アストライダーズ (Lyc aulis)
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リニア・キャラバン

導入がてら超大型イベントをば。
ログホラ見てたからVRで異界化(ログアウト出来るけど異世界)って設定に.....
うん、気の所為だよきっと。


「Hey!You!もたついてると置いてかれるぞ!」

「急げ急げ!手近なmovに乗り込め!」

「地上組はマーカー忘れるなよ!迷子になっても拾えねーぞ!」

 

『タグ付け開始、護衛対象Linearー1 ー2 ー3』

 

「Hawkー1 ー2!」

「Gigarthー1 ー2 ー3!....

 

「Linearー1定員オーバーワロタwww」

「いつも通りだろ兄弟姉妹!ガハハハハwww」

「こっちはまだ空きがあるぞ!乗れ乗れ!」

「A.S.T. Flight setup 完了」

「Linearー3まだソケット余ってるぞ!転送兵器持ちとっとと来んかい!」

 

 

 

 

「定時だ!各自配置に付け!」

 

『Transport ship ーLinearー Takeoff.』

 

 

「さあ、者共!パレードだ!騒げ!走れ!ぶっ潰せ!」

 

 特大の歓声と共に飛び立ち、空輸列車に追従するは鋼の船。先鋒として飛び交う光の群れは単車にとって付けたかのような翼を持って縦横無尽に駆け回り。地上を駆ける車輌の群れも、道無き道を雪崩のごとく突き進む。

 溢れんばかりに充ち満ちた熱気が道を阻む鉄屑共を食い潰して行く。煩い蝿共は彼等の容赦ない砲撃に消し飛び。あたかもそれは、強大な龍の様。

 

 

 

 リニア・キャラバン

 

 復興の為に協会が企画した、傭兵達のお祭り騒g....もとい物資輸送計画の要である。

 

 

 「わかってはいたけど、圧倒的だねぇ」

 

 

 無数の護衛艦の中の一隻、ティタン6。単座式MOVILITY級戦闘艦エルメリアⅢを駆るパイロットが呟いた。

 後方で艦載砲座から砲撃を垂れ流している一人もその言葉に頷く。

 

 

「異界化してから、もう一ヶ月も経つんだな」

「あれ以来毎日が早いのなんのって」

「はは、傭兵達は皆そうだろうよ」

 

 

「此処がゲームの中、だなんて、未だに信じられないよ」

 

 

 エフェクト・ユニバース。それがこの世界の名前。

 VR技術の革新と、たった一人の夢見人が作った箱庭(シュミレータ)。だった筈の世界。

 

 

 

 

『緊急事態!緊急事態発生!!敵FORTRESS級を確認!迎撃隊展開せよ!』

 

「おっと、仕事だ」

「ひと暴れと洒落込もうじゃん?」

「行くぞ野郎共!」

「「おお!!!!」」

 

 

 数多の鋼の船が、光の群れが、沸き立つ様に速度を上げて先行する。

 

 前方で一際目立つ黒い雲は道中で最も濃い蝿溜まり。恐れを知らぬ傭兵達はこれ幸いと、嬉々として立ち向かう。

 

『敵艦補足!種別.....』

 

 目指すは雲の中心部。ドリルのような蕾に破壊的な主砲を隠し、無尽蔵に蝿共を生み出し続ける要塞工房。

 

 『Fort-Flower!!』

 

 

 後に最大戦力の蹂躙戦とまで謳われた宴の幕開けだ。

 

 

「撃て撃てぇい!!撃ち尽くせ!」

 

 

 激と共に両者の間で無数の光弾が飛び交う。

 

 

「いやいやいや、尽きちゃダメだ! まだ前哨戦だっての!」

 

 そんな中、雲の中で動きがあった。

 

『敵艦から大規模エネルギー収束反応!』

「来たか!防衛隊展開!」

「了解!!」

 

 

 

『エルメリアⅢより搭乗員各位へ、ハンガーユニットで待機せよ』

 

