バカと捻くれと召喚獣 (Hira@コス)
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一話

この度ハーメルンでも投稿を始めました
不定期になるとは思いますが頑張って活動していきます
よろしくお願いします


 俺、比企谷八幡は文月学園という高校に通っている。

 この文月学園は世界で唯一あるシステム(制度)が導入されていて注目を集めている。

 一つ目は「点数上限がないテスト」だ。

 このテストは無制限の数の問題を制限時間一時間の間に解くというものだ。

 これによって生徒は能力次第でどこまでも成績を伸ばすことができるようになっている。

 また、このテストは進級時のクラス振り分け試験でも行われ、その成績によって所属するクラスと待遇が変わる。

 秀才が集まるAクラスはリクライニングシートに冷蔵庫、冷暖房完備だが、一番下のFクラスになるとボロボロのちゃぶ台と腐った畳、綿のない座布団というひどい環境になってしまうのだ。

 もう一つは「試験召喚システム」だ。

 これは科学とオカルトと偶然によって生み出されたシステムだ。

 これはテストの点数に応じた強さを持った召喚獣を教師の立会いの下呼び出し戦わせることができるというものだ。

 学園は勉強に対するモチベーションの向上のためこのシステムを利用し、召喚獣を用いたクラス単位での戦争、「試験召喚戦争」というのを実施している。

 これらが文月学園の特徴的な点である。

 

 

 

 

 

 

「さすがに今この坂道はこたえるな…」

 

 俺は今、現在自分が通っている学校である文月学園に向かっている。

 もう既に登校時間は過ぎているため周りにほかの生徒は見当たらない。なのになぜ落ち着いて登校しているのか。それは少し前に交通事故にあい足が骨折して入院、そしてつい昨日退院したからだ。そのため、新学期の準備なども遅れ、完治してはいるが足の状態もほんの少し不安があった。そのことを考え学園に遅刻する旨を伝えていたのだ。

 学園前の坂道を上り終え校門につくと短髪のスポーツマン然とした男が立っていた。

 

「おはよう、比企谷」

「あ、おはようございます鉄じ…西村先生」

「今、鉄人って言わなかったか?」

「き、気のせいですよ…」

 

 あぶねぇ、普通に鉄人って呼びそうになった…

 この人は文月学園の生活指導担当である西村教諭。さっき言いかけた「鉄人」というのは先生の渾名で、由来は先生の趣味がトライアスロンだからだ。そのトライアスロンによて鍛え上げられた筋骨隆々な肉体もまた鉄人という名にふさわしい。

 

「まぁいい…ほら、受け取れ」

 

 そう言って俺の名前が書いてある封筒を渡してくる。この中には自分のクラスが書かれた紙が入っている。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 お礼を言いながら封筒の封を切る。

 予想はしているがきちんと確認しなくてはならない。

 中を確認すると…………

 

『比企谷八幡──--Fクラス』

 

「ハァ……まぁ予想もできてたし仕方ないよな……」

 

 と、ため息を吐いていると、

 

「今回は事情が事情だけに俺を含めた一部の教師と吉井や木下姉、工藤は学園長に再試験を受けさせてやるよう学園長に抗議したんだが、特例は認められんそうでな……」

 

 と、申し訳なさそうに西村先生が説明してくれた。

 

「……ん? 優子と愛子はお見舞いにも来てくれたし知ってますけど吉井も?」

「ああ、あいつは振り分け試験の時お前の後ろの席だったんだ。それで試験が始まっても来ないお前を心配してその時の試験官の先生に事情を聞き、抗議しに行ったってわけだ」

「なるほど……あと、先生も抗議してくれたんですね。ありがとうございます」

「まぁ結局再試験は認められんかったがな……あいつらにも礼を言っておけよ? 何度も頼み込んでいたからな」

「うす……じゃあそろそろ教室行くので失礼します」

 

 西村先生にそう言い、俺は自分の教室であるFクラスへと向かった。

 

 

 

 

 

 

「ここがFクラスか……」

 

 2年F組と書かれたプレートのある教室の前で俺は教室に入るのを躊躇していた。

 登校中は忘れてたけど始業式の日から遅刻って目立っちゃうじゃん……どうしよう、教室に入った瞬間注目集めてその後目が腐ってるだのゾンビだの何だのとヒソヒソ話なんてされたりしたらメンタルブレイクしちゃいそう。(吉井たちや優子たちと関わってたので目つきが鋭い程度に改善されてます。つまるところ、普通にかっこいい)

 まあ事情もあるしどうせ(バカだから)吉井達もいるだろう。最悪あいつらと話せばいいか。

 そう思いながら教室のドアを開けた。

 

「うす……」

 

 そう言いながらドアを開けるとこのクラスの担任である福原先生が声をかけてきた。

 

「ああ、比企谷君おはようございます。連絡はもらってますよ。ちょうど自己紹介をしているところなのであなたもお願いします」

「うす……え~比企谷八幡です。1年間よろしく」

「はい、ありがとうございます。席は吉井君の隣に座ってください」

「うす」

 

 自己紹介を終え自分の席に座ると横から声をかけられた。

 

「比企谷君久しぶり!」

「おう比企谷、久しぶりだな」

「おう、久しぶり」

 

 最初に声をかけてきた天然っぽい顔をしたやつの名前は吉井明久。1年の時からの数少ない友人で、学園創設以来初めて観察処分者に認定された問題児であり、学校1のバカだ。

 そして続いて吉井の隣から声をかけてきたガタイのいい奴は坂本雄二。こいつも1年の時からの数少ない友人の1人で、観察処分者である吉井といつもつるんでいる学園屈指のトラブルメーカーだ。

 中2までの俺ならこんな問題児たちと関わる、ましてや友人になるなんて絶対になかったが例の一件以降人間不信気味だった俺はこいつらには少なからず救われたところがある。だから友人にまで発展したというわけだ。

 

「にしても比企谷はなんでFクラスに? お前確か、相当成績よかっただろ。ほとんど知られてなかったが」

「ああそれなんだが──ー吉井」

「ん? なに?」

「お前学園長に再試験を実施するように抗議してくれたらしいな」

「あれ!? 比企谷君知ってたの!?」

「いや、さっき鉄人が教えてくれたんだよ。だから……その…………サンキュな」

「おぉ……! 比企谷が素直に礼を言うなんて珍しいな……!」

「うっせ、俺はいつも素直だよ。なんなら素直すぎていらんこと言って人間関係こじらせるまである」

「いや、いらないことは言わないほうがいいでしょ……」

 

 ごもっともな発言だが吉井にだけは言われたくないぞ? 

