此処はどこ?迷子の日本国 (特殊作戦群)
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プロローグ~戦場への帰還~

海上自衛隊最新鋭護衛艦「ほだか」に乗艦する俺、森園優樹は2ヵ月前に自衛隊を除隊したはずだったがとある事態に際し、現役に復帰していた・・・・


海上自衛隊 多目的運用護衛艦DDV-196「ほだか」

 

艦内

 

「ほんとにありがとう。戻ってきてくれて、こんなな状況下だ腕利きの精鋭は1人でも欲しい」

 

艦内の通路を歩く中同僚の木村哲郎1等陸尉は言い

 

「他ならぬお前の頼みじゃ仕方がない。だが2ヶ月前に除隊したばっかで現役復帰する事になるとわね。それで「アイツ」は?」

 

陸自特殊部隊こと特殊作戦群に復帰した俺、森園優樹1等陸尉は聞くと

 

「大反対してたよ、でも群内の人間はお前が戻ってくるって聞いて喜んでたわ、そもそも「アイツ」は自己保身と自分のキャリアの事しか頭にないからな。そも先のトラブルも軍事を知らない一部アホ国会議員の奴らが騒いだからだ、そして責任を取るはお前ではなく「アイツ」だった、だが奴は逃げお前を人身御供にした挙句知らぬ存ぜぬを決め込み「一ノ瀬の独断だった」と言いやがった。別中隊で庇えなくて悪かったと今でも思ってる。」

 

木村はうつむきながら言い

 

「でもあの坂本3佐も只では済まなかった。後々、人質の中に日本人がいる事を知りながら対処しようとはしなかった、お前の副官の高本2尉の証言や芳賀陸曹長の証言そしてミッションログのCCDカメラの映像をあの二人は提出し査問委員会が開かれたんだ」

 

「結果は?」

 

聞くと

 

「坂本の野郎は降格こそ免れたが、上官にあるまじき行いや悪行が露呈し、飼殺し部屋事資料室送りになった。だが今回の事態で人員不足がたたりお前同様に呼び戻されている。でも先の事を知る奴らばかりだから坂下に2中隊が統率できるか否か、威厳なんてないようなものだしな、いわば「形だけの中隊長」だからな中隊補佐のベテラン幹部や先任陸曹長の厳しい目に晒されているだろうよ」

 

苦笑して言い

 

「でもお前が戻ってくると聞いて群内部でも歓迎の動きだったぞ皆」

 

「対テロのエキスパートが戻ってくる」

 

「陸自のセザール拳の使い手」

 

「異世界テロリスト涙目」

 

「He is Return」

 

「等々、異世界でも「テロリストキラー」の異名通りの働き期待してるわ」

 

木村が言った時何かを思い出し

 

「お前の配置先も第2戦闘中隊から第1戦闘中隊に変えてもらった。「アイツ」にお前疎まれてるからな。でもこれで心配はない。お前の直属の上官は深田雄二3佐だからな」

 

木村は俺の肩を叩きつつ言い

 

「それはそうと、この最新鋭艦「ほだか」にはどれくらいの戦力を積んでる?」

 

聞くと

 

「ああ、F-3JBステルス戦闘機を35機搭載。5機1飛行隊編成で6個飛行隊分の機体を積んでる。後は15機の哨戒ヘリを積んで合計50機だ。」

 

木村は言い

 

「まるで、戦時・・・だな艦隊を見れば分かるが・・・・」

 

呟いた。まぁ、類を見ない規模の大艦隊だ。多目的運用艦2隻に補給艦が1隻に輸送艦が1隻に艦隊防衛の為の随伴艦もイージス護衛艦が2隻に汎用護衛艦が2隻、潜水艦ももれなく海中に2隻潜む。

 

「ああ、それはそうとお前を探すの苦労したんだぞ」

 

言われ

 

「何が?」

 

聞き返し

 

「お前を呼び戻す為に調べても「一ノ瀬優樹」の戸籍がないから群本部でも焦ったんだぞ。細かく調べて初めて「森園優樹」として見つかって婿養子に行った事も発覚して。2ヵ月の間にちゃっかり結婚なんてしてやがって」

 

言う木村に対し

 

「新婚なのに戦場に呼び戻しやがって、真理奈と休暇中にあれこれ考えてたのに」

 

言い返し

 

「だが、会社務めよりは給与は遥かにマシになる悪い話だけじゃないだろ?」

 

木村は言い

 

「クソ上司の元じゃなければ言う事は何もない」

 

俺は答えたのだッた。それに

 

「もう一つ聞きたいんだが、なんでお前が「S」だってお前の義理のお父様は分かってなんだ?」

 

聞かれ

 

「俺が坂本の野郎を殴って救出に向かった先の武装グループに人質にされていた中にお義父さんも居たんだ。何でも声を覚えていたとかね。いくら否定してもお義父さんは「いや、君だよ、よく覚えておる。まさか娘が捕まえてきた相手が元特殊部隊員で命の恩人とはね、世間は狭い」なんていう物だからもう俺は身バレしてるのと大差ないけどな」

 

言い

 

「まさかとは思うがお前肯定してないよな?」

 

木村は言い

 

「ああ、最後まで「人違いです」って否定しておいたよ。」

 

答え、木村は安堵し

 

「機密漏洩は避けないといけないからな。「いかなる状況においても」な」

 

言っていると

 

「久しいな、お前も呼び戻されているとわな」

 

かつての上官の坂本3佐が嫌味ったらしく声をかけてくる

 

「とっくにくたばってるのかと思いましたよ、中隊長殿」

 

嫌味を込めて言い

 

「まさか、お情けで呼び戻されたお前とは違う、お前の子飼いの高本と芳賀のお陰で飼殺し部屋に送られたがこの通りだ。お前が私の中隊でなくて残念だよたっぷり礼をしてやりたかったが」

 

坂本は言い

 

「ふっ」

 

木村が鼻で笑い

 

「あんた自分が置かれている状況理解してないんだな、お前は形だけの中隊長で事実上のお飾りなんだよ。ほんとなら優樹が昇格してお前の後釜に座るはずだった。お前みたいなクズはお呼びじゃないんでね」

 

木村は言い

 

「貴様ら上官に対しての口の利き方を忘れたか?」

 

言われ、俺も木村も

 

「「ああ、忘れたね」」

 

答え

 

「せいぜい死なないように頑張るんだな」

 

俺は手をヒラヒラさせながら言い

 

「そう言えばうちの中隊長殿がお前に会いたいとさ。特戦群内で最も対テロや対中共に精通するエキスパート中のエキスパートの意見を聞きたいんだとさ。それにお前米陸軍の特殊部隊デルタフォース所属ケイジー・ライホック中佐の弟子だったしな」

 

木村は俺の肩をぽんと叩き、坂本3佐に振り返り

 

「あんたみたいな出来損ないの輩と優樹は違うんでね、じゃぁな」

 

俺の腕を引き木村は

 

「うちの中隊長がお前を待ってる。それにお前の「部下達」もな」

 

ニカッと笑う木村の顔を見て俺も悟った。




次回~退屈な日常~を予定しています。


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第1話~退屈な日常~

とある事情で陸上自衛隊特殊部隊、特殊作戦群を去った、一ノ瀬優樹は自衛官時代の経験を買われとある大手企業の「危機管理部門」に再就職していた。


某企業 「危機管理部門」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

パソコンとにらめっこしつつ

 

「きな臭いな、やはりルートはBよりもDのルートに変更したほうが良いな」

 

呻いているのが俺だ。森園優樹元1等陸尉。元特殊作戦群所属の自衛隊員だった。今は御覧の通りスーツを着てパソコンで情報を集めてる「危機管理部門」担当のリーマンに過ぎない。

 

「森園君、明日まで頼んだ書類なんだが」

 

「出来てますよ、こちらに」

 

自身の上司に提出し

 

「ほうほうほう、流石元自衛隊員良く情報をまとめられているね。分かりやすくて助かるよ」

 

上司は言い渡した書類を細かく見ながら頷き言ってしまった。

 

「なぁなぁ、森園此処さぁ意見欲しいんだけどさどうだ?」

 

同じ中途採用枠で入社した岡崎真司さんに聞かれ、書類を見ると

 

「ここの海峡は、治安があまり良くない俺なら此処ではなく此処のルートを使うな。万が一の時は海自の艦艇や米海軍の艦隊に助けてもらえる。・・・・・」

 

書類を隈なく見て

 

「脅威判定もワンランク上かな」

 

助言し

 

「成る程な・・・流石元自衛官頼りになる。」

 

岡崎さんは言い自分のデスクに戻っていってしまう。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

また自分のデスクで仕事を黙々とこなす。そして昼に屋上にて

 

 

「流石・・・・元自衛官・・・か」

 

弁当を準備していると

 

「お待たせ、優樹」

 

別部門勤務の妻の真理奈が小袋を抱えてくる

 

「ごめんね、待たせて」

 

真理奈は言った。彼女との出会いはこの会社に就職してからであり、勤務する部門も違うのだが俺と真理奈には共通する事が一つあった。そう「お菓子」が好きである事だ。俺も現役のころも外出許可を取りお菓子の喰い歩き旅をやったりしていた。この会社に入社したのも「自衛隊」の息がかかってない綺麗な所であると同時に自分の好きな事を仕事にする第2のチャンスと捉えたからだ。だが現実は大いに違っていた。

