コードギアス ~…とは何ぞや?~ (ユキユキさん)
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第1話 ~転生したみたい。

何か知らんけれど、…俺は死んだらしい。天国か地獄か、はたまた生まれ変わるのかって思っていたら転生するっぽい。…それって生まれ変わるっつーことですよね?

 

 

 

 

 

 

容姿を決められるとかのサービスがあるらしい、………マジで!?

 

どんな容姿にしようかと悩んでいたら、何故かファイアーエムブレム聖魔の光石の敵であるヴァルターが思い浮かんだ。何故にお前がしゃしゃり出る!…正直お呼びじゃねーぞ? …言わせて貰うなら、………お前は違う!! …そう思ったが悲しい哉、完璧細部まで頭の中がヴァルター一色。奴の姿が頭の中を占めやがる。

 

…………俺の容姿がヴァルターに決定したようだ、……やったね!!(ヤケクソ

 

 

 

 

 

 

次に能力とかそこら辺ということで、…突如現れたスロットを回しました。…ドラムが五つってことは、五つ貰えるんですかね?

 

一つ目のドラムは『天才3』と出た。『天才3』とは何ぞや? …と思えば、ガンパレの技能が全て使えるモノのようだ。…ガンパレとかって懐かしいじゃないか、めっちゃやり込んだ記憶があるぞ? …で思い出してみれば、確か『情報』は入ってないような? …今回は入るの? …そりゃどうもありがとうございます。世界観に合わせると? なるほど。

 

二つ目ドラムは『設計図』と出た。…謎だね、『設計図』ったって色々あるぜ? …何? 自分の知っているロボットであれば何でも知識として『設計図』が頭の中に現れる? それと目の前に現物があればそれの『設計図』も分かるって? ……それは凄いと思うけど、『設計図』があっても俺には技術なんてものが…。そこで『天才3』が使えるの? ………あ~『開発』とか『整備』とかね、……納得。

 

三つ目のドラムは『成長率:極』と出た。…これはアレか、成長率に限度がなく鍛えれば鍛える程ってヤツ? 転生の必需品とかって言われてる? やー…マジか、あざっす。

 

四つ目のドラムは『教導』と出た。これもまんまの意味で人を教え導く力らしいよ? …リーダーの素質ってヤツ? それとも天職が教師とかかい? …そんな感じなの? ………教える相手に『成長率:極』の恩恵を与えられる? そりゃ凄い。最強軍団が作れるかもってことじゃん。更に自分の技術を人に与えられる? ガンパレっぽいね、それ。…とにかく凄いヤツってこと? OK?

 

五つ目のドラムは『ご都合主義』と出た。世界が俺を中心に廻るらしい、…本来起こる筈のないことが起きるとか何とか。………これは行く世界が分からなきゃよく分からんものになるな、…まぁ悪いモノじゃないからいいか。

 

……全ての能力が出揃ったわけだが、正直…ふ~んって感じ。…実践してみなければ分からんからね、この反応…変じゃないよな?

 

 

 

 

 

 

…全ての設定? が終わった瞬間、俺の意識が何かに吸い込まれて………。

 

気付いたら身体がありました。さっきまではフワフワだったんだけど、今はどっしりハマっている感じ。正真正銘ヴァルターになりましたってか?

 

これより転生しますって? …早いね、…普通に地球? ………地球で間違いないけど、アニメの世界観なんだって。…コードギアスの世界らしいけど、…俺よく分かんね。美男美女が沢山出るロボットアニメとしか……、分からないんだよね。……そんなんで大丈夫なんですかね? と思ったら、『ご都合主義』が発動するよ! って誰かが言ってたような気がする。

 

 

 

 

 

 

………そんなわけで今から転生しますんで、…今後ともヨロシク。



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第2話 ~無事に生まれたようで。

飽きるまでリメイク。


…そんなわけで転生した俺です。転生した場所はブリタニアって国の貴族ん所、名門らしいよ? 生まれた瞬間に勝ち組のようですな、これが『ご都合主義』ってヤツ何ですかね?

 

 

 

───────────────────

 

 

 

俺の転生した場所はブリタニア貴族のバーンシュタイン家、あの格ゲー悪役キャラを思い浮かべる家名ですな。だからこそ武門の名門かと思ったら、その逆で文官輩出の名門っぽい。…バーンシュタインで文官肌の名門とかって何じゃそら、…バーンシュタインの名が泣くぞマジで。

 

…とのことで、俺は武官…即ち軍人として名を売ることに決めた。内政屋よりは軍人、…前世で出来なかったことをしたいじゃん? 見た目も悪役ヴァルターで家名がバーンシュタインだもの、…完全に悪役軍人になるべきだろ。……悪役にはなりませんがね、…たぶん。

 

因みに俺の両親、…どちらも内政屋の優しい顔ですよ。その穏やかな両親の間に生まれた俺は悪党狂気面のヴァルター、…両親のダメなパーツを奇跡的な確率でかき集めた結果のようで。…ダメなパーツって…そりゃないでしょ、うん。…まぁでも、両親と似ているようで安心した。

 

 

 

 

 

 

軍人になろうと決めた俺、動けるようになってから体力作りを開始した。まだまだガキんちょだから簡単なモノだけどね、高速ハイハイとかしてたよ。…やらないよりはましだろ? …がしかし母に

 

「カサカサって素早く動いているのを見ると、…何かヴァー君てばゴキブリみたいね♪」

 

と悪気なく言われた言葉に傷付いた。

 

そんな日々を過ごす俺に両親は喜ぶ、家の子スゲーって。両親の友人に俺ぐらいの子がいるみたいで、その子よりも凄いとか。比べちゃダメだと思うよ? 俺には『天才3』と『成長率:極』があるんだから。…チートってヤツですから。そんな俺に父が、

 

「我が家に生まれたヴァルターは凄いな、正に化物と言ってもいい。この調子で成長したら人外だね♪」

 

って嬉しそうに言ってきたんだ。…褒めているんだよね?

 

自分なりの鍛練を続けて五年、…五歳になったこの俺ヴァルター。変わらぬ日々の中にいた時、…我が家に見知らぬ美少女がいました。…同い年っぽいな?

 

…両親の友人の子で同い年ですか、…何々名前はモニカっての? へぇ~…可愛い名前じゃないの。まぁなんだ、…家に来たのなら仲良くしなくちゃならんな。…とのことで挨拶の為に近付いてみれば、…目が合った瞬間に号泣された。…モニカの両親も俺を見て苦笑い、…悪かったね? 目付きの悪いヴァルター面のガキんちょで!

 

 

 

 

 

 

美少女に泣かれた俺はこの先、…女の子とのお付き合いは絶望的になるのでは? と幼心に思った。今の姿でコレなんだ、歳を重ねれば更に絶望的じゃね? だって狂気面が売りのヴァルターだよ? 整っちゃいるけど悪党面だよ? ………独り身になる可能性大じゃん。

 

…ってなことで、俺はなおのこと頑張ろうと決意したよ。女なんかどうでもいいもんね! …といった感じで自分磨きに精を出す。がむしゃらに体力作りを頑張り、本とかを読んで知識も深める。頭も磨いておかないと脳筋残念野郎になるからね、知勇兼ね備えた軍人を目指すのさ。

 

……自分磨きの合間に使用人からモニカ一家が来ていると何度か聞いた、しかし会う気はないんで無視で構わんでしょ。どうせ泣かれるんだったら会わない方がいい、泣かれたら俺もショックを受けるんだぜ? ……そういうことですわ。

 

 

 

 

 

 

……気付いたら七歳になっていました。自分で言うのもなんだけど高スペック、巷では『バーンシュタインの麒麟児』と呼ばれているとか。まぁ親バカな両親が周囲に言い触らしているのだろう、何故なら俺はぼっちですから。自分磨きに精を出しすぎていた為…友達がいません、…モニカ? 知らない子ですね。我が家に来たりしているようですが泣かれても困るんでスルーしてます、なるべく会わないように行動しているんさ。

 

…俺に友達がいないことを心配した母が、

 

「何かしらの芸を身に付ければ友達の一人や二人、女の子とも仲良くなれる筈よ!」

 

と力説してきた。…何か違う気がしないでもないがその提案を受けよう、やらないよりやるってのが俺だし。『天才3』と『成長率:極』が良い仕事をしてくれると思うし、…よっしゃ! やったるぜ!!

 

 

 

 

 

 

色んな習い事をやって一年、…八歳になった俺ことヴァルター・バーンシュタイン。何をやっても難なくこなす自分、ハンパねぇわ。裁縫や掃除…料理等の家事は完璧だし、絵を描くのもダンスも…歌まで上手いときた。『天才3』と『成長率:極』は凄いね、…とにかく俺が凄すぎて恐い。両親なんて、

 

「「ヴァルター、…恐ろしい子!?」」

 

とか白目で言ってたし。…俺的に両親も恐いと思うよ? 所謂顔芸、…リアクションがね。

 

とにかく様々な芸を身に付けたわけで、それらを更に高める為…なおのこと身体能力を磨かなくてはならない。体力や知力…運動力は既に磨いているから、………魅力とか? …悪党面で魅力を磨いても意味がないかな? とか思ってみたり。…まぁ磨かないよりはマシか?

 

………う~ん、…悪党面で魅力のある男か。

 

………………ラスボス?



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第3話 ~知り合いが出来た!

ーヴァルターー

 

転生してから自身を磨くことに集中、気付けば一一歳悪党面のぼっちです。……これはアレか? 『天才3』に含まれる『密会』が力を発揮しているのか? 争奪戦が起きる可能性を低くするモノではなく、…人と出会う可能性を低くするモノ!? …それともやっぱり顔か? 完全に可愛い気のないヴァルター顔になっとるし、…わりとこの顔がコンプレックスになってるんだぜ? まぁそれでも両親に似ているみたいだからな、…整形はしない方針です。…というか出来るのか?

 

…顔のことはどうでもよくないけれど置いといてだ、この俺ヴァルター・バーンシュタインは自分で言うのもアレだが最強である。目指せ軍人てなわけで鍛えまくった結果、同世代や年上世代に勝ちまくり。大人にも勝てるし軍人にも勝てるようになった、そのせいで同世代の男共に嫌われております。勝てないからって嫌うなよ! 努力して強くなれよ!

 

そんな若手? 最強の俺にも勝てない人物がいるわけで、…黒髪の美人さんにはどうしても勝てないんよ。…名前知らんけど誰なんだ? 両親に聞いても青くなるだけだし。とにかく俺もまだまだってわけですな、驕ることなく気を引き締めて鍛練あるのみ!

