白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? (非リアさいこー)
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プロローグ

「よし、これくらいかな」

 

 どうも皆さんこんにちは。僕の名前はベル・クラネルといいます。

 

 今は一緒に住んでいるお爺ちゃんに頼まれて、森に薪を拾いに来て十分に集まったので帰るところです。思っていたより時間がかかってしまったので急いで帰ろうと思います。心配をかけたくないしね。

 

 

 もと来た道を戻りながら今日の夕飯は何だろうか、と考えていると...

 

 

 

 

『だ・・・だれ・・・か・・・・・・たすけ・・て・・・・・・』

 

 

 

「!」

 

 

 そんな声が微かにだが聞こえた。ベルは背負った薪を投げ捨て声のするほうへ駆け出した。声のする場所に着くとそこには一人の少女が倒れていた。まるで初雪を連想させる肩口まで整った銀髪。着ているのは髪とは真逆のどこまでも黒い漆黒のドレス。どこか不思議な雰囲気をしていた。

 

 

「大丈夫!?」

 

 

 ベルはすぐに少女に近寄り抱き上げ声をかけた。少女はうっすらと目を開けた。まるで月のような美しい金の瞳が僕を写す。顔はとても赤く、息遣いも荒い。うなされているのか時折苦しげな声を出している。

 

 

「もう大丈夫!君は僕が助ける!だから、安心して」

 

 

 僕は少女の手を握りながらそう語りかける。僕の言葉に安堵したのか、少女の息遣いはだんだん穏やかになり僕の腕の中で眠りについている。

 

 

 それを確認した僕は、少女を背負い急いで家に向かった。今のところ落ち着いているようだがまだ安心はできない。早く安全な場所に連れて看病しないと。僕は少女に気をつかいながら駆け出した。

 

 

 

ーーー翌日

 

 

 少女は目を覚ました。そこには見たことのない風景が広がっていた。

 

 

「・・・こ、ここ・・は・・・?」

 

 

 そんな疑問をつぶやくと同時にドアが開く音がした。そちらに顔を向けると兎のような少年がいた。白髪に真っ赤な瞳、まだ幼さが残る顔。彼女を助けた少年ベル・クラネルだ。

 

 

「!目が覚めたんだね!よかった~。すごい熱でうなされていたから」

 

 

 少年は目を覚ました少女を見て安堵の息を吐きそんなことを言ってくる。少女はそんな少年を見つめて首をかしげながら少年を見つめる。その視線に気づいたのかベルは少女に語り掛ける。

 

 

「昨日森の中で倒れている君を見つけたんだ。とても苦しそうだったから僕の家で看病してたんだ。大丈夫?苦しいところはない?」

 

 

 ベルはそう伝えるが、少女はまだ不思議なのか少年を見つめたままだ。どうしたんだろう?と思っているとまだ自己紹介もしていないことに気が付いた。

 

 

「あ、自己紹介がまだだったね。僕の名前はベル。この家にお爺ちゃんと住んでるんだ。君の名前は?」

 

「? ・・・なま、え?」

 

 

 少女はこてん、と首をかしげる

 

 

「え、名前分からないの?」

 

「・・・なま・・・え・・・な、い・・・・」

 

 

 少女はそう答える。僕は腕を組みながらうーんとうなる。

 

 

「んーそれは不便だなー」 

 

「・・・べ・・るが・・・つけ、て」

 

「え?僕が?」

 

 

 僕がうなっていると、少女がそんなことを言ってくる。突然のことに驚きながらも少女に聞き返す

 

 

「え、えーと・・・なんで僕?」

 

「べる・・・わた・・し・・たすけて、くれた。・・・べる・・につけ・・てもらい・・・たい」

 

 

 彼女はそう答える

 

 

「ぼ、僕で本当にいいの?」

 

「うん・・・べる・・・が・・・・いい」

 

「・・・・わかった。僕が考えるよ。少し待ってね」

 

 

 僕は少女の答えを聞き、了承した。そして名前を考える。候補はたくさん出てくるが中々しっくりこない。それに加えて少女がキラキラした目でベルを見ている。これは失敗できないとベルは必死に考える。その時、ふと少女の髪が目に入る。自分よりも白く穢れを知らないような髪。その髪をみて一つの名前が頭の中によぎる。

 

 

「・・・・ユキ」

 

「ユ・・・キ?」

 

 少女がいう。そんな少女にベルはうなずく。

 

 

「うん。君の髪がまるで真っ白な雪みたいだったから」

 

 

 そう答えるが内心安直だったかな?と不安に思っていた。しかし少女は

 

 

「ユ・・キ・・・ユ、キ・・ユキ・・・わたし・・の・・なまえ・・・」

 

 

 とつぶやいている。僕は不安が増し少女に尋ねた。

 

 

「え、えーと・・・ど、どう・・・かな?」

 

「うん・・・わたし、ユキ・・・・ベル、わたし・・・ユキ!」

 

 と笑顔で答えた。そんな少女に僕もつられて笑みを浮かべた。

 

「うん、よかったね。ユキ」

 

「うん!ベル!!」

 

 

 

 

 

 これが英雄に憧れる少年ベル・クラネルと精霊の少女ユキの出会いだった

 

 

この出会いをきっかけにベルは多くの精霊たちと出会い世界に大きな影響を与えることになる

 

 

しかし、それはもう少し先のお話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

 これからオラリオに向かわせるか、もっと他の精霊に合わせようかどうか
ユキとベルはいったん離してオラリオで再会させるか契約をさせてから向かわせるかとこの後の展開に悩んでいます。

できるだけ早めに更新したいと思っています。




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精霊との生活と新たな出会い

こんにちは


 今回新しい精霊(せいれい)が沢山登場します。ベルくんと精霊(せいれい)たちの出会いをお楽しみください


ーーーユキが目を覚まして、いろいろなことがあった。ユキが一緒に暮らすことになったのだ。

 

 

 初めは僕は反対した。ユキにも帰るべき場所があると思ったからだ。しかし、そう問いかけるとユキは首を横に振った。なんでもユキは人間(ヒューマン)ではなく精霊(せいれい)という種族らしい。

 

 

 それを聞いたとき、僕が大声をあげて驚いたのは言うまでもないだろう。だって本の中の物語の存在がいま目の前にいるのだ。さらにユキがいうには既に僕とは契約したそうだ。それを聞き今度は気を失いそうになった

 

 

 え、だってあの精霊(せいれい)だよ?数多の英雄に寄り添ってきた存在だよ?そんな精霊(せいれい)が僕と契約してくれたんだから驚きもするし、気を失いそうになった僕をだれも責められないだろう

 

 

 まぁそんなこんなで僕は精霊(せいれい)の少女ユキと契約した。ふと疑問に思いいつ契約をしたのか?と聞いてみた。ユキが言うには僕が彼女の名前を決めたときに僕とユキの間に魂の繋がりのようなものができたらい。そしてユキがそれを感じとり、僕と一緒に居たいと強く念じたところなんか契約が成功したらしい

 

 

 ・・・そんなもので契約が出来てしまっていいのか?と不思議に思ったがそれ以前にユキが僕と一緒に居たいと思っていてくれたことがとても嬉しく、同時に少し照れ臭くもあった。なぜならユキは、十人が見れば全員が振り向くほどに顔が整っている。つまりとてつもない美少女なのだ。そんな美少女が僕と一緒に居たいと言ってくれたのだ。嬉しくもなるだろう

 

 

 こうしてユキとの生活が始まった

 

 

 ユキは初めてのことばかりでとまどうことが多かった。しかし僕が手伝ったりアドバイスをしたりと一緒になって頑張った。そのおかげもあり2ヶ月後には家事のほとんどができるようになっていた。彼女はとても頑張り屋だったのだ。しかし料理は出来なかった。壊滅的といってもいいだろう。まさかサンドイッチを作ろうとして切った野菜があんな暗黒物質(ダークマター)になるなんて・・・

 

 

 また生活の中で新しい出会いもあった。ユキと一緒に山に遊びに来た時、川で溺れている少女を助けた。僕は川に飛び込み少女を岸に連れて行った。幸いにもあまり水は飲んでおらず大事にはなっていないようだ。僕はユキに頼み家に温かいものとなにか着る服をとってきてもらった。だって助けた少女溺れてたから服は当然濡れているわけで・・・・

 

 

 まるですべてを照らす太陽のような深紅の長髪、動きやすさを重視した軽装で胸と腰に簡易的な鎧をまとっている。しかしいまは濡れていたので鎧はすべて外している。つまり鎧に隠されていた部分が丸見えということで・・・

 

 

 鎧の下には、決して大きくもなく小さくもないほどの大きさの二つの山がある。中の服も濡れているので下着も透けてみえている。濡れている深紅の長髪もどこか妖艶さを醸し出している

 

 

 僕はそんな少女から必死に目をそらし、自分の上着を彼女にかけユキの帰りを待った。その数分後にユキは服とタオルを持って戻ってきた。ユキは彼女の体をふき着替えさせた。それからさらに数分後、少女は目を覚ました。夜空を連想させるような黒い瞳で僕たちを見つめた。

 

 

 初めは、近くにいた僕たちを警戒していたが状況の説明をすると警戒を解いてくれた。

 

 

 聞く話によると山道を歩いていると足を滑らせ誤って川に落ちてしまったらしい。すぐに対処しようとしたが、運の悪いことに両足がつってしまい溺れたとのことだ。

なぜ山道を歩いていたのかと尋ねると気が付いたら山の中にいてとりあえず移動しようとしたらしい。その話を聞き、ユキが行くところがないのなら一緒に暮らそうと彼女に言ったのだ。僕は驚いたがそれが彼女のためになるならと了承した。

 

 

 彼女はこんな自分でもいいのか?と聞いてきたが、困っている人は見過ごせないと伝える。彼女もその答えを聞きユキと同じように一緒に暮らすことになった

 

 

 ちなみに彼女も名前が無かったので、またもユキの提案で僕が名前を付けることになった。今度はしっかり考えようと思い必死に考えた。

 

 

 その結果彼女の名前はリディヤとなった。

 

 

 リディヤとの生活が始まって数週間がたったころ、夜中に突然家の玄関のドアがたたかれた。何だろう?と思いドアを開けるとそこには三人の少女がいた。

 

 

 一人は翡翠色の長髪、ルビーのような瞳で薄い布のような服を着た長耳の美しい少女。エルフのようだ。そんな少女の服のすそをつかみ不安げにこちらを見つめる蒼髪と金髪の幼女。瞳の色は髪の色と同じで着ている服は翡翠髪の少女の服に似ている。

 

 

 そんな少女たちを見た僕はとりあえず家の中に招き入れる。立ち話もどうかと思ったし、少女たちはどこか元気がなかったから

 

 

 家の中で話を聞くと、どうやら食料を分けてほしいらしい。なんでもずっと眠っていたはずなのに気が付くと知らない森の中にいたらしい。どうしてこんなところにいるのか不安になったが、何もしないわけにもいかずとりあえず移動しようとしたらしい。その移動の途中で蒼髪の幼女と金髪の幼女たちと出会ったそうだ。幼女たちは翡翠髪の少女と同じで気が付いたら知らない森にいたらしい。そして日も暮れ暗くなっていき食料もないので少しでも分けてもらおうと近くの村を訪ねたらしい

 

 

 しかしどこの家も食料を分けてくれなかった。怪しい人物に分けるものはないと。

そしてその日は水だけでしのぎ翌日も違う村で食料を分けてもらおうとしたが答えは同じだった。それからさらに3日たち心も身体も尽き欠けて最後の希望をかけてこの家を訪れたそうだ

 

 

 その話を聞き僕は怒り心頭だった。なぜこのような幼く華奢な少女たちを放っておくことができるのか?僕には全く分からなかった。だから僕は彼女たちにこう言った。ここで一緒に暮らそう、と。それを聞いたとき三人の少女の頬に涙が伝った。ずっと我慢していたのか今までの不安と恐怖をさらけ出すように声をあげて泣いた。

 

 

 僕はそんな三人を抱きしめた。もう大丈夫だと、安心していいのだと。少女たちを不安にさせないように。僕の腕の中で少女たちは泣き続けた。目の前の救いを離さないように。それから数十分後、彼女たちは安らかな寝息をたてていた。もうその顔に苦しみの感情はなかった。

 

 

 そのあとは少女たちを僕のベッドに寝かせ僕もソファで眠りについた

 

 

 翌日になり、ユキとリディヤに少女たちを紹介し、事の詳細を説明し、二人とも納得してくれた。その後はみんなで朝食を食べた。少女たちは久しぶりの食事に涙を流していた。僕はそれを見て少女たちの苦しみを少しでも救ってあげられたのかな?と思った。そしてこれからも少女たちに寄り添い支えていこうと

 

 

 ちなみに彼女たちには名前が無かった。蒼髪と金髪の幼女は翡翠髪の少女のことをお姉ちゃんと呼んでいたそうだ。最近名付け親になることが多いなと思いながらも名前を考える。

 

 

 考えた結果、翡翠髪の少女はリンネ、蒼髪の幼女はティナ、金髪の幼女はルナという名前になった

 

 

 こうして、僕ベル・クラネルとユキ、リディヤ、リンネ、ティナ、ルナの生活が始まった。思えば、よくここまで増えたなーと思うと同時に自分のお人好しさに苦笑する。しかしそれがベル・クラネルという人間だ

 

 

 余談だが後にユキにより、リディヤ、リンネ、ティナ、ルナの四人が自分と同じ精霊(せいれい)でありユキと同じで名付けの時に契約が完了していたそうだ。それを聞いた僕は立ったまま気絶し、みんなが慌てるという騒ぎになった。

 

 

 僕は5人の精霊(せいれい)と契約することになった

 

 

 どうしてこうなった?

 

 

 気絶の寸前僕はそう思った・・・・・・・・

 

 

 




いかがでしたか?

 次回オラリオに行きます。
 出来るだけ早めに更新したいと思います
 


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精霊に愛されし白兎オラリオへ

ベルくんがオラリオで頑張ります

今日は最後の投稿になりそうです

では、どうぞ!


ーーー数年後

 

 

「は~、また断られたよ・・・・」

 

 

道を歩きながら兎のような少年ーーーベル・クラネルはため息をもらす

 

 

 ここは世界の中心である【迷宮都市オラリオ】である。このオラリオには他の都市にはないものがある。それは都市中央にそびえたつ『バベル』という天を穿つほどに高い建造物だ。このバベルは蓋のような役割を果たしている。

 

 

 元々このオラリオには『迷宮(ダンジョン)』と呼ばれるモンスターが出てくる大穴があった。バベルはこの大穴をふさぐために建てられたのだ。更にこのオラリオには”冒険者”と呼ばれる者たちが存在する。冒険者とは日々ダンジョンに潜りモンスターを討伐し生計をたてる者たちのことだ。ある者は富と栄生をえるために。ある者は自分の限界を超えるために。またある者はーーー英雄になるために

 

 

 このようなことからオラリオはこう呼ばれることもある

 

 

 ---英雄が生まれる街、と

 

 

 そんなオラリオの中でベルはもう一度大きなためいきをこぼす

 

 

「・・・お爺ちゃん、僕もう無理かも・・・」

 

 

 

 なぜ村で暮らしていたベルがオラリオにいるのか。それはベルも祖父が関係している。

 

 

 ---ベルの祖父は他界した。2年前に村の人からそう聞いた。祖父はモンスターに襲われ数匹と一緒に深い谷底に落ちていったそうだ。その話を聞いたときベルは悲しみのどん底に落ちた。いつも笑いながら英雄譚を聞かせてくれていた祖父はもういないのだと現実を受け止めることができなかった。

 

 

 そんなベルを救ってくれたのは、一緒に暮らしていたユキたちだった。悲しむベルを慰め支えてくれたのだ。ユキたちのおかげでベルは立ち上がることができた。

 

 それからベルはもう大事な人を失わないために、2年間過酷な修業をしていた。ベルは5人の精霊と契約しているが精霊の力を使いこなせていなかった。しかしベルはユキたちと共に修業し精霊の力を十全に使いこなせるようになっていた。まあベルの修業のうちで精霊の守護者という変な男神に出会い、地獄のような特訓をさせられたこともあるのだが・・・・

 

 

 そんなこんなでベルは精霊の力を完全にコントロールし、実力もついたと判断して祖父が語っていたオラリオに来たのだ。覚悟があるのならそこに行け、と。だが、今ベルのそばには誰もいない。確かにベルは精霊の力を使いこなせるようになった。しかしユキたち精霊は一体どこにいるのか?答えは簡単である

 

 

『・・・ベル、元気だして。きっといい家族(ファミリア)が見つかる』

 

「・・・そうはいうけどさ・・・ユキ。さっきのでオラリオにある家族のほぼ全部まわったよ?」

 

『・・・・・・・・・・ファ、イト?』

 

「まさかの丸投げ!?」

 

 

 傍から見たらベルが一人で話している様に見えるだろう。しかし本当は違う。ベルは2年間の修業の成果で精霊たちとの絆が深まった。だからであろうか?精霊たちはベルの体の中に入ることができたのだ。正確に言うと思念体になり、体ではなくベルの心の中の深層域に精霊たちはいるのだがその話はまた別の機会に。今は精霊だからだ、と伝えておこう

 

 

 まぁつまりベルの中に精霊たちはいるのだ。ユキのように頭の中で会話することも

戦闘時にサポートすることもできる。視覚もベルと共有されており、自由にベルの体からを出入りできる。ベル自身としては初めの頃は大声を上げるほど驚いていたが、もう慣れたものである。精霊たちはベルの体に出たり入ったりできるだけで村で暮らしていた頃と環境はあまり変わらないのだ

 

 

 頭の中でユキとそんな会話を広げるベルが現在何をしているのかというと『家族(ファミリア)』探しである。このオラリオでは誰でもダンジョンに入れるわけではない。このオラリオの中の、神様のファミリアに所属して冒険者にならなければいけないのだ。なので、僕は募集中のファミリアに片っ端から向かった

 

 

 その結果・・・・

 

 

「出てけ! お前みたいなひょろいガキに用はねぇ!」

 

 

 

「あっち行きな! 何の役に立ちそうもない穀潰しなんざ邪魔なだけだよ!」

 

 

 

「掃除係としてなら雇ってもいいぜ? ギャハハハ!」

 

 

 

「お前みたいな怪しい奴を入れる訳がないだろう! さっさと立ち去れ!」

 

 

 

 誰も僕をファミリアに迎えようとしてくれなかった。

 

 

 

「……はぁっ。やっぱり僕って弱そうに見えるんだね」

 

『・・・ベルは、可愛、いよ?』

 

「・・・ユキ、それ褒め言葉になってないからね・・・』

 

 

 そう答えると・・・

 

 

『あら?私は可愛いと思うわよ?兎みたいで♪』

 

『わたくしも、ベル様の容姿はとても愛くるしいと思います。それこそ、普通の女の子たちは嫉妬するぐらいに・・・』

 

『お兄ちゃんウサギみたいだもんね!髪も白いしモフモフ!!』

 

『あと抱きしめてくれた時あったかくて、心がホワァ~~、って幸せになる♪』

 

 

「ねえ!!だからそれ褒め言葉じゃないから!?女の子ならともかく、僕男だからね!?男に可愛いはどうかと思うな!!??」

 

 

 頭の中で精霊全員から可愛い宣言。僕ってそんなに兎に似てるかな?こう見えて2年間鍛えてたから、脱いだらすごいんだよ?

 

 『『『『『兎に似てる(((わね)ますね)!)』』』』』

 

 

「皆、僕いじめてそんなに楽しい!?」

 

 

 ベルの絶叫が木霊する。まぁつまり今現在ベルは家族(ファミリア)を探しているのだ。どの人達も僕を見た目だけで判断したのか、どんなにアピールしても全然ダメ。挙句の果てには怪しい奴だと思われてしまった

 

 

 ベル自身としては見た目だけで判断するような家族(ファミリア)はこちらから願い下げである。これからどうするかなーと考え、とりあえずさっきからずっと気になっていることを片付けようと先ほどから自分をつけてきて、隠れている人物に問いかける

 

 

「・・・そこに隠れている人。出てきてください、バレバレですよ?」

 

「!?」

 

 

 隠れている人物の肩がビクリと震える。それから少しして、道の端の荷物の陰からある人物、いや神物が出てきた。初めに目につくのは黒髪のツインテール、そして低い身長には不釣り合いなほどに大きな胸。その胸を支えるかのように青色の紐が胸の下にある。一見ただの迷子の子供に見えるが体の奥底に潜む力は人間の比ではない。

ベルは一目で目の前の人物が神だと見抜いた。そんな神にベルは問いかける

 

 

「それで?神様が僕に何の用ですか?ずっとつけてきてたみたいですけど」

 

「!君はボクが神だって分かるのかい!?ボクってこんな容姿だから同じ神たちにもロり巨乳なんていわれてさ、下界の子供たちは僕が神だって誰も信じてくれないんだぜ?・・・っていうか尾行がバレてた!?一体いつから・・・」

 

「僕が訪ねた家族(ファミリア)が30を越したあたりからついてきてましたよね?」

 

「まさかの初めから!?」

 

「で、僕に何の用ですか?」

 

 

 驚いている神様に再度僕は問いかける。それを聞いた神様は慌てながらも尾行の理由を説明する

 

 

「あ、と、ご、ごめんよ!別に変なことをしようとしたんじゃなくて・・・・・、君家族(ファミリア)には入れてなさそうだから、ボ、ボクの家族に入ってくれないかな~なんて思っ・・・・」

 

「本当ですか!?」

 

「わあ!?」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間僕は目の前の神様の手を握り顔を近づけた

 

 

「ぜひ、入らせてください!いやそれよりも僕なんかが入っても大丈夫ですかファミリアに空きはありますか!?」

 

「あ、あるとも!なにせ君が初めての団員だからね!!新興家族(ファミリア)だよ!?逆に聞くけど君はそんなボクの家族でいいのかい!!??」

 

「いいに決まってるじゃないですか!?新興家族(ファミリア)がなんですか!これから頑張っていけばいいんです!!どうか僕をあなたのファミリアに入れてください!?」

 

「いったな!?もうとりけせないぞ!?ようこそ!【ヘスティア・ファミリア】へ!

やったーーー!!!初めての眷属だ!!!!!!!!!」

 

「よろしくお願いします!神様!!!!」

 

 

 ベルはずっと断られ続けたからか少しおかしなテンションになっている。ヘスティアも初めての眷属を手に入れたことに歓喜してテンションが限界を突破していた。今ここは異様な雰囲気に包まれていた

 

 

 ーーーちなみにベルの頭の中では・・・

 

 

『ねぇ?これ大丈夫?二人とも変なテンションになってるけど・・・』

 

『まぁ、いいのではないでしょうか?ベル様もやっと見つけた家族(ファミリア)ですし、あちらの神も初めての眷属のようですし・・・。悪い神でもなさそうですしね』

 

『お兄ちゃんファミリア見つかったの!?よかった~~!ね、ルナ!!』

 

『うん!これでお兄さん冒険者?になれるね!ティナ!!』

 

『・・・ベル・・・グッジョブ!!』

 

 

 こんな会話がされていた。さて現実世界のベルたちはというと・・・

 

 

「さぁ行くぞ!今からヘスティア・ファミリア創設の儀式だーーー!!!」

 

「はい!・・・・あ、ちょっと待ってください!神様!」

 

 

 移動しようとするヘスティアをベルが呼び止めた。ヘスティアは足を止めベルの方に首をかしげながら向き直った。そんなヘスティアを見て、ベルは一度深呼吸をしていった

 

 

「僕の名前はベル・クラネルです。よろしくお願いします。神様」

 

 

 ベルの言葉にヘスティアは軽く目を見開いたがすぐに笑顔になりベルにこたえる。

 

 

「こちらこそ。ボクは神ヘスティア。よろしくね、ベル君!」

 

「はい!」

 

 

 二人の挨拶がすんだ後は、ヘスティア・ファミリアのホームに移動した。 そして神様に案内された先は古い教会だった。どうやらこの教会が神様の住居らしい。

 

 

 色々と突っ込みどころがあるけど、今の僕には贅沢な事を言える立場じゃない。僕をファミリアとして迎えてくれた神様の役に立つ為、たくさんお金を稼げばいい話だから。

 

 

 そして僕が神の恩恵(ファルナ)を与えられた事により、ヘスティア・ファミリアが結成された。ちなみに恩恵を刻んだ神様は・・・

 

 

「え、えぇ!!な、何だい、このスキルは!?見たことも聞いたこともないぞ!?」

 

 

 ・・・まぁユキたち精霊のことがスキルに出たんだろうなーと僕は思った

 

 

 

     --------------------------- 

 

 

ベル・クラネル

 

Lv:1

 

力: I 0 耐久: I 0 器用: I 0 敏捷: I 0 魔力: I ?

 

 

《魔法》【六大精霊王の加護】

 

・火、水、風、土、光、闇の6つの属性の全ての魔法を使うことができる

 

・一度使用した魔法は詠唱を破棄できる

 

・精霊魔法を使用できる

 

・???

 

・???

 

 

《スキル》【精霊に愛されし者】

 

・早熟する。

 

・自身と精霊の絆がある限り効果持続

 

・自身と精霊の絆の大きさにより効果向上

 

 

【???】

 

・チャージ可能

 

・???を使用可能  詠唱式≪我願うは??? 来たれ???≫

 

・精霊の絆と繋がりによりその身に精霊の力を宿す。容姿変化する

 

 可能な精霊 

   

   ・ユキ   (ヴァイス・アートルム)

    

   ・リディヤ (イフリート)

 

   ・リンネ  (シルフ)

   

   ・ティナ  (ウィンディーネ)

 

   ・ルナ   (ブルーノ)

 

 

 

 

  

   -------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

ベルくんのステータスは私が考え付く限り一番チートなものを考えました
これから随時スキルや魔法は更新予定です

それと私の技量不足ですが文字の上に・や読みの字を持ってくることができませんでした。

方法が分かる方は教えてくださるとうれしいです


ちなみに精霊たちのベルくんの呼び方をまとめると

ユキ→ベル


リディヤ→ベル


リンネ→ベル様


ティナ→お兄ちゃん


ルナ→お兄さん


です。 次回はベルくんダンジョンに行きます

あの人もだせたらいいなあ・・・


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初ダンジョンとイレギュラー

ベルくん初めてのダンジョンです


グダグダですがお楽しみください


 迷宮(ダンジョン)一階層

 

 

『ギギャアアアアアァ!!!』

 

 

「フッ!」

 

 

『グギャッ!?』

 

 

 僕は目の前のモンスターに斬撃を放つ。斬撃によってモンスターは真っ二つになり灰になった。残るのは魔石(ませき)と呼ばれるモンスターの核である

 

 

 僕は息を吐きながらギルドで支給された短剣をしまう。今倒したのはゴブリンというモンスターである。初心者向けのモンスターだが油断はできない。弱いとはいえ、相手はモンスター。どんなことをしてくるか分からないからだ

 

 

「・・・今のでちょうど三十体か。手ごたえないなー」

 

『仕方ないわよベル。ここは一階層だし、あんたは私たち精霊の力も使えるんだから』

 

 

 まあ今のところ必要なさそうだけど、と僕が契約している精霊の一人リディヤがそう言う。確かにゴブリン程度に魔法は必要ない。魔力の無駄遣いだし自分から斬りに行ったほうが早いのだ

 

 

 僕は昨日神様の家族(ファミリア)である【ヘスティア・ファミリア】に入団した。メンバーは僕一人だけだけど・・・

 

 

 その翌日に神様と一緒にギルドに赴き、ファミリアと僕の冒険者登録を行こなった。冒険者には専属のアドバイザーがおり、僕のアドバイザーはハーフエルフのエイナ・チュールという人だ。エイナさんに挨拶を済ませた後、神様と一緒に談話室に案内してもらった。僕のステータスを教えるためだ

 

 

 初めは、エイナさんも首をかしげていたが神様の真剣な顔を見て表情を改めてくれた。絶対に他言しないことも誓って。そして僕のステータスを見せるために上着を脱いだ。するとエイナさんは顔を赤くしていた。どうやら僕の体の筋肉に驚いたみたいだ。前にも言ったが二年間の地獄のような修業によって僕の体は結構すごいのだ。ただ着痩せするだけであって

 

 

 話がズレたが僕のステータスである。僕のステータスを見たエイナさんはスキルと魔法の欄に目が言った瞬間に大声を上げながら気絶した。すると予測していたかのように神様が流れるような動作でエイナさんを支えソファに寝かせた。しばらくして目を覚ましたエイナさんは僕たちにこのステータスは絶対にバラさないほうがいいといった。それはそうだろう。僕も色々あって忘れていたが今では精霊は存在していないようなものなのだから

 

 

 僕と神様もそれには同意した。エイナさんも僕たちに協力してくれるそうだ。その後は神様と別れ、僕はそのままエイナさんにダンジョンのことについての講義を受けた。ダンジョンでの注意点や必要なこと、モンスターの特徴や弱点について教えてもらった。僕は昔から暗記は得意だったのでスムーズに終わった。ちなみに頭の中で一緒になって聞いていた精霊たちはリディヤとリンネを除いて夢の国に旅立った。どうやらつまらなかったみたいだ

 

 

 講義を終わった僕はエイナさんが作ったテストを受け、合格点をもらいダンジョンに来ている。あまり無茶はしないように、とエイナさんに言われて。僕としても初めてのダンジョンなので一階層か二階層ぐらいで帰ろうと思っていたのだが・・・・

 

 

「うーん、まさかここまで手ごたえがないとは想定外だったな」

 

『・・・どうするの?ベル。もっと下に行く?』

 

『しかしユキさん、エイナさんにも言われたでしょう?

”冒険者は冒険をしてはいけない”と』

 

『・・・・・・そだっけ?』

 

 

 ユキの発言にリンネがそう返す。そんなリンネにユキはベルの中で首をかしげながらそう答える。それはそうだろう。だってユキはエイナさんの講義の時はずっと寝ていたのだから

 

 

 ベルは自分の中でされている会話を聞きどうしようか?と考える。しばらくして、ベルは決断する

 

 

「・・・・よし!今日はもうちょっと潜ってみよう!!」

 

『・・・よろしいのですか?』

 

「うん。このくらいならまだまだ余裕だしね。それに、これっぽっちじゃあ大した稼ぎにもならないし。神様のために沢山稼がないと!!」

 

『分かりました。では、行きましょうか。ですが程々にしてくださいね?』

 

『お姉ちゃん、なんかお母さんみたい!!』

 

『お姉さん、かほご?なママみたい!!』

 

『!?な、なにを言うんですか!!二人とも・・・って、こら、待ちなさーーい!!

ティナーーー!!!ルナーーー!!!』

 

 

 返事をかえそうと思った時そんな会話が聞こえてくる。どうやらティナとルナがリンネをからかったようだ。二人は意外といたずらっ子なのだ。ベルはそんなやり取りに苦笑しながら下の階層に向かった

 

 

ーー五階層

 

 

それからベルは順調にモンスターを倒し続け、気づけば五階層まで来ていた。しかしここでベルはある違和感に気づく

 

 

「あれ?なんかモンスターの気配がない・・・・・と言うか逃げてる?でも何から?」

 

 

 全くモンスターの姿がなかったのだ。その時ベルの目の前に大きな影が現れる

 

 

「っ!?」

 

 

ベルは短剣を構えて警戒する。すると奥からノシノシと石の大斧を持ったミノタウロスが現れた

 

 

「普通15階層に出るモンスターだよね?なんでこんなところに・・・」

 

『考えても仕方ないんじゃない?それに、ここで倒しておかないと最悪地上に出るわよ』

 

「・・・だよね。それは困るし、やるしかないか」

 

 

 そう言いながらベルは短剣をしまう。今までのモンスターは弱すぎたので使わなかったが相手は今までのモンスターよりも格上である。なのでベルはこう思った。自分の魔法がどこまで通じるか試してみたいと

 

 

「よし、どうせだから魔法がどこまで通じるかやってみるか!!」

 

『いいの?相手はたかが二足歩行の牛よ?別に魔法じゃなくても十分じゃない』

 

『ベル様、わたくしもそこまでする必要はないと思いますが・・・』

 

 

ーー確かにそうかもしれないけど、ここら辺で魔法も使っとかないと腕が鈍るかなって思ってさ?

