員を見ませんでしたか?」

「いや、見ていませんね。」

「GIRLSも動いてたんだ。」

『どうする。話を聞くか?』

「一般人は危ないから下がってとか言われるだけだよ。」

「そうですか。情報ありがとうございます。・・・収穫なしか。」

「ここまで聞き込みをしても、手掛かりが掴めないんなんて・・・。やっぱりあの3人はどう考えてもおかしいですよ!!」

「ガッツさん、どうしましょう?」

「他の倉庫でも聞き込みを続けるしかないよ。2人とも行こう。ここから300m先の公園でおジョーとも合流しよう。」

 

2人ともガッツ星人の言葉に頷いて倉庫を出る。怪獣娘達が行ったことを確認すると、ヒロキも姿を見せた。ヒロキは彼女達が行った方向とは逆へ足を進める。

 

「僕たちは反対側に行こう。反対側にも倉庫があったはずだから。」

『分かった。』

 

 

 

  

その頃、とある倉庫でサングラスを掛けた怪しげな作業員が見た事も無い機械を触りながら話していた。

その後ろで、白と黒のブラウスを着た青年がその姿を見ていた。

その男こそ、ヒロキとは日比谷公園で、怪獣娘とは銀座で遭遇した『霧崎』だ。霧崎はその姿を見て怪しげな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

ヒロキ達が行った先の倉庫ではレッドキングとザンドリアスが聞き込みをしていた。

 

「では、この3人の姿は見なかったと。」

「ああ、少なくともうちの作業員ではないな。」

「巨大な影を見た事は?」

「それも無いな。」

「そうですか。ありがとうございます。」

「ししょー、どうしましょう?このままじゃ何も・・・。」

「諦めんな、まだ聞き込みをしていないところも幾つかある。そっちへ周るぞ。」

 

彼女達が聞き込みをしている中、作業員達は2人の後ろで彼らに気付かれず、怪しげな機械を手に持っていた。実は怪獣娘達が探している3人の作業員はレッドキングとザンドリアスがいる倉庫の近くにいたのだ。彼らがいる方向とは反対側で彼らは暗躍していたため、すれ違いになってしまい、見つからなかったのである。

 

「バイタル、心拍数、共に異常はない。」

「よし、テストを始める。怪獣兵器、起動。」

 

その言葉と同じく、男の1人が機械のスイッチを入れる。その時、大きな音が響いた。

 

「今の音は何!?」

「外へでるぞ!!もしかしたら怪獣かもしれねえ!!。」

 

 

2人は音がした外へ向かう。すると海の一面がゴボゴボと大きな音を立てて泡立っている。泡立った水面は水柱と変わり、巨大な何かが姿を現した。

思わずザンドリアスはレッドキングに抱き着いた。

 

「ししょー、これってまさか・・・・・・。」

「そのまさからしいな。」

「グアアアアアアァァァァ!!」

 

海から緑色の体表に背中に刺々しい棘を無数に備え、ナマズのようなギョロっとした顔の怪獣が現れた。怪獣の名は海獣『キングゲスラ』、カカオ豆に害を及ぼす害虫を食べるトカゲが巨大化した怪獣『ゲスラ』を強化改造した怪獣だ。

慌てるザンドリアスの横でレッドキングはGIRLSに連絡していた。

 

「やっぱり、また怪獣が出たーーーーーっ!?」

「落ち着け、まずは本部に連絡するぞ!!こちらレッドキング、怪獣が出現した。」

『こちらでも確認しました!!倉庫の作業員を避難させてください!!その間に怪獣の特定をします!怪獣との戦闘はその後にしてください!!』

 

 

 

 

「グアアアアアアァァァァァ!!」

 

その頃、ヒロキもキングゲスラが現れた現場に来ていた。

 

「やっぱり、あれは怪獣だったんだ!!」

『あの怪獣は、確か・・・・・・。』

 

キングゲスラは建物を破壊し、中にあった何かを食べ始める。ヒロキは持っていたスマホで怪獣を調べた。

 

「これじゃない?海獣ゲスラ、カカオ豆に害を与える害虫とカカオ豆が好物なトカゲが水質汚染の影響で巨大化した怪獣だって。」

『いや、恐らくあれはゲスラを強化改造したキングゲスラだ!!行くぞ、ヒロキ!!』

「うん・・・ってちょっと待って!!」

『どうした!?』

 

ヒロキはタイガスパークを構えようとした時、ヒロキの視線に怪しい男達が写った。他の作業員達が慌てて逃げているのに対し、彼らは冷静に機械をいじり、怪獣を見ている。まるで怪獣を操っているかのように。

その男達こそGIRLSの怪獣娘達が追っていた3人だった。

 

「ちょっと、この非常時に何しているんですか!?怪獣が現れたんですよ!!」

「「「!!!!!!」」」

 

ヒロキが話しかけると男達は逃げ出した。まるで見られたくないものを隠すように。

 

「あっ、待て!!」

「助けてくれーーっ!!」

 

ヒロキは追おうとするも、目の前で転んで足を怪我した作業員がいた。

ヒロキはまず、怪我人を助けようとする。

 

「大丈夫ですか!?」

『おい、怪獣が暴れているんだぞ!!早く俺達が行かないと!!』

「目の前の人達を助けるのが先だ!大丈夫ですか!?」

「すまねえ坊主、足を挫いちまった。」

 

そこにレッドキングとザンドリアスの2人が来た。

 

「大丈夫ですか、早く逃げてくださいって・・・君はこないだ日比谷公園にいた!?」

「キングジョーさんの幼馴染の・・・確かヒロキさん!?何でここに!?」

「ちょうど良かった。この人をお願いします!!」

 

ヒロキが2人に作業員を頼もうとしたとき、キングゲスラは海に戻っていく。

 

『おい、怪獣が海に逃げるぞ!!』

「えっ!?」

 

タイガの言葉に振り返ると、キングゲスラは海に着水していた。そして潜ったのかそのまま姿を現さなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さんお待たせしました。」

「緊急の会議を始めるわよ。」 

 

場所は変わって公園に本部にいたピグモンとエレキングも合流した事で怪獣娘が集まっていた。そこにはヒロキの姿もある。ヒロキは何故、自分も呼ばれたのか尋ねる。

 

「あの、・・・なんで僕も呼ばれたんですか?」

「キンキンの幼馴染の白鳥ヒロキさんですね。貴方は怪獣が現れた現場にいました。よって、重要参考人として呼ばせてもらいました。」

 

ピグモンの言葉に納得するヒロキ。そんな一方で、怪獣娘達から目線をずらす。

そんなヒロキにエレキングが声を掛ける。

 

「ちょっと、初対面なのに目を合わせて話さないなんて失礼じゃないかしら。」

「す、すみません。(いや、無理。絶対に胸に目がいくから!!ていうか、胸大きい娘多いから!!)」

 

ヒロキはエレキングだけでなくガッツ星人やマガバッサー、マガジャッパを見て思った。

キングジョーが笑顔でヒロキに話しかけるが、その目は確実に笑っていなかった。その上、黒いオーラのようなものが見えた。

 

「ヒロキ~、どこを見ているんデスカ~~ッ!」

「ご、誤解だ!!決してやましい事は思っていない!」

「皆さん、そろそろ会議を始めますよ~!!だからピグモンの話を聞いてくださ~い!」

 

ヒロキは慌てて否定するが、視線はキングジョーの横を見ていた。彼女の豊満な胸から目を反らしながら。

そんな中、ピグモンが口を開く。

 

「今回、現れた怪獣は過去に出現報告がありました。名前はキングゲスラ。かつて、横浜に現れたゲスラの強化体です。しかし・・・。」

「しかし?」

「ゲスラはあるトカゲが水質汚染の影響で怪獣になりました。その元となったトカゲですが、第一次大怪獣時代から数年後には絶滅が報告されています。だから、今の地球に現れるはずがないんです。」

「生き残っていた可能性もあるんじゃない?」

「確かにその可能性もありますが、怪獣がいなくなって数十年間も目撃されていなかった以上、地球から絶滅した可能性が高いです。あの3人が宇宙人とするならば何らかの目的のために持ち込まれた可能性が高いでしょう。」

「何らかの目的ってあの3人が宇宙人だとすると、やっぱり侵略のためか?」

「確定したわけではありませんが、その可能性は高いでしょう。」

「やっぱり、あの3人の怪しい作業員を捕まえなければいけまセンね。」

 

ピグモンの言葉にミクラス、ゴモラ、レッドキング、キングジョーが反応する。ピグモンはヒロキに質問する。

 

「怪しい人を見ませんでしたか?」

「怪しい3人の作業員なら、見ましたよ。」

「今、怪しい3人の作業員って言いマシタネ!!ヒロキ、見たってどういうことデス!?」

「怪獣の現れた現場の近くにいたんですが、サングラスを掛け、何かの機械を持った怪しい作業員を見ました。声を掛けると、全員逃げていきました。追おうとしたんですが、近くで怪我した人を助けている内に見失ってしまって・・・・・・。もしかしたら、あの機械で怪獣を操っていたんじゃないかと思うんですが・・・。」

「ヒロキ、その作業員ってもしかして、こういう人達デシタカ?」

 

キングジョーはヒロキに写真を見せる。ヒロキはそれを見て頷いた。

 

「この3人だ!この3人を確かに見ました!!」

「どうやら、クロみたいだね。偶然とは思えないよ。確実に怪獣に関わっている。」

 

ヒロキの言葉にガッツ星人が確信したように言う。ピグモンがヒロキにお礼を言い、皆に伝える

 

「ヒロキさん。GIRLSへの情報提供ありがとうございます。皆さん、間違いなく3人は怪獣の出現に関与しています。捜索範囲を広げましょう。」

「捜索範囲を広げても、この辺りの工場や倉庫全部じゃキリがないですよ!!何か、怪獣が現れる手掛かりは掴めないんですか!?」

「う~ん・・・。」

 

ピグモンの言葉にウインダムが口を挟み、彼女は悩む。ゴモラがレッドキングとザンドリアスに現場に怪獣が現れるきっかけとなった手掛かりを聞く。

 

「2人とも、その倉庫に怪獣が現れそうな手掛かりは無かったの?」

「て、手掛かり・・・。そう言われても・・・・・・。」

「悪い、検討がつかねえ。」

 

そこにヒロキが口を挟む。

 

「思い出したんですが、あの怪獣は建物を壊した後、建物の中にあった何かを食べていました。」

「本当ですか!!一体、何を?」

 

ヒロキの言葉にピグモンが尋ねる。

 

「そこまではまだ・・・。あの倉庫には何が保管されていたんですか?それによっては怪獣が現れる場所を絞れるかもしれません。」

「待ってください。エレエレ、あの倉庫には何が・・・。」

「ちょっと待って頂戴。・・・・・・・あの倉庫にはカカオ豆が保管されていたわね。最初に現れた現場もカカオ豆の倉庫だったわ。」

「それって、怪獣がチョコレート好きって事ですか!?まさかぁ・・・。」

 

ヒロキの言葉にピグモンがエレキングに倉庫の詳細を聞く。エレキングが倉庫に保管された物の名前を聞いてマガバッサーが尋ね返す。キングジョーが過去の記録を検索し、その可能性を示唆した。

 

「そうとも限りマセンヨ、バッサーちゃん。記録によればゲスラはカカオ豆の害虫だけでなく、カカオ豆自体も好物とありマス。これまでの出現報告と過去のゲスラの生態を考えれば、カカオ豆の倉庫に現れる可能性は非常に高いデショウ。」

「確かにカカオ豆の倉庫に範囲を絞った方がいいわね。」

「では、カカオ豆の倉庫を見張りましょう。」

 

ピグモンの言葉に怪獣娘達は散っていった。キングジョーはヒロキに向き合う。

 

「ヒロキ、GIRLSへの情報提供ありがとうございマス。けど、どうして怪獣が現れた現場近くにいたんデスか?」

「えっ、そ・・・それは・・偶然だよ偶然。」

 

ヒロキはキングジョーの質問に戸惑いながらも嘘を答えた。ウルトラマンタイガと一体化している事は話していない。

怪獣娘の幼馴染に余計な心配をかけたくないと思い、話してなかったのだ。

 

「あまり、無茶しないでくだサイ。怪獣はワタシ達がなんとかシマスから。」

 

そう言って彼女は去っていった。

彼女が去った後、ヒロキはタイガと言い争いをしていた。

 

『どうして、変身しなかった!?あの時、変身していたら奴を仕留められたはずだ!!』

「あの人は怪我していたんだぞ!見過ごせるわけないじゃないか!!」

『けど、怪獣を倒さなければ、もっと多くの怪我人、最悪の場合、死人が出ていたぞ!』

「確かにそうかもしれない。けど、目の前で危ない目に遭っている人を放っておけないじゃないか!!怪獣を倒すのは目の前の命を助けてからにしても遅くないだろ!!・・・それにしても・・・。」

『どうした、ヒロキ?』

「いや、何でもない。」

 

タイガとも言い争った後、ヒロキは海のほうを振り返り、見つめていた。怪獣が潜って消えていった海を。

 

(どうしてだろう・・・あの怪獣、どこかで会った事があるような気がする・・・・・。一体どこで?)




こっちには全然感想が来ません。
何がいけなかったのか。

皆さんの感想お待ちしています。


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トレギア(後編)

いよいよ、トレギアの登場です。

こいつが出るだけで怪獣娘のほのぼのとした世界がぶち壊されるのはどういう事だ。


3人の作業員が歩いていた。彼らこそ怪獣娘達が追っていた作業員であり、怪獣を操っていたヴィラン・ギルドに属する宇宙人だ。

宇宙人は地球の怪獣がいなくなった後も、怪獣娘が確認されてからもちょくちょく地球を訪れていた。そうした宇宙人達が集まって宇宙人の犯罪組織を立てていた。

宇宙人で結成されたその犯罪組織こそがヴィラン・ギルドだ。

 

「テストの結果は上々だ。宇宙ネットワークにつなげ。これでオークションが始められるな。」

「了解。」

 

階段を上る宇宙人を監視カメラが捉えていた。

 

 

 

 

 

 

「皆さん、チョコレート工場の監視カメラが3人の作業員を捉えました!場所はチョコレートビクトリアの工場です!近い怪獣娘はすぐに向かってください。」

「チョコレートビクトリアの工場から一番近いのはゴモラとアギラね。2人に先に向かってもらうわ!」

 

ピグモンからの連絡を受けてエレキングが3人の作業員が見つかった地点に近い怪獣娘を特定する。

ゴモラとアギラもそれを知って現場に到着する。

 

「どこにいるんだろう。」

「絶対、近くにいるはずだよ。だから、頑張ろう!」

 

2人の上を3人の作業員が通る。上は金網になっていて、通る人が分かったのだ。

 

「上だ!!上にいる!」

「!!!」

 

その頃、ヒロキはGIRLSの制服を着たクララが誰かと一緒に走っているのを見た。クララと一緒にいるのは水色の長い髪の美少女だった。彼女は『印南ミコ』、またの名を『ガッツ星人』だ。

 

「聞きましたカ?ガッツ?」

「既にアギとゴモが向かっている。私達も急ごう。」

「「ソウルライド!!」」

「『キングジョー』!」

「『ガッツ星人』!」

 

2人は怪獣娘に変身し、現場に向かう。それを見て、ヒロキも走り始めた。

 

「僕たちも行こう!!」

『ああ!』

 

現場ではアギラとゴモラが3人の作業員を見つけていた。

2人は3人に声を挙げ、近づく。

 

「見つけたでぇ!!」

「大人しくしてください!」

 

3人の作業員は2人の怪獣娘を見る度、戦闘態勢に入る。3人の内、2人がアギラとゴモラに蹴りかかる。アギラはそれを避け、ゴモラは受け止める。

受け止めたゴモラは思った以上の力の蹴りを受け止め、苦い表情を浮かべる。

 

「危なっ、怪獣娘なのに蹴りを受け止めるだけでここまで衝撃を受けるなんて。」

「やっぱりこの人達は・・・。」

 

余った1人が飛び降りた。何かの機械を手にして。

 

「待てっ!!」

 

アギラは飛び降りた1人を追う。アギラが上から飛び降りた1人を見た。彼女は驚いた。普通の人間のような顔の作業員が上に長いちぐはぐに目がついた宇宙人『レキューム人』に変わっていたのだ。

レキューム人は逃げ出した。

 

「くそ、GIRLSの怪獣娘か!!」

「宇宙人!!まさか本当に・・・、このままじゃ「アギちゃん、先に行って!!」

 

ゴモラが宇宙人の1人を押さえつけながら叫ぶ。

 

「ワタシなら大丈夫!!だってワタシはみんなのゴモたんだから!!」

「意味分からないけど、分かった!!ボクが追う!!」

 

アギラは飛び降りてレキューム人を追う。

アギラはレキューム人を追ったが、見失ってしまう。

レキューム人は積められた段ボール箱の裏に隠れ、アギラが走り去ったところで愚痴を言う。

 

「ったく、邪魔しやがって・・・。」

 

レキューム人は機械を取り出し、操作した。

地面が大きな音を立てて揺れ始めた。大きな土煙を立てて、キングゲスラが地上に現れた。

 

「グオオオオ!!」

 

『チョコレートビクトリアの工場付近に怪獣キングゲスラが出現!!GIRLSの皆さん急行してください!!!』

 

ピグモンがGIRLSの怪獣娘達に怪獣出現の報告をする。

 

 

 

 

地球の近くに一機の宇宙船が浮かんでいた。その中のモニターに暴れるキングゲスラが映っていた。

 

「全宇宙のクライアントの皆さん、オークションの時間です!本日の目玉はキングゲスラ!脳にはコントロール装置を埋め込み、完全制御を可能にしました~!抜群の破壊力と機動性、ラグチュアリーな外見、背中の棘には強力な毒を持ち、水陸両用で活動できる特性、皆さんこの怪獣兵器はお買い得ですよ~!」

 

モニターの怪獣を開設するのはカミキリムシのような頭を持つ宇宙商人『マーキンド星人』だ。彼がキングゲスラの解説をすると同時にモニターには様々な金額が表示される。

 

 

 

宇宙人のオークションと同時にアギラにガッツ星人とキングジョーが合流する。

 

「アギ、ゴモは?」

「怪獣を操っているっぽい宇宙人と戦っている!それより、ボク達は・・・!」

「ハイ、この怪獣を止めなければいけマセン!!」

『アギアギ、ガツガツ、キンキン、ゲスラの背中の棘には毒があります。その威力は怪獣になる前のトカゲの姿でもジャガーを仕留められるくらいです。まして、怪獣になって強化改造された今、その毒を食らえば確実に命はありません!!絶対に接近戦は避けてください!!』

「「「了解(デス)!!」」」

 

「とはいっても、どうやって近づかずに戦うか・・・。」

「ボク、接近戦以外、戦う手段がないのに・・・。」

 

彼女達が考えている間にもキングゲスラは工場を破壊し、チョコレートを食べ始める。

そんな中、キングジョーが怪獣を見つめていた。

 

「おジョー、どうしたの?」

「・・・あの怪獣、・・・どこかで会った事があるような気がシマス。」

「ちょ、ちょっとしっかりしてよ、おジョーらしくないよ、そんな冗談言うなんて!」

「大変、2人ともあれ!!」

 

アギラが指差した先にはヒロキがいた。ヒロキは怪獣に向かって走っている。

 

「大変!!早く避難させないと!!」

「ヒロキ・・・どうして・・・。」

 

3人はヒロキを追っていった。

 

 

 

ヒロキはキングゲスラを見つめていた。キングゲスラがチョコレートを食べている姿を見て、体の中で何かが湧き上がったのだ。

キングゲスラは変わらずチョコを食べている。

ヒロキはその姿に昔、友達になった不思議なトカゲを思い出した。

 

「もしかして・・・、「ちょっと!!」!」

 

ヒロキが振り返ると3人の怪獣娘がこっちに走ってくるのが見えた。内、1人は幼馴染だ。

 

「何してんの!!危ないから逃げて!!」

「ガッツの言う通りです!!本物の怪獣が暴れているんですから・・って!!」

「こんなに近くに・・・いつの間二!?」

 

ガッツ星人とアギラがヒロキに避難するように言うが、その間にもキングゲスラはこちらに接近してきていた。3人が戦闘態勢に入る中、ヒロキから予想外の言葉がきた。

 

「待って、その怪獣は僕の友達なんだ!!だから、戦うのはやめてくれ!!」

「「ええっ!?」」

「もしかして・・・この怪獣・・・。」

 

ヒロキは怪獣の前に立つ。そして右腕を2回上下に降り広げた。掛け声を言いながら。

 

「クンクン、パッ!クンクン、パッ!」

「ちょっ、ちょっと何してんの!?」

「こんな時にふざけてる場合じゃ「大丈夫デスよ。クンクン、パッ」!!?」

 

驚くアギラとガッツ星人を横にキングジョーも同じように芸をやり始める。

するとキングゲスラはその動きに合わせ、首を動かし、口を開く。

 

「「クンクン、パッ!クンクン、パッ!チビスケ(ちゃーん)ーッ!!」」

「僕だよ、ヒロキだよ!」

「ワタシデス、クララデスよ!」

 

驚く2人の怪獣娘を横にキングゲスラは大人しくなっていく。キングゲスラは目線がヒロキ達に合うようにしゃがむ。そして2人に嬉しそうに鳴きながら近づく。

 

「クアアア・・。」

「チビスケ、やっぱりチビスケなんだな!!大きくなったな、お前!!」

「小学校時代に変な男に連れ去られた時はショックデシタ!!でも、嬉しいデス!!こうやってまた、会えたのデスから!!」

「助けてやれなくてごめんな!!本当に、本当にごめんな、長い間待たせてしまって!!」

 

キングゲスラは気にしてないよというようにヒロキに首を振る。ヒロキは嬉しそうに笑う。

 

「ありがとうな、チビスケ。」

 

一方、アギラとガッツ星人は目の前の展開に完全に空いた口が塞がらなかった。

 

「本当に友達だったんだ・・・。」

「信じられない、マジ、マジか・・・。」

 

キングジョーは2人に振り向くと、2人をキングゲスラの前に出した。

 

「ガッツ、アギラちゃん、紹介シマス。ワタシ達が昔、友達になったチビスケちゃんデス。」

「「は、初めまして・・。」」

「クアアァ。」

 

キングゲスラは2人に挨拶するように小さく鳴く。

ヒロキとキングジョーがキングゲスラの口にチョコを放り込む。キングゲスラは嬉しそうに食べた。

 

「チビスケのこと、これからどうする?このままじゃ。」

「ちょっと待ってくだサイ。今から掛け合ってミマス。」

 

そう言って、キングジョーはソウルライザーで連絡をとる。友達であるチビスケの今後の安全について相談するためだ。

その横でアギラとガッツ星人はヒロキと話していた。

 

「どうしてあの怪獣が友達って分かったんですか?」

「チョコレートが好物が大好きだったし、面影もあったし、すぐにわかったよ。」

「すごいね、君は。それだけで分かるなんて。」

 

ヒロキが2人に自己紹介してる間、キングジョーはピグモンと話していた。

 

『あの怪獣がキンキンの友達!?本当ですか!?』

「ハイ、何とかチビスケちゃんの居場所を造ってあげられないデスか?」

『難しいですが、何とかしてみます。』

「ありがとうございマス!!」

 

キングジョーがピグモンと話をしている間、レキューム人は、制御装置で暴れさせていたはずのキングゲスラが突然大人しくなったことに困惑していた。

マーキンド星人は焦るように聞く。このままではオークションにならないからだ。

 

『どうした?何故、動かない!?』

「分からん、制御装置が動かなくなった!」

 

その後ろで、霧崎が目の横を叩く。すると、目が急に見開く。

それと同時にキングゲスラの目も見開く。すると、大人しくなった筈のキングゲスラが突然凶暴化し、暴れ出した。

怪獣娘達は凶暴化したキングゲスラに戸惑う。

 

「どうしたんだ、チビスケ!?」

「ワタシ達がチビスケちゃんを止めマス!!ヒロキは安全な場所に避難してくだサイ!!」

 

怪獣娘達はキングゲスラに向かって駆け出す。タイガもヒロキに声を掛ける。

 

『変身だ、ヒロキ!!』

「ああ、僕がチビスケを助ける!!」

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

 

『はあーっ!ふっ!』

 

タイガスパークを操作し、左手のウルトラマンタイガキーホルダーの光を読み込ませる。右手でキーホルダーを持ち直し、右手を上に掲げる。

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

一筋の光からウルトラマンタイガが現れ、大空に飛び上がる。

 

「シュア!」

 

タイガは土煙を上げて、地上に着地する。地上に降り立ったタイガは目の前のキングゲスラに向かってファイティングポーズをとる。

 

「グオオオオオオ!!グオオオオオオ!!」

 

キングゲスラはタイガを見ると真っすぐ突進した。タイガも同じく走り出し、怪獣の突進を受け止める。しかし、思った以上に力の強いキングゲスラにタイガも押し戻されてしまう。

 

「シェアアアアァァァ!!」

「グオオオオォォォ!!」

 

タイガはキングゲスラを抑えたまま右足で蹴りを軽く放つ。キングゲスラがひるんだ隙に右ひじでひじ撃ちからの右回し蹴りを決め、怪獣との距離をとった。

 

「グオオオオォォォ!!」

 

キングゲスラは力を溜めると目と背中の棘が赤く光り出す。するとキングゲスラは毒の棘をミサイルのように発射してきた。

 

「シェアアァァァァァァ!!」

 

タイガは両腕で受け止めるが、全て防ぐことはできず、ダメージを負ってしまう。

 

『ヒロキ、あの指輪を使ってみろ!!』

(指輪って、この前戦った怪獣の?分かった!!)

 

『カモン!』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを操作し、左腕に意識を集中する。すると前回倒したヘルベロスを倒した時に出てきた指輪がヒロキの左中指に出現する。

ヒロキはタイガスパークを装着した右手を指輪が付いた左中指に重ねる。

 

『ヘルベロスリング、エンゲージ!!』

 

タイガの両腕に赤黒いエネルギーが溜められる。そのエネルギーは光の刃となって、キングゲスラに放たれる。

 

『ヘルスラッシュ!!』

 

ヘルベロスの力を持った光の刃がキングゲスラに命中する。その一撃にキングゲスラは怯んだ。その隙をついてタイガはキングゲスラの右腕を掴み、投げ飛ばす。必殺技を撃とうとした時、ヒロキが待ったを掛ける。

 

(何とか助けてやれないかな)

『この生物は、宇宙人によって改造されて怪獣兵器になってしまった。分かってくれ。』

(それでも僕とクララちゃんにとっては友達だったんだ。クンクン、パッ!クンクン、パッ!)

 

タイガの体を借りたヒロキがかつて教えていた芸をする。キングゲスラはその動きに合わせて首を振る。

 

(クンクン、パッ!クンクン、パッ!よし、いいぞ、チビスケ!!)

 

キングゲスラは首を振り、最後に口を開く。これを繰り返していくうちにその光景にキングゲスラは目の前の巨人が誰か理解したのか近づいてすり寄っていく。

 

(よし、いいぞ、チビスケ!!チビスケ!!よく頑張ったな!!偉いぞ!!)

 

その光景を見てキングジョーは安心した。アギラとガッツ星人はキングゲスラにかつてヒロキが教えていた芸をタイガが知っていた事に疑問を持っていたが。

 

「良かったデス。後はチビスケちゃんの居場所を探してあげられればこの件は一見落着デス!」

「でも・・・なんでウルトラマンがあの芸を知っているんだろう・・・。」

「確かに謎だよね。・・・まさかとは思うけど・・・。」

 

一方、霧崎もそれを見ていた。

 

「甘いなあ。チョコレートより甘い。」

 

そう言って、霧崎は懐から青い折りたたまれた仮面を取り出した。それを広げると黒い仮面のようなアイテム『トレギアアイ』に変わった。霧崎はトレギアアイを目の辺りに翳した。

すると霧崎の体は青いカラーリングにX字の拘束具を胸に纏った赤い目の黒い仮面の巨人と化した。それはヒロキの夢に出てきたウルトラマン達と戦っていたあのウルトラマントレギアだった。

 

『トレギア!?何故貴様がここに!?』

(あれは・・・夢に出てきた仮面のウルトラマン!?確か名前はトレギア!?)

『君に会いに来た、と言ったら?』

『ふ、ふざけやがってっ!!』

 

タイガはトレギアに殴りかかる。

マーキンド星人も奴を知っていたようで慌てたように叫ぶ。

 

「トレギア、トレギアだぁ~っ!?終わり、終わり!!今日のオークションは終わり~!!」

 

 

怪獣娘達も突然現れた2人目のウルトラマンに戸惑いを隠せないようだ。

現場に向かう途中で合流したレッドキングとゴモラとザンドリアスとノイズラーは驚いていた。

 

「もう一人のウルトラマン!?」

「タイガちゃんの仲間なのかな?」

「でも殴りかかってるっすよ!!」

「それにあの青いやつはいけすかないです!!」

 

ウルトラマン同士の戦いが始まる中、彼女達はトレギアの方を見ていた。どうか敵であってほしくないという願いを込めて。

 

エレキング、ピグモン、マガバッサー、マガジャッパもそれを見ていた。

 

「あれってウルトラマンっすよね、すげえ、2人目だ!!」

「じゃあ、味方なんでしょうか?」

「恐らくあの青いほうは敵よ。」

「ピグモンもエレエレと同じ意見です。あのウルトラマンは不気味な感じがします。」

 

はしゃぐマガバッサーをたしなめ、エレキングはトレギアを警戒していた。

 

アギラ達と合流したミクラスとウインダムもトレギアを見て唖然としていた。

 

「またウルトラマン。」

「では味方なんで「多分違うよ。」ミクさん?」

「あのウルトラマンは味方じゃない。多分だけど胡散臭い雰囲気が出てるもん!」

「私もミクラスに同意。いつでも戦えるよう警戒した方がいいよ!」

「ウルトラマンが敵に・・・。」

 

ゼットンもトレギアに対して敵を見る目をしていた。

 

 

 

タイガはトレギアに対して殴りかかるが、あっさりと受け流される。蹴りも放つがあっさりと受け流す。

 

『ほら、こっちだ。』

 

再び殴りかかるが受け流され、投げられてしまう。

 

『おやおや、もう終わりかい?』

『終わりじゃねえ!!』

 

再び拳を放つも受け流され、背中に掌底打ちを受ける。

 

(タイガ、どうしたんだ!?さっきから変だぞ!?)

 

タイガはチョップを放つも受け止められ、逆に腹にチョップを食らう。背中にもチョップを食らいながらも、振り返る。

トレギアは両手にエネルギーを溜めて、黒と白が入り混じった稲妻状の光線を放つ。タイガはそれをまともに食らい、ふき飛ばされる。トレギアが放った光線が決め手となり、カラータイマーが点滅し始める。

それを見ていたキングゲスラはトレギアに突進するも、あっさりと受け止められる。

 

『なんだ、どうしたチビスケ?』

 

キングゲスラから一旦手を離すと、足で軽く小突きバランスを崩す。トレギアはキングゲスラに蹴りを放つ。キングゲスラは吹っ飛ぶも、立ち上がり、トレギアに立ち向かう。

しかし、トレギアは受け流し、キングゲスラをいたぶるように蹴りを放ち、痛めつける。

 

(やめろ、チビスケ!やめてくれ!)

「辞めて下サイ!」

(クララちゃん⁉︎)

「おジョー⁉︎」

 

クララはキングゲスラを庇う様にトレギアの前に飛び上がる。トレギアはテレパシーでクララに話しかける。

 

『おや、君は確かキングジョーの怪獣娘だったね。一体、何の用だい。』

「辞めて下サイ!どうしてこんな事をするんデスカ!アナタだってウルトラマンでショウ!?今まで地球に現れたウルトラマンは悪意のない怪獣を痛めつけたりはしませんデシタ!!」

『君は何か勘違いしているね。怪獣が私に向かってきたんだ。私はそれに応戦しただけだよ、キングジョーのお嬢さん。』

「嘘デス!明らかに嬲りつけていたじゃないデスカ!こんなのウルトラマンの戦い方じゃないデス!ウルトラマンは正義の味方じゃなかったんデスカ⁉︎」

『君は1つの曲面からしか物事を見ないんだね。この世界には善も悪も無いというのに。』

 

トレギアは両手にエネルギーを溜める。その視線はキングゲスラに向けられていた。キングジョーは庇う様にキングゲスラの前に飛ぶ。

 

(まずい!クララちゃん、逃げて!)

「キングジョーさん、逃げてーーーっ!!」

「おジョーーーーッ!!」

 

タイガはクララの目の前に立ち、彼女を庇う。トレギアは破壊光線をタイガ達に放つ。しかし、光線はタイガ達に当たらなかった。キングゲスラがタイガ達の前に割り込み、身を張って盾になったからだ。

破壊光線を受けたキングゲスラは大爆発した。

 

(チビスケーーーーッ!!!!!)

「そんな・・・嘘でショウ・・・チビスケちゃーーーーーーーん!!!!!」

(よくも、よくもチビスケをーーーーッ!!!)

 

『(うおおおおおおおおお!!!!!)』

『おやおや』

 

タイガとヒロキは叫び、トレギアに拳を放つ。しかし、受け止められ背後に回られる。

トレギアはヒロキの心を抉るように言葉を放つ。

 

『私が怪獣を殺さなければもっと被害が出たぞ。』

(チビスケは僕とクララちゃんの友達だ!!)

『この世界は矛盾に満ちている・・・宇宙には昼も夜も善も悪もないのだよ。あるのはただ真空・・・そこしれぬ虚無。』

(黙れ!!)

 

トレギアは掌底打ちを放ち、タイガは吹っ飛ばされる。

 

『この地球人もお前と同じで未熟だな。ウルトラマンタロウの息子よ。』

『俺は・・・タイガだ!!ストリウムブラスター!!』

 

タイガは必殺光線を放つもトレギアの放つ光線に押し返されてしまう。

 

『フハハハハ、この程度か。あっけな・・・ってこれは⁉︎』

 

トレギアの周りを機械のパーツの様なものが取り囲み、そこから光のロープが射出されトレギアの身に巻き付いていた。それはキングジョーが腰のパーツを分離して放ったものだ。

しかし、彼女の獣殻は黒く染まり、右腕にはランチャーが付いている。

 

「アナタだけは絶対に許しまセン!今デス!ウルトラマン!」

(クララちゃんが黒くなっている!どうして・・・!?)

『ヒロキ、考えるのは後だ!!彼女が奴を縛り上げている今がチャンスだ!ロッソレットを使え!!』

(分かった!!)

 

〈カモン!〉

 

ヒロキは腕のタイガスパークを操作し、左腕に意識を集中する。すると兄弟ウルトラマンの兄である二本角のウルトラマン『ロッソ』から託されたブレスレット『ロッソレット』が出現する。

ヒロキはタイガスパークを装着した右手に左手を重ね、ロッソレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ロッソレット、コネクトオン!!〉

 

タイガにウルトラマンロッソのビジョンが重なり、ストリウムブラスターと同じチャージを行う。タイガの必殺光線にロッソの炎の力が加わり、強力な光線が放たれた。

 

『(フレイムブラスター!!!)』

 

光線は見事にトレギアに命中した。キングジョーも元の色に戻りながら、地面に着地する。しかし、トレギアは何事もなかったかのように空に浮かび上がる。

 

『ハハハハハハ、中々骨のある攻撃だったよ。それにキングジョーのお嬢さん、君のおかげで怪獣娘に興味を持てたよ。ではこの世の地獄でまた会おう。』

 

トレギアは空に黒い雲を発生させ、その中の魔法陣に消えていった。

 

(タイガ、トレギアって何者?夢の中に出てきてから、気になってはいたけど。)

『闇に堕ちたウルトラマンさ。あいつのせいで俺は大事な仲間を・・・。』

 

ヒロキは夢の中でタイガと一緒にトレギアに挑んだ2人のウルトラマンがトレギアに消された事を思い出した。

 

((夢の中に出てきたあの2人の事か・・・))

 

 

キングジョーはキングゲスラがトレギアによって無残に殺された現場に立っていた。その目には涙が浮かんでいた。

 

「チビスケちゃん・・・御免なサイ・・・。ワタシにもっと力があれバ・・・。」

「おジョー、帰るよって・・・・そんなこと言ってられないか。私達、先に帰っているから。」

 

ガッツ星人が声を掛けるも、反応がないため先に帰る事にした怪獣娘達。

アギラが重い口を開く。

 

「キングジョーさん、心配だね。」

「おジョー自身が立ち直るまで待つしかないさ。それよりピグっち。」

「はい、信じたくはありませんが、今度の私達の敵はウルトラマンです。絶対に私達は強くならなければなりません。」

 

怪獣娘達が去った後で、キングジョーは変身が解け、元の人間クララ・ソーンに戻る。彼女は大量の涙を流して泣いていた。

 

「チビスケちゃん・・・ううう・・・うわああああああん!!!」

 

ヒロキはその光景を見ていた。いつも笑顔が眩しいあの明るい幼馴染が大泣きしているのを見て、声が掛けられなくなっていた。

タイガはその光景を見て謝る。

 

『御免な、ヒロキ。俺にもっと「いいよ、タイガは悪くない。僕が悪いんだ。僕が弱いからチビスケを死なせて、クララちゃんを泣かせてしまったんだ。」・・・ヒロキ。』

 

ヒロキの心はやるせない思いで一杯だった。ヒロキは夕日に向かって、泣きながら叫んだ。やるせない思いを振り払うために。

 

「うあああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、GIRLS東京支部が見えるビルの屋上でトレギアの仮の姿である霧崎が立っていた。その手にチョコレートを持って、GIRLS東京支部を見ながらチョコレートを一口かじると一言呟いた。

 

「怪獣娘・・・ねぇ・・・・。」

 

霧崎は再びチョコレートを一口かじり、夜の闇の中に消えていった。




私はこの小説では霧崎の姿でもCV内田雄馬さんをイメージしています。
読者の皆さんは七瀬公さんでも内田雄馬さんでも脳内CVはお好きにイメージして構いません。


次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+????)

『GIRLSに舞い込んだ新たな任務。それは黒い噂の絶えないとある会社社長の警護だった。社長を狙う復讐者が無機質な冷たい怪獣に姿を変える時、宇宙の彼方から頼もしい仲間が帰ってくる!!次回!!

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


星の復讐者



賢者の拳は全てを砕く!!』


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星の復讐者(前編)

本日はこちらも投稿できました。

星の復讐者が終わったら、いよいよ物語を進められそうです。


宇宙空間に浮かぶ一機の宇宙ステーションがあった。その宇宙ステーションに向かって、一機の無人ロケットが向かっていた。ロケットは減速せず、そのまま接近、やがて衝突した。

宇宙空間で大きな爆発が起こり、その光景に命綱を着けた一人の宇宙服を着た男が絶望した表情で叫んでいた。

その宇宙ステーションにはその男が一番愛している妻が乗っていたのだ。この状況では彼女は間違いなく助からないだろう。

やがて木っ端みじんになり人口衛星の残骸が漂流する宇宙空間に取り残された宇宙飛行士の前に青い悪魔『トレギア』が現れた。

 

『地球人よ。お前は何を望む?」

 

宇宙飛行士は知っていた。今回の衝突は決して、偶然起こったものじゃない。故意に起こされたものだと。

男は願った。

 

「決まっている・・・!!復讐だっ・・・!!あの汚職に身を染め、私腹を肥やしたあの男への・・・!」

 

 

 

 

 

 

『今日、コスモミラクル社の今里社長が謝罪会見を開きました。先日、コスモミラクル社が打ち上げた火星探査のための無人ロケットが宇宙ステーションに衝突し、宇宙飛行士2名が死亡する事故が発生し、今里社長はその責任問題を追及されていました。今里社長は『シュミレーションが合わなかった原因を解明し、二度とこんな・・・』

 

『悲惨な事故が起こったな。』

「うん。」

 

ヒロキとタイガは誰もいない部屋で、TVニュースを見ていた。TVは先日発生した宇宙ステーションと無人ロケットの衝突事故で持ち切りだった。

 

「父さんが宇宙開発の仕事に携わっていて、この宇宙ステーションにも関わる予定だったんだけど、断ったらしいよ。」

『予定?』

「なんか、あまりいい噂を聞かないんだって。裏では怪しいことをやっているって噂らしいよ。」

『ふーん。』

「・・・・ねえ、タイガ『だから俺が知ってるわけないだろ。クララが黒くなった理由なんて。』・・・ごめん。」

「でもさ、キングジョーブラックなんていた?怪獣図鑑やネットの辞典にも無かったよ。」

『この宇宙の地球には現れた事は無いんだろうな。・・・・怪獣娘についてはこの星のお前が分からないんだから、俺だって分からないぜ。ヒカリ博士なら分かるんだろうな。』

「ヒカリ博士ってウルトラマンヒカリ?」

 

ヒロキは部屋にあったウルトラマンや怪獣の本を取る。そして本をめくり、1ページを広げる。そこには右手にブレスレットの様な物を付けた胸に様々な丸い突起を付けた青いウルトラマンが描かれていた。彼こそが光の国の天才科学者ウルトラマン『ヒカリ』である。

 

『ヒカリ博士は宇宙科学技術局の優秀な科学者だからな。あの人なら今でも謎が多い怪獣娘について分かるだろう。』

「ヒカリって科学者だったんだ・・・・・。」

『知らなかったのか?この宇宙の地球にも現れていたんだろ。』

「全く知らなかったよ・・・・。ねぇ、そろそろ聞かせてくれないかな。あの夢について。」

『夢?』

「トレギアと君の戦いだよ。ギンガっていうウルトラマン達の前に君は現れて、トレギアに戦いを挑む夢を何度も見るんだからさ。」

「⁉︎何でヒロキがそれを・・・・・・・・・・・俺の記憶を夢で見たんだな・・・・・・。』

「そろそろ教えてくれてもいいんじゃないかな。僕もトレギアと戦ったし、クララちゃん達怪獣娘も遭遇したんだ。」

『・・・・・分かった。外へ出ないか?』

 

ヒロキはタイガの言葉に頷き、部屋を出て行った。TVの中のアナウンサーが新しくきたニュースを読んでいた。

 

『たった今、新しい速報が入ってきました。どうやら今里社長あてに脅迫状が送りつけられたようです。なお、脅迫状を送った犯人は未だ不明であり・・・』

 

ヒロキはそのニュースを聞く前に外へ出て家のドアを閉めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSの会議室では再び現れた怪獣と宇宙人について話していた。

 

「皆さん、この地球から消えた筈の怪獣が出現し、暴れ出す事件が二度も起こりました。その内、キングゲスラの事件については宇宙人が関与していた事が分かっています!そして、その宇宙人達の証言で彼らは地球で犯罪組織を結成していた事が分かりました!」

「宇宙人の犯罪組織!?」

「宇宙人って地球からいなくなったんじゃ?」

「ゴモゴモが捕まえた2人によると地球から怪獣がいなくなった後も宇宙人は人知れず地球に来ていたそうです!彼らはオークションのために自分達の保有する怪獣を破壊兵器として放っていたそうです!」

「じゃあ、チビスケちゃんはそのため二・・・。酷いデス・・・命を兵器にして商売するナンテ!」

「キングジョーさん・・・。」

 

赤い髪のピグモンこと『岡田トモミ』からの説明に青い癖毛気味の髪のマガバッサーこと『風巻ヨウ』と長いポニーテールに八重歯の少女ミクラスこと『牛丸ミク』が驚き、クララが宇宙人の犯罪組織に怒りを覚える。そんなクララを長い白銀の髪を三つ編みにした眼鏡の少女ウインダムこと『白銀レイカ』が心配する。

 

「取調べによれば、彼らが持っている怪獣兵器は無数に存在し、既に多くの怪獣が地球に放流されたようです。」

「マジか!それじゃあ、怪獣がこれからも現れる可能性があるってことかよ!?」

「第一次大怪獣時代と同じ人類と怪獣の戦いが再び起きる時代になる可能性があるわけね。」

「はい、一刻も早く、怪獣対策を整える必要があります。それに・・・。」

 

ウルトラマンタイガの画像がモニターに映り、トモミの言葉にレッドキングこと長髪を縦ロールにし、鼻に絆創膏を貼った少女『歌川ベニオ』とエレキングことピンク色の長髪に三日月型のヘアピンを付け、眼鏡を掛けた少女『湖上ラン』が反応する。

トモミは浮かなそうにウルトラマントレギアの映像を写しながら言葉を続ける。

 

「青い仮面のウルトラマンに対抗するためにはやはりウルトラマンの力を貸りるしかありません。・・・本来、地球への脅威は私達で対処しなければなりません。・・しかし、敵がウルトラマンであれば、怪獣娘だけでは、確実に勝ち目がありません。そのためにもウルトラマンさんとコンタクトをとらなければ。」

「でも、クラスの皆はあの仮面のウルトラマンも怪獣を倒してくれたから味方だと言って「あり得マセン!!!」キングジョーさんっ!?」

「あの仮面のウルトラマンは絶対に敵デス!!!断ジテ!!!味方なんかではありマセン!!!絶対二!!!絶対に倒さなければならない敵デス!!!」

「ふええええっ!?」

「キングジョーさん、落ち着いて!!」

「あの怪獣の友達を殺されて辛いのは分かったから落ち着いてください!!」

 

マガジャッパことショートボブに赤い髪飾りを付けた少女『竜波ユカ』の言葉にクララは逆上して反論する。いつも優しく笑顔が明るいクララの逆上にユカは思わず怯えてしまう。

逆上したクララをザンドリアスことピンク色の髪をツインテールにした小柄の少女『道理サチコ』とノイズラーことメッシュが入った髪と男っぽい雰囲気のヘッドホンを着けた少女『鳴無ミサオ』が押さえつける。

 

「御免なサイ・・・取り乱しテ。」

「だっ、大丈夫です。」

「ん?ちょっと待って。『キングゲスラの事件は』って言ってたよね。じゃあ、銀座に現れたヘルベロスの事件は分からないって事?」

 

ミコがトモミに質問する。トモミは答えづらそうに答える。

 

「実は彼らにもあのヘルベロスが現れた理由は分からないそうです。」

「奴らが嘘をついている可能性は?」

「それは無いと思うよ。私も取調べに立ち合ったけど、嘘をついている様子は無かったよ。本当にヘルベロスが現れた理由は分からないんじゃないかな。」

 

ピグモンの答えにミコが指摘する中、ゴモラことボーイッシュな栗色の髪の少女『黒田ミカヅキ』がピグモンの話を補足する。

 

「じゃあ、何でヘルベロスは銀座に現れたんだ⁉︎」

「分かりませんが、彼等は他に地球に侵入した宇宙人の仕業ではないかと言っていました。その怪獣騒ぎに便乗して、今回の事件を起こしたそうです。」

「因みにどの位の規模の組織なんですか?」

「まだ具体的な規模は分かりませんが、宇宙中にクライアントがあるらしいです。その事からかなり規模の大きい組織では無いのでしょうか?」

 

レッドキングとウインダムの質問にピグモンは取調べから分かった事実と憶測を交えて話す。

 

「とにかく、宇宙人の犯罪組織と青い仮面のウルトラマンに対抗するためにウルトラマンタイガさんの正体を探る事にしましょう。全体会議は以上です。今日の任務を控えたアギアギ、バサバサ、ジャパジャパの3人は残ってください。」

 

 

 

 

 

 

クララ、ラン、ミコ、ベニオ、ミカヅキが会議室を出て、GIRLSの廊下を歩きながら話していた。

 

「絶対にその組織だけは捕まえなければいけマセン!何としても!」

「おジョー、ちょっと落ち着きなよ。そりゃあこれからその組織を止めなきゃいけないのは分かってるけど、そんな状態じゃ危険だよ。」

「御免なサイ・・・。でも、どうしてもチビ助ちゃんを酷い目に合わせたあの仮面のウルトラマンが許せないのデス!」

「キングジョー、気持ちは分かるけどよ。このままじゃカイジューソウルに支配されて暴走しちまうぜ。」

「あの怪獣は仮面のウルトラマンに倒されなくても、殺処分が妥当でしょうね。この星に怪獣の居場所は無いのだから。」

「おい!!エレ‼︎なんて事言うんだよ‼︎」

「別に。客観的に事実を述べただけよ。」

「エレキング・・・!言っていい事と悪い事があるんデスヨ‼︎」

 

クララはソウルライザーを取り出した。それを必死にミコとミカヅキが押さえつける。

 

「ちょ、ちょっとおジョー‼︎辞めなって‼︎」

「ストップ、ストップ‼︎ストーーーップ‼︎こんな所で仲間割れしてても仕方ないよ‼︎」

 

その言葉に少しは納得したのか、クララはソウルライザーを仕舞う。そして無言で立ち去っていった。

 

「ちょっと!エレ!後でおジョーに謝りなよ!」

 

ミコの言葉を聞いたランはまたも無言で去っていってしまった。

 

「もう、これじゃあ全然楽しくないよ‼︎」

「大丈夫なのか、これ・・・・・。」

 

トレギアの爪痕は怪獣娘にも確実に影響を及ぼしていた。

 

 

 

その頃、会議室にはトモミとアギラこと茶髪と眠そうな目をした少女『宮下アキ』とヨウ、ユカの4人になる。トモミは書類を配り、今回の任務を説明する。

 

「これってコスモミラクル社のパンフレットじゃないですか!?どうして今回の任務の説明にこれが・・・?」

「皆さんも知っているとは思いますが、先日コスモミラクル社が打ち上げたロケットが宇宙ステーションに衝突し、宇宙飛行士2名が死亡する事故が起こりました。今回の任務はコスモミラクル社社長『今里光』の警護です。」

「どっ、どうしてあの会社の社長の警護をGILRSが!?」

「そうですよ!!どうしてわたし達怪獣娘が出なければいけないんですか!?」

「その理由は・・・これです。」

 

トモミは会議室のモニターに映像を写し出す。映像に映っていたのは、事故にあった宇宙ステーションに乗っていた宇宙飛行士の1人『九条レント』だった。

 

「この人って、この前の事故に遭った宇宙ステーションに乗っていた宇宙飛行士?」

『今里光、貴様はとんでもない罪を犯した。貴様の罪がこれだ。』

 

そう言って、宇宙ステーションにロケットがぶつかり、大爆発する瞬間が映る。

 

『これが貴様の最大の罪だ。貴様は様々な罪を重ね、その証拠を握りつぶすためにわざと今回の事故を起こした。その罪を貴様自身の命で償うがいいっ!!』

「事故を起こした社長への殺害予告ですか・・・。あれ、もしこの映像を撮ったのがこの人ならどうやって地球に戻ってきたんでしょうか?」

 

脅迫を予告した映像を見て、アキは疑問を口にする。宇宙ステーションには緊急事態用の脱出ポットもあったが、事故で木っ端みじんになったはずであり、もし予告を撮影したのが九条レント本人なら、地球に帰ってくることが出来ないはずだからだ。

 

「そうなんです。あの映像はスタジオやCGを使った悪戯である可能性もあります。ありますが、念のため怪獣娘に警備してほしいとのことです。」

「・・・さっき、宇宙飛行士が『様々な罪を重ねた』と言っていましたが。」

「・・・実はコスモミラクル社は黒い噂が絶えない会社でして・・・、宇宙開発事業の裏で武器の密造や密売、怪しげな人体実験なども行っていると噂されているんです。」

「そんな人の警護をするんですか!?わたし、絶対に嫌です!!」

 

今回の任務にヨウが大声を上げて、反対する。当然だ。事故を起こした原因かもしれない上に犯罪行為に身を染めた可能性がある社長を守りたいと誰が思うだろう。

 

「相手の人間性を考えると、私達も断りたかったです。しかし、社会的にも知名度が高いコスモミラクル社の依頼を断れば、今後の活動に支障が出るかもしれない。上層部はそう考えた結果、今回の依頼を受けました。」

「分かりました。」

「アギラ先輩!?本当にやるんですか!?」

「命を狙われているかもしれない人を助けてあげるのもボク達怪獣娘の役目だと思うよ。相手が誰であろうと、ボク達がやらなきゃいけない事はやらないと。ボク達の手で助けられる命を放っておいたら、きっと後悔するから。」

「バ、バサちゃん、やろう。わ、私もい、一緒に頑張るから。」

「ジャッパ、アギラ先輩、・・・分かりました!!やります!!」

 

反対したヨウをアキが論す。一緒にGIRLSに入った友達に励まされた事でヨウはようやく納得した。3人はピグモンの言葉に力強く答える。

 

「警備は午後6時からです。皆さん、全体会議の後で大変だと思いますが頑張ってください。」

「「「ハイ!!!」」」




次回はクロスオーバーユニバース版には無かった描写を沢山入れたいと思います。


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星の復讐者(中編)

クロスオーバーユニバース版には無かった場面を多く含みたかったですが、ほとんど前からの流用になってしまいました。

前半のタイガとヒロキの会話の内容はウルトラギャラクシーファイトニュージェネレーションヒーローズを見れば分かると思います。


時計は5時を回った頃、2人は公園を歩いていた。歩きながら、タイガはヒロキにトレギアとの戦いのきっかけを話していた。

 

『あれは俺達が宇宙で修行の旅から帰ってきた直後だった。その時、光の国では緊急事態が起こっていた。』

「緊急事態?」

『かつて、お、いやウルトラマンタロウによって倒された強大な敵が復活した。名前はウルトラダークキラー。そいつらにニュージェネレーションヒーローの先輩達が力を合わせて立ち向かったんだ。』

「ニュージェネレーションヒーローの先輩達って、トレギアと戦っていた7人のウルトラマンだよね。」

『ああ、どの先輩達もその事件に関わるようになったきっかけは異なるらしいが、・・・・その中で俺に力を託したロッソとブルの事は分かるよな?』

「君にブレスレットを託した赤いウルトラマンと青いウルトラマンの事だよね。」

『彼らには妹がいる。名前はウルトラウーマングリージョ。彼らがダークキラーの事件に関わった理由はグリージョがダークキラーに攫われたからだ。』

「妹もウルトラマンなんだ・・・。いや、ウルトラウーマンって言った方がいいのかな。でも、その事件にトレギアがどう関わっていたの?」

『ダークキラーにグリージョを攫わせたのがトレギアなんだよ。』

「ええっ!?でも、どうして!?」

『ロッソとブルはグリージョと合体する事でウルトラマングルーブという強力なウルトラマンになる。トレギアは彼らをグルーブにさせないためにダークキラーにグリージョを攫わせたんだ。トレギアはダークキラーを倒した先輩達の前に現れて、光の国を襲撃すると予告したらしい。後はお前の夢の通りだ。先輩達は奴と戦ったが罠に嵌り、体力を消耗してしまった。だから、先輩達に変わって俺達が立ち向かったんだ。けど、俺達は結局、奴に負けてしまった。』

 

ヒロキは今に至るいきさつに納得した。そして、タイガと一緒にトレギアに立ち向かった2人のウルトラマンについて質問した。

 

「そうだったんだ。・・・俺達って言ってるけど、・・・・もしかしてあの2人がトレギアに消された仲間?」

『そうさ。俺は修行のため、色々な星を巡った。そこであいつらと出会ったんだ。そして、その2人とチームを組んだ。それがトライスクワッドだ。』

「その2人もウルトラマンなんだよね。」

『ああ、そうさ。タイタスは・・・パワーがあって、頭もいいんだ。フーマは喧嘩っぱやいけど・・・スピードに優れててさ、義理固くてさ・・・いいやつなんだぜ』

「大切な仲間だったんだね。」

『ああ、けどトレギアにやられて・・・2人は・・・もう・・・。』

 

よほど悔しかったのだろう。タイガは肩を震わせながら当時の事を思い出していた。

そんなタイガにヒロキが声を掛ける。

 

「多分だけど2人は生きているんじゃないかな。」

『なんでヒロキがそんなこと言えるんだよ!!』

「タイガが生きているからだよ。タイガもその2人と同様にトレギアに同じ技でやられたんだろ?けど、タイガは生きているじゃないか。だから、希望は捨てちゃいけない。僕はそう思うよ。」

『ヒロキ・・・。』

 

ヒロキの言葉に思うところがあったのだろう、タイガがうつむきながら口を閉じる。

その時だった。多くの人がヒロキと反対側から走ってきたのは。それはTVの記者会見でよく見る報道陣だった。

 

「うわっ!!」

「ああっ、すまない!!君も早く逃げた方がいいぞ!」

「一体何があったんですか!?」

「社長が宇宙飛行士に襲われている!!ここにいたら巻き添えになるぞ!」

 

そう言って記者は走っていった。ヒロキはタイガに話しかける。

 

「タイガ、僕達も行ってみよう!!嫌な予感がするんだ!!」

『お前がそう決めたなら、俺は反対しないぜ。』

 

ヒロキは走り出した。報道陣の走る方向とは逆に。

 

 

 

 

 

 

その頃、アギラ達は人前に出るコスモミラクル社社長『今里光』を嗜めていた。命を狙われているのに人前に普通に出ようとしたからだ。

 

「ちょっと、社長さん!命を狙われているんですからあまり人前に出ない方がいいですよ!!」

「大丈夫だ。君達、怪獣娘もいる。それに私は脅迫になど屈したくはない。ここで屈したら、九条君夫妻に顔向け出来ない。」

「あなたがあの事故を意図的に起こしたって噂もあるのにですか!?」

「誰が流したかは知らんが、そんな事実はない。私を信じてくれ。」

 

社長はそう言って外へ出た。その前には沢山のマスコミがいる。

実はどこからか漏れたのか、社長宛に殺害予告が届いたという噂が世間に流れてしまった。

しかも、怪獣娘が社長の警備をしているせいで、その噂は信憑性が高くなり、結果として多くの報道陣が会社にけしかける形になった。

カメラを向ける報道陣に目立つのが苦手なアギラは顔を必死に隠す。マガジャッパも大勢の人混みに慣れていないせいでかなり戸惑っていた。

そんな2人の事を知らず、1人の新聞記者が今里に質問し、つられて他の記者やニュースキャスターも質問する。

 

「今里社長、宇宙ステーションの事故についてどうお思いですか!?」

「実に残念で不幸な事故でした。」

「宇宙飛行士2名が死亡する事故が起こったきっかけは!?」

「残念ながらまだ分かっていません。しかし、我が社のシュミレーションでは安全に火星に着陸するはずでした。我が社の信頼を崩すために産業スパイによって仕組まれた可能性も出て来ています。」

「世間では故意に起きた事件だという意見も出ていますが!?殺害予告が送られたとの情報もありました。何か関係ありませんか!?」

「わざとではありません。殺害予告についてですが・・・。」

 

今里はマスコミの一つ一つの質問に対し、丁寧に答えていく。そして、最後の質問には一瞬戸惑うも、

 

「殺害予告は事実です!恐らく、会社の信頼を落とそうとする産業スパイの仕業でしょう!しかし、私は屈しません!!犠牲になった2人のためにも私はこれからも宇宙開発事業を続けていきます!!今回の事故の原因を解明し、解決策を見つけ、再び立ち上がる!!私は前に進みます!!前に進んで宇宙開発を進めていきます!!」

 

記者の質問に全てはっきりと答えた今里に対して、怪獣娘達もやはりあくまで噂で本当はいい人なんじゃないかと好感を持ち始めた。しかし、事態は急変した。

 

「世間には、でたらめを吹き込み自分は聖人アピールか。この犯罪者が!!」

 

彼らの前に青い作業着のような服を着た顔色の悪い男が現れた。その途端、アギラ達のソウルライザーに連絡が入った。ピグモンからだ。

 

『3人ともとんでもない事実が分かりました!!あの映像はスタジオでもCGでもありません!!本物の九条レントです!!」

 

怪獣娘達もマスコミも今里もその男を驚きながらその男を見た。男は紛れもなく、宇宙ステーションに乗った宇宙飛行士『九条レント』本人だったからだ。

当然、マスコミはレントに取材しようとした。二度と地球に帰ってくることが出来なくなった男がどうやって帰ってきたか気になったからだ。

しかし、レントは懐から白い奇怪な銃を取り出した。銃を突き付けられたマスコミは怯えて、逃げ出した。

レントは銃の引き金を引く。すると今里の後ろに白い魔法陣が形成された。すると魔法陣に今里が吸い込まれていく。

 

「助けてくれぇぇぇーーーっ!!」

「凄い力・・・ってこの魔法陣、宇宙空間に繋がっている!!2人とも力を貸して!!」

「はい!!」

 

アギラはマガバッサー達の力を貸りて、今里を魔法陣から引き離す。

 

「大丈夫ですか!?」

「助かった。ありがとう。頼むよ。彼を止めてくれ。きっと事故で気が狂ってしまったんだ。」

「気が狂ってるのは貴様の方だ!!社長!!あれは事故に見せかけて俺達を殺害するつもりだったんだろう。怪獣娘達、その男は武器の密造、密売、密輸を行っている!!その他にもテロリスト達に資金援助を行ってきたり、違法薬物にも手を染めてきた最低の男だ!!そんな男をお前達は守るのか!!?」

「奴は宇宙に行った影響で狂ってる!!正気じゃないんだ!!最悪の場合、殺してもかまわないから、あいつを止めろ!!」

「奴の言葉こそ何の意味も無い!!これを見れば分かる!!」

 

レントがそう言うと、建物の外のモニターに映像が写し出された。

 

『このロケットランチャーはお買い得ですよ~!』

『約束のお金です。これからも我が社をよろしく。』

『成程、この薬はこういう効果が・・・・いい結果だな・・・。この材料は当たりだな。』

 

それは今里が外人にロケットランチャーやグレネードランチャーといった強力な武器を売っている映像だった。他にも武器を持った外国人に1億の大金を渡す場面やどこかの手術室で男に無理矢理薬を打たせて苦しむ姿を愉快な表情で見る姿が写し出されていた。

 

「こ、これは・・・。」

「ひ、酷い・・・。」

「どうだ!これらの犯罪をその男はしてきたんだ!!しかも、俺の妻はその男の悪事を知ったからという理由で殺害されたんだ!!あのロケットに衝突させて、事故にみせかけてな!!」

「お、お前、俺が事故に見せかけて殺害した証拠がどこにある!!でたらめを言いやがって!!」

「俺は宇宙ステーションに行く1週間前に妻から聞いたんだ。妻は会社の社長と一部の社員以外立ち入り禁止の部屋の前で社長と部下の武器の商談の会話を聞いたと!!妻は、宇宙ステーションから帰ってきたら本格的に証拠集めを行うと俺に言った!」

「しかし、貴様の方も妻に裏でしてきた事を知られたと知った!だから、事故に見せかけて、妻を殺害したのだ!!貴様らはそんな男も守るというのか!?」

 

怪獣娘達はさっきの姿やGIRLSで聞いた話が正しかったと知って、ショックを受けた。さっきまで、報道陣への質問に全てにきちんと対応していた姿は偽りの姿だったのだ。

しかし、アギラはそれでもレントに反論した。

 

「確かにこの人は多くの罪を犯した悪い人です!でも、だからと言って見捨てていいわけがない!だからボク達はこの人を最後まで守ります!!」

「まだ、そんな事を・・・ならば、貴様らも抹殺する!」

 

レントは銃から光弾をアギラに撃つ。アギラも怪獣娘の身体能力を生かして光弾を避け、レントの後ろに回り込み、羽交い締めにする。

 

「ボクが押さえている間に社長を逃がして!!ただし、君達も一緒だよ!!」

「はい、任せてください!!」

「社長さん、私達から逃げないでください!!」

「おいおい、これってまさか・・・。冗談じゃない!!警察に行くのだけは御免だ!!」

 

今里は怪獣娘達に自分の身柄を拘束されると思った。レントが羽交い締めにされた今がチャンスだと思い、全力で走り出した。

マガバッサーとマガジャッパは憤り、アギラは指示を出す。

 

「あーーーっ!!逃げた!!」

「あんな罪を犯して、自分だけ逃げるなんて!!」

「ここは、ボクが何とかするから、2人は社長を追って!!」

「はい!!」

「邪魔だ!!」

 

2人が社長の後を追う。それを見たレントは逃がさんと言わんばかりにアギラを振りほどく。

 

「なんて力・・・。」

「俺は宇宙で悪魔と契約した。その結果、怪獣娘以上の力を手に入れたのだ!!」

 

そう言うと、アギラの前に今里を吸い込もうとした魔法陣が現れた。魔法陣の向こう側は宇宙になっている。

これに吸い込まれたら、生きて帰れないだろう。

 

「愚かな男を守ろうとする怪獣娘。闇にさようなら。」

「ぐっ、く、くううう!!」

 

レントは銃の引き金を引き、魔法陣を出した。魔法陣は下に降りて、レントを飲み込み、消えていった。

アギラは宇宙空間に投げ出されないように近くの柱に必死で掴まっている。

 

「うう、本当にマズイかも・・・。」

 

アギラは柱から手を離そうとしなかった。しかし、魔法陣が宇宙空間と繋がったことで容赦なく気圧の変化が起こり、アギラを宇宙空間へ飲み込もうとしている。

アギラは魔法陣が縮まっていくのを確認した。このままいけば耐えられる。そう思っていた。

しかし、悲劇は起きた。柱そのものが折れてしまったのだ。アギラの体は宙に浮かび上がり、そのまま宇宙空間へ放り込まれる。

 

(皆、御免ね。もっと、皆と楽しい時間を過ごしたかったな。)

 

アギラが魔法陣に吸い込まれそうになったとき、大きな声が聞こえてきた。

すると、1人の少年が走ってきた。彼はアギラにそのまま手を伸ばす。

 

「アギラさん、だっけ?僕に掴まって!!」

 

その少年はアギラの先輩であるキングジョーの幼馴染であり、最近怪獣娘達と知り合った白鳥ヒロキであった。アギラはヒロキの手を掴む。ヒロキも魔法陣に吸い込まれそうになるアギラの手を必死で掴みながら踏ん張る。

やがて、魔法陣が消えた。

 

「大丈夫?」

「・・・・・・あっ、ヒロキさん?ありがとう。でもどうしてここに?」

「さっき、事故を起こしたロケットを打ち上げた社長に取材していたマスコミとすれ違ったんだ。どうしても気になって。」

「無茶しすぎだよ。でも・・・・・・ありがとう。そうだ、レントさんを追わないと!また、社長を狙うはず!」

「僕も行くよ!!手伝える事は手伝いたい。」

「でも・・・。」

 

アギラは戸惑った。一般人のヒロキを巻き込んで何かあったら先輩であるキングジョーさんに顔向け出来ないと考えたからだ。

しかし、ヒロキの顔を見て、アギラは決意した。

 

「分かったよ。けど、危険だと判断したらボク達に構わず逃げて。」

「まさか、女の子を置いて逃げるほど臆病じゃないよ。」

 

2人は走り出した。その間、ヒロキはアギラから今までのいきさつを聞いていた。

 

「あの社長、そんなヤバイ事をしていたの!?じゃあ、あれは意図的に起こした事故に見せかけた事件だったんだ!?」

「うん。」

「どうやって宇宙から帰ってきたのかな?」

「レントさん曰く悪魔と契約したって言ってたよ。多分だけどその悪魔に力を貰ったんじゃないかな?そしてその悪魔の力で地球に帰ってきたんだと思う。」

「悪魔・・・か。」

 

ヒロキの頭に悪魔と聞いて以前友達であるチビスケを殺した青い仮面の悪魔が重い浮かんだ。

 

 

 

その頃、公園のベンチでポップコーンを食べながら、コスモミラクル社を見る男がいた。

それはレントに力を与えたトレギアの仮の姿『霧崎』だった。

 

「さあ、私が与えた力で憎き社長に鉄槌を下したまえ。」

 

霧崎は笑いながらまるで映画を見る客のようにポップコーンを口に運んでいた。

 

 

 

 

(まさか、トレギアが関与してるのか?もし、そうなら僕が止めないと!!)

「ヒロキさん?」

「ごめん、考え事してた。・・・ってあれ!!」

 

ヒロキが指を指すと、魔法陣に吸い込まれそうになる今里を引っ張るマガバッサーとマガジャッパが見えた。2人は急いで合流する。

 

「2人とも大丈夫!?」

「大丈夫です!ってあれ・・・その人って。」

「確か海岸沿いの公園にいたキングジョーさんの幼馴染の・・・。どうしてここに?」

「話は後だ!!2人とも引っ張るよ!!」

 

4人で今里を魔法陣から引っ張る。魔法陣から離れた距離に落ちたところで、魔法陣は消滅した。

レントは声を荒げる。

 

「何だ、さっきは居なかった奴がいるな!!」

「貴方が九条レントさんですね?貴方に聞きたい事があります。その力をくれた悪魔とは誰ですか?」

「そんな事どうでもいい!!それよりも、お前も邪魔をするのか!!それでも守るのか!!愚かな悪行に手を染めた男を!!ならば、最終手段だ!!」

 

レントは銃の引き金を引く。しかし、何も起きなかった。レントは階段で上に上がっていった。

 

「2人は社長をお願い!!今度こそ逃がしちゃ駄目だよ!」

「ハイ!」

「分かりました!大人しくしててください!!」

「ぐ、くうううっ!!今までの功績が消えるのは嫌だっ!」

 

そう言ってアギラとヒロキはレントの後を追っていった。




次回もクロスオーバーユニバース版には無かったオリジナルの会話を後半に入れたいです。


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星の復讐者(後編)

いよいよ力の賢者の登場です。

今日のギャラファイ、ジョーニアス強かったですね。

まさか3本も投稿できるとは・・・。

シビルジャッジメンター『ギャラクトロンMK2』登場


ヒロキとアギラはレントを追っていた。その途中でアギラのソウルライザーにピグモンから連絡が入る。

 

「アギラです!」

『大変です!!アギアギ達がいるコスモミラクル社目掛けて使われなくなった人口衛星が落ちています!!』

「何ですって!!」

 

思わぬ話に2人は足を止める。そのままアギラはピグモンからの通信を聞く。

ヒロキは階段に上がる前にレントが銃の引き金を引いた瞬間を思い出した。

 

「きっとあの時、人口衛星を落下させたんだ・・・。」

『このままでは、1時間後に人口衛星がコスモミラクル社に衝突します!!現在GIRLSが人口衛星のコンピュータにアクセスしていますが、反応がありません!!』

「ボク達がレントさんを止めて、人口衛星の落下も阻止します!!」

『お願いします、アギアギ!!』

 

ピグモンとの通信を終えた後、2人は階段を再び駆け上がる。

そんな中、レントは子供の頃を思い出し、口を開く。

 

「正直に言うと僕はレントさんの気持ちが分かるんだ。僕も大好きなお爺ちゃんが轢き逃げにあったから。」

「えっ!?」

 

そう言って、ヒロキは小学5年生の頃を思い出した。

 

 

 

 

その日は特に何もない帰り道だった。幼馴染のクララもクラスの女子と約束があったため、ヒロキは1人で帰っていた。

 

「おっ、健一、今帰りか?」

「お爺ちゃん!」

 

帰り道の途中で祖父である『白鳥健一』と偶然顔を合わせたのだ。健一はヒロキの家の近くに住んでいて、丁度散歩の帰りだったようだ。

 

「家まで送っていくか?」

「いいよ、もう1人で帰れるから。」

「そうか、ヒロキも大きくなったな。光太郎さんにも会わせてあげたいよ。」

「またその人の名前?お爺ちゃんよく言うよね。光太郎さんって人の事。」

「兄のような人だったからな。最後は旅立っていったんだ。それ以来会えていない。しかも、その人は・・・」

「ウルトラマンだったんでしょ。何度も聞いたから分かるよ。」

「そうだ、怪獣に父さんを殺された昔の僕を勇気づけてくれたんだ。また、会いたいな。家族の事も紹介したい。未来を掴んだ事を伝えたいんだ。」

「いつか会えるといいね。じゃあ僕は帰るよ。じゃあね、お爺ちゃん。」

 

ヒロキは横断歩道を渡り祖父のいる道とは反対側に渡った。ヒロキが渡り切った後、ヒロキより年下のランドセルを背負った少年が走ってきた。

そこに車がブレーキを掛けようともせず、猛スピードで走ってきた。このまま少年にぶつかろうとした時、健一が走ってきたのだ。健一は少年を突き放す。車は猛スピードでそのまま走り、健一にぶつかった。車はそのまま走り去っていった。

ヒロキは轢かれた祖父に駆け寄っていた。近くで見ていた通行人も健一に駆け寄る。

 

「ひき逃げだ!!警察と救急車を呼べ!!」

「大丈夫ですか!!意識はありますか!?」

「お爺ちゃん!?しっかりして!?しっかりして!?」

 

通行人によって呼ばれた救急車に運ばれる健一。ヒロキも一緒に乗っていた。

 

「お爺ちゃん!しっかりして!今、病院に向かっているから!!」

「・・・・・・ヒ・・・ロ・・・・・キ・・。」

「お爺ちゃん!?」

「強く・・・・・・生きて・・・いけ・・・・・。」

「お爺ちゃーーーーん!!」

 

救急車でヒロキは祖父の最期を見届けた。

 

 

 

 

「そんな事が・・・。」

「あの時はショックだったよ、お爺ちゃんの事が大好きだったから。あの子供も助かった。けど、僕の中で犯人を憎む気持ちが芽生えたんだ。」

「後にお爺ちゃんを轢き逃げした犯人の車を見つけてさ、その日図工の授業で使ったカッターナイフを思わず取り出してしまったんだ。」

「それでどうしたの?」

「クララちゃんと父さんに見つかって止められた。父さんに言われたよ。『お爺ちゃんの言葉を忘れたのか』ってさ。」

「その言葉って。」

 

ヒロキはアギラに祖父から教えられた言葉を教えた。アギラは思わず頷いた。

 

「確かにそうだね。そうすれば・・・あの人を止められるかも・・・。」

「急ごう!!レントさんを!!」

 

2人は屋上にたどり着いた。ヒロキとアギラは説得を試みる。

 

「レントさん、もうやめてください!!」

「さっきの怪獣娘と・・・さっき一緒にいた小僧!!また、お前達か!!どうして、邪魔をするんだ!!」

「貴方を助けたいからです!!奥さんを殺されてあの人を憎い気持ちは分かります!!」

「お前なんかに何が・・!!」

「僕も轢き逃げ事件で祖父を失った事があります!!

「!?」

「でも、祖父が残してくれた言葉のおかげで立ち直り、憎しみを乗り越える事が出来たんです!!大切な人が奪われ、憎しみが生まれた時はその人と一緒にいた時間を思い出してほしい。その人は復讐を望むような人だったか、一緒に過ごした思い出を思いだせば分かるはずだ!!」

「僕のお爺ちゃんが残してくれた言葉です!!レントさん、貴方の奥さんと一緒に過ごした時間を思い出してください!!貴方の奥さんは貴方が誰かを傷付ける事を望む人ですか!?」

「!?そ、それは・・・!?」

 

レントの脳裏に妻『九条ナナ』と過ごした時間が思い出される。レントは苦悩していた。

しかし、悪魔は囁く。

 

『何してる。大切な人を奪った憎き男を殺せ。』

「俺の憎しみは・・・!!もう誰にも・・・止められない!!」

 

レントは銃を胸に掲げる。すると、魔法陣はレントを飲み込む。魔法陣がレントを飲み込むのと同時に町に大きな魔法陣が出現し、白い色に青い鎧で覆われ、大きな斧を持った竜人を思わせるロボット怪獣シビルジャッジメンター『ギャラクトロンMK2』が姿を現した。

現れた怪獣にアギラは驚くも向かっていく。

 

「あの人が怪獣に・・・。止めなきゃ、例え勝ち目がなくても!!」

「アギラさん!!・・・どうしてこんな事に・・・。」

『トレギアだ!あいつが人間の憎しみを利用したんだ!!行くぞ、ヒロキ!!』

「ああ!!」

 

〈カモン!〉

 

ヒロキは右腕にタイガスパークを出現させ、相棒の顔が刻まれたキーホルダーを手にし、叫ぶ。

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

 

右手に持ち替え、タイガスパークに光を集め、右腕を掲げる。

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

 

 

 

 

 

 

夜の街にウルトラマンタイガが降り立った。

ギャラクトロンMK2はタイガを認知すると、手に持った斧『ギャラクトロンベイル』を構える。

タイガは走り出し、ギャラクトロンMK2が振りかざす斧を受け止め、地面に受け流す。

斧は地面に突き刺さり、斧を抜こうとするギャラクトロンMK2に隙が生まれる。

隙が生まれた怪獣にタイガは拳を構え、パンチを放とうとする。しかし、ヒロキがそれを止める。

 

(駄目だ!!タイガ!!)

『何っ!?』

(あの人を傷付ける事になる!!)

 

丁度、斧が抜けたギャラクトロンMK2がタイガに斬りかかる。

タイガはバク転して、避ける。しかし、追ってきた怪獣はタイガに斧で一撃を食らわせる。

 

『うわっ!?』

 

ギャラクトロンMK2は再びタイガに斧で斬りかかる。タイガは押さえつけようとしたが、振りほどかれ、斧で何度も斬りつけられる。

 

『ぐあっ!!ぐっ!!ぐああっ!!』

 

力強く怪獣が振るった斧がタイガの体を吹っ飛し、後ろのビルを壊して倒れ込む。

 

『ぐああああっ!!』

 

ギャラクトロンMK2は右手に魔法陣を出現させ、タイガに放つ。

 

『ぐああああああっ!!』

 

ビームを放ち、タイガを圧倒するギャラクトロンMK2。その時、どこからか声が聞こえた。

 

「もうやめて!!レント!!」

 

空から黄色い光が降り立ち、ギャラクトロンMK2の赤い胸を貫き、近くのビルに落ち、空に昇っていく。ビルの屋上に2人の男女を残して。

怪獣が出現した事により、ピグモンが呼んだ応援のエレキングとガッツ星人がその光景を目撃した。2人はそれを見て驚いた。

黄色い光から現れたのはレントとその妻『九条ナナ』だったからだ。

 

「ナナ、どうやってここに!?」

「貴方の憎しみが悪魔を呼んだように、私の強い思いは賢者を呼んだの。心優しい賢者さんは私の願いを叶えてくれたの。」

「君の願い!?」

「貴方の・・・復讐を止めること。」

「!!けど、俺は・・・。」

「駄目だよ。これ以上苦しむ貴方を見たくない。一緒に宇宙に帰ろう、私達の命が消えたあの場所へ。」

 

その時、レントは思い出した。あの時の爆発で宇宙服が損傷し、命を落とした事を。

ナナは愛する夫を抱きしめる。

 

「空から地球を見守ろう。ずっと2人でね・・・。」

 

レントは妻の言葉に涙を流しながら頷く。黄色い光が宇宙飛行士夫婦の前に再び降り立つ。

ナナは目の前の光に感謝の言葉を言いながら、夫婦は敬礼する。

 

「ありがとう、賢者さん。」

『どういたしまして。』

 

2人はお互いの顔を見合い、笑顔を浮かべながら消えていった。

黄色い光はそれを見送ると、タイガのカラータイマーに吸い込まれていった。

ヒロキ達の前で光はタイガと似たキーホルダーに変わっていった。

 

『久しぶりだな、タイガ!!』

『おいおい、これは夢じゃないんだよな!!』

『ああ、また共に力を合わせて戦う時がきたようだ!』

(・・・もしかして、さっき話してたタイガの仲間の・・・ウルトラマン?良かったね!!タイガ!大切な仲間と会えて!!)

『ああ、本当だぜ!!二度と会えないと思ってた!!』

『そうだな。だが、再開を喜ぶのは後だ!!少年よ、私を手に取れ!!』

 

ヒロキは頷き、タイガスパークの引き金を引く。そのキーホルダーを左手で掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

 

キーホルダーを右手に持ち、タイガスパークに黄色い光が集まる。

 

『うおおおおおっ!ふんっ!』

 

タイガスパークを装着し、キーホルダーを持った右手を上に掲げた。

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

一点の光から赤と黒のカラーリングに鍛え抜かれた筋肉、額に星型の結晶が付いており、胸のカラータイマーも星型のウルトラマンが握りこぶしを作り、両手を上げて巨大化する。

U40という星で生まれ育った『力の賢者』の二つ名通り(パワー)に優れたウルトラマン。その名は、

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

 

 

『ふんっ!』

 

タイタスは両腕を上に曲げ、上腕二頭筋を強調するポーズをとる。

 

『はっ!』

 

次は腰元へ手を持って行き、背中を広げる。

 

『ふぅんっ!!』

 

最後に手を組んで身体を捻りつつ、胸や腕……そして脚と、全身の至る所の厚みをアピールする。

 

(あのさ、何このポーズ・・・。)

『こうする事で私の力は一時的に高まる!』

(本当かな・・・。)

 

心配するヒロキを置いて、ギャラクトロンMK2が斧を構え、動き出す。

 

『憎しみの力だけでまだ動くか!!』

『賢者の拳は全てを砕く!!』

 

ギャラクトロンMK2が斧で斬りつけようとした時、タイタスも拳を振るう。その拳は頑丈な怪獣の斧を砕き、固いギャラクトロンMK2をたった一発で吹っ飛ばした。

 

(凄い、一発であそこまで・・・。)

『まだまだ、私のパワーはこの程度ではない!!』

 

怪獣娘達も新しい3人目のウルトラマンの戦いを見ていた。特にミクラスとレッドキングはタイタスのパワーにかなり驚いている。

 

「先輩!!あのウルトラマン、凄いパワーですよ!!」

「ああ、どうやらかなり鍛え抜かれた筋肉をしているらしいな!!」

 

ギャラクトロンMK2は立ち上がり、タイタスに向かって構える。

タイタスもギャラクトロンMK2目掛けて、大きな地響きを立て、走り出す。

タイタスの右肩からのタックルで再びギャラクトロンMK2が吹っ飛ぶ。

 

『少年、ジードレットを使いなさい!!』

(分かった!!)

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左手に意識を集中させる。すると光の国の反逆者の血を継ぐウルトラマン『ジード』から託されたブレスレット『ジードレット』が出現した。

ヒロキはタイガスパークを装着した右手に左手を重ね、ジードレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ジードレット、コネクトオン!!〉

 

タイタスにジードのビジョンが合わさる。タイタスは両手を曲げ力を込め、腰の位置でクロスさせる。すると、紫のオーラを纏った緑色のエネルギー弾が出現する。

タイタスの必殺技『プラニウムバスター』にジードの力が加わった破壊光弾を右手を拳にしてパンチで打ち出した。

 

『(レッキングバスターッッッ!!)』

 

ジードの闇の力が加わり、破壊力が増した光弾にギャラクトロンMK2は跡形もなく木っ端みじんになった。

爆炎から一筋の光がタイタスの中に入ってくる。それを手で掴むとギャラクトロンMK2の顔が入った黒いオーラを放つ不気味な指輪になった。

 

(ヘルべロスの時と同じだ・・・。また指輪が・・・。)

『ウルトラマンの力を秘めている。不可思議だ。』

 

 

戦いを見ていたアギラのソウルライザーにピグモンから連絡が入る。

 

『駄目です。人口衛星はこちらのアクセスを全く受け付けません!!このままでは、後、5分もしないうちにそちらに衝突します!!』

「ええっ!!」

 

それを聞いたタイタスが空に飛び立つ。落ちてくる人口衛星を迎え撃つために。

だが、悪魔はそれを笑って見ていた。

 

「遊びの時間は終わらない・・・。」

 

霧崎はトレギアアイを目に翳し、本来の姿に戻る。レントに力を与えた悪魔トレギアへと。

 

 

 

 

宇宙空間で衛星を迎え撃とうとしていたタイタス。その姿を下から悪魔が追ってきた。

 

『フハハハハハハ!!』

『トレギア』

(どうしてここに?)

『あの日の苦痛、覚えているかい?』

 

タイタスはトレギアの挑発を一喝する。

 

『相手をしている暇はない!!』

『つれないねぇ・・・。』

 

トレギアは小さい光弾を放つもタイタスは裏拳でそれを弾く。

 

『暇はないと言ったはず!!』

 

タイタスは落下する人口衛星に向かって真っすぐ突っ込む。右手を拳にして、落下する人口衛星を木っ端みじんにする。

タイタスはトレギアに向かって構える。

 

『ナイスパンチ・・・。』

『暇が出来た!戦闘再開といこうか!!』

『打ってみな。賢者の拳とやらを・・。』

 

タイタスはトレギアに向かって真っすぐ進み、その拳を食わらせる。

 

『おいおい、全てを砕くんじゃないのかい?』

『その挑発、敢えて乗ろう!』

 

タイタスはトレギアに左手、右手、両手の順で拳を叩きこむ。トレギアは両手を掴むもタイタスの頭突きで両手を手放す。

再び、タイタスが左手を握り、拳を放つもトレギアは消える。

 

『フハハハハハハ、ハハハハハハ、ハーーーーーッハッハッハッハッハッ!!』

 

 

 

 

地球では今里が警察と怪獣娘が取り囲まれていた。今里はピグモンに言い放つも、彼女は平然としている。

 

「証拠なんてない。すぐに開放されるさ、証拠不十分でな。そしたらGIRLSが訴えられるかもしれないぜ!!無実の大企業の社長を冤罪で「証拠なら十分にありますよ~。」何・・・。」

 

ピグモンとその叔父である佐倉が取り出したのは、今までの今里の悪行が書かれた書類だった。武器の顧客先や人体実験の成果の報告書など今里を逮捕するのに、十分な証拠だった。

 

「よくここまでの犯罪をしておいて、バレなかったものだね~。でも残念ながら、今日で全て明らかになったよ。」

「うちの調査部は優秀ですからね。すぐに動いて証拠を集めてくれましたよ。」

 

「今里光、銃刀法違反などの数々の罪で現時刻を持って現行犯逮捕する!!」

「く、くっそ~!!せっかく本物の怪獣の細胞を利用したビジネスが出来ると思ったのに~っ!!」

 

今里はレッドキングに睨まれ、佐倉に手錠を掛けられ、パトカーに連れていかれる。

 

「今回の事件は一件落着かな。」

「その通りですね。皆さん、本当によく頑張ってくれました。明日の夜、ピグモンと叔父さんがお寿司を奢りますよ~。しかも回らないお寿司です。」

「お寿司!!やったぁ~!!」

「頑張ったかいがありましたね。」

 

ガッツ星人の一言にピグモンが皆を労り、寿司を奢るの言葉にマガバッサーとマガジャッパが喜ぶ。ガッツがピグモンに小声で話す。レッドキングは手に持った今里の資料がかなり恐ろしいものだったらしく、エレキングと一緒にドン引きしていた。

 

「ピグっち、おジョーに絶対内緒だよ。この間のキングゲスラの細胞を・・・。」

「分かってます。今のキンキンが知ったらあの社長に突撃しかねませんから。」

「やってる事がヤバすぎだろ・・・。この間のキングゲスラの細胞を孤児院から引き取った思春期の女子に移植して人造怪獣娘を造る計画なんて・・・。」

「しかもその人造怪獣娘を洗脳して、テロリストに売り渡す計画とは・・・・・調べなきゃよかったと思うのは今が始めてよ。」

 

 

 

 

「僕は白鳥ヒロキ。よろしくね、タイタス。」

『こちらこそ、よろしく頼む。』

 

ヒロキの家でヒロキは自分の部屋でタイタスと挨拶をしていた。

 

「後はフーマって人だけなんだよね。」

『そうだぜ。ヒロキ、ありがとな。』

「何が?」

『希望は捨てるもんじゃない。ヒロキの言う通りだった。タイタスは生きてて、こうしてまた会えた。だからフーマともまた会えるって気がしてきたんだ。』

 

夜の空を眺めながら、ヒロキと話すタイガ。タイガは筋トレを始めたタイタスに話しかける。

 

『本当に久しぶりだな、タイタス。』

『ふんっ!ふんっ!ああっ、君も・・・変わりないようで何よりだ!』

『7年間何やってたんだ・・・俺は時空を超えたこの地球でヒロキの中にいたんだけどさ。』

『私もっ・・・宇宙を彷徨っていてなっ・・・君と同様この地球の近海にっ・・・流れ着いたのだっ!』

「・・・・・・。」

『ああ、そこで出会ったのが九条ナナだったんだな・・・。』

『そうだっ・・・君がヒロキの強い思いに引き寄せられたようになっ!』

「僕の・・・強い思いに・・・。・・・・・・・。」

『時空を超えた先の・・・更に広い宇宙の中で同じ星に行きつくなんて・・・どれ位の確率だろうな。』

「かなり低いよね・・・その確率・・・。」

『まさしく天文学的数値・・・あるいは・・・作為的なものか・・・っ!』

「作為的!?その可能性もあるの!?それって何か嫌な・・・『まさか、考え過ぎだろ。』タイガ・・・。」

『そうだなっ!まぁ、その位の確率だろう・・・っ!それより・・・フーマのやつは・・・。』

『ああ・・・はぐれたままだ。』

「そのフーマって人が3人目の・・・。」

『ああ、トライスクワッドのメンバーだ。あのさ、タイタス・・・。』

「うん、僕も思ってた。いや、その・・・。」

「『話してる時くらい、筋トレ辞めてくれない!!』」

 

今までの会話でタイタスはスクワットしながら話していたのである。タイタスが気になって、話に集中できない2人はスクワットを止めるよう言ったのである。

 

『ハハハハッ・・・今まで・・・粒子状で漂っていたからなっ!!体が鈍ってしまってっ・・・!』

『分からんでもないけどさ・・・。』

「僕達が落ち着かないよ・・・。」

『そうか・・・。では小休止して・・・。』

 

スクワットを止めたタイタスはヒロキとタイガに向き合う。向き合いながら会話を再開した。

 

『とにかく、フーマがくればトライスクワッド再集合だな!』

『そうだな。3人揃うのが待ち遠しい。』

『思い出すなぁ・・・。惑星ディノでの恐竜退治、ロボット兵団との戦い。そうそう、ブラックホールに飲み込まれそうになった事もあったっけ。』

『どれも懐かしい思い出だな。』

「何それ!!すっごく気になるよ!!」

『この宇宙の地球に来るまでの思い出さ。やっぱり3人揃わないと感じ出ないな。』

『心配するな。またすぐに会えるさ。』

『だな。あいつは簡単にくたばるようなタマじゃないし。』

『初めて会った時もそうだったな。』

『あーっ、あったな!!惑星O-50で!!あの時は戦士の頂を宇宙人連合が破壊しようとして大変だったな!!』

「ちょ、ちょっと待って!勝手に話を進めないでよ!!惑星O-50!?戦士の頂って何!?宇宙人連合ってどういう事!?」

『悪いな、話すと結構長くなるから、流したんだ。その内、話してやるよ。』

「長くなってもいいよ!!すっごく気になるよ!!2人の話!!ねぇ、聞かせてよ!!」

『タイガ、ヒロキに話してもいいんじゃないか?これから共に戦うのだから。』

『そうか・・・。そうだな・・・じゃあ、話すよ。あれは俺達が惑星・・・』

 

3人で夜の空を眺めながら、タイガとタイタスの話を聞いてヒロキはまだ見ぬ3人目のトライスクワッドのメンバーに思いをはせていた。

 

(フーマか・・・。早く会ってみたいな・・・。どんな人なんだろう・・・。)




ギャラファイ2でザの怪獣出ませんかね。
登場するとしたらシーグラかレッドスモーギー辺りでしょうかね。


次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+???)
『宇宙人達の闇のネットワーク、ヴィラン・ギルド。都市の破壊の辞さない危険な連中だ。奴らが仕掛けた怪獣爆弾のタイムリミットが迫る中、俺達の前に現れたのは!!次回!!

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


群狼の挽歌


覚悟はいいか!!ぶっ飛ばすぜ!!』


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群狼の挽歌(前編)

いよいよ、クロスオーバーユニバース版からの続きを投稿します。

会話多めですがどうぞ。


その日、ヒロキは部屋で腕立て伏せをしていた。

 

「28・・・29・・・30・・・・っと。スクワット30回、腕立て伏せ30回、クランチ30回、そろそろ水分補給を兼ねた休憩していい?」

『おう、いいぜ。』

『君の立てたノルマを達成したんだ。私は別に構わないぞ。』

 

そう言ってヒロキは冷蔵庫に冷やしたスポーツドリンクを取りに行くため、部屋を出る。

ヒロキが部屋を出た後、タイガはタイタスに話しかける。話の内容はクララの変化についてだった。

 

『なあ、タイタス。ヒロキの幼馴染のクララについてなんだが、タイタスはどう思う?』

『うむ、恐らく彼らがチビスケと名付けたキングゲスラの死が彼女の中に宿るキングジョーのカイジューソウルに反応した結果だと思う。キングジョーの強化体にはキングジョーブラックがいるからな。聞いた話によれば、怪獣娘は感情の変化によっては暴走する事もあるそうじゃないか。』

『ああ、魂だけとはいえ相手はあのキングジョーだ。もし暴走したら、ヤバい事になるんじゃないか?』

『恐らく、私達に肉体があったとしても人間の姿では苦戦は免れんだろう。それにしても・・・。』

『どうした、タイタス?』

『妙なものだと思ってな。怪獣娘は怪獣の魂を持っているんだろう。ゴモラやレッドキングならまだ分かるが、ロボットであるキングジョーにも魂があるとはな。』

「物にも魂が宿るって考え自体はあるよ。」

『『ヒロキ!!』』

 

2人の会話にヒロキが割り込む。ヒロキはベッドに座りタイガとタイタスに話し掛ける。

 

「多分だけど、そういうのなんじゃない。キングジョーの魂って。」

『付喪神という事か・・・。確かにその可能性は高そうだ。』

『あるいはキングジョーを作ったぺダン星人の魂とも考えられるんじゃないか?』

「でも、そうだとしたらぺダン星人の怪獣娘になるんじゃないかな。」

『ああっ、そうか・・・。確かに・・・。』

 

タイガは口を濁す中でタイタスは少し考えながらヒロキに口を開く。

 

『しかし、トレギアへの怒りでキングジョーの怪獣娘である君の幼馴染がブラックの力に目覚めるのは少し危険かもしれんぞ・・・。』

「どうして?」

『実はキングジョーの強化体は他にもある。キングジョースカーレットというのがあってな。』

「キングジョースカーレット?」

 

タイタスの言葉を聞いて、ヒロキは机の上にある怪獣図鑑を開くも、見つからなかった。ヒロキはタイタスに質問し、彼からの解説を聞く。

 

「キングジョースカーレットなんてないよ。」

『恐らく、こちらの宇宙の地球では確認されていないのだろう。トレギアへの怒りでブラックに進化した時はまだ彼女は意識を保てていたのか?』

 

タイタスの質問にその場に居合わせたヒロキとタイガは答えた。タイタスは推測を交えて、クララの異変について話す。

 

『見た感じは保っていたな。』

「でも、後にかなり息を切らせていたらしいよ。」

『力に目覚めたばかりで体力をかなり消耗したのだろうな。話を戻そう。』

「うん・・・。」

『恐らく、話を聞いた感じではブラックの力は一段階目の進化の可能性がある。次の2段階目の進化がスカーレットだと考えるのが妥当だろう。しかし、彼女は怒りの感情でブラックへ進化してしまった。それでも彼女の心はブラックの力を制御できる位の力があったのか意識を保ったままだった。しかし、次に怒りでスカーレットに進化させてしまったら彼女の心は完全に怪獣に飲み込まれ暴走する可能性が高い。』

「暴走の可能性が・・・非常に・・・・高い・・・。」

 

タイタスの言葉を深く噛みしめるヒロキ。幼馴染のクララ・ソーンはモデルとしても活動している。万が一彼女が暴走してしまったらモデルはもうやっていけないのではないと考えていた。そうならないためにもヒロキは決意する。それは幼馴染を絶対に暴走させないという決意だった。

 

「僕がさせないよ・・・!絶対にクララちゃんを暴走させない!!どんなクララちゃんでも僕は受け入れる。」

『その意気だぜ、ヒロキ。』

『うむ、ではトレーニング再開といこうか。』

「うん!でも、スクワット5万回は流石に御免だよ・・・。」

『俺だって、それは流石に・・・と思うぜ。自分のペースでやらせてくれよ。』

『無論だ。人にはそれぞれやりやすいやり方があるからな。』

 

3人がトレーニングに戻ろうとした時、下のTVから聞き逃せないニュースが流れてきた。

 

『ニュース速報です。本日、午前11時に日本政府に脅迫と思われる声明が送られてきました。脅迫の内容は午後3時までに100万ドル用意しなければ怪獣爆弾が爆発して、東京を怪獣が破壊するという内容で・・・』

「タイガ、タイタス!!」

 

ヒロキは下に降りながらタイガとタイタスに呼び掛ける。2人も下に降り、TV画面を見る。3人はTVを見ながら話をする。

 

「今、怪獣爆弾って言ったよね・・・。」

『ああ、確かにそう言ってたな・・・。』

『うむ、私にも確かに聞こえたぞ・・・。』

「これって悪戯なんかじゃないよね・・・。」

『TVに写ってる爆弾らしいものを見る限り、嘘じゃないだろうぜ・・・。』

『うむ、昔、これに近い物を見た事がある。時限爆弾式で時間が来れば爆発し、爆弾の中から怪獣が出てくる仕組みになっていた。』

「・・・・絶対に食い止めなきゃ・・・。行こう、2人とも!!」

『おう!!』

『うむ!!』

 

そう言って、3人は外へ飛び出していった。部屋の時計は午後12時45分を示したところだった。怪獣爆弾爆発まで後2時間15分。

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、時計は正午丁度を示していた。怪獣娘達はGIRLS食堂で昼食を摂っていた。食事しながら、怪獣娘達はTVを見ていた。TVは怪獣騒動について話していた。

 

『この度、再び地球に怪獣が出現する騒動が続いています。これについてですが、怪獣娘と怪獣出現に何か関連があるのでしょうか。』

『可能性は無いとは言い切れないでしょう。怪獣の魂を持つ彼女達が再び地球に怪獣を呼び寄せた可能性はあると私は考えています。』

「濡れ衣じゃん!!こんなの!!あたし達に怪獣を呼ぶ力なんてないし!!」

「好き勝手言いやがって!!」

 

ミクとベニオはニュースの内容に憤りを感じていた。当然だ。怪獣の出現が自分達怪獣娘のせいにされているのだから。

ミクの隣に座るアキとレイカはショックを感じていた。

 

「ボク達、何もしてないのに・・・。」

「なんだか、ショックです・・・。」

 

サチコとミサオはそんな2人の様子に思う所があったのか下を向きながら話す。

 

「でも、怪獣の出現があたし達のせいにされてるのは間違いないですよ。あたしのクラスも先生の一部があたしに対して当たりが強くなりました。・・・・クラスの皆は庇ってくれましたが。」

「アタシもだよ・・・。『怪獣が出現した理由はお前ら怪獣娘のせいだろ!!』とか言って隣のクラスの先生に怒鳴られたんだ・・・。その先生さ、怪獣騒動で弟さんが怪我したらしいけどさ、アタシ達は何もしてないって言っても『嘘をつくな!!』だの『大体怪獣の姿に変身できるなんてどう考えても怪しいだろ!!』とか言ってさ・・・全然アタシの話を信じてくれなかったよ・・・。」

 

ヨウとユカは周りの人から感謝の言葉が多かったのか4人を励ます。

 

「だ、大丈夫ですよ!!この間、外回りに行った際は怪獣騒動で怪獣娘に助けられた人に感謝されましたし、励ましの言葉も貰いましたから!な、ジャッパ!!」

「そ、そうですよ!全ての人が怪獣が出現した理由を私達のせいにしているわけではないですから!!私のクラスメートも『そんな話気にしちゃ駄目!何も悪い事してないんだから堂々としなよ!!』って励ましてくれましたから!」

 

2人の話を聞いて少しだけだが明るい表情を見せる4人。そこにミカヅキとトモミが明るく話しかけてくる。

 

「そうだよ!!私達怪獣娘は怪獣の出現に関係していませんって時間が掛かっても分かってもらえればいいんだから!!」

「ゴモたん・・・。」

「そうですよ~。その為にも怪獣娘の活動は続けましょう~。」

 

アキはその言葉に納得し、彼女達は食事を進めていると、1人の男が現れた。それはかつてGIRLSにキングゲスラの事件を持ち込んだトモミの叔父『佐倉』だった。

 

「やあ、君達、昼飯時かい?」

「シンゴ叔父さん!?どうしてここに!?それより、部外者が勝手に入られたら困ります!」

「ちゃんと許可は取ったよ。それより、飯、急いで食ってくれないか?本当に緊急事態なんだ。」

 

叔父の神妙な表情にトモミは何かただ事ではない事を予感した。彼女達は食事を終え、会議室に集まった。佐倉は口を開く。

 

「以前、僕が持ち込んだ事件があっただろ。警察もあれから奴らについて調べてみたんだ。奴らの名はヴィラン・ギルド。」

「・・・ヴィラン・ギルド。」

「奴らは固定のアジトとメンバーを持っていない。奴らを捕まえられないのはそのためだ。実際、君達が捕まえた2人はアジトの事を知らなかっただろ。」

「確かに・・・・。アジトなんて知らないと証言していました。しかし、固定のアジトとメンバーを持たないならどうやって・・・。」

 

トモミの疑問に佐倉は口を開く。

 

「どうやら、奴らは地球に暮らす宇宙人だけがアクセスできる独自のネットワークで集合離散している。奴らの計画を事前に察知できないのはそのためだ。」

「かなり厄介な組織のようね・・・。」

「でも、それが緊急事態とどう関わりがあるの?」

 

ランが呟いた後、ミカヅキは佐倉に質問する。佐倉は何も言わずモニターに映像を映す。

映像には数人のマスクを付けた男達がいた。

 

「今日、政府に届いた脅迫状だ・・・。」

『脅迫状!!?』

『日本政府に継ぐ。東京のどこかに怪獣爆弾をセットした。時間がくれば爆弾が爆発し、怪獣が爆弾から出現する。』

 

そう言って、映像ではどこかで爆発が起こり、煙がまるで逆再生するようにおさまり、怪獣が出現していた。怪獣は全体的に丸い印象を与えるもののその全身には様々な機械が付いていた。

 

『本日、午後3時までに大至急100万ドルを用意しろ。そうでなければ、この怪獣爆弾が爆発し、東京を怪獣が火の海に変えるぞ。』

「立派な脅迫だ・・・。」

「本日、午後3時までって・・・・後3時間もねえじゃねえか!!?」

「何で、こんな時間になるまで放っておいたんですか!!?」

 

映像が終わった後、アキが呟き、ベニオが時間を確認して、慌てて叫び、ミサオが佐倉に詰め寄る。

佐倉は申し訳ないという表情で答え、トモミは号令をかける。

 

「しょうがないだろ。警察には一般の人には絶対に公開できない細かな事情があるんだから。」

「とにかく、怪獣爆弾の爆発だけは必ず食い止めなければいけません!!私も出ます!!GIRLS出動です!!」

『了解!!!』

 

彼女達は会議室を勢いよく飛び出していった。

時刻は現在12時30分。怪獣爆弾爆発まであと2時間30分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキは爆弾が仕掛けられそうな場所を片っ端から探していた。そんなヒロキにタイガが声を掛ける。

 

『おい、ヒロキ。トイレとか探しても見つからないと思うぞ・・・。』

『恐らく、怪獣爆弾を仕掛けたのは宇宙人だろう。人目につかないような場所を探した方がいい。』

「人目につかなそうな場所・・・。」

 

タイタスの助言を聞いて、ヒロキはスマホで近くに人が寄らなそうな場所を探す。ヒロキは探している中、手を止めた。そして、タイガとタイタスに話しかける。

 

「ねえ、ここから歩いて30分くらいの場所に廃工場がある!!こういうところかな!?怪獣爆弾を仕掛けた場所って!?」

『行ってみる価値はあると思うぜ。』

『私も確認だけはするべきだと思うぞ。』

 

ヒロキはそこに走って向かっていた。現場に到着すると、数人の男が何やら話していた。ヒロキは隠れて近付き、聞き耳を立てる。

 

「いやー、お台場の使われなくなった倉庫に怪獣爆弾を仕掛けるのは大変だったぜ。」

「でも、これでいいのかな・・・。」

「何がだよ?」

「幾ら生活が困難な宇宙人のためとはいえに地球人に迷惑を掛けて・・・「何言ってんだ!!俺達の今までの人生を忘れたのか!!宇宙から飛来した怪獣に何もかも食われて、はるばるこの地球に流れ着いて、どれだけ生きていくのに大変だったか!!苦しかったか!!しかも、地球人の奴らは怪獣娘とかいう怪獣の魂を継いで怪獣の力が使える小娘は受け入れている癖に、俺達宇宙人はちっとも受け入れてくれない。そんな地球人に思い知らせてやるんだよ!!本物の怪獣の脅威をな!!」

「そうか・・・。そうだよな・・・。怪獣娘にも、地球人にも俺達の本気を思い知らせてやる!!」

 

ヒロキは今の会話を聞いて彼らに気付かれないように静かに立ち去る。そして、彼らが見えない場所まで来ると、急いでお台場に向かって足を進めていた。

近くの時計は1時30分を示していた。怪獣爆弾爆発まで後1時間30分。




怪獣娘の世界に宇宙からの移民が再び来たらどういう鬱憤を抱えるかをこのお話でやりたいと考えています。



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群狼の挽歌(中編)

ミクちゃんの大家族設定は公式設定です。
詳しくは公式小説第二弾で。

奇機械怪獣『デアボリック(MB)』登場


時計が午後2時を指した殺された、ヒロキはお台場に到着し、先程の宇宙人達が話していた使われていない倉庫を探す。

 

「爆発まで後1時間しかないっ‼︎急がないと‼︎」

 

ヒロキは手に持っていたスマホで使われていない倉庫を探し、そこに向かって走っていた。

 

「今はもう閉まった倉庫は2つ・・・1つは・・・ここから近い‼︎急がないと!」

『急げ!ヒロキ!』

 

やがて、倉庫に辿り着いたヒロキは入口の近くを観察する。見張りがいないか確認するためだ。

数分経って見張りが来ない事を確認すると、ヒロキは入口の前に立った。

 

「人がいる気配がない・・・。ここじゃないって事か・・。怪獣爆弾が仕掛けられたのは・・・・。」

 

ヒロキは人がいないので、思わず呟いた。しかし、この行動が彼の命取りだった。ヒロキは呟いた瞬間、何者かに背後を取られてしまう。

タイガとタイタスが呼び掛けるも、ヒロキは後ろから何者かに殴られてしまう。

 

『ヒロキ!後ろだ‼︎』

『奴らは後ろにいるぞ‼︎』

「えっ・・・なっ⁉︎」

 

ヒロキはまともに頭に衝撃を受けてしまい、気絶した。

彼を気絶させた男は思わず呟いた。

 

「この餓鬼!俺達の計画を探り回りやがって‼︎おい、こいつを連れて行け!」

「「はいっ‼︎」

 

こうしてヒロキは怪獣爆弾を仕掛けた宇宙人に捕らえられてしまった。

 

 

 

 

 

 

その少し前、ミクもお台場に到着していた。GIRLSは東京中を手分けして、探す事にしたのだ。その中でミクはお台場辺りで怪獣爆弾を捜索していた。

「早く探さないと、もう後1時間もなくなっちゃう‼︎」

 

ミクは手元のソウルライザーで時刻を確認していた。ソウルライザーの画面には1時45分を示していた。思ったより、時間が経っていた事に焦り始めるミク。

 

「本当にどうしよう?あたし、考えるの苦手なのに・・・手掛かりが少なすぎる爆弾の在り処なんて、このままじゃ無理だよ・・・。」

 

弱音を呟き、辺りを見渡すミク。その時、後ろからミクを呼ぶ声がした。

 

「お前、・・・・ミクか?」

「えっ?」

 

ミクが振り返るとそこには黒い服を着た20代前半くらいの青年がいた。ミクはその男を見て、驚いた表情で叫ぶ。

 

「ヴォルクお兄ちゃん⁉︎」

「やっぱりミクかなんだな⁉︎ミク、久しぶりだな‼︎暫く会わなかったから俺の顔なんて忘れてると思ってたぜ。」

「何言ってるの⁉︎お兄ちゃんの友達でしょっちゅう家に遊びに来てくれて、あたしだけじゃなく、弟と妹の面倒を見てくれた優しいお兄さんを忘れるわけないよ‼︎本当に久しぶりだね。っていうかこの3年間何をしてたの⁉︎全く連絡くれなくなったからお兄ちゃんもあたしも皆心配してたんだよ‼︎」

「悪い悪い‼︎色々事情があってな。」

 

牛丸ミクは兄弟がかなり多い大家族の1人である。そんな彼女は兄弟の友人の中にもかなり親睦を深めた者達がいた。今ミクの前にいる男『ヴォルク』はミクの兄の昔からの友人の1人でミク自身もかなり世話になった兄弟の友人の1人である。

彼等は3年ぶりに再会してミクはヴォルクとの再会を喜んでいたが、自分の仕事を思い出して、立ち去ろうとする。

ヴォルグはそんな彼女を引き止めるが、よく見ると彼女がGIRLSの制服を着ている事を知り、表情をしかめる。

 

「ヴォルクお兄ちゃん‼︎ごめん‼︎あたし、やらなきゃいけない事があるから、また後で‼︎」

「一体何をそんなに慌てて・・・ってお前、それGIRLSの制服だよな?何でお前がそれを?」

「今、あたし怪獣娘なの‼︎東京の何処かで悪い事企んでいる奴がいて、そいつを捕まえなくちゃいけないの‼︎だから、お願い‼︎今は構わないで!後で幾らでも付き合うから‼︎」

「‼︎怪獣娘・・・?ミクが・・・?・・・分かった。・・・気を付けろよ・・・・。」

「うん‼︎」

「・・・・・・GIRLSの奴ら・・・・・・まさかな。」

 

ミクは頷き、走り去っていった。ヴォルクは思わず呟き、彼女に気づかれない様にその姿を追い始める。

やがて、そのミクに追いついたヴォルクはミクに気づかれない様に隠れて、その様子を見ていた。

ミクのソウルライザーに着信が掛かり、ミクは電話に出る。ヴォルクは彼女の会話に聞き耳を立てていた。

 

「ピグモンさん、やっぱり無理ですよ‼︎東京の何処かしか手掛かりの無い怪獣爆弾を見つけ出せなんて‼︎広すぎて、何処にあるかも分からないのに‼︎」

『それでも探してください‼︎ピグモンも必死に東京中を探し回っていますから‼︎それで、ミクミクはまだなのですね⁉︎』

「今探しています‼︎」

「‼︎怪獣爆弾を・・・・・。GIRLSの奴ら・・・・・‼︎」

 

その会話を聞いたヴォルクは複雑そうな表情をしながら、ミクに近づいていた。ミクの電話が終わる。

 

「とにかく、お台場をもう少し探したら、別の場所に向かいますから‼︎」

『お願いします‼︎』

「ミク・・・・・。」

「一体どうしたら・・・・・ってヴォルクお兄ちゃん⁉︎」

 

ミクは先程別れた筈のヴォルクか近くにいた事に驚く。そして、今の電話を聞かれた事に対して青ざめる。一方、ヴォルクはミクを複雑そうな目で見ていた。

 

「あ、あの・・・さっきの電話・・・・。」

「聞いていた。」

「マジか・・・・。」

「ああ、まさか俺達が・・・・・ヴィラン・ギルドから・・・・・盗み出した怪獣爆弾を仕掛けた事をお前ら・・・・・GIRLSが知っていたとはな。」

「へっ⁉︎い、今何て言ったの⁉︎・・・・・怪獣爆弾を仕掛けたってどういう事・・・・・まさか・・・ヴォルクお兄ちゃんが・・・・・。」

「ミク・・・・・悪く思うな・・・・・。」

「へっ⁉︎どうい・・・・・ぐっ‼︎」

 

ヴォルクはミクの背後を取り、首元に手刀を浴びせる。ミクはその一撃に気絶してしまう。そしてヴォルクはミクを何処かに連れて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは目を覚ますと何処か暗い空間にいた。しかもその体は鎖に縛り上げられている。更に隣にもう1人鎖に縛られている人物を見つけた。

 

「う、うう・・・・って何コレ⁉︎縛られている⁉︎・・・・・ってもう1人いる⁉︎」

 

ヒロキの隣にいたのはGIRLSの制服を着たミクだった。ヒロキはミクに呼び掛ける。

 

「しっかり、しっかりして‼︎」

「うっ、う〜んって・・・・君は⁉︎確かヒロキさん⁉︎」

「えっ、何処かで会った事ある?」

「あっ、そうか!あたしだよ‼︎怪獣娘のミクラス!」

「えっ・・・・・ってああ‼︎」

 

ヒロキはミクラスと顔合わせしているが、変身前の人間の姿で会ったのは初めてだったため、相手が自分を知っていた事に疑問を浮かべるも、彼女の言葉でミクラスの面影と重なり、納得する。

 

「ヒロキさん、どうしてここにいるの⁉︎ここは一体何処⁉︎っていうかあたし、縛られてる⁉︎」

「僕にも分からないんだ。けど、どうやら怪獣爆弾を仕掛けた宇宙人に捕まったというのは確かなんだけど。」

「えっ、何でヒロキさんがそれを・・・.って明かりが‼︎」

 

空間に明かりがついた。そこには4人の男達がいた。先陣にいたのがミクの知り合いのヴォルクだ。

ヴォルクは2人に話しかける。

 

「よぉ、ミク。それに知らない小僧。」

「お前が怪獣爆弾を仕掛けた宇宙人か⁉︎」

「ああ、そしてそこの怪獣娘とは昔からの付き合いだ。」

「ヴォルクお兄ちゃんって宇宙人だったの⁉︎しかも、ヴィラン・ギルドのメンバーで政府に脅迫してきたって事⁉︎」

「そうだ、ミク、俺は地球人じゃない。その証拠がこれだ。」

 

ヴォルクは自分の腕を刃物で切る。すると血が流れてきた。しかし、その血は人間の物とは違い、オレンジ色のものだった。

 

「本当に・・・宇宙人だったんだ。」

「ミク、お前の言葉は殆ど正解だが、俺厳密に言えば俺は元ヴィラン・ギルドだ。奴らを裏切り、この怪獣爆弾を盗み出したのさ!」

 

ヴォルクの後ろには丸い金属の物体があった。それにはタイマーが付いており、爆発まで後30分しかない事を示していた。

ミクは必死にヴォルクを説得する。

 

「どうして、こんな事をしたの⁉︎こんな事して一体何になるの⁉︎お願いだからやめてよ‼︎」

「ミク、お前には分からないさ。俺達宇宙人がこの星でどれだけ暮らしにくいかな・・・・・・‼︎」

 

そう言ってヴォルクは自分に起きた事を話し始めた。

 

「俺の故郷は美しい星だった。しかし、突然宇宙から怪獣が襲来した。その怪獣は星にあるもの全てを喰らい尽くした。家族も仲間も星の自然も全て喰らい尽くし、俺の故郷を滅ぼした。そして、この地球に流れ着いたんだ。」

「怪獣に故郷を・・・。それがアンタがこの星に来た理由か。」

「そして、初めて地球に来て友達になったのがお前の兄だ‼︎」

「ええっ⁉︎それじゃあお兄ちゃんはヴォルクさんが宇宙人だって知ってたの⁉︎」

「知っていたさ。オレンジ色の血を流す俺を恐れずに手当てして食事まで与えてくれた。あいつのお陰で俺はこの星を第二の故郷にしようと思ったよ。そして、この星でお前の兄と親交を深める内にあいつに恩返ししたくて、住み込みで働ける工事現場の仕事に就いた。最初は大変だったさ。けど、仕事にも慣れてようやくあいつに恩返し出来る日が来ると思った。けど・・・・・‼︎」

 

ヴォルクは悔しさと怒りを噛みしめながら言葉を続ける。

 

「けど、工事現場でしくって、怪我してしまった時に俺の人間じゃない血を見られたんだ‼︎そしたら一緒に工事をしていた仲間は俺を君悪がって、鉄パイプや煉瓦で殴り付けてきやがった!『きみ悪い化け物め!お前なんか仲間と思うんじゃなかった‼︎』そんな言葉で俺を罵りながら、暴力を加え、俺を強制的に追い出したんだ!これがその時に付けられた傷だ!」

 

ヴォルクは髪の毛を捲り上げる。すると見るも痛々しい傷跡が残っていた。

 

「しかも工事現場の奴らがGIRLSに俺の事を通報したせいでGIRLSに追われる事になったよ。それからは本当に生きていくのが大変だったよ。汚い川の魚やザリガニを採って食べたりして生活していたさ。そんな中、あいつが現れた。」

 

ヴォルクはその脳裏に白と黒のブラウスを着た青年が自分に話しかけてきたのを思い出した。

 

『ヴィラン・ギルド?』

『ああ、そうさ。彼等が持つ怪獣爆弾を手に入れれば君と同じ境遇の宇宙人を助ける事が出来る。この星には君と同じ境遇の宇宙人達が沢山いる。彼らを助けたくはないかい?』

『この星に俺と同じ境遇の宇宙人が沢山・・・・。』

『ヴィラン・ギルドに潜入すれば怪獣が手に入る上に、怪獣娘の排除も出来るぞ。』

『俺は・・・・。』

 

ヴォルクはかつて自分がヒッポリト星人とテンペラー星人の怪獣娘に追われた日々を思い出した。他にも、災害現場や事故の現場で人々を助ける怪獣娘が人々から感謝の言葉を言われるのに、自分だけは人々から化け物扱いされる宇宙人を助けた日を思い出して、悔しさを噛みしめながらミクに言葉を言い放つ。

 

「何故だ・・・・・!何故なんだ・・・・・‼︎何故、怪獣の力が使えるお前達怪獣娘は受け入れられると言うのに俺達宇宙人は受け入れられないんだ・・・・・・‼︎ガッツ星人の様な俺達以上の力を持つ宇宙人の魂を持った怪獣娘が何故受け入れられるんだ・・・・・‼︎何故、・・・・・、ゼットンやキングジョーの様な星を滅ぼせる位の怪獣の力を持つ怪獣娘が受け入れられて、何故・・・・・俺達本物の宇宙人は受け入れられないんだーーーー!!!!!」

 

ヒロキとミクはその言葉を噛みしめる様に聞く。そしてミクが口を開いた。

 

「あたし達怪獣娘だって、最初から人々に受け入れられた訳じゃないよ‼︎最初は衝突もあったらしいけど、今に至るまで色々な事があったから、今の時代があるんだよ‼︎だから・・・・・・。」

「だから、きっと宇宙人を受け入れてくれる時代が来るよ‼︎・・・・・お願い・・・・・考え直して。暴力で解決しようとしたって何にもならないよ‼︎」

「黙れ‼︎黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇぇぇぇ‼︎怪獣娘も所詮地球人、俺達宇宙人の気持ちなんて分からない‼︎分かる訳も無い‼︎」

「そんな事無い‼︎」

 

ヒロキが口を開いて、ヴォルクに言い放つ。

 

「今の話を聞いて、思った事があるよ‼︎きっと、僕達地球人が何らかの形で地球を離れ、他の星に流れ着いた時、僕達もヴォルクさんの様な目に合わないとは限らないって!」

「何だと!」

「仮に他の星に流れ着いた時、その星の人達が僕達と同じ血の色とは限らない!もし、彼等の血が地球人の色と違う事が宇宙人に知られたら迫害されるかもしれない‼︎けど、だからといって、この様な手段に出るのだけは絶対に間違ってる‼︎」

「黙れ‼︎お前には絶対に「黙らない‼︎」

「今、アンタらが怪獣爆弾を爆発させたら、この星で生きるのに必死な宇宙人が更に肩身が狭い思いをするんだぞ‼︎それでもいいのかよ⁉︎」

「ぐっ、それは「大変です‼︎ヴィラン・ギルドの手先が追ってきた様です‼︎何だと‼︎」

 

ヴォルクが口を開こうとした時、見張りからの通信を聞いた部下が自分に話しかけてきた。その内容にヴォルクは指示を出す。指示を聞いた部下が外に出た隙にヒロキはヴォルクに体当たりを仕掛ける。

 

「お前ら全員行け‼︎奴らをここに近づけさせるな‼︎」

「「「はい‼︎」」」

「(奴の部下が全員行った!今だ‼︎)うおおおお‼︎」

「なっ⁉︎くっ⁉︎」

 

それはヴォルクに命中し、地面にヴォルクが転がる。その時、彼がミクから奪ったソウルライザーが懐から落ちた。

ミクも下半身までは縛られていなかったので、ソウルライザーに駆け出す。そしてミクはソウルライザーを手に取ると叫ぶ。

 

「ソウルライド『ミクラス』‼︎」

 

怪獣娘『ミクラス』に変身した彼女は自身を縛っていた鎖を引きちぎると立ち上がったヴォルクに拳を向ける。

 

「うおりゃあああああ‼︎」

「なっ⁉︎」

 

ヴォルクは避けるとミクラスに銃を向け、引き金を引く。ミクラスはそれをかわし、ヒロキを縛った鎖を引きちぎった。ヒロキは真っ直ぐ爆弾に向かう。

 

「爆弾は僕が何とかする‼︎」

「分かった。」

 

ヴォルクは再びミクラスに銃を放つも、ミクラスは腕で銃から放たれた光線を弾く。

ヴォルクはミクラスに銃を連射し、突進してくる。ミクラスはそれを全て弾くと、自身もヴォルクに向かって走り出す。

ミクラスはヴォルクと格闘戦を始める。ヴォルクはミクラスの右ストレートをかわし、ミクラスに膝蹴りをする。ミクラスは腕を組んで受け止め、拳を放つ。その一撃でヴォルクの胸に命中し、ヴォルクは後ろに倒れた。

ミクラスはヒロキを気遣いながら、ヴォルクに笑いかけ、優しく手を差し伸べる。

 

「ヒロキさん、大丈夫?怪我とかしてない?」

「大丈夫だよ。」

「そうか・・・良かった・・・・。・・・・ヴォルクお兄ちゃん、あたし達怪獣娘も再び怪獣が出た事で人々から敬遠されそうなんだ。だからさ、あたし達と一緒に頑張ろうよ!お兄ちゃんみたいにヴォルクお兄ちゃん達宇宙人を受け入れてくれる人は絶対いるはずだもん‼︎」

 

ヴォルクはミクラスを見て、唖然としていたがすぐに笑い、爆弾解除のコードを教えた。

 

「フッ。暫く会わない内に大きくなったもんだな、ミク。俺の負けだ。小僧、解除コードを教えてやるよ。解除コードは『シゲル、マンス、モンス』だ・・・・。」

 

ヒロキは爆弾を操作して解除コードを入力する画面を出す。ヒロキはパスコードを入力する。すると爆弾のタイマーが止まった。

タイマーは爆発まで後10分を示していた。ギリギリだ。

ヒロキは肩身がかなり緊張していたのか、地面に座り込む。ミクラスはヒロキに駆け寄り、ヒロキを労る。

 

「ヒロキさん、お疲れさん‼︎」

「ありがとう、ミクラスさん。」

 

彼等が安心しきった時、爆弾のタイマーに異変が起こった。何と止まっていた筈のタイマーが高速で動き出したのだ。

ヒロキとミクラスだけでなく、ヴォルクも驚いた顔で爆弾に詰め寄る。

 

「爆弾のタイマーが動いてる⁉︎」

「ヴォルクお兄ちゃん‼︎どう言う事⁉︎」

「分からん‼︎兎に角止めなければ‼︎」

 

ヴォルクは爆弾を操作するもタイマーは止まらない。やがてタイマーは0を表していた。

 

「「なっ⁉︎」」

「お前ら、伏せろーーーーー!!」

 

その途端、怪獣爆弾は大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アキとレイカはお台場に来ていた。実はミクラスと連絡がつかなくなったため、2人はピグモンから頼まれてお台場に来ていたのだった。

 

「ミクちゃんとここで連絡がつかなくなったみたい。」

「一体ミクさんの身に何が・・・。」

 

その時、お台場の一部が大爆発を起こした。アキとレイカはその方向とソウルライザーに示された時間を見て驚く。

 

「まさか、このお台場に爆弾が・・・・・。」

「だ、だとしてもまだ2時50分です!爆発まで後10分はある筈ですよ!」

 

驚くレイカを前に爆発した煙は逆再生したかの様に戻っていく。そして煙は怪獣の姿になる。

丸っこい体に手と足があるが、その特徴は全身に様々な機械が付いている。右目にはスコープ、両肩にも武装がされた機械が付いていた。両腕も右腕に3本の爪と中心に赤い結晶が埋め込まれたロボットアーム、巨大な機関銃を付けたアサルトアームと武器と両腕が一体になった正しくサイボーグ怪獣というべき怪獣だった。

奇機械怪獣『デアボリック(MB)』が咆哮を上げながらお台場を進撃し始めた。




怪獣娘の世界は過去に怪獣が暴れていた頃、沢山の宇宙人が侵略してきたから何らかの形で地球に流れ着いた宇宙人が住みにくい世界ではないかと思い、今回のお話を書きました。

皆さんの感想、お待ちしてます。私にとっても励みになりますから。


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群狼の挽歌(後編)

今までヴォル『グ』だと思っていましたのがヴォル『ク』と知りました。 

申し訳ございません。


怪獣爆弾が爆発する少し前、ヴォルクの部下はヴィラン・ギルドの追手と激しい銃撃戦を繰り広げていた。

 

「貴様らが我々から奪った怪獣爆弾は必ず返してもらうぞ‼︎」

「絶対に渡すか‼︎ヴォルグさんのためにもあれは絶対に渡さない‼︎」

 

銃撃戦を繰り広げている中、突然大爆発が起こり彼等は巻き込まれる。

 

『うわああああああああ‼︎』

『ぐわああああああああ‼︎』

 

大爆発に巻き込まれ、虫の息になる彼等が最後に見たのは怪獣爆弾から放たれたデアボリックの巨大な足だった。彼等はそれが自分の上にいると分かった時、自分達の最後を悟った。

 

「何故・・・・・だ・・・・・。まだ・・・・・・時間に・・・・・。」

 

一言呟いたヴォルグの部下は怪獣爆弾の爆発から長く息があった方だった。しかし、彼はデアボリックの足元におり、自分の最後を知りながら怪獣の巨大な足に踏み潰される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキが目を覚ました時、最初に見えたのはミクラスが瓦礫の下敷きになったヴォルクを助けている光景だった。ミクラスは必死にヴォルクに呼び掛けている。

 

「ヴォルクお兄ちゃん‼︎しっかりして‼︎ヴォルクお兄ちゃん‼︎」

「ギュアアアアアアアア!!」

 

それを見て、ヒロキも助けに入ろうとするも目の前でお台場を破壊しながら歩くデアボリックを見て、そっちの方に走っていった。

ヒロキは右腕にタイガスパークを出現させ、相棒の顔が刻まれたキーホルダーを手にし、叫ぶ。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「ヘアッ!!」

「ギュアアアアアア!?」

 

タイガは空中で一回転してデアボリックに飛び蹴りを仕掛ける。飛び蹴りを食らったデアボリックは地面に倒れ込む。タイガは相手が立ち上がった時、デアボリックに向かってファイティングポーズを取る。タイガを敵と判断したデアボリックは背中の機械に付いた砲台や体中から光弾の弾幕を発射する。

タイガはバク転しながら、弾幕を避け、両手を合わせ突き出した光線『ハンドビーム』を放ち、応戦する。

 

『ハンドビーム!!』

 

しかし、その攻撃は多彩な火力を持つデアボリックには届かなかった。デアボリックは体中から光弾やミサイルを発射する。

タイガはバク転しながら避けるも、このままでは地上に被害をもたらすと判断したヒロキの言葉で煙の中から空に飛び上がる。

 

(タイガ、このまま戦ったら地上に被害が出る!一旦、飛んでこっちに注意を引こう!!)

『ああ、そうした方がいいな!!』

 

空に飛び上がったタイガに照準を定め、再び体中から光弾やミサイルを発射するデアボリック。タイガは時に回避し、時に手先から放つ無数の光弾『タイガスプラッシャー』でミサイルを撃ち落とす。そのまま、タイガはデアボリックに向かっていくも、デアボリックは右腕に埋め込まれた赤い結晶からビームを放つ。最初は横に逸れて、2度目は回転して避けるも、3度目をかわした後にビームの追撃を受けて、地上に落ちてしまう。

 

『ぐああああああっ!!』

 

 

 

 

 

 

タイガとデアボリックが戦いを繰り広げている頃、ミクラスはヴォルクを助けていた。しかし、彼女は驚いた。今、ヴォルグの腹に尖った瓦礫が貫通していたのだから。

 

「ヴォルクお兄ちゃん・・・・。」

「はっ、ざまあないな・・・・・。地球人に裏切られ・・・・俺自身が組織を裏切って・・・・怪獣爆弾を手に入れて、地球人を脅して金を手にして・・・・・俺の様な宇宙人の為に出来る事をしたい・・・・・その・・・末路がこれか・・・・。結局・・・・俺は・・・・何も・・・。」

「何言ってるの‼︎この星で必死に生きている宇宙人を助けたいんでしょ‼︎だったら、死んじゃ駄目だよ‼︎生きて、一緒にやり直そうよ!あたしの友達や先輩、後輩達も力を貸してくれるから‼︎」

「羨ましい・・・・・ぜ・・・・・。お前ら怪獣娘が・・・・・・。」

 

ヴォルクの脳裏にはGIRLSに知られているスライムの様な黒い生命体かも分からない存在『シャドウ』と呼ばれる人類の脅威から人々を守ってお礼の言葉を言われる怪獣娘の姿が脳裏に映った。

その怪獣娘は赤い獣殻に赤い髪、頭部にはアンテナの様な器官を3本備えた『ヒッポリト星人』の怪獣娘と青い獣殻と髪に背中に金色のマントを背負い、肩に猿の人形を乗せた『テンペラー星人』の怪獣娘がシャドウを退治し、人々を救出して称賛されていた。

 

『怪獣娘さん、ありがとう‼︎』

『ありがとう‼︎怪獣娘のお姉ちゃん‼︎』

『どういたしまして!坊や!』

『これからも困った事があったら私達に任せて‼︎いつだって助けに行くから‼︎』

 

その光景をヴォルクは建物の影から羨ましそうな表情で見ていた。そんな記憶が今、ヴォルクの中で流れていた。そんなヴォルクにミクラスは必死に呼び掛ける。

 

「ヴォルクお兄ちゃん‼︎ヴォルクお兄ちゃんってば‼︎しっかりしてよ‼︎」

「なぁ、ミク・・・」

 

ヴォルクがミクラスの呼び掛けに反応して、彼女に呟こうとした時、ビーフジャーキーを咥えた青年が現れる。それはヴォルクにこの計画を持ち掛けた霧崎だった。

ミクラスは銀座で出会った事をうろ覚えではあるが覚えていたらしく、何故ここにいるのか聞こうとするも、ヴォルクの歯軋りしながら霧崎を呼ぶ声にただならぬ因縁を感じていた。

 

「あれ・・・確か銀座にいたお兄さん⁉︎何故」

「霧ぃ崎ぃ・・・っ‼︎」

 

霧崎は瀕死状態のヴォルグに侮辱の言葉を掛ける。そんな霧崎にミクラスは掴み掛かる。

 

「所詮、負け犬は負け犬だったな。」

「今、何て言ったの・・・。負け犬・・・。ヴォルクお兄ちゃんが・・・負け犬・・・。アンタねぇ‼︎」

「よせよ、服がしわになる・・・。」

 

ミクラスは拳を振り上げて殴ろうとするもヴォルクに止められる。

 

「おいおい・・・。一般人を殴るのかい・・・。」

「くっ!!」

「よせ・・・‼︎ミク・・・奴は・・・霧崎は・・・只者じゃない‼︎奴が・・・宇宙人なのは・・・間違いないが、危険な相手だ!その姿が・・・本当の・・・姿かも・・・分からん‼︎」

「だったら、余計許せないよ‼︎よくもヴォルクお兄ちゃんを唆したな‼︎アンタが余計な事しなけりゃヴォルクお兄ちゃんは‼︎」

「まぁ、こうなって当然だよ・・・・。あの怪獣爆弾は私が細工してタイマーが止まったら強制的に爆発するようにしていたんだから。」

「!!・・・何だと!?」

「あんたが仕組んだの・・・。あんたのせいじゃん、・・・・・全部あんたのせいで、全部あんたのせいでーーー!!」

 

真実を告げた霧崎にミクラスは怒りをあらわにし、拳に力を込める。その手には血が滲み出ていた。タイガとデアボリックが格闘戦を繰り広げる中でミクラスは拳に力を入れて霧崎に殴り掛かる。霧崎はあっさりとその一撃をかわす。続いて右足で蹴りを放つもこれも受け止められ、霧崎が指から放った光弾を受けて、後ろに吹っ飛ぶ。

 

「負け犬が一瞬でも夢を見られたんだからいいじゃないか。あ、そこ、危ないよ。」

 

霧崎が指差した場所にデアボリックが放つ光弾の流れ弾が降ってくる。ミクラスに直撃はしなかったものの爆風で彼女の体は倒された。

 

「では、また地獄で。ウルトラセブンの飼い犬のお嬢さん。あ、飼い怪獣といった方がいいのかな。」

「待てぇ‼︎」

 

ミクラスは制止するも、霧崎は炎を背に何処かに消えていった。

 

 

 

その一方でタイガはデアボリック相手に接近戦を繰り広げていた。デアボリックの顔と右手の間に入り、首を押さえて顔を何度も殴りつける。

しかし、タイガが体の向きを変えた時、デアボリックの右手のアームがタイガを捕まえる。そのままデアボリックは強力なビームを発射し、タイガは後ろの建物を突き破って吹っ飛ばされる。

 

「ギュイアアアアアアアア!!」

『うわああああああ!』

 

 

 

 

その戦いを見ながらヴォルクはミクラスにペンダントを渡す。そして彼女に胸の内を打ち明ける。

 

「これって?」

「分からん。・・・だが、ヴィラン・ギルドから・・・・・巻き上げたものだ・・・・・凄い力がある・・・・らしい。俺は金を・・・・・手にして・・・・・この星で生きる宇宙人を助けたかった・・・・・。だから・・・・、」

「金目の物を回収していたんだね・・・・、ヴォルクお兄ちゃん・・・・。」

「あの怪獣爆弾の・・・・・パスコードの意味は・・・俺達の星の言葉で・・・・・永遠の・・・・・友達・・・・・。その前に・・・お前の兄『牛丸シゲル』の名が・・・あったって・・・・事は・・・・何が・・・・言いたいか・・・分かるよな・・・。」

「シゲル兄ちゃんと結んだ友情だけは捨てられなかったんだね。」

「ああ・・・・シゲルには・・・・・・・・仲間達の・・・・元に帰ったと・・・・・伝えてくれ・・・・・。」

「辞めてよ!!シゲル兄ちゃんだけじゃない!!あたしの家族皆会いたがってるんだよ!!お願い!!生きて!!」

 

 

 

 

その頃、タイガはデアボリックの左腕から放たれる機関銃に苦戦していた。ヒロキは一か八かタイタスに変わろうとする。すると、彼等に呼び掛ける声が聞こえた。

 

(タイガ、タイタスに変わろう‼︎このままじゃ不利だ‼︎・・・タイタス、頼む‼︎)

『分かった‼︎力には力だ!!』

『ちょっと待ちな!!仲間と頭は生きてる内に使うもんだぜ!!』

『その声は!!』

 

その時、ヴォルクのペンダントから一筋の光が流れ、タイガのカラータイマーに吸い込まれる。

ヒロキの手にはタイガ、タイタスのようなキーホルダーが現れた。そのキーホルダーはヒロキに話しかける。

 

『よう、タイガ、旦那。そして兄ちゃん!!』

『久しぶりだな!!』

『これで3人が揃った!!』

「もしかして、君がタイガ達の仲間の・・・・。」

『ああ、そうさ。兄ちゃん、俺の事はこう呼べ!!風の覇者、フーマ!!』

 

ヒロキはタイガスパークの引き金を引く。そのキーホルダーを左手で掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

 

キーホルダーを右手に持ち、タイガスパークに青い光が集まる。

 

『はあああっ、ふん!』

 

タイガスパークを装着し、キーホルダーを持った右手を上に掲げた。

 

「バディィィゴーーーー!!!」

 

一点の光から風と共に青いカラーリングに後ろに伸びるトサカが特徴のウルトラマンが左腕を上げて手は薬指と小指を若干曲げた状態にして巨大化する。オーブ、ロッソとブルと同じ惑星O-50を起源に持つ速さ(スピード)のウルトラマン。その名は

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

 

風と共に青いウルトラマンが降り立つ。そのウルトラマンはこう名乗った。

 

『俺の名はフーマ!!銀河の風と共に参上!!』

「ギュアアアアアアァァァァ!!」

『へい、兄ちゃん!!覚悟はいいか!!』

(うん!)

 

デアボリックはフーマを敵と判断し、左手の機関銃をぶっ放す。その瞬間、フーマは目に止まらぬ速さで銃撃を避けた。

 

『ぶっ飛ばすぜ!!』

 

その後、フーマは目に見えぬ速さで飛び回り、デアボリックの右、左、右と現れ、手裏剣状のエネルギー弾である『光波手裏剣』を放ち、デアボリックを斬りつける。デアボリックも全身から光弾やミサイルを放ち、左腕の機関銃で銃撃するもその速さはデアボリックの目に付いたスコープの照準が捉える事が出来ない速さだった。

 

(す、凄い・・・。あの攻撃が一つも当たらない・・・・。)

『まだまだ飛ばすぜ!!兄ちゃん、大丈夫だよな!!』

(勿論!!)

 

フーマはデアボリックの体中から放つ攻撃を全てかわし、光波手裏剣を放ち続ける。やがて、フーマは太陽を背に浮かび上がる。

デアボリックはチャンスだと思ったのか、右手からタイガを吹っ飛ばしたビームを放つ。

 

(まずい!!あのビームは!!)

『心配すんな!!このまま突っ込むぜ!!』

(ええ!?)

 

フーマはビーム目掛けて空から急降下する。フーマはビームをものともせず、デアボリックの右手に突っ込む。急降下からの頭突きはデアボリックの右手を完全に破壊した。フーマはスライディングしながら着地するもカラータイマーが鳴り始める。

 

(凄い、タイガを吹っ飛ばしたあのビームを・・・・。)

『当然!!と言いたいが、そろそろ時間切れだ!!兄ちゃん、ギンガレットを使え!!』

(ギンガレット・・・、もしかして・・・。)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左手に意識を集中させる。するとフーマがウルトラマンギンガから託されたブレスレット『ギンガレット』が出現した。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークを装着した右手に左手を重ね、ギンガレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ギンガレット、コネクトオン!!〉

 

フーマにギンガのビジョンが合わさる。フーマは人差し指と中指を立てる。

 

『これはピースマークじゃねぇぞ!!お前はあと2秒で終わりってことだ!』

 

デアボリックは再び全身から弾幕を放つもフーマは一瞬で背後に移動し、ギンガのプラズマの力を宿した強化技『七星光波手裏剣』を2発放つ。これにはデアボリックも耐えられず、機械部分の破片が辺りに飛び散り爆発四散する。

デアボリックの爆発と同時にフーマは左腕を後ろにして着地した。

 

 

 

 

 

「俺のペンダントから・・・・・ウルトラマンが・・・・。」

「うん・・・。」

「成程な・・・道理で・・・高い・・・わけ・・・だ。」

 

その勝利をミクラスとヴォルクは見ていた。ヴォルクは何故あのペンダントが高い値段で売り買いされていたのか納得していた。ヴォルクはミクラスに頼み事をしていた。

 

「ミク・・・頼む・・・・。ヴィラン・ギルドの・・・・下っ端は・・・・俺達の・・・・ように・・・・生きるために必死な宇宙人が殆どだ・・・・。俺達の・・・・ような・・・・宇宙人がいたら・・・・GIRLSで助けて・・・・・やってくれないか・・・・。」

「うん!!約束するよ!!」

「そうか・・・・・。お前は・・・・笑顔で・・・・明るく生きろ・・・・・。お前らの・・・・・家族と出会えて・・・・・良かったぜ・・・。故郷で・・・失った・・・・家族が・・・・・。」

「ヴォルクお兄ちゃん!?・・・・・・ねぇ、起きてよ・・・・起きてよ!!ヴォルクお兄ちゃん!!ヴォルクお兄ちゃーーーーーん!!」

 

ヴォルクは妹分のミクラスが頼みを聞いてくれると知ると、感謝の言葉を告げて息絶えた。ミクラスは必死で兄貴分の名前を叫ぶも、返事が返って来ることは無かった。

 

 

 

 

 

その頃、霧崎はトレギアアイを広げて、目に翳す。そして霧崎はトレギアに変身し、その場を去ろうとするフーマの足を掴み、地面に叩きつけた。

 

「セイヤッチ!!セヤ!?」

『いってぇ・・・、てめぇはトレギア!?』

 

フーマは振り返り、相手を確認する。するとトレギアは手を添えて、フーマを挑発する。

 

『久しぶりだな、O-50。最後に会った時は惨めに泣き叫んでいたんじゃなかったか?』

『こんのヤローッ!!』

『辞めろ、フーマ!!彼は君を怒らせようとしている!!』

 

フーマはトレギアに怒りを込めて蹴りを放つ。しかし、どれもかわされてしまう。

 

『おいおい。』

『上等じゃねぇか!!てめぇ!!』

 

フーマは手刀から右足で膝蹴りを放つも、受け流される。トレギアと同時に蹴りがぶつかり合う。フーマは今度は右腕で肘撃ちを放つも受け止められ、逆にトレギアに手刀を放たれる。フーマは受け止め、トレギアと距離を取ると左腕でタイガスパークをスライドし、光の手裏剣状の光弾を生成する。そして必殺技である『極星光波手裏剣』を放つ。

 

『極星光波手裏剣!!』

『おいで・・・。』

 

極星光波手裏剣は見事にトレギアに命中するも、トレギアは平然であった。奴は空に描いた魔法陣に消えていく。

 

『残念・・・。ハハハハハハ。』

『待て!!』

『辞めろ、フーマ!!深追いするな!!ヒロキの体が持たない!!』

 

フーマはトレギアを追おうとするも、タイガに制止される。タイタスはそんなフーマを咎める。

 

『全く、フーマ、君は軽率すぎる!!もっと考えて行動してもらわんと!!』

『そう言うなって、旦那!!そんな事してたら、相手に逃げられちまうだろ!!』

『お前ら、いっぺんに喋るな!!ヒロキが混乱するだろ!!』

(ぼ、僕の事は大丈夫!!それより、ミクラスさんの元へ急がないと!!)

 

 

 

 

 

夕日の中、ミクラスは元の人間である牛丸ミクに戻り、ヴォルクの亡骸に縋りつきながら泣いていた。その光景を見て、彼女の同期であり、親友であるアキとレイカは声が掛けられなくなっていた。

 

「うわああああああああああん!!ヴォルクお兄ちゃあああああああん!!起きてよ!!ねぇ、ねぇってばーー!!うわあああああああん!!」

「ミクちゃん・・・・。」

「ミクさん・・・・。」

 

ヒロキはタイガ達と共に隠れてその光景を見て己の無力さを嘆くも、トライスクワッドが励ます。

 

「何で・・・何で救えなかったんだ!!あの人は・・・ただ単に・・・恵まれない宇宙人達を助けたかっただけなのに・・・。」

『ヒロキ、それは違う!!君は君に出来る事を一生懸命やった!!私達ウルトラマンでも救えない命があるんだ!』

「タイタス・・・。」

『ヒロキ、俺達ももっと強くなって、もっと多くの命を救ってみせる!!だから、一緒に頑張ろうぜ!!』

『兄ちゃん、いや、ヒロキだっけか。俺も協力するからよ!!だから前に進もうぜ!!』

 

ヒロキはトライスクワッドの言葉を聞いて頷く。

 

「・・・・・・・皆・・・・・。そうだね、地球人も怪獣娘も宇宙人も共に生きる。そんな世界にできるように頑張らないと!!」

『『おう!!』』

『うむ!・・・そう言えば、アレをしていなかったな。』

『ああ、アレか。』

『そうだな、全員揃ったんだ!!ここでやっておくか!!』

「何をするの?」

『俺達、トライスクワッドの誓いさ。行くぜ!!』

『生まれた星は違っていても!!』

『共に進む道は同じ!!』

『我ら!!』

『『『トライスクワッド!!!』』』




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)

『セゲル星人の侵略怪獣セグメゲル。町に繰り出したピリカとレイカが出会い、更に1人の女の子と心を通わせる。だが、その女の子には重大な使命があって。次回!!

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


きみの決める未来


ヒロキ、急げ!!変身だ!!』


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君の決める未来(前編)

こちらもようやく更新出来ました。
それではどうぞ。

毒炎怪獣『セグメゲル』登場


ヒロキは学校から帰っている途中だった。下校しながら、ヒロキはトライスクワッドの3人と話していた。

 

『・・・でそのキングジョーの姉ちゃんはお前の恋人か?』

「ち、違うよ!」

『その割には顔が赤いぜ、ヒロキ。』

「こらこら、2人とも。ヒロキを余り困らせるな。』

「ありがとう、タイタス。」

 

ヒロキをからかうフーマとタイガを嗜めるタイタスに礼を言うヒロキ。そこにヒロキと同じ学校の女子生徒が現れ、ヒロキに話しかける。それはピリカだ。

 

「あっ、ヒロくん。」

「ピリカさん。ピリカさんも帰ってる途中?」

「うん、それよりヒロくんはさっき誰と話してたの?」

「あっ、いや・・・その・・・。」

 

ヒロキはピリカからの質問に戸惑った。何故なら彼女はヒロキが再び地球に現れたウルトラマン達と融合している事を知らないからだ。迷った後、ヒロキは結論付けた。

 

「け、携帯で、む、昔の友達と話してたんだ!ほら、僕、神戸から来たじゃん!だから、皆あっちで変わりないか気になったんだって‼︎」

「へぇー、でも携帯を耳に「イヤホンだよ‼︎ほら、最近は直接携帯に繋がなくても電話とかできるし‼︎」ふーん・・・。ま、そういう事にしておくよ。」

(助かった‼︎)

 

ピリカは府に落ちない部分もあるようだが、納得したようだ。ピリカがヒロキに話しかけようとした時、異変が起こる。

突如近くから人々の悲鳴が聞こえてきたからだ。

 

『ギャアアアァぁ!』

『助けてくれぇぇ!!』

 

ヒロキはその声の方角へ走っていく。ピリカは必死に呼びかけながら追いかけるもヒロキの足は止まらなかった。

 

「あっ、ヒロくん待って‼︎」

 

 

 

 

 

 

ヒロキの走った方では、人類の敵『シャドウ』が出現し、人々を襲っていた。

現場ではキングジョー、ガッツ星人、ノイズラー、マガバッサー、マガジャッパの5人がシャドウと戦っている。

ガッツ星人は分身して光線を放ち、ノイズラーは音波で周りのシャドウを一掃する。マガバッサーはマガジャッパを足で掴み、上に飛び上がって高い所にいるシャドウを追跡する。マガバッサーがシャドウに追い付くと、マガジャッパが水流でシャドウを消滅させる。

 

「よっしゃ!上のシャドウはこれで全部片付いた!」

「下に降りて、先輩達と合流しないと・・・。」

 

マガバッサー達が降り立つと同時にキングジョーか上からシャドウを急降下して押し潰す。しかし、かなりの重量で押し潰したため道路が大きく壊れてしまう。

それを見て、マガバッサー達はキングジョーを制止しようとするも振り切られてしまう。

 

「ちょっ、キングジョーさん‼︎そんな強く急降下したら‼︎」

「ま、町の方が壊れちゃいますよ‼︎」

「煩イ‼︎邪魔デス‼︎」

「キャッ⁉︎」

 

キングジョーは再び急降下する。2人はその前に水流と空気の刃でシャドウを消滅させる。キングジョーは周りのシャドウがいなくなったと判断し、下に降りる。地面に降り立つとマガバッサーとマガジャッパに詰め寄った。

 

「何故、邪魔をしたんデスカ⁉︎」

「何故って・・・・・あのままだったら、周りの方にもっと被害が出てましたよ‼︎」

「そうですよ‼︎こんな戦い方を繰り返したら、シャドウの被害より大きくなっちゃいますよ‼︎」

「これはワタシの戦いデス‼︎余計な手出しはしないでくだサイ‼︎」

「余計な手出しって・・・そんな言い方ないじゃないですか⁉︎」

「どうしたの⁉︎」

 

そこにシャドウを全て片付けたガッツ星人とノイズラーが合流する。

ガッツ星人はマガジャッパの言葉に周りを見て納得し、ノイズラーがキングジョーに申す。

 

「キングジョーさんが町を壊しかねない戦いをして、それで私達」

「ああ、納得したよ・・・。」

「キングジョーさん、これはバッサー達が正しいですよ‼︎シャドウを倒すのもアタシ達の使命です‼︎けど、周りの被害はもう少し考えないと‼︎」

「ノイズラーちゃんは甘すぎデス‼︎人類の脅威はどんな手段を使っても排除しなければいけマセン‼︎」

「ふえええぇぇ‼︎」

「それで市民に被害が出たらおジョーもそいつらと同じになっちゃうよ‼︎それに最近のおジョーは変だよ‼︎凄く怒りっぽくなったり、シャドウに対してオーバーキルじゃないかと思う位の攻撃を仕掛けてさ‼︎」

「ワタシの何処がおかしいんデスカ‼︎」

「辞めて下さい‼︎ジャッパが怯えてるじゃないですか‼︎」

 

キングジョーとノイズラー、ガッツ星人の言い争いに怯えるマガジャッパ。その様子を見て、マガバッサーも割って入る。

その場にヒロキとピリカが辿り着き、怪獣娘達の口論に割って入る。

 

「クララちゃん⁉︎それに怪獣娘の皆さん⁉︎」

「どうしたの⁉︎こんな所で言い争って⁉︎」

「ヒロキに・・・・ピリカ⁉︎どうしテ⁉︎」

「ヒロキさんは知ってるけど、貴方は?」

「クララの中学校時代からの親友の旭川ピリカです‼︎よろしくお願いします、怪獣娘の皆さん‼︎ねぇ、クララ一体何があったの⁉︎最近のクララは人付き合いが悪くなったから凄く心配してたんだよ‼︎

「・・・・・・人の事情に立ち入らないで下サイ・・・・。」

「そんな事言わないでさ、話してよ‼︎私にも力になれる事がある筈だから‼︎」

「一体何があったの?」

「実は・・・・。」

 

ピリカがクララに問い詰めている頃、ヒロキはガッツ星人から事情を聞いていた。大まかな事情を知ったヒロキはクララに口を開く。

 

「クララちゃん、チビスケの事で怒る気持ちは分かるよ。けど、その怒りをぶつける為に町の被害を考えずにシャドウと戦うのは違うと思うんだ。」

「ヒロキ・・・・・。」

「それに最近の事聞いたよ。クララちゃんが怒りっぽくなって後輩の怪獣娘さん達がクララちゃんの事を怖がっているんだって。今は怒ってその感情を出し切ってもいいと思う。けど、他の人にそれをぶつけるのは駄目だよ。」

「・・・・・・・I'm sorry。けど・・・ワタシは・・・・・。」

「大丈夫‼︎どんなクララちゃんになっても僕は受け入れるから‼︎」

「・・・・・・・・・ヒロキ・・・・・・・・。」

 

クララはヒロキの名前を呼ぶと空に飛び上がり、去っていく。ガッツ星人とノイズラーは呼び止めるもピリカに止められる。

 

「ちょっと‼︎おジョー‼︎」

「キングジョーさん‼︎」

「今はクララを1人にしてあげて下さい。きっと彼女ならもう一度優しくて明るいあのクララに戻ってくれますから。」

「ピリカさん・・・。」

 

怪獣娘達はヒロキ達に向き合い、感謝の言葉を述べ、彼女達はウルトラマンについて話し始める。

 

「ありがとう。君達が来なかったら、わたし達ずっとここで言い争っていたかも。」

「それにしても、最近は変な事件が立て続けに起こりますよね。この間は新しいウルトラマンも現れましたし。」

「エレキング先輩があの青いウルトラマンを気に入ってましたね。レッドキングさんはあの筋肉質のウルトラマンを気に入っていましたけど。」

「あっ、あたしもあの力強いウルトラマンが好きなんだ。」

「わたしはあの青い忍者っぽいウルトラマンかな。」

「へぇー、ピリカさんとレッドキングさんがタイタスで、ガッツ星人さんとエレキング?さんはフーマなんだ。」

「そうそう、タイタスで・・・・・え?」

 

ヒロキの呟きにその場にいた者達がヒロキの方を向く。ガッツ星人はヒロキに詰め寄った。墓穴を掘ったヒロキに一体化した3人は大声で叫ぶ。

 

「あっ‼︎」

『『『ヒロキッ‼︎』』』

「ちょっ、ちょっと待って!タイタスとフーマってあのウルトラマン達の名前だよね⁉︎何で君がその名前を知ってるの⁉︎」

「えっ、えーと(どうしよう、3人とも・・・。)。」

『ヒロキ、頼むぜ‼︎何とか切り抜けろ‼︎』

『もし、彼女達に正体がバレたら・・・‼︎』

『怪獣娘の姉ちゃん達が更に危険な目に遭うぞ‼︎』

「(そんな事言われても・・・・)あっ・・・、怪獣だ‼︎」

『おいっ‼︎ヒロキ‼︎』

 

ヒロキが何とか話を誤魔化す為に勢いよく指を指して、嘘を吐く。余りに苦しい嘘にタイガは慌てるも、彼女達はその方向を見て唖然としていた。

 

「あれ、皆?」

『ヒロキ、アレを見ろ‼︎』

「グルアアアアアァァァァッ‼︎」

 

皆が唖然としているのでヒロキは彼女達に呼びかけるも返事が無い。不思議に思ったヒロキがタイガに指摘された方向を向くと衝撃的な光景が目に映った。

それは緑色の体表に背中に刺々しい背鰭、ギョロっとした目に口には鋭い歯を備えた巨大な怪獣が暴れまわっていたからだ。

それを見たガッツ星人はソウルライザーでGIRLS本部に連絡する。

 

「本部、こちらガッツ‼︎また怪獣が現れたよ‼︎」

「嘘だろ、またかよ‼︎」

「ヒロくん、どうして分かったの⁉︎」

「えっ、いや、その・・・。」

「それよりも早く避難して下さい‼︎ここはわたし達が‼︎」

 

マガバッサーの言葉に頷くとヒロキとピリカは走っていく。そしてヒロキはピリカが自分から離れた所で裏路地に入る。

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部司令室ではピグモンとエレキングが司令室の職員の指揮をとっていた。

 

「出現した怪獣の記録は⁉︎」

「記録がありません‼︎前のデアボリック同様、新種の怪獣だと思われます‼︎」

「近くにガッツ達がいるわ‼︎彼女達に市民の避難と救助活動を‼︎」

「はい!」

 

その頃、ガッツ星人達は怪獣から逃げる人々の避難誘導を行なっていた。

 

「皆さん‼︎こちらです‼︎」

「慌てないで‼︎落ち着いて避難して下さい‼︎」

 

彼女達が避難誘導を行なっている時、怪獣に飛び蹴りをかまし、タイガが現れた。それを見て、マガバッサーがその名を呼ぶ。

 

「あっ、タイガ‼︎」

 

 

 

 

 

(何処から現れたんだ⁉︎この怪獣‼︎)

『考えるのは後だ‼︎今はこの怪獣を何とかするぞ‼︎』

「グルアアアアァァ‼︎」

 

タイガは怪獣にファイティングポーズを構える。

怪獣はタイガを見て、自分を攻撃した相手と知ると、口から紫色の炎を吐き出す。タイガは炎を左腕で受け止める。しかし、炎を受けた左腕は紫色に浸食し、痛々しい傷を残す。その一撃はタイガと一体化しているヒロキにもダメージを与えた。

 

(ぐあああっ‼︎何だ、コレ⁉︎)

『これは・・・毒だ‼︎毒の炎だ‼︎」

(えぇっ⁉︎毒の炎⁉︎)

 

そう、怪獣が吐き出した炎は毒を含んだ非常に強力で危険なものだったのだ。それを知ったヒロキは時間を掛けてられないと思い、タイガに呼び掛ける。

 

(タイガ‼︎早めに終わらせよう‼︎こんな危険な怪獣、絶対に野放しに出来ない‼︎)

『ああっ‼︎・・・・・ってうわぁっ‼︎』

 

怪獣はタイガに突進してきた。タイガは突進を食らい、後ろに向けて地面に倒れる。すると怪獣は鋭い牙でタイガに噛みつこうとしてきた。タイガは何とか怪獣の顔を押さえつける。

 

(不味い‼︎このままじゃ‼︎)

『ヒロキ‼︎少し荒い事をするが持ち堪えろ‼︎』

(えっ⁉︎何をするの⁉︎)

 

タイガは手を離し、怪獣を顔を別の方向に背ける。タイガの顔の横で怪獣が勢いよく空を噛む音が聞こえる。怪獣が再びタイガに噛みつこうとし、タイガに顔を近づけた時、タイガの体が虹色に光る。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

何とタイガはゼロ距離で必殺光線であるストリウムブラスターを放ったのだ。これには怪獣も耐え切れず、怪獣は大爆発を起こした。

タイガ自身も毒の炎によるダメージからゼロ距離から光線を撃った事でダメージを重ね、光の粒子となって消滅した。

その光景を見て、怪獣娘はその場に向かい始めた。

 

「行こう、3人とも‼︎」

「「「はい‼︎」」」

 

 

 

 

 

怪獣が現れた現場から少し離れて、ヒロキは左手を押さえ、ふらつきながら歩いていた。

 

「あんな戦法を取るなんて無茶苦茶だよ・・・。」

『アレしか方法が無かったんだ‼︎仕方ないだろ‼︎』

『しかし余り良い結果とは言えんぞ・・・。ヒロキの体にかなり負担が掛かっている。』

『タイガ、お前な、危なっかしいぞ‼︎このままだと、何かヤバい事起こしそうだぞ‼︎・・・・・大丈夫か、ヒロキ⁉︎』

「フーマ、僕は大丈夫だから・・・。」

 

そう言ってヒロキは地面に倒れた。トライスクワッドが必死にヒロキに呼び掛ける。

 

『ヒロキ⁉︎』

『おい!しっかりするんだ‼︎ヒロキ‼︎』

『全然大丈夫じゃねえじゃねえか‼︎おい、ヒロキ、しっかりしろ⁉︎』

 

そこにガッツ星人達が現れた。彼女達はヒロキを見て、慌てて駆け寄る。

 

「ヒロキさん⁉︎何でここに⁉︎」

「っていうか・・・凄い怪我じゃん‼︎」

「早く病院に運ばないと‼︎」

「わたしが救急車を呼びます‼︎」

 

マガジャッパは急いでヒロキを運んでいった。マガバッサーが救急車の手配をする中、途中でガッツ星人とノイズラーが妙な事に気付く。

 

「ねぇ、ノイズラー、ヒロキさ左腕を抑えてなかった?」

「あー、そう言えば確かに・・・・あれ、タイガが怪獣の攻撃を受けたのも左腕でしたよね?何で・・・・。」

「救急車を呼びました‼︎こちらに向かっているそうです‼︎」

「行こうか、ノイズラー。」

「はい。」

 

気になる事はありながらも、彼女達はマガバッサーの呼び掛けに答えて彼女の方向へ向かっていった。




昨日のギャラファイは良かったですね。
タイガももう立派に先輩ですね。

いつかタイガとゼット、お互いの最強形態が並び立つ光景も見たいです。


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君の決める未来(中編)

間違えてZの方に投稿してしまい申し訳ありません。

本来はこの小説にピリカを出すつもりは有りませんでした。
しかし、ピリカの存在が無いと成り立たない話が出てくる為、ヒロキとクララのクラスメートという形でピリカを出す事にしました。
タイガ原作視聴者なら何故ピリカがいないといけないかが分かる筈です。




ヒロキは白い天井を見上げながら目を覚ました。ヒロキは左手が包帯で固定されている事に気付く。

 

「ここは何処?」

「病院だよ。GIRLSの管轄のね。」

「えっと・・・、さっきの怪獣娘の皆さん!!」

 

思わず呟いたヒロキの問いに答えたのはミコだった。その周りにはあの現場にいた怪獣娘が変身前の姿で揃っている。ミサオがヒロキに尋ねるもヒロキは答えに迷う。

 

「ヒロキさん、どうしてあそこにいたんですか?」

「それは・・・・・。」

「まあいいよ。怪獣が現れた現場にはあんまり近づいちゃ駄目。おジョーに怒られるよ。」

 

ミコはそう言った後、ヒロキはヨウとユカに話しかけた。

 

「そうだ!あの怪獣が現れた原因は分かったの⁉︎」

「いや、今の所は何も・・・。」

「私達もあの後現場を調べたんですが何も分かりませんでした・・・。」

「そうか・・・。」

「アタシ達もこの後、怪獣が現れた原因についての会議があるからここで・・・。」

 

ミサオがそう言って、4人は部屋を出て行く。

4人が完全に部屋を離れた頃を見計ってヒロキはタイガ達に話しかけた。

 

「あの怪獣は何?」

『悪い・・・。俺は何も・・・。』

『俺も知らねぇな。旦那は?』

『・・・・・一つだけ心当たりがある・・・・・。』

「本当⁉︎」

『恐らくだが、あの怪獣は・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

「あの怪獣はセグメゲルだ。」

『うわああああああ⁉︎』

 

GIRLSの会議室で怪獣娘が集まり、先程の怪獣についての会議が開かれていた。その最中に1人の民族風の服を着た坊主頭の男が突然現れ、彼女達は驚く。

代表してトモミが男に話しかけた。

 

「あ、貴方は一体⁉︎」

「私はダマーラ星人。故郷をセゲル星人の操る怪獣セグメゲルによって滅ぼされ、この地球に亡命した宇宙人の1人だ。」

 

それを聞いたレイカは男の言葉を復唱し、ミコは先程街に現れた怪獣が男の言う『セグメゲル』だと気付く。

 

「ダマーラ・・・星人・・・。」

「セグメゲルって・・・さっきの怪獣だね!であの怪獣はさっき言ってた・・・。」

「セゲル星人が呼び出したものだ。奴らは自分達が生存可能な星を侵略して領土を拡大してる。今、奴らのターゲットになったのはこの星だ。」

 

ダマーラ星人の言葉にアキが質問し、ダマーラ星人が答える。

 

「どうやってあの怪獣を出したんですか?」

「奴らの召喚士がセグメゲルを召喚し、ターゲットとなった星を攻撃する。奴らの召喚士を何とかしない限りあいつはまた現れる。」

「すぐに探さないと!!何かセゲル星人の特徴はありませんか!?」

「姿は私や君達地球人と変わらない。召喚士は特殊な水晶を持ってセグメゲルを召喚している。」

 

今回の事件について情報提供するダマーラ星人。ここでクララが懐疑の声を挙げる。

 

「・・・・アナタもグルじゃないのデスカ?怪獣の情報を偶然とは思えないタイミングで教えるナンテ・・・。」

「違う!!私は地球を侵略したりしない。ただこの星で暮らしたいだけなんだ!!」

「本当の事を言いなサイ!!でないと、ただではすまさないデス!!」

 

掴みかからん勢いでダマーラ星人を問い詰めるクララ。思わずミクが割って入る。

 

「止めて下さい!!この人は嘘を付いていません!!」

「ミクラスちゃん!!もしかしたらその宇宙人はセゲル星人とグルかもしれないのデスヨ!!」

「この人の目は嘘を付いてません!!ヴォルクお兄ちゃんと同じです!!故郷の星を追われはるばるこの星へ流れ着いただけです!!信じてあげましょうよ!!」

 

ミクは必死にダマーラ星人の無実を訴える。彼女の必死な姿にクララは納得したわけではないが引き下がる。そこでトモミが全員に任務を伝える。

 

「皆さん、まずはセゲル星人の召喚士を追いましょう!!GIRLS出動です!!」

『了解!!』

 

 

 

 

 

 

 

その頃、病室でヒロキはタイタスからセグメゲルの話を聞いていた。話を聞いた後、ヒロキはセゲル星人を探すため、着替え始める。

 

「今の僕じゃ戦えない・・・・。奴らがセグメゲルを召喚する前にセゲル星人を見つけないと!!」

『おいおい、お前は俺達と一体化してるんだぜ。そんな怪我短時間で治るさ。』

「けど、怪我が治らない内に現れたら、太刀打ちできないよ!!だから今の内に見つけないと!!」

『確かに・・・・、あの怪獣の毒の炎は厄介だしよ。・・・・それにしてもヒロキ、ここを出て大丈夫か?』

「一応、今日退院できるから、今の僕に出来る事をしないと。」

『立派だな、君は。』

 

トライスクワッドと話しながら着替えを終えたヒロキは病室を後にしセゲル星人の捜索に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、レイカはセグメゲルが現れた現場から少し離れた場所で調査をしていた。そんな中、彼女はとあるアニメショップを通りかかる。通り過ぎようとした時、彼女はあるものに目を取られた。

 

「こ、これはおまピトの公式アンソロジーコミックの単行本‼︎・・・・そういえば今日発売でしたね。」

 

おまピトとは週間少年ツブラヤで連載されているスポーツ漫画『お前にピットイン!』の略称である。この漫画は中高生のみならず多くの女性にも大人気な漫画でレイカだけでなくランも大ファンである。

今日はその公式アンソロジーコミックの単行本が発売される日であったが怪獣の出現でレイカはすっかりその事を忘れていたのである。

レイカは窓から店の中を見てもう残り3冊しかない事を知り悩み始める。

 

「ああ・・・・買いたいです‼︎でも、怪獣の出現した理由を調査しないと・・・・!・・・・でも、この時間から残り僅かなら仕事が終わった頃にはもう他の店でも・・・!」

 

レイカは真面目な性格なため仕事の最中に寄り道をしてはいけないと思っている。しかし、今日の仕事終わりには他の店でも買える保証がない為、それならいっそここで買った方がいいのではないかと悩み始めていた。そこにピリカが通りかかり、レイカに声を掛ける。

 

「ねえ。ここで何を悩んでるの?」

「わっひゃあ⁉︎」

「ご、御免!驚かせて・・・でも何か悩んでるようだったからさ。」

「い、いえこちらこそ驚かせてすみません。じ、実は・・・。」

 

レイカは窓から店の中の単行本のコーナーを見ていた。その視線を察したピリカはレイカの手を引いてアニメショップに入る。

 

「貴方もおまピトを買いに来たんだね!だったら一緒に入ろうよ!!」

「えっ⁉︎ええ⁉︎」

 

ピリカに手を引かれ単行本コーナーの前に来たレイカは覚悟を決め、ピリカと共に残り3冊の単行本を手に取ろうとする。すると同じタイミングで単行本を手に取った少女がいた。

 

「「「あっ・・・。」」」

 

 

 

 

 

 

その後、店を出たレイカとピリカは同時におまピトの単行本を買った少女と並んで通りを歩いていた。

 

「いやー、良かったね。丁度3冊でさー。」

「そっ、そうですね・・・。」

 

レイカは何処か浮かなそうな顔をしていた。ピリカはそんなレイカに話しかけるレイカの答えに3人目の少女が声を挙げる。

 

「どうしたの?何かやってしまったよ的な感じでさ。」

「じ、実は今仕事の最中だったんです・・・。それなのにこんなサボる形になってしまって・・・・。」

「仕事・・・・。わたしも初めて仕事をサボったんだよね・・・。」

「えっ、そうなんですか⁉︎私も初めてなんですよ!・・・罪悪感とか感じませんか?」

「うん・・・・結構感じてる。」

「大丈夫だよ!一回くらいはサボってもさ!あっ、あの観覧車乗ろうよ‼︎」

 

ピリカは目の前にあった観覧車を指差し、2人に声を掛ける。レイカ達は遠慮がちに答える。

 

「い、いえ流石にこれ以上は・・・。」

「わたしもちょっと・・・」

「いいじゃん!あたし達おまピトトリオ同盟の友情の証として乗ろうよ‼︎」

「おまピト同盟っていつからトリオ組んだんですか⁉︎」

「いいからいいから‼︎」

 

ピリカは2人の手を引いて観覧車に連れて行く。結局観覧車に乗った3人は自己紹介をしていた。

 

「そういえばまだ名乗っていなかったよね。あたし、旭川ピリカ。」

「私は白銀レイカです。」

「わたしは葵。」

「レイカちゃんに葵ちゃんか・・・。ねえ、2人は何の仕事をしてるのってレイカちゃんってGIRLSだよね?」

「ええ、私はGIRLSで情報や調査関係の仕事をしています。」

「わたしも調査みたいなものかな。それでこの辺りの調査を。」

「何か運命感じるね。同じ場所でおまピト買ってさ、しかもうち2人は仕事をサボっちゃってさ。」

「初めて仕事をサボってこういう事をする日が来るとは思いませんでした・・・。」

「ええ、でもこうやって仕事をサボれて良かったと思うわ。こんな楽しい時間は本当に初めてだから・・・。」

「そうなんですか?」

「ええ。」

 

その後、観覧車を降りた3人はタピオカミルクティーを飲みながら公共のテーブルで話をしていた。

 

「楽しい時間が初めてって言ってたけど、そんなに忙しいの?」

「ええ、休む時間や遊ぶ時間も取れないくらい忙しい仕事を取ってくるから。」

「ええ⁉︎そんなに⁉︎それは流石に酷いですよ‼︎抗議の声を挙げてもいいと思いますよ⁉︎GIRLSだって忙しいですけど、ちゃんと休みはくれますし‼︎」

「いっその事辞めちゃったら。」

「出来ないよ‼︎わたし、この仕事の責任者だし、この仕事が人生みたいなものだし・・・。」

「仕事とかそういうものに人の人生を決める権利なんてない‼︎」

 

ピリカが立ち上がって声を挙げる。やがてピリカは落ち着くと座って話し始める。

 

「あたしもちょっと自分の人生に悩んでいた頃があってさ。そんな中あたしにそう言ってくれた人がいるんだ。その人はこう言ってたよ。『自分の人生は自分で決めていい。何かやりたい事が出来たら自分で決めたそのやりたい事への道を進め』ってさ。葵ちゃんが本当にやりたい事が出来たら、その道に進んでいいんだよ。人には誰でも自分の未来を切り開く力があるんだからさ。」

「ピリカさん・・・。そうですね、自分の人生だからこそ自分で後悔しないように過ごす事だと私も思いますよ。」

「2人とも・・・。」

 

葵は持っていた鞄を掴みながら考え始める。

その横でレイカとピリカはタピオカミルクティーを飲みながら話していた。話題はキングジョーことクララについてだ。

 

「そういえばさ、レイカちゃんってさGIRLSだよね?」

「はい。GIRLSの怪獣娘です。」

「キングジョーの怪獣娘のクララ・ソーンって知ってる?」

「えっ、私の先輩ですけど・・・ピリカさんはキングジョーさんを知っているんですか?」

「勿論、中学生時代の同級生で親友だもん。最近、彼女大丈夫?今日も何か他の怪獣娘さんと揉めていたらしいから結構心配なんだよね。」

「ええ、最近はかなり荒れていて・・・。あんなに優しかったあのキングジョーさんが・・・。」

「絶対に彼女を見捨てないって約束してほしい。あのままだと何か嫌な予感がするからさ。」

「勿論です‼︎」

 

その時、レイカのソウルライザーに着信が鳴った。相手はピグモンからだった。レイカは電話に出る。

 

「御免なさい。ちょっと出ます。」

「勿論いいよ。ねぇねぇ葵ちゃん・・・。」

「はい、こちらウインダム。」

『ウインウイン、セゲル星人の召喚士を特定しました。写真を全ての怪獣娘に送っています。この人物の確保を急いで下さい。』

 

どうやらGIRLSでは街中の監視カメラの映像からセゲル星人の召喚士の特定が出来たようだ。やがてレイカのソウルライザーに写真が転送される。レイカはその写真を見て驚いた。写真に写っていたのは目の前でタピオカを飲みながらピリカとおしゃべりしている葵だったからだ。

レイカはそれを見て思わず声を上げてしまう。声に気付いたピリカと葵はレイカに話しかける。

 

「どうしたの?」

「いえ・・・、上司から聞きたい事があるからと・・・。」

 

どこかしどろもどろになるレイカに葵がソウルライザーを取り上げる。すると葵は突然無表情になった。

 

「・・・・GIRLSの怪獣娘って聞いて・・・まさかとは思ったけど・・、騙してたんだ。わたし達セゲル星人を追ってたなんて・・・仕事に戻るから。」

「違います!!葵さん!!待って下さい!!」

「えっ、何、どういう事・・・。セゲル星人って・・・葵ちゃん・・・まさか!!」

 

葵は鞄から水晶を取り出した。レイカと葵は止めようとするも水晶から放たれた衝撃波に吹っ飛ばされる。葵は水晶を右手に持ち空に掲げると呪文のような掛け声を唱える。

 

「セグメ、アクバル、エスサラハ!!」

 

水晶から一筋の光線が放たれ、空に黒い雲を形成する。その雲の中から怪獣『セグメゲル』が落ちてきた。セグメゲルは大きな地響きを立てて、近くの建物や道路を破壊しながら町に降り立った。

 

「グギャアアアアオオオオアアアア‼︎」




次のウルトラマンが始まるまでギャラファイを見る日々を送っています。
同じ気持ちの方はいませんか。


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君の決める未来(後編)

怪獣娘ってかぷせるがーるずの3人とエレキングさんとザンドリアス&ノイズラーコンビとキングジョーさん以外はどの位の年齢か分からないんですよね。
かぷせるがーるずの3人は高校1年生と設定されてますし、ザンちゃんは公式で中学生とありますし、ノイちゃんだってドラマCDで中学生だって名言されています。
エレキングさんは監督曰くかぷせるがーるずの3人の1個上の年齢らしいですし、おジョーさんは設定画に学生服姿があったから高校生位だって分かるんですけど。
ゴモたん、レッドちゃん、ガッツ星人さん、ピグモンさん、ゼットンさんって幾つくらいだと思います?
少なくともマガコンビは高校1年生~中学3年生くらいだと思いますが。
この小説ではピグモンさんは成人しているという設定にしましたが。

また今回はセグメゲルについて少し設定を弄っています。
それではどうぞ。


怪獣『セグメゲル』が暴れている現場にヒロキは駆けつけた。彼の左腕はもう動かせるようになっていた。もう左腕が動かせるようになっている事に驚きを隠せないヒロキ。

 

「もう動かせるようになっている・・・・・。」

『だから言ったろ!!・・・急げヒロキ!!変身だ!!』

「ああ!!」

 

ヒロキは右腕にタイガスパークを出現させる。タイガスパークのレバーを引き、腰のホルダーの一番下に付いたタイガの顔が刻まれたタイガキーホルダーを左手で手にし叫ぶ。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「シェアッ!」

「ギャオオオアアァァァァ‼︎」

 

ウルトラマンタイガが逃げ惑う人々とセグメゲルの間に現れ、ファイティングポーズをとる。セグメゲルは両腕を振り回し、タイガに攻撃を仕掛けるがタイガはそれを受け止め、左足でキックを放つ。

 

「八ッ!!シェアッ!」

 

セグメゲルはタイガに体当たりし、お互いの距離が離れた。セグメゲルの背鰭が青白く光り口から青白く渦巻く火炎が『フレイムボルテクス』が放たれる。

 

「ギョゴアアアァァ‼︎」

 

タイガは側転して避け、スワローバレットを放つ。スワローバレットはフレイムボルテクスを押し返してセグメゲルに直撃した。

ここでタイガが怪獣の指輪を使うように指示を出す。

 

『ヒロキ、この間の怪獣の指輪を使え!!このまま奴を追い込むぞ!!』

(ちょっと待って!!ヘルベロスの時から思ったけどあの指輪なんか黒いオーラ出してなかった!?いくらウルトラマンの力を感じるからって安易に使うのはまずくない!?)

『何言ってんだ!!あれから何も無かっただろ!!奴を倒すためにも使った方がいいぜ!!』

(・・・・・分かった・・・!!)

 

タイガの指示を聞く事にしたヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そして左手に意識を集中させ、ギャラクトロンMK2の顔を模した『ギャラクトロンリング』が左中指に出現する。ヒロキはタイガスパークを装着した右手を指輪が付いた左中指に重ねる。

 

〈ギャラクトロンリング、エンゲージ!!〉

 

タイガは両腕を開いた後、両腕を合わせて右手を突き出す。すると魔法陣が現れビームが放たれる。魔法陣から放たれたビーム『モンスビームレイ』は直撃し、セグメゲルを怯ませる。再びモンスビームレイを放つもセグメゲルはフレイムボルテクスを放ちモンスビームレイをかき消した。

 

『何だ、あれ!?』

『タイガ、俺に交代しろ!!』

 

驚くタイガにフーマが交代するように言ってきた。ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、ホルダーの奥のフーマの顔が刻まれたフーマキーホルダーを手にする。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

「セイヤッ!!」

 

タイガの姿はウルトラマンフーマに変わりセグメゲルの前に立つ。フーマはセグメゲルの顔に肘撃ちを決め、腹に二発手刀を放つ。

 

「セイヤッ!!セイヤァッ!!」

 

セグメゲルと距離を離すフーマ。セグメゲルが右腕で殴りつけてくるも回避したフーマは回転しながら、脇腹に手刀を放つ。

セグメゲルは尻尾を振り回すも、フーマは前転で避ける。

 

「ドオリャア!!セイヤァッ!!」

 

再びセグメゲルは右腕を振り回すもフーマは回避し、後ろ右回し蹴り、回し蹴りを放つ。蹴りを2発食らったセグメゲルは突進しフーマを怯ませる。その隙をついて尻尾をフーマに巻き付けた。

 

「グギャアアアァァァァ‼︎」

『ぐ、ううっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

怪獣の出現で逃げ惑う人々とすれ違いながら歩く葵。それを追うのは怪獣娘『ウインダム』に変身したレイカとピリカだ。

 

「葵さん、待って下さい!!」

「葵ちゃん!!」

「離せ!!」

 

ウインダムは葵の腕を掴むも葵に振り払われ、彼女が持つ水晶から放たれた衝撃波で吹き飛ぶ。ピリカはウインダムに駆け寄ると葵は2人に言い放つ。

 

「我々はセグメゲル様に選ばれた高潔な人類だ!!」

 

 

 

 

 

『ニン!!』

 

フーマは左手の中指と人差し指を立てながら掛け声を放つ。すると煙と共にフーマの姿が消えた。

セグメゲルは驚き振り返ると煙と共にフーマが姿を現す。フーマは左足で蹴りを仕掛けるが、セグメゲルは背鰭を紫色に発光させ、毒の炎『セゲルフレイム』をフーマの左足に放つ。

 

「グギョアアアアア‼︎」

 

セゲルフレイムが当たった箇所が紫色に変色し、倒れるフーマ。そこにタイタスが声を掛ける。

 

『がっ!?ぐうう!!』

『私が行こう!!』

『頼んだ!』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、ホルダーの前のタイタスの顔が刻まれたタイタスキーホルダーを手にする。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

「ふんっ!!」

 

大地を踏みしめタイタスが立つ。セグメゲルは鋭い牙でタイタスの肩に噛み付くも、タイタスの筋肉質な体には牙が通じず、顔を掴まれ引き離される。タイタスはセグメゲルの顔を左手で掴んだまま、右腕でパンチを放つ。再び噛み付こうとするセグメゲルを今度は右腕で受け止め左手を拳にしてパンチを放つ。

セグメゲルは尻尾を振り回すもタイタスは受け止め、尻尾を左手で抑えたまま右手に緑色のオーラを纏い手刀を放つ。

 

「グギイイイアアアァァ⁉︎」

 

その一撃は確かにセグメゲルの尻尾を切断し、セグメゲルに大ダメージを与える。しかし、その傷口から紫色の血液がタイタスに掛かりヒロキとタイタスは苦しみ始める。

 

『ぐっ、ぐううううっ!!』

(何これっ!?ぐ、ぐううううっ、・・・う、ううう、ぐあああああっ!!)

 

実はセグメゲルは体中に毒が回っており全身が毒まみれであった。それ故にセグメゲルの血を浴びてしまったヒロキとタイタスは毒に浸食されてしまったのだ。

 

(まさか・・・・血にも・・・・毒が・・・・・回っていた・・・なんて・・・・。・・・・そんなの・・・・あり・・・か!!)

『ぐっ・・・・、すまない・・・・・ヒロキ・・・。まさか・・・・・ここまで奴に・・・・・毒が・・・・・あったとは・・・・私も・・・・・予想外だった・・・!!』

『タイタス!!ヒロキ!!』

『旦那!!ヒロキ!!』

 

 

 

 

セグメゲルと戦うタイタスを見ながら葵は2人に言い放つ。

 

「地球人にはセグメゲル様は倒せない!!この星は・・・・・セゲル星人のものになる!!」

「地球を手に入れてその後葵ちゃんはどうするの!?」

 

ピリカの問いに葵は静かに言い放つ。

 

「・・・・・次の星に行くだけ・・・・。」

 

ウインダムは葵に言葉を放つ。

 

「葵さんはそれでいいんですか!?この星が全て壊れてもいいんですか!?」

「私には関係ない!!」

「でも私達と一緒に過ごした時間が楽しいって言ってくれたじゃないですか!?このままじゃ、私達の遊んだ思い出の場所だって・・・!」

 

タイタスはカラータイマーが点滅した状態でセグメゲルの毒に苦しみながらセグメゲルと戦う。タイタスはピリカ達が乗っていた観覧車を破壊しながらセグメゲルを引きずりながら倒れる。その様子を見ていた3人。やがて葵が2人に言い放つ。

 

「こんな居心地のいい場所で過ごしてきた貴方達には分からないわ!!これが・・・私のやりたい事だから!」

「じゃあ何で葵ちゃんは泣いてるの!?」

 

ピリカの指摘に葵は目を拭う。その目からは確かに涙が溢れだしていた。

 

「あれ・・・・何で?」

「それは私達が乗ったあの観覧車が壊れて悲しいからじゃないですか!?葵さん、貴方の本当の気持ちを聞かせて下さい!!」

 

タイタスはセグメゲルに押され始め倒れてしまう。セグメゲルは口からセゲルフレイムを放ちタイタスを苦しめる。タイタスが倒れた振動で倒れていた3人の内、タイタスに最も近かった葵は爆発に巻き込まれると悟り自分の顔を伏せる。そこでウインダムとピリカが助けに入る。

 

「どうして・・・!?」

「友達を助けるのは当然じゃないですか!!」

「そうだよ!!」

「・・・・友達・・・・。」

 

2人の言葉に葵は黙り込んでしまう。暫くして彼女は2人に言葉を放った。

 

「私が・・・地球侵略に来た宇宙人と知っても・・・・私の事をまだ友達だと言ってくれるの・・・。」

「当然だよ!!今日一緒に遊んだじゃん!!一緒に観覧車乗ったり、タピオカ飲んだりしておしゃべりしたじゃん!」

「もう私達は友達ですよ!!」

「・・・・・ありがとう・・・・・。・・・・・2人とも・・・・・私・・・・・もう辞めたい・・・・・こんな事・・・・。」

 

2人の言葉に動かされた葵はついに本音を告げる。ウインダムはそれを聞いて嬉しそうな顔をすると同時に真面目な顔で葵に頼む。

 

「だったら、セグメゲルを止めて下さい!!」

「セグメゲル様は・・・・いつからか・・・一度呼び出すと止まらなくなってしまった・・・・。前は私達の言う事を聞いて下さったのに・・・・。」

「ええっ!?」

 

葵の言葉に驚く2人。そこにタピオカを持った霧崎が現れる。

 

「当然だよ。セゲル星人のお嬢さん・・・。」

「お前は・・・、霧崎・・・!!」

「一体どういう事なんです!!まさかこの間の怪獣爆弾同様今回も貴方が・・・!!」

「えっ、誰!?」

「そうだ。あのセグメゲルにも少々細工をしてね・・・・、一度現れたら本能の限り暴れまわるように手を加えたのさ・・・。呼び出したら最後、召喚士の言葉すらも聞かない怪物になるよう仕組ませてもらったよ。」

「貴様!!」

 

真実を告げた霧崎に怒りを隠せない葵。ウインダムもスコープを装着し霧崎にいつでもレーザーを撃てるようにする。実はデアボリックの事件の後、ミクは霧崎という男が関わっていた事を報告していた。その為、GIRLSでは霧崎を要注意人物とする事にしていたのだ。ウインダムは霧崎に言い放つ。

 

「この間、ミクさんの親しいお兄さんにした事といい、今回の事といい、貴方をGIRLSに連行します!!」

「おいおい、私より彼女をどうにかするべきじゃないのかい?友を許せば地球は滅ぶ、しかし友を消せば、地球を守れる・・・・・君が取る選択は2つに1つだ・・・・。」

「そ、それは・・・。」

「おやおや、君はウルトラセブンのカプセル怪獣ウインダムの怪獣娘なんだろう・・・・。まさか平和を守る光の使者に仕えたカプセル怪獣の魂を継いだ君が目の前の脅威を野放しにするのかい・・・・。」

「大丈夫よ。ウルトラマンがセグメゲル様に勝つ方法があるから。」

 

ウインダムとピリカは葵の話を聞く。すると葵は驚く事を言った。

 

「召喚士はセグメゲル様の抗体を持っている。それをあのウルトラマンに渡せばウルトラマンはまだ戦える。私の命と引き換えにね。」

「・・・・命と引き換えなんて・・・・絶対に駄目だよ‼︎」

「自分の未来は自分で決めていい。これが私の選んだ未来だから‼︎」

 

ピリカの制止を振り切り葵はセグメゲルと戦うタイタスの方を向き、水晶を掲げ呪文の様な掛け声を唱える。

 

「セグメ、アナ、アースカ‼︎」

「葵ちゃん‼︎」

「待って下さい‼︎」

 

必死に止めようとするウインダムとピリカだが、葵の体は粒子状に分解され始めていた。泣きそうな表情を浮かべる2人の方を向いて葵は発言する。

 

「そんな顔しないで・・・。私達はずっと友達だから・・・。」

 

葵の体は光の粒子になりタイタスに降り注ぐ。それを見た2人は叫んだ。

 

「葵ちゃん、そんな・・・・いやーーーーっ‼︎」

「葵さーーーん‼︎」

 

光の粒子を浴びたタイタスは自身を蝕んでいた毒が消えた事を感じた。再びセグメゲルがセゲルフレイムを放つ。しかし、タイタスは煙の中から平気な状態で姿を見せる。

セグメゲルは今度はフレイムボルテクスを放つもタイタスは腕をクロスさせ受け止めながらセグメゲルに進行する。タイタスがセグメゲルに近づくとセグメゲルに頭突きしそこから両手を拳にして同時に叩きつける。タイタスは再びセグメゲルに右手でのパンチから左手でのパンチを繰り出す。パンチでセグメゲルが地面に倒れたところでタイタスがヒロキに指示を出した。

 

「グギャアアオオアアアア!?」

『ヒロキ、エックスレットを使え‼︎』

(分かった‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左腕に意識を集中させる。

 

〈カモン!〉

 

するとタイタスがサイバーウルトラマン『ウルトラマンエックス』から授かったブレスレット『エックスレット』が出現する。ヒロキはタイガスパークを装着した右腕を左腕に重ねるとエックスレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈エックスレット、コネクトオン‼︎〉

 

タイタスはレッキングバスターと同じチャージをして電気の力を帯びた光弾を生成し胸の位置で腕をX字にクロスさせ発射する。

 

『(エレクトロバスター!!)』

 

電気の力を帯びた光弾をまともに受けたセグメゲルは大爆発を起こした。そしてタイタスのカラータイマーに光が入ってくる。それを掴むとセグメゲルの顔が刻まれた指輪に変化した。

 

(この怪獣も指輪が・・・・。それに何か黒いオーラが・・・。)

『持っておこうぜ。戦いには訳に立つんだしよ。』

(分かった・・・。)

 

セグメゲルを倒したタイタスを見上げるウインダムとピリカ。タイタスも2人を見下ろしていたが、やがて飛び去っていった。

 

「レイカちゃん!!あの男がいない!!」

「えっ!?」

 

ふと振り返ったピリカの一言でウインダムは周りを見渡す。霧崎は騒動に紛れて2人の前から姿を消していた。霧崎はタピオカをすすると一言呟く。

 

「まさか、友のために自分を犠牲にするとはな。フフフフフ、ハーッハッハッハッハッハッ!!」

 

笑い終えた霧崎は再びタピオカをすすり何処かへ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ヒロキはクラスでピリカが来てない事に気付き、クララに話しかけた。

 

「ピリカさん、まだ来てないね。」

「・・・・・・・ええ・・・・・。」

 

そっけない返事を返すクララ。そのタイミングで教室にピリカが入ってきた。

 

「おはよう!!クララ、ヒロくん!!」

「ピリカさん!!おはよう!今日はちょっと遅くない?」

「・・・・・おはようございマス・・・・。」

「そんな事ないよ。まだ朝のチャイムまで30秒前だもん。」

 

自分の席についたピリカはスマホの待ち受け画面を見る。そこでは観覧車の中で笑顔を浮かべるピリカとレイカ、笑顔こそ浮かべていないものの何処か嬉しそうな葵が写っていた。

 

(葵ちゃん、どんな事があっても、あたし達は友達だよ・・・。)

 

そう言ってスマホをしまうピリカ。

レイカもソウルライザーに保存した3人で撮った写真を眺めていた。

 

(葵さん、見ていて下さい。私は絶対に貴方を忘れませんから・・・・。)




セグメゲルは出現した後呼び出したセゲル星人も止められないというなら、セゲル星人は侵略した星にどうやって住むのか疑問に思って今回のお話を書きました。
ご了承ください。

次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+???)
『トモミが出会った不思議な男。夜な夜な星空を眺めては円盤が来るのを待っているらしい。おいおい、上ばかり見てると背後に迫るヒットマンに気付けないぜ。次回!!

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


円盤が来ない


兄貴に似せて作らせたこの特注のボディにかかれば、どんな奴でもイチコロよ!』


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円盤が来ない(前編)

ペロリンガ星人の本来の姿の喋り方は苦労しました。

宇宙ヒットマン『ガピヤ星人アベル』登場
サイケ宇宙人『ペロリンガ星人』登場


ある日の夜、高台で望遠鏡で星空を眺める男がいた。その男は望遠鏡で何かを探していたようだった。

その時、星空から何かが降りて来た。それを見て男は嬉しそうに声を上げる。

 

「来た・・・!遂に来た・・・!」

 

星空から降りて来たのは円盤だった。円盤から光が放たれ、光は1人の人影となる。

 

「あらやだ。辺鄙な星ねぇ。」

 

降り立ったのは全身を機械で改造した青い色が所々にあり、6つの目も青い宇宙人だった。宇宙人の名は宇宙ヒットマン『ガピヤ星人アベル』。口調は女言葉だが、れっきとした男である。彼はある目的で地球にやって来たのだ。

その時、先程の男がアベルに抱き付いた。アベルは男に困惑するが男は嬉しそうな表情をしていた。

 

「おーい!待ってたよ!」

「ちょっ、何よアンタ⁉︎離しなさいよ‼︎」

「離さない!さあ、星の世界に帰ろう‼︎」

 

 

 

 

 

「キンキン、キンキンの怪獣娘としての活動を一旦お休みしましょう。」

「何でデスか⁉︎納得出来まセン‼︎ワタシの怪獣娘としての活動が停止なんテ‼︎」

「お、落ち着いて下さい、キンキン‼︎」

 

その頃、GIRLS東京支部ではトモミがクララに怪獣娘としての活動を停止する様に言ったため、クララが逆上していた。

 

「けど、最近じゃカメラマンなどのスタッフの人や後輩の怪獣娘達にかなり怒鳴り散らしてるそうじゃないですか‼︎今日も芸能課に所属する怪獣娘さんが涙を浮かべながら芸能課を辞めたいと申告して来たんですよ‼︎」

「あれはあの子が遅刻してきたカラ・・・・‼︎」

「だけど30秒の遅刻で『GIRLSを辞めろ、怪獣娘の資格は貴方にはない』は明らかに言い過ぎです‼︎ザンザンやノイノイが説得してくれたから何とか辞めずに済みましたが・・・・最近のキンキンは「説教はもううんざりデス‼︎」ち、ちょっと待って下さい、キンキン‼︎」

 

クララは荷物を纏めて部屋から出て行った。心配そうな表情を浮かべるトモミに後ろからゼットンが話しかける。

 

「・・・・・ピグモン・・・・・。」

「ゼットン・・・・・、来てたんですね・・・・・。」

「・・・・・今のキングジョーにあの言葉は逆効果かもしれない。」

「けど、最近のキンキンは些細な事で怒りやすくなっています。今日もカメラマンや照明のスタッフの位置が気に入らないとすぐに怒鳴り散らしたらしいですし、後輩の怪獣娘と一悶着ありました。暫く彼女の活動を止めて落ち着く時間を与えないと。」

「・・・・・あのキングゲスラの事件以来・・・・・・。」

「ええ、キンキンは変わってしまいました。あんなに優しくていい子だったのに・・・・・。」

 

トモミは悩ましい表情を浮かべながらゼットンとクララの最近の状況について話す。ゼットンも少し考えながら言葉を繋ぐ。

 

「ピグモン、このままだとキングジョーは・・・・・。」

「・・・・・ええ、暴走してしまうかもしれません。もし・・・・キンキンが暴走したら・・・・。」

「苦戦は免れない。」

「ええ、キンキンの精神状態に気を付けないと・・・・。」

「・・・・それよりも資料の方大丈夫?手伝うけど。」

「ゼットン・・・・・ではお願いします。」

 

トモミはゼットンと共に資料を作っている。それは新しい怪獣娘の授業の為に作った資料だ。

時計が夜9時30分を過ぎた頃、トモミは嬉しそうな声を上げる。

 

「ようやく完成しました‼︎今月から入った怪獣娘さんのための資料‼︎」

「お疲れ・・・、ピグモン。」

「はい、今日は何時もより早く帰れそうです〜。」

「送っていく・・・。」

「大丈夫ですよ。それじゃあお疲れ様でした〜。」

「・・・・・お疲れ。」

 

トモミは鞄を持ってゼットンに見送られながら部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキは夜道を駆け回っていた。辺りを見渡しながらヒロキはタイガ達に話しかける。

 

「ねぇ、本当にこの辺りだったの⁉︎」

『間違いない!確かに地球外の何かが来たのはこの辺りだ‼︎』

「けど、何も無いよ‼︎」

 

実はトライスクワッドの3人が妙な気配を感知したため彼らと共に夜の町を歩いていたのだ。しかし、何も見つけられずヒロキはただ夜の町を歩くだけだった。

 

「ねぇ、もう帰らない?そろそろ未成年が出歩くのはまずい時間だよ。続きは明日にしても遅くないと思うけど・・・・。」

『確かに・・・・・これ以上ヒロキを振り回すわけにもいかんか・・・ヒロキ、一旦家に戻って続きは明日にしよ『ちょっと待て‼︎その下‼︎明らかに地球人じゃない奴がいるぞ‼︎』何⁉︎』

 

タイタスが家に帰ろうと提案しようとした時、フーマが待ったを掛ける。フーマの声の通り下に降りると明らかに地球人ではない半分機械の異形と1人の男が座りながら何かを話していた。それはアベルと先程星を眺めていた男だ。

ヒロキは隠れて彼らの会話を聞く。

 

「ふーん、それで迎えを・・・・。」

「本当だよ‼︎仲間が迎えに来てくれるのをずっと待っていたんだ‼︎」

「アタシが送ってあげない事もないけど・・・。」

「本当か‼︎」

「ええ・・・・ただし。」

 

アベルは立ち上がると右手に装着されたレールガンを展開する。

 

「行き先はアタシが決めちゃうけど・・・!」

 

アベルはレールガンを男に向けて光弾を放とうとする。ヒロキは駆けつけようとするがそこに新たな乱入者が現れた。それはトモミだった。

 

「辞めて下さーい‼︎ソウルライド、『ピグモン』‼︎」

 

実は帰りの最中トモミは偶然ここに通りかかり、アベルが男を殺そうとする現場を見てしまったのだ。困っている人を放っておけないトモミは宇宙人に襲われていると感じ、ソウルライザーを構えて怪獣娘『ピグモン』に変身する。そしてアベルに向かって勢いよく体当たりを仕掛けた。

 

「ちょっ、何よアンタ⁉︎」

「大丈夫ですか⁉︎宇宙人に襲われるのは初めてで不安だったでしょうけど安心してください‼︎私達怪獣娘が守ります!」

「何するんだ⁉︎僕はあの人と故郷に帰るんだ!」

 

しかし戦闘能力を持たないピグモンの弱々しい体当たりはあっさりかわされてしまう。アベルはピグモンに体当たりされそうになったため彼女にもレールガンを放った。2人は慌てて横に動いてそれをかわすもアベルのその様子に男は焦ってピグモンに言葉を放つ。

 

「ほら〜、怒らせちゃったじゃん!」

「違います‼︎あの宇宙人は最初から貴方を殺すつもりだったんです‼︎」

「僕を⁉︎どうして⁉︎さっき会ったばかりなのに‼︎」

 

アベルは再びレールガンを放とうとした。そこにヒロキが現れて飛び蹴りを決める。

 

「はあっ‼︎」

「ぐうっ⁉︎また邪魔者⁉︎」

 

アベルが後退した隙をついてヒロキはピグモンと男に駆け寄る。ピグモンはヒロキを見て驚いていた。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

「貴方は・・・・、確かキンキンの幼馴染の・・・・確かヒロキさん‼︎どうしてここに⁉︎」

「話は後!逃げましょう‼︎」

「は、はい‼︎」

 

ヒロキとピグモンは男を連れてその場を去って行った。アベルが立ち上がった頃には3人の姿は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部ではゼットンが残っていた。そこにヒロキとピグモンが男を連れて現れる。ゼットンは無表情ながらも少し驚いた様子で家に帰った筈のピグモンを見た。

 

「・・・・‼︎ピグモン⁉︎どうして・・・・・それにそこの2人は。」

「話は後です‼︎とにかくこの人にお茶を入れてあげてください‼︎」

「・・・・・分かった。」

 

少し落ち着いた所でピグモンは変身を解除してトモミに戻っていた。4人はソファーに腰をかけ男に何故宇宙人に狙われていたのかを聞く。そして男の事情を聞いた3人は驚いていた。

 

「「迎えの円盤が来るのを待っていた⁉︎」」

「・・・・‼︎」

「そうだよ。僕は地球人じゃない。ずっと星の世界に迎えに来てくれる円盤を待っていたんだ。」

 

なんと彼は宇宙人だと名乗り、故郷からの迎えを待っていたと言ったのだ。話に一瞬唖然とするも、ゼットンはトモミに耳打ちした。

 

「・・・・・何か胡散臭くない?」

「し、しかし現在宇宙人や怪獣の事件が多発しています。この人の話が嘘ではない可能性もありますよ。」

 

トモミとゼットンが小声で話す中、ヒロキは男に質問した。

 

「あ、あの宇宙人なんですよね?」

「そうだけど?」

「その姿って本当の姿ですか?」

「いや、これはあくまで地球人に変身してるだけさ。僕の本当の姿がこれさ。」

 

そう言うと男は意識を集中させる。すると男の姿は明らかに人間ではない姿になった。全体は赤い色ながらどこかトサカや両手は緑色で口はどこか魚を思わせる。男の正体はサイケ宇宙人『ペロリンガ星人』だったのだ。宇宙人としての姿を現し、3人は驚いた表情でペロリンガ星人を見ている。

 

「コレデ納得シテクレタカイ。」

「ほ、本当に宇宙人だったんですね・・・・。」

「あっ、記録がありますよ、サイケ宇宙人『ペロリンガ星人』。かつて円盤を星に擬装して地球侵略しようとした宇宙人です!」

「懐カシイ話ダネ。私ガ地球二来タノモソノ時ダ。」

「ええっ⁉︎じゃあ貴方はかつて地球侵略に来たあのペロリンガ星人本人なんですが?」

「ソノ通リサ。」

「そんな人が何で今も地球に?」

 

ヒロキの質問にペロリンガ星人は話し始める。

 

「昔、私達ノトリックガ当時地球ヲ守ッテイタ『ウルトラ警備隊』二バレ、私自身モ当時地球を守っていたウルトラマン『ウルトラセブン』ト戦イ敗レタ。ケド、一命ハ取リ留メタ私ハ当時出会ッタ1人ノ青年ト本当二友達二ナッタ。」

 

ペロリンガ星人は先程の人間の男性の姿になり、言葉を続ける。それを3人は黙って聞いていた。

 

「彼は星を見るのが好きな青年でね。私は彼を綺麗な星の世界に連れていってあげると言ったんだ。けど、彼は踏ん張りがつかなくてね、結局私1人がこの星に取り残されてしまったんだ。」

「じゃあ、もう侵略をするつもりはないんですね。」

「勿論。あのトリックだってもう使えないだろうし、仲間達もいないからね。」

「じゃあ結構前からこの星にいるんですね。」

「ああ、怪獣がこの星からいなくなり、君達怪獣娘が生まれる前からずっとこの星にいるんだ。・・・・はあ、星の世界に帰りたい。」

 

ペロリンガ星人は話終わった後一言呟く。その様子に何も言えない3人。そこでトモミが口を開く。

 

「と、とにかく今日はここに泊まっていってください。仮眠室があるので案内しますよ。」

「ありがとう。」

 

トモミがペロリンガ星人を仮眠室に案内しようとする。そこでゼットンがヒロキに口を開いた。

 

「・・・・聞き忘れていたけど、君は?」

「白鳥ヒロキです。大怪獣ファイトチャンピオンのゼットンさんですよね。凄かったですよ!あの大怪獣ファイト!」

「・・・そう。」

「彼はキンキンの幼馴染です。」

「キングジョーの・・・・。もしかしたら・・・。」

「ゼットンさん?」

「ヒロキさんはどうしますか?」

 

ここでトモミがヒロキに口を開く。

 

「何がですか?」

「もう夜遅いです。お家の人に連絡は・・・。」

「あっ、今日から母は出張で北海道に行ってますし、父も今日は職場で泊まるらしいので大丈夫です。」

「そうですか。なら、ここに泊まっていきませんか?」

「いいんですか?」

「もう未成年が出歩いていい時間じゃないですから。」

「すみません、ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

やがて2人が仮眠室で落ち着いた頃、ゼットンはトモミと話をしていた。話の内容はヒロキについてだった。

 

「ピグモン、ヒロキはキングジョーの幼馴染って言ったけど。」

「はい。」

「もしかしたら・・・・・彼がキングジョーの希望になるかもしれない。」

「どういう事ですか?」

「・・・・・彼がいればキングジョーの暴走を止められる可能性があると思う。」

「ゼットン・・・・でも彼は一般人です。怪獣娘の暴走にヒロキさんを巻き込むわけにはいきません。また、キンキンの心の問題はキンキン自身が解決しないと・・・・・。」

「・・・・・。今日は私も仮眠室で寝る。」

「ゼットン・・・・・。そうですね・・・・。あの宇宙人が来る可能性もあります。監視も含めて今日はここに泊まりましょう。」

 

そう言って2人はヒロキ達がいる仮眠室とは違う場所にある仮眠室に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「全くもう!やんなっちゃう‼︎この星に来て早々ロクな事がないわ!」

 

その頃、アベルは夜の町を歩いていた。自分の姿を見た3人を見失ってしまい、探し回っていたのだ。

 

「おっと、そろそろ約束の場所で依頼人の霧崎ちゃんに会わないと‼︎」

 

実はアベルはあの霧崎から依頼を受けてこの星に来たのだ。アベルは右手のレールガンを展開して近くにあった空き缶を撃つ。

 

「今回のターゲットが楽しみだわ・・・・。」

 

アベルはそう言って夜の暗闇の中に消えていった。




坂本監督っぽい生身アクションをやろうと考えているんですが、生身で戦える怪獣娘ってどのくらいいるんでしょうか?

