~あの夏の日の絆~原作キャラクターコメンタリー (真黒 空)
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STAGE1:魔神が生まれた日を観て
あけましておめでとうございます。
本編を書く息抜きに書いてみました。
スザク「というわけで始まりました、コードギアス原作キャラクターコメンタリー」
ルルーシュ「というわけで、じゃない。これは一体なんなんだ」
スザク「えっ? ルルーシュ企画書読んでないの?」
ルルーシュ「違う。そもそも企画とはなんだ企画とは。俺達は何をさせられているんだ」
スザク「嫌だなぁ、いまから始めるんだからまだ何もさせられてないよ」
ルルーシュ「だからそういう事じゃない!」
スザク「はいはい。細かい事は良いから進行進めちゃうよ」
ルルーシュ「お前という奴は……」
スザク「この企画はコードギアス~あの夏の日の絆~のキャラクターである僕達が、原作のアニメを見てそれについてコメントしていくというものです。初回の司会は僕、枢木スザクと」
ルルーシュ「ルルーシュ・ランペルージだ。っておい、キャラクター? 原作? アニメ? お前は一体何を……」
スザク「ダメだよルルーシュ。そういうところは突っ込まないのがお約束なんだから」
ルルーシュ「お約束とはなんだ! さっきからお前は何を言っているんだ!」
スザク「はいはい。とりあえず正面のモニターに映像が流れるから、それについて自由に話していけばいいみたい。それじゃあ早速始めようか」
ルルーシュ「だから話を聞け!」
<原作アニメ開始>
スザク「あっ、7年前の僕達だ。子供だね」
ルルーシュ「子供の頃からお前はやはり体力バカだな。というか、いま瞳のアップで出たのはC.C.か? あいつ、もしかしてこの頃から俺達の事を知っているのか?」
スザク「どうなんだろう? と、そのC.C.のナレーションが始まったね。ブリタニアと日本の戦争の話みたい」
ルルーシュ「正直あまり思い出したくもない話だが、この戦争が世界に与えた影響は大きい。世界で初めてナイトメアフレームが実戦投入されたのがこの極東事変だからな。日本ではまだ戦車や戦闘機が主流で、機動力も火力も文字通り桁違いだ。日本が一カ月と持たず敗戦したのも仕方ないと言えるだろう」
スザク「そんな中で藤堂さんが厳島の戦いでブリタニアに勝ったのって凄い事だよね」
ルルーシュ「ああ。まだブリタニア側がナイトメアフレームを使った実戦経験がなかった事を差し引いても、戦力差をひっくり返した手腕は見事なものだ。まぁ結局は局地的な勝利でしかないため、戦争自体の勝敗にはなんら影響を及ぼさなかったがな」
スザク「本当に酷い戦争だったよ。僕らも戦争の勝敗以前に、生きる事に必死だったもんね」
ルルーシュ「10歳の子供が生き延びられたのが不思議なほどにな。もしあの戦争が長引いていたら、お前はともかく俺とナナリーは生きていなかっただろうよ」
スザク「それを考えれば、戦争が早期に終結したのは不幸中の幸いだったね。丁度画面もその場面だよ。日本が敗戦して、ルルーシュがブリタニアぶっ壊すって宣言するところだ」
ルルーシュ「この日の事は7年間一度たりとも忘れた事がない」
スザク「僕もだよ。――そういえば、この頃って一人称が逆だよね。ルルーシュが自分の事を僕って言ってる」
ルルーシュ「そういえばそうだな。お前もこの頃は自分の事を俺と言っていたな」
スザク「なんだかそう考えるとちょっと面白いね。お互い自分の呼び方が逆なんて」
ルルーシュ「あの頃のお前はいまより自分勝手だったな」
スザク「そういう君はいまよりお淑やかだったよ」
<オープニング>
スザク「良い曲だね」
ルルーシュ「ああ。聞いてるだけで闘争心が湧き立てられるようだ」
スザク「ルルーシュの心情を歌った曲なのかな?」
ルルーシュ「そういう一面はあるだろうな。当然、それだけではないだろうが」
スザク「……実は僕、ちょっと気になったところがあるんだけど」
ルルーシュ「ん? どこだ?」
スザク「君、馬乗ってたよね。実際乗った事あるの?」
ルルーシュ「乗馬の経験は本国にいた頃に嗜み程度にはあるぞ。といっても、本格的な指導は受けていないがな」
スザク「は~さすが皇子様」
ルルーシュ「乗馬くらいで大袈裟だな。ブリタニアじゃ貴族でなくても乗馬くらい趣味でやる人間は大勢いるぞ。あと、こっちに来てからは一度もないからな」
スザク「じゃあオープニングのあれはイメージ映像なんだね」
ルルーシュ「そういう事になるな」
<本編開始>
スザク「始まったね。もう戦争から7年経ってるみたい」
ルルーシュ「おそらくこれはカレン達が乗っているトレーラーか。軍に追われているようだな」
スザク「という事はあそこにC.C.もいるんだね」
ルルーシュ「軍の機密を良くあのグループが盗み出せたものだ」
スザク「画面が切り替わった。これって……チェス? あっ、ルルーシュが来た」
ルルーシュ「ああ。これは貴族相手の賭けチェスのシーンだな。そういえばあの日は代打ちの依頼があって足を運んだんだったか」
スザク「一応聞いてはいたけど、本当にやってんだね。そりゃ学生なのにお金持ってるわけだよ」
ルルーシュ「俺とナナリーの状況を考えれば金はいくらあっても足りないからな。俺の腕があれば負ける心配はないから、相手さえ選べば効率の良い資金調達法になる」
スザク「それが黒の騎士団の活動資金になったっていうんだから、この人達にとっては笑えない話だよね」
ルルーシュ「いまの俺達が活動できているのは、こういったバカな貴族達のおかげというわけだな」
スザク「口悪いよ。ルルーシュ」
ルルーシュ「ふん。取り繕ったところで結局はそういう事だろう?」
スザク「そうかもしれないけどさ。君の同級生も心配してるよ。頭の使い方おかしいって」
ルルーシュ「シャーリー、そんな事を言ってたのか。ふん、俺の頭脳をどう使おうが俺の勝手だ」
スザク「そういうところが心配される原因だと思うけどな」
ルルーシュ「だとしても、俺の行動は俺が決める」
スザク「はいはい。画面はクロヴィス殿下の演説だね」
ルルーシュ「こういう弁舌だけは達者だな。兄上は」
スザク「結構演技派だよね。でもちょっと言ってる事も動きも大袈裟過ぎない?」
ルルーシュ「好感を得るには多少オーバーな方がいいんだよ。目に見えて分かるくらいが、多くの共感を得やすいんだ」