 

「元・・・自衛官・・・か」

 

また呟くと

 

「どうしたの?」

 

聞かれ

 

「いや、何処に行っても俺のキャリアは「危機管理」に持ってかれるんだなって思ってさ・・・」

 

雲一つなく澄み切った青空を見て言い

 

「あ~成る程ね。」

 

真理奈は言い

 

「優樹はお菓子好きだもんね、確か最初は企画部希望だったらしいけども優樹の経歴にある元自衛官の経歴が「危機管理部門」の目に留まったからそっちに引っこ抜かれたのね」

 

真理奈は眼鏡を弄りつつ言い

 

「お菓子の企画あれこれ考えたりしたかったのに、毎日毎日危機管理担当の1人として情報収集ばかり・・・・これじゃぁ現役時代と何ら変わらない」

 

ため息をつく。

 

「でも私は感謝してるかな、優樹に」

 

真理奈は言い

 

「優樹が自衛隊を辞めなかったら、お菓子好きじゃなかったら、この会社に転職してこなかったら、このどれか一つでも欠けてたら私は運命の人と逢えなかった。この出会いに私は感謝してる。」

 

真理奈は笑顔で言い

 

「よく恥ずかしげもなく歯の浮くセリフが言えるな」

 

言うと

 

「貴方と結婚してから毎日が幸せなんだもの、イイじゃない」

 

真理奈は言い弁当を食べる。

 

「そっちは経理だよな、今は地獄か?」

 

聞き

 

「ええ、あっちこっちの部署の確認作業中よ」

 

言い

 

「こっちは原材料を乗せた船が安全に日本に来れるようにどのルートを使うと良いか、毎日その日の国際情勢から危機管理をしてるよ。」

 

特殊作戦群から離れ、自衛隊を除隊し民間企業に再就職しそして社内結婚したまではいいがどうしても「退屈」だと感じてしまう。幸せを感じててはいるもどうしてもつい2ヵ月前までは「非日常側」に居たのに今は表側に帰ってきている。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

真理奈は箸を置き

 

「優樹・・・・自衛隊に戻りたい?」

 

唐突に言われ

 

「どうしてそう思う?」

 

聞くと

 

「私は自衛官時代の貴方を知らないけれどもさ、時々家でも黄昏てる時があるから心配だってお父さんがいってたから」

 

真理奈は答え

 

「成る程ね、どうだろうかな未練がないと言えば嘘にはなるけどもなんというかどう説明すればいいかわからないけれども・・・・」

 

言う中、時計を見て

 

「おっと、そろそろ昼休み終わりだ。」

 

喰い終わった弁当箱に蓋をして

 

「今日も美味しかったよ、ありがとう」

 

作ってくれた妻、真理奈にお礼を言い

 

「さぁ~~て午後からもしっかり頑張りますか」

 

背伸びをして弁当箱をもって階段を下り自身の担当部署室に戻るのだった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その後ろ姿を無言で真理奈は見送るのだった。そして会談を下りつつも

 

「自衛隊に未練かぁ・・・・・・」

 

自身の行った事を考えれば、今更自衛隊に戻ることは出来ない。それは変わらない認識だった。責任を取るべき奴が保身に走った以上誰かが「切腹」しなければならなかった

 

「{でも、良くしてくれる義両親や妻が居る身でまた戦場に戻るというのはナンセンスかな十分に戦ったと思う、でも心のどこかでそれを良しと思わない自分が居るんだよなぁ}」

 

複雑な心境を抱えつつも午後の就業の準備に入るのだった。




次回~地震~を予定しています。


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第2話~地震~

その日の夜・・・・異変は起こる・・・・


森園家

 

優樹・真理奈 寝室

 

「今日も働いた働いた」

 

パジャマに着替え、ベットに横になる。

 

「ふふふ、今日もお疲れ様、優樹」

 

真理奈もベットに座り

 

「ああ、ありがとう」

 

ベットから妻を見上げる形になる。不意に

 

「ねぇ、優樹はさ私と結婚する時婿養子になる事に葛藤や迷いはなかった?」

 

真理奈は言い

 

「今更だな、義両親には言っていたけども真理奈にはこの事を言うのは初めてかもしれない。」

 

言うと

 

「何?」

 

真理奈は言い

 

「俺の両親は本当は既に亡くなってるんだ。」

 

言い

 

「え?!、だって私達の結婚式の時に・・・・」

 

真理奈は言ったが

 

「叔父と叔母だよ」

 

答え

 

「俺の本当の親は二人とも自衛官だった。母、節華は空自のパイロットで父の宗司は海自の隊員だった。母や戦闘機の墜落事故で父は朝鮮の内乱のとばっちりで、親を2人とも亡くした俺は叔父と叔母の孤児院に引き取られたんだ。そこで育ち今日まで生きている。」

 

答え

 

「そう・・・・なん・・・・だ・・」

 

真理奈は言い

 

「だから婿とか嫁とかそんな事は関係ない、只「暖かい家庭」に憧れはあった。全部だから真理奈に感謝しているんだ、男としては恥ずかしいかもしれないけどもさ恋愛に無頓着な俺を選んでくれて、告白もプロポーズも全部真理奈からだったよな。今思うと情けない話だけどもさ」

 

語りつつ

 

「そんな事ないよ、優樹も準備してくれていたんだもの本当の事を言うとね、他の課の子が狙ってるっていわれてたからかな。焦っちゃって。」

 

真理奈は言うも

 

「その女が何処の課までは知らないけどもそいつはどうせ「防衛大卒」の肩書に惚れ込んだ只のアホだろうよ。」

 

バッサリ切って捨てた。

 

「よくあったよ、防衛大学時代に合コンに連れていかれると皆が皆成績や将来に肩に付けるであろう階級章の事しか興味がない。俺は防衛大学時代は自慢してると誤解されたくないから言わなかったが4年間+幹部候補生過程学校の1年の合計5年間主席の座を明け渡した事は一度もなかったよ」

 

答えると

 

「・・・・・・・凄い・・・なんか超エリートな人を婿に私迎えたんだね」

 

真理奈は言うも俺は首を横に振り

 

「いや、エリートなんかじゃないよ俺は。少なくともね」

 

答えたその時だった、

 

「?・・・・地震?・・・大きいぞッ」

 

揺れが段々と大きくなり棚に飾っている物や写真が落ちる中

 

「真理奈ッ、危ない」

 

棚の飾っている物が一斉に落ち素早く反応し俺は真理奈の上に覆いかぶさる

 

「ツッ・・・」

 

次々と落ちてきた物が俺に当たる中揺れが収まるまで俺はその体制を取っていたが

 

「ゆ・・・優樹・・貴方!」

 

その時真理奈の顔に真っ赤な血がポタっ・・・ポタっと雫のように滴り落ち

 

「どっか切ったかな・・・」

 

真理奈からどいた時

 

「真理奈ッ、優樹君大丈夫か?」

 

廊下から、お義父さんとお義母さんの声が聞こえ、俺が言うよりも早く

 

「父さん、母さん、優樹が!!」

 

真理奈が言い、部屋のドアが開き

 

「!!」

 

お義父さんが

 

「大丈夫か、優樹君!母さん、救急箱急いで!!」

 

お義父さんは叫びお義母さんが急いで救急箱を持ってきてくれ

 

「傷は浅いぞ、しっかりするんだ!!」

 

言われ

 

「大丈夫ですよ、何処切ったかな・・・」

 

鏡で確認し

 

「額か・・・大丈夫です自分で手当てしますよ。」

 

救急箱から慣れた手つきで止血用のガーゼや消毒にテーピングテープを取り自分で止血を行い

 

「痛ッ」

 

消毒薬が染みるが我慢し再度ガーゼを当て、その上からテープを貼り固定するのだった。

 

「流石、元軍人なだけあるね血を見ても動じない。」

 

お義父さんは言い

 

「お義父さん、何度も言いますが軍人ではなく自衛官です」

 

顔を向けて言い

 

「ダイニングのテレビを付けてみましょう」

 

お義母さんに言われ皆で一階のダイニングのテーブルに移動する。テレビを付けると地震速報が出ていたが不審な点が大きすぎた。結構大きめの地震にも関わらず被害がなく

 

「どうなってるんだ?」

 

俺は額を抑えつつも言い、さらに

 

「この地震による津波の心配はございません」

 

等情報もあるが

 

「大丈夫なのかしら?」

 

真理奈も言う。だが同居している真理奈の家は比較的にも高台にあり仮に津波が来てもよほどの大きい津波でなければ飲まれる心配はない。

 

「一応、非常用の備品チェックしてきます」

 

俺は立ち上がる。この家には元自衛官の俺の意見で非常用の備品が多めにある。例えば非常用の電池各種それに充電式ラジオにモバイルバッテリーに携帯トイレ食料品もちゃんと備え自衛隊の戦闘糧食の民生品版を置いてある。水なしでも食べる事が出来るデイトナックス等もある。

 

「私も行くよ」

 

お義父さんと2人地下室に行き

 

「お義父さん、物品大丈夫そうです」

 

保管している物を確認し

 

「こっちもだ」

 

返事が来て

 

「それよりも、さっきはありがとう、真理奈を守ってくれて」

 

