GBD:ドレスアップ・ドールズ (朔紗奈)
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設定とか。
チェリー・ラヴ/桜野恋愛
書いてるうちにブレたりは多分するよ
何なら既にしてると思うよ
桜野恋愛(サクラノ・レア)/チェリー・ラヴ/さくら
『アダムの林檎』従業員
26歳
顔が整っている事、そして身長は146cmと低いながらも出るところが良く出ているというロリ巨乳という事で男性の目を引いてしまうことが多い。
目元がやや隠れ、背の半ばほどまで届く程度の長さのベージュ色の髪をストレートで流している事が殆どで、仕事の時や気分が乗れば偶にいじる事もあるが、精々髪型を変える程度で、それ以上は特に変えようとはしない。
酒に異常に強く、ウワバミどころではなくザル。
ダイバールック
リアルに準拠する姿としており、基本は目や髪の色などを気分や服装に合わせて弄る程度。
ダイバーランクは実の所Sまでは行っているが、ランクにはそこまで特にこだわっていないので、Aの時点で記憶が止まっている。現在の個人ランクはさほど高くない。
個人ランク2桁上位層とも渡り合う程の腕ではあるが、コスチューム回収と自分が作ったガンプラを輝かせたい、という気持ちとGBNのプレイスタイルに腕が後から付いてきた形。
外出時、仕事以外では大きめのサイズでゆとりがあって着やすく、スタイルの出辛い服を着る事が殆どで、赤いフレームの伊達眼鏡を着けて出歩く。
家での普段着ではジャージで上のジッパーは閉めず、代わりに下にシャツを着ている。
『アダムの林檎』ではバーテンダーの服装をしている。
リアルではスカートは履いても基本的に長いものが多いが、好みだけで言うなら短めのスカートや可愛らしい物も普通に好み。
ダイバールック
鉄華団のジャケットとその中に白のシャツ、ベージュ色のスカートを身につけているのが基本となっているが、気分でコスチュームを着替える。
服のサイズを気にせずコスプレを気軽に出来るのが楽しい、とのこと。
元々はあまりぐいぐい行くようなタイプでは無く、人見知りで奥手なタイプだった事に加えて、ガンダムヒロインに憧れ、恋をした事があまり普通では無い自覚を持ってしまった事も相まって、クラスの端でガンプラの雑誌やアイデアノートを一人で読んでいる半ば背景のような過ごし方をしていた。
それが楽だと思う反面、寂しいとも思いながらもそのままの在り方を大学進学までズルズルとしてしまっていたが、マギーと出会い、GBNと出会う事で変わっていき、GBNでだけとは言え、自分の好きを表に出していけるようになって行く。
リアルでこそ自重してする事は無いが、GBNでは可愛い女の子を見ると抱きしめたり撫で回そうとする事があり、本人の許可が出たら遠慮なく実行するが、偶に暴走して抱き締めている事も。偶にマギーに諌められている。なお、中学生ほどまでの見た目なら、男子にも同じようにしようとする事がある。
若干年上、同年代からロリまで、女の子がストライクゾーンのレズビアン寄りの両刀。
ダイバーとしてなら自分の容姿を利用する事に躊躇いが無く、客観的に見て可愛いと言う理解もあり、何なら自分が目の前にいたら抱くとまで明言するが、現実では諸々恥ずかしがる、他人との距離感を保つなどの理由で相当酔いでもしない限りする事はない。
中学生とさほど変わらない身長で誤解される事に関しては、面倒には思うものの慣れて最早気にしていない。
元々人見知りではあるものの面倒見自体は良いので、GBNを始めてからはマギーと共に初心者に対してのサポートを無償で行う事も。
戦い方は割と容赦が無く、鉄血的な戦い方も平気でするし殲滅戦に躊躇いもないという、良くも悪くも派手な戦い方をする。
「いらっしゃいませ、『アダムの林檎』にようこそ」
「G、BN……?GPDじゃなくて、ですか?」
「可愛いは、創れる!!」
「『女の子』だと思ってた子が女の顔見せた瞬間ってエロいと思わない?私は思う」
「…………命よりも大事な物なんて、無いんだよ」
原本からあちこち切ってたら取り敢えずこんな感じになった
まあ参考程度にって事で。
ちょいちょい書き足したり書き直したりするかもだよ
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本編。
チェリー・ラヴ01:とある日のこと。
サブタイ何も思いつかんかった
ガンプラバトルネクサスオンライン、通称GBN。
それは、前身であるGPDの『ガンプラを動かして戦う』という面をより気軽に楽しめるように仕上げ、ネットゲームという事で機材さえあれば家庭でも世界中の人間と交流を楽しめる、世界的な一大ブームと言える存在。
とはいえ、GBNはネットゲーム。
それもPvPともなれば、腕前が良い、悪いに関わらず治安があまりよろしくないプレイヤーも一定層居るわけで。
そんなプレイヤーや、自分のダイバーとしての腕を高める為にとにかく戦いたいという修羅の民を纏めて放り込む為に作られた、ディメンションと呼ばれるエリアの一つ、【ハードコアディメンション・ヴァルガ】。
そこは、足を踏み入れた瞬間からお互いの合意無しに戦闘を行う事ができる……出来てしまうディメンションで、リスポーンキルをしてもされても文句は言えない言わせない、、正に世紀末か修羅の国。
そんなヴァルガで、ある日一つの噂が立った。曰く、悪魔。曰く、下を向いた花のような超巨大MA。曰く、それが現れた瞬間、僚機を含むレーダーに映るあらゆる機体の反応が敵機に変わった。曰く、それから射出されたビット兵器の稼働時間が異常に長かった。曰く……それは、『テラ・スオーノ』のようであった。
様々な噂こそあれど共通するのは、ネオジオングに匹敵する程に巨大なMAであること、そのような巨体でふわふわと漂うように浮遊しながら、攻撃して来た機体には艦隊でも落とすのかと言うような容赦のない反撃を、それ以外には何もせずに移動していた事。
そのあまりの火力から、マスダイバーと呼ばれるチーターか、あるいは公式では発表されていない新たなレイドボスのβ版か、などという考察もされはしたものの、目撃情報がその日しか存在せず、情報も足りない為に運営が何かしらの形で関係している存在なのだろう、というのが、おおよそのネットの住民やダイバー達の間での結論となったのだった。
所と時は変わり、とあるディメンションにあるバー、『La Rencontre』。
フォース『アダムの林檎』を率いるワールドランク23位のダイバー、『マギー』がママを務めるそのバーのカウンターに、店主であるマギーと、客であろう女性が座っていた。
「ーーで、新しい『ドレス』……だったかしら?の、お披露目はどうだったの?」
「それがさぁ、聞いてよマギーちゃん!見かけた人みんな、いや偶に違う人もいたけどさ、殆どみんなが攻撃して来たの!
酷くない!?
綺麗で可愛い子を堕として自分のものにして愛でてちゅっちゅしたいのは分かるけど、折角のドレスなのに!!
……でも綺麗なドレスを汚すのは確かに憧れる……でもでも、私は汚される側になりたい訳じゃなくて、汚す側にーー」
「はいストップ。女の子がそんな事言わないの、はしたないわよ?」
「私は気にしないのに」
「周りが気にするのよ、貴女みたいな子がそんなこと言ってるとね」
はぁ、と頰に手を添えながらため息を吐くマギーの言葉にむぅーっとむすくれて大ジョッキのビールを一気に飲み干した、中学生ほどの身長でありながらとても素晴らしい胸部装甲をお持ちのその女性、ダイバーネーム『チェリー・ラヴ』は、だってさぁ、と呟きながらカウンターに突っ伏す。
「かなーーーーーーーり時間かかった、力作なおニューのドレスだったんだもん、あんだけ攻撃されれば流石にクるものがあるよぉ……」
カウンター越しにそれを聞いたマギーは、確かに可哀想かしらね、とフォローの言葉をかけようとした所ではた、と気付く。
「ちょっと待って?みんなから攻撃、ってチェリーちゃん、まさかヴァルガに行ったの?」
「あー、そんな名前だったかも?本当は宇宙のディメンションが良かったんだけど、ミノフスキークラフト積んだから地上でもいっかーと思って適当に目に止まったとこに行ったからよく覚えてない。なるほど、あれがあの世紀末モヒカンワールドと噂の。それでなんか棘がいっぱいのテンション高い人が多かったのかぁ…
あ、マギーちゃん大ジョッキおかわり」
「はーい。相変わらずお酒好きねぇ、チェリーちゃん。見た目が犯罪的なのも」
「美少女ロリ巨乳が顔を赤くして目を潤ませてるのが?」
「未成年の可愛い女の子がお酒を飲んでるようにしか見えないのが、よ。はい、おかわりどうぞ」
「ありがと!現実でもGBNでもマギーちゃんのお店だけだよぉ、私が安心してお酒飲めるの。みんな信じてくれなくてさぁ……」
「どういたしまして」
それはそうよね、とも思いはするもののマギーは口に出さず、話題の方向を変える事を選ぶ。
「そういえば今日の服、SEEDの時のラクスのコスチュームなのね?可愛いじゃない!」
「そう!偶には初恋の人に原点回帰しようと思ってさ」
「いいじゃない、素敵よ!よく似合ってるわ」
「ありがとうマギーちゃん!ラクス様の天然なふわふわした感じとか、あの身長とお胸のバランスの再現は流石に出来ないけどさ。服のサイズを気にせずに気軽に好きなキャラのコスプレ出来るって良いよねー」
おっぱい大きいのに身長小さいからなぁ、などと呟きながらコスチュームの端を摘むチェリー。
ネットゲームであるからこそ、リアルの姿ではなく、好きな姿になれる、好きな自分になれる。そして、データの世界だからこそ、コスチュームのサイズを気にせずガンダム作品のコスプレを簡単に出来る。それもまたGBNの強みの一つだった。
それ以外にも、ガンダム作品を忠実に再現したディメンションを散策する事だけでもそのクオリティの高さから十二分に楽しめるとすら言われ、G-tuberと呼ばれる動画配信者も散歩配信、と銘打ってディメンションを練り歩く配信をする者も居るほど。
また、街中には他のダイバーが開いている店などもあり、そういったものを目的にガンプラを持っていなくともGBNにログインする者は一定数存在している。
「マギーちゃんも、いつも思うけどえっちだよねぇ……リアルだと露出は減るけどなんかこう色気があるし、こっちだと言わずもがな。一晩どう?」
「チェリーちゃん、めっ、よ?ここはそういうお店じゃないの。楽しくお酒を飲む為の場・所。
でも、褒めてくれてありがと。嬉しいわ」
「どーいたしまして!」
微笑みながらそう言うマギーに対して、ふにゃっとチェリーも笑みを浮かべて返す。
これは、GBNにおいて『ロリショタコン合法ロリ巨乳』『ロリ巨乳おじさんネキ』『GBN屈指の両刀』『マギー姐さんを食った(疑惑)女』と言われたり言われなかったりするかもしれない女、チェリー・ラヴのとある日常の一幕。
描写足りねえ感が自分でもバリバリのバリよ
色々インプットもしながらのんべんだらりと書いていきたいなって
長さは多分こんなもんかもうちょい長くなるかくらいで書くんでないかな
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チェリー・ラヴ02:Gtuberデビューと初配信。
「G-tuberになってみようと思ったのでなってみました、チェリー・ラヴです!」
「普段はこの鉄華団ジャケットだけど、ガンダムヒロインのコスプレとかもしてます!」
「好きなものは可愛いものと可愛い女の子と男の子!あとお酒!」
「最初は雑談配信って感じで、お友達のお店でお酒でも飲みながらやっていこうかなと思いまーす!」
「マギーちゃん私、G-tuberになろうと思うんだー」
「あら、急ね。いいんじゃない?私の友達や知り合いも何人かやってるし、面白いと思うわ」
GBN内のバー、『La Rencontre』のカウンター席に座りながら大ジョッキのハイボールを一口飲んでチェリーが呟いた内容に、軽く驚いた風のリアクションを見せながらもマギーは賛同する。
「でっしょー?
でさ、Gtuberって何してんのかな、ってざっくりとあれこれ眺めて調べてみたんだぁ
で、そうなるとまあ、対戦、散歩、雑談みたいな大体3パターンかなってとこに落ち着いたんだよね」
「まぁ、確かにそうね。大まかに分けるならそうなるかしら。
それでどう?チェリーちゃんはどんな事をするかは決まったのかしら?」
「んー、まぁ散歩、雑談辺りかなーとは思ってる。対戦は、まあ気が向いたらって感じで」
「うん、それが良いんじゃないかしら?したい事をするのが1番だものね」
「そうそう。折角、自分の『好き』を気軽に表現出来る世界なんだしねー
あと、G-tuberになればあの子も色んな人に見てもらえるかなって」
「あの子、って言うと『アナト』かしら?
確かに例のドレスも、G-tubeを使えば気軽に見てもらえるでしょうし、その方が良いかも知れないわね」
うんうん、だよねだよね、と頷き、半分ほど残っていたハイボールを一気飲みしたチェリーは、スイスイと指を動かして空中に現れた画面のメニューを操作。そこに現れたのは、『配信画面』。
「と言うわけで、初配信中です」
「……え?」
「はいではこちら、リアルでもお友達のマギーちゃんでーす!ワールドランク23位だし、知ってる人は多いんじゃない?」
「ちょっとチェリーちゃん!?ヤダもう、それならそうと言ってよ!少しは準備ってものがあるんだから!」
「何をおっしゃるお姉さん、ここは何時いかなる時も美貌が変わる事のないGBN
そして貴女はいつでもセクシーで綺麗だ・ぜ☆」
「全くもう、今度は一声かけてよね?
あと、そんなおだててからかってもおかわりのサービスしか出ないわよ?
はい、ビール大ジョッキ。」
「わーい!」
コメント
:初配信って書いてあったから見に来てみたら既に色々ヤバそうだった件
:初配信でトップランカーの店で本人に絡んで挙句に口説きながら大ジョッキで酒を飲んで喜ぶ美少女ロリ巨乳とか言う中々のパワーワード
:セクシー……セクシーやな!!
:マギー姐さんはセクシーやろがい!!
:飲んでるものと量が可愛くないんだよなぁ……
:このぐいぐい飲んでる様子があまりにもおっさんなんよ
「……ぷはぁ!見てほら、泡のひげ!!」
コメント
:かわいい
:かわいい
:それはかわいい
「勝った!!」
「チェリーちゃん、うちで飲むといっつもそれやって遊んでるわよねぇ」
カウンター越しにそれを見て軽く微笑みながら声をかけたマギーに、チェリーはアダムの林檎でお酒を飲んでいる時によくするふにゃっとした笑みを浮かべる。
「なんか楽しくてさー
ウチで宅飲みとかだと缶ビールだから出来ないじゃん?」
こんなジョッキも一人暮らしじゃ中々買うもんじゃないしさぁ、とチェリーは左右に揺らし、ちゃぽん、と少し跳ねたビールを、おとと、と言いながらジョッキの半分ほど一気に飲んでいく。
コメント
:一口で飲むペースがエグい
:めっちゃ飲むやん
:信じられるか……?コレ初配信なんだぜ……?
:いつも酒飲む時はこうなん?
「そだよー?」
「そうねぇ、ウチで飲む時は結構こんなものかしら。
カクテルとかも普通に好きだけど、どちらかと言えば量を飲むタイプよね」
「家で飲む時は偶に四角ウイスキーのボトルをラッパとかする事もあるねぇ」
「それは流石にやめなさいな。
いくらお酒に強いとはいえ体に悪いし、何より勿体ないわよ?」
「んっんっ……ぷへぁ、偶にだってばー
そんなしょっちゅうやってたらお金無くなっちゃうよ」
それに、お酒はマギーちゃんのお店で飲んだ方が美味しいし。と言いながら、残り半分を一気に飲み切ってジョッキをカウンターにごとりと置く。
「それじゃ、そろそろアナトの紹介を……」
しよっかな、と続けようとしながらチェリーが立ち上がると、丁度ドアベルが鳴った。
「ママ、居るk」
「メェェイちゃぁぁぁん♡♡♡ぐぇっ」
「おいたはだめよ?」
コメント
:BUILD DiVERSのメイじゃねえか
:初配信のはずだよなぁコレ……
:潰れたカエルみたいな声で草
:完全にやべーやつの顔してたんだよなぁ今
:雰囲気と勢いがもうルパンダイブのそれなんよ
「おいたなんてしないよぉ……
ちょっと撫で回したり抱き締めたりおっぱい揉ん「チェリーちゃん?」なんでもないです」
コメント
:草
:首元掴まれた子猫で草
:完全にセクハラ親父なんだよなぁ
:もしもしガードフレーム?
「いつも言っているが、そんなに他人の胸を触りたいものなのか?」
『アダムの林檎』の常連なだけあって、メイからしてもそれなりに馴染みのある、仲の良い関係であるチェリーの隣の椅子にメイも腰掛けて訊ねる。
「可愛いおにゃのこのお胸には夢と希望が詰まってるんだよ!
小さくても大きくても良い……『おっぱいに貴賎なし』、心の師匠のお言葉なのです……」
「ふむ、そういうものなのか」
「流されちゃダメよ?
チェリーちゃんも、メイにそういうことは吹き込まないでくれるかしら?」
「はーい……
でもメイちゃんぎゅーってしたりなでなではさせて欲しい」
「それくらいならまぁ、何時ものことだし……配信中って事を分かった上でメイがいいって言うなら私は何も言わないわよ?」
「私は構わないgむぎゅ」
「んんんんんんんんメイちゃん今日も可愛い!!
髪もサラサラで身長高くてスタイル抜群で、なんかこう、大型犬?みたいな可愛さがあるよねメイちゃんって」
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:クール系美人がむぎゅって言ったの可愛いが過ぎんか
:キマシ?
:キマシ……キマシ……
:大型犬分かるかもしれない
「ごめんやっぱりアナトの紹介はまた今度ね!メイニウム補充したい!!」
コメント
:めっちゃ幸せそうに抱きついてるじゃん
:うらやまけしからん
:顔とろけてんだよなぁ
:美少女だからこそ許される事だけどそれはそれとして羨ましい
「いいだろいいだろー!
あとなんか、呼び方?とか、決めるんだっけ?それは次回とかで気が向いたら決めます!
しーゆーれいたーありげーたー!」
なんか筆が乗ったので初投稿でした
チェリー・ラヴ
背の半ばほどまで届く程度の長さのベージュ色の髪をストレートで流している事が殆どで、コスプレの時は色や髪型を変える。
気分が乗れば普段の服装でも偶にいじる事もあるが、基本は精々髪型を変える程度でそれ以外は特に変えようとしない。
合法ロリ巨乳。
酒に異常に強く、ウワバミどころではなくザル。
ダイバールックはリアルの姿準拠らしい。
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チェリー・ラヴ03:ガンダム・アナト、そして。
「みんなグッチェリー!
とゆわけで、今回は前に言った通りなんか決めたりアナトの紹介がてらミッションに行ったりするよ!
ところでグッチェリーって挨拶どう?可愛くない??」
コメント
:いいと思う
:ええやん
:かわいい
:ここ格納庫か?
「おっけ、んじゃ最初の挨拶はグッチェリーでよろしく!終わりはおつチェリーにするねー
んで、そう!ここは格納庫でーす!そ・し・てぇ〜〜?」
カメラを引き、周囲が画面に映るようにしながらチェリー自身も数歩後ろに下がる。
そうして配信画面に映るのは、CGS、或いは鉄華団のバルバトスを収めていた格納庫を思わせる無骨な空間。
そしてそこに佇んでいる、白を基調に黒、灰色でアクセントを入れたカラーリングの機体。
ガンダム・バエルにミキシングなどでチェリーが手を加えた改造機、『ガンダム・アナト』。しかし、今のガンダム・アナトはバエルソードを外し、代わりに追加武装を装備した状態となっている。
「じゃーーん!!
私の愛機、ガンダム・アナトの第二形態!その名もぉ〜〜、『ガンダム・アナトフルドレス』!!
可愛いでしょ!?美人でしょ!?」
コメント
:バエルベース……というか、ほぼバエル?
:アンテナが若干短くなってる……か?
:バエルソードは無いけど、スラスターウィングには特に変化は無さそう
:フルドレスユニット風だけど、コレストフリの機動ウィングとスーパードラグーンの改造品っぽいな。持ってるライフルもストフリのビームライフルみたいだし
「いぐざくとりぃ!
この子は、元々アルミリア用に改造したバエル、ってコンセプトから始めた子だからね!……まぁ、そこまで極端には変わってないんだけど。
で、やっぱり女の子は綺麗に着飾らせてあげたいじゃん?そこで思い出したのが、フルドレスユニットって訳!
ストライクフリーダムのドラグーンなのは、SEEDが初ガンダムで思い入れがあるのと、素直に好きだからだねー
もう一つ更に上があるんだけど、それはミッションの途中で紹介するね」
コメント
:更に上か
:なるほどね
:好きだからっていうのは大事やな
:このカラーリング、アルミリアのワンピースのイメージなのか
「アルミリアいいよね……可愛いよね……
私、鉄血ではアルミリアとアトラが大好きでさぁ……
クーデリアも好きだけど、やっぱあの二人なんだよなぁ……じゅるり」
コメント
:この顔よ
:ロリが好きなロリ巨乳か……
:わかる、アルミリアペロペロしたい
:昨日の発言的に恐らくショタも好きだぞ
:ロリショタコン合法ロリ巨乳……?
「は?アルミリアはマッキーと私の嫁だが????はっ倒すぞロリコン童貞オタク」
コメント
:おまいう
:私の、が無ければ過激派CP厨って言うところだったけどもっとヤベー奴だった
:急に真顔ガチトーンになるやんこわ
:どど童貞ちゃうわ!!
「そうだ、童貞で思い出したんだけどさ、リスナーの呼び方?名前?そんな感じのやつ。
私がチェリーちゃんだし、リスナーはチェリー君で良くない?って思ったんだけどどう?」
コメント
:確信犯なんだよなぁ
:話題の思い出し方がもう下ネタって言ってるようなもんなんよ
:『チェリー・ラヴ』がヤバい意味にしか思えなくなる
:ラバーズ、とかはどうよ
「あ、それいいかも。採用で!
んじゃこれから君達の事はラバーズって呼ぶからよろしくねー」
コメント
:おけ
:ラヴともかかってていい感じだな
:ガチ恋勢かな?
「さてさて、挨拶も呼び方も決まっていい感じだし、そろそろミッションに向かおうかな!今回のミッションはー?
じゃーん、『不死身のコーラサワー』!
簡単に説明すると、コーラサワーが乗った機体との連戦ミッションかな?難易度的には、Cランクとか位あれば余裕でいけそうな感じだと思うんだけどどうなんだろ」
コメント
:あー、コレか
:出たww結構楽しいのよなコレ
:炭酸がうるさいミッションじゃねえかw
:やった事ないなコレ気になる
「知らない人も居るみたいだし、取り敢えず画面切り替えてれっつらごー!!
あ、まだ配信慣れないからコメント見れなくなるかもだからそこはごめんね?」
コメント
:ええんやで
:自分が楽しむのが1番よ
:見せてもらおうか、ガンダム・アナトの性能とやらを
「ーーーーよし、と」
アナトのコックピットに移り、操縦桿を握って一息。
正直ウォーミングアップがてらに何度もやってきたミッションではあるし、あのドレスも使えるから苦戦する理由は無い。
それでも、誰かに見せるという前提のプレイは初めてで。しかも、自分が作ったガンプラを見てもらう為にそれをすると言うのは、流石に緊張していた。
緊張していて、それ以上にーー喜んでいた。
私のアナトは、アナトの新しいドレスはこんなに綺麗なんだと、他の人に見せる場を用意出来たことに。
「ーー行くよ、アナト!貴女の力、みんなに見せてあげよう!
ガンダム・アナトフルドレス、チェリー・ラヴ!行きます!!」
次回、多分コメントメインの回
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チェリー・ラヴ04:ガンダム・アナトフルドレスウェディング。
一応機体の設定紹介も後書きに載せとくよ
必殺技の設定を上方修正したよ(
このくらいしないとダメかなって……
コメント
:始まったな。バエルだけあって流石の機動性といったところ
:アナトだ!
:チェリニカ・カイエルの魂!!
:連戦とは聞いたけど、どんな感じなん?
:場所はOOの1話でエクシアが降りて来たあの会場モデルのフィールドで、先ずはイナクトのデモカラー、指揮官機、GN-Xの順に一機ずつ出て来る。次にGN-XⅢのアロウズ型と連邦型の同時、GN-XⅢのコーラサワー専用機とGN-XⅣ指揮官機の同時、最後に全部まとめて出て来るって感じの内容。後はまぁ、撃退したらウェーブの間に毎回10秒入るって感じ?
:なお、すべての機体が撃破されるたびに「俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!」とコーラサワーのセリフが再生されるので、上手く遊ぶと輪唱させられる
:クッソwwww
:不死身のコーラサワーどころか分裂してる件
:コーラサワープラナリア説
:イナクト、どっちも出て来た瞬間に何の容赦もなく撃ち抜かれてるのあまりにも切ない
:まあ難易度自体もそこまで高くはないしイナクトやからしゃーない
:GN-Xも特に危なげなくコックピット撃ち抜いてクリアか
:コックピット撃ち抜かれてるのにセリフが聞こえるのホラーでは?
:ヒェ
:次はGN-XⅢ2機同時だな
:ある程度の実力が無いとしんどくなって来るところだが……
:チェリーちゃん「ドレスの女の子って、最強なんだから!」
:このスーパードラグーン、先端から普通のビームとフルドレスみたいな拡散撃ち分けてね……?
:なんなら、ビームソード発生させて突っ込んで行ってるのもあるんだが……
:これ同時に操作してんのか?
:流石にパターン組んでるとかじゃねえかなぁ
:コーラサワー専用機とGN-XⅣもフルバーストで瞬殺か……
:さて最終ウェーブ
:更に上の追加装備はここで出すのか?
:真上……いや、斜め後ろに急上昇した?
:おい待てコレ
:コレもしかしてこの間のヴァルガの
:オイオイオイ死んだわコーラサワー
「よし、順調かな」
特に苦戦する事もなく、GN-XⅢコーラサワー専用機とGN-XⅣ指揮官機の同時まで撃退出来たことに、取り敢えず一息つく。
アナトもフルドレスも自信作だし、このミッションは試し撃ちにも利用していて何度もクリアして来たから失敗する気は全くなかったけれど、それでもやっぱりいつもと少し違う環境ではある訳で。
何より、『ドレス』を画面に映さないように、と言うのは何気に気を使っていたから、コメントをちらっと見る感じではバレてないようで少しホッとしていたりする。
イナクトのデモカラーからGN-XⅣまで改めてズラリと目の前に再び現れたのを見て、『ドレス』を着せてあげる為に一気に飛び上がる。そして、
「ガンダム・アナト、ドレスアップ!!」
後方に待機させていた『ドレス』……名付けて『ウェディングユニット』の真上に辿り着いた段階で静止、アナトを降下させてドッキングを実行した。
「『ガンダム・アナトフルドレスウェディング』!!」
コメント
:(絶句
:テラ・スオーノがベース……か?
:テラ・スオーノだったらあのユニット、4方に伸びてるだけの筈なんですが何で8方向に伸びてるんですかね……
:確かにドレスっぽく見えるかもしれん
:シュツルムブースターも下部に着いてるな
:てかキットあったっけ?
:(キット化されて)ないです
:ネオ・ジオングレベルの規模の機体をフルスクラッチかぁたまげたなぁ(白目
:地上で浮いてるってことはミノフスキー・クラフトでも載ってるのか
「どうどう!?これが私の自信作、アナトの新しいドレス……テラ・スオーノのMA状態を参考にして作った、『ウェディングユニット』!
更に発動、必殺技『マリッジリング・ウェディング』!!」
目の前に表示されたボタンを押して発動したそれは、アナトと共にミッションをプレイしているうちに手に入れた、アナトの為の『必殺技』。
チャンピオンやビルドダイバーズのリク君の様な、分かりやすく直接的な攻撃の技では無いものの、十分以上にアドバンテージを得ることが出来るそれが発動する。
ガンダム・アナトフルドレスウェディングの左右の後方、∞を描くように巨大な黄金の円……サイコシャードが2つ現れ、全ての敵機の武装『2種類』をランダムに分解して強制的に使用不可にするその能力は、今回のミッションでの敵機の武装のシンプルさも相まって、凶悪なまでの効果を発揮していた。
しかし、だからと言って敵機が向かって来なくなるという訳ではなく、イナクトとGN-X達は一斉に飛翔してアナトへと向かって来る。
「行け、ストライカービット!リフレクタービット!」
8方向に伸びているそれぞれのユニットの上部からストライカービット、下部からリフレクタービットが無数に射出され、
「ドレスが完成するまで、伊達に何回も何回もビットで遊んでないんだから!」
斉射。
ストライカービットから発射されたビームをリフレクタービットで反射していき、意図的に生み出した不規則な軌道の無数のビームを全ての敵機に直撃させていく。
そして。
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
《俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよォ!》
「よっしゃぁ魅せプ成功!!!!
やってやったぞぉぁ!!!!!!」
コメント
:(ドン引き
:いや、あの、は?
:色んな意味で頭おかし過ぎて草も生えない
:この精度で反射までさせたビット直撃させてるの、パターン組んでる訳じゃ無いって事だよな……?
:これでランカーじゃ無いってマジ??
:まさかこんなやり方で本当に輪唱させるとは思わないやん
:てかこの必殺技?効果エグすぎないか
「でも、調整中の頃に偶然会ったチャンプのキョーちゃんとも何度か遊んだけど勝てなかったからセーフじゃない?
いやぁ、キョーちゃんはやっぱり強いねぇ」
コメント
:えぇ(困惑
:コレに勝てるってどういうことなん
:てかキョーちゃん呼びしてるダイバーなんて聞いたことねぇ
「いやでも私、このミッション結構やってるから慣れてるしさ。
それに、ビットの操作もそっちに集中してるからこんな風に出来てるけど、本来ならメガ粒子砲とかハイパーメガ粒子砲もあるのに同時に使えてないんだよ?
まだまだちゃんと使ってあげられてなくて悔しいんだよねぇ……」
コメント
:これでまだまだなのか……
:この弾幕の中でそんなメガ粒子砲撃たれたらたまったもんじゃないんだよなぁ
:チャンプはあの必殺技使っても勝ててないん?
「そうなんだよねぇ
この必殺技って敵の武装を2種類分解する効果で、武器の種類で判断して分解するからファンネルとかも『ファンネル』っていう1種類として判断して分解する、私から見てもエゲツない効果なんだけどさ
私が慣れてないのを込みにしても、何度やっても本当に勝てなかったんだよねー
いやぁまいった」
コメント
:チャンプはさぁ……
:チャンプはさぁ……
:チャンプはさぁ……
「あ、それ見たことある!
キョーちゃんの話題になるとよく見るよねー
いやぁ、なんであんなに強いんだろうねぇ?イケメンだし人間出来てるし、ガンプラ操縦するのも作るのも凄いし、色仕掛けしてもロクに照れもせずにメチャクチャ紳士な対応するんだよキョーちゃん。ヤバくない?堕としたくなる」
コメント
:ヤベー女が出て来たもんだ……
:このレベルの色んな意味で変態なダイバーが無名ってどう言うことなの
:てかチェリーちゃん、ランクはどうなってるん?
「だいぶ前に最後に見た時はAかなぁ?
必殺技が気になってCまでは気にしてたけど、そっからは特に気にしなくなったしなぁ……
そりゃ普通にGBNで遊んでも居たけど対人戦はあんまり興味無いし、本当に長い時間かけてウェディングユニットの製作と調整してたし。
個人ランクは興味無くてあげようともしてないし見てないから分かんないかなー
あと私、流石に対面してる相手とはある程度仲良くなった相手じゃないとエロを平気で前に出すような絡み方はしないからね?配信は別として。
分かった?チェリー……じゃなかった、ラバーズのみんな」
コメント
:まあそこは個人のスタイルによるしな
:あの規模と出来栄えのユニットを制作するのに大して時間かかってなかったら人間として見なくなるわ
:それはそう。距離感は大事だからな
:チェリーじゃないが????
:チェリーに反応するなよ、童貞に見えるぞ
「んじゃ、今回はこの辺で終わろっかな!
おつチェリー、みんな!