 

 

『・・・そう、でしょうか?言われてみればそのような気も・・・・』

 

『まぁ、いいけどね。で、どうするの?私の魔法で一気に焼く?消し炭にする?』

 

 

ーーいやいや、そこまではしないよ。それにリディヤの魔法は威力が高すぎてこの階層全体に被害が出そうだから却下で

 

 

『ちぇーーー』

 

 

 リディヤが物騒なことを言ってくるので丁重にお断りする。リディヤは僕の中でそんなことを言いながら拗ねてしまった。僕がリディヤに謝っていると・・・・

 

 

『ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

 僕の存在に気付いたのか、ミノタウロスは雄たけびを上げながら重い体を支える脚で地響きを立てながら大斧を振りかぶりながら迫ってくる

 

 

「おっと、考えすぎたかな、っと」

 

 

 僕はミノタウロスが振り下ろしてくる斧を紙一重にかわしながらそんなことをつぶやく。ミノタウロスの猛攻をすべてよけながら、同時にどう倒すかを考える

 

 

『ベル様どうされますか?わたくしかルナの魔法の方が周囲への影響は少ないですが・・・』

 

 

ーーうーんどうしよっかな~・・・あ、そうだ!一回やってみたいことがあったんだ!!せっかくだから試してみよう!!

 

 

 僕は大きく斧を振り上げたミノタウロスを見上げユキの魔法である≪影歩行≫を使い姿を消し、ミノタウロスの背後の離れた場所に回り込む。ミノタウロスは獲物が突然消えたことに驚いているようだ

 

 

 この魔法はユキが司る闇の属性の移動魔法で影の中を自由に移動できる。影の中にいる時は攻撃は受けないが、こちらからも攻撃できない。しかし建物もすり抜けられるので潜入や情報収集の時に非常に役立つ。今のところ使う気はないが・・・

 

 

 ミノタウロスの背後に回り込んだ僕は深く深呼吸をして精霊たちに語り掛ける

 

 

ーーユキ、リンネ、ティナ、少しだけ力を貸してくれる?

 

 

『・・・ん、もちろん。やっちゃえ、ベル』

『わたくしの全てはベル様のものです』

『いっけーーー!お兄ちゃん!!』

 

 

 そんな声が聞こえてくると同時に三人から魔力が流れ込んでくる。感じるのはとてつもない力の波動と・・・自分への絶対の信頼

 

 

 僕はそんな全能感に身をゆだね、目を閉じて、詠唱を紡ぐ

 

 

「【──目覚めよ(テンペスト)】」

 

 

 ベルの周りに仄かな光が集まる。まるでベルを祝福するように

 

 

 その光に応えるようにベルは更なる詠唱(うた)を奏でる

 

 

「【──嵐の狂王(イシュクル)】」

 

 

 瞬間ベルの周りに暴風が吹き荒れる。それだけではない。ベルの身体から黒雷と冷気が生まれ身体に纏わりつく。暴風は徐々に収まりベルを守護するように吹き荒れる。白い髪には翡翠と蒼の毛が混じり、黒雷より逆立ち気味になっている。その姿はまさに嵐を身に纏ったようだ

 

 

 ベルはゆっくりと目を開けた。その瞳はすべてを照らすような金色。吐く息は冷気により白く染まる。そして、その金色の瞳でミノタウロスを見据える

 

 

「──いくぞ」

 

 

そう言ってベルはミノタウロスに向けて歩き出した

 

 

ミノタウロス視点ー

 

 

ーーーあぁ、自分は手を出してはいけないものに手を出してしまったようだ

 

 

 ミノタウロスは背後にいたベルに気づき襲い掛かろうとしたが、ベルが詠唱をした瞬間に脚を止めた。ベルの変化が終わってもミノタウロスは動けずに立ち尽くした。目の前の存在は一体なんだ?と自分が知らないものに思えて

 

 

ーーー初めは自分のよく知る弱者だったはずだ。だから襲った。自分が逃げてきたあいつらよりはマシだと思って。しかしそれがどうだ?目の前の存在はあいつらよりマシであろうか?自分より力の劣る弱者か?

 

 

ーーー否。断じて否である。目の前の存在は自分よりも、下手をすれば自分が逃げた相手よりも格上の存在だ。別次元である。そんな存在はすべてを見透かすような瞳でこちらを見つめてただ一言

 

 

「──いくぞ」

 

 

ーーーその時、悟った。自分はここで死ぬのだと。近づいてくる。死が。自分を殺す死神が

 

 

ベル視点

 

 

 僕が一歩近づくたびにミノタウロスが一歩下がる。それを繰り返すうちにミノタウロスの逃げ場がなくなる。すると最後に一矢報いようと思ったのか雄たけびを上げながら斧を振り下ろしてきた

 

 

『ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』

 

 

 僕に振り下ろされた斧。おそらくミノタウロスの全霊が込められたであろう一撃。しかしその一撃は僕には届かなかった。振り下ろされた斧は冷気によって氷漬けになり暴風によって粉々になった

 

 

 僕は、唖然としている様子のミノタウロスの間合いに肉薄する。そして、左脚を前に右脚を後ろにして身体を少し斜めにして構える。左手は相手の胸の中心を狙うかのように構え右手は拳を作り後ろに引く。すると、右腕の拳に黒雷と暴風と氷華が集まる

 

 

 そして僕はその拳をーーーー

 

 

 ミノタウロスに打ち込んだ

 

 

「はあ!!」

 

 

ズドン!!!!!

 

 

『-----』

 

 

 瞬間空間が眩い光に包まれる。徐々に光が収まってくると、そこにはひび割れたミノタウロスの魔石と赤い角、そして大壊したダンジョンの壁があった

 

 

 僕はそれを確認し魔法を解除した。物の試しにやってみたが思いのほかうまくいったみたいだ。僕が結果に満足していると・・・

 

 

『へ~、魔法の同時発動で共鳴させて威力を増幅させてるのね。面白いこと思いつくじゃない♪』

 

 

 リディヤがそう言ってくる

 

 

ーーうん、一つよりも三つ合わせたほうが威力も上がるかなーって思って。成功して良かったよ

 

 

『・・・しかし、ベル様?さすがにこれは・・・』

 

 

ーーえ?

 

 

 リンネの言葉に僕は後ろを振り向く。そこには無残に大壊したダンジョンの壁。否、壁だけではない。瓦礫が今も下に落ちている。つまり六階層まで穴が開いてしまったのだ。それを見てベルは顔を青くする

 

 

ーーえ?こ、これ・・や・・ヤバくない?

 

 

『はい、ヤバいです』

『ベル、やりすぎ』

『お兄ちゃん、すっごーい!!!』

 

 

ーーど、どうしよう!?

 

 

 ベルは焦った。この状況、他の冒険者に見つかったら大騒ぎである。そしてこの状況を作り出した犯人として近くにいる自分が疑われるだろう。まあ、実際に犯人なのだが・・・

 

 

 最悪冒険者資格停止、ということもあり得るこの状況をどうするかベルは必死に考えた。するとベルの頭に天啓が降りてきた

 

 

ーーいるじゃないか!この状況をどうにかできる唯一の存在が!!

 

 

 果たしてその人物とは・・・・・

 

 

ーールナ!!この状況どうにかできない!?

 

 

 ルナである。確かにルナは土の属性を司る精霊である。そんなルナならこの絶望的状況を打破できるとベルは考えたのだ

 

 

 最後の希望に縋りつく思いで僕はルナを頼る。果たしてルナは・・・

 

 

『うゅ~~、もう食べられないよぅ・・ムニャ・・・ニャム・・」

 

 

 寝ていた。熟睡である。そんなルナにベルは地獄に叩き落されたような顔になる。

 

 

ーーちょっと!?もしもしルナさん!?僕を助けてくださいませんか!!??

 

『あ~お兄さんだ~♪ハグして~~~♪♪・・・ニャム』

 

ーーするから!いくらでもハグするから!!お願いだから起きてーーーー!!??

 

 

 すると・・・

 

 

「・・・・あの、大丈夫ですか・・・?」

 

「!」

 

 

 ベルは絶望した。他の冒険者が来てしまったのだ。ベルは弁解しようと声のしたほうに振り向く。そして言葉を失った

 

 

 目の前には女性が立っていた。腰まで届いている金髪の綺麗な女の人が。

 

 

 僕が彼女の余りの美しさに見惚れていると――

 

 

「・・・・あの、これって・・・・」

 

「!あ、え、っと、こ・・れは・・」

 

 

 女性の言葉で我に返る。そうだ。弁明をしなくては。まだ間に合うはず!

 

 

 そう思い僕は口を開く

 

 

「あー、あー、と・・そ、そう!僕もさっきここに来て、ですね!ど、どうしたんだろうなーって思いまして・・・」

 

 

 僕が苦しい言い訳をしていると

 

 

「・・・・違う・・・」

 

「はい?」

 

「・・・・これをしたのは君・・・私・・見た」

 

「ゑ?」

 

 

 僕の思考がフリーズする

 

 

「・・・い、いつ・・から・・?」

 

「・・・・君が・・・ミノタウロスを殴るところから・・・」

 

 

 その言葉を聞いたとき、僕の頭に最悪の事態がよぎる。女性が何か言ってくるがなにも聞こえない

 

 

 そして僕は次の瞬間――

 

 

 

「ほあああああああああああああああああああああっ!!」

 

 

 

 気が動転して、その場から逃げ出した

 

 

 最悪だぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

ベルくんが初めて魔法を使いました


そしてアイズとも会いましたね


これからの展開としては番外編を一回入れて豊穣の女主人に行きたいと思います


出来るだけ早めに更新したいと思います


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置いてけぼりの剣姫

ベルが逃げた後のアイズ視点です


グダグダです

どうぞお楽しみください


「・・・・あっ・・・」

 

 

 金髪の女性ーアイズヴァレンシュタインは逃げ去る少年に手を伸ばしながらそんなつぶやきをこぼす

 

 

 彼女は自分たちのファミリアが逃がしたモンスターであるミノタウロスを追いかけてきたのだ。彼女はこのオラリオで双璧をなす家族(ファミリア)の一つ【ロキ・ファミリア】の団員でLv:5の冒険者である。二つ名は≪剣姫(けんき)

 

 

 そんなファミリアが遠征というギルドからの強制任務の帰りにミノタウロスの群れに遭遇。アイズ以外にも手練れぞろいのファミリアをまえにミノタウロスの群れは予想外の行動をとった

 

 

 なんと逃げたのである

 

 

 モンスターが逃げるなど長年冒険者をやってきたアイズたちにも初めての体験だった。それこそ数秒とはいえ唖然とするほどに。彼女たちは正気を取り戻すと逃げるミノタウロスの群れを追いかけ討伐していった

 

 

 しかしその中の一匹が上層にまで逃げたのである。このままでは上層で死者が出てしまう。大手ファミリアが自分たちのミスで死者を出したとなれば大変なことになる。なので団員の中でも敏捷が高いアイズが先行してやってきたのだ

 

 

 そして、アイズは魔法を使用して全速力で5階層に辿り着いた。五階層でミノタウロスを探していると、どこからか大きな魔力の波動が流れてきた。とても上層にいる冒険者が放てるものではない。アイズはその魔力が流れる場所に全速力で向かった。

 

 

 魔力を感じた場所に着くとそこには逃がしたミノタウロスがいた。アイズは間に合った、と思い討伐しようとするがすぐに足を止める。ミノタウロスの目の前に白い髪の兎のような少年がいたのだ。少年は拳をため放とうとしていた

 

 

 アイズは疑問に思った。上層にいるということはまだ駆け出しである。装備品から見ても駆け出しのものだ。ではなぜそんな少年がLv:2相当のミノタウロスを圧倒しているのか?

 

 

 しかし更なる衝撃がアイズを襲う。少年は拳に魔力を纏わせたのだ。それも自分に匹敵するか、あるいはそれ以上の魔力を。だが、アイズが感じたのはそれだけではなかった

 

 

(・・・・この魔力・・・なんだか・・・懐かしい?・・・)

 

 

 そう。伝わってくる魔力を懐かしいと感じたのだ。目の前の少年とは今初めて会ったはずだ。それは間違いない。では、なぜ懐かしいなどと思ったのだろうか?

 

 

 そう考えているアイズを他所に少年は拳をミノタウロスに向けて放つ

 

 

 瞬間視界が、いや空間全体が眩い光に包まれた。しばらくして光が収まり、目を開けるとそこにはひび割れた魔石とドロップアイテムであろうミノタウロスの角が落ちていた。しかしそんなものはアイズにとってどうでもよかった。アイズの目線の先には・・・・

 

 

 大壊したダンジョンの壁があった

 

 

 なぜこのようなことになったのか?答えは分かっている。目の前の少年がやったのだ。おそらくLv:1の駆け出しの少年が。自分がLv:1の時に同じことができただろうか?ミノタウロスを倒し、ダンジョンの壁を壊すことが?

 

 

 ー否。断じて否である。確かに今の自分には出きるだろう。しかしそれはLv:5のステータスがあってこそだ。Lv:1の時にやれと言われてもできるはずがない。まあ昔の自分なら一つ返事で突っ込んでいっただろうが・・・

 

 

(・・・・知りたい・・・どうしてあんなに強いのか・・・どうすればあんなに強くなれるのか・・・・!)

 

 

 アイズはそう思った。アイズにはある目的がある。その目的を成し遂げるために冒険者になったのだ。そして、その目的を成し遂げるには強くならないといけない。冒険者の中では数少ないLv:5だがアイズは満足していない

 

 

 目的を成し遂げるにはまだまだ足りないからだ

 

 

 そして目の前の少年である。この少年がどうやってここまで強くなったのか?それを知れば自分はもっと強くなれる。

 

 

 そんな確信となぜ懐かしくなったのか、という疑問を持ちアイズは少年に話しかけた

 

 

 ・・・・のだが

 

 

「・・・・逃げられちゃった・・・」

 

 

 アイズは少年が逃げ去った方を見つめる

 

 

チクッ

 

 

「・・・・・・?」

 

 

 アイズは胸を押さえる

 

 

 なぜだろう?少年から逃げられたとき心が少し痛んだ。感じたことのない感情に首をかしげていると、後ろから同じファミリアの団員である狼人(ウェアウルフ)であるベート・ローガがやってきた

 

 

「おい、アイズ!ちゃんとやったんだよな・・・・ってなんだアイツ?ひょろくせえガキだな・・・」

 

 

 ベートは逃げ去る少年を見てそうぼやく。その後、周囲を見渡し目を見開く。それはそうだろう。なぜならダンジョンの壁が大壊しているのだから。そして何かに気づいたのかクツクツと笑い声を漏らす。そんなベートを見てアイズは首をかしげる

 

 

「クックック、そういうことかよ・・・。ったく助けてもらっといて失礼なもやし野郎だなあ!!」

 

「?」

 

 

 アイズは訳が分からずベートを見る。するとベートはアイズの視線に気づいたのか笑いながら言う

 

 

「アイズ・・お前、ビビられたな!」

 

「!?」

 

 

 ベートの言葉にアイズは衝撃を受ける。少年が逃げたのは自分が恐がらせたといわれたのだ。なぜだ?自分は何かしてしまったのか?もしかして顔が恐いのか?などとアイズは自己嫌悪に陥っている

 

 

 まあ、実際はベートの勘違いである。ベートはミノタウロスに襲われていたもやし野郎ことベルをアイズが助け、力みすぎてダンジョンの壁を壊してしまいそれを見たベルが逃げだしたのだ、と思ったのだ。真実はすべてベルの仕業であり、ベルが逃げたのは自分が作った状況をアイズに見られ気が動転したからである

 

 

 今ここに間違いを指摘できる者はいない。アイズは未だに自己嫌悪中でうつむいている。そんなアイズを見てベートは一嗤いして口を開く

 

 

「オラァ!アイズ!いつまでもウジウジしてんじゃねーよ!!とっとと行くぞ!!」

 

 

 そう言ってベートは仲間のもとに歩き出す。アイズも自己嫌悪に陥りながらも後を追おうとするが視界の端にあるものが映る。顔を向けるとそこにあったのはあの少年が倒したミノタウロスの魔石と角だった。アイズはそれらを拾い上げ自分のポーチに入れる。いつか絶対に自分の手であの少年に謝ろうと。そして恐がらせたことを謝ろうと

 

 

 実際にはアイズは何も悪くなく、ベルも気が動転しただけなのだが、ベートの言葉で自己嫌悪になっているアイズは自分が恐がらせてしまったと思い込んでいる。そしてアイズはもう一つ大事なことを思い出した

 

 

「・・・・あっ・・・・名前・・・・知らない・・・」

 

 

 そうアイズはベルの名前を知らないのである。名前を聞く前に逃げられてしまったから。今度会うときは名前も聞いてちゃんと謝ろう。アイズは決心した

 

 

「・・・・また・・・会えると・・・いいな・・・」

 

 

 そうつぶやき、アイズは仲間のもとに向かう

 

 

 ---【剣姫(アイズ)】と【白兎(ベル)】の再開は意外と近い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


次回ざまぁ!・・・・までいけるといいな


出来るだけ早めに更新したいと思います


ではおやすみなさい


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ギルドとステータス

今回はベルくん、ステータス更新します

お楽しみください!


ではどうぞ!


ーギルド本部

 

 

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報を教えて欲しい? どうしてなの?」

 

 

 

「えっと……それは、ですね……」

 

 

 

 金髪の女性冒険者――アイズ・ヴァレンシュタインさんにあの現場を目撃されて逃走した僕は、すぐさまダンジョンから出てギルド本部へと向かった

 

 

 

 僕がギルドに入ると、偶々ギルド本部の出入口にいたエイナさんにお願いして話す場を用意してもらったのだ

 

 

 

 そして今、ロビーから少し離れた面談用の椅子に座っている僕は、向かいの椅子に座っているエイナさんに情報を聞き出そうとしている。アイズ・ヴァレンシュタインさんについて

 

 

 

「ご、5階層より下に行こうとしたら偶々お会いして――」

 

 

 

「ちょっと待って、ベル君。いま、5階層より下って言わなかった?」

 

 

 

 僕が言ってる最中、突然エイナさんがこめかみをピクピクしながら遮る様に質問してきた。

 

 

 

 ……あっ、しまった。今の僕は5階層より下に行っちゃいけないんだった。エイナさんから何とか5階層へ進むのを許可してくれたのに、それを平然と破る事をしてしまったから。

 

 

 

「ご、ごめんなさい! 分かってはいたんですけど、倒したモンスターが余りにも弱過ぎて・・・」

 

 

 

「そう言う問題じゃないの! ダンジョンのモンスターを甘く見たら簡単に命を落とすって、講義の時に何度も言ったじゃない!」

 

 

 

 はい、言ってました。今のエイナさんには信じてもらえないと思うけど、僕にとって上層のモンスターは本当に弱過ぎて大した稼ぎにならなかったんです!

 

 

 

「とにかく! これも何度も言ってるけど、冒険者は冒険しちゃダメ! 良い?」

 

 

 

「は、はい。気を付けます。すいませんでした・・・」

 

 

 

 そう思いながらエイナさんのお説教を一通り聞き終えると、漸く本題に入ってくれた

 

 

 

「それで、アイズ・ヴァレンシュタイン氏の情報なんだけど・・・ギルドとして教える事が出来るのは、公然となってる情報だけよ?」

 

 

 

 と言って、エイナさんは親切に教えようとしてくれる。

 

 

ギルドとしては相手の個人情報は教えれない決まりになってるけど、ギリギリの範囲で教えてくれるエイナさんに感謝だ。

 

 

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン。ロキ・ファミリアの所属で、現在は『Lv.5』。剣の腕はオラリオでも一~二とされ、神々から授かった称号は『剣姫(けんき)』」

 

 

 

「あ、その位は僕でも知ってます」

 

 

 

 冒険者になる前、家族(ファミリア)探しの時からヴァレンシュタインさんの噂は何度も耳にした。だからエイナさんが言った内容は既に知ってる。

 

 

 どんな人なのか会ってみたいなぁって思ったんだけど、ロキ・ファミリア所属と聞いた途端に複雑な気持ちになった。ファミリア探しの時にのホームへ行った際、怪しい奴だと言われて門前払いされたのだ

 

 

 ・・・あのファミリアはどんな人でも入団試験を受けれると聞いていたのに。内心とてもショックだった。まああの門番の独断なのかもしれないが

 

 

 そんなこともあり、僕は【ロキ・ファミリア】にあまり良い印象を持っていない。

そして、それは精霊たちも同じなようで・・・・

 

 

『・・・ベル?・・あのファミリア潰すの?・・・殺るなら早くいこう?・・』

 

 

『ああ、あのオラリオ最強か何だか知んないけど調子に乗ってるやつらね。で?どうすんのよ?ぶっ潰すには実力行使が一番だと思うけど?』

 

 

『ダメですよリディヤさん。そんな簡単に終わらせてしまっては。・・・そうですね初めはルナの力であの【ロキ・ファミリア(クズ)】どもの本拠地(ホーム)を粉々にしてから・・・・』

 

 

『・・・リンネ、アンタってさ。意外とえげつないわよね?』

 

 

『えっ?だってベル様をあんな風にあしらった連中に生きる価値があるとでも?』

 

 

『私も!私も頑張る!ぜーんぶ凍らせる?それとも水に沈める?』

 

 

『お兄さん、アイツら潰すの?ルナ、頑張るよ?』

 

 

 と、物騒なことを言ってくる。いや、しないからね?さすがにそこまでは思ってないから!・・・あ、みんなガッカリしないの!・・・ってかユキさん?なに呪詛唱えてるんですかね?やめてね?

 

 

 そんなこんなでエイナさんとのお話も終わり僕は自分の本拠地(ホーム)に戻った。ヴァレンシュタインさんがあの惨状をギルドに報告しないことを祈りながら。僕が本拠地(ホーム)に着いたころには日が暮れていた。僕が本拠地の扉を開けると、僕の主神であるヘスティア様が抱き着いてきた

 

 

「おっ帰りー!ベーールくーーーん!!!!」

 

 

「おっとと・・・神様?そんなに強く抱きしめられたら動けないですよ?・・・ただいま戻りました。神様」

 

 

 

「うん!じゃあ早速ステータスの更新をするかい?」

 

 

「はい。お願いします」

 

 

 そう言って僕は上着を脱ぎソファにうつ伏せになる。そして神様が僕の腰の上に座り更新を行おこなう。するとしばらくして・・・

 

 

(・・・なんなんだい?この上がりようは?)

 

 

 

 

   ------------------------------

 

 

ベル・クラネル

 

 

 

Lv:1

 

 

 

力 : I 0→H 177

 

耐久: I 0→H 113

 

器用: I 0→H 101

 

敏捷: I 0→G 248

 

魔力: I ?→SSS ?

 

 

 

《魔法》【六大精霊王の加護】

 

・火、水、風、土、光、闇の6つの属性の全ての魔法を使うことができる

・一度使用した魔法は詠唱を破棄できる

・精霊魔法を使用できる

・???

・???

 

 

《スキル》【精霊に愛されし者】

 

・早熟する

・自身と精霊の絆がある限り効果持続

・自身と精霊の絆の大きさにより効果向上

 

 

【???】

 

・チャージ可能

・???を使用可能  詠唱式≪我願うは??? 来たれ???≫

・精霊の絆と繋がりによりその身に精霊の力を宿す。容姿変化する

可能な精霊 

 

   ・ユキ   (ヴァイス・アートルム)

   ・リディヤ (イフリート)

   ・リンネ  (シルフ)

   ・ティナ  (ウィンディーネ)

   ・ルナ   (ブルーノ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

   -------------------------------

 

 

 

 

「合計600超え・・・?」

 

 

 ヘスティアは愕然とした。ベルは今日が初めてのダンジョンだったはずだ。それなのにこの上がりようはおかしい。おかしすぎる。確かにベルには成長促進のレアスキルがあることは知っている。しかしそのスキルはここまで影響があるものなのか?

 

 

 それだけではない。ヘスティアが目を向けたのはステータスの魔力の欄だ。たしかステータスの限界は≪S 999≫だったはずだ。しかしベルのステータスは≪SSS ?≫である。軽く限界を二つも突破しており、数値は分からないが999以上なのは確実である

 

 

「・・・ベル君?今日ダンジョンでなにかあったのかい?」

 

 

「あ、はい!実は5階層でミノタウロスに遭遇しまして・・・」

 

 

「はあ!?だ、大丈夫だったのかい?」

 

 

「は、はい・・・倒しました・・・・魔法を使って・・・」

 

 

「・・・ちなみに、どんな魔法を?」

 

 

「えーっと・・・3つの属性を複合させて・・・新しい魔法を創って・・魔力を溜めて・・・殴りました・・・・・」

 

 

 ヘスティアは気を失いそうになった。それはそうだろう。自分の眷属が複合魔法という未だ誰も成し遂げたことのない偉業をやってのけたのだ。更に新しい魔法を創ったというのだ。ヘスティアは痛む頭を抑えベルに語り掛ける

 

 

「はあ~~・・・ベル君、お願いだから無茶だけはしないでおくれよ?君がいなくなったらボクは一人ボッチになってしまうからね?そうなったらボクは泣くよ?」

 

 

「・・・はい。分かりました。誓って無茶はしません。そして必ず神様のもとに帰ってきます!」

 

 

「・・・うん。約束だぜ?ベル君」

 

 

「はい!」

 

 

 ステータス更新が終わり、神様が背中から降りて僕は上着を着る。この後僕は入浴をすませて、神様と一緒に夕飯をとることにした

 

 

 ちなみに夕飯は神様のアルバイト先で余った『ジャガ丸くん』というイモを揚げたものだ。今日は量も多く夜遅くまでジャガ丸くんパーティだった

 

 

 ベルの中で騒ぐ二人を見た精霊たちは苦笑したりため息をついたりしていた

 

 

 その後は神様と別れ、ソファに横になり眠りについたのだった

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


今回ではざまぁまでいけませんでした


次回はいけると思いますのでお待ちください


出来るだけ早めに更新したいと思います


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豊穣と精霊たちの怒り

ざまぁ回です

初めてざまぁを書いたのでうまく書けていないかもしれません

いつも通りグダグダです


では、どうぞ!


 初めてのダンジョンから帰ってきた翌日。僕は今日もダンジョンに潜っていた。神様には昨日のようなことはしないようにと強く言われたけれど・・・

 

 

 無事に魔石を集め終わりギルドに帰還する。今日の稼ぎは10万ヴァリスだ。上層で集めたにしてはなかなかの額だと思う。ギルドで魔石を買い取ってくれる人は愕然としてたけどね

 

 

 いつもならこのまま本拠地(ホーム)に帰るのだが今日は寄らないといけないところがあるのだ。そのために今日はいつもより多く稼いだのだから

 

 

 今向かっているのは【豊穣の女主人】という酒場である。聞くところによると値段は少し高いがすごく美味しいらしい。ではなぜ僕がそのお店に行くことになったのか。それは今朝まで遡る

 

 

 僕が昨日に引き続きダンジョン探索へ行こうとしてる際、奇妙な事が起きた。遥か上空にいる誰かが僕に強い視線を送っている、と言うことが。僕は短剣に手を添え視線を感じた方を睨んだ

 

 しかし、ここで僕は大変な事をやらかしてしまう。見知らぬウェイトレスに短剣を向けてしまったのだ

 

 

 視線に気を取られてしまった所為で、ウェイトレスに迷惑を掛けてしまった。僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになりウェイトレスに謝罪した。けれど、向こうは何でもないように振舞ってくれた。僕は償いたいと伝えると、ウェイトレス――シルさんは、今夜自分が働いている酒場に来て欲しいと言われた

 

 

 

 勧誘だと分かりつつも、それでシルさんさんが許してくれるならと思って、今現在酒場に向かっているのだ

 

 

 しばらく歩くと、目的地である【豊穣の女主人】に到着した。店の中に入ると今朝短剣を向けてしまった相手であるシルさんが迎え入れてくれた

 

 

「いらっしゃいませ!来てくれたんですね!」

 

「・・・はい、約束しましたからね」

 

「ふふっ・・・そうですよね?今朝のあれはすっごく恐かったんですよ?」

 

「うっ・・・す、すいませんでした・・・」

 

「冗談ですよ?では、こちらにどうぞ♪」

 

 

 そういって席に案内される。そのときに店主の女性であるミアさんに声をかけられる

 

 

「へえ、アンタがシルの言ってた冒険者かい?ははっ、かわいい顔してるじゃないか!!」

 

 

ミアの言葉にベルは苦笑する。ベルの中の精霊たちは全員うなずいて同意しているのだが

 

 

 しかし、次の瞬間ミアの口から予想外の言葉が発せられる

 

 

「そういえばアンタ、あたしをうならせるほどの大食漢らしいじゃないかい!!ジャンジャン金を落としてくんな!腕がなるよ!!」

 

 

「・・・へ?」

 

 

 ミアが何を言っているのか僕には分からなかった。しかし隣にいるシルに視線を向けると笑いをこらえているのかプルプルと震えていた。間違いない。犯人は彼女だ。

 

 

「シ、シルさん!?」

 

「ふふ・・・ふ・・・・。す、すいません、でもここの料理はとても美味しいのでいくらでも食べられますから!」

 

「いや、そういうことではなくてですね!!」

 

 

 ベルはそう訴えるがシルはどこ吹く風である。シルはいたずら好きのようだ・・・

ベルは肩を落としながらシルの後を追った。頼んだ料理はどれもおいしかったが量がとんでもなく多かった

 