お義父さんは言い

 

「家族を守るのに大事な人を守るのに理由がいりますか?お義父さん?」

 

俺は言い

 

「本当に真理奈は人を見る目がある子だ。自分で立派な婿殿捕まえてきた。」

 

改めて言われると恥ずかしくなるが、ある物を手に取り

 

「お義父さんこれもってって下さい。余震があるかもしれないですからね」

 

ヘルメットを二つ渡し、俺も自分の分と真理奈の分と二つ取るのだった。

 

「眠れない夜になりそうかな・・・・・」

 

俺は呟き地下室を後にするのだった。




次回~異常事態~を予定しています。


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第3話~異常事態~

あるべきものがそこにない、これは日本政府を大いに悩ませる始まりになるのであったのだった。


首相官邸・・・・

 

地震後に日本各地の情報を集める中、不可解な事に気づいたのだ。

 

「あるべき島や隣国がない・・・と」

 

不審に思った政府は自衛隊に命令を下し各偵察機を派遣したが確かにあるべき島や国が存在しない状況下に陥っていた。そこから一つの仮説を導き出した。

 

「今の日本は別次元に居るのではないかと言う仮説を」

 

そして官邸では今後の対策を検討すべく各省庁の幹部が集っていた。

 

「・・・・各大臣、各資源が何年続くか報告を」

 

内閣総理大臣須賀義春総理が周りを見て言い

 

「燃料ですが、かなり持ちます。節約の度合いによりますが、向こう数十年くらいなら何とか」

 

一人の閣僚は言い

 

「次に自衛隊の装備・弾薬ですが陸・海・空・合わせても節約の度合いにもよりますが6年分と言ったところでしょうか」

 

報告書を見ながら防衛省官僚は答える。

 

「現在、日本が今どうなっているのか海上自衛隊のP-1哨戒機が哨戒活動を行っています。」

 

周りの閣僚が言う中、伊部総理は

 

「{備えあれば・・・憂いなし・・・か名言だな}」

 

心の中では安堵していた。

 

その頃・・・・・・・

 

 

太平洋上・・・・海上自衛隊P-1哨戒機

 

「なんにも見えませんね・・・・」

 

隊員らは言い

 

「まるで、本当にタイムスリップしたようなものですね」

 

彼らにとって此処は未知の海域なのだ。本来、あるべき物がない・・・本当に此処はどこなんだ?そういうよな疑問が尽きないのだ。そんな中

 

「機長、そろそろ燃料が・・・基地に帰れるギリギリの量です。」

 

副操縦士が報告し

 

「わかった・・・ン?」

 

機長は外を見て

 

「おい、見てみろ陸地があるぞ・・・陸地が見える!!」

 

機長や副機長そのほかの乗組員らが下を見て慌ただしく

 

「こちら、シーゴブリンよりHQ陸地を確認!!繰り返す陸地を確認した!!どうぞ!!!」

 

基地に報告を行う。その報告は基地だけでなく、官邸にも届く。

 

 

首相官邸・・・

 

ドアが慌ただしく開き防衛大臣の元に一人の職員が耳元で何かを言っている。

 

「首相、哨戒活動に当たっていた。P-1哨戒機が陸地を発見、大陸のようです!!」

 

防衛大臣は報告し

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

首相は考え

 

「防衛大臣、自衛隊の派遣はできそうかね?」

 

聞くと

 

「首相、それは難しいかと思われます。今現在自衛隊の人員が先の政権が行った防衛予算削減のしわ寄せにより早期退職制度を使用し、退職した隊員らもいます。そのため、その大陸に調査部隊を派遣するのも容易ではないかと」

 

大臣は言い

 

「私の権限で復帰させる事は出来ないかね?、復帰したがっている隊員のみにに限るが。今は国家の非常事態だ」

 

総理は言い

 

「分かりました。こちらで除隊していった隊員らを調べて優秀な隊員に話を持って行ってみます。」

 

大臣は言い

 

「うむ、頼む!!」

 

須賀総理も言った。こうして知らぬ間に話は進んでいき、国民も国が転移したと言う信じられないような状況を受け入れなければいけない状態になっていった。この国はどう言う方向に向かおうとしているのか?それは誰にも解らない・・もうここにある日本は元の世界にあった日本ではないのだから。現実を受け入れて前に進むしかないのである・・




次回~優秀な人員~を予定しています。


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第4話~優秀な人員~

自衛官の人員不足がやはり響く中、人員の補充と言う名目で各隊とも復帰要請者リストを作る中、陸上自衛隊「最精鋭部隊」も動き出す。


あの地震から数週間

 

陸上自衛隊 特殊作戦群 群本部

 

習志野駐屯地 司令室

 

「人員確保の為の復帰ねぇ」

 

机に群長深町洋一1等陸佐と

 

「これまた政治屋の都合で好き勝手やってくれる」

 

副群長の矢野健二2等陸佐は

 

「仕方がありません、群長」

 

言い

 

「各中隊で退官者を含め復帰要請者を絞りました」

 

リストを見る深町1佐は

 

「・・・・・・・・・・・・・?おいおい、あいつが含まれてねぇじゃねぇか最も頼りになる奴がよぉ」

 

リストを見て言い

 

「・・・・一ノ瀬元1等陸尉の事でしょうか?」

 

矢野2佐は言い

 

「ああ」

 

深町1佐は言い

 

「どいつもこいつもマニュアルマニュアルとまぁぬかしやがる、特殊部隊に求められる能力は臨機応変な対応ができるか否かだ」

 

深町1佐は言う中

 

「彼の属する第2戦闘中隊からではありませんが、第1戦闘中隊から追加の要請書としてお預かりして今まで一ノ瀬元1尉の行方を調査していましたが残念ながら戸籍自体が発見できませんでした。それと彼の元上官に当たる坂本3佐の反対の声もありますが」

 

矢野2佐は言い

 

「何?、一ノ瀬がくたばったとでも言いたいのか?それに一ノ瀬が辞めた理由は坂本に原因があるからじゃねぇか、どの身分で反対意見なんぞ」

 

深町1佐は言い

 

「群長お仰る事は分かりますが現状そうとしか言いようがありません、今現在細部にわたるまで再調査を行っている所ですが・・・・」

 

矢野2佐が言った時

 

コンコンコン

 

ドアからノックが聞こえ

 

「入れ」

 

深町が言うと

 

「失礼します、木村1尉入ります」

 

中に入ってきたのは優樹の同期に当たる木村哲郎1等陸尉だった。

 

「矢野2佐の指示で再調査しましたが、ようやく発見できました。」

 

木村1尉は言うと深町にファイルを渡す。

 

「・・・・森園優樹?・・・・こりゃぁ・・」

 

言う深町に対し

 

「一ノ瀬はもう旧姓です。アイツは除隊後大手の〇×に入社し自衛官時代の経験を買われて「危機管理部門」に配属されています。そして会社で奥様の森園真理奈さんに出会い結婚、奥様の家に婿養子に入っていました。ですのでいくら一ノ瀬優希で調べても見つかるはずがないわけです。」

 

木村1尉は言い

 

「なんとまぁ・・・・」

 

矢野2佐は言い

 

「嫁さんの家族の背後は全部洗ったか?」

 

深町1佐は問い

 

「ええ、全て隈なくチェックしました。親戚にいたるまで全て問題ありません。」

 

木村1尉は言い

 

「住所も此処に記載させて頂いています。」

 

付け加えて木村1尉は言い

 

「坂本3佐の反対意見はどうしますか?」

 

尋ねる矢野2佐に

 

「放っておけ、あいつは只のお飾りだ。今のアイツに第2戦闘中隊は統率は出来まい。ベテランの叩き上げの幹部と曹長を付けておけばいい。」

 

深町1佐は言い、木村1尉に向き直り

 

「木村1尉、かつてのアイツの部下を連れてっても構わないからなんとしてもだ何としてもいちのじゃなかったな森園元1尉を説得し復帰させろあいつは群には必要な人材だいち民間企業で腐らせるなんて事は出来ない。対テロ・情報収集・偵察行動どれをとっても貴官に並ぶベストな人材だ。」

 

木村1尉に命じ

 

「ハイ、勿論です。アイツとは幼稚園、小学校、中学校、高校、防衛大学と腐れ縁ですからね、俺もあいつの居ない特戦群にいても何かが足りない感じがしていましたので。必ず説得しますよ」

 

木村1尉は言う中

 

「だが、家族をだしに使う真似をするなよ。解っては居るとは思うが脅迫もだ」

 

深町1佐が言う中

 

「群長はアイツの怖さをご存じない、あいつの大事な物に手を出そうものなら例え味方でも殺されますよそれに喧嘩しに行くわけではありませんしね」

 

言い

 

「頼むぞ」

 

矢野2佐も言い

 

「アイツの部下だった高本2尉や芳賀曹長も連れて行ってよろしいのですね?」

 

確認を木村1尉は取り

 

「問題ない」

 

深町1佐は言うのだった。そして司令室を出た木村1尉は

 

「さてはて森園かぁ・・・アイツ結婚してやがったのかよ水臭い報告の1つくらい入れてくれてもイイじゃねぇかよ」

 

言いつつも

 

「事実難しい問題だな、どうやって森園を納得させて復帰する事を了承してもらうか」

 

