怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~ (特撮恐竜)
しおりを挟む

ご唱和ください、我の名を!(前編)

怪獣娘×ウルトラマンZ正式版いよいよスタートです。
こちらも前編、中編、後編の3部構成になります。
タイガと同じくクロスオーバーユニバース版には無かった描写も付け加えました。

それでは、どうぞ。

凶暴宇宙鮫『ゲネガーグ』登場
四次元怪獣『ブルトン』登場


東京のとある町で、大勢の人々が逃げ回っていた。

黒いスライムのような塊のような影、人類に厄災をもたらすシャドウと呼ばれる存在である。

 

「皆さん、落ち着いてください!!」

「ここは私達に任せて!!」

 

そんなシャドウに立ち向かう2人の少女がいた。1人は水色の長髪に青と白の格好に目のような髪飾りをつけた少女と襟巻きがついたフードに一本の角を備えた眠そうな目つきの茶髪の少女である。彼女達こそがかつて人類に恐れられた超常的な生物である怪獣や宇宙人の魂を継ぐ少女『怪獣娘』である。

水色の長髪の怪獣娘は分身宇宙人の魂を継ぐ『ガッツ星人』、茶髪の怪獣娘はカプセル怪獣の魂を継ぐ『アギラ』である。

彼女達は所属する組織の任務で外回りをしていたが、来た町にシャドウが現れたため、至急対応することになった。

 

「ガッツ、シャドウが最近活発化してきてない!?この間も大阪に行った時に戦ったよ!!」

「考えるのは後!今はこの状況を何とかしないと!!」

 

ガッツ星人は手から発射する光線でシャドウを倒していく。アギラも走り出し、頭の角でシャドウを貫いた。

このまま倒しきれるかと思った時、地面が揺れ出した。

 

「この感じ、もしかして・・・。」

 

その時、アギラとガッツ星人の持つ怪獣娘の変身を安全にするデバイス『ソウルライザー』の画面にWARNINGの文字が表示される。

すると、地面から二足歩行の怪獣を思わせる大型のシャドウ『シャドウビースト』が2匹現れた。

 

「うわっ、厄介な事になったよ!!」

 

2人がシャドウビーストに立ち向かう。しかし、1匹はまだ人がいる方向へ走っていった。

 

「しまった!!」

「早く、追わないと!!」

 

焦る2人。その時、援軍が現れる。ビキニのような恰好に4本の角があるカプセル怪獣の魂を継ぐ『ミクラス』、眼鏡を掛けた銀色のメカニカルな格好の『ウインダム』が合流する。

2人は親友であるアギラに声を掛ける。

 

「ここはあたしとウインちゃんに任せて!!」

「お2人はもう一匹のシャドウビーストを!!」

「ありがとう、2人とも!」

「行こう、アギ!!」

 

シャドウビーストが暴れる現場では怪獣娘と怪獣娘の傍にいる女性たちが周りの人の避難誘導を行う。

「皆さん、慌てないで!私達の指示に従って下さい‼︎」

 

そんな中、一人の少年が転んだ7歳位の子供を助けていた。少年は一人の女性を指差し、子供に言う。

 

「大丈夫か?あそこで手を振っているのはお母さんだろ!!早く行くんだ!!お母さんの元へ!!」

「うん!!ありがとう、お兄ちゃん!!」

 

子供が母親と合流したのを見て、少年も逃げようとした。しかし、少年の視界にスカーフを巻いた犬が目に移った。

 

「ええ~っ。何であんなとこに・・・。駄目駄目。そこは危ないから・・・。ストップ、ストップ。」

「あっ‼︎ちょっと君‼︎」

 

少年は誘導する女性達の声を聞かず、犬の方へ向かっていった。少年は犬を確保すると優しく撫でる。犬を抱きかかえていた少年は近づいてくるシャドウビーストに気付くのが遅れてしまった。シャドウビーストは少年を獲物とみなし、向かってきた。

 

「危なかったな~。もう大丈夫・・・じゃねえええええ!!」

 

少年は急いで、逃げるもシャドウビーストは思った以上に早く追い付かれるのも時間の問題だった。

 

(せめて、この犬だけでも・・・。)

 

少年が覚悟を決めた時、このシャドウビーストを追っていた怪獣娘が現れた。

 

「大丈夫ですか!?」

「えっ、はい、大丈夫です!!」

「ここは危険だから後は私達怪獣娘に任せて!!」

 

そこに鍛え抜かれた太い手足と黄色の蛇腹のような恰好のどくろ怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『レッドキング』とスク水のような恰好の古代怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『ゴモラ』が合流した。

 

「アギラ、ガッツ、待たせたな!!」

「レッドキングさん!!」

「もうすぐ、ミクちゃん達も片がつくから、それまで持ちこたえるよ!!」

「いーや、あいつらが来るまでに片をつけようぜ!!行くぞ、お前ら!!」

 

4人の怪獣娘はシャドウビーストに対して、連携して、攻撃をする。ガッツ星人が手から放つ拘束光線でシャドウビーストを拘束し、残りの3人の拳、尻尾、角による渾身の一撃がシャドウビーストを撃破する。

 

「凄い・・・。」

 

少年は思わず呟いた。自分は見ているだけしかできなかったのに、彼女達はあっという間に、事態を収拾したのだ。そんな彼女達に視線が釘付けになっていた。

そこにガッツ星人が話しかける。

 

「君、そこにいたの?危ないから離れてって言ったのに・・・。」

「すいません!!どうしても、目が離せなくて。」

「今後はちゃんと避難してね。」

「押忍・・・じゃなくてはい。」

 

ガッツ星人の注意を聞き、少年はその場から離れようとした時、彼女が待ったを掛ける。

 

「ちょっと待って!君、名前は?」

「え、何で「いいから聞かせて!!」ふ、冬河ハルキだけど・・・。」

「やっぱり・・・、どこかで会った事があると思ったら・・・。ハルーーーッ、久しぶりーーーっ!!」

 

ガッツ星人は少年『冬河ハルキ』に思い切り抱き着いた。ハルキと他の怪獣娘は驚いた。ハルキは目の前の怪獣娘に心当たりがなく、困惑していた。

 

「(む、胸デカっ‼︎しかも当たって・・・)ってちょっ、何すんスか!?」

「やっぱり、ハルだ!!つい押忍って言って、はいって言い直す癖、変わってないね~っ!!」

「ちょ、ちょっと待って、変わってないってどういう!?」

「私だよ!!幼い頃、家が近所で一緒に遊んだ印南ミコ。覚えてない?」

「えっ、印南ミコって・・・お前、あのミコなのか!?」

「そうだよ!!」

「マジか、久しぶりだな。ミコ、怪獣娘になったのか。」

「そうだよ。いかなる戦いに負けた事がない無敵のガッツ星人にね!」

 

思わぬ展開に他の3人はその光景をただ見るだけだった。

ハルキはガッツ星人の怪獣娘である幼馴染、『印南ミコ』と再会した。この再会をきっかけに大きく彼の運命が変わり始めようとしていた。

 

 

 

 

 

国際怪獣救助指導組織、通称『GIRLS』。GIRLSとは怪獣娘の調査・保護・研究、力の使い方の訓練を行い怪獣娘が人間社会と共存するために支援する組織である。

ミコと一緒にシャドウビーストと戦った怪獣娘達もGIRLSに所属しており、彼女達は自分達が配属されている東京支部にて今回の事を報告していた。

 

「怪獣型のシャドウビーストが2体も・・・・・。皆さん、大変ですお疲れ様でした〜。今日は大丈夫ですのでゆっくり休んでくださいね〜。」

「いやー、参ったよ。本当にー。」

 

アギラ達の報告を聞いて左右に分かれた赤く長い髪の風船をつけた友好珍獣の魂を継ぐ怪獣娘『ピグモン』が彼女達に労りの言葉をかける。

ゴモラがピグモンの言葉に反応すると、アギラが口を開いた。ゴモラとレッドキングはアギラを励ます。

 

「でも、どうして最近シャドウが活発化したんだろう?」

「そんなに難しく考えなくても大丈夫だよ!現れたらまた倒せばいいんだから!」

「そうだぜ!だから、難しい事を考えるのは後だ!」

「ゴモたん、レッドキングさん。」

 

彼女達の会話を聞いて、思い出した様にピグモンは聞く。

 

「そういえば、ガツガツは幼馴染と偶然現場で再会したんですよね。」

「はい、暫く東京を離れていたらしい幼馴染と偶然・・・・・。」

「これをきっかけに仕事を溜めてしまう癖が少しでも改善されればいいのですが・・・・・。」

 

ガッツ星人は仕事を溜めやすいワーカホリックな面があり、以前それがきっかけでとんでもない騒動になってしまった。

それ以来、休みを取る機会は増えたものの、仕事を溜めやすい癖はまだ改善していなかった。

ピグモンだけじゃなく、アギラ達もそんなガッツ星人を心配していたのだ。

 

「きっと、ガッツなら大丈夫ですよ。・・・・・・それより、ボクは最近のシャドウの活発化が心配です。」

「私もです・・・・・。何か嫌な予感が・・・・。」

「だから、大丈夫だって‼︎2人とも考えすぎだよ‼︎」

 

アギラの呟きにウインダムも同意する。そんな2人にゴモラは明るく話しかける。

しかし、彼女達は思ってもいなかった。地球にシャドウ以上の脅威が再び迫っている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に久しぶりだな!!元気にしてたか?」

「勿論、私は出来る子だから!!」

 

場所は変わって、とあるカフェで1人の少女とハルキは談笑していた。ハルキの向かい側の席には水色のロングヘアーのガーリックかつスポーティでおしゃれな服装の少女がいた。この少女こそ、ガッツ星人の怪獣娘『印南ミコ』である。

テーブルにはハルキ側にカレーライス、ミコ側に大きなパンケーキが置かれていた。

 

「本当に良かったのか?GIRLSの仕事があったんだろ?」

「どうせ、外回りが終わったら、オフだったんだし大丈夫だよ。それにアギ達も『後は任せて。久しぶりに会った幼馴染と色々と話したいでしょ。』って言ってくれてさ。その好意を断るわけにはいかないじゃん。」

「そうか。」

 

本来ならミコもGIRLSに戻って、今回のシャドウの件について報告するはずだった。しかし、思わぬところで幼馴染と再会した事を知ったアギラ達が今回の報告を全て引き受けて、ハルキと過ごす時間を作ってくれたのだ。

 

「アギラさん、だっけ?彼女には感謝しないとな。」

「ホント、アギってば私のために・・・。いつも仕事を抱えている私を心配してくれてるのは嬉しいけどさ、アギも結構抱えちゃってるじゃん。」

「仕事を抱え込んでるって、GIRLSってそんなに忙しいのかよ?」

「いや、ハルも知ってるでしょ。私って色々抱えこんじゃう所があるって。怪獣娘になってからはやれる事も増えてさ、色々と仕事を溜め込んじゃうんだよ。」

「本当に大丈夫か?無理すんなよ。体壊したら元も子もないんだからな。」

 

幼馴染の言葉に思わずミコを心配してしまうハルキ。そんなハルキに向き合い、ミコは言う。

 

「私のカイジューソウルの元となった宇宙人はいかなる戦いに負けた事がないんだって。だから強い自分でいたくてさ。弱さを見せたくないって思ってたんだ。」

「でも、アギが言ってくれたんだ、弱い所を見せてるって事は負けてるって事じゃないって。今では周りの皆に頼る時もあるし、ちゃんと休みをとってるから、心配しないで。」

 

ミコはパンケーキを一口食べると、ハルキに向かって言葉を話す。

 

「ハルだって、GIRLSの職員や他の怪獣娘の避難指示を無視して、犬を助けに行ったでしょ。」

「ああ。」

「ハルの何に変えても命を守りたいって心意気はいいよ。命を守るのもいいけどさ、もう少し周りを見てもらわなきゃ。」

「じゃあ、あの犬を放っておけば良かったのか?」

 

ミコの言葉にハルキは不貞腐れるように言い返す。そんなハルキにミコは優しく諭す。

 

「もし、ハル自身に万が一の事があったら、私だけじゃない、おばさんやハルの親しい人達が悲しむ事になるんだよ。場合によっては一生消えないトラウマを背負う可能性だってあるんだから。」

「っ!!ご、ごめん、気をつける・・・。」

 

ミコの言葉に思うところがあったのか、ハルキは小さな声で納得する。

そんなハルキにミコは明るく話しかける。

 

「さ、説教はここまで。これ食べたら、一緒に街を見ようよ!案内するからさ!」

「押忍!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴアアアァァァ!!!」

 

その頃、宇宙空間では月で大爆発が起こり、一体の宇宙怪獣が地球に向かって接近していた。その怪獣は頭の鼻先に鋭い角を持ち、大きな口をしている。体の各部の皮膚には無数の傷痕が残っており、背中や体面側部に小さな穴を無数に備えた鮫を思わせるその怪獣は凶暴宇宙鮫『ゲネガーグ』。

ゲネガーグは背中の無数の穴からのジェット噴射で地球に真っ直ぐ進む。

 

「ジェア!!」

 

そんなゲネガーグを横から攻撃する者がいた。それは銀色と青色の胸に青く輝くZのマークの結晶を備えた巨人だった。

宇宙の平和を守り、光を照らす巨人がいた。かつて怪獣と戦う人類にも力を貸してくれた存在でその存在は怪獣娘の宇宙の地球でも知られている。彼らの名は『ウルトラマン』。

ゲネガーグを攻撃した巨人もウルトラマンの1人でその名は『ウルトラマンゼット』。ウルトラマン達が宇宙の平和を守るために結成した宇宙警備隊の新人だ。

ゲネガーグはゼットを視界に捉えると、鼻先の角で攻撃を仕掛ける。ゼットも応戦し、頭の上に付いたトサカから光の刃を飛ばす。

ゲネガーグはゼットから離れ、体を赤く発光させる。やがて体面側部にエネルギーが貯まり、赤い無数の光弾『ゲネパラサイト・ボム』となって、ゼットに襲い掛かる。

光弾がゼットに命中しようとした時、新たなウルトラマンが現れた。そのウルトラマンは頭に2つの刃物『スラッガー』をつけた額にビームランプという結晶を付けた赤と青のウルトラマンだった。ウルトラマンの名前は地球を愛したウルトラ兄弟の三男『ウルトラセブン』の息子『ウルトラマンゼロ』。

ゼロは身に付けていた青いマントで光弾を弾く。

 

『危ねーから手出すな!!』

『また半人前扱いして、俺も宇宙警備隊ですよ、師匠!!』

「ギュゴアアアァァァ!!!」

 

ゼロはゼットにはまだ荷が重いと判断して、ゼットを下がらせようとするが、ゼットは反論する。ゲネガーグはその間に2人のウルトラマンに口から強力な破壊光線『ゲネバスター』を放つ。

2人のウルトラマンは左右に分かれて、破壊光線を避ける。

 

『お前を弟子にとった覚えは無ねぇ!それにお前なんか俺からしたら三分の一人前だ!』

『さ、三分の一!!う、ウルトラショック…!?』

 

ゲネガーグは2人に体内に飲み込んでいたものを吐き出す攻撃『ゲネヴォミット』を放つ。2人のウルトラマンは避けるも、ゼットは吐き出したものに驚いていた。

 

『こいつ、小惑星を飲み込んでやがる・・・!?』

 

ゲネガーグは小惑星を飲み込んでいたのだ。そしてゲネガーグはゼロに向かって、飲み込んでいた小惑星を吐き出した。

 

『その手は食うかっ!!』

 

ゼロはそれを受け止め、弾くもそれはゼロの予想と大きく違った。それは小惑星ではなく、石に火山のような突起が生えた四次元怪獣『ブルトン』だったのだ。

ブルトンは四次元空間を発生させ、ゼロを吸い込もうとしていた。

 

『ブルトンッ!?マジかよ!?ああっ!!』

『!師匠っ!!』

『しゃあねえ!!ゼット、これを持っていけぇっ!!』

 

そう言って、ゼロはゼットに4つの小さな光を投げる。ゼットは右手でそれを受け止めた。

 

『これは・・・!?』

『奴が飲み込んだメダルはお前が取り返せ!!頼んだぞ!!』

『師匠ーっ!!』

 

ゼロは異次元空間に飲み込まれ、ブルトンと同時に消えていった。ゲネガーグはそれを見届けると背中からのジェット噴射で地球に向かっていった。

その地球は怪獣娘達が人々と一緒に暮らす地球だった。怪獣のいなくなった地球に再び怪獣の脅威が迫っていた。




影絵は原作1話と同じ物をイメージしています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ご唱和ください、我の名を!(中編)

タイガの方でも、知らせましたがZでも『サブタイを探せ』を入れました。

隠されたサブタイが分かった方は感想欄でどうぞ。


 

「それでさ、私にさ、生き別れになった双子の妹がいたんだよね。」

「えっ、マジで!?どんな人?」

「私とは正反対かな、性格は。けど、抜けている所とかドジな所もあってさ、可愛いんだよね。今度、紹介するよ。」

 

ハルキとミコはアイスを食べながら、町を散策していた。その時、GIRLSに所属する怪獣娘が持つ怪獣娘の変身を安定させるデバイス『ソウルライザー』に着信が届いた。

 

「ごめん。ちょっと出るよ。はい、こちらガッツ。」

『そちらに隕石が接近しています!!住民の救助と避難活動をお願いします!!』

「了解・・・って隕石ってもしかしてあれ?」

「早い、間に合わないぞ!!」

 

ミコが指差した方向に周りの建物を砕く大きな音を立てて、隕石が落下した。

しかし、それは隕石ではなかった。隕石だと思っていたものは怪獣だった。

 

「グゴアアアァァァ!!!」

 

地球からいなくなった筈の怪獣が再び現れた。怪獣が再び、地球に怪獣の脅威を齎す時が来てしまった。

「う、うわああああぁぁぁぁ!!」

「ほ、本物の怪獣だーーーーーーっ!!」

「で、でけぇ・・。」

「ピグっち、やばいよ!!あれは隕石じゃない!!信じられないかもしれないけどあれは怪獣だよ、しかも本物の!!」

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部指令室では町に現れた怪獣をモニターからみる怪獣娘がいた。ピグモンに加え、黒が混じるピンクの長い髪とアンテナのような角と長い尻尾がつき、白と黒の格好の宇宙怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『エレキング』、暗い茶色の腰まで届く長髪に金色の肌の露出の多い格好の宇宙ロボットの魂を継ぐ怪獣娘『キングジョー』だ。

 

「こちらでも確認しました。現場にアギアギ達を向かわせます!!その間に住民の救助と避難誘導をお願いします!」

『了解!!』

「キングジョー、怪獣の特定は?」

「駄目デス。過去のアーカイブドキュメントに記録がありマセン。あの怪獣は新種だと思われマス。」

「そうですか・・・・・。それにしても、何故今になって本物の怪獣が・・・・。」

「あの怪獣は地球の周りの人口衛星に写っていたようデス!!怪獣の中には宇宙からきたものもイマス。地球からいなくなっても宇宙ではまだいたのでショウ・・・。」

「しかし、この数十年間宇宙からも怪獣や宇宙人が来ることは無かったはずです・・・。どうして今になって・・・。」

 

彼女達が指令室の対応をする中アギラ、ミクラス、レッドキング、ゴモラは現場に向かっていた。そこにウインダムも合流しようとするも、アギラに止められる。

 

「アギさん、ミクさん!!」

「ウインちゃん!!聞いた!?」

「はい、本物の怪獣が出現したと!私も行きます!」

「駄目!!ウインちゃんは万が一のためにザンドリアス達とここに残って!!」

「・・・・・・・・アギさん。・・・・・・・分かりました!!」

 

そう言って、彼女達は走っていった。ウインダムはその後ろ姿を見送っていた。

 

 

 

「ハル、この先に避難所があるからそこにハルは逃げて。」

「ミコは?」

「仕事。」

「分かった。気をつけろよ、相手は本物の怪獣なんだからな!」

「うん、ソウルライド『ガッツ星人』!!」

 

ミコは怪獣娘に変身し怪獣に向かって走っていく。ハルキはその姿を見届けるとミコとは逆方向に走っていく。

やがて、ミコはゲネガーグの近くまで辿り付いた。ゲネガーグを真下から見てミコは一言呟く。その時、ピグモンからの通信がソウルライザーに入る

 

「怪獣は記録で見ただけだけど、こうして見るとやっぱり大きすぎるよね・・・。とにかくアギ達と合流しないと!!」

『待ってください!!』

 

 

その頃、GIRLS本部では宇宙からのもう1つ『何か』が接近しているのを捉えた。ピグモンがその事をガッツ星人に伝える。

 

「そちらにもう1つ、高熱源体が接近しています!!」

『まさか、また怪獣じゃないよね!?』

「そこまではまだ分かりません・・・。」

「これ以上、物騒な宇宙からの贈りものは勘弁願いたいわね。」

 

ゲネガーグの目の前に1つの光が落ちる。それは光が収まると50m位の巨人になった。銀色と青色のカリーリングに胸に青く輝くZのマークの結晶を備えたその巨人は見たガッツ星人は思わず呟いた。

 

「ウル・・・トラマン・・・。」

 

それは先程までゲネガーグと戦っていたウルトラマンゼットだった。ゼットはゲネガーグに向かってファイティングポーズをとる。

ガッツ星人はGIRLSに目の前で起こっている事を報告する。

 

「ピグっち、宇宙から来たのは怪獣だけじゃないよ!!多分だけど・・・・ウルトラマン、ウルトラマンらしい巨人も現れた!!」

『こちらでも確認しました!!現れた巨人は確かに過去に現れたウルトラマンの特徴をしています!!あの目、あの顔、そして胸のカラータイマーらしきランプ・・・・・過去の記録にはありませんが・・・・・・確かにガツガツの目の前にいるのは本物のウルトラマンです!!』

「やっぱり・・・、あれが本物のウルトラマン・・・・・!!」

 

ガッツ星人はゼットを見上げながら呟く。

ゼットは突進してくるゲネガーグを抑えつけ肘打ち、パンチ、キック、そして再びキックを打ち込む。ゲネガーグも首を振ってゼットを振り払う。ゲネガーグは大きな口でゼットに噛み付こうとするも、ゼットはその口を抑え、右足で膝打ちを打ち込んだ。

ガッツ星人はそんな今の状況をGIRLSに報告する。

 

「現場では怪獣とウルトラマンが戦ってるよ!!」

『見ています!!戦いに巻き込まれると危険です!!下がってください!!』

「でも、周辺に被害が出てる!ウルトラマンを援護するから!!」

『待ってください!!』

 

ガッツ星人はピグモンとの通信を切る。そして、ゼットに噛み付くゲネガーグに向かって両手から光線を撃ち出した。光線に気を取られたゲネガーグはゼットを放し、自分を攻撃した者を探す。

 

「ジェアッ⁉︎」

「援護するよ、ウルトラマン!」

 

ガッツ星人は分身してゲネガーグを取り囲む。ゲネガーグを取り囲んだガッツ星人は拘束光線を怪獣に向けて発射する。ゲネガーグは拘束光線を破り、ガッツ星人に向けて大きな口を開けて突進する。

 

「ジェアッ!!オアッ!!ジィェアッ!!」

「ありがとう、ウルトラマン・・・。」

 

ゼットは横からゲネガーグを抑えつけ、左足で膝打ち、右足でキックをゲネガーグに叩き込む。続いてゼットは拳に力を込めてゲネガーグの顔面に放つ。

ゼットのパンチでゲネガーグは後退するも、体を赤く光らせ、無数の光弾『ゲネパラサイト・ボム』を放つ。

 

「ジィアァッ!!」

「きゃあああ!」

 

ゲネガーグのゲネパラサイト・ボムでゼットとガッツ星人は吹っ飛ぶ。ゲネガーグはその隙に背中のジェット噴射で突進した。

ガッツ星人はなんとか避けるも、ゼットだけはまともに食らってしまう。

 

「ウルトラマンッ‼︎」

 

 

 

その頃、現場にはGIRLSの要請を受けたアギラ、ミクラス、レッドキング、ゴモラが到着していた。

その横をゲネガーグが背中からのジェット噴射で突き進む。

アギラはソウルライザーでガッツ星人に連絡する。

 

「ガッツ、聞こえる?」

『聞こえるよ、アギ!』

「ボク達も現場に向かっているんだけど、怪獣が避難所である伊賀栗中学校に向かっている‼︎ボク達も急ぐからすぐに向かって!」

『了解!!』

 

避難所は真っ直ぐこっちに向かってくるゲネガーグの姿が正面から見えた。ゲネガーグは大口を開けながら避難所に向かって進行してくる。そんな姿を見て、避難所の人々は大パニックになる。

 

「おい、怪獣がこっちに来るぞ!!」

「いやああぁぁ!!こんな所で死にたくない!!」

 

避難所は恋人、家族など様々な人がお互いを抱き合っていた。

ガッツ星人はゲネガーグの顔面の前に瞬間移動で現れ、分身した。分身と共に拘束光線を放つ。 

 

「ウルトラマン‼︎手を貸して・・・って言葉通じてるのかな⁉︎」

 

その言葉を聞いたゼットはゲネガーグの尻尾を掴み、投げ飛ばす。

 

「言葉通じるんだね!なら、大丈夫かな!」

「ガッツーーーッ!!」

 

そこにアギラ達4人が到着した。彼女達はガッツ星人を気遣う。

 

「アギ、皆!!」

「ガッツ、大丈夫!?」

「怪我とかは!?」

「待たせてごめん!」

「大丈夫だよ!!」

「うん、じゃあ行こう、皆!!」

「うん!」

「おう!」

「任せて!」

「そうだね。さて、さてさてさてさてさて私達怪獣娘とウルトラマンが力を合わせてこの怪獣を倒すとしますか!!・・・ね、ウルトラマン。」

 

しかしウルトラマンのカラータイマーが『ピコン、ピコン』と音を鳴らしながら、赤く点滅していた。彼女達も過去の記録で知っていた。それはウルトラマンの活動限界が近付いている事を。

 

「おい、ウルトラマン!!胸のランプ・・・カラータイマーって言うんだっけ!?それがピコピコ鳴ってるぞ!!!」

「嘘、カラータイマーって確か活動限界時間を示すものだよね!!もう活動限界時間って事!?」

「そういえば、ウルトラマンが降り立って・・・・・もう3分近いよ!!」

「ごめん、ウルトラマン!!後は私達怪獣娘に任せて!!」

 

彼女達は怪獣に戦闘態勢をとる。

ゲネガーグの体が赤く発光し始めた時、ピグモンから連絡が入る。

 

『皆さん、怪獣の体温が急上昇しています!!気を付けて下さい!!』

「うげ、何か嫌な予感が・・・・。」

「嫌な予感どころじゃないよ!!さっきの光弾の雨がくる!!皆、気を付けて!!」

 

ガッツ星人はさっきの光弾が来ると悟り、避けようとした。しかし、後ろを見て彼女は防御体制を取ろうとした。彼女の後ろには大勢の人々が避難していたからだ。

ゲネガーグがゲネパラサイト・ボムを放つ。怪獣娘達は拳や尻尾、光線でそれを弾く。

ゼットもその身を盾にして、腕で光弾を弾く。

その途端、ゲネガーグは口から強力な破壊光線『ゲネバスター』を発射した。

 

「「「「「なっ⁉︎」」」」」

 

破壊光線が直撃すれば死は免れない。彼女達は覚悟を決めた。しかし、怪獣の破壊光線は彼女達に当たらなかった。

ゼットがその身を盾にして、彼女達を守ったからだ。

 

「ジェアーーツ‼︎」

 

破壊光線を受けたゼットはその場に倒れ込む。怪獣娘達はその光景を見ている事しか出来なかった。

彼女達がゼットに呼びかける。

 

「ウルトラマン、御免なさい。ボク達の為に・・・。」

「おい、嘘だろ、頼むよ。頼むから立ってくれ、ウルトラマン!」

「わたしの前世のゴモラを倒したウルトラマンはその程度じゃなかったよ!お願い、立ち上がって!」

 

彼女達がウルトラマンに呼びかける間にゲネガーグは背中のジェット噴射で避難所である中学校に向けて前進する。

彼女達はそれを見て、怪獣に立ち向かっていく。

 

 

(ウルトラヤベぇ・・・・。意識が朦朧としてきた・・・・・。)

 

ゼットはそれを横目で立ち上がろうとする。しかし、彼の体は再び地面に付いてしまった。胸のカラータイマーが高速で点滅している。自分の命のタイムリミットが近付いている事を知らせていた。それでも、ゼットは立ち上がろうとする。

 

(ゼロ師匠と約束したんだ・・・・。奴が飲み込んだメダルとライザーを取り戻すって・・・。それに、あそこには多くの地球人がいた・・・・。このままじゃ彼等が・・・・。彼等の為にも俺が立ち上がらないと・・・・・。)

 

ゼットは自分に言い聞かせ、再び体を立ち上がらせようとする。

 

(頼む・・・・・!!起きてくれ・・・・・!!俺の体・・・・・!!俺は・・・・こんな所で・・・・・死ぬわけには・・・・・いかないんだ・・・・。)

 

ゼットは再び体を立ち上がらせようとするも、息を崩して、倒れてしまう。

 

(あんな小さい体で・・・・・ゲネガーグに立ち向かった・・・・・・彼女達の・・・・・為にも・・・・・ゼロ師匠の・・・・・為にも・・・・・この星の人の・・・・・為にも・・・・・光の国の為にも・・・俺は・・・最後まで諦めない・・・・メビウス兄さんも・・・・言ってた・・・・最後まで諦めず・・・・・不可能を可能にするのが・・・・・ウルトラマンだって・・・・。だから・・・・俺は・・・・。)

 

時は無情だった。ゼットのカラータイマーは今も高速で点滅し続けている。このままゼットの命が尽きるかと思われた。逆転のチャンスがやって来たのだ。それは奇跡なのか、偶然なのか、必然なのか。

ゼットの前に3枚のメダルを右手に、青と黒の青い部分が刃になったような機械を左手に持って、1人の地球人がやって来た。

それはガッツ星人の幼馴染ハルキだった。

 

「おーいっ!!ウルトラマンっぽい巨人!!これってアンタのものだよな⁉︎」

(地球人!?ウルトラマンっぽい巨人って・・・・・俺は光の国から来た正真正銘本物の・・・ってウルトラメダルに・・・ウルトラゼットライザー!?何でお前が持って・・・・!?)

 

これが彼等のファーストコンタクトとなった。そしてここから彼等の物語が始まろうとしていた。




皆さん、感想や意見くれると嬉しいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ご唱和ください、我の名を!(後編)

ようやく小説を投稿する時間が出来ました。

それではどうぞ。


少し時間を遡って、ハルキは避難所に向かっていた頃、ウルトラマンゼットが地上に降り立った。

その姿を見て、ハルキは思わず呟く。

 

「光の・・・巨人・・・。まさか・・・あれって⁉︎」

 

ハルキは本やネットで見た第一次大怪獣時代の記録を思い出す。かつて怪獣との戦いに力を貸してくれた存在を思わせる巨人にハルキは思わず呟く。

 

「ウルトラマン・・・なのか・・・。」

 

やがてゼットはガッツ星人と力を合わせて怪獣『ゲネガーグ』と戦い出す。その途中でゲネガーグがゼットに突進した時らゼットから4つの光が落ちた。その光はハルキの前に落下した。

 

「何だ?」

 

光は青い刃が付いたような機械と3枚のメダルになった。メダルには横顔が描かれていた。

 

「これって・・・・もしかして、ウルトラマン?これって・・÷やっぱりあの・・・ウルトラマンっぽい巨人の物なのか?」

 

ハルキは立ち上がりゲネガーグに向かうゼットを見て呟いた。

 

「もしこれがあの巨人のものなら早く届かないと・・・‼︎」

 

ハルキはゼットに機械とメダルを届ける為に走り出す。ハルキが巨人に追いついた時は怪獣娘達がウルトラマンと力を合わせて、怪獣から避難所である中学校を守っているところだった。

 

「ヤバい、このままじゃ‼︎」

 

ハルキがやっと巨人の元に追いついた時、巨人は怪獣の破壊光線を食らい、虫の息だった。

巨人にハルキは声を掛ける。

 

「おーいっ!!ウルトラマンっぽい巨人!!これってアンタのものだよな⁉︎」

「ジェア⁉︎」

 

ハルキは大声で叫び、ウルトラマンの前にさっき拾った物を翳す。

ウルトラマンは驚いた様子でハルキを見ていた。

 

「やっぱ、これはアンタの何だな!さっき、怪獣の突進を食らった時にアンタが落としたんだ‼︎こいつを返す‼︎だから、立ってくれ、!俺にはこれしか出来ないけど!」

「ジェアッ!」

「もし、アンタがウルトラマンなら、こいつで・・・って、え?」

 

ウルトラマンが光り、ハルキを飲み込む。ハルキは思わぬ光の強さに目を閉じてしまう。

ハルキが次に目を開けると赤と青と黄色の光が光り、後は真っ暗な空間だった。ハルキの後ろから何処からともなく声が聞こえた。

 

『振り向きなさい、地球人。』

「え・・・って、アンタはさっきの。」

 

ハルキが振り向くと、さっきまで怪獣と戦っていたウルトラマンが立っていた。ウルトラマンはハルキに語りかける。

 

『突然で混乱していると思うが聞いて欲しい。私はウルトラマンゼット。』

「ウルトラマン・・・ゼット。・・・やっぱりアンタはウルトラマンだったんだな。かつて地球を怪獣の脅威から救ってくれたあの・・・。」

『そうだ。だが、さっきの攻撃で私はウルトラヤバい状態みたい。』

「ウルトラヤバいって、ウルトラマンがそんな状態じゃあどうするんだよ!このままじゃ、あの怪獣のせいで人が沢山死ぬぞ!」

『だからこそ、頼みがある。私と手を組まないか⁉︎私もお前の力が必要なのでございます!』

「・・・・・・・・・。」

『・・・・・言葉通じてる?』

「あっ、いや通じてるけどさ、少し言葉使いが変だなと思って。」

『えっ、マジで?参りましたな。地球の言葉はウルトラ難しいぜ。』

「まあ、いいや。アンタと手を組めばあの怪獣を倒して皆を守れるんだな‼︎」

『ああ、守れる!』

「だったらやる!このまま何もやらないよりはいい筈だから‼︎」

 

ハルキが答えるとゼットは光となり、ハルキがさっき拾った青と黒の機械に変わる。

 

『さあ、その『ウルトラゼットライザー』のトリガーを押します。』

 

ウルトラゼットライザーを持ち、親指の位置についたトリガーを押す。すると、Zの形の光が現れ、それは扉『ヒーローズゲート』に変わる。

 

『その中に入れ。』

「おう・・。」

 

ハルキはヒーローズゲートに入る。そこは幾つもの光が駆け巡る不思議な空間だった。光の中からゼットとハルキが描かれたカードが現れる。

 

『その『ウルトラアクセスカード』をゼットライザーにセットだ。』

 

ハルキはゼットの言葉通りアクセスカードをゼットライザーにスキャンした。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

「これは・・・。」

 

するとハルキの腰に光が集まり、ホルダーになる。中にはさっきのウルトラマンの横顔が描かれてたメダルが入っていた。

 

『ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠のウルトラメダルだ。スリットにセットしちゃいなさい。師匠達の力が使える筈だ』

「すげえな、流石ウルトラマン。師匠が沢山いるんだな。」

 

ハルキはメダルがはいるスリットにウルトラマンゼロ、ウルトラセブン、悲しみを乗り越えた獅子の王子『ウルトラマンレオ』のメダルをセットする。

 

『おおっ、ウルトラ感がいいな。じゃあ、メダルをスキャンだ。』

「なあ、もっと急いだ方が良くないか?このままじゃ、ミコ達が。」

『安心しろ。この空間は時間が歪んでいるからここでの1分は外での1秒だ。』

「そうなのか。分かった。」

 

外では10秒も立っていない事に安心したハルキはメダルをスキャンする。

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

メダルを全てスキャンするとゼットが現れる。

 

『よし、ならば俺の名を呼べ!』

「よ、よし。ウルトラマンゼット。」

『あ、そうじゃなくて、もっと気合いを入れて言うんだよ!』

「き、気合い?」

『そうだ!ウルトラ気合い入れていくぞ!』

 

ゼットは両腕を広げ胸を張る。それは自分を主張していた証だった。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ハルキは叫びながらゼットライザーを真上に翳す。しかし、何も起きなかった。

 

『トリガー、トリガー最後に押すの!』

「これ?」

『そう、そこ。』

 

ハルキは真上に翳して、ゼットライザーのトリガーを押す。

するとメダルに描かれた3人のウルトラマンが飛び交うビジョンが映る。飛び交った光の跡が一点に集まり、そこから1人のウルトラマンが現れる。

ウルトラマンゼットの面影を残しつつ、赤と青のカラーリングに額にビームランプと呼ばれる結晶、ウルトラマンゼロを彷彿とさせる2つのスラッガーを備えた拳法に優れたウルトラマンゼットの戦闘形態、その名は

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、怪獣娘達はゲネガーグの侵攻を食い止めるべく、必死になって攻撃を仕掛けていた。

 

「そっから先に行くな!!この野郎!!」

 

レッドキングがビルの瓦礫を投げつけて、注意を引こうとする。ゴモラも角から放つ超振動破を放つ。

しかし、怪獣の進撃は止まらない。

先に怪獣と戦っていたガッツ星人は拘束光線を放つもすぐに破られてしまう。

怪獣が口にエネルギーを溜め始める。さっきの破壊光線を放つつもりだ。後ろには怪獣から避難した沢山の人がいる。彼女達は絶対に避けられない事を悟り、せめて自分達が盾になろうと決意した。

その時だった。ウルトラマンゼット・アルファエッジが現れ、飛び蹴りを放ったのは。

怪獣娘達はその光景を見て唖然としていた。

それはGIRLS東京支部作戦指令室でもそうだった。

 

「また、新たなウルトラマン!?」

「いいえ、さっきのウルトラマン本人よ。過去のウルトラマンの中には姿を変えられる者がいたと聞くわ。恐らくあのウルトラマンもその類じゃないかしら。」

 

ウルトラマンゼットと一体化したハルキはその力に驚いていた。

 

(すげえ、これならやれる!あの怪獣と戦える。)

『息を合わせて戦うぞ、地球人!』

(おうっ!!)

 

ゼットはゲネガーグに向かって構えた。ゲネガーグはゼットに突進してくる。ゼットは突進してくるゲネガーグを押さえつけ、右手、次に左手で2発の拳を打ち込んだ。

大きな口で噛みつこうとしてきたゲネガーグを再び押さえつけ、顔、口内と2発裏拳を叩き込む。その次に顎に左足で蹴りを放ち、右腕でチョップを2発叩き込む。

 

「ジィアッ!デュア!デアッ!!」

 

ゲネガーグと距離を再び取る。先にゲネガーグが突進してきた。それを両手をクロスして受け止め、右足、左足、右足の順で回し蹴りを放つ。

後ずさるゲネガーグは体を赤く発光させる。赤い光弾『ゲネパラサイトボム』を放つつもりだ。

 

「イィヤーッ、トゥワーッ!!」

 

ゼットは頭のスラッガーに意識を集中し、エネルギー状の刃『ゼットスラッガー』を形成する。その刃は稲妻状のエネルギーで結びつき、光の刃でできたヌンチャク『アルファチェインブレード』となる。

ゲネガーグがゲネパラサイトボムを放つもアルファチェインブレードで弾かれ、その体に何度も切り傷が刻まれる。

 

『おおっ、これが宇宙拳法秘伝の神業か!!ウルトラ強ぇ!!』

 

ゼットは右足でゲネガーグの顎に蹴りを叩き込み、左足で回し蹴りを決める。再び、右足で炎を纏ったキック『アルファバーンキック』を回し蹴りで叩き込む。

 

「ジェアッ!ジュッ!」

 

ゲネガーグは背中からのジェット噴射でゼットに突進する。ゼットはそれをまともに食らい、後ろにあったビルを破壊し、空に運ばれた。

 

「ゴガアアアァァァ!!」

「ジェアッ!?」

 

ゼットはゲネガーグを蹴り、距離を取る。ゲネガーグは口にエネルギーを溜め始めた。

ゼットは両の拳を向かい合う様に胸の前に並べ、拳を手刀の形にして、左腕を斜め上、右腕を斜め下に伸ばす。するとゼットにZの形をした光が描かれた。今度は両手を逆にして、腕を十字にして必殺光線を放つ。

 

『(ゼスティウム光線!!)』

 

ゼットの光エネルギーを宿した光線とゲネガーグの破壊光線『ゲネバスター』がぶつかり合う。ゲネガーグは自分ごと推し進めようとするが、ゼットの方が光線の威力を上げた事で逆転する。

ゲネガーグはゼットのゼスティウム光線をまともに浴びて地面に叩きつけられ、爆散した。

ウルトラマンゼットの勝利だ。ゼットは着地し、敵が倒された事を確認すると空にZの文字を描いて飛び去った。

 

「ジュワッチ!!」

 

GIRLS本部ではピグモンとエレキングがその光景を見ていた。

 

「まさか、再び地球に本物の怪獣が現れるなんて・・・。」

「怪獣の中には宇宙から来たものもいる以上、有り得ない事はないとは思ってたけど・・・・・、怪獣対策にウルトラマンの調査・・・・、これから忙しくなるわね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの怪獣から散らばったメダルを回収してくれ。あれはこの宇宙を救う希望なんだ!お頼み申し上げます!!』

「言葉遣いやっぱ変だな。てか、メダルって何だよ!?これのようなメダルが他にもあるのか!?宇宙を救う希望ってどういう事だよ!?おい、ゼット!?」

 

ハルキは気が付くと、ゲネガーグの襲来で壊れた町の中にいた。そこでハルキは2枚のメダルを見つけた。

そのメダルには卑劣な異次元人に立ち向かった『ウルトラマンエース』、ウルトラマン№6『ウルトラマンタロウ』の横顔が描かれていた。

 

「ゼットが言っていたメダルって絶対にこれだよな?このウルトラマンは・・・・後で調べよう。」

「ハル!」

 

ハルキは自分を呼ぶ声が後ろから聞こえたので振り返った。そこには怪獣娘に変身した幼馴染がいた。彼女は少し怒ってる様子だった。

 

「何でここにいるの!?危ないから避難してって言ったじゃん!!」

「あ・・・。」

 

 ガッツ星人はハルキの体をペタペタと触り始める。

 

「大丈夫?怪我とかしてない?」

「ああ、大丈夫だ。」

「良かった。ここで見た時は心臓が飛び出るかと思ったよ・・・・。もう、心配させる様な事はしないで・・・。折角再会出来たのにハルに何かあったら・・・わたし・・。」

「悪い・・・・。」

 

小声でそんな事を話すミコにハルキは思わず謝る。しかし、彼は感じていた。また、ウルトラマンゼットとして戦う事になると。そしてその時は近いとハルキは感じていた。

 

「フッ・・・。」

 

その様子を物陰から見ている男がいた。GIRLSの制服を着た男だ。その男の手には超古代の戦士『ウルトラマンティガ』、ネオフロンティアの英雄『ウルトラマンダイナ』、大地が生んだ光『ウルトラマンガイア』の横顔が描かれたメダルがあった。その男はその手の中のメダルを眺め、再び2人に視線を向けるとその場を去っていった。

他の怪獣娘もゲネガーグの破壊跡にいた。取り残された人がいないか調べるためだ。その中でゴモラはあるものを見つけた。

 

「何だろこれ、メダルかな・・・ってこれってまさか!?」

 

それはゴモラのカイジューソウルと因縁のある始まりの巨人『ウルトラマン』のメダルだった。

 

「ウルトラマンだよね、これ。まさかさっきのウルトラマンと何か関係が・・・。」

 

ゴモラはそう呟くとメダルを懐にしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、GIRLS東京支部内では回収されたゲネガーグの全ての肉片が運ばれていた。

半世紀ぶりに再び現れた怪獣という事で怪獣娘の研究にも役立てる事が出来るかもしれない上に、怪獣の細胞の悪用を避けるためにも、ゲネガーグの肉片は全てGIRLSが管理する事になった。

 

「本日出現した宇宙怪獣コードネーム『ゲネガーグ』の肉片1番から39番、収容完了しました。これで全てとなります。多岐沢先生。」

「すまないですね、カブラギ君。残業を頼んでしまって。」

「何言ってるんですか。大学時代あんなにお世話になったんです。それに折角、大学院を卒業したのに入社当日に就職先が潰れて、途方に暮れていた僕にGIRLSを紹介してくれたんです。そんな先生のために働きたいと思っていますから。」

 

この作業を行っていたのは、カブラギシンヤと多岐沢マコト。多岐沢は城南大学準教授だった頃に始まりの怪獣娘と出会い、GIRLSの設立に関わった。現在はGIRLS研究部門の嘱託顧問および育成部の部長ならびに大怪獣ファイターのコーチングを行っている。

カブラギは城南大学院を卒業し、やっと見つけた就職先が入社当日に倒産したせいで途方に暮れていた。そんな時、大学時代の恩師である多岐沢マコトと偶然再会し、彼に勧められ、GIRLSに就職した研究員見習いだ。

 

「まさか、本物の怪獣が出現するなんて思いませんでしたよ。確かにゴモラやレッドキングの様な地球に住んでいた怪獣と違って、宇宙怪獣な分、出現の理由に説明がつけられますけど。」

「そうですね。ただ今回の事件で一番心配なのは本物の怪獣が出現した原因が怪獣娘に向けられなければいいのですが・・・・。」

 

その途端、ゲネガーグの肉片を入れたケースが倒れ、中に入っていたゲネガーグの肉片が零れてしまった。

 

「うわっ、ヤバいっ!!」

「大丈夫ですか?手伝いますよ!」

「大丈夫です。僕の置き所が悪かったせいで起きたんです。僕が片付けますよ。先生は明日も忙しいでしょう?大怪獣ファイトの試合のためにジョンスン島に行かなければならないんですから。」

「しかし・・・・。」

「これくらい、僕がやっておきますよ。」

「・・・・・・分かりました。それでは、カブラギ君お願いします。」

 

多岐沢はそう言って、部屋を出ていく。カブラギは肉片を集めて、専用のケースに詰めていく。

 

「ああは言ったけど、・・・なんだよ、これ気持ち悪いな・・・。何だこれ、変な機械が入っているけど、・・・・後で先生に報告しておくか。」

 

その途端、肉片に潜んでいた何かがカブラギの顔に張り付いた。それはエイとアノマロカリスを掛け合わせた赤い目を持つ虫のような生物だった。

 

「うわあっ!!何だよ、これ!!気持ち悪いな!!離れろよ!!ああっ・・・あ・・・あ・・・。」

 

その生物はカブラギの口の中から侵入し、体に入り込む。謎の生物に体を乗っ取られたカブラギは痙攣し、不気味な動きをした。それも収まると、ゲネガーグの肉片に両手を突っ込み、何かを取り出した。左手にはウルトラゼットライザー、右手には橙色の結晶を持って、呟いた。

 

「・・・・・キエテ、カレカレータ・・・・・。」

 

その言葉は地球の言葉でいい気分だを意味する。カブラギの体を乗っ取った寄生生物『セレブロ』は宇宙語で呟いた後、不気味な笑みを見せた。




ハルキ「ハルキと」

ミコ「ミコの」

ハルキ&ミコ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈ZERO〉

ミコ「ゼットが尊敬している師匠ウルトラマンゼロ。ウルトラセブン譲りの光線技やウルトラマンレオ直伝の宇宙拳法で戦うよ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈GENEGARG〉

ハルキ「この怪獣はゲネガーグ。数十年ぶりに宇宙から来た凶暴な怪獣で、口から色んな物を吐き出してくる手強い相手だ!!」

マコ「次回はわたしが担当するわ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」




次回予告(CV:ウルトラマンゼット)

怪獣出現!!宇宙から来た高速で飛び回る手強い相手だ!町と怪獣娘が危ない!!ハルキ!!見えない位早い敵の戦い方を身につけるぞ!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


戦士の心得


ウルトラ張り切るぜ!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の心得(前編)

お待たせしました。
JJさんとヘビクラ隊長の関係を早くも暴露します。
それではどうぞ。

宇宙有翼怪獣『アリゲラ』登場


宇宙空間では1匹の宇宙怪獣が火星の傍を通過していた。

赤い体にワイバーンを思わせる翼、目の無い頭部を持つその怪獣は宇宙有翼怪獣『アリゲラ』。

アリゲラは高速で宇宙空間を飛び、真っ直ぐ地球に向かっていた。

 

 

 

 

GIRLS本部には、怪獣娘達が集められていた。先日、現れた怪獣について会議するためだ。

 

「皆さん、先日、再び怪獣が出現し、町を破壊する大事件が起こりました。今後、再び怪獣が現れた時のための対策会議を講義します。」

「まず、怪獣が現れた時の避難誘導はシャドウと何ら変わりありません。救助についても同様です。問題は怪獣の被害をどう食い止めるかです。」

「怪獣の被害を食い止める方法ですか・・・?」

「怪獣相手に戦うのが一番なんだけどね・・・。」

「実際に戦ったけど、恐ろしく手強かったぞ。いくら俺達が怪獣の魂を宿しているからって、挑むにはスケールがでかすぎるだろ・・・。」

 

ピグモンの言葉にゴモラとレッドキングが反応する。一方でガッツ星人は何か考え事をしていた。

そんなガッツ星人にアギラが声を掛ける。

 

「ガッツ、どうしたの?」

「ああ、ごめん。あのウルトラマンが気になって・・・。」

「ウルトラマン・・・、ああ、確かあの時の・・・。ピグモンさん、あのウルトラマンについて何か分かった事はありますか?」

 

ガッツ星人の言葉にウインダムはピグモンに質問する。

 

「まだ、何も分かっていません。ただ、あのウルトラマンはコードネームとして『ウルトラマンゼット』と名付けられました。」

「Z?NじゃなくてZなんスか?」

「お前、まだ言ってるのか?確かにNに見えるけど、あれはZだろ、どっちかと言うと。」

 

そんな会話をしていたのはセーラー服のような格好に背中に翼が生えた駄々っ子怪獣の魂を継ぐ『ザンドリアス』とパンクファッションのような格好に大きな耳が特徴の騒音怪獣の魂を継いだ『ノイズラー』だ。

そんな2人の会話をさておいて、ピグモンは会話を続ける。

 

「尚、今回の怪獣騒動に伴い、GIRLS戦闘部隊新隊長をここ、東京支部に配属する事が決定しました。紹介します。どうぞ。」

 

ピグモンの言葉と同時に会議室に前髪を掻き上げたGIRLSの制服を着た30代位の男性が現れる。

キングジョーはその男に見覚えがあるようだったが、男はキングジョーの言葉を否定する。

 

「JJさん⁉︎」

「あっ?誰だ、そいつ?俺はお前と会うのは始めてだぞ。」

「えっ⁉︎」

 

キングジョーの言葉の後にピグモンが続く。ピグモンは男の事を紹介する。

 

「本日よりGIRLS戦闘部隊隊長に任命されたヘビクラ隊長です。 ヘビクラ隊長、自己紹介をお願いします。」

「今日からGIRLS戦闘部隊隊長に任命したヘビクラ・ショウタだ。お前らの事は聞いている。よろしく頼む。」

『よろしくお願いします‼︎』

「あの、どうしてGIRLSの戦闘部隊隊長になったんですか?」

 

ヘビクラの自己紹介の後、怪獣娘達が彼に返事し、ウインダムがヘビクラに質問する。彼女の質問にヘビクラは淡々と答えた。

 

「何、怪獣との本格的な戦闘に備えて就任されただけだ。多岐沢博士の推薦でな。」

「博士の⁉︎」

「そこから先は僕が説明します。」

 

会議室にGIRLSの設立に関わった多岐沢が入ってきた。多岐沢は彼女達に説明を始める。

 

「先日、前にGIRLSの戦闘部隊隊長だった友人から手紙が届きました。再び怪獣が現れた事で怪獣との戦い方に詳しい彼を自分の後釜に任命したとの事です。」

「とは言っても、怪獣の力は凄まじい。お前らか怪獣の魂を宿しているとはいえ、出来る事は限られる。」

「ええ、ですから今はウルトラマンが来るまで、怪獣を足止めする事にしましょう。エレエレ、ウインウイン、バサバサ、ジャパジャパの4人はウルトラマンゼットの調査をお願いします。全体会議は以上です。」

 

 

 

 

 

 

 

全体会議が終わって、青い羽が生えた翼に猛禽類を思わせる足の風ノ魔王獣の魂を継ぐ怪獣娘『マガバッサー』とビキニのような格好に頭には目の様なものが付いた水ノ魔王獣の魂を継ぐ怪獣娘『マガジャッパ』はお茶を飲みながら、雑談していた。

 

「GIRLS戦闘部隊隊長なんてのがいたなんてな。ジャッパは知ってた?」

「ううん、わたしも初めて知った。」

「だよなー・・・。再び地球に現れた怪獣か・・・。」

「よう。」

「「わああああああ‼︎」」

 

2人の会話の中、ヘビクラが顔を出す。突然現れた為、2人は大声で叫んでしまった。

マガバッサーとマガジャッパはそんなヘビクラに苦情を挙げる。

 

「ヘビクラさん‼︎突然、顔を出すの辞めて下さい‼︎」

「ビックリして心臓が止まると思いました‼︎」

「悪かった悪かった。挨拶に来ただけだ。」

 

ヘビクラはそう言って、2人にコーヒーを淹れたコーヒーカップを渡す。

 

「この支部に所属している怪獣娘に改めて個人で挨拶しようと思ってな。ほら、コーヒーやるよ。」

「「い、頂きます・・・。」」

「お前らのカイジューソウルがマガバッサーとマガジャッパだっけ?」

「はい、そうですけど・・・・。」

「わたし達のカイジューソウルの元の怪獣を知っているんですか?」

「・・・・・いや、別に。お前らは怪獣の生まれ変わり。そう聞いているが事実なのか?」

「そうらしいですけど・・・わたし達も詳しい事は・・・・・。」

「怪獣だった時の記憶とかはありませんし・・・・・。」

「・・・・・そうか。時間を取って悪かったな。」

 

ヘビクラはコーヒーを振る舞い、彼女達に質問した。彼女達の答えに納得すると、背を向けて去って行く。

マガバッサーはそんなヘビクラを呼び止めた。

 

「あ、あのどうしてそんな事を聞いたんですか?」

「・・・・・・別に。少し気になっただけさ。」

「あ、あのコーヒー、ありがとうございます!御馳走様でした!」

 

マガジャッパがコーヒーの事でお礼を言うとヘビクラは黙って手を振ってその場を去る。そして、小声で呟いた。

 

「・・・・・・・まさか、この地球でこんな形であいつらと再会するとはな・・・・・。最も、向こうは俺の事を覚えちゃいねぇらしいが・・・・・・・。」

 

ヘビクラはそう言って、懐から何かを取り出す。それはゴモラやレッドキングといった東京支部の怪獣娘達に宿るカイジューソウルの怪獣が描かれたカードだった。そのカードを見ながら、ヘビクラは考えるように呟いた。

 

「さーてと・・・・・こいつをどうするかねぇ・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

会議後、ミコと濃い栗色のボーイッシュな少女ゴモラこと『黒田ミカヅキ』と長い髪を後ろにロール状にした少女レッドキングこと『歌川ベニオ』が雑談しながら廊下を歩いていた。

 

「いやー、参ったね。今度、怪獣が現れたら、私達が対応しなきゃいけないんだから。」

「まあ、今の世界で怪獣に1番深く関わっているのはGIRLSなんだから、仕方ない気もするけどな。しかし、大怪獣ファイトの試合も幾つか延期になっちまうし、あの怪獣のせいで色々な予定が潰れちまったぜ。」

「ゴモ、レッド、次にまた怪獣が現れた時は頑張ろうよ。いざとなったら私達が皆を守らないと。」

 

そこにGIRLSの制服を着た暗い雰囲気の男が歩いてきて、後ろから3人に声を掛ける。

 

「・・・・・すいません・・・。・・・・・少し時間よろしいですか・・・・・・・。」

「「「うわあああぁぁぁぁ!!!」」」

「あんちゃん、いきなりびっくりさせんといて!!」

「えーっと、貴方は・・・!?」

「・・・・・・多岐沢博士の部下のカブラギ・・・・・です・・・・・。ガッツ星人の怪獣娘の・・・・・・印南ミコさんと・・・・・ゴモラの怪獣娘の・・・・・黒田ミカヅキさんと・・・レッドキングの怪獣娘の・・・・歌川ベニオさん・・・・・ですね。貴方達の・・・・・・健康状態の・・・・・・チェックのため、血液検査をさせてください・・・・・。」

「健康状態のチェック?検査はもう受けたぞ?」

「念のためと・・・・多岐沢博士は・・・・言っていました・・・・。」

「博士が!?」

「心配性だな、ハカセは。いいよ。」

「・・・・・・ありがとうございます・・・・。」

 

カブラギは3人を連れて医務室に向かう。雑談する3人の前でカブラギは・・・、いや、カブラギの体に寄生したセレブロは彼女達に聞こえないような小さな声で呟いた。

「・・・・・・キエテ、カレカレータ・・・・。」

 

 

「わーい!!アギラさん、ミクラスさん、ウインダムさん、お菓子ありがとうございます!!」

「ほんと単純だよな、お前。」

 

その頃、アギラ、ミクラス、ウインダムはGIRLSの売店でお菓子をザンドリアスとノイズラーに買っていた。実は怪獣が出た事で彼女達のバンドのライブが延期になってしまい、彼女達は会議後それを知って大荒れしていたのである。それで、アギラ達は彼女達の心が少しでも鎮まればと思い、お菓子を奢っていたのである。

 

「それにしても、怪獣のせいでライブも出来ないなんて‼︎」

「仕方ありませんよ。それに中止ではなく延期ですから、またライブする機会が来ます。だから今は大人しくしましょう。」

「う〜・・・それにしても・・・・。」

「どうしたの?」

「いや、アタシやザンの怪獣って宇宙から来たんですよね?」

「ええ、確かザンドリアスとノイズラーは宇宙から飛来したと記録にありました。」

「だとしたら、いつかアタシ達の元となった怪獣が再び宇宙から飛来する可能性もあるのかなって思って・・・・・。」

「それは・・・・・。」

 

ウインダムが言葉を続けようとした時、GIRLS東京支部内に緊急事態を知らせるサイレンが鳴った。ピグモンがアナウンスする。

 

『皆さん、宇宙から怪獣が地球に接近しています‼︎怪獣娘の皆さん、直ちに警戒態勢に入って下さい‼︎』

 

「行こう‼︎」

『はい‼︎(うん‼︎)』

 

彼女達は司令室に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルキは公園でランニングをしていた。ハルキは空手をやっており、基礎である体力作りのため、毎日ランニングに励んでいる。

 

「はぁはぁ、この公園をもう一周したら、一旦水分補給を兼ねた休憩をしますか。」

 

ハルキはランニングコースとなっている公園を一周した後、首に下げている水筒に入ったミネラルウォーターを飲む。

ハルキは辺りを見渡すと他にもランニングに慎む人や子供とキャッチボールする親子、ベンチでくっつき合うカップルがいた。ランニングしている人の中には怪獣娘と走っている女の子もいた。

 

「もう一度勝負よ‼︎ラン‼︎」

「ジュンちゃんも懲りないね〜。いいよ、何度でも受けて立つから!」

「凄えな・・・・・。怪獣娘に勝負を挑むなんて・・・・。」

 

会話の内容からどうやら走りで勝負していたらしい。ハルキはその様子を見て一言呟く。一息ついた後、懐からウルトラゼットライザーを、腰のメダルホルダーからメダルを取り出し、ゼットに尋ねる。

 

「ゼット、答えてくれ。どうしてあの怪獣は現れたんだ。このウルトラマンの横顔が描かれたメダルは何なんだ?宇宙を救う希望ってどういう事なんだ?」

 

実はハルキは何度か自分と一体化したウルトラマンゼットと話をしようとしていた。再び地球に怪獣が現れた理由やメダルの事を聞きたかったのだ。

しかし、ゼットは反応してくれなかった。

 

「どうすりゃいいんだ。どうすればゼットと話が出来るんだ?」

 

ハルキが途方に暮れている時だった。空から何かが飛んできた。それは怪獣だった。再び現れた怪獣に公園にいた人達は慌てて逃げ始める。

 

「ギイイイイィィィ!!」

「うわあああああああ‼︎」

「怪獣だあああああ‼︎」

「助けてくれええええええええ‼︎」

「また、怪獣が・・・・!一体、どうして・・・・。」

 

ハルキは先程宇宙から飛来した怪獣『アリゲラ』が見えた方向へ走り出した。

 

 

GIRLS東京支部司令室にはピグモン、エレキング、多岐沢、ヘビクラが集まっていた。

多岐沢とヘビクラが司令室の職員に指示を出し、ピグモンが怪獣娘に状況を知らせる。

 

「怪獣の様子は⁉︎」

「もの凄い速さで大気圏内を突破‼︎日本に、しかも東京に近づいています‼︎」

「近くの怪獣娘に避難指示と救助活動を‼︎戦闘力の高い怪獣娘は近くにいないのか⁉︎」

「今、探しています‼︎」

「なるべく急げ‼︎」

「はい‼︎」

「GIRLSの皆さん、緊急事態です!!再び怪獣が出現しました‼︎直ちに現場に急行して下さい‼︎」

『了解!!!』

 

 

 

 

 

医務室に行った3人も急いで現場に向かう準備をする。

 

「カブラギさん、御免なさい!!緊急事態だから!!」

「・・・・・・・気を・・・・付けて・・・・・下さい・・・・・。」

「ガッちゃん、行くよ!!」

「急いで向かうぞ!!」

 

医務室では3人が行った後、セレブロが何かを持ちながら不気味な笑みを浮かべる。それはミカヅキ、ベニオにミコの血が入った試験管だった。

 

「・・・・・キエテ、カレカレータ。」

 

セレブロは無表情でその試験管を見ながら呟いた。




シン・ウルトラマンにゴジラvsコングの予告見ました。

早く見たい気持ちが一杯です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の心得(中編)

今日はこっちの方を更新します。

影絵はアリゲラと空手の構えを取るハルキをイメージしています。

それではどうぞ。


GIRLS東京支部司令室で、職員の1人が怪獣が現れた現場にいた戦闘力の高い怪獣娘をピグモン達に知らせていた。

 

「近くにゼットンさんがいます!」

「繋げて下さい‼︎」

 

 

ビルの屋上で出現した怪獣を眺める怪獣娘がいた。黒い格好に額に黄色い結晶を備えた少女は宇宙恐竜の魂を継ぐ『ゼットン』。かつてウルトラマンを倒した最強の怪獣の魂を宿す怪獣娘だ。

彼女のソウルライザーに通信が入る。相手はピグモンだ。

 

「・・・・・・・ピグモン・・・・・。」

『近くに怪獣が出現しました‼︎』

「・・・分かってる。これからあの怪獣と交戦するから・・・・・。」

『お願いします‼︎レッドン達もそっちに向かっていますから‼︎』

 

ゼットンはピグモンからの通信に頷くと通信を切る。そして、その目は怪獣に向けられた。

 

 

現場では怪獣『アリゲラ』が高速で低高度飛行をしたせいで発生した衝撃波が周りのものを全て吹き飛ばす。人も車も建物も、怪獣が発生させた衝撃波で吹き飛んでいった。

 

「ぎゃああああああ‼︎」

「助けてくれぇぇぇぇ‼︎」

「皆さん‼︎落ち着いて下さい‼︎衝撃波が来ないビルの隙間に隠れて下さい‼︎」

「凄い衝撃波・・・・・‼︎どうするの、ラン⁉︎」

「あたしはあたしに出来る事をするよ‼︎」

 

ビルの隙間から大声で人々に呼びかける怪獣娘と彼女に捕まりながら問いかける1人の少女がいた。怪獣娘の方は胸にカラータイマーを備え、黒と灰色のどこか犬を思わせる格好の怪獣娘は超古代狛犬怪獣の怪獣娘『ガーディー』。彼女に捕まって、呼びかけるのはその親友の『日吉ジュン』。先程まで公園で走り込みをしていた少女達である。

彼女達は陸上に身を置いている者達であり、今日もいつもの様に走り込みをしていた。

そんな矢先に、怪獣が降りてきて、町の住民の避難誘導と救助を行なっていたのだ。

 

「ママーーーーー‼︎」

「駄目ーーーーー‼︎誰かあの子を助けてーー‼︎」

 

声の聞こえた方向に振り向くと小学1年生位の少年が衝撃波に巻き込まれそうになっていた。自分の手を一生懸命伸ばすが手の届きそうにない母親と思われし女性が叫ぶ。

ガーディーはその声の方に俊足で向かい、少年の手を握った。

 

「うわああああああ!助けて、怪獣娘のお姉ちゃーーーーん!」

「ラン、絶対手を離しちゃ駄目!」

「分かってる!この手は絶対に離さない!大丈夫だよ!あたしが助けるからね!」

 

ビルの隙間に捕まって、ガーディーは必死に少年の手を掴む。

彼女達が必死に足掻く中、アリゲラは街衝撃波を発生させながら街の上を通過する。やがて着地したアリゲラは肩に付いたパルス坑から放つ破壊光線で町を破壊する。

その様子を高いビルから見詰める人影がいた。ゼットンだ。彼女はアリゲラを見つめ、呟いた。

 

「・・・・・・これ以上、好きにはさせない。」

 

ゼットンは額の結晶にエネルギーを溜める。溜められたエネルギーは火球となってアリゲラに放たれた。元の怪獣と同じ威力の火球は確かにアリゲラにダメージを与えた。

アリゲラは火球の一撃で悲鳴を上げる。

 

「ギイイイイィィ⁉︎」

 

目が無いアリゲラは肩のパルス坑から放つ超音波で自分を攻撃した敵を探す。アリゲラは超音波で相手を特定し、攻撃を仕掛けるのだ。

ゼットンは火球を再び放つ。アリゲラは火球が来る方向を超音波で探り、その方向に向かって肩から破壊光線を放つ。

ゼットンは瞬間移動で避け、再び火球を放つ。

アリゲラは再び火球が来る方向を察知し、そこに目掛けて突進した。

怪獣の突進を瞬間移動で避けるゼットン。ゼットンはアリゲラの後ろに瞬間移動し、再び火球を放つ。

 

 

 

「凄え‼︎怪獣とあそこまで戦えるなんて・・・・・。」

 

ハルキは遠く離れた場所からそれを眺めていた。ゼットンとアリゲラの戦いを見ていたハルキは自分も負けてられないと思い、ゼットライザーを構える。

 

「ゼット、俺達も行くぞ!」

 

ハルキはゼットライザーのトリガーを押す。しかし、何も起きなかった。

 

「え、ちょっと待て!今、怪獣が暴れてるんだぞ!やるなら今だろ!なあ、ゼット!!」

 

ゼットライザーが何の反応も示さない事に焦るハルキ。

アリゲラは破壊光線を肩から放つ。ゼットンがバリアを張って防ぐ隙にアリゲラは爆風に紛れて空へ飛び立つ。

 

GIRLS東京支部司令室もそれを見ていた。ヘビクラは司令室の職員に指示を出す。

 

「怪獣が飛び立ちました‼︎」

「怪獣の進路予測方向は分かるか⁉︎」

「待って下さい‼︎このままだと・・・・・太平洋の真ん中に着水します‼︎」

「海に潜る気か・・・・‼︎海上自衛隊に連絡しろ‼︎潜水艦で奴の居場所を探れ‼︎」

「了解‼︎」

 

 

ハルキは怪獣を追うも、その余りの速さに追い付けるわけもなく、アリゲラがどこかに飛んでいくのを見ている事しか出来なかった。

 

「ああ、怪獣が逃げる!・・・・逃したか。」

「ハル!」

 

そこに怪獣娘に変身した幼馴染と2人の怪獣娘がやって来る。ゴモラとレッドキングだ。シャドウビーストの時に対面した事を覚えていたのか、ハルキにも声を掛ける。

 

「ミコ!」

「怪獣が出現したから、早く逃げて・・・・ってもういないみたいだね。」

「君はあの時の。」

「冬河ハルキです。あの・・・・レッドキングさんとゴモラさんですよね。大怪獣ファイト見ましたよ!凄かったです!」

「おう!見てくれたのか!嬉しいぜ。」

「大怪獣ファイトを応援してくれてありがとう‼︎これからもよろしくね‼︎」

「って、君はここにいたんだよね⁉︎怪獣がどっちに行ったか分かる⁉︎」

「ええっと、空高く飛んで多分ですけど、海のある方向だと思います。」

「ありがとう!私達はGIRLS本部に戻るから。怪獣が来るかもしれないから、避難してよ!」

 

ミコはそう言うと、何処かへ行ってしまった。

ハルキはそれを見届けると、突然目の前にZの形の光が浮かび上がり、人が1人通れる門に変わった。

 

「うわっ⁉︎」

 

ハルキは驚くも、最初にゼットと会った時と同じ門であると気付くと、恐る恐るその中へ入っていった。

中にはウルトラマンゼットがいた。ゼットはハルキに話しかける。

 

『よう、確か冬河ハルキだっけ⁉︎』

「ゼット⁉︎何でさっきは出てきてくれなかったんだよ⁉︎怪獣が出たんだぞ‼︎」

 

ハルキはゼットにさっき何でウルトラマンに変身出来なかった理由を聞く。ゼットは淡々と答えた。

 

『ちゃんとギリギリまで頑張って、俺達の気持ちがギュッと引き締まらないとウルトラマンになれないんでございますよ!』

「俺達の気持ちか・・・。ゼット、聞きたい事がある。あの怪獣は何故現れた⁉︎このメダルは一体何だ⁉︎このメダルが宇宙を救う希望ってどういう事なんだ⁉︎」

 

ハルキは腰のホルダーからウルトラマンゼロのメダルを取り出しながら、ゼットに問いかける。ゼットは落ち着く様に促す。

 

『落ち着け!ちゃんと話す!俺の名前はウルトラマンゼット。M78星雲・光の国からやってきた宇宙警備隊のメンバーだ。』

「宇宙警備隊って事は・・・・・伝説のウルトラ兄弟と同じ星から・・・・・。」

『この宇宙の地球では怪獣は絶滅したらしいが、俺達の宇宙では怪獣達は色々な星にうようよいる。そんな怪獣達が最近、デビルスプリンターと呼ばれる邪悪な因子によって凶暴化し、暴れ回る事件が起こっている。光の国では、この事態に対処するべく先輩達の力が込められたウルトラメダルとその力を引き出すウルトラゼットライザーが開発された。しかし、それらが光の国を襲撃したゲネガーグが飲み込んで逃げ出した。俺はゼロ師匠と一緒にそいつを追って、ここにいるという訳だ。』

「凄え、スケールのデカい話だな。そのゼロ師匠はどうしたんだ?」

『師匠はゲネガーグが放ったブルトンの力で四次元空間に飲み込まれちまった。だから、俺1人で追ってきたんだ。』

「そうか。」

『とにかくメダルを回収しないとな。』

「ライザーもだろ。・・・・何となく気になったんだが、ゼットって何歳なんだ?」

『えっ、大体5000歳くらいだけど。』

「へ〜・・・・・ってめっちゃ年上じゃないですか‼︎すいません、ここまでタメ口使って‼︎』

『え、ええっ・・・・頭が・・・頭が低っ・・・・辞めて、そういうの、なんかウルトラ気持ち悪い・・・・。』

「いやいや、年上に対して敬意を払うのは当然ですって‼︎少なくとも、地球では常識ですから‼︎」

『ええっ・・・・。』

 

敬語を使い始めたハルキに引いたゼット。ハルキは思い出した様にゼットに聞く。

 

「そういえば、この腰のホルダーにミコ達は全然触れなかったけど、どうしてなんですか?」

『ああ、それは地球人には見えない物質でできている。だから見えてない。そもそも目立ってない。というかレッドキングやゴモラみたいな格好の地球人がいたけど、あれは何だ?』

「ああ、それは怪獣娘ですよ!」

『怪獣娘?』

 

ハルキはゼットに怪獣娘について説明した。

 

「怪獣娘というのは、地球に現れた怪獣や宇宙人の魂を宿して生まれた女の子達の事を言うんです。俺の幼馴染もその1人で確か宿しているのはガッツ星人という宇宙人です。」

『ガッツ星人とはかなりの強豪の魂を持っているものだな。それにしても。』

「どうしました、ゼットさん?」

『不思議な事もあるもんですなぁ。怪獣達の魂が地球人の女の子に宿って、その怪獣の力が使える様になるとは。』

 

ゼットは怪獣娘の説明を受けて、宇宙にはまだ分からない事があると不思議な気分になるのだった。

 

 

 

 

アリゲラは海底でその身を休めていた。次に先程自分を攻撃した存在と再び遭遇した時の為に長い宇宙の旅で消耗した体力を回復させていた。

 

「ギイイイァァァ・・・・・。」

 

 

 

ハルキは空手道場と書かれた看板の前で立ち尽くしていた。道場の中は人が誰もいなかったからだ。

 

「怪獣が出たもんな・・・・・。そりゃ道場が空いている訳ないよな・・・・。」

 

その場で脱力するハルキ。そこに1人の少女が通りがかる。

ハルキはその顔を見て、驚いていた。彼女は幼馴染と瓜2つだったからだ。それでもハルキはミコの髪と比べると紺色な上にミコの癖毛が1つだったのに対し、目の前にいる少女の癖毛は2つだった事、そしてその雰囲気から別人と分かり、声を上げた。

 

「ミコ・・・・・じゃないよな・・・・。」

「・・・・アンタ、あいつを知ってるの?」

 

その声が聞こえたのか少女はハルキに話しかけてきた。ハルキは彼女の問いに答える。その答えに少女は顔をしかめながら呟いた。

 

「ああ、幼馴染だ。・・・・ミコが言ってた生き別れの双子の妹ってきっと君の事でしょ・・・・。」

「生き別れの・・・・双子の妹・・・・。そう、あいつはそう言ってたのね。」

「えっ、今何か言った?」

「別に・・・・アンタこそどうしたの?ここで脱力したような感じだったけど。」

「ああ、空手の練習がしたくてここに来たんだけど怪獣のせいで閉まってて・・・・・ならせめてこの辺りで何処か人気の少ない場所無いかなって思って・・・・・・。」

「だったらここから南の方にある高台に行けば。・・・・まあ、また怪獣が来る可能性があるからお勧めしないけど。」

「ありがとう‼︎それだけ聞ければ十分だ‼︎」

 

ハルキは南の方向に向かって走っていく。その途中で少女の方向に振り向く。

 

「・・・・・何?」

「俺の名前は冬河ハルキ!君の名前は⁉︎」

「・・・・・何でわたしの名前を聞くの?」

「君がミコの妹だったら君とも仲良くなりたいからさ‼︎俺、冬河ハルキ!」

「・・・・・・ハルキ⁉︎そう・・・・アンタが。・・・・・マコ・・・・・印南マコ。」

「マコさん・・・か。これから宜しく‼︎また会おうな‼︎」

 

ハルキはそう言い残して、その場を去っていった。マコはそれを見届けると複雑な表情で呟く。

 

「わたしと仲良くなりたい・・・・。無理よ・・・・・わたしは・・・・・本当は・・・・・・ミコの双子の妹じゃない・・・・。そもそも・・・・・・わたしは・・・・・普通の人間じゃないもの。」

 

マコには複雑な事情で生まれている。彼女は印南ミコが人に取り憑くシャドウ『シャドウミスト』に取り憑かれて、シャドウミストに乗っ取られる前に分身して切り離した結果生まれたもう1人のガッツ星人の怪獣娘である。彼女はシャドウミストに乗っ取られた時、ミクラスに大怪我を負わせた事や、自分の出自について悩んでおり未だにGIRLSや社会に馴染めずにいたのである。

 

「わたしの本当の正体を知ったら・・・・・・・.、アンタだって・・・・・離れていくでしょ。皆だって・・・・・わたしの事・・・・・。」

 

マコは今のところはミコとは普通に接する事が出来る。その時にハルキの事も聞いていた。ハルキ本人はミコと自分の本当の関係なんか知らない。その事がマコに余計に不安を与えている事をハルキもミコも知らなかった。




ギャラファイ、まさかの決着付かずで終わりましたね。

続編でタルタロスとの決着ですかね。

また、次回のTVシリーズのメインヴィランに他のアブソリューティアンも来る可能性も出てきましたね。

今年のウルトラマン関連の動きが楽しみです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の心得(後編)

今回はここにサブタイを探せを入れています。

分かった方は感想の方でどうぞ。




ハルキは高台の上で空手の練習をしていた。

 

「フッ!ハアッ!」

 

現れた怪獣がかなり素早い敵だと知ったハルキはひたすら、体を鍛えていた。そこに1人の男が現れる。その男はGIRLSの制服を着用した30代位の男だった。

 

「こんな所で空手の練習とは変わっているな、お前。」

「貴方は?」

「GIRLS戦闘部隊隊長ヘビクラ・ショウタだ。怪獣が出現した事で周りの警備をしている。ここにいつあの怪獣が現れるか分からない。いいからここから離れとけ。」

「す、すみません。けど、どうしてもモヤモヤする事があって。」

「ったく・・・。」

 

ヘビクラは考え込んだ。ふと、ハルキの腰に目線をやるとハルキの悩みが何か分かったかのように笑う。ヘビクラは笑いながら、ある提案をした。

 

「おい、空手の手合わせ位なら付き合ってやるぜ。」

「本当ですか!?俺、これでも腕っぷしには自信ありますよ!見ず知らずの人を怪我させるわけにはいきません!」

「お前みたいな餓鬼に負ける程、やわじゃねえよ。お前、名前は?」

「冬河ハルキです。」

「いいからやるぞ、ハルキ。」

「はぁ・・・。」

 

ハルキはヘビクラに誘われるまま、空手の手合わせをする事になった。2人とも構える。先に仕掛けたのはハルキだ。

 

「お先に失礼します!!」

 

ハルキは右手で正拳を放つも、ヘビクラにはあっさりと受け流される。今度は左手を手刀にするも、またも受け流される。

 

「今度はこちらから行くぞ。」

 

ヘビクラは左手で正拳を放つ。ハルキは腕を組んで受け止めるも思っていた以上に威力があったその拳にハルキは顔を歪める。

 

「くっ!」

「どうした、もう終わりか?」

「まだまだに決まっているじゃないですか!」

 

ハルキは再び正拳を放つもヘビクラに受け止められる。今度は右足で回し蹴りを放つもあっさりとかわされる。その一瞬でハルキはヘビクラを見失ってしまう。

 

「えっ!?どこだ?」

 

まるで消えたようになって、戸惑うハルキ。その時、ハルキは後ろから視線を感じ、裏拳を放つ。そこにはヘビクラがいた。ヘビクラはハルキの裏拳を受け止め、顔を近づけ呟いた。

 

「見えるものだけ、信じるな。」

 

ヘビクラの携帯に着信が入る。ヘビクラはハルキの承認を得て、電話に出る。

 

「ちょっと電話に出てるぞ。」

「構いませんよ。」

「悪いな。こちらヘビクラ。」

『海底で休息している怪獣を発見しました!!』

「分かった。すぐ戻る。というわけだ。万が一に備えておけ。」

「はい。」

「じゃあな。」

 

ヘビクラはハルキの前から去っていった。ハルキは彼の言葉を思い出す。

 

「見えるものだけ・・・信じるな・・・か・・・。」

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部の会議室ではピグモンを筆頭に、怪獣娘が集められていた。

ピグモンが口を開く。

 

「怪獣対策会議を始めます。あの怪獣は過去の記録に該当データがありました。今回現れたのは宇宙有翼怪獣『アリゲラ』。驚異的なスピードの飛行能力と機動力、それに加えて空中、陸上、水中とあらゆる環境で活動できる優れた適応能力を持った宇宙怪獣です。」

「今、そのアリゲラはどこにいるの?」

「現在、アリゲラは海底で体を休めています。よって、沖縄の米軍と海上自衛隊がアリゲラを見張っています。彼らがアリゲラに発信機を埋め込みます。アリゲラが活動を開始しだい、彼らからGIRLSに連絡がいく筈です。そして、発信機を頼りにアリゲラの進路を予測し、私達が迎撃する予定です。」

「ただ、迎撃するだけですか?それでは怪獣に成すすべもなくやられてしまいますよ!」

「勿論、ただ立ち向かうわけではありません。これを持っていきます。」

 

ウインダムの疑問にピグモンがラジオのような機械を取り出す。アギラがその機械について質問し、キングジョーが答える。

 

「その機械は?」

「超音波を乱す機械デス。アリゲラはバットのような怪獣で、超音波で周囲を認識してマス。だから、これを使って、アリゲラの活動を鈍らせマス。」

「なるほどな。それであの素早い怪獣の動きを鈍らせて、一気に叩くという事か!!」

「よーし、やるぞー!!」

「この作戦は彼らからの通信が来るまで待機して下さい。」

「「「「「了解!!」」」」」

 

怪獣娘達はやる気に満ち溢れていた。その時、会議室に多岐沢が入ってきた。かなり焦っていたのか激しく息を切らしている。

 

「大変です、皆さん!!」

「博士、どうしたんですか!?そんなに慌てて!?」

「米軍の潜水艦がアリゲラに気付かれて、攻撃を仕掛けたみたいなんです!!」

「ええっ!?」

「向こうからの通信では、アリゲラに気付かれて攻撃を受けたみたいです!そして、米軍は応戦したらしいんですが、それ以来応答がありません!とにかく、指令室に来て下さい!!」

 

怪獣娘達は多岐沢に連れられ、指令室に直行する。指令室ではヘビクラが職員達に指示していた。

 

「向こうからの通信は!!?」

「駄目です!!反応がありません!!」

「俺が通信する!!こちらGIRLS東京支部、マックス号応答せよ!!マックス号応答せよ!!・・・くそっ、どうやらアリゲラにやられたみたいだ・・・。」

「海上自衛隊から通信です!!アリゲラが海を出たみたいです!!」

「行き先を特定しろ!そこから近い支部の怪獣娘を向かわせて住民の救助と避難誘導を!!」

「了解!!」

 

ヘビクラは多岐沢達に気付く。多岐沢はヘビクラに声を掛ける。

 

「ヘビクラさん、どうですか?」

「博士、済まない。最悪の展開だぜ。」

「いえ、まだそうと決まったわけではありません。こちらでもアリゲラの対策自体は練りました。」

「アリゲラの進路が特定出来ました!!アリゲラは日本に向かっています!このままの進路だと・・・!東京です!!」

「何だと!!」

 

アリゲラが再び東京に来ると知った怪獣娘達は指令室を飛び出していった。ヘビクラは呼び止めるも、既に遅く、彼女達は姿を消していた。

 

「おい!お前ら!!・・・・・・ったく。」

「今は彼女達を信じましょう!!」

 

多岐沢はヘビクラに声を掛ける。ヘビクラは多岐沢の言葉を聞くと指令室のモニターを見て、周りに聞こえない小さな声で呟いた。

 

「ったく、どっかの誰かさん達を思い出すぜ・・・・・。」

 

 

 

 

「ギイイイイィィ!!」

 

再びアリゲラが町に降り立った。肩からのパルス坑から放つ光線で町を攻撃するアリゲラ。その行動を見ていた男がいた。

それはカブラギに寄生したセレブロだった。セレブロはただアリゲラが暴れて町を破壊する様子を無表情で見ているだけだった。

逃げる人々の中を逆走してハルキもアリゲラが暴れている現場に到着していた。

 

「これ、絶対ヤバいだろ・・・。ギリギリまでって、かなり辛いですよ、ゼットさん。」

 

肩のパルス坑からビームを発射し、建物を破壊するアリゲラ。

現場に怪獣娘達が到着した。

 

「皆さん、落ち着いて!!」

「こちらです!!慌てないで、落ち着いて避難して下さい!!」

 

ミクラスとウインダムが市民を避難誘導する中、ガッツ星人、ゴモラ、レッドキングは真っ直ぐアリゲラに向かっていた。

 

先手を打ったのはレッドキングだ。彼女は大きな腕で力の限り殴りつける。

 

「オラァッ!!」

 

次にゴモラが回転しながら、尻尾をアリゲラに叩きつける。

 

「てやぁっ!!」

 

しかし、アリゲラは微動だにしていない。ガッツ星人が拘束光線を放とうとした時、再びアリゲラは飛び立った。低高度飛行で再び衝撃波が発生し、辺りの物を吹き飛ばす。

 

「ぐっ、お前ら何かに掴まれ!!吹っ飛ばされるぞ!!」

「う、うん!!」

 

3人は建物などの柱に必死でしがみつく。しかし、ガッツ星人が掴まっていた柱は砕けてしまう。ガッツ星人はアリゲラの発生させた衝撃波に巻き込まれ、その手に持っていた超音波を乱す機械を手放してしまう。

 

「しまった!!」

「ガッツ!!」

「ガッちゃん!!」

 

ガッツ星人は衝撃波に巻き込まれ吹き飛ばされそうになった時、1つの影がガッツ星人を救った。

それは髪の色が濃いもう1人のガッツ星人でマコが変身した姿である。彼女は怪獣に苦戦する怪獣娘を見て、見ていられず、助っ人に入ったのだ。

 

「大丈夫・・・。」

「マコ・・・ありがとう。助かったよ。」

 

今、2人は衝撃波の範囲外に瞬間移動でいた。そこから、アリゲラが衝撃波を発生させながら飛ぶのを見ていた。

アリゲラは急転回して逆に飛行し始めた。逆からの衝撃波が発生し、再び周りのものを吹き飛ばす。

ガッツ星人(ミコ)はレッドキングとゴモラに向かって叫ぶ。

 

「ゴモ、レッド、アリゲラがそっちに再び向かってる!!衝撃波に備えて何かに掴まって!!」

 

再びアリゲラが発生させた衝撃波がレッドキングとゴモラを襲う。

 

「くそっ、またかよっ!!」

「ぐうううううっ!!」

 

2人の上を通過し、アリゲラは再び転回し、そのまま真っ直ぐに飛んでいた。その先には避難誘導していたミクラス、ウインダムが別の方角でアギラ、ザンドリアス、ノイズラー、マガバッサー、マガジャッパと合流していた。

ガッツ星人(ミコ)はアギラ達に警告する。

 

「アギ、皆聞こえる!!?そっちにアリゲラが来る!!凄い威力の衝撃波が来るから、何かに掴まって!!」

 

しかし、ガッツ星人(ミコ)の警告を聞く前にアリゲラはアギラ達がいる場所まで飛んできた。アリゲラが発生させた衝撃波は7人を飲み込み吹き飛ばす。

 

「「「「「うわああああああああ!!!」」」」」

「「きゃあああああああああ!!!」」

「皆ーーーっ!!」

 

ハルキは周りの梯子に掴まりながら、衝撃波に耐えていた。その時だった。7人の怪獣娘が飛んできたのは。

 

「誰か助けてーーーっ!!」

「ママーーーッ!!」

「うわああああああああっ!!」

 

ハルキはゼットライザーを持って、ゼットに呼び掛ける。

 

「お願いです、ゼットさん!!このままじゃあの怪獣娘達が危ない!!だから、一緒に戦って下さい!!」

 

ハルキがゼットライザーのトリガーを押すと、目の前にZの形の光の門『ヒーローズゲート』が開く。ハルキはその中に飛び込んだ。

ハルキはウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーからメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

光がウルトラマンゼットとなり、腕を広げる。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ゼットライザーを上に掲げ、トリガーを押す。

メダルに描かれたウルトラマンの飛び回るビジョンが光となって一点に集中し、ウルトラマンゼット・アルファエッジが現れる。

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

「ジェアッ!!」

 

 

 

 

 

 

「ミコ、奴がまた転回した!」

「やべぇ!!こっちに来るぞ!!」

「もう柱が持たないよ!!このままじゃ!!」

 

再びアリゲラはレッドキングとゴモラがいる地点まで飛んでくる。3度目の衝撃波がレッドキングとゴモラを襲う。

流石にもう柱が耐え切れず、ゴモラとレッドキングは空中を舞う。その時だった。眩い光が彼女達を包み込んだ。

それはウルトラマンゼット・アルファエッジだった。ウルトラマンがその掌に2人を乗せて、安全な場所に降ろす。

そこにアギラ達が駆けつける。

 

「う、ウルトラマン・・・。」

「俺達を・・・助けてくれたのか・・・・。」

「ゴモたん・・・レッドキングさん・・・。」

「アギちゃん、皆無事だったんね!!」

「はい、間一髪で、ゼットが助けてくれました。」

 

 

ゼットは怪獣娘達を見下ろしていたが、その視線をアリゲラに向けた。アリゲラに向けて正面から向き合い、ファイティングポーズをとる。

 

(よくも好き勝手に・・・!)

『行くぞ、ハルキ!!』

「ジェアッ!!」

 

ゼットはアリゲラに向かっていく。まず先に仕掛けたのはアリゲラだ。アリゲラは翼となった腕で格闘戦を仕掛ける。ゼットは左腕でその攻撃を受け止め、右手で正拳を放つ。そのまま、立て続けに拳を二発、蹴りを三発叩きこむ。

 

「ギイイイイィィ!!」

 

再びアリゲラは翼を叩きつけようとするも、側方倒立回転で回避する。向かってくるアリゲラに対し、右足で一発、左足で一発蹴りを入れる。

 

「ジェアッ!!シェアッ!!」

「ギイイィィ!!」

「ジュアッ!!ジィアッ!!」

 

今度はアリゲラの角を掴み、こっちへ引き寄せ、膝蹴りから正拳を三発放つ。アリゲラの背中を利用して回り込み、蹴りを放とうとする。

アリゲラは尻尾の先にエネルギーを溜め、大きな光弾にして発射した。ゼットはそれを避けるも、光弾はUターンして、ゼットに直撃する。光弾を受けたゼットは前に倒れる。

 

(あの光弾、相手が避けても、追ってくるのか!?・・・・っていない!!一体どこへ!?)

 

ゼットが立ち上がると、既にアリゲラの姿は無かった。ゼットが周りを見渡していると、後ろから何かに斬りつけられた。

 

「ジェアッ!?」

 

それは高速で飛ぶアリゲラだった。アリゲラは今度は右横からゼットに体当たりを仕掛ける。ゼットはアリゲラの体当たりを受けて地面に倒れ込む。

 

(くっ、何て速さだ・・・。)

『これは・・・ウルトラヤバいかもしれないな・・・。』

 

ゼットは立ち上がるも再びアリゲラに左横から翼で斬りつけられる。

 

「ジェアアアッ!!」

(一体どうすれば・・・。このままじゃ・・・。)

『見えるものだけ、信じるな。』

 

ハルキはヘビクラと空手の手合わせで聞いた言葉を思い出した。ハルキはゼットに声を掛ける。

 

(ゼットさん、目を閉じて。)

『ああ・・・・って、えっ!?』

(いいから早く!)

『わ、分かった。』

 

ゼットは掌を前に向けて、左腕を胸より上にして、右腕は胸より下にする。そして意識を集中する。

その時、ハルキは後ろから飛んでくるアリゲラの気配に気付いた。

ゼットはアリゲラが近付いた瞬間に振り向きアルファバーンキックを放った。炎を纏った回し蹴りは見事にアリゲラの頭部に命中した。

 

「ギイイイィィィィ!?」

(よっしゃあ!!)

『ウルトラヒットー!!』

 

アルファバーンキックを受けたアリゲラは地面を転がっていく。起き上がったアリゲラは再び尻尾から追尾機能を持つ光弾を放つもゼットは額のビームランプから放つ緑色の細い光線『ゼスティウムメーザー』で相殺する。再びゼスティウムメーザーを放ち、アリゲラにダメージを与えるゼット。

アリゲラは肩のパルス坑から光線を放つも、ゼットに手刀で弾かれる。再びアリゲラは飛び上がるも、ゼットは再び意識を集中し、アリゲラを探る。

アリゲラの気配を捉えたゼットはエネルギーを溜め、必殺光線の構えに入る。

 

『(ゼスティウム光線!!)』

 

後ろから迫って来るアリゲラに光エネルギーを収束させた必殺光線が直撃する。

猛スピードで飛んでいたアリゲラはゼットの必殺光線を避けきれず、正面から食らい断末魔を上げて爆発する。

 

「ジェアッ!!」

 

アリゲラが完全に倒された事を確認すると、ゼットは空にZの文字を描いて飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

「助かった~。本当に危なかったよ~。」

「ウルトラマンが来てくれなければ、私達どうなっていたか分かりませんね。」

 

ミクラスとウインダムが話している裏でゴモラとレッドキングがゼットが飛び立っていった空を見上げていた。

思わずアギラが話しかける。

 

「あのレッドキングさん・・・・ゴモたんもどうしたの?」

「えっ、ああ、何でもない。何でもないぜ。」

「そうそう、ゼットを見て胸がドキドキしちゃったとか無いから!!全然無いから!!」

「全部言っちゃってるし・・・。」

「嘘、ゴモたんゼットに惚れちゃったの!?」

「えっ、私、やっぱり「おーい、大丈夫ですかーー!?」

 

怪獣娘達が声が聞こえた方向を向くとハルキが走ってきた。

 

「ハル!?どうしてここに!?」

「ああ、ミコ。いや、怪獣娘達が怪獣の衝撃波で吹っ飛ぶところ見ちゃってさ。それで心配になってさ。」

「ここに来たんだね。私達は大丈夫。どこも怪我してないよ。怪獣娘は頑丈だし、ゼットが助けてくれたからね。」

「そうか、良かった。」

「あのー、ガッツさん。その人は?」

「ああ、紹介するよ。私の幼馴染の冬河ハルキさ。」

「俺、冬河ハルキッス。ミコがお世話になってます。」

「ちょっと、ハルはいつから私の親になったわけ。」

「ハルキさんだね、よろしく。」

 

アギラをはじめ怪獣娘とハルキは自己紹介していた。その間もレッドキングとゴモラはどこか考えていた。

 

「ねえ、レッドちゃん、私さウルトラマンゼットを見てると胸がドキドキするんだ。」

「俺もだよ。これってやっぱ恋ってやつなのかな?」

「多分そうだと思う。これってやっぱウルトラマンのものなんだよね。」

 

ゴモラはウルトラマンのメダルを取り出す。

 

「それって?」

「この間の怪獣が現れた時に拾ったんだ。きっとウルトラマン・・・ゼットちゃんのものなんだと思う。だから私が大事に持っておこうと思うんだ。」

「いいんじゃねえか。今度、ゼットが現れたら、返そうぜ。」

 

ガッツ星人達がハルキと談笑する中2人はずっと空を見上げていた。2人の目にはまだ空を飛ぶウルトラマンゼットが映っていた。




ハルキ「ハルキと」

マコ「マコの」

ハルキ&マコ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈SEVEN〉

マコ「ゼロの父親ウルトラセブン。頭に付いた宇宙ブーメラン『アイスラッガー』は切れ味抜群よ。」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈ARIGERA〉

ハルキ「この怪獣はアリゲラ。高速で飛ぶ怪獣で、尻尾から追尾機能を持つ光弾を撃ち出してくるから苦労したんだ!!」

アキ「次回はボクが担当するよ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『突如、宇宙からゴモラに似たロボット怪獣が落ちてきた。ロボットは動かないので、怪獣娘による解体作戦が始まるも、作戦中突如ロボットが動き出した。とんでもない怪力と固さを持つロボットに新しい力で立ち向かうぞ!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


生中継!ロボット怪獣解体大作戦



ウルトラ燃えるぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

生中継!ロボット怪獣解体大作戦(前編)

今度こそZの方を更新します。

よろしくお願いします。

ロボット怪獣『メカゴモラ』登場


その日、怪獣娘はシャドウの対処に追われていた。

ガッツ星人はシャドウに光線を放つ。光線を受けたシャドウは爆散する。

アギラも突進による角の一撃でシャドウを消滅させる。

 

「シャドウはこれで全部かな!!」

「うん。」

「おーい!アギちゃん!こっちは終わったよ!!」

 

ミクラスがマガバッサーとマガジャッパを連れてガッツ星人とアギラの元にやってくる。

 

「ウインちゃんとレッドキング先輩とゴモたんもたった今終わったって。」

「良かった。」

「おーい、お前ら!!」

 

レッドキングとゴモラとウインダムがガッツ星人達のもとへやってくる。

 

「お前らも終わったのか!!」

「はい!」

「よし、じゃあGIRLSに戻るz「大変です!!」ノイズラー!?」

 

ザンドリアスとノイズラーが慌ててやってくる。彼女達はノイズラーの次の言葉に驚いた。

 

「大変です!!何かが上から降ってきます!!」

「ええっ!!」

「何かって・・・一体何が!?」

「かなり大きな音を立てて地上に向かっています。・・・ってあれは!!」

 

ノイズラーが上を指さすと何かが炎を纏って接近してきた。その何かは地上に大きな音を立てて衝突した。

 

 

 

 

その少し前、ハルキもタ町に現れたシャドウと戦っていた。ハルキも町を歩いていた時にシャドウの出現現場に居合わせたのだ。ハルキは左手に持ったウルトラゼットライザーでシャドウを斬り付ける。ゼットライザーで斬られたシャドウは消滅した。

 

「よし、効いてる!・・・・にしてもこれって本当に武器として使えるんだな・・・・。」

 

そう言ってハルキはゼットとの会話を思い出した。それはアリゲラを倒した後、ゼットと会話した時に聞いたものだった。

 

『ゼットさん、ゼットライザーって変身にしか使えないんですか?」

『いや、そいつは武器としても扱える。前にゼロ師匠がゼットン軍団との戦いで使っていたのを見たし、ウルトラメダルの組み合わせで強力な技を出す事も可能だ。』

『じゃあ、これで人間と同じサイズの宇宙人やシャドウとも戦う事が出来ますね‼︎・・・・って、ゼットン軍団?・・・・・ゼットンってあの初代ウルトラマンを倒したあのゼットン?』

『ああ。』

『それの軍団って、一体何があったんですか⁉︎』

『ああ、この宇宙の地球に来る前に色々とな・・・・。まあ、その内に話すよ。・・・・・所でシャドウって何だ?』

『そうだな・・・・・ところでシャドウとは何だ?』

『ああ、シャドウってのは・・・・・・』

 

「凄えな。怪獣娘にしか倒せない筈のシャドウを・・・・・。流石、ウルトラマンの作ったアイテムだ・・・・。」

 

ハルキが感傷に浸っていると、後ろからシャドウがハルキに襲い掛かった。

 

「うわっ‼︎」

 

自分を押し潰そうとするシャドウののしかかりを右横に前転してかわすハルキ。再びシャドウがハルキに飛びかかるもハルキはシャドウが自分に接近したタイミングを見計らい、ゼットライザーを振るう。

 

「うおりゃあ‼︎」

 

ゼットライザーの斬撃にシャドウは跡形もなく消滅した。ハルキは目の前の脅威がなくなり、歓声を上げる。

 

「よっしゃあ‼︎」

 

その途端、何か巨大なものが落ちたような大きな音が響いた。音と共に地面は大きく揺れ、ハルキもバランスを崩し倒れる。

 

「うわあっ⁉︎ な・・・・・なんだ、一体⁉︎」

 

すぐさま起き上がったハルキら音のした方向に向かう。するとそこは大きな煙が生じていた。やがて煙が晴れて落ちてきた何かが姿を現した。

 

「あれは・・・・‼︎」

 

 

「凄い音!!一体何が・・・ってあれは!?」

「怪獣!?しかもあれって・・・・・ゴモラじゃない!?」

「いや、何か違う・・・。あれは・・・。」

 

怪獣娘達も煙の中から姿を現したそれを見て驚いていた。それはゴモラのカイジューソウルである古代怪獣『ゴモラ』によく似た姿をしているもののその体は機械でできた怪獣だった。

怪獣の名前はロボット怪獣『メカゴモラ』。サロメ星人という宇宙人がゴモラを元に作ったロボット怪獣だ。

 

「ゴモラそっくりのロボット怪獣だ!!」

「どうしましょう!!また怪獣が出現しましたよ!!」

「落ち着け!!まずはGIRLS本部に連絡するぞ!!こちらレッドキング!宇宙から怪獣が落ちてきた!!ゴモラによく似たロボット怪獣だ!!」

 

マガバッサーとマガジャッパが慌てる中、レッドキングが2人を落ち着かせGIRLS本部に連絡する。

 

 

GIRLS本部もメカゴモラが落ちてくるのを確認していた。ピグモンがモニターを見ながら指示を出す。

「こちらでも確認しました!!まずは周辺の住民の避難をお願いします!」

『了解!!』

「・・・これで3度目の怪獣襲来ですね・・・・。一体何が起きているの・・・?この星からいなくなったはずの怪獣が宇宙から立て続けに・・・。」

 

 

 

 

 

現場では怪獣娘達が住民の避難誘導を行う。そんな中、アギラが怪獣を見つめていた。そんな姿にマガバッサーが声を掛ける。

 

「アギラさん、どうしたんですか?」

「・・・・・おかしい、あの怪獣・・・・・、全然動かない。」

「えっ!?」

 

そう言われたマガバッサーがメカゴモラを見ると確かにメカゴモラは動かない。地上に落ちて、もう15分は立っていたのに少しも動かないのだ。

 

「確かに動きませんね。あの怪獣が落ちてきてもう15分経つのに・・・。」

「うん、何か変・・・・。」

 

住民の避難誘導が終わり現場にGIRLS東京支部にいたピグモン、エレキング、キングジョーも合流する。

メカゴモラが地上に落ちてきてもう1時間が経過していた。

 

「メカゴモラが落ちてきてもう1時間になりますね・・・。」

「まるで動きませんね・・・ってメカゴモラ?」

「ええ、あの怪獣は過去に記録がありました。名前はメカゴモラ。ゴモラを元に作られたロボット怪獣です。」

「そのまんまの名前だね。・・・それにしても全然動かないね。」

「ロボットだから、落下の衝撃で壊れちゃったとか。」

「有り得ないわ。相手はロボット怪獣よ。ロボットという事は誰かが作ったはず。あんなものを作れるとしたら宇宙人しかいないわ。地球外のテクノロジーで作られたロボットがたかが落下の衝撃で壊れるわけないわ。」

「うっ、わ、分かってますよ。」

「いや、ミクラスさんの考えも間違いではないかもしれません。」

 

ピグモンとウインダムとゴモラの会話にミクラスが割って入るもエレキングに一喝される。ミクラスは初対面の時から苦手なエレキングの言葉にたじたじになる。

しかし、そこに1人の男性がミクラスの意見を肯定しながら現れる。GIRLS研究部門の嘱託顧問及び育成部の部長を務める多岐沢だ。

 

「博士、どういう事です?」

「あの怪獣は大気圏中を突破している最中か、宇宙のどこかで小惑星にぶつかった影響か、落下の衝撃で一部の機能が停止しているのかもしれません。」

「停止って事は・・・まさか動き出す可能性も・・・!?」

「無いとは言い切れませんね。GIRLS上層部は怪獣娘によるメカゴモラ解体作戦を計画しています。皆さん本部に戻ってきてもらえませんか?」

「怪獣娘によるメカゴモラ解体作戦!?」

「詳しくは本部で話しましょう。」

 

 

 

 

一方ハルキはインナースペースでゼットと話をしていた。内容は地球に落ちて来たメカゴモラについてだ。

 

「ゼットさん、あの怪獣は何故現れたんですか?この前のアリゲラもそうですけど・・・。」

『・・・・・分からない。ただ・・・・・ゲネガーグがこの地球に来て以来、宇宙怪獣が次々と地球に襲来している。もしかしたら、この地球にゲネガーグが襲来した事で宇宙怪獣達がこの星に来やすくなってしまったのかもしれない・・・。』

「ゲネガーグが怪獣を呼ぶ引き金となったって事ですか・・・・・。あの怪獣はロボット怪獣みたいですけど、このまま放置するのはまずいですよね?」

『そうだな。いつ再起動するか分からない以上早めに破壊した方がいい。』

「俺、GIRLSに知らせて来ます‼︎」

『分かった。』

ハルキはゼットとの会話を終えて、ミコがいるGIRLS東京支部に向かう。ゼットとの会話の内容を伝えるために。

 

GIRLS東京支部会議室にて怪獣娘達が多岐沢、ヘビクラと会議をしていた。

 

「今回現れたメカゴモラを怪獣娘達で解体する事が決まった。作戦は明日の午前10時だ。」

「明日の午前10時・・・・・。」

「今日、アメリカ支部やフランス支部等、世界中のGIRLSのお偉いさんが来ている。彼らは今日から3日間日本に滞在する予定だ。そこで午前10時から正午まで時間を頂いた。最近日本で起きている怪獣事件の対応作戦を彼らに見てもらい、日本支部の活躍を見てもらうというわけだ。」

「海外のお偉いさんが来てるの!?でも、どうして今なわけ!?」

 

ヘビクラの言葉にミコが反応し、作戦を海外から来たGIRLSの上層部が来ると知り、ミカヅキはヘビクラに質問する。彼女の問いに多岐沢は濁すように答えた。

 

「実は・・・・・・・立て続けに怪獣騒動が起こるので、急遽GIRLSの世界中の上層部が集まって会議を開く事になったんです。怪獣娘で怪獣騒動を解決できるのか、疑問に思う者も多く、今回の作戦は怪獣娘が本物の怪獣にも負けないという所を見せてほしいと思い、決行しました。」

「うへぇ~、滅茶苦茶プレッシャーだよぉ~・・・。」

「ちなみにこの作戦はTVで全国民に生中継される予定だ。くれぐれも失敗したり、無様な姿を見せるんじゃねえぞ。」

「全国に生中継!?しかもTVで!?」

「ふええぇ、私目立つの苦手なのに~・・・。」

 

ヘビクラの言葉にミクが呟き、次の彼の言葉に青い癖ッ毛のあるロングヘアーの少女マガバッサーこと『風巻ヨウ』と水色のボブヘアーにひし形の髪飾りの少女マガジャッパこと『竜波ユカ』が驚いた表情で言葉を放つ。

 

「会議は以上です。明日に備えてゆっくり休んで、準備を整えてください。」

 

トモミの言葉で会議は終了された。

その後、ヨウとユカは廊下を歩きながら明日の作戦について話していた。

 

「明日の作戦、あたし達には荷が重いよ・・・。怪獣娘達だけで本物の怪獣相手に対抗できる所を見せるなんて・・・。しかも世界中のGIRLSの上層部が見ているって、プレッシャーマジパネェって・・・。」

「しかも、TVで生中継なんて・・・・、私、目立つの苦手なのに・・・。」

 

2人揃ってため息をついていると後ろから話しかけてくる男がいた。それはさっきまで彼女達と会議をしていたヘビクラだ。

 

「なんだ、2人揃って溜息なんかついて。」

「ヘビクラさん!?そりゃつきますよ!!今回の作戦あまりにも荷が重いですって!!」

「私達、新人でここまでプレッシャーが掛かる任務は今まで無かったんですよ。なのに・・・今回は・・・あんな・・・。」

「だからって逃げていいのか?また怪獣が現れた時、周りにお前らしかGIRLSの怪獣娘がいなかったらどうする?ウルトラマンがいつ来るか分からない時に自分たちは避難誘導だけで終わるつもりか?」

「だからって・・・・。」

「情けないな。お前らは魔王獣の魂を継いだ怪獣娘なんだろ?魔王獣ともあろうものが、まさかたかが動かないガラクタロボット1つ解体出来ないというのか?」

「なっ、そんな事有りませんっ!!必ずやってみせます!!」

「そうです!!絶対に先輩達の足は引っ張りません!!」

「わたし達は必ずやってみせます!!」

 

ヘビクラの言葉に2人は逆上する。そんな2人を見てヘビクラは口元に笑みを浮かべる。

 

「だったら、やってみせろ。ウルトラマンが来なくても戦える、それ位の気持ちを見せろ。お前らの怪獣娘としての誇りを見せてやれ。」

「はい!!・・・ってもしかしてあたし達を焚き付けるために・・・。」

「あ、ありがとうございます。ヘビクラさん。」

「よせよ。今日はもう帰って、明日に備えておけ。」

「「はい!!」」

 

2人揃って返事をした後、ヨウとユカはヘビクラの元を去っていく。そんな2人の後ろ姿を見て、ヘビクラは小さく呟いた。

 

「ったく、魔王獣も随分と変わったもんだぜ・・・。俺が復活させた時とはえらい違いだ・・・。なぁ、ガイ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS本部前にハルキは立っていた。ニュースでGIRLSの怪獣娘によるロボット解体作戦が伝えられ、ミコの事が心配になったからだ。

そんなハルキの元にミコがやってきた。

 

「あれ、・・・ハルじゃん!どうしたの!?」

「あ、・・・いや・・・お前が心配になってきてさ。・・・・・・ニュースを見たよ。明日、あのロボットの解体を怪獣娘がやるんだろ・・・。」

「うん。・・・ってもしかして、それで来たの?大丈夫!!私達は普通の人間より頑丈なんだから!!」

「それは俺も知ってる!だけど・・・怪獣は動かないとはいえ・・・・・何か嫌な予感がするんだよ。」

「大丈夫だよ!!私はいかなる戦いにも負けた事がないガッツ星人なんだよ!!ハル、私を信じて!!」

「・・・・・分かった・・・・そこまで言うなら・・・・信じるぜ。」

「うん!」

 

ミコが笑顔で頷く。そこに眠そうな目をした少女とポニーテールと八重歯が目立つ少女と白銀の髪を三つ編みにした眼鏡の少女が近付いてくる。彼女達はアギラこと『宮下アキ』、ミクラスこと『牛丸ミク』、ウインダムこと『白銀レイカ』だ。

どうやら、一緒に帰ろうとしていたみたいで、彼女達はミコとハルキに話しかける。

 

「ガッツに・・・・ハルキさん。」

「アギ、ミクラス、ウインダム。どうしたの?」

「いや、姿が見えたから一緒に帰ろうと思ったんだけど、・・・もしかしてお邪魔だった。」

「俺の事なら気にしなくていいッスよ!!」

「そう、じゃあさハルキさんも一緒に帰ろうよ!!」

「あのー、俺、皆さんとどこかで?」

「アリゲラの現場で会ったでしょ。アギとミクラスとウインダム。」

「ああっ、あの時の怪獣娘っスね。いいっスか?」

「はい、ガッツ星人さんのお話も聞きたいですし。」

 

ミクラスに誘われて、彼女達と一緒に帰る事になったハルキ。

 

「あの、ハルキさん。敬語じゃなくていいですよ。私達あまり年は変わらないですから。」

「本当?じゃ、よろしくな!」

 

この時、怪獣娘達は思ってもいなかった。ハルキの嫌な予感が的中する事になるとは。




ガッツ星人こと印南ミコって何歳くらいなんですかね。

アギちゃん達とそんなに変わらないのかな。

一応、この小説では高校生くらいとしていますが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

生中継!ロボット怪獣解体大作戦(中編)

次のTVシリーズのメインヴィランって新しいアブソリューティアンなんでしょうか?
もし、新しいアブソリューティアンなら怪獣娘vsアブソリューティアンの戦いを書きたいですね。


メカゴモラ解体作戦の前夜、メカゴモラに乗り込む人影があった。それはカブラギに寄生したセレブロだった。

セレブロはメカゴモラのコクピットに乗り込むと、回りのパネルを触り、コックピットのスイッチを押し始める。すると、コックピットの引き出しの部分が開く。セレブロはそこに手を入れると何かを取り出した。

それは握り拳1個分の何かが入ったボックスだった。ボックスを開くとそこには幾つかのカプセルが入っていた。

セレブロはボックスの中身であるカプセルをただただ見続けていた。やがてそれを懐にしまうとコックピットを操作する。機械の操作を終えたセレブロはコックピットから姿を消していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、ニュースキャスターが怪獣の前で解説をしていた。

 

『皆さん、本日はこれから怪獣娘によるロボット怪獣解体作戦が始まります!!果たして、地球外の存在が作り出したロボットにはどんな秘密が待っているのでしょうか!?』

 

怪獣娘達がメカゴモラを囲んで集まっていた。周りにはGIRLSの職員とTV曲のカメラマンが集まっていた。

メカゴモラが見える離れた位置にいるニュースキャスターの周りには沢山のカメラマンや報道陣、野次馬が集まっていた。そこにはハルキの姿もあった。

 

「ミコ、皆、気をつけろよ・・・。」

 

ハルキは万が一、怪獣が動き出した時に備えて近くに来ていたのだ。そこにヘビクラやピグモンの姿が見える。ヘビクラはハルキに気が付き、声を掛ける。それにつられてピグモンもハルキに声を掛ける。

 

「よお、確か・・・ハルキ・・・だったか?」

「ヘビクラさん・・・?来てたんだ・・・。」

「あの、ヘビクラ隊長、彼は?」

「前に会ったんだ。それより、お前はどうしてここにいる?」

「怪獣娘に幼馴染がいて、彼女の活躍を見に・・・。」

「怪獣娘に幼馴染が?一体誰ですか?」

「印南ミコっていうんですけど、知りませんか?」

「印南ミコ・・・・・・・、ああっ、ガツガツの幼馴染なんですね。私はピグモンと申します。」

「知ってます。GIRLSのCMで見ました。ここで彼女達の活躍を見るだけならいいですよね。」

「そうですね・・・・私は構いませんが・・・。」

 

ピグモンはヘビクラを見る。

 

「フッ、・・・万が一の時は避難しろよ。」

「だそうです。」

「ハイ!!」

 

時計がいよいよ午前10時を示した。ピグモンは怪獣娘達に指示を出す。

 

「怪獣娘の皆さん、午前10時になりました。ただいまを持って、メカゴモラ解体作戦を開始します。」

『了解!!!』

 

怪獣娘達の今までない大規模な作戦が始まった。巨大なメカゴモラを見上げる怪獣娘達。ミクラス、アギラ、レッドキングが計画を意見する。

 

「とはいっても、どうやって何処から解体すればいいの⁉︎」

「人数はいるから、二手に分かれる?人班が内側から、人班が外側からとか。」

「いや、それだと手間が余計に掛かる。全員で外側から解体するぞ!!」

 

そう言ってレッドキングを筆頭にメカゴモラの外壁を剥がそうとする。しかし、それは人間離れした力の怪獣娘達でも剥ぎ取るのに手間が掛かるくらい硬かった。

その、硬さにミクラスとノイズラーが愚痴をこぼす。

 

「これ、本当に2時間以内に解体できるの?」

「絶対に無理だと思います。下手したら、1日どころでは済まないかもしれません・・・・。」

「ミクちゃん、ノイズラー、諦めちゃ駄目だよ。ボク達の力を信じて力を振り絞ろう。」

「アギラの言う通りだ!俺達怪獣娘の意地を見せるぞ!!」

「私達の、怪獣娘の本物の怪獣に負けない無限の可能性を信じて!!」

 

弱気になるミクラスとノイズラーをアギラ、レッドキング、ゴモラが喝を入れる。その言葉を聞くと、2人は頷き、力を取り戻す。

 

「・・・・そうだよね・・・。こんな所で諦めちゃ駄目だ!見習いだった頃に戻っちゃう!!」

「アタシ達なら絶対に出来る!!よっしゃあー!!行くぜーー!!!」

 

2人は外壁を掴み、思いっきり引っ張る。

 

 

 

 

 

 

その頃、高いオフィスビルの最上階の会議室に世界各国のGIRLSの上層部が集まっている。中には多岐沢の姿もあった。欧米人と思われる男が外の怪獣娘がメカゴモラの解体に苦戦している様子を見て、多岐沢に質問する。

 

「Mr.多岐沢、本当二彼女達ハアノ怪獣ヲ解体出来ルノデショウカ?」

「それは分かりません。しかし、怪獣娘には無限の可能性がある。本物の怪獣と違って、人間の心がある彼女達には元の怪獣を超える事が出来る力がある。彼女達は誰だって無限の可能性があります。僕はその可能性を信じたいと思っています。」

 

 

 

 

 

 

その頃、遠く離れた場所からヘビクラとピグモンが双眼鏡を持って彼女達の様子を覗いていた。

 

「おいおい、なんだかやる気満々じゃねえか。」

「あの子達ですからね、きっとやってくれますよ。」

「ミコ・・・、頑張れ・・・!!」

 

ハルキは幼馴染の奮闘を祈った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ザンドリアスとウインダムはマガバッサーとマガジャッパと一緒に、ゼットンとキングジョーはガッツ星人とエレキングと一緒にメカゴモラの装甲を掴んでいた。

 

「ぐぐぐぐぐぐぐっ!!駄目ーっ!!力が抜けてきたーーっ!!」

「頑張って下さい、ザンさん!!お母さんもこの生中継を見てるんでしょう!!」

「先輩、諦めちゃ駄目です!!あたしだって頑張りますから!!」

「私の両親も見てくれているんです!!だから、やりましょう!!」

 

その言葉を聞いて、ザンドリアスは遠くの野次馬の中に母親がいるのを確認した。母親にいいところを見せたい。その思いが彼女をつき動かす。

 

「あたしだって、やれば出来るんだーーーーーっ!!」

 

彼女の装甲を持つ手の力が確かに強くなった瞬間だった。

 

 

 

 

その頃、ガッツ星人もキングジョー、ゼットン、エレキングの4人と力を合わせてメカゴモラの解体に励んでいた。

彼女達は解体しやすいようにゼットンの火の球で金属を炙り、溶かす作戦に出た。しかし、彼女は周りを気にして手加減している。その為、未だに彼女達も装甲を一つ剥がす事が出来ずにいた。

 

「く、熱いのは怪獣娘に変身しているからどうにかなるけど・・・。」

「これ、予想以上に硬いよね・・・。」

 

弱音を吐いてしまうエレキングとガッツ星人。しかし、ガッツ星人の目に偶然幼馴染のハルキが写った。ガッツ星人はハルキに恰好悪い所を見せたくないと思い、再び力を入れる。

 

(ハルが見てくれているんだ・・・・。こんな所で挫けていたらダサダサだよ!!しっかりして!!私!!)

 

その時、怪獣娘に異変が起こる。レッドキングはマグマが固まったような色になり、ゴモラは体のあちこちに刺々しい棘が生える。

ガッツ星人は桜色になり、キングジョーは黒くなり、右腕にランチャーが装備される。

ゼットンは翼のようなものが生えた。

 

「今、一瞬彼女達が変わったような気が・・・・・・」

 

突然変わったその姿は一瞬だったものの、怪獣娘の力が確かに強くなった瞬間だった。そして、遂に硬い装甲が剥がれたのだ。

 

 

「やった!!剥がれた!!剥がれたよ!!」

「よっしゃあ!!このままの勢いで行くぞ!!」

 

ミクラスとレッドキングの言葉でやる気にみち溢れる怪獣娘達。

オフィスビルの最上階にいたGIRLSの上層部もこれを見て希望を持っていた。

下で見ていたハルキにヘビクラとピグモンもだ。一緒に喜ぶ妖艶な女性もいた。ザンドリアスの母親だ。

 

「よっしゃあーーっ!!いいぜ、ミコーーーっ!!」

「いいわよ、ザンちゃん!!」

「ザンザンのお母さん。」

「ピグモンさん、こんにちは。あの子、頑張っているようですね。」

「ええ、きっとこのままなら・・・。」

「・・・・・・。」

 

ヘビクラは皆と一緒に歓声を上げないもの、嬉しそうだった。その時、メカゴモラのコックピットで自動音声が流れ出した。

 

『損傷ヲ確認シマシタ。スリープモード停止。攻撃モード二入リマス。』

 

そして彼らの喜びは一瞬でかき消された。なぜならメカゴモラの腕が一瞬動いたからだ。メカゴモラの手が一瞬だけだが、ドリルの様に回転した。

それを見て怪獣娘は凍りついた。

 

「ね、ねぇ。今、手が動かなかった・・・。何か・・・一瞬・・・・動いた様に・・・・見えたのは気のせいかな。」

「き、気のせいだと思う・・・よ・・・。気のせいだと思うけど・・・なんか嫌な予感が・・・。」

 

ミクラスとアギラが顔を見合わせて震えた声を上げる。その時、メカゴモラの左胸のランプの部分が紫色に光った。そして、左胸のランプからビームが発射され、町を焼き尽くす。

 

「ギャアオオオオオ!!」

ビームを発射したメカゴモラは体からミサイルを発射して行進し始めた。ミサイルが当たり一面を火の海に変えていく。今まで動かなかったロボット怪獣が突然動き出し、破壊活動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「どうなってんだ・・・・?あのロボット、急に動き出したぞ?」

「ザンちゃん!!ザンちゃーん!!」

「落ち着いてください!!お母さん!!ザンザンなら大丈夫ですから!!だから、大至急避難してください!!」

「皆さん、怪獣が動き出しました!!慌てないで、落ち着いて避難してください!!」

「博士!!聞こえるか⁉︎一体何が起こっているんだ!!」

 

ハルキは突然ロボットが動き出した事に困惑する。その横でパニックになる人々の中でザンドリアスの母親が娘の名前を叫んでいた。ピグモンはザンドリアスの母親を落ち着かせ、GIRLSの職員達が避難誘導を行う中で、ヘビクラは多岐沢に連絡を取る。

ハルキは彼らから離れ、ヘビクラとピグモンが見えなくなった辺りでメカゴモラに向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSの上層部達も混乱していた。その中でさっき自分に質問した欧米人を落ち着かせながら、多岐沢はヘビクラからの通信に答える。

 

「ネェ、動イテルヨ!!何デ、何デ!?」

「分かりません!!分かりませんが、落ち着いてください!!」

『博士、応答しろ‼︎』

「ヘビクラ隊長‼︎」

『奴が動き出したぞ‼︎一体どうなっている⁉︎』

「恐らくですが、今まで損傷していた起動回路か何かが自動的に回復し、今の状況になっているのではないのでしょうか!?」

『じゃあ、今まで動かなかったのは、損傷した部分を回復させるためって事か!?』

「恐らくはその可能性が高いでしょう‼︎こうなった以上、作戦は中止です!!彼女達を引き上げさせてください!!」

『分かった!!』

 

ヘビクラは返事を返し、通信を切った。多岐沢は窓から動き出したメカゴモラを苦い表情で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアオオオオオ!!」

 

メカゴモラは角から指からミサイルを放ち町を破壊する様子を見ている男がいた。セレブロだ。実はセレブロはメカゴモラからあるカプセルが入ったボックスを回収した後、ある仕掛けをした。それは怪獣娘達が少しでも外装を剥がしたら自動的に動き出すように設定していたのだ。その事を知らない怪獣娘達はまんまと外壁を剥がし、メカゴモラを起動させてしまったのだ。

セレブロはメカゴモラによって町が燃えるのを無表情でただ見ていた。

 

 

 

 

 

怪獣娘達はヘビクラからの通信に答えていた。

 

「作戦中止・・・ですか!!?」

『ああ、メカゴモラは動き出した。よって作戦を中止して、お前らも退避・・・・。』

「駄目だ!!作戦は中止しない!!こいつを食い止めなきゃ、多くの被害が出るぜ!!」

「私達は絶対に引かないよ!!」

『おっ、おい‼︎待て、お前ら‼︎』

 

ヘビクラからの通信を切ったレッドキングは怪獣娘達に声を掛ける。

 

「お前ら、俺達でこいつを止めるぞ‼︎」

「えええぇっ⁉︎ししょー、本気ですか⁉︎」

 

レッドキングの弟子であるザンドリアスはそれを聞いて驚いた表情で叫ぶ。そこにゴモラが補足してきた。

 

「当然だよ‼︎わたし達怪獣娘だって本物の怪獣に負けないって所を見せなきゃ‼︎それに・・・・・。」

「ゴモたん?」

 

突然言葉を止めたゴモラにアギラが声を掛ける。やがてゴモラは決意した表情でミサイルを放ちながら町を破壊するメカゴモラを指差しながら発言する。

 

「あの怪獣を放っておいたら、わたし達が、女の子でいられる世界どころか、この星そのものが危ないもん‼︎それにあの怪獣はわたしのカイジューソウルの怪獣を真似て作った偽物。そんなのがこの町を破壊するなんて絶対嫌だから‼︎」

「ゴモたん・・・・・。」

 

ゴモラは自分のカイジューソウルの怪獣に誇りを持っている。その為、目の前で破壊活動を行うあのゴモラを模して作られたロボットを放っておけなかったのた。

彼女の言葉を聞いた怪獣娘達の視線はメカゴモラに集中する。

 

「そうだね、今暴れているこの怪獣をボク達が止めないと・・・・。」

「よーし、行くぞ、お前ら‼︎」

 

アギラの決意を聞いたレッドキングの声で怪獣娘達がメカゴモラに向かっていく。

彼女の掛け声と共に怪獣娘達とメカゴモラの戦いが始まったのだった。




今回の『サブタイを探せ』は前編の中にあります。
気付いた方は感想に自由に書き込んで下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

生中継!ロボット怪獣解体大作戦(後編)

次回からはクロスオーバーユニバース版からの続きを投稿できます。

本当に長かった・・・・。

ちなみに今回の影絵はメカゴモラとゴモたんをイメージしています。

それではどうぞ。


ハルキはメカゴモラに向かって足を進めていた。そこにシャドウが飛びかかる。ハルキは右に側転して避けるとシャドウを認識して苦い顔で呟く。

 

「うわっ⁉︎・・・・・こんな時にシャドウかよ⁉︎」

 

ハルキはウルトラゼットライザーを構えシャドウに対して戦闘態勢を取る。シャドウが再び飛びかかったところでゼットライザーでシャドウを斬る。シャドウは真っ二つになって消滅した。

 

「よし‼︎ミコ達の元に急がないと‼︎」

 

再び足を進めようとした時、今度はシャドウが5体現れた。

 

「・・・・・マジか・・・・・!」

 

再びハルキはウルトラゼットライザーを構えようとする。そこに髪の色が濃い幼馴染に瓜二つの怪獣娘が現れた。

 

「アンタ、こんなところで何をやってるの⁉︎」

「・・・・・もしかしてマコか?」

 

ハルキは目の前の怪獣娘が印南マコが変身したガッツ星人だと気付く。ガッツ星人(マコ)はハルキに言い放つ。

 

「こいつらはわたしが何とかするから、アンタは何処か安全な場所に避難しなさい‼︎」

「けど、君1人でじゃ‼︎」

「わたしは大丈夫‼︎さっさと行きなさい‼︎アンタがいても足手纏いなのよ‼︎」

「・・・・・・分かった・・・・・。」

 

ハルキはそう言って立ち去っていく。そんなハルキの後ろ姿を背にガッツ星人(マコ)は溜息を吐く。

 

「あいつ、何でここにいたのよ・・・・。まあいいわ。アンタ達程度わたし1人で十分よ‼︎」

 

そう言ってマコは手からビームを放ち、シャドウと戦い始める。その一方でハルキはマコの姿が見えなくなった辺りでメカゴモラに向かって行った。

 

 

 

 

その頃、怪獣娘達はメカゴモラに立ち向かい始めた。まずはレッドキングがドロップキックを、ミクラスがストレートをメカゴモラにお見舞いする。

 

「オラァッ!!」

「どりゃああ!!」

 

続いてウインダムが額からのレーザーを発射し、マガジャッパも水流を発射してメカゴモラを攻撃する。しかし、メカゴモラは微動だにせず、進行する。

幾ら攻撃を受けても、微動だにしないメカゴモラにメンバーの中で一番幼いザンドリアスは怯えてしまう。

 

「やだ・・・こんなのと・・・どうやって戦うの・・・。」

「諦めんな!!」

 

そんなザンドリアスに発破を掛けたのは自分と同い年のノイズラーだ。ノイズラーはザンドリアスに言い放つ。

 

「今、アタシ達が諦めたらこいつは町を破壊し続ける!!お前のお母さんも家も通ってる中学校も何もかも破壊しちまうぞ!!」

「!!!」

 

ザンドリアスは後ろにいる母親の事を思い出し、勇気を振り絞ってメカゴモラの前に飛び上がる。そして、メカゴモラの顔を口から吐く炎で攻撃した。

「うがーーーっ!!ママも友達も・・・皆傷付けてたまるもんかーーー!!」

 

炎の威力は増し、命中した箇所が爆発する。しかし、メカゴモラは爆炎の中から姿を見せ、ザンドリアスを手で叩き落とす。

 

「きゃああああ!!」

「ザンドリアス!!」

 

メカゴモラは下にいるザンドリアスに狙いを定め、角にエネルギーを溜め始める。メカゴモラ版超振動破『メガ超振動波』を放とうとする。

 

「あ・・・ああ・・・・。」

「逃げろ!!ザンドリアス!!!!ザンドリアスーーー!!」

 

ザンドリアスは叩きつけられた痛みで体が思うように動かなかった。この状況で角から放たれる攻撃を受けたら、命はない。ザンドリアスは覚悟を決めて目を閉じた。

それはハルキがウルトラゼットライザーのトリガーを押してヒーローズゲートを通った時と同じだった。

ハルキはウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーからメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ゼットの掛け声と共にゼットライザーを上に掲げ、トリガーを押す。

ハルキはゼットと一体化し、ウルトラマンゼットとなって現れる。

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

 

 

メカゴモラがメガ超振動波を放つもそれはザンドリアスの後ろに放たれた。ザンドリアスは何故自分が助かったのか目を開けて確認する。

メカゴモラの首に足を絡め、体重を後ろに掛ける何かがいた。それは光り輝いており、最初は見えなかったものの光が晴れて、その姿を現す。それはウルトラマンゼットだった。ゼットは体を捻り、メカゴモラを倒れさせる。

 

「う、ウルトラマン・・・ゼット・・・。ウルトラマンだーー!!来てくれたんだね!!」

 

 

 

一方、オフィスビルにいたGIRLSの上層部達もその姿を見て笑顔を浮かべる。彼らもその姿が現れた事を喜んでいた。

 

「It'S Ultraman !!」

「そうです!!あれこそ、再び地球に来た新たなウルトラマン『ウルトラマンゼット』です!!」

 

 

 

「ありがとーーーっ!!ウルトラマン!!」

 

ザンドリアスの声に下を向き頷くゼット。ゼットはメカゴモラの方に向き、ファイティングポーズを構える。

 

「ギャアオオオオオオオ!!」

 

ゼットはメカゴモラに飛び蹴りを放つ。しかし、メカゴモラは数歩後退しただけだった。

 

「ジィアッ!デュア!デアッ!!」

 

ゼットは接近して、右手で正拳、左手で再び正拳、右足で膝蹴りを放つ。それでもメカゴモラは数歩後退するだけだった。ゼットは一旦距離を置くも、メカゴモラはロケットパンチを放つ。ゼットはそれを回し蹴りで弾いた。

 

『こいつ、ウルトラ硬いな・・・。』

(作戦を変えましょう!!)

 

メカゴモラは今度は体からミサイルを発射する。

ゼットはゼットスラッガーを形成してミサイルを弾き、ゼットスラッガーを繋ぎ合わせアルファチェインブレードを形成する。

ゼットはアルファチェインブレードでミサイルを弾きながら、メカゴモラを何度も斬りつける。

メカゴモラは6度目の斬撃を読んでたのか口で咥えて受け止め遠くに投げ飛ばした。メカゴモラは角で突進してきた。

ゼットは抑えつけられずに腹で受け止め、後退する。

 

『しかもウルトラ馬鹿力だぜ・・!!』

(このまま戦ってたら不利だ・・・。)

 

メカゴモラは胸のランプからビームを発射しながら、体からミサイルを発射した。

ミサイルは手刀で弾きながらも、ビームはまともに食らってしまう。

 

「ジェアッ!?」

 

ゼットはビームを受けて後ろに倒れ込む。ゴモラはその姿を見て、駆けだしていった。

 

「ちょっと、ゴモ!?」

「そっちは危ないよ!!ウルトラマンと怪獣の戦いに巻き込まれちゃうよ!!」

 

ガッツ星人とミクラスがその姿を追う。

 

「ジィィアッ!!」

 

立ち上がろうとするゼットの横にゴモラがやってきた。その後を追うようにガッツ星人、ミクラスと怪獣娘がやってくる。

 

「うわぁ、分かってはいたけどこうして近くで見ると本当に大きい・・・。」

「ゼットちゃん!!これって貴方のモノなんだよね!?」

 

ゴモラは持っていたウルトラマンのメダルをゼットに見せる。ゼットとハルキは驚いていた。

 

『あ、あれはウルトラマンのメダルだ!!』

(ウルトラマンってまさか、初めて地球で戦った初代ウルトラマン!?)

『ああ、俺達皆の憧れの兄さんみたいな人だ!!』

(そのウルトラメダル・・・・ゴモラさんが持っていたのか・・・。)

「これを返すよ!!だから、頑張ってウルトラマン!!」

 

そう言ってゴモラはゼットにメダルを投げる。ゼットのカラータイマーに吸い込まれたそれはハルキの手に渡った。

 

『ハルキ、ウルトラフュージョンだ。真っ赤に燃える、勇気の力を手に入れるぞ!!』

(はい!!)