 

「明久にだけはそのセリフは言われたくないな……それはおいといて再試験ってことは比企谷も無得点者なのか?」

「ん、あぁ振り分け試験の日に交通事故にあって入院してな。そのおかげで試験に出れず無得点ってわけだ」

「なるほどな、無得点者が2人いるとは聞いていたがお前だったとはな……」

「ん? 『2人いる』やら『比企谷も』やら言うってことは坂本も無得点なのか?」

「ああいや、俺は違うぞ。一応このクラスの代表だからな。もう一人っていうのはな──ー」

 

 そう言いながら坂本は自分の隣の席を指した。っていうか坂本このクラスの代表だったのか。

 そう思いながら指されたほうを見ると

 

「ひ、姫路瑞希です! よ、よろしくおねがいしますっ!」

「お、おう。よろしく……」

 

 Fクラスに似合わない可憐な生徒がいた。

 姫路瑞希──俺でもその名を知っている有名な生徒。入学して最初の試験では学年2位を記録し、その後も常に1桁の順位に名を連ねている。その要旨も相まって学内での人気も高い。前の俺なら一目ぼれしてその勢いで告白してフラれてショックで自主退学するまである。いや退学すんのかよ。

 っていうか俺も1桁とってるしそれなりに成績いいはずなのに何でここまで知られてないのかねぇ…………存在感薄すぎるだけですね。

 てかなんか姫路の方から視線を感じるんだが……そんなに挨拶キモかったか……? 俺的にはセーフなんだが……

 そう考え一人で勝手に落ち込んでいると

 

「はいはい。そこの人たち、静かにしてくださいね」

 

 パンパン、と教卓を軽くたたいて注意されてしまった。

 

「あ、すいませ──」

 

 バキィッ バラバラバラ…………

 

 突如、教卓が崩れ一瞬にしてゴミくずと化す。

 

「え~…………替えを用意してきます。少し待っていてください」

 

 気まずそうにそう言い先生は教室を出て行った。

 

「あ、あはは……」

 

 さすがの姫路もこの光景に苦笑いをしている。

 にしてもここの設備はひどいな。足の折れた卓袱台、腐った畳、綿のない座布団。割れてる窓にはビニール袋をセロハンテープで張って穴をふさいでいる。いや、窓ガラスくらい買い替えろよ……

 教室に絶望していると吉井は坂本と話があるようで教室から出て行った。

 さて、ただ待ってるのも暇だし少し休むとしますか。

 そうして俺は卓袱台に突っ伏した。




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二話

「ーーーです、よろしく」

「坂本君、君が自己紹介最後の一人ですよ」

「了解」

「んあ」ムクッ

 

どうやら寝てしまっていたようだ。起きるともう自己紹介は進んでおり残りは坂本だけとなっていた。

坂本は席を立ち教壇に上がる。そこにはふざけたような雰囲気は見当たらない。

 

「Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ」

 

さて、と一呼吸置き

 

「みんなに一つ聞きたい」

 

クラス全員の視線が坂本に集まる。

すると坂本は教室の各所に目を向けながら話し始める。

 

かび臭い教室

 

古く汚れた座布団

 

薄汚れた卓袱台

 

「Aクラスは冷暖房完備の上、座席はリクライニングシートらしいがーーー」

 

また一呼吸置き静かに問いかける

 

「---不満はないか?」

 

「「「大ありじゃぁっ!!!」」」

 

Fクラス全員が声を上げる

 

「だろう?俺だってこの現状は大いに不満だ。そこでだ。これは代表としての提案だがーーー」

 

坂本は野生味あふれる笑みを浮かべ

 

「---FクラスはAクラスに『試験召喚戦争』を仕掛けようと思う」

 

 

 

 

 

Aクラスへの宣戦布告。おそらくクラスの大半は絶対に無理だと考えているだろう。他クラスがこれを聞いてもそう思うだろう。そう確信するほどAクラスとFクラスの戦力差は激しい。

Aクラスは一教科の平均が200点を余裕で越えてくるのに対し、Fクラスは50点や60点、下手すればそれに届かない可能性すらあるのだ。Aクラス1人倒すのにFクラスは4,5人ほど必要だろう。

そう考えているとクラスから「これ以上設備を落とされたくない」「勝てるわけない」など否定的な意見が多く挙がる。

 

「そんなことはない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせて見せる」

 

だが坂本はそんな否定的な意見を真正面から否定する。まぁあの坂本があんな目をして言うんだ。それなりに根拠があるのだろう。

 

「根拠ならある。このクラスには試験召喚戦争で勝つことのできる要素がそろっている。それを今から説明してやる」

 

そう言って坂本は壇上からクラスを見下ろす。

 

「康太、姫路のスカートを覗いてないで前に来い」

「・・・・・・・・・!!(ブンブン)」

「は、はわっ」

 

呼ばれた男は顔と手を左右にふり否定のポーズをとっている。あいつも1年の頃から変わってないな・・・

 

「土屋康太、こいつがあの有名な、『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』だ」

「・・・・・・・・・!!(ブンブン)」

 

こいつは土屋康太。吉井や坂本を含めた4バカの内の1人で盗聴や盗撮、隠密を得意とするムッツリスケベだ。

 

「姫路のことは説明するまでもないだろう。みんなだってその力はよく知ってるはずだ」

「えっ?わ、私ですかっ?」

「ああ。うちの主戦力だ。期待している」

 

まあ学年トップクラス、なんなら次席並みの成績だからな。戦争では大きな戦力になるだろう。

 

「木下秀吉だっている」

「ん?なんじゃ、わしもか?」

 

この老人語を使う一見女子にしか見えないやつは木下秀吉。これでも一応男子だ。

さっき言った4バカの最後の一人であり演劇部のホープ。こいつは勉強面ではない部分で有名だ。

まず演技が上手すぎる。人の声を何回か聴いただけで完璧に真似するからな。演技中の集中力も半端ない。正直そっちの道で食っていけるとすら思ってる。

あと、Aクラスでもトップクラスの成績を誇る優等生であり、俺の数少ない異性の友人である木下優子の双子の弟としても有名だ。

 

「それに島田美波、こいつは数学の成績はBクラス並みだ」

 

島田美波。高校入学時にドイツから日本に来た帰国子女だ。そのため日本語を読むのが苦手で数学がいい代わりに文系が絶望的だ。ただ、個人的には一年足らずで不自由なく日本語で日常会話ができるようになるのは驚異的だと思ってる。

あと、吉井を殴ることを趣味と語っているが俺が見るにおそらくこいつは吉井に好意を寄せていると思う。いわゆるツンデレってやつか?