木村1尉は考え

 

「{恐らくはあいつは今の家族を大事にしているからな。素直に現状を話し力を貸してくれと言うしかないだろうな、互いに特戦群だ下手な小細工は通用しないだろうしな優希には}」

 

思いつつも

 

「やるしかない・・・な 」

 

木村は言いかつての優希の部下の翼や芳賀曹長を招集し現状を話し

 

「「隊長が結婚?!」」

 

「「婿養子?!」」

 

2人は驚いていたが

 

「そうですか、私も隊長の事は心配していましたがご結婚されていたのですかそれはよかったです。」

 

そこにはベテラン曹長の顔と言うよりも一人の自分の息子・娘の幸せを喜ぶような親父さんともいえる顔をしており、翼も

 

「水臭いじゃないですか、一番今まで近くに居たのに結婚の報告も何もなしなんて」

 

翼は少し憤慨していたが

 

「まぁ・・・・・・仕方がないですよね」

 

翼は呟き

 

最終的に納得し、

 

「それで隊長を説得して特戦群に復帰してもらうと言うのですね」

 

芳賀曹長も言い

 

「しかし骨が折れそうですね、相手が悪すぎる。互いに特戦群ですし手の内は分かり切ってる分下手な小細工は通用しないですよ。」

 

翼は言い

 

「だからストレートに行くしかない。」

 

木村は言い

 

「二人も協力してくれ」

 

言い

 

「「分かりました」」

 

高本2尉も芳賀陸曹長も頷くのだった。二人を見て木村も

 

「{少しは可能性があるかな・・・・}」

 

思っていたのだった。




次回~説得~を予定しています。


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第5話~説得~

忘れようとしていた過去が背後から追ってくる。そして優樹は決断を迫られる事になるのだった。


地震より数週間後

 

森園家 居間

 

「とうとう嗅ぎ付けられたか・・・・」

 

俺はげんなりしながらもかつての同僚と部下と向かい合っていた。

 

「まずは結婚、おめでとう」

 

木村に言われ

 

「あ、これ中隊のからでお祝いです。遅まきながら」

 

高本が言うが

 

「待ってくれ、今の俺は自衛官じゃない。このお祝いは受け取れない」

 

そして

 

「わざわざ制服、制帽で来た理由は?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

隣で真理奈に義父が無言でいる。キッチンからも義母が様子をうかがっている。

 

「そうだよな、お前に小細工なんて通じないなんて言うのは分かってる。だから言うよ」

 

木村は言いお茶を一口飲み言った。

 

「自衛隊に復帰してほしい」

 

言われ

 

「「!!」」

 

横に居た真理奈と義父が反応した。そんな中

 

「理由は?」

 

俺が聞くと

 

「確かにお前には例の事故のお陰で不名誉な事が付きまとったが、そんな事を言っている場合ではなくなってしまったからだ。」

 

木村は言う中

 

「日本が別の次元に飛ばされたかもしれない、と言う事か?」

 

言うと

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

3人ともハトが豆鉄砲を喰らったような顔をする中

 

「俺が知らないとでも思ったか?確かに自衛隊を辞めたが「ツテ」は陸・海・空・の三軍に残してるからな。一応「危機管理部門」勤務だしな」

 

言い

 

「大陸に調査部隊を派遣すると言う事も情報を貰ってたよ」

 

言うと

 

「流石だな、お前には敵わない」

 

木村は言い

 

「お前の事は小さいころから知ってる。だからこそ言いたい「家族」を守る為にお前のその力を貸してほしい」

 

木村は頭を下げ

 

「・・・・・・・・具体的な状況を聞かせて欲しい」

 

俺は言い

 

「そうだな、状況も知らずになんて言えないものな」

 

言うと

 

「待って、待って優樹」

 

真理奈が横から口を挟み

 

「えっと木村さんですよね、夫の元同僚の」

 

真理奈は言い木村は頷き

 

「身勝手です、政府も、自衛隊も。夫の現役時代に何があったかは存じません、でも辞めた人を勝手な理由で再招集して復帰してくれなんて、身勝手にも程があります」

 

真理奈は激怒しているように言う中

 

「真理奈、まずは話を聞こう」

 

お義父さんが言い

 

「スミマセンね、話の出鼻をくじいて」

 

木村に言う中

 

「いえ、奥様の言う事も一理あります。」

 

木村は言いつつも

 

「優樹、聞いてくれ日本が別次元に転移?したとみて間違いはない。つまる所、国内の資源が尽きる前に何とかしないといけないわけだ。燃料はまだ国内備蓄で十二分に持つ。自衛隊の装備品等、弾薬もしかりだ」

 

木村が説明する中

 

「成る程な・・・国内の食料品やの他日用品までは把握しきれていないという訳か」

 

俺は頷き

 

「ああ、政府は相変わらずだが俺達はもっとマズイ状況に置かれていうるとも過言ではない」

 

木村は言い

 

「日本は貿易国だからなつまりは、その陸地に調査部隊を送り資源調査をする訳だな」

 

俺は言い

 

「それだけじゃない、この世界に日本にとって友好国になってくれる国が居れば国交を結び輸入等などで食糧危機を脱しなければいけない」

 

言い

 

「それに、こんな事を言うとお前はあまりいい顔をしないと思うが、自衛隊に復帰すれば家族・親戚に対して万が一食料品等が配給制になった場合に優先的に配給されるそうだ。」

 

木村は言い

 

「成る程ね・・・・・」

 

俺は言い

 

「先輩、先輩の能力を俺達は必要としています。」

 

俺達の後輩に当たる翼が言い

 

「我々は貴方のような頼りになる腕利きを必要としています。無茶な事を言っているのは重々承知しているつもりです」

 

翼や芳賀陸曹長も言う中

 

「・・・・・・俺に、俺に大事な家族を残して殺し、殺されるかもしれない戦場に向かえと言うのか・・・」

 

俺は木村に言い

 

「俺達が動かないと国民が死ぬんだぞ、お前の大事な守るべき家族も」

 

言う中

 

「なら貴方方が行って下さい、私達家族を巻き込まないで下さい。そのための納税もしています。誰が自分の大事な人が戦場に行くと言う事を止めない人が居ますか?」

 

真理奈は強い口調で木村に言う中

 

「・・・・・・・・・・・分かった」

 

俺は言い

 

「復帰するよ。ただこれだけは言わせてもらう。無能な政治屋の為じゃない。家族を守る為だ・・・・」

 

言い

 

「助かる」

 

木村は言い

 

「復帰するにあたって、階級も除隊前の階級で復帰してもらう。除隊して2ヵ月しかたってないのも幸いだ。幹部学校での再教育の必要もないだろう」

 

木村が言う中

 

「ま・・待ってよ、ホントに行く気なの?」

 

真理奈が言った時

 

「真理奈、」

 

隣で同席していた義父が

 

「どうしても行かねばならない時が漢にはある。例えそれが最愛の人を置いて行く事になったとしてもだ」

 

お義父さんが言ってくれたおかげか真理奈は頷き

 

「主人をよろしくお願い致します」

 

言い

 

「奥様、大切なご家族をお借り致します」

 

木村を始め、高本や芳賀も敬礼し、俺はそこでふと思い出した

 

「・・・あ!退職手続きしないと・・・」

 

自衛隊に復帰する以上今の職場にいる事は出来ない、が

 

「心配せずとも国が責任をもって行う。」

 

木村が言い

 

「さぁ、古巣がお前を待ってるぞ」

 

木村は言い

 

「とりあえずは完熟訓練を一応は受けないと。体が覚えてはいるとは思うが」

 

言う中、俺は会社員を辞め自衛隊に復帰する運びになったのだった。この判断が吉と出るか凶と出るかそれは誰もわからない。

 

「{なるようになるだろ・・・・多分}」

 

そう思う俺だった。




次回~不安定な真理奈~を予定しています。


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第6話~不安定な真理奈~

優樹が自衛隊に復帰し荷物をまとめ訓練に参加しに言って以降連絡は何もない。r年楽が何もないと言うのが不安を煽る。


経理課

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

どうしても上の空になってしまう

 

「森園さん、此処なんだけどもってねぇ、森園さん?」

 

同僚が声をかけるも周りも

 

「こら、あまり森園さんに負荷かけちゃダメでしょう」

 

上司が言い更に

 

「危機管理部門の元自衛官だった旦那さんの優樹さん自衛隊に政府の要請を受けて復帰なさったのよ、新婚で大変な時にね・・・会社にとっても損失が大きくて特に危機管理部門では部長さんが困ってたわね」

 

上司が言う中

 

「す、すみませんまたボケっとして何かしら?」

 

上司に謝り、同僚から質問に答え

 

「無理なさらないで下さいね」

 

同僚に言われ

 

「ありがとう・・・・」

 

答える。午前中は仕事に邁進し優樹が居ない寂しさを紛らわせる。でも昼食を食べる時にうっかり屋上のテラスに来てしまい

 

「あっ・・・・そうか・・・優樹は居ないんだ・・・」

 

現実を突きつけられる。そこに

 

「一緒に昼でも如何かしら?」

 

上司の早川係長が居た。

 

「ハイ。」

 

私は言い、二人でベンチに座る。

 

「旦那さんから連絡は?」

 

早川係長に聞かれ

 