 

ハルキは腰のメダルホルダーから2枚のメダルを取り出す。ウルトラマンエースとウルトラマンタロウのメダルだ。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!!」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈Ultraman〉〈Ace〉〈Taro〉

 

ウルトラマンゼットが腕を広げて胸を張る。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

 

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ゼットライザーを上に掲げ、トリガーを押す。

メダルに描かれたウルトラマン、エース、タロウが飛び交う。そしてアルファエッジの時と同じく一点に光が集中して、赤く染まったパワータイプのウルトラマンゼットが握り拳を作り両腕を挙げて現れた。

 

Ultraman Z Beta Smash

 

 

 

 

 

「ウルドラマーン!ゼェーッド!ベーダズマァーッジュ!!」

 

顔に赤いマスク、胸にプロテクターを着けた赤のカラーリングの筋肉質なウルトラマンが空中で体を捻り、ドロップキックをメカゴモラに叩きこむ。

 

「デュワッ!!」

 

ドロップキックを決めたせいで倒れ込むもメカゴモラよりも先に起き上がる。

 

「イィイチ、ニィ、サァァン・・・・!!ダアアアアアア!!」

 

力に優れたウルトラマンゼット『ベータスマッシュ』が右腕を掲げ高らかに吠えた。

 

「おお~!!いかにも強そうな姿に~!!」

「まさしくパワースタイルって感じになったな!!」

 

ミクラスとレッドキングが目を輝かせてその姿を見ている。ゼットとメカゴモラが睨み合う中でミクラスはどこからともなくゴングを出す。

 

「よーし、行くよー!!試合開始ー!!」

「ミクさん、そのゴング何処から出したんですか!?」

 

ウインダムのツッコミを横にミクラスがゴングを鳴らしたのと時を同じくして、ゼットがメカゴモラに組み付いた。

 

「ディアアアッ!!」

 

力比べは僅かにゼットが勝り、メカゴモラが押し返される。メカゴモラから手を離すとその首にチョップを右手で叩きこむ。続いて顔に力強い拳を叩き込み、メカゴモラをを後退させる。

メカゴモラは指からミサイルを放つも微動だにせず、突進する。突進の後はメカゴモラの右横腹に蹴りを2発叩きこむ。

 

「ギャアオオオオ!!」

 

メカゴモラはメガ超振動波を放つも、両手を左腰の位置で合わせて右腕を斜め垂直上に持っていくことで繰り出す切断光線『ベータクレセントスラッシュ』を放つ。切断光線はメガ超振動波を突き破りメカゴモラに確かに切り傷を付ける。

ゼットは再びメカゴモラの首に力強いチョップを放ち、上へ投げ飛ばす。ゼットは赤く光り、その右手には既にエネルギーが溜められていた。

 

『(ゼスティウムアッパー!!)』

 

光エネルギーを纏った拳が直撃し、メカゴモラは大爆発。その機械の体は完全に砕け散ったのであった。

 

「やったーー!!」

「よっしゃあーー!!」

 

怪獣娘達は喜び、ゴモラはゼットを嬉しそうに見る。ゼットはゴモラに頷き、空へ飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLS本部では怪獣娘達がピグモン、ヘビクラ、多岐沢に謝っていた。

 

『すみませんでした!!』

「作戦は失敗してしまいました!!」

「大丈夫ですよ~、皆さん。」

「大丈夫なわけないじゃないですか!!結局はウルトラマンに助けられてしまいましたし・・・。」

「そんな事ありませんよ。」

「それが実はですね・・・。」

 

多岐沢はそう言ってメカゴモラがゼットに倒された直後の海外から来たGIRLSの上層部との会話を思い出す。

 

「凄イデスネ。彼女達ハ。Ultramanですらあんなに苦戦したメカゴモラ相手二勇敢二立チ向カッテ。アノ様子ナラ日本ノ怪獣騒動ハ彼女達二任セテモ大丈夫デショウ。」

「本当ですか!?ありがとうございます‼︎」

 

多岐沢の言葉に彼女達は驚いた表情を浮かべながら、言葉を放つ。

 

「本当にそう言ってたんですか⁉︎」

「はい、だから自信持ってください!!」

「皆さんの事を高く評価していました。これからも起こるかもしれない怪獣騒動に対処できると考えたらしいですから。」

 

ピグモンと多岐沢の言葉に顔を喜ばせる怪獣娘達。外ではそんな怪獣娘達をハルキがGIRLS東京支部の前から見つめていた。その顔には笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、セレブロは人里離れた海岸にいた。その足元には、カプセルが幾つも転がっていた。そしてセレブロの前ではとても大きな何かが目の前にいて、セレブロはその影に覆われていた。

 

「「ピギシャアアアアア!!」」

「グオオオォォォン!!」

「グアアアァァァ!!」

「ウオオオオン!!」

 

その前には何体もの怪獣達がいた。実はセレブロがメカゴモラのコックピットから回収したボックスに入ったカプセルには怪獣が入っていたのだ。そして、たった今カプセルに入っていた怪獣達を地球に解き放ったのだ。あるものは地面に潜り、またあるものは空に飛び立ち、またあるものは海に潜って消えていった。

セレブロはそれを無表情で見届けると、夜の闇の中に消えていった。




ハルキ「ハルキと」

アキ「アキの」

ハルキ&アキ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈Ultraman〉

アキ「初代ウルトラマン。初めて地球にやって来たウルトラマンで鍛え抜かれた肉体を持っているよ。」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈MECHA GOMORA〉

ハルキ「この怪獣はメカゴモラ。ゴモラを元に宇宙人が作ったロボット怪獣で様々な武装をしているぞ!!」

ミク「次回はあたしが担当するよ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『怪獣娘の新たな強化形態、EXモード。しかし、怪獣娘達はその力を引き出すのに手間取っていた。頼むぜ、イズミ!!発動するきっかけを考えてくれ!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


EXモード起動計画



ウルトラ強くなるぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

EXモード起動計画(前編)

こちらもようやくクロスオーバーユニバース版からの続きを投稿できます。

またオリジナルキャラが出ます。

エリ巻き怪獣『ジラース』登場
地底怪獣『テレスドン』登場


ここはお台場。TV局や海浜公園など様々な施設が充実しておりすぐ横が海に面しているこの場所で緊急事態が起こっていた。

 

「ギャオオオオオォォォ‼︎」

 

突然海から黄色い襟巻きを生やし背中から尻尾の先まで背鰭が付いた怪獣が上がってきて暴れているからだ。怪獣の名はエリ巻き怪獣『ジラース』。かつて狂った科学者がイギリスのネス湖から連れて来た怪獣の同族である。ジラースは口から熱線を吐きながら周りの建物を破壊して暴れ回っている。

 

「ギャオオオオオオオォォォ‼︎」

 

暴れるジラースにお台場にいた多くの人達が逃げ惑っていた。その人達を丁度お台場に来ていたアギラとミクラスとウインダムが避難誘導する。

 

「皆さん‼︎怪獣が出ました‼︎落ち着いて避難して下さい‼︎」

「慌てないで、慌てないで‼︎」

「指示に従って避難して下さい‼︎」

 

彼女達が避難誘導を行う中でもジラースは容赦無く暴れ回る。町の人達がパニックを起こしながら逃げ惑う中、ベータスマッシュに変身したウルトラマンゼットが現れた。

 

「デュワッ‼︎」

「あっ、ゼット‼︎」

 

ゼットは開幕早々ジラースにラリアットをかます。凄い力を秘めたラリアットにジラースは倒れる。

 

「ギャアオオオォォォ⁉︎」

 

そのままジラースと向き合うゼット。ジラースは起き上がると口から熱線を吐き出した。ゼットは熱線を両腕で受け止める。そしてジラースに向かって走り出した。ジラースも走り出して戦闘態勢に入る。ゼットとジラースはそのまま取っ組み合いになった。

 

「デュアアアア‼︎」

「ギャアオオオオアアァァ‼︎」

 

取っ組み合いはゼットが勝ちジラースが地面に倒れる。ジラースが起き上がったタイミングでゼットはジラースの頭部にチョップを決める。ジラースが怯んだ隙にゼットはジラースの襟巻きを掴む。

 

「ディア‼︎」

「ギャアオオオオオオ‼︎」

 

そのままゼットはジラースの襟巻きを剥ぎ取った。襟巻きを剥がされた痛みでジラースが叫ぶ。ジラースとゼットは距離を取りジラースは熱線を放つ。

ジラースが熱線を放ったと同時にゼットも構えを取りゼスティウム光線を撃つ。

 

『(ゼスティウム光線!!)』

 

ジラースの熱線とゼスティウム光線がぶつかり合う。やがてゼスティウム光線が熱線を押し返しジラースは光の光線を浴びる。ゼスティウム光線を受けたジラースはそのまま倒れ、大爆発を起こした。

 

「ありがとう、ウルトラマン‼︎」

「カッコ良かったぞーーー‼︎」

「デュワッ‼︎」

 

ゼットはお礼を言った人々を見て頷き、そのまま飛び去っていった。

 

 

 

 

 

その翌日、GIRLSではウルトラマンゼットとジラースの戦闘を赤い髪の小柄な少女ピグモンこと『岡田トモミ』と桜色の長い髪に眼鏡を掛けた少女エレキングこと『湖上ラン』、多岐沢と彼の部下である白と黒の格好の怪獣娘『ペガッサ星人』にヘビクラがモニター越しに見ていた。

最初に発言したのは多岐沢だ。

 

「昨日、お台場に現れた怪獣、ゼットが倒してくれましたね。」

「ええ、流石はウルトラマンです・・・、でも・・・・。」

 

トモミは浮かない表情でモニターの映像を昔湖に現れたジラースの映像を写しながら言葉を続ける。

 

「ジラースは地球の怪獣です・・・・。皆さんも知っての通りこの星から怪獣はいなくなった筈です。何故、ジラースが今現れたのでしょう?」

「ジラースが生き残っていた可能性は?」

「考えられないとは思いますが念のため調査する必要があると思います。それと同時に怪獣娘が強くならなければならないでしょう。もし、これから先も怪獣が現れ続けるならゼットさんだけに戦わせられないでしょうから。」

「もしかしたら・・・・。」

 

トモミと多岐沢の会話の中、ここでペガッサ星人が発言しながらモニターの映像を切り替える。それはメカゴモラ解体作戦の中で一瞬だが刺々しくなり姿が変わったゴモラだった。

 

「以前、メカゴモラとの戦闘の中で怪獣娘の一部に何か変化があったようなんです。それを引き出す事が出来るようになれば新たな戦力になるでしょう。」

「それは怪獣相手でも戦える力なのか?」

 

ペガッサ星人の言葉にヘビクラが疑問を口に出す。ペガッサ星人は言葉を濁しながら発言する。続いて多岐沢が言葉を追加する。

 

「そこまではまだ・・・・。けどシャドウビーストなら1人でも倒せるくらいには強くなれるかもしれません。私はこの力は元の怪獣に宿る更なる強化形態が怪獣娘に影響を与えたと思っています。」

「僕達はこの姿を EXモードと名付けました。」

「その姿はどうやったらなれるんだ?」

「そこまではまだ・・・・。変化が見られた怪獣娘には説明して協力してもらっていますが未だにあの姿の発動は確認されませんでした。」

 

彼女の言葉に考え込むヘビクラ。他の3人もヘビクラに釣られて考え込んでしまった。

 

「ま、とにかくこれからの課題はEXモードを発動させる事とその力をコントロールする事だな。仮に発動出来ても暴走しちまったら意味がねぇからな。」

 

ヘビクラはそう言った後、コーヒーを飲みながら自分の席に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

その頃、ゴモラとレッドキングはトレーニングルームで組み手をしていた。彼女達もペガッサ星人やトモミから説明を受けて新たなる力が使えるようになるにはどうすればいいか考えても何も思い付かず難しい事を考えるより体を動かす事にしたのだ。

 

「ゴモラ、強くなったじゃねぇか‼︎」

「勿論、今度の大怪獣ファイトで絶対にレッドちゃんに勝つためにも特訓してたから‼︎」

「へっ、けどよお前にはまだまだ負ける訳にはいかねぇな‼︎」

「センパーイ‼︎ゴモたんーッ‼︎頑張ってーー‼︎」

 

2人の組み手を見ていたミクラスが応援の声を上げる。その横でマガジャッパがマガバッサーに足を押さえてもらいながら腹筋をしていた。あまり運動しないのかマガジャッパは腹筋の動きが鈍くなりつつある。

 

「ふええぇ、バサちゃん、ちょっとキツくなってきたよぉ・・・・。」

「頑張れジャッパ‼︎終わったら一緒にパフェ食べにいくぞ‼︎」

 

マガバッサーの言葉で彼女は体に力を入れ始めた。

 

 

 

 

 

 

その頃、アギラは最近入った新しい怪獣娘に芸能課を案内していた。アギラの後ろには小柄で頭には何処か眠たそうな印象を与える目が入ったカチューシャっぽいものをつけ、メカニカルだが寸胴で丸っこいイメージの格好に下半身はフリルの怪獣娘がいた。彼女は怪獣ボール『セブンガー』の怪獣娘である。

 

「今日は芸能課を案内するよ。」

「はい、アギラ師匠‼︎」

「や、やめてよ、師匠なんて・・・。ボクはまだそこまで人に何かを教えられる立場じゃないし・・・・。」

「ザンドリアス先輩とノイズラー先輩から聞きましたよ‼︎ホー先輩もアギラ師匠に心動かされた事があったって‼︎」

「そんな事ないよ。あれだってボクはノイズラーのお陰だと思うし・・・・。」

 

どうやらアギラはセブンガーから師匠と呼ばれているらしい。アギラ自身はまだ師匠と呼ばれるような立場だと思っていないため困惑しながら否定していた。

そこにノイズラーがやって来た。

 

「おっ、来たかセブンガー‼︎」

「はい、ノイズラー先輩‼︎」

「じゃあ早速だけどアタシ達のライブの手伝いをしてもらうぜ!それで芸能課の仕事を見てくれ。いいですよね、アギラさん。」

「うん。ボクも付き添うから。」

「ありがとうございます、師匠!さっきまで眠かったのにやる気出てきたーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルキはミコと一緒に学校から帰っている途中だった。2人はGIRLSのことなどを話しながら歩いていた。

 

「それでね、新しい新人の怪獣娘が入ったんだ。」

「新人の怪獣娘?へー。」

「今はアギが面倒を見ているよ。アギがその子の指導係りだからさ。」

「何というか、怪獣娘って色々とやる事あるんだな。大丈夫なのか、今日も確かなんかの仕事が入っているんだろ。」

「今日はやる事も少ないし、すぐに終わるから。」

 

そんな話をしながら2人は建設中の建物の前に来ていた。そこで2人は立ち止まった。

 

「じゃあわたしここで。」

「ああ、あんまり抱え込みすぎるなよ。」

「大丈夫だって‼︎じゃあまた明日!」

 

そう言ってミコはその場を後にする。ミコを見送った後、ハルキは建設中の建物の方を見ていた。建物を見渡していると看板を見つける。そこには地下都市建設中のお知らせが記された看板があった。

 

「地下都市か・・・・・。結構広い空間だな・・・・・。店とかも建てる予定があるのか・・・・・凄えな・・・・・。」

 

ハルキはそう言ってその場を去ろうとする。その時、その場で激しい地震が起こった。あまりにも激しい地震のためハルキも立つのに必死だった。

 

「うわぁ⁉︎何なんだよ、この地震⁉︎」

 

やがて地震が治まる。ハルキは周りを見渡した。道路には激しいひび割れが起こり、周りの建物も同じようなひび割れがあった。

 

「ヤバいだろ、これ・・・・・。一体どうしてこんな・・・・・。」

 

その時、再び地震と共に地面が割れる。割れた地面から巨大な何かが姿を現した。

 

「グオオオォォォ‼︎」

「嘘だろ⁉︎昨日に続きまた怪獣かよ⁉︎」

 

地面から姿を現したのは怪獣だった。その怪獣は典型的な怪獣のような姿に尖った嘴、背中に1本の刺が付いた怪獣だった。かつて地底人が地上侵略のために送り込んだ地底怪獣『テレスドン』は口から火炎放射を吐きながら周りの建物や道路を焼き尽くし始めた。

 

「グオオオオォォォ‼︎」

 

 

 

 

 

勿論GIRLS本部でもテレスドンの出現は知らされていた。GIRLS本部の職員が慌ただしく動き出す。建物内にいた怪獣娘達も同様だった。その中でも司令室は特に慌ただしく動いていた。司令室には怪獣娘『ピグモン』『エレキング』に変身したトモミとラン、ヘビクラ、多岐沢にペガッサ星人がいた。

 

「どうしたの⁉︎」

「市街地に怪獣が出現しました‼︎」

「過去のアーカイブドキュメントに記録を確認‼︎現れたのは地底怪獣テレスドンです‼︎」

「テレスドン・・・・・まだ地球の怪獣が・・・・・一体どうして・・・・・。」

 

ピグモンが考え出した中、ヘビクラは職員に付近の状況を聞く。

 

「テレスドンが現れたのは市街地のどの付近だ?」

「テレスドンは建設中の地下都市付近に現れたようです‼︎」

「地下都市・・・・・成る程な・・・・・。」

「ヘビクラ隊長・・・・・?」

 

1人納得した様な表情をするヘビクラに多岐沢は疑問を浮かべるも、エレキングの言葉で正気に戻ったピグモンの言葉を聞く。

 

「ピグモン‼︎」

「はっ、すみません・・・・・とにかく直ぐに現場に向かわなければ‼︎GIRLSの皆さん、再び怪獣が出現しました‼︎大至急現場に急行して下さい‼︎」

「僕も向かいます!昨日地球の怪獣であるジラースが現れた理由と何か関係があるかもしれませんから‼︎」

「あっ、待って下さい、博士‼︎・・・・・・私も行きます‼︎」 

「分かりました!気をつけて下さいね。」

 

ピグモンが司令室から館内放送で怪獣娘達に呼び掛ける。多岐沢も司令室を後にする。その後を追ってペガッサ星人も司令室を出て行った。

 

 

一番現場に近い場所にいたミコはソウルライザーでピグモンからの電話を受けていた。

 

「怪獣⁉︎・・・・・マジで⁉︎」

『はい!緊急事態です‼︎今日のお仕事は中止です。上には私が言っておきますのですぐに向かって下さい‼︎』

「了解‼︎」

 

ミコは電話を切ると先程ハルキと分かれた場所まで向かって走り出した。

 

 

その頃アギラとノイズラー、ザンドリアスはピグモンからの放送を聞いて現場に向かう準備をする。そこにセブンガーもやって来て自分も行きたいと言ってきた。

 

「行くよ、ザンドリアス、ノイズラー‼︎」

「「はい‼︎」」

「私も連れて行って下さい‼︎」

「セブンガー⁉︎何言ってんだよ‼︎」

「駄目だよ‼︎君にはまだ早い‼︎」

「私も怪獣娘です‼︎お願いします‼︎」

 

強く意地を張り志願するセブンガー。アギラは見習いだった頃、GIRLSの正式な隊員になるための試験の時に浅草にシャドウが出現した。その時はアギラもミクラス、ウインダムと共にシャドウ退治に向かった。セブンガーの姿をかつての自分と重ね合わせたのかアギラは答えを出した。

 

「分かった。けど、絶対に無茶をしちゃ駄目だよ‼︎」

「はい‼︎」

「行きましょう‼︎」

 

アギラ達はGIRLSを後にして現場に向かって行った。彼女達の後ろ姿を見ていた影がいた。それはカブラギに寄生したセレブロだった。セレブロは表情を変えずにその後ろ姿を見ていた。




ここでセブンガーの怪獣娘の紹介をします

球矢ナナ(セブンガー)
誕生日 11月29日
年齢 13歳
趣味 プラモデル作り
好きな事 ロボットアニメを見ること
嫌いなこと 『女の子なのに』と言われる事、誰かが他人に言った時も同様
セブンガーの魂を継ぐ怪獣娘。中学1年生の女の子。素直で元気な性格だが素直すぎて思った事を直球で言ってしまうところもある。ロボットアニメが好きだが男子から女の子なのにロボットアニメが好きな事をからかわれた事もあり『女の子なのに』という言葉が嫌い。アギラ、ミクラス、ウインダムのかぷせるがーるずの3人を師匠と慕っている。特に彼女の指導係のアギラにはかなり懐いている。(一方で3人はまだ師匠と呼ばれる立場じゃないから師匠と呼ぶのはやめて欲しいみたいと思っている。)
名前の由来は怪獣『ボール』→球
『セブン』ガー→ナナ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

EXモード起動計画(中編)

ゴジラS.Pも楽しみですし、ゴジラvsコングも楽しみです。

ちなみに前回ジラースがお台場に現れたのは私が1番好きなゴジラ映画で決戦の舞台がお台場になったある作品のオマージュです。


アギラ達はテレスドンが暴れている現場に到着した。そこはテレスドンの炎で燃え上がる町だった。そこに多岐沢とペガッサ星人が現れ、彼らと合流する。

 

「博士、どうしてここに・・・・⁉︎」

「僕も怪獣が気になって・・・そんな事より、現場の状況はどうなっていますか⁉︎」

「怪獣の炎で町が燃えています‼︎人が取り残されているかも・・・・、ノイズラー、人の声は聞こえる⁉︎」

「待って下さい‼︎今、聴いてます!」

 

ノイズラーはアギラの声に答えながら耳を済ませる。そして彼女の人並みを超えた聴力が助けを呼ぶ声を聞いた。

 

「助けて・・・、誰か助けて・・・!」

「助けを呼ぶ声が聞こえました!」

「何処から⁉︎」

「あたしに着いてきて下さい‼︎」

 

ノイズラーに案内され着いて行くもテレスドンが目の前に現れて口から火炎を吐き出してきた。アギラ達は間一髪で避ける。

 

「あっつ‼︎避けてもここまで熱いもんなの⁉︎」

「ザンドリアス先輩、前‼︎」

「へっ⁉︎」

 

セブンガーが指差す方向をザンドリアスが見るとテレスドンが既に行手を阻んでいた。テレスドンの動きを見ながらペガッサ星人がソウルライザーを操作して結論を口に出す。

 

「このテレスドン、昔現れた個体より動きが早いです‼︎」

「本当ですか⁉︎」

 

多岐沢とペガッサ星人が会話する中、現場に到着したのはレッドキングにゴモラ、ミクラスがマガバッサーとマガジャッパを連れて合流する。

 

「博士、あたし達に任せて‼︎」

「俺達があいつを誘導する‼︎行くぞ、お前ら‼︎」

 

そう言ってレッドキングはその場にあったビルの瓦礫をテレスドンに投げつける。ゴモラはテレスドンの目の前にジャンプして尻尾を叩きつける。ミクラスもマガバッサーとマガジャッパを引き連れてテレスドンに向かって走って行く。

 

「行くよ、2人とも‼︎」

「「はい‼︎」」

 

ミクラスがテレスドンの足に拳を叩きつけ、マガバッサーが頭上を飛んで風の刃を放つ。マガジャッパも水流を出してテレスドンを攻撃する。

彼女達がテレスドンの相手をしている間にアギラ、ザンドリアス、ノイズラー、セブンガーの4人は取り残された民間人のもとに駆けつけた。そこには作業員にサラリーマン、親子連れなど様々な人か10数人いた。彼らは怪獣娘が到着すると嬉しそうな顔をあげる。

 

「おい、皆怪獣娘の皆が来てくれたぞ‼︎」

「GIRLSです‼︎皆さんを救助に来ました‼︎」

「ありがとう!本当にありがとう!」

「怪我をしている人から外に出しますので‼︎」

 

 

 

 

彼女達が住民の救助活動を行う頃、ハルキも変身するためにゼットライザーを構える。その時、ハルキの耳に助けを呼ぶ声が聞こえてきた。ハルキは咄嗟に声が聞こえた方向を向いて走り出す。

 

「助けて・・・・・・誰か・・・・・お願い・・・・・・。」

「助けを呼ぶ声が・・・・・今行きます‼︎」

 

ハルキはひたすら走り声が近いところまで着いた。彼は大声で呼び掛ける。

 

「何処ですかー!助けに来ましたよ‼︎」

「・・・・・‼︎ここです‼︎」

 

助けを呼ぶ声を必死に上げる声を聞いてその方向に向かうハルキ。そこではスーツを着たサラリーマンやOLが数人怪獣が暴れた影響で地面に空いた穴に取り残されていた。

ハルキは穴を覗き穴の中にいる人達に呼び掛けようとする。そこに怪獣娘に変身した幼馴染が現れた。

 

「ハル、何してんの⁉︎ここは危ないんだから早く逃げて‼︎」

「ミコ、丁度良かった‼︎あの穴に人が取り残されているんだ‼︎」

「えっ⁉︎」

 

ガッツ星人はハルキの言葉を聞いて穴を覗き込む。するとガッツ星人はハルキに指示を出す。

 

「ハル、近くにGIRLSの人達がいる筈!その人を見つけて連れてきて!きっと応急手当できる物資を持っている筈だから‼︎」

「分かった‼︎」

 

そう言ってハルキはガッツ星人から離れて行く。その途中で髪の色が濃いガッツ星人と再び出会う。ハルキは彼女に近付いて話しかけた。

 

「君は・・・‼︎」

「アンタ、何でここに・・・・・⁉︎」

「そんな事どうでもいい‼︎なぁ、何か怪我人を手当できるものを持ってないか⁉︎取り残された人達がいるんだ‼︎」

「‼︎・・・・これだったらあるけど・・・・・。」

 

そう言ってガッツ星人(マコ)は救急箱を取り出す。何故か彼女は救急箱を持っていたのだ。ハルキは礼を言いながらガッツ星人(マコ)の腕を掴む。

 

「ありがとう‼︎一緒に来てくれ‼︎」

「アンタ、何のつもりよ・・・‼︎」

「怪我人がいるんだ‼︎手を貸してくれ‼︎1人でも多くの人手が必要だ‼︎」

 

ミコはそのままハルキを振り切ろうと思ったがハルキの言葉を聞き、その必死な表情に何か感じたのかハルキに着いて行く。やがてガッツ星人(ミコ)の元に駆けつけると既に彼女が救助していた人達に駆け寄り手当てを始める。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

「は、はい、怪獣娘さんのお陰で助かりました。」

 

 

 

 

 

その頃、アギラ達は取り残された人達を全員救助していた。そんな彼女達をカブラギに寄生したセレブロは無表情で見ていた。アギラは誰かの視線を感じたのか振り返る。そこには誰もいなかった。

 

「今、誰か・・・・・。」

「アギラさん‼︎アレ!」

「どうしたの⁉︎」

「怪獣が‼︎」

 

ザンドリアスの声を聞いて彼女の方を振り返るアギラ。アギラがザンドリアスの指差す方を見るとテレスドンは穴を掘り始めていた。そして、地中の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLSではヘビクラがルービックキューブを弄りながら怪獣娘達の報告を聞いていた。

 

「工事地帯は壊滅か・・・・・。」

「御免なさい・・・・、ボク達が上手くやれていればあの怪獣による被害を少しでも防げた筈なのに・・・・・。」

「まぁ、あのテレスドンは今まで現れた中で1番早いと言っても過言ではない。仕方ないさ・・・。それより今後どうするかだな。」

 

ヘビクラはルービックキューブを机に置き、発言する。そこに多岐沢と1人の女性が入ってきた。彼女こそペガッサ星人こと『沢渡イズミ』である。彼らはその手に何かを持っていた。

 

「ヘビクラさん、現場に現れたテレスドンの体表を採取しました。」

「よし、ならばブリーフィングを始めるぞ。」

 

やがて現場に来た怪獣娘と司令室にいたピグモン、エレキングの2人に加えてGIRLSで待機していた怪獣娘が会議室に集合した。多岐沢はモニターにテレスドンの映像を流しながら発言する。

 

「テレスドンは地中で暮らす怪獣です。今回現れた理由は地下開発工事により縄張りもしくは住処を荒らされたのが原因と考えられます。」

「地下も開発が進んでいるからな。今や地下も安住の地では無くなったわけだ。」

「地下開発の影響で出現した以上、また現れる筈・・・・・何とかしないと‼︎」

「博士、例のEXモード発動の条件は分かったのか?」

「残念ながら・・・・・まだ僕は何も解明出来ていません・・・・。イズミ君、君は・・・。」

「同じく・・・・まだ・・・・・。」

「とにかくあの力を発動させるきっかけを考えなきゃな。ミカヅキにベニオ・・・・・お前らはあの後は・・・・。」

 

ヘビクラはここでミカヅキとベニオに話を振る。ミカヅキは首を傾げながら、ベニオは腕を組みながら答える。

 

「わたし達もあの後あの姿にはなれていないんだよね〜。何であの時あの姿になれたのかな?」

「俺もゴモラと同じだな。あれ以来強化形態には変身出来ていない。」

 

ヘビクラは考えながら発言する。

 

「EXモードが自由に使えるようになれば新たな戦力増強になる。何とかしないとな。」

 

それから暫くして会議が終了した。アギラ達の元に紫色のロングヘアーでシルバーカラーの服を来た小柄の少女がいる。彼女こそセブンガーこと『球矢ナナ』だ。ナナは現場で怪獣に遭遇したのは初めてだったらしく率直に怪獣と遭遇した感想を言っていた。

 

「あれが本物の怪獣・・・・・。TVで最近現れる怪獣のニュースを見ていましたがあんなに大きくて恐ろしいとは思わなかったですよ‼︎」

「だよねー。あたし達も最近現れる本物と遭遇するまではあんなにヤバいとは思わなかったよー。」

「ミクラス師匠もですか⁉︎・・・・・怪獣娘になった以上再び怪獣が現れたら、その対処は避けられないんですよね・・・・・・凄いプレッシャーを感じます。」

「師匠は辞めてよ・・・・・まぁ、実際GIRLSって昔怪獣と戦ってた防衛チームのデータとかが受け継がれているらしいし、今の地球防衛チームみたいなものだしさ仕方ないんだよねー。」

「そうなんですか⁉︎」

「ええ、ここには昔現れた怪獣の記録映像などが沢山ありますからね。セブンガーさんも一度見た筈ですよ。」

「ウインダム師匠・・・・・確かに見ましたね。1分間だけ裏表になって襲ってくる怪獣と私の元の怪獣が戦ってた映像が。」

「あの・・・・・師匠は辞めてほしいのですが・・・・・。・・・・・まあそういうのもあって今はGIRLSが怪獣対策組織として対応しているわけですよ。」

 

ナナがミクとレイカと話している中アキは考え事をしていた。そんなアキにミクが話しかける。

 

「アギちゃん、どうしたの?さっきから何か考え込んでさ。」

「あっ、ううん・・・・・、何でもない。」

 

アキは答えた後、ナナと話していたミクとレイカの会話に入っていく。

 

 

 

 

 

 

ミカヅキとベニオは再び怪獣娘に変身して身体を動かしている。そのすぐ横でピグモンに多岐沢とイズミが並んでいた。

 

「彼女達、トレーニングに励んでいますね・・・・・。」

「はい、あの時の姿にもう一度なろうと必死なんでしょう。」

「・・・・・・・。」

「イズミ君?」

 

自分達が会話している中、ただ1人だけ顔を下に向けて俯いているイズミを心配して多岐沢が話しかけた。彼女は話しかけられてから数十秒後多岐沢から声を掛けられている事を確認して声を上げる。

 

「はっ、はい⁉︎」

「どうしたんですか、先程からずっと俯いていましたが・・・・・。」

「はっ・・・・・はい、あの、実は・・・・・・。」

 

イズミは少し考えながら話し始めた。

 

「・・・・・・もしかしたらあの姿は偶然なれただけで・・・・・ずっとこのままなんじゃないかと思ってしまいまして・・・・・。もしもこのまま発動出来るきっかけを見つけられずあの姿にはもう2度となれないのではないかって・・・・・。」

「イズミ君・・・・・・そ「そんな事無いよ‼︎」ゴモラさん⁉︎」

 

ネガティブな事を言うイズミの言葉を否定するゴモラ。ゴモラは明るく言葉を続ける。

 

「そんな事無い‼︎だって1度は出来たんだよ‼︎きっとまだ使えるようになるよ‼︎」

「しかし・・・・・。」

「駄目駄目‼︎そんな簡単に諦めちゃ‼︎諦めずに何度も挑戦し続ければいいんだよ‼︎」

「ゴモラの言う通りだぜ‼︎」

 

そこにレッドキングも入ってくる。彼女はタオルで汗を拭きながら言葉を続けた。

 

「俺達怪獣娘には人間の心がある。元の怪獣は使えなかったような力だって使える奴らもいるんだ‼︎諦めちゃいけねぇ。俺達怪獣娘は元の・・・・本物の怪獣を超える力を持っているんだ!限界を超える力がな‼︎」

「お二人とも・・・・・。」

 

イズミは2人の声に励まされたのか顔を上げ、明るい表情になる。

 

「・・・・・元の怪獣を超える力・・・・・。そうですよね。諦めちゃ駄目ですよね‼︎ありがとうございます、2人とも‼︎」

「わたしは・・・・・ううん、怪獣娘は誰だって可能性がある‼︎人間の心を持つわたし達だからこそ出来ることが・・・・きっとある‼︎」

「絶対、EXモードを使えるようになってやるぜ‼︎」

 

その時、お腹のなる音が全員から聞こえてきた。イズミは時計を確認してもう夕飯時だと気付く。

 

「み、皆さん・・・・・・まずは食事にしませんか?お腹も空きましたし・・・・・。」

「そうですね。」

「ああ、まずは飯だな!」

 

そう言って彼女達は夕食を取るため部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

その頃、一つの部屋からドアを開ける音が聞こえる。その部屋から出てきたのはセレブロだった。セレブロは手に持った瓶を軽く揺らす。瓶にはジラース(サンプルA-A)と書かれており、中にジラースの血液が詰められている事が分かる。実はセレブロはGIRLS内のウルトラマンゼットに倒された怪獣の細胞が保管された部屋に入っていたのだ。

そしてドアを閉めるとウルトラゼットライザーを取り出した。セレブロがゼットライザーのトリガーを押すと横に『フェイクヒーローズゲート』が開き緑色の『インナースペース』と呼べる空間が見える。セレブロはフェイクヒーローズゲートを潜りインナースペースに入っていく。そこには妙な機械があった。工場にありそうな外見のその機械に近づいたセレブロは瓶を開けてジラースの体液を機械に注ぎ込む。そして機械のハンドルを回して機械の中でジラースの血液は何かに変わっていく。そして出てきたのはジラースの顔が描かれた一枚のメダルだった。

セレブロはそれを左手で取り、右手でポケットに入れていた何かを取り出す。それは先程作ったジラースのメダルと同じようなメダルだった。メダルにはゴモラやレッドキング、ガッツ星人やマガバッサー、マガジャッパなどのGIRLSに所属する怪獣娘の元の怪獣に加えて、ゼットと戦ったアリゲラやメカゴモラといった怪獣が描かれたメダルだった。セレブロはそれを交互に無表情で見ていた。




今更ですがガッツ星人こと印南ミコって高校生位の年齢だと思います?
この作品では高校生って事にしましたが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

EXモード起動計画(後編)

主人公がかなり空気になってしまった様な・・・。

影絵はテレスドンとEXモードのゴモラとレッドキングをイメージしています。

またサブタイを探せもここに入っています。

強化地底怪獣『エリマキテレスドン』登場


翌日の昼、再び地面が揺れ始めた。突然の地震に人々は慌てふためく。

 

「なっ、何だ⁉︎」

「地震だ‼︎みんな、身の安全を確保しろ‼︎」

「うわああああ⁉︎」

 

やがて地面の揺れが強くなる。そして再び怪獣『テレスドン』が地中から姿を現した。

 

「グオオオォォォ‼︎」

「うわあああああああ‼︎」

「か、怪獣だーーーーーっ‼︎」

「皆逃げろーーーっ‼︎」

 

ハルキは逃げる人混みとは逆方向に走る。その目にはテレスドンが写っていた。

 

 

 

 

 

 

GIRLSでもテレスドンの出現が知らされていた。ピグモン、エレキング、多岐沢、ヘビクラの4名が司令室の職員達やGIRLS東京支部所属の怪獣娘達に指示を出す。その隣ではペガッサ星人が怪獣の分析を行なっていた。

 

「再びテレスドンが現れました‼︎GIRLSの皆さん、現場に急行してください‼︎」

「近くにいる怪獣娘に住民の救助と避難誘導を‼︎」

「怪獣との戦闘はそれからにしてください‼︎」

「地底からの挑戦、再びか。

「このテレスドンは昨日現れた個体と同一です‼︎」

 

 

 

 

丁度現場にはアギラ、セブンガー、マガバッサー、マガジャッパの4人が来ており、住民の救助を行なっていた。マガバッサーが空を飛びながら怪我した人を運び、マガジャッパはテレスドンの火炎放射で燃える場所を水流で消火する。セブンガーはアギラと一緒に避難誘導を行う。

 

「大丈夫ですか⁉︎このまま降りますよ‼︎」

「ああ、ありがとう・・・。」

「皆さん、こっちです‼︎」

「この先に避難所があります‼︎ボク達が誘導します‼︎」

 

アギラ達が住民の救助を行う中、ハルキも慌てて怪我した人を抱えながら避難場所に急いでいた。

 

「大丈夫ですか?」

「ああ、すまない・・・。」

「誰か助けてー‼︎」

「お願い‼︎せめてこの子だけでも‼︎」

 

ハルキが怪我人を抱えて避難所に着くと夫婦と思われる男女が叫んでいた。彼らはのマンションの屋上から幼い息子らしき子供を抱えてマンションから助けを求めていた。その姿を見たハルキは避難所から出て行った。

 

 

 

 

 

その頃、住民の避難が完了したと判断したGIRLSの怪獣娘達がテレスドンに攻撃を仕掛ける。最初に先陣を切ったのはゴモラとレッドキングだ。

 

「オラァ‼︎」

「はあっ‼︎」

 

レッドキングの拳とゴモラの尻尾がテレスドンにぶつかるもテレスドンのナパームに耐える硬い皮膚はその一撃をものともしない。テレスドンは2人を無視して進行する。

 

「グオオオオオオオオォォォ‼︎」

「こらー‼︎あたし達を無視するなー‼︎」

 

ミクラスがテレスドンの腹に拳を放つもテレスドンは平然としていた。やがて自分の周りに彷徨いている怪獣娘を確認したテレスドンは彼女達に向けて火炎放射を噴く。

口から噴いたその火の威力は頑丈な怪獣娘達の獣殻でも防ぎきれない熱さだった。

 

「あっつ‼︎ヤバい、ヤバいよ‼︎」

「滅茶苦茶熱い・・・‼︎早めに終わらせなきゃ‼︎このままじゃ大惨事になるよ‼︎」

 

そう言ってゴモラが全力でテレスドンに突進するもテレスドンは衝撃を感じて少し動きを止めただけであった。やがて自分にぶつかってきたゴモラを認識すると再び口から火炎放射を吐く。

 

「グオオオォォォ‼︎」

「きゃあああああ⁉︎」

「ゴモたん‼︎・・・・・大丈夫⁉︎」

「う、うん・・・。何とかね・・・。」

 

テレスドンはゴモラ達に背を向けると再び進行する。その中で彼女達はあるものを見つける。それは高いマンションから助けを求める親子の姿だった。1番早めに気付いたミクラスの声で彼女達は助けを求める声の主を認識するもその方向にテレスドンが進行する。

 

「皆‼︎あれ見て‼︎」

「どうしたの?ミクちゃん・・・・ってあれは‼︎」

 

助けを求める声の主に気付いた怪獣娘達は走り出すもテレスドンは止まらない。テレスドンが親子のいるマンションに向かっている。このままではテレスドンはマンションを破壊してしまう。テレスドンに向かって走るもテレスドンとの距離が埋まらず、遂にテレスドンが親子のいるマンションをその巨大な手を振りかざして破壊しようとする。

誰もが間に合わないと思われた時、ハルキはウルトラゼットライザーのトリガーを押してヒーローズゲートが開く。ハルキは腰のメダルホルダーから3枚のメダルを取り出す。ウルトラマン、エースとタロウのメダルだ。メダルを手にしたハルキは叫び、ゼットライザーにメダルを読み込ませる。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力!!」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈Ultraman〉〈Ace〉〈Taro〉

 

ウルトラマンゼットが腕を広げて胸を張る。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

 

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

Ultraman Z Beta Smash

 

ゼットライザーを上に掲げ、トリガーを押す。そして赤いパワーに優れたベータスマッシュに変身する。

走りながらハルキの姿はウルトラマンゼット『ベータスマッシュ』になる。そのままゼットはテレスドンにラリアットを決める。テレスドンはその一撃を受けて地面に倒れる。

 

「あっ、ウルトラマン‼︎」

 

ゼットはテレスドンの頭を掴み立たせると後頭部にチョップを2発打ち込む。テレスドンを離すと距離を取り再びテレスドンの頭を肩に担ぐようにして両手で塞ぎ倒れ込む勢いを利用して相手を叩き付けるプロレス技ダイヤモンドカッター』で地面に叩きつけた後、ドロップキックでテレスドンを吹っ飛ばす。

 

「デュワアァァ!」

「グオオオオォォォ‼︎」

 

ゼットと離れたテレスドンは倒れたまま口から火炎放射を放つ。ゼットは両腕で防ぐも、その威力に後退してしまう。

 

(うわあっ⁉︎)

『ウルトラ熱ぃ⁉︎」

 

その勝負を見ていた家族連れを救出した怪獣娘達。その中でレッドキングとゴモラがテレスドンの炎に必死に耐えるゼットに向かって行った。

 

「皆‼︎その人達を安全な場所に連れて行って‼︎」

「えっ、ゴモたんは⁉︎」

「わたしはゼットちゃんを助けるよ‼︎」

「ええっ⁉︎1人で⁉︎」

「俺もついて行くから大丈夫だ‼︎その人達は任せたぞ!」

 

何とかテレスドンの火炎放射を耐えたウルトラマンゼット。しかしテレスドンはドリルの様に回転しながらゼットに突進してきた。その突進をまともに食らいゼットは後ろへ吹っ飛び倒れてしまう。

その様子を見てゴモラとレッドキングは苦い表情を浮かべていた。

 

「・・・今のわたし達じゃ怪獣には・・・・それでもゼットちゃんの役に立ちたい・・・‼︎一緒に怪獣と戦いたい‼︎」

「俺達を助けてくれたゼットの為に出来る事がある筈だ‼︎絶対に諦めない‼︎」

 

苦い表情を浮かべながらそれでも自分の胸の内を曝け出す2人。2人の気持ちが強くなり、彼女達からオーラが溢れ出す。

 

(何この感じ⁉︎・・・・・これってまるで・・・・⁉︎)

(まるで・・・・俺達が・・・初めて怪獣娘に変身した時の様な・・・。)

 

 

 

 

その様子はGIRLS東京支部司令室でも確認されていた。その光景を見てペガッサ星人は何かを思いついたのかゴモラとレッドキングに連絡する。

 

「お2人ともソウルライザーを取り出して下さい‼︎」

『えっ⁉︎』

『ソウルライザーで何をするんだ⁉︎』

 

戸惑う2人を他所にペガッサ星人は解説し始める。

 

「いいですか⁉︎あの姿になるのは人間の姿から怪獣娘に変身するのと変わりません‼︎では何故今発動したのか・・・それは怪獣娘になってから出来た大切なものを持ったからです‼︎」

『本当なのかよ⁉︎』

「お2人はテレスドンと戦うウルトラマンゼットに役立ちたいという気持ちがありましたよね?」

『う、うん・・・。』

『ま、まあな・・・。』

「その気持ちが強くなっていっているのか、お2人の力が急上昇しているのが確認されました‼︎恐らくですが、EXモード発動の切っ掛けは怪獣娘になってから出来た大切なものや夢中になれる事、そして新たに芽生えた気持ちだと思われます‼︎再びソウルライドして下さい‼︎」

その通信を終えて、ゴモラとレッドキングはソウルライザーを手に持ち再び叫んだ。2人は覚悟を決めたようだ。

 

「それじゃあ、レッドちゃん‼︎」

「ああ、やってみるぜ‼︎」

「「ソウルライド、『『EXモード』』‼︎」」

 

テレスドンの回転突進を食らい、地面に倒れたゼットは起き上がるもテレスドンの姿は何処にもいない。すると上からテレスドンが再び回転突進を仕掛けてきた。その攻撃をかわせず、ゼットはまともに食らってしまう。テレスドンの鋭い尖った口先がドリルの様に回転し、ゼットに確実にダメージを与えていた。そんな絶対絶命のゼットに助っ人がやって来た。助っ人の放った拳がテレスドンを吹っ飛ばす。

 

「グオオォォォ⁉︎」

 

ゼットは助っ人を見て驚いた。何故ならそれは怪獣娘だったからだ。全体的に黒の獣殻に所々マグマが燃えている様な色合いになっている。彼女こそEXモードに覚醒したレッドキングだ。テレスドンが体勢を整えた先に何かが縦に回転するボールの様に突進し、テレスドンは思わず怯む。腕や尻尾など全体的に刺々しくなった彼女こそEXモードに覚醒したゴモラだ。2人はビルの上でゼットに向き合う。

 

(ゴモラさんに・・・・レッドキングさん⁉︎・・・新たな力を手に入れたのか・・・・。)

「ゼットちゃん、ここからはわたし達も一緒に戦うよ‼︎」

「もうウルトラマンだけに戦わせないぜ‼︎」

 

レッドキングが両腕から炎を放ちテレスドンに突撃する。レッドキングの放った両腕の拳はテレスドンを後退させ、確実にダメージを与えた。そこにゴモラが角から放つ筈の地中を掘り進む為に使用する衝撃波『超振動波』を全身から放つ。その威力は強固な皮膚を持つテレスドンを吹っ飛ばした。テレスドンの体は遂に怪獣娘の攻撃で地に着いたのだ。

 

「グオオオオオオオオォォォ‼︎」

 

倒れたテレスドンの前にカブラギに寄生したセレブロが現れた。その右手には昨日作られたジラースのメダルがあった。それをテレスドンの口に放るとテレスドンはメダルを飲み込み、再び立ち上がる。

ゼットとゴモラ、レッドキングは再び立ち上がったテレスドンに向き合う。その時、テレスドンの首に禍々しい襟巻が生えて来た。これには3人も驚く他なかった。

 

「デュワッ⁉︎」

「「⁉︎」」

「コシカレカレタ、テレスドン・・・。」

 

テレスドンがジラースのメダルで強化された強化地底怪獣『エリマキテレスドン』は3人を見据えると雄叫びを上げた。

 

 

 

 

 

 

GIRLS東京支部でもその様子に司令室にいた全員が驚いていた。多岐沢は襟巻を見て先日お台場に現れゼットに倒された怪獣を思い出す。その横でペガッサ星人がエリマキテレスドンの襟巻を解析した結果を伝える。

 

「えっ、怪獣が変わった⁉︎」

「あの襟巻、まるで先日現れたジラースみたいですね・・・。」

「博士、『みたい』ではありません。あれは本当にジラースの襟巻です‼︎・・・・・これってどういう事?何で他の怪獣の部分が・・・・。」

 

 

 

エリマキテレスドンは襟巻を光らせ、襟巻きで増幅された超振動波『デプス破壊熱線波』を放つ。ゼットは自らを盾にしてレッドキングとゴモラを守る。

 

「デュワアァァ!」

 

その威力に押し負けたゼットは1度は地面に倒れるも、立ち上がると即席のゼスティウム光線を放つ。

 

「デュワ‼︎」

 

しかしエリマキテレスドンは襟巻で作られた空気の盾『デプス反射砲』でゼスティウム光線を跳ね返してしまう。ゼットは再び自らを盾にするも、跳ね返されたゼスティウム光線で体力を消耗してしまう。カラータイマーか鳴り出したゼット。

 

『ハルキ、スピード勝負だ‼︎一気に畳み掛けるぞ‼︎』

(押忍‼︎)

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

アルファエッジに変わったゼットは空を飛び回る。テレスドンはデプス破壊熱線波を放つもスピードに優れているアルファエッジには当たらない。そこにレッドキングが右側から、ゴモラが左側から襟巻を掴む。

 

「俺らの事も‼︎」

「忘れないでよね‼︎」

 

2人は襟巻を掴んだまま勢いよく飛び上がる。飛び上がった影響でエリマキテレスドンの襟巻が剥がれる。襟巻を剥がされ大ダメージを負ったテレスドンにゼットがチャージしたゼスティウム光線を空中から放つ。

 

『(ゼスティウム光線!!)』

 

ゼスティウム光線を受けてテレスドンは大爆発する。その時、緑色の光がゼットの元にくる。光はハルキの手の中でメダルへと変化した。

 

(これって・・・この前の怪獣の・・・⁉︎まさかこれも光の国で⁉︎)

『いや、これには怪獣の力が込められている。』

(怪獣メダルって事が・・・・。)

 

ハルキの手の中でメダルが消滅した。ゼットが続けて発言する。

 

『誰かがウルトラメダルの技術を悪用して作ったんだ・・!こんなものが悪用されたら大変な事になる‼︎』

 

(でも・・・、一体誰が・・・。)

 

やがてゼットは空にZの飛行機雲を描きながら空に飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GIRLSでは今回の結果を多岐沢とペガッサ星人が他の怪獣娘達に説明していた。

 

「皆さん、EXモード発動の条件は怪獣娘になってから得た大切なものや夢中になれるもの、またそれに対する強い気持ちです!もう一度怪獣娘になってからの自分を思い出して頑張って下さい!」

「あれもソウルライド出来る条件と変わらないんだ・・・。」

「よーし、絶対にEXモードになってみせるぞーーっ‼︎」

「皆さん頑張って下さいね〜。」

 

 

 

その頃、ヘビクラはGIRLSの自室でルービックキューブを弄っていた。しかし、どういうわけかヘビクラはルービックキューブを机に乱暴に放る。

 

「あー、飽きた。・・・・・何か新しいおもちゃで遊んでみるか・・・・・。」

 

ヘビクラはパソコンのモニターでゼットとテレスドンの戦いを見ていた。その映像を見ているヘビクラは何処か不敵な笑みを見せていた。




ハルキ「ハルキと」

ミク「ミクの」

ハルキ&ミク「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈TARO〉

ミク「ウルトラマンNo6ウルトラマンタロウ。宇宙警備隊の筆頭教官で必殺技はストリウム光線だよ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈JIRAS〉

ハルキ「この怪獣はジラース。襟巻きが特徴で、誰かがこの怪獣のメダルでテレスドンを強化させちゃったんだ。」

レイカ「次回は私が担当します。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『アラスカに落ちて来た隕石と一緒に謎の石器が発見された。同時に冷凍怪獣ペギラも出現!もしかしてあの隕石と石器に秘密が・・・ってお前は一体何者だ‼︎

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


ファースト・ジャグリング


ウルトラ冷えるぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファースト・ジャグリング(前編)

ゴジラS.P見ました。
これからワクワクさせてくれるアニメだと思いました。

冷凍怪獣『ペギラ』登場


ある日の夜、アラスカの永久凍土に隕石が落下した。そして隕石の事を調べるため落下地帯に調査隊が派遣された。調査隊のリーダーが足を止める。

 

「着いたぞ‼︎隕石の落下地点だ‼︎」

 

リーダーは調査隊に向き合い、指示を出す。

 

「二手に分かれるぞ!俺はAチームと共に隕石が落ちた地点から半径1㎞圏内に渡って隕石の破片などが無いか調べる!Bチームは科学機器を用いて隕石が落ちた地点を調べてくれ‼︎」

『了解‼︎』

 

隊長の指示でチーム分けし分かれる調査隊。やがて調査が始まり、リーダーは近くに何か見慣れない何かを見つけた。何かを見つけたリーダーが全員に待ったをかける。

 

「待て!そこに何か落ちてるぞ‼︎」

 

調査隊がその何かに近づいた。その何かは杭の様な方をした石器だった。調査隊の1人が声を上げる。

 

「隊長、これは何でしょう?」

「石器・・・・?何故こんなところに?・・・・それにこの形は?」

「分からん・・・・。取り敢えず調査の一環として持ち帰ろう。」

「隊長‼︎これを見てください‼︎」

「どうした?」

 

隊長が声を上げた部下に駆け寄る。部下の手には古い書物の様な巻物があった。

 

「隊長・・・・。これは一体?」

「・・・・・。」

 

隊長が古文書を開くも、謎の文字と何か大きな翼を持つ鳥の様な何かの絵が書かれているだけだった。見た事も無い文字に妙な絵が書かれたその古文書に顔を顰めるも隊長は冷静に判断を下した。

 

「この古文書も持ち帰ろう。石器と古文書・・・・・、どちらも隕石が落ちた地点から見つかった。何か隕石と関係あるかもしれん。」

 

その後も調査隊は隕石が落ちた地点から1㎞圏内を調査するも石器と古文書を発見し回収しただけで終わった。

その後、落下地点で科学機器を用いて調査を行うチームと合流する。

 

「どうだ⁉︎何か分かったか⁉︎」

「隊長‼︎近くに隕石の破片らしきものが見渡りません‼︎それに落下地点にかなり深く落ちたみたいでこれ以上は無理です‼︎」

「そうか・・・。こっちは何か石器と古文書みたいなものを見つけた‼︎何か関係があるかもしれないと思って持ち帰ってきたんだ‼︎」

 

隊長は回収した石器と古文書を見せて、科学機器で解析させる。その結果石器は驚くべき事が判明した。

 

「隊長‼︎この石器、地球上のいかなる石とも一致しません‼︎」

「では・・・やはりこの石器は・・・。」

「隕石と一緒に落ちてきたのかもしれません。隊長、詳しく調べてもらいましょう‼︎」

「ああ‼︎」

 

その後も隊員達はその辺りを2、3時間調査してその場を引き上げた。調査隊が去って数時間後、隕石が落ちた地点から永久凍土を破り巨大な何かが姿を現した。それは灰色の体表に巨大な翼を持ち、顔が海豹を思わせる怪獣だった。かつて東京を氷漬けにした冷凍怪獣『ペギラ』が再び地球に現れた瞬間だった。

 

「ギイイイィィィィン‼︎ギイイイイィィィィィィン‼︎」

 

 

 

その翌日、GIRLS東京支部で怪獣娘達がテレビを見ていた。丁度ニュースをやっていた様で内容はアラスカで見つかったあの石器の事だった。

 

『昨日、アラスカに隕石が落下し、隕石の落下地点から石器と古文書が発見されました。その石器を分析したところ、作られたのは1万年前である事、地球上の石では出来ていない事が判明し、隕石と一緒に落ちて来た可能性が高まっています。この石器は研究のため日本の城南大学に持ち込まれる事が決まりました。古文書も同様に・・・・・。』

「そんなに珍しい物なの?あたしにはただの石にしか見えないけど・・・・。」

「だよねー、日本に研究のために持ち込まれる程の物なの?」

「そんな事無いと思いますよ。地球外の文明の遺産なんて中々お目にかかれませんし。」

 

ニュースを聞いたピンクのショートヘアーをツインテールにした少女ザンドリアスこと『道理サチコ』が呟き、ミクも同意する。彼女達の言葉に多岐沢が反応する。

 

「今、城南大学で考古学を務める友人曰く『地球ではあのような複雑な形の石器は作れない。隕石と一緒に来たあの石器は今はもう無いかもしれない地球外文明の遺産だ、実に興味深い』なんて口にしていましたから。あれは彼らの様な人間にとっては大変気になる物ですよ。僕も少し興味ありますから。」

「それはハカセやハカセの昔の友人にとってはでしょ!」

 

ミカヅキか言葉を返しているところにメッシュの入ったショートヘアの何処かボーイッシュなギターを背負った少女ノイズラーこと『音無ミサオ』が体を震わせながらテーブルの椅子に座る。その手にはホットコーヒーの紙コップが握られていた。

 

「ノイ、どうしたの?」

「・・・・・何かさ、今日寒くないか?もう5月になるのにさ何か寒く感じるんだよ・・・・・。」

「えっ、そう?あたし、寒さには強いから分かんない。」

「そういえば何か今日は妙に寒いよね・・・。」

「確かに・・・・・。どうしてでしょう。」

 

ミク、アキ、ヨウがミサオの言葉に反応する中、ヘビクラが右手にカップとアッサムティーの葉を持って乱入してきた。

 

「ねぇねぇねぇ、アッサムティー飲む?あっ、寒いけど、アッサムティー。」

 

そのヘビクラの駄洒落に彼女達は沈黙する。数秒後、ヨウが声を上げた。その横ではユカが更に体を震わせていた。

 

「ヘビクラさん、駄洒落が寒すぎますよ・・・・・。」

「何かまた寒く感じてきた・・・・・。」

 

 

 

 

 

その頃、ハルキとミコは下校中だった。ハルキはGIRLSまで付き添っていたのだ。ハルキとミコは今日の寒さについて話していた。

 

「何か、今日寒くないか?」

「うん、怪獣娘のわたしも感じてるよ・・・。何なんだろうね、この寒さ・・・・。」

「まさかとは思うけど都市を凍らせる冷凍怪獣が現れたんじゃ・・・。」

「やめてよ‼︎・・・本当に冷凍怪獣が出てきそうじゃん‼︎」

「でも、こんな寒さだよ。まさかペギラが来たんじゃ・・・。」

「濡れ衣なのです‼︎決してわたしのせいじゃないのです‼︎」

「うおっ⁉︎」

 

ハルキとミコの会話に小柄の白髪の少女が乱入してきた。褐色肌のその少女の名は『アデリーナ・海堂』。ペギラの魂を宿した怪獣娘である。彼女は自分のせいだと捉え、ハルキ達の会話に乱入したのだ。

 

「えーと、君は?」

「アデリーナ・海堂。ペギラの怪獣娘なのです‼︎」

「あっ、もしかしておジョーの友達のペギラ⁉︎ごめん、別に君の事を言ったわけじゃないんだ!」

「あっ‼︎もしかしてSNSに出ているあの⁉︎御免なさい、別に俺、海堂さんのせいにした訳じゃないッス‼︎」

「それならいいのです‼︎」

「それよりさ、どうして日本にいるの?君はオーストラリアに暮らしている筈じゃなかったっけ?」

 

アデリーナはオーストラリア人の父と日本人の母を持ったハーフで、現在は父親の故郷であるオーストラリアに暮らしている。ミコはそんな彼女が日本に訪れた理由を質問する。アデリーナは元気良く答えた。

 

「実は数ヶ月間、日本に留学する事が決定したのです!いざ、日本に来たからには友達のクララに挨拶しようと、GIRLS東京支部まで来ようと思ったのです!」

「そうなんだ・・・おジョーなら今日は本部にいると思うよ。わたしもGIRLSに向かっていたから一緒に行こうか。」

「是非ともなのです!それとアナタは・・・。」

「俺、冬川ハルキっス‼︎宜しくっス‼︎」

「宜しくなのです‼︎」

 

ハルキとも挨拶を済ませてGIRLSに向かう3人。しかし、この後、ハルキの言葉が本当になるとは誰も思っていなかった。

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS本部では怪獣娘に変身したキングジョーがトレーニングルームから出てきた。隣にはセブンガーがいて彼女に話しかける。

 

「あの・・・今日はどうしたんですか?何か嬉しそうな表情をしていましたが?」

「ああ、実は今日オーストラリアから日本に短期留学する友達が来るらしいのデース!長い間会っていなかったので今日久しぶりに会えると思うと楽しみで仕方ないのデース!」

 

キングジョーは元の人間であるクララ・ソーンに戻りシャワールームに向かっていく。セブンガーも変身を解き、球矢ナナに戻ったところでシャワー室に入っていく。シャワーを浴びながらクララの豊満な胸から視線を逸らしてナナはクララと話す。

 

「彼女は日本が好きでこの度短期間の日本留学が認められたのデス!今までメールでやりとりしていましたが直接会うのは本当に久しぶりデース!」

「(やっぱりキングジョーさん、胸大きい・・・‼︎)よ、良かったですね!じ、じゃあ私もう上がりますね!」

 

シャワー室を出たナナ。その時、警報が鳴り響く。その内容に思わず耳を疑った。

 

『東京に怪獣が出現しました‼︎怪獣娘の皆さん、警戒態勢に入って下さい‼︎繰り返します‼︎怪獣が出現しました‼︎警戒態勢に入って下さい‼︎』

「嘘、また怪獣が・・・‼︎」

 

 

 

 

その頃、GIRLSに向かっていた3人は驚いていた。5月であるにも関わらず雪が降り始めたのだ。町の人々もこの異常な現象に驚きの声を隠せない。

 

「おい、何なんだよこれ‼︎」

「これは雪⁉︎」

「どうなってんだ‼︎雪が降ってきたぞ‼︎」

「ちょっと‼︎今、5月だよ‼︎季節外れにも程があるよ‼︎」

「2人ともあれを見るのです‼︎」

 

アデリーナが指を指した先には積乱雲が発生していた。3人は積乱雲を見上げている。

 

「おい、何だよあれ・・・!」

「もしかしてこの季節外れの雪の原因はアレ⁉︎」

「気を付けて!何か降りて来るのです‼︎」

「ギイイイィィン‼︎」

 

その時、積乱雲の中心から何かが降りて来る。それはアデリーナに宿るカイジューソウルの怪獣ペギラだった。

 

「おい、アレってまさか⁉︎」

「怪獣なのです‼︎しかもあれはわたしのカイジューソウルの怪獣、冷凍怪獣『ペギラ』なのです‼︎」

「どうすんの!ハルがあんな事言うから本物のペギラが現れちゃったじゃん‼︎」

「俺のせいか⁉︎」

 

彼らの会話など知った事かといわんばかりにペギラは口から冷凍光線を発射して暴れ回る。光線が降り注いだ地帯の車が冷凍光線の反重力によって浮き上がっていく。そんな光景を見ているとミコのソウルライザーに連絡が入った。トモミからだ。

 

「こちらガッツ‼︎」

『そちらに怪獣が現れました‼︎現れたのはペギラです‼︎救援が来るまで現場の対処をお願いします‼︎』

「了解‼︎・・・・ペギラは皆を避難させて‼︎わたしはあの怪獣を食い止めるから‼︎ソウルライド、『ガッツ星人』‼︎」

「分かったのです‼︎」

「おい、ミコ‼︎」

 

ミコはガッツ星人に変身し、ペギラに向かっていく。ガッツ星人は分身してペギラに光線を放つ。ペギラはそれを鬱陶しく感じ、冷凍光線を放つ。ガッツ星人はそれを避けるも冷凍光線の余波で寒さを感じ震える。

 

「寒っ‼︎今日の異常な寒さはこれが原因だね‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSでは町に現れたペギラをモニター越しに見ていた。多岐沢はGIRLSアメリカ支部からの通達を見て発言する。

 

「アメリカ支部によるとペギラは昨日隕石が落ちた地点から出現したようです‼︎隕石の近くにあった石器と古文書が関係している可能性が高いです‼︎」

「一体どんな関係があるんですか⁉︎」

「そこまではまだ・・・・。」

 

その時、多岐沢の携帯に電話がかかってきた。多岐沢はそれに出る。

 

「すみません‼︎今は緊急事態でして・・・」

『多岐沢‼︎すまん、でもあの怪獣はあの石器に封印されていたらしいんだ‼︎』

「何ですって‼︎詳しい説明をお願いします‼︎」

『一緒に落ちていた古文書の絵にペギラに似た怪獣が描かれていたものを見つけた‼︎今、お前の携帯にそのデータを送る‼︎』

 

そう言って電話が切れた。その数秒後、多岐沢の携帯に多くの資料が送られてきた。そこにはペギラに酷似した怪獣を光り輝く人形の何かが石器に酷似した槍で封印する絵だった。それを見て多岐沢は考察する。

 

「この絵から考えて、過去に何処かの惑星で暴れていたペギラをあの石器で封印していたのでしょう。しかし、何らかの理由でそれは隕石となり、この星に降り注いだ・・・・大変です‼︎ペギラは2度と封印されないように石器が輸送された城南大学に向かっています‼︎そこには多くの避難者が集まっています‼︎」

「今すぐに連絡しなければ‼︎・・・・怪獣は城南大学に向かっています‼︎応援をよこしますのでそれまで怪獣を足止めして下さい‼︎」

「俺も現場に向かう‼︎後は任せた‼︎」

「了解!!」

 

 

「了解‼︎・・・・ってヤバ‼︎」

 

ガッツ星人が気付くと既にペギラが自身を見ていた。ペギラは口から冷凍光線を放つ。ガッツは避け切れずまともにペギラの冷凍光線を浴びてしまった。

 

「キャアアアアアアアァァァァァァ‼︎」

 

 

 

 

「ガッツ‼︎しっかりして‼︎ガッツ‼︎」

『わたし・・・・は・・・大丈夫・・・・。避難所を・・・・守らないと・・・・。』

 

 

アギラが親友に必死に連絡するも彼女の声が絶え絶えになっている。この事態にキングジョー、セブンガー、レッドキング、ゴモラと一緒にアギラは嫌な予感を感じながら走り続けていた。

 

 

 

 

「わたしはこの辺で‼︎早く他の避難者と合流するのです‼︎」

「分かった‼︎」

 

白い翼を持つアデリーナが変身した褐色肌の怪獣娘『ペギラ』はハルキと分かれて他の人達を救出に向かう。ハルキは彼女が見えなくなったところでペギラに向かって走り始めた。その途中でガッツ星人の悲鳴を聞いたハルキはウルトラゼットライザーを構える。

 

「ミコ!!」

 

しかし、彼は気付いていなかった。自身に迫る後ろからの影を。

 

「よう、元気?」

「誰だ、お前は!?」

 

それは胸に三日月状の傷が付いた何処か禍々しい人型の異形だった。




いよいよ新たなウルトラマンも公開されそうですね。
ティガに似たあのシルエットのウルトラマンにワクワクが止まらないです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファースト・ジャグリング(中編)

当初はペギラではなくスノーゴンとブラック星人を出そうと思っていました。
けど、三分の一人前といわれているゼットがジャック兄さんをバラバラにしたあのスノーゴンの冷凍光線と怪力に耐えられるか疑問に思い原作通りペギラを出す事にしました。


胸に三日月型の傷を付けた人型の異形はハルキが持っていたウルトラゼットライザーをあっという間に奪った。

 

「何すんだ‼︎返せ‼︎」

「フッ、じゃあな。」

 

謎の怪人はウルトラゼットライザーを奪ったまま何処かへ消えていった。ハルキは誰もいないその場で1人叫んでいた。

 

「ゼットライザーを返せーーーー‼︎」

 

 

 

 

その頃、ミコはペギラの冷凍光線をまともに浴びたせいで凍えていた。普通の人間より頑丈な怪獣娘である彼女だが本物の怪獣の攻撃をまともに浴びたせいで獣殻は更に白く染まり顔にも霜が出来ていた。そんな中でも彼女は譫言を呟いていた。

 

「少しでも・・・・・多くの人を・・・・・・守らなきゃ・・・・・だって・・・・・わたしは・・・・・怪獣・・・・・娘・・・・・だから・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

「俺は・・・・・ゼットライザーが無ければ何も出来ないのかよ・・・・・。ミコだってあんな大きな怪獣に立ち向かったのに・・・・・、ウルトラマンになれなきゃ・・・・・俺は何も出来ないっていうのかよ・・・・。」

 

ハルキはゼットライザーを奪われウルトラマンゼットに変身出来ない自分が何も出来ない事の無力さを嘆いた。ハルキの近くに怪獣娘達がやってきた。ハルキは黙って彼女達の会話を聞く。

 

「大変デス‼︎ガッツのソウルライザーのGPSを辿るとこの先になりマス‼︎」

「この先ってペギラの冷凍光線で凍ったエリアじゃないですか⁉︎じゃあガッツは・・・。」

「まだ諦めんな‼︎ガッツを信じろ‼︎」

「しかし、ガッツからの連絡が無いのも事実デス・・・。もしかしたら怪獣の攻撃で・・・・。」

 

ハルキはその会話を黙って聞いていた。会話の内容を聞いて思わず握り拳を作り体を震え上がらせるハルキ。ゼットライザーを奪われなければ幼馴染が悲惨な目に遭わなかったのにという後悔と悔しさが入り混じっているのだ。

 

(俺のせいで・・・・・ミコが・・・・。・・・・・ミコ・・・・・。)

「アンタ、何でここにいるの⁉︎」

 

その時、髪の色が濃いガッツ星人がハルキに話しかけてきた。マコが変身したガッツ星人だ。ハルキは彼女から目を逸らしながら話す。

 

「ミコが・・・・・まだ・・・・あの中にいる・・・・・。俺は・・・・・あいつを・・・・助けたい・・・。けど・・・・・ミコがペギラの冷凍光線を受けて・・・・。」

「あいつならまだ生きてるわよ。かなり凍えているけど。」

「本当か⁉︎」

 

ガッツ星人(マコ)の言葉にハルキは驚いて彼女に詰め寄った。ガッツ星人(マコ)は少し困惑しながらも話し続ける。

 

「え、ええ、けど、ペギラがこれ以上冷凍光線を吐けばあいつも危ないわ。」

「だったら‼︎」

 

ハルキは走り出して行った。ガッツ星人(マコ)は驚いた表情でその後を追う。しかし、彼女は途中で震え上がり立ち止まってしまう。

 

「ち、ちょっと待ちなさい‼︎・・・・ッ⁉︎更に寒くなってきた‼︎あーっ、もうこんな時に‼︎」

 

印南マコは印南ミコの意思を持った分身である。それ故にミコの現在地やダメージなどの感覚が共有されるのである。今、彼女はガッツ星人(ミコ)が凍えているのが共有されガッツ星人(マコ)も寒さを感じているのだ。

 

「ったく、ただの人間が行って何になるのよ・・・。」

 

それでも、彼女は再び走り出した。ハルキが走った方向と同じ方向に。

 

 

 

 

 

 

「ギイイイイイィィィィィィン‼︎」

 

ペギラは相変わらず冷凍光線を吐きながら町を凍らせて暴れ回っている。そんな中、レッドキングはソウルライザーでGIRLS本部に連絡していた。

 

「ピグモン、ガッツが氷漬けになった街の中に取り残されてる可能性が高い‼︎応援をよこしてくれ‼︎それも炎の力を持つ怪獣娘を頼む‼︎このままじゃ俺達まで凍らされちまう‼︎」

『分かりました‼︎』

 

ピグモンとの通信を切るとレッドキングは暴れ回るペギラを見てアギラ達に言い放つ。

 

「お前ら‼︎応援部隊が到着するまでの辛抱だ‼︎あの怪獣を止めるぞ‼︎」

「待って‼︎誰か怪獣が暴れている方向に走ってる‼︎」

「何⁉︎」

 

ゴモラの指差す方向を見るとハルキが走って怪獣が暴れている方向に走っていくのが見えた。その後ろをガッツ星人(マコ)が追い掛けている。その光景を見て彼女達は驚きを隠せなかった。

 

「師匠‼︎人がまだ‼︎」

「ハルキさん⁉︎それにマコも・・・。どうしてあの2人が⁉︎」

「・・・・もしかして前に言ってたガッツの幼馴染ノ・・・?」

「はい、ハルキさんです。ここは危険なのに・・・。」

「追い掛けよう‼︎大惨事になる前に止めないと‼︎」

 

彼女達はハルキとガッツ星人(マコ)を追いかける。やがて2人に追い付いた彼女達はハルキを止める為、説得する。

 

「何してるの、ここで⁉︎」

「ミコがまだあそこにいるんだ‼︎」

「それは俺達も知ってる‼︎今、応援を呼んだから君はここから離れて避難所に向かうんだ‼︎」

「応援はいつ来るんですか⁉︎」

「早くて10分だと言ってまシタ!ここは危険デス‼︎アナタは早くここから」

「ギイイイィィン‼︎」

 

ペギラは再び冷凍光線を吐きながら町を凍らせていく。その光景を見てハルキは吐き捨てながらペギラが暴れている方向へ全力で走って行った。

 

「ミコの命が懸かってんだ‼︎悪いけど10分も待ってられっか‼︎」

「おい‼︎」

「ハルキさん‼︎」

「御免・・・わたしがもう少し早く止められていたら・・・・・。」

 

ガッツ星人(マコ)は小さく呟きながらその場を瞬間移動で去って行った。アギラは呼び止めるも彼女の姿は既になかった。

 

「待って‼︎マコ、君のせいじゃ・・・行っちゃった・・・・。」

「あれがもう1人のガッツ星人先輩・・・。どっかに行っちゃいましたね・・・。」

「多分まだミクラスを入院させちまった事気にしてるんだろうな。」

「きっとわたし達に打ち解けられる日が来るよ‼︎・・・・それより今はこの怪獣を何とかしないと‼︎」

「それにガッツとガッツの幼馴染を救助しなければいけマセン‼︎その事を考えまショウ‼︎」

「だったら、わたしに任せるのです‼︎」

「あ、アナタは⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、何処かの森の切り株にウルトラゼットライザーが置かれていた。その前に立つハルキからゼットライザーを奪った怪人は剣を取り出すと、剣をゼットライザーに突き立て呪文の様な言葉を放つ。

 

「星の瞬く狭間の闇よ、暗黒のパワーを我にもたらせ!光から闇へ、闇から光へ!」

 

怪人が剣を空に掲げると3つの黒い光が落ちてくる。そしてその光がゼットライザーに落ちるとゼットライザーが黒く光り出す。そしてゼットライザーを媒体に黒いウルトラゼットライザーが生み出された。『ダークゼットライザー』とでも呼ぶべきものを手に取った怪人はそれを手に取り再び何処かへ消える。

 

「フッ・・・。」

 

 

 

 

 

ハルキは凍りついた町に辿り着いた。そこは完全にビルも公園のシーソーや滑り台などの遊具、川などが完全に凍りついた氷の世界だった。

 

「ううっ・・・・寒っ‼︎・・・けど早くミコを助けなきゃ!」

「ギイイイィィン‼︎ギイイイイイィィィィン‼︎」

 

ハルキが見上げるとペギラは未だに冷凍光線を吐き周りのものを凍らせていた。それを見て思わず吐き捨てる。

 

「ギイイイイイィィィン‼︎ギイイイイィィィン‼︎」

「あのペンギン野郎‼︎本当に好き勝手にやりやがって‼︎」

 

ハルキは寒さのあまり体を震わせながらも前に進んでいく。怪獣娘の幼馴染を探すために前に進み続けて行った。しかしハルキは転びそうになる。

 

「うわっ⁉︎・・・・危ねぇ・・・。」

 

ペギラの冷凍光線の凍りついた地面は滑りやすくなっていた。それでもハルキは進み続ける。途中で立ち止まるとミコの名前を呼ぶ。

 

「ミコーーーーーッ‼︎どこだーーーーー‼︎」

 

ハルキの声は凍りつき無人になった町に響いた。しかし彼女からの返事は返ってこなかった。その事に不安になり始めるハルキ。しかしそれでも彼は呼び続けた。

 

「ミコーーーッ‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、ミコはハルキの声が聞こえたのか微かに手が動く。

 

「ハル・・・・。まさか・・・・・・ここに・・・・・駄目・・・・だよ・・・・・。ここに・・・・来ちゃ・・・・・。」

 

微かに手を動かし、目を開いた彼女は再び意識が朦朧とし始める。

 

 

 

 

 

その頃、ハルキは寒さに耐えながら氷の町を進んでいた。ミコの名前を叫びながら。しかし、彼女からの返事が来る事はない。それでもハルキは叫び続ける。

 

「ミコーーー‼︎ミコーーーー‼︎ミコーーーーー‼︎」

 

必死に叫ぶハルキ。そこに近づいてくる1人がいた。ガッツ星人(マコ)だ。彼女はハルキに近づき話しかける。

 

「アンタ、本当にバカね。」

「マコさん?どうしてここに?っていうかバカって何だよ‼︎」

「アンタを追ってきたわ。全く、ただの人間がこんなところに来たら寒いどころじゃ済まないのに・・・・ミコの為にこんなところまで来るなんて本当にバカよ。こんな危険を犯してまで助けにいくなんて・・・でも何故かアンタを放っておけないから・・・だからわたしがミコのところに案内するわ。」

「居場所が分かるのか⁉︎」

「ええ、行くわよ。」

 

ガッツ星人(マコ)の案内でガッツ星人(ミコ)のところまで行く2人。やがて凍りついたガッツ星人(ミコ)を発見した。ハルキはすぐさま彼女に駆け寄る。一方マコは何かを感じたのかハルキを止めようとする。

 

「ミコ‼︎」

「待ちなさい‼︎何か様子が変よ‼︎」

 

その時、ペギラがハルキとマコの2人に気付いた。ペギラは2人に冷凍光線を吐き掛ける。ハルキはスライディングでペギラの光線をかわす。一方のガッツ星人(マコ)はジャンピングでかわしたが2人の距離は離れてしまった。その上、冷凍光線が当たった箇所には巨大な氷柱が出来ており2人を完全に分断してしまった。

 

「くっ‼︎」

「しまった‼︎・・・・・何かペギラに対抗できそうなのは・・・・・一か八か・・・・・これに賭けるしかないか・・・・。」

 

ハルキはすぐ隣にあった鉄パイプに気付く。ハルキは鉄パイプを掴むとつららや氷柱を必死に登りペギラの腹の高さまで登ったあたりで手に持った鉄パイプを力一杯槍投げの要領でペギラの目に目掛けて投げつけた。鉄パイプはペギラの右目に突き刺さりペギラは悲鳴を上げて悶絶した。

 

「このペンギン野郎ーーーっ‼︎食らいやがれーーーーっ‼︎」

「ギイイイイイィィン⁉︎」

「よし、今のうちに‼︎」

 

ハルキはペギラが右目を押さえたまま悶絶する様子を見ながらすぐさま降りるとすぐにガッツ星人(ミコ)の元に駆け寄った。ガッツ星人(ミコ)は僅かに意識が戻ったのかハルキを見て言葉を上げる。

 

「ミコ、ミコ、ミコ‼︎大丈夫か⁉︎」

「ハル・・・・バカ・・・・危ないのに・・・ハルだって・・・危険なのに・・・・・・でもありが・・・とう・・・・わたしの・・・・ために・・・・・。」

「すぐに病院に連れていくからな‼︎それまで頑張れ‼︎」

 

ハルキはガッツ星人(ミコ)を抱えて走り始める。しかし彼らがいた地面が凍結の影響でひび割れを起こし始めた。加えてペギラが地面で悶絶しながらのたうちまわる為、地面のひびが強くなる。やがて彼らのいた地面は崩れ始めた。ハルキはガッツ星人(ミコ)をお姫様抱っこしながら必死に走る。

 

「ヤバいヤバいヤバい‼︎急がないと‼︎」

 

地面のひびはどんどん強くなっていく。やがてひび割れがハルキ達に追い付き、ハルキ達のいた地面が崩れ始める。崩れる地面が遂にハルキに追いついた。

 

「しまっ⁉︎」

 

ハルキとガッツ星人(ミコ)は崩れた地面の中に消えた・・・・筈だった。しかし彼等の体は浮いている。ハルキが不思議に思っていると空から白い翼を持った褐色肌の怪獣娘が現れた。アデリーナ・海堂が変身した怪獣娘(ペギラ)だ。実は彼女はキングジョーこと『クララ・ソーン』とは友人であり、彼等の救出にかって出たのだ。彼女の実力を知っているキングジョーは快く承諾し、彼女はハルキ達の元に駆け付けたのだ。彼女はペギラの持つ冷凍光線と反重力光線を自由に使い分けられる。彼女は反重力光線で彼らの命を救ったのだ。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

「アデリーナさん⁉︎」

「よく頑張ったのです‼︎後は任せるのです‼︎わたしの反重力光線で安全な場所まで浮かせるのです‼︎」

「そんな事出来るのか⁉︎・・・・頼む‼︎」

「任せるのです‼︎」

 

こうしてハルキ達はペギラに救われ、安全な場所に着地した。ハルキはすぐさま降りると近くにあった大きな木の下にガッツ星人(ミコ)を腰掛けされた。ガッツ星人(ミコ)の状態を確認する2人。やがてアデリーナが口を開いた。

 

「まだ助かるのです‼︎わたしが病院に連れて行くのです‼︎」

「頼む‼︎俺はマコさんを探す‼︎」

「わたしならもう既に脱出したわよ。」

「マコさん!いつの間に・・・。」

 

いつの間にか合流していたガッツ星人(マコ)がガッツ星人(ミコ)に腕を回す。ペギラもその表情を見てその場を去ろうとする。その時、ペギラが目を潰された怒りをハルキに返すためやってきた。再びペギラは冷凍光線を吐く。ハルキとガッツ星人(マコ)とペギラは間一髪でかわすも彼等は再び分断されてしまう。やがてハルキを認識したペギラはハルキに目掛けて冷凍光線を吐きかける。ハルキはこれはかわせないと悟り、腕でせめて頭だけでも守ろうとする。その時だった。ハルキに命中しようとしていた冷凍光線は何者かによって防がれた。

 

「えっ⁉︎」

「よう!」

 

それは先程ハルキからゼットライザーを奪い取ったあの怪人だった。

 




セブンガーの漫画にダイナからディプラスが登場したようで、非常に気になってしょうがないです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファースト・ジャグリング(後編)

まずい・・・・怪獣娘×トリガー、ウインちゃんがメインヒロインって事以外何も決まっていない・・・。そもそもウインちゃんメインヒロインって需要あるんでしょうか・・・・。
そこも心配です。

忘れていましたが影絵は原作と同じイメージです。

合体魔王獣『ゼッパンドン』登場


「お前‼︎ゼットライザーを返せ‼︎」

 

ハルキは目の前の怪人に詰め寄ろうとする。すると目の前の怪人はあっさりとゼットライザーをハルキに返した。

 

「ほらよ、返すぜ。ありがとよ。」

 

怪人からゼットライザーを受け取ったハルキは呆気にとられる。こんなにあっさりと返されるとは思っていなかったのだ。怪人はハルキに背を向け、その場を去ろうとするもハルキは呼び止めた。

 

「じゃあな。」

「待て、お前は一体何者だ。」

 

怪人は再びハルキに向き合うと痛いことを突き付けた。

 

「おいおい、小僧。俺に構ってる場合か?」

「くっ・・・。」

「じゃあな、」

 

謎の怪人は再びハルキの前から消えた。ハルキはゼットライザーのトリガーを押してヒーローズゲートの中に飛び込む。インナースペースに入るや否ゼットが話しかけてきた。

 

『ハルキ⁉︎何処に行ってたんだ⁉︎』

「ゼットライザーを奪われてたんです‼︎」

『ウルトラヤバい闇の気配を感じたぞ‼︎」

「話は後です‼︎行きましょう‼︎」

 

ハルキはゼットの前に立ち、メダルホルダーからアルファエッジ用の3枚のメダルを取り出す。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

ペギラはゼットを見るたび空に飛び上がっていく。ゼットもペギラを追って空を飛び上がりそのままペギラに向かっていく。

 

「ジェアッ‼︎」

「ギイイイイイイィィィィン‼︎」

 

ゼットが自分を追っていると知ったペギラは積乱雲の中に入っていく。ゼットもそれを追っていき、ペギラを追い越すとゼットスラッガーを放つ。しかしそれはペギラに命中せずそのまま光の刃は落下して行った。続いてゼスティウムメーザーを放つもこれも命中せずペギラは積乱雲から脱出する。

 

「ジェアッ‼︎ジィアッ‼︎」

 

ゼットはペギラを追いかける。ペギラはゼットより高く飛び上がり上から冷凍光線を放つ。ゼットは一度はそれを避ける。しかし再びペギラが放った冷凍光線がゼットに直撃した。ゼットは空中で何度も回転しながら地面に激突する。

 

「ジィィアッ‼︎」

「ギイイイイイイィィィィン‼︎」

 

ゼットが地面に激突した後、ペギラも地面に降り立った。ゼットはペギラを見て立ち上がる。

その頃、城南大学の研究室に隕石の近くで見つかったあの石器が青く輝き始める。そしてその石器は研究室から忽然と姿を消した。そして石器はゼットの真上に現れた。

 

「ジェアッ⁉︎」

 

やがて石器は巨大化して大きな槍『ゼットランスアロー』になりゼットの手に渡る。ハルキは今朝のニュースを思い出していた。

 

(これって・・・まさか隕石と一緒に来たというあの石器⁉︎)

『ウルトラマンの力を感じる・・・・‼︎何万年の時を経た‼︎』

(何処かの惑星で戦っていたウルトラマンの力ですか!そのウルトラマンって・・・。)

『それは分からない・・・・、ただこいつの使い方は分かる‼︎分かっちゃいます‼︎』

「ギイイイイイィィン⁉︎」

 

ゼットはそのゼットランスアローのレバーを引き、右から左に、左から斜め右下に、再び右から左に槍を動かし、炎のZの文字を描く。そして炎状のZの形の斬撃を撃ち出した。

ペギラはその槍を見て目を見開いて驚いていた。

 

『(ゼットランスファイヤー!!)』

 

Zの形の斬撃をまともに浴びたペギラは全身が燃え上がり、大爆発を起こした。ウルトラマンゼットの勝利だ。

 

「ジィヤアッ‼︎」

 

 

 

 

 

 

その頃、1人の人影がゼットがペギラを倒す光景を見ていた。それはハルキからゼットライザーを奪ったあの怪人だった。怪人は変身を解き、人間の姿になる。

 

「ふん、やるじゃないか、久しぶりに血が騒ぐぜ‼︎」

 

それはGIRLS戦闘部隊隊長であるヘビクラ・ショウタだった。実はヘビクラは人間ではない。彼の本当の名は『ジャグラス・ジャグラー』。銀河を渡る風来坊と言われる『ウルトラマンオーブ』と深い因縁を持つライバルだ。そしてヘビクラは先程ハルキから奪ったゼットライザーを複製して生み出したダークゼットライザーのトリガーを押してフェイクヒーローズゲートに突入する。ヘビクラは何処からともなく現れた自身の顔が写ったウルトラアクセスカードをダークゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Hebikura Access Granted〉

 

ヘビクラはその手にかつてウルトラマンを倒した最強の怪獣宇宙恐竜『ゼットン』、侵略者に連れられて極限まで疲労していたウルトラセブンを追い詰めた双頭怪獣『パンドン』、かつて自身が復活させライバルであるオーブにぶつけた大魔王獣『マガオロチ』のメダルをダークゼットライザーのスリットにセットする。

 

「ゼットンさん、パンドンさん、マガオロチ。」

 

〈ZETTON〉、〈PANDON〉、〈MAGA-OROCHI〉

 

「お待たせしました。闇の力、お借りします!」

 

他のウルトラマンの力を組み合わせて戦うオーブを思わせる台詞を言い、ヘビクラはダークゼットライザーを掲げ、トリガーを押す。するとダークゼットライザーから光が放たれる。そして一点の光から現れたのは黒い胴体にゼットンを思わせる黄色い結晶、長い突起の肩から脚部、側頭部はパンドンを思わせる赤い刺々しい体表、尻尾はマガオロチそのもので、顔は鮫や深海魚を連想する怪獣だった。かつてヘビクラがオーブに切り落とされたマガオロチの尻尾をベースにゼットンとパンドンの力を合わせて自身と融合した合体魔王獣『ゼッパンドン』の降臨だった。

 

〈ZEPPANDON

 

ゼットの後ろにゼッパンドンが現れた。新手の怪獣にハルキとゼットは驚きを隠せない。

 

(えっ!?何すか、この怪獣!?)

『おいおい、何でもかんでも俺に聞くな!!』

 

新手の怪獣にはGIRLSも驚いていた。

 

「また新しい怪獣が出現した!?」

「怪獣のデータは!?」

「かつて現れたゼットンとパンドンに酷似した特徴を持っています!!」

「けど今までのデータにはありません!!新種の怪獣と考えていいと思います!!」

「それにしても・・・・・・・この怪獣、一体何処から・・・・。」

 

トモミと多岐沢と指令室の職員達が困惑する中、ゼッパンドンはゼット目掛けて口から火球を放つ。ゼットはゼットランスアローのレバーを引き、光弾を放つ。ゼットはそのままゼッパンドンと火球と光弾の撃ち合いを続ける。撃ち合いを続けた後、突然ゼッパンドンの姿が消える。ゼットは消えた怪獣の姿を探して周りを見渡すがゼッパンドンはゼットの正面にいきなり現れる。そしてゼッパンドンはパンドンの口に酷似した突起から光線を放ち、ゼットを吹き飛ばす。光線の直撃でゼットはゼットランスアローを落として地面に倒れる。

 

「ピロロロロォォォゼェッパァンドォン‼︎」

「ジェアッ⁉︎」

(どうやらこの怪獣・・・、敵みたいっスね・・・!!)

『ウルトラムカつく野郎だな!!』

 

ゼッパンドンは手を動かし、ゼットを挑発する。ゼットは構え、ゼッパンドンに飛び蹴りを放つもゼッパンドンの姿は消え、不発に終わってしまう。ゼットはアリゲラの時と同様に意識を集中させ、ゼッパンドンの気配を探る。そのお陰で右横に現れ、右手で殴りかかってきたゼッパンドンの腕を受け止め、自身の拳を放つもゼッパンドンに受け止められてしまう。ゼッパンドンはそのまま至近距離で口から火球を放つ。それをまともに受けたゼットは後退してしまう。

 

「ゼェットォォン‼︎」

「ジェアッ!?」

 

ゼットは再び正拳を放つも受け止められ、ゼッパンドンの腕で殴られ吹き飛ばされた。

 

「クワァクワァ‼︎」

「ジェアッ!?」

 

ゼットは即席のゼスティウム光線を放つもゼットンの力を持つゼッパンドンはバリアを張りゼスティウム光線を防ぐ。時間が迫ってきたのか胸のカラータイマーが鳴り始める。

 

『何て強さだ・・・!!』

(・・・それでも諦めない!!最後まで諦めず・・・・不可能を可能に変えてみせる!!)

『そうとも!!それがウルトラマンだ!!』

 

その時、地面に刺さっていたゼットランスアローが光り出す。

 

(天から降りたる光の槍・・・・。)

『太古のウルトラマンからの贈り物だ!!』

 

ゼットは地面に突き刺さったゼットランスアローを抜いてゼッパンドンを睨む。ゼッパンドンも両腕で胸の辺りにエネルギーを集中させ始めていた。強力な火球が形成され始める中、ゼットはゼットランスアローのレバーを2回引く。するとゼットランスアローに巨大な氷の弓矢が形成される。柄を矢に見立てて矢を引き、その手を離す。

 

『(ゼットアイスアロー!!)』

 

氷の矢はゼッパンドンの放った火球を突き破りゼッパンドンにそのまま命中する。氷の矢が命中したゼッパンドンの全身は凍り付き砕け散った。

 

「ジィィアッ‼︎」

 

ゼットはゼットランスアローの先端が地面に向くように一回り振り回した。

 

 

 

 

 

 

一連の事件が解決した日の翌日、ハルキは病院に来ていた。ここに搬送されたミコのお見舞いに来たのだ。ハルキは看護師の案内でミコが入院している病室に向かう。病室に着くとハルキはドアをノックする。

 

「どうぞ。」

 

ミコの声がしたのでハルキはドアを開ける。そこには意識を取り戻した幼馴染が上半身を起こして本を読んでいた。思ったより元気そうな姿にハルキは安心する。

 

「ハル、来てたんだ・・・。」

「ミコ!もう大丈夫なのか?」

「うん!!退院には少し時間が掛かるけど少なくとも1週間以内には退院できるよ。」

「怪獣の攻撃をまともに受けたのにか!?」

「怪獣娘は頑丈だからね!だからこの程度で済んだよ!!」

「そうか・・・良かった・・・。元気そうで。」

「まあね!・・・・ハル・・・・。」

「ん?」

「ありがと・・・・危険を侵してまで・・・・助けてくれて・・・・。」

「・・・・ミコが心配だったから・・・・いてもたっても・・・・いられなくなってさ・・・・。」

「ハル・・・・。」

「入院している分のノートとか録っておくよ。それとこれ、ゼリーとか買っておいたからさ、好きに食べていいぜ。じゃあ、俺そろそろ行くから・・・・。」

「うん・・・またね。」

「ああ。」

 

ハルキはゼリー等が入った袋を置いて病室から出ていった。その一方でミコはハルキが出ていったドアを見つめていた。

 

(・・・・ハル・・・・カッコよくなったね・・・・。わたしの・・・ために・・・・わざわざ・・・・あんな危険な場所に来て・・・。ヤバい・・・・ハル・・・・わたし・・・ハルの事・・・好きになっちゃったみたい・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミコの体は順調に回復し5日で退院できた。そしてミコが退院してから3日後、ハルキはミコに連れられてGIRLS東京支部に来ていた。何でもピグモンがハルキを連れてくるようミコに頼んだらしいのだ。

 

「ピグモンさん、何で俺を呼んだんだろ?」

「それがわたしにも分からないんだよね・・・。あっ、ここだよ!!」

 

そう言ってミコはGIRLSの講義室にハルキを連れてきた。ハルキとミコが中に入るとそこにはアギラ、ペギラ、ピグモンの三名がいた。ピグモンが最初に口を開く。

 

「ガツガツ、ハルキさんを連れて来てありがとうございます。ハルキさんもわざわざ来て頂きありがとうございます。」

「いや、別に・・・。それで何で俺をここに連れてきたんですか?」

 

ピグモンはハルキの顔に向き合い、ハルキに顔を下げながら口を再び開いた。

 

「ハルキさん、貴方のお陰でガツガツが助かりました。ペギペギから聞いています。凍り付いた町の中、必死になってガツガツを助けてくれたと。貴方の勇気が無かったら・・・ガツガツの命を助ける事が出来なかったでしょう・・・。」

「そんな・・・顔を上げて下さい!!俺はただ・・・俺に出来る事をやっただけです!!」

「そんな事ないのです!!ハルキさんがいなければガッツは命を落としていたかもしれないのです!!」

「アデリーナさん・・・。」

 

ピグモンはハルキの顔を見ながら言葉を続けた。その内容はハルキにとって衝撃的な内容だった。

 

「そんなハルキさんだからこそGIRLSに入ってほしいと思いました。ハルキさん、GIRLSに入って頂けないでしょうか?」

「え・・・・俺がGIRLSにですか!?けど、俺は!!」

「大丈夫です。GIRLSには男性の職員もいますし、女性職員も全てが怪獣娘である訳ではありません。普通の人間も沢山います。再び地球に怪獣が出現する事件が続いています。ハルキさんのような勇敢な人が必要なのです!!」

「ちょ、ちょっと待って!!ハルの意見は聞いてくれるんだよね!?」

「勿論です!!けど、私達としては」

「入るよ。」

「!?」

 

ハルキの言葉を聞いて驚くミコ。その横でハルキはピグモンに自身の想いを告げる。

 

「俺に出来る事なら何だってします!!だから、GIRLSに入れて下さい!!」

「、ハル、本当にいいんだね?」

「ああ、俺に出来る事で怪獣から少しでも多くの人を助けたい・・・。だから、GIRLSに入るよ。」

「では・・・よろしくお願いします。ハルハル。」

「よろしくお願いします・・・・・ってハルハルって俺の事ですか!?」

 

ピグモンに付けられたあだ名に戸惑うハルキ。その横でアギラがミコに話しかける。

 

「本当はハルキさんが入って嬉しいんじゃないの?」

「えっ・・・、まぁ・・・そうなんだけど・・・。」

「素直になっていいと思うよ。」

 

アギラの言葉でミコはハルキの方を向く。そしてハルキに抱き着いた。

 

「ハルーーー、ありがとーー!!これからはGIRLSでも一緒だね!!」

「(む・・・胸・・・大きい・・・しかも・・・滅茶苦茶柔らかい・・・ってそうじゃなくて)お、おい、ミコ、離れろよ!!」

「いいじゃん!!何照れちゃってるのさ!!」

「べ、別に照れてねぇよ!?」

 

その一方で講義室の廊下で背を掛けている男がいた。ヘビクラだ。ヘビクラはハルキとゼットの関係を見抜いていた。そんな彼がGIRLSに入ってきた。それを知ってヘビクラは思わず呟いた。

 

「・・・冬河ハルキか・・・・面白くなってきたぜ・・・・・。」




ハルキ「ハルキと」

レイカ「レイカの」

ハルキ&レイカ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈LEO〉

レイカ「宇宙拳法の達人でウルトラマンゼロの師匠です。必殺技は炎を纏ったレオキックですよ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈MAGA-OROCHI〉

ハルキ「マガオロチはマガバッサーやマガジャッパ達魔王獣の親玉怪獣だ。とんでもない力を秘めているらしいぞ。」

ミカヅキ「次回はわたしが担当するよ!!」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『宇宙から巨大な機械生命体『ギルバリス』が飛んで来た。ギルバリスを追って現れたもう1人のウルトラマン。あれはジード先輩じゃないですか!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


帰ってきた男!


ウルトラ決めるぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰ってきた男!(前編)

怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース全体における設定
魔王獣コンビは見習い時代、大怪獣ファイトを見学に来た際、練習試合でシーボーズと戦うことになり、その結果、負けています。

ラストジャッジメンター『ギルバリス』登場


その日、ハルキは飛行機でとある島に向かっていた。その隣にはミコが乗っている。

 

「まさか、大怪獣ファイトを生で見れる日が来るとはな・・・。」

「お仕事でだけどね。」

 

ハルキとミコは怪獣娘同士がぶつかり合う格闘技『大怪獣ファイト』の手伝いのために飛行機に乗っているのだ。ハルキとミコが一緒にいる理由は幼馴染であるミコの方がハルキも気楽に出来るだろうとの計らいとミコの立候補でGIRLSに入ったハルキの面倒を見るのがミコになったからだ。飛行機の中でハルキは目的地について確認する。

 

「確かジョンスン島だったよな。昔、あのゴモラが現れたという・・・。」

「うん。今では日本の領土になってるんだよね。」

「またゴモラが現れたりして。しかも怪獣の。」

「まさかぁ。本来なら怪獣はもうこの星にはいないからそんな事・・・・あり得るね・・・うん・・・。」

「・・・・悪い。」

「大丈夫だとは思うけど・・・念のため用心しなきゃね。」

 

この時はハルキもミコも思っていなかった。宇宙から巨大な影が地球に向かっているとは。しかもその影はゴモラを遥かに上回る強力な怪獣であることはこの時、彼等は思ってもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ジョンスン島に着陸し、大怪獣ファイトが開催される会場を訪れた2人。そこには既にベニオと多岐沢がいた。

 

「おう、お前ら!!」

「お待ちしていましたよ。」

「レッド、博士!!」

「どうも!!」

「早速ですが向かいましょうか。」

 

ハルキとミコは2人の案内で選手の調整用のバトルフィールドに向かう。そこには既に試合に出る怪獣娘がいた。黒いゴスロリ風の格好に骸骨を思わせる意匠を施された彼女は亡霊怪獣『シーボーズ』の怪獣娘だ。ハルキはシーボーズに挨拶する。

 

「大怪獣ファイト人気ファイターのシーボーズさんですね!!俺、冬河ハルキっていいます!!今日の大怪獣ファイトの手伝いに来ました!!よろしくお願いします!!」

「は、はいよろしくお願いします!!」

「それじゃあ、始めようか!!ソウルライド、『ガッツ星人』!!」

 

ミコは怪獣娘『ガッツ星人』に変身した。シーボーズは今から2時間後に試合を控えている。今回、ガッツ星人はシーボーズの最終調整用のスパーリング相手として、ハルキは両者のセコンドとして呼ばれたのだ。両者が簡易版のフィールドに立ち、ハルキがフィールドの外側の中心に立つ。

 

「それではこれより最終調整を始めます!!両者、準備はいいですか!!」

「「はい!!」」

「それではレディーーーゴーーーッ!!」

 

その声で両者がぶつかり合う。ガッツ星人は素早く後ろに移動するも、シーボーズも数々の試合を経験したお陰でその動きを読み、ガッツ星人に蹴りを仕掛ける。ガッツ星人は間一髪で何とか避ける。ガッツ星人は両手から光線を放つもシーボーズはこれを避けて上に飛び上がる。そしてそのままキックを放った。ガッツ星人は両手で受け止めるも顔を歪め、後ろに後退してしまう。シーボーズはガッツ星人から距離をとり再び飛び蹴りを放つ。ガッツ星人はそれを避けれずまともに食らってしまう。ガッツ星人は後退し、シーボーズは追い打ちをかけようとする。そこで終了のアナウンスが鳴った。

 

「制限時間になりました!!両者止め!!」

「マジか・・・少し危なかったかも・・・。」

「あ、あのガッツ星人さん!!」

「ん?」

「ありがとうございました!!」

「こちらこそ。」

 

調整が終わって数分後、ハルキはミコとブレザーの制服を着た少女シーボーズこと『滑川シイナ』に冷やしたスポーツドリンクを渡す。

 

「お疲れ、ミコ、シーボーズさん。」

「ありがと、ハル。」

「ありがとうございます。ハルキさん。」

「凄かったよ、あれで調整用の練習試合なら生で本物を見れば大迫力なんだろうな・・・。」

「そうだよ~。本番は瞬き禁止だよ~。見逃せない試合になるからね。」

「私も頑張ります!!」

 

 

 

 

 

 

 

その光景を多岐沢は後ろから眺めていた。そこにヘビクラがやって来て話しかける。

 

「ここが大怪獣ファイトの会場か・・・。」

「ヘビクラさん、どうしてここに!?」

「俺も大怪獣ファイトって奴が気になってな。まさかシーボーズがガッツ星人と互角に戦えるとはな。」

「彼女も大怪獣ファイターとして経験を積みましたからね。大怪獣ファイトの練習試合に訪れたマガバッサーさんやマガジャッパさんにも勝利しましたよ。」

「それはそれは。じゃあ、俺は少し席を外すぜ。」

 

ヘビクラは多岐沢から離れていく。誰もいない部屋に入り思わず呟いた。

 

「まさか魔王獣がシーボーズに負けるとはな・・・。その怪獣の力を使いこなせるかは本人次第ってわけか・・・。怪獣娘ってのは面白ぇな・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後、シーボーズの試合が始まった。対戦相手はミクラスだ。

 

『これよりミクラスVSシーボーズを始めます!!両者とも、準備はいいですか!!』

「OK!!」

「はい!!」

『大怪獣ファイト、レディーーーゴーーーッ!!』

 

「はあああっ!!」

「うおりゃあああ!!」

 

ミクラスの拳とシーボーズの足がぶつかり合う。両者はそのまま弾かれお互い距離をとる。暫く互いの様子を見合うと両者は同じタイミングで突撃した。ミクラスはそのまま右手で拳を放つ。

 

「どおりゃあっ‼︎」

 

シーボーズはその拳をスレスレで避けてミクラスの腹に右足からの蹴りを入れる。それをまともに受けたミクラスは吹っ飛ばされてしまう。

 

「うっ‼︎」

 

今度はシーボーズが突撃してきた。ミクラスは立ち上がり戦闘態勢をとる。今度はシーボーズが拳を突き出してきた。ミクラスは受け止め拳を打ち込む。そのままミクラスとシーボーズの拳の打ち合いが始まった。やがてミクラスがシーボーズに1発入れた事でミクラスの反撃が始まる。

 

「どりゃあーーっ‼︎」

「くっ⁉︎」

 

ミクラスは続いて拳をシーボーズに打ち込んでいく。徐々に後退するシーボーズ。やがて7発目でシーボーズの体は吹っ飛び岩山にその体が激突する。

 

「くっ、ならば‼︎」

 

シーボーズは近くに落ちていた自身と同じサイズの岩を見つけ、その岩を蹴る。かつてサッカーをやっていた彼女は見事なシュートをミクラスに放った。しかしミクラスも負けてはいない。ミクラスは拳を握りしめて全力のパンチを岩にぶつける。そして岩は完全に木っ端微塵となった。しかしミクラスは岩を粉砕したその先にシーボーズがいないことに気付く。

 

「あっ、あれ⁉︎どこ行ったの⁉︎」

「はああああぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ミクラスが上に気付いた時、シーボーズは空から自身を狙っていた。そのまま降下して強力なキックをミクラスにお見舞いした。ミクラスはそれを受けて吹き飛ばされてしまう。その一撃は後ろにあった岩に激突し岩を粉砕する。やがて彼女の体は断崖絶壁の壁まで激突した。ミクラスは壁にめり込んでいる。

 

「ぐぐぐぐぐぐぐぐううううううおりゃあああああああ‼︎」

 

しかしそれでもミクラスは気合いを入れて壁から脱出してシーボーズに向き合う。

 

「ミクラスさん、やりますね‼︎」

「あったり前だよ‼︎レッドキング先輩に勝つまでは絶対に負けないって決めたんだから‼︎」

「ミクラスさんの心意気、確かに受け取りました‼︎・・・しかし、私も負けるわけにはいきません‼︎」

「それはあたしだっておんなじ‼︎行くよ‼︎」

「はい‼︎」

 

ミクラスとシーボーズは再び突撃する。その時、緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響く。サイレンに思わず2人は立ち止まってしまった。

 

「「⁉︎」」

「これって・・・緊急事態って事だよね・・・・。」

「は、はい・・・・でも・・・・一体何が・・・・。」

 

 

 

 

 

その頃、ジョンスン島大怪獣ファイト本部では緊急事態を知らせるサイレンが建物全体に鳴り響いていた。多岐沢が周りのモニターの近くにいる職員に何が起きたのか聞く。

 

「一体何が起きているんですか⁉︎」

「宇宙からこの島に向けて未確認機械生命体が接近しています‼︎機械生命体の大きさはその姿を捉えた人工衛星の計算によれば70m級の大きさです‼︎」

「機械生命体は怪獣って事ですか・・・・。」

「博士‼︎」

 

そこにハルキ、ミコ、ミカヅキ、ベニオがやってきた。ハルキが代表して多岐沢を問い詰める。

 

「博士、怪獣が接近しているって本当ですか⁉︎」

「ハルキさん⁉︎・・・・ええ、75mの機械生命体ですから怪獣と考えていいでしょう。今日の大怪獣ファイトは中止するしかありません‼︎」

「大丈夫だよ、博士‼︎その怪獣はわたし達で何とかするから‼︎」

「ミコさん・・・。」

 

 

 

 

「ったく・・・一体何が・・・。」

 

そのサイレンを聞いたヘビクラは人工衛星が捉えた機械生命体の姿を見ようとしていた。ヘビクラはモニターに写されたその姿を見て目を見開いて驚いていた。

 

「‼︎・・・・・ギルバリス⁉︎」

 

モニターに写ったのは黒い亀を思わせるフォルムに体のあちこちに砲台がついた胸に赤いコアの様なものを持つロボット怪獣だった。ヘビクラはその姿を知っていた。かつてライバルであるオーブに加え、ゼロ、そして光の国の反逆者の血を継ぐ戦士と共に戦った全宇宙の知的生命体の抹殺を目論んだ宇宙最悪の人口頭脳と言われるラストジャッジメンター『ギルバリス』がここに接近していたのだから。

 

「皆、退避だ‼︎すぐにそこを離れろ‼︎外で試合している奴らも退避させろ‼︎」

「ヘビクラさん⁉︎どうしたんですか⁉︎」

 

多岐沢達がいる部屋に入るなり焦った表情で退避命令を出すヘビクラ。その姿に疑問を抱く多岐沢。そのままヘビクラは外にいるミクラスとシーボーズに指示を出す。

 

「いいか⁉︎今から降りてくる怪獣はお前らに敵う相手じゃねぇ‼︎今すぐそこから離れろ‼︎」

 

 

 

 

 

「怪獣が接近してる⁉︎」

「私達には敵わない相手って・・・・ミクラスさん、あれを‼︎」

「何・・・・・ってゲッ⁉︎」

 

ジョンスン島の空にギルバリスが着陸する。

 

『グオオォォォン‼︎』

 

ギルバリスは進撃を開始した。体中からミサイルを放ち周りのものを破壊する。そしてエネルギーフィールドに守られていた大怪獣ファイトのバトルフィールドにもミサイルが降ってきた。エネルギーフィールドが破られたのだ。ミサイルはその場にいたミクラスとシーボーズにも降り注いだ。

 

「「うわああああああああああ⁉︎」」

 

ミサイルの雨にミクラスとシーボーズは吹っ飛ばされてしまう。やがて煙が晴れ、シーボーズの目にギルバリスが写る。シーボーズはギルバリスの攻撃を受けて、目の前にいる怪獣は自身に宿る怪獣(シーボーズ)とは比べ物にならないくらい強くて、危険な怪獣だと思った。

 

(この怪獣は・・・・・・もう1人の私(シーボーズ)なんか相手にならない・・・。怪獣の中でも・・・かなり危険な怪獣・・・。早く・・・・ミクラスさんと一緒にここを離れないと・・・そういえば・・・・ミクラスさんは・・・・。)

 

シーボーズは傷ついた体を起こしミクラスを探す。すると自身の後ろに意識を失って倒れているミクラスを発見した。彼女はギルバリスの攻撃で大きなダメージを負い、元の人間である『牛丸ミク』に戻った状態で気絶していた。

 

「ミクラスさん!!ミクラスさん、しっかりして下さい!!」

 

シーボーズは必死にミクラスに呼び掛ける。しかし、彼女からの反応はない。そんな中、ギルバリスが2人のいる場所に進撃しようとしていた。

 

 

 

 

 

 

「ミクちゃん、シィちゃん、逃げて!!」

「あの怪獣がそっちに近づいている!!急いでそこを離れろ!!」

 

ミカヅキとベニオが必死に彼女達に呼び掛ける。しかし、手負いの状態でミクラスを抱えているシーボーズの動きは鈍くかった。彼女達を追って巨大なロボット怪獣が前進している。それを見てハルキが近くにあった扉を開けて外へ出る。ミコはハルキを呼び止めるもハルキは真っ直ぐ2人の元へ走っていく。

 

「ちょ、ちょっと、ハル!?何する気!?危ないから止めて!!」

「ガッツ!!危ないからお前まで外へ行くな!!」

 

ミコはハルキを追って外へ出る。ベニオが呼び止めるも彼女も外へ出てしまった。彼女もその姿を追おうとしたが多岐沢に呼び止められる。そして多岐沢は衝撃的な言葉を放つ。

 

「待って下さい!!」

「博士、何で止めるんだよ!!このままじゃ、あいつらが!!」

「空から50m級の未確認生命体が接近しています!!」

「何だって!?」

「次から次へと!!もーっ、折角の大怪獣ファイトがーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ハルキはミクラスとシーボーズの元へ辿り着く。少し遅れてミコも合流した。ハルキはシーボーズに呼び掛ける。

 

「もう、ハルってば突然飛び出して!!」

「説教は後だ!!シーボーズさん、大丈夫ッスか!?」

「ハルキさん、私は何とか・・・ただミクラスさんが意識を失って・・・。」

「ミクラス!?・・・・・・大丈夫、気を失っているだけだよ。」

「本当ですか!?良かった・・・・。」

「安心するのは後です!!アレを!!後ろを見て!!」

 

シーボーズの言葉を聞いたミコがミクの腕を取り脈を確認する。彼女の脈が動いていることを確認した彼女はその事をシーボーズを伝える。シーボーズはその言葉に安堵するも後ろを確認したハルキの言葉に全員が振り向いた。ハルキがシーボーズを、ミコがミクを抱えながら振り向くとギルバリスの胸のコアが赤く発光していた。まるでエネルギーを溜めているような動きにハルキ達は嫌な予感を感じた。

 

「これって・・・・・絶対ヤバいやつだよ!!!」

「今すぐにここから離れましょう!!」

(・・・・やるしかないか・・・・。しょうがない・・・・ミコ達に正体がバレちまうけど背に腹は変えられねぇ!!)

 

ハルキはゼットライザーを取り出そうとする。ギルバリスの胸のコアから光線が発射されたと同時に空から突然光が降りてきた。その光が光線をかき消す。そしてその光は人型に形成されていく。そして目つきが鋭く、何処か装甲を纏ったような姿、縦に長いカプセル状の結晶が胸に付いた巨人が出現した。その巨人を見てハルキとシーボーズは思わず呟いた。

 

「う、ウルトラマン!?」

「け、けど始めて見ます!!」

 

 

 

 

 

「あれは!!」

 

ヘビクラはその姿に見覚えがあった。何故ならそのウルトラマンこそ、彼のライバルであるオーブと共に力を合わせてギルバリスと戦った光の国の反逆者の遺伝子を継ぐ戦士『ウルトラマンジード』だったのだから。




田口監督は本当に様々な魅力的な怪獣を考えますね。
どうしたらあんな魅力的な怪獣を考えられるのでしょうか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰ってきた男!(中編)

ゴールデンウィークの集中投稿は今日で終了です。
また週に一度か二度の投稿に戻ります。運がよければ三度投稿できるかもしれませんが。


ウルトラマンジードが髑髏を思わせる装甲をした新たな姿『ギャラクシーライジング』で怪獣娘の宇宙の地球に降り立った。ジードはギルバリスに戦闘態勢をとる。そしてジードはジャンプしてギルバリスに膝蹴りを放つ。

 

「グオオオオォォォォ‼︎」

「シャアッ‼︎」

 

その後もジードはギルバリスに猛攻撃を加えていく。その頭に腕をぶつけ、引っ掻く様な攻撃を加えていく。その後左手で何度も殴りつけるもギルバリスは右腕でジードを殴打し、両手でジードを押さえ付けた。そして、ジードは腕のカッターを光らせる。

 

『グッ、くう、ギャラクシーカッティング‼︎』

 

ジードはギルバリスの両腕から逃れると腕からの刃でギルバリスを5度斬り付ける。ギルバリスは再びジードを押さえつけようとするも、弾かれジードに3度斬り付けられる。しかし、ギルバリスもただやられっぱなしではない。全身からミサイルとビームを放ち、ジードを攻撃する。ジードは後ろにジャンプしてギルバリスと距離を取る。ギルバリスは再びコアを光らせて光線を放つ。一方、ジードは右腕を上げて、頭上に4つの丸い切断光線を形成する。

 

『プラズマ光輪‼︎』 

 

2つの攻撃がぶつかり合い、大爆発を起こす。ギルバリスは再びコアから赤い破壊光線を放つ。その時、ジードの目が光り全身が赤と黒の禍々しいオーラに包まれる。そして、両手を合わせ、両腕を左後ろに伸ばした後、両腕をを開く。そして左手を握りしめ、両手をL字に組んで光エネルギーの必殺光線を放つ。

 

『レッキングフェニックス‼︎』

 

ギャラクシーライジングとなったジードの新たな必殺光線はギルバリスの光線とぶつかり合う。そしてジードが押し勝ちギルバリスを見事に粉々にした。しかし、ギルバリスの赤いコアは健在であり、自身が不利だと判断したのかその場を去っていく。

 

『あっ、待てっ‼︎』

 

ジードは逃げたギルバリスの本体を追って飛び去っていく。そして、ジョンスン島を騒がせた脅威は消え去った。

 

「消えた・・・・?」

「一体何だったの?」

 

ハルキとミコは余りにも突然現れ、突然去っていった怪獣とウルトラマンに思考がついていけていなかった。

 

 

 

 

 

「ペガ・・・・ペガ!・・・参ったな・・・・ナビを頼もうと思っていたのに・・・。」

 

その数時間後、日本の街を歩いている1人の青年がいた。腰にはハルキのものと同じメダルホルダーが付いており、青いジャケットの下にオレンジのシャツが特徴のその青年の名は『朝倉リク』。光の国の反逆者の遺伝子から生まれたウルトラマンの人間としての姿である。彼はかつて自身が倒したギルバリスが再び復活したため、その対応に追われていた。しかしその最中で自身の相棒の『ペガッサ星人ペガ』ともはぐれてしまったのだ。そこに顎を肩に乗せて1人の男が現れる。

 

「久しぶり。」

「じゃ、ジャグラーさん⁉︎どうしてこの宇宙の地球に⁉︎」

「へえ、お前さんもライザーを持ってんのか。」

「ちょっと‼︎返して下さい‼︎」

 

ヘビクラだ。ヘビクラはリクが持っていたウルトラゼットライザーをかすみとるもリクに取り返される。リクはかつて共にギルバリスと戦ったジャグラーがここに来ていたという事実に驚きを隠せない。しかし、ヘビクラはどこと吹くなくリクに話しかける。

 

「なぁ、ギルバリス復活の裏には・・・。」

「はい、ギルバリス復活にはデビルスプリンターが関係しています。」

 

そう言ってリクは惑星アインでギルバリスと戦った時の事を思い出す。

 

 

 

 

 

惑星アインという星ででギルバリスと戦っていたジード『プリミティブ』。かつてギルバリスを倒すために使った赤いロッド状のアイテム『ギガファイナライザー』を取り出す。

 

『一気に決める‼︎』

 

しかし、ギルバリスはジードがギガファイナライザーを取り出したと同時に破壊光線を放つ。その攻撃を必死に耐えるもジードは変身が解けてしまう。しかもリクの手にあったジード本来の変身アイテム『ジードライザー』が戦いの衝撃で火花を散らして破損してしまった。

 

「しまった‼︎」

「リク‼︎」

 

破損したジードライザーを手に取るリクに声を掛ける者がいた。声の主はリクの影から現れた。黒と白のパーカー、ジーンズを履いた胸に黄色い発光体を持つその声の主は人間では無かった。彼の名は放浪宇宙人『ペガッサ星人ペガ』。リクの親友であるペガッサ星人の少年だ。彼の手にはゼットライザーが握られている。

 

「ヒカリがこれを君にって‼︎」

「これは・・・・、ジーッとしてても、ドーにもならねぇ‼︎」

 

リクはギルバリスを見上げるとゼットライザーのトリガーを押していた。

 

 

 

 

「復活したギルバリスは再び知的生命体の抹殺を開始しました。」

「ったく、優秀な人工頭脳の癖に学習能力がねぇな・・・。」

 

ヘビクラはギルバリスの変わらない行動に悪態をつく。そんなヘビクラもリクの次の言葉には押し黙る。

 

「デビルスプリンターの暴走は僕が止めないと・・・‼︎」

「・・・・・・そうか。・・・・・にしても奴が相手じゃ怪獣娘はお手上げだな・・・。」

「怪獣娘?なんですか、それ。」

「ああ、この宇宙の地球じゃ、怪獣の魂を宿して生まれ、その怪獣の力を使える小娘どもがいる。そいつらは怪獣娘と言われている。」

「怪獣の魂を宿した少女・・・・・。そんなのがいるんですか⁉︎」

 

ヘビクラはリクに怪獣娘の説明をする。それを聞いたリクは驚いていた。

 

「ああ、でもって俺はその怪獣娘の組織『GIRLS』の戦闘部隊隊長なんだぜ。すごいだろ。」

「ジャグラーさん、何でその組織の隊長をやってるんですか?」

「正義に目覚めたって言ったら信じるか?」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ギルバリスが出現したジョンスン島にGIRLSの調査部隊が集まっていた。その中にはエレキング、ウインダムの姿もある。

 

「まさか・・・ジョンスン島に再び怪獣が現れるなんて・・・・。」

「しかも、それを追って新しいウルトラマンも現れた・・・。恐らくウルトラマンの目的はその怪獣の討伐でしょうね・・・。」

「現場に到着しました。」

「ウインダム、私達は施設全体の被害状況と怪獣の痕跡の調査よ。」

「はい‼︎」

 

エレキングとウインダムはGIRLSの制服を着た調査部隊と二手に分かれて調査を開始する。ギルバリスの装甲が破壊された場所でGIRLSの制服を来た男達がギルバリスの破片を回収していた。そんな中、1人の男が作業を中断して立ち上がる。その男はカブラギに寄生したセレブロだった。セレブロはギルバリスの破片の中から橙色の結晶を取り出した。そしてその結晶を見つめると赤く目を光らせた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、GIRLS東京支部の講義室にてハルキとラン、レイカ、ミクを除く怪獣娘達が集まっていた。講義室にヘビクラが入ってくる。

 

「失礼するぜ。」

「ヘビクラさん‼︎」

「ミクちゃんの容態は⁉︎」

「シィちゃんは大丈夫なの⁉︎」

「心配するな、2人とも安静にしてればすぐ退院できる。」

 

その言葉にミクの親友であるアキとシイナの親しいミカヅキは安心した表情を浮かべる。そんな中、トモミがモニターに映像を写す。

 

「皆さん、あの怪獣のコアと思われる物体が発見されました‼︎」

「本当ですか⁉︎一体何処に現れたんですか⁉︎」

「とある工場の部屋です‼︎監視カメラがその姿を捉えました。」

 

するとその映像にはギルバリスの赤いコアが工場にあった何かを吸収している映像が写った。

 

「ピグっち、今、あのロボット怪獣のコアは何したの⁉︎」

「ガッツ、あの怪獣はロボットというより、優秀な人工頭脳と言った方が的確デス。」

「人工頭脳⁉︎AIって事⁉︎」

「怪獣のコアが吸収したものはケイ素でした。」

「何で奴があんなもの・・・。」

 

クララが怪獣の事を説明して、トモミがモニターに写っているものを発表してから、この中でただ1人怪獣の正体を知っているヘビクラはその行動に理解出来ずにいた。そんなヘビクラに機械に詳しいクララがギルバリスが現れてから今までのデータを元に憶測を交えて発言する。

 

「あの人工頭脳はどうやら一度何らかの理由で破壊されたようデス。しかし、再び何らかの要因で復活した人工頭脳は自身の復活が未だ不完全なものだと分かったのでショウ。それで完全復活のために必要なものがケイ素であると計算し、ケイ素を保管してある場所を探って吸収していると思われマス。」

「人工頭脳だから地球のネットに侵入してケイ素の在り処を探った訳か・・・。じゃあ、ケイ素を用意して誘き寄せればあの怪獣に勝てるっつう訳だな‼︎」

「レッドン、そんな工場の人達に迷惑な事はしませんよ。あの怪獣はネットの情報からケイ素の場所を探っています。」

「もう1人のガッツの時と同じ作戦をシマス。偽の情報を流してそこに誘い込み、後はワタシ達で一気に破壊シマス。」

「ようし、AI騙して一気に破壊だ大作戦開始だ‼︎」

「了解・・・って何スか、その作戦名・・・。」

「駄目か?」

 

こうしてギルバリスを誘い出す作戦が始まった。場所を移してGIRLSの所有する倉庫に怪獣娘達が集まっていた。その場にはハルキもいる。

 

「何もハルまで来る事無かったのに。」

「ミクラスさんやシーボーズさんがやられてんだ。俺だって何もしないわけにはいかないよ。」

「ありがとな。けど、決して無茶はするなよ!」

「はい‼︎」

 

レッドキングがハルキに忠告したとき、倉庫にギルバリスのコアが入ってきた。怪獣娘とハルキはその姿を確認する。

 

「本当に来た‼︎」

「よし、作戦開始だ‼︎行くぞ、お前ら‼︎」

 

彼女達は飛び出していこうとする。しかし、それは出来なかった。何故なら青いジャケットを着た青年がギルバリスのコアに鉄パイプを振り回しそうとしていたからである。思わぬところに現れた一般人を見て怪獣娘達は驚いていた。

 

「ちょっ、あの人何してんの⁉︎」

「怪獣のコアと戦っている⁉︎しかも鉄パイプで⁉︎」

 

ゴモラとアギラがそれを見て驚く声を出する一方で、その青年は鉄パイプをギルバリスのコアにぶつけようとするも、ギルバリスのコアはあっさりかわしていく。ハルキはそれを見て、青年を助けようと飛び出していく。

 

「ミコ、レッドキングさん、悪い‼︎見てらんない‼︎」

「ハル‼︎」

「ハルキ‼︎」

 

 

 

 

 

 

GIRLS東京支部ではその光景をモニターでピグモンとヘビクラが見ていた。ピグモンは思わぬ来客に驚き、ヘビクラは頭を抱えていた。

 

「あの人、どうしてこんなところに⁉︎」

「・・・・・・・・・・。(あいつ、無茶しやがって・・・・・。)」

 

 

 

 

 

ギルバリスのコアは外に出て行ってしまう。青年はそれを追っていく。ハルキは少年を押さえつける。

 

「ちょっと、何してんですか⁉︎」

「‼︎ちょっと、離して下さい‼︎」

「危ないですから下がって下さい‼︎」

「ハル‼︎」

 

自身を呼ぶ声が聞こえてハルキは振り返ると怪獣娘達がそこに集まっていた。ガッツ星人が前に立ち、ハルキに声を上げる。

 

「ハル、その人を下がらせて‼︎ここはわたし達が‼︎」

「分かった‼︎」

「皆、アレを見ろ‼︎」

 

レッドキングが指を差した方を見るとギルバリスのコアが装甲を形成して巨大怪獣の姿になっていた。

 

「しまった‼︎怪獣の姿になっちゃった‼︎」

「どうしたらいいの・・・・。」

「いえ、まだ不完全な状態デス‼︎今ならワタシ達でも勝ち目はある筈デス‼︎」

「よーし、皆行くぞー‼︎」

「ハルキ、その人を連れて安全な場所に行け‼︎」

「はい‼︎」

 

怪獣娘達はギルバリスに向かっていく。彼女達が全員行ったところでハルキは青年を避難所に連れて行こうとする。しかし、青年は怪獣娘同様、ギルバリスに向かっていく。それをハルキは必死に呼び止める。

 

「ちょっ、ちょっと⁉︎そっちは危険ですから下がって下さい‼︎」

「駄目だ‼︎彼女達だけに任せる訳にはいかない‼︎ジーッとしてても、ドーにもならないんだ‼︎」

 

青年はハルキを振り払う。その衝撃でハルキはウルトラゼットライザーを落としてしまう。ハルキはそれを見て顔を青ざめた。

 

「しまった‼︎」

「どうしてゼットライザーを⁉︎まさか君もウルトラマンなの⁉︎」

「君も?・・・ってどういう事?まさか‼︎」

「グオオオオオォォォォン‼︎」

 

ギルバリスを見る両者。その青年は懐からハルキと同じゼットライザーを取り出した。

 

「ゼットライザー⁉︎」

「詳しい話は後で‼︎ジーッとしてても、ドーにもならねぇ‼︎」

 

青年『朝倉リク』はゼットライザーのトリガーを押す。そして十字に光が浮かび上がり、ヒーローズゲートが形成された。リクは形成されたヒーローズゲートに突入していく。ハルキも地面に落ちたゼットライザーを拾い、ヒーローズゲートに突入していく。




暫く原作と同じ怪獣が出ることになると思いますがご了承下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

帰ってきた男!(後編)

まさか令和の世にクモンガが登場してトレンド入りするとは・・・。
かなり歴代のゴジラ怪獣の特徴が入ってましたが。

今回の影絵は原作と同じイメージです。
隠されたサブタイも見つけてくれると嬉しいです。


インナースペースに突入したリクは自身の顔が描かれたカードをゼットライザーに読み込む。

 

〈Riku Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーから3枚のメダルを取り出した。それは未来から来た戦士『ウルトラマンギンガ』、未知の可能性を秘めた戦士『ウルトラマンエックス』、そしてヘビクラことジャグラーと因縁の深いオーブのメダルだった。

 

「ライブ、ユナイト、アップ‼︎」

 

リクは3枚のメダルをゼットライザーのスリットにセットしていく。

 

「ウルトラマンギンガ、ウルトラマンエックス、ウルトラマンオーブ‼︎」

 

〈GINGA〉、〈X〉、〈ORB〉

 

3枚のメダルを読み込んだゼットライザーを掲げた後、それを胸の位置で固定する。

 

「集うぜ、キラ星‼︎」

 

そのままゼットライザーのトリガーを押す。そして両腕を開き叫ぶ。

 

「ジイイイィィィィド‼︎」

 

ゼット同様メダルのモチーフとなった3人のウルトラマンが飛び交うビジョンが浮かんだ後、プリミティブの力の源となったウルトラマン、そして彼の父であり、光の国の反逆者である『ウルトラマンベリアル』のビジョンがリクに重なり、一点の光から骸骨を思わせる装甲を纏った様な姿の目が鋭いウルトラマンが現れた。

 

ULTRAMAN GEED GALAXY- RISING

 

ハルキのインナースペースに入り、自身の顔が描かれたカードをゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

「ジェアッ!!」

 

そして2人のウルトラマンが並び立った。ジードを見てゼットは駆け寄る。

 

『ジード先輩じゃないですか‼︎』

『えっ、ゼットがどうしてここに⁉︎』

(えっ、お知り合いなんですか⁉︎)

『このお方はゼロ師匠の弟子でウルトラ凄い俺の兄弟子だ‼︎』

『えっ、別に僕、ゼロの弟子ってわけじゃ‼︎』

『兄弟子はな、あのベリアルをぶっ倒して光の国にその名を轟かせた超有名人で』

『もう、いいから行くよ‼︎』

『押忍‼︎』

 

ジードの言葉でゼットはギルバリスに向かっていく。その頃、怪獣娘はギルバリスに苦戦していた。ゴモラとアギラが飛び上がり、ギルバリスの頭に尻尾を打ち付ける。しかし、ギルバリスは何ともない。ギルバリスはそのまま進撃する。アギラとゴモラは地面に着地してその姿を見上げる。

 

「ううっ・・・・この怪獣・・・強い・・・。」

 

アギラの呟きとともにギルバリスが背中から大量のミサイルを発射する。そこに2人のウルトラマンが降り立ち、バリアを張ってミサイルから怪獣娘を守る。

 

「ゼット‼︎」

「それにもう1人のウルトラマンも‼︎」

 

ゼットはゼットランスアロー、ジードはウルトラゼットライザーを手にギルバリスに向かっていく。2人のウルトラマンが同時に手に持った武器でギルバリスを斬り付ける。

 

「ジヤッ‼︎」

「はあっ‼︎」

 

今度はジードが下から、ゼットが横からギルバリスを斬りつける。今度はジードが前蹴りを放った後、ゼットライザーを振り下ろすように斬りつける。それと同時に再びゼットランスアローでギルバリスを斬り付けた後、ギルバリスの頭をゼットランスアローで押さえつける。その隙にジードが再びゼットライザーで2度ギルバリスに切り傷を入れる。しかし、ギルバリスも抵抗して2人はギルバリスと距離を離される。

 

「ジィア‼︎」

 

再びジードがゼットライザーを構えてギルバリスに突進するもギルバリスの指から放たれた砲撃に放たれてしまう。ジードが自身の前から後退した事を確認するとギルバリスはゼットにミサイルとビームの雨を放つ。

 

「ジィアッ‼︎」

 

ゼットはゼットランスアローでその攻撃を捌く。そしてハルキはベータスマッシュに変身するためのメダルを取り出す。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈Ultraman〉〈Ace〉〈Taro〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

 

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

Ultraman Z Beta Smash

 

「ダア"ア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

ベータスマッシュに変身したゼットが高らかに吠え、ギルバリスに向かっていく。ゼットはギルバリスにローリングチャップを繰り出してギルバリスの右腕を掴みながら、肘打ちを2度決める。しかし、張り切られてしまうも、何とかギルバリスの角を掴んで押し上げ、回し蹴りを放つ。

 

「ディアッ‼︎」

 

何とかギルバリスを後退させるも、ギルバリスは尻尾でゼットを攻撃する。ゼットは両腕を曲げてそれを受け止めるも、自身の力を上回るその一撃に一回転して地面に背中をつけてしまう。

 

『ゼット、大丈夫⁉︎』

『はい‼︎』

 

ジードがゼットに駆け寄り、彼を立たせる。そして2人のウルトラマンは同時に切断光線を繰り出した。

 

『レッキングリッパー‼︎』

『ベータクレセントスラッシュ‼︎』

 

2人の放った切断光線はギルバリスの背中から放たれるミサイルと光線に阻まれてしまった。それを見ていた怪獣娘の元に多岐沢がやってくる。

 

「皆さん、状況はどうですか⁉︎」

「博士‼︎ウルトラマンが2人がかりでも中々決定打が与えられない状況だよ‼︎」

 

ガッツ星人のその言葉に多岐沢は懐からUSBメモリを取り出した。取り出したUSBメモリの内容について多岐沢は説明する。

 

「あの怪獣はAIです‼︎ですから計算問題を出されたらその問題を解こうとするはずです‼︎この中にはミレニアム懸賞問題のデータが入っています‼︎」

「ミレニアム懸賞問題・・・・・って何だ?」

「アメリカのクレイ数学研究所が発表したvery difficultな7つの数学問題デース‼︎余りの難しさに1つしか正解が出されていないと言われてマース‼︎」

 

首を傾げるレッドキングにキングジョーが説明する中、多岐沢は彼女達に説明を続ける。

 

「このUSBメモリをあの怪獣に挿せば、怪獣の攻撃力、防御力などが落ちる筈です‼︎もし、よければ使ってください‼︎」

「ありがと、博士‼︎」

 

ガッツ星人がそれを受け取ろうとすると、横からゴモラがかっさらっていった。

 