しーゆーれいたーありげーたー!」
コメント
:おつチェリー
:おつチェリー
:おつチェリー
ガンダム・アナト
ベース
ガンダム・バエル、ユニコーンガンダム、ストライクフリーダム
武装
レールガン
バエルの初期装備。
バエル・ソード
バエルの初期装備。
フルドレスユニット装着時はバインダーを外している為、手に持たなければミッションに持ち込めなくなる。
高エネルギービームライフル
ストライクフリーダムの装備から流用したビームライフル。
ビームマグナム
ユニコーンの装備から流用したビームマグナム。任意で選択して出撃。
スーパードラグーン・フルドレス(フルドレスユニット)
ストライクフリーダムのドラグーンをG-アルケインのフルドレス・ユニットを模して加工、バエル・ソードのバインダーをオミットして装着した武装。
スーパードラグーンは拡散メガ粒子砲のようにも発射可能にし、また、ビームソードとしても利用可能となっている。
コレを装備する事で、ガンダム・アナトフルドレスと呼称が変わる。
フルドレスユニットを装備している時専用の奥の手があるらしい。
ウェディングユニット
テラ・スオーノのMA状態の外装をイメージしてフルスクラッチで作り上げた、フルサイズで100mを超える超巨大装備。
これをフルドレスの上に更に装備した状態では、ガンダム・アナトウェディングフルドレスと呼称される。
ミノフスキー・クラフトが備えられており、シュトゥルムブースターを装着する事である程度の機動力は確保している。
その巨大なサイズと低い機動性は、しかし補って余りある武装群を装備した外装パーツとなっており、メガ粒子砲、ハイパー・メガ粒子砲、ストライカービットに加えてリフレクタービットを搭載した、本来4方向に装着されているユニットを倍の8方向に装着する事でドレスに見立て、その内部構造にサイコ・フレームを採用と、てんこ盛りにも程がある仕上がりになった。
システム・セイレーネも搭載されており、GBNにおいては発動後5分間の間敵機のセンサー全てが全ての機体を敵機として反応するという効果(NPDは同士討ちをし始める事となる)となり、そんな中で無数のストライカー・ビット、リフレクター・ビットのオールレンジ射撃を避ける必要が出て来る事となる。
しかし一対多でないと効果は無く、一対一では無意味な機能となる。
また、アナトフルドレス時はオミットされているバエルソードをウェディングユニットに装着しておく事で、脱出時等に装備して脱出する事が可能。
その性能から余程の事かソロでのミッション、遊びに行く時に持ち出す程度となっており、『天災』『非公式レイドボス』と言われる事になったりならなかったり。
必殺技
マリッジリング・ウェディング
ネオジオングと同様なリング状のサイコシャードを二つ発現、敵機の武装をランダムで『2種類』破壊し、自機と僚機の損耗の状態を戦闘、或いはミッション開始時まで巻き戻すという、装備付け得の効果となっている。破壊された武装も修復されるが、今回は被害が無い状態で使用した為、発揮されなかった。
また、それ以外にも今回は使われなかった効果がもう一つあるようで……
アルミリアをイメージした白と所々黒寄りの灰色、アクセントにアルミリアの髪をイメージした青となっている。
外見はバエルに比べて頭部の角がやや短くなっている程度の違いとなっている為、ウェディングユニット非使用時のバエルの機動力は健在。
ユニコーンのフレームにバエルの装甲を組み合わせるようにして作られており、ウェディングユニット無しでもサイコフィールドを発生可能にするなど機体性能と防御力の向上も図られている。
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桜野恋愛01:お披露目の後と朝のとある一コマ。
ゲストもいるよ
あとサブタイ付けてみたよ
ちょっとゲストのセリフ調整したけどどんなもんじゃろか
「……まぶし」
カーテンの隙間から漏れて来た日の光で目を覚ました私ーーサクラノ・レアはのそりと体を起こしてベッドから這い出ながら、寝ぼけた頭で昨日の夜の事を思い出す。
「楽しかった……けど、ねむぃ……」
それは、アナトのウェディングユニットをお披露目した配信を終えた後の事。
あのミッションでの、最後のビットでの魅せプレイの成功にテンションが上がっていた私は、配信を終えてから真っ先にGBN内の『La Rencontre』へと向かっていた。
その時の私はそれはもう上機嫌。ドアをスイングドアかと言わんばかりに勢い良く開けて飛び込んで、マギーちゃんにデコピンされて注意されるくらいには上機嫌だった。
流石に少し反省した所で、まあまあ、と宥めるような声がかけられたのが聞こえてそちらを見てみると、そこに居たのはカウンターの席に座って苦笑しながら座っている男性。
配信でも言った通り、ウェディングユニットの調整に何度か付き合ってもらったダイバーのーーなお全敗したーーGBNのチャンピオン、キョーちゃんことクジョウ・キョウヤがそこに居た。
どうやら配信を見てくれていたらしく、是非完成したガンダム・アナトフルドレスウェディングと戦ってみたい、と言われてしまって、テンアゲ状態の私は一も二もなくそれを承諾。
何とか善戦はしたと思いたいけど割とあっという間にビットを全て撃破され、普段開いているウェディングユニットをつぼみのように窄めるように閉じて8門のハイパーメガ粒子砲を一点集中させて発射するという取り敢えず思いついてやってみた新技も簡単に凌がれ。
ウェディングユニット、フルドレスユニットの武装どころかユニット自体とフルドレスユニットの奥の手すら処理され、いざ『トライアームソード』でアナト本体が撃墜されるという瞬間に『マリッジリング・ウェディング』を発動させるという最高のタイミングで使えた事で、キョーちゃんは再構成されたウェディングユニットにぶつかって弾き飛ばされ、同時にその効果で『トライドッズライフル』と『TRYファンネル』の遠距離武装2種類を分解すると言う最高の引きをしたのを知った。
私は配信では使わなかったもう一つの効果、『自分のランクと同程度の強さのNPDガンダム・バエルを召喚する』というものも利用して、吹き飛ばされたキョーちゃんを追撃する為に全て合わせれば200を優に超えるビットを総動員させ、包囲しての集中攻撃を試みた。
しかして結果はと言うと、必殺技を発動する事に意識を割いていたのもあって私は気付けていなかったけれど、そもそもトドメとして近寄っていた事自体がブラフだったらしく。
必殺技を使用する事を読んだ上で、出現するであろうウェディングユニットごとダメージを与える為に、トライエイジシステムで巨大なタイタスの拳をぶつける準備をしていたようで。
アナト本体に直撃こそしなかったものの、ビットを展開仕切る前に強すぎる衝撃を与えられてビットの制御が途切れ、半端に展開してそのままとなったビット達は『トライアームソード』で一瞬で細切れにされた。
それからと言うもの、近接武器しか無くなったキョーちゃんは、曰く「出来る事が少なくなった分、やる事が単純になって考える事が減ったから集中できる」との事で。
ビットというビットを避けて寄って切る、を繰り返し、ウェディングユニットでメガ粒子砲とハイパーメガ粒子砲を撃った直後に最大まで広げて目隠し兼質量弾として切り離し、フルドレスで奇襲を仕掛けたものの、全ての作戦を見破られて突然目の前に現れたTRYAGEマグナムにまんまとアナトを切り捨てられる結果となった。
キョーちゃんには「楽しかった、オールレンジ武器への対応の練習にもなるからまた手合わせして欲しい」とは言われたものの、ウェディングユニットを気軽に使えるのは楽しいとは言え流石にこんな事を頻繁にすると疲れるので、「偶にならね!」と返しておいた。それでも嬉しそうだったけど。
「(すごいよなぁ……アレがチャンピオンかぁ)」
武器構成的に中〜近距離を得意とするのであろうキョーちゃんの機体、TRYAGEマグナムはウェディングユニットとは根本的に相性が良くない(そもそも、ベースのテラ・スオーノに関してはその護衛の為にデスパーダとシクスードが用意されているくらいな訳で)とは言え、ああも一方的な戦いになると最早呆れすら感じる。
……まぁ、必殺技の効果で護衛役になるNPDガンダム・バエルは出て来ては居たのだけれど。歯牙にも掛けられなかっただけで。
ぼんやりとしながら思い出していた間に、トースターに放り込んでいた食パンが焼き上がり、電気ケトルのお湯が沸いている音で現実に意識が引き戻される。
「さっさと朝ごはん食べて、お店行かなきゃなぁ」
なお。
現時刻は朝と言うよりは昼であり、その直接の原因となったのはそのバトルではなく、「対オールレンジ武器の練習になる」という発言から、アナトフルドレス、或いはウェディングを用いた対オールレンジ武器の練習用に調整したクリエイトミッションを作ろうと思い至ったが最後。気が乗ってしまい、
普通のビーム限定のフルドレスのドラグーンを1分間避け続けるか全て撃破する、E〜Dランク推奨のイージー
ウェディングのストライカー・ビット20機を2分間避け続けるか全て撃破する、D〜C推奨のノーマル
ウェディングのストライカー・ビット25機に加え、リフレクター・ビットが10機加わるなか3分間避け続けるか全て撃破する、B〜A推奨のハード
チャンピオンやマギーなどのランカークラスとの対戦データを元にした、フルドレスの奥の手以外全装備開放、必殺技もアリの時間無制限でアナト本体を破壊すれば勝利のエクストラ
と、4種類のクリエイトミッション、ミッション名『高嶺の花嫁』をノリノリで製作していたら気が付けば朝になっていた、と言うのが真相である。
これらのミッションはあくまで練習用という事で報酬こそ無いものの、チャンピオンには好評だったらしく、チャンピオンが配信などで感想を言っていた事でそれなりの人数が挑戦するようになったとか。
閑話休題。
何はともあれと、冷蔵庫から取り出したジャムとバターを適当にこんがりトーストに乗せ、お気に入りのマグカップに入れたインスタントカフェオレの粉にお湯を注ぐ。
「ん、おいし」
やっぱジャムはいちごだなぁ、と考えながらも時間もない事だし、とさくさくもそもそとトーストを食べてはカフェオレを一口飲み、またトーストを齧り、と繰り返していき、さっさと食べ終える。
身嗜みを変じゃない程度に軽く整え、部屋での普段着であるジャージからあまり体のラインが出ない地味目のゆとりのあるサイズの服に着替えて、目元が軽く隠れる程度には長い前髪はヘアピンを着けずに敢えて垂らし、赤いフレームの伊達眼鏡をかけていく。GBNでは兎も角、リアルで外出する時は必要以上に目立つような服装をする気はないのだ。
良くも悪くも他人と違う、目立つ、と言うのは、良いことばかりではないと知っているから。
その代わり、GBNでは服も自分の好きな事も全力で楽しんでいく。自分で言うのもなんだけれど、顔は整っている方の自覚もあるし、この体はネットで注目を得るのに有利なのは理解している。
着る服に割と困るこの体型も、GBNでは全く関係ない。好きな服を着て、好きなように好きなガンダムヒロインのコスプレができる。
初恋がラクスという女性キャラであったり、その後もガンダム作品を見ては男女のキャラ問わずそう言う目で見ていると言うのも、GBN、特にG-tuberとしては話題のネタになるし、受け入れて貰える。
こんなに嬉しい事はない、というやつだ。
「さて、行きますかぁ」
準備を終えた私は、ドアの鍵を閉めてバイト先である店、リアルにある方のマギーちゃんのバー、『アダムの林檎』へのいつもの道を歩き出す。
とは言え、大した距離でも無く、ぼんやり歩いてたら着くくらいには本当に徒歩圏内の距離だけれど。
「……ん?」
「……あ、こんにちは。えぇと、マギーさんのお店の……さくらさん、ですよね?」
「えぇ、合ってます。こんにちは、ヨノモリさん。今お帰りですか?」
「そうですね、さっき軽くごはんを食べてきたところです」
視界に入った、私と同じくらいか若干高いか、という身長に見覚えのある青みの混ざった銀色の髪の女の子に思わず反応すると、彼女も気付いたようで、お互いに軽く挨拶。
可愛いかよ!!と抱きしめたくはなるものの、気軽に世間話をするような仲とは言え、現状の関係としては店員と常連客というものである以上、リアルでそこまで攻めることはしない。GBNでならしてた。
彼女の名前はヨノモリ・レイ。
良質な塗料を扱う事でGPD全盛期時代からファンが多い『ヨノモリ塗料』の娘さんらしく、彼女自身もGPD、GBNのプレイヤーなのだとマギーちゃんから伝え聞いている。何でも、相当な実力者なのだとか。
ちなみに、『さくら』というのはお店での私の源氏名のようなもの。念の為プライベートを守る為にも、一応こういうものがあった方が良いのだとか。
じぃ、っと視線を感じてヨノモリさんの視線を辿ると、その先は私の顔よりも下。
そう言えばお店でも私を見てから視線を落としてぺたぺたと自分の胸を触っていた事があったなぁ、と思い出し、ハハーン、「同じくらいの身長なのに」とかそういうやつだな?とあたりを付ける。
「触ってみます?」
「!?!?い、いいいいいですっ!!すみませんジロジロと…っ!」
「別に構いませんよ、女の子同士ですし」
割と本音だったし何ならどんとこいだったのだけれど、まあ流石に冗談だと受け取られたようなので、大人しく引き下がる。まあ、天下の往来であまり長く続けるような話題でもなし。
「ではすみません、お店に行かないといけないので。またお店でお会いしましょう」
「あ、はい。また今度お店でーー」
「……待ってますから、ね?」
すれ違い様に耳元に少し口を寄せて囁くように言い残すと、ひゃぁ!?という可愛い悲鳴が聞こえてきた。
んぎゃわぃぃぃぃぃぃぃ!!!!とはどうにか口からは出さずに納めて、改めてお店への道を歩き始める。
今日もいい一日になりそう。なんならもうなってる。と思いながら。
チャンプはさぁ(挨拶
と言うわけでゲストは青いカンテラさん家のクオンちゃん(リアルのすがた)だよ
許可感謝感謝です
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チェリー・ラヴ05:勉強と気付きと再会、そして。
気が付いたら最後のあたり少しシリアス入ってたよ
書いてるうちに新しい設定が浮かんだりらじばんだりしたので軌道修正とかしたりしなかったりしながら書いてる
クオンちゃん様が名前と話題出てるけど御本人は登場しないよ
『ーーそれでは良き終末を!』
「んー……んー……?」
「あらチェリーちゃん、動画?お酒も飲まずに、珍しいわね」
「ん、ちょっとねー」
私も仮にもG-tuberデビューした身。
人気のある先達のG-tuber達のアーカイブを見てちょっと参考にしたり勉強しようと思い立って、最近ちょいちょい見ている私は、今日も今日とてトップ画面で表示されていた動画を開いていた。
そのアーカイブの配信者は、ダイバーネーム『クオン』。フォース『エターナル・ダークネス』のリーダーを務めており、GBNにおいて個人ランク二桁後半という、マギーちゃんやタイちゃん、シャッフィーのような私の友人達よりは下ではあるものの、所謂トップランカーと呼ばれるような類のダイバーだ。……いやまぁ、比較対象のメンツが悪いんだけど。
『La Rencontre』の常連のようで、一緒に座った事は無いものの、偶にすれ違いで見たことがあったのをサムネイルを見た時に思い出し、試しに、と選んでみた訳である。
配信の内容としては主にお散歩配信をしているようで、ハロカメラを足元で追従させる事で視聴者にも足元とはいえ一緒に歩いているような感覚を味わえるようなその配信の方法は、こんな感じだよね、と普通に使っていた私には目から鱗。とても参考になった。
あとスレンダーで綺麗なスタイルに黒のドレス着てるのエッチだし、偶に完全には振り返らずにこっち見るときの赤と黄色の舐めたいくらい綺麗なオッドアイの流し目もエッチ。とても素晴らしい。最&高。びゅーてぃふぉー。
まあそれはともかくとして。
「マギーちゃんマギーちゃん、この子なんだけどさ」
「何かしら?あら、クオンちゃんの動画見てたのね。クオンちゃんがどうかした?」
「知ってたらでいいんだけどさー
ーー私、この子に会ったこと無い?」
マギーちゃんはきょとん、とした表情になって、
「そうねぇ、覚えてる限りでは一緒のタイミングでここにいた事は無いと思うけれど……可能性があるとしたら、開店祝いでみんなが来てくれた日かしら?」
一緒のタイミングで『ここに』いたことは。……ふむ?
「ふんふん、なるほどなるほど。じゃあ……」
カウンターを飛び越えて軽く脚を組むようにしてカウンターに腰掛け、マギーちゃんの頬に手を添えて、顔を背けて誤魔化せないようにしながら、もう一度訊ねる。
「リアルのお店で、会ったことはあるって事?」
「やだ、チェリーちゃん格好いい……」
「何なら男装してやってあげようか?
マギーちゃんの為なら、GBNでたーくさんコスプレしてきた経験活かして、身長から何から変更してコスプレして来てあ・げ・る♡
ミゲルの緑服とかどーぉ……?」
「凄く見てみたい……け・ど、カウンターに腰掛けるのはお行儀悪いからダメよ?」
「にゃぁっ!?ちょ、ちょちょちょマギーちゃん!?!?」
押せ押せでマギーちゃんを揺さぶりつつ聞き出そうとしたものの、お姫様抱っこで掬い上げるように持ち上げられてしまい、逆に私の方が顔は赤くなるわ動揺するわで一瞬で完全敗北。流石の『マギーお姉さん』だった。
「マギーちゃんほんとすき……包容力ヤバすぎだよぉ……結婚しよ……」
「はいはい、椅子に降ろすわよー?」
「やぁー、このままがいぃー……」
「クオンちゃんの事少し教えてあげるから、私の首に回してる腕離してとりあえず降りましょ?ね?」
「う〜……聞きたい、けど殆ど確認みたいなものだし……」
周り、というか店内に他の人が居ないことを確認して、念のためにマギーちゃんの耳元で囁くような声で訊ねる。
「……多分ヨノモリさん、でしょ?」
「あら、本当に気付いてたの?」
「なんて言うか、配信見てたら何となく。
背が高かったり、角とか翼とか尻尾とか付いてるけど、なんて言うのかな、匂い?雰囲気?そんな感じで。
話し方も偶に素が漏れてるから、多分そうだなーって」
「よく見てるのねぇ……」
「クオンちゃん美少女だからね!
それに、リアルでも何度も見てるし。流石に確信まではいかないにしても、察するくらいなら割とーー
ん、ごめん、降りるね」
そんな事を言っていると、入り口のドアの向こうにちらりと人影が見えた。
お客さんが誰も居ないから少しわがままを言って甘えさせてもらっていただけで、流石に人が居る状態でここまでのことをするつもりは無い。邪魔しやがって、とは思うけれど、それはそれなのだ。
元座っていた椅子に戻り、何もありませんでしたよと言わんばかりにしれっとした表情を繕って、まだ飲み切っていなかったグラスに残っている烏龍茶を一口飲む。
「やあ、マギー。調子はどうだい?」
「あら、ロンちゃん!いらっしゃぁーい!」
「ロンちゃんだぁーーーーっ!!!!
モフっていいよねモフる答えは聞いてない!!!!」
「おっとと、直接会うのは久しぶりだね、あー……と、チェリーくん。元気そうで何よりだ」
「うんうん久しぶり久しぶり!!
相変わらずモフモフで気持ちいいなぁロンちゃんお持ち帰りしていい?」
「はっはっは、撫でるのは構わないがそれは困ってしまうなぁ」
やって来たのは、一言で表すなら軍服を来て二本足で歩く、ええ声のフェレット。しかしその実力は、『あの』チャンピオンと張り合うほどで、ことフォース戦での戦術の緻密さと言ったら『智将』とすら言われるほどの人物。
個人ランクワールド2位、フォースランキング2位『第七機甲師団』隊長、ロンメル。
そして私とマギーちゃんからの呼び名はロンちゃんである。
「はぁぁぁぁぁぁぁロンちゃんモフモフかわいいかよぉぉぉぉぉぉぉ……
ロンちゃんハイここ、抱っこするから膝の上ね!私しばらくロンちゃん吸いするから!」
「お手柔らかに頼むよ」
ロンちゃんを抱きかかえて椅子に座り直し、スゥゥゥゥゥゥゥゥゥと吸ってもロンちゃんはどこ吹く風(諦めているとも言う)とマギーちゃんにウィスキーをロックで注文。
「そういえばチェリー君、君の『高嶺の花嫁』に挑戦してみたが……いや参った。エクストラでは一度失敗してしまったよ。2度目は何とか上手くいったが、あの必殺技がやはり凄まじいな。
しかし、あのイージーからハードは実に良い調整がされている。ウチの下部フォースでのカリキュラムにも入れるか検討しているところでね」
「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
「うん、聞いていないね?」
「ぷへぁ……合法電子ドラッグだよこんなの……
だいじょぶ、聞いてる聞いてる。ミッション説明にも書いてる通り、練習用に作ったやつだしね、思いっきり使って良いよ!」
「ああ、そうさせてもらうとしよ「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」……そうさせてもらうとしよう」
ぷへぁ、ともう一度吐き出したところで、からん、と氷を鳴らしながらウィスキーを一口飲んだロンちゃんに声をかける。
「あ、そうだ。ねえねえキャプテン・ジオン」
「なん……の、事かなチェリー君」
普通に返事をしそうになって軽くつっかえるロンちゃん。分かりやすいなぁ、と思いながら、モフる手は止めずに続けていく。
「駄目だよー?隠すならちゃんと隠さなきゃ。さっき見てみたけど、声もあんま変えてないじゃん?」
「……まぁ、確信されてるならこれ以上隠す必要もないか。
そうか、分かりやすいのか……」
「あんまり気にしなくていいと思うわよ?
本人を知ってるからって、一回見ただけでロンちゃんだって分かるのなんてチェリーちゃんくらいだと思うもの。それに、気付いたとしても特撮ヒーローみたいに、中の人を知ってるけど見てる、みたいな層もいるんじゃないかしら。
そう考えると、悪いものでもないんじゃない?」
尻尾が若干しゅんとしている様子のロンちゃんを見てフォローを入れてくれたマギーちゃんに内心感謝しつつ、やらかした本人の私も続ける。
「あー、確かにそうかも。
私はまあほら、ロンちゃん達は知っての通りそういうのやるならガッツリ変えるからその辺の感覚の違いもあった。
ごめんねロンちゃん」
「いや、貴重な意見だった。感謝するよチェリー君。
どうにも、このくらいの立場まで来るとこういった意見を直接貰うことは少なくてね」
「大人だなぁロンちゃん……こんなモフ可愛いのに……かっこかわいい……」
「まぁ、あの格好は君に触発された部分もあるからね。先達からの意見は参考にするものだろう?」
「……ぇ?」
思わず、思考が止まった。
「あら、そうだったの?」
「そうとも。
GBNだからこそ出来る、あの自由自在にガンダム作品のキャラクター達へと姿を変え続け、その為に全力で努力し続ける在り方。それもまた、GBNを愛している者として尊敬に値するーー」
「そんな事無いよ
尊敬に値するなんて、そんな事、無い」
思った以上に冷えた声が出て、
「……チェリー君?」
「……っ、ごめんロンちゃん、今日は落ちるね。少し頭落ち着かせて来る。
マギーちゃんも、ごめん。明日までには元に戻るから」
「……ええ、待ってるわね」
ロンちゃんを抱いたまま立ち上がり、座っていた椅子に座らせた後はメニューを操作、ボタンを押してその場から逃げるようにログアウトした。
情緒不安定かな?って書いてて思ったよね(
次はまた元のテンションに戻ると思いたいね
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チェリー・ラヴ06:次の日。
まあ元のテンションに戻ったとも言えるし引きずってるとも言えるかなって
次話はもう戻ってるはずと思いたいわね
あれからというもの、やらかした、という気持ちが拭えないまま一晩が過ぎ、昨日ログインした時と同じような時間になっていた。
それなりに昔の事は折り合いを付けたつもりだったし、コスプレを褒められる事自体は素直に嬉しいのも事実だけれど、不意打ちで『昔のGBNでの私』を褒められてしまった事でどうしても動揺が隠せなかった。
挙句に、自分で悪くしてしまった空気に耐えられずにーー頭を冷やしたかったのもあるけれどーー逃げるようにしてあの場を離れてしまったので、控えめに言って最悪といった感じで。
「ム"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"」
多少なりと落ち着いた今ですら、恥ずかしさやら何やらで色々と混ざった叫びを、枕に顔を押し付けて発散していた。
「(本当ありえないロンちゃんは褒めてくれただけだし『私がダイバーネーム変えて前みたいなコスプレをするのを辞めた理由』も進んで言いたい訳じゃないし他の人に態々詳しく言うことでもないからって思って教えてないから知ってる訳ないしそもそもしばらく会ってなかったし前あった時は今より折り合い付いてなかったから軽くぼかして名前変えた事伝えただけでそれ以上話題にもしてなかったし伝えてないこと忘れてたのは私が悪いだけだしもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!)」
しばらくお待ちください。
「GBNいこ……」
何はともあれまずは謝るところから、とGBNにログインする事にした私は、机に置いてあるダイバーギアの元へと向かう。
「よーし……おっけ、おっけ、マギーちゃんとロンちゃんに会いに行って、あとは……散歩でもしよう、そうしよう」
ぺちぺち、と頰を軽く叩いて少し気合を入れて、考えが変わる前にそのままログインする。
ログインに成功してセントラルエリアに辿り着くと、マギーちゃんから「今日もこっちのお店にいるから、何時でもいらっしゃいな」というメッセージが届いていた事を通知が知らせてくる。
思わず少し気まずさにぐぬぅ、と声を漏らしつつも、謝るのは早い方がいい、と自分に言い聞かせて移動の為の操作を行い、ディメンションを移動してそのまま真っ直ぐ『La Rencontre』へ。
「ゃ、やほー?」
おそるおそるドアを開けて少しずつ覗き込むようにしながら中に入ると、そこに居たのはメッセージを貰っていたマギーちゃん。そして、
「あらチェリーちゃん、いらっしゃい。……落ち着いたかしら?」
「やぁ、チェリー君」
「ろ、ろろろろろロンちゃん!?」
後で会いに行こうと思っていたので完全に不意打ちだったロンちゃんの登場に思わずテンパってしまった私はというと、
「……まぁ、なんだ。元気そうで何よりだよ」
「そうねぇ」
「……はっ!?私は何時の間にロンちゃんを抱っこして……?」
無意識の内に椅子に座っているロンちゃんを抱き上げ、代わりにそこに座ってロンちゃんを膝の上に座らせてモフモフしている状態になっていた私は、2人の声で我に帰る。
「昨日は不躾な事を言ってしまったようだ。済まなかったね、チェリー君」
「……ううん、謝るのは私だよ。
ごめんね、ロンちゃん。コスプレを褒めて貰えたのは嬉しかったんだけどーー昔の私の事は、ちょっと触れないで欲しい……かな。大丈夫になったら、話すと思うから」
「心得た、気を付けよう」
「マギーちゃんも、ごめんね」
「いいのよ、そんな事。
私も、知ってるんだからそれとなく止められていればよかったわね、ごめんなさい」
「ありがとう……大人だなぁ、ふたりとも……」
少し力が入ってしまっていた腕に何も言わず、抱きしめる為に回している腕をぽんぽんと肉球付きの手で優しく触ってくれるロンちゃん。
「そうとも、私達は君よりも少しばかり大人だ。
だからこそ、若い者を少しでも支えてあげるくらいはしなければならないだろう?」
「やば……格好良い大人じゃん……可愛いし格好良いのずるじゃん……」
そう呟きながらぽふ、とロンちゃんに顔を埋める。
「スゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」
「……調子が戻ったようで何よりだね」
「ふふっ」
ぷへぁ。
「それでチェリーちゃん、今日の予定は決まってるの?」
一息つく為にロンちゃんから顔を離したタイミングでのマギーちゃんの質問に、あごをロンちゃんの頭の上に乗せるようにして答える。
「ん、まぁお店寄ったあとロンちゃんの所行って、その後はお散歩配信でもしようかなと思ってたくらいかなぁ」
「そういえば、昨日はクオンちゃんの配信見てたんだものね。良いんじゃないかしら!」
「マギーちゃんとロンちゃんも来る?」
「行きたいのは山々なんだけど……私は今日はお店だから難しいわね。でも、誘ってくれてありがと!」
「私も今日はこれから用事があるものでね、すまない」
「そっかぁ……」
しょぼん顔になりながらもそれはそれ、元々一人でする予定だったし、用事があるなら仕方ない、と名残惜しいけどロンちゃんを椅子に下ろして立ち上がる。
「んじゃ、行ってくるね!」
「気を付けていってらっしゃーい」
「楽しんで来るといい」
2人に手を振りながら店を出た私は、配信の準備もしつつ、さて、どこに行こうかな、と考えを巡らせる。
「ん、決ーめたっ!!」
私の配信としては初めてのお散歩。となれば、『あの場所』はきっとピッタリだと思い、ディメンションを移動する。
配信の準備を終わらせ、
「みーーんなーー!グッチェリーっ!!」
ところでロンちゃんはフェレット好きミリオタ合法ロリ女医概念アリだと思います
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チェリー・ラヴ07:初めてのお散歩配信その1。
あ、独自設定あり。
コメント
:グッチェリー!
:グッチェリー!
:初見デッッッッ
:今日は何をやらかしてくれるんだ…?
「初見さんいらっしゃーい!
ん〜?な・に・が・おっきいって〜?」
コメント
:エッッッッッッ
:エッチコンロ点火!
:エッッッッド
:江戸幕府(略
:略さないで
「オタクくんさぁ、そんなんだからチェリー君なんだよー?」
初見さんらしい視聴者に対してのわざとらしく腕を組んで胸を持ち上げるようにした事への反応が期待通りで面白くなってしまい、おまけでもう一言。
昨日の勉強で学んだ、ハロカメラの場所を変える事で変わる視点の変化を利用する為にハロカメラを持ち上げ、低身長の私を見下ろすくらいの背の人の顔に見立てて、演出として少し背伸びをしながら煽るような表情を作り、人なら耳元であろう位置に顔を寄せる。
そして、
「ざぁ…こ♡」
コメント
:チェリーじゃないが??
:は?エッッッッロ
:メスガキがよぉ
:このっ!どこでこんな事覚えた!言え!!
:わからせたい、この笑顔
「うんうん、お気に召したようで何より何より!
昨日ちょっと勉強してさー、ハロカメラの場所変えて配信するの面白いなーって、試しにやってみた!
エッチだった?オタクくんこういうの好きでしょ?これだけでご飯食べられるでしょ?」
コメント
:試しに、でメスガキ煽りムーブかぁたまげたなぁ
:は?好き(半ギレ
:ご飯3杯はいける
「それで、私をわからせたいんだっけ?
……いーよ、明日ヴァルガで待ってるから、私をわからせて♡私をオトしてみて♡」
コメント
:エッッッッッッロいけど絶対行かん
:エロいけど明日は絶対ヴァルガには近寄らん
:撃墜してみて(強者
:おいおいおい死んだわアイツ
:『高嶺の花嫁』で予習しような(にっこり
:明日のヴァルガは荒れるぞ……
もう一度耳元で煽るように囁くと、今度は興奮よりもみんな怖がっててあれぇ……?となったものの、まぁ丁度いいか、と気を取り直す。
「まぁ、とりあえずそろそろメインに移ろっか!
あと、明日は本当に午後からヴァルガに『ウェディングで』行くつもりだから興味あれば来てみてね!」
コメント
:【警報】明日の午後のヴァルガに災害発生確定
:ヴァルガ民喜べよ美少女合法ロリ巨乳が来るぞ
:もしコレ上位ランカーが知ったら……
:おいおいおい死んだわヴァルガ
「せめて速報じゃない?
交流出来る機会なんだからもう少しくらい喜んでくれる人が居たっていいと思うんだけど??」
それはさておき。
「まあ一区切りって事で。いつまで経っても話しちゃいそうだしね!
では問題です!ジャジャンっ!ここはどこでしょうか!」
コメント
:格納庫には見えるが
:この間のアナトの時の格納庫とは違うっぽいな
:モルゲンレーテのだな、ヘリオポリスか?
「え、何でわかるの……?きもちわるなんでもない」
コメント
:爆速特定ニキ可哀想だけどこの速さはちょっと擁護出来ない
:流石に引くけどやめてさしあげろ
:気にしてないので蔑んだ目でもっと本意気でお願いします
:変態だったか……
「いいの?ちょっと待ってねー」
コメント
:いいよ、じゃなくていいの、って言わなかったかこの女
:言った気がしますねぇ……
:これは期待出来る
ハロカメラを、こっちを見上げるような角度で調整して床に置き、踏み付けているように見えるよう足元に適当な物を置いて片足を乗せる。後はハロカメラを見下す様な表情で視線だけ向けて、
「気持ち悪い……何で悦んでるの?恥ずかしくないの?女の子にこんな事されてるのに?……最低。2度と私のそばに近寄らないで。
こんな感じでいい?」
コメント
:ありがとうございます!!!!また来るので何度でもお願いします!!!!!!
:本当にまあまあガッツリやって見せてくるじゃん
:なんで俺達は他人のSMみたいなもん見せられてるんだ……?
:私にも分からん
:分からんのか!この戯けが!
:ちくわ大明神
:だからお前は阿呆なのだ!
:師匠ぉぉぉぉぉぉ!!
:誰だいまの
:なんだこれ
:ここまでテンプラ
:ここまでテンプレ
「はいはい話し進めるよー!変態君は多分しばらくやらないと思うけどまた何度でも、と言うか毎回おいでね!
さて、今日は変態君の言った通りヘリオポリスに居まーす!ガンダムSEEDの始まりの場所だね!」
ハロカメラを持って、自分ごと回るようにして周辺を流す感じに軽く画面に映していく。
「今でも覚えてるんだけどさ、私、初めて見たガンダムがSEEDだったから、ここに初めて来た時本当テンション上がっちゃって思わずわぁぁぁぁぁっ!!ってなったんだよね!特に、このオブジェクトとして寝かせてあるストライク……たまんないよね……じゅる……
多分、みんなもGBNのどっかで同じような経験あるんじゃない?」
コメント
:分かる。初代の布がかけられて寝かされてるガンダムを見た時とかもマジでテンション上がった
:炎の中で立ち上がるストライクの格好良さやべえよな……
:あの初代とかこのストライクもだけど、実は乗り込んで立ち上がらせるまではちゃんと、機体の中のどっかしらで見れる手順通りにコックピットの中で操作すれば出来るんだよな
「そ!!!!れ!!!!!!!!