ノイちゃんは格闘技やってたから生身で宇宙人と殴り合っても大丈夫でしょうけど・・・。


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円盤が来ない(中編)

てれびくんでセブンガー主役の漫画が連載するようです。
しかも脚本が田口監督だそうで、もう完全に新作じゃん・・・。

まさかこの年でてれびくんを買いたいと思う時が来るとは・・・。


廃墟の中に一つだけ椅子があり、そこに座っている男がいた。それは『ガピヤ星人アベル』をこの星に呼んだ霧崎だった。そこにアベルが姿を現した。

 

「お待たせ〜。随分待ったでしょ」

「な〜に・・・。」

「一応自己紹介ね。時空を股にかけるヒットマンガピヤ星人のアベルよ。」

「随分派手にやるそうだね・・・。」

「まぁね。兄貴に似せて作らせたこの特注のボディにかかれば、どんな奴でもイチコロよ!しかも相手は兄貴を殺したウルトラの一族というじゃない!腕が鳴るわ!」

 

実はアベルには兄がいる。彼の名は『ガピヤ星人サデス』。彼はかつてウルトラマンオーブと二度に渡り戦いその果てに敗れた。アベルはそんなサデスをリスペクトして自分の体を機械化したのだ。

 

「出来るだけ追い込んだ上で事を運んでもらいたい。」

「OK!それじゃあ契約成立・・・・・と言いたいところだけど・・・そのうすらっ顔じゃやーよ‼︎あるんでしょ、真の姿ってやつ‼︎」

 

アベルは霧崎に正体を表すよう言い放つ。すると霧崎は笑い出した。

 

「ハハハハハハハッ、流石は手慣れのヒットマン・・・・。正体を見透かされたのは初めてだよ!」

 

実は霧崎は今まで誰にも今の自分の姿が仮の姿だと明確に暴かれた事は無かった。そのため目の前のヒットマンが自分があくまで地球人に化けているだけだと気付かれ満足そうにトレギアアイを取り出し、顔に翳す。そして霧崎は本当の姿であるトレギアに戻った。

相手もターゲットと同じウルトラマンである事に驚いたアベルは言葉を放つ。

 

「あらヤダ!アンタもウルトラマンなんじゃない‼︎」

『昔の話さ。今はしがない悪魔としておこう・・・・。』

「悪魔との契約・・・・ヤダもう、ドキドキしちゃう!」

 

そう言ってアベルはトレギアと握手をする。やがてトレギアの手を両手で掴んだ。暫くしてトレギアがアベルの手を引き離す。

 

『長いな・・・・。』

「ヤダもう、照れちゃって可愛い!」

 

アベルはトレギアに背を向けて言い放つ。

 

「近いうちに吉報をお届けするわ。」

 

トレギアは何処からともなくハンカチを取り出し手に付いた液体を拭き取る。アベルの手は機械化された影響で手が油塗れだったらしい。中々取れずにへばりついた油にトレギアは思わず呟く。

 

『取れない・・・・・。』

「そういえば・・・!」

 

アベルは思い出した様にトレギアの方に振り向いて言葉を続ける。

 

「ここに来る前に変な輩に姿を見られたのよね。先にそっち片付けさせてくれる?」

『構わないよ。せいぜい苦しめてやるといい・・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSの仮眠室でタイガ達がヒロキに呼び掛けていた。その様子から彼らは慌てた表情でヒロキを起こす。

 

『おい!大変だ!ヒロキ、起きろ!』

「うっ、う〜ん、タイガ?皆おはよう・・・・。」

『寝ぼけてる場合じゃないぞ、ヒロキ!あのペロリンガ星人がいない!』

「えっ⁉︎」

 

途端にヒロキは隣のベッドを見る。そこには昨日の夜まで隣のベッドで寝ていたあのペロリンガ星人の男がいなくなっていた。ヒロキも慌てて周りを見渡すもペロリンガ星人の男の姿が見当たらなかった。

ヒロキは3人に昨日の夜の事について聞く。ヒロキの質問にはフーマが答えて説明した。

 

「昨日の夜は確かにいたよね⁉︎」

『ああ、昨日の夜、俺たちが寝た時はまだ確かにいたぜ‼︎あのペロリンガ星人はよ‼︎』

「とにかく探さないと‼︎」

ヒロキは仮眠室を出て走り出す。そこでばったりトモミと遭遇した。

 

「あっ、ヒロキさん。おはようご」

「ピグモンさん、あのペロリンガ星人がいません‼︎」

「ええっ⁉︎」

 

そう言ってトモミはヒロキと一緒に仮眠室を確認する。すると確かに昨日出会ったあのペロリンガ星人の姿が見えない事に唖然とするトモミ。

そこにゼットンも合流して現在の状況を把握する。

 

「嘘でしょう・・・・。一体何処に⁉︎」

「どうしたの?」

「ゼットン‼︎あのペロリンガ星人がいなくなったんです‼︎」

「・・・・・‼︎成る程・・・。」

「探しましょう‼︎ヒロキさんも手伝ってくれますか⁉︎」

「勿論‼︎」

「・・・・・・わたしも・・・・・・探す。」

 

ピグモンの問いかけにヒロキとゼットンは頷きGIRLSを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキはあの高台の周りを探し回っていた。タイガ、タイタスと話しながらペロリンガ星人を探す。

 

「駄目だ‼︎この近くにはいない・・・・‼︎・・・・・まさかもう宇宙に帰ったなんて事はないよね⁉︎」

『それは考えづらいな。ペロリンガ星人は宇宙空間でも活動できるがペロリンガ星は地球からかなり離れた場所にある。』

『それに彼らは巨大化が出来ない種族だ。長い宇宙を旅する体力は無いだろう。』

 

そんな会話をしている横でフーマは何か考えている様子だった。それを見てヒロキが話しかける。

 

「フーマ、どうしたの?」

『あっ、いやあのサイボーグ野郎がガピヤ星人に似ていたからな、少し気になってよ。」

「ガピヤ星人?」

『今はあのペロリンガ星人を探そうぜ。あのサイボーグ野郎に関しては後だ。』

 

タイガの言葉を筆頭にヒロキ達は高台を去って行った。

 

 

 

 

 

 

その頃、ゼットンはビルの上でソウルライザーで誰かとソウルライザーで電話をしていた。

 

「・・・・・ええ、お願い。」

『分かりました、ゼットンさん。』

 

相手がゼットンの話を理解し、電話を切るとゼットンは町の方を見る。

下を向いて人を探すもあのペロリンガ星人は見つからなかった。ゼットンは瞬間移動して何処かに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、トモミはランニングをしていた通りすがりの主婦からペロリンガ星人の男の話を聞いていた。

 

「ああ、あの人ね。確かこの川辺で結構黄昏ていたわよ。」

「あの人ね、うちの子供達がキャッチボールして来た時に混ぜてくれって言ったらしいのよ。それでねその時に言ったらしいの、自分はずっと前からこの星にいる宇宙人だって‼︎」

「ヤバくない⁉︎不審者じゃん、それ⁉︎」

「でしょー‼︎」

「で、あの人がどうしたんですか⁉︎」

「あっ、いえありがとうございます。」

 

あのペロリンガ星人に対して好き勝手に言う主婦達にトモミは驚きとお礼の言葉を述べる。去り際に主婦の方を振り向く。

 

「あのっ、多分あの人はそんな悪い人じゃないですよ。」

 

トモミはそう言って去っていく。

その頃ペロリンガ星人の男は川辺で体育座りをしながら川を越えた先の町を見ていた。

そこにトモミがやって来て、隣に座る。

 

「ここにいたんですね〜。探しましたよ〜。」

「放っておいてくれればいいのに・・・・。」

「そんな事言わないで下さいよ。何か力になれる事があるかもしれませんから。」

 

一緒に座りながら会話する2人。男はトモミの方を見ずに言葉を続ける。

 

「こんなに僕に話しかけて来た地球人は君が初めてだよ。長い間地球にいるけどあんまり楽しくは無かったなぁ・・・・。」

「そんな事無いですよ。わたし達怪獣娘が生まれる前からずっと長い間この星で暮らしていたんです。1つでも何かいい思い出もある筈ですよ。」

「いい思い出か・・・・・。・・・・・強いて言えば蕎麦が美味かったかな。」

「お蕎麦ですか〜。わたしもGIRLSに入ってから本格的な蕎麦を食べましたがあれは美味しかったですよ。ちなみに盛り派ですか?かけ派ですか。」

「断然盛り派!あれは美味いよ!最初はつゆにかけずにズズっとさ!」

「分かります!分かりますよ!わたしも最初は蕎麦に何もかけないなんてなんて思っていましたが、最初つゆをかけないで食べると蕎麦の旨味がよく分かるんですよね!」

「そうそう!・・・・・それくらいかな・・・・。でも星の世界に比べたらこの星は・・・・・。」

 

ペロリンガ星人の男が俯きながら言葉を濁した時、彼らの前に思わぬ来訪者が来る。

 

「だからアタシが送って行ってあげるって言ってるでしょ‼︎」

「あっ‼︎あの時の宇宙人‼︎」

「どうして僕を殺そうとするんだよ⁉︎」

「目撃者は消す。これ、ヒットマンの鉄則ね!」

 

アベルはそう言って2人を右手のレールガンで銃撃する。咄嗟にトモミとペロリンガ星人の男は逃げ出した。

 

「もういいよ!君だけでも先に逃げて‼︎」

「そんな事言わないで下さい‼︎まだまだ地球には楽しい事が沢山あります‼︎美味しいものだって沢山ありますよ‼︎パンケーキとかパフェとか‼︎」

「逃げて逃げて‼︎じゃないと当てちゃうわよ‼︎」

 

2人が逃げる中アベルは銃撃を続ける。途中でペロリンガ星人の男が石につまずき転ぶ。

 

「もう十分だよ‼︎僕の事はいいから‼︎」

「駄目です‼︎わたしは絶対に諦めません‼︎まだまだ沢山やりたい事があるんです‼︎男の子とデートだってしたいですし、まだ食べてない美味しいものが沢山ありますから‼︎ソウルライド、『ピグモン』‼︎」

 

トモミは怪獣娘『ピグモン』に変身して隣にあった鉄パイプでアベルに殴りかかるもアベルは呆気なく受け止めてしまう。

 

「あらヤダ‼︎ちっとも全然痛くないじゃない‼︎変身しても全然弱いままね‼︎」

「うう、わたしにもっと戦う力が有れば・・・・。」

 

アベルはピグモンを振り払い、銃撃する。なんとか一発はは避けるも2発目が彼女の足を掠る。

 

「きゃあ‼︎」

「ラッキーだわ‼︎じゃあグッバイ‼︎」

 

アベルが次の一撃を放とうとした時、アギラがアベルに突進する。続いてミクラスとウインダムがやって来る。実はゼットンはアギラに昨日の事と今朝起こった事を伝えていたのだ。そしてアギラからミクラス、ウインダム・・・と情報が伝達されていたのだ。

 

「ぐうぅっ⁉︎」

「大丈夫ですか、ピグモンさん⁉︎」

「アギアギ、ミクミクにウインウインも‼︎来てくれたんですね!」

「はい、ゼットンさんから連絡を貰って・・・・・ってピグモンさん、怪我してるじゃないですか!」

「アギちゃんはピグモンさんの手当てをお願い‼︎こいつはあたしとウインちゃんが倒すから‼︎」

「何よアンタ達‼︎怪獣のコスプレなんかしちゃって‼︎」

「これはコスプレじゃなーい‼︎」

 

ミクラスが叫びながらアベルにパンチを浴びせる。アベルも典型的なパワータイプのミクラスのパンチにはダメージを喰らう。

 

「くうっ⁉︎」

 

続いてウインダムがレーザーでアベルを攻撃する。レーザーが着弾しアベルは後ろに倒れた。

しかし、アベルは起き上がると右手のレールガンで銃撃して来た。ミクラスは最初の1発と2発目は咄嗟にかわすも3発目はまともに食らってしまう。

 

「うわあっ⁉︎」

「ミクさん、きゃあっ⁉︎」

「ウフフ、隙ありよ‼︎」

 

ウインダムがミクラスに駆け寄った隙を突きアベルは2人を銃撃する。アベルの光弾を食らってウインダムの体は地面に着いた。アベルは2人に更に追い討ちをかけようとするも空からキングジョーがアベルを踏みつけようとアベルの真上に降りて来た。

 

「ちょっ⁉︎何よアンタ‼︎」

「「キングジョーさん⁉︎」」

「・・・・・・・。」

 

アベルは右手のレールガンを発射し、キングジョーを攻撃する。しかし、キングジョーはものともせずアベルに向かって進んでいく。

 

「嘘でしょ⁉︎ぐっ‼︎」

 

キングジョーがアベルの頭を掴み力を入れ始める。このままいけばアベルの頭を握り潰せる勢いに。

 

「何故ピグモンを襲ったんデスカ・・・・。」

「当たり・・・・・前で・・・・ぐぅ・・・・・しょ・・・・・・・、アタシは・・・・ヒ・・・・・ヒットマン・・・・・。ぐっ・・・・アタシの・・・・・姿を・・・・見た・・・・・奴・・・・は」

「そんな理由で・・・・・アナタは人の命を・・・・・、絶対に許しまセン‼︎」

 

やがてキングジョーの獣殻が黒く染まり始める。キングジョーはアベルを投げ飛ばすとランチャーになった右手をアベルに向ける。

 

「黒くなったからってなんだっていうのよ‼︎」

「黙って・・・・・消えなサイ‼︎」

 

やがて『キングジョーブラック』のように黒くなったキングジョーは右手のランチャーをぶっ放す。1発、2発、3発、4発、5発・・・と光弾をアベルに叩き込む。

 

「ちょっ⁉︎ぐっ、ぐああああああ‼︎」

「ねぇ。ウインちゃん、あれって・・・・・。」

「いくら何でもやりすぎなのでは・・・・。」

「お待たせ・・・・ってこれってどういう状況⁉︎」

「おい、どうしたんだ、キングジョーの奴⁉︎」

「ゴモたん‼︎レッドキング先輩‼︎」

「私にも分かりません‼︎けど、キングジョーさんの様子が・・・・!」

 

アギラから伝達を受けたゴモラとレッドキングが到着した。しかし、2人は火力でアベルを圧倒するキングジョーを見て自分達の目を疑っている。当然だ。彼女のこれまでのシャドウとの戦いでも行わなかったような威圧する戦い方なのだから。

 

「ぐあああっ⁉︎い、いい加減に・・・・。」

「黙りなサイ。」

『お前は・・・・笑顔で・・・・明るく生きろ・・・・・。』

『私達、ずっと友達だから・・・。』

「‼︎」

 

キングジョーは無表情でただただ右手のランチャーを乱射する。彼女の銃撃で苦しむアベルを見てミクラスとウインダムの脳裏にウォルグと葵の姿が思い浮かんだ。彼らの最期を思い出した2人はキングジョーに全身でぶつかる。

 

「「辞めて(下さい)ーーーーーー‼︎」」

「ミクちゃん⁉︎ダム子⁉︎」

「・・・‼︎何するんデスカ‼︎ミクラスちゃん、ウインダムちゃん‼︎」

「ごっ、御免なさい・・・‼︎でも、キングジョーさん、様子が変だったから・・・・‼︎」

「ミクラスの言う通りだ。このままじゃお前暴走してたぞ‼︎」

「ちょっとアンタ達‼︎アタシを無視してんじゃないわよ‼︎」

 

アベルがレールガンから光弾を放つ。怪獣娘達はそれを避けるとレッドキングがミクラスとウインダムに指示を出す。

 

「ミクラス、ウインダム、悪いがキングジョーを下がらせてくれ‼︎このまま戦わせたら何が起こるか分からねえ‼︎」

「了解です、ほら、行きますよキングジョーさん‼︎」

「離しなサイ‼︎ワタシはまだ・・・・‼︎」

「行くぜゴモラ‼︎」

「うん‼︎」

 

まずはレッドキングが拳をアベルに叩き込む。続いてゴモラが回転しながら尻尾をアベルに叩き付けた。

 

「オラァ‼︎」

「どりゃあ‼︎」

「ぐっ‼︎」

 

アベルは態勢を整えレッドキングを銃撃する。レッドキングはジャンプで避けるとアベルに向かって行進する。アベルが右手を突き出した瞬間彼女はアベルの右腕を掴み回転する。

 

「うおりゃああああああ‼︎」

「あー、目が、目が回るーーー‼︎」

 

そしてアベルを投げ飛ばす。アベルが吹っ飛んだ先に地中に潜っていたゴモラがアベルが近づいたタイミングで地上に飛び出す。

 

「行くでーーーー‼︎メガトンテール‼︎」

「ぐふぅ⁉︎」

 

そしてゴモラの尻尾の一撃がアベルに直撃する。アベルはその威力に吹っ飛ぶも起き上がると2人に怒鳴る。

 

「調子に乗るんじゃねえっつうの!!!!!」

「「‼︎」」

 

起き上がったアベルは自分達よりも巨大な姿になっていた。その大きさは怪獣やウルトラマンと同じ大きさだった。




前にも書きましたが生身で戦える怪獣娘って誰がいると思います?
坂本監督風生身アクションシーンを書きたいんですよね。


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円盤が来ない(後編)

今回のサブタイを探せは分かりやすいと思います。

それと次回はオリジナル回をやりますのでご了承ください。


ピグモン達がアベルと一悶着していた頃、ヒロキはペロリンガ星人を探していた。突然タイガが声を掛ける。

 

『ヒロキ、アレを見ろ‼︎』

「・・・‼︎あれって昨日の・・・‼︎」

 

その時、アベルが巨大化するのが彼らの目に写った。ヒロキはタイガの声でタイガスパークを出現させる。

 

『行くぞ、ヒロキ‼︎』

「ああ‼︎」

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

 

 

 

「マジか⁉︎」

「踏み潰してやるから!!!!」

 

そう言ってアベルは巨大な足でレッドキングとゴモラを踏み潰そうとする。そこにタイガが飛びながらアベルに拳を叩き込む。

 

「あっ止まらない・・・・・・止まった‼︎何すんだゴルアアァァァ‼︎」

 

アベルが地面を転がって行く。やがて立ち上がったアベルは自分を攻撃した相手を確認する。

タイガはアベルにファイティングポーズを決める。

 

「あらウルトラマンじゃない⁉︎ラッキー、ターゲットの方から来てくれた‼︎」

(ターゲット⁉︎殺し屋か、こいつ‼︎)

『本命はこっちってわけか‼︎』

「悪いけどねちっこく追い込むよう頼まれてるから恨まないでよね‼︎」

 

アベルは右手のレールガンから光弾を放つ。タイガはかわすと負けじとスワローバレットを放つ。しかしアベルはそれを避け、再び銃撃する。

 

(頼まれたって言ってたな、一体誰に頼まれた‼︎)

「あら、昨日の坊やじゃない⁉︎アンタがウルトラマンだったのね‼︎依頼人の事を話すヒットマンがいると思う!」

『だったら力尽くでも聞かせてもらうぜ‼︎』

 

タイガは再びかわしながらスワローバレットを放つ。アベルはビルの影に隠れて再び銃撃する。

タイガは横に側転してかわす。タイガもビルの影に隠れてタイミングを見計らいスワローバレットを放つ。しかしアベルはタイガをビルともろとも銃撃して来た。タイガは横にそれてかわす。

 

「ヤダ、丸見え‼︎」

 

タイガはアベルの姿を確認する。アベルもタイガの姿を確認して銃撃して来た。タイガは今度はバク転してかわす。するとアベルはその場にあったビルを引っこ抜きタイガに投げつけて来た。

 

『えっ、うおあああっ‼︎』

 

タイガはビルを受け止めてそっとその場に置く。そこを突いてアベルがタイガの背中に銃撃して来た。

 

「ガラ空き‼︎」

『ぐあっ‼︎うわああ‼︎』

 

アベルは更に追い打ちをかける。タイガはジャンプしてアベルの銃撃を避ける。タイガは空中で1回転しながらアベルの更なる銃撃を回避した。

 

『手強いな‼︎怪獣の指輪を使うぞ‼︎この間手に入れたセグメゲルの指輪だ‼︎』

(・・・・・あんまり気は進まないけど仕方ないか・・・・・。)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そして左手に意識を集中させ、セグメゲルの顔を模した『セグメゲルリング』が左中指に出現する。ヒロキはタイガスパークを装着した右手を指輪が付いた左中指に重ねる。

 

〈セグメゲルリング、エンゲージ!!〉

 

タイガは空中から『セゲルフレイム』を放つ。アベルは毒の炎をまともに浴びて苦しんだ。

 

「毒攻撃⁉︎ああっ、生身の部分が痺れてる‼︎」

 

 

その戦いを見ていた霧崎は右手でクルミを砕き一口口に入れて呟いた。

 

「そうだ・・・・。使える力は存分に使え・・・・。」

 

 

タイガが着陸するとタイタスが声を掛けた。

 

『私が行こう‼︎鍛え抜かれた筋肉が銃弾にも勝る事を見せてやる‼︎』

『頼んだ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

『うおおおお‼︎』

 

登場と同時にタイタスは雄叫びを上げながらボディビルのポージングを決める。

 

『タ!』

 

両手を握りこぶしにして身体をやや前に倒しながら三角筋、僧帽筋、腕を強調するモストマスキュラーで上半身アピールをする。

 

『イ‼︎』

 

腕を横から見せながら、サイドトライセップスで上腕三頭筋アピールをする。

 

『タス!!!』

 

胸の厚みを横から見せながらサイドチェストで胸筋と二の腕アピールをする。これを見てミクラスが歓声の声を上げた。テンションが上がって思わずキングジョーを抑えていた手を離したミクラスにウインダムが抗議の声を上げる。

 

「切れてるよー‼︎」

「ミクさん‼︎一番推しのタイタスさんが出て興奮したのは分かりましたからキングジョーさんを抑えるの手伝って下さい‼︎私1人では絶対に無理です‼︎』

「あっ、御免‼︎」

「離しなサイ、2人トモ‼︎」

 

タイタスはアベルにファイティングポーズを決める。アベルはタイタスの筋肉質な姿に驚きを隠せない。

 

「あらヤダ、ゴリマッチョ‼︎」

 

アベルはタイタスを右腕のレールガンで銃撃する。しかし彼のその筋肉は銃弾をあっさり跳ね返す。アベルは再び光弾を放つも今度は肩で弾かれ、3度目は大賢筋で跳ね返す。その筋肉の強度もアベルにとっては驚きでしかなかった。

 

「何よそれ⁉︎」

 

タイタスはアベルに接近戦を挑む。アベルは迎え撃つもタイタスの鍛え上げられた筋肉から放たれる拳の一撃は重い威力を秘めていた。それを2度食らい地面に倒れる。

更にタイタスはアベルの腰を支えて持ち上げ地面に落とす。

 

 

 

 

その戦いを川越しで見ている3人がいた。アギラ、ピグモン、ペロリンガ星人の男だ。ピグモンはペロリンガ星人に自分達を狙って来た宇宙人と戦う巨人を見ながら話す。

 

「あれが今この星を守っているウルトラマンですよ。」

「あれが・・・・。ウルトラマンも色々な色の人が出て来たね・・・。僕が戦った彼は全体的は赤かったかな。それにしても・・・・・。」

「?」

 

言葉が止まったペロリンガ星人にアギラが首を傾げる。ペロリンガ星人の男は言葉を置いて俯きながら呟いた。

 

「昔から思っていたけどウルトラマンの戦いでどんどん町が壊れていくよ。そりゃああんなに大きい者同士が戦ったならそうなるんだろうけどさ・・・・もっと壊さずに戦えないのかな・・・・・はぁ、星の世界に帰りたい・・・・・。」

「・・・・・それって本当に本心ですか?」

 

ピグモンの言葉を聞いたペロリンガ星人は思わずピグモンの顔を見る。

その頃タイタスはアベルに善戦していた。

 

『鍛え方がなっていないな‼︎私が適切なトレーニング方法を教えようか‼︎』

「何よ!ダッサい星付けちゃって‼︎」

『貴様、U40の勲章を馬鹿にする奴は許さんぞ‼︎』

 

アベルの苦し紛れの負け惜しみに故郷U40の勇者の証である『スターシンボル』を馬鹿にしたアベルにタイタスは怒りをあわらにし拳を放つ。

タイタスが拳を放った時と同時にアベルも拳を放った。

 

「ファンタスティックアベルフィクション!!!」

 

2人の拳がぶつかり合う。負けたのはアベルだ。アベルは空中で回転しながら吹っ飛んでいく。

 

「あ〜‼︎地面は何処‼︎地面・・・・あっ、あった‼︎」

 

アベルは吹っ飛びながらも何とか着地する。

 

「全くもういやんなっちゃう‼︎」

 

アベルはうんざりしながらも自身の下にいるピグモン達に気付く。ピグモン達の姿を確認したアベルは逆恨みを言いながら右手のレールガンをピグモン達に向ける。

 

「アンタ達に見られてからどうもケチが付いたのよ‼︎」

 

アベルはレールガンにエネルギーを溜める。アギラがピグモンとペロリンガ星人を守るため身構える。

その時、タイタスはフーマと交代する。

 

『変われ、旦那‼︎』

「消えちゃいなさい‼︎」

『ぐあっ⁉︎』

「あらヤダ!邪魔よ細マッチョ‼︎」

『痛ぇな‼︎』

 

高速移動したフーマがアギラ達を庇う。カラータイマーが鳴り始めるもフーマは右回し蹴りをアベルに決め、次に左回し蹴りを放つ。後退するアベルを追うフーマ。

ピグモンはフーマに大声で応援の声を送る。ペロリンガ星人は抱いていた疑問を口にする。

 

「ありがとうございます〜、ウルトラマンさ〜ん!頑張って下さ〜い‼︎」

「何でそんなに他人のために頑張れるの?君達もあのウルトラマンも⁉︎」

 

ペロリンガ星人の疑問にピグモンは笑顔で答えた。

 

「困っている人を助けるのは当然じゃないですか。少なくとも私は人間がとっても大好きだと感じた時に怪獣娘に変身できるようになりました。だから私は誰であっても困っている人は絶対に助けたいんです。」

「変わっているね・・・・。」

「ピグモンさんだけじゃないですよ、ボクだってボクがやらなきゃと思う事があって怪獣娘になれました。だからこの力をどう使っていくか、その答えは1つです。それに・・・・・。」

「?」

「ボクが知ってる怪獣娘さんは皆困っている人を放っておけない、そんな人達ばかりですよ。ペロリンガ星人さん、長年地球にいたなら分かるんじゃないですか?困っている人に手を差し伸べる人々だって見てきた筈です。」

「・・・・・でも全ての地球人が・・・・・。」

「確かにそうかもしれません。でも、少しずつでもいい。きっと皆いい意味で変わって来ている筈です。最初は怪獣娘の確認や人間社会との共存、GIRLSの設立、どれも困難でした。けど、それを乗り越えて今の社会が・・・・今の時代があるんです。きっとこれからもっともっといい世の中に出来る筈ですよ。」

 

『クソッ、ヒットマンの癖に派手にやりやがって‼︎』

「煩いわね、でももうアンタも終わりよ‼︎」

 

その頃、フーマはアベルの銃撃を受け流しながら手刀を浴びせ、アベルと激しい戦いを繰り広げていた。フーマが受け流した時流れ弾が町に被弾するも両者は銃撃と手刀を撃ち合い交戦する。やがてアベルが剣を取り出しフーマを貫いた。

 

『ぐっ、があぁ・・・。』

「ニヒッ。」

 

その途端フーマは煙と共に姿を消す。驚いて辺りを見渡すアベルの後ろにフーマは立っていた。

 

『残像だ。』

「そんなのアリか⁉︎」

 

アベルは再び剣で斬り付けようとするも逆に剣を奪われてしまう。フーマは奪った剣でアベルを斬る。偶然にも機械の部分を斬ったようでアベルから火花が飛び散っていた。

 

『今だ、ヒロキ!!』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左手に意識を集中させる。するとフーマが地底世界の勇者『ウルトラマンビクトリー』から託されたブレスレット『ビクトリーレット』が出現した。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークを装着した右手に左手を重ね、ビクトリーレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ビクトリーレット、コネクトオン!!〉

 

フーマにビクトリーのビジョンが合わさる。極星光波手裏剣と同じチャージを行いフーマのタイガスパークにV字の光弾が形成される。フーマは光弾を弓矢を放つように発射した。

 

『(鋭星光波手裏剣!!)』

 

アベルは鋭星光波手裏剣を受けて体が真っ二つになる。

 

「あらヤダ、こんなやられ方兄貴に面目」

 

最期まで言い切れずアベルは大爆発する。機械の残骸が周りに飛び散る。ウルトラマンの勝利をアギラ達は喜んでいた。

 

「わぁ・・・・‼︎」

「やったーーー‼︎」

「やりましたね‼︎地球もまだまだ捨てたものじゃないでしょう。」

「どうだろうね・・・・・。」

「そうだ!今度一緒に蕎麦を食べに行きましょうよ‼︎信州の本場の蕎麦を!」

「本場の・・・・蕎麦・・・・。」

 

 

 

 

 

「セイヤッチ‼︎」

 

フーマは飛び去って行った。元の人間であるヒロキに戻った所でヒロキが何かを思い出して焦った様に叫ぶ。

 

「あーーーー‼︎」

『おい、どうしたヒロキ⁉︎』

「あの宇宙人が誰から僕達の暗殺を依頼されたのか聞き出すのを忘れてた‼︎」

『あー、悪い・・・。忘れてた・・・・。』

『恐らくは私達の存在が邪魔な宇宙人だろう・・・・。それが誰なのかは奴が倒された今は分からんが・・・・・。』

 

ヒロキとトライスクワッドはそんな会話をしながら歩いていく。

 

 

 

 

 

 

その夜、ペロリンガ星人の男は一昨日の夜の様に望遠鏡で星を見渡していた。そこに1人のペロリンガ星人がそのままの姿で現れる。2人のペロリンガ星人は夜の星空を見ながら話を続ける。

 

「やあ、君か!」

「長イコト、待タセテシマッタネ。」

「そうだねえ。随分と、待ったよ。」

「サア帰ロウ。綺麗ナ星ノ世界ヘ。」

「・・・・・・星の世界か・・・・・・。」

「ドウシタンダイ?」

「・・・・・・やっぱり、やめとくよ。」

「エエッ?」

「友達、と言えるかわからないけど、蕎麦を食べに行く約束をしたんだ。」

「本当ニ、イイノカイ?」

「うん。もう少し、この星で暮らしてみるよ。」

 

その時、星空から光る空飛ぶ円盤が降りてきた。

 

「ああ、懐かしい円盤が来たね!」

「サヨウナラ。」

「・・・・・・さようなら。」

 

そう言って地球人の姿のペロリンガ星人は円盤を見る。その隣にはもう本来の姿の同胞はいなかった。

 

 

 

翌日、ペロリンガ星人の男は自転車に乗って川辺を走り何処かへ向かっていく。彼が昔会った星を見るのが好きな地球人の友人と同じように。




次回はタイガ原作には参加しなかったウルトラマンシリーズの救世主と言っても過言ではない坂本浩一監督風なアクションをやりたいと思います。

次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『ある日機械化され改造された怪獣娘が現れる。その事件の裏では宇宙人達の恐ろしい計画が進行していた。その計画にクララの妹が巻き込まれる時、彼女の怒りが完全に爆発する。次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


妹と姉


よせ、ヒロキ‼︎』


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妹と姉(前編)

今回はオリジナル回です。
バガンさんから設定を借りた怪獣娘が登場します。
今回のエピソードはタイガ原作では担当しなかった坂本監督が撮った話を意識しています。
『魔の山へ』はこのエピソードが終わってからやります。

誘拐宇宙人『レイビーク星人』登場


ある日の夜、酔ったサラリーマンが千鳥足で歩いていた。その横には彼の部下らしき男がサラリーマンを必死に支えている。

 

「うぃ〜、ヒック、あのヒステリック女部長め〜、いつも偉そうにしやがって〜。」

「ちょっと課長、飲み過ぎですって・・・。」

 

どうやら彼は女の上司を持っているらしいが、その上司に不満があるようだ。そんな上司を支えながら歩く男の前に1人の人影が現れた。

 

「誰だ〜、俺らの前に立っているそこの馬鹿は、ぶっ殺すぞ‼︎」

「ちょっと、いくら何でも目の前の見ず知らずの他人に迷惑をかけちゃ駄目ですよ‼︎すみません、気にしないで下さい。」

 

そんな彼等の前に現れた人影は彼等に近付いてくる。それもかなりフラフラした状態でだ。そんな人影が心配になったのか酔ったサラリーマンを抱えた男は声を掛ける。

 

「あ、あの、大丈夫ですか?」

 

目の前に人がいると気付いたその人影は2人のサラリーマンに急に近付いてきた。そして彼等に必死になって声を上げる。

 

「お・・・・・願・・・・・・い・・・・・・助・・・・・けて・・・・・。」

「どうしました⁉︎大丈夫ですか⁉︎ちょっと課長、いい加減にして下さい、緊急事態っぽいんですから‼︎」

「うぃ〜。」

「ああっ、もういい‼︎」

 

助けを求めている声を聞き男は呼びかけるもいつまでも酔っ払っている男に嫌気が差したのかすぐそばに酔っ払った男を下ろしてその人影の元に急ぐ。すると男はその人影がはっきりと見えた。その人影は女性だった。その女性は緑色の恐竜を思わせるパーカーのような格好に背中には戦車の砲台のようなものを背負っており、腰にはキャタピラを付けていた。しかし彼女はかなり苦しんでいるようだ。彼女は戦車怪獣『恐竜戦車』の怪獣娘だ。しかし彼女には片目に本来は無い機械のようなものが取り付けられていた。男は目の前の女性がどういう存在か確認した。

 

「怪獣・・・・・娘・・・・・?」

 

恐竜戦車の怪獣娘は目の前の男をしっかり確認して男の元に駆け寄った。そして目の機械を抑えながら助けを求める。

 

「おね・・・・・がい・・・・・。たす・・・・けて・・・・、私・・・・・、こんな・・・・・ところで・・・・。」

「大丈夫ですか⁉︎気をしっかり‼︎落ち着いて下さい‼︎」

「助けて・・・・・ぐばっ⁉︎」

「うわあああああ⁉︎」

 

男が彼女に呼びかけるも彼女は大量の血を吐いて地面に倒れる。そして彼女はそのまま動かなくなり生き絶えた。

 

 

 

 

 

 

その翌日、クララは不機嫌な顔で町を歩いていた。彼女は最近は荒れていた上、それまで予定されていたモデルとしての活動を止められた事に抗議を立てたのだ。しかし、ベニオやミカヅキからアベルとの戦いであった事を聞いていたのかトモミは彼女の抗議を聞き入れなかった。荒れていた上に全ての活動を止められた彼女は更に不機嫌になっていたのだ。

そこにフランス人形を思わせる顔立ちとクララより控えめなボディラインで彼女より少し小柄の少女が近付いてきた。彼女の名は『ラハナ・ソーン』。クララの妹であり、『キングジョーⅡ』の魂を継ぐ怪獣娘である。ラハナはクララに恐る恐る声を掛ける。

 

「姉さま・・・・・。」

「・・・・ラハナ?何の用デス?」

「そっちは・・・・・お家の方じゃ・・・・・。」

「ワタシが何処に行こうと勝手じゃないデスカ‼︎」

「ひっ、ご、御免なサイ・・・・・。」

 

クララはラハナを怒鳴りつけるとそのまま何処かへ去っていく。怯えながら姉の後ろ姿を見るラハナ。そこに偶然、ヒロキが通りかかった。

 

「クララちゃん?どうしたの、そんなに怒鳴って・・・・・って君は、確か・・・・・。」

「ヒロキ⁉︎ヒロキまでワタシの事ヲ・・・・。もうワタシに構わないで下サイ‼︎」

「姉さま‼︎」

「クララちゃん‼︎待って‼︎」

「ソウルライド、『キングジョー』‼︎」

 

クララはキングジョーに変身すると何処かは飛び去ってしまう。そんな彼女の後ろ姿を見ながらヒロキはラハナに話しかける。クララの幼馴染である彼はその妹のラハナともよく遊んでおり面識があったのだ。ラハナもヒロキの事をクララから聞いていたのか彼に話しかける。

 

「ラハナちゃん・・・・・だよね。僕のこと、覚えてる?」

「えっと・・・・・うん・・・・・ヒロキ兄さま・・・・デスヨネ?・・・・・はい・・・・久しぶりデス・・・・・。」

「久しぶりだね。えっと・・・・・立ち話もなんだから何処か座れる場所で話そうか。」

「えっ・・・・ワタシと⁉︎」

「嫌だった?・・・・・御免。じゃあまた会ったら・・・・・。」

「あっ・・・・・あの・・・・・大丈夫だから・・・・・。」

 

ヒロキとラハナは場所を移動してカフェにいた。ヒロキはアイスティーを、ラハナはオレンジジュースを飲みながら互いに向き合ってテーブルで話す。

 

「本当に久しぶりだね。クララちゃんから聞いたよ。君も怪獣娘になってGIRLSに所属してるって。」

「うん・・・・・・。」

「僕もさ、こっちに引っ越してきていきなりクララちゃんに再会したからびっくりしたよ。・・・・・最近どう?結構君の事も心配なんだよ・・・・。」

「ヒロキ兄さま・・・・・もしかしてワタシの事・・・・・。」

「うん、クララちゃんから聞いた。暴走した事があるって・・・。」

 

 

 

 

そう言ってヒロキはヘルベロスの事件の後のクララとの会話を思い出した。それはヘルベロスを倒してから数日後の学校の帰り道の事だった。帰り道の途中でクララがヒロキにラハナの話を持ち掛けて来たのだ。

 

「ヒロキ、ワタシの妹『ラハナ』の事は覚えていマスカ?」

「ラハナって・・・・・ラハナちゃんの事だよね。勿論‼︎」

「実はあの子・・・・・一度暴走してしまって・・・・・元々あの子はあまり積極的ではなかったのですが・・・・それ以来人と関わる事を恐れるようになってしまいマシタ。」

「大変だね・・・・・。」

「よければヒロキもあの子が人に慣れるよう協力してくれまセンカ?ヒロキもいればあの子も・・・・・きっと上手く他人と話せる様になると思うのデス。」

「勿論‼︎僕に出来る事があるなら何だってするよ‼︎」

「本当デスカ⁉︎サンキューデース‼︎」

 

ヒロキの答えを聞いて思わずヒロキに抱きつくクララ。ヒロキは顔を真っ赤にしてクララを引き離そうとするも人間の姿でも力が強い彼女を振りほどけずにいた。

 

「ちょっ⁉︎は、離れてよ、クララちゃん‼︎」

「いいじゃないデスカ‼︎」

 

 

 

 

「ワタシ、元々引っ込み思案で・・・・それに加えて・・・・・あの暴走のせいで人と接するのが怖くなってしまって・・・・、どうシタラ・・・・・。」

「でも僕とは話せてるじゃん。」

「多分・・・・・、それはヒロキ兄さまは顔見知りダカラ。」

「それでも、僕と話せてる事に変わりないじゃん。少しずつでいいから人に慣れて行こうよ。僕も協力するからさ。・・・・・これから僕と一緒に渋谷とか池袋辺りにでも行かない?そうすれば少しは・・・。」

「御免なサイ・・・・・今日は用事があるカラ・・・・・。でも誘ってくれてありがトウ。」

「そうか。」

 

2人は会計を済ませてカフェを出る。少し歩いて分かれ道で2人は分かれた。

 

「じゃあ、僕この辺で。」

「うん・・・・・ワタシはこっちダカラ・・・・・。」

 

2人は別の道を進み始める。やがてラハナが立ち止まった。怪獣娘としての感覚が何かを感じ取ったのだ。彼女は立ち止まったと同時に後ろを振り返る。

 

「?」

 

しかし、誰もいない事を確認するとラハナは再び歩き出した。その後ろでは怪しげに目を赤く光らせる2人の何者かがラハナをつけて歩み出す。

 

「ギギッ・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS本部では昨日サラリーマンが遭遇した怪獣娘について会議していた。会議に参加していたのはトモミ、ミコ、ベニオ、ラン、ミカヅキにかぷせるがーるずの3人だった。

 

「昨日の夜、恐竜戦車の怪獣娘が突然急死する事件が発生しました・・・・。」

「急死⁉︎一体どうして⁉︎」

「はい・・・・・その原因なのですが・・・・・。」

 

ミコの質問に対してトモミは下を俯き、悲しそうな表情をしながらモニターに映像を写し、言葉を繋ぐ。

その映像には恐竜戦車を検死した結果をまとめたレポートだった。

 

「昨日急死した怪獣娘は全身に機械を埋め込まれ、いわばサイボーグにされていた事が分かりました。頭の機械も取り付けられたものでなく頭に直接埋め込まれたものです。死因はその機械の負担に耐えられず拒否反応を起こしたからと判明されました。」

「誰かに改造されたって事⁉︎・・・そんな・・・・・酷い・・・・。」

「ふざけやがって‼︎一体誰がこんな事を‼︎絶対に許せねぇ‼︎」

「尚、この機械は地球上の物質で作られてないと判明しました。」

「それじゃあ、改造した犯人は宇宙人⁉︎でも、何のために?」

「分かりません・・・・・。ですが、こんな事をする卑劣な犯人を野放しにするわけにはいきません‼︎わたし達が解決しないと‼︎皆さんも気を付けて下さい‼︎」

『了解‼︎』

 

 

 

その頃、ヨウとユカは雑談しながら道を歩いていた。彼女達はGIRLSの正式な隊員になって間もないため今回の会議に呼ばれていなかったのだ。話題はクララについてだった。

 

「聞いた?キングジョーさん、暫く活動停止だって・・・・・。」

「うん。」

「前はあんなに優しかったのにさ、あのキングゲスラの事件以来かなり怒りっぽくなっちゃったよね・・・・・。」

「子供の頃に友達になったあの怪獣が仮面のウルトラマンに殺されちゃったからその怒りが抜けないんじゃないかな。」

「キングジョーさん・・・・・・、いつか元に戻ってくれるのかな・・・・・。」

 

そんな会話をしていたところに1人の少女が通りすがる。それはラハナだった。ラハナは通りかかった先で姉の話題を聞く事になるとは思わず立ち止まって彼女達の会話を聞いていた。

 

「キングジョーさん、このままじゃGIRLSにいられなくなるかもしれないってエレキング先輩が言ってたよ。」

「そんな・・・・。そこまでなの?」

「何でも後輩の芸能課の怪獣娘や撮影のスタッフの人達に対して態度がかなりキツくなったらしいから・・・・・、わたし達も心配だよ・・・・・。」

 

ラハナは彼女達の会話を聞いて、暗い表情を立てながらその場を去る。

その時、彼女の後ろを誰かが通った。ラハナは振り返るがそこには誰もいない。再び前を向くラハナ。彼女は前を向いた途端、驚いた表情になった。

 

「‼︎」

 

そこには目が赤く光り頭がカラスのような人間が立っていたのだ。それはラハナの前でジャンプして1回転しながらラハナの後ろに着隊する。ラハナはソウルライザーを取り出して叫ぶ。

 

「ソウルライド、『キングジョーⅡ』‼︎」

 

彼女は姉の獣殻によく似た獣殻を纏い怪獣娘『キングジョーⅡ』に変身する。ラハナの前に立っているそれはラハナに飛びかかる。彼女は飛んでそれを避ける。その丁度後ろにもう1人のカラス頭が待ち伏せ彼女に大きな銃のようなものを向ける。カラス頭が銃の引き金を引いたと同時に銃から青い光線が放たれキングジョーⅡはその光線を浴びると銃の中に吸い込まれていった。

 

「きゃああああああ‼︎」

 

 

 

「えっ⁉︎今、悲鳴が⁉︎」

「行ってみよう‼︎」

 

その悲鳴はヨウとユカにも聞こえた。突然の悲鳴に驚いた彼女達は後ろを振り返り悲鳴が聞こえた場所に駆け出していく。彼女達が悲鳴が聞こえた場所にまで辿り着くとそこには誰もいなかった。念の為彼女達はソウルライザーを取り出して変身する。

 

「「ソウルライド‼︎」」

「『マガバッサー』‼︎」

「『マガジャッパ』‼︎」

 

彼女達は怪獣娘に変身して周りを見渡す。すると何かが飛びかかってきた。彼女達は間一髪で避ける。すると先程のカラス頭が現れた。

 

「こいつら、宇宙人か⁉︎」

「さっきの悲鳴と何か関係が⁉︎」

「ギギッ‼︎」

 

カラス頭の宇宙人が右ストレートをマガバッサーに放つ。マガバッサーは飛んでその拳を避ける。マガジャッパの元にももう1人のカラス頭が現れる。カラス頭の宇宙人は右フック、左フック、右フック・・・とフックを連続で放ってきた。マガジャッパは時にかわし、時に受け流しながら相手の攻撃をかわす。マガバッサーがサマーソルトキックを宇宙人に放ち宇宙人は一回転して吹っ飛んだ。マガジャッパも水流を放ち宇宙人を吹き飛ばす。水流を受けた宇宙人は壁に叩きつけられる。

 

「このまま追撃するよ‼︎」

「う、うん‼︎」

「お前らの目的は何だ‼︎さっきの悲鳴を出した人はどうしたんだ‼︎」

 

マガバッサーは時に飛び上がり、時に降下しながら蹴りを放つ。マガジャッパも相手の攻撃を一回転して避ける。

 

「ギギッ、こいつらは当たりだ。さっきの怪獣娘共々我々のために役立つな。」

「なっ⁉︎喋った⁉︎」

「さっきの怪獣娘って・・・・・一体どういう事ですか⁉︎」

「話は我々のアジトでな‼︎カーッカッカッカッカ‼︎」

「「なっ⁉︎」」

 

マガバッサーとマガジャッパの後ろに3人目のカラス頭の宇宙人が現れた。3人目は先程キングジョーⅡを吸い込んだあの銃を放つ。再び銃の引き金を引き、マガバッサーとマガジャッパを吸い込んでしまった。

 

「「きゃあああああああ‼︎」」

「よし、これで3人目だ。こいつらで今度こそ成功させるぞ。」

「ああ、我々『レイビーク星人』と『ノワール星人』の共同計画をこいつらで完成させてやる。」

 

そう言って3人の誘拐宇宙人『レイビーク星人』は去っていった。しかし彼らは自分達を見ている者がいる事に気付いていなかった。

 

「ど、ど、どうしよう⁉︎ノイ、マガバッサー達が捕まっちゃったよ‼︎」

「慌てんな‼︎まずは落ち着け、深呼吸だ‼︎」

 

サチコとミサオだ。彼女達は丁度バンドの練習の帰り道だった。そこで顔見知りであるマガバッサーとマガジャッパの悲鳴を聞いたミサオがここに到着していたのだ。しかし、時遅く彼女達が銃に吸い込まれるところで現場に到着したため間に合わず、ひとまず隠れて様子を伺う事にしたのだ。

 

「うん、スーハー、スーハー・・・・・。落ち着いた・・・・。」

「そうか、何とかしてあいつらを救出するぞ。お前は本部に連絡を頼む。アタシはあいつらを追うから。」

「1人で⁉︎無茶だよ、あいつら人を吸い込む銃を持っているんだよ‼︎ノイまで捕まっちゃうよ‼︎」

「大丈夫だ‼︎アタシは耳がいいし、周りの音を消せるから尾行には向いてる。仮に捕まったとしてもお前が残っていればこの危機を伝えられる。」

「で、でも‼︎」

「あいつらは計画と言ってた。その計画が何なのかこの耳で聞いてやるよ。本部に連絡を頼む。」

「・・・・、分かった。けど、無茶しないでね。」

「おう‼︎」

 

そう言ってミサオはソウルライザーで本部に連絡を取るサチコを後ろにしてレイビーク星人を追跡し始めた。




バガンさんから設定を借りたと言っても「オジョーさんの妹」「引っ込み思案な性格」以外バガンさんは決めていなかったので彼女の設定を肉付けしました。
バガンさんからは了承済みです。バガンさん、本当にありがとうございます。

ラハナ・ソーン
誕生日 12月5日
年齢 15歳
趣味 機械いじり
好きな事 姉と一緒にお茶をすること 
嫌いな事 人混み 見知らぬ顔と話す事 姉と比べられる事
キングジョーⅡの魂を継ぐ怪獣娘。中学3年生の女の子。姉と違って引っ込み思案な性格。姉であるクララの事を慕っている。ヒロキともよく遊んでいたためヒロキとも仲がいい。実は姉に比べられる発言を聞いてショックを受け暴走してしまい、人と接する事を恐れるようになってしまった。
名前の由来はキングジョーⅡが暴走するきっかけとなった『ラハ』カム・ストーン→ラハナ


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妹と姉(中編)

今回の彼女達の生身アクションシーンは坂本監督の生身アクションを意識しました。あのアクションを文で書くのは難しかったです。
またアクションシーンを書くため、かなり長くなってしまいました。
上手く坂本監督風に書けていたでしょうか?
坂本監督風アクションシーンを上手く書く方法があったら教えて欲しいです。

宇宙狩人『ノワール星人』登場


マガバッサーとマガジャッパが意識を取り戻した時、彼女達の体は鉄のベルトの様なもので縛られていた。

 

「う〜ん・・・・・ここは一体・・・・・ってわたし縛られてる⁉︎」

「あっ、バサちゃん‼︎バサちゃんも目を覚ましたんだね‼︎」

「ジャッパ、ここは一体?」

「わたしも分からないの。・・・・・多分だけどわたし達あの宇宙人に捕まったから・・・宇宙人達のアジトじゃないかと思うけど。」

「そうだ‼︎あの宇宙人はどこに⁉︎」

 

マガバッサーが周りを見渡していると少し離れた位置に自分達と同じもので縛られた金髪の縦長ツインテールのキングジョーによく似た怪獣娘を確認した。彼女こそキングジョーⅡだ。マガジャッパが彼女の状態を確認してマガバッサーが呼びかける。

 

「バサちゃん、あそこにわたし達と同じように捕まっている怪獣娘がいる‼︎」

「ホントだ‼︎・・・・・なぁ、ジャッパ、あの怪獣娘、何かキングジョーさんに似てないか?」

「えっ・・・・・確かに似てる・・・・・ってあの人まだ意識がない‼︎」

「マジ⁉︎わたしが呼びかけてみるよ。おーい、大丈夫かー⁉︎わたしの声が聞こえるかー‼︎」

 

マガバッサーの声に反応したのかその怪獣娘はマガバッサー達の方を向く。動きを見せたその怪獣娘に彼女達は話しかける。彼女は怯えながら答える。

 

「良かった、意識が戻った!おい、大丈夫か⁉︎」

「・・・・・・・あ・・・・・あの・・・・・あ・・・・・貴方・・・・・達は・・・・・?」

「わたし?わたしは怪獣娘のマガバッサー!こっちはわたしの友達の。」

「マ、マガジャッパです。あ・・・あの貴方も怪獣娘ですよね。」

「う・・・・・うん・・・・・。・・・カラス・・・・・頭の・・・・う・・・・・宇宙人に・・・・つ・・・・・捕まって・・・・・しまっテ・・・・。」

「マジか⁉︎アンタもか⁉︎」

「うう・・・・・、や・・・・・やっぱり・・・・・ワタシは・・・・・だ・・・・・駄目駄目・・・・・デス・・・・。」

「よく分からないけどネガティブに考えちゃ駄目だ‼︎必ず助かるって信じなきゃ‼︎」

「もう君達は我々のものだよ、怪獣娘の諸君。」

 

突然声が聞こえたので彼女達は声の方に顔を向ける。するとそこにはカラス頭のマントを羽織った宇宙人と緑色の体に額には菱形の結晶のようなものが付いた宇宙人がいた。マントを羽織った宇宙人はレイビーク星人で、もう1人は宇宙狩人『ノワール星人』だ。

 

「あっ、宇宙人‼︎」

「君達は我々ノワール星人とレイビーク星人のものになるのさ。」

「一体どういう事なんですか⁉︎」

 

マガジャッパの声を聞いたノワール星人は彼女達の周りを一回りしながら自分達の計画を話し始める。

 

「我々ノワール星人は怪獣を改造して資源として扱ってきた。やがて怪獣は絶滅し資源となる怪獣が星からいなくなってしまった。」

「我々レイビーク星人も故郷には君達地球人の様な種族がいてそいつらを奴隷として扱って来たんだよ。しかし、絶滅の危機になってしまってね。」

「やがて我々の宇宙で怪獣の住む星を探し当てたんだが、その星の怪獣を資源にする計画は失敗した。それは彼らレイビーク星人も同様でね。」

「やがて我々はこの宇宙で出会い、そしてこの星に辿り着いた。そしたらこの星には怪獣の力が使える君達怪獣娘がいるじゃないか。」

「我々ノワール星人のメカレーター技術で更に強化された怪獣娘を連れて行き我々の星の新たな資源とする計画を立てたのだよ。彼らレイビーク星人の優れた人間の捕獲技術で捕獲した怪獣娘を改造して我々の新たな資源とする為に。」

「我々レイビーク星人の新たな奴隷として星に連れて行く。お互いの目的の為に我々は手を組んだのだよ。」

 

宇宙人達の恐ろしい目的に震えるマガジャッパ。マガバッサーは怒りを露わにして目の前の宇宙人に怒鳴る。

 

「ふざけんな‼︎お前らの野望の道具に何かなってたまるか‼︎」

「勇ましいお嬢さんだね。だが、君達にも我らの改造手術を受けてもらうよ。昨日の夜捕まえた怪獣娘のようにね。」

「昨日の夜って・・・・・まさか⁉︎」

「ああ、我々レイビーク星人が捕獲した恐竜戦車の怪獣娘をメカレーターに改造してもらったよ。しくじって逃げられた上に彼らの技術に耐えられず死んだがね。」

「ひ・・・・・酷い・・・・・。」

「お前ら、命を何だと思ってるんだ‼︎絶対に食い止めてやる、そんな計画‼︎」

 

マガバッサーが怒鳴りながら自分を拘束するベルトを引きちぎろうとするもビクともしない。ノワール星人はマガバッサーに言い放つ。

 

「無駄だ。その拘束具は対怪獣娘用に作ったからね。君達が幾らもがこうとも振り解く事は不可能だ。」

「さてと後15分もしたら改造手術の時間だ。それまで待っていてくれたまえ。」

 

ノワール星人とレイビーク星人は部屋を出て行く。宇宙人の恐ろしい計画を聞いたキングジョーⅡは泣き出してしまう。そんな彼女を2人は励ました。

 

「うっ・・・・・うう・・・・・ワタシ達・・・・・もう・・・・・助からナインダ・・・・・うう、うわああああああん‼︎」

「おい!諦めるな‼︎きっと助けが来てくれるから‼︎」

「先輩達を信じて‼︎」

「・・・・・・来てくれる・・・・・とは・・・・・思わないデス。最近・・・姉さまは変わってしまった・・・・・。もうワタシの事、助けに来てくれないデス。」

「お姉さんがいるの⁉︎っていうか名前聞いてなかったけど・・・名前は?」

「・・・・・ラハナ・ソーン。キングジョーⅡの・・・怪獣娘。」

「ソーンって・・・まさかキングジョーさんの妹⁉︎」

「だ、大丈夫だよ!幾ら何でも妹のピンチに来てくれないなんて有り得ないよ‼︎だからお姉さんとわたしの先輩達を信じて‼︎」

 

マガバッサー達の説得も虚しく彼女は顔を俯けながらネガティブな発言を続ける。

 

「もう駄目・・・・後15分でワタシ達は改造されマス・・・・。もうどうにも・・・・。」

「こんな時だからこそ信じなきゃ‼︎」

 

マガバッサーがキングジョーⅡを説得する中、マガジャッパは扉を見て一言呟く。

 

「お願い・・・・誰でもいいから・・・・・助けに来て。」

 

 

 

 

その少し前、ミサオはレイビーク星人を尾行して使われなくなった銭湯に到着した。3人を捕らえたレイビーク星人が使われなくなった銭湯に入っていくのを見たのだ。

 

「ここって・・・閉鎖された銭湯だよな。ここをアジトにしてるのか。」

 

ミサオはソウルライザーを取り出してサチコに連絡する。

 

「ザン?アタシだ。今、何処にいる?」

『ノイ、無事なんだね‼︎良かった‼︎まだ捕まってなくて‼︎あたしはししょー達と合流したよ!』

「そうか。奴らのアジトを突き止めた。使われなくなった銭湯だ。アジトの周りとアジトの写真を送る。」

『大丈夫だよ。ノイのソウルライザーのGPSは確認してるからそれで向かってる。』

「分かった。アタシはこのまま見張るから合流しよう。」

「おい、ここで何をしている!」

「御免!気付かれたから切るよ‼︎」

『えっ、ちょっとノ』

 

ミサオが連絡した時、見回りをしていた1人のレイビーク星人がミサオに気付いた。ミサオは慌てて電話を切りソウルライザーを構える。しかしレイビーク星人の蹴りがミサオの腕に命中し、ソウルライザーを落としてしまう。

 

「しまった‼︎」

「我々の姿を見たからにはただで済むと思うな‼︎」

 

レイビーク星人が襲いかかる。ミサオはレイビーク星人の追撃を避け、構える。レイビーク星人が蹴りかかって来た。ミサオはそれを左腕で受け止め前転してレイビーク星人の後ろに回り込む。

 

「食らえっ‼︎」

 

レイビーク星人にそのまま回し蹴りを放ちダメージを与える。レイビーク星人は反撃に出る。彼女はレイビーク星人が接近したタイミングでストレートを打ち込み怯ませる。そのままレイビーク星人に左足で蹴り、距離を取ると右足で蹴りつける。そのままの勢いでレイビーク星人に左足で回し蹴りを放ちレイビーク星人は一回転して地面に倒れる。

 

「はあっ‼︎」

「ぐぅっ、この女、強い!おい、誰か来てくれ!」

 

レイビーク星人が助けを呼ぶ。更に2人のレイビーク星人が加勢して3対1になる。1人目のレイビーク星人が後ろから蹴りを放つ。ミサオは受け身を取ると左手で裏拳で怯ませ、そのまま右手で正拳を放つ。

 

「はあっ‼︎」

「ギギッ⁉︎」

 

1人目のレイビーク星人が吹っ飛ばされる中、2人目のレイビーク星人が横からジャンプして襲いかかる。ミサオはそれを避け、レイビーク星人が着地したタイミングで正拳をレイビーク星人の胸に放つ。正拳をまともに食らい、怯むレイビーク星人にそのまま横から右足で蹴りつける。レイビーク星人は何とか腕で受け止め、反撃に移る。

 

「ギギッ‼︎」

「ぐっ‼︎」

 

レイビーク星人の蹴りを食らい近くに落ちていた段ボールの山に叩きつけられるミサオ。レイビーク星人はそのまま追撃する。しかしミサオは段ボールを投げてレイビーク星人の進行を妨げる。レイビーク星人は腕で段ボール箱を振り払った隙に鋭い蹴りを放つミサオ。ミサオのキックにレイビーク星人は後ろにあったドラム缶まで吹っ飛んだ。

 

「ギギッ‼︎」

「またお前か‼︎」

 

3人目が再びミサオに蹴りを放つもミサオは受け止める。レイビーク星人が足を下ろした隙にミサオは手刀を放つ。レイビーク星人は手刀を避けるもミサオの横にいた為に彼女の裏拳を食らう。彼女は鋭い右回し蹴りを放つ。レイビーク星人はそれをまともに食らい完全にダウンする。

 

「・・・・・格闘技、習ってて良かったと思う日が来るとは・・・。」

「ノーイ‼︎」

 

ミサオは父親から格闘技を習っていた。よって人間の姿でもレイビーク星人を撃退出来たのだ。ミサオが呟きながらソウルライザーを手にした時、サチコ達が到着した。

 

「ノイズラー、マガバッサー達は⁉︎」

「この中です。突入しましょう‼︎」

 

ミサオとベニオが前に立ち銭湯に突入する。入口にいたレイビーク星人は不意を打たれるもすぐに反撃に移る。殴りかかって来たレイビーク星人にベニオは変身する隙もなくその拳をかわす。

 

「いきなりかよ⁉︎上等じゃねえか‼︎」

 

ベニオは力を入れてレイビーク星人に拳をぶつける。一度は受け止めるも2発目、3発目と続く拳の打撃に受け止める力が鈍くなる。そして5発目で受け止めきれなくなり、レイビーク星人はベニオの拳をまともに浴びる。レイビーク星人は力を秘めたその拳によって吹っ飛び後ろのドラム缶に激突した。

 

「テメェら、来るならかかって来やがれ‼︎」

 

 

 

その頃、キングジョーはチビスケがトレギアに殺されたあの倉庫付近のビルの最上階に立ちチビスケが死んだ場所を見つめていた。

 

「チビスケちゃん・・・・・。」

「随分ナイーブになっているようだね。キングジョーのお嬢さん。」

「アナタは・・・・・確か霧崎‼︎」

 

そこに後ろから霧崎が話しかけてきた。GIRLSの要注意人物にされた男を前に警戒心を見せるキングジョー。霧崎は笑みを浮かべながら言葉を続ける。

 

「おいおい、そんな警戒することないじゃないか。」

「黙りなサイ・・・・‼︎デアボリックにセグメゲルの件ではアナタが関わっていたと聞きまシタ‼︎一体今度は何を企んでいるのデスカ‼︎」

「怖いなぁ・・・。折角情報を持ってきてあげたのに・・・・。君の妹が宇宙人に誘拐されてサイボーグにされそうなのになぁ・・・・。」

「は・・・・、一体どういう事なんデスカ‼︎」

 

その話を聞いたキングジョーは霧崎に掴みかかりかねない勢いで詰め寄った。霧崎はキングジョーの表情など知らずとばかり淡々と言葉を続ける。

 

「宇宙でも悪名高い宇宙人が手を組んで恐ろしい計画を目論んでいる。その計画に君の妹も巻き込まれたのさ。・・・私の話を信じないのは君の勝手だが・・・その場合、君の妹は」

「その宇宙人達は何処二‼︎」

「確か・・・・使われなくなった銭湯をアジトにしていると噂にな」

 

霧崎の言葉を最後まで聞かずにキングジョーは飛び立った。それを見て霧崎は薄ら笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

キングジョーと霧崎が接触したことを知らない怪獣娘達はレイビーク星人と格闘を続けていた。ベニオとミサオ以外は怪獣娘に変身している。

ベニオはレイビーク星人に膝蹴りをかまして怯ませてから力を込めたパンチを叩き込む。パンチを食らったレイビーク星人はそのまま後ろに吹っ飛んだ。

一方ミサオは鋭い蹴りを何発も叩き込み、時に手刀や拳でレイビーク星人を怯ませる。彼女の攻撃でダウン仕掛けたレイビーク星人に追撃をかける。ミサオの右回し蹴りを食らったレイビーク星人は一回転した後、地面に倒れる。

その時、レイビーク星人の1人が3人を捕らえたあの銃を取り出す。銃の効果を知ってるミサオとザンドリアスが叫ぶ。

 

「皆、あの銃から放たれる光線に当たっちゃ駄目‼︎」

「銃に吸い込まれます‼︎」

 

その警告を聞いたアギラ、ミクラスは後退して光線を避ける。レイビーク星人は舌打ちして言葉を放つ。

 

「チッ‼︎」

「慌てるな。奴らを捕獲した後、我々の怪獣娘サイボーグ作戦の実験台にしてやればいい。」

「怪獣娘サ・・・、何それ⁉︎」

「怪獣娘をメカレーターに改造する計画さ。」

「リーダー‼︎それにノワール星人‼︎」

「何やら面白いことになっているじゃないか。」

 

レイビーク星人の1人の言葉に驚きを隠せないミクラスが思わず叫んだ後、ノワール星人とマントを羽織ったレイビーク星人が入ってきた。改造手術を行う部下を呼びに行ったのだ。

マントのレイビーク星人を見た他のレイビーク星人は彼に対して敬語を使っていた。どうやらレイビーク星人のリーダーのようだ。

 

「我々が誘拐した怪獣娘を改造して強化し、それぞれの星で有効活用するのさ。ここに来た怪獣娘のお嬢さん。」

「改造だと・・・・まさか、昨日死んだ恐竜戦車の怪獣娘は・・⁉︎」

「ああ、我々が改造してメカレーターにした。負担に耐えられず死んだようだがね。」

「テメェら‼︎絶対に許さねぇ‼︎」

 

その言葉を聞いベニオがレイビーク星人のリーダーとノワール星人に殴り掛かる。しかし横から他のレイビーク星人が蹴りを入れてベニオは地面に転がりながら倒れる。

 

「ぐあっ‼︎」

「レッドキング先輩‼︎」

「ししょー‼︎」

 

ミサオも2人に蹴りを入れようとするも、他のレイビーク星人がその蹴りを受け止めた。そしてレイビーク星人はミサオの足を掴みそのまま投げ飛ばす。ミサオの体は近くにあった段ボール箱の山に叩きつけられた。

 

「ぐああっ‼︎」

 

そして地面に転がるベニオとミサオを更に痛めつけようとレイビーク星人が詰め寄る。そこにキングジョーが天井の壁を突き破って降りてきた。

 

「キングジョーさん⁉︎」

「お前、何でここに⁉︎」

「・・・・・・先程の話を聞いてマシタ。全て本当の話デスカ?」

「ああ、本当さ。我々の資源として連れて行くためにな。」

「おいおい、我々の奴隷として連れて」

「黙りなサイ‼︎」

 

キングジョーの金色の獣殻が黒く染まっていく。その右腕にはペダニウムランチャーが装備された。彼女はランチャーをレイビーク星人達に向ける。その様子を見たレイビーク星人のリーダーは部下に指示する。

 

「強力な力を持った怪獣娘のようだ!必ず捕獲せよ‼︎」

『了解‼︎』

「アナタ達だけは絶対に・・・・絶対に許さないデス‼︎」

 

レイビーク星人が縮小銃を放つ前にキングジョーがランチャーをぶっ放してレイビーク星人を吹っ飛ばす。何発も発射される光弾に周りが爆発を起こし、レイビーク星人が1人、また1人と地面に倒れる。

 

『ぐあああああああああ‼︎』

「おい、止めろキングジョー‼︎」

「マガバッサー達が捕まっています‼︎彼女達まで巻き込んでしまいますよ‼︎」

 

その言葉を聞いたキングジョーは一旦連射を止める。そして無表情でノワール星人達に疑問を口にする。

 

「一体何人捕まえているんデスカ・・・?」

「い・・・・今は3人だよ。君に似た怪獣娘と青い翼を持つ」

「本当に妹を巻き込んでいたのデスネ・・・まさか・・・・・本当に・・・・よくも・・・・よくも・・・ワタシの妹をよくモ‼︎」

 

キングジョーの感情が高まったのか彼女の獣殻が黒から赤に染まっていく。そしてランチャーだった右腕は槍に変わっていた。

 

「アナタ達ダケハ・・・・・アナタ達ダケハァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

叫ぶキングジョーの目は赤くなり槍をレイビーク星人に向ける。レイビーク星人も応戦しようとするも、槍から放たれた電撃で部下のレイビーク星人は全員吹っ飛んでいった。

レイビーク星人を一通り吹っ飛ばしたキングジョーは目の前にあるものを手当たり次第に槍で斬っていく。彼女はもう理性を失っていた。妹を改造されたと思ったキングジョーはソウルライザーでも抑えきれない溢れる怒りを爆発させてしまったのだ。アギラは驚いた顔でキングジョーを見る。

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

「キングジョーさん⁉︎・・・・まさか暴走⁉︎」

「まさか・・・・この事件におジョーの妹まで⁉︎」

「キングジョーさんって妹がいるんですか⁉︎」

「ええ、彼女も怪獣娘よ。」

 

ミコの推測にウインダムが疑問を口にしてエレキングが答える。キングジョーは槍を近くにいたミクラスに向ける。

 

「キングジョーさん?・・・まさか⁉︎」

「ウ"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

 

キングジョーはミクラスに槍を向けてミクラスを斬りつけようとする。ミクラスは必死にそれを避ける。ノワール星人とレイビーク星人のリーダーはその隙を突いて隠れる。

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"‼︎」

「キングジョーさん‼︎止めてください‼︎あたしです‼︎ミクラスですよ‼︎」

「くそっ、キングジョーを止めるぞ‼︎」

「了解‼︎」

 

いつのまにか変身したレッドキングの言葉に他の怪獣娘がキングジョーに向かう。キングジョーは本能で自分に向かってくる者を確認する。すると重量系である筈の普段の彼女からは考えられない速さで怪獣娘に接近したキングジョーは1人1人槍で斬り付けていく。

 

「なっ⁉︎」

「ぐあっ⁉︎」

 

彼女の槍の斬撃は確実に怪獣娘達にダメージを与えていた。その中でもまだ軽傷だったガッツ星人とレッドキングはキングジョーに向かう。彼女達は必死にキングジョーに組み付きながら説得していた。

 

「ウ"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"‼︎」

「オジョー、まだおジョーの妹が改造されたかは分からないよ‼︎まだ無事の可能性もあるから落ち着いて‼︎」

「目を覚ませ‼︎キングジョー‼︎」

 

だが彼女達の説得も虚しくキングジョーはガッツ星人とレッドキングを振り解く。ガッツ星人を槍となった右腕で殴り、重量のあるキックで吹っ飛ばす。

 

「ウ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

「ぐあああああっ‼︎」

「ガッツ⁉︎・・・・畜生ーー‼︎」

 

レッドキングは彼女に拳を向けるも左手で簡単に拳を受け止められ槍による電撃を至近距離で食らう。電撃で吹っ飛んだ彼女は至近距離からの電撃でかなりダメージを負っていた。

 

「ウ"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

「ぐううっ‼︎」

 

次にキングジョーの目の先に写ったのはゴモラだ。彼女は槍の斬撃で脇腹に傷を負っていた。そのゴモラに急接近したキングジョーはゴモラの首を左手で掴み持ち上げる。

 

「ウ"ウ"ウ"ゥゥァ"ァ"ッ・・・‼︎」

「ぐ・・・・う・・・・。や・・・や・・・止めて。目を・・・・覚ましてよ・・・・。」

 

ゴモラの説得も全く聞こえていなかった彼女は槍を彼女の首に向ける。

 

「ゴモたん‼︎止めて、キングジョーさん‼︎」

「おジョー‼︎駄目、ゴモだよ‼︎」

「ウ"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"‼︎」

 

アギラとガッツ星人の説得も虚しくキングジョーは槍を首の位置で固定する。槍がゴモラの喉を貫こうと動いた時、ノワール星人とレイビーク星人のリーダーが出てきた扉からダッシュでキングジョーに向かう1人がいた。

 

「止めろぉぉぉぉぉ‼︎」

「ヒロキさん⁉︎」

 

それはキングジョーの幼馴染である白鳥ヒロキだった。




ウルトラマンのサブスクが出来ました。
セブンガーファイト見たい・・・・。
けどクレカ持っていないため入れない・・・。


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妹と姉(後編)

今までで1番長くなった上、遅れてしまいました。
申し訳ありません。

ちなみに前回、サブタイを探せを入れました。

『ラグストーン・メカレーター』登場


マガバッサー達がレイビーク星人に捕まった頃、ヒロキはトライスクワッドと川原に腰をかけながら話していた。

 

「ねぇ、タイガ、タイタス、フーマ、君達から見て今のクララちゃんはどう見える?」

『普段の彼女とはかなりかけ離れちまったよな・・・。』

『今の彼女の精神は危険な状態だろう・・・何らかの切っ掛けがあれば暴走の可能性も十分あり得るぞ。』

『でもよ、あの姉ちゃんの心の問題は姉ちゃん自身が解決しなきゃならねぇもんだろ・・・。俺らが出しゃばるもんじゃねぇよ。』

「それがトレギアのせいだとしても・・?」

 

ヒロキはフーマの言葉に顔をしかめる。フーマもムキにはならず言葉を返す。

 

『・・・まあ奴に大切なダチを殺されて苦しい気持ちが分からないわけじゃねぇけどよ。・・・けど、今いる奴らを真剣に見ないでただ怒り狂っても仕方ねぇだろ。』

『人によってはその気持ちに蹴りをつけるのに時間がかかる者もいる。ヒロキ、彼女は必ず悲しみと怒りを乗り越えられる。信じるんだ。私もかつて友を失った事があったが、それを乗り越え今がある。』

「タイタス・・・。」

『だからきっと彼女も乗り越えられるさ。』

『そうだぜ‼︎ヒロキ、前にゼロが言ってた。『仲間を信じるのもウルトラマンとして大事な素質』だってな‼︎」

「ありがとう、タイガ。・・・ところでゼロって誰?」

『ウルトラマンゼロだよ。ウルトラセブンの息子の。』

「ああ、成る程ウルトラセブンの・・・・・って、ええええええ⁉︎セブンってあのウルトラセブン⁉︎セブンって息子いるの⁉︎」

『知らなかったのかよ‼︎お・・タロウやウルトラ兄弟についてはそれなりには知ってる癖に・・・。』

『恐らくこの宇宙の地球には訪れた事は無いのだろう。それにしても、君はウルトラ兄弟や彼らが戦った怪獣についてはそれなりに知識があるな。』

「お爺ちゃんが昔慕っていたお兄さんがウルトラマンだったらしくてさ、結構そのウルトラマンと怪獣の戦いを見ていたらしくて。」

『なっ、マジかよ⁉︎』

『何と⁉︎君とウルトラマンにそんな縁があったとは・・・・。』

「あれ、君達に話してなかったっけ?」

『初耳だぞ、おい・・・。』

『うむ・・・。』

「・・・・・そういえば、ウルトラ兄弟で思い出したんだけどタイガってウルトラマンタロウとどんな関係?」

『⁉︎・・・何でそんな事聞くんだよ・・・‼︎』

「だって必殺技の名前もタロウと同じストリウムだし、トレギアが君に対してタロウの息子って言ってたから、前々から気になってたんだよ。タイガ、君とタロウは・・・。」

『・・・・・・。』

『タイガ、別に話してもいいのではないか?』

『このまま隠し通せるものじゃねぇだろ。』

 

タイタスとフーマの言葉で覚悟を決めた様に言葉を発しようとするタイガ。その時、彼らの頭上をキングジョーに変身したクララが通った。微かに見えた彼女の表情にただ事では無いと感じたヒロキは3人に声を掛ける。

 

「ねぇ、今クララちゃんが‼︎」

『ああ、確かに通ったぜ‼︎』

「追いかけよう‼︎彼女のあの表情、絶対に何かある‼︎」

『ああ‼︎』

『俺も追いかけた方がいいと思うぜ‼︎何か嫌な予感がする‼︎』

 

ヒロキ達はキングジョーを追いかける。やがて彼らが道に曲がったところで誰かとぶつかった。

 

「痛ぇ・・・。すみません、大丈夫ですか・・・・。」

 

しかしヒロキがぶつかったのは頭がカラスの様な妙な人間だった。それはレイビーク星人だ。レイビーク星人はヒロキに目もくれず走り去る。その姿を見てヒロキはタイガ達に声を掛ける。

 

「今のって・・・、宇宙人だよね⁉︎」

『ああ、まずいぜ・・・。奴らはレイビーク星人だ。』

「レイビーク星人?それって・・・確か。」

『ネオフロンティアスペースの宇宙人だ。何故ここに?』

『クララが飛んでいった方向と同じ場所に逃げてくぜ‼︎何か関係あるかもしれねぇ‼︎奴を追いかけるぞ‼︎』

 

フーマの声でレイビーク星人を追いかけるヒロキ。やがてヒロキはレイビーク星人達のアジトになっている使われなくなった銭湯に辿り着く。

 

「あいつら、一体ここで何を?」

『ヒロキ、アレを見ろ‼︎』

 

タイガの声を聞いてその指差す方向に顔を向けると、無数のレイビーク星人と怪獣娘達が乱闘していた。その奥には扉がある。レイビーク星人はその扉の先には行かせないとばかりに怪獣娘達と戦う。

 

「皆、僕達は裏から入ろう‼︎あの扉の向こうを確かめなきゃ‼︎」

 

ヒロキの声に頷く3人。ヒロキは銭湯の周りを歩き、何処か入れそうな裏口や窓を探す。そしてフーマが裏口を見つけ、声を掛ける。

 

『見つけたぜ!』

「ありがとう、フーマ‼︎」

 

フーマが見つけた裏口の扉を蹴って中に入るヒロキ達。するとマガバッサー、マガジャッパ、キングジョーⅡの3人の怪獣娘が鉄のベルトの様なもので拘束されており、彼らにレイビーク星人のリーダーとノワール星人が近付いていた。

 

「君達の改造手術は円盤で行おう。他の怪獣娘に嗅ぎ付けられた上、キングジョーの怪獣娘によって部下が全滅したのでね。」

「心配する事はない。君達を連れて行った後は大部隊を率いてこの星にやってくるからね。そして全ての怪獣娘をメカレーターに改造して連れて行くのさ。」

「皆、来てくれたんだ‼︎・・・・・ってキングジョーさんによってアンタ達の部下が全滅⁉︎」

「わたし達を星に⁉︎絶対に嫌です‼︎」

「やっぱり・・・・・もうワタシ達は・・・助からナイ・・・・・。」

「心配するな。やがて全ての怪獣娘がメカレーターになるのだから。」

「ふざけんなーーーーっ‼︎」

 

その時、ヒロキはレイビーク星人のリーダーとノワール星人に飛び蹴りを仕掛ける。2人にはかわされたが、ヒロキは捕われた3人を守るように立ちはだかる。

 

「話はよく分からないけど、僕の友達のラハナちゃんに物騒なことをするな‼︎」

「ヒロキさん⁉︎」

「どうしてここに⁉︎・・・・それよりもここは危険です‼︎早く逃げてください‼︎」

「ありがとう、心配してくれて。でもこんな状況で逃げる程僕は臆病者じゃないから‼︎」

 

ヒロキは右足でレイビーク星人のリーダーにキックを仕掛ける。しかし、レイビーク星人はジャンプし、体を空中で一回転させてヒロキの後ろに着地と同時に右回し蹴りを放つ。その回し蹴りでヒロキはふらつくも体勢を整える。

 

「くっ‼︎」

 

レイビーク星人が突撃してきた時、ヒロキは少し体勢を低くしてレイビーク星人の腹にパンチを放つ。腹の真ん中に打たれたその拳にはレイビーク星人も流石に応えたのかふらつき始める。追撃をしようとするヒロキに後ろからノワール星人がヒロキの首を右腕で締め、近くにあったテーブルに叩きつける。テーブルに背中をついたヒロキにノワール星人が拳を叩きつける。思った以上に力が強いその拳にヒロキも咳き込んでしまう。

 

 

「 ぐっ、ゲホゲホ!」

 

更にダメ押しをしようとノワール星人は拳をヒロキの腹に落とそうとする。ヒロキはさっきの一撃が来ると感じ、横に回転してその拳をかわす。立ち上がったヒロキはノワール星人の胸に右、左、右と3発のパンチを叩き込むも、屈強なその体にはビクともしない。

 

「無駄だ、地球人では我々ノワール星人には勝てない。」

 

4発目のパンチを受け止めたノワール星人はヒロキの腕を捻り、近くにあった段ボールの山に投げつける。そこに回復したレイビーク星人がヒロキに迫り、彼が立ったと同時に彼の腹に膝蹴りをする。

 

「さっきの仕返しだ‼︎」

 

レイビーク星人の膝蹴りをまともに食らったヒロキ。しかしヒロキはレイビーク星人を睨みながら立ち上がり、その顔に拳を叩き込む。

 

「だぁっ‼︎」

 

突然のその一撃にレイビーク星人は手で殴られた部分を押さえながら後退する。ヒロキは立ち上がると同時にレイビーク星人に膝蹴りからのストレート、そして回し蹴りを食らわせる。レイビーク星人が吹っ飛んだ先にノワール星人もあり、彼らは衝突して壁にぶつかった。その隙を突き、ヒロキは力を込めたキックを2人に放つ。ふらつき始める2人。

 

「うおりゃああああぁぁ‼︎」

「「ぐあああああぁぁぁぁぁ‼︎」」

 

2人が何かの機械にまで走ると勢いよく2人に蹴りを放つ。そして2人が機械に激突したと同時に火花が散り、火花に焼かれた2人の宇宙人は更にダメージを負う。その時、3人の怪獣娘を拘束していたベルトが外れ、彼女達は自由の身になった。

 

「ヒロキ兄さま、強い・・・・。」

「マジで凄え・・・・って外れた‼︎」

「早く脱出しないと!」

 

彼女達が脱出の準備をしていると扉からミクラスの声が聞こえてきた。声の内容にヒロキ達は驚いた。

 

「キングジョーさん‼︎止めてください‼︎あたしです‼︎ミクラスですよ‼︎」

「今のってミクラスさんの声だよね⁉︎」

「キングジョーさんに一体何が‼︎」

「僕が見てくるよ‼︎」

 

そう言ってヒロキは扉まで走る。そこに待ったを掛けたのはキングジョーⅡだ。その後ろからマガバッサーとマガジャッパもついている。キングジョーⅡは2人を見て言葉を放つ。

 

「ワタシも・・・いえ、ワタシ達も連れて行って下サイ‼︎姉さまがもし苦しんでいるなら・・・ワタシも力になりたいデス!」

 

キングジョーⅡの言葉にヒロキは頷き、扉を開ける。するとそこにはゴモラの首を掴み持ち上げる赤いキングジョーの姿があった。信じられない光景に4人は驚いていた。

 

「キングジョーさん‼︎ゴモラさんに何してんの⁉︎」

「ふえええぇぇ⁉︎」

「まさか・・・・姉さまは暴走してイマス‼︎」

「ええっ‼︎」

 

やがてキングジョーは槍となった右手を首の位置で固定し、ゴモラの喉を貫こうと動く。それを見たヒロキはすかさず飛び出して行った。

 

「止めろぉぉぉぉぉ‼︎」

「ヒロキさん⁉︎」

「ちょっ⁉︎ヒロキさん‼︎」

「危ないですよ‼︎」

 

ヒロキはキングジョーに突進した。勢いの強い突進にキングジョーはゴモラを離す。解放されたゴモラは咳き込みながらヒロキに逃げるよう言う。しかしヒロキはキングジョーに正面から向き合い言い返した。

 

「ゲホゲホ・・・・どうしてここにいるの・・・って危ないから早く逃げて‼︎今、彼女はキンちゃんは暴走しているんだから‼︎」

「逃げられないよ‼︎今のクララちゃんを放って置いたら僕は一生後悔する‼︎」

「ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

 

キングジョーはヒロキを標的に捉えたのかヒロキに槍を向ける。ヒロキはキングジョーに優しく語りかける。

 

「クララちゃん、辛かったよね。チビスケを殺されてさ。僕もかなり辛かった。だから」

 

キングジョーはヒロキの言葉に耳を傾けず槍を構える。その時、3人かゴモラに駆け寄った。

 

「ゴモラさん‼︎」

「大丈夫ですか⁉︎」

「バッサーちゃんにジャッパちゃん‼︎無事だったんだね。そして君がキンちゃんの妹の・・・。」

「はい・・・、もしかして・・・姉さまは・・・。」

「君が宇宙人にサイボーグに改造されたと思って暴走しちゃったんだよ。」

「ワタシの・・・・ワタシが宇宙人に捕まったせいで・・・姉さまハ・・・。」

「違うよ‼︎」

 

ヒロキはキングジョーの方を見ながらキングジョーⅡに語りかける。

 

「悪いのは君達をサイボーグに改造しようとしたあの宇宙人達だ‼︎君が責任を感じる事はない‼︎きっとクララちゃんはまた大切な者を奪われたと思った‼︎その怒りを抑えられず暴走してしまったんだ‼︎けど君も一緒に呼び掛ければきっと」

「ウ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

 

ヒロキが言葉を放つ前にキングジョーがヒロキに近づく。キングジョーはヒロキの胸に槍を構える。アギラとエレキングがヒロキに呼び掛ける。

 

「これ以上は危険だよ‼︎お願いだから離れて‼︎」

「もう彼女を止めるのは無理よ‼︎あなたは離れなさい‼︎」

「絶対に嫌だ‼︎ここで何もしなかったら絶対後悔する‼︎僕は絶対諦めない‼︎・・・クララちゃん、辛かったよね、苦しかったよね。チビスケはもういないけど、君の妹は無事だよ。だから目を覚まして‼︎クララちゃん‼︎」

「ウ"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎」

「危ない‼︎」

『よせ、ヒロキ‼︎』

 

キングジョーの右手の槍『ペダニウムランサー』が突き出されヒロキの胸に貫通したと誰もが思っていた。しかし、その槍はヒロキの脇腹を掠っただけだった。ヒロキはキングジョーを抱きしめて優しく語りかける。キングジョーの動きが収まっていく。

 

「ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"」

「クララちゃん、チビスケを失った苦しみと悲しみだったら僕も一緒に抱えるよ。僕は君の辛い感情全部受け止めるから。・・・だから戻ってきて。君の居場所はここだから。」

「ウ"ウ"ウ"ウウウ‼︎」

「姉さま‼︎」

 

そこにキングジョーⅡもキングジョーに駆け寄り姉を優しく抱きしめる。彼女もキングジョーに語りかけた。

 

「姉さま、御免なサイ。いつも・・・迷惑をかけテ。ワタシのせいで暴走してしまって・・・・暴走する姉さまを怖がって何も出来なくて・・・でも暴走する姉さまに向き合い逃げなかったヒロキ兄さまを見てワタシも勇気が出たから・・・、ワタシも姉さまが抱える苦しみを一緒に抱えるから・・・だってワタシ達姉妹だから・・・お互い苦しい事があったらいつでも助け合うカラ・・。だから戻ってきて姉さま‼︎」

「・・・・・ヒロキ・・・・・ラハナ・・・・。ラハナ・・・・無事だったのデスネ・・・。」

 

妹の思いが決め手となりキングジョーの意識が戻る。ヒロキとキングジョーⅡが顔を見合わせてキングジョーに話しかける。

 

「クララちゃん‼︎」

「元に戻ったのデスネ‼︎」

「はい・・・・ワタシ、うう・・・・うわあああああああん‼︎」

 

元に戻り周りを見渡して何があったのか察したキングジョーは泣き出した。

 

「大丈夫だよ、クララちゃん。皆ちゃんと分かってるから。」

「ここにいる人達は全員姉さまを心配してくれた人達だから、だから顔を上げて下サイ、姉さま。」

 

その場にいた怪獣娘がキングジョーに駆け寄る。レッドキング、ガッツ星人、ゴモラが彼女に語りかけた。

 

「良かったぜ、お前が元に戻って。」

「一時期はどうなるかと思ったよ。今度、ご飯奢ってよ、おジョー。」

「いやー、でも滅多に戦う機会がないキンちゃんと戦えて良かったよ。」

「レッドキング・・・・・、ガッツ・・・・・。ゴモラ・・・・本当に御免なサイ・・・・。」

「ここにいる人達全員が気にしてませんから・・・だからキングジョーさんも抱え込みすぎちゃ駄目ですよ。」

「アギラちゃん・・・・・ワタシ、大事な事を忘れていまシタ・・・・。許されないのは分かってイマス。でもやっぱり言わせて下サイ。皆さん本当に御免なサイ。ワタシはモデルどころか怪獣娘失格デス・・・。」

「大丈夫ですよ‼︎あたしだって大怪獣ファイト前に大怪我して、それでもデビューできたんです‼︎キングジョーさんだってやり直せますよ‼︎」

「ミクラスちゃん・・・ありがとうございマス。」

 

顔を見合わせ笑顔を浮かべるマガバッサーとマガジャッパ。彼女達にレイビーク星人が縮小化銃を持って近づく。ヒロキはそれを察して彼女達に向かって走り出し、レイビーク星人に飛び蹴りを仕掛ける。

 

「グエッ⁉︎」

「こいつ、まだ‼︎2人とも大丈夫⁉︎」

「はっ、はい‼︎」

「当たり前だ‼︎我々の作戦はまだ終わっていない‼︎ここにいる怪獣娘全員捕まえてメカレーターにしてくれるわ‼︎」

 

そう言って縮小化銃を構えるレイビーク星人。レイビーク星人が引き金を引く前に縮小化銃を持った手にキックを放ち縮小化銃を叩き落とすヒロキ。ヒロキは地面に落ちた縮小化銃を蹴ってレイビーク星人から引き離す。レイビーク星人は取りに行こうと駆け出すもその前にキングジョーⅡの足が縮小化銃を踏みつけた。重量を持つ踏みつけに縮小化銃は壊れてしまう。驚くレイビーク星人にヒロキが右ストレートを放つ。それはレイビーク星人の顔面に命中する。レイビーク星人は何とかかわすもヒロキと向き合った時、顎に強い衝撃を感じた。ヒロキのアッパーをまともに受けたのだ。レイビーク星人はそのまま後ろに倒れる。

 

「グエエッ・・・己、こうなれば‼︎」

 

レイビーク星人は右腕に取り付けた謎の装置を使い、その場から消える。怪獣娘とヒロキはその姿を追って銭湯を出る。

 

「おい、あれを見ろ‼︎」

 

レッドキングの指差す方に顔を向ける怪獣娘とヒロキ。すると街の上空に円盤が出現した。ノワール星人の宇宙船だ。

 

「メカレーター、起動‼︎怪獣娘を何としてでも奪うのだ‼︎」

「グオオオオオオ‼︎」

「怪獣⁉︎」

 

その時、メカニカルな装甲が張り巡らされた赤い一つ目の怪獣か円盤から現れた。足が刺々しいオレンジ色のその怪獣は『ラグストーン・メカレーター』。人間の感情を奪う催眠魔獣『ラグストーン』を改造した怪獣である。ラグストーンは肩に着いた赤い発光気管から破壊光線を放つ。彼女達は直ちにその攻撃を避ける。そのうち、ヒロキは彼女達とは分かれていた。今がチャンスだと思ったヒロキは右腕にタイガスパークを出現させる。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガが街に降り立ち、ファイティングポーズを決める。ラグストーンはタイガを認識するとタックルの姿勢を見せる。

 

「シャアッ‼︎」

「グオオオオオオオ‼︎」

「ウルトラマンか‼︎我々の計画を邪魔した忌まわしき存在・・・ここで消し去ってくれる‼︎」

「ティガと同じ我々の同胞を葬ったウルトラマン・・・・。ラグストーンには貴様は勝てんわああああ‼︎」

 

ラグストーンかタックルを仕掛けてきた。タイガは側転して避け、ラグストーンにパンチを打ち込む。しかしラグストーンの機械化された装甲には大したダメージを与えられなかった。タイガは再び1発、2発、3発・・・・と連続でボクシングのようにパンチを打ち込む。しかし、ラグストーンには効かなかった。

 

(何で硬い怪獣だ‼︎)

『クソッ、それならこれでどうだ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

〈ギャラクトロンリング、エンゲージ!!〉

 

タイガは魔法陣からモンスビームレイを放つ。魔法陣から発射された光線は直撃するもラグストーンは平然としている。そしてタイガにタックルを仕掛けてきた。ラグストーンのタックルでタイガの体は大きく吹っ飛んで後ろのビルに叩きつけられる。

 

『ぐうっ⁉︎』

(凄いパワーだ・・・。)

 

ラグストーンの肩の発光部分から赤い光線が放たれた。立ち上がったタイガはまともに食らい地面に膝をつく。その隙を突いてラグストーンが再びタックルでタイガを吹っ飛ばした。

 

『ぐああああああああ‼︎』

『私に任せろ‼︎奴のパワーに対抗するなら私が行くしかない‼︎』

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

タイタスはラグストーンに向き合う。ラグストーンは再びタックルを放つ。

 

『来い‼︎』

 

タイタスの馬鹿力はラグストーンの突進を受け止めた。両者はそのまま取っ組み合いになる。やがてタイタスか押し勝ちラグストーンを後ろに倒した。再び起き上がるラグストーンに拳を打ち込むタイタス。ラグストーンは1発、2発、3発と食らうたびに後ろに後退していく。

 

「ふん!ふん‼︎ふん!!!」

 

やがて4発目の拳で完全に背中が地面に付いた。再び起き上がったラグストーンにタックルを放つ。タイタスの右肩のタックルはラグストーンを再び地面に付けた。このまま追撃しようとするタイタスの真上にノワール星人の円盤が現れる。そして円盤から電撃のシャワーが放たれた。

 

『ぬっ⁉︎ぐおおおおお‼︎』

「ハッハッハ、苦しむがいい、ウルトラマン‼︎」

 

電撃のシャワーで苦しむタイタスにラグストーンがタックルを仕掛ける。そのタックルはタイタスを吹き飛ばした。

 

『ぐうっ⁉︎・・・卑怯な手を‼︎』

 

再び起き上がるタイタスに円盤が真上から電撃のシャワーを浴びせる。その隙にラグストーンが再びタックルでタイタスを吹き飛ばした。その卑怯な戦いに憤りを感じる怪獣娘達。

 

「あいつら、卑怯な真似を‼︎」

「何とかしてウルトラマンさんを助けないと‼︎」

「ではワタシが行きまショウ‼︎妹が世話になりましたカラネ‼︎」

「姉さま、待って‼︎」

「?」

「ワタシとマガバッサーとマガジャッパが行ク。2人も・・・いいですヨネ。」

「勿論‼︎わたし達もあいつらに目に物見せてやる‼︎」

「わたしを置いて行かないでよ‼︎」

 

3人はノワール星人の円盤に向かって飛び上がる。飛行能力を持たないマガジャッパはマガバッサーの足に捕まっていた。ノワール星人の円盤に攻撃して中に突入する3人。やがてコックピットに辿り着いた3人は戦闘態勢を取る。

 

「よくも好き勝手にやってくれたな‼︎」

「あなた達の思い通りにはさせません‼︎」

「まさか・・・・乗り込んでくるとは。我々は絶対に計画を成功させるのだ‼︎」

 

ノワール星人は額の発光気管から光弾を放つ。マガジャッパの手から放たれた泡がそれを受け止める。

 

「何っ‼︎」

「驚いている暇はないデス。」

「なっ、ぐわああああああ⁉︎」

 

驚くノワール星人の後ろにキングジョーⅡが回り込む。キングジョーⅡの至近距離からの光線がノワール星人を吹っ飛ばした。レイビーク星人はマガバッサーと格闘戦を繰り広げていた。しかし、縮小化銃を失い、飛行能力を持つマガバッサーにレイビーク星人は押され始める。

 

「何という戦闘力だ‼︎こいつらを星に連れて帰り我らの新たな奴隷に出来たらレイビーク星は更に発展するぞ‼︎」

「ふざけんな‼︎他の人を奴隷にするなんて許される訳あるか‼︎」

 

マガバッサーは飛び上がりながら蹴りを放ちレイビーク星人を壁まで飛ばす。壁に激突したレイビーク星人に空気の刃を放つマガバッサー。レイビーク星人は避けるも後ろにあった機械に命中し、円盤のシステムがダウンし始める。

タイタスに降り注いでいた電撃のシャワーか止まる。電撃から解放されたタイタスは渾身の1発をラグストーンに叩き込む。

 

「ふん‼︎」

「グオオオオオ⁉︎」

 

円盤内での戦いにも決着がつこうとしていた。怪獣娘の攻撃に体力を消耗したレイビーク星人とノワール星人は並び立つ。マガバッサー、マガジャッパ、キングジョーⅡはそれぞれ空気の刃、水流、熱線を放ち2人の宇宙人を吹き飛ばした。

 

「ぐああああああ‼︎」

 

その衝撃で彼らが腕に取り付けていた腕輪型の転送装置が壊れる。また激しい戦いの影響で円盤が爆発しようとしていた。

 

「こうなれば・・・貴様らも・・・道連れに・・・・。」

「・・・そうはさせない。」

「ゼットンさん⁉︎」

 

3人を捕まえて道連れにしようとするノワール星人の前にゼットンが現れた。ゼットンは自分と3人をバリアで包むとテレポートで円盤から脱出する。

 

「待て‼︎・・・・我々も・・・・・連れて行け‼︎」

 

レイビーク星人の言葉も虚しく4人の怪獣娘は円盤から消えた。そして円盤が大爆発を起こす。

 

「「ぐああああああああああああ‼︎」」

 

その頃、タイタスとラグストーンの戦いにも決着がつこうとしていた。ヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

〈エックスレット、コネクトオン‼︎〉

 

『(エレクトロバスター!!)』

 

タイタスの放つ電撃の光弾はラグストーンの機械化された部分をショートさせる。続いてタイタスは力をチャージする。

 

〈カモン!〉

 

〈ジードレット、コネクトオン!!〉

 

『(レッキングバスター!!)』

 

闇の力で破壊力が増したその光弾はラグストーンを木っ端微塵にした。やがてラグストーンか完全に倒された事を確認するとタイタスは空に飛び去っていった。

 

 

 

 

 

 

「皆さん、本当に御免なサイ‼︎今まで迷惑かけテ‼︎」

 

キングジョーは今もその場にいた怪獣娘に頭を下げていた。その場にはピグモンもいる。

 

「キンキンが元に戻って良かったです。でも、キンキンは余りにも荒れすぎました。よって今までのモデル活動は暫く停止になります。」

「それはいくら何でもあんまりじゃないですか‼︎」

 

ピグモンの言葉にヒロキは抗議を立てる。エレキングはヒロキに向き合い言葉を放つ。

 

「キングジョーはモデルとしても活動してる。彼女は自身の行動に責任を持たなければいけない立場であるにも関わらず、余りにもシャドウとの戦闘で周りに被害を出したり、撮影のスタッフに迷惑をかけた。モデル活動の停止は免れないわ。」

「だからって‼︎」

「いいんデス、ヒロキ。」

 

エレキングに抗議の声を上げるヒロキをキングジョーが制止する。

 

「チビスケちゃんの件以来、ワタシは大切な事を見失い周りに迷惑を掛けすぎマシタ。モデルとして周りの人達を笑顔にしたいと思っていたノ二・・・・。モデル活動が謹慎というのならワタシはそれを受け入れマス。」

「クララちゃん・・・。」

「でも、ワタシは諦めた訳ではありまセン。必ずモデルキングジョーとして皆さんの前に帰ってくると決意しまシタ‼︎だから、ワタシはもう一度やり直すつもりデス‼︎やり直してもう一度モデルとして舞台に立って見せマス‼︎」

「流石、姉さま・・・‼︎」

 

キングジョーの決意に妹が歓喜を上げる。ヒロキは決意を固めた幼馴染に向き合った。

 

「だったら僕はそれを応援するよ‼︎頑張って、クララちゃん‼︎」

「ヒロキ・・・・ありがとうございマス‼︎」

 

そう言ってキングジョーはヒロキに抱きついた。思わぬ展開に顔を赤くするヒロキ。

 

「(む、胸が・・・滅茶苦茶柔らかい・・・・ってそうじゃなくて‼︎)ちょっ、クララちゃん、恥ずかしいよ‼︎皆いるのに‼︎」

「いいじゃないデスカ‼︎」

「・・・・・お取り込み中のところ申し訳ありませんがヒロキさん、貴方にもお話があります。」

 

ピグモンがヒロキに話しかける。キングジョーはヒロキを離すとヒロキはピグモンに向き合った。

 

「ヒロキさん、この度はバサバサ達だけじゃなく、キンキンの事も助けて下さってありがとうございます。」

「いえ、僕は何も・・・。」

「何言ってるんですか⁉︎あの時、ヒロキさんが来てくれたからわたし達助かったんですよ‼︎」

「そうですよ、自信持って下さい‼︎」

「マガバッサーさん・・・マガジャッパさん・・・。」

「今回の件でヒロキさんをGIRLSに入れたいと思いました。ヒロキさん、GIRLSに入ってくれませんか?」

「ええっ⁉︎僕がGIRLSにですか⁉︎でも、僕は」

「大丈夫です。GIRLSには男性の職員もいますし、女性職員も全てが怪獣娘である訳ではありません。普通の人間も沢山います。」

「いや、そうじゃなくて・・・何で僕なんですか⁉︎」

「最近地球からいなくなった筈の怪獣や宇宙人が現れる事件が多発しています。ヒロキさんは2人の宇宙人相手に戦ったり、暴走した怪獣娘にも臆する事なく向き合いました。ヒロキさんのような人が必要なのです。ですから・・・GIRLSに入っていただけないでしょうか?」

「・・・・少し時間をください。」

 

そう言ってヒロキは去っていった。その後、自宅でヒロキはトライスクワッドの3人と相談をしていた。内容はGIRLSに入るか否かだ。

 

「君達は賛成?それとも反対?」

『正直言って俺は反対だ!俺らの関係があの姉ちゃん達にバレたら怪獣娘達は更に危険な目に遭うぜ‼︎』

『フーマ、彼女達は普段からシャドウと呼ばれる謎の敵と戦っているようじゃないか。彼女達ならどんな敵が来ようと大丈夫だろう。私は反対しないぞ。』

『別にいいんじゃないか、俺の親父も地球にいた頃は防衛組織にいたって話を聞いたからな。ヒロキ、お前の意思に任せるよ。』

「・・・・・僕は・・・・・。」

 

タイガの言葉でヒロキは覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

その翌日、GIRLS本場前にヒロキは立っていた。そこにピグモンとキングジョーがやって来る。

 

「ヒロキさん‼︎」

「ヒロキ、決意は決まったのデスカ?」

「ああ、僕はGIRLSに入るよ!僕が怪獣娘達の為に出来る事があるなら何だってやってみせるさ‼︎」

「本当デスカ⁉︎Thank youデース、ヒロキ‼︎」

 

ヒロキの答えを聞いたキングジョーがヒロキに抱きつく。顔を赤くしながらヒロキはピグモンに決意を語る。

 

「こ、これから僕に出来る事は何でもやっていきますのでよろしくお願いします‼︎・・・クララちゃん、離れてよ⁉︎」

「嫌デース!」

「では宜しくお願いしますね〜、ヒロヒロ。」

「嫌って何で・・・・ヒロヒロって僕のこと⁉︎」

 

ピグモンから付けられた渾名に困惑するヒロキをよそにキングジョーは決意する。

 

(ヒロキ、ありがとうございマス。ワタシはアナタのお陰で目が覚めまシタ。これから一緒に頑張りまショウ。天国のチビスケちゃんが安心してワタシ達を見てくれるように・・・・・。)

(それから・・・・あの時、ワタシを抱きしめてくれたあの時から更にこの思いが強くなりマシタ。ヒロキ、アナタの事が大好きデス・・・・・。)




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+フーマ)
『太古の伝説が残る地図から消された村、九頭流村。とある調査でこの村にやって来た怪獣娘達は謎のネットアイドルと出会う。しかしそこには彼女を利用した恐怖の計画が蠢いていた‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


魔の山へ!!


金髪野郎、覚悟しな‼︎俺はお前より速えぞ‼︎』


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魔の山へ‼︎(前編)

ホラー苦手そうな怪獣娘って誰がいると思います。
レッドキング先輩は確実にホラー苦手だと思いますが。


とある山に巫女服の女がいた。その視線の先には巨大な何かがいた。その時、空に金色のオーロラが広がった。オーロラは巫女まで降りると黄金に輝く剣に変化した。巫女はその剣を受け取り、一振りすると彼女はその剣を何かに投げつける。剣は何かを貫き後ろにあった岩山に刺さると何かは絶叫を上げていた。

 

「ギアアアアアァァァァ⁉︎」

 

そして何かの後ろの岩山が二つに割れ、何かは岩山の中に封じ込められていった。それを見た巫女は振り返り、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は変わって現代、GIRLS本部では怪獣娘とヒロキが会議室に集まっていた。トモミが皆を集めた理由を話す。

 

「皆さ〜ん、今日は集まってもらってありがとうございます。実は3日後皆さんにある山の調査をしてもらいたくてここに集まって貰いました〜。」

「ある山の・・・調査ですか?一体どうして?」

 

レイカが疑問を口に出すとトモミはモニターに山の映像を写す。

 

「この山は今はもう村人がいない筈の村なのですが、この山を訪れた人が揃いも揃って『怪しい人影を見た』、『古い格好の生気のない村人がいた』などの証言があります。地元の人々も滅多に近づかない魔の山と言われているくらいです。しかし、地質調査などのやむを得ない理由で訪れた人達があの山を『もう近づきたくない』と口を揃えて言っています。」

「全員が⁉︎・・・確かに妙ですね・・・。」

「この山には何か秘密があるかもしれないと踏んだGIRLSは調査を決行しました。調査に辺りチームを2つに分けたいと思います。まずは山に登って直接調べるチーム。2つ目は麓に残り、山に登ったチームに万が一の事があった時に備えるチームです。」

「だったら、僕は山に登って直接調べます‼︎山に登るチームに加えて下さい‼︎」

「お、おいおい⁉︎山に何が待ち構えているのか分からねぇんだぞ‼︎それでも行くのかよ⁉︎」

 

トモミの案にヒロキは進んで山を登るチームに立候補し、それをベニオが制止する。ヒロキはレッドキングを見据えて発言する。

 

「大丈夫です‼︎行きます‼︎」

「ヒロキが行くならワタシも行きマス‼︎ヒロキの指導係はワタシデスカラ‼︎」

 

今、GIRLSに入って間もないヒロキの面倒を見る指導係はクララである。彼女自身の希望と新しくGIRLSに入った新人であるヒロキの指導係をするクララを見て他の人達からのクララの信頼を取り戻すというトモミの計画もあり、ヒロキの指導係はクララが当てられた。

 

「分かりました。希望が強いようですし、ヒロヒロとキンキンは山を登るメンバーに加えましょう〜。」

「ありがとうございます‼︎」

「出発は3日後です〜。それまでにメンバーを決めますので希望がある方は申し出て下さ〜い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3日後、その山にヒロキは怪獣娘と一緒に来ていた。山に登るメンバーはヒロキ、キングジョー、アギラ、エレキング、レッドキング、ゴモラに決まり、残りのメンバーは山の麓で待機する事になった。ヒロキは山に登る前に疑問に思った事をキングジョーに質問する。

 

「この山についてなんだけど・・・・本当にあると思う?地図から消された村なんてさ。」

「今は何とも言えまセン。けど、この山にはかつて村があったというのは本当の様デス。」

 

3日間の調査で目的地について調べた結果、かなり曰く付きの山だった事が発覚したのだ。アギラが村の伝説を話してレッドキングが震える。

 

「昔、空から舞い降りた赤目様という村の守り神の為に村に訪れた旅人を生贄にしていた・・・・。けど不審に思った旅人達はいつしか村を訪れなくなって・・・・やがて村人自身を生贄にする様になり、1人、また1人と村人が生贄にされ続け、生贄がいなくなった村は滅びた・・・。・・・・噂じゃ生贄になった村人の霊が・・・。」

「おい、アギラ‼︎それ以上はよせ‼︎」

「レッドキングさん、もしかして幽霊とか・・・」

「何言ってんだ‼︎俺は怪獣娘だぞ‼︎ゆ、ゆ、ゆ、幽霊なんか怖いわけねぇじゃねぇか‼︎」

 

アギラの指摘に声を震え上がらせるレッドキング。エレキングも表情からは分からないが、少し体が震えており、今の話を怖がっている事が伺える。そんなエレキングにマガバッサーが話しかける。

 

「先輩、少し震えてません?」

「何言ってるの‼︎幽霊なんて怖い訳ないわ‼︎そもそも現代において幽霊なんて馬鹿げてるわよ‼︎」

 

声を荒げるエレキングにヒロキは不安を感じていた。怪獣娘が2人も村の伝説を聞いて怖がっていたのだ。この先何があるか分からないと思ったヒロキはレッドキングとエレキングに提案する。

 

「レッドキングさん、エレキングさん、山の麓に残るメンバーの中の誰かと交代しますか?そうすれば」

「何言ってんだ‼︎行くに決まってんだろ‼︎今更後戻りは出来ねぇしな‼︎」

「そうよ、べ、別に怖い訳じゃないわ‼︎だから、余計な気遣いは無用よ‼︎」

 

ヒロキの提案をムキになりながら否定して却下する2人。そんな2人にガッツ星人が話しかける。

 

「レッド、エレ、無理しなくていいから、わたし山に登ってもいいよ。2人のどっちかわたしと交代しない?」

「・・・・・そうね。私は戦闘タイプじゃないし、村で何があるか分からないから言葉に甘えさせてもらうわ。」

「へっ、怖気ついたのかよ‼︎エレ‼︎」

「そういう貴方こそ、さっきから足が震えているわよ。怖気ついているのは貴方の方じゃないかしら。」

「てめえ‼︎もう一編言ってみろ‼︎」

「ストップ‼︎ストーップ‼︎2人とも喧嘩は止めて‼︎」

 

一触即発になりかけた2人に割って入り制止するゴモラ。ゴモラはレッドキングに向き合って話しかける。続いてマガバッサーもレッドキングに提案した。

 

「レッドちゃんもムキにならないで‼︎意地張らないで誰かに代わって貰えば!」

「わたしもガッツさん同様、山に登っても大丈夫ですよ‼︎」

「いや、いい‼︎待機してるなんて俺の性に合わねぇ‼︎だから登る‼︎」

 

レッドキングは意地を貼り続け登ると言い切った。ここまで頑固に意地を張ったらもう彼女は止められない。山に登るメンバーからエレキングが外れて代わりにガッツ星人が加わった。山に登るメンバーを変更して再び山に登ろうとした時、山菜狩りに出ていたのか鎌を持った籠を抱えた1人の初老の男性が焦りながら怪獣娘達に声を掛ける。

 

「この山に入ってはいかん‼︎山の中にある九頭流村には悪魔がおる‼︎いくら怪獣娘でも危険じゃ‼︎」

「大丈夫ですよ‼︎わたし達タフですから‼︎」

 

ゴモラが初老の男性に対して言葉を返したところで彼女達は山に登っていった。やがて登っている途中で黒い車を発見する。そのそばにはスーツを着た小太りの男性と黒いゴスロリで紫に髪を染めた右目に眼帯をつけた少女がいた。2人はヒロキ達に気づき声を掛ける。

 

「あれ、誰かいる?」

「おやおや、皆さんは?」

「国際怪獣救助指導組織通称『GIRLS』の怪獣娘です。この山に調査の為に訪れました。」

「ああ、GIRLSの皆さんですか。・・・おお、モデルのキングジョーさんじゃないですか‼︎TV見ましたよ、暫く活動を休止するそうで・・・少し残念です・・・。」

「Sorryデース・・・色々ありまして・・・。」

「そして、大怪獣ファイト初代チャンピオンのレッドキングさんに大人気ファイターのゴモラさんにあらゆる分野で活躍するガッツ星人さんも‼︎・・・・・ここでお会い出来て光栄です。」

「ど、どうも・・・。」

 

アギラが男の質問に答えた。男は世間でも大人気の怪獣娘に挨拶する中、ゴスロリの少女は嬉しそうに話す。

 

「やっぱりあたしの霊能力者としての直感は正しかったんだ‼︎GIRLSまで動くって事はここには確実に何かある‼︎」

「あの・・・彼女は?」

「電波系霊能力アイドル『天王寺藍』。私達は撮影の為に訪れました。私は彼女のプロデューサーですよ。」

 

プロデューサーと名乗った男は名刺を渡しながらガッツ星人の質問に答える。その一方で彼女の名前を聞いたキングジョーとヒロキはソウルライザーで目の前のアイドル『天王寺藍』の事を調べていた。

 

「あー、これか・・・。電波系霊能力アイドル『天王寺藍』。アクセス回数はかなり微妙で・・・・動画の内容は・・・・・ヤバいでしょこれ‼︎」

「何何、罰当たりシリーズ『廃病院で踊ってみた』、『呪いの人形の髪を染めてみた』、『墓場でキャンプをしてみた』・・・・本当に罰当たりデース‼︎」

「ええっ⁉︎本当にそんな動画撮っているんですか⁉︎」

「うん・・・これ・・・・。」

 

アギラの質問にヒロキはソウルライザーを見せる。他の怪獣娘も揃ってその動画を覗くと彼女達も沈黙した。その動画は夜の廃病院でダンスをしたり、明らかに怖い髪の長い人形の髪を緑に染めたり、夜の墓地にテントを張る藍の姿があったからだ。やがてガッツ星人が口を開く。

 

「罰当たりだし・・・・本当に不謹慎だよ・・・。」

「しかも『呪った直後にお祓いしちゃうぞ!』って一体何がしたいんだよ・・・。」

「あたしの決め台詞だよ。アイドルにはキャッチフレーズが必要でしょ!」

「まさかこの山に訪れたのもこんな感じの動画を撮る為⁉︎」

「そうだよ‼︎」

「止めておいた方がいいですよ‼︎この山に何があるか分からないんですから‼︎」

「何言ってるの⁉︎この先に行けばアクセス回数を増やせるんだから!」

「ゴモラさん、レッドキングさん、飛び入りゲストとして出てくれませんかね。」

「「ええっ⁉︎」」

 

レッドキングが彼女のアイドルとしてのキャッチフレーズに困惑する中、アギラが説得を試みるも彼女は聞く耳を持たず行くと言って聞かなかった。プロデューサーもレッドキングとゴモラに出演交渉を持ち掛け始めた中、ヒロキが提案する。

 

「クララちゃん、いっその事、一緒に行動した方がいいんじゃないかな?どっちにしろ、僕達と行き先は同じだと思うから。」

「・・・・仕方ないデスネ。プロデューサーさんもゴモラとレッドキングに出演交渉してマス。アギラちゃん、ガッツ、ピグモンに連絡して下サイ。」

「ちょっとオジョー、本気⁉︎」

「この際、やむを得ないでショウ・・・。」

「分かりました、連絡します。」

 

アギラがソウルライザーで麓にいるピグモン達に連絡する中、レッドキングとゴモラは折れた表情でプロデューサーに言葉を放つ。

 

「ああ、もう分かりましたよ‼︎・・・・けど、俺達は調査で来ている以上、何かあったらそっちに回りますから‼︎」

「それと緊急事態の時はわたし達に従って‼︎それが条件だよ‼︎」

「ありがとうございます。ではよろしくお願いしますよ。」

 

 

 

『はい、というわけで今回の配信にはあの大怪獣ファイト初代チャンピオンのレッドキングさんと人気ファイターのゴモラさんも来てるよー‼︎』

『『ど・・・どうも。』

『彼女達GIRLSもこの山の異変を察知していたみたい‼︎行き先も同じと分かったからには彼女達と一緒にこの山の先にある九頭流村まで行くからー‼︎』

「レッドン達も大変ですね・・・・。」

 

その頃、山の麓ではアギラからの報告を聞いたピグモンがソウルライザーを開いて画面を見つめていた。その横にはエレキング、ザンドリアス、ノイズラーの3人がいる。エレキングは藍の動画を見たのか彼女に対していい印象が無いようだ。それはザンドリアスとノイズラーの2人も同様だった。

 

「はあ・・・、まさかこんな事になるなんて・・・。」

「全く持って褒められたものじゃないわ、彼女の動画は。」

「ほんとそうですよねー。ししょー達も断ればいいのに・・・。」

「あたし達のように芸能活動やっている怪獣娘でもこれは流石に断ってもいいよなー。」

 

彼女達がソウルライザーで藍の生中継を見ているその横では山の方を見ながらマガバッサーとマガジャッパが何処か膨れた表情をしている。そんな2人にミクラスが話しかけた。

 

「ねぇねぇ、2人ともどうしたの?そんなに膨れちゃってさー。」

「ミクラスさん・・・。なんかヒロキさんとキングジョーさんが一緒にいるところを見るとどうもモヤモヤするんですよ・・・・。」

「わたしも・・・あの事件以来、ヒロキさんと一緒にいると胸がドキドキして・・・わたし達をレイビーク星人達から助けてくれた時以来、ヒロキさんと一緒にいたい気持ちが強くなってしまって・・・。」

「成る程ねぇ・・・。」

 

ミクラスは面白そうな表情をしながら2人の話を聞く。そんな中、ウインダムがソウルライザーを出しながら声を掛けてきた。

 

「3人とも例の配信を見ませんか?ゴモラさんとレッドキングさんも出ますし、映像を見ている私達だからこそ分かる事もあるかもしれませんよ。」

「見る‼︎」

 

ミクラスの返事と共に頷くマガバッサーとマガジャッパ。彼女達はウインダムのソウルライザーの画面に映る映像に釘付けになっていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキ達は広い村に辿り着いた。そこには何処か古い格好をした村人達がいた。

 

「本当に村がある・・・。」

「何だよ、普通の村じゃねぇか・・・。エレも言ったろ。幽霊なんていないって。」

 

村人達がヒロキ達に向かって軽く会釈する。ヒロキ達も思わず挨拶を返した。

 

「ど、どうも・・・。何だか村人達今日は外によく出てますね。」

「そりゃあそうですよ・・・。今日は村の守り神を祀る大事な日ですから。」

「今日が?」

「皆既日食の今日が村の守り神を祀る特別な日なんです。」

「そういえば今日、皆既日食がありマシタネ。」

『おい、ヒロキ。』

 

プロデューサーと怪獣娘達が話す中、フーマがヒロキに話しかける。ヒロキは皆と少し距離を取ってフーマと話す。

 

「どうしたの?フーマ。」

『今すぐこの山を降りた方がいい‼︎ここは危険だ‼︎撮影も止めさせろ‼︎』

「どうしてだ‼︎何があった⁉︎」

 

フーマの『降りろ』という言葉にその理由を聞くヒロキ。次のフーマの言葉はヒロキを驚かせるものだった。

 

『この山に生きている人間はお前らだけだ‼︎この村人達は人間じゃねぇ‼︎』




SSSS.DYNAZENONも見ました。
非常にワクワクしました。
今年の春は怪獣ものをアニメで2つも見れるいい年ですね。


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魔の山へ‼︎(中編)

ウルトラマントリガーがいよいよ公表されました。

怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース第三弾である怪獣娘×トリガーも書きたいです。
メインヒロインももう決まっています。第三弾のヒロインは後書きで発表します。

集団宇宙人『フック星人』登場
暗黒星人『ババルウ星人』登場



「生きている人間じゃないって・・・・・どういう事⁉︎」

『そのまんまの意味だ!この村人達は生きてる人間じゃない!奴らから生気を感じねぇんだよ‼︎』

「フーマ、確かなの⁉︎気のせいじゃないよね⁉︎」

 

ヒロキはフーマからの言葉に驚いて彼に詰め寄っていた。それでもフーマの口からは信じられない言葉が出て来た為、ヒロキは彼に問い詰め続ける。そこにタイタスが口を挟んできた。

 

『ヒロキ、フーマの言う通りだ。この村人達から命を感じない。間違いなく彼等は幽霊だろう。』

「ちょっ⁉︎タイタスまで⁉︎じゃあ・・・・あの話は・・・。」

『本当の可能性が高いな・・・。・・・・ヒロキ、クララ達に話して撮影を中止しろ‼︎今すぐに山を降りるんだ‼︎』

 

タイガまで焦った様に話す為、ヒロキは彼等の話を信じてクララ達に話を持ち掛けようとするも、プロデューサーがいつの間にかいなくなっていた。その事についてヒロキは問い詰める。

 

「ヒロキ?どうしまシタ?」

「プロデューサーさんは?」

「さっき電話がかかってきて、それに出るから何処かに行ったよ。」

「えっ⁉︎マジか・・・。」

「どうしたの?」

「ああ、実はさ・・・」

「ビビビビビーッ‼︎こっちに怪しい反応アリ‼︎」

「ちょっ、藍さん⁉︎」

 

ヒロキがこの村の村人達について話そうとした時、藍が突然飛び出した。藍は村の社まで走っていく。そして神社の中に入ると集会を開いている村人達の中に割り込んだ。彼女を追い掛けてゴモラとレッドキングも乱入する。

 

「悪魔の正体見たりーっ‼︎」

「お前何やってんだよ‼︎」

「撮影許可も貰ってないのに勝手に村の集会に乱入しちゃ駄目だよ‼︎しかもカメラで撮影しちゃってさ‼︎」

「いいじゃん‼︎これがあたしのやり方なの‼︎」

 

村の集会に勝手に入った上撮影まで始める藍のやり方を無視出来ず彼女を抑えて止めに入るゴモラとレッドキング。この光景は麓で待機してるピグモン達も見ていた。

 

『俺達、アポ無しで来てんだぞ‼︎んな事するもんじゃねぇだろ‼︎』

『ほら、早く出て‼︎皆さん、大事な集会にお邪魔して申し訳ありませんでしたー‼︎』

『ちょっと、離してよーっ⁉︎』

「レッドン・・・・・ゴモゴモ・・・・・お疲れ様です・・・・・。」

「やっぱり登らなくて正解だったわね。」

「あれはししょー達相当怒りそうですね・・・・。」

「・・・・・・。」

「ノイノイ?どうしました?」

「あっ、いや何でもないです!」

 

ノイズラーの様子がおかしい事に気付いたピグモンが彼女に呼び掛ける。ノイズラーの返事を聞いて再びピグモンはソウルライザーで生配信中の映像を見る。

 

(気のせいかな・・・・。映像越しだからかもしれないけど村人達の心臓の音が聞こえなかった様な・・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイドルだからって何でもしていいわけじゃないんだよ‼︎勝手に撮られた村人達の事も考えてよ‼︎」

「何よ‼︎怪獣娘だって芸能活動やっている人達は色々な事をしてるじゃない‼︎」

「俺達はきちんとモラルとか守ってやってるよ‼︎この仕事はな、自分本位じゃ駄目なんだよ‼︎撮影してくれるスタッフや番組を考えてくれるプロデューサー、そしてロケ地の人達の協力があって成り立つものなんだ‼︎自分勝手に動いていいわけねぇだろ‼︎」

 

現在、レッドキングとゴモラは藍と大喧嘩していた。理由は簡単だ。勝手に村人達の迷惑を考えずにカメラで突入した事に怒った2人は藍に説教するも彼女は素直に聞かず口答えしてきた。レッドキング、ゴモラ、両方とも大怪獣ファイトという多くの人の目に映る格闘技に出ている上、ゴモラはタレントとしても活動している。そのため藍の勝手な行動が許せなかった彼女達はそれで喧嘩になってしまったのだ。

 

「それに今までの動画もそうだけど迷惑行為が過ぎるよ‼︎墓場でキャンプなんて不謹慎すぎるし‼︎」

「これがあたしのやり方なの‼︎」

「だったらそのやり方は変えろ‼︎このままじゃ絶対罰当たりどころじゃ済まないことが起こるぞ‼︎」

 

その光景を見てヒロキは頭を抱えていた。このままではタイガ達から聞いた話を伝えられないからだ。頭を悩ませるヒロキの横で彼女達の喧嘩にキングジョーが割って入る。

 

「もうそこまでにしまショウ。藍さん、後でプロデューサーさんを探して一緒に謝りに行きまショウ。」

 

その言葉でキングジョー達はプロデューサーを探しに行く。ヒロキは伝えたい事を伝えられない空気になってしまい、気まずい空気になったが勇気を持って話しかける。

 

「・・・・あのさ・・・・・視聴率ってそんなに大事かな?」

「何言ってるの⁉︎視聴率が全てじゃん⁉︎」

「僕はそうは思わないかな・・・・。視聴率よりもその動画を見てくれている人達を楽しまさせたり笑顔にしたりするのが大事だと思うんだ。怪獣娘でモデルの幼馴染を持っていると特にそう思う。」

「・・・・・。」

「それにこの山は危険だよ。早くプロデューサーさんを見つけて山を降りよう。だってこの村の人達は・・・・。」

「何も知らない癖に適当な事を言おうとしないで‼︎」

「ちょっと藍さん‼︎」

 

藍はヒロキにそう言い残して走って行く。ヒロキは慌てて追い掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、山の麓ではウインダムが繰り返してさっきの映像を見ていた。そんな様子にミクラスが話しかける。

 

「ウインちゃん、さっきから映像を繰り返して見てるけどどうしたの?」

「いえ、何だか村人とは思えない人影が写っていた様な気がして・・・。」

「ウインウインの気になるところは何処ですか?」

 

そこにピグモンが話しかけてきた。やがて麓にいた怪獣娘全員が集まり再び村の集会の映像が映し出される。

 

「あの・・・この2人なのですが・・・・明らかに村人達の服装と違うから少し気になってしまって・・・。」

「どれどれ・・・。この2人ですか?」

 

ウインダムの指指す先には端っこに黒いローブを纏った人物がいたのをピグモンは確認した。ピグモンはその2人を拡大する。すると2人の顔が映し出されたがその顔に彼女達は驚いた。それは明らかに人間ではなかったからだ。

 

「ちょっ⁉︎これって宇宙人ですよね‼︎なんで村の集会に⁉︎」

「分かりません‼︎ですが・・・非常に嫌な予感がします‼︎すぐに連絡を‼︎」

「分かりました‼︎」

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキと藍はプロデューサーを探して村を歩いていた。そこでキングジョー、ガッツ星人、アギラの3人の姿を見る。ヒロキは藍に一言言ってから彼女達の方に向かった。

 

「御免、ちょっと待ってて。」

「・・・・うん。」

 

ヒロキは彼女達に合流した。そこでヒロキはプロデューサーの事を彼女達に質問する。

 

「クララちゃん、ガッツさん、アギラさん、プロデューサーさんは見つかった?」

「ヒロキ!それが・・・・何処にも見当たらなくテ・・・。」

「マジか・・・・。プロデューサーさんを見つけ次第、この山を降りよう!」

「ちょ、ちょっとどうしたの?降りようだなんて‼︎」

「・・・・よく聞いて・・・・この村の村人達は生きてる人間じゃない。全員幽霊だ。」

「「「!!!!?」」」

 

ヒロキの発言に目を見開いて驚く三人。ヒロキの発言が信じられないのも無理はない。誰だってこの村の村人達が既に死んだ人間だと思わないからだ。

 

「悪質な冗談は止めて‼︎村人全員が幽霊なんてそんな事あるわけないよ!!」

「3人だって何となくだけど気付いている筈だ‼︎この村人達がおかしいって‼︎」

「そ、そりゃあ確かに服装が何か古いなとは思っていたけど・・・田舎の村だったらあり得るのかな・・・って思ってたけど・・・。」

「流石に村人達全員が幽霊ってのは・・・・。」

「けど、村人達を見て何か感じないか⁉︎」

 

ヒロキの言葉に沈黙する3人。そんな彼等をよそに藍は再び村の神社に向かっていた。それを見たキングジョーが声を上げる。

 

「藍さんが神社に向かってイマス‼︎」

「また映像を撮る気か‼︎」

「止めなきゃ‼︎」

 

3人は遥を追う。神社に辿り着いた4人は藍を止めようとするも藍はただ扉を少し開けて集会の様子を眺めるだけだった。そんな藍にヒロキが小声で話しかける。

 

「藍さん、早くここから離れよう。」

「⁉︎・・・・どうして?」

「この村人達は人間じゃない。幽霊だ。ここにいたら僕達全員」

「ヒロ、おかしな事言うの止めて‼︎」

「そんなの最初から知ってたよ。」

「「「「!!!!?」」」」

 

藍の言葉に驚く4人。ガッツ星人がつい大声を上げてしまい、村人達がこちらに振り向く。アギラが注意するも既に村人達の視線は彼女達に向いて向いており、ヒロキはその視線に寒気を感じた。

 

「ちょっと!!そんな事あるわけ」

「ガッツ、声が大きい‼︎気付かれる‼︎」

「あ・・・・ヤバ・・・。」

 

振り向いた村人達の中に黒いローブに身を包んだ2人の人物がいた。その2人がヒロキ達に向かって突進する。彼等は何とか避けると2人はフードを取りその素顔を現した。1人は目の無い顔にコウモリを思わせる大きな耳を持つ集団宇宙人『フック星人』でもう1人は金色の顔面に金髪の暗黒宇宙の支配者といわれる暗黒星人『ババルウ星人』だ。

 

「何で村人の中に宇宙人が!⁉︎」

「村人と一緒に何を⁉︎」

「多勢に無勢デス‼︎ここは引きまショウ‼︎」

 

彼女達は下がり始める。フック星人が走るその前にレッドキングとゴモラが立ちはだかる。彼女達は戦う姿勢を見せ、後ろの5人を守るようにゴモラがフック星人に尻尾を、レッドキングが拳をババルウ星人に叩きつける。

 

「ぐはっ‼︎」

「むぅっ⁉︎」

「何でお前らが村人達の中にいる⁉︎」

「一体何を企んでいるの⁉︎」

「この怪獣娘達は任せる‼︎」

 

彼女達の問いに答えずババルウ星人は草むらに紛れて何処かへ姿を消してしまう。彼女達は追おうとするも、フック星人が飛び蹴りを放つ。彼女達は横にそれて避けるもババルウ星人を取り逃してしまった。

 

「レッドちゃん‼︎あの金髪の宇宙人が‼︎」

「クソッ⁉︎逃すか!!」

「そうはいかん‼︎」

 

再びフック星人は襲いかかるもレッドキングはカウンターパンチを放ちフック星人を吹き飛ばす。しかし再び立ち上がったフック星人は再びレッドキングに飛び蹴りを仕掛ける。レッドキングは再びかわすもフック星人は着地してすぐにレッドキングに体勢を向け左足で蹴りを放つ。レッドキングは両腕で受け止めるもその隙にレッドキングの足にスライディングキックを放つ。

 

「しまったっ⁉︎」

 

まともに食らったレッドキングは倒れてしまう。その隙を突こうとフック星人は追い討ちをかけるもゴモラが地面から角による攻撃を放ち、フック星人は地面に浮き上がりそのまま地面に倒れた。

 

「サンキュー、ゴモラ。」

「いいっていいって‼︎」

「にしたってこいつら何を目的に動いてたんだ?」

「村の守り神・・・・赤目様・・・を・・・復活させるのさ。」

「!!!?・・・・・赤目様?」

 

思わず呟かれたフック星人の言葉にレッドキング更に詳しく掘り下げようとフック星人に詰め寄った。

 

「おい‼︎赤目様って何だ‼︎一体何をしたかったんだ⁉︎」

「まもなくだ・・・・まもなくあの娘を・・・・使って・・・・この村の守り神、いや、悪魔が・・・・復活する。・・・・・彼らも・・・・・この時を待ちわびていたんだ。」

 

そう言ってフック星人は自分達の計画を話し始める。一通り話を聞いた2人は顔を青ざめながらフック星人を縛り上げ5人の元へ急ぐ。

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキ達は村の奥にある祠まで来ていた。そこに走ってきたのか汗だくのプロデューサーがやってくる。

 

「ああ、良かった‼︎心配したよ‼︎」

「プロデューサーさん、今まで何処にいたんですか⁉︎こっちは大変な事になってましたよ‼︎」

「プロデューサーさん、今すぐ山を降りましょう‼︎この山は危険です‼︎撮影は中止しましょう‼︎」

「大丈夫ですよ、それよりメインイベントはここからです‼︎」

 

何故かテンションが高くなるプロデューサーに疑問の顔を浮かべる4人。そんな4人を他所にプロデューサーは藍にメインイベントの趣旨を伝える。すると藍は目を輝かせていた。

 

「間もなく村に封印された悪魔『赤目様』が復活してしまう。けど、君がその復活を阻止して君は英雄になるのさ‼︎」

「英雄⁉︎あたしが⁉︎超ワクワクする‼︎やるやる‼︎」

「さぁ、怪獣娘の皆さんも見て下さいよ!英雄誕生の瞬間を‼︎」

「ちょっと待って下サイ!これ以上の撮影は危険デス!宇宙人の影もありますから撮影ハ」

「大丈夫です‼︎貴方達怪獣娘もいますから‼︎」

 

キングジョーの制止も聞かず撮影は再び開始されてしまった。

 

 

 

 

 

『はーい、それじゃあ悪魔復活を阻止して英雄になっちゃいまーす‼︎』

『駄目デス‼︎これ以上の撮影は続けられマセン‼︎』

『大丈夫です!キングジョーさん、安全です‼︎安全ですから‼︎」

 

その頃、山の麓ではピグモン達がその映像を見て溜息をついていた。彼女達の様子からかなり無茶な撮影が続けられていると悟ったピグモンはエレキング達に命令を下す。

 

「エレエレ、わたし達も登りましょう・・・。」

「ええ、分かったわ。」

 

エレキングの言葉で山に登る準備をする怪獣娘達。山に登る準備の途中でウインダムが驚いたような声を上げる。

 

「えええっ⁉︎どうして貴方がここにいるんですか⁉︎」

「君は怪獣娘だよね?何故私がここにいる事にそんなに驚いているんだい?」

「どうしたんですか?ウインウイン。」 

 

ピグモンがウインダムに近寄るとそこにはここにいる筈のない人物がいた。ピグモンもその人物を見て驚いた顔をした。やがてミクラス達もつられてその人物を見て驚いていた。

 

「え⁉︎どういう事⁉︎」

「確かにあの映像にいましたよね⁉︎」

 

彼女達の前に現れたのは

 

「怪獣娘の皆さん、どうしてこんな所に集まっているんです?・・・というよりどうして私の顔を見て驚いているんですか?」

 

そこに立っていたのはさっきの映像にも写っており、確かにヒロキ達と一緒に山に登っていた筈の天王寺藍のプロデューサーだったのだから。




怪獣娘×トリガーのメインヒロインは










白銀レイカことウインちゃんとなります。

ただ、これに関しては全て原作通りの話には出来ない可能性が高いです。
というのもトリガー、ファーストバトルが火星らしいんですよね。
何処まで両作を組み合わせるか、変身アイテムのGUTSスパークレンスの『GUTS』の由来をどうするか等の課題を考えなければ・・・。

それ以前にタイガの方がトリガー放送前に完結出来るか・・・。
取り敢えず今の連載はタイガを優先的にしようと思います。


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魔の山へ!!(後編)

トリガーの舞台はネオフロンティアスペースのパラレルなんでしょうか。
かなり気になります。

悪魔魔獣『ナイトファング』登場


「どうして貴方がここにいるんですか⁉︎今頃山に登っている筈じゃ⁉︎」

 

ピグモンは山に登っている筈の藍のプロデューサーがここに現れた事に戸惑い彼に問い詰める。プロデューサーは焦りながら彼女の質問に答える。

 

「実は昨日、金髪の宇宙人が現れてそいつに気絶させられたんです‼︎気が付いて今日の仕事に完全に遅刻したと思って急いで来たんですよ‼︎」

「けど、彼女は霊能力アイドルと言っているけど所詮は作ったキャラ設定ですよね。」

「キャラ設定?とんでもない‼︎それは誤解です、怪獣娘の皆さん‼︎」

 

エレキングの言葉を力説して否定するプロデューサー。彼の口から次に出た言葉に彼女達は驚いた。

 

「彼女は本物の霊能力者なんです‼︎それも強い力を持った‼︎」

『⁉︎』

「・・・・・まさか、映像越しでも村人達の心臓の音が聞こえないのは・・・。」

 

プロデューサーの言葉を聞いて思わず映像を思い出し顔を青ざめるノイズラー。そんな彼女の横で藍の生中継は続いていた。そしてプロデューサーは自身と瓜二つの人物を見て驚きながら気絶する。気絶したプロデューサーにピグモンが駆け寄り指示を出す。

 

「生配信に俺がいる⁉︎あそこにいる俺は・・・一体・・・・誰なんだ・・・。」

「ちょ、ちょっとしっかりしてください‼︎・・・・エレエレ、ミクミク、ウインウイン、ザンザン、ノイノイを連れて山に登って下さい‼︎私とバサバサとジャパジャパはこの人の介抱をしますから‼︎」

「・・・・・・分かったわ‼︎行くわよ‼︎」

「エ、エレキングさん、待って下さい‼︎」

 

「離して‼︎これがアクセス回数稼ぐチャンスなんだから‼︎」

「止めた方がいいって‼︎これ以上は危険だから‼︎」

「彼女から離れなさい‼︎本当に悪魔が復活するわけじゃないから‼︎」

「ヒロキ、アナタも落ち着いて下サイ‼︎」

 

その頃、藍をヒロキが止めようとして、それをプロデューサーそっくりの男が止めようとするカオスな状況になっていた。ヒロキがプロデューサーそっくりの男を振り切ると男はしめ縄に引っかかる。すると男に電流のような衝撃か走りプロデューサーそっくりの男は別の姿になっていた。

 

「ギャアアアア‼︎」

「すいません‼︎大丈夫ですか・・・・って・・・・え‼︎アンタ誰‼︎」

「あー、さっき村人達に紛れてた宇宙人‼︎」

 

そこにいたのは村人達に紛れて暗躍していたババルウ星人だった。ババルウ星人は変身能力を得意とする種族である。その能力で彼女のプロデューサーに化けていたのだ。藍は思わぬ展開に狼狽始める。その横でヒロキとタイガかババルウ星人について話していた。

 

「えっ、嘘・・・・、どういう事⁉︎一体何がどうなってるの⁉︎」

「タイガ、あの宇宙人って確かウルトラマンレオと戦った宇宙人だよね⁉︎確か名前は・・・・・暗黒星人『ババルウ星人』‼︎」

『ああ、レオの弟、アストラに化けてウルトラキーを盗み、地球と光の国を衝突させようと目論んだ奴らの同族だ‼︎』

「・・・ウルトラキーって何?」

『光の国の軌道をコントロールする鍵だよ‼︎あれが奪われたせいで光の国は地球と衝突しかけたんだ‼︎』

「えええええっ⁉︎アストラに化けたババルウ星人が何か鍵のようなものを持っていたけどあれってそんなに重要なものだったの⁉︎っていうかあの事件ってそんなヤバい事になってたのか⁉︎」

『知らなかったのかよ⁉︎この宇宙の地球でも同じ事件が起こっていたのに‼︎』

 

そんな会話をする横でババルウ星人が藍の腕を掴み無理やり動かす。当然藍は抵抗するものババルウ星人の握力には敵わない。そこにキングジョー達がババルウ星人の前に立ち塞がる。

 

「彼女を離しなサイ‼︎」

「まさかババルウ星人が化けていたなんてね。お得意の変身能力で彼女のプロデューサーに化けて近づいた訳か。」

「でも、ここにはボク達がいる‼︎その人を離せ‼︎」

 

怪獣娘達はババルウ星人に警告するもババルウ星人は動揺する事なく藍の腕を掴みながら言葉を放つ。

 

「おいおい、怪獣娘。こっちにはコイツがいる事を忘れていないか?お前らが余計な動きをすればどうなると思う。」

「離して、離してよ‼︎」

「くっ‼︎」

「クララちゃん、皆、今はババルウ星人の言葉を聞こう。お前の目的は何だ⁉︎」

 

ババルウ星人はヒロキの言葉を聞き、その視線を自分達の反対側にある岩山に目を向けながら話す。

 

「あの山には赤目様が封印されている。かつて赤目様は太古のシャーマンによって封印された。こいつはその子孫だ‼︎」

「「「「「!!?」」」」」

 

ヒロキ達はババルウ星人の言葉に驚いた表情をする。そんな彼女達を前にババルウ星人は言葉を続ける。

 

「だからこの女でその封印を解くのさ‼︎そうすれば人柱となった奴らも成仏し、人柱から解放される‼︎さぁ、やれ‼︎」

「⁉︎」

 

ババルウ星人は藍の眼帯を無理矢理外す。すると彼女が隠していたドットアイが見えた。そしてババルウ星人は藍の腕を無理矢理動かし祀られている丸石に触らせる。すると石は光りだし、彼女の脳裏に一つのビジョンが浮かぶ。それは彼女と瓜二つの巫女が光の剣を振りかざす姿だった。

 

「⁉︎・・・これがあたしの・・・・先祖の・・・・。」

 

そして丸石から放たれた光は岩山に向かう。岩山は2つに割れようとしていた。その光景を見てババルウ星人が歓喜の声を上げる。

 

「これで・・・これで・・・・赤目様が復活する‼︎皆既日食の今日‼︎この時を待っていたぞ‼︎」

「皆既日食の日に封印が弱まるのか‼︎」

「その通りさ‼︎赤目様はかつて大昔に宇宙から飛来した怪獣だ‼︎」

「「「「「⁉︎」」」」」

 

ババルウ星人の言葉に驚くヒロキ達を横にババルウ星人は解説を続ける。

 

「赤目様に人柱にされていた村人達の霊のお陰で人が滅多に寄らないこの山で封印された赤目様はずっと眠りについていた。だから怪獣がこの星からいなくなった今日まで目覚める事は無かったのさ‼︎」

「人柱にされた村人達の霊って・・・・‼︎」

 

視線を感じたヒロキが振り向くとそこには薄ら笑いを浮かべた村人達が集まっていた。彼らの不気味な気配にヒロキはやはりフーマの話が本当だと実感する。その一方でアギラ、ガッツ星人、キングジョーは体を震え上がらせていた。いくら怪獣の魂を継いだ怪獣娘とはいえ彼女達はうら若き乙女。自分達を取り囲む本物の幽霊に恐怖心を出さずにはいられなかった。アギラ、ガッツ星人、キングジョーの順で取り囲む村人達を見て言葉を放つ。キングジョーがソウルライザー越しで村人達を見ながら震えていた。

 

「何でそんな薄ら笑いを浮かべているの・・・・。」

「多分、ヒロの話が本当だって事だよ・・・・。本当にこの村人達が幽霊だったなんて・・・・。」

「ワタシも認めたくないデスが・・・・・、ソウルライザーで赤外線センサーで確かめたら・・・・、この村人達が写りまセン・・・。本当にゴーストのようデスネ・・・・。」

「村人達は自分達が解放されるために・・・宇宙人と結託して・・・。」

「さぁ、怪獣娘ども、見るがいい!悪魔復活の瞬間を‼︎」

 

警戒するヒロキを前にババルウ星人は解説を終えると巨大化して岩山まで走る。そこにレッドキングとゴモラが合流した。2人に藍を任せてキングジョー、ガッツ星人、アギラはババルウ星人に向かっていく。

 

「皆、大丈夫⁉︎」

「おい、何がどうなってる⁉︎」

「ゴモたん、レッドキングさん‼︎」

「丁度良かっタ‼︎彼女をお願いシマス‼︎」

 

ババルウ星人に向かっていく3人を見送るレッドキング。その横でゴモラが藍に駆け寄りながら、ヒロキに事情を聞く。

 

「大丈夫?ヒロちゃん、何があったの?」

「それが・・・・・。」

 

ヒロキは今まで起こった事をゴモラとレッドキングに話す。すると2人は納得した。

 

「そんな事に・・・・。じゃあ、全て本当だったんだ・・・・・。」

「マジかよ・・・・。この村は今までの人生で忘れられない場所になるぞ・・・・・。」

 

レッドキングは顔を青ざめ体を震わせながら村人達を見る。村人達は今も薄ら笑いを浮かべて4人を見ていた。

その頃、ババルウ星人のところまで辿り着いたキングジョー達はババルウ星人に真っ直ぐ向かっていく。それに気付いたババルウ星人は口から冷凍ガスを吐き出した。

 

「食らいやがれ‼︎怪獣娘ども‼︎」

「「「⁉︎」」」

「皆、逃げてーーー‼︎」

 

ゴモラが叫ぶ中、ヒロキはこっそりと彼女達から離れて右腕にタイガスパークを出現させてレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「シェア‼︎」

「ぐあっ‼︎」

 

ウルトラマンタイガは空中で体を捻らせて一回転し、飛び蹴りをババルウ星人に放つ。飛び蹴りを食らったババルウ星人は横に吹き飛び、冷凍ガスは彼女達から逸れる。タイガはファイティングポーズを構える。目の前のタイガを見たババルウ星人はタイガに向かって突進する。

 

「タイガ‼︎」

「シェアッ‼︎」

「何処のどいつだか知らんが復活の邪魔はさせん‼︎」

 

ババルウ星人は腕からカッター状の刃を出して、タイガに斬りかかる。タイガは避けてババルウ星人の腕を掴みそのまま背負い投げをする。ババルウは地面に思いきり背中を叩きつけられるも起き上がり振り向いたと同時に腕のカッターでタイガを斬ろうとする。タイガは1度、2度、3度・・・とその斬撃をかわしていく。タイガはタイガは拳を放つも受け止められ、脇腹に斬りかかるババルウ星人。間一髪でタイガはかわした、再びババルウ星人は腕の刃で1度、2度と斬りかかる。タイガは何とかかわすも3度目の斬撃を脇腹に食らってしまう。

 

『ぐああああっ⁉︎・・・・くっ、このババルウ星人、速い‼︎』

「もう終わりかよ‼︎退屈だ‼︎」

『舐めやがって‼︎俺がぶっちぎる‼︎」

 

髪をかきあげながら挑発するババルウ星人。フーマの声を聞いたヒロキは再びタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

「セイヤッ!!」

 

『おい、金髪野郎‼︎覚悟しな‼︎調子こいてられんのも今のうちだ‼︎』

 

フーマが一瞬でババルウ星人の前に突撃して2度、蹴りを放つ。蹴り付けられたババルウ星人は地面に倒れる。

 

『疾風怒濤、俺はお前より速えぞ‼︎』

「こんの〜‼︎行くぜーっ‼︎」

 

立ち上がったババルウ星人がフーマに突撃するもフーマはババルウ星人の背中に回り込む。ババルウ星人は腕の刃で斬りかかるも受け止められ、腹に手刀を浴びせる。

 

「うおっ⁉︎」

 

再び斬りかかるも受け流され背中に肘打ちからの左跳び回し蹴りでババルウ星人は地面に倒れる。

 

『へっへん‼︎』

「このぉぉぉぉ‼︎」

 

フーマが指で挑発し、ババルウ星人がそれに乗ってしまう。ババルウ星人が手刀を放つも手をクロスさせて防ぐフーマ。フーマは距離を取るとさっきのババルウ星人の真似をする。

 

『もう終わりかよ‼︎退屈だぜ‼︎』

「真似しやがって‼︎これでも食らえ‼︎」

『極星光波手裏剣‼︎』

「何だと⁉︎」

 

フーマがタイガスパークをスライドさせて放つ手裏剣状の光線はババルウ星人の光線をかき消した。

 

『どうだ‼︎俺の光線は一味違うぜ‼︎』

「黙れ‼︎」

 

ババルウ星人は剣を取り出して突撃する。ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはビクトリーレットのエネルギーをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ビクトリーレット、コネクトオン!!〉

 

フーマにビクトリーのビジョンが合わさる。極星光波手裏剣と同じチャージを行いフーマのタイガスパークにV字の光弾が形成される。

 

『(鋭星光波手裏剣!!)』

 

そのままフーマはババルウ星人に突撃する。ババルウ星人も剣で突撃してやがて両者はすれ違った。そのまま暫く両者は立っていたがやがてババルウ星人が倒れた。

 

『おめえは遅すぎだ‼︎』

 

ババルウ星人は大爆発する。それと同時にタイタスが声を掛けた。

 

『何が来る‼︎』

『旦那、何かって何だ⁉︎』

 

その時、後ろの岩山が二つに割れて赤い目を持つ何かが姿を見せる。岩山から現れたのは背中に翼を持ち、両手に長い触手を備えた紫色の怪獣だった。その怪獣こそ赤目様の正体である悪魔魔獣『ナイトファング』だった。

 

「グワァァギィィィァァァァ‼︎」

(これが赤目様の正体⁉︎どう見たって悪魔じゃん‼︎こんなのが守り神って・・・。)

 

ナイトファングは口から火球を吐く。フーマはバク転して避けるも2、3発目はダメージを受けてしまう。

 

『最後は俺が決める‼︎』

 

そう言ってタイガに交代し、突撃するもナイトファングは隠していた第3の目から音波攻撃を放ち、タイガは吹っ飛ばされる。

 

『うわああああああ⁉︎』

 

吹っ飛ばされたと同時にタイガのカラータイマーが鳴り始める。

それを見ていたゴモラ、レッドキング、藍。藍は暗い表情で呟く。

 

「あたしのせいだ・・・、あたしのせいで・・・封印が・・・・。」

「おい、しっかりしろ‼︎」

「悪いのは君を利用して怪獣を復活させようとした宇宙人だよ‼︎」

 

レッドキングとゴモラは彼女を励ますも彼女は聞こうとしない。その前で薄ら笑いを浮かべていた村人達は消えていく。

 

「レッドちゃん、村人達が‼︎」

「消えた・・・・。あの怪獣が復活したから人柱の霊は役目を果たして成仏できたのか・・・。」

 

ナイトファングは再び口から火球を放つ。それを食らったタイガは再び吹っ飛ばされてしまった。

 

『ぐあああああああっ⁉︎』




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『封印が解かれた悪魔魔獣『ナイトファング』。その第三の目から放たれる怪音波が人々を恐怖の夢へ誘う。だかその時、地球に眠る光が俺に新たな力を授けた‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


悪魔を討て!


俺の、光の力と共鳴している!?』


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悪魔を討て!(前編)

昨日に続き更新できるとは・・・。
中編、後編はしばしお待ち下さい。


タイガはナイトファングの火球を受けて地面に倒れてしまう。ナイトファングは地面に倒れたタイガをそのまま踏みつける。

 

『ぐっ、がっ、ぐあああっ⁉︎』

「ギイイイィィィオオオォォォアアアァァァァ‼︎」

 

そんな中、再び周りが明るくなり始める。実は今まで皆既日食が起こっており、辺りが暗くなっていたのだが皆既日食が過ぎて周りが明るい日差しに覆われ始めたのだ。潮時だと感じたのかナイトファングは背中の大きな翼を広げて空に飛び去っていく。

 

『逃がすか‼︎』

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左腕に意識を集中する。すると兄弟ウルトラマンの弟『ウルトラマンブル』から授かったブレスレット『ブルレット』が現れた。ヒロキはブルレットが装着された左手を右手に重ね、その力をタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ブルレット、コネクトオン‼︎〉

 

するとタイガにブルのビジョンが重なった。タイガはストリウムブラスターを撃つチャージを取り、ブルの水の力が込められた光線を発射する。

 

『(アクアブラスター‼︎)』

 

その光線は見事にナイトファングの背中に命中するも体力を消耗したタイガの放った必殺光線はナイトファングを打ち落とさず、ただダメージを与えただけだった。ナイトファングはアクアブラスターを受けながら飛び去っていく。タイガはナイトファングの姿を見送る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

それから暫くしてヒロキはキングジョー達に合流する事が出来た。その横では藍が蹲っている。アギラとゴモラがさっきまでの出来事を思い出して呟く。

 

「まさか本当に村人達が幽霊だったなんて・・・・。」

「幽霊って実在してたんだね・・・・。」

「幽霊はいるよ。今更じゃん。怪獣とか宇宙人だっているんだし。」

 

その横で藍が怪獣娘に向けて言葉を放つ。藍は言葉を続ける。

 

「まぁ、あれは幽霊なんて可愛いもんじゃないよ。あれは完全に悪霊だからさ。」

「悪霊・・・・。成る程ね・・・・・そりゃあ宇宙人と結託して成仏したがるわけだよ・・・・。」

「それにしても・・・・、お前、本当の霊能力者だったんだな・・・・・。」

「・・・・・あたしの力はいつも不幸を齎す。あなた達怪獣娘とは違って・・・。今回もそう・・・。あたしのせいで・・・・。」

「ししょー‼︎」

 

藍の言葉に納得するガッツ星人とレッドキング。そこにザンドリアスが空を飛んで駆けつけてきた。その後ろにはエレキング達がいる。

 

「ザンドリアス、来てたのか⁉︎」

「はい、それより一体何があったんですか⁉︎」

「先程怪獣のようなものが飛び去っていくのを見たわ。村で一体何が起きたの?」

「実は・・・・・。」

 

ヒロキとキングジョーが登ってきたメンバーに先程までの出来事を伝える。話を一通り聞いたミクラスとザンドリアスは震え上がっていた。

 

「う、嘘・・・・・村人全員が幽霊って・・・・・。」

「そんな・・・・・事・・・・・あるわけ・・・・・。」

「信じられないかもしれないけどマジだ。」

「皆さん、それよりもあの怪獣を何とかしないと‼︎一体何が起こるか分かりませんよ‼︎」

「そうね・・・・。ピグモンには私が連絡するわ。」

「お願いします。」

 

ミクラスとザンドリアスの相手をするレッドキングを横にヒロキは現れた怪獣について話す。エレキングがその言葉に頷きソウルライザーで麓にいるピグモンに連絡を入れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、GIRLS東京支部の講義室に怪獣娘にヒロキ、それに加えて藍が座っていた。モニターには岩山から目覚めた怪獣『ナイトファング』が写っている。その映像を見てトモミが言葉を放つ。

 

「皆さん、昨日は大変ご苦労様でした。しかし、再び緊急事態が発生しています‼︎あの山に封印されていた怪獣が復活し、飛び去ってしまいました‼︎」

「あの怪獣は過去のデータにはありましたか?」

「それが・・・・.確認出来ませんでした。恐らくあの怪獣も新種の怪獣だと見ていいでしょう。」

 

レイカの質問に答えるトモミ。そこでヒロキも疑問に思った事を口に出す。

 

「ピグモンさん、怪獣は飛び去っていきましたがその後、追跡は⁉︎」

「それが・・・・特定できていません・・・・。」

「じゃあ、何処に現れるのかも予測できないって事かよ⁉︎」

「せめてどこかの人工衛星が特定してくれていれば・・・・・。」

 

トモミの言葉にベニオとヒロキが重い表情で言葉を放つ。その時、ミコとアキはあの村にいたババルウ星人の言葉を思い出し、藍に問い詰める。

 

「あのババルウ星人は君が怪獣を封印したシャーマンの子孫だと言ってた‼︎」

「何か怪獣を止める方法を知りませんか⁉︎貴方だけが頼りなんです‼︎」

 

ミコとアキの言葉を聞いて藍は俯きながら村で起こった事を思い出しながら話す。

 

「・・・・・あの時、確かにあたしの中に先祖の記憶が流れてきた・・・・。確かにあたしに瓜二つのシャーマンが怪獣を封印してたよ。」

「本当ですか⁉︎どうやって封印していたんですか⁉︎」

「お願い、教えて⁉︎怪獣を止める唯一の手掛かりなんだから‼︎」

 

藍に詰め寄るレイカとミカヅキ。彼女達に押されながらも藍は昨日流れてきた先祖の記憶を話す。

 

「オーロラみたいなのがシャーマンに集まって剣のようになってた。・・・・・多分だけど・・・・・あれは・・・地球的エネルギーだと思う。」

「地球的エネルギー?」

『ほう、お嬢さんも同じ考えか。』

「タイタス?どういう事?」

 

彼女の言葉にタイタスも頷く。その言葉にヒロキは詳しく聞こうと思い、タイタスに話しかけた。

 

『麗しきシャーマンは祠を媒介に地球の光エネルギーを具現化させたんだ。その力であの怪獣は封印された。恐らく今も奴の中には地球的エネルギーが残っている筈だ。』

「成る程・・・・。」

「つまり、あの怪獣の中にはその地球的エネルギーがまだあって、それを呼び起こすのが怪獣を止める鍵になるんですね‼︎」

 

ヒロキがタイタスの話を一通り聞いた同時に藍の話を聞いたトモミも結論をつけていた。そこでランが疑問を口にする。

 

「それで、どうやってその地球的エネルギーとやらを解放するのかしら?」

「それは・・・・多分ですけど・・・・・。」

 

ランの言葉にレイカが藍を見る。その時、警報が鳴り響いた。

 

『市街地に怪獣が出現しました‼︎昨日九頭流村から現れた怪獣と同一のものと思われます‼︎』

「ピグモン‼︎」

「はい‼︎」

 

ランの言葉でトモミはモニターの映像を切り替える。そこには昨日復活したナイトファングが街に降り立つところが写っていた。

 

「大変‼︎怪獣が‼︎」

 

ヒロキは講義室を出ようとする。それをクララが呼び止めた。

 

「ヒロキ、どこに行くんデスカ⁉︎」

「決まってる‼︎怪獣を何とかしないと‼︎」

「まだ具体的な対策も決まっていまセン‼︎今出て行ってもワタシ達に出来る事はありまセン‼︎」

「くっ‼︎」

 

ヒロキはクララの言葉を聞いてその場に留まる。トモミ達はモニターに写るナイトファングを見ていた。

 

「どうして市街地に降りたんでしょうか?」

「分からないわ。何か目的があるのかしら?」

 

 

 

 

その頃、ナイトファングは第三の目を開く。街の人々は怪獣を眺めているが途端に倒れ出す。1人、また1人と次々と倒れていく。そして倒れた人達はうなされ始める。そして人々から紫色のオーラが出てきてナイトファングの第三の目に集まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSではミサオが妙な音を感じていた。彼女はその音を聞いて立ち上がる。

 

「待って、何か聞こえる・・・。何か変な音が・・・・。」

「変な音・・・・・?」

「GIRLS 1耳がいいノイノイが言うんですから間違いないでしょうが・・・一体どんな音が・・・・?」

『おい、ヒロキ‼︎耳を塞げ‼︎この音はヤバい‼︎』

「その音を聞いたら駄目だ‼︎皆も耳を塞いで」

 

ヒロキの声を聞いたミサオはヘッドフォンをつけるも、耳が普通の人間よりいいミサオはヘッドフォンをつけてもその音を防げないと察し音楽をかけ始める。しかし、ミサオ以外は全員倒れてしまった。

 

「皆⁉︎どうしたんだよ⁉︎おい、しっかり・・・・まさか・・・・この音の影響か・・・・。」

 

ヒロキの脳裏に浮かんできたのはトレギアの攻撃から自分を庇い、チビスケが爆殺される瞬間だった。

 

「チビスケ・・・・ごめん・・・・本当に・・・・・助けてやらなくて・・・・・本当にごめんよ・・・・。」

 

クララの脳裏にもヒロキと同じ光景が浮かんでいた。

 

「チビスケちゃん・・・・・どうして・・・・・本当にごめんなサイ・・・・。」

 

チビスケがトレギアに殺される光景の後、彼女の脳裏に浮かんだのは暴走した自分がゴモラの首を持ち上げてその首に槍を突き立てる光景だった。

 

『ウ"ウ"ウ"ゥゥァ"ァ"ッ・・・‼︎』

『ぐ・・・・う・・・・。や・・・や・・・止めて。目を・・・・覚ましてよ・・・・。』

『ゴモたん‼︎止めて、キングジョーさん‼︎』

『おジョー‼︎駄目、ゴモだよ‼︎』

『ウ"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"‼︎』

「あ・・・・・あああ・・・・・御免なサイ・・・・ゴモラ・・・・・。ヒロキが・・・・・来てくれなければ・・・・・ワタシは・・・・・アナタヲ・・・・・。」

 

ミクの脳裏にはヴォルクの最期が浮かび上がる。

 

『そうか・・・・・。お前は・・・・笑顔で・・・・明るく生きろ・・・・・。お前らの・・・・・家族と出会えて・・・・・良かったぜ・・・。故郷で・・・失った・・・・家族が・・・・・。』

「止めて・・・・・お願い・・・・御免なさい・・・・・ヴォルクお兄ちゃん・・・・・うわあああああああああああああああ‼︎」

 

レイカの脳裏には葵の最期が浮かび上がる。

 

『そんな顔しないで・・・。私達はずっと友達だから・・・。』

「葵さん・・・・あ・・・・あ・・・・あああ・・・・・あああああああああああああ‼︎」

 

藍の脳裏には自身の霊能力のせいで救急車に運ばれていく高校時代のクラスメートが写った。

 

『アンタのせいで、アンタが霊を呼んだせいで・・・・・彼は‼︎彼は‼︎』

「違う・・・・・違うの・・・・・あたしのせいじゃ‼︎」

 

ミサオを除く講義室にいたメンバー全員が倒れうなされる。その光景にミサオは慌てふためいていた。いくら怪獣娘とはいえまだ中学生であるミサオはこの状況で何も出来ずにいた。

 

「皆、どうしたんだよ‼︎・・・・まさか、この音・・・・・あの怪獣が‼︎・・・・・とにかく皆を起こさないと‼︎」

 

ミサオが落ち着いた末、講義室を出る。しかし、廊下も倒れてうなされている職員が多く目に写る。

 

「マジかよ・・・・。こんなのもうアタシ1人の手には負えないよ・・・。一体どうしたら・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、人々から溢れる紫色のオーラを吸収するナイトファングを見ながらトランプをシャッフルする男がいた。白と黒のブラウスに身を包んだ男『霧崎』だ。彼はシャッフルしながら笑みを浮かべて呟いた。

 

「苦しみを糧にする。・・・最高だね・・・・私好みだ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS本部ではミサオが他に起きている人がいないか探し回っていた。しかし、建物内だけでなく窓を開けて外を確認しても視界に映る人々は倒れてうなされている。その光景にミサオは座り込んでしまう。

 

「冗談だろ・・・アタシだけかよ・・・・・。アタシ1人で・・・・どうしろっていうんだよ・・・・アタシは怪獣娘って事を除けば・・・・ただの中学生なのに・・・・。」

 

ミサオは外と中の光景を見て思わず弱音を吐いてしまう。彼女がどうにも出来ず座り込んでいるその時、異変が起こった。

 

「誰かいませんか⁉︎起きている人はいませんか⁉︎」

「今ここには・・・・って・・・・えっ⁉︎」

 

突然人を呼ぶ声が聞こえたのだ。ミサオは自分以外に意識がある人がいると知り、驚いて思わず立ち上がる。

 

「嘘だろ・・・・アタシ以外に意識がある人が・・・・。」

 

ミサオは希望を感じて声のした方向に向かう。するとそこには見覚えがある人が立っていた。

 

「あっ、いた‼︎良かった〜‼︎ちゃんと起きている人がいて‼︎」

「あっ、アンタなんで意識が⁉︎」

 

ミサオはその人物を見て驚いていた。その人物もミサオが自身を知っていることに疑問を口にする。

 

「あれ、どっかで会ったことある⁉︎」

「あっ、あの時は怪獣娘の姿だったか・・・・。アタシです、ノイズラーですよ!」

「ああ、あの時、クララと一緒にいたギターを持った怪獣娘さん‼︎」

 

その人物はミサオの怪獣娘としての姿『ノイズラー』を知っていたようでミサオの言葉で彼女が誰なのか思い出したようだ。ミサオはそのままその人物に疑問を口にする。

 

「確かキングジョーさんとヒロキのクラスメートでしたよね?どうして貴方に意識があるんですか、ピリカさん⁉︎」

 

そこにいたのはヒロキとクララのクラスメートであり、2人の友人でもある旭川ピリカだった。




トリガーのメインヴィランはアブソリューティアンではなさそうですね。彼らはTVシリーズには出る事は無いのでしょうか?


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悪魔を討て!(中編)

ゴジラS.P、あの緑色の怪獣がガバラではなく新怪獣『サルンガ』だったとは・・・・・。
サルンガのソフビが見たくなってきました。


少し時を遡ってピリカは町を歩いていた。そこに空から怪獣『ナイトファング』が降りてくるのを間近で見た。

 

「・・・・あれって怪獣⁉︎」

 

町に降り立つナイトファングを見上げるピリカ。そんな時、ピリカの耳に妙な音が聞こえてきた。ナイトファングから発せられたその音はピリカ以外には聞こえないのか誰もその音には反応しなかった。

 

「えっ・・・・この音・・・・・何?」

「どうしたんだ、お嬢さん?」

「えっ、いや、なんか変な音が怪獣から聞こえませんか?」

「・・・・・怪獣から・・・・・何も聞こえないよ。」

「そんな・・・・・?」

 

通りすがりの男性の言葉でピリカは自身にしかその音が聞こえないと分かった。彼女はその音に嫌な予感を感じてイヤホンを付ける。するとピリカの嫌な予感が的中したのか周りの人達が次々と倒れていく。その光景を見て隣にいた男性に駆け寄った。

 

「ちょっと⁉︎大丈夫ですか⁉︎」

「うっ・・・・・ううう・・・・・‼︎」

 

男性は何故かうなされ始める。ピリカはそれを見て現状を確かめるべく周りを見渡すも周りの人達全てがうなされていた。

 

「う・・・‼︎うううう・・・・止めて・・・・くれ・・・。」

「御免・・・・なさい・・・・そんなつもり・・・・・なかったの・・・・。」

「違う・・・・・違うんだ・・・・・俺は・・・・・決して・・・・お前を・・・・・裏切った・・・・訳じゃ・・・・・。」

「何これ・・・・・皆悪魔を見てうなされているみたい・・・・・。まさかあの怪獣のせいで悪夢を⁉︎だとしたら!」

 

ピリカはGIRLSに所属する中学からの親友であるクララに電話をかけ始める。しかし、何度コールがなってもクララは電話に出る事は無かった。

 

『おかけになった電話番号はただいま出ることが出来ません。ピーという発信音の後に』

「どうして⁉︎・・・・緊急事態なのに・・・・・まさかGIRLSまで⁉︎」

 

ピリカは嫌な予感を感じGIRLSの本部にまで向かう。その道中でも倒れてうなされる人々を見て彼女の嫌な予感は強くなり始める。そしてGIRLSに着いて彼女の嫌な予感は的中する事になった。

 

「そんな・・・・・GIRLSまで⁉︎」

 

GIRLS本部に着いた頃、彼女の目に写ったのは既に入り口のロビーや廊下で多くの職員が倒れてうなされている光景だった。GIRLSの制服を着た職員だけでなく怪獣娘本人も悪魔にうなされている。

 

「・・・・・あたしは・・・・・まだ・・・・・走れる・・・・。走れるよ・・・・・。」

「どうして・・・・・どうして・・・・・私から・・・・・。」

「怪獣娘さんまで⁉︎・・・・そんな・・・・。」

 

彼女は一瞬諦めそうになるも、僅かな望みを掛けて大声で叫ぶ。

 

「誰かいませんか⁉︎起きている人はいませんか⁉︎」

 

彼女か叫んだ言葉は建物内に響くも誰も反応するものがいないため無駄だったと思った。しかし彼女が数歩進んだところで足音が聞こえてきた。その足音は確かにこっちに向かっていた。

 

「足音?・・・・・誰かこっちに向かってる‼︎」

 

希望を感じたピリカは足音の方向に走っていく。やがて彼女は自分のいる方向に向かって走るGIRLSの制服を着たメッシュの入ったボーイッシュな印象の少女と出会う。ピリカはその少女を見て歓喜の声を上げる。一方、メッシュの入った少女はピリカを見て驚いた表情をしていた。

 

「あっ、いた‼︎良かった〜‼︎ちゃんと起きている人がいて‼︎」

「あっ、アンタなんで意識が⁉︎」

「あれ、どっかで会ったことある⁉︎」

「あっ、あの時は怪獣娘の姿だったか・・・・。アタシです、ノイズラーですよ!」

「ああ、あの時、クララと一緒にいたギターを持った怪獣娘さん‼︎」

 

ピリカはその少女『ノイズラー』こと『音無ミサオ』が自分を知っていた事に疑問の声を上げたが、前に親友であるクララと一緒にいた事を思い出した。

 

「確かキングジョーさんとヒロキのクラスメートでしたよね?どうして貴方に意識があるんですか、ピリカさん⁉︎」

「今はそれよりこの状況を何とかしないと‼︎クララ達は⁉︎」

「キングジョーさんも倒れちゃって・・・・。キングジョーさんだけじゃない・・・・皆倒れちゃったんだ・・・・。」

「分かった‼︎ちょっと待ってて‼︎」

 

ピリカに意識がある事に対してミサオは疑問を口にするもピリカは現状の事を聞く。ミサオの言葉を聞いた彼女は鞄に入っていたノートパソコンを取り出してキーボードを叩き始める。しばらくするとミサオにある場所について聞き出す。

 

「ねぇ、この施設全体に音を流せる部屋ってある?例えば放送室とかさ。」

「放送室ならありますけど・・・・、一体何を?」

「大丈夫‼︎あたしを信じて‼︎」

 

彼女の行動に疑問を抱くも藁にも縋りたい状況なためピリカを放送室に案内するミサオ。放送室に入るとピリカは放送室のケーブルと自身のパソコンを繋げ始める。やがて放送室の館内アナウンスのスイッチを押すピリカ。ミサオは思わずピリカを問い詰める。

 

「ちょ、ちょっと‼︎何してんだ、アンタ⁉︎」

「大丈夫!皆目を覚ますから‼︎」

 

ピリカの言葉に信じられないような表情をするミサオ。彼女達が放送室を出るとミサオは自身の目を思わず疑った。放送室の近くで倒れていた職員が目を覚ましたのだ。

 

「う、う〜ん・・・・、あれ、一体私は・・・・。」

「う、嘘、皆目を覚ましてる・・・・・。」

「どう?これで信じる気になったでしょ。早くクララの元に行こう!」

「は、はい‼︎」

 

ミサオがピリカを連れてさっきまでいた講義室に戻ると皆が目を覚ましていた。ミサオは歓喜の声を上げる。

 

「ザン、皆、目を覚ましたんだ・・・‼︎」

「ノイノイ・・・・、はい!皆、無事目を覚ましましたよ!ノイノイのお陰で」

「それは違います‼︎アタシだけでは無理でした・・・・。けど、ここにいるピリカさんのお陰で皆を助けられたんです‼︎」

 

ミサオは自身の後ろにいたピリカを紹介する。彼女の友人であるクララとヒロキは驚いた表情でピリカに話しかける。

 

「ピリカ⁉︎どうしてここに・・・・・まさかこの状況ハ・・・・。」

「ピリカさんが助けてくれたのか⁉︎・・・ありがとう、でもどうやって⁉︎」

「あの怪獣が特殊な音波を放ってたの。だからその音波を解析して打ち消す音波を作って放送室からこの建物全体に流したの。」

「マジか・・・・。凄えな・・・。」

「ていうか・・・・君は?」

「旭川ピリカです。クララとヒロくんのクラスメートで2人の友達です。」

 

ベニオとミカヅキの声でその場にいた全員に自己紹介するピリカ。ピリカの事を全員が理解した事で再び怪獣の話題に入る。

 

「にしても・・・・あの怪獣・・・・なんで悪夢なんか・・・・。」

「悪夢を見せる目的が掴めませんね・・・・。」

 

彼女達はナイトファングの行動の意図を読めずにいた。そんな中、タイタスがヒロキに話しかけてくる。

 

「ヒロキ、恐らくだが奴はナイトファングだ。』

「ナイトファング?・・・・・あの怪獣の名前⁉︎タイタス、知ってたの⁉︎」

『噂程度だがな・・・・。奴は人に悪夢を見させてその苦しみをエネルギーにすると言われている。』

「人の苦しみを・・・‼︎だから町に降り立ったのか‼︎」

「ヒロキ、一体何ヲ・・・?」

 

ヒロキはタイタスとの会話で思った事を口走りクララに疑問を抱かれてしまう。ヒロキは誤魔化す様に言い直した。

 

「多分ですが、あの怪獣は悪夢を見させてその苦しみを力に変えているんですよ‼︎」

「悪夢を見させて・・・・苦しみを力に・・・・・確かにそう考えれば人口密集地である市街地に降り立った理由にもなりますね‼︎」

「それだけではありまセン。人柱となる生贄が必要だった理由にもなりマス。」

「きっと人柱は悪夢を永遠に見せられて衰弱死したんだ・・・・。悪夢・・・・・ナイトメアからナイトファングとでもしましょうか。」

「ナイトファング・・・・成る程な・・・・あいつに似合う名前だな・・・。」

「だとしたら・・・・早く町の皆を目覚めさせないと‼︎」

 

ヒロキの言葉に納得するトモミとクララ。ヒロキの言葉にベニオが納得する中、アキが声を上げる。それを聞いてトモミが四角のテーブルの中心にペンを立て、それぞれの角に一本ずつペンを置きながらピリカに質問する。

 

「ピリカさん、ナイトファングが放つ音波を打ち消す音波を作ったと言っていましたよね?」

「はい!」

「この中心のペンをナイトファングとして、この四ヶ所からその音波を流せば悪夢を見せる音波を打ち消す事が出来るのではないでしょうか⁉︎」

「理論上は可能ですよ‼︎」

「お願いします‼︎その音波を私達に提供してください‼︎怪獣のせいで悪魔に苦しむ人達を助ける為に‼︎」

「勿論‼︎そのつもりでGIRLSに来たんですから‼︎」

「ありがとうございます‼︎ではピリカさんの作った音波を流す場所を決めましょう‼︎」

 

トモミは地図を開き説明する。そこにはナイトファングの現在地とそれを囲む4つの四角形が描かれていた。トモミは4つの角について説明する。

 

「ナイトファングの音波を打ち消す音波を4箇所から流します!それぞれ、北、南、東、西に分かれています!そこにある町内放送のスピーカーから音波を流します!キンキンは南に、レッドンは北に、アギアギは東に、ゴモゴモは西に向かって下さい‼︎」

「「「「了解‼︎」」」」

 

彼女達がナイトファングが出現した場所に向かって数十分後、ヒロキはトモミに言葉を発した。

 

「ピグモンさん、あの音波で皆の目を覚ましてもナイトファング自体を何とかしないとまた同じ事の繰り返しです‼︎」

「そうですね・・・・、その後の事はどうしましょうか・・・・。」

『適材適所だ!さっきも言ったがあいつの中には今でも地球の力が眠っている!このお嬢さんがそれを引き出して私達の光エネルギーと合わされば勝機はある‼︎』

「ねぇ・・・何か肩が重いんだけど・・・。」

 

ヒロキとトモミの会話を聞いたタイタスは藍の肩に乗りながら話しかけてきた。自身の気配を感づかれたタイタスは藍の肩から降りる。タイタスが降りた後、ヒロキは藍の顔を見る。すると藍は自分の胸の内を打ち明けた。

 

「ずっと・・・ずっと・・・・あたしは自分の力のせいで周りを不幸にしてきた・・・・。特別な力なんていらない・・・・!それでも・・・あたしの霊能力のせいで人が傷ついてきた・・・・。なのに・・・こんな格好して霊能力系アイドルなんてやってる自分なんか大嫌い‼︎」

「けど・・・・今なら君の力で人々を救える筈だよ。特別な力を手に入れた事には何か意味が」

「そんな事ない!!!あたしの力はいつだって不幸を齎すだけだった‼︎今までもそしてこれからも‼︎」

「そんなの分かんないよ‼︎自分で勝手に決めつけてるだけじゃん‼︎」

 

ヒロキと藍の会話にミコが割って入ってきた。ミコに続いてミク、サチコが会話に入ってくる。

 

「自分の力が怖い気持ちは分かるよ‼︎わたしだって自分が怪獣娘だと知った時は不安だったんだから‼︎この力で誰かを傷つけないかって‼︎」

「でも、この力を受け入れなきゃ何にも始まらないじゃん‼︎あたしも最初は実感なんて無かったよ。でも‼︎」

「それを受け入れたら自分の世界が変わる。あたしは怪獣娘である事を受け入れてそれを実感した。だから、ノイのような新しい友達だって出来たし一緒にバンドを組めたんだから‼︎」

「でも、あなた達怪獣娘は皆から受け入れられて支持されている。あたしなんかと違って・・・・、あたしの持っている力は怪獣娘のものとは違う‼︎あたしの力は周りを笑顔に何か出来ない‼︎」

「そうやって逃げてばかりでいいのかよ‼︎逃げてばかりいて情けなく無いのかよ⁉︎みっともないって思わないのかよ⁉︎アタシは嫌だよ‼︎そんな生き方‼︎」

 

反論してきた藍にミサオが入ってきた。ミサオは言葉を続ける。

 

「アタシ達怪獣娘と同じだよ・・・・。自分に特別な力があるからってそれを否定しちゃいけない。それを受け入れて生きていくしかないんだ・・・。」

「・・・・・・。」

 

ミサオの言葉を聞いた藍は下を向いて黙り込んでしまう。ヒロキは彼女達の言葉を聞いた上で藍に話しかける。

 

「今なら分かるんじゃないかな・・・。よく考えてよ。この状況で君に何が出来るか。」

「ヒロヒロ、何を考えているかは知りませんが幾らなんでも彼女は一般人です。彼女を危険に晒す訳にはいきません。」

「ピグモンさん・・・・・そうですよね・・・・。・・・・僕はクララちゃんを手伝ってきます‼︎」

 

そう言ってヒロキは部屋を出て行った。トモミ達はヒロキの後ろ姿を見送った後、モニターを見つめていた。

 

 

 

 

その頃、クララ達は怪獣娘に変身して各地のスピーカーからピリカの作った音波を流す準備をしていた。尚、ナイトファングの音波を聞かない様に耳にはイヤホンが付いていてピリカの作った音波が流れている。

 

「音波を流すぞ‼︎」

 

レッドキングの声に頷いた3人は音波を流し始める。すると倒れていた人達が意識を取り戻し、起き上がり始めた。

 

「あれ・・・俺達・・・。」

「一体・・・どうして・・・・・ってキングジョーさん⁉︎」

「ゴモたんだ‼︎」

「レッドキングさんもいるぞ‼︎」

「一体どうして・・・・・。」

「良かった・・・皆目を覚ました・・・。」

「浮かれてる暇はねぇぞ・・・・、怪獣が出た、皆、早く逃げろ‼︎」

「安全な場所に避難して下サイ‼︎」

「えっ・・・・うわあああああ、怪獣だああああぁぁぁ‼︎」

「逃げろーーーー‼︎」

「怪獣娘さん、ありがとうございます‼︎」

 

意識を取り戻した人達の避難誘導を始める4人。少し遅れてヒロキが現場に到着した。ヒロキは右腕にタイガスパークを出現させる。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガが町に降り立つ。タイガはそのままナイトファングに向けてファイティングポーズをとった。

 

「シェアッ‼︎」




戦えセブンガーにも新怪獣が出た様です。
てれびくんが欲しくなってきた・・・・・。


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悪魔を討て!(後編)

ゴールデンウィークの間にタイガ、Z両方ともある程度小説を更新したいと思います。


タイガはナイトファングに向けてファイティングポーズをとる。タイガはジャンプしてキックを放つ。

 

「シェアッ‼︎」

「ギイイイイアアアアアアァァァァァァ⁉︎」

 

タイガはナイトファングの方向を向いた途端、ナイトファングの触手がタイガの首に巻き付いた。ナイトファングはそのまま第3の目を開きタイガに 悪夢を見せる音波を放つ。それをまともに受けたタイガの脳裏にある光景が浮かんできた。それはギンガ達に変わってトレギアに戦いを挑んだあの日の記憶だった。タイガ達はトレギアの前に立ち塞がる。まずはフーマが先陣を切った。

 

『光の速さでテメェをぶった斬る‼︎』

 

フーマはトレギアに高速で接近して何度も手刀で斬りつける。次にタイタスがその拳をトレギアにぶつける。

 

『賢者の拳を受けてみろ‼︎』

 

タイタスのその一撃に後退するトレギア。そこで追い討ちをかけるようにタイガが必殺技を放つ。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

光線は見事にトレギアに直撃するもトレギアは平然としていた。

 

『ハッハッハ・・・。』

 

そのまま両腕から光線を放つトレギア。その光線でタイタスとフーマに直撃して2人の姿は消えてしまった。

 

『タイタスーーーッ‼︎フーマーーーッ‼︎・・・よくも・・・よくも俺の大事な仲間を・・・‼︎許さねぇぇぇっ‼︎』

 

タイガは怒りを露わにしてトレギアに向かっていく。しかしトレギアに動きを読まれ首を掴まれてしまう。

 

『ハッハッハ、熱いねぇ・・・。』

 

トレギアはそのままタイガに光線を浴びせる。その一撃でタイガも消滅してしまう。

 

『うっ・・・ううっ・・・うわあああ‼︎』

 

ナイトファングの音波の影響で忌まわしき記憶に苦しむタイガ。その隙を突いてナイトファングは口から火球を吐いてタイガを吹っ飛ばす。ヒロキはタイガにタイタスに交代するよう意見する。

 

(タイガ、タイタスに変わろう‼︎タイタスの力で一気に勝負を決める‼︎)

『分かった‼︎タイタス、頼む‼︎』

『うむ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

タイタスはナイトファングが放つ火球を腕で跳ね返す。そのままナイトファングに接近してその顔に力強い拳から放たれる一撃を食らわせる。

 

「ふん‼︎」

「ギイイイアァァァァ⁉︎」

 

タイタスはそのままナイトファングを何度も何度も殴り付ける。ナイトファングとタイタスの距離が離れた。タイタスがポーズを決めている最中、ナイトファングが悪夢を見せる音波をタイタスに放つ。

 

『しまった・・・‼︎すまない・・・ヒロキ・・・‼︎』

(タイタス‼︎)

 

その時、タイタスの脳裏にはかつて彼の故郷であるU40で起こったある戦いの記憶だった。大量の岩と砂埃がタイタスを襲う。彼を庇う者がいた。彼の名は『マティア』。タイタスとは兄弟当然に育った幼馴染だ。砂埃が晴れた時、タイタスの目に写ったのは血塗れになったマティアだった。タイタスはマティアに駆け寄る。

 

『何の為に戦うか・・・そう言ってたよな・・・?簡単な事なんだよ・・・それはな・・・守るためだ!・・・・何でもいいんだ。弱い人だったり、自分の誇りだったり・・・お前にはそれが出来る力がある・・・後はそれを外に出すだけだ・・・‼︎・・・・受け入れろ・・・タイタス・・・お前の心はお前だけのものだ・・・・‼︎』

 

タイタスの脳裏に浮かんだのは最後の言葉を言い残して息を引き取った友の記憶だった。

 

『マティア・・・・ううう・・・おおおおお‼︎』

『変われ、旦那‼︎俺の速さで奴の音波をぶっち斬る‼︎』

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

フーマはナイトファングが放つ火球を避けてあっという間に後ろに回り込む。フーマはそのままナイトファングに回し蹴りを放った。

 

「セイヤッ‼︎」

「ギイイアアァァ⁉︎」

 

ナイトファングを怯ませたフーマは再びナイトファングに回し蹴りを放つ。ナイトファングはその素早い一撃に地面に倒れる。再び起き上がろうとした時、フーマは小型の手裏剣状の光線『光波手裏剣』を放つ。小型の手裏剣状の光線は確実にナイトファングの体にダメージを与えた。

 

「ギイイイイアァァァァァァ⁉︎」

 

フーマは再びナイトファングの視界から一瞬で消える速さでその右横に回り込む。そこから手刀を放とうとするも接近した隙をついてナイトファングは音波攻撃をする。

 

『ぐううううっ⁉︎』

 

その時、フーマの脳裏に浮かんだのは4本の腕を持つ半魚人のような宇宙人に担がれている自身の姿だった。彼の名は『ゲルグ』。フーマに修行をつけた師匠でもある。フーマ、ゲルグ共々傷を負っていた。目の前にはウルトラマンオーブに力を授けた源である戦士の頂があった。

 

『勘違いしてんじゃねぇぞ・・・これは幸運のピースマークだ‼︎化物と負け犬の子が自分で生きた証だ‼︎』

 

そして目を覚ました彼の周りにはもう師匠であるゲルグの姿はいなかった。

 

『ぐっ・・・ぐうううう⁉︎』

(どうすればいい・・・どうすればいいんだ⁉︎)

『俺がいく‼︎もう大丈夫だからな‼︎』

(タイガ⁉︎でもあの音波を食らったら‼︎)

『大丈夫だ、任せろ‼︎』

 

タイガに交代するもやはりナイトファングは音波攻撃をしてきた。ナイトファングに苦戦が続いている。それを見て、クララがGIRLSにいるピリカに連絡する。

 

「ピリカ、音波を最大出力にしてタイガを援護出来まセンカ!?」

 

 

 

 

 

その頃、GRILSではクララからの通信を聞いたピリカが奮闘しながらその通信に答えていた。

 

「無理だよ!!これでも最大出力なんだから!!」

「あっ、ウルトラマンが!!」

 

ミクが指を指した先にはナイトファングが放った火球で吹っ飛ぶタイガがモニターに写った。それを見て苦い表情をする藍。

 

「ウルトラマンでも悪夢を見て苦しむのかよ・・・・・。」

「一体どうしたらいいの・・・。」

 

ヨウとユカの言葉を聞いて暫く俯く藍。彼女の中でヒロキ、ミコ、ミク、サチコ、ミサオに言われた言葉が頭によぎった。やがて暫くすると彼女は講義室を出ていった。レイカは呼び止めようとするもトモミがそれを制止する。レイカは彼女に疑問を放つ。

 

「行かせていいんですか!?」

「ここで止めたら女が廃りますよ。彼女の決意を汲み取ってあげましょう。」

 

トモミ達は彼女の後ろ姿を見送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

多くの人々がタイガと戦うナイトファングから逃げる中、1人逆走する少女がいた。先程GIRLSを抜け出した藍だ。彼女は途中で躓き転んでしまうも再び立ち上がる。立ち上がった彼女は身に付けていた黒い上着を脱ぎ捨てる。上着の他、その腕に着けてた数珠や腰に着けてた人形、眼帯を全て捨てる。そのままナイトファングと戦うタイガの近くまでやって来た藍。そこにやって来たのはキングジョー、アギラ、レッドキング、ゴモラだ。どうやら合流していたらしい。GIRLSにいた筈の彼女がここにいたので困惑しながらアギラが問い掛ける。

 

「ちょっと!!何でここにいるんですか!?」

 

藍はナイトファングを見据えると意識を集中させる。すると葉っぱのさざめきなどを感じた藍は先祖のように地球の力を感じた。ナイトファングの中に眠る地球の力を感じた藍は呟いた。

 

「あれを引っ張り出せばいい訳か。あの悪魔の中にある地球の力・・・あたしが絶対に呼び起こしてみせる。」

「そんな事出来るの!?凄いや!!」

「なぁ、今だったらライブ配信したら盛り上がるぜ。どうすんだ。」

「必要ない。」

「そうか、分かった。」

 

レッドキングの言葉に答えると藍は再び意識を集中させる。するとナイトファングの胸が光り輝き始める。ナイトファングは苦しみ始め、やがてその上にオーロラが発生する。かつて自身を封印したあの地球の力を感じたナイトファングはそれを呼び起こした藍の方を見る。彼女に自身を封印したシャーマンの面影を感じたナイトファングは火球を彼女に目掛けて放つ。

 

「シェアッ!?」

 

それを見た怪獣娘達が藍の前に立ち彼女の盾になろうとする。火球は着弾し大爆発した。しかし、ナイトファングは彼女達の始末に失敗した。地球の力がバリアを張り彼女達を守ったのだ。剣状になった地球の力を見て藍は呟いた。

 

「これが地球の力・・・・。」

 

藍は先祖であるシャーマンと同じようにそれを一振りすると地球の力をタイガに目掛けて投げる。地球の力はタイガのカラータイマーに吸い込まれヒロキの前に現れた。

 

「何だ、この光は?」

『俺の光の力と共鳴している!?』

 

赤く光るウルトラマンタイガキーホルダーに地球の力が融合してウルトラマンタイガキーホルダーが変化した。タイガの顔の右上に青い結晶が、左上に黄色い結晶が形成されたのだ。

 

「地球のパワーと太陽のパワーが融合したのか!?」

『力がみなぎってくるぞ!!』

「よし、新たな力で・・・悪魔を討つ!!」

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキは変化したウルトラマンタイガキーホルダーを左手で掴み、青い結晶の光と黄色い結晶の光をタイガスパークに読み込ませる。

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

左手でそれを前にかざした後、右手で持ち直す。

 

「輝きの力を手に!!」

 

変化したウルトラマンタイガキーホルダーの光をタイガスパークに読み込ませるとなんとキーホルダーの上の部分が開いた。

 

「バディィィィィゴーーー!!」

 

一点の光から黄金の鎧を纏ったウルトラマンが右手を開いて出現した。

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

黄金の鎧を身に纏ったウルトラマンタイガが地響きを立てて出現した。地球の力でタイガがパワーアップした姿、その名も『フォトンアース』。タイガはそのままナイトファングに対して戦闘態勢をとる。

ナイトファングは火球を2発発射してきた。しかしタイガは腕で受け止め、一発をナイトファングに弾き返す。自身の攻撃でダメージを負うナイトファング。

 

「ギイイイアァァァァ⁉︎」

「シェアッ‼︎」

 

ナイトファングは進撃してきて腕の触手を振り回すもタイガにあっさりと受け止められる。二度目も受け止められたため、音波攻撃をしようとするも頭に左回し蹴りを食らい音波攻撃には失敗する。

 

「ギイアァァァァ⁉︎」

「シェアッ‼︎」

 

再び触手で攻撃しようとするも受け止められ、逆にタイガの拳を2発食らう。そのままタイガはナイトファングの腹に5発連続でパンチを浴びせる。怯んだナイトファングが再び突進してくるもタイガは腕でその頭を受け止め、蹴りを見舞う。ナイトファングと距離が離れたところで、タイガはストリウムブラスターを撃つ構えに入る。するとオーロラがタイガの上に形成され、ストリウムブラスターの構えに入った時、オーロラがタイガスパークに集まった。そのまま光エネルギーの光線がナイトファングに発射される。

 

『(オーラムストリウム!!)』

 

地球の力を込めたその光線にナイトファングは跡形もなく大爆発した。そして一筋の光がタイガのカラータイマーに吸い込まれる。そしてそれはヒロキの手の中でナイトファングの顔を模した指輪に変わった。

そしてそれを見ていた霧崎はトレギアアイを開き、目の辺りで翳す。

怪獣が完全に倒された事を確認したタイガは飛び立とうとする。すると煙の中からトレギアが現れた。

 

『フッハッハッハ・・・。』

『トレギア!!』

『おいで・・・坊やぁ・・・。』

 

タイガはそのままトレギアに向かっていく。トレギアは2発蹴りを放つもタイガはそれを受け止めた。

 

『ほう・・・やるねぇ・・・。』

 

タイガとトレギアはそのままタイガは拳を、トレギアは手刀を放つもいずれも命中せずかわしあう。そして2人は渾身の一撃を顔に叩きこむ。

 

「いいねぇ・・・センスあるぞ・・・流石タロウの息子だ・・・。』

 

トレギアはそう言い残して消えてしまった。タイガは辺りを見渡すも完全にトレギアは姿を消してしまった事を確認する。そしてタイガは藍の方向を向いた。タイガは彼女の顔を見て頷いた。そしてタイガは空に飛び去っていく。その姿を見て霧崎は呟いた。

 

「新たな力・・・そのパワーに酔いしれろ・・・今の内にな・・・。」

 

霧崎は一枚のタロットカードを取り出す。それは愚者のカードだった。

 

 

 

 

その翌日、GIRLSに再び藍が訪れた。その衣装は相変わらず黒いゴスロリだったものの少し明るい雰囲気を感じさせるものだった。

 

「貴方の力がウルトラマンを助けたんですね!」

「あたしはあたしに出来る事をやっただけですよ。」

 

トモミの言葉に藍は答えた。ミカヅキも会話に入ってくる。

 

「これからどうするの?」

「今まで通りアイドルを続けるよ。迷惑な事は止めるけどね。」

「それが一番だぜ。」

 

ベニオの言葉の後、藍は怪獣娘達を見て感謝の言葉を述べる。

 

「怪獣娘の皆さん、ありがとう。あたし、もうこの力を否定しない。困っている誰かをこの力で助けられるなら迷わず使うよ。」

「藍さん・・・。」

「アナタならきっと出来マス!頑張って下サイ!!」

「うん!!・・・ヒロキ君。」

 

クララの励ましの後、藍はヒロキに耳打ちする。その内容にヒロキは驚いた。

 

「ヒロキ君のそばにはウルトラマンの守護霊がいるね。」

「守護霊・・・って・・・僕と彼等の関係に気付いたの!?」

「うん、だって胸が星のウルトラマンに青いウルトラマン、牛・・・っていうか赤鬼っぽいウルトラマンが一緒にいるもん。怪獣娘の皆には内緒にしとくから。これからも頑張ってね。」

「う、うん。けど、別に彼らは守護霊ってわけじゃないからね!!」

 

ヒロキの言葉にトライスクワッドも声を上げる。

 

『別に俺ら死んでるわけじゃねえからな!!』

『私達は訳あって肉体を失っているだけだ。』

『つーか、誰が赤鬼だよ!!』




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+フーマ)
『ユカの幼馴染の少女。彼女にはある秘密があった。古の封印から解き放たれた水異怪獣『マジャッパ』が放つ怪しい香りが俺達をまた新たな事件に引き寄せる。次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


それぞれの今


体が、体が痺れる‼︎』


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それぞれの今(前編)

今回の話が1番ハーレムのタグが仕事してると思いますし、1番ラブコメっぽいと思います。あまり上手くは書けませんでしたが・・・。
また、おジョーさんが恋のライバルになったら他のヒロインにとってはハードルが上がるだろうなと思ってこの話を書きました。

それと久しぶりにシャドウにも出て貰いました。
次にシャドウに出番が来るのはいつになるか・・・・。


その日、ヒロキは駅前で待ち合わせをしていた。ある人物とここで約束していたのだ。

 

『デートかよ、ヒロキ。羨ましいなぁ。』

「別にデートって訳じゃないよ‼︎」

『いやいや、女が男を2人きりで何処かに誘うならそれはデートだぜ。お前も中々やるなぁ。』

「止めてよ、2人とも・・・。」

『来たぞ、彼女だ。』

 

タイガとフーマにからかわれる中、タイタスが相手が来た事を伝える。タイタスが指差した方向を向くとそこには待ち合わせの相手がこっちに向かっていた。

 

「ヒロキさん、お待たせしました。」

「大丈夫だよ、僕も来たばかりだから。マガジャッパさん。」

 

そこに現れたのはユカだった。何故ユカとヒロキが待ち合わせしていたのかそれは一昨日の夕方に遡る。

 

 

 

 

一昨日の午前中、ユカは自身の中でモヤモヤした感情を感じていた。その感情はヒロキとクララが一緒にいるところを見て感じていた。

 

「はー、疲れたよ・・・・。大怪獣ファイトの手伝い・・・。」

「飛行機で遠いジョンスン島まで行きますカラネ。お疲れ様デス、ヒロキ。」

「でもさ、クララちゃんはもっと大変だったんでしょ。凄いよ、怪獣娘としてやらなきゃいけない大仕事の後でもサイン会とか握手会が出来てさ。」

「そんな事無いデスヨ。ザンドリアスちゃん達は中学生ながらもバンド活動をしていマス。ミクラスちゃんだって高校生活と大怪獣ファイターを両立させてマス。」

「なんか・・・そう考えると自分と年さほど変わらない子達がモデルやらなんやらやってるんだよね・・・。怪獣娘って・・・改めて凄いって感じるよ。」

 

クララと親しげに話すヒロキを見てユカは心のモヤモヤを募らせていく。そんな彼女にトレーニング終了後のミクラスが話しかけた。

 

「ジャッパちゃん、どうしたの?」

「あっ、ミクラスさん・・・あの・・・・・。」

 

ユカはこのまま隠すのもなんだと思いミクラスに心の内を打ち明ける。するとミクラスは勢いよく答えた。

 

「それはジャッパちゃんはヒロキさんに恋してるって事だよ!」

「ふえええぇ⁉︎わたしが・・・ヒロキさんに・・・・恋⁉︎」

「だってキングジョーさんと親しそうにしているヒロキさんを見て心がモヤモヤするんでしょ。それは恋だよ!ヒロキさんに恋してるに違いないよ!」

「・・・・薄々思ってはいましたが・・・・やっぱり恋してたんですね。」

「いつからなの?ヒロキさんに恋したのって。」

「あの時、レイビーク星人達に誘拐された時・・・・・わたし達の為に必死になって戦っていたヒロキさんを見てからです・・・。で、でも・・・。」

 

ユカは言葉を濁してしまう。ミクラスは首を傾げるも先にユカが口を開いた。

 

「ヒロキさんって幼馴染がキングジョーさんですよね・・・。幼馴染は負け属性・・・エレキング先輩がそう言ってましたけど・・・・相手がキングジョーさんならわたしには勝ち目は無いですよぅ・・・・。」

「そんな簡単に決めつけちゃ駄目だよ!あの人が何を思ってそんな事を言ったかは知らないけどキングジョーさんはヒロキさんの事ただの友達だと思っているかもしれないじゃん‼︎」

「けど、ヒロキさんに抱きつくところを見てしまいましたよ・・・・。もし・・・・キングジョーさんが・・・・恋のライバルなら・・・・わたしに・・・勝ち目なんて・・・。」

「だから簡単に決めつけない‼︎ヒロキさんにとってはジャッパちゃんが好みのタイプかもしれないんだから!まずはデートに誘ってみなよ。あたしが見てあげるから‼︎」

「ふええぇぇ⁉︎・・・・分かりましたぁ・・・。」

 

その日のヒロキの様子を見てデートに誘おうと考えたユカ。しかし、暫くしてからヒロキの方からユカに話しかけてきたのだ。ユカはデートの誘いをしようとするもテンパって上手く話せない模様。

 

「あれ、マガジャッパさん、どうしたの?」

「ふえっ⁉︎ヒロキさん⁉︎えっと・・・・あの・・・・その・・・。」

「?」

 

ユカは勇気を振り絞りヒロキをデートに誘う。その光景をミクラスは壁沿いから遠目で見ていた。

 

「明後日、わたしと一緒に遊びに行きませんか⁉︎もしヒロキさんが良ければですが・・・。」

「明後日?いいよ、特にこれといった用事は無いから。」

「本当ですか⁉︎あ、あ、ありがとうございましゅ‼︎」

 

