衛宮切嗣は勇者に非ず (えみ太郎)
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プロローグ ーーー出会いーーー

相当誤字や脱字などがあると思います。

すみません。

一応、話はできています。




・・・・・・『正義の味方』日記 第一冊

西暦 2010年 11月7日 日曜日 晴れ

俺の名前は衛宮切嗣、小学一年生だ。

俺には将来の夢がある。

それは、『正義の味方』だ。

弱きを助け悪を討つ、俺はそんな存在になりたい。

 

・・・・・・現在

「お〜い、切嗣。ご飯できたから日記をやめて下に降りてこい」

 

「分かったよ、父さん。今行く」

 

切嗣は日課である日記の表紙のページを父から漢字を教えてもらった、表紙の内容を漢字に変えリビングに向かう。

 

切嗣は手を洗い椅子に座り、

「いただきます」

と、ご飯を食べる。

 

切嗣の父…………衛宮矩賢は切嗣に続き

「いただきます」

と、続く。

 

食事を始めて少しすると矩賢は、

「切嗣、学校は楽しいか?」

 

「………?うん、楽しいよ。……………けど」

 

「けど?」

 

「学校でさ、虐めが起きてるんだ」

 

「虐め?」

 

「うん。クラスメイトの郡さんがね、クラスのリーダー格の奴らに郡さんの内気な性格に目をつけて虐めてるんだ。クラスの皆んなは自分も虐められるのに怖がって、郡さんを皆んなして虐めるんだ」

 

「郡。…………………………それで、切嗣はどうしたんだい?」

 

「俺は、やめろって言って止めたけど結局リーダー格の奴は辞めないで、逆に虐めの対象に俺が追加されたんだ。俺としては虐めの対象が郡さんから俺に移ればいいなと思ってたんだけど、未だにあいつらは郡さんを虐めるんだ」

 

「……………そう、なのかい。それで、切嗣は後悔しているかい?」

 

「うんうん、全然。俺は自分のしていることは正しいと思っているよ」

 

「そうかい。それで、これからどうするんだい?」

矩賢は息子の答えに嬉しそうに答え、これからの事を真面目な表情で聞く。

 

「これから?これからは郡さんと仲良くして、友達になるんだ。そしたら、郡さんへの虐めの具合が少しでも弱くなると思うんだ」

 

矩賢は少し叱るような声で、

「その場合、切嗣への虐めがキツくなるぞ」

 

「うん、わかってる。けど、そのまま放置したら郡さんはどんどん孤立していっちゃうよ。だから、俺は郡さんんの友達になるんだ」

 

「そうかい、なら、私は切嗣を止めはしないよ。けどね、これだけは覚えておいて欲しい。切嗣の願望()はいつか君の身を滅ぼす呪い()になるだろう」

 

「そうかな?けど、それでも俺は後悔だけはしないよ」

 

「そうか、それならいいんだ」

 

「うん」

 

その後は普通にご飯を食べ終え、魔術の手解きを受け部屋に戻り寝るのであった。

 

朝になると、切嗣は日課である少林寺拳法の訓練とナイフ術の練習を終え、お風呂に入り、軽めの柔軟をする。

ある種、切嗣のルーティンとも言える行動を終え、矩賢と朝ごはんを食べる。

 

矩賢とは、朝は特に何も話さず食べ終えたら皿を洗い、歯を磨き、学校に行く。

 

学校に着くと、ロッカーにはある筈の切嗣の上履きはなく、ロッカーの角から笑いを堪えながら切嗣を見ているクラスメイト達がいた。

 

切嗣は何食わぬ顔でリュックから上履きをだし、そのまま履き、ロッカーに隠れているクラスメイト達から、上履きを取り上げる。

 

「これ、俺のだから」

そういい、切嗣は上履きをリュックにいれ、クラスへと向かう。

 

クラスに着いたのと同時に、予鈴のチャイムが鳴りその3分後に郡が現れた。

 

郡が教室に入ると早々にクラスの男達が郡を囲み口々に悪口や嫌がらせなどをする。

 

それを見た切嗣は郡を囲むクラスメイト達に止めに行く。

 

「お前ら、郡さんを虐めるのやめろよ」

 

「あっ!?なんだよ、文句あんのか!?ああっ!?」

 

切嗣は胸ぐらを掴み殺意を込めた目で、

「これ以上郡さんを虐めるんなら…………………わかるよな?」

脅す様な口調で男達を睨みつけ殺意をばら撒く。

 

男達は郡と切嗣から離れていく。

 

「大丈夫かい、郡さん?」

 

「え、………………大丈夫です」

 

「そうか、それならよかった。もし何かあったら俺を頼ってくれ」

 

「……………………え?」

 

「うん?変なこと言ったか?」

 

「どう、して、私を………?」

 

「助けるのか?」

 

「……………………うん」

 

「そんなの簡単さ、俺は『正義の味方』だからな」

 

「『正義の味方』?」

 

「ああ、だから俺は君を助けたんだ。…………まあ、友達が欲しいなって思うところもあるんだけど」

 

「……………………友達?」

 

「ああ、友達だ…………………なってくれないか?」

 

「………私で良いの?」

 

「ああ、ていうかお前がいい」

 

「っ!?……………私?」

 

「うん、だめか?」

 

「そ、その…………いいわよ」

 

「そっか!ありがとう、よろしくね。…………………それと、千景って呼んで良いか?」

 

「…………………ええ」

 

「そっか、よろしくね千景。それと、俺の事は切嗣って呼んでくれ」

 

「……分かったわ」

 

切嗣と千景が友達関係となり、名前呼びになった瞬間に学校の本鈴がなった。

 

「本鈴か、じゃあな」

 

「………………ええ」

 

学校が終わり、切嗣は千景と共に下校をする。

 

「千景は好きな物ってあるか?」

 

「好きな物?…………強いて言うならゲームかしら」

 

「ゲーム?俺もゲーム好きなんだ。何系のゲームが好きなんだ?」

 

「私はやはり、F○シリーズかしら。今作は看過出来ないシステム上の欠陥があったけど、それでもこの作品はいずれリメイクして大当たりする気がするのよね」

 

「ああ、F○14はね。まあ、うん。欠陥多かったからね」

 

「そうね。他にもG○Aやゼ○ダの伝説とかかしら」

 

「ああ、他にもモン○ン3rdとかな」

 

「そうねモン○ン3rdは良作よね」

 

「ああ」

 

切嗣と千景はゲームの話に盛り上ったまま家に帰るのであった。

 

最初はぎこちなかったものの今では仲良しであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから5年が過ぎた。

切嗣と千景は親友と呼べる間柄になっており、周りから見たらカップルのように見えるほどの中の良さだ。

 

また、切嗣の人当たりの良さや性格が相まって、少人数ではあるが、千景や切嗣に味方する相手も出るのであった。

 

他にも切嗣自身は魔術の精度を上げ、暗示や記憶の一部消去など、目まぐるしい程の成長を遂げていた。

ただ、まだまだ未熟な為暗示や記憶の一部消去などで千景を救おうとすると、矛盾や違和感などで効果ない。(そもそもの魔力量から暗示や記憶の一部消去は一人に使ったら一時間しか持たないのと一時間のうちに一人にしか行使できない。)

 

体術やナイフ術以外にも応急手当に気配遮断、気配察知などの訓練もしている。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。


真名 衛宮切嗣
クラス アサシン(仮)  

ステータス
筋力E 耐久E 俊敏E 魔力D 幸運C

保有スキル
暗殺術B 気配感知C 応急手当D

クラススキル 
気配遮断C
単独行動E
陣地作成D

解説 
暗殺術B この世界の衛宮切嗣が習得した体術とナイフ術がスキル化したもの。

気配感知C この世界の衛宮切嗣が周りに潜んでいる虐めっ子達を感知する為に習得し、スキル化した。

応急手当D この世界の衛宮切嗣が趣味と興味に『正義の味方』に必要かなと学びスキル化したもの。

気配遮断C この世界の衛宮切嗣がめんどくさい虐めっ子から隠れる為に習得し、スキル化したもの。

単独行動E この世界の衛宮切嗣が学校で良く抜け出し遊んでいたことからスキル化したもの。

陣地作成D この世界の衛宮切嗣の用心深さがスキル化したもの。

今の切嗣はこんな感じのステイタスです。


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7・30天災

・・・・・・『正義の味方』日記 第十二冊

西暦 2015年 7月30日 木曜日

 

この日記が最後の日記になるかもしれない。

 

今日はいつものように生活をしていると千景がうちに訪ねてきた。

 

また家出をしたらしい。

 

千景が家出をしてうちに来ることはよくあるので、いつものように空き部屋に泊まってもらった。

 

また、今日は凄い数の地震が起きていたが、夜になると一旦止んだため、もう起きないかと思っていたその時、強大な地震が起きた。

 

家具が倒れるだけなら良かったが、そこに問題が起きた。

 

そう、『奴ら』が空から現れたのである。

 

『奴ら』とは一体何か分からないかもしれないが、俺達自身『奴ら』の正体は分からない。

 

父さんが言うには天津神達の使い魔ではないかと考えているらしい。

 

ただ、俺みたいな魔術使いからしたらあんな化け物を無数に試訳している神々の方がよっぽど怖い。

 

・・・・・・現在

千景と俺は今リビングにいる。

父さんは家を認識妨害と強度の強化、魔力を感知する結界を張に家を出た。

 

そして、俺は千景に今まで隠していたこと…………家が魔術師の家系であることを話していた。

「…………………それが、衛宮家の秘密だ」

 

「そう、なの。…………………じゃあ、炎を出したり出来るの?」

 

「………!?できるけど、普通の人間が出来ない人ならざる力を持っている俺を気味が悪いと思わないのか?」

 

「どう言う考えになったらそう思うのかしら?」

 

「……そういうものなのか?」

 

「ええ。それにそんなことで貴方から離れたりしないわよ。………………………私達と、友達でしょ」

 

「!!ああ。………その、ありがとうな千景」

 

「別に、大したことはしていないわ」

 

「そっか。じゃあ、俺は魔術の力を使って必ず君を守るよ」

 

「………………ええ」

それから少し静まり返った時に矩賢が戻ってきた。

 

「…………?何かあったのかい?」

 

「いや、別に。ただ、千景に家が魔術師の家系である事を伝えたんだ」

 

「……っ、そうかい。自分が魔術師の家系であることで千景ちゃんと疎遠になりたくないと怯えていた切嗣が!!………そうか、そうか。切嗣は本当に成長したね」

矩賢は嬉しそうに首を縦に振る。

 

「ちょっ。別にお、怯えてないから」

切嗣は動揺した様子で否定する。

 

「……………そう。切嗣は私と疎遠になることに怯えていたのね」

どこか、嬉しげな様子で千景は切嗣にそう言う。

 

「べ、別にそんなことねーし」

切嗣は否定する。

 

そんな衛宮家の様子は、後に『7・30天災』と呼ばれる天津神達の侵攻を忘れさせる様なものであった。

 

そして、この幸せな状況が終わり切嗣が修羅の道に進む運命(Fate)もあと少しで始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『7・30天災』が起きて、五日が過ぎた。

 

日本各地には『勇者』と呼ばれる少女達とゼルレッチ氏が作った魔術礼装たる七本の『カレイドステッキ』に選ばれた七人の『守護者』が現れた。

 

現在分かっている範囲では、北海道に勇者とアーチャーの守護者が一人ずつ、チューブ地方に勇者とランサーの守護者が一人ずつ、近畿地方に一人の勇者が一人、九州地方にアサシンの守護者が一人、関東地方にライダーの守護者が一人、東北地方にキャスターの守護者が一人沖縄に一人の勇者とセイバーの守護者が一人ずつ、中国、四国地方に勇者が四人と、バーサーカーの守護者が一人いう状況である。

 

皮肉なことに守ると約束した千景には勇者としての素質が有り神社に祀られている『大葉刈』を取り勇者となったが、自分には守護者としての力はなかった。

 

千景は勇者となり、『大社』に鍛えられることになった。

 

大社と言うのは『カレイドステッキ』が現れたことにより『魔術』の存在が表に出た。

本来、魔術が表に出た場合、魔術協会が出張るのだがばけも、……………大社が名付けた『バーテックス』の襲来により日本の魔術協会は滅亡し、影に隠れていた魔術師達を筆頭に国津神を祀る人間達と協力して結成されたのが大社だ。

 

俺は大社の考えた戦闘職である『防人』となり近畿に遠征に行くことが確定していた。

 

近畿への遠征は三日後で今は武器の準備をしていた。

 

「父さん、これどこからもってきたの?」

俺は父が近畿遠征時に必要な武器を用意してくれた銃を見ていた。

 

「これかい、これはねいずれ君に必要になるだろうってゼルレッチ氏が私に渡したのさ」

 

「なっ!?ゼルレッチ氏だって!?」

 

「ああ」

 

「そう、なのか。ちなみにこの銃はなんて言うんだ?」

 

「これはね『デザートイーグル50AE』だよ」

 

「へー。じゃあそれは?」

 

「それは『PPー19ー01 Vitae』だね」

 

「なるほど、で、これが手榴弾と銃に使う弾丸か」

 

「ああ、そうだよ。試しに撃ってみるか?」

 

「えっ!?いいの?」

 

「ああ。外に的があるからそれで撃ちなさい」

 

「うん」

 

切嗣は庭に出てリロードをする。

 

(銃を握ると妙に落ち着く。心なしかこの感覚が懐かしくさえ思える。)

 

切嗣はそのまま構えて、引き金に指を入れ、呼吸を整える。

 

「ふっーぅ」

目を見開き的を狙いそのまま、引き金を引く。

 

弾丸を放った瞬間、まだ、弾丸をは的に当たっていないのにも関わらず、

(当たったな。)

と、思った。

切嗣はがそう思った次の瞬間的のど真ん中に弾丸が命中した。

 

それを見て切嗣は練習をそれだけで切り上げ、体術とナイフ術を合わせた暗殺術の修行と応急手当に気配遮断、気配感知、強化の魔術の修行を開始した。

 

そんなこんなで切嗣の一日が過ぎ布団に入り眠りにつくと妙な夢を見た。

 

夢の内容は切嗣と瓜二つな少年の『衛宮切嗣』が思い他人であるシャーレイが興味本意で死徒化の薬を飲み街の人勢員が死徒化し、最後にはこの惨劇を止める為に父を殺し、ナタリアという母親代わりの人と共に戦地を駆け抜け、最後には九十九を救う為にナタリアを殺した(一を捨てる)そんな最悪の夢を見た。

 

そんな悪夢を三日間見続けたまま近畿遠征の日が来るのであった。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしてます。


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衛宮切嗣は防人である編
近畿遠征 ーーー地獄の大阪ーーー


西暦 2015年 12月8日 水曜日 

 

近畿遠征が始まり、防人五十名と巫女の二名が参加していた。

 

一日目は大阪に泊まり二日目に奈良に行く。

そう言う予定だ。

 

大阪に着くとそこはひどい有様だった。

 

建物の殆どが半壊しており、辺りには人間の死体がそこら中にあった。

 

周りの大人は吐きそうななる者、その場で吐く者がいた。

 

ただ、一人だけ………………俺は吐き気は少しはする物のそこまでの異常はなかった。

 

周りから異様な眼差しで見られていることに気づきつつ、気付かないふりをする。

 

…………………やはり、あの夢のせいで死体を見るのに慣れたせいだろう。

 

ちなみに今俺たちは大阪府美原区の三原区役所前だと思われる場所にいる。

 

 

 

防人及び巫女一行は安全な場所を見つけそこにテントを張り、大阪での状況確認と生存者を探す為にチームを五組に分けた。

 

チームはそれぞれA、B、C、D、Eの五チームに分けられ、ABチームにはそれぞれ巫女が加わった。

 

俺はCチームに分けられ、三番目の出発になった。

 

ちなみにAチームは北、Bチームは西、Cチームは南、Dチームは東、Eチームは拠点付近の見回りとなった。

 

もし、何か有れば発光弾とスマホでのやり取りとなった。

 

・・・・・・探索が始まって三時間が経った。

段々とだが、チームの問題点が見えてきた。

 

まず、リーダーになりたいと熱心にアピールをした。 霧星海は、一見仲間思いのいい奴だが、一人でも遅れる奴がいると、ソイツに合わせるのでなく、怒って急かすタイプの男だ。

 

他にも 自己中心的に物事を考える 大西凛は、思い通りにいかにとすぐに癇癪を起こす。

 

また、引っ込み思案で内気な何故防人に入ったのか意味不明な少女 有村有栖は、体力が無くチームの行軍速度が遅れる為、霧星や大西に良くキレられている。

 

まあ、他にも問題はあるのだが、今は気にしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・問題が起きた。

Dチームから発光弾が上がったのだ。

スマホからの連絡だと相当な数のバーテックスの星屑に襲われたらしい。

 

メンバーの内、防人の五人が死亡。

 

Dチームは拠点に逃げ込むそうだ。

 

ただ、ここで防人の五人が死んだのは痛い。

 

割合だけで考えたら一割程度の損傷だが死んだという事実と、無数のバーテックス。これだけで防人の士気を下げるのと恐怖を与えるのには十分であった。

………………………………あれ?なんで俺仲間が死んだのに割合とか損傷とか言ってんだ?