本当最高の仕様。やった事ない人は触ってみて!あのアニメでの立ち上がるシーンで、ダイバーギアじゃない操縦桿握って、マジもんのガンダムを自分で立たせてる感覚マジで最高だから!!」
コメント
:チェリーちゃんが普通にガノタして興奮してる……
:なんか新鮮やなこの絵面
:実際ガノタならテンション上がるからしゃーない
「控えめに言って濡れるって感じだよね!!」
コメント
:これさえなけりゃなぁ
:だが!これでいい!!
:これでこそって感じはある(
:これだからこの合法ロリ巨乳は(褒め言葉
:褒め言葉なのか……?
「それじゃ、折角だからアニメとはタイミング違うけど、『OSを切り替えるキラ・ヤマト』のモノマネしまーす!!」
コメント
:お?
:マ?
:た?
:せ?
:草
:あの早口セリフか
「えーっと、あの時のキラの私服はこの辺に入ってた、は、ず……っと、あったあった」
持っている『ダイバーオリジナル以外の実装されているほぼ全て』のコスチュームの一覧から私服のタグで分けているページを開き、下に一気にばーーーーーーっとスクロールしていき、大体の場所を思い出しつつ手癖でストップ。
1発で表示画面に収める事に成功してちょっと嬉しくなりつつ、迷わず着替える。
「チェリーちゃーん、ドレスアーーップ!!
どーうよ、最初のキラのコスだよ!当時は特にこのデザインに対して何も思わなかったけど……まぁ、うん。独特だよね!」
コメント
:おお、持ってるのか
:自分で言っておいてデザインに対して言うのか……
:(チェリーちゃんが)可愛い
「んじゃ乗っていくね!いやー久しぶりだなぁ、上手くやれると良いんだけど」
コックピットを開いてシートに飛び乗り、モニターの上にハロカメラを載せてこちらが映るようにする。
「まずは起動するよー」
コメント
:一々動作が速いんだが
:このスピード感……RTAかな?
:来るぞ……
「さて、と。いくよー」
気分だけとは言え手をパタパタと軽く動かし、深呼吸を一回。そしてキーボードに手を置き、
「キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定…、
チッ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結!
ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築!メタ運動野パラメータ更新!
フィードフォワード制御再起動、伝達関数!コリオリ偏差修正!運動ルーチン接続!
システム、オンライン!ブートストラップ起動!」
コメント
:おおおおおおおお!!
:この早口長台詞を噛まずに1発だと
:やりますねぇ!!
:よく覚えてるなぁ
「結構練習したからね!
実はキーボードの位置の意味は兎も角、指の動きはちゃんと合わせてたんだけど気付いた?気付いた?」
コメント
:流石に気付かなかった
:だろうなとは思ったけど本当に合ってたのか
:勿論気付いたので罵って下さい
:変態ニキ流石過ぎた
「気付いてくれてありがと、変・態♡
みんなも見てくれてありがとね!
よーし、じゃあ今度は普通にヘリオポリスを散歩して見て回るよ!」
あのお散歩配信でのハロカメラの使い方を見て、こう言う事にすぐ思考が回るのそう言うとこやぞお前この合法ロリ巨乳。
あの書き換えセリフ文字に起こしてる人いるの凄いなって。
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チェリー・ラヴ08:初めてのお散歩配信その2。
いやマジでうろ覚えすぎる
あ、青いカンテラさんちのGBN総合掲示板でウチのクリエイトミッションのスレが立ったよ
「っと、折角ここにいるんだし、キラとカガリの走って来たルートを逆走してく感じに歩いて行こっか!」
ふんふん、と鼻歌混じりに階段を登って行き、まず辿り着くこの格納庫での原作ポイントの一つ。あの2人がここに辿り着き、起動していない『ストライク』と『イージス』を巡っての射撃戦を目の当たりにした場所に立ち、改めてあの2機を見下ろす。
「はぁぁぁぁぁぁ……好き」
コメント
:顔が赤らんでてこんな声出すのもうさぁ
:ストライク見てこんな顔する女居るか??
:ストライクは好きだけど、ここまでかぁ……
「まぁ、どちらかと言えばフリーダムとストライクフリーダムの方が好きなんだけどね」
コメント
:えぇ……?
:それでこの顔するなら、フリーダムの格納庫見たらどうなるんだ……
:やばそう(確信
「ストライクも間違い無く好きなんだけどね!フリーダムは……さっきストライクに乗れる事について言ってた時の事が比喩じゃなくなるんじゃない?
そうだ私さ、本編以外のC.E.系機体で、その作品見た事ないのにマジもんの一目惚れした事ある機体が居るんだよね」
コメント
:ほう?
:アストレイとか?
:ストライクノワールか?
「正!解!!ストライクノワール!!
ほんっっっっっっっとに一目惚れだったのあの機体!!連ザⅡPlusのPV見てストライクノワール初めて見てさぁ……もう……
あの気持ちは正しく愛だったよね……」
コメント
:また懐かしいタイトルが出て来たな
:ストライクノワールはイケメンだからな
:空中で横ロールしながら射撃するモーション好きだった
:グラハムかな?
:恋じゃなくて愛だったのか……
「あのモーションほんと最高……
私の初恋はラクス様だからね!」
コメント
:お、おう……
:赤服組とかのパイロットとかじゃなくてラクスなの、凄く『らしい』なと思ってしまった
:ラクスに恋し、ストライクノワールを愛し、フリーダムで濡らす女
「いやまぁ本当とはいえ冗談めかして言ってるんだけどさ、実際あのストライク見てラクス様に恋してなければ多分今私ここに居ないんだよねぇ……
そう考えるとーー……いや、うん、本当に、SEEDって作品は完全に人生を変えた出会いだったと思う。destinyも、思う所は無いとは言わないけど普通に好きだしね!」
んじゃそろそろ行くよー、と通路へと足を向け、別画面でマップを開きながら歩き始める。ここからは結構味気ない通路が続くから雑談に丁度いいと言えば丁度いいな、と思いつつコメントを眺めていく。
コメント
:destinyはなぁ
:いい所は間違い無くあるけど、って印象はある
:ミネルバ隊とまでは言わないから、シンとルナマリアとか辺りだけでもアークエンジェルとの共闘ルートあっても良かったんじゃ無いかなとは思った
「ねー……見たかった……シンとかも結構主人公として好きだったんだけどなぁ……」
コメント
:成長していってる感じ結構よかったんだがな
:悪夢の回とか最高に熱かったよなぁ
:destinyのキャラは誰が好きなん?
「エンジェルダウン作戦ね!あの戦闘ほんっっと格好良かった!!destinyの名シーンとして自信を持ってオススメできる回だよね!!
好きなのはラクス様とミーアとメイリン」
コメント
:好きなキャラめっちゃ早口で言うじゃん
:安定のラクス
:ミーア良いよな……
「ミーア、おっぱいもとても素晴らしいものをお持ちで良きなんだけどさ、見てく内にもうキャラとして好きになっちゃってヤバかったんだよねぇ……emotionは神曲。
はい、着いた!ここがキラ達のゼミの……うん?誰かいるっぽい」
コメント
:お?
:突発ゲスト来た?
「ごめんちょっと確認だけするから画面隠すねー」
コメント
:おk
:まあ当然やな
:(なおマギー姐さんは無許可
:リアフレらしいから多少はね?
本当ならノックするところだけれど、GBNな以上ノックする事に絵面以上の意味が特に無いから、とドアを開けて中に入って行く。
「ノックしてもしもーし!!」
「ひゃぁ!?」
コメント
:ジョセフかな?
:ノック(していない
:女、の子……?
:理解が遅い(パァン
:その台詞にはまだ早いんだよなぁ
そこに居たのは、SEED一話でカガリが来ていた服のコスチュームを着ている黒髪の女の子。お姉さん系と言うか、可愛いと言うよりはどちらかと言うと格好良い寄りの雰囲気の子だった。
「カガリだぁーー♡♡」
「え?え??キラ、じゃなくて、女の子?」
「初めましてチェリー・ラヴって言いますお散歩配信中なんですけど写真とっても良いですか配信に映っても大丈夫ですかアーカイブ残っても大丈夫ですか!?」
「え、いやあの、え?」
コメント
:カガリとな
:めっちゃ捲し立てるじゃん
:当然の困惑なんだよなぁ
「駄目なら大丈夫ですよ?流石にそこまで無理にとは言わないので!」
「あ、ううん、大丈夫なんだけど、普段の服にーー」
「許可いただきましたぁーーーーっ♡♡」
「ちょぉーーっ!?」
コメント
:お、映った
:草
:見たことある気がするな、誰だっけ?
:確かアークエンジェルスの子だったような気がするが
「わ、本当に配信中……
えっと、はい!アークエンジェルスのカナリです!初めまして?で、いいの?」
「はいみんなok出してくれたカナちゃんに拍手ーー!!」
コメント
:8888888
:8888
:もうカナちゃん呼びしてるの草
:爆速で距離詰めるじゃん
「じゃあちょっと普段の服にーー」
「待って待って!せめて写真を一枚だけ撮らせて!一枚!」
「うーん……まぁ、少し恥ずかしいけど動画でも残るなら今更か。じゃあ、一枚だけだよ?」
「ありがとうカナちゃん!それじゃ早速……」
コメント
:お?
:なんだなんだ画面が
:ハロカメラ持ち上げたのか?
「そ!ほらほら、ラバーズも気分くらいは一緒に撮るよー?」
「へぇ…いいね、そういうのも!
それじゃいくよー?ガンダムSEEDデスティー…」
「「ニー!!」」
コメント
:ニー!
:ニー!
:ニー!!
「ありがとうカナちゃん!」
「どういたしましてー」
「この写真は後で配布するね!」
「なんかやっぱコレ恥ずかしいなぁ……」
「んー……そんなに?」
恥ずかしがりながら軽く頬を掻くカナちゃんに、写真の写り具合と保存の確認をしながら訊ねる。
「何というか、普段このコスチュームを着慣れてないからね。ちょっとしたコスプレ気分で、少し気恥ずかしさがさ……
それに、ここに誰か来ると思ってなかったしね。ほら、カトー教授のゼミって、あんまり別に見ようと思って来る場所じゃないでしょ?」
「まぁ、それはあるねぇ……
ヘリオポリスに来たら、行くとしたらストライクの所かアークエンジェルの所とかだろうし」
コメント
:正直否定は出来ない
:カトーゼミはなぁ
:一回見れば満足みたいなとこはある
「だから、人も来ないだろうと思って気分を味わいがてらコスプレみたいな事をしてたって訳!
……まさか、配信中の子が来るとは思わなかったけどね」
「カナちゃんもコスプレもっとしてみない?
ここはGBN、自分の『好き』を自由に表現していい場所なんだしさ!」
「そう、だね。少し考えてみようかな?」
「やった!未来のレイヤーダイバーが1人増えたかもしれないよ、ラバーズ覚えといて!!」
「いやあの、するかは分からないからね?」
コメント
:祝え!!
:まぁ、したいと思ったらするのが1番だから無理にはせんでもろて
:アークエンジェルスのカナリ、覚えた
「好きを表現と言えば、ELダイバーの人達もそんな感じで生まれたんだよね。サラちゃんとか!」
「あれ?カナちゃん、サーちゃんと知り合いだったの?」
「2、3年前位にベアッガイフェスで知り合ってね!最初はちょっと迷惑かけた感じになっちゃったけど、今でも偶に一緒に遊んだりしてるんだー」
「へぇ……」
2、3年前。
つまるところ、リッ君やサーちゃん達が出会った頃で、私が前の名前だった頃。
昨日の今日だったから少し詰まりそうになったけど、配信中だし流石に今日会ったばかりの相手に話す話題でも無いしなぁ、と何とか普通に流す。
ロンちゃん吸いが無ければ危なかった、と内心で少しふざけつつ誤魔化して何とか平静になったところで、会話を再開させる。
「凄いよねぇ、『BUILD DIVERS』。第二次有志連合戦とかも、2人がかりだとしてもチャンプに勝っちゃうんだから」
「本当だよねぇ……
……本当、凄い子達だと思うよ、『ビルドダイバーズ』は。
私もおねーさん分として鼻が高いなー!まぁ私はキョーちゃんに勝てた事無いんだけどね!」
「チャンピオンの事キョーちゃんって呼んでるってどんな関係なの…?」
コメント
:あまりにも当然の反応
:チャンピオンの事キョーちゃんとか普通呼ばんもんな
:チェリーちゃん、あまりにもトップランカーとの繋がりが多いんだよなぁ
「まぁマギーちゃんと仲良いから、それでじゃないかなぁ?
っと、それじゃそろそろ次に行こうかな?突然だったのにごめんねカナちゃん。あ、フレンド登録しない?」
「オッケー!
気にしなくて良いよ、結構楽しかったしね!」
「よし、これでおっけ!
ありがとねカナちゃん!もしよければ、暇な時にでもマギーちゃんのバーに来てみて!お礼と言っちゃなんだけどさ、お酒でもソフトドリンクでも一杯無料って事で話は通しておくから!」
「じゃあ、折角だしお言葉に甘えてその内行ってみようかな?こちらこそありがとう、チェリーちゃん!」
へーい、とハイタッチ……をするには私の身長が足りなかったので、カナちゃんに少し合わせてもらう感じでタッチ。
ぐぬぬ、となりながらも、それが私のチャームポイントでもあるから何とも言えないんだよなぁ、と考えながら、お互いにじゃあねー!と手を振りながら、私は部屋を出る。
「次は……そうだなぁ、ランチャーパックを初めて付けた場所でも目指してみる?」
コメント
:ええやん
:ランチャーすこ
:アークエンジェルじゃなくてそっち行くのか
「まぁ、ちょいちょい外のあれこれを見て回りながら行くからねー。同じ外だから、あの場所の方がいいかなーって。
さてさて、レッツゴー!」
まさか、チャンプ・マギー・ロンメル以外の登場した原作キャラとして出て来る事になったのがカナリになるなんて事あるとは思わないやん。
マジでカナリはこんな感じだったと思う、で書き始めてどうにか書き終えた感じ。出番短いしそこまで極端には外れてなさそうだけども。
次辺りで多分お散歩終わりじゃ無いかなぁ、などと
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チェリー・ラヴ09:初めてのお散歩配信その3。
「っと。そんな訳で、上層部……って言うと違うか、市街区?に到ちゃーく!
1話とかでキラ達が生活してた感じのエリアだね!」
コメント
:何というか、無難な感じだよな
:取り立ててそこまで印象に残る場面があった訳でもないからなぁ
:強いて言うなら、最初にキラが課題してた場所とかバジルール少尉が出て来た所くらいか?
「ん、そうだねー
綺麗に作られてるしイベントがあった場所はしっかり再現されてるけど、良くも悪くもガンダム的な感じがあるだけの普通の街中って感じかも?まぁ、そんな変に特徴がある町でもなんかアレだけどさ。
そうだ、場所も移動したし折角だから着替えよっか!」
キラの私服に着替えた時と同じように別画面でコスチュームの一覧を開いて横目でササッと操作し、選択が終わったタイミングでくるり、と回る事で、コスチュームが変更されながら体がハロカメラの方を改めて向くと同時に、軽く裾がふわりと浮いて広がるように演出する。
「フレイの私服、なんていかが?」
コメント
:可愛い
:フレイの服ええやん
:一瞬見惚れたわ
:普段からこうならなぁ
「ありがと!
そうやって褒めてもらえると私もやった甲斐があるってもんだねー
最後のチェリーオタク君は明日ヴァルガ交流会強制参加ね」
コメント
:あっ
:死んだな
:よりにもよって明日のヴァルガにか……
:許してくださいお願いします何でもしますから!!
「いいよ?許してあげる」
コメント
:ん?
:許された?
「ーーだけど、アナトが許すかな?
明日ヴァルガに『ガンプラに乗って』来て、私が帰るまで無事に残ってたら許してあげるね♡」
コメント
:バットマイトミーガンドォント‼︎ハハハハハァ‼︎‼︎
:終わったな
:ああ(ゲンドウポーズ
:急にエヴァ始まるじゃん
:雉も鳴かずば撃たれまいに…
「いやまぁ、気にしないと言えば気にしないよ?別に。
でもさ……私だって、褒められたい時は素直に褒められたいんだよ?」
コメント
:すみませんでした明日はヴァルガに逝って来ます!!!!
:おう行って潔く爆散して来い
:推しを悲しませた罪は重い
「みんな言質取ったね?
会えるの楽しみにしてるからね!」
コメント
:会えると考えると羨ましいと言えなくもない?
:ヴァルガだけどな
:明日はヴァルガに来るのかい?
:ん?
「……ん?」
流れて来たコメントの名前に目が留まる。
それは、私だけでなくほぼ全てと言って良いダイバーが知っている名前で。
「あ、キョーちゃんだ。やっほー!
うん、明日は行くつもり。キョーちゃんも来る?」
コメント
:チャンプ!?
:マ????
:そうだね、そう言うことなら僕も是非向かわせて貰うとしようか
:マジかよ本当に見に来てるやんけ!!
:既に受刑者ニキの断末魔が聞こえる気がする
:受刑者ニキの健闘を祈って、敬礼!!
:(`・ω・)ゞ
:(`・ω・)ゞ
:(`・ω・)ゞ
:受刑者ニキは草
:やってやろうじゃねえかよこの野郎!!(ヤケクソ
:それでは楽しみにしているよ。来たばかりですまないが、用があるのでこれで
「あ、うん了解!
また明日ね、来てくれてありがとう!」
わぁ死刑宣告だぁ……と少し思いはしても口には出さず、挨拶した後もコメントを見て笑みを浮かべながら歩く。
アナトのウェディングユニットを見てもらいたくて始めた配信だけど、なんだかんだで見てくれているラバーズのみんなとコメント越しとは言え話しながら配信するのは楽しくて、紹介の後も雑談とか晩酌とかで配信をしたり、今もこうして散歩、と称してディメンションを歩きながら配信している。
「……楽しいなぁ」
我ながら結構好き勝手にやっている自覚は一応あるけれど、それでもみんながこうして楽しんでくれていて、私も楽しいと思えていて。お互いにそう思えているらしいのが、素直に嬉しかった。
コメント
:ぽろっと漏れた感じ可愛い
:チェリーちゃんの配信、とんでもないゲストが平気で来たりするから何が起こるか分からなくて見てて楽しい
:とんでもないゲスト(さっきのコメント欄を見ながら
:初手から既にアダムの林檎でマギー姐さんと話してたしなぁ
「ーーぇあ?……今、声出てた?」
コメント
:楽しいなぁって言ってたな
:楽しいなぁってだけ
:俺たちも楽しいぞチェリー!!
:チェリーちゃんほんまかわよ
「ちょっと待ってみんななんかコレ恥ずい!
めちゃくちゃガチっぽいじゃん、いや楽しいんだけどさ!!」
コメント
:可愛い
:大体からかう側のチェリーちゃんが照れてるの可愛いが過ぎる
:照れ美少女合法ロリ巨乳、破壊力高過ぎひんか
「もー!!この話終わり!!!
あっ、ほら!キラが課題やったりしてた、あのベンチだよ!!」
コメント
:ベンチだな
:うむ、ベンチだ
:こう言うとこ、なんか座りたくなるよな
:分からんでもない
:誤魔化しチェリー可愛い
「もぉーーーー!!」
その後もなんやかんやと見て回ってはラバーズにからかわれて、という調子は変えられず。
普段のやり取りとは逆な流れのまま、目的地としていた場所ーーストライクにランチャーパックを最初に着けた、あの広場に辿り着いた。
「はい!着いた!よ!!注目!!」
ハロカメラを全体が映るような位置に置き、学校の先生が生徒を静かにさせる時の様にパンパンパンパン!と手を叩いて座っているストライクの横に立つ。
「ここが予定してた広場だね!
ストライクの装備のイメージ的に、改めて考えると最初にランチャーなのかぁ、って感じするよねぇ……ヘリオポリスにも穴開けちゃうし」
コメント
:まあ確かに
:色々余裕が無かったとは言え、説明も足りなかったしなぁ
:まぁアークエンジェルも壊してたし多少はね?
「MSに慣れてないパイロットなら確かに遠距離向きの装備の方がいいのかなぁ、とか、1番近くにあったパックがランチャーだったのかなぁ、とか考えたけど、結局よくわかんねって言って投げたんだよねぇ……
アークエンジェルもねー。
まぁあの時寄せ集めのメンバーで急遽動かして、って感じだったし仕方ないよねぇ、とは思うけど、外じゃなくてヘリオポリスの中に出て来るのか……とは思ったよね」
コメント
:草
:まぁ確かに、ストライクを損耗させる可能性を減らすには遠距離から攻撃出来るパックの方がいいのかもなぁ
:なおヘリオポリスには穴が開く
:アークエンジェルが中に向かって出てくるのは俺も思った
「でもあのアークエンジェルが出て来るシーンは好き……いっぱいちゅき……アークエンジェル、綺麗だよね……」
コメント
:アークエンジェルすこ
:ホワイトベースモチーフっていうの分かりやすいデザインよな
:ドミニオンの色も良き
「アークエンジェル、カタパルトとかローエングリンがある脚が白タイツみたいな滑らかな感じでエッチだよね……天使……」
コメント
:???????(宇宙猫
:綺麗は分かるけどエッチは分からない
:いや天使ではあるけども
「ん、オブジェクトのアークエンジェルが丁度この辺来たね!
それじゃ、時間もいい感じだしアークエンジェルを背景に今回はこの辺で!おつチェリー!
しーゆーれいたーありげーたー!」
コメント
:おつチェリー!
:おつチェリー
:おつチェリー!!
改めて見て気付いたけどシバ・ツカサお前コーイチにーちゃんよりも先に諦めて何勝手に闇堕ちしてんだお前オォン!?
次話、風呂敷は畳めるのか。
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チェリー・ラヴ10: ハードコアディメンションにガンプラの嵐 その1。
取り敢えず区切りいいから短めだけどお茶濁しよー
荒れ果てた地形にデザインされたディメンション、ハードコアディメンション・ヴァルガ。
全域においてお互いの承諾無しに戦闘可能なフリーバトル専用のディメンションであるここでは、それを気にせず戦いを望む修羅勢や、モヒカンスタイルにスパイク盛り盛りに改造した機体でヒャッハーして回る、ガラの悪いなりにGBNを楽しんでいるダイバー、そしてそんな環境を武者修行の場として選んだランカーが集まり、何時でも何処でも場所を選ばず、全域で銃声と爆炎が絶えない。
しかし、今日に限っては、それは当てはまらなかった。
全く無くなった訳ではない。寧ろ普段よりも過激な戦闘が行われており、それでいて、その戦闘は広範囲とは言えヴァルガの比較的中心に当たる区域に集中し、逆に外縁部では様々なダイバーやガンプラ達がそれを観戦していると言う、普段ではありえない何処か整然とした、それでいて暴風……いや、最早災害と称するに値する戦場が展開されていた。
その様子は、かつてヴァルガで行われた個人ランク1位『チャンピオン』クジョウ・キョウヤと個人ランク10位『現人神』テンコがヴァルガで激突した、通称『ヴァルガの静止した日』と呼ばれる日に近いものがあった。
それは、G-tuber・チェリー・ラヴの前日の配信に端を発する。
チェリーの配信での「ヴァルガに遊びに行く」と言う発言に、個人的に友人関係でもあるチャンピオンが反応。そして、彼本人がSNSでヴァルガに向かうと呟いた事が決め手となった。
何せ、GBNにおいて不動のチャンピオンがヴァルガに行く、と前もって宣言したのである。そして、その理由が先日チャンピオン自身が感想を述べていたクリエイトミッションの主と言うのが、また拍車をかけていた。それを見た俗にGBNでヴァルガの災害と呼ばれる類のダイバーや腕に覚えのあるダイバーらはこぞって同様に宣言、或いはそう言った形では表には出さないものの、ヴァルガに向かう事を決める。
その日が週末であった事もあり、結果としてトップランカーと呼ばれる、或いはそれに準ずる実力を持つダイバー達がヴァルガに集結。『ロータス・チャレンジVer.エルドラ』に近いメンツがヴァルガに揃ってどんちゃん騒ぎのバトルロワイヤルをすると言う、『ヴァルガの静止した日』どころでは無い事態となっていた。
「いやぁ……まさかキョーちゃん以外にもこんなに集まるとは思わなかった!」
「流石はチャンピオン、と言った所だけれど……流石にここまでの規模になるとは思わなかったわねぇ」
「ねー。
がんばぇー!受刑者ニキー!!……あ、落ちた」
昨日の夜、配信の後で誘ったら二つ返事でOKしてくれたマギーちゃんと一緒に『受刑者ニキ』と呼ばれることになったダイバーを眺めていると、彼の機体ーーガンダムアストレアとダブルオーライザーのミキシングである事が見て取れる満身創痍の『ガンダムアストライザー』がGNソードを突き出すようにしてキョーちゃんの『TRYAGEマグナム』に突貫していき、例によって何の容赦もなく撃破されていったのが見えた。
「結構保ったねー、受刑者ニキ」
「こら、そういうこと言わないの。
……でも、そうねぇ。確かに結構頑張ってたわね。ランクはどのくらいなのかしら」
受刑者ニキのガンダムアストライザーは満身創痍だったけれど、逆に言えば、そうなった時間は兎も角、一撃で落とされずに満身創痍になるまで耐える事が出来ていた、とも言えた。
それは、多少なりともチャンピオン相手に時間を稼げたという事で。タイマンでそれなら、大金星とすら言える結果だった。
《そろそろ、主催者の君も出て来ないかい?》
「あ、キョーちゃん。やだなぁ主催者なんて、私はヴァルガに行くって言っただけだよ?」
《それでも、その言葉が最初のきっかけでみんな集まった訳だからね。僕としてもーー
是非、また手合わせ願いたい》
普段の柔和でどこか天然な紳士のキョーちゃんではなく、他の機体を撃破し、魔王のような威圧を振り撒き空中に静止した愛機の中で、GBNチャンピオンというファイターとしての顔で笑みを浮かべるキョーちゃんが通信画面に映る。
「……ま、キョーちゃんにそこまで熱烈にアピールされたらしょうがないか!ちょっと待ってね、今出すから!」
コスチュームの変更と同じくらいに身体に染み付いた動きをなぞり、フルドレスユニットとウェディングユニットを装備した状態のアナトを呼び出して、自身もその内部に転送。
普段なら演出の一つも入れるところだけど、ここはGBN最高の無法地帯のヴァルガ。ウェディングユニットは良くも悪くも目立つーー綺麗に目立たせるのがウェディングユニットの目的ではあるんだけどーーので、あまりそんな事をしている暇はない。
ダイバーギアの操縦桿を握って初手でビットを全て出し惜しみせずに展開、テンションを上げるためにガンダム作品にもよくあるような、自分オリジナルの口上を叫ぶ。
「チェリー・ラヴ、ガンダム・アナトフルドレスウェディング!高嶺に咲き誇る!!」
《その高嶺、至らせてもらおう!!》
至らせてもらおう(秒で踏み込んでくる
アルキメです。さん家からテンコ様を取り敢えず名前と話題程度だけどゲストとして登場させて頂きました。
次回とか辺りに、もしかしたらポロっと出てきたりチェリーとの絡みとか関係とか出したり出さなかったりするかもしれないですな
テンコ様についての資料見て回らねば
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チェリー・ラヴ11: ハードコアディメンションにガンプラの嵐 その2。
ゲスト2人だよ
キョーちゃんとの一騎打ちのような雰囲気を出しながらも、飛び込んで来るキョーちゃんと、その他の虎視眈々と様子を伺っているガンプラの動きを同時に牽制、あわよくば撃墜する為、先ずは展開し終わったビット、そしてメガ粒子砲をハリネズミの様に周囲にいるガンプラに向けて一斉射していく。
ウェディングユニット……と言うより、そのモデルのテラ・スオーノのMA状態は頭頂高だけですら123mというサイズで、それでいて四方に伸びているユニットもまた、デザインを見るにそれぞれが頭頂高とほぼ同様の大きさとなっている。
つまり、資料が少ない中サイズと外見だけでも、と自分なりにほぼ正確に再現出来るよう計算して作り上げ、なおかつそのユニットを8方向に伸ばしているウェディングユニットは、どの方向から見ても横幅がおよそ250m、というトンデモサイズ。
ざっくり言うなら、縦が大体ネオジオング1機分、横がネオジオングを横に倒して大体2機分。
言ってしまえば、綺麗とか以前に、こういう場だと大きさでそもそも良くも悪くも目立つのだ。
ミッションやルールがある場所ならまだ良いけれど、ここはヴァルガ。全方位にいるガンプラが全て敵、と言っても過言では無い環境な上、今のランカー塗れなヴァルガでは周囲に配慮なんてしていたら、袋叩きされて即堕ち2コマレベルのスピード感で撃墜なんて事もあり得る。
だから、牽制だろうと何だろうと容赦はしない。
「それそれそれそれーーっ!!」
《おっと》
《何の光ぃ!?》
《弾幕厚いよ、何やってんのぉぉぉ!!》
《ぬぉぁぁぁぁぁ!?》
《アナトだぁぁぁぁっ!!ウェディングのアナトが出たぞぉぉぉぉぉぉっ!!》
「化け物を見たみたいな反応やめて欲しいなぁ、まったく。おこだよ?」
しかしまぁ、そんな事をしていると元々遅かれ早かれとは言え更に目を引く訳で。
《喰いごたえがありそうなヤツにチャンピオン、極上のガンプラがゴロゴロと居やがる……!
全員まとめて、俺に喰わせろォォォ!!》
GBNの中でも戦闘狂のバトルグルメとして名高いオーガくんーー通称『獄炎のオーガ』とその愛機。全身を紅く染め上げ、ガンダム試作2号機サイサリスをベースに鬼の様な意匠を施した近接戦特化型の機体、『GP-羅刹天』。
《アナト、すごく綺麗……!》
《よぉし、オーガに負けていられない!俺たちもチェリーさんの所に行くよ、サラ!》
《うん!》
初めて観測されたELダイバー、サーちゃんーー『サラ』と、彼女を救う為にGBNに、と表現してもいい数の人数に勝負を挑み、オーガくんと2人がかりとはいえチャンピオンを撃破するという偉業を成し遂げたリッくんーー『リク』、そしてその愛機、サーちゃんを救った機体のアップデート版と言える、サーちゃんのモビルドールとお揃いな色になった『ダブルオースカイメビウス』。
《私も居るの、忘れないで欲しいわ、ねっ!》
ついさっきまで一緒に話していたマギーちゃんと、黒とマゼンタに染めたストライクノワール、ストライクフリーダムのミキシング機『ガンダムラヴファントム』。
そして、
《クク……その戦い、我も参加させて貰おうか!!》
一言で言うのであれば、サイコ・ガンダム系統の機体やディビニダド、ハシュマルなどの機体群の要素を継ぎ接ぎに作られた異形の竜。けれど、その力は見せかけだけのハリボテでは無い事を、乗り手のランクと、ヴァルガを襲う災害として認知されている事が証明している。
黒いドレスを身に纏った、半人半竜の姿の女性、『クオン』と、自らの半身と呼ぶ機体『ジャバウォック』。
《あのクリエイトミッション、そして配信を見て以来、一度ーー「クオンちゃんだぁーー!!」な、何!?》
丁度この間マギーちゃんと話し、会ってみたいと思っていた所での出会い。
テンションが上がらない訳がなかった。
「『初めまして』クオンちゃん!チェリー・ラヴです!ミッションとか配信見てくれたとかありがとうございます!クーちゃんって呼んでいいですかわあったぁ!?」
そのテンションのままについ昨日のカナちゃんの時と同じように話しかけていると、アナトの目の前に突然ドラグーンが現れたのが画面に映り、慌ててリフレクター・ビットを操作して射撃を反射、逸らす事にどうにか成功させる。
《うむ、腕は衰えていないようで何よりじゃの》
アナトの前方上方に現れた反応から届いた通信、なんだかんだで久し振りに聞くその可愛らしい声と反する古風な喋り方の声からは、どこか満足そうな雰囲気が感じられて少し嬉しくなる。
「テンちゃん先生!久し振り!!」
《へ!?て、テンコ様!?あ……その、機体は……!!