ヒロキからの返事を貰って嬉しくて噛んでしまうユカ。ミクラスはそれを見て笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして今に至る訳だ。2人は町を歩きながら何処へ行こうか話している。

 

「何処か行きたい場所はあるの?」

「さ、最近、ゲームをやるようになって・・・もし良ければゲームセンターに・・・。」

「いいよ、行こうか。」

 

その光景を後ろから隠れて監視する3人がいた。クララとその妹のラハナ、それにユカの親友のヨウだ。その後ろでミクが苦い顔をしていた。

 

「あの2人、手を繋ぎまシタカ?」

「姉さま、今のところは繋いでいまセン。けど、油断は禁物デス。」

「まさか恥ずかしがり屋のジャッパが先にヒロキさんをデートに誘うなんて・・・。完全に油断してた・・・・。」

「あのー、なんか3人とも目がギラギラしてるように見えるけど・・・・。」

「「「ミクラスさん(ちゃん)は黙ってて(下サイ)‼︎」」」

「はい・・・・。」

 

この3人がヒロキとユカを尾行しているのには訳がある。クララだけでなくラハナ、ヨウもヒロキに想いを寄せているのである。ラハナとヨウもレイビーク星人に誘拐されて以来、ヒロキを見て高鳴る気持ちを感じていた。ラハナは自分自身で気付き、ヨウもミクに相談してその気持ちを知ったのだ。しかし、ミクがヒロキとユカがデートする事をうっかり口にしてしまった。それだけでなく、偶然にもクララ達姉妹がその場を通りすがったため、結果的に3人はヒロキとユカがデートする事を知ってしまったのだ。2人の様子が気になった3人はヒロキ達を尾行する事にした。ミクがこの3人に付いていく事にしたのは自身がヒロキとユカのデートの事を隠しきれなかった事に責任を感じて3人を監視しようと思ったからである。

 

「ラハナ、バッサーちゃん、幾ら可愛い妹と後輩とはいえ、ヒロキの事は譲れませんカラネ。」

「それはこっちの台詞デス、姉さま。マガバッサー、分かっているとは思うケド。」

「勿論、例え親友であるラハナとジャッパとはいえわたしも負けるつもりはないよ‼︎勿論、キングジョーさんにも負けませんから‼︎」

(・・・・まさかこの3人が恋のライバルになるなんて・・・・あたし、答えをミスったかな・・・・。)

 

ミクが後輩の相談の答えに後悔する中、2人はゲームセンターに入っていく。その姿を追って4人は少し時間を置いてゲームセンターに入っていく。彼女達が見張っているとも知らずヒロキ達はクレーンゲームの前にいた。

 

「どうしたの?」

「あ・・・その・・・・。」

 

ヒロキはユカがクレーンゲーム内にあったタツノオトシゴがデフォルメされたぬいぐるみを見つめている事に気付く。ヒロキは彼女がそれを欲しがっていると悟り、クレーンゲームに硬貨を投入する。

 

「これが欲しいんだろ。僕が取ってあげるよ。」

「そ、そんな自分でやりますよ‼︎」

「いいからいいから。」

 

ヒロキはクレーンゲームのボタンを押してアームを操作する。しかし、最初の1回目は失敗してしまう。

 

「あっ・・・。」

「まだ始まったばかりだよ。もう一回!」

 

ヒロキは再びアームを操作する。後ろからタイガとフーマが茶化してくる。

 

『ヒロキー。ミスるなよー。』

『ミスったらカッコ悪いぞー。』

(2人とも黙ってて‼︎)

 

しかし、ヒロキは再び失敗してしまう。ユカは止めようとするもヒロキは譲らない。

 

「あっ、あのヒロキさん・・・。わたしがやりますよ。クレーンゲームは難しいですし、元々わたしが欲しがっていたものですし。」

「大丈夫‼︎今度こそ決めるから‼︎」

『大丈夫かよー。二度ある事は三度あるっていうだろー。』

『ここでまた失敗したらお前本格的にカッコ悪いぞー。』

 

ヒロキはからかってくるタイガとフーマの言葉を横に再びボタンを押してアームを操作する。するとアームは見事タツノオトシゴのぬいぐるみを掴み下に降ろした。見事にぬいぐるみを取ることに成功したのだ。

 

「はい、ぬいぐるみ。」

「あっ、ありがとうございます‼︎」

「いいっていいって。」

 

ぬいぐるみを取って談笑する2人。そんな2人を見てヨウは鋭い目で見ていた。その後も2人は太○の達人やダンスゲーム、2人プレイでシューティングゲームなどをやり、ゲームセンターを大いに楽しんだ。2人はゲームセンターを出た後はクレープ屋に向かい、クレープを買った。ヒロキはチョコバナナ、ユカはストロベリークリームを買って近くにあった公園のベンチで食べていた。

 

「ヒロキさんって、チョコ好きなんですね。」

「うん、僕は基本的にはチョコ味を頼むかな。マガジャッパさんは?」

「わたしは・・・」

「オー、何か2人とも楽しそうデスネ・・・。」

「結構いい雰囲気かもしれまセン・・・。」

「・・・・ジャッパって胸、結構デカいんだよね・・・・。加えておしとやかな性格だし・・・・かなり強力なライバルかも・・・。」

「キングジョーさんもそうだけど・・・・バッサーちゃんも胸十分デカいよ・・・・。」

 

ヨウの呟きにミクは思わずそう返してしまう。彼女達もクレープを食べながら2人を見張っていた。このまま平和な時間が続くと思っていた。しかし、それは人々の悲鳴でかき消された。シャドウが現れて公園で遊んでいた人々を襲い始めたのだ。これを見たヒロキとユカは対処に向かう。

 

「ヒロキさんは避難誘導をお願いします‼︎シャドウはわたしが‼︎」

「分かった‼︎」

「ソウルライド、『マガジャッパ』‼︎」

 

ユカは怪獣娘『マガジャッパ』に変身して近くにいたシャドウに水流を放つ。ヒロキは近くでつまずいて転んでしまった少年を助けていた。

 

「大丈夫⁉︎」

「お兄ちゃん・・・御免、足挫いちゃったかも・・・・。」

「分かった‼︎僕が担いで行くよ!誰かと知り合いは?」

「お母さんが一緒に。」

「分かった。」

 

ヒロキは少年を担いで走っていく。やがて彼の母親と思われる女性が少年を見て駆け寄っていく。ヒロキは少年を母親に預けると他に逃げ遅れた人がいないか探しに向かう。

 

「ありがとうございます‼︎」

「大丈夫ですよ。僕は他に逃げ遅れた人がいないか探しに行きます‼︎」

「お兄ちゃん、気を付けて!」

 

ヒロキは少年に頷くと走り去っていく。その頃、マガジャッパはシャドウの群れを相手に戦っていた。そこにキングジョー、キングジョーⅡ、マガバッサー、ミクラスが合流する。

 

「バサちゃんにラハナちゃん⁉︎キングジョーさんにミクラスさんも⁉︎どうしてここに⁉︎」

「ア、アハハ・・・偶然だよ・・・。」

「それよりもシャドウを何とかしまショウ‼︎」

「キングジョーさん、前の様な」

「分かってマス。もう周りに余計な被害を出す戦いはしまセン‼︎」

 

キングジョーとキングジョーⅡは光線で、マガバッサーは空気の刃で、ミクラスは拳で、マガジャッパは水流でシャドウを全滅させていく。やがて全てのシャドウを片付けた怪獣娘達。

 

「やったな、ジャッパ、ラハナ‼︎」

「ハイ‼︎」

「うん‼︎ありがとう、2人とも‼︎」

 

顔を見合わせてハイタッチし合うマガバッサー、マガジャッパ、キングジョーⅡ。実はレイビーク星人とノワール星人の事件以来、3人は親しくなり最近は3人で遊ぶ事もあったのだ。妹に新しい友達が出来た事を目の前で確認して微笑みを浮かべるキングジョー。

 

「やっぱり、キングジョーさんは笑顔が1番ですよ‼︎」

「ミクラスちゃん、おだてても何も出ないデスヨ。」

「いやいや、本当の事ですって‼︎」

 

彼女達がそんなやり取りをしているところ、異変が再び起こる。1人の少女の悲鳴が聞こえたのだ。

 

「止めてーっ‼︎」

「キングジョーさん‼︎」

「ハイ、行きまショウ⁉︎」

 

そこでは1人の少女が武装した2人の男に囲まれていた。男の1人が銃を向けて少女を脅す。

 

「大人しく俺達と一緒に来い‼︎」

「止めてよ‼︎離してよ‼︎」

「いいから我々と来い‼︎」

「あいつら、女の子1人を相手に‼︎」

 

マガバッサーがそれを見て憤るも、ヒロキが銃を向ける男に飛び蹴りをかます。男は思わず吹っ飛んで近くの柱にぶつかる。そこで怪獣娘達も合流した。

 

「ヒロキさん‼︎」

「クララちゃん⁉︎ラハナちゃんにミクラスさんにマガバッサーさん⁉︎丁度良かった、彼女を頼む‼︎」

「ちょ⁉︎ヒロキさん‼︎」

「この餓鬼・・・‼︎」

 

ヒロキは男に対して戦闘態勢を取る。すると男の顔は人間の物から異形の者に変わっていた。それを見てヒロキと怪獣娘は驚いた。

 

「あ、あいつら、宇宙人だったのか‼︎」

「大丈夫ですか⁉︎」

「怪獣娘さん⁉︎はい、大丈夫です‼︎」

 

怪獣娘達が少女に駆け寄り、彼女の状態を確認する。彼女は大丈夫の言葉通り、怪我は見受けられなかった。ヒロキは2人組の宇宙人と格闘戦を始める。始めにヒロキが人間の顔の宇宙人に殴りかかるも、宇宙人は腕をクロスさせて防御する。そしてもう1人がヒロキに銃口を向ける。引き金が引かれた時、マガジャッパは尻尾を叩きつけ、その宇宙人を撃退する。

 

「はあっ‼︎」

「ぐはっ⁉︎」

「ありがとう、マガジャッパさん‼︎そいつを頼める⁉︎」

「はい‼︎」

「くそっ、怪獣娘も多い!一旦退くぞ!」

「おい、待て‼︎」

 

宇宙人達は走り去っていく。ヒロキ達は追おうとするも姿を見失ってしまった。ヒロキが悪態をつく横でマガジャッパは変身を解除する。

 

「くそっ‼︎逃げられた‼︎」

「見失ってしまいましたね・・・。」

「ヒロキ‼︎ジャッパちゃん‼︎」

 

後ろから先程の少女を連れてクララ達がやって来る。先に発言したのはミクだ。

 

「宇宙人は⁉︎」

「すまない、逃げられた・・・。」

「そうデスカ・・・一体あの宇宙人達の目的は何だったのでショウ・・・。」

 

ヒロキとクララが話している中、先程の少女はユカの顔を見つめていた。そして彼女の名前を呼ぶ。

 

「・・・・・。」

「あ、あの・・・どうしました・・・わたしの顔をじっと見て・・・。恥ずかしいから止めてください・・・。」

「見覚えのある顔にその恥ずかしがり屋な性格・・・・もしかして竜波ユカ?」

「は、はいっ、そうですけど・・・どうしてわたしの名前を?」

「わたしだよ‼︎幼稚園、小学校、共に一緒だった行方舞子‼︎」

「えっ、もしかしてマイちゃん‼︎」

「そうだよ、ユカ‼︎本当に久しぶり‼︎」

 

その少女とユカは知り合いだったらしく、思いがけない再開を喜んでいた。




皆さん、感想をくれると嬉しいです。

何故、『悪魔を討て!』は三部とも感想が来なかったのだろう・・・。


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それぞれの今(中編)

ああ、怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースのスピンオフ的な作品をやりたい・・・・。
けど、タイガの方を進めたい・・・。トリガーまでにはタイガの方を完結させたい・・・・。
一体どうすれば・・・・。

水異怪獣『マジャッパ』登場


「座って下さい。どうぞ。」

「すみません、失礼します。」

 

GIRLS東京支部の応接室にトモミと先程宇宙人に襲われていた少女『行方舞子』が入ってきた。彼女はトモミの案内で応接室のソファーに座る。彼女をここに案内したのは事情聴取のためだ。この事件は宇宙人が関わっている事もあり、GIRLSで対処する事になった。彼女をここに案内したのは、何故宇宙人に襲われていたのか聞くためである。舞子の隣にはユカが座っている。彼女の緊張を少しでも和らげるため、顔見知りのユカが隣につく事になった。

 

「えっと、行方舞子さんですね・・・。」

「はい。」

「どうして宇宙人に襲われていたのか心当たりは?」

「いえ、全くありません。」

「いつからなの?」

「確か1週間前から誰かの視線を感じるようになりました・・・。」

 

ユカの問いかけに答えた舞子。彼女達の事情聴取はまだ続く。

 

「今回の様に襲われる事は前もあったのですか?」

「いえ、今日が始めてです。」

「そうですか・・・。分かりました。事情聴取、大変お疲れ様でした。この件にはGIRLSが対処致します。護衛の怪獣娘を就けますよ。」

「そ、そんな・・・大袈裟な・・・。」

「そんな事無いよ、最近は宇宙人や怪獣の事件が続いてるし、何があるか分からないから、ピグモンさんの言う通りにした方がいいよ!」

 

ユカの言葉を聞いて考え始める舞子。やがて彼女は重く口を開いた。

 

「・・・・・ユカ・・・・・。」

「な、何?」

「御免・・・・ユカにも色々事情があると思う・・・・。けど、わたしのそばに居て・・・・。・・・・怖い・・・・。」

「うん。そばにいるよ。」

 

震える舞子を抱き締めるユカ。こうして事情聴取が終わり、彼女達は応接室を出る。やがて休憩スペースに出た2人はお茶を飲みながら話していた。

 

「それにしても・・・・本当に久しぶりだね、ユカ。」

「そうだね・・・。小学五年生の夏に転校して以来だね。」

「驚いたよ、まさかユカが怪獣娘になってたなんて。」

「わたしも色々あって。」

「それにしても、いい友達も出来たみたいだね。誰だっけ、あの青い翼の怪獣娘さん?」

「バサちゃんの事?」

「そうそう、中々元気そうな性格だなって思ったよ。・・・でも良かった。ユカ、全然変わってない。」

「そうかな・・・。」

 

話は一旦終わってロビーに着くとヒロキとクララがいた。2人は彼女達の姿を見るなり話しかける。

 

「マガジャッパさん、舞子さん‼︎」

「ヒロキさん!キングジョーさん!」

「舞子さんの様子が気になって来た。これからどうなる?」

「取り敢えず、わたしが護衛につく事になったから心配しないで下さい‼︎」

「そうか・・・。それ、マガバッサーさんも就きたいと言ってるんだけどどうする?」

「バサちゃんが⁉︎わたしはいいですけど・・・舞子ちゃんが・・・どう言うか。」

「いいよ。ユカが怪獣娘になった時に出来た親友でしょ。色々と話したいし構わないよ。」

 

彼女の許しが出たことで舞子の側にはユカとヨウがいた。お互い自己紹介し合った2人。ヨウは明るい性格なため、すぐに舞子とも仲良くなったようだ。

 

「ねぇねぇ、舞子はゲームするの?」

「ゲームか・・・・最近はあまりやってないかな・・・。ヨウはゲーム好きなんだね。」

「うん、休みの日とかジャッパと一緒にやる事も多いから。」

「そうなんだ。・・・それにしても安心したよ。」

「舞子ちゃん、それってどういう?」

「今のユカにもこういう明るい友達がいてさ。昔のユカ、友達少なかったからさ。」

「そうなの⁉︎何か意外・・・。」

「ユカって、汗っかきでしょ。小学生の頃は男子にその事めちゃくちゃからかわれて・・・中には本当に臭いとか心無い事をいう様な人もいてさ・・・・かなり腹が立ったんだよね。」

「はぁ、何それ‼︎ジャッパってばこんなにいい匂いするのにさ‼︎」

「ふええぇぇ⁉︎バサちゃん⁉︎」

「クラスの女子にもそんな心無い事をいう人がいたから結構心配してたんだよね。・・・ユカ。」

「ふえ?」

「ヨウ、いい子じゃん。大切にしてあげてね。」

「も、勿論だよ。」

 

彼女達が仲良く話しているのをヒロキは遠目で見ていた。そこにクララがジト目で睨んでくる。

 

「ヒロキ〜、ストーカーデスカ〜。」

「違うよ、何故あの宇宙人達が彼女を狙ったのか気になって。」

 

ヒロキの答えにクララは表情を柔らかくして腕を組みながら考えていた。

 

「確かに・・・何故彼女は狙われていたのか気になりマスネ。」

「この間の藍さんの様な霊能力者には見えないし・・・・、彼女を利用して怪獣を蘇らせるとかは出来ないと思うけど・・・。」

「彼女を狙う宇宙人が現れたら聞き出せばいいだけデス!頑張りまショウ、ヒロキ‼︎」

「うん!」

「そういえば、マガジャッパちゃんとは何処までいったんデスカ〜。ワタシ、少し気になりマース。」

「へっ、何のこと?少し遊びに行っただけだよ。」

 

クララがヒロキにユカとの関係を問い詰める中、ユカ達は途中でクレープ屋を見つけて、そこに立ち寄っていた。そんな中、舞子が鞄から青い小瓶を落としてしまう。地面に落ちる前にヨウがそれをキャッチした。

 

「あっ、しまった⁉︎」

「危ない‼︎」

「ありがとう、ヨウ。」

「どういたしまして。」

 

やがて、公園のベンチに腰を掛けた3人はクレープを食べながら談笑し始める。そこでヨウがさっきの小瓶の事を聞く。

 

「ねぇ、さっきの小瓶って何なの?化粧水が入ってるとか?」

「ああ、これ?」

 

舞子は先程の小瓶を取り出す。ユカも不思議そうにそれを見つめていた。彼女と付き合うの長いユカにとっても初めて見るものらしい。舞子はそれを見ながら話し始めた。

 

「私の家に代々伝わるお守りなんだ。お婆ちゃんから託されたんだよ。」

「へー。」

「お婆ちゃんやお母さんはこう言ってたよ。『幸運のタリスマン』ってさ。」

「幸運の・・・・タリスマンか。」

「けど、今日は災難だったんじゃないが?宇宙人に襲われてさ。」

 

ヨウの言葉に舞子は首を振って否定する。

 

「そんな事ないよ。確かに今日は宇宙人に襲われるというトラブルもあったけどさ・・・久しぶりにユカに会えて・・・ユカの親友となったヨウにも会えた。久しぶりに親友に再会できただけでなく、新しい友達にも出会えたんだから。だから、今日もいい事があったと思う。」

「舞子ちゃん・・・・。」

「・・・何か・・・ありがとな・・・。」

 

彼女の言葉に嬉しそうな表情を浮かべるユカとヨウ。3人の穏やかな時間はこのまま進むと思っていた。しかし、後ろから近づいてくる影がいた。ヨウはそれを察知して舞子を遠ざける。

 

「危ない‼︎」

「キャッ⁉︎」

 

ヨウの咄嗟の判断で後ろから飛びかかってきた影を回避した3人。彼女達が振り返るとそこには3人の男がいた。その内、1人は顔が完全に人間ではなかった。先程、舞子を襲った青い顔に刺が生えた異形『ヒュプナス』と同じ顔だった事からユカとヨウは先程の宇宙人達と同じだと判断した。

 

「くそっ、邪魔しやがって‼︎」

「こいつら、さっきの‼︎」

「どうして舞子ちゃんを狙うの⁉︎」

「そいつが守り人の末裔だからだ‼︎」

「守り人⁉︎一体何の事⁉︎」

 

舞子の疑問に応える事なく宇宙人達は舞子に飛びかかる。ユカとヨウはソウルライザーを取り出して怪獣娘に変身する。

 

「「ソウルライド‼︎」」

「『マガバッサー』‼︎」

「『マガジャッパ』‼︎」

「こいつら、さっきの怪獣娘か‼︎」

「くそっ、ならば力づくだ‼︎」

 

マガバッサーとマガジャッパは宇宙人と格闘戦を始める。マガジャッパがヒュプナスの蹴りを腕で弾き、水流で吹き飛ばす。マガバッサーがサングラスを掛けた2人の男に飛び蹴りを仕掛けたところでマガジャッパが舞子に逃げる様言い放つ。

 

「舞子ちゃん、今のうちに‼︎」

「うん‼︎」

 

舞子は走り出すもそれを狙う影がいた。虫の様な顔をした異形のスナイパーが彼女を狙っていたのだ。その宇宙人がライフルの引き金に手を掛けた時、キングジョーが頭から光線を放ち、スナイパーを吹き飛ばす。

 

「ぐわあああああ⁉︎」

「させまセン‼︎」

 

スナイパーは体を回転させながら地面に倒れる。地面に倒れたスナイパーの腕を押させてヒロキが詰め寄った。

 

「お前らの目的は何だ‼︎」

「あの女は水獣の守り人の末裔・・・。奴のタリスマンを奪って我々、ヴィラン・ギルドの商売にするために・・・。」

「アナタ達、ヴィラン・ギルドだったのデスネ!詳しい話を聞かせてもらいマス‼︎」

「クララちゃん、僕は彼女達に奴らの狙いを伝えてくる‼︎」

「分かりまシタ。ヒロキ、気を付けてくだサイ。」

 

ヒロキは舞子のもとに向かう。キングジョーはヒロキに変わってスナイパーを務めた宇宙人を拘束した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、舞子はマガジャッパ達を撒いた追手から逃げていた。そこにマガバッサーが追いつき、追手に飛び蹴りを食らわす。

 

「させるかーーー‼︎」

「ぐはっ⁉︎」

「ヨウ‼︎」

 

マガバッサーが追手と戦う中にヒロキとマガジャッパが合流する。ヒロキは舞子とマガバッサーに奴らの狙いを伝える。

 

「マガバッサーさん‼︎マガジャッパさん‼︎舞子さん‼︎そいつらの狙いは舞子さんの持ってるタリスマンだ‼︎」

「タリスマン・・・・ってまさかあの‼︎」

「えっ⁉︎」

 

3人はそれぞれ驚いた反応をしていた。マガバッサーとマガジャッパはヒロキの方を向き、舞子は思わず小瓶が入った鞄を見る。その隙を突いて新たに現れた青い仮面の宇宙人が舞子の腕を掴む。

 

「さあ、タリスマンを寄越せ‼︎」

「ま、舞子さん‼︎」

「させない‼︎」

 

ユカが青い仮面の宇宙人『キール星人』に飛びつき投げ飛ばす。しかし、舞子は腕を振り払った時、鞄の中身をぶちまけてしまう。

 

「あっ‼︎」

「ヤバい‼︎」

 

舞子に続き、ヒロキとマガバッサーが鞄の中身に駆け寄る。しかし、ヒロキの行く手はヒュプナスによって阻まれる。

 

「地球人が‼︎我々の邪魔をするな‼︎」

「くっ、やるしかないか・・・‼︎」

 

ヒュプナスは刺又に似た武器を取り出してヒロキに襲いかかる。ヒロキが応戦する中、マガバッサーは鞄の中身にたどり着き、先程彼女から見せてもらった小瓶をはじめ、鞄の中身を回収し始める。すると先程のサングラスの男達が再び邪魔をする。マガバッサーは顔を歪めて応戦する。

 

「怪獣娘‼︎そいつを寄越せ‼︎」

「そう言われて渡せる訳ないだろ‼︎」

 

するとマガバッサーは翼を羽ばたかせて竜巻を起こす。その竜巻はあっという間に2人の男達を吹き飛ばしていった。マガジャッパと戦っていたキール星人はそれを見て手に持っていた銃を取り出した。

 

「あの青い怪獣娘‼︎これでも食らえ‼︎」

「バサちゃん、危ない‼︎」

 

マガジャッパは手から泡を放ち銃から放たれた光線を包んでマガバッサーを守る。しかし、1発目、2発目から守り損ねたため、マガバッサーは被弾してしまった。

 

「ぐあっ⁉︎」

「バサちゃん‼︎」

 

攻撃を食らったマガバッサーは思わず顔を歪める。また、その衝撃でその手から小瓶を離してしまった。

 

「ヤバい‼︎」

「食らえ‼︎」

 

マガジャッパに至近距離で銃撃するキール星人。マガジャッパはそれを食らって後退する。そして再びキール星人がマガバッサーを銃撃する。

マガバッサーは間一髪で小瓶を掴むも2度目の銃撃を腕に受け、小瓶を再び手放してしまう。そして、2発目の銃撃が小瓶に直撃した。

 

「しまった‼︎」

「ヤバッ‼︎」

「あっ・・・って、何でそっちまで⁉︎」

 

それを見てキール星人もやっちまったみたいな声を上げる事に疑問を浮かべるマガジャッパ。すると割れた小瓶の中から黄色い粒子と青い粒子が飛んでいった。

 

「今のは何?」

 

それらは近くにあった池の水を取り込んでいく。そして、巨大な何かが姿を現した。

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキはヒュプナスの刺又を抑えつけ、奴の体にパンチを打ち込む。すると公園の池の上に黄色い粒子と青い粒子が降りてくるのを見る。

 

「何だ?」

「あれは・・・まさか・・・。」

 

そして粒子は池の水を取り込み、巨大な怪獣の姿になった。その怪獣は全体的に黄色い色だが、体の所々が青みがかっていた。その顔にはタツノオトシゴのような細長い鼻につぶらな瞳、そしてトサカがあり、背中には大きな背鰭が付いていた。その姿を見たヒロキ、舞子、マガバッサー、マガジャッパの4人は思わず呟いた。

 

「次から次へと何なんだよ!?」

「嘘・・・怪獣・・・!?」

「マジかよ・・・・しかもあの怪獣って・・・!!」

「わたしの元の怪獣の・・・・マガジャッパ⁉︎けど・・・何か色が違う様な・・・。」

 

ヒロキ達の目の前に現れた水ノ魔王獣『マガジャッパ』の原種でもある水異怪獣『マジャッパ』は復活の雄叫びを上げた。

 

「グワッグワアアアアアアア‼︎」




スピンオフをやる場合、最初の中身は決まっています。

怪獣娘タイガの方はヒロキの祖父の人生を描いた『Memory Of Grandfather Message For Taro』。

怪獣娘Zの方はハルキとミコの学生生活を描いた『学校の彼ら!』。

両方で考えているのが怪獣娘がウルトラマンと怪獣の戦いをひたすら実況するだけの『実況:怪獣娘によるウルトラファイト‼︎』。
これは怪獣娘タイガ、怪獣娘Zのウルトラマンの戦いを映像で見直した怪獣娘達がその戦いをひたすらに実況していくウルトラマンとウルトラセブンの戦いに実況が加わった初期のウルトラファイトっぽい話にしようと思います。

ただ、あくまで予定なので本当にやるかは分かりません。仮にやるとしてもかなり後になる可能性が高いです。


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それぞれの今(後編)

ダイナゼノンにまさかグリッドナイトが登場するとは・・・。
しかも、アンチくんかなりデカくなってたし・・・・。

『サブタイを探せ』を忘れていたので急遽付け加えました。
隠されたサブタイに気がついた人は感想蘭でコメントお願いします。
タイガ、Z両方とも今までの話に隠されたサブタイが入っていますのでもし見つけた方は感想蘭でコメントお願いします。


マジャッパは鼻から水流を放つ。その高圧水流は下にいたヒュプナスを直撃した。ヒュプナスの体はその水圧に押しつぶされる。その一方で、マガバッサーとマガジャッパは空になった小瓶を拾った舞子に問い詰める。

 

「ぎゃああああああ‼︎」

「どう言う事だよ⁉︎その小瓶の中から怪獣が出てきたぞ‼︎」

「怪獣の事、知ってたの⁉︎」

「まさか、知ってたら先に話してたよ‼︎」

「もう一度聞くけどその瓶、お婆ちゃんは何て言ってたの⁉︎」

「一族に代々伝わるお守りだって!・・・あっ、絶対に中を開けるなとも言ってた‼︎」

 

マジャッパは池から上がり町の方へ進行し始める。マジャッパはふと足元を見る。そこには3人の少女と青い仮面の男が見えた。3人の少女のうち、1人を見てかつて自身を封印した者の子孫だと本能的に感じるとマジャッパは鼻から高圧水流を放った。

 

「舞子ちゃん、危ない‼︎」

「‼︎」

『俺のスピードで撹乱させてやる‼︎』

「ああ、行くぞフーマ‼︎」

 

ヒロキはタイガスパークを出現させてそのレバーを引くと、腰のホルダーからフーマの顔が刻まれたアクセサリーを手に取る。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

「セイヤッ!!」

 

水流が舞子を押しつぶすと誰もが思った時、突然何処からともなく手裏剣状の光線が水流の行く手を阻む。そのまま、光線は水流を相殺し、マジャッパの前に青い巨人が立ちはだかった。

 

「セイヤッ‼︎」

「あっ、ウルトラマン‼︎」

 

それはウルトラマンフーマだった。フーマは指でマジャッパを挑発する。

 

『来な‼︎」

「グワッグワッ‼︎」

 

マジャッパはフーマ目掛けて水流を放つ。しかし、フーマのスピードはそれを遥かに上回っていた。フーマはあっという間にかわし、マジャッパの右に回り込む。

 

『へへん、何処見てんだよ‼︎』

 

再びマジャッパは水流を放つもまた避けられる。フーマを見失ったマジャッパ辺りを見渡してフーマを探すもその姿は見えなかった。そして上からフーマが放つ強力なかかと落としを食らった。

 

『セイヤッチ‼︎』

「グワックワアアアア⁉︎」

 

その後もフーマはマジャッパの目に見えない速さでマジャッパの周りを飛び回り、鋭利な刃状の光線『光波手裏剣・斬波の型』でマジャッパを攻撃する。

マガバッサーとマガジャッパはその戦いを見つめていたが、キール星人が彼女達に銃を向ける。

 

「計画の邪魔をしやがって‼︎2人ともぶっ殺してやる‼︎」

「‼︎」

「舞子ちゃん、下がって‼︎」

 

そのまま3人は戦い始める。キール星人が2人を銃撃するも、マガバッサーは空を飛び回り弾丸を避ける。マガジャッパがキール星人に接近してパンチを放つ。

 

「えーい‼︎」

「ぐおっ⁉︎」

 

そのままキール星人と格闘戦を始めるマガジャッパ。キール星人は銃を振り回して打撃の一撃を与えようとするも、マガジャッパはそれを避ける。キール星人は今度は右足で前蹴りするもそれを受け止めてキール星人を投げ飛ばす。再び起き上がったキール星人はマガジャッパを銃撃する。しかし、上からマガバッサーが放つ突風に銃弾はマガジャッパに当たる前に地面に落ちる。

その一方でフーマはマジャッパの前に回り込む。しかし、目の前の敵が正面から来る事を察したマジャッパは口からガスを放つ。そのガスを浴びてフーマは悶えていた。

 

(何だ⁉︎この匂い⁉︎)

『匂いだけじゃねぇ‼︎体が痺れる‼︎』

 

フーマが悶えているうちにマジャッパは溶け込むように姿を消した。フーマは辺りを見渡してその姿を探す。

 

(消えた⁉︎一体何処に⁉︎)

『くそっ‼︎』

 

フーマは後ろから大きな衝撃を感じてよろける。フーマが振り返ると既にその気配は消えていた。そしてまた後ろからマジャッパが腕でフーマを打撃する。

 

『ぐあっ⁉︎』

 

それを見ていた舞子は小瓶を持ちながらその目をフーマの周りに向ける。すると彼女の持っていた小瓶が青く光る。そして彼女の目は緑に光っていた。そしてその目は尻尾でフーマを攻撃する透明になったマジャッパの姿を捉えていた。

 

「右よ‼︎貴方の右にいる‼︎」

『右⁉︎セイヤッ‼︎』

 

舞子の言葉を聞いたフーマは右に蹴りを放つ。すると蹴りを食らったマジャッパが怯んで一瞬姿を現した。再び舞子はフーマに向かって叫ぶ。

 

「動きが止まった‼︎今よ‼︎」

「セイヤッ‼︎」

「グワッグワッ⁉︎」

 

フーマは光波手裏剣を放ち、マジャッパを攻撃する。何発も手裏剣状の光線を食らったマジャッパは地面に倒れてしまった。フーマは膝をつくもここでタイガが声をかける。

 

『フーマ、グッジョブだ‼︎後は俺に任せろ‼︎』

『しょうがねぇな・・・。』

 

再びヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

フーマの姿がタイガに変わり、マジャッパに飛び蹴りを放つ。飛び蹴りを仕掛けた後、マジャッパと距離を取り、ファイティングポーズを構える。タイガはするとマジャッパは腕の吸盤でタイガを吸い寄せた。

 

『うわあっ⁉︎吸い寄せられる⁉︎』

 

その頃、キール星人との戦いも決着がつこうとしていた。キール星人が銃撃したと同時にマガジャッパは右側に、マガバッサーは左側に回り込む。そして、マガバッサーが竜巻でキール星人を吹き飛ばす。

 

「食らえっ‼︎」

「うおおおおおお⁉︎」

 

そして竜巻はマガジャッパの方へ向かっていく。マガジャッパは自身と距離が近くなったタイミングで竜巻の中のキール星人を腕からの水流で打ち抜いた。

 

「はあっ‼︎」

「ぐあああああああ‼︎」

 

キール星人はそれを食らって吹き飛ばされる。そして地面に思い切り衝突した後、気絶した。

 

「やったな、ジャッパ‼︎」

「うん‼︎」

 

その頃、タイガは近くのビルにしがみつき、マジャッパの吸い寄せに抵抗していた。しかし、限界が訪れ手を離してしまう。そしてマガジャッパは両手でタイガを押さえつけるとタイガに向かって麻痺作用を持つガスを放つ。

 

「グワッグワッ‼︎」

「シェアッ⁉︎」

 

マジャッパが口から放つガスに苦しめられるタイガ。その時、舞子が手に持っていた小瓶から青い光が放たれ、舞子から青いオーラが発生する。

 

「舞子ちゃん?」

 

そのオーラはタイガの上に降り注ぐ。するとマジャッパのガスが消えていった。

 

(香りが止まった?)

『何だ?』

 

マジャッパは鼻からの水流を至近距離でタイガに放った。タイガはそのまま後ろにあったビルを突き抜けて吹き飛ばされる。しかも、そのビルの破片が舞子に降り注いだ。

 

「あっ、危なーい‼︎」

「舞子ちゃん、逃げてーっ‼︎」

 

すると舞子は小瓶を手に持ちながら前にかざす。すると小瓶が青く光り、彼女から青いオーラが発生した。そのオーラは彼女に降り注ごうとしていたビルの瓦礫を包んだと同時にその場で静止する。そして舞子が意識を集中させると瓦礫は崩れて跡形もなく消えていった。思わずその光景を見つめる2人の怪獣娘に舞子は声を掛ける。

 

「びっくりした?」

 

2人が思わず頷く中、タイガもヒロキに声を掛ける。

 

『よし、こっちも蹴りをつけるぞ‼︎』

 

その時、タイガの顔が刻まれたキーホルダーが変化する。ヒロキはそれを手に取った。

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

「グワッグワッ‼︎」

「シェア‼︎」

 

黄金の鎧を見に纏ったウルトラマンがマジャッパに向き合う。マジャッパは鼻から水流を放つもタイガは左腕で弾き、右手で受け止めながらマジャッパに向けて走る。そのままマジャッパの鼻を塞ぐと怪獣の顎に右手でアッパーを打ち込み、左腕で肘打ち、右手で正拳、右足で前蹴りを放つ。マジャッパが右手でパンチを打ち込むも、その黄金の鎧にはダメージを与えられなかった。タイガはその腕を掴んで引き寄せ、膝蹴りを決めて投げ飛ばす。再びマジャッパが起き上がったタイミングでドロップキックを決める。

 

「シェアアアアッ‼︎」

「グワッグワッ⁉︎」

 

再びマジャッパが倒れる。そしてタイガはマジャッパを持ち上げると頭を下にしてそのまま地面に叩きつけた。タイガはマジャッパから距離を取るとマジャッパも起き上がる。そしてタイガが構えに入るとその上ににオーロラが浮かび上がる。そして必殺光線が放たれた。

 

『(オーラムストリウム!!)』

 

その光線はマジャッパに命中した。地球の力で威力が上がったタイガの必殺光線にマジャッパは耐え切れずマジャッパは大爆発する。

 

「やった‼︎」

 

マジャッパが完全に倒された事を確認するとタイガはマガバッサー、マガジャッパ、舞子の方を向く。彼女達が頷くとタイガも頷き返し空へ飛び去っていった。

 

 

 

 

「ねぇ、さっきのアレ、いつからなの?」

「ん?物心がついた頃からだよ。」

「嘘⁉︎知らなかったよ・・・。」

「怪獣娘って訳じゃないよね・・・・。」

「うん、何度か検査した事はあるけど、私にはカイジューソウルはないって言われてたよ。」

 

その頃、先程の事について舞子達は話していた。怪獣娘の2人は変身を解いている。

 

「全然、知らなかったよ。舞子ちゃん、普通の子だったから・・・。」

「ねぇ・・・ユカ、普通って何なんだろうね。・・・私、今、彼氏がいるんだ。」

「えっ⁉︎この事、相手は知ってるの⁉︎」

「勿論、だって隠す事は何もないでしょ。これが普通の私なんだから。そしたらね、彼は言ってくれたんだ。『舞子は舞子だよ。』って・・・私の大切な人はちゃんと今の私を受け入れてくれていたんだ。」

「舞子ちゃん・・・凄いね・・・。」

「勇気あるんだな・・・。」

「ユカも自分にとって普通な事は隠さなくていいと思うよ。そういう相手いるでしょ。」

 

舞子の言葉にユカはヨウと顔を見合わせる。再び舞子が口を開いた。

 

「ユカだって強くなったよ。あんな武器を持った宇宙人相手に立ち向かってさ。だから、言いたい事がある相手がいればちゃんと伝えたら。私は今のユカなら伝えられると思うよ。」

「舞子ちゃん、ありがとう・・・。」

「おーい‼︎」

 

ヒロキが手を振って駆け寄ってくる。彼女達はヒロキと合流してその場を後にした。

 

 

 

 

 

その翌日、ヒロキ、クララ、ヨウ、ユカはトモミに今回の事件の報告をしていた。

 

「舞子さんの一族は代々ずっとあの怪獣を封印していたのですね。」

「きっと最初はそうなんだと思います。けど、それはいつしか代を重ねるにつれて薄れていってしまったんです。」

「けど、怪獣がこういう形で残っている事もあり得るという事が分かりマシタ。きっと、この件はワタシ達にとっても大きな収穫になる筈デース!」

 

ヒロキとクララの言葉を聞いてトモミは考えた末、発言する。

 

「確かに今回の件で地球人として暮らしている人の中に宇宙人がいて、その人が怪獣が封印された何かを所有している可能性はあると分かりました。もし、ヴィラン・ギルドが特定の個人を狙っていたらその可能性が高いと睨みましょう。今日の所はお開きにしましょう。皆さん、大変お疲れ様でした。」

 

トモミの言葉で解散した4人。クララはヒロキに話しかける。

 

「ワタシはラハナにバサちゃんとジャッパちゃんと一緒にお茶をする約束をしてマス。だから、先に帰ってていいデスヨ。」

「分かった、また明日ね。」

 

クララはヒロキと分かれてヨウとユカと合流し、喫茶店に入った。ユカが1番最初に口を開く。

 

「キングジョーさん、すいません。急に呼んだりして。」

「いいデスヨ。後輩の話に付き合うのも先輩の役目デース!」

「でも、どうしたの?わたしまで誘ってさ。」

 

どうやらユカに呼ばれて3人は来たらしい。ユカはヨウの言葉を聞いて勇気を振り絞って口を開く。

 

「も、もう秘密は嫌ですから率直に話します!!わ、わたしはヒロキさんの事が好きになったんです‼︎キングジョーさんはヒロキさんの事、好きなんですか⁉︎」

「ジャッパ・・・、もしかして。」

「・・・ジャッパちゃん、アナタもヒロキの事、好きになったんデスネ。」

「『アナタも』って、やっぱりそうなんですね。・・・バサちゃんもラハナちゃんもヒロキさんの事、好きなんだよね⁉︎」

「えっ、わっ、わたし⁉︎・・・うん、そうだよ。わたしもヒロキさんの事が好き・・・。」

「けど、どうしてこの話を・・・まさか・・・。」

「ま、待って‼︎わ、わたしは・・・もう隠したくないから‼︎わたし、キングジョーさんには勝ち目が無いと勝手に決めつけてたし、バサちゃんとラハナちゃんも同じ気持ちを抱いてるって気付いてた。だから、わたし、2人に何処か引き目を感じてて・・・。」

「話したんデスネ・・・。ここにいる4人全員・・・ヒロキ兄さまの事が好きだから・・・。」

「そうなんだね・・・・ジャッパ、ちゃんと話してくれてありがとう!わたし達、これからは友達で恋のライバルだよ!絶対に負けないから‼︎」

「バサちゃん、わたしだって負けないよ‼︎キングジョーさん、わたし絶対に諦めません‼︎ラハナちゃんにも負けないからね‼︎」

「それはワタシだって同じデース‼︎ヒロキの事は誰にも譲るつもりはありまセーン‼︎」

「誰が勝っても・・・恨みっこなしデス‼︎」

 

こうして4人の恋する乙女はお互い宣戦布告をするのだった。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+トレギア)
『用心棒怪獣『ブラックキング』と共に銀河に名を馳せたナックル星人の戦士。地球で平穏に暮らしていた彼の心の中に残る炎。それは夕陽と共に燃え上がる消せない戦いの記憶。次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


夕映えの戦士


つくづく期待を裏切らない奴らだ‼︎』


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夕映えの戦士(前編)

この話は原作が面白かっただけに不安が多いですが何とか頑張って書きました。
それと後書きのほうで重大な発表があります。

それではどうぞ。

追記

それと話の都合上、少し変更した事があります。
ご了承下さい。



その日、ヒロキはトモミとランに怒られていた。というのも新宿で大怪獣ファイトのイベントがあり、ヒロキはそれの手伝いをしていたがその時に宇宙人が乱入、応戦するもヒロキはその戦いで周りに大きな被害を出してしまった。それでトモミ達に怒られているのだ。

 

「ヒロヒロ、市民を守る為に戦う事はいい事です。けど、もう少し周りを見ながら戦って下さい‼︎」

「今回の宇宙人との乱闘で建物の窓ガラスが5枚、建物のドアが2枚、椅子8脚、机5脚と被害も大きいわ。私達もシャドウとの戦いの時は周りの被害を最小限に抑えて戦っているの。もう少し、周りに気を配りなさい。」

「待ってください‼︎そうしなければあの時は」

「だとしても、周りの被害を抑えられる戦いがあった筈です‼︎とにかく、今後宇宙人と戦う時は周りに気を付けて行動して下さい‼︎」

 

トモミの言葉で解放されるヒロキ。部屋を出ると廊下にはミカヅキがいた。彼女達はヒロキに声を掛ける。

 

「お疲れー、ヒロちゃん‼︎」

「・・・ゴモラさん。」

「もう、ゴモたんでいいってば。ピグちゃんとエレちゃんに怒られてたの?」

「ええ・・・・。」

「そんなに落ち込まなくても、今度同じ失敗をしない様にすればいいんだから‼︎ねえ、これからアギちゃん達と遊びに行くんだけどヒロ」

「すいません、大変申し訳ないのですか、今日は帰らせて下さい。」

 

ヒロキはミカヅキの言葉を遮り、その場を後にしてしまった。ミカヅキはその後ろ姿を見て不安な気持ちになる。

 

「あちゃー、いつまでも引きずってなきゃいいけど・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

その後、ヒロキは公園のベンチに腰をかけて黄昏ていた。今の彼はとても気落ちしていたのだ。そんな中、2人の少女と複数の男女のグループが言い争っているのが目に映る。うち、1人は胸にカラータイマーの様なクリスタルが付いた怪獣娘だ。

 

「ちょっと、今なんて言ったのよ⁉︎」

「俺達の前に顔を出すな‼︎公園で走るな‼︎って言ったんだよ‼︎」

「怪獣が再び現れる様になったのはアンタ達怪獣娘のせいでしょ‼︎この間も公園の辺りに現れたわよ‼︎」

「何よ‼︎怪獣が現れたのが怪獣娘のせいだっていうの‼︎どう考えたらそんな風に思うのよ‼︎」

「ジ、ジュンちゃん、ちょっと落ち着いて・‼︎」

「ラン、貴方も何か言い返さないと‼︎こういう人は更につけ込んで来るんだから‼︎」

「お前ら怪獣娘のせいで再び怪獣が現れて俺達は迷惑してんだよ‼︎だからこの公園に」

「煩いですよ、公共の場で。」

 

そこにヒロキが2人の少女の前に立って複数の男女グループの前に現れる。グループのうち1人がヒロキを睨むが気にせず、ヒロキは更に言葉を彼らに言い放つ。

 

「何だ、お前‼︎何の用だ‼︎」

「怪獣が再び出たのが怪獣娘のせい・・・。それ、本気で言ってるんですか?」

「それ以外に何があるんだよ‼︎俺の弟は怪獣災害に巻き込まれて寝たきりになったんだぞ‼︎それの原因の」

「怪獣娘が怪獣出現の原因なら・・・もうとっくの昔に怪獣が現れてますよ。大体、怪獣の出現が怪獣娘のせいだって誰が言ったんです?」

「そ、それは・・・。」

「勝手な思い込みかよ・・・。そんな理由で彼女達にイチャモンつけてるくらいならこの公園から出てって下さい‼︎周りの人達にも迷惑なんだよ‼︎」

 

ヒロキが彼らに怒鳴る。それを聞いた周りの人達が彼女達にイチャモンつけていたあの人達を見て冷たい目でヒソヒソ話をしていた。それを見て彼らは走り去っていく。その後、2人はヒロキにお礼を言った。

 

「ありがとうございます‼︎助かりました‼︎」

「別にいいよ。僕の幼馴染も怪獣娘がいて、ああいう人達に本気で頭にきたからさ。」

「怪獣娘が幼馴染に⁉︎・・・それで。」

「ジュンちゃんもありがとう。あたしのために怒ってくれて。」

「何言ってるのよ。友達のために怒るのは当たり前でしょ。」

 

2人の少女は顔を見合わせた後、ヒロキに自己紹介する。

 

「私、日吉ジュンです‼︎」

「あたし、柴崎ランっていいます‼︎『ガーディー』の怪獣娘です‼︎」

「ガーディー?・・・ああ、陸上やってる怪獣娘の‼︎」

「知ってるんですか⁉︎」

「一応、僕もGIRLSの一員だから。」

「ああ‼︎もしかして最近GIRLSに入ったキングジョーさんの幼馴染の白鳥ヒロキさんですか⁉︎こんなところで会うなんて‼︎」

「知ってたんだ・・・。よろしく、2人とも。」

 

ヒロキとジュンと超古代狛犬怪獣『ガーディー』の怪獣娘はその場にあったベンチに腰をかける。ヒロキの顔がどことなく落ち込んでいる様に見えたガーディーはヒロキに話しかける。

 

「どうしたの?なんか落ち込んでいるように見えるけど・・・。」

「いや・・・、この前の大怪獣ファイトのイベントでやりすぎて・・・。」

「怒られたの?」

 

ガーディーの言葉に頷くヒロキ。そこに隣のベンチに腰を掛けた口の回りに髭を生やした男がヒロキに話しかけてきた。

 

「おーい、どうした?そんな表情をして?さては何かやらかしたか〜?」

「お、小田さん⁉︎べ、別に何でもないですよ⁉︎」

「えっと・・・誰?」

 

隣のベンチに座ったのはヒロキが東京に越してきて知り合いになった男だった。その男性の名は小田というらしい。小田はガーディーとジュンに挨拶した後、ヒロキに再び話しかける。

 

「やあ、怪獣娘さんかな?俺は画家の小田だ。ここで夕陽の景色を描いてる内にヒロキ君とは友達になってね。」

「画家さんですか〜。あっ、あたし、怪獣娘のガーディー、柴崎ランです‼︎」

「日吉ジュンです。」

「ランちゃんにジュンちゃんか。よろしくね。・・・ヒロキ君、君の顔を見れば分かるぞー。何か怒られたんだろ〜。」

「茶化さないで下さいよ‼︎僕は普通の人間ですけど・・・まだGIRLSに入って間もないですけど・・・僕なりに一生懸命に頑張っているんです‼︎」

 

ヒロキの言葉を聞いた小田は鞄からキャンバスを取り出してそこに一枚の絵を取り付ける。ガーディーがそれを見て思わず声を上げる。

 

「うわぁ‼︎綺麗な夕陽の絵ですね‼︎あたし、美術とか本当駄目だから羨ましいですよ‼︎」

「ラン、この間の美術、散々だったもんね。」

「ちょっと〜、酷いよ、ジュンちゃん!」

「ははは、ありがとう。でも、この絵はまだ未完成なんだ。」

「「えっ⁉︎未完成⁉︎」」

 

思わず同時に声を上げる2人の少女を横に小田は筆を手に取り夕陽の絵を塗り始める。そしてヒロキ達に語り始める。

 

「絵って不思議でな。中々この夕陽の色が完成しなくてさ。こうして何度も塗り直して完成するもんなんだ。・・・いわばヒロキ君はこの塗りかけの絵と同じだ。失敗したって何度もやり直せばいいんだよ。」

「小田さん・・・。」

「君達も同じさ。怪獣の出現が怪獣娘のせいじゃないって何度も言えばいいんだよ。そうすれば、必ず分かってくれる筈さ。」

「・・・さっきの・・・聞かれてたんですね・・・。・・・でも、小田さんのお陰で何か勇気出ました‼︎ありがとうございます‼︎」

「いいってことよ。」

 

そうして会話を続けているうちに夕陽の色が変わりつつあった。小田は思わず手を止めていた。

 

「おっと、こりゃまた塗り直しだ。三歩進んで日本猿ってね。」

「何ですか?その親父ギャグ。」

 

そう言って、4人は笑い合っていた。小田がそこを去ろうとして、ガーディーは小田を呼び止める。

 

「小田さん‼︎」

「?」

「また来てもいいですか?」

「いいよ。」

「ありがとうございます‼︎今度はあたしの友達も連れて来ますね‼︎」

 

その会話で彼らは公園を後にした。

 

 

 

 

 

 

それから3日後、あの公園にヒロキと小田が談笑しながら話していた。そこにガーディーの人間の姿である『柴崎ラン』が1人の少女を連れてやってくる。その少女は癖毛がついた物静かな雰囲気の少女だ。彼女の名は『黒柳ナミ』。ランの陸上を競い合うライバルであり親友である怪獣娘だ。

 

「小田さーん‼︎ヒロキさんも‼︎」

「やあ、ナミちゃん‼︎」

「ガーディーさん‼︎その人って確か・・・。」

「紹介します‼︎あたしの親友で陸上仲間のナミさんです‼︎」

「黒柳ナミです。よろしくお願いします。」

 

ランの隣でナミはヒロキと小田に挨拶する。そして小田のキャンパスの周りに彼女達は集まる。

 

「ナミさん、この人がここの夕陽を描いてる小田さんだよ‼︎」

「ランさんから話は聞いています。よろしくお願いします。」

「ああ、よろしく。」

「・・・・・本当に綺麗な絵ですね。これで未完成なのが信じられないです。」

「中々夕陽の色が完成しなくてね。」

「えっと・・・ナミさんは確か・・・・ランさんとチームメイトの怪獣娘でしたよね?それで宿しているカイジューソウルは確か・・・。」

「用心棒怪獣『ブラックキング』です。」

「⁉︎」

 

ナミが自身に宿るカイジューソウルの怪獣を話した途端、小田は目を見開いた表情で筆を落としてしまう。そんな小田を見てヒロキとランは心配になり呼びかける。

 

「ああ、そうそう!陸上をやってる怪獣娘の中で有名な2人の・・・って小田さん、どうしたんですか?」

「急に筆を落としちゃいましたけど、何か驚かせる事言いました?」

「ああ、いや、何でもない。」

 

小田が少し驚いていた表情を崩して明るく話す。その後、気を取り直した小田はヒロキ、ラン、ナミとたわいもない話題で盛り上がっていた。そしてそれぞれの帰路につく頃、小田は去っていくナミの後ろ姿を見て一言呟いた。

 

「ランちゃんの友達の怪獣娘が・・・まさか・・・ブラックキングだったとは・・・・。」

 

 

 

 

 

 

その3日後、レイカとラン(エレキング)はトモミから任務を受けていた。トモミが2人に内容を伝える。

 

「市役所からの依頼で謎の地鳴りがする原因を突き止めてほしいそうです。」

「分かりました。」

「僕も連れて行ってください‼︎」

 

そこにヒロキが入ってくる。レイカとランはトモミの顔を見る。するとトモミは頷いた。調査メンバーを決まり、ランは2人に呼びかける。

 

「行くわよ、2人とも!」

「「はい‼︎」」

 

3人の後ろ姿をトモミが見つめる。隣にやってきたミカヅキはヒロキの様子を見て安心していた。

 

「良かった・・・。ヒロちゃん、引きずってなくて。」

「はい、それになんだか張り切っているように見えます。ヒロヒロならきっと2人とも上手くやれるでしょう。」

 

 

 

 

 

 

その頃、何処かの倉庫で霧崎が立っていた。その目の前には黄色い光る丸い物が置かれていた。そこに誰かが入ってくる。それは小田だった。

 

「おい、あんたここで何をしている?」

「はじめまして、夕映えの戦士、『ナックル星人オデッサ』。」

「⁉︎・・・何故俺のことを⁉︎」

 

そう、小田は実は地球人ではない。彼は暗殺宇宙人『ナックル星人』だったのだ。自身の正体を知る霧崎に警戒する小田。霧崎は小田と向き合い話し始める。

 

「私は霧崎・・・貴方の願いを叶えにきた・・・。」

「願い?」

「ブラックキングと共にもう一度戦いに明け暮れること・・・それがあなたの願い・・・。」

「俺はな・・・もう戦いは沢山なんだ‼︎」

「ならば何故このブラックキングの卵を持っている‼︎」

 

霧崎は後ろの光る物を指して発言する。実は霧崎の後ろにある物の正体は用心棒怪獣『ブラックキング』の卵だったのだ。小田は自身のブラックキングをその卵を封印していた。そして霧崎は指パッチンをして小田のスケッチブックの中身をぶちまける。

 

「‼︎」

 

するとそこには夕陽の中、自身の本当の姿とブラックキングが1人のウルトラマンと戦う絵が幾つも描かれていた。霧崎はそれを見て言葉を続ける。

 

「夕映えの戦士と言われた貴方が地球で隠遁生活とは余りにも惜しい・・・。」

「黙れ‼︎もう戦いは沢山だ‼︎」

「それはどうかな、今も貴方は戦いを望んでいる筈だ!この地球に再び現れた怪獣と戦うウルトラマンを見て貴方自身の本能が叫んでいる、そうだろう‼︎」

「煩い‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、ラン、レイカ、ヒロキの3人はとある工業地帯にいた。そしてある倉庫に近づくとソウルライザーが反応を示した。

 

「ソウルライザーが‼︎」

「まさか、この倉庫から‼︎」

 

3人は倉庫の中に向かっていく。倉庫は地鳴りが響いている。そして倉庫に突入するものの中には何もいなかった。しかし、それでも地鳴りが止まらなかった。

 

「グオオオオオオオオオ‼︎」

「何ですか、この地鳴りは‼︎」

「これは・・・聞くからにただの地鳴りじゃないわね。」

『怪獣の呻き声・・・?』

「じゃあ・・・この下に怪獣が⁉︎」

 

 

 

 

小田はブラックキングの卵に手をかざす。霧崎は彼の耳元で悪魔の囁きを呟く。

 

「さぁ、貴方自身はどうなんだぁ‼︎」

「・・・・‼︎」

 

霧崎の言葉を無視し、ブラックキングの卵を抑える小田。やがてブラックキングの卵は光らなくなる。それと同時に地鳴りは収まっていった。

 

「地鳴りが収まった?」

「一体何だったのでしょう?」

「あの地鳴りは録音したわ。本部に戻るわよ。」

 

ランの言葉で3人は倉庫を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLSで地鳴りのあった倉庫の付近を調べるトモミとクララ。そして講義室のモニターにとある映像が写し出される。

 

「皆さん、これを見て下さい。」

「これは?」

 

そこには小田が倉庫の入り口に写っていた。トモミは説明を続ける。

 

「地鳴りがする数分前の映像なのですが・・・問題はここからです。」

 

ヒロキ達はその映像を見続ける。すると小田の姿が一瞬にして消えてしまった。その事に驚くレイカとラン。

 

「消えた⁉︎どういう事ですか⁉︎」

「一瞬で消える男・・・。」

「このカメラは故障などは見られませんデシタ。この映像は本物デス。」

 

その一方でヒロキは映像に写っていた知り合いの姿に驚いて何も言えないでいた。そしてヒロキは席を立った。

 

「ヒロキさん⁉︎何処へ行くんですか⁉︎」

「あの倉庫にもう一度行ってくる‼︎」

 

そう言ってヒロキは部屋を出て行った。4人はそのままヒロキが出ていった扉を見つめていた。

 

 

 

「ヒロキさん?どうしたの⁉︎」

「何やら焦っているようですが?」

 

GIRLSを出たヒロキ。そこでラン(ガーディー)とナミと偶然出会う。ヒロキは先程の事を2人に話す。

 

「ええっ⁉︎怪獣の呻き声らしい地鳴りがした場所に小田さんが⁉︎」

「・・・本当なのですか?」

「ええ、2人とも」

「行くよ‼︎小田さんに何かあったら・・・・ナミさんも力を貸して‼︎」

「はい‼︎」

 

3人は地鳴りがしたあの倉庫に向かって走っていった。




前にやりたいと言っていた怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースのスピンオフですが

















タイガの話が前半まで終わったらスピンオフを本格的に連載しようと思います。

皆さんはスピンオフで次のうち最初にどれが見たいですか?


ヒロキが祖父の日記を読んでタロウ後、ヒロキの祖父である「彼」が人生をどう生きたのか振り返る『Memory Of Grandfather Message For Taro』。



怪獣娘Zの方はハルキが転校先の学校でミコと会う『学校の彼ら!』。



怪獣娘がモニターでウルトラマンと怪獣の戦いを振り返ってそれをただひたすら実況するだけの『実況:怪獣娘によるウルトラファイト‼︎』。


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夕映えの戦士(中編)

今回の話はスピンオフである『Memory Of Grandfather Message For Taro』のネタバレが含まれています。
読者の大半はヒロキの祖父が誰であるか分かっていると思います。
また、分かる人は今回の話に出てきたヒロキの祖父の友人が誰なのかも分かる筈です。

用心棒怪獣『ブラックキング』登場


ヒロキ達は地鳴りのしたあの倉庫に辿り着いた。3人は周りを見渡して小田の姿を探す。

 

「小田さん、一体何処にいるんだろう・・・・。」

「ヒロキさん、小田さんがいましたよ‼︎」

 

ランの言葉と彼女が指差す方を見ると確かに小田の姿が見えた。ヒロキ達は彼に駆け寄る。小田の方もヒロキ達に気付いたみたいで3人に声を掛ける。

 

「ヒロキ君にランちゃんに・・・確かナミちゃん‼︎どうしたんだ、こんなところで。」

 

その後、改めて倉庫の階段に腰を掛けた4人。ヒロキは先程のGIRLSの調査の結果を話す。

 

「実は先程、GIRLSの調査でこの倉庫から怪獣の呻き声のような音がしたんです。」

「怪獣?はははは、こりゃ傑作だな、世界中の怪獣か?」

「話を逸らさないで下さい‼︎GIRLSの調査で分かった確かな事なんです‼︎」

「このまま隠し切れる訳がない・・・小田さん、何か力になれる事があるなら僕達は力になります‼︎だから、正直に話して下さい‼︎」

「怪獣なんて知らんよ。話はここまでだ。じゃあな。」

 

ランとヒロキの説得を聞いても何も知らないと言い続ける小田はその場を去ろうとする。

 

「待ってください‼︎せめて」

「しつこいぞ‼︎」

 

ヒロキは小田の肩を掴んで制止するも、しつこく感じたのか苛立った表情でヒロキを振り払う小田。その時、感情が高ぶったのか小田はナックル星人としての姿が一瞬だが現してしまう。ヒロキとランとナミはそれを見て固まってしまう。そこにタイガが話しかけてきた。

 

「小田さん・・・今・・・・。」

「一瞬だったけど・・・・姿が・・・・。」

「私達の・・・・見間違いでなければ・・・・。」

『ヒロキ、この人は人間じゃない‼︎』

「ヒロキ君・・・今、声が・・・。」

 

ヒロキの中にいるタイガの声を聞いた小田は目を見開いた。今、彼の中にブラックキングの鼓動が聞こえてきたからだ。

 

 

 

 

倉庫では霧崎がブラックキングの卵を見つめ、トレギアアイを取り出した。そしてトレギアアイを開いて目にかざす。

 

「さぁ、開幕の時間だ‼︎」

 

霧崎はトレギアに変身して、倉庫の近くの地面に両手から光線を出しながら着地する。突然現れたトレギアにランとナミは驚いていた。2人はヒロキの言葉で目を覚ます。

 

「ランさん‼︎ナミさん‼︎小田さんを連れて安全な場所に‼︎」

「・・・はっ、そうか。小田さん、あたし達と一緒に行きましょう‼︎」

 

ランとナミは小田を連れてその場を去ろうと走る。その前でトレギアは両手から光線を放ち、回りを破壊していた。その後ろ姿を見たヒロキは建物の影に隠れてタイガスパークを右腕に出現させる。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガが着地してトレギアに戦闘態勢をとる。その姿を見て小田は思わず呟いた。

 

「ウルトラマン・・・‼︎」

 

トレギアはタイガを確認すると腕を伸ばして指でタイガを挑発する。タイガは真っ直ぐトレギアに向かっていった。

 

『せいぜい期待を裏切らない奴らだ‼︎』

 

タイガはジャンプしてパンチを放とうとするも動きを読まれ、トレギアの蹴りを腹に喰らう。そのままタイガとトレギアは格闘戦を続ける。タイガは膝蹴りからの肘撃ちを放つもトレギアに受け止められた。トレギアと戦うタイガの姿に小田の心が更に高鳴る。そして倉庫のブラックキングの卵は黄色く光りながらその心臓の鼓動が大きくなる。そして小田が叫ぶと同時に卵に封印された用心棒怪獣『ブラックキング』が目覚めてその咆哮を辺りに響かせる。

 

「うわああああああぁぁぁぁ!!」

「グオオオオォォォ‼︎」

「嘘、あの倉庫に怪獣が‼︎・・・しかもアレって‼︎」

「私のカイジューソウルの怪獣・・・用心棒怪獣ブラックキング‼︎」

 

ランとナミは本物のブラックキングに驚きを隠せない。タイガとヒロキも突然現れた怪獣に驚いていた。

 

(何だ⁉︎一体⁉︎)

『嘘だろ⁉︎何でブラックキングが⁉︎』

『おやおや・・・。』

 

ブラックキングは目の前にいるタイガとトレギアに口からのマグマ光線『ヘルマグマ』を放つ。トレギアはタイガを盾にしてその一撃を避ける。

 

『おっと、危ない‼︎』

『うわあっ⁉︎』

 

ブラックキングはタイガに向かって突進する。ブラックキングは両腕でタイガを殴ろうとした。タイガはブラックキングの腕を受け止めるも、パワーに長けた怪獣の腕力に苦戦していた。

 

『ぐっ、ぐうううう‼︎』

『おやおや・・・。』

 

ブラックキングの腕力に苦戦するタイガを横にトレギアは小田に接近した。彼の横でソウルライザーを構えながらトレギアを睨むランとナミを無視してトレギアは小田に向かって一言言い放った後、姿を消した。

 

『本当に相棒に忠実な怪獣だなぁ・・・。じゃあ、後は任せたよ。』

「相棒に忠実・・・・ってあのブラックキングの事⁉︎一体どういう・・・。」

「小田さん、もしかしてあなたは・・・。」

「話は後だ・・・。」

 

ブラックキングの腕力に押され始めるタイガ。ここでタイタスが声を掛けてきた。

 

『あいつ、何がしたいんだ⁉︎』

(このブラックキングと関係が・・・・ってこのままじゃヤバい‼︎)

『このままでは危険だ‼︎私が行こう‼︎』

『頼んだ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

「ふん‼︎」

「グオオオオォォォ‼︎」

 

タイタスがブラックキングに右手でアッパーを決める。ブラックキングは怯むもすぐに体勢を立て直して尻尾でタイタスを攻撃する。しかし、タイタスは肩でブラックキングの攻撃を受け止めた。小田は必死にブラックキングを制止する。

 

「止めろ‼︎ブラックキングーーッ‼︎俺はそんな事望んじゃいない‼︎」

 

ブラックキングはヘルマグマでタイタスを攻撃するもタイタスは怯まずブラックキングに自身の拳をぶつける。後退するブラックキングを前にタイタスはヒロキに指示を出す。

 

『ヒロキ、電撃をお見舞いしてやれ‼︎』

(ああ‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、左腕に意識を集中させる。

 

〈カモン!〉

〈エックスレット、コネクトオン!〉

 

エックスレットをタイガスパークに読み込ませてエックスの力を宿した必殺技を繰り出した。

 

『(エレクトロバスター‼︎)』

 

電撃を浴びた破壊光弾が直撃したブラックキングはその場で大爆発する。相棒である怪獣の最後を見て小田は叫んでいた。

 

「ブラックキングーーッ‼︎」

 

そして小田はその場で膝をつき崩れ落ちる。そんな小田を心配そうな目でがランとナミは見ていた。そしてタイタスは光に収縮する。その光は地面に着くと同時に光はヒロキの姿へと変わる。ウルトラマンの変身を解除したヒロキに話しかけてきたのは小田だった。

 

「ヒロキ君・・・。」

「小田さん⁉︎」

「小田さーん‼︎」

 

その後ろからランとナミが走ってきた。2人はヒロキと小田を見つけると彼らに駆け寄る。その顔を見て小田はもう隠しきれないと悟り、3人に話す。

 

「君達、いつも俺が絵を描いているあの公園に来てくれないか・・・。そこで全てを話す。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所が変わっていつも小田が絵を描いている公園にヒロキ達は来ていた。その横にはランとナミの姿もある。小田が口を開いた。

 

「君達も察していると思うが・・・俺は地球人じゃない・・・。俺はナックル星人だ・・・。本当の名前はオデッサ。」

「ナックル星人って・・・・・確か‼︎」

「私のカイジューソウルの怪獣であるブラックキングと共に『ウルトラマンジャック』と戦った宇宙人・・・。GIRLSの記録でもとても残虐な宇宙人だったとありました。」

「ちょっ⁉︎それ、あくまでデータですよね⁉︎小田さん本人は」

「いや、彼女の言う通りだ。俺も若い頃は戦いで多くの命を奪った・・。夕映えの戦士なんて呼ばれてその名が誇らしかったよ・・・。けど、俺は戦いに敗れた。」

「小田さん・・・・。」

 

小田の思わぬ過去に驚きを隠せないラン。小田は続けて話す。

 

「けど・・・ある惑星で俺は夕焼けの中、夕焼けに雄々しく立つ光の巨人に敗れた。・・・。美しかったな・・・ああいうのを本当の夕映えと言うんだろうな・・・。俺はその戦いで今までの自分が虚しくなったブラックキングを卵に封印してこの星で暮らすことにした。」

「・・・・小田さんが地球に来た理由は分かりました。しかし、どうしてあのブラックキングは現れたんですか?」

「・・・・アイツは俺の・・・心なんだ。」

「・・・・・まさかまた戦いたくなったんですか⁉︎」

 

ナミとヒロキの質問に小田は答えずそのまま立ち去ろうとする。思わずヒロキは大声で叫んでいた。

 

「違うと言ってください‼︎僕の知ってる小田さんは絵を描くのが好きでいつも笑顔で笑っていて親父ギャグを言ってくれる心の優しい人なんです!!」

 

しかし、小田はヒロキの声を全て聞くと3人に何も言わず立ち去ってしまった。その様子をヒロキ達はただ見ているだけしか出来なかった。

 

 

その後、ヒロキはGIRLSの休憩スペースでお茶を飲みながら小田の事を考えていた。ヒロキはポケットから古びた手帳を取り出す。それを見たフーマがヒロキに声をかける。

 

『なぁ、そのやけに古い手帳は何なんだ?』

「ああ、これ?お爺ちゃんが残した物さ。この手帳には過去に地球に出現した怪獣に関する記録や写真が残ってるんだ。」

『ほう、あるウルトラマンを実の兄のように慕っていたという君の祖父が残した物か・・・。怪獣とそのウルトラマンの戦いを見ていたからその記録を残せたのだな。』

 

ヒロキは頷くと手帳のページをめくる。そしてページをめくっていく内に赤い目に体に赤く丸い結晶が幾つも付いた宇宙人の写真が載っていた。小田の本来の姿であるナックル星人と先程現れたブラックキングの写真だ。

 

『ナックル星人の写真か、それ。』

「うん、僕のお爺ちゃんの友達に坂田次郎という人がいてナックル星人とかジャックが戦った怪獣の事を聞いてこの手帳に記したんだって。」

『へぇ〜。でも、その友達よくジャックが戦った怪獣や宇宙人の事、知ってたな。』

「何でも、ナックル星人に家族を殺されたらしいからナックル星人の事はよく知ってたらしいよ。」

『ナックル星人に家族を⁉︎マジかよ・・・・。』

「うん。けど、地球人にも色々な人がいるじゃん。小田さんみたいに戦いを止めて平和に暮らしているナックル星人もいたって不思議じゃないかなって思って・・・。小田さん、大丈夫だよね?」

『俺達からは何も言えないな〜。基本的にナックル星人はかなり好戦的だと聞いてるし・・・しかし何で昔現れたナックル星人はその坂田次郎って人の家族を殺したんだ?』

 

タイガの言葉に黙ってしまうヒロキ。タイタスが声を掛けるとヒロキは一言告げてから話す。

 

「ヒロキ、何かあったのか・・・。もし君が」

「大丈夫。けど・・・少し長くなるけどいい?」

『ああ、大丈夫だぜ。』

 

タイガの言葉でヒロキは祖父から聞いた当時の事を話し始める。

 

「その友人の姉の恋人が当時兄の様に慕っていた防衛チームのお兄さんだったらしいんだ。しかも、そのお兄さんが当時地球を守っていたウルトラマンであるウルトラマンジャックだったらしくてさ。」

『なっ⁉︎その話、マジかよ⁉︎』

『そういえばそんな話を聞いた事がある‼︎ジャックの心を弱らせるためにジャックの大切な人を殺したって‼︎』

「うん、大切な人を奪われたジャックはナックル星人とブラックキングとの戦いに敗れたけど、再び立ち上がってナックル星人とブラックキングに勝った・・・。お爺ちゃんは自分と同じように怪獣に家族を殺された子供達を助けるボランティア活動をした際に知り合って自分と同じ経験をしていた事からすぐに意気投合したんだってさ。」

『その友人はその後、ジャックとは会えたのか?』

「確か・・・会えずに末期癌で亡くなったと日記にあったよ・・・。」

 

ヒロキの祖父の友人の話に驚くトライスクワッド。そしてタイタスは前から気になっていた疑問をヒロキにぶつける。

 

『ヒロキ、その・・・前から気になっていたんだが・・・君の祖父が慕っていたウルトラマンは一体誰なんだ?』

「あれ、タイタスとフーマに言ってなかった?ウルトラマンタロウだよ。」

『ああ・・・成る程な・・・ウルトラマンタロウ・・・って・・・えっ⁉︎』

『君の祖父が慕っていたウルトラマンがウルトラマンタロウ⁉︎本当なのか⁉︎』

「本当だよ。手帳にも描いてあるよ。ほら。」

 

ヒロキが見せた手帳のあるページにはタロウについて詳しく書かれていた。フーマとタイタスはそれを読んで驚きを隠せない。

 

『マジかよ・・・。ウルトラマンタロウのページだけ滅茶苦茶書いてあるじゃねぇか・・・。』

『『当時の防衛チーム『ZAT』に所属していた『東光太郎』、ウルトラバッジでウルトラマンタロウに変身し、数多くの怪獣と戦ってきた僕の永遠のヒーロー』・・・・どうやら本当のようだな・・・。』

『その話はいいだろ!!今はあのナックル星人だろ!!』

 

タイガが話を遮る。ヒロキもその事を感じたのかナックル星人の写真を見て思いつめたような表情になる。その横でトライスクワッドは神妙な表情でヒロキに聞こえない大きさの声で話をしていた。

 

『まさか、ヒロキがタロウを兄のように慕っていた地球人の少年の孫だったとはな・・・。タイガは知っていたのか?』

『ああ、前にな・・・。俺だってまさかヒロキの爺ちゃんが親父と深く関係があったなんて思わなかったよ・・・。』

『成程・・・ようやく君がヒロキに父親の事を話さなかった理由が分かったよ・・・。』

『・・・・お前ら、ヒロキに俺の親父の事だけは絶対に話すなよ・・・。』

『おいおい、いいのかよ・・・いつまでも隠し通せる訳ねえだろうが!!』

『分かってる!!・・・けど、この星でもタロウの息子って呼ばれたくないんだよ・・・。』

『タイガ・・・。』

 

 

 

その頃、小田はブラックキングの卵があった倉庫にいた。彼は空になったブラックキングの卵を触る。そして1枚の絵を取り出した。その絵はヒロキ達と一緒に見た夕焼けの絵だった。小田はその絵を手で破ると何かを決意した目になった。




今回の話を読んだ人達は何となく察していると思いますが『Memory Of Grandfather Message For Taro』の内容はタロウの後日談と帰マンの後日談的なエピソードになる予定です。


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夕映えの戦士(後編)

いよいよ小田さんとの決闘です。
原作と比べたら劣化版に見えるかもしれませんが最後まで読んで頂けると嬉しいです。
暗殺宇宙人『ナックル星人オデッサ』登場


祖父の手帳に貼られていたナックル星人の写真を眺めながら小田の事を考えているヒロキ。そこにクララ、トモミ、ミコが話しかけてきた。

 

「ハーイ、ヒロキ‼︎」

「どうしたんですかぁ?ボーッとしていましたけど?」

「ヒロ、何見てるの?」

「クララちゃん、ピグモンさんにガッツさんも⁉︎いや、ちょっと考え事をしてて・・・。」

 

ヒロキは思わず祖父の手帳をしまってしまう。ヒロキの様子にトモミは首を傾げていたが、ヒロキに用があった事を伝えるとヒロキに何かを渡す。

 

「そうだ‼︎ヒロヒロに手紙が来ていましたよ。」

「僕宛の手紙?ありがとうございます。」

 

ヒロキはトモミから一通の封筒を渡された。その封筒を開けて中の手紙を読むとヒロキの表情が険しくなっていく。

 

「・・・・・‼︎」

「ちょっ、ちょっとヒロ‼︎」

「どうしたんですか⁉︎」

 

ヒロキは手紙を一通り読むと立ち上がり何処かへ走り去っていく。ミコとトモミはそれを見てヒロキに声を掛けるもヒロキは聞く耳も持たずその場を去る。クララ達は顔を見合わせてその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ランとナミ、そしてジュンも必死に走っていた。

 

「小田さんいた⁉︎」

「ううん、いないよ‼︎」

 

ランはジュンの言葉を聞いて思わずポケットから一通の封筒を取り出した。それはラン宛てに届いた手紙で送り主は小田だった。手紙の内容を読んだ彼女達は必死に小田を探していたのだ。しかし小田の姿が見つからず困った2人にナミは自身の案を提案する。

 

「2人とも、あの公園に行ってみませんか?もしかしたらあそこに小田さんがいるかもしれません!」

「そうか、あの公園なら‼︎」

 

3人は小田と会ったあの公園に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、小田はヒロキと夕陽を見た公園のベンチの隣に立っていた。ベンチを一回見ると小田は両腕を胸の位置でクロスさせて自身の本当の姿であるナックル星人の姿になる。そして暗殺宇宙人『ナックル星人オデッサ』は巨大化した。その姿を見たヒロキは小田がいつも夕陽を描いていたあの公園に向かう。そこは逃げ惑う人々で一杯であったがヒロキはその中を逆走していく。そして目の前にいるナックル星人に向かって叫んだ。

 

「小田さーん‼︎どうして貴方と戦わなきゃいけないんですか⁉︎これが貴方の出した答えなんですか⁉︎失敗しても何度もやり直せばいい・・・そう言ってくれたじゃないですか‼︎あの言葉は嘘だったんですか⁉︎心からの言葉じゃなかったんですか⁉︎」

 

しかしオデッサは自身の下にあった倉庫を踏み付けて破壊する。それは小田がブラックキングの卵と自身が描いた絵を保管していたあの倉庫だった。炎で小田が描いた絵が燃えていく。それを見てタイガがヒロキに声を掛ける。

 

『ヒロキ、迷っている場合じゃないぞ‼︎』

 

タイガの言葉で自身がやるべき事を再認識したヒロキは手紙を握り締めながらタイガスパークを出現させ、そのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そしてヒロキはウルトラマンタイガとなり、目の前のナックル星人の前に向き合う。夕陽を前に2人は走り出してお互い掴みかかる。

 

「ぬうううう‼︎」

『(はああああああ‼︎)』

 

タイガはオデッサの腕を振り払う。オデッサは左腕でのフック、右腕からのストレート、右膝蹴りを放つ。タイガはオデッサの攻撃を受け止めて、こちらも拳を放つ。しかし、その一撃をオデッサは受け流した。再びオデッサは右ストレートを放つ。タイガはそれを受け止めてオデッサを背負い投げする。オデッサは地面に背中を打ちつけるもすぐに起き上がり目から光線を放つ。

 

「ふん‼︎」

「シェアッ‼︎」

 

タイガは光線を腕で弾いた。その隙をついてオデッサは飛び膝蹴りをタイガに放つ。それをまともに受けたタイガは地面に倒れてしまった。オデッサはそこからマウントを取りタイガを3発殴る。タイガはなんとか起き上がるも再びオデッサに掴みかかられてしまう。タイガはオデッサの頭にチョップを放ちオデッサを引き離す。再びオデッサはタイガに掴みかかるもタイガはオデッサを投げ飛ばす。オデッサは再び背中を打ち付けて倒れるも起き上がる。

 

「ランさん‼︎アレを‼︎」

「アレはナックル星人とウルトラマンタイガ⁉︎あのナックル星人って・・・⁉︎」

「小田さん・・・‼︎」

 

その頃、ウルトラマンと戦うナックル星人を見たラン、ナミ、ジュンはそのナックル星人が小田である事に気付く。彼女達は戦う2人に何度も呼び掛ける。

 

「止めて‼︎2人とも止めてよ‼︎」

「どうして2人が戦わなきゃいけないんですか⁉︎お願いだから止めてください‼︎」

「ランの試合、見に来てくれるんじゃなかったんですか⁉︎なんとか言って下さいよ‼︎」

 

彼女達は必死に説得するもオデッサはタイガと戦い続けている。今、2人の拳がお互いぶつかり合い、2人とも後退した。タイガはオデッサに右ストレートを放つが、それを受け止めてオデッサはタイガの脇腹に拳を放つ。一瞬ダウンしたタイガの首を腕で締めるオデッサ。タイガは2度の肘打ちでオデッサを引き剥がす。再びオデッサの腕を掴んだタイガはオデッサを投げ飛ばした。オデッサはタイガにタックルを仕掛けるもタイガは受け止めてオデッサの体を起こすと右足で前蹴りを放つ。

 

(もう止めてくれ‼︎)

 

タイガはヒロキの意思で動きオデッサに自身の思いを伝える。タイガと引き離されたオデッサは再び目から光線を放つ。タイガは空に飛んでその光線を避ける。

 

『音波で動きを止めるぞ‼︎』

 

タイガの言葉を聞いたヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そして左手に意識を集中させ、ナイトファングの顔を模した『ナイトファングリング』が左中指に出現する。ヒロキはタイガスパークを装着した右手を指輪が付いた左中指に重ねる。

 

〈ナイトファングリング、エンゲージ!!〉

 

タイガはナイトファングの力を込めた音波『ファングウェーブ』を放つ。タイガの放った音波を喰らったオデッサ。

 

『ファングウェーブ‼︎』

「ぐっ、うっ、ぐううう‼︎」

 

その一方でこの戦いを仕組んだ霧崎はタイガとオデッサの戦いを見てただ笑っていた。

 

「ハハハハハハ、ハーッハッハッハッハッ‼︎」

 

2人の戦いを愉快そうに見ている悪魔を知らないラン達は必死にオデッサを説得していた。

 

「小田さん、止めて下さい‼︎こんな戦い、誰も望んでいません‼︎」

「あたし達、もう見てるだけで辛いです‼︎これが本当に小田さんのやりたい事なんですか⁉︎」

「ウルトラマンも止めて‼︎こんな戦い、間違ってるよ‼︎」

 

タイガは地面に着地するとラン、ナミ、ジュンの3人がこの戦いを見ている事に気付く。オデッサは地面に膝を着いた。それを見たヒロキはオデッサに必死に呼び掛ける。

 

(小田さーん‼︎今ならまだ引き返せる‼︎彼女達もこんな戦い嫌だって言ってるんですよ‼︎だから、もう止めるんだ‼︎)

 

しかし、オデッサは地面に着いたその手を土ごと握りしめる。まるで悔しそうに握りしめたオデッサは再び立ち上がる。

 

「俺は誇り高きナックル星人の戦士、オデッサ‼︎」

 

オデッサはそれでも戦う事を止めようとしなかった。それを見たタイガとヒロキは苦渋の決意をする。ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

夕陽を背にウルトラマンタイガ・フォトンアースが立ち上がる。その姿を見たオデッサはタイガにかつてとある惑星で戦ったウルトラマンジャックの姿を重ね合わせた。その姿を確認したオデッサは両手にエネルギーを込めていく。タイガも自身の真上にオーロラを浮かべながら必殺光線を放つ構えをとる。

 

「うううううう‼︎」

『(オーラムッッッ‼︎)』

 

オデッサが両手から自身の最大の光線を放つ。タイガも必殺技であるオーラムストリウムを放った。

 

「うううおおおおお‼︎」

『(ストリウムッッ‼︎)』

 

2人の放った光線がぶつかり合った。オデッサは必死に力を振り絞ってオーラムストリウムを押し返そうとする。しかし、オデッサの放った光線はタイガが力を振り絞って更に威力が上がったタイガのオーラムストリウムには敵わずオデッサの光線は押し負ける。そしてオーラムストリウムはオデッサに直撃し、その体を貫通した。オデッサの体は後ろに倒れ、地面に背中がつく前に大爆発を起こした。

 

「そんな・・・・。」

「・・・・・どうして・・・・どうして・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

 

オデッサや最期を見たラン達はその光景を見て悲しみしか感じる事が出来なかった。しばらく沈黙した後、3人は叫んだ。

 

「「「小田さーーーーーーーーん‼︎」」」

 

夕陽が落ちる中、カラータイマーを鳴らしたままタイガはその場に立ち尽くしていた。その一方でこの戦いを仕組んだ霧崎は笑みを浮かべながら鎮魂のような仕草を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ヒロキはいつも小田が夕陽の絵を描いていた公園のあのベンチに来ていた。誰もいないそのベンチでヒロキはタイガに静かに問いかける。

 

「タイガ・・・僕はどうすれば良かったんだ・・・・!」

『俺だって分かんねえよ・・・ただ・・・あの時はああするしかなかったんだ・・・・。』

 

誰も座っていないベンチを見るヒロキの後ろにラン、ナミ、ジュンがやって来る。ヒロキは後ろに来た3人に振り返る。ヒロキは3人の方を向いた後、またベンチに視線を向ける。

 

「来てたんだ・・・3人とも・・・。」

「ヒロキさん・・・小田さんが・・・・・小田さんが・・・・・。」

「ああ、分かってる・・・・分かってるよ・・・・・。」

 

ランの言葉にヒロキは思わず小田から貰った手紙を握り締めていた。ランの手にも小田からの手紙が握られていた。その手紙にはこう書かれていた。

 

『ヒロキ君へ、今まで本当にありがとう。今日、俺は全てを掛けて戦う。だから俺とウルトラマンとして全力で戦って欲しい。

戦いを止めて半世紀。この星でとても楽しく過ごす事が出来た。美しい自然や、愛という物に触れる事が出来た。このままこの星で人間として生涯を閉じるのも悪くない。そう思うようにもなった。そして、君とも友達になれた。本当に嬉しかった。

しかし、この地球でまた出会ってしまったんだ。遠い昔、俺の誇りを奪い去った、君という光の巨人に。君の勇姿を見る度に、本当の強さとは何か、本当の誇りとは何かを自問自答した。そして、どうしようもなく胸が熱くなった。そんな自分自身を否定し続けた。俺はもう戦いは沢山だと言い聞かせ続けた。でも、俺の相棒が気付かせてくれたんだ。お前の本当の望みは何だと、お前は本当は誰なんだと。やはり俺は自分の気持ちに嘘をついていた。もう1度あの光の巨人と戦いたい。そして、今度こそ勝つ。戦士としての誇りを取り戻す。

本当に身勝手で済まない。しかし、これが俺の出した答えなんだ。君には、これまで沢山の思い出を貰った。あの絵は未完成のままだけど、俺にとっては、君とランちゃんとジュンちゃん、そしてナミちゃんと一緒に見たあの夕陽が1番美しかった。それだけで十分だ。ヒロキ君・・・君に会えて本当に良かった。』

 

ランも小田から貰った手紙を開いていた。その手紙にはこう書かれていた。

 

「ランちゃんへ、今まで本当にありがとう。俺は今日、全てを掛けて再びこの地球に現れたウルトラマンと戦う。前に話したと思うが、俺は戦いを止めてから、君達怪獣娘が確認される前からずっとこの星で暮らしていた。その中で美しい自然や、愛という物に触れる事が出来た。このままこの星で人間として生涯を閉じるのも悪くない。そう思うようにもなった。

しかし、再びこの星に怪獣が現れるようになってからまた出会ってしまったんだ。地球に現れたウルトラマンに。彼らの戦いを見る度にどうしようもなく胸が熱くなった。そんな自分自身を否定し続けた。けど、やはり俺は自分の気持ちに嘘をついていた。もう1度あの光の巨人と戦いたい。そして、今度こそ勝つ。戦士としての誇りを取り戻す。

本当に身勝手で済まない。これが俺が出した答えなんだ。恐らくこの戦いで俺は負けるだろう。もしかしたらもう一生俺は君とは会えないかもしれない。けど、俺がウルトラマンに敗れてこの世にいなくなってもウルトラマンを恨まないでほしい。これが俺の望んだ道なのだから。

ランちゃん、恐らく君やナミちゃん達怪獣娘は怪獣の魂を宿して生まれただけにこれからも苦労する事があるだろう。それでも、ジュンちゃんのように君達を受け入れてくれる人達と一緒に前を向いて生きてほしい。

あの絵は未完成のままだけど、俺にとっては、君とランちゃんとジュンちゃん、そしてナミちゃんと一緒に見たあの夕陽が1番美しかった。それだけで十分だ。

君の陸上の試合を観に行かなくてすまない。けど君ならきっと大丈夫だろう。ランちゃん、ジュンちゃんやナミちゃんに伝えて欲しい。俺は短い間だったが君達に会えて良かった。本当にありがとう。』

 

ヒロキとランは小田からの手紙を握りしめて、ナミとジュンは涙を浮かべながら小田が夕陽を描いていたあのベンチを眺めていた。4人の目には一瞬だが小田が笑顔を浮かべながら絵を描いている光景が目に映った。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+タイタス)
『ヒロキが出会った1人の少女。それは不思議な力を宿す魔法使いだった。その魔法を狙い暗躍する宇宙人。更に人々を襲う謎の植物の出現。そんな中、大海原から強力な怪獣が現れた。次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


星の魔法が消えた午後


ヒロキ、私が力を貸そう‼︎』


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星の魔法が消えた午後(前編)

最初に言っておきますが今回の怪獣はパゴスではありません。
怪獣娘の世界では野生のパゴスは出せないと考えた結果、あの怪獣を出す事にしました。
中編でその怪獣が明らかになると思います。

それと今回からボイスドラマのキャラであるホーとシャドウガッツことマコも参戦です。


ヒロキはサチコ、ミサオそしてもう1人の少女と一緒に街を歩いていた。サチコ達は怪獣娘だけのバンドを結成しており、ヒロキは彼女達のライブの手伝いを終えたばかりだった。

 

「お疲れ。本当に凄いな・・・、デビューしたばっかりとは思えない盛り上がりっぷりだったよ。」

「当然よ‼︎あたし達、この日の為にずっと練習してたんだから‼︎」

「何言ってんだよ!ヒロキだって、アタシ達のライブ会場の準備をしてくれたり、お客さんの誘導をしたりとアタシ達の手伝いしてくれただろ。アタシ達だけじゃライブは成り立たなかったよ。」

「2人とも・・・ありがとう。何というか、君達の歌に励まされたような気がするよ。」

 

ヒロキは小田の事を今でも少なからず引きずっていたが彼女達のライブで少し気持ちが晴れたようだ。そんな会話をしていると後ろからヒロキ達に話しかけてくる少女がいた。黒い髪に左側にサイドテールを作った黒いジャケットを着た少女の名は『葦原ルイ』。彼女は硫酸怪獣『ホー』の怪獣娘である。彼女はとある理由からサチコとミサオのバンドに入っている。

 

「あの・・・ヒロキさん・・・。ノイズラーさんにザンドリアスさんも・・・わたし・・・クッキー作って来たんです・・・。もし良かったら・・・食べてくれますか?」

「わーい、クッキーだーっ‼︎」

「おい、お前な・・・少しは遠慮しろよな・・・。」

「いえ、気にせず食べて下さい・・・!」

「じゃあ、頂くよ。ありがとね。」

 

浮かれるサチコをたしなめるミサオだが、ルイの言葉に甘える事にした3人。途中で見つけた公園のベンチに座り、ヒロキとミサオはクッキーを口にする。

 

「ノイズラーさん、ヒロキさん、どうですか?」

「美味しいぜ、ホー。」

「うん、美味しいよ。」

「2人とも・・・・ありがとうございます‼︎」

「ねぇ、今度、クッキー作り教えて‼︎あたし、お菓子作り下手だからさ・・・。」

「あっ、アタシも‼︎」

 

サチコとミサオがルイと楽しそうに話しているのを微笑ましく見守るヒロキ。そこにヒロキ専用のソウルライザーに電話が掛かってきた。

 

「もしもし。クララちゃん、どうしたの?」

『ヒロキ、前にもう1人のガッツの事は話しましたヨネ。』

「もう1人のガッツさん?ああ、マコさんの事だね。」

『実は先程、長期に渡る九州からの出張から帰ってきまシタ。ヒロキには彼女の事、まだ紹介していませんでしたから、GIRLSに戻って来てくれまセンカ?彼女、お土産の林檎のシブーストも用意してくれてマスカラ。』

「分かった。戻るよ。」

『では、待ってマース‼︎』

 

クララからの電話が切れる。サチコ達はヒロキに電話の内容を聞いていた。

 

「今のキングジョーさんからの電話?何て言ってたの?」

「ああ、もう1人のガッツさん、確かマコさんだったかな?彼女が帰って来たんだって。」

「ああ、もう1人のガッツさんかぁ・・・。あの人とも色々あったからなぁ・・・。」

「わたし、ちょっとあの人苦手です・・・。」

「大丈夫だよ。お土産に林檎のシブースト買って来てくれたらしいからそんな悪い人じゃないと思うよ。・・・・・にしても、林檎のシブーストって何か分かる?」

「えっ、ヒロキ、シブースト知らないの⁉︎」

「アンタ、アタシ達より年上だよな⁉︎」

 

林檎のシブーストを知らないヒロキに驚くサチコとミサオ。ルイはヒロキをフォローを入れて、ミサオが説明しようとする。

 

「まぁまぁ・・・・男の人には・・・・知らない人もいると思いますから・・・。」

「意外と抜けてるところあるなぁ・・・。林檎のシブーストってのは」

「林檎のケーキの事です。美味しいですよ。」

「そうそう、林檎のケーキ・・・・って、え?」

 

何処からともなく、ヒロキ達の会話に割り込む声があった。ヒロキ達は思わず声のした方向を振り向く。するとそこには大きなカバンを後ろに置いた少女が河原に座っていた。ヒロキ達は彼女のもとに駆け寄った。

最初に声を掛けたのはヒロキだ。

 

「今、君が声を掛けたの?」

「はい。

「えっと、貴方は?」

 

ミサオの問いに答えようとする少女。するとヒロキ達の隣から向こう岸までの橋に1人の小学1年生くらいの少女が被っていた帽子が飛んでいってしまった。サチコとミサオはそれを見てソウルライザーを構える。

 

「あっ、あの子、帽子を‼︎」

「アタシ達なら空を飛べるし、間に合うかも‼︎ソウルライド」

「ストマティスト!」

 

ミサオが怪獣娘に変身しようとすると少女は杖を掲げて呪文の様な言葉を唱える。すると落ちていく帽子が宙に浮いていたのだ。ヒロキ達は信じられないものを見た目で驚いていた。それはまるで魔法の様だったからだ。

 

「エラティスト!」

「ちょっ、ちょっと待って‼︎今の何⁉︎何したの⁉︎」

 

サチコの問いに答えず、再び少女は呪文の様なものを唱える。すると帽子は少女の方に引き寄せられた。その帽子を追いかけてきた少女はその少女に駆け寄る。

 

「はい。」

「ありがとう。」

「誰に買ってもらったの、その帽子?」

 

楽し気に話している2人の少女を見て4人は話し合っていた。目の前の光景が気になっていたからだ。

 

「彼女、怪獣娘なのかな・・・。」

「そうなんじゃないの!?あれは普通の人間に出来る事じゃないよ!!」

「い、いや・・・けど・・・あの人・・・どう見ても変身してないよな・・・。」

「怪獣娘でなければ・・・超能力者でしょうか・・・。」

 

幼い少女に帽子を返した少女はヒロキ達の前で信じがたい発言をした。

 

「でも良かった・・・。まだちょっとは魔法を使えるみたい。」

「魔法?」

「内緒だよ。」

「凄い!!」

「バイバイ!」

「・・・・・魔法って言ったよね・・・・。」

「えっ!?まさか・・・魔法なんて・・・・。」

「ま・・・まさか・・・。あり得ない・・・あり得ないよ、魔法なんて・・・。」

「でも・・・目の前で不思議な光景が・・・。」

 

思い切ってヒロキは彼女に話しかける事にした。

 

「今のって超能力ですか?」

「キセハーステ。」

「やっぱり‼︎魔法だ‼︎それは魔法の杖なんだ‼︎」

「はあ!?」

「お前、本当に年上か!?魔法使いなんているわけないだろ!!」

「け、けど・・・呪文のようなものを唱えていましたよ!!それにあの杖・・・絵本とかに出てくる魔法使いそのものじゃないですか!?」

「ホー、アンタまで⁉︎け、けどあの杖が本当に魔法の杖なら何で出来てるってのよ⁉︎」

「これの事?トネリコが一般的だけど、あたしのは白川の木でできてます。」

「「し、白川の木でできた魔法の杖ぇぇぇ・・・・。」」

 

彼女の言葉にサチコとミサオは疑いと戸惑いを隠せない。それはタイガも同様だった。

 

『おいおい、ヒロキ。魔法使いなんているわけ』

「けど、レオも昔、魔法を使える敵と戦ったそうじゃん。お爺ちゃんの手帳にあったよ。梅田トオルという友人から怪獣人プレッシャーという宇宙の魔法使いと戦ったって聞いたらしいけど・・・。」

『怪獣人プレッシャーか・・・。確かに悪名高い宇宙の魔法使いと言われているが・・・。』

『奴はあくまで様々な超能力が使えるだけで、その力から魔法使いと噂されただけだと思うぜ。・・・まぁ、あれ以来、奴の同族が現れたって話はあんまり聞かないから分かんないけどよ。』

 

タイガの言葉に祖父の手帳の記録を話したヒロキ。タイタスとフーマがそれぞれ反応を見せる中、魔法使いと言われた少女はヒロキに言葉を放つ。その言葉はヒロキを慌てさせるものだった。

 

「今、貴方の周りから複数の声が聞こえたよ。もしかして貴方の中には複数の人格が」

「わぁーわぁー‼︎(タイガ、タイタス、フーマ、皆の声が聞かれてる‼︎)」

『えっ、マジか⁉︎』

「あっ、答えなくていいです。キセハーステ。」

 

再び彼女は魔法の呪文らしきものを唱えるもヒロキには何も起こらない。彼女は手に持った魔法の杖らしい杖を何度か叩く。

 

「それって呪文か何か?」

「記憶消去の魔法は駄目か・・・。一体どうしてあたし・・・。」

「君、本当に魔法使いなの?」

「だからさ、ヒロキ〜、魔法使いなんているわけ・・・。」

「わ、私は信じます‼︎あれは昔絵本などで見た魔法使いの魔法そのものです‼︎」

 

信じられないサチコとミサオの横でルイは彼女が本物の魔法使いだと信じたらしい。そんなヒロキ達に魔法使いの少女は説明し始める。

 

「正確に言えば魔法使いでした。だって・・・現に今、魔法が使えてないし・・・でも、最後にあの子を笑顔に出来て良かった。」

「ほ、本物の魔法使いさんは・・・・ここで何をしていたんですか?」

 

戸惑いながらもルイは彼女に話しかける。すると彼女は目の前の桜の木を見ながら説明した。

 

「あそこがわたしの家だったんだけど・・・消えて桜の木に戻ったの・・・魔法で作った家だったから・・・。」

 

魔法使いの少女は笑いながらも暗い表情で話を続ける。

 

「参ったなぁ・・・わたし、宿無しの元魔法使いになっちゃった。」

 

ヒロキはその悲しそうな顔を見て、ある決意をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ、お土産の林檎のシブースト。」

「ありがとうございます、マコマコ。」

 

ヒロキ達が魔法使いの少女と接触するほんの数分前、GIRLSではミコに瓜二つの紺色の少女がトモミ達に土産袋を渡していた。彼女こそもう1人のガッツ星人の怪獣娘である『印南マコ』だ。彼女はミコがシャドウミストに取り憑かれた時に生まれた分身が自我を持って生まれた存在だ。今まで彼女は長期出張で九州に行っており、つい先程帰って来たのだ。

 

「マコ〜、久しぶり〜‼︎」

「ちょっとミコ、あんまりくっつかないでよ。」

「いいじゃん、本当に会うの久しぶりなんだから‼︎」

「その辺にしなよ、ガッツ。・・・でも、元気そうで良かったよ。こっちでは今まで大変だったからさ。」

「本物の怪獣や宇宙人が現れる事件が何度も起こってるんでしょ。全く、わたしがいない間に面倒な事件が起こっていたようね。」

「他にも、色々あったよ。キングジョーさんの幼馴染がGIRLSに入ったんだ。宇宙人相手にも勇敢に立ち向かうすごい人だよ。」

「ミコからのメールで話は聞いてるわよ。確か白鳥ヒロキだっけ?そいつ、どんな奴なのよ。」

 

マコに頬擦りするミコを止めてアキはマコにこれまで起こったことを話す。どうやらマコはミコからヒロキの話を聞いていたらしい。土産袋をトモミ達が受け取った事を確認するとマコは部屋を出て行こうとする。クララとミコはマコを引き止めた。

 

「やっぱいいわ。じゃあ、わたし今日は帰るから。」

「待って下サーイ!ワタシの幼馴染の事を紹介したいデス‼︎だから今日はまだ残って下サイ‼︎」

「そうだよ、今日はヒロの事を紹介しようと思ったのに‼︎」

「後ででもいいでしょ。こっちは九州まで行って疲れてるの。まだ後にしてくれる?じゃあ。」

 

マコはそのまま去っていってしまった。

 

「マコ、行っちゃったね・・・・。」

「まあ、あの子も疲れてたんだろうし・・・、しょうがないか・・・。」

「そうですね・・・マコマコの事を紹介するのは後日にしましょう。」

 

クララ、トモミ、ミコはマコのいたところから目を離した。するとそこにあったTVから奇妙なニュースが聞こえて来た。

 

『今朝、複数の男女が樹木の枝の様な物に絡まれた状態で発見され、こちらの病院に緊急搬送されました。幸い、命に別状はありませんでしたが、病院関係者によれば被害者の1人は『木が襲って来た』と話しているとの事です。』

 

そのニュースを見たクララ、アキ、ミコ、トモミは異常なことが起きていると感じ、お互いの顔を見合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

とある公園でジョギングをしている男性がいた。その男性の後ろから何かが近づいていた。その何かは男性の首に突然飛び付いた。

 

「うわああああああ‼︎」

 

 

 

公園を散歩していたとある女性は突然悲鳴を聞いた。女性は悲鳴のした方に走っていく。するとそこにはジャージ姿の男性が木の根にも見え、触手のように見える何かに巻き付かれて苦しそうにしていた。

 

「あ・・・あ・・・・ああああ・・・・あああああ・・・・‼︎」

「大丈夫ですか⁉︎」

 

女性はその男性に駆け寄った。するとその女性の背後から男性を襲っている触手と同じ物が近付いていた。それは女性が後ろの気配に気付く前に女性の首に飛び付いた。その先端は吸盤状になっており女性の首に吸い付く。女性は触手に吸いつかれると苦しそうにしていた。

 

「きゃああああああああ‼︎」

 

マコはその光景に丁度出くわしていた。マコは目の前の光景に驚きを隠せない。

 

「ちょっ⁉︎一体どうなっているの⁉︎」

 

戸惑うマコの背後にも人を襲う触手が迫っていた。そしてその触手はマコに勢いよく飛びかかった。

 

「‼︎」




グリッドナイトが主役のグリッドナイトファイトなるものが発表されました。
一体、どんな作品になるのでしょうか。


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星の魔法が消えた午後(中編)

ダイナゼノンもゴジラS.Pも来週で最終回ですね。
何だか寂しくなりますね。

ちなみに今回はこの中編に隠されたサブタイがあります。
是非とも探してみて下さい。

タコ怪獣『ダロン』登場


GIRLSではトモミがさっきのニュースを見続けていた。彼女はニュースで言っていた人を襲う木の根が気になったらしい。その後ろではクララが何かの書類を書いており、ミコとアキは雑談していた。 

 

『先程、搬送された男女は撹乱状態にあり、何らかの薬物を摂取したと思われています。』

『きゃああああああ⁉︎』

『たった今、我々の前で新たな被害者が出た模様です‼︎』

『何なのよ、こいつは⁉︎』

『あっ、こ、これは・・・・きゃああああああ⁉︎』

 

レポーターの目の前で謎の触手に襲われる女性が写った。またわカメラの後ろに髪が濃い少女が後ろから襲ってきた触手のようなものを掴んで必死に抵抗する姿が写る。そしてレポーターやTVニュースのスタッフ達も無数の触手に襲われた場面で映像に乱れが生じ、砂嵐が流れてきた。

 

「み、皆さん、今、マコマコが写っていませんでしたか⁉︎」

「えっ、ごめん‼︎今の見てなかったから分かんないや。」

「大丈夫デース!この映像は録画されてイマース!」

 

ミコの言葉に反応したクララが映像を巻き戻す。するとマコが首に吸いつこうとする謎の触手を掴んで必死に抵抗している姿がアップで写った。それを見たミコは思わず飛び出していく。

 

「マコ‼︎」

「あっ、待ってガッツ‼︎」

「アギラちゃん、ワタシも行きマス‼︎」

 

ミコを追ってクララとアキも飛び出していった。それを見送ったトモミは思わず呟いた。

 

「こ、これは宇宙人の侵略でしょうか・・・⁉︎・・・駄目駄目、しっかりしないと・・・・‼︎GIRLSの皆さん、緊急事態が発生しました‼︎座標の位置を送りますので大至急出動して下さい‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキは魔法使いの少女を連れていた。その後ろではサチコとミサオがジト目でヒロキを見ていた。サチコがヒロキに苦言を申す。

 

「すみません、ご迷惑をお掛けして・・・。」

「いいよ。気にしないで。」

「ヒロキ、アンタね・・・。自分の事を魔法使いとかいう胡散臭い人を泊めようとするなんて・・・・。」

「放っておけないだろ。それに彼女が不思議な力を使えるのは事実だ。けど、その力が弱まって住む場所も無いんなら放っておけないよ。それに君達だって困っている人は放っておけないだろ。」

「まぁ、それは確かにそうだけど・・・。」

「そういえば自己紹介がまだだったよね。僕は白鳥ヒロキ。」

「あっ、そうでしたね。わたしは麻璃亜と呼んで下さい。」

 

ヒロキが魔法使いの少女『麻璃亜』と自己紹介をする。そんな中、ヒロキ達の元は走ってくる人影がいた。

 

「ガッツさん⁉︎それにアギラさんも⁉︎」

「どうしたんでしょうか?何か焦っている様に見えますけど・・・。」

 

走ってきたアギラとガッツ星人はヒロキ達に気付くと一瞬止まってヒロキ達に急ぐように言い放つ。

 

「ヒロキさんにザンドリアスにノイズラーにホー⁉︎丁度良かった、すぐに来て‼︎」

「このままじゃ皆が危ないの‼︎一緒に来て‼︎」

 

そう言った2人はすぐに走り去って行った。その姿を見てヒロキ達はただ事ではないと知る。サチコ達がアギラ達を追いかけ始め、ヒロキは麻璃亜に声を掛ける。

 

「待って、アギラさん!ガッツさん‼︎」

「ここで待ってて‼︎嫌な予感がする・・・。」

 

そしてヒロキは走り出した。やがてアギラに追い付くとそこでヒロキは濃い色のガッツ星人の怪獣娘と出会う。マコが変身したガッツ星人だ。アギラとガッツ星人(ミコ)はガッツ星人(マコ)に事情を伺っていた。

 

「マコ、大丈夫だったの⁉︎」

「え、ええ、なんとか追い払ったわ・・・。」

「良かった・・・ニュースで変なのに襲われるマコを見たから心配して・・・。」

「な、何よ・・・わたし、そんなに弱くないわよ・・・。でも、ありがと。心配してくれて。」

 

ガッツ星人(マコ)が照れながらアギラ達に礼を言う。ヒロキがその光景を見ている中、サチコ達がキングジョーに話しかける。どうやら彼女もアギラ達と一緒に現場に来ていたようだ。

 

「キングジョーさん、一体何があったんスか?」

「木の根が人を襲っているとニュースになっていまシタ。そしてTVでその現場を偶然見てここに来たのデース。」

「木の根が⁉︎」

 

すると彼女達に1人の男性が近づいてきた。救急隊の一員のようだ。彼はサチコ達に忠告する。

 

「皆、ここは危険です。離れて下さい。」

「大丈夫、ワタシ達はGIRLSの怪獣娘デス。この現場の調査に来まシタ。この子達も同じデス‼︎」

「こ、これはキングジョーさん‼︎まさかここでお会い出来るとは‼︎じ、実は私は貴方のファンで・・・、駄目だ駄目だ事情を交えちゃ駄目だ!お疲れ様です‼︎」

「お疲れ様デス‼︎ここで何が起きているんデスカ?」

「じ、実は我々にも」

 

救急隊の男が説明しようとした瞬間、地中から触手が襲ってきた。触手は男の首に吸い付いた。キングジョーは地面に着いている部分を踏みつけ触手を引き剥がす。

 

「大丈夫デスカ?」

「は、はい‼︎」

「誰か助けて‼︎」

 

キングジョーが救急隊の男を助けていた後、他にも助けを求める声を聞いてそちらに向かっていく。その頃、ルイの背後にもその触手は迫っていた。それはルイの首にあっという間に吸い付いた。吸い付かれたルイは苦しそうな表情を浮かべる。

 

「ホー‼︎」

「うううっ・・・・ううううううう・・・。」

「ホー、今助ける‼︎ソウルライド、『ザンドリアス』‼︎」

「ソウルライド、『ノイズラー』‼︎」

 

サチコとミサオはソウルライザーを構えて怪獣娘に変身する。サチコが口から吐いた炎が触手を焼き、ノイズラーの音波が触手にダメージを与える。ホーに吸い付いた触手はホーの首から離れるも、地中から更に無数の触手が飛び出してきた。

 

「な、何なのよ、コレ⁉︎」

「うえっ、気持ち悪ぃ・・・。」

「こ、来ないで・・・ソウルライド、『ホー』‼︎」

 

ザンドリアスとノイズラーが地面から伸びる触手をきみ悪がる中、ホーは恐怖心を堪えて黒い獣殻に兎の様な大きな耳の怪獣娘『ホー』に変身する。それでもホーの背後から触手が迫ってきた。

 

「ひっ、い、嫌・・・。」

「「ホー‼︎」」

 

ザンドリアスとノイズラーがホーを助けに行こうとするも間に合わないと思われた。しかし、触手はホーに吸い付く事はなかった。間一髪のところでヒロキがその触手を掴んで地面に地面に叩きつけたからだ。

 

「ホー、大丈夫⁉︎」

「ヒロキさん⁉︎は、はい、ありがとうございます‼︎」

 

ヒロキはホーを下がらせて目の前の光景を睨む。目の前では地面から無数の触手が飛び出して獲物を探していた。その異様な光景にヒロキは結論付ける。

 

「クララちゃんから木の根が襲ってきたって話を聞いたけど・・・これは木の根なんかじゃない‼︎間違いなく怪獣の仕業だ‼︎」

「こ、これって怪獣の仕業なんですか?」

「何言ってんだ、こんなの怪獣の仕業以外あり得ないだろ‼︎」

「確かに・・・こんな事怪獣じゃなきゃ出来ないよな・・・。」

「で、でも怪獣の仕業だったとして一体何の怪獣なのよ‼︎」

 

目の前の光景を目にしてヒロキの結論にホー、ノイズラー、ザンドリアスはそれぞれの反応を見せる。ザンドリアスの言葉を聞いたヒロキは彼女達に気付かれないようにタイガ達に目の前の光景を聞く。

 

「タイガ、タイタス、フーマ、コレって何の怪獣の仕業か分かる?」

『分かってたらとっくに教えてるよ‼︎』

『すまない、幾ら何でもコレだけでは・・・・。』

『宇宙に植物怪獣が幾らいると思ってんだ。これだけじゃ判断出来ねぇよ。』

「御免、無茶な事聞いたね・・・。」

 

自身の相棒であるウルトラマン達の答えに落ち込むヒロキ。キングジョーにアギラ、そして2人のガッツ星人がヒロキに合流する中、そこに麻璃亜が声を上げてきた。

 

「皆、大丈夫デスカ⁉︎」

「キングジョーさん、アギラさんにガッツさん達‼︎あたし達は大丈夫ですけど・・・。」

「これ、絶対に木の根なんかじゃないですよ‼︎どうします⁉︎」

「ヒロキさん‼︎」

「マリアさん、どうしてここに⁉︎」

「えっ、誰ですか⁉︎」

「魔法が使えない理由がわかりました‼︎この変なのが世界から魔法を奪っているんです‼︎」

「ま・・・魔法って・・・・どういう事⁉︎」

「というか貴方、この事件の原因を知ってるの⁉︎」

「あっ、怪獣娘の皆さん、突然魔法とか言われても分かりませんよね。この宇宙には」

「待って、話は後にして・・・妙な霧が来る‼︎」

 

麻璃亜の言葉をガッツ星人(ミコ)が遮る。ヒロキ達は目の前に目を向けると確かに霧が発生していた。そして霧の中にいる人々が次々と倒れていく。倒れていく人々の首に触手は次から次へと吸い付いた。

 

「皆か気を失っていく・・・。一体どうして?」

「まさか・・・あの霧の影響か⁉︎」

「マズい‼︎皆を助けないと‼︎」

 

アギラ達はそのまま霧のかかった所へ向かっていく。アギラの角が高校生くらいの制服を着た少女の首に吸い付いた触手を切り裂く。2人のガッツ星人は手から光線を放ち、触手を打ち落とす。すると触手は地面に引っ込んでいった。

 

「よし、アタシ達もアギラさんに続くぞ‼︎」

 

ノイズラーの言葉でヒロキ達も人々を助けようとする。その時、上空から円盤が降りてきた。その円盤は麻璃亜をあっという間に吸い込んでしまう。そして飛び立った円盤をヒロキは追いかけていった。

 

「麻璃亜さん‼︎」

「次から次へと何なのよ⁉︎」

「ザンドリアス、ノイズラーはアギラさんが斬った触手の一部をGIRLSに持ち帰ってくれ‼︎僕とホーはあの円盤を追うから‼︎」

「何でアンタが仕切るのよ‼︎」

「で、でもヒロキさんの言う通りにした方がいいと思います!この触手をGIRLSで調べて貰えば怪獣の正体が分かるかもしれません‼︎」

「確かにな・・・ヒロキの意見を聞くぜ‼︎・・・キングジョーさん、アタシとザンでGIRLSにこれを持ち帰ります‼︎ヒロキとホーであの円盤を追いますからそっちは宜しくお願いします‼︎」

「分かりまシタ‼︎そっちも気を付けて下サイ‼︎」

 

キングジョーの言葉でヒロキとホーは円盤を追いかける。キングジョーは目の前の無数の触手を見ると目を瞑り意識を集中させる。そして彼女の獣殻は黒くなり、右腕にランチャーが装備された。

 

「さて、ワタシも皆さんのレスキューに励みまショウ‼︎」

 

キングジョーは意気込むと右腕のランチャーで触手を撃ち落とし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、麻璃亜は暗い空間の中で目を覚ました。その時、男の声が響いてくる。

 

「悪いがちょいと魔法使いの力が必要でな、一緒に来てもらうぜ!」

 

暗い空間の中から1人の顔が赤い異形の宇宙人が現れた。金色のジャケットを羽織ったその宇宙人は顔が人間のものになる。

 

「俺はゼラン星人オショロ。お嬢ちゃんが魔法使いだな。」

「あら、残念ね。今の私は魔法使いじゃないの。」

「嘘はいかんなぁ、これを見てもそう言えるかな。」

 

すると人間に変身したゼラン星人の『オショロ』は目の前のスクリーンに映像を映す。それは麻璃亜が桜の木を家に変える瞬間だった。

 

「やっと見つけたんだ、本物の魔法使いを。一緒に来てもらうぜ。」

 

やがて2人は円盤から降りる。オショロは巻物の様なものを取り出すと説明を始める。

 

「今日、ヴィラン・ギルドからある怪獣を競り落としたんだ。説明書によればその怪獣は魔法使いのみが操れるらしい。」

「今は魔法が使えないし・・・それにわたしは魔法使いであって怪獣使いじゃない‼︎」

「うん、まぁ、そうなんだけど・・・・説明書にはそう書いてあんだよ。まぁ・・・実際に怪獣と会わせれば何とかなるだろ。」

 

オショロはどこからともなく機械を取り出した。やがてその機械を上空に掲げる。するとヒロキとホーが走ってきてヒロキは飛び蹴りを、ホーは光線を発射してオショロを吹っ飛ばす。

 

「見つけたぞぉぉぉ‼︎」

「彼女を返して下さい‼︎」

「ぐわぁっ⁉︎・・・何だお前ら⁉︎」

「大丈夫ですか⁉︎ 麻璃亜さん‼︎」

「ヒロキさんにさっきの怪獣娘さん‼︎わたしは大丈夫です‼︎」

「GIRLSです‼︎無駄な抵抗は止めて下さい‼︎」

「くそっ!!GIRLSの怪獣娘か!!だが、こいつを出せばお前ら怪獣娘だろうが俺を止める事は出来ん!!」

 

オショロはそう言って目の前の機械を操作する。やがて機械か、小さな光が飛び出した。どうやら怪獣への信号の様なものだ。しかし、その動きを見てオショロは首を傾げた。

 

「あ、あれ、どこまで飛んで行くんだ?」

「?」

 

オショロの反応に首を傾げるヒロキ。すると光は海に着水する。そして海が光り出し、やがて泡立ち始める。そして海から一体の怪獣が出現した。緑色の体に無数の触手を生やした蛸を連想させる怪獣だ。蛸が変異したタコ怪獣『ダロン』が海から上がってきて雄叫びを上げる。

 

「ピギイイイィィィィィ‼︎」




トリガーのメインキャラが全員発表されましたね。

怪獣娘の世界の並行同位体が多めになりそうな予感がするなぁ・・・・。
ユナとアキトはウインちゃんと主人公の学校の先輩としても出せそうなんですよね。ユナがいれば父親のミツクニもいますから怪獣娘の世界にシズマ財団がいてもおかしくないし・・・闇の三巨人は当然出すとしてマルゥルやイグニスも外せなさそうだし・・・・。
怪獣娘の世界におけるトリガーのキャラの並行同位体を何処まで出そうか考え中です。


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星の魔法が消えた午後(後編)

多分、今まで書かれたウルトラマンの二次創作の中で1番強いダロンを書いたと思います。
というよりここまでがっつりダロンに出番があるウルトラマンの二次創作を書いた人っているんでしょうか。
もしあったら教えていただけないでしょうか?

それと電王牙さんの意見を参考にしました。電王牙さん、ありがとうございます。

吸血怪獣『ギマイラ』登場


海から出現した怪獣『ダロン』を見てオショロは驚いた顔をしていた。

 

「あ、あれ⁉︎俺の怪獣じゃない‼︎」

「はっ⁉︎どういう意味だ‼︎」

「俺が買った怪獣はあんな蛸みたいな奴じゃない‼︎もっと凶暴な奴だ‼︎」

 

オショロの言葉を聞いたヒロキは目の前の男がどんな怪獣を買ったのか気になり始めた。

その一方で陸に完全に上陸したダロンは触手でビルの上に設置された貯水缶を叩き落とす。ホーも貯水缶を撃ち落とす準備をする。オショロとヒロキは腕で頭を覆うも麻璃亜が呪文を唱えて貯水缶を打ち消した。

 

「麻璃亜さん‼︎」

「ソリア‼︎」

 

彼女の呪文で助かったヒロキは一息ついていた。しかし、思い出したかのようにオショロが後ろにいるヒロキを見るとヒロキに肘打ちをする。まともに喰らったヒロキは思わずよろけり、それをホーが支えた。

 

「ぐっ⁉︎」

「ヒロキさん‼︎」

「お嬢ちゃん、魔法は使えなくなったんじゃないのか⁉︎」

「い、今のは必死だったから」

「アンタを必死にさせれば魔法が使えるって事か‼︎ならば」

「させません‼︎」

 

動こうとしたオショロにホーが光線を放つ。オショロはホーの光線に吹っ飛んでいくと麻璃亜の方を見た。

 

「お嬢ちゃん‼︎俺は諦めないからな‼︎」

 

捨て台詞を残してオショロはその場から消えていく。ヒロキとホーが麻璃亜に駆け寄った。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

「は、はい‼︎」

「ホー、麻璃亜さんを連れてここから逃げろ‼︎」

 

ヒロキの言葉に頷くとホーは麻璃亜を連れてその場を去る。ヒロキは目の前で触手を振り回しながら暴れるダロンを見据えると右腕にタイガスパークを出現させる。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キングジョー、2人のガッツ星人にアギラは霧の篭る町で倒れている人達を守りながら地面から襲いくる触手に立ち向かっていた。

 

「くっ、次から次へト・・・‼︎」

「これ、キリがないよ‼︎」

「これは地中にいる怪獣本体を叩くしかないわよ。」

「そんな事言ってもどうやって地面に潜っている怪獣を攻撃すれば・・・うっ‼︎」

 

途中でアギラは苦しそうな表情を浮かべながら頭を支える。ガッツ星人(ミコ)は思わずアギラに駆け寄った。

 

「アギ、大丈夫⁉︎」

「う、うん・・・何だか頭痛と目眩がしてきて・・・・。それに何だか意識もボーッとするような・・・・。」

 

明らかに体調に異常が生じているアギラ。ガッツ星人(マコ)はそれを見てこの霧の影響だと推測し、キングジョーは一気に勝負を畳み掛けようとする。

 

「まさか・・・この霧の影響⁉︎この霧が怪獣娘にも影響を及ぼすなら時間はかけていられないわね!」

「だったら一気に勝負を決めマース‼︎」

 

そう言ってキングジョーは意識を集中させる。しかし、彼女の身には何も起こらずその獣殻は黒いままだった。

 

「ア、アレ・・・どうしてあの姿ニ・・・。」

「おジョー、考えている時間は無いよ‼︎ここから一旦退却しよう‼︎」

 

アギラを抱えたガッツ星人(ミコ)の言葉で彼女達は霧が掛からないところまで脱出した。その視界には大きな蛸を思わせる怪獣と睨み合うウルトラマンタイガが見えた。

 

「あ、アレって最近新しく地球に現れたっていう‼︎」

「そう、ウルトラマンタイガ。今、地球を守ってくれているウルトラマンだよ‼︎」

「他にもタイタスもフーマという3人のウルトラマンがイマース‼︎」

 

タイガを指差すガッツ星人(マコ)に解説をするガッツ星人(ミコ)とキングジョー。彼女達が見てる中、タイガとダロンの戦いが始まった。

タイガは目の前の怪獣に向かって走り出した。ダロンに接近するとダロンの体にパンチを打ち込む。1発、2発、3発・・・と次々と拳をダロンに叩き込んでいく。

 

「ピギイイィィィィ‼︎」

 

ダロンもやられっぱなしというわけにはいかない。ダロンは触手を振り回してタイガを攻撃する。タイガは触手を避けるとダロンから距離を取り再びパンチを打ち込んだ。

 

「シェアッ‼︎」

 

ダロンはそれでも怯まずにタイガに向かっていく。ダロンはタイガに触手を振り下ろした。タイガはバク転して触手を避けるとヒロキに指示を出す。

 

『手強いな、ヘルベロスの力で奴を切り裂くぞ‼︎』

(分かった‼︎)

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左手の中指に意識を集中させた。そしてヘルベロスリングを具現化させタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ヘルベロスリング、エンゲージ‼︎〉

 

タイガはヘルベロスの力を宿した斬撃光線をダロンに放った。

 

『ヘルスラッシュ‼︎』

 

しかし、思ったよりダロンの皮膚は頑丈だった。タイガのヘルスラッシュを触手を振り回して打ち落としたのだ。コレにはタイガとヒロキも驚きを隠せない。

 

『嘘だろ⁉︎なんて硬い奴なんだ‼︎』

(本当に蛸の怪獣⁉︎そうは思えないよ‼︎)

『ヒロキ、私が力を貸そう‼︎』

(分かった‼︎)

『頼んだぜ、タイタス‼︎』

 

〈カモン!〉

 

タイタスの声を聞いたヒロキは再びタイガスパークのレバーを引き、タイタスの顔が刻まれたキーホルダーを手に取る。

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

タイタスはダロンに向かって走り出した。そしてタイタスの剛腕の拳がダロンに命中する。

 

「ふん‼︎」

「ピギイイイイィィィィィ⁉︎」

 

タイタスの拳をまともに受けたダロンは悲鳴を上げながら後退する。タイタスは更に追い討ちをかけるように右腕を何度もダロンにぶつける。

 

『マッスル!マッスル‼︎スーパーマッスル‼︎』

「ピギイイイィィィィィ⁉︎」

 

ダロンは悲鳴を上げながら怯んで後ろに後退していく。その姿を見ながらタイタスはポーズを決めた後、再びダロンに向かっていく。

 

『パワー勝負なら負けない‼︎』

 

再びタイタスは拳をダロンに打ち込もうとする。その時、ダロンはタイタスの両腕と胴体に触手を巻き付けた。

 

『ぬうっ⁉︎』

 

タイタスは何とか触手から逃れようとするもダロンの力は思ったより強く中々振り切れずにいた。ダロンは触手の締め付ける力を強くしてタイタスの体力を削ろうとする。タイタスは必死に耐えるもダロンは電流を流してタイタスを弱らせる。

 

『ぐっ、くっ、うおおおお⁉︎』

 

ダロンはタイタスが弱った時、タイタスをそのまま海に引き摺り込んだ。タイタスはダロンと共に海の中に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キングジョー達はホー、麻璃亜の2人と合流していた。その場にはピグモンもいる。

 

「霧がかかった地域の街の人達が意識を失って病院に運び込まれました。更にあの触手に何かを吸われたのか殆どの人達が昏睡状態となっています‼︎」

「先程現れたあの怪獣の仕業って事だよね・・・・。早く何とかしないと・・・。」

「ザンザンとノイノイがアギアギが斬った触手の一部と霧のサンプルを持ち帰ってくれましたから怪獣の特定は出来ると思います。後はどうしてこの事態になったのか解明しないと‼︎」

 

ピグモンの言葉を聞いていた麻璃亜が口を出してきた。

 

「怪獣娘の皆さん、聞いて欲しい事があるんです‼︎」

「麻璃亜さん⁉︎」

「さっきの・・・。」

「先程魔法がどうとか言っていましたけど・・・アレはどういう意味デスカ?」

 

キングジョーの言葉に麻璃亜は解説を始める。それは怪獣娘達にとっても未知の領域だった。

 

「どの星の生き物も多かれ少なかれ宇宙に満ちる魔法と共鳴しています。私も貴方も・・・夢を見る力、それ自体が魔法なんです!だから・・・本当は皆が魔法使い・・・。あの触手はそれを吸い取っているんです・・・。」

「夢を見る力・・・・そのものが・・・魔法・・・・。」

「つまりあの触手はあの怪獣の攻撃だったという事だね・・・。あの霧もその力を確実に奪うためにあの怪獣が起こしていた・・・。成る程、そう考えれば辻褄が合うね・・・。」

「じゃあ、あの怪獣を倒せば全て解決するって事?」

 

アギラが皆の後ろから声を上げる。ガッツ星人(ミコ)は思わず駆け寄った。

 

「アギ‼︎大丈夫なの⁉︎」

「うん、少しは楽になったから・・・。その怪獣は今は?」

「あの怪獣ならウルトラマンを海に引き摺り込んでいったわよ。」

「えっ・・・じゃあウルトラマンは・・・。」

「アギ、ウルトラマンなら大丈夫だよ‼︎信じよう、絶対に勝つって‼︎」

「ガッツ・・・うん‼︎」

 

タイタスが海に引き摺り込まれた事をガッツ星人(マコ)から伝えられたアギラは顔を青くするもガッツ星人(ミコ)の言葉に励まされる。その一方でキングジョーは神妙な顔をしていた。

 

「キンキン、どうしました?」

「いえ、本当にあのOctopusの怪獣の仕業なのかと思いましテ・・・何か過去のアーカイブで見た記憶がある気がするんデスヨネ・・・人々の意識を奪う霧を発生させる怪獣ヲ・・・・。」

 

 

 

 

 

その頃、タイタスは海の中でダロンの触手から逃れようともがいていた。しかし、ダロンは電流をタイタスに流してタイタスの戦力を奪っていく。しかも海の中でタイタスの体には余計に電気が全身に流れていたのだ。タイタスはダロンに海の奥まで引き摺り込まれていく。

 

『ぐおおおおお‼︎』

(ぐっ、このままじゃ本当にヤバい・・・‼︎何とかしないと‼︎)

 

ヒロキはダロンの触手から逃れる方法を考える。何か使えるものはないかと周りを見渡していた。そしてヒロキは崖を発見する。それを見たヒロキはタイタスに話す。

 

(タイタス、あの崖に向かって‼︎)

『分かった‼︎』

 

タイタスはダロンの顔に肘打ちをする。ダロンが肘打ちに怯んだため、動きの主導権を握る事に成功する。そしてダロンを背中にして崖に向かっていった。

 

(今だ‼︎)

 

タイタスはダロンもろとも崖に激突する。勢いよくダロンの体は崖にぶつかったため、その痛みに苦痛の声を上げる。

 

「ピギイイィィィィィ⁉︎」

『よし‼︎』

 

ダロンは痛みのあまりタイタスを縛り付けていた触手を解放してしまう。タイタスは今のうちに浮上する。後少しのところでダロンもタイタスに追い付きタイタスの足に触手を巻き付けた。

 

『ぐっ⁉︎』

 

そのまま巻き付く力を強くしてタイタスの足を締め付けるダロン。ダロンは再びそのまま海の奥までタイタスを引き摺り込もうとした。その時、タイタスの強力な蹴りがダロンの脳天に命中する。力強いタイタスの蹴りを脳天にまともに受けたダロンはタイタスの足から離れていく。

 

「ふん‼︎」

「ピギイイイィィィィ⁉︎」

 

その隙にタイタスは海から完全に浮上した。空中に浮かぶタイタスは海を見る。するとダロンが海から顔を出してきた。

 

『今だ、ヒロキ‼︎』

『うん‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて意識を左腕に集中させる。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはジードレットを具現化させ、タイガスパークに読み込ませる。

 

〈ジードレッド、コネクトオン‼︎〉

 

タイタスはジードの闇の力で強化された破壊光弾を海から顔を出すダロンに叩き込んだ。

 

『(レッキングバスター‼︎)』

 

闇の力を秘めた破壊光弾をまともに浴びたダロンはそのまま海に沈んでいった。タイタスは怪獣が完全に倒された事を確認するとそのまま空に飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

「漸くあの怪獣が倒されて一件落着といったところだね。」

「それにしても人々の夢見る力を奪う怪獣か・・・。」

「私の場合はノイズラーさん達と一緒にメジャーなバンドになりたいという夢があったから狙われたんですね・・・。」

「大丈夫だよ、怪獣は倒されたんだからもうホーが狙われる事はないよ。」

 

アギラ、ガッツ星人(ミコ)、ホーが談笑する中、ピグモンのソウルライザーに電話がかかってきた。相手はエレキングからだ。

 

「ピグモン、電話鳴ってマスヨ。」

「御免なさい、出ますね・・・はい、こちらピグモン。」

『ピグモン、悪い知らせよ。この事件は終わっていないわ。』

「エレエレ、事件は終わって無いってどういう事ですか⁉︎」

「「「「⁉︎」」」」

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキは足を引きずりながら歩いていた。どうやらダロンに足を締め付けられたダメージが残ってしまったらしい。

 

「はぁ・・・まさか怪獣に海に引き摺り込まれるとは・・・・・。」

『ヒロキ、お疲れさん‼︎』

「ああ、フーマ、お疲れ・・・。」

 

ヒロキを労るフーマの横でタイガが考え事をしていた。タイタスはタイガに話しかける。

 

『どうした、タイガ?』

『ああ、さっきの怪獣・・・何か見た事あるような気がしたんだよな・・・・どこでだったかな・・・・・。』

 

その時、ヒロキのソウルライザーに電話がかかる。相手はウインダムだった。

 

「ウインダムさん?・・・・もしもし、どうしたの⁉︎」

『大変です、ヒロキさん‼︎この事件はまだ終わっていません‼︎』

「えっ、それってどういう⁉︎」

 

 

 

 

 

 

その頃、ピグモンはエレキングからの電話を聞いていた。その横でキングジョー、アギラ、2人のガッツ星人にホーは驚いた表情でその電話を聞く。

 

『あの触手のDNAと一致する怪獣を調べていたら過去に出現したある怪獣と一致したわ。その怪獣は先程現れた怪獣とは別の怪獣よ。』

「何ですって⁉︎」

「その怪獣は霧を発生させる事が出来る。しかもその霧は・・・」

 

 

 

 

「宇宙のカオスで出来た霧⁉︎」

『はい、あの霧は吸い込んだ人間の思考能力を低下させてしまう恐ろしい霧です‼︎』

 

ヒロキとウインダムの電話を聞いたタイガは抱いていた違和感がはっきりと分かったのか大声で叫ぶ。

 

『宇宙のカオスで出来た霧に・・・・あのタコ怪獣・・・・思い出した‼︎あの怪獣はダロンだ‼︎』

『ダロン?そいつはどんな怪獣だ?』

『地球の蛸が怪獣になった奴だ‼︎確か・・・ダロンは・・・。』

『先程現れた怪獣ダロンはかつて潮風島に現れたある怪獣によって蛸が怪獣になった姿です‼︎つまりこの事件の裏には・・・』

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キングジョー達の後ろからさっきの触手が襲いかかってきた。ホーを狙ったそれはキングジョーが掴んでビームを撃つ。その触手はビームを受けると下がっていった。しかし、それと同時に無数の触手が飛び出してくる。そして怪獣娘達の目の前で地面から何かが土煙を上げて飛び出してくる。それは全身が鋭く青黒い刺で覆われ、額には白く鋭く長い角が生えた怪獣が現れた。その怪獣の名は吸血怪獣『ギマイラ』。この事件の本当の原因を起こした怪獣だ。

 

「クワアアアアアアアァァァァァァ‼︎」

『あ、アレは確か、』

『『吸血怪獣『ギマイラ』‼︎』』

 

タイガとウインダムの言葉にヒロキは思わず祖父の手帳を見る。それを見て顔を青ざめたヒロキはタイガスパークを出現させる。

 

「ウインダムさん、御免、また後で‼︎」

『えっ、ちょっとヒロキさん⁉︎』

〈カモン!〉

 

ヒロキはウルトラマンタイガに変身してギマイラに向かって構える。タイガとギマイラはそのままお互い睨み合った。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『宇宙に満ちるエネルギーを吸い取る吸血怪獣『ギマイラ』。その影響で俺達は変身する力を封じられてしまった。だがここで諦める訳にはいかない。力は消えない、そう信じればそれが現実になるんだ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


それでも宇宙は夢を見る


まだ最後なんかじゃない!ヒロキ、行くぞ‼︎』


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それでも宇宙は夢を見る(前編)

電王牙さんの意見を参考にした部分があります。
電王牙さん、本当にありがとうございます。



タイガとギマイラは睨み合う。しかし、タイガは途中で足を崩してしまった。タイガのカラータイマーは変身して間もなく点滅している。

 

(どうしてカラータイマーが‼︎まだ変身したばかりなのに‼︎)

『駄目だ‼︎さっきのダメージが‼︎』

(さっきの・・・ダロンに足を締め付けられた時か‼︎)

「クワアアアアァァァァ‼︎」

 

ギマイラはタイガを認識して敵だと判断し、タイガの方に向かってくる。タイガはこっちに向かってきたギマイラに向かって行き、そのまま両者は取っ組み合う。しかし、ギマイラに押し負けたタイガは首を掴まれてしまう。タイガの首を右手で掴んだギマイラは左腕を2度タイガに打ち付けた。その衝撃でタイガが右手から離れるとギマイラはタイガに右手でパンチを放つ。再びタイガが離れると今度はタイガの足に尻尾を打ち付けた。足を痛めていたタイガはその一撃に苦しみながら倒れる。タイガは1度起き上がるが足の痛みで倒れてしまう。

 

『ぐううっ‼︎』

「クワアアアアァァァァァァ‼︎」

 

ギマイラは倒れたタイガの足を何度も踏みつけタイガの足に苦痛を与えていく。ギマイラはタイガの首の後ろを掴んで立ち上がらせるとそのまま右手で放り投げた。

 

「クワアアアアアアアアァァァァァァ‼︎」

『うわあぁぁぁ⁉︎』

 

地面に倒れたタイガに向かってギマイラは口から長い舌を伸ばす。タイガは虹色に光るとストリウムブラスターを放った。タイガの必殺光線はギマイラの舌に直撃する。

 

「クワアアァァァァァァ⁉︎」

 

その一撃に怯んだギマイラは角を光らせて破壊光線を放つ。それは立ち上がったタイガに直撃する。タイガは宙で3回転しながら地面に倒れて光の粒子となって消えていく。そしてヒロキの姿に戻ってしまった。

 

「くっ⁉︎」

 

ヒロキは足を引き摺りながら後退する。するとギマイラもタイガのストリウムブラスターを受けてダメージを負ったのか地中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もっとあの怪獣の種類を特定すべきでした。まさかギマイラが再び現れるとは・・・。」

「ギマイラには他の生物を怪獣に出来る能力がある。ダロンは蛸がギマイラに怪獣にされた姿だからあの怪獣が現れたということは・・・。」

「ギマイラが関与していると考えた方がよかったデスネ・・・。」

 

その頃、ダロンが沈んだ海をピグモン、ガッツ星人、キングジョーが見つめている。その横には本部から再び合流したザンドリアスとノイズラーもいた。そこにホー、麻璃亜、ヒロキが合流する。

 

「何だか蛸さんがかわいそうですね・・・。怪獣にされて強制的にウルトラマンと戦わされて・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地下空間ではギマイラが長い舌で地下水を飲んでいた。それを見たオショロはギマイラの取り扱い説明書のような巻物を取り出す。そして説明書の一文を読んで叫び出した。

 

「冷水で傷を癒している間はそっとしておく・・・・・いつまでかかるんだよーーー⁉︎んな悠長な事やってられっかよー‼︎」

「目覚めるまで数千年とか数万年とか言われても困るしな・・・。」

 

そこに声が聞こえてきた。オショロは思わず警戒しながら後ろを振り向き声の主を確認する。その声の主は霧崎だった。どうやらオショロと霧崎は知り合いだったようだ。霧崎の姿を見たオショロは安堵して霧崎に問いかける。

 

「何だ、アンタか⁉︎何しに来た⁉︎」

「この星では魔法と呼ばれる宇宙の力、それを人間から切り離すためにギマイラを使う・・・・その発想は面白いと思ってね・・・。」

「・・・・・だろー‼︎残るは夢見る力を失った無気力な人間だけになる。怪獣娘も同じだ!夢を見る力を奪えば何も出来ねぇからな‼︎」

「そうなればこの星を自由にする事は簡単だな・・・・。」

「ああ、完璧な計画だった!けど折角見つけた魔法使いは魔法が使えなくなっちまったし!ギマイラはこんな状態だし‼︎八方塞がりだ!!!」

「魔法使い・・・?」

 

オショロの『魔法使い』という言葉を思わず復唱する霧崎。オショロは霧崎にギマイラの取り扱い説明書を見せる。すると霧崎はオショロの後ろに回りながら言葉を放つ。

 

「宇宙に満ちる魔法を吸い取るギマイラ・・・。そいつを飼い慣らせるのは魔法を操れる者・・・つまり魔法使いだけ・・・・・そう書いてあるんだろう。」

「よくご存知のようだが、やっと本物の魔法使いを見つけたってのにウルトラマンのせいで台無しだ‼︎」

「フフフフフフ、ハハハハハハハハ‼︎ハーハッハッハッハッハッ‼︎」

 

突然オショロの後ろで笑い出す霧崎。オショロは不愉快な顔で後ろを振り向き霧崎を問い詰める。

 

「おい、何だ!気にいらねぇな‼︎何がおかしい‼︎」

「ハハハハハハ!いや、失敬。もっと面白い計画を思いついてね。」

「もっと面白い計画?」

「そして私ならたちどころにギマイラを復活させられる。」

「おお、流石だな!アンタ、ギマイラを元に戻せるのか⁉︎」

 

霧崎はトレギアアイを取り出して開き、目の位置にかざす。霧崎の姿はトレギアに変わり、それを見たオショロは驚いた。

 

「トレギア⁉︎あ、アンタがあのトレギアだったのか⁉︎」

『さぁ、選ぶのは君自身だ。私に協力して全て差し出すか・・・このまま自分1人で計画を進めて全てを失うか・・・。』

「おい、それってどっちを選んでも俺は結局何も得られねえじゃねぇか‼︎」

『正解だ。』

 

トレギアは手から電撃をオショロの頭に流してオショロを気絶させる。オショロは白目を向きながら地面に倒れた。オショロを見てトレギアは言葉を吐き捨てる。

 

『元に戻す?笑わせるな。それ以上の力をお前に与えてやる。』

 

トレギアはそう言ってギマイラに手から光線を放つ。その光線は怪獣に力を与えるものだったらしく力が回復していくギマイラは高く吠えた。

 

「クワアアアアアァァァァァァァァ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地上では地震が起こっていた。ヒロキ達はそれがギマイラの仕業だと確信する。

 

「この地震って・・・まさか。」

「ギマイラが再び地上に出ようとしているのか⁉︎」

「で、でもどうして⁉︎さっきのタイガとの戦いでギマイラも舌に傷を負った筈なのに⁉︎」

 

アギラが疑問を問いかける中、麻璃亜が言葉を放つ。

 

「力を取り戻さなくちゃ‼︎このままではこの星の人々から夢見る力が奪われてしまいます‼︎」

「も、もしそうなったら・・・・一体どうなるのよ⁉︎」

「夢を失った世界は必ず滅びます‼︎」

「星が・・・・滅びる⁉︎」

「ちょっと⁉︎アンタ、本当に魔法使いなの⁉︎もしそうだったらあんな怪獣や宇宙人やっつけてよ‼︎それで解決出来るでしょ‼︎それが出来ないから皆が困ったんでしょーが‼︎」

「そうだ!今までの怪獣事件や宇宙人の事件だって解決出来た筈だろ‼︎」

「反論する事は出来るけど、今は目先の問題だよ‼︎」

 

言い立てるザンドリアスとノイズラーに麻璃亜はそう言ってその場を走り去っていく。ヒロキはその姿を追いかける。それを追ってキングジョーもその場から飛び去っていった。

 

「マリアさん‼︎」

「待って下サイ‼︎」

「ちょっと⁉︎ヒロキにキングジョーさんまで⁉︎」

「何もアンタが行く必要ねぇだろ‼︎キングジョーさんも追う必要無いって‼︎」

「ザンザン‼︎ノイノイ‼︎そこまでです‼︎」

 

ピグモンがザンドリアスとノイズラーを咎める。ピグモンはその場にいるメンバーの中で1番年下の2人に言い聞かせる。

 

「2人とも、必死になってる人に対してそんな事言っちゃ駄目ですよ‼︎どうせなら疑うよりも信じましょう‼︎2人だった疑われるより信じてくれる方がいいでしょう。」

「でも、ピグモンさん‼︎」

「あの人の魔法なんて胡散臭い話信じるんですか⁉︎」

「私も最初は半信半疑でした。けど、ホーホーから聞いた話は嘘を言っている様には思いません。だから私はホーホーから聞いた話を信じることにしました。」

 

そう言ってピグモンはヒロキ達が走って行った方向を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

走り去っていった麻璃亜に追い付いたヒロキ。彼女はしゃがみながら一輪の花を見つめていた。その花はもう枯れかけていた。麻璃亜はその花に意識を集中させる。すると花は青く光り出した。しかし、その先は何も起こらなかった。ヒロキに気付いた麻璃亜は思わず自虐してしまう。

 

「こんな簡単な事も出来ないなんて・・・・魔法使いなんて信じないですよね・・・。」

 

ヒロキは麻璃亜の言葉に答えを返せずにいた。暫くしてタイガに話しかける。

 

「タイガは魔法の事知ってた?」

『宇宙は様々なエネルギーで溢れている。彼女はそれを魔法と呼んでるんだろう。』

「宇宙は魔法で溢れているって事か・・・。昔、レオと戦ったプレッシャーも同じだったのかな・・・・?」

『それは違うと思うぞ。確かにプレッシャーは様々な能力でレオを苦しめた強敵だ。けど、奴の能力は自前の力だ。恐らくだが、ギマイラとかに宇宙の魔法を奪われても奴は魔法を使えるだろう。』

「そうですよ‼︎わたし達サラサ星人をプレッシャーと一緒にしないで下さい‼︎」

『ほら、この姉ちゃんもそう言って・・・・え⁉︎』

 

タイタスの解説を聞いた麻璃亜はヒロキとトライスクワッドの会話に割り込んだ。その際、麻璃亜から放たれた言葉にフーマは驚く。麻璃亜は口を滑らせてしまったことからもう隠しきれないと悟り、自身について話し始める。

 

『ちょっ、魔法使いの姉ちゃん⁉︎アンタ、まさか⁉︎』

「あっ・・・・・もう隠せないか・・・・。実はわたし、宇宙人なんです。・・・御免・・・キモいよね・・・。」

「そんな事無いよ‼︎色々な宇宙人の事件と遭遇したけどいい人達だっていたし‼︎」

「本当⁉︎・・・ありがとう・・・・。」

 

麻璃亜はヒロキの顔を見た後、海に視線を眺める。そのまま海を見つめる麻璃亜にヒロキは質問した。

 

「どうしたの?海を見つめてさ。」

「私の故郷は海の星だったんだ・・・・。」

『そうか・・・惑星サラサは綺麗な海の星だったと聞いているからな。』

「タイタス、知ってるの⁉︎その・・・惑星サラサについて。」

『俺も聞いた事があるぜ。生体エネルギーを喰らい尽くす謎の存在によって滅ぼされた星だ。』

「星の生体エネルギーを・・・・喰らい尽くす存在⁉︎」

「魔法があっても防げない悲劇だってあるんです・・・。決して魔法は万能なんかじゃない・・・・。それに魔法を使える種族という事もあってわたし達サラサ星人は言われのない迫害や言葉の暴力を受けた事がありますから。」

「どうして⁉︎そんな事・・・・。」

 

ヒロキは思わず口を濁す。麻璃亜はヒロキの問いに答えた。

 

「先程話していたじゃないですか、プレッシャーの事。彼らの種族の影響です。宇宙の魔法を使える種族は多くありませんが、その中でプレッシャーの種族は魔法の力で様々な星を荒らしていました。」

「知ってるよ。お爺ちゃんの手帳に書いてあった。確かレオもウルトラマンキングの力が無ければ勝てなかった相手だったって。」

「彼らはその高い戦闘力と様々な力で宇宙中の星を荒らしまわっていた。・・・・わたし達サラサ星人だけじゃない・・・・。宇宙の魔法が使える種族はそのせいでプレッシャーが訪れた星から追い出される事もありました・・・・。」

「・・・・・大変だったんだね・・・・。」

『確かにプレッシャーはウルトラマンでも苦戦する相手だからな・・・。』

「わたし達以上に強い魔法を使える種族であるにも関わらず、彼らはその力を自分の欲望を満たすだけにしか使わない・・・。だから魔法使いと言われても彼らとだけは一緒にされたくはないんです・・・・。」

「ご、御免・・・。・・・でも、麻璃亜さんは優しい人じゃないか‼︎さっきだってあの子の笑顔を守るために魔法を使ったんでしょ‼︎そんな麻璃亜さんがそんな言われのない迫害を受ける事無いよ‼︎」

「ヒロキさん・・・・ありがとうございます‼︎」

 

2人で海を見ながら会話をするヒロキとマリア。その2人に遅れて到着した人影がいた。キングジョーだ。

 

「2人ともこんなところにいたんデスカ?」

「クララちゃん⁉︎」

「さっきのロボット怪獣の怪獣娘さん‼︎」

「2人とも、先程から地面の下から大きな生物が活性化してイマス‼︎ここから今すぐに離れた方がいいでショウ‼︎」

「大きな生物・・・・・・ってさっきの怪獣ですか⁉︎」

「ギマイラが⁉︎それってヤバくないか‼︎早く街の人達を避難させなきゃ‼︎」

 

ヒロキの言葉と同時に地面が揺れ出した。ヒロキが麻璃亜を抱き寄せる中、地面からギマイラが飛び出してきた。

 

「クワアアアアアアアアァァァァァァァァ‼︎」

 

地面から現れたギマイラは復活の雄叫びを上げるように大きく吠えた。




怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースの方で怪獣娘×ウルトラマントリガーを書く予定ですがこちらはかなり遅くなると思いますので何分ご承知下さい。


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それでも宇宙は夢を見る(中編)

今後のTVでギマイラは見る機会が増えてもあの怪獣は見る事はないだろうと思い登場させました。
それではどうぞ。

人間怪獣『ラブラス』登場


「クワアアアアアァァァァァァ‼︎」

 

ギマイラは吠えた後、口から宇宙のカオスで出来た霧を吐く。それを建物に勢いよく吹きかけるとその建物が火を上げて破壊されていく。実はギマイラが口から吐く霧は建物も破壊する事が出来るのである。その霧の効果で街が破壊されていく。

逃げ惑う人々を見てヒロキとキングジョーは麻璃亜を連れてその場から走り出す。

 

「麻璃亜さん、こっちだ‼︎」

「急ぎまショウ‼︎」

 

3人は使われなくなった倉庫の前に来るとキングジョーがソウルライザーでGIRLSに連絡する。

 

「ピグモン、ギマイラが再び活動を開始しまシタ‼︎」

『こちらでも確認しています‼︎私達は市民の避難を優先します‼︎そちらも急いで市民の避難を‼︎』

「了解デス‼︎」

 

キングジョーがピグモンに電話をしている最中、ヒロキは彼女達から離れてタイガスパークを出現させようとする。しかし、何も起こらなかった。驚いたヒロキはタイガに思わず聞く。

 

「タイガ、タイガスパークが出ないんだけど‼︎」

『この辺りから魔法が消えた影響かもな。』

「それって変身できないって事⁉︎どうすればいいの⁉︎」

『さあな・・・。』

「ヒロキ、どうしたんデスカ?」

「えっ、いや・・・何でもないよ、クララちゃん。」

 

後ろからピグモンとの通信を終えたキングジョーの問いに誤魔化すヒロキ。その場に麻璃亜が話しかけてきた。

 

「ヒロキさん、キングジョーさん‼︎」

「「麻璃亜さん‼︎」」

「魔法は消えない、消えたと思ってもそれはいつだってここにある!消されても奪われてもいつだってここにある‼︎世界に満ちる・・・・それが魔法なんだって‼︎」

『光あれと望めば・・・・闇に光が生まれたと同じって事か‼︎』

 

麻璃亜の言葉を聞いたタイガの言葉でヒロキは右腕を見ながら話す。

 

「力は消えない・・・・そう信じれば・・・それが現実になる‼︎」

「出来ない事なんてない‼︎そう信じれば全てが可能な筈‼︎」

「そう・・・信じれば・・・・全てが・・・可能に・・・・。」

 

麻璃亜の言葉を聞いたキングジョーは下を向きながらその言葉を思わず復唱していた。決意を露わにしたマリアは上に杖を掲げて意識を集中させる。すると何処からともなく麻璃亜目掛けて銃撃が飛んできた。

 

「危ない‼︎」

 

思わずヒロキは麻璃亜を伏せさせる。銃撃のした方に目を向けるとそこにはオショロがいた。どうやら目を覚ましたようだ。オショロはヒロキ達を睨みながら銃を向ける。

 

「計画の途中でウロチョロしてんじゃねぇよ‼︎」

 

オショロはそのまま3人を銃撃する。ヒロキと麻璃亜は柱に身を隠し、キングジョーが盾になってオショロの銃撃からヒロキ達を守る。

 

「どけ‼︎キングジョーの怪獣娘‼︎お前には用はねぇんだよ‼︎」

「アナタに無くともこっちにはありマス‼︎ギマイラなんて危険な怪獣を持ち込んで・・・絶対にアナタの好きにはさせマセン‼︎」

「煩え‼︎これでも喰らいやがれ‼︎」

 

そう言ってオショロは閃光弾を放つ。その光をまともに見たキングジョーは思わず目を閉じてしまう。そして彼女が再び目を開けると閃光弾の影響で目が霞んでしまっていた。

 

「くっ⁉︎」

「クララちゃん‼︎」

「人の心配してる場合かよ‼︎」

 

キングジョーの邪魔が入らなくなったオショロは再びヒロキと麻璃亜を銃撃する。銃を乱射するオショロは麻璃亜に言い放った。

 

「必死になれば魔法が使えるんだよな‼︎さぁ、必死になれ‼︎ギマイラと一緒に魔法を奪い尽くすんだ‼︎奪った魔法がギマイラの力になる‼︎そう説明書に書いてあったんだ‼︎そうすればお前はあのプレッシャーさえも超える力を持つ宇宙最強の魔法使いになれるんだ‼︎悪い話じゃないだろうが‼︎」

 

麻璃亜はオショロに魔法の杖を向ける。すると杖がピンクに光り始める。それを見てオショロは歓喜の声を上げた。

 

「ほら見ろ‼︎必死になれば使えんじゃん‼︎」

 

そのまま麻璃亜は光をオショロに放った。しかし、オショロはその光を避ける。

 

「俺の夢も現実にしろ‼︎」

 

オショロは再び銃撃するも麻璃亜は魔法で銃撃を受け流し、上に魔法の杖を掲げて呪文を唱える。

 

「アナスタン‼︎ヒロキくん、ウルトラマン、今よ‼︎今ならウルトラマンに変身できる筈‼︎」

 

麻璃亜の声を聞いたヒロキは思わず右腕に意識を集中させる。するとタイガスパークが出現した。光り輝くタイガスパークを見てヒロキは麻璃亜にお礼を言う。その一方でオショロは本能的にマズイと察したのかその場から離れようとする。

 

「あっ・・・ヤバ・・・。」

「タイガスパークが!ありがとう、麻璃亜さん‼︎」

『よっしゃ、行くぜ‼︎ヒロキ‼︎』

 

タイガの言葉を聞いたヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガがギマイラに向かって飛んで行く。その姿を霧崎は見送っていた。彼はタイガが飛び去った後を体を反らせながら呟いた

 

「シェアッ‼︎」

「タロウの息子よ。魔法は両刃の剣。頼れば頼るほど闇に呑まれ光の魔法はいつしか黒魔術に変わる・・。」

 

タイガは街を破壊するギマイラの上で体を捻って一回転し、ギマイラの頭に蹴りを入れる。ギマイラは頭の衝撃に倒れる。

 

「クワアアアァァァァァァ⁉︎」

「シェアッ‼︎」

 

タイガは着地してギマイラに向かって構える。ギマイラはタイガを認識すると再びタイガに向かっていった。タイガもそのままギマイラに向かっていき、ギマイラに飛び蹴りを打ち込んだ。少し下がったギマイラに接近したタイガはギマイラの腹に5発程連続でパンチを打ち込んだ。ギマイラも腕を振り回して応戦する。タイガはギマイラの腕を受け止めるもギマイラは頭の角でタイガを攻撃する。何とか頭を押さえつけて角の動きを逸らしたタイガは再びギマイラにパンチを打ち込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「わたしも行かなきゃ‼︎キングジョーさん、大丈夫ですか⁉︎」

「エエ、はっきりと見えるようになりマシタネ・・・。」

 

麻璃亜はキングジョーに駆け寄って彼女を介抱する。キングジョーはオショロの閃光弾にやられたダメージが回復してきたようだ。キングジョーはふらつきながらも足を進み始める。麻璃亜もキングジョーと共にタイガの元に行こうとする。そこに再び邪魔者が現れた。

 

「おい‼︎何処へ行こうとしてんだよ‼︎」

「アナタ・・・まだいたの⁉︎」

「あったり前だろうが‼︎もう俺の計画は滅茶苦茶だ‼︎こうなったらお前だけでもぶっ殺してやる‼︎」

 

ヤケクソになったのかオショロは手に持った銃を乱射し始める。キングジョーは咄嗟に受け止めた。

 

「嘘だろ・・・どんだけ堅いんだよ・・・この怪獣娘は・・・。」

「乙女のガードは固いんデス‼︎」

 

キングジョーはそう言って意識を集中させる。意識を集中させながら麻璃亜にお礼を言う。

 

「麻璃亜さん、ありがとうございマス‼︎先程の『出来ない事なんて無い。そう信じれば全てが可能なら筈‼︎』・・・あの言葉がワタシに勇気をくれマシタ‼︎」

「えっ⁉︎わたしの言葉が⁉︎」

「ハイ‼︎」

 

実はキングジョーは赤い獣殻に右腕に槍を身につけた姿にこれまで何度も変身しようとしていた。しかし、それは今まで出来なかったのた。キングジョーの脳裏に自身が暴走した後、自身の新たな力を制御する訓練を思い出す。ピグモン達はキングジョー自身に宿った新たなる力の内、黒い姿を『ブラックスタイル』、赤い姿を『スカーレットスタイル』と名付けることにした。

 

『それではキンキン。キンキンの新しい力をもう一度見せてくれませんか?』

『新たな姿になった事で新たな可能性と同時に新たな危険性も生まれたわ。その事を計測するためにここで見せてもらうわよ。』

『ハイ‼︎準備はOKデース‼︎』

 

その訓練の中、1番心配な顔をしていたのはヒロキだ。ヒロキは今回の訓練で彼女の心の傷が更に深くなるのではないかと思っていたのだ。そんなヒロキの前でキングジョーは意識を集中させる。すると彼女の獣殻は黒く染まり右腕にはランチャーが装備された。

 

『ひとまず第1段階は成功です‼︎キンキンは暴走する事なくブラックスタイルになれました‼︎』

『やったデス!ヒロキ‼︎見て下サーイ‼︎ワタシ、意識がちゃんとありマース‼︎』

『分かった‼︎分かったから抱きつかないで‼︎』

『オホン‼︎それではスカーレットスタイルへの変身をお願いします‼︎』

 

彼女がかなり密着しながら抱きついてきたためキングジョーの豊満な胸の感触をダイレクトに感じてしまい、顔を赤くしながら離れるように促すヒロキ。ピグモンもそんなヒロキの心の声を感じたのか咳払いしながら次に進むよう促す。再びキングジョーは意識を集中させる。しかし、意識を集中させて3分間何の反応も起こらなかった。

 

『変身出来ないね・・・。』

『大丈夫デース‼︎一度は変身出来たんデス‼︎これから変身できるようになれば』

『キンキン、もう1度やりますか?』

『勿論デース。何度も挑戦させて下サーイ‼︎』

 

その後も何度も挑戦するもキングジョーに異変は起こらなかった。それどころか10回目の挑戦で彼女の変身が解除されてしまう。

 

『あ、アレ・・・どうして・・・ワタシ・・・。』

『・・・・キンキン、恐らくですがキンキンは赤い『スカーレットスタイル』に変身した時に暴走してゴモゴモを手に掛けてしまいそうになった事でスカーレットスタイルになる事が怖くなってしまったのではないですか?』

『な・・・何言ってるんデスカ・・・。ワタシが・・・・』

『キンキン・・・声がふるえていますよ。』

 

ピグモンに可能性を指摘されるとクララは声がかなり震えていた。自分自身の力を怖がっていた証だ。

 

『やはりあの力の事、怖がっていたのですね・・・。時々、訓練の時にソウルライドするのを躊躇う様子がありましたから予感はしていましたが。』

『I'm sorry・・・。隠してて御免なサイ・・・。ワタシ・・・自分が怪獣娘だと知った時以上に・・・今回の事、怖くなってしまったようデス・・・。』

『でも、普通にソウルライドするのはできるんだからそれだけで十分じゃないの?少なくともシャドウやシャドウビースト相手なら・・・。』

『確かに今まではそうだったかもしれません・・・。けど、本物の怪獣や宇宙人といったシャドウ以上の脅威が既に何度も現れて事件が起きています。』

『この事態を収拾するためには私達怪獣娘も強くならなければならないわ。まして敵にもウルトラマンがいるくらいの状況よ。少しでも戦力を整えなければこの先どうなるか分からないわ。』

 

ピグモンとエレキングの言葉でヒロキはある程度納得したようだ。ピグモンはクララに向き合って言葉を発した。

 

『キンキン。キンキンにはやはり心を落ち着かせる時間が必要です。少しずつでいいでさからスカーレットに変身出来るようになりましょう。私達も協力しますから‼︎』

『・・・・ハイ・・・・。』

 

その後、彼女は何度も訓練を受けて今までのキングジョーの姿とブラックスタイルには変身出来る自信がついた。しかし、スカーレットスタイルの方だけはどうしても変身出来なかったのだ。しかし、麻璃亜の言葉で決心がついたようだ。

 

「出来ない事なんてありまセン‼︎ワタシもそう信じマス‼︎」

「何をゴチャゴチャと‼︎食らいやがれ‼︎」

 

オショロが銃の引き金を引く。キングジョーは意識を集中させる。すると彼女の獣殻は赤く染まり右腕には槍が装備されたスカーレットスタイルになった。彼女は右腕の槍でオショロの銃弾を弾く。

 

「赤くなった⁉︎」

「やりましたね、キングジョーさん‼︎」

「や・・・やりまシタ‼︎ワタシ、スカーレットスタイルになれマス‼︎自分の意思で変身出来マス‼︎」

 

キングジョーは目の前のオショロに向かって構える。オショロは怖気付きながらキングジョーを銃撃する。しかし、彼の撃った弾をキングジョーはあっさりかわす。それも今までの彼女では考えられない速さで。あっという間にキングジョーはオショロの背後に回り込む。

 

「なっ⁉︎いつの間に‼︎」

「ワタシがこんなに速く動けるなんて・・・どうやら今まで苦手だった動きの遅さも克服したようデスネ‼︎」

 

キングジョーは右腕の槍でオショロに斬りかかるもオショロは間一髪で避ける。再びオショロはキングジョーを銃撃するもその獣殻には傷一つつかない。どうやら硬さはそのまま機動力が大幅に上がったらしい。キングジョーは再びオショロに接近すると右腕の槍でオショロに一撃を決める。

 

「ぐあっ・・・。」

「峰打ちデス・・・アナタをGIRLSに連行シマス‼︎」

 

崩れ落ちるオショロを抱えたキングジョーの元に麻璃亜がやってくる。

 

「やりましたね‼︎キングジョーさん‼︎」

「ハイ、ワタシはPower UP出来マシタ‼︎スカーレットに変身出来ただけでなく苦手だった手加減も出来るようになりマシタ‼︎」

 

お互い笑い合うキングジョーと麻璃亜。しかし、力を振り絞ったオショロがキングジョーから離れる。

 

「あっ⁉︎」

「追いましょう‼︎」

「くそっ、ここまで来て捕まってたまるか‼︎」

 

全力でキングジョーと麻璃亜から逃げるオショロ。その方向ではギマイラがタイガに霧を吹きかけてダメージを与えていた。しかし、タイガは霧から脱出すると両手を合わせてハンドビームを撃つ。そのビームを受けてギマイラが後退する。

 

『ハンドビーム‼︎』

「クワアアアアァァァァァァ⁉︎」

「何やってんだ‼︎ギマイラ、しっかり戦いやがれ‼︎」

 

オショロはギマイラの前に立つとギマイラに言い放つ。しかし、戦いの最中に横綱を入れてきたオショロを鬱陶しく感じたギマイラは角にエネルギーを溜める。その行為に嫌な予感を感じたオショロは後退りしながら訴える。

 

「何をする気だ‼︎俺はお前の飼い主だぞ‼︎飼い主に逆らうのか‼︎」

 

ギマイラはオショロの言葉など知ったことかとオショロに角から怪光線を放つ。その光線はオショロに直撃した。

 

「ギャアアアアァァァァ‼︎」

「あの怪獣、一体何を⁉︎」

「今の光線・・・まさか・・・麻璃亜さん、ここを離れまショウ‼︎」

「えっ⁉︎」

 

キングジョーはその光景にここから離れるよう促す。麻璃亜はキングジョーの言葉を聞いて驚くも目の前のオショロの様子を見て彼女の意図を知った。

 

「ぐあああっ⁉︎苦しい・・・体が・・・熱い・・・ギマイラの野郎・・・俺に・・・何を・・・したんだ・・・。」

「一体何が起きてるんですか⁉︎」

「ギマイラの角から放たれる光線は生物を怪獣に出来る力がありマス‼︎それは人間であっても同じ効果デス‼︎」

「それではゼラン星人は⁉︎」

「うあああああああ‼︎」

 

オショロの体は大きく変化していき、巨大な怪獣に姿を変える。やがてオショロは左手に大きな鋏を構えた人間怪獣『ラブラス』に姿を変えた。

 

「グオオオオオオオォォォォォォ‼︎」




ゼラン星人が変身させられたのに『人間』怪獣でいいのかというツッコミは無しでお願いします。

それとトリガーが始まるまでにタイガの方も終わらせられないと確定しましたのでスピンオフの方も本格的に考えていきます。

よろしくお願いします。


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それでも宇宙は夢を見る(後編)

今回のラブラスの結末には賛否両論あると思います。
それを覚悟で書きましたのでご了承下さい。


ラブラスはタイガの前に立ちはだかる。タイガとヒロキは新たに現れた怪獣に驚いていた。

 

(また怪獣⁉︎)

『マジかよ⁉︎』

「グオオオオオォォォォォォ‼︎」

 

ラプラスは高らかに吠えてタイガに襲いかかる。鋏となった左手でタイガを殴りつけるもタイガはそれを抑えてラプラスに右腕からの肘打ちを放つ。肘打ちを受けてラプラスはタイガから後退すると途端に動きを止める。そして水面に浮かぶ自分の姿を確認して驚いていた。

 

『嘘だろ‼︎なんで俺がこんな姿になってんだよーー⁉︎』

(その声‼︎さっきのゼラン星人⁉︎)

『あいつ・・・怪獣にされちまったのか‼︎』

『さっきの小僧⁉︎なんでお前が・・・⁉︎そうか、お前がウルトラマンだったんだな‼︎お前のせいで俺の計画が台無しだ‼︎ぶっ殺してやる‼︎』

 

ラプラスはタイガに殺意を向けるとそのままタイガに向かっていく。タイガは構えて迎え撃った。タイガは向かってくるラブラスの腹に1発パンチを決める。ラブラスが怯んだ隙にタイガは更に追い討ちをかけるように何度もパンチを撃つ。さらにタイガのジャンピングキックがラブラスに更なるダメージを与える。そしてタイガはヒロキに怪獣の指輪を使うように言い放つ。

 

『ヒロキ‼︎ギャラクトロンMK2の指輪を使うぞ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左中指に意識を集中させる。するとギャラクトロンリングが具現化し、ヒロキはタイガスパークにギャラクトロンリングの力を読み込ませる。

 

〈カモン!〉

〈ギャラクトロンリング、エンゲージ‼︎〉

 

タイガが放った魔法陣からのビームがラブラスに直撃する。ラブラスはそれを喰らって完全に膝をついてしまった。その戦いを見ていたギマイラは不甲斐ない配下の怪獣を見て苛立ちを覚えると更に吠えたてる。

 

「クワアアアアアァァァァ‼︎」

『何だ・・・ギマイラの声を聞くと・・・頭が・・・痛い・・・‼︎』

『おい、大丈夫か‼︎』

 

ギマイラの声を聞いたラブラスは苦しみ始める。それを見たタイガは戸惑いラブラスに駆け寄る。するとラブラスは理性を失ったかのようにタイガに襲いかかる。ラブラスの鋏がタイガを殴りつけた。

 

『ぐあっ⁉︎』

(タイガ‼︎・・・もしかしてギマイラの声を聞いて凶暴化しているのか⁉︎)

『恐らくそうだろうな‼︎このままじゃマズいぜ‼︎』

『タイガ、俺に任せろ!一瞬で蹴りをつけてやるせ‼︎』

 

フーマの声を聞いたヒロキはタイガスパークのレバーを引き、フーマキーホルダーを手に取る。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

「セイヤッ‼︎」

「グオオオオオオォォォ‼︎」

 

タイガの姿がフーマに変わると同時にラブラスに回し蹴りを叩き込む。ラブラスは回し蹴りを喰らって地面に倒れた。そのままフーマはラブラスまで走り、起き上がったラブラスに蹴りを叩き込む。

 

「セイヤッ‼︎」

 

そのまま3発ほど蹴り技を叩き込んでラプラスを弱らせる。ギマイラは更に高く吠えたてラプラスを活性化しようとするがその前にフーマがギマイラの後ろに回り込み左足からの回し蹴りを放つ。

 

「セイヤッ‼︎」

「クワアアアアアァァァァァァ⁉︎」

 

フーマはギマイラに追い討ちをかけるように光波手裏剣を放った。手裏剣状の光線は確かにギマイラの体にダメージを与える。そして再びラブラスの方を向いたフーマはラブラスの右後ろに回り込み右足からの回し蹴りを放つ。回し蹴りを受けたラブラスは後退するが更に追い討ちをかけるようにフーマの素早い手刀がラブラスに直撃する。ラブラスが完全に地面に倒れ、フーマが必殺技を打とうとするとヒロキがフーマに待ったをかける。

 

(ちょっ、ちょっと待って‼︎このままラブラスを倒せばあのゼラン星人はどうなるのさ‼︎)

『このまま倒せばあのゼラン星人は死ぬだろう・・・君の祖父の手帳にも書いてあった筈だ。ギマイラによって怪獣にされた者は死ぬ以外元に戻る方法はないとな・・・。』

(それじゃあ倒すしか無いって事かよ・・・。)

『迷ってる暇はないぜ‼︎ヒロキ‼︎』

 

ヒロキの問いに答えるタイタスとフーマ。ヒロキは2人の答えに戸惑うもギマイラの声を聞いて狂うようにこっちに向かってきたラブラスを見て答えを決めた。

 

(・・・そうだね。僕らの手でアイツを楽にしてやろう。幾ら悪人とはいえこのまま怪獣の姿で苦しみ続けるよりはマシだと思うから。)

『よっしゃあ!行くぜ、ヒロキ‼︎』

 

ヒロキの答えを聞いてフーマは上に飛び上がりラブラスの鋏の攻撃をかわす。そして右手に意識を集中させるとフーマの右手から無数の光の剣を生成した。それは蛇腹剣のように1つにまとまった。その光の蛇腹剣をラブラスに振るいラブラスを切り裂いた。

 

『(光波剣・大蛇(こうはけん・おろち)!!)』

『畜生・・・宇宙の野郎・・・俺の夢も・・・現実に・・・して・・・くれよ・・・。』

 

そう言い残すとラブラスの体は地面に大きく倒れてオショロの死体に戻る。配下の怪獣が倒されたと知ったギマイラは口から再び霧をフーマ目掛けて吹き掛けた。その霧はフーマにも確実にダメージを与える。

 

『ぐあああああっ⁉︎』

(フーマ‼︎)

『後は俺に任せろ‼︎』

 

タイガの言葉でフーマはタイガにバトンタッチする。タイガはフーマと交代すると同時にギマイラにジャンピングキックを放つ。それを受けたギマイラは再び後ろに後退するも再びギマイラに向かっていく。タイガとギマイラは取っ組み合うもギマイラに押し負けたタイガは地面に倒れてしまう。再びタイガが起き上がると同時に突進してきたギマイラの角がタイガに直撃してタイガは再び地面に倒れた。

 

「クワアアアアアァァァァァァァァ‼︎」

『うわああっ‼︎』

 

その光景を近くで見ていたのがキングジョーと麻璃亜だ。彼女達はビルの屋上まで上がってその戦いを見ていた。彼女達の見ている前でギマイラは枝分かれした長い舌を伸ばした。それはタイガの体に巻き付き、高圧電流が流れる。ギマイラの高圧電流に苦しみ地面に背をつくタイガ。

 

『ぐっ・・・くううっ⁉︎』

「ウルトラマーン!貴方自身が魔法なの‼︎それを世界に示して‼︎自分の力を信じて!ウルトラマーン‼︎」

 

再び地面に倒れたタイガに呼び掛ける声がいた。その声を聞いたタイガは声の主である麻璃亜に頷いた。そしてタイガの中のヒロキも深く決意する。

 

(僕は魔法を・・・彼女を信じる!)

『ああ、信じきってやる‼︎そして俺達が世界の皆に夢見る力を思い出させてやる‼︎ウルトラマンの名のもとに‼︎』

 

立ち上がったタイガにギマイラは角にエネルギーを溜め始める。そしてエネルギーを光線として放つとタイガもハンドビームを放つ。ギマイラの光線と張り合うタイガに援護が入った。

 

「ワタシも彼女を信じマース‼︎・・・そして自分自身の力もデース‼︎」

「プリソテリシンス!」

 

キングジョーが飛び上がり槍から光線を放つ。それはタイガのハンドビームに合わさりギマイラの光線を押し始める。そして麻璃亜の杖から放たれた光がタイガにエネルギーを与えたのかハンドビームの威力が高まった。やがてハンドビームは角から放たれる光線に打ち勝ちギマイラに直撃する。

 

「クワアアアアァァァァ‼︎」

 

ギマイラはタイガに力を与えたキングジョーとマリアを確認すると邪魔者を消そうと長い舌を伸ばす。それはキングジョーと麻璃亜のいたビルを破壊した。彼女達の体が宙に舞い上がる。キングジョーは麻璃亜に手を伸ばそうとすると麻璃亜は杖を上にかざして呪文を唱える。

 

「イ・パトリドモ‼︎」

「麻璃亜さん、一体何を・・・‼︎」

 

麻璃亜の杖から放たれた一筋の光が天に登る。それに目を向けたキングジョーはそれが天に登って空に蒼い海を形成するのを目撃する。それを見たキングジョーは驚いて動きが止まるも落下していく麻璃亜を見て彼女の元に駆け寄ろうとする。しかし一足先にタイガがスライディングで麻璃亜の元に向かって行き、彼女を大きな手でキャッチする。

 

 

 

「見て‼︎空に海が広がってる‼︎」

「何コレ・・・一体何が起こってるの・・・。」

「でも、とても綺麗な海ですよ!地球でもここまで綺麗な海は珍しいです!」

「何か・・・感激です‼︎」

 

アギラとザンドリアスがその空を見て戸惑う中、ピグモンとホーが率直な感想を述べる。2人のガッツ星人は空を見て空いた口が塞がらなかった。

 

「まさかこんな事が・・・。」

「コレって・・・まさか本当に彼女が・・・。」

 

 

 

 

タイガが麻璃亜を地面に下ろす。彼女の元にキングジョーが駆け寄ってきた。

 

「麻璃亜さん、大丈夫デスカ⁉︎」

「はい‼︎」

(コレって・・・故郷であるサラサ星の海⁉︎)

 

タイガの中のヒロキは思わず呟いた。その呟きが聞こえた麻璃亜はタイガに頷いて返す。

 

「そう、私の故郷・・・サラサ星の海。私が人生の最後に見たかった景色。」

 

その言葉にタイガは首を振って返す。

 

『まだ最後なんかじゃない‼︎行くぞ、ヒロキ‼︎』

 

麻璃亜の『最後』の部分を強く否定したタイガの言葉を聞いたヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

ギマイラと決着をつけるべくタイガは黄金の鎧を纏ったフォトンアースに変身した。ギマイラはタイガに宇宙のカオスで出来た霧を吹きかけるもタイガは霧の中を突っ切った。タイガはギマイラに右手で1発、左手で2発のパンチを打ちギマイラに迎え撃った。地球の力で強化されたタイガの拳の一撃には流石のギマイラも怯んだ。

 

「シェアッ‼︎」

「クワアアアアアァァァァ‼︎」

 

タイガはその後も10発以上の拳を打ち込み最後はアッパーを決める。顎に大きな一撃を受けたギマイラは怯んで後ろに後退する。ギマイラにアッパーを決めたタイガは空に飛び上がった。しかし、ギマイラも負けじと角にエネルギーを溜め始める。そして角から光線を放つもタイガは体を捻って回転しながらその光線を避ける。光線は空に広がった海に直撃して水しぶきが上がる。

 

『ウルトラフリーザー‼︎』

 

タイガは周りに冷気を発生させてその水しぶきを凍らせて鋭い氷柱を作った。そしてその氷柱をギマイラに撃ち込んだ。

 

「クワアアアアアアァァァァァァ‼︎」

 

ギマイラは急降下してきた氷柱を浴びてダメージを受ける。そこにキングジョーが右手の槍でギマイラの腹を斬りつけた。

 

「ワタシの事も忘れないで下サーイ‼︎」

 

キングジョーはギマイラの後ろに回りギマイラの背中を縦に斬りつける。後ろからの斬撃にギマイラは悲鳴を上げた。

 

「クワアアアアァァァァァァ⁉︎」

 

更にキングジョーの腰のパーツから光のロープが射出されギマイラを拘束する。ギマイラは必死に振り解こうとする。その間にタイガは必殺光線のチャージに入り、彼の上にオーロラが発生する。

 

『コレで・・・トドメだ‼︎オーラム・・・ストリウウウゥゥゥゥゥム‼︎』

 

タイガの放った地球の力で強化された光線はギマイラを真っ二つにした。そしてギマイラは大爆発を起こす。タイガが着地すると空に浮かんだ海が光の粒子となって消えていっている。そしてその上には逆方向に向いた虹が浮かんでいた。その場にいた怪獣娘達はそれを見て感激した表情だった。それはキングジョーも彼女の隣にいる麻璃亜も同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキはラプラスが倒れた場所に立ち寄っていた。その場にはゼラン星人が元の顔に戻って倒れていた。もう彼の顔には命は感じられなかった。

 

「何ていうか・・・幾ら悪人といえどこんな結末を迎えるのは哀れだったな・・・。」

『ギマイラなんて危険な怪獣を買った時点で奴の運命は決まっていたと思うぜ。アイツは知能も高くかなり危険な奴だ・・・。80だってあと一歩のところで負けかけたって聞いたからな。』

『そうだな・・・。例え力を手にしても使いこなせなければ意味がないからな・・・。』

 

タイガとタイタスの言葉の後にオショロの体は溶けて消えていった。完全に人型を形成する泡になったところでフーマが声をかける。

 

『さっ、戻ろうぜ。キングジョーの姉ちゃん達が待ってるぜ。』

 

その言葉でヒロキ達はその場を後にして去っていった。

 

 

 

 

 

 

タイガとギマイラが戦った跡地を見つめていた霧崎は不気味な事を呟いていた。

 

「もうすぐだ・・・タイガ。君の夢は悪魔に変わり、その時、私の目的は達成される。」

 

 

 

 

 

 

夕暮れ時、丘の上で麻璃亜とヒロキ、キングジョー、アギラ、2人のガッツ星人、ピグモン、ザンドリアス、ノイズラー、ホーが麻璃亜を見送ろうとしていた。

 

「折角魔法使いじゃない私になれたのにな・・・。」

「みんなと一緒の方がいいんデスカ?」

「やっぱり皆に馬鹿にされたり怖がられたりするのは寂しいですから。」

「それでも僕は信じるよ。世界には魔法が満ち溢れているって。」

「まっ、それも悪くないんじゃない。」

 

キングジョー、ヒロキ、ザンドリアスの言葉を聞いた麻璃亜は笑顔を浮かべて杖を宙に放った。すると魔法の杖はたちまち空飛ぶ箒へと変わる。麻璃亜はそれに跨るとヒロキ達に別れの言葉を告げた。

 

「それでは遠くない未来で会いましょう、アディオ。」

 

呪文を唱えて空を飛んでいった麻璃亜をヒロキ達は見送っていた。その一方でヒロキはタイガの言葉を思い出していた。

 

(星の生体エネルギーを喰らう存在・・・そういえばウォルグさんも星を喰らう怪獣によって故郷を滅ぼされたって言ってたけど・・・・・まさかね・・・。)




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『GIRLS内部で争いが勃発?おいおい、どうしちまったんだ皆⁉︎まさかトレギアが関係しているのか?急げヒロキ!このままじゃGIRLSが危ない‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


GIRLS超会議


漸く俺の番か!待ちわびたぜ‼︎』



























この先は怪獣娘タイガ、怪獣娘Z、そして次なる怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースのネタバレが含まれています。それが嫌ならバックをお願いします。


































本当にこのままスクロールしますか?それともバックしますか?今なら間に合いますよ。













ここまでスクロールした方、勇気がある方ですね。それではこの先のネタバレのオンパレードをどうぞ。














再び地球に出現する怪獣の脅威!

ヘルベロス「グオオオオオォォォォォッ!!!!!」
ゲネガーグ「ギュゴアアアァァァ!!!」
セグメゲル「グルアアアアアァァァァッ‼︎」
ファイブキング「グルオオオオオオギャアアアアギイイイイイギャギャギャギャグルオオオオオオ‼︎」
ギマイラ「クワアアアアアァァァァ‼︎」
グリーザ「ヒャヒャヒャッヒャヒャヒャッ‼︎」
ゼットン「ピロロロロォォォゼェットォン!!」
バラバ「キイイイイイイィィィィ‼︎」

悪しき宇宙からの敵との戦い!!

トレギア『おやおや・・・光の使者ウルトラセブンに仕えたカプセル怪獣の魂を継いだ君達の力はそんなものなのかい・・・。』
アベル「あらウルトラマンじゃない⁉︎ラッキー、ターゲットの方から来てくれた‼︎」
カブラギ(セレブロ)「そうか‼︎お前は俺の持つベムラーのメダルに引き寄せられてきたんだな‼︎そうかそうか‼︎そんなに自分の魂の怪獣の力が込められたこのメダルが気になるか‼︎」
バロッサ星人「バロバロバロバロバロッサ〜‼︎」

ウルトラマンも・・・

ヒロキ(僕はトライスクワッドの一員じゃないのかな・・・。)
ハルキ「本当に怪獣を倒す事が正しい事なんですか⁉︎あのレッドキングの親子はただ単に卵を守ろうとしただけなんですよ‼︎」
タイガ『分かってる!!・・・けど、この星でもタロウの息子って呼ばれたくないんだよ・・・。』

怪獣娘も・・・

キングジョー『I'm sorry・・・。隠してて御免なサイ・・・。ワタシ・・・自分が怪獣娘だと知った時以上に・・・今回の事、怖くなってしまったようデス・・・。』
ザンドリアス「どうすんのよ!!あのケムール人は人間の体を乗っ取ってんでしょ!?」
ガッツ星人「この力は確かに怪獣を倒せるけど・・・余りにも力が大きすぎるよ!!周りの被害の規模だって尋常じゃないし・・・。」

悲しい別れを強いられたり・・・

ミクラス「ヴォルクお兄ちゃん!?・・・・・・ねぇ、起きてよ・・・・起きてよ!!ヴォルクお兄ちゃん!!ヴォルクお兄ちゃーーーーーん!!」
ヒロキ(チビスケーーーーッ!!!!!)
キングジョー「そんな・・・嘘でショウ・・・チビスケちゃーーーーーーーん!!!!!」
アギラ「そんな・・・しっかりしてよ・・・。こんなところで死んじゃ駄目だよ!!」

悩みながら・・・

ハルキ「父さん・・・。」
ヒロキ「僕のせいでゼットンさんが・・・トレギアに・・・。」
ガッツ星人(マコ)「わたしのせいで・・・ミコも・・・こいつらに・・・捕まったんだ・・・。」

成長していく!!

キングジョー「出来ない事なんてありまセン‼︎ワタシもそう信じマス‼︎」
キングジョー「や・・・やりまシタ‼︎ワタシ、スカーレットスタイルになれマス‼︎自分の意思で変身出来マス‼︎」
ハルキ「俺、やっと答えが出ました!!」
ヒロキ「クララちゃんもピグモンさんも僕が助けてみせる!!」
タイガ『ヒロキ、皆・・・ありがとな‼︎』

怪獣娘との恋も含めた怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース・・・

キングジョー(ヒロキ、ありがとうございマス。ワタシはアナタのお陰で目が覚めまシタ。これから一緒に頑張りまショウ。天国のチビスケちゃんが安心してワタシ達を見てくれるように・・・・・。)
キングジョー(それから・・・・あの時、ワタシを抱きしめてくれたあの時から更にこの思いが強くなりマシタ。ヒロキ、アナタの事が大好きデス・・・・・。)
ユカ「も、もう秘密は嫌ですから率直に話します!!わ、わたしはヒロキさんの事が好きになったんです‼︎キングジョーさんはヒロキさんの事、好きなんですか⁉︎」
トモミ「ヒロヒロ、ピグモンは・・・わたし・・・岡田トモミは・・・貴方の事が・・・好きです・・・。」
ミコ(・・・・ハル・・・・カッコよくなったね・・・・。わたしの・・・ために・・・・わざわざ・・・・あんな危険な場所に来て・・・。ヤバい・・・・ハル・・・・わたし・・・ハルの事・・・好きになっちゃったみたい・・・・。)
サチコ「あたし・・・確かにお子さまかもしれないけど・・・だけど・・・あたしだって女の子なんだから・・・だから・・・ハルキへの想いを諦めたくない‼︎」
ミサオ「アタシとガッツさんじゃ女としての魅力は天と地の差があるけど、アタシだってハルキの事が好きだって気付いたから・・・・だからガッツさん、アンタにだって挑んでみせる‼︎」







新たな物語が始動する‼︎

「未来を築く希望の光‼︎ウルトラマントリガアアアァァァァ‼︎」
「あ・・・アレは・・・‼︎」
「ウルトラマン・・・・ティガ・・・⁉︎」

メインヒロインはウインダムこと白銀レイカ‼︎

「ただいまです‼︎これ、沖縄土産ですよ‼︎」

彼女の幼馴染の少年が・・・

「ウルトラマンの・・・石像⁉︎」

新たな光と出会い、

「グオオオオオギャアアアアァァァァ‼︎」

再び地球に出現する怪獣と戦う事になる‼︎

怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースにて

怪獣娘×ウルトラマントリガー
 

試験版制作決定‼︎ アンケートの結果によっては本格連載も‼︎
是非お待ち下さい‼︎


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GIRLS超会議(前編)

今回の話は電王牙さんと霜降さんの意見を参考にしました。

電王牙さん、霜降さん、本当にありがとうございます‼︎


その日、GIRLSの休憩室でヒロキはお茶を飲みながら祖父の肩身である怪獣や宇宙人の記録が記された手帳を見ていた。ヒロキは1ページ1ページ確認しながら手帳をめくっていく。そんなヒロキにタイガが話しかけてきた。

 

『どうしたんだよ?そんなにお前の爺ちゃんの肩身を真剣な眼差しで見て。』

「えっ・・・いや・・・昔の記録にある怪獣の中で今まで僕達が戦ってきた怪獣を調べていたんだ‼︎ほら、ここにギマイラの写真があるぜ‼︎」

 

そう言ってヒロキはタイガにギマイラの記録が記されたページを見せる。それにはギマイラの写真と当時の記録が残っていた。タイタスはそれを見て歓喜な声を上げる。

 

『ほほう、よく纏めてあるじゃないか‼︎写真も比較的鮮明な物も多く、ギマイラについて知るにはうってつけだぞ‼︎』

『けどよ、なんでお前の爺ちゃんはそんなもん残したんだ?』

「もし、再び地球に怪獣が現れた時のために自身の見た数多くの怪獣との戦いが息子や孫である僕にとって少しでも役に立てるならばと思ったらしいよ。」

『へ〜。』

「ヒロキ、ここにいたのデスカ?」

 

フーマの疑問に答えたヒロキの前にクララが入ってくる。ヒロキはトライスクワッドとの会話を終えると幼馴染の方に振り向いた。

 

「クララちゃん、どうしたの?」

「ピグモンが皆に聞きたいことがあると言って講義室に集まってイマス。ヒロキも来て下さサーイ。」

「分かった。」

 

ヒロキはクララと共に講義室に向かう。2人が講義室につくと既にいつものメンバーが集まっていた。その中にはマコの姿もある。2人が着席するとピグモンが話を切り出した。

 

「皆さ〜ん、集まって頂いてありがとうございま〜す。皆をここに集めたのは皆さんの意見を聞きたいからです〜。」

「意見って・・・なんでアタシ達の意見が必要なの?」

 

ミクの言葉にトモミは再び口を切り出した。

 

「はい。実は再び地球に現れた3人のウルトラマン・・・彼らをGIRLSのイメージキャラクターに決めたいと思っています。」

「ウルトラマンをGIRLSのイメージキャラクターに⁉︎」

「で、でもそれってあたし達全員必要なの?」

「ミクミクの言うことも一理あります。しかし、最初はタイガさんだけが来ていたのに後にタイタスさんとフーマさんが加わり、3人のウルトラマンがこの星に現れる事になりました。3人もいれば皆さんの中で1番お気に入りのウルトラマンもいると思います。」

「確かにねー・・・。わたしもGIRLSのイメージに近いウルトラマンが自分の推しじゃなかったらショック受けそうだもんねー。」

「ゴモゴモの言う通りです。皆さんの中でお気に入りのウルトラマンが選ばれなかったら不平や不満があるだろうと思い、皆の中で『イメージキャラクターはこのウルトラマンだろう』と不平を生まないためにも皆の意見を聞いて決めたいのです。」

「ちょっ、ちょっと待って下さい‼︎」

 

トモミの発言を聞いたヒロキが席から立ち上がる。そしてトモミに疑問をぶつけた。

 

「GIRLSって確か国際『怪獣』救助指導組織ですよね?」

「はい、そうですよ。それがどうかしましたか?」

「国際『怪獣』救助指導組織であるGIRLSのイメージキャラクターを怪獣とは真逆の存在であるウルトラマンにしていいんですか⁉︎」

 

ヒロキはGIRLSの成り立ちからウルトラマンをGIRLSのイメージキャラクターにするのは違うのではないかと思い、自身の疑問をトモミにぶつける。トモミはヒロキの言葉を聞くと語り始めた。

 

「確かに怪獣とウルトラマンは正反対の存在と言えますね・・・。怪獣娘はかつて過去にウルトラマンと戦った怪獣達の魂を宿した女の子達であり、かつてウルトラマン達と戦った怪獣の生まれ変わりとも言える存在・・・私もその1人です。」

「えっ・・・ピグモンさんの元の怪獣はウルトラマンと戦った怪獣には当てはまらないんじゃ・・・。私やアギさん、ミクさんの元の怪獣なんかウルトラセブンと共に戦ったと聞いてますけど?」

 

レイカはトモミの最後の言葉に自身と親友に宿るカイジューソウルの怪獣を話題に挙げて疑問を口にする。トモミは目を瞑りながら発言した。

 

「確かにその通りです。ですが怪獣に対する人々のイメージはいいものではない筈です。最近はその怪獣が再び出現して多くの事件が発生し、怪獣娘やGIRLSに恐怖を抱く人が増えてきています。GIRLSが、そして怪獣娘が安全であると証明するためにはやはりウルトラマンをイメージキャラクターにしようと考えた訳です。」

「そうなんだ・・・。」

「だから皆さんの中でGIRLSのイメージキャラクターに相応しいウルトラマンを決めたいと思いま〜す。皆さんはどのウルトラマンが相応しいですか〜?」

「だったら・・・ピグっち、わたしは疾風怒濤、風の速さで敵を倒す華麗な動きが格好いいウルトラマンフーマを挙げるよ‼︎覚醒したばかりの怪獣娘の保護・・・シャドウの対処・・・全て素早く出動して対処するわたし達の活動にはフーマ以上の適任はいないよ‼︎」

 

トモミの言葉にミコが挙手して発言する。ミコがフーマを立候補にした時、レイカ、ラン、ミサオ、ヨウも手を挙げてフーマを推し始めた。

 

「私もフーマさんがいいと思います‼︎」

「彼のあのスピード・・・そしてクールそうな雰囲気・・・分かるじゃない、ガッツ。」

「確かに!フーマの戦い方、派手な動きは最高にロックですよね‼︎」

「そうそう‼︎青くて速くて風みたいでスッゲェカッケェんだよなー‼︎やっぱりフーマがイメージキャラクターに相応しいですよ‼︎」

『へへっ、分かってんじゃねぇか‼︎怪獣娘の姉ちゃん達‼︎』

(エレキングさん・・・すいません。フーマはクールではないんですが・・・。)

 

彼女達の発言を聞いて喜ぶフーマ。一方でヒロキはフーマの素を知っているため、ランの発言に対して心の中で謝っていた。彼女達の意見を聞いたトモミは確認するように呟いていた。

 

「成る程、ガツガツ、ウインウイン、エレエレ、ノイノイ、バサバサはフーマさん派なのですね・・・。確かにピグモンもアベルと言うガピヤ星人の時には目に見えない速さでフーマさんに助けられましたね。」

「そりゃあ『風の覇者』の二つ名を持っているくらいだからね・・・。」

「そうそう・・・って・・・え・・・風の覇者・・・フーマってそう呼ばれてんの?初めて聞いたんだけど。」

「あっ‼︎」

『おい、ヒロキ‼︎お前な、口を滑らせんじゃねぇよ‼︎』

「(御免‼︎フーマ‼︎)あっ、あー、僕が付けたんだ。フーマって風のように速いから丁度いいかなって・・・。」

 

ヒロキの呟きに反応したミサオ。その問いに対するヒロキの答えを聞いた皆はその言葉に一応納得したのかそれ以上追求することはなかった。そして他にフーマ派の人がいないと分かるとミクとベニオとミカヅキが発言する。

 

「他にフーマ派の人がいないなら次はあたし達ねー‼︎あたし達の一推しは‼︎」

「ムキムキ筋肉のいかにも力こそパワーといった‼︎」

(頭痛が痛い的な・・・?)