「いえ、何もありません。」

 

答え

 

「まぁ、そうよね」

 

係長は言い

 

「夫が現役時代にどこで何をしてい居たのかなんて全く分かりません。優樹と私はお菓子が縁で一緒になりました、これからも互いに同じ会社で頑張っていけるかなって思っていた矢先でしたから」

 

「ああ、政府のあの発表ね、この国が別次元に転移したってやつでしょ」

 

係長は言い

 

「正直な所、自衛隊や政府が早く資源見つけてくれないと会社もヤバいしねぇ」

 

係長は言い、はっとしたように

 

「ごめんなさい」

 

言われ

 

「大丈夫です。優樹は必ず帰ってきますよ・・うん必ず・・・・」

 

言う中

 

「訓練が終われば一度帰ってくるんでしょ、制服ビシッと決めて帰ってくるわね」

 

係長は言い

 

「そうだと良いのですけれども・・・怪我とか、心配で考えればきりがなくて」

 

不安な心境をあらわにし

 

「うん、そうよね心配だよね」

 

早川係長は言い

 

「さぁ、仕事頑張りましょ、貴方が腑抜けてたら課の効率が大きく下がるわ。気合入れていきましょう」

 

背中を押され

 

「ハイ!」

 

早川係長に活を入れられつつも

 

「さぁて、頑張りますか」

 

私は青く澄み切った空を見上げて

 

「優樹・・・・・・・・・・貴方も・・・大丈夫よね」

 

呟き、私は早川係長と共に、階段を下り仕事場戻るのだった。私は、優樹の事を思いやりつつも私も仕事に打ち込み1日を過ごすのだった。その頃訓練を受けている優樹らはと言うと・・・。




次回~完熟訓練~を予定しています。


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第7話~完熟訓練~

再入隊の出戻りの俺は体が覚えているか徹底的に訓練を受けるが・・・・


陸上自衛隊 習志野駐屯地 特殊作戦群

 

司令部

 

「ふむ・・・・・S出身の再入隊者の能力は・・・波が激しいな、娑婆で鈍っちまったな」

 

群長の深町1佐は言うが

 

「ですが、森園1尉は別格ですね・・・水準以上の物をキープしています」

 

矢野副群長は言い

 

「ああ、流石だなまぁ、あいつの事だ除隊しても自分をイジメまくっていただろうさ」

 

深町1佐は言い資料を見る

 

「空挺降下技能{自由降下含む}A」

「射撃{狙撃含む}S」

「言語能力 S」

「状況判断能力S」

「基礎体力A」

「その他etc]

 

総合能力判定S

 

「現役時代と殆ど変わらない能力を保持していますね」

 

矢野2佐も言い

 

「ああ、結婚したって聞いた時から嫁に甘やかされてないか心配だったが杞憂のようだったな」

 

深町1佐は言っていた。その頃

 

ドンッ・・・・・・

 

M24SWS対人狙撃中から乾いた銃声が響き

 

「ヒット、・・・・修正右に2クリック」

 

「了」

 

指示を受けボルトを操作し排莢・次弾装填を行い照準器の修正を行う。

 

休憩中

 

「ふぅ・・・」

 

一息ついてると

 

「おう、優樹お疲れ」

 

木村が声をかけ

 

「ああ、体が鈍ってるかな・・・・」

 

俺は言うと

 

「アレでか?冗談だろ」

 

木村に言われ

 

「はぁ?」

 

俺も頭の上に?が浮かぶが

 

「群長も副群長もお前殆ど現役時代と変わらない能力を保持してるって太鼓判推してたぞ」

 

言われ

 

「なぁ木村、その事なんだがどうしても「特殊作戦群」じゃないとダメか?」

 

俺は言い

 

「何を今更、お前の能力は「特殊部隊」向きだろうに。何か?今更レンジャーに鞍替えか、レンジャーの連中は大喜びかもしれないがそりゃ勘弁だぞ。せっかくお前を説得して戻ってきてもらったのに」

 

木村に言われ

 

「いや、そのなんだ真理奈にあまり心配かけたくないからさでも、そうだよな。」

 

周りを見て訓練に励む仲間を見て言い

 

「非日常を経験すると元には戻れない、今ようやく帰還した気持ちだよ」

 

言い

 

「お帰り、自衛隊へ特殊作戦群へ」

 

木村は言い

 

「ああ、只今」

 

俺は言い休憩後小銃による射撃訓練を行い監督官には木村が付いてくれた

 

「M4A1 SOPMOD Block1・・か・・・、海自の特警隊はHk416なのにな」

 

俺は言いつつ細部にわたるまで確認し

 

「89式小銃よりかは遥かにまともだろ?ビニールテープで継ぎはぎ狂った小銃じゃ笑えない」

 

木村は言い

 

「違いない、中身の各部品は新品のパーツに換装されてる上に国内ストックしているM4A1用の部品もまだまだ大量にあるし、それにM4はHkに比べれば壊れずらい。だろ?違うか?」

 

木村に問うと

 

「流石だ相棒、M4はダイレクトガス・インペンジメント方式、一方のHk416はショートストロークガスピストン方式を採用している。HKは反動がマイルドなM4に比べて強烈その分各部品にダメージが蓄積されやすいそして、極めつけは耐久値の限界がくれば銃身がへし折れる。特にフルオート時にその現象は起きやすいデータがある。だがM4は使用毎ごとにちゃんと清掃し必要なら部品の交換を行えばHkと互角かそれ以上の性能を発揮できる。元々特殊作戦要員の俺らは銃火器の整備性の大切さは体に染みて理解している分その汚れは点で問題にならない。ならこれ以上は言う必要はないな」

 

HkとM4の差を木村は語り

 

「それに重いしな、M4に比べてHkは俺も戦場に行くならクリーニングキットと少しの予備の部品をもってM4を選ぶね」

 

現役時代を思い出しつつ手慣れた手つきでテイクダウンし状態を確認し

 

「銃内部・各部品共に問題なし」

 

銃本体を元に戻しそして置き、20連のショートマガジンに5.56×45㎜弾を20発込め

 

「良し、こんなもんかな」

 

マガジンを確認し

 

ジャキンッ

 

銃本体にマガジンを差し込み、チャージング・ハンドルを引き初弾を装填し

 

「いいか?、始めるぞ」

 

木村は言い

 

「何時でも」

 

俺は言いターゲットに銃弾を撃ち込んでいった。そして完熟訓練の全カリキュラムが終わり制服・制帽と階級章・レンジャー等の特技資格者は各徽章と渡される中

 

「ほれ、お前が付けるべき「階級章」と後は「特技資格徽章」と最後にこれは必要だよな「特殊作戦徽章」」

 

木村に現役時代に付けていた特技資格徽章を渡され1等陸尉の階級章と共に特戦群の隊員のみが纏う事を許される特殊作戦徽章もケースに入れられ渡される。最後に制服制帽が支給されそれぞれに階級章と特技資格徽章を付ける。

 

「お帰り、戦場へ・・・か」

 

階級章と徽章の着用をすませた制服に袖を通し、制帽をかぶり

 

「うん、相変わらずキマってるな、優樹も真理奈さんに顔見せて安心させて来いよ、出発したらいつ帰国できるか分からないしな」

 

木村に言われ

 

「ああ、分かったよ。しかし完熟訓練では世話になった」

 

礼を言い

 

「いいや、頼りになる相棒が戻って来てくれるなら万々歳だよ。もし借りだと思うなら戦場で返してくれ」

 

木村はニコっと言い

 

「ああ、分かったよ」

 

俺も頷くのだった。こうして完熟訓練を終えた隊員らは各隊、各中隊、各連隊へと配属されていく中、俺は原隊の特戦群に復帰する事になったのだった。




次回~一時帰宅~を予定しています。


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第8話~一時帰宅~

訓練を終え、一時帰宅する優樹、その姿を前に戦場近しと実感する真理奈だった。


あれから俺は車を運転し自宅に戻ってきた、最愛の人が、家族が待つ自宅に

 

「{そう言えば、真理奈にもお義父さんにもお義母さんにも制服姿を見せるのは初めてだな}」

 

感じつつ荷物を持ち家のドアを開け

 

「ただいま、戻りました」

 

言うと直ぐに足音が聞こえ

 

「優樹!おかえりなさい!!」

 

真理奈が寂しかったとでもいうように抱き着き

 

「おっ、おいお義父さんとお義母さんの前だって」

 

言うが

 

「私は気になんてしないわ」

 

抱き着きながら真理奈は言い

 

「まぁまぁ、若い頃の私達の様ですねお父さん」

 

「そうだな、母さん」

 

お義父さんとお義母さんが言い、家に入り

 

制服肩部分についている階級章を見てお義父さんが

 

「[1等陸尉]か・・・」

 

言い

 

「いっとうりくい?」

 

真理奈は言い

 

「自衛隊の階級だよ、優樹君は現役時代の頃の事を話さないから分からなかったが階級を見れば幹部いわゆる将校と言う事がわかる、ちなみに[1等陸尉]はな海外の陸軍で言う所の[大尉]にあたる階級だ。」

 

お義父さんは真理奈に分かりやすく説明し更に

 

「空挺徽章や自由降下徽章にレンジャー徽章、射撃徽章これだけの特技資格を持ってると大体の所属先も分かるものだ」

 