スザク「ふぅん。ちょっと僕には良く分からないな」
ルルーシュ「総督は看板役者だとクロヴィスはほざいているが、一面から見ればそれは正しくもある。といってもそれはあくまで一面であって、そんな風にしか考えられないから失脚したんだろうがな」
スザク「……前から思ってたんだけど、ルルーシュって妹には甘いのに上の兄弟には厳しいよね」
ルルーシュ「クロヴィスの総督としての采配がそのまま俺達の生活環境にも影響するんだぞ。見る目が厳しくなるのは当然だろう」
スザク「ああ……なるほど。そういう考え方なんだ。――あっ、ここでルルーシュが言ってる『王様が動かないと部下がついてこない』っていうの、これってルルーシュの考え方が如実に表れてるよね」
ルルーシュ「当然の事だと思うがな。黒の騎士団の活動でいうなら、仮面で正体を隠した男が安全圏からあれこれ指示を出しているのを見て素直に従おうなんて思うか?」
スザク「その理屈には返す言葉がないんだけど……僕としては前線に出てくるのはやめてほしいな。危なっかしくて見てられないよ」
ルルーシュ「ふん。こればかりはお前がなんと言おうとやめるつもりはない。危なっかしいというなら、お前が俺を守れ」
スザク「もちろん。そのつもりだよ」
ルルーシュ「そんな事を話しているうちに、カレンの乗ってるトレーラーが事故を起こしたな」
スザク「みんな遠巻きで見てるだけで何もしようとしないね」
ルルーシュ「どいつもこいつも写真を撮って面白がるばかりだ。ゲームじゃないんだぞ」
スザク「それで君が助けに行ったんだね。さすがルルーシュ」
ルルーシュ「茶化すな。あいつらと同類になりたくなかっただけだ」
スザク「茶化したつもりはないんだけど、でも少し小言は言いたいかな。助けに行くのは良いけど、巻き込まれてトラックに乗り込むなんて迂闊過ぎないかい?」
ルルーシュ「俺に文句を言うな。いきなり動き出したんだから仕方ないだろう。これは周りも確認せずトレーラーを動かした運転手の不手際だ」
スザク「そんな事言ったってもう少し巻き込まれないように立ち回れなかったの? これ傍から見ても最悪の状況だよ?」
ルルーシュ「うるさい! 俺だって巻き込まれたくて巻き込まれたんじゃない!」
スザク「まぁそんなこんなあって、このトレーラーが新宿に行くんだね」
ルルーシュ「名誉ブリタニア人部隊の投入だな。お前もこれに参加していたわけだ」
スザク「うん。命令通り地下鉄網を捜していたらあのトレーラーを見つけて、同時に君も見つけたんだ」
ルルーシュ「相手がお前だったのは、不幸中の幸いだったのかもしれないな」
スザク「僕もテロリストが相手だと思ってたから、思いっきり蹴り飛ばしちゃったよ。痛くなかった?」
ルルーシュ「痛かったに決まっているだろう。そもそもお前の蹴りを紛いなりにも俺が防げたのは奇跡に近い。あのまま蹴り飛ばされて気絶していれば、間違いなく殺されていたぞ」
スザク「ははっ、なんかごめんね」
ルルーシュ「笑い事じゃない。本当に死んでいたかもしれないんだからな」
スザク「まぁまぁ、そうならなかったんだからいいじゃない」
ルルーシュ「能天気な奴め」
スザク「C.C.のカプセルが開いたね」
ルルーシュ「毒ガスと聞いていたのに、迷わず俺にマスクをつけて押し倒したな。入っていたのがC.C.じゃなく本当に毒ガスだったらお前が死んでいたぞ」
スザク「あの時は咄嗟だったからさ、つい」
ルルーシュ「ついで自分を犠牲にして他人を助けようとするのか、お前は」
スザク「他人じゃないよ。相手はルルーシュなんだから」
ルルーシュ「……ふん。まぁいい」
スザク「ここまでは僕らの記憶通りだよね」
ルルーシュ「おそらくな。俺達の知らないところで何か変わっているのかもしれないが、それは知りようもない事だ」
スザク「クロヴィス殿下の親衛隊が来たね」
ルルーシュ「絶体絶命だな」
スザク「ここで殺されそうになって一緒に逃げたんだよね。ルルーシュが親衛隊に僕が撃たれそうになったのに気付いてくれなかったら、本当に危なかったな」
ルルーシュ「あの距離から躱せるお前の身体能力あってこそだがな」
<スザク撃たれる>
スザク「えっ!? 僕撃たれたよ!」
ルルーシュ「なんだと! これはどうなってる!」
スザク「なんで教えてくれなかったの!? ルルーシュ!」
ルルーシュ「俺はちゃんとお前に言っただろう! いや、画面の中では言っていなかったが、おそらくお前の身体が影になってあの男の動きが見えなかったんだろうな」
スザク「そんな冷静に分析してる場合!? 僕撃たれたんだよ!」
ルルーシュ「だからといって俺にどうしろというんだ! 実際の俺はちゃんとお前に警告しただろうが!」
スザク「でも……!」
ルルーシュ「とりあえず、続きを見るぞ。あの時と同じようにトレーラーが爆発して俺とC.C.は逃げたようだな」
スザク「軍に日本人が殺されてるね。酷い……」
ルルーシュ「嫌な光景だ。ブリタニアという国が良く分かるな」
スザク「ルルーシュも混乱してるね。らしくもなくC.C.に当たってる」
ルルーシュ「目の前でお前が撃たれて、新宿はこのありさまだ。状況的にはお前がいたあの時より尚悪いんだから、こうもなるだろう」
スザク「親衛隊、赤ん坊まで殺すんだね……」
ルルーシュ「一体何人殺されてるんだろうな……」
スザク「でもルルーシュは見つかってないみたい」
ルルーシュ「そのようだな。ひとまずあんし……」
スザク「携帯!? ルルーシュ、電源切ってなかったの!?」
ルルーシュ「こんな事態だから切るのを忘れていたんだ! まさかこのタイミングで着信が入るとは……」
スザク「どれだけうっかりなのさ!」
ルルーシュ「ええい! あれは俺であって俺ではない!」
スザク「捕まっちゃったよルルーシュ!」
ルルーシュ「まさか、ここで死ぬのか……!」
スザク「僕もルルーシュも新宿で死んじゃうの!?」
ルルーシュ「だとしたらなんて悪趣味な企画だ! 自分の死ぬ姿を見て雑談しろだと!」
スザク「そんな事言ってる場合!?」
ルルーシュ「場合も何も、俺達にできる事などないだろうが!」
スザク「あっ! 撃たれる!?」
ルルーシュ「C.C.!?」
スザク「C.C.が庇って、助かった……?」
ルルーシュ「いやまだだ。状況は何も変わっていない」
