ハピネスチャージプリキュア~断罪のキバ~ (紅 幽鹿)
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序曲

 現在、地球はクイーンミラージュ率いる『幻影帝国』、人々が持つ『ライフエナジー』を捕食する『ネオファンガイア』、『コズミックエナジー』と言うエネルギーを宿した怪人『ゾディアーツ』、人々の絶望から生まれる怪物『ファントム』に侵略されていた。

 しかし、侵略する者がいれば、守る者もいる。

 人々の幸せと平和を守る戦士達『プリキュア』と『仮面ライダー』

 彼らと彼女達の存在は世界へと認知されており、少年少女達の憧れの存在だ。

 しかし、まだ世界は知らない……。世界で認知されず、影から人々を守る仮面の戦士がいることを……。

 

~~~~~~

 

~~~~~~

 

 時間は夜。

 人が眠り、人ならざる者が活発に動き出す時間帯……。そんな時間に若い男性と女性が人目の付かない路地裏にいた。

 若い男女が路地裏に……思春期の男子が想像しやすそうなシチュエーションだが、そんな事は起きていない……。

 男性の顔にはステンドガラス模様が浮かび上がっており、女性の体はガラスのように透き通っていた……。

「ふぅ~、やはり若い女のライフエナジーは格別だ」

 男は舌なめずりをしながら言うと、足元にある女の抜けがらを一瞥し、その場から去ろうとする。

 だが……。

 カツンカツンと足音が聞こえ、男は足音が聞こえた方向を見ると、その顔を青褪める。

 男の視線の先には、蝙蝠を模した仮面と血の色のような赤色と銀色の二色で出来た鎧、腰にはベルトが巻かれており、ベルトの中央には赤と銀色、二色の蝙蝠が逆さまの状態でベルトに付いており、ベルトの左右に3つずつ、その下にチェーンのように繋がっているホルダーには7つ笛が取り付けられてる。

 その姿を見た男は青ざめたままだが、顔にステンドグラス模様を浮き上がらせると、ネズミに似たステンドグラス模様の怪物『ラット・ネオファンガイア(以後、R・NF)』に姿を変える。

「な、何故だ?!何故、『断罪のキバ』である『ヴィクト』が此処にいる?!」

 R・NFは戸惑った様子で、ヴィクトと呼んだ存在に問うが、ヴィクトは腰にある笛……『フエッスル』を一つ取り出し、ベルトの中央にいる蝙蝠に吹かせる。

「ウェイクアップ!」

 蝙蝠からそのような声が聞こえ、ヴィクトの足に『魔皇力』が溜まり始める。

 R・NFは戸惑いながらも、ヴィクトから逃げようとするが、既に遅い行動だった……。

 足に魔皇力が溜まったヴィクトは跳び、飛翔する。

 そして、空中で蹴りの態勢に入り、逃げようとしたR・NFに直撃させ、蹴りが直撃した瞬間、R・NFの体を利用して前宙を行い、踵落としをR・NFに喰らわす。

 ヴィクトの必殺技『デッドペナルティブレイク』を喰らったR・NFはガラスのように砕け散り、R・NFから出てきたライフエナジーは何処かに飛び去って行った……。

 ヴィクトはR・NFの残骸を見つめ……。

「貴様がファンガイアの法を破った『ネオファンガイア』だから、断罪しただけだ」

 そう呟くように言ったヴィクトは、また闇の中に消えて行った……。

 

 



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誕生・キュアラブリー

 まだ、太陽がある明るい時間帯。

 とある場所で、一人のプリキュアと『サイアーク』が戦っており、その光景を見ている二つの影があった……。

「おいおいプリンセスの奴、逃げてばっかだぜ~」

「………」

「無言かよ、ヴィクト」

 赤と銀色の二色の蝙蝠が、ベルトに逆さで止まった状態でプリキュア――キュアプリンセスの逃げ足っぷりを見て、呆れたような声色で言い、ヴィクトは無言でプリンセス達を見ている。