「え?俺たちだけお預け?」

「馬鹿言え、逆においしいとこもらってんだよ」

 

 パイロットの指示で砲座から離れる面々。天井から伸びた作業アームが砲身を持ち上げ格納し、次いで船体左右にあったステップがせり出して装甲板として左右を固める。そして二機のカタパルトが左右にスライドし船体と左右の装甲の空間にそれぞれ収まった。

 

 乗員ブロックと繋げたまま通信したのだろう。

 

『ティタン隊、エルメリアⅢより。内部露出確認、突入します!』

『了解、ご武運を』

 

「皆、聞こえたな!突入準備!」

「「応!」」

 

 各々の持つジェネレータユニットから粒子が溢れ、様々な小型車両を形成する。カタパルトに連結したハンガーにそれらを固定し、それぞれの主が乗り込む。

 

 降り注ぐ光弾を躱し、シールドで弾き、距離を詰める鋼の船団。

 

『ユニット展開!ファーストスタンバイ!カートリッジロード!』

 

カタパルトの内壁左右から溢れた粒子がx字型の安定翼を形成。同時に壁の電極から紫電が舞う。

 

『チャージ完了、セカンド、サード、スタンバイ』

 

 ハンガーに乗ったまま、カタパルトに装填されるバイク。

 

『目標射程内!ファーストロード!アンロック!』

 

 ハンガーのロックが外れ、急発進する。

 

「貰ったぜ一番槍!いいいぃぃぃィやっっほーーーう!」

 

 段差を用いて安定翼に突っ込んだバイクは自らを砲弾に変え、かっ飛んだ。

 

『セカンドロード!アンロック!』

 

 次々と砲弾の如く飛び出す船員達。

 

 既にドリル状の蕾はほころび、中心部で弩級のエネルギー砲がチャージを終えようとしている。

 

 その隙間を縫い、内部に着弾したバイクはその姿を変えていた。

 高機動パワードアーマー、ーASTーROIDー

 

 空中に展開されたシールド。踵に付いた駆動輪。シールドを足場に縦横無尽に群がる蝿共を殲滅してゆく。

 統一感などまるでない。色とりどりの機体達が虹色をばら撒きながら、黒を塗り潰してゆく。

 

 

 

 

 

 後方では空輸列車に搭乗しているパワードスーツ、ーARMSーの面々が大型の砲座を列車のソケットに設置して蝿共を迎撃する。

 

 オートカノンの実弾が撫で、フォトンレーザーが薙いだ空は無数の爆炎に包まれる。

 

『敵主砲、想定充填率90%!防壁展開!急げ!』

 

「「了解!」」

 

 指示を受けたARMS達は、低消費故に有り余るエネルギーありったけを防壁のジェネレータに叩き込む。膨大なエネルギーを受け取った防壁は厚みを増し、層を増やし、より強固になる。

 直後、光の奔流が全てを飲み込んだ。

 

 

 

 

 否、流線形の防壁は怒濤の如く迫る粒子の波をかき分け突き進んでいる。

 

『突破まで、3、2、1、攻性転換!防壁射出!』

 

 粒子砲を凌ぎきった防壁を巨大な砲弾に変え、敵主砲を撃ち抜く。微細な粒子で構成された防壁は、砲身内壁を削ぎ。機能を停止させた。

 

 

 それを尻目に内部へなだれ込む鋼の船、ーMOVILITYー

入り組んだ内部構造を縦横無尽に飛び周るガンシップ。

 それだけでは終わらない。

 

 

『エルメリアⅢ、ARMORED!』

 

 パイロットを除く乗員を全て降下させた一部の船はどこぞの機械生命体の如く変形し、鋼の巨躯を躍らせる。

 傾いだ甲板にアンカーを打ち込み、重火器をばら撒き、障壁を纏った剛腕や蹴りが破壊を振り撒く。

 肩部に設置されたソケットにARMSがよじ登り、転送した大型砲台を設置。蟻の様に群がる蝿共を殲滅してゆく。

 