スザク「本当に殺されるの!?」
ルルーシュ「待て。C.C.が俺の手を……」
スザク「これって、C.C.が言ってた契約?」
ルルーシュ「文言は同じだな。俺は断ったが、この状況であれば、選択肢などあってないようなものだ」
スザク「ルルーシュが……立ち上がった」
ルルーシュ「これは、契約が結ばれた……のか?」
スザク「死ねって、そんな事言っても聞くわけ……えっ!?」
ルルーシュ「全員死んだな。なるほど。これがC.C.の言っていた力の正体か」
スザク「えっと……君の言う事を、なんでも聞くって事?」
ルルーシュ「断定はできないが、見た限りではそういう類の力だろう」
スザク「凄い……人知を超えてるよ」
ルルーシュ「C.C.が必ず俺の役に立つと言っていたのも頷けるな」
スザク「ルルーシュ、笑ったね」
ルルーシュ「笑っていたな」
スザク「殺されそうになってあんな訳の分からない力貰って初めて人を殺したのに、なんであんな風に笑ったの?」
ルルーシュ「…………俺に聞くな」
スザク「……」
ルルーシュ「……」
スザク「……まぁなんとなく分かるからいいけどね」
ルルーシュ「だったら最初から聞くな」
スザク「この人でなし」
ルルーシュ「うるさい」
<エンディング>
スザク「終わったね」
ルルーシュ「ああ。なんだか、どっと疲れたな」
スザク「結局僕ってどうなったんだろう? 死んじゃったのかな?」
ルルーシュ「どう、だろうな……」
スザク「もし死んじゃってたら僕、これからずっと自分が死んだ後の世界を見ながら話す事になるの? それってさすがに酷過ぎない?」
ルルーシュ「……」
スザク「やめてルルーシュ。そんな同情した目で見ないで」
ルルーシュ「スザク、次回からは俺が一人でやっても……」
スザク「気遣わないでよ! まだ死んでない可能性もあるんだから!」
ルルーシュ「あ、ああ。そうだな。その可能性もあるな。希望を捨てるには早すぎる」
スザク「だから慰めないでって! もうこの話はおしまい! 終わりの挨拶するよ」
ルルーシュ「挨拶? 一体誰にするんだ?」
スザク「それは――――誰だろう?」
ルルーシュ「お前も分かっていないじゃないか。相手もいないのに挨拶なんて滑稽だろう」
スザク「でも台本には最後はきちんと挨拶で終わらせてくださいって書いてあるよ」
ルルーシュ「おい待て。なぜお前は台本を持っている。俺は何も渡されてないぞ!」
スザク「いまそういうのはいいから。とりあえず挨拶して終わろっか」
ルルーシュ「なんだか釈然としないが、まぁいい。このくだらない茶番をとっとと終わらせるぞ」
スザク「といっても次回があるんだけどね」
ルルーシュ「思い出させるな。正直次は辞退したいがな。心臓に悪すぎる」
スザク「君は生き残ってるんだからいいじゃない。それじゃ僕から挨拶するね」
ルルーシュ「ああ。任せる」
スザク「ここまで付き合ってくれてありがとうございました。また次回も読んでくれたら嬉しいです。枢木スザクでした」
ルルーシュ「本当に誰に対する挨拶なんだ……」
スザク「いいから。ほら、ルルーシュも」
ルルーシュ「分かっている――――このくだらない茶番に付き合ってくれて感謝する。気が向いたなら、次回も見てくれ。ルルーシュ・ランペルージだ」
スザク「それじゃみんな、ばいばーい」
本編とはまるで関係ないギャグ話。
パラレル時空から引っ張ってきてるので、~あの夏の日の絆~のルルーシュやスザクはこの時空での会話を憶えていません。
ルルーシュ達にギアスについての知識があるとかないとか、このキャラクターの事を知ってるのはおかしいとか、~あの夏の日の絆~のどの時間軸から来てるとか、細かいところはフィーリングで補う形でお願いします。
ニーズがあれば続けようかなと思うので、評価や感想などをいただけると嬉しいです。
ちなみにあくまで息抜きで書いてるので、この作品を続けるからといって本編である~あの夏の日の絆~の方の執筆が遅れるような事はありません。
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STAGE2:覚醒の白き騎士を観て
続かないと思いましたか?
自分もそう思ってました(汗)。
スザク「みなさんお久しぶりです。コードギアス原作キャラクターコメンタリー、始まりますよ」
ルルーシュ「本当に続いてしまったか……」
スザク「前回に引き続き、司会は僕こと枢木スザクと」
ルルーシュ「はぁ……ルルーシュ・ランペルージが担当させてもらう」
スザク「ちなみに今回は2話目にして初のゲストが来てくれています。早速お呼びしましょう。この人です!」
C.C.「C.C.だ。よろしく頼む」
スザク「うん。よろしくね、C.C.」
ルルーシュ「お前まで来たのか」
C.C.「ああ。ただ画面を見て喋るだけで一日ピザ食べ放題券をプレゼントすると言われては断れんからな」
ルルーシュ「おいなんだそれは! 俺は報酬などもらっていないぞ!」
スザク「大丈夫大丈夫、僕ももらってないから」
ルルーシュ「むしろそっちの方が問題だろう! なんで司会に報酬が支払われずゲストには支払われるんだ!」
C.C.「そうでもしないと私は来ないからだろう」
ルルーシュ「自分で言うな!」
スザク「そんなこんなで、2話の『覚醒の白き騎士』は僕達3人で進めさせていただきます。それでは本編スタートです」
ルルーシュ「勝手に始めるんじゃない!」
<原作アニメ開始>
スザク「このナレーションってC.C.の声だよね」
C.C.「そうだな」
ルルーシュ「お前はこんな仕事までしていたのか?」
C.C.「これは大人の事情というやつだ。お前ら坊やには少し早い話だな」
ルルーシュ「なんだその説明は。報酬をもらっているなら仕事はちゃんとやれ」
C.C.「明確な指示がないのだから、私は私の勝手にやらせてもらうだけさ。画面については話してやるが、どんな話をするかは私が決める」
ルルーシュ「……おいスザク、これは明らかにスタッフの人選ミスだぞ」
スザク「まぁまだ始まったばかりだし、きっとなんとかなるよ」
ルルーシュ「その楽観、後悔する事になっても知らないからな」
<オープニング>
スザク「あっ、いまルルーシュの目から飛んだ赤い鳥、あれがC.C.の言ってた王の力なんだよね」
C.C.「その通りだ。未だにルルーシュが私と契約して受け取ろうとしない、ギアスという名の王の力だよ」