 

~~~

 

 

 あれからしばらく僕は料理と格闘し続けていた。精霊たちはいない。僕と契約してから精霊たちは無理に食事を摂らなくてもてもよくなった。僕とエネルギーを共有しているからだ。まあ、味覚までは共有できないので、精霊たちも食事をすることは多いのだが・・・

 

 

 僕が食事を始めてからしばらくして精霊たちもお腹がすいてきたのか、僕の中で全員よだれを垂らしていた。なので僕は一緒に食べようと精霊たちに語り掛けようとしたとき・・・

 

 

「にゃ〜、ご予約のお客様、ご来店にゃ〜」

 

 

 店員の猫人、アーニャの案内で店に団体が入ってきた。ベルはそちらに目を向けると目を見開く。その団体の中に昨日ダンジョンで出会った金髪の女性ー-アイズ・ヴァレンシュタインがいたからだ。つまり、あの団体がオラリオ最強と名高い【ロキ・ファミリア】なのだろう

 

 

 ベルはその団体から目線をそらし静かに食事を再開した。冷や汗ダラダラである。

今日ダンジョンに行ったときは何も言われなかったので、まだダンジョンの壁のことはバレていない筈だが・・・

 

 

 ロキ・ファミリアはそんなベルに気づくことなく、宴を始めた。だんだん酒場の空気が最高潮になっていった。しかしそれとは逆に、ベルの中の精霊たちはロキ・ファミリアが来た瞬間から雰囲気が変わり今では一言も言葉を発さず静かな殺意を纏っている。ベルは早く食べ終わって帰ろうと食べる手を早める

 

 

 --そこで、事件が起こる

 

 

「よっしゃあ! アイズ、そろそろ例のあの話、皆に披露してやろうぜ!?」

 

「あの話?」

 

 

 突然、ロキ・ファミリアと思われる獣人の青年がヴァレンシュタインさんに話をもちかけた。見た目はカッコいい人だけど、口が悪そうな感じだ。

 

 

「アレだって。帰る途中で何匹か逃したミノタウロス。最後の一匹にお前が5階層で始末したろ? そんでホラ、その時にいたもやし野郎の。如何にも駆け出しのヒョロくせえ冒険者(ガキ)が、逃げたミノタウロスに戦おうとしたんだぜぇ!」

 

 

 

 ーーちょっと待って。それってまさか昨日のアレ?

 

 

 

 と言うか、もやし野郎って・・・僕の事かな。あの時は気が動転して逃げたけどミノタウロスは倒したはずだ。あと、ヒョロくさいって・・・やっぱり僕は弱そうに見えるのかな?

 

 

「笑っちまうよなぁ! 自分と相手の力量差も測れないド素人の分際で!」

 

 

 

ーーいや、倒しましたよ?ワンパンでしたよ?オーバーキルだったけど

 

 

 

 獣人の青年は僕を嘲笑うように、面白可笑しく話を続けている。ロキ・ファミリアが様々な反応をしている中、ヴァレンシュタインさんだけは無表情だった。聞くに堪えない話みたいな感じで。

 

 

「いい加減にしろ、ベート。そもそも十七階層でミノタウロスを逃がしたのは、我々の不手際だ。恥を知れ」

 

「あぁ!? ゴミをゴミと言って何が悪い!?」

 

 

 

 女性エルフの人が咎めるように叱咤するが、獣人の青年は聞く耳を持たないどころか言い返した

 

 

 

 ーーこれが有名冒険者の認識みたいだ。これにはいい加減僕もウンザリした。特に、人を見た目で判断して勝手にゴミと決めつけている獣人の青年は一発殴りたい

 

 

 

 だけど、そんな事をしたらお店にいる人達や神様にも迷惑が掛かってしまう。

 

 

 僕が冷静になって聞き流そうとすると・・・

 

 

「おいアイズ!お前はあのガキに言い寄られたら受け入れるか?んな筈ねぇな!? 自分より軟弱で弱いザコ野郎に!お前の隣に立つ資格なんてありゃしねぇんだ!!」

 

 

ーー僕が聞き流せば・・・

 

 

「それに、他ならないお前自身がソレを認めねぇ! ザコじゃあ、アイズ・ヴァレンシュタインには釣り合わねえ!」

 

 

 

 

 それを聞いた瞬間僕の頭の中にある何かがキレた

 

 

 

 ロキ・ファミリアはベートの話に笑いをこらえたり爆笑したりしている。唯一、アイズだけが顔を下に向けている。しかしそんなことはベルにとってはどうでもいい。激情のままにロキ・ファミリアの宴会の場に殴り込もうとした・・・・

 

 

ーその瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・ハ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな声と共に酒場全体にとてつもない威圧と殺気が広がる。酒場の何人かの客はあまりの殺気に気を失った。その殺気にあてられ、ベルは冷静になった。そして同時に大変な事に気づく。自分以上に彼らに、ロキ・ファミリアに怒りを持つ存在がいたことに

 

 

 ベルのそばには5人の少女が立っていた。誰もが見惚れるであろう美少女たちーーユキたち精霊である。しかし今の彼女たちは普段からでは想像できない程の殺気を纏い、ゴミを見るような目でロキ・ファミリアを見つめている

 

 

 -ーこのままではまずい!

 

 

 そう思ったベルは、彼女たちを止めようと動き出した

 

 

 -しかし

 

 

「・・・ベル」

 

「!?」

 

 

 ユキから絶対零度の声で名を呼ばれベルは動きを止めた

 

 

「・・・ちょっと、ここで待ってて?」

 

「で、でも」

 

「・・・だいじょうぶ。スグニオワルカラ」

 

 

 そう言って精霊たちはロキ・ファミリアの方へと歩いていく。ベルはもう止められないと思い、緊急時に対応できるように身構えた

 

 

 

 

 圧倒的な威圧と殺気によりロキ・ファミリアは第一級冒険者以外は気絶してしまった。今意識があるのはファミリアの団長、副団長を含む幹部たちだけである。

しかしその幹部たちも顔に苦しみが映っている

 

 

 そこにユキたちがたどりつく

 

 

「・・・ねえ。そこの駄犬」

 

 

 ユキがベートに話し掛ける。ベートは顔を苦痛に歪ませながらユキの方を向く。ユキはそんなベートを絶対零度の視線で見下ろす

 

 

「・・・さっき何の話をしてたの?」

 

「アッ?」

 

 

 ベートはユキの質問にそう返す。なにを聞かれているのか分からなかったのだ。そんなユキにベートはすくむ身体を奮い立たせ詰め寄ろうとした

 

 

「テメェ、いきなり出てきて何を・・・」

 

「うるさい」

 

 

 瞬間ベートは全身を金色の鎖で拘束され床に転がった。ユキはそんなベートの顔を踏みつけ再度問う

 

 

「ガアッ!?」

 

 

「・・・ほら?早く答えてよ?ねえ?」

 

 

 ベートが拘束されるのを見て幹部たちが動き出した

 

 

 しかしそんな幹部たちの前にリディヤとリンネとティナが立ち塞がる

 

 

 次の瞬間金髪の小人族と長髪のエルフの女性は顔を除くすべてを氷漬けにされた。ドワーフの老兵とアマゾネスの姉妹たちは高密度の風に押しつぶされ、アイズと山吹色の髪をしたエルフの少女の周りには炎の剣が複数現れ、一歩でも動くと襲われるだろう

 

 

「少しは大人しくできないの?これがオラリオ最強だなんて笑わせるね?」

 

「仕方ありませんよ。所詮はそこのクズがいるファミリア。最強最強と持て囃されて調子に乗っていたのでしょう。そこら辺の子供の方がまだマシです」

 

「邪魔しないで?死にたいなら後で殺ってあげるから。ね?」

 

 

 リディヤ、リンネ、ティナはそれぞれごみを見るような目でそう告げる

 

 

「くっ!?これは・・・」

「う、動けん!」

「なんじゃこれは!?ワシでも立ち上がれん!?」

「か、身体が・・・!?」

「なに・・これ・・・」

「・・・ッ」

「え、え!な、何これ!?」

 

 

 幹部たちがそれぞれ反応を見せる。しかしユキたちは全く気にも留めずベートに問いかける

 

 

「・・・早く答えてよ?」

 

「グッ!?・・・だから何のことだよ!?」

 

「だからさっきもやし野郎とかザコとか色々言ってたじゃない」

 

「アアッ!?それがなんだよ!テメェ等には関係ないだろうが!!」

 

 

リディヤの指摘にベートは声を荒げる

 

 

「関係ないわけないじゃない。むしろ関係大アリよ」

 

「だからどういうことだっ・・・」

 

「あなたが馬鹿にした相手はわたくしたちの契約者です」

 

「契約者?」

 

 

 ベートはリンネの放った発言に疑問を持つ

 

「・・・そうですね、そこの長髪のエルフならわたくしたちがどういった存在かわかるのでは?」

 

 

 そういってリンネは氷漬けにされたエルフを見る。ゴミを見るような目で

 

 

「なにをいって・・・・」

 

「?・・・・!?ま、まさか・・・!?」

 

 

 ベートは何を言って、と思ったがリンネたちを見つめていたエルフは初めは怪訝な顔をしていたが、何かに気づきその顔は真っ青になっていく。エルフは震える唇で言葉を零す

 

 

「・・・・せ、精霊・・・」

 

 

『!?』

 

 

 エルフの言葉にロキ・ファミリアの全員が言葉を失う。特にアイズは目を見開き精霊たちを見つめていた

 

 

「そう、そこなエルフが言うようにわたくしたちは精霊です。そしてわたくしたちは既に契約している方がいます」

 

 

 リンネの言葉にロキ・ファミリアは更なる衝撃に襲われる。中でも長髪のエルフと山吹髪のエルフは開いた口が塞がっていない。そんな中、いち早く回復した金髪の小人族の男がリンネに問いかける

 

 

「このような形で申し訳ない。僕はロキ・ファミリア団長のフィン・ディムナ、隣のエルフは副団長のリヴェリアと申します。精霊であるあなた方がこのようなことをするのは、あなた方の契約者が関係している、と考えてもいいのですか?」

 

 

 金髪の小人族ーフィンはそう口を開く。隣のエルフーリヴェリアはまだショックから立ち直っていない。そんなフィンにリディヤとルナが口を開く

 

 

「へー、アンタ話が早いじゃない。そうよ。そこに寝てる駄犬が私たちの契約者を嘲笑した挙句、ザコだの、もやし野郎だの好き勝手言ってたわよね?」

 

「ヒョロくさいって言ってた。お兄さんを馬鹿にすると・・・潰すよ?」

 

「・・・・・申し訳ない。その事に関してはベートに責任を持たせて謝罪させ「フザけんじゃねえ!!」っベート!?」

 

 

 フィンの言葉の途中でベートが声を荒げる。全員の視線が彼に集中する

 

 

「なんで俺が謝らなくちゃならねえ!!そんなの弱いくせにミノタウロスに挑んだもやし野郎のせいじゃねえか!?てめえらの失敗を俺たちに押しつけんな!それにミノタウロスにビビって逃げるような奴と契約してるとはテメエ等も大したことな「黙れ」グフッ!?」

 

「ベート!!」

 

 

 ずっと黙っていたユキがベートを蹴り飛ばす。ベートはそのまま扉を破って外に飛んでいくが、いつの間にか外にいたティナとルナが蹴り返し店内に戻す。飛んできたベートをリディヤとリンネが受け止め拘束する

 

 

「・・・もう口を開くな。お前の言葉は不愉快だ」

 

 

 ユキは普段とは全く違う言葉遣いで今までにない殺気をその身に宿している。ゴミを見るような目でベートを見下ろして告げる

 

 

「・・・そもそも、お前は勘違いをしている。ミノタウロスを倒したのはそこにいる金髪の奴じゃない。お前が馬鹿にした私たちの契約者、ベルだ」

 

「ハァ、ハァ・・・な・・・に・・・?」

 

「・・・嘘だと思うなら聞いてみるといい。おい、お前。ミノタウロスを殺ったのはお前か?」

 

 

 ユキはアイズに視線を向ける。視線を受けたアイズは身体を震わせながらも首を横に振る。それを見てベートは愕然とする

 

 

「・・・だ、そうだが?」

 

「・・・・・」

 

 

 ユキの言葉にベートは何も返さない。いや返せない。それはそうだろう。今のこの状況は自分の勘違いで起こったのだから。ベートが絶望するのも無理はない。しかしユキはそんなベートに気にかけることなく言葉をぶつける

 

 

「・・・それで?自分たちの失敗を擦り付けるな、だったか?よくもそんなことが言えたものだな」

 

 

 ユキは軽蔑の表情でロキ・ファミリア全員に顔を向け言い放つ

 

 

「自分たちのミスでモンスターを逃がし!それを他の者に始末させたのにも関わらず勘違いで笑い話にし!挙句の果てには周りも一緒に馬鹿にし、責任を押し付けるななどとほざく!!貴様たちは理解しているのか?今回は運がよかっただけだ。私たちの契約者がいたからな。下手をしたら誰かが命を失っていたかもしれない。死人が出なくて良かったというのは結果論だ。貴様たちがやったのは命への冒涜だ。そんなことも分からないのなら、もういいーーーーここで死ね」

 

 

『!?』

 

 

 ロキファミリアの全員は息をのむ。ユキの手に膨大な魔力が集まっていく。それこそ自分たちを簡単に殺せる程の・・・

 

 

 ユキはその魔法を放とうと腕を上に掲げ、振り下ろそうとした瞬間ーーー

 

 

「――――そこまでにしよう?ユキ」

 

 

 振り上げられた腕を白髪の少年が掴む。すると魔力は霧散した。雰囲気もいつもの状態に戻る。ユキは声のした方に振り向き声を上げる

 

 

「・・・ベル、いいの?」

 

「うん、僕はもう大丈夫だから。ありがとう、僕のために怒ってくれて。でも、少しやりすぎかな?」

 

 

 白髪の少年ーーベル・クラネルはユキの頭を撫でながらそう零す。ユキはベルに撫でられて目を細めて気持ちよさそうにしている。そこにはさっきまでの殺気を纏った少女はいない

 

 

「皆もありがとう。でも、僕は大丈夫だから。魔法を解いてくれないかな?」

 

 

 ベルがそういうとロキ・ファミリアを拘束していた魔法が全て消えた。精霊たちはベルのもとに集まる。そこで撫でられているユキを見て他の精霊たちが嫉妬し、自分にも、とベルに迫っていた

 

 

 そんな精霊たちを見てロキ・ファミリアは茫然としている。アレが本当にさっきまでの少女たちと同一人物なのか疑いたくなるほどだ。そんなロキ・ファミリアのもとにベルは赴く

 

 

「すいません、団長はこの中におられますか?」

 

「あ、あぁ・・・僕が団長のフィン・ディムナだ」

 

「あなたが・・・・・では・・・」

 

 

 ベルはそう言ってフィンに向かって頭を下げる。これにはロキ・ファミリア全員が顔を驚きに染まる

 

 

「この度は多大なご迷惑をおかけしました。あれはやりすぎだと思います。しかし彼女たちの行動は僕を思ってこそ。なので、処罰は全てこの僕に。彼女たちへの罰はどうかお許しを」

 

 

 ベルの言葉を聞き、フィンは大きな衝撃を受けた。目の前の少年はこちらに完全に非があるにも関わらず、謝罪をしている。そして彼女たちの責任は自分にあると自ら罰を背負おうとしているのだ

 

 

 フィンはそんなベルを見て声をかける

 

 

「・・・顔を上げてくれ。君たちに非はないのだから」

 

「・・・しかし」

 

 

「いや今回のことは完全にこちらに非がある。そこにいる白髪の精霊様の言ったことはなに一つ間違っていなかった。ついては後日正式に謝罪をしたい」

 

 

「いえ、さすがにそれは・・・」

 

「いや、謝罪させてくれ。これは僕らたちのけじめだ。それに君には色々と聞きたいことがあるからね」

 

「・・・そういうことなら」

 

 

 その後はフィンさんと日程を決めて、気絶した人たちの介抱をした。ロキ・ファミリアのメンバーは幹部たちが本拠地(ホーム)に連れ帰った。僕も手伝おうとしたが、こんなことをさせるわけにはいかないといわれてしまった

 

 

 フィンさんたちが帰った後、精霊たちは僕の中に戻った。それから僕はミアさんと従業員の皆さんに謝罪した。シルさんは僕を心配してくれていた。ミアさんは店を壊したことには怒っていたが僕が壊れた箇所は魔法で修繕したので不問にしてくれた。

今回、僕は一応被害者ということで許してくれたが、二度目はないということだ。謝罪を終わらせた僕は本拠地(ホーム)に帰ろうとすると、従業員の金髪のエルフの女性ーーリューさんに呼び止められた。どうやらお弁当を作ってくれたみたいだ。僕だけでなく精霊の皆の分まで

 

 

 僕は嬉しくなり、リューさんの手を握って感謝を伝えた。手を握ったときリューさんやシルさん、ミアさんや他の従業員の皆が驚いていたがどうしたのだろうか?お礼を伝えた僕は今度こそ本拠地(ホーム)に帰るために、【豊穣の女主人】を出る。リューさんは僕が握った手をずっと見ていた

 

 

 余談だが、僕が本拠地(ホーム)に帰って神様に【豊穣の女主人】での出来事を伝えたら最大級の雷を落とされ、5時間近くも説教をされた。ちなみに精霊の皆は我知らずと僕の中で先に寝ていた。翌日寝不足になったのは言うまでもないだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回はどうするか迷っています

アンケートの結果を踏まえてこれからを考えたいと思います


出来るだけ早めに更新したいと思いますが、少し遅くなるかもしれません


気長にお待ちください


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道化の後悔

番外編です


あの事件後のロキ・ファミリアの視点です


精霊たちからの言葉に彼らは何を思ったのでしょうか?


では、どうぞ!


 【豊穣の女主人】の一件からしばらくして、ここは、ロキ・ファミリアの本拠地(ホーム)である【黄昏の館】。先の一件で気絶していた団員たちの処置を終わらせた幹部たちは主神であるロキの部屋に集まっていた。

しかし、その場にいる全員は一言もしゃべらず、重苦しい空気が場を支配している

 

 

 そんな時間がどれ程続いたかは分からない。すると朱色の髪で細目の女性が口を開く。主神のロキだ。その顔は苦虫を噛んだようになっている

 

 

「……そんで?ウチらが気絶しとったんは精霊の殺気のせいで、ウチらがその精霊が契約しとる奴を馬鹿にしたから報復にきて、その馬鹿にしとった奴が止めへんかったらウチらは皆殺しになっとったと……そういうことでええんやな?フィン」

 

 

「ああ、その通りだ、ロキ。彼…あの精霊たちの契約者であるベル・クラネルが止めてくれなかったら僕たちは全員殺されていた。それも跡形も残らずに、ね」

 

 

 フィンの言葉にロキは大きく息を吐きながら天井を見上げる

 

 

「……なんで精霊がおるねん…もういないはずやろ?それも1人だけならまだしも5人やと?……アカン、ウチもう頭が痛いで……」

 

 

「無理もないよ。僕も初め聞いたときは耳を疑ったからね。けど、彼女らは《Lv:5》や《Lv:6》の僕らを拘束した。僕たちが本気を出してもビクともしないかった。それとこれは僕の予想だけど、彼女たちはあの時全然本気じゃなかった。おそらく一割も力を出していなかっただろう」

 

 

 その言葉に場が静寂に包まれる。《Lv:5》や《Lv:6》の冒険者はこのオラリオに数えるほどしかいない。そんな自分たちを彼女たちは難なく拘束したのだ。自分たちが振りほどけない程の拘束を。オラリオでは最高峰に近い実力があると自他ともに自負していた。しかし、今この場にいる全員(ロキを除く)の心に残るのは白髪の精霊の言葉だった

 

 

『自分たちのミスでモンスターを逃がし!それを他の者に始末させたのにも関わらず勘違いで笑い話にし!挙句の果てには周りも一緒に馬鹿にし、責任を押し付けるななどとほざく!!貴様たちは理解しているのか?今回は運がよかっただけだ。私たちの契約者がいたからな。下手をしたら誰かが命を失っていたかもしれない。死人が出なくて良かったというのは結果論だ。貴様たちがやったのは命への冒涜だ。そんなことも分からないのなら、もういいーーーーここで死ね』

 

 

 その言葉を聞いたとき誰も言い返せなかった。言い返せるわけがなかった。彼女の言葉は何一つ間違っていなかったからだ。今回は本当に運が良かっただけなのだ。ミノタウロスに出会ったのがベルだったから

 

 

 しかし、もしも出会ったのがベルではなかったら?ベルではなく他の駆け出しの冒険者がミノタウロスに出会っていたら?

 

 

 ーーーー決まっている。殺されただろう。それも必ずと言っていい。ミノタウロスはそれ程のモンスターなのだ。もしもベルが倒していなかったら一体何人の死者が出ただろうか?考えるだけで恐ろしい。もしもそうなったら、ロキ・ファミリアはどうなった?きっと解散とまではいかないが相応の罰が下ったはずだ。それだけではない。もう今の地位にいることはできず、最悪オラリオ中から白い目で見られ、迫害を受けることになったかもしれない

 

 

 自分たちは、ロキ・ファミリアはベルに救われたといっても過言ではないのだ

 

 

 ーーーその恩人に自分たちは一体何をした?

 

 

 自分たちの勘違いでその少年を嘲笑して、酒の肴にし、挙句の果てには皆で大笑いしたのだ。彼女たちが怒るのも当然だ。自分たちの大切な人を馬鹿にされ、嘲笑され、笑われ、自分たちの失敗を押し付けるなと言われたのだ。救われた側の自分たちに

 

 

 幹部たちはそのことに気づき、絶望した。自分たちはとんでもないことをしてしまったのだ。それこそ冒険者以前に、人として最低なことを。幹部たちの心はもう後悔と罪悪感で満たされている。それこそ、そのまま精霊たちに殺されても仕方がないと思うほどに。自分たちはそれ程のことをしてしまったのだ

 

 

 そうして、全員が死を受け入れようとした瞬間。目の前の精霊の少女の手を握り止めた人物がいた。その人物は自分たちが馬鹿にし、嘲笑していた少年ーーベルだった。ベルはその後、精霊たちに魔法を消すように頼んでいた。魔法の拘束を解かれた自分たちのもとにベルがやってきた。幹部たちは何も言われても、殴られても、殺されても仕方ないと、ベルの方を見つめた。ベルは団長が誰かを聞き、フィンが答えるとフィンの方を向きーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー頭を下げて、謝罪をしてきたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間幹部たちの頭の中は真っ白になった。なぜベルが謝っているのか分からなかった。ベルが頭を下げる理由はないはずだ。悪いのは全て自分たちなのだから

 

 

 ベルは謝罪した。やりすぎだと。しかし彼女たちの行動は自分を思ってのことだと。そして罰は全て自分が受けると

 

 

 ベルの言葉を聞きフィンは思った

 

 

 ーーーああ、なんと真っ直ぐで優しい少年なのだろうか。この状況でこちらに非はなく、むしろ悪いのは自分だと言い切っている。それこそ、本当にこちらは悪くないのだと思っているように

 

 

 それと同時に大きな後悔と羞恥心がフィンを襲う。こんな少年に僕たちはなんということをしてしまったのだ、と。目の前の頭を下げている少年に比べ僕たちはどうだ?本当なら頭を下げるべきなのはこちらなのに

 

 

 目の前で今も頭を下げ続ける少年に僕たちは何をするべきだ?少年に甘え続けることか?それが僕たちのやるべきことなのか?

 

 

ーー違う・・・

 

 

 フィンの心に小さな感情の火が灯る

 

 

ーーーー違う

 

 

 その火はだんだん大きくなる

 

 

ーーーーーー違う!!!!

 

 

 火は大きくなり、それはフィンの心を埋め尽くした

 

 

ーー違う!僕たちは彼に、彼女たちに謝罪をしなければならない!!それがどうだ?なぜ彼に謝罪をさせている!?恥に恥を重ねて()たちはなにをやっている!!俺たちがやるべきなのは、許してもらえなくても、殺されるとしても、どんなことになろうと、彼らに誠心誠意、俺たちの全てをかけて償うことだろう!?それがどんな結果になるかは分からない。けど、それさえしなかったら俺は俺自身が分からなくなる!

 

 

 

 フィンの心は決まった。周りの幹部も同じことを思ったのか覚悟を決めた顔をしている

 

 

 その後はベルに謝罪の機会を得ることに成功し、現在に至る

 

 

 あの場ではベルたちにも店にも迷惑がかかると思い、ホームに帰ってきたがフィンの決意は変わっていない。ベルが訪れたときは、自分の全てをかけて謝罪し償おうと。もし、死ねと言われたらその場で自害する覚悟も持って

 

 

 それからロキと話し合い、後日ベルたちが【黄昏の館】に訪れ自分たちが謝罪をすること。そしてベルのファミリアのことを伝えた。ヘスティアの名前に驚き、嫌がってはいたが今回は完全にこちらが悪いので渋々だが了承した。その後ベルへの謝罪が終わるまでロキ・ファミリアは外出禁止が決まった

 

 

 話し合いも終わり幹部たちはそれぞれの部屋に戻っていった。ちなみに話し合いの結果ベートは2ヶ月の謹慎で、ベルが訪れたときに謝罪することが決まった。そしてベルにベートの処遇を決めてもらい、それに従うということも

 

 

 ベートはその全てを了承した。今回の件はよほどこたえたようだ。静かに部屋に戻っていく

 

 

 しかし、ベートよりも暗い顔をしている人物がいる。アイズ・ヴァレンシュタインだ。アイズは今回の件は自分がベートの勘違いを止めることができなかったからと責任を感じているのだ。だが、アイズの表情が暗い理由はそれだけではない。

 

 

 それは・・・

 

 

(……あの子、精霊と、契約…してた………)

 

 

 そう。アイズはベルが精霊と契約していることに驚いているのだ。実は彼女には精霊の血が流れている。それにはアイズの両親が関係しているのだが今は話すべきではないだろう。だが、1つだけ伝えるとアイズは両親についての情報を求めている。彼女は5人の精霊と契約しているベルなら、自分の両親について何か知っているはず、と話をしたいと思ったのだが今回の事件である。ベルは自分のことを許さず、話を聞いてくれないかもしれない

 

 

 そう思うとアイズの心に鋭い痛みが走る

 

 

(……もしも、話を聞いてくれなかったら、どうしよう?)

 

 

 

ーーズキッ

 

 

(……嫌われてたら、どうしよう?)

 

 

 

 

ーーーズキッッ!!

 

 

 

 

 今までで一番の痛みがアイズの心を襲う。アイズは胸を抑え苦しそうにうずくまる。しばらくして落ち着いたのか壁に背を預けながら座り込む。荒くなった呼吸を整えながらアイズは思う

 

 

(……い、今のは?)

 

 

 アイズはこの痛みが何なのか分からなかった。しかし、ベルに嫌われる、と想像した瞬間、胸にあの痛みが走ったのだ。アイズは痛みに疑問を持ちながらも呼吸が落ち着いたのか、壁を支えにして立ち上がり自分の部屋に戻っていった

 

 

 

 

 

 

ーーー【剣姫(アイズ)】が自分の心に芽生えた感情(きもち)に気づくのはそう遠くない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


これからのロキ・ファミリアにも注目してください


それと一つご報告があります。私の一身上の都合によりしばらく更新ができないかもしれません。できるだけ毎日投稿したいと思っていますが少し難しいかもしれません


2週間ほどそのようになるかもしれませんが頑張りたいと思います


本当にすみません


しかし出来るだけ早めに更新したいと思います


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白兎と小人族のサポーター

こんばんは!

今回あのサポーターが登場します!

では、どうぞ!


ここはダンジョン7階層。僕ベル・クラネルは今日もいつも通りダンジョンに潜っていた。【豊穣の女主人】での事件冒険者の間で噂になっていた。詳しい所までは広まっていないようだったがこれはしばらく続きそうだ

 

 

 ちなみに僕がダンジョンに潜るとき、ギルドでエイナさんにその噂について問い詰められたがうまく誤魔化した。神様に言うなと強く言われていたので

 

 

 そんなこんなでダンジョンに来ているわけだが、少し前から僕だけではなく精霊たちもモンスターと戦うようになったのだ。なぜかというと、ずっと僕の中で見ているのは暇すぎるということで、ローテーション制で戦うことになったのだ。昨日はルナとリディヤだったが、今日はユキとティナである。現在は二人でキラーアントという蟻型のモンスターの群れを殲滅している

 

 

 キラーアントは早く止めを刺さないと特殊な奇声を上げ仲間を大量に呼び寄せる。なので必ず一匹も残さず倒すことが冒険者の中で鉄則になっている。しかし彼女たちはわざと一匹を残し仲間を呼ばせ、皆殺しにし、また一匹を残し仲間を呼ばせるという悪魔も泣いて逃げ出すようなループを繰り返しているのだ

 

 

 時には黒雷で焼き尽くされ、時には水の中に閉じ込めた後、凍らせ粉々に砕かれる。彼女たちの笑顔と笑い声はキラーアントたちにとって恐怖以外の何物でもないだろう。

そんな時間がしばらく続き階層内の全てのキラーアントがいなくなったのかもう出てこなくなった。残るのはおびただしい程の量の魔石だけである

 

 

 ユキとティナはまだ暴れたりないといった表情でベルのもとに戻ってくる

 

 

「え~これで終わり~?まだまだ遊びたいよ~~~!」

 

「……中々に楽しかった。けどすぐに全滅してつまらなかった」

 

 

 そんな彼女たちに苦笑いを浮かべながらベルは彼女たちの頭を撫でる

 

 

「まぁ、これ以上はさすがに他の冒険者の皆さんに迷惑がかかると思うし、今日はこれで帰ろう?」

 

「む~~お兄ちゃんがそう言うなら……」

 

「……私はまだ満足できてない。ちょっとゴライアスをサクッと殺ってくる」

 

「待ってユキ!?それはさすがにダメだよ!それに2日前に倒したからいっても会えないよ!?」

 

 

 歩いていこうとするユキをベルは必死に止める。ゴライアスとは17階層【嘆きの大壁】にいる階層主だ。階層主は他のモンスターよりも格段に強く、本来なら冒険者たちが総出になって討伐するモンスターだ

 

 

 しかし2日前、リンネとルナが17階層まで生きゴライアスを倒してきたのだ。動機はベルに褒めてほしかったかららしい。どうやって倒したのかを聞くとリンネの風で動きを止め、ルナが周りの地形を操作して串刺しにしたそうだ。運よく冒険者たちには見つからなかったが、見つかったら大騒ぎだ

 

 

 その後、僕たちは魔石を集め地上に帰還しようとした。しかし帰り道の途中で誰かが言い争っている声が聞こえた。気になり声のした方に行ってみるとそこには一人のサポーターの少女と複数の冒険者がキラーアントの群れに襲われていた。ユキとティナが全滅させたのかと思ったがまだ残っていたらしい

 

 

 もはや周りを囲まれていて逃げ道はない。助けに向かおうとした瞬間、僕の目にあり得ない光景が映る。

冒険者の一人がサポータの少女を蹴り飛ばし囮にしたのだ。蹴り飛ばされた少女はキラーアントの群れの前に躍り出る形になり、キラーアントたちの意識が少女に向く

 

 

 その間に冒険者たちは逃げ去っていく。仲間であるサポータの少女を置き去りにして。僕は初めなにが起こったのか理解できなかった。サポータとは文字通り、冒険者のサポートをしてくれる者たちだ。手に入れた魔石や回復用のポーション、替えの武器等を代わりに持ってくれたり、モンスターの情報や弱点を教えてくれたりと様々な面で冒険者を支えてくれる。冒険者の一番の相棒といっても過言ではない

 

 

 しかし彼らはそんな少女を囮にして逃げ去った。僕はそんな彼らに怒りを抱いた。それこそ今までにない程の。ユキとティナ、そして他の精霊たちからも怒りの感情が伝わってくる。だが今は少女を助けることが先だ。まだ襲い掛かってはいないが時間はないだろう。僕はユキとティナと一緒に少女のもとに向かった

 

 

ーーーー

 

 

(ああ・・・・・また同じことの繰り返し・・・です・・・か・・・どうして・・・どうして、リリはこんなめにあわなければいけないのですか)

 

 

 リリルカ・アーデという少女は両親が【ソーマ・ファミリア】だった。なので必然的に入団させられている。リリは【ソーマ・ファミリア】を退団したかった。しかし退団には多額の金が必要なのだ。だからリリルカ・アーデは、毎回冒険者から盗みを働いている。それを抜きにしてもリリルカ・アーデは優秀なサポーターであった。他のサポーターよりも魔石を集めるのは早かったし、多くの荷物を持ち、モンスターに関する知識も豊富であった

 

 

 しかし、冒険者たちはそんな彼女を知らない。むしろそれが当たり前だと思っている。なのでサポーターだからという理由で分け前を減らされることが常であった。このように囮にされたことも一度や二度ではない。そんな状況から彼女はいつもボロボロになりながら生還していた。誰も助けてくれず、たった一人で

 

 

 リリルカ・アーデは冒険者が嫌いだ。自分勝手で下のものを見下し自分のためなら平気で他人を見捨てる冒険者なんていなくなってしまえばいい。けど、そんな日々ももう終わる。周りのモンスターはあと数秒後には自分を殺すだろう

 

 

(ああ、やっと死ねる。この地獄のような毎日を過ごさなくてすむんだ。清々する)

 

 

 リリは心の内でそうつぶやく。やっと終われるのだと。無価値な自分の人生がもうすぐ終わるのだと。目を腕で覆い乾いた笑いをこぼす。もうすぐ訪れるであろう死を待ちながら最後に彼女は思った

 

 

(結局、誰もリリの手を取ってくれなかった・・・な・・・・)

 

 

 誰も自分を必要としてくれなかった。道具としてしか見てくれなかった。誰もリリ自身を見ようとしなかった。助けてくれる人物がいなかった

 

 

 しかし、だがしかし、これで終わってしまうならば願ってもいいのだろうか?ずっと昔から諦めていた助けを求めてもいいのだろうか?もしもそれが叶うのなら・・・・

 

 

 彼女の頬を一筋の涙が伝う。求めても助けなど気はしないのに、最後に求めてしまったのだ

 

 

「たす・・・け・・・・て・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろん。任せて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リリの耳にそんな声が届く。それと同時には優しく、温かい感触に包まれる。リリは驚き目を開けると、そこには白い髪に紅い目をした少年の顔があった。少年――ベルは襲われそうになっていたリリを寸前で救出した。いわゆるお姫様抱っこというもので。現在はキラーアントの群れの上空をジャンプで移動している

 

 

 リリは混乱していた。自分が助けを求めたら耳元で優しい声が聞こえ、次の瞬間には抱き上げられ浮遊感を感じたのだ。そして目の前にはまるで、兎のような知らない少年の顔である。リリはそんな少年の顔を信じられないものを見るような目で見つめる

 

 

 そんなリリの視線に気づいたのか、ベルは安心させるような笑顔でリリに語り掛ける

 

 

「大丈夫?ひどいケガはないみたいだけど・・・」

 

「あ・・・あ・・なた・・・は?」

 

「あ!僕の名前はベル・クラネル。冒険者だよ」

 

 

 ベルはキラーアントの群れから離れた場所に着地しながらリリに答える。しかし、ベルの『冒険者』という言葉を聞きリリの顔は険しいものに変わる

 

 

「・・・なんで、リリを助けたんですか」

 

「え?」

 

 

 リリを下したベルは、リリからそんな質問を聞かれた

 

 

「リリとベル様は赤の他人のはずです。そして初対面のはずです。そうですよね?」

 

「えーと、うん」

 

「ではなぜリリを助けたんですか!他人なら助けなくてもいいでしょ!?」

 

 

 リリはベルにそう叫ぶ

 

 

(どうせこの人も同じです。他の人と一緒にリリを利用するだけ利用して捨てるに違いありません)

 

 

 心の中でそう諦めながら

 

 

 そんなリリにベルは・・・・・

 

 

「え?人を助けるのに理由が必要なの??」

 

「は?」

 

 

 心底不思議そうに答える。リリはそんなベルの言葉に絶句している

 

 

「いや、助けるのに理由なんて必要ないいんじゃないかな?それに他人だから助けちゃいけないなんてルールも聞いたことないし」

 

「な、何を言って・・・」

 

 リリはベルの言葉を理解できなかった。ではなぜ目の前の少年は自分を助けてくれたのか?

 

 

「で、ではなぜリリを助けたのですか!?」

 

「助けて、って聞こえたから」

 

「!!?」

 

 

 リリの絶叫にベルは即答する。リリはベルの言葉に身体を震わせる

 

 

「僕はリリの助ける声が聞こえた。それだけで十分だよ。リリを助けるには」

 

 

 リリは涙を流した。そんな優しい言葉は生まれてからかけられたことがなかったから

 

 

 リリは涙を流しながらもベルに反論しようとする

 

 

「ヒック・・・あ、あなたに・・・グスッ・・・・リリ・・・の、な・・・・エグッ・・・なにが・・・・わか・・・るって・・・・・」

 

「うん、僕はリリになにがあったのかなんて分からない。リリが一体何を背負って何に苦しんでいるのかなんて・・・・・けど僕はそれでもリリを助けたかったんだ。だから教えてくれないかな?リリのこと。そしてリリが何を背負って何に苦しんでいるのかを、さ。頼りないかもしれないけどこう見えて僕結構強いんだ

よ?」

 

 

 リリの顔はもう涙でぐちゃぐちゃになっている。しかしベルはリリと目を合わせながら笑顔で語り続ける

 

 

「だから僕を頼ってくれないかな?僕一人だけじゃない。僕の仲間たちも君のことを助けたいって思ってる。リリ、僕たちに君を救わせてくれないかな?絶対に力になるよ」

 

 

 それがリリの限界だった

 

 

「う、うわああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」

 

 

 リリは泣きながらベルに抱き着いた。そして塞ぎこんでいたものを吐き出すようにベルの肩で泣き続けた。ベルはそんな彼女を抱きしめ、背中をさすりながら頭を撫でた。その温かさにリリはまた涙が出てきた

 

 

 7階層には少女の泣き声が木霊していた。しかしそれは決して悲しみの涙ではない。ずっと望んでいた、自分を救ってくれる人に出会えた、歓喜の涙である

 

 

 しばらくしてリリは泣き止んだ。ベルの肩は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだがこれで彼女が安心してくれたのなら安いものだ。すると、ちょうどキラーアントの群れの殲滅が終わったのかユキとティナが戻ってくる。

リリは驚きベルの背中の後ろに隠れたが、ベルの仲間と紹介すると緊張気味に自己紹介をしていた

 

 

 その後はリリと一緒に地上に帰還した。地上に戻るまでの間にリリは自分に関する全てを話してくれた。自分にはお金が必要だったこと。お金のために盗みもやっていたこと。そして【ソーマ・ファミリア】のことも。それを聞き僕も精霊たちも激しい怒りに襲われた。こんな少女をここまで追い詰めるなんて到底許せるものではなかった。確かにリリは盗みをした。しかしその原因はほかならぬ【ソーマ・ファミリア】である

 

 

 地上に戻りギルドで魔石の換金をおこなった後、リリと【ヘスティア・ファミリア】の本拠地(ホーム)に帰った。リリは遠慮していたがあんなことがあったので説得して連れてきたのだ。ホームに着きリリのことを神様に話すと事情が事情なだけに受け入れてくれた

 

 

 しかし、問題は残っている。どうやってリリの退団金を用意するか、である。リリ自身もずっと溜め続けてきたがそれでも目標の3割程度らしい。どうするかと頭を悩ませていると・・・・

 

 

『あ!お兄さん私いいこと思いついた!!』

 

 

 ルナがベルの中で大声を上げる。ベルはルナの突然の大声に驚きながらもルナに尋ねる

 

 

――ルナ?なにかいい案を思いついたの?

 

『うん!ないなら用意すればいいんだよ!!』

 

――いや、用意するっていっても僕たちじゃとても・・・・

 

『?私一言も自分たちで用意するとか言ってないよ?』

 

――え?じゃあどうやって?

 

『私たちじゃ無理なら他の人たちに任せればいいんだよ!!』

 

――で、でもそんな人なんていないんじゃ・・・・ま、まさか!

 

 

 そこでベルは気づいた。ルナが誰に頼もうとしているのかを

 

 

『うん!あの【ロキ・ファミリア】(クズ)たちに頼めばいいと思う!!もし嫌だって言った時は・・・・ね?』

 

 

 ルナはベルの中でまるでいたずらを思いついたような子供のような顔をしていた

 

 しかし、ベルにはルナが小さい角と翼と尻尾の生えた小悪魔に見えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

もう少しリリを救うために続きます

次回もお楽しみに

出来るだけ早めに更新したいと思います

おやすみなさい


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白兎と道化の謝罪

謝罪回です

少し短めです

他の話に比べて少し暗い話になりました

そして精霊の会話はあまりありません

次回からガンガン精霊たちを出していきたいと思っています


「・・・こ、こちらでお待ちください・・・っす・・・」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

 

 そう言って黒髪の青年は部屋を出ていく。僕は居心地がとても悪かった。左隣には神様が座っている椅子や部屋の大きさになにやら愚痴を言っている。右隣にいるリリは緊張でガチガチだ。精霊たちは僕の中で豪華な部屋の作りにはしゃいでいる

 

 

 ここは、オラリオ最強の一角である【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)『黄昏の館』。なぜ僕たちがこんな所ににいるのかというと謝罪を受け取るためだ。先日の酒場での事件後、フィンさんと日程を話し合い、今日来るようにお願いされていた。それを抜きにしてもロキ・ファミリアには用があったので今回は都合が良かった

 

 

 率直に言うと、僕たちはルナの案を採用した。僕的には少し気が引けたのだが神様と精霊の皆から「これくらいどうってことはない。むしろこれくらいで許すことを感謝してほしいくらいだ!」と押し切られてしまった。そして、リリもいた方が説明もしやすいとのことでついて来てもらっている

 

 

 決して大手ファミリアに行くことに緊張して少しでも犠牲者(なかま)を増やそうとしたわけではない。ないったらないのだ

 

 

 そして今日昼頃にここを訪れた。しかし、ここからが僕の居心地の悪さの原因だ。まず門番の人に会ったのだが、この人は前に僕を門前払いした人たちだった。少し気まずさを覚えながらも声をかけた。門番の人たちは僕の方を見ると目を見開いて固まっていた

 

 

 僕は不思議に思いながらも門番たちに訪れた理由を話し中に入れてもらった。なぜだか絶望に染まった顔をしていたが・・・

 

 

 その後はホームの中に入り黒髪の青年が案内してくれた。しかし少し怯えているような感じだった。どうしたんだろう?と思ったが青年が歩き出したのでついていく。

応接間につれてこられる道中、ロキ・ファミリアの団員たちが僕たちを見てひそひそと何かを話していた。中には涙目で見てくるものもいたが、僕たちには訳が分からず混乱するばかりだ

 

 

 そんな視線に晒されながらも、応接間にたどり着いていまに至る。僕が部屋を落ち着きなくキョロキョロと見渡していると、応接間の入口の扉が開いた。僕がそちらに顔を向けると、フィンさんと何やら暗い顔のリヴェリアさん、そして朱色の髪をした女性?が入ってきて僕たちの前のソファに座った

 

 

 リリには、大事な話ということで別室に移動してもらった

 

 

 場に緊張感が生まれる。そんな中初めに口を開いたのは意外にも神様だった

 

 

「・・・・呼び出した相手を待たせるなんて、どうなっているのかな?ロキ?」

 

 

 そう朱色の女性?に問いかける。どうやら彼女が主神のロキのようだ。神様にそう言われたロキ様は顔を歪ませ反論しようとする

 

 

「な!?・・・ドチビぃ~~・・・あんま調子にのんなや・・・」

 

「調子に乗る?なにを言ってるんだい。僕たちは今日君たちの謝罪のためにここに来てあげてるんだ。それなのに待たせたのはそっち。どっちが悪いのかなんて一目瞭然じゃないか」

 

「こ、この!!」

 

 

 神様の言葉にロキ様は怒りをあらわにし神様に飛び掛かろうとする。しかしその寸前でフィンさんが止めに入った

 

 

「ロキ、落ち着いてくれ。今回の件は完全にこちらに非がある」

 

「やけどフィン!!」

 

「ロキ、私からも頼む。落ち着いてくれ」

 

「・・・・・」

 

 

 リヴェリアさんからの言葉でロキ様は唇を噛みしめながら座られた。しかし神様を睨みつけたまま。フィンさんはそんなロキに苦笑するとこちらに顔を向け姿勢を正した

 

 

「神ヘスティア、そしてベル・クラネル。今日は僕たちのためにここに来てくれたことに感謝を。そして謝罪を。僕たちの不手際で逃がしたミノタウロスを君は討伐してくれた。それだけでなく、そんな僕たちの信頼をも救ってくれたんだ。君が倒してくれなかったら、もしかしたら死者が出ていたかもしれない。いや確実に出ていただろう」

 

「もし、そうなってしまえば僕たちロキ・ファミリアは今の地位にいることができなくなり、最悪ファミリアの解散まで追い込まれていたかもしれない。君は他の冒険者だけでなく僕たちのことも救ってくれたんだ。なのに、こちらの愚かな勘違いで勇気ある君を嗤い、貶めてしまった。許してくれ、とはいえない。僕たちはそれ程のことをしたのだから。だが、どうか謝罪させてほしい。本当にすまなかった」

 

 

 そう言って、フィンさんは頭を下げる。それに続いてリヴェリアさん、ロキ様も頭を下げる。僕と神様はそんな3人を見つめる。どれ程時間がたったのかは分からない。ただ室内を静寂が支配する。そして神様が3人に告げる

 

 

「・・・・・正直に言って僕はまだこの件を許していないし、納得もできていない」

 

 

 そんな神様の言葉に3人は顔を上げ、神様を見る

 

 

「だってそうだろう?どんな理由があろうと、君たちはボクの眷属(こども)を命の危険に晒した。ボクのたった一人の眷属(こども)を。あ~ベル君が強いからとかぬかすなよ?そんなものは結果論だ。それに君たちはベル君を笑いものにしたそうだね?ふざけるのも大概にしろ。もしもベル君がミノタウロスに殺されていたら君たちはどう責任をとるつもりだったんだい?」

 

 

 神様は3人に問う。しかし口を閉ざしたまま3人はうつむいている

 

 

「・・・・・ねえ、ロキ」

 

「・・・・・なんや」

 

「君なら分かるだろう?眷属を失う悲しみが。自分の子供を嗤われる怒りが。僕はたった一人の、初めてボクの手を取ってくれた心優しい眷属(こども)を失っていたかもしれないんだ。君はもしそうなったらどうする?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 ロキ様はうつむいたまま答えない。そんなロキ様を見て神様は告げる

 

 

「ボクはそんな君たちを許すことなんかできない。もしもベル君が死んでしまっていたなら、ボクはロキ・ファミリア(きみたち)を全員殺していただろう。どんな手を使ってでもね。君たちの地位や信頼なんかどうでもいい。いまでもこんなファミリアは無くなってしまえばいいって思ってる」

 

「でも今回はベル君のために、君たちの謝罪を受け取ろう。だが、もし次があったらボクは君たちを許さない。誰がなんと言おうと必ず君たちを殺す。それを忘れないでくれ」

 

 

 そう言い切った神様は僕の方を見る。僕は神様に頷き3人の方を向く

 

 

「・・・・僕としては言いたいことは全て精霊の皆や神様が言ってくれたのでありません。でも一つだけ伝えるとするなら、こんなことはもう二度と起こさないでください。力は自分自身のためだけにあるわけじゃないんです。僕は助けを求めている人を救い、皆のために力を使う。この世界に弱い人なんて一人もいません。だって力だけが強さじゃないと、信じているから」

 

 

 ベルはそう3人に伝える。3人はベルの顔を見つめ笑みをこぼす

 

 

「ああ、【勇者】(ブレイバー)の名に誓おう。こんなことは二度と起こさないと」

 

「私もアールヴの名に誓おう。己の力を助けを求める者たちのために振るうと」

 

 

 そんな光景を見てロキ様は微笑みを浮かべる

 

 

「・・・なあ、ヘスティア」

 

「・・・なんだい?」

 

「ええ眷属やんか・・・・ホンマにすまんかった」

 

「ああ、僕の自慢さ・・・・次はないからね?」

 

 

 そう言って二人の女神は笑いあう

 

 

 その後は色々なことがあった

 

 

 精霊の皆がいきなり出てきて、僕を門前払いした門番たちにも罰をと訴えてきたのだ。これにはフィンさんやリヴェリアさんに加え、ロキ様も驚いていた。ロキ・ファミリアでは新人が来たときは必ずフィンさんたちに報告がいくようになっているらしい

 

 

 報告がいっていないということは、あれは門番たちの独断だったのだろう。怒りをあらわにする精霊たちにフィンさんは、後日本人たちに詳しく話を聞き、重い罰を与える、という言葉と僕の説得もあり不満そうにしながらも了承して僕の中に戻っていった

 

 

 そして、フィンさんが今回の事件に対する償いの印として自分たちに出来ることなら何でもすると言われた。そして今回の事件の原因ともいえるベートさんへの処遇も決めてほしいといわれた。ロキ・ファミリアへのお願いは決まっているが、ベートさんへの処遇は決まっていない。僕としても彼には思うところがあったが、精霊たちのおかげでもうなんとも思っていない

 

 

 どうするべきか悩んでいると、僕の中で精霊たちが自分たちに決めさせて欲しいと言ってきた。僕としては、何も思いつかなかったので彼女たちに任せることにした。それをフィンさんに伝えると問題ないよ、と了承してくれた

 

 

 だが、この選択があんな恐ろしいことになるなんて僕はまだ知らなかった

 

 

 ベートさんの問題も片付き、いよいよ本題のリリのことである。僕はリリを連れてきてもらい、フィンさんたちにリリのことを伝えた。彼女がずっと苦しんできたこと。ダンジョンで囮にされ死にそうになったこと。そして、退団するには多額のお金が必要だということ

 

 

 話を終えると目のまえの3人は苦しい表情をしていた

 

 

「・・・そんなことがあったとは・・・・・ベル、改めて礼を。同胞を救ってくれてありがとう」

 

「い、いえ・・・当然のことをしたまでです」

 

「しかし、【ソーマ・ファミリア】か・・・まさかそのようになっていたとは・・・」

 

「リヴェリア君、何か知っているのかい?」

 

 

 ベルの話を聞き、リヴェリアが考え込む。そんなリヴェリアにヘスティアが問いかける

 

 

「はい。【ソーマ・ファミリア】は冒険者の中でもよくない噂を耳にします。なんでも盗みや強盗、果てには殺人もおこなっている、と」

 

 

 リヴェリアはそう答える。その言葉にベルはリリがどんなところにいたのかを知った。ベルが歯を食いしばり、拳を震わせているとフィンがうなずく

 

 

「安心しておくれ、ベル。彼女の退団金はこちらで用意しよう。もちろん上限はつけない。いくらでも持っていってくれ」

 

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

「リリからもお礼を!本当にありがとうございます!!」

 

「いや、気にしないでくれ。むしろまだまだお詫びとして足りないくらいだ。これからも困ったときは言っておくれ。ファミリアとしてでは難しいかもしれないが、僕個人としては全力で君たちに力を貸そう」

 

「私も同じだ。分からないことがあったらなんでも聞いてくれ。力になろう」

 

「はい!!」

 

 

 フィンとリヴェリアの言葉にベルは勢いのある返事を返す。その後はロキ・ファミリアの幹部の皆さんと面会し、幹部一人一人から自己紹介と謝罪を受け取った。中でもアイズさんとベートさんは僕に東方に伝わる最終奥義(神様が言っていた)土下座で謝罪をしてきた。僕は慌てて二人を説得した。そんな光景を見て周りから笑いが漏れる

 

 

 そして僕と神様とリリが帰ろうとすると、フィンさんとロキ様に呼び止められた。夕飯を食べて行ってくれないか、ということだ。僕は申し訳ないと思ったが、これも償いだと思ってくれ、と言われたのでいただくことになった

 

 

 僕は神様とリリと、そしてどんな料理が出るのかと僕の中でワクワクしている精霊たちと一緒にフィンさんとロキ様についていった

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回は一息入れようと思ってベルと精霊たちがロキ・ファミリアで夕飯を食べます

精霊たちをいつもより多めに入れていきたいと思っているのでお楽しみに!


出来るだけ早めに更新したいと思います


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白兎と宴会

皆さんのおかげでお気に入り500件を越えました!

見方がわからず調べて確認してみたら500越えてたので六度見くらいしました

これからも頑張っていきますので皆さん、これからもよろしくお願いします!!



今回はロキ・ファミリアのホームで宴会です

多分次回まで続くと思います

面白さを入れようと思ったら、とても長くなってしまったので


ではどうぞ!!!


―――そこは戦場だった

 

 

 周りに転がっているのは、オラリオ最強と名高いロキ・ファミリアの面々。あの名高い【勇者】や【九魔姫】、【重傑】すらも地に倒れている。そんな死屍累々の中、立ち上がる人影が6人

 

 

 精霊であるユキ、リディヤ、リンネ、ティナ、ルナとロキ・ファミリアの≪Lv5≫【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインだ

 

 

 その6人は向かい合い口の端を上げる。既に全員息が上がっており、身体もフラフラである

 

 

「・・・・ヘ~、他の精霊(みんな)が残るのは予想してたけど、まさかアンタまで残るなんて思わなかったわ・・・・」

 

「・・・ハァ、ハァ・・・・」

 

 

 リディヤはアイズにそう話しかける。だが、アイズも限界に近いので言葉は出さない

 

 

「・・・そろそろ決着、付ける・・・・」

 

「ええ、そうですね・・・そろそろご退場願います」

 

「・・・絶対に負けないんだから~~~~!!」

 

「・・・私も!本気出す!!いっくよ~~~!!!」

 

「・・・あんたはよくやったわ・・・でもここまでよ!!」

 

 

 精霊たちからそれぞれとてつもない魔力が発せられる。その魔力を前にし、身がすくむ。しかし、ここで負けるわけにはいかない。自分にも譲れないものがあるから

 

 

 だから、アイズは残る全ての力を使い立ち向かう

 

 

「『目覚めよ(テンペスト)』!!」

 

 

 アイズの周りを暴風が包み込む。その暴風を愛用の武器であるデスペレートに纏わせ、突撃の体制をとる。精霊たちも準備ができたのか、それぞれ静かにその時を待つ

 

 

 場を静寂が支配する。そしてついにその瞬間が訪れる。テーブルの上に乗っていたコップが床に落ち粉々に砕ける

 

 

 それが合図だった

 

 

「「「「「「はあああああああああああぁぁぁぁ!!!!!!」」」」」」

 

 

 全員が同時に突撃し、空間が眩い光に包まれる

 

 

 ―――どうしてこんなことになったのか、それを語るには数時間前まで話は遡る

 

 

 