 

「あと、比企谷もいる」

 

『比企谷?そんなすごいやつなのか?』

 

そんな声が聞こえる。マジで知られてないのね。

 

「お前ら成績上位者の名前くらい確認しとけ・・・比企谷具体的な成績を教えろ」

「・・・得意科目は現国と古典で450を切ったことはない・・・まあ数学は下手したら2桁の時もあるが・・・総合だと最高3800くらいで順位は4~15くらいだな」

『『『はぁぁぁ!!??』』』

「え!?比企谷君、頭いいのは知ってたけどそこまで成績よかったの!?」

 

え、吉井も知らなかったの?前言ったことあったと思うんだけど・・・

 

「おい明久、お前は一年の時教えてもらってたろ。成績と顔だけじゃなく記憶力もダメだったか」

 

あ、やっぱ言ってたのね。よかった。

 

「ま、そういうことでお前もうちの主戦力だ。期待している」

 

うーん、できるだけ目立ちたくないし働くのも嫌なんだが・・・あの坂本から逃げるのは無理だし仕方ないか・・・

 

「当然俺も全力を尽くす」

 

坂本がそう言うといけそう、やれそうという雰囲気が教室を満たしていく。

まあ坂本は小学生のころ神童と言われていたと聞いた。それに普段の言動や行動からこいつは相当頭がキレるのがわかる。

 

「それに吉井明久だっている」

 

・・・・・・シーンーーー

 

瞬間教室が静まり返る

 

「ちょっと雄二!どうしてここで僕の名前を呼ぶのさ!僕の名前はオチ扱いかよ!」

 

『吉井明久?誰だそれ?』

『そんな奴いたか?』

 

いや、吉井も自己紹介したはずだよな?そっこうで忘れられるなんて存在感俺並みじゃん。まああいつは俺と違ってすぐに問題児として覚えられると思うが。

 

「そうか、知らないなら教えてやる。こいつの肩書は観察処分者だ」

 

『それってバカの代名詞じゃなかったか?』

 

「そうだ、バカの代名詞だ」

 

観察処分者ーーーそれは成績不良かつ学習意欲に欠ける問題児に与えられる称号である。

その称号を与えられると教師の雑用係として働かなくてはならない。その際力仕事もするため召喚獣に2つ使用が追加される。それは召喚獣が物に触れられるようになるのとフィードバックだ。召喚獣は点数が50点くらいでも常人の数倍の力がある。そのため重いものを運ぶために物に触れられるようになるのだが、疲労や召喚獣へのダメージの何割かが召喚者にフィードバックする。

 

「まあ気にするな、いてもいなくても同じような雑魚だ」

「雄二、そこは僕をフォローするところだよね?」

「とにかくだ。俺たちの力の証明としてまずDクラスを征服してみようと思う」

 

あいつの吉井の扱い方も相変わらずだな。てかAクラスじゃなくてDクラスなのか。何か考えがあるのか?

 

「皆、この境遇は大いに不満だろう?」

 

『当然だ!!』

 

「ならば全員(ペン)をとれ!出陣の準備だ!!」

 

『おおーーっ!!』

 

「俺たちに必要なのは、卓袱台ではない!!Aクラスのシステムデスクだ!!」

 

『うおおーーーっ!!!』

 

あの状態からここまで士気が上がるのか。さすが坂本といったところか。

 

「明久にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう無事大役を果たせ!」

 

うぉ、あいつ割とひどいこと言ってるぞ。

進級初日から宣戦布告なんてなめてると言われても仕方ないからな。進級初日ってことは振り分け試験の結果がそのままクラスの戦力ということになる。つまり点数は下でも勝てると言ってるようなもんだ。普通は進級後真面目に勉強をしてクラスの成績を上げてから戦争を仕掛けるのが普通だからな。

 

「下位勢力の宣戦布告の使者ってたいていひどい目に遭うよね?」

「大丈夫だ。奴らがお前に危害を加えることはない。騙されたと思って行ってみろ」

「本当に?」

「大丈夫、俺を信じろ。俺は友人を騙すような真似はしない」

「わかったよ。使者は僕がやるよ」

「ああ、頼んだぞ」

 

吉井・・・お前騙されてるぞ・・・だがそれを言ったら俺に役目が回ってくる可能性がある。ということで吉井、犠牲になってくれ・・・

こうして吉井は宣戦布告をしにDクラスへ向かった。

 

 

 

 

 

 

「だまされたぁ!!!」

 

吉井がボロボロの姿で飛び込んできた。ああやっぱり・・・なんか少し離れたところから破砕音や怒声が聞こえてきたしな・・・

「やはりそうきたか」

「やはりってなんだよ!やっぱりこうなるのは予想通りだったんじゃないか!!」

「当然だ。こんなことも予想できないで代表が務まるか」

「少しは悪びれろよ!!」

 

ちょっと吉井が気の毒になってきた・・・

声かけておくか。

 

「吉井、大丈夫か?」

「あ、比企谷君。まあなんとか・・・」

「吉井、ほんとに大丈夫?」

「平気だよ。心配してくれてありがとう」

「そう、よかったーーー」

 

お、島田も声をかけてきた。デレだな。

 

「ウチが殴る余地はまだあるんだ・・・」

「ああっ!もうダメ!死にそう!」

 

違った。デレなんかじゃなかった。こいつほんとに吉井のこと好きなのか・・・?吉井が優しくて底抜けのバカだからいいが普通は嫌われるレベルだぞ?

 

「そんなことどうでもいい。それより今からミーティングを行うぞ」

 

うげ。めんどくさそうここはステルスヒッキーを発動ーーー

 

「比企谷も来いよ」

 

ーーーできなかった。まあ一応うちの主戦力の一員らしいし坂本から逃げると後々もっとめんどくさくなりそうだしな・・・

 

「・・・へいへい」

 

そうして俺たちは屋上に向かった




八幡の設定だけでも投稿しておく方がいいですかね・・・?
この話で分かる通り八幡の成績原作と結構違いますから原作と少しでも違う八幡は許せない勢の方々からすると設定を投稿してあるほうが読むか読まないかの判断がしやすいかもですね
pixivには設定書いてるんですけど・・・
この作品のあらすじのところにpixivのリンクを貼っておいて、設定を見ておきたい人だけそのリンクからとんでもらうとか?

皆さんどう思いますか?