ルルーシュ「得体の知れない力など身を滅ぼすだけだ。お前と契約する奴の気が知れん」
C.C.「おや、画面の中ではお前が契約していたようだが?」
ルルーシュ「あれは俺であって俺ではない!」
スザク「ルルーシュが契約したって知ってるって事は、C.C.も前回の話は観たんだね」
C.C.「ああ。予習を兼ねて一通りな。まさかあんなに早くスザクが死ぬとは思ってもみなかったぞ」
スザク「……そうだった。この話って僕もう死んでるんだよね」
ルルーシュ「落ち込むなスザク。撃たれただけで、まだ死んでいない可能性も残っているかもしれない。可能性は、低いだろうが……」
C.C.「お前にしては雑な慰めだな。まぁそれもこの話を見れば分かる事だろう」
スザク「というか、僕もだけじゃなくてC.C.も死んでなかった?」
C.C.「ん? ああそうか。お前は知らないんだったな」
ルルーシュ「そういえば、話していなかったか」
スザク「えっ? 何? どういう事?」
C.C.「無駄話は終わりだ。本編が始まるぞ」
<本編開始>
スザク「開始初っ端から酷い状況だね」
ルルーシュ「前回の終わりが終わりだからな。明るくスタートとはいかないだろう」
スザク「壁に日本を解放せよって書いてあるね。テロリストのアジトだったのかな?」
ルルーシュ「さぁな。可能性はあるだろうが、いまとなっては意味のない問いだ」
C.C.「私の死体に話し掛けているな。中々お優しいじゃないか、ルルーシュ」
ルルーシュ「自分を助けて死んだ奴をぞんざいに扱うような真似をするわけがないだろう。俺を国是に染まったクズ共と一緒にするな」
スザク「あっ、ナイトメアが飛び込んできた」
C.C.「状況は最悪だな」
ルルーシュ「確かに親衛隊が死んでるところに一人生きてる学生。怪しく思わない方がどうかしてる状況と言っていいな」
スザク「それを自分で言うんだ……。画面の中のルルーシュも凄いね。威嚇射撃されたのに平然としてるよ」
ルルーシュ「軍人側からすれば親衛隊が死んだ経緯を確かめなければならないからな。問答無用で射殺される可能性は殆どないと言っていい。それにC.C.からもらった力もある。焦る必要性を感じないのだろう」
スザク「でもそのギアスも失敗してるよ」
ルルーシュ「大まかな能力は与えられた時に分かるが、細かい条件までは把握できていないといったところか。しかしそれも大した問題じゃない」
C.C.「さすがはアラン・スペイサー卿。侯爵は言う事が違うな」
ルルーシュ「うるさい。茶々を入れるな」
C.C.「これで無事、ナイトメアをゲットか。散々苦労して新宿を出ようとしたお前からすれば、羨ましい展開じゃないのか?」
ルルーシュ「ふん。あんな怪しげな力を使うよりマシだ」
<画面の中でスザクがベットで目を覚ます>
スザク「あー! ルルーシュ、僕生きてたよ! やったー!」
ルルーシュ「ああ、まさか本当に生きてるとは。良かった……」
C.C.「相変わらずしぶとさと身体能力だけは凄まじいな」
ルルーシュ「それにしても、起きてすぐに他人の心配か。あっちのスザクもこっちと変わらないようだな」
スザク「あんな風に別れたら気になって当たり前でしょ。僕が撃たれる前は君が殺されそうになってたわけだし」
ルルーシュ「それで、こいつらが言ってるナイトメアっていうのはまさか――」
スザク「うん。ランスロットの事だと思う。実際僕が新宿から戻ったら、この人達がいる特派に配置換えになったから」
ルルーシュ「という事は……嫌な予感がするな」
C.C.「そうか? 面白そうな展開じゃないか」
ルルーシュ「C.C.お前、他人事だと思って……」
C.C.「他人事だろう? 私にとっても、お前にとってもな」
スザク「あの、二人とも……なんの話?」
C.C.「見ていれば分かるさ」
スザク「気になるけど……まぁいいか。画面切り替わったね。カレンも扇さん達も、やっぱり絶体絶命みたいだ」
ルルーシュ「あいつらの手には余る事態だろうからな。型落ちのグラスゴーだけで乗り切れるような状況じゃないだろう」
C.C.「だからこそお前が動くというわけか。本来なら新宿から脱出するだけでやっとだっただろうに。随分と調子に乗ってるようだな」
ルルーシュ「折角手に入れた力を有効利用しない手はないからな。自分の力を測るという面でも、俺の目的の第一歩を踏み出すという面でも、この機会を逃す手はない。危なくなればテロリスト共を見捨てて脱出する事は可能だろうから、リスクも少ないしな」
スザク「この決断力はさすがルルーシュって感じだよね。普通テロリストを利用して戦おうなんて発想浮かばないと思うけど」
ルルーシュ「包囲が完成している以上、安易に逃げるのは逆に危険だ。それにどうせいつかはやろうと思っていた事でもある。降って湧いたチャンスを逃す手はないだろう」
スザク「僕達が逃げる時は扇さん達の通信機を使ってブリタニア軍を誘導したよね」
ルルーシュ「ああ。画面の中の俺はその通信機でカレンと扇達にコンタクトを取っているな。ギアスでサザーランドも奪っているようだし、戦力差はあるものの戦うのに充分と言ったところか」
スザク「ちなみにルルーシュってこの時、戦場を指揮を執った事ってあったの?」
ルルーシュ「あるわけないだろう。俺が皇子だったのは子供の頃で、お前と別れてからは学生をやっていたんだぞ」
スザク「それなのにあんなに的確に指示が出せるんだ」
C.C.「それもあんなに偉そうにな」
ルルーシュ「元々ブリタニアとは戦うつもりでいたから、戦略については学んでいたんだ。それに横流しのナイトメアフレームシミュレーターでイメージは掴んでいたし、敵味方識別信号で相手の動きも筒抜けになっている。運良く好条件が揃った結果だな」
スザク「だとしても普通こんなに上手くいかないよ。少なくとも僕には無理」
C.C.「クロヴィスの奴も焦っているな。余裕ぶっていたのに、化けの皮が剥がれ始めた」
スザク「ちなみにこのルルーシュが言ってるP1とかR2とかってなんなの? 埼玉の時も言ってたよね」
ルルーシュ「会ったばかりのテロリストの名前を憶えるなんて面倒だからな。チェスの駒に置き換えて番号を振っただけだ」
C.C.「お前の記憶力なら大した手間でもないだろう」