~~~

 

――数時間前

 

 

「え~では、参加させてもらっている身ではありますが、僭越ながら乾杯の音頭をやらせていただきます・・・・では、乾杯!!」

 

 

『か~~~んぱ~~~~~~~い!!!!!!!!!』

 

 

 

 場が大歓声に包まれる。ここはロキ・ファミリアのホーム【黄昏の館】。その食堂である。乾杯の音頭をおこなった少年ベル・クラネルは、ロキ・ファミリアの主神であるロキと団長であるフィンに誘われ、ヘスティアとリリと共に宴会に参加している。今はみんなの前での自己紹介も終わり、食事をするところだ

 

 

 食堂のテーブルには様々な料理が並べられている。全てに共通しているのはどれもとても美味しそうだということだ。この宴会はバイキング形式になっており、既に神様とリリとは別れ、自由行動を取っている

 

 

 僕がどれを食べるか悩んでいると、僕の身体から5つの光が出てきた。その光は眩い光を放ち、人の姿になる。光がおさまると、そこにいたのは精霊たちだ。心なしか目を輝かせ、そわそわしている

 

 

「・・・ね、ねえ?ベル・・・・」

 

「お兄ちゃん!どれもすごく美味しそう!!食べてもいい?いいよね!?」

 

「お兄さん!私も!!私も~~~!!!」

 

 ユキとティナとルナがそう言ってくる。しかし視線は目の前の料理に釘付けだ。僕はそんな三人に苦笑しながらも、少しイタズラをしてやろうと話しかける

 

 

「うん、食べてもいいんだよ?けど・・・こんな人数だし早くしないと食べたいもの全部無くなっちゃうかもね?」

 

「「「!!?」」」

 

 

 ベルの言葉に三人は衝撃をうける。そしてすぐに行動に移る

 

 

「・・・ティナ!ルナ!すぐに美味しそうなものを確保!!量は全て多め、必ず三人分確保すること!!」

 

「ラジャーー!!じゃあ私はこっち見てくる!!ついでにジュースも!!!」

 

「じゃあ私はこっち!デザートは任せて!!!」

 

 

 そう言って三人が散っていく。そんな光景に少しばかり笑いを零しながら、僕たちも料理を取りに行く

 

 

 料理を選び終えたら、近くのテーブルに座り食べ始める。席順としては右からリンネ、僕、リディヤの順番だ。リンネは牛肉のワイン煮込みを、リディヤは魚の香草焼き、僕はビーフシチューを選んだ。その他にもいろいろな料理を持ってきた

 

 

 僕たちは、果実水の入った杯を手に持つ

 

 

「「「乾杯!」」」

 

 

 杯を打ち合わせ、料理を食べ始める。僕はスプーンでビーフシチューをすくい、口に運ぶ。瞬間口の中が幸せでいっぱいになる

 

 

 口の中に広がるは感じたこともないうまみ。何時間も丁寧に煮込んだであろう野菜の甘さがスープの味を引き立てる。肉は舌で砕けられる程にホロホロだ。全ての材料がそれぞれの味を引き立たせ、更なるうまみになっている

 

 

 ベルはうっすらと目の端に涙が浮かぶ。リディヤとリンネも幸せそうな顔をしている。ベルはそのままビーフシチューにがっつく。時々ほかの料理を食べ、またその美味しさに驚きながら

 

 僕たちが料理を食べているとフィンさんとリヴェリアさん、アイズさんが訪ねてきた

 

 

「やあ、ベル。楽しんでいるみたいだね」

 

「はい!どの料理もすごく美味しいです!!・・・でもどうしてここに?」

 

「ちょっと君に聞きたいことがあってね」

 

「聞きたいこと?」

 

「精霊たちのことさ」

 

「!」

 

 

 僕が首を傾げているとフィンさんがリディヤたちの方をみて答える。そんなフィンさんの言葉に僕は警戒する。しかしフィンさんはそんな僕を見て苦笑いをする

 

 

「そんなに警戒しないでくれ。別にそんな踏み込んだことを聞こうなんてしてないんだ。それに、僕よりもこっちの二人の方が君に聞きたいことがありそうだからね?」

 

「え?アイズさんとリヴェリアさんが?」

 

 

 それを聞き僕は警戒を解く。とりあえず座ってもらって話を聞く

 

 

「それで、話って?」

 

 

 僕が問いかけるとリヴェリアさんとアイズさんが顔を見合わせ、頷く。そして僕の方に向き直り、リヴェリアさんが聞いてくる

 

 

「すまない、ベル。しかしどうしても聞いておきたくてな。君は精霊様たちとどうやって契約したんだ?」

 

「あ~・・・と、それはですね・・・・・」

 

 

 僕は両隣の二人に顔を向ける。二人は僕の伝えたいことを理解したのか頷き返してくれた。僕はそれを確認すると、顔を前に戻す

 

 

「僕が彼女たちと契約したのは、皆に名前をつけたから・・・だそうです」

 

「名前を?」

 

「はい。僕はオラリオに来る前に暮らしていた村の近くで彼女たちに出会いました。そして僕は色々あって彼女たちと一緒に暮らすことになったんですが、皆には名前が無かったので僕が名前を考えたんです。そうしたら皆と僕に魂の繋がりのようなものができたらしくって、精霊の皆が・・・その、ぼ、僕と一緒に居たいと強く思っていてくれたらしくて・・・そうしたら契約が出来ていた・・・らしい、です」

 

 

 まぁ、皆が精霊だって知ったのは契約した後だったんですけどね、と僕が話を終えると3人は唖然としている。その気持ちは分かる。僕も最初言われたときは信じられなかったんだから

 

 

 いち早くショックから戻ったフィンさんが僕に聞いてくる

 

 

「な、なるほど・・・まだ受け止めきれない所があるが、一応理解した。ところでもう一つ質問なんだが君と契約している精霊たちはどんな精霊なんだい?」

 

「え?どんな精霊・・・というと・・・?」

 

「ベルここからは私たちが話すわ」

 

 

 ベルがフィンの質問に困惑していると、隣からリディヤが代わりに話すと申し出てくれた。そして、リヴェリアさんとアイズさんもショックから回復し、リディヤの話に姿勢を正しくする

 

 

「じゃあ、フィンだっけ?アンタの質問に答えてもいいけど、これからいうことは他言無用よ。もしばらすことがあったらアンタたちには死んでもらうわ。それでも聞きたい?」

 

 

 リディヤがそう言った。その目は真剣そのものだ。フィンはそんな彼女に気圧されたものの、深呼吸をしてリディヤに向き直る

 

 

「ああ。絶対に誰にも他言しない。僕の命を賭けよう」

 

「私もです。アールヴの名に誓い私の胸の内だけにとどめておきます」

 

「・・・絶対にバラさない」

 

 

 そんな3人の覚悟を確認したのか、リディヤは頷き話し始める

 

 

「分かったわ。それでさっきの質問に答えだけど・・・」

 

 

 リディヤはベルの方を向き、答える

 

 

「ベルと契約している私たちは全員大精霊よ」

 

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

「?大精霊??」

 

 

 ロキ・ファミリアの三人は完全に固まってしまった。ベルはなんのことか分からず首を傾げている

 

 

「ねえリンネ、大精霊って?」

 

「そうですね・・・簡単にいうとその属性の精霊たちの頂点にいる存在、ですかね?

まぁ、すごいってことです」

 

「ヘ~~皆すごいんだね」

 

「・・・いや、ベル。普通は目の前の反応が普通よ?アンタは私たちが大精霊だって聞いてなんとも思わないの?」

 

「え?あ、いや驚いてるよ?でも僕にとってはそんなのどうでもいいっていうか・・・どんな存在でもリディヤはリディヤ、リンネはリンネでしょ?もちろん他の皆もね。それに、僕たち家族なんだからそんなこと関係ないよ」

 

 

 ベルはリディヤの言葉にそう返す。リディヤはそんなベルを見て花が咲くような明るい笑顔を浮かべ、リンネはベルを涙目で見つめている

 

 

「・・・・やっぱり、ベルよね・・・・そんなベルだから、私は・・・」

 

「ベル様・・・・私はとても嬉しいです・・・・・!!」

 

「わあ!?い、いきなりどうしたの?リンネ」

 

 

 ベルの言葉に嬉しくなりリンネはベルに抱き着く。そんなリンネに嫉妬したのかリンネが抱き着いた腕とは反対側にリディヤが抱き着いてくる。ベルが両手に花状態の時、3人がようやく意識を取り戻す

 

 

「・・・・すまない、ベル。これ以上のことはこちらの精神が持ちそうにない。勝手で本当に申し訳ないが後日またうががってもいいだろうか?」

 

「あ、はい・・・大丈夫です・・・」

 

 

 フィンはベルの返答を聞くと近くの団員に声をかけ担架を用意させていた。理由はリヴェリアが座ったまま気絶しているからだ。ハイエルフであるリヴェリアがエルフの中で崇拝されている精霊の最上位の存在が目の前にいるということに精神が持たなかったのだろう

 

 

 運ばれていくリヴェリアさんを見て僕は心の中で合掌した。どうか安らかに

 

 

 すると残ったアイズさんが、僕の方に視線を向けていることに気づく。僕はアイズさんに顔を向けると何かを伝えたいのか口をもごもごさせていた

 

 

「?アイズさん、どうしたんですか?」

 

「!あ、いや、その・・・・」

 

 

 ベルが尋ねるとアイズは顔を真っ赤にしうつむいてしまった。そんなアイズにベルが不思議に思っていると、覚悟を決めたのか真っ赤な顔のまま彼女は顔を上げた。そしてベルの目を真っ直ぐに見つめる

 

 

「・・・ベル」

 

「は、はい・・・・」

 

 

 そんなアイズになにを言われるのかとベルは内心ドキドキしていた。そんなベルを他所にアイズは口を開く

 

 

「・・・お願いが・・・・あるの・・・」

 

「は、はい・・・」

 

 

 お願い?何だろう?

 

 

「・・・あのね・・・」

 

「は、はい・・・」

 

「嫌なら・・・断ってくれてもいいから・・・・」

 

「は、はぁ・・・・」

 

 

 中々お願いに内容を言わないアイズに、ベルは何をお願いされるんだろう?ととても不安になっていた

 

 

 そして、アイズが深呼吸をして口を開く。さぁ一体ベルは何を要求されるのか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・頭を撫でさせて欲しいの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 顔をトマトのように真っ赤に染めたアイズの口から出てきたのはそんなお願いだった。ベルはその要求にただ茫然と言葉を零すしかなかった

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回なぜ冒頭のようなことになったのかが明らかになります!!

楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです


出来るだけ早めに更新したいと思います

ではさようなら


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白兎と弱点

前回の話の続きになります

今回は題名のとおり、ベルくんの意外な弱点が明らかになります

ではどうぞ!お楽しみください!!


モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ

 

 

 皆さん、僕の名前はベル・クラネルです。ロキ様とフィンさんに誘われてここロキ・ファミリアのホームでの宴会に参加させてもらっています

 

 

モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ

 

 

 そしてここの料理はどれもすっごく美味しいんです!!精霊の皆も喜んでいました!

 

 

モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ

 

 

 ・・・そろそろ現実逃避はやめようと思います。現在僕は、ある人の膝に座らされて頭をモフラれています。三十分を過ぎたころから時間は考えていません

 

 

 

――その人物とは・・・

 

 

 

「あの~アイズさん?そろそろ・・・は、離していただきたいな~・・なんて・・・」

 

「・・・・・」モフモフ

 

 

 聞こえてないみたいです。両手で僕の髪を撫でまわしています。アイズさんはすごく美人なので実は僕も少しドキドキしているんです。でも僕の顔は赤くなっておらずむしろ真っ青に近いです

 

 

 では、なぜか?