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三話

「さて明久、宣戦布告はしてきたな?」

 

坂本がフェンスの前にある段差に腰を下ろす。

 

「一応今日の午後に開戦予定と告げてきたけど。」

 

俺らもそれにならい各々腰を下ろす。

 

「それじゃ、先にお昼ご飯ってことね?」

「そうなるな。明久、今日の昼ぐらいはまともなの食べろよ?」

 

・・・ん?

 

「おい吉井、お前まだあれ続けてるのか?」

「え?いや、あはは・・・」

「えっ?吉井君ってお昼食べない人なんですか?」

 

俺の質問に苦笑いしている吉井を姫路が驚いたように見る

 

「いや、一応食べてるよ」

「・・・あれは食べていると言えるのか?」

 

坂本が横槍を入れる

 

「何が言いたいのさ」

「いや、お前の主食ってーーー水と塩だろ?」

「失礼な!きちんと砂糖だって食べてるよ!」

「あの、吉井君・・・それは食べてるとは言いませんよ・・・」

「舐める、が表現としては正解じゃろうな」

 

ほんとこいつの身体どうなってんだ?よく死なないな・・・

 

「ま、飯代まで遊びに使い込む明久が悪いよな」

「し、仕送りが少ないんだよ!!」

「いや、俺も一人暮らししてるが前聞いた感じだと俺とそんなに変わらんぞ」

「う、うぐ・・・」

「そういえば比企谷も一人暮らししてるんだったな。今度久しぶりに遊び行くか」

「い、いいね!僕も行きたい!」

「ええ・・・お前ら来ると騒がしくなるんだよな・・・まあ今度な。今は退院直後だから掃除やら整理やらしたいし。・・・というか吉井はまともな食事目当てってのもあるんだろうけどな」

「あはは・・・」

「・・・あの、よかったら私が明日お弁当を作ってきましょうか?」

「ゑ?」

 

おお・・・すげえアホ面。・・・というか手作り弁当だと?

 

「本当にいいの?僕、水と塩と砂糖以外のものを食べるなんて久しぶりだよ!」

「よかったじゃないか明久。手作り弁当だぞ?」ニヤニヤ

「うん!」

「坂本のからかいも効いてねえ・・・」ボソッ

「・・・ふーん。瑞希って随分優しいんだね。吉井だけに作ってくるなんて」

 

おお・・・警戒してますねぇ・・・言葉に棘があるし

 

「あ、いえ!その、皆さんにも・・・」

「俺達にも?いいのか?」

「はい!迷惑でなければ!」

 

うーむ・・・気持ちは嬉しいが女子の手作り弁当なんて他の奴も食べるとはいえ俺にはハードル高いな・・・吉井や坂本もいるし足りなかった時のためにパンでも買っておこう。それと礼としてデザートを買うか作るかでもして持ってくるか。

 

「あー、ならデザート的なのを俺が持ってこよう」

「あ、ありがとうございます!でも大変なら私が作ってきますよ?」

「いやそのくらいは大丈夫だ。吉井には礼もしたいしな。それに養われても施しを受けるつもりはない」

「最後のは相変わらず意味わからんが助かるな」

「うむ、たのしみじゃ」

「・・・・・・(コクコク)」

「お手並み拝見ね」

「ちゃんとしたご飯に加えてデザートも食べれるなんて!姫路さん、比企谷君ありがとう!」

「い、いえっ」

「吉井には振り分け試験の礼もしたいしな。気にするな」

 

買う方が楽でいいが久しぶりに作ってみるのもありだな

 

「さて、結構話が逸れたな試召戦争に戻ろう」

 

そうじゃん。もともとその話がメインだった。すっかり忘れてたわ

 

「雄二。一つ気になってたんじゃがどうしてDクラスなんじゃ?段階を踏むならEクラスからじゃろ?」

「そういえば確かにそうですね」

「まあな、当然考えがあってのことだ」

「どんな考えですか?」

「いろいろと理由はあるんだが、とりあえずEクラスを攻めない理由は簡単だ。戦うまでもない相手だからな」

「え?でも、僕らよりはクラスが上だよ?」

「・・・なるほどな」

「お、比企谷はさすがにわかるか」

「え、比企谷君分かったの?」

「まあな。というかこの問題は簡単だろ。振り分け試験の時はあっちが上だったかもしれんが姫路と俺が問題ない以上正面からやりあっても負けることはないってことだろ」

 

確かに試験の結果を比べるとEクラスは平均点が1教科につき10~20点ほど上だと思う。だがそこを考慮しても俺と姫路の力が大きすぎる。うまく立ち回れば俺ら2人だけでも勝ててしまうかもしれない

 

「そういうことだ。Aクラスが目標である以上Eクラスなんかと戦っても意味はないってことだ」

「ならさっきの比企谷君の言い方からしてDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」

「ああ。確実に勝てるとは言えないな」

「だったら、最初から目標のAクラスに挑もうよ」

 

まあ吉井だったらそう思うよな

 

「まあ初陣だし派手に勝ってクラスの士気を上げるのが目的だろ。さっきの坂本の演説で確かに士気は上がったが、中には本当に勝てるのかどうか疑問や不安を持ってるやつだってまだいるはずだ。だがここで上位クラスに快勝すればそれも少なくなる」

 

士気が上がればその分戦争に対する必死さも上がるし連携なども取りやすくなる

 

「それに、坂本がどんな作戦を考えてるかはわからんが今の状態のままでAクラスに勝つのはさすがに厳しいだろう。ここからは俺の考えだがAクラスに勝つには正攻法じゃ無理だ。そうなると別の方法を考えなくてはならない。そこで考えられるのが上位クラス、というかBクラスを利用した脅迫だ。例えばBクラスが戦争をした直後に攻め込むと脅したりそれを利用してある程度こっちに有利な勝負を仕掛けたりだな。Bクラスを使う理由はCクラス以下だとさすがに戦力に差があって脅迫にならないからな。これ以上はさすがにまだ考えられてないが俺が言ったようにBクラスを使うにしても、他の方法を使うにしても俺達より上位であるDクラスを倒せばこの戦争の後も有利に動けるってわけだ。」

「比企谷が頭良いのは1年の時から知ってるつもりではいたが予想以上に頭が回るな・・・嬉しい誤算だ」ニヤッ

「比企谷君がここまで頭良かったなんて・・・!」

「予想外じゃのう」

「・・・・・・(コクコク)」

「へぇ・・・」

「す、すごいですっ」

 

さすがに喋りすぎたわ・・・いや~オタク特有の早口でまくし立てちゃったしキモがられてなくてよかったあああ!!「なに得意げに語っちゃってんの?めっちゃ早口だし。キモッ」とか言われちゃったらさすがの俺もこっから飛び降りてたかもしれない

 

「ま、比企谷の言った通りだ。さっき明久に言いかけた打倒Aクラスに必要なプロセスってことだな」

「あ、あの!」

「ん?どうした姫路」

「えっと、その。さっき言いかけた、って・・・吉井君と坂本君は、前から試召戦争について話し合ってたんですか?」

「ああ、それか。それはついさっき、姫路のためにって明久に相談されてーーー」

「それはそうと!」

 

坂本の台詞を遮るように吉井が大きい声を出す。・・・坂本の台詞といい吉井の反応といい・・・姫路のために、ね。ってか吉井の奴顔真っ赤だしいろいろ隠せてないぞ・・・?