「ヴィクト、助けに行かなくて良いのかよ~結構、ピンチそうだぜ」

「だが、クライム。今、助けに行っても彼女の成長の為にならない」

「けどよ~、見てみろよ。ほれ」

 ヴィクト達の視線の先には、自分の技が直撃した筈のサイアークが無傷だったことに、プリンセスとそのパートナー妖精――リボンが茫然としている光景だった。

「まずいっ!」

「結局、こうなるのね~」

 その光景を見たヴィクトは、ビルから飛び降り、プリンセス達の方に向かって行った……。

 

~sideout~

 

~sideプリンセス~

 

「やりましたわ!全戦全敗のプリンセスが、ついに勝ちましたわ!!」

 私はリボンの言葉に頬を膨らませるけど、初めての勝利と言う事実に顔が笑顔になっていく。だけど……。

「「え?」」

 無傷のサイアークの再登場に私の思考は停止して……。

「サイアァァァァク!!」

 サイアークの放ったビームを避けることが出来ず、ビームは私の目の前まで迫り、ビームが直撃しそうになる瞬間……。

「メガルシールド!」

 声が聞こえて笛の音が鳴ったかと思うと、目の前に灰色の巨大な盾を持って、サイアークのビームを弾く、仮面ライダーが立っていた。

 あ、いつも助けてくれる人だ……。

 目の前のいる人は、何時も私がピンチの時に助けてくれる仮面ライダーだった。

「大丈夫か、プリンセス?」

「あ、はい!」

「そうか、良かった」

 彼は持っていた盾を地面に突き立てると、サイアークの方に向き直った。

「また邪魔をしてくれましたね。貴様、一体何者だ!」

「貴様に名乗る必要など無い……さあ、断罪の時間だ」

 彼は拳法家の様な構えをして、サイアークに向かっていた。

 

~sideout~

 

~sideヴィクト~

 

 俺が構えると、サイアークが拳を振り下ろすが、俺は拳の勢いに逆らわずに、向かってきた拳を受け流すと同時にサイアークの懐に入り、サイアークに掌底を放つ。

サイアークは後ろによろけるが、すぐにパンチとキックの連打を放ち、俺はその全てを受け流す。

「何をしているサイアーク!」

 幻影帝国幹部の一人、ナマケルダがサイアークに怒鳴り、サイアークは先程より速いパンチを繰り出すが、それを受け流し……。

「さ、サイアァァァク!」

 俺が先程突き刺した盾にサイアークの拳が直撃し、サイアークは拳を抑え、痛がる。

 サイアークが殴った盾は、俺が契約している『ドラン族』の一匹――アイツは人間態に化けれるから一人か?――メガルが盾になった物で、ただでさえ硬いドラン族の中で一番の強硬な鱗を持つアイツが変形した盾だ……。痛みは凄いだろう……。

「さて、後はアイツに任せるか」

 直後、サイアークに何者かが跳び蹴りを放ち、喰らったサイアークは吹き飛んで行った。

「なかなかナイスなキックだ」

「キュアフォーチュン?」

 蹴りを放った人物――キュアフォーチュンと蹴りを褒めた彼女のパートナ妖精、ぐらさんの登場にプリンセスは驚き、俺はその場から少し離れる。

 フォーチュンは、プリンセスを一瞥するとサイアークに向かって駆け出す。

「ハァァァァァァァ!」

 フォーチュンは腹に一発パンチを喰らわせるとそのまま連打でパンチを喰らわせる。

 さて、俺も手伝うか……。

 俺は銀のキバの紋章を模した波動結界を足元に出現させ、それをサイアークの足元に移動させ、サイアークを拘束する。

「やれ、フォーチュン」

「OK!星の力を聖なる力に、ラブプリブレス!」

 フォーチュンはラブプリブレスのダイヤルを回す。

「プリキュア!スターダストシュート!!」

 両手を上げ、紫の星型のエネルギー弾を出現させ、パンチでサイアークに向かって放ち、エネルギー弾が直撃したサイアークは空中に浮く。

「星よ、天に帰れ!」

「ゴクラ~ク」

 フォーチュンによってサイアークは浄化され、その直後、ナマケルダによって鏡に閉じ込められていた女性も解放される。

「キュアフォーチュン、仮面ライダー、次はこうはいかないよぉ。さらば」

 そして、ナマケルダはその場から去って行った……。

 

~~~~~~~

 

~~~~~~~

 