「ウルトラマン・・・タイタスだよ‼︎」

 

ミカヅキの言葉にサチコ、マコがタイタスを推し始めた。

 

「あたしもタイタスがいい‼︎あのパワーは凄いもん‼︎」

「わたしもタイタスかな・・・。黒系の色合いが好みだから・・・。」

『ほう、私の筋肉の良さが分かるとは賢明なお嬢さん達だ!』

「そりゃあパワータイプのレッドキングさん達ならタイタスを推すよね・・・。」

 

タイタスが彼女達の言葉を聞いて歓喜の声を上げる。ヒロキの呟きを後にピグモンがタイタスを推す人数を確認する。

 

「成る程・・・ミクミク、ゴモゴモ、レッドン、ザンザン、マコマコはタイタスさんが推しなのですね・・・。確かにタイタスさんは3人の中で1番力強いですね。」

「力の賢者と呼ばれていますからね。」

「へー・・・力の賢者ねぇ・・・なんでヒロキ知ってるの?」

 

ヒロキの呟きにサチコが返す。タイタスに指摘されて思わずヒロキは口を覆った。

 

『ヒロキ、また彼女達が知らない私達の情報を滑らせてるぞ‼︎』

「あ"っ‼︎・・・・・ま、前にヴィラン・ギルドと戦った時に奴らがタイタスの事をそう呼んでるのを聞いたんだ‼︎」

 

ヒロキは何とか苦し紛れに嘘の答えを話す。不本意ながらもそれに納得したのか彼女達はそれ以上追及する事はなかった。その横でヒロキとトライスクワッドは彼女達に聞こえない声で話し合う。

 

『おいおい、今日はよく口を滑らせるじゃないか、どうしたんだ、ヒロキ⁉︎』

「御免・・・本当に御免・・・。彼女達が知ってると思ってて・・・。」

『恐らく次はタイガの番だろう・・・。ここで口を滑らせたら本当に言い逃れは出来んぞ!』

『俺らとお前の関係がバレるかもしれねぇんだ‼︎絶対に口を滑らすな‼︎』

『フォトンアースの事、彼女達は知らない可能性が高いから絶対に話すなよ‼︎』

『地球の言葉で三度目の正直と言う言葉がある!今度こそ頼むぞ‼︎』

「ああ・・・分かってるよ・・・。」

 

トライスクワッドとヒロキの会話を横にトモミがタイガを推すプレゼンを始める。

 

「では私の一推しはどんな敵にも一生懸命に立ち向かう姿を見守りたくなっちゃう・・・ウルトラマンタイガさんで〜す‼︎」

 

トモミがタイガを推す声に賛同したのはアキ、クララ、ユカだった。タイガはその声を聞いて歓喜の声を上げる。

 

「ボクもタイガがいい・・・かな。」

「ワタシもタイガ派デース‼︎彼は何だか気になるんデスヨネ‼︎」

「わたしも・・・タイガが1番です‼︎パワーアップも出来ますから‼︎」

『漸く俺の番か!待ちわびたぜ‼︎』

「タイガ・・・7年前のあの時・・・君と出会った時から全てが始まったよね・・・。」

 

ヒロキはタイガに命を救われた日の事を思い出していた。タイガもヒロキの言葉に返す。

 

『友を助けたい、命を守りたいというお前の思いが俺を引き寄せたんだ‼︎』

「・・・タイガ・・・。」

『誰かの為に戦いたい、その思いが俺たちの力になるんだ‼︎』

 

ヒロキとタイガの会話を横にトモミとタイガを推す者達が会話を進めていた。

 

「やっぱりタイガさんですよね‼︎アギアギ、キンキン、ジャパジャパは分かりますね‼︎」

「それにナイトファングとの戦いで黄金の鎧の纏いたパワーアップを遂げたのも大きいデス‼︎」

「1番最初に現れたウルトラマンってのもありますよね・・・。」

「そうですよね・・・ヘルベロスの時にボク達を助けてくれたのもありますから。」

 

タイガ派のトモミ達にミコ達フーマ派とミク達タイタス派が話しかけてくる。

 

「成る程ね〜、ピグっち、アギ、おジョー、ジャッパがタイガ派か〜。でも!」

「この勝負、タイガ派は4人であたし達タイタス派が5人、フーマ派が5人だから多数決の結果タイガは外れるよ!」

「残念ですがここにいないゼットンの意見も直前に聞いていま〜す。ゼットンもタイガ推しなので丁度互角で〜す!」

「はあっ⁉︎ゼットンのやつ、いなかったけどこの前にアイツの意見聞いてたのかよ⁉︎」

「しかもゼッちゃんもタイガ推しだから平行線じゃん‼︎」

 

ここにいないゼットンもタイガ推しだと知り皆が言い争いを始めてしまう。

 

「大体何でザンがタイタス派なんだよ‼︎ここはフーマだろ‼︎」

「何よ、悪い⁉︎あたしはあたしの意見を述べただけよ‼︎」

「お前、レッドキングさんの影響受けてんな・・・。」

「ジャッパ‼︎フーマ派に回ろうぜ‼︎タイガもいいけどやっぱりカッケェのはフーマだろ‼︎」

「わ、わたしはタイガだよ‼︎例えバサちゃんでも譲れないもん‼︎」

「GIRLSは女の子が多いんだから筋肉ムキムキのタイタスは絶対合わないよ‼︎マコもレッドもゴモもミクラスもザンドリアスもセンスないなぁ。」

「何よ⁉︎わたしは自分の好きなウルトラマンを述べただけよ‼︎」

「そうだ‼︎それにGIRLSの仕事はな体を動かすのも多いんだし、GIRLSのイメージキャラクターにするならタイタスだろ絶対‼︎」

「そうだよ‼︎タイタスのパワーこそGIRLSに必要な物だよ‼︎」

「GIRLSの仕事は力だけじゃありません‼︎それだけでタイタスさんをイメージキャラクターにするのはどうかと思います‼︎」

「力に目覚めたばかりのでその力に一生懸命に慣れようとする怪獣娘さんを助けるならタイガだよ‼︎タイガはいつだってどんな敵にも一生懸命に立ち向かっていくんだからGIRLSのイメージキャラクターはタイガ以外には‼︎」

「アギ、よく考えなよ。力に目覚めたばかりの怪獣娘の中には力を抑えきれずに暴走する事もあるんだよ。そんな怪獣娘の元に素早く駆け付け対応できると見てもらうにはフーマが1番だって‼︎」

 

その後も怪獣娘達は言い争いを続けていた。それを見てヒロキは結論付けた。

 

「・・・・駄目だこりゃ・・・。」

 

彼女達もこのままでは埒が開かないと踏んだのか一旦静かになる。そして結論付けた。

 

「このままでは埒が開かないですね・・・・。」

「多数決で決めるしかねぇな・・・今はそれぞれ3人のウルトラマンに・・・。」

「5票ずつ入ってるよ。」

「だったらヒロキさんの推すウルトラマンがGIRLSのイメージキャラクターとなるね・・・。」

「最後はヒロの票で入る訳だね・・・。」

「ではヒロキに聞きましょう!ヒロキ、アナタは誰推しデスカ⁉︎」

 

トモミ、ベニオ、ミカヅキ、アキ、ミコが現在の状況を確認した。そしてクララの言葉を筆頭に全員がヒロキの方を向く。しかし、ヒロキの座っていた席は既に空席であり誰もいなかった。それを見て少し時間が経つとミクが大声で叫んだ。

 

「ヒロキさん、いつの間にかいなくなってるーーーーーーー!!!!?」

「どうやら逃げられたらしいわね・・・。」

 

ランの呟きの後、クララがヒロキの名前を叫ぶ。しかし、返事が返ってくる事は無かった。

 

「ヒロキーーーーーー‼︎何処に行ったのデスカーーーーーーー‼︎」




やっとタイガの方が折り返しに入りつつあります。
本当に長かった・・・・。


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GIRLS超会議(中編)

ここからはオリジナル展開になります。
というのもこういう総集編は話があっという間に進んでしまうので前編と中編だけで原作の話が終わってしまうんですよね・・・
どうかその辺はご了承下さい。

また、この話からアイツらも参戦です。
アイツらって誰かって?それは話を見れば分かります‼︎


ヒロキはGIRLSの展望台に立って街を見下ろしながらトライスクワッドと話していた。

 

『いいのかよ、抜け出して。』

「あの状態じゃ抜け出さざるを得ないよ・・・。」

『にしたって・・・俺達の事でかなり話が盛り上がってたな・・・。』

『そうだな・・・私の事を推してくれてる怪獣娘のお嬢さんがあんなにも私の事を熱弁してくれるとは・・・。』

「それだけ皆がタイガ達の事が好きなんだよ。」

『よ、よせって・・・。』

 

ヒロキの言葉を聞いたタイガ達は照れた仕草を見せる。照れて言葉が続かなくたったトライスクワッドの中で最初に発言したのはタイガだ。

 

『けど、彼女達はパワフルだな。父さん達がこの星を好きになった訳が少し分かった気がするぜ。』

「父さんって・・・ウルトラマンタロウが?」

『そうそう・・・・って・・・・えっ⁉︎』

 

タイガがヒロキの口から父であるタロウの名が出た事に驚いた。今までヒロキに父の事を話さなかったタイガはヒロキが自身の出生について知っていた事に驚愕したのだ。

 

『ヒロキ・・・・君はタイガの父親が誰なのか知っていたのか⁉︎』

「知ってたよ・・・あのトレギアがさ何度もタイガの事を『タロウの息子』って呼んでたし・・・そもそも必殺技にストリウムが付いていた時点でタロウと深い関係のウルトラマンだろうなぁとは思ってたよ。」

『な、何で言わなかったんだよ⁉︎お前の爺ちゃんって父さんの事が好きだったんだろ⁉︎兄貴のように尊敬してたんだろ⁉︎その息子の俺に対して何とも思わなかったのかよ⁉︎』

「いや・・・だってさ・・・タイガって何だかさお父さんのタロウさんと仲悪いのかなって思ってさ・・・よくトレギアがタイガの事をタロウの息子と呼ぶたびに凄くそれを言われたく無いとばかりに『俺はタイガだ‼︎』って返すしさ・・・。」

『えっ⁉︎』

 

ヒロキから返ってきた返答に戸惑うタイガ。ヒロキから自身と父であるタロウが不仲だと思われていたのが驚きだったのかタイガは戸惑いを隠さずにいた。

 

『えっ・・・・あっ・・・お、俺・・・ヒロキに・・・父さんと不仲に思われてたのか・・・。』

「あれ、違うの?」

『いや、別に父さんと仲が悪い訳じゃないぜ‼︎父さんから実際の戦い方や過去のウルトラマンの戦い・・・怪獣についてもちゃんと教わったし、色々父さんには感謝してるぜ!』

「そうなの?じゃあ何であの時とかに・・・。」

『あー、ヒロキはよく知ってんだろ。ウルトラマンタロウが昔地球を救うために多くの怪獣や宇宙人と戦った事・・・。』

 

タイガとタロウが不仲ではないと知ると過去にトレギアがタイガに『タロウの息子』と呼んで激昂した事に疑問を抱き始める。この疑問にフーマから始まったトライスクワッドの返答が返ってくる。

 

「うん・・・。」

『この星でも伝説のウルトラマンと呼ばれている上にタロウはあのウルトラ6兄弟の1人で今は宇宙警備隊の若手を指導する筆頭教官を務めている。』

「今、タロウさんってそんな偉い立場なんだ・・・。」

『加えて俺の爺ちゃんが宇宙警備隊大隊長を務める『ウルトラの父』・・・婆ちゃんが銀十字軍の隊長である『ウルトラの母』である俺は周りから家族と比べられてきたんだ・・・何をやるにしろ『流石タロウの息子だ!』とか『タロウの息子だからこれぐらい出来て当たり前だ』とか言われるのが・・・本当に嫌だった。俺の事をタイガとして接してくれる奴はタイタスとフーマを除けば科学技術局に務めるフィリスくらいだったんだ・・・。』

「お父さんと比べられるのが嫌だったんだ・・・・。」

『ああ、だから最初はタイタスとフーマの事を光の国に連れていくのが嫌だった・・・・。正直に言うとヒロキが俺の父さんを慕っていた地球人の少年の孫だと知った時は家族の事を知られるのが本当に嫌だったよ・・・。』

「タイガ・・・君が誰の息子だろうと関係ない・・・あの時、タイガのおかげで僕は助かったし・・・ウルトラマンとして多くの命を助ける事が出来たんだ‼︎タイガ、君は僕の相棒で・・・親友だよ‼︎」

『‼︎・・・ヒロキ、ありがとな・・・。」

「誰と話してるんだい・・・。」

 

トライスクワッドとヒロキの会話に割って入る声がいた。その声の主はヒロキの隣にいつの間にか立っていた。それは半分白と半分黒のブラウスを着用した男『霧崎』だった。

 

「えっと・・・貴方は確か・・・日比谷公園の近くで・・・。」

「おや・・・GIRLSに入ったからには私の事を知ってると思ってたんだがね・・・それよりさっきは誰と話してたんだい・・・まるで相手がそこにいるかのようだったけど・・・。」

「えっ・・・・いや・・・。」

 

霧崎の言葉にどう返せばいいか悩むヒロキ。すると霧崎は不気味に呟き出した。

 

「いや、何も答えなくていいよ・・・・ずっと君達の事を見ていたからね・・・・ずーーーーーーっと・・・・・・。」

「あの・・・・。」

 

ヒロキが瞬きをすると霧崎は一瞬でヒロキの目の前に現れた。ヒロキに顔を近づけながら霧崎は不気味に言葉を放つ。

 

「私の名は霧崎・・・君達にとって忘れられない名前になるだろう・・・。」

「・・・・霧崎・・・・何処かで聞いたような・・・。」

 

霧崎はヒロキに息を吹き掛ける。ヒロキは思わず目を瞑ってしまった。そして目を再び開くと霧崎の姿は消えていた。余りにも一瞬の出来事にヒロキは辺りを見渡しながら困惑する。

 

「えっ・・・いない・・・。何だったんだ・・・?」

『ヒロキ、さっきの奴、やっぱりヤバい匂いがした‼︎アイツと・・・トレギアと同じ嫌な匂いが‼︎』

「えっ⁉︎あのトレギアと⁉︎」

 

ヒロキとトライスクワッドはトレギアの事を話し始める。

 

「トレギア・・・チビスケの事は絶対に忘れない・・・‼︎」

『くそっ、気にいらねぇ野郎だ・・・‼︎』

『確かに気に入らない・・・だが奴は強い・・・!』

『しかも俺たちは1度奴に負けている・・・!フォトンアースの力でも奴には勝てなかった・・・‼︎』

「霧崎・・・思い出した‼︎デアボリックとセグメゲルの事件を仕組んだ男だ‼︎あの男がトレギアと関係があるの⁉︎」

『分からない・・・だが気を付けた方がいいぜ・・・。』

 

ヒロキとトライスクワッドがトレギアの話題を話しているとヒロキ専用のソウルライザーに着信が掛かってきた。相手はクララだった。ヒロキは電話に出る。

 

「もしもし?」

『ヒロキ、今何処にイマス?急遽任務が入ったので戻ってきて欲しいデス!』

「すぐ戻るよ‼︎待ってて‼︎」

 

ヒロキは走って講義室に戻った。扉を開けると既にクララ達は怪獣娘に変身した状態だった。ヒロキはただ事じゃないと判断する。

 

「皆が怪獣娘に変身してるって事は緊急の任務ですか?」

「はい。ヒロヒロ、以前キングゲスラとデアボリックの事件を持ち込んだわたしの叔父の事は知ってますよね?」

「クララちゃんから前に聞きました。確か刑事をやっているピグモンさんの叔父が怪獣事件を2度持ち込んだと。それが何か?」

「その叔父から再び連絡が入りました。何でもとある花屋さんの店主がヴィラン・ギルドの構成員だったらしくて・・・。」

「えっ⁉︎それ不味くないですか⁉︎もしも宇宙植物を」

「そのもしもも既に起こっているわ。既に様々な宇宙植物を地球人が買い上げてしまったようなの。」

「ええっ⁉︎」

「しかも1番危険なのはチグリスフラワーの球根が既に10個も買われた事デス。」

「チグリスフラワーって確か‼︎」

「はい‼︎あの宇宙大怪獣『アストロモンス』の成長前の姿です‼︎このままでは10体のアストロモンスが出現しかねません‼︎」

「そんな事になったら大惨事になる・・・‼︎絶対に止めないと‼︎」

「チグリスフラワーを何としてでも回収します‼︎GIRLS出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

こうしてGIRLSによるチグリスフラワー回収作戦が始まった。怪獣娘達は手分けして佐倉が教えてくれたチグリスフラワーの購入者を特定して回収に当たった。購入者は突然の怪獣娘の訪問に驚くも自身が購入した球根の危険性を伝えるとすぐに怪獣娘に手渡してくれた。だが10人の中にはそれが本物のチグリスフラワーだと知って購入した怪獣マニアもおり、その説得にはかなり苦労した。彼らの説得に当たったヒロキ、キングジョー、アギラ、ガッツ星人、レッドキング、ゴモラ、ミクラスの7人は公園のベンチで座ってジュースを飲みながら一息ついていた。

 

「はぁ〜、まさか本物のチグリスフラワーと知って購入する人がいたとは・・・。」

「何とかチグリスフラワーがアストロモンスに成長して暴れ出したら大惨事になる事のリスクを何度も話して漸く回収出来たね・・・。」

「これであと残り1個になりマスネ・・・。」

「けど、あと1人って一体誰なんだろう・・・。」

「その事なんだけど・・・実は購入者の特定が漸く出来たんだ・・・。」

「そうなの⁉︎一体誰⁉︎」

「いや、それがさ4人組の団体だったらしいんだけど・・・その4人がどう見ても怪獣娘にしか見えないんだよね・・・。」

『えっ、怪獣娘が⁉︎』

 

ヒロキの言葉に驚くクララ達。ヒロキはソウルライザーの画面を操作すて店の監視カメラが捉えた画像を見せる。その画像には黒い獣殻に黒い帽子を被った豊満な胸の怪獣娘と白を基調とする獣殻に白と赤の混じったロングヘアーに褐色肌の手が袖口に隠れた怪獣娘と赤いマントを羽織った右目が隠れた怪獣娘と一緒に白と黒のゴスロリ風の獣殻に身を包んだ少女が写っていた。それを見たレッドキングとアギラは声を上げる。

 

「あー‼︎こいつらは‼︎」

「ブラックスターズ‼︎」

「知ってるの⁉︎」

「そういえばヒロキにまだ教えていませんデシタネ!彼女達は前に本部に侵入してきた怪獣娘の侵略組織デス‼︎」

「ええっ⁉︎」

 

GIRLSに所属していない怪獣娘も存在している。その中の一例が『ブラックスターズ』である。彼女達はかつて悪魔の惑星と言われた『ブラックスター』からやってきた『円盤生物』と呼ばれる怪獣達を呼び寄せた尖兵の魂を宿した『ブラック指令』、円盤生物の中でもかなり凶悪な部類に入る怪獣の魂を宿した『シルバーブルーメ』に『ノーバ』、そして故郷であるペガッサシティの滅亡を回避するために地球を爆破しようとした放浪宇宙人『ペガッサ星人』の4人の怪獣娘で構成されている。彼女達の目的は地球侵略であるがやっている事は殆ど悪ふざけくらいしかしていなかった。そのため、最初はGIRLSも知らなかったが、以前GIRLSに侵入してきただけでなく強大な力を持つ怪獣娘が池袋で大暴れするきっかけになったため、GIRLSも今は彼女達を警戒している。

 

「GIRLSに所属していない怪獣娘もいるって聞くけど・・・そんな連中もいたんだね・・・。」

「以前、侵入されたのと目的が地球侵略と言ってた事、以前の池袋での大騒動もあってわたし達もアイツらを警戒してたんだ。まぁ、調査部の調査によると殆ど悪ふざけのような事しかしてないって事が分かったけど・・・。」

「けど、アイツら、タマに洒落にならない騒動を引き起こすんだ。本当にアイツらがガタノゾーアの怪獣娘で引き起こした大騒動は大変だったぜ・・・。」

 

以前、ブラックスターズのペガッサ星人の能力で彼女達が遭遇した世界を闇に包み込もうとした邪神『ガタノゾーア』の怪獣娘こそ池袋で大暴れした怪獣娘だ。ブラック指令によって池袋で大騒動を起こした事で彼女達は完全にGIRLSの警戒対象になった。

 

「まさかアイツらがチグリスフラワーを買ったとはな・・・。アイツら、ガタノゾーアの怪獣娘の次は本物の怪獣のアストロモンスを暴れさせるつもりか‼︎」

「絶対に見つけないと‼︎何か手掛かりは無いの⁉︎」

「空から探してみまショウ‼︎近くにいるかもしれまセン‼︎」

 

拳を握りポキポキと音を鳴らしながら戦闘態勢を見せるレッドキングの横でヒロキはキングジョーに手掛かりになりそうなものを聞く。キングジョーはヒロキの問いに答えて空に飛び立とうとした。手をポキポキと鳴らすレッドキングの横でキングジョーにブラックスターズの手掛かりを聞くヒロキ。その時、ヒロキとキングジョーの後ろから声が聞こえてきた。

 

「おかしい・・・何処に消えたんだ⁉︎私達の花は⁉︎」

「さっすがブラックちゃん‼︎自分で植えた球根の在り処をド忘れしちゃうなんて‼︎」

「記憶力なさ過ぎだ。」

「煩い‼︎大体、お前達も一緒に植えるところを見た筈だ‼︎球根を植えてその翌日に花を咲かせて消えたんだぞ‼︎明らかにおかしすぎる‼︎」

「あの・・・ブラックさん、やっぱりあの球根を買ったのは間違いだったんじゃ・・・。」

「し、しかしお告げの話じゃ、「珍しい球根を買え』だった筈だ‼︎だからあの球根を買ったんだろうが!全員分の中無しの金を出し合って‼︎」

 

話していたのは4人組の女性だった。その姿を見てアギラとガッツ星人が声を上げる。

 

「ってええっ⁉︎あの人達は⁉︎」

「ブラック・・・スターズ‼︎」

「ええっ、この人達が‼︎」

 

そこにいたのはヒロキのソウルライザーに写った4人組の怪獣娘だった。その中で黒い獣殻に黒い帽子を被った豊満な胸の怪獣娘『ブラック指令』はキングジョー達を見ると思わず指を刺して大声を上げた。

 

「あーーーーー‼︎お前達は・・・GIRLS‼︎」




という訳でこの話から怪獣娘タイガにてブラックスターズも参戦となります。
おジョーさんの暴走関連などに集中していたから彼女達を出すタイミングには苦労しました・・・。
ブラックスターズと遭遇するタイミングが少し急展開かつ強引かもしれなくてすみません・・・。

それと怪獣娘×トリガーの主人公ですが多数決の結果・・・『マナカ・ツバサ』に決定致しました‼︎
怪獣娘×トリガーはツバサとウインちゃんを筆頭に書きたいです。


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GIRLS超会議(後編)

今回の敵はシーグラとアストロモンスのコンビにしようと思っていました。しかし、トライスクワッド全員に見せ場を作りたかったので4体のアストロモンスとなりました。

宇宙大怪獣『アストロモンス』登場


「アナタ達、またあんな騒動を引き起こすつもりデスカ⁉︎そうはさせまセンヨ‼︎」

「は?あんな騒動・・・ってどういう事だ⁉︎」

「とぼけんな‼︎お前らが最近買った球根は何処に埋めたんだ‼︎」

「おい、何だ⁉︎何の話をしている⁉︎確かに3日前に皆で金を出し合って珍しい球根を買ったが・・・。」

 

遭遇していきなりキングジョー達とブラックスターズは揉め始めた。その横で頭を抱えるヒロキ。ヒロキはキングジョー達とブラック指令を落ち着かせるためにも冷静に話しかける。

 

「落ち着いてよ、このままじゃ両方ともまともな話が出来ないでしょ。貴方達がブラックスターズですよね。」

「え、ああ・・・そうだが?」

「前に貴方達はとある花屋で球根を買いませんでしたか?」

「ああ、確かに買ったぞ・・・。」

「その球根は実はチグリスフラワーと呼ばれる宇宙植物で・・・成長すると巨大な怪獣に変貌するんです。」

「へっ、チグリスフラワー?何だ、それは?」

 

ヒロキの言葉にブラック指令はピンと来ていない様子だ。チグリスフラワーの名を聞いた赤いマントを羽織った『ノーバ』の怪獣娘が黒と白のゴスロリ風の『ペガッサ星人』の怪獣娘に確認を取るよう言い放つ。

 

「おい、ソウルライザーでチグリスフラワーについて調べてみろ。本当に怪獣になるのならソウルライザーに記録がある筈だ。」

「は、はい‼︎分かりました‼︎」

 

ペガッサ星人はソウルライザーでチグリスフラワーについて調べ始める。チグリスフラワーについて記された情報が出たのかそれを読み上げるペガッサ星人。彼女は読むに連れて顔が青ざめていった。その横で白を基調とした褐色肌の『シルバーブルーメ』がそれを聞いて驚いていた。

 

「あ、ありました‼︎『チグリスフラワー』!砂漠で数百年に1度美しい花を咲かせるがその実態は宇宙から来た吸血植物であり・・・土の中から蔓を延ばして捕らえた獲物の血液を吸い取り・・・完全に成長すると宇宙大怪獣『アストロモンス』に変貌する!!!?」

「えええっ⁉︎あの球根が怪獣だったって事⁉︎」

「おい、まさかとは思うが・・・あれが本物のチグリスフラワーだとしてこの辺りに植えた筈なのに姿を消したって事は・・・。」

「そういえばこの辺りで野良猫などの小動物が姿を消したって噂があったぞ・・・。」

 

ブラック指令とノーバも完全に顔を青くしていた。自分達が埋めた球根がとんでもない代物であると勘づいたらしい。その時、地面が揺れ始める。そしてコンクリートの道路を破って鞭になった右腕と鎌になった左腕を備えお腹に大きな花を咲かせた宇宙大怪獣『アストロモンス』が姿を現した。

 

「ピギイイイイイィィィィ‼︎」

「ぎぃやあああああああ⁉︎本物の怪獣アストロモンスだぁぁぁぁ‼︎」

「最悪だ・・・。ピグモン、こちらレッドキング。残り1つを見つけたが既にアストロモンスに成長してた・・・。」

『こちらでも確認しました‼︎市民の皆さんの避難誘導をお願いします‼︎』

 

悲鳴を上げるブラック指令の前でレッドキングが苦い表情でピグモンに連絡を取る。その前ではシルバーブルーメとペガッサ星人が狼狽えていた。

 

「で、でも何であの花屋にチグリスフラワーの球根が売ってたの⁉︎」

「分かりません‼︎そんなのは私が知りたいです‼︎」

「知らなかったんだな・・・その花屋を経営していたのは宇宙人なんだよ。」

「「ええっ⁉︎」」

 

ヒロキの言葉に驚く2人。2人ともあの花屋が宇宙人の経営していたものとは知らなかったようだ。そんな会話など知った事ないとばかりにアストロモンスは暴れ回る。右手の鞭と左手の鎌を近くにあったビルに叩き付ける。たちまちビルはあっという間に崩壊していく。

 

「ピギイイイィィィ‼︎」

 

そしてアストロモンスはお腹に付いたチグリスフラワーから黄色い液体を発射する。それが降り注いだビル、車、道路はあっという間に溶けていった。アストロモンスは周りに溶解液を吐き続ける。怪獣娘達はその場から撤退しようとするも、シルバーブルーメが足を挫いて転んでしまう。

 

「きゃっ⁉︎」

「おい、アイツ転んだぞ‼︎」

「痛い・・・少しやっちゃったかも・・・。」

「ねぇ、アナタそこにいたらアストロモンスの溶解液が‼︎」

「シルバーさん‼︎逃げて下さい‼︎」

「「シルバーブルーメ‼︎」」

 

レッドキング、ガッツ星人、ペガッサ星人、ブラック指令、ノーバの言葉に振り向いたシルバーブルーメの先にはアストロモンスが自身目掛けて溶解液を吐き出そうとするところだった。シルバーブルーメはそれを見て思わず目を閉じる。

 

(えっ・・・私・・・こんなところで・・・死んじゃうの・・・。)

 

けどシルバーブルーメに溶解液がかかる事は無かった。何故ならヒロキがシルバーブルーメをお姫様抱っこして抱えながら走ってたからだ。

 

「えっ、君は・・・。」

「いいから‼︎しっかり捕まってて‼︎」

 

ヒロキはキングジョー達と離れてシルバーブルーメを抱えてアストロモンスの溶解液が降り注ぐ町から走って逃げる。やがて溶解液が来ないところまでやって来たヒロキはシルバーブルーメを下ろして問いかける。

 

「大丈夫?」

「う、うん・・・。でも、どうして私を助けてくれたの?私達があの怪獣を」

「君は何も知らずにチグリスフラワーを買っただけだろ?だったら君達の責任じゃない。チグリスフラワーの球根を売った宇宙人のせいだ。それに・・・。」

「?」

「怪我した女の子を放って自分だけ先に逃げるなんてカッコ悪いし、後で絶対に後悔する事になると思うんだ。君も・・・ううん、君達だってそんなに悪い人には見えないしね。」

 

ヒロキの言葉に思わず顔を赤くしてしまうシルバーブルーメ。ヒロキはシルバーブルーメの肩を掴み目線を合わせて告げる。

 

「ここで待ってて‼︎助けを呼んでくるから‼︎」

「う、うん、分かった・・・。あ・・・あのさ‼︎」

「?」

「・・・気を・・・つけて。」

「うん‼︎」

 

顔を赤くしながら気をつけるよう言ってきたシルバーブルーメにヒロキは笑顔でそう言って走っていく。シルバーブルーメの視界から完全に外れると目の前で暴れるアストロモンスを見据えてタイガスパークを出現させた。

 

「行くよ、タイガ‼︎」

『ああ‼︎』

 

ヒロキはタイガに呼び掛けるとタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガは着地するとアストロモンスに向かって構える。アストロモンスはタイガを認識すると右腕の鞭を振るって襲いかかる。タイガは鞭を掴むと自身に引き寄せてアストロモンスにパンチを1発放つ。

 

「シェアッ‼︎シィアッ‼︎」

「ピギイイイイィィィ⁉︎」

 

タイガはその後もアストロモンスの腹に合計10発のパンチをお見舞いする。そして少し距離を離すとアストロモンスの腹に強力な前蹴りを放ってアストロモンスを怯ませた。

 

「シェアッ‼︎」

「ピギイイイィィィィ⁉︎」

 

アストロモンスは態勢を立て直すとタイガに向かって腹のチグリスフラワーから溶解液を放つ。タイガは横に逸れて溶解液を避けた後、アストロモンスに向かって走り出す。そしてアストロモンスに飛び蹴りを喰らわせた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ブラック指令、ノーバ、ペガッサ星人がシルバーブルーメに駆け寄った。

 

「大丈夫ですか、シルバーさん?」

「う、うん・・・平気だよ。」

「良かった〜っ。シルバーブルーメが助かって〜。」

「無事で何よりだ。」

 

シルバーブルーメの無事を確認するブラックスターズ。その後ろではキングジョーのソウルライザーに電話が掛かっていた。相手はエレキングだ。

 

「エレキング、どうしマシタ?」

『大変な事が分かったわ、ある宇宙人が経営していた花屋は他に支店が1つあったの。そこでも宇宙植物が販売されててその中でチグリスフラワーを買った者が3名いる事が分かったわ。』

「他にも支店があったのデスカ⁉︎しかもチグリスフラワーも3つ買われたっテ・・・。」

「おい、まさか・・・。」

 

その時、地面が大きく揺れてコンクリートを突き破って3体のアストロモンスが現れた。新たに増えた怪獣に怪獣娘達だけでなくタイガも同様を隠せない。

 

「嘘・・・アストロモンスが更に増えた・・・。」

「4体の・・・アストロモンスだと⁉︎」

「かつてマンモスフラワーって言う巨大植物がいたらしいけど・・・それ以上にヤバいってコレ‼︎」

(嘘でしょ⁉︎またアストロモンスが出てきた⁉︎)

『くっ、コレは流石に不味いぜ・・・!怪獣の指輪を使って一気に終わらせる‼︎セグメゲルの指輪で奴らを焼き尽くすぞ‼︎』

 

ヒロキはタイガの言葉を聞くとタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキは左中指に意識を集めてセグメゲルの指輪を出現させた。その指輪をタイガスパークに読み込ませる。

 

〈セグメゲルリング、エンゲージ‼︎〉

 

タイガの放ったセグメゲルの力を宿したセゲルフレイムは植物怪獣であるアストロモンスに炎と毒の大ダメージを与えた。1体のアストロモンスがセゲルフレイムを喰らって体がふらつき始める。タイガは必殺光線を撃とうとするも後ろからもう1体のアストロモンスが鞭をタイガに叩きつける。後ろからの衝撃に振り向いたタイガの視線には自分の首目掛けてアストロモンスの鎌が振り下ろされるところだった。

 

「ピギイイイイイイィィィィ‼︎」

『ぐっ・・・。』

 

アストロモンスの鎌にもがくタイガ。しかし後ろからもう1体のアストロモンスが鞭で襲いくる。アストロモンスの鞭が何度もタイガの体を痛めつける。ヒロキはこのままでは不利だと判断してタイタスに交代するようにタイガに促す。しかし、タイガはヒロキの言葉を拒んだ。

 

(このままじゃマズい‼︎タイガ、タイタスに交代しよう‼︎こいつらを押し返すにはタイタスしかない‼︎)

『要らねぇ‼︎こんな奴ら俺1人で十分だ‼︎』

 

再びアストロモンスの鞭がタイガに振り下ろされる。するとタイガはその鞭を掴んで自身の首を拘束しているアストロモンス目掛けて振り回す。巨大な体同士がぶつかり合い、地面に倒れるもう1体に押しつぶされながらアストロモンスが倒れる。倒れたアストロモンスの腹目掛けてタイガの右ストレートが放たれた。それは重なっていた2体のアストロモンスの腹ごと地面に突き刺さる。思いっきり腹をぶち抜かれたアストロモンスは悲鳴を上げた。

 

「「ピギイイイイイイイィィィィィ⁉︎」」

 

そして2体のアストロモンスの顔を殴りつけようとするタイガ。すると3体目のアストロモンスが同胞を守ろうというのかタイガの右腕を鞭で縛った。

タイガは右腕を振り回して今度は4体目のアストロモンスにぶつけた。アストロモンスの鞭が離れたところでタイガはジャンピングキックを放とうとするも4体目のアストロモンスが再びタイガを鞭で捕まえる。

 

『ぐっ・・・!』

『タイガ、無理をするな‼︎』

(タイガ、タイタスに変わろう‼︎)

『し・・・仕方ねぇな・・・。』

 

ヒロキの言葉にタイガは仕方ないと言った表情でタイタスと交代する決意をした。タイガの声を聞いたヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

タイタスは右腕を縛るアストロモンスの鞭を引きちぎってその腹に剛力の拳を叩き込んだ。その一撃に目の前のアストロモンスは地面に勢いよく倒れる。そして腹を貫かれた2体のアストロモンスが起き上がって来た。その内の一体がタイタスに死に物狂いで迫るも手負いの怪獣相手に怯むタイタスではない。アストロモンスの横顔に拳を叩き込んであっという間に吹っ飛ばした。

 

「ふん‼︎」

「ピギイイィィィ⁉︎」

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左手首に意識を集中させてジードレットを出現させる。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはジードレットを具現化させ、タイガスパークに読み込ませる。

 

〈ジードレット、コネクトオン‼︎〉

 

ヒロキはジードレットに宿るジードの力をタイガスパークに読み込ませる。そしてタイタスは闇の力を秘めた破壊光弾をアストロモンスに撃ち込んだ。

 

『(レッキングバスター‼︎)』

 

レッキングバスターを受けたアストロモンスは大爆発を起こした。タイタスの後ろにいたアストロモンスが溶解液をタイタスに浴びせる。

 

『ぐおおっ⁉︎』

『俺が奴をぶった斬る‼︎変われ‼︎』

(分かった、頼む‼︎)

 

ヒロキはフーマの声を聞いてタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

フーマが後ろから溶解液を浴びせて来たアストロモンスの後ろに回り込む。そこからフーマは飛び回し蹴りを2度喰らわせる。それを受けたアストロモンスは回転しながら吹っ飛んだ。

 

「セイヤッ‼︎」

 

アストロモンスが起き上がったタイミングでフーマは目に見えぬ速さで飛び上がり、ムーンサルトキックを放つ。アストロモンスは頭の衝撃でふらつきながら後退する。

 

「ピギイイイイイィ‼︎」

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて、再び左手首に意識を集め、ビクトリーレットを出現させる。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはビクトリーレットに宿るビクトリーの力をタイガスパークに読み込ませた。

 

〈ビクトリーレット、コネクトオン‼︎〉

 

フーマはエネルギーをチャージしながらV字の切断光線をアストロモンスに向ける。

 

『(鋭星光波手裏剣!!)』

 

フーマから放たれた必殺の切断光線はアストロモンスを真っ二つに切り裂いた。鋭星光波手裏剣を受けたアストロモンスが大爆発を起こす。残るアストロモンスはあと2体だ。しかし、活動限界時間が来たのかカラータイマーが鳴り始める。

 

(マズイ‼︎時間が無い‼︎)

『最後は俺が決める‼︎』

 

タイガの声で再びタイガに交代したフーマ。目の前にいる2体のアストロモンスと睨み合うタイガ。そこに声を上げる者がいた。

 

「おーい‼︎ウルトラマン‼︎私を奴の目の前に出せ‼︎」

 

それはブラック指令だった。余りにも予想外の人物が飛び出して来た事にタイガは戸惑いを隠せない。そんなタイガを前にブラック指令は言葉を続ける。

 

「こんな事態になったのは私にも責任がある・・・。ウルトラマン、私は催眠術が使える!それであの2体を眠らせるからその隙に奴らを倒せ‼︎」

(タイガ・・・どうする?彼女の言葉信じていいと思う?)

『本当に出来るなら彼女に任せようぜ‼︎』

 

タイガは下にいるブラック指令を軽く握るとビルの屋上に彼女を下ろす。ブラック指令は目の前のアストロモンスに目を向けると胸の谷間から紐のついた5円玉を取り出す。

 

「おい、お前達こっちを向け‼︎お前達はだんだん眠くな〜る、お前達はだんだん眠くな〜る。」

 

すると振り子の動きによって2体のアストロモンスがフラフラし始めた。怪獣に効いた催眠術にヒロキは驚きを隠せない。

 

(嘘⁉︎本当に効いてるよ‼︎)

『チャンスだ!フォトンアースで纏めて倒すぜ‼︎』

 

ヒロキはタイガのキーホルダーが地球の力で変わった事を確認すると再びタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

フォトンアースに変身したタイガは必殺光線の構えに入った。

 

『(オーラムストリウム‼︎)』

 

地球の力で強化されたタイガの必殺光線は2体のアストロモンスを纏めて消し飛ばした。父親が最初に地球で戦った怪獣が完全に倒されたと知るとタイガはブラック指令の方を向いた。

 

(ブラック指令も悪い人じゃなさそうだね。)

『ああ、そうだな、彼女のサポートのお陰で勝てたんだからな・・・。ありがとな、ブラック指令の怪獣娘。』

 

タイガがブラック指令の方に向くとブラック指令は何と眠っていた。実は彼女の催眠術は相手だけでなく自分にも効いてしまうのだ。ヒロキとタイガはこれに驚きながらも空に飛び立って行った。

 

(ってブラック指令さん、寝てるし‼︎)

『おいおい・・・自分まで眠ってどうすんだよ・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

その後、ブラック指令の元にシルバーブルーメ、ノーバ、ペガッサ星人が駆けつけた。ノーバが右腕の触手でブラック指令を叩き起こす。

 

「起きろ。」

「ぶっ⁉︎・・・お前達、ウルトラマンは・・・怪獣は・・・一体どうなった⁉︎」

「さっすがブラックちゃん‼︎タイガとアストロモンスの戦いの目の前にいたのにどうなったのかが分からないなんて‼︎」

「ブラックさんが催眠術を使ったお陰でウルトラマンタイガさんは2体の怪獣を倒す事が出来ましたよ!」

「本当か‼︎・・・まぁ・・・私の手に掛かれば当然だな‼︎ナーッハッハッハハッハッ」

「楽しそうなところ悪いけど・・・。」

 

ブラックスターズの面子にキングジョー達が近付いた。真ん中に立っていたレッドキングは拳を鳴らしている。

 

「今回の件は本当に知らなかったとしても・・・。」

「前のGIRLS侵入の件と池袋のガタノゾーアの怪獣娘の件について詳しい話を聞かせてもらいマース‼︎」

「嫌でも着いてきてもらうぜ‼︎」

「なんか・・・デジャブを感じるけど・・・コレってヤバくない?」

「こうなったら仕方ない・・・戦略的撤退だー‼︎」

「あっコラ‼︎待ちやがれ‼︎」

「待てー‼︎また逃げるなー‼︎」

 

ブラックスターズとGIRLSの怪獣娘の追いかけっこが始まった。ヒロキは階段を下りながらその光景を見ながらトライスクワッドと話す。

 

「あーあー、追いかけられてるよ・・・。」

『まぁ・・・GIRLSの要注意人物らしいしな・・・。』

『それにしてもタイガ・・・どうしたんだ?今日はヤケに意地を張ったじゃないか?』

『あー、その・・・。』

『お前、親父が昔戦った怪獣だから無理に意地張っちまったんじゃねぇのか?』

『う・・・悪い・・・。』

『タイガ、前にこのトライスクワッドを結成した時誓っただろう・・・。共に進む場所は一つと。』

『無理に意地張んなよな。何つーか危なっかしいんだよ・・・。』

『悪い・・・。』

 

その会話を聞いていたヒロキは少し暗い表情になっていた。フーマとタイタスはそれに気付いたのか声を掛ける。

 

『おいヒロキ、どうしたんだ?』

『何か考えていたのか?』

「えっ・・・あー・・・うん・・・何でも無いよ・・・。」

 

ヒロキはトライスクワッドの面子の会話を横で聞きながら心の中で不安に思っている事が強くなりつつあった。

 

(僕はトライスクワッドの一員じゃないのかな・・・。)




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『ヒロキを拘束した謎の青年『イルト』。そして彼が追う惑星守護神『ギガデロス』。こいつは光線を受ける度に分身する厄介な敵だ。何とかして倒す手立ては無いのか!?次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


護る力と闘う力


イラつかせやがって!ヒロキ、パワーアップだ‼︎』


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護る力と闘う力(前編)

いよいよ原作同様後半に入ります。

もしこの作品にED曲があったなら後半からのED曲はどれがいいと思います?

Sign (CV:三森すずこ)
Soul-ride on( キングジョーソロver)


タイガは目を覚ますと自身を黒いオーラが包んでいるのを見た。周りには他のトライスクワッドの仲間が見当たらないためタイタスとフーマの名前を思わず呼ぶ。

 

『タイタス・・・・フーマ・・・?2人とも何処に行ったんだよ・・・。』

 

その時、タイガは頭を抱え始めた。そしてタイガに黒いオーラが集まり始める。そして自身の下半身を闇が包み込んでいた。

 

『ぐっ・・・俺の中に激しい感情が・・・‼︎ヒロキ?・・・ヒロキ・・・・・ヒロキーーーーー‼︎』

 

 

 

『うわあああああ⁉︎・・・夢か・・・嫌な夢だったぜ・・・。』

 

タイガは目覚めると横でグッスリ眠っているヒロキとタイタスとフーマを確認して今までのが夢だと感じてため息を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、ヒロキはいつものように学校を出るとGIRLSに向けて足を進めていた。その時、頭に妙な音が鳴り響く。その音を聞いたヒロキはタイガ達に問いかけた。

 

「あのさ、3人とも最近大丈夫?誰か具合悪いとか無いよね?」

『何がだよ?』

『急にどうしたんだ?そんなこと聞いて。』

「最近僕の中で変な音が聞こえるんだ・・・3人とも心当たり無い?」

『妙な音・・・?私は何とも無いが・・・君達は?』

『俺だって至って正常だぜ。』

『大体変な音って何だよ!俺達には関係ないだろ‼︎』

「いや・・・けどさ・・・。」

 

トライスクワッドの3人から明確な回答が得られずヒロキは不安な気持ちになる。その時、ヒロキに後ろから近付く影がいた。タイガはヒロキに呼び掛ける。

 

『ヒロキ!後ろだ‼︎』

「えっ⁉︎」

 

あっという間にヒロキは後ろから何者かに気絶させられてしまう。そして数秒もしないうちにヒロキのいたところにはヒロキの鞄が落ちているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSでは怪獣娘達によるスパーリング特訓が行われていた。現在はゴモラとミクラスがぶつかりあっている。その光景をいつものメンバーが見ていた。そこにクララが入ってくる。

 

「I'm sorry‼︎学校の用事で遅れてしまいマシタ‼︎」

「遅いよ、おジョーも人の事言えないじゃん‼︎」

「なっ⁉︎遅刻魔のガッツにだけは言われたくありまセン‼︎それよりヒロキハ?」

「えっ、ヒロキさん?来てないですよ。」

「おかしいデスネ・・・。先に行くと言ってたからもう既にいるかと思いマシタガ・・・。」

「電話を掛けてみたらどうだ?」

 

レッドキングの言葉でクララはソウルライザーでヒロキに電話を掛ける。しかし、電話から聞こえたのは意外な言葉だった。

 

「・・・・電話に出まセン。圏外デス。」

「圏外・・・ですか。ならヒロヒロのソウルライザーのGPSを探ってヒロヒロを探しましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは目を覚ますと自身の体が縛られている事に気付く。周りを見渡すと何処かの工場の地下にいると感づいた。そしてヒロキの目の前には1人の男がいた。灰色のコートを身に着けた左腕に何かの機械を取り付け頭にサングラスに似たデバイザーを付けた男だ。

 

「ごめんね・・・手荒な真似をして。」

「⁉︎」

 

ヒロキは目の前の男に警戒心を見せながら3人の相棒に呼び掛ける。しかし、彼等の返事が返って来る事は無かった。

 

(タイガ⁉︎・・・・・タイタス・・・フーマ⁉︎3人とも返事をしてくれ‼︎)

「読んでも無駄だよ。」

 

目の前の男はヒロキの心を悟ったのかその手に持っていたものを見せる。それはトライスクワッドの顔が刻まれたキーホルダーだった。それを見てヒロキは激昂する。

 

「預からせて貰ったよ。今、使われると困るんだよ。」

「何を知ってる⁉︎返せ‼︎」

「その前に質問しよう・・・。」

「は?」

 

すると男はヒロキにタイガ達の顔が刻まれたウルトラアクセサリーを見せながらヒロキに近付いて問いかける。

 

「質問その1、強大な兵器を持っている事をどう思っている?」

「何の話を・・・?」

「質問その2、その兵器を制御出来る自信があるか?」

「さっきから兵器とか何なんだよ‼︎彼らは・・・タイガ達は物じゃない‼︎僕の大切な仲間だ‼︎」

 

すると男は笑みを浮かべてウルトラアクセサリーを持つ手を緩める。

 

「私の名はイルト。どうやら君達の事は信じられそうだね。」

「だったらそれを‼︎」

「そうはいかない。」

 

するとその男『イルト』はタイガ達の顔が刻まれたキーホルダーを己の左腕に取り付けた機械に取り込んでしまった。驚くヒロキを前にイルトは言葉を放つ。

 

「悪いけど君達にはもう少し大人しくしてもらうよ。アイツが姿を現すまではね。」

「アイツ?」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSではヒロキのソウルライザーのGPSを辿ってヒロキの行方を探っていた。しかし、ヒロキの捜索にかなり難航していたのだ。

 

「どうですか?キンキン。」

「コレは・・・かなり手強い電波障害デス・・・。機械に強いワタシデスがここまで強力な電波障害は初めてデスヨ。」

 

実はイルトはヒロキを捕らえた後、その辺りにかなり強力な電波障害を発生させていた。そのせいでGIRLSでも捜索が難航していたのだ。電波障害と聞いたアギラとミクラスが不安な声を上げる。

 

「キングジョーさんでもてこずる電波障害って・・・ヒロキさん・・・。」

「一体何に巻き込まれちゃったの⁉︎」

「分かりません。分かりませんが・・・状況を考えるとヒロヒロはかなり厄介な事に巻き込まれた可能性が高いです!」

 

するとレッドキングとゴモラの2人が立ち上がった。そして部屋を飛び出していく。

 

「ピグモン、悪いけどこれ以上は待てねぇ‼︎ちょっとヒロキを探してくる‼︎」

「あっ、待って、レッドちゃん‼︎わたしも行くよ‼︎ピグちゃん達はそのままヒロちゃんを探し続けて‼︎」

「分かりました‼︎気をつけて下さい‼︎」

 

ピグモン達は部屋を出て行ったゴモラとレッドキングを見送る。そしてアギラ、ミクラス、ガッツ星人を見て彼女達に言葉を放つ。

 

「アギアギ、ミクミク、ガツガツ、ゴモゴモとレッドンを助けて上げて下さい‼︎今のヒロヒロの状況を考えると最悪の可能性も有り得ます‼︎2人をサポートしてあげて下さい‼︎」

「で、でも・・・・。」

「ガッツ、アギラちゃん、ミクラスちゃん、ピグモンの言葉に従って下サイ‼︎」

「おジョー・・・分かったよ!行こう、アギ、ミクラス‼︎」

「エリアは絞れてイマス‼︎ヒロキの居場所が分かったらワタシもJETで向かいマス‼︎」

 

声を上げたのはキングジョーだ。声のトーンからして本当は自分が幼馴染であるヒロキを助けに行きたいと思っているのが伝わる。そんなキングジョーの意思を汲み取ったのかガッツ星人の言葉でアギラ、ガッツ星人、ミクラスの3人は部屋を飛び出して行った。3人が部屋を出て行った後、キングジョーとピグモンはパソコンを操作してヒロキの行方を探る。真横からウインダム達が見守る中、キングジョーが突然声を上げた。

 

「嘘・・・。」

「キングジョーさん、どうしたんですか⁉︎」

「ウインウイン、皆、よりにもよってハッキングされてしまいました・・・。」

『ええっ⁉︎』

 

ピグモンの言葉に全員が思わず驚いた表情でキングジョーを見つめた。

 

 

 

その頃、イルトは左腕の機械を操作してホログラムを映し出す。それは町の様々な防犯カメラの映像だった。実はGIRLSのコンピューターをハッキングしたのはイルトだった。イルトはヒロキを探すGIRLSのコンピューターを発見して逆に乗っ取ってしまったのだ。

 

「へぇ・・・中々便利だね。・・・アイツの気配はまだ無いか・・・。」

「さっきからアイツって何なんですか‼︎どうしてこんな事するんですか⁉︎」

「・・・・そうだね・・・。君達にも知る権利はあるね。じゃあアイツが現れるまで遠い昔話をしようか・・・。」

「・・・・昔話・・・・・?」

 

イルトはホログラムの映像を止めるとヒロキに向き合った。そしてサングラスを外して語り始める。

 

「昔昔、ここから遠く離れた銀河系のお話・・・その銀河のとある星では怪獣災害が続いており人々は自分達を守ってくれる存在を探し求めていました。」

 

ヒロキは今の話に出てきた星に今の地球を重ね合わせた。イルトは言葉を続ける。

 

「そこに旅の科学者が訪れ科学者は人々を守るためならばと巨大な力を備えた防衛マシンを作りました。人々は大いに感謝し、そのマシンを守護神と呼んで大切にしたそうです。すると噂を聞きつけた他の星の人々もその守護神を欲しがりました。科学者は人々を守るためならばと喜んで次々と守護神を作り彼らに分け与えました。やがて怪獣災害はその星々から無くなり銀河系に平和が訪れました。科学者は満足して他の星へと旅立って行きました。」

 

ヒロキはその言葉を黙って聞いていた。その話を聞いたヒロキは率直に思った感想を口走る。

 

「いい・・・話ですね・・・。」

 

するとイルトはヒロキに背を向けて再び語り出す。

 

「このお話には続きがあってね・・・。」

「え?」

「やがて科学者は100年後同じ銀河系に戻ってきました。そして訪れた星で見たものは・・・。」

 

イルトは一旦言葉を止める。その先が気になったヒロキは黙ってイルトの言葉を待っていた。そして再びイルトが語った言葉はヒロキを驚かせるものだった。

 

「制御不能に陥った守護神同士の戦いと破壊され廃墟となった星々の姿でした・・・・‼︎」

「⁉︎」

「守るはずの力が・・・星を破滅に導いた・・・‼︎」

 

ヒロキはその言葉に思わずタイガが地球で手にしたフォトンアースの力を思い出した。ヒロキの中で最悪の可能性が思わず飛び出るまで否定するように頭から振り払う。

 

「守るはずの力・・・それが星を破滅に・・・。・・・暴走する正義・・・・・。」

「自身の行動を激しく後悔した科学者は同じ悲劇が繰り返されないように、自身が作った守護神を一体一体探し出し、封印し回収する旅に出たのでした・・・お終い・・・。だから・・・アイツが現れ、回収するまでは邪魔しないでもらいたい・・・‼︎」

 

ヒロキは思った。目の前の男こそがイルトの昔話に出てきたその科学者で彼が探し求めているのはその守護神だと。だから思わずヒロキはイルトに尋ねた。

 

「もしかして・・・・アイツって・・・その守護神?」

 

イルトはヒロキの言葉に一旦溜めながら答える。

 

「そう・・・・守護神・・・・・『ギガデロス』は地球にいる・・・‼︎」

「‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、霧崎は道の真ん中で傘を相手に見立てて社交ダンスを踊っていた。同じ道を歩いていた人々は霧崎に対して完全に不審者を見る目で見ていた。

 

「クスロー、クイックイ・・・。クスロー、クイックイ・・・。」

 

そんな中、霧崎は最近地球に呼び寄せたある存在の事を思い出していた。その存在の事を思いながら社交ダンスを続ける。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、レッドキング達と合流したアギラ達はヒロキを探して街を走り回っていた。しかし、幾ら探し回ってもヒロキの行き先どころか手掛かりすら掴めなかった。

 

「ったく、アイツ一体何に巻き込まれたんだよ・・・⁉︎」

「GIRLSでも手こずる電波障害が出てる上にハッキングを仕掛けるって相当だよね・・・。一体ヒロキさんの身に何が・・・。」

「・・・どうしたの、貴方達・・・。」

 

彼女達に声を掛けてくる者がいた。それは最強の怪獣娘ゼットンだった。

 

「ゼットンさん‼︎どうしてここに⁉︎」

「たまたまここで貴方達を見掛けただけ・・・。それより何かあったみたいだけど・・・、一体何があったの?」

「ゼットン、実は・・・・。」

 

レッドキングはゼットンにこれまでの事情を話した。ゼットンはレッドキングの話を黙って聞いていた。

 

「ゼットンさん、ゼットンさんも手伝ってくれませんか⁉︎さっき、ウインちゃんからGIRLSにハッキングが仕掛けられたって連絡が来たんです‼︎」

「ヒロキはかなりヤバい事に巻き込まれた可能性が高い‼︎だからお前も手伝ってくれると」

「・・・分かった。私は貴方達とは別にヒロキを探す。」

 

アギラとレッドキングの言葉を聞いたゼットンは2人の問いに答えると彼女達の前からあっという間に消えてしまった。テレポートでヒロキを探しに向かったようだ。

 

「あっ・・・ゼットンさん・・・行っちゃった・・・。」

「アイツ・・・すぐにいなくなっちまったな・・・。」

「で、でも・・・ゼットンさんもヒロキさんの行方探してくれるから、ヒロキさんの捜索の人手が増えて良かったですよ。ボク達も早くヒロキさんを探しましょう!」

「そうだね・・・皆、急ごう‼︎」

 

ゴモラの言葉で怪獣娘達はその場を後にしてヒロキを探しに向かって行った。




怪獣娘×ウルトラマントリガーの予告です。

PV第二弾みたいな感覚で見てもらえると嬉しいです。
それではどうぞ。








怪獣娘とウルトラマンが共に地球を襲う怪獣に立ち向かう怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースは遂に新章に突入‼︎

ツバサ「未来を築く希望の光‼︎ウルトラマントリガアアアァァァァ‼︎」
ペガッサ星人「あ・・・アレは・・・‼︎」
ガタノゾーア「ウルトラマン・・・・ティガ・・・⁉︎」

再び地球を襲う怪獣達‼︎

ゴルバー「グオオオオオギャアアアアァァァァ‼︎」
ギマイラ「クアアアアアアアァァァァ‼︎」
ガゾート「ギャアアアアァァァァ‼︎」

3000万年に世界を滅ぼした闇の巨人が復活‼︎

カルミラ『あたしに会うために人間を取り込んで復活したのかい⁉︎随分情熱的じゃないか、トリガー‼︎』
ダーゴン『久しぶりだな・・・我が好敵手、トリガー‼︎』
ヒュドラム『エクセレント‼︎覚醒を促す良い方法が分かりましたよ。』

ツバサと怪獣娘達の戦いが始まる‼︎

ミツクニ「夢見る未来は人それぞれにきっとあるはずだ。私にも、そして・・・君にも。」
ラン「貴方、初対面の相手に距離が近すぎるんじゃない?」
ミクラス「な、何なのよアレ⁉︎」
ツバサ「僕は皆を笑顔にしたいんです‼︎」
イグニス「俺の名はイグニス。宇宙一のトレジャーハンターだ。」

怪獣娘×ウルトラマントリガー 


いよいよ明日先行公開‼︎


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護る力と闘う力(中編)

多分、今回の展開も賛否両論あると思います。
それを覚悟で投稿しました。

惑星守護神『ギガデロス』登場


「機械に強いワタシにハッキングを仕掛けるとは上等デス‼︎」

「おお、キングジョーさんが燃えてます・・・。」

 

その頃、GIRLSではキングジョーがパソコンを操作してヒロキの行方を追っていた。幼馴染を何かに巻き込んだ存在がGIRLSにもハッキングを仕掛けてきた事で彼女の心が燃えてしまったらしい。そして彼女が暫くパソコンを操作するとヒロキの位置が絞り出せてきた。

 

「あと少し・・・あと少しでヒロキの位置を特定出来マス‼︎」

 

キングジョーが少し安堵の表情を見せる。その時、GIRLS東京支部内に突然警報が鳴り響いた。

 

『緊急事態です‼︎怪獣が出現しました‼︎怪獣が出現しました‼︎怪獣娘の皆さん、緊急の出動に備えてください‼︎』

「ええっ⁉︎こんな時に怪獣まで⁉︎」

「ヒロキが行方不明になったこのタイミングで怪獣が!?ヒロキの奴、本当に何に巻き込まれたんだよ⁉︎」

「皆さん、お待たせしまシタ‼︎ヒロキの位置を特定出来まシタ‼︎」

 

キングジョーの言葉にその場にいた皆がパソコンを覗き込む。キングジョーは立ち上がってピグモンに向かい合って言葉を放つ。

 

「ピグモン、ワタシはヒロキを探しにいきますので後はお願いシマス‼︎」

「分かりました‼︎」

「キングジョーさん、わたし達も連れてって下さい‼︎」

「ヒロキさんを助けたいんです‼︎」

 

キングジョーに対して声を上げたのはマガバッサーとマガジャッパだ。キングジョーは2人に自身と同じ想い人であるヒロキを助けたい気持ちに強く共感し、彼女達を見て頷いた。部屋を出ようとした彼女達を見てピグモンが忠告する。

 

「キンキン、バサバサ、ジャパジャパ、このタイミングでの怪獣の出現を考えるにヒロヒロはかなり危険な事に巻き込まれた可能性が高いです‼︎十分に気をつけて下さい‼︎」

「「「ハイ‼︎」」」

 

 

 

 

 

 

GIRLSでキングジョー達がヒロキの捜索に向かう少し前、霧崎は道の真ん中で社交ダンスを踊り続けていた。道を歩く人々は立ち止まり霧崎を迷惑そうに見ている。そこに2人の警官が駆けつけた。どうやら誰かが通報したようだ。

 

「アイツか‼︎」

「通報の通りですね‼︎白と黒のブラウスを着た男が道の真ん中で社交ダンスを踊って道を塞いでるって‼︎」

 

2人の警官は霧崎に近付いた。そして霧崎に注意するも霧崎は構わず社交ダンスを踊り続けている。

 

「スロークイックイッ・・・クスロークイックイ・・・。」

「君、ちょっと君、少しいいかな?通行の邪魔になってるって通報があってさ。」

「ほら、道塞いじゃってるでしょ‼︎」

「あっちに広い広場があるからそこでやってくれるかな?」

「クスロークイックイッ・・・クスロークイックイ・・・。」

「聞いてるのか⁉︎」

 

霧崎は途中で立ち止まった。そして道の真ん中に立つと傘を掲げて一言呟いた。

 

「ボン‼︎」

 

すると霧崎の声と同時に地面が揺れて何かが飛び出してきた。それは黒いボディにオレンジの発光体が付いており、右手に剣、左手の4本の指が銃口になっていた。キリンやガゼルを思わせる頭を持つその巨大なロボット怪獣こそイルトが探していた惑星守護神『ギガデロス』だった。突然の怪獣に警官の指示に従って人々が逃げ惑う。その中で霧崎はただ1人微動だにしていなかった。

 

「ようこそ・・・地球へ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嘘でしょ・・・何でこんな時に怪獣が⁉︎」

「しかもあの怪獣、ロボットみたいじゃない⁉︎」

「いや、アレは完全にロボット怪獣だよ‼︎けどソウルライザーのデータには無い・・・。新型のロボット怪獣だね‼︎」

 

その頃、アギラ達は目の前でギガデロスが現れる様を目撃していた。目の前の怪獣を前にゴモラがソウルライザーで本部に連絡を入れる。

 

「ピグちゃん‼︎大変だよ‼︎こんな時に怪獣が‼︎」

『こちらでも確認しています‼︎ゴモゴモ、ガツガツ、ミクミクの3人は市民の避難誘導にあたって下さい‼︎ヒロヒロの位置が特定出来たのでキンキン達も向かっています‼︎アギアギとレッドンはキンキンと合流してヒロヒロの捜索に当たって下さい‼︎』

「分かった‼︎」

 

こうして彼女達は別れてミクラス、ガッツ星人、ゴモラの3人は街を破壊するギガデロスから逃げ惑う人々の元に向かった。アギラとレッドキングはソウルライザーでヒロキの位置のデータを受け取るとそのまま目的地に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキとイルトは大きな揺れを感じた。イルトはその揺れの原因が何なのか分かっていた。

 

「現れたか‼︎」

「僕を解放してくれ‼︎街を守らないと‼︎」

「駄目だ‼︎君の力は今この星で1番危険な力なんだ‼︎」

「今、苦しんでる皆を救えなきゃ何の力なんだ‼︎あの昔話に出てきた科学者って貴方の事ですよね⁉︎貴方もそう思ったからその守護神を作ったんじゃないんですか⁉︎」

 

ヒロキはイルトに向き合って自身の意見をぶつけた。イルトは思うところがあったのかその言葉に黙ってしまう。そこにヒロキにとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「ヒロキ、無事デスカ⁉︎」

「ヒロキさん‼︎」

「ヒロキ‼︎」

「クララちゃん‼︎それに・・・アギラさんにレッドキングさん‼︎」

「怪獣娘か・・・邪魔はさせないよ‼︎」

 

キングジョーとアギラとレッドキングの声が聞こえてきた。どうやらアギラとレッドキングの両者はキングジョー達と合流できたらしい。下に降りてくる音が聞こえてくる。しかし、イルトは左腕の機械を操作してヒロキに触れるとヒロキと共にその場から消えてしまった。そこにアギラとレッドキングの2人が降りてくる。しかし、彼女達はヒロキが完全に消えてからその場に降り立った。

 

「ヒロキさん、何処っスか⁉︎」

「ヒロキさん‼︎」

「おい、ピグモン‼︎ヒロキの奴、ここにいないぞ‼︎どうなってんだ⁉︎」

 

その頃、レッドキングの通信を受けたピグモンはパソコンを見て驚いていた。ヒロキの位置がその場から一瞬で消えたのだから。同じくパソコンを覗き込んでるエレキング、ウインダム、ザンドリアス、ノイズラー、ガッツ星人(マコ)も驚きを隠せない表情をしていた。

 

「ヒロキさんの位置が一瞬で消えて・・・別の場所に移りました‼︎これってどうなっているんですか⁉︎」

「バグかなんかじゃないですよね?」

「多分、何らかの原因でテレポートしたんじゃないかしら。」

 

キングジョー達は地上に出ながらピグモン達と通信を取る。

 

「バグじゃないデス‼︎一瞬デスがヒロキが消えるのを見まシタ‼︎今、何処にイマスカ⁉︎」

『今、ヒロヒロの現在位置を探りました‼︎データを送ります‼︎・・・でも何でこんなところに・・・⁉︎』

 

やがて彼女達のソウルライザーにヒロキの位置情報が送られてくる。その方向を見て彼女達は驚いた顔をした。その方向は現在、指から光弾を発射して街を破壊しているギガデロスの方向だったのだから。

 

「何でアイツ、怪獣の足元にいるんだよ⁉︎」

「兎に角、早く行かないとヒロキさんが‼︎」

 

アギラの声でキングジョー達はギガデロスの元に走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキとイルトは街を破壊するギガデロスを見上げていた。それを見てヒロキはイルトに必死に訴える。

 

「君に剣なんか持たせるべきじゃなかった・・・。」

「行かせてくれ!人々を助けないと‼︎」

「駄目だ‼︎ギガデロスは私が止める‼︎」

 

その時、イルトの足元に火球が落ちてきた。イルトは間一髪で避けてヒロキは火球が落ちてきた方向を見る。

 

「ゼットンさん⁉︎」

「ゼットンの怪獣娘か⁉︎」

「・・・見つけた。」

 

ゼットンはヒロキの前に降り立つとすぐにヒロキの方に振り向いた。そしてイルトに対して警戒態勢を取る。

 

「・・・ヒロキ、無事でよかった。」

「御免なさい、心配かけさせてしまって・・・。」

「別にいい、貴方があの怪獣を送り込んだこの事件の黒幕ね。覚悟してもらう・・・。」

「待ってくれ!私は敵じゃない!」

「ゼットンさん‼︎待って、僕の話を聞いて下さい‼︎」

 

ヒロキは必死にゼットンの肩を掴んで今までの経緯を話した。ヒロキの話を理解したゼットンはイルトに向かって謝罪の言葉を告げる。

 

「御免なさい。貴方があの怪獣を送り込んだのかと・・・。」

「いや・・・誤解が解けたならいいんだ。」

「・・・そう・・・でも、それとこれとは話が別。早くあの怪獣を止めて。」

「分かってる‼︎・・・ぐわあっ⁉︎」

 

ゼットンの言葉に左腕の機械を操作しようとしたイルトに突然電流が飛んで来た突然の衝撃にイルトは地面に倒れる。ヒロキとゼットンは思わず電流が飛んできた方向を見る。するとそこには霧崎がいた。

 

「霧崎‼︎」

「どうしてここに⁉︎」

 

イルトが立ち上がると霧崎は再び電流をイルトの左腕に向けて放つ。すると赤と黄と青の光が飛び出て霧崎の手に渡った。光はタイガ達のウルトラアクセサリーに変化する。警戒するヒロキに霧崎はその手に持っているウルトラアクセサリーを差し出した。

 

「そんなに警戒する事ないじゃないか。私はただ君を助けたいだけだよ。」

「僕を・・・どうして?」

 

怪獣騒動の裏で暗躍するGIRLSの要注意人物にされた男の言動とは思えない言動に唖然とするヒロキ。しかし、彼はここにゼットンがいる事を忘れていた。ヒロキの側から彼の手の中のウルトラアクセサリーを見つめるゼットン。彼女に気付いたヒロキは思わず声を出してしまう。

 

「ウルトラマンの顔が刻まれたキーホルダー?」

「⁉︎」

「ヒロキ、そのキーホルダーは何?」

「あっ‼︎(しまった‼︎ゼットンさんに見られた‼︎)」

「ああ、すまない・・・。怪獣娘のお嬢さん方は君の秘密を知らないんだったね・・・。すっかり忘れてたよ・・・。」

「霧崎、まさかお前、彼らと僕の関係を⁉︎お前は一体何者なんだ⁉︎ってまさかそれを知ってこの場で僕にこれを⁉︎」

「さあね・・・それより行かなくていいのかい。君が行かなければ多くの命が消える事になるよ・・・。」

「駄目だ‼︎君達ではギガデロスは倒せない‼︎」

「ヒロキ、答えて。貴方の持ってるそれは何?貴方は一体何を隠してるの?」

 

この場にいる霧崎、イルト、ゼットンの声で苦悩するヒロキ。目の前で街を破壊するギガデロスを見たヒロキは自身の思いを口に出す。

 

「それでも・・・僕は目の前の皆を助けたいんだ‼︎・・・ゼットンさん‼︎」

 

ヒロキはゼットンに向かい合った。そしてイルトの事を任せるとギガデロスに向かって走っていく。

 

「イルトさんの事、よろしくお願いします‼︎それと僕と彼らの秘密については絶対に他の皆に言わないで下さい‼︎」

「ヒロキ、貴方、何を・・・・‼︎」

 

ヒロキはゼットンの目の前でタイガスパークを出現させる。ゼットンはヒロキの右腕に3人のウルトラマンか付けている物と同じ物が現れた事に驚きを隠せない。

 

「行くぞ‼︎タイガ‼︎・・・タイタス‼︎フーマ‼︎」

『ヒロキ‼︎』

「やっと声が聞こえた。フーマ、御免!もうゼットンさんには隠しきれない‼︎」

『今までの一部始終は見てたぜ。気にすんな‼︎ゼットンの姉ちゃんが黙っててくれればいいだけだ‼︎それよりも早く行かないとヤバいぜ‼︎』

「ああ‼︎」

 

そしてヒロキはその手にフーマの顔が刻まれたフーマキーホルダーを手に取りタイガスパークに読み込ませた。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

 

 

 

 

竜巻と共にウルトラマンフーマが降り立った。フーマは竜巻のまま、ギガデロスに突撃する。ギガデロスは右腕で斬りつけるもフーマの姿は無かった。ギガデロスは思わず周りを見渡してターゲットを探す。

 

『こっちだよ‼︎』

 

フーマはギガデロスの背後をとりギガデロスに回し蹴りを決める。フーマはフーマはギガデロスの前に立ち戦闘態勢を取る。

 

『中々の剣捌きじゃねぇか!腕が鳴るぜ!』

 

一方、ゼットンは目の前の光景に唖然としていた。クールビューティーな彼女もヒロキがウルトラマンに変身するのをこの目で見て衝撃を隠せなかったのだ。

 

「嘘・・・ヒロキがウルトラマンだったなんて・・・。」

「彼は今まで3人のウルトラマンと共にこの星の怪獣災害に立ち向かっていた!しかし、今は最悪の状況なんだ・・・。」

「どういう事?ウルトラマンが現れた事が最悪の状況なんて・・・。」

「ギガデロスはウルトラマンとは相性が悪すぎる!何故なら・・・。」

 

イルトはゼットンにギガデロスの秘密を伝える。それを聞いたゼットンは目を見開いて驚いていたと同時にイルトが何故ヒロキを監禁したのか理解した。

 

 

 

ギガデロスはフーマを斬りつけようととするも前転で剣をかわす。再び剣で攻撃するもフーマは受け流して肘打ちを決める。

 

「そりゃ‼︎」

 

再び剣で何度も斬りつけようとするがフーマは全て見切って避けた。ギガデロスは右手から砲撃を放つもフーマはバク転して避ける。そしてギガデロスに向き合った。

 

『遊びは終わりだ‼︎さっさと片付けようぜ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左腕に意識を集中させる。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキは左腕に出現したギンガレットをタイガスパークに読み込ませる。

 

〈ギンガレット、コネクトオン!!〉

 

フーマはギンガレットで強化された七色に光る手裏剣状の光線を放った。

 

『(七星光波手裏剣‼︎)』

 

フーマの放った必殺光線は見事にギガデロスに命中した。フーマは自身の必殺光線で完全にロボットが破壊されたと思って背を向けた。しかし、違和感を感じたヒロキの声でフーマは振り向いた。その先では衝撃の光景が待ち受けていた。

 

(待って‼︎アレは⁉︎)

『ん?』

 

煙が晴れてヒロキとフーマの目の前にいたのは2体に増えたギガデロスだった。

 

『マジかよ⁉︎』




お盆休み中にどこまで話を進められるかな・・・。


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護る力と闘う力(後編)

何度見てもギガデロスはウルトラマンにとって1番相性が悪いと思います。

セブンはアイスラッガー、レオやメビウスのように強力なキック技を持つウルトラマンは対抗できると思いますけど。


その頃、ゼットンとイルトは目の前の男に疑問を投げかけていた。

 

「何故、ギガデロスをこの星に?」

「一体、何を企んでいるの・・・。」

 

霧崎は2人を見ずに背を向けながら話し始める。

 

「もうすぐ完成するんだよ・・・。」

「完成?」

「実にいいサンプルだった・・・君のギガデロスは素晴らしく従順でね・・・私の感情を埋め込むのに苦労はしなかったよ・・・。」

「お前の感情だと・・・まさか⁉︎」

「貴方が・・・ギガデロスを⁉︎」

 

思いもよらない守護神の暴走の理由に驚くゼットンとイルト。霧崎は相変わらず2人に視線を合わせずに話し続ける。

 

「守護神の力で1つの銀河が消えていくのはあっという間だった・・・。実に愉快だったよ。」

 

霧崎は体を反らしながらイルトを愉快そうに見る。イルトはギガデロスを暴走させた真の黒幕に怒りを込める。

 

「全部、お前の仕業だったのか‼︎」

「ハッハッハッハッハ、いい顔だ。平和のための力なんて甘い夢を見ていた奴が夢に裏切られた・・・。そして今は自分の夢の後始末に追われている・・・。実にいい・・・。」

「お前ぇ‼︎」

 

霧崎の嘲笑う声を聞いたイルトは思わず激情して霧崎に殴りかかる。しかし、霧崎は容易くその拳を受け止めてイルトの腕を捻りあげる。イルトは腕と肩の痛みに思わず肩を抑える。霧崎はその姿を嘲笑っていたが、その足下に火球が落ちて来た。それはゼットンが放った火球だった。

 

「おや、まだいたのかい・・・ゼットンのお嬢さん・・・。」

 

ゼットンは物静かながらも霧崎に対して怒りの瞳を見せる。霧崎はゼットンを嘲笑うかのように言葉を放つ。

 

「霧崎・・・私は・・・貴方を許さない!貴方が余計な事をしたせいでイルトさんは・・・。」

「私は自分の思いのままに行動しただけだよ・・・かつてこの星にヘルベロスを呼んだ時も・・・宇宙飛行士の九条レントに力を与えた時も・・・傷を負ったギマイラに力を与えた時もね。」

「⁉︎・・・・そう・・・・あれらも貴方の仕業だったのね・・・だったら尚更ここで逃す訳にはいかないわ。」

 

ゼットンは霧崎の言葉に一瞬目を見開くもすぐに冷静さを取り戻して頭にエネルギーを溜める。そして火球を放つも霧崎も手から電撃を放って相殺した。

 

「残念・・・。」

 

するとゼットンはテレポートで霧崎の後ろに回り込む。そして火球を再び放つが霧崎はあっさりとそれを避ける。

 

「残念だが・・・君に私を捕まえる事は出来ないよ。」

「・・・それでもついて来てもらう・・・黒こげにしてでもGIRLSに連れて行く‼︎」

 

睨み合うゼットンと霧崎。やがてゼットンが額にエネルギーを溜めて火球を放った。しかし、霧崎は電撃を放って火球を掻き消した。

 

「威力が強すぎる余り、周りに被害が出るのを避けて手加減してるだろう・・・そんなんじゃ私は捕まえられないよ、ゼットンのお嬢さん。」

「‼︎」

 

霧崎の言葉にゼットンは図星を見抜かれてテレポートし、霧崎の後ろに回り込む。そして拳を放つも霧崎はゼットンの動きを読んで拳を避けた。

 

「くっ⁉︎」

「ハッハッハッ‼︎残念だったねぇ・・・。」

 

 

 

 

 

 

ゼットンが霧崎を相手に戦闘を繰り広げている頃、フーマは自分に向かって突進してくるギガデロスを目に見えない速さで後ろに回り込んだ。するとギガデロスは振り向いて指から銃撃してきた。フーマは空中でバク転しながらこれをかわす、

 

『くっ、動きが読まれてる‼︎』

『何やってんだ、フーマ‼︎』

 

その時、フーマとヒロキにタイガの声が聞こえてきた。タイガはフーマとヒロキに交代するよう言ってきた。

 

(タイガ、何処に行ってたんだ⁉︎)

『いいから俺に変われ‼︎』

(分かった‼︎)

 

ヒロキはその言葉に従ってタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガが高く飛び上がり地面に着地する。タイガは横から迫ってきたギガデロスにキックを放つ。今度は後ろから迫ってきた2体目のギガデロスに拳を放ち、ドロップキックを放った。タイガのドロップキックが決め手となりギガデロスは地面に倒れる。

もう一体のギガデロスは起き上がり、タイガに戦闘態勢をとる。タイガは体を虹色に光らせてエネルギーをチャージして必殺光線の構えに入る。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

タイガは必殺光線を放った。それは確かにギガデロスに命中する。しかし煙が晴れるとギガデロスは分身して2体に増えていた。タイガはそれを見て驚きの声を上げる。その時、イルトがヒロキにテレパシーを送ってきた。

 

『何⁉︎』

「駄目だ‼︎光線を撃ってはいけない‼︎ギガデロスは光線エネルギーを逆流して分身する!撃てば撃っただけアイツは増え続ける‼︎」

(そんな・・・それじゃあどうやって・・・。)

 

3体に増えたギガデロスはタイガを取り囲むと指から銃撃してきた。タイガは3方向からの銃撃をまともに受けてしまう。銃撃が決め手となったのかタイガのカラータイマーが鳴り始めた。

 

『ぐあっ⁉︎イラつかせやがって!ヒロキ、パワーアップだ‼︎』

 

タイガの言葉でヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

タイガはフォトンアースに変身するといきなり腕をギガデロスにぶつけようとする。ギガデロスは左腕で塞ぐもタイガはギガデロスの腹に拳を放ち横から頭を殴る。タイガに2体目のギガデロスが向かってくる。ギガデロスは剣となった右腕でタイガを斬りつけようとする。

 

「シェアッ‼︎」

 

タイガはギガデロスの剣を受け止めて胸に拳を打つ、そして蹴りを放つとギガデロスはその衝撃で後退する。ギガデロスが膝をついた時、3体目のギガデロスがタイガに向かってきた。タイガは3体目のギガデロスをタックルで迎え撃つ。タックルをまともに受けたギガデロスは後ろに下がった。しかし、3体のギガデロスは再び立ち上がった。その光景を見たタイガは苛立った口調でヒロキに指示を出した。

 

『ヒロキ、指輪だ‼︎怪獣の指輪を使え‼︎』

(タイガ、大丈夫なのか⁉︎)

『他に方法があるかよ⁉︎』

 

「そうだ‼︎私の指輪を使ってアイツの力を封じろ‼︎」

「怪獣の指輪?」

 

ゼットンと戦いを繰り広げていた霧崎はタイガに怪獣の指輪を使うよう促す。一方で霧崎の言葉の意図を理解できないゼットンは思わず止まってしまう。

 

〈カモン!〉

 

一方でヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左中指に意識を集中する。するとナイトファングリングが具現化した。ヒロキはタイガスパークにナイトファングリングを読み込ませた。

 

〈ナイトファングリング、エンゲージ‼︎〉

 

空中に飛び上がったタイガはナイトファングの力を込めた超音波を3体のギガデロスに放った。

 

『ファングウェーブ‼︎』

 

タイガのファングウェーブを受けたギガデロスは動きが止まり、2体の分身が本体のギガデロスに戻っていく。

 

(そうか‼︎超音波がエネルギーを消したんだ‼︎)

 

タイガは着地する。するとタイガのカラータイマーから黒いオーラが浮かび上がった。それをゼットンと霧崎は見上げる。ゼットンはタイガを見上げ続け、霧崎は嬉しそうな声を上げる。

 

「それでいい・・・。」

「そうか‼︎お前の狙いはあのウルトラマン‼︎」

「じゃあ、後は頼んだよ・・・。」

 

イルトは霧崎の狙いに気付いた。しかし、霧崎はゼットンとイルトにその場を押し付けてその場から姿を消してしまった。ゼットンはタイガを見上げ続けて反応が遅くなり霧崎を逃してしまう。

 

「しまった‼︎」

 

 

 

 

分身が消えてもギガデロスはタイガに戦闘態勢をとる。タイガも構えてギガデロスに向かっていく。

 

『しぶとい野郎だ‼︎』

 

タイガはギガデロスに前蹴りを放つ。ギガデロスは持ち直すとタイガの右腕を抑えて脇腹を剣で斬りつける。ギガデロスはタイガの首を抑えると脇腹に銃撃を浴びせた。

 

『ぐあああっ‼︎』

 

タイガは地面に倒れると力を込めて起き上がる。そしてギガデロスの右腕を抑えて何度も殴りつけた。ギガデロスの銃撃で離れるとギガデロスに膝蹴りを放って態勢を崩したところに怒りを込めて殴り飛ばす。

 

「タイガ、駄目!怒りに身を任せた戦いは」

『煩ぇ‼︎怪獣娘が俺の戦いに口出しするんじゃねぇ‼︎』

 

ゼットンはタイガの戦いに見ていられなくなったのかタイガに声を掛ける。しかし、タイガはその声を一蹴してギガデロスにタックルを仕掛けた。

イルトは左腕の装置を操作してギガデロスの装置が表示されたホログラムを写しだす。そのホログラムを操作するとヒロキにテレパシーを送った。

 

「ヒロキ君、私がギガデロスと同期してシャットダウンをかけるからその間に破壊するんだ。」

(分かりました、イルトさん‼︎タイガ、ギガデロスから離れるんだ‼︎)

 

タイガはギガデロスを押し倒してマウントを取って何度も殴り付ける。感情のままにギガデロスを攻撃するタイガをヒロキは説得する。

 

(聞こえるか、タイガ‼︎攻撃を中止してギガデロスから離れるんだ‼︎)

 

しかし、ヒロキの声が聞こえないのかタイガは馬乗りになりながらギガデロスを殴り続ける。

 

(大丈夫、落ち着いていこう‼︎冷静になるんだ、タイガ‼︎)

『ヒロキ⁉︎・・・ハッ・・・俺は・・・。』

 

タイガはヒロキの声が漸く聞こえたのかギガデロスへの攻撃を中止する。タイガは自分が今まで何をしていたのか思い出して思わず後ずさる。

イルトは左腕の機械を赤く光らせて左腕を胸の位置で曲げる。するとギガデロスも同じ動きをした。そしてギガデロスの目から光が消えた。ギガデロスがシャットダウンをかけられた瞬間だ。

 

(御免ね・・・ギガデロス。)

 

ギガデロスが止まった事を確認したヒロキの言葉でタイガは必殺光線の構えに入る。

 

(今だ‼︎タイガ‼︎)

『オーラム・・・ストリウム‼︎』

 

タイガの放った必殺光線はギガデロスに命中した。完全に停止したギガデロスは光線エネルギーを利用する事も出来ずにあっという間に大爆発した。そして1つの光がタイガに向かっていく。それをタイガが掴んだと同時にヒロキもその光を掴む。それはヒロキの手のひらでギガデロスの顔が刻まれた指輪『ギガデロスリング』に変化した。

 

「タロウの息子よ。もう少しでお前はウルトラマンの歴史に名を刻む。」

 

ギガデロスとの決着を付けたタイガに対して霧崎は不気味な言葉を投げかけた。そして霧崎は日傘を広げて何処かへ去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからどうするんですか?」

「旅を続けるよ。ギガデロスを全て回収するまではね。」

 

戦いを終えたヒロキはイルトとゼットンと共に歩道橋の上から街を見ていた。イルトは2人に他人事では無い事を言い放つ。

 

「これまで多くの星が廃墟になるのを見てきた・・・君達が見ているこの景色が明日も続くとは限らない。」

 

その言葉にヒロキは相棒の事を思い出す。

 

「タイガも感情を制御出来なくなっていた。こんなのは初めてなんだ。もしかしたら僕達もギガデロスみたいに‼︎」

 

イルトはサングラスを外してヒロキの顔を見ながら激励の言葉を放つ。

 

「ヒロキ君、君の相棒に伝えて欲しい。仲間を信じろ、白鳥ヒロキを信じろってね。」

 

イルトがヒロキに言葉を放った後、ゼットンもイルトに励ましの言葉を送る。

 

「祈ってる・・・いつか貴方の旅が・・・終わる事を・・・。」

「ありがとう、ゼットン君。」

「ヒロキーー‼︎」

 

そこにキングジョー達がやって来た。ミクラス、ゴモラ、ガッツ星人もいる事からギガデロスが倒された後、彼女達と合流したようだ。レッドキングとアギラはヒロキに呼びかける。

 

「ヒロキさん、大丈夫⁉︎」

「ヒロキ、無事か⁉︎」

「レッドキングさん‼︎アギラさん‼︎」

「聞くまでも無いくらい無事そうデスネ‼︎良かったデス‼︎」

「お陰さまで‼︎そうだ、紹介します‼︎こちらはイルトさんと言って‼︎」

 

ヒロキがイルトの事をキングジョー達に紹介しようとするもイルトは既に姿を消していた。ゼットンはヒロキに話しかけた。

 

「ヒロキ、既に彼は旅立った・・・。」

「ゼットンさん・・・そうですか・・・。」

「ゼットン、アナタがヒロキを助けてくれたのデスネ‼︎」

「私は何もしてない・・・それよりも皆に伝えなければならない事がある・・・ヘルベロスの事件と・・・九条レントの・・事件にもあの男が・・・霧崎が関わっていた・・・。」

「ええっ⁉︎本当なんですか⁉︎」

「詳しい事は本部で話す・・・それじゃあ本部で・・・。」

 

ゼットンはテレポートで先にGIRLSに戻っていった。キングジョーはそれを見てその場にいた皆に促す。

 

「さて、ワタシ達も戻りまショウ‼︎ヒロキ、何があったのか聞かせてくだサイネ。」

「あ、ああ・・・。」

 

ヒロキは彼女達の後ろをついていきながらタイガ達に話しかける。

 

「ゼットンさん、本当に黙っててくれたね・・・。」

『ああ・・・そうだな・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

少し前、ヒロキはゼットンにタイガ達の事を説明していた。

 

「成る程・・・・そんな事が・・・。」

「本当に御免なさい‼︎今まで隠してて‼︎」

「別にいい・・・お陰で多くの人達が助かったから・・・。でも・・・この事は」

「待って下さい‼︎僕達の事はクララちゃん達には内緒にして下さい‼︎」

「私にバレた以上・・・長くは隠し続けられない・・・早めに話した方が・・・。」

『ゼットンの姉ちゃん、俺からも頼む‼︎俺達がヒロキと一体化してる事は内緒にしてくれ‼︎』

『私からも頼む‼︎君達の身近な人達が狙われるリスクが高くなる‼︎』 

 

フーマとタイタスの必死な言葉にゼットンは考えた。そこにタイガも入ってきた。

 

『ゼットン‼︎さっきはあんな事言ってすまなかった‼︎俺がこんな事頼める立場じゃないのは分かってる‼︎・・・それでもヒロキの事は内緒にしてくれ‼︎』

 

タイガの必死な言葉にゼットンは結論を伝える。それはヒロキ達を安堵させる言葉だった。

 

「分かった・・・内緒にしておく。」

「ゼットンさん‼︎」

「ただし・・・もう隠しきれない時が来たらその時は話す・・・それだけは忘れないで・・・。」

 

 

 

 

先程のゼットンとのやりとりをヒロキは思い出していた。そこにゼットンが話しかけてくる。

 

「ヒロキ、一応検査を受けた方がいい。シャドウの中には人に取り憑くタイプもいる・・・タイガの異変と関係があるかもしれない・・・。」

「ゼットンさん・・・分かりました・・・。」

 

ヒロキは街を見上げながら心の中でタイガに呼び掛ける。

 

(僕達は大丈夫だよね・・・タイガ。)




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『チブル星人が作り上げた培養合成獣『スカルゴモラ』。あのベリアルの因子を植え付けられた凶悪な怪獣だ!コイツを倒すには力がいる!ヒロキ、俺にもっと力をよこせ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


キミの声が聞こえない


俺は何をしてるんだ⁉︎』


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キミの声が聞こえない(前編)

そろそろスピンオフの構想を考えねば・・・。


ヒロキは気がつくと暗闇の中にいた。その目の前には不気味な鏡があった。

 

「⁉︎」

 

ヒロキは鏡に写る自分を見て驚いていた。鏡に写った自分は見覚えのないピエロの仮面をつけていたのだ。

 

「はっ⁉︎誰だ⁉︎お前は‼︎」

 

ヒロキは鏡に写る自分が自分でない事に気付き大声で問い掛ける。すると鏡に写る自分が仮面を外した。しかし、その顔はヒロキではなく霧崎の顔だった。

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああぁぁぁぁ⁉︎・・・・何だ・・・夢か・・・。」

 

ヒロキは目を覚ますとGIRLSの休憩室にいた。今日は怪獣娘達のスパーリングの計測に付き合っていたヒロキだが、それが終わると休憩室でいつの間にか眠ってしまったらしい。

 

「何なんだ・・・今の夢は・・・。」

「ヒロキ、どうしまシタ?」

 

そこにシャワーを浴びてクララ達がやってきた。ヒロキは彼女達に妙な夢を見た事は誤魔化して答える。

 

「いや・・・何でもない。」

「本当に大丈夫?ヒロキさん、魘されてたよ。」

「えっ、僕、魘されてたの?」

「うん、なんか『ここはどこだ』とか『誰だ』とか悪夢を見ているようだった・・・。」

「ヒロ、何か1人で抱え込んでない?いざという時はここにいる皆、ヒロの力になるよ。あんまり1人で抱えると前のわたしみたいな事になっちゃうよ。」

「いや・・・大丈夫。僕は・・・何ともないから。」

 

ヒロキの寝言を聞いていたアキとミコはヒロキに心配と気遣いの言葉を掛ける。ヒロキは以前から感じている不吉な騒めきを押し隠して彼女達に大丈夫だと告げた。そこにミカヅキが明るく誘ってきた。

 

「ねぇ、これから皆で遊びに行こうよ‼︎レッドちゃん、ミクちゃんは大怪獣ファイトの練習で、エレちゃん、ピグちゃん、ダム子は怪獣騒動の調査をしてるから来れないけど、わたし達だけで遊びに行こうと思ってたんだ‼︎」

「えっ・・・ザンドリアスとノイズラーとマガバッサーさんとマガジャッパさんも来るの?」

「何よ、悪い⁉︎」

「アタシ達だって皆と遊びに行く事あるぜ‼︎新しい音楽のCD探しにも付き合ってくれるしな‼︎」

「ねぇ、ヒロキさんも一緒にゲームしませんか‼︎ゲーセンにも行くみたいですから‼︎」

「あの・・・ヒロキさんが今日は都合が悪いって言うなら来なくても大丈夫ですけど・・・。」

「いや・・・この後は・・・大丈夫‼︎・・・・だと思う・・・。」

 

サチコ、ミサオ、ヨウ、ユカの言葉を断言できずに少し小さい声で暫定的に話すヒロキ。そこにクララが手を握ってきた。ヒロキの手を握ったクララは明るく話しかける。

 

「何か難しい事を考え続けていたら身が持ちまセンヨ‼︎ヒロキも一緒に楽しみまショウ‼︎」

「う・・・うん・・・分かった。」

 

明るいクララの雰囲気に何処か乗り切れずにヒロキはクララに手を引っ張られていく。そしてGIRLS東京支部のドアを出るとそこに少し小太りした小学生くらいの少年がいた。雰囲気から5〜6年生くらいの少年はGIRLSを出てきたヒロキ達に話しかける。

 

「こんにちは、GIRLSの建物から来たって事はお姉さん達怪獣娘だよね?」

「こんにちは、そうだよ‼︎わたし達は怪獣娘‼︎君は?」

「僕、カン太って言います‼︎あの・・・怪獣娘の皆さんにお願いがあります‼︎」

「お願い?」

「僕の友達のモコを探して欲しいんです‼︎」

『モコ⁉︎』

 

そう言ってカン太はランドセルから一枚の切り離されたスケッチブックを取り出した。するとそこには猫を思わせる耳とボールに毛玉が生えたような何かが描かれていた。その姿に思わずクララ達は固まってしまう。

 

「・・・何コレ・・・。」

「モコです‼︎」

「えっと・・・コレって何かの生き物なのかな・・・。」

「悪いけど・・・GIRLSじゃペット探しはやってないんだ・・・。お母さんに頼んで専門の業者に頼んで貰ったら?」

「モコはペットじゃない‼︎僕のかけがえの無い親友なんだ‼︎」

「‼︎」

 

カン太の言葉を聞いたヒロキの脳裏に思わずチビスケがレキューム人に連れ去られた時の事やトレギアによってチビスケがトレギアに殺された時の事が頭によぎった。ヒロキは思わずカン太の前に立って宣言した。

 

「カン太君、僕はこの後OFFなんだ。君の友達探し付き合うよ。」

「ちょっ⁉︎ちょっとヒロキ⁉︎アンタ何考えてんのよ⁉︎」

「御免、僕はそういう訳だからキャンセルで頼む。」

 

するとミカヅキとサチコとミサオが苦情を立ててきた。するとヒロキの頭にその声が耳障りに聞こえてきてきた。ヒロキは思わず頭を抱えてしまう。

 

「えー⁉︎ヒロちゃんってば遊びに行かないの⁉︎」

「ちょっと⁉︎あたし達に付き合うんじゃないの⁉︎」

「そうだよ‼︎アタシ達との約束の方が先だっただろ‼︎」

 

3人の声にアキとクララが苦言を立てる。するとその声さえも耳障りに聞こえたヒロキは頭を抱えてしまった。

 

「ちょっと、3人とも・・・その子本当に困ってるようだし・・・。」

「ヒロキは優しいデスから困ったあの子を見捨てられまセン‼︎それにワタシも友達を失いマシタ‼︎そんな事言うのハ‼︎」

「けど、そいつのモコとかいう奴の問題はそいつ自身が解決しなきゃならないじゃないですか⁉︎」

「そうですよ‼︎それに女の子との約束を破るなんて男の子としてどうかと思いませんか⁉︎」

「煩い‼︎煩い‼︎煩いんだよ‼︎」

 

その時、ヒロキが突然怒鳴り出した。思わぬヒロキの怒鳴り声にクララ達は固まってしまう。ヒロキはそんな自分に気付かずにクララ達に怒鳴り続けた。

 

「モコは・・・ただのペットじゃない‼︎その子の・・・大切な友達なんだろ‼︎困ってる人達を助けるのもGIRLSの役割じゃないのか⁉︎GIRLSの仕事じゃなかったのかよ‼︎」

「ふえええええぇぇぇぇぇ⁉︎」

 

ヒロキの思わぬ怒鳴り声に少し内気なユカは怯えてヨウの後ろに隠れてしまう。ミカヅキが思わずヒロキに言葉を掛ける。

 

「ヒロちゃん・・・そんなに怒鳴る事ないじゃん・・・。」

「そうですよ、見て下さい‼︎お陰でジャッパが怖がっちゃったじゃないですか‼︎」

 

ヒロキはミカヅキとヨウの言葉とヨウの後ろに隠れるユカの様子に我に返る。そして少し頭を冷やすとクララ達に謝罪の言葉を告げて自分を気遣うカン太に感謝の言葉を告げてその場を後にした。

 

「御免なさい・・・。コレに関しては僕は見過ごせない。モコ探しをさせてくれ。」

「お兄さん・・・大丈夫?」

「ああ、僕は大丈夫だ・・・・・カン太君、行こう。」

「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ヒロキとカン太は川辺でカン太が何処でモコと出会ったか聞かされていた。ヒロキは川辺の土手に腰をかけながら同じく隣で腰をかけるカン太の言葉を聞いていた。

 

「モコとはこの川辺で出会ったんだ。」

「ここで・・・。」

「モコはいつだって僕のそばにいてくれた・・・。僕にはモコの言ってる事が分かるんだ。モコは嬉しい時は時は一緒に喜んでくれるし・・・一緒に辛い時や・・・人生に疲れた時はいつも励ましてくれたんだ。」

「人生に疲れたって・・・君幾つだよ・・・。」

「子供だって疲れるんだよ、お兄さん。」

 

すると突然、カン太が立ち上がった。立ち上がったカン太は大声を上げる。

 

「今、モコの声が聞こえた気がした‼︎」

「えっ⁉︎」

「モコが呼んでる‼︎『助けて』と叫んでる‼︎」

「ちょっ‼︎ちょっと待って‼︎」

 

立ち上がったあのカン太は突然走り出した。ヒロキは戸惑いながらカンタ太を追って走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒロヒロがですか⁉︎」

「ええ・・・あんなヒロキは初めて見まシタ・・・。」

「そういえばキングジョーさんってヒロキと幼馴染なんですよね・・・。そのキングジョーさんでも見た事ないんですか・・・。」

「エエ・・・そもそもヒロキは心優しい性格で怒ると怖い一面もありマス・・・。でも基本的には優しい性格なのであんなに怒鳴る姿は見たことありまセン。」

「ヒロキ・・・どうしちゃったのかな・・・。」

 

その頃、GIRLS本部ではトモミ、ベニオ、ミク、ラン、レイカがヒロキの異変をクララ達から聞いていた。普段は温厚なヒロキがあんなに激情したことには幼馴染であるクララも戸惑いを隠せないようだ。そんな中、ミコがヒロキの異変について自身の意見を告げる。

 

「ねぇ、ヒロってばシャドウミストに取り憑かれてるんじゃないかな?以前のわたしみたいにさ。」

 

シャドウミストとは実体を持たずに人間に憑依して活動するシャドウの一種である。シャドウミストに取り憑かれた人物は凶暴化したり攻撃的になったりする。しかし、シャドウミストに取り憑かれた人間は気絶させると大人しくさせる事が出来る。そのため、シャドウミストに取り憑かれた人を見つけた場合は手加減した攻撃でなるべく傷つけないようにする必要があるのだ。

 

「シャドウミストに取り憑かれると攻撃的な性格になる・・・確かに今のヒロキさんの異変と同じだね・・・。」

「その可能性は低いと思う・・・。」

 

かつてシャドウミストに取り憑かれたキングジョーのファンの1人とミコに起こった事を整理してアキもその可能性を推測する。するとそこにゼットンとマコが入ってきた。今の言葉はゼットンが放ったものだ。そのまま2人は会話に入っていく。

 

「訳あってヒロキがシャドウミストに取り憑かれているか検査をした・・・しかしヒロキからは何の反応も無かった。」

「本当ですか、ゼットンさん⁉︎」

 

ゼットンは首を縦に振りながらアギラの言葉に答えた。続いてマコも発言する。

 

「さっき見た時にはアイツからシャドウミストの気配は感じられなかったわ。わたしにはそれがよく分かる。」

「そうか・・・マコは・・・。」

 

もう1人のガッツ星人の怪獣娘である印南マコはシャドウミストに取り憑かれたミコの分身がシャドウミストごと切り離されて生まれた存在である。そのため、彼女は生まれながらにシャドウミストの反応を感知する能力が出来ていた。

 

「マコマコが言うのなら間違いないでしょうが・・・なら何故ヒロヒロは・・・。」

 

その言葉にゼットンはヒロキにシャドウミストに取り憑かれているかの検査を行った事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうですか、ゼットンさん?」

 

ヒロキは検査室から出てきて自身の容体を聞く。ゼットンは何も表情を変えずに答えた。

 

「今のところは・・・シャドウミストの反応は無し。」

「そうですか・・・タイガ、取り敢えずは大丈夫だってさ。」

『そうか・。良かったぜ・・・。』

「でも・・・油断は出来ない・・・。」

 

ゼットンは少し考えるとヒロキとタイガ達に向かって自身の推測を交えながら話した。

 

「ヒロキ・・・貴方の中にいる3人のウルトラマンがシャドウミストの浸食を抑えている可能性もある・・・。」

「ええっ⁉︎本当ですか⁉︎」

「・・・シャドウやシャドウミストは闇に近い物・・・光を宿すウルトラマン・・・それも3人も宿している貴方は普通の人に比べるとシャドウミストに浸食される可能性が低いのかもしれない・・・。」

『つまり・・・私達の持つ光エネルギーはシャドウにとって天敵であると言う事か?」

「有り得ない事じゃないと思う。」

 

ゼットンの言う通り、シャドウは闇に近い存在である。彼女はその一種であるシャドウミストがヒロキに取り憑いた場合、タイガ達の光エネルギーがシャドウミストの浸食を妨げている可能性があると推測した。

 

「でも・・・ウルトラマンでも心に隙を見せればシャドウミストにつけ入られる可能性は否定出来ない・・・もしかしたら貴方の中のウルトラマンに警戒してヒロキの中で気付かれないように潜伏している可能性もある・・・・・充分気をつけて欲しい。」

「分かりました、ゼットンさん。」

『分かったぜ、ゼットンの姉ちゃん‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

「ゼットンさん、どうしたんですか⁉︎」

「アギラ・・・何でもない・・・少し考え方をしていただけ・・・心配する事は無い。」

 

そして時は今に遡る。考え事をしていたゼットンの様子に異変を感じたのかアキが彼女に呼びかける。ゼットンはアキの言葉に気付くと表情を変えずに彼女の問いに答えた。

 

「一応検査では・・・ヒロキに異変は無かったけど・・・もしかしたらまだ気付かれない範囲でヒロキの中に潜伏している可能性もある・・・皆、気を付けて・・・。」

「ゼットン・・・分かりました。」

 

ゼットンの言葉にトモミが頷いた。するとトモミのソウルライザーに着信が掛かってくる。

 

「御免なさい、少し席を外しますね。」

「大丈夫ですよ。」

 

トモミは皆から離れて電話に出る。そして暫くして戻ってくると少し焦ったような表情になる。その異変に最初に気付いたベニオがトモミに話しかけた。

 

「ピグモン、どうしたんだ⁉︎」

「今、叔父から連絡があって・・・ここ数日、宇宙生物が市民に目撃されているようです!」

「宇宙生物が⁉︎」

「はい‼︎映像も送られてきました‼︎映像を出します‼︎」

 

トモミは叔父から送られてきた映像を写し出す。皆がその映像を確認した。するとその映像にはクララ達を驚かせるものが写っていた。

 

「こ、コレって・・・⁉︎」

「さっきの子の絵の‼︎」

 

その映像には先程の少年『カン太』が描いた絵の生物と瓜二つの生物が写っていた。




お盆休みの連続投稿は今日で終了です。

また金曜日の夜から日曜日にかけての投稿に戻ります。


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キミの声が聞こえない(中編)

今回の話は電王牙さんの意見を参考にした部分があります‼︎
電王牙さん、本当にありがとうございました‼︎

培養合成獣『スカルゴモラ』登場


「お兄さん、こっちこっち‼︎」

「待って‼︎ちょっと待って‼︎カン太君‼︎」

 

ヒロキはモコの居場所を察知したカン太を必死に追い掛けていた。カン太は本当にモコの声が分かるのかどんどん走っていく。ヒロキは追いかけていくにつれて怪しげな廃工場に辿り着いた。

 

「何か・・・怪しげな場所だな・・・。」

 

すると目の前のドアが開く音が聞こえてきた。思わずヒロキはカン太を連れて隠れる。

 

「カン太君、誰か来る‼︎一緒に隠れるぞ‼︎」

「う、うん‼︎」

 

隠れた2人はサングラスを掛けた白衣の男がドアから出て行くのを目撃した。ヒロキはその雰囲気に益々胡散臭さを感じていた。

 

(あの研究員らしい人・・・いかにも怪しすぎる‼︎まさかここ・・・何かの実験場なのか⁉︎)

 

ヒロキは目の前の怪しい男がいなくなった事を確認するとカン太に向き合って話しかける。

 

「カン太君、君はここに残るんだ。」

 

頷いたカン太を背にヒロキは男を追っていく。そして男がドアを開けた時、男の背後から飛び蹴りを仕掛けた。

 

「⁉︎」

 

ヒロキの飛び蹴りが男に命中した。男は壁に頭をぶつけて気絶する。ヒロキは男が完全に気を失った事を確認するとドアの向こう側に足を踏み入れていく。そして奥のドアを開けた瞬間、目にしたのは見た事もない多くの生物達が檻に収容される異様な光景だった。

 

「何だここは・・・⁉︎」

 

ヒロキは足を進めながらその目に写る檻に入れられた生物達を見る。蜘蛛に似ているものの明らかに今まで確認された種類とは違う生物に小さい恐竜に似た青緑色の生物、そして脳みそを彷彿させる生物を見て絶句するヒロキ。そして1つの檻に収容された生物を見てヒロキは驚きの声を上げる。

 

「コレは・・・エレキング⁉︎」

 

そこに収容されていたのは身近の怪獣娘のカイジューソウルの怪獣『エレキング』の幼体だった。少し丸っこい姿ではあるものの2つのアンテナの役割を果たす角に黄色と黒が合わさった体色、そして目と顎のない顔は確かにエレキングの特徴を満たしていた。

 

「どうして子供のエレキングがこんなところに・・・まさかここは怪獣の実験場なのか・・・・・まさかモコは‼︎」

「モコ‼︎」

 

モコの正体が怪獣ではないかと疑問を抱くヒロキの横にカン太が入ってきた。カン太は真っ直ぐモコが収容された檻に駆け出していく。ヒロキはカン太に言い聞かせるように話しかける。

 

「カン太君⁉︎入ってきちゃ駄目じゃないか⁉︎」

「だって・・・モコが・・・『助けてくれ』って叫んでたんだ。」

「モコォ・・・。」

「待ってろモコ!今助け出してやるからな‼︎」

「静かに!騒いじゃ駄目だ‼︎」

 

するとその声を聞いた他の生物達が自分も助けて欲しいとばかりに鳴き始める。するとヒロキは頭に頭痛を感じ始める。そして周りの声が耳障りに聞こえたヒロキは呻いた後にカン太の肩を掴んで怒鳴りつける。

 

「騒ぐな・・・騒ぐなよ・・・騒ぐな・・・騒ぐなってんだろ‼︎煩い黙れ‼︎」

 

その声にモコが怯えた声を出す。そしてカン太も突然怒鳴り出したヒロキに怯えた表情を見せる。ヒロキは思わずカン太から離れて自分の手を見る。

 

「モコォ・・・。」

「お兄さん・・・怖い・・・。」

 

ヒロキはギガデロスとの戦いを思い出して戦慄する。するとカン太の口から驚くべき言葉が飛んできた。

 

(どうしたんだ、まるであの時のタイガと同じ・・・。)

「お兄さん‼︎あそこに怪獣娘のお姉さん達が捕まってる‼︎」

「えっ⁉︎」

 

カン太の指差す方向にいたのはブラック指令、シルバーブルーメ、ノーバの3人だった。彼女達はガラスケースの中で手足を光の鎖で繋がれながらこちらに何かを叫んでいる。しかし防音性のガラスで声が聞こえないため、ヒロキは彼女達に駆け寄った。

 

「ブラックスターズ⁉︎どうして貴方達が⁉︎」

 

やはり彼女達の声はヒロキとカン太には聞こえない。そこでヒロキは目の前にあった何かの機械を彼女達が収容されたガラスケースに思い切り投げつける。するとガラスケースが割れて彼女達の声が聞こえてきた。

 

「どうして貴方達が⁉︎」

「そんな事よりここから逃げろ‼︎早く助けを呼ぶんだ‼︎」

「どう言う事だ⁉︎」

「ここはチブル星人の怪獣工場だよ‼︎」

「チブル星人の・・・怪獣工場⁉︎」

「まずい‼︎奴が来た‼︎」

 

ノーバの声でヒロキ達の後ろに頭が大きく手足が3本しかない宇宙人が現れた。その宇宙人こそこの工場の主の頭脳宇宙人『チブル星人』である。チブル星人と共にヘルメットを被った兵士のようなアンドロイドが現れヒロキ達を取り囲む。

 

「地球人諸君、我が工場へようこそ‼︎私の名はチブル星人マブゼ!宇宙最高の頭脳の持ち主だ‼︎」

「本物のチブル星人⁉︎・・・ここは一体何なんだ⁉︎」

「ここは新たな生命を生み出す工場だ!遺伝子を組み替えてより強く、より賢く、より美しい怪獣を生み出すためのな‼︎」

 

マブゼの言葉にヒロキは目の前で捕まってるのはマブゼが怪獣を生み出すための材料に選んだ物だと断定した。マブゼの言葉に檻に入れられた生物達が喚き出す。するとマブゼは檻に電流を流して生物達を黙らせた。

 

「私は新たな生命の創造という神にしか成し遂げらなかった所業を・・・煩ーい‼︎今、格好いい事話してるんだ‼︎邪魔するな‼︎」

「モコォォォ⁉︎」

「ぐぎゃああああああ⁉︎」

「うわああああああ⁉︎」

「モコ‼︎」

「カン太君、触っちゃ駄目だ‼︎」

 

思わずモコが入れられた檻に近づくカン太を制止するヒロキ。カン太がモコに呼びかけている中、檻に電流を流して生物達だけでなくブラックスターズの面子も痛めつけたマブゼに対してヒロキは怒りの目を向ける。

 

「お前がやっている事は生命への冒涜だ‼︎」

「科学者の思想は倫理や道徳から離れて自由であるべきだ‼︎」

「く・・・狂ってる・・・・‼︎」

「うわぁ・・・ドン引きだよ・・・。」

 

ヒロキの言葉に対して開き直るマブゼ。その余りにも身勝手な思想にブラック指令とシルバーブルーメは絶句を隠せない。隣のノーバもマブゼに対して怒りの目を向けていた。

そしてマブゼはモニターにあるホログラムを写し出す。それはヒロキとも身近の怪獣娘のカイジューソウルの怪獣だった。

 

「コレは・・・ゴモラにレッドキング⁉︎」

「その通り!私がオークションで手に入れたゴモラとレッドキングの遺伝子だ!コレにベリアルの遺伝子を加えれば最強の合成怪獣が誕生するのだ!そしてこの実験は最終段階に突入している!今、邪魔をされては困るのだよ‼︎」

 

そしてヒロキ達を多くのチブロイドが取り囲んでいた。ナイフや銃で武装したチブロイドはヒロキとカン太の手を拘束する。そしてマブゼが命令を下した。

 

「チブロイド、連れて行け。」

「離せ‼︎離せよ‼︎」

「カン太君‼︎くっ・・・‼︎」

 

その時、一体のチブロイドが大きく後ろに吹っ飛んだ。思わずヒロキが吹っ飛んだ先を見つめる中、ヒロキはチブロイドが飛んできた方向を見る。そこにはキングジョーが拳を構えていた。後ろにはアギラ、ミクラス、ガッツ星人が控えていた。

 

「クララちゃん‼︎それに皆、どうしてここに⁉︎」

「GIRLSに宇宙生物の目撃情報があって・・・その宇宙生物の中にモコの姿がありまシタ‼︎」

「それで急いでヒロキさんのソウルライザーのGPSを追って飛んできたんだ‼︎」

「ブラックさん‼︎シルバーさん‼︎ノーバさん‼︎」

 

すると後ろからオレンジ色のベストを羽織った学生服の少女がブラック指令達に向かってきた。彼女の名は『平賀サツキ』、またの名を『ペガッサ星人』だ。彼女はブラック指令達を助けるため、キングジョー達と合流してこの工場に突入したようだ。彼女の姿を見てブラック指令達は歓喜の声を上げる。

 

「サツキ君、来てくれたのだな‼︎」

「御免なさい!助けに来るのが遅れてしまって‼︎」

「いいよ、そんな事‼︎こうしてきてくれたんだから‼︎」

「チブロイド‼︎そいつらを叩き出せ‼︎」

 

チブロイドが怪獣娘達に襲い掛かる。キングジョーに1人のチブロイドが発砲するも彼女の獣殻には通じない。彼女から放たれる光線がチブロイドを焼き尽くす。アギラも角の一撃でチブロイドを破壊する。

 

「うおりゃあ‼︎」

 

ヒロキもチブロイドにパンチを浴びせる。ミクラスとガッツ星人も同時に襲い掛かるチブロイドに拳による一撃を放つ。するとアラームが鳴り出した。

 

「おお‼︎反応が始まったぞ‼︎未だかつて誰も成し遂げた事のない奇跡の瞬間だ‼︎」

「ふざけんな‼︎そんな悪夢の実験なんか僕らの手で止めてやる‼︎」

 

しかし、マブゼはヒロキ達の前から姿を消してしまう。するとアラームが強くなり出した。ヒロキはチブロイドから銃を奪うとモコの檻に向かって撃つ。檻からモコを解放するとカン太に差し出した。そこにサツキの手で解放されたブラックスターズも合流した。

 

「ありがとう!お兄さん‼︎」

「クララちゃん、カン太君を連れて逃げて‼︎」

「分かりまシタ!皆、行きまショウ‼︎」

 

その声に頷いたアギラ達はカン太を連れてその場から脱出する。ブラックスターズも彼女達について行った。ヒロキは全ての檻に発砲してロックを壊すと大声で命令する。

 

「お前達も早く逃げろ‼︎」

 

 

 

 

 

「アレ、ヒロキさんは?」

「えっ・・・嘘でショウ・・・ヒロキ、何処に行ったのデスカ⁉︎」

「GIRLSの皆さん、アレを・・・アレを見て下さい‼︎」

 

工場から脱出した彼女達はヒロキの姿が見えない事に戸惑いを隠せなかった。キングジョー達が辺りを見渡している中、サツキが異変を感じて上に指を差す。すると黒、黄色、赤のオーラが集まって大きな光球が形成される。

 

「何アレ・・・何が起ころうとしてるの・・・⁉︎」

「あのマブゼとかいうチブル星人がゴモラとレッドキングの遺伝子を掛け合わせて作った怪獣が生まれようとしてるんだ・・・。」

「ゴモラとレッドキングの遺伝子で出来た怪獣⁉︎」

 

光球が地面に降り立つと大爆発が起こる。そして煙の中からレッドキングにゴモラの三日月状の角が生えたような培養合成獣『スカルゴモラ』が誕生の産声を上げた。

 

「ピギシャアアァァァァギャアオオオオォォォォォ‼︎」

「アレは・・・スカルゴモラ!!」

「あのチブル星人はこれを作ろうとしていたのか!!」

 

 

「行くぞ!タイガ‼︎」

『ああ‼︎』

 

ヒロキはタイガに呼び掛けるとタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガは角を光らせてスカル超震動波を放ちながら街を破壊するスカルゴモラの前に降り立った。スカルゴモラはタイガを敵と見て雄叫びを上げながら突進してきた。タイガは向かってくるスカルゴモラにいきなりクロスチョップを放ち地面に片膝を付いた状態からキックを放つ。

 

「シェアッ‼︎」

 

タイガは回し蹴りを二度放ってスカルゴモラを後退させる。スカルゴモラも負けじと突進を仕掛けてきた。

 

「ピギシャアアアアァァァギャアオオオォォ‼︎」

 

スカルゴモラはゴモラ由来の長い尻尾でタイガを叩きのめそうとするもタイガは逆にその尻尾を掴み何度も振り回して投げつけた。

 

『ウアアアアアァァァァァァ‼︎』

 

そして地面に倒れたスカルゴモラに飛び掛かるとスカルゴモラを何度も殴り付ける。するとヒロキの頭に頭痛が走り、黒いオーラが溢れる。フーマとタイタスがタイガを落ち着かせようと話しかけるもタイガは2人の声に耳を貸さない。

 

『おい、どうした?タイガ!』

『いつもの君らしく無いぞ!』

 

スカルゴモラが立ち上がった後もタイガは背中に張り付きながらスカルゴモラに拳を浴びせる。スカルゴモラはタイガを振り払うため背中の角を光らせてスカル超震動波を放った。ゼロ距離でスカル超震動波を受けたタイガは吹っ飛ばされてしまう。

 

『うわああああああ⁉︎』

「ピギシャアアァァァァギャアオオォォォ‼︎」

『もっとだ‼︎もっと力を寄越せ‼︎』

(あ・・・ああ・・・。)

 

タイガの言葉でタイガキーホルダーが変化した事を悟ったヒロキは不安を感じながらもタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

フォトンアースになったタイガはスカルゴモラの角を掴むもスカルゴモラはスカル超震動波でタイガを吹き飛ばそうとする。するとタイガは右腕でスカルゴモラの角をへし折った。そして折った角でスカルゴモラを3度も殴る。そしてスカルゴモラを投げ飛ばした。そしてヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

左中指に意識を集中させてギガデロスの顔が刻まれた『ギガデロスリング』を具現化させる。そしてその力をタイガスパークに読み込んだ。

 

〈ギガデロスリング、エンゲージ‼︎〉

 

するとギガデロスの分身能力がタイガに発動してタイガは3人に増え、スカルゴモラを取り囲む。

 

『この指輪は分身能力か‼︎』

 

スカルゴモラを取り囲んだタイガはスワローバレットを放って三方向からスカルゴモラに光線を浴びせた。三方向から光線を受けたスカルゴモラは思わず地面に倒れる。

 

『『『スワローバレット‼︎』』』

 

分身が本体に戻るとスワローバレットを受けて倒れたスカルゴモラに向かっていく。そしてスカルゴモラの背中を踏み付けた。

 

『最高だぜ‼︎』

 

タイガはそのままスカルゴモラの頭を踏み付ける、その戦い方にキングジョー達も不安を感じていた。

 

「何だかタイガの戦い方がおかしいデス‼︎」

「タイガってあんな戦い方だったっけ⁉︎」

「絶対に違うと思う・・・!タイガ・・・どうしちゃったんだろう・・・。」

 

GIRLSに残った怪獣娘達もタイガの戦い方に不安を隠せない。

 

「ししょー、タイガの戦い方ってあんな暴力的な戦い方でしたっけ⁉︎」

「いや、そんな訳ねぇ‼︎あんな乱暴な戦い方じゃなかった筈だ‼︎」

「どんな時でも一生懸命戦ってたのに・・・・どうしてあんな・・・。」

 

モコもその戦い方に怯えた声を出す。そしてカン太も声を上げた。

 

「モコォ・・・。」

「泣いてるよ!怪獣が「痛い痛い」って泣いてる‼︎モコが怪獣を虐めないでって‼︎」

(止めろ‼︎タイガ、もう止めるんだ‼︎)

 

カン太の声を聞いたヒロキは思わずタイガに呼びかけた。しかし、タイガはスカルゴモラを投げ飛ばし、そのまま必殺技の構えに入る。

 

「ピギシャアアアァァギャアオオオォォォ⁉︎」

『オーラム・・・ストリウム‼︎』

 

そしてそのままオーラムストリウムを放つ。それを受けたスカルゴモラは大爆発を起こした。スカルゴモラが倒された後、タイガは我に帰り、さっきまでの自分のファイトスタイルに驚きを隠せずにいた。

 

『俺は・・・俺は・・・何をしてるんだ⁉︎』

 

そしてその光景を見て笑う男がいた。トレギアの仮の姿の霧崎だ。霧崎はトレギアアイをかざして本来の姿に変身する。

 

「ハッハッハッハッハッハッ‼︎」

 

そしてタイガの前にトレギアが黒いオーラを纏って現れた。

 

『トレギア・・・‼︎』

『お疲れ様でした・・・‼︎』




皆さん、今回はこの中編に過去のウルトラシリーズのサブタイを仕込みました。
見つけた方は感想欄にどんどん書き込んで下さい‼︎
それと皆さんの感想是非ともお待ちしています‼︎


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キミの声が聞こえない(後編)

昨日に続いて今日も更新できるとは・・・・。


(トレギア⁉︎どうしてここに⁉︎)

『考えるのは後だ‼︎今日こそは決着を付けるぞ‼︎覚悟しやがれ‼︎』

 

タイガはトレギアに向かって突進していく。しかし、タイガの放った拳はトレギアに受け流されてタイガは地面に倒れてしまう。トレギアは挑発しながらタイガに腕を差し伸べる。

 

『おやぁ・・・どうしました?』

 

タイガはトレギアの腕を振り払うとトレギアの顔に拳を放とうとする。しかし、トレギアはあっさりと拳を避けた。タイガはバク転しながらキックを放つもコレもあっさりと避けられる。タイガは敵に向かって構えるもトレギアの方は腕を背で組みながらおちょくるような口調で挑発する。

 

『何処か具合でも悪いのかい・・・?』

『煩ぇ‼︎』

 

タイガは2発パンチを放つも避けられる。3発目はトレギアの腕に受け止められ、4発目の拳と蹴りを1発、裏拳を1発放つ。しかし、トレギアにはさらっと避けられた。少しタイガと距離を離したトレギアは再びタイガを挑発した。

 

『ちょっと心配だねぇ・・。』

『余計なお世話だ‼︎』

 

タイガは5発の拳を撃つも4発はトレギアに受け流され、最後の1発は受け止められて隙をみせてしまう。その隙を見逃さずトレギアのキックがタイガの横腹に命中した。タイガは地面に転がりながら倒れる。するとカラータイマーが鳴り始めた。カラータイマーの点滅する音を聞いたタイガは時間を掛けてられないと思い、ヒロキに命令する。

 

『ヒロキ、指輪だ‼︎もっと指輪の力を‼︎』

(時間も掛けてられない以上・・・・・仕方ないか・・・。)

 

ヒロキはヘルベロスリングを具現化するも指輪が勝手に動き出した事に困惑する。黒いオーラを出しながら光を放つヘルベロスリングに不信感を抱いたヒロキはタイガに待ったを掛ける。

 

(待て、タイガ‼︎何か怪獣の指輪の様子がおかしい‼︎今、使うのは・・・・・ってうわあっ⁉︎)

 

ヒロキの意思とは裏腹にヘルベロスリングは勝手にヒロキの腕を動かした。そしてタイガスパークにヘルベロスの力を読み込んでしまう。

 

(どうなってんだ⁉︎体が勝手に・・・‼︎)

 

〈ヘルベロスリング、エンゲージ‼︎〉

 

(うわああぁぁぁぁ⁉︎)

 

タイガはヘルベロスの力を込めた切断光線をトレギアに放った。それはトレギアに命中して大爆発する。

 

『ヘルスラッシュ‼︎・・・・・・・やったか⁉︎』

 

命中した時の威力からタイガはトレギアを倒したと期待を抱く。しかし、トレギアは特にダメージを負った素振りを見せずにいた。

 

(駄目だ‼︎効いてない‼︎)

『痛ぇなぁ・・・。フハハハハハハ、ありがとう。今のでゴールに達したよ。』

『ゴール⁉︎何訳の分からねぇ事言ってやがる‼︎』

 

トレギアはヒロキのインナースペースに目掛けて黒い電撃を浴びた光線を放つ。ヒロキはそれを受けて苦しみ始める。

 

『フハハハハハハハ!』

(何・・・ぐっ・・・がああああ⁉︎)

『逃げろ、ヒロキ‼︎』

(タイガ‼︎)

 

インナースペースの中でタイガはヒロキを守るためヒロキと分離する。するとタイガから黒い稲妻が発生してそれが空に暗雲を広げていく。その様子にGIRLSもタイガの身に何が起こっているのか理解出来ずにいた。

 

「コレってタイガに何が起きてるんですか⁉︎」

「わ、分かりません‼︎分かりませんが・・・とても危険な事が起きているのは確かなようです‼︎」

 

GIRLS本部のモニターでその様子を見ていたヨウは思わずトモミに疑問を投げる。当然、トモミにも分からないため、困惑しながら分からないと答えるもトモミは嫌な予感を感じていた。

その頃、トレギアは苦しむタイガに語り掛けた。その言葉はタイガだけでなくヒロキにとっても驚くべき言葉だった。

 

『何の代償も無しに指輪が使えると思ったのかい・・・。』

『何⁉︎』

『指輪を使えば使う程・・・君の魂は闇に堕ちていく仕掛けだったのさ・・・それにこの宇宙の地球には人に取り憑き凶暴化させる存在がいた・・・彼らの・・・シャドウミストの力も利用させてもらったよ・・・。』

(シャドウミストの⁉︎じゃあ・・・タイガの最近の異変にはシャドウミストも・・・。)

『その通りさ・・・指輪にシャドウミストも仕込んでおいたのさ・・・まぁ・・・ただのシャドウミストではウルトラマンの光の力に浄化されて使い物にならない事がヘルベロスとギャラクトロンの指輪で証明されたからねぇ・・・私が手を加え、ウルトラマンにも取り憑くように改良したシャドウミストを怪獣の指輪に少しずつ仕込ませてもらったよ・・・。それも他の怪獣娘に気付かれないくらいのね・・・・ご利用は計画的に・・・。』

(そ・・・それで・・・検査に引っかかなかったのか・・・‼︎)

『くっそぉ・・・・・・うおおおおおぉぉぉ‼︎』

(お、おい、タイガ‼︎)

 

タイガはフラフラになりながらも立ち上がった。そして目の前のトレギアに掴み掛かると膝蹴りを放ち、何度も拳を叩きつける。しかし、トレギアに通じている様子はなかった。それどころかトレギアは今のタイガを見て愉快そうに笑っている。

 

『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ‼︎』

『フハハハハハハハハハハハハ‼︎ハハハハハハハハハ‼︎』

 

タイガはトレギアから距離を取って再び殴りかかる。しかしトレギアはタイガの拳を受け流してタイガの後ろに回り込む。そして悪魔の囁きをタイガの耳に叩き込んだ。ヒロキとタイタスとフーマはタイガに声を届けるもタイガにその声は聞こえなかった。

 

『そうだ・・・もっと怒れ・・・残忍になれ・・・・・そうすれば君は私になれる・・・‼︎』

(タイガ‼︎)

『落ち着け、タイガ‼︎』

『怒りに飲まれるんじゃない‼︎』

 

タイガは彼らの言葉を無視してトレギアに殴り掛かる。トレギアはまともに受けるもダメージを受けている様子はない。再びヒロキは大声でタイガを説得するとタイガには届かず怒りのままトレギアに殴り掛かる。

 

『タイガ、落ち着いてくれ・・・。僕の声を聞いてくれ!これまで・・・何度も力を合わせて戦ってきたじゃないか・・・今までの僕達の戦いを・・・・・僕達と過ごした日々を・・・・思い出してくれ‼︎僕は君の相棒だろ⁉︎僕の・・・相棒の声を聞いてくれよ‼︎僕達の・・・絆を・・・・僕達の絆を思い出してくれよ‼︎タイガ‼︎』

 

ヒロキの声も聞かずにタイガはトレギアに挑むもトレギアはタイガの腹にパンチを叩き込む。そして倒れたタイガの角を掴むとタイガの首を掴んでタイガの中のヒロキに苛立ちを表した言葉を放つ。

 

『ぐっ・・・ぐううぅぅ・・・あ・・・あああ・・・・‼︎』

『二言目には絆絆って煩いんだよ・・・!地球人風情に何が出来る‼︎』

 

トレギアはタイガを解放すると強力な蹴りをタイガに叩き込んだ。3発の蹴りを叩き込まれて倒れるタイガはそれでもふらついた体でトレギアに向かっていく。しかし、タイガを掴んだトレギアはタイガの体を地面に叩きつける。

 

『ぐっ・・・うっ・・・‼︎』

『フハハハハハハハハハ‼︎』

 

タイガは力を振り絞って立ち上がるがトレギアに足を払われて地面に倒れる。そして倒れたタイガにトレギアの蹴りが炸裂した。タイガは地面を転がりながら倒れる。それと同時にタイガの周りに黒いオーラが広がり始めた。タイガは闇のオーラに蝕まれて苦しんでいる。それを見たトレギアは空に向かって叫ぶ。

 

『聞こえるか、No.6‼︎闇がお前の息子を蝕んでいるぞ‼︎・・・ウルトラマンタロウの息子を‼︎』

『俺は・・・・俺はタイガだ‼︎うあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

タイガは何とか立ち上がるがそれでも闇のオーラに体を蝕まれ苦しみ続ける。その様子をGIRLSに本部のトモミ達も現場にいるキングジョー達もブラックスターズの怪獣娘達も、そしてカン太とモコも見守る事しか出来なかった。

 

「ウルトラマンさんが・・・‼︎」

「タイガ・・・‼︎」

『うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎』

『フハハハハハハハハハハ‼︎』

 

そしてタイガの身に付けていた黄金の鎧は光の粒子となって消え、タイガのフォトンアースの変身が解けてしまった。タイガは元の形態に戻りながらカラータイマーを鳴らし続ける。しかし、今の彼の体はまるで操り人形のようにふらつくだけだった。

 

『じゃあ指輪は返してもらうね・・・。』

 

トレギアはタイガに近付くとタイガのカラータイマーから五つの光を取り出した。それは今までタイガが手に入れた怪獣リングだった。トレギアの手の中で怪獣リングは黒い不気味なオーラを放つ。そしてトレギアはタイガの体を軽く押した。するとタイガの体は簡単に膝を地面についてしまった。

 

『タイタス‼︎・・・・フーマ‼︎・・・・・・ヒロキーー‼︎』

『タイガ‼︎』

『タイガーッ‼︎』

「タイガーーッ‼︎」

 

その頃、インナースペースで闇に飲み込まれていくタイガに向けてヒロキとタイタスとフーマは手を伸ばし続けていた。しかし、彼らの手は届く事なくタイガの体は闇に飲み込まれていく。そしてタイタスとフーマも突然ヒロキの目の前で消えてしまった。

 

『ぐうっ⁉︎』

『うあっ⁉︎』

「タイタス⁉︎・・・・フーマ⁉︎・・・・・皆ーーーーーーーっ‼︎」

 

ヒロキは闇によって自分が追い出されたのを感じた。そして再び目を開けると瓦礫となった街の中に倒れていた。ヒロキは腰のホルダーに付けられたアクセサリーを確認する。するとタイガのアクセサリーが無いことに気付き、周りを見渡した。すると目の前に倒れたタイガを確認する。ヒロキと一体化していないのにと関わらずタイガの体は実体を保っていた。しかし、タイガのカラータイマーは赤のまま点滅しておらず、右腕には自身とタイタス、フーマが付けているタイガスパークか消えていた。そして何より、タイガの前にはトレギアが立っている。

 

「タイガ⁉︎」

「ヒロキ、無事でシタカ⁉︎」

「ヒロキさん、怪我は無い⁉︎」

「お兄さん、大丈夫⁉︎」

「クララちゃん・・・?・・・カン太君⁉︎それに皆・・・。」

「おい見ろ‼︎あの仮面のウルトラマンが‼︎」

「ああーーーっ‼︎」

 

タイガを見上げるヒロキの後ろにキングジョーがカン太を連れてやってきた。その後ろからブラックスターズも付いてきた。どうやら騒動の結果が気になったらしい。すると彼女達の前でタイガが体を起き上がらせた。トレギアはタイガに歩み寄ると囁くように語りかける。

 

『昨日までのタイガは死んだ・・・新しいタイガの誕生だ・・・。もう君は地球人がいなくても変身出来る・・・・新しい相棒は闇のエネルギーという訳だ・・・。君と僕とでバディゴー・・・・フハハハハハハハハハハハハハハ‼︎ハハハハハハハハハ‼︎フハハハハハハハハハハハッ‼︎』

 

タイガの頬を両手で触りながら悪魔の囁きを放つトレギアを見てヒロキは思わず呟いた。

 

「何という事だ・・・。」

「光が・・・光が・・・・消えていく・・・・。」

「例え雲が覆ったとしてもその向こうで太陽は輝いてる。」

 

ヒロキ達はその言葉に思わずカン太の顔を見る。カン太はモコを抱えながらヒロキ達に話した。ガッツ星人が小学生の口から出たとは思えない言葉に困惑しながらカン太に話しかける。

 

「えっ?」

「カン太君・・・何を言ってるの・・・?」

「僕じゃ無い、モコがそう言ってるんだ。太陽はいつも輝いてるって。」

 

ヒロキ達の視線は思わずモコに移る。すると周りが突然揺れ始める。その音でキングジョーとガッツが声を出した。

 

「皆さん、ここは一旦退却しまショウ‼︎」

「ここは危険だしね‼︎行こう、アギ‼︎ブラックスターズ、貴方達も早く逃げた方がいいよ‼︎」

「うん‼︎ヒロキさん、行こう‼︎」

「分かってる‼︎おい、お前達、ここから離れるぞ‼︎」

 

キングジョー達はカン太を連れてその場を後にして行った。ブラックスターズもブラック指令の言葉を聞いて頷くと走り出していく。そしてキングジョー達とは別の方向へ逃げていった。一方でヒロキはその場を動こうとせず、視線はタイガに向けていた。そこでは今でもタイガの頬を触りながらトレギアが怪しげな囁きを続けていた。

 

『いい子だ・・・流石だよ・・・・タロウの息子よ・・・・・。』

 

タイガはトレギアに対して何の抵抗も見せない。それは完全に青い仮面の悪魔の手に落ちた事を意味していた。目の前の光景を見ていたヒロキは一度は下を向いてしまう。しかし、目の前の相棒に視線を向けると心の中で呼びかける。

 

(タイガ・・・・絶対に助けるからな‼︎)

 

そう決めたヒロキの手は力強く握り拳を作っていた。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+タイタス+フーマ)
フーマ『タイガの奴が闇に取り込まれちまった‼︎』
タイタス『トレギアめ!何重も罠を張り巡らせていたようだ‼︎』
フーマ『このままじゃ終われねぇ!そうだろ、タイガ‼︎』
タイタス『うむ!私達とヒロキが目を覚まさせてやるぞ‼︎』
全員『次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


我らは一つ


俺はウルトラマンタイガ・トライストリウム‼︎』


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我らは一つ(前編)

今回の話は原作でもあり得たかもしれない展開です。

それではどうぞ。


タイガはとある街にいた。しかし、それは地球人の街ではない。辺りにエメラルド色の建物が建造された街がある。ここはタイガの故郷『M78星雲・光の国』である。タイガは目の前の自身に似た2つの角とプロテクターを付けた赤い戦士からブレスレットを授けられる。彼こそがタイガの父親にして伝説のウルトラ6兄弟の1人『ウルトラマンタロウ』である。タロウから授かったブレスレットはタイガの右腕でタイガスパークに変化した。タイガスパークに変化した時、タロウは口を開き始める。

 

『タイガスパークだ。かつて友と一緒に作った絆を繋ぐアイテムだ。私もかつて地球人と共に絆を高め合い強大な悪に立ち向かった。』

『地球人と・・・?俺にはそんな絆など必要ありません‼︎』

 

タイガは自身には必要ないものだと返した。その声を聞いたタロウはタイガの顔を見て力説した。

 

『タイガ‼︎広い宇宙をその目で見てこい‼︎強さとはなにか・・・仲間とはなにか・・・そしてお前が真の絆を見つけた時、大いなる力が発揮されるだろう‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は変わって現在、タイガはトレギアによってその心を闇に染められてしまった。トレギアはタイガの頬を撫でて悪魔の囁きを放つ。

 

『いい子だ・・・。』

『うう・・・!』

 

しかし、タイガの心はどうやらまだ完全に闇に染まった訳ではなく僅かに抵抗する力が残っていたようだ。タイガはかつて父であるタロウからタイガスパークを授かった時のことを思い出しながらトレギアを押し返した。

 

『どうだい・・・闇は気持ちいいだろう・・・。』

『トレギア・・・‼︎』

『おやぁ・・・あ〜らら、温室育ちはこれだから・・・。』

 

それを見ていたヒロキはタイガを助けるためにタイタスとフーマに呼びかける。しかし、2人からの返事は返ってくる事は無かった。

 

「タイガを助けないと‼︎タイタス‼︎・・・フーマ‼︎・・・どうしたんだよ、2人とも返事してくれよ‼︎」

 

それでも2人からの返事は返ってこない。そんな中、トレギアはタイガの体を軽く押す。するとタイガの体は大きくよろめいて近くのビルに向かって倒れた。ビルを破壊しながらタイガはそのまま座り込む。

 

『まぁいい・・・次に太陽が昇る頃には新しいタイガの誕生する・・・。』

 

そう言ってトレギアは消えていった。ヒロキはその様子を見上げていた。すると後ろに霧崎が何処からともなくヒロキの後ろに現れる。どうやら一瞬で人間の姿に擬態したようだ。ヒロキは思わず振り向くも霧崎はヒロキの右腕を掴んで匂いを嗅ぐ仕草を見せる。

 

「僅かに光の匂いがする・・・・。」

「はっ・・・?何言って・・・ぐっ⁉︎」

 

その時、ヒロキの頭に大きな痛みが走る。その痛みは激しくなっていき、やがてヒロキは意識を失ってしまう。ヒロキは薄れていく意識の中で霧崎がほくそ笑む姿を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとヒロキは黒いオーラの中にいた。辺りを見渡すヒロキは自身の腰を見ると全てのウルトラアクセサリーが消えている事に気付く。

 

「なっ⁉︎」

 

辺りを見回してウルトラアクセサリーを探すヒロキは後ろに気配を感じた。ヒロキが振り向いた先には闇のオーラに包まれたタイガがいた。

 

「タイガ⁉︎」

『ここは最高だ‼︎力が体中に満ち溢れてくるぜ‼︎』

「こんなところにいちゃ駄目だ!一緒に帰ろう‼︎」

『煩ぇ、地球人‼︎誰だ、お前は⁉︎俺の邪魔をするな‼︎』

 

ヒロキはタイガに呼び掛けるがタイガは黒いオーラを放ってヒロキを阻んだ。自身の事を忘れているタイガにヒロキは必死に説得の言葉を放つ。

 

「どうしちゃったんだよ・・・僕だ‼︎白鳥ヒロキだよ‼︎これまで一緒に戦ってきただろ‼︎」

『白鳥・・・ヒロキ・・・知らねぇな‼︎俺の中から出て行け‼︎』

 

タイガはヒロキの言葉に耳を貸さずにヒロキを阻んだ。そこにトレギアがタイガの後ろに回り込んでくる。

 

『いやぁ・・・絆って美しくてはかないものだねぇ・・・反吐が出る‼︎』

「トレギア‼︎お前、タイガをどうするつもりだ‼︎」

『おやぁ・・・絆なんて大層な事を言っておきながら他の仲間はどうしたのかなぁ・・・・見捨てられちゃったのかい・・・。』

 

トレギアはヒロキの周りにタイタスとフーマがいない事をいい事にタイガに再び悪魔の囁きを呟く。その声を聞いたタイガは思わず力無く呟いた。

 

『俺は・・・見捨てられた・・・‼︎』

「‼︎・・・違う‼︎そんな事は無い‼︎タイタスとフーマがそんな事する筈が無い‼︎」

『けど・・・2人の姿が見えないのはなんでなのかなぁ・・・・。』

「それは・・・お前が何かしたんだろ‼︎そうでなければ」

 

ヒロキの言葉を無視してタイガに悪魔の囁きを呟き続けるトレギア。奴は更にとんでもない言葉を言い放つ。

 

『安っぽい仲間ごっこは終わりだ・・・!折角父親を超える力を手にしたんだ・・・。私と一緒に光の国に戻ろう・・・そして父親を超える力を見せつけてやるんだ・・・。』

「光の国に⁉︎そいつの言葉に耳を貸したら駄目だ‼︎後戻り出来なくなるぞ‼︎」

『折角手に入れた力を手放すかそれはお前次第だ・・・・タロウの息子よ・・・・いや・・・ウルトラマンタイガ・・・・・。フハハハハハハハ‼︎』

 

トレギアは姿を消した後、タイガの体から溢れる闇のオーラが強くなる。そしてそのオーラはヒロキを突き飛ばした。

 

『俺は父親を・・・タロウを超える‼︎』

「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSではヒロキをクララ達が見守っていた。ヒロキの側にクララが駆け寄るもヒロキに反応はない。

 

「ヒロキさん、目覚めないね・・・。」

「ハイ・・・・。」

「ヒロヒロの脳波がだんだん弱くなっています・・・・このまま目を覚まさないとヒロヒロは・・・。」

「そんなの嫌デス‼︎ヒロキが2度と目を覚まさないなんテ‼︎」

 

クララがトモミの言葉を否定した時、ヒロキは目を覚ました。しかし、彼は目を覚ました途端、暴れ出した。その事に皆が驚くもアキが怪獣娘に変身してヒロキを抑えつける。

 

「ソウルライド、『アギラ』‼︎」

「ゔああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「ヒロキさん、どうしたの⁉︎」

「ゔあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

アギラがヒロキを傷付けないように手加減してヒロキを抑えるもヒロキの力はアギラの思った以上に強くて振り解かれそうになる。そんなヒロキを前から抑えつけようとミカヅキもソウルライザーを構える。そんな中、ヒロキの前に立ちはだかったのは意外な人物だった。

 

「アギラ、ヒロキ少年をそのまま抑えつけたまま目を閉じるんだ‼︎」

「え⁉︎」

「いいから早くしろ‼︎」

 

その人物はブラック指令だった。アギラはヒロキを抑えつけたまま、ヒロキを抑えつける。アギラが目を閉じた事を確認したブラック指令は5円玉を吊り下げた振り子をヒロキの前にかざして揺らし始める。

 

「お前はだんだん眠くな〜る、お前はだんだん眠くな〜る・・・お前は・・・。」

「って・・・典型的な催眠術じゃん‼︎そんなんでヒロキさんを抑えられる訳ないよ‼︎」

「大丈夫です‼︎ブラックさんの催眠術は絶対です‼︎」

 

その様子に抗議したミクに反論したのはサツキだ。その横にはシルバーブルーメ、ノーバの2人もいる。2人もサツキの言葉に頷いていた。するとヒロキがだんだん目を閉じ始める。アギラもヒロキの抵抗する力を感じなくなった事を不思議に思い目を開ける。するとヒロキは完全に意識を失って眠りについていた。

 

「嘘・・・効いちゃったよ・・・。」

「相当、強力な催眠術が使えるようね・・・。」

「それにしてもまたお前らに助けられるとは思わなかったぜ・・・しかも2度もな・・・。」

「ヒロキの姿が見えないから皆で探しに行こうと思ったら・・・・まさかアナタ達がヒロキを背負ってきまシタから・・・本当に驚きマシタ・・・。」

「私達はヒロキに2度救われた。一度はシルバーブルーメをアストロモンスの溶解液から・・・2度目はチブル星人のアジトから逃げるのに手を貸してくれた。その借りを返したかっただけだ。」

 

実は意識を失ったヒロキをGIRLSまで連れて来たのはブラック指令達である。彼女達は逃げる途中で倒れているヒロキを発見した。そこでヒロキにシルバーブルーメを助けてもらった時の恩とマブゼのアジトでの借りを返そうとブラック指令がヒロキを背負ってGIRLSまで足を踏み入れたのである。以前、ここに侵入してきた事を警戒していたもののヒロキを背負ってきた彼女達に感謝したクララ達は今の事態がかなりの緊急事態である事から彼女達もGIRLS東京支部に入れていたのである。

 

「でも・・・貴方達のお陰で助かった・・・ありがとう。」

「Zzzzzz・・・・。」

「寝てるし‼︎」

「あの・・・ブラックさんの催眠術は自分にもかかっちゃうんです・・・。」

「おいおい・・・自分まで催眠術に引っかかってどうすんだよ・・・・。」

「それじゃあ私達はここで失礼しますね・・・。シルバーさん、ノーバさん、ブラックさんを連れて行きましょうか。」

「そうだね・・・。」

 

シルバーブルーメとノーバはサツキに連れられて部屋を出ると何処か行ってしまった。

 

「それにしても・・・ヒロキさんの身に一体何が・・・⁉︎」

「分かりません・・・・・けど、かなりの異常事態が発生しているのは間違いありません‼︎何とかヒロヒロを正気に戻さないと‼︎」

「うう・・・・タイガ・・・・絶対に助けるぞ・・・!僕が・・・君を・・・ぐううう・・・・助ける・・・から・・・‼︎」

 

その時、ヒロキは呻きながらタイガの名を呟く。ヒロキの口から出た言葉を聞いて驚いた顔でヒロキを見つめるクララ達。その後もヒロキの口からは彼女達にとって信じられない言葉が聞こえてくる。

 

「タイタス・・・・・フーマ・・・・・何処に・・・・これまで僕達は・・・一緒に・・・・・戦ってきた・・・・だろ・・・タイガを助けないと・・・・‼︎」

「えっ⁉︎・・・・・どういう事・・・・?ヒロキさんがタイガと共に戦ってきた?」

「ちょっと‼︎ヒロ、何を言ってるの⁉︎」

「タイガ・・・・僕達の絆・・・・は・・・・こんな事で・・・・・・途切れ・・・るなんて・・・無いだろ・・・・!」

「ねぇ・・・・もしかしてなんだけど・・・・ヒロちゃんがウルトラマンだったんじゃ⁉︎」

『⁉︎』

 

ヒロキの言葉を聞いて憶測したミカヅキの言葉にクララ達が目を見開いて驚いた。目の前で呻いている少年が今までウルトラマンとして怪獣と戦いを繰り広げてきたという事が信じられなかったのだ。しかし、そこにゼットンが現れて決定的な一言を放つ。

 

「・・・・・皆も・・・知ってしまったのね・・・・。」

「ゼットンさん、それどういう事ですか⁉︎・・・・・じゃあヒロキさんは・・・・本当に・・・・・。」

「ええ・・・彼こそがウルトラマン・・・。今まで3人のウルトラマン・・・・タイガ、タイタス、フーマの3人と力を合わせて怪獣と戦ってきたわ・・・・・皆を守るために。」

「そんな・・・・そんな事、信じられる訳‼︎」

「ガッツ、よく思い出して・・・・ウルトラマンが現れた時、貴方はヒロキの姿を見た?」

 

ゼットンの言葉にミコは沈黙してしまう。魔王獣コンビ、ミカヅキ、ベニオ、アキ、ミサオがゼットンの言葉を聞いて今までの怪獣とタイガ達の戦いを思い出していた。

 

「そういえば・・・・確かにウルトラマンが現れた時はヒロキさんの姿が見えなかった‼︎」

「舞子ちゃんの時もマジャッパがウルトラマンと戦っていた時、ヒロキさん、姿が見えなくなってました‼︎」

「なぁ・・・ゴモラ、九頭竜村でウルトラマンがババルウ星人と戦った時、ヒロキの奴いつの間にか姿を消していたよな⁉︎」

「そういえば確かに姿が見えなくなってた‼︎もしかしてあの時も‼︎」

「それだけじゃないよ‼︎あのキングゲスラにキングジョーさんとヒロキさんが仕込んだ芸をタイガが知ってたのも理由がつくし、ヒロキさんがGIRLSに入る前から怪獣が現れる現場に来ていたのも納得がいくよ‼︎」

「まだ現れたばかりで名前も知らなかったタイタスとフーマの名前をヒロキが知ってたのも・・・・全部ヒロキがウルトラマンだったからなんだな・・・・。」

「タイガ・・・・タイガ・・・・助ける・・・・助けるからな・・・待っててくれ・・・・相棒・・・・・。」

 

ゼットンは目の前のヒロキを見ながら憶測を交えて話し始めた。

 

「恐らく・・・・タイガの心が闇に染められてしまった事で・・・ヒロキの心にも影響が出てるんだと思う・・・・シャドウミストを超える闇の力に・・・・・タイガの心が飲まれたから・・・・その影響で・・・・ヒロキの心も闇に・・・・。」

 

ゼットンの言葉を聞いたクララはヒロキの右手を両手で優しく握った。そして彼女はヒロキに呼びかけ始めた。

 

「ヒロキ‼︎目を覚まして下サイ‼︎アナタのお陰でワタシは自分自身を取り戻すことが出来まシタ‼︎今度はワタシがアナタを助けマス‼︎ヒロキ、戻ってきて下サイ‼︎」

「ちょっとおジョー、落ち着きなよ!おジョー1人がそんな闇雲に叫んでもヒロの意識が戻る保障はないでしょ‼︎」

 

闇雲にヒロキに叫ぶクララをミコが呼び止めた。トモミ、アキ、ベニオがクララに落ち着くように言い聞かせる。

 

「キンキン。ここにいるメンバーはヒロヒロの事を待っています。私達もキンキンと同じなんですよ。」

「キングジョーさん、ボク達を頼って下さい。ボク達は仲間じゃないですか。」

「俺達だってこいつに何度も助けられてきたんだ。今度は俺達の手でこいつの目を覚まさせないとな。」

 

3人の言葉を聞いたクララはその場にいる皆の顔を見渡すと心を落ち着かせる。そして皆に呼び掛けた。

 

「・・・皆、ヒロキを連れ戻す為に力を貸して下サイ‼︎」

「勿論ですよ‼︎わたし達だってノワール星人に改造されそうになったところをヒロキさんに助けてもらったんですから‼︎」

「今度はわたし達がヒロキさんを助けないと‼︎」

 

クララの声を聞いてヒロキに好意を抱くヨウとユカが1番に答えを返した。他の皆も2人の声に頷く。

 

「皆さん、何とかしてヒロヒロの意識に直接声を届けられればヒロヒロを目覚めさせられるかもしれません。どうにかしてヒロヒロに私達の声を・・・。」

「よく分からないがその少年に声を届けたいのなら私に任せろ‼︎」

 

トモミがヒロキの意識を取り戻すか考え始めるとそこに乱入する声があった。それはクララ達にとっても驚くべき人物だった。

 

「どうしてアナタ達が⁉︎」

「話は少しだけだが聞いた‼︎この少年の意識に直接声を届けたいならコレを使え‼︎」

 

そこに来たのは催眠術に掛かって眠った筈のブラック指令だった。ブラック指令はその後ろにシルバーブルーメ達を控えると懐から何かを取り出した。それは丸い水晶玉だった。




原作でヒロユキの呻き声次第ではここで正体がバレてた可能性もあると思ってこの話を書きました。

多分、原作でも社長辺りにはこの辺でバレてたかもしれませんが・・・・。


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我らは一つ(中編)

今回、ブラック指令の設定にオリジナル設定を加えました。
それが許せる人はどうぞ‼︎

最凶獣『ヘルベロス』登場
悪魔魔獣『ナイトファング』登場


「タイガ、僕と一緒に来るんだ‼︎僕達は相棒だ‼︎ずっと一緒に戦ってきた相棒なんだよ‼︎」

『知らねぇつってんだろ‼︎俺にはお前みたいな地球人の相棒なんかいねぇよ‼︎強さこそ全てだ‼︎弱い者など必要ない‼︎』

「タイガ‼︎僕の声を聞いてくれ‼︎・・・・・駄目か・・・・僕1人じゃタイガを救えないのか・・・・。」

 

ヒロキはその後もタイガに説得を続けていた。しかし、タイガはヒロキの言葉をどうしても阻む。ヒロキは何度も説得を続けるがタイガに自分の声を聞いてもらえない事で弱音を吐いてしまう。すると闇の中で一筋の光が差し込んできた。ヒロキは思わずその光の方を見る。すると光の中から自身を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「ヒロキ・・・ヒロキ・・・・ヒロキ‼︎」

 

そして光が晴れるとヒロキはGIRLSの広間にいた。そこにはクララがいた。ヒロキは今まで聞こえなかったクララの声が聞こえた事に動揺を隠せない。

 

「クララちゃん⁉︎どうして?」

「ブラック指令の水晶の力でアナタの心に話しかけているんデス‼︎」

 

 

 

 

 

 

時を少し遡ってブラック指令は懐から丸い水晶玉を取り出した。サツキはそれを見て疑問を挙げる。

 

「ブラックさん、その水晶玉は一体・・・?」

「コイツを使えば私は様々な超能力が使えるんだ。その中には人の精神に直接干渉する事も可能だ。」

「本当デスカ⁉︎」

「ああ、だがコレを使うと私自身もかなり体力を消耗する上、長時間怪獣娘に変身できなくなる。だから滅多な事以外では使わないんだ。」

「でも・・・コイツを使えばヒロキさんの心にわたし達の声を届けられるんだな‼︎」

 

ブラック指令の言葉を聞いて希望が見えてきたと感じたヨウの横でベニオが疑問を口にする。リスクを冒してまでヒロキを助けようとする理由を知りたかったのだ。

 

「なぁ、何でお前らまでヒロキを助けようとするんだ?コイツは俺達GIRLSの一員だしお前らから見たら敵だろ?」

「さっきも言っただろ。この少年はシルバーブルーメの命を救ってくれた。それにチブル星人に捕まった我々を助けようとしてくれた。彼に直接礼を言わなければな。コレを使うには十分すぎる理由だ。」

 

ブラック指令はヒロキを一度見ると再び手の中の水晶玉に目を向ける。ブラック指令の真面目な表情にクララも覚悟を決めたのか立ち上がってその場の皆に呼び掛ける。

 

「ただ・・・全員の声は無理だ。恐らくだが1人の精神を送るので精一杯だろう・・・誰が行く?」

「ワタシが行きマス!ワタシがヒロキの精神に直接声を届けマス‼︎」

 

クララの言葉にその場にいた全員が顔を見合わせる。そしてその場にいた皆の声を代表してアキ、トモミ、ヨウ、ユカの4人がそれぞれの思いを伝える。

 

「そういえば・・・ヒロキさんはキングジョーさんの幼馴染でしたよね・・・。」

「この役目は・・・確かにキンキンが適任でしょうね・・・。キンキン、お願いします‼︎わたし達の思いをヒロキさんに届けて下さい‼︎」

「「わたし達の思いも託します‼︎」」

「アギラちゃん、ピグモンちゃん、バッサーちゃん、ジャッパちゃん、任せて下サイ‼︎」

「準備は出来たか⁉︎行くぞ‼︎」

 

ブラック指令の言葉で水晶玉が光り始める。クララは目を瞑ってヒロキの精神に思いを込める。そして今、ヒロキの精神に直接声を掛ける事に成功した訳だ。

 

「あの人が僕の為に・・・・。」

「ヒロキ、ワタシ達はアナタを迎えに来ました。一緒に帰りまショウ。」

 

クララが差し伸べた手にヒロキは自分の手を見る。そして自分の手をクララ達に伸ばそうとした。しかし、ヒロキは後ろから嫌な気配を感じて思わず後ろを振り向いた。すると後ろから闇のオーラがヒロキを飲み込もうと追いかけてきた。ヒロキはそれを確認してクララにここから出るよう言い放つ。

 

「ヒロキ・・・大丈夫デス。アナタは強い心を、誰かを助けたいという強い思いを持っているじゃないデスカ‼︎その心があったからワタシも助かったんデス‼︎ヒロキ、アナタは1人ではありまセン‼︎ワタシが・・・皆がイマス‼︎皆がアナタの帰りを待ってイマス‼︎ワタシと一緒に帰りまショウ‼︎」

 

不安げな表情を浮かべるヒロキにクララが笑顔を浮かべてヒロキに手を差し伸べる。ヒロキはクララの手を眺めた後、自分の手を見る。

 

「ヒロキ、アナタは1人じゃありまセン・・・。ワタシ達がイマス。だからこの手を掴んで下サイ。」

 

クララの声と同時にヒロキの後ろでタイタスキーホルダーとフーマキーホルダーが何処からともなく現れてタイタスとフーマの姿になった。2人は闇のオーラを必死に抑える。

 

『漸く私達の声が聞こえるようになったようだな‼︎』

「タイタス!フーマ‼︎やっぱり・・・2人とも来てくれたんだね‼︎」

『当たり前だろ!トレギアのやつのせいで時間が掛かっちまったがな‼︎」

『ヒロキ、君は1人じゃない!私達もついている‼︎』

『そういうこった!タイガを救うんだろ‼︎』

 

後ろで闇のオーラを抑えつけている2人を一度見た後、再びクララ達の方を振り向いた。自分に手を差し伸べるクララを見てヒロキは意を決した表情を見せ、クララの手を掴む。その時、ヒロキの右腕にタイガスパークが具現化した。そして左腕には見た事のないウルトラブレスレットが出現する。そしてブレスレットの出現と同時にヒロキの中に声が聞こえてきた。

 

『ヒ・・・・ロ・・・・キ・・・・・!』

 

その声は闇に堕ちた筈のタイガの声だった。タイガの声を聞いたヒロキは力強くクララの手を握りしめる。クララも同じく離さないとばかりにヒロキの手を握りしめた。そして辺りが光に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

「・・・・クララちゃん!」

「ヒロキ・・・良かった・・・目を覚ましたのデスネ!」

 

ヒロキは目覚めると右手を握りしめるクララの姿が目に映った。ヒロキはクララに手を引かれて起き上がると周りを見渡した。そこには安堵な表情を浮かべる皆がいた。

 

「ったく・・・心配かけさせやがって‼︎」

「本当だよ、もう‼︎二度と目を覚まさないと思ったんだから‼︎」

「レッドキングさん・・・ゴモたんさん・・・。」

「おジョーに感謝しなよ。おジョーが1番ヒロの事を助けようとしてたんだからさ。」

 

ミコの言葉にヒロキはクララに顔を合わせた。そして伝えるべき言葉を伝える。するとクララはヒロキに抱き付いた。

 

「クララちゃん、ありが」

「お礼なんていいデス・・・アナタが戻ってきてくれた・・・・だけで・・・・それだけで充分デス。」

 

クララはヒロキの胸に顔を埋めてヒロキの体温を感じるとヒロキに顔を向ける。ヒロキもクララの顔を見て数秒間、お互いの顔を見つめていた。そこに咳払いしながら黒いジャケットを着た女性が入ってきた。彼女はブラック指令の人間としての姿だ。その横には顔を赤らめたシルバーブルーメもいる。

 

「あー、お取り込み中失礼する・・・。」

「えっと・・・貴方は?」

「あー、今は変身が解除されたから分からないか・・・ブラック指令だ。シルバーブルーメを助けてくれた事、チブル星人の工場から我々を助けるため力を貸してくれた事、感謝している。本当にありがとう。」

「ひ、ヒロキちゃんだっけ・・・ありがとね・・・この前は助けてくれて。」

「もしかしてそのためにわざわざGIRLSに?義理堅いところありますね。」

「このまま助けられて何もお礼を言えないのは跡見が悪いからな。・・・では我々は失礼する‼︎行くぞ‼︎」

「それじゃあ・・・またね。」

「・・・この前は助かった・・・。ありがとう。」

「ひ、ヒロキさん、この前はありがとうございました‼︎」

 

ブラック指令とシルバーブルーメはそう言ってその場から去っていった。その後にノーバやサツキもヒロキにお礼の言葉を述べてその場を去っていく。彼女達が完全に去った事を確認するとトモミがモニターに映像を写す。

そこには壊れかけのビルにもたれかかって動かないタイガが写っていた。ヒロキは思わずそれを見て目を見開いた。その時、トモミはヒロキにとって思わぬ言葉を放つ。

 

「ヒロヒロ、ヒロヒロには助けたい人がいるんですよね。そしてそれは目の前のウルトラマンさん・・・違いますか?」

「⁉︎ピグモンさん、一体何を⁉︎」

「ヒロキさん、私達全員、ヒロキさんがタイガさん達ウルトラマンの名前を呻きながらうなされてたのを聞いてしまったんです・・・。」

「何故貴方の口から3人のウルトラマンの名前が出たのかゼットンが話してくれたわ。貴方がウルトラマンの正体だって。」

「どうして教えてくれなかったの!何も隠す事無かったのに‼︎」

 

レイカ、ラン、ミクの言葉にヒロキはもう隠し切れないと悟って頭を下げて白状する。ヒロキに続いてタイタスとフーマも白状した。

 

「はい、御免なさい・・・僕がウルトラマンです。今まで隠してて申し訳ありません‼︎全てが終わったらちゃんと話します‼︎だから、だから行かせて下さい‼︎タイガを助けたいんだ‼︎」

『怪獣娘のお嬢さん方、本当にすまない‼︎ヒロキに正体を隠すように言った私達にも責任がある‼︎だが‼︎』

『今はこんな事態だ‼︎せめてタイガを助けに行かせてくれ‼︎俺達からも頼む‼︎』

 

3人の言葉を聞いたトモミは頭を下げるヒロキの前に立った。その横ではクララが2人を見つめている。

 

「確かに大切な事を隠していたのは褒められるものではありません。ですからヒロヒロにはペナルティを出します。」

「はい・・・どんなペナルティですか?」

「・・・タイガさんを何が何でも助けてあげて下さい‼︎それがヒロヒロに与えるペナルティです‼︎」

「はい‼︎」

「それでは私達は避難者の避難誘導を手伝いましょう‼︎GIRLS、出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

 

 

 

「さてそろそろエンディングといこうか。」

 

そして陽が登る頃、霧崎はビルの屋上でポップコーンを摘みながら呟いた。するとタイガは呻き声を上げながら起き上がり、街を歩き始める。

 

『う"う"う"う"う"う"う"‼︎』

 

ヒロキはタイガをビルの屋上から見ながら左腕に視線を送る。横にはタイタスとフーマも並んでいる。

 

「このブレスレットからタイガの鼓動を感じるんだ。これを媒介にタイガに僕達の魂を繋げられるかもしれない!」

『アイツの頭の中にカチコミをかけんのか!面白そうじゃねぇか‼︎』

『危険な賭けだがそれでもやるか、ヒロキ?』

「ああ、僕は小さい頃、タイガに助けてもらった・・・今度は僕がタイガを助ける番だ‼︎」

 

そしてヒロキはタイガスパークを具現化する。するとタイタスとフーマに頼みごとをしていた。

 

「タイタス、フーマ、頼みがある。僕もトライスクワッドに加えてくれ‼︎」

『ヒロキ、お前どうしたんだよ‼︎』

「ずっと前から思ってたんだ。君達の会話を聞くたびに僕はトライスクワッドの一員じゃないのかなって・・・だから今・・・。」

『ヒロキ、私は君もトライスクワッドの一員だと思っていたぞ。』

「えっ、そうなの⁉︎」

『当然だ‼︎どんな敵にも怯まずに私達に体を貸してくれたじゃないか!私は君もトライスクワッドのメンバーだと思っている‼︎』

『とはいえ俺達・・・確かにヒロキの事、蔑ろにしてた部分があるかもしれねぇな・・・。ヒロキ、お前は俺達トライスクワッド4人目のメンバーだ‼︎』

『きっとタイガも君の事を認めてくれるだろう‼︎』

「2人とも・・・ありがとう‼︎それじゃあ行くよ、2人とも‼︎」

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いてフーマのウルトラアクセサリーを取り出した。

 

〈カモン!〉

 

「風の覇者、フーマ!!」

『はあああっ、ふん!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンフーマ!〉

 

風と共にフーマが街に降り立った。それを見た霧崎は懐から何かを取り出した。それはヘルベロスとナイトファングの怪獣リングだった。

 

「さぁ、スペシャルゲストの登場です。」

 

霧崎はタイガから回収した2つの怪獣リングを光らせる。そしてその指輪はヘルベロスとナイトファングを召喚した。

 

「グオオオオオォォォォォ‼︎」

「ギイイイイアアアアアア‼︎」

 

フーマは2体の怪獣に戦闘態勢をとる。ヘルベロスは背中を光らせて放つ光弾『ヘルヘッジサンダー』を、ナイトファングは悪夢を見せる音波『ナイトメアウェイブ』を放つ。フーマは目に見えぬ速さでそれを避けると回転して竜巻を起こす。その竜巻で怪獣を怯ませるとフーマはそのまま2体に向かっていく。

 

『タイガ、お前と初めて会った時はいけすかねぇ野郎だと思ってたけどよ・・・今じゃ俺とお前は一心同体・・・お前1人が欠けても駄目なんだ‼︎これまでもそしてこれからもいつも一緒だぜ‼︎』

 

フーマはヘルベロスに回転しながら手刀を放つ。そしてナイトファングの頭にも手刀を放った。後ろに振り向いてヘルベロスを迎え撃とうとするもナイトファングが後ろから触手で打ちのめされ、ヘルベロスの頭突きを受ける。

 

「グオオオオオォォォォォ‼︎」

「ギイイイイアアアアアア‼︎」

 

しかし、態勢を立て直すとヘルベロスの腹に蹴りを入れ、後ろから迫るナイトファングの触手が付いた腕を受け止め動きを止める。ヘルベロスが鋭利な刃を備えた尻尾を振るうとフーマはしゃがんでそれを避ける。ヘルベロスの尻尾の一撃は後ろのナイトファングを切り裂いた。そしてヘルベロスの頭を抑えつける。

ここでナイトファングが再びナイトメアウェイブを放つ。フーマは印を結んでその場から姿を消した。

 

『ニン‼︎』

 

そして煙の中からタイタスがヘルベロスの頭に拳による一撃を入れる。それを受けたヘルベロスはナイトファングにぶつかった。タイタスはそのままヘルベロスと自身に向かってきたナイトファングの頭を抑えつけて2体の体をぶつけ合う。

 

『君の無駄な熱さに呆れながらもその心に胸打たれた!タイガ、私達は信じている‼︎君はこんな闇に屈したりしないと‼︎思い出せ、私達の出会いを、私達の旅路を‼︎そして私達との誓いの言葉を‼︎』

 

タイタスはタックルを撃つ構えをとる。そしてタイタスのタックルがナイトファングに直撃した。ナイトファングが地面に倒れるとタイタスはヘルベロスに抑えられながらタイガに手を差し伸べる。

 

「光の国に攻め込むための第一歩だ。やれ、タロウの息子よ・・・。」

 

タイガはタイタスの手を払い除けるとタイタスの首を掴んで膝撃ちを入れる。

 

『目を覚ませ‼︎タイガ‼︎』

『ウウウ"ウ"ウ"ウ"ウ"ウ"‼︎』

 

タイガはそのままタイタスの腹に3発ほど拳を入れる。そして倒れたタイタスに蹴りを入れる。タイタスはそのまま地面に転がった。

 

『諦めんぞ、諦めて訳には‼︎私達は一つ‼︎』

『『(トライスクワッドだ‼︎)』』

 

タイガはスワローバレットを放った。しかし、タイタスはその光線を拳で弾き返した。

 

『後は任せたぞ、ヒロキ‼︎』

 

2体の怪獣がタイタスに迫る。しかし、タイタスはフーマに交代し、フーマは目に見えぬ速さで空に飛び上がった。そして変身を解除する。

 

『俺達の熱い思いをタイガにぶちかましてやれ‼︎』

「うおおおおおおおおおおおお、タイガぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ヒロキは腕を交差させてタイガスパークと新たなブレスレットを光らせてタイガのカラータイマーに突入した。

 

 

 

 

 

 

その頃、キングジョー、アギラ、ガッツ星人、ゴモラ、レッドキング、ピグモンはヒロキがタイガのカラータイマーに突入するところを目撃する。

 

「今、ヒロキさんがタイガのカラータイマーに‼︎」

「後はアイツらに任せるか・・・。」

「ううん、そうも言ってられないみたいだよ、見て‼︎」

 

ゴモラの声と共にヘルベロスとナイトファングが口から火球を吐いて街を破壊する。しかもその方向はまだ避難が済んでいない辺りだった。キングジョー、ゴモラ、レッドキングは急いでその現場に向かう。そして人々に降り注ごうとした瓦礫を砕いて市民を助ける。

 

「怪我はありませんか⁉︎」

「は、はい‼︎」

 

後ろからアギラ達がやってきてその場にいた市民を救助する。その間もヘルベロスとナイトファングの攻撃は止まらない。2体の怪獣は再び力を溜め始める。それはゴモラ、レッドキング、キングジョーの3人に向けられていた。

 

「ゴモたん、レッドキングさん、キングジョーさん、逃げてーーーつ‼︎」

「怪獣の攻撃が来ます‼︎」

「「「⁉︎」」」

「グオオオオオォォォォォ‼︎」

「ギイイイイアアアアアア‼︎」

 

アギラとピグモンの叫びも虚しく2体の怪獣は口から放つ火球と超音波を放つ。そしてそれが3人に直撃しようとした時、炎に包まれた光が降り立った。それは2体の怪獣の攻撃をかき消し、3人を守る。

 

「何だ・・・一体・・・。」

「ね・・・・ねぇ、炎の中に誰かいる‼︎」

「あ・・・アレは‼︎」

 

やがて炎が収まっていく。そして炎の中から現れたのは炎のように真っ赤な色の青いプロテクターを備えた一本の剣を持つ新たなウルトラマンタイガだった。




おジョーさんが漸くメインヒロインらしい事をしたと思います。
後半までメインヒロインらしい活躍をさせられないってどうなの・・・。(困惑)


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我らは一つ(後編)

今回はちょっと中途半端な時間になりました。

毒炎怪獣『セグメゲル』登場

サブタイを探せを入れ忘れていたので追加しました。後編の何処かに過去作のサブタイが入っています。


少し時を遡ってヒロキはタイガのカラータイマーに突入した。そしてタイガの精神世界の中でタイガを見つけた彼はタイガにそのまま向かっていく。

 

「タイガァァァァァァァァァァ‼︎」

『⁉︎・・・・ヒロキ・・・?』

 

ヒロキはタイガに向かっていった。そしてタイガの左頬を殴り付ける。タイガは殴られた衝撃で目の前のヒロキを認知した。ヒロキはタイガに向かって叫ぶ。

 

「君が求めていた力はこれか⁉︎闇の力なのか⁉︎そうじゃないだろ‼︎君が言ったんだ‼︎『誰かを思う心が俺たちの力になる』・・・そう言ったよな‼︎本当に力になるのは誰かを守りたいという強い思いだろ‼︎」

 

ヒロキはタイガの肩を掴んで必死に叫んだ。タイガはヒロキの叫びに耳を傾けている。

 

「君は1人じゃない‼︎僕が君で君が僕だ‼︎」

 

そしてヒロキの叫びがタイガに届き、タイガの精神世界を蝕んでいた闇のオーラが消え、周りが光に包まれていく。ヒロキの腰のホルダーにタイガキーホルダーが再び宿ったとき、タイガはヒロキに頭を下げて謝った。

 

『ヒロキ、すまなかった‼︎』

「タイガ?」

『俺はお前の事を完全に信用しきれていなかったんだ‼︎俺の父さんを慕っていた地球人の少年『白鳥健一』の孫であるお前に父さんと比べられるのが怖い・・・そんな思いから俺はお前に対して心を完全に開ききれなかった・・・お前はそんな事気にせず・・・俺の事をタイガとして見てくれてたのに・・・だから俺はトレギアに心を操られて・・・‼︎』

「タイガ・・・僕の方こそごめん‼︎僕は君とずっと一緒にいたのに君の心に気付いてやれなくて‼︎」

『ヒロキ・・・。』

「・・・タイガ、僕を・・・トライスクワッドに入れてくれないか?タイタスとフーマは僕の事を認めてくれた!だから‼︎」

『ああ、勿論だ‼︎お前は俺達・・・トライスクワッド4人目のメンバーだ‼︎』

 

タイガの声と共に光の中からタイタスとフーマがやってきた。4人は互いの顔を見合わせる。

 

『タイガ・・・君を待っていたぞ‼︎』

『タイタス!フーマ‼︎』

『ヒロキを加えた新たなトライスクワッドの誓いの言葉を言おうぜ‼︎』

『ああ‼︎』

『生まれた星は違っていても‼︎』

『共に進む道は同じ‼︎』

「永遠の絆と共に‼︎」

『我ら4人‼︎』

「『『『トライスクワッド‼︎』』』」

 

そして4人は互いの右腕を重ね合わせる。そして最後に1番上に左腕を重ねたヒロキはタイガスパークが装着された右腕を重ねて左腕に付けられた新たなブレスレットの力をタイガスパークに読み込んだ。

 

〈トライスクワッドレット、コネクトオン‼︎トライスクワッドミラクル‼︎〉

 

新たな『トライスクワッドレット』を読み込むとタイガスパークから一本の剣が出現する。それと共にタイガの右腕にタイガスパークが再び実体化し、カラータイマーの輝きも青に変わる。それを見た霧崎は目を見開いてセグメゲルリングを取り出し、セグメゲルを出現させる。

赤い炎を彷彿させるその剣『タイガトライブレード』を手に取るとヒロキはタイガトライブレードの柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

すると剣の刀の部分が光る。そして3人のウルトラマンがヒロキと一体になると彼らはタイガトライブレードを構えたまま、右手を天に掲げてグリップに備えられたトリガーを引いた。

すると一点から炎のように真っ赤な色に青いプロテクターを備えた新たなウルトラマンタイガがフーマ、タイタスと同じ構えをとって現れた。

 

 

 

 

 

 

 

そして現在、新たな姿となったタイガは怪獣娘達を怪獣の攻撃から守って現れた。その姿にレッドキングとゴモラは見惚れていた。

 

「す・・・凄え・・・。」

「ヒロちゃん・・・格好いい・・・。」

 

炎が収まるとタイガは後ろを振り向いて彼女達の無事を確認する。そしてヘルベロスとナイトファングの方に振り向くと剣を振り回して高らかに名乗る。

 

『俺はウルトラマンタイガ・・・トライストリウム‼︎』

 

その姿こそヒロキを加えたトライスクワッドの4人が一体化した新たな姿『ウルトラマンタイガ・トライストリウム』である。トライストリウムとなったタイガは怪獣が放ってきた火球と紫色の炎をタイガトライブレードで弾く。

タイガトライブレードを構えてまずはヘルベロスに向かっていく。そしてヘルベロスにタイガトライブレードを振り下ろした。そして次はナイトファングに向かっていった。ナイトファングをそのまま横に斬りつけると3度斬りつけた。そしてヒロキはタイガトライブレードのスイッチを1回押すとタイガの名を叫ぶ。

 

(タイガ‼︎)

 

ヒロキの隣にタイガトライブレードを構えたタイガのビジョンが現れる。そして彼らが共にタイガトライブレードの回転盤を回転させるとタイガトライブレードが赤く光った。タイガはそして剣の先端が赤く光った時、ヒロキはタイガトライブレードの持ち手に備えられたトリガーを引いてタイガの力を宿した必殺技を繰り出した。

 

『(タイガブラストアタック‼︎)』

 

タイガはタイガトライブレードの刀身を左手でなぞりながら炎を宿したタイガトライブレードと共に全身に炎を纏ってナイトファングに突撃した。ナイトファングは大爆発を起こした後、一筋の光となる。タイガはそれを確認した後、再びタイガトライブレードのスイッチを2回押してタイタスの名を叫ぶ。

 

(タイタス‼︎)

 

すると今度はタイガトライブレードを構えたタイタスのビジョンが現れる。再び共に回転盤を回転させてタイガトライブレードに黄色いオーラを纏うとトリガーを引いてタイタスの力を宿した必殺技を放つ。

 

『(タイタスバーニングハンマー‼︎)』

 

タイタスの力を宿した金色の光球がハンマー投げの要領で振り回された。それはヘルベロスを一撃で粉砕する。倒された跡地から再び一筋の光がタイガの手に渡った。

後ろに控えていたセグメゲルが背中を光らせて毒の炎『セゲルフレイム』を放とうとする。タイガはそれを感知すると後ろを振り向いた。そしてヒロキはタイガトライブレードのスイッチを3回押してタイガトライブレードを構えたフーマのビジョンと共に回転盤を回す。

 

(フーマ‼︎)

 

青いオーラを纏ったタイガトライブレードのトリガーを引くとフーマの力を宿した必殺技が放たれる。

 

『(風真烈火斬‼︎)』

 

逆手に持ったタイガトライブレードを構えると青い風が刀身に収束されていく。そして青い炎を纏ったリング状の切断光線がセゲルフレイムごとセグメゲルを切り裂いた。そしてセグメゲルは真っ二つになって大爆発する。そして再びその跡地から一筋の光がタイガの手に渡った。

 

「凄い・・・ヘルベロスもセグメゲルもナイトファングも手強かったのに・・・。」

「あっという間に3体の怪獣をやっつけちゃったよ・・・。」

 

アギラとゴモラはタイガ・トライストリウムの強さに驚きを隠せない。一方で霧崎は怒りを露わにしてトレギアアイを開いて顔に翳す。

 

『トレギア‼︎』

 

そして本来の姿に戻ったトレギアはタイガにクロスチョップを放とうとするも受け止められてしまう。今度は発勁を打とうとするもそれをタイガは簡単に拳で受け止めた。

 

『今のお前では俺達の絆には勝てない‼︎』

『まだ絆を語るのか‼︎反吐が出る‼︎』

 

普段と違いトレギアは明らかに感情的になっている。トレギアは手刀を打つもタイガトライブレードに阻まれ、怒りを込めた蹴りも避けられる。タイガトライブレードによる斬撃を避けるも回し蹴りを受けて後ろに後退したトレギアは怒りを込めて激昂する。

 

『この弱者が‼︎貴様らが宇宙の番人だと誰が決めたぁ‼︎』

『お前は負けるんだ‼︎俺達の‼︎』

『『『(光に‼︎)』』』

『何が光だ‼︎貴様らに私の何が分かるというのだ‼︎』

(分からないさ。)

『何だと⁉︎』

 

ヒロキは夢を通してタイガ達の記憶を思い出す。そこではタロウに対して明らかに感情的になったトレギアの姿があった。

 

『闇に堕ちた者を光の国に近付ける訳にはいかない‼︎』

『フン、宇宙の番人を気取るな‼︎光が正義だと誰が決めた‼︎』

 

ヒロキはタロウとトレギアの戦いを思い出しながら言葉を述べる。

 

(何故お前がタロウさんに対してあんなに感情的になっていたのか・・・何故光や絆を否定するようになったのか・・・何故タイガをそこまでして闇に堕とそうとしたのか僕達には分からない・・・。けど、これだけは絶対に言える!お前のやってきた事は絶対に間違ってる‼︎だから僕達はお前を倒す‼︎何故なら僕らは全員でウルトラマンだから‼︎)

『黙れぇぇぇ‼︎地球人如きがぁぁぁ‼︎』

 

トレギアはかつて自身の尊敬する行方不明になった上司の行き先を辿ってそこで起こった事を思い出す。死の星となった惑星で尊敬する上司は鎧を纏って自身に斬りかかってきた。

 

『邪魔をするのなら・・・お前とて斬る‼︎』

『闇と戦うんじゃないんですか⁉︎』

『かつての私は死んだ‼︎今の私は復讐に燃える鬼だ‼︎』

 

かつての記憶を思い出してトレギアは手に力を溜め始める。ヒロキもタイガトライブレードのスイッチを4回押して回転盤を回す。

 

(トライスクワッド‼︎)

 

タイガ達がタイガトライブレードを構えるビジョンと共に虹色のオーラに包まれたタイガトライブレードのトリガーを引く。すると青、黄、赤と光るタイガトライブレードを3回振る。

 

『『『(トライストリウムバーストォォォ‼︎)』』』

 

そして剣先にエネルギーを溜めてから3色に燃え盛る強力な必殺光線が放たれる。それはトレギアが放った光線を掻き消してトレギアに命中した。

 

『貴様らに分かるものか‼︎私の絶望などぉぉぉ‼︎』

 

トレギアは叫びながら大爆発を起こした。それを見ていた怪獣娘達と市民は喜びの声を上げていた。

 

「やったぁぁ‼︎」

「よっしゃああああぁぁぁぁ‼︎」

「アギちゃん、見た?見た?」

「うん、見たよ‼︎」

「ウルトラマンが勝ったぁぁぁぁぁ‼︎」

「やっとあの仮面のウルトラマンを倒せたんだね‼︎」

「チビスケちゃん、見てくれまシタカ?ヒロキ達が勝ちまシタヨ。」

 

タイガはそのままトレギアがいた場所を見つめながら立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLSの屋上ではヒロキの横にタイガが立っていた。横で呟くタイガにヒロキは横にいる相棒に話しかける。

 

『この瞬間が絆なんだな・・・。』

「あのさ・・・2度と闇に染まらないでくれよ。助けるの結構大変だったんだからさ・・・相棒。」

『相棒か・・・いい響きだな!』

『私達も相棒なのか?』

『俺もか?』

 

ヒロキが左横を見るとタイタスとフーマがいた。ヒロキは彼らにも返事を返す。

 

「勿論だよ、これからもよろしくな。相棒。」

「ヒロキーっ‼︎」

 

後ろから自身を呼ぶ声が聞こえたヒロキは後ろを振り返る。するとクララ達が駆けつけてきた。ヒロキはタイガ達と共に彼女達に駆け寄る。

 

「皆‼︎ただいま‼︎」

「おかえりなさい、ヒロヒロ‼︎」

「よく頑張ったな、お前‼︎」

「本当に凄かったよー‼︎」

「お疲れ、ヒロキさん。」

 

怪獣娘達が労りの言葉を掛けているとクララがヒロキに向き合った。ヒロキは真っ直ぐ自身の顔を見つめるクララに疑問を投げる。

 

「クララちゃん?どうしたの?」

「ヒロキ・・・アナタは今までウルトラマンである事を隠してきまシタ。仲間にこんな大事な事を隠していたのは褒められたものではありまセンヨ。」

「そ、それに関しては本当にごめん‼︎」

「今から罰を与えマース。ヒロキ、目を閉じて下サーイ。」

『お、おいおい、何もそこまでする事ないだろ‼︎』

『ヒロキは君達を守るために正体を隠していたんだ‼︎私達に免じて許してやってくれ‼︎』

『正体を黙っているよう言った俺らにも責任がある‼︎だから頼む、キングジョーの姉ちゃん‼︎』

「いいよ、3人とも。元はといえば僕が悪いんだし。」

「覚悟は出来まシタカ?」

 

ヒロキは頷いて覚悟を決め目を閉じると頬にくる衝撃に備える。しかし、頬に痛みは生じず、代わりに額に柔らかな感触を感じる。ヒロキは目を開けるとクララがおでこにキスしているのを見てしまう。

 

「ちょっ⁉︎キングジョーさん⁉︎」

「おジョー・・・皆が見てる前で・・・大胆だね・・・。」

「あ・・・・ああ・・・そんな・・・。」

「落ち着け、ジャッパ‼︎まだおでこにキスしただけだ‼︎」

「へっ⁉︎・・・クララちゃん⁉︎」

「今までワタシ達や皆を守るために戦ってくれたヒロキにそんな乱暴な事出来まセンヨ。だから、これで許してあげマス。」

「クララちゃん・・・。」

「そしてこれは今まで自分を犠牲にしてでもワタシ達を守るために戦ってくれたご褒美デース‼︎」

 

そう言ってクララはヒロキの右横に回り込むとヒロキの頬にキスをした。その場にいた怪獣娘全員が顔を更に赤くしている。

 

「キングジョーさん、大胆すぎ・・・ってししょー⁉︎」

「うっわぁ・・・なんかヒロキがキングジョーにキスされんの見るの嫌だあぁぁぁぁ・・・。」

 

ヒロキはクララに向き合うと顔を赤くしてキスされた頬を押さえながら話しかける。

 

「あ・・・あの・・・クララちゃん。」

「フフフ!ヒロキ、今までありがとうございマス‼︎けど・・・これからは大事な事はちゃんと皆に話して下サイネ。ワタシも含めここにいる皆はアナタの仲間なんデスカラ。」

「う、うん‼︎」

「そこにいるんですよね?3人のウルトラマンさん。」

 

ヒロキとクララのやりとりが終わるとトモミは3人のウルトラマンに話しかける。

 

『ああ、いるぜ‼︎』

「それでは改めまして・・・国際怪獣救助指導組織通称『GIRLS』にようこそ‼︎3人のウルトラマンさん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、霧崎は項垂れながらただ笑っていた。不気味な笑い声を響かせた後、ヒロキの名前を呼ぶ。

 

「フフ・・・ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ‼︎ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ‼︎白鳥・・・ヒロキぃ・・・!ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ‼︎」

 

辺りに霧崎の不気味な笑い声が響いていた。

 




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『アキの中学時代の同級生、御堂。彼の正体は宇宙人でヴィラン・ギルドに追われている彼をアキ達は護衛することになる。一方、ヒロキに霧崎が接触してきた‼︎お前の目的は何なんだ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


ガーディアンエンジェル


ヒロキ、コイツから離れろ‼︎』


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ガーディアンエンジェル(前編)

今回の怪獣はデマーガではありません。デマーガは地球の怪獣であるため怪獣娘の世界では出せないと判断しました。
その代わりとしてタイガの兄弟子が戦った怪獣を出すことにしました。

それと前編はメインヒロインとのデートを中心に書きました。ここに来て漸くメインヒロインとのデートを書くことが出来ました。
多分、今回の話はおジョーさんのファンである某闇の魔人のそっくりさんからしたら血涙だと思います。
それではどうぞ。


ある夜、1人の少年が逃げていた。彼を追っていたのは武装した男達だ。彼は何らかの理由でその男達から逃げ回っているらしい。少年は必死に逃げる。そして偶然にも隠れられそうな段差を見つけた。

 

「何処に行きやがった‼︎」

「慌てるな、こっちから足音が聞こえた。こっちに向かえ。」

 

男達は少年の足音を聞いて音が響いた方向を辿る。少年は覚悟を決めるも男達は向かってくる。その時、男達の戸惑う声が聞こえた。

 

「な、なんだお前⁉︎」

「我々の邪魔を・・・ぐわあっ⁉︎」

『ぐあああああっ⁉︎』

 

少年は男達の悲鳴を聞いてその方向を見る。するとそこには自分を追っていた男達が倒れていた。彼らの中心に立っていたのは白と黒のブラウスを着た男『霧崎』が立っていた。霧崎はそのまま少年に向かって進んでくる。

 

「な、何だアンタ?来るな・・・来るな・・・来るなーーーーーっ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ヒロキはクララに手を取られて引っ張られながら歩いていた。

 

「ホラ、ヒロキ、もうすぐデスヨ。」

「ちょっ⁉︎あまり引っ張らないで‼︎」

 

ヒロキはテンションの高いクララに少し押されながらも彼女についていく。そして2人は大きな建物の前に辿り着いた。

 

「ここデスヨ、ヒロキ。」

「結構大きなショッピングモールだな。前に来たんだっけ?」

「そうデス!前にサイン会を開いたショッピングモール!また来たかったんデス‼︎」

 

2人は以前、クララがサイン会を開いた会場であるショッピングモールに遊びに来ていた。2人は共に今日がオフだった事で以前からクララが行きたがっていたショッピングモールに来たのである。

 

「ヒロキ、早く行きまショウ!ワタシ、前から来たかった店があるんデス‼︎」

「それって何処?」

「ええっと・・・確か・・・。」

 

2人がショッピングモールのマップを見ている中、それを監視する3人がいた。それはミカヅキとベニオだった。後ろにはサチコも控えている。

 

「アイツら・・・やっぱりデートかよ⁉︎」

「このデートでどこまで進むか・・・それを見極めないと!今後のわたしの計画のためにも!」

 

実はこの2人、先日の戦いでヒロキに惚れたのである。2人ははクララがヒロキにキスした瞬間を見て心がモヤモヤし始めていた。そこで2人ともカフェで話し合ってこの想いが恋だと気付き、2人は偶然にもショッピングモールでデートするという会話をサチコから聞いてここに辿り着いた訳である。因みにサチコは完全に巻き込まれである。

 

 

「恋のライバルがよりにもよってキングジョーかよ・・・俺に勝ち目なんてねぇじゃねぇか・・・。」

「レッドちゃん、諦めちゃ駄目だよ‼︎例え相手がキンちゃんでも僅かにでも勝てる可能性があるならそれに賭けないと‼︎わたし達だって動き出さないと何も始まらないよ‼︎」

「けどよ・・・キングジョーのあの胸見てみろよ・・・アレに勝てると思うか?」

 

ベニオはクララの胸に指差して発言した。現在の彼女の服装は私服でありボディラインが分かりやすいタンクトップとホットパンツをきている。今のクララを見て凹むベニオにサチコは苦言を申し立てた。

 

「し、ししょーだってそれなりにはおっぱい大きいじゃないですか⁉︎ししょーが小さかったらあたしは一体何なんですか⁉︎」

「悪い・・・・ザントリアス。」

「ちょっと2人とも‼︎女の子の魅力はおっぱいだけじゃないよ‼︎女の子の良さはおっぱいだけでは絶対に決まらないんだから胸の大きさじゃなくて自分にしか出来ない事で勝負しようよ!」

「ゴ・・・ゴモたん先輩はキングジョーさんのあのおっぱいを見ても諦めないんですか⁉︎あたしが2人の立場だったら多分ヒロキの事諦めちゃいそうですけど・・・。」

「駄目だよ、ザンちゃん!恋ってのは無限に可能性があるの‼︎例えおっぱいが大きいからってその人だけに振り向くなんて事は限らないんだよ‼︎そんなことで勝負を捨てたら勿体ないよ‼︎」

「ゴモラ・・・そうか・・・そうだよな‼︎俺も諦めてたまるか‼︎必ずヒロキのハートを掴んでやる‼︎」

「ししょー・・・ゴモたん先輩・・・2人とも移動し始めましたよ。追わなくていいんですか?」

 

サチコの声で2人はヒロキとクララが動き出したのを確認すると2人を追跡する。ヒロキとクララはアクセサリーショップに立ち寄った。2人は様々な形のアクセサリーを見ている。

 

「綺麗で様々な形のアクセサリーが一杯デス‼︎」

「特に欲しい物はあるの?」

「そうデスネ〜、やはりワタシは金色がいいデス!」

 

クララはアクセサリーを探していると星形のアクセサリーを見つけた。それは彼女に宿るカイジューソウルの怪獣と同じ金色だった。ヒロキはそれの値段を見ると財布の中身を確認する。

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございマス・・・!本当に買ってくれるなんて・・・嬉しいデス‼︎」

「この間、僕も助けられたしね。その時のお礼だよ。」

「フフッ!・・・あっ、ヒロキ、アレを‼︎」

 

ヒロキはクララの指差す先を見る。そこは帽子メインのショップだった。2人は顔を見合わせるとそこに向かっていく。そんな2人を見ている影はベニオ達だけではなかった。

 

「ジャッパ、ヒロキさんの様子は?」

「今のところ・・・キングジョーさんに特別な思いを抱いている様子は無しかな・・・でも油断は出来ないよ。」

「この間、ヒロキさんのおでことほっぺにチューされたからな。いつ唇を奪われるか分からないぜ。」

「うん・・・。」

 

ヨウとユカの魔王獣コンビもヒロキとクララのデートを見張っていた。彼女達はヒロキをデートに誘おうと考えている先にヒロキとクララが約束しているのを聞いてこのショッピングモールに張り込み2人を見つけたのである。

 

「クララちゃん、その帽子似合うよ‼︎」

「本当デスカ!Thank you、ヒロキ‼︎」

 

クララは自分が選んだ帽子をヒロキに似合うと褒めてもらって嬉しそうに笑顔を浮かべていた。ヒロキは自身も欲しいと思える帽子を探しているとヒロキにクララがキャップを被せてきた。それはタイガを思わせる銀と赤の色が上手く混ざったキャップだった。

 

「クララちゃん、この帽子は?」

「先程見つけまシタ。タイガに似た色だったのでヒロキに思わず被せちゃいマシタ。」

「へぇ・・・コレ、気に入ったかも。」

 

 

 

 

 

2人はお互い気に入った帽子を買って帽子の店を出る。次に2人が目にしたのはスポーツマシンのコーナーだった。クララがランニングマシーンに目を向ける中、ヒロキはダンベルなどをチラチラと眺めている。

 

「コレは・・・!最近発売された話題のフィットネスマシーンデス‼︎どうしまショウ・・・家に既に色々なスポーツマシンがあるのニ・・・。」

「クララちゃんの家、結構広かったと思うけどもう入らないっけ?」

「イエ・・・入る事は入りマスガ・・・。」

「別に今決めなくてもいいんじゃない?この辺りの商品は1日で選ぶ物じゃないよ。」

「そうデスネ。」

 

 

「ヒロキ、コッチデス‼︎コッチにも気になる店がありマスヨ‼︎」

「どんな店・・・・ってコレは・・・。」

 

スポーツマシンコーナーを出るとクララはあるショップに目がついてヒロキの手を取ってそのショップに向かっていく。ヒロキは店で何が売られているか確認するとクララの手を取って彼女を止める。

 

「クララちゃん、ここは止めよう‼︎」

「どうしてデスカ?」

「だってここ・・・ランジェリーショップじゃないか‼︎ここは流石に僕は入れないって‼︎」

 

2人を追跡していたベニオ達もクララの行動に驚きを隠せない。ベニオ、ユカは余りの展開に顔を真っ赤にしていた。

 

「おいおい、キングジョーの奴、男を連れてランジェリーショップに向かったぞ‼︎」

「キンちゃんってば大胆・・・。」

「ランジェリーショップ⁉︎マジか・・・キングジョーさんやるなぁ・・・。」

「バサちゃん、わたし・・・男の子の幼馴染がいても・・・恥ずかしくて・・・ランジェリーショップには連れて行けないよ・・・。バサちゃんは?」

「わたしも自信無いなぁ・・・。それが平然と出来るキングジョーさん、マジぱねぇ・・・。」

 

一方でクララはヒロキの腕を引っ張ってランジェリーショップに入ろうとする。ヒロキは力の限り抵抗して入るのを阻止しようとしていた。

 

「ホラ、ヒロキ‼︎早く入りマスヨ‼︎」

「無理だって‼︎ここは流石に高校生の2人きりの男女が入れる場所じゃないから‼︎」

「そんな事ありまセン‼︎怪獣娘の中には恋人をランジェリーショップに連れて行ってランジェリーを選んでもらった人がいますカラ‼︎ヒロキもワタシに似合うランジェリーを・・・。」

「いや・・・色々な理由で無理‼︎流石にマズいって‼︎」

 

クララはヒロキの腕を離すとヒロキに向かって笑いかける。そしてヒロキにとってとんでもない疑問が投げられた。

 

「ヒロキ・・・もしかしてワタシのHなランジェリー姿を想像してマシタ?」

「違う‼︎そんな事は無い‼︎」

「そうデスカ〜。ヒロキってば意外とHだったんデスネ〜。確かにワタシはおっぱいの大きさに自信ありますからそんな想像をしても」

「勝手に決めないで‼︎本当に違うから‼︎」

「ならば・・・ワタシの方で勝手に買っちゃいマスヨ〜。それでもいいのデスカ〜?」

「いいよ‼︎僕はここで待ってるから‼︎」

 

ヒロキの声を聞くとクララはランジェリーショップの奥に入っていった。ヒロキはその姿を見送って15分後、クララは物凄い笑顔で帰ってきた。ヒロキはその笑顔に少し嫌な予感を感じていた。

 

「フフフフフッ!いい買い物が出来まシタヨ‼︎最高デシタ〜‼︎」

「ああ・・・そう・・・。」

「ヒロキ、今度は水着売り場に行きまショウ‼︎」

「み、水着⁉︎」

「エエ、今度、GIRLSの慰安旅行先には温水プールのリゾート施設もありマス‼︎そのためにも今のうちに水着を買いたいのデス‼︎」

「ああ・・・そういえばピグモンさんが計画してたな・・・。・・・まぁ、水着くらいなら別にいいよ。」

「それじゃあ早速行きまショウ‼︎」

 

クララはヒロキの腕を掴むとそのまま水着売り場に連れて行った。ヒロキの横でクララはほくそ笑む。

 

(・・・フフフフ、ヒロキ、さっき一緒にランジェリー選ばなかった事が仇になりマシタネ・・・。さっき買ったランジェリー・・・ヒロキと一緒の部屋になったらアナタにお披露目してあげマスヨ・・・。コレでアナタも完全にワタシに堕ちてもらいマスカラネ。)」

 

 

 

 

その一方でヨウとユカもランジェリーショップに入っていった。2人もクララが先に何らかのランジェリーを買った事を推定すると自身に合うランジェリーを選び始めた。

 

「ジャッパ、コレにしよう‼︎わたしもジャッパもおっぱいの大きさはキングジョーさんに劣らないと思うし・・・ヒロキさんを堕とせるランジェリーを買おう‼︎」

「ふえぇぇぇ⁉︎恥ずかしいよぉ・・・。」

 

 

 

「水着売り場にも連れていくのかよ・・・。」

「ここまでキンちゃんを一人占出来た男の子なんてヒロちゃんくらいだろうなぁ・・・。」

「幼馴染とはいえあのキングジョーさんを独占とはヒロキって幸せ者ですよね・・・。」

 

ベニオ達は相変わらず2人を見張っていた。ヒロキ達は水着売り場に着くと早速クララの水着選びに付き合わされていた。クララは金色、黒、赤のビキニを手に取るとヒロキに蔓延の笑みを込めて尋ねる。

 

「どれが似合うと思いますか?ヒロキ。」

「えっ⁉︎僕が選ぶの⁉︎」

「勿論‼︎ヒロキがワタシに似合うと思うものを選んで下サイ‼︎」

 

ヒロキはクララの水着姿を想像しかけるもすぐに打ち消して目を閉じ、適当に指を刺した。その先には黒のビキニがあった。クララはヒロキに蔓延の笑みを浮かべてレジにその水着を持って行った。

 

「ありがとうございマス‼︎コレがいいんデスネ‼︎それでは買ってきマス‼︎」

(なんだろう・・・このやっちまった感は・・・。慰安旅行・・・僕・・・大丈夫かな・・・。)

 

 

 

 

その後、2人は広場のベンチに座るとソフトクリームを舐めながら楽しそうに話していた。その姿を見てベニオ達は複雑そうな顔をする。

 

「なんか・・・あの2人・・・幸せそうですね・・・。」

「やっぱ・・・俺達に勝てる要素なんか無いだろ・・・。俺みたいなガサツな女よりキングジョーの方が・・・。」

「レッドちゃん、レッドちゃんにもわたしにもキンちゃんにはないものがちゃんとあるんだからそれで勝負しようよ‼︎そうすればヒロちゃんだって‼︎」

 

ヒロキが食べてるチョコ味のソフトクリームを見てるとクララは思わずヒロキに声をかける。

 

「ヒロキ、一口いいデスカ?ワタシもチョコ味食べてみたくなりマシタ。」

「一口?いいけど」

 

間接キスになっちゃうよと言おうとした時、クララはヒロキのソフトクリームを一口かじる。思わずヒロキはクララがかじった部分を見つめていた。

 

(本当に間接キスしちゃった・・・・。)

「ヒロキもワタシの一口いいデスヨ。」

 

クララはヒロキにイチゴ味のソフトクリームを差し出した。ヒロキはクララのその言葉に戸惑うもクララの目を見て覚悟を決めてソフトクリームを一口かじる。そして2人がソフトクリームを食べ終えるとあるポスターが貼ってあるのを見た。

 

「『NISHINAブランドの商品、来月頭から発売予定』だって‼︎確かメフィラス星人の怪獣娘姉妹がやっている人気ブランドだよね?」

「ええ、どうやらこのショッピングモールでもNISHINAブランドの商品が出回るようデスネ。」

 

そしてポスターの奥にマネキンに着せられた新たなNISHINAブランドの商品を見て少し浮かない表情を浮かべるクララ。そんなクララの気持ちを察したのかヒロキは口を開く。

 

「クララちゃん、もう一度モデルやりたい?」

「⁉︎・・・・・それは・・・・。」

「僕もピグモンさんもクララちゃんがもう一度モデル活動が出来る様に掛け合ってるから‼︎だから」

 

『もう少しだけ待って』そんな言葉が聞こえる前に平和なショッピングモールで悲鳴が聞こえる。ヒロキとクララはその先に向かうと複数の見たこともない銃や武器で武装した集団にアギラと眼鏡をかけた少年が取り囲まれている現場に遭遇した。




いかがでしたか?メインヒロインとのデート、上手く書けていたでしょうか?

是非とも感想お待ちしております‼︎


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ガーディアンエンジェル(中編)

先週よりスピンオフを始めました。そっちの方もよろしくお願いします‼︎

無双鉄神『インペライザー』登場


何故、アギラと少年が武装した男達に追われていたのか、時は遡って3時間前、アキは親友であるミクとレイカ、そしてミコと共にGIRLS東京支部を後にして帰ろうとしている途中だった。

 

「ねぇ、途中で何か食べて帰らない?」

「いいね。じゃあさ、わたしがいつもいくカフェにでも行かない?」

「いいですね‼︎アギさんは?」

「行くよ。ボクも何か甘いものが食べたい気分だったから。」

 

アキの声でミコの行きつけのカフェに向かおうとした時、アキ達の前にリュックを背負った少年が走ってきた。少年はアキに駆け寄ると助けを求めて縋り付く。

 

「宮下‼︎助けてくれ‼︎追われてるんだ‼︎」

「えっ⁉︎誰・・・?」

「ちょっと‼︎いきなり何よ‼︎アギちゃんが困ってるでしょうが‼︎」

「もう俺の顔を忘れたのかよ‼︎俺達、同じ中学の同級生だろ‼︎」

 

アキはその少年の顔を見る。すると自身の中学時代のクラスメートの顔と目の前の少年が一致した。

 

「嘘・・・・もしかして御堂君⁉︎」

「そうだよ‼︎俺、追われてるんだ‼︎助けてくれ‼︎」

「追われてるって・・・一体何があったの⁉︎」

「あ、アギさん、こんなところで話すのもなんですし場所を変えませんか⁉︎」

 

 

 

 

その後、近くのハンバーガーチェーンに辿り着いたアキ達は目の前の少年『御堂』から詳しい話を聞こうとしていた。

 

「えっと・・・アギちゃんの知り合いなんだよね?」

「うん、中学の同級生の御堂君、クラスのムードメーカーでよくボクにも話しかけてくれたんだ。」

「さっき追われてるって言ってたけど?」

「そこから先は俺自身で話すよ。」

 

御堂はポテトフライを食べ終えると語り出した。

 

「実は俺・・・宇宙人なんだ。」

「へー・・・・って・・・えっ⁉︎」

「一応聞くけど・・・・・証拠とかある?いや・・・疑ってるわけじゃないけど突拍子もなさ過ぎてさ。」

「あるよ、ちょっと待って。」

 

御堂は先程拾った十円玉を取り出すとそれを手の中で握って念を入れる。すると十円玉が完全に潰れていた。それを見た4人は御堂の話を信じる事にした。

 

「成る程・・・御堂君が貴方が宇宙人である事は分かったよ。でも、追われてるってどういうこと?」

「ああ、俺、故郷に帰ろうと思ってるんだ。けど、最近活動しているヴィラン・ギルドの秘密を偶然にも知ってしまって・・・それで追われてるんだ。」

「成る程・・・それでアギさんに助けを求めたのですね。」

「そうなんだよ。今日迎えの宇宙船が来るんだけどこんな状態じゃ帰れない・・・だから中学の同級生で怪獣娘の宮下に助けて貰おうと思ったんだよ‼︎」

 

御堂の事情を一通り聞いたアキは考えた末、御堂を守ることを決意する。アキの声にミクも同意し、レイカとミコも頷く。

 

「・・・分かった!ボクが御堂君を守るよ‼︎」

「命を狙われてるなら放っておけないしね・・・あたし達も力を貸すよ!」

「宮下・・・皆・・・ありがとう‼︎」

「そこでどこに迎えが来るの?」

「それは・・・。」

 

 

 

 

 

そして彼女達が来たのがヒロキ達かいるショッピングモールである。御堂はここに迎えを呼んだのだ。余りにも人が多い場に迎えを呼んだ事に苦言を立てるアキ。

 

「ねぇ、何でこんな人の多い場所に迎えを呼んだの・・・?」

「いや、人混みの多い場所なら追手も来ないかなと思って・・・。」

「・・・兎に角ボクから離れないでよ。」

 

2人は並んで歩き、ミク達3人は後ろについて怪しい者がいないか見張っていた。やがて歩いていると2人の目の前で泣いている幼い少女がいた。御堂は少女に駆け寄って座り込むと少女に目線を合わせて優しく話しかける。

 

「どうしたの?お嬢ちゃん?」

「ママとはぐれちゃって・・・う・・・うわああああああん‼︎」

「泣かない泣かない。お兄さんとお姉さんが見つけてあげるからね。」

「御堂君・・・うん、ボク達も一緒に探してあげるよ。何処ではぐれたか覚えてる?」

「確か・・・野外広場・・・だったと思う・・・。」

 

2人は少女の手を引いて歩き出す。歩いて暫くしてショッピングモールの野外広場に着いた彼らはそこで誰かを探す女性を見つける。

 

「あっ、お母さん‼︎」

「探したのよ!何処に行ってたの?・・・・無事で良かった・・・。・・・2人ともありがとうございます‼︎本当に助かりました‼︎」

「気にしないで下さい。ボク達は当然の事をしただけですから。」

「ありがとう、お兄ちゃんにお姉ちゃん!」

 

2人の親子はアキ達に礼を言って手を振りながらその場を去る。御堂はそれを見て何処か思うような表情を浮かべる。

 

「・・・・俺も早く家族に会いたいな・・・。」

「それって・・・星に帰りたい理由?」

「ん?まぁ・・・そうだな・・・・。話すと長くなるんだけど・・・実は俺がまだ赤ん坊の頃、故郷は他の星と宇宙戦争をしていたんだ。」

「えっ⁉︎」

「その戦争は思ったよりも激しい戦争だったらしくて・・・故郷の大人達は何処かの星でまだ物心もない子供達をカプセルに入れて宇宙に飛ばしたんだ・・・何処かの星で幸せに暮らせますように・・・という願いを込めて。」

「そうだったんだ。」

「自分が宇宙人だと知ったのも最近さ。偶然にも地球にひっそりと暮らす宇宙人の中で医者をやってる人がいてさ・・・その人の検査を受けて俺はこの星の人間じゃないと知ったんだ。・・・俺の故郷は地球だと思っていただけに自分が宇宙人だと知らされた時は驚いたよ。」

「でも、どうして帰りたいの?他の星と戦争してるんでしょ。」

「その医者が本当の故郷で起こっていた戦争が漸く終わったと教えてくれたんだ。それでまだ見ぬ家族や同胞達に会いたい・・・話をしたいと思ったんだ。」

 

アキはその話を聞いて御堂のまだ見た事の無い故郷の思いをずっと黙って聞いていた。後ろでその会話を聞いていた3人の中でミクはずっと御堂の表情に目を向ける。その事に気付いたレイカがミクに話しかけた。

 

「どうしたんですか?ミクさん。」

「うん・・・何かさ・・・御堂君・・・他にアギちゃんに隠してる事あるんじゃないかって思って・・・。」

「どうして?」

「なんていうか・・・本当の事を言っているんだろうけどまだ何か隠してるような気がするんだよね〜。」

「言われてみれば確かにアギと話している時に時々顔を下に向けるよね。表情はよく見えないけど・・・。」

「あたし、少しチラッと見えたんだけど・・・なんか申し訳なさを感じているような表情だったよ。」

 

ミクの言葉を聞いたレイカは御堂を見る。するとミクの言葉通り御堂は時々、話の途中でアキに対して顔を下に向けていた。

 

「そうだったんだ・・・任せて!ボクが御堂君を守るから‼︎」

「・・・・ありがとな・・・宮下・・・。」

 

2人は話を終えるとその場を後にしようとする。その時、ビームが飛んできて御堂はアキの体を伏せさせた。

 

「危ない‼︎」

 

立ち上がったアキは後ろを見ると武装した男達が自分達を取り囲んでいる事に気付く。その姿を見てアキはソウルライザーを操作して怪獣娘に変身する。

 

「ソウルライド、『アギラ』‼︎」

 

変身したアギラは御堂を庇うように立つ。男達は銃やナックル状の武器やレーザーで出来たナイフなどを取り出してアギラ達を取り囲んだ。そこに騒ぎを聞き付けたヒロキとクララが駆け付ける。

 

「アギラさん!」

「大丈夫デスか⁉︎」

「ヒロキさん!キングジョーさんも‼︎どうしてここに⁉︎」

「偶々遊びに来てたんだ‼︎それよりこれはどういう事⁉︎」

「実は・・・・。」

 

アギラはヒロキ達に事情を話す。それを聞いたヒロキは男達に向かって戦闘態勢を構える。

 

「つまりこいつらヴィラン・ギルドか‼︎ここは僕達が引き受けるからアギラさんはその人を‼︎」

「で・・・でも・・・。」

「どりゃあああ‼︎」

「でやぁ‼︎」

 

そこに男達をパンチで殴り飛ばすミクラスの姿が見えた。ウインダムもレーザーショットで男達の武器を撃ち落とし、ガッツ星人も男達を蹴り飛ばした。続いて後ろからレッドキング達も合流する。

 

「レッドキングさん‼︎ゴモたんも‼︎」

「話はミクラス達から聞いた‼︎俺達も追い付くからお前らは先に行け‼︎」

 

アギラはレッドキング達に頷くとミクラス、ウインダム、ガッツ星人と共にその場を走り去る。それを見たヒロキはタイガスパークからタイガトライブレードを出現させた。

 

「まさかこんなところで使う事になるとは・・・。」

『ヒロキ、数が多い‼︎気を付けろ‼︎』

「ああ‼︎」

 

ヒロキはナックル状の武器を持った男が自分に殴りかかってくるのを見る。するとヒロキはタイガトライブレードでそれを防ぎ、後ろに押し返した。男は態勢を整えて再びヒロキに襲い掛かる。ヒロキはバク転しながら男の拳を避けるとタイガトライブレードの男の武器を斬り付けた。ナックル状の武器から火花が散って男に直撃する。そこにキングジョーとマガバッサー、マガジャッパが合流した。

 

「熱ち‼︎」

「ヒロキさん‼︎」

「クララちゃん‼︎ヨウちゃんにユカちゃんも‼︎レッドキングさん達は?」

「アギラちゃん達に合流すると言っていまシタ!それよりもワタシ達は‼︎」

「こいつらをここで止めるんですよね‼︎行きます‼︎」

 

ヒロキはタイガトライブレードで男のレーザーナイフを防ぐ。そこにマガバッサーが翼をはためかせて強風を起こす。その風に男は吹き飛ばされて壁に激突する。そしてヒロキかタイガトライブレードを持って突撃して男のナイフを弾き落とした。男は隠し持っていた銃でヒロキを銃撃しようとする。その時、男の後ろから黒い光線が放たれて男を消滅させる。そして光線の発射された先には霧崎が立っていた。

 

「霧崎⁉︎」

「えっ、コイツが⁉︎」

「おっと・・・危ない危ない・・・こんなところで死なれたら面白くないじゃないか・・・ねぇ・・・白鳥ヒロキ君・・・。」

『ヒロキ‼︎コイツから離れろ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキが霧崎と再び遭遇してる頃、アギラ達はショッピングモールの屋上に辿り着いた。アギラはソウルライザーで時間を確認する。すると迎えが来る約束の時間まであと30秒だった。

 

「良かった・・・間に合ったね・・・。」

「・・・ああ・・・そうだな・・・。」

 

何処か浮かない顔を浮かべる御堂にミクラスとガッツ星人は彼の隠している部分に切り込んだ。御堂は目を見開いて驚いている。

 

「ねぇ・・・アギちゃんに隠してる事があるんじゃないの?」

「何か・・・アンタの様子何処かおかしいんだよね・・・本当に迎えを呼んだの?」

「⁉︎」

 

2人の指摘に目を見開いて驚く御堂。アギラは2人の言葉に目を見開いた御堂の様子に動揺していた。

 

「えっ・・・・どういう事?迎えを呼んだんじゃないの?」

「宮下・・・俺は・・・俺・・・は・・・。」

 

その時、上空から赤い光が射出され光から虫を思わせる宇宙人が姿を見せる。それは虫に似た宇宙人『クカラッチ星人』だった。クカラッチ星人は御堂を見ると御堂に話しかけた。

 

「約束の時間ピッタリに来たな!おい、取引を始めるぞ‼︎例の物はあるんだろうな‼︎」

「・・・・ああ・・・。」

「取引って・・・何⁉︎一体どういう事⁉︎」

 

御堂はアギラの疑問を聞くと彼女に顔を見せず自身の顔を伏せながら鞄から見たことのない機械を取り出して答えた。

 

「宮下・・・御免・・・俺はお前を騙してた・・・。」

「⁉︎」

「実はコレを売るための取引先までの護衛だったんだ・・・。宮下、お前、インペライザーって知ってるか?」

「インペライザー?えっと・・・何それ?」

「インペライザーって確か・・・メビウスというウルトラマンを苦戦させた強力なロボット怪獣じゃないですか‼︎」

「そう・・・コレはそのインペライザーの起動装置だ・・・。」

 

御堂の言葉に4人は目を見開いて驚いた。ミクラスとガッツ星人は御堂が何かを隠してる事は勘付いていたがそこまで危険な物を隠し持っていたとは思っていなかったのだ。

 

「ちょっと‼︎アンタはアギちゃんを騙してそんな危険な物を転売しようとしていたの⁉︎」

「その為にアギを利用したんだね・・・さっきまでの言葉は嘘だったの⁉︎」

 

2人はアギラを騙した御堂に対して怒りの表情を浮かべる。アギラは唖然とする中、御堂は重く口を開いた。

 

「嘘じゃない・・・かつて故郷が戦争状態だったのも、戦争が終わってやっと帰れるようになったという話も嘘じゃない・・・けど・・・故郷に帰るには金がいるんだ・・・それもかなりの金が・・・。」

「御堂君・・・。」

「そしたらある人が教えてくれたんだ・・・ヴィラン・ギルドが保有するインペライザーを売れば大金が手に入るって・・・だから俺はヴィラン・ギルドからインペライザーの起動装置を盗んだ・・・転売先を紹介してくれたのも・・・宮下が怪獣娘だと教えてくれたのもその人だ・・・。ずっと騙してて御免な・・・、宮下・・・。」

 

御堂はアギラに向かって謝るとインペライザーの起動装置を持ってクカラッチ星人に向かっていく。すると追いついたゴモラとレッドキングが大声で御堂に訴える。

 

「君は本当にそれでいいの⁉︎アギちゃんを騙して手に入れたお金で星に帰っていいの⁉︎」

「ゴモたん‼︎レッドキング先輩‼︎」

「悪いけど話は全て聞いてた‼︎・・・おい‼︎お前が星に帰りたいという気持ちは分かった‼︎けどな、お前の星では戦争があったんだろ⁉︎お前が売ったインペライザーが他の何処かで戦争で兵器利用されたらまた多くの悲しい思いをする人が増えるんだぞ‼︎」

「それだけじゃない‼︎君の故郷で再び戦争が起こってその戦争に君が売ったインペライザーが使われるかもしれないんだよ‼︎そうしたら君の故郷にいる家族や友達が君の売ったインペライザーで傷付く事にだってなる‼︎それでもいいの⁉︎そんなお金で故郷に帰れるの⁉︎」

 

御堂は2人の言葉に思うところがあるのか目を伏せて立ち止まる。その時、御堂の腕を光線が掠る。光線が放たれた方向を見るとヘルメットを被った『ペダン星人』がいた。

 

「この裏切り者‼︎それは我らのものだ‼︎」

「貴様ふざけんな‼︎コレは俺のもんだ‼︎」

 

クカラッチ星人が御堂から起動装置を奪おうとすると御堂は思わずそれを投げ捨てる。ペダン星人はそれを急いで回収しようとするもクカラッチ星人はそれを邪魔して取っ組み合いになってしまった。

 

「投げる馬鹿があるか⁉︎」

「ふざけんな‼︎俺のだって言ってるだろ‼︎」.