 

そんな感じで日々を鍛練やら趣味やらで過ごしていれば、…褐色肌の年上美少女に勝負を挑まれた。…初顔ですな? 噂を聞いてやって来たのだろうが、……まじでやる気? 例え美少女でもマジでやりますよ? あの黒髪の美人さんにも、

 

「相手が女の子でも手加減しちゃあダメよ? 男女平等、みんな等しくやっちゃいなさい♪」

 

と言われているからね。…手加減なしだがいいかい? ………そっか、…了解。

 

……………で勝負をしたけど結果は当然完勝、開始と同時に懐へ飛び込んでポイッと投げました。投げられた美少女は大の字で倒れ、プルプルと小刻みに震えながら、

 

「…見えなかった。…手足も出ないで負けるなんて、…私は弱い!!」

 

とか言って号泣、…何か悪い気がしてきたよ。

 

それ以降、たまに家へ来ては勝負を挑んできたり共に鍛練したりしてます。俺の凶悪面にビビらないだけでも稀有な存在、…大事にしたい出会いですね。遂にぼっち卒業かな? …こんな俺に絡んでくれる彼女の名はドロテア・エルンスト、その名…覚えよう!!

 

 

 

 

 

 

俺の毎日の日課、…それは散歩である。たまにふらりと訪れては鬼のように襲い掛かってくる黒髪の美人さん、あれは辛いよね? それを含めて毎日何かしらをしている俺だが、その合間に散歩をして自身を癒している。王都は平和だからね、街も整備されていて綺麗だし。俺が一人で散歩しても大丈夫ってな感じ、…まぁ暴漢程度なら余裕で撃破出来るぐらい強いからね。伊達に鬼畜な黒髪美人の扱きに堪えてませんよ!

 

…俺個人の実力に両親も安心しているからこそ、俺を一人で散歩に送り出してくれるんさ。逆に使用人達は…、

 

「坊っちゃま、殺しは控えて下さいね?」

 

とか、違う意味で心配される始末。…顔か? この顔がそういう心配をさせるのか!? 人を殺す顔ですもんね? ……俺。

 

………まぁ余程のことがなければ、…たぶん殺らねぇし。そもそもこの俺、…一一歳のガキよ?

 

 

 

 

 

 

…今まで平穏無事に散歩が出来ていたのに、…今日に限っては違った。俺の超視力によって街の死角、そこで小さな女の子が誘拐されそうな状況を発見。勘違いだったらヤバイんで静かにバレぬよう近付いて様子を見てみれば…、

 

「大人しくしろ!!」

 

とか、

 

「高く売れそうなガキだぜ!!」

 

とか言っとる。マジもんの犯罪者で間違いない、女の子も口を塞がれて泣いとるし。

 

白昼堂々と大胆なことで。この男達はアレだな? 他国から流れてきた奴等だな、うん。国民であれば誘拐は悪手であると認識している筈、…誘拐した相手が純血の国民であればなおのことね。まぁとにかく今から通報しても間に合いそうにない、よって俺が奴等をぶちのめすのが正解か? 俺は未来の軍人、守るべき存在はきっちり救わねばなるまい。

 

犯罪者に手加減は無用、…それ以上にマジでやらなきゃ黒髪美人さんに殺される! …何故かあの人って何でもお見通しなんだよな、……人間か? まさかの転生者? 分からんけど犯罪者をぶっ潰すのがジャスティス! …やったるぜ!!

 

素早く警察? 軍人? に通報してから突撃しました、銃を持っていたら危ないんで速攻ですわ。まず見張り役っぽい男に餓狼のテリー級バーンナックルを、その勢いのままに同じく餓狼のジョーばりスラッシュキックをもう一人にぶちかましました。

 

女の子を捕まえていた二人の男は突然のことに固まっている、…それが命取りだぜ! ってなことで懐へ飛び込んでボコボコにした。…このままKOFに参戦出来るんじゃね? と自画自賛、女の子を無事に救出することが出来ました。

 

その後、通報を受けて駆け付けてきた軍人さんに犯罪者を引き渡す。軍人さんは気絶している犯罪者に驚いていたけど、俺の名前を言ったら、

 

「ヴァルター…!? あのバーンシュタイン家の麒麟児!!」

 

やら、

 

「あのマリアンヌ様お気に入りの!?」

 

とか言ってた。……マリアンヌって誰? 皇妃様と同じ名前だけど?

 

そのまま詰所へと連れていかれ、暫くしてから女の子は両親と再会。めちゃくちゃ感謝されたけどね、俺は当然のことをしたまで。将来は軍人を目指しているし貴族の端くれだからね、弱きを守るのは当たり前のことと言えば大いに感心された。

 

「流石はマリアンヌ様の秘蔵っ子!」

 

と言っていたけど、……マジでマリアンヌって誰さ。

 

 

 

 

 

 

それ以降、散歩をすれば高確率で件の女の子と遭遇。こんな悪党狂気面に絡んでくれるのです、この子は天使か?

 

「お兄ちゃん、…大好き!」

 

とかって可愛すぎるじゃない? 慕ってくれるならば全力で可愛がります。たまに家へ招待して遊んであげたり、お菓子をあげたり、一緒に昼寝をしたり。家の両親も彼女を娘のように可愛がっています、……だって可愛いんだもの。…ドロテア? 美少女ではあるけれど脳筋:極だからな、どちらかと言えば…あれはゴリラだよ(笑

 

そんな可愛い彼女の名前はシャーリーちゃん、庶民の子だけどそんなん関係ねぇ! 俺を慕う子は天使だ、いやさ…大天使だ! 異論反論は受け付けねぇ!!

 

…でそんな感じでシャーリーちゃんを猫可愛がっていると、たまに視線ビームを受けるんだよね。それを辿るとほぼモニカ、……目線を合わせたら逃げるけど。…恐いんだったら見なきゃいいのに、………何だかなぁ~。



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第4話 ~男友達はゼロ。

ーヴァルターー

 

ドロテア&シャーリーちゃんと知り合ってから一年、俺の生活は充実していた。共に鍛練をしてくれる者がいるってのは良いものなんだな? …ぼっちだったから分からなかったよ。ドロテアは脳筋:極だから分かるけど、シャーリーちゃんもやりたがるのにはビックリした。…俺を慕う彼女には激甘な俺、はいはいとお願いを聞いてしまう。優しく指導しちゃうわけで、…それに不満を持つのがドロテア。

 

「私には優しくない!…何故だ!?」

 

ってさ、お前とシャーリーちゃんは別モノだろ。自惚れるなドアホと言えば殴られた、………何故に?

 

…ってなわけで基本は一人で鍛練をし、たまに二人が交ざるかどちらか一人って感じかな。…まぁ半年ぐらい経った時にはシャーリーちゃんがほぼ毎日来るようになったけど、…俺と一緒に何かをするってのが嬉しいんだって。更に俺可愛がっちゃうよ? といった感じです。シャーリーちゃんの両親が恐縮しっぱなしだけどお気になさらずに、教えることで俺も学べるんですよ。それに家の両親も喜ぶしさ、…シャーリーちゃん可愛すぎるんだもの。

 

……とのことで生活が充実しているのです。シャーリーちゃんは物覚えが良いし、ドロテアは脳筋で面白いし、毎日が楽しいっすわ。

 

 

 

 

 

 

十二歳になった俺はいつも通りの日々を過ごしていた。そんなある日、…両親に強制連行された。…何故? 俺は何も悪いことなんかしてないぜ?

 

 

 

 

 

 

…やったことと言えば、あの黒髪美人さんに一矢報いたぐらいだよ? 用意周到にルートを選び罠を配置、あえてやられて逃亡し彼女を誘導。やってやられてのいつも通りと見せ掛けて罠のある場所へ、徒手空拳での攻防を演じて嵌めたのだ。狩人がする足に輪を嵌めて吊るすヤツ、あれを黒髪美人さんに食らわせたのさ。…吊るされてさ、…パンツ丸見えだった。

 

それにはビックリしたよね? いつもスカートで襲ってきてたけど、中にスパッツとか短パンを履いていると思っていたから。…顔を赤くして怒っていたっけ? めっちゃセクシーなスケスケパンツ、ガーターベルトも付いてエロかった。身体はガキんちょでも中身は大人、…そりゃあ興奮したよ。何てったってあの黒髪美人さんなんだから、…この時ばかりは狂気面に感謝したね。しまりのない顔がごまかせたんだ、ありがとう悪党狂気面! いつもの狂気面でクールに決められたぜ!!

 

………………え? その後はアレだよ言わせんなって。

 

…………………地獄を見ましたよ?

 

 

 

 

 

 

そのことじゃないよな? …その件で大事になったとか? …とハラハラしていたんだけど違った。連行された場所には一人の美少女がいて、………モニカ? モニカじゃないか、…まともに顔を合わせたのって何年ぶりだ? めっちゃチラ見してくるんだけど何? …まだビビっていたりする? そう思いながらもその場に留まっておく。…何か話があるんだろうし、両親も見ているし。

 

…暫くしてから口を開いたモニカ。出てきた言葉が、

 

「…今更って思うかもしれないけれど、私とも…仲良くしてくれませんか?」

 

…だって。何じゃそら? と思って両親を見てみれば、

 

「ずっと前からそう思っていたみたいだよ。」

 

と父がそう言って母と共にニヤついていた。…何かムカつくなその顔、親じゃなかったら泣かせたいレベル。…それとその顔が俺に似てる、したり顔がヴァルターなのか家の両親は。…ああなん足ることか、マジでダメなパーツの集大成なのね? …俺ってば。……トホホ、…泣けてくるぜ。

 

我が家の真実? に驚愕しつつ、モニカに視線を向ける。彼女…たまに俺へ向かって視線ビームを放ってきてたけど、…それが理由だったの? 初顔合わせん時みたいにビビっていたワケではなく? 何年もコソコソとそんなことを思いながら視線ビームを? ………今に思えば、色がややピンクよりの黄色だった? まるでガンパレみたいじゃん。…この視線ビームが見える理由って、『天才3』に含まれている『幻視』が影響しているのかな?