「ゴモ⁉︎」

「だったら、その役目はわたしがやるよ‼︎」

「ゴモたん‼︎でも・・・あの怪獣はかなり強敵だよ‼︎」

「大丈夫‼︎わたし、EXモードになったらかなり頑丈になるから‼︎こういう時はEXモードが使えるわたしが1番適任だよ‼︎」

 

そう言ってゴモラは自身のソウルライザーを取り出した。

 

「ソウルライド、EXモード‼︎」

 

ゴモラはEXモードに変身してギルバリスに向かっていく。その時、敵であるゴモラを認知したギルバリスはミサイルをゴモラに発射する。ゴモラは全身を集中させてEX超振動波を放ってミサイルを撃ち落とした。その横ではEXモードに変身したレッドキングがマグマの滾る岩をミサイルに投げつけていた。

 

「レッドちゃん‼︎」

「EXモードに変身できるのはお前だけじゃねぇんだよ‼︎ゴモラ、行くぜ‼︎」

 

再び彼女達はギルバリス目掛けて走り続ける。ギルバリスが2人目掛けてミサイルとビームを発射する。レッドキングはそれを見ると両腕を拳にして地面に叩きつける。その衝撃で発生した衝撃波がギルバリスの攻撃を遮った。

 

「今だ‼︎行け、ゴモラ‼︎」

「うん‼︎」

 

そしてギルバリスの体に到達した彼女はUSBメモリをギルバリスに挿し込む。

 

「行くでーーー‼︎どりゃあああああ‼︎」

 

そして、ギルバリスの体に緑の波が流れ、全身から煙を吹き出す。怪獣娘達が歓喜する中、ゴモラが2人のウルトラマンに叫ぶ。

 

「やったーー‼︎」

「よっしゃあ‼︎」

「今だよ、ウルトラマン‼︎」

(だってさ‼︎)

『ウルトラ燃えて来たぜぇぇぇ‼︎行きましょう、ジード先輩‼︎』

『ああ‼︎』

 

リクはゼットライザーのメダルをセットした部分を戻してもう一度読み込ませる。

 

〈GINGA〉、〈X〉、〈ORB〉

 

「ギャラクシーバースト‼︎」

 

ゼットライザーに光エネルギーと黒い稲妻状のエネルギーが集まり始める。そしてエネルギーが集まると、一回転しながらO字の波動と銀河を思わせるX字の波動と共に光の刃エネルギーが発射される。それはギルバリスに命中した。

そしてゼットもゼットランスアローのレバーを引いて炎のZの文字を描き、ギルバリスに突撃した。ギルバリスにZ字の炎が刻まれる。

 

『(ゼットランスファイヤー!!)』

 

Z字の炎でギルバリスは派手に燃え上がる。その一撃が決め手となりギルバリスの装甲は大爆発を起こした。そして、中のコアにも大きなダメージが入り、もはやその姿をを保たなくなったコアも大爆発を起こした。2人のウルトラマンは目の前の脅威が完全に倒された事を確認すると空に飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

その後、ハルキはリクと改めて挨拶を交わしていた。

 

「僕は朝倉リク。よろしくね。」

「俺、冬河ハルキです‼︎よろしくお願いします、リク先輩‼︎」

 

握手を交わす2人。リクはハルキに自分がここに来た理由を話す。

 

「あの怪獣はデビルスプリンターによって復活したんだ。前に僕が倒したから、絶対に止めなきゃいけないから。」

「倒された怪獣が復活するなんて・・・。デビルスプリンターってそんな事も可能なんですか⁉︎」

「うん、デビルスプリンターは僕が何とかしなきゃ・・・。」

「・・・・・あの・・・・・そもそもなんですが・・・・デビルスプリンターって一体何なんですか?俺、恥ずかしながらそこも知らなくて・・・・。」

「えっ⁉︎ゼットから聞いてない⁉︎・・・・・デビルスプリンターは光の国の反逆者『ウルトラマンベリアル』の細胞の一部だよ。」

「ベリアル・・・・・ってさっきゼットさんが言っていたリク先輩が倒したって言う‼︎」

「そう、だからベリアルは僕が決着を付けなければいけない相手なんだ・・・・。」

「リク先輩の事情は分かりました‼︎約束します‼︎俺、幾らでも力になりますよ‼︎」

 

そこに怪獣娘達が駆け寄って来た。

 

「おーい、ハルキーー‼︎」

「ハル、大丈夫・・・・ってその人⁉︎」

「さっき、ロボット怪獣のコアと戦っていた‼︎」

「もしかして・・・皆が怪獣娘?・・・・・成る程、確かに怪獣の面影があるね。」

「いや、それより君は誰?」

「あっ、僕の名前は朝倉リクです。」

「それより、何であの怪獣のコアと戦ってたの⁉︎」

「あっ・・・それは・・・・・。」

 

怪獣娘がリクに質問詰めする中、お腹の鳴る音が派手に聞こえる。リクは恥ずかしそうに話す。

 

「・・・・・な、何か・・・・・御免・・・・・。」

「あっ・・・・いや・・・・・その・・・・。」

「詳しい話は本部に帰ってからしませんか?GIRLS本部なら食堂もありますし。」

「そうだね、そうしようか。」

 

ハルキとガッツ星人の言葉で彼らはその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、セレブロはインナースペースの中で拳銃型のデバイスを上に掲げて引き金を引く。すると魔法陣と共に白い上半身に黒い下半身の頭の中心に赤い結晶を備えたアンドロイド兵『バリスレイダー』が何処からともなく出現した。実はセレブロはジョンスン島でジードに破壊されたギルバリスの装甲を回収してそれから拳銃型のデバイスを作ったのだ。そして、セレブロは怪獣メダルを作る機械のそばに置かれた橙色の結晶と上に映されたリクの映像を見て一言呟いた。

 

「・・・・・これで・・・・デビルスプリンターだけでは・・・・・作れなかった・・・・・あの・・・・・メダルが・・・・・作れる。」

 

その結晶こそベリアルの細胞の一部であり、宇宙でありとあらゆる怪獣を凶暴化させる作用を持つデビルスプリンターであった。セレブロは一度、そのデビルスプリンターを怪獣メダルを作る機械に入れ、あるメダルを作ろうとしたのだがデビルスプリンターでは安定せずにそのメダルは消えてしまった。しかし、自身の求める遺伝子の持ち主である遺伝子を持つウルトラマンであるジードが来た事でセレブロにとってこれともないチャンスとなった。

 

「キエテ・・・・・カレカレータ・・・・・。」

 

これであのメダルが作れる。自身が求めていたあのメダルが。そう感じたセレブロは不気味な笑みを浮かべて笑っていた。

 

「ククククク・・・・・フハハハハハハハハハハハ‼︎ハーハッハッハッハッハ‼︎」

 

セレブロは誰もいない空間の中で笑っていた。




ハルキ「ハルキと」

ミカヅキ「ミカヅキの」

ハルキ&ミカヅキ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈GINGA〉

ミカヅキ「未来から来たウルトラマンで体のクリスタルを七色に光らせて様々な必殺光線を放てるんだよ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈BELIAL〉

ハルキ「ウルトラマンベリアルは悪に堕ちたウルトラマンでこいつの破片が宇宙を混乱させているらしいぜ。」

ベニオ「次回は俺が担当するぜ!!」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『ジード先輩が攫われた!?何者かが先輩を利用してとんでもない物を作り出そうとしているらしい。大ピンチの俺達の前に満を持して俺の師匠がやってくる!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


陛下のメダル


ウルトラ凄いぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

陛下のメダル(前編)

ダイナゼノン、ゴジラS.P共にクライマックスが近付いていますね。
怪獣をアニメで見れる幸せをもっと感じたいです。


ウルトラマンゼロはワームホールの脱出に悪戦苦闘していた。思ったより強力なワームホールだったため脱出に手間取っていたのである。

 

『ぐっ、流石の俺様もこのままじゃまずいぜ・・・‼︎これしかねぇか、一か八かだ‼︎シャイニングウルトラマンゼロ‼︎』

 

ゼロは体を光らせて銀と金のカラーリングの『シャイニングウルトラマンゼロ』に変身した。ゼロはその手を光らせて大きな発光体を具現化させる。

 

『シャイニングスタードライブ‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

GIRLSの食堂で怪獣娘達は唖然としていた。その中にはレイカとランの姿もあった。どうやらジョンスン島の調査を終えて戻ってきたようだ。普段から表情を余り変えないランも他の怪獣娘達同様少し驚きを隠せない表情をしていた。何故なら、リクのテーブルには空になったラーメンのどんぶりが4皿もあったからだ。リクは今、5杯目のラーメンを必死にすすっている。

 

「・・・・・。」

「お、押忍‼︎俺も腹減りまくりッス‼︎」

(なんでハルキさんが張り合っているんだろう・・・・。)

 

ハルキも空になった焼きそばの皿が4皿も重ねられていた。ハルキは重ねられた空の皿の前で5杯目の焼きそばに手をつける。アキはリクに張り合うハルキに疑問を抱いていた。やがて、ベニオがリクに話しかける。

 

「怪獣並の食欲だな、おい・・・。」

「すいません。何日も食べてなくて・・・。」

「育ち盛りなんだからガンガン食え。」

 

ヘビクラの言葉でリクは再びラーメンをすする。やがて食べ終わるとトモミとクララがリクに質問した。

 

「それで貴方は何をしている人ですか?学生さんのように見えますけど?」

「どうしてあのロボット怪獣のコアと戦っていたのデスカ?」

「あっ・・・いや・・・その・・・。」

 

答えに詰まるリクにヘビクラが助け舟を出す。

 

「何かな・・・様々な怪奇現象を追ってそれを動画に上げる活動をしているんだったっけな。」

「そ、そうです‼︎チャンネルAIBというのを設立して流離っています。いうならば風来坊です‼︎」

 

その答えに不思議に思いながらも納得する怪獣娘達。リクの風来坊という言葉を聞いてヘビクラは自身のライバルであるある男を思い出したのか思うように鼻で笑う。

 

「フッ、風来坊ねぇ・・・。」

「ねぇ、ハルがさっき先輩って呼んでたけどあれって何の先輩?」

「えっ・・・それは・・・。」

 

ミコの質問に行き詰まるリク。ここでヘビクラがまたもや助け舟を出す。

 

「何でもな、こいつはお前らの高校の卒業生だそうだ。」

「えっ、そうなの⁉︎」

「そうそう、卒業してから、ね。ち、チャンネルAIBを始めたんだ。」

「成る程、事情は分かりました。けど、これから危険な行動は止めて下さい‼︎怪獣が相手では一歩間違えたら取り返しのつかない事になる可能性があります‼︎貴方の周りの人達を悲しませないためにも危険な撮影は駄目ですよ‼︎」

「は、はい・・・。すみません・・・。」

 

トモミの注意にぎこちなく頷くリク。そこにGIRLSの制服を着た2人の男が入ってきた。2人はリクを見てそこにいた者達に言い放つ。

 

「何ですか?」

「彼を連行しろと本部からの命令です。」

「ええっ⁉︎本部ってGIRLS本部にですか⁉︎」

「聞いてないわよ。」

「極秘任務ですので。」

 

トモミとランの言葉に返事を返した男達はリクに向かっていく。するとヘビクラが2人を呼び止めた。

 

「おいおい、お前らどう考えても怪しいだろ。」

 

そしてヘビクラは止めた2人を思い切り蹴飛ばした。思わず後ろに吹っ飛ぶ2人を見てハルキとトモミは声を上げる。

 

「ちょっと⁉︎ヘビクラさん!?」

「幾ら何でもやり過ぎですよ‼︎大丈夫ですか⁉︎」

「そうか?」

 

トモミが2人に駆け寄ると2人の姿は白いアンドロイド兵士『バリスレイダー』に変わっていた。2人の正体を知ったトモミは思わず後ずさる。ヨウは目の前のアンドロイドに驚き、ハルキはヘビクラに疑問に思った事を聞く。

 

「う、嘘・・・。」

「なっ、こいつらロボットだったのか⁉︎」

「ヘビクラさん、どうして分かったんですか⁉︎」

「ん、戦闘部隊隊長の感って奴かな?」

「ヘビクラさん・・・凄い・・・。」

 

アギラが呟いたと同時にバリスレイダーがリクに向かって動き出す。ミコはソウルライザーを手に取り怪獣娘に変身する。ハルキは目の前のバリスレイダーに拳を放った。

 

「ここは任せて‼︎ソウルライド、『ガッツ星人』‼︎」

「俺もいくぜ!!うおりゃあああああ‼︎・・・痛ぇ・・・。」

 

しかしハルキの拳はバリスレイダーの装甲に対した損傷を与えられなかった。その硬さに思わず手を抑えてしまうハルキ。その一方でガッツ星人は前蹴りを放ちバリスレイダーを後退させる。ハルキとガッツ星人が戦う一方でもう1人バリスレイダーが乱入して後ろからリクを捕らえた。

 

「ぐっ、しまった・・・‼︎」

「リク先輩‼︎」

 

ハルキはリクを助けに行こうとするが、目の前のバリスレイダーに阻まれてリクの元に辿り着けない。他の怪獣娘も変身しようとするが、自分達がここでどう動くかによっては目の前の青年がどんな目に合うか分からない事もあってソウルライザーを構えるだけだった。ヘビクラも本来ならこのアンドロイドを倒せる実力があるが怪獣娘達に自身の正体がバレるのを避けるためか睨むだけだった。バリスレイダーは手に持っていた丸い機械でリクもろとも何処かへ消えていってしまう。

 

「リク先輩‼︎・・・うおおおお‼︎」

 

ハルキは目の前のバリスレイダーに正拳を2発放った後、右足の回し蹴りから左足の回し蹴り、そして再び右回し蹴りをバリスレイダーに喰らわせる。3発連続で強力な回し蹴りを喰らったバリスレイダーは壊れて動かなくなる。

 

「でやぁっ‼︎」

 

ガッツ星人も左足による前蹴りでバリスレイダーを怯ませる。バリスレイダーは手に持っていた剣でガッツ星人を斬りつけようとするもガッツ星人は体を逸らして剣を避ける。ガッツ星人は両手から光線を放つ。バリスレイダーも手に持っていた銃で光線を放った。2つの光線はぶつかり合い、大爆発を起こす。そして煙でガッツ星人の視界が前にいるバリスレイダーを視認出来ないうちにバリスレイダーはその場を去ろうとした。

 

「あっ、待ちなさい‼︎」

 

ガッツ星人は煙が晴れて前が見えるようになると撤退していくバリスレイダーが目に写った。ガッツ星人は追おうとするもバリスレイダーはその前の曲がり道を曲がっていく。ガッツ星人が曲がり角に追い付くとバリスレイダーは既に姿を消していた。

 

「ミコ、一体は倒した‼︎もう一体残っていた筈だけどそいつは?」

「御免・・・逃げられたよ・・・。」

「そうか・・・。あのアンドロイド、一体誰が・・・?」

 

 

その後、ハルキが倒したバリスレイダーをクララと多岐沢が解析していた。バリスレイダーの中の情報を掴んでリクを救出出来ないか探っていたのだ。ハルキが2人に話しかける。

 

「キングジョーさん、多岐沢博士、解析できそうですか?」

「大丈夫デース‼︎ワタシ、機械には強いのデスヨ‼︎」

「僕もリクさんを助けるためにこのアンドロイドを解析します‼︎」

「ハル、大丈夫だよ。おジョーはこの手の分野にとても強いんだから。わたしが保証するよ。」

 

ミコがハルキを元気付ける。その後ろではベニオとミカヅキが密かに燃えていた。

 

「俺達に喧嘩を売るとはいい度胸だ‼︎キングジョー達の分析結果によってはあのアンドロイドを送り込んだ奴が分かる‼︎」

「うん‼︎このままやられっぱなしにはいかないもんね‼︎」

「レッドキングさん、ゴモたん、凄く燃えてる・・・。」

「それだけじゃないわ。もしかしたらこのアンドロイドを送り込んだ敵の姿を拝めるかもしれない・・・場合によっては最近地球に現れる怪獣事件に深く関わる元凶を突き止める手掛かりになるかもしれない。だから、これはかなり重要だわ。」

 

アキが彼女達に呆気にとられる中、ランは自身の推測を交えて話す。その一方、ユカは不安を感じていた。親友の表情から不安を読み取ったのかヨウとサチコが話しかける。

 

「どうした、ジャッパ?」

「アンタ、凄く不安そうな顔してたわよ。」

「ふえ?・・・う、うん・・・もしかしてあのアンドロイドを送り込んだ人がもしかしたらここ最近の怪獣事件に関わっているんじゃないかなって思って・・・もしそうだったらと思うと・・・・。」

「だとしても・・・アタシ達が逃げる訳にはいかないだろ。・・・そりゃあアタシだってどんなにヤバい敵がいるかと考えたら怖いけど・・・こっちから反撃出来る時なら反撃しなきゃいつまでもやられっぱなしだぜ。」

「うん・・・。」

 

ユカの答えを聞いたミサオの言葉にユカは力強く頷いた。

 

 

 

 

 

 

その頃、とある倉庫でバリスレイダーが見張りをしていた。その奥ではリクが見た事ない機械に繋がれていた。頭には特殊な機械が被せられている。目を閉じているリクの耳に機械のアナウンスが響く。

 

『高濃度ノベリアル因子ヲ確認。抽出シマス。』

「目的はベリアル因子⁉︎止めろ・・・ベリアルを・・・父さんを・・・安らかに眠らせてやってくれ‼︎」

 

リクの訴えも虚しく頭の機械はリクの血液を採取し始める。機械に取り付けられたフラスコにリクの血液が溜まり始める。その作業に苦痛の声を上げるリク。薄れゆく意識の中、リクは自身がベリアルを倒した時の事を思い出していた。

 

『疲れたよね・・・もう終わりにしよう・・・。』

『分かったような事を言うな‼︎』

 

異次元空間内でジードの光線とベリアルの光線がぶつかり合う。やがてジードが押し勝ちベリアルはジードの名前を呼びながら大爆発を起こした。

 

『レッキングバーストォォォ‼︎』

『ジードォォォ‼︎』

 

リクは意識を失う直前で今は亡き父親であるウルトラマンベリアルの名を呼んでいた。

 

「父・・・・・さん・・・・・。」

 

リクが意識を失ったタイミングを見計らって1人の人影が現れた。それはカブラギに寄生したセレブロだった。セレブロはリクの血液が入ったフラスコを手に取りその場を後にする。セレブロはウルトラゼットライザーでメダル製造機がある空間に入る。そしてメダル製造機に先程採取したリクの血液とデビルスプリンターを投入する。すると機械の中でリクの純度の高いベリアルの遺伝子が刻まれた血液とデビルスプリンターが組み合わさって1枚のメダルが作られた。

それは光の国の反逆者であるウルトラマンベリアルの横顔が刻まれたメダルだった。ベリアルの力を込めた『ベリアルメダル』が完成してしまったのだ。それをセレブロはただ静かに見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、クララと多岐沢はバリスレイダーの解析に集中していた。不安に思ったハルキは思わずクララに声を掛ける。

 

「キングジョーさん、まだですか?」

「焦りは禁物デスヨ、今はワタシ達を信じて下サーイ。」

「押忍・・・けどリク先輩にはやるべき事がある・・・俺、約束したんです・・・必ず力になるって・・・。」

「ビンゴデース‼︎皆さん、リクが何処にいるのか分かりまシタ‼︎」

「本当ですか⁉︎良かった・・・・。」

 

講義室の教壇にはトモミにヘビクラ、クララと多岐沢が立っていた。クララと多岐沢が講義室のモニターに解析結果を写す。

 

「皆さん、リクさんがあのアンドロイドに何処に連れ去られたのか分かりました‼︎ではキンキン、説明を‼︎」

「ハーイ‼︎あのアンドロイドを解析した結果、同じアンドロイドが何処にいるか位置情報が表示されまシタ‼︎しかも、その一点の場所に複数のアンドロイドが確認されてイマス。その数を考えると警備を務めているアンドロイドでショウ‼︎」

「どうしてこんなに警備を強化しているのか・・・それはそこに奪われたくない何かがあるからだと考えるのが妥当です!そして今回それは・・・」

「リク先輩ですね‼︎」

「その通りデース‼︎」

「その場所は何処なの⁉︎」

 

ガッツの質問にクララは目の前のパソコンを操作する。すると位置情報が写された。

 

「ここは今は使われていない商業跡地デス。敵のアジトにはうってつけデスネ。」

「おっしゃあ‼︎だったら周りの事気にせず暴れられるぜ‼︎」

「レッドキングさん、燃えてる・・・。」

 

クララの説明にベニオが意気込み、隣のアキは静かに彼女に突っ込んだ。教壇に部屋にいる全員が集まりお互いの手を合わせる。

 

「ようし、それではこれより『守るぜ、希望‼︎朝倉リク救出大大作戦を開始する‼︎」

『了解‼︎』

「今回も作戦名長いっすね‼︎」

「そうか?」

 

ヘビクラの号令に合わせてその場の全員が息を合わせて号令した。ハルキが作戦名の長さに突っ込むもヘビクラは何の疑問も抱いていなかった。

何はともあれ怪獣娘達によるリクの救出作戦がここに決行された。




ゴジラvsコングが7月2日に確実に公開される事を願います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

陛下のメダル(中編)

今思えば、イグニスってトリガーの世界に転生したバスk・・・・・。

ベリアル融合獣『スカルゴモラ』


ミクラスを除く怪獣娘達は全員リクが連れ去られた商業跡地にいた。その中にはセブンガーことナナもいる。それだけじゃなくハルキもその場にいた。

 

「おいおい、ハルキまで来たのかよ・・・。」

「リク先輩が拐われたのに俺だけジッとしてられませんよ‼︎足手纏いにはならないですから‼︎」

「ハル、絶対に無理はしないでね。」

 

ベニオの言葉に答えるハルキ。ミコはハルキに忠告する。その一方でナナはかなり張り切っていた。

 

「一人前に認められてから初めての任務、絶対に成功させてみせます‼︎」

「セブンガー、張り切りすぎて無茶しないでね。」

 

ナナを見守るアキ。そして彼女達が倉庫に侵入した時、大量のバリスレイダーが待ち構えていた。ハルキは戦闘態勢をとり、怪獣娘達はソウルライザーを構える。

 

「行きましょう‼︎皆さん‼︎」

「何でハルが仕切ってるの⁉︎・・・まぁいいや、行くよ‼︎」

 

ミコの言葉で怪獣娘達はソウルライザーを操作する。

 

『ソウルライド‼︎』

 

怪獣娘達はソウルライザーを操作し、それぞれが宿すカイジューソウルの怪獣の名を唱えると光に包まれていく。それぞれの体に獣殻が形成されて全員が怪獣娘に変身した。

バリスレイダーは一斉にハルキと怪獣娘達に向かって駆け出していく。ハルキ達は迎え撃った。まずハルキは目の前にいるバリスレイダーに飛び蹴りを仕掛ける。その飛び蹴りでバリスレイダーは思わず地面に背中を着いて倒れる。続いて後ろからバリスレイダーが襲ってきた。ハルキは一回転してバリスレイダーに裏拳を放ち、バリスレイダーをなぎ払う、

 

「うおりゃあ‼︎」

 

ガッツ星人は高くジャンプして上から光線を放つ。その光線を浴びたバリスレイダーの一体は大爆発した。そして地面に着地すると横から突撃してきたバリスレイダーを拳で吹っ飛ばす。続いて右側と同時にガッツ星人を挟み撃ちにしてバリスレイダーが突撃する。バリスレイダーが持っていた短剣を持った右腕を抑えたガッツ星人は左側から突撃してきたバリスレイダーに左足で横蹴りを決める。そして右腕で抑えていたバリスレイダーに左腕からの光線を浴びせて爆散させた。

 

「いやっほう‼︎」

 

再びガッツ星人は飛び上がり、分身して同時に両手から光線を放ち、三体のバリスレイダーを爆散させる。

 

「はあっ‼︎」

 

アギラは目の前の4体のバリスレイダーを回転しながら尻尾でなぎ払う。1体のバリスレイダーがアギラを光線銃で銃撃した。アギラは両腕で防御し、銃撃してきたバリスレイダーに突進した。

 

「やあああああぁぁぁぁ‼︎」

 

力強いその突進とアギラの角がバリスレイダーを貫いた。アギラは頭を上に振り上げバリスレイダーを爆発させる。

ウインダムは目の前のバリスレイダーを頭のスコープで狙う。そして額からレーザー光線を放った。バリスレイダーはレーザーをまともに浴びたため後退しながら大爆発する。その爆発の巻き添えで両隣と後ろにいたバリスレイダーが爆風で吹っ飛び背中を大きく壁に打ち付ける。

 

「や、やりました・・・。ってきゃあ⁉︎」

 

一息ついていたウインダムに後ろからバリスレイダーが手に持っていた短剣で斬りかかる。なんとかかわすも思わぬ襲撃に隙を見せてしまったウインダムは横からバリスレイダーの銃撃を喰らう。横に倒れたウインダムに追い討ちを掛けようとするバリスレイダーに下から奇襲をかける者がいた。

 

「油断禁物だよ、ダム子‼︎」

「す、すみません、ゴモたんさん・・・。」

 

ゴモラが下から角かち上げ攻撃をしてバリスレイダーを吹っ飛ばしたのだ。地面から鋭い角の一撃を受けたバリスレイダーは地面に激突すると爆散する。後ろからバリスレイダーがゴモラに迫る。ゴモラは振り返ると尻尾でバリスレイダーをなぎ払った。

 

「さぁ、いっくでー‼︎」

 

ジャンプしたゴモラは尻尾で1体のバリスレイダーを叩きつける。上から脳天に強力な尻尾による一撃を受けたバリスレイダーはそのまま膝をついて機能が停止する。

 

「オラオラ、これでも喰らいやがれ‼︎」

 

レッドキングは自慢の剛力によるパンチを襲いくるバリスレイダーに浴びせていた。典型的なパワータイプであるレッドキングのパンチを浴びたバリスレイダーはそのまま後ろに吹っ飛び壁を突き破っていく。そして短剣を突きつけてきたバリスレイダーの腕を掴むと彼女はすごい勢いで回転する。そして手を離した時、バリスレイダーは他のバリスレイダーに凄い勢いでぶつかり、他のバリスレイダーも機能を停止する。

 

「はあっ‼︎てやあっ‼︎」

 

エレキングは長い尻尾を切り離した。そして長い鞭になった尻尾を振り回してバリスレイダーをなぎ払う。

 

「てやあっ‼︎」

 

エレキングが1体のバリスレイダーに鞭を巻きつける。そして高圧電流を流し込んだ。電撃を受けたバリスレイダーはその電流の強さにショートし、機能を停止する。バリスレイダーは一斉にエレキングを銃撃するがエレキングは左腕の盾で防御する。そして鞭に電流を灯してバリスレイダーに叩きつける。電流と鞭の衝撃でバリスレイダーは倒れていき次々と機能を停止する。

 

「へっへーん!こっちだよー‼︎」

 

ザンドリアスは宙を自在に跳び回り、バリスレイダーの銃撃を回避する。バリスレイダーは一斉に銃撃するもその攻撃は飛び回るザンドリアスには当たらない。ザンドリアスはバリスレイダーの真上で停止すると口から人炎を吐く。その炎が直撃したバリスレイダーは大爆発を起こし、爆発を起こしたバリスレイダーの爆風と衝撃で多くのバリスレイダーが吹っ飛んだ。バリスレイダーが吹っ飛んだ事を確認したザンドリアスは地面に着地する。かろうじてまだ動けるバリスレイダーがザンドリアスを突撃するもザンドリアスの意外にも力強い拳で完全に破壊された。

キングジョーは目の前のバリスレイダーにボディプレスを仕掛ける。かわしきれなかったバリスレイダーはキングジョーのヘビー級の重量に耐えられず機能が停止する。後ろからバリスレイダーが短剣でキングジョーに斬りかかる。しかしキングジョーは白刃どりで受け止めた。

 

「乙女のガードは硬いんデース‼︎」

 

キングジョーは腰のパーツを分離させて光のロープを射出し、複数のバリスレイダーを縛る。そして動きを封じられたバリスレイダーにビームで撃破した。

ノイズラーは目の前のバリスレイダーに回し蹴りを浴びせる。そして後ろから襲ってきたバリスレイダーの腕を受け止めてその首に手刀を放つ。今度は右後ろから短剣を構えてバリスレイダーが向かってきた。ノイズラーは飛んで斬撃をかわす。するとノイズラーはバリスレイダーが更に増えている事に気付く。

 

「しゃーねぇ・・・一気に決めるか・・・‼︎」

 

するとノイズラーはギターを取り出した。そして周りに強力な音波を放つ。その音波に耐えられずバリスレイダーは次々と機能を停止して爆散していった。

マガバッサーは飛び回り下からのバリスレイダーの銃撃をかわす。地面に着地すると同時に強力な前蹴りでバリスレイダーの1体を吹っ飛ばす。そして両腕から白い刃を放ちバリスレイダーを爆散させる。それでもバリスレイダーは次々と現れる。

 

「まだ来るか、なら纏めて吹っ飛ばすぜ‼︎」

 

そう言ってマガバッサーは翼を羽ばたかせる。すると竜巻が形成されていく。マガバッサーはその竜巻をバリスレイダーに放つ。複数のバリスレイダーは竜巻に巻き込まれていく。竜巻の中で互いに激突したり、地面に叩きつけられたりと多くのバリスレイダーが彼女の竜巻で破壊された。

 

「ふええぇ・・。で、でも、頑張ります‼︎」

 

マガジャッパは目の前のバリスレイダーに怯みながらも向かっていく。バリスレイダーの1体がマガジャッパを銃撃する。するとマガジャッパは腕から泡を発射してその銃撃を防ぐ。後ろから短剣を構えてバリスレイダーが突っ込んできた。それに気付いたマガジャッパは体を逸らして剣を避ける。そして目の前のバリスレイダーに腕から水流を放った。その水流の勢いでバリスレイダーは吹っ飛び、他のバリスレイダーを巻き添えにしてショートする。

 

「うう、何だか体力が切れてきたようです・・・!」

 

一方でセブンガーは防戦一方だった。実は彼女は戦闘で1分間の間に物凄くエネルギーを使ってしまうのだ。そのため、最初はパンチ攻撃を主体にバリスレイダーを撃破していたのだが今はその力が出なくなり苦戦していたのである。苦戦するセブンガーの前でバリスレイダーに横から飛び蹴りをかます者がいた。それはハルキだった。

 

「大丈夫か、セブンガー⁉︎」

「ハルキさん⁉︎・・・御免なさい。私、そろそろ・・・限界のようで・・・。」

「あんまり無理すんな‼︎ここは俺に任せろ‼︎」

 

ハルキはセブンガーを庇うように目の前のバリスレイダーに構える。そしてバリスレイダーに前蹴りを放った。前蹴りを受けたバリスレイダーは後ろに後退する。そのままの勢いでハルキは回し蹴りを放ち続けバリスレイダー相手に戦っていた。セブンガーは目の前の光景を見て悔しそうな表情で呟いた。

 

「人間であるハルキさんでさえあそこまで戦えるのに・・・・怪獣娘の私が何も出来ないなんて・・・・出来ないなんて・・・絶対に嫌‼︎私も戦いたい‼︎ロボットアニメの主人公のようにどんな絶体絶命の状況でも諦めたく無い‼︎」

 

その時、セブンガーの体にオーラが溢れ出す。バリスレイダーを抑えながら偶然見たアギラはセブンガーにアドバイスした。

 

「セブンガー、もしかしたら、今の君ならEXモードが使えるかもしれない‼︎ソウルライザーを構えて‼︎」

「今の私がEXモードを・・・、で、でも、私、まだGIRLSに入って間も」

「そんな事関係無いよ‼︎自分を信じて‼︎」

 

アギラの言葉を聞いたセブンガーは自分を信じてソウルライザーを取り出す。

 

「ソウルライド、『EXモード』‼︎」

 

その頃、ハルキはバリスレイダーに蹴り技主体で戦っていた。しかし、蹴り技を続けたためか動きを読まれてかわされたり、受け止められたりしていた。ハルキは目の前のバリスレイダーに再びキックを放とうとする。しかし、それはバリスレイダーに足を掴まれて蹴りを放たなかった。

 

「なっ⁉︎」

 

バリスレイダーはハルキの足を掴んで投げつける。ハルキの体は回転しながら地面に叩きつけられた。そこにバリスレイダーが突撃してくる。しかし、その攻撃はハルキに届く事は無かった。セブンガーがバリスレイダーにジャンピングパンチを放ってバリスレイダーを吹っ飛ばしたからだ。

 

「ハルキさん、大丈夫ですか⁉︎」

「セブンガー⁉︎ああ、けど君の方は」

「私もEXモードを使えるようになりました‼︎だからここは任せて下さい‼︎」

 

そう言ったセブンガーの見た目は変わっていないように見えるが背中にブースターを背負っていた。彼女は目の前のバリスレイダーに再び右手でパンチを放つ。バリスレイダーは後退するも再び持ち直そうとする。しかし、セブンガーは目の前のバリスレイダーに向かって右腕を構える。

 

「硬芯鉄拳弾、発射‼︎」

 

セブンガーの放ったロケットパンチでバリスレイダーが吹っ飛んでいった。ハルキは目の前の光景を見て、セブンガーは大丈夫だと判断して、奥から来るバリスレイダーに向かっていく。バリスレイダーを目の前にした時、ハルキの体に異変が起こる。体が勝手に動いてウルトラゼットライザーにウルトラアクセスカードがセットされたのだ。

 

「なっ、何なんだ、コレ⁉︎」

 

そしてブレード部分を動かしトリガーを押すとハルキの体は『ウルトラマンゼット・オリジナル』に変身した。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

『ウルトラ緊急事態だ‼︎お前の体を借りるぞ!』

(こんな事出来たんですか⁉︎)

『ああ、けどこの姿はエネルギー消費が激しいから戦えるのは50秒くらいだ‼︎さっさとやるぞ‼︎』

 

ゼットはゼットスラッガーを放ち目の前の2体のバリスレイダーを破壊した。そこにガッツ星人とアギラとセブンガーが合流する。

 

「ウルトラマンゼット⁉︎」

 

後から合流したザンドリアスとノイズラーは思わず上を見上げるもゼットの姿は見当たらない。ガッツ星人達の方を向くと自分達と同じ位の大きさのウルトラマンゼットがいて唖然としていた。

 

「嘘でしょ・・・ウルトラマンって小さくもなれるの⁉︎」

 

すると後ろからバリスレイダーがやってきた。思わずゼットはミコを抱えフォークダンスをする。ガッツ星人の蹴りがバリスレイダーをよろめかせ、ゼットがゼットスラッガーを放った。

 

「や、やった・・・。」

 

ゼットは怪獣娘達から離れていく。そして彼女達の視線に入らない場所でハルキに戻った。

 

「ゼットさん、お疲れ様です‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、リクの元にジャグラー魔人態が来た。警備をしていたバリスレイダーはジャグラー魔人態に向かっていくもジャグラー魔人態にあっという間に切り捨てられる。ジャグラーはリクの拘束具を破壊してリクを救出する。

 

「よぉ。」

「ジャグラーさん‼︎来たのは誰だと思いましたよ‼︎」

「悪いな、お前さんを助ければ黒幕の顔が拝めると思ったんだが、いたのはポンコツアンドロイドだけって・・・ったくよ。」

「敵の狙いはベリアル因子です。」

「だろうな、お前さんの純度の高いベリアル因子とデビルスプリンターが合わさればベリアルメダルが作れるだろうからな。」

「ベリアルメダルを‼︎・・・絶対に許さない‼︎」

「後、俺の正体はあいつらには内緒な。」

 

そう言ってジャグラー魔人態はヘビクラに戻っていく。リクはヘビクラを見送った後、その場から走り去る。

 

 

 

 

 

「検証実験を始める。」

 

セレブロはウルトラゼットライザーのトリガーを押してインナースペースに入っていく。そして3枚のメダルを取り出した。先程作ったベリアルメダルと古代怪獣の力を宿した『ゴモラメダル』とどくろ怪獣の力を宿した『レッドキングメダル』をゼットライザーにセットする。

 

〈Kaburagi Access Granted〉

 

「ベリアル。古代怪獣。どくろ怪獣。」

 

〈BELIAL〉、〈GOMORA〉、〈RED KING〉

 

「キエテ カレカレータ」

 

SKALL GOMORA

 

 

 

 

 

 

 

「今の感じ・・・。何か・・・・。」

「ガッツ?どうしたの?」

「ミコ‼︎」

 

ガッツ星人達の元にリクを連れてハルキが合流してきた。

 

「リクさん‼︎」

「ハルキさん、救出できたんですね‼︎」

「い、いや、リク先輩、自力で脱出したらしくてさ・・・。」

「ええっ⁉︎自力で⁉︎」

 

ハルキの言葉に驚く怪獣娘達。その時、大きな音が鳴り響く。

 

「今のは⁉︎」

 

ハルキ達が外に出るとそこにはゴモラとレッドキングを掛け合わせたような怪獣がいた。レッドキングを思わせる皮膚にゴモラのような大きな角を持つベリアル融合獣『スカルゴモラ』が現れたのだ。

 

「ピギシャアギャオオオオオオォォォォォォ‼︎」




今までの話の中で一番長くなるとは・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

陛下のメダル(後編)

今までで一番長い話になりました。まさかZでも6000字を超えるとは・・・。
それと影絵は原作と同じイメージです。

ベリアル融合獣『サンダーキラー』登場
ベリアル融合獣『ぺダ二ウムゼットン』登場
ベリアル融合獣『キングギャラクトロン』登場

諸事情があって一旦投稿し直しました。
ご了承下さい。


「か、怪獣だ‼︎」

「確かアレは・・・スカルゴモラ!!」

「ベリアル融合獣‼︎」

「?」

 

アギラとセブンガーの言葉にリクは目の前の怪獣が何なのか答える。ガッツ星人はリクが怪獣について何か知っている事に疑問を浮かべていた。その時、ヘビクラからの通信が聞こえてくる。

 

『お前ら、聞こえるか⁉︎』

「ヘビクラさん、怪獣が出ました‼︎」

『ああ、分かってるよ。俺も怪獣を目の前で見てるからな。』

「えっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

ヘビクラからの通信が来る少し前、ヘビクラはリクを助けた後、倉庫の裏側にいた。そこから人目につかず脱出しようと思ったのだ。しかし、そこにマガバッサーとマガジャッパがやってきた。

 

「へ、ヘビクラさん⁉︎」

「どうしてここにいるんですか⁉︎」

「⁉︎それよりお前ら、リクの方は?」

「リクさんだったらアギラさん達と合流したらしいっスよ‼︎」

「・・・・そうか。」

 

ヘビクラが彼女達の言葉に頷いた時、突然地響きが鳴り響く。地響きの原因を確かめにいった3人が目にしたのはスカルゴモラが現れて暴れ出す光景だった。それを見たヘビクラは作戦に参加した怪獣娘全員に通信をかける。

 

「お前ら、聞こえるか⁉︎」

『ヘビクラさん、怪獣が出ました‼︎』

「ああ、分かってるよ。俺も怪獣を目の前で見てるからな。」

『えっ⁉︎』

 

ヘビクラは通信越しで全員に指示を出す。

 

「お前ら、周りを確認して民間人がここに紛れ込んでいないか調べろ‼︎ハルキは民間人であるリクの避難を頼む‼︎」

『り、了解‼︎』

 

 

 

 

リクはヘビクラの通信を聞いてぎこちなく怪獣に怯える演技を始め出す。ハルキはリクを追っていった。

 

「わぁ・・・怪獣・・・だ、誰か助けてー‼︎」

「リクさん⁉︎」

「リク先輩は俺が何とかする‼︎ミコ達は周りに巻き込まれている人がいないか確認してくれ‼︎」

「分かった‼︎ハル、気をつけて‼︎」

 

ガッツ星人の言葉に頷いたハルキはリクの元に走っていく。そしてリクに追いつくとウルトラゼットライザーを取り出した。先程の行動はウルトラマンである自分の正体を知られないようにするための演技だったのだ。

 

「行くよ、ハルキ‼︎」

「はい‼︎」

 

2人はお互いゼットライザーのトリガーを押してインナースペースに突入する。お互いとも自身の顔が刻まれたウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Riku Access Granted〉

〈Haruki Access Granted〉

 

リクはギャラクシーライジングに変身するための3枚のメダルを取り出してゼットライザーにセットする。

 

「ライブ、ユナイト、アップ‼︎ウルトラマンギンガ‼︎ウルトラマンエックス‼︎ウルトラマンオーブ‼︎」

 

そしてブレード部分を動かしてそのメダルをゼットライザーに読み込ませる。

 

〈GINGA〉、〈X〉、〈ORB〉

 

「集うぜ、キラ星‼︎ジイイイィィィィド‼︎」

 

ULTRAMAN GEED GALAXY- RISING

 

ハルキもゼットライザーに3枚のメダルをセットし、読み込ませる。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

「ジェアッ!!」

 

ウルトラマンゼットにウルトラマンジード、2人のウルトラマンが夕陽を背に着地した。2人のウルトラマンは共にスカルゴモラに向かっていく。スカルゴモラも2人のウルトラマンを確認すると角と背中の突起を光らせて『スカル超振動波』を起こしながら、2人のウルトラマンに向かっていく。

 

「ピギシャアアアアギャアオォォォ‼︎」

「「シェアッ‼︎」」

 

2人のウルトラマンがスカルゴモラと取っ組み合う。ジード、ゼットが正拳をスカルゴモラに放つと、スカルゴモラも融合元となった怪獣の怪力を込めたパンチで2人のウルトラマンを攻撃する。一度は離れるもすぐに距離を詰めてゼットがスカルゴモラと取っ組み合い、ジードが横から蹴りを入れる。そして後ろに回り込んだジードがスカルゴモラの尻尾を掴みその動きを封じた。その隙にゼットの裏拳がスカルゴモラの背中に命中した。スカルゴモラもゼットに再びパンチを放ち、2人のウルトラマンは距離を取る。

 

「ジェアッ‼︎」

「ハアッ‼︎」

 

再び距離を詰めてスカルゴモラと取っ組み合う2人のウルトラマン。やがてスカルゴモラが2人のウルトラマンを引き離すとスカルゴモラのゴモラを思わせる角がゼットを殴打する。

 

「ピギシャアアアギャアオォォォ‼︎」

「ジィアッ⁉︎」

 

ジードが横から引っ掻き攻撃をしようとするがそれをかわしたスカルゴモラは角の一撃でジードを攻撃した。2人のウルトラマンはスカルゴモラから距離を取る。その時、スカルゴモラは右足で地面を叩き白熱化した破砕岩をぶつける『ショッキングヘルボール』を2人のウルトラマンにぶつける。それは周りを火の海に変えながら2人のウルトラマンを苦しめる。

 

『ゼットスラッガー‼︎』

『レッキングリッパー‼︎』

 

ゼットの頭から放たれたスラッガーとジードが腕から放つ切断光線がスカルゴモラに命中する。しかし、スカルゴモラの中のカブラギは新たなメダルを取り出した。

 

「ベリアル、異次元超人、宇宙怪獣。」

 

ベリアルのメダルに加えてかつて異次元人がエースを倒すためにウルトラ兄弟の技を身につけさせた異次元超人の力を宿した『エースキラーメダル』、宇宙怪獣の力を宿したメダル『エレキングメダル』をゼットライザーにセットして読み込ませる。

 

〈BELIAL〉、〈ACE-KILLER〉、〈ELEKING〉

 

「キエテ カレカレータ。」

 

THUNDER KILLER

 

「キイイイイインウウウウウゥゥゥ‼︎」

 

爆炎の中からスカルゴモラは青白い皮膚の鎧を纏ったエレキングを思わせるベリアル融合獣『サンダーキラー』に姿を変えて現れた。姿が変わった事に2人のウルトラマンだけでなく怪獣娘も驚きを隠せない。

 

『姿を変えられるのか⁉︎』

『そのためにベリアルメダルを‼︎』

「な、何アレ⁉︎」

「怪獣の姿が変わってる⁉︎しかもあの怪獣って・・・エレキング⁉︎」

「い、いや・・・何か違うような・・・。」

 

左腕についたエースキラーの鉤爪に電撃を纏いサンダーキラーがゼットを斬りつける。ゼットは思わず建物を破壊しながら倒れてしまう。ジードはゼットに駆け寄ろうとした。

 

『ゼット‼︎』

 

しかしサンダーキラーはエレキングの長い尻尾をジードに巻きつけて電撃を流し込んだ。サンダーキラーの尻尾が離れるとジードは倒れてしまう。そしてサンダーキラーの姿は新たな姿に変わっていた。

 

PEDANIUM ZETTON〉

 

「ピポボポポポゼットォーングワッシグワッシ‼︎」

 

サンダーキラーは宇宙恐竜『ゼットン』が宇宙ロボット『キングジョー』の鎧を纏ったような外見のベリアル融合獣『ペダニウムゼットン』に変身した。変身して間もなくペダニウムゼットンは大火力の火球『ペダニウムメテオ』を叩き込む。その一撃で2人のウルトラマンは膝をついてしまう。体力に限界が近づきつつあるのかカラータイマーもなり始める。

 

「ジェアアアッ⁉︎」

「グッアアアッ⁉︎」

 

KING GALACTRON

 

ペダニウムゼットンは更に姿を変える。頭部と左半身はシビルジャッジメンター『ギャラクトロン』、胸部と右半身がキングジョーのパーツで出来たベリアル融合獣『キングギャラクトロン』は更に右腕のランチャーから放つ『ペダニウムハードランチャー』で2人のウルトラマンに追い討ちをかけた。

 

(コレは・・・・本当にヤバイ・・・。)

「このままじゃウルトラマンが‼︎」

「ワタシ達も行きまショウ‼︎」

「ええっ⁉︎2人のウルトラマンが苦戦するような怪獣にあたし達が行っても‼︎」

「足手纏いにしかならないですよ‼︎」

 

ウインダム、キングジョー、ザンドリアス、ノイズラーがそんな会話をしている間もキングギャラクトロンは2人のウルトラマンに向かっていく。その時、上から突然声が降りてきた。

 

『俺の弟子を名乗るなら根性見せやがれ‼︎』

 

そう言って降りてきたのはウルトラマンゼロだった。ゼロは額のビームランプから放つ『エメリウムスラッシュ』をキングギャラクトロンに放つ。エメリウムスラッシュを喰らったキングギャラクトロンは背中から地面に倒れる。ゼロは纏っていたマントをはためかせる。

 

『師匠、無事だったんですね‼︎』

『へっ、俺の心配するなんざ2万年早いぜ。何とかシャイニングの力で時間を逆行させてワームホールから脱出したって訳だ。』

 

実はシャイニングウルトラマンゼロの必殺技の1つ『シャイニングスタードライブ』は時間を巻き戻す力がある。ゼロはその力で戻ってきたのだ。

 

『シャイニングは力の消耗が激しいから追い付くのに時間が掛かっちまったがな。』

『相変わらず主役は遅れてくるってやつですね。』

『へへっ、頼もしくなったじゃねぇか、ジード。』

『師匠‼︎俺は!俺は‼︎』

『今から見せてみろ。お前がどれだけ強くなったかを。』

『よっしゃあ‼︎ウルトラやってやるぜ‼︎』

 

怪獣娘達も3人目のウルトラマンに驚きと興奮を隠せない。

 

「ウルトラマンが3人も⁉︎」

「凄い!凄いよ‼︎こんな事、滅多にないよ‼︎」

「こんな光景を見る事が出来るなんて‼︎」

「これなら絶対に勝てるよ‼︎」

 

キングギャラクトロンは起き上がり、3人のウルトラマンに向かって進撃する。ゼロはマントを脱ぎ捨て3人のウルトラマンは目の前の怪獣を迎え撃つ。ゼロは頭の『ゼロスラッガー』を合わせて巨大な剣『ゼロツインソード』に変形させる。ゼロはゼロツインソードでキングギャラクトロンに切りかかる。キングギャラクトロンの体はゼロツインソードの斬撃で幾度も火花を散らした。そしてゼロツインソードをゼロスラッガーに分離させるとゼロは二刀流のスラッガーで更にキングギャラクトロンの体に切り傷を与えていく。

 

「シェアッ‼︎シャッ‼︎」

 

キングギャラクトロンはゼロの斬撃を10回以上喰らってよろけ始める。ここでゼロはゼロスラッガーを胸のカラータイマーに取り付ける。そして胸にエネルギーを溜めて必殺光線を放つ。

 

『ゼロツインシュート‼︎』

 

ゼロツインシュートがキングギャラクトロンに命中する。しかし、硬いキングジョーとギャラクトロンの装甲はゼロツインシュートに耐える。それでも喰らった衝撃でキングギャラクトロンはよろけるがすぐに体勢を立て直してスカルゴモラに変身した。

 

「ピギシャアアアギャアアオォォォ‼︎」

 

Ultraman Z Beta Smash

 

ベータスマッシュに変身したゼットがスカルゴモラに肘打ちを2度撃つ。その隙にゼロはかつて共に戦ったダイナの『ストロングタイプ』と慈愛の勇者『ウルトラマンコスモス』の『コロナモード』の力を受け継いだ『ストロングコロナゼロ』に変身して腕のブレスレットを叩く。

 

『ガルネイトバスター‼︎』

 

ゼットがスカルゴモラの頭を抑えている隙にストロングコロナゼロの必殺光線がスカルゴモラに叩き込まれる。それを喰らって怯んだスカルゴモラにゼットは右腕を光らせて必殺のゼスティウムアッパーを放つ。

 

『ゼスティウムアッパー‼︎』

 

ゼスティウムアッパーを受けたスカルゴモラは空高くに飛んでいく。空中でスカルゴモラはサンダーキラーに変身した。

 

「キイイイィィィィンウウウウウウゥゥゥ‼︎」

 

ジードもサンダーキラーを追って空高く飛び立つ。サンダーキラーは口から赤黒い三日月状のカッター光線『ライトニングキラーカッター』を放つ。リクはそれを見てゼットライザーのブレードを戻し、再びメダルを読み込ませる。

 

〈GINGA〉、〈X〉、〈ORB〉

 

「ギャラクシーバースト‼︎」

 

ジードはゼットライザーをふるい、ライトニングキラーカッターを捌きながら赤黒い稲妻状のエネルギーが溜め込まれたゼットライザーですれ違いざまにサンダーキラーを斬りつける。ジードの斬撃でサンダーキラーは地面に大きな衝撃を与えて落下する。ゼットもアルファエッジに戻り、ゼットランスアローを構える。ゼロはダイナの『ミラクルタイプ』の力とコスモスの『ルナモード』の力が合わさった『ルナミラクルゼロ』に変身し、腕のブレスレットを『ウルトラゼロランス』に変えてサンダーキラーに向かっていく。

 

「ゼェットォォォンピポポポポポグワッシグワッシ‼︎」

 

サンダーキラーはペダニウムゼットンに変身して2人のウルトラマンを迎え撃つ。しかし、2人のウルトラマンの槍捌きはペダニウムゼットンでも受け流しきれないものだった。ゼットの槍を受け止めるも横からゼロのウルトラゼロランスが脇腹に切り傷を与える。今度はゼロの槍を右腕で受け止めるもゼットのゼットランスアローの斬撃を左横から受ける。2人のウルトラマンはペダニウムゼットンの前に立つとゼットが至近距離からゼットランスアローのレバーを引いて数発程光弾を撃つ。

 

『アローショット‼︎』

 

ゼットのアローショットを受けたペダニウムゼットンに追い討ちを掛けるようにゼロが牽制技を放つ。

 

『レボリウムスマッシュ‼︎』

 

レボリウムスマッシュを受けたペダニウムゼットンは後退する。再びゼットがゼットランスアローを構えて氷の矢をペダニウムゼットンに向ける。

 

『ゼットランスアロー‼︎』

 

ゼットの放った氷の矢がペダニウムゼットンを吹き飛ばし、その体を凍てつかせる。そして3人のウルトラマンが夕陽を背に並び立つ。

 

『そろそろ決めますか‼︎』

『おい!お前が仕切んな‼︎』

『2人とも言い合いしてないで行くよ‼︎』

『行きましょう‼︎』

 

3人は必殺光線の構えに入る。ゼットはZ字の文字を形成し、ジードは腕を開いて全身からオーラがはみ出るくらいのエネルギーを溜める。ゼロは右腕を下に曲げ、左腕を横に真っ直ぐにして意識を集中させる。3人は必殺光線の溜めを終えると必殺光線を放った。

 

『ゼスティウム光線‼︎』

『レッキングフェニックス‼︎』

『ワイドゼロショット‼︎』

 

3人のウルトラマンが放った光線は氷漬けになったペダニウムゼットンを爆炎を上げて粉砕した。ウルトラマンの勝利にガッツ星人、アギラ、セブンガーが歓喜の声を上げる。

 

『やったーーー‼︎』

 

ペダニウムゼットンが完全に倒された事を確認した3人は空に飛び去っていく。その姿を見ながらヘビクラは横でウルトラマンの勝利を喜ぶ魔王獣の怪獣娘達に聞こえない声で呟いた。

 

「やったな、ウルトラマンが勝った‼︎」

「うん‼︎」

「ったく・・・面倒掛ける奴らだ・・・。」

 

するとそこにボロボロのGIRLSの制服を着た青年が通りかかる。マガバッサーとマガジャッパはその青年に駆け寄った。

 

「だ、大丈夫ですか⁉︎」

「何処でこんな怪我を・・・。今、救急車を呼びます‼︎」

「・・・・お前ら、ソイツから離れろ‼︎」

「えっ・・・・キャアッ‼︎」

 

その青年こそカブラギに寄生したセレブロだった。セレブロは手に持っていた白い銃でマガジャッパを撃つ。マガジャッパに駆け寄ったマガバッサーはセレブロに文句を言おうとするもセレブロは姿を眩ませていた。そこにヘビクラがやってくる。

 

「ジャッパ、大丈夫か?」

「う、うん。」

「おい、アンタ何すんだよ⁉︎・・・・っていない⁉︎」

 

既に姿を眩ませたカブラギのいた場所には名札と2枚のメダルが落ちていた。それはカブラギの名前が入った名札とマガバッサー、マガジャッパの横顔が描かれたメダルだった。それを拾った2人は驚いた表情を浮かべる。

 

「なっ⁉︎こ、コレって・・・‼︎」

「わたし達のカイジューソウルの怪獣が描かれたメダル⁉︎何でこんなものが⁉︎」

 

一方で名札を拾ったヘビクラは名札に書いてあった名を呟いた。

 

「カブラギ・・・シンヤ・・・。・・・・まさかこいつが・・・・。」

 

 

 

 

 

その頃、ハルキはゼロと対面していた。

 

『お前がゼットの相棒か?』

「押忍、冬河ハルキです‼︎ゼロさんですね‼︎話はゼットさんから聞いていました‼︎いつもメダルで力を使わせてくれてありがとうございます‼︎」

『いいって事よ!』

 

そのやりとりを見ていたリクの元にペガがやってきた。

 

「リク、やっと見つけた‼︎探したんだよ‼︎」

「ペガ‼︎心配かけてごめんね‼︎」

「リク先輩の友達ってペガッサ星人だったんですね‼︎俺、冬河ハルキです‼︎」

「あっ・・・どうも・・・ってそれどころじゃないよ‼︎宇宙のあちこちでデビルスプリンターで凶暴化した怪獣達が暴れてるんだ‼︎早く行かないと‼︎」

『だな‼︎早く宇宙警備隊の任務に戻らないと親父に怒られちまう‼︎・・・タルタロスの件もあるしな・・・。』

「ゼロ、僕はこの宇宙の地球に残って」

「リク先輩‼︎」

 

この星に残ると言いだしそうになったリクの言葉を遮るハルキ。ハルキはリクに強く言い放つ。

 

「リク先輩の力になるって約束したじゃないですか‼︎この星でデビルスプリンターを悪用する奴は俺達が懲らしめます‼︎」

「・・・ハルキ・・・。分かった、この星を頼むよ‼︎」

 

リクとペガは上から来た宇宙船『ネオ・ブリタニア号』に乗って、ゼロと一緒に宇宙に飛び立っていった。ハルキはその背中に向かって大きく叫んでいた。

 

「俺、リク先輩との約束守りますから‼︎絶対に守りますからー!!!」




ハルキ「ハルキと」

ベニオ「ベニオの」

ハルキ&ベニオ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈ORB〉

ベニオ「ウルトラマンオーブ!惑星O-50で力を得たウルトラマンで他のウルトラマンの力を借りて戦う戦士だぜ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈X〉

ハルキ「ウルトラマンエックス。怪獣の力を鎧に変えたサイバーアーマーで戦うんだって。」

ラン「次回は私が担当するわ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『謎の美人姉妹が怪獣の細胞を狙う。そして現れた超合体怪獣。ドンドンパワーアップする強敵には新しいメダルで神秘の超能力を見せてやる!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


神秘の力


ウルトラ変わるぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神秘の力(前編)

いよいよトリガーが始まりました。
タイガの方もZの方も話を進めなければ・・・。
後書きで重大発表があります。

超合体怪獣『トライキング』登場


ここはウルトラマンゼロがリクと共に飛び去った場所である。ここにGIRLSの研究員を引き連れてイズミが訪れていた。実はウルトラマンゼロが降り立った影響でこの場所から未知のエネルギーが検出されGIRLSは調査に乗り出したのだ。

 

「皆さん、ここが先日謎のエネルギー反応があった場所です‼︎くまなく調査をお願いします‼︎」

 

イズミが呼びかける中、1人の青年がその場から離れていく。イズミは青年を引き留めた。

 

「ちょっ、ちょっとカブラギくん、何処に行くんですか⁉︎最近、あなた様子がおかしいですよ‼︎」

 

カブラギは振り返り、イズミを見ると無表情で彼女を睨む。その表情にイズミは恐怖を感じてしまった。

 

「な、何ですか・・・カブラギくん・・・君はどうしてしまったんですか・・・・。」

 

そのままカブラギは何処かへ去っていった。そして人気の無い場所まで来るとそこに2人の女性がやってくる。内、1人は長いツインテールの短パンを来たまだ幼い雰囲気のある少女で1人は赤いロングコートに黒いスカートの大人っぽい女性だ。

 

「貴方がお求めの物はこちらよ。」

「これ、手に入れるのに苦労したんだから‼︎ねぇ、お姉様。」

 

どうやら彼女達は姉妹のようだ。ロングコートを身につけた姉の方はアタッシュケースを取り出してその中身を開く。そこには試験官のような瓶に何らかの液体が入っていた。

 

「約束の超古代怪獣『ゴルザ』、超古代竜『メルバ』、宇宙戦闘獣『超コッヴ』の細胞よ。さぁ、報酬を支払っていただきましょうか。」

「お姉様、わたし、バカンスしたいな‼︎」

 

どうやらこの姉妹とカブラギは怪獣の体液を取引していたようだ。ケースに入っていた説明書を読んでこれが確かに怪獣の体液だと確認したカブラギはギルバリスから作った銃で姉妹を洗脳する。

 

「「うっ⁉︎」」

「残り2つの細胞も手に入れろ。宇宙海獣『レイキュバス』と奇獣『ガンQ』の細胞だ。」

 

 

 

 

 

「き・・・・キツかった・・・。」

「最近は再び怪獣が出るようになったから戦闘が増えたからね・・・。」

 

その頃、怪獣娘達はトレーニング終わりでシャワーを浴びていた。アキとミコが訓練の率直な感想を言う辺りキツいトレーニングだったようだ。その隣ではレイカとサチコ、ミサオも疲れた顔をしている。

 

「シャドウとの戦闘に加えて怪獣と戦う事も多くなりましたからね・・・。ピグモンさんがトレーニングの量を増やすのも分かります。」

「けど、やりすぎですよ‼︎明らかにガッツさんなんか自分より大きい岩を背中に背負わされながら腕立て伏せやらされたじゃないですか‼︎不満とかないんですか⁉︎」

 

レイカの横でサチコがガッツに意見をぶつける。そんなサチコをアキが説得しながら治めた。

 

「まあまあ、ピグモンさんだってボク達のためにやってくれてるんだから・・・。ザンドリアスだっていざという時に大切な人達を守れるくらい強くなった方がいいでしょ。」

「アギラさん・・・それは確かに・・・そうかもしれないけど。」

「そういえばミクラスさんは?」

 

迷うサチコの隣でミサオが話を変えてくる。ミサオの疑問にはミコが答えた。

 

「ミクラスは退院したばかりだから久々の復帰としてまだトレーニング続けてるよ。今頃、ゴモとレッドが付き添ってるんじゃないかな。」

「ミクちゃん、無事に退院できて良かった・・・。」

「わたし、この後ハルと用事があるから上がるね。それじゃあまた。」

 

ミサオの疑問に答えたミコはアギラの呟きを後にシャワー室から出て行った。彼女が完全にシャワー室から出たタイミングでサチコとミサオは自身の胸を見て落ち込みながら呟いた。

 

「ガッツさん、ハルキとデートかな・・・それにしても・・・ガッツさんっておっぱい大きいよね・・・。」

「ヤバいよな、アレ。変身するとそのボディラインがくっきり分かるし・・・アタシ達完全に負けてるよな・・・。」

「ふ、2人ともまだ中学生なんだしこれからだよ・・・。それを言ったらボクだって・・・。」

「あ、アギさん・・・まあ、気持ちは分かりますけど・・・。」

 

レイカの呟きの後で4人は沈黙しながら自分の胸を見ていた。

 

 

 

 

 

その頃、ヨウとユカはヘビクラと3人だけで話していた。内容はカブラギについてだ。ヨウとユカはヘビクラの手の中の名札を見ている。

 

「カブラギ・・・シンヤ・・・。こいつ、GIRLSの研究員だったのか‼︎しかも、多岐沢博士の部下だったなんて‼︎」

「そんな人がなんでわたしを・・・。それに・・・どうしてこんな物まで・・・。」

 

不安そうな表情を浮かべるユカ。その手にはマガジャッパの怪獣メダルがあった。それにつられてヨウもポケットからマガバッサーの怪獣メダルを取り出す。それを見たヘビクラは2人に忠告する。

 

「いいか。前にも言ったがコイツに関しては俺達3人だけの内密な秘密だ。絶対に誰にも言うんじゃねぇぞ。」

「前にも聞きましたけど・・・本当にいいんですか⁉︎そんな事して⁉︎」

「余計な混乱を避けるためだ!博士には俺から聞き出しておく。」

「分かりましたぁ・・・。」

 

ヘビクラの命令に納得がいかないヨウ。親友を傷つけただけでなく怪獣騒動の裏で怪しい動きを見せるカブラギの暗躍を黙って見ていられないようだ。

 

「それにしても・・・何でコイツあんなところでボロボロになってたんだろう・・・。」

「そういえばあの怪獣別の姿に変身してたよね。」

「え?・・・確かに変身してたな・・・ゴモラとレッドキングが合体したような怪獣から鎧を着たエレキング・・・・そこからゼットンとキングジョーが合体したような姿になって・・・白い竜のようなロボットとキングジョーが合体したような怪獣に・・・。」

「姿を変えられる怪獣・・・ねぇ、バサちゃん・・・もしかしてあの人があの怪獣に変身してたんじゃ⁉︎」

「人が怪獣に変身⁉︎そんな事あるの⁉︎」

「分からないけど・・・ウルトラマンのように姿が変えられる怪獣・・・それが3人のウルトラマンに倒された後、カブラギさんがボロボロの姿で現れた・・・コレって偶然にしては出来過ぎてない?」

 

ユカの意見に押し黙るヨウ。彼女達にヘビクラが声を掛けてきた。

 

「その辺りも俺達で調査するぞ。そして奴の正体を突き止める。他の奴らに報告するのは後だ。」

「は、はい‼︎」.

 

ヘビクラは目の前で話し合うヨウとユカには聞こえない声で呟いた。

 

「多分・・・奴がセレブロ・・・だな・・・。地球人の体を乗っ取ったか・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ミコはハルキと合流するとGIRLSを後にしてハルキと街を歩いていた。ミコはハルキの腕に豊満な胸を押し付けながら歩いていた。一方でハルキは顔を若干赤らめながらミコと話していた。

 

「いやー、今日の訓練疲れちゃってさー。何か甘いもの食べに行きたいなー。」

「そ、そうか。確かこの辺に確かフルーツパーラーがあった筈だ。確か人気の果物を使ったパフェがあった筈だからそこに行こうぜ。(ミコ・・・当たってる‼︎お前のデカい胸が当たってるから‼︎)

「本当⁉︎じゃあ案内よろしくね‼︎(ふふ、ハルってば隠してるようだけど顔が赤くなってる‼︎わたしの大きいおっぱいにドキドキしてるんだ‼︎もっと押し付けちゃお‼︎)」

 

ハルキは自身専用のソウルライザーを取り出して店のルートを調べてそこに道を進める。ハルキは歩きながら腕に更に密着してきた柔らかい感触を感じてミコに顔が赤くなってるのがバレないように顔をミコから背ける。

 

 

 

 

 

 

 

フルーツパーラーに入るハルキとミコを後ろから眺める人影がいた。私服姿のマコだ。彼女はハルキとミコの様子が気になったのかフルーツパーラーの前まで足を進める。

 

「アイツら、何でここに⁉︎」

 

マコは店から離れて隣のカフェに入った。そこでコーヒーを注文したマコは窓から見えるハルキとミコに視線を向けた。そこでは2人が大きなパフェを美味しそうに食べていた。ハルキもミコも楽しそうにパフェを食べながら話している。その光景にマコは心がモヤモヤし始める。

 

「・・・何でわたしこんな事してるんだろう・・・。何で・・・ミコの事・・・そんなに・・・。」

 

マコは弱い声で呟くと注文したコーヒーを一口啜った。その後、林檎にかじりつくハルキの方を見ると再び呟いた。

 

「まさかとは思うけど・・・。」

 

 

 

 

 

マコに見られているとは知らずハルキとミコは果物が盛り付けられたパフェを頬張っていた。ハルキがパフェの下段部に盛り付けられた葡萄のアイスをスプーンで掬うと前の席に座っているミコが店員を呼んだ。

 

「すいません、このパンケーキ1つ!」

「お前、まだ食うのかよ⁉︎」

「勿論食べるよ!わたし、まだまだいけるからさ!」

「凄えな・・・昔から大食いだったけど・・・怪獣娘になってから増してないか?」

「それはあるかもね。怪獣娘になってから動く事も多くなったからね。シャドウとの戦いとかさ。」

「・・・太っても知らないぞ・・・。」

「・・・大丈夫だよ!わたし、胸に栄養がいく体質だからさ‼︎」

 

ミコはそう言って腕を組んだ。その際にその大きな胸が強調される。ハルキは思わずミコの胸から目を背けて店員を呼ぶ。

 

「・・・そ、そうかよ・・・。あっ、すいません!俺はフルーツプリン大盛り1つお願いします‼︎」

 

 

 

 

その後、フルーツパーラーを後にした2人を追ってマコは隠れて後をつける。2人は人混みの中に入っていく。マコは見失わないように後をつける。

 

「アイツら、何処に行くのよ・・・。あっ、ヤバッ⁉︎」

 

マコは人混みのせいで2人が遠ざかっていく事に気づく。何とか人混みを避けた彼女は一息つくも既に2人の姿を見失っていた。慌ててハルキとミコを探すも2人の姿は見当たらなかった。これからどうしようか悩むマコ。その時、ソウルライザーから警告音が流れてきた。

 

「何⁉︎」

 

辺りを見渡すと人々が黒いオーラを出しながら苦しんでいる。中には暴れ出す人もいた。

 

「うううううっ‼︎」

「おい、どうしたんだ⁉︎」

「グルアアアアアア‼︎」

「シャドウミスト‼︎こんな時に‼︎」

 

人に取り憑き凶暴化させるタイプのシャドウ『シャドウミスト』が人々に取り憑いている事を知ったマコはシャドウミストに取り憑かれた人々に向かっていく。その頃、ハルキとミコもゲームセンターに入ろうとした途中でシャドウミストに取り憑かれた人々に遭遇した。ミコはガッツ星人に変身して加減したパンチで人々を傷つけないように戦う。

 

「はっ!」

「うっ⁉︎」

 

シャドウミストに乗っ取られた人々を気絶させて大人しくいていくガッツ星人。ハルキはその後ろでガッツ星人が気絶させた人々を介抱していた。

 

「よし、怪我はないな・・・。コレがシャドウミストに乗っ取られた人か・・・。確かに人々に取り憑くコイツらは厄介だな・・・。」

 

ハルキの前ではガッツ星人がシャドウミストに乗っ取られた人々を気絶させてシャドウミストから解放していく。ハルキの後ろでシャドウミストに乗っ取られ今も意識を失っている人達に襲い掛かろうとする影がいた。シャドウが潜んでいたのだ。

 

「‼︎・・・そうはさせるかよ‼︎」

 

ハルキはウルトラゼットライザーを構えてまだ意識を失った人々に襲い掛かろうとするシャドウを切り裂いた。シャドウは真っ二つになって消滅する。ハルキはシャドウが消滅した事を確認すると再びガッツ星人が気絶させた人々の介抱に回る。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、インナースペースの中でカブラギを乗っ取ったセレブロは謎の姉妹から受け取った怪獣の細胞をメダル製造機に流す。するとゴルザ、メルバ、超コッヴの横顔が描かれた怪獣メダルが生成された。

 

「・・・実験だ・・・。」

 

セレブロはゼットライザーのトリガーを押すと再びインナースペースに突入する。セレブロは自身が描かれたウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませるとブレードのメダルをはめる箇所に3枚のメダルをはめ、ブレードを動かしてメダルを読み込ませる。

 

〈Kaburagi Access Granted〉

 

「超古代怪獣、超古代竜、宇宙戦闘獣。」

 

〈GOLZA〉、〈MELBA〉、〈SUPER C.O.V.〉

 

「キエテ カレカレータ。」

 

TRY KING

 

 

 

 

「コレで全員助けたね。」

「ああ。」

 

ハルキとガッツ星人がシャドウミストに乗っ取られた人々を気絶させて全員をシャドウミストから解放していた。ハルキとガッツ星人は顔を合わせてハイタッチをしようとする。その時、暗雲が空を覆い始めた。

 

「何だ、一体⁉︎」

「何か嫌な予感が・・・・。」

 

すると暗雲から巨大な何かが降りてきた。それはメルバの赤いドラゴンを思わせる翼とメルバの顔がゴルザの頭にフードのように覆い被され、腹部には超コッヴの顔が貼り付けれたような怪獣だった。

 

「グオオオオオオギャアアアアアグルオオオオオオオ‼︎」

「嘘でしょ⁉︎シャドウミストに続いて怪獣まで‼︎」

「しかもあの怪獣の姿・・・何だアレ⁉︎3体の怪獣が合体してるのか⁉︎」

 

セレブロが変身した超合体怪獣『トライキング』は雄叫びを上げながらお腹の超コッヴの顔から無数の破壊光弾を放ち街を破壊し始めた。

 

「グオオオオオオオオギャアアアアアアグルオオオオオオ‼︎」




怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバースで怪獣娘×トリガーの試験版を掲載しようと思っています。後にアンケートを取って本格的に連載するか決める怪獣娘×トリガーの主人公ですが・・・・・・

実は主人公の名前が未だに決まっておりません。

一応2つの候補に絞ったのですがどちらにするか決めかねています。皆さんはどちらがいいでしょうか?

『マナカ』ケンゴ+マドカ『ダイ』ゴ→マナカ・ダイ
『マナカ』ケンゴ+ティガのOVの主人公マドカ『ツバサ』→マナカ・ツバサ
アンケートを設置するのでお答え頂ければ幸いです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神秘の力(中編)

トリガーの試験版ですが8月までお待ち下さい。


街を破壊するトライキングをマコが変身したガッツ星人もその姿を見ていた。

 

「ちょっと・・・嘘でしょ・・・。」

 

目の前の怪獣は腹から黄色い光弾を放ちながら街を破壊している。それを見て思わずガッツ星人は駆け出していった。

 

 

 

 

GIRLSでもトライキングの出現が報告されていた。GIRLS内にピグモンのアナウンスが響き渡る。

 

『皆さん、緊急事態です‼︎町に怪獣が現れました‼︎直ちに現場に急行してください‼︎』

 

そのアナウンスを聞いてアギラ、ミクラス、レッドキング、ゴモラ、キングジョー、セブンガーが町に飛び出していった。彼女達がトライキングに向かう中、逃げる市民をウインダムが避難誘導する。

 

「皆さん、こちらです‼︎こちらに避難してください‼︎」

 

アギラ達はガッツ星人と合流する。彼女達は目の前のトライキングを見て構えた。

 

「なんかこの怪獣・・・他の怪獣が合体してない?」

「それって結構ヤバい?」

「かつてウルトラ兄弟を倒したタイラントという合体怪獣がいたらしいし、この怪獣も結構ヤバいかも・・・皆、気をつけて戦うよ‼︎」

「だったら早めに勝負を決めます‼︎ソウルライド、『EXモード』‼︎」

 

セブンガーがEXモードに変身して背中のブースターを吹き上げながらトライキングに突撃する。トライキングは目の前の敵を確認すると額からゴルザの超音波光線を放つ。セブンガーは間一髪で何とかかわす事が出来た。

 

「グオォォォォォォギャアァァァァァァグルオォォォォォォ‼︎」

「危なかった・・・。」

「あの怪獣、合体した怪獣の能力も使えるんだね・・・。」

「これは本当にヤバいかも・・・。」

「早めに勝負を決めると言いました‼︎出し惜しみは無しです‼︎ 硬芯鉄拳弾、発射‼︎」

 

セブンガーが放ったロケットパンチは確かにトライキングに命中した。その一撃にトライキングは一瞬怯むもすぐに持ち直してメルバの翼を広げて空に飛び立つ。そして空からメルバの目から放たれる光線「メルバニック・レイ』を怪獣娘目掛けて発射する。それは雨のように怪獣娘に降り注いだ。

 

「グオオォォォギャアアアァァァァグルオオォォォ‼︎」

「皆、逃げろーーっ‼︎」

 

怪獣娘達は降り注ぐ破壊光線から必死に逃げる。メルバニック・レイは地面に命中して大爆発を何度も起こした。

 

 

 

 

 

 

 

GIRLS本部ではヨウとユカがトライキングに苦戦する怪獣娘達を見て苦い表情を浮かべていた。

 

「ヤバいよ・・・先輩達が手も足も出ない・・・。」

「セブンガーちゃん・・・大丈夫かな・・・。」

 

ユカが入ったばかりの後輩を心配する台詞を呟く後ろでヘビクラはポケットから何かを取り出した。それはトライキングを形成する怪獣と因縁の深いティガ、ダイナ、ガイアのメダルだった。ヘビクラはヨウとユカにバレないように後ろを向いてメダルを弄りながら呟く。

 

「奴は3体の怪獣の力が使えるのか・・・。」

 

そして右手で1枚のメダルを掴んだ。それはかつて共に戦い、自身のやり方を否定したウルトラマンダイナのメダルだった。

 

「こんな時、戦士ならどう戦うんだ?」

 

ヘビクラは目の前のモニターを振り返りながらダイナのメダルに問いかけた。

 

 

 

「うおりゃあああああ‼︎」

 

その頃、ハルキはシャドウ相手にゼットライザーを構えて戦っていた。ハルキは残っていた最後の1体をゼットライザーで切り裂き消滅させる。全てのシャドウを倒した事を確認したハルキは改めてトライキングに視線を向けた。するとトライキングの腹から放たれた破壊光弾がハルキのいるところに降り注いだ。

 

「うわあああぁぁぁぁ⁉︎」

 

ハルキは何とかその場から走って逃げるも爆風に吹っ飛ばされてしまう。そしてゼットライザーを手放してしまった。ハルキはゼットライザーが手元から無くなった事にも気付かず吹っ飛ばされた衝撃で気絶してしまった。

 

 

 

 

 

その頃、怪獣が暴れていると知らないとある大富豪の豪邸でパーティーが開かれていた。その大富豪はかなりの隕石マニアだったらしく目の前のアタッシュケースに入った2つの隕石を見て歓喜の声を上げていた。

 

「おおっ‼︎これは素晴らしい‼︎これこそ私の探し求めていたもの・・・。」

 

すると突然部屋のドアが開き赤いコートの女が入ってきた。セレブロと怪獣の細胞を取引していた女だ。ガードマンが彼女を呼び止めるも、女は華麗な蹴り技でガードマンを吹っ飛ばしてしまう。

 

「何か御用ですか?・・・ぐあっ⁉︎」

「ぐっ⁉︎」

 

そして女は大富豪に近づいていく。それを見た大富豪は地面に尻餅をついて後退りするも目の前の隕石を抱えて女を睨む。すると女は華麗な蹴り技で大富豪を気絶させた。

 

「な、何だ⁉︎この隕石は渡さないぞ‼︎ぐっ・・・あ・・・。」

 

女はアタッシュケースの中身を確認する。そして中の隕石をチェックしていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、怪獣娘達はトライキングに苦戦していた。トライキングの火力に中々近付けずにいたのだ。ハルキは目を覚ますと幼馴染達がトライキングに悪戦苦闘しているのを見てゼットライザーを構えようとする。しかし、ゼットライザーを落とした事に気付かなかったハルキは手元にゼットライザーが無いのを確認して焦る。

 

「あ、あれ・・・ゼットライザーが無い!!何処ですか、ゼットさん!!」

 

ハルキはふらつきながらゼットライザーを探し始めた。その一方でガッツ星人(マコ)は怪獣目掛けて街を歩いていた。その途中で見慣れない機械を目にした。ガッツ星人(マコ)は思わずその機械を手に取った。

 

「何コレ・・・?」

 

彼女は知らなかった。その機械こそハルキがウルトラマンゼットに変身するために必要なアイテム『ウルトラゼットライザー』である事を。ゼットライザーを見続けているガッツ星人(マコ)の前で大爆発が起こる。そして明るい色のガッツ星人が落ちて来た。ミコが変身したガッツ星人だ。彼女は咳き込みながらトライキングを見上げて立ち上がる。

 

「ゲホゲホッ・・・いったぁ〜っ・・・。」

「ミコ⁉︎」

「マコ⁉︎来てたの⁉︎」

 

ガッツ星人(ミコ)がガッツ星人(マコ)に気付くとトライキングは暗雲と共に姿を消していった。2人のガッツ星人はそれをただ見送る事しか出来なかった。

 

「あの怪獣・・・消えたわね・・・。」

「そうだね・・・3体の怪獣の力が使えるだけあって手強かったよ・・・・ところでマコ、その手にあるものは何?」

「コレ?道端に落ちてたのよ・・・。何かの機械だと思うんだけど。」

「見つけたよ、ウルトラマンゼット。」

 

2人のガッツ星人に近付く人影が話しかけて来た。それはセレブロと怪獣の細胞を取引していた髪型をツインテールにしたホットパンツの女だった。女の言葉に2人のガッツ星人は驚いていた。

 

「ウルトラマンゼット・・・わたしが・・・?」

「何の話よ?」

「惚けるの?それを持っているって事は貴方がウルトラマンゼットなんでしょ。まさか怪獣娘の中にウルトラマンゼットがいたなんてね。」

「ちょっ、ちょっと待って⁉︎コレってウルトラマンゼットの物なの⁉︎」

「トンデモない代物だったようね、コレ。けど、わたし達はウルトラマンじゃないわ‼︎」

「そうなのね。でも、ソレは渡してもらうわよ‼︎」

 

そう言って女は蹴り技を仕掛けてきた。2人のガッツ星人は避けて女に戦闘態勢を取る。

 

「悪いけど・・・コレは渡せないよ‼︎」

「そうね・・・それにその身のこなし・・・アンタ、人間じゃないわね。」

「煩い‼︎はあああっ‼︎」

「「うっ⁉︎」」

 

女の放った縦回転蹴りは2人のガッツ星人の脳天に思い切り直撃した。頭の衝撃に2人のガッツ星人は倒れてしまう。2人とも頭の衝撃が大きかったのか気絶していた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルキは行方が分からなくなった幼馴染を探していた。しかし、ミコの姿が見つからない上にゼットライザーの行方も分からないため、思うように探せなかった。そこにハルキ専用のソウルライザーに着信が掛かる。相手はピグモンだった。

 

『こちらピグモン‼︎ハルハル、無事ですか⁉︎』

「ピグモンさん‼︎俺は大丈夫です‼︎けど、ミコと連絡が取れないんです‼︎」

『それはこちらも同じです‼︎マコマコの行方も分からなくなっています‼︎』

「俺が2人を探しますからピグモンさんは情報収集をお願いします‼︎」

『えっ⁉︎ハルハル、待って下さい‼︎』

 

ハルキはピグモンからの通信を切り、ミコとマコの捜索とゼットライザーの回収のためその場を後にした。

 

 

 

 

「ったく、あんにゃろう・・・。」

「へ、ヘビクラ隊長、落ち着いてください‼︎」

 

その頃、GIRLSではヘビクラが舌打ちしながら呟いていた。こちらに指示してきたハルキにご立腹だったのだ。そんなヘビクラをヨウとユカが宥める。

 

「ヘビクラさん、そんなに腹を立てなくても・・・。」

「そうですよ、ガッツさんの行方を探さないといけないのは事実ですし・・・。」

「まっ・・・確かにお前らの言う通りだな・・・このままほっとくわけにもいかねえか。」

 

そう言ったヘビクラは机にしまっていたカブラギの名札を取り出して部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

その頃、ガッツ星人は意識を取り戻した。しかし、彼女の目の前の景色は見た事が無い光景だった。まるで豪華なお金持ちの屋敷のパーティールームのような場所に彼女はいた。それは先程の隕石マニアの大富豪の屋敷の中だ。彼女の手首は縛られて怪獣娘の変身が解除されている。しかもその後ろには手首を縛られて気絶したマコがいる。彼女も変身が解けていた。ミコはマコに呼びかける。

 

「マコ、マコ、しっかりして‼︎」

「う・・・う〜ん・・・。」

 

マコはミコの呼び掛けに答えて目を覚ました。しかし、意識を取り戻して目にした景色に戸惑いを隠せない。

 

「ちょっと‼︎ここは何処なのよ‼︎」

「御免・・・わたしもここが何処か分からないんだよね・・・。」

 

ミコの言葉を聞いて周りを見渡すマコ。すると目の前のテーブルに置いてあるスマホ型のアイテムに目がついた。それは彼女達のソウルライザーだった。

 

「ソウルライザー⁉︎嘘でしょ⁉︎」

「ヤバッ・・・・何とか取り戻さないと・・・。」

 

すると部屋に入ってくる人影がいた。それは先程自分達と交戦していた女だった。ミコは女に呼び掛ける。

 

「ちょっと貴方、早くわたし達を解放してよ‼︎」

「GIRLSが黙っちゃいないわよ‼︎」

「煩い‼︎」

 

ミコとマコが女と言い争っている部屋の隣には女の姉がいた。彼女は先程この屋敷の持ち主から奪った隕石を隣にいた男に引き渡す。

 

「ガンQとレイキュバスの細胞を含有した隕石です。」

「新たな実験に移行する。」

 

それはセレブロだった。実はセレブロはある実験のためにある怪獣の細胞を求めていた。かつて知能の高い宇宙生物『スヒューム』に操られてダイナを氷漬けにした宇宙海獣『レイキュバス』と不条理の塊りと言われる奇獣『ガンQ』の細胞だった。実はこの屋敷の持ち主が手に入れた2つの隕石にその細胞が付着していたのだ。それでこの屋敷の主人は女の襲撃を受けたのである。

セレブロは目の前にある隕石に自身の求めていた怪獣の細胞が付着している事を確認するとそれを受け取ってゼットライザーのトリガーを押してインナースペースの中に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSではヘビクラが多岐沢の元を訪ねていた。カブラギの名札を届けるついでに妙な場所で拾った事で最近のカブラギの様子を聞く事でセレブロの事を探ろうと思ったのだ。

 

「すいません、わざわざ届けていただいて・・・。」

「礼はいい・・・・・最近彼に変わった事は無いか?」

 

すると多岐沢はその言葉に心当たりがあるのか目を見開いてヘビクラを見る。ヘビクラの追求に思わず多岐沢は最近のカブラギの事を答えてしまう。

 

「ど、どうしてそれを⁉︎」

「いや、ソイツを拾った場所が以前3人のウルトラマンと怪獣の戦闘があった場所だったからな・・・少し気になって・・・。」

「・・・実は最近、彼の様子がおかしいんです・・・。態度も大きくなって連絡もつかないんですよ・・・。」

「成る程な・・・。」

「僕の城南大学准教授時代の最後の教え子の1人ですから・・・最近は本当に心配で・・・。」

 

そう言って多岐沢は机に立て掛けてあった写真立てを眺める。そこには城南大学准教授時代の多岐沢の研究室に所属していた学生達が笑顔で多岐沢を囲みながらカメラに満縁の笑みを向けた写真が立てられておりそこには笑顔のカブラギの姿もあった。

 

「様子がおかしくなったのはいつからだ?」

「えっと・・・多分ですが再び地球に怪獣が出現するようになってからだと思います・・・。何だか雰囲気も暗くなってしまったように見えるんですよね・・・。昔の彼は私達と一緒に怪獣学を研究していて、今の状況なら彼は喜んで怪獣に関わる仕事に飛び込みそうなのに・・・。」

「へ〜・・・。(セレブロの奴・・・恐らく宇宙怪獣の中に潜んでソイツに寄生しやがったか・・・・。)」

 

ヘビクラは多岐沢の部屋を出てカブラギのデスクに向かう。そこには見た事の無い文字で書かれたメモが置いてあった。正体が宇宙人であるヘビクラにはそのメモに何が書かれているのか分かったようだ。

 

「ウルトラメダルの製造法だと・・・。」

 

 

 

 

その頃、セレブロは入手したレイキュバスとガンQの細胞が付着した隕石をメダル製造機に投入する。するとレイキュバスとガンQが描かれた怪獣メダルが完成した。セレブロはそれらを手に取ると再びゼットライザーのトリガーを押してインナースペースの中に入って行った。




いよいよ明日のトリガーではガゾートが登場するようで楽しみです。
最近はキリエロイドのスーツも新造されたらしいですし、キリエロイドの登場もあり得るかも・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

神秘の力(後編)

大変お待たせして申し訳ありません。
影絵は原作と同じイメージです。

変身怪人『ピット星人』登場
超合体怪獣『ファイブキング』登場


ミコとマコ、そしてゼットライザーを探して街を走るハルキ。彼のソウルライザーに着信がかかって来た。ハルキはソウルライザーの画面を確認する。相手はキングジョーだった。

 

「キングジョーさん⁉︎どうしました‼︎」

『ハルキ、ガッツの行方を特定出来マシタ‼︎どうやらもう1人のガッツと一緒にイマス‼︎身動きが出来ない状況なのかそこから一歩も動きまセン‼︎』

「俺がミコとマコさんを救出します‼︎ミコ達の位置を教えて下さい‼︎」

『了解デス‼︎』

 

ハルキはキングジョーとの通信を切る。そしてハルキのソウルライザーのマップにミコ達の位置が転送されてきた。ハルキはそれを確認するとすぐに走り出してミコ達の元へ向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ミコとマコは謎の姉妹に捕まったままだった。そんな中、マコはネガティブな事を言い出した。

 

「わたしのせいだ。わたしがあんな物拾わなきゃ・・・。」

「ちょっと、マコ⁉︎」

「わたしのせいで・・・ミコも・・・こいつらに・・・捕まったんだ・・・。」

「マコ‼︎貴方は悪くない‼︎悪いのはこの2人だよ‼︎それにマコはウルトラマンゼットの手掛かりを見つけてくれたじゃん‼︎」

「ミコ・・・でも・・・わたしはシャドウミストの影響で生まれたから・・・わたしは普通の人間ですらない・・・だから・・・わたしのせいで皆に不幸が・・・。だからあの時ミクラスを」

「もうミクラスもマコの事気にしてないよ‼︎自分の出自が何⁉︎それで皆と違うからって距離を取っても仕方ないじゃん‼︎」

「ミコ・・・。」

「ミコの言う通りだぜ‼︎マコさん‼︎」

 

その時、部屋のドアを蹴破ってハルキが謎の姉妹に飛び蹴りを放った。姉妹は後ろに飛んで避ける。ハルキはミコとマコの拘束を解きながらマコと話す。

 

「アンタは⁉︎」

「ハル‼︎来てくれたんだ‼︎」

「ああ、助けに来たぜ‼︎マコさん、ミコからアンタの話は聞いてたよ。」

「アンタ、知ってたの⁉︎」

「GIRLSに入った時にミコから全て聞いたよ。そして悪いけどさっきの会話も聞こえてた・・・。人間は誰だって悩む者なんだ・・・悩むって事はアンタは人間なんだよ。不幸を呼ぶ存在なんかじゃない。」

「でも・・・。」

「マコさん、俺はアンタを受け入れる‼︎・・・いや、俺だけじゃない!もうGIRLSの皆はアンタの事を受け入れてるんだ‼︎後は一歩踏み出せばいいんだよ‼︎」

「ちょっと‼︎わたし達抜きで勝手に話を進めんじゃないわよ‼︎」

 

姉妹の妹がハルキ達に怒鳴った時、突然地面が揺れ始める。その頃、外では再びトライキングが現れて街を超コッヴの光弾で破壊していた。ミコは嫌な予感を感じてハルキに指示を出す。

 

「ハル、外の様子を見てGIRLSに報告して‼︎」

「ミコは⁉︎」

「こいつらと決着をつける‼︎」

「わたしもやるわ!さっきのお返しをさせてもらうわよ‼︎」

 

ミコとマコはソウルライザーを取り出して怪獣娘に変身した。そしてハルキの目の前でガッツ姉妹が謎の姉妹との戦闘を始める。ハルキは外に出ようとするとテーブルに置いて合ったゼットライザーを見つけた。

 

「あった‼︎」

 

ハルキはゼットライザーを持って外へ飛び出す。すると腹からの光弾で街を破壊するトライキングの姿が目に映った。ハルキはゼットライザーのトリガーを押してヒーローズゲートに走っていく。そこで自身の顔が写ったウルトラアクセスカードをゼットライザーにセットした。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!」

「ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

ハルキはゼットライザーにアルファエッジ用のメダルをセットし、ライザーに読み込ませた。

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

ゼットは夜の町に光と共に現れた。ゼットがハルキに苦言を立てる。

 

『無くすなんてウルトラ酷いじゃないか‼︎』

(説教は後です‼︎』

 

トライキングはゼットを見ると敵だと認識してゼットに向かっていく。ゼットも戦闘態勢をとって向かっていく。

 

「ジェアッ‼︎」

 

ゼットはトライキングに向かって突っ走り飛び蹴りを決める。トライキングは腕を振り回してゼットに打撃を与えようとするもアルファエッジの手捌きはトライキングの攻撃を受け流す。6度の攻撃を受け流したゼットは正拳から前蹴りを放った。

 

 

 

「でやああっ‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)はまず美人姉妹の妹に飛び蹴りを仕掛ける。すると妹はバク転で避けた。姉の方と戦闘するガッツ星人(ミコ)は姉の方と激しく蹴り合っていた。姉の蹴りは怪獣娘になったガッツ星人の蹴りと互角に渡り合う。やがてガッツ星人(マコ)の方が妹に掴みかかった。

 

「しまった‼︎」

「さっきのお返しよ‼︎」

 

ガッツ星人は壁に向かって妹の体を投げた。彼女の体は強く壁にぶつかって姿が変わった。彼女は黄色い発光体が頭に付いた昆虫を思わせる宇宙人だったのだ。彼女達姉妹の正体はかつてエレキングを連れて地球侵略を企んだ変身怪人『ピット星人』だったのだ。

 

「ピット星人だったのね・・・!という事はコイツがお姉様と呼んでたアイツも・・・。」

 

ガッツ星人(ミコ)はピット星人の蹴りを3度受け流す。こっちに向かってきたピット星人は回し蹴りを放つもガッツ星人(ミコ)はこれを避ける。ピット星人は今度は右ストレートを放つも拳を受け止めたガッツ星人(ミコ)はピット星人の後ろに回り込み肘打ちからの投げを決める。壁に激突したピット星人は本来の姿に戻っていた。

 

ゼットはトライキングの腕の一撃を受け止めて正拳を放つと炎の回し蹴りを左足、右足、左足の順で3度放つ。

 

『(アルファバーンキック‼︎)』

 

先を見せずにゼットの額のビームランプからゼスティウムメーザーが放たれる。

 

『ゼスティウムメーザー‼︎』

 

ゼスティウムメーザーを受けたトライキングは後退する。そしてゼットはゼットランスアローを構えてトライキングに斬りかかる。ゼットランスアローでトライキングを5回斬りつけた。頃合いを感じたセレブロは2枚のメダルを取り出した。それは先程作ったレイキュバスとガンQのメダルだった。

 

「奇獣、宇宙海獣。」

 

そのメダルをゼットライザーにセットするとブレード部分を動かして読み込ませる。

 

〈GAN-Q〉、〈REICUBAS〉

 

セレブロはメダルを読み込ませるとゼットライザーのトリガーを押した。

 

「キエテカレカレータ。」

 

FIVE KING

 

その時、トライキングの両腕に変化が生じた。右腕に鋏が付いたレイキュバスの蟹を思わせる顔が、左腕に顔が巨大な目のガンQの顔が付いたのだ。トライキングは真の姿である超合体怪獣『ファイブキング』に進化を遂げたのだ。

 

「グルオオオオオオギャアアアアギイイイイイギャギャギャギャグルオオオオオオ‼︎」

(怪獣が増えた!?)

『焦るな、ハルキ‼︎ウルトラフュージョンだ‼︎』

 

ハルキはベータスマッシュ用のメダルを取り出すとゼットライザーにセットする。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈Ultraman〉〈Ace〉〈Taro〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

Ultraman Z Beta Smash

 

ベータスマッシュに変化したゼットはいきなりファイブキングにドロップキックを放った。まともに受けたファイブキングは後退する。ゼットが身構えるとガンQの左腕から破壊光線が放たれた。ゼットはバク転して避ける。しかし、立ち上がった時に再びガンQの左腕から光線が放たれた。これもゼットは避ける。しかしゼットはレイキュバスの鋏に捕まってしまう。

 

「デュワア⁉︎」

 

レイキュバスの鋏に捕まり身動きがとれないゼットにファイブキングの額から放たれる超音波光線が至近距離で命中した。超音波光線を受けたゼットは背中から地面に倒れる。

 

「グルオオギャアアアギイイイイイギャギャギャギャグルオオ‼︎」

 

ファイブキングはメルバの翼を広げて空に飛び上がる。立ち上がったゼットの目に最初に写ったのは頭、右腕、左腕にエネルギーを溜めるファイブキングだった。ファイブキングは超音波光線、レイキュバスの冷凍光線、ガンQの破壊光線を同時に発射する。ゼットは思わず頭を下げて攻撃から逃れる。そして右手にエネルギーを集めると空に飛び上がって必殺技を撃とうとする。

 

『(ゼスティウムアッパー‼︎)』

 

しかし、ゼットはファイブキングの超音波光線に打ち落とされて必殺技を撃たずに地面に墜落してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「どうした?お前の力はそんなもんか?」

 

その頃、ヘビクラは3枚のメダルを持ってGIRLSを出ていた。彼はゼットとファイブキングが戦闘を繰り広げている現場に来ていたのだ。ヘビクラの前にはふらつくゼットが見えた。

 

「まぁ・・・こんなとこでやられても困るからな・・・戦士の戦い方って奴を見せてくれよな。」

 

ダイナのメダルを掴んだヘビクラはそのメダルに呼び掛けて投げキッスした。そしてゼット目掛けてウルトラメダルを投げた。3枚のメダルはインナースペースの中のハルキの手に渡った。

 

「新しいメダル?それにGIRLSの記録でこのメダルのウルトラマンを見たぞ‼︎確か・・・ウルトラマンティガ‼︎それに・・・ダイナに・・・ガイア‼︎」

『ああ、それは俺達とは別次元のウルトラマンだ‼︎その先輩達のメダルで変幻自在の神秘の光をお借りするんだ‼︎」

「押忍‼︎・・・変幻自在の神秘の光‼︎ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

ハルキはゼットライザーにティガ、ダイナ、ガイアのメダルをセットした。そしてメダルをもう読み込ませる。

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

メダルの元になった3人のウルトラマンが飛び交い、一点の光から金色のプロテクターを付けた赤と紫の超能力に長けたウルトラマンが手のひらを突き出して現れた。

 

ULTRAMAN Z GAMMA FUTURE

 

ウルトラマンゼットが光輝きながら超能力に長けた姿『ガンマフューチャー』になった。

 

『ウルトラマンゼット・・・ガンマフューチャー!』

 

ゼットはファイブキングに戦闘態勢をとりながら名乗りを上げる。2人のガッツ星人はその姿をその目にして思った感想を述べる。

 

「ゼットがまた変わった‼︎」

「今までの姿と違ってクールそうね。」

 

上から迫るファイブキングにゼットは頭に手をかざして屈みながらエネルギーを溜める。すると両手から赤と青の鞭状の光線が形成された。ゼットはそれをファイブキングに放った。

 

「グルオオギャアアアアギイイイイイギャギャギャギャグルオオオ⁉︎」

『ガンマイリュージョン!』

 

ファイブキングはそれを受けて地面に墜落した。その隙にゼットはフィンガーナップと共にある幻影を召喚した。それはガンマフューチャーのメダルの力の源であるティガ、ダイナ、ガイアの幻影だった。

 

「ウルトラマン・・・ティガ⁉︎」

「ウルトラマン・・・ダイナ‼︎」

「嘘でしょ・・・ウルトラマンガイアじゃない‼︎」

 

それを見て驚く怪獣娘がいた。フードで顔を隠した炎魔戦士の魂を継ぐ『キリエロイド』、大きな目玉のついた被り物のような格好の地底怪獣の魂を継ぐ『モゲドン』、眼鏡を掛けており白と黒の魔女を思わせる格好に胸に十字が付いた破滅魔人『ブリッツブロッツ』の怪獣娘だ。彼女達は自身のカイジューソウルと深い因縁を持つウルトラマンの幻影を見て驚いた顔をしていた。

 

「ジャッ‼︎」

「ディアッ‼︎」

「デュワッ‼︎」

 

3人のウルトラマンの幻影はそれぞれ必殺技の構えに入る。ガイアは強化形態であるスプリーム・ヴァージョンになって腕を大きく振り被り体の前で両手を合わせて右手を下にずらす事で放つガイア最強の必殺光線『フォトンストリーム』を、ダイナはソルジェント光線を、ティガは両腕を腰の位置まで引いてすぐに両腕を真っ直ぐ胸の前に突き出して交差させ、そのまま左右に両腕を開いて腕をL字に組んで放つ必殺光線『ゼペリオン光線』を放った。

 

「グルオオギャアアアアギイイイイイギャギャギャギャグルオオオ⁉︎」

 

それはファイブキングの頭と両手に命中した。そしてファイブキングの両手は使い物にならなくなった。

 

『ガンマフリーザー!』

 

3人のウルトラマンの幻影がゼットに戻るとゼットは右手に左手を合わせて右手から冷凍光線を放つ。それはファイブキングの頭上に強力な冷気となって降り注ぎファイブキングの体は凍りついた。そしてゼットの体は小さくなりファイブキングに向かって行った。

 

『ガンマスルー!』

 

ファイブキングの体に魔法陣のような紋章が形成されてゼットはその中に飛び込んでいく。するとゼットはファイブキングの体内に突入した。そしてそこで必殺光線の構えに入る。

 

『(ゼスティウム光線‼︎)』

 

ゼットの放ったゼスティウム光線がファイブキングを体内から焼き尽くす。ゼットが脱出すると同時にファイブキングは大爆発を起こした。ファイブキングが完全に倒されるとゼットは空に飛び立っていった。空へ飛んでいくゼットを見てガッツ星人(ミコ)は呟いた。

 

「成る程・・・新しいゼットは超能力戦士・・・か。」

 

 

 

 

 

その後、GIRLSに戻ったセレブロはボロボロの状態だった。そこにジャグラーが邪心剣を構えて待ち構えていた。

 

「見〜つけた。俺とも遊ぼうぜ。」

 

するとセレブロはバリスレイダーを召喚してジャグラーにぶつける。ジャグラーはバリスレイダーを切り捨てるとセレブロに目を向けた。しかしそこにはセレブロはいなかった。ジャグラーはヘビクラに戻ると床に落ちていたメダルを拾う。それはファイブキングを構成する怪獣の怪獣メダルだった。

 

 

 

 

その翌日、ハルキは学校から帰りながらガンマフューチャーのメダルを見つめていた。

 

「一体、誰がメダルをくれたんだ・・・?」

 

自身にメダルを渡してくれた相手が気になったらしい。ハルキが考え事をしていると後ろからミコが声を掛けてきた。

 

「ハル、どうしたの?難しい事考えてる顔してさ。」

「ミコ。・・・その・・・・何でもないよ。」

「そっか・・・何か悩み事あったら言ってよ‼︎いつでも相談に乗るから‼︎それより、今日はわたしもハルも非番だしさ、昨日の続きしようよ‼︎」

「えっ・・・ああ、いいぜ。」

「やったぁ‼︎それじゃあ行こ行こ‼︎」

「お、おい⁉︎」

 

ミコはハルキの腕に豊満な胸を押し付けながら歩いていく。その近くでマコがミクの後ろにいた。

 

「ミクラス・・・。その・・・前は・・・。」

「いいよ‼︎あたしは全然気にしてないよ‼︎」

「‼︎本当に・・・⁉︎」

「シャドウミストのせいでしょ‼︎全然気にしてないから‼︎」

 

マコはそれを聞いて少しだが明るい表情になった。そして近くでハルキとミコを見つける。

 

「ねぇ、これからアギちゃん達と」

「御免、ちょっと今日はやる事あるから。」

 

マコはミクの誘いを断り、ハルキとミコの元に向かう。

 

「ハルキ・・・。」

「マコさん、どうしたんだよ。」

「呼び捨てでいいわ。マコって呼んで。」

「じゃあ、マコ、どうしたんだよ?」

 

マコは顔を少し赤くしながらハルキの左腕にくっついた。ハルキだけじゃなくミコも予想外の展開に驚いていた。

 

「わたしも付いていっていい?」

「えええ⁉︎」

「ちょっと⁉︎どうしたの?」

「ちょっとね・・・昨日の借りを返したいだけ。助けに来てくれたし、何かお礼するわ。」

「俺はいいけど・・・ミコは?」

「・・・・・仕方ないなぁ・・・。その代わり邪魔しないでよ。」

 

マコはミコの言葉に頷いた。ミコは思わぬ展開に少し焦っていた。ミコは自身の思った事を確かめるためにハルキに聞こえないくらいの小声で話す。

 

(まさか・・・マコ、ハルの事好きになったの?)

(そうね・・・最初に会った時から気になってはいたの。怪獣が暴れている場所で誰かを助けるため危険を顧みず向かっていく姿・・・そして昨日励まされた事で完全に自分の気持ちが理解できたわ。)

(マコ・・・言っておくけど、ハルの事は譲れないからね‼︎)

(分かってるよ‼︎)

 

マコはハルキの左腕に自身の豊満な胸を押し付ける。ハルキは思わず顔を赤くしていた。ミコとマコはそんな事も知らずにハルキに合わせて街を歩いていく。

 

(ふ、2人とも胸・・・かなりデカい・・・。これはヤバいって・・・、2人とも・・・。)

(ハルキ・・・わたしはもう一人の楽園に浸かるつもりはない。ミコとも皆とも・・・そしてアンタとも向かい合っていく!そしてアンタを手に入れてみせるから覚悟しなさい‼︎)




ハルキ「ハルキと」

ラン「ランの」

ハルキ&ラン「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈TIGA〉

ラン「3つのタイプで戦うウルトラマンティガ。彼の力でゼットはガンマフューチャーになったわ!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈GAN-Q〉

ハルキ「ファイブキングの左腕になっていた怪獣で何でも吸収してしまう厄介な相手だ。」

サチコ「次回はあたしが担当するよ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『金色の巨大ロボットが出現!GIRLSが回収したウルトラメダルを狙っているようだ!宇宙の悪党にメダルを渡すわけにはいかない!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


未確認物質護送指令


ウルトラ守るぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未確認物質護送指令(前編)

この話から怪獣娘Zにおいてもアイツらが参戦です‼︎
尚、この話は電王牙さんの意見を参考にしています‼︎電王牙さん、本当にありがとうございました‼︎

宇宙ロボット『キングジョー』登場


とある夜、GIRLSの管理する研究所で3人のガスマスクを付けた男がアタッシュケースを持ち歩きながら廊下を歩いていた。そしてとある部屋に入るとアタッシュケースを机に置いて中身を開けた。中には3枚のメダルが入っていた。それはウルトラマンの横顔が描かれたメダルだ。宇宙警備隊の隊長『ゾフィー』、ブレスレットの使い手『ウルトラマンジャック』、宇宙警備隊を統べる宇宙警備隊大隊長『ウルトラの父』が描かれたウルトラメダルだ。

 

「よし、異常無し。皆、ガスマスクを外していいぞ。」

「やっとですか。遅いですよ、もう少し早くしてくれたら・・・。」

「よせよせ。何も無かったんだからいいじゃないか。それにしても・・・やはりこれはウルトラマン達が作った物で間違いないんでしょうね。」

「ああ、このメダル・・・最初は何処かの企業が作った玩具かと思ったがとんでもない代物だったな。」

「ゲネガーグが倒されたあの日、日本の各地でウルトラマンの横顔が描かれたメダルが見つかってしかもそれから未知の物質が見つかったと聞いた時は唖然となりましたね。」

 

実はゲネガーグが倒されたあの日、ゲネガーグが飲み込んだウルトラメダルが関東圏内の各地で発見されたのだ。それをGIRLSが回収した結果、地球には無い未知の物質で出来ている事、そのメダルから未知のプラズマエネルギーが観測された事でGIRLSの方で厳重に管理していたのである。

 

「これ以外にも3枚のウルトラマンのメダルがあるらしいですし、早く研究したいですよ!」

「そうだな。このメダルからウルトラマンの力を再現する事さえ出来れば再び相次ぐ怪獣事件に活用できるかもしれないしな。」

「怪獣どころかシャドウだって倒せるかもしれない。そうすればもう怪獣娘達だけに戦わせなくて済むかもしれませんからね‼︎期待が膨らみますよ‼︎」

 

研究員達は談笑していた。しかし、突然研究所内で警報が鳴り響く。突然の警報に研究員達は周りを見渡していた。

 

「な、何だ⁉︎」

「すぐに確認しないと‼︎警備員を探して何があったか聞いてくる‼︎」

「いや、待て‼︎外に何かいるぞ‼︎」

 

1人の研究員が指差す先の窓には極彩色の光を放つロボットが立っていた。それは金色のカラーリングの腕を伸ばして研究所の壁を破壊する。

 

「うわああああ⁉︎」

「メダルが持っていかれた‼︎」

「早く、早く助けを呼ぶんだ‼︎」

 

そして全身が金色のそのロボットは研究所のメダルを奪うと目に当たる部分を光らせて研究員達がいる方向に向いた。そして強力な光が放たれた。

 

「「「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、GIRLSの講義室にいつものメンバーが集まっていた。教壇にはトモミとヘビクラが立っている。

 

「皆さん、先日、GIRLSの管理する研究施設が巨大なロボット怪獣に襲われて破壊されました‼︎」

「ロボット怪獣に⁉︎一体どうして⁉︎」

「あの研究所にはゲネガーグが倒された日に関東の各地に散らばった無数のメダルの内、3枚が管理されていた。」

「えっ⁉︎メダル⁉︎」

 

ハルキはヘビクラの言葉に思わず腰のメダルホルダーを見る。同じくウルトラマンのメダルを拾ったミカヅキとそれを見せてもらったベニオは驚いた顔で発言した。

 

「も、もしかしてメダルってウルトラマンの横顔が描かれたあのメダル⁉︎」

「ゴモラが拾ったアレと同じものかまだあったのか⁉︎」

「ゴモゴモ、レッドン、知ってたのですか⁉︎」

「ゲネガーグをゼットが倒した後にゴモラがウルトラマンのメダルを拾ったんだ・・・まさかあんな感じのメダルが他にもあったとは・・・。」

 

ベニオの言葉にその場にいた皆がメカゴモラとの戦いの際にミカヅキがゼットにウルトラマンのメダルを返した事を思い出す。ハルキはトモミに何故GIRLSがウルトラメダルを管理していたのか問いただす。

 

「どうしてGIRLSがそのメダルを回収して管理していたんですか?」

「実は・・・ゲネガーグが倒された後に関東各地から強いプラズマエネルギーが観測されました。そしてGIRLSが発信源を調査したところ、ウルトラマンの顔が描かれたメダルを発見、そこから観測された事を確認しました。」

「そして更に詳しい調査を進めるとそのメダルは地球外の物質で出来ているが判明した。GIRLS上層部はこのメダルがウルトラマン達が作った物と断定し、このメダルの力を怪獣用の武器に使えないか研究を重ねていた訳だ。」

「しかし、その研究を行なっていたGIRLSの施設が昨日の夜、巨大ロボットに破壊され、メダルが奪われました。そして犯人は新たに犯行声明をしています。」

 

トモミがモニターに映像を写すとそこには傷付いた研究員の頭を掴む明らかに人間の物とは違う異形の手が写っていた。手の持ち主に操られたかのような表現で研究員が話す。

 

『諸君が宇宙の秘宝を隠し持っている事は知っている。だが、我々は無意味な破壊を好まない。大人しくメダルを我々に引き渡せ。さもなければ我々の宇宙ロボットが諸君らを徹底的に攻撃する。』

「宇宙の秘宝?」

「メダルの事なんじゃない?」

「無意味な破壊を好まないだぁ‼︎ふざけやがって‼︎」

「レッドキング先輩の言う通りだよ‼︎そっちから攻撃してきた癖に‼︎」

「ミクちゃん、落ち着いて‼︎」

「ししょーも落ち着いて下さい‼︎」

 

ハルキとミカヅキは相手が話していた宇宙の秘宝について話し合う。その一方でアキとサチコが相手の言葉に激昂したベニオとミクを落ち着かせようとする。しかし、その場にヨウも加勢してきた。ユカとミサオがヨウを落ち着かせるも彼女達は少し心を落ち着かせても苛立ちを隠せないようだ。

 

「いや、レッドキングさんとミクラスさんの言う通りですよ‼︎向こうから攻撃してきた癖にこいつらは何言ってんですか⁉︎」

「バサちゃん、落ち着いて‼︎」

「ここでキレても仕方ねえだろ‼︎」

 

トモミは3人が話を聞く態勢になった事を確認する。その後にハルキとミコが気になった事を指摘するとヘビクラとトモミによる今回の任務の説明が始まった。

 

「落ち着きましたね・・・3人とも・・・。」

「ピグモンさん、ヘビクラさん、気になる事があります‼︎敵が他にも宇宙の秘宝を隠し持ってると言ってました‼︎」

「それってまだGIRLSがウルトラマンのメダルを持ってるって事?」

「はい・・・実はこのGIRLS東京支部内に回収されたウルトラマンのメダルが保管されています。」

「だが、奴らはそのメダルに目をつけてきた。だがこんな奴らにみすみすとメダルを渡す訳にはいかねぇ。そこで・・・今回の任務はGIRLSが未だに確保しているメダルを高尾山に設置されたGIRLSの研究施設に送り届ける事だ。」

 

一旦、トモミは部屋を出て行く。そしてヘビクラがモニターに地図を写しだすとメダルを運送するルートが示されていた。

 

「俺達GIRLSの車でメダルを研究施設に運搬する。このルートならトンネルがある。そこで巨大ロボットから一気に距離を引き離して研究所にメダルを送り届ける作戦だ。」

 

そこにトモミが入ってきた。その手には大きなケースが入っていた。

 

「敵はメダルから放たれるプラズマ電波を察知してメダルを奪いに来ました。そこでこのケースを使います。これはプラズマ電波を遮断する事が出来る特注のケースです。これにメダルが入っています。」

「成る程、これにメダルが入っているんだねぇ。」

 

そう言ってミカヅキがケースに近付いた。それをトモミが止める。

 

「あっ、駄目です、ゴモゴモ‼︎それを開けると遮断されていた電波が飛び出てきます。ここにロボットがやってくる事になりますよ‼︎」

「わっひゃあ‼︎」

 

トモミの言葉を聞いたミカヅキは思わず後ろに下がる。そして全員が今回の作戦を理解した事を確認するとヘビクラの声に皆が従った。

 

「よさ、全員が理解したところで作戦を開始する‼︎作戦決行は3時間後だ‼︎それまで各自準備を済ませておけ‼︎」

『了解‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3時間後、二台の車が山沿いの道路を走っていた。ヘビクラの運転するワゴン車とベニオの運転するジープだ。ヘビクラの車にはミカヅキ、ミク、ヨウ、ユカが、ベニオの車にはハルキ、クララ、アキ、レイカが乗っていた。ハルキが通信でヘビクラに話しかける。

 

「これまで様々なロボット怪獣が侵略者に操られて地球を襲いましたけど・・・・今回現れたのって分かってないんですか?」

「防犯カメラの映像は大半が壊れていたらしいからな。現時点では断定できていない。」

「そうですか・・・。一体何が現れたんだろう・・・。」

 

ハルキの後ろではクララが窓から外を見ながら何かを考えていた。思わずレイカとアキが話しかける。

 

「キングジョーさん、どうしたんですか?」

「キングジョーさん、さっきから様子が変ですよ。何かあったんですか?」

「ウインダムちゃんにアギラちゃん・・・さっきからどうも胸騒ぎが止まらないんデス・・・。まるでワタシのカイジューソウルが疼き出しているような気がしているんデス。」

 

クララの声を聞いたハルキは思わず声を上げた。それは聞いたクララは図星を見抜かれたように目を見開く。

 

「あの・・・キングジョーって確か・・・ロボット怪獣でしたよね?もしかして研究施設を襲った巨大ロボットってキングジョーなんじゃ・・・。」

「⁉︎」

「おい‼︎ハルキ、まだそうだと決まった訳じゃないだろ‼︎まだ決めつけるのは早えよ‼︎」

「けど、キングジョーの魂を継ぐキングジョーさんのカイジューソウルが疼くって・・・今回のキングジョーの出現を感じてなんじゃないですか?」

『落ち着けよ、ハルキ。』

 

そこにヘビクラが乱入してきた。ヘビクラは何食わぬ顔でハルキを論する。

 

「まだ確定した訳じゃねぇんだ。焦っても何もいい事なんかないぜ。」

「そうだよ‼︎ハルちゃんはせっかちだなぁ・・・。」

『すみません・・・。』

「フッ、まあ気にするな。直に奴らが来れば分かる事だ。」

 

ベニオの運転する車はそのままヘビクラの車と通信しながら走行していた。その時、上から高笑いが聞こえてきた。

 

「ナーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ‼︎お前達GIRLSが持っている宇宙から来たメダルは我々が頂く‼︎」

「今の声・・・何処かで・・・。」

「まさか・・・。」

 

その時、上から4人の人物が降りてきた。1人は黒い格好にマントをつけた豊満な胸の女性で1人は白い格好に褐色肌の少女、1人は赤いマントを身に包んだ少女で1人は白と黒のゴスロリを思わせる格好の少女だった。彼女達は高らかに名乗りを上げる。

 

「銀色のレイダー、シルバーブルーメ‼︎」

「赤きスナイパー、ノーバ‼︎」

「漆黒のリーダー、ブラック指令‼︎」

「4人目のニューカマー、ペガッサ‼︎」

「4人‼︎」

「揃って‼︎」

「地球の支配者‼︎」

「(仮)‼︎」

「「「「我ら、ブラックスターズ‼︎」」」」

「・・・・・・・・・。」

「ブラック・・・スターズ?・・・・・怪獣娘のようだけど・・・。」

「何でお前らが・・・。お呼びじゃないっつーの・・・。」

 

その場にいたハルキを除く全員が頭を抱えていた。ここに来て面倒臭い奴らに絡まれたという表情だ。

 

「あの・・・レッドキングさんにアギラさん・・・あの人達って誰なんですか?怪獣娘みたいですけど・・・。」

「あー、ガッツから聞いてないか・・・内に所属してない怪獣娘もいるって・・・そんでもってそいつらの中にGIRLSに侵入してきた奴らがいるって・・・・。」

「しかもその人達、池袋で『邪神』の怪獣娘を暴走させて大変な騒動を起こしたって・・・。」

「えっ、まさかあの人達がそのブラックスターズなのかよ⁉︎」

 

実は怪獣娘の中にはGIRLSに所属してない者も多少いる。その一例がブラックスターズだ。彼女達は地球侵略を目的に活動しているが遠回りな事しかしないため悪ふざけな事しかしていないかなり迷惑な集団である。

 

「ノーバ・・・お前・・・よりにもよってこんなのといるのかよ・・・。」

「何か問題か、ヘビクラ。」

「いや・・・いい・・・。それよりもお前ら・・・何しに来たんだ?」

「決まってるだろう‼︎お前達GIRLSは宇宙から来たメダルを持っているな‼︎それを頂きにきた‼︎」

「何でお前らがそれを知ってるんだ⁉︎・・・兎に角メダルはお前らには渡さねぇぞ‼︎」

 

呆れるヘビクラの横でレッドキング達とブラックスターズが一触即発の状態になる。そのまま怪獣娘同士の戦いが始まると思われた。その時、ハルキは上から何かが降りてくるのを確認する。

 

「皆‼︎何かが・・・何かデカいのが降りてくる‼︎」

『何っ⁉︎』

 

GIRLSの怪獣娘もブラックスターズの怪獣娘もヘビクラもハルキの向く方向を見る。すると巨大な何かが落ちてきた。その姿に全員が驚いていた。

 

「あ、アレは・・・まさか⁉︎」

「ちょっと⁉︎嘘でしょ⁉︎」

「ハルキさんの言ってた事がまさか本当になるなんて‼︎」

「アレは・・・確か・・・かつて・・・ペダン星人が・・・地球に・・・送り込んできた侵略ロボット・・・!」

 

土煙を上げて降りてきたのは金色のロボットだった。クララ・ソーンに宿るカイジューソウルの怪獣でありかつてペダン星人が送り込んできた宇宙ロボット「キングジョー」がメダルを奪うべく再び地上に降り立った瞬間だった。

 

「宇宙ロボット・・・『キングジョー』‼︎」

 

こちらを見下ろして進行し始めるキングジョーを見てブラック指令は大きな声で悲鳴を上げた。

 

「ぎぃぃぃぃやああああああああぁぁぁぁぁぁ‼︎」




という訳で今回の話からブラックスターズも怪獣娘Zの物語に参戦です!
ブラックスターズを前半で出せて良かったです‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未確認物質護送指令(中編)

この怪獣娘ZにOPがあるとしたらどれがいいと思いますか?