……待ちなさい、あなた今テンコ様の事なんて?》
《久しいの、チェリー。クオン殿も、この間ぶりかの?そなたがヴァルガに来ると聞いて、久し振りに少し揉んでやろうか、との。
ーー心構えはいいかの?》
アナトのカメラに映る位置まで降りて来たことで、テンちゃん先生……GBNにおける個人ランク10位、『二桁最後の壁』『現人神』と呼ばれるダイバー、『テンコ』が操る機体が表示される。
それは、第10回ガンプラフォーストーナメントでデビューを果たした、プロヴィデンスガンダムをベースとした改造機。
日輪を背負い、100を越えるオールレンジ兵器を従えて自由自在に操るその機体は、すぐそこにいるクオンちゃんにも大きな影響を与えたと言われている。
そして、私にとっては以前ビットについて指南を受けた時の、先生役の機体。
その名もーー『天帝天照』。
「……よぉーーし!みんな纏めてかかってこぉーーい!!」
《待ちなさいあなたテンコ様の事テンちゃん先生ってどういうこと!?》
《そなたらは変わらぬのぅ……相変わらず面白い子らじゃの》
という訳で、改めて。
青いカンテラさん家のクオンちゃん様(ダイバーのすがた)、アルキメです。さん家のテンコ様、参戦!(例のエフェクト
感謝感謝です
この一帯えらい事になりそう(こなみかん
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チェリー・ラヴ12: ハードコアディメンションにガンプラの嵐 その3。
誰だヴァルガでパーティ始めようとさせたのは。
配信させんかい(
引き続きあの2人がゲストだよ
口調大分不安わよ
一言で言うなら、その一帯の有り様は嵐のようだった。
その中心にいるガンダム・アナトフルドレスウェディング、天帝天照だけで使用されているオールレンジ兵装の数は300を超え、挙句にジャバウォックのサイコプレートとフェザーファンネルが飛び交う始末。
そんな中でなお、その弾幕をいなし、防ぎ、時に利用しながら戦闘を続けるTRYAGEマグナム、GP-羅刹天、ダブルオースカイメビウス、ガンダムラヴファントムの4機。
迂闊に近寄ろうものなら、何かしらに巻き込まれて撃墜されるのが目に見えるそこに、近寄ろうとする者は皆無と言ってよかった。
《リフレクター・ビットの動きは良いが、ストライカー・ビットの動きが些か甘いのう?》
「3桁マニュアル操作は、まだ、出来ないんだって、ばぁっ!防御優先!」
《マニュアルで二桁後半も操作出来るなら十分以上じゃないかしら……?》
《実に素晴らしい戦場だ……そうは思わないか、マギーさん、オーガ、リク君!!》
《あぁ……最高だァ!!この戦い、存分に味わわせてもらう!!》
《こんな戦い、次はいつあるか分からない!俺も全力で行きます!》
《頑張って、リク!》
「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"いつ見てもリクサラ可愛いよぉ……ぎゅーってしてそのままお持ち帰りしたい……だめ?」
《はいはい、終わってからになさい?》
「マギーちゃんのいけず」
《あの……マギーさん、この人普段からこうなんですか?配信だけじゃなく……?》
《ふふっ……そうねぇ、いつもこんな感じかしら》
《妾と初めて会った時もそうじゃったの》
《詳しく、聞かせて、貰おうかしら?》
「いーよ、クーちゃんになら喜んで聞かせたげる!ベッドのぉ……な・か・で♡」
《ん、なぁっ!?」》
そんな中でなお、こんな会話がなされているのが個々人の実力の表れと言えた。
とは言え。
「(やっぱこのメンバーが集まるとしんっどい!!)」
この中で1番苦戦しているのは、さもあらん、と言うべきか、チェリーだった。
多対一を想定しているウェディングとは言え、その為に主に用いられる兵装であるストライカー・ビットとリフレクター・ビットは天帝天照とジャバウォックへの対応に追われて思考のリソースも大半をそちらに持って行かれている。
メガ粒子砲とハイパーメガ粒子砲も発射はするが、射角が決まっているのもあり偶に嵐の外で巻き添えを食らって撃墜されるガンプラが居るものの、出来れば当てたいメンツには牽制にしかならない。せめてもの救いは、近接戦闘をしている4機がアナトをまともに相手をする余裕が無く、半ばオブジェクトとして扱うしか無い状態にある事か。
ランク戦を含め、現役で第一線でバトルを楽しんでいる者と、今は対人戦からは一歩離れてGBNを楽しんでいる者の違いが、如実に現れていた。
ビット群の制御を完全にオートにしようものなら容赦無く落とされて行くのが目に見えており、『マリッジリング・ウェディング』で一度は修復されるとはいえ、無駄に使い潰すのは得策では無い。
そう考えたところで、チェリーははた、と気付く。
『修復されるんだから、扱い切れる数まで削ってもいいんじゃない?』
と。
「テンちゃん先生、クーちゃん。ついでにみんな」
《なんじゃ?》
《テンコ様との事を吐く気になったのかしら?》
「ビット、今から『一基分まで』減らすからよろしく!!」
『一基分まで』。その意味を悟ったダイバー達は、一瞬で警戒体制に移行する。
そして、
「Go!!」
その周辺を舞っていたストライカー・ビットとリフレクター・ビットの総数の7/8が、ミサイルの如く一斉にそれぞれの機体へと放たれた。
8方向に伸びるユニット1基につきストライカー・ビットが30機、リフレクター・ビットが10機搭載されているウェディングユニット。つまり、操り切れているかはともかくとして、総数で言うのであれば双方含めて実に320機。ガデラーザのファングの総数のおよそ倍、と言えば分かりやすいだろうか。
気が触れているとしか思えない数である。
その7/8、多少減らされているとは言え200機を超えるストライカー・ビットとリフレクタービットが、無線誘導式の実体弾として使用されたのだ。
数の優位を維持するか、使い切れていないビットを使い潰して思考の余裕を生み出すか、という選択肢から、チェリーが選んだのは後者だった。
「よし、これで集中出来る!行くよ、アナト!」
《そなたが装備を使い潰すなどと、そこまでするとはの!
アナトを綺麗に見せたいだけで勝ち負けにはさして拘らないと、以前言っていたと思うのじゃかのう?》
「うん、まあ確かに昔は兎も角今は拘りは無いけどさ。
ーー勝った方が、嬉しいじゃん?」
《それは、確かにの!》
ドラグーンを用いて事も無げにビットを迎撃しながら声をかけてくるテンコに、にぃ、と笑みを浮かべて返すチェリー。
そして、そこに飛び込んでくる巨大な影が一つ。
《これでどうにかなると思ったか、魔王の花嫁ッ!!》
「何その板かっっっった!?硬すぎじゃない!?ずるじゃん!!」
《サイコプレート!ずるじゃないわよ!!》
サイコプレートを操作し無数のビットを防ぎながらの突撃にビットとメガ粒子砲の射撃を加えていくも、意に介さず、と突撃するジャバウォックは、サイコプレートを束ね、『ヴォーパルソード』へと変化させたそれへと手を伸ばす。
《先ずはその巨大なユニット、切り裂かせて貰おう!》
その言葉と共に、握り締められた『ヴォーパルソード』を形成するサイコプレート同士が互いに共振しあい、深い蒼の巨大な光の剣と化しーー
「これは流石にまず……!?
緊急脱出ーー!!」
ガンダム・アナトフルドレスがウェディングにマウントさせているバエルソードを掴んで飛び出した直後、ジャバウォックが持つ光の大剣が放つ、名を『エンド・オブ・ワールド』と言う必殺技がウェディングユニットを両断した。
「うっわぁ、あのサイズが真っ二つって何……?こわ……
うーん……さっきのビットの使い方は失敗だったかなぁ……でも結局こうだしなあ」
まぁいーや、とアナトにバエルソードをしっかりと握らせ、
《ばえるそーどを持ったようじゃな……
うぇでぃんぐを破壊したとて油断はせんようにの、クオン殿》
《えぇ、する気は無いですけれど……どうかしたんですか?》
《二年……いや、三年近く前にはなるかの?チェリーのアナトの前の愛機は、『近距離特化』の機体での。
個人ランクを気にせんから順位こそ低かったが……近距離戦での実力で言えば、当時の20位台は固かったじゃろうな》
「偶には久しぶりの格闘戦、楽しもっか……アナト!
ーーーー『阿頼耶識』!!」
チャンプ達はチャンプ達でヒャッハーして楽しんでるので影薄くなってる事にしといてくんなまし
マギーちゃんとかチャンプと絡んでりゃ強くもならあなって(
次くらいでヴァルガ回終わらせたいわね……
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チェリー・ラヴ13: ハードコアディメンションにガンプラの嵐 その4。
ジャバウォックがシンじゃなかったので変更入ってるよ
GBNにおいて時限式の強化システムである阿頼耶識リミッター解除を実行した事で、普段はアルミリアの瞳の色をイメージした青に光るカメラアイが、血に染まったかのような深紅に輝く。
「行くよ、アナト!少しだけ付き合ってね!」
ガンダム・アナトは射撃機として装備を整えられてはいるものの、ベースはバエルである事に変わりはない。フレームをサイコフレームに変える、大型スラスターはそのままに元々が機動兵装ウィングのフルドレスユニットが着くなどの改造を施されたことで、寧ろ機動性は更に上がってすらいた。
「ドラグーンっ!!」
8機のドラグーンを自分に追従させるように設定し、未だにヴォーパルソードを手に持つジャバウォックへと射線を捉えられないよう稲妻のように高速で飛翔する。
《流石は、バエルの機動性と言ったところか……!
だが我とて、伊達や酔狂でこのジャバウォックに乗ってはいない!!》
「知ってる、よっ!!」
発射される連装ビーム砲を避け、残っているフェザーファンネルをドラグーンや大型スラスターに内蔵されたレールガンで迎撃しながら極力最短距離でジャバウォックに接近。
しかし。
モニターに移ったのは、ジャバウォックが構える『先程と同じように蒼く光るヴォーパルソード』でーー
「ーーっ!?」
半ば直感染みた反射で強引に横に回転するようにして回避行動をとると、つい先程までの位置を駆け抜けるウェディングユニットを両断したものよりは小規模な極光と、それに巻き込まれて爆散した2機のドラグーンがチラリと視界に映る。
「な、ん……!?
そっか、必殺技の『応用』……!!」
《その通り、そして呆けている暇は無い!!》
強引な軌道で回避した事で体制が崩れた瞬間に、サイコプレートと共に一気に突進して距離を詰めるジャバウォックを避ける為にスラスターを一気に吹かせて移動しようとするも、アナトは突然脚を引っ張られたかのようにガクン、と強制的に動きを止められる。
「っつぅ……!?ネオ・ジオングの手……!!
ーーあーもう、出し惜しみは無し!!」
そして発動するのは、フルドレスユニットの『奥の手』としていたもの。
普段全てが下を向いているフルドレスユニットの一部を横にも広げるように動かし、ストライクフリーダムの機動兵装ウィングに近い状態となる。
「ーー『月光蝶』!!」
《何、ですって!?》
高機動を可能とする光の翼ーーヴォワチュール・リュミエールではなく、奥の手として短時間のみ発動する事を可能とした極彩色の光の翼ーー月光蝶が発動し、脚を掴むアームユニットの機能を一瞬停止させた瞬間にバエルソードを叩き込んで破壊する事で抜け出す。
ターンタイプの機体とは違い発動可能なのは極短時間ではあるそれは、奥の手として十分な効果を発揮する事に成功した。
なお。
無理矢理フルドレスユニットに月光蝶を発動可能にする機構を埋め込んだのは、「月光蝶は綺麗だから」という余りにも雑、それでいてチェリーらしい理由である事は余談である。
「畳み掛ける!!」
再度スラスターを吹かし、ジャバウォックの背に回るよう移動しながらアームユニットをもう一基バエルソードで切り裂いていく。
《クク……やってくれるッ!!》
「アナトだって、バエルなんだよっ!!」
高機動の近接格闘戦を得意とするガンダム・バエル、その本来の戦い方をもってジャバウォックに挑むチェリー。
ーーだが、かつてGBNで自らが駆っていた機体での戦い方を思い出すにつれて、動きが良くなると同時に、あるミスを犯すようになって来る。
「ーーっと、近過ぎた!」
その原因は、リーチの差と機動力の差。
かつての機体での格闘戦用の武装は『アーマーシュナイダー』の改造品、つまりナイフであり、バエルソードよりも遥かに短い刀身となっており、そして、バエルの大型スラスターやフルドレスユニットのような機動力を与えるユニットは存在していなかった。
かつての勘を取り戻していくほどに今乗っているアナトとの感覚がずれ、踏み込み過ぎ、それによってバエルソードの威力を生かしきれない状態となっていく事になってしまっていたのだった。
「うーん、こーれは……参ったなぁ」
それを2度、3度と繰り返すようになれば、チェリーもそれを嫌でも自覚する。
アナトでの近接戦闘は、出来るようにする事自体は想定していたのでバエルソードは使用可能にしたものの、基本的にしない事を前提とし、ビットの操作練習を長い間していたのもあってあまりする事はなかった。
そのくせ、アナトの機動力は理解していているので昔の戦い方を半端に思い出してリーチの感覚が狂っている。
「アナトの使い込みが足りない……っね!!」
ドラグーンを撃ち落としたフェザーファンネルをレールガンで撃ち落とし返し、決着をつける為にジャバウォックを置き去りにして垂直に上空へと一気に飛び上がる。
《そう易々と、逃すと思った!?》
「逃げるんじゃ無いよ?
ーーここで、勝負を決める!!」
先んじて急上昇した事で距離を取る事に成功したチェリーが、クオンへと声をかける。
「ところで、この子の必殺技について知ってる?」
《……?『マリッジリング・ウェディング』の効果は……
ーーっ!?》
「行っくよー、クーちゃん!!『マリッジリング・ウェディング』、発動!!」
《それならば、もう一度両断するまで……
ちょっと、ヴォーパルソードが!?》
ジャバウォックに向かって急降下しながら『マリッジリング・ウェディング』を発動、再生したウェディングユニットごと質量弾となって正面から向かっていくアナトに対して、同じく『エンド・オブ・ワールド』を発動する事で対抗しようとしたジャバウォック。
しかし、効果の一つ、2種類の武装の分解がピンポイントにヴォーパルソードに刺さった事で事情が変わる。
頭部の連装ビーム砲を収束して発射する事で迎撃するにも、互いに距離を詰めていた事、ウェディングユニットのサイズの二つが主な原因となり、時間と距離が足りず。
「ドォーーーーーーーーーン!!!!」
《きゃーーーーーーーーーっ!!??》
両者激突。
実に18,000t近い、地球連邦の戦艦『サラミス』本体の重量を超えるものを重力下で真正面、よりにもよって直上から半ば不意打ちにも近い状況で受け止めたジャバウォックは、そのまま地面に激突、
《ずるはどっちよーーーーーー!!》
そのまま押し潰される形で撃墜判定となり、『終末を呼ぶ竜の端末』の迫真のド正論な叫びがヴァルガに響き渡る事となった。
《……無茶苦茶やるのう》
「いや、実に楽しい一戦だった。このきっかけになったチェリーくんには感謝に堪えないな」
「つやっつやだねぇ、キョーちゃん……まぁ、楽しかったんなら何より何より!」
その後、ヴァルガ外縁部。
何だかんだで1人でリッくんとオーガ君、マギーちゃんを撃破し、物凄ーーく満足気な笑顔のキョーちゃんと話していると、むすぅ、っとした表情のクーちゃんがやって来る。
「あ、クーちゃんおかえり!」
「おかえり!じゃないわよ!と言うかクーちゃん呼びを許可した覚えも無いのだけれど!?」
「ところでキョーちゃんとクーちゃん、これからアダムの林檎で飲もうかと思うんだけど、一緒に来ない?一杯くらいなら奢っちゃうよ?」
「話を!聞きなさい!」
「すまない、フォースの方でちょっとした打ち合わせがあってね。また今度、行かせてもらうとするよ」
「多忙だなぁキョーちゃんは。
クーちゃんは、いつものでいい?ランチセットも付ける?」
「だからーー
待って、何でいつもの、って把握されてるの?あなたもあのお店の常連?それともストーカーだったとか……?」
あからさまに少し警戒した様子で一歩後ずさるクーちゃんに、あくまで自然体で返事をする。
「常連……では、あるかな?
何度も何度もあの店でクーちゃんの事見てるし。それで、どう?」
「……まぁ、いいでしょう。どちらにせよ、行こうとは思っていましたし」
「やった!……あ、そうだ。
クーちゃん、少し屈んでもらってもいい?」
「……いいけれど」
クーちゃんに身長を合わせるように屈んで貰い、耳元に口を近付け、
「『……待ってますから、ね?』」
「ーーーーっ!?!?
え、ちょ、あの、あなた、もしかして、さーー」
クーちゃんが余計な事を口走る前に、遮る形で丁度やって来たテンちゃん先生にもお誘いをする。
「テンちゃん先生も、マギーちゃんの店に来る?奢っちゃうよ?」
「すまぬのう……散歩、と言って出てきた手前、あまり遅くなると心配させてしまうのでの」
「そっかぁ……
そう言えば、途中からテンちゃん先生混ざって来なかったね?」
「楽しそうに戦っておるのに、横から手を出すのも野暮かと思っての。久し振りにそなたの近接格闘戦を見ることが出来て中々に楽しかったのじゃよ。
……『ブランカ』も、偶には使っておやり。きっと、喜ぶじゃろうからの」
「……そだね、考えてみる。
手入れはしてあげてるんだけど、ね」
楽しみにしておるのじゃ、と言い残してテンちゃん先生が立ち去って行ったのを見送り、2人の方に向き直る。
「んじゃ、お開きにしよっか?丁度いいし。クーちゃんは後でお店で集合ね!」
「え、あ、はい!」
「……?どうかしたのかい?」
「な、何でも無いわよ!何でも、ええ」
「そうかい?それならいいんだが……」
「よーし、じゃあみんなおつかれさま!!」
「ーーーーやっと、やっと見つけました、マミィ」
ウェディングユニットだッ!!(対抗手段を奪いながら
まぁタイマンするまでの消耗と、ヴォーパルソードブチ抜く運と、不意打ちロードローラーアタックが刺さった事とノリと勢いで勝った()だけで、正直最初からタイマンなら負けてたんじゃないかな
最後のはイッタイナニモノナンダ
リッくんとオーガくんとマギーちゃんは普通にチャンプが撃墜したのでメッセージだけ送って打ち上げの連絡してる感じ。
クオンちゃん様は最後のやられ方に一言物申してやろうと来てみたらペースに飲まれるし何か覚えのある事されるしで大変そうだね(圧倒的他人事
テンコ様はマギーちゃん達ほどじゃないけど軽く以前のチェリーを知ってる感じなのでまあこんな感じに。
一度に出る登場人物、増やす、だめ、ぜったい。
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チェリー・ラヴ14:打ち上げ女子会。
お前もバイオレンス系触手にならないか
マギーちゃんの一人称、文字にしたらアタシなの見てマジ??ってなってたりもしたよ
「ダディ、やっとマミィを見つけることが出来ました。名前は以前とは異なりましたが、間違いありません。私には分かります」
「……そうかよ。
で、いつになったらお前は俺の事をそう呼ぶのを止めるんだ?」
「止めません。自分を生み出した男性を父と呼ぶと学んだので」
「チッ……なら、俺の事をそう呼ぶのを止めるか、アイツの事を呼ぶのを止めるか、どっちかにしろ。
あのちんちくりんとそういう関係に見られるなんてまっぴらなんだよ」
「あのような素晴らしい方に対してちんちくりんとは何ですか?
いくらダディでも許しませんよ」
「そうかよ、それならサヨナラだな、清々するってもんだ」
「職務放棄ですか、ダディ。運営に通報しますね」
「……面倒臭ぇ奴だなお前は本当に」
あの後。
オーガくんはまあ参加しなかったのは予想通りだったけれど、リッくん達もパス、となってしまったのは少し想定外──と言うにはあまりにも当然な理由だけれど──な結果だった。
その理由は、というと。
「実家暮らしな上、ガンダムベースからログインしてるんだもんねぇ……時間には勝てないかぁ……」
「まぁまぁ、仕方ないじゃない、リクくんもまだ未成年の学生なんだし。親御さんに禁止されてGBNが出来なくなる訳にはいかないものね」
カウンターで某パンダの如くタレていると、マギーちゃんからもっともな相槌が返ってくる。
大人……まぁ、大学生くらいなら貯めたバイト代とかで何とか出来るとしても、高校生そこらには中々以上に辛い額なのは事実な訳で。
「……そう、ですね」
「どしたのクーちゃん、GBNなんだからそんな緊張しないで、もっと気楽に、いつも通りにしてていいんだよ?」
「いや、あの……です、だな?
テンションが敬語でしっかりした感じのリアルと違いすぎて、違和感が……いや、我が言える事では無いのだが」
「かっこ可愛いなぁGBNのクーちゃん……!!
おねーさんとぉ……ベッドの中でぇ……いっしょにお話ぃ……しなぁい?」
「遠慮!する!」
「じゃあデートしよ!」
「デッ……!?いえ、あの、それは……!」
「マギーちゃぁーん、顔真っ赤クーちゃん可愛いけどフラれたぁー!
ビール……じゃない、甘さ控えめのジンジャーエールちょーだい!大ジョッキで!」
「はいはい」
マギーちゃんがとん、とカウンターに置いてくれたジョッキを受け取り、口に運んで一気に飲み干す。
「あら」
「一気……!?」
「ぷっはぁー!!
偶にはジンジャーエールもいいもんだねー。あ、おかわり!」
ごとん、と置いたジョッキを回収したマギーちゃんから新しいジョッキを受け取り、手元に置く。
「ビールじゃなくていいの?出せるわよ?」
「ん、まあ今はそういう気分だから大丈夫!」
今度は軽く一口だけ飲んで答える。
──まぁ、正直嘘だ。飲みたいかどうかで言うなら飲みたいに決まってる。実際今うっかり頼もうとしたし。
でも、ヨノモリさんはお酒の類に対して飲めない、と言うには少し違う感じと言うか、何か事情があるような苦手さを持っているように感じる。
そうと分かっている相手の前で、態々飲む理由もない。お酒なんて所詮嗜好品だし、ましてやここはGBNだし。なによりマギーちゃんの店は、みんなで楽しく食べたり飲んだりする場所なんだから。
それにまぁ、別にノンアルコールやソフトドリンクが嫌な訳でも無いし。嫌なものなら大ジョッキ一気とか無理だし。
そんな事を思いながら、カウンターに大皿で置かれている小ぶりなサンドウィッチをつまむ。具材は卵。オーソドックスで良き。おーしーです。
「クオンちゃんも、飲み物のおかわりはいかが?」
「あ、じゃあ……えっと、紅茶とかあったりします?」
「勿論!ホットでよかったかしら」
「お願いします」
「クーちゃんオシャンだ!ドレスだし美人さんだしなんか似合うね!」
「さ、じゃない……チェリーさんも、鉄華団のジャケットを着てると大ジョッキが何だか似合いますね」
「なんかそれっぽくなるよね、このジャケット。ガヤガヤ騒いでじゃんじゃん飲んで、みたいな感じが似合うというか。
紅茶かー……私も今度飲もうかなぁ、ヤン提督みたいにして」
「チェリーちゃん、あの量入れるのはもうブランデーの紅茶割りって言うのよ。
ブランデーなら、ティー・ロワイヤルなんてどう?オシャレな感じになると思うわよ?」
「ティー・ロワイヤル、ですか?」
紅茶関係の話題で気になったのか、クーちゃんの興味ありげな反応を見たマギーちゃんが、クーちゃんの分とは別にもう一杯、実演用のティーカップとそれ専用のスプーンを用意する。
「紅茶を入れたカップの上にこうしてティースプーンで橋を渡すみたいにして、そのスプーンに角砂糖を置いたら、そのスプーンにブランデーを入れるの。そして、ブランデーに火を付ける。
ブランデーが染みた角砂糖が熱で溶けて行くんだけど、部屋を暗めにするとその時の火が青くて綺麗なのよねぇ……
火が消えたら、その溶けた砂糖を混ぜて飲む、って感じね。アルコールも飛んでるし、香り付けになってるだけだから飲みやすいんじゃないかしら」
こんな感じね、と手早く火を付けるマギーちゃん。
「おぉー……青い火だぁ」
「本当……というか、こんな事GBNで出来るんですね……あ、消えた」
「はい、どうぞチェリーちゃん。クオンちゃんは普通のね?
本当よねぇ、ここまで細かく演出があるなんて、やってみるまで思わなかったもの」
「紅茶飲むと、クッキーとか洋菓子が欲しくなるねぇ……
……そうだ、2人ともバレンタインはどうするの?」
2月の一大イベント、バレンタイン。
男女の組み合わせ問わずカップルが盛り上がり、相手がいなくてもそれなりに気になるそれはGBNでも勿論盛り上がるイベントで、バレンタインのフェスも開催されるのだとか。
「アタシは、毎年の事だけどフレンド全員に配るつもりよ♡」
「身内には配るかも、ってくらいかしら……未定ですね」
「マギーちゃんいつもありがとー!!
マギーちゃんにはリアルで手作りチョコあげるね♡」
「期待して待ってるわね♪」
「クーちゃんの分も用意しておくから、GBNでもリアルでも気が向いたら来てね!
時間教えてくれれば向かうから!」
「それなら……そうですね、リアルで行けるかは分からないので……私も、GBNで何か用意して持って来ますね」
「クーちゃんありがとぉーー!!」
折角のバレンタイン。G-tuberやってる訳だし配るのも面白いかもなー、とも、クーちゃんに抱きついてはわはわさせながら思うのだった。
多分流石にGBNでも出来ないと思う(真顔(お前が書いたんやろがい
ティー・ロワイヤル、クオンちゃん様は知ってんじゃねえかなぁとも思いはした
謎の子(仮称)、ちゃんと出していけるようにしてあげたいわね……って感じで。
バレンタイン回間に合うか……?
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チェリー・ラヴ15:ハッピー・バレンタイン。
間に合ったですわぞ
「──あ……先輩、待っててくれたんですね!よかったぁ……」
太陽が傾き、夕日が差し込む学校の教室──のようにコスプレのスタジオ用に模様替えをした、以前私1人しかいないフォースのフォースネストとして頑張ったりBCを借りたりして購入した宇宙戦艦、というかフリーダムとジャスティスの運用母艦、エターナルのハロカメラを先に置いていた一室に、ブレザーの前を開いてベージュのセーターをブラウスの上に来ている姿の美少女こと私、チェリー・ラヴは足を踏み入れる。
「突然だったのに、ありがとうございます先輩。その、予定とかありませんでしたか……?」
ハロカメラの高さは以前と同じくらい、私が少し見上げるくらいの高さ。年上の男子、といったイメージで、両手を後ろに回しながら近付いて行く。
「よかったぁ……
その、いえ、先輩がそういう相手がいない事が嬉しいんじゃなくてですね!?あ、いやでも嬉しいんですけどあのその────あ。」
両手を前に出してわたわた、と弁明しようとした事でうっかり後ろに隠していたハート型の包み──チョコを見せてしまい、慌ててまた隠す、という動きをして、顔を赤らめながら軽く覗き込むようにしてハロカメラに視線を向ける。
「あの……見え、ちゃいましたよね……?
……はぁ、もっと良い感じで渡そうと思ったのに……」
こほん、と咳払いを一つ。
「では、その、締まらない感じですけど改めて……
先輩、私、先輩の事が好きです!
チョコ、頑張って作って来たので受け取ってください!」
「って感じで、どう?ラバーズのみんな」
コメント
:こんな青春を送りたい人生だった
:忘れちまったぜ……青春なんて言葉……
:まぁハーモニカ吹けよ……
:ハーモニカは草
:不満足先生ェ……
「本当にねー……
私もこんな可愛い女の子に告白されたい人生だった」
コメント
:熱い自画自賛
:女の子からなのか……
:好きな男子とかは居なかったん?
「少なくとも、恋愛として好きな男子は居なかったねー
……ほら、GBNとかやってるとそんな事ない感じだけど、一般的な広い目で見ればガンダム好きな女子って割合的には少ないじゃん?
その上、ラクス様が初恋だったり、ガンダムヒロインが好きとか、私の見た目とか──あぁ、私のダイバールックは結構リアルに寄せてるんだけどさ、まぁ、男子に普通に好かれる事ってあんまり無かったんだよね。『そういう』目で見られる事が多くてさー」
コメント
:まあ確かに割合としてはさほど多いとは言えんか
:まぁ、それはそう
:この体型でリアルに寄せてるだと……?
:配信では自分から見せつけてる気がするんだが??
「『自分から見せる』と、『勝手に見られる』は違うじゃん?
『俺馬鹿だからさぁ』って自分で言うのと、『お前馬鹿だな』って他人から言われるのは違くない?」
コメント
:なるほどね
:あー、それは確かにそう
:自覚はしてたとしてもイラっとはするからな
「まぁ、そんな感じでさ
そういう視線を直接向けられるのが嫌だったから、体型が出にくい服装選んだり、前髪長めに伸ばして地味になるようにしたり、周囲から距離取ったりしてたから、何なら女子にも仲の良い人がほぼ居ない学生生活だったかなー
みんなと同じだね!」
コメント
:やめやめろ
:やめろください
:友達ならいるから勝ったな
「なんかマウント取られたんだけど!
マウント……?マウント取るってえっちじゃない……?エロ同人みたいな事されちゃう……?」
コメント
:えぇ……(困惑
:マウント取るって言葉でそんな方向に考えるやつおる?
:わかるエロい
「んでまぁ話戻るけどさ。
ガンダムが好きな事とか、ガンダムヒロインとか女の子が好きな事とか、そんな事を表に出せなかったのが、GBNに出会って爆発した感じかなー
GBNだとガンダムが好きって言っても受け入れられるし、体型関係なくコスチューム着れるし、体型自体も自由じゃん?コスチュームを集めようとしたりとか、体型も変えて遊んでみたりとか出来てコスプレも簡単だし、自分が好きなように好きな事を表現して遊べるのが嬉しい、って言うのが今の私のベースって感じだね」
コメント
:そして見た目が合法ロリ巨乳の俺らみたいな存在に進化したと
:思うまま楽しくGBNで遊んでもろて……
:エモかな?
「今は好きな事を気楽にして遊べてて、楽しく過ごせてるなーって自分でも思うかなー
ラバーズのみんなも、配信見に来てくれたりしてくれてありがとね!」
そう言って、ハロカメラを画面を隠すように手で押さえつつ、抱きしめて顔を寄せる。
「……だいすきだよ♡」
コメント
:ん"ッッッッッッッッッ
:何だこの激甘ボイス
:耳が蕩ける
:こんなんガチ恋やろがい!!
:は?好き
「みんなも、もーっと私のこと好きになってくれていいからね!」
そう言いながらハロカメラを離して空中に浮かべ、ハロカメラに向けてウィンクしながら投げキッスすると、また盛り上がるコメント欄。
「そうだ!
ところでみんな、私のチョコ欲しい?」
コメント
:欲しい
:欲しい!!!!!!
:当たり前だよなぁ!?
「うんうん、良い反応!
直接手渡し、っていうのはフレンドにしかしないから、そう言う訳では無いんだけどさ?」
用意しておいた、クリエイトミッションの説明ページが表示されたウィンドウを画面に映るように、ハロカメラを少し移動。
「2/14から1週間限定で、クリア報酬で私のチョコが貰える『高嶺の花嫁』特別バージョンを配布しまーす!
難易度ごとに貰えるサイズがS、M、Lって違って、難易度は普通のからエクストラを省いた3種類しか無いからそこは安心して欲しいかな!どれか1種類クリア出来たら他の難易度も含めて再受注出来なくなるから気を付けてね!クリアしたら、だからリタイアはノーカンだからそこも安心!
食べてよし、飾ってよし!1週間あるから、出来るだけ大きいの狙ってね♡
あ、転売は出来なくしてるからだめだよ!」
コメント
:おおおお!!
:これは熱い
:ハード狙うかぁ……!!
もっと盛り上げよっかな、とスレに書かれていた事を思い出し、セーターを消してブラウスの襟元を少し開き、さっき持っていたチョコを胸元に挟む。
ハロカメラに向けて前屈みになって、
「私の愛がたーっぷり込められたチョコが欲しかったらぁ……頑張って、私をオトしてみせて♡」
2月中旬を過ぎた頃、一部のダイバーが突然対オールレンジ兵器の対応が以前よりも上手くなったりしたりしなかったりしたとかなんとか。
報酬のチョコは勿論ハート形。
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チェリー・ラヴ16:(自分から)隠れている名店。
オリキャラオリフォース登場わよ。
次の出番は未定わよ。
配信をしたり、日中はリアルのお店にやって来たクーちゃん……夜ノ森さんとフューちゃんに会ったり、後でまた改めてGBNでマギーちゃんとイベントを楽しんだり、というバレンタインも過ぎて、GBNでもリアルでも世の中が落ち着きを取り戻して来た頃。
「寒いの、飽きた……飽きない?」
そんな事をふと思った私は、広い砂漠に囲まれた、ペリシアエリア……ではなく、その周囲の砂漠、正確にはその砂漠を当てもなくふらふらと走り回っているであろうとあるフォースのフォースネストである地上戦艦、レセップスを改造したものへと、自作のモビルワーカーで向かっていた。
アン・ティーという女性ダイバーがリーダーを務めるそのフォースの名は、『C&Y』。
知る人ぞ知り、運が良ければ偶然辿り着けると言われ、そのフォースにフレンドがいなければマトモに位置を特定出来ないという、事実上半ば一見さんお断り状態のそのフォースネストで開かれている酒場は、ドネルケバブや味に当たり外れがあるアン・ティーの気まぐれブレンドのコーヒーが人気と、酒場というよりは軽食店のような雰囲気で、レセップスやリーダーのダイバーネーム等も含め、バルトフェルド隊を意識した店となっている。
人呼んで『砂漠の移動するオアシス』。
「よーっし、見えた見えた!」
酒場『ト・フェルド』。
それは、おしゃれ風に見えて実の所、既に名前でオチているお店。
モビルワーカーをレセップスの近くにつけると、通信が入る。
《いらっしゃいませ、どう言ったご用件で?》
「あ、久し振りタコス君!久し振りにケバブ食べにきたんだけど入っていい?」
《おぉ、チェリーさん!久し振りッスね!