 

取っ組み合いのどさくさに紛れて御堂は起動装置を回収する。アギラは御堂に駆け寄った。

 

「御堂君、大丈夫?」

「ああ、掠っただけだ。・・・宮下・・・その・・・。」

「話は後!まずはあの人達を‼︎」

 

その時、御堂の手の中の装置が突然起動した。それを見てミクラスが突っかかるも御堂は戸惑いながら否定する。

 

「ちょっとアンタ‼︎今度は何したの‼︎」

「ち、違う‼︎俺は何もしていない‼︎」

 

すると目の前に赤い光が合体して一瞬で肩にキャノン砲、顔にガトリングを付けた黒いロボット怪獣が現れた。それこそが無双鉄神『インペライザー』だ。

 

 

 

その頃、ヒロキ達は霧崎と遭遇していた。霧崎の姿を見たキングジョー、マガバッサー、マガジャッパは構えるも霧崎は彼女達に構わずヒロキに言葉を投げる。

 

「今日は君にちょっとしたゲームを用意した。」

「ゲームって・・・一体何を⁉︎」

「させるか‼︎」

 

マガバッサーが駆け出す前に霧崎は指を鳴らした。するとヒロキ達の目の前でインペライザーが現れた。霧崎は御堂の持つインペライザーの起動装置を遠隔操作したのだ。現れたインペライザーは砲台で周りの建物を破壊していった。




明日のトリガーではガッツウイングが本格的に登場するそうですが怪獣娘の世界ではあの類のライドメカはどうなったのでしょうかね・・・。


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ガーディアンエンジェル(後編)

ギンガSではインペライザーの強さが微妙だったと思うので今回のインペライザーは強敵感を出したいと思って書きました。自分の文でインペライザーの強さが上手く皆さんに伝われば幸いです!


ヒロキは目の前で肩の砲台『ガンポート』から光弾を放って街を破壊するインペライザーに目を向けていた。インペライザーを見たタイガはヒロキ達に警告する。

 

『マズイぜ‼︎アレはインペライザーだ‼︎』

「確か・・・君の兄弟子のメビウスが苦戦したロボットだよね⁉︎」

「でも何でそんなロボットが急に現れたんですか⁉︎」

「先程ゴモラ達から連絡がありまシタ!どうやらアギラちゃんの同級生がインペライザーの起動装置を隠し持っていたそうデス‼︎」

「まさか・・・霧崎‼︎お前それを起動したのか⁉︎」

 

マガバッサーが霧崎に食ってかかるも霧崎は歪んだ笑みを浮かべている。その事に腹を立てたマガバッサーは空気の刃を形成して霧崎に放った。しかし、煙が晴れると霧崎の姿はなかった。

 

「あ、あれ?アイツ何処に⁉︎」

「こっちだよ、マガバッサーのお嬢さん。」

 

マガバッサーは振り向くと同時に霧崎の手から光線が放たれる。マガバッサーはそれを受けて壁に叩きつけられてしまった。地面に地をつけたマガバッサーにマガジャッパが駆け寄った。

 

「バサちゃん、大丈夫⁉︎」

「くっ‼︎」

 

 

 

 

 

 

その頃、屋上ではアギラ達が目の前で街を破壊するインペライザーを見ていた。街を破壊するインペライザーを見てアギラが止まるよう言い放つ。

 

「早くインペライザーを止めて‼︎このままじゃ大惨事になるよ‼︎」

「そうは言っても・・・何故かこちらの操作を受け付けないんだ‼︎」

「ええっ⁉︎」

 

御堂はインペライザーの起動装置を操作するも既に装置が霧崎の手によって操られているため御堂の操作を受け付けなくなっていた。御堂の言葉を聞いたガッツ星人が御堂から装置を奪い取るとそれを操作し始める。

 

「貸して‼︎わたしが止める‼︎・・・・あっ・・・あれ・・・・止まらない⁉︎」

「この役立たず‼︎命で贖え‼︎」

「よくもそれを起動してくれたな‼︎お前ら、来い‼︎」

 

ガッツ星人が装置を奪い取って操作するもインペライザーは止まらない。装置を起動させたと思って腹を立てたクカラッチ星人とペダン星人仲間を呼び出して怪獣娘達を襲撃する。

ショッピングモールはインペライザーの破壊活動で逃げ回る人々が続出していた。ヒロキはそれを感じるとインペライザーに向かっていく。その時、霧崎がヒロキを呼び止めた。

 

「いいのか・・・・大事な仲間が危険なんだろう・・・・お前が行かなかったら死んじゃうかもなぁ・・・。」

「ふざけんな‼︎お前がインペライザーを起動したんだろうが‼︎」

「自分で起動させてよくそんな事が言えますね‼︎」

 

マガバッサーとマガジャッパが竜巻と水流を霧崎に放った。しかし霧崎はそれをかわしてヒロキに言葉を投げる。

 

「さぁ・・・どっちを選ぶ・・・大勢の人間か・・・大事な仲間か・・・。」

 

霧崎の言葉を聞いてヒロキは迷い始める。その様子を見ていたキングジョーがヒロキに呼び掛けた。彼女に続いて霧崎と戦うマガバッサーとマガジャッパに加えてタイガも呼び掛ける。

 

「ヒロキ‼︎ワタシ達なら大丈夫デス‼︎ヒロキはインペライザーを‼︎」

「でも‼︎」

「今、インペライザーを止められるのはヒロキさん達だけっスよ‼︎」

「わたし達なら大丈夫ですから‼︎」

『彼女達の言う通りだ‼︎躊躇してる場合か、インペライザーを止めるぞ‼︎』

「・・・・皆・・・無事でいてくれ‼︎」

 

ヒロキはタイガの言葉を聴くとタイガスパークを出現させる。そしてタイガキーホルダーを掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガはインペライザーに飛びつくとそのまま地面に転がり続ける。そしてインペライザーから距離を取った。インペライザーはガンポートから光弾を放つ。タイガはそれを手刀で弾くと上に飛び上がり飛び蹴りを食らわせた。

 

「シェアッ‼︎」

「タイガ・・・ヒロキさん‼︎」

 

タイガは飛び上がると急降下してインペライザーにキックを放つ。インペライザーは少し後退するとすぐに反撃に移った。上半身を動かして鋼鉄の腕による殴打でタイガを攻撃する。少し体勢を崩したタイガにインペライザーのキックが入った。それはタイガを吹っ飛ばしてしまう。

 

『ぐううっ⁉︎』

 

タイガは再び起き上がってインペライザーに向かっていく。インペライザーはガンポートから放つ光弾でタイガを吹っ飛ばした。タイガはそれでも起き上がり、反撃に移る。タイガはインペライザーに向かって拳を構えて打ち込んだ。2発、3発・・・と次々と打ち込んでいくがインペライザーは僅かに後退するだけだった。

 

(なんて固さなんだ⁉︎)

 

インペライザーは腕を振り回してタイガを殴打する。タイガはそれを受けると2発目を見切って何とか左腕を抑えつけた。しかしインペライザーは左腕を振り回してタイガを振り切った。タイガは一旦インペライザーと距離を取る。しかし、インペライザーは顔のガトリングを回転させて光線を放つ。しかもそれはショッピングモールの方向に放たれた。事を確認したヒロキは思わずショッピングモールの屋上で宇宙人の軍団と戦う怪獣娘に目を向けた。

 

(マズイ、皆が‼︎)

 

タイガは怪獣娘達のいるショッピングモールの前に立つと彼らを庇うように腕を広げて立つ。インペライザーは光線を撃ち終えると上半身を回転させながら光弾を放つ『バニシングサークル』を放つ。強力な光線を受けた体でタイガは必死に自身を盾にして両腕で光弾を捌く。

 

「ヒロキさん!タイガ‼︎」

 

アギラは目の前で自分達を庇うタイガを見て声を上げる。その横で2人のペダン星人にガッツ星人が応戦していた。ガッツ星人は分身してレーザーナイフを構えたペダン星人を迎え撃つ。隣ではレッドキングとミクラスが拳をクカラッチ星人にぶつけて吹っ飛ばした。

 

「食らいやがれ‼︎」

 

ナイフを振り下ろした腕を抑えたガッツ星人は手刀でナイフを落とすとそのままパンチでペダン星人を吹っ飛ばした。ペダン星人のヘルメットは割れて素顔である人間の顔が露わになる。もう1人はガッツ星人のジャンピングキックで完全にダウンしていた。

アギラは目の前の皆に加勢する。その横では御堂がインペライザーの起動装置を手に彼女に駆け寄った。御堂はアギラに謝罪の言葉を掛ける。

 

「宮下・・・御免・・・ここまでの事態になるとは思ってなかったんだ・・・もう俺の事なんていいから宮下達は逃げてくれ‼︎」

「そんな事出来ないよ!ボクはこの力で誰かを守ると決めたんだ‼︎それに・・・御堂君は悪い人じゃない‼︎」

 

アギラは中学時代、クラスに馴染めかった自身に笑いながら手を差し伸べてきた御堂の姿に先程迷子の女の子に迷わず手を差し伸べた時のことを重ね合わせる。

 

『なぁ、こっちに来いよ。俺達の話に入らないか?』

 

アギラは目の前の少年に中学時代の記憶を重ねて言葉を放った。

 

「だって困ってる人がいれば誰にでも手を差し伸べる所は全然変わってないもん‼︎中学校の頃も・・・ついさっきも‼︎だからボクは・・・ボクは御堂君を守る‼︎」

「宮下・・・。」

 

アギラはそう言い切って目の前の宇宙人の集団に向かっていく。御堂はその姿を見送った。

 

『(ストリウムブラスター‼︎)』

 

その頃、タイガは体を虹色に光らせながらチャージしてストリウムブラスターを放ちインペライザーの動きを止める。そしてそのままインペライザーに光線を撃ち込んだ。光線を浴びた右腕と右半身の一部が損傷するもインペライザーは右腕を巨大な剣『インペリアルソード』に変化させて再生する。

 

『よりにもよって再生装置付きのタイプか⁉︎厄介だな‼︎』

 

タイガはそのままインペライザーに突っ込んでキックを放つ。インペリアルソードで斬りつけようとするインペライザーの右腕を捌いたタイガは脇腹に2発拳を打ち込んだ。そしてインペライザーの脇腹に飛びつくと力を振り絞ってインペライザーを投げ飛ばす。インペライザーはショッピングモールを飛び越えて地面に激突する。

 

(あの再生機能をどうにかしないと・・・。)

『焦るな‼︎奴の再生装置は肩に付いている!それさえ焼き尽くして破壊すれば奴は再生出来ない‼︎』

(焼きつくす・・・・そうか‼︎)

『ああ、ヒロキ‼︎こっちもパワーアップだ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークからタイガトライブレードを呼び出した。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

トライストリウムになったタイガはインペライザーに向かってタイガトライブレードを構えながらその名を名乗る。

 

『俺はウルトラマンタイガ・トライストリウムだ‼︎』

 

タイガは大きく飛び上がる。インペライザーは空に飛び上がったタイガに向かってガンポートから光弾を放つ。無数の光弾をタイガトライブレードで捌き、時に弾きながらタイガはインペライザーに向かっていく。タイガトライブレードによって跳ね返された光弾がインペライザーの強固な機体に傷を付けた。そしてタイガはそのままタイガトライブレードをインペライザーに振り下ろす。タイガはタイガトライブレードでインペライザーに火花を散らせながら機体に大きな切り傷を付ける。インペライザーはガトリングガンから再び光線を放つがタイガはタイガトライブレードでそれを食い止める。

 

「ううっ‼︎」

「これで終わりだ‼︎角の怪獣娘‼︎」

「うおああああああ‼︎」

 

御堂はアギラに向かってくるクカラッチ星人に体当たりを仕掛ける。クカラッチ星人はそれを受けて地面に倒れる。その隙を突いたアギラはクカラッチ星人に突撃した。

 

「ううううううやああああああ‼︎」

 

角による一撃でクカラッチ星人は火花を散らしながら大きく吹っ飛んだ。アギラは御堂を見る。御堂は親指を立ててサムズアップする。アギラもそれを見て思わず笑みを浮かべた。

 

『ヒロキ、こっちも決めるぞ‼︎』

 

ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを1回押すと回転盤を回す。

 

「タイガ‼︎」

 

ヒロキはタイガの名を叫んでタイガの幻影と共に回転盤を回す。そしてタイガはタイガトライブレードの刀身を左手で撫でながら全身を燃え上がらせる。そしてそのままインペライザーに突撃する。

 

『(タイガブラストアタック‼︎)』

 

タイガは全身を燃え上がらせながらタイガトライブレードをインペライザーに突き立てて突撃した。その炎はインペライザーの肩の再生装置諸共インペライザーの機体を焼き尽くす。そしてインペライザーは残骸を飛び散らせながら大爆発を起こした。

 

「やった‼︎」

 

霧崎と戦っていたキングジョーと魔王獣コンビはそれを見て喜びの声を上げる。それを見ていた霧崎はただ無表情でタイガを見つめている。キングジョーは獣殻を黒く染め『ブラックスタイル』に変身し、ペダニウムランチャーを放った。

 

「隙ありデス‼︎」

 

霧崎は高く飛び上がる。キングジョー達は霧崎を追うも着地したと思わしき地点にはその姿は無かった。

 

「あっ、アレ⁉︎」

「逃げられマシタネ・・・。」

 

 

 

 

 

その後、クカラッチ星人の集団とペダン星人の集団が手錠を掛けられて警察とGIRLSの怪獣娘に連れて行かれていた。ミカヅキが御堂に手錠を掛けるのを見てヒロキはクララに話す。

 

「彼・・・逮捕されちゃうの?」

「インペライザーという危険なロボット怪獣を転売しようとしていましたから仕方ないデス・・・。」

「・・・最後に宮下と話していい?」

「いいよ、待ってあげる。」

 

ミカヅキは少しその場を離れる。御堂はアキに向かって話しかけた。アキも御堂に答える。

 

「宮下・・・その・・・迷惑かけて本当に御免・・・・それなのに・・・色々とありがとな・・・。」

「ううん、ボクはやれる事をやっただけだよ。御堂君・・・今度こそやり直して・・・御堂君は悪い人じゃないから。」

「宮下・・・お前は・・・天使みたいな人だな・・・。」

「えっ?何か言った?」

 

御堂は小さく呟くもアキはそれが少し聞こえたのか聞き返す。御堂は咄嗟に誤魔化した。

 

「ああ‼︎何でもない・・・。なぁ・・・宮下・・・。」

「⁉︎」

「次に会った時は・・・・・⁉︎危ない、宮下‼︎」

 

御堂は突然アキの前に立つ。すると御堂に何処からともなくビームが命中した。ビームを食らった御堂はその場で崩れ落ちる。アキは御堂に駆け寄るも急所に命中したのか御堂は虫の息だった。

 

「御堂君‼︎」

「宮下・・・御免な・・・俺・・・。」

「そんな・・・しっかりしてよ・・・。こんなところで死んじゃ駄目だよ!!」

「それより・・・霧崎って男に・・・気を付けろ・・・俺にインペライザーの起動装置の・・・転売先を教えたのも・・・・・宮下が怪獣娘だと教えてくれたのも・・・・そいつだ・・・・。」

「霧崎が⁉︎」

「ああ・・・せめて故郷の土を踏んでみたかったな・・・・。」

 

御堂はそう言い残して絶命した。ミカヅキ、ミコ、ミクの3人はビームが飛んで来た方向に向かうもそこには誰もいなかった。ヒロキとクララ達は黙ってそれをみている事しか出来なかった。

 

「そんな・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLSに事後報告のためヒロキ達は戻った。全員が揃っている中、後ろではアキが泣いている。その側にゼットンとミコが立って彼女を抱き締めていた。

 

「アギラさん・・・。」

「無理もありません・・・中学のクラスメートが目の前で亡くなったのですから・・・。」

「ううう・・・うわああああああああ‼︎」

『皆・・・ちょっといいか?』

 

突然タイガの声がしたので皆はタイガの声を聞くことにする。タイガはヒロキと共に先程の出来事について話し始める。

 

『多分だけど・・・アレは彼女を狙ったものだと思う・・・。』

「ええっ⁉︎じゃあ・・・。」

「ああ、あの時、御堂君が庇っていなければ死んでたのはアギラさんだったかも・・・。」

「御堂君の事は残念だったねぇ・・・・。」

 

ヒロキ達がその声のした方を向くと椅子に腰掛ける霧崎がいた。ヒロキとベニオ、ミクは怒りを露わにする。

 

「霧崎‼︎」

「全て聞いたぞ‼︎アギラの中学時代の同級生を唆したのはお前だったそうじゃないか‼︎」

「しかも盗ませたインペライザーの起動装置を起動させたのもアンタなんでしょ‼︎キングジョーさんから聞いたんだからね‼︎」

「そう・・・全て私が仕組んだ事さ・・・。」

 

アキはその声を聞くと霧崎を睨んだ。霧崎は薄ら笑いを浮かべながら愉快そうな声を出す。

 

「おいおい、彼は自分でその道を選んだんだ・・・私に全ての怒りをぶつけるのは間違いだろう・・・。」

「・・・何でこんな事を・・・。」

 

霧崎は椅子から立ち上がるとヒロキを見て呼びかける。

 

「全ては白鳥ヒロキについて知るためさ。」

「僕を⁉︎」

「・・・今日は君の事をじっくり観察させてもらったよ・・・・君は迷ったね・・・目の前の仲間か大勢の命・・・どちらを守るべきか・・・その結果君の選択は大事な仲間を危険に晒した・・・。」

「‼︎・・・。」

「ヒロキは間違った事はしていまセン‼︎」

「そうですよ‼︎貴方がインペライザーを盗ませて起動させたんじゃないですか‼︎」

「そうだ‼︎てめえが悪巧みしたせいだろうが‼︎」

「アンタにヒロちゃんを責める資格は無い‼︎」

 

クララ、レイカ、ベニオ、ミカヅキの言葉を聞いた霧崎は悪びれずに言い放つ。

 

「おいおい・・・・レッドキングのお嬢さん・・・君は一つの物事しか見ないのかい・・・・この世界には善も悪も光も闇も無いというのに・・・。」

「はぁ?訳分かんない事言いやがって‼︎」

「⁉︎待て‼︎・・・その言葉・・・・確か・・・・。」

『まさか・・・やっぱり生きてやがったんだな‼︎』

 

霧崎はトレギアアイを取り出した。そして霧崎はヒロキ達に言い放つ。

 

「私は白鳥ヒロキに興味が湧いた・・・そして彼の強さは怪獣娘のお嬢さん達にあると知った・・・。だから。」

 

霧崎はトレギアアイを顔に翳してトレギアの姿に戻る。その場にいた皆は目を見開いていた。

 

『君達にも私の事を知っておいてもらいたいのさ・・・。』

「う・・・・嘘・・・・。」

「あ・・・・アンタが⁉︎」

「まさか⁉︎」

 

動揺する怪獣娘達。トモミが皆の声を代表して叫んだ。

 

「貴方が仮面のウルトラマン・・・トレギアだったのですか⁉︎」

『おや・・・既に怪獣娘のお嬢さん達も私の事を知っていたんだね・・・その通り・・・私の名はウルトラマントレギア・・・。』

 

トレギアに全員が警戒する中、ミクは怒りで手に持ったソウルライザーを握りしめていた。そしてソウルライザーを使って怪獣娘に変身する。

 

「アンタが・・・アンタがトレギアだったなんて・・・・ソウルライド、『ミクラス』‼︎」

「ミクラス?」

「ミクちゃん?」

「うあああああああああああああああああああああああああああああああ‼︎」

 

ミクラスは怒りを込めてトレギアに殴りかかる。しかしトレギアはあっさりと彼女の拳をいなしていた。

 

「よくも・・・よくも・・・・ヴォルクお兄ちゃんを‼︎アンタの・・・・アンタの・・・・・くだらない野望のせいで・・・・ヴォルクお兄ちゃんは・・・ヴォルクお兄ちゃんは‼︎」

『おいおい・・・彼をその道に引き摺り込んだのは君にだって原因があるんだよ・・・君達怪獣娘だけをこの社会が受け入れている限り彼みたいな宇宙人がどれだけいる事か・・・。』

「よせ‼︎ミクラス‼︎奴の言葉を聞くな‼︎」

『奴は君に勝てる相手ではない‼︎退くんだ‼︎』

 

ベニオとタイタスの言葉を聞かずにミクラスはトレギアに拳を放った。しかし、トレギアはあっさりと受け止めてミクラスを投げ飛ばす。

 

「うわああああああ⁉︎」

『やれやれ・・・品がないのは元の怪獣そっくりだねぇ・・・私が唆したあのセゲル星人や私に始末された御堂君のようになってもいいのかなぁ・・・。』

「えっ⁉︎」

「・・・・どういう事・・・ですか・・・?」

『ああ・・・あのセゲル星人に地球の事を話したのは私だよ。君達にふさわしい星があると言ったらあっさりと地球侵略を目論んでくれたよ・・・そしてインペライザーを起動した時点で御堂君はもう用済みだったからねぇ・・・君を狙えば必ず彼は君を庇う・・・全て私の計算通りだったよ・・・・フハハハハハハハハハハ‼︎』

「貴方の・・・せいで・・・‼︎」

「絶対に・・・・許さない‼︎」

 

アキとレイカは怪獣娘に変身してトレギアにレーザーと突進を仕掛ける。しかし、トレギアはあっさりとそれを受け止める。

 

『おやおや・・・光の使者ウルトラセブンに仕えたカプセル怪獣の魂を継いだ君達の力はそんなものなのかい・・・。』

「ぐううっ‼︎」

 

3人はトレギアに怒りを込めて突撃しようとする。それをキングジョーが3人を羽交い締めにして止める。

 

「3人とも、それ以上はいけまセン‼︎」

「キングジョーさん‼︎離して、離してよ‼︎」

「トレギアに大切なものを奪われた悲しみはワタシにも痛いほど理解できマス。けど、ここで怒りのままに戦ったらトレギアの思うツボデスヨ。」

 

その言葉に3人はチビスケの最期を思い出したのか落ち着いてくる。そしてトレギアはヒロキを指差して発言した。

 

『今日は君達と戦いに来たんじゃない・・・ほんの挨拶さ・・・白鳥ヒロキ・・・これからも私を楽しませてくれよ・・・君と怪獣娘のお嬢さん達との絆の物語って奴を・・・。』

「私達は・・・・怪獣娘は・・・・・絶対に貴方なんかに負けません‼︎」

『ハハハハハハハハ‼︎威勢がいいねぇ・・・ピグモンのお嬢さん・・・では今日はこの辺で・・・フハハハハハハハ‼︎』

 

トレギアはそう言い残してその場から消えていった。ヒロキはその場で拳を握りしめている

 

「皆さん・・・これから先・・・私達は」

「分かってます・・・分かってますよ・・・・僕達は絶対に負けない‼︎・・・・・トレギアぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ヒロキの怒りに込めた叫びがその場に響いていた。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+タイタス)
『頻発する怪獣の都市破壊。その裏には社会に不満を持つ宇宙人の姿があった。そんな中、ゼットンが出会った1人の少年。ヒロキ、これには新たな事件の匂いがするぜ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


新しき世界のために


星の一閃、アストロビーム‼︎』


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新しき世界のために(前編)

今回ヒロキ達の話題に上がった怪獣にはある共通点があります。それは何でしょう?

宇宙怪獣『ベムラー』登場


ある夜、フーマが建物を壊しながら地面に倒れた。

 

『うわあああああ⁉︎』

「ギイィィィィィン‼︎」

 

その先にはこの星で最初にウルトラマンと戦った宇宙の平和を乱す悪魔と言われた宇宙怪獣『ベムラー』がいる。ベムラーは口から青白い熱線『ペイル熱線』を放つ。フーマはベムラーの目に止まらぬ速さでそれを避けた。そしてヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

『私に任せろ‼︎』

 

タイタスは登場するなりポーズを決める。目の前の青い巨人が突然別人に変わったことにベムラーは目を見開いて驚くもすぐにペイル熱線を吐いてタイタスを攻撃する。

 

『うおおおおお‼︎』

 

しかし、タイタスにはその熱戦を突っ切ってベムラーに拳を叩き付ける。そしてベムラーの腰を両腕で抑えて力強く締める。タイタスの力はベムラーの骨に大きなダメージを与えた。

 

「ギイィィィン⁉︎」

 

ベムラーは後ろに後退りしてタイタスと距離を取る。タイタスは額のスターシンボルに力を溜め始めた。

 

『喰らえ‼︎星の一閃、アストロビーム‼︎』

 

タイタスの額から放たれた星形の光線がベムラーに命中する。ベムラーはそれを受けて大爆発を起こした。タイタスは爆発するベムラーを前にポーズを決める。そしてその様子を1人の影が見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

『ここのところ連日で怪獣が現れて街を破壊する騒動が続いています。調査によると最近頻繁する怪獣騒動には宇宙人の影がありGIRLSでも多発する怪獣騒動の裏で暗躍する宇宙人の・・・・・。』

 

翌日、GIRLSの食堂でヒロキはTVを眺めていた。丁度昨日のベムラーとの戦いの様子がニュースで写っていたためヒロキはテレビを画面から目を離せない。そこにクララ、ミコ、ミカヅキ、ベニオがやってくる。

 

「ヤッホー、ヒロちゃん‼︎」

「・・・・・。」

「オッス、ヒロキ。」

「・・・・・。」

「おーい、ヒロ。」

「・・・・・。」

「ヒロキ?」

「・・・・・。」

 

彼女達の呼び掛けに答えないヒロキ。TVの画面を見続けて自分達に目を向けないヒロキにミコが痺れを切らして声を荒げる。

 

「ヒロ‼︎ちょっと聞いてるの⁉︎」

「・・・‼︎ミコさん⁉︎あっ・・・皆・・・ご、御免‼︎」

「やっと気付いたか・・・・ったく・・・どうしたんだよ、TVをずっと眺めてさ。」

 

ヒロキのテーブルに彼女達が入ってくる。ベニオの問いに少し考えてヒロキは答えた。

 

「・・・いや・・・怪獣の出現率が余りにも上がっているような気がして・・・。」

「ああ・・・昨日のベムラーとの・・・。」

「昨日の夜はお疲れさま。」

「最近連日で怪獣が出現してるから気になるんだ・・・マグラー、ペスター、ペギラ・・・一昨日のアボラスとバニラ・・・・そして昨日はベムラー・・・明らかに怪獣の出現率が上がっている・・・。」

「あー、確かに・・・連日で怪獣が立て続けに現れてるよね・・・。」

 

ミコは怪獣から逃げる人々の避難誘導をした事を思い出す。ヒロキはTVに流れるタイガが背中に無数の刺が生えた黒い地底怪獣『マグラー』を投げ飛ばす映像、タイタスがヒトデを繋ぎ合わせた体に中央にコウモリのような顔が生えた油獣『ペスター』の顔にパンチを撃ち込む映像にフーマが灰色の体表に巨大な翼を持つ海豹のような冷凍怪獣『ペギラ』の冷凍光線を避ける映像、そしてフォトンアースとなったタイガがオーラムストリウムでスリムな体型の赤い体表のタツノオトシゴを思わせる鼻顔の赤色火焔怪獣『バニラ』とがっしりとした体に大きな頭で鼻先に角を持つ青色発泡怪獣『アボラス』を消し飛ばす映像を指差した。そしてこれらの映像がニュースキャスターがスタジオ内で話す映像に切り替わる。

 

「見れば分かるけど・・・宇宙人の事についても触れられてる・・・。」

『ここのところ相次ぐ怪獣騒動についてGIRLSの怪獣娘が調査した結果、幾つかの事例では地球に密かに潜伏した宇宙人達の影が見られたとのことでGIRLSは宇宙人対策を整える方針を固めています。』

「本当だ・・・。」

「今までもアベルって名前のガピヤ星人とかあのナックル星人とか宇宙人自身が巨大化して現れた事もあったもんね。」

 

ミコがナックル星人の事に触れた時、ヒロキの表情が曇る。それを見てタイガがミコを注意した。

 

『おい‼︎あのナックル星人の事は触れてやるな‼︎』

「あっ・・・ご・・・御免、ヒロ・・・。」

「いや・・・・大丈夫・・・。もう小田さんの事は振り切ったから・・・。・・・もう世間に宇宙人が潜伏している事がバレるのは時間の問題かもしれないって事を言いたかったんだ・・・。」

「寧ろもうバレてるんじゃないのか?」

「レッドンの言う通り現在も宇宙人が存在していた事が世間に隠しきれなくなるのは時間の問題ですね・・・・・。」

 

ベニオの言葉を補足するかのようにトモミがやってきて発言した。彼女も席に座るとトモミは叔父の佐倉から聞いた話を語り出す。

 

「最近、叔父から連絡があったのですが・・・・最近不穏な動きを見せる宇宙人が増えてきてるとの事です・・・。わたし達も警戒する必要がありそうですね・・・。」

「えーっ⁉︎ヤダなぁ〜、皆で仲良く楽しく暮らせばいいのに〜。その方が絶対に面白いじゃん‼︎」

 

トモミの言葉にミカヅキが苦言を立てる。ヒロキとトライスクワッドはその言葉を聞いて何とも言えない気持ちになる。

 

「なぁ、タイガ、タイタス、フーマ。3人はここのところ起こる怪獣騒動は宇宙人の仕業だと思う?」

『俺はその可能性が高いと思うぜ。本来この星から怪獣は滅びたんだろ?』

 

タイガの言葉に答えたのはトモミだ。彼女の言葉をミコが補足する。

 

「そうですね・・・本来はこの星から怪獣はいなくなった筈ですから・・・。寧ろ今のこの状況がおかしいと言えるでしょう。」

「確認された怪獣の中にマグラーやペスターなどの地球の怪獣もいるしね。」

『ならばやはり人為的に引き起こされた可能性が高いな。ヴィラン・ギルドによる怪獣オークションや商品となる怪獣兵器のテストの可能性がある。』

「でも・・・マグラーやペスターって兵器にする怪獣としてはかなり微妙な方じゃない?」

「アボラスやバニラならまだ分かるけどね・・・。」

『う〜む・・・確かに・・・そう言われれば・・・君達の言う通りか・・・。』

 

タイタスの答えにミカヅキとミコが疑問を上げる中、ヒロキはかつてのデアボリックの事件の事を思い出していた。そんなヒロキの深層を見抜いたのか隣の席に座っているクララが話しかける。

 

「どうしたのデスカ?ヒロキ。」

「えっ⁉︎・・・あー・・・うん・・・前にあったデアボリックの事件を思い出してさ・・・ヴォルクさんみたいに怪獣娘に不満を抱く宇宙人もいる事を思い出したんだよね・・・。」

『あー、いたな・・・まさかヒロキ、お前、そういう宇宙人の仕業だと考えてるのか?』

「・・・・・考えられない話じゃないと思う・・・。この星で隠れて暮らしている宇宙人にとって怪獣娘は・・・疎ましい存在に見えるらしいから・・・・。」

『・・・そーいや俺を売り払おうとしていたあの宇宙人達・・・怪獣娘を認めて自分達を認めないこの星に本物の怪獣と宇宙人の脅威を思い知らせるとか言ってたな・・・。』

「うん・・・あの事件も元を辿れば強力な力を持つ怪獣や宇宙人の怪獣娘が大怪獣ファイトとかに出演してて人気だったりモデルとかタレントとかやって受け入れられるのに自分達だけが受け入れられない事に不満を持つ宇宙人の仕業だった・・・だから・・・。」

 

フーマの言葉を聞いたヒロキは思わず自身の言葉を言おうとすると目の前のミカヅキとベニオ、そして隣のクララを見て言葉を飲み込む。トモミはそんなヒロキの心情を察したのか口を開いた。

 

「ヒロヒロ、大怪獣ファイトなどの怪獣娘のイベントは未だに怪獣娘を恐れる人達に怪獣娘について理解してもらうためであり、怪獣娘になったばかりの子達に自分の道を選んでもらうためにもとても大事なことです。幾らわたし達怪獣娘に不満を持つ宇宙人が多いからってそれだけの理由で騒動が落ち着くまで中止にするという訳にはいきません。」

「けど・・・それらを見て怪獣娘に不満を持つ宇宙人が沢山いるんです‼︎それで怪獣騒動が収まるなら」

「はーい、海老フライもらうね。」

「ちょっと、ミカヅキさん⁉︎」

 

言葉の途中で前のミカヅキに海老フライをかっさわれたヒロキ。ヒロキは思わずミカヅキに抗議する。

 

「何するんですか⁉︎」

「変な事言うヒロちゃんへの罰だよ。」

「変な事って・・・僕は」

「ヒロちゃんの言いたい事は分かるよ。でもね、大怪獣ファイトのようなイベントは色々な人達に怪獣娘を知ってもらうためのもの・・・それには地球人も宇宙人も関係ないんだよ。」

「ミカヅキさん・・・・。」

 

ヒロキの言葉を遮ってミカヅキは話を続けた。ヒロキはミカヅキの言葉をただ聞いて彼女の名を呟く事しか出来なかった。

 

「この星で生きる宇宙人達がわたし達怪獣娘に不満を持っているのってきっとわたし達が怪獣の力を持ってても人々に受け入れてもらえたり認めてもらえたりする事へのコンプレックスが原因だと思うんだ。だったらこれから怪獣娘の活躍を見て宇宙人達も自分達の事を世間に曝け出して生きていける社会に変えていければいいんだよ!」

「ゴモラの言う通りデス。ワタシだって怪獣娘『キングジョー』としてモデルを始めるのは勇気がいりまシタ。」

「えっ⁉︎そうなの⁉︎」

 

ミカヅキに続いてクララの言葉にヒロキは驚く。クララは頷いた後、言葉を続ける。

 

「エエ・・・最初は怪獣娘のモデルが本格的に認められるまで時間が掛かりマシタヨ。けど、それでも周りの助けがあって認めてもらえマシタ。それは大怪獣ファイターをしている怪獣娘やタレントをしている怪獣娘達も同様デス。」

「でも・・・今、怪獣娘は一般的な存在になっています・・・。だから・・・宇宙人達が隠れて暮らす事なく生きていけるようにだって出来る筈です。」

 

クララとトモミの言葉にヒロキは少し考えると心が落ち着いたような表情になる。それを見たベニオが発破を掛ける。

 

「さっ‼︎難しい話は終わりだ‼︎飯食って午後の仕事に備えようぜ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、移動販売車のたい焼き屋に1人の少女がいた。その少女は黒い長髪に黄色の瞳の物静かな美少女だった。彼女は店のメニューを眺めると買いたいものを決めたのか口を開く。

 

「たい焼き・・・2つ・・・。」

「あいよ‼︎」

 

少女はたい焼きを買うと人目に付かない場所に移動して何かを取り出す。それはソウルライザーだった。

 

「ソウルライド、『ゼットン』。」

 

その少女は光に包まれて黒い獣殻に2本の角、額に黄色い結晶が生じる。この少女こそ怪獣娘『ゼットン』の変身前の姿だったのだ。ゼットンはテレポートで高いビルの屋上にまで移動する。そして先程買ったたい焼きを口にすると僅かに笑みを浮かべる。

 

「・・・うん・・・やはりここのたい焼きは美味しい・・・。」

 

経緯は不明だが彼女は前にもあの店のたい焼きを食べた事があるらしい。それで気に入ったあの店のたい焼きを買いに来ていたようだ。尚、人間の姿で来たのは大怪獣ファイトチャンピオンである自分がここに来て周りに騒がれないようにするためである。ゼットンはたい焼きを食べ終えると周りを見渡していた。

 

「・・・・異常は・・・無し・・・。」

 

どうやら街にシャドウや怪しい動きをする宇宙人がいないか見張っていたようだ。彼女はそういった動きがない事を確認するとテレポートでその場を去っていく。彼女は地上に降りると川辺の方に歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、橋の下で暴行を受けている少年がいた。その少年は自分より背の高い柄の悪そうなシャツを着た自分よりも少し年上らしき男達に殴られている。

 

「オラァッ‼︎有り金寄越せやぁぁ‼︎」

「こ・・・これ・・・は・・・・。」

「渡さないなら更にぶん殴るぞオラアァァァァァァ‼︎」

 

男達は少年を殴って壁にぶつける。少年が体制を崩した隙に1人の男が髪の毛を掴んで顔面に膝蹴りをした。膝蹴りでよろめく少年に男の1人がバットで頭を殴る。再びよろめいた少年の顔に膝蹴りを叩き込んだ男は鼻や口から大量に出血する少年の髪の毛を掴んだ。

 

「素直に渡せばこれで済ませてやる・・・・だからテメェの持っている有り金を全て渡せやゴルアァァァァ‼︎」

 

少年はそれでも男を睨んだ。その事に腹を立てた男は懐からなんとナイフを取り出した。その男に続いて他の男もナイフを取り出す。ナイフを頬に突き立てた男はナイフを少年に振りかざそうとした。そこに思いもよらぬ乱入者が現れる。

 

「・・・・何をしているの?」

 

それはゼットンだった。彼女は最初は遠くにいたため彼らの様子が見えなかったが、距離を少し詰めて見ると自分より年下の少年が暴行を受けている事に気付いた。それで彼女は助けに入ったのだ。

 

「煩ぇ‼︎誰だか知らねぇが邪魔すんな‼︎」

 

男はナイフをゼットンに突き立てようとする。しかし彼女を見た男の1人が大怪獣ファイトチャンピオンであり最強の怪獣娘であるゼットンだと知ると撤退するように言い放つ。

 

「待て‼︎ソイツ・・・最強の怪獣娘のゼットンだ‼︎」

「何だと⁉︎」

「くそっ⁉︎行くぞ、お前ら‼︎」

 

男達はその場を離れていく。ゼットンは少年に駆け寄った。

 

「大丈夫・・・?」

「えっ・・・ああ・・・・大丈夫だ・・・・・ありがとう、ゼットンの姉ちゃん。」

「病院に連れていくから少し待って」

「⁉︎病院⁉︎・・・駄目だ‼︎病院には行けない‼︎」

「どうして・・・?病院に診てもらった方が・・・・。」

 

少年は何とゼットンに病院に連れて行かれる事を拒んだ。ゼットンは少年に病院を拒否した理由を聞く。すると少年は迷った後、驚きの答えが返ってきた

 

「・・・・・コレも何かの縁かな・・・・地球人に・・・・不用意に正体は明かしちゃいけないんだけど・・・・・姉ちゃんはあのゼットンの怪獣娘だし・・・・・・・・特別だ・・・・・。」

「?・・・どうしたの?」

「ゼットンの姉ちゃん・・・・・実は・・・実は俺・・・・・バット星人なんだ・・・・。」




今回の話は群狼の挽歌に続き、怪獣娘の世界に宇宙人達がひっそりと暮らしていたら怪獣娘にどんな不満を抱くかに踏み込みたいと考えました。


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新しき世界のために(中編)

今回のゼットンさんの話にはオリジナル設定を多く含んでいます。

触覚宇宙人『バット星人』登場
宇宙恐竜『ゼットン』登場


「⁉︎・・・・バット星人って・・・・貴方が・・・⁉︎」

「ああ・・・コレが証拠だ。」

 

少年は人間の姿から蝙蝠を思わせるメカニックな姿に変身した。いや、正確に言えば本来の姿に戻ったというべきだろう。それが少年の真の姿である触覚宇宙人『バット星人』なのだから。ゼットンは自身のカイジューソウルの怪獣と深い関係にある宇宙人を目の前にして目を見開いて驚いていたがすぐに冷静さを取り戻した。

 

「これで納得したか・・・。」

「ええ・・・・。でも何でやられるだけだったの?貴方ほどの宇宙人なら」

「・・・・仕方ないだろ・・・下手な事をしたら騒ぎになって暮らせなくなるんだから・・・。」

「・・・・・・。苦労してるのね・・・。」

 

バット星人の少年は立ち上がろうとして足を挫く。ゼットンはその姿を見ていられず彼に手を差し伸べた。バット星人の少年はその手を見てゼットンの顔を見る。

 

「・・・掴まって。」

「・・・・ああ・・・すまない・・・。」

 

バット星人の少年はゼットンの手を掴むと体を起き上がらせる。そして彼女は少年に家の住所を尋ねる。

 

「貴方・・・何処に住んでるの?」

「えっ?」

「私が送っていく・・・。」

「ああ・・・住所は・・・・・。」

 

バット星人の少年がゼットンに家の住所を伝えると2人はその場から姿を消す。彼女のテレポートであっという間にバット星人の少年が住んでいる古いアパートに辿り着いた。

 

「凄い・・・流石はゼットンの力を宿しているだけあるな。」

「別に大した事は無い・・・・。」

「セイジお兄ちゃん‼︎」

 

1人の少女がアパートを開けてきた。その少女はゼットンに支えられるバット星人の少年に対して『セイジ』と呼び掛ける。『セイジ』はその少女を見て喜びの声を上げる。

 

「おお、ヒトミ、今帰ったぞ。」

「お帰り、セイジお兄ちゃん・・・ってセイジお兄ちゃん怪我してるじゃん‼︎これ、どうしたの⁉︎」

「ちょっとな・・・。お前が心配する事は無い。」

「でも・・・・ってセイジお兄ちゃんの隣の人って⁉︎」

「ああ・・・ゼットンの怪獣娘だ。さっき危ないところを助けて貰ったところだったんだ。」

「そうだったんですね・・・あっ‼︎わたし、ヒトミと言います。兄が・・・・お世話になりました。」

 

その少女はどうやらセイジの妹らしい。ゼットンに兄が助けられた事を知ると彼女はゼットンに対して頭を下げる。ゼットンはそれを見て呟いた。

 

「別にいい・・・・。」

「あっ、あの・・・・お家に上がって行きませんか?お礼をしたいので・・・・。」

「そこまでしなくても・・・。」

「いえ、助けてくれた恩は返したいですから。ね、お兄ちゃん。」

「そうだな・・・・それにアンタはあのゼットンの怪獣娘だ。俺達バット星人にとってゼットンは特別だからな。」

「・・・・分かった・・・。」

 

ゼットンはヒトミの誘いを断ろうと思った。しかし、2人に何処か気になるところがあったらしく彼女の言葉に乗ることにした。ゼットンは家に上がるとTVがついているのに気付く。そこでは大怪獣ファイトが中継されていた。

 

「・・・そういえばアンタ、この大怪獣ファイトのチャンピオンなんだよな・・・。」

「別に大した事は無い・・・・。」

「そうかい・・・俺達宇宙人から見たら羨ましいに尽きるよ。どんな力を持った怪獣娘もさ・・・こういう格闘技をやれたりタレントとして地球人に受け入れてもらえたりして・・・・。」

「それは違う・・・・私のようにGIRLSが結成される前に怪獣娘に目覚めた者は苦労した・・・・。最初の頃は・・・・周りの人達から恐れられて・・・化物呼ばわりされた・・・・。今でも人によっては・・・・私達怪獣娘は・・・・恐れられる・・・・。」

 

セイジは彼女の様子からその言葉には嘘がないと確信した。セイジはキッチンの棚を開けながらゼットンに問い掛ける。

 

「そうか・・・・俺らが知らないだけで・・・アンタも苦労してきたんだな・・・・。・・・・なぁ・・・何故、人間を見限ろうと思わなかったんだ?・・・・アンタら怪獣娘だって暮らしにくい時代があったんだろう?その気になればアンタ達怪獣娘が」

「確かに昔・・・人間不審になっていた事はあった。・・・でも怪獣娘に目覚める前の昔から信じられる人が教えてくれた・・・『争いあっていても何も変わらない、新たな悲しみを招くくらいならお互いが理解出来る、そんな風に変えていきたい』・・・その人の言葉のお陰で私は人を信じられるようになった・・・・・。」

 

セイジはその声を聞いて戸棚から何かを探すのを止める。そして複雑そうな顔をしていた。そして小さく呟く。

 

「・・・・どれだけ夢見ても・・・・変えられない物もある・・・・・。」

「?」

「いや・・・何でもない。それよりさっきの礼だ。」

 

セイジは戸棚から様々なお菓子を取り出す。そしてヒトミが氷の入ったコップにジュースを注ぎ始めた。そして2人はゼットンにそれを出す。

 

「地球人じゃ滅多に手に入らないレアものだ。是非とも食べてくれ。」

「それじゃあ・・・・お言葉に甘えて・・・。」

 

ゼットンは彼らが用意したお菓子を口にする。彼女はそれを口にすると味を確かめるように味わった。やがて彼女の口に笑みが溢れる。

 

「・・・・美味しい・・・。」

「そうか!」

「気に入って貰えて嬉しいな‼︎もっと食べて‼︎」

 

2人のバット星人の兄妹の言葉に甘えてお菓子を口にするゼットン。やがて彼女は気になっていた事を聞いた。

 

「貴方達は・・・・何故この星に来たの?」

「ああ・・・元々俺はバット星の軍に勤めていたんだ。」

「・・・・・バット星の軍人だったの⁉︎けど、貴方の年齢って・・・。」

「俺だけじゃなく妹もそうさ。俺らの母星じゃこの歳で軍に入るのは珍しくない。・・・・バット星がある星と戦争した時、よりにもよって捕虜にした子供を死刑にしろって言ってきたんだ・・・。子供達の年齢はバラバラだったがどの子もまだ物心ついたばかりかそれ以下の年齢で・・・俺はどうしてもその子供達の命を奪う事が出来なかった・・・。それで妹と共に捕虜を脱獄させて逃げ出した。けど・・・。」

「子供達は逃す事が出来たけど・・・私達は捕まってしまった。そして軍によって無理矢理星流し用のカプセルに入れられた。」

「星流し?」

「一度入れられたら何処かに着陸するまで脱出出来ない絶望のカプセルだ。それに入れられた俺達は遥か彼方のこの星に漂流してきたって訳だ・・・・。」

「・・・・大変だったわね・・・・。御免なさい・・・辛い事を思い出させてしまって・・・・。」

 

ゼットンは目の前のバット星人兄妹がこの星に来た経緯を聞いて気を悪くしてしまう。2人はゼットンに気にするなと言った。

 

「さっ、暗い話はこのくらいにしよう。さっ、食べてってくれ。」

「・・・・このジュース・・・美味しい・・・。」

 

日が暮れる頃、ゼットンは2人の家から出る。2人は笑みを浮かべてゼットンを見送っていた。

 

「今日は楽しかったよ。またな。」

「・・・・。」

 

ゼットンは目の前の2人がアパートに戻ったのを見るとその場からテレポートで姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼、ヒロキ、クララ、ミカヅキ、ヨウ、ユカそしてミコはザンドリアス達のライブ会場の下見を完了させていた。3人は会場を後にするとGIRLSに報告する。

 

「ピグちゃん、今日の仕事終わらせたよ。」

『お疲れ様でした〜。このまま帰って大丈夫ですよ〜。』

「うん、それじゃあね。」

 

ミカヅキがトモミへの連絡を終わらせる。ミコがミカヅキに歩み寄った。

 

「どうデシタ?」

「今日はこのまま帰って大丈夫だって‼︎折角だから遊びに行こうよ‼︎何処に行く?」

「えーっと・・・・ちょっと待ってて。近くに何かあるかな・・・?」

「ちょっ⁉︎ちょっと待って‼︎」

『おい、お前ら‼︎そんな事言ってていいのか⁉︎』

 

ミカヅキの言葉を聞いて近くに何か遊び場がないか調べようとするミコをヒロキとタイガが止める。タイガは彼女達に呼び掛けた。

 

『お前ら、GIRLSの仕事とかもいいけどトレギアの事は大丈夫か⁉︎奴は絶対に何か仕掛けてくる‼︎アレで終わりと思わない方がいいぞ‼︎』

「トレギア・・・そういえば前にわたし達の前に現れたね・・・。」

「う・・・うん。人間の姿でもわたし達勝てなかった・・・。」

『少しは警戒しといた方がいい‼︎特にミカヅキ‼︎お前、呑気すぎないか⁉︎奴は狡賢いだけじゃなく強さも確かなんだぞ‼︎大怪獣ファイターとして実力のあるお前でも』

「もーっ‼︎タイガちゃんってば頭硬いなー‼︎今だからこそ平和な時間を楽しまなきゃ‼︎いっつも警戒ばっかりしてたらいざという時に戦えなくなっちゃうよ‼︎」

『・・・・確かに・・・息抜きは大事だろうな・・・。』

「ホラ、タイタスちゃんもこう言ってるんだから‼︎」

 

ヒロキとタイガは顔を見合わせて再びミカヅキの顔を見る。タイガの表情は分からないがヒロキはかなり乗り気がしないようだった。そんなヒロキの腕にヨウが抱き付く。

 

「ヒロキさん‼︎そんな顔しないで一緒に行きましょう‼︎先輩の言う通りいつ来るか分からない相手に対して警戒心剥き出しにしてたら心が持ちませんよ‼︎」

 

ヨウはヒロキに豊満な胸を押しつけてヒロキを引っ張る。ヒロキは顔を赤くしながら観念した表情で引っ張られていく。クララはそれを1番面白くなさそうな顔で見ていた。

 

「わ、分かった、分かったよ‼︎(ちょっ⁉︎前から思ってはいたけどヨウちゃん・・・胸・・・大きい‼︎)」

(ム〜、ヒロキってばマガバッサーちゃんのおっぱいにデレデレして‼︎ワタシの方がおっぱい大きいの二‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

ゼットンは今日もセイジの家の前に立っていた。実は彼女は昨日、この家に入った時から自身のカイジューソウルが僅かに高鳴るのを感じていた。それが気になった彼女は彼の自宅の前に来ていたのだ。

 

「・・・・・。」

「〜〜〜。」

 

ゼットンの耳に扉の向こうでセイジが誰かと話している声が聞こえてきた。彼女は扉の前で聞き耳を立てると驚くべき声が聞こえてきた。

 

「マグラー、ペスター、ペギラ、アボラスにバニラ・・・そして先日のベムラーは本当に残念だったな・・・だが心配するな。こっちも宇宙恐竜を用意している。」

「‼︎・・・宇宙恐竜・・・まさか‼︎」

 

ゼットンは扉を開けてセイジの前に立つ。セイジはTVの前で立ち上がった。

 

「どういうこと・・・ここ連日の怪獣は貴方達が・・・。」

「聞かれてしまったからには仕方ない・・・。なぁ、この星をどう思う?」

「何を言ってるの?」

「かつてこの星では怪獣が猛威を奮っていた第一次大怪獣時代と呼ばれる時代があった・・・その時代は地球侵略を目論んだ宇宙人による攻撃も多かった・・・・時が流れて怪獣がいなくなり代わりに怪獣娘が現れた・・・しかし、怪獣娘が現れてからも人知れず宇宙人達は来訪して住み着いている・・・・しかし‼︎怪獣娘は強力な力を持っているというのに人々から受け入れられ‼︎我々宇宙人の事は過去に地球を侵略しようとしたから敵呼ばわりして徹底的に排除しようとする‼︎狂っていると思わないか⁉︎」

「昨日も言ったけど・・・怪獣娘だって・・・最初から」

「受け入れられた訳ではない・・・というんだろう・・・しかし、怪獣娘達が現れる前からこの星に暮らしていた同胞もいる‼︎もはや我々は限界なんだ‼︎彼らを解放するためにはコレしかない‼︎」

 

ゼットンはセイジを説得するが彼女の言葉を否定する。そして懐から黄色いカプセルを取り出した。ゼットンはそのカプセルを見た途端カイジューソウルが高鳴るのを感じる。カプセルの中身が何なのか分かったゼットンは彼を止めようとする。しかし、セイジは手から電撃を放って彼女を怯ませる。そしてゼットンが怯んだ隙にセイジは姿を消していた。彼女の後ろにヒトミが来る。彼女は悲痛な顔をしていた。

 

「大変・・・・。」

「昨日の⁉︎・・・もしかしてお兄ちゃんの事を・・・・・。」

「・・・ええ・・貴方達は・・・ずっと地球人と・・・・私達怪獣娘を恨んで・・・。」

 

ヒトミは過去の事を思い出しながら話し始める。

 

「・・・最初にこの星に来たときは何でこんな目に遭わなきゃいけないのかと思ってました・・・でも月日が経つにつれてそんな感情も無くなっていって・・・静かにこの星で暮らせたらって思ってました・・・・。けど・・・少し前に霧崎という男が現れて・・・・。」

「⁉︎・・・貴方達の元に霧崎が⁉︎」

 

ゼットンはこの2人の前に霧崎が来ていたことに驚きを隠せない。ヒトミは霧崎がここに来た事を思い出しながら話を続ける。

 

「霧崎は言いました・・・『君達は地球人より優れた種族なのに今みたいな日陰暮らしでいいのか』って・・・そして貴方のカイジューソウルの怪獣である宇宙恐竜『ゼットン』が入ったカプセルを渡して・・・それで・・・・。」

「もうそれ以上はいい・・・後は任せて・・・私達が貴方のお兄さんを止める・・・。」

 

ゼットンは泣きそうな顔を浮かべるヒノミを抱き締めるとソウルライザーを取り出した。そしてヒロキに電話を掛ける。

 

『はい、こちらヒロキ。』

「ヒロキ、こちらゼットン。」

『ゼットンさん⁉︎珍しいですね、そっちから連絡してくるなんてどうしたんですか?』

「手を貸してほしい・・・止めなきゃならない人がいる。」

『どういう事ですか?』

「訳は合流してから話す。」

 

 

 

 

 

 

そしてセイジはとあるビルの上に立つとライフルに黄色いカプセルを装填する。確かに装填された事を確認すると一言呟いた。

 

「・・・・革命の始まりだ。」

 

ヒロキ達は街を走っていた。ゼットンから訳を聞いたヒロキ達はセイジを探している。

 

「一体何処にいるんだ⁉︎」

『ヒロキ、南南西に2キロ‼︎邪悪な波動を感じる‼︎』

「分かるのか⁉︎」

「タイガの言う通り・・・南南西の方向に私のカイジューソウルがざわついている。」

「急ぎまショウ‼︎」

 

ヒロキ達が南南西に向かっている頃、セイジはライフルの引き金を引く。すると黄色い光が街に降り立つと降り立った地点が黄色く光りながら爆発する。そして煙の中から人型の巨大な怪獣が現れた。黒い体に顔と胸に黄色い結晶を持つそれはGIRLSに所属する怪獣娘のみならず怪獣の中でも名が知れた怪獣だった。

 

「ピポポポポポポゼェットォン‼︎」

 

勿論、それを見たヒロキは驚きながらその怪獣を見つめる。それは彼と共にいるクララ達怪獣娘も同様だった。

 

「あ、アレって・・・‼︎」

「まさか‼︎」

「私のカイジューソウルの怪獣・・・・・宇宙恐竜『ゼットン』‼︎」

 

かつて初代ウルトラマンを倒した最強の怪獣である宇宙恐竜『ゼットン』が再びこの星に現れた瞬間だった。

 

「ピポポポポポポゼェットォン‼︎」




何となくですけどレグロスって来年か再来年、ジードのゼロポジションとしてサブトラマンになりそうですね。
そうなったらやっぱりそのシリーズのメインヴィランはアブソリューティアン?それとも違う敵?
果たしてどちらになるのでしょうかね・・・。
でもタルタロスが新たなるアブソリューティアンであるディアブロと共にトリガー本編に出る上に・・・ディアブロの中の人はニンジャレッドや黒騎士ヒュウガ・・・人間態がやれそうなキャストですね。
アレ、これって本当に来年か再来年辺りのTVシリーズのメインヴィランにディアボロが来るかも?


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新しき世界のために(後編)

ゼットンさんの本名ってどうすればいいんでしょうか・・・。
心許した者になら彼女も本名を明かしそうだなって思うのですが・・・。


現れたゼットンは両手から放つ波状光線で街を破壊し始める。逃げ惑う人々と街を破壊するゼットンを見ながらヒロキ達は見ながら様々な方向に分かれる。

 

『ヤバいぞ・・・本物のゼットンだ・・・‼︎』

「まさか・・・本物を見る日がくるなんて・・・。」

「そんな事言ってる場合じゃないよ‼︎」

「ひ・・・酷い・・・街が燃えていく・・・‼︎」

「二手に分かれよう‼︎街の人々を避難させないと‼︎」

「じゃあわたし達は町の人々を‼︎」

「ヒロキと私で・・・ゼットンを止める。貴方達は言って・・・。」

 

ゼットンの言葉に頷いたクララ達は逃げ惑う人々に向かっていく。ゼットンはそれを見届けるとヒロキに告げてからテレポートでその場を去った。

 

「ヒロキ・・・私はあのバット星人のもとに向かう・・・・貴方もすぐに来て・・・。」

「分かりました‼︎」

 

ゼットンは空中に浮かび上がってセイジを探す。するとビルの屋上で心の叫びを声に出すセイジの姿があった。

 

「見よ!これが我々の怒りだ‼︎」

「止めなさい‼︎」

 

セイジが振り向くとその後ろにゼットンが立っていた。彼女にしては珍しく感情的になっている。

 

「どうしてこんな事を‼︎」

「・・・・来たのか・・・。」

「答えて‼︎」

「・・・・こうしなければ我々宇宙人が幸せに暮らしていく事が出来ないからだ‼︎この星には様々な理由で来た宇宙人達がいる‼︎星を追放された者・・・戦争や病・・・怪獣災害によって星が滅んだ者・・・彼らは今‼︎この瞬間も泣いているんだ‼︎アンタだったら‼︎・・・・アンタが我々の立場ならどうする⁉︎黙って見過ごせるのか⁉︎これは革命だ・・・新しい世界を作るためのな‼︎」

「違う‼︎片方の意見を押し付けてもう片方の意見を黙らせるなんて間違ってる‼︎そんな事すればまた新たな争いの種になる・・・・そしたら全てが滅びるわ‼︎」

「・・・・やはりお前達怪獣娘も同じなのか‼︎我々を迫害する地球人のように‼︎」

「違う‼︎私は・・・ううん・・・・私だけじゃない・・・・私の仲間達は貴方達の言葉を無視したり否定したりしない‼︎」

「・・・・嘘だ‼︎地球人の通報を受けてGIRLSの怪獣娘に追い掛けられた同胞もいる‼︎それなのに・・・お前達の仲間を信用しろと言うのか⁉︎・・・・・・仕方ない・・・・助けてもらった恩を忘れた訳じゃないが・・・・喰らえ‼︎」

「⁉︎・・・う、動かない‼︎」

 

バット星人は念動力でゼットンの動きを封じる。ゼットンは咄嗟に対応出来ず宙に浮かせられる。そしてセイジはゼットン(本物)に向かって命令した。

 

「この怪獣娘にお前の力を思い知らせてやれ‼︎宇宙恐竜‼︎」

 

その声と共にゼットン(本物)はテレポートでゼットンの前に立つ。そして顔にエネルギーを溜め始める。怪獣娘最強といわれる彼女も本物のゼットンの1兆度の火球を受けたら死は免れない。彼女は覚悟を決めて目を瞑る。ゼットン(本物)が火球を彼女に放った時、赤い光が彼女を包んでゼットンを守る。そして光は地面に着陸するとウルトラマンタイガになった。タイガの手の中にはゼットンが座り込んでいる。

 

(大丈夫ですか⁉︎ゼットンさん‼︎)

「ヒロキ・・・タイガ・・・。ありがとう・・・助かったわ。」

(後は任せて下さい‼︎行くぞ、タイガ‼︎)

『ああ‼︎気を付けろ・・・なんせ相手はあのゼットンなんだからな・・・・‼︎』

 

タイガはゼットンを下ろすと目の前のゼットン(本物)と睨み合った。先に仕掛けてきたのはゼットン(本物)だ。ゼットン(本物)はいきなりウルトラマンを倒した波状光線を放つ。タイガは間一髪で体を逸らして避ける。

 

『危ね⁉︎』

(今のがウルトラマンを倒したあの光線・・・・タイガ‼︎ゼットンが来るぞ‼︎)

『えっ⁉︎うおあああああ‼︎』

 

タイガがヒロキの声に気付いて振り向くとゼットンが猛ダッシュでこちらに突っ込んできた。ゼットンはタイガに強力な拳を叩き込む。そして地面に倒れたタイガにのし掛かりマウントを取ると再びタイガに拳を打ち込んでいった。

 

「ゼェットォンピポポポポポポポポポゼェットォン‼︎」

『ぐぅっ⁉︎』

 

ゼットンの拳を振り上げたと同時にタイガはゼットンの顔面に拳を叩き込んだ。そしてゼットンを怯ませるがゼットンはタイガの肩を掴んだ。そしてそのまま地面を転がっていく。再びゼットンが上に乗るとゼットンは拳を打ち込もうとする。タイガは何とかそれを受け止めると同時にゼットンの手を掴みながら再び地面を転がる。ゼットンは顔から1兆度の火球を放とうとするとタイガはゼットンの顔を掴んでそれの軌道を逸らした。そして再びゼットンと共に地面を転がっていく。

 

 

 

 

 

 

 

「俺はこんな世界に来なければ良かったと思ってきた‼︎お前らだって同じ筈だ‼︎」

「それは違うわ‼︎私達を受け入れてくれる人は確かにいる‼︎だから・・・貴方達の事だって‼︎」

「黙れ‼︎」

 

ゼットン(怪獣娘)はバット星人の姿に戻ったセイジを説得しながら応戦していた。ゼットンはセイジの腕を抑えつけて訴える。

 

「それに・・・私達怪獣娘が宇宙人と戦うのは決して貴方達を倒したいからじゃない‼︎誰かを傷付けようとする行動をするから戦っているの‼︎」

「嘘だ‼︎」

「嘘じゃない‼︎もし・・・貴方達が助けを求める声を上げるなら私達は助けるわ‼︎貴方だって・・・・本当はこんな事したくないんでしょう⁉︎だから軍の命令に逆らった・・・違うの⁉︎」

「⁉︎・・・それでも我々がこの星で暮らしていくには我々が地球人を抑えつけてこの星に生きる宇宙人を解放する以外無い‼︎」

「貴方達宇宙人だって私達怪獣娘と・・・そして人間と暮らしていけるようになる筈よ!だって・・・誰であろうと助けたいと思ったら全力で手を差し伸べる事が出来る人がいるから‼︎」

 

ゼットンはそう言ってゼットン(本物)に飛び蹴りを放つタイガを見る。タイガを見た後、彼女は力を入れて拳をバット星人に撃ち込んだ。

 

「彼のような人がいる限り・・・この星は終わりじゃない・・・だから・・・目を覚ましなさい‼︎」

 

ゼットンの拳がバット星人の頬に直撃する。そしてバット星人はセイジの姿に戻った。自身の敗北を悟ったらしい。そこに彼の妹のヒトミがやって来る。

 

「もしかして・・・・あのウルトラマンの・・・・・。」

「・・・・そう・・・。」

「お兄ちゃん・・・もう止めよう・・・目覚め時だよ。」

「ヒトミ・・・・。」

「貴方達だってこの星で私達とともに生きていける世界になる・・・私は信じてる・・・ヒロキのような人がいる限り希望はあるわ。」

 

 

 

 

 

その頃、タイガはゼットン(本物)にタックルを放つもゼットンは腕を交差させてそれをガードする。ゼットンは再び拳を放つもタイガはそれを受け流す。タイガは拳を放つもゼットンに肩を抑えられる。そしてゼットンは再び火球を放った。

 

『うおあっ⁉︎』

 

タイガはゼットンの胸にパンチを2発撃ち込むもゼットンは耐える。そしてタイガを肩を掴んで振り回す。しかし、ゼットンの力が弱くなった事を感じたタイガはゼットンを振り払う。ゼットンは再び波状光線を放つがタイガはそれを避ける。そしてそれを避けると同時にノコギリ状の切断光線『ウルトラスラッシュ』を放った。しかしゼットンは真剣白刃取りで受け止めた。しかし間を入れずタイガはストリウムブラスターを放つ。しかし、それはゼットンのバリアに防がれる。その時、カラータイマーが鳴り始めた。

 

(くそっ‼︎やっぱりゼットンは強い‼︎)

『だが・・・私達にも多くの戦いを経験してきた‼︎』

『ああ‼︎今の俺達なら奴にも勝てる‼︎』

『ヒロキ‼︎パワーアップだ‼︎』

(ああ‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークからタイガトライブレードを呼び出した。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

タイガはトライストリウムに変身してタイガトライブレードを構える。

 

「ピポポポポポポポポゼェットォォォン‼︎」

 

ゼットンはエネルギーを溜めて自身の顔より大きな火球を放った。反動でよろけながら放たれた火球に対してタイガはタイガトライブレードを構えて回転しながら突撃する。それはゼットンが放った火球を突き破った。ゼットンは咄嗟にバリアを張ったが回転しながらの突撃はそれさえも突き破る。ゼットンは剣を回転しながらの突進に思わず地面に倒れてしまう。ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを3回押した。

 

「フーマ‼︎」

 

ヒロキはタイガトライブレードを構えたフーマのビジョンと共に回転盤を回す。青いオーラを纏ったタイガトライブレードのトリガーを引くとフーマの力を宿した必殺技が放たれる。

 

『(風真烈火斬‼︎)』

 

逆手に持ったタイガトライブレードを構えると青い風が刀身に収束されていく。そして青い巨大な切断光線が放たれた。タイガか放ったそれをゼットンは真剣白刃取りで受け止めようとする。しかし、それはゼットンも対応できない速さで放たれた。ゼットンが両手を合わせた時にはゼットンの体は真っ二つになっていた。そしてゼットンは大爆発を起こす。ゼットンが倒された事を確認したタイガはタイガトライブレードを構える。

 

「もう一度、やり直そうよ・・・お兄ちゃん・・・。」

「ううう・・・うおああああああああああ‼︎」

 

ヒトミの横で泣き崩れるセイジをゼットンは複雑そうな目で見ていた。セイジはヒトミに肩を支えられている。そしてそのまま泣き続けていた。

 

 

 

 

 

 

「早く着き過ぎたかな・・・ゼットンさん、何処だろう?」

 

その数日後、ヒロキは駅でゼットンを待っていた。セイジのその後を確かめるべくゼットンに付き添う事になったのだ。ヒロキとゼットンはセイジの暮らすアパートの近くの駅で待ち合わせをしていたのだ。そこに黒い髪のGIRLSの制服を着た物静かな雰囲気の美少女がやって来た。その少女はヒロキを見つけると話しかける。

 

「ヒロキ・・・待たせた・・・。」

「えっと・・・どなたです?」

「・・・・ゼットン・・・。」

「あっ⁉︎御免なさい、ゼットンさん‼︎」

 

その少女こそゼットンの人間としての姿だと知るとヒロキは慌てて謝った。ゼットンは気にしていない様子だった。

 

「別にいい・・・普段から変身した姿しか見ていないから分からないのも無理はないから・・・。」

「それにしても・・・人間の姿なんて珍しいですね・・・。」

「変身した状態でいると周りに騒がれるし・・・それに・・・貴方になら見せても・・・。」

「?」

 

何かを言い掛けたゼットンの顔はほんのり赤くなっていた。ゼットンはヒロキが自身の顔を見ている事に気付くとヒロキの手を取って歩き出す。

 

「御免なさい・・・何でもないわ・・・行こう・・・ヒロキ・・・。」

「えっ?・・・ええ。」

 

ヒロキとゼットンは共に進んでいく。ヒロキはゼットンに話しかけながら足を進めた。

 

「ゼットンさん・・・あれ以来会うの初めてなんですよね。」

「ええ・・・ヒロキ・・・今回は貴方のお陰で助かった・・・ありがとう・・・。」

「いや、そんな気にしなくていいですよ。」

「・・・今なら分かった気がする・・・キングジョーやマガバッサー達が・・・・貴方の事・・・・・。」

「あっ‼︎着きましたよ‼︎」

 

話している間にヒロキとゼットンはセイジのアパートに辿り着いた。ゼットンはドアをノックしようとする。するとヒトミがドアを開けてきた。

 

「うおっ⁉︎」

「‼︎ゼットンさん‼︎・・・御免なさい・・・ビックリしました・・・・。」

 

荷造りをしていたらしい彼女の様子にヒロキは思わず呟いた。

 

「引越し?」

「はい。」

「セイジの様子は?」

「お兄ちゃんなら・・・何とか上手くやってますよ・・・。」

「・・・・これから・・・・どうするの?」

「・・・まだ決めてません・・・でもお兄ちゃんには私がついてますから。」

「・・・そう・・・なら・・・安心ね・・・。それじゃあ・・・。」

 

ゼットンはヒトミに背を向けてその場を去ろうとする。思わずヒロキは呼び止めようとするもヒトミの方がヒロキを呼び止めた。

 

「えっ?ゼットンさん、いいんですか?」

「お兄さん・・・。」

「?」

「ゼットンさんの事、支えてあげてね。」

「ああ。」

 

 

 

 

 

2人はセイジのアパートから離れた場所で話していた。ヒロキが安心した声を出すもゼットンは首を振る。

 

「取り敢えず一見落着ですかね。」

「・・・あくまで今回は・・・宇宙人達がこの星で身分を隠さずに暮らせるようにならないとまた同じ事が・・・起こる。」

「そうですよね・・・・。」

「でも・・・ヒロキ・・・・・貴方みたいに誰であろうと手を差し伸べられる人がいる・・・だから・・・・いつかきっと解決出来る日が来るわ・・・。」

「ゼットンさん・・・。」

「それと・・・・ヒロキ・・・助けてくれたお礼に・・・貴方にだけ教えたい事がある・・・。私の名前は・・・ぐっ⁉︎」

 

言葉の途中でゼットンは何者かに背後から撃たれた。ヒロキは思わずゼットンに駆け寄る。

 

「ゼットンさん⁉︎・・・ゼットンさん、しっかりしてください‼︎」

「あ〜あ・・・ゼットンの娘でも人間の姿なら呆気ないなぁ・・・・駄目じゃないかぁ・・・・気を抜いたら・・・・ねぇ・・・白鳥ヒロキ君・・・・。」

「霧崎・・・いや、トレギア‼︎」

 

ヒロキが上から聞こえた声の方に向くとそこには霧崎がいた。霧崎は人差し指を光らせながらゼットンに向けていた。

 

「絆の物語の第二章・・・幕はもう上がってるんだ・・・。」

「何でこんな事を‼︎」

「君にも知ってほしいんだ・・・絶望の味って奴を・・・。」

 

霧崎はロリポップを舐めながら悪意に満ちた言葉を放つ。ヒロキは怒りを露わにして霧崎の姿を見ていた。

 

「この甘美な味わい・・・君もす〜ぐに虜になるさ・・・。」

 

霧崎はその場から去っていく。ヒロキはゼットンを抱えながら怒りの限り叫んでいた。

 

「トレギアぁぁぁぁぁぁ‼︎」




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+??????)
『傷付いたゼットンに責任を感じGIRLSを飛び出したヒロキ。ちょっと待て。まさか、1人でトレギアを追うつもりじゃないだろうな?お前は1人じゃないんだ!そんなんじゃ目の前の獣神にも勝てはしないぞ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


雷撃を跳ね返せ!


女共ォ・・・気二入ッタ‼︎』


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雷撃を跳ね返せ!(前編)

今回、おジョーさんの設定にオリジナル設定を入れました。
あくまで怪獣娘タイガにおける設定ですので他の作品で活用するかは未定です。
それではどうぞ。


霧崎は高台でトレギアアイを取り出した。そしてそれを顔の前で翳して本来の姿であるトレギアに戻るとトレギアは上空に光線を放つ。

 

『来たれ・・・雷撃の獣神・・・ゴロサンダーよ。』

 

光線が放たれた地点に暗雲が立ち込める。

 

『戦いに飢えたその体・・・十二分に満たしてやろう。』

 

その中から何かが姿を一瞬だけ見せる。そして暗雲の中から一つの光がトレギアの手に渡った。それはアヒルのような口の怪獣の顔が刻まれた怪獣リングだった。

 

 

 

 

 

 

 

GIRLS東京支部ではクララ達が暗い顔をしていた。ゼットンがトレギアに重傷を負わされたことが知られてみんなが驚きとショックを隠せなかったのだ。そこにトモミとランが入ってくる。

 

「ピグモンさん‼︎ゼットンさんの容体は?」

「一命は取り留めました・・・ですが目を覚さないそうです・・・。」

「まさかゼットンがやられちまうとはな・・・。」

「今でも信じられません・・・。」

 

ベニオとアキ、この2人は特にゼットンと縁が深い。ベニオは大怪獣ファイトで敗北しチャンピオンの座を彼女に開け渡す事になり、その後も何度もチャンピオンの座を奪い返すため戦いを挑んでいる彼女はゼットンの実力を確かに知っている。

アキは自身が怪獣娘としての力を目覚めさせてくれたきっかけであり、ミクが何者かに怪我を負わせられた時、犯人として疑われたミコを信じたいという気持ちに相談に乗ってくれたり、シャドウビーストやシャドウジェネラルとの戦いで自身を助けてくれた恩人である。

そんな2人にとってゼットンが倒れて入院したというショックは余りにも大きなものだった。

 

「ゼットンさん・・・・。」

「アギちゃん・・・ゼッちゃんなら大丈夫だよ。わたし達怪獣娘は頑丈なんだから。後はゼッちゃんを信じよう。」

「ゴモたん・・・。」

 

ミカヅキがアキを励ます横でヨウとユカが辺りを見渡す。最初に発言したのはヨウだ。

 

「あ・・・あの・・・ヒロキさんは?」

「えっ?・・・あれ?ヒロキがいない?」

「あれ?さっきまでここにいたのに・・・。」

 

先程までゼットンの件を報告しに来たヒロキの姿が見えない事に気付いた皆は辺りを見渡す。しかし、どこにもヒロキの姿は無かった。

 

「ヒロキ?何処に行ったのデスカ?」

「失礼します。ピグモンさんはいますか?」

 

そこにドアをノックする音と共に声が聞こえてきた。トモミは自身が指名されていると知るとその声に答える。

 

「はい。どうしました?」

「ヒロキさんからです。」

 

トモミの声と共にGIRLSの制服に身を包んだ職員が入ってくる。彼女の手にはGIRLSから支給されたヒロキの制服とソウルライザー、GIRLSの一員である身分証明書と退職届と書かれた封筒が抱えられていた。トモミ達は当然ながらそれに驚きを隠せない。

 

「こ、これを本当にヒロヒロが⁉︎」

「は、はい・・・。先程、これをピグモンさんに届けるように言われて・・・そ・・・それでは私はこの辺で‼︎」

 

職員が仕事に戻っていった後、トモミは封筒を開ける。そしてその場にいた皆が封筒の中の手紙に注目していた。

 

『ピグモンさん、クララちゃん、そして他の怪獣娘の皆へ。今まで本当にありがとうございました。少しの時間だったけどGIRLSに入ってから皆さんには沢山の思い出を貰いました。けど、僕がウルトラマンであるためにゼットンさんがトレギアによって倒れてしまいました。トレギアは明らかに僕の身の回りの人達を狙っています。これ以上、ここにいたら僕と関わった人達全員がトレギアに殺されるかもしれない。そう考えた僕は1人でトレギアを探しだして今度こそ必ず決着をつけると決めました。こんな形で別れを申して御免なさい。でも、トレギアから皆を守るためにはこれしかないと思います。今まで本当にありがとうございました。本当にお世話になりました。それとクララちゃんに必ずモデルに復帰して皆を笑顔にしてほしいと伝えて下さい。それでは、さようなら。』

「な、何で・・・どうして突然⁉︎」

「わたし達、まだヒロキさんと沢山やりたい事あるのに‼︎こんな形でお別れなんて嫌ですよ‼︎」

「・・・まさかヒロキの奴、ゼットンがやられたのは自分のせいだと責めて‼︎」

「ええっ⁉︎まさか1人でトレギアを倒しに‼︎」

 

ユカとヨウが困惑する中、ベニオとミカヅキがヒロキの心中を推察する。するとその場にいた全員がヒロキが何を目的にGIRLSを辞めると言い出したのか思い浮かぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキは雑踏で黒い服を着た銀色の鎧のような顔の宇宙人に掴みかかっていた。今のヒロキは激しく荒れている様子だった。

 

「あの男は‼︎霧崎は今どこにいるんだ⁉︎」

「そんな奴知らねぇ‼︎」

「嘘をつくな‼︎お前が奴とゼットンの幼体を取引してたのは知ってるんだぞ‼︎アイツを庇うのか‼︎」

「そんなんじゃない‼︎もし、会ってたとしても互いに顔も名前も隠す、それが取引の鉄則なんだよ‼︎本当に知らねぇ⁉︎知らねえんだ‼︎」

 

この宇宙人は闇のブローカーで怪獣兵器の売買に長けている。先日、セイジに霧崎が渡したゼットンがこのブローカーから購入したものだと知ったヒロキは彼に詰め寄ったのだ。

 

「本当なんだろうな⁉︎嘘を突いてるわけじゃないよな‼︎」

「本当だ‼︎」

 

ヒロキは宇宙人から手を離すと逃げる宇宙人を背にその場を後にする。するとタイガ達が話しかけてきた。

 

「僕のせいだ‼︎ゼットンさんがあんな目に遭ったのは全部僕の・・・‼︎」

『ヒロキ、それは違う‼︎寧ろ、俺達のせいだ‼︎』

『私達がトレギアと敵対しているせいで君を巻き込んでしまった・・・‼︎』

『本当にすまねえ事をした・・・。お前はただ俺達に体を貸してくれただけなのに・・・‼︎」

「そ・・・そんな・・・3人が謝る事じゃないよ‼︎僕がGIRLSに関わったせいでこんな事態になった訳だし・・・早くアイツを探そう‼︎」

 

 

 

 

 

GIRLSではヒロキが荒れに荒れて宇宙人からトレギアに関する情報を片っ端から聞いて回っていると知らないトモミ達がヒロキの手紙を握りしめる。クララがその場から離れてドアを開けようとする。

 

「キンキン⁉︎どこに行くんですか⁉︎」

「ヒロキを探しに行きマス‼︎ヒロキをこのまま1人にしたらトレギアの思うつぼデス‼︎」

 

クララの言葉を聞いた怪獣娘達。彼女の言葉を聞いたアキ、ミコが自分も付いていくと名乗りを上げる。

 

「キングジョーさん、待ってください‼︎ボクも行きます‼︎」

「アギラちゃん・・・。」

「わたしも行くよ‼︎今のヒロを見てると無理してた頃のわたしを思い出して・・・何か放っておけないんだ‼︎」

「ガッツ・・・。」

 

アキとミコの言葉を聞いたベニオとミカヅキも同じく席を立った。そしてトモミも2人に続く。

 

「キングジョー、俺達も行くぜ‼︎」

「わたしも‼︎このままヒロちゃんを放っておけないよ‼︎」

「レッドキング・・・・・ゴモラ・・・・・。」

「キンキン、私も行きます‼︎エレエレ達は緊急事態に備えてここに残って下さい‼︎」

「分かったわ‼︎」

 

クララ達が立ち上がるとヨウとユカも席を立った。自分達もヒロキの捜索に乗り出したいと名乗り出たのだ。トモミは彼女達を制止する。

 

「「わたし達も連れて行ってください‼︎」」

「いえ、バサバサ達はここに残って下さい‼︎万が一の為にも本部に出来れば多くの人数を残したいのです‼︎」

「でも‼︎」

「大丈夫デス‼︎ワタシ達が必ずヒロキを連れ戻しマス‼︎」

「キングジョーさん・・・。」

「よし、行くぞ‼︎お前ら‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキはゼットンが入院している病院に来ていた。ヒロキは目の前で点滴を打たれたまま呼吸器を付けられて目を覚まさない人間態のゼットンに目を向ける。ヒロキはただ黙って見ている事しか出来なかった。そしてゼットンの横で膝を突きながら呟く。

 

「御免なさい・・・本当に御免なさい・・・ゼットンさん・・・・僕のせいで・・・・貴方を・・・・こんな目に遭わせてしまった・・・・・。許して下さいなんて言いません・・・・でも・・・どうか・・・どうか‼︎・・・せめて・・・・・せめてでも・・・・・目を覚まして下さい・・・。・・・・お願いします・・・ゼットンさん・・・。」

 

しかし、ヒロキの思いも虚しくゼットンが目蓋を開ける事は無かった。ヒロキは今の様子のゼットンを見て虚しい思いになるだけだった。

 

 

 

 

 

 

ヒロキは病院を出ると目の前にクララ達がいる事に気付く。ヒロキは彼女達に気付かれないように顔を隠そうとする。しかし、クララ達はヒロキを見るとすぐに駆け寄ってきた。

 

「⁉︎・・・・なんでクララちゃん達がここに⁉︎」

「あっ、いた‼︎」

「待って下サイ‼︎ヒロキ‼︎」

「何しに来たんだよ・・・。」

「少し話をしませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

トモミ達に連れられてヒロキは病院の近くの広い公園のベンチに腰掛けていた。トモミはヒロキに問い掛ける。

 

「突然どうしたんですか?辞めたいなんて・・・。」

「書いた通りですよ・・・・トレギアを倒すためです。」

「トレギアを倒す事とGIRLSを辞める事に何が関係があるんですか?」

「・・・・・トレギアは明らかに僕の身の回りの人達を狙っています・・・それで皆がトレギアに狙われずに僕だけを狙うなら僕は‼︎」

「本当にそう思いますか?」

 

ヒロキの声を聞いたトモミはヒロキに再び問い掛けた。ヒロキはトモミの意図を掴めず、聞き返す。

 

「・・・・どう言う事ですか?」

「ヒロヒロは元々、キンキンとは幼馴染なんですよね?」

「ええ・・・今更それが何か・・・。」

「もし・・・ヒロヒロがGIRLSを離れたとしてもトレギアがキンキンを狙ってきたら・・・ヒロヒロはどうするんですか?」

「⁉︎・・・・それは・・・・。」

 

トモミからの問い掛けにヒロキは思わず目を見開いて答えを出さずに押し黙ってしまう。トモミに続きミカヅキとベニオが話し始めた。

 

「放っておけないでしょ・・・キンちゃんだけじゃなくわたしやレッドちゃん・・・アギちゃんがトレギアに狙われたらヒロちゃんは嫌でもGIRLSに関わらなきゃならなくなるよ。」

「ヒロキ・・・既にお前は俺達GIRLSに関わりすぎた・・・例えお前がGIRLSを離れてもトレギアが俺達を狙わないなんて保証はねぇだろ。・・・ったく、タイガ達も気付けよな。」

「『『『・・・・・。』』』」

 

ベニオの言葉が決定的に心に刺さったのかヒロキは何も言えなくなってしまう。トライスクワッドの3人も彼女の言葉に反論出来なかった。ヒロキはそれを聞いて思わず声を荒げる。

 

「じゃあどうすればいい‼︎トレギアは明らかに‼︎」

「ボク達と一緒に戦えばいいんだよ‼︎皆で力を合わせて戦うの‼︎」

「アキさん・・・・何言ってんだ?」

「だから皆で力を合わせればいいんだよ‼︎ヒロキさん、苦しい時とかに仲間を頼るのってそんなに悪い事⁉︎ウルトラマンだって1人じゃ戦えないでしょ‼︎」

「例えば怪獣が現れたと同時にシャドウやシャドウビーストが出たら、ヒロはそっちの方に手を回せる⁉︎怪獣と戦いながらシャドウやシャドウビーストの方を対処できる⁉︎」

「⁉︎・・・それは・・・。」

 

アキの叫びにミコも便乗する。アキは自身のカイジューソウルの事を思い出してタイガに問い掛ける。タイガもアキの声には同意気味だ。

 

「ウルトラセブンだってボクやミクちゃん、ウインちゃんのカイジューソウルの怪獣が・・・仲間がいたからどんな敵とも戦えた‼︎違うの⁉︎そうだよね⁉︎タイガ‼︎」

『た・・・・確かにそれはそうだ・・・セブンだけじゃない・・・・多くのウルトラマンは地球人と絆を育んで共に戦ってきた・・・。』

「けど‼︎今回の敵はそのウルトラマンなんだぞ‼︎今まで怪獣娘が戦ってきたシャドウやシャドウビーストなんか比べ物にならないくらい強いんだぞ‼︎それでも」

「戦うよ、戦うに決まってるじゃん‼︎」

 

アギラの叫びにタイガは思わず過去に学んだ事を思い出す。それでもヒロキはトレギアの事を思い出して叫び返すもミコは力強く答えた。そんなミコにヒロキは思わず問い掛ける。

 

「本気で言ってるの・・・?」

「本気だよ‼︎トレギアは既にこの星に大きな脅威を与えてる‼︎それを放っておけるわけないじゃん‼︎」

「そうだよ‼︎それに・・・・トレギアを放っておいたら御堂君やミクちゃんみたいな悲しい思いをする人がまた増える・・・もうあんな悲劇は起こしたくないからボク達はトレギアと戦う‼︎」

「いい加減に覚悟決めろ、ヒロキ‼︎」

 

アキとミコの声に加えてベニオに胸ぐらを掴まれてヒロキは思わず驚く。そこにクララが割って入ってきた。

 

「レッドキング、そこまでデス。手荒な真似は駄目デスヨ。」

「おっ、おい‼︎」

「ヒロキ、アナタはワタシ達が初めて会った日を覚えていマスカ?」

「‼︎・・・僕達が初めて会った日・・・。」

 

優しく語りかけてきたクララの言葉にヒロキの脳裏にクララと初めて会った日の事が浮かぶ。

 

 

 

 

 

小学校の校庭で子供達がサッカーや鬼ごっこをやっている中、それを見続ける1人の外国人の少女がいた。黄土色のロングヘアーに青い瞳の同年代の少女の中でも綺麗な印象を思わせるこの少女こそ小学生の頃のクララだった。

 

「ワタシも・・・混ざりたいデス・・・。」

 

この頃のクララは日本に来たばかりで転校してきて早々に母国のテンションでクラスメートに話しかけたらクラスの皆がついていけず、最終的に1人ぼっちになっていた。クララは外国人である故に避けられてしまったのだ。そこに1人の少年が何冊か本を持って転んだ。そして彼の持っていた本が床にばら撒かれる。それはクララの足元まで転げ落ちた。

 

「痛えっ・・・。」

「大変デス‼︎」

 

クララは思わず足元に落ちた本を拾う。少年は頭を抱えながら本を拾い集めた。そして最後の一冊を取ろうとした時、少年とクララの手がお互い触れる。

 

「「あっ‼︎」」

「ご、御免・・・。」

「い・・・イエ・・・こちらこそ・・・コレ・・・落としマシタヨ。」

「あっ、ありがとう‼︎・・・・君って最近来た外国から来た転校生?」

「エッ?・・どうしてそれヲ?」

「最近クラスでも話題になってるよ。こんなところでどうしたの?皆と遊ばないの?」

「い・・・イエ・・・ワタシ・・・仲間外れにされてしまっテ・・・。」

「はぁ⁉︎何で⁉︎」

「じ、実は・・・。」

 

クララは思わず事情を話す。すると少年は迷わずクララに手を差し伸べた。

 

「ねぇ、もし良ければ僕達と遊ばない?これからドッヂボールやるんだけど1人習い事で帰っちゃったんだ。」

「えっ・・・でもワタシ外国人ですから・・・日本人のアナタ達のテンションがついていけるか・・・・。」

「大丈夫!僕のクラス、テンション高い人多いから!」

「でも・・・ワタシ・・・日本に来てから・・・1人でいる事が多かったから・・・皆とどう話せバ・・。」

「これから分かっていけばいいよ!そうだ‼︎皆との距離感が分からなくて孤立しちゃったなら僕が君の最初の友達になってあげるよ‼︎君、名前は?」

「わ・・・ワタシ?クララ・・・・クララ・ソーンデス。」

「クララちゃんだね。僕は白鳥ヒロキ!よろしくね、クララちゃん‼︎」

 

その少年こそ子供の頃の白鳥ヒロキだった。ヒロキは自己紹介を終えた後も笑顔でクララに手を差し伸べる。クララは思わずヒロキの手を掴んだ。

 

「はい、これで僕達は友達だ。君はもう1人じゃないよ‼︎」

「本当・・・デスカ?」

「勿論!じゃあ行こう‼︎」

 

すると2人はヒロキの友達と共にドッヂボールに参加した。この事がきっかけでクララはヒロキから始まって小学校の子供達と仲を深めていく事が出来たのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ現代、クララは目の前で表情が暗くなっているヒロキに手を差し伸べていた。

 

「あの時、日本に馴染めず孤立していたワタシにアナタはこうやって手を差し伸べてくれたんデスヨ。『僕が君の最初の友達になる。これで君は1人じゃない。』そう言ってくれたから今のワタシがあるんデス!」

「クララちゃん・・・・。」

「ヒロキ、アナタは1人じゃありまセン‼︎ワタシが・・・ラハナが・・・・皆がイマス‼︎戻ってきて下サイ‼︎」

「でも・・・それじゃクララちゃんが・・・。」

「ヒロキ、今の女の子は決して守られるだけじゃないんデスヨ。ワタシ達怪獣娘は男の子と一緒に悪と戦うSUPER GIRLデス。ヒロキが思っているほど女の子は弱い生き物じゃないんデスヨ。」

「ヒロヒロ、キンキンの言う通りです‼︎わたし達もヒロヒロと共にトレギアと戦います‼︎決してヒロヒロは1人じゃありません‼︎困った事があったらわたし達を頼ってくれていいんですよ‼︎」

 

クララとトモミの声を聞いたヒロキは思わず自身の手を見る。そこにタイガ達も話しかけてきた。

 

『ヒロキ・・・きっと彼女達は大丈夫だ。』

「タイガ・・・。」

『私も君と共にこの怪獣娘のお嬢さん達を見てみたが・・・私も彼女ならトレギアがどんな罠を仕掛けてもそれによって心を打ち砕かれても立ち上がれると信じてる‼︎」

「タイタス・・・。」

『お前が信じてやらなくてどうすんだよ‼︎ヒロキ‼︎』

「フーマ・・・。」

 

ヒロキは思わず自身の心の叫びを伝えようとする。そこに背後のベンチから話しかけてくる男がいた。

 

「へぇ・・・私を倒すねぇ・・・中々、面白い事を言うじゃないか・・・・白鳥ヒロキ君・・・そして怪獣娘のお嬢さん方・・・。」

「お前は‼︎」

「霧崎‼︎」

 

それはゼットンが入院する原因になった全ての黒幕ウルトラマントレギアこと霧崎だった。




外国人の彼女ならあり得るかもしれないと思って彼女の過去を書きました。


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雷撃を跳ね返せ!(中編)

恐らくですが今回の話が今までの物語の中で1番トレギアvs怪獣娘を書いた回だと思います。
それではどうぞ。

雷撃獣神『ゴロサンダー』登場


「おやぁ・・・白鳥ヒロキ君・・・怪獣娘のお嬢さん方と一緒にいていいのかなぁ・・・まぁた君のせいでここにいる誰かが傷付く事になるかもしれないというのに・・・。」

「・・・・今、ここでお前を倒せばいいだけだ!今度こそ倒す‼︎」

「お、おい‼︎待てヒロキ‼︎」

 

ヒロキはベニオの制止も聞かずタイガトライブレードをタイガスパークから出現させて霧崎に斬りかかる。しかし、霧崎は黒いオーラと共に姿を消したため、タイガトライブレードは宙を斬る。ヒロキが辺りを見渡して霧崎を探す。すると霧崎はクララ達の後ろに現れて彼女達の耳元で悪魔の囁きを放つ。それを聞いた彼女達は咄嗟に霧崎から離れた。

 

「君達もいいのかな・・・彼と一緒にいたらこの中にいる君達の中の誰かが苦しむ事になるかもしれないんだよ・・・・あのゼットンのお嬢さんのようにね・・・。」

「‼︎・・・・いつの間に‼︎」

 

霧崎を見ていつでも変身できるよう構える彼女達を見ながら霧崎はヒロキ達に歩み寄っていく。

 

「・怪獣娘のお嬢さん・・・・彼と共にいたら君達も・・・・ゼットンのお嬢さんのように・・・・・いや・・・・・・・それとも私が殺したあのキングゲスラ・・・・ああ・・・チビスケのような無残な最後を遂げる事になるかもしれないのにね・・・・・・。」

「‼︎・・・・」

 

チビスケの事を思い出したヒロキは目を見開いた後、目線を下に向ける。そんなヒロキにベニオとクララが語り掛けてきた。

 

「よせ、ヒロキ‼︎アイツの言葉を聞くな‼︎」

「ここでトレギアの言葉をまともに聞いたら向こうの思うツボデス‼︎」

「おいおい・・・私は間違った事は言っていないよ・・・・キングジョーのお嬢さん・・・・このまま彼と共にいたら君はスクラップになってしまうかもしれないよ・・・・チビスケのようにね。」

 

霧崎は再びチビスケの話題を上げてクララに語りかける。クララはその言葉を聞いた後、霧崎に向かって啖呵を上げる。霧崎はそれを黙って聞いていた。

 

「チビスケちゃんの事でワタシを惑わせようとしてもそうはいきまセンヨ!」

「へぇ・・・。」

「ワタシは天国のチビスケちゃんに誓いマシタ。もう2度と大切なものを見失わないと・・・・だからもう・・・・アナタの言葉は聞きまセン‼︎」

 

霧崎はクララを見ると今度はトモミに視線を向ける。そしてトモミとクララに語りかけてきた。

 

「まぁいいさ・・・・今日は君達にとっておきのステージを用意した・・・・・。存分に楽しんでくれたまえ・・・。」

「おい‼︎待て‼︎」

 

霧崎はまた背景に溶け込むように消えていく。それを追おうとベニオが筆頭になって彼女達は駆け出すも既に霧崎は姿を消していた。彼女達は辺りを見渡して霧崎の姿を探す。その時、暗雲が立ち込め始めた。

 

「アイツ・・・どこ行った⁉︎」

「とっておきのステージを用意したって言ってたけど・・・。」

「皆さん、アレを見てください‼︎」

 

トモミの声でヒロキ達が後ろを振り向くと暗雲の中で雷が迸る。そして雷が落ちると同時にヒロキ達の目の前に何かが現れた。それは5メートル程の発電機のような突起物が付いた肩に胸に太鼓のようなパネル、でっぷりとしたお相撲さんみたいな腹と顔にはアヒルのような嘴に3本の角、そしてその表情は何処か間の抜けた顔をした赤い体表の怪獣だった。

 

「ゴロロロロロロ‼︎」

「か、怪獣⁉︎」

「またかよこんな時に‼︎」

「しかもこの怪獣・・・記録がありまセン!新種の怪獣デス‼︎」

「でも・・・今まで現れた怪獣と違って小さくて弱そうだし・・・・わたし達でなるとかなるかも‼︎」

「ようし‼︎ソウルライド」

『駄目だ‼︎行くな‼︎皆・・・・マズイぞ・・・アレはゴロサンダーだ‼︎』

 

クララ達が目の前の怪獣をソウルライザーで調べるも記録が無くて困惑する。怪獣の大きさから自分達で対処できるかもしれないと意気込んで飛び出していこうとするミコとミカヅキを引き止めるタイガの声が聞こえてきた。思わずヒロキとクララはタイガに聞き返す。

 

「ゴロサンダー?」

「あの怪獣の事、知ってるのデスカ⁉︎」

『雷を司る神だ。その姿を見た者には必ず死が訪れると言われている厄災の神・・・・・。』

『戦いだけが生き甲斐の獣神だ!怪獣娘の姉ちゃん達に手に負える相手じゃねぇ・・・!』

 

ヒロキ達はタイガ達の声を聞くと目の前にいる雷撃獣神『ゴロサンダー』を再び見る。目の前の怪獣が彼らに名が知られる程危険な怪獣だと思っていなかったヒロキ達はゴロサンダーを見ながら話す。

 

「で、でも何でそんな怪獣がここに⁉︎」

『多分だけど・・・・。』

「霧崎・・・・トレギアの仕業か‼︎とんでもねぇ怪獣を呼び寄せやがって‼︎」

 

ゴロサンダーは胸のパネルを一度叩くと下にいるヒロキ達に目を向ける。そしてクララとトモミを見ると彼女達を指差して話し出した。

 

「女共ォ・・・気二入ッタ‼︎」

「喋った⁉︎」

「コイツ、喋れるのかよ⁉︎」

「それよりコイツ、おジョーとピグっちを見てたけど・・・。」

 

言語を喋ったゴロサンダーに驚くアキとベニオの横でミコが目の前の怪獣がクララとトモミに目を付けた事を気にし始める。するとゴロサンダーは右手をクララとトモミに翳す。すると右腕から強風が発生して2人はゴロサンダーに吸い込まれていった。

 

「「きゃあああああああ⁉︎」」

「クララちゃん‼︎トモミさん‼︎」

「ピグちゃん!キンちゃん‼︎」

 

ゴロサンダーは2人を吸収すると宙に浮かび上がると巨大化する。巨大化したゴロサンダーのヘソにはクララとトモミを閉じ込めたカプセルが付いていた。そしてゴロサンダーは肩の突起から電撃を放ち始める。ゴロサンダーの放った電撃で街の建物や道路、道路に停められていた車などが爆発を起こす。その様子を見たタイガが変身するよう促すもヒロキは街を破壊するゴロサンダーから目を背ける。

 

「クララちゃんとトモミさんが・・・・そんな・・・何で・・・嘘だろ・・・!」

『変身だ‼︎ヒロキ‼︎』

「何言ってんだ⁉︎アイツを攻撃したらクララちゃんとトモミさんが‼︎」

「ヒロキさん、変身して‼︎」

 

変身を躊躇うヒロキの横でタイガ同様アキもヒロキに変身するよう促してきた。そこにミカヅキ、ベニオ、ミコの3人も便乗する。

 

「ヒロちゃん!今、あの怪獣からキンちゃんとピグちゃんを助けられるのはヒロちゃんしかいないんだよ‼︎」

「アレを見てみろ‼︎このままだとキングジョーとピグモンを助けるどころかこの街がアイツによって破壊されちまう‼︎それを止められるのはお前だけだろうが‼︎」

「こんなところで躊躇ってたらおジョーもピグっちも助けられないよ!ヒロが今、動かなきゃ誰も救えないんだよ‼︎」

『ヒロキ、彼女達の言う通りだ!今、お前が動かなきゃ誰も救えない‼︎お前が動いた事で助けられる命があるのなら・・・‼︎』

「ヒロキさん‼︎」

 

彼女達に続いてタイガの声がヒロキに響く。ヒロキは目の前のゴロサンダーを見据えると右腕にタイガスパークを出現させる。

 

「・・・・・タイガ‼︎」

『おう‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いてタイガキーホルダーを掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガが土煙を上げて現れる。怪獣から逃げる人々の中でそれを霧崎は見て呟いた。

 

「来たな、ウルトラマンタイガ・・・いや・・・白鳥ヒロキ君。」

 

ゴロサンダーは足場にあった砂を投げてタイガに向かって構える。ヒロキは3人にクララとトモミを助ける方法を聞く。

 

「掛カッテ来イ!」

(何とか2人を助ける方法は無いの⁉︎)

『あのヘソに姉ちゃん達は閉じ込められてる。だからアレを切り離せばいいんじゃねぇのか?』

『可能性はあるがかなり危険だ。恐らく彼女達と奴の神経は同化している。』

『彼女達の生命力を信じるしかない・・・多分クララ達はやってくれと言うんじゃないか?』

(クララちゃんもトモミさんも僕が助けてみせる‼︎)

 

タイガがゴロサンダーに突っ込んでいく。その間にゴロサンダーは胸のパネルを叩いて肩の突起に電撃を集め始める。そして右腕に電気エネルギーを集めると必殺の放電技である『サンダースパーク』を放つ。サンダースパークを受けたタイガは地面に倒れる。笑うゴロサンダーの前でタイガは体を起き上がらせようとする。そこにタイタスが話しかけてきた。

 

『ぐうっ⁉︎』

「ゴッ、ゴロゴロゴロゴロゴロ‼︎」

『私が行こう。策がある!』

 

タイガは頷くとタイタスに変わる。タイタスはヒロキにエックスレットを使うよう促した。

 

『ヒロキ、電撃には電撃だ‼︎』

(分かった‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左腕に意識を集中させる。

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはエックスレットを具現化させ、タイガスパークに読み込ませる。

 

〈エックスレット、コネクトオン‼︎〉

 

タイタスはエックスの電撃の力で強化された破壊光弾を形成する。ゴロサンダーも右腕に電気エネルギーを集め始める。

 

『(エレクトロバスター‼︎)』

 

タイタスがエレクトロバスターを放ったと同時にゴロサンダーもサンダースパークを放つ。両者が放った電撃は互いにぶつかり合った。

 

『そのまま貫け!』

 

しかし、ゴロサンダーは左肩の突起にエネルギーを集めて更にサンダースパークを放つ。その威力はエレクトロバスターを押し返し始めた。

 

『何⁉︎』

 

最終的にゴロサンダーのサンダースパークがタイタスのエレクトロバスターを押し返した。そしてサンダースパークはタイタスの体を地につけた。タイタスが力比べで押し負けた事にヒロキは動揺を隠せない。

 

(力なら3人の中で1番のタイタスが負けた⁉︎なんて怪力なんだ・・・あのゴモラやレッドキングと同等・・・いや、それ以上か‼︎)

「ゴッ、ゴロロロロロロロ‼︎」

 

ゴロサンダーは頭の真ん中の角を光らせて右手に電気を集め始める。そして右手には木と石で出来たような棍棒『ゴロン棒』が形成された。ゴロサンダーはそれを持ってタイタスに突撃する。タイタスは防ごうとするも先にゴロサンダーのゴロン棒の一撃をまともに受けてしまう。

 

『ぐおおおっ⁉︎』

 

ゴロン棒の威力はタイタスの体を持ってしても受け止めきれないものだった。ゴロン棒の一撃を受けるたびにタイタスの呻く声が聞こえる。タイタスは地面に体をつけたまま何度も何度もゴロン棒による殴打を受け続ける。

 

「ハッハッハッハッハ‼︎ハーッハッハッハ‼︎ハッハッハッハーッハッハッハッハ!期待以上だゴロサンダー‼︎存分に楽しんでくれ!さて、こちらもそろそろゲーム開始といこうか・・・。」

「見つけたぞ‼︎トレギア‼︎」

 

タイタスとゴロサンダーの戦いを見て愉快そうな声を上げる霧崎の後ろに4人の怪獣娘がやってきた。先程、ヒロキ達と共にいたメンバーが変身した怪獣娘だ。彼女達は何処かで霧崎がウルトラマンと怪獣の戦いを見ていると思って周りを捜索してたのだ。レッドキングはトレギアに指差して発言する。

 

「今日という今日は逃さねぇぞ‼︎」

「おやおや、来たのかい。怪獣娘のお嬢さん方・・・。」

「さて、さてさてさて‼︎来ました‼︎わたし達が‼︎怪獣娘が‼︎貴方を倒しに‼︎」

「もう逃げられへんで‼︎覚悟しぃや‼︎」

「ボク達は絶対にアンタを許さない‼︎」

「やれやれ・・・・。」

 

霧崎はトレギアアイを取り出して顔に翳して元の姿に戻る。そしてトレギアは4人と対峙する。

 

『仕方ないなぁ・・・君達の相手をしてあげようじゃないか・・・。』

「向こうも変身した・・・本気で来る‼︎」

「先手必勝だ‼︎どりゃああああああ‼︎」

 

まずトレギアに拳を向けたのはレッドキングだ。トレギアはその拳を受け流す。レッドキングは体の向きを変えると再びトレギアに拳を放つ。しかし、トレギアはその拳を受け止める。

 

『私は君達の元の怪獣などとっくに知り尽くしてる・・・・そんな私に君達が勝てるのかい・・・。』

「そんなのやってみなきゃ分からねぇだろうが‼︎」

 

再びレッドキングは左腕で真っ直ぐストレートを放つ。トレギアはそれも受け止める。そのままトレギアとレッドキングの力比べが始まる。

 

「ぐぐぐぐっ‼︎」

『やれやれ・・・力しか能がないのは元の怪獣そっくりだなぁ。』

「へっ、言ってろ‼︎」

 

トレギアとレッドキングはお互いに前蹴りで距離を取る。次に仕掛けたのはゴモラだ。ゴモラの尻尾がトレギアの顔を打ちのめそうとする。トレギアはしゃがんでそれを避ける。

 

「いっくでぇぇぇ‼︎」

『おっと危ない・・・。』

 

トレギアは右腕を突き出してゴモラを挑発するもゴモラはトレギアの手を払い除けて再び尻尾でトレギアに一撃を喰らわせようとする。トレギアは腕を組んでそれを避ける。

 

『ハッハッハッハッハッ‼︎残念だったねぇ・・・』

「そうはいかないよ‼︎」

 

その時、ガッツ星人が瞬間移動でトレギアの後ろを取る。トレギアは後ろから来る彼女の蹴りを体を反らして避ける。再びトレギアが頭を上げた時には彼女は2人に増えていた。ガッツ星人の持つ分身能力だ。分身したガッツ星人が同時に蹴りを放つもトレギアは宙に浮かんでそれを避けると手から光弾を放つ。腕を組んでそれを防いだガッツ星人は両腕から光線を放つ。トレギアは蹴りで光線を弾いた。

 

『おいおい・・・君は如何なる戦いに負けた事が無い無敵のガッツ星人なんだろう・・・・そんな程度なのかい・・・・君の実力は・・・。』

「ガッツを馬鹿にするな‼︎」

 

アギラは飛び上がると驚異的なジャンプ力でトレギアにしがみつく。トレギアはアギラの思わぬ跳躍力に驚きを隠せない。

 

『これは驚いた・・・まさかアギラのお嬢さんにそこまでの力があったとは‼︎』

「トレギア‼︎御堂君の敵だ‼︎」

 

アギラは再びトレギアの足から手を離すと木に足を掛けて大ジャンプする。その勢いで放たれた頭突きを仕掛ける。トレギアはアギラに蹴りを入れる。アギラの体はそのまま下に墜落する。

 

『ハッハッハ‼︎残念だったねぇ・・・・あと少しだったのにねぇ・・・・。』

「くっ‼︎」

 

トレギアは下に降り立つと今度はレッドキングに向かっていく。レッドキングは再びトレギアに拳を放った。トレギアは回転しながらそれを避ける。

 

『おおっと・・・危ないなぁ・・・・。』

 

トレギアは手から光弾を放ってレッドキングを吹っ飛ばす。レッドキングは自慢の剛力でトレギアの光弾を弾き返すと再び拳を構える。トレギアは思わぬ彼女達のタフさに感心したような声を放つ。

 

『へぇ・・・・結構やるんだねぇ・・・君達なんて怪獣の出来損ないに過ぎないと思ってたよ・・・。』

「へっ‼︎今更かよ・・・気付くのが遅すぎるんだよ‼︎」

 

再びレッドキングはトレギアに豪腕を向ける。トレギアは宙に浮かび上がってそれを避けるも上で構えていたガッツ星人がトレギアに蹴りを放つ。それを両腕でガードしたトレギアは再び地面に足をつける。その時、トレギアの足元が盛り上がる。

 

「これは・・・⁉︎」

「ようやくきました‼︎ゴモたん参上‼︎」

 

何とゴモラは地中に潜ってトレギアが来るのを待ち構えていたのだ。トレギアは思わぬところから現れたゴモラへの対応が遅れ、ゴモラの角がトレギアに突き立てられる。トレギアの腹に角を突き立てたゴモラは既に地面の中でチャージしていたエネルギーをトレギアに放ち始める。

 

『なっ、何⁉︎』

「これがアンタが馬鹿にしていたうちら怪獣娘の底力やぁぁぁぁ‼︎喰らえ、超振動波‼︎」

 

ゴモラの超振動波がトレギアにゼロ距離で放たれた瞬間だった。




今回のトレギアとの戦い・・・・もしかしたら賛否両論があると思います。それを覚悟で投稿しました。

もっと多くの人の感想を下さると嬉しいです。


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雷撃を跳ね返せ!(後編)

今回でヒロインが全員揃います。最後のヒロインは誰なのか見てもらえれば分かります。

本当はアニメ勢全員ヒロインにしたかったなぁ・・・・。
またおジョーさんがメインヒロインの小説を書いたらアニメ勢全員ヒロインにしようかなぁ・・・・。


タイタスはゴロサンダーのゴロン棒の餌食になっていた。ゴロン棒がタイタスの身体を打ちのめす度に体に電撃が走り打撃と電撃によるダメージが走る。ヒロキとタイタスはゴロン棒に共に打ちのめされていた。ゴロン棒によるダメージが重なり、タイタスのカラータイマーは点滅している。タイタスは自身を踏み付けるゴロサンダーの足に拳を打ち込むもゴロン棒でダメージを受けたせいでゴロサンダーの足を落とす事は出来なかった。

 

(僕には・・・僕には何も出来ないのか⁉︎)

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ‼︎」

 

嘆くヒロキをあざ笑うかのようにゴロサンダーは愉快そうな声で笑う。その時、ゴロサンダーのヘソのカプセルの中のクララとトモミが目を覚ます。

 

「っ・・・ピグモン、大丈夫デスカ?」

「・・・・キンキン、私たちは・・・・ってタイタスさん⁉︎」

「どうやらワタシ達、あの怪獣に捕われたようデス・・・。」

「それじゃあ、ヒロヒロとタイタスさんは‼︎」

 

2人は今の状況を把握したようだ。ゴロサンダーに必死に抵抗するタイタスを見た2人は目の前のウルトラマンに声援を送る。

 

「頑張っテ‼︎頑張って下サイ‼︎ウルトラマン‼︎」

「わたしとキンキンは大丈夫です‼︎わたし達に構わずこの怪獣を倒して下さい‼︎」

 

その時、ヒロキも自身の耳に2人の声が聞こえてきた。ヒロキは2人の声を聞くと今まで自身と共にいたGIRLSの仲間達の事を思い出す。

 

『ヒロキ、アナタは1人じゃありまセン‼︎』

『困った事があったらわたし達を頼ってくれていいんですよ‼︎』

『ヒロキさん‼︎』

『ヒロキ‼︎』

『ヒロちゃん‼︎』

 

ヒロキの脳裏に先程のクララとトモミ、ヨウやベニオ、ミカヅキ達GIRLSの仲間達が浮かび上がる。ヒロキは彼女達の事を脳裏に浮かび上がらせると目の前の怪獣を強く決意したような顔で見据えた。

 

(・・・・そうだ!こんなところで諦めちゃ駄目だ‼︎)

『アストロビーム‼︎』

「ゴロロロロロロロ⁉︎」

 

タイタスの額から星形の光線が放たれた。それを受けたゴロサンダーはタイタスから足を退け地面に転がる。タイタスは再び立ち上がるとタイガに交代した。そしてヒロキはタイガトライブレードをタイガスパークから呼び出す。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

 

 

 

タイガがトライストリウムに変身している頃、トレギアに組みついたゴモラはトレギアに角を突き立てて超震動波を流し込んでいた。トレギアは呻き声を上げながらゴモラの角を掴み、彼女の顎に膝蹴りを撃ち込んだ。

 

『ぐっ・・・・かっ・・・・うぐ・・・・があっ‼︎』

「ぐえっ⁉︎」

 

ゴモラとトレギアの距離が引き離される。トレギアは超震動波を0距離で受けたダメージを隠さずに腹を抑えながら唸る。

 

『ぐうぅぅぅぅ⁉︎・・・・まさか怪獣娘如きに‼︎』

「うううううやあぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

そこにアギラが突進してきた。アギラの鋭い角による突進が超震動波を受けてダメージを負ったトレギアに直撃する。今のトレギアにそれを受け止め切れる余裕はなく彼女の突進をまともに受けたトレギアは吹っ飛んだ。

 

「御堂君の敵ぃぃぃぃ‼︎」

『ぐっ⁉︎・・・・馬鹿な‼︎・・・・・アギラ如きにこの私が‼︎』

 

トレギアは突進を受けた後、何とか起き上がる。それでも怪獣娘の追撃は絶えず今度はガッツ星人が分身でトレギアの全方位を取り囲む。そして全てのガッツ星人が拘束光線を放った。アギラの突進から起き上がったばかりのトレギアはいきなりのガッツ星人の奇襲に対応出来ず体を拘束される。

 

『ぐっ⁉︎・・・馬鹿な⁉︎』

「ゴモラも言ってたろ!お前は俺達怪獣娘を舐めすぎた‼︎」

 

そしてレッドキングがトレギアに突撃する。トレギアは力を振り絞ってガッツ星人の拘束光線から逃れるも既にレッドキングの拳はトレギアの目と鼻の先だった。

 

「この拳はミクラスやキングジョー、お前に傷付けられた多くの人達の怒りの一撃だと思いやがれぇぇぇぇぇ‼︎」

 

渾身の力を込めたレッドキングは両手を拳にしてトレギアにぶつける。彼女の拳がトレギアを吹っ飛ばした。トレギアは起き上がると腹を抱えて笑い出す。

 

『フフフフフフ・・・・・フフハハハハハハハハ・・・・・ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ‼︎』

「何だよ!何がおかしいんだ‼︎」

『いやはや・・・・・まさか君達がここまでやるとは思っていなかったよ・・・・・けど・・・・私の計画は止められない・・・・・白鳥ヒロキ君には闇に落ちてもらう・・・・・。』

「何だって⁉︎」

「ふざけんな‼︎そんな事させるか‼︎」

「これ以上、ヒロちゃんに手を出すな‼︎」

『威勢がいいねぇ・・・・では私はこの辺で失礼させてもらうよ・・・・次のゲームに向けての仕込みがあるのでね・・・・・君達に止められるかな・・・フフフフフフ・・・・・フハハハハハハハハ‼︎ハーッハッハッハッハッハッハッ‼︎』

「あっ‼︎待て‼︎」

 

トレギアは後ろに魔法陣を形成し、そこに向かっていく。怪獣娘達はトレギアを逃さんとばかりにその背中を追い掛けるが彼女達の目の前でトレギアは完全に魔法陣の中に消えていった。先程までトレギアが立っていた地点に辿り着いた4人は悔しそうな顔をする。

 

「逃げられた‼︎」

「仕方ない・・・・後はあっちの方か・・・・。」

「ヒロちゃん、キンちゃんとピグちゃんを救って・・・。」

「そっちは頼むぞ、ヒロキ・・・・タイガ・・・皆‼︎」

 

トレギアから目の前の問題に目を切り替えた4人はゴロサンダーと対峙するウルトラマンに目を向けた。

 

 

 

怪獣娘達の目先ではトライストリウムとなったタイガが上空からタイガトライブレードでゴロサンダーを斬りつける。ゴロサンダーはゴロン棒で防いでタイガを弾いた。タイガは再びタイガトライブレードでゴロサンダーを斬りつけようとする。ゴロサンダーは右手でそれを受け止めてゴロン棒で叩きのめそうとするがタイガは頭を低くしてそれを避ける。そして再びタイガトライブレードとゴロン棒がぶつかり合うとタイガはヘソのカプセルに手を伸ばす。クララ達を助けようとしている事を知ったゴロサンダーはタイガを蹴り付けて距離を離した。

 

「ゴロロロロ‼︎」

「シェアッ‼︎」

 

再びゴロン棒でタイガを打ちのめそうとするがタイガトライブレードに阻まれる。今度は右腕でタイガに掴みかかろうとしたが受け止められてタイガトライブレードで足を払われかける。間一髪でタイガトライブレードを躱したゴロサンダーは再びゴロン棒を振り下ろすがタイガトライブレードがゴロン棒を完全に叩き落とす。

 

「デャアッ‼︎」

 

ゴロン棒は地面に停車していた車を壊して地面に落ちた。タイガはタイガトライブレードで斬りつけるもゴロサンダーは両腕でなんとか防ぐ。ゴロサンダーとタイガの距離が再び離れるとタイガはタイガトライブレードをゴロサンダーのヘソに振り下ろした。そしてヘソのカプセルが切り離されてタイガの手に着地する。

 

「ゴロゴロゴロリ‼︎」

 

ゴロサンダーは両手でお腹を抑えると再びお腹を出して本当のヘソを見せる。タイガは地面にヘソのカプセルを下ろした。すると結晶は消え、中のクララとトモミが解放される。

 

(これでとどめだ‼︎)

 

2人の安全を確認したヒロキはタイガトライブレードのスイッチを2回押してタイタスの名を叫ぶ。

 

「タイタス‼︎」

 

すると今度はタイガトライブレードを構えたタイタスのビジョンが現れる。再びタイタスのビジョンと共に回転盤を回転させた。するとタイガトライブレードにタイタスの力を宿した金色の光球が形成される。

それを見たゴロサンダーは再び胸のパネルを叩いて電撃を集める。そして両腕からサンダースパークが放たれた。タイガはタイガトライブレードでそれを受け止める。そしてサンダースパークのエネルギーを吸収した。それを見たゴロサンダーは驚いた仕草を見せる。

 

『(タイタスバーニングハンマー‼︎)』

 

タイガはハンマー投げの要領でゴロサンダーの電撃を纏って更に威力が強化された破壊光弾を放った。それはゴロサンダーの脳天に降り注ぎゴロサンダーの体を地面にめり込ませる。

 

「ガッ⁉︎」

 

そしてゴロサンダーは地面にめり込んだまま大爆発を起こした。ゴロサンダーのいた跡地から黄色い光がタイガの手元にやってくる。それを掴むとゴロサンダーの顔が刻まれた怪獣の指輪に変化した。ヒロキはそれがトレギアの策略でタイガを闇に落とすために作られた怪獣リングだと知るとタイガに確認する。

 

(コレ、どうする?)

『持っておこう。今の俺達なら大丈夫だ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

変身を解いたヒロキは地面で倒れているクララとトモミに駆け寄った。ヒロキは2人に必死で呼び掛ける。

 

「クララちゃん、トモミさん、しっかりして‼︎」

「う・・・う〜ん・・・ヒロキ?」

「・・・・ヒロヒロ・・・わたし達は確か・・・・わっ⁉︎」

 

クララとトモミが無事に目を覚ました事を知ったヒロキは思わず彼女達を抱きしめた。ヒロキの思わぬ行動に2人の顔は赤く染まっていく。ヒロキは涙を浮かべながら2人が生きている事を確認して歓喜の声を上げる。

 

「良かった‼︎本当に良かった‼︎救えた・・・・2人を・・・助けられた。」

「ヒロキ・・・・少し苦しいデスヨ・・・。」

「ヒロヒロ、少し落ち着いて下さい。」

「あっ、御免なサイ‼︎2人とも‼︎」

「もう・・・ヒロヒロってばいきなり女性を抱き締めるのはどうかと思いますよ。」

「御免なさい・・・。」

 

ヒロキはクララとトモミの声を聞いて思わず彼女達から離れる。ヒロキから解放されたトモミの顔はほんのりと赤くなっていた。ヒロキは2人の目を見て語りかける。

 

「クララちゃん・・・・トモミさん・・・・・2人の言う通り・・・・僕は1人じゃなかった・・・・」

「そうデス‼︎アナタにはワタシ達がついてイマス‼︎」

「だから仲間達が待ってるGIRLSに戻ってきてくれませんか、ヒロヒロ。」

「でも・・・・僕がGIRLSにいたら・・・・皆がトレギアに・・・・・。」

「おいおい、俺達を甘く見過ぎだぜ!」

 

トモミ達の声を断ろうとするヒロキの後ろから声が聞こえてきた。ヒロキが振り返るとそこには怪獣娘に変身した4人がいた。4人に戦ったような後があったので気になったヒロキは思わず何があったのか訊ねた。するとヒロキとタイガ達にとって予想外の答えが返ってきた。

 

「そういえば僕達がゴロサンダーと戦ってる頃、4人は何を?」

「ボク達、さっきまでトレギアと戦ってたんだよ。」

『ええっ⁉︎』

『奴と戦ったのか⁉︎』

「ああ、確かにウルトラマンであるだけあって手強かったぜ・・・けど何とか追っ払ってやったぜ。」

 

何度もトレギアと戦ってきたヒロキとトライスクワッドはアギラとレッドキングの答えに驚きを隠せない。

 

『姉ちゃん達、大丈夫なのかよ⁉︎アイツと戦って何ともねぇのか⁉︎』

「この通りピンピンしてるよ‼︎」

「これでヒロもタイガ達も分かったでしょ。わたし達怪獣娘はあんな奴にやられる程やわじゃないの。」

「俺達はあんな仮面野郎なんかに絶対に負けない‼︎だから俺達のところに戻ってこい‼︎仲間達がいるGIRLSに‼︎」

 

ヒロキはゴモラ、ガッツ星人、レッドキングの声を聞いて彼女達を見つめるヒロキ。するとクララがヒロキを抱きしめてくる。その場にいた全員が突然のクララの行動に顔を赤くした。

 

『⁉︎』

「おジョー⁉︎」

「ちょっ⁉︎キンちゃん⁉︎」

「ク、クララちゃん⁉︎」

「ヒロキ・・・・感じマスカ?ワタシの心臓の鼓動・・・・生きてる証ヲ・・・。」

「う・・・うん・・・。」

「ワタシも・・・・ピグモンも・・・・・こうして生きてマス・・・・トレギアと戦った彼女達も全員無事に戻ってきまシタ・・・・ワタシ達は・・・この先・・・どんな戦いが待っていようと・・・・絶対負けまセン。だからGIRLSに戻ってきて下サイ!」

 

ヒロキはクララの言葉を聞いて顔を少し下に向ける。ヒロキはその場にいた皆に目を向けると彼女達に頭を下げる。

 

「皆さん、これからもよろしくお願いします‼︎」

「はい‼︎勿論です‼︎」

 

 

 

 

 

その後、現場にいつものメンバーも駆け付けてきた。彼女達もゴロサンダーが出現した事で市民の避難誘導や救助活動のため現場に来ていたのである。ヒロキは駆け付けてきたエレキング達に頭を下げる。

 

「本当にすみませんでした‼︎我儘ばかり言って‼︎」

「全くよ・・・余り周りを振り回さないでほしいわ。」

「御免なさい・・・本当に‼︎」

「まぁいいじゃねぇか、ヒロキも俺達の元に戻って来てくれる事になったんだからよ‼︎」

「ベニオさん・・・。」

 

ヒロキはランから苦言を立てられるもベニオがそれを庇う。ベニオを見るヒロキにヨウが抱きついて来た。続いてユカも近付いてくる。

 

「でも‼︎わたし達本当に心配したんですからね‼︎」

「そうですよ‼︎戻ってきてくれなかったらどうしようって思ってたんですから・・・・。」

「ヨウちゃん・・・ユカちゃん・・・・本当に御免ね。」

「ヒロキさん、今度、わたしとジャッパでゲーセン巡りするんでヒロキさんも付き合って下さいよ‼︎」

「分かったよ。幾らでも付き合うから!」

「えっ⁉︎本当ですか⁉︎分かりました‼︎・・・・皆さん、ゼットンの意識が戻ったそうです‼︎」

「本当か‼︎」

「良かった・・・・・ゼットンさん・・・・。」

 

ヒロキとヨウとユカが約束をしているとトモミがソウルライザーで誰かと電話していた。電話を終えるとトモミから伝えられた話にベニオとアキが安堵の声を上げる。

 

「じゃあ、これから皆でゼッちゃんのお見舞いに行こうよ‼︎余興で1発ギャグやってね‼︎」

(ああ・・・いつものアレか。多分アキさんが)

「・・・・・ヒロちゃんが‼︎」

「ああ・・・・って僕⁉︎アキさんじゃなくて僕なんですか⁉︎」

「そりゃあ皆が君に振り回されてたからね〜。それ相応の事はしてもらわないと‼︎」

「はっ⁉︎マジ⁉︎マジで僕がやるの⁉︎・・・・・タイガ、変わってくれない?」

『俺⁉︎お前に振ってきたんだからお前がやれよ‼︎』

「えっ⁉︎タイガちゃんがやってくれるの⁉︎わたし、ウルトラマンの1発ギャグ見たーい‼︎」

『だからやらねえよ‼︎俺の代わりにフーマがやってくれるってさ。』

『俺だってやらねえよ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ヒロキ達はゼットンの入院している病院に向かった。トモミとヒロキ以外の皆がゼットンの変身前の姿を見て珍しそうな目で見ている。そんな皆にゼットンは顔を背けて呟いた。

 

「皆・・・・そんなに見ないで・・・・恥ずかしい・・・・。」

「ご、御免なさい‼︎・・・ゼットンさんの変身前の姿が珍しかったからつい・・・・。」

「皆・・・悪いけど・・・ピグモンとヒロキだけにしてもらえる・・・。貴方達の思いは受け取ったから。」

「えっ・・・でも・・・。」

「2人に用があるみたいだしそうしようぜ。」

 

ゼットンの声にアキは戸惑うもベニオの声でみんなが病室を出る。病室にはヒロキとトモミ、そしてゼットンの3人だけになった。先にトモミが話しかける。

 

「良かったです。ゼットンの意識が戻って・・・お医者様の話によると少なくとも3日以内には退院出来るそうです。」

「そう・・・。」

「少なくとも3日は辛抱して下さいね・・・ヒロヒロ、どうしました?」

「あ・・・あのゼットンさん・・・御免なさい‼︎僕のせいでゼットンさんが」

「ヒロヒロ、悪いのはトレギアです!ヒロヒロが謝る事はありません‼︎」

「ピグモンの言う通り・・・・貴方は何も悪くない・・・・変身前の姿で油断していた私も悪い・・・・。」

「ゼットンさん・・・・。」

「それにこうして私を心配して来てくれた・・・それだけで私は十分・・・。」

 

ヒロキは彼女の言葉で心に残っていた罪悪感が消え去ったような気持ちになった。ゼットンはそんなヒロキに顔を向けて話しかける。

 

「ヒロキ、目を瞑ってこっちに来て。」

「へっ?」

「いいから・・・。」

 

ヒロキはゼットンの言葉に従って目を瞑ってゼットンに近付いた。するとヒロキの頬に柔らかい感触が走る。ヒロキは彼女に目を向けると顔を赤く染めていた。どうやらゼットンはヒロキの頬にキスをしたようだ。その横ではトモミが目を見開いて驚いていた。

 

「う・・・嘘・・・。」

「ぜ・・・ゼットンさん・・・・・。」

「後ろのキングジョー達、見てるんでしょ。」

 

ゼットンの声でヒロキとトモミが振り向くとそこにはクララ、ヨウ、ユカ、ベニオ、ミカヅキが前のめりになっていた。ベニオとヨウが代表して声を上げる。

 

「お、おい・・・・ゼットン。」

「今のどういう事ですか・・・⁉︎」

「キングジョー・・・皆・・・・今日はこの辺で勘弁してあげる。」

 

その言葉にその場にいた皆はゼットンまでもがヒロキに想いを抱いたと知って心穏やかではいられなかった。

 

(嘘でショウ・・・・まさかゼットンまで・・・これは本格的にDangerデス・・・。何でヒロキの事を好きになってしまう子が増えるのデスカ・・・‼︎)

((ゼットン(さん)まで‼︎マジかよ・・・‼︎)

(ふええぇぇぇ・・・ゼットンさんまで・・・・もうわたしに勝ち目なんてないよぉ・・・。)

(ゼッちゃんもかぁ・・・・でもわたしはわたし‼︎わたしだけの魅力で勝負しなきゃ‼︎)

 

そして顔を赤くしてゼットンにキスされた頬を押さえるヒロキの横ではトモミまでもが顔を赤くしてヒロキから顔を背けていた。彼女の様子は何処となく罪悪感を抱いているようにも見える。ヒロキはトモミが心配になったのか話しかけるがトモミは顔を赤くしたまま、ヒロキの顔から視線を逸らす。

 

「トモミさん・・・大丈夫ですか、なんか少し様子が変なような・・・。」

「えっ⁉︎・・・いや、だ、大丈夫ですよ‼︎」

 

トモミの様子にクララ達は更に信じられないような思いになる。その横ではトモミ達がクララ達を一度見た後、自身の思いにふけていた。

 

(((((まさか・・・ピグモン(ピグちゃん)((さん))まで⁉︎)))))

(わたしって・・・悪い子ですね・・・・あの時、ゴロサンダーから助けてくれたからって・・・・さっき、抱き締められた時にとても彼の優しさと暖かさを感じたからって・・・・わたしより年下のキンキン達が想いを寄せている男の子を・・・ヒロヒロを好きになってしまうなんて・・・・。)

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキとクララのクラスメートであり2人の友人であるピリカは電話で誰かと話していた。どうやら彼女はショッピングの真っ最中のようだ。

 

「うん、大丈夫‼︎夜までには帰るよ‼︎じゃあ、またね‼︎」

 

彼女が電話を終えたその後ろに霧崎が立っていた。ピリカは後ろに視線を感じて振り向くが誰もいないので再び歩み出す。その時、何処からともなく声が聞こえてきた。

 

「彼は・・・ヒロキ君はさぞかし悔やむだろうなぁ。また自分のせいで大切な人が犠牲になるのだから。」

「えっ⁉︎誰⁉︎」

 

ピリカが辺りを見渡すが誰もいない。再び前を向くとそこには霧崎が立っていた。ピリカは後ずさるが霧崎はピリカに近付いてくる。

 

「あっ・・・貴方・・・・確かレイカちゃんと葵ちゃんの時の⁉︎」

「白鳥ヒロキ君には闇に落ちてもらう・・・怪獣娘の仲間ではない親しい人が犠牲になったら彼も闇に落ちざるを得ないだろうからなぁ・・・。」

「ヒロ君を闇に落とす・・・。貴方何言ってるの⁉︎」

 

ピリカは後ずさるがもう後ろは壁だった。追い詰められたピリカは怯えた表情になる。霧崎は彼女の頭を掴む。すると霧崎の脳裏に宇宙空間を漂う何かが写る。霧崎は思わず彼女から手を離した。

 

「これは驚いた・・・ハッハッハッハッハッ‼︎最高だ‼︎実にいい展開だよ‼︎」

「アンタ、何言ってるのよ⁉︎」

 

霧崎は彼女から離れると愉快そうな笑い声を上げる。ピリカは霧崎に問いかけるが霧崎は何も答えない。そして霧崎は再び彼女を見ると彼女の頭に人差し指を突き立てる。

 

「君のお陰で素晴らしい事を思い付いた・・・計画変更だ。」

 

霧崎は人差し指からの電撃でピリカを気絶させる。そして倒れたピリカを後に霧崎は去って行った。

 

「いい・・・実にいい・・・そう思わないか、白鳥ヒロキ君・・・。」

 

 

 

 

 

目を覚ましたピリカは自分の部屋のベッドで目覚めた。彼女は今までの記憶と違って自宅の自室にいる事に不思議に思うしかなかった。

 

「今のは・・・夢?」




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+タイタス)
『宇宙人の波導を計測し正体を暴く装置、『CQ』。この装置を狙いヴィラン・ギルドが動き出した。迫りくる暗殺者の魔の手。お前達に地球人と宇宙人の絆の邪魔はさせないぜ!!次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


砂のお城


例え天が許しても私のウルトラマッスルが許さんぞ‼︎』


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砂のお城(前編)

スピンオフに続いてこちらも投稿します。本日2度目の投稿です。

今回、タイガ原作キャラの並行同位体が登場します。
それではどうぞ。


この日、ヒロキはGIRLSの休憩室でお茶を飲みながら自身のソウルライザーで更新されたニュースを見ていた。その内容は殆どが悪いニュースとしかいいようのないものであった。

 

『先週の大規模停電は新エネルギー産業『エネクロン社』の地下ケーブルが破損した事故によるものだと判明しました。同社の調査によると地下ケーブルに何らかの外的な力が備わって破損したと見られ、エネクロン社は引き続き事故の原因の調査を進める方針を』

『お互いを宇宙人ではないかと誤解し、隣人同士のトラブルが発生しました。相次ぐ怪獣騒動の裏で社会に紛れている宇宙人が近くにいるのではないかとお互いを疑ってトラブルになるケースが多発しています。中では救急車を呼ぶ程の大怪我にまで発展した乱闘騒ぎもあり』

「今日も碌なニュースがないな・・・。」

「ヒロキさ〜ん‼︎」

 

疾くヒロキの後ろからいきなりヨウが抱きついて来た。ヨウは自身の豊満な胸をこれでもかと押し付けてヒロキにおねだりする。ヒロキにタメ口を聞いている辺り2人の距離が近くなったようだ。

 

「ちょっ⁉︎ヨウちゃん⁉︎」

「ねぇねぇ、またゲーセン巡りしようよ〜!この前、楽しかったけど、ジャッパと3人で行ったから今度はヒロキさんと2人きりで行きたいんだよ〜‼︎」

「(む・・・胸が当たってる‼︎当たってるから‼︎)わ、分かった分かった‼︎行くから少し離れて‼︎」

「あーっ‼︎バッサーちゃん、ズルイ‼︎」

「ミカヅキさん⁉︎」

 

そこにミカヅキもやってきてヒロキの右腕に抱き付いた。ミカヅキとヨウはお互いの顔を見てヒロキを引っ張り合う。

 

「ねぇ、ヒロちゃん、今度、一緒にたこ焼き食べに行こうよ‼︎美味しいお店見つけたんだよ‼︎勿論、2人で‼︎」

「ちょっと、ゴモたんさん‼︎わたしが先にヒロキさんと約束したんですよ‼︎だからわたしが先ですよ‼︎」

「駄目だよ‼︎わたしの方が先輩なんだからわたしに譲るべきだよ‼︎」

「ふ、2人とも僕の意思は・・・?」

「ヒロちゃん、わたしと行くよね⁉︎」

「わたしとだよね⁉︎」

 

ヒロキは自身の目を見つめてくる2人の美少女への返答に困っていた。すると後ろからクララとユカがやってきた。クララから少し黒いオーラのようなものが見えたような気がしたヒロキは生きた心地がしなかった。隣のユカは勇気を振り絞って2人に物申した。

 

「バッサーちゃんに・・・ゴモラ・・・アナタ達何してるのデスカ・・・・⁉︎」

「く・・・クララちゃんに・・・ユカちゃん・・・・。」

「ぬ・・・・抜け駆けは駄目です‼︎バ・・・バサちゃん、ヒロキさんにくっつきすぎだよ‼︎」

「え〜⁉︎いいじゃん、別に‼︎」

「もしかしてジャッパ、羨ましいの?だったらジャッパもヒロキさんにくっつきなよ‼︎ヒロキさん、暖かいよ‼︎」

 

ユカの言葉に返事を返したヨウは更に自身の豊満な胸をヒロキにくっつける。その胸はヒロキの背中に大きく柔らかくて気持ちいい感触を与えていた。ヒロキはその感触をこれ以上受け続けていたらマズイと感じてヨウに申告した。

 

「〜⁉︎よ、ヨウちゃん、これ以上くっつかれるのは・・・。」

「どうしたの?・・・あっ、もしかしてわたしのおっぱいにドキドキしてたの?もう〜!ヒロキさんのエッチ〜♪」

「そ、そんなんじゃない‼︎」

「アハッ、そんなに顔を赤くしても説得力無いよ〜!やっぱりおっぱいにドキドキしてるんだ〜‼︎ヒロキさんのスケベ〜♪」

「コラ〜!ヒロちゃん、女の子を胸で決めたらアカンでー‼︎」

「ご、誤解ですよ、ミカヅキさん‼︎」

 

ヒロキはミカヅキの言葉を否定するがヨウが更に胸を押し付ける度にヒロキの顔は赤く染まっていく。その様子を見ていられなくなったクララはミカヅキを引き離してヒロキに抱き付いた。

 

「ゴモラ、どいて下サイ‼︎」

「クララちゃん⁉︎」

「きゃっ⁉︎ちょっとキンちゃん、何すんねん‼︎」

「ヒロキ〜、アナタさっきからマガバッサーちゃんのおっぱいにデレデレして‼︎ワタシの方が一番おっぱい大きいデスヨ‼︎」

「く、クララちゃん、別に僕、デレデレしてなんか・・・・‼︎」

 

ヒロキはクララに反論しようとするとクララは自身の豊満な胸をヒロキの右腕に思い切り押し付ける。ヒロキはマガバッサー以上の大きさを持つクララの巨乳の感触を強く感じて更に顔を赤くする。

 

「⁉︎」

「ンフフフフ〜♪やっぱりワタシのおっぱいが一番好きなんデスネ〜♪顔の赤さが明らかに違いマスヨ〜♪」

「ち、違・・・・‼︎」

 

ヒロキは否定しようとするもヒロキの右腕の一部が完全に服越しにクララの胸に包み込まれていた。その感触はヒロキが思っていたよりも気持ちいい感触であったため、ヒロキはクララの言葉を否定しきれなくなりつつあった。そこにユカまでもがヒロキの左腕に抱き付いて豊満な胸を押し付ける。

 

「ふ、2人ともズルいです‼︎わ、わたしだって・・・・・えい‼︎」

「⁉︎ゆ、ユカちゃん⁉︎」

「ヒロキさん!・・・・わ・・・・わたしだっておっぱいなら2人に負けません‼︎」

(うわぁ・・・分かってはいたけど・・・ユカちゃんもかなり胸大きい・・・・!しかもめっちゃ当たってる・・・・‼︎)

 

ヒロキは3人の巨乳な胸の感触を三方向から受けて顔がこれまでにないくらい赤くなっていた。そんなヒロキを見たミカヅキは自身の体を確認して叫ぶ。

 

「3人ともおっぱいで色仕掛けとかわたしに喧嘩売ってるんかい‼︎ヒロちゃんもデレデレすな‼︎このままだとわたしEXとかレイオニックバーストとかに変身して暴走してまうわ‼︎」

「ゴモラ、幾ら自分のおっぱいが小さいからって女の僻みは見苦しいデスヨ〜♪」

「〜〜〜‼︎キンちゃん、知ってる・・・?幼馴染は今時負け属性だってエレちゃんが言うてたで‼︎ヒロちゃんと取り返しがつかない事になる前に考え直しときや‼︎」

「ゴモラ・・・それは漫画やアニメだけの話デース!・・・現実ではそうはいきまセンヨ〜♪ネ、ヒロキ?」

「ぼ、僕に聞かれても困るよ・・・・。」

 

クララの挑発にランから聞いた事を思い返して反撃するもクララはさらりと言い返す。その際にクララはヒロキに自身の考えの同意の声を求めてきたがヒロキはどう返事すればいいか分からず困った口調で呟く。その時、トモミがやってきて大きな声でヒロキ達を叱る。

 

「こら〜‼︎朝からなんて破廉恥な会話をしているのですか‼︎しかもこの公共の場で‼︎」

「ぴ、ピグモン‼︎」

「キンキン、貴方はGIRLSにかなり籍を置いている身なんですから自分の立場を弁えて発言して下さい‼︎モデル活動停止中のキンキンがこんな事をGIRLSの建物内部でしていたらモデル復帰どころかスキャンダルで一生表舞台に立てなくなる可能性だってありますよ‼︎」

「うっ・・・‼︎I'm sorry・・・。」

「キンキン、バサバサ、ジャパジャパ、ゴモゴモにヒロヒロ‼︎ここは公共の場なんですからそう言った発言や行動は控えて下さい!朝から・・・は・・・破廉恥すぎます‼︎朝から公共の場で不純異性交遊はいけません‼︎」

「「「「ご、御免なさい・・・。」」」」

 

トモミによる説教が終わると彼らは解放される。ヒロキ達が再び椅子に座るとトモミはヒロキの周りにいる女の子を眺めて自身の体と比べるとおもわすため息をついてしまう。

 

(それにしても・・・・キンキンといいバサバサといいジャパジャパといい・・・・何でヒロヒロの事を好きになる女の子はお胸が大きい子が多いのですか・・・。)

 

トモミがそんな事を思っている頃、ヒロキは落ち着いた後、再び椅子に座ってソウルライザーを開く。するとニュース情報が更新された事に気付く。

 

「エネクロン社の配電施設の破壊の後に蟻酸のような成分と巨大な何かが地中を掘り進んだ後が確認された・・・?」

「おっす‼︎お前ら‼︎」

「おはようございます。」

 

ヒロキがニュースを眺めているとベニオがやってきた。その後ろにはいつものメンバーが控えている。ベニオはヒロキの様子に気付くと隣に座って話しかけた。

 

「ヒロキ、お前、何見てんだ?」

「ベニオさん・・・実は最近起こっている」

「ようようよう、GIRLSの諸君、元気そうだね!!」

 

ヒロキがニュースの内容をベニオに伝えようとしたところに思わぬ客人がやってきた。それはかつてGIRLSにキングゲスラやデアボリックの事件を持ち込んだトモミの叔父で刑事の佐倉だった。彼の後ろには部下と思われる1人の女性もいる。

 

「佐倉さん!!お久しぶりです!!」

「久しぶりだね。おや、見ない顔がいるけど?」

「初めまして、白鳥ヒロキです。よろしくお願いします。」

「よろしく!」

「そっちの方も見ない顔がいますけど?」

「ああ、紹介するよ。俺の部下の。」

「佐々木カナよ。よろしくね、GIRLSの皆!」

 

佐倉の隣の女性『佐々木カナ』はクララとヒロキを見ると彼女に話しかける。その時、2人は彼女の口から出た言葉にクララは驚きを隠せなかった。

 

「ねえ、もしかして貴方がピリカの友達のクララちゃんとヒロキ君?」

「え!?僕とクララちゃんは確かにピリカさんの友達ですけど!!」

「どうしてピリカの事ヲ?」

「私、彼女の保護者なの。ピリカといつも仲良くしてくれてありがとう。これからもあの子と仲良くしてあげてね。」

「それで叔父さん・・・ここに来た理由は何ですか?」

「またうちらに頼み事?部下だって連れてる訳だし。」

 

ヒロキとクララがカナの言葉に頷いた後、トモミとミカヅキは本題に切り出す。今まで彼が持ち込んできた事件を考えればまた何か自分達GIRLSに頼み事があると踏んだからだ。佐倉はトモミとミカヅキの方に顔を向けると笑みを浮かべながら懐からUSBメモリを取り出した。

 

「その通り。実は君達に1つ頼みたい事があってね〜。」

 

 

 

 

 

 

 

その後、講義室にいつものメンバーに加え佐倉とカナが来ていた。佐倉とカナが説明を始める。

 

「たび重なる宇宙人事件に我々警察もGIRLSだけに宇宙人犯罪を任せる訳にはいかないと俺とカナちゃんが何度も申し立ててね。漸く対宇宙人犯罪を専門にした部署が設立されたんだよ。」

「警察の方で宇宙人犯罪を取り締まる対宇宙人犯罪専門部署、それが私達『外事X課』よ。」

「外事X課・・・。」

「我々外事X課は対宇宙人犯罪に向けてある装置を開発する事になった。それがこの波動測定機『CQ』だ。」

 

佐倉の言葉と共にモニターに何かの機械の設計図が映される。それを見ながら佐倉はこの機械の説明を続けた。

 

「これは生命エネルギーの波導を測定して人間かそうでないかを区別することが出来る装置だ。」

「つまり、人間社会に入り込んだ宇宙人を見分ける装置って事ですか?」

 

ヒロキの言葉に佐倉は笑顔を浮かべながらヒロキとハイタッチをする。クララとトモミがヒロキを下がらせると佐倉とカナが更に説明を続ける。

 

「その通り!悪い宇宙人共にとってこんな物が開発されたら大いに困る‼︎」

「しかもヴィラン・ギルドは何処から嗅ぎつけたのか分からないけどこれの開発阻止に動き出したという情報を私達も掴んだの。」

「ヴィラン・ギルドが⁉︎」

「そこで君達に開発者の身辺警護をお願いしたい‼︎」

「任せて下さい‼︎」

 

ヒロキが立ち上がって張り切った声を上げるがそれをベニオとミカヅキが嗜める。ヒロキを下がらせた後にアキは自身が思った疑問を佐倉にぶつける。

 

「ヒロキ、お前な‼︎」

「これ、ヒロちゃんが決める事じゃないよ‼︎」

「何でボク達なんですか?勿論、その開発者が狙われているなら放っておけないけど・・・そっちは警察ですよね?警察の方で護衛を回せないんですか?」

「警察にも大っぴらに出来ない事情というものがあるんだよ!」

「それに外事X課は設立されたばかりで人手が足りないのよ。それこそ身辺警護に回せる人員が少ないくらいにね。」

「そこでこの手の事件に手慣れた君達優秀なGIRLSが適任だと考えた訳だよ。どうか引き受けてくれないかな?」

「・・・・分かりました。この依頼、お引き受けします。それで警護対象はどなたなんですか?」

「開発者の名前は本宮サチコ。城南大学工学部研究員だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、城南大学の本宮サチコの研究室にヒロキ、クララ、アキ、ミコの4人が来ていた。本宮サチコの身近で警護を務める事になったのがこの4人だ。サチコは研究室でホワイトボードに何らかの数式を書きながらヒロキ達にCQの説明をしていた。

 

「生命エネルギーには固有の波導があります!その波導係数を数式に表すと・・・・この様になります‼︎波導には・・・・。」

(ガッツ・・・何言ってるか分かる?)

(正直言って何も分からない・・・・おジョーは?)

(細かい事までは流石二・・・。)

(それよりこの人、僕の足を何度も踏んでるんだけど‼︎お願いだから気付いて!結構痛い‼︎)

「CQは波導をデータバンク化し、マップに表示することが出来ます!!実際に作動させてみましょう!!」

 

その後も彼女によるCQの説明が続き、やがて装置の実験のために彼女達は外に出る。そして実際に学内を歩く学生をCQに写す。

 

「あの人は・・・人間ですね。・・・じゃあ・・・貴方は・・・・。」

「へっ・・・ちょっと⁉︎いきなりわたし⁉︎」

 

本宮がCQをミコに向けてミコを測定する。すると地球人であるマークと宇宙人のマークの両方が出たり消えたりを繰り返していた。本宮の後ろに回り込んだアキとヒロキは驚いた顔でCQを覗き込む。

 

「何です、コレ⁉︎」

「こんな反応見た事ない‼︎・・・・故障したのかしら?」

「いえ・・・・多分それ正常です‼︎」

 

CQの反応に開発者である本宮も驚きを隠さず機械の故障を疑う。そこにヒロキがフォローしてきた。

 

「多分ですけどコレ・・・ミコさんのカイジューソウルが関係してると思います‼︎」

「えっ、わたしのカイジューソウルが⁉︎」

「どういう事ですか⁉︎」

「ミコさんのカイジューソウルはガッツ星人という宇宙人なんです。多分ですが・・・。」

「成程・・・貴方に宿る宇宙人のカイジューソウルに反応して宇宙人か地球人か曖昧な判定が出たって事ですね!!・・・じゃあ次は・・・。」

「これって・・・。」

 

ヒロキは思わず言葉を飲み込んだ。そして少し考えるとヒロキは3人に本宮に聞こえない声で話しかける。ヒロキの意見で3人はCQがGIRLSにとって必要になる可能性を推察した。

 

(アレさ・・・僕達GIRLSでも使えるんじゃないかな?あの装置、まだ未覚醒の宇宙人のカイジューソウルを宿した怪獣娘を捜索に役立つかも・・・。)

(⁉︎・・・その発想はありませんデシタネ・・・。ヒロキ・・・Nice Ideaデス‼︎)

(確かに・・・CQにどっちつかず判定されるって事はわたしみたいに宇宙人の魂を宿した怪獣娘って事になるもんね・・・ヒロ、頭いいじゃん‼︎)

(GIRLSとしても便利だしこの事を報告すればピグモンさん達もCQを研究を支援する対象にしてくれるかも・・・‼︎)

 

その後もCQを使って様々な人達を測定する本宮。彼女に付き添うヒロキ達は彼女を狙うスナイパーが大学の屋上で身を潜めている事に気がついていなかった。スナイパーはライフルの照準を本宮に向ける。そしてライフルの引き金が引かれた。その時、黒いコートにサングラスの男が彼女の身を伏せさせる。そして男は本宮を何処かに連れて行ってしまった。ヒロキ達は銃撃が来たことを確認するとクララがヒロキに指示を出す。

 

「危ない!!」

「銃撃!?」

「ヒロキ、ワタシとガッツはSniperを追いマス!!アナタとアギラちゃんは教授をお願いシマス!!」

「分かった!!」

 

ヒロキとクララ達は二手に分かれてスナイパーと本宮を追いかけていった。




おさらいがてらにヒロインの一覧です。
おジョーさん(メインヒロイン)、バッサーちゃん、ジャッパちゃん、キングジョーⅡちゃん、シルバーブルーメちゃん、ゴモたん、レッドキング先輩、ゼットンさん、ピグモンさん

・・・・巨乳と貧乳の差が激しすぎる・・・・。ゴモたんとピグモンさんにとって無理ゲーすぎるような・・・・。・・・・アレ・・・・レッドキング先輩ってどっちに入るんですかね・・・?

それでもってヒロインは全員で9人・・・これでR18のスピンオフを書いたらハーレムルートも絶対に書かなきゃいけなくなるけど・・・・仮にハーレムルートを書いたら9対1の10P・・・・ヒロキの身が絶対に持たない・・・・・。


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砂のお城(中編)

今回は新世代ヒーローズでは触れられなくなったアリブンタの特徴が見られます。それは何でしょうか?
それにしても何故ウルトラファイトビクトリー以降の登場ではあの特徴は見られなくなったのやら・・・。コンプライアンスの問題なのかそれとも・・・・。

大蟻超獣『アリブンタ』登場


本宮は突然現れた黒い服装の男に連れられていた。男は首にスカーフを巻いて口を隠している。男が本宮から手を離した時、彼女は男の手の甲に土星のような輪がついた惑星のような痣が見る。その痣を確認した本宮は思わず男にCQを向けるが男はそれを拒んだ。

 

「よせ‼︎」

「・・・・貴方もしかしてミツヒロ君・・・・」

「違う!人違いだ‼︎」

「嘘!絶対にミッちゃんよ‼︎」

「聞け‼︎」

 

本宮は目の前の男にかつての知り合いの影を感じたのか何度も呼び掛けるが男は彼女の言葉を否定する。そして彼女の肩を掴んだ彼は彼女に語り掛けた。

 

「ここ最近は絶対に加工地域に近付くな‼︎出来ればこの街から出ろ‼︎」

「本宮教授‼︎」

 

ヒロキの声が聞こえると男は再び顔を隠して何処かへ走り去っていく。ヒロキとアキは本宮に駆け寄ると彼女の無事を確認した。

 

「教授‼︎大丈夫ですか⁉︎」

「ヒロキさん、あの人‼︎」

「逃げる気か⁉︎アキさん、本宮教授を頼む‼︎僕はあの男を追う‼︎」

 

アキが指差す先には走り去る男が曲がり角を曲がる姿があった。ヒロキはアキに本宮の事を任せるとアキは頷いた。ヒロキは男の背中を追い掛けて走っていくが曲がり角に入った時には既に男はいなくなっていた。

 

「逃げられたか・・・・・⁉︎何だ⁉︎」

 

その時、地面が大きく揺れ始める。そして蟻を思わせる怪獣が姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、怪獣娘に変身したキングジョーとガッツ星人か大学の屋上に降り立つ。その視線の先にはライフルを構える頭が尻のような形の宇宙人『バド星人』がいた。バド星人は怪獣娘に自身の存在がバレた事を察するとキングジョーとガッツ星人に銃口を向ける。

 

「‼︎・・・怪獣娘か⁉︎」

「アナタがヴィラン・ギルドのSniperデスネ‼︎」

「さて、さてさてさて、来ました‼︎わたし達が‼︎貴方達を止めに・・・ね。わたし達が来たからには降参したほうが身のためだよ‼︎」

「ふん‼︎誰が降参するものか‼︎」

 

バド星人は2人に向かってライフルの引き金を引く。彼女達はその銃撃をあっさりと跳ね返した。それと同時に地面が大きく揺れ始める。

 

「何⁉︎」

 

その時、地面から巨大な何かが姿を現した。それは肩に大きな突起を備え、両手が鋏になった黄色い目の蟻を思わせる怪獣だった。それの名は大蟻超獣『アリブンタ』。かつて地球侵略を目論んだ異次元人ヤプールに造られた怪獣兵器『超獣』の1体でかつて東京に大きな巣を作ってO型の女性を喰らっていた超獣の別個体だ。

 

「なっ⁉︎嘘・・・怪獣まで引き連れてたの⁉︎」

「イエ、アレはただの怪獣じゃありマセン‼︎確か超獣デス‼︎」

 

アリブンタはガッツ星人に目を向けると鋏になった巨大な手で彼女を捕らえようとする。ガッツ星人は瞬間移動でかわすがアリブンタはガッツ星人に再び視線を向けると大顎で彼女を喰らおうとする。

 

「こいつ、わたしを狙ってる⁉︎どうして⁉︎」

「確かその超獣ハ・・・。」

「アリブンタ、お前の好物がいたのか?だが、そいつを喰らうのはまだ後だ‼︎」

 

バド星人の声でアリブンタがガッツ星人を狙うのを止める。そして再び2人の怪獣娘が並び立つとアリブンタは彼女達に溶解液を吐きかけてきた。2人は空に飛び上がってそれを避けるがバド星人はそのうちにアリブンタに飛び移る。

 

「ハッハッハッハッハッ‼︎怪獣娘諸君、また会おう‼︎」

 

バド星人の声でアリブンタは地面を掘り進め始める。大きな土煙を上げてバド星人はアリブンタと共に地底に消えて行った。

 

「逃げられたか・・・・。」

『アリブンタか・・・・ヴィラン・ギルドの奴ら・・・超獣まで引き連れてくるとは・・・・かなり本気のようだな・・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・それであの男・・・加工地域に近付くなと言ったんですね。」

「はい・・・。」

「加工地域に一体何が・・・。」

 

その後、GIRLSに戻ったヒロキ達は本宮に事情聴取をしていた。ヒロキの言葉に答えた本宮の横でトモミ、ランがモニターに映像を映して解説を始める。

 

「実は先程・・・エネクロン社の配電設備が何者かに破壊されて停電が起こるという事件が起こりました。そしてここ最近の停電原因についてなのですが・・・。」

「わたし達調査部が調査したところ停電の原因にある共通点があったわ。先々週の発熱ボイル、先週の地下ケーブル、そして先程の配電設備・・・全てエネクロン社の設備よ。」

「は⁉︎同じ会社の設備が立て続けに壊されて停電ってどう考えても不自然だろ‼︎」

 

ベニオの言葉にヒロキ達も頷いた。その後にレイカが続いて説明を始める。

 

「レッドキングさんの言う通りです。それでGIRLSが調査したところその破壊の後には巨大な何かが地中を掘り進んだとしか思えない跡に加えて強力な蟻酸のような成分が確認されました。」

「蟻酸って?」

「蟻などに含まれる成分です。地中を掘り進んだ形跡や蟻酸・・・そして先程の報告からして・・・ここ最近起こる停電はヴィラン・ギルドによる人為的な破壊の可能性が高いです!加工地域にはエネクロン社の備蓄施設がある事からヴィラン・ギルドの狙いはそこにあるものと思われます‼︎」

「何でヴィラン・ギルドがそんな事を⁉︎奴らに何の利益があるの⁉︎」

 

ミコの言葉を聞いたトモミは再びモニターに何かを映し出す。それはエネクロン社ととある企業の株の売れ高の折れ線グラフだった。

 

「この事件をきっかけにエネクロン社の株価が下がるとともにこのゾリンコーポレーションなる会社が株で大儲けしています・・・まるで事故が起こる事を事前に知っていたみたいに・・・。」

「・・・おい・・・・まさかとは思うがゾリンコーポレーションはヴィラン・ギルドの⁉︎」

「その可能性は充分にあると思います。引き続き、エレエレ、ウインウイン、バサバサ、ジャパジャパはゾリンコーポレーションの調査をお願いします‼︎」

「分かったわ。」

「「「はい‼︎」」」

 

エレキング達が部屋を出ると残ったメンバーが再び会議を始める。トモミの横で本宮はCQに残ったデータを割り出して発言する。

 

「皆さんは加工地域に向かって下さい‼︎備蓄施設が破壊されたら周辺の住民に大きな被害が出ます!破壊される前に何とかヴィラン・ギルドを止めないと‼︎」

「既に彼のデータは割り出しました。彼がいればこのマップに表示されます‼︎」

「よし!じゃあ行くか‼︎」

「私も行きます‼︎」

「駄目ですよ!貴方は狙われているんですから‼︎」

「宇宙人との戦闘はワタシ達が対応シマス‼︎命を狙われているアナタが」

「これはプロトタイプなので私にしか扱えません‼︎それに・・・・私、どうしても確かめたい事があるんです‼︎お願いします‼︎」

 

彼女の必死な言葉に怪獣娘達も同行させざるを得なくなり彼女も共に行く事になった。本宮が準備のため部屋を出て行った後、トモミ達はアリブンタの対策について話し合っていた。

 

「それにしても厄介なものを引き連れてたね・・・。」

『ああ・・・・大蟻超獣『アリブンタ』・・・かつて異次元人ヤプールによって造られた怪獣兵器『超獣』の一種だ・・・。ヴィラン・ギルドの奴ら・・・まさか超獣まで引き連れていたとはな・・・。』

「タイガ、超獣を造ったヤプールって倒されたんじゃなかったの?」

「ピグモンもそれが気になっていました!どうして超獣がまた出現したのですか⁉︎」

『あー、ヤプール自身も何度か復活してる上に・・・・奴の怨念はかなり根深く宇宙に残ってるんだよ・・・・多分だけど・・・・あのアリブンタは宇宙の何処かでヤプールの怨念によって造られたものをヴィラン・ギルドが何らかの手段で捕獲したものだと思う・・・。』

「うげぇっ⁉︎怨念だけであんな化け物が生まれるとか怖ぁ・・・。」

 

ヒロキとトモミの問いに答えたタイガの声にサチコが声を上げる。タイガはサチコの声を聞いて更に超獣について説明を続けた。

 

『おいおい、サチコ、アレくらいだったらそこまで強い怨念から造られた訳じゃ無さそうだし俺達で充分に対応できるから心配するなよ。』

「え・・・ヤプールの怨念が強ければ強いほどその怨念で生まれた超獣も強くなるの?」

『だと俺は思う。昔、かなり強力な怨念で生まれた超獣はウルトラマンと、ウルトラセブン、ジャック、エースの4人掛かりで挑んでも封印するので精一杯の化け物になったからな。』

「ウ、ウルトラマンが4人掛かりで封印するのが精一杯⁉︎」

「マジかよ・・・しかもタイガの言ってた4人って伝説のウルトラマン達じゃねぇか⁉︎その4人でさえ倒しきれないような怪物になるなんて・・・。」

「それって昔・・・神戸に現れたという・・・。」

「Uキラーザウルス・・・・デスネ・・・・。」

 

ミカヅキの疑問に答えたタイガの説明でヤプールや超獣の恐ろしさを改めて知った怪獣娘達。彼女達を代表してミクとミサオが驚きの声を上げる中、ヒロキとクララはかつて神戸に住んでいてその超獣の事を知っていたのかその名を口に出していた。タイガはタイタスやフーマにも超獣の恐ろしさを伝える。

 

『お前らも警戒したほうがいいぜ。超獣は恐怖や痛みを感じないからな。』

『『ああ・・・。』』

「えっ⁉︎恐怖や痛みを感じない⁉︎」

『何だよ、この星にも超獣が現れた事あるんだろ?GIRLSにも超獣の怪獣娘がいるんだよな?』

「た、確かにGIRLSにも超獣の怪獣娘は所属しています・・・ですが今のは始めて聞きました‼︎」

『そうか・・・・じゃあ説明するけど・・・アレは完全な戦闘兵器だから痛覚や感情が存在しないんだよ。だから奴らを相手にした場合、動きが止まるまで攻撃を続けなきゃならないんだ。』

「ちょっ⁉︎ちょっと待って下さい‼︎ウルトラマンエースが明らかにやりすぎと言ってもいい攻撃をしていたのって‼︎」

『そうでもしなければ奴らを止められなかったからだ・・・。』

 

トモミは過去の記録のエースと超獣の戦いを見て疑問に思っていた事がタイガの口から明かされて衝撃を隠せない。そんな中、ヒロキは皆に訊ねる。

 

「この中で血液型がO型の人って?」

「えっ?血液型?」

「アリブンタはどういう訳か血液型がO型の女性を好んで捕食する。だからO型の人は待機した方がいいと思うんだ。」

「血液型がO型の・・・だからあの時、あいつはわたしを食べようとしたのね‼︎」

「えっ・・・ボクもO型なんだけど・・・。」

「お、俺もO型だ・・・。」

「・・・・アギアギ、ガツガツ、レッドン、3人はわたしと一緒に待機して下さい。3人が現場に出ればアリブンタは恐らく3人を狙ってきます!」

「しゃあねぇ・・・後はお前らに任せるからな‼︎」

 

ヒロキの説明を聞いたミコは納得したような声を出す。その横で自身がO型である事を明かしたアキとベニオの声を聞いてトモミは3人に指示を出す。ベニオは不服ながらもそれを承認し、ヒロキ達に後を託す事にした。

 

 

 

 

 

 

 

その後、加工地域で再びCQを使ってヴィラン・ギルドを捜索していた。本宮の護衛についたのはヒロキ、クララ、ミク、ミカヅキ、サチコ、ミサオの6人だ。ヒロキは先程の本宮の言葉を思い出して彼女に訊ねる。

 

「本宮教授、確かめたい事って・・・あの男の事ですか?」

「・・・・・あの人・・・昔の知り合い・・・・・私の幼馴染かもしれないんです・・・・私・・・子供の頃は苛められっ子で・・・でもある友達だけは私に優しくしてくれたんです・・・・。」

「‼︎・・・・幼馴染・・・・デスカ・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

本宮は子供の頃の記憶を思い出す。その中では公園の砂場で小学生の頃の本宮と思われる少女が作った砂の城が2人の男子に蹴られて崩されていた。彼女は当然止めるも彼らは全く聞く耳を持たない。

 

「止めて!止めてよ‼︎」

「煩え‼︎地味女の癖にこんな物作ってんじゃねえよ‼︎」

「止めろ‼︎サッちゃんを苛めるな‼︎」

 

そこに1人の少年がやってきた。少年は本宮を苛めていた2人も敵わないのかその姿を見た2人はその場から逃げ出した。そして彼女に駆け寄った少年は本宮が落とした眼鏡を拾ってそれをかけてあげる。

 

「ヤベ‼︎逃げろ‼︎」

「・・・・・ありがとう、ミッちゃん。」

 

そして2人は崩れた砂の城を見るとその前でしゃがみ込む。そして2人は壊れた城を直し始めた。

 

「こっちは私が作るね。」

「サッちゃん・・・今日はお別れを言いに来たんだ・・・。」

「えっ・・・・何言ってる・・・・の?」

 

ミっちゃんと呼ばれた少年は右腕を差し出す。彼の右手の甲には土星のような惑星が描かれた痣があった。そして後ろからアダムスキー型と呼ばれる典型的なUFOが降りてくる。それを見た本宮は本当に彼と別れなければならないと悟ったのか涙を浮かべながら叫んだ。

 

「やだ・・・さよならなんかしたくない‼︎」

「・・・・・さよなら・・・・サッちゃん・・・・・。」

 

そしてUFOが光るとその光の中に彼の体は吸い込まれていく。そして飛び立つUFOを見ながら本宮は大声で彼の名を呼んだ。

 

「ミっちゃん・・・・ミッちゃーん!ミッちゃーーん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その話を聞いたヒロキ達は先程の男が彼女と仲の良かった幼馴染かもしれないと知って何も言葉を出来ずにいた。特にヒロキとクララは他人事ではないと感じずにはいられなかったのか神妙な表情になる。そんな中、本宮は話を続けた。

 

「小学校時代の同級生は皆、『そんな子は覚えていない』って言うし・・・親からも想像上の友達扱いされて・・・でも私は諦めなかった・・・。一生懸命勉強してこの機械を作ったんです。彼を探すために・・・・彼にもう1度会うために・・・・。」

「・・・・・その幼馴染らしい男は・・・・・本宮さんの命を狙っているかもしれないんですよ・・・・それでもいいんですか?」

「そんな事ない‼︎彼は私のことを守ってくれた‼︎昔も・・・先程も‼︎だから」

「でも・・・本宮さんがあの男と会うのは危険だと思いま・・・・っ痛え‼︎」

 

勇気を振り絞ってミサオが可能性を口にするが本宮はそれを否定する。その言葉を聞いて思うものを感じながらもミサオはあの男と本宮が会うのは危険だと伝えようとした時、CQが反応を示す。それを見た本宮はミサオの足を踏みながらCQに駆け寄った。

 

「ノイちゃん、大丈夫⁉︎」

「痛え・・・いきなり足踏むなんて酷いじゃないですか⁉︎」

「御免なさい・・・CQが反応しているのを見てつい・・・・・この数値は・・・・彼がいます‼︎」

「よし、ヴィラン・ギルドの連中の確保に回ろう‼︎」

「ワタシとゴモラとミクラスちゃんの3人で奴らを確保シマス‼︎ヒロキはザンドリアスちゃん、ノイズラーちゃんと一緒に本宮教授ヲ‼︎」

「分かった‼︎」

 

クララの言葉でミカヅキとミクはクララに付いていく。ヒロキはサチコとミサオの2人と共に本宮の護衛に回った。

 

 

 

 

 

 

クララ達は本宮のCQに示された場所まで移動する。既に何が起きてもいいようにソウルライザーを構えていた。話し声が聞こえた彼女達は物陰に隠れる。そこではヘルメットを被った男達の前に1人の男がやってきた。サングラスに黒いコートを羽織った男だ。クララはそれを見て小さな声で2人に伝える。

 

「間違いありまセン。先程、大学で遭遇した男デス。」

「本当⁉︎」

「エエ。」

 

クララ達は身を潜めて男とヘルメットの男達の会話を聞く。その会話は彼女達の予想していたものだった。

 

「よぉ、ミスティ。サーペントはどうした?」

「俺が補充要員だ。サーペントの奴、塩分の摂りすぎでダウンしたらしい。」

「ナメクジ野郎はこれだからな、ハハハハハハ‼︎」

「さぁてとアリブンタでこの備蓄施設をぶっ潰せばボーナスが貰える‼︎一丁お仕事開始といきますか‼︎」

「アイツら、やっぱりアリブンタで‼︎」

「絶対にそんな事させマセン‼︎2人とも行きまショウ‼︎」

「うん‼︎」

「はい‼︎」

「「「ソウルライド‼︎」」」

 

3人はソウルライザーを操作してその場に駆け出していった。しかし、それと同時に動き出す者もいた。そしてヴィラン・ギルドに銃口を向ける者を見て怪獣娘達は唖然とした後、驚きの表情を浮かべた。

 

「GIRLSデス‼︎アナタ達を確保シマス‼︎」

「「「動くな‼︎」」」

「・・・・・って・・・。」

「「「ええっ⁉︎」」」

 

その場でヴィラン・ギルドに銃を向けたのは奴らの仲間である筈の『ミスティ』と呼ばれた男だったのだから。




いよいよ明日、トリガー世界にアブソリューティアン襲来ですね。リブットも登場するとの事で実に楽しみです‼︎


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砂のお城(後編)

御免なさい。投稿した後に色々と付け加えた部分があります。
話の都合上、色々と付け加えました。
ご了承ください。


クララ達が目の前の光景に混乱する一方で仲間であった筈のミスティまで自分達に銃口を向けてきた事にヴィラン・ギルドの男達は怒る。

 

「テメェ、ミスティ‼︎裏切りやがったな‼︎」.

 

そして男が装置を起動すると土煙を派手に上げてアリブンタが地中から現れる。アリブンタを見たヒロキはサチコとミサオに本宮の事を頼もうとする。すると何処かで身を潜めていたヘルメットを被ったヴィラン・ギルドの男達が現れて4人を取り囲んでしまった。

 

「ピギイイイイイィィィィィ‼︎」

「サチコちゃん、ミサオちゃん、本宮教授を頼む‼︎僕はアイツを」

「おおっとそこまでだぜ‼︎」

「うっそぉ・・・・囲まれちゃったよ・・・・。」

「・・・・マジか・・・・仲間が潜んでいたのか・・・・。」

 

彼らを取り囲んだ男達の中から彼らを束ねるリーダーと思われるバド星人が現れた。バド星人は3人を指差して部下に命令する。

 

「ようし‼︎お前ら、やれ‼︎」

「「ソウルライド‼︎」」

 

その言葉に男達が3人に飛びかかってくる。ヒロキ達は男達に応戦するがヒロキ達の隙をついたバド星人が本宮を連れ去ってしまった。

 

「きゃああああああ‼︎」

「本宮教授‼︎」

「だああああああああ‼︎」

「アタシとザンで教授を助けるからヒロキはアリブンタを頼む‼︎」

「ああ‼︎コイツら何とかしてからな‼︎」

 

ヒロキは男の頭にキックを叩き込みながらノイズラーの言葉に答える。ノイズラーも目の前の男達を音波で気絶させると同時に口から放つ炎で男達を蹴散らしたザンドリアスと共に本宮を追って行った。

 

 

 

 

 

その頃、キングジョー達は成り行きからミスティと共闘してヴィラン・ギルドの連中と戦っていた。思わぬ展開にゴモラは背中合わせになったミスティに訊ねる。

 

「あなた、一体何者なの⁉︎」

「悪いが怪獣娘の皆、説明してる暇は無い‼︎」

「動くな‼︎」

 

そこに本宮を拘束したバド星人がやってきた。バド星人は怪獣娘達の前で本宮の頭に銃口を突きつけながら命令する。

 

「怪獣娘共、お前らの仲間は忍ばせた俺の部下の相手で精一杯だ‼︎大人しく抵抗を止めろ‼︎」

 

その言葉にキングジョー達はヴィラン・ギルドの男達との戦闘を止める。ミスティも銃を投げ捨てた。バド星人はミスティに銃口を向ける。

 

「俺達の情報が漏れていると思ったら裏切り者がいやがったとはな‼︎死んでもらうぜ‼︎」

「・・・ミッちゃん・・・。」

「冥途の土産に聞かせてやろう‼︎俺様の名は『バド星人エル・レイ』‼︎バド星の言葉で宇宙の帝王という意味で」

「ミッちゃん・・・・やっぱりミッちゃんなのね・・・・‼︎・・・・ねぇ・・・ミッちゃん・・・・ミッちゃんでしょ‼︎私、ミッちゃんを見つけたくてこの機械を作ったんだよ‼︎もう一度ミッちゃんに会いたくて・・・・漸く会えたのに・・・・やっと・・・・会う事が出来たのに・・・・・何で何も言ってくれないの⁉︎」

「俺が喋ってんだ‼︎静かにしろ‼︎」

 

本宮が必死にミスティに叫ぶがバド星人は話の途中で騒ぐ本宮に苛立つ。その時、彼女の足は偶然にもバド星人の足を踏みつけた。その痛みでバド星人は彼女から手を離してしまう。その時、ミスティが彼女に駆け出していく。怪獣娘達は反撃のチャンスと捉え、目の前の男に尻尾や拳による打撃で吹っ飛ばした。

しかし、アリブンタの方はそんな状況など知らずに口から溶解液を吐いてエネルギータンクを溶かし始める。

 

「ピギイイイイィィィ‼︎」

 

そしてアリブンタは両腕から炎を放った。それは橋に命中し、その下でヴィラン・ギルドの男達と戦闘を繰り広げていた怪獣娘達に降り注ぐ。彼女達は拳や尻尾で何とかそれを防ぐ。

 

「うわっ⁉︎危な‼︎」

「きゃああああ⁉︎」

「本宮さん‼︎」

 

そして瓦礫の一部が本宮に降り注いだ時、ミスティは自らの身を盾に彼女を守る。本宮は瓦礫が降り注いだ後に自身の身に起こった事を確かめると十数年ぶりに再会した幼馴染の身を心配して叫ぶ。

 

「ミッちゃん・・・ミッちゃん、しっかりして‼︎ミッちゃん‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、漸くヴィラン・ギルドの手先を退けたヒロキは目の前で暴れるアリブンタに目を向ける。

 

「超獣は痛みを感じない・・・・なら3人の中で1番力強いタイタスで!タイタス、頼む‼︎」

『うむ‼︎』

 

ヒロキはタイタスを呼びながらタイガスパークを出現させる。そしてタイガスパークのレバーを引き、その手にタイタスキーホルダーを掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「力の賢者、タイタス!!」

『うおおおおおっ!ふんっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイタス!〉

 

タイタスは現れると同時にアリブンタ向かって走っていきその胸に右ストレートを叩き込んだ。タイタスの剛力の拳にアリブンタは耐えれず吹っ飛んでいった。

 

(ヴィラン・ギルド‼︎お前達の野望‼︎)

『例え天が許しても私のウルトラマッスルが許さんぞ‼︎』

(・・・・何それ・・・・。)

 

ヒロキがタイタスの言葉にツッコミを入れている間にアリブンタは体勢を立て直してタイタスに向かっていく。タイタスは両腕を叩くと右手に赤い電撃のプラスエネルギー、左手に青い電撃のマイナスエネルギーを宿して近くの発電塔からも電撃エネルギーを集めて両腕を合わせて拳にして電撃を宿したダブル・スレッジ・ハンマーを叩き込んだ。

 

『タイタスプラネットハンマー‼︎』

「ピギイイイイイィィィィィ⁉︎」

 

タイタスの放った『タイタスプラネットハンマー』を脳天に受けたアリブンタはそのまま地面に倒れる。そして地面に倒れたアリブンタにタイタスは勢いをつけてフライングプレスを叩き込んだ。

 

「ピギイイィィィィィ⁉︎」

 

タイタスは再びアリブンタの顔面に剛力の拳を撃ち込もうとするがアリブンタはタイタスの攻撃を察して口から放つ溶解液をタイタスの顔に吐きつける。その威力はタイタスとヒロキの目を眩せた。

 

『ぐっ⁉︎目が⁉︎』

(くっ⁉︎この溶解液、厄介だな・・・・。)

 

 

 

 

その頃、ミクラスは力強い両腕でヴィラン・ギルドの1人を抑えつけていた。ゴモラが尻尾で男の1人を吹っ飛ばした後、彼女の目にバド星人に胸ぐらを掴まれた手負いのミスティが映る。

 

「逃げてーっ‼︎」

「その女を渡せ‼︎裏切り者‼︎」

「彼女は・・・サッちゃんは・・・・俺が命に変えても守る‼︎うおおおおおおお‼︎」

 

ミスティはバド星人を振り切ると手負いの状態にも関わらずその胸に強力な拳を撃ち込んでバド星人を吹っ飛ばした。

 

 

 

 

 

タイタスの視力が回復する前にアリブンタは地面を潜って地中に消えていく。タイタスの視力が回復するとその目にアリブンタの姿はなくタイタスは辺りを見回していた。

 

(タイタス、アリブンタがいない‼︎)

『何⁉︎・・・何処だ⁉︎』

「ピギイイイイイィィィィ‼︎」

 

アリブンタはタイタスの後ろに上半身だけ出すとその足を鋏で払う。タイタスは思わず転んでしまい、そこにアリブンタが追い討ちをかけるように鋏でタイタスを抑えつけようとする。タイタスはアリブンタの頭を掴むとその顔に再び渾身の拳を叩き込む。そして何とか逃れるとアリブンタは再び地面を掘り進めて地中に潜る。

 

『まただ‼︎また消えた‼︎』

 

タイタスは再び周りを見回すがその隙にアリブンタはタイタスの後ろに回り込んで腕から火炎放射を放つ。タイタスは避ける間もなくアリブンタの強力や火炎を受けて地面に倒れてしまう。

 

『ぐぅおおお⁉︎』

 

再びアリブンタは地面を潜ってタイタスの死角から現れると鋏の殴打でタイタスを吹っ飛ばす。そして再び地面に潜っていった。タイタスは体を起こすと対アリブンタの方法を思い付く。

 

『そうか・・・奴は地面を掘り進めている‼︎音だ‼︎音で奴の居場所を探るんだ‼︎』

 

タイタスは地面に耳を当てて意識を集中させてアリブンタの地中を掘り進む音を聞く。

 

『感じろ‼︎感じるんだ‼︎私のウルトラマッスル‼︎』

 

そしてタイタスの耳にアリブンタが地面を掘り進む音が聞こえてきた。それはタイタスの後ろから聞こえてきた。タイタスは後ろに目を向けると土煙が上がる。そこにタイタスは向かっていくと再びアリブンタが地面から顔を出す。

 

『ぬおおおおおおお‼︎』

「ピギイイイィィィィ⁉︎」

 

タイタスは地面に隠れていたアリブンタの体を掴むと地面に投げつける。そしてアリブンタと再び距離を取るとタイガが交代を促してきた。

 

『タイタス、バトンタッチだ‼︎』

『分かった‼︎』

 

ヒロキは再びタイガスパークのレバーを引いてタイガキーホルダーを手に取る。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイタスはタイガに変わるとタイガは大きく飛び上がり地面に着地する。タイガはアリブンタに向かって構えるとヒロキに進言する。

 

『ヒロキ、電撃を喰らわせてやれ‼︎』

(ああ‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左中指に意識を集中させてゴロサンダーの顔が刻まれた『ゴロサンダーリング』を出現させた。ヒロキはタイガスパークを装着した右手をゴロサンダーリングがついた左中指に重ねる。

 

〈ゴロサンダーリング、エンゲージ‼︎〉

 

タイガが両手を合わせるとタイガの角から電撃が両腕に流れる。途中でゴロサンダーリングからシャドウミストが流れるも幾多の戦いで力も絆も高まった3人のウルトラマンの光の力にシャドウミストは浄化される。そしてタイガの両腕からゴロサンダーの力が込められた雷撃『サンダースパーク』が放たれた。それはアリブンタの体に命中するとアリブンタを大きく吹っ飛ばす。

 

 

 

 

その頃、ヴィラン・ギルドと戦闘を繰り広げていたキングジョー達は奴らに囲まれながら手負いのミスティに忠告する。

 

「大丈夫⁉︎無理はしちゃ駄目だよ‼︎」

「俺はまだやれる‼︎」

「それにしても・・・Mr.佐倉の仕事はワタシ達怪獣娘にとってもキツいものが多いデスネ・・・‼︎」

「本当ですよね・・・あたしだって結構つらいッスよ・・・。」

「おや、俺の事話題になってる?」

 

その時、何処からともなく佐倉が現れてバド星人を投げる。そこにはザンドリアスとノイズラーも来ていた。キングジョー達はその場に来ていた佐倉に驚いていた。

 

「佐倉さん⁉︎何でここに⁉︎」

 

タイガはアリブンタの横腹に蹴りをかます。アリブンタは鋏でタイガを殴ろうとするがタイガはそれを避けて回し蹴りを放つ。

 

「シェアッ‼︎」

「ピギイイイイィィィィィ‼︎」

 

その一方でノイズラーがギターを鳴らして放つ音波で周りにいたヴィラン・ギルドが頭を抱えて苦しみ始める。地球人より優れた聴覚の彼らに聞く超音波でグロッキーになったヴィラン・ギルドをミクラスとキングジョーが拳で奴らを吹っ飛ばした。そして佐倉はバド星人の打撃を受け流してその体を投げる。そしてミスティとゴモラが共にヴィラン・ギルドの男を投げると男達は背中をぶつけ合う。そこにゴモラの尻尾の一撃とミスティの拳が命中して完全に気絶する。

 

 

 

 

『ヒロキ、こっちもそろそろ決めるぞ‼︎』

 

タイガの声を聞いたヒロキはタイガスパークからタイガトライブレードを出現させる。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

タイガはトライストリウムに変身するとアリブンタに向かってタイガトライブレードを構えて突撃する。

 

『俺はウルトラマンタイガ・トライストリウムだぁぁぁ‼︎』

 

タイガはタイガトライブレードでアリブンタの鋏を抑えると2度斬りつける。そしてタイガはアリブンタの背中に回り込んでその背中を大きく斬りつける。

 

「ピギイイイィィィィ‼︎」

『うおおおおお‼︎』

 

アリブンタは反撃しようと鋏となった腕を振り回すもタイガはバク転してそれを避ける。そしてタイガはすれ違いざまに再びアリブンタを斬りつけた。アリブンタは両腕に力を溜めて火炎を放つ。

 

「ピギイイイィィィ‼︎」

 

タイガはタイガトライブレードでそれを切り裂き、大きく飛び上がるとアリブンタの右肩の突起を切り裂いた。

 

『フッ、おおおおおおお‼︎』

「ピギイイイィィィィ⁉︎」

 

そしてタイガとヒロキは一気に勝負を決めにかかる。ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを4回押して回転盤を回す。

 

(トライスクワッド‼︎)

 

タイガ達がタイガトライブレードを構えるビジョンと共に虹色のオーラに包まれたタイガトライブレードのトリガーを引く。すると青、黄、赤と光るタイガトライブレードを3回振る。

 

『『『(トライストリウムバーストォォォ‼︎)』』』

 

タイガトライブレードから放たれた最強の必殺光線はかつてウルトラマンエースの必殺技である『メタリウム光線』が効かないくらいに頑丈だったアリブンタも耐えきれない威力だった。アリブンタはそれを受けると地面に倒れて大爆発を起こす。タイガは戦いが終わった事を確認するとタイガトライブレードを下ろした。

 

 

 

 

 

タイガが戦いを終わらせたと同時に佐倉とミスティがヴィラン・ギルドに手錠を掛けていた。佐倉はミスティに労りの言葉を掛ける。

 

「ご苦労だった、ミスティ。」

「はい‼︎」

 

その光景にキングジョー達怪獣娘は展開が追いついていない顔をしていた。それを見た佐倉は怪獣娘達にとって驚く言葉を放つ。

 

「ああ・・・こいつ、潜入捜査官・・・・俺の部下。」

「えっ・・・・。」.

『ええええええええええええええ⁉︎』

 

 

 

 

 

その後、GIRLSで佐倉はトモミと共にエレキング達に連行される1人の老人をTVで見ていた。トモミは佐倉に潜入捜査官の事を問い詰める。

 

『ゾリンコーポレーション社長がエネクロン社の株取引を巡って経営妨害や嘘の情報を流していた罪で逮捕されました。なお、ゾリンコーポレーションは・・・』

「ご苦労だったね、トモミちゃん。」

「潜入捜査官がいるならいると何故最初から教えてくれなかったんですか⁉︎」

「トモミちゃん・・・内緒にしてなかったら秘密捜査にならんだろ。・・・お陰様でCQは外事X課に標準装備される事になったよ。間もなく君達GIRLSにも標準装備される筈だ。」

 

佐倉の言葉にトモミは紅茶を入れたカップを持ちながら考えて発言する。

 

「・・・・・叔父さん・・・CQは世界を分断する・・・・確かに怪獣娘を探すのにも便利かもしれませんが・・・・この機械でこの星でひっそりと暮らしている宇宙人にも影響を与えかねないと思います。」

「違う者同士が認め合って暮らしていければあんな機械はいらないんだよ。CQが静かに眠れる世の中が1番いい・・・だから我々でそんな未来を作っていこうじゃないか。」

 

トモミは佐倉の言葉を聞くと彼に向き合って笑顔で頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、本宮とミスティは昔、2人が遊んだ公園の砂場の前に立っていた。ミスティの左腕は包帯で固定されていた。公園の側には本宮の警護に回っていたクララ達に加えてアキ、ベニオ、ミコも合流している。ヒロキは彼女達から離れて壁に寄り掛かりながら腕を組んでその光景を横目で見ている。沈黙の続く中、最初に言葉を放ったのは本宮だ。

 

「また・・・さよならしちゃうんだね・・・・。もう1度・・・・会えたのに・・・・。」

「ああ、今度はアメリカでヴィラン・ギルドが何か企んでいるらしい。」

「私も連れてって‼︎」

「君を危険な目に合わせる訳にはいかない‼︎」

「どんなに危なくってもいい‼︎貴方と一緒なら」

 

本宮は思わず感情的になって無自覚のうちにミスティの足を踏んでしまい、更に眼鏡を落としてしまう。ミスティが痛みで顔を歪めると本宮は思わず彼に駆け寄った。ミスティは本宮の眼鏡を拾って彼女に渡す。本宮は眼鏡をかけながら謝った後、自嘲するように話す。

 

「御免なさい‼︎・・・・私って馬鹿ね・・・いつも貴方を困らせるだけ・・・・。」

「・・・・帰ってくるよ、きっと。」

 

ミスティは彼女に右手を差し伸べる。本宮は思わず彼の手を両手で包んでいた。そして2人は笑い合っていた。暫くするとミスティはサングラスをかけてその場から去っていった。クララはその光景を見て少し表情を暗くする。ミコはそれを見るとミク、サチコ、ミサオに小さな声で話しかける。

 

(ミクラス、ザンドリアス、ノイズラー、ゴモとレッドを連れて先に行って。)

(えっ、何でですか?)

(いいから!!)