 

 

 それはアイズさんに撫でられてから、周りの視線がすごいんです。男性冒険者は嫉妬と殺意の籠った目で、女性冒険者の皆さんは面白いものを見るような好奇の視線がそそがれています。中でも山吹色の髪のエルフの女性からはすごい殺意の籠った目で睨みつけられてます

 

 

 しかしそんな面々よりも恐ろしい存在が二人

 

 

 それは目の前のリディヤとリンネです

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 二人とも無言でこちらを見ています。リディヤは無表情で僕を見つめていますがその目はいつもの黒目よりも濁っています。リンネは笑顔でこちらを眺めていますが、目はリディヤと同じく黒く濁っています。それと僕の幻覚でしょうか?二人の背後にそれぞれ般若の顔が見えるんです

 

 

 そんな二人に僕が震え、冷や汗を流していると・・・

 

 

「・・・・」ギュッ

 

「ほぁぁぁぁ!?」

 

「「!!??」」

 

 

 アイズさんが僕を抱きしめてきました。いや、なんで!!!???僕は背中に感じる柔らかい感触に混乱し目を回す

 

 

「あ、アイズさん!?ど、ど、どうしたんですか!!??」

 

「・・・・・・」

 

 

 問いかけるがアイズさんは僕を抱きしめたまま無言で動かない

 

 

「『我が名はイフリート 地獄の業火を束ねし炎王なり ここに断罪を 醜くも愚かなる魂に鉄槌を 灰の大地 四つの月 愚者の涙 全てに等しく慈悲を与えんことを――』」

 

 

「『願うは疾風 破滅の嵐 永き戦乱に終止符を 争いに決着を なれど救われる者は誰もおらず 全ては儚き蒼穹の彼方 この愚かな世界に 我が望むはただ一つ 殲滅なり――』」

 

 

 ああああああ!!二人ともキレてる~~~~!!!しかもあれ結構ヤバいやつじゃん!!ここでそれ使ったら全部無くなるからね!!!!!?ダメだよ?絶っっっっっっっっ対にダメだからね!!!!!!!!!?????????

 

 

 

 

 しかし僕の願いは届かず二人の詠唱は終わってしまう。あとは放つだけである。もうダメだ!!僕はそう思い目をつぶった

 

 

 二人が魔法を放とうとした次の瞬間――

 

 

 

「クォラアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!ベル・クラネルーーーーーー!!!!」

 

 

 救いの天使、いやエルフが現れる

 

 

 山吹色の髪を揺らしながらベルと精霊の間に割って入ってくるのは、レフィーヤ・ウィリディス。アイズの後輩である

 

 

 リディヤとリンネはそんなレフィーヤに驚いたのか魔法を解除する。僕はそれを確認し安堵の息を吐く。しかし、レフィーヤは精霊たちはそっちのけでズンズンとベルのもとに歩いてくる。そしてアイズからベルをひったくり床に放り投げ、転がったベルのお腹の上に馬乗りになり、胸倉を掴む。アイズはベルを取られたことに悲しげな表情だ

 

 

「あ・な・た・は~~~!!アイズさんに何をやっているんですか!!!!!!!」

 

「え、えええええええええええ!!?ぼ、僕が悪いんですかーーーーーー!???」

 

 

 レフィーヤは掴んだ胸倉を引き寄せベルに顔を近づけるとそんな絶叫を上げる。そんなレフィーヤの絶叫にベルも絶叫で返す。どうやら救いのエルフではなく、新たな悪魔エルフだったようだ

 

 

「そもそも!!なんであなたがアイズさんに頭を撫でられたり、膝の上に座ったり、ハグしてもらってるんですかーーーー!!!!うらや・・・・ハレンチです!!!!!!」

 

「いや、それは僕からじゃなくて・・・・・・!!!」

 

「黙りなさい!!!この変態兎!!!!!!」

 

「へ、変態兎!?」

 

 

 ベルが反論しようとすると、レフィーヤからそんな嬉しくない言葉が飛んできた。その言葉にショックを受けていると、ベルはあることに気づく

 

 

 いまレフィーヤはベルに馬乗りになっている。しかも二人とも大声で言い合っていたので周囲は多くの人でいっぱいになっている。目線だけ周りに向けると、いつの間にかユキ、ティナ、ルナの三人も戻ってきており、リディヤとリンネの隣で不思議そうにこちらを見ている。それ以外にも神様やリリ、ロキ様や他の幹部の皆さんも来ていた

 

 

 こんな大勢の前で、この体勢は不味いんじゃないか?

 

 

 ベルはそのことに気づき、顔を真っ赤にして、レフィーヤを説得しようとする

 

 

「れ、レフィーヤさん!!」

 

「なんですか!!!まだ話は終わって・・・・・・」

 

「い、いや・・・あの・・・・こ、こ、この体勢はヤバいです!!!」

 

「体勢?」

 

 

 そう言ってレフィーヤは現状確認をする。今レフィーヤはベルの腰より少し下の方に馬乗りになっている。そして周りには大勢の人。そこでレフィーヤも気が付いたのだろう。この体勢は色々な意味でアウトであると

 

 

 周りを見渡していたレフィーヤは、顔を赤くしうつむき無言で立ち上がる

 

 

「れ、レフィーヤ、さん?」

 

「・・・・・・」

 

 

 レフィーヤはベルの問いかけに答えず近くのテーブルに置いてあった瓶を手に取る。そしてベルの前まで移動し・・・・・

 

 

「この、ハレンチ兎!!!!!!!」

 

「ゴボォ!?」

 

 

 真っ赤な顔に涙目でベルの口に瓶を突っ込みながら押し倒してくる

 

 

「あなたのせいで!あんな・・・・あんなことをーーーーーーーー!!!!」

 

「ゴボゴボゴボゴボ!!???」

 

 

 再びベルに馬乗りになったレフィーヤは瓶を押さえつけベルを喋れなくする。ベルは瓶の中身を必然的に飲むことになり、喉を鳴らす。すると段々とベルの意識が朦朧になっていく。まるで夢をみているかのような浮遊感にベルは意識を手放した

 

 

 ベルの口に瓶を突っ込み押さえつけるレフィーヤを見て、しばらく現状理解ができなかった幹部たちが止めに入る

 

 

 レフィーヤを止めに入ったのはアマゾネス姉妹の妹ティオナ・ヒリュテ。普段は天真爛漫な彼女も少し焦っている

 

 

「ちょ、ちょっとレフィーヤ!そんなことしたら白兎くん死んじゃうよ!?」

 

「離してください!!私はなんとしてもあのハレンチ兎をーーー!!!!!」

 

「ダメだってーーーーー!!!」

 

 

 ティオナがレフィーヤを止めている横で、アイズがベルを抱き上げ様態を確認する。瓶を落としたベルは少し咳き込んだがしばらくすると落ち着き、朧げな目でアイズのことを見つめる

 

 

 アイズはそんなベルに胸が高鳴るも、頭を振り、気にしないようにしてベルに話しかける

 

 

「大丈夫?」

 

「・・・・・・・」ポ~

 

 

 アイズはそう問いかけたが、ベルはじっとアイズを見つめたままだ。そしてベルは顔を、フニャ、っと崩すと驚きの行動に出る

 

 

「お姉ちゃ~~ん♪」ギュッ

 

「ッ!?」

 

『!!??』

 

 

 ベルがそう言いながらアイズに抱き着いたのだ。まるで甘える子兎のようにアイズの胸に顔をうずめる。誰もがそんな光景に唖然としている中、精霊たちはなにかに気づいたのか、ハッ!っと声を上げる

 

 

「・・・ま、まさか」

 

「ええ、そのまさかのようですね」

 

「え、え!?お兄ちゃん()()になったの!?」

 

「うそ!?で、でもいったいどうやって・・・」

 

「・・・おそらく原因は、これ」

 

 

 ユキはそう言ってさっきまでベルが飲んでいた瓶を見せる。すると精霊たちはその瓶を見て顔が驚愕に染まる

 

 

「ね、ねえ・・・ユキお姉さん?それってもしかして・・・・・」

 

「そう、お酒」

 

「「「「!!!!!??????」」」」

 

 

 ユキの言葉に精霊たちの顔が歓喜に染まる。意味が分からない周りを代表してヘスティアが精霊たちに聞く

 

 

「き、君たちなにか知ってるのかい?」

 

 

 するとリンネが説明をしてくれる

 

 

「ヘスティア様、昔、このようなことがありました。ベル様が間違って水と勘違いして、コップ一杯の酒を飲んでしまいました。わたくしたち焦って駆け寄ると、ベル様は今のアイズさんのようにわたくしたちに抱き着いてこられたのです」

 

「つ、つまり?」

 

「ベル様は、ものすごくお酒に弱いんです」

 

「!?」

 

 

 リンネの言葉にヘスティアは言葉を失う。まさかそんな弱点があったなんて思いもしなかったのだ

 

 

「そ、それで・・・ベル君は大丈夫なのかい?」

 

「ええ、もちろん。ただ酔っぱらっているだけですので。むしろこちらには良いことしかありません」

 

「?どういうことだい?」

 

「あちらをご覧ください」

 

 

 そう言われてリンネの指さす方に顔を向ける。そこにはやっと再稼働したアイズの姿が

 

 

 目の前で子兎のように甘えてくるベルを見てアイズは心の中に新たな感情の高まりを覚えた。そしてその感情に突き動かされるまま行動に移す

 

 

「・・・お姉ちゃん・・・だよ・・・・?」

 

 

 そう言ってベルを抱きしめ返したのだ。周りが驚きの声を上げるなか、ベルは顔を上げ、アイズに満面の笑みを向けた

 

 

 その笑みを見て、アイズの心は揺れる。息も荒くなり、頬もほんのり赤くなっている。感情の高まりは更に大きくなり、限界を突破した。だからであろう。アイズの口からこんな言葉が出たのは

 

 

「・・・・・ベル」

 

「なーに?」

 

 

 ベルは、コテン、と首を傾げる。そんなベルにアイズは

 

 

「・・・・アイズお姉ちゃん、って呼んでくれない?」

 

 

 そう要求した。自分でもどうしてそんな言葉が出たのか理解できないアイズはとてつもない羞恥に襲われる。すぐに言葉を取り消そうとしたその時・・・

 

 

 ベルが上目遣いでアイズのことを見つめながら、言った

 

 

「アイズ、お姉ちゃん?」

 

 

「――――」

 

 

 瞬間アイズの頭の中は真っ白になった。そして感情の高まりは限界をさらに突破しもはやオーバーヒートしていた

 

 

 

 ――なんだ、目の前の可愛い生物は

 

 

 アイズが最初に思ったことはそれであった。そしてアイズはそのままベルの髪に顔をうずめる

 

 

「アイズお姉ちゃん、くすぐったいよぅ~」

 

 

そう言いながら笑うベルを他所にアイズの心をある感情が支配する

 

 

 ――誰にも渡さない。弟を守るのは姉の務め。ベルは私が守る!!

 

 

 アイズを支配していたのは保護欲と独占欲だった

 

 

 そんなアイズを見て、ヘスティアは愕然としている

 

 

「ま、まさか・・・!」

 

「ええ、その通りです。ベル様は酔っぱらうと、どんなことでも聞いてくれます。例えそれがどんなに常識知らずなものであったとしても」

 

 

 リンネの言葉にヘスティアは自分の考えが正しいことにショックを受けていた。自分の想像以上のベルの酒癖の悪さに

 

 

「・・・さて、じゃあそろそろ行きますか」

 

 

 そんなヘスティアを他所にリディヤがそう口にした。顔を向けると精霊たち全員がベルの方を見つめていた

 

 

「・・・・千載一遇の好機(チャンス)

 

「あれから、ベル様もお酒をお飲みになりませんでしたからね」

 

「次がいつになるか分かんないし、絶対に譲れない!!」

 

「私も、負ける気なんて無いからね!!」

 

そう意気込む精霊たち。それを見てヘスティアは何か嫌な予感がして精霊たちに問いかける

 

 

「き、君たち・・・何をする気だい?」

 

「??そんなの決まってるでしょ?」

 

 

 リディヤはヘスティアの問いに当たり前のことのように返す。他の精霊たちも同じように

 

 

「「「「「大切な(ベル)を取り返しに」」」」」

 

 

 全員が既に酔っぱらったベルの被害者だった

 

 

~~~

 

 

 そして現在に至る。あれから精霊たちはアイズのもとに赴き、いつの間にかアイズの腕の中で眠っているベルを渡すように要求した。しかし、アイズはベルを渡そうとはしなかった。精霊たちはそれを予想していたのか、実力行使にでた。アイズは常に腰にさしているデスペレートで迎撃した

 

 

 ベルを近くの椅子で作った簡易ベットに寝かせ、毛布も掛けて。その間は精霊たちも動きを止めていた

 

 

 ―――そこから先はまさしく地獄であった

 

 

 神にも等しい力を持つ精霊、その中でも頂点に君臨する大精霊5人とオラリオでも上位の力を持つ≪Lv5≫の冒険者が戦うのだ。周りが無事であるはずがないだろう。ある者は戦いの余波に巻き込まれ、ある者は戦いを止めようとして返り討ちにあった

 

 

 建物自体は壊れていないが、食堂は壊滅状態だ。そこはうまく加減をしているのだろう

 

 

 

 そして、それぞれの最後の力を振り絞った攻撃が食堂の中心でぶつかり合う

 

 

 瞬間、空間が眩い光に包まれ、ものすごい衝撃波が周りに広がる。その衝撃波に巻き込まれ、人が弾き飛ばされる

 

 

 光がおさまると、立っている者は誰もいなかった。6人の少女は食堂の中心で力尽きたように倒れている

 

 

 食堂だった場所に響くのは、瓦礫が崩れる音と、白兎の安らかな寝息のみだ

 

 

 後日、食堂は何とか修繕されたがアイズさんはリヴェリアさんからの説教で、精霊たちは修繕作業の手伝いをすることになった

 

 

 ・・・・僕はというと精霊たちと一緒に修繕作業の手伝いをおこなった。そしてなぜかレフィーヤさんも。なぜかと聞くと、こんなことになったのは元を辿れば自分のせいだから、ということらしい

 

 

 ・・・・ちなみに僕は神様とロキ様から今後絶対に酒を飲んではいけないと言われた

 

 

 

 

 ―――いや、なんで!!!!!!!????????

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回からリリ救出に戻りたいと思います

おそらく後1,2話ほどでリリ救出編は終わると思います

その後の展開をどうするかアンケートをとっていますのでご協力をお願いします!

出来るだけ早めに更新したいと思います



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白兎とソーマ

リリ救出編完結です

少し少ないですがお楽しみください


ではどうぞ!



――ロキ・ファミリアの宴会から数日、僕とリリは【ソーマ・ファミリア】のホームの前まで来ていた。リリをソーマ・ファミリアから脱退させるためだ

 

 

 ホームの近くでリリと考えた作戦を再確認する

 

 

「リリ、ソーマ様はあそこにいるんだよね?」

 

 

 そう言ってベルが指さしたのは柵の向こう側の建物の大きなベランダのある部屋だ。その言葉にリリは頷く

 

 

「ええ、間違いありません。ソーマ様は常にあそこで酒造りをしているはずです。そして、そこには必ずあの人がいます」

 

「・・・・うん。けど大丈夫。そのために今日までに色々な準備をしてきたんだから」

 

 

 リリの言葉にベルの顔が険しいものになる。今回のリリ脱退計画を考えるうえで一番危険なのはザニスという男だ

 

 

 ――実はソーマ・ファミリアには団長という者が存在しない。それというのもこのファミリアは他のファミリアとは決定的な違いがある。それは、このファミリアの全員が『神酒』のために入っていることである

 

 

 神酒というのは文字通り神が作る酒だ。神ソーマは自分のファミリアそっちのけで部屋に引きこもり、この神酒を作っているのだ。団員たちはその過程で作られた失敗作の神酒を飲むためにこのファミリアにいるのだ

 

 

 そう、()()()()()()を、である。実はこの神酒は人間が飲むと酒に飲まれてしまう。つまり、強度の酩酊状態になってしまうのだ。更にこれは、人間にとって強い中毒性を持っている。だから団員はこの酒のために、金を集めようとする。そして手に入れたいがためにどんな悪事にも手を染める

 

 

 このファミリアに絆というものはない。全員が神酒を奪い合う敵同士なのだから。

そして、このようになるように仕向けたのがこのファミリアを纏めているザニスなのだ。この男は神ソーマにファミリアの全てを任せており、好き放題やっているのだ。リリにあのような事をさせた原因も元を辿ればこの男なのだ

 

 

「・・・それじゃあ、行くよ。リリ、大丈夫?」

 

 

 ベルはそう言って、隣のリリに声をかける。リリは小さく震えていた。ここに来ると思い出すのだ。あの苦しい日々を。辛く悲しいかった毎日を

 

 

 それだけではない。リリは神酒を飲まされたことがあるのだ。その時のことを思い出すだけでリリは足が動かなくなる。もうあんな体験はしたくない。身体がそう拒否反応を起こして

 

 

 そんな震えるリリをベルが優しく抱きしめた。リリの身体から震えがなくなる

 

 

「・・・あっ・・・」

 

「大丈夫、大丈夫だから」

 

 

 ベルはそう言って抱きしめたまま、安心させるようにリリの頭を撫でた

 

 

「僕がついてる。それに精霊の皆もね?だからきっと大丈夫。リリは一人じゃないよ」

 

「ベル、様・・・・・」

 

 

 リリは瞳に涙をためベルに抱き着く。すると白、黒、紅、翡翠、蒼、黄色の光の粒たちがリリを包み込んだ。リリはその光景に言葉を零す

 

 

「こ、これ、は・・・?」

 

「精霊の皆が、リリを応援してくれてるんだよ。頑張れ、って」

 

 

ベルの言葉にリリは今度こそ泣きそうになった。しかし、ここで泣くわけにはいかない。リリはベルから離れ、涙を袖でぬぐい、一度目を閉じて深呼吸をする。そして決意の籠った目でベルを見る

 

 

「・・・ベル様、行きましょう!!」

 

「うん、行こうか。じゃあ僕に捕まって?」

 

「はい!!」

 

 

 そういってリリはベルの背中におんぶの形でおさまる。ベルはそれを確認すると一直線にソーマのいる部屋を目指した

 

 

「『風よ』!」

 

 

 ベルがそう言い放つと二人を風が包み込んだ。そして、そのまま空中に浮き、ソーマの部屋に向かって空中を蹴り・・・・

 

 

 

――――そして、そのまま部屋に突っ込んだ

 

 

 

 窓ガラスは割れたが、難なく着地してリリを下す。部屋を見渡すとそこには眼鏡をした薄い鼠色の髪をした意地の悪そうな男。そして乳鉢で何かを擦り続ける黒髪の長髪の男神がいた。ザニスとソーマだ。ベルとリリは驚き転がっているザニスを無視し、ソーマに訴えかける

 

 

「ソーマ様!お願いです、リリを退団させてあげてください!!」

 

「お願いです!リリは、リリはもうこんな所にいたくないんです!!」

 

「・・・・・・・」

 

 

 しかしソーマは二人に見向きもせず擦り続けている。ベルとリリは再び訴えかけようとするが、それをザニスが止める

 

 

「き、貴様ら!自分たちが何をやったのか分かっているのか!?」

 

「ザニス様!リリはここをやめたいんです!お願いです!!リリを退団させてください!!」

 

「・・・・ん?よく見ればリリルカではないか・・・それで?退団したいと・・・・それは自由だが、金はあるんだろうなぁ?」

 

 

 ザニスはリリに気づいたのか卑しい笑みを浮かべる。リリが顔を顰める中、ベルがリリの前に立つ

 

 

「お金なら僕が払います」

 

「なんだ?貴様は?」

 

「僕はベル・クラネルです。それで、リリを退団させるためにはいくら必要なんですか?」

 

 

 ザニスの問いにベルはそっけなく返す。そんな態度が癇に障ったのか眼鏡を直しながらわざとらしく告げる

 

 

「フンッ・・・そうだなぁ、彼女は大切な家族だ。ならば最低でも4000万ヴァリスはもらわないとなぁ?」

 

 

 そう言ってわざとニヤついた笑みをベルに向ける。そんなザニスにベルは・・・

 

 

「4000万ヴァリスですね?はい、どうぞ」

 

 

 そう言ってザニスに4000万ヴァリス入った袋を渡した

 

「なっ!?」

 

 

 受け取ったザニスは驚愕する。ザニスはこんな如何にも駆け出し冒険者のベルに払えるわけないと思いこの金額を要求したのだ。しかしベルはすぐに要求した金額を差し出したのだ

 

 

 驚愕しているザニスにベルは問いかける

 

 

「これでリリは自由の身ですよね?」

 

「くっ!・・・いや、まだだ。大事な家族を見ず知らずのお前に任せるのは不安すぎる」

 

 

 そう言ってザニスは、棚から杯を一つ取り出し、部屋の隅にある樽の中の酒を注ぎベルに渡す

 

 

「この神酒を飲んだ後で同じことが言えたなら、リリルカをどこへなりと連れて行くがいい。言えたらの話だがなあ?」

 

「な!?そ、それは!!」

 

 

 ザニスの言い草にリリは反論しようとする

 

 

 しかしベルは・・・・

 

 

「分かりました」

 

 

 そう言って神酒を一気に飲み干す。ザニスの顔は狂った笑みに変わり、リリの顔は絶望に染まる

 

 

 全て飲み干し下を向くベルは・・・・

 

 

 

 

「リリを、ください」

 

 

 

 

 

 と、そう答えた

 

 

 

「!?」

 

「なっ!?」

 

 

 リリの顔が驚愕に染まり、ザニスは信じられないというように、驚きの声を上げる

 

 

 そしてベルは、杯を床にたたきつけソーマの方を向く

 

 

「ソーマ様、僕は生まれて初めてこんなに不味いものを飲みました」

 

 

 ベルの言葉に、ソーマの腕の動きが止まる。しかしベルは気にせず話し続ける

 

 

「酒は本来人を楽しませるためにあるんだと思います。大事なのは相手を思う心ではないですか?でも、これにはそれが全くない。ソーマ様、貴方は一体何のために酒を造っているんですか?少なくとも、こんなものじゃ、誰一人笑顔にすることは出来ない!」

 

 

 ベルはそう言い切った。ソーマはベルを見つめる

 

 

 リリはベルの言葉を聞き、神酒に飲まれず自分を貫き通したベルを見て、決意した。そして、棚に走り、杯を手にし、神酒を注ぎ一気に煽る

 

 

 その行動にその場の全員が驚く。リリは一瞬ふらついたがすぐに立ち直り、ソーマを見つめた

 

 

「ソーマ様!リリは、リリは・・・・ベル様と一緒に行きたいです!!!」

 

「・・・・・・」

 

 

 リリの言葉を聞き、ソーマはリリを見つめる

 

 

 そして・・・

 

 

「・・・・分かった。認めよう」

 

 

 ソーマはそう口を開いた

 

 

「「!?」」

 

「なにっ!?」

 

 

 それにベルとリリが驚愕し、ザニスが絶句した

 

 

「よ、宜しいのですか!?ソーマ様!?」

 

「黙れ、ザニス。この子供たちは神酒に飲まれなかった。だから要求を受ける」

 

「しかしっ!!」

 

「そこまでです。ザニスさん」

 

 

 反論しようとするザニスをベルが止める。そして懐から一枚の紙を取り出す

 

 

「ザニスさん。貴方に捕縛命令が出ています。ギルドまでご同行ください」

 

「なっ!?ど、どういうことだ!?」

 

「貴方が今までやってきた悪事の証拠が見つかりました。ギルドで詳しく話を聞き、裁きます。いいですね?ソーマ様」

 

 

 ベルはソーマにそう問いかける

 

 

「・・・・ああ。元はといえば私がこいつに全て任せたことが原因だ。すまない。連れて行ってくれ」

 

「そ、ソーマ様!?」

 

 

 ソーマの言葉にザニスは絶望した表情になる。そして逃亡しようとするも僕の中のティナが氷で両手足を拘束する

 

 

元々ザニスには色々な容疑がかけられていた。そして、神様やロキ・ファミリアの皆さんと証拠を集め、ギルドに報告し、捕縛の許可を貰っておいたのだ

 

 

 それを確認したベルはソーマに向き直る

 

 

「ソーマ様、リリの退団を認めてくださってありがとうございました」

 

「・・・気にする必要はない。悪いのは全て私だ・・・・・これからは、少しずつでもこのファミリアをよくしていけるよう、努力する」

 

 

 ソーマの言葉にベルは頷く

 

 

「・・・ソーマ様」

 

 

 リリの呼びかけにソーマは振り返る

 

 

「・・・・今までお世話になりました。ここを抜けても頑張っていきます。いままでありがとうございました」

 

「・・・・・・・」

 

 

 リリのお礼にソーマは無言になる

 

 

 しかし、頭を下げるリリを見て・・・・

 

 

「こちらこそ、今まですまなかった」

 

 

 そういって、謝罪をする。それを聞きリリはハッ、と顔を上げる

 

 

「・・・・身体には、気をつけなさい」

 

「!!」

 

 

 ソーマの言葉にリリは目に涙をためる。そしてその顔は華やかな笑顔に変わる

 

 

「はい!」

 

 

 笑顔で告げるリリをソーマは、僅かに微笑みながら見つめる

 

 

 その姿はまさに、本物の親子の様だった

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


次回から新章に行きたいと思います


出来るだけ早めに更新したいと思います

ではおやすみなさいZZZ


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白兎vsロキ・ファミリア①

バトル回です

今回は戦うことになった経緯を書きました

少し短めです

ではどうぞ!




――ソーマ・ファミリアの一件から色々なことがあった。先ずはリリがヘスティア・ファミリアに改宗したのだ。なんでも前々から神様にお願いしていたそうだ。交渉が大変だったといっていたけど・・・・

 

 二つ目はソーマ・ファミリアについてだ。ザニスが捕まったことにより、ソーマ・ファミリアの悪事が次々と判明し団員のほとんどがギルドに連行された。そして、ファミリア解散にはならなかったが、多くのペナルティが課せられた。ソーマ様はそれらをすべて受け入れ、また一からスタートするそうだ

 

 そして三つめは・・・・

 

 

 

 

「ベル・・・・いくよ!」

「覚悟しやがれ!ベル!!」

「いっくよ~!白兎君!!」

「悪いけど手加減なしで行くからね!」

 

 

 

 

 そう言って、目の前の四人の男女―――ロキ・ファミリアのLv5の一流冒険者であるアイズさん、ベートさん、ティオナさん、ティオネさんは闘志を漲らせ、武器をとり、それぞれ構えをとる

 

 対するのは僕ベル・クラネルだ。ちなみに援軍はいない。僕一人だ

 

 

 なぜ、こんなことになっているのかというと・・・・・

 

 

~~~

 

昨日 

 

 

 僕とリリが、ダンジョンからホームに帰っているときににロキ様に出会いお呼び出しを受けた。なんでも明日用事があるからロキ・ファミリアのホームに来てほしいと

 

 僕はそれを神様に話し、何とか許可をもらえた。すごく嫌そうな顔をしていたけど・・・

 

 翌日になり、ロキ・ファミリアのホーム【黄昏の館】に向かった。リリは神様とバイトだそうだ。ホームに着くとロキ様、フィンさん、リヴェリアさん、そしてこのファミリアの創設メンバーの一人でもあるドワーフのガレスさんが迎えてくれた

 

 そして、こんなことがあったのだ

 

 挨拶を済ませると、いきなりフィンさんたちに【黄昏の館】内に案内された

 

「え~と、ロキ様?何か用があったんじゃ・・・・」

 

「そうや。そのために今移動しとる。もうちょいで着くで」

 

「?どこにですか?」

 

 

 僕の質問はロキ様の笑顔でスルーされた。フィンさんたちの方を見るも同じ反応だ

 

僕が不思議に思っていると、目的の場所に着いたようだ

 

「さあ、着いたよ。ここが目的の場所だ」

 

 どうやらここは訓練場らしい。他の部屋より広く、端の方には訓練場を囲むように観客席のようなものがある

 

「ヘ~広いですね。ここでいったい何を・・・」

 

 そう言って僕は訓練場全体を見回し、中心を見た途端動きを止めた

 

 

 

 ――そこには、なぜかやる気満々のLv5の冒険者のアイズさんたち

 

 

 

 それを視認した僕は回れ右をして逃走を開始した。しかし、フィンさんはそれを予測していたのか指を鳴らした。すると出入り口が封鎖され、窓ガラスにも鉄鋼が設置されていた

 

 僕がゆっくりと振り向くと、そこには満面の笑みのフィンさんたちが

 

 僕は絶望した顔でフィンさんに口を開く

 

「・・・・・・・嵌めましたね?」

「はて何のことかな?僕はただ、彼らと本気で戦ってもらいたいと思い君をここに呼んだんだが・・・ロキから聞かなかったかな?」

 

 その言葉に僕はハッ、っとロキ様の方を見る。ロキ様はいたずらの成功したような意地の悪い笑みを浮かべ、ニヤニヤしていた

 

――しまった!既に罠にかかっていたなんて!!

 

 ベルは内心落胆し、肩を落としてフィンに確認をとる

 

「・・・それで?なんで僕がアイズさんたちと戦わないといけないんですか??」

「ん~そうだね・・・率直に言うと、君の実力を見てもらうためかな?」

「見てもらう?」

 

 フィンさんの言葉にベルは首を傾げる。どういうことだろうか?

 

「僕たちのファミリアの団員たちにだよ」

 

 その答えを聞き納得がいった。フィンさんたち幹部やロキ様を除き、僕はロキ・ファミリアの団員たちにあまりよく思われていない。それはそうだろう。他所のファミリアの、それもLv1の冒険者である僕がフィンさんたちと親しげに話しているのだ。よく思わない者たちも多いだろう

 

「つまり、僕のことを説明するよりも、実際に見せた方が手っ取り早いと?」

「そういうことになるかな。それに、僕個人としても君の実力は気になるしね?」

 

 フィンさんはそう言ってほほ笑んだ。・・・まぁ、それはいいのだ。別に、それは

 

 ――問題は・・・・

 

「フィンさん?なんでLv5の冒険者が4人もいるんですかね?」

「?それがどうかしたのかい?」

 

 そう、そこなのだ。ベルはLv1、対して相手はLv5の冒険者四人だ。どう見てもやりすぎだろう

 

「いやいやいやいや。確実に負けますよね?僕まだLv1なんですよ?」

 

 僕に死ねと?

 

「ハハハハ。何を言うかと思えばそんなことか。そこは大丈夫だ。僕の親指がそう言っているからね」

 

 フィンはそう言って笑う。僕が反論しようとした瞬間、身体の中から精霊たちが出てきた

 

「・・・さっきから、何を言ってるの?」

 

 そして、ユキがフィンたちの方を向き、そう話す

 

――そうだ!言ってやれユキ!!これはやりすぎだって!!!

 

 ベルは内心ユキを応援する。彼女なら自分の味方になってくれるだろう、と。そんなベルの期待の眼差しを受けながらユキは話を続ける

 

「・・・・それくらいじゃ、足りない。せめて本気でやるくらいしないと」

 

――ユキさん!!!!?????

 

 ユキの言葉にベルは絶句する。しかし、それでは終わらない

 

「そうよ。せめてアイツラが本気でかかるくらいしないと勝負にもならないわ」

「確かにそうですね。しかし、それではここが持ちそうにありませんね・・・私は審判をいたしますので、他の皆様は被害が出ないように結界を張ってくれますか?」

「え~私も戦いたーーーい」

「ダメだよティナ。お兄さんが戦うんだから」

 

 と、他の精霊たちも次々とそんなことを言ってくる

 

――やめて!もう皆、煽るようなこと言わないで!!ほら、後ろですごい邪悪なオーラ感じるよ?怒りがヒシヒシと伝わってくるよ!!殺る気が限界突破してるから!!!!!!!!