 ナマケルダが去った後、女性とフォーチュンは握手を交わしていた。

「助けてくれてありがとう、キュアフォーチュン、仮面ライダー!」

「幻影帝国は心の隙をついてくるわ」

「気をつけるんだぜ」

「はい、頑張ります!」

 フォーチュンとぐらさんの言葉を聞いた女性は、物凄く良い笑顔で返事をしてから去って行った……。おい、プリンセスにも感謝しろよ。

「これは、かっこいい笛のパワーを感じるぜ。ハ、ハ……こしょこしょしてくれ」

 女性が去った直後、ぐらさんに異変が起こり、フォーチュンはぐらさんに言われた通りに鼻を指でくすぐる。

「アハハハハ、はぁっぷしょん」

 くすぐられたぐらさんが可愛らしいくしゃみをすると、二枚のカードが出現し、ぐらさんはそれをカードフォルダーの様な物に入れる。

「………」

「おい、ヴィクト。どうして俺を見る?」

「いや」

「俺をくすぐっても何も無いからな」

「………」

 ばれてたか……。そんなやり取りをしていると、フォーチュンが近付いてきていた。

「いつも悪いわね」

「………」

 フォーチュンは俺と握手をしようとしているのか、手を出してきたが、俺はその手を握らなかった……。

「……そう」

 フォーチュンは一瞬、悲しそうな表情をするが、すぐに元の表情に戻る。

「あの……フォーチュン。助けてくれて……ありがとう!」

 そんな中、プリンセスがおずおずとした様子で声を掛けてきたが……。

「勘違いしないで!」

 フォーチュンは翼を生やすと、空に飛び上がり……。

「私はあなたを助けたんじゃない!世界にサイアークが溢れたのはあなたのせいよ!私はあなたを許さない。絶対によ!!」

 そう言ってフォーチュンは飛び去って行った……。おい、何か俺の時と態度違くね?てか、プリンセス泣いちゃってるじゃないか!!

「おい、ヴィクト」

「……分かった」

 クライムに促され、俺もその場から去ろうとすると……。

「あ、あの仮面ライダーさん!」

「……何だ?」

「い、いつも助けてくれてありがとう!な、名前を教えてください!」

「……ヴィクト。『断罪のキバ』の仮面ライダーヴィクトだ」

 俺は名前を言ってから、その場から立ち去った……。

 

~sideout~

 

~side三人称~

 

「強いぞプ~リキュア、む~てきだ、わっしょい!サイアークなんかにゃ、負けないぞ~イェ~♪」

 髪と瞳が赤色で学制服を着た少女――愛乃めぐみが楽しそうに歌うなか、めぐみの少し後ろではめぐみと同じ学生服を着ている、髪と瞳が明るいブラウンの少女――大森ゆうこが微笑みながら、髪と瞳が黒色の少女――紅かりんが呆れたような表情で見ていた。