 

衛宮切嗣は自身の感覚が別の衛宮切嗣と『混ざっている』ことに気づきかけたが、仲間たちがどんどんと慌てだすのでそれどころではなかった。

 

やれ、戻るべきだ。やれ、進むべきだ。意見が二つに割れ雰囲気は最悪だ。

 

「君たち、我々は防人として進むべきだ」

リーダーがそう言うも戻るべきだと言う者達の意見は変わらず、そこに大西が、

 

「バーテックスにビビってる奴ら何か放っておけよ。足手まといだ」

と言う始末。

 

その言葉によりCチームは二つに割れてしまうのであった。

 

このまま進むに四人

引き返すに四人 

どちらにもつかない二人

 

残った切嗣のは、切嗣と茶髪の長い髪をツインテールで結んでいる小柄な少女だ。

「どうして、残ってるんだ?」

 

「それを言うなら、衛宮くんこそどうして残っているの」

 

「俺か、俺はどちらを救うか考えているんだ」

 

「どちらを救う?」

 

「ああ。四人だけのチームなんて死ぬに決まってる。あそこでおれがそう意見しても拗れて逆効果。だから今救う方法を考えている」

 

「そう、なんだ」

 

「それで、お前はどうしてここに?」

 

「私はどっちに着いたらいいか分からなくて」

 

「ふーん。まあ、どっちに着いても死ぬけどな」

 

「えっ!?」

 

「だから俺はどちらも救う方法を考える。片方しか救えないなんて俺は認めない」

 

「っ、。衛宮君は強いんだね」

 

「別にそんなことないと思うぞ」

 

「うんうん。そんなことあるよ。私だったらまず先に自分の身を優先しちゃうもん」

 

「別に、大体の人間皆そうさ」

 

「私はね、人一倍自分が大事なんだ。だからいつも逃げちゃうの」

 

「?ならなんで防人みたいな危ない仕事をしてるんだ?」

 

「それはね、そんな自分が嫌だから、その為に自分を変えたいからだよ」

 

「そうなのか」

 

「うん。けど、私は何も変われてない。また逃げることしか考えられてない」

 

「別にそんなことないだろ」

 

「?そんなことあるよ」

 

「いやある。なければ近畿遠征には来れないからな」

 

「えっ?」

 

「だってそうだろう。事前に死ぬ可能性がある、って言われただろ。遺書も書かされた。なのに来た。なら、少なくとも君が成長している証拠だ」

 

「…………そうだったのかな?」

 

「ああ、俺はそう思う」

 

「そっか、ありがとうね衛宮君。励ましてくれて」

 

「別に気にすんな。それでお前はこれからどうするんだ?」

 

「私?私は衛宮君に協力したいな」

 

「協力って両方を救う協力か?」

 

「うん」

 

「危険だぞ」

 

「分かってるよ」

 

「そうか、ならお前は拠点に戻ろうとしている奴らのところに行き五人一組で死角をなくし拠点まで戻るんだ。俺は進んで行った奴の元へ行く。頼めるか?」

 

「お願いされたら断れないよ。じゃあ、行ってくるね」

 

「ああ、気を付けて」

 

「うん。切嗣君もね」

 

「名前呼びか。………………有栖必ず戻るから」

 

「約束だよ」

 

「当たり前だ」

 

そう言って切嗣は先に進んだ仲間の元へ向かった。

 

順調に進んでいると思っていた矢先前から発光弾が上がっていた。

 

「…………!?」

切嗣は全速力で向かい身体強化を使いながら弾丸をリロードする。

 

発光弾が上がった位置に着くと無惨に食いちぎりられた三つの死体があった。

 

「遅かったか!!…………………待てよ死体は三つ、前に進んだのは一人。だとするならば!!」

 

切嗣は当たりを見渡すとマンションの並んでいる団地から大西と思われる声が聞こえてくる。

 

切嗣は団地に向かい団地にいる星屑達に向かい手榴弾を投げる。

 

手榴弾により起きる煙から人間の気配を感知し背中におぶり走り抜ける。

 

煙がはれ、大西が消えたことに気づいた星屑達はすぐに振り返り切嗣を追う。

 

切嗣が団地を出ようとしたとき、切嗣は周囲の気配を感知した。

「っ!」

団地に大西を襲ったのには訳があり団地周辺には星屑達が大量に潜んでいたのである。手榴弾の音に気づいた星屑達が既にこの団地を囲っていたのである。

 

切嗣はすぐに気づき、急ぎ近くの窓の割れた部屋に飛び込む。

それに対して大西は、

「おい、無能、何やっている。さっさと逃げろよ」

 

「無理だ。もう囲まれている」

 

「はっ!?チッ!テメエが無能なせいで!」

 

切嗣はキレかけたが、大西の相手をするのは時間の無駄だと考え無視を決め込む。

 

それから、一時間が過ぎた。

我慢の限界がきた大西がそのまま部屋を飛び出そうとした。

 

「馬鹿、やめろ!!」

切嗣が止めるも、もう遅く、

 

「お前みたいなチキンと一緒にいたら助かるものも助からない。精々一人で頑張るんだな」

 

大西が律儀に扉から出て行った。そこに上を飛んでいた星屑が気づき、大西目掛け飛んでいく。

 

それに気づいたのは切嗣。

「大西避けろ!」

危険を教えても、

 

「無能の危険は俺にとっちゃ危険じゃねーんだよ」

と言って、聞きもしない。

 

そのまま、大西は星屑に食われるのであった。

 

そして、切嗣の叫び声を聞いた星屑が切嗣目掛けて飛んでくる。

 

切嗣はギリギリで躱し、手榴弾を使い目眩しをする。

 

どうにか、逃げ切った切嗣であったが、団地全体を囲まれていることには変わらず、打開策を考える。

 

「手榴弾はあと二つ、発光弾は一つあるが有栖が気づいたらあの子は優しいからあの子の思考力が低下しちゃう。なら、どうする?……………………危険だが、一点突破か」

 

そう言うと、切嗣は拠点のある方向へと向かいバーテックスに突進する。

 

〈バン〉 〈バン〉 〈バン〉

 

強化を施した弾丸が星屑を貫く。

 

消滅した星屑は魔力へと代わり天に帰す。

 

そんな中か、通した星屑の間………人一人通れるかどうかの隙間に切嗣は走り込む。

 

それを許す星屑ではなく切嗣に向かい襲ってくる。

 

それに合わせ、切嗣は手榴弾を間に投げ込む。

 

バーテックスは風に煽られ距離が空き、切嗣もまた爆風に飛ばされていた。

 

これにより、バーテックスと切嗣とは距離が一気に空き、切嗣は身体強化を行い仲間のもとへ向かう。

 

それから5分が経った。

「はっ、はっ、はっ」

呼吸をするのも辛くなって来たが、有栖との約束を果たす為拠点まで走り抜ける。

 

もう5分が経過した。

切嗣からも既に街が見える位置にまで達していた。

「…………や、やっと着いた。…………………?あれ、あの建物って半壊してたか?……………………………………!?」

妙な胸の高鳴りから、切嗣は拠点に向かい全力で走る。

 

「えっ?ぁ、ぁぁっ」

切嗣が見た先には茶髪の長い綺麗な髪の小柄な少女の死体に、その少女がつけたであろう青色の髪ゴムが血で赤くそっまた二つの髪ゴムがあった。

 

少女の死体は何か鋭いものに貫かれた様な跡があり、周りにも同じチームの死体があった。

 

「嘘、だろ」

切嗣からどんどんと血の気がひき顔は真っ青になっていった。

 

「嘘、だよな。なあ、返事してくれよ。有栖!!」

切嗣は有村有栖だったものを揺するが勿論返事はない。

 

そんな、中同じ防人が現れる。

 

(埃だらけの廃屋から出てきて、衣装に怪我は無し、にも関わらず有栖は全身を貫かれている。つまり、こいつは見殺しにしていたと言うことか。)

 

「なにか、ようか?」

 

「え、あ、ああ。お前も一緒にここから離れよう。このままだと、『奴』に殺される」

怯えた表情で言う男に切嗣はキレられず、

 

「分かった。逃げるべき道は俺が案内する。だから、道中にお前らの情報を提供してくれ」

 

「あ、ああ」

 

……………………………(成る程。Aチームは一体、二体程度の星屑に遭遇。重傷者三名。Bチームは星屑の小規模な群れに遭遇し、全力で逃亡。死者一名、重傷者三名。俺のCチームは俺を除き勢員死亡。Dチームは進化体に遭遇。死者四名、重傷者六名。Eチーム、サソリの様なバーテックスに襲われた。死者七名。……生存者31名か。そこからしっかり動けるのは18名。正直言ってキツイな。………………………………何より何故俺がリーダーなんだ?なんでも、皆んな怯えていて俺だけピンピンしているからか。あの時は有栖達を救えなかったことで頭がいっぱいだったからな。)

 

「さて、今俺たちは奈良に向かっている。奈良には勇者がいる。勇者は星屑程度なら簡単に撃ち破る力がある。故に俺たちは奈良の勇者を四国の戦力としてスカウトする。……………それが、防人の今回の仕事だった。まあ、日程が縮んだと思ってくれ。とにかく、俺達は勇者に助けを乞い救ってもらう。分かったか?」

 

「ああ」

 

「よし、………………………総員、これより奈良へ向かう。今ここにいる者は運により助かった者、隠れて助かった者、実力で助かった者など沢山いるだろう。貴様らは52人という数の中で生き残った。例え運や隠れて助かった者でも生きていることは事実だ。…………………これより先死人が出る可能性は多いにある。貴様ら、これから先を生き残りたいのであるならばプライドは捨てろ。生きることに貪欲になれ。決して後ろを振り返るな。仲間という屍を超えていけ!!行くぞ、ものども進め!!!!」

 

「「「「おおおぅぅ!!!!!」」」」

 

防人達は一致団結し、勢員奈良に向かい全力で進む。

既に、バーテックスに怯えていた者もいなくなり、前進する。

 

 

 

走り出して三時間が過ぎた。目の前には無数の星屑が、後ろには星屑に怯える防人達が。

切嗣は、

「お前ら、俺がお前達が通れる道を作る。だから、その間を全速で走れ。決して止まるな。後ろを振り返るな。臆するな。じゃなきゃ死ぬぞ」

 

「っ、は、はい!」

 

「行くぞ!」

切嗣は発光弾をバーテックス目掛け投げ込み、強化を施した弾丸を連発する。

 

一体、二体と倒していき、そこに手榴弾を投げる。

 

切嗣の奇襲により、一気に倒された星屑達から、仲間が逃げれる間が開く。

 

「今だ。勢員走り抜けろ!!後ろを振り向くな、死ぬぞ」

 

切嗣はバーテックスに怯えた防人を引き連れ、奈良の勇者高嶋友奈の元へと届けた。

しかし、奈良付近に星屑の大軍を伏兵として潜ませていた為切嗣は自身を囮として殿をかってでた。

後にこの戦いを『葛城山上の戦い』と呼ぶ。




誤字脱字もしくは感想お待ちしていまし。


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『葛城山上の戦い』

乱戦が始まってから三時間が過ぎた。

 

切嗣は葛城山にてゲリラ戦をして仲間達の下山時間を稼いでいるが既に心も体も満身創痍で息も上がっている。

 

「くっ、はぁ。ふぅー、はぁ。ふぅーはぁ。糞、身体中悲鳴をあげてやがる。生きて帰るのは難しそうだな」

切嗣は疲れきった声でいい、周囲の気配を感じ取る。

 

(………………敵兵の気配察知。距離三十から五十。数は全方位に五体ずつか。今俺は囲まれていて、既に武器は尽き残りはナイフ一本。…………なんだこの鬼畜ゲーは。)

 

「それでも、命ある限り諦めたりはしない!!」

そう言うと切嗣は木に登り、気配を遮断しバーテックスに迫る。

 

「……………魔術回路・起動(トリガー・オン)ナイフ強化(エンチャント)死ね!」

切嗣は星屑を木の上から刺し殺し、隣にいる星屑を突き、穿つ。そのまま刃を上に滑らせ自身も飛躍する。そのまま刃を下に向け星屑を穿つ。

 

「……二体目。次」

そう言い、自身を食い殺さんと飛んでくる星屑をギリギリで躱し横腹を裂く。そして、回転し星屑の核をナイフで穿つ。

 

「三体目。………残りの二体がいない?…………………上か!?」

切嗣は後ろに飛び間一髪で星屑の捕食を逃れる。

 

「ふん!」

切嗣は足に強化を施し地面を蹴りそのままナイフで核を破壊する。

 

しかし、破壊した瞬間切嗣を飲み込まんと星屑が飛んでくる。

 

「し、まっ!?クソが!!」

切嗣は強化したナイフを星屑の口に腕ごと突っ込む。

星屑はそのまま切嗣の左腕を噛みちぎろうとするが腕を思いっきり突っ込んだことにより核はナイフに破壊され消滅する。

 

しかし、切嗣の腕は千切れはしないものの骨は粉砕され血塗れであった。

 

「くっ、左腕は使い物にならないな」

そう言いながら、身体強化をしたままほういしていた他の星屑が来る前に全速力で下山し始めるのであった。

 

…………………ここで、切嗣の危惧していた問題が起きた。魔力切れである。既に身体強化を施す力はなく段々と星屑との距離が縮まっていくのであった。

 

「ああ、クソが。でもなんとか奈良の勇者の所まで逃げ切れそうだ」

そう、切嗣は魔力切れを最初から危惧していた為、魔力の使用量を調節していたのだ。

故に星屑からは逃げ切れるそう言う算段だった。しかし、物事が必ず思い通りにいくとは限らないそれが人生だ。

 

現状、切嗣が魔力切れ以上に危惧し恐れていた事態が起きていた。

 

………………突然だが切嗣は誰よりも頭が回りそして、冷酷で無慈悲だ。

切嗣自身、自分が冷酷で無慈悲であることは無意識の内にこの遠征で気づいていたが、それを認めようともしなかった。

 

何故突然この話をしたかと言うと切嗣は有栖の死体を見た時、一番最初に考えたことは有栖の死に方は星屑や進化体による殺され方ではない。ここは危険だそう考えていたにであった。

 

故に星屑や進化体以外にもバーテックスは存在するその可能性を同じ防人から聞く前に考えていたのであった。

 

………………さて、話が逸れたが切嗣が最も危惧していたこととは有栖を殺した敵との遭遇である。

 

既に有栖を殺したバーテックス………………スコーピオンが切嗣に向け無数の矢を放ったのであった。

 

既に魔力の切れた切嗣は気づけず無数の矢に前進を貫かれたのであった。

 

「がぁぁっはぁ!?」

いきなりの攻撃に思考が遅れた切嗣だが全身の痛みと共に現状を把握する。

 

そして一つの結論に至る………………死。

そう確信した瞬間今までの記憶がフラッシュバックされていく。そこには学校での数少ない友達に有栖や父親そして千景がいた。…………………俺はまだ死にたくない!!)