 

 ベルは心の中で絶叫するが精霊たちは止まらない。そして精霊たちによる煽りもとい対決方法が決まりフィンさんが聞いてくる

 

「決まったかい?」

「ええ、先ずは・・・」

 

 ルールはこのようになった

 

・ベル 対 アイズ ベート ティオナ ティオネ の1体4で行う

・武器、魔法は無制限

・殺しは禁止 しかしベルには殺す気でかかってもいい

・戦闘不能になったらリンネが連れ出す

・どちらかが全滅、降伏したら終了

・時間無制限

 

 なんだろうか、これは。僕って何か悪いことしたかな?と本気で思っているベルにフィンは話しかける

 

「了解だ。そのルールで大丈夫だよ。それで後はベルの返答次第だが・・・・」

 

 どうするんだい?そうフィンは聞いてくる

 

 ベルはそっと後ろを振り返る。そこには闘気を昂らせ、殺る気満々のアイズたちが

 

 ベルはそっと顔をそらし深いため息をつきながら、返答する

 

「・・・分かりました。分かりましたよ!やればいいんでしょ、やれば!!!!」

 

 ヤケクソ気味にベルは声を上げる。そんなベルにフィンたちは笑みを返し、他の団員たちを呼びに行った

 

 

~~~

――そして現在

 

 

 周りには多くの見物客もといロキ・ファミリアの団員たち、そして精霊の皆がいる。ちなみにユキとリディヤとティナとルナは僕たち5人を囲むように距離をとって立っている。なんでも全力を出すために結界をを張ってくれるそうだ

 

 僕も目の前のアイズさんたちにならい、構えをとる。脚を肩幅に広げ左脚を前にして腰を落とす。身体を少し斜めにして腕は軽く拳を作り、左拳をアイズさんたちに向け、右の拳を胸の前で構える

 

 そして、リンネが開始の合図をとる

 

「今から模擬戦を始めます。ロキ・ファミリアの皆さんはベル様を殺す気でかかってもらって構いません。武器、魔法は無制限。全滅か降伏で終了になります。それでは結界をお願いします」

 

 リンネがそう言うと、ベルたちを中心に長方形の透明な膜が展開する

 

 そして、遂にその時が来る

 

「それでは、始め!!」

 

 リンネが合図をだす

 

「ヘスティア・ファミリア団長!ベル・クラネル!!全力で行きます!!!」

 

「アイズ・ヴァレンシュタイン。二つ名は【剣姫(けんき)】いく!!」

 

「ベート・ローガ!二つ名は【凶狼(ヴァナルガンド)】!ぶっ潰す!!」

 

「ティオナ・ヒリュテ!!二つ名は【大切断(アマゾン)】!全力全開で行くよーーー!!!」

 

「ティオネ・ヒリュテ。二つ名は【怒蛇(ヨルムガンド)】行くわよ!全力でね!!」

 

 

 そして、両者ともに駆け出した




いかがでしたか?

次回から本格的なバトルに入っていきます

少しでも長く書きたいと思いますがうまく書けるか分かりません

頑張ります

出来るだけ早めに更新したいと思います




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白兎vsロキ・ファミリア②

更新遅れてすいませんでした!!

バトルの場面を描くのが難しくて・・・思ったよりも時間がかかってしまいました

ヘタクソだとは思いますが温かい目で見てくださるとありがたいです

では、どうぞ!




 リンネの掛け声とともにベルは駆け出し、アイズたちもほぼ同時に駆け出した。四人の中でも敏捷が高いアイズとベートがベルにに突っ込んでいく。その後ろにティオネとティオナが追随している形だ

 

「フッ」

「ラァ!」

 

 突っ込んできた二人はベルの左右に分かれ同時に剣と蹴りを突き出してくる。これで避けても目の前のティオナたちがベルを攻撃するだろう

 

 おそらく普通のLv1の冒険者なら、いや同じLv5の冒険者であっても、ここで終わっていただろう。ましてやベルはLv1だ。これには、ロキ・ファミリアの団員たちも思ったことだろう。”これで終わりだろう”と

 

 しかし彼ら彼女らは失念していた。それは相手が普通のLv1の冒険者の場合のみだ。誰もがつまらないという表情で試合を眺めていると、予想外のことが起こった

 

 二人の攻撃をベルが上に飛び、二人の攻撃をかわしたのだ

 

「「ッ!」」

 

 これには団員たちも含め、アイズとベートも驚きを顕わにする。しかし、そこは第一級冒険者。冷静に対処する

 

 空中に逃れたベルをウルガと呼ばれる大剣をもったティオナとククリナイフのような双剣を持ったティオネが追撃する。空中では身動きが取れない。二人の武器がベルに直撃するかと思われたその時・・・

 

「フッ!」

 

「ウソ!?」

「冗談でしょ!?」

 

 

 ベルは二人の武器をそれぞれ片手で捕まえていた。ティオナたちが驚き固まっていると、ベルは振り下ろされた力を逆に利用し、武器を持ったまま二人を地面にたたきつけた

 

「ラァッ!!」

 

「「グハッッ!!??」」

 

 二人は予想外の反撃に受け身も取れず、そのまま叩きつけられた。ベルは地面に着地すると、二人からすぐに距離をとる

 すると、数瞬前までベルがいた位置を斬撃が通過する。そこにいたのは、アイズだ。剣を振りぬいた形で固まっている

 

 ベルによって叩きつけられた二人は無傷とはいかないが、それなりのダメージを食らっていた。だが、まだ戦闘不能になるほどではない。そして、四人は離れた場所に移動したベルを見て認識を改めた

 

 ――あの少年は自分たちと同等かそれ以上の実力者だ、と

 

 正直に言って四人はベルの実力を理解しきれていなかった。なので少し手加減をしてしまったのだ。しかし、その結果がこのザマである

 

 四人の頭の中には既に、全力で目の前の少年を倒す、ということしか考えていない

 

~~~

 

 

 僕は内心ドキドキしていた。四人の攻撃が想像したよりも速く、連携が取れていたから。もしも油断していたら、ティオナさんたちの攻撃で終わっていただろう。まぁ、油断は最初からしていないし、まだついていけない速さじゃないからね

 

 そんなことを思いながら僕は四人と対峙する。目の前の四人は、始める前よりも闘気が高まり、雰囲気も鋭いものになっている。どうやら本番はここからのようだ

 

 でも、ティオナさんたち、結構強めに叩きつけたのに見た感じそれ程ダメージを受けている様子はない。頑丈すぎるでしょう・・・・

 

 心の内でそう愚痴りながら、四人に話しかける

 

「皆さん!行きますよ!!これで終わらせます!!」

 

「「「「!!」」」」

 

 僕の言葉にアイズさんたちは、武器を構える。そんなアイズさんたちに僕は右腕を前に突き出した。四人はおそらく僕が魔法を使うと思ったのか、四人は僕を止めようとしてくる。確かに魔法は詠唱が必要で、その間を狙うのが定石だ

 

 しかし、そんなことは僕には関係ない

 

 僕は突っ込んでくる四人に向かって魔法を放つ。その名は――

 

 

 

 

()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 瞬間結界内が炎の柱に囲まれる。そして炎の柱は四人を襲い、最後に大きな火柱が四人を飲み込む

 

~~~

 

 その光景にロキ・ファミリアの団員たちは茫然としていた。それはそうだろう。いまベルが使ったのはこのファミリアの副団長であるリヴェリアの最強の魔法といっても過言ではないのだがら。更に、である。ベルは詠唱のようなものをやっていただろうか?

 

 そもそもこの魔法は、強大な威力を有しているが、代わりに詠唱が長い。つまり、発動するまでに数分かかってしまうのだ。だから、ロキ・ファミリアでは切り札として使われてきた

 

 しかしベルはその魔法を無詠唱で発動させた

 

 もう訳が分からない。ロキ・ファミリアの団員たちは頭を抱え、いまだに炎に包まれている結界を見つめた

 

~~~

 

 僕は四人が飲み込まれた火柱を見つめる。今の魔法は、僕が使える魔法の中でも上位に入る威力を持つ魔法だ。リディヤと一緒に修業したときは詠唱が長すぎて噛みそうになったけど、スキルのおかげで詠唱なしで使えるようになった

 

 僕がこの魔法を使おうと思ったのは広範囲で威力が高いからだ。これで多少なりとも、ダメージを与えることができたはずだ。ここからは気を引き締めないと!

 

 

 僕が心の中でやる気を出したいると、いきなり暴風が吹き荒れ炎をかき消した。僕が目を向けると、そこには息遣いが荒くなり、所々焦げているアイズさんたちが

 

 僕はそんなアイズさんたちを見て、感嘆の声を上げる

 

「さすがですね。さっきの魔法でかなりダメージを負わせたと思ったんですが・・・・そううまくはいきませんか」

 

 しかしアイズさんたちは僕の言葉を聞いている様子はなく、むしろ戦慄しているような表情をして僕を見ている。はて?なにか変なことしたかな?

 

 

 

「・・・ベル・・・・今の・・魔法・・・は・・・」

「どうなってんだ!!なんであの野郎があの魔法を使えやがるんだよ!?」

「それに詠唱してなくない!?」

「まさか・・・あり得ないわよ!!無詠唱なんて!?」

 

 

 

 ――何やら話しているようだが離れているからうまく聞き取れない。まぁ、何はともあれ絶好の好機だ。ここからは素手じゃ厳しいだろうし()()を使おうかな

 

 

 僕はそう考え、両手を前に突き出し、目を閉じる

 そして、心を落ち着け、詠唱を始める

 

「『我願うは破滅と創造 来たれ全てを終焉へと導き救う者よ』」

 

 すると、僕の周りを仄かな黒と白の光の粒が包み込む

 僕はその光に応えるように、その名を呼ぶ

 

「『メディウム』」

 

 そう僕がつぶやいた途端、僕の両手から眩い光が放たれる。アイズたちやロキ・ファミリアの団員たちは突然の光に目をつぶった。光はすぐに収まり、皆、目を開ける。そして、あるものを見て動きを止める

 

 ベルの手に二振りの剣が握られていたのだ。左手には、全てを照らす光をそのまま形にしたような純白の剣。右手には、まるでこの世の全てを包み込む闇のような漆黒の剣。色も印象も真逆の二つに共通しているのは、剣の鍔の部分に黒には白、白には黒の宝石が埋めてあり、それぞれの刀身が闇と光のオーラを放っていることだ

 

 

 両手に剣を持ち、ベルはアイズたちの方を向く

 

「これが僕の主武器の一つ『メディウム』です。久々でこの子もやる気十分みたいなので、ここからは、僕も本気で行かせてもらいます!!」

 

 ベルの言葉に呼応するように、二つの剣は輝きを増す。そして僕は、アイズさんたちに突っ込む形で駆け出す。それに気づいたのか、ベートさんとティオナさんが僕を迎え撃とうとこちらに向かってくる

 

「させるかよ!合わせろ、馬鹿ゾネス!!」

「誰が馬鹿だ~~!!後でぶっ飛ばすからね!!!」

 

 そう言って二人は僕に拳と蹴りの乱打を打ち込んでくる。僕はそれを両手の剣で受け止め、そして受け流した。すると、いつの間にか僕の背後に回り込んでいたアイズさんとティオネさんも僕に攻撃をしようとしていた

 

 僕はそれを確認すると左手の純白の剣『クラウ』に魔力を注ぎ、告げる

 

「『白の剣舞(ホワイトアウト)』」

 

 そう言葉を紡ぐと、アイズさんとティオネさんを囲むように、光の剣が何本も現れた

 

「いけ」

 

 僕の言葉と同時に光の剣たちは二人に襲い掛かる

 

「くっ!!」

「ちょ!?なにこれ!!」

 

 なんとか迎撃しているようだが、数が多い。少しずつだが傷が増えていく

 

「アイズ!?」

「ティオネ!?」

 

 そんな二人に気をとられたのか猛攻が一瞬だが止まった。そして僕はその隙を見逃さなかった

 闇魔法『影歩行』を使い、二人の背後に回り込む

 

「!あいつは!?」

「き、消えた!?」

 

 いきなり消えた僕に気づいたのかベートさんとティオナさんは慌てて辺りを見渡す

 僕はその隙に漆黒の剣『ネメシス』の能力を発動させる

 

「『闇よ、全てを飲み込め(ナイトメア・ネメシス)』」

 

 直後、ネメシスから剣と同じ漆黒の光があふれる。やがてその光は剣全体を包み込んだ

 

 ベートさんたちは僕に気が付いたのか、光の剣の猛襲を防ぎ切ったアイズさんたちの四人でこちらに向かってくる。が、僕はその場から一歩も動かない

 

 

 ――必要ないからだ

 

 

 僕に向かってきていたアイズさんたちは、突然足を止め、膝をついた

 

 

「……えっ?」

「んだよ!これ!?」

「ち、力が……!」

「抜けていく…!?」

 

 アイズさんたちはいきなりのことに困惑している。だが、すぐにその答えは明らかになる

 

 膝をつき、状況を理解できていない様子のアイズは、僕の方を向き目を見開く

 正確には僕の右手を見つめながら

 

「なに…アレ?」

 

 アイズさんが見つめる先には、ネメシスが光の粒を吸収していた。そして、その光はアイズさんたち四人から吸い取られていた

 

 

 ――これがネメシスの能力である。ネメシスは能力を開放すると、相手の力を奪い取る。奪いとれるのは体力や魔力、精神力などだ。そして、奪い取ったものを自分に加えることができるのだ。そして、クラウの能力は自分の魔力を代償にどんなものでも創りだすことができる。人間や動物などの生命体は不可能だが

 

 つまり、だ。この二振りがあれば敵がいる限り、無限に戦うことができるのだ

 

 しかし、この能力はクラウとネメシス。この二振りが揃っていないと発動しない。故にこれらは二つ揃って初めて、一つの剣となる

 

 メディウムは二つで一つなのだ

 

 そして僕は、アイズさんたちから奪った体力と魔力で自分の力を回復させる。おかげで僕は始まる前の状態に戻った。まぁ、対して体力も魔力も使ってないんだけどね

 

 けど、少しでも勝率を上げるためにはこれが有効だと思ったのだ

 

 回復が完了すると、アイズさんたちがふらつきながらも立ち上がりこちらを睨みつけてくる

 

「………今のは、一体……なに……?」

 

 アイズさんはふらつきながらも、未だ闘志の消えていない目をして僕に問い詰めてくる。本当はあまりこちらの手の内をバラしたくないのだが‥‥僕は伝えることにした。Lv1の僕に真剣に戦ってくれている皆さんに敬意を表して

 

「この漆黒の剣ネメシスの能力です。この能力を使って皆さんの体力・魔力を奪い、僕の体力と魔力を回復させてもらいました」

 

『!?』

 

 僕の説明にアイズさんたちだけではなく、観戦していた周りの団員たちも驚愕している

 そんな周りに首を傾げながらも僕はアイズさんたちに向き直る

 

「……それでどうしますか?ネメシスの能力で皆さんの力のほとんどは僕が頂きました。もう立っているだけでもつらい筈です」

 

 そう。アイズたちはもう既に満身創痍である。最早戦い続けられる状態ではなかった

 だからこそ、ベルはこう告げた

 

 

「――降参、をお勧めしますが?」

 

 

 ベルのその言葉にアイズたちは……

 

「「「「ふざけんな(ないで)!!!!!!!!」」」」

 

 速攻で否定した。そしてベルを睨みつける

 

「……これくらいで私が諦めるって?そんなわけない!!」

「こんな状況何度だって潜り抜けてきてんだよ!!なめてんのか!?アアッ!?」

「白兎君、さすがに舐め過ぎだよ?私たちをさ~~」

「ふざけんじゃねえ。調子に乗り過ぎだぞ兎野郎!!」

 

 そんな言葉を聞き、ベルは笑顔で頷いた

 

「そうですか。では、最後まで心ゆくまで闘りあいましょうか!!これで本当の最後です!!」

 

 そして、ベルは今一度、白と黒の双剣メディウムを握りしめ、詠唱を始める

 

「『目覚めよ(テンペスト)』」

 

 ベルの周りに仄かな光が集まり、ベルを祝福する

 

「『嵐の狂王(イシュクル)』」

 

 瞬間ベルは暴風に包み込まれ、黒雷と冷気を身に纏う。髪には翡翠と蒼の髪が混ざり、逆立っている。瞳は深紅から全てを照らすような金色へと変わり、吐く息は冷気によって白く染まる

 

 嵐を身に纏ったベルをアイズたちはそれぞれ違う反応を見せながらも、恐れは見えない

 そんな四人にベルはメディウムを向ける

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、始めましょう。僕たちの最後の戦い(冒険)を!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして最終決戦の火蓋は切って落とされた

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

今回出てきたベルの武器は『メディウム』という白と黒の双剣です
白い方を『クラウ』、黒い方を『ネメシス』と名付けてみました

それぞれの剣に名前をつけるか迷いましたが、区別をつけるために名前をつけました

この剣たちは二つが揃わないと本当の力を発揮しないので、二つで一つの剣となり、クロウとネメシスの二つで、双剣メディウムとなる、ということです

分かりにくくなってしまってすいません

次回決着とこのようなことになった真実が明らかになります!!

出来るだけ早めに更新したいと思います


では、おやすみなさい


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白兎と決着

更新遅れてすいません

今回決着です

次回から新章に本格的に入っていきます

では、どうぞ!


 僕は三属性複合魔法『嵐の狂王』を発動して、嵐をその身に纏った。この魔法はミノタウロス戦の時に思い付きで僕が創った魔法だ。『嵐の狂王』は相手に暴風、黒雷、蒼氷で攻撃できるだけでなく、それらが自動的に相手の攻撃を無効化してくれる。生半可な攻撃では僕には届かない。まさに攻守ともに優れた魔法なのだ

 

 僕はネメシスをアイズさんたちに向ける。すると僕の周りから黒雷、暴風、蒼氷が四人に向かって襲い掛かり僕はそれに追随する。アイズさんたちは黒雷たちからの攻撃を防ぎ続けているが、やはりネメシスのせいもあって全ては防げないようだ

 

 黒雷たちの攻撃を防ぐ瞬間を狙い、僕は四人に斬りかかった。本来なら、返り討ちにあうだろうが今のアイズさんたちはネメシスによって弱体化している。ここで一気に勝負を決める!!

 

「ハアッ!!」

 

 ネメシスとクラウでアイズさんたちを薙ぎ払う。吹き飛ばされる四人だがすぐに反撃してきた

 

「グア!?・・・クソが!!!」

「こっの~~!!!」

「ウオらあああああああああ!!!」

 

 そう言ってベートさん、ティオナさん、ティオネさんが僕を攻撃してくる。しかし、それも無駄に終わる。攻撃が僕に迫った瞬間、三人の武器が氷漬けになり暴風によって粉々に砕け散る

 

「「「なあ!!??」」」

 

 砕け散った武器に気をとられ、完全な隙ができた。僕はネメシスとクラウに黒雷を纏わせる。やがて黒雷は剣全体を包み込み、二本の巨大な黒雷の剣が完成する。僕はそれを三人に向けて振り下ろす

 

反逆の神雷(リベリオン・ケラウノス)

 

 この技は巨大な剣では考えられない程のスピードを持って、相手に連撃を叩き込み、薙ぎ払う。そして、上空から黒雷が相手に降り注ぎ敵を殲滅する

 

 ベートさんたちは剣撃をまともに食らい、黒雷に飲み込まれた。僕は黒雷を解除し、息を吐いた。しかしここで予想外のことが起こる

 

 黒雷が消え、戦闘不能になったと思っていた三人は立ち続けていた。そして僕を睨みつけている。あれでもダメなのか!、と僕が追撃をしようとすると三人は静かに倒れこんだ。もう限界だったのだろう。一応息はしているようなので命に別状はないと思う。僕はそんな三人に敬意の念を込め一礼する。この人たちはLv1であるはずの僕と真剣に戦ってくれたから

 

 ――さて、残るは・・・

 

「貴方だけですよ」

 

 そう言って僕は背後を振り返る

 

「アイズさん」

 

 そこには暴風を身に纏い、デス・ペレートを僕に向け突撃の体勢をとったアイズさんがいた。どうやら僕は、まんまと時間稼ぎひっかかったらしい。僕がアイズさんたちを吹き飛ばした際、アイズさんは魔力の蓄積(チャージ)を開始。ベートさんたちはその時間稼ぎだったのだ。そして、アイズはすぐに蓄積(チャージ)を終わるだろう。僕に残されているのは、迎撃か回避だ

 

 ここで僕がするべきなのは回避だ。そうすれば僕は絶対に勝てる。Lv5に勝つことができるのだ

 

 

 ――ふざけるな!!!!!!!!!!!

 

 

 頭によぎった選択にベルは心の中で絶叫する

 

 

 ――ふざけんなよ!?確かにここで回避すれば勝てるかもしれない。でも!それは僕が欲しい勝利じゃない!!僕が欲しいのは本気でぶつかり合って手に入れる勝利だ!!ここで迎え撃たないで何が男だ!何が英雄だ!!!僕は!アイズさんたちの本気に答えないといけないんだ!!!!!!!!!!

 

 

 ベルはアイズに向き直り、ネメシスとクラウに黒雷、暴風、蒼氷を纏わせる。嵐を纏った剣を構えながら僕も突撃の体勢をとる

 

 

「アイズさん・・・・・これで、終わらせます」

 

「・・・うん・・・・・終わらせよう」

 

 僕たちは、静かに向かい合う。そして同時に駆け出した

 

 

「「『目覚めよ(テンペスト)』!!」」

 

 同時に詠唱をし、お互いの纏う嵐と暴風がぶつかり合い、結界内を蹂躙する。しかし、僕とアイズさんは構わずスピードを加速させ、相手に最後の最強の技をぶつける

 

剣よ、全てを穿て(ストーム・インパクト)!!!」

「リル・ラファーガ!!!」

 

 剣と剣が交差した瞬間吹き荒れていた嵐と暴風が霧散した

 結界内に見えるのはそれぞれ剣を突き出した状態で固まっているベルとアイズだけだ。結界内を静寂が支配した。だが、それはすぐに終わった。ベルとアイズの間に何か小さいものが突き刺さった

 

 それは剣身だった。よく見るとアイズの剣が半ばから折れている。そして折れた剣を持ったまま、アイズは前に倒れこんだ。だが、疾風のようにアイズの前に移動したベルによって抱き留められ、地面に倒れこむことはなかった

 

 ベルはアイズを抱きしめたまま、笑顔で語り掛ける

 

「ありがとうございました、アイズさん・・・ゆっくり休んでください」

 

 お疲れさまでした、そう言ってベルはアイズを抱えた。俗にいうお姫様抱っこで。そして小声で何かをつぶやくと、どこからか優しい風が吹き倒れていたベート、ティオナ、ティオネを包み込みベルの傍に連れてきて、ベルはそのまま結界の外で待つフィンたちのところに向かった

 