「めぐみちゃんの心の歌、最近プリキュアが多いね」

「ホント、良く飽きないわね~」

 二人とも表情は変えずに言った。

「だってかっこいいんだもん!ゆうゆうとりんりんもそう思うでしょ?!」

 目を輝かせながら言うめぐみにゆうこは頷き、かりんはめぐみのテンションに若干顔を引きつかせる。

「あ、でも、仮面ライダーもかっこいいよ!」

 めぐみは若干顔を引き攣らせているかりんの顔を見ながら言い、かりんはめぐみの言葉を聞くと頬を少しだけ赤く染める。

「まあ~照れちゃって可愛いわね」

「ちょ、ちょっと、出てこないでよ。キバーラ!」

 キバーラと呼ばれた白い小さな蝙蝠はかりんの鞄の中から出て来て、かりんの肩に止まる。

「ばれちゃったら、どうするの?!」

「どうするもなにも……世間じゃ、仮面ライダーの正体は知られてるから、良いじゃない」

「うっ……どうして、プリキュアは正体がばれなくて、仮面ライダーはばれてるのよ!」

「変身過程のせいじゃない?」

「おのれ、プリキュアァァァァァァ!!」

「かりん、鳴滝みたいになってるわよ……」

 かりんとキバーラのやりとりを見て、めぐみとゆうこが苦笑いを浮かべていると……。

「おっ、美少女発見♪」

「「キャッ?!」」

 いつの間にか自分達の背後にいた人物に二人は驚き、二人が後ろを振り向くと、男子学生服を着た白髪で黒色の瞳をした少年が立っていた。

「さ、咲夜君、何時の間に?」

 ゆうこの言葉に少年――月姫咲夜はフフフと笑いながら……。

「美少女がいる所に俺はいる、俺は美少女の為なら、某這いよる混沌のように美少女にちかづ「滅びろ変態!!」ボゲラッ?!」

 咲夜の言葉を遮る様にかりんが咲夜の顔面に飛び蹴りを喰らわし、咲夜は奇声を発しながら倒れる……。

 だが、かりんは忘れていないだろうか……今、自分はスカートであることを……。

「お、お前、その年齢で黒の紐パ「死ね!//////」グモラッ?!」

 止めの一撃とばかりに、倒れた咲夜の顔面にパンチを喰らわし、咲夜はそのまま動かなくなった……。

 

~sideout~

 

~side咲夜~

 

 学校が終わり、俺は湿布を買い、自宅を目指していた……。

「イテテテ、アイツ昔より凶暴じゃないか?」

「今回はお前も悪いだろ、咲夜」

「だけどよ、クライム」

 俺は服の中に隠れているクライムと会話しながら、街を歩き、朝の出来事を思い出していた……。

「あの年齢で黒の紐パンって……」

「まあ、確かにお前の考えも分るが……」

「昔はあそこまで凶暴じゃなかったのにな~」

「それはあっちもそう思ってるだろうよ」

 クライムの言葉に俺は苦笑いを浮かべる……。

「言っとくけど、俺は『演技』であんなキャラやってんだからな」

「えっ?」

「えっ?」

 俺とクライムは互いに無言になった……。どうやらお互いの情報に間違いがあったらしい……。

 と、こんな事をやってると……。

「う~」

 少女が困った表情で川の方を見ており、その視線の先には川に浮かぶ麦わら帽子があった……。

 なるほど理解した。

「ちょっと、待ってろ」

「えっ?」

 俺は湿布の入った袋を置き、そのまま川に入り、麦わら帽子を取り少女に渡す。

「ほら、今度はこんな所に落とすなよ」

「あ、ありがとう!」

 少女は帽子を受け取ると、嬉しそうな表情お礼を言ってきた。

 俺は川から上がり、置いた湿布の入った袋を持ち、その場から離れようとするが……。

「月姫!」

「「咲夜君!」」

「咲夜!」

 主よ、私が何かしましたか?

 めぐみとゆうことかりんとめぐみの幼馴染である相楽誠司がやって来た。

「月姫、ありがとう」

 よ、よし。とりあえずキャラを変えよう。

「別に~。ほら、俺って美少女が困ってるとほっとけないから~」

 俺の言葉に誠司達は苦笑いを浮かべているが……。

「ほぇ?」

 先程の女の子だけ、不思議そうな表情をしていた……。

「どうしたの真央ちゃん?」

 それに気づいためぐみが少女に質問を投げかける。

「だって、助けてくれた時と今じゃ表情とか言葉がちg「ま、真央ちゃんだっけ?」え、う、うん「将来、俺と結婚しないか?」え?!」

「おい、人の妹に手を出すなよ!」

 な、何?真央ちゃんは誠司の妹だったのか?!クッ、このまま乗り切るしかない!!