 

そんな声を聞き届けた者達がいた。……………抑止力である。

 

抑止力はこの時を待っていたかのように切嗣の脳内に話かける。

 

 

 

力が欲しいか?

 

(誰だ!?)

 

我々は抑止力 

人類を救う為に存在するモノだ

既に人類は滅亡の危機に達し、自然は破滅の一途を辿っている。

故に我々は衛宮切嗣お前の力を目覚めさせよう。

 

(一体何を言って?…………………がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?)

全身に激痛が走る。衛宮切嗣(自分)英雄 エミヤ(別の自分)になる感覚を感じる。

 

そして、身体中の怪我もなくなり全身からみなぎる力を感じるのであった。

 

そんな中、星屑達はスコーピオンにより瀕死になった衛宮切嗣()に向かって行き飛びかかる。

 

絶対絶滅の中切嗣は無意識の内に唱える。

Time alterーーーdouble accel(固有時制御 二倍速)

瞬間切嗣の時間は加速し、躱す。

 

そして右手で掴んでいるナイフで星屑達の核をナイフで貫いていく。

 

「凄い力だ。魔力も全回……いやそれ以上に増えた」

そして、切嗣はスコーピオンを睨む。

 

「厄介なのはあの尾だ。逆に言えばあの尾さえなけらばどうと言うことはない」

そう言うと、切嗣はスコーピオンに向かい突撃する。

 

Time alterーーdouble accel(固有時制御 二倍速)!!」

切嗣は自身の時の流れを加速させスコーピオンの後ろに回り込む。

 

そして、高く飛躍しスコーピオンの尾に何度も強化を施したナイフを打ち込む。

 

本来固有結界を用いた時間加速は世界からの修正により数秒しか発動できない上に反動が大きいと言う使い所の難しい魔術なのだが、バーテックスにより世界は滅亡寸前まで来ており、アラヤとガイアそして神樹による絶大なバックアップがあるためにこの様な荒技ができていた。

 

そして、今切嗣の行っている技は自身の魂に英雄エミヤ(アサシン)の戦闘経験、戦闘技術に魔術の技術及びに魔力を読み込んでいるだけでもう一つ『この衛宮切嗣』にしかできない技もある。

 

 

 

 

〈キーーーーーーン〉

切嗣のナイフがスコーピオンの尾を切り落とした。

 

切嗣はそのままスコーピオンの核を破壊せんと飛びかかる。

 

が、いきなり現れた高さ推定百メートルにも及ぶ巨大な鏡により拒まれる。

 

それどころか強固な鏡にナイフは折れ、ついに武器すら失うのであった。

 

切嗣は後ろに飛び鏡を睨む。

 

そんな中、鏡はスコーピオンを吸い込み、そこからおおよそ百体の進化体が現れる。

 

「なっ!?」

(今度は武器無しで進化体を百体相手しないといけないのか!?……………こんなの無理ゲーすぎるだろ!!)

 

 

 

嫌、貴様には奴らを倒せる武器がある。

 

「!!一体どうすれば良いんだ」

 

唱えよ。この世界の衛宮切嗣(貴様)にしかできぬ貴様の異能を

 

「俺だけにしかできない異能?」

(知らないはずなのに知っている。俺はこの異能の使い方を)

 

「ーーー魔術回路・完全解放(トリガー・オン)

 ーーー暗殺者(アサシン)英霊の座(アーカイブ)に接続。

 

 ーーー告げる!

 汝の身は我に! 汝の剣は我が手に! 

 聖杯のよるべに従い この意この理に従うならば答えよ!

 

 誓いを此処に!

 我は常世全ての善となる者!我は常世全ての悪を敷く者ーーー!

 

 汝 三大の言霊を纏う七天!

 抑止の輪より来たれ天秤の守り手ーーー!

 

 夢幻召喚(インストール) 力を寄越せ!!英雄エミヤ!!!!」

 

瞬間切嗣の姿は変わり鎧が纏われ銃やナイフが現れる。

 

「これなら勝てる。…………………嫌、慢心は良くないな。ふぅぅう、はぁぁあ。さて、これは赤い外套の英霊

の台詞なんだが、…………いくぞ天津神ーーー星屑の貯蔵は十分かぁ!」

 

瞬間切嗣は固有時制御 二倍速を使い進化体へと飛び込む。

 

天津神達が世界を滅ぼす為に使用している星屑達は身体の百%が魔術回路で出来ているため切嗣の宝具『神秘轢断』とは相性最悪である。

 

故に抑止力は衛宮切嗣に目をつけていたのであった。

 

 

 

 

夜が明けた。

 

戦いを始めて五時間がたった。

 

進化体の数は既に三十体を切っていた。

 

しかし、昨日夕方ごろから寝ずに戦い続けている切嗣は満身創痍で全身傷だらけだ。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、くっ。後三十体か。くそ!頼むから持ってくれ()の体」

 

戦いはまだ終わらない。

 

敵を斬り、躱し、躱し斬る。この最初の動作が今では躱し、躱し、躱し、躱す。

その繰り返し。

 

一時間が経過し、五体の進化体を撃破した。

 

二時間が経過し、四体の進化体を撃破した。

 

「く、そ。意……識……………が薄…………………れてきた。ふん」

ナイフで傷を付け、意識を持たせる。何度もやったことで段々とだが耐性すら得てきた。

 

「な、にか手を……考え………なければ」

切嗣には弱点がある。それは広範囲に渡る攻撃宝具を保有していないことである。一対一で有れば無類の強さを誇る切嗣だが、一対多数になると力が落ちる。

 

故に切嗣はまたしても死の危機に晒されていた。

 

そんな中、進化体に向かい一筋の矢が飛んでいった。

 

その矢は進化体の中央まで届き、そして爆ぜた。

 

切嗣は知らないが英霊エミヤは知っている。

 

「まさか、彼もこちらに?……………………………………」

そこで切嗣の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「ふむ。確かこの辺りに生存者が居たはずだが。………見つけた。意識を失っている様子だな。………………!?じ、いさんな、のか?嫌、身長や顔付きから見て小学六年生くらいか中学二年生くらいだ。それに、爺さんは死んだんだ。……………噂で聞いた守護者と言う奴か?まあ、そんなことおいて、とりあえず私の拠点に連れ帰るか」

そう言って赤い外套の男……………衛宮士郎は切嗣を抱き抱え拠点に戻るのであった。




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切嗣と士郎 日本全国へ

目が覚めると、そこには英雄エミヤ()が知っている人物がいた。

 

「あんた、抑止力のアーチャーだよな?」

 

「嫌、私はまだ抑止力とは契約していない。こちらからも質問を一つ、君は守護者かね?」

 

「嫌、俺は抑止力から何処かの世界の俺の力を使っているだけの魔術使いさ」

 

「君は抑止力と契約したのか!」

 

「…急にどうした?」

 

「…………すまない、私としたことが取り乱してしまった。それで君は抑止力と契約をしたのか?」

 

「嫌、一方的に力が欲しければお前の異能を発動させろって言ってきただけだ」

 

「むっ、君の異能だと?」

 

「ああ、俺はどうやら特定のサーヴァントに対してなら英霊の座にアクセスして力を使えるらしいんだ」

 

「なに?英霊の座にだと?」

 

「ああ」

 

「君の力は無茶苦茶な力なのだな」

 

「ああ。それと、あんた何者なんだ?サーヴァントでもなく守護者でもないましてや抑止力とも契約してない。にも関わらず進化体より遥かに強い」

 

「私か?ふむ。私はただの魔術使いなのだがね。まあ、君の知っている英霊エミヤ(アーチャー)の生前だと思ってくれ」

 

「アーチャーの生前か」

 

「ああ」

 

「そうか、話を変えるがここって何処なんだ?」

 

「ここか、ここは大阪城跡さ」

 

「跡…………、か」

 

「ああ、ここはバーテックス達の襲撃により崩壊した」

 

「っ。そうか、有り難う。あんたはこれからどうするんだ?」

 

「私か、私はこれから逃げ遅れた人々を助ける為に全国を巡るつもりだが」

 

「そうか、なら………………頼む。俺も一緒に連れて行ってくれ」

 

「なに?私と一緒に行くと言うことはそれ相応の危険があるぞ」

 

「ああ、分かってる。俺も何度も死にかけたからな。ていうか良いって言うまで付き纏うけどな」

 

「………………………はぁ、分かった。どうにも君の意識は固いようだ」

 

「ああ」

 

「だが私と共に行くと言うのならその先は厳しいぞ」

 

「それくらいの事大阪に来た時から覚悟は出来ている」

 

「そうか、では夜になったらすぐに動く。それまでは休んでおけ」

 

「分かった。俺は魔術回路の状態やら何やらを調整しておく」

 

「………………仮眠を取らなくとも良いのか?」

 

「寝てる間にあんたがいなくなるかもしれないだろ」

 

「どうやら私は信用されていないようだな」

 

「ああ、あんたは誰かの為なら自分の人生を棒に振るタイプの人だ。だから、そう言う意味ではあんたは信用できない」

 

「むっ。君はどうにも手厳しいな」

 

「そうか?まあ良いや」

そう言うと切嗣は魔術回路や体の状態、士郎にバレないように仮眠などをして夜まで時間を過ごした。

 

「夜だ、動くぞ切嗣」

 

「ああ、けど一つ質問が」

 

「なんだね?」

 

「一体何処に向かうんだ?」

 

「ふむ。私達はこれより岡山へ向かう」

 

「岡山?何故?」

 

「岡山にはバーサーカーの守護者がいるのだがバーサーカーは術者自体への負担が大きく既に狂気に呑み込まれている。故に我々が術者の救援として向かうべきだと考えている。他に何か質問は?例えば何故夜に進むのかとかだな」

 

「嫌、他に質問はない。夜に進むのはあんたが夜でも良く周りが見えるのと俺は気配察知があるのに対しバーテックス達にはそう言う備えがないから夜の方が安全ってことだろ」

 

「ああ、その通りだ。頭の回転が早くて助かる」

 

「それはどうも。さて、そろそろ行くか」

 

「ああ、そうだな」

 

切嗣達は動き出し日が明ける時には兵庫県の豊能町に来ていた。

 

「はぁ、はぁ。もうここまで来たのか」

切嗣は疲れた声で言う。

「そのようだな。さて、日が明けたようだしここで休憩にしよう」

対して士郎は汗一つかいていない。

 

「ああ」

 

「ふむ、これを飲みたまえ。別に近くから水を取ることもできるから遠慮せずに飲め」

そう言って士郎は軍人の持っていそうな水筒を切嗣に渡す。

 

「悪いな」

切嗣はキャップを回し、一気に飲む。

 

「ぷはぁぁ。生き返る。……………さて、これからどうするんだ?」

 

「そうだな、これから三十分ほどここで休憩したら生存者を探す。それで良いか?」

 

「ああ」

 

三十分くらいが過ぎ切嗣達は豊能町を回る。

「それにしても酷い有様だな。何処もかしこも崩壊し、辺りには乾いた血痕」

切嗣はそう言いながら、全力で気配察知を使い生存者を探す。

 

一時間が過ぎた。切嗣達は二手に分かれて町を探索したが、誰一人の生存者は見つからなかった。

 

「くそ、予想はしていたが人が一人もいないなんて」

 

「だが、兵庫県の何処かには生存者が束になって生存している場所があるはずだ」

 

「どうしてそう言い切れる?」

 

「私はどの県でもそう言うのは必ず一つは見つけた」

 

「そうか、わかった。じゃあ、次のところへ行くか」

 

「ああ」

 

切嗣と士郎の兵庫県での生存者探しは行い日は暮れかけていた、そして切嗣達は最後の町上郡町に来ていた。

 

「……………私の方はダメだった。切嗣君はどうだ?」

 

「俺か、俺は最後のブロックの調査だよ」

 

「そうか、なら私も行こう」

 

「分かった。………………引っ掛かったぞ!!」

 

「本当か!?」

 

「ああ。あのビルの中だ」

 

「そうか。よくやった切嗣」

 

切嗣と士郎はすぐさまビルに入り、

「大社の防人です。貴方達を保護しに来ました」

 

その言葉に絶望していた人達の顔は一変し希望に満ちた顔になった。

 

「さあ、この人のの後ろにならんでくださいすぐにここから明石海峡大橋へ行きますよ」

 

その言葉に全員が士郎の後ろに列を作り、士郎が先導しながら進んだ。

 

切嗣は最後尾で周りを警戒しながら列に着いて行きながら考え事をしていた。

 

(俺の武器に進化体をまとめて屠れる範囲や威力のある武器が無いのが痛いな。一応だが俺には炎と土の二重属性だから炎や土の攻撃なんて手

もあるが星屑を倒す火力にはならないんだよな、出来て補助程度が関の山だ。どうにか魔術の威力を上げる方法を見つけたいな。)

 

切嗣は自身の弱点をどうにかする方法を模索するがいいては見つからず四苦八苦するのであった。

 

………………………あれから三時間が過ぎた。

日は暮れ、現在地であるJR有年駅だった場所まで来ていた。

 

「さて、今日はここで休む。明日からは一日中歩き続けるけるからしっかりと休むように。俺と士郎さんが見張りをするからしっかり休んでくれ」

 

そう言うと皆がそれぞれ休む。

 

切嗣と士郎はそれぞれ配置に着き見張りをする。

 

見張りを開始して日が登った。

 

皆士郎と切嗣の先導により有年駅から進み始めていた。

 

何度か星屑が現れるが士郎により完膚なきまでに倒された。

 

それにより四国に向かう者達の士気は最大にまで上がっていた。

 