 

全く別のことに意識が向いている俺をよそに、モニカは饒舌に語ってくる。…あの時は恐かったけど、それ以降はとてもキラキラしていてカッコ良かった。毎日鍛練や勉強をしてたし、習い事もやっていた。小さな女の子を助ける勇気も聞いてて凄いと思った、……とか褒めまくり。…何か褒められると照れるね? …がしかし褒めすぎじゃね? …この悪党面がキラキラしとるとかってそんなバカなことが…、

 

「そんなことないよ!!」

 

…っとと。前のめりでモニカが俺の自虐を遮る、それと共に幼きあの日の出来事を謝られた。

 

……何が何やら、…とにかく言えることは一つ。その腹立たしいニヤつき顔は止めろ、…父と母よ。

 

 

 

 

 

 

モニカと和解? し、彼女も俺達の輪の中に。…と言っても、日常が変わることもなく色々とやる日々。

 

ドロテアは脳筋ゴリラだけど美少女である、和解したモニカは正統派の美少女である、シャーリーちゃんは誰が何と言おうと大天使である、…何を突然と思われるかもしれないが聞いてくれ。美少女に囲まれている俺はハーレム野郎と言われ、同世代と年上世代の男達に前以上…嫌われている。

 

「女を侍らすナンパ野郎の癖に、…マリアンヌ様のお気に入りだと! …何でお前のような男が持て囃される! …バーンシュタイン、調子に乗るんじゃないぜ? いずれ化けの皮を剥がしてやる、…覚悟しとけよ!!」

 

と、こんな感じの言葉を毎日言われとります。

 

俺は侍らしているつもりはないし、そもそもマリアンヌって誰? 皇妃様のことを言っているのだったら馬鹿馬鹿しい、俺と皇妃様に接点なんかねえよ。ドロテアとモニカが俺に寄ってくるのだ、シャーリーちゃんは妹みたいなもん。

 

…後はあの黒髪美人さんだけど、皇妃様だと思っているのならアホかと言ってやりたい。あんなガキんちょみたいな人を皇妃様と同一視してしまったら、…間違いなく不敬罪とされるだろう。皇妃様のマリアンヌ様は聡明で美しく、淑女という言葉が似合う素晴らしいお方に違いない。断じて、…断じて黒髪美人さんと同一視してはならない高貴なお方! 月とスッポンぐらいの違いである!!

 

…と言っても、俺ってばマリアンヌ様のお姿を見たことがないんだよね? 調べようとしても皆が必死に止めてくる。俺如き悪党狂気面のガキんちょが、そのお姿を拝見すること自体が烏滸がましいってことなのだろう。そういうことだと自身で納得し、今の今までそのお姿が分からず仕舞いなんだよね。

 

皆が噂するマリアンヌ様に会ってみたいな、…マジでハンパないぐらいの女神的美女なんだろうなぁ~。…とかブツブツ言ってたら、黒髪美人さんがニコニコ笑顔で絡んできた。

 

…いつの間に来ていたんだ? この人は、…と言うか今日はいつもと違うな? 妙に優しいし、…悪い物でも食べたんか?

 

頬擦りを止めろ! 不本意ながらドキドキしちゃうだろ! …あんたマジで美人なんだからそんなことすんなよ!



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第5話 ~設計図で楽しむ。

ーヴァルターー

 

…一三歳になった俺、最近のマイブームは設計図を書くこと。転生特典で『設計図』を貰ったじゃん? それを試していたわけさ。恥ずかしながら鍛練に趣味にと幼い頃から色々やっていただろ? …最近まで『設計図』という特典を忘れていたんだよね。それをたまたま思い出したのだ、…ドロテアのお陰で。

 

まぁ何てことのない、ドロテアの動きがロボットみたいだったってこと。アイツ…過剰に鍛練して筋肉痛になってやがんの、カクカク動いていて笑っちまったよね。…でそれを見てティンッ! と来たのさ、…俺には『設計図』という特典があったじゃないか! …と。

 

そんなわけで空いた時間にサラサラと書いている、…まぁこんなモノが現実に作れるとは思っていない。単純に趣味の一つ、…んで妄想をして楽しんでいるのさ。妄想では俺がエースよ? 人類のHEROにして絢爛舞踏、俺ツエーで無双しまくりっす。

 

……………にしても何かモヤつくんだよね? 『設計図』って趣味の為だけにある特典だったっけ? この世界で何かしらの意味があったような…?

 

 

 

 

 

 

妄想で楽しんでいると言ったよな? …察しの通り、既に数枚の設計図は出来上がっている。ガンパレの対幻獣人型戦車『士魂号』の設計図、それも『通常型』『軽装型』『重装型』の三つを。残念ながら『複座型』『士翼号』はまだ書いていない。スカウト用の兵装とかも書きたかったんだがダメだった、…パワードスーツみたいなもんだからダメなのだろうか? そこらの線引きがよく分からん。生身の人間が装着するって概念を取っ払って、純粋にロボットとして設計すればいいのだろうか?

 

…色々考えちまうけど楽しい、嬉しい悩みってヤツだな。…まぁ『士魂号』はロボットって言うよりは人造兵器ってのが正しいのかな? 人工筋肉を使用するし。…人が乗り込むって点でロボットに括られるのかね? まぁ書けるんだからそういうことなんだろうな。

 

…で『士魂号』の設計図だけではダメだよな? 武器が無ければ話にならない。そんなわけで書いているのさ、『士魂号』が使用する武器を。…ロボットだけだと思っていたのだが武器の設計図も書ける、ロボットの付属品だから書けるのだろうか? …本当にそこらの線引きが不思議で仕方がない、まぁそんなもんかと深くは考えないようにしているけど。分からんことをいつまでも考え続けるのは意味がない、その内分かるだろ精神でいくのが吉だな。

 

…とにかく今は武器の設計図である、なかなかに良い出来だぜ? この92mmライフルはよ。射角は狭く射程が長い、威力はそれなりで命中精度が極めて高い。ガンパレではスナイパープレイで多用してたな、狙いをつける・射撃だっけ? 調子に乗ってスキュラにやられた記憶があるぜ、…まぁこの世に幻獣なんざいないからな。妄想するなら相手もロボット、それを想定するのが正しいだろう。

 

…う~ん、…そうだな。敵機を撃墜させることが目的ではなく、行動不能にすることを目的とすればどうだろうか? コイツを使って動力部を撃つ、…命中精度が良いからな。いや…動力部を撃ったら誘爆する可能性が高いか? コクピットを狙った方が現実的か? それとも関節部? …悩み所だな。後…デメリットを考えると弾数がまず挙がるか? 他には………。

 

…長所を伸ばすのも良いかもしれん。例えばスコープを付けて更に命中精度を、いや…それをしたら周囲に目がいかなくなって危険か? …とか色々と考えながら、92mmライフルの付属品も追加で書き足していく。地味に完成度を高めていくが、使い方によっては致命的な欠点にもなる。…それらを踏まえて書く設計図、正直…超楽しい!

 

…他人から見たら危ない奴かもしれないが、これもまた立派な軍人になる為の布石であると自身に言い聞かせる。…断じて寂しい一人遊びではない! …………筈。

 

 

 

 

 

 

『士魂号』を含めた自身お手製の設計図、それらを見ては思考の海へとダイブする。決して『OVERS』として第5世界にアクセスしているワケではない、これ重要。

 

…と何処の誰かに謎の言い訳をする俺の視界に何かが映る、…この白い手は女性の? …と思った矢先、俺の魂を込めた設計図の一枚を奪われる。…何奴!? と振り返れば黒髪美人さん。…俺の妄想が具現化した設計図が、…妄想で楽しんでいることがバレた…だと!?

 

…由々しき事態だ、…これはバカにされる流れではなかろうか? …そんな感じで警戒したんだけどね?

 

滅多に見せない難しい顔をする黒髪美人さん。…いつバカにしてくるかと様子を窺っていたのだが、バカにする所か色々と質問をしてきた。細かく聞いてくるとかって真剣ですね? …前のめり過ぎて恐いんですけど。

 

…とにかく聞かれたことに答えていけばいい、…俺の妄想であることも忘れずに付け足して。

 

「構わないわヴァルター君、…続けてちょうだい。」

 

と真顔で言われたから続けるけど、…何が彼女を駆り立てる?

 

最終的に、俺の考えたことになっている『士魂号』は開発不可に限りなく近いと言い切る。『士魂号』を作るに当たって重要なモノ、それは人工筋肉という生体部品である。だがそんなモノがあるわけも作れるわけもない、よって『士魂号』は作れないと黒髪美人さんに伝える。まぁその人工筋肉に代わるナニカ、それを考えて開発すれば或いは…。

 

開発と言ってもロボット工学の専門家がいれば余裕かと、単純にその技術を人工筋肉の代わりに使用すれば『士魂号』モドキは作れると思うよ? …がしかし、それでもモドキにしかならない。人工筋肉を使用してこそ完成するのだから、…限りなく人に近い動きを再現する『士魂号』にはならんよ。

 

因みに作ろうと思えば作れるんじゃない? 人工筋肉。結局はたんぱく質の塊みたいなもんだからね、生物学の先生の中に詳しい人は沢山いるでしょ。要は生物の筋肉を人工で作るんだからさ、ゲノム的な? それともホムンクルス? そこらは専門家じゃないから俺には分からないや。

 

それを聞いた彼女は一瞬…顔を歪めた、…がそれを直ぐに消して設計図を見て唸り始める。…さっきの顔、やっぱりそっち系は流石の黒髪美人さんも忌避するんだろうな。

 

…暫くして、俺に『士魂号』の設計図をくれとか言ってきたんであげた。まぁ同じモノなら幾らでも書けるし、あそこまで熱心に聞かれて欲しがられたらねぇ。…俺の予想が正しければ、黒髪美人さんも俺と同じようにロボットが好きなのだろう。…ガキんちょみたいな黒髪美人さんのことだ、これを元に妄想勝負を仕掛けてくるに違いない。

 

…となればだ、俺もこのままヘラヘラとしている暇はない。妄想の先人として彼女に負けるわけにはいかんのです、…妄想を更に磨きあげなければ!!

 

 

 

 

 

 

………………数ヶ月後、軍人さんに連行される俺ガイル。乗せられた黒塗りの高級車には黒髪美人さんがいて、めっちゃニコニコしている。

 

…………何? …マジで何なんですかね? …軍人さんを私用に使うとかって何者なんですか? …俺は何も悪いことしとらんですよ?