 

「さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」

「負けるわけないさ。お前らが協力してくれるなら勝てる。いいか、お前ら。うちのクラスはーーー最強だ」

 

根拠のない言葉。だが坂本が口にすると不思議とその気になってくる。

 

「いいわね、面白そうじゃない!」

「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」

「・・・・・・(グッ)」

「が、がんばりますっ」

 

他の奴も同じのようだ

 

(優子と工藤のことが気になるが・・・ま、やるだけやってみるか)

 

「よし、じゃあ今から作戦を説明するがその前に・・・比企谷と姫路は補充試験に向かってくれ。少しでも時間があったほうがいいだろ。それと、2人には戦争前に作戦の説明をするから昼休み終了10分前に教室に来てくれ」

「了解。なら、行ってくるわ」

「私も行ってきますっ」

 

そう言い俺と姫路は屋上を出て階段を降りる。その最中携帯を見ていると優子からメールが届いていた。

 

優子『今日の昼休み私と愛子とアンタの3人でお昼食べない?』

 

ほう、あいつらと会うのはお見舞いに来てくれた時以来か

 

八幡『了解。今から昼まで補充試験を受けることになったから終わり次第連絡する』

 

と返信し俺は補充試験に向かった。

 




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四話

いつも応援してくださりありがとうございます

少しずつですがお気に入り登録をしてくださる方や評価をつけてくださった方もいてもとてもうれしいです

こらからも更新頑張ります


「ありがとうございました。失礼します」

 

そう言い俺は補充試験会場の教室を出た。今はちょうど昼休みに入ったところ。姫路もあと少しで終わるだろう。そういえば優子たちと一緒に昼飯を食べる約束をしてたな。連絡するか。

 

八幡『補充試験終わったけどどこで合流する?』

 

これでいいか。とりあえず坂本に結果を渡さないといけないし、飯も置いてあるから教室に向かうとするか。ピローン

もう来たのか返信早いな

 

優子『中庭で食べましょ。私も愛子も待ってるわ』

八幡『了解』

 

これでいいか。にしてもあいつらとも久しぶりだな・・・

 

 

 

 

 

 

俺は坂本に補充試験の結果を渡し、昼飯をもって中庭に来ていた。そこで優子たちを探していると・・・

 

「さて、優子たちは・・・」

「八幡、こっち!」

 

声がした方を向くと

 

「久しぶりね」

「八幡君久しぶり♪」

「おう、見舞いに来てくれた時以来だな」

 

優子と工藤がいた。

木下優子。同じクラスの木下秀吉の双子の姉だ。成績は学年トップクラスで所属クラスはクラスはAクラス。

一年の時に同じクラスで、街でナンパにからまれてるところを助けてから話すようになった。趣味が読書だったり兄妹がいたりと共通する部分もあり今では割と仲良くしてる・・・と思う。

工藤愛子。一年の終わりに同じクラスに転校してきた。成績は優子と同じく学年トップクラスでAクラス。

隣の席だったということもありなにかと話す機会が多かったのだがこいつはよく勘違いしてしまうような発言をして俺をからかってくる。まあ俺も心の底からいやってわけでもないしあいつも本当に楽しそうな笑顔を見せるからまだいいんだが・・・

どちらも俺なんかと仲良くしてくれてる俺の大切な存在だ。2人や吉井達含めここの奴らはいい奴が多い。ここでなら本物を見つけられると思っている・・・がやはり奉仕部や折本の件でのことが気になってるのかまだ女子は心からは信用できない節がある・・・

 

「「大丈夫?」」

「ん?」

「少しだけ表情が暗くなってたわよ?」

「・・・もしかしてボク達とお昼食べるの嫌だった?」

「いやっ全然そんなことないぞ!少し考え事をしてしまってな」

「ほんとに?」

「ああ、むしろいつも俺なんかと話してくれてることに、その、感謝してる」

「・・・八幡がデレてくれたのは嬉しいけどなんでアンタはそんなに自己評価が低いのよ」

「そうだよ。八幡君にはいいところがたくさんあるんだから俺なんか、なんて言わないでよ」

「そう言われてもな・・・」

「まあ今すぐに改善できるものではないしこれ以上は言わないけど少しずつでも改善できるよう頑張りなさいよ?」

「・・・頑張ってみるよ」

「うん、それでいいわ。さ、お昼食べましょ」

 

こうして三人で食べ始めた

 

 

 

 

 

 

「あれ、八幡は今日はパンなのね。いつもは自分でお弁当作って持ってきてなかった?」

「ああ、退院したばっかで食材の整理とかできてなかったしな。今日あたりにでも整理する予定だが」

「なるほどね・・・それなら今日は一緒に帰らない?それで一緒に買い物しましょ」

「それなら八幡君の退院祝いもあるし3人で一緒に晩御飯食べようよ!」

「あら、いいわねそれ。八幡もそれでいい?」

「いや、その気持ちは嬉しいんだが俺らFクラスは今日試召戦争するから帰る時間とか合わないと思うぞ?」

「「え?」」

 

2人がキョトンとした顔をする

 

「アンタのクラス今日試召戦争するの?」

「進級初日から戦争を仕掛けるなんて八幡君のクラスだけだろうね・・・」

「それについては同感だな」

「にしてもなんで戦争することになったのよ」

「さすがに設備が悪すぎるからAクラスの設備を手に入れようってなってな。それでうちの代表がクラスを煽って打倒Aクラスが目標になり、手始めにDクラスを攻めることになったんだが・・・」