 

~~~

 

 

 決着がつき、ユキたちが結界を解いた瞬間ロキファミリアの団員たちが僕の方に向けて走ってきた。否、僕ではなくアイズさんたちにだろう。すぐに囲まれたがとりあえずリヴェリアさんにアイズさんをを預け、ベートさんたちを他の団員さんに任せ僕は人混みの中から抜け出した

 

 すると抜け出した先にはロキ様とフィンさんがいた。僕は直ぐに立ち上がり、服装を整えた

 

「フィンさん、そしてロキ様も一体どうしたんですか?」

 

 僕の問いにフィンさんは苦笑いを、ロキ様は何かお腹を抑えながら答えた。そんな二人に僕が首を傾げていると、フィンさんが一度咳払いをして話し始めた

 

「いや、なんでもないんだ。気にしないでくれ‥‥それよりもお疲れ様だったね、ベル。まさかあの四人に勝ってしまうなんて、正直予想外だったよ。君は本当にLv1なのかい?」

「ありがとうございます‥‥僕はLv1ですよ。まだ冒険者になって一か月も経っていません」

 

 僕の言葉にフィンさんは目を見開き、ロキ様の方を見る。ロキ様はお腹を抑えたまま片膝をつきながらフィンさんに答える

 

「ほ、ホンマやで・・・ホンマにベルたんは冒険者になって一か月も経っとらんし、Lv1や・・・・」

 

 そう言ってまたお腹を抑えてうずくまったロキ様。大丈夫だろうか?と僕が心配していると、フィンさんが片手で頭を抑えながらも僕に確認を取ってくる

 

「・・・・・・分かった。いや、理解できないけど理解しよう。・・・それよりもベル、君に話が合ったんだが・・・」

 

 フィンさんは人混みに囲まれながら治療を受けているアイズさんたちの方を向く

 

「幹部全員も含めて話したい。アイズたちが回復するまで待っていてほしいんだが‥‥」

「急ぎの話なんですか?」

「?・・・あ、ああ。出来るだけ早めに話したいんだが……」

「分かりました」

 

 フィンさんの返答に頷くと、僕はこちらに歩いてきている精霊たちに目を向ける。そしてその中に目的の人物を見つけると声をかける

 

「おーいユキ、ちょっといいかな?」

「・・・・どうしたの?ベル」

 

 話しかけられたユキは首を傾げる

 

「ちょっとお願いがあるんだけど……」

「・・・なに?」

「アイズさんたちを回復してほしいんだ」

「・・・・・えー」

 

 僕のお願いにユキは露骨に嫌そうな顔をする。まぁ、予想はしてたけど……ここまで嫌がるかなぁ?

 そんなユキに僕は必死に頼み込む

 

「お願い!ユキにしか頼めないんだ!!」

「・・・ベルがやれば、いいと思う」

「僕、戦った後で結構疲れてるんですが・・・・」

「・・・ベルならできる。私は、信じてる」

「・・・いい感じにいっても、つまりは丸投げだよね?」

「・・・・・・・めんどくさい!!」

「開き直った!?」

 

 ついに本音を暴露したユキにツッコむ僕。このままでは埒が明かない。フィンさんたちも待たせているし・・・仕方ない。()()を使うか

 

 そして、僕は最終奥義を発動させる。これを発動させるとユキはもちろん他の精霊は僕の頼みを必ず聞いてくれるだろう。しかし、これには大きな代償が伴う。まさに諸刃の剣なのだ

 

 僕は顔をそらしているユキに向けてわざとらしく声を上げる

 

「そっかーなら仕方ないね。僕がやろうかなーー」

 

 ユキはまだこちらを向かない。だが僕は構わず続ける

 

「それにしても残念だなー・・・もし僕の代わりに回復してくれたら、どんなことでも一つだけお願いを聞いてあげようと思ったんだけどなー」

「!?」

 

 僕の言葉にユキが慌てて振り返る。そんな姿に内心ガッツポーズをとりながらも反応はしない

 

「それじゃあ僕は回復に・・・・」

「・・・待ってベル。ステイ」

 

 歩き出そうとした僕をユキが手を握って止めてきた。僕はわざとらしく振り返り不思議そうに問いかける

 

「ん?どうしたのユキ?早くアイズさんたちを回復させないと・・・」

「・・・よく考えたらベルは疲れてる。ここは私に任せて、ゆっくりしてて」

 

 そう言って数歩前に出て人混みに右手を向ける。するとアイズさんたちを仄かな光が包み込み、淡い光を放っている。その光がおさまると、そこには無傷のアイズさんたちがいた。周りが愕然とする中、一仕事終えたように息を吐いたユキが僕のもとにやってくる

 

「・・・終わった。疲れた。だから撫でる」

 

 そう言って頭を僕の方に擦り付けてくる。ベルは苦笑しながらユキの頭を撫でる

 

「ありがとうユキ。約束通り、僕に出来ることならなんでも一ついうことを聞くよ」

「・・・考えとく。楽しみ。覚悟してね?」

「ハ、ハハ・・・お手柔らかにね?」

 

 ユキの言葉に僕は顔を引きつらせながらお願いするが、ユキはただ微笑むだけである

 

 一体僕は何をさせられるの?と、とても不安になるベルであった

 

 

 ベルはそんな気持ちをいったん置いて、フィンに話しかける

 

「フィンさん、とりあえず傷は治してもらいました。多分完治したので直に目を覚ますと思います」

「・・・・・・・・・・・・・」

 

 だがフィンは動かない。そんなフィンに、ベルは首を傾げながら話しかける

 

「?フィンさん?」

「・・・・・ベル、今のは一体何だい?」

 

 ベルが話しかけるとやっと回復したフィンがそんなことを聞いてくる。ベルはなんでそんなこと聞くのかと疑問に思ったが、とりあえず答えることにした

 

「あ~今のはユキの魔法ですよ」

「・・・・・それは分かる。しかし今の魔法は前に見た彼女の魔法とは違うと感じたんだが・・・」

 

 フィンの返答にベルは合点がいった

 

「あ、そういうことですね。実はユキは闇属性の魔法以外にも光属性の魔法も使えるんですよ。今のも光属性の回復魔法でして・・・・」

「・・・・・・待ってくれ」

 

 ベルの説明にフィンが待ったをかける。フィンはベルに確認を取るように問いかける

 

「・・・・君は、いま、なんて言った?」

「え?だからさっきのは光属性の回復魔法だと・・・」

「違う、そこじゃない」

「え、それじゃあ・・・・ユキが闇属性の魔法だけじゃなく光属性の魔法も使えるっていう・・・・」

「それだよ!」

 

 フィンが声を上げる。しかしベルには何のことか分からない

 

「・・・・彼女は二つの属性を操れるのかい?」

 

 フィンはベルにそう聞いてくる

 

「?はい、そうですよ。この前の宴会の時に言いませんでしたっけ?」

 

 ベルは口を開く。それがどんな意味を持っているかもわからず

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ユキは闇と光、二つの属性を統べる大精霊ですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルの言葉にフィンは固まる。ベルは固まったフィンに気づき肩を揺らすがフィンは反応を示さない

 

「え、フィンさん?どうしたんですか!?フィンさん!!??」

 

 ベルの必死の呼びかけにより、フィンは早々に復活した。そして、深々と息を吐く

 

「・・・・・・・よく分かったよ。ああ、分かったとも。ベル・クラネル、君がどんなに非常識かってことをね」

「非常識!?」

 

 

 突然のフィンからの罵倒にベルは混乱する。しかし、そんなベルに構わずフィンは話し続ける

 

「本当ならもっと詳しく話を聞きたいんだが・・・こちらも何かと限界でね」

 

 そう言ってフィンが見つめる先には安らかな顔でお腹を抑えたまま倒れ逝っているロキがいた。そんなロキを一瞥したフィンはベルに向き直る

 

「だから、ベル。今日はこれだけを伝えておく。詳しい話は後日になると思うから、またここに来てほしい」

 

 

 そして、フィンは告げる。おそらくそれはこれからのベルの冒険者人生に大きな影響を与えることになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕たちの遠征に参加しないかい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルの冒険者としての初めての『冒険』が、いま始まろうとしている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回から新章に入ります

早めに遠征に行きたいと思いますので、あと2,3話ほどで遠征に入ると思います

出来るだけ早めに更新したいと思います





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白兎とステータス

遅くなりました!!

次回から遠征に入っていけると思います、いけると・・・・いいなー

ではどうぞ!


「な~~~に~~~を~~~やってるんだ!!!!君はーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 

「ご、ごめんなさ~~~~~~~~~~い!!!???????????!!?????」

 

 そんな絶叫が当たり一面に響き渡る

 

 ここは、町はずれの廃教会。【ヘスティア・ファミリア】のホームである。その地下室に三人の人影があった。ベル、ヘスティア、リリである。どういう状況かというと、現在ベルは二人に向かって極東の奥義『土下座』をかましていた。ヘスティアは髪を逆立たせ、リリは顔を片手で覆い、ため息をついている

 

 あれから僕が【黄昏の館】から帰る頃には日が沈んでおり、帰る途中で詫びの品であるじゃが丸くんを買ってホームに向かった。

 

 しかしホームの扉を開けた先には、神様とリリが満面の笑みで僕を待っていた。ヤバいと思い本日二度目の逃走をおこなったが、二人に腕を掴まれ失敗に終わった

 

 そこから先はご想像のとおりだ。神様とリリは、なにがあったのかを根掘り葉掘り尋問した。僕は正座をさせられ、正直に全てを話した。そして僕が話し終わったところで先程の絶叫である

 

 ベルは頭を上げて弁明する

 

「し、仕方なかったんです!!呼ばれていったら、いきなりアイズさんたちと戦うことになるし、途中から向こうも本気でしたし、頑張らないと死にそうだったんです!!!!!!!」

 

「だからってあの武器を使わなくても、魔法だけでも十分だったんじゃないかい!!?他所のファミリアに手の内をバラしてどうするんだーーーーーーー!!!!!!?????」

 

 神様の叫びに僕は猛省する。確かに『メディウム』は使うべきではなかったかもしれない。魔法で決着をつけるべきだったか、とあの時の選択を後悔はしていないが手の内を少し晒し過ぎたと反省する

 

 

 ――メディウムは世界中でただ一人僕にしか使えない。実はメディウムは精霊の力を宿している。ユキたち曰く、メディウムのように自分の力を具現化した武器をそれぞれ持っているらしい。そして契約者にその武器を授けるのだそうだ。これらの武器の名称は無かったが『精霊武装』と勝手に呼んでいる

 

 精霊たちの中でもティナとルナがその呼び名に目を輝かせ、リディヤはなぜかソワソワしてたけど・・・

 

 更に過去に僕と同じように大精霊と契約した人がいたそうで、その人も精霊武装を使っていたそうだ。その人は雷の大精霊と契約したそうで会ってみたいと思ったが、ずっと昔に亡くなったらしい。ユキたちはその雷の大精霊から話を聞いたみたいだ

 

 ・・・その時になぜか僕に会いたいと言ってきたらしい。理由は前の契約者とメチャクチャ似ているからだそうだ。そんなに似てるのかな?、と不思議に思ったが僕は会ってみたいと思った。しかしユキたちはそれを許さなかった。あらゆる手を使って僕と雷の大精霊さんが出会うのを阻止し続けていたのだ

 

 なぜそこまでするのか?と聞くと、なんでも雷の大精霊さんはユキたちと違い筋肉モリモリでやけにガタイのいい(じじい)だそうだ。そんな(じじい)がベルに用があると言っているのだ。ユキたちが必死になるのも頷ける。僕はその話を聞き、最悪の展開を想像して顔を真っ青にした。出来れば会いたくない。今ではそう思っている

 

 そして同時にそんな爺さんと契約した人に心底同情した。きっととても苦労したと思うから。僕は美少女の精霊(ユキたち)で良かった~。そう思う僕であった

 

 話がそれてしまったが、この精霊武装は精霊と契約している者にしか使えない。このメディウムもユキから貰ったものだ。他の四人からも精霊武装を貰っていて、僕は計五つの武装を持っている。どれもとてつもない力を宿しており、使い方を間違えると大変な事になる。もしかしたらこのオラリオなんて簡単に無くなってしまうくらいに

 

 更に不思議なことに、この武装たちは自我を持っている。ユキたちのように言葉はかわせないが、なんとなく考えていることが分かり、機嫌が悪いと切れ味や能力が著しく低下するのだ。なぜ自我を持っているのか?それはユキたちにも分からないそうだ

 ちなみに武装たちは生みの親ともいえる精霊たちとも仲がいいのだが時々喧嘩をすることがある。中でもユキとメディウムはよく喧嘩をしている。が、すぐに仲直りしているので本気ではないのだろう

 

 

 まあそんなこんなで、精霊武装は僕の切り札の一つなのだ。それを仕方なかったとはいえ無闇に使うのは褒められたことではないだろう

 

「・・・すいませんでした。さすがにやりすぎだったと思います・・・・・」

「そ、そうかい?ま、まあ次は気を付けてくれよ?」

 

 僕の謝罪に神様は戸惑いながらもそう言ってくれた。すると今度はリリが僕に聞いてきた

 

「話も落ち着いたところで、ロキ・ファミリアの遠征参加の件ですが・・・・」

 

 その言葉に場が緊張に包まれる。そう、まだ遠征の問題が残っていた。ヘスティアは頭を抱えながら唸っている

 

「ぐぬぬぬぬ‥‥ロキめ!僕のベル君に何をさせる気だーーー!!!!」

「お、落ち着いてください!神様!!」

「そうですよ。それにまだ参加するとは決まってないじゃないですか」

 

 リリの言葉にヘスティアは落ち着きを取り戻した。そしてベルの方を向く

 

「そ、そうか!ベル君!君はもちろん参加なんてしないよねー?」

 

 ヘスティアの期待の眼差しに対しベルは・・・

 

「え、参加しますけど?」

 

 瞬間ヘスティアは凍りついた

 

「と、いいますか・・・聞かれたときに即OKしました」

 

 そして崩れ落ちる

 

「ど、どうしてだい!?」

「どうしてと言われても・・・・」

 

 ヘスティアの問い詰めにベルは苦笑しながら答える

 

「ユキたちが行きたいと言ったので・・・」

「・・・・・・・・あー・・・・」

 

 ヘスティアは察した。あの精霊たちならこんな面白そう(精霊たち限定)なことに乗らない筈がない。ただでさえダンジョンから帰ってきたときに、モンスターが弱すぎる、と愚痴っていたのだ。今回の話はまさに精霊たちにとってまたとない暇つぶしなのだ。ベルも精霊たちには甘い所があるので了承したのだろう

 

 頭を抱えるヘスティアを他所にリリが話しかける

 

「ベル様、なんとなく受けた理由は察しがつきますが・・・リリもついていきますか?」

「いや、気持ちは嬉しいんだけど、今回はかなり深いところまで潜るらしいんだ。ユキたちがいるから大丈夫かもしれないけど、もしものことがあったら大変だからリリは神様のことをお願い」

「で、ですが・・・」

 

 リリは不安そうにそう言ってくる。そんなリリの頭を撫でながらベルは笑いかける

 

「!!」

「大丈夫だよ。必ず生きて帰ってくるから。それにユキたちもいるしね?どんなことがあっても大丈夫だよ」

「・・・分かりました。けど無茶だけはしないでくださいね?」

「もちろん!約束するよ」

 

 そしてベルはヘスティアの方に向き直る

 

「神様。僕、少しばかり遠征に参加してきます!!」

「・・・・・はあ~~~・・・分かったよ。けどさっきサポーター君が言った通り、無茶だけはしないでくれよ?君がいなくなったらボクもサポーター君もすっごく泣くからね?」

「はいっ!!」

「分かったならよし・・・・・リディヤ君、リンネ君。ベル君が無茶しないようにしっかりと見張っといてくれよ?」

 

 ヘスティアの言葉にベルの中のリディヤたちが答える

 

『任せなさい。私がいる限りこいつに無茶なんてさせないから』

『勿論です。ベル様のことはわたくしたちにお任せください』

『・・・なぜ私が呼ばれないの?』

『まーまー落ち着いてユキ姉』

『それよりも遠征か~楽しみだな♪』

 

 精霊たちの反応にベルは苦笑する。どうやら皆も楽しみのようだ。そして、ユキ大丈夫?とベルの中で体育座りで落ち込んでいるユキを励ましながら、ベルも内心ワクワクしていた

 

 ベルの反応にリディヤたちの返答を察したヘスティアはベルに話しかける

 

「さて、ベル君。遠征のこともあるしステータスの更新をしようじゃないか!」

「あ、はい。お願いします」

 

 そう言ってベルは上着を脱いでソファにうつ伏せになる。ヘスティアはベルの腰の上に馬乗りになり、更新を始める

 

「・・・さて、と。今回は・・・・・」

 

 ヘスティアはそうつぶやいた。あれからスキルの件もありベルは普通では考えられないくらいの速さで成長していった。まだ冒険者になって一か月も経っていないというのに、ステータスはLv1の中でもトップクラスになっていた。まあ、そのたびにヘスティアは心労を重ねていったのだが・・・・

 

 今回はどれくらいだろうな~、と若干悟りきった目で指を動かすヘスティアだが突然動きを止めた。その事に気づきベルとリリはヘスティアに問いかけた

 

「?神様?」

「どうしたんですか?」

 

 二人の質問にヘスティアは反応を示さない。だが、やがて茫然としながら口を開いた

 

「・・・・・・ランクアップ、してる・・・・」

「「へ?」」

 

 二人はヘスティアの言葉を理解できなかった。普通の冒険者はランクアップに数年はかかる。今の最短記録だって、アイズの一年だ。だがベルはまだ冒険者になって三週間程だ。アイズの記録を大幅に超えて塗り替えたことになる

 

 やがて言葉の意味を理解したベルとリリの二人は、同時に絶叫した

 

「「え、えええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええ!?!?!?!?!???!???!?」」

 

 再び絶叫があたりに響きわたる。ユキたちはベルの中で、さも当然かのような顔でふんぞり返っていた。ティナとルナはすっごーーい!!、と目を輝かせていたが・・・・

 

 

 なにはともあれ、いまここに白兎はランクアップを果たしたのであった

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ベル・クラネル(最終ステータス)

 

 

 

 

 

 

 

Lv:1

 

 

 

 

 

 

 

力 : B 798→EX 1500

 

 

 

耐久: A 812→EX 1500

 

 

 

器用: S 996→EX 1500

 

 

 

敏捷: SS 1256→EX ?

 

 

 

魔力: SSS ?→EX ?

 

 

 

 

 

 

 

《魔法》【六大精霊王の加護】

 

 

 

・火、水、風、土、光、闇の6つの属性の全ての魔法を使うことができる

 

・一度使用した魔法は詠唱を破棄できる

 

・精霊魔法を使用できる

 

・???

 

・???

 

 

 

 

 

《スキル》【精霊に愛されし者】

 

 

 

・早熟する

 

・自身と精霊の絆がある限り効果持続

 

・自身と精霊の絆の大きさにより効果向上

 

 

 

 

 

【???】

 

 

 

・チャージ可能

 

・???を使用可能  詠唱式≪我願うは??? 来たれ???≫

 

・精霊の絆と繋がりによりその身に精霊の力を宿す。容姿変化する

 

可能な精霊 

 

 

 

   ・ユキ   (ヴァイス・アートルム)

 

   ・リディヤ (イフリート)

 

   ・リンネ  (シルフ)

 

   ・ティナ  (ウィンディーネ)

 

   ・ルナ   (ブルーノ)

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

ベル・クラネル

 

 

 

 

 

 

 

Lv:2

 

 

 

 

 

 

 

力 : I 0

 

 

 

耐久: I 0

 

 

 

器用: I 0

 

 

 

敏捷: I 0

 

 

 

魔力: I ?

 

 

 

幸運:I

 

 

 

 

 

 

 

《魔法》【六大精霊王の加護】

 

 

 

・火、水、風、土、光、闇の6つの属性の全ての魔法を使うことができる

 

・一度使用した魔法は詠唱を破棄できる

 

・精霊魔法を使用できる

 

・召喚魔法を使用できる  New!

 

・???

 

 

 

 

 

《スキル》【精霊に愛されし者】

 

 

 

・早熟する

 

・自身と精霊の絆がある限り効果持続

 

・自身と精霊の絆の大きさにより効果向上

 

 

 

 

 

【精霊を救いし者】

 

 

 

・チャージ可能

 

・精霊武装を使用可能  詠唱式≪我願うは??? 来たれ???≫

 

・???  New!

 

・精霊の絆と繋がりによりその身に精霊の力を宿す。容姿変化する

 

可能な精霊 

 

 

 

   ・ユキ   (ヴァイス・アートルム)

 

   ・リディヤ (イフリート)

 

   ・リンネ  (シルフ)

 

   ・ティナ  (ウィンディーネ)

 

   ・ルナ   (ブルーノ)

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

ランクアップしたので新しいスキル効果を入れてみました

出来るだけ早めに更新したいと思います

おやすみなさい



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白兎と神会

ダンまちⅣ制作決定おめでとうございます!!

タイトルのデザインからして、妖精のようなマークもありましたから、やはりリュー編でしょうか?

とても楽しみです!!

楽しみに待ちつつ、頑張っていきたいと思います

今回短めです

では、どうぞ!


ギルド本部~応接室~

 

「・・・もう一回言ってくれるかな?ベル君??」

「は、はい・・・先日Lv2にランクアップしました・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 ランクアップしてから数日後、僕はギルド本部に向かっていた。理由はエイナさんに報告するためだ。ギルドに着いた僕は早速エイナさんのもとに行き、ランクアップしたことを伝えた。するとエイナさんは動きを止め、僕を連れて応接室に向かった。そして現在に至る

 

 僕の言葉を聞いたエイナさんは深いため息をつき、頭を抑えた

 

「・・・・ベル君が精霊と契約してるのは知ってるけど・・・いくら何でも規格外過ぎるよ~~」

「は、はは・・・」

 

 涙目になりながら頭を抱え込んでいるエイナにベルは苦笑を返すしかない。ベルの中の精霊たちは当然とばかりにふんぞり返っていたが・・・

 

 しばらくして少しだが回復したエイナはベルにお祝いの言葉を贈る

 

「・・・とりあえず、言いたいことはたくさんあるけど、ランクアップおめでとうベル君」

「あ、ありがとうございます」

 

 ベルは少し照れながらお礼を述べる。エイナはそんなベルを微笑みながら見つめる。その後しばらく雑談をしていたが、ふとエイナがベルに質問する

 

「そういえばベル君、今日はランクアップのことを伝えに来たの?」

「え?あ、いや実はもう一つお話がありまして・・・」

 

 ベルはエイナに向き直り報告する

 

「実は今回ロキ・ファミリアの遠征に参加することになったんです」

「―――」

 

 エイナは笑顔で固まった。しかしベルは気づくことなく話を続ける

 

「それでエイナさんに許可を貰おうかとおm・・・」

「ベル君」

「!?」

 

 ベルは言葉を止めた。目の前の女性が絶対零度の声で自分の名前を呼んだから。エイナは笑顔のままベルに話しかける

 

「詳しく、聞かせて、くれるよね?」

 

 ベルはただ頷くことしかできなかった。そして地獄のような説教が始まった。ベルがホームに戻ったのは日が沈み、すっかり夜になった頃だった

 

 ギルドを出たベルの瞳に光はなく、エルフコワイ、と何度も呟いていた

 

 

 

―――

 

 

 ベルがエイナより説教を受けている中、ベルの主神であるヘスティアも地獄にいた

 

 オラリオの神々は月に何度か『神会(デナトゥス)』というものを開催する。主に神々の情報交換の場と考えられているが、目的は情報交換などではない。本当の目的は情報交換の後に行われる「命名式」なのだ

 

 命名式とは、Lv2以上の冒険者の二つ名を神々考えるというものである。例として挙げるなら、アイズの【剣姫】、オラリオ最強のLv7のオッタルの【猛者】などだ。つまりヘスティアは今日ベルの二つ名を決めに来たのだ

 

ではなぜ地獄なのか、それは――

 

 

 

「それじゃ、タケミカヅチのとこのヤマト・命ちゃんの称号は【絶†影】でええな」

 

『意義なし!』

 

「うぁあああああああああ!!!すまない!すまないミコトォオオオオオ!!!!」

 

「よーし、んじゃ次は~・・・」

 

 

 つまりこう言う事である。神々は常に娯楽に飢えている。そんな神々のとって命名式とは最高の娯楽の一つである。つまり二つ名とは神々の間ではその殆どが悶絶するほど痛い名前なのだ

 

特に発言力のない新米ファミリアは神々のいいオモチャにされる事が多い。神々は冒険者に痛い二つ名をつけようとし、新米ファミリアの神々は自分の眷属たちの為に無難な二つ名を持って帰ろうとする

 

 ヘスティアもそんな神々の一柱だ。ヘスティアは神友であるタケミカヅチの泣き叫ぶ姿を見て、これから我が身にも起こる悲劇を身近に感じてしまった

 

 

 

(すまないタケ・・・ボクは無力だ・・・・・・)

 

 

 

「次はーっと、おっ、ウチのアイズたんや!」

 

 

 

『おぉー!!【剣姫】来たーー!!』

 

 

 

「って言うかもうレベル6!?」

 

「くっそはえええ!!」

 

「階層主を一人で斬り殺したとか、相変わらずぶっ飛んでるな」

 

「それで二つ名はどうするんだ?」

 

「【剣姫】の次だから【剣聖】とか?」

 

「いや、それはないなぁ」

 

「ないない」

 

「やっぱアレだな」

 

「そそ、アレしかないだろ!」

 

「ああ、やっぱ」

 

 

 

神々の花嫁(俺たちの花嫁)だな!!』

 

 

 

「殺すぞ」

 

 

 

『マジですみませんでしたぁああああ!!』

 

 

 

ロキの一言で男神達は一斉に土下座をしていた。どうやら神々の間でも極東の最終奥義は広まっているようだ

 

 

「そんじゃアイズたんは【剣姫】継続でええな?」

 

 

「・・・・ほんま調子のいい連中やな。んで次で最後やな」

 

 そしていよいよベルの番になる。ヘスティアは緊張しながらもベルのためにも身を引き締める

 

「えーと、最後は・・・・・ドチビんとこやないか!?」 

 

 

 ロキが驚きを顕わにする。そして神々がベルの似顔絵や冒険者の情報が書かれた紙に目を通し、一律に驚愕の表情をする

 

 

「え!マジ!?」

「冒険者になって三週間半でランクアップ!?」

「アイズちゃんの記録を塗り替えただけじゃねぇぞ!?」

「やべぇよコイツ!?」

「しかもこんな顔して男!?」

「ハァ、ハァ、ヤバい・・・・マジ好み・・・・」

 

 ほとんどの神々は同じことを思っていた。一部とんでもないことを言っている者もいたが・・・

 

 そして神々の視線がヘスティアに集中する

 

「どういうことだよヘスティア!!」

「三週間ちょっとでランクアップとかチート過ぎんぞ!!」

「ヘスティア!彼とはどこで会ったの!?」

「説明しろ!!いや、それよりも――」

 

 

『この子超欲しいぃいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!』

 

 

 神々の叫びが一つになる

 

 

「やるわけないだろう!!!!ベル君はボクのだぁぁぁぁああああああ!!!!!!」

 

 

 そんな神々にヘスティアは絶叫する。しばらくそんなやり取りが続いたが、司会進行のロキが手をたたき話を進める

 

「そこまでや。そないな事より、さっさと二つ名を考えよか」

 

 ロキのその言葉に、ヘスティアはもちろん、周りの神々も絶句した。あのロキがヘスティアを庇うような真似をしたのだ。普段から二人の仲の悪さを知っている者からすれば、恐怖さえ覚えることだろう

 

(ロキの奴・・・いったい何を考えているんだ?)

 

 ヘスティアはロキの行動を理解できず、困惑している。現在神々の混乱を引き起こしているロキはというと・・・

 

(ふざけんなや!ただでさえこの間の件で精神的に死にそうやのに、これ以上の問題はホンマに死んでまうわ!!!)

 

 内心そんなことを思っていた。実はロキ、この前のベルの発言により精霊のことが若干トラウマになっており、胃薬のお世話になっている。それは、フィンとリヴェリアもなのだが・・・

 

「それで、誰か何かないんか?」

 

 そう促すロキに神々はようやくノリを取り戻す

 

「そ、そうだよな!じゃあオレからいくぜ!【新・一角兎(ネオ・アルミラージ)】!!」

「負けるか!【ぴょん吉】!」

「いやそれ中古。ヘファイストスんとこの鍛冶師がもう使ってる」

「神の先をいく、だと!?」

「うーん、可愛い顔をしてるから・・・【華奢兎(キューティーバニー)】とかどう?」

「ハァ、ハァ・・・もう我慢できない!【俺の嫁(マイ・ベル)】!!」

 

 と、そんなおぞましい名前ばかりが出てくる。てか最後の奴出てこい。ぶっ飛ばす。ヘスティアはそんな状況に絶望しかけ、何とかこの流れを変えようと口を開こうとした瞬間

 

「私も、いいかしら?」

 

 一人の女神が声を上げる。そちらに目を向けると、そこには普段は参加する姿勢を見せない美の女神フレイヤが片手を軽く挙げていた。ヘスティアがまたも混乱する中、ロキがフレイヤに話しかける

 

「なんやフレイヤ、自分が参加するんは珍しいな?」

「ふふ、よして頂戴ロキ。私だって女神なのよ?」

 

 そしてフレイヤは、神をも魅了する微笑みで言葉を続ける

 

「――【美神の愛兎(ヴァナディース・ラブ・ラビット)】、なんてどうかしら?」

「却下だ―――!!!ベル君はボクのだって言ってるだろう!!!????」

 

 まさかの二つ名にヘスティアは全力で拒否する。残念ね、と呟きながらフレイヤは静観の姿勢をとる。ヘスティアは肩で息をしながら自分の席に座る。この際、もう誰でもいい。どうかベル君に無難な二つ名を!

 

 その願いが通じたのか、通じなかったのか今度はロキが手を挙げた

 

「ウチからも一つあるんやけど」

「!?」

 

 そんなロキをヘスティアは驚きながら見ているが、すぐに真剣な顔に変わる。おそらくここでロキがまともな二つ名を出さないと、きっとろくでもない二つ名になるだろう。これからのベルの冒険者人生の善し悪しは、いままさにロキに委ねられた

 

 ヘスティアが必死になって祈っていると、ロキが口を開いた

 

 

「んじゃ、発表するで~ウチが考えた二つ名はな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、全ての冒険者の命名が終わり、神会は終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回遠征始まります!

ベルの二つ名も明らかになりますよ?

出来るだけ早めに更新したいと思います



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白兎と遠征

遠征回です

これからしばらくは遠征回が続くと思います

頑張って更新したいと思います

では、どうぞ!


 地獄のような説教から無事生還してから二日後。僕ベル・クラネルはバベル前の広場に来ていた。まだ朝方なのもあり人はあまりいない。なぜ僕がこんな時間に広場にいるのか

 

 それはロキ・ファミリアの遠征に参加するためである。フィンさんからは前もって集合場所と時間を教えてもらっていたが、遅れてはいけないと思い、予定の時間よりも大分早く来ていたのだ

 

「ふぁ~・・・・早く来すぎたかな?」

『・・・ベル、眠い・・・・』

『早く来すぎなのよ、アンタは~』

『しかし、遅れるよりかはこちらの方が良いかと思いますが・・・』

『・・・ムニャ・・・あ、お菓子がいっぱいある~♪』

『・・・ちょっとティナ、私にも頂、戴・・・ニャム・・・』

 

 いつもよりも大分早起きしたせいか、ユキたちは眠そうだ。ティナとルナは未だに夢の国におり、ユキも旅立とうとしている。リディヤとリンネはしっかりと目が覚めており、リディヤがユキを、リンネがティナとルナをそれぞれ膝枕しながら頭を撫でていた。頭を撫でる二人とくすぐったそうに身をよじる三人の姿はまさに仲のいい姉妹のようだった

 

 ベルはその光景に微笑み、眠っている三人に軽く謝罪する。なにせ昨日は丸一日を使って僕のために装備を創ってくれたんだから。原理は精霊武装と同じで自分たちの力を具現化させたらしい。武器だけでなく武具も創れるなんて、やはり精霊とは特別な存在なんだろう

 

 ベルはユキたちがこんなにも疲れている原因は自分の装備を創ったからと思っている。しかし、実際は全く違う。ユキたち精霊にとって武具を創るのはそんなに難しいことでもない。やろうと思えばいつでも創れるのだ。ではなぜ、疲れているのか。それは武具のデザインが中々決まらなかったからである

 

 ユキ、リディヤ、リンネ、ティナ、ルナ、それぞれが一番ベルに似合う装備を出し合い、誰もが一歩も譲らず実力行使の一歩前まで来ていた。だが、そこでリンネが妙案を出した。それぞれのいい所を一つにまとめたらどうか、と。そこからの行動は早かった。それぞれが入れたいところを一つにまとめ、世界にただ一つのベルのための武具が完成したのだ

 

 今のベルは淡い黒の戦闘衣に不思議な紋様が刻んである胸当てと腰布を装備しており、あまり体の動きを妨げない構造になっている。さらに、ユキたちがお守りの意味を込めて創った紅色のマフラーを巻いている。この装備はどれも最高峰の性能を有しており、マフラーさえもどんな攻撃でも破れないように出来ていることをベルは知らない。身に纏っているもの全てに見た目からでは想像できない程の加護が付与されていることさえも

 

 

 ベルは、ユキたち精霊の過保護さを知らないまま、リディヤとリンネと会話をしていると、約束の時間になったのか大勢の冒険者たちが広場に集まってきた。ロキ・ファミリアである。集まった団員たちがそれぞれ荷物や装備の確認を行っているのを眺めていたベルに、ロキ・ファミリア団長のフィンが声をかける

 

 

「やあ、おはよう。ベル。大分待たせちゃったかな?」

「あ、フィンさん。いえ、僕が早く来すぎちゃって・・・・」

「なに、悪いことじゃない。逆に待たせてしまったことを謝罪したいくらいさ・・・皆の準備が終わり次第、君のことを紹介しようと思う。大丈夫かい?」

「は、はい。分かりました・・・」

 

 ベルは緊張気味に答える。そんなベルの肩にフィンは手を置いた

 

「楽にしてくれ、そんなに緊張することじゃないさ。軽く自己紹介をしてもらうだけだからね」

 

 フィンの言葉で落ち着きを取り戻し、ベルは大きくうなずく

 

「フィンさん、ありがとうございます」

「うん。いい顔になった。よろしく頼むよ?【最速の白兎(ホワイト・ラビット)】」

「うっ!?・・・・フィンさん・・・出来ればその名前は・・・・・」

「ハハハ、僕は君にぴったりだと思うよ?」

「・・・・全然嬉しくありませんよ・・・・・・」

 

 

最速の白兎(ホワイト・ラビット)

 

 

 それはベルの二つ名である。ベルがそれを知ったのは、エイナからの説教が終わりホームのベッドで横になっていた時に、何やら慌てた様子で帰ってきたヘスティアに教えてもらったのだ。親指を立てながら、無難だ!と喜びを見せるヘスティアにベルは期待を大にした

 

 しかし決まった名前はこの【最速の白兎】だった。ベルはもっとカッコイイ名前が良かったと落ち込んだが、精霊たちはこの名前を気に入り、ヘスティアを褒めたたえていた。こうして、ベル自身としては不本意ながらも、【最速の白兎】に決定したのだ

 

「それじゃあ、僕はそろそろ行くよ。ベル、頼んだよ」

 

 そう言ってフィンはベルのもとを去った。ベルが深いため息を吐いていると今度はアイズがやって来た

 

「…ベル、今日は……っ!?」

「?どうしたんですか、アイズさん?」

 

 ベルのもとにやってきたアイズは、足を止め、目を見開いた。ベルが首を傾げていると震える声で聞いてきた

 

「……その、マフラー………」

「え?あ、これはですね、ユキたちがお守り代わりに使ってと言われたんです。これがどうかしたんですか?」

 

 ベルの答えにアイズは、そう…なんだ、と呟いてうつむいてしまった。ベルはアイズのそんな姿に慌てるが、アイズはすぐに顔を上げると、ベルを見つめる

 

「……これから、よろしくね?ベル。ベルがいたら私も心強いから…」

「は、はい……頑張ります」

 

 アイズはベルの返事を聞くと、じゃあね、と言って去っていった。ベルはアイズの後姿を見つめていた。そして、言葉を零す

 

「………どうして、あんな顔を……」

 

 ベルは今にも泣き出しそうな、寂しそうなアイズの表情を見て、なぜそのような表情になるのか分からなかった。遠征中に少し気にかけておこう、そう決意して

 

 

 ~~~

 

 それから、ベートさん、ティオナさん、ティオネさんとも挨拶を交わして、フィンさんより集合がかかった。その後、遠征の目的と事務連絡が終わり、僕の紹介となった。ロキ・ファミリアの皆さんからの視線が凄まじかったが、自己紹介と意気込みを無事に言い終えることができた。僕が達成感と無事に終わった安心感に包まれていると、僕の中から、ユキたちが出てきた。そして一言

 

『次ベルのことを傷つけたら、必ず殺す』

 

 ユキたちは五人とも同時にそう言って僕の中に戻っていった。どうやらまだ完全に許したわけでは無かったようだ。ユキたちの言葉に場が凍りついたが、フィンさんやリヴェリアさんら幹部の皆さんが凍り付いていた団員たちの行動を促していた。僕はそんな皆さんに謝りながら、精霊たちになぜあんなことをしたのかを問い詰めた。するとどうやらユキたちは、アイツらは、一度キツく言っておかないとまた同じことをするから、と答えた。よほど、前の件を根に持っているらしい。しかしそれも僕のことを考えてのことだったので怒るに怒れなかった

 

 やはり、僕はユキたちには少し甘いのだ

 

 その後すぐに団員たちは復活し、隊列を組み、二部隊に分かれてダンジョンに潜っていった。僕は二部隊目の最後尾でガレスさん、ティオナさんと一緒に潜ることになっている。なんでも、緊急事態時に対応してもらうためだそうだ。迷宮に潜る前に、僕は澄み渡った青空を見上げる

 

必ず、もう一度この空を

 

 そう決意して。僕は首を戻し、迷宮に潜った

 

 

 ―こうしてベルの初めての遠征が始まった

 