そんな中一日、二日が過ぎ明石海峡大橋にまで行き淡路市まで着いていた。

 

「さて、夜が明けたら歩き出し四国まで向かう。ここまで来たらあと一日で着く。皆ゴールまであと一息だ頑張ってくれ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

(『奴』が此方に向かってくるとなると厄介だな。奴が接触までに四国に着くのは無理だ、やはり俺が一人残って食い止めるのが一番だな。)

 

「士郎さん」

 

「なんだ?」

 

「俺はここに残ります」

 

「君一人で『奴』を止めるつもりか」

 

「ええ、俺一人では群れた星屑の場合全員守れませんから」

 

「そう………か」

 

「ええ、まあ出来れば四国に皆を連れて行ったら援軍として来て欲しいですけどね」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「じゃあ、俺は今日は寝ますね」

 

「ああ」

 

四国に向かう者達は夜明けと共に進軍していたが切嗣は一人残り『奴』に向け戦闘準備を始めた。

 

 

…………………三十分が経過し巨大な魔力が切嗣付近に現れる。

 

「っ、?来たか!?ギリシャの大英雄の力を受け継ぎし守護者」

 

(はぁ、いくら狂気に犯されているにしても相手はギリシャの大英雄か。)

 

「ホント嫌になる」

そんなことを言いながらも切嗣は覚悟を決めた声で言う。

 

魔術回路・全開放(トリガー・オン) 暗殺者(アサシン)英霊の座(アーカイブ)に接続、夢幻召喚(インストール) 力を寄越せ衛宮切嗣(エミヤ)!!」

切嗣はアサシンを夢幻召喚し、ナイフを構える。

そうしていると巨大な斧を持った黒髪の大男が頭上に右手に持つ斧を切嗣目掛け振り下ろす。

 

「ふん」

切嗣はナイフで斧を逸らし、そのまま腹に蹴りを入れる。

 

が、その行動を斧で防がれる。

 

 

 

 

四国に向かう皆を守るために、

切嗣VSバーサーカーの戦闘が今始まる。




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次回は切嗣VSバーサーカーです。


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アサシンVSバーサーカー

すみません昨日投稿できませんでした。


バーサーカーとの戦いは熾烈を極め住宅街での戦いになった。

その戦いの中切嗣は自身の弱点に気付かされるのであった。

 

「クソ、圧倒的に部が悪い。奴の筋力に肉体自体が宝具、()のナイフや弾丸じゃ奴の肉体には傷を与えられない。どうしたもんか。……………………………!?もう来やがったか」

 

「◾️◾️◾️◾️◾️!!」

バーサーカーは斧を横に振るう。

 

「チッ」

それに対して切嗣は右手でナイフを掴み左手で右腕を支える。

 

「グハッ!?」

しかし、バーサーカーの筋力に押し負け後ろに飛ばされ、壁に叩きつけられる。

 

(糞、今ので骨をニ、三本持っていかれた。それに骨が折れた事で内臓が結構傷ついた。)

 

「◾️◾️◾️◾️◾️!!!!!!!!」

叩きつけられた切嗣に追い討ちをかけるようにバーサーカーが切嗣に向け上から斧を振り下ろす。

 

「クッ、Time alter・triple accel(固有時制御 三倍速)!!」

固有時制御を使い斧をギリギリで横に躱す。

 

「ヌッ」

そのままバーサーカーの横をすり抜け、バーサーカーが作った穴からバーサーカーに背を向け走る。

 

それを見てバーサーカーもまた切嗣を追うのであった。

 

バーサーカーから逃げて逃げて逃げまくる、バーサーカーもまた切嗣の命を狙い走る。

 

「後、一日耐え凌がなければならないのか。()一人だとキツイな。彼は狂気に犯されている状態だ。その彼本体をどうにかしないと」

 

 

その必要はない

 

「抑止力か。それで意味が無いとはどう言う意味だ?」

 

彼は既に死んでいる心も体もな

 

「何!?一体どうゆう事だ?」

 

バーサーカーの守護者だった者はバーテックスの総攻撃により心を失い、『なり損ない』は本能のままに暴れた。そこに武神が現れ完全に力を得る前の『なり損ない』を殺したのだ。

そして『成り損ない』の肉体を天津神達が支配し、貴様の命を狙わせた。

 

「何?天津神達は死体を使って()たちに攻撃を」

 

ああ、その通りだ。

 

「死体を武器に使うか、糞が!!だが、どちらにしろ()の武器じゃ奴の肉体(宝具)を抜くことができない。一体どうすれば?」

 

それに関しては問題ない

 

「一体どういうことだ?」

 

貴様の武器である『起源弾』は我ら抑止力(カウンターガーディアン)の力と神樹(国津神達)の力に貴様の深層心理に基づいて生み出され、本来の力以上に強化されている。

 

「なっ!?それは本当か?」

 

ああ。その力ならばバーサーカーの宝具をも凌ぐであろう

 

「そうか、この怪我じゃチャンスは後一回。外せば死に当てれば生存。……………さあ、勝負と行こうかギリシャの大英雄!!」

 

切嗣は『起源弾』を装填した銃を右手に握り、突進してくるバーサーカーに向け構える。

 

そのまま、引き金を引こうとした瞬間、バーサーカーの動きが変わる。

 

「チッ!!」

 

バーサーカーは本気の動きで切嗣の後ろに周り、宝具を発動させる。

 

射殺す百頭(ナインライブズ)

神速の九連撃が切嗣を襲う。

 

『ッッッ!?Time alter・square accel(固有時制御 四倍速)!!」

 

瞬時に振り向きながら、

身体最大強化(エンチャント・フルオブジェクト)!!」

強化の魔術を今できる最大限までに強化する。

 

そのまま『起源弾』の装填された銃を左手でバーサーカーに向ける。また、右手で防御の姿勢を取り全力で踏ん張る姿勢を取る。

 

瞬間、固有時制御で四倍速にまで時間を高めていた為ギリギリだが何とバーサーカーの攻撃を見た。

 

バーサーカーの八連撃が右腕の骨を完全に粉砕し、そのまま胸に重く鋭い一撃を与える。

 

切嗣は血反吐を吐きながらも気合で踏み止まり、『起源弾』を放つ。

 

放たれた『起源弾』は炎に包まれており、その炎は人類を壊滅させた神々を憎悪し力のない自分を嫌悪する憤怒の炎であった。

 

神々を憎悪する切嗣の深層心理と『抑止力』、『国津神達』の力により、『神殺し』の力を宿した弾丸はバーサーカーの宝具を貫き十二の命を憤怒の炎が一撃で焼き払った。

 

「カハッ、クッ。はぁ、はぁ」

切嗣は一気に血を吐き地面に倒れ伏す。

 

「クソ、が……………………………」

そして、切嗣の意識は途絶えた。

 

 

ーーーーーーーーーー抑止力視点-------ーーー

 

この戦闘で奴の右腕は完全に使い物にならなくなった。故に奴の腕にアサシンの腕を移植し、残った骨から『起源弾』を作れば奴の武器が増え、マイナスは無くなる。

 

また、この戦いでやっと『衛宮切嗣』の力を使いこなせる様になったか。

 

それに我らの切り札である『神殺しの弾丸』も。

 

既に奴は衛宮切嗣を超えておる、故に更に力を増すであろう。

 

どうやらこの戦いで固有時制御を五倍速にまで張り上げ、魔術の技術を更に高めようと考えている様だしな。

 

もしかしたら◾️◾️◾️◾️の力を完全に支配することが出来るかもしれん。

 

しかし◾️◾️◾️◾️がこちらに協力をするとは如何やら『この世界線』は幸先が良いな。

 

まあ、天津神達が◾️◾️◾️◾️を恐れるのは当然の結果。どの世界線でも高天原から追放されている。

 

が、我らに協力する事は無かった。だが、衛宮切嗣と言う異分子が介入した事により協力した。

 

◾️◾️◾️◾️の力を完全に支配出来れば天津神達を倒すことが出来る。が、今の奴にはその力を支配する事は出来ない。

 

しかし、奴が誰かの為に戦い続ければ奴は必ず力を支配出来るだろう。

 

その時に奴は我らが求める『神殺しの守護者』になるだろう。




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傀儡を討ちし英雄殺しの暗殺者

右腕の骨を完全に粉砕された上に肋骨も二、三本持っていかれ地面に横たわっている切嗣を士郎は回収しようとするが、

 

待て、衛宮士郎

 

「抑止力がなんの様だ?」

 

奴の腕は完全に粉砕されている。故に奴の腕を交換する必要がある。その為に我らが衛宮切嗣を預かろう

 

「預かるだと?」

 

ああ

 

「一体何が目的だ?」

 

…………………衛宮切嗣には『神殺しの守護者』になって貰う。

 

「抑止力の戦力強化の為に切嗣を使うつもりか」

 

その通りだ

 

「私がさせると思うか?」

 

指を咥えて見ているしかないさ貴様は

 

《バン》 《バン》 《バン》

 

何処からか士郎へ目掛け弾丸が飛ぶ

 

「チッ!!」

 

すぐさま後ろに飛び『干将・莫耶』を投影し弾丸の飛んだきた方向に投げる。

 

「ホッ、と。危ない、危ない」

飛んできた『干将・莫耶』に対し日本刀で弾く。

 

また、影から士郎に目掛け日本刀を持った少女が飛び出してくる。

 

「クッ」

ギリギリで日本刀を躱し、影から出てきた少女に回し蹴りを入れる。

 

「うわっ」

 

「大丈夫かい、お竜さん」

 

「ああ、少し油断しただけだぞ」

 

「チッ、二人一組の英霊か」

 

そう言うと、士郎は十数本の剣を最大限の速度で銃と剣を使う男に放つ。

 

「おっと」

弾丸で三本逸らし、銃自体と剣で七本を弾く。が、数本を弾き損ね傷が出来る。

 

そこにお竜と呼ばれる少女が士郎目掛け斬りかかる。

 

士郎もまた『干将・莫耶』で防ぎ斬りあいになる。

 

「はぁぁ!!」

士郎はお竜の剣を弾き、投影した武器を放つ。

 

そこに、もう一人の男が剣を弾丸で弾き、日本刀で士郎に斬りかかる。

 

「チッ」

士郎は大剣を男に放ち、男は日本刀で防ぐが後ろに飛ばされる。

 

男に体を向けている士郎にお竜が斬りかかる。

 

「糞が」

士郎はギリギリで躱し、蹴りを入れる。

が、躱される。

 

そんな中二人に意識している士郎にもう一人の介入者が現れる。

 

「魔神の「ま」は真っ二つの「ま」!!」

 

「っ!?」

反応に遅れた士郎は躱しきれず頭に叩きつけられる。

 

「グッ!?」

そのまま、士郎の意識は落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………「ここは何処だ?」

切嗣は意識を取り戻し、辺りを見渡すとそこは一面真っ黒の何も無い世界だった。

 

目を覚ましたか衛宮切嗣

 

「……………抑止力が何の様だ?」

 

右腕を見ろ

 

「?………!?何だこれは!?腕を移植でもしたのか?」

 

頭の回転が早くて助かる。貴様の右腕は粉砕され代わりに衛宮切嗣(アサシン)の右腕を移植した。

 

「英霊の右腕を移植なんて可能なのか?()と衛宮切嗣は正確には別物だ。なのに()の腕に移植する事が出来るなんて………………嫌、まさか()自身に衛宮切嗣(アサシン)の血縁関係は無い。だからもう一つの可能性は()の中に衛宮切嗣(アサシン)の因子が混ざっている可能性か」

 

ああ、その通りだ。しかし、何故因子の存在を知っている?

 

「読んだんだよ。国津神の嫌、大国主の伝承で。因子の操作をな」

 

あの伝承を何処で読んだ

 

「?父の書斎で」

 

…………ゼルレッチの仕業か

 

「ゼルレッチ?」

 

ああ。衛宮矩賢ではその伝承を手に入れられない。そして、ゼルレッチは事あるごとにこの世界に干渉をしてくる、その時に衛宮矩賢に渡したのだろう。

 

「そうなのか。……………話を変えるがお前は何の為に()をここに呼び寄せたんだ?」

 

貴様にはこれよりカレイドステッキの担い手である守護者たちを暗殺してもらう

 

「暗殺だと」

 

正確に言うのならば既に死に絶えた守護者達だがな

 

「……………分かった」

 

では早速行ってもらう

 

「……………ああ」

 

瞬間世界は変わり城の上に現れる。

 

「………………………ここは熊本城跡か。…………………………………………それにしても酷い有様だな」

 

そこには食いちぎられた無数の死体が散らばっていた。

 

「血の具合から見て死後二時間から三時間か。それにしてもアサシンは何処だ?…………………ッ!!」

 

切嗣の背後から長い赤色の手が迫り来る。

 

「あっ、ぶない」

間一髪でシャイターンの右腕を躱す。

 

切嗣は背後から迫ってきた右腕を見た瞬間、その腕の危険性を直感で理解する。

 

(アレはヤバい!!最速で決めなければ!!)

 

Time alter・square accel(固有時制御 四倍速)!!」

そして、切嗣は加速し弾丸を放つ。

 

しかし、全て躱される。

 

躱したアサシンの背後を切嗣はナイフを持って斬り掛かる。

 

それに対してアサシンはナイフを躱し右腕で掴みかかる。

 

右腕を危険視する切嗣は、

Time alter・double accel(固有時制御 二倍速)

加速してアサシンの右腕を躱し、反撃として右腕にナイフを刺す。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️!!」

ナイフを刺されたアサシンは奇声を上げながら切嗣目掛け掴みかかる。

 

Time alter・square accel(固有時制御 四倍速)!!」

切嗣はアサシンの右腕を躱し、ゼロ距離まで近づきアサシンの腹に弾丸を六発撃ち込む。

 

そして、去り際にアサシンの腹を斬る。

 

 

(チッ、攻めきれないな、火力が足りなすぎる。『神殺しの弾丸』は『起源弾』より威力はあるが弾は残り六発しかない。だからここで無駄撃ちなんて出来ない。『起源弾』の場合はアサシン相手だと効果が薄いしどうしたものか。)

 

否、貴様には奴を倒す力がある。

 

「なに?」

 

貴様に力を貸している神の力を使え

 

()に力を貸している神だと?」

 

ああ、貴様なら力を使えるはずだ

 

「……………」

 

今ならその力の発端を使えるはずだ

 

切嗣は集中し神の力の一端を使う。

「燃えろ!!」

右腕をかざすと、炎が噴出されアサシンを覆う。

 

そして、紅の炎がアサシンの肉体を燃やしていく。

 

「◾️◾️◾️◾️◾️!!??」

いきなり放たれた炎をもろに喰らったアサシンは全身火傷をし、

 

それを好機と見た切嗣は、アサシンの頭を掴み最大の魔力放出をする。

 

「炎に呑まれろ!!」

右腕から放たれる紅の炎がアサシンを呑み込み、全身を焼き尽くす。

 

「終わりだ」

焼き尽くされたアサシンは黒い灰になり切嗣の拳で破壊される。

 

良くやった

 

「…………()はこれから九州地方の避難民救出をする。もし、他の守護者達が危険になったら()を呼べ」

 

そう言うと切嗣は、避難民を探しに旅に出る。

 