お義父さんは今度は俺を見て言い

 

「ズバリ、優樹君「第1空挺団」か「特殊作戦群」だろう?」

 

言ったが

 

「はぁ・・・お義父さんもしつこいですね確かに「第1空挺団」は正解です。現役時代に空挺部隊に所属していた事は事実ですが「特殊作戦群」は流石に違いますよ。」

 

俺は再度否定した。お義父さんとは確かに真理奈と結婚する前に俺が一度自衛隊を辞める前の事件で会ってるがそれを認めると必然的に自身が「特戦群」ですと認める事になる為それを認める事は出来ないのだ。

 

「優樹、自衛隊時代の事教えてよ」

 

ダイニングで皆久々の夕食を囲みつつ真理奈が言い

 

「そうだな、いい機会だ。」

 

俺も頷き

 

「自衛隊員時代はさっきお義父さんが言ってくれたように[第1空挺団]に所属してて色々やっていたけれども、第1空挺団での所属先が[団本部中隊偵察小隊]にいたよ」

 

答える。

 

「「偵察隊」?」

 

真理奈は言い

 

「ああ、有事の際には敵後方にパラシュートで降下、敵の情報を探るんだ。何処に何があって敵の兵力の規模がいくらとかね敵に感づかれると意味がないから大体は夜に降下する訓練をしてたね」

 

答える中、夕食は進む。食後

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

真理奈がハンガーにかけられた俺の制服をじっと見ている

 

「どうした?」

 

声をかけると

 

「あ、ごめんなさい。なんというか自覚したの。」

 

真理奈は言い

 

「何を自覚したんだ?」

 

俺は尋ねると

 

「今の私は[自衛官]の妻なんだなって、[将校]の妻なんだなってね」

 

真理奈は言い

 

「・・・・・・・・・・」

 

俺も真理奈の隣に立ち再支給された自らの制服を見る。両肩に[1等陸尉]の階級章に左胸付近に各特技徽章が付いている。とその時

 

「優樹君、明日から数日休みなのだろう?せっかく息子が帰ってきてくれたんだ一杯やろうや」

 

お義父さんが言ったが

 

「妻が最優先です!!」

 

何やらお義父さんと真理奈で揉め始める中

 

「まぁまぁ2人とも、落ち着いて俺は逃げも隠れもしないですから」

 

言い

 

「今日はお義父さんに付き合いますよ。真理奈は丸々1日付き合うから」

 

俺は言い

 

「むぅ・・・・」

 

真理奈は不服そうにしていたが耳元で

 

「{明日、お菓子の食べ放題・・・どう?}」

 

俺は真理奈の耳元で言い

 

「・・・・・分かった。じゃぁ私もお父さんに付き合う」

 

真理奈は言いキッチンからコップとお酒を持ってくる。そこから3人でチビチビ飲み始めるが

 

「優樹君は自衛隊を辞めて真理奈の居る会社に中途入社したそうだが、あんまり分野的には関係があまりないようにも見えるんだがそれはどうだい?」

 

お義父さんに聞かれ

 

「俺自身、お菓子が好きで企画部で働きたいなと思って、自衛隊の防衛省の息のかかっていない所で働きたいと思って退官後にそこに中途入社したんですが」

 

俺は言うと

 

「優樹は、自衛隊員時代の経験を買われてさ企画部希望だったんだけどもうちの会社の部署の1つ[危機管理部門]が強引に欲しいって」

 

真理奈は言い

 

「何処行っても結局[元自衛官]と言う自分の経歴からは逃げられないと言う事を思い知らされましたよ」

 

半分諦めつつコップのビールを飲み

 

「だがそれが君の強みの一つでもあるだろう?」

 

お義父さんは言い

 

「だが会社側も大弱りだろうな、君ほど優秀な社員を復帰によって失うのは痛いだろうな」

 

ビールを飲みつつ言い

 

「そこまで自分を優秀だと思った事はありませんよ」

 

皮肉気味に言った。

 

「でも優樹は会社でもかなりできる社員だって上司が言っていたよ、経理の部署の人間でもないのに経理の作業も本職の私以上にこなせていたし」

 

真理奈も言い

 

「それに関しては、除隊前の[パワハラ上司]のお陰だよ。」

 

言った。その後にお義母さんも参加し、なんやかんやで家族でわいわい騒ぎお開きとなった。

 

 

 

真理奈・優樹 寝室

 

「本当に復帰したんだね」

 

真理奈は言い

 

「実感ないけどね」

 

俺は言い

 

「私は否が応でも認めないといけない状況にあるわ、あの[制服]を見ると」

 

真理奈は天井を見たまま言い

 

「約束して・・・・必ず・・・此処に帰ってくるって」

 

言い

 

「それは出来ないよ、」

 

俺は答え

 

「縁起が悪いからね・・・それは」

 

俺も答える。戦場に出て必ず帰るなんて言ってる奴から片っ端から死んで行くのが関の山でもある。

 

「それでもよ・・・・言ってよ・・・」

 

真理奈は言い

 

「分かった、必ず此処に帰ってくるよ。」

 

俺は言い真理奈を横から抱きしめ

 

「さぁ、もう寝よう。明日の楽しみがなくなるぞ」

 

言い俺は目を閉じるのだった。




次回~実感する国内事情~を予定しています。


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第9話~実感する国内事情~

翌日俺は約束通りに真理奈と2人で外出したが、異世界転移?の影響は日本各地に出ている事を痛感するのだった・・・・


翌日

 

「え・・・・此処も」

 

「まぁ・・・わかっちゃぁいたが中々きついなぁ・・・」

 

営業していない店を前に俺は言い

 

「・・・・・・・・・」

 

しょんぼりしている真理奈を前に

 

「次があるだろ次?」

 

俺は言い真理奈を連れ移動するが

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

軒並みほとんどの喫茶店やお菓子の専門店は閉まっていた。まぁ大体は予想は出来るが此処まで酷い状況下にある事は想定していなかった。

 

「マジかぁ・・・・・・・・・」

 

俺もため息が出そうになった。せっかく真理奈と過ごせる日がこれではと思い真理奈を見ると真理奈もがっくりと来ていた。

 

「どうする?」

 

俺は言い

 

「うーん・・・これ以上は此処にいてもしょうがないし仕方がないから家にでも帰ろうか?」

 

真理奈は言い

 

「そうだな・・・それ以外選択肢がないな・・・・・」

 

俺もこれには賛同するしかなく。俺達はトボトボと自宅に戻る。その途中で俺はピンときた。完熟訓練の休憩中にユーチューバのマネキンの動画にスイーツを作ってみた動画があった事を思いだし

 

「なぁ、真理奈」

 

言い

 

「うん?」

 

真理奈は言い

 

「家にさぁクッキーのオリオとバターとクリームチーズと生クリームと砂糖あったっけか?」

 

聞き

 

「え?あるよ、オリオはお父さんや優樹が好きじゃない」

 

言われ

 

「材料は問題なしか。じゃぁ少しスーパー寄るか」

 

俺は真理奈を伴いスーパーによるが

 

 

スーパー店内

 

「え・・・・・・・・・・・」

 

商品棚が一部空になっている状況と言うのを始めて俺は見た上に

 

「缶ビールの値段やジュースの値段見てみて優樹」

 

真理奈に言われ見ると

 

「マジかよ・・・・」

 

これには俺も驚いた。

 

1.5ℓコーラボトル 1本 600円

 

500㎜ℓビール1ケース 12000円

 

値段設定がアホみたいな値段になっており

 

「・・・・・・・・・・・どないする?」

 

奥様の顔色を確認し

 

「うーん・・・しょうがないよね買っていこうか」

 

真理奈は言いコーラとファンタを購入した。そのまま家に帰り

 

「さぁて、作りますか・・・」

 

俺はそのままスイーツ作りを行い

 

 

 

数時間後・・・・・・・・・・

 

 

「うわぁ・・・・・」

 

真理奈が喜んでいる顔を見て

 

「まぁ素人が作った物だから勘弁だけれども」

 

断りを入れ

 

「ううん、美味しそう」

 

俺は簡単なオリオケーキを作り、真理奈を喜ばせていた。黙々と食べる真理奈が突然スプーンの手を止め

 

「これも当分食べられなくなるんだよね・・・・・・」

 

しんみりとした雰囲気になり

 

「まぁ、仕方がないさ、帰ってきたらまた作ってやるさ心配するなよ」

 

俺は言い

 

「うん、約束よ」

 

真理奈は言い俺もスプーンでつつきながら二人で食べて行った。その裏で

 

 

 

「お父さん、優樹君が無事に戻ってきてくれればいいのですけれども」

 

お義母さんはお義父さんに言い

 

「大丈夫だ、なんたって娘婿殿は自衛隊の特殊部隊員なんだからな」

 

言い

 

「もう、本人は否定しているじゃないですか?」

 

お義母さんは苦笑しながら言い

 

「そうかもしれないが、私は覚えているよ彼の声だったと。救助に来てくれたチームの指揮官は彼だった。戦場は彼を逃がしてはくれないのだな、私も寂しくなるなせっかく晩酌の出来る息子が来てくれたと喜んでいた所にこれだ」

 

お義父さんは言い

 

「しょうがないですね、それが彼の仕事ですからね」

 

言うのだった。それから二日後、優樹は[未知の戦場]へと旅立って行ったのだった。




次回~派遣部隊上陸~を予定しています。


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第10話~派遣部隊上陸~

艦隊からピストン搬送される兵員と物資、そして仮拠点が設営される。


??? 