「先輩、ゴモたん、先に戻らないですか?」

「えっ、何でだ?」

「アギちゃん達だけでも大丈夫だと思うし・・・。あたしらは・・・。」

「・・・・・そうか。そうだな・・・後は頼むぜ。」

 

3人は2人を連れてその場を去っていく。ミコとアキはクララに話しかける。

 

「おジョー、もしかして『ワタシとヒロキはどうなってしまうのか』なんて思ってるんじゃない?」

「!?ガッツ・・・いきなり何を!?」

「さっきのおジョーの顔を見れば分かるよ・・・。大丈夫!!おジョーなら上手くいくよ!!」

「ガッツ・・・。」

「ボクもそう思います。キングジョーさんのプロポーションに魅了されない男なんていませんよ。」

「アギラちゃん・・・。」

「それにヒロキさんもキングジョーさんの事、少なくとも意識してると思います。だから大丈夫ですよ。」

「・・・・・2人ともありがとうございマス!!」

 

 

 

 

 

ヒロキもタイガ達に思わず言葉を零していた。タイガ達もヒロキの声に答える。

 

「僕と・・・・クララちゃんはこれから先どうなるのかな・・・・・。」

『大丈夫だ!!お前らなら!!』

『君達ならこれから先も共に過ごせる筈だ!!ずっと君達を見てきた私達が言うのだ。間違いない!!君の未来は大丈夫だ!!』

『クララの事もいいけどよ・・・お前、他の姉ちゃん達の事はどうするんだ?』

『それは俺も思ってた!!お前に惚れてる女の子、結構多いぞ!!本当にどうするんだよ!!』

「分かってる!!・・・・絶対にケリをつけるよ・・・・。」

 

ヒロキはクララ達と合流すると本宮の傍に来る。

 

「大学まで送ります・・・・。」

 

そして彼らは公園を後にする。本宮が振り返って見た先には子供の頃の自分とミスティが砂の城を作って遊んでいる光景だった。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+トレギア)
『遂にヒロキに後輩が出来た。でもこの後輩、心に何か抱えているようだ。そしてそんな彼の心の隙間に入ってくる霧崎。奴の、トレギアの真の狙いとはいったい!?次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


地球の友人


私が与えた役割を果たせよ・・・タイガ。』


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地球の友人(前編)

今回はアニメにも小説にも登場しなかった怪獣娘が出ます。それではどうぞ。


その日は突然訪れた。本物の宇宙恐竜『ゼットン』が現れて街を焼き尽くす。その中で赤く長い髪の1人の少女が破壊された家で気絶して意識を失くしたと思われる母親らしき妙齢の女性を抱えていた。

 

「ピポポポポポポポポゼェットォン‼︎」

「お母さん‼︎お母さん、しっかりして‼︎・・・・お母さんが何か悪い事したって言うの⁉︎お願いだから止めて‼︎止めてよぉぉぉぉ‼︎」

 

少女は泣き叫ぶが目の前の怪獣は破壊を止めない。やがて彼女からオーラが溢れ出る。そしては母親を抱き抱えながら少女の体は光り輝き、光り終えると少女の目は黄色くなりその背中に大きな顔が付いた姿に変化していた。彼女は姿が変わった事にも気付かずにその場で叫び続ける。

 

「うわあああああああああああ‼︎」

「こっちだ‼︎」

 

その場に手を差し伸べてくる者がいた。その手を見た彼女は自身の手を伸ばしてそれを掴んだ。

 

 

 

 

 

 

それから少し時が経ち、GIRLSの講義室に1人の赤い少女がトモミの隣で立っていた。彼女はトモミに促されてその場にいた皆に自己紹介をする。

 

「今日からGIRLSの一員となる新たな怪獣娘さんです‼︎それでは自己紹介を‼︎」

「『モナ・鏡味』です・・・・宿しているカイジューソウルはジャミラです・・・・。・・・ジャミラと呼んで下さい・・・。」

「ジャミラか・・・・俺は」

「レッドキングさんですよね・・・テレビで見たから知っています。他にも・・・ゴモラさんに・・・キングジョーさんですよね。」

「知ってたか、まぁ、自己紹介させてくれ、レッドキングだ‼︎よろしくな‼︎」

「ゴモたんでいいよ‼︎よろしくね、ジャミちゃん‼︎」

 

他の怪獣娘達がモナに自己紹介する中、タイガは目の前の少女に宿るカイジューソウルを聞いて驚いていた。ヒロキは彼女にバレないように小声で話を続ける。

 

『マジか・・・・・まさかジャミラの怪獣娘までいるなんてな・・・。』

「タイガ、実はジャミラについては僕も名前しか知らなくて・・・・。一体どんな怪獣なの?」

『ウルトラマンによれば・・・・ジャミラはかつて地球の宇宙飛行士が水の無い星で怪獣になった姿だ。かつて自身を見捨てた地球への憎しみでこの星を襲ったためウルトラマンに倒されたと聞いていたが・・・・まさか・・・・・。』

『成る程・・・・地球人が怪獣に変異した怪獣が再び地球人に生まれ変わったという事か・・・・・。それにしても・・・・少し気がかりな事がある。』

「タイタス・・・気になる事って・・・?」

『確か怪獣娘が変身出来るきっかけであるカイジューソウルは宿している怪獣によって違うんだろ・・・・。タイガの話から考えたら・・・・もしかしたらあの姉ちゃんのカイジューソウルは・・・・。』

「ヒロヒロ、どうしたんですか?次はヒロヒロの番ですよ〜。」

 

フーマが彼女に宿るカイジューソウルを推測して口に出そうとするとトモミがヒロキに自己紹介をするよう促してきた。ヒロキはその言葉を聞いてモナが自身を見ている事を知ると彼女に向き合って手を差し伸べる。

 

「僕は白鳥ヒロキ、よろしくね。鏡味さん。」

「モナでいいですよ。」

「そうか・・・じゃあよろしく、モナちゃん。」

 

ヒロキは笑顔を浮かべてモナと握手する。トモミはヒロキにモナの指導係を命じる。

 

「あー、ヒロヒロ、ジャミジャミの指導係をお願いします。面倒を見てあげて下さい。」

「僕がですが⁉︎・・・・はい、任せて下さい‼︎」

 

その後、自己紹介が終わるとヒロキはモナにGIRLSに所属する怪獣娘に支給されるソウルライザーとCQについて解説する。モナはヒロキの解説に時にリアクションを混ぜながら聞いていた。

 

「・・・・・というわけでソウルライザーは君達怪獣娘が安全に怪獣娘に変身するためのデバイスだから無くしちゃ駄目だよ。これ、失くすと2万4千8百円掛かるから無くさないようにしてね。」

「ぜ、絶対に失くしたりしません‼︎」

「でもってこれがCQ。これをこうやると・・・ほら、このマークは君が地球人だって事。宇宙人ならこの画面に惑星が出るんだ。」

 

ヒロキは実際にCQを操作してその使い方を教えるとそれを元の戸棚に戻した。そしてヒロキは彼女を連れてその場から離れる。

 

「ほら、行くよ、次は会議室だ。」

「・・・はい。」

 

モナはCQが入った戸棚を見詰めるとその場を後にする。ヒロキが次に紹介したのはトレーニングルームだ。そこでは既にアギラ、ミクラス、レッドキング、ゴモラ、ガッツ星人の5人がトレーニングに励んでいる。ヒロキは彼女達がトレーニングしているのを見ながらモナにトレーニングルームの案内をする。

 

「ここがトレーニングルーム。ここで怪獣娘達がトレーニングしてるんだ。」

「・・・あの・・・早速使わせて貰えませんか?」

「えっ・・・僕はいいけど・・・・彼女達が何て言うか・・・。」

「別に構わないぜ。」

「ジャミちゃんの力も見てみたいしね。」

 

モナの返答に困るヒロキにレッドキングとゴモラが許可を出してきた。その言葉を聞いたモナは早速ソウルライザーを取り出すと画面をタップして叫んだ。

 

「ソウルライド、『ジャミラ』‼︎」

 

彼女は黄色い瞳に背中に大きな顔が付いた姿に変化していた。彼女は彗星怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『ジャミラ』に変身したのだ。GIRLSに入って間も無いのに怪獣娘に変身出来た彼女をアギラ達は素直に褒めた。

 

「す、凄い!もう既に変身出来るんだ‼︎」

「おお‼︎お前、やるじゃねぇか‼︎じゃあ、早速やってみろ‼︎」

 

レッドキングは怪獣娘の打撃にも耐えれるサンドバッグをジャミラに向ける。するとジャミラはその手から強力なパンチをサンドバッグに叩き込んだ。その威力はサンドバッグが暫く凹んだまま元に戻らない威力だった。

 

「・・・・・マジかよ・・・・。」

「す、凄いね、ジャミちゃん・・・・。」

「宇宙人と戦うために鍛えていましたから。」

「宇宙人と?どういう事?」

 

アギラの問いにジャミラは表情を暗くして下に俯くと話し始めた。それはヒロキ達にとって覚えのある事件だった。

 

「実は・・・私の母・・・本物のゼットンに破壊されたビルにいて大怪我して病院に入院しているんです・・・。」

「ゼットンの事件・・・・ああ!あの時の‼︎」

「あの事件・・・裏で宇宙人がゼットンを使って暗躍していたんですよね。だから自分が怪獣娘だと知ってからこの星にいる宇宙人共を倒すためにずっと鍛えていたんです!母をあんな目に合わせた宇宙人達を1人残らず倒すために‼︎GIRLSが今までの宇宙人事件を解決してきたんですよね‼︎だから‼︎」

「ちょっと待って‼︎GIRLSの主な仕事は怪獣娘を助けるための組織だよ‼︎宇宙人事件の対処がメインって訳じゃない‼︎GIRLSの理念を忘れないで‼︎」

 

アギラはジャミラの言葉に危険を感じたのか彼女を戒める。ジャミラはその言葉を黙って聞いていたが何も彼女の言葉に返す事は無かった。そしてその日はGIRLSの設備を案内してモナのGIRLSでの1日が終わった。

 

「じゃあ、また明日・・・・。」

「ああ・・・。」

「ジャミラ・・・・大丈夫かな・・・・。ボク・・・何だか嫌な予感がするよ・・・。」

「アギ・・・。」

 

その場で彼女を見送ったメンバーはアキの言葉を聞いてモナの事が心配になる。後にアキの不安は最悪な形で現実となってしまう事となる。

 

 

 

 

 

 

その後、モナは病室で入院して眠っている母親の側にいた。モナは彼女の手を握ると左手にカメラのような機械を取り出した。それはGIRLSに支給されたCQだった。モナはCQを握り締めながら母親に静かに呼び掛ける。

 

「お母さん・・・私・・・GIRLSに入隊出来たよ。安心して・・・母さんをこんな目に遭わせた奴らを1人残らず倒してやるから‼︎」

「それが宇宙人判別装置?」

 

するとモナに語り掛けてくる青年がいた。それはあの霧崎だった。実はあの時、モナを助けたのは霧崎だった。そのせいでモナは霧崎を信用していた。更にヒロキは彼女にはまだ話すのは早いと思って霧崎の事を伝えていなかった。それ故に奴の危険性を知らずに霧崎と接してしまったのだ。霧崎は善人ぶってモナに話しかける。

 

「ええ‼︎私がこれで連中の化けの皮を引っ剥がしてやりますよ‼︎」

「それは心強い。実は1人怪しい奴がいるんだ。」

 

 

 

 

 

 

「ピグモンさん、大変です‼︎CQがありません‼︎」

「ええっ⁉︎」

 

その頃、GIRLSではCQが無くなった事で騒動になっていた。その場にアキの言葉でトモミが慌ててCQが保管されていた戸棚を開ける。バンドの練習が終わって先に帰ったサチコとミサオを除いたメンバーが駆け付けてモナにCQの事を教えていたヒロキに目を向けるがヒロキは必死に弁明する。

 

「確かに僕はここに戻しましたよ‼︎・・・・・まさか‼︎」

「まさかジャミちゃん・・・勝手に持ち出したの⁉︎」

「ええっ⁉︎何で⁉︎」

「キンキン、直ちにCQの現在地を調べて下さい‼︎」

「了解デス‼︎」

 

トモミの言葉でクララはパソコンに向かっていく。ヒロキ達はクララが操作するパソコンの画面に注目する。するとクララの口から驚く言葉が返ってきた。

 

「皆さん・・・本当にマズいかもしれまセン・・・。CQが宇宙人を発見してイマス‼︎」

「ええっ⁉︎そんな・・・どうして⁉︎」

「アイツ・・・まさか宇宙人狩りでも始める気なんじゃ⁉︎」

『彼女がGIRLSに入ったのはそのためかもしれんな・・・。』

『ご丁寧に使い方を教えていた奴がいたしな・・・。』

「僕のせいだ・・・。」

 

ヒロキは必死にその場から駆け出していく。クララは必死にその後ろを追って行った。それを見た他のメンバーもその場から駆け出していこうとする。

 

「ヒロキ、待って下サイ‼︎」

「キンキン‼︎」

「キングジョー、待て‼︎俺達も行く‼︎」

「ザンザンとノイノイには私から連絡します‼︎皆さん、大至急CQを回収して下さい‼︎」

 

皆がその場から出て行って暫くするとトモミだけが残っていた。するとトモミのソウルライザーに着信が掛かる。それはミサオだった。

 

「ノイノイ、どうしました⁉︎」

『CQを持ち出した新人を・・・ジャミラを見つけました‼︎』

「本当ですか⁉︎でしたら早く彼女からCQを回収して下さい‼︎」

『待って‼︎ノイ、ピグモンさん、ジャミラと一緒に誰かいます‼︎・・・ってアイツは⁉︎』

「どうしました、ザンザン⁉︎」

『大変です‼︎ジャミラと一緒にいるのは霧崎・・・トレギアです‼︎』

「何ですって⁉︎」

 

サチコとミサオからの連絡に驚きを隠せないトモミ。トモミは考えた後、2人に呼び掛ける。

 

「ザンザン‼︎ノイノイ‼︎2人を追って下さい‼︎恐らくですがジャミジャミはトレギアに利用されている可能性があります‼︎2人に感づかれないように追跡をお願いします‼︎」

『『了解です‼︎』』

 

 

 

 

 

 

その少し前、霧崎とモナは街中でひょっとこのお面を被り体に骨董品展の看板を吊り下げた怪しい男を監視していた。霧崎はモナにCQを使うよう促した。モナはCQで男を写すとCQに惑星のマークが表示される。

 

「例の機械を。」

「・・・・宇宙人‼︎」

 

その男が宇宙人である確証が得られた瞬間だった。モナは確証を得ると飛び出していこうとする。すると霧崎は彼女を抑えて告げた。

 

「モナちゃん、私と君でアイツを捕まえよう。」

「はい!」

 

2人はその男を追いかけていくと男は2人に勘付いて走り出した。そして2人がすぐそこまで追いつくと男はお面を外す。それは瞳の無い幽霊のような顔の宇宙人がいた。それはかつて疲労困憊のウルトラセブンを苦しめた怪獣を連れて地球侵略を目論んだ幽霊怪人『ゴース星人』だった。ゴース星人は地球人には理解出来ない言語で何か喋った。モナは駆け出そうとするが霧崎に止められる。霧崎はゴース星人に掴み掛かる。すると霧崎は何かを呟くがそれを聞いたゴース星人は霧崎を突き飛ばした。

 

「おい‼︎・・・・・・・ぐっ⁉︎」

「霧崎さん‼︎」

 

モナは霧崎が突き飛ばされた事に憤慨すると走っていく。モナは霧崎に駆け寄ると霧崎はモナにゴース星人を追うよう促す。

 

「霧崎さん‼︎」

「モナちゃん、追うんだ‼︎」

「はい‼︎」

 

モナは走って逃げていくゴース星人を追い掛ける。その後ろ姿を見ていた霧崎は薄ら笑いを浮かべていた。そして後ろに向かって問い掛ける。霧崎の後ろの茂みからサチコとミサオが現れた。

 

「いつまで私をつけているんだい・・・そこにいるのは分かってるんだよ。ザンドリアスのお嬢さんに・・・・ノイズラーのお嬢さん・・・・。」

「‼︎・・・・気付いてたのか⁉︎」

「フッ・・・君達程度に気付かないとでも・・・。」

「アンタ・・・あの新人を唆して何を企んでるの⁉︎」

 

霧崎は2人に不気味な笑みを見せる。それを見て苛立ったサチコとミサオはソウルライザーを取り出して操作する。

 

「コイツ・・・・アタシらを馬鹿にしやがって‼︎」

「もう許さない‼︎」

「「ソウルライド‼︎」」

 

2人は光に包まれて怪獣娘に変身する。それを見た霧崎は2人を挑発する。

 

「へぇ・・・やるつもりかい・・・私に勝てるとでも・・・。」

「この前、師匠達はアンタ相手に戦えた‼︎」

「アタシ達だって怪獣娘だ!!だから・・・・アンタとだって戦える筈だ‼︎覚悟しやがれ、トレギア‼︎」

 

2人はそう言い放つと霧崎に向かって突撃して行った。




ここでジャミラの怪獣娘の紹介です。

モナ・鏡味
誕生日 12月18日
年齢 17歳
趣味 天体観測
好きな事 星を眺める事、宇宙科学館に行くこと
嫌いな事 夢を否定される事、宇宙人に周りの人々を傷付けられる事
ジャミラの魂を継ぐ怪獣娘。性格は元々は多少ぶっきらぼうながらも社交的だったがゼットン事件で母親が大怪我させられて以来、彼女の心境に変化が生じ始めている。
夢は宇宙飛行士になる事でそのために今まで必死に勉強してきたが自身が怪獣娘だと分かった事でその夢が危うい状況になったのも彼女の心に響いているらしく・・・。
水が苦手であまり水分を取らない。水などを飲まずに水分を賄える物で最低限の水分を取っている。
名前の由来はモナ→イタリア語で平和的な→ジャミラが破壊しようとした国際『平和』会議
鏡→ミラーから


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地球の友人(中編)

今回の話においてジャミラの怪獣娘ほど適任しているキャラはいないと思います。怪獣娘タイガ、怪獣娘Zだけでなくこれからの怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースの作品においてはこれからもアニメ、小説に登場していないキャラを出していきたいと思っています。

双頭怪獣『パンドン』登場


ヒロキ達はモナの行方を探して走り回っていた。全員がCQの近くまで辿り着くもトモミから連絡が入ってきた。

 

『皆さん、緊急事態です‼︎ジャミジャミを見つけたとザンザンとノイノイから報告がありました。2人によるとジャミジャミの側にはあの霧崎がいたそうです‼︎』

「霧崎って・・・トレギアが⁉︎」

「トレギア・・・‼︎アイツ・・・‼︎奴はジャミラを唆して何をするつもりだ⁉︎」

『それはまだ分かりません‼︎ですが先程、ザンザンとノイノイがソウルライドした反応がありました‼︎恐らくですが霧崎に気付かれて・・・。』

『トレギアと戦闘になったっていうのか⁉︎』

「ザンドリアス・・・・あの馬鹿・・・無茶しやがって・・・・。」

 

トモミの声を聞いたヒロキ、ベニオ、タイガが反応する中、爆音が聞こえてきた。ヒロキ達はそれを聞くとトモミに話を続ける。

 

「トモミさん、先程爆音が聞こえてきました‼︎多分ですけど・・・そこにサチコちゃん達がいるかもしれません‼︎僕達はそこに向かいます‼︎」

『分かりました‼︎皆さん、よろしくお願いします‼︎』

 

トモミとの通信を切ったヒロキ達は爆音が聞こえてきた方向に向かう。やがて2人の怪獣娘が白と黒のブラウスを着た男と戦闘を繰り広げているのが見えてきた。ザンドリアス、ノイズラーの2人と霧崎だ。ザンドリアスは口から炎を放ち霧崎を攻撃するが霧崎も腕から青と黒の混じった稲妻のような光線でそれを相殺する。

 

「だあああああああ‼︎」

「さっきから・・・・・その姿で戦って・・・・変身しねぇのかよ‼︎」

「君達程度なら元の姿に戻らなくとも十分さ。」

「本当にあたし達を馬鹿にして‼︎見てなさいよ‼︎」

 

ザンドリアスは体全体をクリスタルのような結晶で包んで空中に浮かび上がると同時に霧崎に向かって急降下していく。そして結晶体に身を包んだザンドリアスは霧崎に激突した。大きな煙を上げる中、霧崎の姿はトレギアに戻り結晶体を受け止めていた。

 

『まさかザンドリアス程度に本気になってしまう日が来るとは思わなかったよ・・・。意外とやるじゃないか・・・。』

「当然よ‼︎あたしはこれでも大怪獣ファイト初代チャンピオンのレッドキングの一番弟子なんだから‼︎」

『成る程ねえ・・・フン‼︎』

「うわあああああ‼︎」

「ザン‼︎」

 

トレギアは結晶体となったザンドリアスを投げ飛ばした。ザンドリアスは結晶状態を解除して大きく吹っ飛んでいくがノイズラーが飛んで彼女の体をキャッチする。

 

「大丈夫か?無理はするなよ。」

「大丈夫よ‼︎あたしはまだやれるわ‼︎」

「そうか、なら一斉攻撃でいくぞ‼︎一気に勝負をたたみ掛ける‼︎」

『おやぁ・・・。』

 

空中で制止する2人の怪獣娘は自身にエネルギーを溜め始める。ザンドリアスは口に、ノイズラーはギターと自身に意識を集中させて力を溜め始める。そして力を溜め終えるとザンドリアスは今までより特大に威力が高い火炎を、ノイズラーは最大値の超音波を放った。

 

「だああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

それは見事にトレギアに命中して大爆発を起こす。ヒロキ達が駆け付けた時には既にトレギアは爆炎に包まれていた。ヒロキは地面に降り立った2人に話しかける。

 

「サチコちゃん、ミサオちゃん‼︎」

「ヒロキ、師匠、それに皆‼︎」

「来てたんですね‼︎」

「ザンドリアス、ノイズラー、お前ら・・・・無茶しやがって‼︎お前らがトレギアと戦闘になったって聞いて心配したぞ・・・・でも・・・あのトレギアを相手によく持ち堪えたな‼︎偉いぞ、お前ら‼︎」

「当然ですよ‼︎あたし達だって怪獣娘なんですから‼︎」

「ザンドリアス・・・お前は俺の自慢の・・・。」

『おやおや・・・私を倒せたつもりかい・・・お嬢さん方・・・。』

 

ベニオがザンドリアスを褒めようとするとトレギアが爆炎の中から姿を現す。トレギアのその身は何のダメージを受けていないようだった。

 

『幾ら怪獣娘とはいえ君達のような幼い者達の攻撃など私には通用しないよ・・・。』

「駄目だ‼︎効いてない‼︎」

「クソッ‼︎闇に堕ちても流石はウルトラマンか・・・。」

 

ザンドリアスとノイズラーは平気そうなトレギアに悪態をつく中、アキが近くにモナがいない事に気付いて2人に問い掛ける。2人は思い出して叫んだ。

 

「2人ともジャミラは?」

「あっ‼︎そうだった‼︎ジャミラなんですが‼︎」

「コイツと一緒に追っていたゴース星人を追って何処かへ行ってしまいました‼︎」

「ええっ⁉︎」

「皆、ここは僕が引き受ける‼︎皆はモナちゃんを追って‼︎」

 

ザンドリアスとノイズラーの言葉を聞いたヒロキはその場にいた皆に彼女を追うように言い放つ。ヒロキの言葉を聞いた怪獣娘達は戸惑いながらヒロキに返す。

 

「えっ⁉︎でもヒロキさん1人では・・・。」

「大丈夫デス‼︎ワタシがヒロキと一緒にイマス‼︎アギラちゃん達はジャミラちゃんを‼︎」

「り、了解‼︎」

 

彼女達はクララの言葉を聞くとヒロキとクララを除く全員がその場を後にして行った。トレギアは霧崎の姿になってヒロキを見る。

 

「あの新人・・・中々見所があるだろう・・・。」

「トレギア‼︎お前‼︎」

「彼女の心を弄ぶなんて絶対に許しまセンヨ‼︎」

「彼女はあの時のゼットンに母親に重傷を負わされてね・・・そんな彼女は地球に潜む宇宙人を憎んでいる・・・・そんな彼女にやってもらいたい方があるんだよ・・・。」

「ふざけないで下サイ‼︎あの件だってバット星人を唆してゼットンを与えたのは貴方だったと聞いてイマス‼︎全部アナタのせいじゃないデスカ‼︎」

「そうだ‼︎モナちゃんのお母さんが怪我したのは全部お前のせいだろうが‼︎」

「ジグソーパズル・・・アレは地球で1番素晴らしい発明だなぁ。バラバラのピースが合わさって1つの絵が完成する。正に‼︎この宇宙を表す素晴らしい発明だ。」

『何が言いたいんだ‼︎トレギア‼︎』

 

霧崎は両腕を広げて説べる。そんな霧崎にタイガとヒロキは噛みつくが霧崎は言葉を進める。

 

「モナちゃんに何をさせるつもりだ‼︎」

「彼女の望むままに・・・だよ。まぁお陰で事は計画通りに進んでいる。君がここに来るのも計画の内だよ、タイガ。」

『俺⁉︎俺はお前に操られてなんか‼︎』

「君はパズルのピースだ。完成した絵は分からない・・・。」

 

ヒロキとクララは霧崎の言葉に意味を読めずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、モナは怪獣娘『ジャミラ』に変身しながらゴース星人に飛びかかり地面を転がっていく。

 

「ソウルライド、『ジャミラ』‼︎」

「⁉︎」

「待て‼︎宇宙人‼︎」

「〜〜〜‼︎」

 

地面を転がり落ちるとジャミラはゴース星人の背中に乗り掛かり4本の腕でゴース星人を殴り始める。殴る度にジャミラはゴース星人に恨みの言葉を何度も浴びせた。

 

「お前らがいるせいで‼︎私の母さんは‼︎母さんは‼︎あんな怪我を負う事になったんだ‼︎」

「〜〜〜〜〜‼︎」

「何ほざいてるの・・・・ちゃんと喋りなさいよ‼︎地球の言葉を使いなさいよ‼︎」

「おい、止めろ‼︎」

 

ジャミラは後ろからレッドキングに羽交い締めにされる。その後ろにはゴモラ、ミクラス、ゴモラ、ガッツ星人がいる。どうやらエレキングとは分かれてジャミラの捜索に踏み切ったらしい。アギラとガッツ星人はレッドキングに加勢してジャミラを止めに入り、ゴモラとミクラスはゴース星人を救出する。

 

「大丈夫?」

「〜〜〜〜。」

「ゴモたん、どうしよう?なんて言ってるのか分からないけど・・・。」

「多分『大丈夫だ』的な事言ってるんじゃないかな。」

 

地球の言葉を話せないゴース星人の言語に何を言ってるか理解出来ないミクラスは思わずゴモラに訊ねる。ゴモラはミクラスの相談に憶測を交えて話した。その横でレッドキング、アギラ、ガッツ星人はジャミラに説教する。

 

「ジャミラ、確かに俺達GIRLSのやる事には人々を守る事もある‼︎けどなその宇宙人が何か悪い事したっていうのか⁉︎・・・・何にもしてねぇだろ‼︎」

「何言ってるんですか・・・・そいつは宇宙人だ!それだけで証拠じゃないですか‼︎」

「それだけの理由でこの宇宙人が敵だと決めつけてたの・・・・。駄目だよ、そんな事したら‼︎宇宙人だからって一方的に敵だと決め付けて痛めつけるなんて・・・・そんな事したら君もお母さんを怪我させたゼットンやそれを目論んだ宇宙人と同じになっちゃうよ‼︎」

「わたし達GIRLSがこれまで宇宙人と戦ってきたのはその宇宙人達が誰かを傷つけようとしてきたから戦ってきたんだよ‼︎もし、助けを求める宇宙人がいたら助ける事だってある‼︎お母さんを大事に思う気持ちは分かるけど・・・・だからってそれを言い訳に何もしていない宇宙人に暴力を奮っていいわけないじゃない‼︎」

「・・・・・私がやっているのは暴力じゃありません‼︎治安維持です‼︎」

「違う‼︎何もしてないのに決め付けだけで他者に拳を奮ったらそれは完全に暴力になる‼︎そうしたらお前を含む全ての怪獣娘が社会で暮らしていけるか怪しくなるんだぞ‼︎」

 

レッドキングの声を聞いてジャミラは思わず彼女から目を逸らす。その時、様子がおかしくなったミクラスが突然普段の彼女とは違う口調で話し出しそれに戸惑うゴモラの声が聞こえてきた。

 

「聞いてくれ。仲間は怪獣を使って威嚇するだけだと言っていた。なのに連中は街を破壊した。俺は知らなかったんだ。」

「み、ミクちゃん、どうしたの?」

「すまない、怪獣娘の皆、俺は地球の言葉を話せない。だからこの怪獣娘の体を借りて話させてくれ。」

「あ・・・ああ。」

「知らなかった・・・そんな言葉で済む訳ないでしょうが‼︎」

 

その言葉を聞いたジャミラは逆上してゴース星人に掴みかかる。ゴモラはそれを止めようとするがジャミラは彼女を払い除けてしまう。

 

「ジャミちゃん、待って‼︎キャッ⁉︎」

「お前みたいなのがいて怪獣を出すからお母さんは‼︎今も入院しているのよ‼︎アンタ達のせいで‼︎」

「止めてくれ、頼む‼︎」

「ジャミちゃん、止めて‼︎」

 

ジャミラはミクラスから伝わるゴース星人の言葉も聞かずに彼の両腕をどこからともなく取り出した鎖で拘束してしまった。そして両腕の自由を奪うとそのまま殴り付ける。今度はゴモラが彼女を羽交い締めにするが彼女の力は余ったよりゴモラは振り解かれてしまった。アギラがゴモラに駆け寄る中、今度はガッツ星人がジャミラを止めようとする。

 

「止めなよ‼︎ジャミラ、このゴース星人に暴行したって貴方のお母さんの怪我は治らないんだよ‼︎それに・・・あのゼットンの件でこの宇宙人に怒りをぶつけるのは間違ってる‼︎だってこのゴース星人はあの事件には関わっていないんだから‼︎」

「それでも・・・コイツは怪獣の事を知ってたんですよ‼︎だったら同類じゃないですか‼︎宇宙人なんて皆同じなんですよ‼︎」

「ジャミラ・・・貴方ねぇ・・・‼︎」

 

ジャミラはガッツ星人を振り解いて再びゴース星人の顔を殴る。その時、地面が大きく揺れ始めた。そして岩山を崩しながら山から巨大な怪獣が姿を現した。それはかつてゴース星人によって地球に連れてこられ満身困憊の状態のウルトラセブンを苦しめた赤い体に4つの目と口と左右対称に2つの顔を持つ双頭怪獣『パンドン』だった。

 

「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

「アレはパンドン‼︎」

「確かパンドンってゴース星人の・・・。」

「この星に連れて来た俺のペットだ。」

「お前・・・とんでもねぇペット連れて来たな・・・。」

「クワッ‼︎クワックワッ‼︎」

 

パンドンは怒り狂いながら周りを口から放つ火球で燃やし始める。辺りが火の海になっていく中、怪獣娘達はゴース星人を連れてこの場から離れようとするがジャミラはゴース星人への暴力を止めようとしない。レッドキングがジャミラに怒鳴りつけるがジャミラは逆上する。

 

「いい加減にしろ‼︎ガッツの言う通りお前の母さんを怪我させたのはそいつじゃない‼︎」

「怪獣娘の皆、俺を置いて行け。皆が焼け死ぬぞ。」

「大丈夫、わたし達は頑丈だから‼︎貴方も一緒に逃げよ‼︎」

「私はアンタを罰するわ、重い罪を背負わせてやる‼︎」

「ジャミラ‼︎お前まだ‼︎」

「何故俺を憎む?君の母親を怪我させたのは俺じゃない‼︎」

「さっきも言った筈じゃない‼︎宇宙人なんてみんな同じなのよ‼︎」

「ジャミラ‼︎」

 

この状況でもゴース星人に宇宙人に対する憎悪を隠さないジャミラにレッドキングとアギラが大声で嗜めるがジャミラは彼女達の言葉に耳を貸そうとしない。その間もパンドンは辺り一面に口から放つ火球を放ち続ける。

 

 

 

その頃、霧崎とヒロキ、クララは山からパンドンが現れるのを目の当たりにする。ヒロキとクララはその姿に見覚えがあったのか思わず言葉が口から出てしまう。

 

「アレは確か・・・昔、ウルトラセブンと戦った・・・・‼︎」

「双頭の火炎獣・・・パンドン‼︎」

「パズルのピースが有るべき場所に収まる・・・。」

 

霧崎の呟きにヒロキとクララは思わず詰め寄る。しかし、霧崎はその言葉には答えず話を続けるだけだった。

 

「はっ、あのパンドンがパズルのピース⁉︎」

「一体どういう言葉デスカ⁉︎」

「人の心を弄ぶのは簡単だが・・・少々飽きて来た・・・・だからもっと楽しいゲームを用意した。」

「『ゲーム?』」

 

霧崎の言葉にヒロキとタイガは声を合わせて呟いた。霧崎は最後の言葉を残すとその場から消えてしまう。

 

「君達全員を招待する・・・勿論怪獣娘の皆もね・・・楽しんでくれ。」

『あっ‼︎』

 

ヒロキとクララは思わず駆け出していくが霧崎は完全に姿を消しており2人が霧崎の立っていた場所に駆け付けた頃には完全に気配が消えていた。ヒロキとクララは辺りを見渡すがヒロキの目に口から放つ火球で辺りを焼き尽くすパンドンを映る。クララもそれを確認するとヒロキに言い放った。

 

「ヒロキ、パンドンはアナタに任せマス!ワタシはエレキング達と合流してトレギアを探しマス!恐らくデスがまだ近くにいる筈デス‼︎」

「分かった‼︎トレギアは任せたよ‼︎」

「ハイ‼︎・・・・・・エレキングデスカ?こちらキングジョー‼︎実は・・・・・。」

 

ヒロキはラン達と連絡を取るクララと分かれてその場を去っていった。




午後、更新した怪獣娘Zは土曜分でこれが今日分の投稿です。


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地球の友人(後編)

次回は完全にオリジナルエピソードです。理由としては怪獣娘の世界ではあの設定でタッコングとギーストロンを出せないと思ったからです。
代わりに意外な奴を出します。


「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

「お前もあの怪獣でこの星を壊してる‼︎同じじゃないか‼︎」

「あの怪獣『パンドン』は俺を親だと思ってる‼︎だからアイツは君への憎しみで暴走しているんだ。君が母親を助けるためなら何だってするのと同じようにアイツも俺を救うためならこの星を破壊するだろう。だから俺はこの星を出て2度と戻らない‼︎約束する‼︎」

「宇宙人の言う事なんか誰が信じる‼︎」

「ジャミラ‼︎まだ分からないの‼︎あの怪獣を暴れさせたのは君なんだよ‼︎」

 

目の前で暴れるパンドンを1度見るとジャミラはゴース星人を罵る。そんなジャミラにアギラは大声で反論して怒鳴る。ジャミラはアギラの方を向くとアギラに向かって反抗の声を上げた。思わずガッツ星人とゴモラがアギラの助けに入った。

 

「私があの怪獣を・・・違う‼︎私はあんな奴らを暴れさせる怪物なんかじゃない‼︎怪物はコイツらですよ‼︎」

「違うよ‼︎アギは間違っていない‼︎ジャミラがこのゴース星人に暴力を振るったからあのパンドンは暴れているんだよ‼︎あの怪獣にとって・・・この人は自分を育ててくれた親なんだよ‼︎」

「親を傷付けられたから怒って暴れているんだよ‼︎今の君が母親を怪獣に怪我させられてこの人に暴力を振るったようにね‼︎」

 

ヒロキは目の前のパンドンを見据えてタイガスパークのレバーを引いてタイガキーホルダーを手に掴む。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

「シェアッ‼︎」

 

パンドンは2つの口から四方八方に火球を放ち続ける。そんなパンドンを止めるためにタイガがその頭に飛び蹴りを放った。タイガの飛び蹴りを受けたパンドンは1度は地面に倒れるもすぐに体を起こしてタイガと戦い始めた。タイガはパンドンの腰を抑えて足を進めて怪獣娘達から引き離そうとする。しかし、パンドンはタイガの背中に一撃を喰らわせてタイガを自身から引き離す。

 

『待て‼︎』

 

タイガはパンドンを追うと再び足を進め始めたパンドンを横から抑えてその腹に膝蹴りを叩き込む。パンドンとタイガは両腕を掴み合い取っ組み合いになるもタイガは前蹴りで自身からパンドンを引き離す。タイガと戦うパンドンを見ながらゴース星人はミクラスの体を借りてジャミラを説得する。

 

「アイツは君への憎しみで暴走している‼︎憎しみは憎しみしか生まない‼︎アイツは今の君と同じなんだよ‼︎」

「だ・・・黙れぇぇぇぇぇぇ‼︎」

「止めて‼︎ジャミラ‼︎」

 

ジャミラはゴース星人に掴みかかろうとするがアギラはその腕を引き止める。その横からガッツ星人もその腕を掴んで引き止めようとする。

 

『ハアアアアアア‼︎』

 

一方でタイガはパンドンにスワローバレットを放った。それを受けたパンドンは後退しながら地面に倒れる。タイガがパンドンに向かっていくとパンドンは側に落ちていた巨大な岩を両手で拾ってタイガに投げ付ける。タイガは裏拳でそれを退けるがその隙を突いてパンドンがタイガに頭突きを喰らわせた。タイガはパンドンの頭突きを受けて橋を壊しながら地面に倒れてしまう。

 

『ぐわああああああ‼︎』

「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

 

再び向かってきたパンドンの腰に飛び付いて持ち上げるとタイガはパンドンを投げ飛ばす。そして馬乗りになったタイガはパンドンに拳を何度も叩き込んだ。それを見たゴース星人はミクラスの声を借りてタイガを説得する。

 

「ソイツに悪意は無い‼︎止めてくれ‼︎頼む‼︎」

「タイガちゃん、わたしからもお願い‼︎そのパンドンを倒さないで‼︎」

 

ゴース星人の言葉にジャミラは思わず母親がゼットンによって入院する程の怪我を負った日の事を思い出した。

 

『お母さんが何か悪い事したっていうの⁉︎お願いだから止めて‼︎止めてよぉぉぉぉ‼︎』

 

そして彼女は思わずジャミラの拘束を解いていた。ゴース星人は手首が自由になった事に気付くとジャミラを見る。ジャミラも真っ直ぐゴース星人を見つめていた。

 

「ジャミラ・・・お前・・・。」

「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

 

レッドキングがジャミラの行動に思わず呟く中、パンドンは口に力を溜めて火球を放つ。タイガはその火球を手刀で弾く。その内の1つが彼女達に落ちた。爆発の衝撃で彼女達は吹っ飛ばされる。

 

『うわああああああああ‼︎』

「ヒロキ‼︎タイガ‼︎お前ら何処に向けて弾いてんだ‼︎」

『ベニオ、すまねえ‼︎』

(御免なさい‼︎皆さん‼︎)

 

タイガに向かって思わず怒鳴るレッドキングの横でミクラスが意識を取り戻した。爆発の衝撃で目を覚ましたらしい。ジャミラは少し気を失いかけてその言葉を聞いていなかったがゴース星人が必死になってタイガに叫んでいるのを見て目を開ける。

 

「クワックワッ‼︎クワックワッ‼︎」

「シェアッ‼︎」

 

その先ではタイガがパンドンの首を抑えていたがパンドンはタイガを振り切りその胸に張り手をかます。それを受けたタイガは前転しながら起き上がると体を虹色に光らせる。そして必殺技であるストリウムブラスターを放とうとするとゴース星人の必死な声が聞こえてきた。

 

『ストリウム・・・ハッ⁉︎』

「クワックワッ⁉︎」

「〜〜〜〜〜‼︎」

「タイガ、聞いて‼︎そのパンドンは」

「ウルトラマーン‼︎」

 

地球人には分からない言葉で必死にタイガを説得するゴース星人。ゴース星人の声を聞いたパンドンは大人しくなっていく。その姿を見てアギラがゴース星人が何を訴えているか伝えようとする。その時、ジャミラがタイガに向かって叫び始めた。

 

「その怪獣は親を助けたいだけなの‼︎その怪獣にとってこの宇宙人は親だから・・・私が怒りに振り回されてこの宇宙人を傷付けてしまった・・・だから‼︎だから親を傷付けられたと思って・・・怒って現れたのよ‼︎だから止めてぇぇぇぇぇ‼︎その子を倒さないでぇぇぇぇぇ‼︎」

(モナちゃん・・・・。)

「クワックワッ・・・・。」

 

その声を聞いてタイガとパンドンは戦いを止める。パンドンは下の飼い主であるゴース星人を見つめて静かに鳴いていた。それを見ていた霧崎は面白くないと感じたのかトレギアアイを取り出してその目に翳す。

 

『ハッハッハッハッハッハッハッ・・・。』

 

タイガは後ろからトレギアが飛んでくるのを見る。トレギアは両腕をクロスさせて力を溜めると両腕を開いて紫色の切断光線をパンドンに放った。それはパンドンを網目状に切り刻んだ。パンドンは倒れながら体がバラバラになって大爆発を起こした。爆死するパンドンを横目に着地したトレギアはタイガに顔を向けると彼に言葉を放つ。

 

『ハァ・・・・・全く・・・ちゃんと私が与えた役割を果たせよ・・・タイガ。』

『俺にあの怪獣を倒させたかったのか⁉︎』

『なんて卑劣な‼︎』

『許せねぇ‼︎』

(行くぞ、皆‼︎)

 

ヒロキは3人に呼びかけるとタイガスパークからタイガトライブレードを召喚する。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

タイガはヒロキだけでなくタイタス、フーマの2人とも一体化してトライストリウムに変身した。タイガはタイガトライブレードを構えるとトレギアに突撃する。タイガはタイガトライブレードをトレギアに振りかざすがトレギアはそれを避けてタイガの両腕を抑える。

 

『ホラホラ・・・!』

 

タイガはトレギアを振り切ると再び剣で奴を斬りつけようとするがトレギアは後ろに下がってそれを避ける。

 

『少しは歯応えが出てきたな!私も嬉しいよ‼︎』

 

トレギアは回転しながらタイガに2度蹴りを放つ。タイガはそれをタイガトライブレードで防いだ。そのままタイガとトレギアは剣と手刀で斬り合っていた。

 

(何でこんな事を⁉︎)

『トレギア‼︎お前もウルトラマンだろ‼︎』

『ああ‼︎』

 

トレギアはタイガの足を払おうと蹴りを仕掛けるがタイガは前転してそれを避ける。再びタイガトライブレードでトレギアを斬ろうとするがトレギアも側転しながらそれを避けた。トレギアは人差し指を振って挑発する。タイガはタイガトライブレードを構えでヒロキはタイガトライブレードのスイッチを3回押した。

 

「フーマ‼︎」

 

ヒロキはタイガトライブレードを構えたフーマのビジョンと共に回転盤を回す。青いオーラを纏ったタイガトライブレードのトリガーを引くとフーマの力を宿した必殺技が放たれる。

 

『(風真烈火斬‼︎)』

 

逆手に持ったタイガトライブレードを構えるとタイガは空に飛び上がった。青い風が刀身に収束されていく。そして青い巨大な切断光線が放たれた。タイガか放ったそれを受ける前にトレギアは青黒い光と共に姿を消した。

 

『ついて来い。』

『待て‼︎トレギア‼︎』

 

トレギアは仮の姿である霧崎になるとヒロキとタイガにテレパシーで呼び掛ける。タイガも変身を解いてヒロキに戻ると霧崎の跡を追っていく。彼らが辿り着いた先には一機の宇宙船の前に立つ霧崎の姿があった。どうやらあのゴース星人の宇宙船のようだ。そして宇宙船から地底に向かってミサイルが発射された。

 

「ありがとう、タイガ‼︎そして白鳥ヒロキ‼︎計画通りこの宇宙船からアレを引き出してくれた‼︎」

「ミサイル⁉︎」

「地底ミサイルを貸せと頼んだら殴られたよ。・・・まぁ、断るだろうと思ったからこのゲームを仕組んだわけだが。」

「答えろ、地底ミサイルで何をした‼︎」

「世界を構成する四大元素は知っているかい・・・?」

『火、水、土、風・・・それが何だっていうんだ⁉︎』

「そしてもう1つ5番目の元素がある!それはエーテルと呼ばれ1つの星を構成する最も重要な元素だ‼︎」

『エーテル・・・それは言わば星の魂だぞ‼︎』

「星の・・・魂⁉︎」

 

その時、ミサイルが地底深くに辿り着いた衝撃で地面が大きく揺れた。ヒロキは思わず足を崩しかけるも何とか踏みとどまり目の前の霧崎に目を向ける。

 

『何をしたんだ⁉︎トレギア‼︎』

「宇宙が恐れおののく存在を呼び寄せた!地球エーテルの活性化がビーコンとなってそれをこの地へと招き入れる・・・君が消えるか・・・・・君の大事なものが全て消え去るか・・・・タイガ、君がどちらを選ぶのか見届けさせてもらう・・・・・。」

 

霧崎はヒロキを指差してその言葉を言い残すとその場から消えていった。ヒロキは思わず走り出すも消えた霧崎に足を止めて周りを見渡しながらその場で立ち止まる。

 

「宇宙が・・・・最も恐れる存在・・・・トレギアは一体何を・・・・。」

『分からない・・・・だけどとんでもない事になりそうなのは確かだぜ・・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方ごろ、ヒロキはジャミラ達と合流した。その場には別働隊で分かれていたキングジョー達もいる。彼女達も合流したらしい。ジャミラはその場にいた皆に謝罪していた。

 

「皆さん、本当に申し訳ありませんでした‼︎」

「いいよ、そんなの。寧ろ君の中の宇宙人に対する偏見が解けてくれた・・・それだけで僕としてはそれだけで十分だよ。」

「ヒロキさん・・・。」

「ちょっとヒロキ、貴方・・・彼女を甘やかしてない?」

「まぁまぁ、指導係であるヒロキの中で納得がいったんだから大丈夫だって。俺も・・・今回の件でちゃんとアイツが怪獣娘として・・・そして1人の人間として大事な事を学ぶ事が出来たと思ってる。だから・・・これ以上とやかく言うのは無しにしようぜ。」

 

ジャミラを許したヒロキにエレキングが苦言を立てるがレッドキングはそれを庇う。彼女もジャミラが大切な事を自覚してくれたを喜んでいるようだ。そしてジャミラは後ろに目を向ける。その目先ではゴース星人が石を積んだ墓で自身のパンドンを弔っていた。ミクラスは思わず言葉を放つ。

 

「今もこの星が好きだって。」

「・・・今でも彼の言葉が分かるんですか?」

「ジャミラちゃん・・・あたしね・・・・言葉が分からなくても・・・態度とか心で通じ合う事が出来ると思うんだ・・・・。」

「そうだな・・・・大事なのは言葉だけじゃない・・・・。心が通じれば言葉が分からなくても理解し合えるぜ。」

 

ミクラスとレッドキングの言葉を聞いたジャミラはゴース星人に向かっていく。ゴース星人が彼女に目を向けるとジャミラは頭を下げていた。

 

「貴方に・・・・乱暴した事・・・・あの怪獣の事・・・・本当にごめ」

 

ゴース星人は最後まで謝罪の言葉を告げようとしたジャミラの手を伸ばして肩を抱く。気にしていないと言っているようだ。彼女を許したゴース星人は彼女に手を差し伸べた。ジャミラはそれを見て自身も手を差し伸べ、手を繋ぐ。彼女は両手でゴース星人の手を包んでいた。その後ろからジャミラの肩をレッドキングとヒロキが彼女を励ますように叩く。ジャミラは2人の顔を見て笑いかけていた。

 

 

 

 

 

 

その日の夜、モナは母親を乗せた車椅子を動かしながら宇宙に飛んでいく1つの光を眺めていた。それはゴース星人の宇宙船だった。地球から旅立っていくのを見送っているらしい。その後ろでトモミ達がモナを見守っていた。

 

「ジャミジャミ・・・お母様のリハビリに専念するそうです。その為にも一旦GIRLSを離れるそうです。」

「ヒロキ、残念だったな。折角お前にも後輩が出来たのによ。」

「でも・・・彼女、お母さんが元気になったらまた戻ってくるって約束してくれました。だから・・・その時まで精進して自身を更に磨いていこうと思います。再びGIRLSに戻ってきてくれた彼女に誇りを持って指導出来るように。」

「フフ・・・ヒロキ、とてもいい心掛けデス。・・・でも、余り近付き過ぎたらダメデスヨ〜。」

「それはキンちゃんに同意‼︎これ以上、増えるのは勘弁だからね‼︎」

「クララちゃんにミカヅキさん⁉︎2人とも何を⁉︎」

「そうだ‼︎ヒロキ‼︎お前、アイツに変な事してねえよな⁉︎」

「ちょっ⁉︎ベニオさんまで⁉︎別に僕、何もしてませんよ‼︎だからそんなに詰め寄らないで下さい‼︎クララちゃんもミカヅキさんも顔近いから‼︎」

 

ヒロキは必死に弁明してクララ、ミカヅキ、ベニオを説得する。ヒロキの言葉に3人は納得したのか引き下がった。その横でヒロキをジト目で見ていたヨウとユカも視線を再びモナに向けた。

 

「ジャミラが来たらわたし達にも後輩が出来る事になるし・・・わたし達も頑張ろうよ。ヒロキさんに彼女が惚れないか見張るのも兼ねてさ。」

「う・・・うん、そうだね・・・。」

「ねぇねぇ、もうこんな時間だし・・・・皆で夕飯食べて帰ろうよ‼︎」

「おっ‼︎いいねえ、ゴモたん‼︎」

「そうだな、腹も減ってきたし、飯にしようぜ‼︎」

「ピグモンも賛成です〜!実は最近いいお店見つけたんですよ〜‼︎」

「へぇ・・・どんなお店?」

「結構お洒落なお店ですよ〜。店内も広いですからこの人数で行っても大丈夫そうですし。」

「へぇ、じゃあピグちゃんの見つけたそのお店に今から皆で行こー!」

「おー‼︎」

 

ミカヅキの言葉で盛り上がりながらトモミの案内する店に向かう怪獣娘達の後ろでヒロキはタイガと共に空を見上げていた。

 

「タイガ・・・霧崎が・・・トレギアが呼び寄せた宇宙が恐れおののく存在って何だろう・・・。」

『分からない・・・・けど、俺達なら大丈夫だ‼︎どんな脅威が来たとしてもな‼︎』

『そうだな・・・私達が力を合わせれば奴が呼び寄せた脅威など退けられる‼︎』

『そいつをぶっ飛ばしてあの野郎の鼻っぱしへし折ってやろうぜ、ヒロキ‼︎』

「タイガ・・・・・タイタス・・・・・フーマ・・・・・うん・・・そうだね・・・。」

「おーい‼︎ヒロキさーん‼︎何してるのー⁉︎」

「置いていきマスヨー‼︎」

「今行く‼︎」

 

ヨウとクララの声にヒロキは彼女達に向かって駆け出していった。そして彼女達と合流するとヒロキはクララ達と共にその場から去っていく。

しかし、トレギアが呼び寄せた宇宙から迫り来る影は確かに地球に向かって進行していた。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+????)
『かつて父さんに宇宙に帰されたあのピッコラ星雲人の王子が再び地球にやってきた。彼に今の地球を案内する事になったヒロキ達。しかし、ピッコラ星雲の王に恨みを抱く凶悪な宇宙人軍団が彼の命を狙ってきた。お前らなんかに彼を殺されてたまるか‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


ピッコロを守れ‼︎


タイガは立派になったぜ、タロウ。』


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ピッコロを守れ‼︎(前編)

1ヶ月ほどお待たせして申し訳ありません。燃え尽きたりポケモンやってたりしてました。
それではどうぞ。

わんぱく宇宙人『ピッコロ』登場
無双鉄神『インペライザー』登場


1つの彗星が広い宇宙空間を駆けていた。その上には1人の宇宙人が乗っている。その宇宙人は頭に帽子を被って木彫りの人形のような姿をしていた。その宇宙人は彗星に乗りながら宇宙のあちこちを旅している。彼は昔降り立ったとある惑星での出来事を思い出していた。昔の事を思い出していた彼に1人しかいない筈の彗星に話しかけてくる声が聞こえてきた。実は彼が乗っている彗星には意志があるのだ。宇宙人は彗星からの問いに答える。

 

「どうしたんだい?宇宙を眺めてさ。」

「アレから・・・どれくらい長い時が流れたんだろうなって思ってさ・・・。昔、ウルトラマンと戦って・・・・・そのウルトラマンから大切な事を教えられて・・・・。」

「そうだね、どれくらい長い時が流れたんだろうね。」

「噂じゃそいつにも息子が出来て宇宙の平和のために戦ってるんらしいな・・・・・。その息子に会ってみたいな・・・・・って⁉︎」

「どうしたんだい?」

「あ、あの星は⁉︎」

 

彼の目にはかつて自身が降り立った星が見えた。その星は彼が降り立った時、彼は星の住民を観察していく中で小さい命を奪った星の住民に怒りを抱いた。そして彼は巨大化して街で暴れ回るもかつて当時その星を守っていたウルトラマンと戦い、彼の説得を受けて宇宙に帰っていった。彼はその星を見るや昔の事を思い出しながら立ち上がった。

 

「アレは・・・昔、君が降り立った星だね。」

「ああ・・・懐かしいな・・・・タロウと戦ったあの日が・・・。」

「どうする?このまま素通りするかそれとも・・・もう一度降りるか?」

「そうだな・・・・久しぶりに降りてみるか・・・・地球に!」

「そうかい、じゃあこの辺を回ってるよ。行ってきな。」

 

彼は彗星から大きく飛び上がるとかつて自身が訪れた星『地球』に向かって降り立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「クララちゃんのモデル復帰ステージ⁉︎」

「はい、キンキンのモデル復帰ステージを一ヶ月後に開催する事になりました‼︎」

「・・・・・ワタシ・・・またステージに立てるんデスネ・・・‼︎」

 

その頃、地球ではGIRLS東京支部内でヒロキはクララと共にトモミからクララのモデル活動の再開の時期の話を聞いていた。クララはトモミの言葉に思わず感極まった声を出してしまう。ヒロキも隣にいる幼馴染がまたステージに上がれる日を待っていたため、感慨深い気持ちになっていた。

 

「良かったね、クララちゃん、漸くモデル活動を再開できて。」

「ハイ・・・また皆の前に怪獣娘『キングジョー』として帰ってくる事が出来マス・・・・。」

「本当に良かった・・・・クララちゃんの復帰を願う大勢のファンの声に応えられて・・・・。僕も何度も呼び掛けた甲斐があったよ・・・。」

 

実は今までGIRLSに全国のクララのファンから彼女のモデル復帰を望む声が数千以上送られてきたのだ。ヒロキは全国から寄せられるその声を1つ1つ確かめて彼女がファンからどれだけ愛されているかを実感した。その声を確かめたヒロキはトモミと共に上層部に何度も彼女のモデル活動の再開に向けて掛け合ってきた。そして今、漸く彼女のモデル復帰ステージが計画された事で彼女のモデル活動を再開させられる事を知って喜びを隠し切れなかった。

 

「本当に良かったね・・・・クララちゃん。」

「ヒロキ・・・・本当にありがとうございマス!ワタシのためにここまデ・・・‼︎」

「クララちゃん・・・いつでもモデル活動に復帰出来るように自身のプロポーションを保てるよう努力してきたのを見てきたし・・・それに・・・。」

「?」

「クララちゃんがモデル雑誌とか見るたびに少し浮かない表情をするからさ・・・・クララちゃんが再びモデルやりたいって思っているのが伝わってきたし・・・そのために僕に出来る事は何だってやろうと思ってさ。」

「ヒロキ・・・・本当にthank youデース‼︎」

「ちょっ⁉︎クララちゃ・・・・・⁉︎」

 

ヒロキの言葉を聞いたクララは嬉しさの余りヒロキに抱き付いた。ヒロキは抱き付かれた事で彼女の豊満な胸を感じてしまい顔を赤くしてクララに離れるよう促す。しかし、彼女はヒロキが何故顔を赤くしているのか察すると更に自身の豊満な胸を押し付けた。

 

「く、クララちゃん、いつも言ってるけど、人前で抱き付くのは止めて‼︎」

「どうしてデスカ?」

「いや・・・それは・・・・その・・・・・クララちゃん・・・・有名人だし・・・・君のファンに見られたら僕、殺されかねないし・・・・それに・・・・その・・・・。」

「もしかして・・・・。」

「⁉︎・・・く、クララちゃん・・・ちょっと密着度が・・・。」

「ン〜、何が言いたいのか分かりマセンネ〜♪もっとはっきり言ってくれないト〜。」

「い・・・いや・・・その・・・。」

(フフフッ、なんだかんだ言ってヒロキも男の子デスネ〜。ワタシのGIRLSで1番大きなおっぱいにドキドキしてるのが丸分かりデスヨ〜♪そんなヒロキにはもっとサービスしてあげマス♪ワタシのおっぱいの感触・・・存分に感じて下サイネ♪)」

「キ、キンキン、そこまでです!ヒロヒロから離れて下さい‼︎」

 

クララに抱き付かれるヒロキの様子を見ていられなくなったのかトモミがヒロキとクララの間に割って入り2人を引き剥がす。引き剥がされたクララは少し頬を膨らませて不機嫌そうな顔になる。

 

「ム〜、ピグモン、何するんデスカ〜⁉︎」

「キンキン、幾らモデル活動停止中でメディアに出ていないとはいえ少しヒロヒロにくっつきすぎですよ‼︎ヒロヒロ、大丈夫ですか?」

「ぼ、僕は平気です‼︎気にしないで下さい‼︎」

 

ヒロキはまだ顔が赤いもののトモミの気遣いの言葉に応答する。ヒロキの様子を見たトモミは彼がもう大丈夫だと判断すると再びクララのモデル復帰ステージについて話し始めた。

 

「キンキンの復帰ステージなのですがザンザン達がステージの演奏を行います。それでステージにはキンキンだけでなくロラロラも入る事になりました。」

「ロラロラ?その人って何の怪獣娘ですか?」

「ローランの怪獣娘デス。ワタシと同じくモデルをやっていて多くのファンがいる怪獣娘デス。」

『ローランって・・・・昔、レオが遭遇したあのローランか⁉︎』

 

タイガはクララの言葉を聞いて驚いた様な声を上げる。ヒロキは祖父の手帳を見てローランについて記されたページをトライスクワッドに見せる。

 

「タイガ、レオが遭遇したローランってもしかしてこれ?」

『ああ、宇宙で一番美しいと言われている怪獣だ。』

「そうです。宇宙鶴『ローラン』の怪獣娘です。もしかしてイガイガ達は本物を?」

『ああ、私達も昔遭遇した事がある。その時もマグマ星人達に追われていたな。』

『まっ、俺とタイガと旦那で追っ払ってやったけどな。』

『ああ、俺達もレオに助けられたあのローラン本人を助けた事があるんだ。やっぱり怪獣娘ってのは不思議だな、セブンと元気に暮らしているあの3匹だけじゃなく宇宙に帰っていったローランの魂まで受け継ぐ怪獣娘がいるなんて。』

『うむ、私達ウルトラマンにとっても怪獣娘は不思議な存在だな。』

「イガイガ達ウルトラマンにとっても私達って不思議な存在なんですか?」

『まぁな・・・地球についてはある程度は聞いていたんだが怪獣娘の姉ちゃん達がいるなんてのは完全に予想外だったぜ。』

「ヒロキ、ピグモン、タイガ達、ワタシの復帰ステージの話について話し合うんですがヨネ。話がローランの話に脱線してマスヨ!」

 

トライスクワッドとヒロキ、トモミの会話が続く中、クララは本題である自身の復帰ステージの話に修正しようとする。ヒロキ達はクララの言葉を聞くと再び話を戻した。

 

「ああ、御免御免。えっと・・・クララちゃんの復帰ステージにはローランさんも加わるんですよね?」

「はい、ロラロラもキンキンのモデル復帰を待ち望んでいました。彼女も張り切ってますよ〜。」

「ファッションはNISHINAブランドが全面協力してくれるようデス。警備に就くのが確か・・・・。」

「アギアギとガツガツですね。」

「・・・・アギラちゃんは大丈夫でしょうけど・・・・・ガッツが仕事を溜めて遅刻しなければいいのデスガ・・・。」

「ミコさん・・・・仕事溜め込むからね・・・・まぁでも今は皆にキツく仕事を溜め込まないように言われてるんでしょ。多分・・・大丈夫じゃない?」

「・・・そうデスネ。確かにガッツも自身の立場は弁えていると信じまショウ。」

「いざとなったらミコさんの様子・・・見に行こうか?」

「そうですね〜。ヒロヒロ、いざとなったらお願いできますか?」

「分かりました‼︎」

 

ヒロキの返事を聞いたクララとトモミは安堵の表情を浮かべるもクララはヒロキに顔を近付けてジト目で睨んだ。

 

「ヒロキ、ただ・・・余りガッツと近づき過ぎちゃ駄目デスヨ。」

「へっ?それって・・・。」

「それはキンキンに同意です‼︎ヒロヒロ、余り近づき過ぎないで下さいね‼︎」

「トモミさん⁉︎」

『2人とも・・・・本当に悪い・・・・俺達の相棒が・・・・ヒロキが・・・。』

 

ヒロキに詰め寄って釘を刺す2人の女子を見てタイガは思わず小さく呟くしか無かった。最後まで言葉を発しようとしたその時、GIRLS東京支部内にサイレンが鳴り響いた。緊急事態を知らせるサイレンだと感じるとヒロキ達は指令室に向かう。指令室に入るとトモミはサイレンが鳴った原因とその状況を訊ねた。

 

「皆さん、どうしました⁉︎」

「品川付近に怪獣が出現しました‼︎出現したのは無双鉄神『インペライザー』です‼︎」

 

ヒロキ達がモニターを見るとそこには品川の町をガンポートから放つ光弾で町を破壊するインペライザーが映っていた。ヒロキはそれを見ると直ぐ様指令室から飛び出していく。トモミはモニターを見ながら隣にいるクララとGIRLS東京支部内の怪獣娘に指示を出す。

 

「キンキン、ヒロヒロ、急いで現場に向かって下さい‼︎ヒロヒロ、避難が完了したら」

「分かってます‼︎クララちゃん‼︎」

「了解デス‼︎行きまショウ‼︎」

「GIRLSの皆さん、緊急事態です‼︎品川にインペライザーが現れました‼︎直ちに出動して下さい‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

品川では肩の砲台から放つ光弾で町を破壊するインペライザーから人々が逃げ惑っていた。ヒロキとキングジョーが人々を誘導する。

 

「皆さん、落ち着いて下さい‼︎」

「慌てないデ‼︎落ち着いて避難して下サイ‼︎」

 

ヒロキとキングジョーの避難誘導に従って人々が走っていく。そこにはミクラス、ゴモラ、アギラの3人もいた。

 

「皆ー‼︎落ち着いて‼︎」

「押しちゃ駄目だよ‼︎」

「慌てないで逃げて下さい‼︎」

 

インペライザーが今度は顔に付いたガトリングを回転させて光線を放つ。それは品川の町を火の海に変えていく。光線の余波を受けて崩れた高層ビルが人々を押し潰そうとする。

 

「うわああああああああ⁉︎」

「嫌ああああぁぁぁぁ‼︎」

「あっ‼︎危ない‼︎ビルが崩れた先に人が‼︎」

「駄目‼︎わたし達じゃ間に合わない‼︎ヒロちゃん‼︎タイガちゃん‼︎」

「『ああ‼︎』」

 

ミクラスとゴモラはそれに気付いてヒロキに呼び掛ける。ヒロキとタイガは頷き、それを見て駆け出すとタイガスパークを出現させる。周りに人がいない事を確認したヒロキはタイガキーホルダーを掴んだ。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

光と共に現れたタイガはビルを掴んで下敷きになろうとしていた人達を救出する。目の前に現れたウルトラマンに命を救われた人々はタイガにお礼の言葉を叫ぶ。

 

「あっ‼︎ウルトラマン‼︎」

「あたし達を助けてくれたの・・・・ありがとうウルトラマーン‼︎」

 

タイガは頷くとインペライザーに向かって走っていく。そして途中で止まるとインペライザーに向かって構えた。

 

(このインペライザー・・・一体誰が送り込んできたんだ⁉︎)

『考えるのは後だ‼︎まずはコイツを倒すぞ‼︎』

 

タイガは再びインペライザーに向かって突進していく。そして飛び蹴りを浴びせるとインペライザーは後退する。体勢を立て直したインペライザーはガンポートから光弾を放つがタイガは手刀でそれを弾いた。そして再びインペライザーに向かって接近してパンチを連続で放つ。

 

『うおおおおおお‼︎』

 

タイガの放つ連続パンチは次第にインペライザーの機体にダメージを与えていく。しかし、痛みを感じないインペライザーは動じずにガンポートから光弾を放ってタイガを吹っ飛ばした。

 

『うわあっ⁉︎』

(タイガ‼︎)

『大丈夫だ、これくらい‼︎』

 

タイガは再び立ち上がってインペライザーに向かって走っていく。途中でジャンプするとタイガは体を捻って飛び蹴りを浴びせた。インペライザーの機体は地面に思い切り背中を付いた。タイガはその隙にインペライザーにマウントをとって何度も殴り付ける。しかし、インペライザーも両腕でタイガを強打してタイガを引き離した。タイガは地面を転がっていく。

 

『ぐっ・・・・これならどうだ‼︎スワローバレット‼︎』

 

タイガは起き上がるとスワローバレットを放つ。起き上がったインペライザーはタイガに向かって前進するもスワローバレットを受けて機体に火花を散らしながら後退して立ち止まる。光線を受けた箇所からは煙が上がっており確かに機体にダメージがあった証だ。しかし、インペライザーはそれでも進行を止めない。タイガは再び構えてインペライザーに向かっていく。その時、キングジョー達のソウルライザーにピグモンからの通信が入る。

 

『皆さん、大変です‼︎』

「ピグモン、どうしマシタ‼︎」

『宇宙からそちらに向けて何かが降下してきます‼︎』

『!!!?』

 

その一方でタイタスも空からこっちに降りてくる何かに気付いてタイガに話しかける。

 

『タイガ、空から何かが降りてくる‼︎』

『何っ⁉︎』

 

タイガは空を見上げるとタイガとインペライザーの間に何かが大きな地鳴りを鳴らし土煙を起こして降りて来た。やがて土煙が収まるとそこにはキノピオを思わせる顔をした赤い服を纏った宇宙人がいた。それは先程彗星から降りてきた宇宙人だった。

 

「新たな宇宙人⁉︎」

「キングジョーさん、解析は⁉︎」

「今、やってマス‼︎」

『何だコイツ⁉︎』

(『・・・・・。』)

『お、おい、タイガ、ヒロキ、お前らどうしたんだよ⁉︎』

『い・・・・いや・・・。』

(この宇宙人・・・何処かで見た事あるような気が・・・。)

 

怪獣娘やフーマが新たな宇宙人を見て驚く声を上げる中、ヒロキとタイガは彼の顔を見て何か引っかかっていた。その時、宇宙人はタイガを見ると彼に嬉しそうに駆け寄ってきた。

 

「ん・・・お前は・・・・タロウ⁉︎・・・・いや・・・・違うな・・・。」

『人違いにも程があるだろ‼︎俺はタイガだ‼︎・・・・って思い出した‼︎お前はピッコラ星雲人だろ‼︎』

(ピッコラ星雲人・・・。そういえばお爺ちゃんの手帳に載ってた!!確か君の父さんと戦った宇宙人だよ!!確かタロウさんに宇宙に帰されたらしいけど・・・。)

「父さん?・・・もしかして・・・・そうか⁉︎お前が噂に聞いたタロウの息子『タイガ』なんだな‼︎そうかそうか‼︎まさかタロウと戦ったこの星でタロウの息子と会う事になるなんてな‼︎」

『父さんと戦った・・・ピッコラ星雲人・・・・待て待て‼︎お前、まさか⁉︎』

「おっ!知ってるのか‼︎なら話は早いな‼︎俺は昔、お前の父タロウと戦ったピッコラ星雲のプリンス、『ピッコロ』様だ‼︎」

 

思わぬところで昔、父と戦ったわんぱく宇宙人『ピッコロ』の登場にタイガは暫く沈黙した後、大声で叫んでいた。

 

『えっ・・・・えええええええええええええええええ⁉︎』




これまでのトリガーを見てどう怪獣娘と絡ませようか悩み中です。その前に怪獣娘タイガの方だけでも何とか完結させないと・・・・。


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ピッコロを守れ‼︎(中編)

今回はタロウ宇宙人のオンパレードです。

目つぶし星人『カタン星人』登場
猫舌星人『グロスト』登場
醜悪星人『メドウーサ星人』登場
緑色宇宙人『テロリスト星人』登場


『う、嘘だろ⁉︎お前、父さんが戦ったあのピッコラ星雲の王子なのかよ⁉︎』

「ああ、そうさ‼︎お前が噂のタイガだな‼︎感激だな〜。まさか昔、タロウと戦ったこの星で会えるなんてな‼︎」

 

タイガは思わぬところで父親と縁のある宇宙人に出会った事に驚きを隠せない。一方でキングジョー達怪獣娘も目の前の宇宙人に驚く仕草を見せるタイガに不思議な目を向けていた。

 

「タイガ、どうしたんだろう?あの宇宙人を見て凄く驚いているようだけど。」

「タイガさんの様子からして知り合いみたいな空気ですが・・・。」

「皆さん、アーカイブドキュメントに照合したところ該当がありマシタ‼︎あの宇宙人はピッコラ星雲人、かつてタイガの父親であるウルトラマンタロウが戦った宇宙人の同族デス‼︎」

『皆、それは違う‼︎』

 

キングジョーの声が聞こえたのかタイガは怪獣娘達の方を向いて彼女達にテレパシーを送る。それを聞いたガッツ星人はタイガに聞き返した。

 

「えっ⁉︎違うって・・・・一体どういう事⁉︎」

『このピッコラ星雲人の名はピッコロ‼︎かつて父さんが戦ったあのピッコラ星雲人本人だ‼︎』

「ええ⁉︎」

「何でそんな奴がまた地球に⁉︎」

 

タイガと怪獣娘の会話が聞こえたのかピッコロはタイガの視線の先に目を向ける。そして目の前の怪獣娘を見てタイガに訊ねた。

 

「なぁ、あそこにいる女の子達は誰なんだ?なんかキングジョーとかレッドキングとかさ怪獣っぽい格好してるけど・・・・怪獣のコスプレ集団か?」

『違う‼︎アイツらは』

 

タイガはピッコロの質問に答えようとするがその前にインペライザーのガンポートから光弾が放たれる。タイガはそれを見て光弾の先に立っているピッコロの前に割って入り両腕を組んで光弾を受け止める。

 

『ぐっ⁉︎』

 

タイガは両腕で光弾を弾くと再び構える。その隣にピッコロが立って入るとピッコロは助太刀を申し出た。

 

「インペライザーか・・・俺も手伝うぜ、タイガ。」

『お、おいよせ‼︎お前が敵う相手じゃ‼︎』

 

インペライザーを見ながら構える。その時インペライザーの上半身が回転し始める。

 

『マズい‼︎このままじゃ‼︎』

「大丈夫だ!俺に任せろ‼︎」

『おい、お前‼︎』

 

バニシングサークルを放つ動作に入ったことを確認するとピッコロは何処からともなくハンマーを取り出してインペライザーに向かっていった。タイガは制止するもピッコロはインペライザーの前で大ジャンプして降下していく。そしてピッコロのハンマーはそのままインペライザーの右肩に振り下ろされた。派手に音を上げてインペライザーの右肩が砕ける。

 

(なっ⁉︎インペライザーの右肩が⁉︎)

『なんつー奴だよ・・・・。』

「当然‼︎昔、タロウと戦ってからも様々な星に訪れて時には悪い奴らと戦う時もあったからな‼︎」

『成る程・・・様々な星を訪れた経験からか・・・。』

 

ヒロキ、フーマは目の前の光景に驚く声を上げる。自信に満ちた声を上げるピッコロにタイタスは納得した。その時、インペライザーは顔のガトリングを回転させ始める。光線を打つ構えに入った事を悟ったヒロキはタイガに呼び掛けるがその前にピッコロが動き出す。

 

(タイガ‼︎)

『ヤバい‼︎』

「俺に任せろ‼︎」

 

ピッコロはまたしてもインペライザーの前に立ちはだかり頭の帽子を取ってインペライザーに投げつける。インペライザーは同時にガトリングから光線を放つも回転ノコギリとなったピッコロの帽子が光線を切り裂いてインペライザーに向かっていった。そしてそのままインペライザーの機体に大きな切り傷が付けられる。

 

『マジかよ・・・あの光線をぶった切りやがった・・・。』

(今がチャンスだ‼︎タイガ‼︎)

『あっ・・・ああ‼︎』

 

〈カモン!〉

 

〈アース!〉〈シャイン!〉

 

「輝きの力を手に!!」

「バディィィィィゴーーー!!」

 

〈ウルトラマンタイガ フォトンアース!〉

 

フォトンアースとなったウルトラマンタイガがふらつくインペライザーを見据える。そのままタイガは必殺光線を打つ構えに入った。

 

『オーラム・・ストリウム‼︎』

 

タイガが光の光線を放った時、タイガの隣に立ったピッコロが鼻からミサイルを放った。そのまま光線とミサイルが直撃してインペライザーは大爆発を起こす。そしてタイガとピッコロは確認するようにお互いを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

「成る程・・・怪獣の魂を継ぐ怪獣娘か〜。俺が宇宙を旅してる間に地球にはこんなに劇的な変化があったんだな〜。」

『ああ・・・まぁな・・・。』

「にしたってタイガの仲間のウルトラマンが惑星ジーの王アウサル13世を救った若きU40の力の賢者とあの絵本のモデルとなった青い体の風の覇者だったとはな〜。これも驚きだぜ。」

『それはこちらも同じです。まさか・・・貴方が私やフーマの事をご存知だったとは・・・。』

『世間は狭いな・・・。』

 

その後、人間大に縮小したピッコロはヒロキとトライスクワッド、そして怪獣娘達と対面していた。ピッコロはタイガ達との会話を終えるとヒロキに目を向ける。

 

「それでお前がタイガに力を貸している地球人なんだな。」

「はい・・・白鳥ヒロキっていいます。」

「ヒロキか・・・よろしくな、ヒロキ。」

 

ヒロキとピッコロが自己紹介し合っているとトモミがやってきてピッコロに向き合う。

 

「ピッコロ王子、初めまして。私は国際怪獣救助指導組織通称『GIRLS』の怪獣娘ピグモンと申します。」

「へぇ〜、お前、ピグモンの怪獣娘なのか。」

「はい、貴方はかつてイガイガのお父様であるあのウルトラマンタロウと戦ったあのピッコラ星雲人本人だとお聞きしましたが・・・。」

「そうさ。昔、怒りで暴走した俺はこの星でタイガの父上であるタロウと戦って宇宙に帰っていった。タイガもそれを知ってるよな?」

『あっ・・・・ああ・・・父さんが昔、ピッコラ星雲の王子と戦った事があるって話は聞いた事があるぜ・・・。まさか・・・その本人が今になって・・・。何でまたこの星に降りて来たんだ?』

「宇宙を旅していたらたまたま地球の近くに来てさ、折角だから今の地球を見たくなったんだよ。なぁ、今の地球を案内してくれよ。もう暴れたり迷惑かけたりしないからさ。」

「トモミさん、どうします?」

 

ヒロキはトモミに判断を仰ぐ。トモミは少し考え黙り込む。そして彼女は結論を出した。

 

「分かりました。昔のように地球の皆さんに迷惑をかけないのならいいですよ。」

「本当か⁉︎」

「はい、ヒロヒロ、イガイガ達と共に案内してあげてください。」

「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

「なぁ、何でわざわざ地球人の姿に変身しなきゃいけないんだ?」

『お前の元の姿で町を歩いていると色々と面倒なんだよ‼︎』

『分かって下さい、ピッコロ王子。この星の人々はまだ宇宙人に慣れていないのです。』

『それにアンタはピッコラ星雲の王子なんだろ。アンタが本来の姿で歩いていたら厄介な連中に目をつけられる可能性があるんだよ。』

「ヴィラン・ギルドとかね・・・・とにかく色々と我慢してくれる?」

「・・・・そうか。分かったよ。」

 

その後、町を歩くヒロキとクララ達の隣にはヒロキ達より少し背の低い少年がいた。彼こそが人間に擬態したピッコロだ。ヒロキ達トライスクワッドがピッコロに人間に擬態しなければならない理由を説明していた。ピッコロも面倒事は避けたいのか彼らの言葉に従っている。彼らが町を歩く中、ピッコロは立ち止まるとあるものに目を向けた。

 

「どうしたの?」

「いや・・・アレが気になって・・・。」

 

アキが訊ねるとピッコロは視線の先を指差した。そこにはタピオカミルクティーの店が建っている。ミコとミカヅキがタピオカについて説明する。

 

「アレはタピオカっていうの。」

「飲み物にアレを入れて飲むと美味しいんだよ。」

「へー。」

 

その後、ヒロキ達はタピオカミルクティーを購入し、町を歩いていた。ピッコロは一口飲むと気に入ったのか歓喜の声を上げる。

 

「コレ、凄え美味いな‼︎」

「でしょー!」

「もう一杯飲んでいいか?コレ、気に入った‼︎」

 

ピッコロの為にヒロキがもう1度タピオカを買うと一同は紙パック片手に町を歩き始めた。町を見渡すピッコロが再び口を開いた。

 

「それにしても・・・・随分とでっかい建物が増えたなぁ・・・。」

『お前が父さんと戦って何十年も経ってんだぜ。そりゃあ地球の科学技術も上がるよ。』

「そうか〜、アレからそんなに経ったのか・・・、時が過ぎるのは早いな。」

『それにしても一惑星の第一王子がこの星で油売ってていいのかよ?ピッコラ星が心配になるぜ・・・。』

「おいおい、フーマ、父上はまだまだ現役だからな。そうじゃなきゃこうして宇宙を旅してないって。」

「随分と自由に動いてるんですね。」

「俺だけじゃないぜ。他にも兄弟がいるんだけどそいつらも宇宙を旅してるぜ。」

「兄弟がいらっしゃるのですか?」

「ああ、例えば第三王子のピッタは己を鍛える為に別宇宙で自分よりも何十倍、いや、下手すりゃ何百倍も大きい怪獣を狩る怪獣ハンターをやってるんだ。」

「お前らピッコロ星雲人って旅好きなんだな・・・。」

 

ピッコロ星雲人の自由ぶりに驚くヒロキ達。すると星の仲間達の事を思い出したピッコロは再びタイガに声を掛ける。

 

「そういえばさ、タイガ、故郷の話をしてて思い出したんだけど、俺の友達にギャラクシーレスキューフォースに入ったポッコラってやつがいるんだけどそいつ、お前と戦いたがってたからもし会う事があったらその時はよろしくな。」

『はぁ⁉︎俺と⁉︎何で⁉︎』

「何でも俺がタロウに負けたから一族の雪辱を晴らす為にお前と対戦したいんだと。ちなみにそいつディノゾールをパンチ1発で追い払える実力があるから気を付けろよ。」

『・・・マジで・・・あのディノゾールを・・・。』

「ちょっと待って‼︎ギャラクシーレスキューフォースって何⁉︎」

『宇宙から様々な精鋭達が集まって出来た部隊だ。か弱き生命を守り救助する事を使命としているが・・・ピッコラ星雲人にも参加しているメンバーがいるとは・・・。』

「宇宙から様々な精鋭達が集まって出来た部隊・・・・。」

「話の規模がデカすぎんだろ・・・・・・。」

 

タイガがピッコロの話に頭を抱える中、タイタスから語られた宇宙規模の話に唖然とする怪獣娘達。アキとベニオが皆の声を代表する中、ビルの屋上から彼らを見る怪しげな影があった。

 

「見つけたぞ、地球人に化けてるが間違いなくピッコロ王子だ。」

「周りにいるのは地球人の小娘達か・・・余裕だな。」

 

その影はスナイパーライフルを引き抜くと引き金に手を掛ける。その時、フーマが上からの殺気に気付いた。

 

『‼︎・・・おい、上から誰かが俺らを狙ってやがるぞ‼︎』

「ええっ⁉︎」

「危ない‼︎」

 

その時、上からピッコロ王子目掛けて銃撃が飛んできた。ヒロキは思わずピッコロを庇って地面に伏せさせる。その瞬間、ピッコロが立っていた跡地には銃痕が残っていた。

 

「コレは・・・銃痕⁉︎」

『まさか・・・誰かがピッコロの命を⁉︎』

 

ヒロキとタイガは上を見上げるも既に誰もいない。その頃、ビルの屋上にいた2人はその場から立ち去ると誰かと通信を取っていた。

 

「こちら暗殺班、作戦に失敗した。地上班、後は任せる。」

『ラジャー。』

 

男達の通信が終わると共にヒロキ達を黒づくめの男達が取り囲んだ。彼らは全員見た事のない銃を持っている。

 

「な、何だ何だ?」

「えっ?えっ?えっええっ⁉︎」

「な、何なんだよ、お前ら‼︎」

「その小僧・・・ピッコロ王子を我々に引き渡せ。」

『‼︎』

 

男の1人が人間に擬態したピッコロ王子の正体を見破った事に驚きを隠せないヒロキ達。やがて男達の代表格4人が立ちはだかると彼らは正体を表した。それぞれ、頭部に5本の触覚、鋭い鎌を備えた右腕とくちばしのような鋭い口と赤い目を備えた目つぶし星人『カタン星人』、白い体の氷に覆われたような姿のねこ舌星人『グロスト』、3本の触覚に鞭状の腕、肩に赤グロスト長い突起を備えた醜悪星人『メドウーサ星人』、全身緑色に肩に長く曲がった突起を備えた緑色宇宙人『テロリスト星人』だ。

 

「こいつら、宇宙人だったのか⁉︎」

『しかも全員、父さんと戦った奴の同族じゃねぇか‼︎』

「お前ら、何故ピッコロを狙う⁉︎」

「決まってる‼︎我らの同士を潰したピッコラ星及びピッコラ王への復讐だ‼︎」

「同士を父上に・・・まさかお前ら、宇宙人連合の生き残りか⁉︎」

 

カタン星人の言葉を聞いて思い当たる節があったピッコロの言葉を聞いたクララとヒロキは思わずピッコロに訊ねる。

 

「宇宙人連合って何デスカ⁉︎」

「ピッコラ星雲と何か関係が?」

「宇宙のあちこちで様々な資源やエネルギー源を奪い尽くして兵器を作って破壊の限りを尽くす連中だ。様々な宇宙人が集まって出来た組織で以前、ピッコラ星にも攻めてきたらしいけど父上率いる精鋭部隊に壊滅させられた。・・・まさか生き残りがいたなんて・・・。」

「お前ら小娘共、そいつを引き渡せ。そうすればお前らの命は助けてやるぞ。」

「そうはいくかよ‼︎皆、行くぞ‼︎」

『ソウルライド‼︎』

「何⁉︎」

 

全員が事情を把握した中、ベニオの掛け声で全員がソウルライザーを構えて怪獣娘に変身する。ピッコロと一緒にいた少女達が怪獣娘だと知った暗黒星雲団の宇宙人はざわつき出す。

 

「こ、こいつら怪獣娘だったのか⁉︎」

「どうします⁉︎一時撤退しますか⁉︎」

「だからどうした‼︎こんな奴ら地球人の小娘達が怪獣の力を得ただけに過ぎない‼︎全員で掛かればなんて事はない‼︎」

「それに地球人の小娘は高く売れるからな。捕らえて売り飛ばし我らの資金源にするのもアリだろう。」

「そうだな、ピッコロ王子と地球人の小僧以外は死なない程度に痛めつけて捕獲して売り飛ばすか。」

「‼︎・・・・ふざけんな‼︎あたし達はアンタ達の売り物じゃない‼︎」

 

戦闘態勢を見せる怪獣娘達をピッコロは引き止めるが彼女達は聞く耳を持たない。

 

「ま、待て‼︎奴らの狙いは俺だ‼︎皆は下がって」

「そうはいかないよ‼︎この宇宙人達を放って置いたら地球で何をするか分からない‼︎」

『それにお前に何かあったら父さんに顔負けできなくなる‼︎』

「安心して‼︎わたし達強いから‼︎」

「ピグモン、民間人を避難させてくれ‼︎」

「分かりました‼︎皆さん、気をつけて‼︎」

「行くぞ、皆‼︎」

 

ヒロキと怪獣娘達は宇宙人に向けて戦闘態勢を取る。宇宙人達も怪獣娘達の様子を見ると身構える。

 

「お前ら、やれ‼︎」

 

カタン星人の声と共に宇宙人達が怪獣娘に突撃していった。怪獣娘達はそれを迎え撃つ。その一方でピグモンは民間人を避難させていた。

 

「皆さん、危険ですからこちらに‼︎こちらに避難してください‼︎」

 

彼女の声で民間人はその場から避難していく。しかし、彼女は民間人の中に宇宙人達と戦う怪獣娘達に恨み、忌々しさ、憎しみを向けた者達がいる事を知らなかった。




トリガー、遂に終わってしまいましたね・・・。普通に面白い作品だったと思います。

次はダイナメインのウルトラマンになる可能性が高いですが・・・メインヴィランはどうなるんだろう・・・。個人的にはモネラ星人とスフィアを組み合わせたような奴かなと思ってます。
具体的に言えば自分達の種子を植え付けて地球の無機物(マグマや岩など)を怪獣化させたり既存の怪獣に自身の種子を植えつけて傀儡化させて操るような植物型宇宙人ですね。登場怪獣がスフィア合成獣のオマージュにもなるし、後者に至っては既存の怪獣のスーツに植物のツルが巻き付いたような感じに改造するだけで済むからスーツを元に戻しやすいと思いますし個人的にはありそうだなと思ってます。


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ピッコロを守れ‼︎(後編)

今回は私の中でニュージェネの中で好きな話ベスト3に入っているエピソードのオマージュを入れました。何のオマージュかは今回の登場怪獣と今回の怪獣との戦闘シーンを読んで頂けると分かると分かると思います。

巨大魚怪獣『ゾアムルチ』登場


「うおりゃああああ‼︎」

「ぐおっ⁉︎」

 

怪獣娘と宇宙人連合の戦いが始まった。まず、レッドキングの拳がカタン星人に命中して宇宙人の体が吹っ飛んだ。カタン星人が地面を転がる中、テロリスト星人が剣を構えて怪獣娘に突撃する。コレに対して迎え撃ったのがアギラだ。

 

「うううやあああああああ‼︎」

「ぐほっ⁉︎」

 

アギラは懐に入って剣の軌道を避け突進でテロリスト星人を吹き飛ばした。しかし、宇宙人連合も負けてはいない。黒服の男達が手に持っていた銃を構えると一斉にレーザービームを撃ち出した。マガジャッパとマガバッサーは手から放つ泡と竜巻でそれを防ぐもグロストが放った冷凍ガスがマガジャッパの泡を凍らせてしまう。そしてグロストはそのまま2人に冷凍ガスを放ち続けた。

 

「危ねっ⁉︎」

「ふえぇぇ⁉︎」

 

マガバッサーはマガジャッパを掴んで冷凍ガスから逃れる。ピッコロは怪獣娘達の戦いを見て唖然としていた。

 

「凄えな・・・怪獣の魂を宿すとあんな事が出来る様になるのか・・・。」

「怪獣娘の持っている力は宿している怪獣の魂によって様々さ・・・まっ、僕も負けてられないけどね‼︎」

 

ヒロキはタイガトライブレードを召喚すると自身に向かってくる宇宙人達に剣を振り下ろす。宇宙人達はスティック状の武器でそれを受け止めた。

その一方でガッツ星人はメドウーサ星人と格闘戦を繰り広げていた。

 

「でやぁぁ‼︎」

「フン‼︎」

 

メドウーサ星人の鞭状の腕をかわしながらガッツ星人は瞬間移動を駆使して後ろから飛び蹴りを浴びせる。少し後退するもすぐに耐性を立て直したメドウーサ星人は再び両腕による殴打でガッツ星人を攻撃する。彼女は分身してその攻撃をかわすと拘束光線を放ってメドウーサ星人の動きを封じた。

 

「ぐっ⁉︎動けない‼︎」

 

レッドキングに吹き飛ばされたカタン星人は立ち上がったと同時に突撃してきたゴモラとレッドキングの前で目を光らせる。

 

「なっ⁉︎」

「うわっ⁉︎」

 

カタン星人の放つ相手を一時的に失明させる閃光をまともに見てしまった2人は目を開くも目の前の敵に気付けない。そんな2人に斬りかかろうとテロリスト星人が迫ってくるがタイガトライブレードを持ったヒロキがそれを防ぐ。目が見えなくなった2人にはアギラとミクラスが駆け寄った。

 

「ゴモたん‼︎」

「先輩、大丈夫ですか⁉︎」

「アギちゃん・・・御免・・・やられた。」

「畜生・・・‼︎目が見えねぇ‼︎」

「後はボク達に任せて下さい‼︎」

 

アギラとミクラスが迫ってくる宇宙人達を迎え撃つ中、ヒロキはタイガトライブレードを振るってテロリスト星人と剣の勝負を繰り広げていた。

 

「地球人にしては中々やるじゃないか‼︎」

「くっ・・・‼︎」

 

ヒロキは現在、テロリスト星人の剣とタイガトライブレードをぶつけ合っていた。お互いの剣が擦れる金属音が響いている。お互い回りながら勝機を狙っているとテロリスト星人は左腕をヒロキに目掛けて構える。その意図を理解したタイガはヒロキに警告した。

 

『ヒロキ、奴から離れろ‼︎』

「っ・・・‼︎」

 

テロリスト星人の左腕から弾丸が放たれる。ヒロキはタイガの警告を聞いて間一髪で避ける事が出来た。お互いに距離が離れた時、テロリスト星人が突っ込んでくる。

 

「死ねぇぇぇぇ‼︎」

 

ヒロキは咄嗟にタイガトライブレードを構えて宇宙人の攻撃を防いだ。そしてお互いに剣をぶつけ合いながら再び勝機を探るとヒロキは剣を持った手に力を込める。

 

「うおおおおおお‼︎」

「何⁉︎」

 

やがてヒロキがテロリスト星人を押し返した。そしてヒロキが手に力を込めるとテロリスト星人の手から剣が弾かれて地面に落ちる。

 

「し、しまった‼︎」

 

テロリスト星人が戸惑う中、ヒロキのタイガトライブレードがテロリスト星人の体を斬り付けた。緑色の体に大きな火花が飛び散りながらテロリスト星人は後ろに吹っ飛んだ。

 

「ぐああああああああああ‼︎」

 

テロリスト星人が地面に倒れるも何とか地球人よりも頑丈なその体を起き上がらせる。その後ろから倒れてくる者がいた。グロストとカタン星人がいる。怪獣娘との戦いで敗北寸前まで追い込まれたらしい、

 

「ぐうううう‼︎覚えていろ‼︎」

「あっ、待て‼︎」

 

彼らは去り際だと悟ると右手の腕輪を操作して捨て台詞を吐きながらその場から消える。ヒロキとミクラス、マガバッサーはすぐに駆け出すも彼らの姿は虚しく消えてしまった。

 

「逃げられたか・・・・。」

「結構ヤバい奴らだったね。」

 

結局その場を確認したところ、宇宙人の姿は確認出来ず怪獣娘達は事後処理のためにGIRLSに戻る準備をしようとしていた。その時、1人の男性が突然彼女達に信じられない言葉を投げる。

 

「おい・・・。」

「何ですか?」

「なぁ・・・さっきも街に怪獣が出て・・・・そしてついさっきも宇宙人が沢山現れただろ・・・。お前ら、怪獣娘のせいじゃないのか⁉︎」

『⁉︎』

 

すると男の言葉を聞いた他の人達も突然男性に便乗し始めた。

 

「そうだ・・・・その人の言う通りだ・・・・これまで平和だった筈なのに再び怪獣が現れて暴れ回る事件が沢山起こってる・・・。」

「怪獣の魂を宿すお前らが再び怪獣を引き寄せたんだろ‼︎」

「お前ら怪獣娘のせいで再び怪獣が‼︎」

「そうだ‼︎そうだ‼︎」

「怪獣に殺された俺の家族を返せ‼︎皆を返せ‼︎」

「そ・・・そんな・・・・。」

「ま、待ってください‼︎この星に再び怪獣が現れる事件が起こっているのは決してわたし達怪獣娘のせいじゃありません‼︎」

「そうですよ‼︎ここ最近起きた怪獣の出現に怪獣娘達は全く関係ありません‼︎彼女達は無実です‼︎」

「坊主、お前・・・人間の癖に‼︎」

「裏切り者‼︎人間の恥晒し‼︎」

「‼︎・・・痛えっ⁉︎」

「ヒロキ⁉︎」

 

男性に便乗して怪獣娘達に暴言、罵倒の嵐が飛ぶ中ピグモンとヒロキは必死に弁明する。しかし、彼らは聞く耳を持たず彼女達の味方に立ったヒロキにも罵倒を浴びせた。中にはヒロキに目掛けて石を投げる者もいた。ミクラス、マガバッサーはそれを見て彼らを睨むもレッドキングとゴモラがそれを抑えつける。

 

「ヒロキさん‼︎」

「アイツら‼︎」

「落ち着け、お前ら‼︎」

「わたし達怪獣娘は感情のままに動いちゃいけないんだよ‼︎2人とも我慢して‼︎」

 

2人を抑えつけながらヒロキ達はその場から静かに立ち去った。そんな中、怪獣娘達を非難する人達に対して反論の声が上がってきた。

 

「何言ってるの⁉︎私達全員怪獣娘さんに多く助けられてきたじゃない‼︎その恩を忘れたの⁉︎」

「そうだ‼︎俺はシャドウに襲われたところを怪獣娘さんに助けてもらった事がある‼︎お前らだって同じじゃないのか⁉︎」

「怪獣娘さんがいるからわたし達シャドウがいても今まで暮らしていけたんだよ‼︎」

「けど、それとこれは話が別だろ‼︎再び怪獣が現れて街を壊す事件が何度も起こってるんだぞ‼︎」

「だから何なの⁉︎怪獣が再び現れて街が壊された事と怪獣娘に何か関係があるの⁉︎何の根拠もないでしょ‼︎」

「そうだ、根拠も無いのによくそんな事が言えるな‼︎」

「皆さん、もう止めてください‼︎」

 

言い争う街の人達を鎮めるべく、ピグモンが大声で叫ぶ。その声に大勢の人達が黙り込んだ。

 

「皆さん、争いは止めてください・・・・わたし達は大丈夫ですから・・・。」

 

そう言ってピグモンが人々に背中を向けたと同時にヒロキ達もその場から立ち去り始める。GIRLSに戻る横でピッコロが小さく彼女達に呟いた。

 

「御免・・・俺のせいで・・・。」

「なっ・・・・⁉︎そんなピッコロが謝る事じゃないよ‼︎」

「でも・・・俺のせいで・・・皆が・・・。」

「無理も無いよ、怪獣が地球からいなくなったと思われた時代に何度も相次いで怪獣騒動が頻発するようになったんだから・・・。きっと皆、怪獣や宇宙人の存在にピリピリしてたんだよ。」

「でも‼︎」

「大丈夫‼︎・・・・・ボク達は大丈夫だから・・・。」

 

ピッコロだけでなく自分にも言い聞かせるように叫ぶアキ。やがてGIRLSに到着したヒロキ達は全員が講義室に集まっていた。

 

「皆さん、本日は大変お疲れ様でした・・・。それでこれからなのですが・・・・ピッコロさんの命を狙う宇宙人達がいつ現れるか分かりません。本日は仮眠室だけでなく多目的ホールも貸し出しますのでここで泊まる事にしましょう。」

 

ピグモンの言葉でヒロキとピッコロを除いたメンバーは多目的室に集まって寝袋を用意していた。しかし、その表情は皆、何処か暗かった。沈黙が続く中、視力が回復したミカヅキが少しでも雰囲気を明るくしようと話し始める。

 

「ねぇ‼︎せっかく皆でこうやってお泊りするんだから楽しい話をしようよ‼︎」

「ゴモたん先輩、本気で言ってるんですか・・・・?」

「ザンちゃん?」

「あんな事があったのにそんな事出来ませんよ‼︎だって・・・・だって・・・・あたし達今まで頑張ってきたのに怪獣や宇宙人が出現した理由にされて・・・・皆から悪口吐かれて・・・・あたし達今まで何のために・・・・頑張って来たんですか⁉︎」

「ザンドリアスさん・・・・。」

「おい、よせよ、ザンドリアス。」

「ししょーは悔しく無いんですか⁉︎あたし達、シャドウや悪い宇宙人達から人々を守るために戦ってきたじゃないですか⁉︎それなのに・・・あんな事言われて・・・・。」

「ザンちゃん・・・。」

 

サチコの言葉はここにいる全員が感じていた言葉なだけに全員が沈黙する。そんな中、ドアをノックする音が聞こえてきた。

 

「皆・・・入っていい?」

「ヒロキ、どうしたんだよ?」

「ピッコロが皆に話したい事があるんだって。」

「ああ、分かった。入ってきな。」

 

ベニオの言葉に甘えてピッコロとヒロキが多目的室に入ってきた。ピッコロは怪獣娘全員の顔を見ると彼女達に声を掛けた。

 

「皆・・・今日はありがとな。それと迷惑を掛けて御免。ショックだったよな、街の人達にあんな事言われてさ。」

「・・・・うん。」

「・・・・色々言われてさ、思うところもあるかもしれない。心の醜さに絶望するかもしれない。宇宙にも多くの醜い心を持った奴はいるしな・・・・俺も色々な星を旅してそういう奴らに何度も遭遇したさ。」

「・・・・・ピッコロさん。」

「でもな、綺麗な心を持った奴らやお前らの味方をしてくれる人達は確かにいるんだぜ。先程もそうだったろ。それに・・・お前らの身近にもいるだろ。お前らの中に怪獣の魂が宿っていると知っても普通に接してくれる人達が。確かめて見ろよ、お前ら。」

『‼︎』

 

暗い表情をしていた怪獣娘達もピッコロの言葉に思い返すような顔を浮かべる。彼女達はその言葉を聞くとソウルライザーを取り出して画面を見つめた。

 

「ひ、ヒロキ・・・。」

「どうしたの?」

「ピリカからメールが来てイマス・・・。『大丈夫。どんな事があってもあたしはクララの味方だよ』って・・・励ましてくれてマス。」

「あたしも・・・・クラスの皆からLI○N来てる・・・。皆、心配の言葉と励ましの言葉だ・・・・。」

「あたしも・・・・。」

 

それぞれ、大切な人達から心配と励ましの連絡が来ていた事に気付く怪獣娘達。彼女達を見てピッコロは再び口を開いた。

 

「だろ。醜い心の奴がいるのも事実だけど・・・・綺麗な心の奴だって確かにいるんだ。そして綺麗な心を持った奴らの方の方が大勢いるんだ・・・この星でも・・・・・宇宙中でもな。」

「ピッコロさん・・・・。」

「だからな、そういう人達の為にも一部の悪人の為に多くの良い人達を見捨てたりする訳にはいかないんだ。」

『⁉︎・・・その言葉って・・・・‼︎』

「一部の悪人の為に・・・。」

「多くの良い人を・・・・。」

「まぁ、お前らならとっくに分かってる事だとは思うけどな・・・。」

 

ピッコロの言葉を深く噛み締める怪獣娘達を背に部屋を出て行くピッコロ。その言葉を背に壁を持たれ掛けながら聞いていたヒロキに去り際に話しかけた。

 

「ヒロキ、タイガ達、この建物の屋上に案内してくれよ。少し星を見ながら話したいんだ。」

「あ、ああ・・・。」

 

ヒロキ達は屋上に来ると星を見上げながら話し始めた。

 

「お前らもだぜ、ヒロキ、タイガ、タイタス、フーマ。」

『何がだよ。』

「例えどれだけ心の汚い奴がいても」

『ああ、分かってるよ。俺も昔、父さんから同じ言葉を聞いたしな。』

「そうなのか?」

『ああ、宇宙警備隊に入った時に言われたよ。『例え守った星の人々にどんなに汚い言葉を吐かれる事もあるだろう。しかし、そんな者たちがいるからって決してその星にいる多くの良い人を見捨てたりする訳にはいかない』って・・・。』

「ちゃんと息子にも教えてたんだな。」

『もしかしてお前、さっきの言葉って・・・父さんから・・・。』

「ああ、昔、この星の動物を毒餌で殺そうとした地球人を見て怒り狂った時に言われたよ。あれから大分時が過ぎたけど・・・あの言葉は今でも覚えてる。そして・・・時が流れてからあの言葉をちゃんと理解できるようになったよ。」

「ピッコロ・・・。」

「ピッコロさん‼︎」

 

そんな中、屋上にクララ達がやってきた。彼女達はヒロキ達に駆け寄るとトモミ、クララ、アキがピッコロに向き合った。

 

「ピッコロさん、ありがとうございます・・・大切な事を教えてくれて・・・。」

「アナタの言葉で今までのワタシ達のやってきた事は無駄じゃないと感じる事が出来マシタ‼︎」

「ボク達、どんな事があっても諦めません‼︎多くの人達を助け・・・そして向き合っていきます‼︎」

 

その言葉にヒロキとピッコロは共に笑みを浮かべる。タイガ達も嬉しそうな表情になった。そしてヒロキは再びピッコロの顔を見て向き合う。

 

「ピッコロ、約束するよ。僕も諦めない。どれだけ心の汚い人達がいようとも向き合っていく‼︎」

『そしてこれからも守り続けるぜ‼︎』

『ええ‼︎私も向き合って助けていきます‼︎』

『俺もだ‼︎』

「ああ、俺とお前らの・・・男と男の誓いだ‼︎」

 

ヒロキとピッコロは月の光に照らされる中、お互いに握手する。その様子を見てクララ達も思わず笑みを浮かべていた。

 

 

 

「畜生‼︎あの怪獣の小娘共‼︎」

「まさか奴らがあそこまでやるとはな・・・。」

 

その頃、ステルス機能で空に浮かんでいた宇宙人連合の宇宙人達は毒付いていた。カタン星人が怪獣娘の強さを呟く中、テロリスト星人が宇宙船のパネルを弄っている。

 

「おい、何してるんだ?」

「ああ、コイツを使って怪獣娘諸共ピッコロ王子を叩き潰してやろうと思ってな。」

「おい、アレはまだ未完成だぞ‼︎もし暴走したら‼︎」

「心配するな、徹夜で調整する。調整が完了次第、コイツを地球に解き放ってやる。」

 

そう言ったテロリスト星人の目には水色の体の背中に幾つもの背鰭が付いた魚を連想させる怪獣がいた。怪獣の頭には様々な機械が取り付けられてある。

 

「さぁ、お楽しみはこれからだ・・・。」

 

 

 

 

 

 

そして朝焼けが近いながらもまだ暗い時間帯、GIRLSの仮眠室で寝ていたピッコロは思わず飛び起きた。

 

「‼︎・・・何か俺を呼んでる声がする・・・。一体何だ?」

 

ピッコロは屋上に出ると衝撃の光景を目撃した。街の空に巨大な宇宙船が浮かんでいたのだ。

 

「なっ‼︎あの宇宙船は‼︎」

 

そして宇宙船から光が射出された。すると光が射出されたと同時に光の粒子が怪獣になって現れる。それは先程の宇宙人連合の宇宙船に幽閉されていた怪獣だった。それは巨大魚怪獣『ムルチ』を改造して更に強化した『ゾアムルチ』だった。ゾアムルチは出現と共に口から青い破壊光線を吐いて暴れ出す。そして宇宙船からピッコロに向けて声が飛ばされる。

 

「グアアアアアアア‼︎」

「出てこい、ピッコロ‼︎お前が出てこなければこのゾアムルチがこの星を破壊し尽くすぞ‼︎」

「アイツら・・・‼︎そんな事させるかよ‼︎」

 

ピッコロは元の姿に戻ると巨大化してゾアムルチの前に立つ。頭に特殊な機械を装着し、宇宙船のモニターからそれを見ていたカタン星人が叫び始める。

 

「このゾアムルチは我々のピッコラ星雲人への憎しみ、恨みを糧に暴れ回るのだ‼︎」

「さぁ、我々を壊滅されたピッコラ星雲への復讐だ‼︎まずは宇宙中をほっつき回ってる第一王子から地獄に落としてやる‼︎」

「グアアアアアアアア‼︎」

 

ゾアムルチはピッコロに向かって進撃していく。ピッコロも片手にハンマーを持ってゾアムルチに立ち向かっていった。

 

『大変だ‼︎起きろ、ヒロキ‼︎』

「何だよ、タイガ・・・まだ夜だぞ・・・。」

『ピッコロがいなくなってるんだよ‼︎』

「えっ⁉︎」

 

その頃、ヒロキはピッコロがいなくなった事に気付いたタイガに起こされていた。ヒロキは思わず隣のベッドを確認するも既に彼の姿は無かった。ヒロキが部屋を出ようとした時、巨大な何かの咆哮が聞こえる。

 

「グアアアアアアア‼︎」

「何だ⁉︎」

『怪獣の声か‼︎』

 

ヒロキは思わず屋上に出る。すると彼の目にゾアムルチにハンマーを叩き込むピッコロの姿が見えた。そこにクララ達も駆け付けてくる。

 

「ヒロキ‼︎」

「クララちゃん‼︎皆、ピッコロが‼︎」

「分かっています‼︎怪獣とピッコロ王子が戦っているんですよね‼︎」

「アーカイブドキュメントに記録がありマシタ‼︎アレはゾアムルチデス‼︎」

「けど、何でピッコロの奴俺達に黙って行ったんだよ⁉︎」

『多分だけど・・・俺達に迷惑をかけまいと・・・。』

『ったく・・・あの馬鹿‼︎』

「皆、大変‼︎ピッコロが‼︎」

 

ヒロキとクララ達の目の前でハンマーによる攻撃から息を吹き返すと同時にゾアムルチは口から光線を放った。ピッコロはハンマーを駆使して受け止めるが徐々に押されていく。そしてピッコロの手元からハンマーが弾かれてしまった。ゾアムルチは更に光線を放つ。その光線は直撃してピッコロの体が地面に叩きつけられる。

 

「ぐあああああああ‼︎」

『ヒロキ‼︎』

「分かってる‼︎」

 

ヒロキは屋上から飛び上がると同時にウルトラマンタイガに変身した。空中からタイガはハンドビームを放ってピッコロを両腕で殴打するゾアムルチにダメージを与えた。

 

『ハンドビーム‼︎』

「グアアアアアアア⁉︎」

「タイガ、お前何で⁉︎」

『お前だけに戦わせられる訳ないだろ‼︎』

(僕達も戦うよ‼︎)

 

タイガはピッコロを背にゾアムルチに飛び蹴りを放つ。それを受けたゾアムルチは多少後ろに後退するがすぐに体勢を立て直す。そして口から破壊光線を放った。タイガは両腕で受け止めるが徐々に押されていく。その後ろから傷付いた体に鞭を打ってピッコロが立ち上がる。ピッコロはタイガを確認するとハンマーを拾って飛び上がる。そしてゾアムルチの頭にハンマーが勢い良く振り下ろされた。

 

「グアアアアアアア‼︎」

 

ゾアムルチは悲鳴を上げながら頭から地面に倒れる。その隙に自由になったタイガはゾアムルチに突撃して拳を1発2発・・・と撃ち込んで行った。ゾアムルチはタイガの連続で放たれる拳に怯むが咄嗟に口から光線を放ってタイガを吹き飛ばした。

 

『ぐああああああ‼︎』

「どうだ、ウルトラマン‼︎我々が送り込んだゾアムルチと戦うのは‼︎」

「我らの憎しみを糧に強くなるそいつと戦う前にインペライザーも送り込んだからな、体力ももうないだろう‼︎」

「タイガ‼︎」

 

ピッコロは帽子を取るとそれをゾアムルチに投げつける。ゾアムルチは口から光線を放って迎え撃つがピッコロはその隙にゾアムルチに近付きハンマーを叩き込もうとした。しかし、ゾアムルチがハンマーを掴んだ事で抑えつけられ、ピッコロは動きを止めてしまう。

 

「何⁉︎」

 

そして至近距離からゾアムルチの光線がピッコロに命中する。光線を受けたピッコロは煙を上げながら吹き飛んだ。

 

「ぐああああああ‼︎」

『ピッコロ‼︎』

 

タイガはピッコロに駆け寄って彼の体を起こそうとする。するとタイガはピッコロが息切れしている事に気が付いた。

 

「ハァハァ・・・ゼェゼェ・・・ハァハァ・・・。」

(ピッコロ、大丈夫⁉︎)

「悪い・・・・地球の重力に疲れてきちまった・・・・。」

『無理はするな‼︎後は俺達に任せろ‼︎』

 

タイガはゾアムルチにバク転で接近すると前蹴りからのストレートでゾアムルチを怯ませる。しかし、ゾアムルチは再び咄嗟に息を吹き返してタイガに頭突きを喰らわす。そしてタイガが吹っ飛んだのを確認するとゾアムルチは両腕でピッコロを抑えつけて近くにあったビルに向かって投げ飛ばす。ピッコロは爆炎を上げながら地面に倒れた。

 

「うわああああああ‼︎」

『ピッコロ‼︎この野郎‼︎』

 

タイガは更に追撃を掛けようとするゾアムルチの背中に飛び付いてその背中に何度もパンチを打ち込む。しかし、ゾアムルチは鬱陶しそうにタイガを振り払うとタイガに向けて光線を放った。しかし、それはタイガに命中せず、彼を庇ったピッコロを吹き飛ばした。

 

「グアアアアアア‼︎」

「タイガ、危ない‼︎」

『ピッコロ‼︎』

「うわああああああああああああああああ‼︎」

 

タイガはピッコロに駆け寄って彼の手を握った。そして目の前のゾアムルチを確認する。

 

『ピッコロ、大丈夫か⁉︎』

「あ・・・ああ・・・何とかな・・・。』

(タイガ‼︎パワーアップだ‼︎)

『ああ‼︎』

 

ヒロキはタイガに呼びかけるとタイガスパークからタイガトライブレードを召喚する。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

トライストリウムとなったタイガがピッコロと共に太陽が見えてきた朝焼けの街に並び立つ。ピッコロはノコギリが仕込まれた帽子をゾアムルチに投げ付ける。ゾアムルチは再び光線で帽子を弾くがその隙をついてタイガトライブレードがゾアムルチを斬り付ける。ゾアムルチは両腕を振り回して応戦するがタイガはそれらを避けタイガトライブレードで徐々に切り傷を付けていく。そしてその後ろからピッコロがゾアムルチの後頭部にハンマーを振り下ろした。ハンマーによる一撃でゾアムルチは頭がクラクラし始める。ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを1回押すと回転盤を回す。

 

「タイガ‼︎」

 

ヒロキはタイガの名を叫んでタイガの幻影と共に回転盤を回す。そしてタイガはタイガトライブレードの刀身を左手で撫でながら全身を燃え上がらせる。そしてそのままゾアムルチに突撃する。

 

『(タイガブラストアタック‼︎)』

 

タイガは全身を燃え上がらせながらタイガトライブレードをゾアムルチに突き立てた。タイガの突撃と共にゾアムルチは大爆発する。それを見ていた宇宙人達は焦っていた。

 

「やばい‼︎やられた‼︎」

「クソ‼︎こうなったらウルトラマン諸共‼︎」

 

ゾアムルチを倒したタイガとピッコロに宇宙船から光線が放たれる。タイガとピッコロはそれを避けると共に飛び上がった。再びヒロキはタイガトライブレードのスイッチを4回押して回転盤を回す。

 

(トライスクワッド‼︎)

 

タイガ達がタイガトライブレードを構えるビジョンと共に虹色のオーラに包まれたタイガトライブレードのトリガーを引く。すると青、黄、赤と光るタイガトライブレードを3回振る。

 

『『『(トライストリウムバーストォォォ‼︎)』』』

「クソ‼︎喰らってたまるか‼︎」

「逃がさないぜ‼︎」

「何⁉︎」

 

タイガトライブレードから放たれた最強の必殺光線が宇宙船に直撃しようとした。宇宙人達は何とか避けようとするがピッコロがハンマーで宇宙船を叩き落とす。そしてトライストリウム最強の光線が宇宙船に直撃した。タイガとピッコロは朝焼けを背に浮かべながら共に降り立った。そして敵を完全に倒した事を確認するとハイタッチする。

 

『やったな、ピッコロ。』

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

完全に陽が登った頃、ピッコロはGIRLSの屋上でヒロキ達に別れを告げていた。

 

「もう帰っちゃうんですね。」

「ああ、まだ宇宙を旅したいからな。」

「また地球に来てよ、今度はたこ焼きご馳走するからさ‼︎」

「他にも大怪獣ファイトを見てよね‼︎」

「おまピトもです‼︎」

「ああ、また来るよ。タイガ、タロウ達に伝えたい事はあるか?タイタスとフーマも故郷の仲間に何かあれば伝えるぜ。」

『そうだな・・・俺は元気でやってるって伝えてくれ‼︎』

『うむ、タイガと同じです。』

『俺は特にねえけど・・・強いて言うなら・・・そうだな・・・・俺の代わりにゲルグの墓を手入れしてやってくれねえか。」

「分かった。必ず伝えるぜ。それと皆、またタピオカ飲みに行こうな。」

「ああ、またな。」

 

ピッコロの言葉にヒロキ達は思わず頷いた。ピッコロは元の姿に戻ると空に飛び上がっていく。ヒロキ達は手を振ってそれを見送った。

 

「じゃあな‼︎ピッコロ‼︎」

「元気でねー‼︎」

「さよならー‼︎」

「バイバーイ‼︎」

 

ピッコロは下を一瞬見つめるとかつて戦ったタイガの父(タロウ)に向かって呟いた。

 

「タイガは立派になったぜ・・・優しさと強さを併せ持った一人前のウルトラマンになったから・・・安心してくれよ・・・・タロウ。」




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ+??)
『俺達を狙う宇宙人達が繰り出して来た次なる一手。それはなんとあの悪魔を復活させる事だった。ちょっと待て!そいつはお前らの手に負える奴じゃないぜ‼︎何たってそのウルトラマンは‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


激突!ウルトラビッグマッチ!


久しぶりだな、タイガ‼︎』


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激突!ウルトラビッグマッチ!(前編)

今回は今までと違ってブラックスターズの視点から始まります。始まりますがブラック指令のお告げをどう再現すればいいか分からずこのようになってしまいました。
もし、お告げを上手く表現出来る書き方が有れば教えて下さると助かります。

凶悪宇宙人『ザラブ星人』登場
反重力宇宙人『ゴドラ星人』登場
高速宇宙人『スラン星人』登場


その日、とあるアパートの1室にて3人の怪獣娘と1人の少女が難しい顔をして考え込んでいた。

 

「諸君、ここ最近は本物の怪獣や宇宙人・・・・それに加えてあのウルトラマンまでもが現れ、我々の地球侵略への夢が更に遠ざかっていく・・・。」

「ぶ、ブラックさん・・・それ昨日も・・・・。」

 

それはブラックスターズの面子だった。ここは彼女達のリーダーであるブラック指令の住むアパートの1室である。ここをアジトとしている彼女達は地球侵略に向けての会議を行なっていたのだ。

 

「流石ブラックちゃん、めげないねぇ。」

「しかし、昨日の夜新たなお告げを聞いたのだ‼︎そのお告げこそ今の我々の状況を打破するものに違いない‼︎サツキ君、これを解析してくれ‼︎」

「どれどれ・・・ウチュウ・・・・クロキオウ・・・・カケラ・・・・ねぇ。」

「どういう事でしょうか?」

 

シルバーブルーメがノーバから渡された手帳を眺めてメモを読み上げる中、サツキはその内容が何か考察する。実はブラック指令は寝る度に謎の存在からのお告げを聞いている。しかし、それを寝ながら口に出してもその内容を覚えていないため同居しているノーバにメモさせる必要があるのだ。サツキの言葉にノーバは推察を入れる。

 

「言葉通りなら宇宙の王の一部という事になるな・・・。」

「確かにそうですが・・・宇宙の黒き王って・・・・一体?」

「恐らくだがコレだろう。」

 

ノーバはソウルライザーを弄りその場にいた皆に画面を見せる。そこにはマントを羽織った黒い宇宙人が写っていた。

 

「暗黒皇帝『エンペラ星人』・・・宇宙の黒き王と言ったらコイツの可能性が高い。」

「何⁉︎エンペラ星人だと⁉︎」

「エンペラ星人?それってそんなに凄い宇宙人なんですか?」

「凄いなんてものじゃないぞ‼︎かつてウルトラマンの星にも戦争を仕掛けた宇宙最強の帝王だ‼︎・・・・そうか・・・・この星にあのエンペラ星人の一部が残っているのか・・・・。」

「ま、待って下さい‼︎まだ黒き王がエンペラ星人だと決まったわけじゃ‼︎」

「ようし!総員、街に繰り出しエンペラ星人の一部を探し出し手に入れるのだ‼︎ブラックスターズ、出動‼︎」

「「ラジャ‼︎」」

「ら、ラジャ‼︎」

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるビルの一室では3人の宇宙人が話し合っていた。紫色の体に昆虫のような頭部に鋏のような形状の短剣が付いた両腕の高速宇宙人『スラン星人』、ツリ眼と星形の口が特徴で、でっかちな頭部と胴体が一体となった凶悪宇宙人『ザラブ星人』、白い体に赤い肩、腕には甲殻類のような腕に光線銃を仕込んだ反重力宇宙人『ゴドラ星人』の3人だ。彼らのテーブルやホワイトボードにはタイガ、タイタス、フーマの3人の写真と彼らが戦ってきた怪獣や宇宙人、更にはあのトレギアの姿を写した写真もある。

 

「とにかくウルトラマンタイガ達トライスクワッドを何とかせねば」

「いや、今や俺達の商売の邪魔をしてるのはタイガ達だけじゃない。トレギア・・あいつ、俺達なんか眼中に無いって感じで好き放題やりやがって‼︎」

 

実は彼らもヴィラン・ギルドの一員である。これまでの戦いで邪魔をしてきたウルトラマン達への対応策を考える会議をしていたようだ。

 

「いっそウルトラマン全員を一掃出来たらなぁ・・・。」

「おっ、それだ洒落ですか?」

「違えよ!全然違えよ‼︎」

「じゃあ、僕が変身しょうか?偽タイガに〜。」

「1人で2人と戦って勝てるのか?」

「あっ・・・うう・・・。」

「それにあいつらを消そうとして光の国の連中に目を付けられたらどうするつもりだ?」

「大丈夫だ!トレギアは光の国も恐れる存在だ。あいつを倒す事が出来ればそう簡単に手を出す事も出来なくなる筈だ。」

「だから・・・どうやって奴らを倒すかだよ。」

「あっ‼︎いっそ、VIP待遇するのはどうかな?好きな食べ物調べてさ。光の国の人って何食べるのかな〜?」

「ザラブ、お前は話にならん‼︎許可が出るまで声を発するな‼︎」

「まぁまぁ、まずは色々アイディア出してるだけじゃないか。」

「そうだよ、何食べるかは大切だよ。はぁ〜、今夜は何食べようかな〜。」

「お前の晩飯の話なんかどうでもいいんだよ‼︎」

「まぁまぁ、落ち着けって‼︎」

 

彼らは話し合いを続けるも未だにウルトラマンを倒す良い考えが浮かばず悪戦苦闘していた。そこに何処からともなく彼らに声が掛けられる。

 

「ならば私にいいアイディアがあります‼︎」

 

3人は声がした方を振り返る。すると彼らの前に機械からチブル星人がホログラムで現れた。それはかつてヒロキとも接触しスカルゴモラを作ったあのチブル星人マブゼ本人だった。

 

「チブル星人‼︎」

「光の国を恐れさせるのに相応しい存在があります‼︎」

「相応しい存在?」

「ウルトラマンベリアルです。」

「「「べ、ベリアル⁉︎」」」

「アイツはウルトラマンジードに負けた筈じゃ‼︎」

 

ウルトラマンベリアルとはかつて光の国に反旗を翻し、伝説の超人によって宇宙牢獄に封じられるも数千万年の時を経て蘇り、何度もウルトラマン達と激闘を繰り広げた闇のウルトラマンである。最終的には自身の遺伝子を持つ息子と呼ぶべきウルトラマンであるジードに倒され滅ぼされた。そのベリアルをどうやって復活させるのか疑問に感じたゴドラ星人は思わずそれを口にした。

 

「とっておきがあるのですよ‼︎」

「とっておきだと?」

 

 

 

 

 

「えーっと・・・道案内によると・・・。」

「この辺りデス。」

「楽しみ?スイーツバイキング。」

「勿論デス‼︎甘い物は女の子の大好物デスカラ‼︎」

 

その頃、ヒロキとクララはGIRLSの皆とスイーツバイキングに行く約束をしておりヒロキとクララは2人で集合場所までソウルライザーの案内に従って歩いていた。すると途中で見慣れた人物を発見する。

 

「あれ、ピリカ?」

「クララにヒロ君‼︎なーに、今日はデート?」

「違うよ、GIRLSの皆とスイーツバイキングに行くんだ。」

「もし良ければピリカもどうデス?ピリカは皆とも顔見知りデスカラ・・・。」

「GIRLSの皆とスイーツバイキングか〜。レイカちゃんとも話したいけど・・・御免‼︎今日は用事があるんだ‼︎」

「そうデスカ・・・ではまた今度‼︎」

「またね、ピリカさん!」

 

ヒロキとクララはピリカの元から去っていった。やがてヒロキ達はトモミ達と合流する。 

 

「あっ、ヒロヒロとキンキンも来ましたよ‼︎」

「お待たせデス‼︎」

「では、全員揃ったところで行きましょう‼︎」

「楽しみだな〜‼︎スイーツバイキング‼︎」

 

ピリカはGIRLSの皆と合流した2人の背中を見ながら申し訳なさそうな表情で呟く。

 

「御免ね、2人とも・・・・今度も・・・無理なんだ・・・。」

 

ピリカはそう言うと近くにあった鉄柱に向けて軽く腕を叩く。すると鉄同士がぶつかるような音が響いた。

 

 

 

マブゼは彼らにある機械を見せる。その中にはカプセルが入っていた。その機械が何なのか訪ねるとマブゼの口から衝撃的な言葉が返ってくる。

 

「これは?」

「ベリアル因子ですね。」

「なんと⁉︎」

「ベリアル因子だと‼︎」

「うわぁ‼︎色とかヤバそうですね‼︎」

「あっ‼︎コラ‼︎そっちはまだ準備中だ‼︎」

 

ザラブ星人が思わず機械を開けるがカプセルから飛び出たベリアル因子を浴びて倒れてしまう。

 

「ざ、ザラブ‼︎」

「大丈夫か‼︎」

 

ゴトラ星人とスラン星人はザラブ星人に駆け寄った。スラン星人はザラブ星人の様子を確認するとこれから何をしようとしてるのか理解するも不安を口にしてしまう。

 

「これを使ってベリアルを蘇らせるというのは分かった。だが、こんな物本当に使って平気なのか⁉︎」

「ハッハッハ‼︎大丈夫です‼︎以前、これを使ってベリアル融合獣であるスカルゴモラを造る実験に成功しました‼︎それに実験の過程で幾ら雑魚が死のうが問題無いでしょう‼︎そんな訳でスラン君、ポチッとよろしく‼︎」

「おいおい、マジか⁉︎いきなりやんのか⁉︎」

「やるしか無いだろ‼︎」

 

ゴトラ星人は制止するもスラン星人は抗えずその機械を作動させ始めた。すると機械が作動し始める。

 

「さぁ、本物のベリアルより完璧な個体にしてあげようね。」

「これで俺達にもウルトラマンを排除出来るのか?」

 

その時、ザラブ星人が意識を取り戻して起き上がった。2人はいきなり起き上がった彼に驚く。

 

「はっ‼︎良かった〜‼︎生きてる〜‼︎」

「驚かすんじゃねぇよ‼︎ザラブ〜‼︎」

「で、でもどうやってウルトラマン達を呼び出すんだ⁉︎」

「あっ・・・う〜ん・・・。」

 

ゴトラ星人の言葉に頭を悩ませるマブゼ。その頃、外に出てお告げの内容をエンペラ星人の一部と解釈しその手掛かりを探していたブラックスターズは何か異様なものを感じ、足を止める。

 

「⁉︎・・・なんか・・・変な感じがします・・・。」

「これは・・・我々のカイジューソウルが何かに反応しているんだ‼︎」

「ええっ⁉︎何に反応してるんですか⁉︎」

「分からん・・・しかし・・・強大な力を感じる・・・もしかしたらエンペラ星人が」

「ねぇ、3人ともちょっと来て‼︎」

 

シルバーブルーメの声を聞いた3人は彼女に駆け寄る。3人が集まった事を確認すると彼女は腕を伸ばしてとあるビルを差す。

 

「なんか・・・あのビルから変なのを感じるよ‼︎」

「何⁉︎あのビルだと⁉︎」

 

ブラック指令はシルバーブルーメの腕の先を確認する。その先にはあの宇宙人達がいるビルがあった。

 

「恐らくあそこにエンペラ星人に関する何かがあるに違いない‼︎あのビルに突入するのだ‼︎」

「「「ラジャ‼︎」」」

 

ブラックスターズはブラック指令の声で宇宙人達のアジトがあるビルに突入していった。

 

 

 

 

 

「美味しいね、このケーキ。」

「アギちゃん〜、もっともっと食べて〜。」

「あっ、うん。・・・・ゴモたん・・・ボクを太らせようとしてない?」

「えっ?そんな事無いよ〜。ただわたしはアギちゃんのプニプニになったお腹を触りたいだけであって・・・。」

「ちょっ⁉︎ちょっと止めてよ〜‼︎」

「へっ?アキさん、どうしたの?」

「こ、コラ‼︎ヒロキさんは聞いちゃダメ‼︎」

「う・・・うん。」

 

その頃、ヒロキはGIRLSのメンバーと一緒にスイーツバイキングを楽しんでいた。ヒロキの右隣にはクララ、左隣にはベニオが座ってケーキを食べている。ベニオは好物である甘いケーキを頬張れて嬉しそうな表情をしていた。

 

「ん〜!美味い‼︎」

「ベニオさん、凄く嬉しそう・・・。」

「ししょー、甘い物好きなのよ。だけど自分のキャラに合わないと思って無理して我慢してるのよね、別にししょーはそのままの方がいいと思うんだけど。」

「お、おい‼︎ザンドリアス‼︎余計な事言うな‼︎」

 

サチコがヒロキに解説する中、クララがフォダンショコラを一つフォークで切り取るとヒロキの口元に近づけて来た。ヒロキはそれに気付くとクララに訊ねる。

 

「え、えっと・・・クララちゃん・・・。」

「Say ahh。」

「えっ?」

「日本語で『あ〜んして下さい』って意味デスヨ。」

「えっ⁉︎・・・ま、待って・・・よりにもよって皆の前で⁉︎」

 

ヒロキはよりにもよってクララが皆がいる前で食べさせ合わせようとしていると気付く。クララは更にヒロキの口までショコラを近付けると同時に自身の放漫な胸まで押し付けてきた。その事にベニオが顔を赤くしながら抗議を立てる。

 

「お、おい‼︎キングジョー、お前‼︎よりにもよって皆の前で‼︎」

「ン〜、何デスカ。レッドキングも同じ事やればいいじゃないデスカ。」

「ば、馬鹿‼︎そんな事・・・出来る訳・・・ってキングジョー、お前‼︎つーかヒロキもデレデレすんな‼︎」

「い、いや‼︎デレデレなんかしてません‼︎」

「嘘つけ‼︎キングジョーのその・・・大きな・・・アレに・・・顔を赤くしてるじゃねえか‼︎」

「そ、そんな事‼︎」

「ウフフ・・・ヒロキ、あ〜んして下サイ。」

 

ヒロキは胸を押し付けながら食べさせようとしてくるクララに観念したのかフォダンショコラに口を付ける。ベニオは頬を膨らませながらヒロキの腕を掴む。

 

「ヒロキ、おかわり行くぞ‼︎」

「えっ⁉︎ちょっ、ベニオさん、痛い痛い‼︎痛いですから‼︎」

「あっ‼︎レッドキング、乱暴はダメデスヨ‼︎ワタシもおかわり行きマス‼︎」

 

ベニオはヒロキを連れながら新しくケーキを取りに行った。クララはそれを見るとヒロキの腕に抱きついてきた。ヒロキがベニオとクララに連れ去られる中、サチコとミサオは思わず呟いた。

 

「ヒロキってさとんでもないラッキーボーイよね・・・あのキングジョーさんにアーンしてもらえるとかさ。」

「ああ・・・全国のキングジョーさんのファンが見たら絶対に血涙流すだろうぜ・・・。」

「それに加えてキンちゃんだけじゃなくレッドちゃんにバサちゃんにジャッパちゃん・・・それからピグちゃんやウチも惚れさせちゃうんだもんね〜。」

「ヤバい・・・ガチでヤバいって・・・。キングジョーさん、やっぱり積極的になってるって・・・。」

「ど、どうしようバサちゃん・・・。わたし、更に勝てる気がしなくなってきた・・・。」

 

ヒロキに恋する面子が呟く中、トモミはクララの胸を思い出しながら暗い顔でケーキに口を付ける。

 

「ピ、ピグモンさん、そんなに落ち込まないで‼︎」

「アレは仕方ないですって‼︎キングジョーさん、スタイル良すぎですから‼︎」

「そうだよ、ピグっち‼︎自分の胸に劣等感を感じる事無いって‼︎」

「3人ともありがたいです・・・ありがたいですが・・・・ガツガツ。」

「?」

「キンキン並みにお胸が大きいガツガツにだけは絶対に言われたくないです・・・。」

「あっ・・・御免・・・ピグっち・・・。」

 

ミクとレイカとミコがトモミを励ますもミコの胸を見てトモミは思わず毒を吐いてしまう。アキは巻き込まれまいと皿に持ったプリンやケーキを必死に頬張りながらおかわりにいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ⁉︎このヘンテコなカメラは⁉︎」

「こんなんでちゃんとちゃんと写るのか⁉︎」

「知らないんですか⁉︎電波ジャックといえばザラブのですよ‼︎このカメラもうちの名物です‼︎」

「本当かよ・・・。」

 

その頃、マブゼ達は電波ジャックを行いウルトラマンを呼び出そうとしていた。ザラブ星人がセッティングしている機械を見ながらゴドラ星人とスラン星人が口出す。マブゼも待ち侘びている中、彼らにとって思いもよらない相手が姿を現した。

 

「そこまでだ‼︎お前達の持つ宇宙の黒き王のカケラは我々が貰い受ける‼︎」

「なっ⁉︎」

「何者です⁉︎」

「銀色のレイダー、シルバーブルーメ‼︎」

「赤きスナイパー、ノーバ‼︎」

「漆黒のリーダー、ブラック指令‼︎」

「4人目のニューカマー、ペガッサ‼︎」

「4人‼︎」

「揃って‼︎」

「地球の支配者‼︎」

「(仮)‼︎」

「「「「我ら、ブラックスターズ‼︎」」」」

 

それは大きな勘違いしながらも目的の物を求めてやってきたブラックスターズの面子だった。




多分ですがまたオリジナル回を作るかもしれません。何処で作るかはまだ考えています。


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激突!ウルトラビッグマッチ!(中編)

エピソードZの公開日が刻一刻と迫っていますね。

『ニセウルトラマンベリアル』登場


「ぶ、ブラックスターズだと⁉︎」

「怪獣娘のようですね。」

 

突然乱入してきた怪獣娘に宇宙人達は驚く。そんな中、ブラック指令とマブゼはお互いを確認した。

 

「あー‼︎お前はあの時のチブル星人‼︎」

「そういう貴方はあの時の怪獣娘‼︎」

「チブル、この怪獣娘達を知ってるのか⁉︎」

「ああ、彼女達はブラックスターズの円盤生物の魂を宿した怪獣娘ですよ‼︎以前、円盤生物の細胞サンプルとして捕らえたのですが・・・訳あって逃げられましてね・・・。まさかまた会う事になるとは思いませんでしたよ‼︎一体何の御用です?今度こそ円盤生物のサンプルとして私の実験台になってくれる気になりましたか?」

「そんな訳ないだろう‼︎我々はお前達が持ってるエンペラ星人のカケラを頂きにきた‼︎」

「「「「ハァ⁉︎」」」」

「エンペラ星人のカケラ⁉︎そんなものここには無いぞ‼︎」

「何だと⁉︎」

「しかし、私達のカイジューソウルが何かに反応した。だからここの何処かに確かに宇宙の黒き王のカケラがあると思うが・・・。」

「宇宙の黒き王のカケラ?それってベリアル因子の事ですか?」

「馬鹿‼︎ザラブ、口を滑らすな‼︎」

 

ブラックスターズとゴドラ星人達の会話を聞いたマブゼは感嘆な声を上げる。

 

「何と‼︎怪獣娘がベリアル因子に反応したのか⁉︎まさかこんな事が起こるとは‼︎やはりこの宇宙の地球は面白い‼︎」

「ベリアル因子?何だそれは‼︎」

「怪獣娘の皆さん、かつて闇に堕ちた最強最悪のウルトラマンがいました。その名がウルトラマンベリアル。そしてこれはそのベリアルの遺伝子です‼︎」

「ザラブ‼︎何してる‼︎敵である怪獣娘に喋り過ぎだ‼︎」

「宇宙の・・・黒き王のカケラ・・・・悪のウルトラマンであるベリアルとやらの遺伝子・・・そうか‼︎そういう事か‼︎」

「お告げが示してたのはこのベリアル因子の事だったんですか⁉︎」

「成る程な・・・・宇宙の黒い王と聞いてエンペラ星人を思い浮かべていたがそれは我々の勘違いだったと言う訳か・・・ならばそのベリアル因子は我々が貰い受ける‼︎」

「ハッハッハ‼︎君達みたいな馬鹿に渡すものなど何一つありませんよ‼︎チブロイド‼︎奴らを捕らえろ、今度こそ円盤生物の細胞サンプルとしてしまえ‼︎」

 

マブゼの言葉で部屋にチブロイドが入ってくる。ノーバは空を確認すると何処からともなく鎌を召喚してチブロイドを叩っ斬る。ノーバの鎌で真っ二つになったチブロイドを背にブラック指令がベリアル因子が入ったカプセルに手をつける。

 

「ブラッディデスサイズ‼︎」

「何だと⁉︎」

「甘いな・・・同じ失敗はしないぞ、チブル星人。」

「ベリアル因子、確かに我々ブラックスターズが貰ったぁぁぁぁ‼︎」

 

ブラック指令がカプセルを開けると中からベリアル因子が飛び出す。それを見たノーバが咄嗟にブラック指令を突き飛ばした。

 

「ぐわっ‼︎何をするんだ、ノーバ‼︎」

「ブラック、よく見ろ‼︎アレを浴びていたら大変な事になっていたぞ‼︎」

 

ブラック指令がノーバの視線の先を追うとそこではまたもやザラブ星人が口から泡を吐いている。スラン星人とゴドラ星人が彼に駆け寄る光景を見てブラック指令は顔が青ざめた。

 

「あんな物浴びるところだったのか・・・・。」

「さっすがブラックちゃん‼︎宇宙人ですら浴びたら気絶しかねないような物に簡単に手をつけようとするなんて‼︎」

「というか・・・貴方達こんな危険な物どうするつもりだったんですか⁉︎」

「決まってる‼︎コイツを使ってベリアルを蘇らせるのだ‼︎」

 

マブゼの言葉にブラックスターズは目の前の宇宙人が何をしようとしているのか理解した。それを知ったペガッサ星人は再びカプセルを奪おうとする。

 

「ブラックさん、何としてでもアレを奪いましょう‼︎このままだと大変な事に‼︎」

「ああ、そのようだな。」

「ふん‼︎怪獣娘などに渡すものか‼︎」

 

再びマブゼがチブロイドを差し向ける。ノーバは鎌でチブロイドを真っ二つにしていく。意識を取り戻したザラブ星人とゴドラ星人がカプセルを取りに駆けるもシルバーブルーメが腕の袖から黄色い液体を2人の足元に放つ。。

 

「最大出力でいくよ‼︎ジェリースプラッシュ‼︎」

「おわあああああ‼︎」

 

ザラブ星人とゴドラ星人が思わず足を止める。すると彼らの目の先の床が音を立てて溶けていく。シルバーブルーメが放つ液体は何でも溶かす事が出来る。溶かす威力を調整できる彼女は溶解度を最大にしてそれを放ったのだ。

 

「今だよ、ペガちゃん‼︎」

「は、はい‼︎」

 

ペガッサ星人はカプセルを何とか奪い取りブラック指令達の元に持っていく。それを見たブラック指令は彼女を褒め称えた。

 

「素晴らしいぞ、ペガッサ‼︎」

「あ、ありがとうございます‼︎」

「これで奴らの野望は阻止出来た。」

「残念だけどそう上手くはいかないよ。スラン君‼︎」

「ああ‼︎」

 

彼女達に見えぬ速さでスラン星人が動いた。高速宇宙人の肩書を持つスラン星人の速さに追い付けず、彼女達はカプセルを奪い返されてしまった。

 

「嘘⁉︎何て速さなの‼︎」

「今だ!やれ、ゴドラ‼︎」

 

マブゼの声と共にゴドラ星人のゴドラカプセルがブラックスターズを閉じ込める。

 

「しまった‼︎」

「これで手出し出来まい‼︎さぁ、お楽しみの始まりだ‼︎」

 

 

 

「それにしても・・・この店・・・結構いいじゃん。スイーツの種類もケーキだけじゃなくワッフル、クレープやドーナッツも豊富でさ。凄くいい店じゃん‼︎」

「エエ、来れて本当に良かったデス‼︎」

 

その頃、ヒロキ達は相変わらずGIRLSの皆とスイーツバイキングを楽しんでいる。ヒロキとクララ以外もそれぞれ今の時間を楽しみながら談話している。

 

「いやぁ・・・平和な一時だねぇ。」

「ええ、本当です・・・。」

「いやぁ、それにしてもさ、怪獣娘になった時はさ本物のウルトラマンが敵になる日が来るなんて思わなかったよね。・・・。」

 

かぷせるがーるずが日々起こってきた戦いに遠い目をしながら紅茶を飲む中、ミコの呟きにミクも反応する。

 

「本当に驚いたなぁ、まさか悪のウルトラマンがいるなんてさ。」

「うん、今までウルトラマンは正義の味方だと思ってたもんね。ウルトラセブンのカプセル怪獣の魂を継ぐボク達にとっては尚更だったなぁ。」

「そうですよね・・・ところで悪のウルトラマンって他にもいるのでしょうか・・・?」

「まっさかぁ。悪のウルトラマンなんてトレギアくらいでしょ。」

『いや、トレギア以外にもいるぜ。悪のウルトラマン。』

 

かぷせるがーるずとミコの会話にタイガが口を出してきた瞬間、ヒロキを除くその場の皆が驚いた顔をしていた。彼女達を代表してミカヅキとトモミがタイガに詰め寄った。

 

「ちょっ⁉︎ちょっと待ってタイガちゃん‼︎」

「トレギア以外にも悪のウルトラマンがいる⁉︎本当なんですか⁉︎」

『ああ、そうだけど・・・皆知らなかったっけ?』

「初耳だから皆驚いてんだろうが・・・。」

「ちょっと勘弁してよ・・・トレギアだけでも精一杯なのに更にあたし達の敵になりかねないウルトラマンがいるなんて・・・。」

『安心しな、ザンドリアスの姉ちゃん。そいつは今この世にはいねぇよ。』

「えっ⁉︎そうなの⁉︎」

「なーんだ、安心した。でもそのウルトラマンってどんな奴だったの?」

『少し長くなるけど大丈夫か?」

 

ミクの言葉に返答したタイガの問いに彼女達は頷く。するとタイガを筆頭にトライスクワッドが語り始めた。

 

『そいつの名はベリアル。俺の爺ちゃんと肩を並べてあのエンペラ星人と戦った事もある男だ。』

「えっ、タイガのお爺ちゃんってあのウルトラの父だよね⁉︎」

「エンペラ星人といえば光の国に戦争を仕掛け、更にウルトラマンメビウスを1度は消した宇宙最強の皇帝ね。」

「そんな凄い人が何で悪の道に⁉︎」

『俺も詳しくは知らないんだけどエンペラ星人との戦いの後、爺ちゃんと力の差をつけられたベリアルは爺ちゃんに勝つために更に強い力を求めてプラズマスパークの光を独り占めしようとしたらしい。』

「プラズマスパークを・・・。」

『無論、光の国の命であるプラズマスパークに手を出すなど許される訳がない。ベリアルは光の国を追放されるが、宇宙を彷徨う中、奴はレイブラッド星人に出会った。』

「レイブラッド・・・星人?」

『あらゆる怪獣を操る事が出来、かつてその力で宇宙を支配した全知全能の宇宙人だ。』

「宇宙を支配した・・・宇宙人・・・。」

『ベリアルはレイブラッド星人から力を貰い、その力で光の国に復讐した後、宇宙を支配しようとした。』

「けど、1度はウルトラマンキングによって封印されたらしい・・・けど何千万年の時を経てその封印が解かれてベリアルは復活した。」

『再び蘇ったベリアルは1度は光の国を壊滅に追い込んだけど、修行から帰ってきたウルトラマンゼロによって幾度も野望を防がれた。そして最終的には自身の遺伝子を継ぐ息子であるウルトラマン・・・ジードによって倒され滅ぼされたのさ。』

「最後は自分の息子に・・・。」

「倒された・・・か。」

 

ベリアルの話を聞いた怪獣娘。全員が騒然なスケールの話に黙り込む中、ミコとマコが神妙な表情で呟いた。

 

「ガッツ・・・凄く噛み締めてる・・・。」

「ガッちゃん、1度、分身のマコちゃんに負けてるから重ねちゃったんじゃない?」

「あの、タイガさん・・・。」

『何だ?』

「先程の話で気になる事が・・・ウルトラマンゼロって一体誰ですか?」

『ああ、皆に話してなかったよな。ウルトラマンゼロ・・・レイカ達のカイジューソウルの怪獣の主人であるウルトラセブン・・・・その実の息子だよ。』

「ええっ⁉︎ウルトラセブンの実の息子⁉︎」

「ちょっと待って‼︎セブンってわたしの元の宇宙人と戦ったあのウルトラセブンだよね⁉︎セブンって息子がいるの⁉︎」

『ああ‼︎若き最強戦士と呼ばれて様々な宇宙を駆け巡っているんだ‼︎』

「へぇ、セブンと戦った怪獣の魂を継ぐ私としては少し興味あるわね。」

 

セブンと深い縁のある怪獣のカイジューソウルを宿したアキ、ミコ、ランが驚いた反応を見せる中、店のTVの画面が放送していたバラエティ番組からチブル星人を写した画面へと変わる。するとチブル星人が突然語り始めた。

 

「なっ、何⁉︎」

「アレは・・・チブル星人⁉︎」

『ご機嫌よう‼︎諸君、私の名はチブル星人マブゼ‼︎宇宙最高の頭脳の持ち主だ‼︎』

「コイツ、あの時のチブル星人か‼︎」

『この度、我々の存在を脅かすウルトラマンを奴らの同胞の力を持って抹殺する事に致しました‼︎さぁ、ウルトラマン狩りの始まりだ‼︎』

「ウルトラマンを抹殺⁉︎こいつ、何をする気なの⁉︎」

 

するとチブル星人がカメラから窓に向かってライフル型の召喚装置を構えたザラブ星人の姿に変わる。ザラブ星人は召喚装置を起動すると紫色の閃光が放たれ、そこから一筋の光が地面に向かって放たれる。すると光が降り立った地点から目つきが鋭く黄色いトサカに両手に黄色の鋭い鉤爪を備えた黒いウルトラマンが現れた。

 

「ウウウウウ・・・。」

『出てきなさい‼︎醜きウルトラマン達よ‼︎黒き王の祝福を受けるのだ‼︎』

「な、何あれ⁉︎」

「黒い・・・ウルトラマン?」

『嘘だろ、おい・・・・。』

「ウウウウ・・・・。

 

そのウルトラマンは暫く辺りを見回すと両手から稲妻を放って街を破壊し始める。爆炎に町が包まれる中、黒いウルトラマンは面白そうに笑い始めた。

 

「ヘッヘッヘ・・・・フハハハハハハハハ‼︎フハハハハハハハハ‼︎」

『マジかよ・・・アレはベリアルだ‼︎』

「ええっ⁉︎アレがウルトラマンベリアルなの⁉︎」

 

店の客を避難させた後、店を出たヒロキ達は目の前で暴れる黒いウルトラマンを見る。マブゼに造られた『ニセウルトラマンベリアル』は相変わらず街を破壊しながら笑い声を上げ続けていた。

 

「フフハハハハハハ‼︎」

「あれがさっき言ってたベリアルなの⁉︎」

『ああ、何処となく聞いていた姿とは違うが間違いない‼︎かつて親父達が手こずらされた光の国の大罪人そのものだ‼︎』

「でもどうして⁉︎ベリアルってとっくに倒されたんじゃなかったの⁉︎」

「さっきあのチブル星人はタイガ達を同じウルトラマンの力で倒すと言ってた・・・まさか・・・奴はベリアルを造ったって事か⁉︎」

「そういえば・・・以前奴はベリアル因子を手に入れたと言ってたな・・・その因子を使って・・・。」

「まさかクローンを造りやがったっていうのか⁉︎」

「皆だって分かってるだろ!ウルトラマンだって生物だ‼︎当然遺伝子だってある。そして遺伝子が有れば・・・。」

『うむ、ウルトラマンのクローンを造る事も可能だ・・・。』

『とんでもねぇ事してくれやがって‼︎』

 

彼らが目の前のニセベリアルを考察してる中もニセベリアルは暴れ回り街を破壊する。その様子を見たトモミは全員に指示を出した。

 

「とにかく街の人達を避難させましょう‼︎アギアギ達後輩組はわたしと一緒に市民の避難誘導に回って下さい‼︎キンキン達ベテラン組はさっきの放送が何処から流れたかを突き止め次第、突入してチブル星人の確保をお願いします‼︎」

『了解‼︎』

「そしてヒロヒロ、イガイガ達はベリアルの方の対処をお願いします‼︎あれを止められるのはヒロヒロ達以外いません‼︎」

『ああ、勿論だ‼︎行くぞ、ヒロキ‼︎』

「ああ‼︎」

 

ヒロキはタイガスパークを構えるがスプーンをまだ手に持ったままだったため、一瞬硬直する。

 

「・・・・ひ、ヒロキ・・・。」

「・・・・・。」

「・・・・・。」

 

ヒロキはすぐに無言で隣にいたクララにスプーンを渡す。クララが少し困惑した表情をしている中、ヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

「デヤァ‼︎」

「アァ・・・フン‼︎」

『ぐああっ‼︎』

 

タイガは登場して早々、飛び蹴りを放った。しかし、ニセベリアルはそれを見ると手を振りかざして爪からの斬撃波を放つ。タイガはそれをまともに受け、地面に墜落してしまった。

 

『く、クローンの筈なのになんて威力だ・・・。』

 

ニセベリアルは起き上がったタイガに向かって突撃する。タイガも迎え撃つと2人の拳が激突する。それと同時にタイガはタイタスに変わっていた。

 

『パワーで行くなら私に任せろ‼︎』

 

タイタスとニセベリアルはお互いに拳をぶつけ合い始まる。何十ラッシュのパンチの打ち合いが続くもタイタスの両腕の拳はニセベリアルに受け止められた。

 

『何⁉︎』

 

ニセベリアルの両手がタイタスを捻るニセベリアルのドロップキックがタイタスに直撃する。タイタスは吹き飛ばされながらフーマに交代した。

 

『これでも喰らえ‼︎』

 

フーマは光波手裏剣を数発放つ。ニセベリアルは両腕で弾くが最後の1発を尻に受けると後ろのビルを引っこ抜く。そしてフーマが放つ光波手裏剣をビルを盾にして受けながら突進した。ビルごとの突進にフーマは思わず地面に倒れてしまう。

 

『ぐっ⁉︎』

 

フーマは再び立ち上がろうとするがそれよりも前に飛び上がったニセベリアルの飛び膝蹴りをまともに受けてしまった。ニセベリアルはまるで赤子のように笑いながら手を叩く。

 

「ウアアアアアアアア‼︎」

『ぐあっ⁉︎』

「フハハハハハハハハハハ⁉︎ハハハハハハハハハ‼︎」

 

 

「なんて奴だ‼︎」

「とんでもないパワーね・・・これでクローンなら本物の実力はどのくらいなのかしら。」

「お、おいよせ‼︎恐ろしい事言うな‼︎」

 

その様子を見ていたキングジョー達は緊迫した顔で立ち止まってしまう。彼女達が思わず各々の言葉を口に出す中、話し掛けてくる者がいた。

 

「私としてはあんなのに負けてもらっては困るんだがなぁ・・・。」

「あんなのってよく人事みたいに・・・ってアンタは⁉︎」

「やぁ、怪獣娘のお嬢さん方。」

 

そこに現れたのはトレギアの仮の姿である霧崎だった。




ゼロと怪獣娘を絡ませるとしたらかぷせるがーるず、ピグモンさん以外に誰が思いつきますかね。


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激突!ウルトラビッグマッチ!(後編)

本当はストロングコロナゼロ、ルナミラクルゼロも出したかったのですが尺の都合で断念しました・・・。


ニセベリアルとトライスクワッドの戦いを間近から眺める者達がいた。マブゼ達ヴィラン・ギルドの宇宙人と奴らに捕われたブラックスターズである。ブラックスターズは目の前でウルトラマン達を苦戦させている黒いウルトラマンに絶句しながら目を向けるしかなかった。

 

「な、なんて奴だ・・・。」

「3人のウルトラマンが全く歯が立たないなんて・・・。」

「おおお‼︎やったやった‼︎」

「凄え‼︎大迫力だ‼︎」

「ハッハッハ‼︎我々の勝利だ‼︎」 

 

喜びの声を上げるスラン星人とマブゼだが彼らの喜びもすぐに消えた。ニセベリアルがフーマに向かっていく中、突然下から何かが飛び出してニセベリアルを吹き飛ばす。それはあのトレギアだった。

 

「ぶ、ブラックさん、あれって確か‼︎」

「人類の敵と言われてる・・・青い仮面のウルトラマン‼︎」

「あっ、アイツはトレギア‼︎」

「トレギア?」

 

 

 

 

 

 

その少し前、ニセベリアルがフーマを投げ飛ばす光景の前でトレギアの仮の姿である霧崎はキングジョー達の前に姿を現していた。キングジョー達は目の前の男を見据えて戦闘態勢を取る。

 

「何構えているんだい?」

「トレギア‼︎てめえ、何しに来やがった‼︎」

「また今回も何か企んでるの⁉︎」

「そんなに警戒する事無いじゃないか・・・今回に関しては私にとっても良くない状況でね・・・あんなのにやられては困るのさ。私の計画が台無しになるからね。」

「計画ですって・・・・GIRLS調査部として聞き捨てならないわね。」

「そういえば以前ヒロから聞いたけど・・・あんた、宇宙が恐れる存在を呼んだらしいじゃない。それと何か関係があるの?」

「さぁね・・・それより私は行かせてもらうよ。アレの飼い主はあそこにいるから奴らを止めたければそこに行けばいいんじゃないかな。」

「待て‼︎逃すと思うか‼︎」

 

怪獣娘達は一斉に駆け出すも霧崎は1つのビルを指差した後、トレギアアイを顔に翳して本来の姿に戻ると同時にニセベリアルを吹き飛ばす。目の前に因縁の敵が現れた事にフーマは当然驚きの声を上げた。

 

『トレギア⁉︎何でここに⁉︎』

『順番が違うんですよ・・・・こんな木偶の坊に私の計画を止められては困るんです・・・。』

「木偶の坊だと・・・私の作品を愚弄する気かトレギアァァァァ‼︎スラン、もっとベリアル因子を注入だ‼︎」

「おいおい、ザラブだって因子にちょっと触れただけで気絶したんだぞ‼︎」

「煩ぁぁい‼︎私に指図するな‼︎」

「どうなっても知らんぞ‼︎」

「気を付けろ‼︎スラン‼︎」

「慎重に・・・慎重に・・・。」

 

ゴトラの反対を押し切ったマブゼの言葉でスラン星人は更にニセベリアルに向けてベリアル因子を照射する。それはニセベリアルのカラータイマーに命中するとニセベリアルに更に力を与えていった。

 

「うわああああ‼︎」

「ウアアアアアアア‼︎」

『何だ⁉︎』

『ほう・・・。』

「お、おい‼︎今何か‼︎」

「しかもあのビル、トレギアが指していたビルじゃん‼︎」

「トレギアの言葉通りなんて釈迦に合わないですが・・・行ってみるしかないでショウ‼︎」

 

彼女達がビルに向かったと同時にニセベリアルはフーマとトレギアに向けて突撃する。トレギアはニセベリアルの鉤爪による斬撃を手刀で弾きながら応戦するがフーマも負けじとニセベリアルに向かっていった。

 

『俺がやる‼︎』

 

しかし、フーマの蹴りをニセベリアルが受け止めた時、トレギアに足を払われたフーマはニセベリアルに蹴りを当てると同時に地面に落ちる。

 

『ほらよ・・・。』

 

再びニセベリアルが鉤爪でトレギアを切り裂こうとするがトレギアはニセベリアルの腕を掴むと頭に手刀を浴びせて怯ませる。そしてニセベリアルの腕を固めて地面に叩きつけた。おきあかったニセベリアルは腹いせとばかりに目に映ったフーマを蹴りで吹き飛ばす。再びトレギアが蹴りを仕掛けるも頭を下げて回避したニセベリアルは逆にトレギアを蹴り返した。少し後退したトレギアは頭に指を当てながら呟く。

 

『やれやれ、品がないのは飼い主そっくりに造られたようですね・・・。』

「ハッハッハッハッハッハ‼︎負け惜しみか、見苦しいぞトレギア‼︎」

 

トレギアの呟きが聞こえたのかマブゼは高笑いしながらトレギアを嘲笑う。その時、彼らの部屋にキングジョー達が突入してきた。

 

「そこまでだ、ヴィラン・ギルド‼︎」

「GIRLSよ、全員大人しくしなさい。」

「なっ⁉︎GIRLSだと‼︎」

「狼狽えるな、奴がいればお前達GIRLSなど敵ではないわ‼︎」

「そうだ、我々の狙いはトライスクワッドとトレギア‼︎貴方達など眼中にありませんよ‼︎」

「何だと⁉︎言ってくれるじゃねえか・・・って⁉︎」

「ブラックスターズ⁉︎何で貴方達がここに⁉︎」

 

 

GIRLSの怪獣娘とマブゼ達が睨み合う中、レッドキングとガッツ星人がゴドラカプセルに収容されたブラックスターズを確認する。ブラックスターズはカプセルからキングジョー達に叫んだ。

 

「GIRLS⁉︎お前達こそ何故ここに・・・そんな事はどうでもいい‼︎GIRLS、奴らの持つベリアル因子を奪え‼︎」

「ベリアル因子?」

「お前達の目の前の機械だ‼︎早くしろ‼︎」

 

キングジョー、ガッツ星人が真っ先に機械を奪おうとするがスラン星人がその前に機械を手に取った。スラン星人はゴドラ星人達と合流する。その間にゴドラカプセルを破壊してブラックスターズを助けたゴモラとレッドキングは一瞬の隙を突いてベリアル因子をスラン星人から奪った。

 

「しまった‼︎」

「よし、これで奴をパワーアップさせる事は出来ない‼︎」

「そうはいかんよ、怪獣娘の諸君‼︎そんな上手くいくと思うのかな、すぐに取り返すのだ‼︎」

『こんにちは、皆さん・・・。』

 

そのままGIRLSとマブゼ達によるベリアル因子争奪戦が始まろうとした時、トレギアが窓から顔を覗かせる。トレギアの返事にザラブ、ゴドラ、スランの3名は返事を返してしまう。

 

『こ・・・・こんにちは・・・・。』

『そしてさようなら・・・。』

「ウアアアアアアアア‼︎」

 

トレギアがそう言ってその場を去った後、ニセベリアルが腕を振りかざして突撃してきた。実はトレギアにもマブゼ達の声が聞こえており、彼らを始末するためにトレギアはニセベリアルを誘い出したのだ。目の前のトレギアが移動してからもニセベリアルはそのまま鉤爪を構えて腕をマブゼ達のビルに振りかざす。目の前の光景にスラン星人達はパニックを起こす。

 

「ちょっちょっちょっ⁉︎」

「止め・・・止め‼︎」

「トレギア‼︎あの野郎、コレが目的で‼︎」

「マズい、このままじゃ巻き込まれる‼︎」

「うう・・・私・・・こんな時に何も出来ないなんて・・・。」

 

ペガッサ星人がこの危機的状況に自分が何も出来ない事に嘆いていると彼女の上空に黒い渦が発生した。これが怪獣娘『ペガッサ星人』の持つ能力である。彼女はネガティブな感情と共にダークゾーンと呼ばれる異空間を発生させる事が出来るのである。

 

「なっ⁉︎アレって確か‼︎」

「ダークゾーン‼︎」

「でかした、ペガッサ‼︎皆、これに飛び込め‼︎」

 

ブラックスターズ達はニセベリアルが向かってくる中、ダークゾーンに飛び込んだ。ブラックスターズがダークゾーンに飛び込んだと同時にキングジョー達の前にはゼットンがやってくる。

 

「ゼットン‼︎」

「・・・・皆、脱出するから捕まって。」

 

ゼットンは自分だけでなくキングジョー達もバリアに包むと瞬時にその場から消える。そしてニセベリアルがビルを破壊した時にはマブゼ達しか残っていなかった。ニセベリアルがビルを破壊し、マブゼ達はそのままビルの下敷きになっていく。

 

「「「ああああああああああ‼︎」」」

「ち、チブルの科学力は宇宙1ィィィィィィ‼︎」

『おやおや・・・飼い主がいなくなりましたね。』

「フハハハハハハハハ‼︎」

 

トレギアが愉快そうな声を、ニセベリアルが高笑いを上げる中、フーマはジャンプしながらタイガに交代する。タイガは再びジャンピングキックを放つがニセベリアルはそれを避ける。それと同時にタイガの身の回りに黄金の鎧が具現化して装着されフォトンアースになった。

 

『うおおおおお‼︎』

 

フォトンアースとなったタイガは拳を2度放つも防がれ逆に頭突きを喰らう。タイガは少し後退すると持ち直してニセベリアルの腰に捕まりそのまま投げ飛ばそうとするがニセベリアルの膝蹴りを受け、その手を離してしまう。

 

『ほう・・・偽物の割には楽しませるじゃないか。』

 

トレギアはビルに腰掛けながら面白そうに呟いた。その視線の先ではニセベリアルの鉤爪による一撃でタイガが横に回転しながら吹っ飛んでいく。ニセベリアルは右手に力を溜めると紫色の鋸状の切断光線を放った。それは真っ直ぐタイガに向かっていく。避難誘導を終えてキングジョー達と合流しようとするアギラ達が叫ぶ中、タイガは両腕で頭を覆うようにして守る。

 

「タイガ、ヒロキさん、危ない‼︎」

『くっ⁉︎』

 

しかし、その切断光線はタイガに命中する事は無かった。何処からともなく2本のブーメランがその行く手を遮り切断光線を弾いたからだ。その事に気付いたタイガもそれを見ていた怪獣娘達も何が起こったのか分からない表情をしていた。

 

「ね、ねぇ・・・今何が起こったの?」

「わ、分かりません・・・。」

(今のは・・・一体?)

『だらしないぜ、タイガ!』

 

その時、タイガに叱咤の声を上げる声が聞こえてきた。タイガだけでなくトレギアも声のした方を向くと2本のブーメランが戻る方向では地面から光が灯していた。そしてその光の中から青と赤のボディに銀色のプロテクター、そして先程の2本のブーメランを頭に備えた新たなウルトラマンが現れた。

 

『ったく、妙な感じがしたと思えば趣味が悪い事を考える奴がいたもんだ・・・。』

「あ、新しいウルトラマン⁉︎」

「ねぇ、アギちゃん!ウインちゃん‼︎あたし、あのウルトラマン見た時に何か妙な気を感じた‼︎」

「私もです‼︎・・・一体あのウルトラマンは・・・。」

『ゼロ⁉︎何でここに⁉︎』

(えっ⁉︎じゃあ、この人がセブンさんの息子さん⁉︎)

 

そう、彼こそウルトラ兄弟の三男である真紅のファイター『ウルトラセブン』の実の息子である若き最強戦士と言われた『ウルトラマンゼロ』である。ゼロはタイガに再び声を掛ける。

 

『へへっ、久しぶりだな、タイガ。さぁ、行くぜ‼︎』

『ああ‼︎』

 

ヒロキはタイガスパークからタイガトライブレードを召喚する。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

トライストリウムとなったタイガが高らかに名乗りを上げてゼロの隣に立つ。ニセベリアルが唸り声を上げる中、ゼロは忌々しそうに舌打ちしながら呟いた。

 

『折角ジードが成仏させたってのに・・・余計な事しやがって。』

『これはこれは・・・問題児様のお出ましだ。』

『ハッ!トレギアか・・・てめえには言われたくねえぜ。』

『手合わせするのは・・・初めてでしたね。』

 

ニセベリアルが唸りながらゼロを憎々しげに見る中、トレギアがその隣に立つ。そしてお互い突撃するとゼロとニセベリアルがラリアットでぶつかり合う。お互いの腕がぶつかり合う中、タイガがニセベリアルにタイガトライブレードを、トレギアがゼロに手刀を放つ。ニセベリアルがタイガを、ゼロがトレギアを蹴り飛ばすとそれぞれの戦いが始まった。

 

『オラァ‼︎』

『フッ!』

 

ゼロの蹴りをトレギアが受け流す中、タイガトライブレードをニセベリアルが受け止めていた。タイガがそのままニセベリアルを押し返す中、ゼロとトレギアはお互い走り出すとゼロがトレギアに拳を叩き込む。しかし、トレギアは1発1発を確実に受け流す。お互いに蹴り合うと今度はゼロが手刀を放つがトレギアはそれを受け止めた。しかし、歴戦の戦士であるゼロは片方の手で手刀を放つ。トレギアはこれも受け止め、お互いに距離を取る。そしてお互い走り出すと空中に飛び上がり激突した。

 

『生命とは迷い悩むからこそ美しいもの・・・。』

『ああ⁉︎』

『意にそぐわない者がいればよく考えもせず牙を向く・・・。』

 

空中でお互い拳や手刀を浴びせながらの激しい戦いの中でトレギアはゼロに言葉を投げる。

 

『だから私は・・・君にときめかない。』

 

ゼロが必殺光線の構えに入った時、トレギアは手刀を放ちそれを防ぐ。ゼロは光線から即座に頭のゼロスラッガーに切り替える。

 

『シャァッ‼︎』

 

トレギアは蹴りでゼロスラッガーを跳ね返す。そしてそれはぶつかり合うニセベリアルとタイガに向けられる。2人は2本のスラッガーを避けるとお互い距離を取った。そしてタイガの隣にゼロが、ニセベリアルの横にトレギアが降り立った。

 

『ゼロ、戦ってより理解したよ。君が心底つまらないとね。』

『この俺に軽口を叩くとは2万年早いぜ。』

『そろそろ終わりにしますか。』

 

ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを4回押して回転盤を回す。

 

「トライスクワッド‼︎」

 

タイガ達がタイガトライブレードを構えるビジョンと共に虹色のオーラに包まれたタイガトライブレードのトリガーを引く。すると青、黄、赤と光るタイガトライブレードを3回振った。タイガがトライストリウムバーストを撃つ構えに入る。

 

『ハアアァァ・・・。』

 

トレギアも両手に力を溜めて光線を放つ構えに入る。そしてトレギアが必殺光線であるトレラアルティガイザーを放ったと同時にニセベリアルが両腕を十字に組んでデスシウム光線を放つ。ゼロも光のエネルギーを溜めていくとタイガと同時に必殺光線を放った。

 

『ワイドゼロショットォォォ‼︎』

『トライストリウムバースト‼︎』

 

4つの光線がぶつかり合い大爆発が起こる。そしてその衝撃波に耐えるゼロとトレギアの横でニセベリアルとタイガが吹っ飛んだ。カラータイマーが点滅し始めたタイガにゼロが駆け寄る。

 

『まだやれるか、タイガ。』

『ああ‼︎』

 

タイガの答えを聞いたゼロは自身の光の一部をタイガのカラータイマーに送る。

 

『俺の力を込めたブレスレットだ。今のお前なら使える筈だ、受け取れ。』

 

ヒロキは自身に新たな力を感じるとタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

するとヒロキの左腕にこれまでのブレスレットと違う大きなブレスレットが具現化された。

 

(これが・・・ゼロさんの力・・・。)

 

ヒロキは新たな『プラズマゼロレット』の後ろを押すとブレスレットから翼のような装飾が開く。そしてタイガスパークにプラズマゼロレットを読み込ませた。

 

〈プラズマゼロレット、コネクトオン‼︎〉

 

その時、タイガの全身に炎と共に虹色の光エネルギーが充満される。そしてタイガはそのエネルギーを全身から解き放った。

 

『タイガダイナマイトシュート‼︎』

「ヴ、ヴアアアアアァァァァァァ‼︎」

 

トレギアはその光線を確認すると隣のニセベリアルを盾にする。ニセベリアルはその光線を受け続け大爆発を起こした。爆発が起こった地点から虹色の火柱が発生する。

 

『これが・・・プラズマゼロレットの力・・・‼︎』

『俺達の力が200万%共鳴したのさ。』

『ああ・・・うっ⁉︎』

 

タイガは納得した声を上げるも既に限界寸前だったため地面に膝をつく。ゼロはそんなタイガを支えるとトレギアが呟いた。

 

『主催者の玩具が無くなったなら今日のイベントは終わりですね。』

 

トレギアは両腕で円を描くと別の空間に繋がるゲートを作ろうとする。ゼロはトレギアを確認するとゼロスラッガーを胸に装着する。

 

『逃さねえ‼︎ゼロツインシュートォォ‼︎』

 

ゼロは必殺光線を放つもトレギアは光線が当たる直前に姿を消してしまう。タイガはトレギアを追おうとするが制限時間が来て光の粒子と共に消えてしまう。光の粒子から出た1つの光をゼロは掴むと近くのビルの頂上に下ろす。ゼロはビルの頂上に立つ手の中にいたヒロキを確認する。

 

『今はお前がタイガに体を貸しているのか?』

「はい、白鳥ヒロキって言います‼︎貴方がウルトラセブンさんの息子のゼロさんですね!お会い出来て光栄です‼︎」

『よせよ、柄に合わねえ。』

 

ヒロキがゼロに自己紹介しているとゼットンの力で脱出したキングジョー達、そしてアギラ達が駆け付けてきた。

 

「おーい、ヒロちゃーん‼︎」

「ヒロキー‼︎」

「ヒロキさーん‼︎」

「クララちゃん、皆‼︎」

『⁉︎・・・そいつらは何だ⁉︎人間の女の子のようだけど・・・何処かゴモラやレッドキングのような・・・。』

『ゼロ、彼女達は・・・・・。』

『・・・・・成る程な、怪獣の魂を宿した少女、怪獣娘か。』

 

初めて見る怪獣娘達に疑問を投げるゼロだがタイガの説明で彼女達について理解する。ゼロに視線を向けた怪獣娘達を代表してピグモンが自己紹介する。

 

「貴方がウルトラマンゼロさんですね‼︎初めまして、わたしは怪獣娘のピグモンと申します‼︎」

『へえ、ピグモンの怪獣娘か、うちにもピグモンの・・・モロボシくんの事を思い出しちまったぜ。」

「ゼロさんはわたしの元の怪獣を知っているんですか?」

『ああ、よーく知ってるぜ。頼れる俺達の仲間だからな。』

 

ピグモンはその言葉に感慨深い表情を抱く。するとミクラスがゼロに自身に宿る怪獣について訊ねた。

 

「ねぇ、ゼロ‼︎」

「ちょっとミクさん、いきなり呼び捨てはマズイですよ‼︎」

『別に構わねえよ。お前は・・・何の怪獣娘だ?』

「あたし、ミクラスの怪獣娘なの!」

『ミクラス⁉︎・・・ちょっと待て、まさかそこの2人は・・・。』

「ボク、アギラです・・・。ウルトラセブンのカプセル怪獣の魂を継ぐ・・・。」

「は、はい。ウインダムと申します!」

『・・・やっぱりお前ら、親父のカプセル怪獣の・・・。』

「うん・・・あたし、強くなりたい・・・けど、あたしの元の怪獣負けてばっかりで強くないし・・・。」

「ボクも・・・アギラって1度も勝てた事が無い弱い怪獣だったって聞いていて・・・だから。」

『自分の強さに自信が持てないってか。カプセル怪獣は決して弱くなんかない、俺達ウルトラマンの戦いを支えてくれる心強い仲間だ。』

「でも、地球では1度も勝った事が無いって‼︎」

『例え地球で勝てた事が無くとも、宇宙のあちこちで親父はカプセル怪獣に助けられてきたんだ。親父だけじゃなく他のウルトラマンもな・・・だからな、自身に宿る怪獣の魂を誇りに思っていいんだぜ。カプセル怪獣は決して弱くなんかない。セブンの息子の俺が保証するぜ!』

 

アギラ達はゼロの言葉を深く噛み締める。そしてゼロは話を切り替えてヒロキ達に語り掛ける。

 

『ヒロキ、それと怪獣娘の皆、トレギアはベリアルより何を考えているか分からない食えねえ野郎だ。』

「ああ、それは何度もぶつかってる俺達が一番分かってる・・・‼︎」

「でも、ゼロちゃん、わたし達絶対に負けたりしないよ‼︎皆で力を合わせて絶対に負けたりしないんだから‼︎」

『へへっ‼︎頼もしいな、ゴモラの姉ちゃん‼︎レイのゴモラを思い出すぜ・・・。タイガ、協力してくれる仲間を守れ!そして必ず勝つんだ‼︎』

『はい‼︎』

 

ゼロは腕のブレスレットから次元を超える力を持つ鎧『ウルティメイトイージス』を装着する。

 

『ベリアル因子を利用して悪さをする奴らが他にもいるかもしれない。俺はそれを探しに行く。ここはタイガ・・・いやお前達に任せるぜ‼︎』

「『はい‼︎』」

「うん‼︎」

 

ヒロキと怪獣娘達はゼロの言葉に頷く。ゼロはそれを見て満足そうに笑うとイージスの力で他の次元へと渡っていった。それを見ていた霧崎は静かに笑い出す。

 

「タイガ君・・・やっぱり君は面白い・・・さぁ、楽しいパーティーの始まりだ。」

 

 

 

 

その頃、ブラックスターズはダークゾーンのお陰で脱出し命からがら生還していた。

 

「ハァハァ・・・まさかここまで危険な事になるとは・・・。」

「大変だった・・・・。」

 

ブラック指令とノーバが息を荒げながらニセベリアルとタイガが戦った場所を見つめていた。そんな中、シルバーブルーメは少し残念そうな顔をしており、その事に気付いたペガッサ星人が話しかける。

 

「どうしたんですか、シルバーさん?」

「えっ‼︎あっ・・・ううん、何でもないよ、気にしないで‼︎」

(GIRLSが来た時・・・会えると思ったんだけどな〜・・・ちょっと残念。)

「皆、当分は宇宙人達に関わらないようにしよう。命がいくつあっても足りん‼︎」

 

いつもナメられているブラック指令だが今回ばかりはノーバとシルバーブルーメも彼女の言葉に頷いていた。

 

 

 

 

その頃、街で服を見ていたピリカは何かを感じ空を見上げる。その頃、地球にトレギアが呼び寄せた何かが近付いていた。




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『トレギアが呼び寄せた伝説の怪獣。どうやら地球にかつてない危機が訪れようとしているみたいだ。そして破滅が近づく中、様子がおかしいピリカ。彼女に課せられた指名とは‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


私はピリカ


行こう、ヒロキ‼︎だって俺達は‼︎』


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私はピリカ(前編)

漸くここまで来れました・・・。もう少しペースを上げなければ。


その日、宇宙から何かが近付いてきた。それが地球に近付き、大気圏内に突入しようとするとカナと一緒にショッピングしていたピリカが空を見上げて何かを感じ取る。

 

「ピリカ、どうしたの?」

「・・・・ウーラー。」

「はっ?」

 

その時、東京湾沖合いに宇宙から近付いていた何かが落ちた。それが落ちたと同時に地面が大きく揺れる。それはGIRLSにいたヒロキ達も同様だった。

 

「何だ⁉︎」

 

そして揺れが治るとトモミは何が起きたのか確認するためモニターを確認する。ヒロキ達もそれについていくとそこではニュースが流れていた。

 

『先程、東京湾沖合いに隕石のようなものが落下しました。落下した地点からはオーロラのようなものが発生しています。この騒動には宇宙人が関わっているとも言われており市民の間では宇宙人への反対運動が・・・・』

「ピグモンさん、どうします⁉︎」

「勿論、現場に急行します‼︎何が起こったのか確かめないと‼︎」

 

ヒロキ達はGIRLSを飛び出す。出口に出ると1台の車が走ってきた。その車はヒロキ達の前で停止すると中からヒロキ達の知ってる顔が現れた。

 

「ヒロキ君、クララちゃん‼︎」

「カナさん⁉︎どうしたんですか⁉︎」

「2人ともピリカを見てない⁉︎隕石が落ちた瞬間、急にいなくなっちゃったの‼︎」

「ええっ、本当ですか⁉︎」

「しかし・・・ピリカはここには来ていまセン‼︎ワタシ達も彼女が何処にいるかハ・・・。」

 

ヒロキとクララの返事に顔が俯くカナ。そんな中、トモミがカナに話し掛ける。

 

「カナさん、ピリカさんの事はわたし達も知っています。けど、今は緊急事態です。ピリカさんの事は」

「待って、GIRLSの皆、もしかしたらピリカとあの隕石は何か関係があるかもしれないの‼︎」

「どういう事ですか⁉︎」

 

カナの言葉にレイカが思わず訊ねる。カナはバッグから何かのデバイスを取り出した。

 

「何ですか、これ?」

「私がピリカを見つけた時、彼女に付いていた何かのコンピュータよ。」

「?つまり・・・どういう事です。」

 

アギラが質問した時、カナは一瞬黙り込む。そして意を決した表情になると再び口を開く。そして彼女の口から驚くべき言葉が聞こえてきた。

 

「クララちゃん・・・ヒロキ君・・・・そしてGIRLSの怪獣娘の皆・・・驚かないで聞いて・・・・実はピリカはアンドロイドなの。」

『⁉︎』

「ええっ⁉︎ピリカさんがアンドロイド⁉︎」

「どういう事デスカ⁉︎」

「あれは・・・・7年前の事よ・・・・。」

 

ヒロキ達が驚いた表情を浮かべる中、カナはピリカを見つけた時の事を語り始める。

 

 

 

 

 

 

若い頃のカナと一緒に彼女と同年代の青年刑事が隣を歩いていた。2人は話しながら歩いている。

 

「バン、今日もお手柄だったわね。本当、貴方の直感って当たるわよね。」

「へへっ、あいつの目いかにも怪しかったからな。それよりカナ、これから用事あるか?無かったら一緒に飯でも行こうぜ。」

「いいわよ・・・ちょっと待って‼︎」

 

カナは道端で倒れている誰かを発見するとそれに駆け寄る。そこには1人の少女が倒れていた。カナと『バン』と呼ばれた青年刑事は直ちに少女に駆け寄った。

 

「バン、あそこに人が倒れてる‼︎」

「なっ⁉︎マジかよ⁉︎おい、しっかりするんだ‼︎」

「どうしました⁉︎・・・バン、この子脈が無いわ‼︎」

「なっ‼︎急いで救急車を‼︎」

 

2人が応急処置を施そうとした時、少女は機械の起動音を上げながら立ち上がる。その様子に2人は驚いていた。

 

「私はピリカ03。」

「貴方・・・大丈夫なの⁉︎」

「機能に問題はありません。」

 

 

 

 

 

 

 

「本当なんですか、その話・・・。」

「にわかには信じがたいですが・・・。」

「信じられないかもしれないけど・・・これが確かな証拠よ。」

 

ヒロキ達はカナから彼女とピリカが初めて出会った時の話を聞いていた。ヒロキ達はカナの持っていたパソコンからピリカを検査した時の身体データを見せられ彼女の話を信じずにはいられなかった。

 

「あの子は言ってたわ。いつか・・・自分の使命を実行する日が来るかもしれないって。」

「・・・・自分の使命・・・。」

「貴方達GIRLSにピリカのコンピューターを託すわ。私も協力するからこれを解析してくれないかしら?」

「分かりました‼︎カナさん、こちらにどうぞ‼︎」

「ピグモンさん、大変です‼︎」

 

トモミがカナを案内しようとした時、職員の1人が慌てて駆けてきた。トモミ達は職員の話に耳を傾けると彼女の口から驚く事が語られた。

 

「どうしました?」

「宇宙からこのGIRLS東京支部に緊急通信が来ています‼︎宛先はあのピッコロ王子からです‼︎」

「⁉︎・・・ピッコロが⁉︎」

「まさか・・・あの隕石と関係があるのか・・・・ピグモン、どうする?」

「・・・・皆さんはあの隕石の調査とピリカさんの行方をお願いします‼︎ピッコロの通信もピリカさんのコンピューターも私が対応します‼︎」

「分かりマシタ‼︎皆さん、行きまショウ‼︎」

 

クララの声でヒロキ達は外へ飛び出していった。トモミとカナが指令室に入るとモニターにピッコロの姿が映し出される。トモミとピッコロは通信を始めた。

 

『おお‼︎トモミじゃないか‼︎やっと出てくれたか‼︎』

「お久しぶりです、ピッコロ王子!それで・・・一体どうしたんですか?緊急通信を掛けてくるなんて。」

『おおっとそうだった‼︎なぁ、そっちに何か宇宙から何かが落ちてきてないか⁉︎』

「何かですか・・・先程、隕石が海に落ちてそこからオーロラが・・・」

『マジか・・・間に合わなかったか・・・。』

「どういう事ですか?ピッコロ王子、貴方は何か知ってらっしゃるのですか⁉︎」

『地球に最悪の脅威が迫ってる‼︎あらゆる星を滅ぼしてきた怪獣がそっちに向かってたんだ‼︎』

「あらゆる星を・・・・・滅ぼす怪獣⁉︎」

 

 

 

 

 

 

ヒロキ達は海を見ると隕石が落ちた場所を確認する。そこからはオーロラが飛び出していた。それを見たタイガはヒロキ達に話し掛ける。

 

『ヒロキ、皆、アレはウーラーかもしれない・・・‼︎』

「ウーラー?」

「宇宙に伝わる伝説の怪獣だ。惑星に取り憑き丸ごと食っちまうらしい。」

「惑星を⁉︎」

「一体どういう事⁉︎」

 

ヒロキとミカヅキの質問にタイタスが答え彼によるウーラーの解説が始まった。その場にいた皆はタイタスに聞き耳を立てる。

 

『発展した文明の人々が宇宙に捨て続けた捨て続けた廃棄物、その淀みの中から偶然擬似生命が生まれる事がある。それがウーラーだ。』

「ゴミから生まれた怪獣って事?」

『ウーラーは有機物無機物に関わらずエネルギー体なら何でも食べる。食べた物は高圧で圧縮され体内に一種のブラックホールを作り出す。そこで全てが消滅するため満腹になる事はなく故にその食欲は止まらない。』

「ブラックホール・・・・。」

『ウーラーは惑星に取り憑くと地殻を食い、最後はその星のコアエネルギーを食い尽くす。最初にウーラーの犠牲になったのは自分を生み出した星だ。』

『自分達が捨てたゴミに食われるとは・・・皮肉なもんだな。』

「そういえば・・・ヴォルクお兄ちゃんは星を食べる怪獣に滅ぼされたって言ってた‼︎・・・・まさか・・・ヴォルクお兄ちゃんの星も‼︎」

『恐らくウーラーの犠牲になったのだろう・・・。ウーラーは今も宇宙を流離い今も星を食い続けているらしいからな。』

 

ところ変わってGIRLS東京支部の指令室でもトモミがピッコロからウーラーについての説明を聞いていた。トモミはピッコロから聞いた事実に戦慄する。

 

「それで今度はこの星を食べに来たというのですか⁉︎」

『ああ、恐らくな。このままじゃ地球はウーラーに食われちまうぞ‼︎』

「早く何とかしなければ・・・そのウーラーを止める方法は無いんですか⁉︎」

『ああ、1つだけあるが・・・これはかなりの賭けになるぜ。それでも聞くか?』

「勿論です‼︎このまま何も希望が無いよりは少しの可能性を信じます‼︎」

『分かった・・・ウーラーを止める方法はただ一つ・・・・・・・エオマック星の科学者が作った奴の活動を停止させるデバイスを備えたアンドロイドを探せ‼︎』

「エオマック星の・・・・科学者が作ったアンドロイド?」

『エオマック星のある科学者がウーラーの生命活動を停止させるプログラムを備えたデバイスを付けたアンドロイドを何百・・・いや何千体もの数作り、様々な星にばら撒いたらしい。そのアンドロイドは様々な星に辿り着いている筈なんだ。そのアンドロイドをウーラーのコアとリンクさせればその状態で自らの生命活動を止めればそれと同時にウーラーの活動も停止する筈だ‼︎地球にそのアンドロイドが流れ着いているかは保証出来ないけど・・・。』

「待ってください‼︎怪獣の生命活動を停止させるデバイスを備えたアンドロイドって言いましたね‼︎そのアンドロイドの1体ってまさか・・・・。」

 

トモミはカナから託されたデバイスを解析し始める。するとそこには怪獣のコアとリンクするアンドロイドのプログラムが保存されていた。

 

「ピッコロ王子、そのアンドロイドに心当たりがあります‼︎」

『本当か‼︎だったら」

「駄目よ‼︎そんなの駄目‼︎」

 

トモミがピッコロの話に心当たりがある事を伝えるとカナが制止する。カナはモニターに映るピッコロに向かって叫ぶ。

 

「今のあの子は私の家族なの‼︎怪獣と一緒に死ぬなんて駄目‼︎そんな事はさせない‼︎させられないわ‼︎」

「カナさん・・・・。」

『成る程・・・けど・・・ウーラーを止める方法はこれ以外は・・・。』

「だったらその方法以外で怪獣を止める方法を探せばいい‼︎絶対に私は諦めないわ‼︎」

「ピッコロ王子・・・・わたしもカナさんの家族であるピリカさんを犠牲にするなんて出来ません‼︎何か他の方法が無いか模索します‼︎」

『・・・・・分かった、俺もそっちに向かう‼︎アンタの家族となったそのアンドロイドを犠牲にする以外に奴を止める方法が無いか探るためにも地球に向かう‼︎それまで何とか持ち堪えてくれ‼︎』

「分かりました、ピッコロ王子‼︎気を付けて下さい‼︎」

 

ピッコロはカナの言葉と真剣な眼差しに納得すると彼女達との通信を終える。そしてトモミはパソコンに向き合ってピリカの現在地を探り始めた。

 

「カナさん、ピリカさんに携帯は持たせてますか?」

「勿論よ、これ、あの子の携帯のGPS番号よ。」

「よし、少し時間を下さい。・・・・キンキン、ピリカさんのGPS番号を送ったのでそれを元にピリカさんの行方を探って下さい‼︎」

『分かりマシタ‼︎』

 

 

 

 

 

 

その頃、ピリカはウーラーが落下した地点を眺めながら己に流れる音声に葛藤していた。

 

『ピリカ03、使命を遂行せよ。』

「出来ない・・・。」

『記憶を初期化し使命を遂行せよ、ピリカ03。』

「今のあたしは旭川ピリカだよ・・・・ピリカ03なんかじゃない。」

『記憶や感情はリンクの障害となる。バグを消去し使命を遂行せよ。』

「思い出はバグなんかじゃない・・・。」

「ハッハッハッハッハ、この星の最後に相応しい見事なオーロラだね。」

 

ピリカが自身のプログラムとの狭間で悩む中、ウーラーを地球に呼び寄せた本人である霧崎がやってきた。ピリカは目の前の男が全ての黒幕本人だと悟ると警戒心を露わにする。

 

「ウーラーを呼び寄せたのは貴方ね。」

「感謝してもらいたいね。私は君に最高の死に場所を用意したんだから。」

 

霧崎は橋の手摺りに肘を掛けると語り出した。

 

「あの時、君を破壊する事なんて指先一つで出来た。だが、何故そうしなかったのか分かるかい・・・その方が面白いからだ‼︎」

「面白い?」

「このままウーラーを野放しにしておけば地球は滅ぶ。止めようとすれば君が犠牲になる。どっちにせよバッドエンディングだ。」

「貴方、何が目的なの?」

「目的なんて無いさ。」

「えっ?」

「私には目的とか希望とかそんな退屈なものは無い。光も闇も全部ぶっ壊れればいい!キラキラとさぞ綺麗だろうなぁ・・・。」

「そんな事させマセン‼︎」

 

そこにクララが走ってきて霧崎とピリカの間に入る。ピリカは何故親友がここにいるか少し考えるがすぐに結論を出す。一方で霧崎は興味深そうにクララを見ていた。

 

「クララ⁉︎どうしてここに・・・ってクララだったらここぐらいすぐに突き止められるよね。」

「おやぁ、キングジョーのお嬢さんじゃないか・・・・今日はどうしたんだい?」

「決まってマス‼︎ピリカを守りに来たんデス‼︎」

 

クララはピリカの方に一度振り向くと直ぐに霧崎を睨む。彼女の手にはソウルライザーが握られていた。

 

「霧崎、アナタの思い通りにはさせマセン‼︎」

「やれやれ・・・君達怪獣娘はいつも私の前に立ちはだかるね。キングジョーのお嬢さん、私に消されたチビスケの事を忘れたのかい?君もああなってしまうかもしれないよ・・・。」

「先程も言ったはずデス・・・。そんな事はさせないっテ・・・。」

「思えば君のせいで私の計画が潰されたも当然だったな。あの時、タイガ君を闇に落とすために白鳥ヒロキの意識が他の2人に聞こえないようにしたのに・・・・2度と彼が目覚めないようにするつもりだったのに・・・・・君が彼の心に呼び掛けたせいで・・・。その前にも君の妹がレイビーク達に拐われた時、敢えて君に妹の居場所を教えて本物の殺戮マシーンであるキングジョーにしてあげようと思ったのに・・・・まさかあの状況で正気を取り戻すとは・・・。」

「確かにあの時、ワタシはチビスケちゃんの事で精一杯デシタ‼︎けど、ヒロキのお陰で気づけマシタ‼︎今、自分を見てくれる大切な人達に向き合う事が大切だって‼︎だからワタシは・・・ワタシの大切なものを守るために前を向いて行きマス‼︎もう2度と大切なものを失わないためにアナタをここで倒しマス‼︎ソウルライド、『キングジョー』‼︎」

 

クララは怪獣娘の姿に変身すると霧崎もトレギアアイを翳してトレギアの姿に戻る。ピリカは霧崎の正体に驚いていた。

 

「嘘‼︎貴方があの仮面のウルトラマン⁉︎」

「ピリカ、安全な場所に下がって下サイ‼︎」

『やれやれ、仕方ないなぁ・・・。』

 

そしてキングジョーとトレギアは睨み合うとお互い突撃し出す。怪獣娘キングジョーとトレギアの因縁の対決が始まった。




エピソードZ見てきました‼︎
トリガーの完結編として最高の映画でした‼︎この映画のお陰で怪獣娘トリガーの構想が更に浮かび上がりそうです‼︎


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私はピリカ(中編)

遂に新作であるウルトラマンデッカーが発表されましたね‼︎
ギャラファイ新作も今月中に配信されるらしいですし非常に楽しみです‼︎

シビルジャッジメンター『ギャラクトロンMK2』登場
宇宙爆蝕怪獣『ウーラー』登場


「ハァッ!」

『ぐっ⁉︎』

 

トレギアの胸にキングジョーの拳が命中する。トレギアとしては胸で受け止めるつもりだったらしいが自身の予想より遥かに威力の大きいパンチに呻き声を上げてしまう。トレギアが怯んだ隙にキングジョーは更に追撃を掛ける。

 

「ハァッ‼︎」

 

背中のブースターから火を吹き上げ飛び上がった彼女は重量級のドロップキックを放った。トレギアはそれを見ると横に逸れて彼女の足から逃れる。トレギアはキングジョーに手刀を放つ。キングジョーが右手でそれを抑えるとトレギアは彼女の腹に膝蹴りを打ち込んだ。キングジョーは膝蹴りの、トレギアは彼女の獣殻の固さに衝撃を受けてお互い離れる。

 

『ぐうっ⁉︎・・・まさかここまで硬いとは・・・人間の姿をしてても流石はキングジョーと言ったところか。』

「乙女のガードは硬いんデス‼︎」

 

キングジョーは額から光線を放つ。トレギアはバク転しながらそれを避けると空中に飛び上がり彼女に連続で蹴りを放つ。キングジョーは両腕を組んでそれを受け止める。

 

「ぐうっ・・・・‼︎」

 

キングジョーはトレギアの空中からの連続蹴りに顔を歪ませながら耐えている。トレギアは止めと言わんばかりの力を込めた蹴りを放つ。すると彼女はそれを見切りトレギアの右足を掴んだ。

 

『なっ⁉︎』

「ハァァァァァ‼︎」

 

彼女はトレギアを掴んだまま回転し始める。そして回転しながらトレギアを掴んだ手を離して投げ飛ばした。トレギアは摩擦による熱を足で感じながら地に止まると彼女を睨む。その隙にキングジョーは意識を集中させキングジョーブラックを思わせる黒い獣殻が特徴のブラックスタイルに変身し、右腕に装着されたペダニウムランチャーを放つ。トレギアは体を捻りながら回転して砲撃をかわす。

 

「逃しマセン‼︎」

 

キングジョーはランチャーによる追撃でトレギアを銃撃する。度重なる銃撃にかわしきれなくなったトレギアは手刀や蹴りで対応する。トレギアが銃撃を跳ね返している間にキングジョーは背中のブースターでトレギアに接近してランチャーをトレギアに押し当てる。

 

『なっ⁉︎』

 

トレギアが驚いた声を上げる中キングジョーは0距離でランチャーを撃つ。その一撃で煙と大きな爆音を上げながらトレギアの体は宙に吹っ飛んだ。

 

『うぐああっ⁉︎』

 

トレギアは地面に転がりながらキングジョーを確認する。再び立ち上がったトレギアは腕から光線を放つ。それと同時にキングジョーもランチャーから光線を放ち2つの光線がぶつかり合った。それはトレギアとキングジョーの間で大爆発を起こす。両者とも腕で頭を覆うようにして熱と爆風から身を守る。

 

『ぐっ⁉︎』

「くっ⁉︎」

 

両者ともその場から踏み止まるとお互い睨み合う。そしてトレギアが先に走り出した。キングジョーも同時にブースターで飛び上がりながらトレギアに接近する。キングジョーはランチャーを鈍器のように振り回してトレギアにぶつけようとする。しかし、トレギアはそれを避けて彼女の横腹に右足による蹴りを放った。キングジョーはそれを受けて怯むもトレギアから距離を取って意識を集中させ、キングジョースカーレットを思わせる赤い獣殻が特徴のスカーレットスタイルに変身する。そして右腕に装着されたペダニウムランサーを突き立てる。トレギアは自身の想像よりも速いキングジョーの動きに驚くも何とか彼女の動きを読んで槍を抑えつけ自身の身を守る。

 

『⁉︎・・・まさかここまで速く動けるとは・・・。あのキングジョーが私の予想を超えるとはねぇ・・・。』

「ワタシ達怪獣娘は決して元の怪獣と同じという訳ではありマセン!人間と怪獣、両方の自分を受け入れてその運命を超える力を持っているんデス‼︎」

 

キングジョーははっきり言い切ると額から破壊光線を放った。至近距離にいたトレギアはそれを避けれずまともに受けて吹っ飛んでいく。キングジョーはランサーを構えるとトレギアに斬りかかる。トレギアは手刀や蹴りで彼女の槍による斬撃に迎え撃った。

 

「そして・・・人間と怪獣・・・両方の自分を受け入れて得た力は・・・アナタの思う以上に強い力なんデス‼︎」

『へぇ・・・それはそれは・・・・。ならばその力で何処まで強くなれるのか興味あるなぁ・・・是非とも知りたいものだ。』

「トレギア・・・アナタはとても頭がいい・・・・その事は認めマス。デモ!・・・・その力は決して・・・・アナタには分からない力デス‼︎」

『ぐうっ⁉︎」

 

キングジョーの槍がトレギアを斬りつけた。トレギアは思わず彼女から距離を取るもキングジョーは右腕のペダニウムランサーにエネルギーを溜めていた。トレギアは自身も両腕にエネルギーを溜め始めるがその前に彼女がペダニウムランサーから電撃が放たれトレギアに直撃する。トレギアは苦痛の声を上げながら吹っ飛んだ。

 

『ぐっ・・・がっ・・・⁉︎』

 

キングジョーは警戒しながら右腕の槍を構えてトレギアを睨む。トレギアは起き上がると彼女を見て言い放つ。

 

『キングジョーのお嬢さん・・・・君の実力は認めよう。しかし!・・・・・もはやこの星の破滅へのカウントダウンは止められない‼︎そして全てが無くなれば君の言う力など何の意味も無くなる‼︎全ての答えは虚無だ‼︎宇宙に存在するあらゆる物に意味はない・・・。』

「それは違う!」

 

トレギアの言葉に言い返してきたのはトレギアとキングジョーの戦いを見守っていたピリカだ。トレギアとキングジョーが一瞬押し黙るとピリカはキングジョーを見る。

 

「ありがとう、クララ、あたしのために戦ってくれて・・・でも大丈夫だから。」

「ピリカ・・・。」

「・・・ここは任せて・・・クララ・・・・。」

 

ピリカはキングジョーの肩に手を取って前に立つとトレギアの前に立った。そしてピリカはトレギアにきっぱり言い切る。

 

「トレギア・・・・それは貴方の周りに何も無いだけだよ。あたしにはクララやヒロ君のような友達がいる。カナちゃんのような家族がいる。」

『・・・・だから?』

「確かにクララの言う通り貴方はとっても頭がいい・・・・・だけど貴方の思う通りにはならないよ。」

「・・・・ピリカ‼︎」

 

そう言い切るとピリカはその場から去ろうとする。キングジョーはそんな彼女を呼び止める中、トレギアは両手を震わせて怒りを隠しきれずにいた。そして自身を真っ直ぐ見るピリカに怒りを露わにした声を上げる。

 

『お前に何が出来る‼︎・・・・ただの機械人形だろう。』

「あたしはピリカ・・・・旭川ピリカよ!」

 

ピリカの姿を見ながらトレギアはギャラクトロンリングを取り出した。そしてそのリングを光らせる。キングジョーとピリカはその光に思わずトレギアの方を振り向く。

 

「トレギア‼︎アナタ、今何をしたのデス⁉︎」

「見て、クララ‼︎」

 

ピリカが街の方に指を向ける。すると上空に魔法陣が形成されてそこから白い竜人型の姿をしたロボット怪獣シビルジャッジメンター『ギャラクトロンMK2』が手の魔法陣から破壊光線を放ちながら降りてきた。

 

「トレギア‼︎一体どういうつもりデス⁉︎」

『すぐに分かるさ・・・それより街の方に行かなくていいのかい?GIRLSの一員としてアレを放っておいていいのかなぁ・・・。』

 

キングジョーはトレギアの言葉に苦い顔をしながら街の方に顔を向ける。するとピリカが話しかけてきた。

 

「クララ、あたしは大丈夫‼︎だから・・・街の方に向かって‼︎」

「で・・・でも・・・。」

「大丈夫‼︎それより街の皆をお願い‼︎皆を守るのがGIRLSの仕事でしょ‼︎」

「・・・・・分かりマシタ。ピリカ、無事でいて下サイネ!」

 

クララはその言葉で街の方に飛んで行った。そしてそれを見ていたピリカはクララとは別の方向へ走っていく。

 

『何処へ行こうというんだい・・・お前ごときが』

「やらなきゃならない事をしに行く・・・・ただそれだけよ。」

『・・・・フン。』

 

 

 

 

 

当然、ギャラクトロンMK2が現れて街を破壊するその光景はヒロキ達の目にも映っていた。ピリカを探していたヒロキ達は思わず立ち止まる。

 

「アレって・・・確か‼︎」

「ギャラクトロン‼︎・・・・こんな時に‼︎」

「ヒロキさん!タイガ‼︎」

「分かってる‼︎皆は街の人達の避難を‼︎」

 

ヒロキは右腕にタイガスパークを出現させ、レバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガが飛び上がりながらギャラクトロンMK2にスワローバレットを放つ。スワローバレットの直撃を受けたギャラクトロンMK2は攻撃された方を向くとタイガが降り立つのを確認する。タイガは目の前のロボット怪獣にファイティングポーズを構えて突撃する。

 

『ハァァァァァ‼︎』

 

タイガが最初に飛び蹴りを仕掛けてギャラクトロンMK2は後退するもすぐに立て直して左手に持った斧『ギャラクトロンベイル』でタイガを斬りつけようとする。タイガはそれをバク転でかわしてギャラクトロンベイルに回し蹴りを放つ。再びギャラクトロンベイルを向けるもタイガの左手に抑えられ右の拳がギャラクトロンベイルを殴り飛ばす。ギャラクトロンMK2は本体にダメージは来なかったものの大幅に動きの軌道を逸らされ、そしてその隙にタイガの前蹴りが命中して後ろに後退する。

再びギャラクトロンMK2がギャラクトロンベイルでタイガを斬りつけようとするがタイガはそれを避けて右脇腹に蹴りを入れる。そしてお互い距離を取るとギャラクトロンMK2は右腕に魔法陣を形成しビームを放つ。タイガはそれをバク転でかわした。そしてギャラクトロンの姿を確認したタイガは必殺光線の構えに入る。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

タイガの必殺光線はギャラクトロンMK2に向かっていくがギャラクトロンMK2はギャラクトロンベイルでそれを受け止める。タイガの放った必殺光線はギャラクトロンベイルで四方八方に割れていった。

 

『うおおおおおおお‼︎』

 

ギャラクトロンMK2がギャラクトロンベイルでストリウムブラスターを受け止めながら前進する中、タイガは踏ん張る。しかし、ギャラクトロンMK2はストリウムブラスターを突っ切ってタイガをギャラクトロンベイルで斬りつけた。タイガは回転しながら地面に吹っ飛んでいく。

 

『うわああああああ‼︎』

 

そしてギャラクトロンMK2は右腕に魔法陣を形成してビームを放ち、タイガを追撃する。そしてその頃、海に隕石が落ちた地点から発生していたオーロラが更に強くなる。

 

『ヒロキ、プラズマゼロレットだ‼︎』

(ああ‼︎)

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左腕に意識を集中させる。するもニセベリアルとの戦いで力を貸してくれたゼロから託されたプラズマゼロレットが出現した。ヒロキはプラズマゼロレットを広げるとその力をタイガスパークに読み込ませる。

 

〈プラズマゼロレット、コネクトオン‼︎〉

 

ヒロキがプラズマゼロレットをタイガスパークに読み込ませたと同時にタイガにゼロのビジョンが重なりタイガの額のビームランプからゼロの力を宿した強化光線が放たれた。

 

『タイガエメリウムブラスター‼︎』

 

タイガエメリウムブラスターをまともに受けギャラクトロンMK2は機体に大きなダメージを負う。しかし、まだ完全に倒し切れずにその場に留まっていた。その時、ギャラクトロンMK2が立っている場所から妙な光が放たれる。そしてその光が現れると共にギャラクトロンMK2が地面に引き摺り込まれた。

 

「えっ⁉︎い・・・今、何が起こったの?」

「ギャラクトロンが・・・・地面に引き摺り込まれた⁉︎」

「ちょっと・・・嫌な予感が・・・します・・・・・。」

 

その様子を見ていた怪獣娘達は驚きを隠さずにいる。その時、まだ胸から上までは地面から出ていたギャラクトロンが完全に地面の中に引き摺り込まれる。上空に魔法陣が形成されるがその魔法陣が消えると共に地面の中で大爆発が起こった。

 

「ねぇ、あのロボット・・・一体どうなっちゃったの⁉︎」

「分からねえ・・・けど、なんかヤバい感じがするぜ。」

「ちょっ、ちょっとアレ‼︎地面から何か出てくる‼︎」

 

ザンドリアスが指を刺した方向に皆が目を向けるとギャラクトロンMK2の右手とギャラクトロンベイルが咥える鋭い牙を備えた大きな口の何かがいた。そしてその何かは地面から完全にその姿を現す。それは体型は昔の肉食恐竜のようなオーソドックスな姿でありながら様々な肉片が継ぎ接ぎになったようなグロテスクな色合いの怪獣だった。その怪獣こそ宇宙爆蝕怪獣『ウーラー』である。

 

「グアアアアアアア‼︎」

 

その姿を確認したトレギアは霧崎の姿に戻り笑みを浮かべながら呟いた。

 

「おはよう、腹ペコ怪獣君・・・・そいつは軽い朝食だ。」




上手くいけば明日更新出来るかもしれません。・・・・・上手くいけばの話ですが・・・・。


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私はピリカ(後編)

怪獣娘タイガについてですが・・・・次回の『バディステディゴー‼︎』と完結編であるニュージェネクライマックスの間にオリジナル回を設けようと思います。

そして新作ウルトラマンであるデッカーとのクロスオーバーについてですが・・・・これも書きたいと思っています‼︎
そして怪獣娘×デッカーのメインヒロインももうとっくに決まっています。メインヒロインが誰なのかは後書きで発表します。


(ぎ、ギャラクトロンを食べた・・・⁉︎)

 

ヒロキは目の前の強力なロボット怪獣を貪り食う怪獣に驚きを隠せずにいた。タイガはウーラーを目の当たりにして呼び掛ける。

 

『皆、トライストリウムで行くぞ‼︎』

『『おう‼︎』』

 

ヒロキはタイタスとフーマの返事を聞くとタイガスパークからタイガトライブレードを呼び出した。

 

「タイガトライブレード‼︎」

 

そしてそれを掴むと柄頭に備えられたスイッチを押して護拳に備えられた回転盤を回す。

 

「燃え上がれ‼︎仲間と共に‼︎」

「『『『バディィィィィゴォォォォォォォ‼︎』』』」

 

トライストリウムになったタイガはタイガトライブレードを構えてウーラーに向け戦闘態勢を取る。

 

「ピギイィィィィィ‼︎」

 

目の前の赤いウルトラマンを新たな食事だと思ったのかウーラーはタイガを見るなり突進していく。タイガはフーマの力でその場から消えるとウーラーが通り過ぎたと同時に姿を見せる。しかし、再び姿を現したタイガにウーラーは大口を開けて迫っていた。

 

「ギイイイイィィィィィィ‼︎」

『なぁっ⁉︎』

 

タイガは大口を開けてこっちに噛みつこうとしてきたウーラーの大顎をタイガトライブレードで制止する。そしてタイタスの力でタイガトライブレードを逆手に持ちウーラーを振り払った。

 

『一気に片付けるぞ‼︎』

 

タイガの言葉でヒロキはタイガトライブレードのスイッチを4回押して回転盤を回す。

 

(トライスクワッド‼︎)

 

タイガ達がタイガトライブレードを構えるビジョンと共に虹色のオーラに包まれたタイガトライブレードのトリガーを引く。すると青、黄、赤と光るタイガトライブレードを3回振る。

 

『『『(トライストリウムバーストォォォ‼︎)』』』

 

タイガトライブレードから放たれた最強の必殺光線がウーラーに向けて放たれる。そのままウーラーに命中するかと誰もが思っていた時、ウーラーは口を開けて光線を飲み込み始めた。これには戦っているタイガ達だけでなく地上で戦いを見守っていた怪獣娘達も驚愕の表情を浮かべるしかなかった。

 

(う、嘘だろ⁉︎)

『光線を食ってる‼︎』

「ちょっと!トライストリウム最強の光線を食べてるよ、あの怪獣‼︎」

「嘘だろ・・・信じられねぇ・・・。」

「過去にもベムスターなどのような光線を吸収する怪獣はいましたが・・・・あれらと同じって言葉でしょうか?」

「いや、タイタスの話によればあの怪獣の体内には小型のブラックホールが備えられてるらしいから・・・・・その吸収量はベムスターなんて比べ物にならないよ‼︎」

「ちょっと待ってガッツ・・・・もしそうだとしたら・・・どうやってあの怪獣を止めたらいいの・・・・。」

『ヤバぇ、このままだと‼︎』

『ああ、このままだとエネルギーを吸い尽くされるぞ‼︎』

『ぐっ・・・ぐうううううう‼︎くっ‼︎』

 

タイガはフーマとタイタスの言葉を聞くと何とか光線を強制的に停止させる。しかし、光線を放ち続けた事でエネルギーが消耗されタイガのカラータイマーが点滅を始める。そしてウーラーはタイガが動きを止めてる間に猛突進して迫ってきた。

 

「ギイイイイイィィィ‼︎」

 

ウーラーは大口を開けてタイガの右腕に噛みついた。ウーラーはタイガの口に噛みついたままタイガトライブレードを弾くと再びタイガの右腕に噛みつきタイガの中に流れる光エネルギーを吸い取り始める。タイガは何とか振り解こうとウーラーの頭を叩くもその顎は離れる様子が無い。

 

『ぐっ・・・・ぐああっ・・・・ぐっ・・・・・がっ・・・‼︎』

「「ヒロキさん‼︎」」

「タイガ・・・・タイタス・・・・・フーマ・・・・・皆‼︎」

 

マガバッサー、マガジャッパ、アギラが叫ぶ中、カラータイマーが高速で点滅しながらタイガの体は光の粒子となって消滅する。ウーラーは目の前にいたウルトラマンが消えた事にきょとんとしたような仕草を浮かべる。

 

「ギイイイイィィィィィィ‼︎」

 

 

 

 

 

変身が解けたヒロキは右腕を抑えながら金網にもたれかかる。そこにアギラ達怪獣娘が走ってきた。

 

「ヒロキさーん‼︎」

「皆‼︎」

「ヒロキさん、大丈夫ですか⁉︎」

「ああ・・・何とかな。・・・・あれがウーラー・・・・とんでもない怪獣だ・・・。」

「まさか、トライストリウムの最強光線を食べてしまうなんて・・・とんでもない悪食な怪獣だね・・・。」

「それより・・・・ピリカさんの行方は?」

「それが・・・まだ・・・・・。」

 

アギラが俯いたままヒロキの声に答える中、キングジョーが飛んで来た。キングジョーはヒロキ達の前に着地すると自身のソウルライザーの画面を見せながら話し始める。

 

「おジョー‼︎」

「クララちゃん‼︎」

「皆さん、ピリカが何処に行ったか突き止めマシタ‼︎ピリカはここにイマス‼︎」

 

ヒロキ達はキングジョーのソウルライザーの画面を眺めるとそこにピリカがいると確信する。

 

「ピグモンもカナさんと一緒に向かってイマス‼︎ワタシ達も向かいまショウ‼︎」

「分かった‼︎」

 

ヒロキ達はキングジョーの案内の元、ピリカの元に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろずらかるか・・・。」

「残念ですねぇ・・・商売しやすい星だったのに・・・。」

 

その頃、とある倉庫にヴィラン・ギルドに属する2人の宇宙人がいた。宇宙商人『マーキンド星人』と銀色の仮面を付けたサーベル暴君『マグマ星人』だ。彼らは名残惜しそうな声を上げている。そこに思わぬ訪問者がやってきた。それはピリカだった。

 

「何だ、お前⁉︎どうしてここに」

「ごめんね、時間がないの。貴方達も力を貸して。ヴィラン・ギルドにとってもこの星は大事な縄張りでしょ?」

「な、何でお前、俺達の事を⁉︎」

「知り合いに外事X課がいるのと・・・・あたし自身がコンピュータに詳しいからここの場所を突き止めるのは簡単だったわ。ここにあるのね。怪獣を操る脳波コントロール装置が。」

「すいません・・・それは売り物では・・・。」

 

マーキンド星人がピリカを止めようと目の前の操縦型の機械について説明しようとするとピリカは脳波コントロール装置のスイッチを押す。するとバリアが貼られそれにうっかり触れたマーキンド星人が痺れを感じながら手を抑える。

 

「うわぁ⁉︎あっちちち・・・。」

「おい、そいつで何をしようってんだ?」

「今のあたしじゃ記憶や感情が障害になって上手くウーラーとリンク出来ないの。でも・・・これを使えば脳波を増幅すれば」

「待って‼︎」

「待ってください‼︎」

 

そこにやってきたのはカナとピグモンだった。マグマ星人とマーキンド星人はそのままピリカを止めようとする2人がバリアで怪我をしないようにするため抑える。

 

「カナちゃんに・・・・確かピグモンさん‼︎」

「ピリカ‼︎戻りなさい‼︎」

「駄目です‼︎ピリカさん‼︎

「今度は外事X課とGIRLSの怪獣娘か‼︎」

「ああ、待って‼︎2人とも危険です‼︎危ないですよ‼︎近づいてはいけません‼︎」

「怪我しても知らねえぞ‼︎」

 