隊長から聞いてます、どうぞ入って下さい!》
「ありがと!」
『C&Y』の副リーダーをしている『マーチ・タコスノ』君の案内に従ってレセップスに入って行くと、他にも機体があるのが視界に映り、その機体に思わず「あれ?」と声が漏れる。
この店はその性質上、同じタイミングで他の客がいる、と言うことがあまりない。しかも、それが知り合いともなれば尚更。
珍しいなぁ、と思いながら白とターコイズに染められたセラヴィーを横目に、格納庫の区域を抜けてすぐの辺りにある階段を上り、店の方へと向かう。
戦艦として、というよりも居住スペースとしての比率を高めてカスタマイズされていることから、所々に涼しげなインテリアや水槽も置かれていたりする通路を抜けていくと、そこがト・フェルドの店舗区域。
所々水が流れていたり、観葉植物が置かれていたりと、砂漠だからこそより涼しげに感じるそこには、想像通り、と言うか、先客がいる。
カウンター席に座っている、空色の長髪に中東風のコスチュームを纏ったケモ耳の男性ダイバー。GBNのNo.1ビルダーと名高い、
「シャッフィー、久し振り!元気してた?」
「君も相変わらずのようだね、チェリー。
そのうさぎのマスコットやペットのような呼び方も久しぶりに聞いたよ」
「あんたも変わらないねぇ……
シャフリヤールをそんな呼び方するの、あんたぐらいのもんさ」
「アニーちゃんもおひさ!」
「アンティーと素直に呼んで欲しいところだけども……まぁ、いいさね。アンちゃんと呼ばれるよりは幾らかマシさ。
ドネルケバブとコーヒーだろう?用意しておいたから座んな」
「ありがと!」
シャッフィーの隣の席に座ると、目の前に用意されるドネルケバブ二つとコーヒー、そして二本のソース。
「いっただきまーす!」
カガリとバルトフェルドが言い争っていた二つのソース、片方にチリソース、もう片方にヨーグルトソースをかけ、両手に掴んで交互に口に運ぶ。
ピリッとしたチリソースの味と適度な酸味の効いたヨーグルトソースの味、何よりメインのドネルケバブの肉のジューシーでかつ絶妙にジャンクな味わいがとても良き。
「少々、はしたない気もするが……」
「そんな格好付けて食うモンじゃないさ、ドネルケバブなんてのはね。
何より、食事なんてのはマナーどうこうじゃなくて、食う奴が楽しんで食うのが1番なんだよ」
「おいひい!」
「褒めてくれるのは嬉しいけど、食べながら喋るのはやめな」
「ん!」
コーヒーカップを手に持ち呆れ顔のシャッフィーを横目に、もしゃもしゃと食べ進めていく。指に少しついたソースをぺろ、と舐めとり、完食。
「やー、美味しかった!やっぱケバブはアニーちゃんのが1番!」
「あんたも、前からその食いっぷりはちっとも変わらないねぇ……
あれを見せられたら、あたしも作った甲斐があるってもんさ」
「確かに、あれほど手放しに褒められれば、作った本人も冥利に尽きる、と言うものなのだろうね」
「シャッフィーも食べればいいのにー」
「私は、今は少々その気分では無くてね。
……だが、次回はご馳走になるのも悪くないかも知れないな」
フフ、といつものどこか気取ったように見える笑みを浮かべながらの言葉に、アニーちゃんがへぇ?と驚いたような表情を見せる。
「常連でも専らコーヒーだけで殆ど食事はした事のないシャフリヤールがドネルケバブとは、どんな風の吹き回しさね」
「私だって人の子だ、目の前でこんな風に見せられれば興味の一つも湧くさ」
「ま、その時は用意しておくからまた連絡しとくれ。特製のを用意してやるさ」
「ああ、楽しみにしておこう」
……ふむ?
「あ、タコスくんタコスくん」
「ん、何スかチェリーさん」
通りがかったタコスくんを呼び止め、ちょいちょいと手招きして耳を寄せてもらう。
「もしかしてこの2人、コレなの?」
「今日日その関係を小指立てるの見な──何でも無いっス。
姐さんは結構満更でも無さそうなんスけど、ホの字かと言われると……どうなんスかねぇ……」
「ホの字も今日日聞かないよタコスくん。
……でも、シャッフィーはシャッフィーで常連なんでしょ?」
「そっス。週1〜2回くらいは来てるっスかねぇ」
「この2人、空気感がもうさ」
「……本人たちの前で、それで聞こえないと本当に思ってるのかい?」
「余計な事喋ってんじゃ無いよタコ坊」
「あいた」
「イッダァ!?」
私にデコピン、タコス君の頭にお盆の振り下ろしが入り、強制中断。せっかく盛り上がってきた所だったのに……
「ダイバーの体で何言ってんだい!
余計な事くっちゃべってる暇あるなら掃除でもして来な!」
「いやここGBNだから別に汚れな──」
「駆け足!」
「ウッス!!」
「あんたも、『今の話は事実無根な全くの嘘』、だ。いいね?
外で余計な事言いふらしたら出禁にするから、覚悟しときな」
「アッ、ハイ……スミマセンデシタ……」
「よろしい。
2人とも降りるのはペリシアだっただろう?もう少しかかるから、ゆっくりしていきな」
とってもいい笑顔に気圧されて縮こまりながら謝ると一先ず許してくれたようで、アニーちゃんがカウンターテーブルの向かい側にある椅子に座り直したのを見て、ホッと一息つきながらコーヒーを一口。
「ん、飲みやすい。当たりの日?」
「あんたが前に飲みやすいって言ってた分量のブレンドさね
フレンドから連絡があって、好みが把握出来てるならそのくらいはするさ」
「おぉ……さっすがアニーちゃん!ありがと!」
「どういたしまして。
おかわりもあるから好きに飲みな」
「ちなみに、私の好みも把握しているのかい?我ながら、結構な回数来ているとは思うのだが」
「当然。
今から全部出してやろうか?」
おかしい、ブラックの筈なのになんか甘くなってきた。と思いつつ、飲み切ったカップにおかわりを入れてもらい、また一口。
「ん、おいし」
ドネルケバブと日替わりブレンドコーヒーが名物の、酒場『ト・フェルド』。
一度お試しあれ。
アン・ティー
フォース『C&Y』リーダー兼、酒場『ト・フェルド』店主。
『C&Y』はチリ&ヨーグルトの略である。
髪を長くして女性化したバルトフェルド、と言えば割と合ってる外見。
元々はコーヒーだし、と『アン・ブリュー』と名付けようともしていたが、『ブリュー』は名前に付けるには響きが好ましくないな、とバルトフェルドの愛称だったアンディーから取ってアン・ティーとなった。
アンちゃん呼びは、普通に名前にちゃん付けだとしたら気恥ずかしいし、その呼び方だと男性の呼び方になる、と言うのも気にして好んでいない。
姉御肌な性格で気遣いも出来、酒場の店主としても割と上手くやっている。
隠れ家的な酒場、或いは喫茶店に憧れはしたもののリアルでやるには現実的では無いし、と考えた結果、GBNの自分のフォースネストで開く事に。自分の好物でもあるドネルケバブとコーヒーがそのまま名物となった。
酒場(バル)ト・フェルド。
乗客は、移動してる砂漠から行ける範囲でなら行きたいところに連れて行ってくれるバスのような事もしてくれる。
機体はラゴゥをベースに某装備を換装する機械生命体をモチーフにし、フレームを紅く染めた換装型四足MS、『ラゴゥレッドフレームカスタム』
『ソードパック』『ガンナーパック』『ブースターパック』『アサシンパック』などが用意され、戦場によって付け替えることが可能。
PS装甲やビームコーティングを施す事で防御性も上がり、口の部分はサーベルを排除して代わりにビーム砲を搭載、ハシュマルのテイルブレードを搭載するなどの変更も成されている。
彼女が指揮するフォース戦は、練度こそ劣るものの、こと砂漠戦においてで言うのであれば、ロンメル隊に張り合う事が出来るほど。
個々人で見れば、メンバーによっては宇宙や水場、水中も出来なくは無いが、フォースとして見るならほぼ地上でのみ活躍出来るフォースとなっている。
マーチ・タコスノ
『C&Y』副リーダーで、リアルでもアン・ティーとはGBNと同じような関係性。
好きな食べ物はタコスとタコライス、好きなおやつはド○タコスとコ○ラのマーチ。
長距離支援砲撃を得意とし、機体はヒルドルブを使用している。
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ビスク01:情報収集
はてさて上手く扱い切れるか(
ゲストもいるわよ
『リアル』と呼ばれる世界からGBNへと帰る時、或いはその逆の時特有の、無重力空間のディメンションにも似た感覚の浮遊感を感じながらGBNにログイン。
私には、参加しているフォースはありません。
よって、ログインしてまず辿り着く場所はセントラルではありますが、ログインする場所がフォースネストでなければ困ると言うことも無く、フォース戦やイベントに興味がある訳では無いのでフォースに参加するつもりは無い、と言っていいでしょう。
──いえ。正確に言うのなら、参加したいフォースはあります。
けれど、そのフォースはメンバーを募集していません。
私のマミィと表現するに相応しい存在でもある、かつての知名度で言うならそれこそトップランカークラスだったダイバーの為の、たった1人の為のフォースなのです。
ここ数年間の間は、マミィがダイバーネームやGBNでの在り方を変えた事、現在の機体が分からず、そもそもGBNでのプライベートのマミィの行動の情報が殆ど出回っていなかった事、何より『マミィの本来のダイバールック』の情報が全く流れていなかった事もあって、 GBNにログイン出来ない状態、引退しアカウントを消した、或いは──第二次有志連合戦直後のメンテナンスにおいて、巻き込まれる形で消されてしまったELダイバーか、と、そんな憶測すら存在し、私自身、いくら探しても見つからないマミィの姿に、愚かにもそんな与太話を信じてしまいそうになったこともあります。
でも、違いました。
あのヴァルガでのバエルベースの機体での近接戦闘。
その動きは私が何度も何度も何度も何度も何度も何度も見た、マミィの数少ない保存されている戦闘の記録データでの動きによく似ており、それでいて、間合いを測り違っている様子もまた見受けられました。まるで、あの機体よりも機動性がやや低く、かつナイフを使っているかのよう。
例えば────マミィの愛機、『ガンダム・バルバトスルプスブランカ』のような。
あの日、ヴァルガでその動きを見た私は、即座に周囲のダイバーの名前と名前を確認。戦闘後にチャンピオン達と会話をしていた、その機体のダイバーと照合しました。
ダイバー名は、『チェリー・ラヴ』。
最近有名になったG-tuberをしているダイバー、という事は煩いほど聞かされて知っていましたが、興味の無い話題というのは記憶に残らないもので。名前とG-tuber、という事しか覚えていないと言うのが実情でした。コスチュームがどうの、と言っていたような気もしましたが、マミィの紛い物など、とその時は聞き流していたのが、今となっては悔やまれます。
チェリー・ラヴ。彼女が本当にマミィなのか、そうで無いのか。それを調べ、判断し、直接会って確かめる為に、先ずはあの子に会って情報を集め、確かめる必要がある。
その為にも、とまずはあの子の生活拠点に向かう為に『ディメンションA.D.』へと移動し、そこからは徒歩で──
「あーっ!『ビスク』さん、見つけました!」
「……手間が省けますが、その騒がしさはどうにかならないんですか?『トキ』」
「いやー、ビスクさんから、しかもチェリーちゃんの事を聞きたいからなんて理由で連絡が来るだなんて嬉しくて、つい自分から出て来ちゃいました!
だってほら、ビスクさんってアンシュさんとコーイチさんくらいとしか、それこそサラさんとすらマトモに話さないじゃないですか?
そんなビスクさんからあんな内容で連絡があったとなれば、自分から出向くってもんです!」
「そうですか」
暇なんですね、とは口に出さず、相打ちだけを一つ。
彼女は私よりも後、10……20人目?程のタイミングで発見されたELダイバーの1人、トキ。『GBNの乱れを正す』という想念から生まれ、自ら自警団のような事もしているようですが、嗜好品を渡されて誤魔化されている様子もまた、よく確認されているとか。
「『ファースト』にしても、同類含め他のダイバーにしても、仲良くする理由も有りませんし、取り立てて興味も有りませんから」
「うーん……ビスクさん、それってなんだか寂しくないですか?」
「?何がですか?
私は、ダディ達とマミィが居て、コスチュームの着替えが出来れば他に誰も要りませんが」
「がーん!ショック!それはショックです!私いっつもビスクさんの事見かけたら話しかけてるのに!コスチューム以下なんですか私!?
……んん?というかその言い方的に、もしかしてビスクさんのマミィさんが見つかったんですか!?」
「まだ見つかった、と確定した訳では有りませんが、チェリー・ラヴというのがマミィの偽名の可能性が出て来ましたので情報を少しでも集める為貴女に連絡を送りました。
本題に移っても?」
「!?!?
えぇ、えぇ!それはもう!私でよければ一肌も二肌も脱ぎましょうとも!」
それからと言うもの。
水を得た魚、水場に放り込まれた水泳部と言わんばかりのマシンガントークが展開され、私はそれを全て記憶に保存していきました。
トップランカーの1人、『マギー』が店主を務める『La Rencontre』によく現れる事。
飲酒を好む事。
機体はバエルベースのガンダム・アナトで、追加武装でフルドレスユニット、ウェディングユニットがある事。
G-tuberとしては散歩配信や雑談配信をしている事。
そして──コスプレと称してコスチュームを変更するなどをしており、その操作速度が異様なまでに速いという事。
その様子を配信のアーカイブから切り抜いた動画を見せられ、あぁ、と思わず声が漏れてしまいました。
スクロールしている時間から察することができる、所持コスチュームの多さと、手癖で着替えたいコスチュームを選べてしまう程に慣れているのが分かる操作速度。
かつての記録として残っている動画でも見られるその無駄の無い操作は、『毎回同じダイバールックである事』は差し引いても私に確信を抱かせるに足るものでした。
「なるほど、参考になりました」
「もういいんですか?もっと語れますけど」
「ええ、十分です。
ありがとうございます、トキ」
「あの塩対応の権化みたいなビスクさんから感謝されるなんて……!なんていい日でしょうか!」
「自覚はありますが、その言い方は癪なものがありますね。
礼としてドーナツとやらを予め用意しておいたのですが、不要だったでしょうか」
インベントリから取り出した持ち手のある箱を見せると、分かりやすく目を輝かせるトキ。
「それは……!
リアルでも有名なドーナツチェーン店、ミズ・ドーナツのドーナツ!くれるんですか!」
「ええ、まあそのつもりで購入したので。不要であれば廃棄するだけですが」
「とんでもない!丁度食べたかったんですよドーナツ!ありがたくいただきますね!
それと、食べ物を粗末にするのはいけません!勿体無いゴーストダイバーが出ますよ!」
「そうですか。それでは失礼します」
「もう行くんですか?一緒に食べないんですか?ドーナツ」
「ええ、結構です。では」
わぁ、もちもちリングにフルーラー!という声を背に、ようやく分かった行くべき場所に向かって足を進める。
「やっと会えますね……マミィ・『ブロッサム』」
「もきゅもきゅ……んん?ブロッサム?
ブロッサムって言うと、確かコスチューム所持数がGBNで1番とか何とか言われてたダイバーでしたっけ?第二次有志連合戦以降殆ど表舞台に姿を見せなくなったとか……はむ」
「やあ、トキくん」
「あ、コーイチさん。コーイチさんもどうです?」
「あー、いや、大丈夫。少し、伝えておくことがあってね。
トキくんは、ビスクくんともそれなりに話す仲だろう?そこで、頼みがある。君も良く知っている『チェリー・ラヴ』というダイバーについて、彼女に話さないでほしいんだ」
「……うぇ?」
「今のビスク君が彼女について知ってしまうと、少々困った事になるかもしれなくてね……トキくん?」
「これ……もしかしなくても私、やっちゃいました?」
アルキメです。さん家からトキちゃんですはい拍手ー!
割と役割としてはやらかし要員だったけど、ポジションとして凄く使いやすかったので御登場いただいた次第でさぁ
風紀を乱す系ポン風紀委員タイプの女の子はええぞ
今回そんな要素無かったけども!!
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桜野恋愛02:悪夢、或いはしょうもない昔話 その1。
ちまちま書いてたしこの続きもちまちま書くから時間たっぷりかかりやがりますわよ
私は、極々平凡な家庭に生まれて、極々平凡に暮らして来た。
まあ、この世界は漫画でもアニメでも、ましてやゲームでも無い訳で、それは当然となのだけれど。変な家庭に生まれたかった訳でも無いし、そこに不満は無い。
そこそこに幸せな、当たり前の生活。そんな生活が良くも悪くも少しずつ変わるきっかけになったのは、やっぱり『機動戦士ガンダムSEED』に出会った時なのだろうと、そう思う。
特徴的なモビルスーツ、主人公のキラやザフトのアスランの個性的な仲間達、キラが乗った『ストライク』と『フリーダム』、そして──ラクス・クライン。
彼らに出会って、ガンダムシリーズを好きになって、彼女を好きになった事が、今の私になるきっかけだったのは間違いない。きっと、ガンダムを好きにならなければマギーちゃんには出会っていなかっただろうし、GBNをしようとも思わなかっただろうから。
でもまぁ、当時の周囲の雰囲気はと言うと。
高校生とかなら好きな男キャラ、みたいな話題も女子の中で出たのだろうけど、小学生となるとガンダムは男の子が好きなもの、みたいな空気感がやっぱりあったし、何より、学校にガンプラを持ってきた男子達が『ブンドド』している光景に対しての女の子の反応を見てしまうと、怖くて「私もガンダムが好き」だと口に出せなかった。
自分の『好き』を表に出さないように隠して距離を取り、そのまま歳を重ねるごとに、どんどん男子とも女子ともあまり話さないようになっていって。
中学の頃には背がさほど伸びもしないのに大きくなる胸のせいで引きたくもない形で男子の目を引くようになって、大きくもない体を更に縮こませるようにして目立たないように、と休み時間も一人で黙って過ごすようになり。
高校の頃には周囲と話すのも苦手になって、前髪も伸ばして半ばクラスの背景のような学生生活を送っていた。
けれど、高校生にもなればバイトはしていなかったけれどお小遣いもそこそこ貰えるようになって、ガンプラや道具にも手を出しやすくなったりしたのもあって、1人でどんな子を作ろうか、どんなポーズを取らせようか、と想像を膨らませるのもそれはそれで楽しかったから、小中に比べればそこまで辛くはなかった。
そりゃあ好きな事について話せないのは寂しいけれど、それで傷付くよりは余程いいから気楽でいいや、と思うようになって──まぁ、今となっては半ば自分にそう言い聞かせてたようなものだったと理解しているけれど──いた。
そして大学も出ておいた方がいい、と言われ、入試のために出向いた先の比較的近くにあったガンダムベース──シーサイドベースに折角だから行ってみよう、と向かった事で、再び今までの人生が一転する事になる。
マギーちゃんと出会う事で。
わぁ、と思わず感嘆の声が漏れる。
目の前に広がる、展示されているガンプラと棚に積まれたガンプラの箱の山、山、山。地元の店で欲しいキットが見つからないからという理由と、来る機会があったと言うのもあって行った事のなかったガンダムベースに来てみたけれど、この光景だけでも価値があったと思える程だった。
「……どこだろ」
「何かお探しかしら?」
「ひゃいっ!?」
目当ての機体を探すのは大変そうだなぁ、と思いながら呟いた言葉に、女性的な喋り方の男声という馴染みの無い話し方で突然声をかけられた事で、思わず飛び上がるように驚いてしまった。
「あ、ああああなたはっ!?」
「驚かせちゃったわね、ごめんなさい。
アタシはマギー、『アダムの林檎』ってバーのママをしてるの。女の子が困ってるみたいだったから声をかけたんだけど……突然知らない人から声をかけられても困っちゃうわよね」
そのマギーと名乗った人を見てみると、身長は高く、体付きも良いものの目元が垂れ目であったり表情も優しそうなど、話し方の柔らかさや先ほどの言葉も相まって良い人っぽい、という印象が感じられた。
「あ、いえ、その……ありがとうございます。SEED系の機体の場所を探してて……」
「あら、それならこっちよ。アタシも用があったの、良ければ一緒にいかが?」
「あ、はい……ありがとうございます、助かります……」
「気にしなくていいわよ?
ココ、見てるだけでも楽しいけど、何か探すなら慣れてないとすぐには分からないものね」
こっちよ、と歩き出すマギーさん、と言うらしい人の半歩後ろをついて行く感じで歩く。お洒落な服に柔らかい物腰、気遣いが出来て優しく歩き方までセクシーで、この体格が無ければそこら辺の女性よりも女性的なんじゃないかな、と思ってしまう程。
「……マギーさん、は、ガンダムが好きなんですか?」
言ってすぐに、何を当たり前な事を、と内心呟く。ガンダムベースに1人で居る位の人が、ガンダムが好きじゃない訳がないのに。……いやまぁ、連れの人が別の所にいる可能性はあるけど。
「もちろん!アタシはSEED系が特に好きなのよねぇ……あなたもSEEDが好きなのかしら?」
何この聖人。
「えっと……はい。ストライクとか、フリーダムとか……」
「格好良いわよね、あの2機!」
「はい!最初の登場シーンも格好良いし、ストライカーパックの付け替えとか、フリーダムはフルバーストとかDESTINYでの活躍とかも凄く好きで!」
「うんうん、分かるわ!DESTINYになってもフリーダムとキラの組み合わせがいかに強いかって言うのがよく分かるわよね!
もしかして、目当てのガンプラもストライクとかフリーダムなのかしら?」
「あ、いえ。今回欲しいのはストライクノワールなんです!地元の店では見かけないので、遠出ついでに少し寄ってみようかと思って!
どの位使うかはまだハッキリとはしないんですけど、絶対何かの要素を使いたい機体の一つで────」
「あら、偶然ね!私も……どうかしたの?」
「……いえ、その、なんかすみませんベラベラと……会ったばかりだし、女なのにガンダム好きなんて変ですよね……」
ふと我に帰って思わずそう漏らしてしまった所で、知り合ってばかりの相手がそんな事を言い出してきた方が変だし困るな、と気付き更に一人で落ち込んでしまう。
「そんな事ないんじゃないかしら?」
「え……?」
「着いたわね、この辺がSEED系のキットが置いてある場所かしら。ノワールは……これね。はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……
あの、そんな事ない、って……?」
「周りをよく見てごらんなさいな」
優しい表情でそう言うマギーさんに従って周囲を見渡してみると、着いたばかりの時は少しの緊張と興奮もあってあまり見ていなかったけれど、よくよく見てみると、店員さんや、その他にもちょこちょこ女の子や女性客が居るのが視界に入って来た。
「あ……」
「他にも女の子、いるでしょう?
地域とか年齢によってはそういう風に見られる事もあるかも知らないけれど、少なくとも此処では、そんな事は無いわ。
それに、アタシなんてオカマよ?それでもこうして普通にここに居るんだもの。あなたみたいな女の子が受け入れてもらえない訳が無い、私はそう思うの」
「そう、でしょうか」
「ええ!」
すごい人だな、と、そう思った。
自分がしたい事、好きな事を表現しながら、ありのままの自分で日々を過ごしているその姿に、憧れすら抱いた。
この後、マギーさんに軽く案内してもらって回ったり『アダムの林檎』に連れて行ってもらったりはしたものの、この時はまだあくまで遠出をしてるに過ぎなかったわけで。
その日は帰るしか無かったけど、この日の経験はとても、とても大きな価値のあるものとなった。
聞き手を用意するか1人で進めるかでしばらくかかったけど、まぁ1人でいいかなって。
この調子だと4話分くらいかかるんじゃ無いかなぁ昔話。
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桜野恋愛03:悪夢、或いはしょうもない昔話 その2。
マジでちまちま書いてたら時間かかったンゴね……
これキャラ崩壊してない????ってなりながらひとまず一区切りわよー
大学に合格した私は、La Rencontreの近く……というか、現在も住んでいる部屋へと引っ越し、一人暮らしをするようになった。
合格や引っ越した事をマギーちゃんの所に報告に行った時は、一度しか会ったことのない私の事を覚えているか不安ではあったけれど、マギーちゃんは覚えてくれていて。それどころか我が事のように喜んでくれて、本当に良い人なんだなぁ、と当時改めて思ったのをよく覚えている。
大学に入学してからは、マギーちゃんのところにちょくちょく軽くお昼ご飯を食べに行ったり、夜はお酒を飲みに行ったりもするようになった。……まぁ、最初の頃は貰った仕送りで生活してたからそこまで頻繁には行けなかったけど。
個人経営なのもあって広過ぎない適度な広さの店内と落ち着いた雰囲気、マギーちゃんの人柄もあって、とても居心地がよくてつい長居してしまったりもして、ウチで働いてみる?なんて声をかけられるまでそこまでかからなかった。
で、まぁ、週末だとか、授業が無い時間だとか、そんなタイミングで始めは主にお手伝いがメインの仕事、という形でアルバイトを始めるようになって、人と話すのも少しずつ慣れたり、お金の余裕が少し出来たりして来た頃。
今とは違い、制作環境が整ってなかった時期。ふと思いたって、住んでるところから近いシーサイドベースではなくお台場のガンダムベースに行こうかと思いつき、制作スペースがあると聞いて、ついでに試してみようかな、と向かってみたある日。ナナセ君と、あの悪人面……ツカサと、出会った。
「あった、エールストライク」
取り敢えずは、と選んだ機体はストライク。前にマギーさんに教えてもらった場所は覚えていたから、ガンプラが置いてある場所自体はすぐに分かった。
「えぇ、と……?」
お会計を済ませて周りを改めて見回し、制作コーナーを探してふらふらと歩いて回る。回数も来ていた訳でもなく、使うつもりがなかった施設だから意識して見ていた訳でも無かったから、うろ覚えだなぁ、と呟いていると、声がかけられた。
「もしかして、迷っていたりするかい?」
「──っ!?」
「あ、いや、急にごめん。困っているように見えたから」
思いがけずかけられた声に肩を跳ね上げるように驚いてしまいながらそちらを向くと、その声の主であろう、優しげ、というよりはどこか気が弱そうにも見える、私と同年代程の男性が居た。
「お節介だったかな、迷惑だったら」
「ようコーイチ──誰だそいつ、見ない顔だな」
「ひ……っ!?」
「…………」
「……ぷふっ」
「……覚えてろよコーイチ」
「ごめん、ごめんってツカサ!