ルルーシュ「戦場でお行儀良く自己紹介を聞けと? 逆に訊くが、そんな事をしてる暇があるなら策の一つでも考えるべきじゃないのか?」
スザク「画面の中のルルーシュもやっぱりルルーシュなんだね」
C.C.「おっと、ここで登場か。ランスロットとかいうオモチャは」
ルルーシュ「イレブンを最新機のパイロットに抜擢するとは、話には聞いていたが随分と思い切った事をするな」
スザク「主任のロイドさんが変わった人だからね。僕も配置換えになって挨拶もそこそこにシミュレーターをやらされた時はびっくりしたよ……って、あれ?」
C.C.「どうした?」
スザク「ここでランスロットに乗るって事は、新宿の戦いに介入するって事だよね? それってルルーシュと戦う事になるんじゃ……」
C.C.「ようやく気付いたか。だから言っただろ? 面白そうな展開だと」
スザク「全然面白くないよ! なんで僕とルルーシュが戦わなくちゃいけないのさ!」
C.C.「画面をちゃんと見ていなかったのか? 司会失格だぞ」
スザク「見てたよ! 見てたけど分からないから言ってるんじゃないか!」
ルルーシュ「落ち着け。お互いに相手の無事を知らない以上、行き違いはどうしようもない事だ」
スザク「でも僕とルルーシュが戦うんだよ!」
ルルーシュ「文句を言っても仕方ないだろう。俺達は見守るしかない」
スザク「それはそうだけど……」
C.C.「画面では面白い事になってるな。テロリスト共が鎧袖一触に蹴散らされてるぞ。さすがは黒の騎士団のエースパイロットだな」
スザク「相手が扇さん達っていうのが笑えないんだけど」
ルルーシュ「スザクのランスロットを相手に碌に鍛えてもいないテロリストを使って戦うのか。正直、想定したくもないほど条件が悪くなったな。事前に知っていれば即座に撤退指示を出して逃げ出すところだ」
C.C.「ルルーシュに対する切り札がスザクとは、クロヴィスは思いがけず最高の一手を打ったわけだな」
スザク「僕とルルーシュにとっては最悪だけどね」
ルルーシュ「ちなみにスザク。画面の中のお前はテロリストのナイトメアを全て破壊すれば戦いは終わると考えてるようだが、それは間違いだからな」
スザク「えっ? どうして?」
ルルーシュ「そもそもこの戦い――というよりは虐殺か。とにかくこの新宿の一件はテロリストを殲滅するための作戦ではなく、盗まれたクロヴィスの機密を奪還するためのものだ。クロヴィスは盗まれた機密――ようするにこいつだが、こいつを見た可能性のある者を全員殺すために新宿ゲットーの壊滅を決めた。つまりはテロリストの有無など関係ないんだよ」
スザク「あっ、そっか。ルルーシュが介入したから軍とテロリストの戦いみたいな構図になってるけど、そもそも最初は戦いにすらなってなかったんだっけ」
ルルーシュ「そういう事だ。ここでお前がテロリストのナイトメアを全て破壊したとしても、軍の作戦行動は終わらない。ブリタニア人であっても機密を見た可能性のある者は保護される事はなく、問答無用で殺されるだけだ。つまりあまり言いたくはないが……」
スザク「うん、言わなくても分かったよ。画面の僕がしてる事って、なんの意味もないんだね」
C.C.「それどころかルルーシュを無駄に追い詰めてるだけだな。ブリタニア軍人としては正しいんだろうが……」
スザク「……」
ルルーシュ「画面のスザクからすれば俺やC.C.の安否を知る術はないのだから、敵対してしまった事に関しては仕方ない事ではある」
スザク「いいんだルルーシュ。無理にフォローしてくれなくても、僕は大丈夫だから」
ルルーシュ「スザク……」
C.C.「ふっ、こちらで庇い合うのとは真逆で、画面の中では激しく争ってるようだがな」
スザク「というより、一方的に僕がルルーシュを追い詰めてるね」
ルルーシュ「俺としては、一瞬で破壊されずに紛いなりでも逃走できてる自分を褒めてやりたいがな。カレンの助けがあったとはいえ、スザクとランスロット相手にサザーランドで相対すれば、他のテロリスト共がそうだったように本来なら数秒も持たないぞ」
C.C.「珍しく謙虚な発言だな」
ルルーシュ「ただの厳然な事実だ。決着はスザクの人助けによる逃走成功か。ひとまずスザクに俺が殺されるような最悪の展開だけは避けられたようだな」
スザク「僕にしてもルルーシュにしても、運が良い展開だったね……って、そもそも戦った事自体が運が悪い展開だったって言えるのかな?」
ルルーシュ「どちらとも言えないだろうが、深く考えるのはよしておこう」
C.C.「逃げたルルーシュはギアスを使ってクロヴィスの旗艦に潜入か。相変わらず抜け目がないな。そもそもテロリストを利用して戦っていたのはこのためというわけか」
ルルーシュ「だろうな。ここで軍を壊滅に追い込んだところで意味はない。無駄に被害と危険を増やすだけだ」
スザク「あっ、クロヴィス殿下の停戦命令だね。これでようやく戦いも終わりか。長かったね」
ルルーシュ「まったくだな。スザクに俺が殺されるんじゃないかとひやひやしたぞ」
スザク「うっ、それはごめん……ところで話は変わるんだけど、画面の中ではルルーシュがクロヴィス殿下に停戦命令を出させてるけど、これって僕らの時はC.C.が出させたんだよね?」
C.C.「ああ。あそこでルルーシュを死なせるわけにもいかなかったからな。それにこいつの信用を得るために必要な事でもあった」
スザク「でもどうやったの? C.C.ってあの時は親衛隊に連行されてたよね?」
C.C.「なに、簡単な事だ。あいつらは私に触れれば気絶する事が分かっていたから物理的な拘束はしてこなかったんだ。しかも間接接触でも同じ事をできるとは知らない。だから連行されて確認のためにクロヴィスがやってきたところを突きつけられた銃口を掴んで親衛隊を気絶させ、それを見て驚いている参謀府の連中も立ち直る前に気絶させた。そして一人になったクロヴィスを画面のルルーシュのように脅して停戦命令を出させた後で気絶させ、そのまま悠々と出て行ったというわけだ。納得したか?」
スザク「う、うん。なんていうか……さすがC.C.だね」
ルルーシュ「間接接触でも気絶させられる事は親衛隊に知られていなかったとはいえ、そんなに簡単にいくものなのか? あんな奴らでも皇族の親衛隊に抜擢されているくらいだ。それなりに腕は立つだろう」