「どうしたの?」

「いや、基本的には良いと思うんだがその、お前らの設備を下げるのは嫌だと思ってな・・・」

「あら、心配してくれてるの?」

「・・・・・・///」プイッ

「あ、八幡君照れてる。かわいい♪」

「う、うっせ」

「まあ大丈夫よ。この学園のシステムだし納得はしてるわ。それに・・・負けるつもりもないから」

「そういうこと。だから八幡君も気にしないで頑張って。それでもし戦うことになったらお互い全力で頑張ろうね」

「・・・そうだな」

「で、話を戻すけどやっぱり今日は一緒に食べましょ。アタシも愛子も待ってるから」

「了解。終わったら連絡するわ」

「OK。よし、そろそろ時間だし戻りましょうか」

「そだね。じゃあ八幡君、また放課後ね~」

「おう・・・・・・あ、そうだ2人とも」

「ん?」

「どしたの?」

「その、進級試験の件で再試験を実施するよう抗議してくれたんだろ?だから、その、なんだ・・・ありがとな」ニコッ

「「///」」

((その笑顔は反則///))

「ま、まあそんだけだ。じゃあ」

「ええ、また///」

「うん、またね///」

 

 

 

 

 

 

現在昼休み終了10分前。教室に戻ると坂本は俺の方に近寄ってきた。

 

「おう比企谷。早速だがお前の今回の動きを説明したいんだが」

「ああ、いいぞ」

「よし。ま、といっても今回のお前の役割は俺の護衛だ」

「ん?前線に出たり部隊長をしたりしないのか?」

 

まあ面倒だしやらないならその方がいいが俺も戦いに出た方が勝率は上がるだろう

 

「ああ。今回はお前がいなくても姫路だけで決定力は足りてるからな。それに姫路は有名人だから今回の戦争が終われば姫路がうちのクラスだということが学年中に知れ渡るだろうがお前は姫路ほど有名じゃないからな。切り札は隠せるなら隠した方がいい」

「なるほどな」

「そして今回お前は戦闘する教科を理数系だけに絞る。そうすればお前の成績もばれにくいだろうしな。全力で戦うのは次まで待ってくれ」

「了解」

「よし、頼んだぞ。・・・・・・っと時間だな」

 

そういうと坂本は教壇に戻る

 

「よしお前ら、準備はできてるか」

 

『おおーーっ!!』

 

「この戦争は打倒Aクラスのための第一歩だ。全員全力で臨め!」

 

『うおおーーっ!!』

 

「よし・・・勝つぞ!!!」

 

『うおおーーーっ!!!』

 

こうしてFクラスとDクラスの戦争が始まった




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五話

『先生!召喚許可を!』

 

『俺が相手する!下がれ!』

 

『戦死者は補修!!!!!』

 

『て、鉄人!?嫌だ!補修室は嫌だ!あんな拷問には耐えられない!!誰か助けッ イヤァァァ・・・』

 

聞こえてくる生徒たちの喧騒。てか最後の奴は悲鳴だな。鉄人の補修とか行きたくなさすぎるわ。現在俺が所属しているクラスであるFクラスはDクラスと試召戦争を行っている。

打倒Aクラスへの初戦であり、負けてはならない大事な一戦。

そんな大事な戦争中、俺はーーー

 

カシュッ

 

「あ~やっぱマッ缶うめぇ・・・」

 

ーーーダラダラしていた

 

さっきも言った通り大事な一戦。代表の護衛なのだからやることが現状ないとしても警戒しておくのが普通だろう。だがそこは俺クオリティだ

 

「比企谷、仕事がなくて暇なのはわかるが形だけでも警戒しておけ」

 

あ、形だけでいいんですね

 

「それより坂本。今戦況はどんな感じなんだ?」

「今は秀吉たちが前線から撤退して明久の部隊が敵を食い止めてる」

「ということは木下たちが補給試験をある程度終わらせるまでは吉井達は粘らないといけないということか・・・」

 

大丈夫なのだろうか?吉井は確かにやるときはやるやつだ。だが詳しい成績は知らないがあいつは観察処分者だからな・・・

 

「その顔を見るに不安なんだろうがまあ大丈夫だ。あいつは観察処分者だからな。Dクラス相手に戦死して戦線崩壊させることはないだろ」

「観察処分者だから大丈夫・・・?」

 

観察処分者は成績不振の問題児の称号なはずだが・・・

 

「体型が全く違い、その上人間と比べて何倍も力がある召喚獣を操作するのはかなり難しい。だがあいつは観察処分者だ。教師の雑用係であるあいつは教材や荷物を運んだりとおそらくこの学園で最も召喚獣の操作になれている」

 

なるほど。普通の人は突撃などの単純操作しかできず避ける等の操作ができない難しいから点数勝負になるが、吉井は召喚獣の操作になれているから相手の突撃を躱したりすることで相手に一方的に攻撃できたり、戦死しにくいということか

ーーー点数は低いからパワーもスピードも低いけどな・・・

 

「それに島田だってつけている。敵前逃亡しないための伝令だって横田に言ってある。なによりーーー」

 

坂本もいつもはいろいろ言っているがなんだかんだ吉井を信用してるんだな。こいつらは否定するだろうがこういうのを本物いうn---

 

「ーーー戦死したとしても今朝言った通りいてもいなくても変わらん雑魚だ。問題はない」

「おい」

 

上げて落としていくスタイルかよ。上がり幅に比べたら落とし幅が大きい気がするんだが・・・?なに?前から思ってたけど友達ってみんなこんな感じなの?友人って言える奴ほとんどいないからわからないけど八幡怖くなってきちゃった

 

「雄二よ。戻ったのじゃ」

「ああ、秀吉か。よし、さっそくで悪いが秀吉の部隊で消耗した奴らは補充試験を受けてきてくれ」

「了解したのじゃ」

 

そうこうしているうちに木下の部隊が戻ってきたようだ

 

「よし、俺も点数整理して戦力確認、割り振りに入るか。比企谷、お前もそろそろ試召戦争のルールくらいは確認しておけ。ほれ、一年の時にもらったプリントだ」

「了解」

 

そう。この試召戦争は戦争ではあるが勝てれば何でもいいというわけでもなくルールが存在する。まああくまで試召戦争の目的は成績を可視化して勉強のモチベーションを上げることだからな。

俺は坂本からもらったプリントに目を通し始める

 

 

 

 

 

 

文月学園のクラス設備の奪取・奪還および召喚戦争のルール

 

一、原則としてクラス対抗戦とする。各科目担当教師の立会いにより試験召喚システムが起動し、召喚が可能となる。なお、総合科目勝負は学年主任のもとでのみ可能。

 

二、召喚獣は各人一体のみ所有。この召喚獣は、該当科目において最も近い時期に受けたテストの点数に比例した力を持つ。総合科目については各科目最新の点数の和がこれにあたる。

 

三、召喚獣が消耗するとその割合に応じて点数も減算され、戦死に至ると0点となり、その戦争を行っている間は補修室で補修を受講する義務を負う。

 