衛宮切嗣は九州でのアサシン撃破から二年間、一人で多くの人を救い、名もなき英雄となった。

しかし、決して全ての人を救えた訳では無い。救えなっかた者達もいる。

その事に、切嗣の心は段々と病んでいき気力も無くなっていった。

 

そんな中切嗣は抑止力に呼び出され、守護者最後の生き残りであるランサーと勇者が危機に瀕している事を告げられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今切嗣は諏訪にいた。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。

国津神や大国主の伝承に因子を操作するなんてものはありません。

切嗣世界の大国主の伝承です。


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番外編 衛宮切嗣の二年間 

切嗣が全国を巡る話です。


日記 西暦 2017年度 八月二十日 晴れ

僕の名前は衛宮切嗣はこれは四国に戻るまでの二年間を書き記した日記だ。

 

 

アサシンを倒してから避難民を助ける為、各地を回り始めた。

 

()は九州地方の県を巡り百数十人の人を救った。

 

しかし、守れなかった人達もいる。

 

列から離れ独断で進んでいった人、バーテックスに怯えて列から遠くに離れた人など様々だ。

 

もしかしたら、救えたかもしれないが、

()は小を救う為に大を危険に冒すことなどできなかった。……………………つまり見捨てたのである。

 

結局()は正義の味方には慣れないのだろう。

けれど、せめてこの人達だけは無事に四国に送る。そう心に誓った。

 

 

 

 

・・・・・・時間はかかったが皆を無事に四国へ送る事に成功した。

本当は千景の所に行きたいが、まだ九州に取り残されている人が居るかもしれないので九州に引き返した。

 

九州を一ヶ月程旅し、また百数十人の人を救えた。

けれど、また()は犠牲を出してしまった。

 

()の力の無さが嫌になる。

ただその中で、この九州の旅の内に段々とだが炎を扱えるようになった。

 

この力が有ればもっと多くの人を救える。

そう思う事で自身の罪を見て見ぬフリをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・一年が過ぎた。

 

今年は東京まで進んで行った。

その中で人口の多い東京、神奈川は酷い有様だった。

中ではバーテックスではなく人間同士の争いで死んだと思われる死体も沢山あった。

 

そして、()は多くの人を死なせた。

関東から三百人以上の人を四国に送る中、距離が距離の為しっかりと休憩を取り時間をかけて安全に送るやり方に不満を持った五十数人の人達が先を急ぎ先行して行った。

 

()は全力で追ったが、夜が明けるのを危惧し心の中では生き残れないのを分かっていながらも、先行した人達が生きて帰れる様願った。

 

されど皆んなを送っている内に見覚えのある顔の死体を見た。

結局()は全てを救う事など出来ないのだろう。

 

 

 

 

 

炎の扱いは基礎を完全にマスターし今は範囲や威力の調整をしている。

炎の試行錯誤している内にこの力には発展の余地が相当ある事が分かった。

 

固有時制御に関しては抑止力や神樹の加護があるが、五倍速になると肉体面や魔術回路など、肉体の成長と強化に魔術の技術を鍛える必要がある様だ。

 

また、義手とは違うがアサシンの移植した腕は段々と馴染み始めた事によるせいか、髪の色が抜け落ち、肌の色が褐色に変化し始めた。

 

………………また今年の内にアサシン、バーサーカー以外にもライダー、キャスターを倒した。

      抑止力の見立てだと今年の内にセイバー、ランサー、アーチャーの最後の守護者達も危機に瀕す可能性が高いそうだ。

      無駄な事だが、守護者や勇者の危機には()を呼ぶ様促した。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・二年が過ぎた。

今回は大阪、愛知、神奈川を中心に旅をした。

その中で僕は大阪の一人の少女が残した手紙に心を抉られる様な感覚に襲われた。

僕の気配感知能力が至らない為に見逃してしまった命だ。

僕がもっと気配感知のレベルを上げていればこんなことならなかったはずだ。

全ては僕に力がないのが原因だ。

僕に力があったなら……………………嫌、こんな意味の無い事を考えても意味がない。人生はやり直しがきかないのだから。

 

 

 

 

炎の技術に関しては一流にまで達している。しかし抑止力が言うには、この力は本来の力の一端に過ぎずまだ完全には力を扱えていないらしい。

 

固有時制御に関しては二年の内に肉体面や魔術回路、技術面が一気に成長し五倍速を発動できる様になった。しかし、反動は大きく易々と使える物では無い。

 

もう一つこの二年で、僕の容姿に変化が起きた。それは、僕の肌の色が完全に褐色になり、髪の色は全て抜け落ち、白髪となった事だ。

これは衛宮切嗣()エミヤアサシン()になって行っていく証拠だ。

 

最近は夢と言う形でエミヤアサシン()の記録や色々な可能性の僕の記録を見せられている。

 

 

・・・・・・抑止力に呼び出された。

      てっきり傀儡を倒す様言わるかと思ったが、諏訪の勇者とランサーの守護者を助ける様言われ。

      あの抑止力が傀儡になる前に助ける様言ったのだ。ならば今回の戦い必ず何かある。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー---------------------------

まさか、奴がもう動くとは想定外だった

 

奴が動いたせいで諏訪侵攻が一年も早まってしまった

 

このままではこの世界は滅びる。何としてでも衛宮切嗣に力を貸している神の本来の力を使えるようにさせなければならない




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。

真名 衛宮切嗣 
クラス アサシン

誕生日 11月11日
年齢 15歳
身長 169cm
体重 61kg
特技 暗殺、破壊工作
好きなもの 効率
嫌いなもの 抑止力、天津神
苦手なもの 友情、愛情
天敵 バーテックス





ステータス 
筋力C 耐久B 俊敏A++ 魔力A++ 幸運E

クラススキル
気配遮断 A++ 単独行動 B

保有スキル
救済者 A++ 神殺し C 暗殺術A+++

宝具
『神殺しの弾丸』

『起源弾』

『神秘轢断』

解説 
幸運を除く全てのステータスがエミヤアサシンより高い。
これは全て衛宮切嗣の努力だが、魔力に関しては衛宮切嗣に力を貸している神の魔力が上乗せされているからである。

クラススキル 気配遮断 A++ バーテックスや傀儡相手に気付かれない様に後ろに忍びこむ為修行、本番での成功によりスキルになった。

       単独行動 B 衛宮士郎と別れてから一人で行動していたことから得たスキル。色んな人を救い四国まで一緒に着いて行った為Bランクになっている。

保有スキル 救済者 A++ 衛宮切嗣が数百人もの人を救った事により得たスキル。これにより、気配感知A++、応急手当てB、カリスマCを得る。

      神殺し C この力は衛宮切嗣に力を貸している神の能力。まだ衛宮切嗣が完全に力を使えていないためランクが大幅に下がっている。

      暗殺術 A+++ 圧倒的な射撃能力と卓越したナイフ術に体術、強化魔術に固有時制御、ナイフや弾丸、拳などに炎を纏わせるなど炎をも加えた変幻自在でありながら全てが一撃必殺になり得る技を組み合わせた初見殺しの暗殺技術。
その戦い方の基礎は、相手の攻撃を最低限の動きを躱し相手の勢いを利用した攻撃や不意打ち、急所を狙う暗殺術である。

    『神殺しの弾丸』文字通りの対神特攻の弾丸。神に対して絶対的な力を誇る。

    『起源弾』魔術回路を切断し出鱈目に繋ぐ。そこに魔力を通すと破裂し、神経損傷により魔術師生命が終わる。あたりどころが悪いと死ぬ。
 
    『神秘轢断』起源弾のナイフバージョン。

今の切嗣はこんな感じの強さです。


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『諏訪湖の戦い』

すみません、昨日投稿できませんでした。


諏訪に着いたのと同時に切嗣には無数の武器が支給された。

 

 

「随分と武器をよこしてきたな。まあ、多いに越したことはないし良いが」

 

そう言うと切嗣は諏訪にいる勇者の元へ向かう。

 

 

 

 

 

「見つけた。あの子か」

切嗣は事前に抑止力から諏訪の勇者の情報を貰っていた為、直ぐに彼女が諏訪の勇者であることに気づいた。

 

「そこの君は白鳥歌野で間違いないかい?」

 

切嗣の言葉に歌野は反応し、切嗣の方を向く。

 

「イエス。そうよ私は白鳥歌野よ。ところで貴方は誰かしら?この辺りの人じゃないでしょ」

 

「ああそうだ。僕の名前は衛宮切嗣、明日攻めてくるバーテックス達を一掃する為に諏訪に来た」

 

「貴方は大社からの援軍ってことで良いのかしら?」

 

「嫌、僕はフリーランスの傭兵さ」

 

「傭兵?」

 

「ああ。今回は諏訪のピンチだと言われここに来た。そして、お前達には諏訪の人達を連れて今すぐ四国に向かってくれ」

 

「ホワイ?貴方に全てを任せて私達は逃げろって言うの?」

 

「ああ。俺一人では四国へ全員を無事に送ることは出来ない。だからお前達は四国に行くんだ」

 

「………………そう言われると従うしかないわね」

 

「ああ、頼む。それから一つ、四国にいる勇者に伝言を頼みたいんだが」

 

「オーケー、分かったわ。それで誰に伝言を届ければ良いのかしら?」

 

「四国の勇者郡千景にぼ、…………俺は日本全国を巡って人助けをしている。ひと段落したからもうすぐ四国に帰る。そう伝えてくれ」

 

「分かったわ。四国に着いたら郡さんにそう伝えるわ」

 

「頼む。さて、僕は戦う準備をしに行く。君達はもう行け」

 

「そうね。………………………諏訪をよろしく頼むわ」

 

「ああ、僕に任せろ」

 

 

 

 

一日が過ぎた。

 

既に歌野達は諏訪を出て切嗣はバーテックスに備えていた。

 

《バーーーーーーーン》

 

突如として爆風が起きる。

 

その正体は切嗣が山に仕掛けた地雷による物であった。

 

「引っ掛かったか」

そう言うと切嗣は上空に向けランチャーを向ける。

 

瞬間空に無数の星屑達が現れる。そして、切嗣はそのままランチャーを放つ。

《バーーーーーーーン》

一気に星屑達は魔素へと帰す。

 

だが、今ので魔素へと帰したのは一割、最初の爆発で一割半。

 

まだ七割半も生きている。

 

そして、五割の星屑が切嗣目掛け飛んでくる。

それに対して切嗣はランチャーを真正面に撃つ。

 

放たれた弾は星屑達の真正面に撃ち込まれる。

 

そして、爆風に星屑達は煽られ飛ばされる。

 

そこに、切嗣は強化の施された炎を貯め込んだグレネード投げ込む。

それにより、切嗣に向かった五割の星屑達の内四割が魔素に帰した。

 

その中で生き残った一割と元々諏訪の町へ向かった星屑二割半が、切嗣を恐れ一気に撤退する。

 

「お前らは一体も残さず倒す」

炎を宿したランチャーの弾丸が諏訪に向かった星屑達を一掃する。

 

切嗣は全ての星屑達を倒し終えた。

「………………おかしいな。この程度なら抑止力がこんなに武器を与えるはずがない」

 

瞬間、心臓を直接掴まれているように錯覚させられる程の圧倒的な神気を感じとる。

 

「………コレか。抑止力が僕に大量の武器を渡した理由は」

 

切嗣は、神気を感じるランチャーを放つ。

 

しかし、気配は全く弱まらず、距離を詰められる。

 

「まずいな」

 

切嗣は残り全てのランチャーを速次で放つが、全て敵の放つ雷に落とされる。

 

そして、雷を纏った日本刀を持っている男が、切嗣目掛け雷を放ってくる。

 

それに対して切嗣は炎を放つが、雷に打ち消され雷が近くにまで迫る。

 

切嗣は雷を最低限の動きで躱し、弾丸を放つが日本刀で弾かれ、さらに距離を詰められる。

 

距離を詰められるのを危惧した切嗣は後ろに飛びながら、右手で炎を貯め込んだグレネードを投げ、左手で炎を溜める。

 

相手は日本刀でグレネードを斬るがそこから炎が溢れ出し全身を包み込む。

 

炎が全てを呑み込んだ瞬間、紫色の雷光が炎を吹き飛ばす。

 

そして、全身を雷に包んだ神はそのまま切嗣に斬りかかる。

 

Time alter・square accel (固有時制御 四倍速)!!」

切嗣はスレスレで雷に覆われた日本刀を躱し、バックステップで後ろに飛びながら『起源弾』を放つ。

 

「ムッ!!」

神は弾丸を躱し、重心を下ろす。そのまま右手で握っている日本刀を後ろに構え、一瞬にして切嗣の前に現れそのまま切嗣に目掛け水平斬りをする。

 

「クッッッッ!!」

切嗣は極限まで背を逸らし躱す。

 

しかし、日本刀は空振ったものの、その斬撃で山一つが横半分に割れる。

 

(あんな物一撃でも受けたら終わりだぞ!!)

切嗣はその一撃に死を直感する。

 

Time alter・square accel (固有時制御 四倍速)!!」

固有時制御で加速し、後ろを取る。

そのまま、左手に貯め込んだ炎全てを放つ。

 

神は雷で防ぐが完全には防ぎきれず、ある程度の炎が神に迫る。

 

しかし、神は炎を日本刀による雷の斬撃で斬り伏せる。

 

そこに切嗣は無防備な神に対し、今保有するグレネード全てを神に投げる。

 

数個のグレネードにより壮大な爆風が起きる。

 

切嗣はその爆風に煽られ後ろに飛ばされる。

 

その中に紫の閃光が疾る。

 

「『雷鳴 一の太刀』」

武甕槌の必殺の壱が切嗣に目掛け刀が振り下ろされる。

 

その瞬間切嗣は死を確信する。

 

すると、今までの記憶が走馬灯として蘇る。

 

しかし、そのどれもが衛宮切嗣(自分)のものではなく衛宮切嗣(アサシン)のものであった。

 

(ああ、そうか。もう衛宮切嗣()衛宮切嗣()じゃないのか。)

 

そこで衛宮切嗣の意識は途絶えた。

 

 

 

 

されど、神…………………武甕槌の刀は切嗣に届くことなく、逆に背中を矢で射抜かれていた。

 

「…………はぁ。今ので倒せれば良かったのだがな。これだから幸運Eは嫌になる」

そう言って、なんとも言えない顔で赤い外套の男…………衛宮士郎は続く第二射を放つのであった。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。


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衛宮士郎VS武甕槌

二週間くらい一週間に一回位の投稿頻度になると思います。すみません。


士郎の第二射は武甕槌が雷で叩き落とし、雷を纏い士郎目掛け加速する。

 

「行くぞ、人の子よ」

 

自身に向かい一直線で飛んでくる、武甕槌に士郎は己が最も信頼する武器で応戦する。

ーーーーI am the bone of my sword.(我が骨子は捻れ狂う)。『ーーー偽・螺旋剣(カラドボルグ)』!!」

 

放たれた矢は武甕槌目掛け飛んでいく。

 

そして、武甕槌は日本刀を雷で覆い『偽・螺旋剣』に目掛け振り下ろす。

 

「……………掛かったな。爆ぜろ」

 

武甕槌が日本刀を振り下ろす瞬間『偽・螺旋剣』が爆ぜる。

 