 

~~~

 

 

???

 

 そこは静かで暗い森の中だった

 動物の鳴き声や小鳥のさえずりも聞こえず、静寂がその場を支配している。だが、そこで有り得ないことが起こった

 

 ()()()()()()()()()のだ

 

 捻じ曲がった空間の中心に小さな穴が開き、その穴はだんだん大きくなっていく。するとその穴から全身を黒い鎖に拘束された一人の少女が現れた。その少女は淡い桜色の長髪で、純白のドレスのような服装をしていたがドレスにしてはスカートの丈が短く、胸元をはだけさせていた。更に不思議なことに、少女の首には千切れた鎖のついた首輪が付いていた

 

しかし何より注目するべきなのはその頭部だろう。拘束されている少女の頭部には普通の人間にはない狼人(ウェアウルフ)のような耳があった。よく見ると、髪と同じ色の尻尾もみられる。少女は黒い鎖に拘束されたまま地面に降り立ち、少女が現れた穴は徐々に小さくなり、やがてきれいに無くなった

 

 少女はしばらく動かなかった。だが、すぐに変化が現れる。少女を拘束していた黒い鎖が一本、また一本と音を立てて砕け散ったのだ。やがて拘束する鎖が無くなり、少女は解放された。鎖から解き放たれた少女は身体を僅かに震わせ目を開いた。綺麗な翡翠色の瞳で辺りを見渡す

 

「……やっと、出ることができました」

 

 少女は立ち上がり、無表情のまま未だに手首と足首に残る短い鎖を見つめながらなぜこのようになったのかを思い出していた

 

「……まさか、私までジュピターと一緒に封印されるなんて思いもしませんでした……」

 

 すると少女は、目を閉じた。しばらくして、目を開くとある方向に顔を向けた

 

「……反応があるのは、あっちですね………」

 

 少女はそう呟くき、上を見上げた。すると少女の背中に白い光が集まり翼を形成した。少女は静かに浮かび上がり、森の上空で静止した。そして、下を見つめる

 

「……さようなら。ジュピター。どうせ無理だと思いますが、貴方も頑張って脱出してください」

 

『―――!』

 

「……嫌です。そんなんだから、あの子たちに封印されるんですよ」

 

『―――!?――!』

 

「……なにを言っているのか理解できません。では、私は行きますね」

 

 そう言って少女は飛び去って行った。その速さは音を置き去りにし、まさしく光のようだった

 光速で移動する少女は誰にも聞こえない中首輪に手を添え、こう囁いた

 

 

 

 

「……待っていてください―――私の主(マイ・マスター)

 

 

 

 

 その日、一つの流星が夜空を駆けた。その流星に旅人が、動物が、大自然が魅了された。流星はある方向に向かっていた

 

 

 そこは世界の中心、英雄が生まれる街―――オラリオ

 

 

 そんなオラリオに更なる嵐が迫っているのを、今は、誰も知らない

 

 




いかがでしたか?

ベルの二つ名はまだ神々に精霊のことが伝わってないので、今回は別の二つ名にしました。一応、兎のラビットと敏速という意味のラピッドをかけています


……すいません。中々いい名前が思いつかなかったんです!!


新しい人物も登場しました。彼女は一体何者なんでしょうね?


では、また次回に

出来るだけ早めに更新したいと思います


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白兎と遠征 2

更新遅れてごめんなさい!

今回遠征編二話目です

どうなるんでしょうね?


では、どうぞ!


 ――遠征が始まって数時間

 

 始まり当初は意気込んでいた僕だったが――

 

「……何もすることがない」

 

 さすがはオラリオ最強の一角であるロキ・ファミリアの団員たち。上層などでは止まりもしない。何度かモンスターにも遭遇したが、難なく撃退していた。そして気が付けばもう16階層まで来ていた。もしかして僕必要なかったんじゃ?と考え始めていると、突然ガレスさんが肩を叩いてきた

 

「ガハハハ!!どうしたんじゃ、ベル?難しい顔をしおって」

「ガレスさん……ちょっと僕の存在意義について考えてまして」

「なにをいっとるんじゃ、お主は」

 

 僕の悩みを聞いたガレスさんは呆れた顔をする。意外と真剣なんですよ?

 

「大体まだ遠征は始まったばかりじゃ。そんな初っ端からお主の力を借りるほど落ちぶれとらんわい」

「はぁ、そんなもんですか?」

「そんなもんじゃ。まあ、お主は18階層を過ぎたころからじゃな」

 

 

――だってさ皆。もうちょっと我慢してね

 

『……暇』

『暇ね』

『暇ですね』

『ひーま…』

『だ~~!!!!』

 

――僕もそう思うけど、あと少しだから。それに18階層は綺麗な場所って話だし、着いたら皆で見て回ろうか

 

 

『『『『『賛成!!』』』』』

 

 

 僕の提案にユキたちは声をそろえて喜んだ。そんな会話を交わしていると僕たちは、17階層【嘆きの大壁】に突入した。ガレスさん曰く、上層の階層主ゴライアスは、数日前に討伐されたらしいので今回は心配しないで大丈夫だそうだ

 

 全員が17階層に着いた瞬間、僕は階層の雰囲気が変わったことに気づいた

 

「これは……ガレスさん、ティオナさん」

「ん?どうしたんじゃベル」

「どうしたの~?早く行こうよ~」

 

 ガレスさんとティオナさんが振り向く

 

「すぐに皆さんを退避させてください。それか、急いで18階層に!!」

「だから、どうしたというんじゃ、さっきから」

「何かあったの~?」

「早く!!」

 

 必死に説得するが、二人は首を傾げながら動こうとしない。不味い!もう間に合わない!!

 

「皆さん、伏せてください!!」

 

 突然のことに、ロキ・ファミリアの団員たちは戸惑っていた。中には怪しげなものを見るような目で僕を見ている

 

 

 

「……来ます!!!」

 

 

 

 僕が叫びをあげた瞬間、大壁に亀裂が走った。その亀裂はどんどん広がっていき、壁が崩れた。すると崩れ去った壁の中から巨大な人の顔が現れる。それは先日倒されたはずのモンスター、階層主のゴライアスだった

 

「なに!?ゴライアスじゃと!!?」

「嘘でしょ!?出現間隔は過ぎてないはずなのに!!」

 

 二人がゴライアスの出現に困惑していた。階層主とは他のモンスターとは異なり、一度討伐すると次に出現するのに数週間の時間を必要とする。逆にいうとそれ程の時間を要するので他のモンスターよりも格段に強いので、討伐には大人数の冒険者で挑まないといけないのだ

 

 ゴライアスは壁から出ている首を動かし、僕たちを捉えた。そして威嚇するように叫びをあげる

 

 

「グウォオオオオォオオオオオオオ!!!!!!!」

 

 

 ゴライアスの叫びが階層中に響き渡る。するとロキ・ファミリアの団員たちは大半が倒れ込み、辛うじて意識を保っている数人も膝をついていた。そんな団員たちを見てガレスとティオナは苦虫を嚙み潰したような顔になる

 

「おのれ!ハウルか!!」

「どうしよう!?ほとんど気絶してるし、こんなに守りながらじゃちょっとキツいかも!!」

 

 二人は悪態をつくが、ゴライアスはそんな二人を気に留めることなく、壁から這い出る。そして目の前に巨人がその全容を明らかにした。ガレスとティオナが武器に手をかけたその時……

 

 

「ルナ!!気絶してる人たちを!!」

『任せて!お兄さん!!』

 

 

 僕がそう叫ぶと気絶している団員たちの前に土の壁が出現する。土の壁は団員たちを取り囲み、それを確認した僕はガレスさんたちに向き直った

 

「ガレスさん!ティオナさん!今のうちに皆さんを連れて退避を!!」

「じゃがお主はどうするんじゃ!!」

「アイツを倒します」

「何言って……一人じゃ無茶だよ!!?」

「大丈夫ですよ」

 

 僕はゴライアスと対峙する。ゴライアスは僕に気づき、拳を振り上げる

 

「白兎君!!」

「くそ、間に合わん!避けろベル!!」

 

 ティオナさんとガレスさんは、焦りの声を上げる。しかし僕は動こうとしない。ゴライアスはそんな僕に拳を振り下ろす。地面が激しく揺れ、土煙が舞い上がる

 

 ガレスとティオナは突然の土煙に目を覆う。やがて土煙も晴れてきた。そこには――

 

「僕は、一人じゃありませんから」

「フフフフフ……やっと私の番ね!この時をずっと待ってたんだから!!!!」

 

 ゴライアスの拳を片手で受け止めるベルと、その隣で満面の笑みを浮かべ、やる気満々な紅髪の美少女リディヤがいた。ベルはゴライアスの拳を受け止めながら、リディヤにジト目を向ける

 

「………リディヤ、もうちょっと早く来てくれても良かったんじゃない?」

「分かってないわね。こんな時はピンチの時に颯爽と現れる、って相場が決まってるのよ!!」

「よ~~く今の状況を見てみようか?ゴライアスの攻撃を防いでるのって僕だy「さあ行くわよ!いっつも先を越されてたんだから!!」誤魔化した!?」

 

 僕はとりあえず拳を押し返す。するとゴライアスは、後ろに倒れた。少し強すぎたかな?と思いながらリディヤに問いかける

 

「一応聞くけど、どうやって倒すの?」

「燃やす」

「却下」

「!?」

 

 やっぱりそんなことを考えていたのか。大体燃やすっていっても、リディヤがやったらティオナさんたちにも被害が出るじゃないか。動けない人も多いんだし、燃やすのは無しにしよう

そう決意した僕は、目の前でいじけているリディヤの説得を試みた

 

「リディヤ」

「……何よー」

 

 これは相当いじけてるなーと思いながらも話を続ける

 

「確かに君の魔法は強力なんだけど、今は動けない人たちがいるんだ。だから出来るだけそっちに被害がいかないようにしてほしいんだけど」

「……私が加減を間違えるって?」

「まさか。そんなことは微塵も思ってないよ。でもやっぱり万が一はあると思うんだ」

「………分かった」

 

 

 そう言って、僕に近づき腕を引っ張てくる

 

「?どうしたのリディヤ?」

「後で、頭撫でる!!」

 

 リディヤの突然の要求に、僕は苦笑しながら頷く。まあ、今回はリディヤも不満だろうからこれくらいはしてあげないとね

 

「分かったよ。僕も手伝おうか?」

「……ベルがどうしてもって言うなら………」

 

 チラ、チラ、と僕の右手を見ているリディヤ。仕方ないな、と思いながらリディヤの左手を握る

 

「どうしても、だよ。手伝わせてくれる?」

「し、仕方ないわね。さあ、殺るわよ!!」

「字が間違ってるよ、リディヤ」

 

 僕と繋いでいる手を幸せそうな顔で見つめながら、とても物騒なことを言ってくる。手加減してね?

 

 

「ウォオオオオォオオオオオオオオオオ!!!!!!」

 

 

 どうやらゴライアスは僕たちを止めようとしているみたいだ。起き上がり僕とリディヤの方に雄たけびを上げながら向かっている

 

 

 

 

 

―――だが、遅い

 

 

 

 

 

 僕とリディヤは、ゴライアスにそれぞれ繋いでいる手とは逆の手を向ける。そして同時に言葉を紡ぐ

 

 

「「灰燼と化せ」」

 

 

 するとゴライアスの頭上に紅い魔法陣が現れる。その魔法陣はだんだん増えていき、ゴライアスを取り囲んだ

 

 

「「メテオ」」

 

 

 そう唱えた瞬間、魔法陣から巨大な炎の塊が出現しゴライアスに襲い掛かる。四方八方から放たれる炎の流星群に、ゴライアスは断末魔のような叫びをあげる

 

 

「ウグォオオオァアアアアアアアアアアアアアァアアアア!!!!!??????」

 

 

 しかしすぐに燃え尽き、ゴライアスが燃え尽きた場所には巨大な魔石が転がっていた。僕は一息つくとリディヤにお礼をいう

 

「ありがとう、リディヤ。助かったよ」

「どういたしまして……約束、忘れないでよね」

「分かってるよ」

「ん」

 

 リディヤは返答を聞くと僕の中に戻っていった。僕はもう一度リディヤにお礼を言うと、ガレスさんとティオナさんの所に戻った

 

 

「こっちは、終わりましたよ……って、どうしたんですか?」

 

 

 僕が戻るとそこには信じられないものを見るような目で僕を見ているガレスさんと、なぜか、ポ~っとこちらを見つめるティオナさんがいた。はて?僕何かやったっけ?

 

「あの~」

「し、信じられん……ゴライアスを倒すとは……お主本当にLv2なのか?」

「?はい、そうですよ??」

 

 ガレスさんの問いに僕は答える。どうしたんだろう?と不思議に思っていると、今度はティオナさんが僕に近づいてきた

 

「あ、ティオナさん。大丈夫でしたか?」

「…………………」

 

 だが、ティオナさんは僕の言葉に答えることなく、無言で歩いてくる。そして僕の目の前で止まった。いつもと様子が全く違うティオナさんに僕が戸惑っていた次の瞬間――

 

 

 

「むぐっ!?」

 

 

 

 ――キス、をされていた。それも口に、である。ベルは突然のことに現状を理解できなかった。ティオナが近づいてきたと思ったら、いきなりティオナが顔を上げ、唇を奪ってきたのだ。もうベルは何が何だか分からず、頭の中はグチャグチャであった

 

 どれ程時間が経ったであろうか、ティオナがようやく離れる。二人の唇の間を銀色の線がひいてくベルは口を拭いながら、パクパクと口を開く

 

「な、ななななななななにを………!?」

 

 ベルの問いにティオナは頬を真っ赤に染め、うっとりとした顔でベルを見つめる

 

「………ずるいよ、白兎君…ううん、ベル」

「へ?」

 

 いきなり、ずるいと言われたベルは何のことか分からず間の抜けた声を出す。だがティオナは構わず続ける

 

「せっかく抑えてたのに……あんな戦いを魅せられたら、我慢なんて出来っこないよ………」

 

 ベルは未だにティオナの言っていることが分からない。絶賛混乱中のベルであったが、まだこれで終わりではなかった

 

「………ねえ、ベル」

「は、はいぃ!?」

 

 

 ティオナのただならぬ雰囲気に、ベルは姿勢を整えながら答える。そんなベルにティオナは――

 

 

 

 

 

「私、キミのこと好きになっちゃった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 17階層にはベルの間の抜けた声がやけに大きく響いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


ティオナがついにベルに惚れてしまいましたね~
これからどうなるのか、ぜひお楽しみに!!

……大丈夫ですよ!アイズもしっかりヒロインとして出します!!

出来るだけ早めに更新したいと思います

ではまた!!!


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白兎と遠征 3

なんと皆さんのおかげで、お気に入り登録者1000人突破しました!!!

本当にありがとうございます!!これからも皆さんが楽しめるように頑張りたいです!


そして遠征三話目です


今回はネタ回なのでそこまで進みません


ではどうぞ!


「さて、ベル。説明してくれるかな?」

 

 ここは、18階層【迷宮の楽園(アンダーリゾート)

 モンスターがあまり出現しない安全階層(セーフティポイント)

 

 水晶と大自然に満たされた地下世界で、天井も全て結晶(クリスタル)で出来ており時間に合わせて結晶の光がなくなるのでこの階層には夜が訪れる

 

 そんな18階層にロキ・ファミリアは野営地を設置し、団長や副団長、幹部たちが使う他よりも大きなテントに、僕ベル・クラネルはいた。目の前には困った顔のフィンさん、顔に手を当ててため息を零すリヴェリアさんと大笑いしているガレスさんがいた

 

 

 

 ゴライアスを討伐した後、先に18階層に到達していたフィンさんは、ゴライアスの雄たけびが聞こえ、団員たちに指示を出すと、幹部の皆さんと数人の団員たちを連れ、急いで17階層に向かった。しかしそこに広がっていたのは、ゴライアスのものと思われる巨大な魔石とハウルで気を失ったのであろう団員たち。そして、遠くからでも分かる程に顔を紅潮させている僕と、そんな僕を見つめながら頬を染めているティオナさんの姿だった

 

 状況を理解できていないフィンさんたちは、全員首を傾げながらも倒れている団員たちを連れて18階層に向かった。その道中で、一体何があったのかを聞かれた。ずっと僕の左腕に抱き着いていたティオナさんの説明も含めて

 

 その時の僕は色々と限界だったので、後から説明させてほしい、と頼んだ。フィンさんは何かを察した様子で同情の視線を送りながら了承してくれた。18階層に着いた後は、気絶していた団員たちの治療が行われたが、ケガ人は一人もおらず、すぐに目を覚ますとのことだった

 

 その診察結果を聞いた僕は、休憩を貰い、割り当てられたテントで眠りについた。しばらくしてガレスさんが僕を起こしに来て、フィンさんたちがいるテントまで案内されたのだ

 

 現在僕はフィンさんたちに事情を説明し終わったところだ。17階層の異常事態(イレギュラー)でゴライアスに遭遇したこと、僕とリディヤが討伐したこと、そして、ティオナさんのこと。僕はあそこであったことを全て話した

 

 僕の話を聞き、フィンさんは乾いた笑みを浮かべた

 

「ハハハ……ベル、君とは仲良くなれそうだ。それよりも、団員たちを救ってくれたこと、ファミリアの団長として感謝する。本当にありがとう」

「私からも礼を言うぞ、ベル。君には助けられてばかりだな」

「いえ、そんな大したことはしていませんよ。それに参加させて貰っている身ではありますが、仲間を助けるのは当然じゃないですか。だから気にしないでください。その方が僕も気が楽なので」

 

 僕の言葉にフィンさんとリヴェリアさんは笑顔になり、ガレスさんは大声で笑いだした

 

「ガハハハ!お主のその姿勢をウチの若い連中にも学んで欲しいわい」

「それには同感だ」

「ああ、私もだ」

 

 三人の会話を僕は少し照れながら聞いていたが、ふと、疑問に思ったことを聞いてみることにした

 

「あの、フィンさん」

「ん?どうしたんだい、ベル」

「ティオナさんの話をしたとき、なぜか同情の視線を感じたんですが……」

「………………」

 

 その言葉にフィンさんは固まった。周りの二人は後ろを向き肩を震わせている。どうやら笑いをこらえているようだ。僕は訳が分からず混乱していると、フィンさんはため息をつく

 

「フ~……僕には何のことか分からないな」

「いや、さっきのため息は絶対何かあ……!も、もしかして、ティオネさんが……」

「………僕は何も言わないよ」

 

 否定しないということは、そういうことなんだろう。するとフィンさんが満面の笑みで僕の肩に手を置いた

 

「ただ、一つだけ言えることは、恋に落ちたアマゾネスは、大変だよ。それこそ僕でもどうにも出来ないくらいに、ね」

 

 君も覚悟しておくといい、そう言ったフィンの顔はまるで僕のことを歓迎している悪魔のようだった。僕は冷や汗をかきながら、ゴクリ、と唾を飲み込んだ。一体これから僕はどうなるのか、そう考えると身体が震えだした

 

 その後は、すぐに解散となり僕はテントに戻った。明日への莫大な不安を感じながら、僕は静かに目を閉じた

 

 

~~~

 

 

「……ではこれより、精霊裁判を始める。被告人は前に」

 

 ナニコレ?

 気がついたらここにいたんだけど、僕って寝てたよね?それにユキさん?何ですかその黒いスーツは?リディヤにリンネも。ティナ、ルナ、なんか目の光が無いよ~……って裁判!?

 

「え!?どういうこと!??」

「…静粛に」

 

 僕の言葉はユキによって妨げられた。な、なんでこんなことに……

 

「……じゃあ、リンネ。説明よろ」

「分かりました。ではベル様、説明させていただきます。ここにお呼びした理由はただ一つ。あのティオナとかいう女のことです」

「ティオナさん?それがどうs……!?」

 

 リンネの言葉に僕は動揺する。ま、まさか!?

 

「もう分かりますよね?ベル様があの女とキスをしたことです!!」

「ま、まった!!あれはいきなりのことで僕も反応できなくて……ていうか、これ僕が悪いの!?」

 

 むしろ被害者じゃない!!?

 

「黙りなさい。反応できなかったにしても、その後もずっとキスし続けたのはどうしてかしら?振り払うこともできたわよね?」

「うぐっ!?そ、それは……」

 

 くっ!言い返せない

 

「ネエ、オニイチャン?ナンデキスシタノ?ワタシニハシテクレナイノ二」

「モシカシテ、アノオンナガスキナノ?ドウシテ?ワタシ、ベルニィノタメナラナンデモスルヨ?」

「お、落ち着いてティナ、ルナ!正気に戻って!!」

 

 ヤバい、これは本当にヤバい。ティナとルナからドス黒いなオーラが溢れてるし、それにルナなんて呼び方が昔に戻ってるし!!

 

「……これは、大罪。よってベルには重い罰を与える」

「ば、罰!?そんな、どうかお考え直しを!!」

「……ここでは私がルール」

「理不尽過ぎる!!?」

 

 そういってユキたちは僕を取り囲む。え、ちょっと待って。僕何されるの?

 

「あ、あの~僕って一体何をされるんでしょうか?」

『………………』

 

 ダメだ。誰も答えてくれない!!それに何故か僕を飢えた獣の目つきで見てない!?

 ……このままでは不味い。ここは逃走を!!!!

 

 そして僕は逃走を試みたが――

 

「ダメダヨ、ベルニィ」

「!?」

 

 ルナの創った鎖で手足を拘束された。し、しまった!!しかもこれ僕でも中々解けないやつじゃん!!!

 僕が必死に脱出しようともがくなか、ユキたちはゆっくりと僕の方に歩み寄ってきた

 

「ヒィ~!!ま、待って皆!まずは話あって……」

「……待たない。兎処すべし、慈悲はない」

「大丈夫よ、ベル。少し地獄を見るだけだから」

「フフフフフフ、ベル様たっぷりと可愛がって差し上げます」

「オニイチャンオニイチャンオニイチャンオニイチャン」

「ベルニィベルニィベルニィベルニィ」

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!???????!??!??!???」

 

 

 

 空間内に絶叫が響き渡った

 

 

 

 その後僕がどうなったかは、僕自身の名誉のために黙秘させて欲しい。思い出すだけで震えが止まらなくなるから

 

 

~~~

 

 

 数時間後、僕は汗でびっしょりになっており、なぜか横にはユキたちが眠っていた。僕はユキたちに一瞬ビクっと身体が震えるも汗を流すため、テントを出た。もちろんユキたちを起こさないように細心の注意を払って

 

 そして僕は水浴びのための道具一式を持って昨日教えてもらった泉に向かった

 朝方だったので水は冷たかったが、誰もいなかったので魔法で温め、温泉にした。そんなちょっとした贅沢をしながらも、しっかりと汗を流した

 

 さっぱりした所で、着替えてテントに戻ろうとしたが、まだ辺りは仄かに暗い。まだ起きる者もいないだろう。そう考えた僕は、せっかくだから18階層の散策を行うことにした。昨日なんだかんだあってできなかったし……ユキたちには悪いけど、先に行かせてもらおう

 

 

 そう決めた僕は、テントとは逆の方角に身体を向け、好奇心に身を委ねながらまだほの暗い森の中に向かった

 

 

 




いかがでしたか?


次が18階層になり、その次から遠征再開、という形になると思います


話の展開が遅くてごめんなさい


出来るだけ早めに更新したいと思います




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白兎と遠征 4

更新が遅れてすいません

少し引っ越しなど私生活の中で色々な変化があり執筆作業が進みませんでした

これからまた再開していきたいと思います


それともう一つご報告です


記念の話ですが私の力不足で、無しにさせていただきました。番外編などはちょくちょく入れていく予定です

楽しみにしてくださった方々、本当に申し訳ありません



今回は遠征編の続きです


では、どうぞ!!


「おー!ここはすごい絶景だなあ。この階層を一望できるや」

 

 後でユキたちにも教えよう、そう思いながら近くの岩に腰掛け景色を堪能する。あれから当てもなく森の中をぶらつき、いつの間にか階層を見渡すことのできるこの崖の上に来ていたのだ。しばらく景色を眺めていたが、あることに気づいた

 

 それ程長く探索していたつもりは無かったが、気が付けば天井の結晶に光が灯り始め、朝が訪れようとしていた。そろそろ戻らなければユキたちやフィンさんたちに心配をかけてしまうだろう

 

「……よし、じゃあ戻ろう。ユキたちも起きてるだろうし」

 

 それに、昨晩はあんなことがあったんだ。早く戻らないと次は一体何をされるか……うん、やめよう。なんかこれ以上は、ヤバい気がする

 

 僕は立ち上がり、崖の上から野営地を探す。幸い今いる場所からそんなに離れてはいないみたいだ。丁度崖から見渡せる位置にあり、それを確認した僕は崖から飛びりた。もちろん着地の時は木を使って衝撃を和らげた。

そして、いざ野営地に向かって駆け出そうとした瞬間、誰かの視線を感じ、動きを止めた

 

 辺りを見渡すが、僕以外には誰もいない

 

「確かこっちの方から……」

 

 僕は視線を感じた方に向かい歩き出した。そして茂みを抜けると突然開けた場所に出た。その場所からは18階層の天井が見える。だがそれよりも注目すべきなのは……

 

「あれは……お墓?」

 

 開けた場所の中心にはお墓のようなものがあった

 

 墓の前には石碑があり、その周りには様々な武器や防具などの装備品が置かれていた。おそらくこの迷宮で死んだ冒険者の墓なのだろう。よく見ると誰かが訪れているのか綺麗に手入れされている

 

 僕は墓の前に行き、手を合わせ祈りを捧げた。この人たちのことは知らないけど、きっと最後まで必死に生き抜いた『英雄』だから

 

――この人たちが少しでも安らかに眠れますように

 

 僕はそう願い、祈りを捧げた

 

 

 

 ……のだが

 

 

 

 

『ねえ見てよ!久々にリオン以外が来たと思ったら、祈りを捧げてくれてるわよ!!フッフーン!!これも私のび・ぼ・うのおかげね!!』

『何言ってるんだオメーは。そもそも私たち死んでんだから姿がこいつに見えるわけねえだろ』

『それにしても、この少年は中々に礼儀正しいですね。そこらのクズとはどこか違うような…』

 

 

 

「へ?」

 

 

 

 いきなりそんな話声が聞こえ、僕は目を開け顔を上げる。すると、そこには紅い長髪を後ろで纏めた軽装の少女とピンク髪の短髪でどこか男のような口調の小人族の少女、そして極東の着物という服を身に纏った黒髪長髪の美女が僕の前に立っていた。なぜか全員少し透けていたが……

 

 突然のことに理解が追い付かず硬直していると、こちらをずっと見ていた黒髪の女性が僕の様子に気が付き首を傾げた

 

『ん?一体何を固まって……』

 

 そう言いながら顔を僕に近づけてくる

 

「……ッ!?」

 

 僕はいきなり近づいてきた女性に驚き、顔を背ける。そんな僕の行動に黒髪の女性は目を見開いた

 

『……まさかお前………』

『?どうしたのよ輝夜。そんなにその子を見つめて……ハッ!これは恋の予感!?』

『何を言ってるんだお前はよ』

 

 僕を見つめたまま固まる黒髪の美女の後ろで、何やら紅髪の少女がそんなことを言っているが正直気に掛ける余裕はない。だってこの人僕をじっと見つめてるんだもん!しかも顔がすごく近いし!それにすごく美人だからなおさら……

 

『おい兎、お前私たちが見えてるな?』

 

 そんなことを思っていると目の前の黒髪の美女がそう言ってきた。あれ?なんか口調が…、とも思ったが嫌な予感がしたので無視を決め込む

 

『ほう無視か、いい度胸だ。だが今すぐに本当のことを言わないと……』

 

 黒髪の女性は立ち上がり、僕を見下ろす。冷や汗をダラダラと流しながらも僕は無視を決め込む。ここまで来たらやり通すしかない!

 

 そう決意する僕だったが――

 

 

 

 

『ここで服を脱ぐ』

「はいはっきりと見えてますすいませんでした!!!」

 

 

 

 黒髪の女性の発言により、僕の決意は粉々に打ち砕かれた。その後はまるで尋問のような取り調べを受けた。なぜか正座をさせられて。僕を尋問する黒髪の女性の後ろで紅髪の少女とピンク髪の少女は大笑いしていたが……

 

 

 

 

~~~

 

数十分後

 

 

『ふむ、つまりお前はロキ・ファミリアの遠征に参加していて、この階層を一人で探索していた帰りに偶然ここを見つけ私たちに出会ったと…。簡潔にまとめるとそういうことか?』

「は、はい……その通りですぅ」

 

 黒髪の女性――輝夜さんは僕を見下ろしながら確認を取ってくる。僕が輝夜さんの罠に嵌まり口を割ってしまったがために、尋問のような取り調べを受けることになってしまった。しかもエイナさんの説教に匹敵するほどのものだった。少し前の僕をぶん殴りたい

 

 僕が憔悴しきった顔で返事をすると、今度は紅髪の少女――アリーゼさんが僕に話しかけてきた

 

『ねえ確かベルって言ったわね。なんで貴方には私たちの姿が見えるのかしら?』

「…それは僕にも分かりません」

 

 アリーゼさんの問いに僕は曖昧な言葉で返す。実はアリーゼさんや輝夜さん、ピンク髪の少女――ライラさんは数年前に亡くなっている。このことは僕も輝夜さんからの尋問の中で教えてもらったことだ。確かに三人の身体は透けていて普通ではないと思っていたのだが……

 

 アリーゼさんには分からないと答えたが心当たりはあった。おそらく僕がユキたちと契約しているから、だと思う。けど今までアリーゼさんたち以外で死んだ人が見えたことは無かったし確証は持てないけど

 

 ちなみにアリーゼさんたちにはユキ達のことは話していない。この前のアイズさんたちとの模擬戦での反省もあるがそのことを輝夜さんに知られたら尋m……取り調べが長引きそうだったからそこの所はうまく誤魔化したのだ

 

 僕の返答を聞き、アリーゼさんは予想していたのかため息を漏らした

 

『やっぱりね……でもベル、貴方はとっても運がいいわ!だってこの完璧美少女である私の美貌を見ることが出来るんだから!!他の人に自慢してもいいわよ?』

「あ、あはは……あ、ありがとうございます?」

 

 何やらポーズをとりながらアリーゼさんがそう言ってくる。僕が苦笑しているとライラさんが僕の方にやってきた

 

『おい兎』

「あ、ライラさん。どうしたんですか?」

『さっきの話を聞く限り、お前探索の帰りだったんだろ?誰にも伝えず一人で』

「そうですけど…」

『だったらお前、いつまでもここにいたらヤバくねぇか?』

「…………あっ!?」

 

 ライラさんの言葉に僕は衝撃を受けた。どうして忘れていたのだろうか?自分は今野営地に帰る途中だったことを。少し余裕はあったとはいえ、それなりに急いでいたことを。そして、ユキたちに内緒で来ていることを

 

 

――ヤバいヤバいヤバいヤバい!!!早く戻らないと!!??

 

 

 僕は直ぐに立ち上がりアリーゼさんたちに頭を下げる

 

「すいません!このままでは僕の人としての、いや男しての尊厳が大変な事になるのでこれで失礼します!!!!」

『は?いきなりどうしたお前?』

『ちょっと待てお前にはまだ聞きたいことが沢山あ……』

「ごめんなさ~~~~~~い!!!!!!!!」

 

 お願いします!どうか間に合いますように!!そう願いながら僕は野営地に全速力で向かった

 

 

 砂埃が巻き上がる中、残っていたのは茫然とするライラと輝夜、そしてポーズをとりながら体をくねらせるアリーゼだけだった

 

 

 

~~~

 

 

 

『……スゲー速さで行っちまいやがったな』

『チッ!まだ問い詰めたいことがあったというのに、あの兎!!』

『まーまー落ち着けって。それにあれは何かに怯えてる時の顔だ。余程怖いものがあるんだろうよ』

 

 ベルが走り去った後を眺めながらライラと輝夜はそんな会話を交わす。ライラの言葉に輝夜はフンッと顔をそらす

 

『……次来たときは逃がさんぞ、兎』

『その時もアタシたちの姿が見えてればだけどなー』

 

 そう言って二人は未だにポーズを決めているアリーゼのもとに向かった

 

『いつまでやってるんだお前は』

『あたッ!』

 

 ポーズをとるアリーゼの頭を輝夜が殴る。かなり強めに

 

『ちょっと!何するのよ輝夜!まさか死んだのに痛みを感じるとは思わなかったわ!!』

『安心しろ。私も内心驚いてる』

 

 アリーゼは殴られた箇所を撫でながら辺りを見渡す

 

『あれ?ベルは?』

『お前が変なポーズをとってる間に何か焦って走ってったぞ』

『な、なんですって!?……ハッ!私の美貌に見惚れて恥ずかしくなったのね!!』

『あーうんそうなんじゃねー?』

 

 フフン!とふんぞり返るアリーゼにライラは適当に答える。するとふんぞり返るアリーゼに輝夜が話しかける

 

『…それにしても良かったのか?アリーゼ。兎にアイツのことを聞かなくて』

『ん?リオンのこと?』

『確かにお前なら真っ先にアイツのこと聞きそうだけどな』 

『まあ、私も聞こうかなとは思ったわよ?でも……』

『『でも?』』

『久々に生きている人と話したから、つい嬉しくなっちゃって忘れちゃってた♪』

『『馬鹿か』』

『なんですって!?私は完璧なのよ!!』

 

 呆れるライラと輝夜、そんな二人に抗議するアリーゼ

 

 墓の前ではそんな愉快なやり取りが行われていた

 

 今日も彼女たちは平常運転である

 

 

 

~~~

 

 

ロキ・ファミリア野営地

 

 

 

 アリーゼさんたちに別れて全速力で野営地のユキ達テント前まで帰ってきた僕。どうやらまだ朝がきてそんなに時間も経っていないのか起きている人も少ない

 

「ハッ、ハアッ、ハアッ……フゥ~~~……ま、間に合った……」

 

 テントの前で座り込みながら息を整える。全速力できたおかげでほとんどの人がまだ寝てるみたいだ。それにユキ達もまだ夢の中だろう。テントの中からも寝息が聞こえてくる

 

「…‥‥やったああああああ!!!!!!」

 

 

やった!やったんだ!!これで僕の男としての尊厳は守られたんだ!!!!!

 

 

「よし、後はユキ達が起きるまでに……」

 

 

 

 

 

「私たちが起きるまでに……何かしら?」

「わたくし達に教えてくださいませんか?ベル様」

 

 

 

 

 

 瞬間時が止まった。ゆっくりと背後を振り返る。そこにはニッコリと僕を見下ろすリディヤとリンネがいた。二人とも笑顔だが纏っている雰囲気が普通のそれではない。僕は内心の絶望を表情に出さないように努力し、自然を装って二人に話しかける

 

「お、おはよう二人とも……随分と早起きだね……」

「ええ、おはよう。朝起きたら誰かさんが居なくなっててね。びっくりしたわ」

「おはようございます、ベル様。わたくしも目を覚ましたらベル様がおられなくて不安になりましたわ」

 

 そう言いながら二人はそれぞれ僕の肩に手を置く

 

「さあ」

「ベル様?」

「「何やってたか吐きなさい(てください)」」

 

「アッハイ」

 

 

 

 そこからは再びの尋問が開始された。さすがにアリーゼさん達のことは今話すのは不味いと思い話さなかったが、僕は二人に今朝のことを話した。その結果リディヤとリンネのお願いを聞くことになった。更にしばらくは一人での行動も禁止にされた。二人からの尋問が終わるころにはロキ・ファミリアの団員たちもほぼ全員が起きていて、朝食や装備の点検をしていた

 

 尋問が終わった後、僕は目を覚ましたユキ、ティナ、ルナとリディヤ、リンネと共に朝食をとり、集合場所に向かった

 

 

 集合場所にいたフィンさんたちに顔色が悪いと言われたが、自業自得なので笑って誤魔化した。フィンさんたちは苦笑しながら了承してくれたが、今はその心遣いが身に染みる

 

 その後は、これからの流れを確認し18階層を出発した

 

――さて、これからは僕にとって全くの未知。頑張らないと、ね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?


アリーゼたちは遠征の帰りにも登場させる予定です


出来るだけ早めに更新したいと思います


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