「そうなると、俺は将来、誠司を義兄さんと呼ぶのか……」

「どうして、もう結婚する前提何だよ……」

「誠司義兄さん!」

「呼ぶな!てか、お前年下だぞ?」

 俺の言葉に誠司が呆れた表情を浮かべながら、言うが……。

「美少女に年齢など関係無い!ただし、ロリBBAとかBBAを除くだっ!!」

 俺の言葉に、真央ちゃん以外が表情が引き攣った……。

 むしゃくしゃしてやった、だが後悔はしていない。

 そんな中、ふと視線を近くにあった木の方に向けると……。

「………」

「………」

 キュアプリンセスの変身者が引き攣った表情で、こっちを見ていた……。

 そして目が合うと、露骨に視線を外された……。

 ふむ……死のう!

「では、サラダバー!!」

 俺は逃げるようにその場から去った。

 さてと、買い物品と行き先の変更だな……。

 丈夫なワイヤを買って、どこか人気のない場所を探さないと!!

 

~sideout~

 

~side三人称~

 

 先程、麦わら帽子を川に落としていた真央が歩きんがら上機嫌で歌を口ずさみながら歩いていると、彼女の目の前にナマケルダが現れた。

「素敵な帽子ですな。勝ってもらった帽子が気にいっていて、とても嬉しいのだね。分かりますぞ~」

 ナマケルダの異様な雰囲気に真央は怯える。

「鏡に映る未来を最悪にしろ!来い来い、サイアーク!」

 真央は等身大の鏡の様な物に閉じ込められ、その鏡が若芽色の眩い光が放たれると麦わら帽子そのものに目が付いているようなサイアークが現れ、辺りをカビだらけにしていく。

 そんな場所に二人の少女と一匹の妖精――めぐみとひめとリボンが来た。

 めぐみは鏡の中に真央が閉じ込められている事に驚きの声を上げる。

「帽子を喜ぶその姿が目障りだったのでねぇ、その幸せを不幸に変えてサイアークにしてやったのですぞ」

「アイツは、幻影帝国幹部のナマケルダですわ!」

「いい、この暗くジメジメした感じが堪らんですぞ!サイアークどんどんカビを広げたまえ!」

 カビがどんどん増加して、めぐみの足元もカビによって覆い始まった。

「サイアーク……今度こそ負けないんだから!」

 ひめは『プリチェンミラー』と『プリカード』を取り出し、プリカードをプリチェンミラーに挿入する。

「プリキュア、くるりんミラーチェンジ!」

 直後、ひめは光に包まれ、その姿をキュアプリンセスへと変えた。

「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!」

「凄い!本物のプリキュアだ!」

 プリキュアの登場にめぐみは感動するが、ナマケルダは嘲笑する。

「残念ですが、またあの仮面ライダーが来てしまうかもしれないのでねぇ、対策を打たせてもらってますぞ」

 ナマケルダの言葉が合図かのように、一匹のクモ型のステンドガラス模様の怪物が現れた。

「嘘、ネオファンガイア?!」

 スパイダー・ネオファンガイア(以後、S・NF)は喉を鳴らすような音を発し

「なあ、ナマケルダの旦那~、プリキュアのライフエナジーを吸っても良いんだよな~」

「良いですぞ、だが、ちゃんと仕事はするのですぞ」

「分かったぜ……フヒヒ、プリキュア一人なら楽勝だぜ」

 S・NFはゆったりとプリンセスに近づいて行くが……。

「生憎、プリキュアだけじゃないわよ!」

「誰ですぞ?!」

 突如聞こえてきた声に、ナマケルダが辺りを見渡すと……。

「グゲッ?!」

「あ、さっきの女の子!」

 声の主であろう少女がS・NFに飛び蹴りを喰らわし、喰らったS・NFは倒れ、少女を見たプリンセスは驚きの声を上げる。

 跳び蹴りを放った少女――かれんは目の前のネオファンガイアを睨む。

「キバーラ!」

「うふふ、行くわよ~」

 かりんに呼ばれたキバーラはかりんの傍まで飛んで行き、かりんはキバーラを掴み、前方に突き出す。

「「変身」」

 かりんの額にハートと回りに無数のハートが出現し、かりんはそれらに包まれ、ハートが弾け飛ぶと、かりんの姿は変わっていた。

 魔皇力の影響か体は成人体まで成長し、蝙蝠を思わせる仮面に赤の複眼、白と紫の二色の鎧、キバーラが逆向きでベルト部分と一体化しており、腰には3つのフエッスルが付いて、右手には細身の剣『キバーラサーベル』が握られている。