C.C.「それはクロヴィスのおかげだな。親衛隊が私を捕らえた事を報告したら、参謀府の制止を無視してあいつは直接確かめに来たんだよ。突然主である皇族が現れた事で親衛隊は動揺して、私はその隙をついて楽に気絶させられたという顛末さ」
ルルーシュ「……この新宿作戦といい、クロヴィスには考える頭がないのか?」
C.C.「だからこそ画面の中でもこんな事になってるんだろう?」
ルルーシュ「なるほどな。確かにお前の言う通りだ」
スザク「そこまで言う事ないんじゃない? ほら、クロヴィス殿下からしたら予想外の事態が重なっちゃってたわけだしさ」
C.C.「ふむ。まぁお前の言う通りこれ以上クロヴィスの事について話すのも時間の無駄か」
スザク「いや僕はそういう意味で言ったわけじゃないんだけど……」
ルルーシュ「クロヴィスを脅して停戦命令を出させ、正体を明かしたか。なるほど。画面の俺は既に覚悟を決めているようだな」
スザク「えっ、覚悟ってまさか……」
<エンディング>
C.C.「と、ここで終わりか。中々今回も激しい展開だったな」
ルルーシュ「ああ。まさか俺とスザクが敵対する事になるとはな」
スザク「僕があのままブリタニア軍人になってたら、いずれはこうなる未来もあり得たんだよね。そうならなくて本当に良かったよ」
ルルーシュ「まったくの同意見だな。スザクが敵になるなど悪夢でしかない。脅威としても、友としても」
C.C.「そうなっていれば、お前のブリタニアへの反逆も随分違った形になっただろうな」
ルルーシュ「ああ。そしてそれは、おそらく今後もこの映像を見ていけば分かるんだろうな」
スザク「正直に言えば、悪い予感しかしないからあんまり続きは観たくないけどね」
ルルーシュ「だがそれはできないんだろう?」
スザク「うん。もう次のスケジュールも決まってるみたい」
ルルーシュ「なぜ俺のスケジュールが俺の知らないところで決まってるんだ……」
C.C.「ふっ、精々頑張るんだな。私はその間に今回の報酬のピザでも食べる事にしよう」
ルルーシュ「っ、C.C.……!」
C.C.「睨もうが無駄だ。ほら、締めの挨拶があるんじゃないか?」
スザク「あっ、そうだったね。みなさん、今回の話も読んでくれてありがとうございました。また次の話でお会いしましょう。お相手は日本男児、枢木スザクと」
ルルーシュ「ブリタニア元皇族ルルーシュ・ランペルージと」
C.C.「ゲストであるこの私、謎の少女C.C.が務めてやったぞ」
スザク「それじゃみんな、バイバーイ」
まさかのおふざけ企画の続きです。
本編があまりにドシリアス展開に突入したので、ふざけてみたくなりました。
前書きでも述べた通り自分でもあまり続くとは思っていなかったシリーズですが、書いているとやっぱり楽しいので続けてみようかなと揺れています。
ただ今回はあまりはっちゃけてなかったので、本編で雑談している時と似た感じになってしまったのが惜しいかなと反省しています。
続きを書く場合は、もっとふざけてはっちゃけていこうと固く決意しました。
本編の方は今月中には最新話を投稿できると思いますので、もう少々お待ちください。
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STAGE3:偽りのクラスメイトを観て
ルルーシュ「コードギアス原作キャラクターコメンタリーを始める。今回で第3回目だ」
ルルーシュ「本来ならメインの進行はスザクがやっているんだが、なぜか今回スザクは休みという事なので司会は俺、ルルーシュ・ランペルージが一人で行う」
ルルーシュ「スザクは休みなのになぜ俺だけこんな事をやらされるのか、そもそもこんな事をやる意味はあるのか、言いたい事は山ほどあるが……意味がないので割愛しておこう」
ルルーシュ「さて、このまま始めて俺一人でコメントするのでは、ただ映像を見て独り言を呟いているだけになってしまう。よって前回同様ゲストがいるそうだ」
ルルーシュ「前回のゲストであるC.C.が役割を果たしていたかは疑問の残るところなので、今回のゲストはまともな奴を期待したいな。二回連続であのピザ女が来たなら、今回の収録はここまでにするとしよう」
ルルーシュ「ちなみにここまでの話で理解しているとは思うが、ゲストに誰が来るかは俺も知らされていない。そもそもスザクが休む事自体、今日ここに来て初めて知らされた。事前に聞かされていたなら絶対に俺も来なかっただろうから、そういう意味では制作側の掌の上で転がされているのかもしれないな。腹立たしい事だ」
ルルーシュ「何はともあれ、ゲストの登場だ。入ってきてくれ」
ミレイ「こんにちガーーーッツ! ゲストのミレイ・アッシュフォードでーす! 今日はよろしくね、ルルちゃん!」
ルルーシュ「会長!? あなたがなぜ……? ここで何をするのか分かっているんですか!?」
ミレイ「もっちろん! 私達とは違う歴史を辿った映像を見てルルちゃんと楽しくお喋りすればいいんでしょ。ちゃーんと前回までの話も観て来たから予習もばっちりよ!」
ルルーシュ「予習って、そういう事ではなく……」
ルルーシュ「(そもそもこの映像は前回までを観る限り俺がブリタニアに反逆していく話だ。辿った歴史が違うとはいえ、これを見られては俺がゼロとしてブリタニアに反逆している事を会長に知られる恐れが……)」
ミレイ「あっ、ルルちゃんがゼロとして活動してる事は知ってるから、そこらへんの心配はいらないわよ」
ルルーシュ「は……? ど、どうして知っているんですか!?」
ミレイ「それじゃ、早速スタート!」
ルルーシュ「いまはそれどころじゃ……! 勝手に始めないでください!」
<原作アニメ開始>
ミレイ「まずは歴史の説明ね」
ルルーシュ「すんなり切り替えないでください! 俺はまだ聞きたい事が山ほどあるんです」
ミレイ「んもう! ルルーシュには適応力が足りないのよ。こんなのはその場のノリでどんどん進めちゃえばいいの」
ルルーシュ「それで割を食うのはいつも俺なんですよ。一体どれだけあなたの尻拭いをしてきた事か……」
ミレイ「うんうん、優秀な副会長が部下で私は嬉しいわ」
ルルーシュ「褒めて誤魔化そうとしないでください。まったく……」
ミレイ「とにかくいまは画面について話しましょ。ブリタニアが日本を占領した時の説明よ」
ルルーシュ「前回もありましたね」
ミレイ「近代史の授業でも習うから、学生としてエリアと場所は暗記しておかなきゃいけないけど、こうして実際の映像を見せられると酷いものね」