2人がカナとピグモンを抑えている間にヒロキと怪獣娘達がやってきた。ヒロキとキングジョーはピリカに駆け寄ろうとするがバリアに阻まれる。

 

「クララに・・・・ヒロ君・・・。それに・・・・GIRLSの皆も。」

「ピリカさん‼︎・・・ッアア‼︎」

「バリア⁉︎」

 

脳波コントロール装置を起動しようとするピリカ。それを見てカナは必死に制止の声を上げる。

 

「止めて‼︎ピリカ‼︎もう貴方はピリカ03じゃない‼︎旭川ピリカなの‼︎」

「カナちゃん・・・・ありがとう。アンドロイドのあたしに・・・・人間の名前をくれて・・・・お陰で・・・・人間の生活を体験する事が出来た・・・・学校にだって行く事が出来た・・・・。」

「人間もアンドロイドも関係ない・・・・貴方は私の家族よ・・・・家族にそんな思いさせられないわ‼︎」

「これがあたしの・・・・使命なの・・・。」

「・・・・だからってこのまま黙っていられる訳ないだろ‼︎」

 

ピリカの言葉に返したのはヒロキだ。ピリカはヒロキに顔を向けると語りかける。

 

「ヒロ君・・・これは運命なんだよ。なのに・・・・どうして・・・・そんなに必死になるの?」

「そんなの決まってる・・・・ピリカさんが僕の・・・・友達だからだ‼︎」

「ヒロ君・・・・。」

「ピリカさん・・・クララちゃんの幼馴染である事が学校の皆に知られて・・・・学校中の男子を敵に回ってしまった中、ピリカさんだけは僕の友達になってくれた‼︎転校初日で学校中の男子に追いかけ回された時僕の事を庇ってくれた‼︎普通に教室で僕に話しかけてくれた‼︎僕が学校で普通にいられるのだってピリカさんのお陰なんだ‼︎そんなピリカさんを助けたい・・・・そう思うのは当然だろ‼︎」

「ヒロキの言う通りデス‼︎中学の頃、芸能人という事でクラスの皆から避けられていたワタシに2人1組にならなきゃいけない時にアナタはワタシに話しかけてくれマシタ‼︎お陰でワタシの学校生活は楽しいものになりマシタ‼︎だから・・・・アナタを助けたいんデス‼︎」

「一緒に帰ろう・・・私達の家に!」

 

ヒロキとキングジョーの心の底からの叫びを上げながらピリカを説得する。カナの呟きにピグモン、ウインダムが続く。

 

「ピリカさん‼︎貴方だけが犠牲になる必要はありません‼︎私達GIRLSが総力を持ってこの事態を解決する方法を模索しています‼︎だから戻ってきてください‼︎」

「ピリカさん‼︎誰かが犠牲になった先に掴む未来なんて絶対に間違ってます‼︎お願いだから戻ってきて下さい‼︎そして・・・・もう1度一緒におまピトのイベントに行きましょうよ・・・‼︎」

「ピグモンさん・・・レイカちゃん・・・・・。」

 

ピリカはピグモンとウインダムを見た後、カナ、キングジョー、ヒロキの3名に目を向ける。

 

「あたしは・・・・カナちゃんの家族でクララとヒロ君のレイカちゃん達の友達の旭川ピリカとして使命を果たします‼︎」

 

外で地面に潜ったウーラーが地中を掘り進む中、遂にピリカは脳波コントロール装置を起動し始めた。ピリカはカナ、キングジョー、ヒロキに目を向ける。

 

「カナちゃん・・・・朝日のあたる家で熱血火の玉刑事のバンさんとお幸せにね。」

「ピリカ・・・・‼︎」

「クララ・・・・絶対、モデルに復帰して皆を笑顔にしてあげて・・・・ヒロ君・・・・クララの事をお願いね。」

「ピリカ‼︎」

「ピリカさん‼︎」

「本当はね・・・あたしだって怖いんだよ・・・カナちゃん達との思い出が消えるのも・・・・あたし自身が消えてしまうかもしれない事も・・・・でもね、カナちゃん達が覚えてくれればあたしの存在はカナちゃん達の思い出に残る・・・・だから・・・あたしの存在に意味はあった・・・・宇宙のあらゆるものに意味はあるの‼︎」

「ピリカ‼︎」

 

マーキンド星人が装置とのリンク率を確かめるモニターを確認する。

 

「リンクが始まりました‼︎・・・リンク率15%・・・・20%・・・。」

「その機械を止めて下サイ‼︎」

「無理です‼︎もう止められません‼︎」

「分からねえのか‼︎キングジョーの怪獣娘‼︎ウーラーを倒す事があいつの存在理由なんだよ‼︎」

「だからってはいそうですと納得出来る訳無いじゃないデスカ‼︎皆‼︎」

 

キングジョーの声で怪獣娘達がバリアを押し破りピリカを止めようとする。しかし、バリアの力は怪獣娘にも効くものだったらしく彼女達は苦痛の声を上げる。

 

「うわああああああ‼︎」

「ミクちゃん‼︎・・・・ううううやあああああ・・・・うあっ⁉︎」

「ぐうううううううあっ‼︎」

「だああああああっ‼︎」

 

その頃、ウーラーは再び地上に姿を現すと目の前のガスタンクに目をつける。そしてそのままガスタンクに向かっていった。

それと同時にヒロキ達がいた場所が大きく揺れ始める。マグマ星人の言葉は今の状況を物語るものだった。

 

「そろそろここもヤベエぞ‼︎」

「リンク率まもなく90%、彼女の初期化と同時に100%になります‼︎」

 

ヒロキはマーキンド星人の言葉を聞くと再びバリアを突き破ってピリカの元に向かおうとする。しかし、バリアは何処までもその行手を阻んだ。

 

「カナちゃん・・・・クララ・・・・ヒロ君・・・・あたしを忘れないで・・・・。」

 

ヒロキは後ろに下がって距離を取る。すると皆に怒鳴りかけた。

 

「そこをどけ‼︎」

「え⁉︎」

「うおおおおおおおお‼︎」

 

ヒロキは助走を付けて突進しバリアを無理矢理突破する。怪獣娘ですら痺れるバリアを突き破ったのだ。ヒロキは体の痺れを堪えてピリカに手を伸ばす。

 

「ヒロ君‼︎」

 

ピリカは思わずヒロキの差し伸べた手を掴もうとする。しかし、彼女の体はヒロキの手にあと少しで届く距離で粒子になって消えてしまう。

 

「お、おい消えたぞ‼︎一体どうなってんだ、ピグモン‼︎」

「わ、わたしには分かりません‼︎誰か説明が出来る人はいないんですか⁉︎」

「どうやら成功したようです!彼女の体は粒子化されデジタル情報体となって怪獣の中枢部にリンクしようとしています‼︎」

 

レッドキングとピグモンが戸惑いの声を上げる中、マーキンド星人が何が起きたのか説明する。

 

「じゃあ・・・ピリカは・・・・。」

「あの怪獣の中に・・・・。」

 

カナとノイズラーの声と共にヒロキはその場を飛び出していく。ヒロキは外に出て目の前でガスタンクに口をつけ中身を貪るウーラー目掛けて走っていった。

 

「ほう、機械人形め・・・ウーラーに入り込んだか・・・まぁ、せいぜい派手に花火を上げてくれ。」

 

霧崎がピリカがウーラーの中枢部にリンクした事を察する中、ヒロキは走っていた。後ろからキングジョー達もやってくる。

 

「ヒロキ、どうするつもりデスカ⁉︎」

「決まってる‼︎ピリカさんを絶対に助けるんだ‼︎」

『アイツは強えぞ‼︎覚悟を決めろよ‼︎』

「ああ‼︎」

「ヒロキさん、あの怪獣に光線技は効かないよ‼︎」

『勝ち目が無いのは承知の上だ‼︎』

「ああ‼︎」

「それでもヒロは戦うの⁉︎」

「ああ‼︎」

『それでも俺達は絶対に逃げない‼︎だって俺達は‼︎』

「『『『ウルトラマンだから!!!!!!』』』」

 

怪獣娘達とトライスクワッドの問いに答えるとヒロキはタイガスパークのレバーを引いた。

 

〈カモン!〉




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『全てを食い尽くすウーラー。ピリカの願いを胸に地球人、怪獣娘、宇宙人の垣根を越えた未来へ進む為の作戦が開始された‼︎これで最後だ、トレギア‼︎俺達は何が何でも勝利を掴む‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


バディステディゴー‼︎


俺はウルトラマンタイガだ‼︎』



怪獣娘×デッカーのメインヒロインを早速発表したいと思います。怪獣娘×デッカーのメインヒロインは
























牛丸ミクことミクちゃんがメインヒロインとなります。
ただ、原作デッカーのように怪獣娘トリガーの続編にはせず新たなパラレルワールドとして書こうと思います。


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バディステディゴー‼︎(前編)

シン・ウルトラファイト・・・どんな作品になるか凄く気になります‼︎


1人の宇宙人・・・ヒュプナスが街の人々に突き飛ばされる。街の人々宇宙人に対する反対声明が書かれたTシャツを着て、更には鉄パイプなど様々な武器を構えていた。

 

「お前らのせいで地球に怪獣が来ちまったじゃねえかよ‼︎」

「とっとと俺達の地球から出て行け‼︎」

「止めるのです‼︎」

 

宇宙人に暴行を加える街の人達を止めに入る者達がいた。それは白い翼を持つ褐色肌の怪獣娘だ。彼女は冷凍怪獣『ペギラ』の怪獣娘だ。彼女達の後ろには2人の怪獣娘がいる。背中には黒い翼、胸には厚みのあるプロテクターに十字が描かれた眼鏡を掛けた怪獣娘は破滅魔人『ブリッツブロッツ』の怪獣娘だ。熱帯地方の鳥のような鮮やかな色合いの赤い巻き髪の怪獣娘はタイガの父であるタロウとの因縁が強い火山怪鳥『バードン』の怪獣娘である。彼女達は1人の宇宙人に対して多くの人達がリンチをしている現場を見て助けに入ったのだ。

 

「1人を相手によってたかって恥ずかしくないの?」

「・・・・・恥ずかしい。」

「な、何だよ⁉︎怪獣娘⁉︎お前らもそいつらを守るのか⁉︎」

「お前ら怪獣娘だって地球人だろ‼︎それなのに宇宙人の味方をするのか⁉︎」

「地球人とか宇宙人とか関係ないのです‼︎私達は弱い者の味方をするのです‼︎」

 

ペギラがそう言い放ちヒュプナスを守る。すると怪獣娘反対の声明を上げる人達がやってきた。

 

「皆、騙されるな‼︎そもそもこの星に再び怪獣が現れるようになったのはそいつら怪獣娘のせいだ‼︎そいつらが再びこの星に怪獣や宇宙人を引き寄せたんだ‼︎」

「そ、そうか・・・言われてみれば・・・・・・。」

「そんな事してないわよ‼︎大体私達に怪獣を呼ぶ力なんて無いわ‼︎」

「嘘をつけ‼︎じゃあ何故地球に怪獣が再び現れた⁉︎お前ら怪獣娘が怪獣を呼び寄せたんじゃないのか‼︎」

「何言ってやがる‼︎地球に再び怪獣が現れたのが怪獣娘のせいならもっと前に怪獣が現れてる筈だ‼︎この星に今も潜んでいた宇宙人達の仕業だろ‼︎」

「そうよそうよ‼︎本当にこの星から消えるべきなのは宇宙人の方よ‼︎」

「いいや、この星から排除するべきなのはこいつら怪獣娘の方だ‼︎TVでも言ってたじゃないか‼︎怪獣の魂を宿したこいつらが再びこの星に怪獣を引き寄せたって‼︎」

「いいや、宇宙人の方をこの星から追い出すべきだ‼︎」

「怪獣娘だ‼︎」

「宇宙人だ‼︎」

「何言ってんだ‼︎怪獣娘は俺達を守ってくれてるんだ‼︎本当に排除するべきなのは宇宙人の方だろうが‼︎」

「いいや‼︎両方を排除するべきだ‼︎怪獣娘と宇宙人、両方がこの星に怪獣を引き寄せたんだ‼︎」

「ちょっと‼︎これ以上の醜い争いは止めなさいよ‼︎」

「前に荒野の狼によるテロ騒動の時以上に酷いことになっているのです・・・。あの人だって自身を改めてくれたのに・・・。」

 

怪獣娘に対する反対声明を働きかけた人達に反抗する宇宙人へのデモ隊の人が出た事により対宇宙人、対怪獣娘の人々による争いが始まってしまう。更には両方を排除すべきとの声も割って入り争いが更に激しくなっていく。ペギラ、ブリッツブロッツ、バードンといったこの場にいる3名の怪獣娘は頭を抱えながらこれ以上の争いを止めようと仲裁に入ろうとする。しかし、ウーラーとウルトラマンタイガの戦いが始まり地面に大きな揺れが生じる。

 

「・・・・ここは危険。ウルトラマンと・・・・怪獣の戦いが始まった・・・・・。」

 

バードンの視線の先ではタイガがチョップでウーラーを地面に叩き付ける。その衝撃で地面が揺れるとその場で言い争っていた人達はその場から走り去っていく。タイガは目の前の怪獣に向き合っていた。

 

「ピギイイイイイイイイイイイ‼︎」

(僕が・・・・・必ずピリカさんを救ってみせる‼︎)

「さぁ・・・・どうする?」

 

霧崎が愉快そうに呟く中、タイガはウーラーの後ろに回り込み首を抑える。しかし、すぐに振り払われてしまった。タイガはこっちに向かってきたウーラーに右手を拳にして叩き込む。そしてウーラーの大きな顎にキックを叩き込んだ。

 

「ピギイイイイイイイイイイイイ‼︎」

『ウアッ⁉︎』

 

しかし、ウーラーは頭を振り回してタイガを打撃する。タイガは思わず後ずさるとウーラーの頭突きを受けて後ろに吹っ飛んでしまう。地面に倒れたタイガが起き上がると共にウーラーが突進してきた。

 

「ピギイイイイイイイイイイイイイイイ‼︎」

『うおっ⁉︎』

 

そしてウーラーはタイガの右腕に噛み付いた。ウーラーは噛み付くと同時にタイガの光エネルギーを吸収し始める。

 

『うあああああああっ⁉︎こんのぉ・・・・‼︎』

 

タイガはエネルギーを吸い取られカラータイマーが鳴り始める。その様子を見ていた霧崎は一笑するとその場を離れていった。

 

「フッ・・・。」

 

ウーラーはタイガの光エネルギーを吸い尽くそうとエネルギーを吸収していく。タイガは体を虹色に光らせた。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

タイガは超至近距離で必殺光線を放つ。タイガが放った光線はタイガとウーラーの距離を確かに引き離した。しかし、ウーラーはその光線すら大口に収ま吸収し始める。光線を吸収し終えるとゲップを放つような仕草を取る。タイガは右腕を抑えて立ち上がりウーラーに戦闘態勢を取るがタイガの体は光の粒子となって消えていく。そしてその粒子はヒロキとなって地面に倒れる。

 

「ピギイイイイイイイイイイイイ‼︎」

「ピリカさん‼︎」

 

ウーラーはタイガとの戦闘を終えると地中に潜っていく。ヒロキはそれを見て悔しそうに叫んだ。

 

「うううううあああああああああああ‼︎」

「ヒロキ‼︎」

 

そこにキングジョーがやってくる。ヒロキは彼女に支えられながら立ち上がった。ヒロキはウーラーがいた地点を見つめていると後ろに気配を感じて振り向いた。

 

「⁉︎・・・アンタ達は‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GIRLS東京支部内ではピグモンがカナ、佐倉と共に街に大きな土煙を上げながら地中を掘り進むウーラーの様子がモニターを通して見ていた。外事X課もカナの身内にこの騒動に大きく関わる物がいた事で動き出したらしい。佐倉はモニターを眺めて険しい声を上げる。

 

『怪獣は世田谷区地中を北東に移動しており今後は・・・・』

「おかしい・・・・何故怪獣は動きを止めない?生命維持装置を止めに行った筈じゃ・・・・。」

 

佐倉の疑問にピグモン達は明確な答えを出さず黙り込んでいた。そこに他の怪獣娘と合流したヒロキ達が入ってくる。少しふらつきながら部屋に入ってきたヒロキに思わずピグモンが駆け寄った。

 

「ヒロヒロ‼︎大丈夫ですか⁉︎」

「僕は大丈夫です‼︎・・・・でも・・・・・ピリカさんが・・・・。」

「・・・・そうですか・・・・・。」

 

ヒロキの答えにピグモンをはじめその場にいた皆が険しい表情になる。その時、突然モニターにピリカが映った。

 

「ピリカ⁉︎」

『時間が無いので手短に言います・・・・今、あたしはウーラーの中です‼︎』

「ウーラーの・・・・中・・・・。」

『そこでウーラーの心と接触して分かったんです。この子はお腹が空いているだけで悪気は無いんです‼︎』

『⁉︎』

 

ピリカの言葉にヒロキと怪獣娘全員が目を見開いて驚く。そんな彼らを前にピリカは言葉を続ける。

 

『ウーラーは生まれてからずっと飢えに苦しみながら誰かに助けを求め広い宇宙を彷徨い続けていました・・・・でも空腹は収まらず星々の文明のエネルギーを食べ続けた結果、恨みや憎悪も取り込んで・・・禍々しい姿になってしまったんです・・・・・あたしはこの子の心を救ってあげたい・・・・‼︎』

「ピリカさん・・・・。」

『だからお願いです‼︎力を貸して下さい‼︎この子の飢えを満たして・・・心を満たせたら・・・・あたしは・・・この子と一緒に・・・・。』

「全てを終わらせるって事か・・・。」

『この子と出会えたのは・・・・奇跡なのかもしれない。あたしだからこの子の心を分かってあげられるんだと思う‼︎・・・・・だから何としてでも』

 

ピリカが最後まで言い終わり切れずノイズが走り通信が途切れてしまう。砂嵐が画面に映る中、ヒロキ達はピリカの言葉を深く噛み締めていた。暫くしてキングジョーはピリカについていたコンピューターに触れながら話し始める。

 

「・・・・皆・・・・・ワタシ・・・・ピリカの思いに答えてあげたいデス・・・・。」

「クララちゃん・・・・・。」

「あの子は・・・・中学に入ってヒロキと別れてから初めて出来た友達なんデス。・・・・・だから・・・・・ワタシ・・・・モ・・・・。」

「・・・・キンキン・・・・キンキンなら・・・・・そう言うと思ってましたよ。」

「そうね・・・・アンドロイドのあの子が奇跡的に心を宿してこの地球に流れ着いたのは・・・ウーラーの心を救うためだったのかもしれない。」

「でも‼︎・・・・・それでもピリカさんは・・・・‼︎」

『ヒロキ‼︎ピリカの覚悟をお前が受け取れ‼︎お前の覚悟を俺が受け取ったようにな‼︎』

「タイガ・・・・・。」

 

相棒からの言葉を深く噛み締めるヒロキ。ヒロキがタイガの言葉を噛み締めている間にキングジョーとピグモン、そしてカナはコンピューターを操作してモニターに映像を映す。

 

「皆さん、これを見てください‼︎ウーラーが食べても食べても満たされないのはウーラーの体内の擬似ブラックホールが全てのエネルギーを吸い込んでしまうからだと思われます‼︎」

「まずはこれを何とかしないといけマセン‼︎」

「はっ・・・・何とかって・・・‼︎」

「お前ら・・・・ブラックホールを何とかするって言うのか⁉︎・・・・そりゃあ理屈は分かるけどどうやってそんな事すんだよ⁉︎」

「何とかなるぜ‼︎」

 

佐倉とレッドキングがピグモンとキングジョーの言葉に驚いて質問する中、声を掛けてくる者がいた。ヒロキ達は声のした方向を見るとそこにはマグマ星人とマーキンド星人の2人がいた。

 

「どうも。」

「アンタ達は‼︎」

「確かヴィラン・ギルドの‼︎」

 

ヴィラン・ギルドに所属する2人の宇宙人の姿にミクラスとマガバッサーが構えるがマグマ星人が手を伸ばして自分達に戦う意思がないと伝える。そして次にマグマ星人が放った言葉は怪獣娘達を驚かせるものだった。

 

「共同戦線ってのはどうだ?」

「はい。」

「ええっ⁉︎共同戦線⁉︎」

「お、おい⁉︎どういう風の吹き回しだよ⁉︎」

「今回だけ特別だ。あのお嬢ちゃんの決意に免じてな。」

「それに・・・そちらのお兄さんとお姉さんにも頼まれましたしね。」

 

マーキンド星人はそう言ってヒロキとキングジョーに指を向けた。その言葉に全員が驚き、ピグモン、アギラ、ガッツ星人の3人が2人を問い詰める。

 

『ハァッ⁉︎』

「き、キンキン、ヒロヒロ‼︎ど・・・どういう事ですか⁉︎」

「説明してください‼︎キングジョーさん‼︎ヒロキさん‼︎」

「この2人と一体何を話したの⁉︎」

「いや・・・実は・・・・・。」

「先程・・・ワタシとヒロキはそこの2人に会いましテ・・・。」

 

2人はウーラーとの戦いの後に起こった事を話し出す。

 

 

 

 

ヒロキはキングジョーに支えられながらヴィラン・ギルドに所属するマグマ星人、マーキンド星人と土壇場で接触していた。2人は少し考えるとお互い顔を見合わせる。そしてお互い同じ事を考えていると感じると2人に向き合った。

 

「アナタ達、確かさっきピリカと一緒にいた‼︎」

「ヴィラン・ギルドの宇宙人‼︎そっちはマグマ星人で・・・・えーっと。」

「どうもマーキンド星人です。」

「兄ちゃん達、よく分からねえが苦労してる様だな。」

「今はアナタ達に構ってる時間はないんデス‼︎」

「そうだ‼︎だから・・・力を貸してくれ‼︎」

「「ええっ⁉︎」」

 

ヒロキの言葉には驚いた表情をする。ヒロキとキングジョーは驚く3人を前に言葉を続ける。

 

「このままだとウーラーはこの星の全てを食い尽くしてしまう‼︎この状況を乗り越える為には僕達GIRLSだけじゃ足りない‼︎だから‼︎アンタ達も‼︎」

「この星を救う為に・・・力を貸して下サイ‼︎アナタ達だってこの星が消えたら困る筈デス‼︎」

「お、おいおい、兄ちゃんにキングジョーの姉ちゃん・・・・。」

「しかし、私達はヴィラン・ギルドの者です・・・・貴方達GIRLSに」

「今はお互いの立場なんて気にしてる余裕はありマセン‼︎この星が無くなるかの瀬戸際なんデス‼︎」

「そうだ‼︎それに・・・ピリカさんだって消えるのを覚悟して怪獣に向かっていった‼︎・・・・だからアンタ達も覚悟を決めてくれ‼︎」

 

ヒロキとキングジョーの言葉に2人は考える。実は2人も先程のピリカの行動を見て自分達も何か出来ないか考え始めていたのだ。そんな中、ここで遭遇したGIRLSの制服を着た少年と彼と共にいる怪獣娘の言葉を聞いて決意をする。

 

「分かった。少し時間をくれ‼︎」

「必ずそちらに参りますから。」

「‼︎・・・・2人とも‼︎」

「ありがとうございマス‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「という事があってね。」

「・・・・そうだったんだ・・・・。」

「ビックリです・・・・。」

「本当に2人とも・・・ありがとうございます‼︎」

「これで協力な助っ人が揃いマシタ‼︎」

 

ヒロキとキングジョーは2人に改めて向き合ってお礼を言う。彼らがこの戦いに協力すると知ったエレキングとウインダムは2人に訊ねる。

 

「貴方達が本当に協力してくれるっていうのは分かったわ。この場は信じてあげる。けど・・・。」

「ブラックホールをどうにかする方法があるんですか⁉︎」

 

ウインダムの疑問はその場にいた誰もが思ってる事だった。その問いにマーキンド星人はその場にいた皆が驚く返答をした。

 

「勿論です‼︎私達の手元にはホワイトホールを発生させるミサイルがありますから‼︎」




怪獣娘タイガもここまで来れました‼︎
何とかデッカー放送前に完結させられそうな気がします‼︎


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バディステディゴー‼︎(中編)

読者の皆様の中には忘れている人もいると思いますがヒロキはかつてタロウを兄のように慕っていたあの地球人の少年の孫です‼︎
最後のオリジナル回とニュージェネクライマックス編では彼の存在に大きく触れていく予定です‼︎


「ホ、ホワイトホールを発生させるミサイル⁉︎」

「そ、そんな物本当にあるんですか⁉︎」

「ええ、それがこちらになります。」

 

驚くガッツ星人(ミコ)とウインダムを横にマーキンド星人はモニターに映像を映す。そこには大型のミサイルが映っていた。

 

「これはヴァイスストライク。爆発と同時にホワイトホールを発生させる危険なミサイルです。」

「ま、マジで⁉︎・・・・ところでホワイトホールって何?」

「み、ミクちゃん・・・話分からないのに驚いていたの?」

「ブラックホールがあらゆる物を吸い込むのに対し、あらゆる物を放出すると考えられているのがホワイトホールデス。」

「な・・・・成る程な。」

「成る程・・・ブラックホールにホワイトホールをぶつけて中和して無力化させるのか‼︎」

「ただ・・・発生させられるのは僅かな時間です。」

「チャンスは一度きりって事だ。」

「・・・だが、どうやって怪獣を誘き出すつもりだ?」

 

2人の宇宙人の説明に佐倉の疑問にマグマ星人がモニターに宇宙船を映しながら答えた。

 

「餌で釣るのさ。俺の宇宙船に搭載されたマグマウェーブなら絶対に喰らいつく‼︎問題はエネルギーが持つかどうかだ。」

「分かった!世界各国にバックアップを要請しよう‼︎」

 

その答えにその場にいた皆が納得する。しかし、そこでレッドキングがその先の問題について指摘した。

 

「マグマ星人の宇宙船から放たれるエネルギーで奴を誘い出し・・・・ホワイトホールを発生させるミサイルで体内のブラックホールを無力化して・・・・・その後、どうやって怪獣を腹一杯にするんだ?マグマウェーブとかいう奴でそこまで出来るのか?」

「いや・・・・流石にそこまでは無理だ。」

「大丈夫です‼︎この星には私達のウルトラマンがいますから‼︎」

 

ピグモンの言葉に全員がウーラーを満腹にするための存在に気付いた。ガッツ星人(ミコ)が皆を代表して納得した声を上げる。

 

「成る程‼︎タイガ達ウルトラマンの光線エネルギーでウーラーの腹を満たすって訳だね‼︎」

「ハイ、タイガ、タイタス、フーマ、今この星には3人もウルトラマンがイマス‼︎彼らの光線エネルギーならウーラーだって満たされる筈デス‼︎」

「しかし、どうやってウルトラマンにそれを頼むよ?」

 

佐倉が自身にとって最大の疑問を上げる。するとピグモン、キングジョーがヒロキに肩をつける。

 

「ヒロヒロ、イガイガ達トライスクワッドの皆にこの事は」

「大丈夫です、ピグモンさん。ちゃんと伝わってますよ。」

『ああ‼︎俺達に任せろ‼︎』

「ヒロキ、タイガ、皆‼︎ワタシ達の思いも・・・・ピリカの思いも・・・・アナタに託しマス‼︎ピリカの最後の願いを叶えてあげて下サイ‼︎」

「・・・・分かった‼︎僕達に任せろ‼︎」

 

ヒロキはキングジョーとピグモンの顔を見るとその場にいた皆の顔を見る。アギラ達怪獣娘が頷くのを確認するとヒロキは外へ飛び出していった。佐倉は事情を知らなかった者の代表として思わぬ展開に唖然とした声を出さずにはいられなかった。

 

「君達・・・・なんかさらりと凄い事言って無かった・・・・。」

「えっ・・・・えっ・・・?」

「どういう事だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして作戦を実行するまでの間、ヒロキはウーラーが掘り進む場を確認する。表情が固くなるヒロキにタイガが声を掛けてきた。

 

「チャンスは一回・・・。」

『おいおい、緊張してんのか、ヒロキ。』

「⁉︎・・・・そりゃあまぁ・・・。」

『ヒロキ、大事なのは平常心だ。』

『今はやれるって信じるっきゃねえだろうが‼︎』

 

タイタスとフーマの言葉を聞いてヒロキは意を決した表情になる。そして自身のソウルライザーを取り出してピグモンに通信する。

 

「こちらヒロキ、準備完了しました‼︎」

『こちらキングジョー、準備完了デス‼︎いつでもいけマスヨ‼︎』

 

GIRLSではヒロキとマグマ星人の宇宙船に乗り込んだキングジョーが通信を呼び掛ける。ピグモンが全員のソウルライザーに通信を呼び掛ける。

 

「それではこれよりGIRLS史上最大の作戦を開始します‼︎作戦名は・・・・バディ・・・・ステディ・・・・ゴー‼︎」

 

ピグモンの言葉と共に地球の周りを回る人工衛星からエネルギーが供給される。そして充分なエネルギーが来たことを2人が確認する。

 

「バックアップが来まシタ‼︎」

「おうよ‼︎マグマウェーブ、照射‼︎」

 

マグマ星人の宇宙船から放たれたマグマウェーブが地表に到達する。それと同時にウーラーが地中を掘り進む音が地上に近くなる。

 

「釣れました‼︎ウーラー、地上に上がって来ます‼︎」

「ピギイイイイイイイイイ‼︎」

 

やがてウーラーが地上にその姿を現した。それと同時にキングジョーがマグマ星人の宇宙船からウーラーの口に照準を合わせる。

 

「ヴァイスストライク、スタンバイ完了デス‼︎」

「1発しかねえんだ!絶対外すんじゃねえぞ‼︎」

「ピリカ・・・・アナタの思い・・・・・絶対に叶えマス‼︎ヴァイスストライク・・・発車‼︎」

 

ウーラーの口に完全に照準を合わせたキングジョーは引き金を引いた。そしてマグマウェーブと共にウーラーの口に目掛けてミサイルが発射される。そしてウーラーは完全にミサイルを飲み込んだ。GIRLS本部ではマーキンド星人とピグモンがウーラーがミサイルを飲み込んだ事を確認する。

 

「ブラックホール・・・無力化に成功しました‼︎」

「やった‼︎」

「急げ‼︎時間が無いぞ‼︎」

「後は頼みましたよ‼︎ヒロヒロ‼︎」

 

ヒロキはウーラーがミサイルを飲み込んだ事を確認するとタイガのキーホルダーを掴み相棒に呼び掛ける。

 

「行くぞ、タイガ‼︎」

『ああ‼︎」

「バディィィゴーーーー!!!」

 

タイガキーホルダーを通して光の力を読み込ませ、右腕を掲げる。そしてヒロキの体は光に包まれウルトラマンタイガになった。怪獣の前に現れたウルトラマンの姿にその場にいた全ての人々が湧き立ってウルトラマンを応援する。

 

「ウルトラマンだ‼︎」

「やっぱり来てくれた‼︎」

「頑張ってウルトラマーン‼︎」

 

その中には先程まで争い合っていた対怪獣娘の人々や対宇宙人の人々の姿もいる。その様子を見て霧崎が高笑いを上げる。

 

「タイガ、見ているか?これが地球人だ‼︎ウルトラマンも宇宙人だろう?お前達が迫害してきたな・・・・地球人同士でさえ・・・・怪獣の魂を宿しているからって怪獣娘を排除しようという声もあるのに・・・・・怪獣やヴィランから守ってくれる存在は特別扱い・・・・・フハハハハハハハハハ・・・・・ハーッハッハッハーッハッハッハ‼︎まさに・・・・これこそが混沌だ‼︎」

 

霧崎はトレギアアイを取り出して顔に翳し、本来の姿であるウルトラマントレギアに戻る。タイガはそんな事も知らず必殺光線の構えを取る。

 

『さぁ、腹一杯食いな‼︎』

 

タイガがストリウムブラスターを放った瞬間、トレギアは回し蹴りで光線を弾いた。

 

『トレギア‼︎』

『ハッハッハ、最後の足掻きを見届けに来たぞ‼︎』

「あーっ‼︎トレギアが‼︎」

「あの野郎・・・こんな時に‼︎」

「ピギイイイイイイイ‼︎」

 

後ろから迫ってくるウーラーの頭を抑えると膝蹴りで怯ませてから蹴り飛ばす。その際に破壊された建物の瓦礫が反怪獣娘の人々や反宇宙人の人々に降り注ぐ。彼らを突き飛ばして救ったのはお互い争っていた人々やヒュプナスとエレキングの出身星である変身怪人『ピット星人』の2人の宇宙人だった。

 

「大丈夫ですか?」

「危なかった・・・・。」

「な・・・何で俺達を・・・。」

「わ、分からない・・・・体が勝手に動いて・・・・・。」

 

彼らが先程まで迫害したり争っていた自分達を助けてくれた事に困惑する人々だが一息つくまもなく更に瓦礫が降り注いできた。そこにペギラが反重力光線を放って瓦礫をゆっくりと人々から離れた場所に下ろす。ブリッツブロッツやバードンも空中で瓦礫を受け止めて2人の宇宙人を含めた人々を守る。

 

「ここまで多くの瓦礫は初めてなのです‼︎」

「でも動かなくちゃ跡見悪いしね‼︎」

「・・・・同感。」

 

タイガはウーラーを足蹴りにするトレギアに怒りを抱き向かっていく。

 

『くっ・・・トレギアァァァァ‼︎』

『寝ていろ・・・‼︎』

「ピギイイイイイイイイ‼︎」

 

タイガは拳を放つがトレギアはそれを避けて裏拳を放つ。ウーラーの様子を確認するとタイガはトレギアに再び向かっていく。タイガの裏拳を避けたトレギアは手刀を放つがタイガはそれを受け流す。タイガは右手を拳にして放つが受け止められ発勁で吹き飛ばされた。トレギアと距離が出来たタイガはスワローバレットを放つ。

 

『スワローバレット‼︎』

 

しかし、トレギアはバリアを展開してタイガに向かっていく。思わずタイガは光線を止めるがトレギアはその隙に回し蹴りでタイガを吹っ飛ばした。

 

『フーマ‼︎』

 

タイガの呼び掛けでフーマにバトンタッチした。バトンタッチするなりフーマは極星光波手裏剣を放つ。トレギアは手刀でそれを弾いた。

 

『疾風妥当‼︎俺がてめぇをぶっち切る‼︎』

『ふっ‼︎』

 

極星光波手裏剣を弾いたトレギアは手から光線を放つがフーマはそれを音速で避ける。そして後ろに飛び上がるとフーマは空中から光波手裏剣を放った。

 

『セイヤッ‼︎』

『ゔっ⁉︎』

 

フーマの光線を背中に受けたトレギアは振り向いて再び光線を放つがそれも避けられる。再びフーマはトレギアに光波手裏剣を放つ。それはトレギアの足元に着弾し、トレギアは後ろにフーマがいる事を確認し、光線を放つがこれも避けられる。しかし2発目の光線はフーマの体に着弾した。

 

『ぐあっ‼︎・・・・なーんてな‼︎』

 

フーマはトレギアの頭上を取り光波手裏剣を放つ。頭上から降り注ぐ光波手裏剣から腕を覆って頭を守る。そしてフーマが地上に降り立ったのを確認するとトレギアは再び光線を放った。

 

『はあああっ‼︎』

『セヤッ‼︎』

 

フーマは空中に飛び上がり、トレギアの光線を避ける。トレギアはフーマの姿を見失うと辺りを見渡す。その時、頭上からタイタスの声が聞こえてきた。

 

『賢者の拳は全てを砕く‼︎』

 

タイタスはトレギアの頭上からその力強い拳を叩き込んだ。土煙を上げながらタイタスが着地すると自身が拳を叩き込んだ場にトレギアがいない事を確認する。

 

『なっ⁉︎』

『酷い事するね・・・賢者の癖に・・・。』

『特別だ・・・‼︎』

 

その頃、GIRLSでは現状をピグモンと外事X課の2人が見ていた。

 

「ホワイトホール消失まで後数分です‼︎」

「マズい・・・ブラックホールが復活したらアウトだ‼︎」

 

マグマ星人の宇宙船にいるマグマ星人とキングジョーもそれを見ていた。

 

「こっちもそろそろエネルギー切れだ‼︎地中に逃げられるぞ‼︎」

「大丈夫デス‼︎ヒロキなら・・・・必ずやり遂げマス‼︎ワタシは・・・ヒロキを信じてイマス‼︎」

 

キングジョーがマグマ星人の言葉に自信を持って返す。するとそこにゼットンがテレポートでやってきた。

 

「お、おい⁉︎お前は確か・・・‼︎」

「ゼットン⁉︎どうしてここに来たんデスカ⁉︎」

「・・・・・キングジョー、テレポートで貴方を地上に送る。だから私達に協力して。」

「?」

 

 

 

 

 

タイタスからタイガに変わるとタイガはフォトンアースの姿になってトレギアに構える。

 

『そろそろ遊びは終わりにしようか・・・・。』

 

タイガとトレギアはお互い構えると突進していく。そして先に先手を打ったのはタイガだ。タイガは右手から鎧の力で強化された力強い拳を放つがトレギアに受け止められる。そして胸に蹴りを受けて怯むとそのまま発勁を受けて後退する。タイガは回し蹴りを放つがトレギアはそれを避けてタイガの足を払う。タイガが思い切り転んで地面に背中をつけた時、トレギアはタイガを踏みつけようとする。タイガは間一髪でそれを避け立ち上がる。しかし、その瞬間トレギアの足がタイガの体を吹っ飛ばした。

 

『うわああああああああああああああああああ‼︎』

 

タイガはそのまま吹っ飛んで後ろに建てられたビルを巻き込みながら地面に倒れる。その瞬間を見たトレギアは手にエネルギーを溜め始める。そしてそのエネルギーを放とうとした時、突然トレギアの体が何かに拘束された。

 

『なっ・・・⁉︎何だ⁉︎・・・この光のロープは・・・確か‼︎』

「ちょっと待った‼︎」

 

そこに現れたのは2人のガッツ星人とスカーレットスタイルに変身したキングジョーだった。ミコとマコが変身したガッツ星人が分身しながら拘束光線で、キングジョーは腰のパーツから光のロープを繰り出してトレギアの体を拘束したのだ。

 

(クララちゃん⁉︎ミコさんにマコさんに・・・・ゼットンさん‼︎)

『どうしてお前らが⁉︎』

「さて・・・さてさてさて‼︎来ました‼︎わたし達が・・・タイガを助けに‼︎」

「これ以上アンタの好きにはさせないわよ‼︎トレギア‼︎」

「この星の為に守るために戦っているのはウルトラマンだけじゃありマセン‼︎ワタシ達怪獣娘も同じデス‼︎」

『怪獣娘・・・・‼︎お前達ごときに・・・・この私を止められるとでも思うのか‼︎』

「こっちも忘れてもらったら・・・・困る。」

 

トレギアが振り向くとそこには額にエネルギーを集めながらゼットンが浮いていた。そしてその後ろではこれまでヒロキと多く関わってきたアギラ達GIRLSに所属する怪獣娘達が立っていた。




スピンオフも2つほど書いています。
近いうちには更新出来るかと思いますのでそちらも是非‼︎


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バディステディゴー‼︎(後編)

クライマックスまであと少し・・・・というわけで自分で怪獣娘タイガを振り返っています。
そして振り返っていく内に思った事が1つ・・・・怪獣娘タイガ版『群狼の挽歌』・・・・・・・ミクちゃんのキャラを考えると彼女にとんでもなく重い宿命背負わせすぎたかななんて思ってしまいました。
皆さんはどう思いますか?


『怪獣娘風情が・・・・今更何の用だ?』

「決まってんだろ‼︎ヒロキとタイガを助けに来たんだよ‼︎」

「ヒロちゃん、タイガちゃん‼︎わたし達が時間を稼ぐからその間にウーラーをお腹一杯にしてあげて‼︎」

『お、おい‼︎よせ、皆‼︎』

「大丈夫や‼︎うちら怪獣娘による怪獣総進撃見せたるでぇ‼︎」

 

タイガの制止を聞かずゴモラがビルに立ってトレギアに向かってジャンプする。トレギアは目の前の怪獣娘達に気怠そうな声を放つ。

 

『ハァ・・・・今は君達の相手をしている気分じゃないんだがな・・・・。』

「はっ‼︎俺達に怖気付いたとでもいうのかよ‼︎」

『言ってくれるじゃないか・・・・‼︎』

 

トレギアはレッドキングの挑発を聞くとキングジョーとガッツ星人の拘束を破りそのまま彼女に手を伸ばして捕まえようとする。しかし、レッドキングは大ジャンプでトレギアの手から逃れて別のビルに着地する。

 

「へっ‼︎なんだよ、闇に堕ちてもウルトラマンがたかが小娘1人捕まれられないのか‼︎」

『この私にそんな口を吐くとはねぇ・・・・無謀なお嬢さんだ・・・・。いいだろう・・・・2度もそんな口が聞けないようにしてあげようじゃないか‼︎』

 

トレギアは苛ついた声でレッドキングを追う。その時、ザンドリアス、ノイズラー、マガバッサーの空を飛べる3人がトレギアの肩に乗って挑発していた。

 

「ちょっと!あたし達の事忘れてんじゃ無いわよ‼︎」

「アンタの相手はレッドキングさんだけじゃねぇんだよ‼︎」

「頭が良い癖にそんな事も忘れちまったのか?」

『人の肩で煩いねぇ・・・・・黙っててくれないかな・・・・お嬢さん方‼︎』

 

トレギアは完全に苛立った声で肩に乗っている3人を振り払おうとするがその前に3人は翼を広げて空を飛びトレギアの顔の前で飛び回る。トレギアは蝿を払うように手を振り回すが彼女達はその前にトレギアの死角に入った。

 

『何処だ・・・何処へ行った・・・・あの怪獣娘共・・・・・なぁっ⁉︎』

 

トレギアが足を一歩踏み出すと突然地面が陥没し右足が地面に埋まり込む。トレギアは突然足元が崩れた事に驚きを隠せない。

 

『何だ・・・どういう事だ⁉︎』

「へへーん‼︎作戦大成功‼︎」

 

地面からゴモラが飛び出して来た。トレギアは彼女の存在に気付くと忌々しそうにゴモラに手を伸ばす。

 

『そうか・・・ゴモラの地中を掘り進む力で・・・‼︎』

「その通り‼︎足元注意ってね‼︎」

『フッ‼︎この程度の罠など・・・なぁっ⁉︎』

 

トレギアが左足を踏み出すとその地点の地面が崩れて陥没する。トレギアの足元を組まなく掘り進んだゴモラが作った落とし穴にハマったトレギアは両足が埋まってしまう。

 

『まさか・・・・この私がこんな古典的な罠に⁉︎何故だ⁉︎』

「以前もレッドやゴモが言ってた筈だよ‼︎アンタはわたし達怪獣娘を舐めすぎたって‼︎」

「そしてさっきも言った筈デス‼︎人間と怪獣・・・両方を受け入れて得た力はアナタが思っている以上に強いっテ‼︎」

 

足元が崩れて動きが止まったトレギアの身を再びキングジョーの光のロープと2人のガッツ星人の拘束光線が拘束した。そこにエネルギーを溜め終えたゼットンが自身より大きな火球を作る。

 

「・・・トレギア、貴方は確かに強い。でも・・・貴方が思うほど私達怪獣娘は弱くない。今からそれを・・・証明するわ。」

「お願いします!ゼットンさん‼︎」

「あたし達の分まで託します‼︎」

 

アギラの掛け声に頷いたゼットンが強力な火球を放つ。それはトレギアに命中すると大きな大爆発を起こした。着弾したトレギアはあちこちが焼き焦げながら自身より上に浮いているゼットンを見上げる。

 

「この間の・・・借りは確かに・・・返したわ。」

『おのれ・・・怪獣娘共ぉ・・・・・・・・・‼︎』

 

タイガはトレギアに思った以上に戦えている怪獣娘に驚きを隠せないでいた。そんなタイガにヒロキが話しかける。

 

『あいつら・・・マジかよ・・・・。』

(タイガ‼︎クララちゃん達が時間を稼いでくれている今がチャンスだ‼︎ウーラーに君の光線エネルギーを‼︎)

『あっ・・・ああ‼︎』

 

タイガは必殺技であるオーラムストリウムを放つ構えに入る。するとトレギアが足を踏ん張って走りながらジャンプし、キックを放つ。

 

『させるか‼︎ハアアアァァァァ‼︎』

『くっ⁉︎』

 

タイガは転がりながらトレギアの蹴りを避ける。するとトレギアは両手にエネルギーを溜めて光線を放つ。タイガはそれを必死に受け止めるがやがて耐え切れなくなりフォトンアースの変身が解除されてしまう。トレギアが追撃を掛けようとした時、なんとウーラーがトレギアの右腕に噛み付いた。トレギアは自身に噛み付いてきた怪獣に驚きを隠せない。それはそれを見ていた怪獣娘達も同様だった。GIRLSではモニターでその光景を見ていた佐倉が驚きの声を上げている。

 

「ウルトラマンを・・・・守った⁉︎」

「分かるんですよ・・・自分を救ってくれる存在が・・・・。」

 

トレギアはウーラーを振り払うとその頭に発勁を放ちウーラーを弾き飛ばす。

 

『止めろォォォ‼︎』

『ハァ・・・怪獣との絆とか言い出すんじゃないだろうな⁉︎』

 

トレギアは光線を放ちタイガを吹っ飛ばす。カラータイマーが鳴り始めたタイガは力を振り絞ろうとする。トレギアはそんなタイガを見ながらエネルギーを両腕に集めていく。

 

「タイガ‼︎ヒロキ‼︎」

『俺達は大丈夫だ・・・・後は任せろ‼︎」

『無駄な足掻きを・・・無力感・・・敗北感を味わって再び闇に堕ちろ‼︎』

 

タイガが飛び上がるとトレギアは強力な光弾を放つ。それは確かにタイガに命中したかと思われた。しかしタイガはその光線を受け止めて必死に耐えている。そんな姿を見ている人々の中でペギラ達怪獣娘が呟いた。

 

「どうして・・・ウルトラマンは・・・・あんなに頑張れるのです・・・・?」

「うん・・・私も疑問に思ってた・・・どうしてあんなにボロボロになってまで・・・皆のために戦えるのかな・・・。」

「そう・・・怪獣娘達も知らないのね・・・・ウルトラマンは・・・・地球に滞在する時、地球人の体を借りて共に戦う事もあるらしいわ。」

 

ピット星人の言葉に怪獣娘含めてその場にいた地球人が驚く表情を浮かべる。そんな彼らの前でピット星人は言葉を続けた。

 

「きっと・・・誰だろうと関係なく手を取り合えるって傷付きながら証明しているのかもしれないわね。」

「誰だろうと・・・関係なく・・・。」

 

その場にいた人々はピット星人の言葉にお互いの顔を確認せずにはいられなかった。その頃、ヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そしてヒロキは左腕にプラズマゼロレットを出現させるとその力をタイガスパークに読み込ませた。

 

〈プラズマゼロレット、コネクトオン‼︎〉

 

タイガにゼロのビジョンが映るとゼロがワイドゼロショットを放つ時のチャージと同じ動きをしたタイガが腕をL字に組んでゼロの力を宿した光線を放つ。

 

『ワイドタイガショット‼︎』

 

タイガの放った光線はトレギアの光弾ごとウーラーの口に向かっていく。

 

(届けぇぇぇぇぇぇ‼︎)

 

トレギアの放った光弾ごとワイドタイガショットがウーラーの口に飲み込まれ吸収されていく。

 

『ハッハッハ・・・邪魔者は排除する・・・結局それがお前達の答えか‼︎』

 

ウーラーの心の中にいるピリカはウーラーの心を感じていた。ヒロキはタイガに呼び掛ける。

 

(行くぞ、タイガ‼︎)

『ああ‼︎』

 

タイガは赤い光と共にウーラーに突入していく。そしてウーラーの口の中に飛び込んだ。光の粒子を放ち始めながらウーラーは光り出す。

 

「お腹一杯になったね、お昼寝しようか。」

 

タイガはウーラーの中で必死に手を伸ばしていた。その頃、ピリカはウーラーの心が満たされたことを感じていた。そしてウーラーは光りながら大爆発を起こした。トレギアは思わず腕で頭を覆う。GIRLSでそれを見ていたカナは思わず叫んだ。

 

「ピリカ‼︎」

 

キングジョーも悔しそうな顔をしながら下に目を向ける。しかし、ウーラーのいた地点から紫色のエネルギー体が浮かび上がると空で弾けとんだ。それは綺麗な光の粒子をとなって飛び散っていく。その美しさに争っていた人々も怪獣娘もGIRLSにいたピグモンやカナ、佐倉も見惚れていた。

 

『温かい・・・この光は・・・。』

 

トレギアもその光景に思わぬ感情を抱いていた。タイガは立ち上がりながら言葉を放つ。

 

『俺1人のパワーだけじゃ不可能だった・・・俺とお前、2人のウルトラマンの光の力があの怪獣の心を救ったんだ。』

『・・・・・・。』

 

トレギアはただ黙ってその言葉を聞いていた。タイガは振り向いてトレギアの方を見ながら更に言葉を続ける。

 

『どんなに否定しようとお前はウルトラマン・・・光を守護する存在なんだ‼︎』

(前にタイガから聞いた事がある・・・かつてタイガスパークはタロウさんが友達と共に作ったって・・・その友達ってお前なんだろ⁉︎)

『お前がもう一度光を守護する者として歩みたいなら‼︎』

 

トレギアはその言葉を黙って聞くと振り向いて光線を放つ。

 

『フフフ・・・フハハハハ・・・・何度も言わせるな‼︎この世には光も闇も無い‼︎』

『俺は光を信じる‼︎』

 

トレギアの放った光線をトライストリウムになりながら受け止めるタイガ。タイガは走り出すとタイガトライブレードを一振りする。トレギアの手刀をタイガトライブレードで受け止めると両手を受け流してその脇腹を2度斬り付ける。タイガがタイガトライブレードを振りかざすとトレギアはそれを受け止めるが押し切られて肩を斬られる。タイガは更にタイガトライブレードを突き立てるがトレギアに受け止められ奪われる。トレギアはタイガトライブレードを奪うとタイガ目掛けて投げ飛ばす。タイガはそれを避けると両者はお互い拳を放った。相討ちになった両者はお互い吹っ飛ぶとタイガは地面に刺さったタイガトライブレードを引き抜く。

 

『タイタスバーニングハンマー‼︎風真烈火斬‼︎』

 

タイタスの力を宿した破壊光弾とフーマの力を宿した切断光線がトレギアに放たれる。トレギアはそれを受け止めて受け流す。しかし、今度は炎を纏ったタイガがタイガトライブレードを突き立てながら突進してきた。トレギアはバリアを張ってお互いがぶつかり合う。

 

『タイガブラストアタック‼︎』

『ハァァァァァァァ‼︎』

『ぐうぅぅぅぅぅぅぅ‼︎』

『ハアァァァァァァァァ‼︎』

『くがあっ⁉︎』

 

やがてトレギアが押し負けてその体が吹っ飛ばされる。そしてタイガは空に飛び上がる。トレギアが立ち上がってその姿を見た時、トレギアは太陽を背に浮かび上がるタイガにかつての自身の友の影を映し出す。

 

『⁉︎・・・・タロウ・・・・。』

『そうだ‼︎俺はタロウの息子・・・・ウルトラマンタイガだ‼︎』

 

ヒロキはタイガトライブレードのスイッチを長押しする。

 

「クワトロスクワッド‼︎」

 

ヒロキはトライスクワッドの幻影と共にタイガトライブレードの柄を回転させレバーを引く。するとトライストリウムバーストを更に強化させた強力な必殺光線が放たれる。

 

『クワトロスクワッドブラスター‼︎』

 

トレギアは両手を広げながら高笑いし、必殺光線が来るのを待つ。

 

『フハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ・・・ハーッハッハッハッハッハッハ‼︎」

 

そしてタイガのクワトロスクワッドブラスターを受けてトレギアは大爆発を起こした。着地と共にタイガは通常形態に戻る。そしてタイガは振り返るとトレギアが立っていた場所を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして戦いが終わって数時間後、ヒロキはタイガやクララ達怪獣娘と共に広がっていく光の粒子に目を向けていた。

 

『ヒロキ、見てるか?』

「ああ・・・僕達が・・・いや、ピリカさんとクララちゃん・・・そして皆で救った思いだ。これからは一緒に生きていくんだね。」

「ヒロキー‼︎」

 

そこにクララがやってきた。ヒロキはクララに手を振りながら走り出した。

 

「おーい‼︎クララちゃーん‼︎」

 

クララが真っ先にヒロキに向かって駆け出すといきなりヒロキに抱き付いた。ヒロキは何とかクララを受け止める。

 

「うわっ、クララちゃん⁉︎」

「ヒロキ‼︎本当に凄かったデス‼︎よく頑張りマシタネ‼︎」

「僕だけじゃないよ。タイガ達やピリカさん・・・そしてクララちゃん達皆で未来を歩むために皆で力を合わせた結果さ。」

「それでも・・・・1番頑張ったのはアナタデスヨ、ヒロキ。」

「クララちゃん・・・。」

 

クララはヒロキの頬にキスをする。ヒロキはクララにキスされた頬に手を当てていた。

 

「くっ、クララちゃん⁉︎」

「1番頑張ったヒロキへの・・・ご褒美デス‼︎」

 

クララはそう言ってヒロキの手を握る。ヒロキはクララに繋がれた手と笑みを浮かべるクララの顔を眺める。そんなヒロキにクララは一度視線を上に向けると微笑みながら話しかける。

 

「フフ・・・ヒロキ、ワタシの顔ばかり見つめないで上を見て下サイ。」

「上?」

 

クララに促されてヒロキは上を眺める。2人が上を見ると光の粒子が更に広がっていく光景が目に映っていた。

 

「綺麗デスネ・・・。」

「本当だね・・・。」

 

2人は手を繋いだまま、光の粒子が世界中に広がるのを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、GIRLSでは新入りが紹介されていた。それはウーラーの件で協力したあの2人の宇宙人だった。

 

「どうも会計課のマーキンドです。」

「警備課のマグマだ。よろしくな。」

「はい、という訳で〜、新しく入って仲間に拍手して下さ〜い‼︎」

「ちょっ⁉︎ちょっと待て‼︎まさか・・・こいつらが・・・新しい新入りかよ⁉︎」

 

トモミの声にベニオが非常に驚いていた。まさかこのGIRLSに本物の宇宙人が、それもGIRLSと敵対してきたヴィラン・ギルドの一員が入る事になるとは思っていなかったため驚いていたのだ。

 

「僕も先輩か・・・頑張らなきゃな‼︎」

「皆さん、よろしくお願いしますね!」

「うん、よろしく‼︎」

「GIRLSにいるという俺達マグマ星人の怪獣娘にも会ってみたいな。」

「大丈夫です‼︎直に会えると思いますよ〜。」

 

新しいメンバーで盛り上がる中、その横でトモミが佐倉に訪ねる。

 

「それにしても・・・・本当にわたし達GIRLSが政府のモデルケースでよろしいのですか?」

「そりゃ勿論‼︎元々GIRLS自体国連組織だし・・・・大丈夫だって‼︎」

「それにね・・・GIRLSにもう1人入れて欲しい人材がいるの。入って‼︎」

 

カナの言葉にドアが開かれる。そして入ってきた人物を見た時、ヒロキとクララは驚きながら喜びの表情を見せた。

 

「ピリカさん・・・‼︎」

「ピリカ‼︎」

「旭川ピリカです!皆さん、よろしくお願いします‼︎」

 

それは旭川ピリカだった。その時、モニターに映像が映る。そこにはピッコロが映っていた。

 

『ヒロキ、皆‼︎聞こえるか‼︎』

「うん‼︎聞こえるよ‼︎」

『良かった・・・ピリカ、そっちに無事着いたようだな。』

 

実はタイガがウーラーに突入した際、タイガがピリカの情報を掴んでいたのだ。そしてそれをピリカのコンピュータに入れるとピリカの意思が蘇った。その頃、地球に着いたピッコロは遅れたお詫びとしてエオマップ星に赴き、ピリカのボディとなるアンドロイドの作成を依頼した結果、無事完成し、ここにいるのだ。

 

「ヒロ君、クララ、今日からGIRLSでもよろしくね‼︎」

「うん‼︎」

「勿論デス‼︎」

 

その頃、タイガは新しいメンバーにそれぞれの感想を言っていた。

 

『まさかアイツらがGIRLSに入るなんてな‼︎』

『面白え!トラブルの匂いがするぜ‼︎』

『そうか?良いチームになると思うぞ。』

『タイガ。』

 

そこにピッコロが話しかけてきた。タイガはピッコロを見据える。

 

『タイガ、お前は本当に立派になったよ。もうお前は優しさと強さを兼ね備えた一人前のウルトラマンだ。』

『ピッコロ・・・・。』

『タロウもきっと喜ぶと思うぜ・・・・あっと、そろそろ行かなくちゃな‼︎』

「えー⁉︎もう通信を切っちゃうの⁉︎」

『まだ光の国に行ってタイガの事話せてないからな・・・それに俺もまだ旅の途中だし・・・。』

「そうか・・・元気でな。ピッコロ‼︎」

『ああ‼︎また会おうぜ、皆‼︎』

 

ピッコロはそう言って通信を切る。そしてその場にいたみんなを見てトモミは皆に告げる。

 

「さて、皆さん‼︎いきなりですがこれからこのメンバーで早速ビッグイベントについてもらいます‼︎マグマグとマキマキ、ピリピリにもこのイベントに参加してもらいますよ‼︎」

「そのビッグイベントって?」

 

マーキンド星人の疑問にトモミは言葉を溜める。そして力強く発言した。

 

「はい・・・・・・・・・そのイベントとは・・・・・・・・・・キンキンのモデル復帰ステージです‼︎」




次回予告(CV:ウルトラマンタイガ)
『遂にクララのモデル復帰ステージが開幕に向けて動き出す。けど、その裏で怪しげな動きを見せる奴らが‼︎今こそ、ピリカ達を加えた新生GIRLSの出番だぜ‼︎次回‼︎

怪獣娘タイガ ~トライスクワッド参上計画~


再びその輝きを


さぁ‼︎ステージの幕開けだ‼︎』


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再びその輝きを(前編)

最後のオリジナル回です。
しかし、今回は怪獣娘達には出番が無いのでご了承を。


宇宙の彼方でどの星よりも一際輝く星があった。その星には地球の建物よりも大きなエメラルド色のクリスタルで出来たような建造物が並んでいる。地球から遠く離れたその星に2つの光が向かっている。

 

「もしかしてあれがそうか⁉︎」

『ああ‼︎あれが俺達ウルトラマンの故郷『M78星雲光の国』だ‼︎確かお前は来るのは初めてだったっけか、ピッコロ。』

「ああ、いつかは来てみたい、来てもう一度タロウと会いたいと思ってたんだ。やっと来れて嬉しいよ。」

『へへっ‼︎んじゃあ、俺について来な‼︎タロウだけじゃなく親父達も待ってるからよ‼︎』

「頼むぜ、ゼロ‼︎」

 

その光の正体はウルトラマンゼロとピッコロであり、2人の向かう星こそウルトラマンの故郷である『M78星雲光の国』なのだ。ゼロは光の国に戻る途中でピッコロと出会った。ゼロとピッコロは今まで面識は無かったがお互いその名を知っていた事やピッコロの方がタロウに話したい事がある事を伝えた結果、共に光の国に向かう事にしたのだ。2人はその星のシンボルを象徴するプラズマスパークタワーを通り過ぎると宇宙警備隊本部に向かう。そこでは既に宇宙で光の国の中で1番の先鋭であり宇宙中に名を馳せる11人の戦士『ウルトラ兄弟』が立っていた。

 

「おお‼︎帰ってきたか‼︎」

 

赤と銀色の体に胸にスターマークと呼ばれる印をつけた宇宙警備隊隊長『ゾフィー』が声を上げる。その横には最初に地球に降り立った戦士『ウルトラマン』と左腕に金色のブレスレットを付けた『ウルトラマンジャック』が頷く。

 

「へへっ!帰ってきたぜ、親父‼︎」

「ああ、ご苦労だった!ゼロ‼︎」

「それにしても中々珍しい来客を連れてきたな。」

「そうだな、何処で会ったんだ?」

「いやぁ、アイツとはついさっきな・・・・タロウにタイガの事で話があるから光の国に案内して欲しいと言われちまって・・・まぁ、俺も今日はここに戻る予定だったからついでに連れてきたって訳さ。」

 

ゼロが先に声を掛けたのは頭に大きな宇宙ブーメラン『アイスラッガー』を備えた真紅のファイター『ウルトラセブン』だ。その横にはかつて自身が鍛えた赤き獅子の戦士『ウルトラマンレオ』とその弟『アストラ』がピッコロを見ながらゼロに経緯を聞いた。

 

「タロウ、久しぶりだな‼︎」

「ああ‼︎久しぶりだな、ピッコロ‼︎随分と立派になったな‼︎」

「そうか?」

「ああ・・・・・・ゼロから突然君が光の国に来ると聞いた時は驚いたが・・・その後も元気そうで安心した・・・本当に大きくなったな、ピッコロ。」

「へへっ、そりゃああれから長い時が流れたからな。」

「タロウ、そのピッコラ星雲人がかつて・・・。」

「兄さんと戦ったピッコラ星雲の第一王子ですか?」

「ああ、ピッコラ星雲人の第一王子ピッコロ様だ‼︎2人はウルトラマンエースと・・・ウルトラマンメビウスだな‼︎」

「そうか、私達の事も知っていたのか・・・ならば話は早いな。よろしく、ピッコロ。」

「よろしくね。」

 

ピッコロの方はタイガの父であるウルトラマンタロウと再会を喜んでいた。タロウの側には菱形のカラータイマーを備えた彼の弟子であり地球人との絆を炎に変える戦士『ウルトラマンメビウス』と頭のトサカにウルトラホールを備えた銀色の戦士『ウルトラマンエース』がいた。2人はピッコロに手を伸ばした。ピッコロも手を伸ばしてお互い握手する。そしてピッコロはお腹に菱形のバックルを備えたウルトラマンエイティと青い体にスターマークを備えたウルトラマンヒカリの2人に気付くと彼らにも駆けてきた。

 

「2人は・・・確か地球で学校の先生も務めたウルトラマンエイティと光の国の天才科学者のウルトラマンヒカリだな。俺は」

「ピッコロだろう。私もヒカリもタロウ兄さんから君の話は聞いた事があるから知っているよ。」

「ピッコラ星雲の王子に名を知られるとは光栄だ。よろしく頼むよ。」

 

ピッコロがヒカリ、エイティと握手を済ませるとゾフィーが一歩前に立ち2人の顔を見て話を切り出す。

 

「それで・・・この星に来訪した目的は?ただタロウと思い出話をするために来た訳では無いのだろう。」

「ああ!」

『何でもこいつ・・・タイガ達のいる宇宙の地球に来たらしいぜ。そこでタイガとも会ったってよ。』

「何と‼︎」

「なっ⁉︎君が・・・タイガと⁉︎」

「ああ‼︎バッチリ会ったぜ‼︎」

「ほう・・・それでタイガがどうかしたのか?まさかタイガが・・・君に無礼を働いた訳じゃ」

「違う違う‼︎寧ろあいつは立派なウルトラマンになった事を伝えに来たのさ‼︎」

 

ゾフィーの言葉を否定したピッコロの口からタイガの活躍が語られる。ウルトラ兄弟達は黙ってその話を聞いていた。

 

「タイガはウーラーの本質に気付き・・・奴の心を救ってやったんだ。」

「そうか・・・タイガが・・・・。」

「タロウ、あいつは立派になったぜ。強さと優しさを兼ね備えた光の勇者の肩書に相応しい立派なウルトラマンにな‼︎」

『確かに・・・・強くなったと思うぜ。俺の力も使いこなせるようになっていたしな。』

「へぇ、ゼロの力をタイガが・・・。」

「もうタイガは一人前のウルトラマンだぜ。ピッコラ星雲の第一王子であるこの俺が保証する。だから、タロウも認めてやれよ。」

 

タロウはピッコロの言葉を聞いて遠くを眺めていた。そして少し息づくと口を開いた。

 

「そうか・・・・タイガも地球人と絆を育んで・・・様々な経験をしたのだな・・・。」

「それにしてもタイガの宇宙の地球ではかつての怪獣達の魂が人間の女の子として生きているとは・・・。」

 

タロウの呟きの横でヒカリがゼロとピッコロから聞いた怪獣娘について興味深そうな声を上げる。

 

「怪獣娘か・・・2人が会ったのは・・・ゴモラ、レッドキング、ピグモン、ゼットンか・・・。」

「私がかつて戦ったエレキング、キングジョー、ガッツ星人だけじゃなくアギラ、ミクラス、ウインダムもいるとはな・・・。」

 

ウルトラマンとセブンはヒカリの言葉を聞いて何処か感慨深い声を上げる。特にセブンに至っては自身の掌の中の3つのカプセルを思わず眺めていた。

 

「懐かしい気分になりますね。私もかつてザンドリアスとノイズラーを宇宙に帰してやったあの日の事を思い出しましたよ。」

「まだまだ宇宙は我々の知らない神秘で溢れているな。あの魔王獣の魂を継ぐ怪獣娘もいるというのだから・・・。」

「そしてそんな怪獣娘達と共に平和の為に戦っている少年がタイガのパートナーか・・・・。その少年の名は?」

「ああ・・・確か白鳥ヒロキって言ってたぜ。」

「白鳥・・・何⁉︎白鳥だと⁉︎」

 

タロウはゼロの言葉を聞くと一瞬黙った後、驚いた声を上げ、そしてゼロの肩を掴みながら詰め寄る。

 

「い、今何と言った⁉︎その地球人の少年は本当に白鳥という名字だったのか⁉︎本当なのか⁉︎どうなのだ⁉︎」

「タロウ⁉︎」

「お、おいタロウ⁉︎どうしたんだよ⁉︎」

「答えろ‼︎ゼロ‼︎ピッコロ‼︎どうだったのだ⁉︎本当に白鳥という名字だったのか⁉︎」

「落ち着け‼︎タロウ‼︎」

 

今まで無かった様子で取り乱しながら詰め寄ってくるタロウに驚きを隠せないピッコロとゼロが戸惑う中、ジャックがタロウを羽交い締めにして抑える。

 

「タロウ、お前の気持ちは痛いほど分かるが・・・・・。」

「事情を知らないゼロとピッコロにそんな勢いで詰め寄っては・・・。」

「・・・すまない。」

 

ジャックとレオの言葉にタロウは何処か気まずそうに謝る。そして背中を向けてその場を去ろうとする。

 

「何処へ行く?」

「・・・・・・少し頭を冷やしてきます。」

「・・・・・・なぁ、タロウの奴、どうしたんだ?」

「あんなタロウ・・・初めて見るぜ。親父達は何か知ってるのか?」

 

タロウの背中を見届けたゼロとピッコロが思わず訪ねる。セブンは息子のその問いにどう答えるべきか悩んでいた。そんな中、タロウの弟子であるメビウスが口を開いた。

 

「そうだな・・・・・・何処から話すべきか・・・・・・。」

「セブン兄さん、僕が話しますよ。」

「すまんな、メビウス。」

「・・・ゼロ、君はタロウ兄さんが地球防衛に就いていた頃の話についてどれだけ知っている?」

「いや・・・地球人の姿で当時の防衛チームであるZATの隊員になったことくらいしか・・・。」

「タロウ兄さんにはね、自分の事を本当の兄のように慕っていた地球人の少年がいたんだ。」

「それってレオ師匠にとっての梅田トオル・・・みたいなやつか?」

「何⁉︎ゼロ、お前トオル君を知っていたのか⁉︎」

「ああ、実は私が話したんです。かつての地球の戦いの事を知っておいて欲しいと思って。」

「そうか・・・。」

「そう、そしてタロウ兄さんを慕っていた地球人の少年の名は・・・白鳥健一・・・今のタイガの相棒と同じ苗字を持つ少年だったんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

タロウは宇宙科学技術局のとある倉庫に訪れていた。そこの管理人であるプロテクターを備えたブルー族『フィリス』は思わぬ訪問者に驚く。

 

「⁉︎・・・珍しいですね。貴方がここに来るなんて。」

「フィリス、すまないがここで1人になりたいんだ。少し席を外してくれないか?」

「えっ・・・ええ、分かりました。」

「・・・本当にすまんな。」

 

タロウはフィリスが出た後、倉庫の中から1つの写真を取り出した。それは赤と青の隊員服を着た青年と共に笑顔を浮かべる少年が写ったかなり年季が入った写真だった。タロウは写真を見ながら思い出に浸かっていた。

 

 

石油コンビナートでオイルに塗れ真っ黒になった巨大な宇宙人が1人の赤と青の隊員服の青年を追いかけている。そして宇宙人がオイル塗れになった事を確認するとその青年は銃を撃ち込んだ。そしてオイルに引火した宇宙人の体は燃え上がりコンビナートと共に爆発する。そして爆発から逃れたその青年に駆け寄ってくる少年がいた。

 

『光太郎さん‼︎』

『健一君、見ろ!人間の力で星人をやっつけたぞ‼︎』

『うん‼︎』

 

 

時は変わって現在、光の国宇宙科学技術局でタロウは過去の記憶を振り返りながら写真を見つめている。暫く写真を見つめていると小さく呟いた。

 

「健一君・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロキは気がつくと辺り一面が真っ暗な空間にいた。思わず辺りを見渡しながらヒロキは足を進めようとする。

 

「ここは・・・何処?」

『ヒロキ!」

 

ヒロキは声のした方を向く。そこには自身の相棒である3人のウルトラマンが立っていた。ヒロキはその姿を確認すると思わず駆け寄っていく。

 

「タイガ!タイタス!フーマ!・・・・一体ここは何処?」

『分からない・・・俺達もいつの間にかここにいたんだ。』

『私達もこの辺りを調べていたら君を見かけてな・・・。』

『にしても・・・一体ここは何なんだ?』

「ヒロキ!ヒロキ‼︎」

 

ヒロキは自身を呼ぶ声を聞いて思わず後ろを向く。すると自分達に近付いてくる人影を見た。

 

「だっ、誰ですか⁉︎」

『ヒロキ、気を付けろ‼︎』

「そんなに警戒するなよ。僕だ。」

 

やがて人影が明確に姿を現した。それは壮年の男性だった。ヒロキは自身を呼んだ人物を確認すると驚いた声を放つ。

 

「えっ⁉︎・・・嘘・・・お爺ちゃん‼︎」

『『『えええええええっ⁉︎』』』

 

そこにいたのは彼の祖父である壮年期の『白鳥健一』本人だった。ヒロキは思わず健一に近付いていった。

 

「ほ・・・本当にお爺ちゃんなの・・・・・・?』

「ああ、お前の祖父・・・白鳥健一本人だよ。」

「お・・・お爺ちゃぁぁぁん‼︎」

 

ヒロキは勢いよく祖父に抱き付いた。健一もヒロキを抱きしめ返すとヒロキの顔を見て感激した表情で言葉を放つ。

 

「ヒロキ、大きくなったなぁ・・・!」

「そりゃあ・・・高校生に・・・なったんだから・・・当然じゃん・・・。」

「身体だけじゃない。心だってそうだ。本当に立派な男になった‼︎」

「グスッ・・・お爺・・・ちゃん・・・グスッ・・・。」

 

ヒロキは2度と会えない筈の祖父の自身を褒める言葉に涙を浮かべずにはいられなかった。タイガ達も涙ぐみながらその光景を見ている。健一はタイガ達の方を向くと彼らにも声を掛ける。

 

「おお・・・君が光太郎さんの・・・・・・タロウの・・・・・・息子の・・・タイガなんだな・・・・・・。光太郎さんに似て逞しくなったな!」

『あ・・・ああ。』

「タイタスとフーマもよくヒロキとタイガと共に戦ってくれた・・・‼︎」

『うむ‼︎』

『おうよ‼︎』

 

健一は4人の顔を見渡すと先程まで浮かべていた笑顔を真面目な表情に変化させた。そして健一の口から驚くべき言葉が語られる。

 

「お前達は本当によく戦ってくれた・・・けど!これから先、光太郎さんに・・・タロウに未だかつてない危険が迫ろうとしている。」

「ええっ⁉︎」

『父さんに⁉︎』

『タロウに一体何が⁉︎』

『説明してくれよ、ヒロキの爺ちゃん‼︎』

「混沌が蘇った。そしてそいつによってこれまでにないピンチがタロウに訪れる。それはタロウだけでは乗り越えられない物だろう・・・。」

『あの父さんが・・・・・・1人では・・・・。』

 

タイガの呟きに健一は再び笑顔を浮かべて4人に励ましの言葉を送る。

 

「でも大丈夫‼︎お前達4人なら必ずタロウを助けられるさ。何たってお前達はどんなピンチも仲間と共に諦めず乗り越えてきたんだ。きっと4人なら大丈夫・・・だから最後まで諦めるな‼︎」

「お爺ちゃん・・・。」

「・・・ヒロキ・・・タイガ・・・タイタス・・・フーマ、タロウを・・・光太郎さんを頼んだよ。」

「待ってくれ、お爺ちゃん‼︎まだ聞きたい事があるんだ‼︎」

『これから先、父さんに何が起きるんだ⁉︎混沌って何なんだ⁉︎答えてくれ‼︎』

 

少年の姿に戻りながら後ろに下がっていく健一をヒロキとタイガが必死に呼び止める。しかし、彼らの叫びも虚しく健一の姿は見えなくなっていく。すると目の前の暗闇が晴れて突然何本もの柱が建つ何処かの遺跡が現れる。

 

「何ここ⁉︎」

『何かの遺跡のようだな・・・。』

『だが気を付けろ・・・禍々しい気配がする。』

『おい‼︎アレやべえぞ‼︎』

 

フーマの言葉に3人が目を向けると禍々しい気配を感じさせる遺跡の墓場が見えた。4人は思わず身構える。すると遺跡から禍々しい青いオーラに覆われた大きな目玉が現れる。

 

「な、何だこいつは⁉︎」

『分からない‼︎けど・・・コイツはヤバい‼︎』

 

その目玉はヒロキ達を見るとすぐさま上に浮かび上がりヒロキを狙うと真っ直ぐ向かってきた。思わずタイガ達がヒロキの前に出てヒロキを庇う。

 

「なっ⁉︎」

『ヒロキ‼︎危ない‼︎』

『『ヒロキ‼︎』』

 

 

 

 

 

 

『うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎』

 

思わずヒロキ達は飛び起きると目の前は自身の部屋だった。まだ辺りも薄暗い事を確認すると今までの出来事が夢だと悟る。

 

「ハァ・・・ハァ・・・何て夢だ。」

『ヒロキ‼︎今、とんでもない夢を見た‼︎お前の爺ちゃんが現れて・・・それから・・・‼︎』

「タイガも同じ夢を見たの⁉︎」

 

タイガの声に驚いた声を上げるヒロキ。そこにタイタスとフーマも加わってくる。

 

『ヒロキ、タイガ‼︎私も恐らく君達と同じ夢を見た‼︎』

『俺もだぜ、お前の爺ちゃんが現れて・・・それから変な目玉みたいなのが出てきやがったからな!』

「嘘・・・。」

 

ヒロキは4人とも同じ夢を見ていたことに絶句していた。暫くすると夢に出てきた祖父に向かって呟かずにはいられなかった。

 

「お爺ちゃん・・・タロウさんに・・・一体何が起こるんだよ・・・。」




今回は光の国視点の話だったためウルトラマンの会話シーンの「」は普通に致しました。


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再びその輝きを(中編)

小説版からキャラが続々出ます‼︎また、オリジナル回最後の怪獣は『ザ☆』から登場します‼︎

巨大怪猫『ヘルキャット』登場


今現在、ヒロキはGIRLSでクララの復帰ステージに向けてのミーティングに参加していたが、今朝見た夢が忘れられずにいた。

 

(何だったんだ、あの夢・・・これから先、僕達はタロウさんと出会うというのか・・・。そしてその時、タロウさんの身に何が起こるんだ?)

「・・・というわけでキンキンの衣装は・・・ヒロヒロ!!聞いていますか!!」

「・・・!!す、すみません!!考え事していました!!」

「もう~!ちゃんとしてくださいね~!ヒロヒロも先輩になるんです!!それにこのステージはヒロヒロの幼馴染であるキンキンの復帰ステージなんですから~!!ヒロヒロにとって大切な幼馴染であるキンキンの晴れ舞台の打ち合わせをちゃんと聞かないなんてピグモン怒っちゃいますよ~!!」

「す、すみません!!気を付けます!!」

 

ヒロキはトモミに怒られ肩を竦める。クララが少し頬を膨らませる中、その警護に加わるアキとミコがヒロキに声を掛ける。

 

「ム~、ワタシのステージの話の時に別の考え事をするなんテ~!」

「珍しいね・・・何を考えてたの?」

「あっ!!ひょっとして・・・別の女の事考えてたの?ヒロってばやるね~!!おジョーのステージのミーティングで他の女の子考えちゃうなんて~!!」

「ヒ~ロ~キ~!!」

「ち、違うよ!! クララちゃん落ち着いて!!ミコさんが言ってるような事は考えてないから!!実は昨日変な夢を見て・・・。」

 

ミコのからかいを聞いてクララは黒いオーラを出しながら笑顔を浮かべヒロキを問い詰める。彼女のその目は一切笑っておらず、黒いオーラを纏いながら問い詰めてくるクララにヒロキは必死になってミコの言葉を否定する。

 

「変な夢・・・デスカ?」

「どんな夢を見たの?」

「・・・死んだお爺ちゃんが出てきたんだ・・・。近いうちにタロウさんに大変な事が起こるって・・・そして・・・・・・。」

「?」

「禍々しい目のようなものが・・・。」

「目?」

「なんていうか・・・よく分からない夢だね・・・。」

「きっと疲れてるんだよ!!この間、凄い戦いがあったからヒロ、疲れ溜めちゃってそんな変な夢を見たんだよ!!」

「いや、ただの夢とは思えないんだ・・・だってタイガ達も同じ夢見たんだから。」

『ええっ⁉︎』

 

タイガ達も同じ夢を見た事に驚く怪獣娘達。そこにタイガ達も割って入ってきた。

 

『ヒロキの言う通りだ。俺達4人同じ夢を見ていたぜ。』

『ああ、明らかに何かが起こる予感がする夢だった。』

『それも・・・飛び切りヤバい事がな。』

 

タイガ達の言葉にアキとミコは思わず顔を見合わせる。2人ともこれから先、何かが起こる事を察している中、トモミが話を修正してきた。

 

「はいはい、そこまでです。ヒロヒロ達が見た夢のことは後にして今はキンキンのステージの方に集中しましょう。」

「ピグモンさん・・・。そうですね。」

 

トモミの言葉で2人は切り替える。トモミが立つと同時にヒロキ、クララも2人と共に控え室と札が貼られた部屋から出て廊下に出る。廊下を歩いていくと広い空間に出た。そこは煌びやかなステージになっていて演奏の練習をするザンドリアス達の姿が見える。彼女達が演奏を終え手を止めるとトモミが話しかけた。

 

「ザンザン‼︎ノイノイ‼︎ホーホー‼︎」

「ピグモンさん‼︎」

「どうも‼︎」

「ご・・・ご無沙汰してます・・・。」

「どうですか、調子は?」

「全員バッチリです‼︎」

「問題なくキングジョーさんのステージを熱く盛り上げられますよ‼︎」

 

ノイズラーの言葉にクララが一歩前に立って感涙しそうな表情でザンドリアス達に話しかける。

 

「ザンドリアスちゃん・・・ノイズラーちゃん・・・皆、ワタシのためにありがとうございマス・・・‼︎」

「よ、よして下さいよ、キングジョーさん‼︎」

「そうですよ!涙を流すのはステージが終わってからにして下さい‼︎」

 

涙を流しそうに見えたクララをザンドリアスとノイズラーが宥める。そこに後ろから1人の少女がやってきた。茶髪の輝くオーラを秘めた美しいその少女こそ宇宙鶴『ローラン』の魂を継ぐ少女『星江カナ』だ。カナはクララの元へ駆け寄ると挨拶を交わす。

 

「キングジョーさん、お久しぶりです‼︎」

「Oh、ローランちゃん、お久しぶりデース‼︎」

「噂には聞いてましたけど・・・やっと正気に戻ったんですね!・・・本当に良かった・・・。」

「いえいえ・・・本当にsorryデス・・・ローランちゃんにも色々と迷惑かけてしまっテ・・・。」

「そんな・・・別に大丈夫ですよ‼︎気にしてませんから‼︎元の優しいキングジョーさんに戻ってくれただけで十分です‼︎・・・ん?」

 

カナはクララの隣にいるヒロキに気付く。ヒロキもカナに近付くと挨拶を交わす。

 

「会うのは初めてですよね。初めまして、白鳥ヒロキです。」

「あっ、どうも星江カナ・・・ローランの怪獣娘です。」

「クララちゃんから聞いてます。凄い人気のモデルだと・・・よろしくお願いします。」

「はい!こちらこそよろしくお願いします‼︎」

 

お互い握手を交わす2人。握手を済ませると2人はステージの方に顔を向ける。

 

「ローランさんもクララちゃんと一緒にステージに上がるんですよね?」

「はい!私もキングジョーさんと何度か一緒に仕事しましたから‼︎」

「ローランちゃん、またよろしくお願いシマスネ‼︎」

「はい‼︎」

「お邪魔するよ〜。」

 

クララとカナが話し合っているところに2人の女性がやってきた。黒いロングヘアーに青い瞳のスーツを着た清楚な大人の女性とライトブラウンの豊満な胸の胸元が露わになった露出の多いラフな服の女性を見てカナは大声を上げる。

 

「エミリさん‼︎カレンさん‼︎」

「誰?」

「あの2人がNISHINAブランドを経営しているメフィラス星人の怪獣娘姉妹デスヨ。」

「えっ⁉︎あの2人が⁉︎」

 

そう、この2人こそソウルライザーのデザインも手掛けたNISHINAブランドを経営する悪質宇宙人『メフィラス星人』の魂を継ぐ姉妹である。清楚なロングヘアーの女性が姉でありウルトラマンと戦ったメフィラス星人の『仁科エミリ』、ライトブラウンの女性がタイガの父タロウと戦った2代目の魂を継ぐ『仁科カレン』である。2人はクララに気付くと話しかける。

 

「クララちゃん、久しぶりね。」

「ハイ、お久しぶりデス‼︎」

「モデルが停止させられたと聞いた時はどうなるかと思ったけど思ったより元気そうで安心したわよ。・・・あら、貴方は?」

 

クララと親しげに話す中、カレンはヒロキに顔を向ける。エミリもカレンの言葉でヒロキを見るとヒロキは2人に挨拶した。

 

「白鳥ヒロキって言います。お2人の話は聞いています‼︎よろしくお願いします‼︎」

「ええ、よろしくね。・・・カレン?」

「・・・・・・。」

「カレン?どうしたのよ?」

「えっ・・・ああ、なんかこの子を見た時、アタシのカイジューソウルが何かに反応したのよ。」

『え"っ⁉︎』

 

カレンの言葉を聞いたヒロキ達が思わず声を上げる。その後ろでタイガ達が相談していた。

 

『おい、確かあの姉ちゃんって・・・。』

『ああ・・・父さんが戦った方のメフィラスの魂を継ぐ怪獣娘だ・・・。』

『成る程・・・彼女のカイジューソウルがタロウの息子である君に流れるタロウの遺伝子に反応したのだな。』

『そしてそれは・・・俺の中の父さんの血が俺と一体化したヒロキから感じとれたという事か・・・。』

 

タイガ達が会議を開いている中、ヒロキはカレンの言葉を誤魔化そうとするがカレンはそんなヒロキを追求してくる。

 

「た、多分気のせいじゃないですか・・・僕、普通の人間ですよ。」

「そんな訳ないわよ。アタシ達にとってカイジューソウルはいわばもう1人の自分・・・それがさっきから・・・この瞬間もアンタから何かを感じ取っているんだから・・・ヒロキだっけ・・・貴方、何か隠してない?」

「い・・・いや・・・それは・・・。」

 

カレンの追求にヒロキはどう誤魔化せばいいか悩んでいた。クララ達も割って入ろうとするがヒロキに先に助け舟を出したのはエミリだった。

 

「はい、そこまで。ヒロキ君、困ってるよ。」

「え〜、でも姉さん・・・この子を見てると何故かカイジューソウルが何かに反応するんだよ。絶対この子何かあるって!」

「だとしても人には誰にも知られたくない秘密があるんだからあんまり深入りするのは駄目!」

「・・・は〜い。」

「御免なさいね、ヒロキ君。うちの妹が。」

「いっ、いえ‼︎気にしていません‼︎大丈夫です‼︎」

 

エミリのお陰でヒロキの秘密が守られたことにホッとするクララ達。ヒロキも安堵の表情を浮かべていた。エミリはクララとカナを見て話題を変える。

 

「2人とも・・・当日着る衣装の最終調整が終わったわ。」

「本当ですか⁉︎」

「ええ、2人とも確認して頂戴。」

 

エミリの声でクララとカナは衣装の確認に向かう。カレンはザンドリアス達に気付くと彼女達にも話しかけた。

 

「貴方達の衣装も用意したんだけど・・・見る?」

「あ、あたし達の衣装も⁉︎」

「ほ、本当ですか⁉︎」

「ありがとうございます‼︎」

「なーに、演奏をやる貴方達だって気合い入った衣装の方がやりやすいでしょ。」

 

ザンドリアス達は変身を解除するとカレンの案内で衣装が用意された部屋へ向かう。アキとミコ、トモミも衣装を見に行ったためこの中で唯一男のヒロキは廊下で彼女達が出て来るのを待っていた。

 

『何か・・・凄く時間がかかるな・・・。』

「女の子にとってファッションは重要だからね・・・このくらいは当然だと思うよ。」

『思えば・・・前にクララと一緒にショッピングモールに行った時もかなり時間が掛かったな・・・。』

『あの姉ちゃん1人であそこまで時間が掛かりゃ・・・それ以上に長くなるのは無理ねえよな・・・。』

 

トライスクワッドの面々で話し合っているとフーマが妙な気配に気付く。

 

『ん?』

「どうしたの?」

『何か今、妙な気配がしたような・・・。』

「キャアアアアアアアアア‼︎」

 

その瞬間、悲鳴が聞こえてきた。悲鳴を聞いた瞬間、ヒロキは思わずその方向へ飛び出していった。そしてヒロキが悲鳴がした場所に辿り着くとそこには1人の少女が茶色のライオンくらいの大きさの猫のような怪物に襲われていた。その少女はその怪物の爪に引っ掻かれたらしく背中に爪痕を残した傷が付いている。ヒロキは思わず彼女の元に駆け寄った。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

「君は⁉︎」

「GIRLSの白鳥ヒロキです‼︎クララちゃん・・・いや、キングジョーさんのステージの打ち合わせに来て・・・貴方は?」

「下舘マドカ・・・モゲドンの怪獣娘よ。ザンドリアス達がここでキングジョーさんのショーの演奏の練習をやるって聞いたから・・・見に来たんだけど・・・突然・・・あの猫に・・・後ろから・・・。」

「グルルルルルルルル!」

 

猫の怪物は唸り声を上げると再び飛びかかった。ヒロキは思わず彼女を抱えて猫の怪物の突進を避ける。猫の怪物は壁に激突するが頭を揺らして再びヒロキ達に視線を向ける。

 

「マドカさん・・・でしたっけ?コイツは僕が何とかします・・・。その隙に助けを呼んで下さい。」

「無茶よ!貴方1人で勝てる相手じゃないわ‼︎」

「僕は大丈夫です・・・。さぁ、早く・・・‼︎」

 

ジリジリと後ろに足を進める2人に猫の怪物は獲物を仕留めるチャンスだと思ったのか走り出して飛び掛かる。その時、猫の怪物にアギラが頭突きを浴びせていた。

 

「やあぁっ‼︎」

「ギャウン⁉︎」

「ヒロキさん、大丈夫⁉︎」

「僕は平気だ‼︎けど・・・彼女がヤバい‼︎」

 

猫の怪物はアギラの頭突きに吹っ飛ばされる。ヒロキはアギラの問いに答えるとアギラがマドカの背中を覗き込む。アギラはマドカの背中の痛々しい傷を見て絶句した。

 

「酷い・・・早く手当てしなくちゃ‼︎」

「グルルルルルルルルル‼︎」

 

アギラが背中の傷を確認していると再び猫の怪物が起き上がってきた。猫の怪物はアギラを見て忌々しそうに見ると狩りの邪魔をした存在として先に排除しようとする。その時、騒ぎを聞き付けたクララ達もやってきた。緊急事態を察したのか既にソウルライドしている。

 

「ヒロキ‼︎アギラちゃん‼︎」

「クララちゃん‼︎」

「一体何が起こったの⁉︎」

「それが・・・。」

 

大勢の怪獣娘を見て猫の怪物は自分に不利だと悟り、その場を去っていく。そして猫の怪物は何かを落としていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GIRLSに戻ったヒロキ達は状況を確認していた。いつものメンバーが合流した中でマーキンド星人とピリカがやってきて一枚のチップを取り出す。

 

「これはヴィラン・ギルドの者達の間で使われるICチップです。」

「ヴィラン・ギルド⁉︎」

「アイツら・・・まだ懲りてねえのか・・・。」

「中には脅迫状が入ってたわ。『先程の猫は我々の刺客だ。キングジョーのステージを中止しろ。さもなくばステージ当日、先程の刺客を再び送り込み、観客全てを皆殺しにする。』と・・・。」

「あの猫・・・一体何なの?」

『恐らくだがあれはヘルキャットだろう・・・。』

「ヘルキャット?」

 

タイタスの言葉でトモミ達が調べ始める。すると黒い猫のような姿の怪獣がモニターに映る。

 

「アーカイブドキュメントに出ました‼︎かつて科学警備隊のウルトリアに潜入した知能の高い怪獣です‼︎」

『奴はかなり知能が高く、体の大きさも変えられる厄介な怪獣だ。かつてジョーニアスも奴に苦戦させられた。』

「そんな怪獣を使って・・・何で・・・クララちゃんのライブを・・・。」

「多分だけど・・・ゾリンが逮捕されて金に困った連中がGIRLSに復讐の計画を企んでいると噂で聞いた事がある。」

「目的は復讐か・・・。」

「かなりヤバくなってきたな・・・キングジョーの復帰ステージ・・・。」

「中止するしか・・・ないかもしれないね。」

 

思わぬ展開にその場にいた全員がミコの言葉に頷き沈黙する。そんな中、最初に沈黙を破ったのはクララだ。

 

「いえ・・・ステージは中止しまセン‼︎必ず続行シマス‼︎」

「はっ⁉︎・・・おジョー、まさか本気⁉︎」

「ワタシは極めて本気デス‼︎ここで中止したら・・・ヴィラン・ギルドに屈服する事になりマス‼︎それに・・・ワタシを待ってくれている人達を裏切る事は出来まセン‼︎」

「馬鹿言ってんじゃないわよ‼︎観客達を危険に晒す気⁉︎」

「いいえ・・・それは違いマス‼︎」

 

クララはマコの言葉に応えるとその場にいた皆を見回して発言する。

 

「ここには頼れる仲間が沢山イマス‼︎この仲間達なら観客の皆さんを守りながらショーを続ける事だって出来る筈デス‼︎だから・・・観客を守りながらショーを続行すればいい・・・違いマスカ⁉︎」

 

クララの言葉は周りに響いた。クララの気合いの入った言葉に先に応えたのはヒロキだった。

 

「そうだよ、観客を僕達で守ればいいんだよ‼︎そうすれば何の問題もないでしょ‼︎」

「ヒロヒロならそう言うと思ってましたよ・・・。」

「わたしもヒロちゃんに賛成‼︎皆で力を合わせれば大丈VV‼︎」

 

ミカヅキもヒロキと同じ事を言い出した。そしてそれが感染るように皆が賛同していった。

 

「そうだよな・・・これだけの人数がいれば・・・ザンドリアス達のライブもキングジョーのステージも・・・守って盛り上げられるよな‼︎」

「そうっスよね‼︎これだけ人数がいれば絶対出来ますよね‼︎」

「うおーって感じで行きましょう‼︎わたし達全員で‼︎」

 

ベニオ、ミク、ヨウの元気がいい3人がその意見に賛同するとアキとレイカ、ミコとユカも顔を見合わせて思わず頷いていた。

 

「ちょっと待って。幾ら何でも危険よ。私は反対だわ。」

「そうよ、あんな広いステージの全てを守り切るなんて。」

「だったら俺も会場の警備に加わるぜ。」

 

ランとマコが反対する中、マグマ星人も警備に立候補した。ランとマコは思わず苦言を出した。

 

「ちょっと、本気⁉︎」

「俺は本気だ。昔の仲間が馬鹿をやろうとしてんなら・・・俺が行かねえ訳には行かねえんだよ。」

「会場は広い・・・貴方1人が加わっても」

「いえ‼︎私達も力を貸します‼︎」

 

そこに5人の少女が入ってきた。クララの妹のラハナに緑色の髪の眠たそうな雰囲気を醸し出した少女はメガトン怪獣『スカイドン』の怪獣娘『晴海ソラ』、褐色肌の背の低い少女は冷凍怪獣『ペギラ』の怪獣娘『アデリーナ・海堂』、跳ねた髪の眼鏡の少女は破滅魔人『ブリッツブロッツ』の怪獣娘『國枝アサミ』、赤髪の沈黙な少女は火山怪鳥『バードン』の怪獣娘『火野ユリカ』である。

 

「ラハナ・・・アデリーナ・・・アサミ・・・ユリカ・・・ソラ・・・どうして皆が・・・。」

「ワタシも・・・姉さまを助けたい・・・カラ。」

「私達もクララがモデルに復帰するの待ってたんだから‼︎」

「クララの復帰・・・ヴィラン・ギルドなんかに邪魔させる訳にはいかないのです‼︎」

「だから・・・私達も・・・戦う。」

「それにマドカちゃんを傷付けた事、絶対に許せません‼︎だから・・・私も戦います‼︎」

「・・・皆・・・。」

 

クララが感激している中、カナが1人の女性を連れてやってきた。軍人のような雰囲気の目つきの悪い女性だ。

 

「み、皆さん、待って下さい‼︎」

「ローランさん⁉︎その人は⁉︎」

「紹介します‼︎前にお仕事で警備をしてくれたアンジェリカさんです‼︎とても強くて優しくて頼りになる人です‼︎皆さんの力になってくれると思います‼︎」

「・・・・・・アンジェリカ・サーヴェリタス・・・マグマ星人の怪獣娘だ。」

「⁉︎俺達マグマ星人の怪獣娘だと⁉︎」

 

『アンジェリカ・サーヴェリタス』彼女はサーベル暴君『マグマ星人』の怪獣娘である。本来、彼女はGIRLSの特殊戦闘部隊に所属しているのだが、特殊戦闘部隊が必要な戦闘が無い時は警備に回される事もある。その警備の仕事の際、カナと知り合ったらしい。

 

「ローランから話は聞いた・・・本来なら中止するのが・・・1番だとは思うが・・・他ならぬローランの頼みだ。私も力を貸そう。」

「本当ですか⁉︎ありがとうございます‼︎」

 

トモミはクララの復帰ステージの警護に力を貸してくれる面子を眺めると頼もしい思いが湧いてくる。そして最終的に反対派はランとマコだけになった。皆の視線を感じた2人は降参したように発言する。

 

「分かったわよ。私も力を貸すわ。ただし、私は戦闘タイプじゃないからあまり期待しないで。」

「ここで反対したらわたしだけ悪者みたいじゃない・・・いいわよ‼︎力を貸すわ‼︎」

「エレエレ・・・マコマコ・・・ありがとうございます‼︎」

「よし‼︎・・・絶対にクララちゃんのモデル復帰ステージを守り抜いてみせましょう‼︎」

『おおおおおおおおお‼︎』

 

ランとマコの了承が取れたところでヒロキの号令に皆が叫ぶ。クララのステージを守る最大の作戦が始まろうとしていた。




おジョーさんの家族や実家ってどうなっているんでしょうかね・・・。


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再びその輝きを(後編)

次回からいよいよニュージェネクライマックス突入です‼︎
本当に長かった・・・‼︎
この回でやりたい事を全て詰め込んだのでこれまでの話の中で1番長い話になりましたがご了承下さい‼︎


ショーの前日の夜、ヘルキャットは高層ビルの上に立ち、キングジョーの復帰ショーの宣伝が描かれた看板を眺めていた。更にその後ろには会場となるドーム型の建物が見える。

 

「グルルル・・・。」

 

ヘルキャットは唸り声を上げるとビルの間を駆け抜けていく。そして地上に降り立ち、その身を潜める。

 

「グルルルルルル・・・・・・。」

 

ヘルキャットはそのまま会場まで駆けていく。その姿を監視カメラが捉えていた。

 

「どうですか?」

「監視カメラがヘルキャットの姿を捉えた‼︎」

「どうやらこの建物に向かっているようですね・・・。」

 

会場の監視カメラの制御室でピグモン、ピリカ、マーキンド星人がその姿を確認していた。ヘルキャットの姿を確認した3人は別のカメラの映像を確認する。

 

「ヘルキャットが消えた‼︎」

「別のカメラには写っている筈ですよ‼︎」

「あっ‼︎いました‼︎」

「ゴモゴモ‼︎レッドン‼︎そちらの近くに向かいました‼︎迎撃準備お願いします‼︎」

 

 

 

 

「了解‼︎ゴモラ、聞いたか⁉︎」

「勿論‼︎」

 

ピグモンからの通信を受けたゴモラとレッドキングは自分達の待機場所で待ち構えていた。そこに走ってくる獣の影が写る。

 

「グルルルルル・・・・・・。」

「レッドちゃん‼︎」

「来やがったか‼︎さぁ、掛かって来やがれ‼︎」

 

ヘルキャットが唸り声を上げながら近付いてくる。ゴモラとレッドキングは背中合わせで何処からでもヘルキャットが来てもいいように待ち構えている。その時、ゴモラにヘルキャットが飛びかかって来た。

 

「うわっ⁉︎こっちから来たでぇ‼︎」

「上等だ‼︎行くぜ‼︎」

 

ヘルキャットがゴモラに自身の牙を突き立てようとした時、レッドキングがゴモラの前に立ち、その顔面に拳を浴びせる。それを受けたヘルキャットは後ろに吹っ飛んでいくも空中で一回転して着地する。そしてレッドキングの方に目を向けると今度は彼女の方に飛びかかっていった。レッドキングは寸前でヘルキャットの追撃を避ける。そしてヘルキャットは地面に足をつけてブレーキをつく。するとヘルキャットのいる浴衣が盛り上がった。ヘルキャットが真下の奇妙な気配に気付いたと同時にゴモラの頭突きでヘルキャットが真上に飛んだ。

 

「ギャワン⁉︎」

「でええええい‼︎」

 

ヘルキャットは天井にぶつかると同時に地面に落ちる。そして再び体を起こした時にはゴモラとレッドキングに前後を囲まれていた。

 

「さてと・・・もう逃げられないぜ。」

「グルルル・・・。」

 

ヘルキャットは後ろに後退するが後ろではレッドキングがじりじりと距離を詰めて来た。ヘルキャットは一か八か大きく屈んでゴモラの上を飛び越えようとジャンプする。しかし、ゴモラも同時に飛び上がり空中でヘルキャットの後ろ右足を掴んだ。

 

「捕まえたでぇ‼︎」

「ガルッ⁉︎」

 

ゴモラがヘルキャットの足を掴んだ事で2人は再び床に落ちる。その間、ゴモラはヘルキャットの両足を強く掴みその場から逃げようとするヘルキャットを阻止する。ヘルキャットは振り解こうともがくが力の強いゴモラの手を振り切れずにいた。ゴモラもヘルキャットの牙と前足の爪を警戒してなるべく体を離している。その時、ヘルキャットは諦めたのか抵抗するのを止めて大人しくなる。

 

「よし、大人しくなった・・・レッドちゃん、ヘルキャットを捕まえた事をピグちゃんに」

「ガアァァッ‼︎」

「危ねえ‼︎」

「へっ・・・うわあっ⁉︎」

 

ゴモラが気を緩めて片手を離した瞬間、ある程度体の自由が効くようになったヘルキャットがゴモラに爪を突き立てた。ヘルキャットは諦めたフリをして反撃するチャンスを伺っていたのだ。ゴモラはレッドキングの警告のお陰でヘルキャットから逃れるがその際、両手とも離してしまい、ヘルキャットに逃げられる。

 

「ヤベエ‼︎」

「追わないと‼︎・・・確かあっちの方は・・・アギちゃん‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、アギラ達かぷせるがーるず3人は所定の位置でヘルキャットを待ち構えている。その時、アギラのソウルライザーにゴモラからの通信が入った。

 

「こちらアギラ。」

『アギちゃん御免‼︎ヘルキャットを逃しちゃった‼︎今、そっちに向かってる‼︎』

「分かった!気を付けるよ‼︎」

「アギちゃん、アレ‼︎」

 

ミクラスが前方からこちらに向かってくる獣のような影に気付く。ウインダムが額のスコープを付けてそれを確認するとその姿がはっきりと写し出された。

 

「間違いありません‼︎ヘルキャットです‼︎」

「よし‼︎あたし達も迎撃態勢に入るよ‼︎」

「うん‼︎ウインちゃんはマガバッサー達に連絡を‼︎」

「は、はい‼︎」

 

走って来たヘルキャットはアギラ達の姿を見るとすぐに体を屈めていつでも飛び掛かれる態勢に入る。アギラとミクラスは構えながらいつでも戦闘に入れるよう準備していた。長く続く硬直状態の中、最初に仕掛けたのはミクラスだ。

 

「うおりゃああああああ‼︎」

 

ミクラスは飛びかかりながら拳を放つ。しかし、ヘルキャットに避けられ、彼女の拳は大きな音を立てて床を砕いた。ヘルキャットはミクラスの後ろに立つとすぐに彼女の首に牙を突き立てられるように飛びかかる。その時、横からアギラがドラム缶を投げつけてヘルキャットを突き飛ばした。

 

「うううやあああああ‼︎」

「グオッ⁉︎」

 

アギラの尻尾で吹っ飛んだヘルキャットは横に吹っ飛ぶもすぐに体勢を立て直してアギラを睨む。ヘルキャットはすぐにアギラに飛びかかりその爪でアギラを切り裂こうとする。

 

「させません‼︎」

 

そこにウインダムからの連絡で駆け付けたマガジャッパが立ち塞がり両手から放つ泡でアギラを守る。ヘルキャットの爪はただ泡を引き裂いただけになった。

 

「グルッ⁉︎」

「マガジャッパ‼︎」

「お待たせしました‼︎」

 

ヘルキャットは目の前のマガジャッパを睨みつける。その時、後ろから大きな竜巻がヘルキャットを襲う。

 

「わたしの事も忘れてもらっちゃ困るぜ‼︎」

 

それはマガバッサーが放った竜巻だ。マガジャッパと同じくウインダムの連絡で駆け付けた彼女はマガジャッパが泡を放ってアギラを守っている間に竜巻を作り、それをヘルキャットにぶつけたのだ。ヘルキャットは竜巻の中で目を回しながら竜巻に巻き込まれる。やがて竜巻が収まると同時にヘルキャットが地面に衝突した。そこにウインダムの額のレーザーが命中する。

 

「ガウッ⁉︎」

 

ヘルキャットはレーザーの衝撃で意識を取り戻すと目の前の怪獣娘を睨む。しかし、このままでは勝ち目がないと踏んだヘルキャットは体の大きさを変えて小さくなる。猫くらいの大きさになったヘルキャットはアギラ達が通れない配管に潜り込んでいく。

 

「あっ‼︎待て‼︎」

「ピグモンさん、こちらアギラ‼︎マズいです‼︎ヘルキャットが小さくなって配管の中に‼︎」

『分かりました‼︎大丈夫です‼︎わたし達に任せて下さい‼︎』

 

 

 

 

 

ヘルキャットはそのまま配管内を進んでいく。やがて出口が見えるとそっと近付き耳を済ます。そして人のいる気配がしない事を確認すると飛び出していった。

 

「やはりここに出てきたか・・・。」

 

ヘルキャットはその後ろに立っていた怪獣娘に驚く。それは黒いボディスーツに右手に大きなビームサーベルを備えたアンジェリカが変身した怪獣娘『マグマ星人』が立っていた。

 

「悪いな。私はこれでも元軍人で・・・以前は特殊戦闘部隊にいた・・・気配を消す事くらい造作もない。ピグモン、助かった。」

『いえいえ、これくらいお安い御用です。お礼ならピリピリとマキマキにお願いします。』

「グルルルルル・・・。」

 

実はピグモンはピリカとマーキンド星人にアギラ達のいた場所の配管の図面を渡して何処からヘルキャットが出てくるか計算させていた。そして配管の図面と位置からヘルキャットが出てきやすい場所を絞り出して各地に人を配置させたのだ。ヘルキャットは再びライオンくらいの大きさになって目の前のマグマ星人を睨む。

 

「グルアアアア・・・アッ⁉︎」

 

そして彼女の首に鋭い牙を突き立て噛みつこうとするがその前に後ろから何かが左足に引っかかった。それはGIRLSに所属する本物のマグマ星人の放ったチェーン式のフックだった。

 

「へへっ、セーフだったな。」

「・・・余計な事を。」

 

マグマ星人(怪獣娘)は左手にフックを装着してヘルキャットの後ろに回り込む。そして彼女も隣にいるマグマ星人(本物)同様、チェーン式のフックを放ち、ヘルキャットの動きを封じる。

 

「それにしても・・・人生分からないものだな・・・。まさか本物のマグマ星人がGIRLSに入って・・・そして共に仕事する事になるとは・・・。」

「そりゃあ俺だって同じさ。何か姉ちゃんとは気が合いそうな気がするぜ。」

「フッ・・・不本意ながら私も同じ事を考えてしまったよ・・・一仕事終えたら飲みに行かないか?」

「いいぜ。但し・・・コイツを何とかしたらな。」

「グルルルルル・・・・ガアァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

ヘルキャットは2人の会話を聞きながら苛立ちを隠さずもがきながら吠える。2人はヘルキャットの咆哮を聞くと再び顔を見合わせて右手に装着されたサーベルを構える。

 

「行くぜ、姉ちゃん。」

「ああ。」

 

2人同時にサーベルを突き立てるとサーベルから光線を放つ。動きを封じられたヘルキャットは光線をまともに受けた。

 

「ガアアアアア⁉︎」

 

ヘルキャットは叫び声を上げながら光線に焼かれる。そして体の毛があちこち焦げながら地面に倒れた。

 

「よっしゃ、やったぜ‼︎」

「いや、まだだ‼︎奴はかなり知能が高い怪獣らしい‼︎油断しない方がいい‼︎」

 

喜ぶマグマ星人(本物)をマグマ星人(怪獣娘)が戒める中、ヘルキャットはふらふらになりながら立ち上がる。2人はその様子に警戒しているとヘルキャットは力を振り絞ってその場から走り出した。

 

「くそ‼︎なんてしぶとい野郎なんだ‼︎」

「確か・・・あの方向は・・・。」

 

マグマ星人(怪獣娘)はソウルライザーを取り出して何処かへ連絡を取り始める。

 

 

 

 

 

 

その頃、監視カメラの制御室前ではその前でペギラ、ブリッツブロッツ、バードンの3人が守りを固めていた。非戦闘員であるピグモン達を守るためだ。その時、ペギラのソウルライザーに通信が入る。

 

「はい、こちらペギラなのです‼︎」

『マグマだ‼︎そっちにヘルキャットが向かった‼︎気を付けろ‼︎』

「ヘルキャットが⁉︎了解なのです‼︎」

「アデリーナ、アレ‼︎」

 

ペギラがマグマ星人(怪獣娘)からの通信を切るとブリッツブロッツが指を指した方に目を向ける。彼女達の目にこちらに向かって走ってくるヘルキャットが見えた。

 

「グルルアアアアア‼︎」

「来た‼︎」

「皆・・・気を付けて‼︎」

 

ヘルキャットが飛びかかると同時に3人の怪獣娘は3方向に散る。ヘルキャットはまずペギラの方に目を向けて再び飛び掛かった。しかし、空を飛べる彼女の前では自慢の爪も空振りに終わるだけだった。

 

「悪いけどこちらは全員飛べるからね。アンタの思うようにはいかないわよ。」

 

空に飛び上がるブリッツブロッツの挑発にヘルキャットもジャンプして追いつこうとする。しかし、寸でのところで追い付かず、ヘルキャットは地面に着地する。唸り声を上げながら空を飛ぶ3人をどう始末しようか考える中、ヘルキャットは寒さを感じて後ろを振り向く。後ろからはペギラが冷凍光線を吐いている。全身を毛に覆われたヘルキャットも寒さに震えを隠せずにいた。その時、バードンが炎を放つ。ヘルキャットはその熱さに体毛を燃やしながら悲鳴を上げる。

 

「グギャアアアアアアア⁉︎」

「よし‼︎」

 

このままいけば勝てると誰もが思った時、彼女達にとって予測出来ない事が起こった。部屋の外で大きな音が響いた事で外で何が起きているのか確かめようとピグモンが外に出て来たのだ。

 

「外が騒がしいですが一体何が起きていますか〜?」

「ピグモン⁉︎」

「今、出てきちゃ駄目‼︎」

「なっ⁉︎」

 

ブリッツブロッツの声も既に遅くヘルキャットはピグモンに目を向ける。ピグモンは現状を把握してドアを閉める。ドアの隙間からピリカとマーキンド星人がその光景を見守る中、ピグモンは自身に目を付けたヘルキャットに思わず悲鳴を上げる。

 

「ヒッ・・・‼︎」

「グルルルルルルルルル・・・。」

 

ヘルキャットは漸く簡単に仕留められそうな獲物を見てしたり笑いを含んだ唸り声で鋭い牙をピグモンに向ける。そしてピグモンを見るとすぐさま走り出してその鋭い爪と牙でピグモンを引き裂こうとした。

 

「ピグモン、逃げて‼︎」

「きゃあああああああああああ‼︎」

『ピグモン(さん)‼︎』

 

ブリッツブロッツの声も虚しくヘルキャットの走る速さは素早かった。全員が思わず叫び、ピグモンが思わず最後を覚悟して目を瞑った時、ヘルキャットの牙と爪は何かにぶつかった。

 

「・・・・・・えっ・・・一体何が・・・⁉︎」

「ぐっ・・・ぐぐぐぐぐぐぐ‼︎」

「ヒロヒロ⁉︎」

 

ピグモンの目の前にはタイガトライブレードでヘルキャットの爪と牙を抑えたヒロキがいた。ヒロキは力の限り、ヘルキャットの牙と爪からピグモンを引き離そうとする。ヒロキは後ろのピグモンに呼び掛けた。

 

「ピグモンさん、大丈夫ですか⁉︎」

「は・・・はい‼︎大丈夫です‼︎」

「なら安心です・・・少し待ってて下さいね‼︎」

 

ヒロキは力の限りヘルキャットを押し返そうとする。そして力を振り絞ってヘルキャットを押し変え始めた。

 

「うおおおおおおおお‼︎」

「グルアアッ⁉︎」

 

ヒロキはヘルキャットを押し返す事に成功する。ヘルキャットはヒロキに狙いを定めるがヒロキはタイガトライブレードを構えてヘルキャットを睨む。そしてお互い硬直状態が続く中、最初に動いたのはヘルキャットだ。ヒロキはギリギリまでヘルキャットが近付くのを待つ。そしてヘルキャットが真っ直ぐこっちに向かってきた時、ヒロキはギリギリのところでヘルキャットの爪をかわす。完全にかわしきれず頬にかすり傷を作るもヒロキの体はヘルキャットの横に逸れていた。そこでヒロキは炎を纏ったタイガトライブレードでヘルキャットを斬りつけた。

 

「ギャアアアアアアア⁉︎」

 

炎を纏った剣で斬られたヘルキャットは大きな悲鳴を上げながら地面に転がる。ピグモンはヒロキに駆け寄った。

 

「ヒロヒロ、どうしてここに?キンキン達と一緒にいる筈じゃ・・・。」

「いや、そのクララちゃんから頼まれたんだ。騒がしくなってきて嫌な予感がするから様子を見てきてくれってさ。そしたら本当にピンチだったからビックリしたよ。」

「そうだったのですか・・・本当にありがとうございます。」

 

ピグモンは顔を赤らめながらヒロキに礼を言う。しかし、ヒロキの秘密を知らないペギラ達はヒロキが持っている剣を見て疑問を浮かべる。

 

「その剣・・・ウルトラマンの使っている剣に似ているのです。」

「⁉︎・・・あー・・・いや、多分気のせいだと・・・。」

「いや、この剣・・・タイガの剣にそっくりどころかそのものじゃない⁉︎さっきこの剣から炎が出てたし・・・。」

「えっ・・・いや、それは・・・。」

「それに・・・貴方を見てると・・・何故かカイジューソウルがうずく・・・どうして?」

「皆さん・・・その事は後でお話しします、だから・・・。」

 

ペギラ達がヒロキを問い詰めている中、ヘルキャットはフラフラと立ち上がる。ヒロキ達はその姿を見て再び構える。

 

「コイツ、まだ‼︎」

「皆、気を付けて‼︎」

 

ヘルキャットは再び立ち上がるとその場から走り去っていく。ヒロキ達は思わずその姿を追い掛ける。

 

「あっ、待て‼︎」

 

ヘルキャットは外に出ると再び体の大きさを変え始める。そして真の姿である黒くて背中に突起を備えた大きな猫のような怪獣に変化した。ピグモン達と共にヘルキャットを追い掛けたヒロキはその姿を見てタイガトライブレードを地面に突き刺すと迷わずタイガスパークを出現させる。

 

「くそ、ジョーニアスも苦戦した真の姿に‼︎」

「ヒロヒロ‼︎」

「分かってます‼︎トモミさんは3人に説明を‼︎タイガ、構わないよね‼︎」

『そうだな・・・タイガトライブレードを見られた以上、やむを得ないな。』

「ガアアアアアアアア‼︎」

「行くぞ、タイガ‼︎」

『ああ‼︎』

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

ウルトラマンタイガが光と共に現れてヘルキャットの顔に拳を叩き込む。その姿を見たペギラ達はタイガを見て驚いていた。

 

「嘘・・・ヒロキがウルトラマンタイガだったの⁉︎」

「はい、ヒロヒロは今まで3人のウルトラマンと共に力を合わせて戦ってきたのです‼︎」

「あのピット星人の言葉・・・まさか本当だったなんて・・・思わなかったのです。」

 

タイガはヘルキャットに戦闘態勢をとる。ヘルキャットは唸り声を上げるとすぐさま走り出す。

 

「シェアッ‼︎」

「グルルルル・・・・グルアアアアアアアアアア‼︎」

 

ヘルキャットが飛びかかって突撃してくるがタイガは側転してそれを避ける。タイガはスワローバレットを放つがヘルキャットはそれを避けて走り出す。

 

『スワローバレット‼︎』

 

ヘルキャットはそのまま高速で森を駆ける大型ネコ科の猛獣のように市街地で走り回る。タイガはヘルキャットの唸り声を辿って目を向けていた。

 

『何処だ・・・何処へ行った⁉︎』

 

タイガは辺りを見渡すがヘルキャットの姿を捉えられずにいた。その時、後ろに建てられたタイガよりも大きなビルからヘルキャットが飛び掛かってきた。そしてヘルキャットは鋭い爪でタイガの腹に切り傷を付ける。

 

「ガアアアアアアア‼︎」

『ぐああっ⁉︎』

 

そしてヘルキャットは再び市街地を走り回る。タイガは起き上がると同時にフーマと交代する。フーマは交代する度、すぐさまヘルキャットの姿を追う。市街地の真ん中で大型猫のような猛獣型の怪獣と風の覇者が人々の目には見えない速さでぶつかり合っていた。その姿を見てアギラ達と合流したピグモン達は黙って眺めているしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

その頃、ヘルキャットを送り込んだヴィラン・ギルドの宇宙人達は遠くからヘルキャットとウルトラマンの戦いを驚きながら眺めていた。

 

「ヘルキャットがウルトラマンと戦っているだと⁉︎」

「まさか・・・怪獣娘達にやられたというのか⁉︎」

「まさか・・・体を小さくしてるとはいえ相手は怪獣だぞ。」

「そのまさかだよ。」

 

宇宙人は後ろからの声を聞いて振り向いた。そこにはキングジョー姉妹、2人のガッツ星人にエレキング、緑のネグリジェのような獣殻の怪獣娘『スカイドン』がいた。

 

「アンタら、わたし達を舐めてたわね。」

「姉さまのショーの邪魔はさせマセン‼︎」

「クララ先輩のモデル復帰を邪魔するだけでなくマドカちゃんまで傷付けた貴方達は絶対に許しません‼︎」

「おのれ、やっちまえ‼︎」

「怪獣娘を始末しろ‼︎」

 

リーダーを務めるサーペント星人の言葉で武装した手下の宇宙人達が武器を持って怪獣娘に襲いかかる。

 

「「でやぁっ‼︎」」

 

2人のガッツ星人が銃を持った男達に蹴り掛かる。男達はライフルで彼女達の蹴りを弾いて引き金を引く。2人は瞬間移動で銃撃を避ける。銃撃を避けられた男達はライフルを構えながら2人のガッツ星人を探す。

 

「奴ら・・・何処に消えた?」

「くそ‼︎逃げられたか‼︎」

「「誰が逃げたって⁉︎」」

 

男達が声のした方にライフルを向けるとそこには2人のガッツ星人が立っていた。男の1人がライフルの照準を合わせて引き金を引く。しかし、ガッツ星人(ミコ)はそれを見極めると分身して銃撃を避けた。ガッツ星人(マコ)も分身してライフルで自分達を狙う宇宙人を翻弄する。

 

「ほらほら、どうしたの?」

「わたし達はこっちよ。」

「くそっ⁉︎」

 

その頃、エレキングはトンファー型の武器を使う男と鞭で激突していた。エレキングの電撃を浴びた鞭でトンファーを弾かれた男は腰に備えた拳銃に手にして引き金を引く。エレキングは左手の盾でそれを防ぐと拳銃をはたき落として鞭を振るう。

その頃、キングジョー姉妹は光弾が飛び交う中を突っ切って男達の武器を破壊していた。

 

「なんて硬さだ‼︎」

「どけ‼︎コイツを使えば1発だ。」

 

男はロケットランチャー状の武器を取り出して強力な光弾を叩き込む。しかし、それを見たキングジョーは意識を集中させてブラックスタイルに変身した。そしてペダニウムランチャーを構えるとその光弾を掻き消す一撃を放つ。

 

「なっ⁉︎」

 

男が驚いている間にキングジョーⅡが後ろに回り込み額からからの光線で武器を破壊する。そして彼女の拳が男達を吹っ飛ばした。

 

「はあああああ‼︎」

「なあああああ‼︎」

 

スカイドンは大きくジャンプしてフック星人の上に乗し掛かる。彼女は自由に自身の体重を変えられるため、今の彼女のフライングプレスはフック星人を叩き潰すには充分だった。

 

「お・・・重い・・・。」

「むぅ〜・・・女の子に向かって重いなんて失礼な‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、フーマは街をジャングルのように駆けるヘルキャットに光波手裏剣を放っていた。ヘルキャットは大きくジャンプしてそれを避ける。そして高いビルに着地すると再びビルの上から飛び掛かった。その時、フーマはタイタスに交代する。

 

『ぬうん‼︎』

「ガアアア⁉︎」

 

そしてヘルキャットが自身に近付いた地点でタイタスの拳がヘルキャットの顔面に命中した。タイタスの力強い拳にヘルキャットは吹っ飛んでいく。

 

『かつてジョーニアスが苦戦したヘルキャット・・・今度は私が相手する事になるとはな・・・来い‼︎賢者の拳を受けてみろ‼︎』

「グルルル・・・!」

 

ヘルキャットはタイタスの拳を受けても尚、立ち上がり唸り声を上げる。そしてタイタスに向かって走り出すがタイタスは拳を構えてその場を離れない。ヘルキャットがタイタスに飛び付きその肩に鋭い牙を突き立てるが強靭なタイタスの筋肉はその牙を通さなかった。

 

『効かん‼︎』

「ガアアアアアアアアアアア⁉︎」

 

タイタスはヘルキャットの背中に腕を回して大きく締め付ける。その痛みにヘルキャットは思わず悲鳴を上げていた。そしてヘルキャットを下ろすとその顔面に再び拳を撃ち込んだ。

 

『タイタス、バトンタッチだ‼︎』

『うむ‼︎』

 

タイガに交代するとタイガはヘルキャットに飛び蹴りを放つ。飛び蹴りを受けたヘルキャットはたまらず後ろに後退した。すかさずタイガはハンドビームを放つ。

 

『ハンドビーム‼︎』

 

ヘルキャットは光線を避けようと走り出すが怪獣娘との戦いの疲れと先程までの戦闘で完全にかわしきれず後ろ足に光線が命中する。後ろ足にハンドビームを受けたヘルキャットは忌々しそうに唸りながら足を引き摺っていた。

 

「グルル・・・‼︎」

「今だ、ヒロキ‼︎」

 

タイガの声でヒロキはタイガスパークのレバーを引く。

 

〈カモン!〉

 

そしてヒロキは左腕にプラズマゼロレットを出現させるとその力をタイガスパークに読み込ませた。

 

〈プラズマゼロレット、コネクトオン‼︎〉

 

タイガにゼロのビジョンが映るとゼロがワイドゼロショットを放つ時のチャージと同じ動きをしたタイガが腕をL字に組んでゼロの力を宿した光線を放つ。

 

『ワイドタイガショット‼︎』

 

逃げようとするヘルキャットもこれまでの戦いで疲れた体では光線から逃げ切る事は出来ない。ゼロの力を加えた強力な光線を受けてその黒い体毛ごと体が焼き焦げ、やがて大爆発を起こした。

 

 

 

 

そしてショー当日、観客席は大勢の客で賑わっていた。ヒロキ達は舞台裏でその様子を眺めている。

 

「凄い、こんなにも多くの人達が・・・。」

「それだけクララちゃんの帰りを待っていた人達がいたんだよ。」

「やっぱりキンちゃんは凄いよね〜。」

「もう、褒めても何も出ないデスヨ!」

 

ヒロキ達の会話に照れ臭そうな表情をしたクララが入ってくる。今の彼女の衣装はキングジョーのカラーリングである金色をベースにしたフリフリで彼女自身のスタイルがよく分かるドレスだった。それに加えて赤い髪飾りに黒いストッキングが彼女の綺麗な足を表している。

 

「それが今回の衣装?」

「ハイ、やはりワタシ自身のカイジューソウルに因んで金がいいかなと思いましテ・・・。」

「でも・・・すっごく似合うじゃん‼︎さっすがおジョーだよ‼︎ねえ、ヒロ‼︎」

 

ミコがヒロキに話題を振るとヒロキは何も言わずクララに見惚れている。クララに見惚れるヒロキにマガコンビが大声で叫んだ。

 

「「ヒロキさん‼︎」」

「わっ・・・な、何?」

「あれ〜、もしかしてヒロってばおジョーに見惚れてた〜?」

「い、いや・・・そんな事は・・・。」

 

ミコのからかいに顔を赤くしながら否定するヒロキ。そんなヒロキの様子を見て気を良くしたクララがヒロキの腕に自身の胸を押し付ける。

 

「ヒロキ〜♪」

「⁉︎ちょっ・・・クララちゃん⁉︎」

「嬉しいデス‼︎漸くワタシだけを見てくれたんデスネ〜‼︎」

「オホン‼︎・・・キンキン、そろそろステージに上がる時間です。」

 

自分に見惚れてた事に嬉しくなったクララが自身の豊満な胸を更に押し付ける。その感触で顔を赤くするヒロキの後ろからトモミが声を掛けてきた。

 

「Ohh、いけマセン‼︎そろそろステージに上がらないト‼︎・・・では、またネ、ヒロキ‼︎」

「‼︎」

 

クララは去り際にヒロキの頬にキスを落とす。ヒロキは再び顔を赤くしてクララの後ろ姿を見る。ヒロキに好意を持つ者達はその様子を見て頬を膨らませてヒロキを問い詰める。

 

「ゴルァァ‼︎ヒロキ‼︎」

「べ、ベニオさん⁉︎」

「さっきからキングジョーさんにデレデレして‼︎」

「ヨウちゃん⁉︎」

「そんなにキンちゃんのおっぱいがいいんか‼︎ええ、おい‼︎」

「ひ、酷いです‼︎あからさまにあんなにデレデレして‼︎」

「み、ミカヅキさんにユカちゃん‼︎落ち着いて‼︎ていうか僕、デレデレしてなんかいないってば‼︎」

「嘘付くな‼︎明らかにデレデレしてたやろ‼︎」

 

その様子を見て楽しそうに見ているミコと隣で震えるかぷせるがーるずは顔を見合わせて話し合っていた。

 

「いやぁ〜、こんな昼ドラのような光景をリアルで見られる日が来るとはね〜。ねぇ、アギ達も面白いと思わない?」

「い、いやその・・・。」

「皆の目がギラギラしてて・・・。」

「どちらかと言えば・・・怖いです。」

 

かぷせるがーるずがコソコソと小声で話す中、ランとマコは興味なさそうに部屋から立ち去る。それと同時にクララの妹であるラハナが入ってきた。

 

「あの・・・ヒロキ兄さま。」

「ラハナちゃん!どうしたの⁉︎」

「そろそろショーが始まりマス・・・。」

「ああ、そうか・・・じゃあ僕はここで‼︎」

「あっ‼︎待て、ヒロキ‼︎」

 

 

 

 

 

 

そして漸くステージにスポットライトが照らされる。そして白銀のドレスを着たカナとクララがステージに立つ。その後ろではザンドリアス達が演奏の準備をしている。そしてクララのスピーチが始まった。

 

「おジョーさん‼︎」

「どうも・・・クララ・ソーンデス。長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんデシタ・・・。ワタシは自身を見失いすぎて多くの人達に迷惑をかけてしまいマシタ。けど、この謹慎期間を経て様々な事に触れ、怪獣娘キングジョーとしてだけでなく・・・1人の人間としても大きく強くなれたと思ってイマス‼︎そして・・・今日‼︎その経験を経て新しくなってワタシは・・・ステージに帰ってきマシタ‼︎皆さん、今日は楽しんでいって下サイ‼︎ソウルライド、『キングジョー』‼︎」

『ワアアアアアアアアア‼︎』

 

キングジョーの声に大勢のファンの歓声が鳴り響く。大声で叫ぶと同時にクララはステージで一歩踏み出すとポーズを決めながらソウルライザーを操作し、怪獣娘に変身する。

 

「クララちゃん・・・凄く輝いてる・・・。」

「ステージでいつもキラキラ輝いていたあの姉さまが帰ってきたんデスヨ・・・。」

「本当に良かった・・・ステージに立ったクララちゃんが1番生き生きとしているように見えるもん・・・。」

 

ステージをモデルの歩き方で進むキングジョーはヒロキに気付くと思わずウインクを送る。観客達が自分に送られたものだと思って湧き立つ中でヒロキは自身に向けられたと知って思わず顔を赤くする。ラハナは少し悲しそうな顔をするも最後には笑顔で姉の姿を眺めていた。

 

 

 

 

ザンドリアス達のバンドとクララ、カナの両者のお陰でショーは無事開幕を終えた。その帰り道でヒロキとクララは他の皆と合流していた。

 

「キングジョーさん‼︎」

「お疲れ、おジョー‼︎」

「アギラちゃん・・・ガッツ・・・ありがとうございマス‼︎しかし、今回のステージはワタシだけでは成り立ちませんデシタ。ザンドリアスちゃん達の演奏にローランちゃん・・・NISHINAブランドの2人も力を貸してくれたからデス。多くの人達がいたからこのショーを成功させられた事を忘れないで下サイ。」

「おジョー・・・。」

 

その一方でヒロキは何かを感じて突然後ろを振り返る。しかし、そこには誰もおらずステージがあった建物が見える。トモミは思わずヒロキに訊ねる。

 

「どうしました?」

「今、誰かこっちを見ていた気がして・・・気のせいか。」

 

ヒロキは特に気にせず振り返る。そしてヒロキ達はその場を去っていった。しかし、建物の影から7人の青年達が現れた。

 

「成る程・・・あいつがゼロの言っていた白鳥ヒロキか・・・。」

「奴の仲間達の特徴もピッコロから聞いた通りだ。間違いない。」

「じゃあ・・・あの子達の中に・・・ゴモラの怪獣娘も・・・。」

「恐らくいるだろうな・・・。」

「で・・・誰が彼と接触します?彼の事は確認出来ました。後はどうにか接触する機会を見つけないと。」

 

青いジャケットにオレンジのシャツの青年の言葉でその場にいた青年達は黙り込む。オレンジの隊員服を着た青年が再び口を開いた。

 

「お前ら、本当にどうするんだ?奴が復活するのも時間の問題だ。決断の時は近いぞ。」

「分かりました。俺が行きます。」

 

そこで挙手したのは赤いジャケットを着た青年だった。青いジャケットに白いシャツの青年が思わず訊ねる。

 

「おい、カツ兄‼︎本当に大丈夫か⁉︎不審がられず近付く手段があるのか⁉︎」

「ある。・・・あくまで賭けだけどな。何とかヒロキ君に近付いて俺達の力を返してもらう。タイガ達の力を借りないとアレは倒せないからな。俺達7人のウルトラマンが力を合わせても封印するのが精一杯だったアイツには・・・。」

 

カツ兄と呼ばれた青年は自身の弟らしき青年の疑問に答えると白い大きな両手で引くレバーが備わったアイテムを見つめていた。




怪獣娘タイガ・・・遂に最終章へ‼︎
混沌の邪神が遂に復活‼︎

「グギャアアアアアアア‼︎」

伝説のヒーロー、ウルトラマンNo.6ことウルトラマンタロウ遂に降臨‼︎

『父さん⁉︎』
(あの人が・・・お爺ちゃんが憧れたあの・・・。)

しかし、タロウの身に異変が起こる‼︎

『父さん、止めてください‼︎』
(タロウさんに一体何が起こったんだ⁉︎)

その裏で手を引くのは・・・。

「やぁ、怪獣娘のお嬢さん方。」
「トレギア、てめえ‼︎」
「生きていたのね!」

絶体絶命のピンチが訪れるとき・・・

「君達が白鳥ヒロキ君とクララ・ソーンちゃんだね。」
「貴方は?」
「俺は湊カツミ・・・またの名を・・・ウルトラマンロッソ。」
「俺は弟の湊イサミ。またの名をウルトラマンブル。」

あの男達がやってくる‼︎

「もしかして・・・貴方達、まさか⁉︎」
「ああ、俺達もウルトラマンさ。」
「お前達も力を貸してもらうぞ。」
「アレってわたしのカイジューソウルのゴモラ⁉︎でも・・・なんか人工的な感じが・・・。
「サイバーゴモラ、俺達の頼れる仲間だ。」
「誰⁉︎」
「わたし達の元の怪獣の事を知ってるんですか⁉︎」
「ああ、よーく知ってるぜ。」

ニュージェネレーションヒーローズ集結‼︎

「ショオラッ‼︎」
「ツィア‼︎」
「イーッサッ‼︎」
「ヘアッ‼︎」
「シュワッ‼︎」
「「ハァッ‼︎」」
「シェアッ‼︎」

そして最悪の闇が目覚める時・・・

『タイガ、俺達の力をお前に預ける‼︎』

最大の奇跡が起きる‼︎

「タイガが・・・ヒカルさん達と・・・ギンガ達と合体して・・・。」
「新たな戦士に・・・‼︎」

怪獣娘タイガ最終章


ニュージェネクライマックス編


次回より始動‼︎


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最終章 ニュージェネクライマックス前編 蘇る混沌①

遂にニュージェネクライマックス編に突入です‼︎

尚、ニュージェネレーションクロニクルで『つなぐぜ!願い‼︎』、『きたぞ!われらのウルトラマン‼︎』が三分割されて放送された事から劇場版エピソードをTV放送するなら三分割かと思い、前半、中編、後半に分けてそれぞれを三部構成ずつお送りします。

帝国機兵『レギオノイド ダダ・カスタマイズ』登場


巨大なクリスタルが宇宙空間に浮かんでいる。それは宇宙空間を漂いながら地球の周りを浮遊している。そしてクリスタルの中には何かが封じられていた。それは大きな目だった。その目は真っ直ぐ真下にある地球を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙からこの星を眺めている存在がいるとも知らず、地球のとある美術館ではその地下駐車場で縞々模様の三面怪人『ダダ』の集団が走っていた。そしてその後ろを追っている者がいる。

 

「バラージの青い石が盗まれたぁぁぁぁ⁉︎」

「うん‼︎早く追わないと‼︎」

「どうせ盗難用の保険金掛けてあるんだろ‼︎そんなに必死に追わなくてもいいじゃねえか‼︎」

「あのね!これはお金の問題じゃないの‼︎わたし達GIRLSの信用に関わる問題なの‼︎」

「ガッツ‼︎」

「分かってる‼︎」

 

それはヒロキ達だった。マグマ星人の言葉にガッツ星人(ミコ)が反論する中、アギラが呼び掛ける。アギラの声を聞いた彼女は先にダダ達を追い掛けるヒロキ、ガッツ星人(マコ)の後ろを追いかけて行く。

 

 

 

その頃、GIRLSではピグモンが美術館の館長からの電話応対受けている。ピグモンは必死に館長からの応対に答えていた。

 

「はい・・・はい・・・警備に不手際は無かったです‼︎・・・はい・・・はい・・・大丈夫です‼︎絶対に取り返しますから‼︎わたし達GIRLSに任せて下さい‼︎」

「何かトラブルが発生しました?」

「よりにもよって秘宝展の目玉を盗まれちゃったんです‼︎」

「あっちゃ〜・・・。」

「マズいです‼︎もしも損害賠償を請求されるなんて事になったら・・・‼︎」

「幾ら国際機関のGIRLSといえど大打撃は避けられマセンネ・・・。」

「キンキンとピリカさんは防犯カメラから窃盗団の位置を特定して下さい‼︎」

「「了解(デス)‼︎」」

「皆さん、必ずバラージの青い石を取り戻して下さい‼︎但し、無茶はしないで下さいね‼︎」

 

 

 

 

「了解です‼︎」

「と言っても・・・どうやって取り返す⁉︎」

「この銃撃を何とかしないと‼︎」

 

柱に隠れて通信を切ったアギラに2人のガッツ星人が呼び掛ける。その時、ヒロキが突然前に出て駆け出していく。

 

「ちょっと、ヒロキさん‼︎」

「無茶な真似は止めろって言われたばかりでしょうが‼︎」

「大丈夫‼︎僕には頼れる相棒がついてるから‼︎」

 

アギラとガッツ星人(マコ)の静止にそう返すとヒロキは銃弾の中を突っ込んでいった。時に前転、時に柱に隠れたりして敵に近づいていくヒロキ。その時、彼の頼れる相棒が呼び掛けて来た。

 

『ヒロキ、後ろ‼︎』

 

タイガの声でヒロキは後ろに回り込んできたダダを裏拳で吹っ飛ばす。その時、筋肉自慢の相棒が呼び掛ける。

 

『フロントダブルバイセップス‼︎』

 

タイタスの声で両腕を顔の横で曲げるとその拳が突撃して来たダダを吹っ飛ばす。それと同時にスピード自慢の相棒が話しかけて来た。

 

『からの右回し蹴り‼︎』

 

先程裏拳で吹っ飛ばされたダダが息を吹き返して突撃するもフーマの言葉で回し蹴りを受けたダダは大きく吹っ飛ばされる。3人のダダはその場で地面に倒れる。

 

「しめしめ・・・上手く追手から逃れたダダ・・・あっ・・・ダダ〜⁉︎」

 

後ろに下がるリーダー格のダダは後ろに下がりながら安堵するがその後ろはすでにアギラが塞いでいた。ダダは振り向くと同時に彼女の尻尾の打撃を受け、思わず手に持っていた青い石を離してしまう。アギラはそれを確かに手に取るとその場にやって来たガッツ星人(マコ)に渡す。

 

「マコ、これを早く‼︎」

「分かったわ‼︎」

「そいつを返すダダ‼︎」

 

ダダはライフルを取り出すとすかさず油断していた彼女達に発砲する。彼女達は思わず構えるもマグマ星人が2人を庇い負傷した。

 

「マグマ‼︎」

「大丈夫だ・・・。」

 

地球人より頑丈な体のマグマ星人は傷を負いながらもサムズアップを決める。そこに合流してきたガッツ星人(ミコ)とミクラスはマグマ星人に駆け寄った。

 

「何か銃声が・・・って⁉︎」

「アギ、マグマ、どうしたの⁉︎」

「悪い・・・ちょっとヘマしてな・・・。」

「ボク達を庇って・・・。」

「2人ともマグマを頼むわよ‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)はダダの後ろに瞬間移動で回り込むとすかさず右ストレートでダダを吹っ飛ばす。そして吹っ飛ばされた先にはアギラが突進してきた。

 

「うううやああああ‼︎」

 

アギラの突進でダダは地面を転がりながら倒れる。その時、ヒロキも合流してきた。

 

「皆‼︎奴の手下はやっつけた‼︎・・・ってマグマ⁉︎」

「撃たれたみたいなの・・・。」

「俺の事は心配するな・・・大した怪我じゃない。」

 

ヒロキもマグマ星人に駆け寄る中、ダダは立ち上がると操作パネルのようなホログラムを映し出す。

 

「ダダ・・・お前らを踏み潰してそいつを回収すればいいだけダダ‼︎」

『⁉︎』

 

そしてそれを操作すると何処かへテレポートした。すると外の夜の街に縞縞模様の大きなロボットが現れる。ベリアル軍が作ったロボット『レギオノイド』をダダが改造した帝国機兵『レギオノイド ダダ・カスタマイズ』が現れたのだ。突然の地響きにピグモンからの通信を受けて怪獣娘達は現状を把握する。

 

『皆さん、大変です‼︎そちらに巨大ロボットが出現しました‼︎』

「巨大ロボット⁉︎」

「本当にあたし達を踏み潰すつもりって事⁉︎」

「揺らさないでくれよ・・・。」

「ヒロ‼︎」

「分かってる‼︎」

 

ヒロキは外に出るとレギオノイドを確認する。ダダが呼び出した巨大ロボットを見据えてタイガスパークを出現させる。

 

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガは出現するなり飛び蹴りを放つ。それを受けたレギオノイドは地響きを立てて後ろに倒れる。

 

「ヘアッ‼︎」

 

レギオノイドは右手にドリルを装備するとタイガに向かっていく。しかし、逆にタイガの拳を受けて後ろに後退するとドリルを突き立てるがタイガはそれをかわす。ドリルによる突きを再び放つがそれを全て避けられると肉弾戦に挑もうとするが左手の拳を受け流されてしまう。再びドリルを突き立てようとするがそれも蹴りで防がれる。

 

「シェアッ‼︎」

 

レギオノイドは再びドリルを突き立てるがタイガに受け止められ体の向きを変えられると腕の関節部分に膝蹴りを受けて距離を取る。そして再びドリルを向けて突進したところをタイガは受け流し、蹴りを放って機体を吹っ飛ばした。

 

「シェアッ‼︎」

 

レギオノイドはドリルから光線を放つ。それはタイガに命中して大爆発する。しかし、右横から手裏剣状の光線を受け、光線が止められた。

 

『銀河の風と共に参上‼︎速さなら誰にも負けねえぜ‼︎』

 

フーマが近づくと同時に左手で殴りかかるレギオノイドだが、フーマにはその程度の攻撃をかわすことなど造作もない。あっという間に背後を取られ、背中に手刀を3発受ける。レギオノイドは後ろに敵がいると感じ、裏拳を放った。しかし、これもフーマに避けられる。

 

『へっへへへ‼︎』

 

再びレギオノイドはドリルを外した右手で殴りかかるがフーマは簡単にそれを取り押さえる。そして腹部分に発勁を受けて後ろに後退した。

 

『来いよ!』

 

フーマの挑発に乗ったレギオノイドは拳を叩きつけようとするがバク転で避けられてしまう。

 

『おいおい、どうした?』

 

再びフーマに向かっていくレギオノイド。フーマはロボットの腕に蹴りを2度放ちレギオノイドを後退させる。そして後退する中、蹴りでダメ押しした。

 

『行くぜ‼︎』

 

高速でレギオノイドに接近したフーマはまずは正面から手刀でその機体に火花を散らす。そしてレギオノイドが取られられない速さで後ろに回り込んで手刀を放ち再び機体に火花を散らす。そして再びレギオノイドに近付いた時、タイタスに交代した。

 

『よっと旦那‼︎』

『・・・近い‼︎』

 

フーマから変わったタイタスの言葉でレギオノイドは後ろに下がる。

 

『来なさい。』

 

タイタスの言葉でレギオノイドは左腕をぶつける。しかし、胸で受け止めたタイタスはその一撃に微動だにしなかった。

 

『効かん‼︎こうだ‼︎』

 

タイタスの放った右腕の一撃を受け、逆にレギオノイドが後退する。再びレギオノイドが拳を放つがそれをタイタスは軽く両腕で防ぐ。レギオノイドはタイタスの腹に目をつけ拳を打ち込むが両腕を頭に置き胸を張ったタイタスに弾かれる。再び両者はお互い距離を取り、タイタスが力を込めた拳を放つ。その拳の一撃でレギオノイドは軽く吹っ飛んだ。

 

『賢者の拳は全てを砕く‼︎』

 

タイタスの前で立ち上がるレギオノイドを見てタイガも声を上げる。

 

『最後は俺が決める‼︎』

『ああ‼︎』

『ヒロキ、プラズマゼロレットだ‼︎』

(ああ‼︎)

 

タイガはタイタスから変わるとヒロキに声を掛ける。ヒロキはタイガの言葉を聞くとタイガスパークを引く。

 

〈カモン!〉

 

そしてヒロキは左腕にプラズマゼロレットを出現させるとその力をタイガスパークに読み込ませた。

 

〈プラズマゼロレット、コネクトオン‼︎〉

 

タイガにゼロのビジョンが映ると両腕を胸で合わせ、全身に光エネルギーを溜める。そして全身から虹色の光線を放つ。必殺光線を受けたレギオノイドは耐え切れず大爆発を起こした。

 

(よっし!この調子でこの星を守っていこうぜ、相棒‼︎)

『ああ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

とある宇宙で幾つもの柱が並ぶ遺跡があった。そこに足を踏み入れ歩いている者がいる。タイガの父でありウルトラマンNo.6ことウルトラマンタロウだ。

 

『時空が歪み近づく事を禁じられた宇宙遺跡・・・ボルヘス・・・。」

 

タロウは自身がいる遺跡『ボルヘス』の墓に目を向ける。すると墓から仮面を付けた青い巨人が現れた。それはあのウルトラマントレギアだった。

 

『やはりここだったか・・・。』

『タロウ・・・昔は2人でよくこんな感じの場所を探検したな・・・。』

『ああ・・・お前とは随分と無茶な事をした。』

 

タロウが歩み寄るとトレギアは光線を放ちタロウを牽制する。

 

『それ以上近付くな・・・!』

 

トレギアはダメ押しと言わんばかりに光線を放ち続ける。タロウは岩陰に隠れて光線から流れる。

 

『かつてこの宇宙は混沌が支配していた・・・光も闇も全てが入り混じっていた・・・ここはその混沌を封じ込めた墓場だ‼︎』

『何故、その墓を暴いた⁉︎』

『混沌の強大な力を我が物とするためだ‼︎』

『お前は魂を侵食されてしまった・・・一緒に光の国に帰ろう‼︎今ならお前を‼︎』

『フハハハハハ‼︎何も分かっていないな、タロウ!お前達の言う光に意味が無ければ・・・闇の中にも答えは無い・・・!』

『トレギア‼︎』

 

トレギアは墓の中に再び入っていく。タロウは急いで駆け出すも追い付いた時にはトレギアは姿を消してしまう。

 

『幻影か・・・。』

『フハハハハハハハハ・・・ハハハハハハハハハハ・・・。』

 

タロウは上から笑い声を聞き見上げると巨大なトレギアの幻影が現れる。

 

『昔のよしみで教えてやろう・・・今グリムドは私の中にはいない。』

『何っ⁉︎』

『お前の息子、タイガの光が私を貫いた時、封印が緩み・・・あの邪神魔獣を解き放ってしまった・・・。』

 

トレギアは自身の体から禍々しいオーラに包まれた目が飛び出た事、7人のウルトラマンがそれに光線を放ちクリスタル状の結界な封印した時を思い出す。

 

『グリムドと戦ったウルトラマンギンガ達は自らの変身能力と引き換えに結界を張り、奴を封じ込めた・・・だが、その結界はまもなく破られる・・・グリムドはタイガのいる地球に現れる・・・。』

『な、何だと⁉︎』

 

トレギアの幻影は逆さまになってタロウの元に現れる。そして自身の言葉を聞いたタロウに更に追い打ちを掛けた。

 

『そうなると地球を愛するタイガ君はどうするだろうね・・・タロウ、あまり考えている時間は無いぞ。』

 

そしてトレギアの幻影は完全に姿を消した。その姿を見てタロウは思わず呟いた。

 

『トレギア・・・。』

 

そしてかつて光の国でゼロとピッコロから聞いた事を思い出す。

 

『・・・確かあの地球には・・・健一君の・・・いや、まさか・・・まだそうだと決まった訳では・・・しかし・・・もしもそうだとしたら・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

その頃、タイガがいる地球ではGIRLSでヒロキ達がトモミからの報告を聞いていた。

 

「皆さん、マグマグの事は大丈夫です。リハビリが必要なため長期入院にはなりますが命に別状は無いそうですよ。」

「本当に助かって良かった・・・。」

「マキマキはマグマグの付き添いで暫くは休職扱いになりますからその事もよろしくお願いしま〜す。」

「分かりました。」

 

ヒロキ達がホッとしているとアキとマコがピリカに話しかける。

 

「ピリカさん、マグマの好物とか分かります?」

「調べて貰えないかしら?」

「2人ともどうしたの?」

「マグマが怪我したのはボク達のせいだから・・・。」

「お詫びというか・・・お見舞いが必要だと思って・・・。」

「ヒロヒロ‼︎」

 

ヒロキはトモミの呼び掛けを聞くと彼女の前に立つ。隣にはクララもいる。ヒロキは不思議そうにしていた。

 

「報告なら一通り・・・。」

「そうじゃなくて・・・最近なヒロヒロは無茶しすぎじゃないですか?」

「ワタシも心配なんデス。・・・昨日の夜モ・・・。」

「2人とも、僕は宇宙人と人間と怪獣娘、3つの架け橋になると決めたんです‼︎多少の無茶は仕方ないですって‼︎・・・まぁ、全然無茶じゃないんだけどね‼︎」

 

ヒロキの言葉を聞いたタイガ達は心配そうに話し始める。

 

『確かに最近のヒロキは無茶が過ぎるな・・・。』

『そういやタイガ、あの事、ヒロキに話したのかよ?』

『いや、まだだ・・・まだ話してない。』

『どうすんだよ・・・早く話さないと・・・。』

『分かってるよ・・・分かってる・・・そんな事くらい・・・‼︎』

 

タイガ達は何かヒロキに話さなければならない事があるみたいだが3人ともその話を切り出さずに苦悩しているらしい。3人ともタイガが黙りこくった事で押し黙ってしまった。




来週こそ連投したいですね・・・ゴールデンウィーク分の遅れを取り戻す為にも‼︎


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最終章 ニュージェネクライマックス前編 蘇る混沌②

後日、修正しようかなと思います。


「ば、バサちゃん・・・わたし怖いよ・・・。」

「大丈夫だよ、わたし達は怪獣娘だぜ!そこらの男なんかよりずっと強いし‼︎」

 

マガコンビこと風巻ヨウと竜波ユカはとある廃墟に訪れていた。2人は調査部と外事X課からある情報を聞いてヴィラン・ギルドの宇宙人達の溜まり場となっていると噂の廃墟を訪ねたのである。

 

「見ろよ、ジャッパ。わたし達を既に出迎えている奴らがいるぜ。」

「ふえ・・・ひいっ⁉︎」

 

ヨウが指指した場所には既にヴィラン・ギルドと思われる柄の悪い宇宙人達が酒を飲んでいた。宇宙人達はヨウ達に気付くと面白そうな様子で話し始めた。

 

「何だぁ?この姉ちゃん達?」

「よく見りゃ可愛いじゃねえか!結構胸もデカいし‼︎」

「お嬢ちゃん達何の用だい?おじさん達が可愛がってあげようかぁ?」

「ひぃ⁉︎」

「わたし達はGIRLSだ‼︎お前らヴィラン・ギルドがヒロキさんを狙ってるって情報を掴んだんだ‼︎」

「ほう・・・GIRLSがねぇ・・・。」

 

男達に怯えるユカを庇いながらヨウが勇ましく話す。宇宙人達の中でバド星人は興味深そうな声で呟いた。そして2人はその場に隠れていた多種多様なヴィラン・ギルドに所属する宇宙人達に囲まれてしまう。

 

「へへっ、知りたきゃ分かってるよなぁ‼︎」

「俺達全員の相手してもらうぜ、うへへへへ‼︎」

「うほおおぉ・・・2人ともおっぱいでけえ・・・迷うなぁ・・・。」

「俺、髪長い方がいい‼︎気が強そうな奴だから調教しがいがありそう‼︎」

「俺はボブヘアーの方かな・・・大人しそうな顔がそそるぜぇ‼︎」

「俺は2人まとめて楽しみてぇ‼︎」

「俺も俺も‼︎こんな可愛い娘を相手に出来るなんて中々無いからな‼︎」

「死なない程度に痛めつけて・・・後は全員で・・・おほおおおお‼︎興奮してきたぁぁ‼︎」

「ひぃっ⁉︎」

「この下衆野郎共・・・お前らなんかにわたし達の純潔奪われてたまるか・・・怪獣娘にそんな口を聞いた事後悔させてやるよ‼︎ジャッパ‼︎」

「う、うん・・・‼︎」

「ヘッヘッへ・・・ここにいる全員で掛かれば怪獣娘も怖くないぜ。お前ら、やっちまえ‼︎」

 

下衆な笑いを浮かべながら自分達に迫ってくる宇宙人達に怯えた表情を見せるユカを庇いながらヨウが睨んでソウルライザーを取り出した時、何処からともなく音楽が鳴り響いてくる。

 

「な、何だこの音楽・・・?」

「・・・バサちゃん、見て‼︎」

「えっ?」

 

その場にいた者全員が思わず音楽が聞こえた方に振り返るとレザージャケットに中折れ帽を被ったいかにも風来坊という雰囲気の男がハーモニカのような楽器を吹いている。その場にいた者達は思わず男の楽器から奏でられる音楽に耳を立たずにはいられなかった。

 

「お前さん達、お嬢さん2人相手に大勢で掛かるのは大人げないぜ。」

「「誰?」」

 

男は演奏を終えると男達に呼び掛ける。そして飛び上がってヨウとユカの前に着地すると彼女達を守るように立ち上がった男は2人に呼び掛けた。

 

「俺の名はガイ、クレナイ・ガイ。」

「クレナイ・・・ガイ?」

 

ヨウとユカが『クレナイ・ガイ』なる青年の顔を見上げた時、2人の脳裏にO型のカラータイマーを持つウルトラマンが自身と戦っているようなビジョンが映る。

 

「⁉︎・・・何今の?」

「ったくお嬢さん達、ここはお前さんらが来るようなところじゃないぜ。」

「・・・えっ・・・あっ・・・大丈夫です‼︎わたし達はGIRLSの怪獣娘です‼︎こんな奴ら何ともありません‼︎」

「それよりお兄さんは下がって下さい‼︎この宇宙人達はわたし達の仲間を狙っているらしいんです‼︎」

「仲間って・・・タイガと白鳥ヒロキ君か?」

「そうそうって・・・えっ⁉︎」

「な、何でヒロキさんの事を知ってるんですか⁉︎しかもヒロキさんとタイガさんの関係まで‼︎」

「とある情報筋からな・・・安心しな、俺はお前らの味方だ。」

 

2人は思わず顔を見合わせる。そして暫く考えると結論を付けた。

 

「分かりました‼︎この場は信じます‼︎」

「その代わり、後でお話を聞かせて下さいね‼︎」

「ああ、勿論だ。」

「「ソウルライド‼︎」」

 

2人はソウルライザーで怪獣娘に変身する。その姿を見てガイは呟いた。

 

「そうか、お前さんらがマガバッサーとマガジャッパの怪獣娘だったのか。」

「えっ⁉︎わたし達の元の怪獣の事を知ってるんですか⁉︎」

「ああ、よーく知ってるぜ。昔やり合ったからな。」

「それってどういう・・・?」

「話は後だ、来るぞ‼︎」

「やっちまえ‼︎」

「男の方は殺しても構わんが女は絶対に生かせ‼︎後のお楽しみのためにな‼︎」

 

自分達を取り囲んでいた宇宙人達が一斉に襲い掛かってきた。マガバッサーは翼をはためかせて竜巻を作りそれを正面にいる宇宙人達に飛ばす。すると竜巻に巻き込まれた宇宙人達が竜巻の中でぶつかり合った。マガジャッパは水流で男達を吹っ飛ばし、泡で自身の身を守りながら戦っている。

 

「うおりゃあ‼︎」

 

ガイは突撃を仕掛けた目の前の男に右ストレートの拳を食らわす。その男が吹っ飛んだ時、クラカッチ星人が後ろからナイフを持って掛かる。ガイはその手を抑えると手刀でナイフをはたき落とし、そのまま蹴りでクラカッチ星人を吹っ飛ばした。

 

「ぐああっ‼︎」

 

バド星人が銃を構えてガイを狙って引き金を引く。ガイはバド星人の銃撃に気付くと体を逸らして避ける。バド星人はかわされたと知ると更に引き金を引き続けるがガイは光弾を掴んでバド星人に投げ返した。ガイが投げ返した光弾を受けてバド星人は大きく吹っ飛んで地面に倒れた。ガイは隣に視線を向けるとラムネの瓶がある事に気付く。それを見た見たガイは嬉しそうな表情で瓶を手に取った。

 

 

 

 

「ヒロキ、どうしたんデス?さっきからワタシの顔を見つめているように見えますが・・・ワタシの顔を何がついてマスカ?」

「へっ?・・・いや!何でもないよ、気にしないで‼︎それより僕達も帰ろうぜ‼︎」

 

その少し前、ヒロキはクララの疑問を誤魔化すとGIRLSを後にしようとしていた。その時、入り口の前で赤い怪獣のような絵が描かれた饅頭の紙袋を構えて赤いジャケットを羽織った青年が2人を訊ねてくる。

 

「あのぉ、すみません。ここ、GIRLSですよね?」

「はい、そうですが?」

「あの・・・実は最近、うちの店の周りが怪しい宇宙人に監視されていて・・・相談に乗ってもらえませんか?」

「「えっ?」」

 

2人は顔を見合わせてその青年をGIRLSの応接室に案内する。その場には2人から連絡を受けたアキとミコ、マコもいる。ヒロキ達は青年から詳しい事情聴取を行なっていた。

 

「えーっと・・・銀河クワトロマーケット社長の・・・湊カツミさん・・・ですね。」

「はい。」

「いつから監視されてマスカ?」

「えーっと・・・確か3日前からだったと思います。」

「監視される心当たりは?」

「気のせいという事は?」

「あ・・・だから念のため・・・警護をお願いしたいんです。GIRLSの怪獣娘達ならこの手の事に慣れてると聞いたので・・・。」

「少し待って下さい。僕達だけで御依頼を受けるか決めれないので・・・。」

「あっ、大丈夫‼︎さっきこの事をピグっちに話したらOKが出たよ。」「えっ⁉︎本当デスカ⁉︎」

「分かりました。この依頼、お引き受けします。ボク達GIRLSに任せてください。」

「ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

その頃、ミカヅキとピリカはとある橋の下で誰かを待っていた。2人はピグモンの指令で最近のヴィラン・ギルドの動きについて詳しく教えてくれる人物と会う約束をしていたのだ。

 

「まだかな・・・。」

「そろそろ来ると思うよ。」

「待たせたな。」

 

時計を見るミカヅキとピリカの前に1人の男がやってくる。それは以前、ヴィラン・ギルドに潜入捜査していた外事X課の潜入捜査官ミスティだった。

 

「ミスティさん、久しぶり‼︎」

「ああ、久しぶりだな、ゴモラの怪獣娘。そちらは?」

「ああ、紹介するね。最近GIRLSに入ったピリちゃんだよ。」

「旭川ピリカです。」

「ああ、佐倉さんが言っていたアンドロイドの・・・外事X課のミスティだ。よろしく。」

 

お互い自己紹介した後、2人は握手をする。そして早速ミカヅキが話を切り出した。

 

「それで・・・最近のヴィラン・ギルドの動きについてなんだけど・・・。」

「ああ、何でも奴ら・・・最近大きな動きを見せている。何でも奴が復活する前に最後の大きな一儲けを企んでいるらしい。」

「奴?」

「詳しい事は俺も知らないが・・・ある宇宙ではその名を口にしただけで呪われると言われている。だから皆は揃って『奴』と呼んでいる。」

「奴・・・。」

 

ミカヅキは最近のヴィラン・ギルドの動きに納得すると同時にミスティの話に出てきた『奴』にシャドウビーストやシャドウジェネラル以上の影を感じ身を震わせる。その時、ピリカは手元のタブレットで何かを検索していた。

 

「ところでピリちゃん、何してるの?」

「その話と関係ありそうなサイトを見つけたの。ほらこれ見て。」

 

ミカヅキはピリカの持っているタブレットを覗き込む。そこには怪しげな宇宙文字で描かれた怪しげなサイトが映る。それを見たミスティは焦りながら口を開く。

 

「何かを崇拝する宇宙人のサイトみたいなの。その『奴』と何か関係があると思わない?」

「何かを崇拝する宇宙人の集まり・・・ねぇ。」

「おい‼︎すぐにそのサイトからログアウトしろ‼︎何が起きるか分からないぞ‼︎」

「大丈夫‼︎あたし、コンピューターには強いから‼︎」

 

力強く宣言したピリカはそのサイトを探っていく。するとサイトを調べていくうちに画面に大きな目が写る。

 

「まずい‼︎不正アクセスがバレちゃった‼︎」

「ええっ⁉︎」

 

するとタブレットから電流が走る。電流が収まるとピリカの体は突然変な踊りを始めた。ミカヅキが驚く中、ミスティがピリカの手元からタブレットを叩き落とす。

 

「だから迂闊にアクセスするなと言ったんだ‼︎」

「ちょっ⁉︎ちょっとピリちゃん、どうしたの⁉︎」

「マズい‼︎ウイルス感染したんだ‼︎しかも・・・これは・・・奴を崇拝するダンスだ‼︎アンドロイドである彼女は不正アクセスした結果、ウイルスの影響をもろに受けたんだ‼︎」

 

ミスティが説明している間にもピリカの体は勝手に踊り続ける。ミカヅキはミスティからピリカのタブレットを受け取るがコンピューターに強くない彼女では今のピリカを止める事は出来ない。ピリカはただ踊り続けるしかなかった。

 

「マズい‼︎このままだとオーバーヒートを起こすぞ‼︎」

「ええっ⁉︎」

「ミカヅキちゃん、止めて〜‼︎」

「止めて・・・って・・・そんな、うちキンちゃん程こういうの強くないし・・・あああ・・・どうすれば・・・。」

 

ピリカの悲鳴にミカヅキは何とかしようとするがどうやって止めればいいか分からずタブレットを手におろおろするしかなかった。その時、赤と黒の背中にXの文字が刻まれた隊員服を着た青年が現れる。その青年はあっという間にミカヅキからタブレットを奪い取った。ミカヅキはソウルライザーを手に取り青年に構える。

 

「ちょっ⁉︎お兄さん誰⁉︎一体何をするつもりなの⁉︎」

「静かに!今はこの子を助けるのが先だ。」

 

青年はミカヅキに一喝しタブレットを操作する。するとピリカの体の動きが治まり踊りから解放された。自由の身となったピリカはショートしかけながらも地面に足を踏み締める。ミカヅキはその様子を見て咄嗟にピリカに駆け寄り彼女を支えた。

 

「暫く冷却して熱を冷ます事をお勧めするよ。」

「は、はい・・・ありがとうございます・・・。」

「不正アクセス、駄目絶対・・・約束してくれるね。」

「は・・・はい・・・。」

 

青年の言葉に深く頷いたピリカの横でミカヅキはホッとする。その時、青年はミスティの顔を見ると訊ねてきた。

 

「すみません。ヴィラン・ギルドについて何が詳しい事を知りませんか?」

「何?・・・何故奴らを?」

「GIRLSの白鳥ヒロキ君がヴィラン・ギルドに狙われてると聞いて・・・その事を確かめたいんです。」

「「⁉︎」」

 

ミカヅキとピリカは青年の言葉に驚いた表情を見せる。そしてミカヅキが青年に勢いよく詰め寄った。

 

「どういう事⁉︎何でヒロちゃんが狙われてるの⁉︎」

「ま、待って待って‼︎君は?」

「わたしは黒田ミカヅキ‼︎GIRLSに所属するゴモラの怪獣娘だよ‼︎」

「⁉︎・・・ゴモラの・・・怪獣娘・・・。そうか、君が・・・。」

 

青年はミカヅキの素性を察すると一息つく。そしてミカヅキ達に自己紹介をした。

 

「俺の名は大空大地。白鳥ヒロキ君にどうしても返してほしいものがあるんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ヒロキとクララ達はカツミに案内されて地域交流センターの近くまで来ていた。カツミは視線にあるものを確認するとヒロキ達に呼び掛ける。

 

「皆さん、こっちです。」

「えっ⁉︎アレが⁉︎」

 

ヒロキ達はカツミが指差した先を見て唖然とする。そのはどう見てもフリーマーケットだったのだ。しかもそこでは2人の青年が何やら言い合いをしていた。

 

「はみ出しすぎだよ!こっちからは僕の陣地‼︎」

「陣地とか決めてないし!何だよ、これデカイな⁉︎」

 

青いシャツの青年がタコのぬいぐるみをどかすとその場に立てられてあったヒーローのような人形を摘まむ。

 

「ちょっと‼︎これいらないでしょ‼︎」

「いや‼︎いる‼︎」

「爆裂戦記・・・ドン・・・シャイン‼︎・・・ってね。」

 

その時、何やらヒーローのようなポーズを決めた青いジャケットとジーパンの青年を見てタイガが声を上げた。

 

『ヒロキ‼︎アイツからベリアルの気配がする‼︎』

「えっ⁉︎」

 

ヒロキはタイガの声を聞いて思わずヒーローのようなポーズを決めた青年に目を向ける。ヒロキはタイガの言葉とカツミの言葉から結論を付けてカツミとクララの静止も聞かず飛び出していく。

 

「アイツか・・・。」

「ヒロキ!待って下サイ‼︎」

「え?・・・いや、彼は‼︎」

「あー‼︎風船がー‼︎」

 

ヒロキが飛び出したと同時にその場にいた幼い少女が手に持っていた風船を離してしまい悲痛な声を上げる。それを聞いたその青年は大きくジャンプして風船を手に取った。

 

「ええっ⁉︎」

「嘘・・・凄いジャンプ力・・・。」

 

ビルの4〜5階くらいの高さにまで浮いた風船まで飛び上がり手に取った青年のジャンプ力にミコとアキが驚いた声を上げる。その一方で青年は手に持った風船を少女に渡す。

 

「はい、どうぞ。」

「ありがとう‼︎」

「おお‼︎」

 

その場に取り残された青年がその光景を見て握手する。その時、ヒロキが青年の前に現れた。ヒロキは青年に声を掛ける。

 

「逃げられたか・・・大丈夫ですか?」

「へっ?」

「いや・・・だから、」

「ヒロキ、前‼︎」

 

カツミが説明しようとした時、クララからの呼び掛けで思わずヒロキは目の前を見る。そこには武器を構えて武装したヴィラン・ギルドの宇宙人達がいた。アキとミコ、マコは周囲の人達の避難誘導をしていた。

 

「成る程・・・コイツらか。」

「心配しないで下サイ‼︎ここはワタシ達が引き受けマス‼︎」

 

ヒロキは走ってきたクララと並び立つとファイティングポーズを取って宇宙人達を睨む。クララもソウルライザーを構えていつでも怪獣娘に変身出来る態勢を取っていた。その時、宇宙人達はカツミ達に目もくれずヒロキに命令した。

 

「貴様の持つお宝を渡せ‼︎」

「は?僕?・・・お宝⁉︎」

「しらばっくれるな‼︎・・・グエッ⁉︎」

 

宇宙人達の言葉に心当たりがないヒロキは混乱する。宇宙人達は真っ直ぐヒロキに突撃しようとしたがその前に野球のボールが直撃する。ヒロキとクララは思わず後ろを振り向くとそこには木で作ったトンファーのような武器を構えたカツミと青いジャケットの青年がいた。

 

「ストライク‼︎」

「えっ・・・あの・・・。」

「まさか今の・・・アナタ達ガ・・・。」

「御免、2人とも・・・依頼人ってのは嘘なんだ。」

「近付いた方が護衛しやすいと思ってな。」

「ちょっ⁉︎ちょっと待って下さい‼︎どういう事ですか⁉︎」

「貴方達は・・・?一体何者なんデスカ⁉︎」

「君達が白鳥ヒロキ君とクララ・ソーンちゃんだね。俺は湊カツミ・・・またの名を・・・ウルトラマンロッソ。」

「俺はその弟の湊イサミ。またの名をウルトラマンブル。」

「「ええっ⁉︎」」

 

カツミと彼の弟である『湊イサミ』の言葉にヒロキとクララは目を見開いて驚く。その時、タイタスも2人の青年が何者なのか気付く。

 

『ヒロキ‼︎クララ‼︎彼らこそが私達トライスクワッドに力を渡してくれたウルトラマンだ‼︎』

『ロッソとブル・・・そうか、この2人が‼︎」

「嘘・・・この人達が・・・。」

 

ヒロキの見ている前で2人はトンファーで宇宙人達に応戦していた。カツミは片手でナイフを受け止めて片手のトンファーで殴打する。イサミはトンファーで宇宙人の武器を受け止めて押し返すと蹴りで宇宙人を吹っ飛ばした。そして目の前に突進してくる宇宙人を兄弟揃ってトンファーで吹っ飛ばした。ヒロキはその光景を見て負けじとタイガトライブレードを呼び出して前後から自身に向かってくる宇宙人を斬り付ける。ヒロキがトライブレードで宇宙人達の武器と応戦している間、クララも怪獣娘に変身して額にエネルギーを集めて光線を放ち宇宙人達を吹っ飛ばした。

 

「ハァッ‼︎」

 

そして力強いパンチで宇宙人達を吹っ飛ばすと左右から棍棒のような武器で殴りかかってきた2人の宇宙人の攻撃を両手を組んで受け止めた。その身にはキズ一つ付ける事は出来なかったようだ。しかし、それでもヒロキを狙う影がある。高い場所からスナイパーライフルでヒロキを狙う宇宙人がいる。

 

「これで終わりだ・・・。」

「おーい。」

 

突然呼び掛けられて彼が振り向くとそこには風船を掴んだ青年がいた。青年は力の限り拳を振り下ろした。モロに頭にそれを受けた宇宙人はその場で崩れ落ちて気絶する。

 

「ふう、ドン・・・シャイン‼︎これで大丈夫だよ。」

「あ、ありがとうございます‼︎」

 

そこにはブラックスターズの一員である平賀サツキがいた。実は彼女は学校の帰り道でたまたまこのフリーマーケットを訪れていたのだ。しかし、途中で宇宙人の戦闘が起きている事に気付けず近くにスナイパーの宇宙人がいたため、奴に気付かれないように息を潜めていたせいで逃げ遅れていたのだ。そんなところを青年に救われたサツキは青年に礼を述べた。

 

「本当にありがとうございます‼︎・・・お恥ずかしい話、私は怪獣娘なのですが・・・戦いに関しては本当に駄目で・・・。」

「気にしないで‼︎ここは僕に任せて君は逃げて‼︎」

「は、はい‼︎」

 

サツキは青年の言葉を聞くとその場を走り去っていく。途中でサツキは振り返ると青年に名前を訊ねた。

 

「えっと・・・貴方の名前は?」

「僕はリク、朝倉リク。」

「リクさん、本当にありがとうございました‼︎」

 

青年『朝倉リク』はサツキが走り去っていく姿を見て空を見ながら呟いた。

 

「ペガに似た気配がしたような気がしたけど・・・気のせいか。」

 

 

 

 

「お前ら、何でヒロキさんを狙ってたんだ?」

「邪神魔獣『グリムド』が復活する!」

「奴が復活したらこの星は終わりだ‼︎だからウルトラマンの力を秘めたブレスレットをお前らの仲間から奪って高く売るんだよ‼︎」

「そしてその金でこの星からトンズラだ‼︎」

 

その頃、マガバッサー、マガジャッパは廃墟で応戦した宇宙人を捕らえて尋問していた。2人はその答えな呆れた表情をする中、機嫌悪そうなガイの声に注目する。

 

「俺達の力を転売だと?」

「呆れた・・・何考えて・・・って・・・え?」

「俺達の力・・・⁉︎」

 

2人がガイの言葉に思わず振り向く。その時、空が暗雲に包まれていく。2人はその様子に思わず空を見上げた。

 

「何だ⁉︎」

 

その時、暗雲の中から大きなクリスタルに封じられた目が地球に姿を現した。




シン・ウルトラマン、必ず見に行きたいです‼︎


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最終章 ニュージェネクライマックス前編 蘇る混沌③

この話では今後、大地が客演しなきゃ出なさそうなキャラが出ます。多分ですけどテバイザーとしての機能はまだ残ってそうだし多分使えるかなと思って出しました。
それではどうぞ!

邪神魔獣『グリムド』登場
電脳怪獣『サイバーゴモラ』登場


その頃、ヒロキ達は市民の避難誘導を終えて合流したアギラ、ガッツ星人姉妹と共にヴィラン・ギルドの面子と戦っていた。アギラが突進で1人を吹き飛ばす中、ガッツ星人(ミコ)が1人に回し蹴りを放つ。

 

「でやぁ‼︎」

「ぐっ⁉︎」

 

宇宙人の1人を吹き飛ばすとガッツ星人(ミコ)の背後から電磁を浴びたナイフを構えて突っ込む宇宙人がいた。思わずガッツ星人(マコ)が大声で呼び掛ける。

 

「ミコ、後ろ‼︎」

「‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)が振り返ると同時にカツミがトンファーを叩き付ける。宇宙人はその場で地面に崩れ落ちた。そこにイサミもやってきてガッツ星人(マコ)と同時に前蹴りで宇宙人を吹っ飛ばしてカツミ達と合流する。

 

「大丈夫か⁉︎」

「うん、助かったよ!」

「君達、似てるけど・・・姉妹?」

「えっ・・・まぁそんなもんかな。」

「まぁ、姉妹といえば姉妹ね。」

「へぇ〜。だったらさ、俺達ウルトラマン兄弟と君達怪獣娘姉妹で同時に決めない?」

「あっ、それ面白そう‼︎ねえ、やろうよマコ‼︎」

「ちょっと・・・わたしまで巻き込まないでよ。」

「話は後だ!来るぞ‼︎」

 

カツミの声で3人が前に目を向けるとこちらに突撃してくる宇宙人が見えた。カツミとガッツ星人(ミコ)は同時に電磁ロッドのような武器とナイフの攻撃を受け流す。そして自身の武器に見立てたイサミのトンファーとガッツ星人(マコ)の拳が同時に宇宙人を吹っ飛ばした。

 

「よっしゃ、やったな‼︎」

「ええ・・・って何乗せようとしてるのよ‼︎」

 

思わず我に帰るガッツ星人(マコ)の後ろでヒロキとブラックスタイルに変身したキングジョーが背中合わせで目の前の宇宙人に構える。その時、空に暗雲が立ち込め、そこから巨大な目を閉じ込めたクリスタルが飛び出してきた。

 

「⁉︎・・・何だ⁉︎」

「あっ・・・あれは・・・。」

「間違いない・・・奴が復活する・・・。」

「この星はお終いだぁぁぁぁ‼︎」

「おい、待て‼︎」

 

宇宙人達はクリスタルを見て一目散に逃げていく。その頃、ミスティを訊ねたミカヅキは怪獣娘ゴモラに変身してそのクリスタルを警戒しながら見ている。

 

「マズい・・・奴だ‼︎」

「行かなきゃ‼︎」

「行くって・・・何処に⁉︎・・・ピリちゃんはGIRLSに戻って状況を報告して‼︎」」

 

大地はクリスタルを見てその場を後にしようと走っていく。思わずゴモラは彼の後をつけた。

 

「何なの、アレ・・・?」

「マズい、行かなきゃ‼︎」

 

宇宙人達のスラムからそれを見ていたマガバッサーとマガジャッパのコンビはクリスタルを見てその場から立ち去ろうとするガイに話しかける。

 

「ま、待って下さい‼︎」

「一体何処に行くんですか⁉︎」

「風に聞いてくれ。」

 

そう言ってその場を立ち去るガイ。マガバッサーがその背中を見つめていると思わずマガジャッパが大声を上げる。

 

「バサちゃん‼︎ぼーっとしてる場合じゃないよ‼︎」

「・・・ああ‼︎そうだった‼︎待って下さい‼︎」

 

そしてGIRLSでもトモミ達がクリスタルを見つめている。トモミだけでなくその光景を見ていたサチコもミサオも不安げな表情をしていた。

 

 

 

「カツ兄、時間切れだ。結界が破れる。」

「結界?」

 

イサミの言葉にガッツ星人(マコ)は思わず首を傾げる。ヒロキもクリスタルを見て険しい表情をするとクリスタルは地面に衝突する。そして煙の中から青い体に赤い無数の突起、額に1つ目を備え、腹部にも顔がある怪獣が現れた。その怪獣は復活の雄叫びを上げるように背中の突起から赤い稲妻を放ち街を破壊する。

 

「あの怪獣・・・絶対ヤバい怪獣デスヨ‼︎」

「大丈夫‼︎僕達に任せて‼︎」

「待った‼︎ヒロキ君‼︎」

 

タイガスパークを構えて変身しようとするヒロキをカツミが呼び止める。カツミは隣のイサミと共に白くなった大きな両手で引くレバーを備えた変身アイテム『ルーブジャイロ』を取り出した。

 

「君の持っているウルトラマンロッソの力を返して欲しい。」

「俺のウルトラマンブルの力もだ。」

「ロッソとブルの力・・・もしかしてお2人がタイガに渡したあのブレスレットですか⁉︎でも・・・返し方が」

『ヒロキ‼︎タイガスパークだ‼︎』

 

タイガの声でタイガスパークを出現させたヒロキをそれを2人に翳す。するとタイガスパークからロッソレット、ブルレットが現れ2人のルーブジャイロに渡る。するとルーブジャイロが青い輝きを取り戻した。

 

「よし、これで変身出来る‼︎力を合わせて奴を倒すぞ‼︎」

「僕達だけで大丈夫ですよ。」

「力を合わせなきゃグリムドには勝てない‼︎」

「モメないモメない‼︎俺達3人でやろうぜ‼︎」

「グリムド?・・・もしかしてあの怪獣の名前デスカ?」

「ああ、俺達が変身能力と引き換えに封印するのが精一杯だった怪獣だ。」

「「ええっ⁉︎」」

 

ヒロキとクララは目の前の怪獣がそれほどまでに強力な怪獣だとは知り驚いた声を出す。そしてヒロキは2人と目を合わせた後、グリムドを見据える。

 

「行くぞ、タイガ‼︎」

「「俺色に染め上げろ‼︎ルーブ‼︎」」

 

3人はそれぞれの変身アイテムを構えた。ヒロキはタイガスパークのレバーを引き、カツミとイサミはルーブジャイロにルーブクリスタルと呼ばれる丸いアイテムをセットする。

 

「「セレクト、クリスタル」

「纏うは火‼︎紅蓮の炎‼︎」

「纏うは水‼︎紺碧の海‼︎」

 

〈ウルトラマンタロウ!〉

〈ウルトラマンギンガ!〉

 

そして2人はクリスタルを填めて両手のレバーを引く。するとクリスタルのエレメントのオーラが2人を包み赤い2本角のウルトラマンと青い一本角のウルトラマンが現れた。

 

〈ウルトラマンロッソ、フレイム‼︎〉

〈ウルトラマンブル、アクア‼︎〉

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

タイガが最初に飛び蹴りを放つ。それはグリムドの肩に命中するも大したダメージにはならなかった。グリムドは振り向いてタイガを確認する。タイガも振り向くと同時に地球の力を宿した鎧を纏いフォトンアースになる。

 

『こいつは俺が倒す‼︎』

 

タイガは真っ直ぐグリムドに向かって行き左拳によるパンチを放つ。しかし、地球の力でパワーアップした拳はグリムドには何の威力もなかった。そのパンチを受けても平気な様子のグリムドは右手の爪でタイガを切り裂こうとする。タイガはそれを避けて右手の拳を腹に打つと腹の口がタイガの腕に噛み付いた。

 

『があっ⁉︎』

 

そしてタイガは振り払われる。その時、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルが着地して頭に仕込まれた武器『ルーブスラッガー』を手にして突進していく。

 

『『はあああああ‼︎』』

 

二刀流のロッソのスラッガーは最初はかわされるが再びふるわれた2本目のスラッガーの斬撃が見事命中する。ブルがグリムドの懐に潜るとその腹にスラッガーで切り傷をつけた。そして再びスラッガーで斬りつけようとした時、腹の口がスラッガーを捉えた。

 

『あれ?』

 

ブルはスラッガーが自分の手元から離れた事に気付かず両手に目を向ける。その時、タイガは地球の力で強化された必殺光線を放つ構えに入る。ロッソとブルはグリムドは両手を振り回すグリムドを抑えてタイガに目を向ける。

 

『今だ‼︎』

『撃て‼︎』

『オーラムストリウム‼︎』

 

タイガは2人の声でオーラムストリウムをぶっ放した。光線が着弾する前にロッソとブルは前転でグリムドから離れる。そしてオーラムストリウムがグリムドに命中した。必殺光線が着弾したグリムドは大爆発を起こす。

 

「よし‼︎」

「やった‼︎」

 

その光景を見て思わずミクラスとアギラが喜びの声を上げる。しかし、爆発が何かに取り込まれるように戻っていく。これにはウインダムも懐疑の声を上げる。

 

「一体・・・何が⁉︎」

 

やがて爆発が小さくなっていくとそのエネルギーを目で取り込むグリムドがいた。これにはウルトラマンだけでなく怪獣娘も驚きを隠せない。

 

「グギャアアアアアアア‼︎」

『えっ⁉︎』

「爆発のエネルギーを・・・取り込んだ⁉︎」

「なんて怪獣なの‼︎」

「これは・・・本格的にdangerな怪獣のようデスネ・・・‼︎」

『マズいぞ‼︎』

『えっ⁉︎』

 

グリムドはその目にエネルギーを溜めていく。そして目から先程の爆発のエネルギーを取り込んで強力になった光線が放たれた。ロッソとブルは思わず避けるがタイガだけはその光線をまともに受けてしまう。その威力にタイガのフォトンアースの変身が解除されて元の姿に戻ってしまう。

 

『ぐああああああああああ‼︎』

『タイガ‼︎』

「ヒロちゃん‼︎タイガちゃん‼︎」

「駄目だ‼︎怪獣娘が勝てる相手じゃない‼︎」

 

それを見ていたゴモラはその場に駆け出そうとするが大地に肩を掴まれ制止される。

 

「そんな事わたしだって分かるよ‼︎でも・・・何とかしないと‼︎」

「ここは俺に任せてくれ‼︎行くぞ、ゴモラ‼︎」

「えっ?・・・ゴモラって・・・わたし・・・じゃないよね・・・?」

〈サイバーゴモラ、起動します。〉

 

大地は白くなったデバイスに青い人工的なゴモラのような怪獣が描かれたカードを挿入した。するとカードに描かれた怪獣の人形が大地の手元に現れた。そしてその人形をデバイスにセットした。

 

〈リアライズ!〉

 

グリムドは再び目にエネルギーを溜め始める。すると青い人工的な姿の胸に黄色くXの字が刻まれたゴモラのような怪獣がグリムドに突進を仕掛けた。グリムドは突進を受けてよろけり光線を撃ちそびれる。

 

『何だ⁉︎』

「アレって・・・‼︎」

(青い・・・ゴモラ⁉︎)

『あの怪獣は・・・‼︎』

『大地さん‼︎』

「ギャアオオオオオオ‼︎」

 

ゴモラは目の前の怪獣を見て自身のカイジューソウルがうずき出している。思わずゴモラは大地に目の前の怪獣について訊ねた。

 

「アレってわたしのカイジューソウルのゴモラ⁉︎・・・でもなんか人工的な感じがする・・・。あの怪獣は何⁉︎」

「サイバーゴモラ、俺達の頼れる仲間だ。」

「サイバー・・・ゴモラ・・・。」

 

ヒロキとタイガは目の前に現れた電脳怪獣『サイバーゴモラ』にも戦闘態勢をとる。ロッソとブルは必死にタイガを抑えて目の前の怪獣が敵じゃない事を伝える。

 

『待て待て‼︎あの怪獣は敵じゃない‼︎』

『あの怪獣は俺達の先輩の仲間だ‼︎攻撃するな‼︎』

『ええっ⁉︎』

 

サイバーゴモラは目の前のグリムドに突進する。グリムドはサイバーゴモラの突進を受け止めて両手で角を掴む。そしてサイバーゴモラを投げ飛ばした。今度は両手の爪で切り裂こうとするがグリムドの腹部の顔に右腕を噛まれて抑えられてしまう。

 

(マズい‼︎あのゴモラを助けないと‼︎)

『ああ‼︎スワローバレット‼︎』

 

タイガはスワローバレットを放ちグリムドを攻撃する。グリムドは思わずサイバーゴモラを離した。そして光線を受けた方を見てタイガに突進していく。タイガはグリムドの右腕の爪で切り裂かれる。

 

『ぐああっ‼︎』

 

タイガが地面に倒れたと同時に再びサイバーゴモラが両手をふるいグリムドを切り裂こうとする。しかし、グリムドは両手を押さえると逆にサイバーゴモラを押し返し始める。サイバーゴモラは持ち前の怪力でグリムドに抵抗するがその足は後ろに下がっていくだけだった。

 

『押されてる‼︎援護しないと‼︎』

 

ロッソはルーブスラッガーにゼロの力を込めたゼロクリスタルを装填する。そして野球の投手のように大きく振りかぶりゼロの力で切れ味が鋭くなったルーブスラッガーから斬撃波を放つ。

 

『ゼロツインスライサー‼︎』

 

グリムドはその斬撃波を受けるがそれでも平然としていた。サイバーゴモラは再び両手の大きな爪をグリムドに突き立てる。しかし、サイバーゴモラの爪の一撃ではグリムドにダメージを与えられなかった。サイバーゴモラは今度は前転しながら尻尾をグリムドの頭に叩きつける。そして後ろからブルが手のひらから水流を放ちグリムドを追撃する。

 

『アクアジェットブラスト‼︎』

 

今度はグリムドを後退させる事に成功する。サイバーゴモラは再び両手の爪でグリムドを斬りつける。ロッソとブルもそれと同時にルーブスラッガーでグリムドを斬りつけた。その威力でグリムドの体に火花が走る。しかし、それでも大したダメージにはならなかった。

 

『サイバーゴモラと力を合わせても駄目か・・・!』

『諦めるな‼︎今はこのメンバーで押し切るしかない‼︎』

『はああっ‼︎』

 

タイガは大きく飛び上がりグリムドの頭に蹴りを放つ。頭に飛び蹴りを受けた事でグリムドもよろけった。その隙を突いてサイバーゴモラが両手の爪に力を溜め始める。

 

「行け‼︎サイバー超震動波‼︎」

 

大地の指示でサイバーゴモラがエネルギーを溜め始めると同時にブルはルーブスラッガーにエックスクリスタルを装填する。そしてお互いグリムドに向かって突撃した。サイバーゴモラが両手の爪を突き立てゼロ距離で震動波を放つと同時にブルは緑色の電撃を纏わせたルーブスラッガーで後ろからグリムドを斬り付ける。

 

『スパークアタッカー‼︎』

「グギャアアアアアアア‼︎」

『よし‼︎これなら‼︎』

 

サイバーゴモラと共に並び立つブルだけじゃなく誰もが今度こそグリムドにダメージを与えたと誰もが思った。しかし、それでもグリムドは平然としている。再びサイバーゴモラはグリムドに向かっていった。グリムドは再び目に力を溜め、光線を放った。サイバーゴモラは両手でバリアを作り光線を防ぐ。

 

『ハンドビーム‼︎』

 

その隙にタイガはハンドビームを放ち、ロッソはオーバーフローのフォームで火の玉を投げる。2人のウルトラマンの技でグリムドは光線を撃つのを防がれる。その隙に再びサイバーゴモラが突進で駄目押しした。突進でグリムドが後退すると同時に尻尾を再び叩き付ける。しかし、グリムドは背中から生えた突起から電撃を放ち周りにいたもの全てを攻撃した。

 

『『『うわああああ⁉︎』』』

「ギャアオオオオオオオオ⁉︎」

 

ウルトラマン達が膝をつく中、サイバーゴモラは再び力を集めてサイバー超震動波を放とうとする。しかし、グリムドが目から放った光線がサイバーゴモラの体を貫通する。実体を保てない程のダメージを受け、サイバーゴモラは粒子となって消えていった。

 

『ああっ‼︎』

「サイバーゴモラが‼︎」

「くそっ、やられた‼︎」

 

再びグリムドが目に力を溜めて光線を放つ。タイガはまたその光線を受けて後ろのビルを壊しながら吹っ飛んでいく。力を振り絞って立ち上がろうとした時、タイガのカラータイマーから4つの光が放たれる。そしてその光はとあるビルの屋上に立っていた1人の男が回収した。

 

 

 

GIRLSでは現場の中継が行われていた。ピリカはタイガから出た光を回収した男をカメラで追う。すると驚いた声を上げた。

 

「嘘‼︎どうして・・・。」

「どうしました、ピリピリ?」

「ピグモンさん、大変です‼︎これを見て下さい‼︎」

 

ピリカの声でピグモンがモニターを見る。するとモニターにはトレギアの仮の姿である霧崎が立っていた。

 

「皆さん、大変です‼︎霧崎が・・・トレギアがまた現れました‼︎位置を送りますから必ず確保して下さい‼︎」

 

 

霧崎は3人のウルトラマンがグリムドの肩の突起から放たれる電撃に苦戦している様を見て薄ら笑いを浮かべていた。その時、レッドキングとエレキングがソウルライザーに示された地図を頼りに霧崎がいるビルの屋上に辿り着く。霧崎の姿を見るたびレッドキングはいきなり殴りかかるが霧崎はあっさりと避ける。

 

「やぁ、怪獣娘のお嬢さん方・・・久しぶりだねぇ。」

「トレギア、てめえ‼︎」

「生きていたのね‼︎なんてしぶといのかしら‼︎」

 

エレキングは鞭を霧崎にふるう。霧崎は避けるとトレギアアイをつけてトレギアに変身する。トレギアはエレキングの鞭をかわすと空に浮かび上がり手から光線を放つ。左腕に備えた盾でエレキングが光線を防ぐとレッドキングが右ストレートを放つ。

 

「トレギア‼︎てめえ、今度は何を企んでやがる‼︎またヒロキとタイガを傷付けようってんなら許さねえぞ‼︎」

 

トレギアはレッドキングのパンチを避けると彼女の後ろに回り込み光線を放つ。レッドキングは思わず腕を交差させてそれを受け止める。トレギアと距離が離れたレッドキングの横にエレキングが立つとトレギアは3人のウルトラマンと戦うグリムドに目を向けながら言葉を放つ。

 

『そんなに警戒するなよ・・・今日の狙いはヒロキ君でもタイガ君でもない・・・。』

「何⁉︎」

『私の狙いは・・・。』

 

 

 

 

 

 

 

グリムドはオーラを纏いながら高速で移動する。そしてブルに突進を仕掛けた。ブルは思い切り吹き飛ばされる。

 

『イサミ‼︎』

 

ロッソは弟に駆け寄ろうとするがグリムドの奇襲はロッソをも襲う。ロッソもグリムドの突進を受けて吹っ飛ばされてしまった。タイガも2人の先輩を助けに行こうとするが横から禍々しいオーラを纏ったグリムドの突進を受けて地面に倒れてしまう。再び立ち上がった時にはグリムドの姿は見当たらなかった。

 

『あっ・・・何処だ?』

 

タイガが辺りを見渡そうとした時、グリムドが後ろのビルを破りながらタイガに飛び掛かった。死角からの奇襲にタイガは対応出来ずそのまま地面に倒れてしまう。

 

『うわああああああ‼︎』

 

ロッソとブルは力を振り絞って立ち上がろうとするが失敗した再び膝を突く。グリムドはタイガを右足で踏みつけ動きを抑えると再び目に力を溜め始める。タイガは必死に逃れようとするが力はグリムドの方が強くグリムドの足をどかせずにいた。

 

『このままだと・・・やられる‼︎』

 

グリムドはエネルギーを溜め続けてタイガに止めの一撃を放とうとするが突然空から放たれた虹色の光線が直撃し、グリムドは後退する。やがて光線を放った者が空から舞い降りて来た。タイガはその者を見て驚く声を上げる。

 

『父さん⁉︎』

 

何故なら目の前に降りて来たのは自身の父でありウルトラマンNo.6と呼ばれた伝説の戦士ウルトラマンタロウだったのだから。




シン・ウルトラマン見てきました。
見た感想はただ1つ・・・前日談に当たる話、超見てえ‼︎


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最終章 ニュージェネクライマックス中編 闇に取り込まれた父①

中編ではウルトラマンの戦闘シーンは殆どこの前半くらいですね・・・。


(ウルトラマンタロウ・・・写真で見た通りだ・・・そうか・・・僕は・・・やっと・・・お爺ちゃんが・・・憧れていた・・・あの人に・・・。)

『ハッハッハ、待っていたよ‼︎我が友よ・・・。』

 

ヒロキが感激した気持ちになる中、トレギアはタロウの姿を見て不気味そうに笑う。タロウはタイガの姿を見ると彼に歩み寄り手を差し伸べる。タイガは思わずその手を掴むと戸惑いながら言葉を口にする。

 

『あの・・・父さん・・・俺・・・。』

「グギャアアアアアアア‼︎」

 

グリムドは再び唸り声を上げてタロウを睨む。タロウはグリムドに目を向けるとファイティングポーズを構えた。そして大きくジャンプして空中で体を捻りながら一回転し、得意技のスワローキックを放つ。それを受けたグリムドは思わず後退する。

 

「ギャアアアアアア‼︎」

 

グリムドは目にエネルギーを溜めて光線を放とうとする。その間を突いたタロウはグリムドに接近し、魔獣の体に何十発ものパンチを連続で撃ち込む。そして最後に力を込めて必殺のアトミックパンチをお見舞いした。かつてメフィラス星人の体に風穴を開ける程の威力の拳にはグリムドも怯みながら後退する。

 

(す・・・凄い・・・。)

 

かつて祖父が憧れたタロウの戦いぶりを見てヒロキは思わず呟くしかなかった。その時、グリムドが再びエネルギーを目に溜めて光線を放つ。その光線はタロウに向かって真っ直ぐ放たれるがタロウは左腕に備わったキングブレスレットを翳してバリアを張り、グリムドの光線を防ぐ。

 

「グギャ⁉︎」

「凄え・・・。」

「資料で見た事はあったけど・・・ここまで強いなんて・・・。」

「ああ・・・ウルトラ兄弟の1人なだけはあるな・・・。」

 

その戦いを見ているレッドキングとエレキングが感想を述べている中、トレギアはタロウと交戦するグリムドに視線を向けながら彼女達に話し始めた。

 

『今、タロウと戦っているあの怪獣の一部はまだ私の中に残っているんだよ・・・。』

「何⁉︎」

『引き裂かれた同士2つは1つになろうとする・・・だからグリムドは地球に姿を現したのさ。』

「トレギア‼︎まさかてめえ・・・。」

「地球を滅ぼすつもり⁉︎」

『そんな大層な事に興味はない・・・私の狙いはただ1人・・・ウルトラマンタロウ・・・タイガの父親さ。』

「何だと⁉︎」

 

彼女達がトレギアの言葉を聞いて思わずタロウの方に視線を向ける。その頃、タロウは自身のウルトラホーンにエネルギーを溜める。そしてウルトラホーンから鏃状の光弾『アロー光線』が放たれた。グリムドはアロー光線を受けて爆炎を起こす。3人のウルトラマンは思わずグリムドとタロウの戦いを観戦するがロッソの言葉で思わず我に帰る。

 

『タイガ!ヒロキ君‼︎見ている場合じゃないぞ‼︎』

『俺達も行くぜ‼︎』

『・・・‼︎そうだった・・・ヒロキ‼︎』

(ああ‼︎タロウさん、僕達も援護します‼︎)

『駄目だ‼︎』

 

自身の元に駆け出そうとする3人の若いウルトラマンをタロウは制止する。タロウは3人に向かって力強く言い放った。

 

『グリムドは私自らの手で必ず葬り去る‼︎』

 

そしてタロウが力を溜めると彼の体が炎に包まれていく。ヒロキとタイガはタロウが何をしようとしているのかを察する。

 

『そ、その技は・・・‼︎』

(ウルトラダイナマイト・・・‼︎)

 

『ウルトラダイナマイト』全身に炎を纏って敵に突撃し、自爆する最大の技である。自爆するだけあって計り知れない威力を持っているが自爆した分、かなりの体力を消耗するデメリットも抱えている。全身に炎を纏って燃え上がるタロウを見たトレギアはレッドキングの拳を避けると嬉しそうな声を上げた。

 

『そうだ・・・いいぞ・・・いいぞ・・・派手に燃え尽きろ‼︎』

 

そして至るところが炎に包まれたタロウはグリムドに突撃した。全身に炎を纏わせながら自分に組み付くタロウを振り払おうとするグリムドだがタロウの炎がその体力を奪う。グリムドはその様子を見て体から黒いオーラを放つ。その時、タロウはグリムドと共に大爆発した。煙が晴れていくとカラータイマーが赤くなったタロウがいた。ふらつくも何とかその足で大地を立つ父に思わずタイガが駆け寄った。

 

『父さん‼︎やりましたね‼︎』

 

嬉しそうに声を掛けるタイガだがタロウは一向にタイガの言葉に反応しない。そんな事も知らずにタイガは言葉を続ける。

 

『俺達を助けるために光の国からわざわざ来てくれたんですね‼︎』

(・・・タロウさん・・・?)