適当だから、おかしいと思っても気にしないで下さい。

質問されても答えられない可能性があるんで。


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閑話 ~…とある場所にて。

…とある場所の屋内、そこで二足歩行の兵器が縦横無尽に動き回っている。『ランドスピナー』と呼ばれる脚部のホイールによって地を滑るように移動、時折『スラッシュハーケン』と名付けられたワイヤー式のアンカーを壁に突き刺し、巻き取ることで高速移動をしている。

 

それを見守る兵器の技術者達は、『ファクトスフィア』という情報収集用カメラから送られる映像を見ては頷き、『ナイトメアフレーム』という呼称の兵器が次の段階へと進んだことに喜んだ。

 

データの収集を終え、『ナイトメアフレーム』のコクピット部から一人の女性が出てくる。その女性に対し技術者の一人が、

 

「マリアンヌ様。『士魂号(・・・)』の…いや、モドキ(・・・)の乗り心地はいかがですか?」

 

自信に満ちた声でそう尋ねた。マリアンヌと呼ばれた女性は満面の笑みで、

 

「最高も最高、ご機嫌よ♪」

 

と弾んだ声でそう返した。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

…彼等、…特派と呼ばれる技術者集団は崖っぷちの一歩手前だった。最初は良かった、世界初のコクピットシステムを開発したのだから。戦車等の搭乗員を安全且つ速やかに脱出させる為のシステム、搭乗員のことを考えたこのシステムに軍人達は技術者達に感謝した。

 

そこから色々と試行錯誤を繰り返し、コクピットに足を付けただけのモノを作ったりと迷走した。この時期のモノを『ナイトメアフレーム』始まりの世代、第一世代KMFと呼称している。

 

 

 

 

 

 

画期的なモノから足付きと迷走し、それらを越え兵器として開発されることになった。これもまた初めてのこと故に全てが試行錯誤、第一世代時の迷走が意外にも役立ったりした。『マニピュレーター』『ランドスピナー』『ファクトスフィア』と呼ばれるシステムを試験的に搭載、十分な性能は発揮されなかったがこの世代が後の大きな飛躍の足掛かりとなる。

 

特派と呼ばれる彼等が軍事目的で開発している『ナイトメア』と、アッシュフォード財団が福祉目的で開発している『フレーム』を統合し、『ナイトメアフレーム』という名称が付いたのもこの世代である。飛躍の為の一歩を踏み出した世代、この時期のモノを第二世代KMFと呼称されることに。

 

 

 

 

 

 

第二世代を発展させ、本格的に戦闘用として開発され始めるのがこの世代。この時に彼等、…特派は後おくれを取った。全てにおいて何処よりも勝っていると思っていた、しかし動力源にて大きな差があった。何処でそれを知り入手したのか? 『サクラダイト』と呼ばれるモノの有無が明暗を別けたのだった。

 

アッシュフォード財団の実験機『ガニメデ』の前に、彼等…特派は窮地に立たされた。『サクラダイト』を動力源にした『ガニメデ』の性能は凄まじく、『ガニメデ』本来の機体性能を超え、特派の実験機の全てを超えたのだ。

 

『サクラダイト』を入手して改装、改めて開発に着手するのは簡単だ。だが二番煎じ、アッシュフォード財団に助けられた特派という烙印が押されるのは明白。故に先ずは動力源よりも、元となる実験機だけで『ガニメデ』を超えなくてはならない。故に焦っている、…それらの理由で特派は崖っぷちなのだ。

 

そんな時に、マリアンヌからもたらされた設計図。『士魂号』と呼ばれる人型兵器の細部にまで書き込まれた設計図により特派の実験機はその性能を高めていく。

 

重要とされる人工筋肉という未知の生体部品の代用品は見付からず、設計者の意見通りにソレを使用する箇所は自分達の技術で何とかした。人工筋肉と呼ばれるモノに刺激を受けた技術者達は、現物が無いにも関わらず設計図とマリアンヌの話だけでソレに代わる技術を作り上げたのだ。

 

…がしかし、そうして作り上げた技術は代用品でしかない。設計図通りの完成された『士魂号』を作り上げるには、やはり人工筋肉という生体部品が必須である。マリアンヌが聞き出した設計者からの提案、生物学を専門とする技術者を集めて人工筋肉を開発する。専門チームを立ち上げ開発に向けて研究し、それらと共に他の分野にも力を注いで高みを目指す。それが『士魂号』を作り上げた我々のやるべきこと、特派の新たな指針であると。言うならば設計者に対しての感謝、リスペクトであるとし特派に生物学の他に様々な分野の技術者を召集することに決めた。

 

それらを抜きにしても現在の特派が持ちうる全ての技術を『士魂号』に注ぎ、出来上がったのが『ガニメデ』を全てにおいて凌駕する実験機。『サクラダイト』を動力源にしたあの『ガニメデ』を超えた、技術者達はその現実に歓喜し、『士魂号』の設計者に感謝した。勿論、その設計図をもたらしてくれたマリアンヌに対しての感謝も忘れはしない。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

データの収集を終え、マリアンヌと共に『士魂号』を見上げる技術者達。次は動力部を『サクラダイト』に変えて…、と言いたいが少々不安がある。自分達にはそれ相応の技術力があるけれど、『士魂号』に対しての技術は無いに等しい。設計図があったからこそ作れたわけで、その後の技術開発から整備についてはほぼ白紙に近いのだ。そんな中で、危険な『サクラダイト』を動力源とする改装を施しても大丈夫なのか? と考えるのは自然なことである。

 

それを正直にマリアンヌへと告げる技術者達に、…少しだけ考える素振りを見せてから、

 

「…なら設計者を連れてきちゃいましょう♪ 現物を見ながらの話も聞きたいし。…それ以上にあの子の反応が見たいわ♪」

 

設計者を連れてくると技術者達に約束した。それを聞いた技術者達は喜び、『士魂号』の設計者とはどのような人物なのか? と思いを馳せる。そんな彼等を見てニヤつくマリアンヌ、

 

(設計者が十代のヴァルター君だと知ったら、貴方達はどのような反応を見せてくれるのかしら?)

 

なんて思っていたり。

 

 

 

 

 

 

…こうしてヴァルターは、マリアンヌの手により拐われることが決まったのだ。




この物語は色々と世界観が微妙に違います。

マリアンヌは『ガニメデ』の開発に関わらず、特派もシュナイゼルの管轄ではありません。

『ガニメデ』の開発に関わってはいないが、ヴァルターとの交流により能力が上がった。それにより他のことで功績を残して騎士候を、そしてシャルルに嫁ぎました。

語られてはいないが、ヴァルターが七歳ぐらいの頃にマリアンヌと出会い交流している。この時はまだ皇妃ではなく庶民、ヴァルターに出会ったことで成り上がった。

その自覚がありヴァルターを可愛がる、彼女的に恩返しのつもり。

因みにルルーシュは生まれている。

時系列が合わないとかは知らん、そんなもんだと気にしないで下さい。

基本ガバガバなんで、…適当だもの。


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第6話 ~マジすかっ!?

ーヴァルターー

 

軍人さんに連行され、黒髪美人さんの乗る高級車へ。…何故に俺を? そして何処へ? と尋ねれば、

 

「あの設計図のお礼に良い所へ連れて行ってあげるわ、楽しみにしていてね♪」

 

とか言って頬をグリグリと指で押してくる。設計図のお礼? 何で? と困惑するがその前に、最近の黒髪美人さんはスキンシップが激しい。アンタ人妻なんだから控えなさいよ、…と言っても効果はない。

 

ちょいとそこの軍人さん、この人をどうにかしてくんないっすかね?

 

……………無理!? やる気だしてよ軍人さん! …おい、目を逸らすなこっちを見ろよ!!

 

………えぇ~い、鬱陶しいわ! 隙あらば頬擦りすんなよ!! どんだけ好きなの!? …頬擦り。

 

 

 

────────────────────

 

 

 

頭の悪い攻防を繰り広げていたら目的地に着いたみたい、…工場………ではなく研究所? 俺的未知の場所へと連れてこられたっぽい。…俺ってば改造されたりしないよね? …黒髪美人さんだから否定出来ない俺の考え。久々にビビっていると、奥から人がこちらへ駆け寄ってくる。

 

何か白衣を着たおっさん、黒髪美人に挨拶をしたかと思ったら俺を見てめっちゃ驚いてる。

 

「この子が『士魂号』の設計者よ、…バーンシュタインの麒麟児と言えば分かる?」

 

と黒髪美人が言えば、

 

「マリ……貴女様お気に入りの!なるほど、それならば納得です!」

 

…だって。

 

俺に説明なしで会話が進んでいる、…でそのまま奥へと連行。…誰か俺に説明プリーズ、…というか襟首掴んで引き摺るのは止めてくれませんかね?

 

 

 

 

 

 

引き摺られている時にさ、通路で会う人が等しく黒髪美人さんに対して丁寧な挨拶をしていくのを見て、…マジでこの人何者!? と思う俺は普通だよね? しかも俺を見ては目を丸くしている、まぁ謎の悪党狂気面少年が黒髪美人さんに引き摺られていたらねぇ~…。そりゃあ気になるでしょ。

 

…とまぁ引き摺られて少し、何か広い空間に出た。そこで数人の技術者っぽい人達に出迎えられ、俺を見るや驚きつつも握手を求められた。

 

「君のお陰で道が拓けた、ありがとう!」

 

とか、

 

「君のような天才と顔が繋げられたこと、この幸運を感謝するよ!」

 

とか色々言われたけれど、俺には何が何やら…。高級車の中で言っていた設計図のお礼、…黒髪美人さんにあげた『士魂号』の設計図が絡んでいたりするのかな?

 

技術者達との邂逅後、黒髪美人さんから、

 

「さぁヴァルター君、あちらを見てちょうだい♪」

 

と弾んだ声で言われた。言われた通り視線を向けてみれば、何か真っ暗な空間が。…うっすらとシルエットが浮かんでいるようだが、…何か見覚えがあるような? と記憶の中を探ろうとした時、パッとその空間がライトアップされた。

 

俺はそこに佇むモノを見て目を剥く。

 

……………嘘だろ!? 率直にそう思った俺は悪くないと思う。大きさや所々の装甲・装備に違いはあれど、あの姿は俺の考えた……ことになっているアレに間違いない!

 

現実的に作れる筈がないと思っていた、故に俺の妄想の中だけに存在していると思っていた。設計図を書いたのだって楽しかったからってーのと、妄想をよりリアルに思い描けると思ったからだし。そして妄想仲間が増えると思い、黒髪美人さんに設計図をあげた。それがこんなことになるなんて…っ!!

 

黒髪美人さんの方へ視線を向ければニコニコしている、…ってことはコレがお礼ってヤツ?

 

………何ていうか、色々と振り回されたりしているけど黒髪美人さん、…アンタ最高だよ! 限りなく原型に近い『士魂号(・・・)』を作り上げるなんてさ、…マジでスゲーよ!!

 

 

 

 

 

 

静かに佇む夢にまで見た『士魂号』の勇姿、俺はそれを見て感激のあまり…もんどりうって倒れた。視界がブラックアウトっす、…人って感激し過ぎるとこうなるんだね。………ガクッ!

 

………何てふざけてみたけれど夢じゃないよね? 天井を見上げてそう思う。…体を張ってふざけつつ夢か否かを確認してみたけれど、めっちゃ全身が痛いから現実であろう。ドロテアの木剣よりも衝撃があり痛いのってどうなの? 受け身をとらないと危険、…それを自身の体で学びました。…何てどうでもいいことを考えてみても、…これは現実であるというわけですな?

 

俺が凄い勢いで倒れた為、周りは大騒ぎだ。黒髪美人さんが顔を覗き込んできて、

 

「…ヴァルター君、大丈夫!?」

 

とかなり心配そうに声を掛けてくれた。…何か申し訳ないっす、自分…全然大丈夫なんで。…と言っても信じてはくれないだろう、医者を呼ばれてもアレだから無事であるとアピールせねば!