「ヌッ!?」

剣が爆発するなど考えていなかった武甕槌は爆発を直撃で喰らい後ろに飛ばされる。

 

後ろに飛ばされ、無防備な武甕槌に士郎は追撃を掛ける。

「投影開始、『ーーー赤原猟犬(フルンディング)』!!」

 

武甕槌は雷で矢を落とそうとするとするが、その雷を士郎の放つ矢が打ち消す。

 

そして、フルンディングが武甕槌へ迫る。

 

武甕槌は未だ空中に飛ばされ、『赤原猟犬』を回避できる状態ではない。雷で追撃しようとすると士郎の矢に打ち消される。

 

そのため、日本刀で『赤原猟犬』を弾くしかないのだが、それは士郎も読んでいる。

 

故に士郎は日本刀を弾く矢を既に構えているのだが、相手は武神。

 

最初は士郎の攻撃にやられたものの既に対応している。

 

故に、士郎の次の一手は読まれている。

 

「………………………来い『天鳥船(あまのとりふね)』!!」

武甕槌の呼び掛けに応じ、神性を帯びた船が現れる。

 

それを目視した士郎は、

「チッ、こっちの行動を読まれていたか。ならば、」

 

『ーーーーI am the of my sword.(体は剣で出来ている。)

士郎に無数の紫雷が飛ぶ。

 

「投影開始 ーーー『Steel is my body, and fire is my blood.(血潮は鉄で、心は硝子。)』」

無数の剣が無数の紫雷を打ち消す。

 

今度は士郎の頭上に巨大な雷が落ちてくる。

「投影、開始。『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!!ーーー

I have created over a thousand bladese.(幾たびの戦場を越えて不敗。)

  Unknown to Death (ただ一度も敗走はなく、)

 Nor know to Life.(ただ一度も理解されない。)

 『熾天覆う七つの円環』が三枚の花弁を散らし雷を防ぐ。だが、既に頭上には『天鳥船』が来ており、そこから武甕槌が飛び降りてくる。

そのまま、武甕槌は雷を纏わせた刀を振り下ろす。斬撃と上空から飛んできた勢いが相まって一撃で四枚の花弁を散らす。

 

「クッ、これが『布都御魂』の力と奴自身の雷神としての力か」

士郎は冷や汗を掻きながら、『干将・莫耶』を投影し、瞬時にオーバーエッジ状態にする。

  

武甕槌と士郎は斬り合いが始まる。

 

しかし、武神と雷神の力を保有する武甕槌に対し、士郎は強化の魔術を使用して底上げをしているだけである。

 

故に士郎は押し負け、真正面から斬られる。その勢いのまま、後ろに飛ばされる。無防備な士郎に、武甕槌が雷を纏い加速する。

士郎は無数の大剣を放つが全て雷と『布都御魂』で破壊される。そこに、士郎はオーバーエッジ状態の『干将・莫耶』を放つ。

 

「ーーー鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)

 ーーー心技、泰山ニ至リ(ちから やまをぬき)

 ーーー心技、黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)

 ーーー唯命 別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)

 ーーー両雄、共ニ命ヲ別ツ(われらともにてんをいだかず)

 ーーー『鶴翼三連』!!」

 

「ほう、人の身で中々の技を。ならば、」

武甕槌は士郎の技術を見抜き、全力で向かい打つ。

 

雷で全てを覆った武甕槌は武神としての技術を持って士郎の絶技を叩きのめす。

「『雷鳴 神速回旋』」

横に一回転をし『布都御魂』で四本を破壊する。また一回転した瞬間に、空間は士郎を引きつけ迫り来る士郎へ更にもう一撃を加える。その一撃は最初の一太刀より速く、鋭く、重い。

 

「クッ!?」

そのまま、士郎は後ろに飛ばされる。

 

士郎は後ろに飛ばされながら、次の手をうつ。

Have withstood pain to create many weapons.(彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う。)

されど、武甕槌は士郎に攻撃の隙を与えない。

 

雷の一閃を加える。

「『雷鳴 一の太刀』」

 

「しまっ!?投影開始!!」

士郎はヘラクレスの斧を投影し、強化をする。

が、そのまま、斧も折られ一撃を喰らう。

 

「ガハァッ!?」

士郎は後ろに飛ばされる。

飛ばされながらも、何とか詠唱をする。

Yet,those hands will never hold anything.(故に、その生涯に意味はなく、)

 

「させるか『奥義 雷鳴 閃光乱舞』!!」

 瞬間、神速の十二連撃が士郎を襲うが、

 

ワンテンポ遅かった。

So as I pray,UNLIMITED BLADE WORKS.(その体は、きっと剣で出来ていた。)!!』

既に固有結界が発動され、士郎の居た場所には誰もいなかった。

 

「間に合わなかったか」

そう、武甕槌は独り言を漏らすのであった。

・・・・・・マーリン

僕としては衛宮切嗣はそこで死ぬと思っていたが衛宮士郎が介入した事で生き残るとは。

 

それど、衛宮士郎という一つの戦力が無くなったが武甕槌が消えた事を踏まえればむしろ幸運だ。

 

また、抑止力の戦力と衛宮切嗣と勇者達の力が有れば四国は守れる。

 

そこで衛宮切嗣が◾️◾️◾️◾️の力を使えれる様になったら、天津神達も倒せるだろう。

 

 

 

さて、これからは衛宮切嗣が四国に向かいせそこで四国を守って、生き延びれば人類の滅亡を延ばせる。

 

万が一にも負けそうになればアラヤとガイアの戦力を投入し撃破。

 

または衛宮切嗣が◾️◾️◾️◾️の力を制御し扱うことが出来るようならガイアとアラヤの勝利。

 

つまりは衛宮切嗣が◾️◾️◾️◾️を制御できるかどうかが鍵になる。

 

僕としては、僕の目指す『ハッピーエンド』になるといいんだけどね。




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衛宮切嗣は勇者に非らず編
四国への帰還


目を覚ますとそこは何もない空間だった。

 

「……………抑止力か」

 

ああ。

 

「お前が僕を助けたのか?」

 

否。衛宮士郎が貴様を助けたのだ。

 

「士郎が?」

 

そうだ。

 

「そうか。それでどういう要件で僕を呼び出したんだ?」

 

 

そうだな、貴様にはこれより四国に行ってもらう。

 

「四国?」

 

既にバーテックスに対する防衛戦が四国にまで下がっている為、来年になれば間違いなく奴らは侵攻を再開する。そして、その間に貴様には色々やってもらう。

 

「…………抑止力の言うことを素直に聞くのは癪だが、分かった。僕は四国に向かう」

 

………………ところで、衛宮士郎がどうなったか聞かないのか?

 

「…………お前がわざわざ聞いたんだ、いい話なわけがない」

それだけを言い残し切嗣は抑止力の座を出て、四国に向かう。

 

諏訪に戻ると切嗣はチューブ地方の他の避難民を連れ、四国へと一ヶ月をかけて帰還した。

 

四国に着き、情報収集とこれまでの情報を整理していたら分かった事が三つあった。

 

まず一つ目は、切嗣も薄々勘づいていたが、大社は諏訪を捨て駒にして四国の存命を図っていたこと。

 

二つ目は、天の神を崇める狂った集団が各地にいること。

 

最後に三つ目は、『衛宮切嗣』は『葛城山上の戦い』で死んだことにされていること。

 

まあ、『衛宮切嗣』と言う存在は既に統合され死んでいるようなものなのだが。

 

 

切嗣はこの先について考えていたところ、大社の者達が近づいてきた。

 

だが、既に弾丸のリロードは済ませており、いつでもホルダーから放てるようになっていた為切嗣はさほど警戒していなかった。

 

そんな中、大社の者達の内の一人が、切嗣に頭を下げ、

「神樹さまから神託は受けております。今日より勇者の皆様への指導よろしくお願いします」

そう言い、更に深く頭を下げる。

 

(抑止力のやって貰うことって言うのはこれか。はぁ、面倒くさい仕事を僕に回すのは本当にやめて欲しいものだな。)

 

そう文句を心の中で言いながら、大社の案内の元、勇者達が待っている場所に向かう。

 

・・・・・・香川の丸亀城付近にある勇者専用の道場にて、切嗣は自己紹介をする。

 

「僕はこれから君たちに指導をするえm、…………奈良、元安だ」

 

「あれ絶対偽名だよな」

そう男勝な少女が言う。

 

「ちょ、タマっち先輩そういうこと言っちゃ」

気弱そうな、男勝な少女とは真反対な少女がが言う。

 

………だが切嗣の耳には届かない。

何せ、切嗣は千景を凝視しているのだから。

 

まあ、お面をつけている為誰も気付かないのだが。

 

そんな中、小学生らしからぬ一人の凛々しい少女が切嗣の前に出て、

 

「私の名前は乃木若葉。ここのリーダーをしている。これからよろしくお願いする」

そう言って手を出す。

 

「ああ、よろしく」

切嗣はそっけなく手を握って早々に手を離し、大社の人に対し、

 

「僕の指導って今日からしても良いのかい?」

 

「ええ、して頂けるのならお願いします」

 

「そうか。…………僕は君達の技量を知らないから特訓方法が分からない。だからこれから君達の技量を図る。君達はもう武装をしているからこれからすぐに始める。…………………さあ、全員まとめてかかってこい」

その言葉に一同が静まる。

 

その中で一番に反応をしたのが、

 

「はあ!?タマ達まとめてかかってこいって言ってるのか!?」

 

「…………そうだが?」

切嗣は何を驚いているのか分からないような声で答える。

 

「くぅぅう!!舐めやがって」

そういってタマは一直線に突進してくる。

 

「…………攻撃が真っ直ぐすぎる」

そう言って、必要最低限の動きで躱し無防備なタマに足を引っ掛け転ばせる。

 

「あふん」

そう情けない声を上げ、タマは地面に顔を打つ。

 

「…………言った筈だ。まとめてかかってこいと。でなければ勝負にならないと」

 

「むっ。ここまで舐められるとは。その言葉後悔させてやる」

そう言い、若葉は走ってくる。

 

「…………日本刀、威風堂々、武甕槌」

切嗣はそんな連想ゲームをしながら、若葉の振り下ろす木刀を人差し指と中指で止め、弾く。

 

「成る程。中々早い攻撃だ。相当な修行を積んだんだろうな。だが、僕には通用しない。やるんなら絡めてをするんだな」

そう言い、二本の指で弾く。

 

「若葉しゃがんで」

 

「了解した」

 

そう言い、若葉がしゃがむと、歌野が飛び出して来た。

 

「…………白鳥か」

切嗣は、鞭に注意しながら、歌野を見る。

 

「はぁぁあ!!」

歌野は切嗣を拘束しようとするが、

 

切嗣は鞭を掴み、回転してそのまま壁に投げつける。

 

「クッッッ!?カハァ!?」

歌野は壁に叩きつけられ、地面に倒れる。

 

「乃木を使った奇襲は良かったが、乃木のことを読んだせいで奇襲がバレたそこが改善点だな」

 

「…………それはベリーディフィカルトな事を言うわね」

歌野は辛そうにそう言う。

 

「当たり前だ君たちは人類の存亡を背負っているのだから」

そう言い、切嗣は、横に飛ぶ。

 

すると、切嗣の元いた場所に鎌が振り下ろされていた。

 

「気配を殺し、何の躊躇いもなく鎌を振るとは、この中では一番期待できそうだな」

そう、無表情で切嗣は言う。

 

鎌を振り下ろした千景は、無言で振り下ろした鎌を、下から上に斬り上げる。

 

切嗣はスレスレで躱し、鎌が完全に上に振り上げられた瞬間に右手で鎌を弾き、そのまま左手で腹に衝撃を与える。

 

「クッ」

千景は前のメリに倒れこむ。

 

それを見て切嗣は

(…………少しやり過ぎたか。相手は女の子……って千景だけにそう考えるのはおかしいか。)

 

「勇者………パンチ!!」

 

切嗣が考え込む中友奈は渾身の一撃を切嗣に向ける。

 

本来なら、ギリギリで躱しカウンターをするのだが考え事をしていた為反応に遅れる。

 

そのため、友奈の拳をスレスレの所で躱す。

 

その中、前傾姿勢の友奈はそのまま切嗣に足を掛ける。

 

切嗣は後ろに飛び、躱す。

 

友奈は追撃を仕掛けてくる。

 

その連打は一撃一撃が速く重い。

 

が、当たらなければどうと言うことはない。

 

切嗣は全てを躱し、隙を伺う。

 

そうなれば、必要最低限の動きで躱している切嗣に軍配が上がるのだが、彼が戦っているのは一人ではない。

 

既に切嗣の後ろには二人の少女が回り込んでいる。

 

「「はぁぁぁあ!!」」

旋刃盤と刀が後ろから迫る。

 

「成る程。七十点だ」

そう言い、切嗣はかがみ込み跳躍する。

 

それにより、刀と旋刀盤、友奈の連打を躱し、天井を使い急降下する。

 

そのまま、手刀で若葉の意識を刈り取ろうとするも、歌野、千景に防がれる。

 

攻撃を失敗した切嗣に、千景、歌野の間から杏の矢が迫る。

 

横に躱そうとするも、若葉と玉が妨害する。

 

そして、切嗣は英霊としての一端を見せる。

 

杏の攻撃もタマの攻撃も若葉の攻撃も全て、届かない。

 

勇者の力を使っていない唯の人間には切嗣の動きは追えない。

 

「終わりだ」

そう言い、次々と勇者達の意識を刈り取っていく。

 

 

 

 

・・・・・・勇者達が目を覚ますと、既に切嗣は居らず大社の人間が今日の鍛錬はここまでだと伝えて解散になった。

 

その中で歌野は切嗣に呼び出されていた。

 

「いったい私に何のようかしら?」

 

「……………僕が偽名を使った理由についてだ」

 

「やっぱりそのことね」

 

「ああ。既に四国では僕は死人だ。大社は僕が生き残っていることを知っているようだが、何か都合が悪いのかそれを伏せている。それに、僕自身がこの世界の『衛宮切嗣』としての人格かどうかを聞かれると違うと思うからね。だから僕はこれから奈良元安として生きていくよ」

 

「そう。貴方がそうするのなら私は止めはしないわ。けれど郡さんをどうするつもり?」

 

「…………もし、藤森が君のことを完全に忘れられていたら君はどう思う?」

 

「…………ッ、それは本当に辛いわね」

 

「だろ。だから僕はひと段落ついたら、『衛宮切嗣』を演じて、『衛宮切嗣』のことを忘れてもらうさ」

 

「……………記憶はもう戻らないの?」

 

「…………………ああ。僕の雇い主が言うには神の奇跡でも起きない限り戻らないそうだ」

 

「……………ッッ。そう」

 

「……………だから、千景には僕の名が『衛宮切嗣』であることは言わないでくれ」

 

「…………分かったわ」

 

「話はそれだけだじゃあな」

そう言い残し切嗣は部屋に帰ろうとすると、

 

「待って」

歌野が切嗣を引き止める。

 

「何だ?」

 

「諏訪の時助けてくれてありがとう」

 

「…………別に僕は何も守っていないさ。諏訪の人達を救ったのは君たちだろ?」

 

「…………貴方にとってはそうかもしれないけど私達にとっては違うのよ。だから、改めてお礼を言うわ。私達を守ってくれてありがとう」

 