ルルーシュ「こんなのはまだ可愛いものですよ。実際はもっと悲惨で惨たらしいものでした」
ミレイ「……こういう言い方は良くないのかもしれないけど、ルルーシュが生き伸びてくれて本当に良かったわ」
ルルーシュ「会長……」
ミレイ「頑張ったわね、ルルちゃん」
ルルーシュ「……」
ミレイ「でもしんみりするのは今回の趣旨には合わないから、リセーーーット!」
<オープニング>
ミレイ「そんなわけで、オープニングよ!」
ルルーシュ「また豪快に話をぶった切りましたね」
ミレイ「画面を見て話しをするのが今回の主題なんだから、これでいいの!」
ルルーシュ「まぁ確かに、こんなところに来てまで辛気臭い話をするのは、ただただ気が滅入るだけですね」
ミレイ「分かってるじゃない!」
ルルーシュ「ちなみに俺は前々回このオープニング関する話は既にしているんですが、会長は話しておきたい事がありますか?」
ミレイ「うーん、良い曲だとは思うけど、正直出て来る人は殆ど知らない人だからコメントのしようがないのよね。私達生徒会メンバーが出てくるのも一瞬だけだし」
ルルーシュ「テロリストと軍関係の人間が大半でしたね。1話と2話を見た限り話の主題はそちらのようなので、仕方のない事かもしれませんが」
ミレイ「というわけで、私は出演者としてこの場を借りて制作陣に物申したいと思います! いまからでも私達の出番をもっと増やしたオープニングに差し替えるべきよ!」
ルルーシュ「どうしてそうなるんですか!」
ミレイ「だっていままでの話を見るに、この映像の主人公ってルルちゃんでしょ? そのルルちゃんが住まう場所であり、帰る場所であり、一日の半分以上を過ごすのがこのアッシュフォード学園と生徒会なんだから、扱いが小さくて良いわけがないじゃない」
ルルーシュ「むっ……そう言われてみれば確かに……」
ミレイ「でしょう? 確かにテロリストと軍の戦いっていうのは絵的に映えるかもしれないけど、それは普通の日常があってこそのもの。だからこそ、我ら生徒会はもっと優遇されて然るべきなのよ!」
ルルーシュ「……尤もらしい事を言って、自分の出番が少ない事が不満なだけなのでは?」
ミレイ「そ、そんなわけないじゃない! 制作さーん、見てますかー! 次回からはもっと我ら生徒会が活躍するオープニングをバーンと作ってくださいねー! なんなら私が作りまーす!」
ルルーシュ「お願いですからやめてください……」
<本編開始>
ミレイ「本編ね」
ルルーシュ「本編ですね」
ミレイ「前回の続きだから当たり前だけど、シリアスな雰囲気なだけにあまり茶化したりふざけたりできない感じね」
ルルーシュ「そもそも隙があればふざけようとしないでください。付き合わされるのは俺なんですから」
ミレイ「ここら辺の話、普通の人からすれば宮廷なんてのは煌びやかなものなんでしょうけど、中の実態は真逆よね。人間の汚いところが全部詰まってる感じ」
ルルーシュ「誰もが他人を蹴落とす事ばかり考えていますからね。それを思えば、母さんが死んだとはいえ子供の頃にあそこから出られたのは幸運だったのかもしれません」
ミレイ「アッシュフォードが落ちぶれてなかったら、私もその渦中にいたって考えるとゾッとしない話だわ」
ルルーシュ「クロヴィスが虐殺なんて凶行に走ったのも、それが原因かもしれませんね。いえ、それを言うならC.C.を捕らえて人体実験をしていたのも、昔のあの人からは考えられません」
ミレイ「クロヴィス殿下は野心に燃えるタイプとは思えないけど、第三皇子ともなれば本人の意志とは無関係に周りが祭り上げるでしょうし、他の皇位継承者から身を守るためにも地位と立場は必要になる。環境のせいで変わらなければならなかったなら、やりきれない話ね」
ルルーシュ「かといって、保身のための虐殺が正当化されるわけではありません。同情の余地はあれど、真に同情されるべきは理不尽に巻き込まれて殺された新宿の日本人でしょう」
ミレイ「そうね。その通りだわ……」
ルルーシュ「……」
ミレイ「あっ、私の登場よ!」
ルルーシュ「……さっきの空気はどこに行ったんですか?」
ミレイ「そんなのどうでもいいの。ようやく登場ね。1話でも2話でもルルちゃんが学園にいないから殆ど出番がなかったのよ。名前すら出てなかったんだから」
ルルーシュ「そんな事を俺に言われても困ります。不可抗力でしょう」
ミレイ「ルルーシュが学校サボって賭けチェスになんて行かなければ良かっただけの話じゃない」
ルルーシュ「いくら相手が会長でも、自分の行動を他人にとやかく言われる筋合いはありません。そもそも俺はこんな映像が取られてる事なんて知らないんですから」
ミレイ「ま、それもそうね」
ルルーシュ「しかしシャーリーが興味深い事を言ってますね。仮定の話なんて無意味ですが、もし本当に会長が一日早く思い出していれば俺とリヴァルは賭けチェスに行けずに、新宿の件に巻き込まれる事もなかったかもしれません」
ミレイ「それが良い事なのか悪い事なのかは人によって意見が変わるところでしょうけど、もしそうなったらここにいるルルーシュも映像の中のルルーシュも全然違う未来を辿る事になっていたでしょうね」
ルルーシュ「もしかしたら、いまも生徒会で会長のイベントに振り回されてる未来があったかもしれませんね」
ミレイ「そう思うと、自分の迂闊さが恨めしくなるわ」
ルルーシュ「今更何を言っても無意味ですよ。まぁ『もし』の話が目の前で映像として流れてるんだから、気にしてしまうのも仕方のない事かもしれませんが」
ミレイ「実際、ルルーシュはどっちが良いと思ってるの? いまの自分と、映像の中の自分と」
ルルーシュ「無意味だと結論付けた直後にそれを聞きますか。……正直、どうでもいいです。映像の中の自分がどんな運命を辿ろうが、ここにいる俺とはまるで関わりはありませんから」
ミレイ「ドライねぇ。ま、ルルーシュらしいって言えばらしいけど」
ルルーシュ「そんな事を言ってる間に話が進んでいますね」
ミレイ「お嬢様スタイルのカレンね。私もすっかり騙されたわ」
ルルーシュ「あの性格で良くお嬢様に擬態できたものですね」
ミレイ「いま思えば、ちょこちょこ素が出てるところはあったわね」
ルルーシュ「頭で考えるよりも身体が動くタイプですから。スザクと一緒で」