上々↑↑GAO !!
ご唱和ください我の名を!(通常版)
ご唱和ください我の名を!(遠藤正明&松田利冴(ミコちゃんの中の人)デュエットver)




「お前ら、車に乗り込め‼︎」

 

ヘビクラの言葉で各自が乗っていた車に乗り込んだ。全員が車に乗り込んだ事を確認したヘビクラとベニオはアクセルを踏んで車を急発進させる。

 

「マジで本物のキングジョーかよ‼︎」

「ワタシのカイジューソウルが疼くワケデス‼︎・・・それにしてもまさかこんなところで本物のキングジョーを見る事が出来る日が来るとはハ・・・‼︎」

「話してる場合じゃねぇ‼︎奴が来るぞ‼︎」

 

キングジョー(本物)は目に当たる部分を光らせて怪光線『デスト・レイ』を放った。ヘビクラとベニオの車は光線を避けて爆走するもキングジョーはそれでも追って来る。

 

「そういえばブラックスターズは⁉︎」

「えっ⁉︎・・・あ、アイツら、まさかキングジョーにやられちまったんじゃ‼︎」

「おい‼︎勝手に殺すな‼︎」

「お前ら、いつの間に⁉︎」

 

ハルキがブラックスターズの安否を気にしているとブラック指令とノーバが既にジープの後ろにしがみ付いていた。どうやら間一髪でベニオのジープにしがみ付いたようだ。

 

「レッドキングさん、どうしますか?」

「仕方ねぇ・・・・全員振り落とされるなよ‼︎ソウルライド、『レッドキング』‼︎」

 

レッドキングは彼女達の事を容認するとソウルライザーを取り出して怪獣娘に変身する。変身が完了すると彼女はジープの速度を大幅に上げて運転し始めた。

 

「ちょっ⁉︎レッドキングさん、コレってスピード違反なんじゃ⁉︎」

「緊急事態だ‼︎やむを得ねぇ‼︎」

 

アキがジープの速度に苦言を立てている頃、前ではペガッサ星人、シルバーブルーメがヘビクラの運転するハイエースの屋根にしがみ付いていた。彼女達も何とか脱出したようだ。

 

「まさかハルキの予想が当たるとはな・・・。」

「アレが本物のキングジョー・・・・初めて見ました・・・。」

「フッ・・・・だろうな。」

「ヘビクラさん、どうするんスか⁉︎」

「決まってる。トンネルで奴を吹っ切るだけだ。」

「アレ・・・キングジョーって確か・・・。」

 

ミカヅキが大切な事を思い出そうとしている中、キングジョーのペダニウム合金で構成された豪腕の腕が振り下ろされる。それは彼女達が乗る車の通った跡をいとも簡単に砕いた。その威力にブラック指令は恐れ慄く。

 

「ひいいいぃぃぃぃ⁉︎なんて破壊力なんだ‼︎」

「これが本物のキングジョーのパワー・・・・なんて力・・・。」

 

キングジョーは今度は2台の車に向けて目に当たる部分を光らせる。そして再びデスト・レイが放たれた。2台の車は横に逸れてそれを避ける。デスト・レイが命中した跡地は完全に破壊され焼け焦げていた。

 

「ペダン星人の奴ら・・・好き勝手にやりやがって‼︎」

「ペダン星人・・・?」

「キングジョーはペダン星人が操る戦闘兵器だろ。だからメダル襲撃の犯人はペダン星人だって‼︎」

「そういえば・・・・キングジョーはペダン星人の操る侵略ロボットとありました‼︎・・・まさかメダル強奪の犯人はペダン星人⁉︎」

「どう考えてもそれしか考えられないだろ‼︎」

「お前達、そんな分かりきってる事よりアレをどうにか出来ないのか⁉︎」

 

ハルキ、アキ、レイカの会話の横でブラック指令が騒ぎ立てる。無理難題を吹っかけるブラック指令にクララがソウルライザーを構えて脅した。

 

「だったらここで降りマスカ?ワタシが下ろしてあげてもいいんデスヨ・・・・。」

「わーわー、すまんかった‼︎すまんかったから下ろさないでくれ‼︎」

 

そんな彼女達のことなど知ったことかと言わんばかりにキングジョーが再びデスト・レイを放つ。レッドキングは右に動かしてキングジョーの放った怪光線を避ける。しかし、爆発の衝撃で車が大きく揺れてノーバが放り出されてしまった。

 

「ぐっ⁉︎」

「ノーバ⁉︎」

 

ノーバは地面に背中を大きく叩きつけて地面を転がり続ける。キングジョーはノーバの目の前で腕を大きく振り上げる。それを見たブラック指令は仲間が危ないと分かり、ジープを運転するレッドキングを呼び止める。

 

「待て‼︎ノーバが車から落ちた‼︎」

「何だって⁉︎」

「ああっ‼︎キングジョーが‼︎」

 

レッドキングか車を止めて後ろを確認するとキングジョーがノーバに向けて腕を振り下ろそうとしていた。ノーバは何とか逃げようとするも先程、背中を打ち付けた痛みで体が思うように動かないのか体を起こそうとしても地面に付いてしまう。キングジョーが腕を振り下ろそうとした時、ハルキは車から降りてノーバの元に走っていく。アキとレッドキングはそれを呼び止めるもハルキは聞く耳を持たず走って行った。

 

「待って、ハルキさん‼︎危険だから戻って‼︎」

「キングジョーに潰されちまうぞ‼︎」

 

キングジョーがノーバ目掛けて腕を振り下ろした。その時、ハルキはノーバの肩を掴んだまま、地面に転がっていく。ハルキはノーバに安否を確認した。

 

「大丈夫っスか⁉︎」

「えっ・・・・あっ・・・ああ、平気だ。」

「おーい、ハルキさーん‼︎」

 

アキがハルキを呼んだ。ハルキはアキ達の方を向くも既に地面はキングジョーの腕の一撃で崩れており、ハルキと負傷したノーバでは超えられそうもない。ハルキは再び呼び掛けてきたレッドキングに向けて叫ぶ。

 

「おーい、ハルキ‼︎大丈夫かーっ‼︎」

「俺は大丈夫です‼︎ただ・・・ノーバさんが負傷しています‼︎それとそちら側には行けそうにありません‼︎レッドキングさん達はヘビクラ隊長達をお願いします‼︎」

「分かった‼︎お前はそいつを頼む‼︎すぐに迎えに行くからそれまで待ってろ‼︎」

 

ハルキはレッドキングの返事に頷くとノーバの肩を触れて彼女に話しかける。

 

「ノーバさん、大丈夫ですか?」

「すまない・・・背中を打ち付けたみたいだ・・・。」

 

ハルキは周りを見渡してノーバが背中を付けて腰をかけられそうな段差を発見する。そして彼女を抱えると彼女の背中をもたれかけさせて座らせる。

 

「すまない・・・。」

「別にいいですよ。困った人を助けるのは当然じゃないですか。」

「・・お前・・・名前は?」

「冬河ハルキです!」

「ハルキ・・・・か。」

 

ノーバは顔を赤らめてハルキの名前を確認する。その時、ハルキのソウルライザーに着信が入る。相手はアキからだった。ハルキはノーバに確認を取ると電話に出る。

 

「ちょっと連絡が入ったみたいなんで待ってもらえます?」

「構わん・・・。仲間からの連絡なら仕方ない。」

「ありがとうございます。もしもし、アギラさん、どうした?」

『・・・作戦に失敗した・・・。ペダン星人にメダルを奪われた・・・。』

「えっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

ハルキがノーバの怪我の状態を見ている頃、ヘビクラとレッドキングの車はトンネルに近付いていた。どうやらレッドキングの車もヘビクラの車に追い付いたらしい。

 

「よし、トンネルに入る‼︎一気に引き離すぞ‼︎」

「うん‼︎」

 

レッドキングは再び車を止める。そしてアギラ、ウインダム、キングジョー、ブラック指令が降りてきた。どうやら車の中で変身したようだ。

 

「お、おい、何する気だ‼︎」

「よし、俺達は少しでも時間を稼ぐぞ‼︎トンネルを出るまで持ち堪えるんだ‼︎」

「は、入った‼︎」

「ちょっと待って下サイ!確かキングジョーは・・・。」

 

キングジョーの言葉を最後まで聞かずレッドキングはキングジョーに拳を、アギラは尻尾を叩きつけた。しかし、キングジョーの硬さにレッドキングは拳を抑えてアギラは唖然とする。

 

「痛ぇ‼︎・・・やっぱり本物のキングジョーは固いな・・・。」

「全然効かない・・・‼︎」

 

ウインダムがレーザーを発射して進撃するキングジョーの気を引こうとする。しかし、キングジョーは彼女の放つレーザーなど目にくれず足を進めていた。

 

「よし!だったらコレだ‼︎ソウルライド、『EXモード』‼︎」

 

レッドキングはEXモードに変身してキングジョーに再び拳を叩きつける。しかしそれはやはりキングジョーに効果は無かった。キングジョーはレッドキングに腕を振り下ろした。その時、レッドキングはキングジョーと一緒にその腕を受け止めていた。

 

「ぐぐぐ・・・・ぐぐぐ・・・コレは・・・かなりきついぜ・・・・。」

「レッドキング・・・・今更ですが・・・確か・・・キングジョーは・・・分離できマス・・・多分・・・ワタシ達が・・・時間を稼いでも・・・・分離されたら・・・・ヘビクラさん達が・・・・危ないデス・・・‼︎」

「‼︎・・・マジか‼︎」

 

思わずレッドキングが振り向くとヘビクラの車はトンネルに入った。するとキングジョーは4つの円盤に分離した。そして彼女達を後にしてトンネルに向かっていく。

 

「や、ヤバい・・・お前ら、行くぞ‼︎」

「は、はい‼︎」

 

彼女達は分離したキングジョーに攻撃を仕掛けるもキングジョーは臆することなくトンネルに向かっていく。キングジョー(怪獣娘)はソウルライザーを取り出してヘビクラに連絡を取る。

 

「Mr.ヘビクラ、キングジョーが分離しまシタ‼︎今、レッドキング達と共に立ち向かっていますが、トンネルに突入されるのも時間の問題デス‼︎大至急、そっちに乗っているゴモラ達を変身させて下さい‼︎」

『了解した。お前ら、キングジョーが分離した。トンネルに突入してくるのも時間の問題だ!迎え撃てる準備をしておけ‼︎』

『OK‼︎』

 

キングジョー(怪獣娘)はキングジョーの胸部を司る円盤形態にパンチを撃ち込んだ。しかし、微動だにせずに飛んでいく。それは隣でキングジョーの脚部を司る円盤形態と戦うレッドキングも同様だった。炎を纏った拳を撃ち込むも赤く発熱しただけですぐに飛び立っていく。

 

「流石・・・ワタシのカイジューソウルの怪獣デスネ・・・。ワタシがこうなる訳デスヨ・・・。」

「お前も俺やゴモラみたいにパワー型だもんな・・・今ならそれが納得いくぜ・・・。」

「駄目です‼︎トンネルに入ってしまいます‼︎

 

そんな事言ってる間にウインダムの言う通りキングジョーはトンネルに突入した。すると後ろからミクラスとゴモラがキングジョーの胸部と頭部にドロップキックを放つ。

 

「「でりゃああああらあ‼︎」」

「ミクちゃん、ゴモたん‼︎」

「皆、お待たせちゃーん‼︎」

 

そして6人の怪獣娘が円盤形態となったキングジョーとトンネルの中でぶつかり合う。キングジョー(怪獣娘)が腰のパーツを外して胸部と脚部の円盤形態を拘束するとレッドキングが炎を纏った両手の拳を叩き付ける。しかし、爆炎の中からキングジョーは進行を続ける。

 

「くそっ⁉︎駄目か‼︎」

「ワタシもEXモードになれれば戦況を変えることができるのデスガ・・・。」

 

その頃、ゴモラもEXモードに変身してアギラ達と共に腹部の部分を司る円盤形態に向かっていく。ゴモラは尻尾を伸ばして鋭い先端でキングジョーを串刺しにしようとする。しかし、本物のキングジョーの一部である円盤形態には簡単に弾かれてしまった。そんな中、アギラが頭部の円盤形態がいない事に気付く。

 

「あ、あれ・・・キングジョーって4つの円盤に分離するんだよね?残り1つの部分が無いんだけど?」

「えっ⁉︎・・・あっ‼︎」

 

アギラの言葉に他の5人もある1つ円盤形態がいない事に気付く。そしてその事に気付いたレッドキングは円盤形態のキングジョーと戦いながらキングジョー(怪獣娘)にヘビクラ達のもとに行くよう言い放つ。

 

「キングジョー、ここは俺たちが引き受けるからお前はヘビクラ隊長の元に急げ‼︎」

「レッドキング・・・もう遅いデス・・・。」

「えっ・・・。どういう事だよ⁉︎」

「もう出口デス・・・。」

「⁉︎」

 

キングジョーの言う通り、レッドキングが前に目を向けると目の前が明るくなっていた。そして目の前にはヘビクラの車の前を塞ぐキングジョーの頭部の円盤形態が浮かんでいた。ヘビクラとヨウとユカは車から降りて状況を確認する。

 

「くそっ、囲まれた‼︎」

「ヘビクラさん、後ろ‼︎後ろを‼︎」

「くそっ‼︎」

 

後ろから他のキングジョーの円盤形態もやってきてヘビクラ達を囲んでしまう。逃げ場を失ったヘビクラはユカが抱えているメダルケースを受け取り目の前のキングジョーに掲げる。キングジョーの胸部の円盤形態がヘビクラの前に周ってきた。キングジョーはメダルケースを吸い込むとあっという間に飛び去って行った。

 

 

 

 

『という訳なんだ・・・。』

「マジか・・・ペダン星人にウルトラマンの力を宿したメダルを奪われたなんて・・・。』

『うん・・・。』

『あー、そんな落ち込むな。奴らが持っていったのは偽物だからな。』

「『はっ⁉︎』」

 

メダルを奪われた事で落ち込む2人にヘビクラが掛けた言葉は予想外のものだった。アギラだけでなくミクラスやウインダム、魔王獣コンビも驚いていた。

 

『あのケースな、電波を遮断してたんじゃなく電波を出してたんだ。わざと敵がこっちに来るようにな。』

「へっ・・・俺、知りませんでしたよ⁉︎それを知ってたのって・・・。」

『ワタシも知ってマシタヨ。ゴモラとレッドキングも知っていまシタ。』

『ええーーーーっ⁉︎皆してあたし達を騙してたの⁉︎』

『悪かったよ、ミクラス。俺たちも仲間を騙すのは嫌だって抗議したんだがな・・・。』

『ピグちゃんがそれを許可したからね、わたし達も話す訳にはいかなかったんだ。』

『今頃、ガッツとエレが本物を届けている頃だぜ。』

「ミコ達が⁉︎だからここにいなかったんだ・・・。」

『そろそろ着く頃だぜ。ミコ、そっちはどうだ?』

 

 

 

 

 

その頃、2人のガッツ星人とエレキングはGIRLSの研究施設に到着した。ガッツ星人(ミコ)がメダルケースを手に持ったまま、ヘビクラからの連絡に出た。

 

「こちらガッツ。何の異常もなく研究所に到着したよ。これからメダルを渡すから。」

『了解。』

「えーっと・・・引渡し人は・・・。」

「あそこよ。」

 

エレキングが指差す先には帽子を被った防護服の男がいた。

 

「GIRLSのガッツ星人です!メダルを届けに来ました‼︎」

「どうも・・・。」

 

しかし、彼女は気付いていなかった。目の前の男が怪獣事件の裏で暗躍するカブラギに取り憑いた寄生生物セレブロである事には。




今日のトリガーは本当にリアタイで見れて良かったです‼︎
来週もハルキとゼットが見れるだけでなくあの怪獣まで現れるとは・・・・。

怪獣娘の世界でのあの怪獣ってどういう風に認識されているんだろう・・・?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未確認物質護送指令(後編)

お待たせしました。今回はキングジョーに関する記録がある怪獣娘世界だからこそのやり取りが含まれています。

ちなみに影絵はキングジョーとおジョーさんをイメージしています。

それではどうぞ。


セレブロはガッツ星人(ミコ)からメダルケースを受け取るとメダルケースを開く。そして高笑いを上げていた。受け取りのサインを書いてもらおうとペンを取り出そうとしたガッツ星人(ミコ)は目の前で起こった事に脳が追い付かず、ガッツ星人(マコ)とエレキングは唖然とした後、冷静さを取り戻して怒鳴る。

 

「それでは受け取りのサインを・・・えっ⁉︎」

「ハハハハハハハ‼︎ハーッハッハッハッハッハッ‼︎」

「⁉︎・・・・はっ、ちょっ⁉︎ちょっと何やってんのよ、アンタ‼︎」

「自分が何をしているか分かっているの⁉︎」

 

セレブロは怪獣娘達に何も言い返さずにメダルケースを持ってその場から逃走する。3人はその後を追い掛けた。ミコはソウルライザーでヘビクラに通信する。

 

「ヘビクラ隊長‼︎研究員がケースを開いて逃亡した‼︎今、わたしとマコ、エレの3人で追跡してる‼︎」

 

 

 

 

 

 

それを聞いたヘビクラは顔を顰めながらミコに指示を出した。

 

「分かった。俺らもそっちに向かう。お前らはそのままその研究員を追え。」

『分かった‼︎』

「ヘビクラさん・・・。」

「聞いた通りだ。急いで俺らも研究所に向かうぞ!」

「ちょっ⁉︎ちょっと待て‼︎」

 

研究所に向かう準備をするヘビクラ達を呼び止めたのはブラック指令だ。ブラック指令は発言する。

 

「ノーバの事はどうするんだ⁉︎」

「心配するな、ハルキの奴に麓の病院まで送っていってもらう。ここから山の麓まで行けるルートを教えてやるからそこで奴らと合流しろ。おい、ハルキ聞こえるか?」

『押忍・・・じゃなくてはい‼︎』

「お前は麓の病院までノーバを送り届けろ。彼女を送り届け次第俺達と合流しろ。」

『了解‼︎』

 

ヘビクラはブラック指令に地図を渡す。彼女達はそれを見て下山していった。それを見送ったヘビクラ達は再び車に乗り込む。全員が車に乗った事を確認するとヘビクラとレッドキングは車のエンジンを掛けてその場を走っていった。

 

 

 

 

 

 

2人のガッツ星人とエレキングはメダルを持って逃亡したセレブロを追う。しかし、セレブロを追う彼女達を上から巨大な影が覆った。

 

「何?」

「ガッツ、アレを‼︎」

「‼︎」

 

エレキングの声で上を向いた2人のガッツ星人は上空で4つの円盤が合体して巨大なロボットになるのを見る。それは先程ヘビクラ達の前に現れたキングジョーだった。キングジョーは大きな土煙を上げて地面に着陸する。

 

「エレ、ヤバい‼︎本物のキングジョーが‼︎」

「ええ‼︎ペダン星人にここを気付かれたようね‼︎」

「わたしが皆に連絡するわ‼︎アギラ、皆、聞こえる?キングジョーがここに降りてきた!ペダン星人の奴らにここを突き止められたわ‼︎」

 

 

 

 

その頃、ハルキは麓の町までノーバを抱えて下りてきた。ノーバは顔を赤らめながらハルキに話しかける。

 

「すまない・・・色々迷惑をかけて・・・。」

「えっ?あー、気にしなくっていいですよ!」

「・・・あの時・・・何故わたしを助けてくれた?わたし達は」

「誰でだろうとあんな状況で放っておける訳ないじゃないですか。俺は目の前の命を全力で助けただけですよ。」

「・・・・ハルキ・・・。」

 

ハルキはノーバを抱えて歩く内に病院にまで辿り着いた。そこに丁度ブラック指令達が来ていた。彼女達はノーバを抱えたハルキを見て2人に駆け寄っていく。

 

「ノーバさん‼︎」

「ノーバちゃん、大丈夫⁉︎」

「大丈夫だ。ハルキが・・・助けてくれた。」

「そうか・・・・ハルキと言ったな・・・見たところお前も我らが宿敵GIRLSの一員のようだがノーバを助けてくれた礼を言おう。本当にありがとう。」

「気にしないでください。俺は目の前の命を助けただけです。・・・それと彼女足を怪我しているので支えてあげてください。」

「分かった。後は我々に任せろ。」

「ハルキさん、本当にありがとうございました‼︎」

 

ペガッサ星人の声を聞いてハルキはその場を立ち去ろうとする。するとノーバはハルキを呼び止めた。

 

「ハルキ‼︎」

「?」

「今日は助かった・・・・この借りは必ず返す・・・・だから・・・また会おう。」

 

顔を赤らめながらお礼を言ったノーバに笑みを浮かべて頷くとハルキは彼女達を背に走っていく。ハルキは病院から離れてソウルライザーに連絡が来ている事を確認するとソウルライザーを手に取った。

 

「こちらハルキ。ノーバを無事病院まで送り届けました。」

『ご苦労だった、ハルキ。お前はその麓で待機してろ。俺達はこのまま研究所に向かう。』

『大変です‼︎マコから通信があってキングジョーが本物のメダルの在り方である研究所を突き止めたって‼︎』

「何だって⁉︎」

『‼︎・・・マジか・・・。ハルキ、お前はそのまま待機してろ。俺達は急いで3人の応援に向かう‼︎」

「えっ⁉︎待って下さい‼︎ヘビクラさん‼︎」

『『うわあああああああああ⁉︎』』

『マコ⁉︎・・・・・ガッツ?・・・一体何があったの⁉︎応答して‼︎』

 

ヘビクラが通信を切る前にミコとマコの悲鳴が聞こえたハルキはウルトラゼットライザーを取り出した。そしてヒーローズゲートからインナースペースに突入するとウルトラアクセスカードをセットする。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

そしてハルキはベータスマッシュに必要なメダルを取り出す。それを見たゼットはハルキを止めた。

 

『ちょっと待て!ハルキ、ここはアルファエッジの方がいい‼︎』

「ええっ⁉︎相手はあのキングジョーなんですよ‼︎ベータスマッシュじゃなきゃ奴の装甲とパワーに対抗できません‼︎」

『この距離でベータスマッシュで飛んだら間に合わない‼︎ベータスマッシュにウルトラフュージョンする事なら向こうでも出来るんだ‼︎それからでも遅くないだろ‼︎』

 

ハルキはゼットの言葉を聞くと暫く考えた後、メダルケースにベータスマッシュ用のメダルをしまう。そしてアルファエッジ用のメダルを取り出した。そしてゼットライザーにアルファエッジ用のメダルをセットし、ライザーに読み込ませる。

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

 

 

 

 

 

その頃、2人のガッツ星人とエレキングはデスト・レイの衝撃に巻き込まれて地面に倒れていた。2人のガッツ星人は後ろのキングジョーを見る。

 

「ううっ・・・ヤバい・・・。」

「流石は・・・本物のキングジョーね・・・。鋼鉄の宇宙ロボットと言っても過言ではないわ・・・。」

 

エレキングは視線の先にいるセレブロを睨む。セレブロは立ち上がりながらキングジョーに視線を向けていた。それでもキングジョーはこっちにやってくる。そこにウルトラマンゼットがキングジョーに飛び蹴りをかました。キングジョーは多少後退りするだけだった。

 

「ジェアッ‼︎」

「ゼット‼︎」

 

ゼットとキングジョーはお互いに睨み合う。構えながらお互い動いて睨み合うゼットとキングジョー。

 

「ジィアア・・・ジェアッ‼︎」

 

先にゼットはタックルをかます。キングジョーは左手からパンチを放つもゼットはそれを受け流す。ゼットはキングジョーの脇腹に蹴りを撃ち込み2発正拳を撃ち込んだ。しかし、キングジョーは対して動じず両腕からの殴打でゼットの体勢を崩し蹴りを放つ。ゼットは超合金で出来たキングジョーの蹴りを受けて吹っ飛んだ。目の前の敵がダウンした事を確認するとキングジョーは下にいるガッツ星人達に目を付ける。3人は再び逃走したセレブロを追う。ゼットはキングジョーの足を止めるため即席の必殺光線を放つ。

 

『(ゼスティウム光線‼︎)』

 

しかし、かつてセブンのアイスラッガー、そしてエメリウム光線を弾いたキングジョーにはそれは通用せず当たった箇所が赤く発熱するだけだった。

 

『きっ、効かない‼︎』

(やっぱりアルファエッジじゃ不利だ・・・。)

 

ハルキはベータスマッシュのメダルを取り出そうとするもその前にキングジョーの目が光る。破壊光線が放たれようとしている事に気付いたハルキとゼットは即座にキングジョーの前に立ちガッツ星人達を守る。

 

「ジェアアアアッ‼︎」

「ゼット‼︎」

 

ゼットはキングジョーのデスト・レイを受けて地面に倒れる。その衝撃でセレブロはメダルケースを落としてしまった。キングジョーの額から怪光が放たれたメダルケースを吸い込もうとする。それがキングジョーに吸収される前にゼットがメダルケースを掴み取った。

 

「ジェアッ‼︎」

 

ハルキは手に取った物を確認する。それは慈愛の勇者『ウルトラマンコスモス』、絆を繋ぐ戦士『ウルトラマンネクサス』、無限の勇者『ウルトラマンメビウス』の横顔が描かれたメダルだった。

 

(やっぱりウルトラメダル‼︎)

『おおっ‼︎コスモスさん、ネクサスさん、メビウス兄さんのメダルだ‼︎これの使い方は・・・えーと・・・・確か・・・・・。』

(えっ・・・・まさか・・・・・・使い方忘れたんですか⁉︎)

『ウルトラ面目ない・・・えーっと・・・・えーと・・・』

 

その後ろからキングジョーが両腕でゼットを殴打する。ゼットはその威力に地面に倒れてしまう。

 

「ヤバい‼︎ウルトラマンが‼︎」

「流石ウルトラセブンのあらゆる攻撃が効かなかったペダン星人のスーパーロボットね・・・。」

「ちょっと、2人とも‼︎あの研究員いなくなってるわよ‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)の言葉に後ろに目を向けるとセレブロの姿が見えなくなっていた。どうやら混乱に乗じて逃走したようだ。後ろを見た3人は悔しそうな顔になっていた。

キングジョーは地面に倒れるゼットを2度踏み付ける。ゼットは転がりながらキングジョーの足から免れるがキングジョーはゼットを捕まえると投げ飛ばしてマウントをとる。そして両腕でゼットを殴打しその頭を力の限り握る。キングジョーの馬鹿力にゼットは苦しんだ。

 

「ジョオアッ‼︎ジェェア‼︎」

 

その頃、ヘビクラ達も現場に到着した。キングジョー(本物)にゼットがやられてる光景に苦虫を噛み潰したような表情になるレッドキングとヘビクラ。その横ではかぷせるがーるずと魔王獣コンビが不安そうな顔をする。

 

「おいおい、嘘だろ・・・。」

「あーあ、やられてんな・・・。」

「このままじゃウルトラマンがやられちゃうよ‼︎」

「でも・・・どうやったら・・・。」

「大丈夫デスヨ!キングジョーにも弱点がありマスカラ‼︎」

 

キングジョー(怪獣娘)の言葉に思わずその場にいた皆が彼女を見る。アギラとゴモラは思わず聞いた言葉を尋ねた。

 

「ええっ⁉︎キングジョーさん・・・弱点って‼︎」

「本物のキングジョーの弱点が分かるの⁉︎」

「勿論デス‼︎アレはワタシのカイジューソウルの怪獣・・・ワタシには分かりマス‼︎それではゼットの応援に向かいマスネ‼︎」

 

キングジョー(怪獣娘)は背中のブースターでキングジョー(本物)に向かっていく。そして彼女はソウルライザーを再び操作した。

 

「ソウルライド、『EXモード』‼︎」

 

途端に彼女の獣殻は黒と白のカラーで右腕にランチャー、左腕に伸縮性のハンマーを備えた姿に変身する。そしてキングジョー(怪獣娘)は右腕のランチャーから最大火力の光線を放つ。それを受けたキングジョー(本物)の右腕はゼットに振り下ろされる筈の軌道から外れて地面に激突する。

 

「ウルトラマン‼︎その怪獣はワタシのカイジューソウルの怪獣・・・ワタシには弱点が分かりマス‼︎分離した瞬間の接合部は他の部分と比べると脆い硬さデス‼︎そこを狙って下サイ‼︎」

『ウルトラナイスな情報だ‼︎』

(まずは押し戻しましょう‼︎今こそベータスマッシュで行く時です‼︎)

 

ハルキはベータスマッシュ用のメダルを取り出すとゼットライザーにセットする。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z BETA-SMASH

 

ベータスマッシュに変身したゼットはキングジョーを押し返して前蹴りを放つ。そしてそのままタックルを仕掛けるもキングジョーはベータスマッシュのゼットを押し返されそうになる。

 

「デュワアアアッ‼︎」

 

キングジョーの右腕の殴打を受け止めてエルボーを3度打ち付け距離を引き離すがキングジョーの右腕の殴打を受けて背中を向けてしまう。そのままキングジョーはゼットの首を締め始める。肘打ちを打って何とか逃れるもキングジョーは戦闘体勢を崩さない。

 

『駄目だ‼︎どうしよう‼︎』

(ベータスマッシュでも決め手を打てないなんて・・・・何か・・・何か無いのか・・・キングジョーを分離する方法・・・・俺達も4つに分かれられないですか⁉︎)

『・・・・おおっ‼︎出来るぞ‼︎変幻自在のガンマフューチャーにウルトラフュージョンだ‼︎』

 

ハルキはその声を聞いてゼットライザーにティガ、ダイナ、ガイアのメダルをセットした。そしてメダルを読み込ませる。

 

「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE

 

ガンマフューチャーに変身したゼットはガンマイリュージョンでティガ達の幻影を呼び出す。

 

『(ガンマイリュージョン‼︎)』

 

呼び出された幻影達はゼットと共に必殺光線を放つ。それを受けたキングジョーは思わずその場から離脱しようと分離した。ゼットは両手をかざして金色の粒子状の光線を放つ。それは光の輪となり円盤形態のキングジョーを拘束した。

 

『今だ、ハルキ‼︎3枚のメダルをゼットライザーにセットしろ‼︎それで必殺技『ライトニングジェネレード』が撃てる‼︎』

(変身用じゃなくて技用のメダルもあるんですね!分かりました‼︎)

 

ハルキはゼットライザーのブレードを戻すと先程のメダルをセットして読み込ませる。

 

〈COSMOS〉、〈NEXUS〉、〈MEBIUS〉

 

『(ライトニングジェネレード‼︎)』

 

ゼットライザーから電撃が放たれる。それは上空に黒雲を発生させた。そして虹色の落雷が円盤形態のキングジョーに放たれる。幾らキングジョーといえど脆い接合部に強力な電撃を受け、浮遊を保てず地面に墜落して大爆発した。

 

 

 

 

 

その後、ハルキ達はGIRLS東京支部に戻っていた。

 

「結局、メダルを届けられなかったね・・・。」

「まぁ、ウルトラマンが持っていってしまったからな。」

 

ヘビクラの言葉にハルキは思わず罰が悪そうな顔になる。

 

「それにGIRLSはあのキングジョーを手に入れたんだ。そう考えれば今回の作戦は無駄では無かった筈だぜ。」

「あのキングジョー・・どうするつもりなんですか?」

「さあな・・・。」

 

その後、キングジョーは悪用を避けるためにGIRLSに回収される事になった。しかし、キングジョーの落ちた現場で怪しげな手が伸びていた事に誰も気が付いていなかった。




ハルキ「ハルキと」

サチコ「サチコの」

ハルキ&サチコ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈DYNA〉

サチコ「ティガと同じく3つのタイプで戦うウルトラマンダイナ。青いミラクルタイプは超能力戦士でその力がガンマフューチャーを強くしてるんだって!!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈MEBIUS〉

ハルキ「ウルトラマンメビウス。地球人との絆を熱い炎に変えて戦ったヒーローだぜ!!」

クララ「次回はワタシが担当シマース。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『GIRLSが回収したキングジョーを取り返すため宇宙海賊バロッサ星人がGIRLS東京支部に忍び込む。気を付けろ、ハルキ。コイツは色々な武器を持っているんだ!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


宇宙海賊登場!


ウルトラ斬り合うぜ!!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

宇宙海賊登場!(前編)

キングジョー・GIRLSカスタムの設定マジでどうしよう・・・・。
キングジョー回収させたの失敗だったかな・・・。

海賊宇宙人『バロッサ星人』登場


数日掛けてGIRLS東京支部にウルトラマンゼットに倒されたキングジョーが完全に回収された。多岐沢とクララが回収されたキングジョーを眺めている。

 

「まさか本物のキングジョーをこの目で見る事が出来るとは思いませんでしたよ‼︎・・・本当に凄いです‼︎ペダン星のスーパーテクノロジーの塊が目と鼻の先にあるのですから‼︎」

「Professor、少し落ち着いて下サイ‼︎・・・まぁ・・・気持ちは分かりマス‼︎ワタシも正真正銘本物のキングジョーをこの目で・・・それもこんな近くで見る事が出来る日が来るなんて思いもしませんデシタカラ‼︎」

 

2人が目の前のキングジョーを見て歓喜の声を上げる。2人と同じくキングジョーを眺めていたベニオとミカヅキは今後、このキングジョー(本物)がどうなるのか訊ねる。

 

「なぁ・・・コイツはこれからどうなるんだ?」

「ずっとこのままにしておくの?」

「上層部はこのキングジョーを改造して新たなGIRLSの戦力にする予定だそうです。パイロットも怪獣娘が務める予定ですよ。」

「えっ⁉︎コイツを俺達が操縦するのかよ⁉︎」

「ハイ‼︎これでワタシ達も怪獣を相手にまともな戦いが出来マス‼︎」

「本物のキングジョーのパイロットをうちらが務めるのかぁ・・・・。これでわたし達もゼットちゃんと一緒に戦えるね‼︎」

 

2人の質問に答えた多岐沢とクララの言葉にベニオは驚きを隠せない。ミカヅキもその言葉を聞いて思うところがあるのかそこにトモミがやってきて苦言を立てる。

 

「私としては・・・・このままにしておくのが1番だと思うんですけどね・・・・。過去にキングジョーを改造して自分達の戦力にしようとしたら暴走したという事例がありましたから・・・。」

「ピグモンさん・・・。」

「それにこのキングジョーをきっかけにGIRLSの本質が失われそうなのが心配です・・・本来、GIRLSは怪獣娘の保護や社会との共存を理念に作られた組織です・・・このキングジョーをきっかけにGIRLSの理念が歪まなければいいのですが・・・。」

「大丈夫だよ!わたし達が正しい心を持ち続ければいいんだから‼︎」

「そうだぜ、ピグモン。俺達が心を見失ったりしない限り、そんな事は起こらねぇよ・・・・。」

 

ミカヅキとベニオの言葉を聞いたトモミは彼女達の顔からキングジョーに再び視線を向ける。そして少し考えたような表情になると少し吹っ切れた顔になって呟いた。

 

「そうですね・・・・そう願いましょう‼︎」

 

 

 

 

 

 

「あー・・・・課題やっと終わった〜・・・・。結構今日のは量があったな・・・。」

「お疲れ、ハル。・・・昔から変わらないね〜。勉強苦手なの。」

「・・・・・・・ミコは変わってないな・・・俺、全然分からなかったよ・・・。」

「当然‼︎だってわたしは無敵のガッツ星人、勉強なんて楽勝だよ‼︎」

「ハハ・・・頼もしいぜ。」

 

ハルキとミコは学校の課題をGIRLSの休憩室で終えていた。ミコにとっては簡単だった問題もハルキにとって難しかったらしくハルキはミコに教えてもらいながら課題を全て終えた。課題を終えるや早々に机に突っ伏してたところにマコがやってきた。

 

「ハルキ、ミコ。」

「どうしたの?」

「アンタ達、2人で今日の課題終わらせたの?」

「そうだけど・・・。」

「そう・・・。ハルキ・・・今度はわたしと一緒だからね。・・・・出来れば2人きりで・・・。」

 

マコはハルキの顔を見て去って行った。ハルキはマコの意図が読めずにいたがミコはマコの意図を読んで納得したような顔をしている。

 

「マコ・・・どうしたんだよ・・・。」

「マコってば・・・。」

「?・・・どうしたんだよ?」

「何でもない。それよりぃぃ・・・さっきの約束だけど・・・。」

「ああ、分かってるよ。クレープ奢るから。」

「やった‼︎」

 

ミコは嬉しそうな表情でハルキの右腕に抱き付いて自身のGIRLSの中で一、二を争う巨乳を押し付ける。その感触にハルキは思わず顔を赤くしてしまう。

 

「お、おい、ミコ・・・お前・・・。」

「ん〜、どうしたの、ハル?」

「い・・・いや・・・その・・・。」

 

ミコに胸を押しつけられて顔を赤くしてしどろもどろになるハルキを見つめる1人の少女がいた。セブンガーの怪獣娘であるナナだ。彼女は今のハルキとミコを眺めながら溜息をつく。

 

「ね〜え、どうしたの?(ハルってば隠すの下手だなぁ・・・わたしのおっぱいにドキドキしてるのがバレバレだよ♪嘘付くの下手なハルにはお仕置きかな・・・もっとおっぱいの感触、押し付けちゃえ♪)」

「べっ・・・別に何でもねえよ・・・ただ・・・何か熱く感じてきただけだ・・・。(言える訳ねぇだろ‼︎お前のデカい胸の感触を感じちまったなんて‼︎しかも・・・更に胸の感触が強くなったし‼︎)」

「ハルキさん・・・やっぱりガッツさんの方がいいのかな・・・。ガッツさん、本当におっぱい大きいから・・・。」

「どうしたの?」

 

溜息をつくナナに後ろからアキが話しかけてきた。ナナはアキに飛びつくとその胸で強く自身の思いを訴える。アキはナナの言葉に困惑せずにはいられなかった。

 

「アギラ師匠‼︎やっぱり男の子っておっぱいが大きい子にしかなびかないんですか⁉︎私じゃガッツさんには敵わないんですか⁉︎答えて下さいよ〜‼︎」

「えっ⁉︎い・・・・いきなり何⁉︎・・・・・・・そんな事無いと思うけど・・・。それにどうしてガッツが話に出てくるの?・・・・・・・って・・・師匠は止めてよ‼︎」

「うわ〜ん‼︎アギラ師匠〜‼︎どうしたら私はあんな大きいおっぱいを持ったガッツさんに勝てるんですか〜⁉︎教えて下さいよ〜‼︎」

「お、落ち着いて‼︎兎に角話を聞くから‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、1つの影がGIRLS東京支部を見つめていた。それの姿は明らかに人間とはかけ離れた姿だったが誰もそれに気付くことは無かった。何故ならそれは宇宙から来た存在で昔、とある惑星で手に入れた透明になれる装備を身につけていたからである。それはGIRLSの建物に複数の職員が入っていくのを見ると彼らに気付かれないようにドアに近付く。そしてドアが完全に閉まる前にGIRLSに侵入したそれは自身の目的のための第一関門を突破した事を嬉しそうに呟いた。その呟きは明らかに地球の言語ではない言葉だった。

 

「バロバロ・・・・。」

 

そしてそれは建物内を歩いていくと2人の少女を見つける。サチコとミサオだ。2人はこの前のキングジョーの任務で待機を命じられた事について愚痴っていた。

 

「それにしても・・・・あたし達だけ本部に待機なんて・・・・あたしだってそれなりには戦えるのに・・・‼︎」

「しょーがねぇだろ・・・それに・・・お前・・・メダルの事黙ってられる自信あるか?」

「そりゃそうだけど・・・でも本部で待機しているあたしらにも隠す必要なくない⁉︎」

「まぁ・・・お前の言いたい事は分かるよ・・・・。アタシらだって怪獣娘なんだからメダルを奪おうと目論むペダン星人を黙って見てられないのにさ・・・・留守番なんて納得いかないよな‼︎」

 

彼女達の会話を聞いてこの建物に自身が探している物が運ばれたと確証を得た。その時、丁度1人の職員が通りかかった。それはその職員の前に立つとマントで隠していたその身を曝け出す。明らかに人間ではないその姿に思わず職員は悲鳴を上げてしまった。

 

「きゃあああああああああああああああああああ⁉︎」

「悲鳴⁉︎」

「行ってみよう‼︎」

 

悲鳴を聞いたサチコとミサオはその場に駆け付ける。すると目の前では気絶した職員がうつ伏せで倒れていた。彼女達はその職員に駆け寄ると安否を確認する。

 

「ちょっと⁉︎大丈夫ですか⁉︎」

「・・・息はある・・・気絶してるだけだ・・・しっかりして下さい‼︎」

 

2人は倒れた職員に呼び掛ける。するとその後ろでGIRLSに侵入したそれはその光景を陰から眺めていた。そしてサチコの方に視線を向けると次の計画に移ろうと準備する。

 

「一体何が・・・・。」

「とにかく医務室に連れて行くぞ!事情は」

「バロバロバロバロバロッサ〜‼︎」

「「うわあああああああああ‼︎」」

 

2人が気絶した職員を抱えて隙が出来た瞬間、姿を隠していたそれは彼女達の前に姿を曝け出した。その姿は紫色の体に暗い金色の無数の渦巻き模様がついた外骨格、顔には兎のような大きな耳に青い目の明らかに人間ではない姿の異形だった。2人は直ちにその異形から離れる。

 

「な、何⁉︎コイツ⁉︎まさかコイツに気絶させられて⁉︎」

「どっから見ても人間じゃねぇな・・・見た目からしてシャドウとも違うし・・・コイツ・・・・・宇宙人か‼︎ピグモンさんに報告するぞ‼︎」

 

 

 

 

 

「アギラ師匠・・・・私・・・・ハルキさんの事が好きになってしまったらしいんです・・・・。」

「えっ、ハルキさんの事を?・・・それっていつから?」

「えっと・・・・あのアンドロイドとの戦いでEXモードに覚醒する前にスタミナ切れを起こしていた時に私に助太刀してくれた時からです・・・。」

 

サチコとミサオがその異形と遭遇する少し前、アキはGIRLSの休憩室でナナの相談を受けていた。実はナナは前にバリスレイダーに拐われたリクを助ける作戦の時に戦いの最中に自身のために助太刀してくれたハルキの姿を見てからハルキに惹かれてしまったのだ。彼女は最近、自身の想いに気付いたもののいざ話しかけようとすると幼馴染が故にハルキと楽しそうに話すミコの姿をよく見かけるため、自身は劣等感を感じずにはいられなかった。

 

「ガッツさん、私が見た限り・・・ハルキさんもガッツさんと一緒にいると楽しそうにしていますし・・・・ガッツさんに比べたらこんなちんちくりんな私は目もくれてくれませんかね・・・。」

「そ、そんな事無いよ‼︎ハルキさんはガッツと幼馴染だから親しい仲であるだけで」

「けど、ガッツさんがあの大きなおっぱいを押し付けながら街を楽しそうにハルキさんと歩くところをこの前見てしまいましたよ‼︎・・・・ガッツさんって・・・・本当におっぱいもお尻も大きくてスタイル抜群ですし・・・やっぱり・・・私に勝ち目なんて・・・。」

「女の子の魅力は絶対に胸だけじゃないよ‼︎・・・・それにハルキさんが女の子を胸でしか判断しないような人だったらボクはガッツからハルキさんを引き離す‼︎」

「アギラ師匠・・・・!」

「だから諦めちゃ駄目だよ!ハルキさんの事、好きなんでしょ。確かにガッツが恋のライバルになったらかなりの強敵になると思う・・・それでも最初から決めつけて諦めちゃ何も始まらないよ‼︎」

「ありがとうございます‼︎アギラ師匠‼︎」

「・・・・だから師匠は止めてって・・・・。」

 

 

 

 

 

 

「ハックション‼︎」

「どうしたの、ハル?風邪でも引いた?」

「いや・・・特に何ともないけど・・・。」

「そう・・・でも無理しちゃ駄目だよ、意地張ってたら身が持たないんだから。」

「ああ・・・・気を付ける・・・。」

 

その頃、ハルキとミコはGIRLSを後にしようとしていた。既に2人は私服姿に着替えている。突然クシャミしたハルキをミコは気遣いの言葉を送る。ミコはハルキを心配して一度ハルキの右腕から離れるもハルキの答えを聞いて再び右腕に胸を押しつけながら抱き付いた。ミコの胸が再びくっついている事を感じたハルキは再び顔を赤くしてしまう。

 

「お、おい⁉︎」

「じゃあ行こ‼︎美味しいクレープ食べにさ‼︎」

「あ・・・ああ・・・。」

 

ハルキとミコはそのままGIRLS東京支部のドアから建物の外に出ようとした時、ミコのソウルライザーに通信が入る。相手はトモミだった。ソウルライザーの画面に表示された『WARNING』の文字に2人はただ事では無いと感じて電話に出る。

 

「・・・もう何⁉︎折角ハルとデートに・・・・ってコレって⁉︎」

「緊急事態って事だよな⁉︎ミコ‼︎」

「うん‼︎・・・こちらガッツ‼︎」

『ガツガツ‼︎今そこにハルハルも一緒にいますか⁉︎』

「俺もミコと一緒です‼︎」

『2人とも緊急事態です‼︎このGIRLS東京支部の建物内に宇宙人が侵入しました‼︎』

「「⁉︎」」

 

ハルキとミコは顔を見合わせてトモミの言葉に驚いた。思わずミコとハルキはトモミに宇宙人の侵入経路とその正体と現在の位置を訊ねる。

 

「ちょっ、ちょっと待って‼︎宇宙人がGIRLSに侵入⁉︎一体どうやってこの建物に⁉︎」

『まだ分かりません‼︎現在調査中です‼︎』

「宇宙人の正体は⁉︎それとそいつは何処に⁉︎」

『それも不明です‼︎それと同時に宇宙人の侵入を報告してくれたザンザンとノイノイからの連絡も途絶えました‼︎現在、2人のソウルライザーのGPSの位置と照らし合わせるとハルハルとガツガツが1番近いです‼︎大至急、2人の安否と宇宙人の正体を探って下さい‼︎」

「「了解‼︎」」

 

2人はトモミから送られてきた2人のGPSを頼りにその場を駆け出して行く。そして2人がそこに辿り着くと辺りは誰もおらず静かだった。思わずハルキは口を溢した。

 

「本当にこの建物に宇宙人か侵入したのかよ・・・・。」

「でも・・・ザンドリアスとノイズラーの様子を考えると本当の可能性が高そうだよ。それにしても・・・・ブラックスターズの騒動以来、セキュリティには最新の注意を払ってきた筈なんだけどなぁ・・・。」

「地球外の技術で侵入してきたのかも・・・・ってミコ、アレ‼︎」

「どうしたの・・・・ってノイズラー‼︎」

 

2人が宇宙人がどうやって侵入したか話し合ってると道端で倒れているノイズラーを見つける。思わず2人は彼女に駆け寄った。ミコがノイズラーを抱き抱えて起こす。

 

「ノイズラー!ノイズラー‼︎しっかりして‼︎」

「う・・・ううん・・・ガッツさん?・・・ハルキ?」

「良かった、気がついて‼︎ピグっちが2人から連絡が無いから心配してたんだよ‼︎」

「・・・ガッツさん‼︎ハルキ‼︎後ろ‼︎後ろに奴がいる‼︎」

「「‼︎」」

 

ノイズラーが2人に大声で告げる。2人はその声を聞いて後ろを振り向くとそこにはザンドリアスの頭を掴んだ異形がいた。2人は目の前の存在こそ2人から報告のあった宇宙人だと断定する。ハルキはソウルライザーのデータで目の前の宇宙人を調べるがデータを確認出来なかった事から新たな種の宇宙人だと判断した。

 

「ザンドリアス‼︎・・・・・・ノイズラー、コイツがGIRLSに侵入した宇宙人でいいんだよね⁉︎」

「そうです‼︎コイツです‼︎」

「しかもコイツ・・・GIRLSの記録に無い‼︎新種の宇宙人だ‼︎・・・お前、何者だ‼︎」

 

ハルキの問いを聞いた宇宙人はザンドリアスの頭を掴んだまま彼女を操って名乗りを上げる。

 

「下等生物共、よく聞け・・・・我が名はバロッサ・・・。」




ミコちゃんがメインヒロインになったら多分今回のセブンガーちゃんみたく強くプレッシャーを感じる人が多そうだと思いました。
これから先も今回のセブンガーちゃんみたいに強くプレッシャーを感じるヒロインを出したいですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

宇宙海賊登場!(中編)

今回はこの中編にサブタイを探せを入れました。
それと今回の影絵はバロッサ星人と中学生コンビと魔王獣コンビをイメージしています。


「またここに来る事になるなんて・・・。」

「当然だ‼︎我々の宇宙から来たメダルを手に入れるという野望のためだ‼︎」

「さっすがブラックちゃん、無駄に諦めが悪いねぇ‼︎」

 

丁度その頃、このGIRLS東京支部に宇宙人以外の侵入者がいた。ブラックスターズだ。彼女達はまだGIRLSがウルトラメダルを持っていると思い込んでこの施設に侵入していたのだ。そんな中、ノーバだけが何処か思い詰めた表情をしている。

 

「どうしたんですか、ノーバさん?」

「・・・ああ、気にするな。少し個人的に気になった事があるだけだ。」

「あれぇ、ノーバちゃん、もしかしてぇ・・・。」

 

その中でオレンジ色に黒のセーラー服を着た少女がノーバに話しかけた。先程ノーバに話しかけたその少女こそペガッサ星人の怪獣娘である『平賀サツキ』だ。サツキの声にノーバは少し戸惑いながらも返事を返す。それを聞いたシルバーブルーメは面白そうな顔をする。そんな中、彼女達にサイレンが聞こえてきた。

 

『緊急事態発生‼︎緊急事態発生‼︎この施設に侵入者が入り込みました‼︎直ちに警戒態勢に入って下さい‼︎繰り返します‼︎この施設に・・・』

「なっ⁉︎侵入者だと⁉︎」

「まさかもう我々の事がバレたのか⁉︎」

「待って下さい‼︎まだそうと決まった訳じゃ‼︎」

 

そんな中、ハルキからの通信を聞きながらトモミとヘビクラがその場にいたアキ達に命令を下すのが聞こえる。ブラックスターズはノーバが咄嗟に取り出した段ボールの中に隠れようとする。

 

『ピグモンさん、こちらハルキ‼︎』

「ハルハル、ハルハルですか⁉︎良かった・・・お2人からの連絡が途絶えたから心配になっていたんですよ‼︎」

「状況を説明して‼︎一体何が起こってるの⁉︎」

「皆、コレに身を隠せ‼︎」

「待って下さい‼︎これで隠せるんですか⁉︎」

「いいから早く‼︎気付かれるぞ‼︎」

 

その場で段ボールに隠れた彼女達はトモミ達の会話を聞く。すると彼女達の会話から驚くべき事が飛び込んできた。

 

『ピグモンさん、宇宙人の名はバロッサ星人‼︎宇宙のあちこちで略奪行為を働き奪った武器を自分の力として使うヤバい海賊宇宙人です‼︎あのキングジョーもその1つで奴はそれを取り返しに来ました‼︎奴はザンドリアスを人質に動いています‼︎』

「分かりました‼︎ハルハルはガツガツ、ノイノイと共にバロッサ星人を追って下さい‼︎既にアギアギ達も向かっています‼︎」

『押忍・・・・じゃなくて了解‼︎』

「俺もハルキと合流する。ヨウとユカはトモミを守れ‼︎お前ら、必ずここに侵入した潜入者を撃て!」

『了解‼︎』

「なっ⁉︎GIRLSに本物の宇宙人が侵入しただと⁉︎」

「このGIRLSに侵入するなんて・・・どんな宇宙人なんでしょうか?」

「わたし達はどうする?」

「ここで様子を見よう。幸いにも誰も私達に気付いていない。」

 

ブラックスターズはノーバの言葉に従う事にした。その場で段ボールを被りながら様子を伺う。ヘビクラはブラックスターズが隠れている方に目を向けるとすぐに振り返ってその場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、ハルキ達は目の前の海賊宇宙人『バロッサ星人』と奴が操るサチコの声を通して話していた。

 

「バロッサ・・・星人・・・・。それが名前か⁉︎」

「そうだ。ここに運ばれたキングジョーは我々がペダン星から奪った宇宙船・・・返してもらうぞ。」

「お前らの狙いはキングジョーか⁉︎ザンドリアスを離せ‼︎」

「そうはいかない。生憎我々はお前達下等生物の言語を話す声帯を持ち合わせていないのでな。」

「か、下等生物だって⁉︎」

「わたし達も舐められたものだね‼︎でも、わたしは如何なる戦いに負けた事がない無敵のガッツ星人‼︎アンタ達なんかに負けないよ‼︎」

「所詮下等生物が怪獣の力を身に付けたくらいで我々に勝てると思うな。」

「舐めやがって‼︎さっきの不意討ちのお返しにぶっ飛ばしてやる!!ガッツさん!!」

「うん、行くよ、ノイズラー!!ハル、ピグっち達に伝えて‼︎ソウルライド、『ガッツ星人』!!」

「ちょっと待て‼︎敵の能力も分からずに飛び込むのは危険だ‼︎」

 

2人の怪獣娘はバロッサ星人に突っ込んでいく。バロッサ星人は何処からともなく剣を取り出して2人を斬りつける。2人は寸での回避に成功して距離を取る。2人は剣を構えたバロッサ星人と睨み合っていた。

 

「こいつ・・・剣を使うのか・・・。」

「武器持ちの相手か・・・初めて戦うタイプの敵だね!!慎重に戦うよ!!」

「はい!!」

 

再び2人はバロッサ星人に突っ込んでいく。2人の動きを見たバロッサ星人はザンドリアスを放ると再び剣を2人に向けて振り回す。ガッツ星人は瞬間移動でその場から消え、ノイズラーは剣を持った手を受け止めて手刀を放つ。手刀を受けたバロッサ星人は思わずその手から剣を手放した。そこにガッツ星人が後ろから瞬間移動で現れて蹴りを放つ。

 

「でやあっ‼︎」

「バロ⁉︎」

 

蹴りを受けたバロッサ星人は思わず後ろを見るとガッツ星人が自身に拳を向けている事に気付く。すると再びバロッサ星人は掌を広げ右腕を伸ばしてガッツ星人の顔の前に翳すと掌を回し始める。

 

「えっ・・・何⁉︎」

「ガッツさん‼︎その動きを見ちゃ駄目だ‼︎」

「あれ・・・・わたし・・・・・・目が・・・回って・・・・。」

 

ノイズラーの警告も遅くガッツ星人はバロッサ星人の手の動きを見てしまう。掌に刻まれた渦巻き模様を回す事で彼女は目を回して無防備な状態になってしまう。勿論、彼女が目を回したタイミングをバロッサ星人が逃す筈もなくガッツ星人はバロッサ星人の前蹴りを受けてしまう。

 

「きゃあっ⁉︎」

「ミコ⁉︎」

 

ハルキはガッツ星人に駆け寄るも彼女は頭を壁に思い切りぶつけてしまった。頑丈な怪獣娘である彼女にとってもその衝撃は強いものだったらしくガッツ星人は気を失ってしまう。

ノイズラーはただ1人バロッサ星人に向かっていくがバロッサ星人は今度はハンドアックスを取り出し左手で持ってノイズラーに構える。新たに武器を構えてきた宇宙人にノイズラーは目を見開いて驚いた。

 

「斧⁉︎他にも武器を隠し持っていたのかよ⁉︎」

「バロバロバロバロバロッサ〜‼︎」

 

バロッサ星人はハンドアックスを何度も振り回してノイズラーを襲う。ノイズラーは耳の良さでバロッサ星人の腕を振り回す音を聞いて敵の武器を避ける。ノイズラーは飛び上がるとそのままバロッサ星人の顔に蹴りを浴びせる。

 

「バロッ⁉︎」

「今度はコイツでどうだ‼︎」

 

ノイズラーは今度はギターを構えて音波攻撃を放った。バロッサ星人の耳は地球人より高い聴力を持っていたのかその音波に苦しみ始める。しかし、バロッサ星人もただ苦しむだけでは無かった。今度は光線銃を取り出してノイズラーを銃撃する。ノイズラーは銃撃を3度受けて地面に落ちてしまった。

 

「ぐああっ⁉︎・・・畜生・・・銃まで持ってやがるのか・・・どんだけ武器を持ってやがるんだよ・・・・。」

「バロッ‼︎」

 

地面に倒れてダメージを受けた体を起き上がらせようとするノイズラー。そんな彼女の首に目掛けたバロッサ星人はハンドアックスを向ける。

 

「バロバロバロバロ・・・・。」

「畜生・・・結構威力高ぇ・・・思うように身体が動かねえ。」

「バロバロバロ・・・。」

「えっ・・・・。・・・・おい・・・・何する気だ・・・おい・・・・。」

 

ノイズラーは何とか体を起こそうとするが光線銃の威力が思ったより高かったのか彼女は起き上がらない。ノイズラーは思わず相手の凶器に怯えながら後退りする。幾ら怪獣娘とはいえ彼女は中学生、その手に凶器を持った明確な悪意を持つ異形が自身の首を落とそうとする光景に恐怖を隠す事が出来なかった。そんな彼女の心境など知ったことかといわんばかりにバロッサ星人は容赦無く距離を詰めてくる。

 

「ひっ・・・・いや・・・や・・・止めろ・・・・来るな・・・・。」

「バロバロバロバロ・・・バロッサーッ‼︎」

 

バロッサ星人はハンドアックスを振りかざして彼女の首を真っ二つにしようとする。このまま彼女の首と体が真っ二つになると思われた時、ハルキはバロッサ星人に飛び蹴りをかましていた。ハルキの飛び蹴りを受けたバロッサ星人は吹っ飛んで地面に倒れる。ハルキはノイズラーに駆け寄って手を差し伸べながら無事を確認する。ノイズラーはハルキを見て何処となく顔が赤くなっていた。

 

「ノイズラー、大丈夫か⁉︎」

「・・・・・ハルキ・・・ああ・・・大丈夫だ・・・助かった。」

「ここで休んでろ‼︎後は俺が引き受ける‼︎ミコを頼む‼︎」

「ああ・・・・・ハルキ・・・気を付けてな。」

「ああ‼︎」

 

ハルキは顔を赤らめるノイズラーの言葉に頷くとバロッサ星人に向かって正拳を放った。バロッサ星人はハルキの拳を受けて後退りするがすぐに剣を取り出して応戦に入る。

 

「バロバロバロ‼︎」

「また剣を・・・どんだけ武器を持ってやがるんだ・・・。」

 

ハルキは剣を振りかざしてきたバロッサ星人の右腕を掴むとそのまま自身もろとも階段を転げ落ちていく。そして下の階に着地すると2人は立ち上がった。その時、ハルキの体が勝手に動いてウルトラゼットライザーを取り出す。

 

『止めろ!お前や怪獣娘が勝てる相手じゃない‼︎ここは任せろ‼︎』

「ゼットさん⁉︎」

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはゼットライザーにウルトラアクセスカードをスキャンして後ろから来るヒーローズゲートに体を通すと等身大のウルトラマンゼットに変身する。

 

ULTRAMAN Z

 

ゼットはバロッサ星人に向かって構えながら敵の事をハルキに教える。

 

『奴はバロッサ星人‼︎宇宙各地で破壊と略奪を繰り返し、奪った武器を自分の力として使うウルトラヤバい海賊宇宙人だ‼︎』

(海賊宇宙人⁉︎)

 

ゼットはバロッサ星人と睨み合う。先に仕掛けてきたのはバロッサ星人だ。バロッサ星人は剣で斬りつけようとするがゼットは咄嗟に避けて横腹に蹴りを入れる。2人は距離を取ると睨み合っていた。

 

「ジェアッ‼︎ジィアッ‼︎」

 

ゼットは50秒しかこの状態で戦えないため早めにケリをつけようとバロッサ星人を挑発する。バロッサ星人は剣を突き立ててくるがゼットはその腕を受け止めて右腕でバロッサ星人の頭に肘打ちを叩き込んだ。それを受けてゼットと距離を離したバロッサ星人は今度は茶色いマントを取り出した。そしてそれを羽織るとその姿が消える。

 

(消えた⁉︎)

『今のは怪獣『サータン』の皮で出来たマントだ‼︎気を付けろ、ハルキ‼︎』

 

ゼットは警戒して辺りを見渡す。そして後ろから透明になったバロッサ星人がゼットを蹴り付ける。制限時間が来て変身が解除されてしまったハルキは後ろを振り返った。するとザンドリアスが虚ろな目でバロッサ星人にまた頭を掴まれているのを見る。ハルキはそれを追っていくが2人の姿は曲がり角に指した場所で姿が消えていた。ハルキはソウルライザーを見るとトモミからの着信が来ている事を確認して電話に出る。

 

「ピグモンさん、こちら、ハルキ‼︎」

『ハルハル、ハルハルですか⁉︎良かった・・・お2人からの連絡が途絶えたから心配になっていたんですよ‼︎』

『状況を説明して‼︎一体何が起こってるの⁉︎』

 

トモミとアキの言葉にハルキは今までの経緯を話す。ハルキから経緯を説明されたトモミはハルキに指示を出す。

 

『分かりました‼︎ハルハル、ガツガツとノイノイが回復し次第、3人と共にバロッサ星人を追って下さい‼︎既にアギアギ達も向かっています‼︎』

「押忍・・・・じゃなくて了解‼︎」

 

ハルキはトモミからの通信を切ると2人の元に戻る。そこではガッツ星人に支えられたノイズラーがいた。2人はハルキを確認すると駆け寄って来る。

 

「ハル‼︎無事だったんだね‼︎」

「俺は何とか・・・2人は大丈夫か?」

「わたしは大丈夫‼︎」

「アタシだって平気だ‼︎・・・それよりザンドリアスは?」

「・・・拐われたままだ。・・・アギラさん達も奴を追っているから合流しよう‼︎ノイズラー、無理はするなよ。」

「アタシだってまだやれるよ!今度こそ目に物を言わせてやる‼︎」

 

ハルキは2人と共にその場を後にして行った。

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSの監視カメラの制御室にはトモミ、ヨウ、ユカがいた。彼女達は監視カメラを確認してバロッサ星人の行方を追っている。

 

「バロッサ星人は一体何処に・・・?」

「クソッ‼︎神出鬼没すぎだろ‼︎」

「ピグモンさん‼︎バサちゃん‼︎アレ‼︎」

 

モニターに映らないバロッサ星人に焦るトモミとヨウ。その時ユカの声に2人は彼女が指差す方向を見る。するとふらつきながらザンドリアスがやってきた。思わずヨウは彼女を心配するがトモミは彼女を静止する。

 

「ザンドリアス‼︎大丈夫か⁉︎」

「待って下さい‼︎確かバロッサ星人はザンザンを‼︎」

「バロッサ〜‼︎」

 

ザンドリアスの後ろから姿を現したバロッサ星人に彼女達は警戒する。バロッサ星人はザンドリアスの頭を掴んで彼女を操作する。

 

「バロッサ星人‼︎」

「キングジョーを起動させろ。さもなければコイツの頭は簡単に割れるぞ。」

 

そう言ったバロッサ星人はその頭を握る力を強くし始める。その痛みに耐えられなくなったのかザンドリアスはトモミ達に訴えた。

 

「いや‼︎助けて‼︎お願い、助けて‼︎死にたくないよ‼︎」

「わ、分かりました‼︎言う事を聞きますからザンザンを解放して下さい‼︎」

 

トモミはその手に持った端末でキングジョーの電源を入れる。

その頃、キングジョーが運ばれた格納庫ではペガッサ星人と多岐沢が突然起動したキングジョーに驚きを隠さずにいた。

 

「博士‼︎キングジョーが起動しました‼︎」

「何ですって‼︎」

「充電率が上がっていきます‼︎何とか止めないと‼︎」

 

トモミがキングジョーの起動スイッチを押した事を確認するとバロッサ星人はザンドリアスを操作してトモミから端末を奪い、それを破壊させる。

 

「ご苦労だった・・・下等生物・・・。」

「あっ⁉︎」

 

バロッサ星人はトモミの頭を掴んだままトモミに手持ちの剣を振りかざして彼女を斬ろうとする。その時、ヨウとユカは怪獣娘に変身して自身の身を盾にトモミを守る。

 

「「きゃあああっ⁉︎」」

「バサバサ、ジャパジャパ‼︎・・・御免なさい・・・私のために・・・。」

「わ、わたし達は大丈夫です・・・だから‼︎」

「何とかザンドリアスさんを助けないと‼︎」

 

2人は獣殻に守られてその身に傷までは負わなかったものの獣殻には見事な切り傷が付いていた。トモミは彼女達に駆け寄ろうとするがバロッサ星人は2人を邪魔者と捉えたのか2人に狙いをつけて剣を構える。そしてバロッサ星人は2人に飛びかかり斬りつけようとする。

 

「バロッサーっ‼︎」

「バサバサ‼︎ジャパジャパ‼︎逃げて‼︎」

「「‼︎」」

 

回避に間に合わないと思った2人は思わず目を瞑り両腕で頭を覆って身を守る。しかし、彼女達に痛みが来ることは無かった。目の前に三日月状の傷を付けた新たな宇宙人が現れてバロッサ星人と剣をぶつけ合っていたからだ。

 

「人の縄張りを荒らすんじゃねぇよ・・・!」

「あ、アンタは⁉︎」

「一体何処から⁉︎」

「誰でもいい・・・早くここから逃げろ!」

 

そのまま現れた魔人態となったジャグラーとバロッサ星人が剣で斬り合う。その間にハルキ、ガッツ星人、ノイズラーがトモミ達に合流した。2人の怪獣娘は新たな宇宙人に驚きを隠せない。2人の横でハルキは以前の事を思い出して叫んだ。

 

「ピグっち、皆、大丈夫・・・・って‼︎」

「宇宙人が増えてる‼︎しかも見た事ない奴だ‼︎」

「なっ!あの時のトゲトゲ星人‼︎」

「ハル、知ってるの⁉︎」

「前に遭遇した事がある・・・!何でここに⁉︎」

「ハルハル、皆‼︎まだ今ならキングジョーを止められます‼︎急いで起動電源を切って下さい‼︎」

「分かった‼︎」

 

バロッサ星人とジャグラーが斬り合う中、トモミはハルキ達にキングジョーを止める方法を伝える。それを知った3人はその場を後にしていった。一方でバロッサ星人は書類をばら撒きジャグラーの視線を眩ませる。ジャグラーが気付くと既にバロッサ星人はいなくなっていた。




こんなところで区切って申し訳ないです・・・・。
次回、多分今までで1番文字数が多くなるかも・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

宇宙海賊登場!(後編)

新年初投稿です。今までで一番長い話となります。
それではどうぞ。


ハルキとガッツ星人は電源装置の前に辿りたくとそのスイッチを切る。その頃、キングジョーの格納庫ではキングジョーの起動が止まった事に安堵する声が上がっていた。多岐沢とイズミがホッとした表情を浮かべて座り込む。

 

「キングジョー・・・・止まりましたね・・・。」

「ええ・・・。」

 

ハルキとガッツ星人もホッとしてその場に座り込もうとする。しかし、ハルキの目にこちらに近付いてくるジャグラーが映った。2人は咄嗟に立ち上がって警戒態勢をとる。

 

「またお前か、トゲトゲ星人‼︎」

「変な渾名で呼ぶな‼︎」

「お前は敵なのか⁉︎それとも味方なのか?」

「それとどうやってここに入ってきたの⁉︎」

「敵か味方かは時と場合による。どうやって入ってきたかは・・・企業秘密だ。」

 

2人の問いに淡々と返すジャグラー。彼は突然上に人差し指を向ける。ハルキはその行動に意図を見出せずにいた。

 

「はっ?」

「シッ、愚か者は指を見る。賢い奴は・・・。」

「まさか・・・・・‼︎ハル!上、上から来る‼︎」

「‼︎」

 

ガッツ星人の言葉にハルキは上を向くとその方向から剣を持ったバロッサ星人が飛び降りると共に2人に剣を振り下ろした。咄嗟に2人は避けるも衝撃で地面に体をつく。その隙にジャグラーは2人に背中を向けてその場から去っていった。

 

「じゃあな。」

「あっ‼︎」

「バロットナ‼︎」

 

ハルキとガッツ星人がジャグラーに気をとられている隙にバロッサ星人は電源装置の起動ボタンを押す。そして今度は停止させまいと起動装置を剣で切り裂いた破壊した。バロッサ星人は電源装置を破壊するとその場を後にする。ハルキとガッツ星人はトモミに通信しながらその後ろ姿を追いかけ始めた。

 

「あっ‼︎待て‼︎」

「ピグモンさん、起動電源を壊されました‼︎キングジョー、停止不能です‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、ブラックスターズは通気口から廊下に降り立った。ブラック指令が3人に指示を出す。

 

「よし、何とか入れた・・・いいかお前達‼︎何としてでもGIRLSが回収した宇宙から来たメダルを手に入れるのだ‼︎」

「ラジャー‼︎」

「うむ。」

「ら、ラジャ・・・きゃっ⁉︎」

 

ウルトラメダル確保に意気込む彼女達。しかし、そんな中サツキが後ろから走ってきた何かとぶつかった。地面に尻餅をついて倒れるサツキをノーバが支える。ブラック指令とシルバーブルーメもサツキに駆け寄って彼女を支えて立ち上がらせた。シルバーブルーメがサツキに心配の言葉をかける中、ブラック指令は彼女にぶつかってきた誰かがそのまま通り過ぎようとしたのを見た。仲間思いな彼女はサツキにぶつかってきた誰かに文句を告げようとするが振り向いた先にいたのが明らかに人間ではない異形の姿だと知って固まってしまった。

 

「の、ノーバさん・・・ありがとうございます。」

「気にするな。」

「サツキちゃん、大丈夫⁉︎」

「はい、何とか・・・。」

「おい、誰だか知らないが人にぶつかって謝らないのは・・・・。」

 

それはGIRLSに侵入したバロッサ星人だった。ブラック指令は少し固まった後、目の前の宇宙人に驚きの声を上げる。

 

「バロバロバロバロバローーーーー‼︎」

「・・・・何だアイツは⁉︎」

「もしかして・・・アレがGIRLSに侵入した」

「待てぇぇぇ‼︎バロッサ星人‼︎」

 

ノーバが目の前の走る宇宙人が先程の会話の宇宙人だと推測する中、バロッサ星人を追ってハルキとガッツ星人が走ってきた。

 

「ブラックスターズ⁉︎」

「お、お前は確か池袋の⁉︎確か・・・ガッツ星人‼︎それと・・・ハルキ‼︎」

「何でアンタらがここにいるんだ⁉︎」

「・・・・まさか貴方達、バロッサ星人とつるんでんじゃ・・・。」

「バロッサ星人?一体何の事だ?」

 

ブラック指令の言葉に2人は顔を見合わせる。彼女達が現状を理解していないと知るとハルキは説明し始めた。

 

「この建物に宇宙人が侵入したんだ‼︎名前はバロッサ星人‼︎」

「この建物に侵入した宇宙人?もしかして・・・アイツか?」

 

ノーバは後ろで走るバロッサ星人に指を向ける。ハルキとガッツ星人はその姿を見ると再び走り出した。

 

「マズい‼︎・・・悪いけどアンタらの相手をしてる暇は無い‼︎」

「ハル、行くよ‼︎」

「・・・・わたし達・・・助かったみたいだね・・・。」

 

ブラックスターズはバロッサ星人を追って走っていく2人を見送った。2人はバロッサ星人を追い続ける。バロッサ星人はしつこく追いかけてくる2人を確認すると銃を取り出してガッツ星人の足元を狙う。

 

「うわっ⁉︎」

「ミコ‼︎」

「大丈夫‼︎足元に来ただけだから‼︎」

 

ハルキがミコに駆け寄ると再びバロッサ星人は2人を銃撃する。ハルキとガッツ星人は二手に分かれて銃撃を避けた。

 

「危ね‼︎」

 

バロッサ星人は2人の動きが止まった事を確認すると再び走り出した。ハルキとガッツ星人は再び足を進めて侵入者を追跡する。しかしバロッサ星人は曲がり角に曲がると姿が見えなくなる。2人が曲がり角に追い付いた先には二手に分かれた道になっていた。

 

「ヤバい‼︎見失った‼︎」

「アイツはここに運ばれたキングジョーが目的だから・・・多分左だと思う。左の方がアレが運ばれた倉庫に近いよ‼︎」

 

ガッツ星人の言葉を聞いたハルキは彼女と共に左に曲がる。その後ろで2人を追う複数の影もハルキ達を追っていった。

 

 

 

 

 

 

その頃、クララ、イズミ、多岐沢はキングジョーを止めるのに悪戦苦闘していた。彼らは必至にパソコンのキーボードを叩くもキングジョーが止まる様子はない。多岐沢のパソコンにはキングジョーの充電率が表示されている。

 

「キングジョーの充電率が90%に到達しました‼︎」

「プロフェッサー、キングジョーの上腕部と胸部が合体しまシタ‼︎既に合体した腹部と脚部と合体するのも時間の問題デス‼︎」

「このままキングジョーがここで発進したら・・・大惨事になります‼︎何としてでも止めないと‼︎」

「しかし、バロッサ星人に起動電源を壊されました‼︎打てる手は全て打ちましたが・・・・全然止まりません‼︎」

「最後まで諦めちゃ駄目です‼︎きっと・・・何か手はある筈です‼︎2人とも力を貸して下さい‼︎」

 

多岐沢の言葉に力強く頷くクララとイズミ。その時、イズミの右腕を銃撃が掠った。イズミは苦痛の顔を浮かべて地面に倒れる。

 

「イズミ君‼︎」

「‼︎・・・危ナイ‼︎」

 

多岐沢は腕から血を流して地面に倒れたイズミに駆け寄る。その時、再び銃撃が飛んできた事を確認したクララは多岐沢を庇った。彼女の腕からは血が流れている。多岐沢が銃撃の飛んできた方向を見るとバロッサ星人がじゅうをか銃を構えて立っていた。思わず多岐沢はバロッサ星人を追っているハルキ達に連絡を取る。

 

「ハルキさん‼︎ミコさん‼︎僕です‼︎バロッサ星人の襲撃を受けています‼︎クララさんとイズミ君が負傷しました‼︎」

『おジョーが⁉︎』

『わかりました‼︎すぐに向かいます‼︎』

 

バロッサ星人は目の前で合体しようとするキングジョーに目を向ける。その時、ハルキとガッツ星人もやってきた。ハルキはバロッサ星人を見る度、いきなり殴りかかる。ハルキがバロッサ星人と格闘戦を始めるその一方でガッツ星人は負傷した箇所を抑えるクララとイズミに駆け寄った。

 

「お前‼︎よくも好き勝手に‼︎」

「バロッサァァァァ‼︎」

「おジョー‼︎それに・・・ペガッサ‼︎2人とも大丈夫⁉︎」

「大丈夫デス・・・擦り傷デスヨ。」

「それよりも・・・早くバロッサ星人とキングジョーを止めなければ・・・。」

「うおりゃああああ‼︎」

 

ハルキはバロッサ星人に右足で回し蹴りを放つがかわされてしまう。剣を取り出したバロッサ星人はそれでハルキに切り掛かろうとするがハルキは真剣白刃取りでそれを押さえつけた。ハルキはその隙に前蹴りでバロッサ星人を引き離す。

 

「このままじゃ決着がつかねぇ・・・・どうすりゃいいんだ・・・。」

 

ハルキは目の前の宇宙人に決定的な一撃を与える方法を考えるもすぐには浮かばなかった。その時、赤い煙がどこからともなく発生してハルキ達を包み込む。

 

「何だこの煙⁉︎・・・⁉︎」

 

ハルキは口を抑えてガスを吸い込まないようにする。それはガッツ星人達も同様だった。バロッサ星人の方もそのガスに戸惑う様子を見せる。

 

「バロ・・・バロッサ・・・・。」

 

やがてガスが強くなり前が見えなくなったバロッサ星人は辺りを見渡してハルキを探す。すると煙の中から完全に合体したキングジョーが立ち上がった。それを見たバロッサ星人は喜びの声を上げる。

 

「バロ、バロッサ〜‼︎」

 

バロッサ星人はすかさずキングジョーに乗り込もうとする。このロボットでこの建物ごと敵を踏み潰してしまおうと考えた彼はキングジョーの操縦席がある胸部目掛けて大きくジャンプする。しかし、彼の目論見は外れた。何故ならバロッサ星人の体はキングジョーをすり抜けて地面に転げ落ちたからだ。

 

「バロ・・・バロッサ⁉︎」

 

今、起こった事に動揺を隠せないバロッサ星人。その時、煙の中から何かが飛び出してきた。

 

「ブラッディデスサイズ‼︎」

 

煙の中から飛び出してきたのはノーバだ。彼女はその手に鎌を構えてバロッサ星人に斬り掛かる。バロッサ星人は体を逸らして避けようとするが僅かに掠ってしまう。一体何が起こったのか分からないバロッサ星人にノーバが説明を始める。

 

「残念だったな。お前が見ていたのは幻覚だ。」

 

そう、先程のガスはノーバの怪獣娘としての力の1つだ。彼女が口から放つガスには相手に幻覚を見せて惑わせる力がある。その力の作用でバロッサ星人はキングジョーが再び動き出す幻覚を見ていたのだ。バロッサ星人は困惑するバロッサ星人を視線に捉えながら叫ぶ。

 

「今だ‼︎やれ、ハルキ‼︎」

「うおおおおお‼︎チェストォォォォォォ‼︎」

 

ノーバの声で煙の中からガスマスクをつけたハルキがバロッサ星人に突撃してきた。ハルキはジャンプして飛び蹴りを仕掛ける。ハルキの飛び蹴りを受けたバロッサ星人の体は吹っ飛んだがそこに更なる追撃がきた。

 

「さっきは妙な技でよくもやってくれたね‼︎」

「よくもあたしを操って好き勝手してくれたわね‼︎許さないんだから‼︎」

「アタシらからのお返しだ‼︎喰らいやがれ‼︎」

「バロロロォォォォォォ‼︎」

 

ガッツ星人の拘束光線がバロッサ星人を縛る。その時、ザンドリアスとノイズラーが飛んできて口からの火炎とギターからの音波を同時に放った。その威力にバロッサ星人は空中で3回転半しながら吹っ飛んで地面に激突する。

 

「ノーバさん、本当にありがとうございます‼︎ノーバさんがいなければこの状況を打破出来ませんでした‼︎」

「わたし達のガスマスクまで用意してくれたしね。本当にありがとう‼︎」

「この前の借りを返したかっただけだ。気にする事は無い。」

 

ハルキとガッツ星人はガスマスクを取りながらノーバにお礼の言葉を述べる。するとそこにアギラ達が合流してきた。その横にはブラックスターズもいる。

 

「ガッツ、ハルキさん、大丈夫⁉︎」

「うん‼︎全然平気だよ‼︎」

「同じくな。」

「ノーバちゃん、大丈夫⁉︎」

「お前だけ先に行くから心配したぞ‼︎」

「特に問題ない。宇宙人も撃破した。」

「ええっ⁉︎ノーバちゃん、ここに侵入した宇宙人をやっつけちゃったの⁉︎すごーい‼︎」

「いや、私だけじゃない、アイツらも」

「バロッサァァァァァァ‼︎」

 

各々が話をしている中、バロッサ星人は自分を無視するなと言わんばかりに叫び出す。そしてバロッサ星人は外へ飛び出していった。ハルキとガッツ星人は思わず駆け出していく。

 

「待て‼︎」

「アギ達は博士達をお願い‼︎」

 

皆が頷いた後、2人も外に出た。バロッサ星人は2人に気付くと巨大な銃を取り出した。するとバロッサ星人は銃から放たれた光を自身に浴びせる。するとバロッサ星人は怪獣と同クラスの大きさに巨大化した。ハルキとガッツ星人はそれを見てソウルライザーで皆に通信を取る。

 

「バロバロバロバロバロバロバロッサァァァァァァ‼︎」

「こちらハルキとミコ‼︎バロッサ星人が巨大化した‼︎」

「アギ、ピグっち、聞こえる?非戦闘員を避難させて‼︎」

 

巨大化したバロッサ星人は2人が通信を取っている間に何処からともなく1本の剣を取り出した。それを地面に突き刺すと次々と剣を取り出して地面に刺していく。そして最後の剣を取り出したバロッサ星人はGIRLS東京支部を見ながら剣を構えて叫び出す。

 

「バロバロバロバロバロバロッサァァァァァァ‼︎」

「ハル‼︎二手に分かれてバロッサ星人の気を引こう‼︎」

「ああ‼︎」

 

ミコと分かれたハルキはウルトラゼットライザーを取り出してトリガーを引くとヒーローズゲートの中に入っていく。そしてウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませた。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはガンマフューチャーに必要なメダルを取り出してゼットライザーにセットした。

 

「変幻自在、神秘の光‼︎」

「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE

 

「バロッ⁉︎」

 

ガンマフューチャーとなったウルトラマンゼットがゼットライザーを構えてバロッサ星人を睨む。バロッサ星人も剣を構えてゼットを睨む。そして両者は睨み合った。

 

「バロッサァァァァ‼︎」

 

最初に走り出したのはバロッサ星人だ。ゼットも走り出し、お互いすれ違いながらこの斬り合った。火花を散らし再び剣を構えて両者は突進する。

 

「ジュワッ‼︎」

 

ゼットは魔法陣を形成してその中に突入する。するとバロッサ星人の目の前に魔法陣が出現してバロッサ星人の剣を弾く。手持ち武器を失ったバロッサ星人は地面に突き刺した剣を手に取ってゼットに斬り掛かる。

バロッサ星人は剣を振り回してゼットを斬り付けようとするがゼットは剣の動きを読んで巧みに避ける。ゼットはバロッサ星人の攻撃を全て避けると左足による蹴りでバロッサ星人の手から剣を叩き落とす。そして再び蹴りを打ち込んた。蹴りを受けて吹き飛んだバロッサ星人は再び剣を手に取って斬り掛かる。しかしゼットライザーに受け止められ再び剣を叩き落とされてしまった。

 

「バロォォォリィィィ・・・・。」

 

バロッサ星人は自身の近くに工事で作られた盛り土を確認した。それを見るとバロッサ星人は一掴みしてゼットに投げつける。ゼットは敵が目目掛けてに投げてくる砂を受けて目の辺りを腕で庇わなければならなくなる。ゼットが砂かけに怯んでいる間にバロッサ星人はサーベルを腕に装着した。

 

「バロ・・・バロッサ‼︎」

 

バロッサ星人はサーベルを片手にゼットに突っ込んでいく。ゼットは間一髪でそれを避けた。バロッサ星人のサーベルはそのまま真っ直ぐビルを貫く。ゼットの位置を確認したバロッサ星人はサーベルを引き抜こうとするが中々抜ける様子はない。

 

「バロ・・・抜ゲナイ!?」

 

チャンスだと感じたゼットはバロッサ星人に再び突進していく。しかし、バロッサ星人は掌を広げながら腕を伸ばした。そしてそのまま掌を回し始める。

 

(マズい‼︎ゼットさん、あれを見ちゃ駄目です‼︎)

「バロバロバログルバログルバログルバログルゥゥゥゥ!!」

 

しかし、ハルキの言葉も虚しくゼットはその回転を見てしまう。手の動きを見たゼットの頭は混乱したようにふらつき始める。ゼットに自身の力が効いてることを確認したバロッサ星人はサーベルを引き抜くとゼットを前蹴りで吹っ飛ばした。

 

「ジイアッ!!」

 

バロッサ星人は地面に倒れたゼットに追い討ちをかけるように右手のサーベルで斬り付ける。サーベルによってゼットの体に切り傷とダメージが蓄積されていく。やがてカラータイマーが鳴り出した。

 

 

 

 

 

 

「博士、キンキン、ペガペガ、大丈夫ですか!?」

「僕は平気です!!」

「ワタシも平気デスヨ。掠り傷デスから。」

「どうした?ノーバ。」

 

ピグモンが多岐沢、クララ、イズミの3人を気遣う中、ブラック指令は何かに気付いたノーバに声を掛ける。彼女の視線の先には何かが落ちていた。その何かをノーバは黙って拾う。それはウルトラマンの横顔が描かれた3枚のメダルだった。それを見たブラック指令はノーバに駆け寄っていく。

 

「何だ!?そのメダル!!」

「多分だけど・・・これがお告げにあった宇宙から来たメダルだと思う。」

「もしかしてそれって・・・以前奪われたウルトラマンのメダル!?悪いけどこれ貰うよ!!」

「あっ!!待て!!」

 

ガッツ星人(マコ)はノーバの手からメダルを奪うとすぐに外に飛び出していった。ブラック指令を筆頭に怪獣娘達が外へ飛び出していった。

 

 

「ゼット、しっかりして!!」

 

その頃、外ではゼットがバロッサ星人のサーベルによるダメージで地面にうずくまっていた。バロッサ星人は勝利を確信して一旦ゼットから離れる。外でゼットとバロッサ星人の戦いを見ていたガッツ星人(ミコ)はゼットに思わず声援を送る。そこにガッツ星人(マコ)が走ってきた。

 

「マコ!!どうしたの!?」

「ミコ、これ見て。」

「!!これって・・・もしかして・・・。」

「アイツに奪われたメダルよ!!これがウルトラマン達が作ったものなら・・・アイツに・・・ゼットに返さないと!!」

「・・・そうだね。マコ、返してあげて!!」

「勿論!!コレを見て、ウルトラマン!!」

 

ガッツ星人(マコ)はゼットを見上げるとゼットにメダルを見せる。ゼットはそれを見て驚く声を上げた。

 

「ジュウワッ!?」

(ウルトラメダル!?)

「やっぱりこれアンタのものなのね・・・これを返すから使って、ウルトラマン!!」

 

メダルを見せた時のゼットの仕草からゼットのものだと確信したガッツ星人(マコ)はゼットに目掛けてメダルを投げる。ゼットはそれを確かに受け取った。ハルキは掌のメダルを確かに確認する。

 

(このメダルは!?)

『レジェンドの力が込められたメダルだ。斬撃を強化する力がある。いくぞ、ハルキ!!』

 

ハルキは頷くとブレスレットの使い手『ウルトラマンジャック』、宇宙警備隊隊長『ゾフィー』、宇宙警備隊大隊長『ウルトラの父』のメダルをゼットライザーに差し込んだ。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

 

メダルを読み込んだゼットライザーから巨大な光の剣が形成される。それは後ろから斬り掛かろうとしていたバロッサ星人のサーベルを受け止め弾いた。バロッサ星人は再び斬り掛かるもまた光の剣で防がれる。やがて2人が離れて距離を取りながら睨み合う。バロッサ星人が走り出した時、ゼットはゼットライザーを手にした腕を回転させて竜巻を発生させる。剣先をバロッサ星人に向けると竜巻はバロッサ星人を巻き上げる。竜巻に巻き上げられたバロッサ星人は身動きが出来なくなる。

 

『(M78流・竜巻閃光斬!!)』

 

ゼットライザーの光の剣を鋸状の切断光線に変化させて飛ばす。それはバロッサ星人を何度も切り裂く。体に幾つもの切り傷を浮かべたバロッサ星人は苦し紛れに叫んだ。

 

「バルバルバロ・・・バルバロッサァァァァァァ!!」

 

断末魔を上げながらバロッサ星人は大爆発を起こした。地上にいた怪獣娘はウルトラマンの勝利を喜ぶ。

 

「やった!!」

「流石ウルトラマンね・・・。」

(よっしゃあああああ!!・・・アイツ、最後に何て言ってたんです?)

『俺の弟達がきっと仇を討つ・・・だとさ。」

(海賊野郎なんかに負けないですよ!!兄弟といっても数人でしょう!!何度現れてもやっつけてやりますから!!)

『・・・いや、いや、バロッサ星人は一度に卵を1万個産む。つまり弟はあと、9999人いるってことだ。』

(は・・・アイツら卵生だったんですか・・・。つーか・・・そんなに兄弟達がいるんスか!!?)

 

ゼットの言葉を聞いたハルキは思わず1万の軍勢で地球を襲来するバロッサ星人という最悪な想像をしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後、ブラックスターズはGIRLS東京支部の前にいた。

 

「メダル・・・本当に諦めて良かったんですか?」

「仕方ないさ・・・ウルトラマンに持って行かれてはどうしようもない。何事にも引き際が肝心だ。宇宙の秘宝・・・いつか必ず我らブラックスターズが手に入れてやるさ。」

「流石ブラックちゃん!!絶対に手に入れられなさそうなものなのに諦めないねぇ~。」

 

ブラックスターズはGIRLS東京支部から背を向けて去っていく。ノーバだけは何かを思いながら見つめていたがブラック指令の言葉で彼女達を追い掛ける。

 

「ノーバ、何してる!?」

「今行く。」

 

 

 

 

GIRLS東京支部ではハルキ達がキングジョーを見上げていた。

 

「マジでキングジョー・・・改造するんだな。」

「これで私達GIRLSも本格的に怪獣と戦えるようになりますね。」

「皆さん。おはようございマス!!」

 

そこに右腕を包帯で固定したキングジョーがやってくる。アキは思わず彼女に駆け寄った。

 

「き、キングジョーさん!!もう大丈夫なんですか!?」

「勿論デス!!ワタシ、頑丈デスカラ!!」

「おジョー・・・。」

「それより皆さん・・・このキングジョー・・・ワタシやProfessor達に任せて下サイ。キングジョーGIRLSカスタム・・・必ず完成させてみせマス!!」

「完成したら俺をパイロットにして下さい!!コイツを乗りこなしてみせますよ!!」

「大丈夫~?ハル、ちょっとお馬鹿だし少し心配だな~。」

「何だよ!?今に見てろよ!!絶対に乗りこなしてやるからな!!

「フフ・・・期待してマスヨ、ハルキ。」

 

 

その頃、ミサオはハルキにチラチラ視線を向けていた。サチコは様子のおかしい彼女に声を掛ける。

 

「ノイ、どうしたの?」

「いや・・・何でもない。」

 

サチコは言葉とは裏腹に様子のおかしいミサオに首をかしげる。ハルキがミコと親し気に話している中、ミサオはハルキに目を向けると心にモヤモヤした感情を抱かずにはいられなかった。

 

(なんでアタシ・・・ハルキの事気になってんだろ・・・。)




ハルキ「ハルキと」

クララ「クララの」

ハルキ&クララ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈JACK〉

クララ「ウルトラマンジャック。腕のブレスレットを強力な武器に変えて戦うウルトラマンデス!!」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈COSMOS〉

ハルキ「ウルトラマンコスモス。相手を癒したり天気を操ったり色んな能力を持っているんだ。」

ミサオ「次回はアタシが担当するぜ!」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『遂にキングジョーGIRLSカスタムが完成した。様々な武器ととんでもないパワーを秘めているぞ。ハルキ、力を合わせて人々を守るんだ!!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


守るべきもの


ウルトラ止めるぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

守るべきもの(前編)

この作品にOP曲、前半のED曲があるならこの中でどれがいいと思いますか?下の候補から選んで下さると嬉しいです。

OP曲
ご昌和ください 我の名を!(通常ver)
ご昌和ください 我の名を!(遠藤正明&松田利冴デュエットver)
上々↑↑GAO !!

前半のED曲
Connect the truth(通常ver)
Connect the truth(松田利冴ver)
KAIJUハート(松田利冴ver)
Soul-ride on( ガッツ星人ソロver)
ガッツが此処にある限り

尚、前半のEDだけ5曲も候補がありますがご了承下さい。


「遂に・・・・遂にキングジョー・GIRLSカスタムが完成しましたぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

この日、ハルキは目の前の白と青のボディとなったキングジョーを見て大きな歓声を上げていた。ハルキは喜びを隠しきれない表情で『キングジョー・GIRLSカスタム』について解説し始める。

 

「キングジョー・GIRLSカスタム・・・右腕にはペダニウム粒子砲、左腕には伸びるペダニウムハンマー・・・・それだけでなくペダニウムドリルやペダニウムアックスなど自由に腕の武装を変えられ・・・パイロットがキングジョーさんならキングジョーさんのカイジューソウルと連携し、彼女の視点から動事が可能・・・・それだけじゃなくキングジョーさん以外の怪獣娘が乗れば」

「ハルキ、煩い。」

「痛っ‼︎」

 

大声で叫ぶハルキにヘビクラが手刀を叩き込んだ。ハルキは頭を抱えながらヘビクラに向き合う。

 

「ご、御免なさい・・・でも俺・・・こういうロボットにすっごく憧れていて・・・・。」

「・・・・ったく、誰に向かって話してたんだ?」

「は・・・ハハハハ・・・。」

「でも!ハルキさんの気持ちは分かります‼︎」

 

苦笑するハルキにナナも加わってきた。ハルキとナナは気が合うのか興奮して話し始める。

 

「セブンガー、君は俺の気持ち分かるの?」

「勿論です!私、ロボットアニメが大好きなんです‼︎あのキングジョーを見れただけでも感激なのにGIRLSの手で改良されてしかも私達がそれに乗って戦う事が出来るなんて‼︎」

「お前ら2人は乗れないがな。」

 

ヘビクラの言葉にテンションが上がっていた2人は押し黙ってしまう。数秒経過するとハルキが諦めきれないと言った表情でヘビクラに問い掛けた。

 

「あ・・・あのヘビクラさん・・・・俺、どうしても乗れませんか?子供の頃、夢だったんです・・・地球を守るスーパーロボットに乗って平和の為に戦うの・・・。」

「私だって夢だったんですよ‼︎それが叶うかもしれないって時にマニュアル講座すら受けさせてもらえないなんて・・・。」

「しょうがないでしょ。シュミレーションの結果、C判定が出て落選したんだから。セブンガー、貴方だって説明されたでしょ、年齢的な考慮から中学生はパイロット候補から外すって。」

「ミコ〜、お前、自分がA判定受けてパイロットに選ばれたからって〜。」

ナナは仕方ないと思って渋々納得する表情をする中、ミコの言葉にハルキは思わず恨めしそうな声を上げる。そこにトモミとクララがやってきてハルキにフォローする。

 

「大丈夫デス。シュミレーション試験は1度だけではありマセン。また試験を受けてA判定を受ければハルキだってパイロットになれマスヨー‼︎」

「キングジョーさん・・・‼︎」

「そうですよ。ハルハルがパイロットになれるチャンスは幾らでもあるんですから‼︎」

「ピグモンさん・・・。」

「ピグモンさん、キングジョーさん、ありがとうございます‼︎」

 

クララとトモミの笑顔を浮かべながら応援の言葉を掛ける。ハルキはクララとトモミの笑顔に見惚れかけるがそれ以上に彼女達の応援に元気付けられ、彼女達に笑みを浮かべて返す。しかし、それを横で見ていたミコとナナは面白く無さそうな顔を浮かべていた。しかし、ハルキとミコは時計にふと目を向けると思い出したように話し出す。

 

「あっ‼︎俺、今日はここで上がって大丈夫ですか⁉︎今日、これから用事があって・・・。」

「あっ‼︎そうか、今日だったよね‼︎ピグっち、おジョー、わたしも上がっていい?」

「分かってる。先に上がっていいぞ。」

「すいません、お先に失礼します‼︎」

 

ハルキとミコは準備を終えると部屋から出て行った。2人の状況を把握していないナナは思わず訊ねる。

 

「あ、あの、ハルキさんとガッツさんは何故帰られたんですか?何か用事があるような雰囲気ですが。」

「ああ、何でも今日はハルキの親父さんの命日なんだとよ。」

「ミコもハルキのお父さんには色々と世話になったらしいわよ。」

「マコマコ‼︎」

 

そこにマコも入ってきて話を更に補足する。

 

「ミコもハルキも家族絡みで付き合いがあったらしいからミコにとっても今日は特別な日なんだって。」

「ガッツが急に今日、オフを申し立てて来たから何用かと思えばそんな事があったのデスネ。」

 

その場にいた者達はクララの言葉をきっかけにハルキとミコが出て行ったドアを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある工事現場では作業員達が丁度休憩に入っていた。彼らは水分を摂りながら談笑している。

 

「それでなぁ、うちの娘がすっかりレッドキングのファンになっちまったんだよ。」

「そうなんスか⁉︎でもまぁ娘さんの気持ちも分かりますね。レッドキングさん、結構美人ですし‼︎」

「 しかし、お前のところも子供が怪獣娘のファンになっちまったのか?まぁ、俺んとこの息子も大怪獣ファイトを見てゴモラとやらのファンになっちまったよ。」

「やっぱり怪獣娘のファンって多いっスよね。俺もキングジョーさんのファンなんスが。」

 

怪獣娘の話で盛り上がる作業員達。しかし突然大きな揺れが発生して現場が騒然となる。

 

「なんだ⁉︎」

「地震か⁉︎しかも結構デカいぞ‼︎」

 

そして揺れが激しくなると同時に何処からともなく何かの雄叫びを上げる声が響いてきた。そして雄叫びと同時に崖が崩れ始める。彼らは思わず叫ばずにはいられなかった。

 

「ピギシャアアアアアアアア‼︎」

『うわあああああああああ⁉︎』

 

 

 

 

 

 

GIRLSから上がったハルキとミコはハルキの家の玄関の前に立っている。ハルキは家の鍵でドアを開けながらミコと話していた。

 

「わたしもおばさんに会うの久しぶりだな〜、おばさん、元気にしてる?」

「ああ、元気だよ。」

「そうか、良かった・・・あんな事があったから結構心配してたんだよね。」

「大丈夫だよ。ミコが気にしてるような事は何も無いから・・・母さん、ただいま‼︎」

 

ハルキが玄関を開けると奥から中年の女性がやってきた。彼女こそハルキの母親の『冬河ジュンコ』である。

 

「あら、お帰り。意外と今日は早かったわね。」

「今日は父さんの命日だしな。それに懐かしい顔も来てるぜ。」

「懐かしい顔?」

 

ハルキの後ろに立っていたミコはハルキの背中からひょこっと顔を出す。

 

「おばさん、久しぶり‼︎」

「あら、貴方は?」

「母さん、覚えてる?昔、近所だったミコだよ。」

「ミコ・・・・ああ‼︎印南ミコちゃんね‼︎覚えてるわ‼︎久しぶりね、ミコちゃん‼︎やだ、大きくなったじゃない‼︎」

「そりゃあもうわたしも高校生だしね‼︎」

 

ミコとジュンコが挨拶を済ませるとハルキは仏壇の前でお線香を焚いていた。仏壇には笑顔の男性が写っている。その男性こそハルキの父親の『冬河マサル』だ。そこにミコもやってきた。

 

「ハル、次はわたしね。」

「ああ。」

 

ハルキは立ち上がるとミコに譲る。そしてミコもハルキの父親であるマサルに線香を焚いた。2人が仏壇から離れるとジュンコが入ってきた。

 

「ハルキは兎も角、ミコちゃんまで悪いわね。お父さんにお線香焚いてくれて。」

「わたしもおじさんには結構世話になったしこれくらい当然だよ。」

 

ハルキは2人が話している中、部屋を出ようとする。ジュンコは思わず息子を飛び止めた。

 

「ちょっとハルキ、何処に行くんだい?折角あのミコちゃんも来てくれたのに。」

「トイレ行くだけだよ。」

 

ハルキは母への問いに答えると部屋を出て行った。ハルキが完全に部屋から出て行くとジュンコは再びミコに目を向けて話し出す。

 

「それにしてもあのミコちゃんがこんなにべっぴんさんになるとはねぇ。しかもこんなにナイスバディになっちゃってさ。」

「えへへ、スタイルに関しては下手なグラビアアイドルなんかよりよっぽど自信あるよ‼︎」

「本当だね・・・下手な女優や女性タレントなんかよりよっぽど可愛いよ。しかもかなりしっかりした女性になって・・・。」

「やだなぁ、おばさんってば。褒めすぎだよ。」

「そんな事無いよ、面識があるからってあの人の命日に来てくれるなんてさ・・・きっとお父さんも喜んでくれるさ。」

「おばさん・・・。」

 

ハルキが部屋に戻るとミコとジュンコはお茶とお菓子をテーブルに並べた状態ですっかり盛り上がっている。ハルキは部屋の外からその会話を黙って聞いていた。

 

「ミコちゃんが怪獣娘でGIRLSに入ったとはねぇ。成る程、ハルキが何故GIRLSに入れたのか疑問だったけどこれで納得だよ。あの子はGIRLSでやれてるのかい?GIRLSって女の子が多いだろうし女の子だらけの環境で苦労していないかい?」

「大丈夫だよ‼︎最初は苦労してたけど、今じゃ皆ともすっかり仲良しだよ。この間も皆でご飯行ったし。」

「そっか〜。じゃあミコちゃん、大変じゃない?」

「?何が?」

「何ってGIRLSは可愛い女の子が多いんでしょ?ハルキをめぐるライバルだって」

「や、やだなぁ、おばさん‼︎何言い出すの⁉︎」

「そ、そうだよ‼︎俺とミコはそんな関係じゃ無いって‼︎」

 

ハルキは母の会話の内容に思わず口を出してしまう。ミコとジュンコもハルキに気付く。

 

「あら、ハルキ。」

「ハル⁉︎戻ってたの⁉︎」

「あ、まあ・・・ついさっきな。」

 

ハルキは顔を少し赤くしながら頭を掻く。その間もジュンコによるハルキとミコへの弄りは絶えず続いた。

 

「私としてはミコちゃんがハルキのお嫁さんになってくれたら嬉しいんだけどなぁ・・・・ミコちゃんだったらハルキと末長くいつまでも」

「や、止めろって‼︎俺とミコは幼馴染なだけだ‼︎そんな関係じゃない‼︎」

「でもGIRLSは女の子だらけでしょ〜、アンタも男だし」

「あのな‼︎母さんが何想像してっか知らないけど皆とは友達だから‼︎と・も・だ・ち‼︎ていうか何でそんな話になるんだよ・・・つーか何で母さんがそんな事気にするんだよ。」

「だって、アンタのお嫁さんになるかもしれない女の子との出会いが沢山あるわけだし・・・母さんとしては気になるわよ〜。まぁ、誰が相手だろうとアンタが決めた相手なら誰でも受け入れるわよ!それが・・・隣にいるナイスバディの美少女になった幼馴染のミコちゃんなら尚更ね‼︎」

「わ、わたしが・・・ハルの・・・お嫁さん・・・・。」

 

ジュンコの言葉にミコは顔を赤くしながらハルキと自身の結婚生活を妄想し始める。

 

『ミコ、ただいま〜。』

『ハル〜、お帰り〜‼︎』

『ああ・・・って何だそのカッコ⁉︎』

『ふふ・・・どう?わたしの裸エプロン?』

『お・・・お前・・・ただでさえ胸もお尻もデカいのに・・・そんな格好で迫られたら・・・俺・・・。』

『うふふ・・・ねぇ・・・ハル・・・ご飯がいい?お風呂がいい?それとも・・・ふふふ・・・。』

『み・・・ミコ、お前にそんな格好で迫られたら・・・俺もう・・・。』

『きゃあ〜♪ハルのH〜♪』

 

ミコがハルキとの新婚生活の妄想に顔を赤くしながらのめり込む中、ハルキは顔を赤くしながら母親に反論していた。

 

「えへへ・・・へへ・・・・へへへ。」

「だ、大体、幼馴染との恋なんて漫画やアニメの話だろ⁉︎現実じゃそう無いって‼︎」

「そんな事無いと思うけど。私の友人にも幼馴染で結婚した夫婦いるんだから。それに・・・。」

「?」

「お父さんも喜ぶと思うわ。ミコちゃんの事もよく可愛がってたし、『ハルキのお嫁さんにミコちゃんが来てくれたら嬉しい』って口にしてたから。」

「父さん・・・気が早いよ・・・。なぁ、ミコ。」

 

ハルキがミコの方を向くとミコは未だに妄想にふけていた。ハルキは思わず大声で叫ぶ。

 

「ふふ・・・ハルぅ・・・。」

「おいミコ‼︎聞いてるのか‼︎」

「えっ・・・あっ・・・ご、御免‼︎考え事してた‼︎」

「ったく・・・。」

 

ハルキはミコが我に帰ったのを確認するとテレビ台の横に立て掛けられた写真に目を向けた。そこにはまだ小学生時代のハルキとミコが笑顔を浮かべていた。

 

「あれ?母さん、この写真って確か・・・。」

「おじさんが撮ってくれたやつ‼︎」

「あら、気付いた?ミコちゃんも来てくれたし折角だから持ってきたわ。」

「うわ〜、懐かしいな〜。確かこの時、ハル、おじさんとキャッチボールしてたんだっけ?」

「そうそう、そこにお前が来てさ・・・。」

 

ハルキとミコは写真に近づきながら当時の事を思い出し始める。

 

 

 

 

 

 

 

ある夕暮れ時、1人の小学生とその父親である男性がキャッチボールをしていた。その少年こそ小学生時代のハルキだ。ハルキの投げたボールをマサルがキャッチする。

 

「ナイスシュートだ、ハルキ‼︎」

「本当⁉︎」

「ああ、今度はこっちから行くぞ‼︎」

 

マサルは今度はハルキにボールを投げ返す。ハルキはボールを確認するとグローブでキャッチした。そこに水色の髪の少女がやってくる。彼女こそ小学生時代の印南ミコだ。

 

「ハルー‼︎」

「ミコ‼︎お前どうしたんだよ⁉︎」

「フフ、お洒落な髪飾り探しに行ってて。ハルは?」

「ああ、父さんとキャッチボールだよ。」

「おお、ミコちゃんじゃないか‼︎」

「おじさん‼︎」

「ねぇ、わたしも混ぜてよ‼︎キャッチボールしたい‼︎」

「俺はいいけど、父さんは?」

「いいぞ。どうせなら人数が多い方がいいからな‼︎」

 

それからハルキ達は3人でキャッチボールをしていた。ミコはコントロールがよくハルキやマサルのグローブが届く範囲にボールを投げてくれる。お陰でハルキとマサルも対応出来ていた。

 

「ミコ、ボール投げるの上手いじゃん‼︎」

「当然でしょ‼︎わたし、体育得意だもん‼︎」

「ははっ、ミコちゃんにはソフトボールの才能があるかもな!」

 

彼らはキャッチボールを続けていた。しかし、ハルキが投げたボールが高く飛んでいってしまう。ボールは河原の階段の下に落ちていった。

 

「あー‼︎」

「ちょっとハル〜、何処投げてるの〜。」

「まぁまぁ、2人ともちょっと待ってろ。」

 

マサルはボールを拾いに行った。しかし、数分時間が過ぎてもマサルは戻ってこない。すぐに戻ってくる筈の父が姿を見せない事に不安になったハルキとミコは話し始める。

 

「ねぇ、おじさん戻って来ないよ。」

「ああ、落ちたボール拾いに行っただけだよな。」

「ねぇ、おじさんに何かあった訳じゃないよね。」

「まさか・・・父さーん‼︎」

「ハルキ、ミコちゃんもちょっと待っててくれ‼︎」

 

ハルキはミコの言葉を否定するも不安を拭えずにはいられず父を呼ぶ。すると下から父の声が聞こえてきて2人は安堵する。

 

「良かった・・・おじさん大丈夫そうだね。」

「ああ、そうだな。けど・・・下で何してるんだろう?」

「確かに気になるよね・・・ねぇ、下に降りてみようよ。」

 

ミコの言葉に頷くとハルキとミコも階段を降りようと足を進め始める。その時、マサルが笑顔を浮かべてが登ってきた。

 

「待たせたな、2人とも‼︎」

「父さん‼︎」

「おじさん‼︎」

 

ハルキとミコは思わずマサルに駆けていく。ハルキとミコがマサルまで近付くとマサルは2人の頭に触れると撫で始める。

 

「父さん?」

「おじさん、どうしたの?」

「いや、2人とも大きくなったなと思ってな。」

 

 

 

 

 

時は流れて現代、ハルキとミコは写真を眺めながら当時の事を思い出していた。

 

「あの後、この写真撮ってくれたんだよな。」

「うん・・・心配かけさせたお詫びにってさ。」

「けどさ、未だに分からないよな。何であの時、父さんは戻るのに時間が掛かったのか。」

「本当だよね。あの後聞いてもはぐらかされるし・・・。」

「あれから7年・・・未だに謎だよな・・・。」

 

昔の事を不思議がっているとハルキとミコのソウルライザーに電話が掛かってきた。ハルキとミコは電話の相手がトモミだと知ると電話に出る。

 

「はい、こちらガッツ。ハルもいるよ。どうしたのピグっち?」

『大変です‼︎怪獣が出現してそちらの近くに向かっています‼︎』

「「⁉︎」」




エピソードZまでにタイガ、Z共に何処まで進められるか・・・兎に角頑張ります‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

守るべきもの(中編)

久しぶりの怪獣娘Zです。今回、余り怪獣娘の小説っぽくないとか言われるかもしれないのを覚悟して書きました。それではどうぞ。

どくろ怪獣『レッドキング』登場


ハルキとミコがマサルにお線香を焚いている頃、ベニオは妙にソワソワしていた。先程から変わらない彼女の様子に弟子であるサチコが話しかけた。

 

「どうしたんですか、ししょー。さっきから様子が変ですけど。」

「いやな・・・さっきから何かカイジューソウルが疼き出すんだよ。」

「カイジューソウルが?何故なんですか?」

「それが分からねぇんだよ・・・何か落ち着いてられねぇのもそれが原因だとは思うんだけどな・・・。」

「・・・・最近、あたしの身近な人の様子が変になってきてますね。ノイもハルキを見てドキドキするような気持ちになってるって言ってますし。」

「・・・俺は兎も角ノイズラーに関しては何となく予想付くぞ。それって恋じゃねえのか?」

「あっ、やっぱりししょーもそう思います?あたしもそうなんじゃないかと思ってます。」

 

そのまま雑談する師弟だがGIRLS内にアナウンスが流れた事によりその場を立つ。

 

『GIRLSの皆さん、緊急事態です‼︎怪獣が現れました‼︎動ける怪獣娘は直ちに出動してください‼︎』

「ししょー‼︎」

「分かってる‼︎行くぞ‼︎」

 

2人が指令室に入ると既にGIRLS東京支部内にいた怪獣娘が集まっていた。ヘビクラがこの建物内にいた全てのメンバーが集まった事を察すると1番に発言する。

 

「聞いた通り、東京A市内に怪獣が出現した。」

「A市内って・・・・近くにハルキの家とミコの家がある辺りじゃない‼︎」

「大丈夫だ‼︎ハルキとミコにも声を掛けておく。大至急現場に向かい、近隣住民の避難にあたれ‼︎トモミと怪獣娘に目覚めて一年に満たないメンバーはこの本部で待機‼︎」

『了解‼︎』

「出現した怪獣はどんな怪獣だったんですか⁉︎」

「今、それも分析中だ。それまで待て。」

 

再びヘビクラがモニターに目を向けると同時に指令室の職員が声を上げる。

 

「ヘビクラ隊長‼︎ピグモンさん‼︎出現した怪獣が特定出来ました‼︎」

「一体何が現れた?」

「は、はい・・・・・現れたのは・・・・・どくろ怪獣『レッドキング』です‼︎」

『⁉︎』

 

その場にいたメンバーが目を見開いて驚いた表情をする。驚くと同時に思わずアギラ、ガッツ星人(マコ)の4人がレッドキングに目を向けた。

 

「レッドキングって・・・・まさか⁉︎」

「本物のレッドキングが出たっていうの⁉︎」

「お、おいお前ら何で俺を見るんだよ・・・・。」

「確認します‼︎本当にレッドキングだったんですね⁉︎」

「ま、間違いありません‼︎これを見て下さい‼︎」

 

ピグモンの声で職員の1人がモニターに映像を映す。そこでは黄色い蛇腹の自分達にとって馴染みの深い怪獣娘の元となったあのどくろ怪獣『レッドキング』が街で暴れ回っている光景だった。

 

『ピギシャアアアアアアアア‼︎』

「マジじゃん‼︎本物のレッドキング‼︎」

「これが先輩のカイジューソウルの怪獣・・・レッドキング・・・。」

「・・・・・キングジョー・GIRLSカスタムは出せマスカ?」

 

ザンドリアスとミクラスが目の前のモニターに映るレッドキングを見て現実を実感してる中、キングジョーがピグモンに訊ねる。ピグモンはキングジョーの意図を察すると否定の言葉を上げる。

 

「まさか・・・キンキン、危険です‼︎確かにキングジョー・GIRLSカスタムは整備を終えている状態ですが・・・・まだシュミレーション訓練を十分に行った訳じゃありません‼︎」

「ワタシはA判定を受けてイマス‼︎それに・・・あのロボットはワタシのカイジューソウル・・・・つまりもう1人のワタシデス‼︎何としてでも‼︎乗りこなしてみせマス‼︎」

「・・・・・・・。」

 

キングジョーはピグモンの反対の声に答え切った。それを黙って聞いていたヘビクラはモニターに映る暴れるレッドキングを見て暫く沈黙する。そしてキングジョーに目を向けた。

 

「・・・・・分かった。キングジョー・GIRLSカスタムの出撃を許可する。」

「本当デスカ⁉︎」

「へ、ヘビクラさん⁉︎待って下さい‼︎もしもの事があったら‼︎」

「ただし・・・・無理や無茶な操縦はするな。」

「ハイ‼︎」

「よし・・・・キングジョー・GIRLSカスタム、出撃準備に入れ‼︎」

『了解‼︎』

 

そしてGIRLS東京支部のキングジョーが保管された倉庫でキングジョーが発進態勢に入る。そのコクピット内ではキングジョーが出撃に備えていた。

 

「いよいよデスネ・・・・まさかワタシが本当にキングジョーに乗る日が来るなんて思いもしませんデシタヨ・・・・。」

『キンキン、準備はいいですか⁉︎』

「勿論デス‼︎」

『では‼︎』

『フォースゲート、オープン‼︎フォースゲート、オープン‼︎』

 

キングジョー・GIRLSカスタムの姿が日の目に晒される。そして完全に倉庫の屋根が開いた時、キングジョーの背中のブースターが点火された。

 

「キングジョー・GIRLSカスタム、発進シマス‼︎」

 

そしてキングジョー・GIRLSカスタムはブースターで飛び上がり、レッドキングが暴れる地に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてハルキとミコはハルキの自宅でトモミからの通信を聞いていた。

 

「本物のレッドキングが近くに来てる⁉︎本当ですか⁉︎」

「ハル、間違いないよ‼︎さっきから大きな音が聞こえる‼︎大きな何かが地面を揺るがす音が‼︎」

 

 

ミコの声を聞いたハルキは耳を澄ます。すると大きな地響きが聞こえてきた。ハルキはピグモンからの通信が本当だと分かると再びピグモンと通信する。

 

「ピグモンさん‼︎確かにここからも聞こえました‼︎怪獣の地響きが聞こえてきます‼︎」

『事態を見て遂にキングジョー・GIRLSカスタムが出撃しました‼︎今、キンキンが操縦しています‼︎』

「おジョーが⁉︎」

『ハルハル‼︎ガツガツ‼︎今、他のメンバーも避難誘導などのためにそちらに向かっています‼︎皆と合流して直ちに市民の避難誘導、救助にあたって下さい‼︎』

「了解‼︎」

「母さん、悪いけど行ってくる‼︎母さんは避難所に向かってくれ‼︎」

「ハルキ、ミコちゃん‼︎アンタらはどうすんだい⁉︎」

「仕事‼︎」

「分かった‼︎2人とも気をつけるんだよ‼︎」

 

2人は靴を履いてジュンコの問いに答えると彼女の姿を背に外へ飛び出していく。2人が走っていくと目の前で道路や車を踏み潰し、爆炎を上げる中、街を進撃するレッドキングの姿が見えた。

 

「ピギシャアアアアアアアアアア‼︎」

「うわっ⁉︎マジで本物のレッドキングじゃん‼︎」

「本物のレッドキング・・・・まさかこの目で見れる日が来るなんて‼︎」

 

2人は思わずレッドキングに目を向けるが怪獣から逃げ惑う人々を見るとすぐ様にそちらの方へ走って行く。2人は人々の避難誘導を始めた。

 

「皆さん、慌てないで‼︎落ち着いて下さい‼︎」

「押さないで‼︎皆、慌てないで落ち着いて避難して‼︎」

 

 

 

 

 

「皆、慌てないで‼︎落ち着いて避難して‼︎」

「避難所はこちらです‼︎皆さん、慌てないでください‼︎」

「それにしても・・・・まさか本物のレッドキングが現れるなんてよ・・・・・俺のカイジューソウルが疼くわけだぜ・・・・・。」

 

一方で街にやってきたゴモラ達も市民の避難誘導をしていた。レッドキングは目の前の自身の元になった怪獣の姿を見て思わず呟いている。怪獣娘達が市民を避難させる中、キングジョー・GIRLSカスタムがレッドキングの前に着陸した。キングジョー・GIRLSカスタムは目の前のレッドキングを確認すると右腕に搭載されたヘダニウム粒子砲を向ける。

 

「食らいナサイ‼︎」

「ピギシャアアアアアアアアア‼︎」

 

ヘダニウム粒子砲から放たれた光弾がレッドキングの体に火花を散らす。しかし、レッドキングは怯まずに前進するとキングジョーの体に拳を放つ。レッドキングの力強い拳にキングジョーは思わず後退してしまった。

 

「ぐっ⁉︎」

 

キングジョーの機体に大きな衝撃が入った時、キングジョー(怪獣娘)にもダメージが入る。実はキングジョー・GIRLSカスタムは操縦する怪獣娘によって様々な特性が現れる。キングジョー(怪獣娘)が操縦すると彼女の目線から敵を確認出来るため、彼女の動きに合わせて操縦出来るのだが、彼女の中立神経とキングジョーが同化するため、機体のダメージを彼女も受けるのである。

 

「流石レッドキングデス・・・凄い馬鹿力デスネ・・・でも、powerならこっちも負けまセンヨ‼︎」

 

キングジョーは操縦席の左腕部分に触れる。するとキングジョーの機体の左手が握り拳を作る。そして真っ直ぐ突進してきたレッドキングに伸縮する左腕からの一撃が決まる。

 

「ピギシャアアアアアアアアア‼︎」

 

左腕の殴打を受けたレッドキングは後ろに下がると近くにあったビルを引きちぎりキングジョーに投げつけてきた。思わぬ飛び道具にキングジョーは驚くも左腕で弾き返す。しかし、レッドキングは近くにあるビルを引きちぎってはそれを投げ付けてくる。キングジョーは両腕を振り回してビルを弾きながらレッドキングに向けて進撃する。そしてレッドキングとキングジョーの格闘戦が始まった。レッドキングの拳を受け流しながらキングジョーは両腕でレッドキングに打撃を与えていく。ハルキとミコが変身したガッツ星人はそれを見て感嘆な声を上げる。

 

「ピギシャアアアアアアアアアア‼︎」

「凄え・・・あのレッドキングとパワーで渡り合えてる・・・・・。」

「おジョーのセンス半端ないね・・・・。」

 

レッドキングも負けじとキングジョーに拳を叩き込む。キングジョーは両腕で何とか防ぐも拳の一発がキングジョーの顔面に命中する。レッドキングが放つ剛力の拳にダメージを受け操縦席のキングジョー(怪獣娘)は顔に大きな痛みを感じて顔を歪める。

 

「ぐっ⁉︎」

 

そしてレッドキングの打倒の拳による追撃がキングジョーに叩き込まれる。何度もレッドキングの拳を受けたキングジョーは5発目の拳で地面に大きな土煙を上げて倒れる。

 

「ピギシャアアアアアアアアアアア‼︎」

「キングジョーさん‼︎」

「おジョー‼︎」

 

地面に倒れたキングジョーを見てそちらの方に走って行こうとするハルキとガッツ星人。その時、ハルキの目の前に親とはぐれたのか泣いている小学生くらいの子供の姿が映る。

 

「うえええええええん‼︎パパ何処ぉ⁉︎ママ何処ぉ⁉︎助けてウルトラマン‼︎助けてぇ‼︎」

「⁉︎」

 

そしてその子供のところにキングジョーを退けたレッドキングが進撃しようとしていたのが見え、ハルキはそれを見て昔の記憶を思い出していた。

 

「ピギシャアアアアアアアアアアア‼︎」

「・・・・・・‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

小学生の頃のハルキの目に煙を上げる火山が映る。ハルキが小学生の頃、家族でキャンプに出掛けた先で突然火山が噴火したのだ。ハルキとジュンコは避難所に集まった人達の元で火山の噴火から避難していた。そこにマサルが走ってきた。

 

「ハルキ、無事か⁉︎」

「う、うん・・・大丈夫。」

「そうか・・・・・ハルキ、母さんを頼めるか?」

「え・・・・・え?父さんは?」

「俺は1人でも多くの人達を助ける‼︎ハルキ、お前が母さんを守れ‼︎」

「父さん・・・・。」

 

ハルキは父の言葉を聞いてもうこれっきり目の前にいる父親に会えないような嫌な予感がしていた。だからこそ、ハルキはマサルを呼び止める。

 

「待って‼︎父さん、行かないで‼︎」

「・・・・悪い、ハルキ。父さんはレスキュー隊のメンバーの一員として多くの人達を見捨てる訳にはいかないんだ。」

「父さん・・・・。」

「大丈夫だ、また会える。母さんを頼むぞ、ハルキ‼︎」

「父さん!待って・・・・父さぁぁぁぁん‼︎」

 

マサルはそう言って幼い息子の頭を撫でると再び噴火した火山に向かっていく。そしてその走る後ろ姿がハルキが父親を最後に見た瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ現代、その姿を見てハルキは思わず子供のところへ向かっていく。キングジョーに向かって走っていくガッツ星人が自身に気付いてない事を確かめるとハルキはウルトラゼットライザーのトリガーを引いてヒーローズゲートに飛び込んでいく。そしてハルキはウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込んだ。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはレッドキングのパワーに対抗する為にベータスマッシュに変身するのに必要なメダルを取り出した。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z BETA-SMASH

 

ハルキの姿は赤い力に長けたウルトラマンゼットのパワー形態であるベータスマッシュの姿に変わっていた。




シン・ウルトラマンの情報も明かされていきますね。実に楽しみです‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

守るべきもの(後編)

久しぶりの投稿です‼︎
影絵はレッドキング(怪獣)とキングジョー・GIRLSカスタムと走るハルキをイメージしています。

ここでキングジョー・GIRLSカスタムについて軽く説明をします。
キングジョー・GIRLSカスタムは右腕の武装のアタッチメントを変える事ができ、その種類はランチャー、ドリル、アックスの3種類。
そして何より搭乗する怪獣娘によって能力が変わります。例えばおジョーさんが操縦すればキングジョーとおジョーさんが一体化しシンクロした状態で戦えます。これは分かりやすく例えるとポケモンのサトシゲッコウガ、パシフィックリムのイェーガーなどのようなものだと思ってもらえればいいです。
他の怪獣娘が操縦した場合、どうなるかはこの後の展開をお楽しみにしていただけると幸いです。

追記
申し訳ありません‼︎途中で保存するのを忘れて投稿してました‼︎
何とか修正しましたのでこれからも怪獣娘Zを応援して頂けると幸いです‼︎


「アレ?・・・ハル?ハル、どこ行ったの⁉︎」

「あの‼︎GIRLSの怪獣娘さんですか⁉︎」

 

ガッツ星人がいつの間にかいなくなっていた幼馴染に気付いた時、夫婦らしき男女が声を掛けてきた。ガッツ星人は夫婦に目を向けると彼らに対応する。

 

「はい、わたしはGIRLSの怪獣娘ですけど・・・。」

「だったら息子を助けて下さい‼︎いつの間にかはぐれてしまったんです‼︎」

「えっ!?分かりました‼︎息子さんの特徴を教えてもらえますか⁉︎」

「年は10歳です!!背は短めで息子は灰色のパーカーを着ています!!パーカーの背中にウルトラマンゼットが描かれているのが特徴です!!」

「分かりました!!息子さんは任せて下さい!!」

 

ガッツ星人は夫婦から彼らの息子の特徴を聞いて町を走り回っていた。暫く走ると灰色のパーカーを着た小学生くらいの年の子供が泣いているのを確認する。

 

「パパ何処ぉ!!ママ何処ぉ!!助けてウルトラマン!!助けて!!」

「灰色のパーカー・・・もしかして・・・。」

 

ガッツ星人はその子供の元へ走り出す。するとレッドキングの巨大な足が子供に迫っているのを目の当たりにする。ガッツ星人はすぐさま瞬間移動で子供の元へ急ぐ。

 

「君、大丈夫!?」

「・・・お姉ちゃんは?」

「わたしはGIRLSの怪獣娘ガッツ星人!!

「お姉ちゃん・・・怪獣娘なの?」

「そうだよ。君のパパとママに頼まれて君を助けに来たんだ!!さっ、わたしとパパとママのところに行こう!!」

「うん・・・お姉ちゃん!!怪獣が!!」

 

子供の声でガッツ星人が振り返るとそこには自分達を踏み潰さんとレッドキングの巨大な足が迫っていた。

 

(ヤバい・・・もうこんな近くに!!)

「お姉ちゃん・・・僕・・・怖いよ・・・。」

「大丈夫!!大丈夫だから!!絶対に助けるから!!」

 

怯える少年を必死に説得するガッツ星人だが遂にレッドキングの足の影が2人を覆った。ガッツ星人は思わず少年を抱きしめてレッドキングの足に自身の背を向ける。

 

(せめてこの子だけでも・・・!!)

 

しかしレッドキングの足が2人を踏みつぶす事はなかった。光と共に赤い巨人が現れてレッドキングの足を抑えたからだ。

 

「あっ!!怪獣娘のお姉ちゃん見て!!」

 

ガッツ星人が少年の言葉を聞いて振り返るとベータスマッシュに変身したウルトラマンゼットがレッドキングの足を抑えて2人を踏みつぶそうとしているのを阻止していた。ゼットが力を入れて足を押し返すとレッドキングは大きな音を立てて地面に倒れる。

 

「見てお姉ちゃん!!ウルトラマンだよ!!ウルトラマンが助けに来てくれた!!」

「そうだね・・・来てくれたね。」

 

ガッツ星人(ミコ)と少年が見上げる中、ゼットは2人の方を振り向いて頷く。ガッツ星人(ミコ)は頷き返すと少年と共にその場を去っていった。ゼットはそれを確認するとレッドキングに向かって構え、突進してクロスチョップをお見舞いする。レッドキングは軽く後退すると態勢を立て直して尻尾を振り回す。

 

「ピギシャアアアアアアア‼︎」

「ディアッ‼︎」

 

ゼットはレッドキングの尻尾を受け止めて回転しながら投げ飛ばす。レッドキングが倒れたところでゼットは怪獣の体を起き上がらせるとそのまま追撃しようとするがレッドキングはそれを振り払い、その拳をゼットの胸元に撃ち込んだ。流石のゼットも力自慢のレッドキングの拳に怯むが自身を掴もうとしたレッドキングの腕を抑えて力比べに持ち込む。しかし、レッドキングは頭突きでゼットと距離を引き離した。

 

「ピギシャアアアアアア‼︎」

 

頭突きで怯んだゼットにレッドキングは突進してその体を吹き飛ばした。立ち上がろうとするゼットにレッドキングが迫る。その時、光弾がレッドキングを後退させた。キングジョーが操るGIRLSカスタムが降りて来たのだ。そのままGIRLSカスタムからペダニウム誘導弾が放たれてレッドキングの体に火花を上げる。

 

「ピギシャアアアアア⁉︎」

「ゼット、ワタシもアナタと共に戦いマス‼︎もうウルトラマンだけには戦わせマセン‼︎」

『ディアッ‼︎』

 

ゼットがGIRLSカスタムの隣に立って頷くと両者はレッドキングと睨み合う。

 

「ピギシャアアアア‼︎」

 

レッドキングがこちらに向かってくるとゼットとGIRLSカスタムのストレートパンチがレッドキングを吹き飛ばした。そしてそのままGIRLSカスタムのペダニウム粒子砲から光弾が放たれる。光弾がレッドキングを後退させる中、ゼットの前蹴りがレッドキングを怯ませた。そしてゼットはレッドキングの腰に右足を乗せて左足で強力な蹴りを撃ち込む。ペダニウム粒子砲がそのまま追撃する中、ゼットはジャンプしてレッドキングの顔に拳を撃ち込んで後退させる。キングジョーがそのままペダニウムハンマーで追撃しようとするとピグモンからの通信が繋がってきた。

 

『キンキン、大変です‼︎レッドキングがもう1体現れました‼︎』

「エエ⁉︎」

 

キングジョーはモニターを操作して遠くを拡大するとこちらに向かってくるもう1体のレッドキングを確認する。

 

『もう1体は・・・日本アルプスに出現した水爆を飲み込んだ個体に酷似しています‼︎』

「そのようデスネ・・・。どうしマス?」

『そのレッドキングはゼットさんに任せましょう‼︎キンキンは新たに現れた方の対処を‼︎』

「了解デス‼︎ゼット、こちらは任せマス‼︎」

 

GIRLSカスタムは格闘戦を繰り広げるゼットとレッドキングの前で飛び立っていった。その頃、ゼットとレッドキングの格闘を見ていたレッドキング(怪獣娘)は怪獣の方に目を向けている。

 

「先輩?」

「どうしたんですか、ししょー⁉︎」

「いや・・・あのレッドキング・・・何かを守っているように見えねえか?」

「えっ⁉︎」

 

ミクラスとザンドリアスはゼットに背負い投げされるレッドキングに目を向ける。しかし、彼女は首を傾げるだけだった。

 

「そんな風には見えないっスけど・・・。」

「何でそんな風に思うんですか?」

「お前らだって知ってるとは思うが・・・アイツはもう1人の俺だ。だから・・・何かを感じるんだよ。何かを守るために怒って出てきた・・・そんな風に見えるんだ。」

「先輩・・・。」

(このまま怪獣を倒していいのか・・・何か嫌な予感がするぜ。)

 

 

 

その頃、もう1体のレッドキングの前に降り立ったGIRLSカスタムは怪獣に向けてペダニウムハンマーを構えた。

 

「大人しくしてもらいマス‼︎ペダニウムハンマーを喰らいなサーイ‼︎」

「ピギシャアアアアアア‼︎」

 

ペダニウムハンマーがレッドキングに向かって放たれる。しかし、レッドキングはそれを掠ってGIRLSカスタムの横に回り込む。それを確認したキングジョーはモニターを操作して怪獣を振り向いて左腕で殴打しようとした。しかし、レッドキングはそれを受け止めて右腕を掴むと放り投げる。そしてその機体に頭突きを見舞った。

 

 

 

 

 

その頃、アルファエッジに変身したゼットのゼットスラッガーが宙を舞い、レッドキングを斬り付ける。しかし、レッドキングは切り傷をものともせずゼットに向かっていく。ゼットはゼットスラッガーを繋げてアルファチェインブレードを形成するとレッドキングに向かっていく。

 

「ジィアッ‼︎」

「ピギシャアアアアア‼︎」

「行っけ〜‼︎ウルトラマン‼︎」

「やっちゃって〜、ゼット〜‼︎」

 

ミクラスとザンドリアスがゼットに声援を送る中、レッドキング(怪獣娘)だけは目の前のレッドキングに疑問の表情を浮かべている。

 

(アイツ・・・まるでゼットをここから先は行かせないとばかりに動いてないか・・・もしかしてこの先に・・・何かコイツにとって大切なものがあるのか・・・。)

 

レッドキング(怪獣娘)は遠くにいるレッドキングの方向に目を向けると再び目の前のレッドキングを見ながらソウルライザーを取り出してピグモンに連絡を入れる。

 

「ピグモン、周辺を調べてくれないか⁉︎」

『急にどうしました⁉︎』

「上手くは言えないけど・・・あのレッドキングから何かを感じるんだ。まるで自分にとって大切な何かを守っている・・・そんな風に見えるんだよ‼︎」

『わ、分かりました‼︎直ちに周辺を調べます‼︎少し時間を下さい‼︎』

 

レッドキング(怪獣娘)がGIRLS本部のピグモンに連絡を取る中もレッドキング(本物)とウルトラマンゼットの戦闘は続く。アルファチェインブレードで怪獣の体を斬り付けるがレッドキングはそれを口で咥えて抑えつける。そしてそれを放り投げるとキックでゼットを怯ませ尻尾で吹っ飛ばす。そしてレッドキングは倒れたゼットを踏み付け、ボディプレスをかます。ゼットはレッドキングの顔面に鉄拳を叩き込んでその距離を取るが距離を少し離した時、レッドキングの蹴りがゼットを襲う。ゼットは大きく吹っ飛ばされていった。

 

『このままじゃ埒が明かない‼︎ウルトラ痺れるあの技でいくぞ‼︎』

(ええ‼︎)

 

ハルキはライトニングジェネレードを放つために必要なウルトラメダルを取り出した。そしてそのメダルをゼットライザーに装填するとゼットライザーに読み込ませた。

 

〈COSMOS〉、〈NEXUS〉、〈MEBIUS〉

『(ライトニングジェネレード‼︎)』

 

ゼットライザーから放たれた雷撃が雷雲を作り、そこからキングジョーを停止機能にした稲妻が放たれる。稲妻を受けたレッドキングは大きなダメージと共に体に痺れが走り、動きが止まる。

 

「先輩‼︎ゼットが勝ちそうですよ‼︎」

「‼︎待て、ミクラス、ザンドリアス‼︎ゼットを止めろ‼︎」

「「ええっ⁉︎」」

 

しかし、レッドキング(怪獣娘)の言葉も虚しくチャンスを掴んだハルキはゼットライザーにM78流・竜巻閃光斬を放つためのメダルを装填して読み込ませる。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

『(M78流・竜巻閃光斬!!)』

 

ゼットが持つゼットライザーから竜巻と鋸状の切断光線が放たれる。竜巻に巻き込まれたレッドキングの体を切断光線が切り刻む。先程の稲妻で大ダメージを受けたレッドキングはそのまま倒れて大爆発した。

 

「よっしゃああ‼︎1体目のレッドキング撃破ぁぁ‼︎」

「後は採石場に現れた方だけっスね‼︎」

「・・・・・・。」

 

喜ぶミクラスとザンドリアスの横でレッドキング(怪獣娘)は浮かない表情をしていた。今まで見せた事のない顔で悩む師の姿にザンドリアスは疑問を浮かべる。

 

「ししょー、どうしたんです?」

「いや、何かモヤモヤするんだよ。・・・上手くは言えねえが何か心がモヤモヤするんだ・・・何でだろうな。」

「モヤモヤ・・・何でっスか?」

「さあな・・・ただ・・・今言えるのは・・・あのレッドキングは・・・何か事情を抱えてて・・・安易に倒してはいけなかった・・・そんな予感がすんだよ・・・。」

「し、ししょー、そんなに気にする事無いですよ‼︎所詮予感じゃないですか‼︎」

「そうですよ‼︎ザンちゃんの言う通りです‼︎」

「ミクラス・・・ザンドリアス・・・確かに・・・そうだと・・・いいんだがな。」

 

ゼットは1体目のレッドキングを倒した事を確認するとガンマフューチャーに変身し、魔法陣を描いてその中に突入する。魔法陣から飛び出したゼットの目にレッドキングと戦うGIRLSカスタムの姿があった。GIRLSカスタムはペダニウム粒子砲から光弾を放つと流れ弾が穴が空いた崖に直撃する。レッドキングはそれを見ると必死にカスタムに突進して吹き飛ばした。ゼットは両者の間に割り込み飛び蹴りを喰らわせる。

 

「シュワッ‼︎」

「ピギシャアアアアアア⁉︎」

 

もう1体のレッドキングはゼットを敵と判断すると直ちに向かってきた。ゼットは背中に回り込み背後を取る。レッドキングは焦ってゼットに突進するとゼットは再び後ろに回り込む。そして剛腕の腕を振り回すレッドキングを受け流した。そして手刀でレッドキングを斬り付けると左手に光球を形成し、それを消すと不意を突いて右手からの光球をレッドキングに放つ。レッドキングは後ろに下がっていくも自身が出現した穴に侵入者を近づけまいと拒んでいる。

 

『妙だな・・・コイツあの穴から離れない。』

(ああ、でもどうして⁉︎)

 

その時、ゼットとハルキの後ろにレッドキングの皮膚と同じ形の丸い大きな物体を発見する。2人はレッドキングが何を守ろうとしていたのか察する。

 

(あれは・・・卵⁉︎)

『そうか、自分の卵を守っているんだ‼︎』

 

一方で2人のガッツ星人とゼットンに連れられて現場に駆けつけたミクラス、ザンドリアス、レッドキング(怪獣娘)もレッドキングが守ろうとしていたものに気付く。

 

「あれって・・・もしかして⁉︎」

「レッドキングの卵⁉︎レッドキングって卵生だったんだ・・・。」

「いや、それより・・・さっきの奴は・・・まさか⁉︎」

「ああ、自分の子供を守ろうとしていたんだ。予感はしていたが・・・本当に当たっちまうとはな・・・。」

 

レッドキング(怪獣娘)の言葉にミクラスとザンドリアスは先程の発言を思い出し、顔を俯かせる。軽はずみな発言をした事をした事に気付き、罰が悪そうな顔をする中、事情を知ったハルキも先程のレッドキングの姿に自身が見た最後の父の姿を思い出し、自身が取り返しのつかない事をしたと感じていた。

 

(俺は・・・何て事を・・・・・・。何て事をして・・・う、うわ・・・うわあああ"あ"あ"ああ"あああああ"あぁぁぁ‼︎)

『おい‼︎どうした、ハルキ⁉︎』

 

ハルキは先程のレッドキングを思い出して狂ったように叫び始める。ハルキが完全に戦意を喪失したと同時にカラータイマーが点滅し始める。

 

『えっ⁉︎』

「ピギシャアアアアアアア‼︎」

 

レッドキングがゼットに向かって突進してくる。キングジョーはそれに気付くとGIRLSカスタムを操作してペダニウム粒子砲を構えてエネルギーを集める。

 

「ペダニウム粒子砲、発射デース‼︎」

 

GIRLSカスタムから強力な必殺光線が放たれる。ゼットはそれを見るとレッドキングの前に立ちバリアを張って怪獣を守る。予想出来なかったウルトラマンの行動にキングジョーは驚く。

 

「な、何デ⁉︎キャアアアア‼︎」

 

光線の反動でGIRLSカスタムは後ろに倒れる。操縦席からは火花が散っていた。

 

『キンキン、大丈夫ですか⁉︎』

「ワタシは大丈夫デス‼︎しかし、エンジンがover heatを起こしマシタ‼︎これ以上は戦えマセン‼︎」

 

レッドキングは驚いた様子でゼットを見る。ゼットは振り返ると「行け」と言わんばかりに首を横に振った。アギラやセブンガー率いる現場に遅れて現場に到着した怪獣娘達、そしてGIRLS本部に残った怪獣娘は怪獣を守ったウルトラマンの姿に驚きを隠せない。

 

「ええっ⁉︎何で⁉︎」

「ウルトラマンが・・・怪獣を守った⁉︎」

「な、何で⁉︎どうしてウルトラマンが怪獣を⁉︎」

「アギちゃんにセブンガーちゃん⁉︎それに皆⁉︎」

「後ろを見てみな・・・そこに理由があるからよ。」

「な、何で⁉︎どうしてウルトラマンが怪獣を⁉︎」

「今までにも怪獣を逃したケースは報告されていますが・・・どうして怪獣の中でも凶暴なレッドキングを⁉︎」

「成る程な・・・ありゃもたねえな。」

 

マガバッサーとピグモンが驚く声を上げる中、ヘビクラだけは事情を察する。ゼットはその場に崩れると後ろを振り返る。すると崖に空いた穴にレッドキングが消えていった。そして怪獣の姿は完全に卵と共に消えていた。

 

 

 

「あの穴に卵が⁉︎」

「レッドキングって卵生だったって事ですか?」

「マカジャッパ、今はそこじゃねえだろ‼︎・・・つまりあのレッドキングは夫婦で・・・卵を守るために現れた・・・だからゼットはあのレッドキングを見逃した・・・そういう事ですよね?」

 

マガバッサーとマガジャッパが驚く声を上げる中、ノイズラーはヘビクラに確認する。ヘビクラは静かに頷きながら答えた。

 

「ああ、レッドキングは卵と共に消えた。・・・次に現れた時、再び人間を襲うかもしれないという可能性を残してな。」

 

そのヘビクラの言葉に本部に残っていた怪獣娘達はハッと気付かされたような顔を浮かべる。しかし、それでも彼女達の心には今日の出来事が深く刻まれる事になった。

 

 

 

ハルキはかつて父親と一緒にキャッチボールをしていた河原に来ていた。父との思い出を思い出しながらレッドキングの最後を思い出して暗くなっている。そこにミコとマコがやってきた。

 

「ハル、大丈夫?」

「アンタ、さっきから様子が変よ。どうしたの?」

「・・・2人とも先に帰ってくれ。1人で少し考えたい事があるんだ。」

「ハル・・・分かった。じゃあ、わたし達先に帰るね。」

 

2人はハルキに背中を向けて去っていく。ハルキはその場に座り込むと先程までの出来事を思い出して顔を俯かせた。

 

「俺達のまもるべきものって・・・。」

 

ハルキは呟くとその場に座り込み続ける。その日、ハルキは日が暮れるまでその場で座り込まずにはいられなかった。




ハルキ「ハルキと」

ミサオ「ミサオの」

ハルキ&ミサオ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈ZOFFY〉

ミサオ「ゾフィー。宇宙警備隊の隊長で数々の戦いで平和を守ってきた滅茶苦茶強いウルトラマンらしいぜ‼︎」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈FATHER OF ULTRA〉

ハルキ「ウルトラの父。みんなからお父さんのように慕われている頼もしいヒーローなんだって‼︎」

ヨウ「次回はわたしが担当するぜ!」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『突然、宇宙から怪獣『グルジオライデン』が落ちてきた。背中の大砲から放つ強力な光線に挑むにはキングジョーのペダニウム粒子砲しかない。っておい‼︎ハルキ、一体どうしたんだ⁉︎次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


叫ぶ命


ウルトラ強いぜ!』




怪獣娘×令和ウルトラマン クロスオーバーユニバース、第三弾遂に本格連載決定‼︎

ツバサ「未来を築く希望の光‼︎ウルトラマントリガアアァァァァァァ‼︎」
ペガッサ星人「あ・・・あれは⁉︎」
ガタノゾーア「ウルトラマン・・・・・・ティガ⁉︎」

再び地球を襲う怪獣達‼︎

ゴルバー「グオオオオオギャアアアアァァ‼︎」
ピグモン「あの姿、まるでゴルザとメルバが合体したみたいです・・・。」
ギマイラ「クワワアアァァァァ‼︎」
マルゥル「このままじゃお台場はギマイラの吸血都市にされちまうぜ‼︎」
ガゾート「ギャアアアアア‼︎」
ゴモラ「ウチ、食べるのは好きだけど食べられるのは嫌や〜‼︎」
恐竜戦車「グオオオオオオオ‼︎」
イグニス「ったく、キル星の腐った軍人共は‼︎滅茶苦茶やりやがって‼︎」

そして怪獣娘の世界に訪れるこれまでにない最大の脅威‼︎

カルミラ『あたしに会うために人間を取り込んで復活したのかい⁉︎』
ダーゴン『我ら三千万年の時を経て再び相見えた‼︎』
ヒュドラム『エクセレント‼︎懐かしいですねぇ・・・トリガー。』

三千万年前に世界を滅ぼした闇の巨人達が復活‼︎怪獣娘達に牙を向く‼︎

カルミラ『ハッ‼︎怪獣の力をアンタらみたいな小娘が手にしたくらいで・・・あたし達に勝てるわけないんだよ‼︎』
ウインダム「うっ・・・ぐううっ・・・。」
ダーゴン『いい拳だ。だが・・・我が剛腕には及ばん‼︎」
ミクラス「うわあああああ⁉︎」
ヒュドラム『遅いですねぇ・・・そんな動きで私を捉えられるとでも?』
レッドキング「畜生・・・‼︎」

新たな主人公、『マナカ・ツバサ』がウルトラマントリガーとなり‼︎

ツバサ「僕は世界中の人達を笑顔にしたい‼︎その笑顔には貴方も入ってるんですよ‼︎」

怪獣娘達と共に地球で起こる新たな戦いに立ち向かう‼︎

ミツクニ「夢見る未来は人それぞれにきっとある筈だ。」
ラン「世界中の・・・人達を笑顔に・・・ね。」
ブラック指令「ナーッハッハッハ‼︎その超古代の発掘品、我らブラックスターズが貰い受けよう‼︎」
イグニス「ゴクジョーだな。」

怪獣娘トリガー 〜ウルトラマントリガー復活計画〜


本日より連載スタート‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

叫ぶ命(前編)

こちらの方も投稿しなくては・・・‼︎影絵は原作と同じくハルキとグルジオライデンをイメージしています。

爆撃雷獣『グルジオライデン』登場


レッドキングとの戦いから数日後、ハルキはGIRLSの休憩室で黙って座りながらレッドキングについて記されたページの怪獣図鑑を開いてそこに記載された写真を黙って見つめていた。

 

「俺は・・・どうすれば・・・。」

 

小さく呟いたその顔からはいつもの明るさが消え、明らかに暗く感じられる。そこにミコがかぷせるがーるずにマコ、ベニオにミカヅキと一緒にやってきた。

 

「ねえねえ、聞いてよ‼︎今度の大怪獣ファイトでさ、新人ちゃんがデビューするんだって‼︎」

「へえ、どんな子なの?」

「いや〜、それがまだ分かってなくて〜‼︎」

「でも、ゴモとミクラスならどんな子が来ても仲良くなれると思うよ。」

「あれ、ハルキさん?」

「おっ、本当だ・・・おーい、ハルキ‼︎」

 

レイカの声で彼女達はハルキに気付く。1番にベニオが話しかけるもハルキはこちらを向かない。

 

「あれ・・・聞こえなかったか?」

「おーい、ハルちゃーん‼︎」

 

ミカヅキも手を振ってハルキに呼びかけるがハルキは一向にミコ達の方に振り向く気配がない。ミコとマコはハルキの後ろに近付くと肩を叩いて話しかけた。

 

「ハル‼︎」

「ちょっと、ハルキ‼︎」

「⁉︎・・・ミコ、マコ・・・それに皆も・・・⁉︎」

 

ハルキはミコとマコのお陰でアキ達に気付くも彼女達の中にいたベニオに先日のレッドキングを重ね合わせてしまう。頭の中で命を散らしたあのレッドキングとベニオの姿が合わさり彼女を見たハルキは崩れ落ちてしまう。

 

「ハル⁉︎」

「ちょっと⁉︎どうしたのよ⁉︎」

 

ミコとマコは思わずハルキに駆け寄って肩を貸す。2人の支えで何とか立ち上がったハルキは今の自分の心を悟られたくないとばかりに離れようとする。

 

「あ、ありがと・・・お、俺は大丈夫だから‼︎じゃあ‼︎」

「待って、ハル‼︎」

 

ミコは思わず様子がおかしい幼馴染を引き止める。そして真っ直ぐハルキの顔を見ると彼を心配した表情で訊ねた。

 

「ハル?最近どうしたの?」

「えっ?」

「最近のハル、少し・・・ううん、だいぶ様子が変だよ。学校でもぼーっとするようになるし・・・GIRLSにいる時はレッドの顔を見るの避けるようになってない?」

「えっ?・・・いや、そんな事ないと思うけど・・・。」

「アンタ、自覚なかったの⁉︎最近のアンタ、よくぼーっとしてるわよ。まるで・・・何か重大な考え事でもしてるかのように。」

「それだけじゃねえよ。お前、明らかに俺の顔を見る度に何か辛そうな顔してないか?」

「ええっ⁉︎」

 

ハルキはガッツ姉妹とベニオの言葉に驚きながら最近の自分を振り返る。すると幾つか思い当たる節が脳裏に浮かんできた。

 

「なぁ、ハルキ・・・俺、お前に何かしたか?・・・心当たりはねえんだけどもし何かお前が嫌な事をやっちまったなら謝るぜ。」

「い、いや‼︎ベニオさんは何も悪くありません‼︎だから・・・気にしないでください‼︎・・・俺が勝手にそうなっただけですから・・・。」

「そんな事言ってもよ・・・。」

「ねえ、ハル。ハルってば何か悩み事があるんじゃない?もし何かあるんだったら話してよ。わたしで良ければ相談に乗るよ。」

「いや・・・でも・・・。」

「もし、わたし達が邪魔ならここからどくわよ。」

「それか・・・もし2人きりになれるところがいいって言うならそこで相談にのるよ。どうする、ハル?」

「・・・・・・ミコ・・・お前だけだったら・・・まだ・・・。」

「分かった。ミコ、アンタに任せるわよ。」

 

ハルキの声を聞いたマコ達はその場を去っていく。やがてハルキとミコの2人だけになり、ハルキは静かに口を開いた。

 

「ミコ・・・あのさ・・・。」

「ハル?」

「実は・・・俺・・・。」

 

ハルキが胸の思いを打ち明けようとした時、建物全体にアナウンスが鳴る。それはハルキの身を引き締めるには十分なものだった。

 

『GIRLSの皆さん、緊急事態です‼︎廃棄場付近に怪獣が出現しました‼︎GIRLSの皆さん、直ちに出動して下さい‼︎』

「ハル‼︎」

「ああ‼︎どうやら悩んでいられなさそうだな‼︎」

 

 

 

 

ハルキ達はピグモンの案内で怪獣が出現した場所に来ていた。そこでは黒い体に青い血管のような発光器官を備えた怪獣が廃棄場に棄てられた鉄屑などのゴミを貪っていた。

 

「ご、ゴミを・・・。」

「食べてる・・・。」

「しかもあのキャノン砲・・・あれ、絶対ヤバいって・・・。」

「ピグちゃん、キングジョーは出せないの⁉︎」

『まだ修理中です‼︎今は皆さんで持ち堪えるしかありません‼︎』

「しょうがない・・・ハルは民間人の避難をお願いね‼︎」

「ああ‼︎」

「皆、行くぞ‼︎」

 

レッドキングの声で彼女達は突撃する。彼女達の前で爆撃雷獣『グルジオライデン』は雄叫びをあげながら吠え立てる。

 

「グワアアアアアアアア‼︎」

「どりゃああああああああああ‼︎・・・痛ぁぁ‼︎」

「この怪獣、硬い‼︎」

 

苦戦する怪獣娘達は一旦地上に着地するが彼女達を鬱陶しく感じたグルジオライデンは口にエネルギーを集めて青い破壊光線を放つ。それが地面に着弾すると爆風と衝撃波で怪獣娘達が吹っ飛ばされていく。

 

『うわああああああああああああああああ⁉︎』

「ミコ‼︎マコ‼︎皆‼︎」

 

ハルキは咄嗟にゼットライザーを構えてヒーローズゲートからインナースペースに突入する。そしてゼットライザーにウルトラアクセスカードを装填する。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはガンマフューチャーに必要なメダルを取り出してゼットライザーにセットした。

 

「変幻自在、神秘の光‼︎」

「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE

 

「グワアアアアア!!」

「シュワッ!!」

 

ガンマフューチャーに変身したウルトラマンゼットがグルジオライデンの前にに降り立った。グルジオライデンの前でゼットの中のハルキはウルトラメダルを取り出した。M78流・竜巻閃光斬に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーに装填して読み込ませる。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

 

ゼットライザーから放たれた竜巻がグルジオライデンを拘束し、斬撃光線が怪獣の体に切り傷をつける。怪獣がダメージを負った隙にゼスティウム光線を放つ構えに入った。

 

『ゼスティウム光線!!』

 

ゼットがそのまま光線を放とうとする。しかしゼットの中のハルキの脳裏に先日現れたレッドキング夫婦が頭によぎった。

 

(!?・・・えっ!?)