 

派遣部隊司令部

 

「弾薬はこっちだ急げ!!」

 

「燃料は此処だ」

 

「糧食は此処」

 

「車両は此処だそっちじゃない」

 

「センサーの設置急げ!!」

 

周囲を鉄条網で囲み、当座の武器・弾薬・車両・燃料・食料と決められた所に配置したうえで防御陣地を構築する。そして俺達特戦群はと言うと・・・・

 

特殊作戦群 第1戦闘中隊 第2小隊

 

「ひでぇなぁ・・・」

 

周囲の偵察を命じられ樹海のような森に足を踏み入れていた。

 

「ベトナム戦争で米兵が味わった恐怖を今度は俺達が・・・か」

 

M4A1にM203グレネードを装備したM4を携え俺達小隊は道なき道を行く。

 

「酷い場所ですね、小隊長」

 

小隊先任下士官に当たる芳賀陸曹長は言い

 

「ああ、気ぃ抜くな何処から何が飛んでくるかわからねぇ」

 

周りを見て言い

 

「翼、どうだ無線はまだ範囲内か?無線の範囲から外れたら一気に迷子だからな」

 

俺は翼に言い

 

「まだ大丈夫ですよ。」

 

副官の高本2尉が言い、俺達小隊は慎重に慎重を重ねて、偵察活動を行っていく。

 

「小隊長、定時連絡の時間です」

 

支給された時計を見て翼は言い

 

「よし、頼む」

 

俺は言い

 

「こちら、Recon2、よりCPへ定時連絡、異常なし引き続き活動を続行する」

 

翼は言い

 

「CP、了解!」

 

無線から聞こえ

 

「前進」

 

迷わぬように目印を付けて進む。

 

「はぁ・・・いかにハイテク機器に頼っていたかが分かるな、ローテクしか使えない状況だと」

 

ぼやきながら進むと

 

「・・・・・・・集落・・・のようだな・・・」

 

家が何件もあるような場所に出たが、

 

「小隊長・・・・・・・」

 

明らかにオカシイ、と言うよりも家の一部が焼け落ちた跡があったり、焼け落ちて居たり

 

「・・・・・・・・・・・」

 

俺達は一件の家の近くまで来て気付いた。

 

「待てッ」

 

俺は言い

 

「小隊長?!」

 

部下達が言う中

 

「・・・・・・・・・・」

 

俺は水たまりのような場所に近づき、その水たまりを触る。

 

「・・・・・水じゃない・・・血だ・・・・」

 

「!!」

 

周りも一気に緊張が走る

 

「・・・・・隊長、どうします?」

 

翼は言い

 

「現地人との接触は禁じられてはいませんが・・・・・」

 

芳賀陸曹長も言う中

 

「生存者の捜索を行う、一人で行動するな、2人1組で行え」

 

指示を出し、俺は芳賀陸曹長と捜索を行う。

 

「酷いですね、森園1尉。死体の山ですよ」

 

一軒の家に入ったが中にあったのは誰が誰なのか判別不可能の焼死体だった

 

「ああ、惨い真似しやがる」

 

言いつつもM4に装着したウェポンライトで周りを照らし

 

「皆殺しか・・・・トンデモなイカレ野郎がいるようだな」

 

呟く。

 

そしてその後も中を調べてはみたが死体死体のオンパレードで一体何があったのかと思うには十分だった。

 

「各員報告」

 

部下達の報告を纏めると

 

「家々には死体のみであり、見た限りでは撲殺・刺殺・焼死など賊が押し入ったという判断をせざる負えない状況だった。」

 

「にしても酷いですね、高本2尉」

 

芳賀陸曹長が言い

 

「だな、皆殺しとは・・・・」

 

翼が井戸に腰を掛け

 

「おいおい、落ちるなよ」

 

俺は言い

 

「了解です」

 

翼が井戸に桶を落とし込むと

 

「スコーーンッ」

 

音がし

 

「え???」

 

俺は慌ててM4に装着している物とは別のウェポンライトを取り出し、俺と翼そして高本とのぞき込むと

 

「「「!!!」」」

 

井戸の中に生存者がいたのだ

 

「救助用意!!」

 

すぐさま指示を出し

 

「司令部に報告、受け入れ準備を頼め」

 

翼に言い

 

「了解、CP、CP」

 

翼はすぐさま司令部に報告し

 

「えらいこっちゃですな」

 

芳賀陸曹長は言い

 

「おやっさん人道上の観点から司令部の仮説救護施設に連れてくべきと思うけれどもどう?」

 

言い

 

「異存はありません、隊長。それにこの世界の貴重な情報源とも言えます」

 

言われ

 

「そうだなその通りだ」

 

俺は言い

 

「隊長、司令部受け入れOKだそうです。急ぎましょう」

 

翼は言い

 

「よし、急ぐぞ」

 

俺達は井戸から引き揚げた二人の女性を急いで拠点まで連れ帰るがこれがまた一波乱の元になる。




次回~もたらされるこの世界の情報~を予定しています。


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第11話~レッド・アラート~

要救助者を保護しベースに戻ったその日の夜・・・・


調査部隊キャンプ

 

調査部隊 幹部用テント 尉官用

 

森園優樹 坂下雄二

 

「本当にお前が戻ってきてくれて嬉しいわ」

 

同じキャンプの宿営地内のテント内で高校時代の友人の1人坂下2尉が言い

 

「そうか?、俺はせっかく新婚生活を楽しもうとしてた矢先に呼び戻されたからある意味ではブチキレたいけれどもな」

 

坂下に言い

 

「まぁまぁそう言うなよ、森園1尉殿」

 

茶化すように言い

 

「茶化さないでくれ」

 

俺は言い

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

迷彩服のボタンを取り首に下げている認識票に付けいているペンダントを取り出しそっと見た。

 

「奥さんか?」

 

雄二が言い

 

「ああ」

 

横からのぞき込み

 

「美人じゃねぇか、あ~羨ましい」

 

言う中

 

「皆川さんとは?」

 

俺が尋ねると

 

「祥子はマジで勘弁してくれ、お前も知ってて言ってるだろ!あいつから逃げる意味合いもかねて防衛大学・幹部候補過程・陸上自衛隊入隊・空挺過程と逃げ回ってるんだ」

 

冷や汗を流しながら雄二は言い

 

「うーん・・・・雄二もいい加減観念したら?」

 

言うと

 

「お前は理想の結婚が出来たから言えるんだ!!畜生め~~」

 

雄二が冷える中

 

ビーーーッ、ビーーーーーーッビーーーーーッ

 

 

突如として警報が鳴り

 

「敵襲か?!」

 

俺と雄二はすぐさま枕もとに置いてあるSFP-9が収まったホルスターを装着し

 

「雄二、弾倉」

 

6本あるうちの3本を雄二に投げ

 

「サンキュウ」

 

マグポーチに急いで入れ、暗幕を飛び出す。外であった隊員に

 

「何があった!」

 

聞き

 

「お客さんん目覚まして暴れるみたいだ」

 

89式小銃を携えた隊員と医療テントに行くと

 

「動くな、道を開けなさい!!さもないとこの女の首が飛ぶわよ」

 

1人の女性が自衛隊の医務官の首元にメスを突きつけているが

 

「はぁ~・・・・・・・」

 

医務官の木田優子1等陸尉がため息をついている。それに気付いたのか

 

「な・・・何がオカシイ!!」

 

女は逆上するが

 

「イイ事、相手を殺せるチャンスが合ったら躊躇わない事、フンッ」

 

次の瞬間溝内の一発肘鉄をかまし

 

「ウっ」

 

もろに喰らったその人はメスを取り落とし

 

「少し落ち着きなさいな」

 

木田1尉は言う。まさに余裕の表情だ。周りがあっけにとられる中俺と雄二はすぐさま

 

「動くなッ」

 

SFP-9の銃口を向ける

 

「悪く思うなお嬢さん、そうそう暴れられてもかなわないもんでな」

 

雄二が言い

 

「まず目的を聞かせてくれ、手荒い真似は・・・・もうしちまったか・・・」

 

木田1尉を見てため息をつき

 

「ちょっと何よ!」

 

抗議めいた口調で言われるがこの再無視し

 

「姫様は何処に?」

 

言い

 

「貴方と一緒にいた方ですか?」

 

尋ね

 

「・・・・・・・・」

 

一瞬木田一尉を見て

 

「コクン」

 

彼女も頷き

 

「こちらへ」

 

木田一尉はその人を案内し

 

奥のテントへと連れて行く。そして

 

「姫様!」

 

ベットに寝せられている女性に言い

 

「なんです・・・騒々しいですよ・・・・シエル」

 

女性は言い、シエルと呼ばれた女性は

 

「この方は、リディアナ王国第45第女王エリー・サリファン王女であらせられます」

 

言われ、俺は

 

「敬礼ッ」

 

すぐさま号令をかけ、89式小銃を持つものはすぐさま捧げ筒をする。

 

「???」

 

「???」

 

2人とも訳が分からないというような表情をしているが

 