ミレイ「そうと分かっていれば思う存分こき使ってあげたのに」
ルルーシュ「……会長はカレンに対してあまり遠慮していなかったと記憶してるんですが?」
ミレイ「これでも一応手加減してあげていたのよ」
ルルーシュ「もしかしたら、カレンも病弱のフリをするよりはそっちの方が性に合っていたかもしれませんね」
ミレイ「蜂を瞬殺しちゃうくらいだもんね」
ルルーシュ「テロ活動をするために休む口実を作るためだったんでしょうが、性格的に明らかに無理がありますよ。あれは」
ミレイ「それにしてもギアスって便利ね」
ルルーシュ「自白剤いらずですね」
ミレイ「あら? 効いてないわね。ギアスってやつ」
ルルーシュ「何か条件があるんでしょうか? 面倒な事になりましたね」
ミレイ「ま、ルルちゃんならなんとかするでしょ。それよりナナリーの登場よ」
ルルーシュ「この世界でも、元気にやっているようですね。安心しました」
ミレイ「咲世子さんとも仲良しみたいね」
ルルーシュ「ええ。折り紙はここで教えてもらっていたんですね。俺達の時は、もう少し後でしたが」
ミレイ「それはルルちゃんが休学しちゃったからでしょ?」
ルルーシュ「やむを得ない事情があったのは会長もご存じでしょう」
ミレイ「願い事は『優しい世界』か。ナナリーは本当に良い子ね」
ルルーシュ「ええ。自慢の妹です」
ミレイ「アッシュフォード家の後ろ盾に関しては……本当にごめんなさい」
ルルーシュ「会長やルーベンに謝られる事ではありませんよ。むしろここまで匿ってもらえた事には本当に感謝しています。ただ……」
ミレイ「分かってる。私も同じ考えだから」
ルルーシュ「儘ならないものですね」
ミレイ「本当よね。だからナナリーは何も知らず健やかにって、そう考えるルルちゃんの気持ちも良く分かるわ。実際見てて癒されるしねぇ~」
ルルーシュ「おじさん臭いですよ、会長」
ミレイ「ルルーシュこそ。悪人っぽいわよ。心の中で「お前にだけは」って。完全に詐欺師じゃない」
ルルーシュ「ええ。ナナリー以外には」
ミレイ「ホントに良い性格してるわ」
ルルーシュ「場面は変わって、ギアスの性能テストですね」
ミレイ「テスト範囲か。ルルーシュなら聞かなくても楽勝よね?」
ルルーシュ「当然です」
ミレイ「ハハハ。シャーリーが言ってたわよ。ルルはやればできる子なのに、って……あっ、そういえばルルちゃんもこの映像で見てたんだっけ?」
ルルーシュ「見てますよ。それに会長も知ってるでしょう? 俺が目立てないわけは」
ミレイ「まぁそうなんだけど、シャーリーの言いたい事も分かるなぁって」
ルルーシュ「勘弁してくださいよ」
ミレイ「ルルちゃんがカレンを誘ってるわね」
ルルーシュ「変に探られでもすれば俺達の素性がバレかねませんから、早めに動くのは当然です」
ミレイ「でもカレンの歓迎パーティーと被るなんて、ルルちゃんってばここぞいう時に抜けてるわよね」
ルルーシュ「そもそもこれは会長が俺に知らせてなかった事が問題があるのでは?」
ミレイ「それはほら、たまには副会長にもサプライズをと」
ルルーシュ「知ってて連れてくれたんじゃなかったのかって、画面の中で話してますよ」
ミレイ「細かい事は気にしない!」
ルルーシュ「はぁ……」
ミレイ「おっ、サービスシーン」
ルルーシュ「そういうところがおじさん臭いんですよ」
ミレイ「女子のシャワー中に部屋に入るなんて、ルルちゃんも男の子ね」
ルルーシュ「そういうんじゃない事は見てて分かるでしょう」
ミレイ「ねぇねぇ、本当に下心はなかったの?」
ルルーシュ「ないですよ。というか、画面の俺はこれも利用してるみたいですね」
ミレイ「むしろそれを口実にカレンの裸を……」
ルルーシュ「会長」
ミレイ「ごめんごめん」
ルルーシュ「だけどこうして見ると、このギアスっていうのは便利ですね」
ミレイ「ルルちゃん頭良いから、もう使いこなしてるわよね。私じゃ絶対こんな使い方思いつかないわよ」
ルルーシュ「と、何か事件があったようですね」
ミレイ「みたいね……って、これ!」
ルルーシュ「スザクが、捕まった……!?」
<エンディング>
ミレイ「今回はここで終わりみたいね」
ルルーシュ「なんてところで終わるんだ……」
ミレイ「彼、大丈夫かしら」
ルルーシュ「俺達の世界でも一度親衛隊に捕まってはいるので、大丈夫だと信じたいところではありますが……」
ミレイ「ま、気にしても仕方ないわよ。次の映像で嫌でも分かるでしょ」
ルルーシュ「あっさり流さないでください。俺にとっては親友のピンチなんですよ」
ミレイ「だって現実じゃあの子もピンピンしてるじゃない。あくまでこれは、映像の中の出来事なのよ」
ルルーシュ「それはそうですが……」
ミレイ「だ、か、ら。リセーーーーット! そろそろ締めの挨拶に移るわよ」
ルルーシュ「締めの挨拶って……毎度の事ですが誰に挨拶をしているんですか?」
ミレイ「そんなの誰だっていいの! とにかく始めたんだから終わらせるのは当然じゃない!」
ルルーシュ「そもそも始めたのではなく、無理やり始めさせられてるんですよ。その事についても、俺はまだ納得していな――」
ミレイ「細かい事はいいの! ルルちゃんってばそういうところ本当に神経質よね。禿るわよ?」
ルルーシュ「会長が大雑把すぎるんです! いつもの無理な企画にどれだけ俺達生徒会が大変な思いをしてると思ってるんですか!」
ミレイ「優秀な部下を持って私は幸せよ♪」
ルルーシュ「少しは俺達の事も考えてほしいと言ってるんです!」
ミレイ「それじゃ、今回のお相手はアッシュフォード学園生徒会から、生徒会長のミレイ・アッシュフォードと」
ルルーシュ「副会長のルルーシュ・ランペルージが……って、強引に話を終わらせようとしないでください!」
ミレイ「みんな、バイバーイ!」
おふざけ企画3話目です。
お気楽ミレイさんを書きたかっただけの話でした。
本編では主にシリアス担当になってしまっているので、こういうところでもないと生徒会長のミレイさんを書けないのが目下の悩みです。
早くミレイさんがいつものノリでルルーシュを振り回すところを本編でも書きたいなぁ。
続くかは分かりませんが、続いた場合はどんどんとはっちゃけていきます(選手宣誓)。
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