 

町に現れ、自身が倒した雄のレッドキングの姿を目の前の怪獣に重ね合わせてしまいハルキは動悸し始める。ゼットの両腕にチャージされていたエネルギーも消え、戦闘に集中出来なくなるハルキにゼットは動揺しながら呼び掛けた。

 

(ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・!!)

『おい、どうした!?ハルキ!!おい!!』

 

その時、ゼットのカラータイマーが点滅し始める。それと同時にグルジオライデンの背中の砲台に付いた発光器官が発行し始める。そして砲台にエネルギーが集まり始める。

 

「グワアアアアア!!」

 

エネルギーが溜まった砲台から強力な光線が放たれる。ゼットは即座にバリアを張って防ぐもその威力は思っていた程高く防ぎきるも反動で吹っ飛ばされてしまう。

 

「シュウワッ‼︎」

 

ゼットが吹っ飛ばされた間にグルジオライデンは地中に潜り始める。ゼットが再び立ち上がった時には怪獣は完全に姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

GIRLS本部に戻ってきたハルキ達は起こった事を報告していた。現場に出ていた者を代表してアキがトモミに頭を下げて謝る。

 

「すみません・・・逃げられてしまいました。」

「いえいえ、目立つ負傷者がいなかったのですから全然いいですよ。」

「あの怪獣はその後何処に行ったの?」

 

ミカヅキの言葉を聞いたトモミはパソコンを操作する。するとディスプレイに地下を写したサーモグラフィーが映し出された。

 

「現時点ではあの怪獣の行方は分かっていません。恐らくですが仮死状態となり地底に身を潜めたのかもしれません。」

「ピグっち、ちょっといい?」

 

トモミの解説が終わるとランが手を上げて質問する。トモミはミコに聞き返した。

 

「どうしました、ガツガツ?」

「あの怪獣・・・どう見ても普通の純粋な生物には見えないよね?背中に付いたあのキャノン砲・・・あれはどう見ても人工的な処置が施されているようにしか見えないよ。」

「流石、ガッツ。鋭いわね。」

 

ミコの問いかけに後ろから答える声が聞こえ、ハルキ達はそちらを振り向く。そこには怪獣のものと思われる肉片を鉄板に乗せ、ガスマスクを装着したランとレイカが入ってくる。ランが怪獣の肉片を机に乗せるとその匂いにハルキ達は思わず顔を顰めて鼻をつまむ。どうやら余程臭かったらしい。

 

「う"っ⁉︎何この臭い⁉︎」

「臭ぇ・・・。」

「これは先程の怪獣の皮膚の表面の一部です。私達調査部が先程怪獣が現れた場所を調査した時に採取しました。」

「え・・・エレ、早くこいつをしまってくれ!酷い臭いだ‼︎」

「ウインちゃん、これをしまってよ〜‼︎」

「悪いけど、皆我慢して頂戴。」

「実は皆さんに見て頂きたい事があるんです。この皮膚の表面を見て下さい。」

 

ハルキ達はレイカの声でグルジオライデンの肉片を見る。するとそこには配線やネジなどの金属のようなパーツが組み込まれていた。

 

「これって・・・ネジ?」

「ええ、これらは怪獣の表面に埋め込まれています。そして更にこの肉片の調査を進めた結果、遺伝子操作が行われた跡もありました。これはサイボーグ怪獣のようなものと考えて間違いないでしょう。」

「ガッツの予想が・・・当たってたね。」

「もしかするとあの怪獣は何者かによって生み出された生物兵器の違いかもしれないと言うのが調査部の結論よ。」

「⁉︎・・・生物・・・兵器・・・。」

 

ランの言葉をハルキは深く噛み締める。その横でレイカが調査結果について更に補足を入れる。

 

「尚、怪獣は空から落ちてきました。その後、人工衛星に宇宙から落ちてくるところが撮影されている上、このネジや配線、そして遺伝子は地球外のものであると判明しました。ガッツさんの言う通り、この怪獣は地球を狙う侵略者が送り込んできた生物兵器と考えるのが妥当かと思われます。」

「成る程な・・・こんな奴を送り込んで俺達に喧嘩を売ろうってか・・・上等じゃねえか‼︎」

「先輩‼︎怪獣を送り込んできたそいつは‼︎あたし達の手でボコボコにしてやりましょう‼︎」

「おうよ、ミクラス‼︎」

 

ベニオとミクが怪獣を送り込んだ敵に戦意を燃やす中、ヘビクラはモニターに写ってるグルジオライデンに目を向ける。

 

「サジタリ・・・・・・。」

「・・・ヘビクラさん?」

「どうしました?」

「ああ・・・何でもない。本部はこの怪獣をコードネーム『グルジオライデン』と名付けた。これからはこの怪獣をグルジオライデンと呼称する。」

 

小さな呟きに反応したマガコンビを誤魔化しながら怪獣の名を伝える中、ヘビクラはこの星に来るまでの事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

魔人態となったジャグラーはグルジオライデンの体にしがみつきながら宇宙空間を飛んでいた。その時、横から何者かの攻撃を受ける。

 

「ちっ‼︎一体何が‼︎」

「クワックワアアア‼︎」

 

ジャグラーが攻撃があった方向を向くとそこには二股に分かれた頭部の鳥のような顔にブレード状の翼を備えた怪獣がいた。その再生怪獣『ギエロン星獣』は両腕の翼を合わせてリング状の光線を放つ。グルジオライデンはその光線から逃れながら宇宙空間を飛ぶ。リング光線が当たらない事に気付いたギエロン星獣は体勢を立てて突進する。突進をまともに受けたグルジオライデンは横に逸れる。それと同時にジャグラーも振り払われてしまった。

 

「ちっ‼︎」

 

ジャグラーは邪心剣を取り出し、力を溜める。再びギエロン星獣が突進しようと突っ込んできた時、ジャグラーは剣を振るい大きな斬撃を飛ばした。

 

「邪心剣、新月斬波‼︎」

 

邪心剣からの斬撃を受けたギエロン星獣は大きなダメージに怯むとその場から飛び去っていった。ジャグラーは再びグルジオライデンを探すため辺りを見渡す。すると丁度発生したワームホールにグルジオライデンが吸い込まれていくのが見えた。

 

「なっ⁉︎」

 

ジャグラーは急いで追うが間に合わずグルジオライデンの姿はワームホールの中に消える。ジャグラーは再び舌打ちして静寂の宇宙を漂っていた。

 

 

 

 

 

そして時は流れ今、ジャグラーは様々な裏ルートからグルジオライデンが吸い込まれたワームホールの先の宇宙を調べ、やがてGIRLS、そして怪獣娘がいる宇宙の地球を突き止めた。そして怪獣娘達がいる宇宙の地球に辿り着くもまだグルジオライデンはこちらに来ていなかったため、ジャグラーはヘビクラとなり、今まで待つしかなかったのだ。そして、今、この星にやってきたグルジオライデンの姿が映るモニターとその肉片を見てヘビクラは思いにふける。

 

(漸くやってきたな、グルジオライデン・・・いや、サジタリ。前にも思ったが・・・可哀想だとは思うが、お前はもう以前のお前じゃない。遠慮なく戦わせてもらうぜ。)




最初はギエロン星獣をメインにしようと思っていました。しかし、ヘビクラ隊長関連に説明がつかないので原作と同じようにグルジオライデンを出す事にしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

叫ぶ命(中編)

今回は怪獣娘達が怪獣も1つの命であると認識したらどういう風に怪獣と向き合うかを考えました。
後半はメインヒロインとのラブコメがあります。今回の話に合わないかもしれない描写が出ますがどうかご了承下さい。


ハルキはキングジョー・GIRLSカスタムの前に佇んでいた。その目はGIRLSカスタムの巨大な機体を見上げながらも迷いが生じている。ハルキが目線を下に向けると後ろからミコが肩を叩いてきた。

 

「ハル‼︎」

「⁉︎・・・ミコ・・・どうしたんだよ。」

「どうしたはこっちの台詞だよ。どうしたの?何か悩み事?」

「それは・・・まぁ・・・。」

 

ハルキがミコから顔を背けてGIRLSカスタムを見上げる。ミコはハルキの隣に立って話し掛ける。

 

「だったら・・・打ち明けちゃいなよ。下手に無理して1人で抱え込むとわたしみたいになっちゃうよ。知ってるでしょ、マコは」

「1人で色々無理していた時期にシャドウミストにお前が取り憑かれた結果、誕生した・・・だろ?そして・・・シャドウミストに乗っ取られたマコがミクラスさんを襲って一時は全ての怪獣娘の活動が中止になった・・・それはGIRLSに入った時にお前から全て聞いたから知ってる・・・。」

「でしょ。だから、わたしを頼りなよ。アギも言ってたよ。人に頼らないのは弱い事じゃないって。」

 

ミコの言葉を聞いてハルキは暫く黙り込む。彼女の言葉で少し心が落ち着いたハルキはミコに向き合った。

 

「今までは何も考えずに怪獣と戦ってきた・・・けど、先日のレッドキングの件で漸く理解した・・・怪獣も1つの命なんだって・・・そんな当たり前の事を・・・分かり切っていた事を・・・・・・俺は全然・・・・・・頭に入れていなかった・・・。」

「ハル・・・?」

「なぁ、怪獣を倒す事が本当に正しい事だと思うか?あのレッドキングは自分の子供を守ろうとしただけだ‼︎ライデンだって、誰かに改造されて利用されているだけかもしれないんだぞ‼︎それなのに・・・ただ単に・・・一方的に攻撃して倒すのが本当に正しい答えだと思うか⁉︎」

 

ミコはハルキの疑問を一通り聞くと思わず幼馴染の顔から目を背ける。彼女がどう答えればいいか考えているとトモミが割って入ってきた。

 

「成る程、最近のハルハルはそれで悩んでいたのですね・・・。」

「ピグモンさん・・・。」

「ピグっち⁉︎」

「・・・ハルハルの気持ちは痛い程分かります。私も先日のレッドキングを見て大事な事に気付こうとしませんでした・・・。怪獣も1つの命だと言う事に・・・。」

「ピグモンさん・・・。」

 

下を向きながら話すトモミにハルキだけじゃなく他の怪獣娘達も表情を曇らせる。しかし、そんなトモミの言葉を表情を変えずに黙って聞いていたランが口を開いた。

 

「怪獣に何、同情しているの?怪獣を倒さなければもっと多くの被害が出ていたわ。怪獣と戦う事に躊躇うくらいなら手を引きなさい。」

「ちょっとエレ‼︎アンタ、なんて事言うのよ‼︎」

「別に・・・客観的に真実を述べただけよ。」

「だからってアンタねぇ‼︎」

「おい、ガッツ‼︎」

「ガッちゃんも少し落ち着いて‼︎」

 

ランの言い方にミコが思わず食って掛かる。一方的に睨み合うミコをベニオとミカヅキが割って入り、仲裁した。

 

「・・・っもう・・・エレちゃんってばさぁ・・・。」

「お前なぁ・・・ハルキの気持ちも考えてやれよ。」

 

ランに苦言したベニオはハルキに向き合う。彼女に釣られてミカヅキもハルキとミコに向き合った。

 

「ハルキ・・・お前の気持ち・・・俺にはよく分かるよ。・・・実を言うとな・・・あの時のレッドキングを見た時、俺は何か引っかかるものを感じたんだ。そしてゼットとの戦いを通じて・・・・・・2体とも自分の子供を守ろうとしていたって事に漸く気付いた。御免な。もう少し早く気付いて行動してれば・・・こんなに悩む事は無かっただろうに・・・。」

「レッドキングさん・・・。」

「俺を避けるのも・・・レッドキングの怪獣娘である俺を見て・・・あの2体を思い出しちまうからだろ。悪かったな、お前の事も考えずに・・・。」

「いえ・・・俺が・・・レッドキングさんとあのレッドキングを勝手に重ねて・・・しまっただけです。だから・・・レッドキングさんは何も悪くありません。」

「ハルキ・・・ありがとよ。」

 

ベニオが口を閉じたと同時にミカヅキが前に出る。ミカヅキはハルキの前に立つと彼に向き合った。

 

「確かに・・・ハルちゃんの言う通り・・・あのレッドキングは自分の子供を守るために現れたね・・・。でもね、ハルちゃん・・・あのレッドキングはハルちゃんの家の近くに現れたんでしょ?」

「ええ・・・。」

「わたしもあの近くに住んでるよ。」

「ハルちゃんの気持ちはわたしも分かるよ。・・・ううん、わたしだけじゃない。ここにいる皆全員が感じてるよ。本当に怪獣を倒す事が正しいのかって・・・勿論エレちゃんも。」

 

ハルキはミカヅキの言葉に驚いてランを見る。すると彼女は思わず目を背けた。ミカヅキの言葉が本当だったらしい。ランに続いてかぷせるがーるず、ザンノイコンビにマガコンビ、セブンガーも思わず下に視線を向ける。ハルキが彼女達もその悩みを抱えていたと知ると再びミカヅキな口を開く。

 

「でもね、どうしても戦わなきゃならないことだってあると思うの。あの時のレッドキングを放置していたらハルちゃんのたった1人の家族であるお母さん・・・幼馴染のガッちゃんの両親・・・学校の友達・・・大切な人を失っていた可能性もあるんだよ。」

「それは・・・・・・確かにそうかもしれませんけど・・・でも‼︎」

 

ハルキはミカヅキの言葉を理解するも納得が上手く出来ずにいる。そこに隣のミコも口を開いた。

 

「ハル、ゴモの言う事は間違ってないよ。」

「ミコ・・・お前・・・。」

「卵から孵った子供が餌を求めて街にやってきたら・・・わたし達の家族や学校の皆が・・・危険に晒される事になるんだよ。・・・今なら分かるんだ・・・なんでこの星から怪獣がいなくなったのか・・・その答えが・・・。」

「・・・そうだな・・・今、この星にはもう・・・怪獣達には居場所はない・・・。」

「勿論、戦わずに・・・解決出来れば・・・それに越した事はないよ。・・・でも・・・怪獣達が現れて・・・多くの人達が命の危機に晒されるような時は・・・可哀想だけど・・・・・・戦うしかないよ・・・。」

「ミコ・・・レッドキングさん・・・ゴモラさん・・・。」

 

3人の言葉を聞いたハルキは今度はアキ達の方を向く。すると彼女達の意見を聞く。

 

「アキさん達は・・・どう思う?」

「えっ⁉︎・・・それは・・・。」

「何と・・・言うか・・・。」

「・・・・・・御免なさい・・・私達は・・・上手く答えられません・・・。」

 

ミコ達と比べるとGIRLSに入ってまだ日が浅いアキ達はハルキの問いに答えられずにいた。そんな中、黙っていたミサオが口を開く。

 

「アタシは・・・やっぱり戦うしかないと思う・・・。」

「ノイズラー・・・アンタ・・・。」

「バッサー、ヘビクラさんも言ってただろ。卵が孵ったら2体のレッドキングが街に現れて人を襲う事になるかもしれないって。あの言葉はアタシ・・・間違ってないと思う・・・。」

「それは・・・そうかもしれないけど・・・そう簡単には・・・割り切れないよ。」

「アタシだって完全に納得した訳じゃないよ‼︎・・・でも、これを見て・・・。」

 

ミサオは自身のソウルライザーを見せる。画面を覗き込むヨウとユカが画面を見るとそこには怪獣のせいで苦しんでいたところをミサオとサチコのライブで心が救われたという書き込みが無数に書かれたチャットだった。

 

「怪獣のせいで・・・怪我をして・・・家を失って・・・大切な人を失って苦しんでる人達がいる・・・それだけは間違いなく事実だよ。・・・だから・・・アタシ達には・・・GIRLSとして・・・そして・・・そんな怪獣の魂を宿した怪獣娘として・・・怪獣と戦う義務がある・・・そう思う・・・。」

「ノイ・・・。」

 

ミサオの言葉にハルキはその場で何も言えずに彼女の言葉を聞くだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の翌日、GIRLSのトレーニングルームでハルキはランニングマシーンで走っていた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

 

その脳裏には自身がウルトラマンとして2番目に戦ったアリゲラの姿が思い浮かんだ。何の為に地球にやってきたのかも考えずに宇宙からやってきた高速で飛ぶ宇宙怪獣を倒して良かったのかという迷いを振り払うようにハルキは走り続ける。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

 

ハルキは今度はダンベルを背中に背負いながら腕立て伏せをしていた。その脳裏には突如、お台場に現れたジラースの事が思い浮かんでいた。何故、お台場の海から現れたのかその原因を考えずに倒した事が正しかったのかと考える脳を振り払うように体を動かす。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。」

 

今度はテレスドンの姿が思い浮かんだ。GIRLSに入ってから後にテレスドンが現れた原因が人間による地下開発で住処を奪われたからではないかという多岐沢の考察を聞いた事を思い出す。ハルキは人間のせいで住処を追われた可能性の高いテレスドンとの戦いを振り切るように腹筋をする。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・。」

 

今度はサンドバッグに向かって拳、足をぶつけていた。その脳裏にはペギラの事が思い浮かぶ。自身の大切な幼馴染を氷漬けにして凍死させかけたとはいえ宇宙の何処かで封印されてはるばる経って漸く日の目を見る事が出来たペギラを簡単に倒して良かったのかという疑問を忘れるように拳と足をサンドバッグに叩き込む。

 

「うおおおおおおおおおおお‼︎」

 

今度は手首足首に重りをつけてサンドバッグに拳を叩き込む。その際に自身が倒した雄のレッドキングが脳裏に蘇る。ハルキはその幻影を振り払うように力強く何度も拳を撃ち込んだ。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・・・。」

 

ハルキは自身の迷いを振り払うようにトレーニングルームで特訓に励むが長い時間の間、水分も取らず体を動かし続けていたために息切れを起こしていた。思わず崩れ落ちるも頭を振り払い、意識を無理矢理呼び起こす。

 

「ハ・・・ハル・・・何してるの?」

「ミ・・・コ・・・?」

 

ハルキは幼馴染の姿がおぼろげに見える。そして次の瞬間、ハルキの頭は崩れ落ち、意識が消えた。

 

「ハル‼︎」

 

 

 

 

 

 

「う・・・ううん・・・。」

「ハル、気がついたの⁉︎」

 

ハルキは目を覚ますとすぐ目の前に自身が目覚めた事で安堵した表情のミコの顔が浮かぶ。ハルキは自分に何が起こったのか把握しようと周りを見渡そうとする。

 

「俺は・・・?」

「動いちゃ駄目‼︎ハルってば脱水症状を起こしてたんだから‼︎」

「脱水症状・・・俺が・・・?」

「そうだよ‼︎ハルがトレーニングルームに向かったと聞いて来てみたらフラフラになって倒れるんだもん‼︎本当にビックリしたよ‼︎」

 

ハルキは自身に何が起こったのか把握する。水分も取らず体を動かし続けて倒れた事もそんな自分を心配して目の前の幼馴染が付き添ってくれた事も全て理解した。

 

「ミコ、すまない、心配かけて・・・。」

「もう、本当だよ‼︎心配させたお詫びに今度、買い物付き合ってよね‼︎」

「ああ・・・幾らでも付き合うぜ。」

 

ハルキが同意を取ると思わず右に顔を向けて寝返る。するとハルキの頬に柔らかくて健康的な肌色と暗がりの中に白い何かが目に映った。それが何か確かめるために後ろを振り向くとGIRLSの制服であるミニスカートから伸びるミコの太ももが映った。実はハルキは今までミコに膝枕されていたのだ。

 

「ちょっ⁉︎ミコ⁉︎お前・・・‼︎」

「ハル‼︎急に動いちゃ駄目‼︎ちゃんと寝てて‼︎」

「そんな事言ってもよ・・・。」

「いいから‼︎」

(しょーがねえだろ‼︎さっき寝返った時、お前の・・・白い・・・アレが・・・一瞬チラッと見えちまったんだから‼︎)

 

ハルキは飛び起きようとするがミコに頭を抑えられる。仕方なくそのままミコに膝枕されるもハルキは寝返った時に一瞬だけ見えたミコの下着を思い出して頬を赤くするも、この状況でそれを言ったら殴られると思い、必死に黙りながら先程寝返った方向とは逆に寝返った。ハルキはミコの綺麗でスベスベした太ももの感触を感じて、ミコは想い人である幼馴染を膝枕しているため、お互いの体温を感じてそのまま暫くの間、沈黙が続いた。そのまま黙り続けているとミコが口を開いた。

 

「・・・ねぇ、ハル。」

「あ?」

「何で倒れるまでトレーニングしてたの?確かにハルは空手やってるし・・・リクを狙ったアンドロイドとかバロッサ星人とも戦ったけど・・・基本的にここは怪獣娘のトレーニングルームだよ。」

「・・・怪獣娘以外は使っちゃ駄目とは言われてないだろ。」

「それはそうだけど・・・ここのトレーニング機器は怪獣娘用に調整されているから普通の人間にはかなりキツイ筈だよ。」

「・・・これまで現れた怪獣の事を考えてた・・・。」

「もしかして・・・あのレッドキングの事を振り切りたくて?・・・ねぇ、少し聞いていい?」

「・・・何だ。」

「何で・・・ハルがあのレッドキングの事でそんなに頭を悩ませるの?そりゃ確かにハルもあの現場にいたけど基本的に怪獣と戦うのはわたし達怪獣娘なのに。」

「・・・・・・。」

「それに・・・ゲネガーグが現れてから・・・ハル、何かわたしに隠し事してない?」

「⁉︎・・・どうしてそう思うんだよ⁉︎」

「分かるよ。長いあいだ会わなかったとはいえ・・・わたしはハルの幼馴染なんだよ。それくらい分かるよ・・・。」

「ミコ・・・。」

「ねぇ、何でそんなに悩むのか教えて。もし、誰にも知られたくない秘密なら誰にも言わない。アギにも・・・勿論マコにも‼︎だから・・・何か悩みがあるならわたしだけにでも打ち明けて。」

(・・・もう・・・・・・限界かな・・・。)

 

ミコの優しい声にハルキは思わず心を迷わせる。ハルキはゆっくり起き上がる。

 

「あのさ・・・ミコ・・・実は・・・俺・・・。」

 

ハルキは懐からゼットライザーを取り出して自身の秘密を打ち明けようとする。その時、緊急事態を告げるサイレンがGIRLS東京支部全体に鳴り響いた。




怪獣娘の世界はありとあらゆる怪獣が地球から消えた訳ですが・・・何故、リトラとかピグモンとかリドリアスとか温和的で人類とも共存できそうな怪獣達まで滅びたのでしょうか?
大気汚染などで変わっていく地球の環境に適応出来なくて絶滅したのか・・・実に不思議です・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

叫ぶ命(後編)

皆さん、こちらも本当にお久しぶりです・・・。
怪獣娘トリガーを書くのが楽しすぎて遅れました・・・本当に面目ない・・・。
最後、衝撃の展開があります。原作にはなかった展開です。


突如、GIRLS東京支部内に鳴り響く警報のサイレンを聞いてハルキとミコ達怪獣娘が司令室に集まった。

 

「ピグモンさん‼︎ヘビクラさん‼︎」

「皆さん‼︎」

「来たか・・・お前ら。」

「ピグモン、緊急事態のようだけど・・・シャドウか?暴走した怪獣娘か?それとも・・・。」

「・・・残念ながら・・・怪獣です。」

 

ピグモンが司令室の機器のスイッチに触れるとモニターにリアルタイムで映像が映し出される。そこには目覚めたグルジオライデンが廃棄物を貪り食っていた。

 

「グルジオライデン・・・‼︎」

「また現れたのか・・・。」

「ピグモン、GIRLSカスタムは⁉︎」

「メンテナンスが完了しました‼︎いつでも出せます‼︎」

「よし、ではワタシが」

「待って‼︎おジョー‼︎」

 

覚悟を決めてGIRLSカスタムに乗り込もうとしたクララをミコが引き止める。ミコはクララを押し除けてトモミの前に立つと覚悟を決めた表情を決める。

 

「ピグっち、確かわたしもキングジョーの操縦はA判定だったよね?」

「ええ。」

「だったら・・・今回はわたしが出る‼︎」

「ガッツ⁉︎」

「ミコ、お前何を⁉︎」

「おジョーだけに操縦を任せる訳にはいかないでしょ。それに・・・。」

 

ミコは一度口を閉じるとハルキの顔を見る。突然自分に顔を向けてきた幼馴染にハルキが首を傾げるとミコは再びトモミの方向を見て口を開いた。

 

「わたしの覚悟を見て欲しい人がいるの・・・怪獣の・・・1つきりの命を奪う責任を追う覚悟を・・・そしてその人がわたしの行動で何か見つけられたらって思う。」

「ミコ・・・。」

「だからお願い‼︎ピグっち、今回はわたしを乗せて‼︎」

 

トモミはミコの顔を見て決断を決める。そしてその場にいた全員に叫んだ。

 

「分かりました・・・ガツガツにGIRLSカスタムの操縦を任せます‼︎他の皆さんは人々の避難誘導をお願いします‼︎GIRLS出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

ハルキ達が現場に到着したと同時にガッツ星人(ミコ)が操縦するキングジョー・GIRLSカスタムが降り立つ。彼らの目の前には廃棄物を貪るグルジオライデンから逃げる作業員の姿があった。ハルキ達は急いで彼らの避難誘導を開始する。

 

「皆さん、GIRLSです‼︎こちらに避難して下さい‼︎」

「慌てないで‼︎落ち着いて‼︎」

 

ハルキ達が作業員を避難誘導するその後ろではGIRLSカスタムが背中からミサイルを放ち、グルジオライデンを攻撃する。グルジオライデンは自身に攻撃してきた相手を確認すると真っ直ぐGIRLSカスタムに向かっていく。

 

「さて、さてさてさて‼︎来ました‼︎わたしが‼︎ガッツ星人が‼︎キングジョーに乗って・・・貴方を倒しに‼︎」

「グワアアアアアア‼︎」

 

グルジオライデンはGIRLSカスタムに鋭い爪を突きつける。GIRLSカスタムは左腕で怪獣の腕を抑えると右腕に仕込まれたドリルをグルジオライデンに突きつけた。GIRLSカスタムの武装の1つであるペダニウムドリルが回転してグルジオライデンの代表を削る。グルジオライデンは腹部に感じる削り取られる痛みに絶叫した。

 

「グワアアアアアア‼︎」

「うん、我ながらこれ・・・かなりエグいね・・・。グルジオライデン・・・痛いよね・・・でも、悪く思わないでね‼︎皆を守るためにわたしは貴方を倒すから‼︎」

 

その体に火花が散る中、グルジオライデンは口に力を溜め、光線を吐く。至近距離で光線を受けた場所が爆発し、GIRLSカスタムは吹っ飛ばされた。元のロボットの強度が硬いのと操縦者が怪獣娘なのもあって幸いにも中で操縦していたガッツ星人(ミコ)は痛みに耐えながら頭を抑えたが意識を失わずにいた。

 

「痛ぁ・・・。よくもやってくれたね‼︎」

 

GIRLSカスタムは立ち上がり、再びミサイルを放つ。グルジオライデンはミサイルを受けて、後ろに後退する。その隙にグルジオライデンに接近したGIRLSカスタムは再びグルジオライデンをドリルで削ろうと突き付ける。しかし、それを読んでいたのかグルジオライデンは右腕を抑えつけ、口から光線を放つ。光線を再び受けたGIRLSカスタムは後ろに大きく吹っ飛んだ。

 

「うわああああっ⁉︎」

「ミコ‼︎」

「「ガッツ‼︎」」

 

その頃、職員達の避難誘導を終えたハルキ達はGIRLSカスタムが怪獣から反撃を受けているのを見る。GIRLSカスタムが倒れるとグルジオライデンは下に目線を向け、ハルキ達を確認する。するとグルジオライデンは口に力を集め始めた。

 

「皆、怪獣の攻撃が来るぞ‼︎」

「散り散りになってー‼︎」

 

レッドキングとゴモラのベテラン大怪獣ファイター組の声でグルジオライデンが口から光線を放ったと同時にハルキ達は散り散りになる。グルジオライデンは散り散りになったハルキ達を見てGIRLSカスタムに目を向けるとその巨大な機体を餌とみなして迫る。

 

「ちょっ⁉︎何で・・・⁉︎動いて‼︎動いて‼︎このままじゃ皆が‼︎お願いだから動いてよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)は操縦席のコントローラーなどあらゆる機器を叩き、GIRLSカスタムを動かそうとする。

その一方で近くに怪獣娘達の仲間達がいない事を確認したハルキはゼットライザーを取り出してヒーローズゲートに突入する。ヒーローズゲートに入ったハルキがゼットライザーにウルトラアクセスカードを装填しようとした時、ゼットからの声が聞こえてきた。

 

『ハルキ、いけるのか⁉︎』

「・・・ミコが戦ってるんです・・・俺が黙って見ている訳にはいきませんから・・・。」

『分かった・・・行くぞ、ハルキ‼︎』

 

ハルキはウルトラアクセスカードを装填し、ゼットライザーに読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーからアルファエッジへの変身に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

「ジェアッ‼︎」

 

アルファエッジの姿となったウルトラマンゼットが飛び蹴りをかます。ゼットはグルジオライデンに向かって構えると突撃していく。グルジオライデンは頭突きをしようとするがゼットは横に避けるとその頭を抑え胸に蹴りを撃ち込んだ。再び両者共に睨み合い、ジリジリと距離を追い詰めていく。

再び両者は突撃し、先にグルジオライデンの腕をゼットが抑える。怪獣の腕を弾いたゼットは素早く拳を4発撃ち込み、最後に肘打ちでグルジオライデンを後退させた。

 

「ジェアッ‼︎ジャッ‼︎ジィアッ‼︎」

「グオオオオオオ‼︎」

 

ゼットはグルジオライデンから再び距離を取ると怪獣に向かって構える。グルジオライデンも目の前のゼットを睨んだ事で睨み合いになる。

 

『バリアで防いでるだけじゃラチが明かないからな‼︎』

(全部避けてこっちも攻撃しましょう‼︎ヒットアンドウェイです‼︎)

 

先に仕掛けた来たのはグルジオライデンだった。グルジオライデンは両腕の鋭い爪でゼットを引き裂こうとするが手刀で怪獣の腕を抑えてかわしたゼットは裏拳を放ち、怪獣を怯ませる。その隙に再びグルジオライデンの胸に拳を3発程撃ち込んだ。グルジオライデンは今度はゼットに噛みつこうとするが口を抑えられ、投げられる。

 

「ジェアアッ‼︎」

 

怪獣が無防備になった隙にゼットの蹴りがグルジオライデンを吹っ飛ばした。グルジオライデンはゼットを確認すると尻尾を振り回して叩きつけようとする。ゼットはバク転で怪獣の尻尾から逃れた。立ち上がると同時にゼットはゼットライザーを具現化させ、グルジオライデンを斬り付ける。半分機械の体に大きな火花を上げて切り傷を刻むと再びグルジオライデンを斬り付けた。

 

「グオオオオオオオオオ⁉︎」

『(ゼスティウム光せ・・・⁉︎)』

 

ゼットはグルジオライデンから離れて必殺光線を放つ構えを取る。そのまま必殺のゼスティウム光線を放とうとした時、ゼットとハルキの目に写ったのは目から青い線が流れ、まるで涙を流しているような姿のグルジオライデンだった。

 

「グオオオオピギャアアアア‼︎」

 

まるで宇宙に帰りたいとばかりに叫びながら涙を流しながら叫んでいるグルジオライデンの姿にハルキは動悸し始める。

 

(ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。)

 

目の前の怪獣の様子に完全に戦意を喪失したハルキの影響でゼットはアルファエッジの変身が解け、オリジナルの姿に戻ってしまう。ゲネガーグとの戦いのダメージが治っていなかったのかカラータイマーが赤になり高速で点滅し始める。

 

『はっ・・・うおっ・・・・・・なっ⁉︎』

 

その時、グルジオライデンの口から光線が放たれ、ゼットに直撃した。ゼットは大きく地響きを立てて地面に倒れる。ゼットは立ち上がろうと踏ん張るが立ち上がらずにいた。

 

『体が・・・動かない‼︎』

 

グルジオライデンはゼットにとどめを刺そうと背中の砲台に力を集めていく。それを見たガッツ星人(ミコ)は操縦席で操縦席のあらゆる機械を強く叩き続ける。

 

「動いて‼︎今動かなきゃゼットが‼︎お願いだから動いて‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)がコントローラーを叩いたと同時にキングジョーが再起動し、再び立ち上がった。ガッツ星人(ミコ)はその様子に笑みを浮かべるとグルジオライデンの前に立ちはだかる。その様子に現場にいたアギラとガッツ星人(マコ)もGIRLSの司令室で戦いを見ていたヘビクラとピグモンもゼットの中のハルキも焦った様子で叫んだ。

 

「ガッツ‼︎止めて‼︎」

「ミコ、アンタ何する気‼︎危ないから止めなさい‼︎」

「ガツガツ‼︎」

「よせ‼︎ミコ‼︎」

(ミコォォォ‼︎)

 

ガッツ星人(ミコ)は息を吸って覚悟を決める。その時、GIRLSカスタムに備えられたミサイルが全弾一斉に発射された。全弾がグルジオライデンと怪獣の手前で爆発し大きな煙幕が出来る。グルジオライデンが煙に戸惑い、エネルギーを集めるのを止める。

 

「グルオオオオオオ⁉︎」

 

そして煙の中からドリルを回転させたキングジョーがグルジオライデンの体表を削りながらすれ違った。火花を散らしながらグルジオライデンは悲鳴を上げる。

 

「グオオオオオオオ‼︎」

 

グルジオライデンが振り返って再びエネルギーを集め始める。そして先程までチャージしていた分を乗せて背中の砲台から強力な光線が放たれた。それは真っ直ぐGIRLSカスタムに向かって飛んでいく。

 

(ミコォォォォォォ‼︎)

「ガッツ‼︎逃げてぇぇぇぇ‼︎」

 

ハルキとアギラの叫びも虚しくそのままGIRLSカスタムに光線が直撃すると誰もが思った。しかし、皆の予想は外れ、光線がGIRLSカスタムの機体を擦り抜けた。思わぬ事態にグルジオライデンもハルキも驚きを隠せない。

 

「グオオオオオオ⁉︎」

(光線を・・・擦り抜けた⁉︎)

「わたしはこっちだよ‼︎」

 

その時、空からGIRLSカスタムがグルジオライデンに急接近し、ペダニウム粒子砲を背中の発光器官に押し付ける。その銃砲には既にエネルギーがチャージされている。ガッツ星人(ミコ)は勢いよく叫んだ。

 

「ペダニウム粒子砲・・・発射ぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ゼロ距離で放たれたペダニウム粒子砲からの光線がグルジオライデンに直撃する。弱点にゼロ距離で強力な光線を受けては半分機械で出来たグルジオライデンも耐え切れずに大爆発を起こした。そして爆発が収まった時にはGIRLSカスタムが仁王立ちしていた。

 

「勝ったの・・・?」

「マジか・・・凄え・・・。」

「怪獣を・・・倒しちゃった・・・。」

「やったぁぁぁぁ‼︎ウルトラマンに頼らず怪獣を倒せたよぉぉ‼︎」

 

現場にいた怪獣娘達は自分達の手で怪獣を倒せた事に喜ぶ。GIRLS東京支部で見ていたピグモンもこれには嬉しさを隠さずにいた。

 

「凄い・・・凄いです‼︎ガツガツ‼︎よく頑張りましたね‼︎」

『ふふん‼︎わたしは無敵のガッツ星人だからね‼︎これくらいなんて事ないって‼︎』

「けど、さっき擦り抜けたのは何?どうやったらああなるの?」

『ああ、さっきのはホログラムだよ。』

『ホログラムぅぅ⁉︎』

 

そう、先程、グルジオライデンの光線を擦り抜けたGIRLSカスタムはホログラムだったのだ。実はGIRLSカスタムをガッツ星人が操縦した場合、彼女達特有の能力として自身の大きなホログラムを写し出す事が出来るのである。何故、こんな事が出来るかというと分身宇宙人であるガッツ星人の分身能力が反映された結果、巨大なホログラムを分身として写し出す機能が追加されたのだ。その機能で怪獣に勝利したガッツ星人(ミコ)は操縦席で呟いた。

 

「ねえ、ハル・・・わたしの覚悟・・・見てくれた?」

 

GIRLSカスタムはゼットに向けて目線を向ける。その時、ゼットは変身が解除されて、光の粒子と共にハルキに戻る。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・うわああああああああああああああ‼︎」

「やっぱりそうだったんだね・・・何となくそうなんじゃないかとは思っていたんだけど・・・。」

「⁉︎」

 

叫ぶハルキに後ろから話しかけてくる声が聞こえてきた。そしてハルキが驚きながら後ろを向くとそこには瞬間移動でここに降りてきたガッツ星人(ミコ)が立っていた。

 

「やっぱり・・・ハル・・・貴方がウルトラマンゼットだったんだね・・・。」

「・・・ミコ・・・お前・・・。」

 

ハルキとガッツ星人(ミコ)は森の中でお互い見つめ合っていた。




ハルキ「ハルキと」

ヨウ「ヨウの」

ハルキ&ミサオ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈NEXUS〉

ヨウ「ウルトラマンネクサス。メタフィールドという特殊な空間を作り出す謎を秘めたウルトラマンだぜ‼︎」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈GAIA〉

ハルキ「ウルトラマンガイア。光の鞭『フォトンエッジ』が必殺技でガンマフューチャーもこの力を使うんだ。」

ユカ「次回はわたしが担当するよ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『突然、俺と気持ちが合わなくなってしまったハルキの前にコイン怪獣『カネゴン』が現れた。お金が食べ物のカネゴンは間違えてウルトラメダルを食べてしまう。どうする、ハルキ‼︎このままじゃ変身出来ないぞ!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


メダルいただきます!


ウルトラ食べるぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

メダルいただきます!(前編)

デッカーももう後半戦に突入ですね・・・時は早いものです。デッカー完結までにこちらを終わらせたい気持ちですが・・・出来るかな・・・。

コイン怪獣『カネゴン』登場
『ダークロプスゼロ』登場


ここはかつて惑星チェイニーと呼ばれる惑星が存在した付近の宇宙空間である。かつてこの付近に存在した惑星チェイニーではサロメ星人と呼ばれる宇宙人が自身が作ったウルトラ兄弟の姿を模したロボットをあらゆる並行宇宙に送り込み、宇宙侵略を目論んでいたのだが、ゴモラを操る地球の怪獣使いの青年とウルトラマンゼロとの戦いで完全に惑星は崩壊し、辺りには星屑が浮かぶだけの筈だった。

そこに1つのオレンジ色の欠片が漂流してくる。それは惑星チェイニーが滅びるきっかけとなった存在を作ったウルトラマンベリアルの欠片『デビルスプリンター』だ。宇宙空間を漂うデビルスプリンターの周りに黒いオーラが集まってくる。それはデビルスプリンターに集まっていくとやがて人形に変化していく。そして完全に黒いオーラが晴れるとウルトラマンゼロに似た黒とオレンジのカラーリングので単眼の巨人が姿を現した。かつてベリアルがゼロに似せて作ったロボット『ダークロプスゼロ』がデビルスプリンターの力で復活した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

そんな事が起きている事を知らないGIRLSや怪獣娘が存在する宇宙の地球ではGIRLS東京支部でハルキとミコが2人きりで1つのベンチに隣合わせで座っていた。先程の状況がきっかけで2人の間には気まずい空気が生まれている。

 

「・・・。」

「・・・。」

 

2人はお互い無言で黙り合っている。何を言えばいいのか分からず2人が黙り合う中、先に口を開いたのはハルキだった。

 

「ミコ・・・お前・・・いつから俺がウルトラマンだと?」

「・・・・・・あのレッドキング以来・・・かな。あの日以来、ハルの様子・・・おかしかったから。」

「マジか・・・。」

「・・・いつからなの・・・?」

「・・・何が?」

「いつから・・・ハルはウルトラマンになったの⁉︎・・・いつからウルトラマンゼットとして怪獣と戦ってたのよ⁉︎」

 

ミコの問いかけにハルキは黙り込む。このまま隠しきれないと感じたハルキは数十秒後、再び口を開いた。

 

「・・・ゲネガーグが・・・現れたあの日から・・・・・・。」

「そんな・・・ずっと前からじゃない・・・。あの日の時点でわたしがGIRLSの怪獣娘だって知ってたよね・・・少なくともわたしには話すべきだったでしょ・・・。」

 

ハルキの答えを聞いたミコはベンチから立ち上がると彼に背を向ける。そのままハルキに背を向けて数十秒後、再びミコはハルキに顔を向ける。ミコは厳しい目に涙を溜めながら激しく問い掛けた。

 

「何で・・・ずっと黙ってたの?」

「御免・・・。」

「どうして話してくれなかったの⁉︎どうしてずっと黙ってたのよ・・・わたしってそんなに頼りないの⁉︎ハルに信頼されてないの⁉︎」

「違う‼︎俺は・・・お前を信用していなかった訳じゃない‼︎俺はただ・・・お前や・・・皆を・・・‼︎」

 

ハルキは言葉に詰まり、口を閉ざす。瞼に溢れそうな涙を溜める幼馴染の顔に確かに目を向けて重い口を開いた。

 

「俺は・・・ただ・・・皆を守りたかっただけだ・・・!ゼットさんから言われたんだ。『俺達の関係は誰にも話すな』って・・・もし俺達の秘密が知られたら・・・俺の身近な人達にも危険が及ぶからって・・・だから・・・ずっと話せずにいたんだ・・・。」

「・・・・・・。」

「ミコ、今まで黙っていて本当に御免・・・本当に御免・・・。」

 

ハルキは頭を下げてミコに謝る。今の自分に出来る事はこれしかないと思ったハルキはそのままミコに頭を下げ続けていた。2人の間に沈黙が再び流れる。その時、ハルキとミコの横を何かが通り過ぎた。

 

「「⁉︎」」

 

何かの気配を感じたハルキとミコは気配がした方を同時に振り向く。しかし、既にそこには誰もいなかった。

 

「なぁ・・・ミコ・・・今さ・・・。」

「うん・・・感じた・・・・・・今、そこに・・・何か・・・いたような・・・。」

「「・・・・・・。」」

 

2人は先程の様子とは打って変わって後ろから感じた気配に警戒する。背中合わせになりながら辺りを警戒すると再び先程後ろを通りかかった何者かが通りすがる。2人はその気配に気付き、振り向くとそこには大きな財布のジッパーみたいな口と2本に飛び出した目を持つ金色の怪獣がいた。突然現れた怪獣に先程まで気まずい雰囲気だった2人は思わず驚いて叫び出す。

 

「「うわああああああああああああああああ⁉︎」」

 

ハルキとミコは思わず体を抱き合って怪獣から離れる。2人が距離を離した時、目の前の怪獣は突然倒れた。

 

「「えっ⁉︎」」

 

2人は顔を見合わせると目の前で倒れた怪獣に目を向ける。その様子に先程までの気まずい雰囲気を忘れた2人は顔を見合わせて目の前の怪獣について話し合う。

 

「ねえ、あれ・・・どう見ても怪獣だよね・・・。」

「ああ・・・俺もそう思う・・・。」

「突然倒れちゃったけど・・・どうする?このまま放っておくのも跡見悪いし・・・。」

 

ミコの言葉にハルキも渋々頷くと目の前の怪獣に向かっていく。ハルキは怪獣の前でしゃがむと話しかけた。

 

「おーい、大丈夫かー?」

「・・・・・・。」

「ねぇ、生きてる?」

「・・・お腹・・・。」

「「へっ?」」

「・・・お腹・・・空いた・・・。」

「「・・・・・・喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」」

 

2人は目の前で倒れた怪獣が喋った事に揃って声を上げて驚く。すると怪獣は何か見つけたかのように臭いを嗅ぐ。すると怪獣は立ち上がってハルキの腰に備えられたメダルホルダーに目を向けた。

 

「へっ⁉︎・・・ま、まさか・・・。」

「?」

 

ハルキは腰に目を向けて警戒するもホルダーが見えないミコは首を傾げている。そんな中。怪獣はあっという間にメダルホルダーを引ったくってしまう。

 

「あー‼︎俺のメダルホルダー‼︎」

「?・・・メダルホルダー?何言ってるの?」

「マズい・・・ミコ!アレを取り返すぞ‼︎」

「えっ?・・・えっ・・・?えっ⁉︎何?あの怪獣、ハルから何か奪ったの?わたしには何も見えないんだけど・・・。」

「ああ・・・そういえばホルダーって地球人には見えない物質で出来てるんだったぁぁぁぁ‼︎もういい!俺1人で取り返す‼︎」

 

ハルキは慌てながら怪獣を取り押さえようとするが怪獣は既にメダルホルダーを開き、ウルトラメダルを口に放っていく。ハルキは慌てながら怪獣を抑えてホルダーを取り返すが既にメダルは1枚も残っておらず全て怪獣に食べられた後であった。

 

「俺のウルトラメダルがぁぁぁぁ‼︎」

「ね、ねぇ・・・今、何もないところからメダルが・・・出て来たけど・・・。」

「今、あいつに奪われたホルダー、地球人には見えない物質で出来てんだよ‼︎そんでその中に俺がゼットさんに変身するのに必要なウルトラメダルが入ってたんだよ‼︎」

「ああ、成る程・・・地球人には見えない・・・ってええ⁉︎」

 

ミコはハルキの言葉に驚きを隠せない。そんな中、メダルを食べて力を取り戻したのか立ち上がった怪獣はハルキとミコに挨拶した。

 

「こんにちは、僕、カネゴンって言います。」

「・・・ああ、俺は冬河ハルキ・・・。」

「わたしは印南ミコ。ガッツ星人の怪獣娘でハルの幼馴染よ。」

「・・・じゃなくて‼︎何でメダルを食べちゃったんだよ⁉︎」

 

2人は目の前のコイン怪獣『カネゴン』の呑気な雰囲気に釣られて思わず自己紹介してしまったがハルキは冷静になってカネゴンを問い詰める。

 

「僕ね、お金が食べ物なんだ。」

「へー、お金が食べ物ねぇ・・・お金が食べ物⁉︎」

「うん‼︎」

「マジで⁉︎大丈夫なの⁉︎お腹壊しそうだけど・・・。」

「全然平気だよ。」

「あれはお金じゃなくてウルトラメダル‼︎とにかく吐き出せ‼︎」

 

ミコがカネゴンの食べ物に驚く中、ハルキはカネゴンに詰め寄り、口を無理矢理開いてウルトラメダルを吐き出そうとする。しかし、カネゴンに抵抗されて逆に自分が噛み付かれた。何とかカネゴンの口から脱出するとハルキはその場に腰掛ける。

 

「ひゃ、ひゃめてよ〜!」

「イデデデデ‼︎」

「は、ハル・・・大丈夫?」

「ああ・・・何とかな・・・仕方ねえ・・・ミコ、掃除機持ってきてくれないか?」

「えっ、いいけど・・・。」

 

ミコは掃除機を取りに何処かへ走っていく。数分後、ミコが持ってきた掃除機を手に取ったハルキはカネゴンの口に突っ込もうとした。

 

「ちょっと⁉︎ハル、何する気⁉︎」

「掃除機でメダルを吸い寄せる‼︎」

「や、止めてよ〜‼︎」

 

ハルキは力づくでカネゴンの口に掃除機を突っ込み、メダルを回収しようとする。しかし、カネゴンは必死に抵抗して、逆に掃除機を奪い取ってしまった。

 

「負けない!負けないぞ‼︎」

「御免御免‼︎冗談だって‼︎本当に悪かったから‼︎」

「もう・・・ハルったら・・・。」

 

呆れるミコの前でハルキは自身に掃除機を向けてくるカネゴンを宥める。別の方法に切り替えてウルトラメダルを回収しようと考えたハルキは今度は何処から調達したのか磁石を手に持ち、カネゴンのお腹にくっつける。何故、方法に切り替えのかには理由がある。以前、磁石にウルトラメダルがくっついた事があるからだ。そこでハルキはカネゴンのお腹に磁石を当て、ウルトラメダルを口まで運ぶ作戦に出たのである。

 

「ちょっ⁉︎じっとしてろ‼︎動くなって‼︎」

「アハハハハハ‼︎擽ったいって〜‼︎」

 

しかし、磁石が動いて擽ったく感じたカネゴンがその感覚に耐えられずに動いて逃げてしまい、この作戦も失敗に終わってしまう。作戦が2つとも失敗した事にミコはため息をついていた。

 

「ハァ・・・。」

 

2つの作戦が失敗に終わった事でハルキは新たな作戦に思いつく。今度はカネゴンと一緒にヨガを始めていた。ハルキは便秘によく効くヨガをする事でウルトラメダルを出させようと考える。ハルキは仰向けになって背中の下に肩を入れる。その横で何故かミコも同じ動きをしていた。

 

「何でわたしまでヨガやってんの・・・?」

「いや、お前が勝手に始めたんだろ。」

「まぁそうなんだけど・・・何でヨガなのよ・・・。」

「はい、息を吸って〜!吐いて〜!」

「え〜、無視〜・・・?」

「吸って〜?吐い・・・うわわわわわわ⁉︎」

 

しかし、カネゴンが体の体型状、ヨガの動きについてこれずこの作戦も失敗に終わってしまった。ハルキは3つの作戦が全部失敗に終わった事で意気消沈してしまう。

 

「ああ・・・どうすりゃいいんだよ・・・。」

「ハル、しっかりして‼︎その・・・珍妙な作戦は失敗に終わっちゃったけど・・・きっと何とかなるって‼︎」

「けどよ〜・・・あれが無いと俺は・・・。」

「あ、あのさ・・・。」

 

頭を悩ませるハルキを励ますミコの横に立ったカネゴンはハルキに向かって問い掛けた。

 

「あのお金、そんなに大事なものだったの?」

「いや、あれはお金じゃなくてウルトラメダル。俺がゼットさんから託された大事な物なんだ。」

「ゼットってもしかして胸にZって書かれた大きな人?」

「そうだけど・・・知ってるの?」

「あのお金を食べた時、頭の中にババっと浮かんだんだ。ハルキがこうやって『ウルトラマンゼェェェェット』ってやってるのが見えたよ。ハルキの知り合いなの?」

 

ハルキは腕を組んで考え出す。考えてから数十秒後、ハルキは2人の顔を見ると決意を決めて語り出した。

 

「丁度いいや。俺がゼットさんからメダルを託された訳とあの日の事全部、話す事にするよ。」

 

ハルキの声を聞いてミコとカネゴンはハルキの顔に目を向ける。2人が自分に目を向けた事を確かに見たハルキは語り出した。

 

「きっかけはウルトラマンの故郷である光の国にゲネガーグが襲来した事から始まったんだ。」

「えっ⁉︎ゲネガーグが光の国に⁉︎」

「ああ、あの日、ゲネガーグは光の国に襲来してゼットライザーとウルトラメダルを奪っていった。」

 

ハルキは懐からゼットライザーを取り出した。それを見てミコが思わず驚く。

 

「ああっ⁉︎それ確かピット星人が言ってた‼︎」

「ああ、ゼットライザーは今、俺が持っているのとゲネガーグに奪われた物の2つがあってそれは今も行方不明のままだ・・・。ゼットさんはそれを追いかけてこの星に辿り着いたんだ。」

「そ、そうだったの・・・。初めて知った・・・。」

「話を戻すぞ。ゼットさんはゲネガーグを追ってこの星までやってきたまでは良かったものの以前にあった大きな戦いのダメージが癒えてなくて苦戦し、ゲネガーグとの戦いで重傷を負ってしまったんだ。」

「ああ・・・そういえばすぐにカラータイマーが鳴ってたね・・・。」

「その戦いでゼットさんは師匠から託されたウルトラメダルとゼットライザーを落としちゃったんだ。それを俺が拾って・・・ゼットさんに届けたのが全ての始まりだった・・・。」

「じゃあその時、ハルはウルトラマンゼットになったんだね。」

「そう、俺がゼットさんに協力すれば怪獣を倒して皆を守れる・・・そう知った俺はゼットさんと一体化してゲネガーグに挑んだんだ。」

「おお〜!カッコいい‼︎」

「最初に変身したのはアルファエッジ。ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠のメダルで変身する形態さ。」

「「・・・。」」

「どうした、2人とも?」

「「師匠多くない?」」

「・・・まぁ、ウルトラマンだし、何かしら事情はあるんだろ。・・・得意技は秘伝の宇宙拳法で俺自身も空手やってるから一番使いやすいんだよ。」

「へ〜・・・あれ・・・という事は・・・ハルキってウルトラマンなの?で、ミコはそれを知ってたの?」

「へ?今そこ?・・・まぁ、半分はそうなるかな・・・。」

「ま、知ったのはつい先程なんだけどね・・・。」

「凄い‼︎ハルキ、ウルトラマンなんだ〜‼︎凄い‼︎ハルキ、ウルトラマンなんだ〜‼︎」

「ちょっ⁉︎大声は止めて‼︎誰かにバレたら困るから‼︎」

「う"⁉︎」

 

ハルキははしゃぐカネゴンを止めようとする。その時、カネゴンが腹を抱え出した。ミコも思わずカネゴンに駆け寄る。

 

「どうした、カネゴン?」

「何か・・・お腹が苦しい・・・。」

「ちょっと大丈夫⁉︎」

「うっ・・・は・・・は・・・ハクション‼︎」

 

カネゴンが大きくくしゃみをする。それと同時にカネゴンの口から何かが飛び出した。床に落ちたそれを拾って確認する。それはアルファエッジへの変身に必要なウルトラメダルだった。

 

「これって・・・さっきハルが言ってた‼︎」

「ああ、アルファエッジに必要なウルトラメダルだ‼︎良かったぁぁ、戻ってきて・・・でも、どうして・・・?」

「ハルがゼットの事を話したからとか?」

 

2人がアルファエッジに必要なメダルを眺めながら首を傾げる中、カネゴンはキョトンとしている。しかし、3人の話を聞いていた者が他にもいた。

 

「ハルキがウルトラマンゼット・・・⁉︎」

「ちょっと嘘でしょ・・・っていうかアレ何⁉︎」

 

それはもう1人のガッツ星人こと印南マコとサチコ、ミサオのバンドコンビの2人にセブンガーのナナだった。




デッカー後半戦、衝撃の展開から始まりましたね。まさかアサカゲ博士が敵だったとは・・・。
怪獣娘×デッカーのプロトタイプも執筆を急がなければ・・・・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

メダルいただきます!(中編)

今回のイメージ影絵はカネゴンと焦るハルキ、そしてダークロプスゼロです。


アルファエッジへの変身に必要なウルトラメダルを無事、回収したハルキはウルトラメダルをミコに見せていた。

 

「成る程ねぇ・・・これでハルはウルトラマンに変身してたんだ〜。」

「ああ、他にもベータスマッシュへの変身に必要なメダルとガンマフューチャーへの変身に必要なメダルがあるんだ。」

「ベータスマッシュに・・・ガンマフューチャー?」

「赤い姿と超能力を使う形態があったろ?ほら、これ。」

 

ハルキはソウルライザーにこれまでの戦いでカメラに撮られ、GIRLSの記録に保存されたベータスマッシュの写真とガンマフューチャーの写真を見せる。それを見てミコは納得の声を上げた。

 

「ああ〜‼︎この姿と・・・この姿の事ね‼︎へ〜、ベータスマッシュに・・・ガンマフューチャーって言うんだ〜。この赤い姿は本当、力に長けた形態って感じだったよね。」

「ああ、2番目に変身したマン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さんの力を真っ赤に燃える勇気の力を借りて変身する力に優れた姿・・・それがベータスマッシュだ‼︎」

「ひいぃっ⁉︎」

 

ベータスマッシュの写真を見た時、カネゴンが突然悲鳴を上げる。後退りながら震えるカネゴンにハルキとミコは心配しながら駆け寄った。

 

「お、おいどうした⁉︎」

「だ、大丈夫⁉︎」

「あ・・・赤いアイツだ・・・。」

「「赤い・・・アイツ・・・?」」

 

カネゴンの言葉に2人は首を傾げる。怯えるカネゴンを見て2人は顔を見合わせるとソウルライザーの画像を見せながら訊ねる。

 

「・・・赤いアイツ?」

「一体何の事?」

「・・・ハッ‼︎気のせいか・・・。」

 

ベータスマッシュの姿を見て怯えていたカネゴンだが暫くすると自身の勘違いだった事に気付き、元に戻る。カネゴンが元気を取り戻した事を確認したハルキは2人にベータスマッシュについて説明を始めた。

 

「ベータスマッシュは特にパワーに優れた形態で、アルファエッジに比べると素早さはないけど、それをものともしない怪力の持ち主、超がつくほどのパワーファイターさ‼︎」

「確かに・・・凄いパワーだったよね・・・怪力な怪獣達と互角に渡し合えてたし・・・。」

「へ〜、凄いや〜‼︎カッコいいや〜・・・あうぅ・・・。」

 

ハルキがベータスマッシュの解説を終えると同時にカネゴンが腹を抱える。ハルキとミコは顔を見合わせてカネゴンに駆け寄った。

 

「これは・・・もしかして・・・‼︎」

「もしかしてもしかして・・・‼︎」

「ふえっくしょん‼︎」

 

カネゴンはくしゃみしてウルトラメダルを吐き出した。ハルキはそれを確認するとメダルに向かってスライディングする。ハルキが着地するとその手にはベータスマッシュへの変身に必要なメダルがあった。ハルキは思わず安堵する。その時、カネゴンが突然倒れた。ハルキとミコは思わず急いでカネゴンに駆け寄った。

 

「お、おい⁉︎カネゴン⁉︎」

「ちょっとどうしたの⁉︎大丈夫⁉︎」

「って・・・おい‼︎これ何⁉︎」

「500・・・499・・・498・・・ってどんどん数字が減っていくけど‼︎」

 

ハルキとミコはカネゴンのお腹にあったメーターのようなものに気付く。カネゴンは力を振り絞って2人の質問に答えた。

 

「ああ・・・僕ね・・・このメーターが0になると動けなくなっちゃうんだ〜・・・。」

「ええっ⁉︎」

 

2人はカネゴンの言葉を聞くと財布を取り出した。2人は共に五百円玉を取り出すとカネゴンに差し出す。

 

「カネゴン、これ‼︎」

「少ないけど、これ食べて‼︎」

「えっ⁉︎いいの⁉︎それじゃあいただきま〜す‼︎」

 

カネゴンは2人が差し出した五百円玉ではなく財布の方をひったくり、中身を開いてお金を口に入れていく。今、差し出したお金ではなく財布の中身の方がカネゴンの口の中に消えていく様に2人は絶叫を上げていた。

 

「ちょっ⁉︎そっちじゃなくて・・・ああああああああああああああああ⁉︎」

「わたし達のお金ぇぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」

「2人ともありがとう‼︎御馳走様‼︎」

 

カネゴンから返された中身が消えて薄くなった財布を見て2人は息を揃えて落ち込む。持ち歩いていた現金を全て失ったに等しい2人はガックリと崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

ハルキとミコがカネゴンに有り金を全て食べられていた頃、ヘビクラはトモミと一緒にキングジョー・GIRLSカスタムを眺めていた。ヘビクラは先程の戦闘でグルジオライデンを倒した成果を挙げたGIRLSカスタムを見て笑みを浮かべている。

 

「本当に怪獣娘がコイツを乗りこなして怪獣を倒しちまうなんてな・・・。」

「最初にゲネガーグが現れた時には考えられませんでしたからね。本当、この成果は大きいと思います。」

「キングジョーは元々が高性能のロボットだからな。」

「知ってます。ペダン星人が地球に送り込んだウルトラセブンのアイスラッガーすらも跳ね返す強度を誇るスーパーロボット・・・GIRLSの記録映像にも載っていますから。」

「しかも操縦する怪獣娘によってその能力に反映した特有の能力が使えるようになりますからね。例えばキンキンの場合は神経と連結してフルシンクロ・・・ガツガツ、マコマコが操縦すればホログラム機能を活かした巨大な分身・・・。」

「ランなら電撃攻撃・・・レイカなら正確な射撃を放つレーザー・・・フッ、確かにこの進歩は大きいものだな。」

 

ヘビクラはトモミから背を向けると再びGIRLSカスタムに目線を向け、不敵な笑みを見せる。そして小さな呟いた。

 

「フッ、この調子でウルトラマンを超える力を身につけて欲しいものだぜ・・・そうすれば・・・。」

「ヘビクラ隊長?」

「ああ、何でもない。」

「そうですか・・・私、これから多岐沢博士達、開発部の人達と話し合いに行ってくるので後はお願い出来ますか?」

「ああ、いいぜ。」

「それでは失礼します。」

 

トモミがその場から去っていくとヘビクラは2枚のメモを取り出した。それはカブラギが持っていたウルトラメダルの製造法が書かれたメモだった。

 

「もっと頑張って貰わなきゃな・・・。」

 

カブラギの体に寄生したセレブロのメモを眺めながらヘビクラは不敵な笑みを見せて呟く。そして手に持ったメモを握りつぶした。

 

 

 

 

 

 

その頃、カブラギに寄生したセレブロはGIRLS東京支部の屋上に立っていた。カブラギは両手にそれぞれ赤い石と青い石を持っている。そしてその石を空中に掲げた。すると両手の石が光り、空に大きな穴が開く。そしてその穴の先は何処かの宇宙空間に繋がっていた。その宇宙空間の中でウルトラマンゼロに似た単眼のロボットが穴の空いたを向く。するとそのロボット『ダークロプスゼロ』は怪しく目を光らせた。

 

 

 

 

 

 

カブラギが宇宙からとんでもない存在を呼び寄せようとしている事も知らないハルキとミコは手持ちの有り金を全て食べられた事に落ち込んでいた。そんな2人の心境も知らずカネゴンは突然シャドーボクシングのような仕草を取り始める。

 

「シュバババ‼︎シュバッ‼︎ビイイイイイ‼︎」

「・・・何してるの?」

「ゼットの真似をしてるんだ‼︎ハルキの話を聞いて僕もウルトラマンになりたいって思ったんだ‼︎僕もウルトラマンになって怪獣をやっつけたい‼︎」

「待って‼︎ウルトラマンとして戦う事ってそんな簡単な事じゃないんだよ‼︎」

「ハル・・・?」

 

ハルキはカネゴンの言葉を聞くとすぐさま反論する。ハルキの焦った様子にミコが首を傾げた。そんなミコの隣でハルキは口を開いた。

 

「俺達は怪獣の被害にあって悲しむ人達を守るため・・・皆を守るため・・・そして何より平和を守るために怪獣と戦ってきた。でも・・・怪獣達にも暴れてしまう理由がある・・・無闇に倒したい訳じゃないんだ・・・・・・。そして何よりレッドキングは・・・ただ単に自分の家族を守ろうとしただけだった・・・。そんなレッドキングを・・・俺は・・・。」

「ハル・・・。」

「馬鹿言ってんじゃないわよ、ハルキ‼︎」

 

ミコが苦悩の表情で話すハルキにどう声を掛ければいいのか分からず苦痛の顔を見せる中、怒鳴り声が聞こえてきた。そこには3人の話を聞いていたマコとナナ、サチコとミサオの姿があった。思わぬ乱入者にハルキとミコは驚く。

 

「ま、マコにセブンガーちゃん⁉︎」

「ザンドリアスにノイズラー⁉︎何でここに⁉︎」

「御免なさい・・・私達、さっきまでのハルキさん達の会話聞いてたんです。」

「それで・・・ハルキがゼットだったって知って・・・。」

「アタシ達も話が気になってしまって・・・。」

 

ハルキは自身の秘密を知る者が増えてしまった事に頭を抱える。そんなハルキを見たミコは4人に忠告した。

 

「待って‼︎今、ここにいるのは貴方達だけよね⁉︎それならお願い‼︎ハルがウルトラマンゼットだって事、今は誰にも言わないで‼︎」

「「「い、言いませんから安心して下さい‼︎」」」

「後、そこにいるそいつは一体何なの?言葉を話してるけど怪獣よね?」

「あー・・・コイツは・・・えーっと・・・。」

 

ミコの声に中学生3人が揃えて声を上げた。その横でマコは後ろにいるカネゴンを指差しながら質問する。ハルキはミコと顔を見合わせるとの4人に先程まで起こった事を説明した。

 

 

「そういう事だったのね・・・。」

 

マコは2人の説明でこれまで2人に起きていた事について納得した。そして先程のハルキの言葉を思い出すと全てを理解したマコはハルキに向き合った。

 

「ハルキ、アンタは間違った事してないわよ。アンタはこれまで皆を守るために戦ってきたじゃない‼︎・・・確かにあのレッドキングの事は・・・残念だったと思う・・・けど、だからっていつまで既に起こった事で悩んでも仕方ないじゃない‼︎」

「マコ・・・。でも、俺は・・・‼︎」

「確かに・・・アンタの気持ちが分からない訳じゃないわ・・・でもミコはさっき覚悟を決めてグルジオライデンと戦ったじゃない‼︎」

 

ハルキはマコの言葉を聞いてグルジオライデンと戦う前のミコの表情を思い出す。そんなハルキの前にミコも並び立つとハルキは2人の顔を見て口を開く。

 

「確かに・・・あの時、ミコは覚悟を決めてた・・・。」

「うん、わたし・・・あの時、悩むハルに何かを見つけて欲しかったの・・・でもその様子だと・・・。」

「・・・・・・悪い・・・・・・。」

「うん、さっきの話を聞いた今なら分かるよ・・・あのレッドキングに亡くなったおじさんを重ね合わせてたんでしょ・・・それで怪獣と戦う事に悩んでる・・・そうでしょ。」

「・・・・・・お前には敵わないな・・・・・・ああ、そうだよ・・・お前は覚悟を決めて戦ったのに・・・俺は・・・何も・・・情けないよな・・・。」

「あ、あのさ・・・。」

 

苦悩するハルキの様子を見たカネゴンがハルキに話しかける。中学生3人もカネゴンに目を向けた。

 

「どうしたの、カネゴン?」

「メダルはハルキの事を信頼してるみたいだよ。」

「えっ⁉︎」

「お腹の中で伝わってくるんだ・・・メダルが戻りたがってるって・・・。こんな僕を心配してくれたハルキの元に・・・。」

「ウルトラメダルが・・・俺を・・・⁉︎」

「さぁ、ゼットの話を聞かせて。メダルを取り出そうよ‼︎」

 

カネゴンの言葉を聞いたハルキの元にミコだけでなくマコとナナ達もやってくる。4人ともハルキの顔をじっと見て口を開いた。

 

「わたし達も知りたい・・・ゼットの事。」

「だからわたし達にも話して下さい‼︎」

「大丈夫よ‼︎誰にも言わないから‼︎」

「だから聞かせてくれよ!ウルトラマンゼットの事をさ‼︎」

 

ハルキは4人の言葉を聞いて彼女達の顔を見渡すと覚悟を決めてソウルライザーに表示されたガンマフューチャーの画像を見せながら再び口を開いた。

 

「これがウルトラマンティガ先輩、ダイナ先輩、ガイア先輩の力を借りて変身した形態、ガンマフューチャーだ‼︎」

「へー、この姿ガンマフューチャーって言うのね。」

「どんな事か得意なの?」

「確か不思議な超能力を使ってたよな?」

「そう、分身とか瞬間移動、相手の動きを止めるとか変幻自在な光の技を使う事が出来るんだ。」

「へぇ〜、来てます来てます‼︎」

「それ、有名マジシャンの真似?」

「でも確かにこの姿の時のゼットって魔法使いみたいですよね〜。マジシャンみたいに見えるのも納得ですよ‼︎」

「まぁな。」

 

マコ達4人がガンマフューチャーの話に納得しているとハルキとミコはカネゴンに目を向ける。

 

「カネゴン、どうだ?」

「出てきそう?」

「うーん・・・何かお腹ムズムズするけど・・・あ、鼻もムズムズしてきた・・・ひ・・・ひ・・・ヒックション‼︎」

「メダル・・・出てきたぁぁぁぁ‼︎」

「良かったね‼︎メダルを取り出せて‼︎」

 

カネゴンが鼻に手を当てると大きなくしゃみをする。その時、ガンマフューチャーへの変身に必要なメダルがハルキの元に飛んで来た。ハルキはメダルをキャッチするとホッとした表情になる。ミコも一緒に喜んでいたその時、GIRLS東京支部全体にアナウンスが鳴る。

 

『GIRLSの皆さん、緊急事態が発生しました‼︎ウルトラマンそっくりの巨人が現れて街を破壊しています‼︎出動出来る怪獣娘は直ちに出動して下さい‼︎』

 

 

 

 

 

 

その少し前、セレブロによって空に開かれたワームホールからデビルスプリンターによって蘇ったダークロプスゼロが入ってくる。ダークロプスゼロは土煙を上げながら着地すると、立ち上がったと同時に単眼となった目からの光線『ダークロプススラッシュ』を放ち、街を破壊して火の海に染め始めた。




次回を更新すればこちらも後半戦突入です!そのためにも投稿ペースを上げたいですね・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

メダルいただきます!(後編)

今回登場したダークロプスゼロは後の展開においてかなり重要な役割を果たします。
どんな風に物語に関わるのかって?それは後のお楽しみです‼︎


「う、ウルトラマンに似た巨人が‼︎」

「街を破壊してる⁉︎一体どういう事⁉︎」

「兎に角司令室に行ってみましょう‼︎」

「カネゴン、アンタは誰にも見つからないようにここから出て‼︎」

「えっ?何で?」

「いいから‼︎」

 

ハルキ達はGIRLS東京支部に流れたアナウンスに困惑するがミサオの言葉で自分達とは真逆の方に走っていったカネゴンを背に司令室に向かう。司令室に着くと既に全員が揃っている。司令室に着くなりミコがトモミに何が起こっているのか問い詰めた。

 

「ピグっち、ウルトラマンに似た巨人が暴れているってどういう事⁉︎」

「以前、ゼットさんや目が鋭いウルトラマンさんと一緒にスカルゴモラと戦った3人目のウルトラマンさんを覚えていますか?」

「えーっと・・・ああ‼︎そういえばいたね‼︎」

「あの時のウルトラマンさんに似た巨人が空に空いた穴から現れて暴れ出したんです。」

「ええっ⁉︎」

「ゼロ師匠が⁉︎」

「えっ?・・・ゼロ・・・師匠?」

 

あのウルトラマンの名前を知っていたハルキの言葉にアキが思わず首を傾げた。実はウルトラマンゼロがこの宇宙の地球を訪れたのは以前のベリアル融合獣との戦いだけである。たった一回きりしか姿を見せた事が無く、しかもGIRLSの調査部だけでなく様々な部署が知る由もなかったウルトラマンの名前を何故かハルキが知っていたために彼女達は疑問を感じたのだ。

 

「ゼロ師匠・・・って、ハルちゃんあのウルトラマンの事知ってたの?」

「あっ、いや・・・その・・・。」

「その話は後‼︎本当にウルトラマンそっくりなの⁉︎」

「は、はい・・・それがこちらです。」

 

ミコが話を逸らした事で追及を免れたハルキは一息つく。その横でミコの言葉を聞いたトモミはモニターに映像を映し出す。そこではダークロプスゼロがその巨大な足で車や道路を破壊しながら進んでいる様子だった。ダークロプスゼロは立ち止まると目にエネルギーを集め、『ダークロプスメイザー』と呼ばれるビームを放ち、街を焼き尽くし始める。

 

「本当だ、あのウルトラマンそっくりだ・・・。」

「でも色が違う・・・しかも、目が1つ・・・。」

「ピグモンさん、大変です‼︎」

「どうしました⁉︎」

「あの巨人を分析したところ、全身から機械の反応がありました‼︎あのウルトラマンそっくりの巨人は・・・ロボットです‼︎」

『ロボット⁉︎』

 

司令室の職員の言葉に誰もが驚いてダークロプスゼロが街を破壊し回るモニターを眺める。

 

「じゃあアレは・・・本物のウルトラマンではないのですね。」

「良かった・・・本物のウルトラマンが敵になったらどうしようかと・・・。」

「しかし、ロボットって事は誰かが作ったって事だよな?一体誰が・・・。」

「分かりませんが・・・こんな風に街を焼き払えるロボットです・・・このまま放っておけば被害が更に甚大なものになります‼︎」

「GIRLSカスタムは⁉︎」

「まだ動ける状況じゃありません‼︎」

「それでも行くしかない‼︎ピグモン‼︎」

「分かっています‼︎皆さん、気を付けて下さい‼︎GIRLS出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

そしてハルキ達が現場に辿り着くと既に街は火の海になっていた。そして燃える街の中をダークロプスゼロが歩いている。ハルキは自身の秘密を知った者達と共に行動していた。

 

「これ・・・絶対にヤバいでしょ・・・。」

「何とかして止めなきゃ・・・‼︎」

 

深刻そうに呟いたマコの後ろでハルキはウルトラゼットライザーを構える。その様子を見たミコは思わずハルキを制止した。

 

「待って、ハル‼︎」

「何だよ?」

「大丈夫なの?」

「何が?」

「何が・・・って決まってるじゃない‼︎怪獣と戦う事よ‼︎ハル、悩んでいたじゃない‼︎怪獣という1つの命を奪う事への罪悪感に‼︎本当にその状態で戦えるの⁉︎」

 

ハルキはミコの叫びを聞くとダークロプスゼロに目を向ける。そして再びミコに向き合った。

 

「確かに俺は今も・・・怪獣の命を奪う事への罪悪感、葛藤に悩んでるよ。」

「だったら‼︎」

「でも、今目の前で暴れているのは命を持たないロボット兵器だ‼︎同じ怪獣でも全然違う。ロボットが相手だったら何の気兼ねもなく思う存分戦える‼︎」

「ハル・・・。」

「ミコ、マコ、皆、街の皆を頼む‼︎」

「分かった・・・気を付けて‼︎相手はウルトラマンそっくりのロボット、手強くない訳がないわ‼︎」

 

ハルキはミコの言葉に頷くとゼットライザーの引き金を引き、ヒーローズゲートに突入する。そこでハルキはゼットと向き合った。

 

「ゼットさん・・・。」

『ハルキ・・・ミコ達やカネゴンとの話を通してお前が何故悩んでるのか分かったよ。』

「すいません・・・迷惑掛けて。」

『いや、いい。俺の方こそ気付かなくて悪かった・・・体が1つになっていても分からない事もあるもんです。難しい問題です。だから俺もハルキと一緒に考えよう。ウルトラマンにとっても大事な事だと思うんです。』

「ゼットさん・・・ありがとうございます‼︎」

『でも、今は目の前のダークロプスゼロだ‼︎』

「ダークロプスゼロ?あのロボットの名前ですか⁉︎」

『ああ、ベリアルがゼロ師匠を真似て作っただけあって奴は手強いぞ‼︎覚悟はいいな‼︎』

「勿論です‼︎行きましょう‼︎」

 

ハルキはゼットと一緒に目の前のダークロプスゼロに視線を向けるとゼットライザーにウルトラアクセスカードを装填した。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーからアルファエッジへの変身に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

アルファエッジの姿のウルトラマンゼットがダークロプスゼロの前に地響きを立てて降り立った。ダークロプスゼロは目の前に着地してきたゼットを敵と認識したのかいきなり額のビームランプからダークロプススラッシュを放った。ゼットは空中でバク転しながらそれを避けるとダークロプスゼロに向かって構える。ダークロプスゼロもゼットが着地したと同時に駆け出した。ゼットもダークロプスゼロを迎え撃つように走り出し、やがて両者ともにジャンプするとお互い飛び蹴りを放った。

 

「ジィアッ‼︎」

 

両者の足が同時にぶつかり合う。そしてそのまま力比べに持ち込まれるがダークロプスゼロがゼットに力勝ちし、ゼットは吹っ飛ばされる。ゼットは受け身をとって再びダークロプスゼロに突撃し、その左胸に拳を撃ち込んだ。しかし、ゼットはダークロプスゼロの硬さに思わず手を押さえてしまう。

 

『ウルトラ硬え・・・。』

(キングジョー以上かも・・・。)

 

ゼットは仕切り直して再びダークロプスゼロにストレートを打ち込む。ダークロプスゼロが少し後退した隙に畳み掛けるように鋭い手刀を肩に、蹴りを横腹に、裏拳を顔に放った。しかし、硬い装甲で出来たダークロプスゼロにとってアルファエッジの打撃は意味を為さず、ゼットが再びストレートを撃ち込もうとした時、その拳は受け止められる。

 

『なっ⁉︎』

 

ダークロプスゼロはそのままゼットの腕を捻るとそのまま投げ飛ばす。ゼットが立ち上がった瞬間にその顔を思い切り殴りつけ、怯ませると頭を押さえつけ、地面にひれ伏せさせた。ダークロプスゼロはそのまま頭を押さえながら何度も何度も殴り付ける。しかし、ゼットも至近距離からビームランプからのビームをダークロプスゼロに放ち、ダークロプスゼロを引き離す。

 

『ゼスティウムメーザー‼︎』

 

ゼットは立ち上がると今度は足に炎を纏い、そのまま回し蹴りを放つ。炎を纏った回し蹴りを何度も放ち、ダークロプスゼロの硬い装甲にダメージを与えた。

 

『アルファバーンキック‼︎』

 

5度目の回し蹴りを受けて吹っ飛んだダークロプスゼロは頭のダークロプススラッガーに手を掛ける。その時、ゼットも頭のゼットスラッガーに手を掛け、両者同時にスラッガーを放つ。お互いのスラッガー合計4本が空中で何度もぶつかり合い、火花を散らす。ゼットの手元に自身のスラッガーが帰ってくるとそのスラッガーを繋げてアルファチェインブレードに変化させ、ダークロプスゼロを斬り付ける。

 

「ジィアッ‼︎ジェアッ‼︎ジィィィアッ‼︎」

 

そのまま何度も斬り付けようとするがダークロプスゼロも手元に戻ったダークロプススラッガーで迎え撃ち、お互いの刃が再びぶつかり合った。何度もぶつかり合う4本のスラッガーに刃物同士がぶつかり合う音が響く。そしてダークロプスゼロがゼットのアルファチェインブレードを振り払うとその場でゼットの体を斬り付けた。

 

「ジィィィアッ⁉︎」

「ハル‼︎」

 

ゼットが火花を上げながら吹っ飛び、ビルを巻き込みながら転倒する。その時、ダークロプスゼロの胸のプロテクターをが外れ、仕込まれていた大砲『ディメンションコア』が展開される。ディメンションコアに力を溜めるとそのまま『ディメンションストーム』と呼ばれる光線を放った。

 

「ハルキさん、避けて‼︎」

「ジィアッ‼︎」

 

セブンガーの言葉でゼットは横に飛び、ディメンションストームをかわす。しかし、ディメンションストームが着弾した場所に異次元の穴が開いた。

実は先程放ったディメンションストームには次元の壁を破り、相手を異次元に吹き飛ばす効果があるのだ。その穴はその場にあったビルの瓦礫や乗り捨てられた車など何でも飲み込み、ゼットもその穴に吸い寄せられていく。

 

「ジィ・・・アアッ・・・‼︎」

『ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ‼︎』

 

ゼットだけじゃなくガッツ星人(ミコ)達怪獣娘もその場の柱などにしがみつき、異次元への穴に吸い込まれるのを阻む。その時、ザンドリアスが掴んでいた手摺りが壊れ、彼女の小さな体が異次元への穴に吸い込まれていった。

 

「ザンドリアス‼︎」

「ザン‼︎ザァァァン‼︎」

「いやあああああああああああああ助けてぇぇぇぇぇぇ‼︎ママぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ザンドリアスがそのまま異次元に飛ばされようとしたとき、ゼットが掌で彼女を受け止める。

 

「ハルキ・・・?」

 

ゼットはザンドリアスの呼び掛けに頷く。その時、ゼットは再び異次元への穴に吸い込まれる。

 

『ぐぐぐぐぐぐぐぐ‼︎』

(こうなったら‼︎)

 

ハルキはベータスマッシュへの変身に必要なメダルを取り出してゼットライザーに装填する。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z BETA-SMASH

 

ベータスマッシュに変身したゼットがザンドリアスを抱えたまま異次元への穴に抵抗する。先程までは力が不足してどんどん穴に距離が近付いていったが1番パワーに長けた形態に変身したお陰で穴の吸引力に抗う事が出来た。ゼットはそのまま力づくで異次元の穴の吸い込む力に抗い続ける。やがて異次元への穴を持続する時間が切れて穴が閉じていった。

 

「デュワッ。」

「は、ハルキ・・・あたし、助かったの?」

 

ゼットの頷きにゼットの掌の上でザンドリアスは思わず腰を下ろした。そしてゼットの巨大な手にすがるように泣きつく。

 

「うわああああああん‼︎もう駄目かと思ったよぉぉぉぉぉぉ‼︎もう2度とママや皆に会えなくなるんじゃないかって思って・・・怖かったよぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

ザンドリアスは10数秒間泣き続けた。彼女は泣き止むと自身を見下ろすゼットを見ると若干顔を赤くしながら笑顔で語り掛けた。

 

「ありがとう、ハルキ。」

 

ゼットは頷くと再びダークロプスゼロに目を向ける。ザンドリアスはゼットの掌から飛び立つとそのままガッツ星人達に合流する。彼女達はそのままザンドリアスに駆け寄った。

 

「ザンドリアス‼︎」

「大丈夫か、ザン⁉︎」

「うん、平気だよ‼︎ハルキが助けてくれたから‼︎」

「そうですか、良かったです・・・。」

「ガッツさん。」

「「?」」

「ああ、ミコさんの方です。ハルキってカッコいいっスね。」

「そりゃあ勿論・・・待って・・・まさか・・・ザンドリアス・・・。」

 

ザンドリアスが目の前でダークロプスゼロをタックルで後退させ、その隙に肘打ちを顔面にぶち込むベータスマッシュの姿のゼットをうっとりした目で見る。その姿にまさかと思いつつもガッツ星人(ミコ)は再びゼットに目を向けた。

ゼットは今度はダークロプスゼロの首に足を回してそのまま回転し、その体を地面に叩きつける。ダークロプスゼロと同時にゼットも立ち上がると今度は互いにラリアットをかました。同時にぶつかり合った両者は共に地面に倒れる。先にゼットが起き上がるとダークロプスゼロから距離を取る。ダークロプスゼロは少し遅れて起き上がると空に浮かび上がった。ゼットは拳に力を集めてダークロプスゼロに突撃すべく空に飛び立つ。

 

『(ゼスティウムアッパー‼︎)』

 

ダークロプスゼロは下から迫るゼットに向けて目からダークロプスメイザーを放ち、ゼットを打ち落とす。ゼットが地面に墜落すると再びディメンションコアを展開した。

 

『またアレが来るぞ‼︎』

(あの攻撃を撃つ時、少し動きが止まります‼︎その間を狙いましょう‼︎」

 

ハルキはガンマフューチャーに必要なメダルを取り出してゼットライザーに装填する。

 

「変幻自在、神秘の光‼︎」

「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE

 

ガンマフューチャーに変身したゼットはダークロプスゼロの動きの様子を見る。するとダークロプスゼロはディメンションコアに力を集め始めた。するとゼットも同じように頭に光エネルギーを集め始めた。

 

『今だ‼︎ゼスティウムドライブ‼︎』

 

ゼットは光の鞭をダークロプスゼロに巻き付ける。突然体を拘束されたダークロプスゼロはエネルギーのチャージが止めてしまった。そしてそのままゼットはダークロプスゼロを地面に叩き落とした。そして今度はライトニングジェネレードを放つためのメダルを装填する。

 

〈COSMOS〉、〈NEXUS〉、〈MEBIUS〉

『(ライトニングジェネレード‼︎)』

 

ゼットライザーから放たれた電撃が上空に雷雲を発生させる。そしてその雷雲から放たれた虹色の強力な雷がダークロプスゼロに直撃した。ダークロプスゼロを倒し切る事は出来なかったもののディメンションコアが大きく損傷し、ディメンションストームは使えなくなっていた。更に畳み掛けるべく今度はM78流・竜巻閃光斬に必要なメダルを装填する。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

『(M78流・竜巻閃光斬‼︎)』

 

ゼットライザーから放たれた竜巻がダークロプスゼロを拘束する。そしてノコギリ状の光輪がダークロプスゼロに大きく切り傷を刻む。もはやダークロプスゼロは動くのもやっとの状態まで損傷していた。ゼットは再びアルファエッジに戻り、ゼスティウム光線を放つ構えに入る。

 

『ゼスティウム光線‼︎』

 

ゼットが必殺光線であるゼスティウム光線を放つと同時にダークロプスゼロも力を集めてダークロプスゼロショットを放つ。2つの光線はぶつかり合うが損傷が激しいダークロプスゼロの放った光線は段々とゼスティウム光線に押されていく。やがてゼスティウム光線がダークロプスゼロに直撃する。ダークロプスゼロは耐え切れなくなり、辺りに残骸を散らばせ、大爆発した。

 

『やったぁぁぁぁぁぁ‼︎』

 

ハルキの秘密を知る怪獣娘達はいつの間にか混じっていたカネゴンと一緒に喜び合う。ゼットはダークロプスゼロが完全に倒れた事を確認すると空に飛び立っていく。皆がその姿を見送って、我に帰るといつの間にか紛れ込んでいたカネゴンに驚く。

 

「うわぁ、カネゴン⁉︎」

「アンタ、いつの間に⁉︎」

「え、えへへ・・・つい。」

「おーい‼︎」

 

そこにハルキが走って戻ってきた。ミコはその姿を見ると真っ先に駆け出してハルキに抱き付いた。

 

「ハルぅぅぅぅ‼︎」

「うおお⁉︎ミコ⁉︎」

「最高にカッコ良かったよ、ハル‼︎」

「へへ、ありがとな。」

 

するとガッツ星人(マコ)達もハルキの側に駆け寄っていく。ハルキは皆の顔を見て笑みを浮かべながら頷いた。するとカネゴンが皆に近付く。

 

「それじゃあ・・・僕、もう行くね。」

「カネゴン・・・。」

「色々とお騒がせして御免なさい。ありがとう。」

「いや、こっちこそありがとう。色々何か変われた気がするよ。」

「バイバーイ‼︎」

「うん、バイバーイ‼︎」

 

カネゴンはハルキ達に背を向けてその場を去っていく。ハルキの横にガッツ星人(ミコ)が立つと彼女はハルキに向き合った。

 

「ハル。」

「ん?」

「さっきは色々と御免。ハルは今まで自分の身を犠牲にしてわたし達のために戦ってくれたのに。」

「俺の方こそ・・・ずっと黙ってて御免・・・。」

「・・・ウルトラマンの重圧って・・・とても重いんだね・・・。ハル、ハルが考えている事、わたしも一緒に考えてあげる‼︎わたし達怪獣娘にとっても大事な事だと思うしさ‼︎」

「ミコ・・・ありがとな。」

「ちょっと‼︎わたし達もいるわよ‼︎」

 

マコの声を聞いてハルキとミコが彼女達の方を振り向く。ガッツ星人(マコ)は一息つくと口を開いた。マコに続いて中学生達も口を開いていく。

 

「はぁ・・・仕方ないからわたしも考えてあげるわ。だからいつまでもクヨクヨすんじゃないわよ‼︎」

「マコ・・・。」

「正体知ったからにはアタシらも力貸してやるよ‼︎」

「と言っても私達には難しいかもしれませんが・・・。」

「それでも1人で抱え込むよりはいいでしょ‼︎全く年上なんだからしっかりしなさいよ‼︎」

「ノイズラー、セブンガー、ザンドリアス・・・。」

「ミサオでいいよ。」

「私もナナでいいですよ‼︎」

「あたしもサチコって呼んで‼︎」

「・・・分かった。ありがとう、ミサオ、ナナ、サチコ。」

 

ハルキが笑みをマコ達に見せると突然腹が鳴る音が鳴る。全員の注目がハルキに向かうとハルキ自身も思わず自身の腹に目を向ける。

 

「あ、あははは・・・。俺、腹減っちゃった・・・。」

「全く・・・緊張感ないんだから。」

「仕方ないよ。色々ありすぎたんだもん。この後の事後報告したら何か食べに行こうか。」

「いいわね、賛成よ。」

「じゃあ、帰ろ‼︎」

 

ハルキ達は夕日の中、GIRLS東京支部に戻って行った。

 

 

 

 

 

そして事後報告を終えたミコはGIRLS東京支部の前で皆を待っていた。そこにミサオとサチコがやってくる。

 

「ガッツさーん‼︎」

「お待たせしましたー‼︎ハルキ達は⁉︎」

「ザンドリアス、ノイズラー‼︎ハル達はまだ少し掛かるって‼︎」

「そうですか・・・少しいいですか?」

「どうしたの?」

 

ミサオとサチコはミコを連れてベンチに座るとミコに向き合った。そして真剣な表情で訊ねる。

 

「ガッツさんってハルキの事をどう思ってるんですか?」

「へっ・・・いきなり何⁉︎ハルはただの幼馴染だよ‼︎」

「本当ですか?じゃあアタシがハルキの恋人になってもいいですよね‼︎」

「あたしもハルキと付き合いたいです‼︎いいですよね⁉︎」

「えっ⁉︎駄目駄目駄目‼︎絶対に駄目‼︎」

 

ミコはミサオとサチコの言葉に思わず本音を漏らしてしまう。口に出した言葉に気付いたミコは観念したように口を開いた。

 

「そうだよ・・・わたしはハルの事が好き・・・幼馴染としてじゃなく・・・異性として・・・もしかして・・・ノイズラーとザンドリアス・・・。」

「は、はい・・・。」

「アタシ達もハルキの事、好きになっちゃいました・・・。」

「マジかぁ・・・いつから?」

「アタシはバロッサ星人から助けられた時に・・・。」

「あたしはついさっき・・・助けられた時に・・・。」

「それで?2人はどうしたいの?」

 

ミコの質問を聞くとサチコとミサオは顔を合わせてミコの方を向き、再び口を開いた。

 

「だから・・・あたし達は‼︎」

「ガッツさんに挑みます‼︎ハルキを巡るこの恋のバトルに‼︎」

「へぇ〜、でも2人とも分かってる?わたし、スタイルに関しては2人よりずっ〜〜っといいわよ。特におっぱいに関しては絶対的な自信があるけどそれでも挑むのかな〜?」

 

ミコは意地悪い笑い顔で意地悪な事を言うと2人は自身の体を見てミコの体と比べ、表情を暗くするがそれでも強く言い放った。

 

「あたし・・・確かにお子さまかもしれないけど・・・だけど・・・あたしだって女の子なんだから・・・だから・・・ハルキへの想いを諦めたくない‼︎」

「確かに・・・・・・アタシとガッツさんじゃ女としての魅力は天と地の差があるけど、アタシだってハルキの事が好きだって気付いたから・・・・だからガッツさん、アンタにだって挑んでみせる‼︎」

『だから、ハルキの恋人の座は絶対に渡さない‼︎』

 

ミコは2人の声を聞くと目を瞑る。そして2人をもう一度見て口を開いた。

 

「面白いじゃん、挑んでみなよ。いいよ、受けて立って上げる‼︎わたしは如何なる戦いに負けた事がないガッツ星人だもの‼︎」

「ガッツさん・・・。」

「けど、わたしからハルを奪えるかな〜?そのお子ちゃまボディでハルも振り向かないと思わないけどな〜。なんてったってわたしは・・・ホラ、こんなに実ってる訳だし♪」

 

ミコが腕で自身の彼女のGIRLSで1、2を争う大きな胸が揺らすとサチコとミサオはムキになって言い返した。

 

「ぜ、絶対に負けません‼︎」

「女の子はおっぱいだけじゃないってところ見せてみせます‼︎」

「フフフ、2人に出来るかな〜?」

「おーい‼︎」

 

事後報告を終えたハルキがこちらに走ってきた。ミコはサチコとミサオの耳に口を向けると小さな声で言い放った。

 

「2人ともハルの事、絶対に渡さないからね。」

「「あたし(アタシ)達だって絶対に負けません‼︎」」

 

3人はこちらに向かってきたハルキと合流する。すると後ろから来たマコ、ナナと合流してGIRLS東京支部を後にして行った。




次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『GIRLSの基地が大混乱⁉︎四次元怪獣『ブルトン』の仕業だ。時間も空間も滅茶苦茶になってしまう中、ハルキとミコにも不思議な事が起こる!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


四次元狂想曲


ウルトラ超えるぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四次元狂想曲(前編)

いよいよ後半戦に突入です‼︎本当に長かった・・・。デッカーの映画まで完結させられるかな・・・?

四次元怪獣『ブルトン』登場


ダークロプスゼロとの戦いから数日後、ミコはインナースペースでハルキと一緒にゼットと対面していた。ミコと向き合ったゼットが自己紹介を始める。

 

『こうして挨拶するのは初めてだな。改めて、私の名はウルトラマンゼット。宇宙警備隊の隊員でハルキと一緒に戦っているウルトラマンなのでございます。』

「・・・・・・。」

『・・・・・・言葉通じてる?』

「あっ、御免・・・言葉遣いが変だったからつい・・・。」

「ミコ、ゼットさんは地球の言葉に慣れていないんだ。多めに見てやってくれ。」

「あー、成る程ね。」

 

ミコがゼットのおかしな言葉遣いに思わず固まるがハルキのフォローで納得する。ゼットの言葉遣いがおかしい理由に納得したミコは本題に切り替えた。

 

「ハルから大体の事は聞いたよ。ゲネガーグが飲み込んだウルトラメダルとゼットライザーを回収しなきゃいけないんだってね。」

『ああ、ウルトラメダルは全て回収出来たが・・・まだ奴が飲み込んだゼットライザーが消えたままだ。それで、ミコ、お前をここに呼んだ訳なのですが・・・。』

「ゼットライザーの回収に協力してって事でしょ。大丈夫‼︎ハルから全ての話を聞いた時から決めてたから‼︎わたしもゼットライザーの回収、手伝ってあげる‼︎」

『かたじけないです‼︎ウルトラ感謝しまつる‼︎』

 

ハルキとミコはゼットとの話を終えてインナースペースから出ると元のGIRLSの屋上に戻る。そこで町を見下ろしながら話し込み始めた。

 

「ゲネガーグが飲み込んだゼットライザー、何処に行っちゃったんだろな?」

「分からないけど少なくともあの日、GIRLSが回収したゲネガーグの肉片からは未知の物質がいくつも出てきたみたいだけどゼットライザーに似た物は見つかっていないらしいよ。」

「そうか、もしかしたらウルトラメダルよろしく何処かに飛ばされてしまったのかもな。」

「ねぇ、こういう可能性も考えられない?既に誰かに回収されて悪用されてるとかさ。」

「お、おい寄せよって‼︎そんな怖え事があってたまるかよ‼︎」

「・・・冗談だよ冗談‼︎」

「ハハ、何だよ・・・笑えねえぞ・・・。」

 

ハルキが乾いた笑いを見せるとミコのソウルライザーが鳴り出した。ミコは懐からソウルライザーを取り出すと電話に出る。

 

「もしもし、マコ?」

『ミコ、ハルキ、アンタらどこでちちくりあってんのよ。打ち上げ、そろそろ始まるわよ。美味しいもの全て食べられてもいいの?』

「わーわー‼︎御免御免‼︎そろそろだっけ⁉︎今から行くから‼︎」

 

ミコは電話を切るとハルキに向き合う。ハルキもミコとマコの電話の様子から彼女が何を伝えてきたのか理解したらしく、顔が青ざめている。

 

「やべえ・・・ミコ、急ごうぜ‼︎」

「うん‼︎ご馳走、皆に全部食べられちゃう‼︎」

 

ハルキとミコは顔を見合わせると急いでその場を走り去っていく。しかし、この時の2人は先程のミコの言葉が本当でその邪悪な存在が恐ろしい企みをみせている事など想像もしていなかった。

 

 

 

 

 

 

ハルキとミコがGIRLSの食堂に到着する。今、このGIRLS東京支部の食堂はグルジオライデンとの戦いに関わった者達やキングジョー・GIRLSカスタムの開発に取り組んだ者達が集まり、貸し切りにしていた。更に人が座っていない席にはテーブルにはビッフェのように料理が並んでいる。全員が揃い、手元に飲み物を持った事をを確認したトモミは口を開いた。

 

「皆さん、お集まり頂きありがとうございます‼︎今回、私達GIRLSはウルトラマンの手を借りず、自分達の力で怪獣を倒す事に成功しました‼︎そして怪獣グルジオライデンを倒したキングジョー・GIRLSカスタムが記念すべき初勝利を収めた事を祝い、皆で乾杯しましょう‼︎皆さん、乾杯です‼︎」

『乾杯‼︎』

 

全員が乾杯し、各自、料理を好きなだけ皿に盛り付け、席について食していく。今回、GIRLSカスタムの初勝利を記念した打ち上げは食堂を貸し切りにして尚且つ、様々な品が並ぶバイキング方式になっている。GIRLSの食堂とは思えない豪勢に並べられた料理に特に食いしん坊のミカヅキとミクは夢中になって自身で様々なな海鮮類を盛り付けられる海鮮丼から取ってきたマグロやイクラ、サーモンの切り身などを盛り付けた山盛りの海鮮丼にがっついている。

 

「美味い‼︎ヤバイ・・・自分で盛り付けた海鮮丼最高‼︎」

「この食堂でこんな豪勢なものが食べられるなんて・・・怪獣娘やっててよかった〜‼︎あたし、2杯目取ってくる‼︎」

「ミクさん、もう食べたんですか⁉︎」

「よーし、じゃあミクちゃん、一緒に取りにいこう‼︎」

「ゴモたんまで⁉︎食べるの早すぎるよ・・・。」

 

アキはチキンステーキを口にしながら海鮮丼をおかわりにいった2人を見送る。その後ろの席のハルキとミコは2人ともローストビーフを口にして感激していた。

 

「美味い‼︎いい肉だな‼︎このローストビーフ‼︎」

「本当‼︎これ以外にも色んな料理がおかわりし放題なんて・・・しかもこの食堂で食べる事になるなんて想像もしてなかったよ‼︎」

「ああ、また取りにいこうぜ‼︎」

 

2人がまたローストビーフを取りに向かった頃、再び自分で具を盛り付けた海鮮丼にがっつくミクとミカヅキをナイフとフォークでローストビーフを切り分けながらランは冷ややかな目で見ていた。

 

「2人とも品が無いわね。」

「そいつをあの2人に求めるのは野暮ってもんだろ。」

「それは・・・確かにそうね。」

「エレキング先輩、ナイフとフォーク使い上手ですね。」

「家柄の都合上よ。」

「そういえばエレキングさんって・・・。」

「流石お嬢様だぜ、テーブルマナーには手慣れているもんだな。」

 

エレキングの席の周りにいたヘビクラとマガコンビが彼女と食事をしながら話している中、ローストビーフに加えてフライドポテトを盛り付けて席に戻ったハルキとミコは再びローストビーフを口にする。

 

「いいなぁこういうの・・・時間がなくて巻き戻って何度も美味しいものが食べれたらいいのに。」

「フフ、ハルったら・・・そういえばハル、答えは出たの?ハルが悩んでいた事。」

 

ミコの疑問を聞くとハルキは表情を少し曇らせる。それを見たミコは慌てて謝った。

 

「わわ‼︎御免、ハル‼︎・・・まだ答えは出せていなかったんだね。」

「・・・まぁな。」

「・・・ハル、実を言うとね、グルジオライデンを倒した時、わたしも少し思ったんだ。この力はわたし達には早すぎるんじゃないかって・・・。」

「ミコ・・・。」

「GIRLSカスタムで怪獣を倒した時、少しだけ怖くなったよ。この事でこれまで守られてきた何か大切な事が崩壊するんじゃないかって・・・。」

「ミコ、お前も・・・。」

「・・・自分で言うのもなんだけど・・・流石に考えすぎだよね‼︎御免‼︎折角楽しい食事会なのに!気を取り直してバイキングを楽しもうよ‼︎」

「あっ・・・ああ、そうだな。きっと考えすぎだ‼︎きっとな‼︎あはは・・・‼︎」

 

ハルキはミコの最後の一言に気を取り直して再び食事に手をつけようとする。その時、ミコがフォークにローストビーフを刺して、ハルキの口に近付けてきた。

 

「ハル、あーん。」

「へっ?」

「あ・ー・ん♪」

「お、おい待てよ・・・流石に皆の前でそれは・・・。」

 

ミコがしようとしてる事に気付き、ハルキは思わず断ろうとするがミコは更にハルキにくっつき、自身の豊満な胸を押し付けながらローストビーフを口に近付ける。ミコの柔らかい巨乳な胸の感触でハルキは思わず顔を赤くする。そして覚悟を決めると口を開いてローストビーフを口にした。

 

「フフ、ハルってば顔真っ赤♪」

「誰のせいだと思って」

「はい、あーん♪」

 

ミコは再びハルキに自身の巨乳を味わせながらローストビーフを食べさせようとする。再び0距離で感じたGIRLSで1、2を争う大きさのミコの胸の感触に赤くしながらハルキがローストビーフを口にするとサチコが頬を膨らませながら2人の間に割って入ってきた。

 

「2人ともそこまで‼︎」

「サチコ⁉︎」

「ザンドリアス⁉︎」

「ハルキ、少しはあたしの事も構ってよ‼︎そしてガッツさん・・・何ハルキに胸を押し付けてんスか‼︎」

「わたしは自分の活かせる部分を活かしただけだよ。悔しかったらザンドリアスもやればいいじゃん・・・ってザンドリアスのお子様ボディじゃ無理だよね〜、ごめーん♪」

 

ミコがニヤニヤしながら自身の大きな胸を揺らし、それを見て更に顔を赤くしたハルキの顔を見てサチコはムキになって吠えた。

 

「お、おっぱいが大きければいいってもんじゃないです‼︎ハルキ、アンタも露骨にデレデレすんじゃないわよ‼︎」

「べ、別に俺、デレデレしてた訳じゃねえよ‼︎」

「嘘つくんじゃないわよ‼︎明らかにガッツさんの大きなおっぱいに顔を赤くしてたじゃない‼︎」

「そうだそうだ‼︎」

 

サチコに続いてミサオも文句を述べる。ハルキは2人の様子にどうすればいいか分からず混乱する。2人はやがてハルキの両腕にひっつき、立ち上がらせた。

 

「なぁ、ハルキ、アタシらにも付き合えよ‼︎」

「へ?」

「あたし達もおかわりを貰いにいこうと思ってたの。ハルキも付き添ってよ‼︎」.

「わ、分かった分かった‼︎付き合うからそんな引っ張んな‼︎」」

 

ハルキは意を決して立ち上がるとサチコとミサオに付き添い、料理を取りに行く。ミコは2人に連れられていくハルキを面白くなさそうな表情で見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルキ達がGIRLS東京支部の食堂で豪華な打ち上げを楽しんでいる頃、カブラギに取り憑いたセレブロはGIRLS東京支部の屋上に立ちつくしていた。

 

「この程度で喜んで貰っては困る・・・次のステージだ。」

 

カブラギはダークロプスゼロをこの星に招いた異次元の穴を開ける赤い石と青い石を取り出す。そして石を合わせて合体させると宙に放り投げる。そして石は宙で巨大化し、火山のような突起が生え、上の部分は青、下は赤い色の隕石のような姿になる。かつて科学特捜隊の基地を混乱に招いた四次元怪獣『ブルトン』が再び地球に襲来した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

打ち上げは進み、既に多くの料理を皆が満喫していた。すっかり料理が置かれていた皿は料理があと僅かの量まで少なくなっている。お開きに近付きつつある中、ヘビクラは何かを察知して立ち上がる。その姿を見たヨウは思わず訊ねた。

 

「何処行くんですか?」

「ああ、トイレ行ってくる。」

 

ヘビクラが席を立ってその場を去っていく。そして壇上に立つトモミが番号を教えようとしたとき、彼女のソウルライザーに電話が入る。

 

「ちょっと失礼します。はい、こちらピグモン・・・何ですって⁉︎はい、はい・・・分かりました‼︎」

 

トモミは電話を切ると皆に向かって向き合う。その表情は先程までの楽しそうな表情ではなく真剣なものになっており、その場にいた者達は不思議に思う中、トモミから衝撃の事実が告げられた。

 

「皆さん、打ち上げは一旦中止です‼︎」

「ええっ⁉︎どうして⁉︎」

「この建物の目の前に怪獣が現れました‼︎」

『⁉︎』

 

トモミの言葉に誰もが驚く。その時、食堂のモニターにGIRLS東京支部の前に現れたブルトンの姿が映る。

 

「怪獣って・・・もしかしてこれ?何か怪獣って感じしないんだけど・・・。」

「いや、これ怪獣ですよ‼︎確かGIRLSの記録に載っていました‼︎」

「エエ、過去のアーカイブドキュメントに記録がありマス‼︎アレは四次元怪獣ブルトンデス‼︎」

「ブルトン⁉︎確か当時の防衛隊の基地の前に現れたっていうあの⁉︎」

「でも、何でブルトンが⁉︎しかもこんな突然すぎる登場の仕方をして・・・。」

「考えるのは後にしましょう‼︎マコマコはGIRLSカスタムをお願いします‼︎」

「分かったわ‼︎」

「GIRLS出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

ハルキ達は立ち上がると食堂から出て、事態の対処に向かおうとする。マコは階段を降りてGIRLSカスタムが保管されているパドックに向かった。しかし、彼女はいつまでもパドックに辿り着けずにいた。不思議に思ったマコが階段から降りて廊下に出る。そこでマコが見たのは地平線の彼方まで続く廊下の姿だった。

 

「ハァ⁉︎何これ、どうなってんのよ⁉︎」

 

その頃、ハルキとミコは階段を走りながら降りている。そして最後の一段に足を掛けると同時に2人に不思議な事が起こった。2人は食堂で料理を食べていた頃の時間に戻っていたのである。

 

「へ?」

「あ、あれ?」

 

自身の目の前に盛られたローストビーフなどの料理を見て2人は顔を見合わせながら首を傾げる。そんな2人を見てマコが声を掛けてきた。

 

「ちょっと、2人ともどうしたのよ?」

「え?いや、ちょっと待って・・・。」

「マコ、怪獣は?」

「はぁ?そんなもん現れてないわよ。」

 

マコの声に再び顔を2人は再び見合わせる。さっきまでの記憶は気のせいだったのかと考えそうになった時、先程の記憶と同じ事をトモミが叫ぶ。

 

「皆さん、打ち上げは一旦中止です‼︎この建物の目の前にに怪獣が現れました‼︎」

 

その場にいた全員がモニターを確認する。するとそのハルキとミコの目に先程と同じ映像が映り、さっきまでの出来事が気のせいではない事を感じさせる。

 

「マコマコはGIRLSカスタムをお願いします‼︎GIRLS出動です‼︎」.

 

そして再びハルキとミコの2人はこれまでの事を確認しながら階段を駆け下りていく。

 

「さっきまでのアレ、気のせいじゃなかったって事だよな。」

「うん、ブルトンの姿が見えたし、間違いないよ‼︎」

「一体何が起こったんだ⁉︎」

「分からない・・・兎に角急ごう‼︎」

 

そして再び2人が階段を降りると同時に時間が巻き戻り、2人は食堂に座っていた。2人の前には先程同様、料理が盛られた皿が置いてある。

 

「おい、これって・・・。」

「うん、わたし達また逆戻りしてるよ。」

「ちょっと、2人ともどうしたのよ?」

「・・・あのね、マコ、実はわたしとハル」

 

ミコが信じてもらえるか悩みながら先程の出来事を打ち明けようとする。するとさっきと同様、トモミのソウルライザーに通信が入り、ブルトンが現れた事が告げられた。トモミが皆に真剣な顔で向き合うとハルキとミコが前に出る。

 

「皆さん、打ち上げは」

「怪獣が出たから中止・・・そうですよね⁉︎」

「え、ええ。」

「マコはGIRLSカスタムをお願い‼︎皆、行くよ‼︎」

『う・・・うん。』

 

2人は再び階段を駆け下りる。今度こそ時間が巻き戻らない事を祈りながら階段を降り切った。しかし、2人の願いも虚しくハルキとミコは食堂に逆戻りして、2人は思わず頭を抱えて座り込んだ。

 

「嘘、また巻き戻ってる・・・。」

「ああもう・・・一体どうなってんだよ・・・。」




次回はブルトンの怪獣娘も登場させたいです‼︎なんとか出せるように頑張ります‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四次元狂想曲(中編)

今回の影絵はブルトンとローストビーフを食べるハルキをイメージしています。


ハルキ達がブルトンの引き起こした四次元現象で混乱している頃、カブラギはその様を思い浮かべ、ほくそ笑んでいた。

 

「コシ、カレカレータ・・・ブルトン。」

「よう、セレブロ。」

 

ブルトンを見てほくそ笑むカブラギの後ろにいつの間にか魔人態となったジャグラーが回り込んでいた。魔人態となったジャグラーはカブラギに剣を向け、いつでも斬れるように準備にかかる。カブラギは自身に剣を向けるジャグラーを睨む。

 

「誰だ?どうして俺の名を知っている?」

「お前の噂は聞いてるぜ・・・幾つもの星々で遊び歩いてるんだってな・・・・。」

「待てよ、その姿・・・お前、あのジャグラスジャグラーか。俺の邪魔をするつもりなのか?」

「まさか・・・寧ろ応援してるんだぜ俺は。でも他にタイミングってもんがあんだろ。こっちは打ち上げの最中だってのによ。」

「何か聞き捨てならない言葉が聞こえるわね、お2人さん。」

 

2人に新たに話しかけてくる声が聞こえてきた。2人がその方向を振り向くとそこには鮮やかな青色の髪をした褐色肌のライダースーツを着た女性がバイクにまたがっていた。彼女はバイクから降りるとジャグラーとカブラギを睨みながら2人に近付く。

 

「誰だ?お前は?」

「探偵よ。最近アンタの様子がおかしいから調べてくれって先生に依頼されたの。そしたら怪獣を呼び出すわ得体の知れない宇宙人と平然と話してるわ・・・色々おかしいじゃない。だから探偵として気になったのよ。」

「探偵・・・成程な。お前さん、最初に確認されたベムラーの怪獣娘だろ。」

「・・・よく知っているわね。」

「俺は地獄耳でな。」

「ほう・・・お前があの。」

 

そう、ジャグラーとカブラギの前に現れたこの女性こそ世界で一番最初に確認された宇宙怪獣『ベムラー』の魂を継ぐ怪獣娘である『天城ミオ』である。彼女は恩師である多岐沢からの依頼で様子がおかしくなったカブラギの事を探っていたのである。ミオは自身の正体を見透かされると自身に意識を集中させ、黒いピッチリとした黒いスーツのような獣殻を纏った怪獣娘『ベムラー』に変身する。それを見たカブラギは愉快そうな顔で笑い始めた。

 

「そうか‼︎お前は俺の持つベムラーのメダルに引き寄せられてきたんだな‼︎そうかそうか‼︎そんなに自分の魂の怪獣の力が込められたこのメダルが気になるか‼︎」

「依頼でアンタを調べてくれって頼まれただけって言ったでしょ・・・!!そのメダルは・・・!!」

「宇宙で手に入れたベムラーの遺伝子から作ったベムラーの怪獣メダルだ!!お前の元の怪獣の力が入っているぞ・・・。」

 

ベムラーはカブラギが見せてきた怪獣としてのベムラーが描かれた怪獣メダルに思わず視線を向ける。そんな彼女の視線を覚ますようにジャグラーが斬撃波をスレスレで放つ。

 

「ったく、油断してんじゃねえよ。」

「助かったわ。貴方、単純に悪い奴ではなさそうね。」

「はっ、善か悪かなんてそう単純に測れるものじゃねえだろ。」

 

ジャグラーとベムラーが並び立ち、カブラギに向かっていつでも攻撃できるよう構える。自身に警戒している2人を見据えたカブラギはブルトンに手を向ける。

 

「そう警戒するなよ。そういえばジャグラスジャグラーは打ち上げの最中と言っていたな。だったらもっと面白くしてやるよ!!始まりの怪獣娘も楽しんでいってくれ!!」

「野郎!!」

「好き勝手にはさせない!!」

 

カブラギが手を翳した瞬間、ブルトンが光りだす。2人は思わずカブラギを止めに入る。しかしジャグラーから人間の姿に戻ったヘビクラは何処かの岩山に、ベムラーの方は古びた建物にいた。両者とも気付いた時には1人になっている。

ヘビクラの方は崖下に目を向けると衝撃的な物を目にする。そこには赤と灰色の隊員服の青年と青いジャケットを羽織った青年、そしてローブを纏ったかつての自分がいたのだ。まさかと思ったヘビクラが振り返るとそこには切り倒された大きな樹が見える。それを見たヘビクラは全てを察した。

 

「あの日に戻ってきたのか・・・。」

 

そして再び崖下に目を向けると赤と灰色の隊員服の青年と青いジャケットの青年がかつての自身を諭していた。

 

「待てよ、俺は敵か?」

「こんなのは光の戦士の戦い方じゃない。」

「君なら分かる筈だよ。」

 

その様を見てヘビクラはため息を吐く。そして目の前の切り倒された樹を何処か思う事があるような目で見つめながら小さく呟いた。

 

「くそったれ・・・。」

 

 

 

ベムラーは変身を解いてミオの姿に戻ると建物の周りを調べ始める。そこでミオは1つの古びた看板を見つけた。それを見つけた彼女は近付いて何の看板か確かめる。するとその看板には彼女にとって衝撃的な文字が書かれていた。

 

「青き救世?まさか⁉︎」

 

看板に刻まれた名前を見たミオは確かめるべき走り出す。足を進めて数分後、彼女の目の前に広がっていたのは大きな湖だった。

 

「ここは竜ヶ森湖。成る程、ブルトンの力でここに飛ばされてきたのね。私の・・・故郷に・・・。」

 

実はミオの故郷はこの青森県竜ヶ森である。彼女は自身の持っていた怪獣の力が災いして父親が営んでいた宗教法人『青き救世』に現人神として利用されていた。そして父親が逮捕され、施設に預けられてから叔父に引き取られ、その後、多岐沢との出会いを経て色々な事を経て、現在は探偵として上京し、活動しているのだ。

 

「あの日の事は振り切った筈なのに・・・まだ何処かで思い残しがあるのかしら?」

 

自身の苦い過去を思い出しながら苦笑して呟くと彼女は再び湖を見つめ、放棄された青き救世の跡地に目を向ける。そして数秒後、ふとある事に気付いた彼女はため息をついて呟いた。

 

「ここから東京までどうやって帰ろう・・・。」

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部はブルトンが引き起こした四次元現象で大混乱に陥っていた。かぷせるがーるずはドアを開けた途端、何処かの岩山に、

 

「えっ⁉︎何これ⁉︎」

「何でドアを開けたらこんなところにいんの⁉︎」

「わ、分かりません‼︎」

 

ゴモラ、レッドキングの大怪獣ファイターコンビとザンドリアス、ノイズラーの中学生バンドコンビはドアを開けると同時に揃って断崖絶壁の海岸に、

 

「ぎゃあああああああああああああ⁉︎高いところにいるううぅぅぅぅ⁉︎」

「落ち着け、ザンドリアス‼︎」

 

マガコンビとエレキングは揃って不気味な色の虹が飛び交う謎の異次元空間にいた。

 

「な、何ここ⁉︎」

「ふえええ⁉︎怖いです・・・。」

「もしかして・・・これがかつて科学特捜隊を混乱に陥れたブルトンの四次元現象・・・。だとすると厄介ね・・・。」

 

時を同じくしてピグモンもこの不可思議現象に悩んでいた。ピグモンはモニターに写るブルトンを眺めると机に視線を向けて頭を抱える。

 

「この事態を止めるにはどうすれば・・・。」

 

その時、ピグモンの目の前に突然異次元の入り口が開く。目の前で開いた異次元空間への入り口にピグモンは怯えながら警戒するもそこから入ってきた人物に目を驚かせた。

 

「お待たせです〜。助っ人に来ましたよ〜。」

「あ、貴方は‼︎」

 

 

 

 

 

その頃、ハルキとミコは何度も何度も続く時間の巻き戻しに精神をやられて疲れ切っていた。階段の途中で思わずハルキは膝をつく。

 

「あー・・・疲れた・・・。」

「ちょっとハル、しっかりしてよ‼︎」

「だってよ・・・何度も何度も時間が巻き戻ってんだぜ。精神的に疲れるっつーの。」

「ちょっと〜、疲れてるのはわたしも同じなんだから‼︎ほら、立って‼︎」

 

ミコに支えられて体を起こすとハルキの懐から写真が落ちる。それは父であるマサルと一緒にピースを決めるハルキとミコの写真だった。写真はヒラヒラと宙を舞い、1番下まで落ちていく。

 

「ああ、父さんとの写真‼︎」

「待って、ハル‼︎」

 

ハルキは慌てて階段から飛び降り、写真を回収しようとする。続いてミコも飛び降り、2人が同時に着地したと同時に周りが白に包まれる。そして2人は気付くと何処かの夕暮れの川辺にいた。

 

「ここは何処だ?」

「少なくともGIRLSの食堂じゃなさそうだけど・・・。」

 

その時、2人の元にボールが落ちてくる。ハルキが思わずそのボールに目を向けると階段から誰かが駆け下りてくる。

 

「済まない、君達。そのボール取ってくれないか?」

「あっはい。・・・って、え?」

「嘘・・・。」

 

ハルキとミコは降りてきた人物の顔に驚く。目の前に来たのは何と今では故人である筈のハルキの父、マサルだったのだ。目の前に昔、亡くなった筈の父親がいる事、そして周りの景色が夕暮れ時なのと目の前のボールからハルキとミコは一つの結論を導いた。

 

(まさか‼︎俺達はブルトンの力で・・!)

(あの時、ハルとわたし、そしておじさんと3人でキャッチボールしたあの日に戻って来たっていうの⁉︎)

「あの、君達、ボールを・・・。」

「あっ、ああ、すみません‼︎」

「ありがとう。それじゃあ。」

 

自身の正体を知らない父に急かされたハルキは思わずボールを投げる。マサルが軽くキャッチしてハルキに礼を言うとマサルはこちらに背を向けてこの時代のハルキ達の元に向かっていく。ハルキはその背中を見て何か言いたげだった。ハルキが父親の事をとても大好きだった事を知っているミコはその様子にどうすればいいか分からずあたふたしている。そしてマサルが階段を登ろうとした時、ハルキは勇気を振り絞って声を上げた。

 

「あの‼︎」

「ん?」

「この街のレスキュー隊の方ですよね⁉︎聞きたい事があるんです‼︎もしも誰かを守ろうとした時、その行動が同時に別の誰かを傷付けてしまったり、守れないって分かった時・・・どうしますか?」

 

その質問にマサルはハルキの方を向くと難しい表情になる。そして少し考えて口を開いた。

 

「確かに・・・君の言う通り、どれだけ手を伸ばそうとも助けられる数には限界があるからね。・・・でもそれがレスキュー隊としての僕の使命だと思っているよ。だから、僕は自分の手の届く範囲で、自分の信じる正義を、守ると決めた人達を全力で守る。そして、傷付けてしまったり、守れなかったりした人の事を絶対に忘れない。僕はそう決意しているよ。まぁ、自分もまだまだでこんな偉そうな事簡単には言えないんだけどね。」

 

はにかみながら答える父の言葉にハルキは心の中にずっと燻っていたものが取れ、解放された気分になる。父親の言葉で納得の答えを出せたのか口元を緩めるハルキをミコが微笑ましそうに見ていると今度はマサルの方が尋ねてきた。

 

「そういえば君達、何処かで会った事あるかい?何か君達を見てると初対面って感じがしないんだ。」

「えっ⁉︎そ、それは・・・。」

 

ハルキとミコは自身の正体を話したくても信じてもらえるわけないと思ってしまい、口ごもる。そんな中、この時代のハルキの声が聞こえてきた。

 

「父さーん‼︎」

「ハルキ、ミコちゃんもちょっと待っててくれ‼︎じゃ、僕はここで。」

「待って下さい‼︎」

 

ハルキは一か八か自身の正体に気付いてもらえるかの賭けとしてある頼みをする。それはマサルを困惑させるものだった。

 

「最後に握手してくれませんか?」

「えっ?・・・まぁ、いいけど・・・。」

 

マサルはハルキの手を握る。その瞬間、ハルキの手か何かを感じたのか驚いた声を上げる。それはハルキを涙ぐませる言葉だった。

 

「⁉︎・・・ハルキ・・・?」

「・・・‼︎気付いてくれたんだね・・・父さん・・・。」

「そんな・・・馬鹿な・・・本当にハルキなのか⁉︎」

「うん、これを見て。」

 

ハルキは懐から自身とミコ、そして父が写った古い写真を見せる。そしてその写真を見てマサルは更に驚く。

 

「この写真は⁉︎・・・本当に・・・大きくなったハルキなんだな。」

「うう・・・父さん・・・父さああああん‼︎」

 

ハルキは気付いてもらえたことと長年会えなかった分の思いが溢れ出し、そのまま父に抱き付く。マサルは自身の胸で泣く成長した息子を優しく抱き締めた。

 

「そうか・・・ハルキ、大きくなったんだな。ん?お前がハルキって事はもしかして君は・・・。」

「うん、そうだよ‼︎ミコ‼︎印南ミコ‼︎おじさんのご近所でハルの幼馴染の‼︎」

「そうか、そうだったんだな‼︎通りで初対面って感じがしなかった訳だ‼︎」

「おじさん、信じてくれるんだね・・・。」

「ああ、何故こんな事が起こったのか分からない。分からないが・・・手を握った時の感じとあの写真を見せられたら信じるしかないじゃないか‼︎」

「おじさん・・・‼︎」

「2人とも大きくなったなぁ‼︎ハルキは逞しく、ミコちゃんも随分と美人になって・・・嬉しいよ‼︎」

 

マサルは成長した息子、及び息子と仲のいい幼馴染の頭を撫で続けていた。

 

 

 

 

その頃、GIRLSではアギラ達がブルトンの起こした四次元現象に悩まされていた。キングジョーとガッツ星人(マコ)が扉から出るなり尻餅をつく。

 

「痛いデース・・・。」

「ああもう‼︎本当イライラする‼︎あの怪獣、絶対にただじゃ済まさないわ‼︎」

「とは言ってもどうやってこの閉ざされた世界から出れば良いのでショウ?」

 

2人が混乱している中、再び、ガッツ星人(マコ)が扉を開ける。そしてそのまままた異次元空間に飛ばされると思ったらドアの先の通路にきちんと出ていた。ドアを通って2人は顔を見合わせる。

 

「あれ?」

「普通に出れマスネ・・・。」

「「これって一体どういう事⁉︎(デス)⁉︎」」

 

その少し前、食堂ではピグモンの前に白い獣殻を纏ったぽっちゃり体型の怪獣娘が立っている。その怪獣娘は目を閉じて手をかざすと意識を集中させる。そして彼女から何らかの力が放たれた。その怪獣娘は力を放つとピグモンに向き合う。

 

「ピグモンさん、ドアを開けてみて下さ〜い。」

「は、はい!」

 

ピグモンが警戒しながらドアを開ける。そのまま彼女は訳の分からない空間に飛ばされると思った。しかし、その先にはいつもの食堂に続く廊下があった。ピグモンは表情を弾ませると後ろの怪獣娘にお礼を言う。

 

「ありがとうございます、ブルブル‼︎お陰でこの四次元空間から脱出出来ました‼︎」

「いえいえ〜、私の元の怪獣が暴れ回っている訳ですから〜。だったら私が駆け付けて事態を解決しないと〜。」

 

そう、この怪獣娘こそ、今、GIRLS東京支部の前に現れたブルトンの魂を継ぐ怪獣娘である。ブルトンのカイジューソウルを受け継いだ彼女も異次元を操る力を持っており、彼女は自身の異次元を操る力を四次元の力にぶつけて相殺し、この建物を四次元空間から脱出させたのだ。

 

「これでまともな指示も通ります‼︎急いで体勢を立て直しましょう‼︎ブルブル、これからも力を貸して下さい‼︎」

「勿論です〜。私の元の怪獣が迷惑を掛けている以上、幾らでも力になりますよ〜。」

「うっ‼︎うわああああ⁉︎」

 

その時、ミクラスの叫び声が聞こえてきた。ブルトンとピグモンは急いで声のした方向に向かう。するとそこではアギラ達とはぐれたのか1人になったミクラスの頭にバケツが覆い被さっていた。ミクラスはバケツが覆い被さっている事に気付いてないのか、手足をジタバタさせている。

 

「うわああああ‼︎今度は暗闇の世界に閉じ込められちゃったよ〜‼︎誰か〜‼︎」

「ミクミク‼︎落ち着いて下さい、ミクミク‼︎」

 

ピグモンがバケツを取り除くとミクラスは自身の視界が真っ暗になっていた理由を察する。そして自身の言動の恥ずかしさの余り、顔を真っ赤にした。

 

 

 

 

 

その頃、自身の正体を明かしたハルキとミコはマサルにこれまでの一連を説明していた。

 

「そうか、未来では再び怪獣が・・・そして怪獣の力で時空を越えてこの時代に来たんだな。」

「うん。」

「そして、色々と思い悩んでいたんだな。」

「そうなんだ。・・・情けないよな、高校生にもなって・・・こんな・・・。」

 

ハルキは俯いて呟いた。マサルは俯く息子の頭に手を置くとそのまま撫で始める。

 

「情けなくなんかないさ。それはハルキが優しい男になった証拠なんだからな。」

「え?」

「守れなかったその怪獣の親子の事まで考えていたんだろ?怪獣の被害に遭った人達じゃなく怪獣の命の事まで考えて悩んでいたんだ。それはハルキ、お前が優しい男に成長してくれた確かな証拠なんだ。父さんはそれだけで嬉しいよ。」

「父さん・・・。」

 

マサルの言葉にハルキは涙が溢れそうになる。その時、ハルキとミコの体が透け始めた。

 

「何これ⁉︎」

「俺達の体が・・・透けている‼︎」

「恐らく2人が元の時代に帰ろうとしているんだろうな。これで本当にお別れ・・・だな。」

 

マサルは透けていく2人を見据えると口を開いた。

 

「・・・ハルキ、これからも色々と思い悩む事もあるだろう。それでこんな事で悩むなんてなんて思う時もあるかもしれない。でもな、悩んでいいんだ‼︎人間は悩んで、答えを見つけて先に進み、強くなるんだからな。」

「父さん・・・。」

「困った時には友達や仲間を頼れ‼︎彼らの言動から悩みの先の答えを見つける事だって出来るんだ。友達や仲間を・・・大切にな。」

「ああ‼︎」

「ミコちゃん、息子を、ハルキを頼む‼︎」

「うん‼︎おじさん、ハルの事は任せて‼︎」

 

2人の体は段々と透けていく。ハルキは涙を流しながら目の前の父に必死に言葉を紡いだ。

 

「父さん・・・父さんのお陰で・・・俺、漸く答えが出せたよ‼︎」

「そうか。それは何よりだ。頑張れよ、ハルキ、ミコちゃん‼︎」

「うん‼︎」

「ありがとう、父さん・・・さよなら‼︎」

 

そして2人の体は完全に見えなくなった。2人が気付くと先程までいた階段にいる。ハルキは先程までの出来事を噛みしめながら涙を流している。

 

「ミコ、俺・・・父さんに会えた・・・もう2度と会えないと思っていた父さんに会えたよ‼︎」

「うん、そうだね。」

「父さん、逞しくなったって言ってくれた・・・あの手の感触も残ってる・・・残ってるよ・・・‼︎父さぁん・・・‼︎」

 

短い時間ながらももう2度と会えないと思っていた父との出会いを深く噛みしめながらハルキは泣き続ける。ミコはそんなハルキを優しく抱き締めていた。




クロスオーバーユニバースで掲載した怪獣娘×デッカーについてのアンケートをこちらで設置します。是非とも投票よろしくお願いします‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四次元狂想曲(後編)

もしこの作品に後半からのEDがあるなら次のうちどれがいいと思いますか?