 かりんは『白のキバ』と呼ばれる、仮面ライダーキバーラに姿を変えた。

「あの子、仮面ライダーだったの?!」

「チッ、『王女様』のご登場かよ」

「そこのプリキュア、サイアークは任せたわよ!」

「へ、あ、はい!」

 S・NFは糸をキバーラに向かって、弾丸のように吐き出すが、キバーラは糸を切り裂きながら接近していき、S・NFに近づくとキバーラサーベルで切り裂く。

 キュアプリンセスはサイアークへと向かって飛び蹴りを仕掛ける。

 重く鋭い蹴りを受け止めた音が響き渡り、サイアークはキュアプリンセスの蹴りを受け止め、キュアプリンセスは素早い動きで間合いを空ける。

 キュアプリンセスはラブプリブレスのダイヤルを回し、光弾を形成する

「プリンセスボール!とぉりゃぁぁぁぁっ!」

 キュアプリンセスは光弾をサイアークへと向かって投擲するが、サイアークは軽く弾き、弾かれた光弾はキュアプリンセスの足元に着弾、爆発音と共に彼女は吹き飛び尻餅をつく。

「ちょ、ちょっと大丈夫?!」

 キバーラはキュアプリンセスを心配しながら、S・NFに攻撃を喰らわし続けているが、意識をプリンセスに向けてしまっていた為、もう一つの影には気づけなかった……。

「あ、仮面ライダー、危ない!!」

「え、キャァ?!」

 キバーラはS・NF……ではなく、新たに現れたウマ型のネオファンガイア――ホース・ネオファンガイア(以後、H・NF)に攻撃され、鎧から火花を散らしながらキュアプリンセスがいる所まで吹き飛ぶ。

「トドメを刺すのですぞ、サイアーク」

「トドメだ、王女様」

 ナマケルダの命令に従いキュアプリンセスへとゆっくりと近付いていくサイアークとキバーラに止めを刺そうとゆっくりと近づくネオファンガイアの二匹。

 キバーラは動けないキュアプリンセスを庇うような体勢で、キバーラサーベルを構える。

「駄目ぇぇぇぇぇぇ!!」

「「グワァ?!」」

「サイアーク?!」

 めぐみが叫びながらサイアーク達とキュアプリンセス達との間に入いると同時にサイアークとネオファンガイアが蝙蝠に攻撃され、その場に倒れた……。

「「「え?」」」

 三人は突然起きた光景に驚き、サイアーク達は自分達を攻撃したのが誰かと辺りを見渡すと、めぐみの隣に黒のローブを着て、フードを眼深に被って顔を隠しその肩に、赤と銀二色の蝙蝠が止まっている少年が立っていた。

「愛乃めぐみ」

「あ、はい!」

「足が震えてるぞ。どうして、一人だけで逃げなかった?怖くなかったのか?」

 その少年はめぐみの方を向くと、めぐみの震える足を見ながら聞く。

「こんなの、怖いに決まってるでしょ!」

「なら逃げれば良い。見て見ぬフリをして自分の身を護れば良いだろ?」

「怖いけど、どうしたらいいかわからないけど、それでも私は友達を護りたい!自分だけが良ければなんて……私は嫌だ!皆で幸せになる!それが幸せ、ハピネスなんだから!!」