「……………………………ッッッッ!?そうか。まあ、君達が無事に四国へ行けて良かったよ」

そう言い、切嗣は部屋へと戻った。

 

歌野はそれを見て、

「本当に素直になれない人なのね」

そう言って部屋に戻った。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。







乃木若葉からの好感度 30 指導する人が腕の立つ人で良かった。いつの日必ず勝ちたい相手。

高嶋友奈からの好感度 50 凄く強い人。毎日手合わせ出来るのが嬉しい。けど、何故か凄く辛そうに見える。

郡千景からの好感度  30 本来無条件で好感度はマイナスになるのだが、何故か彼は嫌えない。時々彼の行動が何処にいるのか分からない『衛宮切嗣』に重なってしまう。

伊予島杏からの好感度 −10 必要なことしか喋らず怖い。

土井球子からの好感度 −30 舐められていて悔しい。スカしていて気に食わない。

上里ひなたからの好感度 20 面識がないが神託で信頼できる人と知っている。

白鳥歌野からの好感度 60 諏訪を救ってくれた人。背負い切れない物であろうと全てを背負ってしまう悲しい人。心のそこから救いたいと思っている。

藤森水都からの好感度 40 諏訪を救ってくれた人。本当は怖いが、歌野に話を聞いて怖さが少し減った。

衛宮切嗣から勇者達への好感度 

乃木若葉 −30 融通が効かないタイプ。得意な不意打ちを嫌うタイプな上に真面目過ぎる。
               
高嶋友奈 −30 性格が苦手。

郡千景 70 『衛宮切嗣』の根本はそう簡単には変わらない。大親友。一番大切(恋愛的な意味ではない)。

伊予島杏 −10 気弱なのが傷だが何処か自分に類する鬼畜手段を扱えそう。

土井球子 −50 真っ直ぐすぎる。単純。うるさい。

上里ひなた 0 知り合ってないためノーコメント。

白鳥歌野 30 自分に感謝をする少女に少しの興味を持っている。気にかけている。

藤森水都 20 やれば出来る子だろうが気弱なためダメ。けれど、夜に自身へ諏訪でのお礼をされ、気にかけるレベルに。

               


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初陣の恐怖

これからは週ニのペースで出せると思います。


僕が勇者達の指導を始めて一年が経った。

 

その中で、上里ひなたと言う巫女とも話すようになった。

 

僕としては必要以上に交友を持ちたくないのだが、アッチが喋ってくるので無視出来ず相打ちをうっている。

 

まあ、それによりバーテックス侵攻の情報も入ってくる為、利益もあるのだが。

 

………それよりも、この一年の間にランサーとアーチャーそしてセイバーの守護者を倒した。

   これにより事実上四国が人類の最後の希望となった。

 

また、遂にバーテックスが四国侵攻を開始し、今日の内に仕掛けてくると言う神託が上里にいった。

 

その為、今勇者達の居る食堂には緊張感が漂っている。

 

特に酷いのは杏だ。

 

顔色は良くなく、小刻みに震えている。

 

側に球や友奈が着いているが、余り良い風向きではない。

 

切嗣は何か言おうかと思ったが自分より球達の方が適任だと考えて、遠くから見まっもている。

 

そんな切嗣にひなたが話しかける。

「何か言いに行かなくて良いんですか?」

 

切嗣は、

「僕が何か話しかけたら、プレッシャーに感じるかもしれないだろ?」

 

「………元安さんはなんやかんや言って周りを良く見ていますよね」

 

「別にそんなことはない。まあ、僕たち非戦闘員は下手な事を言えないからな。………………それより君は乃木の所へ行かなくて良いのか?」

 

「………ええ。今はその時では無いと思うので」

 

「そうか。なら僕は何も言わない。けど、余計な事だろうがまだ朝食をとっていないだろ、その時に乃木の隣にいてやれ」

 

「………!。ふふふ。元安さんは優しいですね」

 

そう言い、ひなたは若葉の元へ行く。

 

「ムッ…?」

そんな中切嗣は声を上げる。

 

それは、いきなりひなたの動きが止まったからだ。

 

「これは」

 

 

瞬間、世界が変わる。

 

世界は神樹によって作られた結界となり、遠くには星屑達がこちらに向かって来ている。

 

勇者達はそのまま変身するのだが、二つ問題があった。

 

一つ目は、杏が変身出来ず。

二つ目は、非戦闘員の切嗣も樹海化に巻き込まれている事だ。

 

それを見て若葉が

「なっ!?どうして、元安さんがここに?」

勇者達の気持ちを代弁する。

 

「…………僕に聞かれても困るんだが。まあ、予想はつくが」

 

「因みにその予想とは?」

 

「僕に戦場の感覚を取り戻させたい抑止力か神樹だろうな」

 

「…………どう言う事だ?」

それだけを言っても若葉達には分からない。

 

まあ、諏訪組の歌野には分かるが。

 

「はぁ、まあ話は後だ。今は前の敵に気を向けろ。もうすぐ戦いが始まるぞ」

そう言うと切嗣は何の躊躇いもなく『衛宮切嗣(アサシン)』の力を使う。

 

「!?一瞬にして元安さんの姿が」

若葉は一瞬での変身にビックリする。

 

「……………まあ、勇者の変身と似た物だと思ってくれ」

そう言い、星屑達の中央に突撃していきながら右手に炎を溜める。

 

「あっ、ちょっと待て。はぁ。全員元安さんに続け!!」

 

そう言い、変身出来ない杏を除いて切嗣に続く。

 

無数の星屑達は最前線に居る切嗣目掛け襲いかかる。

 

それを見て、歌野以外の勇者達が、

「「「「「元安さん!!!!」」」」」

と、叫ぶ。

 

が、無数の星屑達は上に吹き飛び、黒味を帯びた炎に包み込まれ焼き尽くされる。

 

「何!?あの数を一撃で」

勇者達は切嗣の力に驚愕する。

 

それに対して、切嗣は無表情に弾丸や炎、ナイフに手榴弾など多種多様な攻撃で星屑達を圧倒する。

 

その奮闘振りに他の勇者達も奮起し、各地で星屑達を一掃する。

 

その中で切嗣は星屑達の動き変化に気づく。

 

それは、星屑達は弾丸の届かない上空を飛び、杏を狙っているのである。

 

それもそのはず。強い勇者より、弱い勇者を狙うのは当然のことである。

 

されど、切嗣意外の勇者達はその星屑の動きに気づいていない。

 

それに気づいているのは切嗣一人。

 

切嗣は最前線にいる為、持ち場を離れれば他の勇者達にも迷惑がかかるだろ。

それに、切嗣にとって杏は仲間ではなく、勇者になる事の出来ない足手纏い。

 

切嗣は助ける理由は無いと見捨て、星屑達に突撃しようとするも、

体は言う事を聞かず、杏の元へ走って行く。

 

例え、『衛宮切嗣』としての人格がほぼ死んでいても、『衛宮切嗣』の根本は変わらない。

 

頭ではわかっていても、体は言うことを聞かない。

 

故に切嗣は既に星屑達を捉えており、杏を守らんと◾️◾️◾️◾️の力を力尽くで引き出そうとしている。

 

それは、『もう二度と誰も失わない為に』

 

その切嗣の志に◾️◾️◾️◾️は惹かれ、今までに渡さなかった力を渡す。

 

切嗣の体は英霊に最も近い人間の物なのだが、◾️◾️◾️◾️の力の譲渡により、一時的に半神半人になり、神霊にも近い存在となっている。

 

その中で、杏は星屑達が周りに迫っている事に気づいた。

 

「きゃああああ」

杏の叫び声に他の勇者達も気付く。

 

「あんずぅぅぅ!!」

球が大きな声で杏の名を叫ぶ。

 

他の勇者達はすぐに助けに向かおうとするが、既に杏の周りを星屑達は囲っており、遠距離武器の無い勇者達には救えなかった。

 

そして、星屑達は捕食しようと口を大きく開け、杏に迫る。

 

「い、ぃゃ。誰かたすけて

その小さな声をしっかりと聞いた者がいた。

 

「ああ、分かった。()に任せろ!!」

そう言い、切嗣は上空から、星屑達に向け、いつもの数倍の威力の炎を放つ。

 

「炎に飲み込まれろ!!」

それにより、星屑達は一瞬にして倒される。

 

そのまま、切嗣は杏を守る様にして前にでて星屑達を睨みつける。

 

その姿に杏は切嗣が丸で大好きな小説の中にいる自分を守ってくれる王子様の様に見えた。

 

その姿に妙に心臓の脈をうつ速度が上がり、顔にも熱を帯びてきた。

 

「よくも()の仲間に手を出してくれたな。……………………一匹たりとも逃しはせんぞ!!『焔』!!」

切嗣はドスの効いた声で星屑達にいい放ち炎を無造作にけれど鋭い一撃を放つ。

 

その攻撃で周りにいた星屑達全ては倒され、切嗣は振り向いて、杏の頭に手を置く。

 

杏は顔を真っ赤にしながらも不思議そうに切嗣をみて、

 

切嗣は杏に言う。

「済まない、こっちに向かうのが遅れた」

 

「い、いえ。そんなことは。それに助けてくれてありがとうございました」

 

「……………別に気にするな。()としては『杏』が無事で良かったよ」

 

「っ!その、もう一度私のこと読んでくれませんか?」

 

「………?『杏』?」

 

「はい!!」

 

「……………一体どうしたんだ?」

 

「え、えっと、その、これから私の事を杏って読んでくれませんか?」

 

「……?ああ、わかった」

 

そんな会話をしていると、初陣に勝利した勇者達が切嗣と杏の元に来た。

 

「杏!!」

そう言うなり球は杏に抱きつき、

 

杏は嬉しそうに、

「タマっち先輩恥ずかしいよ」

と言う。

 

若葉は切嗣の元へ行き、

「杏を助けてくれて有難うございます」

と、礼を言う。

 

「………気にするな。仲間を守ることは当然だろう?」

 

その言葉に勇者の皆が驚いた様に切嗣を見る。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「…………なんだその驚いた様な顔は?」

 

それに若葉が、

「い、いや。貴方の口から仲間と言う言葉が出るとは思わなくて」

 

それに同調する様に、

千景と友奈が首を縦に振り、

 

球が、

「お前、本当に元安か?」

と、訝しむ。

 

「ムッ。()は本物だ。ただ、少し内面に変化が起きただけだ」

そういうと、歌野は何処か嬉しそうに切嗣を見、他の勇者達は意味が分からないと言った様子だ。

 

「……………まあ、バーテックス達との初めての戦いは相当に危うかったものの、こちらの勝利に違いはない」

 

切嗣のその言葉に、皆は頷く

 

その中で今までの切嗣なら言わない言葉を言う。

 

「……………君たちの初めての戦いで、そして、負傷者ゼロ名だ。これから水都と上里も含めて、『()の奢り』でうどんと蕎麦のある店にでも行くか?」

 

それに対し、球が

「な、なっ!?あ、あの元安が球達を店に誘うだと!?しかも奢りで!!奢りで!!」

 

「二回も言うなよ」

切嗣は呆れた様に言う。

 

そして、樹海化は解かれ皆んなフードコートで食べるのであった。

 

「はぁ。『奢り』なんて言うんじゃなかった。まさか君たちがこんなに食べるなんて」

切嗣はため息を吐きながら言う。

 

「ふっふっふっ。タマ達を舐めたのが運のつきだったな」

そう言って球は、ない胸を張る。

 

「……ムッ。今失礼な事を考えなかったか!!」

 

切嗣は目を逸らし、

「………………………………………………………何の事だかさっぱり分からないな」

 

「なんだ今の間は!!」

 

「………さあ?」

 

そんなおふざけをやっている中、杏が切嗣に言う。

 

「あ、あのこの後って時間ありますか?」

 

左手でツッコんでくる球の頭を押さえつけながら、

「ああ、あるぞ」

 

「じゃ、その、この後お時間いいですか?」

 

「ああ」

 

・・・・・・場所は変わり、教室。

 

「それで、要ってなんだい?」

 

「…………その、元安さんはバーテックスと戦うのは怖くないんですか?」

 

「……………?…………………怖いさ、普通に」

 

「……!?元安さんでも怖いんですか?」

 

「当たり前だ。()の場合は何度もバーテックスに殺されかけているんだよ」

 

「えっ!?前にもバーテックスと戦ったことがあるんですか?」

 

「ああ、少し前は四国の防人をやっていたんだよ」

 

「そう、なんですか。……けど、バーテックスに殺され掛けているのにどうして戦えるんですか?」

 

「…………怖いからさ」

 

「え?」

 

「死ぬのは怖い、当たり前だ。人間誰しもがそういうモノだ。杏だってそうだろ?」

 

「へ?……はい」

 

()もそうだ。けど、それ以上に仲間が傷つくことの方が怖い。…………仲間を失うのなんてほんの一瞬だ。失ってしまったら相当に萎えるぞ」

 

「……………それって、元安さん自身が」

 

「そうさ、()はそれを一度経験している。だから()は前線で戦う、その為には自分の恐怖心だって殺す。ただそれだけさ」

 

「………」

 

「ああ、もう分かりにくいなこれは。はぁ、まあ杏なら土居を守りたいそう思えれば、変身できると()思う」

 

「そう、なのかな?」

 

「ああ、杏は優しいからな。…………まあ、なんだ杏がピンチな時には必ず駆けつけて助けるさ。約束だ」

切嗣は真面目な声色で言う。

 

「っ!?」

切嗣の言葉に杏は顔を真っ赤にする。

 

「?」

顔を真っ赤に染めている杏を不思議そうに眺めながら、言う

 

「さてと、そろそろ隠れてないで出てきたらどうだ、乃木達」

 

「ムッ!」

 

「あら?」

 

「えっ!?」

 

「な!?」

 

「………!?」

 

「やっぱり気づいていたのね」

 

「相変わらずですね」

 

上から若葉、ひなた、友奈、球子、千景、歌野、水都のそれぞれが反応をする。

 

「えっ!?どうして、若葉さん達が!?」

 

「いや、その、なんだ球子が元安さんと杏が夜の教室に二人っきりだとうるさくてな」

 

「ッッ!?」

杏は一気に顔を赤面させる。

 

「はぁ、くだらないことを」

切嗣は呆れた様にため息を吐く。

 

「なあ、元安?」

球子は切嗣に声をかける。

 

「………なんだ?」

 

「いやさ、なんで杏は名前呼びでタマ達は苗字呼びなんだ?」

 

「………。なら、名前呼びにすればいいのか?」

 

「ああ!!」

 

「分かった。球子」

 

「おう!!」

球子は嬉しそうに返事をする。

 

「なら、私も」

友奈が元気そうに手を振る。

 

「はぁ。……………友奈」

 

「うん!!」

笑顔でそう答える。

 

「それなら私やみーちゃんも名前呼びで」

 

「………歌野、水都」

 

「ッ!。ワオ、グレイトな響きね」

歌野は少し顔を赤面させながら、答える。

 

「うん」

水都も嬉しそうに答える。

 

「み、皆が名前呼びならば私も」

照れながら言う。

 

「………若葉」

 

「ああ」

若葉は嬉しそうに答える。

 

その中で、友奈が

「それなら、ぐんちゃんも名前呼びにしようよ」

 