Promise for the future(通常ver)
Promise for the future(畠中祐&松田利冴デュエットver)
KAIJUハート(松田利冴ver)
Soul-ride on( ガッツ星人ソロver)
ガッツが此処にある限り


GIRLS東京支部がブルトンの四次元現象から解放されてから、当のブルトンは街を跳ね回りながらビルを空中に浮遊させて暴れ回っていた。街ではパニックになって人々が逃げ回っている。そんな中、ガッツ星人(マコ)が操縦するキングジョー・GIRLSカスタムが現場に到着した。

 

「現場に到着したわ‼︎これから攻撃を仕掛けるわよ‼︎」

『了解です、マコマコ‼︎』

「さっきはよくも好き勝手にしてくれたわね・・・この借りは百倍にして返させてもらうわよ‼︎」

 

彼女が操縦するGIRLSカスタムからミサイルが一斉に発射され、ブルトンに向かっていく。ブルトンは突起からアンテナのような物を出すとそれを光らせる。するとミサイルはブルトンに直撃する寸前で姿を消してしまった。

 

「は?・・・もう一回‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)は操縦席のボタンを押して再び機体からミサイルを放つ。しかし、ブルトンがアンテナを光らせるとまたしてもミサイルは消える。そして次の瞬間、ブルトンによって消されたミサイルはGIRLSカスタムに向かっていった。ミサイルが着弾し、GIRLSカスタムが爆発と同時に煙に覆われる。

 

「うわああああ⁉︎・・・またしてもやってくれたわね‼︎」

 

今度はGIRLSカスタムに装備されたペダニウムソードを構えてブルトンを斬り付けようとする。しかし、ブルトンは斬られる直前に姿を消し、刃は地面に減り込む事になった。

 

「は⁉︎何何⁉︎何処に行ったの⁉︎」

 

ガッツ星人(マコ)が操縦席に備えられたレーダーを頼りにブルトンを追う。その時、ブルトンはGIRLSカスタムの前に再び姿を見せた。その事を確認したGIRLSカスタムはペダニウムソードを構えてブルトンに向かう。その時、ブルトンの突起から再びアンテナが飛び出す。そしてアンテナから丸いリング状の光線が形成される。そしてリング状の光線がGIRLSカスタムを拘束すると同時に火花を散らして機体にダメージを与えた。

 

「ちょっ⁉︎今の何よ⁉︎」

『原因不明のダメージを確認‼︎』

「はっ⁉︎原因不明⁉︎じゃああれは一体⁉︎」

 

ガッツ星人(マコ)が疑問に思う時間も与えられず再びリング状の光線がGIRLSカスタムを襲う。GIRLSカスタムはリング状の光線の攻撃を受けて地面に崩れ落ちた。

 

「きゃあああああああ⁉︎」

 

そんな中、ブルトンに翻弄されるGIRLSカスタムに向かって走る2人の人影があった。ブルトンの四次元現象から解放されて現代に戻ってきたハルキとミコだ。ハルキの手には既にウルトラゼットライザーが握られている。ハルキは意気込んでゼットライザーの引き金を引いた。

 

「よっしゃあ‼︎ミコ、行ってくるぜ‼︎」

「頑張って、ハル‼︎」

 

ハルキはヒーローズゲートに突入して自身のアクセスカードを手に取ると中のゼットに向き合う。その顔には迷いは一切感じられなかった。

 

「ゼットさん、俺、漸く答えが出ました‼︎俺は目の前で守りたいと思った命を・・・自分の手が届く範囲で助けられる命を全力で助ける‼︎・・・そして・・・助けられなかった命・・・傷付けてしまった命は・・・絶対に忘れない・・・この胸に刻み込む‼︎それが俺の決めた答えです‼︎」

『よっしゃあ、行くぞハルキ‼︎ウルトラフュージョンだ‼︎』

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはガンマフューチャーに必要なメダルを取り出してゼットライザーにセットした。

 

「変幻自在、神秘の光‼︎」

「ティガ先輩‼︎ダイナ先輩‼︎ガイア先輩‼︎」

 

〈TIGA〉、〈DYNA〉、〈GAIA〉

 

ゼットの掛け声と共にハルキはゼットライザーのトリガーを押した。

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z GAMMA -FUTURE

 

ブルトンが再びリング状の光線を放とうとした時、ガンマフューチャーの姿に変身したゼットが手刀でそれを弾く。操縦席からゼットの見たガッツ星人(マコ)は思わず叫んだ。

 

「ハルキ‼︎」

「シュワッ‼︎」

 

ゼットがブルトンに向かって構え、両手をスライドさせてカード状の光線を形成する。するとブルトンがアンテナからリング状の光線を放つ。そして両者共に激しい光線のぶつかり合いが始まった。カード状の光線とリング状の光線がぶつかり合う中、ゼットは花火状の光線をブルトンに放つ。

ブルトンは光線を掻き消して、突起から3つのアンテナを突き出し、ゼットが放つ光線の軌道を逸らしたり、目の前で掻き消したりと攻撃が直撃するのを回避する。ゼットもブルトンによって宙に浮かび上がるビルを超能力で下ろすと、バリアを張って光線を放ち続ける。お互いの光線の撃ち合いが続く中、ガッツ星人(マコ)は迷いが見られないゼットの戦いを見て安堵する。

 

「やっと答えを出せたのね・・・全く・・・ハルキの奴、手間掛けさせるんだから。」

 

人々の避難誘導に回っていたザンドリアスとノイズラーもその姿を見て見惚れていた。

 

「ハルキとゼット、見事な戦いぶりだね・・・。」

「ハルキの奴、迷いを吹っ切れたんだな。」

「シュワッ‼︎」

 

2人が眺める中、ゼットはリング状の光線を防いでいたバリアを解くとブルトンに向かって回し蹴りを放つ。しかし、回し蹴りが命中する直前にブルトンは姿を消し、空振りに終わる。ゼットの後ろに現れたブルトンはアンテナからリング状の光線を形成して放つがゼットは飛び上がって光線を避ける。

 

「シュワッ‼︎」

 

そしてそのまま飛び蹴りを放つがブルトンはまたしても姿を消し、空振りに終わる。そして自分の後ろにブルトンが姿を見せた事を確認したゼットの中でハルキはウルトラゼットライザーを構える。

 

ハルキはライトニングジェネレードを放つために必要なウルトラメダルを取り出した。そしてそのメダルをゼットライザーに装填するとゼットライザーに読み込ませた。

 

〈COSMOS〉、〈NEXUS〉、〈MEBIUS〉

『(ライトニングジェネレード‼︎)』

 

ゼットライザーから放たれた雷撃が雷雲を作り、雷撃がブルトンに降り注いだ。しかし、ブルトンは雷撃が直撃する直前で自身の周りに見えないバリアを張り、防御する。雷撃が止むとブルトンのアンテナから泡状の光線が放たれた。その時、ゼットの足元に大きな穴が形成され、ゼットはそこに落ちる。そして首から上だけが地面に出た生き埋め状態になって動けなくなってしまった。

 

(何だこれ⁉︎・・・くそ、出られねえ‼︎なっ⁉︎)

 

ゼットの中のハルキはこの事態に気付き、何とか穴から出ようともがく。しかし、ブルトンは動けないゼットに向かって転がってきた。そのままゼットに直撃し、首がゴキッという音を上げる。転がってきたブルトンが戻ってきて再び頭にブルトンが直撃する。再びブルトンはそのままゼットに向かって転がっていくがGIRLSカスタムがゼットの目の前でブルトンを押さえつけた。

 

「全く、怪獣に翻弄されてんじゃないわよ‼︎しっかりしなさい、ハルキ‼︎」

 

そのままGIRLSカスタムはブルトンを押し返そうと踏ん張る。しかし、GIRLSカスタムの機体はブルトンに押し返され、地面に倒れる。操縦席に大きく火花が散ってガッツ星人(マコ)が悲鳴を上げる。

 

「きゃあああああああああ‼︎」

 

GIRLSカスタムの拘束を振り切ったブルトンは再びゼットに向かって転がっていく。ゼットは何かを決めると同時にブルトンを見据える。再びブルトンがゼットにぶつかったと思いきや、通った後にはゼットの姿はなかった。ブルトンが再びアンテナを突き出すとベータスマッシュの姿のゼットが飛びかかってくる。

 

「ベーダズマッしゅ‼︎」

 

ゼットは四次元現象を引き起こすアンテナを見るとすぐさまそれに手を伸ばす。そしてアンテナを掴むと思い切り引きちぎった。

 

「ドッダドォォォ‼︎」

 

ゼットは高らかに引きちぎったアンテナを掲げて空に掲げると拳をハンマーのように何度も叩きつける。そしてブルトンを蹴飛ばした。

蹴飛ばされたブルトンも突起から新たなアンテナを突き出し、リング状の光線を放つ。ゼットは何度もその光線を受けるがゴリ押しで耐え、ブルトンに向かっていく。そしてそのまま拳をぶつけようとした時、ブルトンは再び姿を消した。

ゼットが気配を感じて後ろを振り向くとブルトンが自身に覆い被さってきた。ブルトンののしかかる攻撃にゼットは思わず地面に倒れる。再びブルトンがのしかかってこようとした時、ゼットはゼットランスアローを出現させ、後ろ向きにしてブルトンに突き刺す。

 

「ベーダア"ロ"ー‼︎」

 

何とかブルトンから逃れたゼットは光のロープを形成し、ブルトンに刺したゼットランスアローに巻きつける。そしてハンマー投げの要領で何度も振り回して宙に投げ飛ばした。

 

「ダア、ダアアアアアア‼︎」

 

ゼットは高らかに吠えるとアルファエッジに変身する。そしてゼットライザーにM78流竜巻閃光斬を放つ構えに入る。

 

『(M78流・竜巻閃光斬!!)』

 

竜巻と同時に放たれた斬撃波がブルトンを真っ二つに切り裂く。そして周囲の空間に妙なオーラを放ちながらブルトンは空中で大爆発を起こした。

 

「やったぁぁ‼︎ハル、かっこよかったよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)はゼットの勝利を見て思わず歓喜の声を上げる。ゼットはその声のした方に振り向き、彼女にサムズアップを送る。彼女もゼットを見上げて笑顔を浮かべる中、ガッツ星人(ミコ)の後ろで彼女の親友であるアギラがその様子を見て驚いていた。

 

「ハルキさん・・・ゼットが⁉︎ガッツ・・・何でそれを知って・・・。」

 

その一方で別の方向ではブルトンの力から解放され、元の時代に帰ってきたヘビクラが怪獣を撃破したゼットの後ろ姿を眺めていた。

 

「ま、結果オーライか・・・。」

 

ヘビクラは静かに呟いた。そしてそのままGIRLS東京支部に戻っていく後ろでゼットは空中にZの飛行機雲を描きながら空に飛び立っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、GIRLS東京支部の食堂で打ち上げ会の後片付けが行われていた。片付け作業の中、ミコがハルキに近づいて他の皆には気付かれないくらいの小さな声で囁く。

 

「ハル、やっと答えが決まったんだね。」

「ああ、俺は・・・もう迷わない。俺の力で助けられる命を全力で助けて・・・助けられなかった命の事は絶対に忘れない。父さんが教えてくれた通り・・・絶対に忘れず・・・この胸に刻み込むよ。」

「そ、良かった・・・漸く答えが見つかって。」

「ちょっとハルキ。」

 

ハルキとミコの後ろからマコが声を掛けてくる。怒っているのかその表情は何処か膨らんでいた。

 

「わたし、アンタが来るまでブルトンを相手に頑張っていた上、ピンチのアンタを助けたんだけど〜・・・わたしの事を労ってくれない訳?」

「悪い悪い。あの時はありがとな、お陰で助かったぜ。」

「ったく・・・わたしも人の事は言えないけど気を付けなさいよ。結構ピンチだったんだから。」

 

ハルキのお礼を聞いたマコは口こそ不満を口にしていたがその表情の中で頰を赤く染めていた。その一方でアキはさっきのミコとゼットの会話が気になっていたのかハルキに視線を向けていた。

 

「ハルキさんが・・・。」

「アギちゃん、どうしたの?」

「あっ・・・ううん。何でもないよ。」

(本当にハルキさんがゼットなの・・・もし本当だとしたらガッツは前から知っていた事に・・・何でずっと隠していたの・・・2人とも・・・。)

 

 

 

 

その頃、自身の研究室で多岐沢はベムラーの青い球に身を包んで飛ぶ事で青森から東京に帰ってきたミオを迎え入れていた。ミオは多岐沢からの調査依頼を全て報告する。

 

「成る程・・・ジャグラスジャグラーなる宇宙人と平然と話を・・・。そしてジャグラスジャグラーはカブラギ君の事をセレブロと・・・。」

「ええ、確かにそう呼んでいるのを聞いたわ。」

「それに・・・ブルトンを呼び出すなんて・・・更に地球人離れしてきていますね・・・一体カブラギ君に何が起こったのか・・・。」

「・・・先生、これまでの調査結果から考えて、2つの可能性が考えられるわ。まず1つは・・・宇宙人に体を乗っ取られている可能性・・・もう1つは・・・あまり考えたくは無いけど・・・。」

「カブラギ君は既に殺されていて・・・彼に成り済ました宇宙人がGIRLSに潜入した・・・ですね。」

 

ミオは多岐沢の言葉に頷くと静かに沈黙を貫く。そして数秒後、再び口を開いた。

 

「ジャグラスジャグラーの言葉も気になるのよ。彼はセレブロなる存在にこう言っていたわ。『幾つもの星で遊び歩いている』って。ブルトンを呼び出して暴れさせるあんな行動が遊びなら・・・これから先とんでもない事になる予感がする・・・もっと調査をするべきだと思う。」

「そうですね・・・もう少しお願い出来ますか?」

「ええ。」

 

恩師である多岐沢の言葉にミオは頷く。しかし、2人はこの時予想していなかった。ゼットが倒したブルトンが爆発した地点から不気味なオーラが出ていた事も・・・、

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャ。」

 

不気味な笑い声のようなものが響いていた事も・・・全てを無に返すとてつもない災厄が訪れる事もまだ知る由は無かった。

 




ハルキ「ハルキと」

ユカ「ユカの」

ハルキ&ユカ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈TIGA〉

ユカ「ガンマイリュージョンで現れる超古代の巨人はウルトラマンティガです。その時、放つ最強の技はゼペリオン光線です‼︎」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈JUGGLUS JUGGLER〉

ハルキ「ゼットライザーを盗んだり、バロッサ星人から助けてくれたりと色々と謎が多い宇宙人だ。」

ゼットン「次回はわたしが担当するわ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『ジード先輩からの緊急連絡が来た。宇宙に歪みが生まれ、全てを無に返す虚空怪獣『グリーザ』が現れるらしい。コイツに立ち向かうにはウルトラ強力なメダルが必要だ!次回‼︎

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


戦士の使命


ウルトラ掴むぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の使命(前編)

遂に怪獣娘世界に出現してはいけないあのヤバい怪獣が登場です‼︎

虚空怪獣『グリーザ』登場


宇宙空間で一隻の宇宙船が飛んでいた。そしてその中にはウルトラマンジードに変身する朝倉リクとその親友であるペガッサ星人のペガがいる。そして2人の前のモニターに地球が映し出された。そしてその画面が赤くなり、色々と異常事態が起こっている事を知らせる内容が写る。そのモニターを眺めたリクは険しい表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

ゼットとブルトンの戦いがあった日の夜、戦いの後の瓦礫を片付ける作業員は雑談しながら作業していた。

 

「今日も派手に戦ったな〜。」

「そういや聞きましたよ、兄貴。この前彼女に振られたんですって?」

「お前、それを何処で・・・。」

「ヒャヒャヒャヒャ‼︎」

「あ、お前、笑ったな?俺が女に振られたのがそんなに面白いか?」

「いやいやいや、笑ってないっスよ‼︎」

「嘘つけ、確かに俺を笑う声が」

「ヒャヒャヒャ‼︎」

 

彼女に振られた事を笑われたと思った作業員が後輩らしき青年を問い詰める。すると2人の後ろからまた笑い声が聞こえてきた。思わず2人はその方向を振り返ると突然目の前が光り出す。そして2人の作業員は光の先に何かを見ると恐怖で絶叫し始めた。

 

「「うわああああああああああああああああああ⁉︎」」

「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎」

 

そして数時間後、2人の作業員が働いていた現場からは作業員も作業員が操縦していたクレーン車などの作業車も完全に姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ハルキはGIRLS東京支部のトレーニングルームでサンドバッグに拳を打ち込んでいた。何発も拳や蹴りが打ち込まれ、サンドバッグが宙を舞う。ハルキが構えて力を溜め、拳をぶつけるとサンドバッグは今日1番の距離まで舞い上がった。

 

「ふ〜・・・。」

「ハル‼︎」

「ハルキ‼︎」

 

後ろからミコがとマコがやってきてハルキに駆け寄る。ハルキの方も2人が来た事を知ると2人に向き合った。

 

「トレーニングお疲れ様。気が済んだ?」

「ん?・・・まあな。」

「しっかりしなさいよ、いざ怪獣が現れた時、頼りになるのはアンタなんだから。はいこれ、わたし達からの差し入れよ。」

「おっ、ありがとな、2人とも。」

 

ハルキはマコから受け取ったスポーツドリンクに口をつけると一気に飲み干す。飲み干したハルキは2人に目を向ける。

 

「2人の方はトレーニング終わったのか?」

「うん。これからシャワー浴びたら遊びに行こうと思ったとこ。」

「アンタはどうするの?これから暇?」

「ああ、暇だよ。」

「だ、だったら・・・わたし達に付き合ってよ。色々と迷惑掛けたんだし・・・それに昨日・・・頑張ったから・・・そのご褒美も・・・。」

「え?俺もいいの?」

「わたしはOKだよ‼︎」

「分かった、んじゃあ行くか‼︎」

「うん‼︎」

 

ハルキがガッツ姉妹とGIRLSを後にして、3人はそのままGIRLSから出ようとしていた。その横からサチコ、ミサオ、ナナが飛び出してくる。

 

「ハルキさーん‼︎」

「「ハールキ‼︎」」

「サチコちゃんにミサオちゃんに・・・ナナちゃん。」

「ガッツさん達も一緒でしたか・・・。ハルキ、これから暇ですか?」

「え、ああ・・・俺、これからミコ達と遊びに行くから・・・。」

「それ、あたし達も同行していい?」

「ええっ⁉︎・・・ミコ、マコ、どうする?」

「え〜・・・ザンドリアス達も〜?」

「アンタ達ね・・・幾ら年下だからって・・・。」

 

ミコとマコはサチコ達に対して苦い顔をしている。ハルキは2人の顔を見て3人は断ろうとする。するとサチコが思わずハルキの耳元で呟いた。

 

「今のあたし、口が軽いから・・・もし誘ってくれなかったら・・・ハルキがゼットだって事、皆に話しちゃうかもしれないわよ。それでもいいの?」

「分かった分かった‼︎分かったから‼︎ミコ、マコ、こいつらも連れて行こう‼︎」

「ハルキ・・・アンタ・・・。」

「・・・まあ仕方ないか・・・。」

 

マコが苦い顔をする横でミコが諦めた顔をする。それからハルキ達に中学生達が合流してGIRLSを出て行った。そしてその後ろをアキがつけていた。

 

「ガッツ・・・ハルキさん・・・。」

 

そのままアキはハルキ達を追跡していた。アキが後ろから来ている事を知らないハルキ達は談笑しながら歩いている。

 

「そういえば昨日の戦いは迷いがありませんでしたね。迷いを振り切れたんですか?」

「ん?まあな。ブルトンに過去に飛ばされちまってよ・・・昔、死んだ父さんに会えたお陰で漸く振り切る事が出来たんだ。」

「そうなんだ・・・良かったな。ハルキ。」

「でも、昨日の戦いも凄かったわよね。大怪獣ファイターのししょーにも負けてないわよ。」

「おいおい・・・俺はレッドキングさんほど立派じゃねえよ。」

「そんな事無いですよ‼︎ダークロプスゼロといいブルトンといい、私達怪獣娘では余りにも重すぎる相手にあそこまで渡り合えているんですから‼︎ハルキさんがゼットさんと出会ってなかったら私達はもうとっくに死んでいます‼︎」

「やっぱりハルキさんがウルトラマンゼットなんだ・・・ガッツ、マコだけじゃなくザンドリアス、ノイズラー、セブンガーまで知っていたなんて・・・。」

 

アキはウルトラマンの秘密とそれを知っていた者達が思ったよりも多かった事に思わぬ真実に驚きを隠せない。。他に何か秘密が無いか調べなきゃいけないと感じたアキはそのままハルキ達を追跡しようとする。その時、青いジャケットを羽織った青年が突如現れた。

 

「ハルキ君‼︎」

「へ?・・・リク先輩⁉︎」

「え?リクさん⁉︎」

「あ、貴方・・・何処から来たの⁉︎」

「⁉︎君達は・・・⁉︎いや、その・・・。」

「あの人、瞬間移動で現れた・・・‼︎」

 

アキだけでなくミコ達も以前遭遇した青年『朝倉リク』が急に現れた事に驚いている。ハルキはかつて自身と共に戦ったウルトラマンの先輩の顔を確かめるとミコ達の顔を覚えていたのか自分の正体を知らないミコ達に何処から説明するか悩むリクに自身の事情を教える。

 

「リク先輩、実はここにいるメンバーは俺がウルトラマンだって事を知りました。」

「ちょっ⁉︎ハル、貴方・・・⁉︎」

「何話しちゃってんの⁉︎」

「大丈夫‼︎リク先輩は俺と同じウルトラマンだ‼︎」

『ええっ⁉︎』

 

ミコ達が驚く目の前でハルキの事情を察知したリクは決意を固めると自身も正体を教えるべく口を開いた。

 

「そうか・・・君達は知ったんだね・・・だったら僕の事も話すよ。皆はあの時、ゼットと共にロボット怪獣と戦ったウルトラマンを覚えてる?」

「ロボット・・・ああ‼︎そういえば目つきが悪いウルトラマンがゼットと一緒に戦ってたな‼︎」

「う・・・その事は放っておいてよ・・・。あの時のウルトラマン、実は僕なんだ。僕のもう1つの名前はジード。ウルトラマンジード。」

「ウルトラマン・・・ジード・・・。」

「だからあの時、ハルはリクの事を先輩と呼んでたんだ・・・。」

「リクさんが・・・あの時のウルトラマン・・・。」

 

ミコが納得のいった表情を浮かべ、アキがその様子を観察しているとリクは真剣な顔になってハルキ達に向き合う。そして彼の口から語られた言葉にハルキとミコ達も真剣な顔になる。

 

「そうだ、こうしちゃいられない‼︎ハルキ君、皆、この宇宙の地球で大変な事が起きている‼︎だから僕は戻ってきたんだ‼︎」

「大変な事?」

「一体何が起きているっていうの?」

「この地球で虚空振動がどんどん大きくなっているんだ。」

 

聴き慣れない言葉に一同は首を傾げる。GIRLSを代表してナナが声を上げた。

 

「虚空振動?それって何ですか?」

「次元の歪みが広がっている時に起こる震動波なんだ。最近、妙な怪獣と戦わなかったか?」

「妙な怪獣・・・あっ‼︎昨日、現れたアレ‼︎」

「ええ、確かブルトンと戦いました‼︎」

「ブルトンと⁉︎・・・間違いない、それが原因だ・・・。」

「え?それってどういう事?」

 

リクの呟きにミコが思わず首を傾げる。するとリクは言いづらそうな顔で口を開いた。

「実は・・・広大な宇宙を形成するにはブルトンのような不条理を引き受ける存在が必要なんだ。それが消えた事で宇宙に穴が空いた・・・。」

「え⁉︎・・・んじゃあ俺がブルトンを倒した事で宇宙のバランスが崩れてとんでもない事になろうとしているって事ですか⁉︎」

 

ハルキが昨日の戦いを思い出しながら青ざめている。その時、街の真ん中に突然紫色に光る発光球体が出現した。そしてその球体は黄色く発光する人型の怪獣へと変化を遂げる。その瞬間こそ、かつてウルトラマンエックスが太陽に叩き落とすしか対処出来なかったら全てを無に返す虚空怪獣『グリーザ』が出現した瞬間でもある。

グリーザは人型になると体をゆらゆらと揺らしながら街を破壊していく。当然、その様子はGIRLS東京支部にも伝わっていた。

 

「どうした⁉︎」

「街に怪獣が出現したみたいです‼︎皆さん、出動して下さい‼︎」

「待って下さい、ピグモンさん‼︎」

 

司令室に集まった怪獣娘達はピグモンの言葉で外に出ようとするがモニターを確認している職員が彼女達を阻む。ピグモンは突然大声を上げた職員に疑問をぶつけた。

 

「どうしたんですか?」

「あの怪獣についてですが・・・かなり妙なんです‼︎あの怪獣は質量も熱量も観測されません‼︎」

「ええっ、何それ⁉︎それじゃあ存在しないみたいじゃない‼︎そんな怪獣がいるの⁉︎」

「でも、確かに目の前には・・・。」

 

ミクラスとアギラが驚くのも無理はない。実はグリーザは『無』そのものと言える怪獣である。質量も熱量も観測されないのはそれ故に存在しないからであり、今、目に見えている姿は無を無理矢理知覚化しているからである。

そんな事も知らない彼女達は目の前の存在し得ない怪獣に困惑する中、ただ1人だけグリーザの事を知っているヘビクラは険しい顔で訊ねた。

 

「キングジョーは出せるか?」

「いえ、まだ完全に修復は完了していません・・・。」

「そうか・・・ならお前ら、絶対に出るな‼︎死ににいくようなもんだぞ・・・。」

 

ヘビクラがこれまでにないくらい険しい顔をしていた事に怪獣娘達は困惑するもその顔は真剣なものだったので彼女達も司令室に留まる事にした。

 

 

 

 

 

グリーザは空中に浮かび上がると回転しながら空を飛び、街を破壊していく。そして飛んでいる内に先程の球体状の姿である第一形態に変化するとビルを貫きながら空を飛んでいた。そして煙の中から人型となった第二形態になりながら体をゆらゆらさせている。

 

「フヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎」

 

ハルキとリク、ミコ達はその姿を必死に追っている。そして追い付いた時、グリーザの破壊跡を見て絶句せずにはいられなかった。

 

「何てヤバい怪獣なの・・・あの怪獣は何・・・。」

「あれこそ虚空怪獣グリーザ・・・かつてエックスさんがやっとの思いで倒した全てを無に返す怪獣で・・・宇宙の穴そのものだ・・・。」

「あ、あの怪獣が宇宙の穴⁉︎じゃあ放っておけば‼︎」

「この世界そのものが無に飲み込まれてしまう‼︎」

「そんな‼︎」

「俺達で止めましょう‼︎」

「行くよ、ハルキ君‼︎ジーっとしてても‼︎」

「「ドーにもならねえ‼︎」」

 

2人はウルトラゼットライザーを取り出しすと、引き金を引いてヒーローズゲートを開く。ミコ達は不安そうな顔でハルキを見る。

 

「は、ハルキ‼︎」

「?」

「気を付けて・・・ね。」

「ああ‼︎」

 

マコの言葉に答えると2人はヒーローズゲートに突入してゼットライザーにアクセスカードを装填する。

 

〈Riku Access Granted〉

〈Haruki Access Granted〉

 

2人はそれぞれ変身に必要なウルトラメダルを取り出してゼットライザーに装填する。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

「ライブ、ユナイト、アップ‼︎ウルトラマンギンガ‼︎ウルトラマンエックス‼︎ウルトラマンオーブ‼︎」

 

〈GINGA〉、〈X〉、〈ORB〉

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

「集うぜ、キラ星‼︎ジイイイィィィィド‼︎」

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN GEED GALAXY- RISING

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

アルファエッジの姿のゼットとギャラクシーライジングとなったジードが降り立つと同時にグリーザに向かって構える。グリーザも2人のウルトラマンに向かって体をゆらゆらさせながら近づいて来た。まずはジードが膝蹴りを放つ。しかし、ジードの攻撃はグリーザの体を擦り抜けた。次はゼットが手刀を放つもゼットはグリーザの体を擦り抜ける。

 

「嘘ぉ⁉︎擦り抜けたぁぁ⁉︎」

「熱量も質量もない無の存在だって聞くけど・・・どうやら本当みたい・・・。」

「ちょっと待って下さい‼︎そんな怪獣にどうやって勝つんですか⁉︎」

「分からない・・・けど、今はハルキを信じるしかないですって‼︎」

「ハル・・・。」

 

ミコ達が不安な声を上げる中、グリーザの背中から紫色の光の触手のようなものが放たれる。ゼットとジードは何とかその触手を手刀で捌くがグリーザはあっという間にジードの後ろに回り込む。そしてジードを押し飛ばした。

ゼットは今度はこちらに向かってきたグリーザに蹴りを放つも全く怯む様子は無い。グリーザは右手にエネルギーを集めてゼットを突き飛ばすとゼットの頭を掴み、電流を流し込む。

 

「ジォアアッ‼︎」

「ハァッ‼︎」

 

ジードが腕のカッターでグリーザを斬りつける。斬られたと同時にグリーザは再びジードの後ろに回り込む。そしてジードを押さえるとそのまま腹に蹴りを入れる。グリーザの蹴りを受けたジードは地面に倒れた。

 

「フッヒャッヒャッヒャッヒャッ‼︎」

 

ゼットが今度は胸に正拳を放つがこれも全く効き目が無い。グリーザはゼットの頭を掴むとそのまま放り投げる。そして2人のウルトラマンが再び並び立ったと同時に胸から複数の光弾を形成して2人に放つ。講光弾を何発も受けたゼットとジードはそのまま後退する。

2人が体勢を立て直そうとする一方でグリーザは右手にエネルギーを集めて両手を何度も回転させている。そして力を溜め終えると先程より強力な威力を持つ紫色のエネルギー光弾を放った。

ゼットはアルファチェインブレードを作り、ジードはバリアを張ってそれを防ごうとする。しかし、グリーザの放った光弾は2人のウルトラマンの防御をいとも容易く破った。光弾を受けたウルトラマンの体は大きな火花を上げて地面に吹っ飛んだ。

 

「ジョオオオ⁉︎」

「グアッ⁉︎」

「ハル‼︎リク‼︎」

「ヤバい・・・ウルトラマンが2人掛かりで歯が立たないじゃないのよ・・・。」

「一体どうすればいいって言うの・・・。」

 

ミコ、マコ、サチコの3人が悲痛な顔で口を出す。その時、耳がいいミサオの耳に何かが聞こえてきた。

 

「待って‼︎何か来る‼︎」

「えっ⁉︎ノイズラー、それってどういう事⁉︎」

 

その時、2人のウルトラマンの後ろからグリーザに向かって光線が放たれた。グリーザは即座にバリアで光線を防ぐ。

 

「何?今の光線は⁉︎」

「⁉︎アレは・・・皆さん、アレを見て下さい‼︎」

 

5人の怪獣娘がナナの指差した方向を見るとそこにはかつてゼットが倒したゴルザ、メルバ、超コッヴのが合体して生まれた超合体怪獣『トライキング』がいた。

 

「グオオオオオオオオクワアアアアアアアア‼︎」




デッカー劇場版まであと一息ですね‼︎早く見たいものです・・・それも映画館の大スクリーンで!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の使命(中編)

お待たせして申し訳ありません。
今年の3月に入って初の投稿です‼︎


ゼットとジードがグリーザに苦戦している中、ヘビクラは現場に到着していた。2人のウルトラマンが翻弄されている様を見たヘビクラは苦い表情で呟く。

 

「あ〜、苦戦してやがる・・・仕方ねえ、手伝ってやるか。」

 

ヘビクラはダークゼットライザーを構え、引き金を引くとフェイクヒーローズゲートに突入する。そしてインナースペースの中でアクセスカードを装填する。

 

〈Hebikura Access Granted〉

 

続いてヘビクラは怪獣メダルを取り出した。それはカブラギが落としていったゴルザ、メルバ、超コッヴのトライキングを構成する怪獣のメダルだった。ヘビクラは3枚のメダルをダークゼットライザーに装填する。

 

「ゴルザさん、メルバさん、超コッヴさん。」

 

〈GOLZA〉、〈MELBA〉、〈SUPER C.O.V.〉

 

「闇の力、お借りします。」

 

TRY KING

 

全てのメダルを読み込ませたヘビクラはダークゼットライザーを上に掲げる。そしてヘビクラの体は光に包まれ、トライキングへと変身する。そしてヘビクラが変身したトライキングは登場と同時にグリーザに超音波光線を放った。しかし、グリーザはそれをバリアで防ぐ。

一方でかつてトライキングと戦ったゼットとハルキ、そしてミコ達怪獣娘は以前戦った怪獣が再び現れた事、突然現れたトライキングがグリーザ攻撃を仕掛けた事に驚いていた。

 

『あ、あれは・・・あの時の合体怪獣⁉︎』

「嘘でしょ⁉︎何でこんな時に⁉︎」

「あの怪獣、結構手強い奴でしょ・・・タイミングが最悪じゃない・・・。」

「い、いや⁉︎あの怪獣、グリーザに攻撃を仕掛けましたよ‼︎」

「な、何であの怪獣が・・・⁉︎」

『まさか・・・手伝ってくれるのか⁉︎』

 

2人のウルトラマンが驚く中、トライキングは腹から何発もの光弾を放ちながらグリーザに向かって突進していく。グリーザはバリアを張って光弾を防いだ。トライキングはそのままグリーザに接近して引っ掻こうとするがこれも受け流されてしまう。2人のウルトラマンもグリーザに向かっていく。2人のウルトラマンが接近した時、グリーザは体を揺らしながら周りに怪音波を放った。グリーザに接近した2人のウルトラマンは怪音波に頭を抑えながら苦しみがる。

 

「ジェアアッ・・・‼︎」

「うう"う"う"・・・何これ・・・‼︎」

「頭が・・・頭がぁぁぁぁ‼︎」

「ノイ、ちょっと‼︎アンタ大丈夫⁉︎」

「・・・・・・。」

「大変です‼︎ノイズラーさんの意識が‼︎」

 

怪音波はウルトラマンだけでなく彼らの戦いを間近で見守っていたミコ達をも襲う。特に聴覚がいいミサオに至ってはかなりのダメージとなったらしく白目を剥いて気絶していた。ナナがミサオを介抱する中、トライキングの中のヘビクラも苦虫を噛み潰した顔になる。

 

(ぐっ・・・無茶苦茶な野郎だな‼︎だったら‼︎)

 

ヘビクラはレイキュバス、ガンQの怪獣メダルを取り出してダークゼットライザーにセットする。

 

「ガンQさん‼︎レイキュバスさん‼︎闇の力、もうちょっとお借りするぜぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

〈GAN-Q〉、〈REICUBAS〉

 

FIVE KING

 

新たに2枚の怪獣メダルが読み込まれ、トライキングの右腕にレイキュバス、左腕にガンQが装備される。トライキングは2体の怪獣が追加され、超合体怪獣『ファイブキング』に変貌するとガンQの左腕に力を集めてグリーザに飛び込む。

 

(これでも食らえ‼︎)

「あの怪獣、一体何をするつもり⁉︎」

 

ファイブキングの左腕がグリーザに接触し、そのままその体を吸い込もうとする。ヘビクラはガンQのあらゆる物を吸い込む力を利用してグリーザを吸い込もうとしたのだ。

 

(凄い‼︎グリーザを吸い込もうとしてる‼︎)

「これならいけるかも‼︎」

『いや、駄目だ‼︎』

 

しかし、グリーザの力はヘビクラの予想を遥かに超えていた。ハルキとミコの喜ぶ声とは裏腹にグリーザが張ったバリアがファイブキングを弾き飛ばした。それを見たジードは自身のカラータイマーに手を当てた。するとジードから何か小さい光が溢れてそれが手のひらに渡る。

 

『ハルキ君‼︎』

 

そしてジードはそのままその光をゼットのカラータイマーに明け渡した。ハルキは思わずその光を掴む。すると光はジードのウルトラメダルと化していた。

 

『もしもの時はそれを使って‼︎』

(ジード先輩、何するつもりなんですか⁉︎)

『宇宙の穴を塞ぐにはそれを縫う針が必要なんだ‼︎そしてその針はあの中にしかない‼︎』

 

ジードはウルトラゼットライザーを手に取るとそのままグリーザに向かっていく。そしてグリーザの体をこじ開けようとする。

 

(リク先輩‼︎)

 

ゼットは思わずジードに駆け寄ろうとする。その時、グリーザの中にジードが飲み込まれる。そしてその瞬間、グリーザは第一形態の姿に戻ると同時に周りに大きな衝撃波を放った。

 

(リクせんぱああああああい‼︎)

 

ゼットはその衝撃波に吹き飛ばされて地面に背中をつける。そして起き上がった時にはグリーザの活動は完全に止まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、GIRLS東京支部の講義室でハルキ達が重苦しい表情になって集まっていた。全員が沈黙している中、顔に痣が出来たヘビクラが入ってくる。

 

「よお。」

「ヘビクラさん、それ‼︎一体どうしたんですか⁉︎」

「ん?ああ、転んでちょっとな。それより状況はどうなってる?」

 

ヘビクラの言葉を聞いたトモミは重い表情でスクリーンに活動停止し第一形態に戻ったグリーザの映像を映し出す。

 

「恐らくですが・・・もう1人のウルトラマンが怪獣と同化する事で一時的に怪獣の動きを停止させていると思われます。」

「お、おい‼︎それって・・・またあの怪獣は動き出すって事か⁉︎」

「そんな・・・ウルトラマン2人がかりでも勝てなかったのに・・・。」

「ええ・・・そう考えて間違いないでしょう・・・また、怪獣の中でウルトラマンの反応がどんどん小さくなっていきます。恐らくですがウルトラマンは怪獣と完全に同化し吸収されていると思われます。このまま続いたらあのウルトラマンは消えてしまうでしょう・・・。」

「ウルトラマンゼットが‼︎・・・・・・きっと倒してくれますよ・・・。」

「そのゼットも負けただろ。」

「ええ、この怪獣はこれまでに現れた怪獣とは余りにも比べ物にならない怪獣よ・・・。まさしく史上最大の危機ね・・・。」

 

ランの呟きと共に全員が沈黙してしまう。数分間沈黙が続くとトモミが場の空気を変えるべく口を開いた。

 

「と、兎に角・・・これから世界各国のGIRLS支部の知識を持ち合ってあの怪獣への対抗策を考えます‼︎皆さん、何か知らせが出るか、怪獣に何か動きが出るまでは待機でお願いします‼︎」

「・・・・・・了解・・・。」

 

 

 

 

 

 

結論が出ないままグリーザの対策会議が終わり、ハルキは外に出ようとしていた。そんなハルキをミコが呼び止める。

 

「ハル、何処行くの?」

「・・・・・・。」

 

ハルキは一瞬目をミコに向けるとそのまま黙って外に出ようとする。その時、ミコはハルキの前に立ち、彼の行く先を塞いだ。その後ろからマコ達がやってくる。

 

「まさか・・・1人であの怪獣と戦うつもり?」

「・・・放っておける訳ねえだろ。このままじゃ世界が無に飲み込まれちまうんだぞ・・・それに・・・奴はリク先輩を吸収してる・・・放っておけばリク先輩は・・・。」

「だからって1人で突っ込んで勝てる訳ないでしょ‼︎・・・バカじゃないの・・・。考え無しに挑んだって勝てる訳ないじゃない・・・アンタそれでもウルトラマンなの⁉︎」

「煩えな‼︎そんな事はな‼︎戦った俺が1番よく分かってんだよ‼︎あいつに・・・グリーザに全く歯が立たなかった‼︎目の前でリク先輩がグリーザに吸収されるのを止める事が出来なかった‼︎奴に全く歯が立たなかった悔しさを俺が知らない訳ねえだろ‼︎」

「ちょっ、ちょっとミコ、ハルキ、アンタ達落ち着きなさいよ‼︎」

「あわ・・・あわわ・・・。」

「は、ハルキ・・・ガッツさん・・・ねえノイ・・・アタシ、どうしよう・・・。」

「い、いやアタシに言われても・・・。」

 

ミコに怒鳴られ、グリーザに勝てなかった事の悔しさがここに来て爆発したハルキは彼女と言い争いになる。思わずマコが2人の仲介に入るも中、言い争いは止まる気配がない。2人の怒声にナナは怯え出し、あたふたするサチコとどうすればいいか悩むミサオの後ろに隠れる。

 

「知らないよ、そんなの‼︎わたしは如何なる戦いにも負けた事がない無敵のガッツ星人だよ‼︎負けた時の悔しさなんて・・・そんなもん分かる訳ないじゃん‼︎」

「言ったな‼︎お前、自分が如何なる戦いに負けたことがないっていうんなら・・・あの怪獣に勝てるんだよな⁉︎」

「勝てるよ‼︎勝てるに決まってるじゃん‼︎」

「そこまで言うんだったらお前、あの怪獣に勝ってみろ‼︎」

「望むところだよ‼︎」

 

お互いムキになったハルキとミコの喧嘩がようやく収まるとミコはハルキに背を向けて外に出ていく。ミコは外に出てしばらく歩いていると冷静に返って頭を抱えてため息をついた。

 

「バカだ・・・わたし・・・意地張って・・・とんでもない事言っちゃった・・・。負けた時の悔しさとか・・・そんなの以前経験してるのに・・・。」

 

ミコはウルトラマン2人がかりで勝てなかった存在にたった1人で立ち向かおうとハルキを止めるつもりが最初ハルキがだんまりを決め込んだ事と自分達を頼ってくれなかった事への怒りとグリーザへの恐怖、色々な物が立ち込み、最終的に喧嘩になってしまった事を非常に後悔していた。

 

「・・・あそこまで言ったんじゃ・・・引き下がれないよね・・・。」

 

ミコは先程の自身の発言を思い出し、意を決するとそのまま何処かへ向かっていった。

 

「ちょっ、ちょっとミコ‼︎」

「は・・・ハルキ・・・。」

「やっちまった・・・最低だ・・・俺・・・。」

「い、いや、ムキになったアンタも思う事はあるけど・・・ガッツさんだって悪いよこれは‼︎」

「ザンの言う通りだ。ハルキ、後でちゃんと話し合って仲直りしとけ。」

「私達もいざと言うときは力を貸すから。」

「ああ・・・ありがとな、3人とも。」

 

その頃、ハルキ達も重い空気になっていた。マコがミコの後ろ姿を追う中、中学生達がハルキを慰める。ハルキも幾らか表情か戻ったと思えば突然目の前でヒーローズゲートが開く。

 

「うわあっ⁉︎」

「・・・ゼットさん?悪い、少し行ってくる。」

 

驚くミサオの横でハルキはヒーローズゲートに入っていく。その姿をマコ達は見送った。しかし、彼女達は後ろから突然聞こえてきた物音を聞いて後ろを振り返る。するとそこにはヘビクラを除いたトモミ達いつものメンバーがいたのだ。先程の物音はミクが缶ジュースを落とした音だったのか彼女の足元で缶が転がっている。

 

「あ、アンタ達⁉︎」

「ハルキさんが・・・消えた⁉︎これってどういう事⁉︎」

「こ、これは・・・その・・・。」

 

マコと中学生3人はお互い顔を見合わせる。そしてもう言い逃れ出来ないと思うと意を決して口を開いた。

 

 

 

 

その頃、自身がヒーローズゲートに入るところを見られたと知らないハルキはゼットと対面していた。ゼットの方も重苦しい感じになっている。

 

『ハルキ・・・ミコとの事で・・・色々と大変なのは分かってる・・・けど、今はグリーザが優先だ。』

「・・・はい。」

 

ハルキはメダルホルダーからジードのウルトラメダルを取り出す。ハルキは手元のジードメダルを見つめていた。

 

「あの時、俺達の手は届かなかった・・・。」

『グリーザは宇宙の穴・・・無そのものだ。その穴を縫う針は無の中にしかない。』

「それってグリーザの向こう側って事ですよね⁉︎じゃあ早く針を見つけてリク先輩を助けないと‼︎」

『そんな簡単じゃない。無に飲み込まれないためには理屈を超えたパワーが必要だ。それこそゼロ師匠とジード先輩、後は先輩のウルトラヤバい父親『ウルトラマンベリアル』のメダルを組み合わせるとかな。』

 

ゼットの声を聞いたハルキはメダルホルダーからメダルを全て取り出してゼットに見せる。

 

「この中にそれは⁉︎」

『無い。そもそもベリアルのメダルなんて存在しない。』

「じゃあ・・・無理じゃないですか・・・。」

 

ハルキは暗い顔になって呟く。ゼットとの話し合いが終わり、ヒーローズゲートから出るとそこにはトモミ達の姿があった。彼女達が目の前にいた事に驚きを隠さずにいる。

 

「な、ピグモンさん達⁉︎何でここに⁉︎」

「・・・・・・ハルハル、マコマコ達から話は全て聞かせてもらいました。まさか・・・ハルハルが・・・。」

「ハルキさん、詳しい話を聞かせてください・・・。」

「今はそいつよりグリーザだろ。」

 

厳しい目を向けるトモミとアキの言葉を聞いてハルキは全てを話そうとする。その時、ハルキ達に何者かが声を掛けてきた。そこには魔人態となったジャグラスジャグラーがいた。

 

「あ〜、アンタは‼︎」

「この前現れたあの時の‼︎」

「トゲトゲ星人‼︎」

「話は全て聞かせてもらったぜ。」

「あの中の声が聞こえたのか⁉︎」

「生憎地獄耳でな。グリーザを何とかする方法があるぜ。」

 

ジャグラーの言葉を聞いてハルキは目を見開く。数分間悩むとハルキはジャグラーの元に向かう。そんなハルキの肩を掴んでマコが呼び止めた。

 

「ちょっと待って‼︎こんな胡散臭い奴の話を聞くの⁉︎」

「・・・仕方ねえだろ。少しでも可能性があるなら・・・行くべきだと思う・・・。」

 

ハルキはマコの制止を振り払うとトモミ達に向き合う。そして彼女達に向かって口を開いた。

 

「申し訳ありません・・・後で全てを説明します。だから・・・行かせてください・・・グリーザを倒せる唯一の可能性なんです・・・。」

 

ハルキの真剣な表情にトモミは少し考える。数秒間の沈黙が続くとトモミはハルキに向き合った。

 

「・・・・・・分かりました。ハルハル、必ず帰ってきて下さいね。マコマコ、ハルハルに付いて行ってあげて下さい。」

「・・・分かったわ。」

 

ジャグラーが歩き出すと共にハルキはマコと共に彼の後についていく。ジャグラーの後についていくとその先にはなんとミオがいた。ミオはジャグラーの姿を見て顔を顰める。

 

「・・・また貴方ね。あら、もう2人いるけど・・・GIRLSね。」

「お、おいこの人は?」

「始まりの怪獣娘。・・・ベムラーの怪獣娘だよ。」

「ええっ⁉︎何でここに⁉︎アンタ、何処で知り合ったのよ⁉︎」

「知り合ったのはつい昨日よ。今日は何の用?」

「奴の居場所を突き止めたんだろ?案内しろ。あの怪獣について奴と話がある。」

「・・・調査対象の事を他人に教えるのは探偵として駄目だけど・・・今回は仕方なさそうね。」

 

ミオは諦めるとその場から歩き出す。その後をジャグラー達もつけて行った。

 

 

 

 

数時間後、カブラギに寄生したセレブロは何処かの廃工場で何かの開発を進めていた。そんな中、ミオの案内でここにやってきたハルキが突撃してくる。

 

「動くな、GIRLSだ‼︎」

 

カブラギは手元の銃を発砲しながらハルキに向かって突撃する。ハルキは隠れながらカブラギに近づくとお互いの腕を抑え合う。そしてカブラギに蹴りを入れて距離を取るとファイティングポーズを構える。カブラギも発砲しようとした瞬間、ガッツ星人とベムラーに背後を取られる。そして乱入してきたジャグラーが剣を突き立てた。

 

「昨日はどうも♪」

「ノックくらいしろよ。」

 

カブラギは近くの椅子に座らされる。ジャグラーが剣を突きつけながら言葉を発した。

 

「驚いたよな、セレブロ。お前のブルトンを倒したらあんなのが出てくるなんてよ。」

「は?お前のブルトン・・・って⁉︎」

「まさか・・・あのブルトンを出現させたのはアンタだっていうの⁉︎」

「ええ、彼の言う通りよ。私もこの男を尾行して見たもの。ブルトンを出現させる瞬間を。」

 

ミオの言葉にハルキとマコは驚きを隠さない。そんな2人を横にジャグラーは剣を突きつける。

 

「このままじゃ地球ごとあいつに消されてお前の遊びも終わっちまうぞ。」

「アハハハハハハハハハ‼︎アハハ‼︎アハハハハハハハハハハハハ‼︎遊び⁉︎遊びって・・・アハハハハハハハハ‼︎・・・何が言いたい?」

「ベリアルのメダルを渡せ。」

 

ジャグラーが剣を突きつけながら要求するとカブラギは俯いてハルキとガッツ星人、そしてベムラーに目を向ける。

 

「早くしろ、このままじゃゲームオーバーだ。」

 

ジャグラーの言葉を聞いたカブラギはハルキの腰のメダルホルダーを確認する。そしてベリアルメダルを放り投げるとその場から消える。

 

「へ?アイツ、何処に行ったの⁉︎」

「・・・また追跡しなきゃいけないようね。」

「ほらよ、ベリアルメダルだ。」

 

ハルキはジャグラーからベリアルメダルを受け取る。メダルを受け取ったハルキはマコと一緒にジャグラーとベムラーを問い詰める。

 

「おい‼︎今の誰だよ⁉︎セレブロとか言ってたけど・・・。」

「何でGIRLSの制服を着てるの⁉︎というかベムラーさんは何であの怪しい奴と顔見知りなのよ⁉︎」

「まさか・・・グルって訳じゃ・・・。」

「んな訳ねえだろ‼︎コイツに至ってはGIRLSのある人物から依頼を受けて奴を追跡してるだけだ。」

「え⁉︎ある人物って誰ですか⁉︎」

「大丈夫、その話は後でするわ。今は一刻を争う筈。貴方がやるべき事を優先して。」

 

ベムラーはそのまま部屋を立ち去っていく。するとハルキは今度はジャグラーに視線を向ける。

 

「後で説明してもらうからな。」

 

ゼットライザーを取り出したハルキは引き金を弾いてヒーローズゲートを開くとその中に突入する。ガッツ星人がそれを見送るとジャグラーも何処かへ姿を消そうとする。

 

「じゃあ・・・後は任せたぜ。」

「は?こらぁぁ‼︎待ちなさいよ‼︎」

 

ガッツ星人の叫びも虚しくジャグラーはあっという間に姿を消した。そして誰もいなくなった空間に辺りを見回す姿だけが残った。




喧嘩シーンは結構賛否両論出そうですがそれを覚悟で書きました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

戦士の使命(後編)

次回、恐らく怪獣娘Zの中で最初で最後になるかもしれないオリジナル回をやります‼︎


「ゼットさん、これ‼︎」

『ベリアルメダル⁉︎一体誰が⁉︎』

「それより、今はこれを使ってグリーザをぶっ飛ばし、リク先輩を助けましょう‼︎」

 

インナースペースに突入したハルキはゼットにベリアルのウルトラメダルを見せる。光の国最大の犯罪者である以上、絶対に存在する筈のないウルトラメダルが実在していた事に驚くゼットの疑問を軽く流したハルキはメダルホルダーからジード、ゼロのメダルを取り出す。すると手のひらに乗せた三昧のメダルが光り出した。光が収まると三枚のメダルは縁が金色になっており、ゼロとベリアルの絵に至ってはそれぞれの強化体である『ゼロビヨンド』、『アトロシアス』の姿になっていた。

 

「ウルトラメダルが変わった⁉︎」

『ライバル同士のメダルが共鳴したんだ‼︎ハルキ、ウルトラフュージョンだよ‼︎』

「はい‼︎」

 

ハルキはゼットライザーを構え、強化体であるライズメダルとなったゼロビヨンド、ジードのウルトラメダルをセットする。

 

「ゼロ師匠‼︎ジード先輩‼︎」

 

続いてハルキはベリアルアトロシアスのメダルをゼットライザーに装填しようとする。するとメダルからまるでゼットライザーに装填されるのを拒むかのように電撃が迸った。

 

「なっ⁉︎メダルが入らない⁉︎」

『これがベリアルの力か‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『う・・・ここは・・・無の中か・・・。』

 

ハルキがベリアルメダルを手にした頃、グリーザの中のジードは意識を取り戻していた。ジードは何もない周りを見渡している。すると彼方の奥に何か光り輝く物が見えた。

 

『あ・・・あれが・・・宇宙の針か・・・。』

 

ジードが思わず手を伸ばした時、ジードの光の一部が光り輝く何かに向かっていく。その時、グリーザの笑い声のような叫び声が聞こえてきた。

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎」

『マズい・・・グリーザが・・・動き出す・・・。』

 

 

 

 

 

その頃、GIRLSではグリーザが再び活動を再開しようとしているのが探知されていた。光り出す第一形態の姿にピグモン達が焦りを見せる。

 

「皆さん、大変です‼︎あの怪獣が動き出そうとしています‼︎」

「ええっ⁉︎そんな‼︎」

「ヤバいヤバい‼︎ハルキさん、何処に行ってんの⁉︎」

「皆‼︎」

 

本部で慌てる彼女達の元にガッツ星人(マコ)がやってきた。アギラは思わず彼女にハルキの事を訊ねる。

 

「マコ‼︎ハルキさんはどうしたの⁉︎」

「詳しい話をすると長くなるから省くけど・・・グリーザに対抗できる力は手に入ったみたい‼︎」

「じゃあ・・・後はハルキさんに・・・。」

「ちょっと‼︎見てあれ‼︎」

 

ミクラスがモニターを指差しながら驚いた顔をしている。ミクラスの顔を見て全員がモニターに目を向けるとそこにはグリーザに向かっていくガッツ星人(ミコ)の姿が写っていた。

 

「え⁉︎が・・・ガッツ⁉︎」

「一体何してるの⁉︎」

「と、兎に角連れ戻さないと‼︎」

「私に任せて。」

「うおっ、ゼットンさん⁉︎」

 

いつの間にか彼女達の後ろに回り込んでいたゼットンに誰もが驚く。ゼットンはモニターに視線を向けてピグモン達に目を向けると口を開いた。

 

「ガッツの事は私に任せて・・・必ず連れ戻すから・・・。」

「待って下さい‼︎ボク達も行きます‼︎」

「・・・分かった・・・付いてきて。」

「ちょ、ちょっと待ってアギラ‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)が止める前にアギラはゼットンと一緒にその場から消えてしまう。それを見たガッツ星人(マコ)はモニターに目を向けると静かに呟いた。

 

「わたしも行くわ。」

「ええ⁉︎マコマコも⁉︎」

「ええ・・・ハルキとミコの喧嘩を止められなかったわたしにも責任があるもの・・・。」

「・・・だったらワタシも行きマス‼︎見過ごせマセンから‼︎」

「分かりました・・・マコマコ、キンキン、後をお願いします‼︎その代わり・・・絶対に生きて帰ってきて下さい‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)とキングジョーはピグモンに向かって頷く。そしてガッツ星人(マコ)はテレポートでキングジョーを連れてその場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

その頃、ガッツ星人(ミコ)は光り出すグリーザに真正面から向かっていった。無に飲み込まれるかもしれないという恐怖から少し彼女の体は震えている。

 

「・・・⁉︎・・・嘘でしょ・・・わたしが恐怖を感じるなんて・・・。」

 

その瞬間、グリーザは大きく光り出し、第二形態へと姿を変える。ゆらゆら揺れるその体からは取り込んだジードの姿が浮かび上がった。

 

「アハハハ‼︎アハハハハハハ‼︎レッキングバーストォォォォォォ‼︎」

 

その時、グリーザからジードの必殺光線であるレッキングバーストが放たれる。グリーザはウルトラマンジードを取り込んだ事でジードの力が使えるようになっていたのだ。腕を十字に組んで放たれた強力な光線が街を焼き尽くす。その瞬間を見てガッツ星人(ミコ)は更に体を震わせた。

 

「・・・・・・このくらいなんて事ない・・・ないんだから‼︎」

「ガッツ‼︎」

 

その時、彼女を呼ぶ声が聞こえてきたと同時にガッツ星人(ミコ)の体はアギラ達に抑えつけられる。ガッツ星人(ミコ)は突然自分を抑えつけてきた彼女達に戸惑いながらも振り払おうとする。

 

「離して‼︎離してよ‼︎」

「駄目だよ、ガッツ‼︎ボク達が勝てる相手じゃないよ‼︎」

「離して、アギ、マコ、おジョー‼︎ハルにあんな事言っちゃった手前、もう引き返せないんだから‼︎」

「馬鹿‼︎意地張ってじゃないわよ‼︎」

 

必死に彼女達はガッツ星人(ミコ)を引き止める。しかし、騒がしい下の様子に気付いたのかグリーザは彼女達を確認するとそのままこちらに向かってくる。圧倒的な力と得体の知れなさを併せ持つグリーザがこちらにどんどん近づいて彼女達は恐怖を感じる。

 

「ひっ⁉︎」

「こ、こちらに近付いてきてマス・・・。」

「こ・・・来ないで・・・‼︎」

 

アギラの呟きも虚しくグリーザは彼女達までもを飲み込み無に返そうとこちらに迫って来ていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルキはインナースペースでスロットに入るのを拒絶するベリアルアトロシアスメダルを装填するのに苦戦していた。その時、ゼットの口から彼を焦らせる言葉が聞こえてくる。

 

『グリーザが動き出した‼︎しかも・・・ミコ達もいるぞ‼︎』

「なっ⁉︎・・・このままだとミコ達が‼︎急がないと‼︎」

 

ハルキは今まで以上に力を入れてメダルを入れようとする。しかしハルキが更に力を入れた事を察したのかメダルの方も更にエネルギーを放ち、装填部分に入るのを拒否していた。その時、ハルキの手にゼットの手が重なった。

 

『ハルキ、力を合わせて闇を飲み込むぞ‼︎』

「はい‼︎」

 

ハルキはゼットと力を合わせてメダルを押し込もうとする。メダルの方も必死に抵抗するがやがてハルキとゼットに押し負けていく。

 

「『うおおおおおおおおおお‼︎』」

 

そして遂にメダルがゼットライザーの装填部分に入った。ハルキはすかさずゼットライザーにメダルを読み込ませる。

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ハルキがゼットライザーを掲げ、今まで以上に気合いを入れて叫ぶ。するとメダルの元となった3人のウルトラマンが飛び回った後に一点に光が集中する。そして一点の光から最強の姿となったウルトラマンゼットが現れた。

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

 

 

 

その少し前、ガッツ星人(ミコ)はアギラ達の制止を振り切り、震えながらも視線をグリーザに向けていた。しかし、そんな彼女もこちらに迫るグリーザに対して震えが激しくなり始める。アギラはそんな彼女の手を取って引っ張った。

 

「ガッツ‼︎何してるの‼︎早く逃げるよ‼︎」

「離して‼︎わたしが・・・わたしがあの怪獣を‼︎」

「駄目よ‼︎このままだとわたし達も‼︎」

「無に飲まれてしまいマス‼︎」

「フヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎」

 

アギラがガッツ星人を抑える中、グリーザは既に彼女達に接近している。そしてそのまま怪獣娘達を飲み込もうとする。

 

「来マス‼︎」

「うわああああああああ‼︎」

 

その場にいた誰もが自身の最後を悟り、頭を伏せた。その時、黄金の嵐がグリーザの行手を阻む。黄金の嵐はグリーザの体からジードを吹っ飛ばし、グリーザを後退させる。

 

「何⁉︎」

「ジードがグリーザから離れた⁉︎」

「黄金の嵐⁉︎」

 

怪獣娘達が黄金の嵐に目を見据える。嵐が収まり、全体的に赤、青、金、銀のカラーリング、頭に3本のスラッガー、肩に装甲を纏ったアルファエッジが進化したような姿のウルトラマンが姿を見せる。ウルトラマンゼット最強の姿『デルタライズクロー』が誕生した瞬間であった。

 

「ウルトラマンゼット・・・なの?」

「新しい姿になってる・・・。」

「カッコいいデス・・・。」

「ハル・・・。」

 

アギラとキングジョーがその姿に見惚れる中、ゼットは彼女達に目を向ける。ガッツ星人(ミコ)はゼットと目が合い、その姿を見つめていた。ゼットは怪獣娘の無事を確認するとジードに目を向ける。ジードが頷いた事でゼットは再び正面を向き、グリーザに向かって突撃した。

 

「ジェアッ‼︎」

 

ゼットの電撃を纏った拳がグリーザに激突する。グリーザはゼットの拳を受けて後ろに下がるとゼットに向かって真っ直ぐ飛んできた。

 

「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎」

 

そのまま頭突きしようと勢いをつけてゼットに向かっていく。ゼットはグリーザの頭を抑えるとそのまま電撃を纏った蹴りでグリーザを吹っ飛ばす。そしてグリーザに急接近し、何十発ものパンチを浴びせながら前に飛び出した。

 

「ジィアッ‼︎」

 

そして最後の1発とばかりに放った力を込めた拳を受けてビルを貫通していく。理屈を超えた力を秘める最強の姿となったゼットの拳は無であるグリーザ相手でも攻撃が通じるようになったようだ。

 

「ジャッ‼︎ジィアッ‼︎」

 

そのまま拳を2度放ち、膝蹴りからのストレートパンチでグリーザを後退させる。今のゼットの戦いを見たジードが叫ぶ。

 

『ゼット、さっき無の中で何かが生まれるのを感じた。今の君達なら針を取り出せる筈だ‼︎』

 

その言葉を聞いたゼットはゼットライザーを構えてグリーザに突撃する。そしてゼットライザーをグリーザの胸に突き付け、そのまま割れ目を作っていく。そしてグリーザの中に飛び込むと無の中で何かを掴む事に成功する。何かを掴んだゼットはそのまま力づくで何かを引き抜いていく。そしてグリーザから飛び出た何かを見てジードが驚いた声を上げた。

 

『ベリアル⁉︎』

 

そう、それは彼の父親であるウルトラマンベリアルの顔をしていたのだ。しかし、ベリアルの顔をした何かが引き抜かれていく中でそれがベリアルとは違う事を察する。それはベリアルの顔が付いた剣だったのだ。それを見て怪獣娘達が驚く中、ベリアルの顔が付いた剣を見てジードは剣の正体について考察した。

 

「な、何あれ⁉︎」

「顔が付いた剣⁉︎しかも・・・怪獣の中から⁉︎」

「どうなってんの⁉︎」

『あの無の世界に僕のベリアル因子が触れて新たな宇宙の針が誕生したのか‼︎』

『これが宇宙の穴を縫う針か・・・グリーザを・・・穴を塞ぐぞ‼︎』

(はい‼︎)

 

ゼットはそのまま剣を構える。しかし、何と剣が勝手に動き、地面に突き刺さった。これにはゼットもハルキ共々戸惑う。

 

(ええっ⁉︎動いたぁ⁉︎)

『コイツ、勝手に地面に刺さって・・・抜けない‼︎』

『俺様を手にしてお前は何をする?』

(剣が喋った⁉︎)

 

意思を持つ魔剣『ベリアロク』はハルキの驚きの声を無視して首を開く。

 

『俺様は斬りたい時に斬りたいものを斬る‼︎』

『この野郎、速やかに抜けやがりなさいよ‼︎』

(・・・待って下さいゼットさん‼︎少し考えてみればこれから一緒に戦う仲間になる以上、挨拶はしておきましょうよ‼︎俺はハルキ、冬河ハルキ‼︎これからよろしくな‼︎)

 

ハルキの自己紹介を聞くとベリアロクはハルキを少し認めたのか彼に問い掛けた。

 

『もう一度聞く!俺様を手にしてお前は何をする?』

(アイツは存在しちゃいけない宇宙の穴・・・俺達で協力して宇宙の穴を塞ぐぞ‼︎力を貸してくれ‼︎)

『宇宙の穴か・・・面白い‼︎斬ってみるか‼︎』

 

ベリアロクは自身を地面から引き抜く。そしてゼットがベリアロクを手にグリーザに向かって構えた。その時、グリーザの裂けた胸が再生する。そして周りに光球を作り、光球と胸から光線が放たれた。ゼットはベリアロクを構える。

するとベリアロクが全ての光線を飲み込み、グリーザに返した。グリーザは新たに光球を作り迎え撃とうとする。しかし、返された光線はグリーザの光球全てをグリーザもろとも打ち落とした。

 

「デュワッ‼︎」

 

そしてそのままゼットはベリアロクで斬り付ける。グリーザはゼットが手に持つそれが自身に間違いなく効くものである事を理解しているのか確実にゼットの斬撃を避ける。そしてゼットの後ろに回り込むと手刀でゼットを攻撃する。

背中からの攻撃を受けて怯んだゼットはすぐに体勢を立て直して後ろに向けてベリアロクを振るう。1度めの斬撃は避けられるがベリアロクを突き立てるとグリーザは思わず怯む。

 

「ジュワッ‼︎」

 

再びベリアロクを構えるがグリーザの蹴りを受け、ゼットが後退した。その隙にグリーザはゼットを押さえつけようとするがゼットはグリーザを受け流し、その背中をベリアロクで斬りつけた。

ベリアロクで斬り付けられたその背中には大きな裂け目が出来ており、ベリアロクの斬撃が聞いている事が分かる。

 

『よっしゃ、ウルトラ効いてるぞ‼︎』

 

その時、ベリアロクの目が光る。その瞬間をハルキは見逃さなかった。

 

(えっ・・・これは?)

『いくぞ、ハルキ‼︎』

(ああ‼︎)

 

ハルキはベリアロクのスイッチを3回押す。するとベリアロクの目が光り、力が集まる。

 

『デスシウムスラッシュ‼︎』

 

ベリアロクに光と闇の力が集まる。そして力が完全に集まるとゼットはベリアロクでZ字を描きながらグリーザを斬る。自身の苦手な宇宙の穴を縫う針の力には勝てず、グリーザは大爆発する。その様子を見ていた怪獣娘達は大喜びした。

 

「やったぁぁぁぁ‼︎」

「ゼットとハルキが勝ったぁぁぁぁ‼︎」

「全くヒヤヒヤさせて・・・。」

 

皆が大喜びする中、ガッツ星人(ミコ)は何かを思いながらゼットを見つめていた。そしてゼットは空にZ字の飛行機雲を描きながら飛んで行った。

 

 

 

 

 

翌朝、ゼットとハルキに救出されたリクはハルキと向き合っていた。後ろにはミコ達怪獣娘も控えている。

 

「先輩のお父さんのメダルなんですが・・・。」

「それは君が持っててくれ。それとこれも。」

 

リクはハルキに何かを手渡す。それはジードがギャラクシーライジングに変身するのに必要なギンガ、エックス、オーブのメダルだった。

 

「えっ⁉︎いいんですか⁉︎」

「僕の本来変身に使うジードライザーをウルトラマンヒカリが直してくれたから。これは君が使ってくれ。僕はまた別の宇宙にデビルスプリンターを探しに行くよ。」

「別の宇宙に⁉︎」

「困った人達がいたら何処にでも駆け付けて彼らを守る・・・それがウルトラマンの使命だからね。それじゃあまた。」

 

リクは自身のジードライザーに変身に使うカプセルを装填して読み込ませるとそのままウルトラマンジードの基本形態『プリミティブ』に変身する。そしてそのまま飛び去っていった。

 

「ウルトラマンの使命・・・。」

「ハルハル、思いに更けているところ悪いですが・・・詳しい話を聞かせてくれませんか?私達とても気になるんです。」

「あっ⁉︎御免なさい、忘れてません‼︎忘れてませんから‼︎」

 

ハルキは思わずいつも頼りになるミコに視線を向ける。しかし、ミコはハルキがこちらに顔を向けたと知ると思わず顔を逸らす。ハルキはそれを見て昨日のことを思い出し、呟く。

 

「・・・俺は・・・ウルトラマンどころか・・・ヒーロー失格だな・・・。」




ハルキ「ハルキと」

ゼットン「ゼットンの」

ハルキ&ゼットン「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈GEED〉

ゼットン「ウルトラマンジード。悪の戦士ベリアルの息子でありながらその運命に負けず、正義のために戦う正義のヒーローよ。」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈GREEZA〉

ハルキ「宇宙の穴とも言える怪獣。デルタライズクローとベリアロクの力で戦えたんだ。」

ペガッサ星人(サツキ)「次回はわたしが担当します。」

「「次回もお楽しみに!!!」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『ベリアルメダルを持っていた謎の男が放った刺客『ベゼルブ』がGIRLS本部に侵入!ググツという特殊な毒を備えたコイツに何とミコが刺されてしまう!しかも謎の男は解毒剤と引き換えにベリアルメダルを要求してきやがった。待て、ハルキ!冷静になれ‼︎次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


猛毒の罠


ウルトラ怒るぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

猛毒の罠(前編)

またアンケートを設置します。前回の前書きでオリジナル回が今回だけかもしれないという曖昧な表現をした理由でもありますのでどうか確認よろしくお願いします。

宇宙悪魔『ベゼルブ』登場


「持ってる‼︎・・・持ってる・・・持ってる‼︎」

 

グリーザがゼットに倒されてから数日後、カブラギの体に寄生したセレブロは必死にメダル製造機を回していた。とても荒げた声を上げているがこれには訳がある。先日の戦いでベリアルメダルを必要としたジャグラーの強引な要求によってハルキにメダルを奪われてしまったからである。ベリアルメダルは彼の計画に必要なものの為、それを取り返す為に強力な怪獣メダルを作ろうとしていたのだが一向に上手く行かず苛立っていたのだ。

 

「クソ‼︎クソクソクソクソクソぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎あの野郎、よくも俺のベリアルメダルをおおおおおおおお‼︎」

 

苛立ちを隠さず、あたりの物に当たり散らすカブラギ。机に手を叩きつけて悔しそうに息を上げる中、彼は机に置いてあった1つのカプセルに気付く。

 

「待てよ・・・そういえばこのカプセルには・・・。」

 

それは彼がゲネガーグの肉片から回収したある怪獣が入ったカプセルだった。ゲネガーグは宇宙で様々な物を飲み込んでおり、セレブロはカブラギに寄生してすぐ、その肉片からまだ使えそうな物を回収していたのだ。セレブロはカプセルをじっと見つめる。その中には黒い体に赤い目の虫のような怪獣が入っていた。そして机にあったパソコンを開き、何かを調べ始める。

 

「確か・・・アイツ・・・GIRLSの制服を着ていたな・・・もしかしたら・・・。」

 

セレブロは先日、ベリアルメダルを持っていった少年の腰に地球外の物質で出来たホルダーがある事からハルキの正体を見破っていた。そしてハルキがGIRLSの制服を着ていた事からGIRLSに所属していると断定し、データベースに不正アクセスし、ハルキについて調べ始める。そしてそのまま彼について調べる中、ある記述に触れる。

 

「冬河ハルキはガッツ星人の怪獣娘『印南ミコ』とは幼馴染で・・・今でも大変仲がいい・・・これだ‼︎この手があった‼︎コイツを使えば・・・フハハハ・・・ハハハハハハハハ、ハーッハッハッハッハッハッハッハッ‼︎キエテカレカレータァァァァ‼︎」

 

カブラギはカプセルを手に取ると上に掲げて狂ったような笑い声を上げながら高笑いする。カブラギに掲げられたカプセルの中では黒い虫のような怪獣が怪しく目を光らせていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルキは机の資料に映る職員の名簿に気を掛けていた。その隣にはマコもいる。グリーザとの戦いの後、自分とゼットの関係がバレたハルキは全てをトモミ達に打ち明けていた。その中でセレブロと呼ばれるブルトンを呼び出し、ベリアルメダルを持っていた男がGIRLSの制服を着ていた事も全て話したのだ。GIRLS内に怪獣を呼び出して暗躍している敵がいる事を知ったトモミはその男について詳しく知る為に男の顔を見たハルキとマコにその男の顔を探させていたのだ。

そしてハルキとマコは遂に見覚えのある顔を見つける事が出来た。

 

「あった‼︎コイツだ‼︎この顔に間違いない‼︎」

「成る程・・・この人でしたか・・・。」

「ええ、そうよ!この男、カブラギ・シンヤに間違いないわ‼︎」

 

マコがカブラギの顔を指すとトモミは名簿に顔を覗かせ、カブラギに関する一連の履歴について確認し始める。

 

「最近、多岐沢博士の部下の中に様子がおかしくなった人がいるという噂は耳にしていました。どうやら博士からも詳しく事情を聞く必要がありそうですね。」

「俺も行きます‼︎アイツの目が・・・赤く光ってるのを見ました‼︎明らかにこのカブラギという人は普通じゃない‼︎」

「待ちなさい、ハルキ‼︎アンタ、ミコとは仲直りしたの?」

 

ハルキはマコの言葉を聞くと少し表情を曇らせる。その仕草から2人の様子を察したマコはため息をつくとハルキに向き合った。

 

「コイツの事はわたし達で何とかするわ。だから、アンタはさっさとあの子と仲直りしなさい!」

「ええっ⁉︎大丈夫なのか⁉︎」

「アンタは1秒でも早くあの子と仲直りしなさい。あの子、アンタと喧嘩した事、結構気にしてるんだからさ‼︎」

「そ・・・そうか・・・分かった。後は任せる。」

 

ハルキはマコに背を向けるとその場から去っていく。マコはハルキがその場から完全に去った事を知ると小さく呟く。

 

「わたしとあの子は・・・アンタを巡るライバルだけど・・・こんな状況じゃ・・・あの子と勝負出来ないじゃない・・・アンタとミコが本来の距離でこそ勝負が出来るんだから・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ミコは屋上で先日のハルキとの揉め事について考えていた。ミコは暗い顔で街を見ながら罪悪感を抱いていた。

 

(・・・ハルは・・・あんなヤバい奴に真正面から向き合って戦ったのに・・・。わたしと来たら・・・ハルは何度もわたしに向き合おうとしてくれてるのに・・・。)

 

実はハルキはグリーザとの戦いの後も何度かミコに歩み寄ろうとしていたのだ。しかし、ミコはどうしても気まずさを感じてしまい、今まで逃げていたのだ。そして今はそんな今の自分に罪悪感を感じている。

 

「・・・このままじゃ駄目・・・だよね・・・。そろそろ3日は経つんだし・・・ちゃんと謝らないと・・・。」

 

ミコは意思を固めて屋上から建物に戻っていく。そしてエレベーターから出たミコの姿を四角の影から隠れながらカブラギが監視していた。

 

「・・・さぁ・・・ゲーム開始といこうじゃないか・・・。」

 

怪しく笑みを浮かべながら呟くカブラギの手元には怪獣が入ったカプセルを開く。カプセルの中身から光が飛び出すとやがて黒い体に赤い目の虫を思わせる宇宙悪魔『ベゼルブ』に変わっていく。カブラギはベゼルブを解放すると更に邪悪な笑みを見せた。

 

「コシカレカレタ・・・行け、ベゼルブぅぅ・・・。」

「キイイイイイイイ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、調査部を代表してランとレイカがトモミ、マコと一緒に多岐沢の元を訪れていた。理由は勿論、カブラギについて聞き取り調査をするためだ。

 

「・・・そうですか・・・遂にピグモンさん達にも気付かれてしまったのですね・・・。」

「ええっ⁉︎それじゃあ博士は・・・。」

「最初から知っていたのですか⁉︎」

「も、申し訳ありません・・・。ヘビクラ隊長に余計な混乱を防ぐために黙ってろと言われていまして・・・。」

「へ、ヘビクラさんも知っていたのですか⁉︎」

「ええ・・・。ヘビクラさんから言われて私も気になって・・・ミオ君に依頼して今の彼の事を調べてもらったのですが・・・。」

「ミオさん・・・って始まりの怪獣娘の天城ミオさんですか⁉︎」

「ええ、その際、妙なところを目撃したらしいのです・・・?」

「妙な事?」

「ブルトンが現れたあの日、ミオ君はカブラギ君と接触したらしいのですが・・・別の宇宙人がカブラギ君と一緒にいるところを見たらしくて・・・その宇宙人はカブラギ君の事を『セレブロ』と呼んでいたそうです。」

「セレブロって・・・。」

 

マコは多岐沢の証言から先日の出来事を呼び起こす。そして彼女の頭にジャグラーがカブラギの事をセレブロと呼んでいた事を思い出した。記憶を思い出したマコはソウルライザーを開いて1枚の写真を多岐沢に見せる。

 

「それ、バロッサ星人の時に現れたこの宇宙人⁉︎」

「ええ、その宇宙人です‼︎この宇宙人と接触しているところを見たと言ってました‼︎」

「確かに・・・コイツ、この男の事をセレブロと呼んでいたわ‼︎ハルキと一緒に聞いたもの‼︎間違いないわ‼︎」

「調べる事が増えたわね・・・。」

「ここのところ発生する怪獣騒動・・・もしかしたらそれらと関係あるかもしれません‼︎急いでカブラギさんの身柄を確保しましょう‼︎」

 

トモミの言葉にその場にいた全員が頷く。そして彼らの会議を影から聞いていたヘビクラは小さく呟いた。

 

「おいおい・・・完全に勘付かれてるぜ。どうするんだ、セレブロ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ミコは建物の中を歩き回り、ハルキの姿を探していた。無論、ハルキに先日の事を謝るためだ。

 

(う〜ん、どうしよう・・・ハル、家に帰ってないかな・・・。出来ればここにいて欲しいけど・・・家に帰っていたら・・・ハルの家に顔出すの・・・気まずいよ・・・。・・・いやいや、しっかりして印南ミコ‼︎ハルに謝るって決めたじゃない‼︎そんな弱気になってられないよ‼︎)

 

またしても弱気になりそうだったミコは頭を振り回して気を確かに持つ。その時、ミコの後ろからベゼルブが迫っていた。ミコは後ろに感じた違和感に気付くとソウルライザーを取り出して、怪獣娘に変身する。

 

「⁉︎・・・ソウルライド、ガッツ星人‼︎」

 

怪獣娘に変身し、後ろを振り返った彼女の前には2メートルくらいの大きさの虫のような怪獣がいた。ガッツ星人は目の前の怪獣に驚きの表情を見せる。

 

「⁉︎・・・怪獣⁉︎何処から入ってきたの⁉︎」

「キイイイイイイ‼︎」

 

当然、怪獣がその質問に答える訳もなく、ベゼルブがガッツ星人に火球を放ってきた。ガッツ星人は瞬間移動で避けるとベゼルブの後ろに回り込み、飛び蹴りを放つ。飛び蹴りを受けたベゼルブは大きく前に吹っ飛ぶと羽を広げてそのまま何処かへ逃げていく。それを見たガッツ星人はソウルライザーで電話しながらベゼルブを追い掛けた。

 

「ピグっち、こちらガッツ‼︎この建物に小型の怪獣が侵入した‼︎今画像を送るから‼︎」

 

 

 

 

「了解です‼︎画像を確認次第、皆さんに配布し、怪獣の捜索、及び対処に入ります‼︎」

 

トモミはガッツ星人からの連絡を受けて放送室にいる。そしてモニターにガッツ星人から送られたベゼルブの画像を開き、それを直ちにGIRLS東京支部内にいる全ての人員に送る。そして彼女は放送室から全員に呼び掛けた。

 

「皆さん、緊急事態発生です‼︎このGIRLS基地内に怪獣が侵入しました‼︎直ちに対処して下さい‼︎」

『了解‼︎』

「一体どんな奴が・・・⁉︎」

 

ヘビクラはベゼルブの画像を見る度、目を見開かせる。実はヘビクラは以前、このベゼルブと戦った事がある。ジャグラーとしてライバルであるガイと共に戦った最初で最後のファーストミッションにて交戦し、その戦いでヘビクラはベゼルブの持つ特殊な毒に苦しめられ、ガイとの実力に差をつけられ、自身を師匠と慕ってくれた1人の女を失い、挙げ句の果てにガイと決別するきっかけとなったのだ。そのベゼルブがよりにもよってこのGIRLS東京支部に現れた事に汗をかきながら放送室のマイクに手を掛ける。

 

「へ、ヘビクラさん⁉︎」

「いいか、お前ら‼︎その怪獣の尻尾に気を付けろ‼︎そいつの尻尾には毒針がある‼︎そいつに絶対に刺されるな‼︎」

 

トモミは焦りながら怪獣娘に警告するヘビクラの様子に何かざわめきを感じていた。

 

 

 

 

 

 

その頃、ベゼルブはガッツ星人による追跡を受けていた。ベゼルブは今も後ろからガッツ星人が追ってきているのを確認すると方向転換して口から火球を放つ。ガッツ星人は手刀で火球を弾き返した。そのままベゼルブはガッツ星人に突っ込むがガッツ星人は頭を伏せて避ける。そして曲がり角のところで彼女を撒こうとしていた。

 

「逃さないよ‼︎」

 

ガッツ星人は光線を放ち、ベゼルブを打ち落とす。ベゼルブが地面に落ちた事を確認すると彼女は瞬間移動てベゼルブの前に立ち、前蹴りでベゼルブを吹っ飛ばす。

 

「キイイイイイイイ⁉︎」

 

ベゼルブは大きく吹っ飛ぶと壁に激突する。そしてそのまま動かなくなった。ガッツ星人は怪獣を倒してようやくひと段落したと思い、リラックスしながら息を吐く。そこにゼットライザーを持ちながらハルキが走ってきた。

 

「ミコ、大じょ・・・もう終わってたか。」

「ハル・・・。」

 

彼女を心配して駆け付けたハルキは思わずため息を吐く。ガッツ星人はハルキの顔を見ると少し視線を下に落とす。ハルキもガッツ星人の様子を察して思わず目を背けてしまう。2人は2人きりで対面し、お互いに気まずさを感じてそのままその場で数分間黙り込んでいた。先に口を開いたのはミコだった。

 

「ハル・・・。」

「・・・何だ?」

「・・・御免・・・わたし、また自分の事ばかり考えてた・・・。」

「・・・ミコ・・・。」

「わたしさ、いつも言ってるじゃん・・・わたしは如何なる戦いにも負けた事ない無敵のガッツ星人って・・・実際、わたし自身強いって自覚はあるし・・・。でもさ・・・ハルがゼットだって知ってウルトラマンとして戦う度に思ってたんだ・・・。幾ら無敵のわたしでもウルトラマンには敵わないなぁって・・・。」

「・・・・・・。」

「そんな事を思ってる時に・・・グリーザが現れて・・・ハルもリクも負けて・・・あんな勝ち目が無さそうな敵にヤケクソでもいいから1人で戦おうとして・・・わたし達を頼ろうとしてくれなかった事に苛ついちゃったんだよね・・・。」

「ミコ・・・。」

「他にもわたしだったら諦めちゃいそうなヤバい奴を相手に諦めずに立ち向かおうとする姿に・・・嫉妬したり・・・グリーザへの恐怖とか・・・グリーザに怯えちゃった自分の弱さとか色々な感情が混じって・・・あの時それが爆発しちゃったんだよね・・・本当、わたしってば大馬鹿だよ・・・。」

 

ガッツ星人は口を閉じると一瞬、床に視線を向ける。そしてハルキに向かって真っ直ぐ顔を上げた。

 

「ハル、あの時は本当に御免。もし、ハルが許・・・⁉︎」

「ミコ⁉︎」

 

ガッツ星人が改めて謝罪の言葉を口にしようとした時、彼女は途中で口が止まる。ハルキが様子がおかしくなった幼馴染に目を向ける。するとベゼルブが尻尾を伸ばし、その先にある毒針を背中に刺していた。




本編完結後、この作品のハルキとミコが原作のトリガー世界に来る怪獣娘Z版『インター・ユニバース』、『繁殖する侵略』を執筆しようと思っています。
しかし、この後のエピソードZに関しては、トリガーが中心なのもあり、書こうか書かないか悩んでいる最中です。
基本的にクロスオーバーユニバースは劇場版にあたる話はニュージェネレーションクロニクルで『つなぐぜ!願い‼︎』、『きたぞ!われらのウルトラマン‼︎』が三分割されて放送された事から劇場版エピソードをTV放送するなら三分割かと思い、前半、中編、後半に分けてそれぞれを三部構成ずつお送りする予定なのですが・・・このエピソードZに関しては原作の都合上、余りハルキとミコに出番を与えるのが難しいと思っています。
今、自分の中ではエピソードZの代わりにオリジナル回を3つ作り、お送りするのがいいかなとも考えています。

そこで皆さんに聞きたいのですが、皆さんはどちらがいいと思いますか?
①今作のハルキとミコが原作トリガー世界に来る怪獣娘Z版『エピソードZ』をやる
②エピソードZの代わりにオリジナル回を3つやる

あるユーザーの方から魅力的な意見が出たのでアンケートを外します。
どうかご理解よろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

猛毒の罠(中編)

ググツの解毒方法がこの作品ではかなり力づくになりましたが命の種が無いのならこれしか方法が無いと思います。
流石に直接成分を分析すれば解毒剤の開発は可能だと思いますし・・・。


ベゼルブはガッツ星人の背中に尻尾を伸ばし、その先に備えた毒針を突き刺していた。ベゼルブは倒れたフリをして彼女に毒針を刺す機会を伺っていたのだ。尻尾の毒針をガッツ星人に突き刺したベゼルブは彼女に毒を注入し始める。ガッツ星人は痙攣しながら呻き声を上げて苦しんでいた。

 

「う"っ・・・ああ"・・・‼︎」

「ミコ‼︎」

 

尻尾の針が抜けた瞬間、ガッツ星人の体は大きく崩れ落ちる。おまけに変身が解除され、元の印南ミコに戻った。ハルキは思わずミコの元に駆け寄り、彼女の体を受け止めた。

 

「ミコ‼︎おい、ミコ‼︎大丈夫か⁉︎」

「う"・・・う"う"う"・・・あああ"あ"あ"・・・‼︎」

 

毒に苦しむミコにハルキは呼び掛ける。ミコは毒の影響か目が赤くなっており、体を痙攣させながら呻き声を上げていた。そんな彼女の状態を見てハルキは素人ながら危険な状態だと認知した。

 

「これ・・・絶対ヤバいだろ・・・早く医者に見せないと‼︎」

「無駄だぁ‼︎その毒は普通どころか地球じゃ治せないからなぁ‼︎」

 

ハルキが声のした方を振り向く。するとベゼルブの横からカブラギがやってきた。ベゼルブはカブラギが敵ではないと認識しているのか彼を襲うそぶりはない。ハルキはその顔を見て先日の出来事や先程のトモミとの会話を思い出し、顔を険しくする。

 

「お前・・・カブラギ‼︎」

「お前がその名を呼ぶとはな・・・成る程・・・俺が乗っ取ったこの体の持ち主の事を調べたか。」

「乗っ取った⁉︎・・・じゃあ・・・あの時トゲトゲ星人が言っていたセレブロというのがお前の名前なのか⁉︎何のつもりだ⁉︎まさか・・・その怪獣はお前が⁉︎」

 

ハルキの問いにカブラギに寄生したセレブロは顔を大きく歪めてきみ悪い笑みを見せる。その顔に怒りを覚えたハルキは怒りを押し殺して問い掛けた。

 

「お前・・・何でこんな事を・・・。」

「何で・・・だと・・・決まってるだろ・・・お前が・・・お前が・・・俺が作った・・・俺の・・・俺のベリアルメダルを借りパクしたからに決まってんじゃねえかぁぁぁぁ‼︎」

「ベリアルメダルを・・・作っただと⁉︎」

「そうだ‼︎折角朝倉リクを捕らえて奴の膨大なベリアル因子が含まれた血液からベリアルメダルを作ったというのに・・・俺からメダルを取りやがって‼︎」

「あれもお前の仕業だったのか⁉︎」

「そうだ‼︎デビルスプリンターだけではあのメダルを作ることは出来なかった・・・しかし、この地球に朝倉リクの持つ新鮮なベリアル因子がやってきてくれたお陰で・・・ようやくベリアルメダルを作れたというのに・・・突然お前らが現れて奪い取っていきやがった‼︎この悔しさが分かるか‼︎」

「俺への仕返しが目的か・・・だったら俺だけを狙えよ‼︎ミコは関係ない‼︎」

「まぁ待て・・・この女を助けたいんだろ?知ってるぞ・・・そいつはお前にとって大切な幼馴染だもんなぁ・・・。」

 

セレブロは懐から試験管を取り出してハルキに見せる。試験管からハルキに視線を変えると歪んだ笑みを見せて口を開いた。

 

「こいつはベゼルブの毒の解毒剤だ。ベリアルメダルを返せ。そうすればこいつを渡してやる。」

「何?ベリアルメダルを⁉︎」

 

ハルキはセレブロからの選択に戸惑う。目の前の男は明らかに邪悪な意志を持っている。そんな相手にベリアルメダルを渡したらこの先、とんでもない事になると分かっているがこのままでは幼馴染である彼女を助ける唯一の方法が無くなる。そう思うハルキの顔に苦渋の表情が現れた。そんなハルキの様子を見たセレブロは更にハルキを煽る。

 

「いいのかぁ?このままだったらコイツは死んじまうぞ?悩んでる暇があるのかぁ?」

「ぐっ・・・ぐぐぐぐ・・・‼︎」

 

ハルキは目を閉じて更に頭を悩ませる。頭の中のリクのベリアルメダルを託すという言葉と目の前のミコの様子を見て悩み抜き、数十秒後決意を固める。それはハルキにとって苦渋の決断だった。

 

「・・・・・・分かった。ベリアルメダルを返す。だから解毒剤をくれ‼︎」

「ははははははは‼︎それしかないよなぁ‼︎そうだ、いいぞ‼︎ベリアルメダルをこっちに渡せ‼︎」

 

ハルキはセレブロを睨みながらベリアルメダルを投げる。セレブロがメダルを無事にキャッチした事を確認したハルキは解毒剤を催促する。

 

「ベリアルメダルは返した・・・だから解毒剤を渡せ‼︎」

「そう慌てるな。すぐ渡してやるからよ。」

 

セレブロはハルキに解毒剤を差し出した。ハルキは手を伸ばして解毒剤を受け取ろうとする。しかし、ハルキの手があと少しまで近づいて来たタイミングでセレブロは解毒剤から手を離した。解毒剤はそのまま落下していき、試験管が床に落ちて粉々になり、液状の薬が床に零れ落ちる。

 

「ああああ⁉︎解毒剤がぁぁ‼︎」

「おっと、悪いなぁ・・・ついうっかり手が滑って落としちまった‼︎はははははは‼︎」

「セレブロてめえぇぇ‼︎」

「おいおい、そんなに怒るなよ。手が滑っちまったんだから仕方ないだろ。」

「てめえ、しらばっくれんじゃねえぞ・・・今、わざと解毒剤を落としただろ‼︎」

「おいおい、俺に言い掛かりつけてる場合か?愛しの彼女を見てみろよ。」

 

セレブロの言葉でミコに目を向けると彼女は頭を押さえながら床で苦しそうにのたうち回っていた。幼馴染が苦しむ姿を見たハルキはすぐに彼女に駆け寄る。

 

「うう"う"うう・・・ああ・・・あ・・・がああああ"あ"ああああ‼︎」

「ああ‼︎御免、ミコ‼︎大丈夫か⁉︎ミコ‼︎おいミコ‼︎しっかりしろ‼︎」

「あーあ、残念だったなぁ・・・。折角愛しの彼女を治せるチャンスだったのに・・・まぁうっかり落としちまったもんなぁ・・・うっかりだから仕方ないよなぁ・・・。」

「てめええええええ‼︎」

「おいおい殴りかかる事ないだろ?だってうっかり落としちまったんだからよ。」

「ふざけんな‼︎さっきあからさまにわざと落としただろ‼︎てめえ、最初から解毒剤を渡す気なんか無かったんだろ‼︎」

「うあああ"あ"あ"・・・ああ・・・あああああ"!」

「ミコ、ミコ‼︎しっかりしてくれ、ミコぉ‼︎ミコぉ・・・。御免・・・俺のせいで・・・本当に・・・御免・・・。」

 

ハルキがセレブロに殴りかかろうとした時、ガッツ星人の呻き声を上げる。ハルキがミコの呻き声を聞き、彼女に寄り添って呼び掛ける中、セレブロは怪しげに笑う。ハルキの言う通り、実はセレブロは最初から解毒剤を渡すつもりはなかった。セレブロはベリアルメダルを取り返してハルキに仕返しするためにベゼルブを放ったのだ。自身が差し向けたベゼルブの毒をハルキの幼馴染であるミコに注入し、解毒剤とベリアルメダルの交換という名目を作り、ハルキがベリアルメダルを返したタイミングで解毒剤を彼の前で破壊し、ハルキを絶望させる。それがセレブロの目的だったのだ。

苦しむミコの前で涙を見せながら寄り添うハルキの前でセレブロは更に愉快なものを見るような笑い出した。

 

「そう、その顔だぁぁ‼︎その顔が見たかったぁ‼︎大切な人を救おうとしてあと一歩のところで絶望に叩き落とされるその顔が・・・キエテカレカレータ‼︎」

「ミコ・・・ミコ・・・。」

「もうお前の幼馴染は助からない‼︎彼女の命が尽きるのを指を加えて見ているんだな‼︎フハハハハハハハハ‼︎ハハハハハハハ‼︎」

 

セレブロはベリアルメダルを眺めながら姿を消す。セレブロが消えるとベゼルブも羽を広げて何処かへ飛んで行った。そこにいつもの仲間達が駆け付ける。

 

「ハルキ、ガッツ‼︎無事か⁉︎」

「レッドキングさん、それに皆・・・ミコが・・・ミコが・・・‼︎」

 

ハルキの言葉で全員が苦しむミコに目を向けると直ちに全員が駆け寄った。

 

「⁉︎ガッツ⁉︎おい、ガッツどうした⁉︎何があった⁉︎」

「うう"う"う"う"・・・あああ"あ"・・・あ・・・あ"・・・。」

「ハルキさん、ガッツに何があったの?」

「怪獣の毒に・・・。」

「詳しい話は後で聞くから今はガッちゃんを‼︎」

 

 

 

 

 

 

そして全員でミコを医務室に運び、ベッドに寝かせる。ベッドの上でも彼女は苦しそうにのたうち回っていた。

 

「う"う"ううう・・・ぐああ"あ"あ"・・・‼︎」

「・・・という事になってしまって・・・。」

「くそ・・・最悪の状況になっちまった・・・。」

 

ピグモンはヘビクラにハルキから聞いた話の全てを報告していた。無論、ヘビクラが既にハルキの正体を知っているとは思っていないのでその辺りは隠している。ベゼルブの毒の恐ろしさをその身を持って知っているヘビクラは今の状態のミコを見て苦虫を噛み潰した顔をして呟いた。

 

(ベゼルブの毒『ググツ』を治せる唯一の手段である命の種は・・・俺が趣味で始めた盆栽で全部使っちまった・・・このままじゃコイツの命は・・・くそ‼︎どうする⁉︎どうすればいい⁉︎)

 

ヘビクラは血が滲むほど握り拳を作り、今までにない険しい表情をしていた。そのヘビクラの顔が今まで以上に怖い顔だったのかピグモンは少し怯えた顔を見せる。

 

「ヘビクラ隊長・・・少し顔が怖いです・・・。」

「ああ悪い・・・その後、奴の行方は?」

「分かりません・・・ただ、この基地の全ての出入り口を封鎖したので建物の中には確実にいます。」

「絶対に逃すな!何がなんでもとっ捕まえるかもしくは殺せ‼︎これ以上犠牲者を増やす訳にはいかねえ‼︎分かったな‼︎」

「は、はい‼︎」

 

ヘビクラは焦りで怒鳴りながらピグモンに指示を飛ばす。ピグモンもヘビクラの怒鳴り声に戸惑いながら彼の指示を通達するために走っていった。ピグモンが完全に去るとヘビクラは舌打ちして小さく呟く。

 

「セレブロ・・・あの野郎とんでもねえことしてくれたもんだ・・・キッチリ落とし前つけさせてもらうぜ。」

 

 

 

 

その頃、ハルキは廊下の壁を殴り、怒りを抑えていた。そんなハルキをアギラが咎める。

 

「ハルキさん、ここ医務室だよ‼︎」

「ああ、悪い・・・あの野郎への怒りと奴の作戦にまんまと引っかかった情けなさで頭が一杯になってて・・・。」

「お前の気持ちは分かるけど・・・今1番辛いのはガッツだ。お前が当たってどうする。」

「御免なさい・・・。」

 

ハルキは医務室で苦しむミコを見て表情を曇らせる。そんな彼にゴモラが優しく話しかけた。

 

「ハルちゃん、こういう時だからこそ落ち着こう。」

「ゴモたんさん・・・。」

「ここで焦ってハルちゃんまでやられちゃったらますます敵の思う壺だよ。ガッちゃんなら大丈夫‼︎だって怪獣娘なんだもん‼︎そう簡単にはやられないよ‼︎」

「けど・・・このままじゃミコはアイツの毒に・・・‼︎」

「大丈夫だよ‼︎解毒剤が無いんだったら直接怪獣から毒を手に入れて解毒剤を作ればいいじゃない‼︎」

「は?ゴモたんさん、本気で言ってますか⁉︎そんな事出来る訳」

「で・・・出来るわ・・・アンタなら・・・出来るでしょ・・・うが・・・。」

 

ゴモラの言葉を否定しようとした時、後ろからマコが変身したガッツ星人が声を掛けてきた。今の彼女はミコのダメージを共有しているため、息と声が絶え絶えで苦しそうな顔をしているが、足をしっかり踏みしめながらハルキを睨む。

 

「アンタは・・・相手が・・・どれだけ強くても・・・力を振り絞って・・・一生懸命戦っ・・・てたじゃない‼︎そんなアンタが・・・そんな事を言わない・・・でよ・・・。」

「マコ・・・。」

「あの子が・・・わたしが・・・知ってるハルキは・・・頭は悪くて少し・・・おっちょこちょいなところがあるけど・・・命を守るために・・・自分の身も顧みずに・・・危険に立ち向かって・・・誰かを助けるために・・・戦う・・・それがアンタでしょ‼︎ハルキ‼︎」

「マコ・・・。」

 

ハルキはガッツ星人(マコ)の言葉を聞いてこれまでの自分の事や病室で苦しむミコの事など様々な事を思い起こす。そして決意を固めると拳を握りしめ、ガッツ星人(マコ)に向き合った。

 

「そうだよな・・・ここで諦めたら駄目だ‼︎・・・マコ・・・御免‼︎それとありがとう、大切な事を思い出させてくれて‼︎」

「べ、別に・・・お礼なんていいわよ・・・。」

 

ハルキはガッツ星人(マコ)からアギラ達に顔を向けると決意して頼み込む。

 

「皆、頼む・・・力を貸して下さい‼︎」

「へへ、やっといつものお前に戻ったか。」

「その言葉を待ってたよ、ハルちゃん‼︎」

「力を合わせてガッツを助けよう‼︎ボク達が力を合わせればきっと出来るよ‼︎」

 

ハルキの言葉を聞いて笑顔になった怪獣娘を代表してレッドキング、ゴモラ、アギラが口を開く。ハルキは3人の声を聞いて思わず彼女達に頷く。彼女達とハルキが同じ意思を固めると彼らは前に向かって進み始めた。そしてヘビクラが物陰から姿を見せると静かに呟いた。

 

「まさかググツを直接採って解毒剤を作るとはな・・・奴の脅威にどう立ち向かうか・・・俺に見せてくれよ。」

 

 

 

 

 

 

その頃、ベゼルブは地下室に身を潜めていた。息を潜めているベゼルブの目にベゼルブの捜索をするミクラスが写る。ベゼルブは彼女を新たな標的と認識すると気配を殺して彼女に背後から迫る。そして天井にへばりつきながら尻尾を伸ばして彼女の背中に毒針を刺そうとした時、アギラが大ジャンプからの頭突きでベゼルブを叩き落とす。

 

「やあああああああ‼︎」

「キイイイイイイイイ⁉︎」

「危なかったね、ミクちゃん。」

「ありがと、アギちゃん‼︎」

 

ベゼルブはアギラに気付くと彼女に向かって火球を放つ。ミクラスがその前に立ちはだかり、拳で火球を弾くと、大きくジャンプした。ミクラスの右腕からの拳がベゼルブをぶっ飛ばす。勢いをつけた拳に思い切り吹っ飛ばされたベゼルブは大きく壁に激突した。

 

「キイイイイイイ‼︎」

 

ベゼルブは羽を広げて飛び上がると一目散に彼女達に背中を向けて逃げていく。2人はベゼルブを追うも曲がり角でベゼルブを見失う。

 

「アギちゃん、怪獣は?」

「・・・見失ったみたい・・・。」

 

2人が辺りを見渡す中、ベゼルブは後ろから毒針を彼女達に向けて迫ってくる。そのまま2人に毒針が突き刺さると思った時、ベゼルブにとって予想外の事が起きた。

 

「2人とも危ない‼︎」

「「ハルキさん⁉︎」」

 

ハルキが2人の前に立ちはだかったのだ。ベゼルブの毒針がそのままハルキの胸に刺さる。確かに毒針を刺した感触を感じたベゼルブはそのまま毒を注入する。

 

「ぐうっ・・・‼︎」

 

そして毒を注入し終えるとベゼルブはそのままハルキから離れる。その時、後ろからゴモラがやってきて尻尾をベゼルブの脳天に直撃させる。

 

「どりゃああああああああああ‼︎」

 

ベゼルブはゴモラの尻尾の一撃を受けて脳震盪を起こし、フラフラしながらその場から飛び去っていく。ミクラスとアギラは今のうちにハルキに駆け寄った。

 

「ハルキさん‼︎、大丈夫‼︎」

「もう、無茶しすぎだよ‼︎こっちがヒヤヒヤしたって‼︎」

「悪い悪い‼︎でも何とか、毒も採取出来た‼︎早くミコに届けるぞ‼︎」

 

ハルキがボタンを開けてジャケットを開くと中からベゼルブの毒が入ったパックが見えた。実はこの時、ハルキは自身の体のあちこちに空の輸血パックを備えていた。ベゼルブが自身の何処を刺しても毒を注入し、確実に採取出来るよう採取していたのだ。そのためベゼルブはハルキに毒針を刺せたと勘違いして毒を与えてしまったのだ。ベゼルブの毒を確実に手に入れた彼らはミコがいる医務室に向かった。




ベゼルブだけでは幾ら何でも戦いがすぐに終わってしまうため、次回はベゼルブ以外にも別の怪獣を出します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

猛毒の罠(後編)

本当は禍々アークベリアルやストロング・ゴモラントも出したかったのですがアークベリアル、タイラントの怪獣メダルは流石に製造が難しいと思い、やむなく断念しました。

ベリアル融合獣『キングギャラクトロン』登場
ベリアル融合獣『ベムゼード』登場
ベリアル融合獣『バーニング・ベムストラ』登場


ベゼルブの毒を手に入れて一時間後、医務室に届けられた毒を元に解毒剤の開発が始まった。ハルキ達はガラス越しに解毒剤の製薬を行う現場を見て祈る事しか出来なかった。

 

「神様、お願いします・・・どうかガッツを助けて・・・‼︎」

「頼むお願い頼むお願い頼むお願い頼むお願い頼むお願い頼むお願い頼むお願い・・・。」

「頼む・・・間に合ってくれ‼︎」

「あと少しだからですからね・・・ガッツさん・・・。」

 

全員が祈る中、ピグモンが慌ててハルキ達も元に駆け付けてくる。ハルキ達は慌てているピグモンの様子に戸惑いながらも何があったのか訊ねた。

 

「た、た、大変です‼︎」

「ピグモン、どうしたんだよ?」

「ガツガツが・・・突然暴れ出しました‼︎」

『⁉︎』

 

その言葉に誰もが目を見開いて驚く。今、ミコは毒で弱っているため動ける筈が無いのだ。彼女の言葉が信じられないアギラは思わず大声を上げた。

 

「そ、そんな‼︎ガッツは今弱ってるんだよ‼︎そんな事出来る訳ないよ‼︎」

「信じられないかもしれませんが事実です‼︎兎に角来て下さい‼︎」

 

ハルキ達はトモミに連れられてミコが寝ている病室に来る。そこでは目が赤くなったミコが両手を振り回しながら暴れているのをマガバッサーとマガジャッパが押さえつけていた。

 

「うあああ"あ"あ"あ"あ"あ"‼︎」

「ガッツさん‼︎どうしたんですか、ガッツさん‼︎」

「しっかりして下さい‼︎」

 

幾ら怪獣娘とはいえ変身前でなおかつ怪獣娘が2人掛かりで押さえつけているにも関わらずミコが止まる様子はない。やがてミコは2人を振り払い、体を震わせて絶叫しながら光り出す。

 

「う"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"‼︎」

「何だ⁉︎」

「一体何が・・・⁉︎」

 

光が収まり、ゴモラがミコを見ると彼女は怪獣娘に変身していた。ソウルライザー無しで怪獣娘に変身した事にハルキは驚く。

 

「おい、何でソウルライザー無しで怪獣娘に変身してんだよ⁉︎ソウルライザーが無いと怪獣娘に変身できないんじゃないのかよ⁉︎」

「いや、別にソウルライザーが無きゃ怪獣娘に変身出来ないと言うわけじゃねえ‼︎変身自体はソウルライザーが無くても出来るんだ。」

「でも、ソウルライザーを使わないで変身すると暴走のリスクが高くなるから安全に変身出来るようソウルライザーが開発されたんだよ‼︎」

「そうなのか・・・でも、それは今のミコには当てはまらないよな?だって変身前から暴走してたぞ‼︎」

「恐らく・・・毒の作用かもね・・・。」

「毒の⁉︎あんな事になる毒ってどんな毒なの⁉︎」

 

ミクラスが驚いているがエレキングの言う通りである。ベゼルブか持つ毒ググツはその名の通り、毒を注入した相手を操る事が出来る。今、ガッツ星人(ミコ)はググツの作用でベゼルブによって操られて暴れているのである。

 

「怪獣の持つ毒なんだからどんな作用があっても不思議じゃないわ。現に今のガッツは様子かおかしいじゃない。」

「それよりもガッツを止めないと‼︎ガッツ、落ち着いて‼︎」

 

解説するエレキングの横でアギラが真っ直ぐガッツ星人(ミコ)に向かっていく。ガッツ星人(ミコ)はこちらに向かってくるアギラを蹴り飛ばすと拳を構えて追撃してくる。避けられないと悟ったアギラは思わず目を瞑るもミクラスが後ろから彼女を押さえつけた。

 

「ガッツさん目を覚ましてってば‼︎ガッツさん‼︎」

「うああ"あ"ああ"あ"あ"あ"‼︎」

「ぐっ‼︎力が思ったより強い・・・振り落とされそう・・・‼︎」

「ミクラスさん‼︎」

 

ハルキは思わず彼女に向かって駆け出そうとする。その時、ピグモンが必死の表情で入ってきた。

 

「皆さん、解毒剤が完成しました‼︎」

「本当ですか⁉︎」

「ええ‼︎」

 

ピグモンは頷きながら液体が入った小さなボトルを取り出す。その液体こそ採取したググツから生み出した解毒剤であった。しかし、解毒剤を飲ませるべきガッツ星人(ミコ)はミクラスを振り払うと再び辺り一面に腕を振るって暴れ始める。その姿を見てハルキとエレキング、ウインダムは険しい表情を浮かべる。

 

「後はミコにこれを飲ませりゃ・・・。」

「ええ、大人しく飲ませられればの話だけど・・・。」

「こう暴れられては・・・薬を飲ます事なんて・・・。」

「方法なら・・・1つあるわよ・・・。」

「「うわあああああ⁉︎」」

 

考えている3人の横から顔色が悪いマコが割って入ってくる。ミコのダメージが共有され、苦しそうな顔をしているため、思わずハルキとウインダムは叫んでしまう。

 

「いきなり現れないで下さい‼︎ビックリ・・・って‼︎」

「マコ‼︎お前、顔色悪いぞ‼︎大人しく休んでろ‼︎」

「あの子の・・・ピンチを・・・放って置けるわけないでしょ・・・。」

「方法があると言ったわね・・・その方法ってどんなのかしら?」

「エレキングさん‼︎顔色が悪いマコの事を少しは気遣ってあげて‼︎」

「時間が無いわ。こうしている間にもガッツは怪獣の毒で苦しんでる。1番辛いのは彼女の筈よ‼︎彼女を救うためには少しでも行動できる彼女の意見を聞くしか無いわ。」

「う"・・・それは・・・。」

「それで・・・どうやってガッツに薬を飲ませるの?」

 

エレキングに言いくるめられ言葉を失うミクラスの横で彼女はガッツ星人(マコ)に近づく。するとガッツ星人(マコ)はハルキを指差しながら口を開く。

 

「これには・・・ハルキの・・・協力が・・・必要よ・・・。」

「へ?俺?」

 

突然指名されキョトンとするハルキを呼んでガッツ星人(マコ)はエレキングとハルキに耳打ちする。彼女からその作戦を聞いたハルキは顔を赤くして叫ぶ。

 

「はあああああ⁉︎お前、そんな事出来る訳ねえだろ‼︎」

「でも誰かが・・・やらなきゃミコが・・・死ぬわ。・・・わたしだって・・・アンタとミコが・・・・・・そんな事するの・・・見るのは嫌だけど・・・可能性があるとしたら・・・これが1番よ。」

「だからってお前な・・・。」

「そうね・・・確かに方法はこれが1番可能性が高いわね。ハルキ、やってくれるかしら。」

「エレキングさんアンタまで⁉︎」

「このままだと貴方の幼馴染は死ぬわ。それを防げるのは貴方だけよ。」

「まさか・・・出来ないっていうの?アンタの・・・逃げない心は・・・何処に行ったのよ・・・?」

 

エレキングとガッツ星人(マコ)の視線にハルキは頭を悩ませる。しかし、エレキングに『このままではミコが死ぬ』と言及され、ハルキはヤケクソになりながらも覚悟を決める。

 

「ああもう‼︎分かった分かったよ‼︎やってやりますよ‼︎」

「そう言ってくれると信じてたわ。さぁ、行くわよ‼︎」

 

エレキングが真っ先にガッツ星人(ミコ)に向かっていく。ガッツ星人(ミコ)はエレキングがこちらに向かっている事を確認するとエネルギーを拳に集めて殴りかかる。エレキングは彼女の拳を避けると鞭を巻き付け、電流を流し込んだ。

 

「ううう"う"う"う"ああ"あ"あ"あ"あ"‼︎」

「くっ‼︎やはりそう簡単にはいかないわね・・・。」

 

彼女は痺れを感じながらもエレキングを振り払う。しかし、体の痺れが残っているのか動きが先程よりも鈍くなっている。その事を確認したガッツ星人(マコ)は後ろから彼女を羽交い締めにする。

 

「今よ、ハルキ‼︎」

「ああくそ‼︎ミコ、怒るなよ‼︎」

「え⁉︎ちょっとハルキさん、一体何を⁉︎」

 

ハルキはガッツ星人(ミコ)に近付くとボトルに口を付け、薬を口に含む。当然、エレキングとガッツ星人(マコ)以外の怪獣娘はその行動に唖然とする。ハルキはボトルから口を離すと羽交い締めにされたガッツ星人(ミコ)に近付き、口づけをした。

 

『えええええええ⁉︎』

「お待たせ・・・って・・・ええっ⁉︎」

「ハルキ・・・お前・・・。」

「何してるんですか・・・?」

 

その場にいた怪獣娘だけでなく現場に駆け付けてきたザンドリアス、ノイズラー、セブンガーも驚いてハルキの行動に唖然となる。ハルキはそのまま彼女の口の中に薬を流し込んだ。ガッツ星人(ミコ)が解毒剤を飲み込むと彼女は脱力したように倒れ込む。ハルキはミコから離れると同時に彼女の体を優しく抱き留めた。

 

「うう・・・。」

「よし、解毒剤は飲ませた‼︎」

「ああ・・・ガッツさんに解毒剤を飲ませるために・・・あんな事したんだ・・・。」

「だからって・・・皆んなの前であんな大胆な事・・・。」

 

ミクラスやアギラが呟く中、中学生3人組、ガッツ星人(マコ)は暗い表情になる。幾ら彼女を救うための医療行為だったとはいえ思い人ファーストキスが最大のライバルに奪われた事、そしてミコに薬を流し込んてからのハルキが彼女に対して顔を赤くしていた事に胸がチクチクしていたのだ。そして彼女達以外にもそれを感じているのがいた。

 

(あれ・・・何でボク、今の光景を見て胸が痛むんだろう・・・?)

 

アギラが何処か悲しみを感じている中、ガッツ星人(ミコ)が意識を取り戻す。ハルキは彼女が目を覚ました瞬間、晴れた表情を見せた。

 

「あれ・・・わたし・・・。」

「ミコ、俺が分かるか⁉︎」

「ハル・・・わたし・・・確か・・・‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)は先程までの事を思い出したのか顔を青くする。そんな彼女の心を察したのかハルキは強く言い放つ。

 

「わたし・・・‼︎」

「落ち着け‼︎全てはあの怪獣を送り込んできたセレブロって野郎の仕業だ!ミコは悪くない‼︎」

「でも・・・わたしが油断しなきゃ・・・。」

「あの怪獣の毒にあんな作用があった事なんて誰も予想出来なかったんだから仕方ないだろ。それに・・・ここにいる皆、気にしてねえよ。」

 

ガッツ星人(ミコ)は辺りを見渡して仲間達の表情を確かめる。するとそこには心配が晴れ、笑みを浮かべているアギラ達の姿があった。ググツが解毒され顔色が良くなったガッツ星人(マコ)とアギラが2人に駆け寄る。

 

「全くよ・・・アンタが責任を感じる事なんてないんだから。」

「ガッツ・・・無事に治って良かったよ・・・。」

「ほら、立てって。」

「皆・・・御免・・・それと・・・ありがとう。」

 

ガッツ星人(ミコ)は全員の優しい顔に思わずお礼を告げる。それを聞いて全員が頷くとハルキとガッツ星人(ミコ)が顔を合わせる。

 

「ハル・・・色々と御免。それと・・・ありがとう。」

 

彼女の言葉に頷くとハルキはその場にいた全員の顔を見渡す。全員の顔を確認すると強く言い放った。

 

「ミコも治ったところで・・・セレブロにカチコミに行きましょう‼︎ベリアルメダルを取り返してみせる‼︎」

 

全員が頷いてその場から走り去っていく。それを見ていたヘビクラは嬉しそうな笑みを浮かべながら呟いた。

 

「運命を乗り越えやがったか・・・。俺の二の舞にだけはなるんじゃねえぞ。」

 

 

 

 

 

 

カブラギの体に寄生したセレブロは怪獣の体液サンプルが入った部屋に入ろうとしている。セレブロがドアを開けようとした時、ハルキとガッツ星人(ミコ)がセレブロを呼び止めた。

 

「待て、セレブロ‼︎」

「よくも好き勝手やってくれたわね‼︎」

「⁉︎・・・お前・・・どうやって助かった・・・。」

「ハルが命を掛けて血清を持ってきてくれたからね‼︎お陰で回復出来たし・・・これ以上好きにはさせないよ‼︎」

「ベリアルメダルは元々俺が作ったものだ・・・お前らの物じゃない‼︎これは絶対に渡さんぞ‼︎」

「ブルトンやさっきのヤバい毒を持つ怪獣を解き放つような奴を放って置ける訳ないでしょ‼︎」

「ああ、お前なんかにベリアルメダルが渡っていたらとんでもない事件を呼び起こしそうだしな・・・ここでお縄についてもらうぜ‼︎」

「人の命を弄ぶような事をしやがって・・・俺は絶対にお前を許さねえ‼︎」

 

幼馴染の命を危険に晒したセレブロの悪行に怒り心頭のハルキはゼットライザーを構えながらセレブロに詰め寄る。するとセレブロもゼットライザーを取り出した。

 

「俺とやろうってか・・・いいぜ。たまには俺もお前をぶちのめしてスカッとしたかったからなぁ‼︎」

「それは・・・ハルキさんと同じウルトラゼットライザー⁉︎」

「お前が持ってたのか⁉︎」

 

セレブロはフェイクヒーローズゲートを開くとその中に飛び込んでいく。そしてインナースペースでベリアルメダル、キングジョーが描かれたメダルと白い竜人のようなロボット『ギャラクトロン』が描かれた怪獣メダルを取り出した。

 

「ベリアル、宇宙ロボット、シビルジャッジメンター。」

 

〈BELEAL〉、〈KING JOE〉、〈GALACTRON〉

 

「キエテカレカレータ。」

 

KING GALACTRON

 

セレブロが変身したベリアル融合獣『キングギャラクトロン』がGIRLS東京支部の近くの街に降り立つ。それを見たハルキは以前、ジード、ゼロの2人のウルトラマンと一緒に戦った時の事を思い出す。

 

「あの怪獣・・・アイツが変身していたのか・・・‼︎」

「ハル‼︎」

「ああ‼︎」

 

ハルキはゼットライザーの引き金を引いてヒーローズゲートを開くとインナースペースに飛び込み、ベータスマッシュの変身用メダルを取り出す。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

そしてハルキが変身したベータスマッシュの姿のウルトラマンゼットがキングギャラクトロンの前に降り立った。ゼットはキングギャラクトロンに向かって構える。

 

(リク先輩のお父さんのメダルだけじゃなく・・・ウルトラマン達が平和のために作ったゼットライザーまで悪用して・・・その上、怪獣を呼び出して幾度も何の罪もない人々を苦しめやがって・・・絶対にお前を許さないからな‼︎)

『ほざけ‼︎お前のような小僧がいきり立ちやがって‼︎』

 

キングギャラクトロンの右腕に備えられたペダニウムランチャーから光弾が放たれる。ゼットは腕でそれを受け止めると空中に飛び上がりドロップキックを放つ。キングギャラクトロンはパワータイプであるベータスマッシュのドロップキックを受けて後退するもすぐに持ち直し、左腕に魔法陣を形成する。

そして魔法陣から素早い連続パンチが繰り出された。ゼットは腕を組んでパンチを受け止めるがキングジョーの怪力を合わせ持つキングギャラクトロンの連続パンチを受けるたびに後退していく。

 

「ジェアアア・・・!」

 

後退が進むもそれでも耐え続けるゼットに追い討ちとばかりにキングギャラクトロンの目から赤い光線が放たれる。流石にこれには耐え切れずゼットは光線を受けて吹っ飛んでしまう。キングギャラクトロンはそのまま倒れたゼットに追撃を掛け、マウントを取ると何度も何度も殴りつける。

何度もキングギャラクトロンのパンチを受け続けたゼットは額のビームランプから光線を放ち、キングギャラクトロンを押し返した。そして煙を上げるキングギャラクトロンの体に前蹴りを放ち、お互いの距離を引き離した。

 

「ベリアル、宇宙恐竜、宇宙大怪獣。」

 

今度はベリアルメダルに加えてゼットンメダル、そして頭に一本角を備えた腹に大きな口を持つ鳥を思わせる宇宙大怪獣『ベムスター』の怪獣メダルを取り出すとそれをセットしてゼットライザーに読み込ませる。

 

〈BELEAL〉、〈ZETTON〉、〈BEMSTAR〉

 

「キエテカレカレータ。」

 

〈BEMZEED

 

キングギャラクトロンの姿はゼットンがより人型になったような姿に翼と尾を備え、両腕にベムスターの腹の口が備わったベリアル融合獣『ベムゼード』に変わる。姿が変わった事にゼットは一瞬固まるもすぐに気を取り直して拳を放った。

 

「ピポポポポポポポギギャギャピ。」

 

しかし、ベムゼードは右腕に備わった口でゼットの拳を受け止めるとそのままゼットを飲み込もうとする。流石にマズイと感じたゼットは力づくで腕を引き離した。

 

(危ねえ・・・飲み込まれるところだった・・・。)

『このままじゃまずい・・・一気に決めるぞ‼︎』

 

ゼットはチャージ無しで放てる即席のゼスティウム光線を放った。しかし、ベムスターの吸収能力を持つベムゼードに光線が通じる筈もなく呆気なく光線は飲み込まれていく。

 

『なっ‼︎光線を飲み込んだ⁉︎』

 

その一方で怪獣娘達はゼットとベムゼードの戦いを見守っていた。ゼットの必殺光線を手で飲み込んだ事に誰もが驚いている。

 

「嘘・・・何であんな事・・・。」

「もしかしたら・・・あの怪獣・・・。」

 

ピグモンはソウルライザーに怪獣を写し、手の部分をアップしながら撮影し、解析する。そして解析結果を口に出した。

 

「どうやらあの怪獣はゼットンとベムスターを掛け合わせた怪獣のようです。恐らく今のはベムスターの吸収能力でしょう・・・。」

「ベムスターとゼットンが掛け合わさった怪獣・・・それって絶対にヤバいでしょ・・・。」

「ハルキ、頑張りなさい・・・負けたら承知しないわよ。」

 

ベムゼードは吸収したゼスティウム光線をゼットに返す。ゼットは何とか両腕をクロスさせて受け止めるが額から放たれた火球を受けて大きく吹っ飛ばされる。

 

「ジェアアアア‼︎」

 

更に追撃を掛けるべくベムゼードは瞬間移動で吹っ飛ばされたゼットの後ろに回り込む。ゼットが後ろに回り込んだベムゼードの気配に気付いた時には既に遅くベムゼードの蹴りが炸裂し、ゼットの体が地面に転がった。

ゼットは掲載を立て直すべくアルファエッジに変身し、足に炎を纏った回し蹴りを放つ。しかし、この回し蹴りも瞬間移動によって避けられ、空振りとなる。ベムゼードは再びゼットの後ろに回り込み、顔にエネルギーを集めて火球を放つ。ゼットは後ろからの気配を感じて火球を回し蹴りで撃ち落とすとゼットスラッガーを放つ。ベムゼードがバリアを張ってスラッガーを防ぐとゼットは手元に戻ってきたスラッガーをアルファチェインブレードにして構える。

 

「ジェアア・・・。」

「ピポポポポゼェットォン・・・。」

 

両者共に構え、最初にベムゼードが瞬間移動でゼットの後ろに回り込む。そのまま両手の爪でゼットを引っ掻こうとするが後ろからの気配を感じたゼットはアルファチェインブレードで反撃し、ベムゼードを斬りつけた。火花が散るベムゼードにゼットの鋭い斬撃が何度も炸裂し、ベムゼードは後退する。ベムゼードの中のセレブロは笑みを浮かべながらも険しい顔をしていた。

 

『ちっ、ならば・・・これでどうだ‼︎』

 

セレブロは今度はベムラーのメダルと頭に大きな一本の角を持つ凶暴怪獣『アーストロン』のメダルを取り出してゼットライザーにセットし、読み込ませた。

 

「ベリアル、宇宙怪獣、凶暴怪獣。」

 

〈BELEAL〉、〈BEMULAR〉、〈ARSTRON〉

 

「キエテカレカレータ。」

 

〈BURNING BEMSTRA

 

セレブロがゼットライザーのトリガーを引いた時、ベムゼードの姿はベムラーに大きな一本角が生えた怪獣の姿になっていた。ベムラーとアーストロンを掛け合わせたベリアル融合獣『バーニング・ベムストラ』は口に力を溜めると渦を巻いた強力な光線をを放つ。

ゼットはアルファチェインブレードを回転させてバリアのようにして熱戦を防ぐも押し切られ、熱線によって吹き飛ばされる。

 

「ジェアアアッ‼︎」

「ギイイイイオオオオン‼︎」

 

バーニング・ベムストラは起き上がろうとするゼットに近付くとその体を踏みつけ、蹴飛ばす。熱戦を受けてカラータイマーが鳴り出したゼットは必死に立ちあがり、額からゼスティウムメーザーを放つ。

 

「ジェアアッ‼︎」

「ギイイイオオオオン⁉︎」

 

何とかゼスティウムメーザーでバーニング・ベムストラとの距離を引き離したゼットはゼットライザーを構えてバーニングベムストラを斬り付ける。再びゼットライザーで斬り付けようとした時、バーニング・ベムストラも両手の鉤爪でゼットの横腹を切り裂いた。ゼットは思わず後退してゼットライザーを構える。お互い睨み合う中、何処からともなくミサイルが飛んできてバーニング・ベムストラに命中する。

 

「ギイイイイイオオオオオオオオン⁉︎」

「ジェアッ⁉︎」

 

ゼットがミサイルが飛んできた方向を見るとそこにはキングジョー・GIRLSカスタムが立っていた。GIRLSカスタムの中にはガッツ星人(ミコ)が乗り込んでいる。

 

「ハル、ありがとう。貴方のお陰でわたしは助かった・・・今度はわたしが貴方を助けるよ‼︎」

 

ゼットはGIRLSカスタムに向かって頷くと両者が並び立つ。そしてゼットはガンマフューチャーに変身したと同時にGIRLSカスタムから再びミサイルが放たれる。バーニング・ベムストラは口から光線を吐いてミサイルを撃ち落とすが全てを撃ち落とす事は出来ず、何発かが着弾する。ゼットは煙を上げるバーニング・ベムストラに向けて、カード状の光線を放った。ミサイルに集中していたバーニング・ベムストラは光線を受けて再び後退する。

ゼットはその隙に魔法陣を形成し、中に飛び込むと一瞬でバーニング・ベムストラに飛び蹴りを放つ。突然の飛び蹴りに対応出来ずバーニングベムストラは怯むとGIRLSカスタムの左腕に装備されていた斧『ペダニウムアックス』が怪獣の体に重い斬撃を叩き込んだ。

 

「ギイイオオオオオオン‼︎」

『ゼットアイアス‼︎』

 

バーニング・ベムストラは再び口から光線を放つ。ゼットが魔法陣のような紋章のバリアを張って光線を防ぐ。その隙にペダニウム粒子砲から光線が放たれた。バーニング・ベムストラは光線を受けて大爆発を起こす。両者が倒したのか確認すべく前を見つめるとベムゼードがこちらに一瞬で詰め寄ってきた。先程の爆発に紛れてベムゼードに変身したようだ。

ベムゼードは頭の角を光らせてGIRLSカスタムに向けて光線を放つ。GIRLSカスタムは光線を受けて煙を上げながら後退するもめげることなくミサイルを放つ。ベムゼードはミサイルを吸収するとそれをGIRLSカスタムに向けて返す。ゼットはGIRLSカスタムの前に立ち塞がり、カード状の光線でミサイルを全て撃ち落とした。

 

「ピポポポポギギャピ‼︎」

 

ベムゼードは瞬間移動でGIRLSカスタムの後ろに回り込むと火球を放つ。背中から火球を受けたGIRLSカスタムは思い切り仰向けになって倒れ込む。

 

「きゃあああああ‼︎」

(ミコ‼︎てめえ、卑怯な真似しやがって‼︎これでも食らいやがれ‼︎)

 

ハルキはM78流竜巻閃光斬に必要なメダルをゼットライザーにセットして読み込ませる。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

『(M78流・竜巻閃光斬!!)』

 

ゼットが持つゼットライザーから竜巻と鋸状の切断光線が放たれる。ベムスターの吸収能力を持つベムゼードだが流石に竜巻に巻き込まれた状態では吸収する事が出来ず、しかも苦手な斬撃光線だった事もあって何度もその体に切り傷が刻み込まれる。

悪あがきとばかりにキングギャラクトロンに変身してペダニウムランチャーを放つが再び立ち上がったGIRLSカスタムが放つペダニウム粒子砲とぶつかり合う。この隙にハルキはライトニングジェネレードに必要なメダルをセットして読み込ませた。

 

〈COSMOS〉、〈NEXUS〉、〈MEBIUS〉

『(ライトニングジェネレード‼︎)』

 

ペダニウム粒子砲とぶつかり合うキングギャラクトロンに稲妻が放たれた。稲妻を受けてキングギャラクトロンは煙を上げて崩れ落ちる。その隙にゼットはゼスティウム光線を、GIRLSカスタムはペダニウム粒子砲を放つ構えに入る。

 

『(ゼスティウム光線‼︎)』

 

ゼスティウム光線とペダニウム粒子砲が同時に放たれ、キングギャラクトロンは大爆発する。キングギャラクトロンの残骸が飛び散る中、紫色の光が飛び出した。ゼットが光をキャッチするとそれはハルキの手の中でベリアルメダルとなる。

 

(ゼットさん‼︎ベリアルメダル取り返しましたよ‼︎)

『よっしゃあ‼︎ウルトラナイスだぜ!』

 

セレブロはこの戦いで大きなダメージを負っており、足を引き摺りながらゼットを睨んでいた。

 

「あの野郎・・・またベリアルメダルを・・・。」

「ギイイイイ・・・。」

 

そこに体をふらつかせながらベゼルブがやってくる。どうやらここに来るまでに怪獣娘と戦闘を繰り広げたらしく、非常に弱りきっていた。セレブロは懐から注射器を取り出すとベゼルブに向かって突き刺し、何かを注入する。するとベゼルブは巨大化し、ゼットの前に現れた。

 

(この怪獣・・・‼︎何で巨大化してるんだ⁉︎)

 

実はセレブロが先程打ち込んだのは成長促進剤だった。その作用でベゼルブの体は巨大化したのだ。

 

「コシカレカレタ・・・やれ、ベゼルブ‼︎」

 

ベゼルブは口から火球を放つがゼットは手刀で撃ち落とした。そしてハルキは先程奪い返したベリアルメダルに加えてジード、ゼロのメダルを取り出す。共鳴し、ライズメダルと化したウルトラメダルをゼットライザーにセットして読み込ませた。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

デルタライズクローとなったウルトラマンゼットはベリアロクを構える。そしてベリアロクを構えるとこちらに向かって飛んできたベゼルブを斬りつけた。

 

「ギイイイイイイイ⁉︎」

(これまでよくも好き勝手にやってくれたな・・・絶対にお前を許さねえ‼︎)

 

ベゼルブは地面にすり減りながら地面に墜落する。ハルキは怒りを露わにしながらそしてベリアロクのスイッチを3回押して必殺技の構えに入る。

 

『デスシウムスラッシュ‼︎』

 

紫色のZ字の斬撃をベゼルブに刻み込まれる。元から耐久力が低いベゼルブはゼット最強の姿の必殺技に耐えきれず大爆発を起こした。そして爆発にセレブロが巻き込まれる。

 

「ぬああああああああああ⁉︎」

 

戦いが終わり、ゼットはベリアロクを持ちながら街の中に立つ。ベムゼードの火球とキングギャラクトロンとの張り合いでダメージを受けたGIRLSカスタムから降りたガッツ星人(ミコ)がゼットに向かってサムズアップを見せる。

 

「やったね、ハル‼︎」

 

ゼットも彼女に向かってサムズアップしようとした。しかし、突然空からゼットに向かって光線が降ってくる。ゼットは腕で頭を守りながらそれを耐えた。

 

「何⁉︎」

 

ガッツ星人(ミコ)はゼットと同じタイミングで空を見上げる。すると空から現れたのはかつてキングジョーを使ってウルトラメダルの強奪を目論み、GIRLS基地に忍び込んで大騒ぎを起こしたあのバロッサ星人が降りてきた。




ハルキ「ハルキと」

ペガッサ星人「ペガッサ星人の」

ハルキ&ペガッサ星人「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈ZERO BEYOND〉

ペガッサ星人「ウルトラマンゼロビヨンド。ウルトラマンゼロさんがニュージェネレーションヒーローズの力でパワーアップした姿です。」

ハルキ「次に紹介するのは!!」

〈GILBARIS〉

ハルキ「宇宙からやってきた強力なロボット怪獣だ。ジード先輩と一緒に戦って撃破したんだぜ‼︎」

ブラック指令「次回は私が担当するぞ‼︎」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『宇宙海賊のバロッサ星人がベリアロクを狙う。海賊なんかにこの剣を渡してたまるか!って何でバロッサ星人に使われてるんだ⁉︎次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


ベリアロク


ウルトラ信じるぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ベリアロク(前編)

言い忘れましたが前回の影絵はベゼルブと解毒剤を持ちながら怪しげな笑みを浮かべるカブラギ(セレブロ)をイメージしました。

海賊宇宙人『バロッサ星人2代目』登場


突然落ちてきたビーム攻撃を防いだゼットが見たのは空から蝶を思わせる羽を広げて降りてくる右腕にキングジョーカスタムのペダニウムランチャーを装着したバロッサ星人の姿だった。バロッサ星人はそのまま急降下して地面に降り立とうとする。しかし、勢いをつけ過ぎてバロッサ星人は地響きを上げて地面に激突した。

 

「あれって・・・バロッサ星人⁉︎」

「バーロバロバロバロ・・・っ痛え⁉︎」

『えっ⁉︎』

「思い切り・・・地面に激突した⁉︎」

「あ痛ててて・・・腰打った・・・あ。」

 

衝撃の登場の仕方にキングジョーから降りたガッツ星人が唖然とその光景を見ている中、落下の衝撃で腰を打ったバロッサ星人は腰を抑えながら立ち上がると目の前のウルトラマンゼットに向けて自己紹介をする。