 速さに長け、鮮やかに舞うAST。即応性が高く、補助に長けたARM。それらを乗せ、超火力を振るうMOV。

 

 三種三様のアーマーを纏った傭兵達。

 

 

 宴は未だ終わらない。斥候の報告ではFlower以外の要塞も確認されている。要塞を喰い尽くした傭兵達は各々の戦利品を列車に積み込み、次なる宴に備えるべく準備を始める。周囲に満ちる楽しげな声。

 

 彼ら、ーASTRIDERSーの目的は多種多様。

 

 これは、機械文明に一度滅ぼされかけた人類による。奪われた土地の開拓と、新たなる発見の物語。



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マシン・クリエイト「AST編」

マシン・クリエイト

 

初期に支給されたARMで戦場に赴き。そこで知り合った連中とクラン(兵団)を組んで早数ヶ月。そこそこまとまったクレジットをもって『ジャンク・ジャンクション』の工房通りを見て回っていた。

武装をスカベンジ(戦利品)で間に合わせていた俺にとってはどれもこれも目新しく(斡旋所?そんなものもあるのか、と)関心していると、いかにも技術者らしい格好の女性に呼び止められた。

 

「そこの君、そう君。ASTクリエイトは初めてかい? なんなら軽くレクチャーしようか?」

 

「うん、知っているといないとじゃあ大違い。イイマシンを作るんなら知っておいて損はないよ」

 

「まずは、ボーンの作成だ。こいつは大まかな外見と特性を決定する基本骨格。種類は様々で使える素材も多種多様だけれどこれの作りで強度や操作性が変わるからじっくり考えな......」

 

「と、言いたい所だけど新人君なら合金系一択だろうねー」

 

「.....え?生体素材?あれはモノによっちゃ強度が桁違いだけど、慣れない内はオススメしないよ。加工費もバカみたいに高いし」

 

「それになにより、一癖も二癖もあるマシンになりやすいんだ」

 

「うん、次はフレーム。こいつはボーンを肉付けするパーツだ。この枠組みの中にいろんな機能を持ったパーツを載せるんだ」

 

「あと、機体のシルエットもフレーム次第だね」

 

「オーケーオーケー、次は内装だ。武装はもちろん、ジェネレータやタンクも忘れるなよ。フレームとボーンが耐えられる重さに抑えるんだ」

 

「一番重いのはタンクだ。まあ大体最大消費で30分動かす計算で積むのが一般的かな」

 

「ジェネレータには幾つか種類がある。必須なのは車輪生成用か揚力生成用のジェネレータ。あとシールドだね」

 

「他にもランナーモードで使える各種装備とか色々あるからじっくり見ておいで」

 

「お次はアーマー。素材をそのままフレームに合う形に加工するんだ」

 

「合金で作るも良し、生体素材を張るも良し。オススメは生体素材を合金で強化した生体合板だ。防護性、耐久力、柔軟性と揃ってるからね。お高いけど」

 

「ん?カラーリング?んなもの素材のままか、メンテナンス費かかるけどコーティングするしかないよ。コーティングは戦闘中に剥げたりするからね」

 

「最後にシステムモジュールだ。ボーンの型と同じ系統のOS、ジェネレーターに指向性を与えるエレメントチップ。銃器の使用をサポートするFCSなんかもあるね、近接機だといらない子」

 

「一気に説明したけど大丈夫だった?他にも細かいところいっぱいあるけど大体こんな感じよ」

 

「はいこれ、私が所属している工房のパーツカタログよ、ご贔屓してね、それじゃ!」

 

......セールストーク、だな。まぁクレジットの使い道のアテが出来ただけ儲け物だ。

今日のところは宿に戻ってパーツの吟味をしてみるか。

 

 

 

 

 

パラパラとカタログを眺めながら、そこでチラッと見えたボーンの加工費に戦慄する。

 

 

結局、ARMの足回りを多少弄った程度でそそくさと工房通りを後にした。俺にとって、ここでの買い物はまだまだ早かったようだ。



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