「……!?…………………………………千景」

お面で顔を隠している為誰も気付かないが、切嗣は顔を赤面させている。

 

「…………」

千景は何も返答しないが顔を真っ赤にしてそっぽを向いている。

 

「………そのさ、この際だから言うんだけどそろそろタマ達に元安の本当の名前を教えて欲しいんだ」

 

「……………それは、その」

 

そんな中、歌野が、

「………そろそろ、本当の名前を言うべき頃合いじゃないかしら?」

と言う。

 

「…………。分かった」

そう言い、切嗣は仮面を外し、フードをはずそうとフードに手をかける。




すいません。いつも以上に長い話になっちゃいました。



解説

効率より、仲間を優先したことにより◾️◾️◾️◾️は力を与えた。

それにより、力は増しさらに、『衛宮切嗣』としての感情や記憶の三分のニが復活した。

つまり、今の『切嗣』は『衛宮切嗣』と言っても過言では無い。


誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。


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『衛宮切嗣』と休日の三日間

今回も長い話です。

ええ、どうもえみ太郎です。

私は今ウマ娘達を育てています。……………まあ、それで逃走しまくり全く小説を書いていませんすみません。

それでなんですが、まだまだウマ娘を育てている途中なので更新ペースが相当減ります。

本当にすみません。


()の本当の名前は『衛宮切嗣』だ」

 

その言葉に千景は動揺する。

「き、りつぐ!?」

 

「ああ」

そう言い、被っていたフードを外す。

 

「………………えっと、なんだ」

切嗣は髪をかきながら、

 

「ただいま」

 

そう言うと千景は切嗣に飛びついて来る。

「切嗣!!」

 

困った様な顔をしながらも、切嗣は千景の頭を優しく撫でる。

「ずっと一人にさせて悪かったな千景」

 

千景は泣きそうな声で、

「本当よ、バカ」

と言う。

 

「本当にすまない」

 

そう言うと千景は切嗣から離れ、切嗣の顔を見上げて、

「お帰りなさい」

 

「ああ、ただいま」

 

二人だけの空間になっている中、杏が

「あ、あのお二人だけの時間に恐縮なんですが、そのお二人のご関係って…………」

 

「ああ、それは幼馴染で親友だ」

 

「ええ、今のところはそうね」

千景は意味深な言葉をボソッと言う。

 

切嗣は聞き逃したが杏は聞こえており

「今のところは?」

と、ジト目で千景に聞き返す。

 

「いえ、なんでもないわ」

千景は無表情を装いながら答える。

 

この後、切嗣は勇者達に『衛宮切嗣』について勇者達に根掘り葉掘り聞かれ、解散になるのであった」

 

「はぁ、疲れた」

 

「お疲れ様」

 

「ああ。千景もな」

 

「え?」

 

「今日の戦いさ。相当頑張っていただろ」

 

「…………見ていてくれたのね」

 

「当たり前だ。それに友奈だって君の事をしっかり見ていたはずだぞ」

 

「高嶋さんも?」

 

「ああ」

 

「そうなのかしら?」

 

「千景の場合は君自身が自己評価が低いからな」

 

「?」

 

「それと一番大切な事なのだが、千景は自分が『勇者』だから友奈や勇者が一緒にいてくれていると思ってるんだろ?」

 

「えっ、…………………そうね」

 

「ならそれは間違いだ」

 

「?」

 

「みんなは『勇者 郡千景』ではなく、仲間の『郡千景』として見てるんだよ」

 

「ッ!」

 

「まあ、こう言うのは実際体験しないと分からないものだ。だけど覚えておいてほしいんだ」

 

「ええ、分かったわ」

 

「そうしてくれ。じゃあは部屋に戻るはお休み千景」

 

「ええ、お休み切嗣」

 

それから一日が経ち、食堂に行くとそこにはいつも以上にはしゃいでいる勇者達がいた。

 

「…………一体何があったんだ?」

切嗣は近くにいたひなたに聞いた。

 

「ああ、それは昨日の戦いを大社の方々が報道し、今ニュースで流れているからですよ」

 

「なるほど。だからか」

 

「ええ、それに切嗣さんだって報道されていますよ」

 

「興味ない」

そう言い、きつねうどんを食べる。

 

「あれ、切嗣が食堂で食べるなんて珍しいな」

球子が切嗣に話しかける。

 

「?ああ、これからはこっちで食べようかと思ってな」

 

その言葉に勇者達は笑顔になる。

 

それを見て、歌野は

「やっと私達と話す気になってくれたのね」

 

「まあな」

そう言い、切嗣は無言でうどんをすする。

 

 

 

 

朝食を食べ終え、少ししてから勇者達は道場に集まり切嗣に指導を受けていた。

「はぁぁあ!!」

若葉の鋭い一撃が切嗣の胴体に迫る。

 

「チッ。Time alterーdoble accel (固有時制御 二倍速)

切嗣の加速により、刀は空振りし若葉は気絶させられる。

 

「くぅぅう!!ずるいぞそれ」

球子は切嗣の使った固有時制御に文句を言う。

 

「僕《俺》としては固有時制御(これ)を使わなければならないほどにお前達は強くなっていると言う事なんだが」

 

「そうか!!タマ達が強くなったからそれを使ったのか」

と、球子は言う。

 

(チョロいな)

切嗣は心の中で呟く。

 

「まあそんなことより、次の戦いは来週の内にある。だから今週の三日間は休みだ。その三日間は自由に使ってくれ」

 

「え、いいのか?」

球子は嬉しそうに聞く。

 

「ああ」

 

「やったぁ!!なら、杏遊びに行こう」

 

「うん」

 

「そう言う事で解散」

切嗣はそのまま、部屋に戻ろうとすると千景に、

 

「ねえ、切嗣」

 

「なんだ?」

 

「明日は暇かしら?」

 

「?………ああ、暇だが」

 

「なら、昔みたいにまた遊ばないかしら?」

 

「ああ、いいなそれ」

 

「じゃあ、明日」

 

「ああ」

そう言い、切嗣が帰ろうとするとまたしても止められる。

 

「ハーイ、切嗣。なら明後日は暇かしら」

 

「ああ。三日間は暇だ」

 

「オーケー。なら、明後日は私に付き合ってもらうわね」

 

「分かった」

 

「なら明明後日はタマと杏と遊ばないか」

 

「はぁ、分かった」

 

「他にないな。……………じゃあ今度こそ解散だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一日が過ぎた。

(さて、出来るだけ()は『衛宮切嗣』として千景に接したいものだな。)

 

切嗣は千景の部屋に行き、ノックをする。

 

すると千景がドアから出てき、

「どうぞ、入って」

 

「ああ」

 

「………さて、一体何のゲームをする?」

 

「ああ、千景のお勧めはなんだ?」

 

「そうね、やはりス○ブラかしら」

 

「ああ、良いなそれは。早速やるか」

 

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、()のリザー◯ンが!!クッまた()の負けだ」

 

「また私の勝ちね」

 

「クソが……………………ってもうこんな時間か。ご飯を食べたらお開きかな」

 

「ええ、そうね」

 

「………次こそは()が勝つぞ」

 

「いいえ、また私が勝つわ」

 

「ところでご飯はどうするんだ?」

 

「そうね。そ、その切嗣がよければ私が作って良いかしら?」

 

「?ああ。()としても千景の手料理は食べてみたい」

 

「!!。そう、分かったわ。少し待っていてちょうだい」

 

「ああ」

 

それから時間が経ち、料理ができた。

 

「ご飯できたわよ」

 

「おお、和食か」

 

「え、ええ。口に合うか分からないけれど」

千景は自身なさげに言う。

 

「そんな事ないだろ。いただきます」

そう言い、肉じゃがを取り口に運ぶ。

 

「あむ。美味い!!」

そう言って、次々と千景の手料理を口に運ぶ。

 

「美味いよ。千景」

 

「ッ!!そう、それならよかったわ」

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末様でした」

 

「さて、じゃあお開きかな。………おやすみ千景」

 

「ええ、おやすみなさい」

 

そうして、休みの一日が過ぎた。

 

 

二日目 朝

(歌野に呼び出されるなんて珍しいな。)

 

そう思いながら、歌野の部屋をノックする。

 

「ハーイ、グッドモウニング。切嗣」

 

「ああ、おはよう歌野」

 

「それで、今日は何をするんだ?」

 

「そうね、今日は一緒に農業をして欲しくてね」

 

「そう言うことか、分かった」

 

「オーケー、じゃあ、レッツゴー」

 

「ああ」

 

場所は変わり、切嗣達は丸亀城の裏側にいた。

 

「まさか、丸亀城の裏側に畑を作っているとは」

 

「ええ、結界内で暮らすのに農業は必須でしょ」

 

「そうだが、香川って農業しにくい土地じゃないか」

 

「ええ、前回は苦労したけど今回からは大丈夫よ。今は開墾を手伝ってほしいの」

 

「分かった」

 

 

 

 

開墾を始めて数時間が経った。

「切嗣は筋がいいわね」

 

「そうか?有り難う」

 

「ええ」

 

「切嗣さん、うたのんお昼ご飯を持ってきたよ」

 

「………悪いな」

 

「サンキュー、みーちゃん」

 

「うんうん、全然良いよ」

 

「………これはうまいな」

そう、水都の作ったサンドイッチを評価した。

 

「でしょ。みーちゃんの作るサンドイッチは絶品よ」

 

「本当に絶品だな」

 

「えへへ、そうですか?」

水都は照れながら答える。

 

「ああ…………さて、水都の美味いサンドイッチは食べたし、仕事に戻るかね」

 

「ええ、そうね」

 

そうして、切嗣と歌野は農作業を再開する。

 

そして、夜になった。

 

「さて、これで終わりね」

 

「そうだな」

 

「じゃあ、これからカレーを食べましょう」

 

「いやカレーはいきなりじゃレトルトぐらいしか」

 

「ノンノン。心配はいらないわ。既に準備は出来てるもの」

 

「そうなのか」

 

「ええ。さあ、行きましょう」

 

「ああ」

 

そして、食堂には水都がいた。

 

「準備はできているよ」

 

「ありがとうみーちゃん。さあ、食べましょ」

 

「そうだな」

 

「「「いただきます」」」

 

「あむ。………美味い!?」

 

「うん!!デリシャスね」

 

「うん、すごく美味しいね」

 

「けど、どうして()にカレーを?」

 

「貴方には農業の楽しみを知って欲しかったの。このカレーの具材は全て、私が一から育てた野菜を使っているのよ」

 

「…………そうか。なるほどこれは趣味になってしまうな」

 

「そうでしょ。貴方もこれから一緒に農業をしないかいら?」

 

「ああ。()でよければ」

 

「そう、決まりね」

 

 

 

 

そうこうして、

「「ごちそうさまでした」」

 

「お粗末様でした」

食事を終えた。

 

「じゃあ、()はこの辺で二人ともお休み」

 

「ええ、お休み」

 

「お休みなさい」

 

「おう」

 

そうして、休日の二日目が過ぎた。

 

三日目 朝

切嗣は朝に起きて球子の部屋をノックする。

 

「おお、来たか切嗣」

 

「ああ、それでなんの様だ?」

 

「それは、お礼がしたかったんだよ」

 

「お礼?」

 

「ああ、三日前に杏を助けてくれただろ」

 

「別に、仲間を守ることは当然の事だ」

 

「いえ、私からしたらそうじゃありません」

と、球子の間から杏が出てくる。

 

「ムッ、分かった。それでなんだ?お礼って」

 

「えっと、私切嗣さんの趣味とか好きなものとか分からないので、いらないものかもしれませんがコレを」

 

「服か?」

 

「ええ。その切嗣さんがいつもその大社の服を着ているので」

 

それは黒のズボンにに黒のコート、白のパーカー付きの服だった。

「ありがとう。杏」

 

「それと、タマからはこれだ」

 

「コレはタバコ?」

 

「ああ!!前にタバコを欲しそうに見ていたからな」

 

「いや、吸いたいとは思っていたが()は未成年だし、それに君たちだって未成年なんだ。どうやってタバコを?」

 

「それは、大社の人にお願いして」

 

「あの腰抜けどもが」

 

「えっ?」

 

「あ、いやなんでもない。それとさっき言ったが僕は未成年だぞ」

 

「なっ!?未成年だと」

 

「ああ」

 

「てっきり二十歳位かと」

 

「………それは()が老けていると」

と、切れた様子で言う。

 

「え、あ、いやそのなんていうか。そ、そう大人びて見えて」

 

「ほう」

切れた様子の切嗣は球子に近づく。

 

杏は慌てた様子だ。

 

切嗣はそのまま球子の頭に手を置き撫でる。

「冗談だ。すまない」

 

「う、な」

 

切嗣はすまないと言いながらもずっと球子の頭を撫でている。

「た、タマを女の子扱いするな!!」

と切嗣の手を弾く。

 

「何言っているんだ。球子は十分可愛らしい女の子だろ」

 

「はあ!?」

球子は顔を赤面させ、切嗣に弱々しいパンチをする。

 

そんな中、杏は鋭い視線を切嗣に向ける。

 

それに気づいた切嗣は、

「どうした杏?」

 

「いえ、別に。切嗣さんとタマっち先輩が仲良さげで良いですね」

とそっぽを向く。

 

「はあ、」

そう言い、杏の頭に手を置き、撫でる。

 

「すまない。それと服有り難う」

 

「……ッ。それなら良かったです」

杏は赤面しながら、嬉しそうな声を殺しながら答える。

 

 

そして、勇者達の休日は終わり。

 

 

 

 

 

 

バーテックスとの第二戦が始まるのであった。




誤字、脱字もしくは感想お待ちしています。

勇者からの切嗣への好感度

乃木若葉・・・70 何やかんやでいつも自分を支えてくれる。頼れる存在

高嶋友奈・・・80 いつも最後まで鍛錬に付き合ってくれる人。友達のみんなを命がけで、守ってくれる人。
         何処か危うさを感じる。

郡千景・・・100 幼馴染であり初恋の相手。いつも自分を支えてくれる一番大切な人。

伊予島杏・・・90 命を救ってくれた人。まるで白馬の王子様みたいな人。(無自覚ながら恋心を抱いている)

土居球子・・・75 杏を救ってくれた人。心にそこから感謝をしている。最近は愛想が良く、話していて楽しい
         相手。自分を女の子として見ている唯一の異性。

上里ひなた・・・70 良く仲間のみんなを見ている人。自分が見ていなくてはと思うほどに仲間を優先する人。

白鳥歌野・・・90 みーちゃん位に大切な人。(自身が切嗣に対して異性として見ていることに気づいている)

藤森水都・・・85 うたのん関連で交友を持ち、大切な人のうちの一人。(恋心は抱いていない。)

衛宮切嗣からの勇者達への好感度

乃木若葉・・・65 それなりの仲、可もなく不可もなく。

高嶋友奈・・・75 それなりの仲。千景と仲良くしている為普通以上に大切。

郡千景・・・90 大事。『衛宮切嗣』に近くなっている為どんどん大切になっている。

伊予島杏・・・75 前より仲良くなった。

土居球子・・・70 前より仲良くなった。

上里ひなた・・・60 何となくだが少し苦手。

白鳥歌野・・・80 大切な友達。そう言える仲になったと思っている。

藤森水都・・・75 前より仲良くなった。


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