四、召喚獣はとどめを刺されて戦死しない限りは、テストを受けなおし点数を補充することで何度でも回復可能である。

 

五、相手が召喚獣を呼び出したにもかかわらず召喚を行わなかった場合は戦闘放棄とみなし、戦死者同様に戦争が終わるまで補修室にて補修を受ける。

 

六、召喚可能範囲は担当教師の周囲半径10メートル(個人差あり)

 

七、戦闘は召喚獣同士で行うこと。召喚者自身の先頭参加は反則行為として処罰の対象となる。

 

八、戦争の勝敗は、クラス代表の敗北をもってのみ決定される。この勝敗に対し、教師が認めた勝負である限り、経緯や手段は不問とする。あくまでもテストの点数を用いた『戦争』であるという点を常に意識すること。

 

 

 

 

 

 

など。ちょくちょく改定されるらしいが大まかにはこんな感じだ。

戦闘放棄による戦死扱いや召喚可能範囲など結構大事なことが多いので覚えておかなくてはいけない。

 

「よし、世界史の田中を呼んでくれ。あとは明久の部隊にこのことをーーー」

「坂本!」

 

気づけば戦況も少しずつ変化しているようで吉井の部隊にいた須川が教室に戻ってきていた

 

「ん、どうした須川」

「Dクラスが数学の木内を呼び出したらしくてな。前線が少し厳しくなりそうなんだが吉井の案で先生たちに偽情報を流そうということになったから一応報告だ」

 

なるほど。相手陣営に偽情報を流すのは難しいが先生たちならやりようがある。吉井も考えたな。

 

「なるほどな」ニヤッ

 

あ、坂本が悪い顔してる。坂本はああいう顔でも野性味あふれてていいと思うが俺の場合は何でキモくなっちゃうんだろうな。やっぱイケメンはずるい

 

「須川、偽情報の内容はーーー」コソコソ

「ぶふっwwwいいんだが大丈夫か?」

「ああ、Dクラスはおそらくこの科目の回転を速めるはずだしこの内容なら100%釣れるだろ」

「了解した。いってくる」

 

内容の部分は聞こえなかったがあの顔からしてろくな内容じゃない気がするんだが・・・

 

 

ーーーーーーーーーー

 

ピンポンパンポーン『連絡いたします』

 

この声は須川か。例の偽情報か。なるほど直接職員室まで行くと先生を呼びに来たDクラスと鉢合わせてしまう可能性があるが放送での呼び出しならそれもない。考えたな

 

『船越先生、船越先生』

 

数学担当船越女史(45歳独身)か。なるほど、現在既に数学のフィールドで戦っているから採点担当と立会い担当に分担されて戦線を拡大されるのを防ぐのか

 

『吉井明久君が体育館裏で待っています』

 

・・・・・・・・・・ん?

 

『生徒と教師の垣根を超えた、男と女の大事な話があるそうです』

 

・・・・・・吉井、終わったな・・・

船越女史といえば独神をこじらせついには生徒に単位を盾に交際を申し込むという超危険人物・・・確実に体育館裏まで向かうだろうし吉井が行くまでその場から離れないとも思うがこれは・・・

あの坂本のにやけ顔・・・須川に指示したのはこれだったか・・・

 

『須川ぁぁあああああっっ!!!』

 

・・・吉井、強く生きろ




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六話

遅くなってすみません
もう一つの作品でも言ったんですけど学年末試験などの関係で執筆の時間がありませんでした
続きは鋭意作成中なのでもう少し待ってもらえると助かります


時は少し進み放課後ーーー

あの後俺や坂本は援軍として吉井達と合流し敵を下がらせ部隊の立て直しに入った

現在は補充試験などもある程度終わり放課後

 

「明久、よくやった」ニコパァ

「・・・雄二、校内放送聞いてた?」

「ああ、ばっちりな!」グッ

 

うわぁめちゃめちゃいい笑顔。サムズアップもしてるし吉井の不幸をおもいっきり楽しんでる

 

「そういや雄二、須川君知らない?」

「須川?もう少しで戻ってくると思うが・・・」

「うほッ!そっか、わかったよ・・・・・・・・・・ヤレル、ボクナラヤレル・・・!」

「殺るなっての」

 

吉井がマジでやばい顔してるぞ。しかも包丁と砂の詰まった靴下まで用意してる。須川が来たらすぐにでも殺りそうだ

 

「ちなみに、だが」

「なにか雄二がいてるが無視だ・・・そんなことより今の僕の最優先事項はーーー」ボソボソ

「あの放送を指示したのは俺だ」

「オマエカァァァァア!!!!」

「あ、船越先生」

「ちぃッ!」バタムッ

 

吉井が卓袱台を蹴散らしながら掃除用具入れに入る。てかこいつらは戦争中に何をしてるんだ・・・いや、この2人のやり取りは面白いしクラスメイトの緊張も収まるんだろうが・・・まあ戦争中にダラダラしてた俺が言えることでもないんだが

そう思いながらも坂本に声をかける

 

「おい、坂本。やるならそろそろじゃないか?」

「ん?ああ、そうだな。馬鹿は放っておいてそろそろ決着つけに行くか」

「そうじゃな。下校する生徒もちらほらと見え始めたし頃合いじゃろ」

「・・・・・・(コクコク)」

 

そう言いながら教室を出ていく。ほかのクラスメイトも気合を入れながら出ていく。どうやらモチベーションは高いようだな。

 

「あー、明久・・・船越先生がいるってのは嘘だ」

「逃がすか雄二ぃッ!!」

 

さて、この戦争も最終局面だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下校している連中に上手く溶け込め!取り囲んで多対一の状況を作るんだ!」

 

廊下に坂本の声が響く。今は放課後になって少し時間が経ったくらい。廊下には下校するための生徒がたくさんいる。

戦争前にも言った通りクラス間には明確な成績差(戦力差)が存在する。Dクラスと一対一で戦うにはFクラスは点数が低く圧倒的に不利だ。そのためこうして他のクラスの生徒も多いことを利用し、多対一に持ち込む必要がある。

 

『『『Dクラス塚本、討ち取ったり!!』』』

 

クラスメイトの声が聞こえてくる。上手く敵を討ち取ることができているようだ

 

「比企谷」

「ん、了解」

 

そんなことを考えているうちに敵が来てしまったようだ。敵を引き付けるにはこうしてクラス代表も戦場に出てくるのが一番手っ取り早い。まあ代表が討ち取られてしまうとクラス自体が敗北になってしまうからクラス内最高成績で最高戦力とはいえ危険な手なんだが。

まあ、俺は代表の護衛としている以上その役割を果たさなければならない

 

「先生!Dクラス筒井がFクラス代表坂本雄二にーーー」

「Fクラス比企谷八幡が受けます」

「なっ!?」

 

そう、これが試召戦争のルールに明文化されてはいないが大事なことの一つ。

ルールにもある通り試召戦争では戦いを申し込まれた場合断る、無視をする、召喚獣を出さなかったりすると敵前逃亡として戦死となる。だがこのルールだけだと戦線離脱などをすることができず戦争が泥沼化してしまう。そのため召喚フィールド内にいる仲間が宣言すればかわりに戦うことができるようになっている。

・・・ってか相手の人驚いてるんだけど俺の存在感がなさ過ぎて気づいてなかったとかないよね?ルール忘れてただけだよね?