「大変失礼致しました、今私の上官がこちらに向かっていますので」

 

言い

 

「雄二!」

 

「ああ、うちの中隊長と派遣部隊司令と外務省の全権委任された外交官が向かってる」

 

雄二は言い

 

「了解だ」

 

そうしてすぐに

 

「森園1尉、坂下2尉ご苦労」

 

派遣部隊司令の深崎真司1等陸佐と特殊作戦群第1戦闘中隊中隊長の深田3等陸佐が来て最後に

 

「すみません、遅れました」

 

外務省全権委任大使の津屋崎が訪れる。軍人の俺達は完全に蚊帳の外に置かれる中

 

「成る程、分かりました」

 

2人から話を聞き終えた津屋崎全権大使は、テンとの外にいる俺と雄二に

 

「いい働きをしてくれました、うまく行けばこの世界で初めての国交を結べる国かもしれません。それと同時に私が政府に提唱していた部隊の編制を承認して頂けるかもしれません。」

 

津屋崎は言い

 

「新編成の部隊?」

 

雄二は言い

 

「フフフ、お二人とも休める時に十二分に休んでいてください。」

 

意味深な事を言い、津屋崎全権大使は去って行った。俺達は一度暗幕の中に入り

 

「失礼致します」

 

中に入り

 

「先程は配下の者が大変なご迷惑をお掛けしました。重ねてお詫びいたします。」

 

頭を下げられ

 

「いえいえ、訳も分からず拘束されれば誰しもああいう行動に走ります」

 

言い

 

「お医者様も付きっ切りで看病して頂いて」

 

木田1尉を見て言い

 

「それが私の仕事ですから、どうぞお気になさらずゆっくりお体を休められてください」

 

木田1尉は答えたのだった。その後俺達は自分の暗幕に戻り

 

「なぁ、あの外務省から着た野郎どう思う?」

 

雄二が言い

 

「なんか独自に部隊組織を考えているようだが、危ない奴じゃないといいんだがな」

 

俺は言い

 

「まさか、いまさら異世界でクーデターを起こしてもしょうがないんだ」

 

雄二が言い

 

「でも引っかかるんだよなぁ・・・・・・」

 

俺はつぶやくのだった。




次回~津屋崎全権大使の考え~を予定しています。


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第12話~津屋崎全権大使の考え~

外務省より派遣された津屋崎全権委任大使はとある行動に出ていた。


津屋崎全権委任大使 暗幕

 

「ふむ・・・・こんなものですかね・・・・」

 

津屋崎は一つの紙の束を纏め上げた

 

「新編成部隊 概要」

 

と記されており新たな「特殊部隊」の創設に取り掛かっていた。

 

 

1任務内容 多種多様{特殊任務・非合法・非正規を含む} 

 

2部隊規模 約1個中隊100名前後が望ましい

 

3装備概要 特殊作戦群や米軍グリン・ベレーを参照

 

4指揮系統 派遣部隊司令部直轄が望ましい

 

5指揮官・部隊幕僚メンバー 以下の通りを希望する者である。

 

森園優樹1等陸尉

坂下雄二2等陸尉

吉川明久2等陸尉

久田利光2等陸尉

木田優子1等陸尉

木田秀吉2等陸尉

土田康太2等陸尉

高本翼 2等陸尉

根本恭哉2等陸尉

岸本司 3等陸尉

 

尚、部隊総司令官には森園優樹が適任であると思われる。経歴上何ら問題がないと確信する為[3等陸佐]への昇任を推薦するものとする。

 

「大まかにはこんな感じですかね・・・・」

 

津屋崎は言い

 

「多種多様な任務を正規・非正規・非合法を問わず行う部隊」

 

呟き

 

「此処に記すメンバーは全員が「特殊部隊過程」を修了済み。人員としては問題はない唯一の女性隊員の木田1尉も非公式ではあるものの、米陸軍デルタの過程を修了済みである軍医・・・」

 

希望人員としてリストアップした人員のデーターを元にして言い

 

「この異世界で生きていくには柔軟な対応が求められる、彼らはそれが可能だ。命令された事しかできない人員では意味がない。臨機応変に状況に対処可能な人員が必要不可欠だ。」

 

津屋崎はコーヒーを飲み

 

「{森園1尉はその分非の打ちどころがない。あの例の事件は知ってはいるがあれ自身は彼になんの落ち度もない、むしろ彼の上官だった者に落ち度がある。しかし運が良い、彼が復帰してくれている事に}」

 

パソコンに表示される

 

「森園優樹」

 

の個人ファイルを見て津屋崎は言うも

 

「{だが、特殊作戦群は彼を手放すだろうか?否、手放したがらないだろうが部隊に必要な人員に変わりはない。}」

 

考えつつも

 

「!」

 

思いつき

 

「{特殊作戦群に後ろ盾になってもらえばいいのか}」

 

津屋崎は思いもう一度、幹部人事を見て

 

「うむ、殆ど全員が特殊作戦群出身者だ、これなら行けるはずだ」

 

津屋崎は再度原案を確認していき

 

「唯一の問題は装備の偏りだな・・・・・・・」

 

呟く。政府に要求する人員と装備は殆ど特殊作戦群に匹敵する装備だ。

 

M4A1アサルトライフル

SFP-9

MP7A1サブマシンガン

M870MCSショットガン

M24SWS対人狙撃銃

M107対物狙撃銃

M203グレネードランチャー

 

書類を確認する。携行する銃火器も強力だが、彼ら専用に航空団からも何個かチームを作らねばなるまい。部隊編成はうまく行けば人員は承認されるが装備はひと悶着ある可能性を考慮し原案2を考えないとなるまい。

 

「平和ボケも此処まで来ると病気ですな」

 

私は言いつつも最後の部隊名に目を通す

 

「特殊作戦混成隊」

 

「Special Operations Mixed Unitの頭文字を取り、[S.O.M.U.]と書類には記載されていたのだった・・・・・・・・」




次回~政府の見解~を予定しています。


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第13話~政府の見解~

津屋崎全権大使の案は本国の政府に送られ・・・・・・


総理官邸

 

須賀総理大臣

 

天羽副総理兼財務大臣

 

西郷防衛大臣

 

木島外務大臣

 

古川統合幕僚長

 

特殊作戦群群長 深町1等陸佐

 

 

「総理、派遣部隊より報告書が届いております。また津屋崎全権委任大使より要請書類です」

 

木島外務大臣は須賀総理に書類を渡し

 

「ふむふむ・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

書類を読み進めていき

 

「ほう、とある国の女王陛下を保護したと・・・・・」

 

須賀総理は言い

 

「ハイ、きわめて友好的で、うまく行ければ我が国と国交を結ぶことも可能かもしれません。」

 

木島大臣は説明し

 

「もう一つは・・・・・・・・・」

 

書類に目を通し

 

「西郷防衛大臣どう思う?」

 

須賀総理は書類を渡し

 

「・・・・・新たに特殊作戦部隊を編制すべきと・・・・」

 

西郷防衛大臣は言い

 

「ですが総理、特殊作戦群を送り込んでいますが新たに編成する必要があるでしょうか?、津屋崎大使の要望書を見る限り特殊作戦部隊ではなく[レンジャー部隊]にも感じますが?」

 

西郷防衛大臣は言う中

 

「編成すべきと思います。」

 

古川統合幕僚長は言い

 

「私も同意見です、いかな特殊作戦群を送りこんでいるとはいえ2個中隊では完全に対応できない場合があります。私も報告書は拝見しましたが装備的にも問題はないと思われますが?必要ならば我々特戦群が後ろ盾になります」

 

深町1等陸佐も言い

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

総理・副総理・防衛大臣と考え込む中、須賀総理は

 

「よし、編成を許可する。必要な装備は特戦群同様に優先的に配備し使用を許可する事を許可する。但し、相当危険な任務にも従事してもらう事になると隊員らにも伝るように。人事案も諸元の案を承認する。」

 

須賀総理は言い

 

「ですな」

 

西郷防衛大臣も言い

 

「装備の手配を行いませんと」

 

木島外務大臣も動き出す。

 

 

少し経って・・・・・・

 

「これを派遣部隊の補充物資と共に送ってくれ、須賀総理より預かってきた。」

 

そこには3等陸佐の階級章と1等陸尉の階級章があった。

 

「了解しました。」

 

受け取り補充物資とは別に厳重に保管するのだった。

 

 

 

特殊作戦群 本拠地 習志野駐屯地

 

「M4は必要な分はそれで全部か?」

 

深町1佐は言い

 

「ハイ、全部、部品洗浄を行い綺麗な状態にしております。使えなさそうな部品は既に新品に交換も完了しています」

 

整備担当が答え

 

「ふぅ・・・新編成の部隊が出来ると俺達特戦も気が楽になる。」

 

深町1佐は言い

 

「ふぅ、新編成と言ってもうちの別働隊みたいなものじゃないですか」

 

隊員は言い

 

「まぁ、そうだな。だが隊員らは癖の強い腕利きぞろいだ。人員は100人前後になるが精鋭中の精鋭をかき集める。総指揮を執るのもうちの隊員だし主だった部隊幕僚も特戦出身だ。」

 

物資運搬の準備が進むのだった。




次回~集う部隊幕僚~を予定しています。


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