 

そんなわけで、ヘッドスプリングをかまして復活した俺。黒髪美人さんを筆頭に安堵のため息、…本当にすみません。でも分かってくれ、それほどにまで驚いたのだよ。

 

 

 

 

 

 

そんなアホなことを開始早々にやらかしたが、それをなかったことにして『士魂号』を見ることにした俺。コイツを作った技術者達に説明を求め、それらを聞いた上で何故か溢れてくる知識を彼等に提供する。これも俺の『開発』『整備』の恩恵なのだろうか?

 

まぁいいとして話を聞く限り、基本はKMFの技術が使われているようだ。人工筋肉も可能な限り再現されとる、…まさかこのような方法で人工筋肉をね。この人達天才だわ、現物も無しに設計図を見てとかって。…だけどそうするならこうした方が良いんじゃないかな?

 

…………互いに『士魂号』へと張り付いては意見を言い合い軽い整備を行う、…より良くする為に。まぁ今回は俺へのお披露目みたいだから軽く…ね、…って黒髪美人さん動かすなよ!? まだ俺とか技術者達がいるでしょうが!!

 

………何? 前回のテストよりパワーが凄い? ……そら当たり前っすよ、整備は重要なんですぜ?

 

 

 

 

 

 

………整備してから思うのも何だけれど、よくもまぁKMFの構造を理解して正確に整備が出来たな? 俺。国がKMFの開発をしているのは両親のツテで知っていたが、…それだけで知識なんざなかった。ぶっつけ本番的な感じだったんだけれどもね? …つくづく自分の能力が凄いと思うよ、………うん。



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第7話 ~操縦させろ!

ーヴァルターー

 

黒髪美人さんによって特派と呼ばれる技術研究所へと連れてこられた俺、そこで『士魂号』を見た。俺の知っている『士魂号』ではなく、『ナイトメアフレーム』…略してKMFの技術で作られたソレを見て興奮しました。…で技術者達と意見を言い合い整備をして、それに黒髪美人さんが乗って……てなことをしまして。

 

 

 

 

 

 

…その日から一ヶ月、一週間に一度は家に帰ってシャーリーちゃん達の相手を。一週間の内で一日だけ、それに対してシャーリーちゃんは俺に泣きついて、ドロテア& モニカには文句を言われる始末。

 

…だが今は、…今だけは許してくれシャーリーちゃん…とその他。俺の夢というか何というか、どうしても自らの手でやりたいことがあると説得。全てが終わったらめっちゃ絡んでやるからと約束し、ほぼ泊まり込みで『士魂号』…KMFの技術を吸収しとりました。

 

現在ある殆んどの知識を身に付けた俺、技術者達に類い稀なる天才と持ち上げられたりした。…そっちだって『士魂号』の知識を既に吸収しちゃっているじゃん? 特派の皆さんも十分天才っすよ。…そんな彼等と『士魂号』をより良いモノへと改修し、それに黒髪美人さんが操縦してテストをするの繰り返し。

 

そんな日々に俺は我慢出来ず、黒髪美人さんを無理矢理降ろして自分が『士魂号』に乗った。実は俺、…あの日見てから一度も操縦していなかったんだよね。乗る前に黒髪美人さんが乗っていたからさ、…俺だって乗りたかったのに!

 

…ってなことでコクピットを奪いました、黒髪美人さんを引き摺り降ろしてね。その時に技術者達が慌てて、黒髪美人さんが顔を赤くして怒っていたけど気にしない。外で俺の操縦テクニックを見ているといい、…俺が一番『士魂号』を乗りこなせるんだ! …たぶん。

 

 

 

 

 

 

『士魂号』から黒髪美人さん達が離れたことを確認し、夢にまで見た『士魂号』という名のKMFを起動させる。コクピット内のモニターに『ファクトスフィア』からの映像が映し出され、周囲の計器に目を向ければ正常であることが分かる。

 

………もうこれだけで感無量ではあるが、今からコイツを俺が動かすのだと思うと興奮する。マニュアルは熟読済み、やれる筈だぞヴァルター・バーンシュタイン! 操縦桿を握って、…ヴァルター行きまーす!!

 

 

 

 

 

 

…自分で動かしてみて実感する、…ああこれはやっぱりKMFであると。普通に歩行するよりも、『ランドスピナー』で滑るように移動した方が機体に合っている。歩行に難があるならジャンプも苦手、ガンパレのように幅跳び前・左・右が上手く出来ない。

 

その代わり『スラッシュハーケン』を上手く使えば壁を容易に登れるし、『ランドスピナー』と合わせれば壁面走行も可能。平面ではかなりの機動力を期待出来る一方、障害物…瓦礫や窪み等の多い場所では行動が制限されてしまう。

 

攻撃面に関しても『スラッシュハーケン』が使えるか? って感じ、…まぁ機体性能を重点的に見ていたわけだから仕方がないわけだが。これを兵器として見るならば、攻撃面…武装の充実が急務となろう。

 

…となれば、黒髪美人さんに渡していない武器の設計図が役立つな。KMF用に書き直さねばならない、…ああそれと動力部を『サクラダイト』に変える改修をしないと。

 

…やることが多いな! …大変ではあるけれどワクワクする、大いにやりがいのある仕事だぜ!

 

 

 

 

 

 

マニュアル通りにKMFの操縦をし、所々で『士魂号』らしい動きをしてみたりと色々してみた。素晴らしい機体ではあるが不満も多い、それらを何とかする為にはやはり人工筋肉が必要か…。既に特派の方々が専門家達を召集している、始まったばかりだからゼロの状態ではあるが大丈夫だろう。時間は相応に掛かると思うけれど、みんなで力を合わせればきっと開発出来る筈さ! 色々と学べば俺の『天才3』に含まれている『開発』が火を吹く、人工筋肉の誕生は時間の問題であると信じよう。

 

色々と考えながら操縦をしてKMF『士魂号』から降りれば、黒髪美人さんを筆頭に俺を見て呆けていた。…どうしたのだろうか? と思えば、

 

「ちょっとちょっとヴァルター君! 初乗りの癖にその操縦テクは何!? …ちょいちょい乗っていた私って一体、…プライドがズタズタよぅっ!!?」

 

と黒髪美人さんが微妙な顔で揺さぶってくる、若干泣きそうなのは気のせいだよね? そんな彼女に続いて技術者達も、

 

「あのような使い方であのような動きが!? 素晴らしいじゃないかヴァルター君!!」

 

と興奮しながら話し掛けてくる。

 

……………調子に乗ってやり過ぎたか? 黒髪美人さんがウザいんですけど!? …くっ付かないでくれますかね?

 

 

 

 

 

 

その後の話し合いでこの『士魂号』は黒髪美人さんのモノに。俺の操縦にプライドが刺激されたようで、彼女の操縦テクニック向上の為に使用するみたい。次点として技術者達の技術を高める為、本当の意味でテスト用…実験機となった。

 

それじゃあ俺はどうなるの? ここまで来てお預けは嫌ですよ? と思っていたらそこは新たに設計図を書き、それを開発してもいいことになった。それはありがたいんだけど、…マジで黒髪美人さんて何者?

 

 

 

 

 

 

………そういうわけで色々と行動を開始したんだけれど、…人が足らねぇ。…だからさ、助手としてシャーリーちゃん達を召集してもいいっすか? …彼女は八歳ですけど優秀っすよ? ドロテアはまぁ…アレだけどモニカはなかなかに。…機密を守れるなら良し? じゃあ問題ないっす、呼ばせて貰いますわ。…とあざっす。



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第8話 ~KMF開発中。

ーヴァルターー

 

数ヶ月前、俺は『士魂号』に乗って華麗な操縦テクニックを披露した。それにより『士魂号』が黒髪美人さんのモノに、そして俺は新たにKMFを開発することになった。開発することになったのだが人手不足、故にシャーリーちゃん達を召集しました。

 

右も左も分からなかったシャーリーちゃん、…がしかし短期間で色々と覚えてくれましたよ。まぁ共に過ごす時間が多かったからな、必要な技能を俺から入手してくれていたんだろう。ステータス値も同世代と比べたら高水準、ハイスペック美少女なわけなのです。そんな彼女のお陰で良い感じ、勿論…他に手伝ってくれている技術者達もいますよ? そんなわけで新しいKMFの開発は順調さ、シャーリーちゃん…優秀ですね!

 

因みにモニカはまぁまぁ出来る、技能レベルが低いからかな? シャーリーちゃんよりは下だね。ドロテアに至っては…脳筋、『開発』等の技術系技能は入手出来ない模様。よってKMFが完成しない限り出番はない、整備とかをさせたら壊すからね。テストパイロット以外に使いようがないのよ、…と言っても乗れるかどうかはKMFがないから分からんけども。

 

『士魂号』は黒髪美人さんのモノだからね、…乗せてくれませんよ彼女は。何かしようものなら威嚇してくる、…子供ですか?

 

 

 

 

 

 

『士魂号』を黒髪美人さんに取られた日、俺の溢れる創作意欲に火が点きまして。『士魂号』もとい人型兵器とKMFの技術、それらを合わせた現状最高のKMFの設計図を数日で書き上げた。直ぐにシャーリーちゃん達を召集し、数人の技術者達も確保が出来たんだよね。

 

その確保した技術者達の大半は見習い、しかしその中には将来有望な人材がちらほらといた。その筆頭がセシル・クルーミーという女性、年上で穏やかな美人さんです。…そんな彼女のことは追々紹介することにして、一致団結…俺の考えた新型KMFの開発が始まったわけなのだ。

 

 

 

 

 

 

俺を中心に現在開発しているKMFは『士魂号』を基準としたモノ、その名は『士魂号』の別名である『ザ・スプリットオブサムライ』から取って『サムライ』とした。実験機の『士魂号』を操縦して感じた不満、それらを解消した新たなる仕様のKMF。これが出来た暁には、陸上において他の追随を許さぬ陸戦最強のモノとなるだろう!