 

「では、召喚を許可します」

「「試獣召喚(サモン)っ!」」

 

足元に魔法陣が現れ、その中心から召喚獣が姿を現し始める。

少し明るめの黒色の大袖に海松色(みるいろ)の袴。その上から黒色のインバネスコートを羽織っており、首元には檀香色のマフラーを巻いている。

腰には日本刀を差しており、一言で言うと侍のような恰好をしている。

 

Fクラス 比企谷八幡

数学 92点

 

VS

 

Dクラス 筒井賢人

数学 94点

 

「!?Fクラスなのに点数が結構高い・・・?」

 

あら、驚いてらっしゃる。個人的には今回の数学はまあまあの出来だった。正直3桁は取れてると思ってたんだが凡ミスが多かったみたいだ。だが点数的にはひどいわけではないのでよしとする。

 

「いけっ!」

 

相手が剣を振りかぶりながら突進してくる。俺は振り下ろしてきた剣に対して刀を強くぶつけた。すると相手は一瞬よろめくのでその間に大きく下がって距離をとる。

現在俺と坂本の周りに他のDクラスの生徒はいない。それなら無理して倒しに行く必要はない。俺と相手の点数差はないに等しい。そんな中無理して倒しに行って逆にやられでもしたらFクラスは一気にピンチだ。

それに今回の作戦上俺が無理する必要は全くないのだ。なぜならーーー

 

「ちくしょう!あと一歩でDクラスを僕の手で落とせるのに!」

「何を言うかと思えば、彼氏クン。いくら防御が薄く見えても、さすがにFクラスの人間が近づいたら近衛部隊が来るに決まっているだろう?」

 

お、ちょうど吉井がDクラス代表のとこまで行けたみたいだな。てか吉井、彼氏クンって呼ばれてるがこれ船越先生のことだろ。めっちゃかわいそう。

 

「!今だ!!」

 

吉井に気を向けていると相手の筒井がまた距離を詰めて来た。相手は俺が他のことに気をとられていると思ったんだろうが敵が前にいるのに気を抜くわけがない。それにーーー

 

「不意打ちをするなら声を出さずにするべきだろ」

 

相手の剣を避ける。不意打ちが決まらなかったからか今回は攻撃後の隙が大きい。俺は素早く相手の腹を二回切った後相手の心臓に位置する場所に刀を突きさした。

 

Fクラス 比企谷八幡

数学 92点

 

VS

 

Dクラス 筒井賢人

数学 94点→78点→62点→DEAD

 

「ふぅ」

「そ、そんな・・・くそ・・・!」

「戦死者は補修!!!!」

 

無事戦闘を切り抜けることができた。あとは戦争の決着を待つだけだな。

 

「ま、近衛部隊がいなくてもお前じゃ無理だろうけど」

 

吉井の方を見てみるとDクラス代表(平賀だったか?)がフンッと鼻を鳴らして吉井を一瞥していた。だがな平賀、そうじゃないんだ。吉井はあくまで近衛部隊を引き付けるためのいわば囮みたいなものだ。本命はーーー

 

「それは同感。確かに僕には無理だろうね。だからーーー

 

 

 

 

 

 

姫路さん、よろしくね」

「・・・・・・・・・・は?」

 

平賀が『何を言ってるんだ、この馬鹿は?』といった顔をして吉井を見ている。

 

「あ、あの・・・・・・」

 

その平賀の後ろから姫路が申し訳なさそうに肩をたたいて声をかける。そう、今回の作戦はこれだ。廊下で乱戦に持ち込むことで平賀の周りの防御を薄くする。周りのいたるところに生徒がいるから特に代表は奇襲に注意しないといけなくなる。そんな中でFクラスの生徒が来ても相手の近衛兵はすぐに対応し、召喚獣を出すだろう。そこでノーマークの姫路が平賀に勝負を申し込む。Dクラス最高成績者と言っても学年トップクラスの姫路に勝つなんて相当難しい。普通なら近衛兵に任せて逃げる一択だろう。

だが今は乱戦、その上坂本が戦場に出てきているため戦力は分断され近衛兵は少なくなっている。しかも唯一残っていた近衛兵は吉井に釣られてしまった。このまま平賀に加勢すると敵前逃亡で戦死扱いとなる。

あとは姫路が平賀と一騎打ちをして勝てば俺たちの勝ちだ。

 

「え?あ、姫路さん。どうしたの?Aクラスはこの廊下は通らなかったと思うけど・・・」

 

いまだに平賀は現状を理解できていないようだ。周りにいるDクラスの生徒もポカンとしている。まあ姫路は成績優秀で有名人だからまさかFクラスにいるとは思わないだろう

 

「いえ、そうじゃなくて・・・・・・Fクラスの姫路瑞希です。えっと、よろしくお願いします」

「あ、こちらこそ」

「その・・・Dクラス平賀君に現代国語勝負を申し込みます」

「・・・はぁ。どうも」

「あの、えっと・・・・・・さ、試獣召喚(サモン)です」

 

Fクラス 姫路瑞希

現代国語 339点

 

VS

 

Dクラス 平賀源二

現代国語 129点

 

「え?あ、あれ?」

 

平賀は戸惑いながらも相対するが勝つのは無理だろう。姫路は平賀の2倍以上の点数を持っている。召喚獣の扱いに慣れてるわけでもないだろうしな

 

「ご、ごめんなさいっ」

 

姫路の召喚獣は背丈に対して倍以上もある大剣を持ちながらも素早い動きで相手に肉薄する。

相手の反撃も許さず平賀の召喚獣を文字通り一刀両断してこの戦いは決着した。




八幡の召喚獣の服装が分からない方はfgoの岡田以蔵を見てもらえれば

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