 

「バロバロバロバロバロ‼︎聞いて驚け‼︎俺は宇宙の大海賊バロッサ星人‼︎銀河のお宝を奪い尽くす・・・それが俺達の掟よ‼︎」

『何なんだ、一体⁉︎』

 

唖然とするゼットの前で立ち上がったバロッサ星人はその場に落ちていたキングギャラクトロンの左腕を掴むとそれを腕に装着する。

 

「バロバロバロバロッサ、いい物を見つけた‼︎お邪魔します‼︎」

 

ギャラクトロンの左腕を装着した海賊宇宙人『バロッサ星人2代目』は装着した腕を振りかざしてゼットに迫る。

 

「さて・・・派手に行くぜ‼︎」

「ジョワッ‼︎」

 

両者は互いに斬り合う。すれ違った両者は同時に振り向き、互いの武器をぶつけ合ったが先程のセレブロが変身したベリアル融合獣との戦いで体力を大分消耗したゼットは押され始める。そして左腕に突き飛ばされたゼットにバロッサ星人は再びギャラクトロンの左腕を振り回そうとする。

 

「さて・・・とどめ‼︎・・・と行くのはまだ早い‼︎」

 

バロッサ星人は腕を下げてベリアロクを構えたゼットから離れる。ゼットとバロッサ星人はお互いに睨み合いながら反撃のチャンスを待つ。バロッサ星人は左腕を構えながらゼットを挑発する。

 

「さて、どうした?さぁ、来いよ‼︎来ないならこっちから行くぞ‼︎」

 

ゼットは再びギャラクトロンの左腕で斬りつけてきたバロッサ星人から前転で逃れるが起き上がった瞬間蹴飛ばされる。そして向かってきた左腕に装着されたギャラクトロンの鉤爪をベリアロクで受け止めるがそれがバロッサ星人の狙いだった。バロッサ星人は左腕でベリアロクを持つゼットの右手を抑え、ベリアロクを奪おうとする。

 

「さて、コイツは宇宙のお宝、頂いていくぜ‼︎・・・熱⁉︎熱熱熱⁉︎」

「ジェアッ⁉︎」

 

しかし、バロッサ星人がベリアロクに触れようとした時、ベリアロクから電流が流れてゼットとバロッサ星人の両者が痺れる。そしてお互いの体が弾き飛ばされた。バロッサ星人が起き上がった時、ベリアロクがバロッサ星人に問い掛けた。

 

『俺様に手を触れる前に一つ聞く。俺様を手にしてお前は何をする?』

「何ぃ?」

『俺様を手にしてお前は何をする?』

「知れた事よ。お宝をぶんどって邪魔する者はぶった斬る!それがバロッサ星人よ‼︎お前を使って宇宙の全てを手に入れる‼︎」

『フハハハハハ‼︎宇宙の全てか・・・面白い‼︎俺様を手にするがいい‼︎』

「フハハハ・・・。・・・う〜ん、美しい。」

 

なんとベリアロクはバロッサ星人を認めてしまったらしく、バロッサ星人の手にベリアロクが渡る。その光景にはキングジョーから降りたガッツ星人(ミコ)以外の怪獣娘達も驚きを隠せない。

 

「ジョワッ⁉︎」

「嘘⁉︎ウルトラマンの武器が・・・‼︎」

「バロッサ星人の手に・・・‼︎」

「ハルキさん・・・頑張って‼︎」

「ファイナルブレイク‼︎」

 

バロッサ星人はベリアロクにエネルギーを集めて2発の斬撃波を放つ。ゼットは側転して斬撃波を避けると中のハルキが叫ぶ。

 

(止めろ、ベリアロク‼︎)

『気を付けろ、ハルキ‼︎アイツを敵に回すとウルトラ厄介だぞ‼︎』

 

更にベリアロクから斬撃波が放たれる。最初の一発は避けるも2発目はまともに受けたゼットは怯んでしまう。そしてその隙にバロッサ星人は飛び上がり、ジャンピングパンチを放とうとする。

 

「バロパンチ‼︎」

 

しかし、バロッサ星人のパンチがゼットに届く事は無かった。バロッサ星人のベリアロクが突然重くなり、星人の体が地面に落ちたからである。

 

「何故急に重くなった⁉︎」

『お前の攻撃はつまらん‼︎もっと面白い物を斬らせろ‼︎』

 

どうやらベリアロクはバロッサ星人の単調な攻撃に愛想を尽かしたらしい。ゼットの方も制限時間が来て、これ以上戦えないのか光の粒子となってその場から消えていく。

 

「バロバロ、逃げられた‼︎」

 

バロッサ星人は目の前で消えたゼットを見て地面に横たわりながら悔しそうな声を出す。

 

『俺様は斬りたい時に斬りたい物を斬る‼︎』

 

そう言い残したベリアロクは宙に浮かび上がる。そしてそのまま何処かへ飛んで消えていった。

 

 

 

 

 

そしてGIRLS東京支部の司令室ではヘビクラが映像の中のベリアロクを見て不敵な笑みを浮かべていた。

 

「いいな、あの剣・・・。」

「ヘビクラ隊長、今何か言いましたか?」

「ん?・・・ああ、何でもない。」

 

思わずジャグラスジャグラーとしての顔を浮かべながら呟いてしまい、ピグモンからの指摘を受けたヘビクラは正気に変えり、彼女の問いをはぐらかす。その時、ピグモンのソウルライザーに連絡が入ってきた。

 

「こちらピグモン、どうしました?」

『こちらアギラ。ガッツとハルキさんを見つけて救出しました。ボクとミクちゃん、ウインちゃんで2人を医務室に搬送します。』

「分かりました。カブラギ研究員・・・いや、セレブロの行方はどうなっていますか?」

『GIRLS戦闘部隊と合流したエレキングさんがマガバッサー、マガジャッパを引き連れてその後を追っています。セレブロを確認次第、身柄を確保するとの事です。』

「了解しました‼︎」

「おいおい・・・セレブロ・・・グズグズしてるから完全に尻尾を掴まれてるじゃないか。しかもGIRLS全体にお前の存在がバレたも同然になっちまったぜ、どうするつもりだ・・・?」

 

ヘビクラはピグモンに聞こえないように彼女から離れて呟く。そしてパソコンに表示されたカブラギの資料を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、バロッサ星人とウルトラマンゼットが戦った場所で4人の怪獣娘が何かを探して歩き回っていた。それはブラック指令が率いるブラックスターズだった。

 

「ぶ、ブラック・・・お前、本当にウルトラマンが持っていたあの剣を手に入れるつもりか?」

「当然だ‼︎お告げの内容はあの剣に間違いない‼︎」

 

ブラック指令は自身が聞いたお告げの内容が書かれた手帳を見る。そのページにはクロイ、カオガ、ツイタ、マケンと書かれている。そしてそのこのお告げを『黒い顔が付いた魔剣』とサツキことペガッサ星人が分析した事で彼女達はその予言の内容をウルトラマンゼットが持っていたベリアロクと断定し、ベリアロクを探すべくバロッサ星人とゼットが戦った場所まで足を踏み入れていたのだ。

 

「あの・・・ブラックさん・・・お告げの内容を分析した私が言うのもなんですが・・・・・・今回は諦めませんか?相手が悪過ぎますよ・・・。」

「そうだよ〜。本物のウルトラマンからあの剣を奪うなんて絶対にブラックちゃんには無理だよ〜。むしろ逆にブラックちゃんがやられちゃうよ〜。」

「煩い‼︎折角のお告げを無視など出来るものか‼︎私は諦めん‼︎絶対にな‼︎」

 

出来る筈のない野望を胸に燃え上がるブラック指令を眺めてノーバはため息をつく。その一方でペガッサ星人とシルバーブルーメは辺りを見渡してベリアロクを探していた。

 

「あの剣、本当に何処かに行っちゃったね〜。まるで意志があるみたいだよ。」

「もしかしたら・・・本当にあの剣には意志があるのかもしれません・・・。」

「何故そう思う?」

「最初にウルトラマンゼットさんがあれを握った時も剣か勝手に動いて突き刺さったように見えましたし・・・先程も自分の意思で動いてバロッサ星人を阻んでいるように見えました。ウルトラマンに関わらず・・・あの剣そのものの入手が難しいかもしれません。」

「ふ、心配無用だ。この私に掴めない物などない‼︎ウルトラマンか持っていたあの剣を我々が手に入れて世界征服の野望を達成させてやる‼︎ナーッハッハッハッハッハッハッ‼︎」

「流石ブラックちゃん‼︎何の根拠も無いのに自信満々だねぇ‼︎」

 

その時、彼女達に向かって何か物体が飛んできている。思わずノーバがそれに気付き、その先を指差した。

 

「どうしたの、ノーバちゃん?」

「おい、アレは何だ?」

「アレとは・・・⁉︎あ、アレは‼︎」

 

ブラック指令が驚いた顔で飛んでくる何かを見る。その何かはブラックスターズの上を通り過ぎると彼女達の後ろに落下する。煙が晴れて彼女達の前に現れたのは地面に突き刺さったベリアロクだった。

 

「お、おい⁉︎あの剣は‼︎」

「ウルトラマンが持っていた剣だと⁉︎」

 

 

 

 

 

 

その少し前、アギラ、ミクラス、ウインダムのかぷせるがーるずの3人がヘビクラとピグモンに報告をしていた。

 

「ハルキさんとガッツは医務室に無事搬送しました。」

「それでお2人の容体は⁉︎」

「少し休めば大丈夫だそうです。」

「良かった・・・。」

「バロッサ星人の行方はどうなった?」

「こちらは確保出来ていません。未だに逃走中です。」

「今はレッドキング先輩とゴモたんがマコとザンちゃん達を連れて捜索してるッス‼︎」

「そうか、ご苦労。」

「バロッサ星人・・・今度は何を狙ってきたんでしょう・・・?」

「奴の狙いか・・・何となく想像はつくがな。」

 

その瞬間、GIRLS東京支部内に警報が鳴る。警報の後、ピグモンからのアナウンスが聞こえてきた。

 

『東京の街中に刀のような物体が飛来しました‼︎ウルトラマンゼットが持っていた黒い顔のある剣と同じ物だと思われます‼︎」

「え・・・それじゃあ・・→あの剣が・・・姿を見せたって事ですか⁉︎」

「そのようだな・・・お前らはゴモラ達と合流しろ。俺も準備が出来次第、現場に向かう‼︎」

「了解です‼︎」

 

アギラ達が現場に出ようと部屋から出て行こうとする。その時、アギラのソウルライザーにピグモンからの通信が掛かってきた。

 

『大変です‼︎』

「ピグモンさん、どうしたんですか?」

『ハルハルが病室を抜け出しました‼︎』

 

彼女の焦ったようなその言葉にはかぷせるがーるずだけでなくヘビクラも目を見開いて驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ブラックスターズは突然目の前に現れたベリアロクに驚いて狼狽えている。

 

「な、何故あの剣がここに⁉︎」

「分からん‼︎何故かはよく分からんが・・・これはまたとないチャンスだ‼︎あの剣は我々ブラックスターズのものだ‼︎」

 

ブラック指令が駆け出してベリアロクを掴もうとした時、ベリアロクから電流が流れて彼女が吹っ飛ばされる。吹っ飛ばされるブラック指令にペガッサ星人が駆け寄る中、彼女を無視してシルバーブルーメ、ノーバがベリアロクに近付いた。

 

「ぶ、ブラックさん大丈夫ですか⁉︎」

「ああ・・・何とかな。」

「今、剣がブラックを拒んだように見えたが・・・。」

「一体何が・・・?」

『俺様を手にする前に1つ聞く。』

「うわああああああああ⁉︎剣が喋ったぁぁぁぁ‼︎」

「ほ、本当に剣に意志がある・・・。」

「こんな事があるのか・・・信じられん。」

 

驚くブラックスターズを前にベリアロクが彼女達に問い掛ける。その言葉に思わず全員がブラック指令を見た。

 

『俺様に触れる前に1つ聞く。俺様を手にしてお前は何をする?』

「ふ・・・何をするだと・・・決まってる‼︎地球侵略だ‼︎』

『・・・・・・。』

 

ベリアロクはブラック指令の言葉に黙り込む。その様子に思わず彼女は腹を立てた。

 

「な、何だ‼︎何か言ったらどうだ⁉︎」

『・・・・・・地球侵略?お前のような・・・・・・間抜けがか・・・・・・?」

「な、何だとぉぉ⁉︎貴様‼︎新たに地球の支配者になるこの私を馬鹿にするのか⁉︎」

『・・・お前ごときに・・・この星を侵略する事が出来ると・・・本気で思ってるのか?だとしたら・・・とんだ大馬鹿者だな・・・お前。』

「な、何だとぉぉぉぉぉぉ⁉︎」

「流石ブラックちゃん‼︎剣に馬鹿にされるなんて‼︎」

『この先、どんな事かあってもお前にだけは使われるのは御免だな。』

「き、貴様ぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ブラック指令は逆上してベリアロクに向かっていくがベリアロクから放たれた電流で吹っ飛ばされる。思わずペガッサ星人が彼女に駆け寄った。

 

「ブラックさん、大丈夫ですか⁉︎」

「あ・・・ああ・・・。」

「ブラックさん、ここは一旦引きましょう!」

「駄目だ‼︎たかが剣に馬鹿にされては地球の支配者になるこの私の面目丸潰れだ‼︎何が何でも手に入れる。」

「バロバロバロ‼︎やっと見つけたぜ‼︎」

 

ペガッサ星人の制止を振り切り、ブラック指令はベリアロクに向かって行こうとする。その時、先程までゼットと戦闘を繰り広げていたバロッサ星人が現れた。




怪獣娘×デッカー、今年中には連載できるようにしたいです‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ベリアロク(中編)

久しぶりに金曜日の夜に投稿出来ました。
それではどうぞ。


「バロッサ星人⁉︎」

「どうしてここに⁉︎」

「ん?お前らは怪獣娘か?決まってるだろ。宇宙のお宝であるそいつを探していたからだよ‼︎」

 

ベリアロクを見つけ、偶然にも邂逅したブラックスターズとバロッサ星人はお互い警戒しながら構えていた。特にノーバは腕に手持ちの武器である鎌を構えていつでも戦えるように準備している。

 

「そうか・・・ならば尚更この剣を渡す訳にはいかないな‼︎この剣は我々ブラックスターズの物になるのだからな‼︎ナーッハッハッハッハッハッハ‼︎」

「いや、そいつは俺達バロッサ星人の物だ‼︎お前らには渡さない‼︎行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇ‼︎」

 

バロッサ星人はギャラクトロンMK2の装備である斧『ギャラクトロンベイル』を取り出すと斧でブラックスターズに斬りかかる。怪獣娘とはいえまともな戦闘力を持っていないブラック指令は本気の攻撃に慌てふためいていた。

 

「どわああああああああ⁉︎」

「ぶ、ブラックさんしっかりしてください‼︎」

「全く世話が焼ける・・・。」

 

ノーバが鎌を持ってブラック指令を守るように迎え撃つ。ノーバの鎌とギャラクトロンベイルがぶつかり合い、刃が擦れる音が軋むと2人はそのまま睨み合いを続ける。そして2人の顔が近付くとバロッサ星人はノーバの目を見ながら自身の目に仕込んだ敵の目を眩ませる強力な光を放つ怪獣『キーラ』の目にで出来たコンタクトレンズを光らせ、強力な光を放つ。

 

「ぐああっ⁉︎」

「ノーバ⁉︎」

「ノーバちゃん⁉︎」

 

光を間近で見てしまったノーバは両手で目を押さえて床でのたうち回る。地面に転がりながらのたうち回るノーバにブラック指令とシルバーブルーメが駆け寄った。

2人に支えられながらノーバは立ちあがるが目が霞んで目の前の物が見え難くなったノーバは思わず転んでしまう。

 

「く・・・やられた・・・目が見えん・・・。」

「バロバロバロバロバロ‼︎どうだ、怪獣娘‼︎俺様の戦略勝ちだな‼︎」

「貴様、今のは明らかに卑怯だろ‼︎」

「そうだそうだ‼︎」

「バロバロ、甘い事言いやがって・・・戦いに卑怯もラッキョウも無いんだよ‼︎」

 

バロッサ星人は今度はペダニウムランチャーを構えて照準をブラックスターズに向ける。バロッサ星人のペダニウムランチャーが発砲し、思わず彼女達は目を背ける。その時、ベリアロクを取り返すべく現場に走ってきたハルキがバロッサ星人の腕に飛び蹴りをかました。銃撃はブラック指令達の横にそれ、彼女達は間一髪で助かる事が出来た。

 

「見つけたぞ、バロッサ星人‼︎」

「バロバロ・・・地球人か。」

「お前は・・・GIRLSの・・・。」

「確か・・・冬河・・・ハルキさん‼︎」

「何⁉︎ハルキだと⁉︎」

 

ノーバは仲間であるブラック指令とサツキの口から想い人であるハルキの名が出て思わず反応する。ブラックスターズに気付いたハルキは思わぬ場で彼女達の姿を見て驚く。

 

「ブラックスターズ⁉︎アンタ達何でここに⁉︎」

「い、いえ・・・少し用があって・・・。」

「ここは俺に任せてアンタらは下がっててくれ‼︎コイツは俺が何とかする‼︎」

「待て、ハルキ‼︎」

「ノーバさん?」

「・・・奴は騙し討ちが得意だ。・・・気を付けろ。」

「分かった・・・忠告ありがとう。」

 

ハルキはノーバの忠告を聞くとバロッサ星人に向かって構える。バロッサ星人の方もギャラクトロンベイルを持っていつでも動けるように構えていた。

 

「ベリアロクは返してもらうぜ‼︎」

「欲しけりゃ力づくで奪うんだな‼︎行くぜ行くぜ行くぜぇぇぇぇぇぇ‼︎」

 

バロッサ星人が振り下ろしたギャラクトロンベイルを避け、ハルキは脇腹に拳を撃ち込む。よろけるもすぐに体勢を持ち直したバロッサ星人はギャラクトロンベイルでハルキを切り裂こうとするが、ハルキはバク転して避けるとそのまま回し蹴りでバロッサ星人の手からギャラクトロンベイルを叩き落とした。

ギャラクトロンベイルを叩き落とされたバロッサ星人は次に何処からともなく炎が燃え上がる剣を取り出す。火炎超獣『ファイヤーモンス』が武器として使っていた炎の剣を取り出したバロッサ星人は剣を構えてハルキに突っ込んだ。ハルキは回転しながら避ける。しかし完全には避けきれず制服の右腕の袖に炎が燃え移った。

 

「熱‼︎熱熱熱‼︎」

「ハルキ‼︎」

「もらったぜえぇぇ‼︎燃えちまいなぁぁぁぁ‼︎」

「危ない‼︎」

 

ハルキは顔を歪めながら腕を振り払って燃え移った火を消火する。その隙に再び燃える剣でバロッサ星人が襲いかかって来た。そのまま炎の剣がハルキを切り裂くとブラックスターズが思った時、ガッツ星人(ミコ)が瞬間移動でハルキの前に現れ、バロッサ星人に蹴りを放つ。

 

「やあああああ‼︎」

「バロバロ⁉︎・・・危ねえ・・・。」

「ミコ⁉︎お前何で⁉︎」

「幼馴染のハルが頑張ってる時にわたしが黙って見てる訳にいかないでしょ。それに・・・主役は遅れてやってくるっていうじゃない。」

「ったく・・・仕方ねえな・・・。」

「お前はGIRLSの・・・。」

「ガッツ星人だよ。貴方達もいたんだね。けど、今は・・・あのバロッサ星人を何とかしなきゃいけないから貴方達の相手はまた今度にさせてもらうよ。」

「か、か、か、構わん‼︎やってしまえぇぇぇぇ‼︎」

「流石ブラックちゃん、敵である筈のGIRLSを応援するなんて‼︎プライドが無いねぇ‼︎」

「また怪獣娘か‼︎」

「そう‼︎さて、さてさてさて‼︎来ました‼︎わたしが‼︎ガッツ星人が‼︎貴方を倒しに・・・ね。わたしが来たからにはこれ以上は好き勝手にさせないよ、バロッサ星人‼︎」

「面白え・・・ガッツ星人の怪獣娘か・・・存分に楽しませてもらおうじゃねえか‼︎それじゃあ俺の方も・・・派手に行くぜ‼︎」

 

燃える剣を構えてバロッサ星人はガッツ星人(ミコ)に斬りかかる。ガッツ星人(ミコ)は空中でバク転して避けるとそのまま右手に力を集めて殴り掛かる。バロッサ星人はそれを受けて思い切り吹っ飛び、壁に激突する。壁に激突した衝撃で剣を落としたバロッサ星人は剣を拾おうとする。その時、シルバーブルーメの袖から黄色い液体が放たれた。

 

「ジェリースプラッシュ‼︎」

 

バロッサ星人の剣はシルバーブルーメが放った液体を浴びると炎が鎮火していく。そして鎮火と同時に剣が溶け始めた。シルバーブルーメの魂を継ぐ彼女は様々な物を溶かせる溶解液を放つ事が出来る。しかも彼女はその威力を調整する事が出来るため、溶解液の力を強めて放ち、剣を溶かしたのだ。

 

「け、剣が溶けた⁉︎」

「えへへ、わたし、何でも溶かせる溶解液を出せるんだ。これはさっきのノーバちゃんの仕返しとさっきのお礼だよ‼︎」

「成る程・・・助かったぜ。」

「でかしたシルバーブルーメ。グッジョブだ。」

「うん、確かに助かったよ・・・でもさ・・・わたしに言わなきゃいけない事があるよねぇ・・・。」

 

ワナワナと震えながら声を抑えるガッツ星人(ミコ)の声を聞いてハルキ、ノーバ、シルバーブルーメの3人が振り向くと彼女の獣殻が少し溶けて彼女の生肌が見え出していた。実は先程、放った溶解液が地面で飛び散り、ガッツ星人(ミコ)に少し掛かってしまったらしい。胸に飛んだのか彼女の豊満な生肌の胸が見え始めた姿にハルキは思わず顔を赤くしてしまう。

 

「え・・・み、ミコ‼︎」

「み、見ないで‼︎ハルのH‼︎」

「わ、悪い‼︎」

「貴方・・・もう少し溶解液を噴出する威力を抑えてよ‼︎こんな風に飛び火したらどうするの⁉︎」

「ご、御免‼︎でも、バロッサ星人の剣は解かせたんだからいいじゃん‼︎」

「俺を無視してくっちゃべっるとは余裕だな‼︎いいぜ‼︎そのまま彼方に吹っ飛びな‼︎」

「お、お前達‼︎ こんな事してる場合じゃないぞ‼︎」

「皆さん、逃げてください‼︎」

 

ブラック指令とサツキの声で全員がバロッサ星人の方を向くとバロッサ星人は両腕にキャノンを装着して光線をぶっ放した。ベリル星人の侵略兵器である『ヘルズキング』の腕に仕込まれたキャノンを装着したのだ。ヘルズキングのキャノンから放たれた光線がそのままガッツ星人(ミコ)に着弾しようとした時、ガッツ星人(マコ)が瞬間移動でガッツ星人(ミコ)の前に現れ、バリアを張って彼女を守る。

 

「「マコ‼︎」」

「全く2人とも抜け出して!ピグモンから怒られても知らないわよ‼︎」

「悪い‼︎けど、ベリアロクをこのまま放っておけるわけないだろ‼︎」

「ベリアロク?それがあの剣の名前か?」

「・・・アンタらは?」

「濃い髪の・・・ガッツ星人?お前は一体・・・?」

 

ガッツ星人(マコ)とブラック指令率いるブラックスターズは今回が初対面だったのかお互いの顔を見て怪訝な顔をする。

 

「マコ、そいつらブラックスターズだ‼︎」

「ほら、前に話したでしょ‼︎」

「ああ、そいつらがそうなのね。わたしはあの日、クラスの日直で出会さなかったから分からなかったわ。」

 

ガッツ星人(マコ)はハルキとミコの言葉で彼女達が何者か把握した。一方でブラック指令達の方もガッツ星人(マコ)の姿に目を向けている。

 

「もしかして・・・お前、もう1人のガッツ星人か?」

「もう1人のガッツ星人?どういう事だ?」

「知らないのか?GIRLSとシャドウジェネラルとの戦いの後、髪が濃いガッツ星人が新たにGIRLSに入ったという情報があった。」

「の、ノーバさんよく知ってましたね。」

「敵の情報を知るのはごく当たり前の事だろ。」

「そ、そうか・・・そうだな‼︎」

「流石ブラックちゃん‼︎敵である筈のGIRLSのメンバーの情報を把握してないなんて‼︎」

「へ‼︎怪獣娘が何人増えようが同じだ‼︎てめえら派手にぶっ潰してやるぜ‼︎」

 

シルバーブルーメがブラック指令をおちょくる中、バロッサ星人は両腕に装着したキャノンをぶっ放す。キャノンから放たれた光弾を見てガッツ星人(マコ)が蹴りで光弾を弾き返すと彼女はブラックスターズの前に立ち塞がった。

 

「アンタ達、怪我したくなかったら下がってなさい‼︎」

『は・・・はい。』

 

凄みをきかせた彼女の低い声に思わずブラックスターズは後ろに下がる。そのままガッツ星人(マコ)が拳を向けてバロッサ星人に突っ込むとバロッサ星人はキャノンを連射して迎え撃つ。ガッツ星人(マコ)はキャノンから放たれる光弾の見極めて1発1発をかわしながらバロッサ星人に接近していく。途中で光弾が擦り、顔を歪めるもバロッサ星人に近付いた彼女はそのまま拳をバロッサ星人の顔面に撃ち込んだ。顔面にパンチを受けたバロッサ星人は顔を押さえながらフラフラと後退する。そのまま追い討ちをかけるようにガッツ星人(マコ)の回し蹴りがバロッサ星人を吹っ飛ばした。

 

「バロぉぉぉ⁉︎」

「す、凄く強い・・・。」

「当然‼︎何たってもう1人のわたしだしね‼︎」

「調子に乗るのもそこまでだ‼︎てめえらをこれで切り刻んでやるぜ‼︎」

 

立ち上がったバロッサ星人は両腕にノコギリがついた八つ切り怪獣『グロッケン』の両手を装着する。それを見たハルキは顔を青ざめ、ガッツ星人(ミコ)が憤慨の声を上げる。

 

「うげえ⁉︎ノコギリかよ⁉︎」

「ちょっと⁉︎流石に女の子相手にそれは卑怯でしょ‼︎」

「へっ‼︎戦いに女も男も関係あるか‼︎派手にバラバラにしてやるぜ‼︎死ねえええええええ‼︎」

 

バロッサ星人は両手のノコギリを回転させてハルキ達に迫る。その時、アギラ、ゴモラの頭突き、ミクラス、レッドキングの拳、ウインダムのレーザー、ザンドリアスの炎、ノイズラーの音波といった怪獣娘達の攻撃が同時にバロッサ星人に打ち込まれる。怪獣娘7人の同時攻撃を受けたバロッサ星人は派手に大きく空中を舞って吹っ飛んだ。

 

「バロバロバロぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」

「アギ、ゴモ‼︎」

「ミクさん、ベニオさん‼︎」

「ウインダム‼︎」

「お待たせちゃーん‼︎」

「悪いな、遅くなっちまったぜ。」

「いえ、間に合って良かったです‼︎」

「うんうん、皆来てくれたしね‼︎」

「ってブラックスターズもいる⁉︎何で⁉︎」

「・・・偶々だ・・・。」

「おのれ・・・怪獣娘共・・・。」

 

ミクラスの反応で全員に視線を向けられたブラック指令は思わず誤魔化す。その時、バロッサ星人は両手のノコギリを構えながら立ち上がり、怪獣娘を睨む。それを見て遅れてきた怪獣娘達が戦闘態勢に入った。

 

「ハルちゃん、ガッちゃん、ここは任せて‼︎」

「ゴモ・・・レッド・・・。」

「このままお前らだけに奴を任せるわけにはいかねえだろ。これまで任せちまった分、挽回させてもらおうじゃねえか‼︎行くぜ、お前ら‼︎」

『はい‼︎』

 

レッドキングの声で後輩にあたる怪獣娘達が返事を返す。そして先にミクラスとレッドキングが飛び出してバロッサ星人に拳を叩き込む。バロッサ星人は思わず無双鉄心『インペライザー』のインペリアルソードを装着し、剣で2人の怪獣娘の拳を受け止める。拳と剣が激突し、火花を散らしながら両者が吹っ飛ぶとアギラが角で突進を仕掛ける。

バロッサ星人は回避してヘルズキングのキャノンを装着し、アギラにぶっ放した。アギラは背中から光弾を受けて地面に仰向けになって倒れ込む。

 

「アギさん‼︎」

「こんにゃろおおおお‼︎」

 

アギラにウインダムが駆け寄り支える中、ザンドリアスが拳を向ける。バロッサ星人はザンドリアスの拳を素手で受け止めるが、その隙にノイズラーに蹴飛ばされた。

 

「助かったよ、ノイ‼︎」

「こいつらバロッサ星人は卑怯な手を使うからな‼︎このまま一気に攻撃といこうぜ‼︎」

「うん‼︎」

「さぁ、海賊野郎、アタシ達の音楽を聞きな‼︎」

 

ノイズラーがギターを構え、ザンドリアスが口に力を溜めると2人は強力な超音波を放つ。その音波を聞いたバロッサ星人は悶え苦しみ出す。

 

「よっしゃあ、バロッサ星人の動きが止まった‼︎」

「よし‼︎お前ら、よくやったぞ‼︎」

 

バロッサ星人を追い詰めた中学生コンビをレッドキングが褒める。バロッサ星人は頭を抑えながら今度はカネドラスのブーメランになる角を取り出す。音波に苦しめられたバロッサ星人は頭を抑えながらもカネドラスの角を投げる。バロッサ星人の手を離れた角はそのまま怪獣娘達に向かって飛んでいく。

 

「⁉︎何⁉︎」

「ブーメラン⁉︎」

「駄目、避けられない‼︎」

 

彼女達は思わず防御態勢に入ろうとするも一部の怪獣娘は間に合いそうにない。そのまま防御が間に合わない怪獣娘の1人であるウインダムにブーメランが襲い掛かろうとした時、何者かがブーメランを弾く。

 

「え?」

「あ、アンタは⁉︎」

 

思わずウインダムが目を見て開けるとそこには魔人態となったジャグラスジャグラーが剣を構えて立っていた。




ブレーザーのPVを見て怪獣娘×ブレーザーを早く書きたい気持ちが強くなりましたが1つ問題が・・・。ブレーザー、新規怪獣が多いですが・・・あの怪獣達、地球出身に見えない奴らが多いのに地球生まれっぽい奴らもいるらしいんですよね。
新規怪獣が多いのは嬉しいですけどあの怪獣達の中で何割が怪獣娘世界でも出せるか・・・。
バザンガ、ガラモン、カナン星人は宇宙出身だから普通に出せますし、落書きから生まれた特殊な出自を持つガヴァドンも多分出せそうですが・・・残りは何処まで出せるかな・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ベリアロク(後編)

今回の影絵は原作と同じイメージです。


カネドラスの角はジャグラーに弾き返され、バロッサ星人の元に跳ね返っていく。バロッサ星人は寸前でブーメランになる角を避けた。

 

「うおわあああ⁉︎」

「またお前か、トゲトゲ星人‼︎」

「もっとマシな呼び方はねえのか。」

「トゲトゲ星人、一体何しに来たの?目的は何⁉︎」

「答えなさい、トゲトゲ星人‼︎さもないとわたしとミコの2人でアンタをボコボコにしてやるわよ‼︎」

「はっ‼︎・・・お前らみたいな小娘に俺が負けると思ってんのか?それとお前らもその名で呼ぶんじゃねえ。」

 

突然目の前に現れた魔人態のジャグラーにハルキ達は動揺する。ガッツ星人(マコ)の言葉を鼻で笑ったジャグラーは後ろのバロッサ星人に向かって振り向いた。

 

「てめえは誰だ⁉︎何故邪魔をする⁉︎」

「お前に用はない。そのベリアロクって奴に用がある。」

「は?何?」

「悪に強い奴は善にも強い。闇も光もぶった斬る。そういうところが気に入った。邪心流邪心剣当て合わせ願おう。」

『面白い、斬ってみるか。』

 

ベリアロクは近くにいたバロッサ星人の手元に浮かび上がる。バロッサ星人がベリアロクを掴んだ途端、ベリアロクの大きさが邪心剣に立ち向かえる大きさに変化する。

 

「へっ‼︎なんだか分からねえがお前を使えるなら文句ねえ‼︎行くぜ行くぜ行くぜ‼︎」

 

バロッサ星人はベリアロクを掴むとそのままジャグラーに向かっていく。そしてそのままジャグラーとバロッサ星人の斬り合いが始まった。ジャグラーの太刀筋をかわしたバロッサ星人はベリアロクで斬りつけようとするがジャグラーに弾かれ、剣を突きつけられる。

 

「おっと・・・仕切り直して・・・。」

 

後ろに下がったバロッサ星人は頃合を見てジャグラーに斬りかかる。ジャグラーはこれを避けて剣を向けるがバロッサ星人もベリアロクで邪心剣を防いだ。バロッサ星人は距離を取って再び斬りかかる。しかし、ジャグラーはこれを見切り、バロッサ星人の背後に回り込み、背中を斬りつけた。

バロッサ星人は前に転がるとこちらに向かってきたジャグラーの邪心剣を防ぐ。しかし、ジャグラーの剣捌きに次第に防戦一方になっていく。バロッサ星人はベリアロクを向かってきたところを受け止められてからジャグラーの剣捌きを精一杯になってこちらから斬り付ける事が出来なくなっていく。何とかベリアロクで邪心剣を受け止めた時、ベリアロクはジャグラーのその腕を認めたのか笑い出す。

 

『フハハハハ‼︎その太刀筋は光か闇か‼︎』

「へ?何て?ファイナルブレイク‼︎」

 

バロッサ星人はベリアロクから何発か斬撃波を繰り出す。ジャグラーはその斬撃波を受け止めると自身の闇の力に変換してバロッサ星人に返した。

 

「新月斬波‼︎」

「うわああああああ⁉︎」

 

ジャグラーの斬撃波によってバロッサ星人は吹っ飛ばされる。そしてバロッサ星人の手から離れたベリアロクがその場に突き刺さるとハルキが向かっていく。そこにジャグラーが邪心剣を突き付けて邪魔をする。

 

「ベリアロク‼︎」

「待て、そいつは俺のだ。」

「おい‼︎ふざけた事言うな‼︎元々そいつはハルキのだぞ‼︎」

 

レッドキングがジャグラーの言葉に憤慨するもジャグラーはそれを無視してベリアロクに触れようとする。するとベリアロクがそれを拒み、ジャグラーに問いかけた。

 

『俺様に手を触れる前に1つ聞く。俺様を手にしてお前は何をする?』

「はいはい・・・さてどうしたもんかねぇ。俺はこの宇宙がどうなろうと関わりないし光だの闇だのに興味ない。風の吹くまま気の向くままさ。」

『アテのない旅か・・・。』

「だが・・・斬ってみたい奴らはいる。」

『面白い。俺様を手にするがいい。』

 

自身に詰め寄ってきたジャグラーにベリアロクは興味を抱き、彼の手に収まる。自身の手に渡ったベリアロクにジャグラーは満足そうな声を上げる。

 

「ベリアロク、遂に我が手に来たか。」

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ‼︎」

「ベリアロクを返せ、泥棒野郎‼︎」

「おいおい、人聞きの悪い事言うなよ。剣が俺を選んだんだぜ。」

「あっ、待てトゲトゲ星人‼︎」

「待って、ガッツ、ハルキさん‼︎」

「アキさん⁉︎」

「どうしたの、アギ⁉︎」

 

ハルキとガッツ星人(ミコ)がジャグラーを追おうとした時、アギラの静止が入る。2人がアギラの指差す方向を見るとそこにはバロッサ星人が立っていた。

 

「お前、まだいたのか⁉︎」

「バロバロバロッサァァァァ‼︎このジュランの種でてめえら全員ぶっ潰す‼︎」

 

バロッサ星人が吸血植物『ジュラン』の種子を口にすると途端にその体が巨大化した。ハルキはそれを見るとウルトラゼットライザーを取り出してヒーローズゲートに突入する。そしてウルトラアクセスカードを装填し、読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

腰のメダルホルダーからアルファエッジへの変身に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

アルファエッジの姿のウルトラマンゼットはゼットライザーを構えながらバロッサ星人に向かって構えを取る。そしてゼットライザーでバロッサ星人を斬りつけようとするがバロッサ星人はゼットの腕を抑えて斬撃から免れた。

 

「来たかウルトラマン、兄者の仇‼︎ギャラクトロン‼︎」

 

バロッサ星人はギャラクトロンの左腕を装着してゼットを斬りつけようとする。ゼットはかわして蹴りを入れようとするもギャラクトロンの左腕に弾かれ、逆に殴られて距離を取られる。

 

『この間の奴よりウルトラ切れ味がいいぞ!こっちもキレキレで行くか‼︎』

(ええ‼︎)

 

ハルキはM78流竜巻閃光斬に必要な3枚のメダルを取り出してゼットライザーに装填し、読み込ませる。

 

〈JACK〉、〈ZOFFY〉、〈FATHER OF ULTRA〉

『(M78流・竜巻閃光斬‼︎)』

 

竜巻と共に放たれたノコギリ状の切断光線がバロッサ星人に襲いかかる。しかし、バロッサ星人はギャラクトロンの左手でその切断光線をぶった斬った。

 

「舐めるな‼︎兄者と同じ手は食わないぜ、ウルトラさんよぉ‼︎」

 

かつて同族を倒した技が弾かれ、ゼットは動揺する。バロッサ星人は反撃とばかりに頭に周りに手をかざし、目に仕込んだ高熱怪獣『キーラ』の目を利用して作られたコンタクトを光らせる。

 

「今度はこっちから行くぜ‼︎キーラフラッシュ‼︎」

 

かつてウルトラマンを失明させたその光はゼットの目を眩ませる。その眩しさにゼットは思わず膝をついてしまった。

 

「ぐおっ⁉︎汚いですぞバロッサ星人‼︎」

「おいおい、戦いに奇麗も汚いもねえ‼︎その首貰うぜ‼︎」

 

バロッサ星人はギャラクトロンの左腕を構えようとする。その時何処からともなくEXモードに変身したゴモラの超震動波が直撃する。固い皮膚のテレスドンにダメージを与えたEX超震動波の威力にはバロッサ星人も怯まずにいられなかった。バロッサ星人は先程の発言を忘れてブーメラン発言をする。

 

「お待たせ‼︎ゼットちゃんにハルちゃん‼︎」

「汚ねえぞ‼︎」

「アンタが言うな‼︎」

「騙し討ちでハルキの目を潰そうとした奴が言ってんじゃないわよ‼︎」

 

バロッサ星人の発言にガッツ姉妹が思わず怒りながら分身して星人を取り囲む。そして大勢の分身でバロッサ星人を取り囲んだガッツ姉妹は拘束光線を放ち、バロッサ星人の身柄を抑える。

 

「なっ⁉︎これは⁉︎」

「よし‼︎捕まえた‼︎」

「ハル、今のうちに‼︎」

 

ゼットは彼女達に頷くと足に炎を纏わせ、4発ほど回し蹴りを浴びせる。蹴りで吹っ飛んでいったバロッサ星人に向かって更にゼスティウムメーザーで追撃する。ゼスティウムメーザーを受けたバロッサ星人は爆炎を上げて、悲鳴を上げながら吹っ飛んでいった。

 

「バロォォォォォォ⁉︎」

 

バロッサ星人がゼスティウムメーザーで吹っ飛んだ事を確認するとガッツ姉妹とゴモラがビルに着地してゼットに近付いてガッツポーズをする。ゼットも思わず彼女達に頷いた。

 

「ハル、やったね‼︎」

「ゼットちゃん、ハルちゃん‼︎2人ともナイス‼︎」

 

サムズアップを決めるゴモラとガッツ姉妹の3人にアギラ達も合流してゼットに笑顔を見せる。その時、前から突然赤い光線が飛んで来た。赤い光線はビルに直撃するとそのまま怪獣娘を巻き込んで倒壊していく。幸いにも何とか彼女達は着地に成功するも連続で飛んで来たビームが地面に着弾して大爆発が起こり、彼女達は大きく吹っ飛んだ。

 

『きゃあああああああああ‼︎』

『うわああああああ⁉︎』

(ミコ!マコ!皆‼︎)

「バーロバロバロバロッサァァ‼︎ったくよ、さっきはよくも変な攻撃で俺様を手間取らせてくれたな‼︎全くもう、やんなっちゃう‼︎」

『ハルキ、ウルトラフュージョンだ‼︎』

(はい‼︎)

 

ゼットの声を聞いたハルキはベリアル、ジード、ゼロのメダルを取り出す。共鳴し、ライズメダルと化したウルトラメダルをゼットライザーにセットして読み込ませた。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

「ジィィィィィアァァァァァァ!」

 

最強の姿であるデルタライズクローに変身したゼットは着地すると同時に唸り声を上げる。それはまるで仲間である怪獣娘達を傷付けられた事に対して怒りを抱いているようだった。

その姿に恐れをなしたバロッサ星人は羽を広げて空に飛び上がる。そして右腕にペダニウムランチャーを装備すると上空から発砲し、ゼットを狙い撃った。ゼットはバロッサ星人の姿を追って飛び上がるとペダニウムランチャーによる銃撃をかわしてバロッサ星人に空中で連続キックを叩き込む。何発もの蹴りを受けたバロッサ星人はそのまま地面に降下していく。そしてゼットは腕に力を込めてそのまま拳をバロッサ星人にぶつけた。渾身の拳にバロッサ星人はそのまま地響きを上げて地面に激突する。

 

「ジィィィアアアァァ‼︎」

 

そしてそのまま地面に横たわったバロッサ星人を確認したゼットは更に渾身の拳をバロッサ星人に叩き込もうとする。その時、バロッサ星人はふと横に目を向け、傷だらけながらも起き上がる怪獣娘達を確認する。そしてギャラクトロンの左腕を彼女達に向けてロケットパンチのように飛ばす。

 

『⁉︎』

 

怪獣娘達は突然飛んで来たギャラクトロンの左腕に対処出来ずそのまま捕まってしまう。そしてそれを自分の手元に引き寄せてゼットに見せつけた。

 

「動くな‼︎動くとお前の仲間がぶっ壊れるぜ‼︎」

(ミコ、皆‼︎)

「ハル、わたし達に構わずにこいつを」

「おおっと、てめえらは黙ってな‼︎」

「ぐっ・・・うう・・・あああ・・・。」

 

ガッツ星人(ミコ)が口を開いた時、バロッサ星人は怪獣娘達を握る手を強くする。手加減しているもののあと少し力を入れれば彼女達をいつでも握り潰せる体勢にあるため、ゼットは大人しくバロッサ星人から引き下がった。

 

『ウルトラ卑怯だぞ‼︎正々堂々と戦え‼︎』

「全くいやんなっちゃう、卑怯もラッキョウもあるか‼︎たっぷり礼をさせてもらうぜ‼︎」

 

バロッサ星人は人質がいて手が出せない事をいい事にゼットをギャラクトロンの左腕で殴り付ける。その後もペダニウムランチャーを鈍器のようにしてゼットの頭に叩きつける、ギャラクトロンの左腕を叩きつけたり引っ掻いたりしてゼットを痛め付けた。

ジャグラスジャグラーとしての姿を解いたヘビクラはその様を見ると苦い表情で呟いた。

 

「あー、大分痛めつけられてるな。」

『いい気になって調子に乗ってる輩には必ず隙が出来る。アイツらはそれを待っている。』

「随分と肩を持つじゃないか。」

 

その言葉通り、ハルキとゼットはバロッサ星人に隙が出来るのを待っていた。バロッサ星人はそんな事も知らずにペダニウムランチャーやギャラクトロンの左腕で殴る叩くに加えて蹴りを入れながらゼットを痛め付けている。しかし、中々倒れないゼットに痺れを切らして彼から距離を取った。

 

(ミコ達は俺達を助けてくれた‼︎だから俺達も諦めない‼︎)

『そうとも‼︎最大のピンチは最大のチャンスだ‼︎』

「何でだ何でくたばらないのだ‼︎」

(俺達は!最後まで‼︎)

『(諦めない‼︎)』

 

バロッサ星人が離れた時、ゼットは左手に力を込める。そして渾身のアッパーをバロッサ星人の顎に叩き込んだ。バロッサ星人は怪獣娘達を離して大きく吹っ飛んでいく。ゼットはその隙に彼女達をキャッチし、地面に優しく下ろした。

 

(ミコ、大丈夫か?)

「ハル・・・ありがとう‼︎」

 

怪獣娘を代表して満延の笑みを見せたガッツ星人(ミコ)にゼットは頷く。それを見たベリアロクは愉快そうに笑うとヘビクラの手を離れようとする。

 

『フハハハハハハハ‼︎』

「おい、何処に行こうとしてんだ?」

『お前の旅も面白そうだ。だが俺様はもっと面白そうな奴らの元に着く。』

「あ?」

『安心しろ、お前の正体は黙っててやる。その方が面白そうだ。』

「ああ、おい‼︎」

 

ベリアロクはゼットの中のハルキの元に戻ってくる。ハルキは思わずベリアロクを掴もうとするがベリアロクはその手を阻んだ。

 

『ベリアロク⁉︎戻ってきたのか⁉︎』

(ベリアロク‼︎)

『俺様を手にする前に1つ聞く。俺様を手にしてお前は何をする?』

 

ベリアロクの問いにハルキは黙り込む。数秒間考えるとハルキは重い口を開いた。

 

(分からない・・・。)

『分からないって・・・俺達は宇宙の平和を』

『黙れ、お前には聞いてない。』

(俺達に何が出来るか全然・・・分からないけど・・・俺達に力を貸してくれ‼︎)

『フハハハハハハ‼︎未熟‼︎お前達は本当に未熟だ!・・・だからこそいつか大きくて面白い物を斬るかもしれん‼︎それを見てみる気になった。さぁ俺様を手に取れ‼︎』

(ありがとう・・・ベリアロク。)

 

ハルキを認めた事でゼットの手元にベリアロクが現れる。ゼットはベリアロクを確かに手に持つとそれを構える。

 

「舐めるなぁぁぁぁ‼︎」

 

バロッサ星人はギャラクトロンの左腕でゼットに斬りかかる。ゼットはそれをベリアロクで受け流して斬りつけようとする。しかし、それでもバロッサ星人は器用にベリアロクから逃れる。しかし、剣を受け流した時、ゼットの回し蹴りが炸裂した。

バロッサ星人は一度怯んで後ろに下がると再びギャラクトロンの左腕で切りつけようとするがこれもベリアロクで受け流される。そしてギャラクトロンの左腕をゼットに突きつけようとした時、ベリアロクに阻まれ、その胸に拳を叩き込まれた。

 

「ジェアッ‼︎」

 

バロッサ星人が怯んだ隙にゼットが一回転しながらベリアロクで斬りつける。それは確かにバロッサ星人の体に斜め状の切り傷を刻み込んだ。ゼットは一度カラータイマーに両腕の拳を合わせると左腕に力を集める。そして強力な光線がバロッサ星人に向けて放たれた。

 

「あ。」

 

ゼットの光線が直撃し、バロッサ星人は大爆発する。爆炎の中、バロッサ星人は羽を広げて空に飛び上がった。

 

『逃すか‼︎』

 

ハルキはベリアロクのスイッチを2度押す。そしてベリアロクに闇の力が集まり出した。

 

(宇宙の理を乱す奴らは俺達が叩き斬る‼︎)

『デスシウムファング‼︎』

 

ゼットがベリアロクを空に向けて掲げるとベリアルの巨大な顔状のエネルギーがバロッサ星人に向けて放たれる。

 

「バロバロ、今日はこのくらいにして・・・って顔がぁぁぁぁ⁉︎バロバロバロッサ〜‼︎」

 

ベリアロクから放たれたデスシウムファングがバロッサ星人に到達する。バロッサ星人よりも大きい顔状のエネルギーの口が開き、バロッサ星人を噛み砕いた。そしてバロッサ星人は断末魔を挙げながら大爆発した。

 

(アイツ、何て言ってたんです?)

『『大海賊、地球に死す』だとさ。』

『散り際も面白くない奴だ。』

(ベリアロク、本当にありがとな。これからも)

 

ハルキが最後まで話す間も無くベリアロクはその手を離れる。そしてその場から消えていった。

 

『余韻を台無しにするな。俺様は斬りたい時に斬りたい物を斬る。』

『何て奴でしょう‼︎』

(ハハ・・・気まぐれですね、俺達の勝利への剣ベリアロクは。)

 

ゼットが憤りを見せるもハルキは苦笑しながら言葉を繋ぐ。

 

 

 

 

 

 

「いいも悪いも使い手次第か・・・ん?あれは・・・。」

 

ゼットがバロッサ星人を倒したところを眺めていたヘビクラはその場から背を向けて戻ろうとする。そこにはベリアル融合獣と化したダメージに加えてベゼルブを倒した時の爆風に巻き込まれてボロボロのカブラギの身体を乗っ取ったセレブロがいた。そんなセレブロに向けてGIRLSの戦闘部隊に所属する職員が警棒のような物を持って構える。

 

「この体も限界か・・・。」

「そこを動くな‼︎カブラギシンヤ‼︎」

 

その職員が警棒を構えた時、何処からともなく斬撃が飛んできて警棒を叩き斬る。その瞬間に唖然とした職員は辺りを見渡すもそれがセレブロに隙を与えてしまった。彼の体はセレブロに押し倒される。

 

「怖くない・・・すぐに終わるからジッとしてて・・・フハハハハハハハハ‼︎」

「う、うわああああああああああ⁉︎」

 

その数分後、エレキング率いる別部隊がその職員と合流する。思わずマガバッサーが口を開いた。

 

「あ、あの・・・GIRLSの特殊戦闘部隊の方ですか?」

「・・・・・・そうだ。こちらアサノ、カブラギシンヤを確保した。これからGIRLSに連行する。手伝ってくれるか?」

「勿論です。」

「ん・・・あれ?ここは・・・。」

 

その時、カブラギが目を覚ます。するとマガバッサーが憤りながらカブラギに問い詰める。

 

「目を覚ましやがったな!よくもジャッパを傷付けやがって‼︎これまでの事全部話してもらうぞ‼︎」

「へ?一体何を言って・・・痛い痛い‼︎離してください‼︎アンタ達誰ですか‼︎」

 

今までセレブロに体を乗っ取られていた上何故GIRLSの戦闘部隊に連行されているのか分からないカブラギは戸惑いを隠せない。何も覚えてない上いきなり連行されてカブラギが喚く中、魔人態となったジャグラーはその様子をじっと眺めていた。




ハルキ「ハルキと」

ブラック指令「ブラック指令の」

ハルキ&ブラック指令「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈BELIAL ATROCIOUS〉

ブラック指令「恐ろしい力を持つウルトラマンベリアルの強化形態だ。」

ハルキ「強力なライバル同士のメダルが共鳴してメダルがパワーアップ‼︎ライズウルトラメダルになったんだ。」

ブラック指令「デルタライズクローへのウルトラフュージョンにはこのライズメダルが必要不可欠だぞ‼︎」

シルバーブルーメ「次回は私が担当するよ〜‼︎」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『シャドウビーストが消え去る不思議な事件が起こった。調査するハルキが出会ったのは古い観覧車を見つめる謎の女性。彼女の正体とは・・・。次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


2020年の再挑戦


ウルトラ走るぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2020年の再挑戦(前編)

久しぶりにシャドウ、及びシャドウビーストに出番を与えました。


この日、怪獣娘達は街に発生したシャドウの対応に追われていた。ガッツ星人(マコ)がスライム状のシャドウを蹴り飛ばすとその先に待っていたアギラが突進でシャドウを撃破する。

 

「やあああああ‼︎」

 

また別の方向ではミクラスとレッドキングが同時にシャドウを殴り飛ばしていた。2人の怪獣娘の拳を受けたシャドウは容易く消滅する。

そして2人の後ろではゴモラがシャドウを踏み台にして高く飛ぶとそのまま尻尾を振り下ろした。頭上から尻尾の一撃を受けたシャドウはすぐさま消滅するもゴモラの後ろからクマムシ型のシャドウが迫っている。その時、ザンドリアスがゴモラの後ろに降り立ち、口から炎を吐いてシャドウを燃やし尽くした。

 

「ゴモたん先輩、大丈夫っすか⁉︎」

「後ろありがとー、ザンちゃん‼︎」

 

ゴモラはザンドリアスに礼を言うと後ろに集まってきたシャドウを確認する。そして高く飛び上がり、シャドウを踏みつけると次から次へとシャドウを踏みつけながら飛び上がっていく。

 

「皆さん、こちらです‼︎急いで‼︎けど、慌てないで避難して下さい‼︎」

 

その一方でハルキは市民の避難誘導をしていた。いつ怪獣が現れるか分からない以上、ゼットに変身して戦うのは避け、避難誘導に回る事にしたのだ。

 

「こちらです‼︎慌てないで落ち着いて避難して下さい‼︎」

「ハルハル‼︎」

「トモミさん‼︎」

「こちらの地区の避難は完了しました‼︎応援に回ります‼︎」

「分かりました‼︎」

 

ハルキはこちらに向かってきたトモミと共に力を合わせて市民の避難誘導に回る。その時、突然地面が揺れ始める。その時、ピグモンのソウルライザーに警告音が鳴り始めた。

 

「この警告音・・・まさか⁉︎」

 

ピグモンが後ろを振り返ると地面からパイルバンカー型のシャドウが現れる。それを見たハルキは携帯でガッツ星人(ミコ)に連絡を入れた。

 

『どうしたのハル⁉︎』

「ミコ、シャドウビーストが現れた‼︎こっちはまだ避難が完了していない‼︎応援を呼べないか⁉︎」

『ええっ⁉︎・・・少し待ってて‼︎こっちを片付けてすぐに向かうから‼︎』

「ミコ!ミコ‼︎」

「ハルハル、そちらの方は?」

「まだ片付いてないようです・・・。」

 

幼馴染がいる現場の様子を伝えたハルキは隣で顔を青ざめながら慌てているピグモンの隣で目の前のシャドウビーストを見据えると思わずゼットライザーを構えた。

 

「・・・仕方ない。何処までやれるか分からないけど、コイツは俺がやるか。」

「ま、待って下さい‼︎そのゼットライザーでシャドウビーストと戦うつもりですか⁉︎無茶ですよ‼︎そのゼットライザーが普通のシャドウに効いた事は聞きましたけど・・・生身のハルハルが挑むには幾ら何でも危険すぎます‼︎」

「そうですよ、ハルキさん‼︎」

 

ゼットライザーを構えたハルキの後ろからロケットパンチが飛んできた。それはシャドウビーストに命中するとその体を大きく転倒させる。ハルキとピグモンが思わず振り向くとそこにはEXモードのセブンガーがいた。

 

「セブセブ‼︎」

「お待たせしました‼︎ピグモンさん‼︎」

 

セブンガーが地面に着地すると彼女は後ろのハルキを確認し、力強く口を開いて目の前のシャドウビーストに目を向ける。

 

「ナナちゃん‼︎」

「ハルキさん、幾らウルトラマンになれるとはいえシャドウビースト相手に生身は危険すぎます‼︎ここは私にドーンと任せて下さい‼︎」

「・・・分かった‼︎頑張って‼︎」

 

セブンガーは後ろのハルキに頷くと再び背中のジェットパックで飛び上がる。そしてそのまま急上昇してシャドウビーストの頭に拳を叩き込んだ。シャドウビーストはそのまま怯んで後退するもすぐに体勢を立て直して両腕をロケットパンチのように飛ばす。思わずセブンガーは身構える。その時、2人のガッツ星人が右腕に飛び蹴りで、アギラとゴモラの2人が尻尾で左腕を弾き返した。

 

「ガッツさん‼︎アギラ師匠にゴモたんさん‼︎」

「お待たせちゃーん‼︎」

「1人でよく頑張ったね!」

「ここからはわたしも加勢するわよ‼︎」

「ミコ‼︎」

「ハル、セブンガー、ここからはわたし達に任せて‼︎さて、さてさて‼︎来ました!私達が‼︎貴方を倒しに・・・ね!」

「いよぉぉし‼︎行くでぇ‼︎」

 

ゴモラを筆頭に全員がシャドウビーストに突撃しようとする。その時、不可解なことが起こった。突然、シャドウビーストの体が透け始めたのだ。

 

「皆、待って‼︎」

「どうしたの・・・って、え⁉︎」

「何が起こってるの⁉︎」

 

アギラが怪獣娘代表として目の前で起こってる事に疑問をあげる。しかし、彼女達が考える間もなくシャドウビーストは完全に姿を消してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ハルキを含むGIRLS東京支部のメンバーが街に繰り出した。理由は突然シャドウビーストが消えた理由とその先の行方を掴むためだ。その中でハルキは幼馴染であるミコと組んで調査を行なっている。

 

「この辺りからも特に怪しい反応は無いか・・・。」

「シャドウがあんな忽然と消える事なんてあるの?」

「本来だったら有り得ないよ。撤退するにしても地面に潜るか空を飛んで逃げる場合が多いから。」

「一体何が起きたってんだ?」

「・・・なんて言うか・・・何かもしくは・・・誰かに消された感じがしたよね・・・。」

「だとしたらその原因を突き止めなきゃ話にならないな・・・。もう少し広い範囲を探してみるか。」

「それに加えてアギ達が回ったところを改めて回らない?アギ達が来た時とわたし達が来た時で何か変化があるかもだし。」

「それもそうか・・・。」

 

こうして2人は更に捜索範囲を広げただけでなく他のメンバーも回った箇所を見回る事にした。しかし、2人が更に捜索範囲を広げて1時間が経過するも何も見つける事は出来なかった。ハルキとミコは疲れたのかベンチに座り込んでいる。

 

「くっそ〜、何も見つかんねえ・・・。」

「参ったね・・・この調子だと・・・他のチームも収穫無しかも・・・。」

 

2人はベンチに座って項垂れる。2人揃って溜息をつくと同時にお腹が鳴る音が響いた。

 

「そういえばお腹空いたね・・・。」

「今日は朝から突然シャドウが出現して朝飯食わずに出動したから・・・何も食ってないな・・・。」

「そろそろ1時回りそうだし・・・お昼にしよっか。」

 

2人は食事が買えそうなところを探すとハンバーガーなどのファーストフードを取り扱っているキッチンカーを見る。2人は顔を合わせて目を輝かせると同時に頷き、キッチンカーに向かっていく。そして昼食を買った2人は先程座り込んだベンチに座って食事を取る。ハルキがハンバーグが2枚乗った特大ハンバーガーにかぶり付くとミコが苦笑する。

 

「もうハルってば・・・ダブルサイズのハンバーガー、そんなに勢いよくがっついて・・・チキンナゲットや照り焼きバーガーもあるのに最初からそんな飛ばしてたら喉に詰まるよ。」

「・・・人の事言えないだろ。ミコだってホットドックに加えてダブルサイズのチーズバーガーにアップルパイ平らげた癖に・・・。それに加えてまだLサイズのポテト残してさ。」

「そりゃシャドウとの戦いで動いたんだもん‼︎お腹ペコペコだよ。」

 

やがて2人は注文した食べ物をすべて食べ終え、それぞれ頼んだ飲み物に口をつける。ハルキがオレンジジュースを一口飲んでふと上に目を向けるとそこには動かなくなった大きな観覧車があった。

 

「おい、ミコ・・・。」

「何?」

「あの観覧車って・・・もしかして・・・昔、俺と父さんと母さんがお前ん家と一緒に行ったあの遊園地じゃねえか⁉︎」

「え?」

 

ミコはレモンティーを飲みながら観覧車に目を向ける。するとミコは思い出したように叫んだ。

 

「あああ‼︎あの観覧車、昔、ハルのとこのおじさん達とパパ達で行ったあの観覧車じゃん‼︎」

「やっぱりそうか‼︎うわ〜、懐かしいな〜‼︎」

「わたし達がまだ小学生だった頃、ハルの家と一緒によく来たよね〜‼︎」

「覚えてる覚えてる‼︎父さんが亡くなってからは行く機会が減ったけど、よく家族絡みで付き合っていたからさ。」

「ジェットコースターとかおじさん達と一緒によく色んなアトラクション回ったよね〜!最後にいつもこの観覧車乗ってさ、街の景色を眺めるのが最高だったよね‼︎」

「ああ、お化け屋敷で腰抜かして泣いてたお前もこの観覧車で夕焼けや夜景の街を見たらすっかり泣き止んでたもんな。」

「ちょっと〜‼︎わたしそこまで泣いてないよ‼︎ハルだって男の子の割にはビビってたじゃない‼︎」

「し、仕方ねえだろ‼︎あの頃はまだ小学1年とか2年くらいの年なんだぜ‼︎あのお化け屋敷妙にクオリティ高いし、あの頃の年の子供なら誰でも泣くっつーの‼︎しかし・・・今じゃもうやってねえんだな。」

「園長が病気で倒れたとか・・・他に大勢の人達が来て大人気となる新たな遊園地とか出来たもんね・・・。まあそれ以前に昭和の頃に建てられたから老朽化が進んで閉園しちゃったんだよね。」

 

思い出話で盛り上がった2人は目の前の動かない観覧車を眺めながら飲み物を飲む。そしてその脳裏に昔、お互いの家族と一緒にまだ開園していた頃の遊園地を思い起こしながら想いにふけている。その時、横から赤い帽子に赤い傘を身に付けた昭和の時代を思わせるファッションの女性が話しかけてきた。

 

「そう、それで動かないのね・・・懐かしいと同時に・・・寂しくなるわ・・・。」

「「へ?」」

「ああ、御免なさい。貴方達カップルの邪魔をするつもりは無かったの。私もこの観覧車には思い入れがあるからつい口を挟みたくなって・・・。」

「べ、別にわたし達カップルじゃないですよ‼︎」

「そ、そうです‼︎ミコの言う通りです‼︎」

「あら、そうだったの?今の若い子って距離が近いのね。」

 

女性はクスクスと微笑みながら顔を赤くしながら慌てているハルキとミコを微笑ましい目で見ている。慌てる2人の若者を見たその女性は2人に近付いてくる。

 

「貴方達もこの観覧車に思い入れがあるのね。」

「ええ、俺達幼馴染で・・・。」

「よくお互いの家同士で遊びに行ってたんですよ。それでお互いの家族ぐるみでここによく連れてきてもらってて。」

「そう・・・私も・・・子供の頃、よくここに連れて来てもらったわ。頂上から街を見渡せて・・・夜景も綺麗で・・・まるで王女様になったような気分だったわ。」

 

ハルキとミコも女性の話にシンパシーを感じて2人同時に頷く。すると女性は意味深な言葉を呟いた。

 

「ここに来れて良かった。これでもう・・・思い残す事はないわ。」

「「えっ?」」

「ちょっ、ちょっと待って下さい。」

 

女性の言葉が気になったハルキは思わず女性を呼び止める。女性はハルキの言葉を聞いて立ち止まる。

 

「もし良かったら名前を聞いてもいいですか?」

「・・・カオリ・・・。」

「俺、ハルキって言います。こっちは幼馴染のミコ。GIRLSの怪獣娘です。」

「GIRLS?・・・怪獣娘?」

「怪獣娘とGIRLSを知らないんですか?怪獣や宇宙人の魂を継いでその力が使えるようになったわたし達のような女の子の事です。」

「GIRLSはその怪獣娘達が集まった組織で・・・怪獣や宇宙人の事件から皆を守るために立ち向かっているんです。俺もそのGIRLSの隊員です。今は任務中ですけど・・・何か悩みがあるなら聞きますよ。」

「怪獣や宇宙人から・・・。」

 

ハルキ達の前に現れた女性『カオリ』が意味深そうに呟く中、ミコがハルキを睨んで問い詰める。嫉妬で頬を膨らませるミコにハルキは後退りながら答える。

 

「ハル〜、まさか美人だからって鼻の下伸ばしてないわよね〜・・・。」

「そ、そんな怖い目で見るなよ‼︎どう見ても何か悩んでいるようだし・・・放っておけないだろ‼︎」

「・・・ま、確かに何か悩んでそうね。あの、何か悩みがあるんだったら」

 

ミコが最後まで言い終える前にカオリは2人の方を掴んで詰め寄る。そしてカオリは2人にとんでもない頼み事をしてきた。その言葉に2人は思わず驚きの表情になる。

 

「だったらお願い‼︎私を殺して‼︎」

「ええっ、カオリさん⁉︎」

「な、何言ってるの⁉︎」

「もうすぐ大変な事が起きる‼︎手遅れになる前に私を‼︎・・・ぐっ⁉︎」

「お、落ち着いてください‼︎」

「一体どうしたんですか⁉︎」

 

ハルキとミコはカオリを宥めようと呼び掛ける。その時、カオリが突然胸を押さえて苦しみ出した。

 

「カオリさん、どうしたんですか⁉︎」

「・・・ぐっ・・・寄るな‼︎」

 

明らかに様子がおかしいカオリにハルキとミコはお互いを見合わせて彼女の顔を覗き込む。その時、ミコのソウルライザーに電話がかかってきた。ハルキは思わずミコの方に振り向く。

 

「ミコ、ソウルライザーに着信が‼︎」

『こちらピグモン、ガツガツ、ハルハル、そちらは何か収穫がありましたか〜?』

「ピグっち、ちょっと今取り込み中‼︎後にして‼︎」

「ミコ‼︎」

 

ハルキに名前を呼ばれて正面を向いたミコは唖然とする。目の前にいた筈の謎の女性カオリが姿を消していたのだ。

 

「えっ⁉︎何処に行ったの、ハル⁉︎」

「悪い・・・さっきお前のソウルライザーに着信があった時、思わずお前の方に振り向いちまってた・・・その間にいつの間にか・・・。」

「消えちゃったって事・・・。一体どうなってんの・・・?」

 

ハルキとミコはさっきまでカオリがいた正面を唖然と見ている。そんな中、ミコのソウルライザーに再び着信が鳴る。

 

「こちらガッツ。」

『こちらアギラ、2人とも一旦GIRLSに戻ってきて。シャドウビーストが消えた時に分かった事があるって。』

「分かった、すぐに戻るよ。ハル、行こ。」

「ああ・・・。」

 

ハルキとミコは消えたカオリを不可思議に思いながらもGIRLSが突き止めて分かった事実を聞くためにGIRLSに戻っていった。




来月からクロスオーバーユニバースの方で怪獣娘×ブレーザーの先行版を連載する予定です。
予定ですが・・・地球怪獣であるゲードスとダガヌラーは怪獣娘世界では出しにくいため出ない可能性が高いです。あらかじめご了承下さい‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2020年の再挑戦(中編)

影絵は原作と同じイメージです。同時に仕込んだサブタイもとても分かりやすい物になりました。

誘拐怪人『ケムール人』登場


突然消えたカオリの事を後にしてGIRLSに戻ったハルキとミコは講義室でいつものメンバーと調査部が知ったとある事実を聞かされていた。

 

「電磁波が?」

「はい、シャドウビーストが消えた地点からイルカに似ていますがとても強力な音波が検知されたんですよ。」

「そしてその音波はここのところ様々な場所で検知されているわ。そしてその音波が検知された場所の近くでは人間や怪獣娘が突然消える事件が起こっているのよ。」

「人間や怪獣娘が⁉︎」

 

講義室で話を驚いたヨウが驚くとトモミはモニターに映像を写す。そこには芸をする大道芸人が突然消える映像が写し出された。その様に映像を見た者達が驚く。

 

「こ、この消え方って‼︎」

「さっきのシャドウビーストにそっくり‼︎」

「他にもあるのよ。こんな風に人が消える怪事件が。」

 

ランが続けて出した映像にはエレベーターから降りた途端消える映像が映し出された。

 

「えっ⁉︎」

「い、今・・・。」

 

映像を見てハルキとミコは何かに気付く。2人が怪訝な顔をする中、他にもGIRLSの水泳大会で1人の怪獣娘が飛び込み台から飛び込んだ途端消える映像、何処かの公園でトレーニングの一環でランニングをしている怪獣娘が消える映像が映し出された。

 

「怪獣娘も被害に遭っているなんて・・・。」

「プールの映像は2日前、ランニングの映像はつい昨日よ。」

「この2人の行方はどうなったんだ⁉︎」

「・・・調査部が総員を尽くして探したけど・・・未だに手がかりすらないわ。」

 

全員が映像を見て青ざめる中、ハルキとミコはある事に気付き目を見開く。そして突然2人揃って立ち上がった。

 

「は、ハルキさん?」

「ガッツ・・・ど、どうしたの⁉︎」

「ピグっち、さっきの映像をもう一度写して‼︎」

「ええっ⁉︎どうしてですか⁉︎」

「早く‼︎」

「は、はい‼︎」

 

ハルキとミコに急かされ、トモミは再びランニングの中、消える怪獣娘の映像を写し出す。そして怪獣娘が消えた時、ハルキが突然画面を指刺した。

 

「ここ‼︎ここを拡大してください‼︎」

「え?ええ・・・分かりました‼︎」

 

ハルキの声でトモミは映像を一旦止めてある一点を拡大させる。何とそこには木から顔を覗かせる先程ハルキとミコが会った女性であるカオリが写っていたのだ。

 

「やっぱりだ・・・。こっちの映像ももう一度写してください‼︎」

「・・・ここ‼︎ここでここを拡大して‼︎」

「ええっ⁉︎2人ともどうしたんですか?」

「早く‼︎」

「はっ、はいい‼︎」

 

プールで飛び込んだ途端消えた怪獣娘の映像には観客席の入り口から顔を覗かせるカオリが写っている。ハルキとミコは残り2つの映像も写すよう促した。

 

「トモミさん、この映像も‼︎」

「こっちもお願い‼︎」

「もう〜‼︎2人とも一体どうし・・・⁉︎」

 

そしてトモミは再び大道芸人とエレベーターから降りる人が消える映像を写して2人が指差す物を拡大し、驚きの顔を浮かべた。そこには先程の2つの映像に写っている女性が今、再生した映像にも写っていたからだ。草陰から姿を見せるカオリと降りた人が消えた途端、エレベーターから顔を覗かせるカオリを見て他のメンバーも驚愕の顔を浮かべている。

 

「4つの映像に・・・同じ女の人が写ってる・・・⁉︎」

「ま、マジかよ・・・。」

「ハルキさんもガッツもよく気付いたね・・・。」

「当たり前だ・・・だって・・・だって・・・。」

「わたし達・・・ついさっき・・・この人に・・・会ったんだから・・・。」

『⁉︎』

 

ハルキとミコの言葉を聞いてその場にいた全員が驚きで目を見開いてハルキとミコを見る。そしてトモミが2人を問い詰め始めた。

 

「ふ、2人とも‼︎さっき会ったってどういう事ですか⁉︎」

「そのままの意味です‼︎俺達2人ともこの人に会ったんですよ‼︎」

「お昼ご飯がてらに休憩してて・・・その時に偶然ね。・・・でもその時はまさかこの映像全てに出てくるとは思わなかったよ‼︎」

「な、名前は何て言ってたんですか⁉︎」

「確か・・・カオリと言ってました。」

「・・・成る程・・・ではこの女性はカオリさんというのですね・・・。全員、今から大至急この人を・・・カオリさんを探して下さい‼︎人が消える4つの映像に必ず写っている以上、必ず何か知っている筈です‼︎」

「了解‼︎」

 

 

GIRLSの怪獣娘全員が奇怪な人間の消滅事件に関わる衝撃の事実を知る頃、その事実の当事者本人のカオリはベンチに腰掛けて物静かに本を読んでいた。やがて雲が彼女を覆うとカオリは本を閉じてベンチから立ち上がる。その本の表紙には『2020年の挑戦』と書かれていた。

 

 

 

そしてハルキとミコの案内の元、出動したメンバーは2人がカオリと遭遇した場所に来ていた。

 

「お前らが最後に会ったのがここだったんだな⁉︎」

「うん。」

「彼女に何か妙な事無かったかしら?」

「妙な事ですか・・・俺達とんでもないこと言われました。」

「一体何と?」

「私を・・・殺して欲しい・・・って。」

『ええ⁉︎』

 

ハルキの口から告げられた彼女の言葉に一同が唖然とする。そんな中、ランが口を開いた。

 

「まずは本人を探しましょう。ここで考察するより彼女を見つけて直接聞き出した方が早いわ。」

「それもそうね・・・そのカオリって人を探しましょう。」

「待って‼︎皆、あれ‼︎」

 

ランの言葉で全員が話し合いをやめてマコを筆頭に全員がカオリの捜索に踏み出そうとした時、ミカヅキがとある一点を指差す。そこには彼女達が探しているカオリがいた。カオリは公園の奥の方に向かって歩いている。

 

「いたぁぁぁぁ‼︎」

「カオリさん‼︎」

「待てハルキ‼︎手分けして探すぞ‼︎」

 

真っ先に出て行こうとしたハルキを止め、ベニオの言葉で彼女達は分かれてカオリを探す。ハルキはミコ、マコと一緒に彼女を追う中、2人のソウルライザーに着信が来た。

 

「もう‼︎何こんな時に⁉︎」

『こちらピグモン⁉︎全員慌ただしく動いているようですが一体何があったんですか⁉︎』

「カオリさんを見つけました‼︎俺達全員手分けして捜索してます‼︎」

『こりゃ取り込み中のようだな。今から新たに分かった事実をメールにして送る。追跡しながらでいいから確認しろ。』

「今ぁ⁉︎」

 

ハルキの声を聞いたヘビクラの判断で一旦電話が切られる。そして数分後、2人のソウルライザーにメールが送られてきた。2人がメールを開くとそこにはかつて第一次大怪獣時代にも今回と似たような事件があった事とその詳細が書かれていた。

 

「ハル、悪いけど読んでおいてくれる?」

「わたし達、先に行くから‼︎ハルキも後でついてきなさいよ‼︎」

「分かった‼︎」

 

ハルキはミコから受け取ったソウルライザーを開くと先程送られてきたメールを読み始める。

 

「分かった。えっと・・・『第一次大怪獣時代、人間が突然消えてしまう謎の怪事件があった。しかもその事件は当時、電子工学の権威であった神田博士の著書『2020年の挑戦』と」

ハルキがミコのソウルライザーに送られてきたメールを読む中、、2人のソウルライザーに連絡が鳴る。思わずミコが出るとミサオの声が聞こえてきた。

 

『こちらノイズラーとウインダム、カオリさんを発見した‼︎今から接触するから‼︎』

「待ってノイズラー、ウインダム‼︎」

 

ミコが2人に考察を話そうとした時、ミサオからの連絡が途切れる。それを聞いたミコは思わず足を止める。

 

「どうする、2人とも?」

「・・・取り敢えずノイズラー達と合流してカオリさんと会おう。」

「そうね・・・2人と合流しなきゃ話が進まないもの。」

 

ハルキはミコとマコの言葉に頷く。結論を決めた3人はミサオ達と合流すべく同時に駆け出した。

 

 

 

 

 

その頃、カオリを見つけたミサオとレイカはその後を追う。カオリは古い倉庫の中に入っていった。

 

「ノイズラーさん‼︎」

「ああ‼︎」

 

2人も後を追い、倉庫に駆け込む。するとそこにはブラウン管テレビや古くなった遊園地の遊具に加えて古い洗濯機などの昭和時代の遺産がずらっと並んでいた。

 

「これ、凄く古い物だよな・・・。」

「ええ、今ではお目にかかるのが難しい物が沢山ありますね・・・。」

「・・・こんな事してる場合じゃなかった・・・カオリさんを探さなきゃ。」

「そうですね、探しましょう。」

 

2人はソウルライザーの画面を明るく照らし、倉庫を探索する。しかし、カオリの姿は見当たらなかった。

 

「カオリさーん‼︎何処ですかー⁉︎カオリさーん‼︎」

「貴方に聞きたいことがあるんです‼︎お話を伺えませんか⁉︎」

「アタシ達の声、聞こえてないのかな・・・。」

「一体何処にいるんでしょうね・・・。」

 

レイカはふと横に明かりを照らす。するとカオリが曲がり角に向かっていくのが見えた。

 

「ノイズラーさん、カオリさんを見つけました‼︎」

「マジか⁉︎でかしたウインダム‼︎何処にいた⁉︎」

「こっちです‼︎」

 

2人はすぐさまカオリが消えた曲がり角に向かう。そして曲がり角を曲がった時、2人の目の前に黒い色に痩せ細った体、そして頭の天辺に突起を備えた怪人が目に映る。2人が来た途端、彼女達を待ち伏せていたように息を潜めていたその怪人は頭の突起から何か液体を吐き出す。ミサオとレイカは暗がりから突然現れた怪人の襲撃に思わず悲鳴を上げた。

 

「きゃあああああああああああ‼︎」

「うわあああああああああああ‼︎」

 

2人が謎の怪人の襲撃を受けた頃、2人が入った倉庫に近づいていたハルキ達は彼女達の悲鳴に気付く。その悲鳴を聞いた3人は真っ直ぐ悲鳴が聞こえた場所に向かった。

 

「今、ノイズラーとウインダムな悲鳴が・・・。」

「急ごう‼︎」

 

3人はミサオとレイカが入った倉庫に辿り着く。倉庫のドアを蹴って中に入り、2人を探している中、ハルキは倒れているカオリを発見した。

 

「カオリさん‼︎」

 

ハルキの声でカオリが見つかったと分かったミコはマコを連れてハルキの元に向かう。ハルキはその場に倒れているカオリを起こした。

 

「もしかしてこの人が・・・。」

「うん、そうだよ!さっきわたし達が会ったカオリさん‼︎」

「カオリさん‼︎」

「ハルキ君に・・・ミコちゃんと・・・?」

「この子はマコ。わたしの双子の妹です。」

「マコ・・・です。」

「カオリさん、ここで仲間の悲鳴が聞こえたんですがここで何があったんですか⁉︎」

 

ハルキの声でカオリは辺りを見渡す。そして彼女の隣にはギターとソウルライザーが落ちている。そのギターはいつもミサオが愛用しているギターとレイカのソウルライザーであった。

 

「ちょっと・・・それっていつもノイズラーが持ってたギターじゃん‼︎」

「一体どういう事・・・ここで何があったのよ⁉︎」

「わたし・・・またやってしまったのね・・・。」

 

マコに問い詰められた時、カオリは隣に落ちていたミサオのギターを見て沈痛な表情になる。そして3人に向かってまたしてもとんでもない事を頼んできた。

 

「ハルキ君、ミコちゃんにマコちゃん‼︎お願い、私がまだ人間でいられるうちに私を殺して‼︎」

「ちょっ、ちょっと‼︎落ち着いて下さいよ‼︎」

「何度も自分で命を断とうとした‼︎けど、アイツがそうさせてくれないの‼︎」

「アイツ⁉︎アイツって誰⁉︎」

「カオリさん、貴方、どんな秘密を」

 

ハルキが更にカオリに質問しようとした時、カオリが苦しそうに胸を抑えて苦しみ出す。ハルキとミコは彼女に駆け寄る。

 

「カオリさん、大丈夫ですか⁉︎」

「さっきと同じ・・・一体どうしたんですか⁉︎」

「寄るな‼︎」

 

カオリはハルキとミコを突き飛ばす。マコが2人に駆け寄ってカオリを睨む。するとカオリは雰囲気が変わったように口を開き出した。

 

「ハルキ、ミコ‼︎ちょっと何すんのよ⁉︎」

「お前、この星の人間じゃないな‼︎半分は人間、そして半分は・・・ウルトラマン‼︎私と同類だ‼︎」

「「「⁉︎」」」

 

ハルキの正体が見抜かれ、3人は目を見開く。幼馴染の正体を見抜き、目の前のカオリが別人だと思ったミコとマコは思わず問い詰めた。

 

「ハルキがウルトラマンである事を見抜くなんて・・・普通の人間じゃないわね。」

「貴方は一体何者なの⁉︎正体を現しなさい‼︎」

 

その言葉を聞いたカオリの姿が変化する。黒い色に痩せ細い体、そして頭に突起を備えている先程、ミサオとレイカを襲撃した誘拐怪人『ケムール人』に変化した。

 

「私はケムール人。我々の来訪はこれで2度目だ。」

「ケムール人・・・。ケムール人って確か‼︎」

「人間誘拐を目論んだ・・・宇宙人‼︎」

「そうだ・・・地球時間で54年前、仲間は日本に降り立ち大勢の人間の誘拐を目論んだ。」

「けど、あの時アンタらに誘拐された人達は戻ってきたって聞いたわよ‼︎」

「確かに・・・大半は奪い返された。しかし、一部は私のように地球人を奪い返される前に地球人と合成手術を受けた。しかし、その際、事故が起こり人間と混ざり合い、2つの肉体を得てしまった。それこそがこの女、カオリだ。」

「あの時、助けられなかった人達がいたっていうのか⁉︎」

「それから時が経ち、再び地球人誘拐が実行された。そして今の時代にはお前達怪獣の力を宿す超人『怪獣娘』がいるとも知った。事故とはいえ2つの肉体を持ち、人間に怪しまれずに行動出来るこの姿を持つ私は1番にこの計画に志願した。地球人と怪獣娘を誘拐するために・・・。しかし、この星に降り立った途端、制御した筈のカオリの精神が私から主導権を奪うようになった。」

「成る程な・・・全てが読めたぜ・・・。」

「故郷を思う人間の気持ちは実に強い物のようらしい・・・だがそんな抵抗は無意味だ。」

 

ケムール人はハルキ達に向かって突起から人を消す力を持つ消去エネルギー源を放つ。3人は横に逸れて液体を避ける。その時、ミサオのギターに液体がかかり、ギターが消滅する。その時、ケムール人は3人に背を向けて逃げ出した。ハルキとミコは思わず後を追おうとする。

 

「あっ‼︎待て‼︎」

「ちょっと、2人とも‼︎GIRLSに知らせないの⁉︎」

「そんなもん追いかけながらすればいいでしょ‼︎ノイズラー達を助けるためにもケムール人を追い掛けるよ‼︎」

 

ミコの言葉に納得したマコはソウルライザーを取り出す。そしてマコはソウルライザーで全ての事実を報告しながらハルキとミコについて走っていった。




最近、怪獣娘トリガーの方に感想が来なくて寂しさを感じています・・・
どうかこちらだけでなく怪獣娘トリガーにも感想を下さい‼︎凄く励みになりますので‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2020年の再挑戦(後編)

ハルキとミコが原作トリガーの世界に来る怪獣娘Z版エピソードZなのですが電王牙さんから頂いた素敵な提案を受けてハルキとミコの部分だけ焦点を当てて他はダイジェスト方式にして前編、中編、後編の三部構成にしたいと思います。
これでオリジナル回を作れる尺が出来たので次回はオリジナル回をお送りします。


2人のガッツ星人がケムール人を追いかける中、ハルキは彼女達から遅れて走りながらGIRLSに事件の全ての真実を伝えていた。

 

「・・・という訳です‼︎」

『・・・やはりケムール人の仕業でしたか・・・。人間や怪獣娘が消えた地点がやたら濡れていたりした事からもしかしてとは思いましたが・・・。それでケムール人の方は?』

「今、ミコとマコが追いかけています‼︎けど、相手も足が速くて捕まりません‼︎」

『パトカーから逃げ切れる程の運動能力を備えていますからね・・・怪獣娘でもそう簡単には確保は難しいでしょう・・・。けど、そちらに応援を呼びますので頑張って確保して下さい‼︎消えたウインウインやノイノイ達を救うにはそれしか方法がありません‼︎』

「勿論です‼︎」

 

ハルキがトモミと通信している頃、ミコとマコが変身した2人のガッツ星人の怪獣娘は未だに走りながらケムール人を追っている。しかし、怪獣娘と互角の運動能力を持つケムール人を未だ捕まえられずにいた。

 

「フォッフォッフォッフォッフォッー‼︎」

「待ちなさいよこの‼︎」

「く、追いつけそうで追いつけない‼︎」

 

2人のガッツ星人は苦い表情で思わず呟く。その時、ケムール人は振り返って2人のガッツ星人に消去エネルギー源を放ってきた。スピードを上げていた2人のガッツ星人は思わず止める事が出来ず、そのまま液体を浴び、消されて何処かへ転送される思われたその時、突然炎が飛んできて消去エネルギー源とぶつかり合う。引火性の消去エネルギー源は炎を浴びて大きく大爆発する。

 

「フォッ〜⁉︎」

「「きゃあっ⁉︎」」

 

2人のガッツ星人は両手でガードするも爆風で髪が少し焦げる。一方でケムール人は爆発に巻き込まれて地面に倒れる。3人が炎が飛んできた方向を見るとそこには炎を吐いた後であろう煙を吐くザンドリアスがいた。

 

「ザンドリアス‼︎」

「ガッツさん達大丈夫っスか⁉︎」

「ありがと‼︎お陰で助かったよ‼︎」

 

ケムール人は邪魔が入った事を知ると再び背を向けて走り出した。3人はそれを見ると再び走り出す。

 

「2人とも‼︎ケムール人が逃げるわよ‼︎」

「あっ待て‼︎ザンドリアス、貴方も来て‼︎」

「勿論です‼︎ノイを返せぇぇ‼︎」

 

3人が走り出そうとした時、ジープが彼女達の横に停車する。操縦席にはレッドキング、助手席にはハルキが乗っていた。

 

「お前ら、待たせたな‼︎」

「ケムール人は⁉︎」

「逃げたよ‼︎そのままその先に走っていった。」

「にゃろう・・・追い掛けるぜ‼︎ハルキ、しっかり捕まってろよ‼︎」

「はい‼︎」

 

今度はレッドキングが運転するジープも加わってケムール人を追跡する。しかし、ジープで追跡してもケムール人に追い付けずにいた。

 

「くそ‼︎本当に速えな‼︎」

「当時、パトカーから逃げ切っただけはありますね・・・。あれで体が老化しているっていうのが信じられない・・・。」

「ああ・・・。」

 

ケムール人はやがて昼間、ハルキとミコの思い出の観覧車の前に辿り着く。観覧車に辿り着いたケムール人は両手から何か波動のような物を送り込む。それは観覧車のゴンドラに命中する。そしてゴンドラが歪な形の何かに変わった。やがてハルキ達がケムール人に辿り着く。

 

「見つけたぞケムール人‼︎」

「待て、ハルキ‼︎」

 

助手席から飛び降りたハルキを追ってレッドキングも運転席を降りる。そして2人のガッツ星人とザンドリアスも辿り着いた。

 

「見て、観覧車に変なのが‼︎」

「アイツ、何をするつもりだ・・・。」

 

ケムール人はハルキ達に気付く。すると頭を抱えて苦しみ出し、カオリの人格が呼び掛けた。

 

「ハルキ君‼︎ケムール人は頂上で爆弾を爆発させるつもりよ‼︎」

「カオリさん‼︎」

「あの中には人間を消す液体が詰まってる‼︎爆発すれば雨に混じって東京中に降り注ぐわ‼︎」

「人間め‼︎邪魔をするな‼︎」

 

ケムール人はすぐにカオリから体の主導権を奪い返すと両手を広げて観覧車に何かの波動を送る。すると動かなくなった筈の観覧車が動き出した。

 

「動かなくなった観覧車が動き出した‼︎」

「本気のようだな‼︎雨に紛れて東京中の人間を誘拐する作戦・・・そうはさせるかよ‼︎」

「待って、レッド‼︎」

 

レッドキングが飛び上がって爆弾を破壊しようとするのをガッツ星人(ミコ)が制そうとする。しかし、レッドキングは真っ直ぐジャンプして爆弾を止めようと飛び上がった。それを見たケムール人が頭から消去エネルギー源を放つ。空中にいたためそれに対応出来なかったレッドキングはまともに消去エネルギー源を浴びてしまい、たちまち消えてしまった。

 

「し、師匠が・・・消されちゃった‼︎」

「だから待ってって言ったのに・・・。」

「けどどうするの?このままだとケムール人の思惑通りに・・・。」

「皆、俺とゼットさんで爆弾を止める‼︎後の事は頼む‼︎」

「ハル・・・分かった‼︎任せるよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)の言葉に頷いたハルキはゼットライザーを取り出してヒーローズゲートに突入する。そして自身のアクセスカードを手にした時、ゼットから呼び掛けられる。

 

『ハルキ、ケムール人の液体はウルトラ厄介だぞ‼︎』

「ゼットさん・・・知ってたんですね‼︎」

『雨に混じったら手に負えなくなる‼︎爆発する前に異次元に送り込むなどしないと・・・‼︎』

『仕方ねえな、俺様の出番か。』

「頼む、ベリアロク‼︎」

 

ハルキはゼットと一緒にベリアロクに頷くとウルトラアクセスカードを装填し、読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ゼットライザーにアクセスカードを読み込ませるとハルキはベリアル、ジード、ゼロのメダルを取り出す。共鳴し、ライズメダルと化したウルトラメダルをゼットライザーにセットして読み込ませた。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

デルタライズクローとなったウルトラマンゼットがケムール人の野望を防ぐために地面に降り立つ。ゼットの姿を見たケムール人も自身の野望を邪魔さんと立ちはだかったウルトラマンに対抗すべく巨大化する。そしてケムール人はゼットに向かって走り出した。

 

「フォーッフォッフォッフォッフォッ‼︎」

 

ゼットは平手でケムール人を受け止め、押し返す。ケムール人は再び距離を詰め寄り、殴りかかってきた。ゼットはベリアロクで防ぐとケムール人を弾き、再び距離を取る。暫く睨み合いが続くと再びケムール人から仕掛けてきた。ケムール人の蹴りを避けて足をベリアロクで払い、手首を弾く。そしてベリアロクの下の部位でケムール人を小突いた。ケムール人が地面に倒れた時、いつもと様子が違うハルキの様子にベリアロクが訊ねる。

 

『どうした?チャンスだぞ!』

(出来ない・・・半分はカオリさんなんだぞ!)

『ハルキ・・・。』

 

ゼットが攻撃を躊躇う中、ケムール人はすぐ足元にあったボートを投げつける。ゼットがボートを弾いた時、ケムール人の膝蹴りが炸裂しゼットの体を地面に倒した。

 

「ハルキの奴、何やってるのよ‼︎ケムール人なんてデルタライズクローの敵じゃないってのに‼︎」

「いや、ハルが攻撃を躊躇うのも無理ないよ。あのケムール人、人間を乗っ取ってるんだから‼︎」

「ええっ⁉︎」

「事実よ。わたしもマコもあのケムール人本人から聞いたもの。」

「そ、それじゃあハルキの奴・・・どうすんのよ。あのケムール人は人間の体を乗っ取ってんでしょ・・・・・・。」

「ザンドリアス・・・ハルを信じよう。ハルなら必ずやってくれるって・・・。」

「ガッツさん・・・。」

 

ザンドリアスにガッツ星人(ミコ)が優しく肩を手に落とす。地面にベリアロクが突き刺さった時、ケムール人の中のカオリがハルキに再び呼びかけてきた。

 

「フォッ・・・フォッフォッ⁉︎」

『ハルキ君、私に構わずこいつを倒して‼︎転送された人達を助けるにはそうするしか‼︎』

(出来ない・・・そんな事出来ない‼︎)

『見ちゃいられねえな‼︎おい、ハルキ‼︎奴に向けて俺様を翳せ。2人を分離させてやる‼︎』

『ハルキ君‼︎』

「フォッ・・・フォッフォッフォッ‼︎」

 

ケムール人は再び体の主導権を取り戻すとゼットに向けて消去エネルギー源を放つ。ゼットが避けた時、足元の木が瞬く間に消滅する。ゼットはビルや車が消え続ける中、消去エネルギー源をかわし続けベリアロクを手に取るとケムール人に向けてベリアロクを翳す。

 

『これでどうだ‼︎』

 

ケムール人は苦しむもカオリと長い間融合していた2人の体を簡単に分離させる事は出来なかった。

 

(分離出来ない⁉︎)

『長い間融合していた影響でしぶとくなってやがる。』

『ハルキ、見ろ‼︎もうすぐ爆弾が頂上に‼︎』

『ハルキ君‼︎』

 

ゼットとカオリに言われてハルキはケムール人が仕掛けた爆弾があと少しで頂上に辿り着こうとしているのを確認する。その時、ベリアロクが口を開いた。

 

『こうなったらぶった斬ってでも分離させるぞ‼︎』

(お、おい‼︎)

『俺様を信用しろ‼︎』

『ハルキ、もうウルトラ時間が無いぞ‼︎』

(うああああああああああ‼︎)

『ハルキ君‼︎』

 

ハルキは目の前の現実とカオリを斬れない思いで一杯になり思わず叫ぶ。その時、カオリの声が聞こえてきた。ハルキは思わず目の前を見るとケムール人からカオリの思念体が飛び出て観覧車を抑えつけた。カオリの必死の抵抗にハルキも覚悟を決める。

 

『ハルキ君‼︎』

「うおおおおおおおお‼︎」

 

覚悟を決めたハルキは手に持つベリアロクのスイッチを3回押して必殺技の構えに入る。

 

『デスシウムスラッシュ‼︎』

 

ゼットはZ字の斬撃波を刻み、ケムール人に放つ。斬撃が直撃した時、カオリの思念体とケムール人の体が分離すると同時に空間の穴が開く。そしてベリアロクから放たれたビームでケムール人を消しさると額のビームランプから放つ光線で爆弾を弾き、異次元空間に飛ばした。異次元空間の中で爆弾が爆発するも爆風がこちらに来る前に空間の穴は閉じ、消去エネルギー源がこちらの世界に来る事はなかった。

ゼットにケムール人が倒されるとノイズラー、ウインダム、レッドキングの3人が忽然と観覧車の前に現れる。2人は先程自身に起きた事を思い出しながら辺りを見渡していた。

 

「お前ら、大丈夫か⁉︎」

「あ、あれ、レッドキングさん⁉︎なぁ・・・ウインダム・・・一体何が起こったんだっけ?」

「私達・・・確か・・・後ろから突然・・・。」

 

ウインダムは先程起こった事を思い出そうとする。すると後ろから突然昼間、消えた筈のパイルバンカー型シャドウビーストが現れた。シャドウビーストの方も先程何が起こったのか分からず辺りを見渡している。

 

「シャドウビースト‼︎」

「い、一体どうして・・・⁉︎」

 

ウインダムとノイズラーが困惑し、レッドキングが拳をシャドウビーストに構える。シャドウビーストの方も3人の怪獣娘を確認して戦闘態勢に入ろうと構えるも、突然上から振り下ろされた拳に叩き潰された。3人がその先を見るとデルタライズクローの姿のウルトラマンゼットが見える。

 

「ったく・・・ハルキもゼットも・・・俺らの倒す敵奪うなよ・・・。」

「アタシらの出番ありませんでしたね・・・。」

「あ、あははは・・・。」

 

ウルトラマンゼットに叩き潰されたシャドウビーストがチリも残さず消えていくのをウインダムは苦笑いを浮かべながら見ていた。

 

 

 

 

そして二度目となるケムール人の誘拐騒動から3日後、GIRLSでは事件の概要をトモミ達がおさらいしていた。

 

「取り敢えず・・・ケムール人に消された人達が完全に帰ってきたのをこちらも確認しました‼︎これでこの事件は一件落着ですね‼︎」

「「「・・・・・・。」」」

「どうしたの、3人とも?」

「いや、下手したら俺達ケムール人に体を乗っ取られていたと思うと・・・。」

「身震いがしちまって・・・。」

「もうあんな思いはしたくないです・・・。」

 

最悪の結末を考えてケムール人の消去エネルギー源を浴びた3人は顔を青ざめながら体を震わせる。

 

「ケムール人が使う消去エネルギー源は物質を転送する時に強い電磁波を放ちます。恐らく今回、シャドウやシャドウビーストが発生したのはその電磁波に引き寄せられた可能性があると思われます。」

「ケムール人にとってはただの邪魔者だ。だからシャドウビーストを早く消し去ったんだろう。」

「昔は民間人と警官隊に倒されたんだっけ?」

「ええ、正確には当時の電子工学の権威である神田博士が作ったXチャンネル光波によって倒されました。」

「勇敢な先人達だな・・・。」

 

トモミの言葉を聞いて思わずヘビクラが呟いた。ふと辺りを見渡したサチコがハルキがいない事を確認すると思わず口を開く。

 

「あの・・・ハルキは?」

「ああ、ケムール人に体を乗っ取られていたカオリさんのお見舞いに行くって言ってたけど・・・。」

「へぇ〜・・・1人でお見舞いに行ったんだ〜・・・。へ〜・・・わたしに黙って1人で・・・ふ〜ん・・・。」

 

ヘビクラの言葉を聞いた時、ミコが黒いオーラを放ち出す。マコやサチコ、ミサオにナナも黒いオーラを放ち始めて他の皆は後退りする。

 

「ミコ・・・ハルキに・・・。」

「うん、分かってるよ・・・さて、ハルってば〜・・・カオリさんと2人きりで何してるのかな〜・・・。」

 

マコに急かされ、ミコはソウルライザーを取り出して電話をかけ始めた。その目は微塵も笑ってはおらず他のメンバーは思わずハルキに心の中で合掌を送っていた。

 

 

 

 

その頃、ハルキは車椅子に乗せられて点滴を打たれているカオリと一緒にあの観覧車があった植物園に来ていた。ハルキが車椅子を押しながらカオリに語り掛ける。

 

「元気そうで良かったです。」

「センターの人達には本当にお世話になっているわ。」

「あの人達に任せておけば大丈夫ですよ。なんたって専門の人達ですから。」

「・・・ねぇ、ハルキ君、私少し不安なの・・・わたしがいた時代から随分と長い時が経ったこの世界で・・・生きていけるのかな・・・って。」

「大丈夫ですよ。」

 

ハルキは車椅子を止めるとカオリに向き合って口を開いた。

 

「カオリさん、これから沢山楽しい思い出を作っていきましょう‼︎失った時間は取り戻す事が出来ます‼︎俺やミコも力を貸しますから‼︎」

「そうね。ハルキ君・・・今の世界の事・・・色々と教えてくれる?」

「はい‼︎」

 

ハルキは笑い掛けてカオリに返事する。その時、ハルキのスマホに着信が来た。

 

「あ、少し失礼します。・・・もしもし、ミコ?」

『ハル〜、会議をサボってカオリさんとデートするなんて随分じゃな〜い?』

「はぁ、違うって‼︎カオリさんのお見舞いだよ‼︎ていうか何でお前来ないんだよ‼︎」

『いや、わたしも行くつもりだったよ。ハルと2人でさ・・・けど何で1人で行ってるのかな〜?何でわたしにも声を掛けてくれなかったのかな〜?そこが気に食わないな〜。今2人きりなんでしょ?そこも気に入らないな〜。』

「お前・・・何でそんな不機嫌なんだよ・・・。」

『これから皆で祝勝会開こうとしてたのにな〜。ハルの分、食べちゃおうかな〜。』

「おま⁉︎止めて‼︎ちょっと待てって‼︎」

 

電話で大慌てなハルキをカオリは微笑ましそうに見る。そして一言呟いた。

 

「ありがとう、ウルトラマン。」




ハルキ「ハルキと」

シルバーブルーメ「シルバーブルーメの」

ハルキ&シルバーブルーメ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈KING JOE GIRLS CUSTOM〉

シルバーブルーメ「元はバロッサ星人が持ち込んできたキングジョーをGIRLSが改造したんだよ〜。」

ハルキ「ペダニウム粒子砲にペダニウムハンマー、自由に取り付け可能なペダニウムアックスなど沢山の武器が一杯だ。」

シルバーブルーメ「しかも操縦する怪獣娘によって色々な能力が使えるんだって‼︎」

ノーバ「次回は私が担当するぞ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『サチコとミサオの悩みで彼女達のバンドのメンバー同士が対立してしまう。対立が続く中、ホーことルイの心が怪獣『ホー』を生み出してしまい・・・。次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


ホーの涙


ウルトラ泣き喚くぜ!』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホーの涙(前編)

今回の話は霜降さんから頂いたアイディアを元にしました。霜降さん、素晴らしいネタをどうもありがとうございました‼︎


ある日、GIRLSのオーディオルームでザンドリアス達はいつものようにバンドの練習をしていた。しかし、ボーカルのザンドリアスとギターのノイズラーはいつも以上に練習に集中出来ていないのか音程を外してしまう。

 

「〜この星をまもっ・・・⁉︎」

「あ、ヤベ‼︎」

 

思わず噛んでしまったザンドリアスと弦を弾く指を滑らせたノイズラーは思わず音を止める。そんな2人にウサギの様な耳の黒い獣殻に身を包んだ硫酸怪獣の魂を継ぐ怪獣娘『ホー』が心配の言葉をかけた。

 

「ざ、ザンドリアスさんにノイズラーさん、大丈夫ですか⁉︎」

「あ・・・うん・・・大丈夫大丈夫。」

「悪い悪い!仕切り直しだ‼︎」

「待って2人とも‼︎」

 

気を取り直して再び演奏しようとした2人を白いメカニカルな獣殻に髪型をポニーテールにした四次元ロボ獣の怪獣娘『メカギラス』が引き止める。メカギラスは2人に歩み寄るとザンドリアスとノイズラーに向き合って問い掛けた。

 

「2人とも、最近ミスが多いぞ。一体どうしたんだ?」

「へ?あたしら最近そんなにミス多い?」

「自覚無かったのか⁉︎この1週間、音程を外すわ歌詞を間違えるわ・・・しかもこれ10回を超える頻度で起きているぞ‼︎」

「お、お二人とも・・・最近何かあったんですか?ここのところ、様子がおかしいですが・・・。」

 

メカギラスとホーに指摘され、2人は反論出来ずに黙り込む。そしてザンドリアスはマイクを、ノイズラーはギターを離してその場に置くと観念したように口を開いた。

 

「いや・・・ハルキの事なんだけどさ・・・。」

「ハルキ・・・ってガッツさんの幼馴染のあの?」

「ああ、あの人がどうかしたのか・・・。」

「ベゼルブの事件以来、ただでさえ近いガッツさんとハルキさんの距離が更に近くなって・・・あたしらが入り込める隙間があるのかなって思ってて・・・。」

「ガッツさん、ただでさえアタシらとは比べ物にならないくらいスタイルいいのに・・・ハルキの奴もあの事件以降ガッツさんの事意識してるように見えるし・・・このままだとアタシらハルキと何も距離感掴めずにいるから・・・。」

「あ・・・ああ、成る程・・・そういうことだったんですね。」

「何だ、まだ進展してなかったのか?」

 

実はこの2人がハルキに想いを寄せている事はホーとメカギラスも知っていた。しかし2人ともバンド仲間とハルキがどこまで距離を詰められたかまでは把握しておらず驚きと同時に2人の気分が落ち込んでいる理由に納得した。

 

「確かに・・・ガッツさんは凄く胸が大きいですね・・・メカギラスさんよりも大きいですし。」

「それは向こうの方が年上なのだから仕方ないだろう。」

「それを踏まえてもガッツさんのスタイルは物凄いぜ。・・・それにガッツさん元々明るい性格だし・・・。」

「しかもハルキとは元々幼馴染なのもあってかなり距離が近いし・・・このままだとあたし達ハルキを取られちゃうって・・・。」

「だったら早く告白するかデートに誘ったらどうだ?何もしないよりはマシだろ。全く・・・そんな事で悩んでバンドの練習に集中しないなんて・・・。」

「そんな事で・・・ですって・・・。」

 

メカギラスの言葉を聞いたザンドリアスが体を震わせている。ザンドリアスはメカギラスの顔を見据えると怒鳴り出した。

 

「何よそんな事って‼︎あたしにとっては重大な事なのよ‼︎恋をした事がないアンタには分かんないでしょーが‼︎」

「な、何だと‼︎気にしている事をよくも‼︎この色ボケ駄々っ子怪獣が‼︎」

「ふ、ふえええ⁉︎」

「お、おいお前ら・・・⁉︎」

「大体、アプローチをしないザンドリアスが悪いんだろ‼︎幾らガッツさんが恋のライバルだからっていつまでも関係を深めようとしなければ何も変わらないじゃないか‼︎」

「あのね‼︎アンタが思ってる程単純じゃないのよ‼︎あたしがハルキを見るたびにその横にガッツさんがいんのよ‼︎そんな状況でどうアプローチしろっていうのよ‼︎」

「だからって黙って見ているだけだったら何も変わらないだろ‼︎私から見てもハルキさんいい人っぽそうなんだからデートとか誘えるうちに誘っておかないと後悔するぞ‼︎」

「お、おいよせよ2人とも・・・。」

 

ノイズラーは口論を始めた2人の仲裁に回ろうとする。するとノイズラーが目に映ったメカギラスは彼女にも物申した。

 

「大体、ノイズラー‼︎どうしてノイズラーもそこまでハルキさんとの仲が進展しない⁉︎まさかザンドリアスと同じ理由じゃないだろうな⁉︎」

「なっ・・・アタシも⁉︎・・・・・・仕方ねえだろ、ハルキの奴・・・アタシが見かけるといつもガッツさんと一緒にいるんだから。」

「だからといって見ているだけだったら何も変わらないだろ‼︎その程度で身を引くくらいなら諦めて練習に励め‼︎」

「な、何だと・・・‼︎」

「大体、中々いい相手に恵まれない私からしたら好きな人がいてその人に何もアプローチせずにいるのはどうかしてるぞ‼︎」

「仕方ねえだろ‼︎さっきザンも言ってたけど、アイツを見ると高確率でガッツさんの姿も見るんだぞ‼︎ガッツさんがいる前でデートに誘うとか勇気がいるだろうが‼︎」

「そーだそーだ‼︎あたし達の中で一番おっぱいが大きいメカギラスには絶対に分からないわよ‼︎」

「何だと⁉︎」

「えっ・・・あ、あのあのその・・・。」

 

メカギラスはザンドリアスだけでなくノイズラーとも口論を始めてしまう。3人の喧嘩を見てホーはオロオロと狼狽る事しか出来なかった。喧嘩は更にヒートアップしていき人見知りな彼女には止められない程になってしまう。

 

「お前、この間のベゼルブ事件でガッツさんがベゼルブの毒を解毒するためにハルキが口移しで飲ませたところを見てないからそんな事が言えるんだろ‼︎」

「そうよそうよ‼︎アンタがあたしらと同じ立場でも同じ事が言えるっての⁉︎」

「その件についても話は聞いたがハルキさんは毒の効果で暴れるガッツさんに確実に飲ませるために飲ませたんだろ⁉︎だったら医療行為って割り切れるだろうが‼︎」

「そんな事分かってる‼︎でもな・・・それでもアタシらの頭は割り切れねえんだよ‼︎」

「アンタにあたしらの気持ちは分からないわよ‼︎」

「止めて・・・3人とも・・・。」

 

更にヒートアップしていく3人に思わずホーが呟く。そしてホーは思わず大声を上げて涙を流しながら叫んだ。

 

「止めて下さい3人とも‼︎」

「ホー・・・。」

「これ以上・・・3人が喧嘩するところ・・・見たくないです・・・。」

 

ホーはポロポロと涙を流しながら口を開く。強酸の涙でオーディオルームの床が溶け始める中、3人は我に帰ると罰が悪い顔を浮かべる。そしてそのまま黙り込んだ。

 

「・・・今日の練習は中止だな・・・。」

 

ノイズラーの言葉を3人は黙りながら聞く。そしてこの後練習を中止した彼女達はそのまま真っ直ぐ帰路に着く。そんな中、ホーこと『芦原ルイ』は暗い顔をしていた。

 

「・・・私・・・どうしたら良かったんだろう・・・大切な友達が喧嘩して・・・止めなきゃいけないのに・・・何も出来なかった・・・。」

 

ルイは暗い顔で呟く。そんなルイの体から黒いオーラのような物が出てる。暫く落ち込みながら歩いていると彼女の目に本屋が映る。そしてルイは視界に入ったクッキーなどのお菓子の写真を見て何かを思い付く。

 

「‼︎・・・これならいけるかも‼︎」

 

ルイは駆け足でその場を走りながら去っていく。しかし、この時ルイの体からは黒い霧のようなものが出ていた。この霧が後に大騒動を起こす事など今の彼女は知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

そして翌日、オーディオルームに気まずい雰囲気のノイズラーとメカギラスがいた。根が真面目な彼女達はサボろうとせず予定されていた練習に来ていたのだ。2人とも一向に口を開こうとせず顔を合わせようともしない。そんな雰囲気の中、ホーはなけなしの勇気を振り絞って2人に紙袋を渡す。

 

「あ、あの2人とも・・・‼︎良かったら・・・クッキーでもいかがですか?」

「・・・クッキー?」

「・・・わざわざ作ってくれたのか?」

「ええ・・・もし良かったら・・・食べてくれませんか?」

「ありがと・・・。」

「・・・頂くぞ。」

 

ホーの折角の好意を邪険には出来ず、彼女達はクッキーを口に運ぶ。そしてクッキーを砕いて味わった時、2人はむせ返った。

 

「ゲホッ⁉︎ゴホゴホ‼︎・・・何だこれ‼︎」

「ゲホゲホ‼︎ホー、このクッキー何を入れた⁉︎凄くしょっぱいぞ‼︎」

「えっ・・・ええ⁉︎」

 

ホーは思わずクッキーを口にする。そして彼女自身もむせ返り、2人に謝罪しながら顔を青くする。

 

「ご、御免なさい・・・塩と砂糖を・・・間違えました・・・・・・。」

「ホー・・・お前・・・気を付けてくれよ・・・。」

「お2人とも・・・本当に御免なさい・・・。」

 

こうしてホーの手作りクッキー作戦は失敗に終わった。当然、更に空気は気まずい事になり、もはや練習どころでは無くなってしまったのは言うまでも無いだろう。

 

 

 

 

思わぬミスによって更にバンドの空気が悪くなったルイは帰り道の途中にある川辺のベンチで座り込んでいた。ルイは非常に落ち込んだ表情になっている。

 

「うう・・・・・・失敗した・・・・・・。しかもあんなクッキーをノイズラーさんとメカギラスさんに食べさせてしまうなんて・・・。」

 

ルイは俯きながら地面を眺める。そんな彼女の雰囲気に道行く人は誰もが近づき難くその場を離れていく。

 

「うう・・・このままじゃ・・・2人に嫌われちゃう・・・・・・このままじゃ・・・1人ぼっちだったあの頃に・・・・・・。もうあの頃には戻りたくない・・・・・・。」

 

実は彼女、依存癖があり人との距離感を掴むのが下手である。今でこそある程度は改善されたが、以前にこの性格のせいでクラスメイトから拒絶された事もあり、その悲しみから怪獣娘の力に目覚めたのだ。

そんな彼女は打ち解けられた大切な友達が喧嘩してしまい、自身の居場所が無くなる事を恐れていた。それで何とか自分が仲直りのきっかけになろうと彼女なりに努力したのだが、その必死さ故に単純なミスをしてしまい、更にバンドの空気が悪くなってしまった事で落ち込んでいるのだ。

 

「どうしよう・・・・・・私のせいで・・・・・・バンドが解散なんて事になったら・・・・・・。・・・嫌だよ・・・私の居場所がなくなっちゃうなんて・・・・・・。」

 

ホーはソウルライザーに写ったサチコ達バンドの仲間と撮った写真を眺めながら涙を浮かべる。そしてそんな彼女の体からは黒い霧のような何かが浮かび上がる。その霧はホーから離れると街の中に浮かび上がる。そして霧の中で何かが蠢いた。そしてその霧は数十分経つとその場から消えていった。

 

 

 

 

 

 

(一体・・・どうすればいいのかな・・・こういうの初めてだから・・・分からないよ・・・。)

 

その翌日、頭を冷やすまでは練習が無くなり、GIRLSの休憩室で俯いていたルイはバンドの仲間達との事を考えていた。そんな中、ランとレイカが話しながら通りすがる。

 

「エレキングさん、この間の謎のエネルギーの事ですが・・・やはりそのエネルギーが観測された場所では黒い霧がたっていたそうです。」

「またね・・・それで・・・やはり霧の中には?」

「はい、霧の中で何かが動いていたそうです。」

「一昨日の目撃証言と同じね・・・他に何か証言はあるのかしら?」

「ええ、霧が目撃された場所が一昨日と違う事ですかね。一昨日がA区のXX町だったのに対して昨日はB川の近くですから。」

「え?」

 

ルイは顔を上げてランとレイカの姿を見送る。実は一昨日と昨日、ルイは帰り道に2人が話していた霧の発生箇所にいたのだ。元からネガティブな彼女は2人の会話を聞いてまさかと思わずにはいられなかった。

 

「黒い霧・・・・・・まさか・・・私のせい・・・・・・ううん・・・違うよね。」

 

ネガティブになってしまったルイは思わず自身の考えを振り払うように首を振る。するとラン、レイカと入れ替わったようにハルキとミコが話しながら歩いてきた。

 

「ミコ、どうだった?」

「うん、全然覚えていないって・・・。ゲネガーグが地球にやってきた日からの記憶がないらしいよ。」

「ベータスマッシュ、ガンマフューチャー、デルタライズクローの事だけじゃなくキングジョー・GIRLSカスタムの事も知らなかったもんな。・・・長い間、GIRLSにいてGIRLSカスタムの事まで知らなかったとなるとやっぱり何かに体を乗っ取られていたみたいだね・・・。」

「セレブロって奴か・・・カブラギさんの体から出ていったみたいだけど・・・一体どんな奴なのか・・・。」

「うん、まずは正体を探らなきゃね。どんな奴なのかとかどんな風に人間を乗っ取って活動するのかとかさ。」

「それだけじゃねえよ。カブラギさんの体を捨てた奴の行方も追わなきゃ。きっとまた誰かの体を乗っ取って何かを目論んでいる筈だ。」

「うん。」

「あ・・・あの・・・ハルキさん。」

「ん?」

 

ハルキの言葉にミコが頷いた時、ハルキの後ろにいつの間にか来ていたルイが話しかける。ハルキとミコは後ろを振り向いてルイに気付いた。

 

「あれ?君は確か・・・。」

「ホー、だよね・・・。ザンドリアスとノイズラーのバンド仲間の。」

「は、はい・・・。あの、実はハルキさんに頼みがあって・・・。」

「俺に?一体どうしたの?」

「あ・・・あの・・・ハルキさん・・・。」

 

ルイは年上の男であるハルキに対して緊張していたのかモジモジしている。そして彼女は言葉足りずのために更に自身の首を締める事になる発言を口にする。

 

「あ・・・あの・・・今度・・・一緒に遊びに行ってくれませんか?」




今月からガメラの新作が始まりますね。
バルゴン以外の昭和怪獣がリメイクされて登場するとは・・・しかも皆カッコよくなっちゃって・・・非常に楽しみです‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホーの涙(中編)

ガメラの漫画が連載されていました。しかも前日談の方は新たな怪獣が出そうでワクワクしています。

硫酸怪獣『ホー』登場



「へ?俺と⁉︎」

「ど、どうしたのいきなり⁉︎」

 

ルイからの思わぬ誘いにハルキとミコは困惑する。ミコは兎も角ハルキの方は普段から余り接する事が無いルイからの誘いを受けて困惑を隠さないでいるのだ。

 

「あ・・・え・・・・・・いや・・・違うんです!えっと・・・えっと・・・・・・一緒に遊びに行って欲しいんですけど・・・それは・・・その・・・えっと・・・・・・。」

「ちょっ⁉︎ちょっと待って‼︎落ち着いて‼︎」

 

一方でルイはあまり男と接する事がないのか顔を赤くしながらしどろもどろになって何とか説明しようとするも完全にテンパってしまっており上手く説明できないでいる。そんなルイをミコは落ち着かせようと彼女の肩に手を掛けてルイと向き合った。

 

「ホー、一旦深呼吸して‼︎」

「えっ・・・ああ・・・・・・ふぅ〜・・・。」

「落ち着いた?」

「は、はい・・・大丈夫です。」

「そう、良かった・・・で?どうして急にハルの事を誘ったの?」

「あ、実は・・・その・・・ハルキさんと一緒に遊びに行って欲しいのは」

 

ミコのお陰で冷静さを取り戻したルイは改めて説明をしようとする。しかし、ルイは思わず後ろから視線を感じ、横目で確認する。するとそこには仁王立ちになってその光景を見ていたサチコとミサオがいた。2人とも俯いていて分かりにくいが無表情になっている。

 

「え⁉︎ノイズラーさんにザンドリアスさん⁉︎」

「ふ、2人ともどうしたの⁉︎」

「な、何だかお前ら・・・様子が変だぞ?」

 

ハルキの言う通り、サチコとミサオはその場で俯きながらずっと黙り続けてる。そしてルイを1度見てハルキを確認すると黙ってその場から立ち去っていった。

 

「ちょっ⁉︎ちょっと2人とも⁉︎」

「お、おいどこにいくんだ⁉︎」

「ま、待って下さい‼︎」

 

ルイはその後を必死に追い掛ける。ハルキとミコは思わず顔を見合わせた。ハルキとミコを追い越してルイは2人追い付く。しかし、サチコとミサオは早歩きでルイとの距離を引き離していく。

 

「ま、待って下さい‼︎2人とも・・・どうして・・・。」

「ホー・・・お前までハルキの事・・・好きだったんだな・・・。」

 

ルイはミサオの言葉を聞いて2人が黙って去ろうとした理由に気付く。引っ込み思案な彼女はハルキに話しかけた時、『サチコとミサオの』2人とも遊びに行って欲しいと頼もうとしたのだが自身が男の人とのコミュニケーションに慣れてないのと相手が年上なのもあって緊張しすぎた結果、その事を言い忘れてしまったのだ。

そして運が悪い事にその会話をサチコとミサオに聞かれてしまい、2人から実はハルキに好意を持っていてバンドのメンバーの空気が悪い事をいい事に抜け駆けしようとしていたと誤解されたのだ。

 

「の、ノイズラーさんに・・・ざ、ザンドリアスさん‼︎ち、ち、ち、ち、違うんです‼︎私は・・・た・・・・・・ただ・・・ハルキさんに・・・お願いしてほしくて・・・‼︎」

「お願いするって・・・何を・・・。」

「それは・・・その・・・えっと・・・・・・‼︎」

 

ルイは必死に誤解を解こうとするがテンパリすぎて言葉が出ないでいる。そんな中、サチコは俯きながら口を開いた。

 

「確かに・・・ハルキは顔もカッコいいし・・・空手やってるだけあって腕っ節も強いから惚れるのも分かるよ・・・・・・けど、だからって抜け駆けするような真似はして欲しくなかった・・・特に・・・今のタイミングでさ・・・。」

「ち、違う・・・違うんです・・・・・・ザンドリアスさん・・・。」

 

ルイは誤解だと説明しようとする。しかし、テンパって上手く説明できないため、誤解が解けず2人はルイに背中を向けて去っていく。ルイは2人の後ろ姿を見て涙を流し始めた。

 

「御免なさい・・・御免なさい・・・ノイズラーさん・・・ザンドリアスさん・・・私はただ単にハルキさんとお2人の距離が近くなればと思っただけなんです・・・・・・本当に御免なさい・・・御免なさい・・・。」

 

ルイは何度も謝り続けながら床に蹲って涙を流す。そんなルイの体から黒いオーラが出ていた。そしてそのオーラは街中に出ると黒い霧となる。そしてルイを追っていたハルキとミコは窓から黒い霧を確認する。

 

「な、何だあれ‼︎」

「分かんない・・・けど・・・ヤバい感じがする・・・。」

「う・・・嘘・・・あの霧・・・私から・・・。」

 

その頃、ルイも自身から出た黒い霧に思わず目を見開いて驚く。その時、彼女の後ろで曲がり角から1人の男がその光景を見ていた。それはセレブロに体を乗っ取られたGIRLS特殊戦闘部隊に所属するアサノという男だった。セレブロはルイに気付かれないようにアサノの体で後ろから彼女に向かって口を開いた。

 

「アレはお前が生み出した負の感情そのものだよ。」

「へ⁉︎だ、誰ですか⁉︎何処にいるんですか⁉︎」

「どうやらマイナスエネルギーで生まれた怪獣であるホーの魂を継ぐお前には膨大なマイナスエネルギーが出やすいようだな。それも・・・怪獣を生み出す程の。」

「⁉︎」

 

辺りを見渡して声の主を探していたルイだが窓からセレブロの言葉で外に目を向けるとその言葉通り、霧の中で何かが蠢いていた。それは二足歩行で頭に備わったコウモリに似た大きな耳が確認でき、昨日に比べてはっきりと見えるようになっていた。

 

「あーあ、どうやらお前は本物の怪獣を生み出しちまったみたいだな〜。これがバレたらますますバンドのメンバーから嫌われるだろうなぁ〜・・・。」

「そ・・・そんな・・・私が・・・本物の怪獣を・・・・・・。」

 

ルイはセレブロの言葉で更に落ち込み、膝から崩れ落ちる。自身が怪獣を生み出してしまったショックとセレブロの言葉で更に心にダメージを受けると彼女から更に黒いオーラが出てきて霧に吸い込まれる。そして怪獣は黒い霧をすべて吸収すると完全に実体化する。両手足に鋭い爪、芋虫のような尻尾、そして胸に渦巻き模様が刻まれたルイのカイジューソウルと同じ硫酸怪獣『ホー』が完全にその姿を見せる。ホー(本物)は自身が完全に活動出来るようになった事を確認すると口からマイナスエネルギー波を吐いて街を破壊し始める。

 

「ヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

「キエテカレカレータ・・・その調子で俺を追い詰めた怪獣娘達をぶっ潰してくれよ。」

 

窓から暴れ出して街を破壊するホー(本物)を見て黒い笑みを浮かべるセレブロはルイに気付かれないようにその場から離れていく。

当然街中にホー(本物)が出現した事はGIRLS全体でも確認され、司令室のピグモンからGIRLS東京支部内にアナウンスが響き渡る。

 

『緊急事態です‼︎街に突如、怪獣が出現しました‼︎直ちに出動して下さい‼︎』

「ハル‼︎」

「ああ‼︎」

 

ルイ達を探していたハルキとミコもピグモンからのアナウンスを聞いて外に飛び出していく。そんな中、キングジョーが操縦するキングジョー・GIRLSカスタムが2人を追い越してホー(本物)の前に着陸した。

 

「ピグモン、こちらキングジョー‼︎現場に到着しマシタ‼︎怪獣も確認出来マシタ‼︎」

『キンキン、こちらも出現した怪獣の照合を確認しました‼︎現れたのは恐らく硫酸怪獣ホーだと思われます‼︎』

「ホー、やっぱりそうなのデスネ・・・ワタシも同じ考えデス‼︎でも・・・何故いきなりホーが現れたのでショウ・・・?」

『その辺りは今のところ調査中デス‼︎キンキンはホーをお願いします‼︎』

「了解デス‼︎」

 

キングジョーはピグモンとの通信を切り、目の前のホー(本物)に視線を向けて操縦席のレバーを押す。そしてGIRLSカスタムからホー(本物)目掛けてミサイルが放たれた。ミサイルはホー(本物)に全弾命中する。

 

「ヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"⁉︎」

 

そしてGIRLSカスタムはミサイルを発射しながらホーに向かって突撃する。そしてホー(本物)に思い切りショルダータックルを仕掛けた。

 

「食らいなサーイ‼︎」

「ヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"⁉︎」

 

力強い上に硬い装甲に覆われたGIRLSカスタムのタックルを受けたホー(本物)は思い切り地面に倒れ込む。キングジョーは追撃すべくホー(本物)に向かって前進していく。そしてホー(本物)が立ち上がった時、左腕に装着されたペダニウムアックスを構えて振りかざした時、ペダニウムアックスによってホー(本物)の右腕が切り落とされた。

 

「ヴアアア"ア"アアアア"ア"ア"ァァァァ!」

 

ホー(本物)は右腕を切り落とされた痛みで切り口から黒い霧が血飛沫のように上げながら悶絶する。

その頃、未だ自身のせいで怪獣が出てきてしまった事にショックを隠せないルイの体から黒いオーラが止まらず出てくる。そしてルイから出てきた黒いオーラはホー(本物)に向かって飛んで行った。すると黒いオーラはホー(本物)の右腕に集中し、切り落とされた腕を再生していく。これにはGIRLSカスタムに乗ったキングジョーだけでなく現場に向かっていたハルキとミコも驚きを隠せない。

 

「え⁉︎」

「嘘だろ・・・切り落とされた右腕が・・・再生しただと⁉︎」

「ホーに再生能力なんてあったっけ⁉︎・・・それに・・・あの黒いオーラは一体・・・?」

 

右腕が完全に復活したホー(本物)は口から再びマイナスエネルギー波を放つ。それをまともに受けたGIRLSカスタムは地面に思い切り倒れ込んだ。

 

「キャアアアアアア‼︎」

 

GIRLSカスタムが地面に倒れるとホー(本物)はGIRLSカスタムに向かっていく。そしてGIRLSカスタムのマウントを取ったホー(本物)は両腕の鋭い爪でGIRLSカスタムを引っ掻き始める。しかし、硬いGIRLSカスタムには中々爪による傷がつかなかった。このロボットが硬い事を知ったホー(本物)は目から硫酸の涙を零す。高い硫酸の涙が落ちてGIRLSカスタムの装甲が溶ける音が響き渡った。

 

「なっ⁉︎GIRLSカスタムの装甲が溶け出してル⁉︎・・・これ以上はマズいデス‼︎」

 

キングジョーは右腕のペダニウム粒子砲の操作レバーに手をつけるとGIRLSカスタムのペダニウム粒子砲がホー(本物)に突き出される。そしてそのままペダニウム粒子砲から光線が0距離で放たれ、ホー(本物)を吹っ飛ばした。GIRLSカスタムはホー(本物)が吹っ飛んだ事を確認すると再び起き上がる。しかし、硫酸の涙を受けた部分から煙が上がり、機体にそれなりのダメージを受けた事がはっきりと分かる。それを見たハルキはウルトラゼットライザーを取り出すとミコに向かって叫ぶ。

 

「ミコ、行ってくる‼︎後は任せるからな‼︎」

「分かった・・・頑張って‼︎」

 

ハルキはミコに頷くとゼットライザーの引き金を引いてヒーローズゲートを開く。そしてヒーローズゲートからインナースペースに突入すると自身のウルトラアクセスカードをゼットライザーに読み込ませる。

 

Haruki Access Granted〉

 

自身のアクセスカードを読み込ませると今度は腰のメダルホルダーからアルファエッジへの変身に必要なメダルを取り出し、ゼットライザーにセットする。

 

「宇宙拳法、秘伝の神業!!ゼロ師匠、セブン師匠、レオ師匠!!」

 

〈ZERO〉、〈SEVEN〉、〈LEO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z ALPHA - EDGE

 

アルファエッジの姿のゼットがホー(本物)に飛び蹴りをかましながら現れる。

 

「ジェアッ‼︎」

「ヴア"ア"ア"ア"⁉︎」

 

ホーが倒れると同時にゼットは戦闘態勢の構えを取る。ホー(本物)は起き上がると飛び蹴りを仕掛けてきたゼットを敵と認識し、突撃する。ゼットはホー(本物)が振り回してきた右手を受け止めて膝蹴りで怯ませるとその胸に正拳を打ち込む。そして隙を与える事なく裏拳を顔に打ち込んで回し蹴りで吹っ飛ばした。

 

「ヴア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

ホーは態勢を立て直すと口からマイナスエネルギー波を放つ。ゼットは額のビームランプからゼスティウムメーザーを放ち、マイナスエネルギー波を掻き消した。

 

『ゼスティウムメーザー‼︎』

 

ゼスティウムメーザーとマイナスエネルギー波がぶつかり合い、爆発が起こる。その間にゼットはゼットスラッガーからアルファチェインブレードを形成し、ホー(本物)を斬り付ける。アルファチェインブレードの刃は何度もホー(本物)を斬り付けてその体に切り傷を刻み込む。しかし、再びホー(本物)に黒いオーラが流れ込み、刻まれた切り傷が回復していく。

 

(またか‼︎ゼットさん、これって一体どうなってんですか⁉︎)

『分からない・・・けど、あの黒いオーラは負の感情・・・マイナスエネルギーの類だ。アレがホー(本物)を回復させてるんだろう・・・。』

(マイナスエネルギー・・・それの居所を探らなければ・・・。)

『コイツを倒すのは・・・ウルトラ厳しいかもな・・・。』

「ヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

ゼットとゼットの中のハルキは苦々しそうにして、余裕そうに吠えたてるホー(本物)を睨み付ける。

そんな中、ルイは窓の外から暗い表情でゼットと交戦する自身のカイジューソウルの怪獣を見ていた。そんな彼女に1人の怪獣娘が声を掛ける。

 

「あれ?ホー、どうしてこんなところに?しかも何処か暗そうだけど・・・。」

 

彼女に声を掛けたのは自身がバンド仲間と出会うきっかけになった先輩の怪獣娘であるアギラだった。




ブレーザー、ここに来てまた怪獣娘の世界観的に出せそうな怪獣が・・・ゲバルガか・・・どんな怪獣なのか楽しみですね。
一方でデマーガの話はどうしようか・・・現在進行形で悩み中です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ホーの涙(後編)

影絵はホー(本物)と涙を流すホー(怪獣娘)をイメージしています。


ガンマフューチャーに変身したウルトラマンゼットはカード状の光線を形成し、ホー(本物)に向けて放つ。光線を受けたホー(本物)が怯んだ隙に魔法陣を形成したゼットはそのまま魔方陣に向かって飛び込んでいく。出口となる魔法陣がホー(本物)の真上に形成されるとゼットはそのままホー(本物)に飛び蹴りを喰らわせた。そして背後に控えていたGIRLSカスタムがホー(本物)の背中に大きな切り傷を付けた。

 

「ヴア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

ホー(本物)は唸り声をあげながら背中の痛みに悶絶する。しかし黒い霧状のマイナスエネルギーがホー(本物)の背中に集まっていく。するとみるみるうちに背中の切り傷が癒えていくのであった。

 

「このままではジリ貧デス・・・どうすればダメージを与えられるのでショウ・・・。」

(キングジョーさん、危ない!!)