 

『士魂号』にて感じた不満の一つにして最大の不満、それは歩行である。KMFは基本的に『ランドスピナー』による滑走走行が主流、…というかそれだけと言ってもいい。普通の歩行が得意ではなく、平面でなければ自慢の機動力が発揮出来ない。それどころか荒地等の障害物が多い場所では、…残念なことに木偶となるのが目に見えている。

 

戦場を駆る兵器としてKMFを見るのなら、その程度で行動が制限されてしまうのなら欠陥機とされるのは明白。それを防ぐにはやはり歩行を何とかする必要がある、…とのことで『サムライ』はそこを改善した。かなり苦労したけれど、普通に歩行が出来るようになった。瓦礫や窪みも何のその、普通に歩行して乗り越えることが可能に。

 

それだけではなく幅跳びも、ジャンプをも可能にした。…が動力部からのエネルギー循環のことや、脚部関節の耐久度や冷却に関しての数値がギリギリであることから、連続使用はなるべく控えてここぞという時に使用する。…そういうデメリットがあるけれど、このジャンプは『サムライ』の切り札になり得る…と俺は思っている。

 

そして更に隠しギミックと言いますか、見た者は必ず絶句するであろう仕掛けを施した。…ガンパレを知る者ならば、最低でも一度はやったことがあるであろう行動の一つ。

 

…それは『上半身ひねり』である、…あのクセの強い使用が小難しいヤツ。進行方向の真逆に上半身を向けられる行動で、やったことを忘れれば大惨事を引き起こす魔性の技。それを『サムライ』で再現が出来るのだ、故に攻撃方向に死角なし。敵の度肝を抜くこと間違いなしではあるが、下手にやれば機体に多大な負荷を掛けることは確実故に訓練は必須。

 

 

 

 

 

 

移動関連はこれくらいだろうか? …まだまだ組み込みたいモノがあるけど、詰め込み過ぎは負荷になる為泣く泣く白紙に。いずれは『サムライ』を、それ以上のKMFを開発して組み込んでやるぜ!

 

…で武装のことになるが、『スラッシュハーケン』は外すことが出来ない。多目的武装であり、これがなくてはKMF特有のトンデモ走行が出来んのです。使い方次第では相手の行動を潰すことが可能な万能武装、その逆に自らを窮地に陥れる可能性もある諸刃の剣でもあるがね。…その『スラッシュハーケン』は両腕にそれぞれ二つずつ、計四つを『サムライ』に搭載した。

 

後は任意で着脱可能な武装、所謂…武器は現在三つ。それぞれ射撃武器で、『ジャイアントアサルト』『ジャイアントバズーカ』『92mmライフル』の三種である。広範囲に連射が出来る『ジャイアントライフル』は、その凡庸性から『サムライ』の基本装備として期待している。射程が非常に長く威力も極めて高い『ジャイアントバズーカ』は、敵の旗艦や要塞を粉砕出来る程のモノではあるが弾数一の使い捨て。まぁ威力は数値上で実戦ではどうなるやらってヤツ、…もう少し使い勝手を良くしたい。『92mmライフル』は前に設計図で説明したよね? アレだよアレ、もうちょい性能が上がらないかと調整中ではある。

 

後は白兵武装…格闘武器ってヤツ? それに苦戦しているんですよ。『超硬度大太刀』を開発したんだけど、…どうにも納得がいかないんだよね。シャーリーちゃんを筆頭に絶賛するんだけど、俺から見たらまだまだナマクラ。力任せで叩き斬るのではなく、こう…断ち斬るって言うのかな? それを目指したいんだよ。…実物の刀をこの目で見ないとダメなんかな?参考に出来る物が無いから…。

 

………う~む、設計図だけではダメなモノはダメなんだな。勉強になったよ、うん。



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第9話 ~日本へ行くぜ!

のんびり行きます。


ーヴァルターー

 

俺が設計したKMF『サムライ』の開発は順調である、…というかほぼ完成している。後は色々なテストを経て完成、…という判が押せるんだがな。どうにも白兵武装…格闘武器の出来がね、…納得いかんのですよ。

 

『超硬度大太刀』の斬れ味が悪い、それを改善するには見本となる刀が必要不可欠。我らがブリタニアには良い刀の現物がない、あるのは武器というより美術品といったなまくらのみ。…となればどうするか? 日本から取り寄せるのは簡単だ。現物を参考にすれば確かに斬れ味は上がるだろう、しかしそれでは何かが違う。少々真似ただけの紛い物、ほぼなまくらと言ってもいい程の物しか作れない。…う~ん、…ではどうすればいい?

 

………思い悩んだ末にティンッ! ときた。日本に行って刀を鍛錬する様を見れば良いのでは?…と。そうすればきっと、『超硬度大太刀』の斬れ味がハンパないことに。完全にとまでいかなくとも、現物の刀に寄せることが出来る筈。

 

『超硬度大太刀』の完成度を高める為に日本へ行きたい、ダメ元で黒髪美人さんへ訴えてみれば簡単にOKが出た。黒髪美人さんの旦那さんが俺に期待しているとかで、旅費等の費用を全て負担すると申し出てくれたとか。……何と太っ腹で素晴らしいお方だろうか!これはもうお礼を言わねばならない! …と思ったんだけど、忙しいお方のようでそれは叶わないと言われました。……お礼の一つも言えないとは、…無念だぜ!

 

 

 

 

 

 

日本へ行くことになった俺だが、案の定…シャーリーちゃん達も行きたいと言ってきた。だが残念なことにシャーリーちゃんは親からダメだの一言で撃沈、ドロテア&モニカは学校があるからダメってことで轟沈。

 

…俺一人で行くことになったんだけど気になることが一つ、…学校って何? と言えばドロテア&モニカの二人が視線を逸らした。両親にそのことを聞いてみれば、

 

「ヴァルターは学校へ行かなくとも優秀だからと免除になっているんだよ、…親としては鼻が高いね♪」

 

と父が言い、

 

「そうよね、何せヴァー君は色んな方々の期待を背負ったエリートなんだから♪」

 

と母が父の言葉に同意する。…まぁそうであるのなら嬉しいよ? 常々期待を裏切らないよう努力しているし。

 

…でもさ、俺だって学校へ行きたいわけよ。学ぶことが無くとも友達は出来るかもしれないじゃん、…未だに同性の友達はなしどころか嫌われているんだぜ? どうにか接触して悪評を何とかしたいのにその機会がない、故に男友達がががががっ!!? …同い年ぐらいの友達が欲しいんだよ!!

 

…………という切実なる魂の叫びは黙殺された。俺には男友達も青春も必要ないみたい、…機械いじりだけをしていろってか?

 

…ふん、…いいもんね! 特派の年上技術者達や黒髪美人さん、セシルさん達新人技術者の方々と合間に仲良くするから。…というか仲良しだし、…学校なんかクソ食らえだ!!

 

………くそぅ、…くそぅっ!!

 

 

 

────────────────────

 

 

 

青春を奪われた俺は黙々とKMFの開発に勤しむ、…所々でそれなりのイベントがあったりしたけれどもね。…例えばセシルさんの手料理で地獄を見たり、金髪イケメンの兄ちゃんをチェスでボコボコにしたりした。高飛車傲慢美人さんにも絡まれたなぁ~…、上から目線がムカついたから泣かせたけれど。…初めて女性を泣かせたが後悔はない、…どころかその高飛車傲慢美人さんがそれ以降頻繁に顔を出してくる。………ドM?

 

 

 

 

 

 

青春とは程遠いことをしながら過ごしていく日々、家族やシャーリーちゃん達に見送られながら日本へと旅立つ。数日前に、高飛車傲慢美人さんからも無事に帰ってくるようにと強めに言われていたりする。…そのことが若干嬉しかったり、…何て思いながら自分の座席へ。

 

そしてその時に出会いが一つ、

 

「…お前が噂のヴァルターか? ………っとなかなかの面構えだな? …この私を怯ませるとはやるな、…うん。」

 

と隣席の人物が話し掛けてきました。…何かゴスロリっての? そんな格好をした緑髪の美少女が隣席にいてね、俺のことを知っているみたいなんだけど…ビビってない? …俺の顔だとしたら久々だね、………どう対応すべきかね?

 

いつも通りの対応にしよう、…とのことで隣の美少女を無視することにした俺。多少でも恐れがあるのなら関わらない方がいい、今までの経験上それが一番良いと思うからね。その方が面倒事に発展しにくい、こんな面でも平和主義者よ? …つーわけで俺は一眠りします。日本に着いたら即行動だからな、刀のヒントを得る為の短期旅行が待っている。

 

 

 

 

 

 

…………目を閉じて暫く、隣のゴスロリ美少女に起こされた。何なんですかね? 君が俺にビビっているから気を利かせて寝ようとしていたのに。怪訝に思っていると美少女が、

 

「先程の私の態度は謝る、…謝るから無視をするのだけはやめてくれ。お前…ヴァルターと私は日本で共に行動するんだぞ? …よってこのまま無視をされたら、…日本での行動が地獄になる。…だからその、…日本へ着くまでの話し相手になってはくれないだろうか?」

 

とか言うじゃないですか。謝るも何も俺が勝手に対応しているだけだし、そこまで必死にならなくても…。

 

…………………というか待てゴスロリ美少女よ。共に行動するとはどういうことだ? 俺はこれから一人旅をする予定なのだが? と問えば、

 

「…お前の名はヴァルターなのだろう? …であれば間違いない。お前と旧知である黒髪美人さんだったか? 彼女にお前を紹介されたのだ。そして共に気晴らしでもしてこいとな、…理解したか?」

 

とか言ってくるじゃないか。

 

………初耳だよ!! 何一つ聞いてないんですけど!? 驚愕する俺に、

 

「彼女が言っていたよ、お前は女に対して鈍感が過ぎると。…よって経験豊富な私が女の何たるかをお前に教える、…それはもう色々とな。」

 

とかってドヤ顔をしてくる、…同世代っぽい癖に何を言っているんだ? コイツは。

 

…だがまぁ考えようによっては良いことなのか? 見知らぬ者とはいえ美少女、経験豊富には…見えないけれどもな。とにかく青春青春騒いでいた俺に対し、旅行で青春を感じろという黒髪美人さんの配慮になるのか? …俺としては仕事で日本に行くわけで、そこへ美少女が加わり二人旅となれば? 同い年っぽいしな彼女、………修学旅行っぽい?

 

………………と考えれば何か良いかもしれないな、一人寂しく日本を廻るよりも。例えKMF関連の為とはいえ、一人よりも二人か?

 

 

 

 

 

 

大いに悩んだ結果受け入れた、…というか拒めないだろ。俺も彼女も既に大空の上、拒んで彼女を日本に捨て置くのは外道だし。…彼女は俺に対して苦手意識があるっぽいが、俺は大海が如き深い懐で受け入れようじゃないか。…どうなるか分からんけど今回はよろしく! …名前は? …シーツー? …変わった名前なんだな、うん。




高飛車傲慢美人さんとは誰なんだ!?