君も、怖がらないでやって欲しい。こいつ、こんなだけど悪い奴じゃないんだ」
コーイチ、と言うらしい声をかけてくれた人と、彼と親しい様子の、後からやって来た……なんというか、若干目つきが悪い、ツカサと言うらしい男性の2人。
知らない人な上、ツカサさん、と言うらしい人の顔に驚いてしまって良くない反応になってしまった事を謝ろうとして、
「あ、えっと、すみませんでした、ツカサ……さん?」
「……シバ・ツカサだ、好きに呼べ。
お前は?」
「サクラノ・レア、です」
「僕はナナセ・コーイチ。よろしく、サクラノさん」
「よろしくなガキンチョ」
カッチーン。
「えぇ、よろしくお願いします、ナナセさん、悪人面」
「あぁ?」
「何か?」
自分の身長が小学生から中学生がいいとこなのは自覚してるし、年齢を疑われるのも慣れてはいるけれどそれはそれ。自分で言うなら兎も角、面と向かって小馬鹿にされて平気な顔をしていられるほど、私は人が出来てもいないのだ。
「ガキはガキだろ、ちび助」
「これでも大学一年なもので。
ガキと言うほどの歳ではないかと思いますが?」
「ほぼ同い年だ?このちんちくりんが?」
「折角謝ろうと思ってみれば、本当に顔通りの性格なんですね?」
「なんだと?」
「なんですか?」
むむむむむむむむむむ、と睨み合っていると、横から声。
「お客様、通路を塞ぐのはお控え頂いてもよろしいですか?」
「ひゃぃ……」
「……すいませんした」
とっても良い笑顔の店員さんの鶴の一声に、反抗する余地はなかった。
取り敢えず落ち着ける場所に、とテーブルと椅子がある場所に移動した私たちは、向かい合って──と言うには、シバ……さん、は腕組み足組みそっぽ向き、という座り方だけれど──椅子に座っていた。
「まったく……熱くなりすぎだよ、ツカサ。あと、あれはツカサが馬鹿にしたのが悪い。
サクラノさん、ツカサがごめんね」
「……悪かった」
「……まぁ、歳の割に小さいのは事実なので……私も、すみませんでした」
曲がりなりにも謝罪されたから、と私も謝罪を返すと、苦笑を浮かべるナナセさん。
「お詫び、と言うか、元々そのつもりだったんだけど……行きたいところがあるようなら、僕らが案内するよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……ビルダーズゾーン、と言うところ、に……?」
「ここだな」
「ここ、だね」
「ここ、ですか」
既に目的地に着いていたという事実から絶妙になんとも言えない空気になり、揃って一瞬黙り込む。
「うーん……アドバイスとか、何か手伝えれば、とは思うんだけど……これ以上はしつこいかな」
「お前はGPD用の機体作りに来たんだろうが。
……俺が残る。どちらにせよ、機体が出来るまで暇する訳だしな」
「え」
「あーっと……サクラノさん、勝手に話進めてなんだけど、必要無い時は正直に言ってもらっていいからね?」
「あ、いえ、そんな事は無いです。
自分でも作ったりはしますけど、素組みばかりなので作るのが上手な人にアドバイスを貰えるのはありがたいですし……」
「だとよ、さっさと行け」
「うん、じゃあ任せたよ、ツカサ」
それじゃ、また後で。そう言い残して別の場所に移動するナナセさんを見送ると、シバさんは腕を組んだままこちらに視線を向ける。
「端的に聞く。ガンプラ作りはどの程度を目指してる?」
「どの程度、というと……?」
「素組みなら、別に誰かがどうこう言うような難しい事じゃねぇ。今時のガンプラなら、それこそ爪切りでだってそれなりの出来で作れるだろうよ」
「爪切り……」
「だが、ミキシングして飾りたい、GPDで戦える強い機体を作りたい、となると話は変わる。ヤスリがけ、合わせ目処理、スミ入れ、塗装……丁寧な作業が出来上がりの質を左右する以上、手間は倍以上に膨れ上がると思っていい。
お前はどうしたい、サクラノ」
正直、意外だった。
ここに来ている以上はガンダムやガンプラが好きだとしても、ガンプラ製作の知識や実力が高い人だとは思ってもいなかったから。
「……正直、GPDは壊れるのが怖いので多分やる事はないと、思います。
でも、GPDでも戦えるくらいに立派なミキシング機を作れるようになりたいと……そう、思ってます」
「……分かった」
どこか複雑そうな表情で、けれど、そう答えたシバさんは、組んでいた腕と足を解き、私が買ったエールストライクの箱を指差す。
「取り敢えず、本体……ストライクだけ、自分なりに作ってみろ。気になるところがあれば、後で言う。
まぁ、今すぐここでやって、見る事と言ってもゲート処理とヤスリがけくらいのもんだろうが」
「はい、シバさん」
「『さん』も敬語もいらねぇ。さっきぐらいで、呼び捨てでいい」
「わかりました、『シバ先生』?」
「喧嘩売ってんのか?」
「冗談です。よろしく、ツカサ」
「……あぁ」
ニッパーで切り取る音、パーツを置く音、説明書が擦れる音。
お互いに特に言葉を発するでもなく、小さな音だけが響く中、聞こえた声の主はツカサだった。
「GPDは、怖いか」
「はい?」
「さっきの話だ」
不意を突かれて聞き返し、あぁ、とようやく理解する。
「怖い、のもありま……ある、けど、なんで、ガンプラが壊れてしまう事を楽しめるのかなぁとは、思う」
「少し、違うな」
「違う?」
「壊れるのは、確かにスリルがある。リアルな戦場に自分が立っているようなスリル。それを楽しんでいるのは、勿論事実だ。
だが、GPDを楽しむ根本的な理由は、もう一つある」
「もう、一つ?」
「自分が作ったガンプラを、自分自身で動かせる。ガンダムのキャラクターのように、自分の愛機を実際に操ることが出来る──その喜びが、俺達を駆り立てる。
ガンプラを破壊され、相手に負ければ反省点とどう改良すればいいかを洗い出し、自分なりの改造を繰り返して、より自分の戦闘スタイルに合う、自分専用の機体へと洗練させていく。
そして、その機体を持ってまたGPDの筐体へと向かう。
『俺のガンプラが最強だ』『俺が1番ガンプラを上手く動かせる』と、証明する為に」
「……ツカサも、やっぱりそんな機体を持ってるの?」
「こいつ──『アストレイノーネイム』、だ」
そう言ってツカサが取り出したのは、小さなガンプラ用のポーチから取り出したのは、全体的に赤褐色の塗装が施された、右肩に装着したユニットが印象的なガンプラ。その見た事がない雰囲気のデザインは、試行錯誤の繰り返しが見て取れるようだった。
「すごい……」
「100回以上、戦って改良して、を繰り返して完成した機体──俺に最適化させた、俺の経験と知識の集大成。俺だけのオリジナルだ。
飾るための芸術的なオリジナルガンプラ、ミキシングが悪いとは言うつもりはない。それがGPDが出るまでの元々の楽しみ方だからな。
それでも、壊して壊されて、そうして出来上がっていく、自分だけの愛機。それが生まれるのもまた、GPD──ガンプラバトルって訳だ」
『愛』
一言で言うなら、それに尽きると思った。
このHGサイズのちっぽけなガンプラにこんなにも熱意を込めている人が、世の中には居る……いや、ファイターの数だけ、いくらでも居るんだ、と。
「私は……やっぱり、壊されるのが怖くてガンプラバトルは出来ないかな、と思う。
──でも、ガンプラバトルの良さは、分かった気がする。ありがとう、ツカサ」
「何なら、完成したらGPDで動かして軽く体験してみりゃいい。
GPDはガンプラバトルの為の機械だが、ガンプラバトルをしなけりゃならねえ訳じゃねえんだ」
「……え?」
「当たり前だろうが。
時間に余裕が無い訳でも無いのに、新しいMSが出来たからって試運転無しで実戦に出撃なんてするか?んな訳がねえ。
不具合は無いか?重量バランスは?思った通りのマニューバが出来るか?そんな確認もせずに戦うなんて、一歩間違えばただの自殺行為だ」
「確かに……」
盲点、というか何というか。
GPDはガンプラバトルをする機械で、攻撃を受けるとガンプラ自体がダメージを受ける。それは事実だけど、GPDはあくまで『ガンプラを動かす』機械でしか無い事が、頭から抜けていた。
「見たとこ、気になる部分は無くはねえが……かけた時間と初心者な事を考慮すりゃまあまあ良く出来てる。これなら、GPDでもそれなりに動くだろう。
やってみるってんなら連れてく位はしてやる」
「じゃあ、少しだけ……待ってて、急いで組み立てるから」
「途中から無駄に急ぐな、パーツごとの出来上がりの質がブレる。どうせまだ時間はあるんだ、丁寧な作業を心掛けろ」
「分かった」
本当、ナナセさんの言った通りだった。
目つきはまあ悪いし、態度や言葉遣いはあまり良いとは言えないけれど、ツカサ自身は悪い人じゃない。
なんというか、第一印象で損するタイプだろうなぁ……と考えながら口には出さず、言われた通り丁寧に作業を進める事を意識して黙々と進めた私は、然程しない内にストライクを完成させ、ついさっきまではまさか私がやる気になるとは思っても見なかった、初のGPD、初のガンプラの操作を体験する事となったのだった。
シバ君、GBNショック前で好きな事に関してならこのくらい饒舌になってもおかしくないやろって思うの。
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桜野恋愛04:悪夢、或いはしょうもない昔話 その3。
ライトボウガン楽しいです_(:3」∠)_
あ、今回も今回とて多分オリ設定有りだよ
ナナセ君とツカサとの出会いからというもの、同じ趣味の友人がいるという楽しさもあって私は1〜2週間に一度のペースでガンダムベースに足を運ぶようになって。
素組みでしかガンプラを触ったことが無かった私も、2人に教わりながら少しずつ経験を重ねた結果、私の当時の集大成と言えるオリジナルガンプラ、SEED以外で好きな機体、と言われたら挙げる機体の一つ、ガンダム・バルバトスとストライクをメインとした『ガンダム・バルバトスルプスブランカ』が、GBNの情報が公開されるくらいの時期には完成させる事が出来るほどになった。
そして、そんな頃。
ナナセ君が暗い顔をして歩いていたのを見かけたくらいの時期を境に、気付いたらツカサも、あの2人の友人達も、いつの間にか見かけなくなっていた──そんな日々の中の、ガンダムベースでのもう一つの出会い。
ナナセ君の妹、ナナちゃんと、コスプレとの出会い。
ある日のアダムの林檎での仕事中。日中で暇なこともあって軽く掃除をしていると、ママのマギーさんに声をかけられた。
「さくらちゃんって、コスプレには興味あるかしら?」
「……コスプレ、ですか?」
「そう!ガンダムベースで、今度の週末にコスプレのイベントがあるらしいの。コスチュームは用意されてるみたいだし、物は試しって言うじゃない?もし興味があったら、行ってみたらどうかしら?」
コスプレ。
そりゃあ、大学生のオタクともなれば聞いた事や、コスプレイヤーさんの写真をネットで見た事くらいはある。
要するに、アニメだったり漫画だったり、好きなキャラクターのコスチュームを着て、メイクやウィッグなどで自分の見た目もそのキャラクターに近付ける事で、自分自身がそのキャラクターになるという、キャラクターへの愛の表現の形の一つと言って差し支えないもの。
まぁ、興味が全く無い、と言えば嘘になる。
寧ろ、ラクス様やフレイ、アスランとカガリ、シンとステラのカップリングでの所謂『あわせ』の写真を見つけては凄いなぁ、と思いながら見ていた身としては、多少なりとも興味を持つのは必然だったんじゃないかとすら思う。
でも、今までやろうとしなかった理由は大まかに3つある。
ひとつ。
これはもう解決しているけど、実家暮らしだから、もし始めたとして、親に見つかるのが恥ずかしかったこと。
ふたつ。
これも、今は改善されて来ているけれど、他人に見られる、という事が、あまり得意ではない事。コレに関しては、バイトとツカサ達の影響もあって、慣れたと言うか、以前ほど気にならなくなった。
そしてみっつ。これがある意味1番の問題。
既製品だと、中々サイズが合わない。
胸が大きくて、その癖身長は低いという私は、良くも悪くもと言うかあまり居るタイプの体型では無いので、既製品で探してみても、まず合うものが中々ない。かと言ってオーダーメイドは高いし、裁縫はそこまでの事をする程の腕もない。普段するのも、ボタンの付け直しが関の山。
少し興味を持って、やってみたい……かも?位で手を出すには、ハードルが高過ぎたのだった。
「……興味がなければ、アタシに気を遣って、とかしなくていいのよ?」
「いえ、興味はあるんですけど……」
「けど?」
「何というか、コスチュームのサイズが、どうなのかな……と……」
「……確かに、悩ましい問題ねぇ」
少しの間黙っていた事で、内心嫌がっていると思わせてしまったようで少し申し訳なくなりながら返事をすると、制服としてディーラー服を用意した時もなんやかんやと手間がかかって結局マギーさんのお手製になった経緯もあり、サイズの問題を理解しているマギーさんが腑に落ちたような、困ったような、何とも言えない表情で、頬に手を当てながら呟く。
「取り敢えず、行ってみます。大きいサイズがあるなら、一応着れる訳ですし……ありがとうございます、マギーさん」
「そう、ね。折角レンタルできるイベントなんだし、サイズは大きくても先ずは試しって事で気軽に出来ていいのかしら……
うん、いってらっしゃいな。楽しく参加出来るといいわね」
「はい」
時と時間が移って、そんなやりとりがあった数日後の週末、ガンダムベースにて。私はというと──
「……本当に行くの、私?」
チキっていた。
興味があったのは事実、マギーさんの言葉で行ってみようと思ったのも事実。
でも、今までした事のない事で何となく不安な事、おしゃれな服を特に着ようとした事が無かったのでコスチュームとはいえ着飾るのが、ましてやそれを見せるために人前に立つと言うのが素直に気恥ずかしいという気持ちが、いざ当日、ガンダムベースに着いたら改めて再燃してしまった。
「……でも、行くって言ったしなぁ」
「こんにちは!もしかして、迷ってたりするのかしら?」
「──っ!?」
「あ、驚かせてごめんね?なんか困ってるように見えたから」
突然の声に驚き、何となくデジャヴを感じながらも振り返ると、声もそうだし、雰囲気からして快活そうな同年代か、やや年下くらい──要するに、傍目からは向こうが年上に見える──と思われる年齢相応かそれ以上にスタイルの良い女の子。
「年下の女の子が困ってそうなの見たら、気になっちゃってさ!
あ、特にそういうわけじゃ無かったらごめん──どうかした?」
「いえ、まぁ、何というか既視感と世の無情を同時に感じまして……」
「……?まぁ、とりあえず困ってるって感じじゃないみたいね!
私はナナセ・ナナミ。もし何かあったら、気軽に声かけて!あまりしっかりとした事はちょっとだけど、案内とかくらいなら普通に出来るから!」
「……ナナセ?」
あぁ、なるほど。と、思わず納得する。
顔がそこまで似てる、と言うわけではないけれど、知らない相手に対してこうして声をかけてくる辺り、親切なのは兄弟揃ってなんだなぁと思いながら、一応確認。
「以前よくここに来ていた、ナナセ君の御兄妹ですか?」
「あれ、お兄ちゃんの知り合い?……お兄ちゃんのここでの知り合いで女の子、って言うと……もしかして、あなたが『サクラノさん』?」
「えぇ、まぁ、ナナセ君にはお世話に──」
「ほんとに小さーい!!お兄ちゃんとうとうガンプラの作り過ぎで……とか少し思ったりしてたけど、まさか本当にこんな可愛い人が私の年上だなんて!!
……しかし、どんな人か聞いてもお兄ちゃんが言い淀むわけね……」
小さくて、大きい……と呟くのが耳に入り、誠実な彼が妹に同年代の女子について聞かれてしどろもどろになっている様子が何となく想像出来てしまって、少し笑みが浮かんでしまう。
「じゃあ、やっぱりツカサさんとも呼び捨てで普通に話せてたって言うのは本当なんですか?」
「え、まぁ、はい。
最初こそ、あー……アレでしたけど、慣れれば何だかんだで面倒見がいいんですよね、ツカサって」
「まさか、本当にツカサさんの事をそんな風に言える女子がいるなんて……」
「……まぁ、気持ちは分かります。
そういえば、ツカサとナナセ君を最近見ない気がするのですが、何か知りませんか?」
ナナセ君の妹でツカサとも知り合いなら丁度いいかな、と思いそう尋ねると、ナナミちゃんは一瞬だけどこか陰のある表情になって、
「あ……えっ、と、ごめんなさい、私はちょっと分からなくて。
ただ、みんなと喧嘩か何かしたみたいです」
すぐに表情を取り繕い、そう答えた。
何かを、と言うよりは恐らく原因を知っては居るけど誤魔化した、と言う風に見てとれたけれど、敢えてそこには何も言わず、「……そうですか」とだけ返す。
悪意は感じられなかったし、本人の妹となれば、何か他人には話辛いような事情があるのかもしれない。
あまり引き伸ばさない方が良さそう、と考えて、話題を変えることにする。
「ナナミさんは今日はどうしてここに?やっぱりガンプラを買いに、ですか?」
「いえ、実は私、最近ここで働き始めたんです。
そうだ、サクラノさんは知ってます?今日のイベント!」
思わず、ぎくり。
「え、ええ、まぁ……」
「もしかして、サクラノさんも興味あるんですか!?どんなのを着るんです!?」
ずずいっと近寄り、私の手を握って覗き込んでくるナナミちゃんの押しの強さに、こう言うタイプの人種との交流経験が少ない私は思わず引き気味になりながら、これが陽キャの力……!と内心呟く。
「いえ、あの、何を着るかは決めてなくて、というか、着るかすら決めてな──」
「なら、決めるの手伝いますよ!こんな可愛い人のお着替えを手伝えるなんて……!
何が似合うかしら……アレも、アレも……あんなのもあったわね……んーっ!ワクワクして来たわ!」
「ナナミさん?ナナミさん!?あの!?」
「大丈夫!サクラノさんに似合う服を見繕って見せます!どんな設定の服なのかは全部は知らないですけど、見た目は覚えてますから!
あと、敬語じゃなくていいですよ!呼び方も、ナナミちゃんとかでいいので!それじゃ行きましょう!!」
「あの────っ!?」
体格の差もあって半ば引きずるようにしてどう足掻いても引っ張られる私は、そのままシーサイドベース……そして、イベントの会場へとナナミさん──ちゃん、に、連れて行かれたのだった。
わぁ、と思わず声が漏れる。
即売会やらのような会場じゃないから規模こそそこまで大した事はないけれど、それでも何人かは既に参加していた。
パッと目に止まったのは、ファーストに出てきた有名な女性キャラクター、セイラさんのコスプレ。他にも、ガンダムシリーズ作中の制服を見に纏った人が割合としては多く見られた。
多分、モブ……と言うか、まぁ名無しのキャラが着ていることも多々ある分、髪とかメイクにそこまで気合を入れずとも、量販店に売っているパーティグッズのコスチュームのようなものと言うか、着るだけで気分を味わえて楽しめる気軽さがあるんだと思う。現に、他の人達はそのセイラさんのコスプレほどしっかりキメているようには見えなかったから。
それを見て、なんとなく気が楽になった。まずは着てみて、似合うかどうかじゃなくて、楽しいかどうかで決めればいっか、と、そう思えた。
しっかりとキメるなら、もっとしっかりやりたくなってからやればいい。そう考えた私は、ふらりとコスチュームが用意されている場所に向かう。
吸い寄せられるように向かったのは、SEEDシリーズの服がある様子のハンガーラック。フレイやミリアリアが着ていた制服がいいかな、と思っていたので、丁度目に止まったそれを手に──
「あ、サクラノさん!これ!これ良くないですか!?」
「ぅえ?」
取ろうとして、同じくSEED系のラックから服を手に取り、それを見せてくるナナミちゃんの行動に思わず動きが止まる。
それは、私にとって初恋の相手でもあるラクス・クラインと同じ顔……『になった』、1人の女の子が最後に着ていた服。或いはラクス様と同じくらいに思い入れのあると言っていい、ガンダムSEED Destinyのキャラクター──ミーア・キャンベルのものだった。
「これなら、普通に服としても着れて良くないですか!?……どうかしました?」
「……ぁ、うん、そう、ですね」
多分、数分前までならほぼ確実にそれとなく断っていたと思う。
でも、少し。試してみようかな、くらいとは言え少しだけ考え方が変わった今は、それもいいかも、と思うようになっていた。
「──じゃあ、それにしてみます」
──それが、私のコスプレの始まりだった。
言うまでもなくレンタル品で、思っていた通りサイズも合わなくて。結局上着は前を閉めきれずに前を開いて、切るというより羽織る、になってしまったけれど。
普通のオシャレとはまた違う、少し違う自分になれた──
そんな気がして、少し感動をしてしまったのを未だに覚えている。それこそ、自分で作れるようになって、バッチリ決めたコスプレを出来るようになる事を目指すのもいいかも、と思うようになったくらいに。
そしてそれは、数ヶ月後に叶う事になる。
ガンプラバトルネクサスオンライン──GBNが、サービス開始する事で。
ナナミお姉さんの敬語、マジで違和感〜〜(指振り(IKKO風
今作のリオレウス……なんかこう……アレじゃないですかね(死んだ目
あ、カンテラさんちの五分前仮説にもチラッと顔出したり出さなかったりしてるよ
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桜野恋愛05:悪夢、或いはしょうもない昔話 その4。
報告でも書いたけど、勘違いというか素直に間違ってたから前の話修正入ってるよ
恋愛が行ってたのはリッくん達が行ってるガンダムベースで、シーサイドベースの方が住んでる所は近いけど、友達が居るからガンダムベースの方に行ってたよ
友達少ないオタクくんちゃんだからね
GBN。
その名前を初めて知ったのは、住んでいる場所からは近いもののあまり行っていなかった、シーサイドベースにふらりと向かった時のことだった。
「今度はバーチャルゲーム……?になるんだっけ?」という、中学生くらいの──……つまり、私と大差ない身長の──男の子と女の子の会話が漏れ聞こえ、それで調べたのがキッカケ。
その後、GPDが置かれている場所でPGストライクをSGのガンダムで倒すというとんでもないことをしてのけた男の子に、まさかメイちゃんの友達としてまた会う事になるとは思ってなかったけど──まぁ、それは別の話。
日本全国、そして、外国のプレイヤーとすら気軽にガンプラバトルが出来るバーチャルオンラインゲーム、『ガンプラバトルネクサスオンライン』。略して、GBN。
そのGBNのもう一つのウリとして紹介されていた、スキャンして読み込んだ機体のデータでネット上でガンプラバトルをするからガンプラが壊れることが無くなる、という大々的に広告されているのを見て、スマホの画面を操作していた指が止まった。
それを見て最初に私が思ったのは、これで私も気軽にガンプラバトルに参加出来るかも、という事。
そして────ナナセ君と、ツカサがガンダムベースに顔を出さなくなった理由は、恐らくコレが原因なんだろう、という事。
ガンプラを動かし、壊し、壊される真剣勝負を楽しみ、壊されたガンプラを直し、改良して再び戦いに身を投じる。自分が作り上げた最強のガンプラで戦う、少し物騒で、でもそんなガンプラバトルを心から楽しんでいた、彼らにとっての小さな楽園。
ツカサがいない時、GPDのシステムに対して『不器用』と表現したことがあったナナセ君は、もしかしたらGBNに対しては寛容な考え方を持っていたかもしれない。
実際、私のようにガンプラが壊れる事に対して忌避感を覚えていた層は一定以上居るだろうから、GBNのサービス開始で、ガンプラバトルに興味はあっても出来なかった人達はこぞって触ってみようとするだろうし。
なら、ツカサのようにGPDでのガンプラバトルを楽しんでいた人達は、どうだろうか。
これでもっと人口が増えて界隈が賑やかになる、そう考える人も勿論居ると思う。でも、『自分の組み上げたガンプラでの真剣勝負、壊されたら修理し、改造し、次の戦場へ──』そんな風な謳い文句で広めたGPDを、よりによって公式が黒歴史にして踏み台にした。
そう、思う人も少なからず居るんじゃないかと、そう思った。
ツカサは特に、性格こそ若干荒っぽくはあっても、自分が大切なものは大事にするタイプだからそう感じていたんじゃないかな、と。
ナナセ君とツカサ、そしてその友人たちが、ナナミちゃん──ナナちゃん曰く「喧嘩か何かしたみたい」というのは、その辺の話なんだろう。
変化を受け入れる事が出来たナナセ君と、受け入れる事が出来なかったツカサ……或いは、みんな。
完全にガンプラバトルをやめたのかは分からないけれど、少なくともガンダムベースに来ることが無くなった仲間達。それが辛くて、ナナセ君も来なくなった──そんな感じで、恐らくは当たらずとも遠からずだと思う。
もしかしたらあの時、ナナちゃんが少し言い淀んでからああ言ったのは、ナナセ君がもし私に会って訊かれた時はそんな風にぼかして答えて欲しい、と言われていたのかも知れない。私が、GBNのサービス開始が理由で別れてしまった自分達の事を気にせずにGBNで遊べるように、と。
ナナセ君の性格ならそんな風にしそうな気はするものの、実際は特にそういう訳ではなく、ただの私の勝手な妄想の可能性もまた、十二分にある。アニメって訳でもなし。
それでも、もし本当にそうだとしたら、そんなナナセ君の気遣いを無駄にしたくはなかった。
実際、興味は大いにある。
私だって直接的なガンプラバトル自体はしないだけで、GPDで動かして遊んでいた身。ツカサやナナセ君達のように、自分の作ったガンプラで実際に戦ってみたいという気持ち自体はあったから。
ガンプラを壊さずにバトルが出来る、と言うのは、ツカサには悪いけど、とても魅力的に感じていた。
「……よし、やってみようかな!」
そう呟いて詳しく見てみたら、ガンダムベースにも筐体が置かれるらしいけれど、家庭用のものもあるとのことで。
やってる様子を見られるのは恥ずかしいから家庭用が欲しいなと思い値段を見てみたら、まあまあ中々な値段で少し引いてしまったのはご愛嬌。
貯めてたバイト代で買えたけど。
あと1〜2話くらいで現在の話に戻りたい今日この頃。
弱特2お守り出ません。
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チェリー・ラヴ17: 悪夢、或いはしょうもない昔話 その5。
普段の倍くらいになってたよ
fgoのイベントとモンハンやる時間なくて辛いよ_(:3」∠)_
ぽり、とおつまみとして貰ったナッツを適当に口に放り込む。
「──と、まぁ、これがGBNが始まる前とか、あの2人との話かな?
マギーちゃん、知ってる範囲で何かある?」
「そうねぇ……強いて言うなら、今のプライベートとかGBNでの楽しそうな感じは、GBNを始めてから少しずつ表に出せるようになったけどあの頃はまだ恥ずかしそうだった、ってくらいかしら。始めたばかりの頃はまだ、お店で働いてる時と同じ感じだったのよね」
「あー、確かにそうかも?
マギーちゃんがこっちだとリアルよりもテンション高めで、それに引きずられる感じだったんだよねー
まあ、おかげで私も、GBNでもリアルでも楽しくやってるんだけど」
「リアルの店での姿が、元々のチェリーに近い、と言うことか」
「成る程、マミィのコスプレの原点はナナミとMs.マギーがきっかけだったのですね……」
ふむ、というどこか興味深げなメイちゃんと、「これは、ナナミの評価を数段上げる必要がありますね……」と呟く、GBNの『La Rencontre』で店飲みをしていたら突然転がり込んできた『自称・私の娘』、ビスクちゃんと言うらしいELダイバーの女の子の声を聞きながら、ナナちゃんはどう思われてたんだろ……と内心呟き、私は若干温くなってきたビールを飲み干した。
時間は少し巻き戻って、今朝。
「ながーーーーいようで短いような夢を見てた気がする……2ヶ月くらい……」
もそり、と体を起こし、まあまあ寝ぼけた頭で見ていた夢を思い出す。
SEEDに出会ってからの小中高、上京してから今まで。マギーちゃん、ナナセ君とツカサ、ナナちゃん、GBNを始めてからの出会いと思い出と……忘れられないあの日、そして、それから今まで。
「……なんというか、変わったもんだよねぇ」
昼休みもぼっちで、目立たないように背を丸くして誰とも話さずにいたのに、今ではバーテンダー服を着て働いているし、GBNではコスプレをしたりして自分から目立つ事をしている。
……いやまぁ、リアルでのプライベートでは必要以上に着飾らないのは相変わらずだけど。GBNだからこそ好き勝手してるけど、リアルでは……まぁ、出来なくはないけど、慣れてないから気恥ずかしさはあるし。
「……ブランカ」
棚にケースに入れて飾ってある、私の最初の機体。ガンダム・フレームにはどんな装甲を着けてもガンダム、という私が好きな設定を利用して、ストライクの外装を加工してバルバトスのフレームに装着、近接戦に特化した機体として設計して、ツカサとナナセ君にアドバイスを受けながら完成させた、私の最初の愛機。
──『ブロッサム』から距離を取りたくて、アナトが出来てからは触る事が手入れ以外ではめっきり無くなった、『GBNコスプレイヤー・ブロッサム』の、愛機。
「……そろそろ、使ってあげないとなぁ」
言ってしまえば。
一応、元々落ち着いては来ていた所にこの間のロンちゃんとのあれこれもあったしで、とっくに折り合いは付いているのだ。
それでもブランカを使っていなかったのは、きっかけというか、タイミングというか……そんなものが、うまく掴めなかったから。
「テンちゃん先生にも、言われたしね」
『『ブランカ』も、偶には使っておやり。きっと、喜ぶじゃろうからの』という、テンちゃん先生のヴァルガでの言葉を思い出す。
ガンプラが喜ぶ、という言葉も、昔ならそんなものかなぁ、と思っただろうけど、GBNを始めて、サーちゃん達、ガンプラの声が聞こえるELダイバーのみんなとの交流もあって、その言葉を信じてみようと思うようになった。
「久しぶりに一緒にログインしよっか、ブランカ」
話しかけるように、ケースに入ったブランカに向かって呟いて、
「まずはご飯、っと」
取り敢えず、何はともあれと台所へと向かったのだった。
「──よし、まあまあいい感じじゃない?」
久し振りにブランカに乗るから、と選んだミッションは、前に配信でも利用した『不死身のコーラサワー』。
適度な難易度なのもあって、慣らしには相変わらず重宝しているから選んだけど、久し振りのブランカだからリーチと機動力の感覚がクーちゃんとアナトで戦った時とは逆──つまり、アナトに慣れてしまってブランカの操作感と噛み合わなくなっていて、クリア自体は簡単に出来たものの納得が行かず、何戦かやり直して少しずつ感覚を取り戻していた。
「アナト使うようになってから、射撃とテイルブレードの扱いは前より上手くなったかも?でもまぁ、ブランカだとハンドガンとナイフだからリーチとかは測り違っちゃったりするのは気を付けないとなぁ……
しばらくはブランカも使って両方扱えるようにしてあげたいとこだなぁ」
ブランカの両手に持ったハンドガンをくるくる、と回してホルスターに収め、「ぃよし!」と思わずフィンガースナップ。こう言うところは衰えてない辺り、私らしいと言うか何というか。
ガンプラの思いと言うものがあるなら、ブランカはそれはそれで私らしいと思って呆れていたりして、と思いながら、軽く苦笑する。
「さーて、マギーちゃんのとこでお酒でも飲もっかなー♪」
久しぶりのブランカを一通り満足した私は、ささっとエリアを移動して店へと向かう。いつも通りGBNでのテンション高めなマギーちゃんに出迎えられ、いつも通りにビールを注文、そしていつも通りに一気飲み。
「っぷはーー!!おかわり!!」
「チェリーちゃん、何か嬉しいことでもあった?」
「んー、嬉しい……と言えば、嬉しいのかな?実はさぁ」
ついさっきブランカに久しぶりに乗ってきた事を話そうとした時、丁度新しいお客さんが来たのかドアベルが鳴る。そして、
「あぁ……やっと、やっと会えました、マミィ・ブロッサム……
……あなたを、ずっと探していました」
雪のように白くて長い髪を揺らしながら入って来たその女の子は、ドアベルの音を聞いてチラッとそっちを見ていた私に視線を向け、真っ直ぐ近付いて来るや否や、そう囁いて私を後ろから抱き締めた。
「へぇぁ?」
「あら、熱烈な告白。
──でも、この子の名前は『チェリー・ラヴ』、よ?」
美少女に抱きつかれた上、突然告白紛いの事をされて思考が止まって変な声が出た私に対して、柔らかく、それでいてどこか警戒したような雰囲気で訂正をするマギーちゃんの言葉を聞いて、漸く『ブロッサム』で呼ばれた事に気が付いた。
何で知ってるんだろう、と思うのも束の間、マギーちゃんの言葉を聞いて視線を向けたらしいその女の子が口を開く。
「貴女は……個人ランク23位の『マギー』ですね。マミィと友人関係のダイバーとあれば、礼を失する訳にはいきません。
初めまして、私はビスクと申します。このGBNで、コスチュームやダイバールックを着飾る事を楽しむダイバー達の思い、そして──マミィのコスプレを楽しむ気持ちと技術のデータを基に産まれた、ELダイバーです。よろしくお願いします、Ms.マギー」
クールと言うか無感情というか、良くも悪くもお人形さんみたい、と言う方が近そうな雰囲気とピッタリな、それでいてそんな姿に似合う綺麗で格好いい声で、そう彼女、ビスクちゃんは自己紹介をした。私を抱き締めたまま。
「マギーちゃん……私シングルマザーだったみたいなんだけど、マギーちゃんはこんな私を受け入れてくれる……?」
「チェリーちゃん、まず落ち着きましょ?
それで、あなた……ビスクちゃん、だったわね。チェリーちゃんがお母さんって──」
「マミィの名前は『ブロッサム』です、Ms.マギー」
そう、マギーちゃんに被せるように発された言葉は冷たくて、有無を言わせない声だった。
「あー……ビスクちゃん?」
「なんですか、マミィ」
「わぁ甘えたさんだぁ……」
表情は薄いけど、呼ばれたら返事をしながら頬擦りを始めたビスクちゃん。
なるほどなぁ、される側から見ると普段の私割とこんな感じかぁ……と思いつつも、悪い気はしない。美人さんだし。可愛いし。ほっぺたももちもちだし。服の上からもわかるバランスが美しいお胸もやらかいし。ふわふわ。
でもまぁそれはそれとして。
「ビスクちゃん、ごめんね?今は私、『チェリー・ラヴ』って名前だからさ、そう呼んでくれると嬉しいかな」
「……どうしてですか?」
「それは、」
「ママ、居る──ん?ビスク姉さんか。珍しいな、この店に居るなんて」
からん、とビスクちゃんに続いてドアベルを鳴らして店に入ってきたのは、マギーちゃんが後見人を務めているELダイバー、メイちゃん。
メイちゃんのお姉さんって事は、そこそこ以上には前に生まれた子なんだなぁとは思ったけれど、年齢に関わる事だし、ととりあえず口には出さず、私もメイちゃんに軽く挨拶。
「やっほーメイちゃん!今日も美人さんだね!」
「あらメイちゃん。どうかしたのかしら?」
「……?あぁ、ダディ達のところで見た事がありますね。妹の1人でしたか」
「その両親とコスプレ以外への関心の薄さは相変わらずだな、ビスク姉さん」
「……ビスクちゃん、妹に対して流石にそれはどうかと思うよ?」
「これからは姉妹としてよろしくお願いします、メイ。仲良くしましょう」
「そうか、よろしくビスク姉さん」
私の言葉を聞いた瞬間、私から離れてメイちゃんの両手を包むように握りながらそう言ったビスクちゃんに、メイちゃんはメイちゃんで気にせずに普通に対応していて、見ているこっちが呆気に取られる。
「素直な子、って言っていいのかしらねぇ……」
「んー、どうだろねー。
でもまぁ、悪い子では無いんじゃないかなぁ……メイちゃんも、大物というか何というか」
「大物?」
「んーん、気にしなくていーよメイちゃん。
そういえば、メイちゃんはどうしたの?入って来た時何か言いかけてなかった?」
あぁ、とメイちゃんはこちらを向く。……ビスクちゃんに手を握られたまま。
「まぁ、ちょっとした用事と言ったところだ。もう解決したから、気にしなくて構わない」
「そっか、それなら良かった、って言っていいのかな。
……ビスクちゃん?手、そろそろ離してもいいんだよ?そろそろ2人とも椅子に座ったら?」
「そうですか、ではお言葉に甘えて」
悪い子ではなさそうだけど少し変わった子だなぁ、と改めて思いつつ、飲んでいなかったビールを一口。まぁ、私のGBNでの知り合い達だって大なり小なり変わってるし、私だって女の子好きで、マギーちゃんはオカマだ。多少の変わった子要素なら、そこまで気にもならない。
「で、チェリーって呼んで欲しい理由だったよね」
「……はい。マミィは、何故名前を変えてしまったのですか?何故、以前のようにコスプレをする事をやめてしまったのですか?
──コスプレが、嫌いになってしまったのですか?」
自分が生まれたきっかけだからか、私自身にコスプレを否定されるのを怖がるような様子のビスクちゃんを安心させるように、軽く頭を撫でてあげる。
「嫌いにはなってないから、大丈夫だよ。コスチュームの着替えは、今もしたりするしね」
ほら、と撫でていないもう片手でウィンドウを見ずにアトラの服に着替えて見せ、ビスクちゃんの目が心なしか輝いたのを見ながら続ける。
「まぁ、なりそうになった事はあったけど……寧ろある意味、嫌いにならない為に名前を変えた、とも言えるかな?」
「嫌いに……ならない為に?」
「そ。折角だし、GBN始めるより少し前の話からしてあげよっか」
「……大丈夫なの?」
「だいじょーぶだよ、マギーちゃん。
実は今日その頃くらいから最近くらいまでの夢見てさ、それでビスクちゃんとも会ったし、そういう日なのかもなー……って、そう思ってたとこなんだ」
心配をするような顔のマギーちゃんにそう言って、「それじゃ、私がマギーちゃんと初めて会った頃から話そっか」と一声かけて今朝にも夢で見た昔の話を始め──今に至る。
「GBNでの話は……ブロッサムとしての活動は、ビスクちゃんも知ってる?」
「はい。
やはり、印象深いのはあの伝説のカラオケ大会でしょうか。完璧な体形や顔に至るまでの、NPDと誰もが思う程のダイバールックの再現と高速コスチューム変更、補正がかかって普通に話してもそのキャラクター風になる代わりにアレンジが効き辛い『キャラクターボイス』ではなく、自由が効く代わりに補正が無い、その声優の声の『アクターボイス』を用いる事で、ラクス・クラインとミーア・キャンベルを完璧に演じ分けながら『静かな夜に』を歌い、それぞれがするであろうパフォーマンスまでしてみせたあの姿……何度映像を見直しても、思い出しただけですら惚れ惚れします……」
「わーぉ早口ぃ……」
「懐かしいわねぇ……当時の盛り上がり方、凄かったわよね」
「私は見た事がないのだが、そこまで凄かったのか?」
「『そんな事は無いと思いますけれど……
ふふっ、お褒め頂きありがとうございますわ』」
ちょちょい、とダイバールックのマイセットという、GBNにおいて一部以外では需要が恐ろしく低い要素を利用して、2番目──1番目は昔の、今より背が高い姿のダイバールック。一応残してはある──に登録してあるSEED時代のラクス様の姿とコスチュームへと変更、ボイスデータもラクス様とミーアの中の人のものに変えて、声はブランクがある割に結構するっと出て来たラクス様の声で演じながらメイちゃんに声をかけると、驚きで目を見開いたメイちゃんという何気に貴重かもしれない表情を見る事ができた。
「なるほど、これは確かに……」
そして、喜んでくれたかな、とビスクちゃんにも視線を向けると──
「…………っ!」
両手で口元を押さえながら、ぽろぽろと泣いていた。
「ど、どうしたのビスクちゃん!?そんなに私下手になってた!?」
「いえ……いえ!