 

ゼットの中のハルキは後ろのGIRLSカスタムを確認して口にエネルギーを溜めるホー(本物)に気付く。そして再び魔方陣を形成してその中に飛び出し、GIRLSカスタムの前に瞬間移動する。ホー(本物)が口からマイナスエネルギー波を放った時、ゼットは魔法陣が描かれたバリアを形成してGIRLSカスタムを守った。

 

『ゼットアイアス!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、時を同じくしてアギラはゼットとの戦いを落ち込んだ表情で見ていたルイを見て彼女に何かあったと悟り、優しく問いかけた。

 

「ホー、どうしたの?まるで初めて会った時・・・ううんそれ以上に落ち込んでいるようだけど・・・。」

「あ、アギラさん・・・私・・・私・・・・・・うええええええええええええん!!」

「ちょ、ちょっと落ち着いて!!そんなに泣かれちゃ君に何があったのか分からないよ!!」

「だって・・・だって・・・私のせいであの怪獣があああああ!!」

「えっ!?」

 

アギラはルイの言葉を聞いて思わずゼットと戦うホー(本物)を見る。そして何があったのか少し察すると大泣きするルイに目線を合わせて問い掛ける。

 

「あの怪獣・・・もしかして君が生み出しちゃったの?」

 

ルイはアギラの問いかけに黙って頷く。するとアギラは少し黙り込むと、雨状の光線とミサイルを同時に放ってホー(本物)を攻撃するゼットとGIRLSカスタムに目を向ける。そして再び彼女に視線を向けると決して彼女を責めずに抱きしめながら問い掛けた。

 

「どうしてこんな事になっちゃったの?落ち着いてボクに話してみて。」

「ヒク・・・グス・・・怒ってないんですか・・・。?」

「大丈夫、大丈夫だよ。何か訳があるんでしょ。君は怪獣を生み出して無闇に人を傷つける人じゃない。だから・・・きっと深い訳があるんでしょ。」

「グス・・・実は・・・。」

 

ルイは全ての経緯をアギラに打ち明ける。アギラはルイを抱きしめながら彼女の言葉を流すことなく確かにしっかりと黙って聞く。

 

「成る程、そういう訳だったんだね。」

「は・・・はい・・・。私・・・ノイズラーさん、ザンドリアスさんが少しでもハルキさんと距離を縮められたらと思って・・・その・・・。」

「うん・・・よく分かったよ。・・・ホー、君の友達想いなところは決して間違ってないよ。けど、恋に関してはその当事者同士の問題なんだ。だから・・・こういうのは当事者本人が何とかしなきゃいけない問題だと思うんだ。君も覚えがあるんじゃないかな?」

「あっ・・・。」

 

ルイはアギラの言葉で自身がザンドリアス達と初めて会った日の事を思い出した。あの時、友達に嫌われたショックで怪獣娘に変身し、思い悩んでいたルイだったがサチコ達との出会いを通して自分自身で考えて人との距離感を学んでいくと決心した事を思い出し、ルイは自身が今すべき事を考え出す。

 

「そうですよね・・・恋愛は本人が考えなきゃ駄目ですよね・・・。」

「ホー、これから君がやるべき事は定まった?」

「はい‼︎私、ノイズラーさん達に謝りに行きます‼︎そして・・・あの怪獣を止めなきゃ‼︎あれは私の負の感情から生まれた怪獣ですから私が止めにいかないと‼︎」

「うん、分かったんならすぐに行こう‼︎大丈夫‼︎ボクも一緒についていくから‼︎」

「はい‼︎」

 

 

 

 

 

「どっこいしょおおおおお‼︎」

 

ルイが決意を固めた頃、サチコとミサオは怪獣娘に変身して周辺の住民の救出活動にあたっていた。サチコが変身したザンドリアスがひっくり返った車を持ち上げ、ミサオが変身したノイズラーが下敷きになっていた市民の男性を救出する。

 

「大丈夫ですか⁉︎立てますか⁉︎」

「うう・・・ありがとう。・・・立てそうだけど・・・歩くのは難しそうだな・・・。」

「あそこにGIRLSの者がいます‼︎1人で歩くのが難しそうなら手を貸してくれますから‼︎おい、ザン‼︎あそこにいる職員を呼んでくれ‼︎」

「うん‼︎」

 

ノイズラーの言葉でザンドリアスは怪獣娘達同様に市民の避難誘導に当たっていたGIRLSの職員を呼ぶ。職員はすぐに男性に駆け寄ると肩を支えてその場を離れていった。男性が職員に連れられて避難所に向かっていった事を確認したザンドリアスとノイズラーは目の前でゼットと戦うホー(本物)を見据える。

 

「あれって・・・もしかしなくても・・・マジもんのホーだよね?」

「ああ、間違いねえ。本物の硫酸怪獣『ホー』だ。・・・しかし何故急に現れたんだ?」

 

ノイズラーはすぐに顎に指を触れて考え始める。そんな中、ザンドリアスの脳内に先程別れたルイの姿が思い浮かんだ。

 

「ねえ、ノイズラー・・・もしかしてなんだけど・・・本物のホーが現れた理由、あたし達にあるんじゃ・・・。」

「⁉︎・・・ザンドリアス・・・お前何を⁉︎」

「だってさ、さっきのホー(怪獣娘)、あたしらに何か伝えようとしてたじゃん。必死に誤解を解こうとしてさ。」

 

ザンドリアスの言葉にノイズラーも顔を俯かせて黙り込む。そして数分後、ノイズラーは顔を俯かせたまま口を開いた。

 

「確かに・・・この前のメカギラスとの喧嘩に加えて・・・あいつがアタシらのいないところでハルキの奴と会っていたところを目撃しちまった事で・・・色々と頭がぐちゃぐちゃになってたから思わず突き放しちまったけど・・・言われてみりゃ確かにそんな感じがしたよな・・・。」

「あの子、人との距離感を掴むのが苦手だから色々と空回りしちゃったんじゃない?・・・ハルキと会っていたのもあたしらが思っていたような事じゃなくて・・・でもそれを伝えようとして、慌てちゃって・・・嫌われたと思って・・・あの怪獣を出しちゃったんじゃないかな?」

「確かに・・・あいつならあり得るな。・・・ホーに謝って、あいつの話を最後まで聞かなきゃ。」

「そうと決まったら、探しに行こ‼︎ホー、もしかしたら自分が怪獣を生み出しちゃった事で凄く落ち込んでいるかもしれないし‼︎」

 

ザンドリアスとノイズラーは結論を決めるとすぐさまその場を離れてルイを探しに飛び立っていく。空から10数分くらいルイを探して辺りを見渡していると、アギラとルイが変身した怪獣娘『ホー』を見つける。2人は必死にザンドリアスとノイズラーの名を叫んでいた。

 

「ザンドリアスさーん‼︎ノイズラーさーん‼︎何処ですか〜‼︎」

「2人ともー‼︎ホーが話したい事があるんだって‼︎お願いだからホーの話を聞いてあげてー‼︎」

 

2人は自身を探す2人を見つけると顔を見合わせて頷く。そしてアギラとホー(怪獣娘)に向かって降り立っていった。

 

「ホー‼︎アギラさん‼︎」

「ザンドリアスにノイズラー‼︎良かった‼︎合流出来て‼︎」

 

アギラはホー(怪獣娘)を連れて着地したザンドリアスとノイズラーに向かっていく。そしてホー(怪獣娘)は前に出てザンドリアスとノイズラーの前に立つと頭を下げようとする。しかし、彼女の前にザンドリアスとノイズラーが先に頭を下げた。

 

「あ・・・あの・・・。」

「「ホー、さっきは御免‼︎」」

「え?」

 

自分が謝る筈だったのに先に謝られたホー(怪獣娘)は戸惑う。そんなホー(怪獣娘)の前でザンドリアスとノイズラーの2人は口を開いて謝った。

 

「ホー、さっき何か言おうとしてたでしょ⁉︎なのにあたし達、ホーの話を全く聞かないで・・・。」

「メカギラスとの喧嘩とか色々あって自分の事しか考えられなくなっていた・・・だから・・・ホーの話を最後まで聞こうとしないで・・・すぐに嫌な想像してホーの事を拒否しちゃってた・・・本当に御免‼︎」

「・・・ざ、ザンドリアス・・・ノイズラー・・・。」

 

まさか先に2人が頭を下げるとは思っていなかったのかアギラは唖然とする。するとホーも頭を下げて謝り出した。

 

「い、いえ‼︎私の方こそ誤解させるような事をして本当に御免なさい‼︎私はただ・・・ザンドリアスさんとノイズラーさんの声を応援したくて・・・。」

「ホー・・・。」

「もしかして・・・さっき・・・ハルキと一緒にいたのって・・・。」

「たまたまハルキさんを見つけて・・・お2人が少しでもハルキさんと距離を縮めれたらなって思って・・・ハルキさんに・・・お2人と遊びに行って欲しいって・・・頼もうとして・・・。」

「ああ‼︎そういう事ね‼︎」

「あたし達と一緒に遊びに行って欲しいって事だったのね・・・。成る程・・・これで納得したよ。・・・いや、本当に御免・・・ホーはアタシ達の事を思ってハルキに会ってたのに・・・。」

「い、いえ・・・私の方こそ・・・言葉が足らず・・・お2人を困らせて本当にすみませんでした‼︎」

「あたし達も御免ね・・・あたし達のために行動してくれていたのに冷たくしちゃって・・・。」

 

3人は漸くお互いの意思を伝え合った。こうしてそれぞれの意思を知り合って謝罪した3人は漸く笑い合えるようになる。そして気分が沈んでいたホー(怪獣娘)も漸く立ち直ると目の前でゼットと戦うホー(本物)に目を向ける。

 

「3人とも・・・漸く霧の中の明日から抜け出せそうだね。」

「はい‼︎」

「それで・・・これからどうする?」

「ザンドリアスさん、ノイズラーさん、あの怪獣は・・・私の気持ちから生まれた怪獣です‼︎だから・・・私が止めに行きます‼︎」

「ホー・・・やっぱりか・・・。だったらアタシらも行くよ‼︎」

「本物のホーが出現した理由はアタシ達も責任があるしね‼︎」

「皆さん・・・ありがとうございます‼︎」

 

 

 

 

その頃、ゼットの中のハルキはデルタライズクローに変身するためのウルトラメダルを取り出す。そして共鳴してライズメダルに変化したメダルをゼットライザーに装填して読み込ませた。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

デルタライズクローに変身したゼットはベリアロクでホー(本物)を大きく斬り付ける。ベリアロクは火花を散らしてホーに大きな切り傷を刻み込みんだ。またもやホー(本物)の傷が癒えて回復すると思い、ゼットは身構える。

 

(これでも駄目か・・・‼︎)

『いや、待て‼︎』

 

しかし、ゼットとハルキの予想は大きく外れ、ホー(本物)は切り傷を刻まれた事で大きく苦しみ始めたのだ。

 

「ヴア"ア"ア"ア"ア"‼︎」

 

実はホー(本物)を生み出したルイの気持ちがザンドリアス達との和解でマイナスな感情を抑えた事により、ホー(本物)を回復させる程のマイナスエネルギーが出なくなっていたのだ。これをチャンスとみなしたゼットは更にベリアロクを振りかざしてホー(本物)の体に何度も何度も切り傷を刻んでいく。

 

「ジェアッ‼︎ジェアッ‼︎ジェアアアッ‼︎」

「ヴア"ア"ア"ア"ア"⁉︎」

 

ホー(本物)が怯んでゼットから距離を取ると今度はGIRLSカスタムがペダニウムアックスでホー(本物)を斬り付ける。重い斧による斬撃にホー(本物は悶えるもせめてもの抵抗に硫酸の涙を流す。酸でGIRLSカスタムの装甲が溶ける音が響く中、ホー(本物)は口からマイナスエネルギー波を放つ。マイナスエネルギー波はGIRLSカスタムに命中し、その機体が大きく地面に倒れる。

 

「きゃあああああああ‼︎」

 

GIRLSカスタムが地面に倒れると今度はゼットに向けてマイナスエネルギー波を放つ。ゼットは思わず避けようとするが後ろを少し振り返るとベリアロクを構える。そしてベリアロクでホー(本物)が放つマイナスエネルギー波を受け止めた。

 

「ジェアアアッ‼︎」

 

実は後ろでは四次元に人々を避難させて外の世界の様子を見に来たメカギラスがいたのだ。彼女の元となったメカギラスは現実世界と四次元空間を自在に行き来出来る能力がある。その能力を生かして避難所に入りきらなかった人々を四次元空間に避難させていた彼女は外の様子を丁度確認しに来たのだ。しかし、たまたま彼女が開いた現実世界の出口がホー(本物)のマイナスエネルギー波の軌道上にあり、ゼットはそれを確認して彼女を救うべくマイナスエネルギー波を受け止めたのだ。

 

「ゼット⁉︎」

「ジェアアアアアッ‼︎」

 

何とかベリアロクでマイナスエネルギー波を受け止めたゼットはそれを弾く事に成功する。しかし、地面に着弾した事で生じた爆風がメカギラスを襲おうとしていた。四次元空間に繋がる入り口を形成する暇もなく、身構えた時、メカギラスの体は宙に浮いていた。するとザンドリアスがメカギラスを掴んで空に飛んでいたのだ。

 

「ザンドリアス⁉︎ノイズラー⁉︎」

「話は後‼︎」

「アタシらにしっかり掴まって‼︎」

 

ザンドリアスは爆風が来ない範囲までメカギラスを連れて行くとホーと合流する。着地したメカギラスは思わず二人に訊ねた。

 

「ノイズラー⁉︎何で・・・⁉︎」

「何でって・・・友達を放っておけるわけないだろ。」

 

淡々と自身の問いに返したノイズラーにメカギラスは思わず目を丸くする。その前でホー(怪獣娘)はゼットと交戦するホー(本物)に向かってこれまで叫んだ事がない程の大きな声で叫んだ。

 

「もうこれ以上・・・暴れるのは止めて‼︎」

「⁉︎」

 

自身を生み出した想像した創造主が叫んだからなのか、それとも自身の魂と同じ存在である彼女の叫びに何か感じたからなのかは分からないがホー(怪獣娘)の叫びに思わずホー(本物)は動きを止める。

それをチャンスだと感じたのかゼットの中のハルキはベリアロクのスイッチを3回押して必殺技の構えに入る。

 

『デスシウムスラッシュ‼︎』

 

ゼットはホー(本物)に接近し、エネルギーを集めたベリアロクでZ字を描いて斬り付ける。Z字の大きな切り傷が刻まれたホー(本物)は背中から倒れると同時に大爆発を起こした。ゼットの勝利にザンドリアス達は思わず喜ぶ。

 

『やったああああああ‼︎』

 

ゼットはそのままZ字の飛行機雲を描いて空に飛び立っていった。そしてそれを見送るとメカギラスはザンドリアス、ノイズラーに視線を向けてお礼と謝罪の言葉を口にする。

 

「さっきは助けてくれてありがとう・・・それと・・・この間は御免。」

「それはお互い様・・・こっちも御免ね。」

「アタシも・・・ハルキと距離が縮まってないイライラをぶつけちゃってた・・・本当に御免。」

 

ザンドリアス、ノイズラーもメカギラスに謝罪する。こうして仲直りした3人は笑いあいながらゼットが飛び立っていった飛行機雲を眺めていた。

 

 

 

 

そして全てが終わって時間が経った夕暮れ時、サチコとミサオはGIRLSの出入り口で誰かを待っている。すると2人が待っていた人物がやってきた。

 

「は〜・・・疲れた〜・・・。」

「おーい、ハルキ〜‼︎」

「ん?サチコに・・・ミサオ?2人ともどうしたんだよ?」

 

それは2人が想いを寄せるハルキであった。ハルキは2人に気付くと彼女達に駆け寄る。2人は辺りを見渡してハルキに訊ねた。

 

「ハルキ、ガッツさんは?」

「ん、ミコ?まだ仕事が残っててまだ帰れないらしいけど。」

 

2人は思わず頭の中でガッツポーズを取る。そしてサチコが先に口を開いた。

 

「ねえねえハルキ‼︎明日か明後日暇?」

「明日か明後日?・・・明日は俺休みの予定だけど・・・。」

「本当?それじゃあさ、あたし達とどっか遊びに行こうよ‼︎」

「へ?2人と?」

「そうそう、偶にはアタシらにも付き合ってくれよ‼︎別にいいだろ?」

「そりゃ・・・別にいいけど・・・俺で大丈夫なの?」

「「勿論‼︎」」

 

声を揃えて断言する女子中学生達にハルキは思わず唖然とする。そして数秒後、ハルキも口を開いた。

 

「分かった・・・いいぜ。」

「やったぁぁ‼︎それで待ち合わせは何処にする⁉︎」

「ここは無難に新宿じゃない?あたしがアギラさん達と遊びに行ったのも渋谷だし。ハルキも新宿でいいでしょ?」

「ああ、分かった。集合時間は?」

「集合時間は・・・○×時でどう?」

「俺は大丈夫。ミサオは?」

「アタシもOKだぜ‼︎」

「じゃあ、明日、○×時に新宿駅ね‼︎楽しみにしてるから‼︎バイバーイ‼︎」

「じゃあな、ハルキ‼︎」

「お、おう・・・今の女子中学生って・・・行動力高いな・・・。」

 

あっさりと集合時間と集合場所を決めると2人はGIRLS東京支部を後にしていく。ハルキは2人に思わず唖然としながら見送っていた。

 

「ふふん♪ふん♪ふふん♪」

「明日、遂にハルキとデートだ〜‼︎このデートで絶対にハルキと距離を縮めてみせるぜ〜‼︎」

 

2人は明日のハルキとのデートに心浮かせながら帰路についていくのであった。




ハルキ「ハルキと」

ノーバ「シルバーブルーメの」

ハルキ&ノーバ「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈HOE〉

ノーバ「硫酸怪獣『ホー』。人間のマイナスな感情によって生まれた怪獣で目からは何でも溶かす硫酸の涙を流すぞ。」

ハルキ「その魂を継ぐ怪獣娘もGIRLSに所属していて今はサチコ達と一緒にバンドを組んでドラマとして活動しているんだ。」

ノーバ「彼女も孤独感というマイナスな感情によって怪獣娘に覚醒したがザンドリアス達が友になった事で過去を乗り越える事が出来たんだ。」

ホー「次回は私が担当します。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『空がガラスのように割れた⁉︎その向こうの異次元空間から怪獣を超えた超獣『バラバ』が出現。大ピンチになった俺達の元へあのヒーローが光と共にやってくる!次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


最後の勇者


ウルトラ驚くぜエェェェス⁉︎』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の勇者(前編)

今回、超獣を代表してアニメに登場しなかった2人の怪獣娘を出しました。
詳しいキャラ設定は電王牙さんからお借りしました。電王牙さん、本当にありがとうございました‼︎

宇宙大怪獣『ベムスター』登場


この日、再び街にシャドウが大量に現れる事件が発生した。街に現れたシャドウ達は建物を破壊して街を蹂躙する中、GIRLSの怪獣娘達はその対処に追われている。

 

「やああっ‼︎」

「どりゃああっ‼︎」.

 

アギラとゴモラは同時に突進してシャドウ達を消滅させる。その横ではミクラスがシャドウの群れに超絶なパンチラッシュを仕掛けていた。

 

「おりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃおりゃあああああああああ‼︎」

 

ミクラスに向かってくるシャドウの群れは彼女が放つパンチによって次々と消滅していった。そんな中、ハルキはゼットライザーを構えてシャドウを斬り付けていった。

 

「うおりゃあああああああ‼︎」

「やるねハル‼︎でも、シャドウ退治はわたし達怪獣娘の分野‼︎このまま負けてられないよ‼︎」

 

ハルキがゼットライザーでシャドウを斬り付けて消滅させる中、その様子を見ていたガッツ星人(ミコ)はハルキを一度見るとすぐさま目の前のシャドウを回し蹴りで吹っ飛ばす。するとガッツ星人(ミコ)に狙いを定めたシャドウ達が一斉に彼女に襲いかかる。すると彼女は瞬間移動でシャドウ達の後ろに回り込み、次々と回し蹴りでシャドウを消滅させていく。すると空からコウモリ型のシャドウビーストがGIRLSの怪獣娘達に向かって飛んで来た。

 

「シャドウビーストまで⁉︎」

「しかも空飛ぶタイプか・・・キングジョーかザンドリアス、ノイズラーと合流出来りゃ楽勝なんだがな・・・。」

 

シャドウをまとめて殴り飛ばしたレッドキングが今現在、周辺住民の避難にあたっていてここにいない3人を思って苦い表情を浮かべてこちらに向かってくるシャドウビーストを見る。シャドウビーストは地面に降り立つと同時に翼から怪光線を放って来た。怪獣娘達は大きくジャンプして光線を避ける。そしてレッドキングとゴモラが地面に降下する勢いでそれぞれ拳と頭突きを放つ。レッドキングの拳とゴモラの頭突きを受けたシャドウビーストはそのまま地面に激突する。

 

「よーし‼︎このまま一気に行くぞー‼︎うおりゃあああああああああああああああ‼︎」

 

続いてミクラスがそのまま降下の勢いでシャドウビーストの頭目掛けて拳を振り下ろそうとする。しかし、まるで子が親を守るようにシャドウ達がシャドウビーストに集まってきた。複数のシャドウ達はシャドウビーストの頭を覆いながら集まるとそのまま盾となり、ミクラスの拳から自身を犠牲にしてシャドウビーストを守った。

 

「嘘ぉ⁉︎シャドウがシャドウビーストを守った⁉︎」

「あのシャドウ達をなんとかしないとシャドウビーストに辿り着けないよ‼︎」

「だったら、分担してシャドウ、シャドウビーストを倒すチームに別れた方がいいんじゃないか⁉︎なあ、ミコ‼︎」

「そうだね・・・。シャドウビーストはわたしとマコ、ゴモにレッドか相手するからハルとアギ達はシャドウをお願い‼︎」

「分かった‼︎」

「任せて‼︎」

「おうよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)の提案でそれぞれチームに分かれ、シャドウ達に立ち向かおうとするハルキ達だが、ここで怪獣娘達が持つソウルライザーに警告を知らせる着信音が鳴る。思わず彼女達はソウルライザーを取り出して画面をタップし、応答に出る。するとソウルライザーから聞こえてきたのはこの状況に更に追い討ちを掛ける最悪な言葉だった。

 

「どうしたの⁉︎」

『大変です‼︎宇宙から怪獣が接近しています‼︎しかも衛星が捉えた軌道を確認した結果、怪獣はそちらに95%の確率で着陸するそうです‼︎』

「この状況で怪獣までかよ⁉︎最悪じゃねえか‼︎」

「因みに・・・どんな怪獣がこっちに向かってるんですか⁉︎」

『えっと・・・まだそこまでは確認されていません‼︎シャドウの対応中に申し訳ないのですが・・・今から増援をお送りしますので怪獣の方も対応して下さい‼︎』

「・・・分かった。皆、そういう訳だから備えておいた方がいいよ。」

「おいおいマジかよ・・・。」

「正に最悪の状況じゃん・・・。」

 

通信を終えたミコの話を聞いて全員、頭を俯かせてしまう。そんな中、避難誘導を行なっていたザンドリアス達がこちらに向かって飛んで来た。

 

「先輩先輩〜‼︎」

「ザンドリアス‼︎ノイズラーにキングジョー‼︎

「住民の避難は終わりました‼︎後はシャドウ達を何とかするだけです‼︎」

「あのさザンちゃん、ノイちゃんにキンちゃん、実は・・・。」

「宇宙怪獣がこちらに向かって来てるのは先程ワタシ達もピグモンから聞きマシタ‼︎その前にシャドウだけはケリをつけまショウ‼︎」

「分かった‼︎まずはコイツらを」

 

ザンドリアス達と合流して全員がシャドウを迎え撃とうとした時、この場にいる怪獣娘達のソウルライザーから警報が鳴る。それは怪獣が接近してる事を知らせる警報だった。

 

「嘘だろ⁉︎もう来んのかよ⁉︎」

「あっ、見て下サイ‼︎」

 

キングジョーが空の一点を指差し、全員がその方向を見ているとこちらに猛スピードで飛んでくる巨大な何かに気付く。そしてそれは近付くにつれてその姿が露わになった。

それは二足歩行で全体的に星形のフォルムになっており、顔には黄色い嘴を持ち、頭部は鳥を思わせる姿であるが何より特徴的なのは腹部だった。その腹部の中心に五角形になっており赤く染まっている。それはかつて多くのウルトラマン達を苦戦させた宇宙大怪獣『ベムスター』が久方ぶりに地球に来訪した瞬間だった。ベムスターは猛スピードで地面に着陸すると大きな土煙を上げた。

 

「ギギャ‼︎ギギャピ‼︎」

「あ、あの怪獣は確か・・・‼︎」

「宇宙大怪獣ベムスターデス‼︎」

「本物のベムスター⁉︎あれが・・・。」

「最悪だ・・・よりにもよってベムスターかよ・・・。」

 

怪獣娘達が暗い顔になるがこれには訳がある。かつてベムスターはウルトラマンジャックの攻撃が一切効かず、ウルトラセブンから授かったウルトラブレスレットを用いて漸く倒せた強豪怪獣である。それがシャドウが大量に発生したこの状況で飛来して思わず項垂れてしまったのだ。

 

「何でベムスターがこんな状況で地球に・・・。」

「確かベムスターは窒素や水素を主食とする怪獣デス。恐らくですがこの星に餌が豊富にある事を知ってやってきたのでショウ・・・。」

「皆、どうする?流石にベムスターと同時にコイツらの相手はしてられないよ‼︎」

「とにかく・・・シャドウから倒すしかねえ‼︎ベムスターをどうするかはシャドウを全て片付けてから決めるぞ‼︎」

「そうですね・・・それしか無いですよね。」

「そうと決まったら・・・早速!」

「待て‼︎シャドウの様子が‼︎」

 

シャドウビーストは大量のシャドウを引き連れてベムスターに突撃していく。そして先陣を切ったコウモリ型のシャドウビーストは再び光線を放ち、ベムスターに先制攻撃を仕掛けるが全く効いている様子はない。

 

「ギギャ?」

 

ベムスターは光線の軌道からこちらにシャドウの群れを引き連れたシャドウビーストが向かってくる事を確認する。するとベムスターの腹部の赤い中心部が突然開いた。するとその中心部が突然シャドウ達を吸い込み始めた。

実はベムスターの本当の口はこの腹部である。ベムスターはこの腹部で宇宙ステーションからウルトラマンの必殺光線まで何でも飲み込み、消化してしまう悪食な怪獣なのだ。お腹の口に吸い込まれているシャドウ達及びコウモリ型のシャドウビーストは必死に抵抗するもその奮闘は虚しくベムスターのお腹に吸収されていく。そしてベムスターは先程まで怪獣娘と戦っていたシャドウの全てを捕食し切ってしまった。

 

「ギギャ‼︎ギギャピ‼︎」

 

ベムスターは本格的な食事前の前菜を食べ終えて満足なのか嬉しそうに鳴きだす。一方でベムスターにシャドウが全て捕食されるのを見ていたキングジョーは顔を強ばらせてGIRLS東京支部に向かって飛び立とうとしていた。

 

「皆さん、ワタシはGIRLSカスタムを取りに行ってくるのでそれまで足止めをお願いシマス‼︎」

「えっ・・・ちょっとキングジョーさん⁉︎」

 

GIRLS東京支部に向かったキングジョーを見送った一同は目の前で街中を進撃するベムスターに目を向ける。

 

「仕方ねえ・・・これ以上被害が出ないように食い止めるぞ‼︎」

「ちょっと、本気で言ってる⁉︎ベムスターは腹の口で何でも飲み込むヤバい怪獣よ‼︎そんなの相手に近付いたらどうなるか分かるでしょ‼︎」

「分かってる‼︎だから接近戦は避けて遠距離から飛び道具で挑むぞ‼︎」

「よっしゃああ‼︎それならこれでもどうだああああああ‼︎」

 

レッドキングの言葉で先にミクラスが口から熱線を放つ。しかし、その熱戦は翼に命中するも何の効果も無かった。

 

「あー、やっぱり効果ないか・・・。」

「諦めないで‼︎一斉に攻撃しよう‼︎」

「腹の口に吸収されないように奴の背中に回り込むぞ‼︎いいな⁉︎」

 

その場にいたメンバーはレッドキングの言葉に頷いてベムスターの背中に回り込むべく移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

その頃、GIRLS東京支部の司令室でその様子を見ていたピグモンも緊張した表情でモニターに映し出される街を蹂躙しながら暴れるベムスターを見ている。そんな中、司令室に2人の怪獣娘が慌てて入ってきた。1人は赤い突起のような髪にハイレグ状の獣殻に身を包んだ豊かな胸を持つグラマラスなミサイル超獣の魂を継ぐ怪獣娘『ベロクロン』である。また1人の方は赤いパラソルを持ち、小柄な体格に3本の角のように跳ね上がる銀髪が特徴的なレースクイーンを思わせる獣殻の一角超獣の魂を継ぐ怪獣娘『バキシム』だ。

2人は司令室に入るとピグモンに駆け寄って慌てながら話し掛ける。

 

「ピグモンさん‼︎」

「ベロベロにシムシム⁉︎一体どうしたんですか⁉︎」

「先程からアタシ達のカイジューソウルが疼くんだよ‼︎」

「しかもその疼きがどんどん強くなってますわ‼︎」

「つまり・・・どういう事です?」

「何かが来るって言ってんの‼︎」

「何かが・・・来る⁉︎」

 

 

 

 

その頃、ガス施設に侵入し、ガスタンクを吸収し始めたベムスターを見て怪獣娘達だけではこれ以上被害を抑えるのは厳しいと判断したハルキはゼットライザーを構える。

 

「ミコ‼︎皆‼︎これ以上、キングジョーさんを待つのは無理だ‼︎ここは俺が食い止める‼︎」

「ハル‼︎分かったわ‼︎」

「お願いね、ハルキさん‼︎」

「任せるぞ、ハルキ‼︎」

 

ハルキはゼットライザーの引き金を引いてヒーローズゲートを開き、インナースペースに飛び込む。そしてベータスマッシュに変身するメダルを取り出した。しかし、ハルキがメダルに視線を向けた時、異変が起こる。何とウルトラマンエースのウルトラメダルが突然光り出したのだ。

 

「えっ⁉︎」

『どうした⁉︎ハルキ⁉︎』

「いや・・・エース兄さんのメダルが突然光り出して・・・‼︎」

 

その時、外ではベムスターが次のガスタンクに狙いを定めようとしていた。その時、更なる異変が起こる。何と突然空がガラスのひびのように割れ出したのだ。余りの超常現象に怪獣娘達も唖然とする。

 

「ええっ⁉︎」

「空が・・・割れた・・・?」

 

この現象は当然GIRLS東京支部でも確認される。そしてモニターに映るひび割れた空を見てベロクロンとバキシムが声を上げた。

 

「そ、空が割れた⁉︎・・・これって確か・・・。まさかお2人のカイジューソウルが疼いたのって‼︎」

「多分・・・そうだと思う。」

「先程から感じるカイジューソウルの疼き・・・あのひび割れを見てから更に感じますわ‼︎」

 

当然、現場にいるベムスターも空のひび割れを確認する。そしてそれを見たベムスターは突然怯え出した。

 

「ギ・・・ギギャ・・・。」

「ベムスターが・・・怯えてる?」

 

ベムスターは怯えだすとすぐさま飛び立ち始める。そして空に飛び立つとあっという間に見えなくなり、宇宙の彼方に消えていった。

 

「嘘・・・怯えて逃げていった・・・。」

「何で・・・ベムスターって怪獣の中でも結構強いんじゃあ・・・。」

「さっきの空のひび割れ・・・何かで見たような・・・。」

 

そしてGIRLS東京支部では逃げ出すベムスターを見たピグモンが納得したような表情でモニターを眺めている。

 

「成る程・・・成る程成る程・・・納得です。アレはベロベロとシムシムのカイジューソウルが頷く原因にもなりますね。」

「あたし達も怪獣娘になった時に勉強したよ。自分の元の怪獣・・・ううん、超獣について。」

「そしてこの空のひび割れは超獣が出現する時によく起こっていた異次元現象によく似て・・・いえ、異次元現象そのものですわ‼︎」

 

実はこの2人は現在確認されている怪獣娘の中で異次元人によって作られた怪獣を超えた怪獣兵器である『超獣』の魂を継ぐ怪獣娘である。それ故に彼女達は超獣が関わる異次元現象に敏感なため、それが起こる前触れに彼女達のカイジューソウルが疼いたのだ。

 

「ベムスターはこのひび割れを見て即座に逃げ出しました・・・つまり・・・この中には・・・。」

「うん、いると見て間違いないよ・・・ヤプールによって作られた・・・強力な超獣が・・・。」

 

ピグモンの右隣にベロクロンが並び立ってモニターに視線を向ける。バキシムも無言でピグモンの左隣に立つとモニターに映る空のひび割れをまじまじと見つめていた。




ブレーザーも遂に後半戦に突入しました。・・・早くZを完結させたいです・・・。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の勇者(中編)

久しぶりの怪獣娘Zとなります‼︎

殺し屋超獣『バラバ』登場


空のひび割れに対し、GIRLSは人数を分けて4方向から観察する事になった。ハルキとガッツ星人姉妹は双眼鏡で空のひび割れを観察するも何も変化が起きる気配はなかった。

 

「・・・あれから動きがねえな。」

「でも、あれって昔、ヤプールの超獣が現れた時に起こったひび割れよね?」

「ええ、あの向こうに超獣がいるのは間違い無いと思うわ。」

「超獣・・・か・・・。」

 

ハルキは思わずウルトラマンエースのメダルを取り出す。すると相変わらずメダルは何度も点滅を繰り返していた。ガッツ姉妹は横からその様子を覗き込む。

 

「それってウルトラマンエースのメダルだよね?」

「ああ・・・さっきから何か光り出してんだ。」

「それって・・・あれに反応して?」

「・・・多分。」

 

ハルキがガッツ星人(マコ)の問いかけに確証がなく曖昧な答えを返した時、突然ヒーローズゲートが開く。余りにも突然のヒーローズゲートの出現にハルキだけでなくガッツ姉妹も思わず驚いてしまった。

 

「うおああっ⁉︎」

「「うわあっ⁉︎」」

「・・・びっくりした・・・急すぎんだよ・・・。」

「ゼット、どうしたのかな?」

「分かんねえ、けど、ちょっと行ってくるわ。」

「あっ‼︎待ってわたしも行く‼︎マコは空の亀裂をお願い‼︎」

「ええ、分かったわ。」

 

ハルキとミコはヒーローズゲートを抜けてインナースペースに入ると待っていたゼットと対面する。ゼットの顔を見たミコは苦言を立て始める。

 

「ねえゼット、いきなりヒーローズゲートを開くの止めてよ。急に出されたらビックリするし・・・何より他の人に見られたらヤバいじゃない!」

『その辺はウルトラ申し訳ない‼︎けど、急を要する事態だったから来て欲しかったんだ‼︎』

「それってやっぱりあの空のひび割れの事ですよね?あれGIRLSの記録で見ましたよ。あれってやっぱり・・・。』

『お前の考えている通りだ。あれは異次元人ヤプールの仕業に違いない。』

「やっぱり・・・‼︎」

「けどヤプールって確か・・・。」

『ああ、エース兄さん、ウルトラマンエースに倒された。』

「ウルトラマンエース・・・ウルトラ6兄弟の5番目で・・・伝説のウルトラマンだよね?」

『そうだ、ヤプールと壮絶な戦いを繰り広げたウルトラ強い超獣退治の専門家だ。・・・実は昔、世話になったんだよなぁ・・・。』

「え・・・ゼットが?」

「じゃあこれって・・・。」

 

ゼットが昔を懐かしむような事を口に出すとハルキはメダルホルダーに手を伸ばす。そしてホルダーから未だに点滅するエースメダルを取り出してゼットに見せた。

 

『エース兄さんのメダルが超獣の気配を感じているのかもな。』

「超獣の気配を・・・ゼットさんは超獣と戦った事はあるんですか?」

『無い。でも、今の俺とハルキなら絶対に負けない・・・そうだろ、ハルキ‼︎』

「押忍‼︎」

 

ゼットは意気込んでハルキと腕を合わせる。ガッツ星人(ミコ)はそれを見て微笑ましそうに2人に話しかけた。

 

「ハル・・・ゼット・・・2人とも頑張ってよ‼︎」

「ああ‼︎」

『おお‼︎』

 

2人がインナースペースから帰還するとガッツ星人(マコ)が出迎えてくる。そして3人はお互い顔を合わせると空のヒビに目を向けた。

 

「ただいま〜。」

「お帰り、なんの話してたの?」

「ん?ああ・・・超獣の事とかな。」

「ふーん。」

 

ハルキの答えに頷いたガッツ星人(マコ)はハルキから視線を外すと空のひび割れに目を向ける。その時、後ろから声が聞こえてきて3人は思わず振り返った。

 

「あれ・・・ガッツ?」

「それに貴方は・・・確かハルキさん・・・でしたわね。」

「あれ?2人は・・・確か・・・。」

「ベロクロンに・・・バキシム⁉︎」

 

3人の元にベロクロンとバキシムがやってきた。2人の姿を確認した3人は思わず彼女達に駆け寄る。

 

「アンタ達どうしてここに?」

「相手が超獣というのもあってわたくし達も現場に向かう事にしたんですの。」

「もしかしたらアタシ達なら何かを感じ取れるんじゃないかなと思っていても経ってもいられなくてさ。」

「飛び出してきたって事ね・・・。」

「でも、ここに来て増援が来たのは心強いと思うよ。2人ともよろしくお願いします‼︎」

「ええ、よろしくお願い致しますわ。」

 

新たにベロクロンとバキシムを加えたハルキ達は再び空のひび割れに目を向ける。その時、たまたま近くを通りかかって彼女達を目撃した3人の男性が怪獣娘を嫌な物を見る目で見ながら話していた。

 

「おい見ろ。・・・あいつら怪獣娘だぜ。」

「うわぁ・・・どんな面して外に出てきてんだ・・・。あいつらのせいで再び怪獣が現れて皆が迷惑してるってのに。」

「本当だよな〜。あの空のひび割れだってあいつらが地球にいるから起こったに決まってるよ‼︎」

「きっとあのヒビの中にもさっきの鳥みたいな危険な怪獣がいるんだろうな〜。また怪獣娘のせいで怪獣がやってくるんだ・・・本当、迷惑にも程があるぜ。」

「早くここから消えてからねえかな〜?」

 

言いがかりに近い3人の男性の言葉にハルキは怒りで拳を握り締める。そんなハルキの様子に先にガッツ星人(ミコ)が気付いた。そんなハルキをガッツ星人(ミコ)が制止する。

 

「アイツら・・・勝手な事言いやがって・・・。」

「ハル・・・落ち着いて‼︎暴力は駄目だよ‼︎」

「でもよ‼︎アイツら何も知らないで・・・‼︎ミコ達は何も悪くないってのに・・・ふざけんな‼︎」

「そんなカッカしないで。仕方ないよ・・・今この星で怪獣に全も怪獣と深い関係なのはわたし達だから。」

「そうですわ。わたくし達の為に怒って下さったのは嬉しいですが・・・ここで市民と余計な争いをするのは避けたいですもの。」

「アタシ達の為に怒ってくれてありがと。でも、GIRLSが出来て間も無い頃に比べれば全然いいんだから‼︎だから、ハルキも気にしちゃ駄目‼︎」

 

 

ガッツ星人(ミコ)とバキシム、そしてベロクロンの3人に説得されたハルキはバツが悪そうにここから離れていく男性3人を睨んでいる。しかし、ハルキは自分達の悪口を聞いていた怪獣娘がどことなく悲しそうな顔をしているのに気付き、やっぱり先程の男達に一言言ってやろうと決意する。その時、ひび割れが更に強くなったと同時にピグモンからの通信が全員にかかって来た。

 

『皆さん、皆さんが監視している空のひび割れから出ているエネルギー反応が更に強くなっています‼︎充分に気を付けてください‼︎」

 

ハルキも彼女からの通信内容を聞いて思わず空のひび割れに目を向ける。その時、ひび割れが完全に開き、異次元からの扉が完全に開くとそこから雷みたいなエネルギーが爆風を上げて地面に着弾する。そして爆炎が立ち込めると思いきや、爆風が形を変えていく。

 

「グアアアアアアア‼︎」

 

爆風から現れたのは左手に鎌、右手にワイヤーを仕込んだ鉄球を備え、頭の天辺に大きな剣を装着している超獣だった。頭に牛のような角が生えたまるで悪魔にも見える顔を持つその超獣の名前は殺し屋超獣『バラバ』。かつてヤプールが怪獣とアゲハチョウの幼虫を組み合わせて作った超獣の一種である。

 

「超獣の姿が過去のアーカイブドキュメントから確認されました‼︎あれは間違いなく殺し屋超獣『バラバ』です‼︎」

「お前か・・・殺し屋超獣・・・バラバ。」

 

ヘビクラがジャグラーとしての顔を見せながら呟く中、現場に現れたバラバは鼻先から放つ炎で周りを焼き尽くす。その時、キングジョーが操縦するキングジョー・GIRLSカスタムのペダニウム粒子砲がバラバに火を吹いた。

 

「貴方の相手はワタシデス‼︎」

「グアアアアアアア‼︎」

 

背中からペダニウム粒子砲の銃撃を受けたバラバはGIRLSカスタムに向かっていく。GIRLSカスタムは背中からペダニウム誘導弾を放ち、バラバを怯ませようとするがバラバは真っ直ぐ突っ込んでくる。そして右手の鉄球でGIRLSカスタムを殴り付けた。バラバに殴りつけられた箇所からは火花が散り、GIRLSカスタムは大きく崩れる。

 

「くっ、よくもやってくれマシタね‼︎」

 

GIRLSカスタムは立ち上がり、再びペダニウム誘導弾を放つ。今度はペダニウム粒子砲も同時に放った。バラバは角を光らせると空間に異次元の穴を開ける。そして穴の中に攻撃が吸い込まれると穴の中が光り、紫色の雷撃が飛ぶ。異次元からの雷撃を受けたGIRLSカスタムは大きく吹っ飛ばされる。その機体が地面に倒れ込んだ時、思わずハルキ達は叫ばずにはいられなかった。

 

「キングジョーさん‼︎」

「おジョー‼︎」

「何、今の攻撃⁉︎バラバってあんな事出来たっけ⁉︎」

「多分・・・新しく身に付けたんだと思う・・・。」

「ヤバい・・・何とかしないと・・・って皆‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)の呼び掛けでハルキ達はバラバがこっちを向いていた事に気付く。巨大なバラバに睨まれて5人は思わず緊張して立ち尽くす。その時、バラバはハルキに目を向ける。ハルキは目の前のバラバに反応して点滅するエースメダルを握り締めながらバラバを見上げたをその時、ハルキの頭にバラバの恨めしそうな声が聞こえて来た。

 

『エースぅぅぅぅぅぅ‼︎エースぅぅぅぅぅぅぅ‼︎』

「へ?俺⁉︎つーか喋った⁉︎」

「喋った?・・・ハルキアンタ何言ってるの⁉︎」

「え⁉︎お前ら聞こえないのか⁉︎アイツ、エース兄さんの名前を叫んでるぞ‼︎」

「え⁉︎そうなのですか⁉︎わたくしには何も聞こえませんですわよ。」

「まさか・・・俺だけしか聞こえてないのか・・・。」

『見つけたぞぉぉぉぉ‼︎エースぅぅぅぅ‼︎エースぅぅぅぅぅぅ‼︎』

 

ハルキは幼馴染達にこの声が聞こえない事を知り、結論を付ける。その時、ゼットを見てエースのウルトラメダルからウルトラマンエースの力を感じ取ったバラバはハルキをウルトラマンエースと間違えて襲って来た。バラバは鼻先から再び炎を噴射し、ハルキを焼き尽くそうとする。ハルキは思わず前転で炎を回避した。炎を回避したハルキの元にガッツ姉妹がやってくる。

 

「ハル、大丈夫⁉︎」

「ミコ、マコ‼︎ああ、何とかな‼︎」

「何でアイツ、ハルキを襲って来たのよ?」

「多分俺が持つこれからエース兄さんの力を感じて・・・俺がエース兄さんだと思い込んでいるんだと思う。」

『エースぅぅぅぅぅぅ‼︎エースぅぅぅぅぅぅ‼︎やっと見つけたぞぉぉぉぉ‼︎滅びよ‼︎滅びよぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎』

 

ハルキは再び点滅するエースメダルを取り出す。するとバラバは更にエースの力を強く感じたのか鉄球に仕込んでいたワイヤーを射出する。ハルキ達はこれも避けると建物の物陰に隠れて自身の推測が正しいと確信した。

 

「やっぱりアイツ、俺の持つメダルから俺をエース兄さんだと思い込んでる‼︎」

「それじゃあ、バラバの狙いはウルトラマンエースって事⁉︎」

「ああ、奴はエース兄さんの名を叫びながら俺を襲撃してるし間違いないさ。」

「何でアンタ、アイツの言葉が分かるの?」

「多分、俺がゼットさんと融合してるからかな?・・・兎に角奴の狙いはエース兄さんのメダルを持つ俺だ。俺が奴を引き付ける。」

「ハル、無茶を言わないで‼︎」

「幾ら何でも危険すぎるわよ‼︎」

『ギイイイイイイイイ‼︎」

 

3人が話している最中にバラバに見つかってしまった。バラバは再び炎を吹き出してハルキ達を焼き尽くそうとする。その時、ハルキ達の後ろに異次元空間の亀裂が入る。そしてその中から先程はぐれたベロクロンとバキシムが現れた。

 

「ハルキ君、ガッツ‼︎大丈夫⁉︎」

「助けに来ましたわよ‼︎」

「ベロクロンにバキシム⁉︎アンタ達何処から来てんのよ⁉︎」

「説明は後でするからこの中に飛び込んで‼︎」

 

ハルキ達はベロクロンに急かされて異次元空間への亀裂に飛び込む。そして辺りが炎に包まれたと同じタイミングでハルキ達は異次元空間に飛び込み、難を逃れた。

 

「ここは・・・異次元空間⁉︎」

「わたくし達はバラバと同じく超獣の怪獣娘です。異次元空間を自由に行き来する事くらい朝飯前ですわ。」

「ありがとうございます‼︎助かりました‼︎」

「お礼はいいって‼︎それより何でバラバはハルキ君を狙ってるの?」

「え・・・そ・・・それは・・・。」

 

ハルキの事情を知らないベロクロンとバキシムの疑問にハルキはガッツ姉妹と顔を合わせ、3人揃ってどう答えるべきか悩んでいた。その時、ハルキ達の後ろから異次元空間への亀裂が走る。そして亀裂から異次元空間にハルキ達がいる事を感じ取ったと思われるバラバが顔を覗かせて来た。

 

「ギイイイイイイイイ‼︎」

「しまった‼︎嗅ぎ付けられた‼︎」

「脱出しますわよ‼︎皆さん‼︎」

「押忍‼︎」

 

ベロクロンとバキシムが再び異次元空間の亀裂を開けて現実世界に全員が飛び込む。異次元空間の顔を突っ込むバラバの後ろに飛び込むとハルキは隠し切れないと悟り、ガッツ姉妹に視線を送る。

 

「ミコ、マコ・・・悪い・・・多分隠し切れないから話す。おれの全て・・・。」

「このまま隠し通す事は難しそうだしね。」

「うん、ハルがそうしたいならそれでいいと思うよ。」

 

2人の答えを聞いたハルキは思わず笑みを浮かべる。ベロクロンとバキシムに点滅するエースメダルを見せた。

 

「さっきの2人の疑問だけど・・・奴はこれからエース兄さんの気配を感じてる。だから俺を狙ってるんですよ。」

「ちょっ、これって‼︎」

「ウルトラマンエースのメダル⁉︎しかもバラバの気配を感じてるように点滅してる・・・何処でこんな物手に入れたんですの⁉︎」

「その事は後で詳しく話します‼︎それと・・・この事は他の人には誰にも言わないで下さい‼︎」

 

ハルキはゼットライザーを取り出してヒーローズゲートを開く。突然現れた光の扉に驚く2人の前でハルキはヒーローズゲートからインナースペースに突入した。ハルキはウルトラアクセスカードをゼットライザーに装填し、読み込ませる。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ゼットライザーにアクセスカードを読み込ませるとハルキはベリアル、ジード、ゼロのメダルを取り出す。共鳴し、ライズメダルと化したウルトラメダルをゼットライザーにセットして読み込ませた。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

デルタライズクローとなったウルトラマンゼットはベリアロクをかざす。ベリアロクの目から放たれた光線がバラバを吹っ飛ばした。ベロクロンとバキシムは驚いた顔でゼットを見る。

 

「ええ⁉︎は、ハルキ君がウルトラマンゼットだったの⁉︎」

「そうだよ。ハルはゲネガーグが現れたあの日、ゼットと一体化してずっと皆を怪獣から守る為に戦って来たの。」

「知らなかったですわ・・・貴方達はこの事を前から?」

「そんな前から知っていた訳じゃないけどね。」

 

ゼットはベリアロクを構えてバラバを睨む。そして融合しているハルキ共々戦意をバラバに見せた。

 

『エース兄さんに変わってお前を倒す‼︎行くぞハルキ‼︎』

〈押忍‼︎ベリアロクも頼むぜ‼︎)

『ふっ、面白い!楽しませてもらうぜ‼︎』

「ギイイイイイイイイ‼︎」

 

バラバは起き上がると頭の角を射出してベリアロクを叩き落とす。ゼットの手から離れたベリアロクはビルに突き刺さった。ゼットは思わずベリアロクに手を伸ばそうとするとバラバが鉄球に仕込んだワイヤーを射出して腕に絡める。そして引き寄せるとそのままタックルでゼットを吹っ飛ばした。

 

「ジィアアア‼︎」

「「ハルキさん‼︎」」

「待ってアギちゃん‼ミクちゃん‼︎」

 

丁度近くにいたアギラ、ミクラス、ゴモラの3人は思わずゼットに駆け寄ろうとする。地面に倒れたゼットはバラバな踏み付けられ、蹴飛ばされる。そして鼻先からの火炎放射がゼットと丁度ゼットに駆け寄って来たアギラ達を襲う。

 

「熱⁉︎熱熱熱‼︎」

「アギちゃん、ミクちゃん、一旦退避しよう‼︎このままじゃうちらも丸焼けやで‼︎」

 

アギラ達がその場を離れている間、バラバは鎌でゼットを抑えつけて、鉄球で2回殴り付ける。バラバの鉄球が離れるとゼットは距離を取り、バラバの足に額のビームランプからの光線を放つ。

 

『デルタライズショット‼︎』

 

足に光線を受けたバラバが倒れた直後にゼットは体勢を立て直す。そしてバラバが起き上がったと同時にゼスティウム光線の構えをとった。

 

『ゼスティウム光線‼︎』

 

そしてそのままゼットはゼスティウム光線を放つ。このままいけば誰もが最強の姿のデルタライズクローが放つゼスティウム光線を受けてバラバは爆散すると考えていた。しかし、バラバは再び異次元空間への穴を開ける。ゼスティウム光線が異次元の穴に吸い込まれると再び紫色の雷がゼットに襲い掛かった。ゼットは紫色の雷を受けて思わず後ろのビルを巻き込みながら倒れ込んでしまう。

 

「ジイアアアアアアア‼︎」

(うわああああああああ‼︎)

「そんな‼︎デルタライズクローの姿であそこまで押されるなんて・・・昔のバラバってあんなに強かったでしたっけ⁉︎」

「恐らくだが奴はヤプールの残留エネルギーがバラバの形になって実体化したようなもんだ。」

「という事は・・・あのバラバはヤプールの怨念・・・。」

 

GIRLS東京支部で様子を見ていたピグモンはヘビクラの推測に絶句する。それは現場にいて戦いを間近で見ていた怪獣娘達も同様だった。

 

「バラバがこんなに強いなんて・・・。」

「多分だけど、昔現れたのよりも強化されたのかも・・・。」

「ハルキさん・・・ゼットも頑張って・・・。」

 

アギラが祈る中、ベロクロンとバキシムは異次元空間を渡ってバラバの近くのビルに降り立つ。2人の姿を追いかけたガッツ姉妹もテレポートで彼女達の隣に降り立った。

 

「何するつもり‼︎」

「このままではマズいからアタシ達もハルキ君を援護するよ‼︎バキシム、手伝って‼︎」

「ええ‼︎」

 

ベロクロンは身体中からミサイルを全弾バラバに向けて発射する。バキシムも両腕から連写式ロケット弾を放ってバラバを攻撃するが、効果は全く見られなかった。それどころかその攻撃に気付いて4人の姿を見たバラバは鼻先からミサイルを発射する。突然の出来事に異次元空間への亀裂を開く時間もなく、ガッツ姉妹も彼女達を連れてテレポートする前にミサイルが直撃しようとした。

その時、ゼットは彼女達の前に立つ事で盾となり、大爆発を起こす。ミサイルを受けたゼットはデルタライズクローの変身が解けてオリジナルの姿に戻ってしまう。

 

「ジィアアアアッ・・・ジィアッ・・・‼︎」

 

カラータイマーが鳴り出し、ゼットはその場に倒れ込む。ベロクロン、バキシムは悲痛な表情をしながらゼットの中のハルキに呼び掛ける。

 

「ハルキ君、御免なさい・・・アタシ達の為に・・・。」

「ハルキさん・・・ゼットさんも・・・わたくし達のせいで・・・面目ありませんわ‼︎」

 

2人がハルキに向けて謝罪している中、必死に起き上がろうとするゼットに向けて2人のガッツ星人が叫ぶ。

 

「ハル‼︎ハルしっかりして‼︎まだ勝負は終わってないわよ‼︎」

「ここから逆転出来るはずよ‼︎だから頑張りなさい2人とも‼︎」

 

ゼットは何とか起き上がろうとするも体が崩れ落ちてしまう。ゼットの中のハルキは必死の表情でバラバを睨んだ。

 

『くっ・・・このままじゃ勝てない‼︎』

(負ける訳には・・・‼︎)

 

自身の勝ちを確信したバラバは頭部に備えられた剣を射出する。そしてそのまま剣をゼットに向け、憎きウルトラマンを串刺しにしようとする。思わずガッツ星人(ミコ)が叫ぶ。

 

「ハル、危ない‼︎」

 

そのままバラバの頭部の剣がゼットを貫くと誰もが思ったその時、空から十字型の光の刃が飛んできてバラバの剣を弾き返す。その時、ゼットとハルキに上空から声が聞こえてきた。

 

『弱気になるな‼︎ゼット‼︎』

 

ゼットは思わず上を見る。バラバも空から自身の邪魔をした存在を確かめようとする。その時、空から赤い球が降下し、地面にバウンドするとそのまま降り立った。そして赤い球から銀色と赤色のカラーリングに額にビームランプ、そして特徴的なトサカに1つの穴が空いたウルトラマンが現れる。そのウルトラマンを近くで見てガッツ姉妹は驚いた顔をする。

 

「う、嘘・・・。」

「あ、あれって・・・確か・・・。」

 

ガッツ姉妹が驚いた顔をする中。ベロクロンとバキシムはポカンとした顔をしている。何故ならそのウルトラマンは自身のカイジューソウルと因縁の深いウルトラマンだったからだ。そして正気を取り戻すと思わずそのウルトラマンの名を叫ばずにはいられなかった。

 

「「う・・・う・・・ウルトラマンエースだああああああ‼︎」」




ブレーザーも劇場版が決まりましたね‼︎
・・・こちらも頑張らなければ・・・‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の勇者(後編)

新年明けましておめでとうございます。今年最初の投稿です‼︎
今年中には怪獣娘デッカーを連載できるよう頑張りますのでよろしくお願いします‼︎

ちなみに影絵は原作と同じイメージです。


「ああ"あ"ああああ"あ"あ"ああああ"あ‼︎あれってもしかして・・・⁉︎」

「かつて地球を救った伝説のヒーロー・・・ウルトラマンエースだああああああああああああ‼︎」

「え?え⁉︎え!!??・・・こ、これ・・・・・・夢じゃないんですよね⁉︎」

「夢じゃないですよ、ウインダムさん・・・間違いなく本物の・・・本物のウルトラマンエースですって‼︎」

「凄い・・・本物だ・・・本物のウルトラマンエースだ・・・‼︎」

「カッコいい・・・。」

 

バラバとゼットが戦闘を繰り広げる現場にいた怪獣娘達は誰もが現代に現れたウルトラマンエースに心を踊らせていた。それはGIRLS東京支部で戦いを見守っていたピグモンも同様だった。

 

「凄いです・・・感激です‼︎・・・まさかこの第二次大怪獣時代で・・・本物の・・・伝説のウルトラマンでありウルトラ兄弟の1人であるあのウルトラマンエースを見れる日が来るなんて‼︎」

「あれがエース・・・ウルトラマンエースか・・・。」

 

感激するピグモンの後ろでヘビクラも初めて見るエースの姿に意味深な表情を見せる。

そしてその頃、バラバとの激戦が繰り広げられている現場ではゼットが助太刀に入ってくれたウルトラマンエースに感激の声を上げている。

 

『エース兄さん‼︎』

(嘘⁉︎本物⁉︎でもどうしてここに⁉︎)

『メダルの力が私をこの地球へと導いてくれたのだ‼︎』

『エースぅぅぅぅ・・・エースぅぅ‼︎死ねええええええ‼︎』

 

バラバは漸く姿を見せたエースに恨めしげに苛立つと右腕の鉄球に仕込んだワイヤーを射出する。エースは右腕でワイヤーを弾くと額のビームランプから放つ光線『パンチレーザー』を放つ。

 

『パンチレーザー‼︎』

 

バラバはエースが放ったパンチレーザーを左腕の鎌で受け止める。エースは前にも一歩立つとバラバに向かって構える。

 

『どんな生き物も攻撃を受ければ恐怖を覚え、隙が生まれる‼︎だが超獣はそんな物は感じない‼︎』

「ギイイイイイイイイ‼︎」

 

バラバは鼻から火炎放射を放つ。エースは火炎放射を避けると両手から切断光線を放つ。

 

『バーチカルギロチン‼︎』

 

バラバはエースが放ったバーチカルギロチンを鎌で撃ち落とすと鼻からミサイルを連射する。エースは両手でバリアを張ってミサイルを防いだ。

 

『ウルトラネオバリアー‼︎』

 

エースは自身が張ったウルトラネオバリアーでミサイルを防ぎながら前へ前進する。そして左腕の手先をバラバに向けてカッター状の光線を放った。

 

『フラッシュ光線‼︎』

 

バラバの体にフラッシュ光線をまともに受けるも平然としている。エースはバリアを投げ飛ばすと同時に自身の最大の必殺光線を放った。

 

『メタリウム光線‼︎』

 

数多くの超獣を葬ってきたウルトラマンエースのメタリウム光線がバラバに向かって放たれる。バラバは目から電撃状の光線『スネークヘルサンダー』を放ってメタリウム光線を迎え撃つ。そしてスネークヘルサンダーとメタリウム光線が数秒間ぶつかり合う。そしてお互いの攻撃が相殺されるもバラバは至近距離から相殺の衝撃を受けて少しふらついていた。ゼットはエースのバラバに対する隙を見せない戦い方を見て感動の声を上げる。

 

『す、凄え・・・。』

『戦うんだ‼︎ゼット‼︎』

 

エースは念力で形成した刀『エースブレード』を手に持ちバラバは向かって構える。ゼットは頷くと中のハルキに向かって呼び掛けた。

 

『ハルキ‼︎俺達も行くぞ‼︎』

(押忍‼︎)

 

ハルキはエースの力を使うベータスマッシュの変身に必要なメダルを取り出してゼットライザーに装填し、メダルの力を読み込ませる。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z BETA-SMASH

 

ベータスマッシュに変身したゼットはゼットランスアローを手に持つとエースの隣に並び立つ。並び立った2人のウルトラマンは目の前のバラバに向かって走り出す。

 

「トウゥゥゥッ‼︎」

「ジュワッ‼︎」

 

最初にゼットがゼットランスアローでバラバを突こうとするも右腕の鉄球にいなされる。バラバはエースに狙いをつけて左腕の鎌を振りかざすもエースブレードに阻まれた。鉄球でそのままエースを殴り付けようとしたのを阻むようにゼットランスアローで左腕を受け止める。その隙にエースの蹴りとゼットの肘打ちが炸裂する。

 

「ジョワアアッ‼︎」

 

ゼットランスアローを逆手にしてつくとそのまま槍の部分で斬り付ける。バラバが頭の剣で2人に攻撃を仕掛けるも2人のウルトラマンは後ろにジャンプして回避する。そのままゼットが突っ込むがバラバは再び左腕の鎌を振りかざした。ゼットランスアローで受け止めるもバラバに弾かれたゼットは鉄球による殴打を受けてしまう。

バラバはゼットに狙いをつけて襲い掛かるがエースがバラバの行手を阻む。バラバは左腕の鎌をエースに向けるもエースブレードに防がれた。しかし、バラバは追撃を掛けるべく右腕の鉄球もエースに向ける。そして強度が低いエースブレードは鉄球による一撃が加わって簡単に折れてしまう。

 

「ギイイイイイイイイ‼︎」

「イイイヤアアアアアアッ‼︎」

 

持ち武器を失ったエースは肉弾戦に切り替えた。タックルでバラバとゼットの距離を引き離すと右腕の鉄球を抑えつけ、ゼットに呼び掛ける。

 

『油断せず、完全に動きを止めるまで攻撃を続けるんだ‼︎』

 

ゼットは頷くと反撃のチャンスを待つ。バラバを抑えつけたエースはバラバの首に拳と手刀を放ち、腹に膝蹴りを撃ち込むとゼットに向かって投げ飛ばす。こっちに投げ飛ばされたバラバに追い討ちをかけるようにゼットのドロップキックが炸裂する。力に長けたベータスマッシュのドロップキックをまともに受けたバラバは地面に大きな音を立てて倒れる。

再び2人のウルトラマンが並び立ち、バラバに向かって構えた。するとバラバは頭の剣『デリブルソード』を分離させてゼットとエースに放つ。2人のウルトラマンは分かれて避けると光のロープに繋がれていたデリブルソードが頭に戻り、再び放たれる。

 

『滅びよおおおおおおおぉぉぉぉ‼︎』

 

頭から放たれた剣はエースとゼットを狙うべく周りを薙ぎ払うように動く。2人のウルトラマンは空を飛びながら回避する。そしていつの間にか着地していたエースは重ねて突き出した両手から鏃状の光線を放つ。

 

『アロー光線‼︎』

 

エースのアロー光線を受けたバラバが今度は空を飛ぶゼットに狙いを定めデリブルソードを放つ。ゼットはそれを回避すると額のビームランプから光線を放つ。

 

『ベータレーザー‼︎』

 

エースのパンチレーザーを参考にした光線がバラバに命中する。バラバは再びデリブルソードを引っ込めると今度はスネークヘルサンダーを放つ。メタリウム光線と同等の威力を持つ強力な光線で街を薙ぎ払いながらエースとゼットを狙うもエースはバラバの後ろに回り込みカラータイマーからの必殺光線を浴びせる。

 

『タイマーショット‼︎』

 

エースのタイマーショットを受けたバラバは後ろを振り返って鼻先からの火炎放射を放つ。しかし、鼻先に誰もいない事を確認すると再び頭のデリブルソードを分離させてゼットとエースを狙う。しかし、剣が自身から距離が離れたため、光のロープの内側にいたゼットはすれ違いざまに拳をバラバに放つ。そして後ろに飛んだゼットを追うバラバは鼻から放つ『デスミサイルショット』を放った。バラバの放ったミサイルを受けたゼットは爆風を上げて大きく吹っ飛ぶ。

 

「ジュワアアアッ‼︎」

 

デスミサイルショットを受けながらも立ち上がったゼットの隣にエースが並び立つ。これまでの攻防を経ても尚健在なバラバにゼットが苦虫を浮かべる。

 

『しぶとい奴だ・・・‼︎』

「ギイイイイイイッ‼︎」

 

エースはゼットに視線を向ける。するとゼットの頭に着目したエースはゼットに呼びかけた。

 

『ゼット‼︎頭のウルトラホールにエネルギーを集めるんだ‼︎』

『え・・・は、はい‼︎』

 

バラバはデリブルソードを光らせて異次元に裂け目を作り、稲妻状のエネルギー波を放つ。エースは再びウルトラネオバリヤーを展開し、異次元の裂け目から放たれた稲妻からゼットを守る。

 

『エースぅぅぅぅ‼︎ウルトラマン・・・滅びよ・・・滅びよおおおおおおお‼︎ハッハッハッハッハ‼︎』

『ヤプール、かつてお前は言った‼︎勝った者は負けた者の怨念を背負って生きるんだと・・・それでも私は、ウルトラマンは戦い続ける‼︎この宇宙に真の平和が訪れるその日まで‼︎』

 

ウルトラネオバリヤーにヒビが入り掛けるもゼットを守り抜いたエースはバリアを投げ捨てる。その頃、ゼットは頭のトサカに意識を集中させ、ウルトラホールを展開する。ゼットのウルトラホールが開いた事を確認したエースは両腕から輪っか状の光線を放つ。

 

『よし‼︎ストップリング‼︎』

 

エースが放ったストップリングがバラバの胴体を潜り抜けるとその身を拘束する。更に上から降ってきたリング状の光線は胴体だけでなく炎やミサイルも放てる鼻と自由に分離させられる頭の剣までも拘束し、バラバの動きを完全に封じた。

 

『今だ、ゼット‼︎スペースZだ‼︎』

 

エースは両手を広げ、頭のトサカのウルトラホールを通してゼットにエネルギーを送る。エースのエネルギーを頭のトサカで受け止めたゼットも両手を広げて徐々にその力を貯めていく。そして頭のトサカから虹色に光るボール状のエネルギー光球が形成されるとゼットは両腕で持ちながら右腕で空に掲げる。その時、一連の出来事を見ていた人々や怪獣娘達の中で星空の中に刻まれたZの文字の中に浮かぶ自身とエースが浮かび上がる。

 

『ハルキ、パネエのいっちゃいますぞ‼︎』

(押忍‼︎)

 

そしてエネルギー光弾に最大まで力を集めるとゼットは光球を手にしながら後ろに構える。そして砲丸投げの要領でバラバに投げ付けた。

 

『(スペ、エエエエエス、ゼェェェット‼︎)』

 

ゼットがエースと協力して生み出したエネルギー光球『スペースZ』は体を拘束されて身動きが取れないバラバに確かに命中するとその体を真っ二つにする。スペースZを受けた衝撃でバラバは大きく目を飛び出しながらその体に火花を散らす。

 

『ヤプール死すとも、超獣死なずうううううぅぅぅぅぅぅ‼︎』

 

ヤプールの怨念から生まれたバラバは左半身から崩れ落ちるように倒れ、大爆発する。異次元の悪魔の怨念から生まれた2人のウルトラマンと互角に戦う力を持つ超獣が確かに倒された事に戦いを見ていた怪獣娘達は大きく歓声を上げる。

 

「やったああああああああああああ‼︎」

「よし!よし‼︎よし!!!」

「ハルキ〜‼︎ゼット〜‼︎お前ら最高だぜ〜‼︎」

「全くヒヤヒヤさせて・・・・・・よくやったわね、ハルキ。」

「ハル〜‼︎」

「凄い・・・凄いです2人とも‼︎本当によく頑張ってくれました・・・‼︎」

 

GIRLSの司令室から見ていたピグモンも喜びの声を上げる中、ヘビクラはモニターから顔を逸らすと思わず呟く。

 

「バラバが・・・バラバラ・・・フッ。」

 

バラバとの戦いに勝った歓声で誰も聞こえていなかった親父ギャグにヘビクラはただ1人、笑みを浮かべる。彼女達が戦いの場を中継してがら見ていたモニターにはゼットとエース、2人のウルトラマンがお互いに頷いていた。

 

 

 

 

 

そして夕暮れ時、ゼットはエースと並び立っている。そして先程のスペースZの事を思い出していた。

 

『俺にこんな力が・・・ユリアン王女とアブソリューティアンの事で忙しい筈なのにありがとうございます、エース兄さん。』

『気にするな。・・・立派になったな・・・私がお前に何故ゼットと名付けたか分かるか?』

(え?・・・名付けた・・・?ま、まさか・・・‼︎)

『ああ、俺にゼットと名前を付けてくれたのはエース兄さんなんだ。』

(えええええええええ⁉︎あのウルトラマンエースさんが・・・ゼットさんの名付け親・・・マジかよおい・・・。)

『ゼットにはな、地球の言葉で『最後』という意味がある。お前がこの宇宙から戦いを無くして平和をもたらす最後の勇者となれ。』

『・・・エース兄さん・・・。』

 

ゼットは自身の名前の意味を知り感激を浮かべる。そしてお互いに向き合った2人は激励するようにお互いの腕を合わせた。そこに怪獣娘達がやってくる。エースはこちらにやってくる怪獣娘達に目を向けた。

 

『そういえば彼女達は何者なんだ?私達が知る様々な怪獣に似ているだけでなくその怪獣の力も感じるのだが・・・。』

『エース兄さん・・・実は・・・。』

 

ゼットとハルキはエースに怪獣娘について全て説明する。2人の解説を聞いたエースは再び怪獣娘達に視線を向けた。

 

『成る程・・・怪獣の魂を宿した生まれた少女達か・・・。聞こえるか、怪獣娘達よ。』

 

怪獣娘について理解したエースは彼女達に向けてテレパシーを送る。最初に反応したのはエースが初めて戦った超獣の魂を宿すベロクロンだった。

 

「え?この声は・・・何?まさか・・・。」

『そうだ。今君達の前にいるウルトラマンエースだ。』

「ええっ⁉︎」

 

怪獣娘達は頭に響いてきた声の主であるウルトラマンエースを見上げる。思わずバキシムがエースに訊ねた。

 

「本当に・・・ウルトラマンエースさん・・・なんですの?」

『ああ、そうだ。君達の事はゼットとゼットと一体化した少年ハルキ君から聞いた。君達は怪獣の魂を宿して生まれたそうだな。』

「は・・・はいそうですが・・・ま、まさか私達を倒そうと⁉︎」

『まさか、ベロクロンとバキシムの生まれ変わりだろうと君達は人々の為、平和の為に頑張っているそうじゃないか。そんな事はしないよ。』

「エースさん・・・。」

『私は君達にも、ハルキ君にも伝えたい事がある。だからこうしてテレパシーを送っているのさ。』

(俺も?)

「わたし達とハルに伝えたい事?それって一体?」

 

ガッツ星人(ミコ)の言葉にエースは数秒間口を閉じる。そして全員を見渡すと再び口を開いた。

 

『君達は怪獣の魂を宿している上、その力を使える・・・それ故に辛い思いや苦しい思いをする事もあるだろう。』

 

怪獣娘達は心当たる節があるのか全員が神妙な顔になる。特に先程の陰口を聞いたガッツ姉妹、ベロクロン、バキシムの表情は少し暗さを感じさせる物になる。ハルキも悲しそうな顔になるのを見てエースは再び口を開いた。

 

『優しさを失わないでくれ。弱い者を労わり、互いに助け合い、何処の国の人達とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようと。それが私の変わらぬ願いだ。』

 

隣でエースの言葉を聞いていたゼットとハルキもエースの思いに胸を当てて沈黙する。そしてハルキが口を開いた。

 

(エースの願い・・・確かにこの胸に聞きました。俺は・・・いや俺達は・・・この願いを決して忘れません。この胸に、永遠に刻み込みます‼︎)

「エースさん・・・ありがとうございます・・・。」

「わたくし達も忘れませんわ‼︎」

 

怪獣娘達が力強く頷いた事で自分の言葉が届いた事を確信したエースは彼女達に向かって頷くと空に飛び立つ。エースに続いてゼットも空に飛び立つとゼットはZ字の飛行機雲を作る。そしてZ字をエースが横切り、飛行機雲はAの形となる。そしてエースはそのまま怪獣娘達が暮らす宇宙の地球を去っていった。怪獣娘達は胸に手を当てながらエースの姿が見えなくなるまでその背中を見送った。

 

「ありがとう・・・ウルトラマン・・・エース。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数時間後、GIRLSの調査員がバラバがゼット、エースと激闘を繰り広げた現場に到着した。調査員の中でエレキングはとある巨大な物体に目を向ける。それはバラバの頭の剣デリブルソードであった。

 

「これはバラバの・・・。」

 

実はバラバが爆散した時、爆発の衝撃でこのデリブルソードが弾き飛ばされて残ってしまったのだ。GIRLSの調査員達がデリブルソードを見上げているのを自室のモニターで確認していたGIRLSの上層部と思われる中年の男性が見てニヤニヤと笑みを浮かべながら呟いた。

 

「ヤプールの異次元の壁を破壊する力・・・これがあれば・・・。」




ハルキ「ハルキと」

ホー「ホーの」

ハルキ&ホー「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈ACE〉

ホー「伝説のウルトラ兄弟の1人、ウルトラマンエース。ゼットさんの名付け親です‼︎」

ハルキ「光線技の名手と呼ばれていて色々な光線が使えるんだ。」

ホー「私達怪獣娘も励ましの言葉を貰った以上、その言葉に恥じないように少しでも頑張りたいです‼︎

セブンガー「次回は私が担当します。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『宇宙からやってきた友好的な怪獣『ミーニン』。ミクの弟『クニオ』はミーニンと心を通わせるが、悪の組織『荒野の狼』によって凶暴な怪獣『ガモラン』と化してしまう。GIRLSはガモランを止められるのか⁉︎次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


想い、その先に


ウルトラ救うぜ‼︎』


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

思い、その先に(前編)

遂にブレーザーも終わってしまいましたね・・・。

隕石小珍獣『ミーニン』登場


ある日、小学校高学年くらいの少年達が集まって星空を眺めていた。彼らはこの日、学校の行事で宿泊学習があり、宿泊学習のプログラムの流れでで星空鑑賞会をしていた。そんな中、先生と思われる男性が生徒達に呼び掛けていた。

 

「皆、見えたか?あれがカシオペア座だ。」

「見えました‼︎あの5つの星ですよね⁉︎」

「あー‼︎確かに結ぶとW時になってる‼︎」

「家族で旅行に行った時もこんな風に星空を見てカシオペア座を見つけたよ。カシオペア座は年中見れるけど此の時期が1番見やすいんだぜ。」

 

横でカシオペア座の解説をする少年の名は「え牛丸ユウジ』。ミクラスこと牛丸ミクの弟だ。彼がカシオペア座の解説をした直後。一筋の流れ星が流れた。それを見たクラスメイトが流れ星を指差す。

 

「あっ、流れ星!」

「お願い事しなきゃ・・・って消えちゃった・・・。」

「また見られるって。こんなに綺麗な星空なんだからきっと大丈夫だよ‼︎」

 

願い事を言う前に流れ星が消えた事に落ち込むクラスメイトをユウジが励ましている中、クラスの女子が夜空の一点を指差して先生に訊ねる。

 

「先生、あれも流れ星ですか?」

「どれどれ?」

 

クラスの女子が指差す方向を先生も眺める。すると確かに一筋の光が流れているのが先生だけでなくユウジ率いるクラスの男子達も確認する。

 

「あっ、あれも流れ星⁉︎」

「良かったな、今度こそお願い事出来るぞ‼︎」

「よーし、今度こそ‼︎新しいゲーム買って貰えますように‼︎お小遣いが増えますように‼︎今度のテストの点数が低くてもお母さんに叱られませんように‼︎」

「欲張りすぎだよ。流石にバチか当たるって。」

 

笑いながらクラスの1人がツッコミを入れる中、クラスの女子の中で眼鏡を掛けた如何にも学級委員長風の症状が異変に気付く。異変に気付いた女子は恐る恐る話しかけた。

 

「ね・・・ねえ・・・あの流れ星、変じゃない?」

「変って・・・何が?」

「こっちに近付いて来てるような気がするの・・・。」

「え〜、まさか。委員長ってば考え過ぎ・・・・・・。」

 

如何にもお調子者なクラスのムードメイカーな雰囲気の少年が笑いながら飛ばすも確かに先程発見した流れ星はこちらに向かって来ている。その雰囲気に皆が焦り始めた。

 

「いや・・・まさか・・・。」

「こっちに向かって来てる・・・の?」

「皆、屈め‼︎姿勢を低くするんだ‼︎」

 

担任の先生の言葉に全員が顔を腕で覆いなが身を隠すように屈む。すると流れ星は彼らの真上を通過して少し先の森に直撃した。直撃の衝撃で大きな衝撃風が巻き起こるも姿勢を低くしていた子供達は怪我無しに窮地を脱出する。先生が生徒達の安否を確認する。

 

「皆、大丈夫か⁉︎」

「は、はい‼︎」

「天体観測は中止だ‼︎安全が確認されるまで宿に避難してろ‼︎いいか、安全が確認されるまで宿を出るなよ‼︎」

 

先生が生徒達を宿に避難させると隕石が落ちた場所を確認する。すると先程隕石が落ちた場所の近くにもう一つの隕石が落ちたのを目撃する。

そしてもう1つの隕石が落ちた場所にはカブラギの体を抜けてアサノの体に寄生したセレブロが隕石が落ちてクレーターが出来た窪みを見つめている。その窪みの中に銀色の箱があるのを確認すると箱にレーザーを当て始める。そして箱を開けると真ん中に赤い結晶が付いた何かの機械を発見する。そしてその機械を回収したセレブロは機械を操作し始める。そして一通りの操作を終えるとそのまま暗闇の中に去っていった。

そしてセレブロがその場を去ったと同時に最初に落ちた隕石にも異変が起こっていた。隕石の中からヒトデに形が似た謎の機械が飛び出すとそのままセレブロの元に向かっていく。そしてセレブロがそれを回収すると隕石が完全に割れて赤い体に全身が刺刺の小さな怪獣が飛び出して来た。

 

「キュウ?キュウキュウ。」

 

怪獣は周りを確認するように辺りを見渡すと何処かへ去っていく。それを見たセレブロは思わず呟いた。

 

「キエテ、カレカレータ。」

 

 

 

 

 

その日の翌日、2つの隕石の調査及び回収の為にGIRLSが現地に到着した。まず最初にミクラスが現場に到着すると宿泊学習でここを訪れていた弟に抱き付く。

 

「ユウジ‼︎」

「わっ、姉ちゃん⁉︎どうしてここに⁉︎」

「当たり前でしょ‼︎あたし、GIRLSの怪獣娘なんだよ‼︎アンタの宿泊学習場の近くに隕石が落ちたと聞いて本当に心配したんだから‼︎」

「姉ちゃん、僕は大丈夫、何ともないよ。」

「本当に良かった・・・アンタが無事で・・・。」

 

ミクラスはユウジの体を抱きしめながら少しばかり涙を流している。その様子を見てゴモラが励ますように声を掛けた。

 

「良かったね、弟君が無事で。」

「うん・・・。」

 

ゴモラの姿を見たユウジは体を震わせながらゴモラに視線を向ける。そして疑問の言葉を投げ掛けた。

 

「どうしたの、ユウジ?」

「ね、姉ちゃん・・・その人って・・・だ、だ、だ、大怪獣ファイターのゴモラさん⁉︎姉ちゃん、知り合いだったの⁉︎」

「そりゃ当然でしょ、大怪獣ファイターとしても怪獣娘としても先輩なんだから。」

「す、凄え・・・本物だ・・・。」

「アハハ、悪いけどサインとかは後にしてね。今回、わたし達は調査に来たわけだからさ。」

「は、はい‼︎」

 

ゴモラの言葉に大きく返事する中、ハルキ、ガッツ星人(ミコ)、アギラにエレキングの4人はユウジの担任の先生から詳しい話を聞いていた。

 

「それで2つの流星はあの森の方向に飛んで行ったんですね。」

「ええ。」

「それじゃあ、森の方に行って詳しく調べる必要がありそうね。」

「そうだね。先生、そこに案内してくれる?」

「勿論です‼︎協力します‼︎」

「ミクさーん、ミカヅキさーん‼︎行きますよ〜‼︎」

 

ハルキに呼ばれてミクラスとゴモラはハルキ達の方向を一度向いて頷くとユウジとユウジのクラスメイトに対して再び視線を向けた。

 

「それじゃあユウジ、あたしは皆と隕石の調査をしてくるからここで大人しくしててね。」

「皆、絶対に外に出ちゃ駄目だよ。」

「分かってる。姉ちゃん達の仕事の邪魔はしないよ‼︎」

 

ゴモラとミクラスはユウジ達に背中を向けるとハルキ達と合流する。ハルキ達はユウジの学校の先生達の案内で森に向かっていった。

こうしてユウジ達は宿泊施設の体育館を思わせるオリエンテーションルームに集まって待機していた。ハルキ達が隕石の調査に向かって姿を消してから約10分程、黙りこくっていたユウジのクラスの中で誰かが思わず呟いた。

 

「暇だな・・・。」

「暇だね・・・。」

「うん、暇よね・・・。」

 

誰かが呟いた事でクラス全体が思わず頷いて呟き始める。そんな中、クラスの1人がトランプを鞄から取り出した。

 

「遊んではいけないとは言われてないし・・・トランプでもしようよ。」

「おお、いいな‼︎」

「賛成‼︎やろやろ‼︎」

 

トランプを取り出したクラスメイトをきっかけに他にもトランプを持ち込んでいたメンバーは鞄からトランプを取り出す。そしてクラスメイト全員で輪になるとトランプを使ったゲームを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼らがトランプを始めた頃、昨日の隕石から目覚めた小さな怪獣は現状を確認するべく辺りを見渡して彷徨い歩いていた。その最中で楽しそうな声を聞いた怪獣はそちらの方向に向かっていく。そして数十分ほどかけてユウジ達が泊まっている宿に辿り着いた。怪獣は窓から中の様子を見ている。怪獣の目にはババ抜きをしている子供達の姿が写った。

 

「よっしゃ、抜けられた‼︎」

「うわー、最後に僕達か〜・・・。」

「絶対に負けないんだから‼︎」

「よし・・・じゃあ、まずは僕からだ‼︎・・・これで・・・セーフ‼︎」

「くっ、やるわね・・・じゃあ・・・・・・やったわ‼︎これであと1枚よ‼︎」

「え?・・・それじゃあ、それが・・・うわ〜・・・負けた〜・・・。」

「今ので3連敗か〜、今日のお前、運がないな〜・・・。」

「うわ〜、ショックだな〜・・・。」

 

ババ抜きを終えた子供達の中で一部の面子が鞄からビスケットなどのお菓子を取り出して口に運び始める。子供達がお菓子を食べている姿を見た怪獣は自身も空腹を感じ始めていた。怪獣は窓から視線を離すと宿に入れそうな入り口がないか辺りを探し始める。その時、怪獣は木の根に躓いて転んでしまった。突然外から大きな物音がした事で子供達は思わず外に目を向ける。

 

「なぁ、何か物音がしなかったか?」

「うん・・・先生達が帰ってきた訳じゃないよね・・・。」

「昨日の隕石を調べに森の奥まで行ったからそう簡単には戻ってこないと思うけど・・・・・・。」

「念のため・・・誰か見に行った方がいいかな?」

「多分・・・。」

「じゃあ・・・男子、行ってきてよ。」

「は⁉︎俺らかよ‼︎」

「こういう時は男子が動くんでしょ‼︎いいから‼︎」

 

男子は顔を見合わせて溜息をつくと代表としてユウジとユウジの友人2人が行く事になった。ユウジ達はドアを開けて音がした方向に向かう。するとそこには赤い何かが仰向けになって倒れているのを見る。

 

「キュ〜・・・。」

「何これ・・・。」

 

ユウジが思わず呟くとユウジに付いてきた友人2人は思わず分からないとでも言わんばかりに首を横に振る。呻き声を上げながら倒れている何かにユウジは恐る恐る近付いた。

 

「お、おい・・・大丈夫か?」

「キュ〜・・・。」

 

ユウジは恐る恐る声を掛けると何かは助けてくれと言ってるように鳴き声を上げる。その声を聞いたユウジは後ろの2人に目を向けると来いと言わんばかりに振る。2人はユウジに近付くとその肩を恐る恐る掴んで勢いよく引っ張り上げる。

 

「「「せーの‼︎」」」

「キュ〜‼︎」

 

3人に引っ張られてその何かは再び起き上がる。ユウジ達は何かの正体を確認するべくその姿を正面から覗き込む。ユウジ達はその正体を確かめて思わず尻餅をつきながら驚く。目の前で倒れていた存在は怪獣だったのだ。

 

「か、怪獣⁉︎」

「な、何でこんなとこに怪獣が⁉︎」

「や、ヤベエ・・・姉ちゃん達、いないのに・・・。」

 

ユウジ達は思わずその辺に落ちていた木の枝を手に取ると怪獣に向けて構える。怪獣への恐怖で体を震わせながら木の枝を構えていると怪獣が突然座り込んだ。思わず、3人が顔を見合わせると怪獣から大きな腹音が鳴る。その様子にユウジが思わず訊ねた。

 

「お前、腹減ってるのか?」

「キュ〜・・・。」

 

人間のの言葉が分かるのか怪獣はユウジの問いかけに頷く。自分の質問に答えた怪獣の答えにユウジは自身のズボンのポケットを探り始める。

 

「ちょっと待ってろ・・・えーっと・・・あった。」

 

ユウジはズボンのポケットに忍ばせていたチョコバーを取り出すと怪獣に与える。怪獣はチョコバーに口を付けると無我夢中で食べ始める。

 

「美味いか?」

「キュー‼︎」

「そうか・・・そうかそうか‼︎」

「キュ〜。」

「え?ああ、もう半分もやるよ。お腹空いたんだろ。遠慮するなって‼︎」

「お、おい・・・ユウジ・・・。」

 

怪獣が残り半分になったチョコバーを差し出してきて、そっちもあげたユウジは自身を呼ぶ友人の声を聞いて振り返ると困惑の表情を浮かべる友人の顔が見える。友人の顔を見て何が言いたいのか分かったユウジは明るく口を開く。

 

「大丈夫、コイツは悪い怪獣じゃない‼︎お腹が空いてここに来ただけだ‼︎」

「ほ、本当に⁉︎」

「ああ、食べないのって言ってるように俺に半分を差し出してきたんだ。間違いないって‼︎」

「キュ〜、キュ〜キュ〜。」

「もっと欲しいのか?悪いけど今はこれ一本しか持ってないんだ。・・・皆を呼んできてくれ‼︎皆で分け与えたらきっとコイツもお腹一杯になるさ‼︎」

 

その数分後、ユウジのクラスの皆が外に集まってきた。クラスメイトの誰もが目の前にいる怪獣に驚くもユウジの説明を聞いた彼らは自身が今回の宿泊学習に持ち込んだそれぞれのお菓子を与える。

 

「どうだ。腹膨れたか?」

「キュ〜‼︎」

「そうか、良かった・・・でも、お前何でここに倒れてたんだ?」

「キュ〜、キュ〜キュ〜‼︎」

 

怪獣は窓の側に立つと何かを訴えるように鳴き始める。その鳴き声と近くにある窓からユウジは推測を並べて訊ねる。

 

「もしかして・・・ここから俺達のことを見ていたのか?」

「キュ〜‼︎」

 

ユウジの問いに怪獣はその通りだと言っているように鳴く。その様子からユウジの問い通りだと知ったクラスメイトの中で女子の1人が訊ねた。

 

「何で私達を覗いていたの?一緒に遊びたいとか?」

「キュ〜キュ〜‼︎」

 

怪獣は彼女の言葉にその通りだと言わんばかりに頷きながら鳴き声を上げる。ユウジはその声を聞いて決意を口にする。

 

「よーし‼︎皆、コイツも仲間に入れてやろうぜ‼︎」

「えっ⁉︎いいの⁉︎こういうのGIRLSに連絡した方がいいんじゃ・・・。」

「その時は俺が姉ちゃんを説得するよ‼︎俺の姉ちゃんの中にGIRLSの、怪獣娘がいるんだ‼︎何とかしてみせるって‼︎」

「そうだよね・・・この子、怪獣だけど悪い子じゃないし・・・私達と一緒に遊びたいんだよね・・・うん‼︎いいよ‼︎」

「俺も賛成‼︎」

「僕も‼︎」

 

ユウジのクラスメイト達はユウジの言葉に賛成して小さな怪獣を仲間に迎え入れる。彼らは怪獣を自分達が泊まっている宿に迎えてオリエンテーションルームに向かっていく。しかし、子供達は自分達が迎え入れた怪獣が隕石から現れたある秘密を持つ隕石小珍獣『ミーニン』である事にはまだ気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

子供達がミーニンを自分達の仲間に迎えた頃、その様子を監視している者がいた。それは宿の従業員の1人だった。宿の従業員はスマホを取り出して誰かに電話する。

 

「もしもし、ボス。ミーニンの行方が分かりました。子供達の元にいます。」

『分かった。ガキ共からミーニンを奪う手筈を整えろ。我ら荒野の狼の為にな。』

「了解です、ボス。」

『ミーニンをガモランにする装置もそちらに来る情報提供者かつ協力者が回収済みだ。金と引き換えにそれを貰え。抜かるなよ。』

「了解です。」

 

実はこの従業員はエコテロリストグループ『荒野の狼』の一員である。この組織は怪獣娘と色々因縁がある組織であり、今回の隕石に目を付けていたらしい。また既に目の前の怪獣がミーニンである事も特定しており、完全にミーニンを狙う事にした荒野の狼の一員はオリエンテーションルームに目を向ける。その時、従業員の後ろからアサノの体を乗っ取ったセレブロがやってくる。

 

「荒野の狼の者か?」

「そうだが?」

「お前達が欲しい物を持ってきた。」

 

セレブロはミーニンと一緒に落ちてきたヒトデ型の機械を取り出す。荒野の狼の一員の男性はそれを見て歓喜の表情を浮かべる。

 

「ああ、アンタがボスが言ってた協力者か。少し待ってろ。」

 

男性は側に置いてあったアタッシュケースを開けて最低でも1000万円はある札束を見せる。それを見たセレブロは機械を差し出す。

 

「取引成立だ。キエテ カレカレータ。」

「妙な言葉を使うな。まあいい・・・これでミーニンは我々の物だ。」

 

セレブロからヒトデ型の機械を貰った従業員は悪どい笑みを見せる。子供達とミーニンに悪意に満ちた脅威が迫ろうとしていた。




原作で登場したM1号も作られた命なので怪獣娘世界でも出せそうだから原作通りM1号を出す考えもありました。
けど、怪獣娘世界とウルトラQが地続きであることを考えると特急列車が宇宙まで吹っ飛ぶ大事故を引き起こした原因であるM1号をまた作るとは思えずミーニンに変える事にしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

想い、その先に(中編)

影絵はミクラスとユウジ、ミーニンとガモランをイメージしています。

隕石大怪獣『ガモラン』登場


子供達がミーニンを迎え入れた頃、ハルキ達は隕石が落ちた跡地に到着していた。ハルキが隕石が落ちたクレーターを覗き込むもそこは既にもぬけの殻であった。

 

「隕石はないな・・・。」

「落ちた時に砕けて木っ端微塵になっちゃったとか?」

「でもその割にはそのかけらすら見当たらなくない?」

 

ミクラスの言葉を聞いて口を開いたガッツ星人(ミコ)の言葉を聞いてハルキは辺りを見渡すも確かに落ちた隕石の破片らしきものは何処にも見当たらずにいる。一通り辺りを見渡したハルキはスマホで現場の写真を撮るともう1つの隕石が落ちた場所に目を向ける。

 

「ここには何も無さそうだ・・・どうする?他の皆と合流するか?」

「その方が良さそうだね・・・ミクラス、行くよ。」

「うええ〜、エレキングさんもいるチームに〜?あたし、あの人苦手なのに〜。」

「我儘言わない。これが終わったらクレープ奢ってあげるから頑張ろ。」

「クレープ⁉︎やった〜‼︎ありがとガッツさん〜‼︎」

「ちょろいなおい・・・。」

 

ハルキは食べ物にあっさりと釣られたミクラスの単純さに思わず呟かずにはいられなかった。クレープに釣られたミクラスを呆れた視線で見ながらハルキはガッツ星人(ミコ)と共にその場を後にする。

一方でアギラ、ゴモラ、エレキングの3人ももう1つの隕石が落ちた現場に到着している。彼女達はクレーターを覗き込み、中身が抜かれた銀色の箱を発見、回収していた。ゴモラとアギラは真剣な顔で箱を覗き込む。

 

「何なんだろこの箱?」

「箱に書かれてるこの文字、地球の文字じゃなさそうだけど・・・。」

「箱の表面を分析して回析してもらいましょう。」

 

エレキングは箱の表面をソウルライザーで写し、画像をGIRLS東京支部に送る。そして数十分後、解析結果を伝えるため、ピグモンが通信を掛けてきた。

 

『エレエレの睨んだ通り、その箱を構成する物質は地球にはない物で出来ています。その箱の文字も恐らく地球外のどこかの星の言語でしょう。』

「ありがとう、過去のアーカイブに似た記録は?」

『現在、解析中です。もう少し時間を下さい。』

「ええ、なるべく早めに頼むわ。」

 

エレキングはピグモンとの通信を切る中、アギラとゴモラは箱の中身を確認するも箱の中身は既に空でヒトデ型に似た痕跡だけが残っている状態であった。中身が空であった事を確認したアギラががっくしと頭を下ろす。

 

「折角回収したのに空っぽなんて・・・。」

「まあまあアギちゃん・・それにしても中身は一体なんだったんだろうね。」

「色々な可能性が有り得るけど・・・ここで議論してても仕方ないわ。この箱を回収して戻りましょう。」

 

エレキングの言葉に2人は頷く。こちらに向かってきたハルキ達と合流した3人はその場を後にしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ユウジ達はミーニンとダルマさんが転んだをしていた。今はユウジがダルマ役をやっている。

 

「ダールーマさーんがー・・・。」

「キュ〜。」

「転んだ。」

 

ユウジが振り向いた時、ミーニンは他の子供達と一緒に動きを止める。そして誰も動いた者がいない事を確認したユウジが再び背を向けると皆がユウジに向かって動き出す。

 

「ダルマさんが・・・・・・こーろんだ。」

「・・・ヤベ・・・。」

「キュ⁉︎」

 

クラスメイトの男子の1人とミーニンはユウジの動きに遅れ、止まるのが一歩遅くなる。それをユウジは見逃さなかった。

 

「はい、幸太とキューちゃんの負け〜‼︎」

「ああ〜‼︎やっちゃった〜‼︎」

「キュ〜・・・。」

 

幸太と呼ばれたクラスメイトとミーニンは思わず崩れ落ちる。その後、クラスの女子の1人がユウジに追い付いてこのダルマさんが転んだは終了した。ダルマさんが転んだが終わってクラスメイトの女子の1人が先程のユウジの発言を思い出しながらミーニンを指差して訊ねる。

 

「ていうかユウジ君、さっきこの子の事キューちゃんって呼んでたけど・・・。」

「ああ、キューキュー鳴いてるからキューちゃんって名付けたんだ。」

「そのまんま過ぎない?」

「じゃあ、他に何かいい名前あるか?」

「いや、別に可愛いからいいと思うけど・・・。」

「じゃあキューちゃんで決まり‼︎皆、次はキューちゃんと何する?」

「ここオリエンテーションルームだから色々な物があるし、椅子でも引っ張ってきてフルーツバスケットでもしようぜ。」

 

1人の男子の意見に大半が頷き、フルーツバスケットをやる事になったユウジ達は倉庫に置いてあった椅子を持ち出して輪に並べていく。そしてそれぞれのフルーツのグループに分け、フルーツバスケットを始める準備が全て整った。

 

「よし、皆準備はいいね‼︎」

「ああ‼︎」

「うん‼︎」

「OKよ‼︎」

 

進行役を務める男子が輪の真ん中に立って皆に呼び掛ける。全員が返事したり頷いたりしてゲームを始めていいと分かった進行役が最初のフルーツのグループの名前を呼ぶ。

 

「それじゃあまずは・・・オレンジ‼︎」

 

オレンジに分類されていたクラスメイト達とこのグループに分けられたミーニンが席を立つ。そしてそれぞれが空いている席に目を付けて座り込む。しかし、ミーニンだけは反応が遅れて椅子に座れずに終わった。

 

「次はキューちゃんか。」

「そういえばキューちゃんの場合、どうやって決めるの?言葉を喋れないのに。」

「大丈夫、考えてあるさ。キューちゃん、これを使って。」

「キュ〜。」

 

ユウジがミーニンにオレンジ、葡萄、林檎が描かれた紙を差し出す。実はミーニンがグループの指名役になった時に備えてユウジがグループを指名する為の紙を用意していたのだ。中心になったミーニンはユウジから貰った紙を眺めると葡萄が描かれた紙を上げる。

 

「キュ〜。」

「次は葡萄だな‼︎葡萄の皆、席を立って‼︎」

 

ユウジが葡萄のグループに呼び掛けると葡萄に分類されたクラスメイト達が立ち上がる。そしてそれぞれ空いた席を探して座り始めた。今度はミーニンも席に座る事が出来、中心に座れなかった女子が立つ。

 

「私の番ね・・・次は・・・林檎‼︎」

 

今度は林檎に分類されたクラスメイト達が立つ。このグループにいたユウジも立って空いている席に座ろうとするが座れずに終わり、中心に立つ事になる。

 

「今度は俺か・・・オレンジで‼︎」

 

再びオレンジに分類された皆が席を立つ。そして再びミーニンが座り損ねてしまう。中心に立ったミーニンは仕返しとばかりに林檎を指名する。再び林檎のグループが席を立ち、ミーニンはユウジと共に再び席に座る事が出来た。

 

「そう簡単には負けないぜ。」

「キュ〜。」

 

ユウジは隣に座るミーニンに笑みを浮かべながら話し掛ける。挑戦してくるようなユウジの姿にミーニンも望むところだと言わんばかりに頷きながら鳴き声を上げた。

 

 

 

 

その頃、荒野の狼の一員である従業員は屋上から双眼鏡で邪魔者が来ないか監視している。下に目を向け、ミクラス達怪獣娘の姿を確認するとリーダーに無線で連絡を取った。

 

「恐らくGIRLSの怪獣娘がこちらに向かってる。なるべく急いだ方がいいかもしれん。」

『了解。それではこれより作戦を開始する。』

 

リーダーがそう言って通信を切ったと同時に宿の前に停まっていたハイエースから武装した男女がマシンガンやショットガンなどの銃火器を持って宿に向かってくる。入り口に突入した武装集団は宿に入るなり、マシンガンをぶっ放して従業員達を威嚇する。

 

「動くな‼︎下手に動けばお前らの命はないぞ‼︎」

 

目の前の集団が本物の銃を備えたテロリストだと分かった従業員や他の客達は思わず両手を上げて跪く。やがて入り口のホールにこの宿にいる全ての人間が集められた。何の武器も格闘術も持たない従業員や他の客はあっさりと荒野の狼に制圧され、それぞれが持っていたスマホを没収される。

 

「これで全員です。」

「よし、我々が目的を達成するまで大人しくしてもらおう‼︎・・・俺だ、オリエンテーションルームの様子はどうなっている?」

『未だ俺達には気付いていません。フルーツバスケットをやめて今度はミーニンに手品を見せています。』

「よし、田口と武据、辻本はここでこいつらを見張れ。後は全員俺についてターゲットを確保するぞ。」

『了解‼︎』

 

リーダー格の男の指示で3人の男が銃を構えながら従業員とユウジ達を除いた全ての乗客を見張る。リーダー格が残りのメンバーを連れてオリエンテーションルームに向かうと従業員の1人が怯えながら勇気を振り絞って口を開いた。

 

「あ・・・あの・・・。」

「何だ?」

「・・・お・・・オリエンテーションルームの・・・子供達には・・・絶対に手を出さないで・・・・・・下さい。」

「・・・・・・それはその時の奴らの行動次第だな。」

「・・・・・・お願い・・・します・・・・・・。」

 

男達は従業員の最後の言葉に耳を貸さず、ユウジ達を監視していた男と合流する。男の案内でオリエンテーションルームに向かうととびらの窓から中の様子を覗き込む。そこではクラスの男子の1人が10円玉が消える手品をミーニンに披露していた。

 

「見ててね。この10円玉をこうして・・・こうすると・・・はい消えました‼︎」

「キュ、キュ〜⁉︎」

「ははは、何が起こったか分からないようだね。」

「キューちゃんの気持ち、私も分かるよ‼︎私も今、何が起きたのか分からなかったもん。」

「キュ〜?」

「不思議そうにカズヒロノの手を覗き込んでるよ。俺も気になってたけど、消えた10円玉は何処に行ったんだよ?」

「消えた10円玉?それは・・・これをこうすると・・・はい、元通り‼︎」

「キュ⁉︎キュ〜キュ〜‼︎」

「うわぁ、マジでカズヒロ凄え・・・つーかお前こんなに手品上手かったんだな。」

「へへ、皆も一緒に驚いてくれて嬉しいな。じゃあ次は」

 

手品をしていた少年が次の手品を見せようとした瞬間、マシンガンを持った突入部隊のリーダーがオリエンテーションルームに押し入ってくる。突然銃を持った男が入ってきた事に子供達は思わず動揺する。

 

「おっと、楽しい手品の時間もそこまでだ‼︎」

「えっ⁉︎何何何⁉︎」

「おじさん誰ですか⁉︎」

「動くな‼︎」

 

リーダーが銃を構えると同時に銃を構えたテロリストの部隊が全員オリエンテーションルームに押し入ってくる。そしてリーダーがマシンガンをぶっ放して壁の窓を破壊すると子供達、特に女子達が悲鳴を上げ出す。

 

『きゃあああああああああああああああああ‼︎』

『うわああああああああああ⁉︎』

「騒ぐな‼︎全員大人しくしろ‼︎」

 

リーダー格の男の発言でテロリスト達は銃を突きつけてユウジ達に近付きながら彼らを取り囲む。目の前に本物の銃を持ったテロリスト達がいる事で気弱な子供達が泣き出してしまう。」

 

「うわああああああああああああん‼︎うわああああああああああああん‼︎」

「うええええええええん‼︎うええええええん‼︎」

「泣くなこの餓鬼共‼︎ぶっ殺されてえのか⁉︎」

 

子供達を取り囲んだ男達の中で拳銃を構えた20代くらいの若者が1人の少女の足元目掛けて拳銃をぶっ放す。弾はその足元を外れたが至近距離から聞こえた銃声に思わずその女子は更に泣き出してしまう。

 

「うえええええええん‼︎うええええええん‼︎」

「ちっ、まじで耳障りな泣き声だな‼︎本気でぶっ殺してやる‼︎」

 

拳銃を発砲した若い男は懐から手榴弾を取り出す。その様子を見たリーダーは思わずその若者を静止する。

 

「よせ、越‼︎ここで手榴弾を使ったらミーニンまで吹っ飛びかねないぞ‼︎」

「み、ミーニン?」

「そうだ、君達と一緒に遊んでいるその怪獣の名前だよ。」

 

比較的精神が強くて恐怖で震えながらも何とか冷静さを保っていたユウジ率いる子供達はテロリストの言葉で思わずミーニンを見る。するとリーダー格の男がマシンガンを突きつけながら尋問にかかる。

 

「1つ質問する。君達のリーダーは誰だ?」

 

リーダー格の男の質問で泣いていた子供達をあやしているメンバーは思わず顔を見合わせる。このクラスの委員長である眼鏡をかけた少年はは武装した男達に怯えて名乗れそうになかったからだ。するとユウジが男の前に名乗り出た。

 

「り、リーダーは俺だ!」

「そうか。坊や、名前は?」

「・・・ユウジ。」

「そうか。なら単刀直入に言うぞ。ユウジ、その怪獣を、ミーニンを俺達に渡せ。そうすればお前達だけでなくこの旅館の人達も解放してやろう。」

「ええっ⁉︎」

「もしかして目的は・・・。」

「そうだ、我々はその怪獣が・・・ミーニンが欲しいのだよ。怪獣の身一つで君達全員が無事にお家に帰れるんだ。悪い話じゃないだろ?」

 

テロリストのリーダーの言葉を聞いた子供達は全員クラスメイトであるユウジの顔を見る。ユウジは怯えながらも答えを出した。

 

「い・・・い・・・・・・嫌だ。」

「今、何と言ったのかな?」

「い、嫌だと言ったんだ‼︎キューちゃんは俺達の友達だ‼︎悪い人達には絶対に渡せない‼︎」

 

ユウジの出した答えにクラスメイト全員が思わず嬉しそうな顔になる。彼らもこの短時間で仲良くなった新たな友達をテロリストに引き渡したくなかったらしい。しかし、ユウジの答えに苛立ったリーダーはマシンガンをユウジに構える。

 

「そうか・・・ではこれから君のクラスメイト達を1分ごとに1人撃とう。果たして何人で耐えられるのかなぁ・・・。」

 

リーダー格の男の言葉にユウジは苦虫を噛み潰した表情になる。やがてユウジの隣にいた女子にその銃口が向けられた。

 

「さて、これから60秒数えよう。それでも君の答えが変わらなければ・・・分かってるな。」

「ユウジ君・・・絶対に渡しちゃ・・・駄目・・・。」

「いーち、にー、さーん。」

 

怯える女子の前で男は銃口を彼女の頭に突き付ける。男がカウントダウンしながら安全装置を外してその引き金に手をつけようとする。その時、オリエンテーションルームのドアが吹っ飛んだ。

 

「何だ⁉︎」

 

思わずテロリスト達はその銃口をドアが吹っ飛んできた方向に向ける。するとそこにはミクラス、ガッツ星人(ミコ)、アギラ、ゴモラの4人の怪獣娘がいた。

 

「そこまでです‼︎武器を捨てて下さい‼︎」

「ミク姉ちゃん⁉︎」

「GIRLSの怪獣娘⁉︎どうしてここに⁉︎」

「宿の方から銃声が何度か聞こえたから何事かと思って急いで駆け付けたんだよね‼︎・・・まさかこんな事になっているとは思わなかったけど・・・。」

「ていうか・・・ユウジ、アンタその赤いのって‼︎」

「ミクちゃん、今はあの赤い怪獣の事は後‼︎」

「さて、さてさてさて‼︎わたし達怪獣娘が来たからにはアンタ達に勝ち目はないよ‼︎大人しく降参しなさい‼︎」

「入り口のホールで従業員と宿泊客を拘束していた3人もエレキングさんが制圧しました‼︎降伏して下さい‼︎」

「ぐっ、仕方ない・・・おい‼︎やれ‼︎」

 

リーダーの言葉で全員が子供達から離れると壁に向かって手榴弾を投げ付ける。壁は複数の手榴弾で大きく吹っ飛んだ。怪獣娘達はガッツ星人の瞬間移動でユウジ達の前に立つと彼らを庇うように伏せる。

 

「皆、大丈夫⁉︎」

「は、はい・・・。」

「そういえば・・・奴らは・・・いない⁉︎」

「大変‼︎キューちゃんもいなくなってる‼︎」

 

クラスの女子の1人の言葉でユウジ達はミーニンがいた方向を見る。すると既にその赤い姿が見えなくなっていた。手榴弾の爆発と混乱に紛れてミーニンを連れ去ったらしい。

 

「姉ちゃん、一生のお願い・・・キューちゃんを助けて‼︎」

「ユウジ・・・アンタ・・・。」

「キューちゃんってさっきの赤い怪獣の事?あれは一体なんなの?」

「ついさっき、俺達の友達になったんだ・・・。」

「友達に・・・どう言う事?」

「ミクちゃん、話は後‼︎すぐに奴らを追うよ‼︎」

「分かった・・・後で詳しく話を聞かせて。」

 

ミクラス達はすぐさま破壊された壁からテロリスト達を追う。ユウジはテロリスト達を追う姉の背中を見送る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら‼︎さっさと歩け‼︎」

「キュ〜・・・。」

 

その頃、テロリスト達は無理矢理ミーニンを歩かせて自分達の車まで連れて行こうとしていた。自分達が乗ってきた車が見え、進むスピードを上げる。途中で転ぶミーニンを無理矢理立ち上がらせ、車まで辿り着いた彼らはこのままミーニンを連れて高飛びしようとする。

しかし、彼らの思い通りにはいかなかった。彼らが車に辿り着いた時、ハルキ、ガッツ星人(マコ)、レッドキングが警官隊を引き連れて彼らを包囲したからだ。

 

「そこまでだ‼︎」

「ここまでよ‼︎諦めなさい‼︎」

「俺達の仲間もすぐにやってくる‼︎もはやそっちに勝ち目はないぜ‼︎」

「ぐううう‼︎折角我々荒野の狼の元に貴重な怪獣のサンプルが来たと思ったのに・・・。」

「お前ら、荒野の狼の奴らだったのか・・・。」

「そうだ・・・再び地球に出現する怪獣のサンプルを・・・お前らGIRLSが独占している怪獣のサンプルを手に入れるのが目的だったのだ・・・。このまま我々の元にミーニンが手に入らないのなら・・・。」

「おい、何をするつもりだ⁉︎」

 

リーダー格の男はスーツケースからセレブロとの取り引きで手に入れたヒトデ型の装置を取り出す。ミーニンはそれを見ると怯えたように騒ぎ出す。

 

「キュ⁉︎キュ〜キュ〜‼︎」

「あの怪獣がミクラスが言ってた怪獣か?」

「あの怪獣、あの機械に怯えてる?」

「コイツで全てを破壊してやる‼︎」

 

リーダー格の男がミーニンの額に機械を装着する。するとたちまちミーニンの体は巨大化する。

 

「な、何だ⁉︎」

「きょ、巨大化してる‼︎嘘だろ‼︎」

「ハハハハハハハハハ‼︎全てを破壊しろ、ガモラン‼︎」

「グオオオ‼︎」

「皆さん、逃げて下さい‼︎」

『うわあああああああああああ⁉︎』

 

ミーニンはどんどん巨大化し50mはあろう大きさになる。そして巨大化したミーニンの姿は小さかった頃とは特徴が変わっていた。体の色はより濃くなり、肩と頭に大きな棘が生えた凶暴そうな姿になっている。バイオコントローラーを頭に付けられた事で凶暴な隕石大怪獣『ガモラン』に変貌してしまったのだ。

巨大化した際の混乱に紛れてテロリスト達は散り散りになって逃げる。ハルキはリーダーを追おうとするがたった今合流したガッツ星人(ミコ)に引き止められた。

 

「待て‼︎」

「待ってハル‼︎」

「ミコ‼︎」

「あいつら銃を持って武装してる。生身のハルじゃ危険だよ‼︎ここはわたし達に任せてハルはGIRLSにいるピグっちに連絡して‼︎」

「ああ‼︎」

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、待機していたGIRLS東京支部の怪獣娘が到着して警察と協力し、荒野の狼のメンバーを無事に全員確保する事に成功した。しかし、ミーニンがガモランに変貌してしまった事には変わらない。街に向かっているガモランを見てレッドキングは苦い顔をする。

 

「荒野の狼の奴らを捕まえて一件落着・・・といかねえよな。」

「グオオオオオ‼︎」

 

レッドキングがガモランを眺めている中、現場に駆け付けたピグモンは最初にミーニンを見たミクラス達を交えて子供達から事情聴取をしていた。

 

「それで・・・あのキューちゃんと名付けた怪獣と友達になったんですね・・・。」

「はい・・・。」

 

一通りの事情を知ったピグモンの元にキングジョーがやってくる。キングジョーは自身のソウルライザーにミーニンとガモランが載った画像を見せた。

 

「ピグモン‼︎あの怪獣、過去のアーカイブドキュメントにありマシタ‼︎ミーニン並びにガモランデス‼︎」

「ミーニン・・・ガモラン・・・。」

「ミーニンは本来大人しい怪獣なのですが・・・あのバイオコントローラーを付けられると凶暴なガモランという怪獣に変貌するという厄介な性質がありマス。昔現れた時もガモランに変貌して暴れたのですが当時地球を守っていたウルトラマンであるコスモスによってバイオコントローラーを破壊されて元の大人しいミーニンに戻りマシタ。」

「それじゃあ、キューちゃんは元に戻せるんですか⁉︎」

「エエ、元に戻せマスよ。」

 

キングジョーの言葉を聞いたユウジは彼女に訊ねる。そしてその答えを聞いたユウジはピグモン達怪獣娘に頭を下げて頼み込む。

 

「お願いします‼︎キューちゃんを助けて下さい‼︎」

「お願いします‼︎」

「お願いします‼︎」

『お願いします‼︎』

 

頭を下げて頼み込んでくる子供達の言葉に怪獣娘達は顔を見合わせる。特にミクラスは弟が頭を下げて頼み込んでくる姿とその友達の気持ちを汲んでやりたいという思いで一杯になっている。他の怪獣娘達も過去の記録と友達を助けたいという子供達の思いを受け入れる覚悟を決めようとする。その時、ヘビクラがやってきた。

 

「よおお前ら。」

「ヘビクラさん‼︎」

「上層部の意見が定まった。・・・・・・ガモランを駆除せよとの事だ。」

「ええっ⁉︎そんな⁉︎」

「待って下さい‼︎あの頭の機械を外せば元のキューちゃんに戻せるんですよね⁉︎」

「それでも駆除しなきゃいけないんですか⁉︎」

 

ショックを受けるマガジャッパの横からユウジとミクラスがヘビクラに詰め寄る。ヘビクラは溜息をつきながら腰を低くしてユウジにも視線を合わせる。

 

「確かに頭の機械を外せば奴は大人しくなる。けど、今のGIRLSの戦力じゃ奴の頭の機械を外す事は出来ない。だから最も簡単な方法である駆除を選んだ訳だ。」

「そんな・・・。」

「坊主、多くの命を救う為だ。分かるな?」

「キューちゃんだって・・・キューちゃんだって大切な命だろ‼︎だから・・・お願いだ・・・キューちゃんを助けて・・・‼︎」

 

ユウジは真っ直ぐヘビクラを睨みながら叫ぶ。その言葉を聞いてハルキ達も声を上げる。

 

「ヘビクラさん、俺達GIRLSは・・・国際怪獣救助指導組織ですよね。GIRLSが救助すべき相手は・・・怪獣娘だけじゃないんじゃないんですか⁉︎」

「ハルキさん・・・。」

「国際『怪獣』救助指導組織なら・・・本物の怪獣だって助けたっていい・・・違いますか⁉︎」

「ハルハル・・・。」

「俺達は命を救うために戦っているんですよね・・・だったら俺もガモランを・・・いや・・・キューちゃんを救いたいです‼︎」

 

ハルキの叫びを黙って聞いていた怪獣娘達は数秒間沈黙する。そして彼の言葉に動かされたのか口を開き始めた。

 

「ヘビクラさん‼︎ピグモンもハルハル、ユウジ君と同じくあの子を助けてあげたいです‼︎」

「私もです‼︎」

「俺も‼︎」

「ヘビクラさん、ガモランを大人しくさせる方法は既に分かってイマス‼︎あのバイオコントローラーを外すためにワタシ達に出来る事をやらせて下サイ‼︎」

「ボクも可能性があるなら何もしない訳にはいかないと思います‼︎」

「わたしも可能性があるならそれに賭けたい‼︎だから‼︎」

『お願いします‼︎』

 

怪獣娘全員に頼み込まれたヘビクラは少し沈黙すると面白そうに笑みを浮かべながらハルキと怪獣娘達に歩み寄る。

 

「ハッハッハ、面白えじゃねえか。分かった、やってみせろ。上の方は何とか俺が抑えておく。ただし、市街地から1000m圏内に入ったら全力で駆除する。いいな?」

「押忍‼︎」

『了解‼︎』

「姉ちゃん・・・他の怪獣娘の皆さんも・・・ありがとうございます‼︎」

 

決意を固めたGIRLSのメンバーに思わずユウジは感謝の言葉を口にする。今、GIRLSによるミーニンを救う為の作戦が始まった。




ブレーザーの映画も公開まで近いですね。勿論、見に行く予定です‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

想い、その先に(後編)

次回、最後のオリジナル回を投稿します。最後の単発回になる予定です。
無理な方は閲覧をお控えする事を推奨します。


ガモランは市街地に向かって進行している。そんな中、ガッツ星人(ミコ)が操縦するキングジョー・.GIRLSカスタムがガモランの行手を阻むべく降り立った。

現場の作戦司令部として建てられたテントでピグモンはソウルライザーを片手にガモランの前に立ちはだかるGIRLSカスタムの操縦士であるガッツ星人(ミコ)を含む作戦に参加するメンバーに通信を送る。

 

「皆さん、準備はいいですか⁉︎」

『いつでも準備OKだよ‼︎』

『俺達も準備OKだぜ‼︎』

「ガモランは現在、市街地まであと3000mまで来ています‼︎何としてでもガモランをミーニンに戻して下さい‼︎それではこれよりガモラン沈静化作戦を開始します‼︎GIRLS出動です‼︎」

『了解‼︎』

 

ピグモンの号令に各メンバーが声を揃えて返事を出す中、ヘビクラのスマホにGIRLS上層部からの着信が鳴る。ヘビクラはスマホに耳を当てて通信に応えた。

 

「こちらヘビクラ、作戦を開始します‼︎」

 

ヘビクラが上層部に進言したタイミングでGIRLSカスタムが動き出す。GIRLSカスタムはガモランの目の前に接近すると両腕を広げた。

 

「それじゃあ行くよ‼︎フルーツの香り散布作戦開始‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)の言葉でGIRLSカスタムの機体から黄色い粒子が飛び出した。最初の作戦としてGIRLSが立てたのは様々なフルーツの香りを浴びせてガモランを引き寄せて落とし穴に落として大人しくさせる作戦だった。その作戦の第一段階として現在、バナナの香りがガモランに撒かれている。ガモランはバナナの香りをじっくりと嗅ぐ。

 

「よし、匂いに気を取られているね!次、行くよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)はGIRLSカスタムの操縦席のボタンを押すとバナナの香りを止め、今度は林檎の香りをばら撒く。またしても林檎の香りをじっくり嗅いだガモランは林檎の香りをばら撒く元に目を向けて歩き始める。

 

「よし、こっちに向かってきた。このままついておいで‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)がまた新たに操縦席のボタンを押して今度はマンゴーの香りをばら撒く。その香りにつられてガモランは空中に浮きながら進むGIRLSカスタムの姿を追いかけた。そして作戦の要である落とし穴にガモランの巨体が大きな土煙を上げて落ちる。

 

「やった‼︎作戦成功‼︎」

「よっしゃああああ‼︎」

「やりましたねガッツさん‼︎」

「イエイ♪」

 

落とし穴にガモランが落ち、作戦が成功して喜ぶ怪獣娘達に操縦席からガッツ星人(ミコ)がピースサインをする。しかし、その喜びも束の間であった。落とし穴に嵌ったガモランは何とその姿からは想像も出来ない大ジャンプで落とし穴から脱出したのである。これにはハルキ含めたGIRLSのメンバー全員が驚きを隠せない。

 

「嘘ぉぉぉぉぉぉ、脱出したあああああああああああ⁉︎」

 

ジャンプして脱出したガモランはGIRLSカスタムを大きく飛び越えていた。着地した地点で市街地に近づいていたらしくGIRLS上層部からヘビクラのスマホに電話が鳴り響く。

 

「ガモラン、市街地まであと距離2500mです‼︎」

「はい、すみません‼︎順調です‼︎」

 

ヘビクラが必死に対応にあたる中、GIRLSは次の作戦を決行していた。GIRLSカスタムはガモランに目掛けて左腕を突き出すと操縦席のガッツ星人(ミコ)がボタンを押す。

 

「ペダニウムワイヤー、射出‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)が操縦席のボタンを押すと同時にGIRLSカスタムの右腕に仕込まれたワイヤーが射出される。ペダニウムワイヤーは市街地に向けて歩くガモランの体に巻き付くと街に行かせるかと言わんばかりに引っ張り出した。

 

「んぐぐぐぐぐぐぐぐぐ‼︎」

「よし‼︎俺達も行くぞ‼︎」

「うん‼︎」

「エエ‼︎」

「はい‼︎」

 

EXモードに変身したレッドキングの後にゴモラ、キングジョー、セブンガーなどの力に長けた怪獣娘がガモランを引っ張るワイヤーを掴み、ガモランを少しでも街に遠ざけるべくGIRLSカスタムの援護に回った。

 

「ガッツ、俺達もお前を援護する‼︎踏ん張ってくれ‼︎」

『言われなくても分かってるよ‼︎』

 

肩に取り付けた無線越しにレッドキングがガッツ星人(ミコ)と通信をするとGIRLSカスタムは更に力を入れてガモランを引っ張る。EXモードに変身したレッドキングとゴモラ率いるパワー系怪獣娘の援護もあってこのままガモランを引き寄せられると思っていたが、ガモランも抵抗してさらに力を入れ始める。

 

「うわっ⁉︎コイツの力が強くなった‼︎」

 

そしてガモランは更に抵抗する為に体を左右に動かしてGIRLSカスタムを振り回そうとする。GIRLSカスタムとワイヤーにしがみ付いている怪獣娘もガモランの動きに合わせて動きながら力を入れるも左右のあっちこっちに動くガモランの動きで引っ張る力が少し弱まる。

 

「お前ら、頼むから頑張ってくれ‼︎」

「そう言われても・・・‼︎」

「大分・・・きついデース・・・‼︎」

 

そしてガモランが力を入れたことでワイヤーのロープがミチミチと音を上げながら千切れ始める。

 

「ガッツさん、大変です‼︎ワイヤーがちぎれ始めました‼︎」

『え⁉︎嘘ぉ‼︎』

 

セブンガーの警告も虚しくガモランの力がGIRLSカスタムを上回り、ワイヤーのロープが引きちぎれる。GIRLSカスタムとパワー系怪獣娘達は大きな反動を受けて大きく吹っ飛ばされる。

 

『うわああああああああああああああああああ‼︎』

「ミコ‼︎ナナ‼︎」

「ゴモたん‼︎レッドキングさん‼︎皆ああああぁぁぁぁ‼︎」

「大変です‼︎ガモランと市街地までの距離が後2000メートルを超えました‼︎」

「はい、はい‼︎すいません‼︎ええ、ええ‼︎順調ですとも‼︎」

 

ヘビクラが再びかかってきたGIRLS上層部からの電話に応対する中、GIRLSカスタムはガモランに突進してそのまま押し返そうとする。しかし、ウルトラマンコスモスの力に長けたコロナモードに対抗できるパワーの持ち主であるガモランはGIRLSカスタムを押し返した。

 

「はい、はい‼︎はい、すいません‼︎ええ‼︎迎撃準備は万端ですとも‼︎」

「ガモラン、市街地まで後1500mです‼︎」

「ザンザン達、お願いします‼︎」

 

市街地までの距離を計測していたウインダムの後ろでピグモンは中学生バンド組とマガコンビ、及びガッツ星人(マコ)に目を向ける。

 

「皆さんの出番です‼︎お願いします‼︎」

 

ピグモンの言葉でザンドリアスのバンド組はそれぞれのポジションに立ち、それぞれの楽器を構える。ボーカルのザンドリアスがマイクを手に持って構えるとそれぞれが楽器をかき鳴らし、前奏が始まる。マガコンビとガッツ星人(マコ)が前奏の音楽に合わせて踊り出した時、ザンドリアスも歌を歌い出した。

ザンドリアスの美声による歌声を聞いたガモランは思わず立ち止まる。それを見たマガコンビは思わず笑みを浮かべた。

 

「しめた‼︎アイツ、こっちに気付いたぞ‼︎」

「うん‼︎音楽が気になっているみたい‼︎」

「続けるわよ‼︎そのまま演奏を続けて‼︎マガバッサー、マガジャッパ、アンタらもダンスを続けるのよ‼︎」

 

ガッツ星人(マコ)の言葉でバンド組はそのまま演奏を続ける。彼女達が流すメロディに合わせてマガコンビ、ガッツ星人(マコ)もダンスを続けるとガモランはダンスをしている3人に目を向ける。ガモランはダンスをしているマガコンビとガッツ星人(マコ)に何かを感じたのか音楽に合わせて足を踏み始める。

 

「見て、バサちゃん‼︎怪獣かステップを踏み始めた‼︎」

「よっしゃあ‼︎このまま行くぜ‼︎」

 

マガコンビとガッツ星人(マコ)が音楽に合わせて踊る姿を見たガモランはメロディに合わせてステップを踏み続ける。そして完全に油断していたガモランにこっそりとGIRLSカスタムが近づく。そして後ろからガモランを抑えつけた。

 

「大人しくしなさーい‼︎」

 

しかし、GIRLSカスタムの拘束から逃れようとガモランも暴れ回る。更にザンドリアス達の音楽で帰って興奮していたガモランはGIRLSカスタムを押し倒して街に進撃する。

 

「ガモラン、市街地まで後1300mです‼︎」

「このままじゃキューちゃんが市街地に‼︎」

「ああ、くそ‼︎」

 

市街地までの距離を計測するウインダムの前でヘビクラは忌々しそうにスマホを叩きつける。その様子にピグモンとユウジは首を傾げた。

 

「あ、あのヘビクラ隊長、どうしたんですか?」

「いきなりスマホを叩き付けたけど・・・。」

「悪いな・・・これ以上は伸ばせない。ガモランを駆除する。」

「そんな・・・まだ1000mまで少し距離があるのに・・・。」

「GIRLS上層部の決定だ。」

「待って‼︎」

 

ヘビクラ達に待ってをかけたのはユウジの姉であるミクラスだった。ミクラスはヘビクラとピグモンに顔を向けると真剣な顔で向き合った。

 

「ヘビクラさん、ピグモンさん、あたしに最後のチャンスを下さい‼︎」

「ミクミク・・・。」

「もし何かあったら・・・あたしは全ての責任を持ってGIRLSを辞めます‼︎だから・・・お願い‼︎」

「ミクミク・・・。」

 

その様子を見ていたハルキはピグモンに目を向ける。ピグモンもハルキの目を見て彼が何をしたいか察すると大きく頷いた。ハルキはヘビクラにバレないようにそっとその場を離れる。その際にミクラスの横を通り掛かると同時に彼女の耳だけに聞こえるように囁いた。

 

「俺が動きを止める。その間に準備を。」

「‼︎・・・ハルキさん・・・ありがとう。」

 

ハルキは作戦本部から離れるとウルトラゼットライザーを取り出してウルトラアクセスカードを装填する。

 

〈Haruki Access Granted〉

 

ハルキはベータスマッシュ用のメダルを取り出すとゼットライザーにセットする。

 

「真っ赤に燃える、勇気の力‼︎」

「マン兄さん、エース兄さん、タロウ兄さん!!」

 

〈ULTRAMAN〉〈ACE〉〈TARO〉

 

『ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z BETA-SMASH

 

ガモランはGIRLSカスタムを押し除けて市街地まで着実に進んでいる。ガッツ星人(ミコ)は後ろに見えた市街地までの距離を計測して顔を苦くする。

 

「ヤバ・・・後1100mじゃん。このままじゃ・・・。」

 

ガッツ星人(ミコ)は市街地までの距離から止むを得ず操縦席で戦闘態勢に切り替える事を考える。その時、彼女の視界にベータスマッシュの姿のウルトラマンゼットがガモランにラリアットをかます。ゼットのラリアットを受けたガモランはその場で大きく倒れ込んだ。

 

「ベータスマーッシュ‼︎」

「ハル‼︎」

 

ゼットは倒れたガモランの足を掴むとそのまま固めて動きを止める。その時、GIRLSカスタムに向かってミクラスが飛んできた。

 

「ミクラス‼︎どうしたの⁉︎」

「ガッツ、お願いがあるの‼︎」

 

ゼットはなるべくガモランを傷付けないように軽く蹴りを入れてタックルで押し倒す。その時、GIRLSカスタムを操縦するガッツ星人(ミコ)が叫んだ。

 

「デュワッ‼︎」

「ハル‼︎ゼット‼︎何とかガモランを抑えて‼︎」

 

ハルキとゼットはGIRLSカスタムに向かって頷くとデルタライズクローの変身に必要なメダルを取り出した。

 

「闇を飲み込め‼︎黄金の嵐‼︎」

 

〈ZERO BEYOND〉、〈GEED〉、〈BELIAL ATROCIOUS〉

 

「ご唱和ください、我の名を!ウルトラマンゼェット!』

「ウルトラマンゼェェェット‼︎」

 

ULTRAMAN Z! DELTARISE CLAW ‼︎〉

 

デルタライズクローに変身するなり、ベリアロクが真っ先にガモランに斬りかかろうとする。ゼットが必死に抑えるとハルキが説得に入った。

 

『止めろ、斬るな‼︎』

『何だと⁉︎』

『ガモランの動きを止めたいんだ‼︎力を貸してくれ、ベリアロク‼︎』

『めんどくせえな。』

 

ハルキがベリアロクのレバーを引くとベリアロクの目が光る。

 

『デスシウムクロー‼︎』

 

闇の力を集めたベリアロクをそのまま地面に突き立てると黒い鉤爪状のエネルギーが飛び出した。それはガモランをあっという間に拘束する。

 

『動くな‼︎』

 

ベリアロクの言葉に恐怖を感じたのかガモランは動きを止める。するとGIRLSカスタムはガモランに急接近する。

 

「ミクラス、今だよ‼︎」

 

ガッツ星人(ミコ)の叫びと同時にミクラスが非常用の脱出口から姿を見せる。ミクラスはソウルライザーを手にしながらガモランに向かって叫んだ。

 

「これ以上・・・あたしの弟を悲しませないでええええええ‼︎EXソウルライド‼︎」

 

弟の友達を助けたいという強い気持ちが彼女の新たな力を覚醒させたらしく、彼女の指がソウルライザーをタップする。するとミクラスの体全身に電気エネルギーが流れ始めた。EXモードでエレキミクラスとでも言うべき新たな力に目覚めたミクラスは右手に全ての電気エネルギーを集めてガモランの額のバイオコントローラーを殴り付ける。

 

「うおりゃああああああああああああああああ‼︎」

 

ミクラスの膨大な電気エネルギーを含んだ拳はバイオコントローラーに命中するとその機能を完全にショートさせる。やがてバイオコントローラーが完全に外れて砕け散るとガモランの体は小さくなっていく。

 

「やったあ‼︎・・・あれ⁉︎」

 

ミクラスは思わず喜ぶも全ての力を使い果たしたのか変身が強制的に解除される。そして彼女の体は地面にそのまま落ちていった。

 

「ヤベっ‼︎」

 

地面にこのまま激突すると思った彼女は思わず目を閉じる。ゼットはすぐさまスライディングでミクラスに近付き、その手で彼女を優しく掴む。そしてそのまま完全に小さくなって地面に横たわっているミーニンの隣に優しく下ろした。

 

「ハルキさん・・・ありがと。」

 

ミクラスは顔を赤くしながらゼットを見上げてハルキに対して礼を言う。ゼットとハルキは頷くとZ字の飛行機雲を描いて飛んで行った。

ゼットが飛んでいくと同時にユウジがクラスメイト全員を引き連れてミーニンの元に向かっていく。

 

「キューちゃん‼︎」

「しっかりして‼︎」

「キューちゃん、目を開けて‼︎キューちゃん、お願いだからしっかりして‼︎」

「キュ、キュ〜?」

 

子供達が横たわるミーニンの体を揺すりながら安否を問う。やがてミーニンは目を開けてユウジの姿を確認する。

 

「キューちゃん、目が覚めたんだな‼︎俺の事分かる⁉︎」

「キュ〜‼︎」

「良かったああああああ‼︎本当に無事で良かったああああああ‼︎」

「怖かったよね‼︎もう大丈夫だからね‼︎」

「良かった・・・・・・本当に良かった‼︎」

 

ミーニンが無事に助かった事で子供達は小さな怪獣の体に抱き付いて泣き喚く。その姿をミク、ガッツ星人(ミコ)、そして変身を解いて合流してきたハルキが微笑ましい目で見守っていた。

 

「良かったね、ミクラス。あの子が助かって。」

「うん‼︎あ、ハルキさん‼︎」

「ん?」

「さっきはありがと、助けてくれて‼︎」

「ああ。」

(ミクラス、なんかハルに対して顔を赤くしながら話してるけど・・・まさかだよね・・・。この前のバラバの件でハルがゼットだって知ったベロっち、バキっちも怪しいし・・・。用心しておかないと・・・。)

 

ミクがハルキを見る目が前と違くなっている気がするガッツ星人(ミコ)は思わずジト目でミクラスとハルキを睨む。その時、後ろからアギラ達も合流してくる。ピグモンはミクの隣に立つと子供達と無事に会えた事を喜び合うミーニンを見て口を開いた。

 

「よく頑張りました、ミクミク。」

「ピグモンさん。アギちゃん達も‼︎」

「何とか一件落着だね。」

「ええ、でもこれからもまだ課題はありますよ〜。あの子の居場所も用意しなければいけませんから。」

「た、確かに・・・。」

「良かったですね。ミクミク。弟くんの大切なお友達を守る事が出来て。」

「はい‼︎」

「姉ちゃん‼︎」

 

ミクは弟から呼ばれると子供達の方に振り向く。隣にミーニンを携えてユウジは口を開いた。

 

「いつも勉強が駄目でよく寝坊もしてテストの点数を見られて昔から母さんに怒られてるミク姉ちゃんだけどさ。」

「喧嘩売ってんの?」

「でも、今日の姉ちゃんは本当にカッコ良かったよ‼︎」

「ユウジ・・・。」

「怪獣娘として俺達の為に・・・そして命を守る為に戦う姉ちゃんの姿・・・俺、絶対に忘れないから‼︎・・・・・・ありがとう、ミク姉ちゃん‼︎」

 

ミクはいつもは言われない弟からの褒めと感謝の言葉に思わず照れ臭そうにする。するとミーニンもミクに抱きついてきた。

 

「キュ〜‼︎」

「きゃっ⁉︎ど、どうしたのよ‼︎」

「きっと・・・キューちゃんも姉ちゃんが助けてくれた事知っててお礼が言いたいんだよ‼︎」

「キュ〜、キュ〜‼︎」

 

ミーニンはユウジの言葉を肯定するように嬉しそうな鳴き声を上げる。ミクに嬉しそうに抱き付くミーニンにハルキ達も思わず笑顔になる。その光景を遠くから見ていたヘビクラは一言呟いた。

 

「友達は怪獣・・・か。」

 

その後、ミーニンはかつては多くの怪獣が保護されていたが今は無人島となり、大怪獣ファイトの舞台の一つとしてGIRLSの管理下に置かれる事になった鏑矢諸島にかつての同族同様に保護される事になったという。




ハルキ「ハルキと」

セブンガー「セブンガーの」

ハルキ&セブンガー「「ウルトラナビ!!」」

ハルキ「今日紹介するのはコレだ!!」

〈BELIAL 〉

セブンガー「かつてウルトラマン達の故郷である光の国を滅ぼそうとした悪のウルトラマンです。何とウルトラマンジードさんはこのベリアルの息子なんです。」

ハルキ「その力が宇宙の神器に宿ってベリアロクが生まれたんだ。」

セブンガー「そしてベリアロクから放たれる最強の技がデスシウムスラッシュです‼︎」

メカギラス「次回は私が担当するぞ。」

「「「次回もお楽しみに!!!」」」





次回予告(CV:ウルトラマンゼット)
『とある鉱山で突然金が採掘出来なくなった。怪獣の唸り声らしき音が聞こえた作業員達の言葉で調査に乗り出すGIRLS。実はその裏である宇宙人が暗躍しており・・・。次回!!

怪獣娘Z ~ウルトラマンゼット登場計画~


黄金争奪戦


ウルトラ眩しいぜ‼︎』


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。