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閑話 ~マリアンヌから見たヴァルター。

のんびり投稿。


ーマリアンヌー

 

ヴァルター・バーンシュタイン、この名を知らぬ皇族・それに準ずる者はこのブリタニアにはいない。幼き頃より頭角を出し始め、国の中枢にいる者達は彼に注目している。中枢にいる者達からの評価は以下の通り………。

 

────────────────────

 

武を司ると言ってもいいナイトオブワン、帝国最強の騎士と称されるビスマルク・ヴァルトシュタインは、

 

「マリアンヌ様との組手を遠目で見たが、…末恐ろしいの一言。彼が青年と呼べる歳になった時、…その時には私をも越えているであろう。願うならば私も一つ手合わせをしたい、…だが流石に私が出てしまえばマリアンヌ様を認識せねばならなくなる。非常に残念ではあるが将来に期待しよう、私は彼…ヴァルター・バーンシュタインのラウンズ入りを心待ちにさせて頂く。」

 

と笑みを浮かべて言ったのよ。…彼を一番知っていると自負する私もそう思う、既に私を打ち負かしているのだから当然と言えるわね。まぁその時に一戦を交えれば流石のビスマルクも瞬殺されるだろうけれど、…ナイトオブワンでもヴァルター君には勝てないわ。何故ならビスマルクは私を完封出来ないでいる、能力(・・)を使わずに完封出来ない限りヴァルター君を倒すのは無理よ。

 

そういえばヴァルター君てばビスマルクに何処と無く似ているわね、性格が…と言うより強面な所とか特に。このまま成長したらたぶん…ラウンズ入りをする、…帝国の二大看板になるのは確実よね。仏頂面のビスマルクに狂気面のヴァルター君、………その中心にあのシャルルでしょ?

 

………この三人が目立つ神聖ブリタニア帝国、…どう考えても悪の帝国にしか見えないわ。…となればこれはアレよ、ヴァルター君のラウンズ入りの際には見目麗しい女子を数人入れなきゃ緩和されないわね。…まぁ彼の周囲には強い娘達がいるから何とかなる、…一人は庶民だけれど能力が高いから関係ないし。

 

ラウンズ入りをしたらヴァルター君、ルルーシュやナナリーの騎士になってくれないかしら? 彼がなってくれたら安心するし、私としても嬉しい。…でもそれを狙うのは現状難しいわね、何せ彼を狙っているのはあのギネヴィアなのだから。能力的に若手No.1で生粋のブリタニア人、優秀過ぎるが故に目を付けられた。平等を愛するヴァルター君と純血以外を認めないギネヴィア、水と油の関係だった筈なのに最近はちょっと…。あのギネヴィアが私と同じように身分を偽って会っている、…それはもう頻繁に。性格も多少は穏やかになったような? …ということは、彼女も知らぬ内に囚われてしまったのかしら?

 

────────────────────

 

いずれ知を司ると言われている第二皇子、シュナイゼル・エル・ブリタニアは、

 

「身分を偽り二度、二度…彼とチェスで勝負をしたことがあるんだ。…認めたくはないが完敗したよ、もう…手足も出ずにね。あそこまで読めない表情と思考、素早く繰り出される手の前に翻弄され続けてしまってね。初めて人に恐怖し冷や汗というものを体験したよ、…彼とはもうチェスをやりたくはない。

 

私という存在が彼に侵される…ような気がしてね、…彼は本当に恐ろしい男だよ。………いずれは彼と私、…避けては通れぬナニカがあるような気がする。私としては、そのような未来が訪れないことを願うけれどもね。」

 

と言わせたのだから。…私もその場面に立ち会ったけど、引きつり笑いのシュナイゼルを見たのは初めてだったわ。

 

シュナイゼルの言った彼に侵される…という表現、わたしにも分かる気がするのよね。ヴァルター君に深く関わったら最後、何処までも見ていたくなるの。彼はこれからどう動くのか、どんな反応を見せてくれるのかなって。そして何より、自分自身の根本…と言えばいいのかしら? それが塗り替えられるのよね。以前の私は嘘を嫌っていたけれど、優しい嘘があるってことを知ってからは嘘も使いようだって。それに嫌われ者であることも然程気にならなくなったし、…ヴァルター君は私以上に嫌われているからね。それを見ているから気にならなくなったんだと思う、…彼は本当に強い子。…心の中までは分からないけれど、外面は…いつもの狂気面ポーカーフェイスだもの。

 

それにたぶんだけれど、彼は私の正体に気が付いている。…気が付いているのにあえて知らないふり、私のことを考えて…優しい嘘。だからこそあの時、私がいると気付きながらも私を称賛した。嘘を吐きながら彼なりの激励、皇室で嫌われている私に対しての。

 

知らないという嘘を吐きながら気遣ってくれている、…鬱憤とした気持ちを自分といる時ぐらいはって。私の正体を知っていながらも尚、この私に茶々を入れては絡んでくるのだと。…正直嬉しいのよね、そういうの。彼以外の人達も気遣ってはくれるんだけど、…結局は皇族扱い。ヴァルター君は貴重よ? 私を普通の女性として扱ってくれるんだから。

 

考えれば考える程、ヴァルター君をルルーシュとナナリーの騎士にしたい。…もしくはナナリーの許嫁っていうのもアリかな? …難しいかしら? ……ルルーシュが反対しそうね、…シスコンだし。いえ…その前に、ドロテアとモニカが噛み付いてきそうね。…まぁ二人以上にギネヴィアが口を挟んでくるかも、ヴァルター君は私にこそ相応しい…とね。シャーリーちゃんはまだ幼いからね、…自覚にはもう少し掛かると思う。

 

………こうして考えてみると、ヴァルター君てばモテモテよねぇ~。逆に男友達が一人もいないってことには泣けてくる、…特派の技術者達は男友達とは言わないもんねぇ。…まぁその内運命の出会いがあるでしょう、男友達と巡り会う為に使うような言葉じゃないけれどもね。

 

────────────────────

 

ブリタニア帝国皇帝であり愛する夫シャルル・ジ・ブリタニア、彼もまたヴァルター君を気に入っている。

 

「ヴァルター・バーンシュタインという強烈な個を持つ男は他を圧倒する、彼の者の存在により競争と進化が加速する! くだらぬ嫉妬や陰口だけを吐く者は無価値、逆にその存在で奮起する者こそが価値ある者! 目指すも良し、競うも良し、打倒せんとするも良し! それこそがワシの望む展開、…その個はワシをも飲み込むか? …久々に滾るぞヴァルター・バーンシュタイン! さぁ…、ワシの下まで駆け抜けて見せよ!!」

 

と大絶賛したのには驚いたわ、…顔を合わせたこともないのに。

 

彼に関わった者達からの話、そして噂のみで彼をそう絶賛したのだからシャルルは規格外よね。現にシャルルの発言以降にシュナイゼルは負けた。更にあのギネヴィアまでもが少しだけ丸くなった、…というか純血だけで見ることがなくなった。ヴァルター君に負け陰で口汚く罵倒する純血派が多く、奮起する者があまりにも少ないことを知ったから。無能っぷりを見せられたらね、…流石の彼女も考え方を少しだけ変えざるを得ない。

 

そしてKMF開発においても特派を若くして引っ張っている、停滞していたKMFを進化させている。先見の明がありすぎよシャルルは、…そして彼に対する評価が嬉しくもある。何せ私が一番先に見出だしたんだから!

 

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…とまぁ以上がヴァルター君の評価、途中私の願望とかが入っているけれど予想通りの高評価ね。それ故に私を含めたブリタニアの中枢に注目されるなんて、…御愁傷様としか言えないわ。自重なしにやらかすヴァルター君が悪いと言えるし、気に入ったからと彼にちょっかいを出し続けた私も悪い。

 

 

 

 

 

 

そういえば話が変わるけど、ヴァルター君…日本へ行きたいとかって言ってきてたわね。KMF武装の刀を更に研き上げる為だとか言っているけど、方便…と見るべきね。聞く所によると日本人は武人気質の者が多いらしい、一庶民でも磨き上げれば一級品になると彼のメモに書いてあった。故に本当の目的は人材の確保、青田買いをする為ね。

 

何故そんなことをするのか? と考えれば簡単なことだ。ヴァルター君に興味を持つ者は多いけど、味方と言える人は? と考えれば少ない。バーンシュタイン家に連なる者、三人娘に特派、そして私ぐらいしかいない。ギネヴィアは現状…まだ判断しかねるし、ビスマルクは立場上難しい。…ほら、少ない。庶民と軍人には人気があるようだけど、…力があるわけではないからね。基本的に貴族、特に同世代と年上世代の同性に嫌われている。その強さと共に三人娘を侍らすいけ好かない奴、多くの嫉妬をその身で受け止めている。…全く気にしている素振りがないけれど、…メンタル強すぎ。

 

ヴァルター君は純血でありながら他人種を重用しようとしている、そんなことをすれば純血派の貴族達は…。ギネヴィアも複雑でしょうね、声を上げるは純血派の無能達なのだから。それらを考えながら気付いてしまった、彼は今回のことを機に国内の名誉ブリタニア人を取り込む気だと。どんなに能力があろうとも重用されない名誉ブリタニア人、燻っている彼等を取り込んで新たな派閥を作ろうと? 言うならば混血派。

 

純血に重きを置くこの神聖ブリタニア帝国にて、まさか混血派を作ろうと考えるなんて何という反骨精神。確実に敵が増えるわね、…けれどそれはシャルルの望むこと。彼を中心に争いが始まる、そして勝ち上がった者だけが先へ進み全てを手に入れる。弱肉強食こそが全て、…ヴァルター君はシャルルの下を目指していると見えるかな。即ちラウンズ入り、圧倒的な個を持って堂々と。…であるとすればシャルルが気に入る筈だわ、それを嗅ぎ取る嗅覚は流石ね。

 

 

 

 

 

 

そうであるのなら私も協力…しない方がいいか、下手に手を出して邪魔をしちゃ悪いもの。そこら辺の分別はあるのよ? 私にだって。とりあえずOKを出して旅費ぐらいは出してあげよう、名義は旦那様でいいわね。…後はいいかな? って思ったんだけど、耳に届いた『青春したい!』という言葉。そういえば私が彼の学校入りを免除、無くしたんだっけ?

 

そういうことで、毎日暇そうにしていたあの娘を送り込んでみたけど大丈夫よね? あの娘自身もヴァルター君に興味を持っていたし。まぁ彼のことだからあの娘と仲良く出来るでしょう、…これがきっかけであの娘も少しは笑うようになればいいんだけど。

 

彼女を送ったせいで、

 

「…ヴァルターの下へ女を送り込んだと聞きました。何処の下女を送り込んだかは知りませんが、…余計なことをしてくれましたね?」

 

ギネヴィアに物凄く絡まれた。…私への好感度がまた下がった、元からそんなものなんてないけれど。…まぁ自業自得かな? …なんて。




…高飛車傲慢美人さんはギネヴィアでした。

彼女はリメイク前だと名前だけの登場でしたね。


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第10話〜日本は素晴らしい!

久々に投稿。


ーヴァルターー

 

日本へ向かう途中、空の上でシーツーという名の美少女と知り合いました。彼女曰く、黒髪美人さんからの紹介らしいけど俺は聞いてない。…がしかし、旅は道連れ世は情けと言うからな。これも青春の1ページと割り切ろう、…自身を経験豊富な女と言っているのが気になるけれどもね。

 

それでも一人旅よりは二人旅、その相手が美少女であればなおさら。会って間もないからどんな人物かは分からない、分からないが楽しみであると言い切れる。そんなわけで、仕事のついでにデートと洒落こみますか!