申し訳ありません、マミィ……私のこの目で、実際に見る事が出来た喜びのあまりに感極まってしまい、お見苦しいものを……」
「ビスク姉さんは、生まれてからずっと母親にあたる存在の『ブロッサム』というダイバーに憧れ、探し続けていたからな。やはり、感じる喜びはひとしおという事なのだろう」
「……ちなみに、ビスクちゃんが生まれたのっていつ頃なの?」
「コーイチ達からは、第二次有志連合戦からそう経ってない頃と聞いているな」
第二次有志連合戦の後。
つまり、私がブロッサムとしての活動をやめた頃で、ELダイバーの子達の生まれた中でも最初期と言っていい時期で──おおよそ、4年前。
「……そっか」
そりゃ気になるよね、と、長い間探させてしまった罪悪感と共に納得する。例えるなら、物心ついたくらいの頃に親と離れ離れになったようなものだ。捨てられたんじゃないか、と不安になってしまうのは、当たり前だろうし。
「何というか、さ。情けなくなった、って言うのが理由の一つかな」
「情けなく……?」
「私が、ビルドダイバーズの子達と仲が良いのは知ってる?あ、リク君達の方」
「……ファーストが居るフォース、でしたか。聞いた事はあります」
「ファーストじゃなくてサラちゃん、だよ?お姉ちゃんなんでしょ?
あの子達とは、あの子達が初めてログインした日からの知り合いでね。ヤス君が目を付けて絡んでた所にマギーちゃんと声をかけたのが最初だったの」
「ヤス……ああ、トキが良くホイッスルを吹きながら追いかけているダイバーですね」
「未だに初心者に詐欺やってるのあの子?」
「懲りないわねぇ……」
その内本当にGMにBANされるんじゃ無いかしら、というマギーちゃんの呟きを聞きながら、そういえばヨノモリさんと初めて会ったのもあの頃だっけ、とふと思い出したけれど、まぁこの場においては余談。
トキ、と言う子は知らないけれど、ヤス君をそうして追いかけ回すと言う事は真面目な子なんだろうって事と、話を聞いてる感じではビスクちゃんが名前を覚えてるって事は親しい子なのかな、と想像しながら、とりあえず続ける。
「その後も、あの子達のおねーちゃん分として、先輩として手伝ったり見守ったりしてたんだよね。……第七士官学校とのフォース戦の時は、まさかキョーちゃんとかタイちゃんとかシャッフィーとも仲良くなってるとは思わなかったけど」
「初めてのフォース戦にも関わらず、有名なトップランカーが何人も応援に集まったと今でも語られているな。『伝説の始まり』とすら言われていると耳にした事がある」
「アタシ達からしたら、仲良しのお友達と一緒に応援に行っただけなんだけれどね」
「その後も、第一次有志連合戦とかもマギーちゃんと参加して協力したりとか、その後はあの子達のフォースネストに遊びに行ったり、ナデシコアスロンも参加したり……本当、色々と一緒に遊んだなぁ」
あの頃は、ブロッサムとしてのコスプレイヤーの活動とかもあって忙しかったけど、その分充実してもいたなとは、今でも思う。今がどう、と言う事じゃなくて、当時は当時で楽しかった、という意味で。
……でも、ブロッサムとしての最後の頃は、純粋に楽しめていなかった自分が居た事も、今では分かっている。だからこそ、今の私が居ると言ってもいいから。
「で、その後くらいに起こったのが、サーちゃん……サラちゃんが中心になって起こった事件と、第二次有志連合戦」
「その頃から、マミィの情報が出回らなくなっていました……あの戦いで、何かあったのですか?」
「それがさ、なーんにも無いんだよね」
軽くおどけたような言い方で肩をすくめながらそう言うと、キョトンとした顔になるビスクちゃんとメイちゃん。
「……え?」
「どういう事だ?てっきり、連合側についたのかと思ったのだが」
マギーちゃんにウィスキーをロックで出してもらって、一口。
「正確に言うなら、何もしてあげられなかった、かな。
あの頃はリアルでも忙しくてさ、コスプレの質を上げるために研究もして、大学の課題もして、って睡眠時間を削ってたら倒れちゃって──体調が戻った頃には、サーちゃんの騒動は何もかも終わってた。
趣味の為に体調崩して、『困った時は助けてあげる』って言ってた子達の1人の命がかかってる時に、何も知らずに、何もしてあげられなかった。
それだけ。しょうもない話でしょ?」
グラスの中の残りを、一気に傾けて飲み干す。思ったよりお酒を飲まないとやってられない気持ちになっていたけれど、他人に話せるくらいには受け入れられたんだなぁ、と改めて自覚出来たのは、良かったかもしれないなぁ、と思いながら空になったグラスをテーブルに置くと、ぼそり、と声が聞こえてその声の主、ビスクちゃんに視線を向ける。
「…………ですか」
「……?ビスクちゃん、何か」
「ファーストが居たから、マミィは『ブロッサム』を辞めたという事ですか」
そう、呟くように言ったビスクちゃんは、怒気を滲ませながら立ち上がり、エリア移動する事でこの場から一瞬で姿を掻き消した。
「ビスクちゃん!?」
「ママ、コーイチ達に連絡を!チェリー、サラ姉さんの所に直接向かってくれ!私はビスク姉さんを追う!」
「ええ、分かったわ!」
「……分かった!」
「頼む!」
ビスクちゃん、何する気……!?
「リク……!」
「あれは、あのガンプラは……何で!!」
────なんで、『アストレイノーネイム』が!!
次は多分普段くらいの量になると思う
なるといいなぁ
なるのかなぁ
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チェリー・ラヴ18:精算。その1
端末がイカれたりモンハンしたりしてたらこんな時間経ってたよ
「あれは、あのガンプラは……何で!!」
白と褐色がメインのカラーリング。
紫色の炎を纏い、オールレンジ兵器を伴いながら改造された右腕から大型のビームサーベルを出力している、手の込んだ改造でありながら、ベースはアストレイ系統の改造機である事が見て取れるデザイン。
そう、驚愕よりも困惑の色が強い声を上げたリクとその乗機ダブルオースカイメビウス、そして彼と共にいた少女、サラの目の前に現れたのは、かつて、彼が仲間の思い出のガンプラを取り戻す為に初めてGPDで戦闘し──満身創痍になりながらも、当時の愛機ダブルオーダイバーエースと共に勝利を収めた強敵という、過去の出来事から因縁のある機体。
当時こそGBNに恨みを抱えていたものの、今はGBNの運営側、新たに生まれてくるELダイバーの保護などを担当するELバースセンターで職員として働いている以上、当時すらする事はなかった、ダイバーに対して直接──ましてや、ELダイバーのサラを、ガンプラで襲うなんて事は万が一にもする事は無いはずの人物、シバ・ツカサ/アンシュの愛機。
『ガンダムアストレイノーネイム』
その姿が、そこにはあった。
《────消えろ!》
初撃の奇襲を済んでのところでいなした、リクが乗るダブルオースカイメビウスのコックピット、そして、リクが咄嗟に機体を呼び出した事でリクと共に乗れていない、その背後に守られるように立っているサラに狙いを定め、オールレンジ兵器を射出。
しかし、
「──サラッ!!」
「リク!!」
GBNだからこそ出来る荒技、機体を一瞬で粒子化してリクがサラの元へ跳び、手を繋いだ瞬間に機体を再構成する事でサラをコックピットに保護する事に成功したリクは、しかし、それを優先したが故に、左肩の太陽炉を破損させられてしまうという事態に陥ってしまう。
「くぅっ!?サラ、あの機体って……!」
「分からない……」
「分からない?」
「ガンプラの見た目も声もノーネイムだけど、でも……なんだか変なの。
なんだか、違うガンプラをノーネイムに見えるようにしてるみたいに……」
「見える、ように……?」
サラの言葉に、リクが思考を巡らせるのも束の間。
「リク!」
「こ、のぉッ!!」
迫るビーム刃に対してビームサーベルを手に取るも、上段からの振り下ろしに対して不安定な体勢から振り返って咄嗟に受け止めた事で、直撃こそ避けられたものの押し込まれていく。
「……っ!ツカ、アンシュさん!貴方なんですか!?どうしてこんな、サラを狙うような事!!」
《ハッ……!分からねえか?よぉく考えて……ぐぅっ!?》
鍔迫り合っていたビームソードを横に払われ、ビームサーベルでのガードを剥がされた瞬間に機体の腹部を蹴り、距離を開けることに成功したダブルオースカイメビウスは体勢を立て直す。
モニターに映る、よく見知った暗い紫色の目つきの悪いハロの先程の言葉に、訳がわからない、という表情のリク。しかし、
「……違う」
《なんだと?》
「サラ?」
確信を持った様子で、サラが続ける。
「貴方は、アンシュじゃない。その子も、やっぱりノーネイムじゃない……
……もしかして、あなた」
《何を言ってやが──》
《正解、だ。よく分かってるじゃねえか》
不意に相対している機体に襲いかかるビーム砲撃、そしてその機体の主の言葉に、砲撃をした機体が居るであろう方向を振り向くダブルオースカイメビウス。そこに佇んでいたのは、
《よぉクソガキ?
コーイチから聞いて、念の為にそいつらを探してみりゃぁ……よくもまぁ、好き勝手やってくれたな》
「アンシュさん!?」
「アンシュ!」
ノーネイムユニットをBスマートガン形態に変形させて構えている『ガンダムアストレイノーネイム』、そしてその主のハロ型のダイバー、アンシュがそこにいた。
《このガキが迷惑かけたな、後は俺が受け持つ。
フォースネストで待ってろ、後でコイツに頭下げに行かせる》
「ガキ、って……?」
「……やっぱり、ビスクなの?」
《……やはり、気付かれますか。まぁ、ファーストが居る時点で長時間騙す事は期待していませんが。
奇襲で仕留め切れず、ダディが来たとあってはこの姿の意味もありませんね》
アンシュではない、しかしアンシュと同じ姿のハロがつまらなそうにフィンガースナップをすると、機体にノイズが走る。
ノイズが落ち着き現れたのは、クリーム色の、アストレイ系ベースなのが見て取れる機体。ノーネイムユニットにも似ていながら、リボーンズガンダムの背面部をも思わせるユニットを装備したその機体は、
《『アストレイミラージュリバイブ』──やはり、本来の姿の方が色々と楽ではありますね》
本来の姿になった機体と共に、意味を成さなくなったから、と自分自身のダイバールックも本来の姿に戻しながらビスクは呟く。
《さて、邪魔をしないでください、ダディ。ファーストは、マミィの活動の妨げになります。そんな存在、排除しないといけませんので》
《よりにもよってノーネイムに化けてやりやがって──いや、俺で良かったと言えなくもねえのか。だが……仕置きは、してやらねえとなぁ?》
《邪魔をするなら────》
《大人しくしねえなら────》
《ダディとはいえ、排除します!!》
《力尽くだァ!!》
「やばっ、間に合わなかっ……た?」
事態を元々把握していたらしいコーイチ君から飛んで来たメッセージを頼りにリッ君とサーちゃんが居る場所を探し、ようやく辿り着いたと思えば、ガンプラ同士の戦闘音。
でも、その機体はダブルオースカイメビウスでも、ましてサーちゃんのモビルドールでも無く、一機は私もよく知っている、そして、もう一機は知らない──けれど、ブランカに似た機体色もあって察する事が出来た。
「ビスクちゃん!ツカサ!」
《っ、マミィ!?》
《──逸らしたな?意識を、俺から!!》
私の声に反応したビスクちゃんの機体──『アストレイミラージュリバイブ』と言うらしい──に、ガントレットセイバーから出力された大型ビームサーベルで容赦無く切り掛かるノーネイムに、ビスクちゃんは一歩遅れて反応したものの、受け止めようとしたビスクちゃんの機体の大型ビームサーベルを握る腕ごと袈裟懸けに切り裂かれてしまう。
《く、ぁぁぁっ!!》
《これでっ!!》
元々私が来た頃には損傷が重なっていたミラージュリバイブに対して追い討ちとしてノーネイムユニットのブレイドドラグーンを四肢に突き刺し、動けない様にして大型ビームサーベルでトドメを刺す為に足を踏み込むノーネイムの肩に、流石にこれ以上は、と手をかける。
「ちょ、ちょっとちょっとツカサ!?そんなトドメまでしなくても」
《邪魔すんなサクラノ!コイツは撃破しきらねえと面倒な──》
《────『ジョーカー・イマージュ』、コール・No.2》
《チッ……!離さねえならッ!!》
「あっ、ちょっと!?」
左手でビームサーベルを抜き、ミラージュリバイブに向けて投げ付けるノーネイム。寸分違わずに飛ぶそれは、しかし、そのビームサーベルが突き刺さる事はなかった。
突然現れた、ガンダム・バエルに弾かれる事によって。
「……え?」
《くそ、余計な事を……!》
《────『マリッジリング・ウェディング』》
突然現れたバエル、バラける様に消滅したブレイドドラグーンとノーネイムの右腕でもあるガントレットセイバー、そして、損傷が完全に修復されたミラージュリバイブ。
「アナトの、必殺技……?」
《だから言ったんだ、面倒になるってな!!》
縫いとめていたブレイドドラグーンと損傷が無くなったことで立ち上がったミラージュリバイブは、大型ビームサーベルを天に掲げるようにして持ち上げる。
「……え、まさかだけどもしかして」
《そのまさか、だ。聞いただろ、今のは『No.2』だ。
マイリストみてえに他人の必殺技を登録、模倣して再現するのが、アストレイミラージュリバイブで手に入れたアイツの必殺技──『ジョーカー・イマージュ』、だ。効果が継続してる状態で他を使ったら消える、クールタイムがあるから同じものを連発は出来ねえし、本来の持ち主なら使える応用は使えねえって制限も一応あるがな》
掲げられたビームサーベルに、フィン・ファング4基が寄り添うように近付き、刀身がとてつも無く長く──それこそ、アナトをウェディングユニットごと両断出来るほどの長さの、良く知る見た目になった瞬間、ツカサの言葉もあって確信してしまって、思わず顔が引き攣ってしまった。
「逃げるよツカサ!」
《お前が止めなけりゃこうはなってねえんだよ!》
「分かってるけど!こんなの聞いてない!!」
《コール・No.3──》
「来る来る来る来る!!来ちゃうって!!」
《うるっっせぇ!!》
《──『EXカリバー』》
GBNワールドランク不動の一位、『チャンピオン』、クジョウ・キョウヤの機体、『ガンダムAGEⅡマグナム』の必殺技。ビームサーベルの刀身と言うよりは最早柱という表現の方が相応しい、叩き潰す様な斬撃が振り下ろされた。
はやく決着つけてあげたい(こなみ
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チェリー・ラヴ19:精算。その2
必殺技周りの独自解釈というか設定というか、そんなんもありもうすわよ。
「っはー、あっっぶなかったぁ……ツカサ、無事ー?」
《使ったのが本人ならともかく、あんなんで落ちてたまるかよ》
装備の分解で右腕とブレイドドラグーンを無くした以外は汚れたくらいでほぼ無傷の、だいぶシンプルになったノーネイムから返事の通信。「それと、GBNではアンシュだ」という訂正に、そう言えばそうだった、と少し反省する。私もサクラノ、と呼ばれもしたけど、まあ先に呼んでたのは私だし。
《……で、だ。お前もアレ使えねえのか、と言いたい所だが》
「マリッジリングはアナトのだからなぁ」
《チッ》
今のノーネイムに残されている武装と言えば、さっき投げて弾かれただけで済んだビームサーベルくらいのもの。今手元にある武装は無し、と言っていい状態となっていた。マリッジリング・ウェディングが使えれば万全の状態に戻せるけれど、いかんせん今乗っているのはブランカ。あの技は使えない。
《ったく、あんな必殺技覚えやがって……》
「ほんっと、他の人の必殺技使えるなんてチートだよねぇ……」
《…………》
「……何?」
《いーや、何でもねぇ。
ブランカの武装構成と仕様は、前とは変わってんのか?》
「ん、特には変わってないかな」
《アーマーシュナイダー1本寄越せ、サーベル拾うまで使う》
「りょーかい、っと」
ブランカの格闘兵装として搭載している、SEED作中でも地味に活躍したりしていた取り回しの良い対装甲コンバットナイフ『アーマーシュナイダー』。その装備している2本の内の1本を投げ渡すと、ノーネイムが残っている左手で掴み、軽く構える。
《どう使ってもいいな?》
「勿論」
《鈍ってねえだろうな……場合によっちゃ、ELダイバーの人数が減る事になるぞ》
「大丈夫、少なくとも心配されるほどは鈍ってないから。
私、あの子のおかーさんらしいからさ。子供が間違った事しようとしてたら、止めてあげないと……でしょ?お・と・う・さ・ん♪」
《ハッ……お前みたいなちんちくりんと一緒にそんな風に見られるなんてまっぴらだ》
「同感、この悪人面!」
そういえば、ツカサとこうして並んでガンプラを動かすのはGPDの頃以来だな、とふと思いながらニ丁のハンドガンを両手で抜き、先行したノーネイムに続くようにスラスターを噴かしてビスクちゃんの機体に向かう。
《ダディ……っ!何で、マミィの事を教えてくれなかったんですか!?》
《今お前がしてる事が起こるだろうと判断して、その被害を少しでも減らす為にはそれが最善だと考えたからだ》
機体の前後を反転させ、砲撃体勢になってこちらへ向けて闇雲に連射するビスクちゃん。けれど、
「発動──『群狼狩猟-ウルフパック-』!」
ブランカの必殺技、『群狼狩猟』。ハンドガンの弾丸に狼のようなエフェクトが付き、ストッピングパワーの上昇、威力の上昇に加えて、極端なカーブでなければ対象を追尾する程度のホーミングの付与、もしくは弾速の上昇のどちらかを選択して付与というバフ系の効果のそれを発動し、ホーミングを選択して砲撃しようとしている大型のフィンファングに左右から角度をつけて撃ち込むことで狙いを定めることを阻害していく。
私がファングの向きを少しずつハンドガンで狂わせているのもあって、余計に狙いが定まらなくなっている砲撃はノーネイムには当たらない。ツカサよりも後ろに居る私には言わずもがな。
《ガキなんだよ、お前は。
自分が気に入らない存在を、衝動のままにその熱に身を任せて納得出来ない存在を排除しようとする……ただの、ガキだ》
大型のフィンファングから放たれるビームは確実に避け、私が逸らしきれなかった当たりそうな小型のフィンファングの射撃やビームスパイクを発生させての突撃は対ビームコーティングを施してあるアーマーシュナイダーで弾くという荒技を熟しながら、ツカサはビスクちゃんに言い聞かせる。
《別に、衝動に任せてやることが悪いと言うつもりはねえよ。俺だってそうだった、気持ちくらい分かる。だが、放置するわけにはいかねえ。俺の立場としても、お前の為にもだ。
だから、お前を止める。さっさと大人しくしろ────バカ娘》
《ダディ……!でも、だって、私は……!!》
ビスクちゃんの少し泣きそうですらある声に、落ち着いた声で続けるツカサ。
《アイツが、ンな事望んでると思うのか?》
《そんな事……!
望んでない事くらい、もう分かってます!それでも、納得なんて……っ、納得なんて、出来ません!》
前後をまた反転させて大型ビームサーベルを抜くミラージュリバイブに、アーマーシュナイダーを投げ付けて牽制し、ノーネイムは軽くステップで位置を調整。力加減を調整してそこに落ちていたビームサーベルの柄の端を角度を付けて軽く踏み、回転しながら飛び上がったそれを掴み取ってビーム刃を展開した。
《だろうな。そんな事簡単に出来てりゃ、こんな事はしねえだろうよ》
上段からの振り下ろしに対してビームサーベルで受け、片腕のハンデと出力の差で押し込まれて膝を着きながらも鍔迫り合い、続ける。
《納得なんざ、すぐにしなくたっていい。出来る訳がねぇ。
だが、用意してた手段で失敗して、真正面から押し通す事すらも出来なかったんなら……納得しようがしまいが、その場は受け入れて飲み込むしかねえんだ。それが、負けなんだよ》
《私は、まだ負けてなんて……!》
《今アイツのいる場所も分かってねえのにか?
────やれ》
「なんか、その言い方悪役みたいで少しヤなんだけど……とりあえず止まってもらうよ、ビスクちゃん!」
2人がぶつかっている間にミラージュリバイブの後ろに回り込んでいた私は、ブランカが纏っているABCマント、その下から、背部にマウントしている2丁のハンドレールキャノンの内1丁を抜く。
ハンドガンと言うには大きいこれは、あらかじめ込めてある1発ずつしか撃つことができない代わりに、当たれば十二分に大きな威力を発揮する。
そんなこの武器の正体はというと、何を隠そう────
《っ、『ドア・ノッカー』……っ!?》
「正解、だよ!」
────小型のダインスレイヴだ。
《っ、させませ──》
「なんのっ!!」
右肩と左腿に狙いを定めて引き金を引こうとした瞬間、左手を離してこちらにエグナーウィップを伸ばすミラージュリバイブ。それに対して、私もブランカの腰に繋がっているテイルブレードを操作して半ばから断ち切る。
そして、
《半端に意識そらすくらいなら、もっとやりようがあったな》
私に意識が向いたことで力が抜けた、鍔迫り合っていたビームサーベルを払ってノーネイムがミラージュリバイブの左腕を二の腕から切り裂き、
「……荒っぽくてごめんね」
『ドア・ノッカー』から放たれたダインスレイヴの弾丸が肩をボディの一部ごと抉るように吹き飛ばし、その衝撃でよろけたミラージュリバイブはそのまま地面へと倒れ伏したのだった。
「あー……えっと、ビスクちゃん……大丈夫?」
「…………」
機体が解けるように消えた事で現れた、ほっぺたをぷくぅ、と膨らませた体操座りのビスクちゃんに声をかけると、ぷい、と横を向かれてしまう。
「ツカサぁ……やっぱあのやり方は乱暴だったんじゃない?」
「トドメはお前だろうが。大体、それならどう止めるつもりだ?」
「それはそうだけどさぁ……」
でもなぁ、と思っていると、ビスクちゃんの声。
「マミィは、昔のようになりたくないのですか……?」
「……そだね、その気持ちが全く無いと言ったら嘘にはなるかな」
実際、昔は昔で楽しかったから。
でも、
「多分サーちゃんの事件が起こる頃の私が今の私を見たら……きっと、羨ましがるんじゃないかな」
「羨まし、がる……?」
よいしょ、と訳が分からなそうなビスクちゃんの隣に腰を下ろし、続ける。
「あの頃、ブロッサムとして活動してた最後の頃はさ。私、何がしたいのか分からなくなってたんだよね」
ブロッサムとしての活動が有名になって、感想とか、反応とか、良い物も悪い物も簡単に目に止まるようになって。
期待に応えないと、がっかりさせないようにしないと、頑張らないといけない、そんな考えの方が先に来るようになっていって、いつの間にか楽しい、という気持ちを感じなくなっていて。
出来る種類を増やさなきゃ、質を上げなきゃ、と睡眠時間を削って必死で勉強して、リアルでのしないといけない事も積み重なっていって、結局、ああなった。
「だからさ、色々と考え直すっていう意味では、こう言うとアレなんだけど……第二次有志連合戦に参加出来なかった事は、丁度良かったって言えなくもないのかな。
そういう意味では、サーちゃんのお陰で今の私が居るのかも」
「…………」
「……ありがとね、私の為に怒ってくれて」
ぽん、と俯くビスクちゃんの頭に手を乗せて、軽く撫でてあげる。やり方は兎も角、私に喜んで欲しいと思っていたんだろうし……生まれてから4年近く、理由はどうあれ会ってあげられなかったんだから、あまり強く怒る気にはなれなかった。
「でーも、悪いことは悪いこと!
ビスクちゃんには、3つお仕置きです!」
ビクッと体を震わせて恐る恐るこちらを見るビスクちゃんに、指を3本立てて見せる。
「1つ!私のことは、もうブロッサムって呼ばないこと!
2つ!サーちゃん達に、ちゃんと謝って来ること!
3つ!これからは、サーちゃんの事はお姉ちゃんって呼ぶこと!」
指を折りながら言っていくごとに、想像と違ったのかきょとんとした顔になっていくのを見て、思わずクスッと笑みが漏れてしまう。
「出来るよね、ビスクちゃん?」
「はい、あの、本当に、それでいいのですか……?」
「足りない、って言うなら、後ろの目付きの悪ーーいハロがもーーっと嫌なお仕置きを用意してくれると思うけど……どうする?」
「……その仕置き、お前もやらせてもいいんだぞ?」
「やめて下さいダディ、私だけが罰を受ければいいはずです」
「そんな、ビスクちゃんだけにそんな事させられない……!」
「マミィ……!」
「ビスクちゃん……!」
ひしぃ。
「遊んでんじゃねえ。
──で、お前はそこで何してるひよっ子」
「着いた時にはアンシュとチェリーのタッグでの戦闘が始まっていたので、いざと言う時の為に邪魔になる事の無い、かついつでも援護をする事ができる位置で控えていたのだが……
戦闘が終わり、家族の団欒、というものと思われる事が始まってしまい、どうしたものかと考えていた」
「いいから出てこい、そんなもんじゃねぇ」
「分かった」
不意に明後日の方向を向いたツカサの呼びかけに応じて、陰になっている場所からひょこっと出て来るメイちゃん。
「ありがとね、メイちゃん」
「私は何も……いや、どういたしまして。何事もなく収まって良かった」
「うんうん、感謝は受け取っとくもんだよ!後でおねーさんが、マギーちゃんの店で飲み物でも一杯奢ってあげよー」
「そうだな、ありがたく頂くとしよう」
よしよし、と少し背伸びして、いつも通りクールな表情で、喜んでるとも嫌がってるとも分からない、何なら反応に困ってるようにも見えるメイちゃんの頭を撫でてあげていると、ツカサの声。
「で、だ。コイツへの俺からの罰の話だが」
「あ、結局あるんだ?」
2人の方を振り返ると、神妙な顔で正座をしているビスクちゃんと、その前に立ってちっちゃいハロの姿で腕組みをしているツカサ。
「無いと言ったか覚えはねえな。
ELダイバー、ビスク。お前の罰は──」
「……はい、どんな──」
「次のELダイバーの定期検査、全員を連れて来い」
「許してください」
「却下だ」
「そんな……!」
「……ねぇ、メイちゃん。そんなに集まり悪いの?」
両手を地面について項垂れるというそのあまりにもあんまりな反応にメイちゃんに耳打ちで質問すると、そうだな、と少し思い返すような様子で答えてくれる。
「リアルでの保護者が居るELダイバーは比較的よく参加しているが、GBNで生活しているELダイバーの参加率はあまり良いものとは言えないと以前コーイチがぼやいていたな。
ELダイバーの人口が3桁となり、今も少しずつ増えているにも関わらず自主的に参加しようとする人数が然程増えていないので、結果として参加する割合が下がっていく一方だとか」
「おぉぅ……それはまた……」
「別に、1人でやれと言うつもりはねえ。誰の手を借りたって構いはしねえ……そこのちんちくりんだろうが他のELダイバーだろうが、結果さえ出せばそれでいい……出来るな?」
「へぁ?」
「『ビスクだけにさせられない』んだろう?」
「マミィ……!」
しまった墓穴、しかも相当な沼に足突っ込んだ……!と思うのも束の間、2人の言葉に何も言えなくなる。いやまぁ、流石に可哀想なのは事実だし、手伝うのもやぶさかではないけども、それならメイちゃんに現状を先に聞かなきゃよかった、と少し後悔。
「ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"…………よ、よぉーーし!おかーさんに任せなさい!」
「ありがとうございます、マミィ……!」
「あくまでコイツの罰って事を忘れんなよ……まぁ、お前1人でどうこう出来るとは思えないが」
「待って今から怖い」
「チェリー、因みに普段の検査で来ているELダイバーの人数の割合は」
「ちょっと待ってやめてメイちゃんまだ聞きたくない」
「そうか」
「大丈夫です、マミィの力を持ってすればELダイバーの50人や100人、簡単に集まるに決まっています」
「待って、そんなに普段来てないの?そんな人数GBN中から探して連れて来るの……?」
「いや、正確には──」
「まだ!聞きたく!!無い!!!」
そんなこんなで。
この後サーちゃんとリッくんに謝りに行くビスクちゃんを後ろから見守ったり、「お姉ちゃん」と余りにもさらっと言われて一瞬理解できなかった後に喜んでビスクちゃんに抱きつくサーちゃんと抱きつかれてるビスクちゃんが可愛かったり、そして、
「住所不定って何ぃ……」
「全く、マミィが来ているというのに抵抗するELダイバーが居るとは嘆かわしい事この上ないですね……」
「全くです!私がチェリーさんが来たって知ったら、部屋から飛び出して握手とサインお願いしちゃいますよ!」
「部屋じゃなかったけどお願いされたもんねー。しかし、まさかトキちゃんがこんな可愛いしエッな子だったとはなー……」
「エッ……?」
「マミィは、こう言う服が好みなのですか?」
「こう言う服が、と言うかこういう服も好き、かな。着てあげよっか?」
「では私も」
「あれ?もしかしてこれ夢だったりしますか?あのビスクさんとチェリーさんが私とお揃いの服で一緒に行動するなんてそんな事現実にあります?
……あーっ、見つけました!」
「確保ーーーー!!」
「行きますよトキ」
「頑張りますよー!チェリーさんとビスクさんの為にも!」
ビスクちゃんと私、そしてビスクちゃんが連れて来たトキちゃんと共に広大なGBN中を練り歩いてはELダイバーをELバースセンターに連れて行く旅が幕を開けたのでしたとさ。
と言うわけでまたちょろっとゲストのトキちゃん登場ですわよ拍手ーーーー!
定期検査関係の話はやっぱりアルキメさんちのディネちゃんの話がアイディアベースなのでやっぱり拍手ですわよーーーー!!
とまあそんな感じでとりあえずひと段落ってことで
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チェリー・ラヴ20:おはよう。
予約投稿出来てれば多分朝に投稿されてると思うのだわ。
出来てなかったら手動で投げる。
「ん、んん・・・・・・」
朝日がカーテン越しに差し、その眩しさで目が覚めた私は、もぞり、と小さく身じろぎをする。
「んー・・・・・・んー・・・・・・?」
微睡みながら少し体を動かす度に鳴る、寝る時に着た男性ものの大きなサイズのシャツとシーツが擦れてシュル、シュル、という音を聞きながら寝返り。そして、
「んぅ・・・・・・?ぁ・・・・・・おはよ・・・・・・♡」
先に目覚めていたらしい『彼』の顔が視界に入り、寝ぼけた頭で挨拶をして頬に触れながら啄むような軽いキス。
「ん・・・・・・♪いっしょにねるの、わたしからキスしやすいからすき・・・・・・♡」
もう一度キスをして、改めて『彼』と視線を合わせ、
「・・・・・・だいすきだよ♡」
コメント
:あ"
:ン"ッ
:可愛いかよ
:画面が邪魔なんだが?
「みんなぁ・・・・・・どーだったぁ?」
とゆーわけで、今日の配信はおはよう配信。
のそり、と顔として使っていたハロカメラを抱えながら体を起こし、垂れている袖で軽く目を擦る。
GBNだから意味があると言うわけではないけど、まぁ、気分とリアルで染み付いてる行動、って感じ。実際、割と真面目に寝起きだし。
「くぁ・・・・・・あらためておはよぉ・・・・・・
こんな朝から、みんなありがとねぇー」
私のフォースネスト、部屋という部屋の殆どがコスプレ用のスタジオとして改造されているエターナルの一室、私の住んでいる部屋を再現している部屋のベッドの上でぺたんと座りながら、配信は出来ているもののまあまあな寝ぼけ頭でラバーズのみんなに挨拶。
「週末とはいえ、みんなよく朝から起きれるなぁ・・・・・・」
コメント
:寝てへんぞ
:徹夜だからなぁ
:偶然
:仕事前ぞ(死んだ目
「ねないとだめだよー?偶然ニキはラッキーだねぇ・・・・・・
仕事前ニキは・・・・・・頑張って♡」
ちゅ、と抱えていたハロカメラに軽くキスをすると、ふと気付く。
「・・・・・・あ」
コメント
:気付いてしまった・・・・・・
:おのれ仕事前ニキ、貴様の罪は重い
:眼福だった
ハロカメラを前に向けて抱えていた気がしていたけど、それは完全に気のせいで、普通にこちらを向いていた。つまるところ、至近距離で私のお腹&胸(ver.彼シャツ)をじっくり見せていた訳で。
「・・・・・・えっち♡」
改めてむぎゅっと押し付け、見えないようにする・・・・・・と見せかけて、敢えてカメラの上の方の部分を少しずらす事で、顔を抱きしめてる感じに写るようにする。
コメント
:エッッッッッッッッッッッッッッッ
:かわエッッッッッッッッッッッッ
:エッチコンロ点火!