『・・・・・・。』

『そうだ‼︎父さんに紹介しなきゃいけない人がいるんです‼︎父さん、実は俺と一体化している地球人は父さんが』

(‼︎待って、タイガ‼︎)

 

タロウの様子を怪しんでいたヒロキが異変を察知してタイガに呼び掛ける。しかし、時は既に遅くかった。なんとタロウは自身の息子を前蹴りで吹っ飛ばしたのだ。これには後ろで見ていたロッソとブルも驚きを隠せない。

 

『タイガ‼︎』

『どういう事⁉︎』

 

ロッソとブルは困惑しながらもタイガを助けに向かう。するとタロウは無言で頭のウルトラホーンにエネルギーを集め、それを雷にして飛ばす。兄弟ウルトラマンはそれをまともに受けてしまった。そして2人の変身は解除され地面に投げ出される。

 

「ぐあっ⁉︎」

「ぐうう・・・‼︎」

『と・・・父さん‼︎』

 

吹っ飛ばされたタイガは背中に地面を付けて倒れている。そしてタロウは駄目押しとばかりにタイガの腹を踏み付けた。

 

『ぐっ・・・ああ・・・!』

「見て‼︎タロウさんのカラータイマーが‼︎」

「赤いまま・・・点滅していない⁉︎」

 

アギラとガッツ星人(ミコ)がタロウのカラータイマーの異変に気付く。トレギアと戦闘を交戦しながらその光景を見ていたレッドキングとエレキングもその事に気付き、タロウに視線を向ける。

 

「おい、どうなってんだ・・・⁉︎」

『ハッハッハッハ・・・・ハーッハッハッハ‼︎』

 

突然笑い出したトレギアに思わず2人は目を向ける。トレギアは笑いながら今の光景を見て愉快そうな声を上げる。

 

『ハッハッハッハ・・・ようやく私のものになったな・・・友よ・・・。』

「はっ・・・どういう意味だ⁉︎・・・まさか‼︎」

「貴方・・・最初からこれを狙っていたというの⁉︎」

 

その一方でヒロキ達も動揺を隠さずにいた。ヒロキはタロウを説得するが全く聞く耳を持たないタロウに顔を顰める。

 

(止めてください‼︎タロウさん!タロウさん‼︎)

 

タロウは更に足に力を入れてタイガを踏みつける。ヒロキは今のタロウの姿に疑念を抱いた。

 

(タイタス!フーマ‼︎タロウさんの身に一体何が起こってるんだよ⁉︎)

『恐らく奴は爆発のエネルギーと融合しそれを逆流させてタロウの体内に入り込んだのだろう‼︎』

(って事は‼︎)

『ああ、今のタロウを操ってるのはグリムドって事だよ‼︎』

『闇の世界へようこそ・・・。』

 

タロウはタイガの首を掴むと力の限り握り締める。タイガは父に首を締められながら空中に浮かび上がる。

 

『がっ・・・う・・・・あっ・・・・・・‼︎』

「止めてください、タロウさん‼︎」

「今、目の前にいるのはアンタの息子なんだぞ‼︎」

「タイガの事が分からないの⁉︎」

 

その光景を見ていた怪獣娘達が必死にタロウに呼び掛けるが彼女達の声はタロウに届かず、タイガの首はタロウに締められる。その光景を愉快そうに見るトレギアを見てレッドキングが体を震わせて怒りを露わにしながら殴り掛かる。

 

『フフフ・・・いいねぇ・・・実にいい・・・最高の気分だよ‼︎』

「トレギアァァ‼︎てめえぇぇぇぇ‼︎」

 

しかし、レッドキングの拳は簡単に受け止められ、逆に発勁による反撃を受けて彼女の体は吹っ飛ばされる。その時、エレキングが自身の鞭をトレギアの右腕に巻き付けて電撃を流し込む。

 

『ぐっ・・・‼︎』

 

トレギアはエレキングから流れる電撃に耐えながら自身の右腕に巻き付いた鞭を掴む。そして鞭をたぐり寄せてエレキングに近付くと再び発勁を放ちエレキングを吹き飛ばす。

 

「くっ⁉︎」

 

エレキングが大きくコンクリートを引き摺りトレギアを睨み付ける。するとトレギアは両手にエネルギーを溜めて光線を放つ。エレキングは光線を自身の盾で防いた。

 

「くっ・・・ぐぐ・・・‼︎」

 

しかし、彼女の盾もウルトラマンの光線に耐え切れる程頑丈ではなく光線の威力に次第に後ずさっていく。そしてトレギアが光線の威力を上げるともはや防ぎ切れる強度を超えていた。エレキングは光線をまともに浴びてしまう。

 

「きゃあああああああ‼︎」

「エレ‼︎」

 

ウルトラマンの光線をまともに受けたエレキングは大きく吹っ飛んで柵に激突し、地面に倒れる。レッドキングが彼女に駆け寄るとトレギアを睨み付けて拳を構えて殴りかかる。

 

「この野郎ぉぉぉぉ‼︎」

『フッ・・・。』

 

トレギアは両手にエネルギーを溜めてこちらに向かってくるレッドキングに目を向ける。そして彼女が自身の顔面に拳を浴びせようと近付いてきたタイミングで光線を放った。彼女はトレギアの顔面に拳を叩き込めるまで近づいていた故、至近距離からの光線を避けきれずその体が大きく吹っ飛ばされる。

 

「ぐあああああああああ‼︎」

 

レッドキングも大きく吹っ飛び、柵に激突するとエレキングの隣に倒れる。2人は目の前で余裕の仕草を見せるトレギアを強く睨み付けるがダメージを受け過ぎて立たずにいた。トレギアは彼女達にトドメを刺すため再び両手に力を溜め始める。2人は力の限り踏ん張って立ち上がろうとするが傷付いた2人の体は思うように動かなかった。思わず2人が自身の最期を覚悟した時、何者かがトレギアに飛び蹴りを仕掛ける。

 

「トレギアァァ‼︎」

『‼︎』

 

トレギアはその蹴りをかわすとそこにオレンジ色の隊員服を着た青年が着地していた。2人は思わずその青年に視線を向ける。その時、彼と同じ隊員服を着用した青年が隣に現れトレギアに掌から念動波を放った。トレギアはすぐさまその場から消えて念動波を避ける。トレギアが消えたことを確認した2人はレッドキングとエレキングに駆け寄った。

 

「2人とも大丈夫か?」

「あ・・・ああ。」

「お前達が怪獣娘だな?」

「貴方達は?」

「俺は礼堂ヒカル。こっちはショウ。地底の民、ビクトリアンの民だ。」

「ビクトリアン?」

 

エレキングは聴き慣れない単語に思わず疑問を受ける。その時、上から声が聞こえてきた。

 

「そう・・・そして・・・またの名をウルトラマンギンガ・・・ウルトラマンビクトリー・・・。」

「「「「⁉︎」」」」

 

彼らが声がした方向に目を向けるとそこにはトレギアが人間に擬態した姿である霧崎がいた。ヒカルとショウはトレギアを睨む中、レッドキングとエレキングは目の前の青年達を見て驚きの表情を見せる。

 

「う、ウルトラマンギンガに・・・ウルトラマンビクトリー⁉︎」

「確か・・・タイガ達に力を与えたウルトラマン・・・・・・そう・・・貴方達が。」

「やはり黒幕は貴様か‼︎」

「お前はこれが狙いだったんだな‼︎」

 

2人のウルトラマンの変身者が霧崎を睨む中、タロウはタイガを持ち上げるとその胸を2度殴りつけ、前蹴りで吹っ飛ばす。さらに角から電撃でタイガを追い詰めると両腕を上げて頭上に合わせ両腕を引き絞りエネルギーを集める。必殺技であるストリウム光線を放つ構えに入ったのだ。

 

『父さん‼︎もう止めてくれ‼︎』

 

タイガも必殺技であるストリウムブラスターを放つ構えに入った。そして2人のウルトラマンの必殺光線がぶつかり合う。

 

『ストリウムブラスター‼︎』

 

タイガは力を振り絞って迎え撃つもタロウのストリウム光線に押される。やがてタイガが力負けし、タロウの必殺光線が直撃した。

 

『ぐあああああああ‼︎』

 

タイガはストリウム光線をまともに浴び、大爆発を起こした。それを見て霧崎は両腕を広げて愉快そうな声を放つ。

 

「最高のショーが・・・開幕したぞ・・・。」

 

霧崎はそう言い残してその場から消える。その時、空中で変身が解除されたヒロキはそのまま地面に落ちていこうとしていた。それを見たレッドキングはヒロキを助けようと飛び上がろうとする。だが彼女がヒロキを支える前にショウがヒロキの体を支えていた。ショウはヒロキを受け止め地面に着地するとヒロキを下ろす。レッドキングとエレキングはヒロキに駆け寄った。

 

「ヒロキ‼︎大丈夫か⁉︎」

「は、はい‼︎・・・あの・・・この人達は?」

「礼堂ヒカルにショウ・・・タイガ達に力を渡したウルトラマンらしいわ。」

「こいつらがギンガとビクトリーらしいぜ。」

「えっ⁉︎」

 

思わずヒロキは2人の青年に目を向ける。その時、ヒカルとショウは白くなった短剣のようなアイテムと槍のようなアイテムを取り出した。

 

「早速だけど・・・俺達の力を返してもらうぜ。」

「は、はい‼︎」

 

ヒロキはタイガスパークからギンガレットとビクトリーレットを出現させる。それはヒカルが持つ『ギンガスパーク』、ショウが持つ『ビクトリーランサー』に流れていった。その時、2つのアイテムが色を取り戻す。そしてヒカルが語り出した。

 

「俺達はトレギアから抜け出したアイツの動きを封じるために結界を張った。その時、力を使い果たして変身が出来なくなっていたんだ。」

「トレギアから・・・アイツが・・・。」

「グリムドはトレギアが体内に封じ込めていた。」

「アイツこそがトレギアの強さ・・・力の源だ。」

「あの怪獣が・・・。」

「トレギアの力・・・。」

 

思わずヒロキと2人の怪獣娘は先程戦闘があった場所に目を向ける。ヒカルとショウもその方向に目を向けながら語り出す。

 

「タロウは息子を守るために犠牲になったんだろう・・・。」

「結果、トレギアの狙い通り2人は戦う事に・・・どこまで拗らせた野郎なんだよ。」

「トレギアは俺達が倒す・・・親友だった相手とタロウを戦わせたくない。」

 

ヒロキ達はヒカルとショウの言葉を聞きながら先程戦闘があった場所を見つめるしかなかった。




次回は怪獣娘とニュージェネレーションヒーローズの変身者と怪獣娘の絡みを中心にしたいと思います。


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最終章 ニュージェネクライマックス中編 闇に取り込まれた父②

ニュージェネレーションヒーローズとの絡みもそこまで中心にするまではいけませんでした・・・タロウ系怪獣娘も全員登場させる事は出来ました。しかし、物語の都合上、余り彼女達に出番をあげられませんでした。けど、一言しか喋っていなくて性格の違いとかが分かるようにはしたと思うのでこれで許してもらえれば幸いです‼︎


ヒロキとタイガは自身が戦闘を繰り広げていた場所が見えるところに立っている。タイガは無理そうな笑いを込めて話し出した。

 

『あれで宇宙警備隊の筆頭教官だっていうんだから笑えるよな!』

「タイガ・・・。」

『ウルトラ6兄弟の一員でこの星でも伝説のウルトラマンとか言われてたけどさ・・・息子を守ろうとして闇に飲み込まれちまったんだぞ!笑うしかないよな‼︎』

「タイガ。」

『お前の爺ちゃんが見たら絶対嘆きそうな姿を見せちまったんだぜ‼︎本当に・・・あんなところを見せちまって・・・お前の爺ちゃんがあの世で嘆きそうな』

「タイガ‼︎」

 

今のタイガを見ていたたまれないヒロキは思わず大声を上げた。思わずタイガはヒロキに目を向ける。

 

「きつい時はきついって言えよ‼︎辛い時は辛いって言っていいんだよ‼︎」

『・・・ハァ⁉︎何で俺がそんな事‼︎』

「分かるよ‼︎タイガの事なら何だって‼︎」

 

ヒロキは思わず自身の言った事に黙り込む。ヒロキに釣られてタイガも黙り込むとヒロキは冷静になって話し始める。

 

「・・・御免・・・正直なところ・・・全部は分からない・・・。」

『何だよ、それ・・・。』

「でも・・・これまでどんなに厳しい困難があっても一緒に乗り越えてきたじゃないか・・・だから・・・1人で抱え込まないで僕を頼ってくれよ。せめて僕にだけでも正直に言ってくれよ。」

『俺は・・・‼︎』

「大丈夫‼︎きっと大丈夫‼︎お爺ちゃんも夢で言ってただろ!僕達ならきっとタロウさんを助けられるって‼︎』

「君達は良いコンビだね。」

 

タイガはヒロキの言葉に再び黙り込む。そこに先程、イサミと一緒にいた青年が話しかけてきた。2人はは青年の方を向くとヒロキが訊ねる。

 

「貴方は?」

「僕は朝倉リク。またの名をウルトラマンジード。」

「ジードって・・・確か‼︎」

『ベリアルの遺伝子を継ぐウルトラマンだ・・・。』

「そう・・・君も知ってるんだね・・・なら話は早いや。僕の父さんはベリアルなんだ。」

「リクさんが・・・ベリアルの・・・。」

 

ヒロキは目の前の温和そうな青年こそが悪に堕ちたウルトラマンの血を継ぐ者と知り、彼の顔を見続けていた。そんな中、リクはヒロキ達に自身とベリアルの事について語り出す。

 

「だから、父親と戦わなきゃいけない事の辛さは分かるよ。想像も出来ないくらい、派手にやり合って・・・ベリアルと・・・いや、父さんを殴った時の痛みは今でも覚えてる。」

「リクさん・・・。」

 

ヒロキはリクの言葉を聞いてどれだけ彼が辛い戦いを経験してきたのか察すると何も言葉に出来ずにいた。リクは2人の心情を察すると再び話し出す。

 

「あっ・・・御免。・・・でも、僕が父さんと最後まで戦えたのは大切な仲間がいたから・・・今の君にも。」

『俺は・・・闇に染まった父さんを救えるんだろうか⁉︎』

「助けられるのは・・・息子である君だけだ。」

 

リクの言葉を聞いたタイガはその言葉を深く噛みしめる。そしてタイガ自身も決意を決めた。

 

『分かった‼︎』

「ありがとうございます、リクさん‼︎」

「とんでもない。」

 

タイガの声を聞いたヒロキはリクにお礼の言葉を放つ。2人のウルトラマンの変身者はお互い顔を見合わせて笑みを浮かべた。その時、ヒロキは思い出したかのような顔になるとタイガスパークを右腕に具現化させる。

 

「あっ、リクさんから借りていた力を返さないと‼︎」

「あっ、そうだ。」

 

リクは白くなったナックル状のアイテム『ジードライザー』を構える。ヒロキのタイガスパークからジードレットが飛び出して光になるとそれはジードライザーに帰っていく。そしてジードライザーは赤い色を取り戻した。その時、ヒロキのソウルライザーに通信が入る。

 

「はい、こちらヒロキ‼︎」

『ヒロヒロ‼︎直ちにGIRLS本部に戻って来て下さい‼︎ウルトラマンの皆さんも集まっています‼︎』

「分かりました!リクさん、行きましょう‼︎」

 

リクはヒロキの言葉に頷くとその場を後にして走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「へえ〜、空を飛びたいという思いから怪獣娘に?」

「はい!餓鬼っぽいですよね‼︎」

「いや、そんな事無いと思うぜ。俺の大学の同級生にも空を飛びたいという夢を持った奴がいるんだ。」

「へ〜、本当ですか⁉︎」

「ああ、なんか君の話を聞くとあいつの事、思い出しちまうな・・・。」

 

その頃、GIRLSではヨウの話を聞いたイサミが自身の知り合いの事を話していた。その隣では大地がミカヅキにゴモラの人形を見せている。ゴモラの人形を見てミカヅキは心に何かを感じた様子だった。

 

「それってゴモラの人形?・・・でも・・・この人形・・・普通の人形じゃ・・・。」

「やっぱりゴモラの魂を継ぐ君には分かるんだね。このスパークドールズは本物のゴモラさ。」

「⁉︎・・・それじゃあこの人形はもう1人のわたし自身・・・。」

「俺が子供の頃、両親から託されたんだ。・・・いつかこのゴモラ・・・ううん、ゴモラだけじゃなく他の怪獣とも共存出来るようになりたい・・・そう思ってるんだ。」

「怪獣との共存・・・。」

「御免、勝手に語っちゃって・・・。忘れていいよ。」

「ううん‼︎全然大丈夫‼︎素敵な夢じゃん‼︎わたし、応援するよ‼︎」

 

ミカヅキが大地と話し合っている中、魔王獣コンビはガイと自身の元となった怪獣について話していた。

 

「ガイさんはわたし達の元の怪獣と戦った事があるんですか⁉︎」

「ああ、かなり派手にやり合ったぜ。魔王獣なだけあってお前らのカイジューソウルの怪獣は手強かったな。」

「あ・・・あの・・・。」

「ん?」

「わたし達の怪獣って世界を滅ぼす力を持っていると聞いたんですが・・・まさか・・・わたし達を・・・倒そうなんて・・・。」

「バカ言うな。お前さん達はその力で多くの人達を助けているじゃないか。お前らを受け入れてくれる人達も沢山いる。そんな事出来るわけないだろ。」

「ガイさん・・・。」

「頑張れよ、2人とも。」

「「はい‼︎」」

 

ガイが魔王獣コンビを励ましている中、ベニオとランはヒカルとショウから2つの人形を見せてもらっている。それはベニオのカイジューソウルであるレッドキングの強化体『EXレッドキング』とランのカイジューソウルであるエレキングのスパークドールズであった。

 

「これって・・・まさか俺達の⁉︎」

「ああ、スパークドールズだ。」

「俺達は何度も助けられたよ。お前らの元の怪獣にな。」

「・・・そう、私達の力が・・・。」

 

ランが感慨深そうな声を上げるとドアが開かれてヒロキとリクが入ってくる。2人の姿を見て集まるべき人員が集まった事をトモミが確認する。

 

「戻りました‼︎タイガ達も一緒です‼︎」

「よく戻りました、ヒロヒロ‼︎・・・その方は?」

「朝倉リクさん‼︎ウルトラマンジードなんだって‼︎」

「白鳥くん。」

 

ヒロキがリクの事を皆に紹介すると先程まで魔王獣コンビと話していたガイ、ミカヅキと話していた大地がヒロキに話しかける。ヒロキは目の前の青年2人に目を向けた。

 

「俺の力は役に立ったかい?」

「ありがとう、エックスの力を大事に使ってくれて。」

「えっと・・・貴方達は?」

「ガイさんと大地さん。ウルトラマンオーブとウルトラマンエックスさ。」

「オーブとエックス⁉︎・・・お2人が・・・‼︎」

 

ヒロキはイサミの言葉を聞いて驚くと同時に思い出したかのようにタイガスパークを出現させる。そしてオーブレットとエックスレットを出現させた。ガイは白くなった輪っかが先端に付いたアイテム『オーブリングとエクスデバイザーを取り出した。そして2人の力を宿したブレスレットは2人のアイテムに戻ると再びその輝きを取り戻す。2人の変身能力が戻った証拠だ。その時、大地のエクスデバイザーから声が聞こえてきた。

 

『これで私も君達に挨拶が出来るな‼︎』

『うわああああああああああああああああああああああ‼︎』

 

突然エクスデバイザーから聞こえた声にヒロキ達は驚く。一足先に冷静さを取り戻したヒロキが声の主に訊ねた。

 

「えっと・・・貴方は?」

『私はウルトラマンエックスだ‼︎』

「エックスはこのエクスデバイザーの中にいるんだ。」

「ま、まさか・・・そのデバイスの中にウルトラマンがいるの⁉︎」

 

ミカヅキが思わず訊ねると大地は首を縦に動かして肯定する。それを見た怪獣娘達が大地のエクスデバイザーに駆け寄ってきた。

 

「すっごぉぉい‼︎ウルトラマンって機械の中に入れるんだ‼︎」

「その機械の中ってどうなってるの?」

「一種の電脳空間の中にいるのデスカ⁉︎凄いデス‼︎ワタシ達もそこに入れるようになるにはどうしたらいいのデスカ⁉︎」

『待ってくれ‼︎いきなりいっぺんに来ないでくれ‼︎対応出来ない‼︎』

「皆さん、止めてくださぁぁい‼︎今はそんな場合じゃありませぇぇぇん‼︎」

 

エクスデバイザーの中のエックスに詰め寄っていた怪獣娘達はトモミの声で我に帰る。そしてヒロキが先に話題を振ってきた。

 

「ピグモンさん、これからなのですが・・・。」

「分かっています。タロウさんを助け、グリムドとトレギアを倒す・・・ですよね?」

「はい‼︎」

「わたし達もただ手をこまねいて見ている訳にはいきません!それでグリムドについて知ってそうなマグマグを訊ねたところ、あの怪獣が放つバイブス波を探知すればタロウさんの行方を突き止められるそうです‼︎」

「本当ですか‼︎」

 

ヒロキは思わずトモミに詰め寄って訊ねる。トモミは頷いてクララ、ピリカの方に目を向けると2人は頷いてパソコンのキーボードを叩き始める。するとモニターに赤い点が表示された地図が映し出される。

 

「先程出現したグリムドのバイブス波は既に計測済み‼︎そしてそのバイブス波の現在の場所を突き止めると・・・。」

「ここになりマス‼︎」

「ここに・・・タロウさんが・・・‼︎本当に⁉︎」

「間違いありません‼︎そこにタロウさんがいます‼︎」

 

ヒロキ達は突然聞こえてきた乱入者の声がした方を向く。そこには顔見知りのユリカ、カレン、そして青みがかかった羽を備えた宇宙大怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『改造ベムスター』がいた。ミカヅキは思わず改造ベムスターに駆け寄ってきた。

 

「ユリカさんにカレンさん‼︎それに・・・えーっと・・・。」

「ベム‼︎」

「ベム?」

「ベムスターの怪獣娘だよ。」

「ベムスター⁉︎ああ、成る程‼︎でも・・・僕が知ってるベムスターと何か違うような・・・。」

 

ヒロキが祖父の形見である手帳を開いてベムスターを確認する中、改造ベムスターには仲がいいミカヅキが、ユリカにはクララが話しかけた。

 

「ベム⁉︎どうしてここに⁉︎」

「話は聞いたよ‼︎ウルトラマンタロウが大変な事になったって‼︎」

「それは確かにそうデス。・・・けど、どうしてユリカ達にはここにタロウさんがいると確信出来るのデス?」

「それは簡単・・・だって・・・わたし達は・・・。」

「タロウと戦った怪獣や宇宙人のカイジューソウルを継ぐ怪獣娘なんだから‼︎」

「・・・そうか‼︎・・・タロウさんもメフィラス星人、ベムスターと戦った事があるんだった‼︎」

『そして父さんが戦った方は最初に現れた奴とは違う・・・だから怪獣娘としての姿が違うんだ‼︎』

 

ヒロキとタイガが結論付けているとクララがユリカが何を言いたいのか察する。

 

「まさか・・・ユリカ・・・。」

「うん・・・今までは・・・カイジューソウルが何か感じるだけだった・・・タイガだけでは・・・でも・・・タロウを見た途端・・・。」

「アタシ達のカイジューソウルが激しく疼くのを感じたわよ‼︎そして・・・それは・・・タロウの様子がおかしくなった後もタロウが姿を消した後も‼︎そしてカイジューソウルが疼く場所に向かったわ‼︎」

 

そしてカレンはさっきまで起こった事を語り出す。それはなんと自身のカイジューソウルに導かれて地図に示された公園に向かったと言うのだ。そこで4人の怪獣娘と合流した事、4人と共にタロウらしき影を見た事を話した。

 

「それ、間違いないのデスカ?」

「間違いありません‼︎」

 

そこには緑色の亀のような獣殻を身に纏った大亀怪獣の怪獣娘『ミニトータス』、緑色の獣殻に頭にヘッドフォンのようなものを備えたぽっちゃり系である再生怪獣の怪獣娘『ライブキング』、背中に黄金のマントを羽織い、肩に猿のような人形を乗せて青い獣殻に身を包んだ極悪宇宙人の怪獣娘『テンペラー星人』、頭に扇のようなトサカに赤いビキニのような獣殻を備えた野菜を抱えた食いしん坊怪獣の怪獣娘『モットクレロン』がいた。

 

「み、ミニトータス⁉︎」

「テンペラー⁉︎お前・・・どうして。」

「決まってます、アギちゃん先輩‼︎私達がタロウと戦った怪獣の魂を継いでいるからです‼︎」

「あたしらには分かるぜ!タロウが再び現れてからカイジューソウルが激しく疼くんだ。そしてそれは・・・さっきこの公園に来た時も・・・この建物にいても・・・鳴り響いてる‼︎タロウの気配を感じてな。」

「テンペラー・・・。」

 

ミニトータス、テンペラーの2人と顔見知りだったらしいアキとベニオはその言葉を聞いて地図が表示されたモニターに再び目を向ける。

 

「タロウを助けるなら今がチャンスだよ〜‼︎」

「あの辺りから嫌な感じを感じるんだ。手遅れにならないうちに行きな‼︎」

「皆さん、ありがとうございます‼︎」

 

ライブキングとモットクレロンの言葉にヒロキは頭を下げてお礼を言う。そして彼女達が去るとヒロキ達はそれぞれ準備に掛かる。そんな中、カツミが自身の変身に必要なタロウクリスタルを眺めているとヒロキ達に呼び掛けた。

 

「・・・ヒロキ君、怪獣娘の皆。」

「どうしました、カツミさん?」

「本当に申し訳ない‼︎」

「ええっ?」

「急にどうしました⁉︎」

 

突然頭を下げて謝罪するカツミにヒロキとトモミは戸惑いながら駆け寄る。カツミは頭を下げたままヒロキ達に言葉を続けた。

 

「あの時、俺達がトレギアを倒していればこの世界でトレギアが好き勝手にする事はなかった‼︎君達の人生を狂わせる事は無かった‼︎だから‼︎」

「そ、そんな‼︎カツミさんは何も悪くないですよ‼︎」

「そうです!カツミさんが責任を感じる事はありません‼︎」

「でも‼︎」

「カツ兄、顔を上げなよ。」

 

隣に立っていたイサミがカツミに促してくる。カツミは弟の顔に視線を向けるとイサミが語り出した。

 

「それを言ったら俺だって同じだ。まぁ、俺達の地球とは時間の流れが全く違うから気が付かないのも無理ないさ。」

 

カツミはイサミの顔を見た後、再び顔を上げる。そして決意を決めた表情で語り出した。

 

「タロウとタイガを傷付けたトレギアは絶対に許さない‼︎アイツは人の心を弄び、大切な人を傷付ける・・・今度こそ俺が‼︎」

「そこは俺達が・・・だろ‼︎」

 

熱くなる兄にイサミが肩に手を置いて落ち着ける。ヒロキもカツミに歩み寄って話しかける。

 

「カツミさん!イサミさん!トレギアがこの世界に来て大暴れしたのは決して貴方達のせいじゃありません‼︎」

「ヒロキ君。」

「だからこそ・・・ここにいる皆でトレギアと決着をつけましょう‼︎そしてタロウさんを助けましょう‼︎」

「そうだな、俺もタロウには恩がある・・・だから力を合わせようぜ‼︎」

 

会話に入ってきたヒカルの言葉にヒロキが思わず目を向ける。ヒロキはヒカルに疑問をぶつけた。

 

「ひ、ヒカルさんって・・・タロウさんと何が?」

「ん?・・・ああ、俺がウルトラマンになったのはお前と同じ歳くらいの時だったんだよ。」

「そ、そうなんですか⁉︎」

「ああ、そん時、俺達の力になってくれたのはタロウだった。タロウがいてくれたから俺はあの戦いを切り抜けられた・・・だからタロウには感謝してるんだ。」

「俺もタロウさんには力を貸してもらってるんだぜ。」

 

今度はガイがタロウが描かれたカードを取り出した。それを見たヨウとユカが思わず身を乗り出す。

 

「これってタロウさんですよね⁉︎」

「ああ、俺はこのカードの力で先輩方の力を使う事が出来る。そしてタロウさんのカードのお陰で俺も色々な戦いを切り抜ける事が出来たんだ。」

「そ、そうだったんですか・・・。」

「僕も持ってるよ。タロウさんの力を宿したウルトラカプセル。」

「本当ですか⁉︎」

「うん・・・ほら。」

 

ヒロキはヒカルの話やガイのウルトラフュージョンカード、リクのウルトラカプセル、カツミのルーブクリスタルを見て感慨深い気持ちになっていた。

 

(・・・タロウさんは・・・これだけ多くの・・・ウルトラマンの力になっていたんだね・・・。)

「お爺ちゃんに・・・見せたかったな・・・。」

「へ?何か言った?」

「ああ、いや何でも‼︎」

 

ヒロキは思わず小さく呟いてしまう。リクの問いかけに思わずヒロキは誤魔化した。その時、太陽が沈んだ景色を見たトモミが話を切り上げてきた。

 

「皆さん、今日はもう遅いです‼︎今日はこのくらいにして明日に備えましょう‼︎」

『はい‼︎』

『ああ‼︎』

 

トモミの言葉に全員が声を揃えて返す。そしてヒロキ達は今日の夜、このGIRLS東京支部に泊まる事になった。そして夜の街を見ながらヒロキは屋上に立っていた。

 

「明日か・・・。」

『ああ・・・。』

「お爺ちゃん・・・こうなる事を知ってたのかな・・・。」

『・・・・・・。』

「どうしたんだよ、3人ともさっきから様子が変だぞ?」

『ああ・・・実は・・・。』

「ヒロヒロ・・・。」

 

タイガが話を切り出そうとした時、トモミが声を掛けてきた。ヒロキは思わずトモミに駆け寄る。

 

「トモミさん、どうしました?」

「もう〜、ヒロヒロってばまだ起きてたんですか〜。そろそろ寝ないと明日持ちませんよぉ。」

「あっ・・・ああ、そうですね。それじゃあ・・・。」

 

ヒロキはトモミに背中を向けて仮眠室に戻ろうとする。するとトモミが肩を震わせながら何かを話そうとする。ヒロキは後ろに目を向けてトモミに問い掛けた。

 

「トモミさん、どうしました?」

「ヒロヒロ・・・ヒロヒロにとってキンキンはただの幼馴染ですか?」

「えっ?」

「いいから答えて下さい‼︎」

「ちょっ、いきなりどうしたんですか?」

「答えて下さい‼︎どうなんですか、ヒロヒロ‼︎」

 

ヒロキはトモミからの問いに戸惑いを隠せなかった。思わずヒロキは自身のクララへの思いを口にした。

 

「ただの幼馴染と聞かれたら・・・そうじゃないと言えます・・・それが・・・何か?」

 

ヒロキが思いを口にした後、問い掛けるとトモミはヒロキにとって驚くべき言葉を口にしてしまう。

 

「ヒロヒロ・・・わたしは・・・岡田トモミは・・・貴方の事が・・・好きです・・・。」




最近、ツブラヤイマジネーションに登録しました。
ギャラファイ新作面白いです‼︎デッカーまでこれで耐える事が出来そう・・・‼︎


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最終章 ニュージェネクライマックス中編 闇に取り込まれた父③

漸く投稿出来た・・・。先週休んだ分の遅れを戻さなくては・・・‼︎

最凶獣『ヘルベロス』登場
毒炎怪獣『セグメゲル』登場
悪夢魔獣『ナイトファング』登場
惑星守護神『ギガデロス』登場
雷撃獣神『ゴロサンダー』登場


「トモミさん・・・。」

「御免なさい・・・こんな時にヒロヒロを困らせる事を言ってしまって・・・でも・・・今伝えなきゃきっと後悔すると思ったんです・・・。」

 

ヒロキはトモミの告白を受けて思わず苦しそうな顔になる。そしてヒロキは彼女からの告白の返事に背中を震わせながら苦悩の表情を浮かべ彼女の顔から目を背ける。

 

「トモミさん・・・僕は・・・僕は・・・・・・。」

「ヒロヒロ・・・自身の思う事をはっきり言っていいんですよ。ヒロヒロの声を聞きたいんです。」

 

ヒロキはトモミの声を聞いて再び彼女の顔に視線を向ける。そして再び顔を前に向け、俯くと少し考えた後、決意を秘めた顔になる。決意を秘めたヒロキはトモミの方に再び目を向けると彼女に頭を下げて自身の思いを口にした。

 

「御免なさい、トモミさん‼︎」

「ヒロヒロ・・・。」

「僕には・・・心の底から気になる人がいます。その人は子供の頃からの幼馴染で・・・とても明るくて・・・機械にも強くて・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「スタイルも良くて・・・面倒見も良くて・・・誰よりも優しくて・・・ステージに立った時、誰よりも輝いていて・・・多くの人達を笑顔にする・・・そんな幼馴染に・・・僕は自然と惹かれています・・・。今も・・・僕は彼女の事を思うと胸が熱くなって・・・心の底からドキドキしています。・・・だから・・・トモミさんの思いには応えられません‼︎」

 

ヒロキの告白にトモミはただ黙って聞いていた。ヒロキが全てを語った後も彼女は言葉を話さない。暫く闇夜に沈黙が続いた。流れ星が1つ流れた時、トモミが再び口を開いた。

 

「やっぱり・・・ヒロヒロは・・・キンキンが1番なんですね・・・。」

「トモミさん・・・。」

 

ヒロキはトモミの顔を確認するために顔を再び上げる。彼女は涙こそ浮かべていたもののその顔はずっとつっかえていた物が取れてスッキリしたような笑顔だった。月に照らされたまま、トモミはヒロキに向かい合って言葉を続ける。

 

「ありがとうございます‼︎ヒロヒロの答えを聞けただけでもわたしは嬉しいです‼︎・・・・・・これからも・・・友達として・・・仲間として・・・よろしくお願いしますね、ヒロヒロ‼︎」

「はい・・・。」

「それでは失礼します・・・お休みなさい。」

 

トモミはヒロキに背を向けると屋上から立ち去り、建物へ戻っていく。ヒロキはその姿を振り返らずただ視線を前に向けていた。トモミは階段に座り込むとその場にしゃがみ込み小さく呟いた。

 

「やっぱり・・・キンキンには勝てませんね・・・最初から勝ち目がない事くらい分かっていました・・・分かっていた筈なのに・・・ううう・・・うわああああああああ‼︎」

 

暗闇の階段でトモミの泣き声が響く。暫く彼女の涙が泣き止む事は無かった。

 

 

 

 

 

 

「トモミさん・・・本当に御免なさい・・・。」

『ヒロキ・・・お前はよく言い切ったよ。』

「ありがと、タイガ・・・。」

 

その頃、ヒロキはトモミへの罪悪感に溢れていた。2人の流れを一通り見ていたタイガが言葉を掛ける。トモミが出て行ったドアを見つめるとタイガはタイタス、フーマの2人と顔を合わす。2人が頷くと何かを力強く決断したように頷いてヒロキに話し掛ける。

 

『ヒロキ・・・すまない、実は俺達もお前に話さなきゃならない事があるんだ。』

「話さなきゃならない事?」

『ああ、トモミの事で頭が一杯かもしれない・・・けど、それでも聞いてほしい大事な話なんだ。本当に悪いとは思ってるけど・・・。』

「大丈夫‼︎何かあるなら話してよ‼︎多分、このまま黙っていられるよりは全然いいから‼︎」

 

タイガ達はヒロキの反応を見て再び顔を見合わせる。そしてタイタスが最初に口を開いた。

 

『ヒロキ、微弱になっていた私たちのエネルギーが、君の体内で休息させてもらったおかげで完全に回復した。』

「えっ?それってどういう事?」

『簡単に言うとなヒロキ・・・俺達はもうお前の体を借りなくても実体化出来るって事だ。』

「ええっ⁉︎いつから⁉︎」

『少し前からだ。筋肉の調子もすこぶるいい。』

「何で言ってくれなかったの⁉︎」

 

ヒロキはタイタスとフーマから寝耳に水な話を聞かされ、思わず声を荒げながら訊ねる。するとタイガが気まずそうに答えた。

 

『心配なんだよ、俺達が宇宙に帰ったら後のお前が。よく無茶をするのは昔から変わらないからな。』

「が、帰る⁉︎星に帰るって事⁉︎」

『・・・俺も宇宙警備隊の一員だ。宇宙で今も多くの命を脅かしている奴らがいる・・・そいつらから多くの人達を守らなきゃならないんだ。』

『グリムドは強敵だ。この戦いで君が傷付くのを私達は見たくない!』

『お前はもう戦わなくていいんだ、相棒!後は俺達が‼︎』

「ふざけんなよ、3人とも‼︎」

 

ヒロキは大きく怒鳴り声を上げる。夜の屋上にヒロキの声が響くとタイガ達は押し黙る。ヒロキは続けて言葉を放った。

 

「僕だって皆が傷付くとこほは見たくない、だから一緒に戦うんだろうが‼︎」

『ヒロキ・・・。』

「それにこの戦いは君達だけの戦いじゃない・・・お爺ちゃんから思いを託された戦いなんだ・・・3人だって知ってるだろ。僕のお爺ちゃんは・・・子供の頃・・・タロウさんの事が大好きだったって・・・。」

『ヒロキ・・・。』

「だから・・・この戦いは絶対に避けられない・・・いや、避けてはいけないんだ‼︎お爺ちゃんは言ってた・・・僕達4人ならタロウさんを救えるって・・・だから‼︎4人じゃなきゃ駄目なんだ‼︎僕は何があっても最後まで皆と一緒に戦う‼︎絶対にだ‼︎」

 

ヒロキの叫びを聞いた3人は顔を見合わせる。そしてタイガが口を開いた。

 

『そうだったな・・・悪い、ヒロキ・・・俺達で父さんを助けようぜ‼︎』

「タイガ。」

『お前の覚悟、受け取った‼︎』

「ヒロキ、まだ起きてたのデスカ?」

 

タイガがヒロキの顔を見て決意を高めた時、後ろからヒロキを呼ぶ声が聞こえた。ヒロキは振り向くとそこにはクララが立っている。

 

「う、うん・・・中々寝付けなくて・・・。」

「フフ・・・実はワタシもデス。だから少し話しまセンカ?」

「うん、いいよ。」

『俺達は離れてようぜ。』

『そうだな、後はごゆっくり。』

 

タイガ達が気配を消すとクララはヒロキの隣に立って星空を眺める。釣られてヒロキも星空を眺めながら話し始めた。

 

「いよいよ明日だね。」

「そうデスネ。トレギアとの最後の戦いになりそうデス。」

「実際、これが僕達の最後の戦いさ。タイガ達も回復してまもなく地球を離れるんだって。」

「寂しくなりそうデスネ。長年GIRLSにいますがヒロキ達がいた時が1番賑やかで楽しかったデス!特にタイガ達がワタシ達に正体を明かしてからは最高にpeakデシタ‼︎」

「そりゃウルトラマン3人がいるんだぜ。賑やかにもなるさ・・・ベニオさんとミクさんがタイタスと一緒に筋トレした時は全身が筋肉痛になったなぁ・・・。」

「タイガがザンドリアスちゃん達の曲にハマった時は凄かったデスネ〜。タイガからのアンコールが激しかったデス。」

「他にもフーマが大怪獣ファイトにハマった時なんか凄かったな〜。ミカヅキさん達ファイター組が大怪獣ファイトでウルトラマンと特別試合を行いたいなんて言ってさ。」

「地球の文化に深く関わらないって必死に断ってマシタネ〜。タイガとタイタスにもしぶとくお願いして、ヒロキがウルトラマンとGIRLSの繋がりがバレたらまずいとの声で漸く断念した時、彼女達が非常に残念そうな表情をしていた事も覚えてイマス。」

「慰安旅行では光の国の歴史を教わったな〜。僕はそれより前に聞いてたけど、クララちゃん達、話の壮大さに驚いてたよね?」

「そりゃあそうデスヨ!宇宙規模の話なんデス。誰だって最初に聞いたら驚きマスヨ‼︎」

「あはは、そりゃそうだよね。僕も初めて聞いた時はスケールが大きすぎてついていけなかったよ。タイガ達はさ・・・僕達と会う前から広い宇宙を冒険し続けてきたんだよね。・・・宇宙かぁ・・・。」

 

お互い星空を眺めながらタイガ達との思い出を振り返って楽しそうに話をしていた。そしてヒロキが夜空を見上げながら静かになる。

 

「あのさ・・・慰安旅行でも同じ事言ったけど、こうやって夜空を見上げると小学生の頃の林間学校を思い出さない?」

「確かに・・・2人きりで見ると何故かあの日の事を思い出しちゃいマスネ。」

「本当、想像もしてなかったな。クララちゃん達と一緒に地球を守るために戦う事になるなんてさ。」

「それはワタシだって同じデス。まさかヒロキがGIRLSに入って・・・しかもウルトラマンとして戦うなんて怪獣娘の力に目覚めた時は思いもしませんデシタヨ・・・。・・・ヒロキ。」

 

クララは星空からヒロキに目を向ける。ヒロキもそれに応えるようにクララに目を向けた。2人がお互いの顔を見合うとクララは一呼吸入れ、話を切り出した。

 

「実は先程、ピグモンとすれ違ったのですが・・・どうも彼女が悲しそうな表情をしているように見えマシタ。何かあったのデスカ?」

「⁉︎」

「その様子だと・・・何かあったのデスネ・・・。」

 

ヒロキはクララからの問いかけに思わず目を見開いた。そして彼女から目を背けると黙り込んでしまう。その様子に何かあったと確信をついたクララは優しく声を掛ける。

 

「ヒロキ・・・何も隠さなくていいんデスヨ。ただ先程あった事を言ってくれればいいんデス。ワタシは決して怒ったりしまセン。」

「クララちゃん・・・実は・・・。」

 

ヒロキは先程あった事を全て偽りなく伝えた。クララは黙ってそれを聞いている。そして一通り聞き終えると納得の笑みを浮かべる。

 

「成る程、そういう事デシタカ。」

「トモミさんには悪いと思ってる・・・けど、自分の気持ちに嘘はつけないから・・・。」

「いいんデス。ちゃんと本心を伝えた・・・それだけで十分デス。」

「クララちゃん・・・。」

「その人に思いが届く事・・・ワタシも願ってマス。それじゃあおやすみなサイ。」

「待って、クララちゃん‼︎」

 

ヒロキはクララを呼び止める。クララが再び振り返った事を確認したヒロキはズボンのポケットから2枚チケットを取り出した。

 

「ヒロキ、どうし・・・これっテ最近人気ノ⁉︎」

「明日の夜、ここに来て欲しい・・・君だけに伝えたい大事な話がある。」

「それって・・・‼︎分かりマシタ。thank youデース、ヒロキ‼︎今度こそお休みなサーイ‼︎」

 

クララはヒロキの言葉で何かを確信すると嬉しそうに戻っていく。そしてクララが建物に戻るとタイガが声を掛けてきた。

 

『ヒロキ、まさかお前・・・。』

「ああ、僕も覚悟を決めた。」

『そうか、君も君で覚悟を決めていたのだな。』

『漸くかよ、見てるこっちからしたらかなりハラハラしたぜ。』

「・・・・・・タイガ、タイタス、フーマ、3人に最後のお願いがある。」

『何だ?』

 

ヒロキはタイガ達の方に目を向けると一息ついて黙り込む。タイガ達はそんなヒロキの顔に視線を集中させた。

 

「明日の夜までこの星にいて欲しい。僕の覚悟を見届けて欲しいんだ。」

『ヒロキ・・・。』

「駄目かな・・・。」

『いや、いいぜ‼︎俺達も気になるからさ、お前とクララがどうなんのか。』

『君はどんな時も私達に力を貸してくれた。そして私達と共に戦ってくれた!』

『だから、そんなお前の最後の願いとあっちゃ聞かないわけにはいかねえじゃねえか‼︎俺達も見届けてやるよ‼︎』

「ありがとう、3人とも・・・。」

 

ヒロキはタイガ達に礼を告げるとそのまま夜空に目を向ける。そして暫く夜空を見続けていた。

 

 

 

 

その頃、とある公園の森で霧崎が1人の男の背中を見ていた。その男こそ、タイガの父であるタロウの人間態『東光太郎』だ。霧崎はタロウの正面に回り込むと光太郎に向かって呟いた。

 

「どうだい、闇は気持ちいいだろう・・・友よ。」

 

しかし、光太郎は霧崎の問い掛けには答えず、ただ沈黙するだけだった。そして暗闇の中、2人の男がただ向かい合って立っている光景が続くだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、ヒロキ達はグリムドのバイブス波とかつてタロウと戦った怪獣や宇宙人の怪獣娘から教えてもらった公園に向かう。彼らが足を進める中、後ろから彼らを制止する声が聞こえた。

 

「待て‼︎」

 

思わずヒロキ達が振り向くとそこにはブラックスターズが立っている。予想外の人物の登場にヒロキ達は驚く。

 

「ブラックスターズ‼︎」

「誰だ?」

「あー、GIRLSに所属していない怪獣娘の集団です。」

「アナタ達、何故ここ二⁉︎」

「決まってる‼︎我々もお前達GIRLSに共同戦線を申し込みに来た‼︎」

「えええっ⁉︎アンタ達が‼︎」

 

ヒロキがカツミ達にブラックスターズの事を説明する傍ら、クララの質問に答えたブラック指令のまさかの回答にその場にいた全員が驚く。彼女達が加勢を申してきた事が信じられないベニオは思わず慌てながら訊ねる。

 

「お前ら、どういう風の吹き回しだ⁉︎」

「今回は地球全体の危機だ。このままこの星が無くなるのは我々にとっても非常に困る。」

「え、ええ・・・かなり予想外の展開だけど・・・ピグっち、どうする?」

 

トモミは彼女達の顔を見て少し考える。数分後、彼女は結論を出した。

 

「分かりました。今回は信用しましょう。こちらとしても加勢してくれる戦力が増えるのはありがたいですからね。」

「よし、ならば協定成立だな。よろしく頼む。」

 

そしてブラックスターズが簡単な自己紹介をする。それを聞いていたガイ、リクといった2人のウルトラマンの変身者が彼女達に話しかける。

 

「なぁ、お前さんブラック指令と言ったか?」

「ああ、そうだが?」

「何処かでカフェかラーメン屋をやっていたりしないよな?」

「か、カフェ・・・ラーメン屋・・・何の話だ?」

「いや、知らないならいいんだ。悪かった。」

「君ってペガッサ星人の怪獣娘だったんだね。」

「はい、そうですけど・・・ペガッサ星人に何か思い入れが?」

「ああ、僕には本物のペガッサ星人の友達がいてね。その友達の事を思い出しちゃったんだ。」

「ほ、本物のペガッサ星人にお友達が⁉︎本当なんですか⁉︎」

「ああ、喧嘩する事もあったけど、僕と一緒に何度も戦ってくれたんだ。いつか紹介したいな。」

「そ、その時はお願いします‼︎私も本物のペガッサ星人に会ってみたいです‼︎」

 

その一方でシルバーブルーメはヒロキに話しかけていた。彼女にしては珍しく顔を赤らめている。

 

「久しぶりだね、ヒロちゃん。」

「ああ、久しぶり。」

「ヒロちゃんがウルトラマンだったなんて思わなかったよ。ずっと戦い続けてたんだね。」

 

今回の作戦にあたってヒロキ達は自身がウルトラマンである事をブラックスターズに明かした。今回の戦いにあたってヒロキ自身も彼女に正体を明かさなければならないと考えたからだ。

 

「ねぇ、今日の夜って予定ある?また何か食べに行こうよ‼︎」

「今日の夜?・・・御免、大事な用があるんだ。」

「そっかー・・・残念・・・じゃあまた今度ね‼︎」

「・・・御免・・・多分、次は無いかもしれないんだ・・・。」

 

シルバーブルーメは少し残念そうな顔になるもすぐに表情を明るくした。ヒロキは満縁の笑みを浮かべる彼女に彼女に聞こえないくらい小さな声で呟いた。ヒロキ達は積もる話を終えると公園に辿り着く。そして高台への階段を登り続けているとその先で霧崎が立っていた。

 

『霧崎‼︎』

「トレギア・・・‼︎」

「やぁ、湊カツミに湊イサミ・・・この姿では初めましてだね。」

「お前がトレギア・・・。」

「うーん、中々のイケメンだけど・・・俺には負けるね。」

「相変わらず人の心を弄んでいるようだな。だが、人間はそんなに弱くないぞ‼︎」

「ゲームに勝つのはどっちかなぁ・・・。おやぁ?」

 

霧崎はカツミの前に立って割り込んだヒロキに目を向ける。その隣にクララもいる。霧崎はヒロキを見て愉快そうな顔をしながら話し出す。

 

「やぁ、白鳥ヒロキ君・・・君も来たんだねぇ・・・。」

「霧崎‼︎」

「最初は君なんて眼中に無かったよ・・・だけど、君が私の野望を全て打ち砕いた!闇に堕ちたタイガを救い、何度も私の前に立ち塞がった・・・。迂闊だったよ‼︎人間は光であり闇でもある・・・全く混沌そのものだ。」

 

霧崎はヒロキから今度はクララ達に視線を向ける。クララ達は奴がこちらを見た事に気付き思わず睨む。

 

「そして怪獣娘のお嬢さん・・・まさか君達がここまで抵抗してくるとは思っていなかったよ。君達なんて所詮怪獣の出来損ないに過ぎないと思っていたのに・・・ここまで私とやり合えるとは‼︎」

「相変わらず減らず口が多い野郎だな‼︎」

「何が言いたいのかしら。」

「破壊の化身である怪獣が人間の心を持って生まれるとどうなるか・・・それはまさしく混沌そのものだ‼︎」

「はぁ?アタシ達の存在が⁉︎」

「ふざけんじゃないわよ‼︎アンタに何が分かるっていうの‼︎」

 

サチコとミサオの2人が心外と言わんばかりに霧崎に食い下がる。霧崎は視線をミコとマコ、そしてクララに向けた。

 

「分からないとは言わせないよ。例えばガッツ星人のお嬢さん、君はシャドウミストに取り憑かれた。そしてその結果、もう1人の分身が生まれたじゃないか‼︎」

「そ・・・それは‼︎」

「キングジョーのお嬢さん、君も怒りの力で新たな力に目覚めたじゃないか。心を持たない殺戮兵器であるキングジョーが怒りの心で新たな力に目覚める・・・しかし‼︎この力を制御出来ずに暴走した・・・そうだろう。」

「っ⁉︎アンタ、どこまで‼︎」

 

ミクが霧崎に怒りを向ける中、クララは黙って言葉を聞く。彼女はミクを制止して前に立つ。

 

「ミクラスちゃん、ワタシなら大丈夫デス。」

「でも・・・‼︎」

「後は任せて下サイ。・・・霧崎、いや、トレギア‼︎確かにワタシはあの時、暴走して自分を見失い、多くの人達に迷惑を掛け・・・挙句の果てにはゴモラの命を奪うところデシタ。・・・けど、ヒロキは諦めずワタシを助けてくれマシタ‼︎ヒロキのお陰でワタシは自分を取り戻す事が出来マシタ‼︎そして・・・モデル活動が停止になってもワタシの仲間達は変わらずワタシに接してくれマシタ‼︎ワタシ達、怪獣娘だって間違いは侵します・・・けド‼︎周りに支えてくれる大切な人達がいる限り、ワタシ達は何度でもやり直せル‼︎何度だって立ち上がる言葉が出来るんデス‼︎」

「そう、混沌の中で何かを掴む・・・私が探していたものは君達の中にこそあったのだよ・・・なぁ、友よ。」

 

霧崎が後ろの誰かに呼び掛ける。すると霧崎の隣に光太郎が現れた。男の顔を見たタイガは大きく声を上げる。

 

『父さん‼︎』

「ええっ⁉︎あの人が⁉︎」

「ああ、タロウの地球の姿・・・東光太郎さんだ。」

「短い間だけど楽しかったよ。じゃあね・・・ヒロキ君。」

 

霧崎はトレギアアイを取り出した。それと同時に光太郎も左腕に付けたウルトラバッジを取り出す。そしてお互い、変身アイテムを翳すと本来の姿であるウルトラマンになり、街の方に飛んでいく。

 

『フハハハハハハハハハハ‼︎』

 

トレギアとタロウが街に着地すると同時にヒロキ達を向く。ヒロキ達はそれぞれ変身アイテムを構えた。

 

「行こうぜ‼︎皆‼︎」

『はい‼︎』

「ジーっとしててもドーにもならねぇ‼︎」

「「俺色に染め上げろ、ルーブ‼︎」」

『ソウルライド‼︎』

 

ヒカルの声でその場にいた全員が変身アイテムを操作する。ヒカルとショウはギンガスパークとビクトリーランサーからそれぞれのウルトラマンのスパークドールズを具現化して読み込ませる。

 

ウルトライブ!ウルトラマンギンガ‼︎

〈ウルトライブ! ウルトラマンビクトリー‼︎

 

「ギンガァァァァ‼︎」

「ビクトリイィィィィ‼︎」

 

大地は1枚のカードをエクスデバイザーに読み込ませてエックスのスパークドールズを出現させる。

 

〈ウルトラマンエックスとユナイトします。〉

「エックスゥゥゥゥ‼︎」

 

大地はエックスのスパークドールズを読み込ませたエクスデバイザーを天に掲げる。

 

ウルトラマンエックス、ユナイテッド‼︎

 

ガイはオーブリングに1枚のカードを読み込ませて1本の剣『オーブガリバー』を具現化した。そしてそのオーブガリバーをオーブリングに読み込ませる。

 

〈覚醒せよ、オーブの力‼︎〉

「銀河の光が我を呼ぶ‼︎」

 

そして剣の柄を回すと柄に描かれたそれぞれ火、水、風、土属性を表す絵が光る。ガイは光輝くオーブガリバーを天に掲げる。

 

〈ウルトラマンオーブ、オーブオリジン‼︎

 

リクはウルトラマンのウルトラカプセルを取り出してスイッチを押し、その力を解放する。

 

「ユーゴー‼︎」

 

ウルトラマンのカプセルを黒いナックル状のアイテムにセットすると今度はウルトラマンベリアルの力を宿したウルトラカプセルを起動する。

 

「アイゴー‼︎」

 

そして2つのウルトラカプセルを装填してジードライザーに読み込ませる。

 

〈フュージョンライズ‼︎〉

「ヒアウィーゴー‼︎」

 

ウルトラカプセルを読み込ませたジードライザーを胸の位置に持っていくとレバーを引いて全身から力を解放するかのように両腕を開きながら叫ぶ。

 

「ジイィィィィド‼︎」

 

ウルトラマン! ウルトラマンベリアル! ウルトラマンジード、プリミティブ‼︎〉

 

カツミとイサミはそれぞれのルーブクリスタルをルーブジャイロに装填する。

 

〈ウルトラマンタロウ!〉

〈ウルトラマンギンガ!〉

 

「纏うは火‼︎紅蓮の炎‼︎」

「纏うは水‼︎紺碧の海‼︎」

 

そしてルーブジャイロのレバーを引くと2人の体がそれぞれのエレメントに包まれ、巨大な巨人の姿になる。

 

〈ウルトラマンロッソ、フレイム‼︎〉

〈ウルトラマンブル、アクア‼︎〉

 

ヒロキはタイガスパークにタイガのキーホルダーを読み込ませて右手を天に掲げる。

 

〈カモン!〉

 

「光の勇者、タイガ!!」

『はあーっ!ふっ!』

「バディィィゴーーーー!!!」

 

〈ウルトラマンタイガ!〉

 

全身の至るところに水色のクリスタルを備えた未来の戦士『ウルトラマンギンガ』、頭に黄色いV字のクリスタルを備えた地底世界の戦士『ウルトラマンビクトリー』、赤と銀のカラーリングで頭にヘッドフォンのような突起を備えたサイバー戦士『ウルトラマンエックス』、胸にO字型のカラータイマーを備えた赤と黒、銀のカラーリングの銀河の風来坊『ウルトラマンオーブ』、赤と銀、黒のカラーリングに鋭い目をしたベリアルの遺伝子を継ぐ者『ウルトラマンジード』、そして兄弟ウルトラマンであるロッソとブルに光の勇者を名乗るタイガが地響きを立てながら街に降り立った。そして彼らが降り立った近くのビルに変身を完了した怪獣娘達も降り立つ。それを見たトレギアは手から何かを取り出した。

 

『豪華メンバーだな。パーティーは賑やかな方がいい・・・さぁ、集まるがいい・・・シャドウ達よ。』

 

それは昨日、タイガから回収した怪獣リングだった。トレギアの声に反応して街にいたシャドウ達が怪獣達に集まっていく。ウルトラマン達を横切りながらヘルベロス達に向かっていくシャドウを見たギンガとアギラが驚きながら辺りを見渡す。

 

『な、何だこいつらは⁉︎』

「シャドウ‼︎ボク達怪獣娘の敵です」

「トレギアの奴、一体何を⁉︎」

「見て‼︎シャドウ達が‼︎」

 

ゴモラが指差す方向に視点を向けると怪獣リングにシャドウが次々と吸収されていく。そして辺りのシャドウを吸収し終えた怪獣リングから黒い光が放たれた。そして指輪から怪獣達が召喚される。最凶獣『ヘルベロス』、毒炎怪獣『セグメゲル』、悪夢魔獣『ナイトファング』に惑星守護神『ギガデロス』、雷撃獣神『ゴロサンダー』といったかつてタイガ達を苦戦させた怪獣達が並び立つ。

 

「ヘルベロスに・・・セグメゲル‼︎」

「ナイトファングに・・・ギガデロス‼︎」

『ゴロサンダーまで・・・‼︎しかもこいつら・・・シャドウを吸収して強くなりやがった・・・‼︎』

 

タイガが怪獣達を見渡すとギンガが前に立つ。そしてヘルベロス達に視点を向けながらタイガに言葉を放った。

 

『こいつらは俺達が相手する‼︎タイガ、タロウを・・・親父さんを頼んだぞ‼︎』

『はい‼︎』

「わたし達も手伝うよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)の声にウルトラマン達が振り向く。彼らは怪獣娘達に目を向けると彼女達は一歩も引かない覚悟の目をしていた。彼女達がとんでもない危険に立ち向かおうとしている事を察するとウルトラマンを代表してオーブが思わず反対の声を上げる。

 

『危険だ‼︎お前らが戦える相手じゃない‼︎」

「そりゃ、相手は本物の怪獣だし、危険な事は分かってるよ‼︎でも‼︎」

「それでもボク達は戦います‼︎絶対に足手まといにはなりません‼︎」

 

ウルトラマン達はお互い顔を見合わせる。そして数秒後、彼らを代表してジードが発言した。

 

『分かった‼︎けど、決して無茶だけはしないで‼︎』

『はい‼︎』

 

そして彼らは再びトレギアとタロウ、怪獣達に目を向ける。睨み合う中、トレギアが前方に指差す。

 

『行け。』

「グルオオオオオオ‼︎」

「グルアアアアアア‼︎」

「ギイイィィィアアアァァ‼︎」

「ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ‼︎」

『行くぜ‼︎』

 

ヘルベロス達がタイガ達に突撃してきた。タイガ達も迎え撃つように走り出す。いよいよ最後の戦いの幕が切って落とされた。




漸くここまで来る事が出来ました・・・。
デッカーまで間に合いそう・・・。


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最終章 ニュージェネクライマックス後編 それぞれの道へ①

今回はニュージェネレーションヒーローズそれぞれの戦闘です。
ギンガストリウム、ビクトリーナイト、エクシードエックス、ライトニングアタッカー、エメリウムスラッガー、ロイヤルメガマスターは尺の都合上断念したもののそれぞれのウルトラマンの個性をなるべく出しました。それではどうぞ。


「ショオラッ‼︎」

「オラァッ‼︎」

 

ウルトラマンギンガとレッドキングがヘルベロスにパンチを放つ。ヘルベロスの頭に同時に1発目がヒットするとギンガは連続でヘルベロスの腹に拳を叩き込んだ。そして連続パンチを終えると飛び上がりジャンピングキックを放ってヘルベロスを吹っ飛ばす。

 

「グオオオオオオ‼︎」

「俺も行くぜ‼︎」

 

レッドキングは大ジャンプして急降下すると降下の速度で威力が増した拳をヘルベロスの脳天に放った。ヘルベロスが頭に頭痛を感じて顔をしかめる中、ギンガは胸の前で両腕をクロスすると全身のクリスタルが黄色に輝く。両腕を下に開き、右腕を曲げながら上げると空に銀河を思わせる雷雲が具現化する。そして雷雲から電撃のエネルギーを集めると右腕を突き出して集めた強力な電撃が放たれた。

 

『ギンガサンダーボルト‼︎』

 

エレキング以上の力を秘めた電撃がヘルベロスに直撃する。その威力にヘルベロスは思わず悲鳴を上げた。

 

「グオオオオォォォぉ⁉︎」

 

しかし、大量のシャドウを取り込んだヘルベロスには同じ電撃怪獣であるサンダーダランビア、エレキングを葬った必殺技を耐え切った。それを見たビクトリーは右足にエネルギーを集める。そして連続回し蹴りと共に足のV字クリスタルから光弾が放たれた。

 

『ビクトリウムスラッシュ‼︎』

 

ヘルベロスが後退する中、ビクトリーは更に追撃する。ショウがビクトリーランサーにEXレッドキングのスパークドールズを読み込ませる。

 

〈ウルトランス‼︎EXレッドキング、ナックル‼︎〉

 

ビクトリーの右腕がEXレッドキングの右腕へと変化する。スパークドールズを読み込ませて怪獣の力を使用するビクトリー特有の能力である『ウルトランス』だ。ビクトリーはEXレッドキングのものへと変化した右腕でヘルベロスを上から殴り付ける。

 

「ツィアッ‼︎」

「グオオオオオオオ⁉︎」

 

脳天に怪力を誇るレッドキングの強化体の拳を受けてヘルベロスは軽い脳震盪を起こす。その隙にビクトリーはEXレッドキングナックルで何度も殴りつける。そしてその後ろではギンガが全身のクリスタルを赤く光らせ、両腕をクロスさせてから肘を曲げて両腕を引く。するとギンガの周りに燃え上がる無数の隕石が具現化した。そしてギンガは右腕を突き出してその隕石を放つ。

 

『ギンガファイヤーボール‼︎』

 

ギンガが必殺技を放ったと同時にEXレッドキングナックルでヘルベロスに特大のストレートをお見舞いしたビクトリーはその腕で地面を叩き炎の衝撃波『フレイムロード』を放つ。2人のウルトラマンの炎技がヘルベロスに直撃した。

 

「グオオオオオオオ‼︎」

 

しかし、ヘルベロスもやられっぱなしという訳にはいかない。背中の無数の刺を光らせて無数の光弾を放つ『ヘルエッジサンダー』を放つ。ギンガはそれを見るとクリスタルを白く光らせて両腕をクロスさせ、光の剣『ギンガセイバー』を出現させる。

 

『ギンガセイバー‼︎』

 

ショウはビクトリーランサーにキングジョーカスタムのスパークドールズを読み込ませた。

 

〈ウルトランス!キングジョーランチャー‼︎〉

 

ビクトリーの右腕がキングジョーランチャーへと変わるとビクトリーはその右腕を光弾が降ってくる空へ向ける。そしてキングジョーランチャーから光弾を放ってヘルエッジサンダーを打ち落とした。エレキングも自身の盾でヘルベロスの光弾からレッドキング共々自身を守る、ギンガもギンガセイバーで降ってくる光弾を捌く。2人のウルトラマンが空から降ってくる光弾を捌いている隙にヘルベロスは二本の角から電撃『ヘルホーンサンダー』を放つ。ショウはそれを見て今度はエレキングのスパークドールズをビクトリーランサーに読み込ませた。

 

〈ウルトランス!エレキングテイル‼︎〉

 

ビクトリーは右腕をエレキングの長い尻尾でヘルホーンサンダーを捌く。そして電撃を浴びたエレキングテイルをヘルベロスに叩きつける。時を同じくしてエレキングも電撃を浴びた鞭をヘルベロスの目玉に叩き込んだ。ヘルベロスが思わず目を閉じた時、ギンガはクリスタルを紫に輝やかせ、頭に腕を交差させてエネルギーを集める。そしてギンガの頭のクリスタルから紫色の光線が放たれた。

 

『ギンガスラッシュ‼︎』

 

ギンガスラッシュがヘルベロスに直撃すると大きな爆炎が発生する。しかし、ヘルベロスは未だに無事だった。ヘルベロスの怒りに溢れる叫び声が聞こえる。

 

「グオオオオオオオオ‼︎」

 

ヘルベロスは口からの火球で2人のウルトラマンを攻撃する。ヘルベロスから放たれた火球は2人のウルトラマンに直撃し、大きな爆煙を起こす。ヘルベロスは勝利を確信して小さく唸り声を上げる。その時、爆煙からギンガスパークを槍に変形させた『ギンガスパークランス』を構えたギンガ、地底聖獣『シェパードン』の力を宿したシェパードンセイバーを構えたビクトリーが飛び出してきた。2人のウルトラマンはそれぞれが持つ武器でヘルベロスを一閃する。

 

 

 

 

『エックスクロスチョップ‼︎』

 

エックスは右手に力を溜めてX字になるよう手刀を放つ。セグメゲルはエックスのチョップで後退ると口から電撃状の炎『フレイムボルテクス』を放つ。エックスは後ろに飛んで避けると手から矢じり状の光弾を放ってセグメゲルを牽制する。そしてセグメゲルが怯んでいる隙にエックスの中の大地はサイバーゴモラが描かれたカードをエクステバイザーに装填する。

 

〈サイバーゴモラ、ロードします。〉

 

するとエックスの体に青い鎧か装着された。エックスの体に肩はゴモラの三日月状の角を現したような突起にサイバーゴモラの特徴である大きな両腕の爪を備えた『ゴモラアーマー』が纏われる。

 

〈サイバーゴモラアーマー、アクティブ!〉

「おおっ‼︎わたしの鎧‼︎」

 

サイバーゴモラアーマーを装着したエックスは両腕の爪でセグメゲルを斬り付ける。

 

「グギャアアアァァ⁉︎」

 

両腕の爪で5度斬りつけセグメゲルの体に切り傷を付けると両腕に力を溜め始める。ゴモラも角に力を溜め初めてセグメゲルの頭に超震動波を叩き込む。そして彼女がジャンプしてセグメゲルから離れた時、力を溜めた爪をセグメゲルに突き立て力を開放した。

 

『(ゴモラ震動波‼︎)』

 

ゴモラ震動波を受けたセグメゲルは後ろに大きく吹っ飛ぶがシャドウを吸収して強くなったその身には決定的な一撃にはならず、平気そうに体勢を立てる。そして背鰭を紫色に光らせながら口に力を溜め、得意技である毒の炎『セゲルフレイム』を放つ。エックスは両腕で防ぐもセゲルフレイムを受けたサイバーゴモラアーマーの両手は紫色に腐食していた。

 

(毒の炎を吐くのか⁉︎)

『危険な奴だ、絶対に野放しには出来ない!大地‼︎』

 

エックスの声を聞いた大地はメカニカルな姿になったエレキングのような怪獣のカードを取り出す。サイバーゴモラと同じサイバー怪獣のデータを宿した『サイバーエレキング』のカードをエクステバイザーに装填するとエックスの体に新たな鎧が纏われる。

 

〈サイバーエレキングアーマー、アクティブ‼︎〉

 

肩にエレキングの顔が着いた『エレキングアーマー』を纏ったエックスは右腕に付けられたキャノンにエネルギーを溜める。するとセグメゲルも口に紫色の炎を溜めた。そしてお互いの必殺技が同時に放たれる。

 

『(エレキング電撃波‼︎)』

 

エレキングの力を宿した電撃光線と毒の炎がぶつかり合う。両者ともに緩めず激しくぶつかり合うがお互いの力が互角だったのか大きく爆発しながら互いの力を掻き消し合う。お互い爆風で吹っ飛ばされると大地は今度は紫色のベムスターのような怪獣が描かれた『サイバーベムスター』のカードをエクスデバイザーに読み込ませた。

 

〈サイバーベムスター、ロードします。〉

 

そして紫色の左手にベムスターの腹を再現した盾を備えた鎧『ベムスターアーマー』がエックスに装着される。エックスは左手のシールドをブーメランのように投げる。セグメゲルはシールドを避け切れず顔に切り傷を負う。エックスの攻撃に怒ったセグメゲルは再び毒の炎を吐こうとする。するとエックスは戻ってきたシールドを構える。

 

『来い‼︎』

 

セグメゲルは再びセゲルフレイムでエックスを焼き尽くそうとした。しかし、エックスに備わったあらゆる物を吸い込むベムスターの腹を再現したシールドが毒の炎を吸収する。そしてエックスは吸収されたセゲルフレイムをセグメゲルに返す。

 

『(ベムスタースパウト‼︎)』

「グギャアアアアアア⁉︎」

 

エックスから返されたセゲルフレイムを受けたセグメゲルは自身の放った毒の炎に焼かれる。毒が侵食し、外側が焼けて多大なダメージを負ったセグメゲルは怒りのあまりエネルギーを最大まで溜めてエックスに突進する。至近距離でエックスに最大の高の炎を放とうとしたその時、セグメゲルの足元が崩れた。

 

「グギャアアアアア⁉︎」

「足元注意だよ‼︎」

 

ゴモラがセグメゲルの後ろから飛び出してくる。彼女が地中を掘り進んだ事で柔らかくなった地面に足を踏み入れたセグメゲルは落とし穴に掛かったのだ。ゴモラはエックスに視線を向ける。

 

「今だよ、大地ちゃん‼︎」

(ああ‼︎)

 

ゴモラの叫びに大地が答えると今度はエクスデバイザーにあの最強の怪獣ゼットンがメカニカルになったような怪獣『サイバーゼットン』のカードを装填される。

 

〈サイバーゼットン、ロードします。〉

 

そしてエックスの体にゼットンを思わせる黒い鎧に黄色の発光体とゼットンの特徴が備わった『ゼットンアーマー』が装着される。

 

〈サイバーゼットンアーマー、アクティブ!〉

 

エックスは角に力を溜めるゴモラと同時にゼットンアーマーの黄色い発光体にエネルギーを溜める。セグメゲルが再び口から毒の炎を吐こうと力を溜める中、チャージを終えたエックスはゼットンの1兆度の火炎弾を、ゴモラは最大出力の超震動波を放った。

 

『(ゼットン火炎弾‼︎)』

「最大出力のおぉぉぉぉ、超震動波ぁぁぁぁ‼︎」

 

2人の必殺技を受けたセグメゲルは大爆発しながら大きく後ろに吹っ飛んでいく。そして煙の中、フラフラになりながらも立ち上がった。

 

 

 

 

 

紫色と赤が目立つウルトラマンとティガの力を合わせた形態『スペシウムゼペリオン』となったオーブは両腕をL字にして胸の中心にエネルギーを集める。そして両腕をクロスさせて必殺光線を放った。

 

『スペリオン光線‼︎』

 

ナイトファングはそのままオーブの必殺光線を受ける。並の怪獣なら一撃で撃破出来るオーブの必殺光線だがシャドウを大量に吸収したナイトファングを仕留める事は出来なかった。平気そうな様子でナイトファングは口から火炎弾を放つ。オーブはそれを腕で受け止めて掻き消すとナイトファングに接近戦を仕掛ける。

 

「デャア‼︎」

 

オーブの赤いラインが赤く光りティガのパワータイプの力を放つ。オーブはナイトファングに正面からの前蹴りを浴びせると頭にチョップを放ち怯ませる。そして怪獣が怯んだ隙にその頭に膝蹴りを叩き込んだ。そしてオーブは光り輝くと赤い体にタロウを思わせる角を備えた姿に変わっていた。

 

『紅に燃えるぜ‼︎』

〈ウルトラマンオーブ、バーンマイト‼︎

 

タロウとその弟子であるメビウスの力を合わせた『バーンマイト』の姿になったオーブはその手に炎を込めるとその拳でナイトファングを殴り付ける。炎の拳にナイトファングが怯むと手足に炎を纏いながら更に追撃し、炎のパンチやキックを浴びせていく。しかし、怪獣もやられっぱなしではない。体勢を立て直したナイトファングは隠していた目を開き悪夢を見せる音波『ナイトメアウェイブ』を放つ。オーブはそれをまともに受けると脳裏に自身が体験した苦い記憶が浮かんでくる。

 

『ショーティー‼︎』

『兄貴・・・。』

「きゃあああああああああああ‼︎」

『ナターシャ‼︎・・・うわああああああああああああああ‼︎』

「ヴァアアアアアア‼︎」

「きゃあああああああああああああ‼︎」

 

とある監獄惑星で自身を慕ってくれた少年の最期、ゼットンに酷似した光の魔王獣との戦いに巻き込まれた1人の少女、力を抑えきれない闇の力を使った形態に変身した自身が1人の女性を取り込んだ白いヒューマノイドと竜を掛け合わせたような姿のロボット怪獣を彼女諸々撃破してしまった記憶が浮かび上がりオーブはうなされずにはいられなかった。

 

『ぐっ・・・ぐううううぅ⁉︎』

 

オーブはかつて自身を襲った悪魔に魘される。ナイトファングは口に力を溜めてオーブに追撃を放とうとするが突然自身の顔の周りが泡に囲まれる。ナイトファングは視界を塞ぐ泡を鬱陶しそうに振り払った。

 

「ジャッパ、もっと出せないか⁉︎」

「うん!頑張る‼︎」

 

ナイトファングの頭上をマガバッサーが飛んでいる。そしてマガジャッパは彼女の足に掴まりながら泡を放ってナイトファングの視界を逸らしたのだ。その隙にオーブは新たな姿に変身する。

 

『光を超えて闇を斬る‼︎』

〈ウルトラマンオーブ、ハリケーンスラッシュ‼︎

 

ブレスレットの名手であるゼロとジャックの力を合わせた形態『ハリケーンスラッシュ』に変身したオーブは頭のスラッガーを取り出すと手の中で回転させて専用の槍を具現化させる。ハリケーンスラッシュ専用やの武器『オーブスラッガーランス』だ。

 

『デヤァ‼︎』

 

スピードに優れた姿となったオーブは目にも止まらぬ速さでナイトファングを斬りつける。オーブは斬撃で体から花火が散るナイトファングに更に追撃を掛けるように連続で斬りつけた。目に見えぬ連続の斬撃で体のあちこちから火花が飛び散るナイトファングを見据えるとオーブは自身のランスを怪獣に突き刺そうとする。しかし、ナイトファングなそのタイミングを狙ってオーブの手首に自身の手から生えた触手を巻き付けてオーブの動きを封じる。そして再びナイトメアウェイブを放った。

 

『デヤアア・・・アアア・・・。』

「ギイイイイイイィィ‼︎」

 

再びオーブは悪魔に苦しみ始める。そこに助け舟がやってきた。それはマガバッサー、マガジャッパのコンビだった。マガバッサーは翼を羽ばたかせ強風と共にマガジャッパが放った大量の泡でナイトファングの視界を塞ぐ。ナイトファングが思わず触手の力を緩めるとオーブは新たな姿に変身した。

 

『闇を抱いて光となる‼︎』

〈ウルトラマンオーブ、サンダーブレスター‼︎

 

先程ナイトファングに見せられた過去の記憶と同じ、黒と赤のカラーリングに筋肉質な肉体と鋭い目を併せ持つ光と闇と力が融合した『サンダーブレスター』に変身したオーブが自身に絡み付いたナイトファングの触手を引きちぎる。そして闇と光の力を合わせたエネルギーを右手に集めて剛力の拳を浴びせる。タイタスを上回る光と闇の力を合わせた剛力には流石のナイトファングも吹っ飛んだ。

 

 

 

 

 

ジードはギガデロスの頭に飛び膝蹴りを叩き込む。頭部に強烈な一撃を受けたギガデロスは思わず後ずさるがすぐに持ち直して右手の剣でジードを斬りつけようとする。ジードはそれを避けると今度は胸に膝打ちを打ち込み、そのまま右手で引っ掻く。ギガデロスと距離を離したとところでジードは両手に力を溜める。両腕を頭上まで伸ばしてクロスかせると赤と黒のエネルギーを集めながら両腕を開いていく。鋭い目を輝かせながらエネルギーを溜めたジードは両手を十字に組んで必殺光線を放つ。

 

『レッキングバーストォォォ‼︎』

 

ジードの必殺光線がギガデロスに命中する。その威力は並の怪獣ならあっという間に葬れる威力でジード自身も目の前のロボットを確実に破壊したと思っていた。しかし、このギガデロスはそうはいかない。光線エネルギーを逆流させて分身するギガデロスはレッキングバーストをまともに受けて2体に増えていた。

 

『なっ⁉︎増えてる⁉︎』

「リクさん、光線は駄目です‼︎」

「あの怪獣は光線を受けると分身する力がある‼︎光線技は逆効果だ‼︎」

『そういうの先に言ってよ‼︎』

 

ジードは増えたギガデロスを見比べながら構える。ブラック指令達がジードの肩に乗ると彼の耳元に口を立てる。

 

「リクさん、私達に作戦があります。」

『作戦?』

「ああ、いいか?よく聞け。」

 

そしてブラック指令達の口から何かが伝えられる。それを聞いたジードはそしてこれから先どうすべきか数十秒間考える。そして結論を出した。

 

『分かった、君たちにも手伝ってもらうよ‼︎』

「リクさん・・・はい‼︎」

『そうと決まれば・・・光線が駄目なら・・・打撃技だ‼︎』

 

悩んだ末、ジードは頭にセブンのようなスラッガーを備えた赤いロボットを思わせる姿に変化した。セブンと彼の弟子であるレオの力を合わせた『ソリッドバーニング』である。

 

『燃やすぜ‼︎勇気‼︎』

ウルトラマンジード、ソリッドバーニング‼︎

 

力に長けた姿に変身したジードはジェット噴射と同時に力強い拳をギガデロスに叩き込む。ロボットであるギガデロスには肉体的なダメージはないがその機体には確実に傷が入っていた。その調子でギガデロスに拳やキックを叩き込むともう1体のギガデロスが指に仕組まれたマシンガンをぶっ放す。足元への銃撃にジードは思わず怯む。するとジードから拳を叩き込まれていたギガデロスが右手の剣でジードを斬りつける。ジードは思わず後ずさると頭のスラッガーを取り出して足に装着する。

 

『ブーストスラッガーキック‼︎』

 

ジェット噴射と同時にジードが後ろから迫ってくるギガデロスに回し蹴りを放つ。スラッガーの力で斬撃と大きな打撃を受けたギガデロスは地面に倒れる。そして今度は右腕にスラッガーを装着すると正面から突進してくるギガデロスに突っ込んだ。

 

『ブーストスラッガーパンチ‼︎』

 

ジードのスラッガーで切り傷と同時に打撃による衝撃も受けたギガデロスは派手に火花を散らすもシャドウを吸収した影響で耐久力が上がったせいか倒しきる事は出来なかった。ジードはそれを見ると青い姿に変身する。光の国の科学者であるヒカリと慈愛の勇者『ウルトラマンコスモス』の力を合わせた『アクロスマッシャー』だ。

 

『見せるぜ‼︎衝撃‼︎』

ウルトラマンジード、アクロスマッシャー‼︎

 

ジードは右手に力を集中すると光の剣を具現化させる。そして滑らかなジャンプで何度も回転しながらギガデロスに接近するとその剣で斬りつけた。

 

『スマッシュビームブレード‼︎』

 

そしてジードは滑らかな動きで何度もギガデロスを斬りつけるとギガデロスは地面に倒れる。そして目の前で起き上がろうとするギガデロスを見ると両腕に力を溜め、腕を十字にして組むと光輪上の波動光線が放たれた。

 

『アトモスインパクト‼︎』

 

その波動光線を受けたギガデロスは大きく吹っ飛ばされていく。そしてギガデロスが墜落した地点ではペガッサ星人が暗い感情を露わにしていた。

 

「うう・・・私はリクさんに大切な事を伝え忘れた・・・大切な事を伝え忘れた・・・。」

 

彼女がネガティブな感情を露わにした事でギガデロスの真上にダークゾーンが形成される。そのダークゾーンはあっという間に既に壊れかけのギガデロスを吸い込んでいった。

 

「やった‼︎ペガちゃん、変身解除を‼︎」

「は、はい‼︎」

 

ペガッサ星人はソウルライザーを操作して変身を解除する。しかし、彼女自身も吸い込まれかけてたため地面に落ちようとしていた。そこにジードが大きくジャンプして駆けつけ、彼のの掌の上に乗ったノーバが右腕の触手で彼女を受け止める。

 

「よくやった、ペガッサ。」

「ノーバさん、ありがとうございます‼︎」

『さぁ、後は1体だけだ‼︎ブラック指令さん‼︎』

「ああ、任せろ‼︎」

 

ブラック指令はまだ健在のギガデロスに目を向ける。ギガデロスもジード達に目を向けるがその機体に何か液体が掛けられた。シルバーブルーメの放った溶解液だ。液を浴びた箇所が溶ける音を立て始めていた。

 

「へへーん、見ーつけた‼︎」

 

ギガデロスがシルバーブルーメに狙いを定めたところでブラック指令が水晶を握りその手に力を込める。するとギガデロスの動きが鈍くなり始める。実はシルバーブルーメが狙ったのはギガデロスの分身能力形成機能が備わった部分だった。それを見たブラック指令は水晶の力で使える超能力てま機体の分身機能をショートさせたのだ。力を使いすぎたブラック指令は元の人間に戻ってしまうもジードに向かって叫ぶ。

 

「今だ‼︎ウルトラマン‼︎』

『守るぜ‼︎希望‼︎』

ウルトラマンジード、マグニフィセント‼︎

 

ウルトラマンゼロとタイガの祖父であるウルトラの父の力を合わせた姿『マグニフィセント』に変身したジードは両腕を拳にして合わせると開いてエネルギーを集めていく。そして両手をL字に組んで必殺光線を放った。

 

『ビッグバスタウェイ‼︎』

 

 

 

『纏うは土!琥珀の大地‼︎』

ウルトラマンブル!グランド‼︎

 

ブルはビクトリーのクリスタルの力で土属性の形態になり、両腕に力を集める。そしてエネルギーを集めた両腕を地面に叩きつけた。

 

『アースブリンガー‼︎』

 

ブルの放った衝撃波がゴロサンダーを襲う。しかし、タイタスのエレクトロバスターを上回る威力の電撃を放つゴロサンダーがシャドウを吸収して強くなったその姿には全く通用していなかった。

 

『駄目だ‼︎効かない‼︎』

『イサミ、クリスタルを貸せ‼︎俺がやる‼︎』

ウルトラマンロッソ、グランド‼︎

『グラビティホールド‼︎』

 

今度はロッソがグランドになると右手を叩きつける。そして同時に大きな衝撃波が発生する。そしてその衝撃波がゴロサンダーを包み込むとゴロサンダーの体が地面に押し潰される。ロッソの重力を操る力がゴロサンダーを押し潰したのだ。

 

「ゴロゴロ・・・。」

『なら俺も‼︎纏うは風!紫電の疾風‼︎』

ウルトラマンブル、ウインド‼︎

 

ブルは風の力を宿した形態になる。そして両手に力を集めると両手を突き出して風の力を宿した光線を放つ。

 

『ストームシューティング‼︎』

 

グラビティホールドで重力による圧力で苦しむゴロサンダーに風の力を宿した必殺光線が命中する。ゴロサンダーは思わずその光線に吹っ飛ばされた。ゴロサンダーは立ち上がると胸のパネルを叩いて電撃を集め始める。それを見たロッソとブルはそれぞれフレイムとアクアに戻る。ロッソは両腕を広げてエネルギーを集めて両腕で∞を描き、腕を十字に組んで炎の必殺光弾『フレイムスフィアシュート』を、ブルは両腕を曲げてエネルギーを集め兄と同じく∞を描いて腕をL字に組み水の力を持った必殺光線『アクアストリューム』を放つ。それと同時にゴロサンダーも強力な雷撃『サンダースパーク』を放つ。お互いの技がぶつかり合う。2人はゴロサンダーの雷撃に負けじと光線の威力を緩めない。しかし、ゴロサンダーはジリジリと迫り来ていた。そしてゴロサンダーの雷撃は2人の合体光線を押し返してしまう。

 

『ぐあああっ‼︎』

『があっ‼︎』

 

2人のウルトラマンはゴロサンダーの雷撃の前に地面に倒れる。シャドウを吸収して強くなったゴロサンダーの雷撃は2人の合体光線を上回る程にまで強化されたらしい。ゴロサンダーはゴロン棒を持つと2人のウルトラマンに襲い掛かる。その時、無数のガッツ星人がゴロサンダーを取り囲んだ。

 

「ゴロサンダー‼︎アナタ達の相手は‼︎」

「こっちにもいるよ‼︎」

 

分身したガッツ星人がゴロサンダーを挑発する。ゴロサンダーはゴロン棒を振りかざして彼女達を潰そうとするが瞬間移動で避けられる。ゴロサンダーは辺りを見渡すと瞬間移動で様々な場所に現れる彼女達の分身に混乱する。そしてゴロサンダーが目を回し始めた時に彼女達が高速光線を放ち怪獣を拘束する。

 

「今だよ‼︎カツミ、イサミ‼︎」

「長くは持たないわ‼︎アンタ達の持てる限りの力をぶつけなさい‼︎」

『分かった‼︎』

『カツ兄、オーブリングNEOを使おう‼︎』

『ああ‼︎』

 

カツミはオーブカリバーにオーブリングの輪っかが付いたようなアイテムを取り出した。かつて2人がオーブの力を悪用した者との戦いで手に入れた物だ。オーブリングNEOのスイッチを押してルーブジャイロに装填すると2人のウルトラマンが手を合わせる。

 

〈トリプルオリジウム光線‼︎〉

 

その時、後ろに大きなオーブの幻影が現れた。そしてロッソとブル、背後のオーブの幻影が同時にオリジウム光線を放つ。それを受けたゴロサンダーは大きく吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

タイガはトレギアの後ろに着地して立ち塞がる。トレギアはタイガが着地したと気付くとその方向に目を向けた。

 

『父さんを・・・返してもらうぞ‼︎』

『君1人で出来るかな・・・坊や。』

『俺は1人じゃない‼︎』

 

そう言い放ったタイガの隣にタイタスとフーマが実体化する。トライスクワッド3人が同時にこの星に降り立った瞬間だった。

 

『我らトライスクワッド‼︎』

「ワタシの事を忘れないで下サーイ‼︎」

 

タイガ達は声のした方向を見ると肩にキングジョーが立っている。タイガは彼女の顔を見ると2人に目を向ける。タイタスとフーマも彼女の表情を見て覚悟を決めたのか頷いた。そしてトレギアに目を向ける。

 

(トレギア、今日こそ決着をつけてやる‼︎行こう、皆‼︎)

『ああ‼︎』

「エエ‼︎」

 

まず最初にタイタスが拳をトレギアに放つ。トレギアはそれを受け流してパンチを放つがタイタスは背中で受け止めた。そしてタイタスが姿勢を低くすると跳び箱のようにタイタスの背中を越えて蹴りを放つ。

 

『行け、フーマ‼︎』

『おうよ‼︎』

 

今度はフーマが手刀と蹴りを放つがトレギアはそれを避ける。その時、タイガが走ってきた。今度はフーマがフーマが姿勢を低くしてタイガが背中を飛び越えていく。

 

『タイガ‼︎』

『ああ‼︎』

 

タイガの飛び蹴りがトレギアを吹っ飛ばす。そしてタイガはトレギアの首を足を回して投げ飛ばす。そして隙を見せまいとブラックスタイルのキングジョーがランチャーで銃撃する。

 

『おおっと・・・。』

『見たか‼︎これがトライスクワッドの力だ‼︎』

『ワタシもイマスヨ‼︎』

 

そして4人がトレギアに追撃しようとすると横から電撃の攻撃が襲ってきた。思わず4人がその方向を見るとそこにはグリムドに取り憑かれたタロウが立っていた。

 




デッカー・・・思ったよりも怪獣娘と合わせられそうで楽しみです‼︎
レグロス主役のスピンオフも気になりますね‼︎

このニュージェネクライマックス編のEDは以下のうちどれがいいですかね・・・。

ドラマティック(通常ver)
ドラマティック(GIRLSメンバー合唱ver)


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最終章 ニュージェネクライマックス後編 それぞれの道へ②

後1話まで来ました・・・ここまで来るのに本当に長かった・・・‼︎
うう・・・・・・デッカー放送までには完結させたかった・・・!!それが悔しいですが・・・どんなに遅くても今月中には完結させられますのでどうか最後まで応援よろしくお願いします‼︎


グリムドに支配されたタロウはタイガ達を睨み付ける。タイガ達もタロウと対峙する中、タイタスとフーマがトレギアに目を向けた。

 

『トレギアは私達が相手をする‼︎』

『お前はタロウを救え‼︎』

『ああ‼︎』

 

タロウと対峙するタイガの肩にキングジョーが着地する。タイガとヒロキは思わず彼女に目を向けた。

 

『クララ‼︎』

(クララちゃん‼︎)

「ヒロキ、タイガ‼︎ワタシも力を貸しマス‼︎」

『お前、大丈夫なのか⁉︎相手は俺の父さんだぞ‼︎』

「大丈夫デス‼︎ワタシも助けたいですから・・・ヒロキのお爺ちゃんが子供の頃憧れたheroヲ‼︎」

(クララちゃん・・・分かった‼︎タイガ‼︎)

『ああ、一緒に行くぜ‼︎』

 

タロウは構えるとタイガに向かっていく。タイガも負けじとタロウに突撃すると両者は右腕をぶつけ合う。タイガはその隙に空いた左手でタロウの腹に拳を打ち込み、体勢を崩したところで足を払う。タロウもタイガを殴り返すとタイガの首根っこを掴んだ。そしてそのまま振り回そうとするとキングジョーのランチャーが火を吹き、タロウの腕に火花が走る。

 

「させマセン‼︎」

 

タロウは思わずタイガから手を離す。しかし、すぐに切り替えて拳を数発叩き込む。タイガは少しタロウから距離が離れた事を確認すると反撃と言わんばかりの拳を胸に叩き込んだ。タロウが少し後退したところで続けて拳を何発も叩き込む。

 

『ハアアァァァァ‼︎』

 

十数発叩き込んでから最後の1発と言わんばかりの力を入れた拳でタロウを吹っ飛ばすとタイガは更に追撃する。しかし、タロウのカウンターパンチがタイガの腹部に命中する。腹に大きな痛みを感じたタイガはパンチを受けた部分を抑えながら崩れ落ちる。するとタロウが拳に力を入れてタイガに放とうとする。思わずタイガは両腕をクロスさせて受け止めようとするが両腕に衝撃を感じる事は無く、何が起きたのか確認したタイガの目には拳を寸止めするタロウの姿があった。

 

『おおおおおおああぁぁぁぁ‼︎』

 

タロウは息子に牙を向いた自身の中に取り憑いた存在の支配から必死に抵抗していた。タイガは父がグリムドと必死に戦っている事に気付くと思わずタロウの体を抑えつける。

 

『父さん‼︎邪悪な力に負けないで下さい‼︎』

 

キングジョーも腰のパーツを分離させロープ状の光線でタロウを押さえつける。そしてタイガの中のヒロキも必死にタイガに呼び掛けた。

 

(タロウさん‼︎僕も貴方に伝えたい事があるんです‼︎)

『うああああああああああああ‼︎』

(僕のお爺ちゃんは子供の頃、貴方と出会い、貴方の多くの戦いを見てきました‼︎けど、そんな中‼︎とある怪獣によって父を失った僕のお爺ちゃんは・・・とても心が荒んで自分を見失ってしまいました‼︎けど・・・貴方が大切な事を教えてくれたお陰でその後の人生を強く生きる事が出来たんです‼︎覚えていますよね‼︎貴方の事を慕っていた地球人の少年を‼︎)

 

力強く説得するヒロキの声にタロウが少し動きを止めた。しかし、すぐにタロウはタイガを振り払ってしまう。そしてタロウの背中から黒いオーラと共に巨大な目が映った。そしてタロウの背中から黒いオーラが走り、ギンガ達と戦う怪獣達に放たれる。オーラを受けたゴロサンダーはトリプルオリジウム光線を受けたダメージが回復し、強力なスパークさサンダーでロッソとブルを吹っ飛ばした。

 

「「カツミ‼︎イサミ‼︎」」

『『ぐああっ⁉︎』』

 

同じくオーラを受けたセグメゲルとナイトファングも白い火炎と音波でエックスとオーブを吹っ飛ばす。ギガデロスとヘルベロスも右腕からの銃撃と両腕から放たれる刃でギンガ達を吹っ飛ばした。

 

『先輩‼︎』

「皆さん‼︎」

「ヒカルさん‼︎ショウさん‼︎」

「リクさん‼︎」

 

レッドキング達と合流したミクラス、サツキが変身したペガッサ星人がウルトラマン達に向かって叫ぶ。ギンガ達はオーブとエックスの元に吹っ飛ばされるも2人は3人の体を受け止めた。そこにレッドキング達も合流する。

 

「お前ら、大丈夫か⁉︎」

『ああ、何とかな‼︎』

「一体何が起こったの⁉︎」

『グリムドの力で怪獣達がパワーアップしてる‼︎』

 

怪獣娘達を庇うように前に立つウルトラマン達に怪獣軍団が更に追撃する。炎、銃撃、音波に2つの電撃がウルトラマン達に向かって飛んでいく。彼らは怪獣娘達を守るように円陣を立てた。その時、怪獣達の攻撃が彼らに着弾する。

 

『ああっ‼︎』

 

ロッソとブルが一歩前に立つとギンガ達が怪獣達の攻撃で大爆発を起こした。爆炎が立つ中、煙が晴れるとそこには姿が変わった4人のウルトラマンが怪獣娘達を守るように円陣を立てていた。腕に大きなブレスを付けたギンガとビクトリー両方の色合いと特徴を備えた姿は彼らが合体した証を示す。その姿こそギンガとビクトリー、2人のウルトラマンが合体して誕生した戦士『ウルトラマンギンガビクトリー』だ。

エックスは姿が変わり、黒と銀のカラーリングに頭に虹色の発光器官、そして金と銀の鎧を纏い、右手には青い刀実に柄には金と銀のカラーリングが添えてある。スペシウムゼペリオンと同じようにウルトラマンとティガの力を合わせたサイバーアーマー『ベータスパークアーマー』を装着したのだ。

オーブはオーブオリジンの姿をベースに頭にギンガとビクトリー両方の頭のクリスタル、エックスのイヤホンを備え、肩にはギザギザの刃、カラータイマーがOとXを合わせた姿になっていた。この姿こそオーブがギンガ、ビクトリー、エックスの力を合わせたトリニティフュージョン形態、『オーブトリニティ』である。

ジードは赤い棍の武器『ギガファイナライザー』を構え、赤と黒のカラーリングにサイバーじみた金のラインが流れた形態になっていた。この姿がジードのウルトラマン自身の力を極限まで高めた究極の姿『ウルティメイトファイナル』だ。それぞれ究極の力でパワーアップしたウルトラマン達は怪獣達に構える。

 

「うわぁ・・・凄い。」

「物凄い力を感じます・・・。」

『カツ兄、俺たちはどうする?』

『よし、俺たちはルーブで』

『カツ兄、イサ兄!!』

 

それぞれのウルトラマン達が最強の姿に変わる中、自分達も合体して強力なウルトラマンになろうとした時、空から1人の巨人が降りてくる。小柄なオレンジ色の女性的なその巨人こそ2人の妹『湊アサヒ』が変身した『ウルトラウーマングリージョ』である。

 

『アサヒ!!』

「誰?」

『ああ、俺達の妹だ。』

「嘘!?アンタ達って!!」

「三兄妹でウルトラマンなの!?」

『はい!怪獣娘の皆さん、よろしくお願いします!!』

 

グリージョはガッツ姉妹に挨拶すると再び兄達に向き合い、二人と手を合わせた。

 

『カツ兄、イサ兄、合わせますよ!三つの魂!!』

『『ああ!!』』

 

3人は手を繋いで光り輝くとそこには1人のウルトラマンが立っていた。ロッソとブル、そしてグリージョの色合いを合わせたそのウルトラマンこそ3人が合体した強力な戦士『ウルトラマングルーブ』だ。5人のウルトラマンは空高く飛び上がるとそれぞれエネルギーを溜め始める。

 

『ウルトラフュージョンシュート!!』

『ベータスパークアロー!!』

『トリニティウム光輪!!』

『クレッセントファイナルジード!!』

『グルービング光線!!』

 

5人のウルトラマンが放ったそれぞれの必殺技が怪獣達に命中し大爆発を起こす。怪獣達が完全に爆散すると彼らは地上に降り立った。その様子を怪獣娘達が感激な表情で見つめている。

 

「凄い・・・。」

「やっぱウルトラマンは凄いよね~。タイガちゃん達を見た時から思ってはいたけどさ。」

「後は・・・あっちだね。」

 

ガッツ星人(ミコ)が振り向いた先には並び立つトライスクワッドと対峙するタロウの姿があった。怪獣娘を代表してアギラが呟いた。

 

「そっちは頼んだよ・・・タイガ・・・ヒロキさん。」

 

 

 

(クララちゃん、後は僕達に任せて!!)

「ヒロキ・・・。分かりマシタ!!」

『行くぞ!!』

『おお!!』

 

トライスクワッドは並び立つと互いの手を合わせあう。そして3人が炎に包まれるとトライストリウムになった。トライストリウムに変身したタイガはトライブレードを構える。その時、タロウは黒い炎を体から発生させその身を包んでいく。

 

『ハハハハハハハハ、いいぞ!!息子を焼き尽くせ!!』

『く、こうなったらこっちも・・・ウルトラダイナマイト!!』

 

ウルトラダイナマイトを放つ構えに入ったタロウを見てタイガもトライブレードを地面に突き刺すと全身を燃え上がらせる。タイガもウルトラダイナマイトを放つ構えに入ったのだ。

 

(タイガ、君もウルトラダイナマイトを使えるの!?)

『いや、見様見真似だ!!』

(ええっ!?大丈夫なの!?)

『分からない・・・けど!!やるしかない!!』

 

遂に燃え上がる2人のウルトラマン同士が突撃し大爆発しながら組み合った。タイガは初めて放つ不慣れな技に苦戦する。一方でタロウの放つ黒い炎はタイガを飲み込もうとしている。

 

『マズい!このままだとタイガが炎に飲み込まれる!!』

『今度はタイガの中に逃げ込む気だ!!』

「ええ!?」

『そうはさせるか!!』

『絶対に止める!!』

『はい!!』』

 

グルーブ達が思わず走るとトレギアが彼らに光線を放ち行く手を阻む。トレギアは両手に力を集めて彼らを睨んだ。

 

『親子水入らずの邪魔をするなよ・・・!!』

 

その頃、タイガはタロウの炎に苦戦していた。タロウの炎にタイガは苦しみの声を上げる。

 

『ぐ・・・があああ・・・あああ・・・。』

「ヒロキ!!タイガ!!タイタス!!フーマ!!」

 

キングジョーが彼らを心配して大声で彼らの名を呼ぶ。タイガの中でヒロキ、タイタス、フーマも炎に必死で抵抗する。

 

(負けるか・・・僕達も炎を燃やすぞ!!)

『『おお!!』』

『『(うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)』』

 

その時、タイガの中のヒロキ達も炎を放ち、タロウの炎を押し返していく。

 

『うおおおおおおおお!!』

『生まれた星は違っていても!!』

『共に進む道は同じ!!』

『我ら4人!!』

『『『(トライスクワッド!!』』』)

『うおおおおおおおおおお!!』

 

トライスクワッドの誓いを強く言い放った時、タイガの炎がタロウの炎を上回った。そしてヒロキはタロウに向かって強く叫んだ。

 

(タロウさん!!正気を取り戻してくれ‼︎そして貴方を本当の兄のように慕ってくれた僕のお爺ちゃん・・・白鳥健一の事を・・・思い出せぇぇぇぇぇぇぇ!!)

 

そしてタイガの炎がタロウを包み込んだ。その時、タロウは意識を取り戻す。

 

『タイガ‼︎お前は仲間を・・・真の絆を見つける事が出来たのか・・・‼︎そして・・・‼︎』

 

炎が収まりタロウの中にいたグリムドが黒い光球となって抜け出ていく。そしてタロウの体は崩れ落ちるもカラータイマーの輝きは赤から青に戻っていた。自分を取り戻したタロウがタイガの顔を見るとその頭に手を置く。

 

『タイガ・・・よくやったな‼︎』

『父さん‼︎』

 

自身を取り戻した父に喜びの声を見せるタイガ。そしてヒロキも感涙な表情でタロウに話しかけた。

 

(漸く会う事が出来ましたね、タロウさん。)

『君は・・・。』

(タイガの相棒の・・・白鳥ヒロキです。僕の苗字に聞き覚えありますよね?)

『では・・・やはり君は・・・‼︎』

『フハハハハ・・・・。』

 

タイガとタロウは思わず感情を押し殺した笑いのした方に目を向ける。そこではトレギアが唖然としている。トレギアは力無く声を続けた。

 

『いつだってそうだ、タロウ・・・お前は私にとって眩しすぎる存在だった・・・。』

『トレギア・・・。』

 

タロウが目の前の闇に堕ちた友に呟きかける中、タイガの中のヒロキが声を上げた。

 

(・・・トレギア、お前は・・・タロウさんの事が好きだったんだろ。タロウさんの事が好きで・・・タロウさんに憧れていて・・・タロウさんの隣に立って共に)

『黙れ‼︎白鳥ヒロキ‼︎お前如きに私の何が分かる‼︎』

(分かるよ・・・タロウさんの事が大好きだったって気持ちは僕にも分かる‼︎だって僕のお爺ちゃんもそうだったんだから‼︎)

『何?』

『ヒロキ・・・?』

「えっ、ヒロキさん、一体何を・・・?」

 

ギンガビクトリーの中のヒカルとアギラが疑問の声を上げる中、ヒロキは更に言葉を続けた。

 

(僕のお爺ちゃんもそうだった・・・タロウさんの事が大好きだった・・・目の前でタロウさんの戦いを・・・タロウさんの頑張りを何度も見て・・・ずっと‼︎タロウさんにずっと憧れを抱いてきたんだ‼︎僕のお爺ちゃん・・・白鳥健一は‼︎)

『⁉︎・・・タイガ、お前の中の地球人は・・・本当に・・・。』

『父さん・・・色々と聞きたい事があると思いますがその話は後で・・・。』

(お前もお爺ちゃんと同じだったんだろ・・・タロウさんの事が大好きで・・・タロウさんに憧れて・・・きっと何度も頑張って・・・タロウさんのようになりたくて・・・タロウさんの隣に立ちたくて・・・それでもタロウさんの隣に立てなかったから・・・タロウさんへの気持ちが歪んでいって・・・やがて)

『黙れぇぇぇぇ‼︎お前に・・・私の・・・タロウの・・・何が分かるっていうんだぁぁぁぁ‼︎たかが地球で1年程度しかタロウと過ごした事がない地球人に・・・その子孫に・・・私の・・・タロウの何がぁぁぁぁ‼︎』

 

トレギアはヒロキの言葉を聞きたくないと言わんばかりに激昂する。トレギアは空を見上げると両手を伸ばして叫ぶ。

 

『光を知るには闇を知らなければならない・・・光と闇を超越するために・・・さぁ来い‼︎グリムド‼︎引き裂かれた2つが1つに戻る時だ‼︎』

『止めろ、トレギア‼︎今のお前では逆にグリムドに取り込まれてしまう‼︎』

(もう止せよ‼︎こんな事して何になるっていうんだ‼︎腹を括って・・・もう1度タロウさんと向き合えばいいじゃないか‼︎どうして)

『黙れぇぇ‼︎もはや誰も私を止められない‼︎私は・・・私自身を解放する‼︎』

 

トレギアの叫びに反応したグリムドがトレギアに向かっていく。そしてグリムドはトレギアを取り込むとウルトラマン達より何倍もの大きさに巨大化する。タロウは思わず構えるがギンガビクトリーがそれを止めた。

 

『タロウ、俺達が。』

(御免なさい、タロウさん・・・何とか止めたかったんですが・・・説得したかったんですが・・・。)

『いや、いいんだ・・・すまない、皆・・・。』

「ヒロキ‼︎」

『クララ、皆、下がってろ‼︎』

(後は僕達に任せてくれ‼︎)

「分かりマシタ‼︎皆の勝利を祈ってマス‼︎」

 

タイガ達がタロウと怪獣娘達の前に立ち、グリムドに向かって構える。グリムドは額の目を光らせると背中から大きな闇が放たれる。それは日本から地球全体を包み込み、あっという間に辺りがボルヘスを思わせる暗い岩山に覆われた異空間に覆われてしまう。辺りを異空間に包んだグリムドは右手にエネルギーを集めてタロウに放った。

 

『タァァァァロォォォウゥゥゥ‼︎』

『ぬおおおっ⁉︎』

『父さん‼︎』

 

グリムドが放った鞭状の光線がタロウを捕らえた。グリムドはタロウを空中に振り回すとそのまま地面に叩きつける。それを見たエックス空中に浮かび上がりは剣でXの字を描いて光線を放つ。

 

『ハッハッハッハッ・・・。』

『ベータスパークブラスト‼︎』

 

同じくオーブとジードも空中に浮かび上がる。オーブは肩に装着された武器『オーブスラッシャー』に力を溜めて巨大な光輪を、ジードがギガファイナライザーに力を集めて三日月状の切断光線を放つ。

 

『トリニティウム光輪‼︎』

『クレッセントファイナルジード‼︎』

 

3人のウルトラマンの必殺技はグリムドに命中するが全く効果が無かった。グリムドはお返しとばかりにトレギアのトレラアルティカイザーに似た光線を放ち、3人のウルトラマンを撃ち落としてしまう。

 

『『『ぐああああああ‼︎』』』

「大地ちゃん‼︎」

「「ガイさん‼︎」」

「「「「リク(さん(ちゃん))‼︎」」」」

 

エックスの元にゴモラが、オーブの元にマガコンビが、ジードの元にブラックスターズが駆け寄った。その頃、両腕を上げてエネルギーを集めるとギンガビクトリーは両手を十字に組み光線を放つ。

 

『ウルトラフュージョンシュート‼︎』

 

タイガもタイガトライブレードにエネルギーを集めて色鮮やかな破壊光線を、グルーブも左手首を肘の辺りで組み交差させてエネルギーを集めエネルギーを放射する。

 

『トライストリウムバーストォォォ‼︎』

『グルービング光線‼︎』

 

グリムドは3人のウルトラマンの必殺光線を受けても平気な姿を見せる。そしてグリムドの象徴でもある単眼を複数具現化するとその目から光線が放たれた。3人のウルトラマンはそれをまともに受けて地面に吹っ飛ばされてしまう。

 

『『『うわああああああ‼︎』』』

「ヒカル‼︎ショウ‼︎」

「カツミ、イサミ‼︎」

「ヒロキ‼︎」

 

レッドキング、エレキングかギンガビクトリーに、ガッツ姉妹がグルーブに、キングジョーがタイガに駆け寄る。6人のウルトラマンのカラータイマーが鳴り始め、絶対絶命のピンチになる。

 

『ぐっ・・・がああ・・・‼︎』

(ぐううう・・・‼︎)

 

グルーブ達が地面に倒れている中、タイガがヒロキと共に力を振り絞り立ち上がった。その時、グリムドが右手に力を溜め始める。

 

『タイガァァァァ・・・。』

『負ける訳には・・・俺は・・・俺達は一歩も引かない‼︎』

 

タイガが構えるがグリムドは右腕から光線を放つ。思わずタイガが両腕で頭を覆うがその光線は届かない。タイガが前を見るとタロウが巨大なバリアでタイガを守っていた。

 

『父さん‼︎』

『ぐうううう・・・戦士達よ‼︎皆のエネルギーをタイガのウルトラホーンに集めるのだ‼︎』

『よし‼︎行くぜ、皆‼︎』

『はい‼︎』

『タイガ、お前に全てを託すぞ‼︎』

『はい‼︎』

 

ギンガビクトリーを筆頭に立ち上がると彼らはカラータイマーに手を置いて力をタイガのウルトラホーンに放つ。タイガは皆の力を必死に受け止めていた。

 

「ウルトラマンの力がタイガに⁉︎」

「一体何をするつもりなんだ⁉︎」

『うおおおおあああああああああ‼︎』

『息子達の邪魔はさせん‼︎』

 

エネルギーと共にタイガのウルトラホーンにウルトラマン達が吸収されていった。そしてタイガの中のヒロキの前でそのエネルギーが集まりメガネ型のアイテムに変わる。

 

(物凄いパワーだ・・・よし‼︎)

 

ヒロキは決意を胸にそのアイテム『ニュージェネレーションアイ』を顔の目元に当て、そのスイッチを押す。するとタイガの体が光に包まれ、タイガに似た顔でありながら銀色を中心とした体に赤と黒のライン、そして金色のプロテクターを備えた新たなウルトラマンが誕生した。




前も書きましたがこの怪獣娘タイガ版ニュージェネクライマックスのEDはどちらがいいと思います?下の中から選んで下さると嬉しいです。

ドラマティック(通常ver)
ドラマティック(GIRLSメンバー全員ver)



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最終章 ニュージェネクライマックス後編 それぞれの道へ③

遂に完結です‼︎
皆さんのお陰でこの物語を終える事が出来ました‼︎本当にありがとうございます‼︎

追記
少し文を付け加えました。


タロウはバリアを張ってタイガ達を守る。しかし、バリアを解除したタロウはグリムドに捕まってしまう。

 

『ぐうっ⁉︎』

「タロウさん‼︎」

『君達、来てはいかん‼︎』

 

怪獣娘達はタロウを助けようと走ります。それを見たタロウが彼女達を制止する。その時、光と共に1人の戦士が降りてきた。それは赤と黒に銀のラインが入ったタイガに似た顔の新たなウルトラマンだった。腕にタイガスパークを備えたそのウルトラマンの名は『ウルトラマンレイガ』。タイガがギンガ達ニュージェネレーションヒーローズが合体して生まれた究極のウルトラマンだ。

 

「うわぁ・・・タイガが・・・ヒカルさんと・・・ギンガ達と合体して・・・。」

「新たな戦士に・・・。」

「ヒロキ・・・。」

 

タイガがギンガ達ニュージェネレーションヒーローズと一体化して誕生した新たな戦士の姿に見惚れる怪獣娘達。彼女達を代表してアギラ、ガッツ星人(ミコ)、キングジョーが声を漏らす中、レイガは体のラインを光らせるとグリムドに戦闘態勢をとった。それを見たグリムドはタロウをレイガに向けて投げ飛ばす。

 

『ぬおおおお⁉︎』

「タロウさん‼︎」

 

アギラが思わずタロウが飛んで行った方向に目を向けるとレイガがタロウを受け止めていた。レイガはタロウの安全を確認するとグリムドに向かっていく。タロウは自身より遥かに大きいグリムドに向かっていく息子が合体した戦士を眺めた。

 

「グギャアアアアアア‼︎」

 

その時、グリムドは両手に力を溜めて光線を放つ。レイガはその光線を何と片手で受け止めた。この光景にはキングジョーだけでなくエレキングも驚きを隠せない。

 

「・・・片手で受け止めてしまいマシタ・・・。」

「嘘・・・。」

 

光線の余波があちこちにひろがり爆発を起こす中、グリムドは光線が今の威力では無駄だと悟り両手を引っ込める。レイガは自身の右手に目を少し向けると再びグリムドに向かっていく。

 

「グギャアアアアア‼︎」

 

グリムドは肩や背中の棘にまでエネルギーを集めて先程のより強力な光線を放つ。レイガはその光線の余波を殴り飛ばすとそのまま受け止めて空に飛び上がる。

 

『ハッ‼︎』

 

そのままグリムドに突撃するも突然巨大化した両手がレイガを阻む。両手を振り払い再び突撃するが今度は巨大化した足がレイガを踏み潰そうとする。しかし、レイガは巨大化した足を押し返すと右手に力を溜めて強力な拳を繰り出した。そしてその拳はグリムドの顔に命中する。レイガの拳を受けたグリムドは後退りする。レイガは着地して自分より大きくグリムドを見上げる。グリムドはタイガを跡形も無く吹き飛ばそうと目に力を集める。

 

『来るぞ、ヒロキ‼︎今こそニュージェネレーションレットを使う時だ‼︎』

(ああ‼︎)

 

〈カモン!〉

 

ヒロキはタイガスパークのレバーを引いて左腕に意識を集中させる。するとニュージェネレーションヒーローズの力を宿した『ニュージェネレーションヒーローズレット』が具現化した。

 

(これで終わりだ‼︎僕とウルトラマンの光で邪悪な闇を打ち砕く‼︎)

 

〈ニュージェネレーションレット、コネクトオン‼︎〉

 

その時、タイガが握り拳を作ったまま右腕を上げ、両手を合わせると両腕を広げて光の力を集めていく。

 

『レイガ・・・アルティメット・・・ブラスタァァァァ‼︎』

 

レイガの必殺光線が放たれたと同時にグリムドも額の単眼から強力な光線を放つ。2つの光線はお互いぶつかり合った。お互い互角に見えたがレイガが更に力を増した事でグリムドが押され始める。そしてレイガの光線がグリムドに打ち勝った。光線はそのままグリムドの額の単眼を貫く。

 

『タロウ・・・。』

『トレギア・・・。』

 

グリムドに取り込まれたトレギアが悲しげに友の名を呼ぶ。タロウも悲しげに呼び返す中、グリムドの体は限界を迎え、体にヒビが入っていく。そしてヒビから光が走るとグリムドはトレギア諸共大爆発を起こした。それと同時に周りを包んでいた亜空間も元の街に戻っていく。タイガ達の完全な勝利だ。それを見たクララはレイガの後ろ姿を見ながらヒロキに思いを馳せる。

 

(ヒロキ・・・強くなりマシタネ・・・。そして本当にカッコよくなりマシタ・・・。)

 

レイガの変身が解かれたタイガはタロウの方向を振り向く。タロウは息子に向かって「よくやった」と首を縦に振る。そして再び正面を向くとそこには分離したギンガ達ニュージェネレーションヒーローズが立っていた。

 

『お疲れさん。』

『やるじゃん‼︎』

『よくやったな、ヒロキ‼︎』

『ナイスファイト‼︎』

 

ガイ、イサミ、ヒカル、カツミからの労いの言葉にヒロキは思わず笑みを浮かべる。するとヒカルが話しかけて来た。

 

『ヒロキ、いつまでもその優しさ、忘れんじゃねえぞ。』

『大切な人を守りたいという思いが力になる事を決して忘れるな。』

『皆と手と手を繋いでいけばきっと輝く未来に辿り着ける。』

『そうだ。変わらないお前の意思が明日への絆になる。』

『支え合う仲間達の笑顔が力になる・・・仲間達の事を大切にね。』

『今まで起きた奇跡は君だから起こせたんだ。』

『だからこの先、どんな困難が起きても君ならきっと・・・乗り越えられる筈さ。』

 

ヒロキはヒカル達の激励の言葉を聞いて胸に噛み締めた。そしてヒカル達の方に目を真っ直ぐ向ける。

 

(はい‼︎ありがとうございます‼︎)

『また会おうぜ。』

『じゃあ。』

『あばよ。』

『バイバイ。』

 

タイガ達の前のギンガ達は宇宙に飛び立っていく。タイガとヒロキはタロウ、そしてクララ達怪獣娘と一緒にギンガ達を見送る。彼らを見送り終えるとタイガはタロウに再び目を向ける。そしてタイガの変身が解かれ、1つの光がビルの屋上に着地し、ヒロキの姿になる。変身を解除したヒロキはタロウを真っ直ぐ見上げていた。

 

「これで漸くゆっくり話が出来ますね。タロウさん。」

『・・・君が・・・健一君の・・・。』

「はい、貴方を兄のように慕っていた少年、白鳥健一の孫の白鳥ヒロキです‼︎」

『おおお・・・おおお・・・おおおおおおおおおお・・・‼︎』

 

タロウは涙を堪えるように目元を押さえながら感涙の声を上げる。ヒロキの元にキングジョー達も集まってタロウを見上げた。

 

『おおおお・・・何という運命だ・・・私の息子が出会った地球人が・・・共に戦い支え合ってくれた地球の友が・・・あの健一君の孫だったとは・・・‼︎』

「タロウさん・・・。」

『立派に・・・なったなぁ・・・いい仲間にも恵まれ・・・頼もしくなった・・・本当に・・・嬉しいよ!』

 

感涙の声を上げ続けるタロウをヒロキ達は見上げる。キングジョー達は今のヒロキとタロウを優しく見守っていた。

 

 

 

 

「ここですよ、タロウさん。」

「ああ、ありがとう。」

 

ヒロキはタロウの人間態である光太郎と共に墓地を訪れていた。そして1つの墓標に目を向ける。それはヒロキの祖父であり光太郎と深く親交した白鳥健一の墓であった。

 

「お爺ちゃん・・・また来たよ。」

 

ヒロキは墓にお花を添える。そして隣の光太郎に目を向けると再び語り出した。

 

「今日はお爺ちゃんに会ってもらいたい人がいるんだ。・・・光太郎さん。」

「ああ。」

 

光太郎は花を持ったまま、健一の墓標に立つ。そして息を整えると口を開いた。

 

「久しぶりだな・・・・・・健一君・・・・・・ずっと来れなくてすまなかった・・・。バルキー星人との戦いで・・・お父さんを亡くした君の為・・・僕は人間として生きていく・・・そう誓った・・・。けど、変身能力と引き換えにUキラーザウルスを封印した兄さん達の穴を埋める為に・・・僕は・・・・・・光の国に戻らなければならなかった‼︎結果・・・君との約束を破ってしまった‼︎・・・そして・・・君に会う事が出来なくなってしまった・・・約束を破って・・・すまなかった・・・長い間・・・会いに来れなくて・・・・・・本当にすまなかった‼︎」

 

光太郎は長い間会えなかった感情で肩を震わせながら涙を流して健一の墓に語り掛ける。その時、後ろにいたヒロキは古びた日記を光太郎に見せる。

 

「これは?」

「祖父の日記です。貴方へのメッセージもありますよ。」

「健一君の・・・日記・・・。」

「読みますか?」

「いや、自分で読ませてくれ。健一君の・・・思いが知りたい。」

 

光太郎はヒロキから健一の日記を受け取る。そして無言で黙読しながらページをめくっていった。そして最後のページを読み終えた時、光太郎は感涙の涙を浮かべながら目を抑えていた。

 

「うお・・・おおおおお・・・おお・・・!」

「祖父はずっと貴方に感謝していましたよ。貴方のお陰で強く生きる事が出来たって・・・言ってました。」

「健一君・・・。」

「祖父からの言葉です・・・『貴方に会えて良かった』・・・そう言ってましたよ。」

 

ヒロキは再び祖父の墓標に目を向ける。ヒロキの隣に立っていた光太郎は涙を拭うとヒロキの横顔にかつて自身を慕ってくれた少年の面影を感じていた。ヒロキにかつての健一少年を重ね合わせると再び墓標に目を向け、花を供えて手を合わせた。

 

(ああ・・・健一君・・・君はその後を人生を・・・強く生きたんだね。君の孫を見れば分かるよ・・・まさか君の孫が・・・息子に・・・タイガに・・・本当の強さを教えてくれたとは・・・・・・ありがとう。僕の方こそ・・・君に会えて本当に良かった。)

 

 

 

 

 

時間が過ぎて夜頃、ヒロキは様々な色のライトと星を模った飾りに覆われ、まるで銀河を思わせる庭園にいた。すると後ろからクララがやってくる。

 

「ヒロキ、お待たせデース!」

「来てくれたんだね、クララちゃん。」

「当然デス。ワタシもヒロキに話したい事がありマス!」

「そうか・・・でもその前に・・・少し歩こうよ。」

 

ヒロキとクララは隣同士で庭園の中を歩く。天井に星空を思わせる飾りが輝く中、ヒロキは話し出す。

 

「クララちゃんと再会してから色々なことがあったね。」

「エエ・・・一時は自分を見失って大変な事をしてしまいマシタ。アレはワタシのblack hysterieデース・・・。でも、ヒロキのお陰で自分を取り戻せマシタ。・・・ヒロキ、今でもワタシは貴方に感謝してイマス。アナタのお陰でGIRLSにいられて・・・モデル活動が停止させられても自分を見失わずにすんだのデスカラ・・・。」

「クララちゃん・・・それは僕も同じだよ。君が励ましてくれたから・・・小田さんの件から立ち直る事が出来た・・・君がいたから闇に堕ちたタイガを助ける事が出来た・・・君が励ましてくれたから・・・トレギアが皆を狙ってきても僕は戦う決意が出来た・・・君がいたから‼︎僕は最後まで戦い抜く事が出来たんだ・・・。」

「ヒロキ・・・。」

 

ヒロキは一旦立ち止まった。ヒロキに釣られてクララも立ち止まる。ヒロキはクララの顔を真っ直ぐ見て向き合った。

 

「クララちゃん・・・君にずっと伝えたかった事がある。僕は・・・君が好きです!」

「ヒロキ・・・。」

「いつも元気一杯なところも・・・独特のテンションはあるけどとっても明るくて・・・・・・機械に強くて・・・ステージに出て大勢の人達を笑顔にする・・・・・・そしてステージに出る為に沢山努力をして・・・いつもキラキラ輝く笑顔を見せてくれる・・・そんな君が誰よりも大好きなんです‼︎だから・・・僕と付き合って下さい‼︎」

 

ヒロキは遂に自身の思いをクララに伝えた。クララは少し目を見開いてヒロキを見る。しかし、すぐに口元に笑みを浮かべてヒロキの顔を真っ直ぐ見る。

 

「ヒロキ・・・アナタはいつだって無茶をして・・・怪我をして・・・・・・皆の心臓を冷や冷やさせてきまシタ・・・。でも・・・いつだって誰かを助ける為に動いて・・・困ってる人に手を差し伸べて・・・どんな時も諦めず・・・どんな危険であろうとも皆の為に体を張ってくれる・・・そんなアナタの事が・・・ヒロキの事が・・・・・・子供の頃から・・・初めて会ったあの日から・・・・・・ワタシは誰よりも大好きデース‼︎」

 

ヒロキの告白への返事と共にクララはヒロキの体に抱き付いた。2人は至近距離でお互いを見合わせる。

 

「‼︎クララちゃん・・・それじゃあ‼︎」

「ハイ、喜んデ‼︎これからは恋人として・・・よろしくお願いシマース‼︎」

 

ヒロキとクララは星空に見立てたライトアップの中、お互いを見つめ合う。2人とも顔を赤く染め、嬉しそうな表情をしていた。そして遂に2人の唇が重なった。

 

『やれやれ、やっとか・・・。随分掛かったな。』

『ああ、いっつもモヤモヤしてたぜ。あの2人焦ったかったぜ。』

『まぁ、そう言うな。漸く2人が結ばれたんだ。まずはその事を祝おうじゃないか。』

『そうだな、タイタスの言う通りだ。』

『ま、それもそうか。』

『・・・・・・良かったな、ヒロキ、クララ。これで俺達も心置きなく宇宙に帰れるぜ。』

 

トライスクワッドが2人を見る中、シルバーブルーメ以外のヒロキに好意を抱いていた者達が集まっている。彼女達は涙を浮かべながらそれでも嬉しそうに笑っていた。

 

「おめでとう、ヒロちゃん・・・キンちゃん・・・。」

「ちっくしょう・・・やっぱりキングジョーには勝てねえ・・・勝てねえって分かっていたのによ・・・。」

「でも・・・2人とも・・・幸せそうですよ。」

「・・・ヒロキさん・・・キングジョーさん・・・。」

「おめでとう・・・姉さま・・・ヒロキ兄さまなら・・・姉さまを任せられマス・・・。」

「ヒロキ・・・キングジョー・・・お幸せに・・・。」

「キンキン、ヒロヒロ、ピグモンは・・・ピグモンは・・・お二人の幸せを・・・願ってます。願って・・・ますから・・・。」

 

ヒロキとクララの夜を見守っていたのは彼女達だけではなかった。ヒロキに好意までは抱かなかった者達も集まって2人を見守っていた。

 

「おめでとう・・・おジョー。」

「本当にヒロキさん・・・キングジョーさんと・・・。」

「でも・・・凄くお似合いだね。」

「ええ・・・。」

「・・・・・・。」

「ししょー達、大丈夫かな?荒れたりしないよね?」

「大丈夫、あの人達ならちゃんと立ち直れるさ。」

 

多くの人達が見守る中、ヒロキとクララはお互い愛しい人を抱きしめながらキスを続けていた。

 

 

 

 

翌朝、ヒロキとクララ達GIRLSの怪獣娘達はヒロキと分離し、巨大化したトライスクワッドと向き合っていた。別れの時が来たのだ。ヒロキは右腕に目を向けるとタイガ達にタイガスパークを返し、右腕からタイガスパークが消える。

 

『ヒロキ、本当にいいのか?』

「安心しろ、相棒。僕達の思いはアイテムが無くても繋がってる。どんなに遠く離れてもだ。」

 

タイガの問いにはっきりとヒロキは答える。するとタイタスが最初に口を開いた。

 

『ヒロキ、君と過ごした日々は人生最良の時となるだろう。』

「僕もだよ、タイタス。色々と勉強になった。」

『べ、別に見送りなんていらねえんだぜ、別によ!』

「さよならなのに最後まで素直じゃないな、フーマ。ま、フーマらしいけど。」

『おい、フーマ、ちゃんと挨拶しろよ。』

『何だよ、煩えな。』

『照れてんのか?』

『照れてねえし‼︎』

『ほら、フーマ、ちゃんとヒロキを見なさい。』

『‼︎・・・バイバイ。』

 

トライスクワッドがはしゃいている中、トモミがタイガ達を見上げて何かのカードを見せた。それはトライスクワッドが描かれたGIRLSのカードだった。

 

「イガイガ〜‼︎タスタス〜‼︎フマフマ〜‼︎皆さんはいつまでもGIRLSのイメージキャラクターですからね〜‼︎」

『おおっ‼︎俺達じゃねえか‼︎』

『トモミ、心使い感謝する‼︎』

『へへっ、サンキューな‼︎』

 

トライスクワッドがトモミに礼を言う中、他のGIRLSの皆もタイガ達に呼び掛ける。

 

「タイガ、あたし達の曲、光の国の皆にも広めてよね‼︎」

「光の国にロックを広めてくれよな‼︎」

『ああ、勿論だ‼︎』

「おまピトも忘れないで下さいよ‼︎」

「宇宙に帰っても・・・大怪獣ファイトを宜しくね‼︎」

「タイタス、また一緒にトレーニングしようぜ‼︎」

『うむ‼︎』

「フーマ、また一緒に飛ぼうぜ‼︎」

「今度はもう少し手加減して下さいよ‼︎」

『おうよ‼︎けど、そいつは保証できないぜ。』

「皆、大地さんに会ったら宜しく伝えておいて‼︎」

『へ・・・ああ‼︎成る程な、分かった‼︎伝えるぜ‼︎』

 

ピリカの声に答えたタイガはヒロキの方を見る。するとヒロキとクララが恋人繋ぎをしているのを見たタイガはクララに呼びかけた。

 

『クララ、ヒロキを宜しくな‼︎』

「ハイ‼︎任せて下サイ‼︎」

 

クララがタイガにサムズアップすると皆の声が治った。ヒロキはタイガに呼び掛ける。

 

「タイガ、今まで本当にありがとう‼︎君と出会えたお陰で普通の高校生だった僕だけど・・・これまでにない経験をする事が出来た‼︎様々な価値観に触れる事が出来た‼︎君のお陰で世界が広かった‼︎そして・・・これが僕だってはっきりと言えるようになれた‼︎君のお陰で強くなる事が出来た。本当に・・・ありがとう‼︎タロウさんとも仲良くね‼︎」

『ああ・・・けど、礼を言うのは俺の方なんだぜ。』

『私からも礼を言わせてもらおう。』

 

タイガの後ろに立っていたタロウもヒロキに目を向けた。そしてタロウは再び口を開く。

 

『君のお陰でタイガは大きく成長する事が出来た。・・・それだけじゃない。健一君がその後、強く人生を生き切った事も知る事が出来た。そして・・・ずっと心残りだったのだ・・・地球を去ってから・・・健一君の事が・・・ずっと・・・ずっと心残りだった‼︎』

「・・・タロウさん。」

『けど、君のお陰でその心残りも漸く晴れた‼︎そして・・・何より‼︎あの健一君の孫が私の息子を・・・タイガを強く成長させてくれた・・・私にとってこれほど嬉しい事はない‼︎ありがとう、ヒロキ君。タイガが地球で出会ったのが君で本当に良かった・・・。』

 

ヒロキはタロウに向かって力強く頷く。タイガが再びヒロキに呼び掛けた。

 

『俺達がいなくなってもお前は1人じゃない‼︎』

『君の周りには沢山の素晴らしい仲間がいる‼︎』

『これからも仲間は増えていく・・・大切にするんだぜ‼︎』

「ああ‼︎僕と君達の・・・星を超えた誓いだ‼︎」

 

ヒロキはタイガ達に向かって腕を突き上げて力強く叫んだ。その時、タロウがタイガ達に呼び掛ける。

 

『そろそろだ。』

『はい。』

 

タイガは父の方に目を向け頷く。そして再びヒロキに向かって目を向けた。

 

『じゃあな、ヒロキ。』

「じゃあな、タイガ。」

『シュワッ‼︎』

『セイヤッ‼︎』

『シェアッ‼︎』

 

タロウが飛び立ったと共にタイガ達トライスクワッドも飛び立っていく。ヒロキ達の頭上を飛びながらトライスクワッドは別れの言葉を告げる。

 

『んじゃあまたな‼︎』

『ありがとう、皆‼︎』

『じゃあな、相棒‼︎』

「タイガ‼︎タイタス‼︎フーマ‼︎」

「3人ともありがとう‼︎」

「色々楽しかったですよ‼︎」

「お達者で〜‼︎」

「バイバーイ‼︎」

 

怪獣娘達がタイガ達に腕を振って見送る中、ヒロキはタイガ達が飛んで行った方向に目を向けると両腕を振って大声で叫んだ。

 

「3人とも・・・元気でなぁぁぁぁぁ‼︎」

 

 

タイガ達は地球を離れて宇宙空間を飛び立っていく。宇宙を飛びながらタロウが話しかけた。

 

『タイガ、大丈夫。また・・・必ず会えるさ。』

『父さん・・・そうですね。』

『それより光の国に帰れば忙しくなるぞ。悪魔の因子が今、宇宙中で活性化しているからな。』

『悪魔の因子⁉︎それって一体⁉︎』

『・・・奴が残した厄介な置き土産だ。しかし、希望もある。あのゼロに弟子が出来たからな。』

『ゼロに・・・弟子⁉︎』

『ああ、ゼロ曰くまだ三分の一人前らしいがポテンシャルを秘めた将来有望な若者だ。お前とも仲良くなれるだろう。』

『へぇ〜。俺も会ってみたくなりましたよ。』

『楽しみにするといい。』

 

トライスクワッドはタロウに続いて宇宙を飛んでいく。そして一点に向けて直進していった。

 

 

 

 

 

 

タイガ達が飛び立っていくのを見送って数分後、ヒロキの隣にクララが立つ。

 

「行っちゃいマシタネ。」

「ああ・・・これからは・・・僕達で頑張らないとな。」

「大丈夫です。宇宙人と地球人、そして怪獣娘が共存出来る社会へのスタートがきって落とされました。」

「ああ、この星を守って行こうぜ。俺達だけの力でな。」

 

ベニオが空を見上げながら言った声に皆が頷く。その時、ヒロキはクララの手を取る。

 

「ヒロキ?」

「さっ、僕達もGIRLSに戻りましょう‼︎タイガ達に次に会った時にお互い誇れる・・・そんな自分になれるように‼︎クララちゃん、行くよ‼︎」

「ヒロキ・・・ハイ‼︎」

「あっ、ヒロキさんにキングジョーさん‼︎待ってよ‼︎」

 

ヒロキはクララの手を取ってタイガ達が飛んで行った方向に向かって走り出す。その後を他の怪獣娘達も追い掛けていった。




これにて怪獣娘タイガ完結です‼︎皆さん、最後まで応援ありがとうございました‼︎

怪獣娘タイガ本編は完結したもののスピンオフでヒロキ達の活躍はまだまだ続きます‼︎また、烈伝時空的なこれまでのお話の裏話も予定しています。
これからは怪獣娘Zとスピンオフ(主にタイガ編)・・・そして新作を中心に連載していく予定です。

最後までお付き合い頂きありがとうございました‼︎この後、新作の告知もあるのでそちらの方も皆さんと一緒にお付き合い頂けたらと思います‼︎







怪獣娘の世界で新たな光の巨人伝説、始動‼︎
三千万年前、世界を脅威に包んだ巨大な闇が復活する時、新たな光の巨人と怪獣娘の新たなる戦いが始まる。

怪獣娘トリガー 〜ウルトラマントリガー復活計画〜


近々連載開始‼︎


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ここだけの裏話・怪獣娘タイガ編(前編)

物語が完結して1ヶ月以上経つので裏話を投稿しました。
完結後だからこそ出来る裏話がてんこ盛りです。


タイガ『よぉ、地球の皆‼︎俺はウルトラマンタイガ‼︎タイタスとフーマ、そしてヒロキの3人とチームを組んでトライスクワッドをやっているんだ‼︎ここではこれまでの怪獣娘タイガの裏話をお届けするぜ‼︎ここでしか聞けないウルトラレアな裏話を』

ヒロタイフマ「『『いや、待て待て待て‼︎』』」

タイガ『何だよ〜、ヒロキ〜、タイタス〜、フーマ〜‼︎折角人が自己紹介してる時に〜‼︎』

フーマ『何だよ、じゃねえよ‼︎お前、何後輩の台詞パクってんだよ‼︎』

ヒロキ「ゼットが知ったら文句言ってくるよ‼︎」

タイガ『ゼットなら大丈夫だよ。アイツ、アホだから気が付かないだろうし。』

ヒロキ「ちょっ⁉︎流石に酷くない⁉︎そんな本当の事言っちゃダメだって‼︎」

フーマ『ヒロキ、お前までそれを言ったらお終いだっつうの‼︎・・・確かにアイツ、アホっぽいけどさ・・・。』

タイタス『フーマ、君までそれを言ったらお終いだ‼︎・・・確かに・・・彼は知識面では・・・色々と・・・何というか・・・まぁ・・・。』

クララ「ハイハイ、コントはそこまでデスヨ。」

トライスクワッド全『コントじゃないって‼︎』

アキ「いや・・・誰がどう見てもコントにしか見えないから・・・。」

レイカ「それよりここは何処なんです?何処となくバラエティ空間のスタジオのような場所で・・・私達の回りには何故か多く椅子が並んでいますが・・・。」

ヒロキ「あれ?聞いてないの?」

ベニオ「何をだよ?」

クララ「今日の予定デス。この小説の裏話をやるっていう話デスガ・・・。」

ヒロキとトライスクワッド&クララ以外『えええええ⁉︎』

 

ははは、すまない。君達には言い忘れていたね。

 

ヨウ「だ、誰⁉︎誰の声⁉︎」

おっと、挨拶がまだだったな。私はこの小説の作者こと特撮恐竜だ。よろしく頼むよ、怪獣娘タイガのレギュラー諸君。

 

ミク「ええっ⁉︎作者さん⁉︎作者さんがどうして⁉︎」

 

うむ、よくぞ聞いてくれた。今回は烈伝時空全開で怪獣娘タイガの物語を振り返っていこうと思うんだ‼︎

 

アキ「怪獣娘タイガを・・・振り返る?」

ベニオ「ああ‼︎ウルトラマンクロニクルみたいな奴だな‼︎」

ヨウ「へ〜!何だか楽しそうじゃん‼︎」

 

そう、怪獣娘タイガ完結にあたりこれまでの話を振り返りながら色々な裏話をここでは暴露したいと思う。さて主要メンバーが集まったところで早速フリートークを始めようじゃないか‼︎

 

ヨウ「賛成〜‼︎で、最初は何を語るの?」

 

まずは・・・この怪獣娘タイガが私がハーメルンで書いた初めての本格連載小説という事もあるから・・・怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースについて説明しよう‼︎

怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースとは何か・・・名前から何となく分かるとは思うが怪獣娘 〜ウルトラ怪獣擬人化計画〜と令和に放送されたウルトラマンシリーズのクロスSS・・・それが怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースさ‼︎

基本的には怪獣娘の世界を舞台に令和ウルトラマンのエピソードが展開されていくというのが基本的な流れだけど、劇場版を含めて全部で90話をベースに進めていく予定なのでオリジナル回をたまに導入していく事もあるよ‼︎

 

アキ「そもそも・・・何でボク達と令和ウルトラマンのクロスSSを書こうと思ったの?」

 

きっかけはハーメルンで連載されていた『ただのファンだよ。』さんの作品である怪獣娘(絶) 〜ウルトラマンZ参戦計画〜を読んだのがきっかけだった。前々から怪獣娘の作品はpixivやハーメルンでも拝見してたんだけど本格的なウルトラマンとのクロスSSはハーメルン内では中々珍しいと思って新鮮に感じたんだよね。それで自分も書いてみたくなっちゃって・・・。

 

タイガ『俺達とのクロスSSを書き始めたと・・・。』

 

まぁ、そういう事かな。ちなみに世界観の時系列としては基本的に(黒)までの後という設定にしてるので既にGIRLSとブラックスターズは接触してる設定さ。

 

タイガ『一部の怪獣をヒロキやクララ達が知らない描写があったけどそこはどうなってんだ?』

 

ああ、記録された怪獣ね。怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースの全世界観におけるGIRLSに記録された怪獣はメビウスまでの怪獣は全て現れているという設定で通してるよ。

 

ユカ「それじゃあ、わたしやバサちゃんの元の怪獣はどうなるんですか?」

ヨウ「魔王獣ってメビウス後の怪獣だろ?」

 

メビウス後の怪獣については電撃版で擬人化された怪獣だけがメビウス後に現れた設定さ。それ以外ではマガオロチ以外の怪獣は現れていないいという設定になってるよ。

 

ミク「何でマガオロチだけ例外なのー?」

 

いや、仕方ないじゃないか・・・マガオロチがいないとマガバッサーとマガジャッパが現れた理由に説明がつかないんだから‼︎

 

タイガ『ああ、そういえばそうだよな・・・。』

タイタス『確かマガバッサーとマガジャッパはマガオロチが地球のエレメントと組み合わせて生み出した分身みたいなものだからな。』

フーマ『確かにアイツがいないと姉ちゃん達がいる理由に説明がつかねえな。』

 

だから基本的にクロスオーバーユニバースの全世界観でメビウス以降人類の前に現れて記録されたのはメカゴモラ、ガーゴルゴン、マガバッサー、マガジャッパ、スカルゴモラ、グールギラス、デバダダン、ゴングリー、バジャックとなると思ってほしい。

 

ヒロキ「成る程ね・・・これが全世界観の大まかな説明か・・・。」

 

それじゃあ、いよいよ本作について語っていこうか。

 

ミコ「ねぇ、気になったんだけど・・・どうしてタイガから始めたの?」

 

いやぁ、本当はZから始める予定だったんだよねwけど、Zとのクロスでメインヒロインがアギちゃんじゃ向こうと被っちゃうから、どうせなら令和最初のウルトラマンシリーズであるタイガから始めていこうかなと思ったんだ。

 

トモミ「メインヒロインがキンキンなのもかなり珍しいですよね。どうしてキンキンを選んだんですか?」

 

やっぱり怪獣娘(絶)との差別化かな。向こうはアギちゃんがメインヒロインだからその差別化としてアギちゃん以外の誰かをメインヒロインにしようと思ってね。誰がいいか考えながら怪獣娘のアニメを見てたら2期のメインキャラの1人がおジョーさんなのに出番が少ない。だったらこっちは彼女の出番を多くしようと思って彼女をメインヒロインに選んだんだ。

 

ミコ「確かにおジョー・・・出番少なかったね〜。最初と最後しか出てないし。」

クララ「ガッツ〜・・・。」←目が笑っていない上黒いオーラを浮かべている

ミコ「御免!何でもない‼︎」

 

ここからは怪獣娘タイガについてだ。まず本作は『もしトレギアに敗れたトライスクワッドが漂流した後に流れ着いたのが怪獣娘の宇宙の地球だったら』をコンセプトにした。

 

クララ「タイガ達が・・・ワタシ達の世界に流れついたら・・・デスカ?」

 

うん。タイガ冒頭を見てトライスクワッドはトレギアに敗れて体を消滅させられて粒子化しながら宇宙を彷徨っているうちにヒロユキの宇宙の地球に流れ着いたじゃん。これを見て思ったんだよね。宇宙を漂流しているうちに怪獣娘の宇宙の地球に流れ着く可能性もあったんじゃないかなって。

 

ヒロキ「あ〜、確かに・・・。」

ミカヅキ「その可能性、有り得そうだよね〜。」

 

だから怪獣娘タイガはトライスクワッドが怪獣娘の世界に流れ着いたifのウルトラマンタイガという感じのストーリーという訳さ。次は主人公である白鳥ヒロキについて詳しく話そう。

 

ヒロキ「僕について?」

 

そう、君についてさ。これが君に関する説明だよ。

 

白鳥ヒロキ

本作の主人公。キングジョーことクララ・ソーンとは幼馴染である。高校生になったある日、家族の都合で東京に引っ越してきてきた。クララとは小学校卒業以来会っていなかったが彼女の怪獣娘とモデルとしての活躍は知っていて遠くで活躍している彼女の事を応援していた。昔から困っている人を放っておけない性分でクララとの出会いも日本に馴染めずにいた彼女に手を差し伸べたのがきっかけ。

君の名前の由来はタロウの登場人物である『白鳥』健一と原作の主人公工藤『ヒロ』ユ『キ』から。

実は名字の通り白鳥健一は実の祖父である。(正確に言えば怪獣娘世界におけるタロウ本編相当の人生を歩んだ白鳥健一。)また、祖父の過去のこともあってウルトラマンや怪獣(特にタロウと戦った怪獣やウルトラ兄弟)についてはGIRLSに入る前からそれなりに知識がある。

 

まぁ、こんなところかな。君については。

 

レイカ「あの、作者さん・・・どうしてヒロキさんを白鳥健一さんのお孫さんにしたのですか?」

 

きっかけはタイガ原作の批評の中で『タロウの息子が主人公である意味がない』というのがあったからかな。これを見てだったらこっちはタロウの息子である事に何か意味を持たせたい・・・そう思ったんだ。

公式小説に出てくる淀川ユリカの祖母がウルトラQのヒロインである江戸川由利子らしかったからだったら少なくともあの世界には『かつてのウルトラシリーズの登場人物がそれぞれの本編相当の歴史を歩んでいる』と思って次のように考えたんだ。

 

『タロウの登場人物もタロウ本編に限りなく近い歴史を歩んだだろう』→『だったらタロウの登場人物の血縁者をタイガの変身者にしたら面白いんじゃないか』→『1番タイガの相棒に相応しいのはやはりタロウの正体を明確に知った白鳥健一の血縁者以外あり得ないだろう』→『江戸川由利子に孫が出来るくらいの年月が経っているなら白鳥健一にも孫がいて当然だろう』→『だったら主人公は白鳥健一の孫以外有り得ないだろう』

 

とまぁ、こんな感じで白鳥ヒロキが出来た訳さ。ヒロキに関しては原作のヒロユキの要素も入れたいけどそのまんまじゃ面白くないかなと思って『ヒロユキ』からユだけを取ってヒロキになった。

 

ヒロキ「・・・・・・僕ってこういう経緯で誕生したんだ・・・。」

 

そういう事。だから怪獣娘タイガの中には『タイガがタロウをよく知る地球人白鳥健一の孫と出会ったらどんな思いを抱くか』というのもコンセプトに入ってるよ。

 

クララ「成る程・・・だから最初、タイガはヒロキにお父様の事を話そうとしなかったのデスネ。」

 

さて、次はこの世界のトライスクワッドについてだ。これについては短くいくぞ。本作のトライスクワッドは怪獣娘の世界に流れ着くまでの流れは全て原作と同じ道を辿ってる。

 

ヒロキ「ああ、原作のボイスドラマの内容について言及されたっけ。」

マコ「ナイトファングの回で描写されてたわね。」

 

ちなみに本作後のタイガ達が出会うゼットが出会うのは原作の主人公、つまり『ナツカワ』の方のハルキさ。

 

アキ「あっ、そこは原作と同じなんだ・・・。」

 

いやぁ、流石に怪獣娘世界に辿り着いた『冬河』の方のハルキだと別次元の同一人物がいる世界だからもしも共演するってなったらややこしくなっちゃうし・・・。

 

ユカ「た、確かに・・・別次元の私と遭遇したら・・・混乱しちゃいそうですしね・・・。」

 

さて、次はメインヴィランのトレギアについてだ。

 

ミサオ「そもそもさ、アタシ達怪獣娘の敵にアレはオーバーキルすぎるだろ・・・。」

サチコ「そうよ‼︎アイツ、ガチでヤバい奴じゃない‼︎あんなガチな悪役と戦わされるあたし達の気持ちも考えなさいよ‼︎」

 

いや〜、でもタイガのメインヴィランといったらやっぱりトレギアな訳だし、逆にトレギア以外、何か敵に相応しい奴・・・いる?

 

クララ「それは・・・確かにそうデスガ・・・。」

 

何より怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースのコンセプトの中には『怪獣娘がウルトラマンのガチなヴィランと戦う事になったら』というのがある以上仕方ないという事で事を治めてくれないか?

 

ミク「ゔ〜・・・仕方ないなぁ・・・。」

 

トレギアについても怪獣娘の世界に来る前までの流れは一部を除いてほぼ正史通りさ。まぁ、ギャラファイ2の要素を少しだけ取り入れて上司であるヒカリの闇堕ちの現場を直接見たという点だけは取り入れたけどね。

 

マコ「その設定は取り入れたのね・・・。」

 

タイガ後のギャラファイで色々と描写された部分の中で気に入った描写だったからね。ギャラファイのトレギアは正史のトレギアとは違う過去を経ているらしいけどここの描写は気に入ったから取り入れる事にしたんだ。

 

タイガ『そうか・・・。』

 

今作におけるトレギアの経緯はここまでにして本作の物語におけるトレギアについて語ろう。本作においてもトレギアは人間の姿の時は原作同様、霧崎の姿になってるよ。ただ、私自身の中で霧崎の姿でも声は内田雄馬のままというイメージで話を進めてきたんだが・・・読者の皆さんがどっちで脳内再生したかは読者の皆さんの想像次第・・・かな。

 

ラン「声についてはどちらの声でも違和感は無いわね。」

 

他にも怪獣娘それぞれがトレギアからなんて呼ばれるだろうか、実際、対峙したらどんな風に戦う事になるかなどを考えたよ。特に『群狼の挽歌』ではそれが強く表したと思う。かぷせるがーるずトリオについてはトレギアなら『ウルトラセブンの飼い犬のお嬢さん』とか言いそうじゃないか?

 

タイガ『確かに・・・アイツなら絶対にアキ達に言いそうだな・・・。』

タイタス『光の国にいた以上、カプセル怪獣には詳しく知ってるだろうからな・・・。』

 

とまぁ、そんな事を考えながら怪獣娘と対峙したトレギアを書いていた訳さ。さて、一旦ここで一区切りと行こう。

 

ヒロキ「ええっ⁉︎ここで区切るの⁉︎」

 

いや〜、思ったより世界観についてなどを語って文字数を使っちゃったからねw

さて、次回からは本作の各エピソードについて語り合いたいと思います‼︎

それでは読者の皆さん、次回をお楽しみに‼︎ほら、キャラを代表して君達も‼︎

 

ヒロキ「ええっと・・・ここまで付き合ってくれてありがとうございます‼︎」

タイガ『次回は俺達の活躍について語り合うぜ‼︎』

クララ「次回も見て頂けると嬉しいデス‼︎』

全員『次回もお楽しみに‼︎』




今回は作者である自分と各キャラ達のフリートークみたいなものだったのでかなり砕けた口調でした。
次回も同じですが見て頂けると嬉しいです。


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ここだけの裏話・怪獣娘タイガ編(中編)

裏話の中編です。今回は前半のエピソードについてヒロキやクララ達と作者である私自身がトークしていきます。
あまり裏話は聞きたくないとか思ったり作者が小説のキャラと語り合うのは痛いなんて考える人もいるかもしれませんがどうかご理解の程よろしくお願いします。


さて怪獣娘タイガのレギュラー諸君、怪獣娘タイガを振り返るフリートークを再開しよう。

 

タイガ『よっ、待ってたぜ‼︎』

ヒロキ「皆さん、お待たせしました。」

クララ「ここからは本作の各エピソードについてワタシ達が作者さんと語り合っていきマス。是非ともよろしくデース‼︎」

 

『バディゴー!』について

ヒロキ「記念すべき第1話だね。」

ミク「あたしとレッドキング先輩の試合がかなり鮮明になってたよね‼︎」

 

タイガ原作と違ってまだヴィラン・ギルドが活動していない分、怪獣娘のイベントの描写をかなり強くしたんだ。クロスオーバーユニバースに投稿したプロトタイプとの差別化も図ってヒロキとクララの学校のシーンや怪獣娘のイベントのシーンを増やす事にしたよ。

 

クララ「プロト版とは違って最初からピリカもイマスネ。」

 

ああ、プロトタイプを執筆していた当初は実はピリカを出すつもりは無かったんだ。本格的に連載のための完全版を執筆している時も彼女を出すつもりは無かったんだけど、途中でTVのラスボスの事を思い出した時に思ったんだ。『ピリカがいないと物語の最後で話が進まない‼︎』とね。

 

タイガ『確かにアレは彼女がいないと物語が成り立たないからな・・・。』

アキ「それでピリカさんを出したんだ。」

レイカ「そういえば物語の何処かでオーブのように過去のウルトラシリーズのサブタイを仕込んでいましたよね?」

 

おっ、気付いた?前編で言い忘れたんだけどオーブの遊び要素『サブタイを探せ』は私もお気に入りでね。だから前編、中編、後編の3部構成の中の何処かに過去のウルトラシリーズのサブタイを仕込んだんだ。

 

ヨウ「ヘェ〜、ちなみに仕込んだサブタイは?」

 

この話で仕込んだのはウルトラマンパワード第2話より『その名はウルトラマン』。分かりやすかったかな?それでは次行こう‼︎

 

『トレギア』について

クララ「ワタシ達とトレギアの戦いが幕を開けた時デスネ・・・。」

フーマ『ヒロキだけじゃなくてクララもチビスケと会ったっつー事にしたんだな。』

 

幼馴染で子供の頃一緒に遊んだ仲なら知ってても不思議じゃないかなと思って彼女もチビスケと友達になってもらう事にしたんだ。この回からトレギアだけじゃなくヴィラン・ギルドもGIRLSと対決を繰り広げていく事になる重要な回として欠かせなかったよ。

 

タイタス『それにしても・・・この世界のヴィラン・ギルドは何故、今まで怪獣事件を起こさなかったんだ?怪獣娘が確認されるより前にはこの星に宇宙人がいたのだろう?』

 

ああ、それね。この世界のヴィラン・ギルドについてだけど・・・確かにこの世界では怪獣娘が確認される前から地球人が知らないところで宇宙人が様々な理由で流れ着いていてGIRLSが結成された頃には既にヴィラン・ギルドも組織として存在はしていたんだよ。

けど、長年怪獣が姿を見せない事や強力な力を持つ怪獣娘の存在を知ってGIRLSに目を付けられて動き辛くなるのを恐れ、トレギアがヘルベロスを地球に呼び寄せるまではGIRLSのが知る由もない水面下で活動していたって訳。そしてヘルベロスの事件の後に今回の事件を起こしたのは自分達以外に怪獣を呼び寄せて事件を起こした奴かいると知ったヴィラン・ギルドは『そいつに罪を擦りたければいい、そうすれば我々がGIRLSに目を付けられる事はない』そんな考えから活動を始めたんだ。

 

タイガ『要は他の第三者が怪獣事件を起こすのを待っていた訳か。』

 

そういう事。タイタス、納得してくれた?

 

タイタス『うむ‼︎』

ミコ「わたし達がヴィラン・ギルドに関わる時間に関わる事になったのもおジョーが暴走するきっかけもここからだったよね。」

クララ「・・・・・・。」←これ以上にないくらい落ち込んでる

ミコ「ご、御免‼︎おジョー‼︎」

クララ「イエ、いいんデス。全て事実デスカラ・・・。」

ミカヅキ「怪獣娘の二次創作全体においてキンちゃんが暴走って珍しいよね。何でキンちゃんを暴走させたの?」

 

確かにクララは怪獣娘の中でかなりの古参で年長者らしい描写があるし、実際、あらゆる怪獣娘のSSでは頼れる先輩としての描写が強いように見えるけどさ、やっぱり高校生くらいの年齢な以上、まだ年相応な部分もあると思うしさ、家族や友達などの大切なものを亡くしたら暴走する事もあると思う。そして今回に関しては・・・分かるよね。

 

ヒロキ「チビスケがきっかけだね・・・。」

 

そういう事。だからこの話はクララの今後においても絶対に外せない回にしたよ。さて次にいこうか。

 

ミカヅキ「あっ、待って‼︎この話に隠されたサブタイは?」

 

ああ、御免。言い忘れてたね。この話に隠されたサブタイはウルトラマンマックス第3話より『勇士の証明』。前編の割と最初に仕込んだよ。

 

『星の復讐者』について

ヨウ「うわぁ、思い出したくない・・・。」

ユカ「最低の人間だったね・・・。」

アキ「うん、間違ってもあんな大人にはなりたくないよ・・・。」

トモミ「3人なら大丈夫ですよ‼︎」

 

原作同様、タイタスが初登場した回だね。そして社長をマジの極悪人にした回でもある。

 

ベニオ「そもそもさ、なんであの社長をガチの悪人にしたんだよ?」

 

原作を見て『誕生日祝いに打ち上げたロケットが宇宙ステーションと激突した』って正直なところ頭がポカンとしてさ。だったらこっちは本物の悪人にしようと思ってね、社長が裏で行っていた非人道的な犯罪行為を知った宇宙飛行士の口を塞ぐために意図的にロケットを衝突させたという設定に変えたんだ。

 

ヒロキ「確か社長の犯罪履歴って武器の密売や密輸、テロリストのスポンサーに違法薬物の売買や人体実験だっけ?」

トモミ「他にも様々な罪がありました・・・当然のように殺人も行なっていましたし・・・。」

ラン「1番酷かったのがヘルベロスやキングゲスラの細胞を思春期の少女に移植して人造怪獣娘に改造する計画よ。長く調査部やってて反吐が出たのは今回が初めてだったわ。」

ミク「うわぁ、マジで酷い・・・。」

マコ「その思春期の少女達って何処から手に入れたのよ?まさか誘拐とか?」

レイカ「孤児院から引き取る予定だったそうです・・・後は人身売買で・・・。」

アキ「う、ウインちゃん、大丈夫⁉︎」

レイカ「ええ・・・大丈夫です・・・心配しないでください。ただこれを知った時は・・・こんな酷い人間がいるのかと思って・・・。」

 

でも、今回の件で悪行もバレて逮捕されたよ。社長の逮捕をきっかけに警察による武器の流通ルートや人身売買のルートなどの捜査も始まって関係者の逮捕に乗り出したさ。ちなみに求刑については・・・お察しの通りかな。

 

ベニオ「一生外の世界には出れねえな。」

 

ちなみに仕込んだサブタイはウルトラマンティガ第47話より『闇にさようなら』。中編の何処かに隠れてるよ。

 

『群狼の挽歌』について

アキ「実質、ミクちゃんのメイン回だね。」

ミク「・・・ヴォルクお兄ちゃん・・・。」

ミカヅキ「ただ・・・ミクちゃんにとって辛すぎる展開になっちゃったけどね。何でミクちゃんをメインにしちゃったの?」

 

本作では原作のホマレのように元ヴィラン・ギルド所属がGIRLSにいなかったからホマレのポジションをどうするか考えながらハーメルン中の怪獣娘小説を漁ってたんだよ。読んでるうちにミクちゃんが大家族なのを思い出したんだ。今のところミクちゃんが一番上だとは明言されてないし、『もしかしたらミクちゃんには上の兄弟がいるかもしれない』、『上の兄弟の友人の中には兄弟の面倒を見てくれた者もいるかもしれない』、そう考えたらヴォルクさんをミクちゃんの上の兄弟の友人にすれば彼女と顔見知りにすれば今回の話が成り立つと思ってね、その結果ミクちゃんがメインの話になったんだ。

 

ミコ「成る程ね・・・ヴォルクがこの時の騒動を起こした動機って確か・・・わたし達怪獣娘への鬱憤が原因だっけ?」

 

そう、この話は宇宙人が怪獣娘の宇宙の地でひっそりと暮らしたら絶対に抱きそうな事を考えながら書いた。怪獣娘の世界では第一次大怪獣時代に何度も異星人の侵略があったから宇宙人にとって暮らしづらい世界かなと思ってね。

それに加えてゼットンとかキングジョーとか星を滅ぼす力を持つくらいの怪獣の魂を継ぐ怪獣娘が地球人に受け入れられて大勢のファンがいる・・・この事にも不満を抱く宇宙人は絶対にいると思うし、そんな宇宙人の鬱憤が爆発したらどうなるか考えて今回の話を作ったんだよ。

 

トモミ「宇宙人も地球人も共に暮らしていけるように頑張らなきゃいけませんね。」

 

完結して色々と読み返して、ミクちゃんの性格や年齢を考えたら辛い思いをさせすぎたかなとも思ったけどね。

ちなみに隠されたサブタイはウルトラマンX第19話『共に生きる』。最後の方に仕込んだから分かりづらかったかな?

 

『君の決める未来』について

ラン「実質、ウインダムのメイン回ね。」

ピリカ「そして‼︎今作において数少ないあたしの出番があった回だよ。」

 

いやぁ、当初はウインちゃんだけ出して君は出さない予定だったんだけどね・・・セゲル星人の葵ちゃんとの交流で説得力を持たせるならピリカさんもいた方がいいって思ってね。今作のピリカにおまピトのファンという独自設定を組んで登場してもらったよ。

 

マコ「セグメゲルにも独自設定を入れたらしいけど・・・。」

 

原作でセグメゲルは1度呼び出すと全てを破壊するまで止まらないと言及されてたじゃん。けど、侵略目的で怪獣を出したのに全てが荒廃するくらい破壊したらセゲル星人はその星にどうやって住むんだろうと考えてね。トレギアが自身の感情を埋め込んだ結果、前と違って止められなくなったという設定にしたんだ。怪獣リングが出た理由づけにもなるし丁度いいだろ。

 

クララ「成る程デース。」

 

仕込んだサブタイはウルトラマンギンガS第1話『切り開く力』。ピリカの台詞の中に仕込んだのですか分かったかな?

 

『円盤が来ない』について

ミカヅキ「ピグちゃんのメイン回だね‼︎」

 

カナさんのポジションにはピグモンさんが1番かなと思って今回、ペロリンガ星人と交流を深めて貰ったよ。ペロリンガ星人も明確にセブン本編に登場した同一人物である事を名言したんだ。

 

タイガ『この世界なら本人がずっと地球に住み続けても違和感はないからな。』

ミカヅキ「キンちゃんの心が荒れ始めたのここからだよね。」

 

正確には前回からかな・・・チビスケの件から荒っぽくなって仕事でもよく怒鳴り散らすようになって、後輩であるザンちゃんとノイちゃんも少し彼女に対して怯え始めるようになっちゃったんだ。

 

ミコ「おジョー、そんなに荒れてたんだ・・・。」

アキ「そしてピグモンさんからの活動停止を命じられて・・・更にヒートアップ・・・。」

 

そしてその結果が次回さ。ちなみに今回仕込んだサブタイはウルトラセブン第45話『円盤が来た』。分かりやすかったよね。

 

『妹と姉』について

ヒロキ「遂にクララちゃんが暴走しちゃった回だね。」

クララ「本当に面目ありマセン・・・。」

ラハナ「気にしないデ・・・姉さま。」

 

この回は特にアクションシーンに力を入れたよ。坂本監督回でよくある生身アクションシーンを参考にしてヒロキだけじゃなく怪獣娘の中で生身で戦えそうなノイちゃんとレッドキングさんには特に動いてもらったね。坂本監督風のアクションシーン書くの本当に大変だった〜・・・。

 

ヨウ「何で坂本監督のアクションを意識したんだよ?」

 

タイガって結構生身アクションシーンが多いのに坂本監督が撮った話が1つも無かったからさ、勿体無いと感じたんだよね。坂本監督のアクションシーンは自分も好きだし、是非ともリスペクトしたアクションシーンを書きたいなと思ったんだ。

 

タイタス『まさかレイビーク星人とノワール星人が手を組むとはな。』

 

この2つの種族は自分達が道具として利用している存在が星から消えかけているという共通点があるからね。レイビーク星人は人間、ノワール星人は怪獣、もし2つの種族が怪獣娘の世界に来たら両方の特性を備えた怪獣娘に目を付けると思って手を組ませたんだ。怪獣はノワール星人がいるという事でラグストーン・メカレーターを選んだよ。

 

ヒロキ「クララちゃんが自分を取り戻したのも僕がGIRLSに入ったのもこの回からだったね。」

 

思ったよりおジョーさんの暴走を長引かせちゃったから何処かで彼女が正気を取り戻す回を作らなきゃいけないと思って原作には無かったオリジナル回を作ったんだ。

ヒロキについても最初の頃は正体バレが後半からでそこからGIRLSに入るという流れにしようと思ったんだけど、次の話とかにヒロキが関わる理由がつきにくいし、他のヒロインとも交流させたかったから早めにGIRLSに入隊させる事にしたよ。

後、最初の犠牲者に恐竜戦車を選んだ理由として宇宙人が恐竜を改造したサイボーグ怪獣というメカレーターとの共通点として選んだんだ。

ちなみにキングジョーⅡの設定についてはバガンさんの作品からお借りした設定に自分の独自設定を入れて登場させました。バガンさん、キングジョーⅡの設定を借して頂き本当にありがとうございます‼︎

隠されたサブタイはウルトラセブン第27話より『サイボーグ作戦』。ノワール星人が登場したこの回にピッタリなサブタイさ。

 

『魔の山へ』について

アキ「まさか本物の幽霊と遭遇するなんて・・・。」

ミコ「本当、ビビったよね・・・。」

クララ「本物のghostは怖かったデスネ・・・。」

ヒロキ「あのさ、クララちゃんもアキさんもミコさんも幽霊とか苦手な方だったっけ?」

クラアキミコ「「「本物の幽霊なんて見たら誰だって震えるって(マス)‼︎」」」

ミカベニオ「「うんうん。」」

ラン「そういえば原作と違って最初から山の調査が目的で登ったのよね。」

 

流石にGIRLSが、言い方が悪いかもしれないけど三流のアイドルの警護のために山に登るのは考えられないと思ってね。山の調査の最中に遭遇したって事にしたよ。

 

サチコ「しかし、ししょー、ゴモたん先輩とかなり大喧嘩になったらしいわね・・・。」

 

ゴモたんもレッドキングさんも責任感強いし2人ともよくメディアに姿を見せる以上、絶対にこの頃の藍さんとはやり方が合わずに喧嘩になると思ったよ。

 

ミサオ「アタシもいたら喧嘩になってそうだな・・・。」

 

さて仕込んだサブタイはウルトラマンオーブ第16話『忘れられない場所』である事を教えて次に行こう‼︎

 

『悪魔を討て!』について

タイガ『俺がフォトンアースの力を手にした回だな‼︎』

ヒロキ「まさか怪獣娘の中でミサオちゃんだけがあいつの音波を聞き取れるとは。」

 

怪獣娘の中じゃノイちゃんが1番耳がいいからね。彼女には他にも霊能力の力で悩む藍さんに最後に喝を入れてもらう役割もやってもらったよ。怪獣娘と霊能力者、力は違えど特別な力を持つ者同士として怪獣娘達には自身の力に悩む彼女を説得するには充分だと思ったし。

 

ヒロキ「ナイトファングの能力でタイタスとフーマの記憶を見る事になるとは・・・。」

 

2人の過去について中々触れる機会がなかったからこの戦いでタイタスとフーマにも出てもらって悪魔攻撃を受けて貰ったよ。いつかは触れなきゃいけない話題だと思っていたからね。

 

タイガ『この回に仕込んだサブタイって?』

 

ウルトラマンネクサス第15話より『悪夢 -ナイトメア-』。ネクサスのサブタイを仕込むのは苦労したよ。

 

『それぞれの今』について

ユカ「あっ、わたしのメイン回‼︎」

 

マガジャッパの原種、マジャッパの登場回だったからね。怪獣と怪獣娘の違いはあれどジャッパ同士の共演がやりたくてジャッパちゃんメイン回にしたんだ。舞子さんもジャッパちゃんの年齢に合わせて彼氏に変更したよ。

 

ミク「それにしても、ジャッパちゃんってばネガティブに考えすぎだよ〜。キングジョーさんがライバルになるからって諦めそうになるなんて。」

ユカ「し、仕方ないじゃないですか‼︎恋敵はあのキングジョーさんですよ‼︎誰だって諦めたくなりますって‼︎」

 

うん、実際、メインヒロインがクララことキングジョーさんだったら主人公に想いを寄せる他のヒロインからしたら最大の強敵になると思うし、中には諦めちゃう者もいると思うよ。実は今まで描写してなかったけど数少ない同年代の男子という事でヒロキを狙ってた怪獣娘達もいたんだけどおジョーさんには絶対に勝てないって思ってヒロキを諦めた子も多いからね。

 

ミコ「そりゃあ・・・幼馴染がおジョーだもんね。」

 

隠されたサブタイはウルトラマンR/B第13話より『秘密はイヤです!』。途中で付け加えたから分かりやすかった筈。

 

『夕映えの戦士』について

ヒロキ「小田さんの話か・・・。」

 

そう、原作でもかなり悲壮感に溢れたこの回。ナックル星人という事でブラックキングさんに登場してもらったよ。当然、彼女がいるなら親友のガーディーちゃんやジュンちゃんにもね。

 

タイガ『ヒロキの爺ちゃんって坂田次郎からナックル星人とブラックキングの事聞いたんだっけ?』

 

スピンオフに向けて先行公開した設定ね。そう、健一君はタロウ後、坂田次郎君、梅田トオル君と出会い、友達になった事にしたんだ。3人には『家族を怪獣や宇宙人によって奪われた』、『ウルトラマンの変身者である主人公を本当の兄のように慕っていた』、『自分が慕っていた兄貴分がウルトラマンの正体だと明確に知った』など共通点がこれでもかとある以上、出会ったら仲良くなれると思うんだ。だから、この世界観では3人は親友になったって設定にしたんだよ。

 

ヒロキ「そして、次郎さんやトオルさんからジャックやレオが戦った怪獣の事を詳しく聞いてこの手帳に記したんだね。」

 

ラストは当然、ヒロキへの手紙で締め括ったよ。勿論、ガーディーちゃん達怪獣娘への手紙も含めてね。

さて隠されたサブタイを公開して次に行こう。隠されたサブタイはウルトラマンメビウス第50話より『心からの言葉』。

 

『星の魔法が消えた午後』について

マコ「ここからわたしにも出番が来たわね。全く、Zの方では序盤から出てるのに・・・。」

 

本当に申し訳ない‼︎最初、君の事を完全に忘れていて君の事を思い出した時には完全にタイミングを失ってしまったんだ。九州に出張に出ていたという設定を急遽付け加えて登場しなかった理由付けを行い、ようやく登場させられたんだ。本当にすまなかった‼︎

 

ミコ「作者も申し訳ないと思っているみたいだし、許してあげたら?」

マコ「次からはちゃんとしなさいよ。次、忘れたらぶっ飛ばすからね。」

 

はい‼︎肝に銘じます‼︎

 

クララ「それにしても・・・まさかダロンが登場するとは思いませんデシタネ・・・。」

 

怪獣娘の世界では怪獣が地球からいなくなった以上、野生の宇宙怪獣が飛来するなり、宇宙人が地球に持ち込むなり、地球の生物が突然変異するなり怪獣が出現する理由に説明を付けなきゃいけないから野生の地球怪獣をそうそう出せないんだよね。だからパゴスではなくこの後の話に出てくるギマイラによってタコが変異させられたダロンを出す事にしたんだ。

 

タイガ『まさか、後の戦いに影響が出るくらい足にダメージを与えるとはな・・・。』

 

これからのウルトラマンにおいてギマイラは何度も姿を見せる事になると思うけど、ダロンが姿を見せる事はないも思ったからね。タイタスさえも海に引き摺り込めるくらいの馬鹿力を持つ強いダロンを書いたよ。

 

クララ「ワタシとガッツは大丈夫だったのにアギラちゃんだけがギマイラの霧の影響を受けてしまうとハ・・・。」

ミコ「何でわたしとマコ、おジョーは影響を受けなかったの?」

 

本作っていうか、私の怪獣娘の世界観では宇宙人系怪獣娘、ロボット怪獣系怪獣娘はギマイラの霧の中でも長時間活動できるという事にしたよ。他の怪獣娘は短時間なら大丈夫だけど長時間ギマイラの霧を吸うと体調に影響が出るって訳。

 

トモミ「成る程・・・だからアギアギは影響を受けて体調が悪くなってしまったのですね。」

 

ちなみにこの設定は相談に乗ってくれた電王牙さんの意見を参考にして設定したんだ。電王牙さん、本当にありがとうございました‼︎

最後に隠されたサブタイ公開をしよう。隠されたサブタイはウルトラマンティガ第22話より『霧が来る』。宇宙のカオスで出来た霧を放つギマイラが登場する今回にぴったりのサブタイだよ‼︎

 

『それでも宇宙は夢を見る』について

クララ「ワタシのブラックスタイルとスカーレットスタイルが本格的に登場した回デスネ‼︎」

 

そう、正気を取り戻したにも関わらず何故、スカーレット形態に変身しようとしなかったのかの答えが出た回さ。幾らおジョーさんでも仲間を殺しかければ自分が怖くなるって。

 

ヒロキ「僕や麻璃亜さんとの言葉で新たな力を使いこなせるようになったね。でも、あのゼラン星人がラブラスにされちゃうなんて・・・。」

 

タイガ原作を見てコイツはラブラスにされるのがオチだなと思っていたら生き残ったからね。ラブラスがこれから先出る可能性はかなり低いし、オチを考えたらこちらのこと方がいいかなと思ってこっちではラブラスになってもらったんだ。コイツなら戦うのを躊躇わないだろうし、ラブラスを倒しても大丈夫な理由付けが出来るからね。

 

タイタス『『怪獣人』プレッシャーとサラサ星人の関係についても掘り下げたな。』

 

宇宙の魔法使いという事で共通する両者だからね。何かしら関係があるかなと思って・・・。こちらも電王牙さんの意見を参考にしたんだ。電王牙さん、参考になる意見を下さり本当にありがとうございました‼︎

 

レイカ「隠されたサブタイは何ですか?」

 

隠されたサブタイはウルトラマンR/B第9話より『ウルトラマンの名のもとに』。タイガの台詞の中にあるよ。

 

『GIRLS超会議』について

ブラック指令「漸く我々ブラックスターズが登場出来たな‼︎」

シルバーブルーメ「このまま忘れられちゃうと思ったよ〜‼︎」

 

本当に申し訳ない‼︎おジョーさん関連でそれどころじゃなかったんだ‼︎

原作では総集編だけど、ラストで新たな事件へ・・・って展開だったのでそこから新たな物語を作ったんだ。総集編のままだとすぐに話が終わっちゃうからね。

 

ヒロキ「でも、ブラックスターズを出すにはいいタイミングだったと思うよ。」

ノーバ「作者、その判断、グッジョブだ。」

ミカヅキ「それより、わたし達がトライスクワッドの中から推しを決めるとしたら誰が誰になるかについて悩んだんだって?」

 

国際『怪獣』救助指導組織であるGIRLSのイメージキャラクターに誰が誰を推すかは正直、自分1人では決められなくって本作の読者である電王牙さんと霜降さんの意見を参考に会議シーンを書いたんだ。本当にお2人ともありがとうございます‼︎お陰で無事に会議シーンを書き上げられました‼︎

 

タイガ『まさか俺がアストロモンスと戦う事になるなんてな。』

 

当初はシーグラとのコンビにしようと思ったんだけどね。アストロモンスはチグリスフラワーから生まれた植物怪獣な分、球根が有れば幾らでも出せると思ってアストロモンスだけにしたんだ。

 

サツキ「まさか・・・あんな事態になるなんて思いもしませんでしたよ・・・。皆でお金を出して買った球根が・・・まさかあんな・・・。」

 

宇宙人が経営する花屋だったらチグリスフラワーが売られててもおかしくないと思ってね。購入されて植えられたチグリスフラワーが覚醒して4体も出現した訳。ちなみに登場数が4体なのはシーグラのオマージュさ。

 

ヒロキ「思えばこの頃からタイガの様子がおかしかったんだよな・・・もっと早く気づくべきだった・・・。」

 

そう、戦いの中の言動から察した人もいると思うけどタイガがトレギアの策略に乗せられている事を暗示する戦闘シーンにしたよ。そして、この後何が起こるかは・・・もう分かるよね。

 

クララ「エエ、とてもよく分かりやすいデス・・・。」

 

さてこの回で仕込んだサブタイはウルトラQ第4話より『マンモスフラワー』。チグリスフラワーと同じ吸血植物が出る回から取ったよ。

さて、前半戦の裏話はここまで‼︎次回からは後半戦とニュージェネクライマックスについて語ろう‼︎

 

タイガ『皆、ここまで読んでくれてありがとな‼︎』

ヒロキ「次回、僕たちの戦いの残り全てを語り尽くすよ‼︎」

クララ「是非見て下サーイ‼︎」

全員『次回もお楽しみに‼︎』




次回は後半戦+ニュージェネクライマックスについて語ります‼︎
それではまた‼︎


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ここだけの裏話・怪獣娘タイガ編(後編)

後半からニュージェネクライマックス編までの裏話です。
こんな駄文に最後まで付き合って頂き、本当にありがとうございます‼︎


さ、諸君‼︎怪獣娘タイガの後半からニュージェネクライマックス編まで一気に語り尽くそうじゃないか‼︎

 

タイガ『よっしゃ‼︎待ってたぜ‼︎』

ヒロキ「それじゃあ、始めるよ‼︎」

 

『護る力と闘う力』について

ヒロキ「まさかゼットンさんに正体をバラさなきゃいけなくなるなんて・・・。」

フーマ『まっ、あの時は仕方なかったからな。』

 

ゼットンさんは単独行動が多い上に瞬間移動も使えるからイルトさんとも遭遇させやすいし、結構鋭そうだからあのキーホルダーを見たらヒロキの事を怪しむと思ったからここで正体バレをしたんだ。

 

ミカヅキ「確かにゼッちゃん単独行動多いからね〜。」

 

他にもイルトさんと別れる時もヒロキとタイガの関係を知った後も彼女が取りそうな行動を考えて執筆したよ。

ちなみに仕込まれたサブタイはウルトラマンオーブ第14話より『暴走する正義』。さて、次に行こう。

 

『キミの声が聞こえない』について

ブラック指令「我々がここで出番が来るとは・・・。」

 

電王牙さんからのアイディアで円盤生物のサンプルとして捕まったというのがあったからそれを組み込んで物語を作ったんだ。アイディアをくれた電王牙さん、本当にありがとうございました‼︎

 

ベニオ「お前らが円盤生物のサンプルとしてなぁ・・・。」

 

いや、怪獣娘世界ではレオ本編相当の出来事が起きているから円盤生物はかなり貴重だし、宇宙のマッドサイエンティストに捕まってもおかしくはないと思うよ。マガコンビだって数少ない魔王獣のサンプルな訳だし、マブゼみたいな宇宙人に狙われる可能性はあるって。

 

ユカ「ふええええ⁉︎そんなぁぁ⁉︎」

ヨウ「怖え事言うなよ‼︎」

 

そして今作におけるタイガの闇堕ちには怪獣娘世界ならではの要素を取り入れてタイガが闇に堕ちやすくなった理由に拍手を掛けたんだ。トレギアならシャドウミストという存在を絶対に利用するだろうからね。

 

ヒロキ「でも、大抵のシャドウミストはウルトラマンには効かないんだっけ?」

 

そう、本作だけじゃなくクロスオーバーユニバース全体における設定としてウルトラマン変身者は今回のような特殊な事がない限り、シャドウミストに浸食される事はないという設定にしたよ。

 

タイガ『それってやっぱり・・・。』

 

そう、ウルトラマン変身者はその身に宿るウルトラマンの光の力によってシャドウミストが浄化されるって訳。シャドウミストって明らかに闇だしウルトラマンの変身者には余程の事がない限り光の力で浄化されるけど今回はトレギアがウルトラマン用に調整した特別品でそれを微量ずつ体に蓄積していくように作られていたのよね。だからタイガも自身の光の力でシャドウミストを振り払えずに闇に堕ちていった訳。

 

タイタス『成る程・・・そういう事だったのか。』

 

他にも理由があるんだけど、それは次ね。隠されたサブタイはウルトラマンコスモス第32話より『悪魔の実験』。

 

『我らは一つ』について

タイガ『トライストリウム登場回だな‼︎』

クララ「それと同時に漸くワタシがメインヒロインらしい事を出来た回デス‼︎」

 

本当に漸くおジョーさんにメインヒロインらしい活躍をさせられたよ。前半はそれどころじゃなかったからなぁ・・・。

 

ブラック指令「待て待て‼︎我々もいるぞ‼︎」

 

勿論忘れてないよ‼︎君達にも引き続き出番を与えたからね‼︎

 

レイカ「色々と聞きたいのですが・・・何故ここで正体バレをしたのですか?」

 

この小説を書くに当たって原作を見返して、呻いているヒロユキを見て思ったんだよ。『最終回でホマレ先輩と社長に正体がバレたのここだったんじゃね?』と。だから今回はそれを明確にして尚且つ、怪獣娘とトライスクワッドの共闘・共演をしやすくしたくてここで正体ばらしをしたんだ。

後は・・・ヒロインを増やしたかったってのもあるかな。前半、あんまりヒロインを増やせていなかったから後半から出来る限り増やしたいと思ってここで正体をバラさせてもらったよ。

 

シルバーブルーメ「ブラックちゃんの水晶は何処から出たの?」

 

これは漫画『ギャラクシーデイ』と原作で本物が操る水晶からかな。映画でブラック指令があの水晶を使わなかった理由として『使うと何かしらデメリットがあるからじゃないか』と考え、そのデメリットとして分かりやすかったのが某V3ライダー曰く長時間変身できなくなるからかなと考えてこのオリジナル設定を作ったんだ。

 

マコ「タイガが闇に堕ちた理由は他にもあるって言ってたけど、それって何?」

 

ああ、それね‼︎それはヒロキが白鳥健一の孫であるという点に注目すれば分かると思うけど、序盤のタイガは父親のタロウの偉大さにコンプレックスを強く抱いていたじゃん。そんなタイガがもし、タロウの活躍を知った地球人の子孫と一体化してタロウの話を聞かされたら不信感を抱くと思うんだよね。『もし、こいつに父さんと比べられたら』そう思うとタイガはヒロキの完全に信じきれなかったんだよ。

 

アキ「そうなの、タイガ?」

タイガ『ああ、ほぼ作者の言う通りだ。』

 

結局、ヒロキからは父親について感づかれていた上、変な誤解をされていたけどね。後は祖父のが子供の頃、大好きだったタロウの息子と知っていた上で尚、何食わぬ顔で今まで接していたヒロキに更に不信感を抱いたのが拍手を掛けたのもある。

 

フーマ『でも、それを乗り越えて今がある。・・・タイガ、ここでお前な強くなったと思うぜ。』

『へへっ、ありがとな。』

 

さて次にいこうか。隠されたサブタイはウルトラマンR/B第15話より『この瞬間が絆』。

 

『ガーディアンエンジェル』について

ミコ「おおっ‼︎おジョーとヒロのデート回じゃん‼︎ラブラブだったね、お二人さ〜ん‼︎」

クララ「フフフ、そうでショウ‼︎」←ヒロキの右腕に胸を押しつけながら抱き付いてる

ヒロキ「・・・・・・。」←恥ずかしくて顔真っ赤

 

デートの描写はこれまでの中で1番気合いを入れた描写でね。おジョーのファンである闇の魔人のそっくりさんことJJさんが血涙を流しながら涙するくらいの描写を目指して書いたよ。

 

サチコ「本当、ラブラブだったよね〜。」

ベニオ「・・・・・・。」←これ以上にないオーラを纏いながら睨んでいる

サチコ「ひっ⁉︎」

ヨウ「つーか、いつの間にかレッドキングさんとゴモたんさんもヒロキさんの事好きになってたんだな。」

 

前回でタイガに救われたからね。ここまでメインヒロインのおジョーさんにマガコンビとシルバーブルーメ、キングジョーⅡちゃんしかいなかったからね。ハーレムタグが付いてる以上、主人公に好意を寄せる女の子を増やさなきゃね‼︎

 

ミコ「あのさ、アギの中学の同級生って・・・名前の由来はもしかして・・・。」

 

ああ、御堂君の事ね。原作のカナ社長の友人であるミドーを漢字に当てて『御堂』。原作では掘り下げられなかった星に帰りたい理由もつけて登場させたよ。

 

トモミ「原作ではデマーガだったのをインペライザーに変えたのは何故なんですか〜?」

 

前回、書いたと思うけど怪獣娘世界では突然変異や封印パターン以外では地球怪獣を出せないというのと仮にも最強形態の二戦目なのにデマーガが相手じゃしょぼく感じちゃってね。だったらコントローラーで比較的簡単に操作出来そうで尚且つ強そうな奴に変更しようと思ったんだ。そして考えた結果、インペライザーを出す事にしたよ。タイガはメビウスの兄弟子だし、タロウ自身もインペライザーと戦っているし色々と因縁があるから丁度いいだろ?

 

フーマ『それであのロボットかよ・・・。』

 

他の候補としてアングロスとかゾアムルチとか考えたんだけどギンガS以降インペライザー見てないし、私もメビウス怪獣の中では好きな方でいつかは出したいと思ってたんだ。

インペライザー最後の出番だったギンガSでは強さが微妙に感じたから強さも硬さも初めてメビウスが戦った機体をイメージして強いインペライザーにしたつもりだったんだけど・・・伝わったかな?

 

ミサオ「フーン、成る程な。・・・けどよ・・・最後に・・・とんでもねえ事したよな⁉︎」

 

もう既に皆に正体がバレてるからね。トレギアの正体もここで怪獣娘達の前に現したよ。ここから本格的に怪獣娘とトレギアの戦いが激しくなる事になるんだけど・・・それは次の話かな。

隠されたサブタイはウルトラマン第23話より『故郷は地球』。ゲストの口から出ているよ。

 

『新しき世界のために』について

アキ「本格的なゼットンさんメイン回だね。」

 

本物のゼットンが登場する回だからね。当然、ゼットンさんのメイン回になるのは前半戦を書いている時から決めてたよ。

 

ミコ「ねえ、冒頭で話に出た怪獣達って・・・。」

 

ウルトラマンXの第1話の冒頭で出てきた怪獣達。あのシーンのオマージュがしたくて選んだんだ。

ゲストのバット星人との絡みでもオリジナル設定を入れたよ。バット星の軍事情とか考えるとあり得そうかなと思った事に異論を立てて罰として地球に島流しにされたなら地球に来て尚、怪獣娘に不満を持つ理由に説明がつくかなと思って。

 

クララ「そしてこの回からゼットンモ・・・。」

 

そう、ヒロインの仲間入り‼︎ペダニウムゼットン繋がりでゼットンさんにもヒロインになってもらったよ‼︎そして原作のホマレさん同様、トレギアの凶弾に倒れる役も担ってね‼︎

隠されたサブタイはウルトラマンマックス第13話『ゼットンの娘』。ゼットンさんメイン回でありゼットン(本物)登場回に相応しいサブタイさ‼︎

 

『雷撃を跳ね返せ!』について

『我らは一つ』に続いておジョーさんにメインヒロインらしい事をさせられた貴重な回でありかなり気合いを入れて回さ‼︎

 

ミコ「あのさ、おジョーとヒロの過去って・・・。」

 

今作におけるオリジナル設定の一つ‼︎現実でも外国人やハーフの子が差別とか仲間外れとかとか苛めとか受けたって話はよく聞くし、おジョーさんに至ってはアメリカンならではの独特のテンションをしてるから仲間外れにされてても不思議じゃないかなと思って。

そこでヒロキに出会って段々と学校の皆に溶け込めるようになったという訳。ちなみにこの時にヒロキの事が異性として好きになったんだ。

 

タイガ『それにしても・・・まさかお前らがトレギアを相手にあそこまで戦えるなんてな‼︎』

タイタス『うむ‼︎君達も強くなった‼︎』

アキ「そ、そうかな・・・。」

 

そう、この話こそ初めてトレギアと怪獣娘の戦闘を書いた回でもあるな‼︎これまで劣勢だった怪獣娘達だけど自身の力を振り絞って仮面の悪魔に立ち向かい、撤退させる事に成功したよ‼︎怪獣娘に初めてトレギアと互角の勝負をさせられた事をきっかけにこれまで彼女達を怪獣の出来損ないと考えて見下していたトレギアも彼女達の力を漸く認めたんだ。

 

ミコ「当然‼︎」

ミカヅキ「でも・・・またライバルが増えちゃったよね〜。」

ユカ「ええ、まさかピグモンさんまでもが・・・。」

 

確かカーナビかなんかでキングジョーさんとピグモンさんなコンビで道案内をしていた奴があったからピグモンさんもヒロインの1人に加える事にしたんだ。ちなみに当初、アニメ勢は全員ヒロインにする予定だったんだよね。

 

サチコ「ええっ⁉︎それじゃああたし達もヒロインにする予定だったって事⁉︎」

ミサオ「アタシら絶対に勝ち目ねえだろ、それ‼︎」

 

まぁ、予定だったんだけどね・・・思ったよりヒロインを増やさずに話が進んじゃってね・・・結局この回のピグモンさんで全員にしちゃった。いつかリベンジとして再びおジョーさんをメインヒロインにした小説を書いた時にはアニメ勢全員をメインヒロインにするから安心してね。

 

ミク「ええっ⁉︎あたし達も⁉︎」

アキ「微塵も安心出来ないんだけど・・・。」

レイカ「そんな事したら私に勝ち目ないじゃないですかぁ・・・。」

 

隠れたサブタイはウルトラマンティガ第40話より『夢』。一文字だけだからそんなのありかって思った方、申し訳ないです‼︎サブタイを仕込むタイミングを逃してこんな手抜きになってしまいました‼︎本当に申し訳ない‼︎

 

『砂のお城』について

この回も電王牙さんからのアイディアを参考に話を作り上げたよ‼︎電王牙さん、貴重な意見をどうもありがとうございました‼︎

 

レイカ「CQが登場した回ですよね?」

 

そう、宇宙人と地球人を見分ける機械。怪獣娘世界で怪獣娘相手にミコさんのように宇宙人の魂を継ぐ怪獣娘には原作のヒロユキのようになるけどね。GIRLS的にも未発見の怪獣娘を探すのに役立つ事が判明したから、これ以降、GIRLSもCQの開発を支援するようになったんだ。

 

ミコ「まさかアリブンタに食べられ掛けるなんて思わなかったよ・・・。」

 

ウルトラファイトビクトリーで再登場して以来、蟻酸と炎が特徴の蟻の超獣という面が強くなったけど、血液型がO型の女性が好物という設定には触れられなくなったからね。怪獣娘は女の子が多い以上、その設定にも触れやすいと思って最近は忘れられたアリブンタの設定も言及したよ。

 

タイガ「後はZで明かされた超獣の秘密にも触れたな。』

 

後に明かされた設定とかを組み込むの結構好きなんだよね。後はヒロイン達がヒロキを取り囲むシーンは1番書きたかったシーンでね‼︎おジョーさんやバッサーちゃんは絶対に積極的に押してくるイメージと自身のスタイルの良さを活かし攻めに掛かるイメージが強いからその通りに書いたよ。それに何よりハーレムタグがある以上、やはりそれらしい描写がないと‼︎

 

ヒロキ「その度に僕が大変なんだけど・・・。」

タイガ『いや、お前が原因だからな。』

 

まぁ、ハーレム物の主人公のお約束という事で大目に見てくれ。

隠されたサブタイはウルトラマンギンガ第11話より『きみの未来』。『きみ』を『君』に変えて入れたけど分かったかな?

 

『地球の友人』について

タイガ『ジャミラの怪獣娘が宇宙人達に憎しみをぶつけるなんてな・・・。』

 

電撃版で擬人化された怪獣の中にジャミラがいたからね。当初は修君にしようかなと考えたんだけど、擬人化されたジャミラの存在を知った時、彼女こそ今回の話で修君のポジションに1番相応しい者はいないと感じてジャミラさんにしたよ。

 

アキ「自分を見捨てた地球の人達に憎しみを抱いて暴れたジャミラの怪獣娘が宇宙人への憎しみで覚醒するなんて・・・。」

フーマ『まるで負の連鎖が続いてるみてえだな・・・。』

 

憎しみについてなんだけど、ジャミラさんは自身のカイジューソウルの影響もあって憎しみや恨みによる負の感情で暴走しにくいだよね。理性を保てる分、自身の中に芽生えた負の感情で強くなるから今回以上の事があったらベテランの怪獣娘が2人以上じゃないと抑えられないくらい力を発揮するから今回は運が良かったね。

 

ミク「マジで・・・。よくあたし達助かったなぁ・・・。」

 

仕込まれたサブタイはウルトラマンギンガ第4話より『双刀の火炎獣』。パンドンが登場する回に相応しいサブタイさ。

 

『ピッコロを守れ‼︎』について

タイガ『まさか父さんが戦ったあのピッコロが来るなんてなぁ・・・。』

フーマ『しかも俺や旦那の事も知ってやがったんだから驚きだぜ。』

ベニオ「意外と世間は狭いな・・・。」

マコ「そもそもタッコングとギーストロンの回はどうしたのよ?」

 

怪獣娘世界じゃ地球から怪獣がいなくなった以上、あの設定でギーストロンとタッコングは出せないだろ。だから自分で考えたオリジナル回に差し替えようと思ったんだ。

それで折角だし、タロウに宇宙に帰された怪獣か宇宙人が再び地球にやってくるという話にしようと思ったんだけど、選出に悩んでね。

幾つか候補を絞って最終的にはベロン、モットクレロン、ピッコロのどれかをメインにする事に決めたんだけど、この中だったらピッコロが1番話を作りやすくてね。だからこの話でピッコロを登場させたんだ。

ピッコロ自身もタロウから長い年月が経って成長してるというところを見せたくて人間の醜い一面に触れた怪獣娘達にかつて自身がタロウから聞いた言葉を教えさせたんだ。

 

ミカヅキ「登場怪獣がインペライザーとゾアムルチなのはどうして?」

 

それはね・・・私が1番好きなニュージェネレーションヒーローズのエピソードであるウルトラマンギンガSの『君に会う為に』のオマージュさ。

 

ミク「君に会う為に?・・・何処にそのオマージュがあるの?」

 

『前座の怪獣がインペライザー』、『善良な宇宙人を襲うゾアムルチ』、『その宇宙人を守る為に戦うウルトラマン』これだけの描写が有れば分かるかなと思ったんだけど・・・分からなかったかな?

 

ユカ「ああ〜、成る程です。」

 

隠されたサブタイはウルトラマンレオ第4話より『男と男の誓い』。さて次に行こう‼︎

 

『激突!ウルトラビッグマッチ!』について

タイガ『ゼロとのコラボだな‼︎』

ブラック指令「我々も久々の出番だ‼︎」

 

電王牙さんの意見を取り入れてブラックスターズの出番を加えながら物語を執筆したからね‼︎意見を下さった電王牙さん、本当にありがとうございます‼︎

 

ミコ「ベリアルの事をエンペラ星人と間違えちゃうなんて。」

タイガ『馬鹿だなー、お前ら。』

ブラック指令「仕方ないだろ‼︎宇宙の黒き王と聞いたらエンペラ星人しか思いつかんわ‼︎」

 

まぁ、この世界では地球にベリアルが襲来した事はないし、黒き王に当てはまるのがエンペラ星人しかいない仕方ないよ。

 

タイガ『ああ、そういえばメビウスまでの怪獣は記録されているだっけな。』

サツキ「そちらはスイーツバイキングを楽しんでいる時だったんでしたよね?」.

クララ「エエ・・・女の子の至福の時間を邪魔された時はどうしてやろうかと思いマシタネ。」

ヒロキ「あ、あはは・・・は・・・。」

 

原作では昼飯の時だったけど、こっちは圧倒的に女子が多いしやっぱりスイーツバイキングの方が合ってるかなと思ってそっちも変更したよ。

そしてゼロがヒロキの名前を聞いた時点でその事がウルトラ兄弟全員に伝えられる事になるのは・・・別の話かな?

隠されたサブタイはウルトラマンオーブ第12話より『黒き王の祝福』。ベリアルが絡む今回の回にピッタリなサブタイだぜ。

 

『私はピリカ』について

タイガ『ウーラーの登場回だな‼︎』

タイタス『テレビ版における最終回前編の話か‼︎』

トモミ「まさかピッコロ王子から警告を知らせる通信が送られてくるとは思いませんでしたね〜。」

 

ピッコロが通信を送ってくる所はダイナのOVA『帰ってきたハネジロー』のテバドー星人の地球侵略を知らせてきたシーンのオマージュさ。

 

クララ「遂にワタシもトレギアと一騎打ちを繰り広げマシタネ。」

タイガ『クララ、お前すげえよ・・・あのトレギアとやり合えるなんて。』

 

いつかは書かなきゃいけないと感じていたおジョーさんとトレギアの一対一の対決、彼女がブラックやスカーレットの姿になりながら戦う事でクララが物語を通して強くなったという事を現したよ。トレギア本人もクララの強さ自体を認めるくらいにね。

 

クララ「それでも倒し切れなかったデス・・・。」

 

ちなみにこの世界では『砂のお城』で漸く外事X課が設立されたのもあってカナさんはまだ刑事だよ。ちなみに本作の彼女には『熱血火の玉ボーイ』と呼ばれている彼氏がいます。

 

ヒロキ「熱血火の玉ボーイの刑事って・・・カナさんの・・・。」

 

そう、中の人ネタ‼︎バンという渾名の同僚が彼氏‼︎原作でも元々は刑事だったから丁度いいかなって。

隠されたサブタイはウルトラマンR/B第25話より『朝日のあたる家』。それでは次に行こう‼︎

 

『バディステディゴー‼︎』について

フーマ『TVシリーズの最終回だな‼︎』

アキ「初っ端から酷い事になってるんだけど・・・。」

 

序盤では怪獣娘世界に再び怪獣が出現したら人々が抱きそうな負の感情を前面に押し出したよ。ピッコロの回でも書いたけど少なくとも絶対に『怪獣が再び現れたのは怪獣娘のせいだ』とか言って彼女達に酷い罵声を浴びせる人はいると思う。

 

トモミ「今まで怪獣が出現しなくなって平和になったのに・・・その平和が怪獣によって破られたら・・・確かに私達に当たる人も出るでしょうね・・・。」

ラン「そうね。この世界で怪獣に1番近いのは私達だから・・・。」

 

まぁ、これまで怪獣娘が色々な災害の現場やシャドウ退治などの現場で多くの人達を助けてきたのもあって怪獣娘を応援する者達も多いんだけどね・・・少なくとも6:4くらいの割合で分かれる人はいると思う。

 

ヒロキ「その割合はどっちが多いの?」

 

6が怪獣娘を応援する側。それに加えるとこの世界の怪獣事件においては宇宙人が深く関わった事件が多い以上、怪獣娘は応援するけど宇宙人は排除しようと思う派閥や怪獣娘も宇宙人もどちらも排除すべきだと考える派閥に分かれてしまって人間同士の争いになってしまった訳。

 

ヒロキ「こんな事になるのは想像してなかったよ・・・。」

クララ「でも、最終的には手を取り合う事が出来マシタネ。」

 

ちなみにこの時、アデリーナ達小説組がウルトラマンの秘密を聞いたのは後の展開に関わるから。

隠されたサブタイは帰ってきたウルトラマン第1話より『怪獣総進撃』。さて、次だ。

 

『再びその輝きを』について

ヒロキ「待ってました‼︎クララちゃんのモデル復帰回‼︎」

 

何処かで彼女のモデル復帰イベントをやらなきゃいけなかったからね。TV版の最終回とニュージェネクライマックスの間にオリジナル回を挟んだよ。

 

タイガ『でも、最初は光の国がメインだったよな?』

 

タロウにヒロキの名前を教えたかったからね。それに成長したピッコロに光の国を訪れて欲しかったのと、そこで再びタロウと語り合わせたかったのが大きいかな。

 

ヒロキ「あのさ、ゼロさんって・・・ウルトラ兄弟の戦いについては何処まで知ってるの?少なくとも僕のお爺ちゃんの事は知らなかったみたいだけど。」

 

ああ、ゼロの過去のウルトラマン達の戦いの知識についてだけど・・・ゼットのボイスドラマからして・・・多分師匠であるレオの話くらいしか詳しい事は知らないんじゃないかなと思う。それ以外だと・・・当時地球を守っていた防衛チームの名前くらいしか知らないんじゃないかな。だからこの世界においてゼロの過去の戦いの知識はレオくらいしか詳しい話を知らないという設定にしたよ。

 

タイタス『まさかヘルキャットが私達の前に立ちはだかるとはな。』

ヨウ「どうしてこの怪獣を選んだの?」

 

タイタスの存在からザ⭐︎ウルトラマンの怪獣も何か出したいと思ったんだよね。そこで何を出そうか考えて候補を絞ったんだ。そこでヘルキャットを見て、ジョーニアスの戦った怪獣は体がデカいのが多いけど、こいつは大きさを変えられるから、怪獣娘ともウルトラマンとも戦わせられるんじゃないかとね。多分タイガ達もヘルキャットくらいの大きさなら充分対抗出来ると思うし、こんな感じの獣って感じの怪獣は珍しいから是非とも出したいと思って・・・。

 

ヨウ「ヘルキャットを出したんだ・・・。」

 

他にもこの怪獣ならジョーニアスが戦った怪獣の中で実写でスーツを作ってもアニメ版と比べて違和感のない姿に出来るんじゃないかと考えたのもあるけどね。

 

クララ「アデリーナ達が登場しまシタネ。」

 

他にも小説版から怪獣娘がてんこ盛りで登場させたよ。折角のおジョーさんの復帰ステージだし、小説版で交流のあった怪獣娘達を沢山登場させたんだ。

特にアデリーナ達に正体がバレるのとマグマ星人とアンジェリカさんの絡みは絶対にやりたかった‼︎

 

クララ「そしてステージを無事に大成功で収める事が出来マシタネ‼︎」

 

仕込まれたサブタイはウルトラマンダイナ第34話より『決断の時』。最後の彼らの台詞の中にあるよ‼︎

 

ニュージェネクライマックス編について

タイガ『俺達の最後の戦いだな‼︎』

 

ニュージェネクライマックス編についてはもう全部ひっくるめて語ろう‼︎

 

タイガ『ああ‼︎』

ヒロキ「皆、それぞれ関わりのあったニュージェネレーションヒーローズと会ったね。」

 

少なくとも大地とゴモたん、魔王獣コンビとガイさん、リクとサツキ君は絶対に外せないと思う。ヒカルとショウ、湊兄弟は悩んだけど電王牙さんや霜降さんの意見を参考にして決めたんだ‼︎他にもヨウに似た夢を持つ同級生を持つイサミや交流があったブラック指令などの絡みもあるよ‼︎お二人とも貴重な意見をくださり本当にありがとうございます‼︎

 

ミカヅキ「まさかサイバーゴモラまで出てくるなんて‼︎」

 

サイバーゴモラは少なくともXioの隊員がいないと出せないからね。ニュージェネクライマックスの時の大地なら変身出来ないから丁度いいと思って出したんだ。

 

タイガ『まさか父さんが戦った怪獣の怪獣娘が全員登場するなんてな。』

 

多分、タロウの怪獣娘だったら自身のカイジューソウルの影響でタロウが何処にいるかが分かると思ってね。折角タロウ本人が出る以上、短い出番ながらも出てもらったよ。

 

タイガ『戦闘シーンも盛り沢山だったな‼︎』

 

映画では尺の都合上、それぞれのウルトラマン達の戦闘シーンが短かったからね。ギャラファイをイメージして各ウルトラマン達の戦闘シーンにそれぞれのウルトラマンの個性を出そうと思ったんだ。

ギンガストリウム、ビクトリーナイトなど出せなかったフォームもあるけどそれでも読者に満足して頂けるよう努力してそれぞれの個性を出したよ。

 

ヒロキ「そして僕は本当に・・・タロウさんと・・・。」

 

そう、君を白鳥健一の孫と設定した時からずっと書きたかった事‼︎タロウがあの健一君の血縁者が息子であるタイガと共に戦ってきたという事を知っただけでも感涙ものなのに息子を強く成長させてくれた要因だと知ったら絶対に涙を抑えずにはいられないと思ったんだ。

 

タイガ『父さん、ずっと心残りだったんだよな?』

 

あくまで私個人の解釈だけど・・・健一君達、昭和ウルトラシリーズの少年レギュラー達は大人になってもそれぞれ自分を支えてくれた兄貴分達とは会えなかったんじゃないかなと思ってね。

特にタロウは最終回で人間として生きていくと決意したのにウルトラ兄弟達がUキラーザウルスを封印するために力を使いすぎて地球に残らなきゃいけなくなったからその穴を埋める為に急遽光の国に戻らなきゃいけなくなって健一君とはそのまま会えない事になってしまったんじゃないかと思って・・・だから本作では大人になった健一君のタロウへの感謝の思いを孫であるヒロキから聞かせてタロウにとっても心残りがないようにしてあげようと思って書いたんだよ。

 

タイガ『父さんが思わず泣いてしまうのも無理ないな・・・。』

クララ「そして・・・遂にワタシとヒロキが・・・。」

 

最後は主人公とメインヒロインをくっつけなきゃね‼︎戦いの前の夜でなんとなく察していた人もいるとは思うし、やっぱり最後はハッピーエンドじゃなきゃ‼︎

 

アキ「キングジョーさん、本当に幸せになれて良かった・・・。」

 

隠されたサブタイはウルトラマンX第8話より『星を超えた誓い』。最後の方に隠されているよ。

ここでおまけとして本編後のヒロキとクララについて紹介しよう。

 

白鳥ヒロキ

GIRLSに入隊しながら大学に進学、卒業した後、GIRLSを辞めて宇宙人も地球人も怪獣娘も共に働く民間警備会社『イージス』を立ち上げる。働き口がなくて困っている宇宙人を受け入れた会社は最終的には世界規模の警備会社にまで成長する程になる。モデルを辞めたクララと結婚し世界規模の警備会社の社長と伝説のモデルの最強夫婦と呼ばれるようになる。

 

クララ・ソーン

その後もモデル業を続けるも20代後半辺りでヒロキからのプロポーズを受け入れた時にモデルを引退。その後はGIRLSの芸能課で後輩達を指導するコーチになる。

ちなみに夜の大怪獣ファイトは6:4の割合でクララに主導権を握られる事が多い。(クララが6、ヒロキが4)

 

ヒロキとクララ以外『ちょっ⁉︎最後ぉぉぉぉぉぉ⁉︎』

タイガ『ヒロキ・・・お前・・・。』

ヒロキ「哀れな目で見ないで‼︎・・・確かに事実だけど・・・。」

クララ「ウフフ・・・♡」

 

一応、理由はあって・・・おジョーさんの胸による攻めにヒロキがすぐにうっとりして、あっという間にメロメロ状態になって逆らえなくなってしまうからというのと・・・これは言うべきかな・・・。

 

ヒロキ「へっ?何が・・・。」

 

クロスオーバーユニバース全体の主人公なんだけど・・・ウルトラマンとしての戦闘に特化した代わり・・・夜の大怪獣ファイトの戦闘力が非常に・・・その・・・弱いという共通点が・・・。

 

ヒロキ「うわああああああああああああああああああああああああああああ‼︎知りたくなかったぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

クララ「ヒロキ、落ち着いて下サイ♡」←ヒロキの顔を自身の胸に引き寄せる

ヒロキ「⁉︎」

ミコ「わお⁉︎大胆‼︎」

ベニオ「えっと・・・さっきの話って・・・マジ?」

 

マジ。

 

ミコ「それじゃあ・・・怪獣娘Zのわたしは・・・将来的には・・・。」

 

まぁ、その辺は怪獣娘Zが完結したら話そう。さて、読者の皆さま、ここまで読んでくれて本当にありがとうございます‼︎これにて怪獣娘タイガの更新は最後になりますが、これからも怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースは続く上、スピンオフの方では怪獣娘タイガ編はまだまだ続きますのでよろしくお願いします‼︎それじゃあ、キャラを代表して、ヒロキ‼︎クララ‼︎タイガ‼︎

 

ヒロキ「皆さん、本当に今まで応援ありがとうございました‼︎」

クララ「皆様の応援のおかげでワタシ達は最後まで戦い抜く事が出来マシタ‼︎」

タイガ『俺達は絶対に忘れないぜ‼︎』

 

これにて以上となります‼︎読者とお気に入り登録して下さった皆様、本当にありがとうございました‼︎




これにて本当に怪獣娘タイガの更新が終了となります。
しかし、ヒロキ達の活躍はまだまだスピンオフの方で続きますのでよろしくお願いします‼︎


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