 

 

 

 

 

 

若干の期待を胸に日本へ入国した俺とシーツー、とりあえず刀についての情報を集めよう。そう思い至った俺は人の集まる場所、繁華街を目指すことに。そこへ行けば人が沢山いるから情報収集には最適、仕事をきっちりとこなさなければ。…と思っていたんだけれど、ここで一つの誤算があったんよ。俺の精神というか本質というか、日本人であることを忘れていた。

 

何を言いたいかと言うと、目的を忘れて日本を楽しんでしまいました! …繁華街にて馴染み深い光景を目の当たりにし、テンションが上がってしまったんよ。そうなったら止められない、戸惑うシーツーの手を握って遊びまくりました。ゲーセンの懐かしいこと! カラオケにて熱唱! 寿司すき焼き天ぷら等の日本食! ハンバーガーやピザ等のジャンクフード!

 

今日体験したこと全てはブリタニア本国に無いものばかり、シーツーも俺の手を振りほどくことはしなかった。それ即ちシーツーも楽しんだってことだろう、ピザ屋で貰ったチーズくんキーホルダーを大切に仕舞っていたし。最初は俺にビビって警戒していたのに、僅かな時間で俺に気を許したっぽいのは正直嬉しい。

 

 

 

 

 

 

その後も目的を忘れて日本各地を回ったよ、北は北海道から南は沖縄まで。各地の名所を巡り、思い出にと写真を取りまくったりした。それぞれ各地の名物を食べ歩こうかと思ったんだが、シーツーがピザを大層気に入ってしまってね。この旅行中、…毎日ピザを食べるハメに。旅行中にピザって何なんだろうね?…まぁご当地ピザなるモノがあったから良かったけれど、…シーツーもニコニコだったしね。

 

毎日ピザを食べていたから貯まったよ、そりゃあもうポイントカードが埋まる程に。その貯まったポイントは彼女のお願いを聞いてぬいぐるみに、期間限定のチーズくんぬいぐるみのペアである。俺がメスっぽいヤツでシーツーがオスっぽいヤツ、…普通は逆じゃね? …と思ったんだが、頑なに交換しようとしないんで諦めた。

 

旅行中もそのぬいぐるみを大事に抱き抱えていたし、俺にもそれを強要してきたし。…シーツーはいいよ? ゴスロリ美少女だから、…俺はシュールだよ? 狂気面だから。日本人の視線が気になるけれどシーツーが笑顔ならそれでいい、…せっかくの旅行だし俺自身も楽しいし。

 

 

 

 

 

 

最終的に日本一周旅行となったわけだが、その途中で愉快な仲間が増えた。二、三歳年上の奴等なんだけど、とある名所にてたまたま関わり馬が合ったってわけ。

 

頭の悪そうな調子の良いイケイケ野郎こと玉城真一郎、時折見せる鋭い視線が気になるぽややん男こと速水厚志、行動や言動が少々残念な美人こと工藤百華、常に笑顔の元気一杯な病弱美少女こと結城火焔、個性的な四人をまとめる超真面目な実直男こと永野英太郎。

 

この五人の日本人達と意気投合をしたんだけれど驚いた、玉城のことは知らんが他の四人はガンパレとガンオケのキャラじゃん!? 何故に存在するのかと考えて…止めた、どうせ『ご都合主義』が発動しているんだろうと結論付けて。

 

彼等と共に行動することになったんだけれど、どうにも気になったから聞いてみたんだよ。君達五人はどういった関係なんだい? …と。そうしたら五人は孤児院出身の仲間で、最後の思い出作りに日本一周旅行をしているんだとか。何でも彼等の孤児院は日本政府の手により潰されることになるとかで、それに伴い彼等の兄貴分と親父分が費用を出してくれて…ってことらしい。

 

君らの兄貴分と親父分?…って〜のは太っ腹だね? …日本一周旅行つったら旅費もハンパないだろうに。立派な二人なんだね? って言ったら嬉しそうにしていた、…相当にその兄貴分と親父分のことを慕っているんだろうな。

 

…でこの旅行が終わり次第、玉城達五人はこの先離れ離れになるようで。まだ未成年だから仕方がないことと割り切り、この旅行を思い出にそれぞれの道へ。別れが待っているのに笑ってら、…友情っていうのは素晴らしいね。

 

俺にはシャーリーちゃん達がいるけど、…友情とは違うと思う。だからこそ羨ましい、彼等の友情という繋がりが。何つーか対等っての? …俺もそういう繋がりが欲しいぜ。

 

横目でシーツーを見てみれば、眩しそうに彼等を見詰めている。繋がった手を強く握ってくることから、彼女も俺と同じように彼等を羨んでいる…ってことなんだろう。



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第11話〜仲を深めたぜ!

ーヴァルターー

 

日本へ上陸した俺は、テンションの赴くままにシーツーと日本一周旅行を楽しむ。その道中で知り合い意気投合した日本人の五人組、これも何かの縁ということで行動を共にすることとなった。その中で彼等の友情が美しく見え、俺とたぶんシーツーもその繋がりを羨ましく思った。…これって嫉妬になるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

その関係を羨みながら、俺とシーツーは彼等と共に旅行を楽しんだ。シーツーと二人だけの旅行も良かったが、彼等との集団行動もかなり楽しい。俺…学校へ行ってないからなぁ、…ドロテア&モニカはこんな感じで青春をしているのだろうか? そうであるのなら本当に羨ましい。…こんな機会に巡り会えたのは黒髪美人さんとその旦那さんのお陰、シーツー共々感謝感激っす。

 

 

 

 

 

 

旅行中のことなんだが、玉城が俺に対して物凄く馴れ馴れしいんだよね。とにかくコイツは肩を組みたがる、他の四人よりも俺と…。後は何故かシーツーに絡む、俺をだしに使って色々と。…まぁ俺はぶっちゃけ嬉しいからいいよ? 男友達がいないからさ、それぐらい馴れ馴れしい方がいい。それにことあるごとに俺を親友ってさ、玉城が俺のことをそう言ってくれたんだよ。それを聞く度に嬉しくて嬉しくて、…嬉しすぎて涙が一筋流れちまったわけ。それを見たのはシーツーだけ、…二人だけの秘密だぜ?シーツー。…俺のキャラじゃないからな、…うん。

 

俺はいいけれどシーツーは嫌そうにしていた、ほんと…凄く鬱陶しそうに。でも拒絶はしていない、していないがキレて追い払っていたりする。追い払った時に限って若干顔が赤い、具合でも悪いのかと覗き込めば逃げる。…何で逃げるのか?その理由を百華が教えてくれた。玉城がシーツーを『ヴァルターの奥さん』とからかっているらしい、…俺の奥さん?…そりゃあシーツーに失礼じゃない?シーツーみたいな美少女が狂気面の俺と釣り合うわけがない、彼女には爽やかイケメンが良いと思うよ?と言えば百華が呆れ顔で、

 

「…ヴァルター君は乙女心が分からないのね?シーツーは恥ずかしいのよ、からかわれた後に顔を見られるのが…。」

 

だって。HAHAHAHAHA!俺が乙女心を理解出来るわけないじゃん!!…とヘラヘラしてみたが、俺も顔を熱くしていたりする。百華の言葉を考えてみたら察することが出来たよ、…少なからずシーツーが俺に好意を抱いてくれているってね。

 

それ以降…乙女心というのが分からん俺、分からないなりに少しだけシーツーを気に掛けてみた。シーツーは何故か呆れるばかり、

 

「…ヴァルター。お前…レディーファーストを介護と間違えていないか?」

 

…だって。…色々と注意を促しながら先導することがレディーファーストじゃないの?相手を思いやっているんだよ?…みたいなことを普通に言ったら、

 

「…その思いやりという気遣いを言葉に出すな!」

 

と怒られた。怒った本人はニヨニヨしているから、行動はまぁ…間違っていないんだと思う。…でも言葉にしなければ伝わらないんじゃないの?よく分からない、要勉強ってことだな!

 

 

 

 

 

 

俺とシーツーのことは置いといて…だ、色々と絡むことによって玉城達五人と更に仲良くなった。改めて言うが玉城は馴れ馴れしい、だが俺としては一番好ましい男と言える。他の四人も良い奴等なのだがこの顔のせいか多少の遠慮がある、…が玉城にはそれがない。俺はそれで救われたような気がしたんだ、…特派には男の同僚はいるが男友達はいなかった。男友達とバカをやるのが俺の夢の一つだったんだ、それが玉城のお陰で叶っているんだよ!…最高の男だぜ、玉城真一郎!!

 

速水はぽややんとしていて癒し担当だ、間の抜けたことを呟いたりしては皆を呆れさせる。…がたぶんそれは計算であると思う、どうにも変な空気になるとやらかすんだよね。場が和んだ時とか頻りに頷いているし、…俺がそれを見たことに気付くと笑顔を向けてごまかしてくる。…胡散臭いけど必要だよね? こういう奴ってさ。

 

百華は美人である、…性格も悪くはない。人をからかったりすることが好きっぽいが、黒髪美人さんで慣れているから特に気にすることもなし。本当にいい女ではあるのだが恥じらいがない、俺の目の前で普通にスカートをバタつかせる。床に座ることになれば胡座をかく、パンツが見え隠れしても気にしないっぽい。…他にも色々あるが全体的に親父臭い、…コイツの将来が心配なんだけれど?…というかシーツーの件から距離が近くなった気がする、俺がシーツーに睨まれるんですが?

 

火焔はとても元気だ、落ち着きがないとも言うけれど。しかし不快ではないんだよね、逆に見ていて元気になるというか気持ちがいいぐらい。…がはしゃぎ過ぎると地に伏して動かなくなる、驚くことに彼女は病弱なのだ。孤児院出身が故にロクな治療も受けられず、現在…長くは生きられないと宣告も受けている。それでも悲観することなく生きる様は美しい、…何とかしてやりたいがどうだろう?特派には色々な専門家がいるからね、何とかなりそうじゃない?

 

永野は真面目だ、常にルールを守ろうとする。暴走する玉城と火焔を本気で説教をするし、百華の恥じらいのなさに毎回怒髪天を衝く勢い。速水には苦言だけ、…にしてもこの手の奴は大体嫌われる傾向にある筈。なのにそうならないのは確かな絆があるから、皆を想ってのことだから。…それが分かっていながら改めない四人が凄いのか、諦めない永野の真面目さが凄いのか。

 

 

 

 

 

 

この旅行中に五人の性格や行動がある程度分かった、そして思うことはただ一つ。…大事にしたい縁であると、出来るならブリタニア本国へ来てくれないかなぁ~…なんて。



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