 めぐみは強い意志を瞳に宿し少年の方を見ながら言った。少年の表情はフードのせいで解らない。 だが……。

「なら、良し」

「え?」

 少年はめぐみの頭に手を置き、頭を撫でる。

「それぐらいの意思があるなら、それは答えてくれるよ」

 直後、めぐみのポケットから眩い桃色の光が放たれる……。

「なんて不愉快な光だ……!」

「愛の結晶がめぐみの気持ちに反応してるんですわっ!」

 桃色の光はやがて形を成し、プリチェンミラーとプリカードに変わる。

「これって……もしかしてプリキュアの!?」

「プリチェンミラーにプリカードを入れて掛け声を……」

「知ってる!さっき見てたから……では、愛乃めぐみいきます!」

 近くに来ていたりぼんをめぐみは弾き飛ばし、謎のポーズを決めながらプリチェンミラーを開き、プリカードを挿入する。

「プリキュア、くるりんミラーチェンジ!」

 直後、めぐみは光に包まれ、その姿をプリキュアへと変えた。

「世界に広がるビッグな愛!キュアラブリー!」

 ここに新しいプリキュア、キュアラブリーが誕生した。

「めぐみがプリキュアに……」

「おぉぉぉぉ!」

「おぉ、私プリキュアに変身しちゃったよ!ヤッホー!イエー!」

 めぐみがプリキュアに変身した事にキバーラーは茫然とした様子に、リボンは瞳を輝かせ、変身した事をキュアラブリーは喜ぶ。

「キュアラブリーはなんでキュアラブリーなんですの!?」

「私好きな言葉が愛とラブとラブリーなんで!」

「それ全部意味が一緒でしょ!」

 リボンがキュアラブリーに名前の意味を聞き、キュアラブリーの答えにキバーラがツッコミを入れる。

「クソッ!だが、プリキュアが一人増えたぐらいで!!」

「それはどうかな?」

「なに?」

 ネオファンガイアは少年を睨む……。

「クライム!」

「了解!さあ、お前ら悔い改めな!!ガブルッ!」

 少年の呼びかけに応じ、肩に止まっていた蝙蝠――クライムが飛び、少年の手に噛み付き、魔皇力を注ぎ込む。

 すると、少年の腰にカテナという鎖が巻き付き、銀色のベルトに変化する。

 そして、少年はクライムを前に突き出すように構え……。

「変身」

 ベルトにクライムを逆さに吊るす様にセットすると、少年の体がガラスの様な物に包まれ、それが弾けると少年はキバーラと同じように魔皇力の影響か体は成人体まで成長し、蝙蝠を模した仮面と血の色のような赤色と銀色の二色で出来た鎧、ベルトの左右に3つずつ、その下にチェーンのように繋がっているホルダーには7つフエッスルが取り付けられてる仮面ライダーヴィクトの姿になっていた。

「さあ、断罪の時間だ」

「何が断罪の時間だ?!」

「待て!!」

 H・NFはヴィクトの言葉が気に入らなかったのか、ヴィクトに向かって行き、S・NFはそれを止めようとするが、遅かった……。

「フンッ!」

「ボゲッ……」

 ヴィクトは向かってきたH・NFに回し蹴りを喰らわし、回し蹴りを喰らったH・NFはガラスのように砕け散った……。

「そんな、一撃で」

 キバーラは、ウェイクアップ・フエッスルを使用せず、ネオファンガイアを葬った、ヴィクトの力に戦慄した……。

「次は貴様だ、蜘蛛野郎」

「クッ!」

 ヴィクトは拳法家の様な構えをし、S・NFに向かって行く……。

 

~~~~~~

 

~~~~~~

「キュアラブリー……新しいプリキュアのお手並み拝見しますぞ、サイアーク!」

 ナマケルダの呼びかけに、サイアークがキュアラブリーへと向かっていく。

 サイアークが向かってきた事にキュアラブリーは慌て、突き出された巨大な拳に両手を前に突き出す。咄嗟とも言えるそれは両方の掌底を敵に打ち込む双掌打として放たれ、サイアークの拳を跳ね返し、数歩後退させた。

「やるじゃん私!」

「凄い……!」

 プリキュアとして変身した事で得られた戦闘能力に感心するキュアラブリー。その横でキュアプリンセスは驚きの声を漏らす。

 今ので自信が付いたのか、強い意思を秘めた眼でキュアラブリーはサイアークを見据え。

「不幸はここまで!このキュアラブリーが皆のハピネス、取り戻すんだから!」

 ポーズを決めながら、言い放った……。

 



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