:江戸(以下略)
:略しないで
:カメラそこ代われ
「ん、しょっと。それじゃ、そろそろベッドから出よっか」
ハロカメラを前を向くように抱えなおし、ベッドから降りてリビングへ。
「待っててねー?」
このくらいかな、と背が高い人が座っているイメージの高さで椅子の上にハロカメラを浮かせ、ちょいちょい、と指を動かして着ている彼シャツの上にエプロンを着け、髪をまとめてポニーテールにする。
「よし、と。とりあえず簡単なのでいいよね?」
コメント
:彼シャツエプロンポニテ・・・・・・!
:チェリーちゃんの朝ごはん・・・・・・?
:彼女かな?
:こんな彼女が欲しい人生だった
「何言ってるの?私、あなたの彼女でしょ?
・・・・・・彼氏でもない人と、夜みたいな・・・・・・あんなコト、しないよ?」
コメント
:何したんですかねぇ・・・・・・
:ナニしたんじゃないですかねぇ・・・・・・
:おかしい・・・・・・彼氏の筈なのに昨日の夜の記憶が無い
「・・・・・・きもちよかった、よ♡」
耳元で囁き、そのまま耳にキスするように軽くリップ音を鳴らす。
コメント
:エッッッッッッッッッッッッッ
:エッチなことしたんですね?(画略
:彼女にキスされた筈なのに横見ても誰もいない
:涙拭けよ
「じゃあ、ご飯作ってくるね?」
萌え袖になっていたシャツに手を通しなおしてカメラの正面にあるキッチンに向かい、手を洗ってから冷蔵庫の中を覗き込んでハムと卵、レタスとキュウリとプチトマトを適当に取り出す。
フライパンに油を引いて加熱、トースターにパンを入れながら野菜を軽く洗い、フライパンの具合を見てハムを敷き、その上に卵を片手で割って落として、洗った野菜を見栄えが悪くならない程度に手早く皿に盛り付けていく。
コメント
:恐ろしく手早い朝食の準備、俺でなくちゃ見逃しちゃうね
:ジッサイ手慣れている
:お?
:なんだなんだ
「ん、一人暮らしだしマギーちゃんのお店で手伝ったりしてるからねー
・・・・・・うん?どうかした?」
「いえ、何もありません。おはようございますマミィ」
キッチンからリビングを覗くと、ハロカメラを抱き抱えて代わりに椅子に座っているビスクちゃんが居た。どうやら、コメントはビスクちゃんが動かした事への反応だったらしい。
あの一件の後、ビスクちゃんを私個人用だったフォース、ブロッサムの時の二つ名でもあった『千変万花』に誘い、2人目のフォースメンバーとして加わった事で、今ではビスクちゃんはこのエターナルに自由に出入り出来るようになっている。勿論ブリッジや格納庫は言わずもがな、スタジオになっている部屋の数々や、ここのような現実での部屋を再現しているスペースにも。
ずっと1人だったし、色んな意味で自由な部屋が多いから少し考えたほうが良いのかな、と思いはしたけど、ビスクちゃんがそのままにしておいて欲しいと言っていたのでそのままにしている。
「あ、ビスクちゃんおはよ。起きるの早いね?」
「そうでしょうか?」
コメント
:・・・・・・マミィ?
:チェリーちゃんはママだった・・・・・・?
:確かに溢れんばかりの母性
:チェリー・ラヴは私の母になってくれたかもしれない女性だ!
「マミィは私のマミィです。勝手な事を言っていると容赦しませんよ」
「ビスクちゃん、めっ」
「すみませんでした」
コメント
:クール系っぽいけどもしかしてポンでは?
:クール系美少女いいぞ
:めっ可愛い
:顔見てみたい
「私はいいのでマミィを見ていて下さい」
「ビスクちゃんはねー、すっごく美人さんなんだよ?」
「マミィの方が美人な上可愛らしいです」
コメント
:ところでマミィって
:ビスクちゃんも綺麗なんやろなぁ
:母娘百合キマシ?
コメントのみんながビスクちゃんの話に移って盛り上がってる間に焼けたハムと目玉焼き、トーストを皿に移して、サラダも一緒にリビングのテーブルに運び、私側とビスクちゃん側に並べてからビスクちゃんからハロカメラを受け取る。
「はい、ビスクちゃんでーす♪自己紹介お願い!」
「はじめまして。マミィのおかげで生まれたELダイバーのビスクです」
コメント
:ELダイバーか
:やっぱり美人やんけ
:髪も肌もしっっっろ
:目が赤いのが映えるな
「お褒め頂きありがとうございます。
マミィとダディ以外に褒められても、という気持ちはありますが、悪い気はしませんね」
「ビスクちゃん、だーめ」
「すみませんでした」
コメント
:チェリーママ・・・・・・
:依存系美少女の娘と合法ロリ巨乳美少女ママの・・・・・・百合!
:だーめ可愛い
「百合、かぁ・・・・・・改めて外から言われると、どんな風にするといいかなぁ・・・・・・
こう、とかどう?」
ハロカメラをビスクちゃんの対面、私が座る椅子の所で浮かばせてビスクちゃんの後ろに回り、所謂あすなろ抱きをしてほっぺを擦り付けてみると、
「では私も」
「・・・・・・へ?」
座ったまま身体ごと横に向けて振り返り、私の腰に手を回してくるりと体勢を変えられ、お姫様抱っこに近い状態で抱えられてしまい、ビスクちゃんの顔が急に近付いて思わず心臓が跳ねる。
「こんなのクール系お姉様じゃん・・・・・・顔が良すぎる・・・・・・」
「お姉様・・・・・・なるほど。
こほん」
ビスクちゃんは軽く咳払いし、更に私を少し持ち上げる事で顔を近付ける。心臓に悪い。
「足元に気をつけなさい、チェリー。私が居なかったら倒れて怪我をしていたでしょう」
「お、お姉様・・・・・・助けて下さってありがとうございます!」
組んだ手を胸元に、ビスクちゃんに感激の表情で感謝の言葉を言うと、ビスクちゃんは私の身体を支えている手とは逆の手で私の頰に触れて更に顔を寄せて来た。
「・・・・・・ッ!?ビスク、お姉様・・・・・・?」
ちゃん、と呼びそうになって慌てて呼び方を変えると、ビスクちゃんは私の耳元で小さく囁く。
「次からは、気をつけるのですよ」
はむっ。
「ひぇぁっ・・・・・・!?」
コメント
:これは百合
:是非カトリック系な制服を着てやってもろて
:お姉様(娘)と妹(母)・・・・・・アリ!!!!
:耳はむは良き
「待って今マジで素の反応出た・・・・・・あんなの刺激強過ぎじゃん・・・・・・犯罪じゃん・・・・・・美人罪じゃんあんなの・・・・・・」
「顔を赤くして恥ずかしがるマミィも可愛らしいですよ」
「ん"ッッッッッ!!」
コメント
:チェリーちゃん、自分から絡みに行く割にどちらかと言えば受けなんか?
:実は誘い受け説、あると思います
:誘い受け酒飲み合法ロリ巨乳コスプレママおじさんお姉さん(妹)
:字面の圧よ
:要素が果てしなく渋滞起こしてるんよ
「〜〜〜〜っ!!終わり!!今回の配信終わり!!」
「終わるのですか?」
「終わるの!!マトモに続けられる気がしないから!!じゃあねみんな!!週末仕事ニキは頑張って!!」
「配信は終わっても私はここに居ますが」
「続きはしません!!調子狂っちゃったから!!」
「しないで済むと、いいですね・・・・・・?」
「意味深な事言わない!!てか早く下ろしてビスクちゃん!?力強いんだけど!?」
「あぁ・・・・・・マミィが私の手の中に居るなんて、なんて幸せな事なのでしょうか・・・・・・」
「あーもう!!おつチェリー!!!!」
コメント
:これはナニか始まる予感がしますねぇ・・・・・・
:逝ってくるかぁ・・・・・・!おつチェリー!!
:仕事ニキは生きて帰って来い
:おつチェリー!
:おつチェリー
:おつチェリー
夜は添い寝しかしてませんが????(すっとぼけ
配信回久しぶりな割に割とさくさく書けた気がして良かったです(小並感
ビスチェリはあるかも知れないし無いかも知れない。
チェリー(恋愛)のifカップリングendシリーズも気が向いてモチベがあれば書きたさはあるのだわね・・・・・・
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桜野恋愛06: なんてことないある日。
今でも、たまに思い出す。
道の端に座り込んで、途方に暮れていた女の子。
銀色の風になびく髪と青空のような色の瞳を持った、作り物めいた見た目の女の子。
片足が義足の、私と同じくらいの身長をした女の子と、偶然出会ったあの時のことを。
────私が、一目惚れをした瞬間の事を。
「あの、どうかしたんですか?」
と、遠慮がちな声をかけられてふと我に帰る。
「ん・・・・・・いえ、失礼しました。少し、考え事のようなものをしていました」
カウンターの向こう、テーブルに置いている紅茶が少し入った飲みかけのカップを両手で包みながら私の様子を窺う、中学生、ともすれば小学生にすら見える──人の事は言えないけど──美少女。
「そう、なんですか?ならいいんですけど・・・・・・」
「ええ。・・・・・・少し、夜ノ森さんと初めて会った時のことを思い出していました。
お茶のお代わりはいかがです?」
「じゃあ、頂きます。
あの時は助かりました・・・・・・もう、4年前くらいになるんですね」
「義足の不調で座り込んでいる美少女とエンカウントするなんて、まさか現実にあると思いもしなかったので・・・・・・あの時は驚いたものです」
新しいお茶を注ぎながらそう言うと、なんだかジトっとした目で何とも言えない表情になる夜ノ森さん。
「どうかしましたか?」
「・・・・・・いえ、あのチェリー・ラヴと同じ、と知ってからさくらさんの言動を思い返すと、腑に落ちると言うか・・・・・・見た目も、確かに髪型とか眼鏡とか以外ほぼ変わらないですし」
「まぁ、仕事中なだけで私は私ですから。・・・・・・ね、クーちゃん♪」
「・・・・・・そうね」
ポニーテールに纏めていた髪を下ろし、メガネを外して言ってみると、呆れたような表情ながらクーちゃんの時と同じような話し方で同意してくれる。
「つれませんね、夜ノ森さん」
「・・・・・・髪と眼鏡、戻してくれないかしら。頭がおかしくなりそう」
「そんな事言わないで欲しいなー、クーちゃん♪」
「さくらさんの姿でその話し方にして欲しいとは言っていないのだけれど!?」
そう叫んだ後にはぁ、とため息を一つ吐き、額に手を当てて顔を伏せてしまった夜ノ森さんを見て、一応仕事中だし流石にそろそろ戻そうかな、と手で握っていた髪をポニーテールに改めて纏め直していると、「全く・・・・・・」と呟きながら新しいお茶の入ったカップを口に運んでいた夜ノ森さんから声をかけられる。
「そう言えば、最近は配信の回数が減っているみたいだけれど・・・・・・どうかしたのかしら?」
「そうですね、減らそうとして減ってる訳では無いんですが」
「・・・・・・敬語」
「はい?」
「別に、敬語じゃなくていいわ。今は他にお客さんも居ないみたいだし、その方が楽でしょう?」
「ん、それじゃ遠慮無く。
まぁ、夏休みとか色々な時期でバタバタしてたのと、ビスクちゃんがガンプラを改修したがっててさ、その手伝いでどうしても時間取られちゃって」
「ビスク、って言うと、あの、配信にも出てたELダイバーの子・・・・・・よね?えっと、さくらさんの、娘、だとか・・・・・・
あの子の事は、その、どう思ってるのかしら・・・・・・?」
ビスクちゃんが居たのはあの朝配信だけ。つまり見られてたって事かぁ、と少し気恥ずかしくなりつつも夜ノ森さんの顔を見ると、どこか心配そう?な表情。
まぁ、私からしてもいきなりの事だったし、知らない子だから気にしてるのかもしれないな、と思いつつ答える。
「私の事尊敬してくれてるみたいで、事によっては暴走しちゃうけど、根はいい子なんだよ?ビスクちゃん。
興味があるものと無いものへの反応の差が激し過ぎるのは、あまり良くない所だけど・・・・・・完全に無視するって訳でも無いみたいだから、その内落ち着いていってくれるって信じてる」
「そう・・・・・・そう、なるほど。────少し、安心・・・・・・ね」
「もし会うことがあったら・・・・・・まぁ、態度は良く無いかもしれないけど、悪い子じゃないっていうのは覚えといて欲しいかな。
ほら、何かあった時は教えてくれれば、めっ!てするから!」
「そう、ね・・・・・・ふふっ、その時は、めってしてもらう事にしようかしら」
それにしても、と夜ノ森さんが呟いて、
「バーって、夏休み期間だからってお客さんが増えるものなの?
・・・・・・あ、ええと、来てほしくないって訳じゃないのよ!?」
「そんな、繁忙期にも暇な店だと思われてただなんて・・・・・・およよ」
「だからぁ!!」
ふふっ、とその様子を見て思わず笑ってしまうと、むすっとした表情で顔を逸らされてしまう。
「ごめんごめん。
でもまぁ、案外大学生のお客さんとかが来たりもするんだよ?マギーちゃんとビーちゃんは、まぁ癖あるかもだけど人柄は良いから結構通ってくれるようになる人も居たりするし。
はー・・・・・・私も4年前は・・・・・・4年前・・・・・・学生の頃も、今と大して変わってなくない?」
「そうね、さくらさんは初めて会った頃から・・・・・・・・・・・・え?」
「ん?」
ぴたり。
「・・・・・・・・・・・・いま、なんて?」
「今と大して変わってなくない?」
「その!前!!」
「学生の頃?」
「その・・・・・・合ってる!!
ええと、つまり、あの、初めて会った時って・・・・・・」
「ん、大学4年だよ?」
「大学4年」
「うん、ぴちぴちのじぇーでぃー」
「つまり・・・・・・・・・・・・私より年下?」
「夜ノ森さん、年上だったんだ・・・・・・永遠の美少女合法ロリじゃん・・・・・・」
「・・・・・・それ、あなたがそれを言うのかしら?」
「・・・・・・美少女、って、思ってくれてるんだ?」
────そっか
とは口には出さずに。思わず浮かぶ笑顔を、違う意味に捉えてもらえるように。
「で・も♪夜ノ森さんの方が可愛いと思うよ♡」
ちゅっ、と、投げキッスをして、GBNの中の時と同じように戯けてみせる。
「な、ななななな・・・・・・っ!?」
良い感じに誤魔化せた・・・・・・かな?
本文2434文字だったらしいですよ奥さん。
てな感じで、だいぶ前にカンテラさんちでも書いてあった通り、ここでもうちよそCPにようやく踏み込んでいったりいかなかったりするわよー
これからもちまちま書いていきたいとこではあるけどもまあ更新頻度はそこまで期待はせんでもろて。
来たらスナック菓子つまむくらいの感覚で読んで貰えればって感じですなー
ではではアリゲーター
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チェリー・ラヴ21:眠れない夜。
ほっぺが、ゆるむ。
「そっかー・・・・・・そっかぁ・・・・・・♪」
『・・・・・・それ、あなたがそれを言うのかしら?』
今日の、仕事中に話していた時の夜ノ森さんとのやりとりが頭から離れない。
こう言うとなんだけど、この歳まで生きていれば客観的に見て自分の顔が整ってる事は理解しているし、かわいい、とか、そんな褒め言葉は何度か言われたこともある。でも、誰に言われるか、って言うのはやっぱり感じ方は変わるわけで。
「可愛い、って思ってもらえてるんだ・・・・・・」
配信の視聴者、ラバーズのみんなも可愛いって言ってくれるし、何かアクションをすればノリ良く限界化してくれたりもしてて、凄く嬉しく思ってはいる。それも事実。
「んふふ・・・・・・♪」
でも、やっぱり。
夜ノ森さんに言って貰えた事は、トクベツに感じてしまっていて。
「はー・・・・・・だめだ、嬉しすぎ・・・・・・」
ぺちぺち、とほっぺたを軽く叩いて、嬉しい気持ちをなんとか誤魔化そうとする。
────この気持ちは、普通ではないから。
女の子同士・・・・・・男性同士でもいいけど、同性愛と言うのは、社会的に受け入れられつつはあったとしても、普通とは程遠い。それは、マギーちゃんの店に居ると良くも悪くもそう言う場面を見る事があるからこそ、ある意味働き始める前以上によく分かっている。
だからこそ、嫌われたくない。本心からのこの想いを知られてしまう事で。
ただの女の子と可愛い子が好きで、スキンシップが激しめで、えっちな女の子。ネタ枠の知り合い、そのくらいで思ってもらえていれば、もうそれで十分。いやまぁ、出来れば友達と思ってもらえると嬉しいけど。
初めて会ったときに咄嗟に名乗ってしまって、今でも当時と同じように関わっている、仕事中の『さくら』としての私と、今のGBNでの、私の素に近い・・・・・・というか、したい事を割と思考停止でさらけ出せる、『チェリー・ラヴ』としての私。
それを受け入れて貰えていれば、それでいい。
────気持ちを打ち明けて引かれるくらいなら、『桜野恋愛』は隠し続ける方がよっぽどいい。
「・・・・・・名前、かぁ」
もし私の名前を夜ノ森さんに教えたら、彼女はなんて呼んでくれるんだろう、と、ふと考える。
今まで通り『さくらさん』?苗字で『桜野さん』?下の名前で『恋愛さん』?それとも・・・・・・呼び捨てで、『恋愛』・・・・・・とか?
『おはよう、恋愛』
「────っ!!」
あの顔で、あの声で私の名前を呼ばれるイメージに、かぁっとまた顔が熱くなる。
「やっっっっっば・・・・・・・・・・・・」
このままこの事を考え続けてると抜け出せなさそうな気がして、思わず転がっていたベッドから飛び起き、ダイバーギアを置いてある机に向かい、
「配信しよ・・・・・・このままじゃ、眠れなそうだし」
いつもの手癖で出来るくらいに慣れた流れでログイン、ネストの落ち着けそうな部屋に移動する。
コスチュームをふわふわのルームウェアに変え、ハロカメラを横にするように膝の上に置いて少し大きめに深呼吸。効果があるかはともかく、気持ちの問題として少しはマシになるかなと思いながら。
「グッチェリー、みんな」
コメント
:ゲリラだ!
:なんかカメラ横になっとらんか?
:声も普段に比べて大分静かだな
:これは・・・・・・膝枕!!
「せーかーい。
少し、眠れなくてさ・・・・・・偶にはいいでしょ?」
よしよし、って感じで、ハロカメラの頭を撫でてあげながら声をかける。あんまり撫でる力が強いと音を拾い過ぎてうるさいだろうから、軽く。
コメント
:これはお姉ちゃん
:もはやママでは・・・・・・?
:チェリーは私の姉になってくれたかもしれなかった女性だ
:お前ら何歳だよ
:娘より年下のお姉ちゃんだっているんだぞ
:シッ
:なんだ戦争か?
「めっ。
喧嘩してると強めに音立てるよ?」
コメント
:めっ助かる
:これはお姉ちゃんちからがつよい
:チェリーお姉ちゃん・・・・・・
「ん、なーに?弟クン」
コメント
:チェリ姉・・・・・・
:これはお姉ちゃん
:女の子とショタ好きの酒飲み合法ロリ巨乳お姉ちゃんママ
:長い長い
:通常攻撃がMAP攻撃で波状攻撃のお母さんは好きですか?
:全体攻撃で2回攻撃の比じゃないんよ
:いったい何処に向かってるんだ・・・・・・
「どこにも向かってないよ、私は。したいなって思った事をしてるだけ。
────GBNでくらい、自分に正直に居たいでしょ?」
そう、GBNでくらいは。
少なくとも体感では現実と大差なくて、でも現実では無い、このもう一つの世界でくらいは。
「今日は、どうだった?」
コメント
:ヴァルガでチンパンしてたゾ
:同じく
:ダイバーポイントを稼いだり溶かしたり
:金作してたかなぁ
:今日も今日とて金作(リアル)やぞ
:かなしいなぁ・・・・・・
「そっか・・・・・・今日もおつかれさま。リアルでもGBNでも、無理はしちゃダメだよ?」
コメント
:ハイになってただけだから無理はしてないし大丈夫
:無理は・・・・・・してへんな、虚無だっただけで
:あかんなんかなみだが
:あなた疲れてるのよ・・・・・・いやガチで少しでも休め
「毎日がんばっててえらい、えらい・・・・・・ほら、目、閉じて?しばらくこうしててあげるから」
膝枕で置いていたハロカメラを持ち上げて胸元で抱きしめ、落ち着くように、ゆっくりと間隔をあけてとん、とん、とあやすように軽く触ってあげる。
コメント
:ママ・・・・・・
:ママじゃん・・・・・・
:ドアップオパーイ・・・・・・
:なんでこのカメラがワイの頭じゃないんや
:ないてる
「うんうん・・・・・・ゆっくり休んで、元気になれたらまた頑張ろ、ね?」
赤ちゃんになってるラバーズと割とガチ目に限界そうな人のコメントを見ながら、こんな感じかな、と甘やかす感じで続ける。なんかこう、甘えるような反応を見ていると母性のようなものが芽生える気がするというか、かわいい──
『・・・・・・それ、あなたがそれを言うのかしら?』
「────っ」
忘れかけてた所に自爆して思い出して変な声が出そうになったのを何とか堪えて、また赤くなってそうな顔を見られないように、ギュッと胸に押しつけるようにしてハロカメラを抱き締める。
コメント
:めのまえが まっくらになった!
:こんな風に目の前が暗くなる事なら毎日なりたいんだよなぁ
:なんか変な声出さなかった?
「なん、でも・・・・・・ない、よ?ほ、ほら、私のことは気にしなくていいからさ。なんなら歌も歌ってあげよっか?『静かな夜に』とかどう?」
コメント
:よしよし&お歌・・・・・・!
:いい夢見れそう
:疲れてる社畜ニキも寝たっぽいな
そんなコメントが流れる顔も声も何とか誤魔化せたっぽい事に内心ホッとしながら、とんとんを再開して出来るだけゆったりと歌い始める。
今夜は、すぐには眠れなそうだった。
いやマジではっやいのだわね時間が過ぎるのが
こないだ初詣行ったのにもう12月下旬なるし雪も積もり出すしではー年末(ガチ)って感じですわね
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チェリー・ラヴ22:クリスマス。
正直、思いついた時は天才かなと思った。
「いぇーーーーーい!!」
GBNである事を良いことに、リアルでは片付けやらその他諸々の色んな理由で中々出来ない事、瓶を振ったシャンパンのコルクをポーンと引き抜いた私は、当然の如く噴水のように噴き上がったその中身を、上に着ているサイズの大きいだぼっとしたパーカーに吸われながら頭から被ったり飲んだりしていく。
「んー・・・・・・!お酒を浴びるように飲むとは正にこの事・・・・・・!」
コメント
:まぁ、確かに夢はあるが
:酒を浴びるように飲む(物理
:いくら酒カスでもそんな飲み方する奴おる??
:らしいと言えばらしい・・・・・・のか・・・・・・?
:せめてシャンパンタワーとかさぁ・・・・・・
「だってさぁ、シャンパンタワー面倒くさくない?しかも砂浜の上でだよ?」
そう。ここはクリスマスという冬の季節からするとイメージとは外れている、海の砂浜。
────けれど、それは日本、正確には北半球での話。
GBNは日本じゃないからクリスマスを別に冬冬しく過ごす必要は無いし、ならあったかい砂浜で南半球的に夏のクリスマスでも良くない?というわけで、ビーチでクリスマス回の配信をしているのだった。
「はぁ・・・・・・さいっこう・・・・・・♡
GBNなら気軽にこんな事も出来るって、もっと早く気付くべきだったなー・・・・・・」
コメント
:酒に塗れて恍惚の表情を浮かべるアル中の鑑
:エッッッッ
:酒で濡れたのを舐め取る仕草を見て・・・・・・なんていうか・・・・・・その・・・下品なんですが・・・フフ・・・・・・
:吐息がもうやば
:手フェチのラスボスは小道で振り返ってもろて
まぁ、でもやっぱり、濡れた服っていうのは張り付いてそれなりには不快でもある訳で。
「んー、でもやっぱ濡れると体に張り付いちゃうなぁ・・・・・・
・・・・・・上、脱いじゃおっかなぁ・・・・・・♡」
じぃ、とパーカーのジップを少しだけ降ろし、ハロカメラに向けてシャンパンで湿っている胸元が見えるようにだけ降ろした所で止めて、煽る様な表情で軽く横に開いてみせる。
「どんなの、下に着てると思う?
水着?それとも下着かも?・・・・・・もしかしたら、着てないかも知れないよ・・・・・・?」
まぁ、GBNは着てないと脱ぐのは流石に仕様的に無理だし、下着だけでもやっぱり無理ではあるんだけど・・・・・・逆に言えば、『きちんと隠れさえすれば、下に着てないだけなら問題はない』。覗いたところで、所謂有名ハードのVR機器普及最初期にプレイヤー諸氏が涙を飲んだ『プレイエリアの外です』というわけで。要は具が見えちゃだめなのだ。
プライベートエリアで使える『そういう』modがあるらしいという噂は知ってるけど、そこまでして配信でそういう事をしたい訳でも無いし。
コメント
:みえ、みえ・・・・・・!!
:(みえ)ないです・・・・・・!!(血涙
:まだ、肩紐さえ見えれば何かのヒントが・・・・・・!!
:あえての旧スクを推したい
「旧スク、いいよね・・・・・・水抜き穴えっちじゃない・・・・・・?えっち・・・・・・白スクもいい・・・・・・
で・も、ざーんねん♪ちゃーんと紐だよ♡」
ぐいっと左側を引っ張って肩が見えるようにすると、ちらりと見える赤い紐。
コメント
:赤・・・・・・!
:黒か白のビキニ希望だった
:これは・・・・・・サンタビキニでは?
「お、せーかーい!!」
じじじ、とへその辺りまでジップを下げて、サンタ服っぽいデザインのビキニが見えるようにしてあげた途端に加速するコメント欄を見て、いいねぇ、盛り上がってるねぇ、と思わず楽しくなってくる。
「メリー・クリスマス♡」
腕で胸を軽く持ち上げて強調するようにしつつ、前屈みでハロカメラに向かって投げキッス。
コメント
:こんな教育に悪いサンタおる??
:チェリーサンタに来て欲しい人生だった
:いい子にしてたからプレゼントください
「えー?私の配信見に来てるのに、いい子なのかなぁー?
・・・・・・で・も。今日の私はサンタさんだし?私の配信に来てくれてるようないい子のみんなが欲しいのは、多分こんなのじゃない?」
ハロカメラの耳元に口を寄せて、
「私が、プレゼントだよ・・・・・・♡」
コメント
:ン"ッッッッッッッッッ
:受け取りたいのに画面が邪魔なんだが?
:このサンタなんで部屋に来てくれないんだ・・・・・・!
ちゅ、と耳部分に軽くキスをしてカメラから離れ、隠すために着ていたパーカーをサンタ風のコスに切り替えて羽織り直す。
「さて、と!
日付も跨いでイブになったし、一晩早いけどみんなでパーティしよっか!今日の夜は友達とか、あとは恋人とか?と、楽しく過ごしてね?
相手がい・れ・ば♡」
コメント
:この・・・・・・っ!!
:と、ととととともだちくらい、いいいいいるが?
:この酒飲み合法ロリ巨乳メスガキお姉ちゃんママ、相変わらずメスガキムーブも似合う
「ん〜?もしかして、ぼっちのオタクくん結構多い?
しょうがないなぁ、今晩は私を恋人だと思ってもいいよ?ほらほら、お酒とかジュース用意して!乾杯するよ!」
コメント
:用意なら出来てるぞ
:同じく
:乾杯の準備とか言ってボトルからコルク抜く合法ロリが居るらしい
「ん、準備いい感じだね!それじゃ早速、メリー・クリスマス!!」
コメント
:メリークリスマス!
:メリークリスマス!!
:メリクリ!
:乾杯ーー!!
「さーてみんなで飲もーー!!」
まあクリスマスどころか大晦日まで連勤だしクリスマス当日は鍵開けから鍵閉めまで職場なんですけどねぇ!!!!!!!!!
メリクリ!!!!!!!!!!!!!!
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桜野恋愛07:似た者同士。
「・・・・・・来ないねえ」
「まぁ、時期が時期だものねぇ。さくらちゃんも、そんな仕事の準備なんて持って来ずに普通に休みでよかったのよ?」
今晩のアダムの林檎は開店休業状態。
何せ今は年が明けてから少し、客層の一部である学生が通う大学は冬休みから明けてもそろそろテスト期間、大人なお客さんは年末年始の出費や冷え込みもあってあまり出歩かずで、例年の傾向的にも客足は遠のくのはある意味予想通り・・・・・・と言うには予想よりも更に来てないけれど。何なら、店を休みにしても特に問題は無いくらいに。
「まぁ、一人で過ごしてても寂しいしねー
もし忙しくなっても入れるし、暇ならこうしてマギーちゃんとも過ごせるし、一石二鳥じゃん?」
それに────
「あら、『ヨノモリさんが来るかもしれないから』じゃないのかしら?」
「ぶふぉっ、げほ、げっほ!?」
内心、少しだけ思ってた事を不意打ちで言い当てられてしまって思わず咽せる。
「やだ大丈夫?はい、おしぼり。」
「ごほ、けほっ、すうー・・・・・・ふぅー・・・・・・ごめん、ありがと」
「・・・・・・で、図星かしら?」
貰ったばかりのあったかいおしぼりで顔を隠すようにぼふん、と覆い、呼吸じゃなくて今度は気持ちを落ち着ける為に深呼吸。
「・・・・・・私、そんなに分かりやすかった?」
「そうねぇ・・・・・・お店に来たら嬉しそうになる所とか、ちらちら視線を向けてたりする所とか、居なかったら居なかったでいつも零ちゃんが座ってる席をそわそわしながら見たりしてる所とか、他の人がそこに座ると──」
「待って待って!!そんなに分かりやすく出てたの私!?」
「あら、本当にそこまで気になってたの?」
「・・・・・・もしかして、カマかけられた?」
「さぁ、どうかしら♪」
はぁぁぁぁぁ、と思わずため息を吐きながらぐにゃりとテーブルに突っ伏して、畳んで置いておいたちょうど良い場所にあったおしぼりの上に頭をどすんと下ろす。ちょっと痛い。
「もう少し、自分の心に素直になってみてもいいんじゃないかしら?」
「素直に、かぁ・・・・・・」
「例えば、零ちゃんのどんな所が好きなの?」
「そうだなぁ・・・・・・存在?」
あら熱烈、と呟くマギーちゃんに視線を向けながらむくりと体を起こして、何本かボトルを取り出して計量したものをシェイカーに入れたマギーちゃんに視線を向けていると、マギーちゃんは流石の手慣れた手つきでシェイクを済ませた中身をカクテルグラスに注いで私の前に置く。
「はい、どうぞ。これはアタシの奢りね?
で、例えば零ちゃんのどんな所が好きなのかしら?」
「・・・・・・マギーちゃん、なんか妙にぐいぐい来てない?」
「いいじゃない、偶には♪
お客さんも居ないし、そんな話をしたい気分の日があってもいいでしょう?零ちゃんに直接言うわけじゃ無いんだし」
「んー・・・・・・?なんか引っかかるけど・・・・・・
そーだなぁ・・・・・・顔も声も名前もいいじゃん?髪も綺麗だし、身長もおっぱいもちっちゃいの可愛いし、それを気にしてダイバールックで盛ってるのも可愛いし、配信中とか格好良くしようとしてポロッとポンな感じになるのも可愛いし、あの足も不便はあるんだろうけど格好いいなぁって思うし、ガンプラ作るのも上手だから凄いと思うし、美人でスタイルいいからダイバールックで多少盛ってるのを差し引いても格好良くて綺麗だし、なんかこう小動物感あって甘やかしたくなるし甘えたりもしたいしいちゃいちゃしたいしえっちなこともしたいしそもそも一目惚れだったし・・・・・・」
「あらあら、本当にお熱ねぇ・・・・・・
そこまで大好きなら、告白してみようとか思わなかったの?」
「・・・・・・まぁ、何度も思いはしたけどさ。それで関係が壊れるかもしれないよりは、このままの方がいいなって」
マギーちゃんが奢り、と言って出してくれたカクテルグラスを手に取り、軽く揺らしてガラスの中で波打った鮮やかな緑色を眺め、これなんだっけかな、と思いながら口に運んで少しだけ飲む。
「・・・・・・モッキンバード?」
「ええ、ぴったりでしょう?貴女たちに♪」
「ぴったり・・・・・・?貴女たちって・・・・・・待って、もしかして」
「さ、出てらっしゃい?零ちゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あの、ええと・・・・・・」
「はぁ"っ・・・・・・!!」
マギーちゃんに声をかけられてカウンターの向こうからゆっくり、ゆっくりと出て来たのは、顔を真っ赤にしている、今まさに話題に上がって、それでいて私が・・・・・・私が・・・・・・!!
「謀ったなマギーちゃん・・・・・・!!!!」
「だって、貴女達2人ともお互いの事が好きなのにお互いに怖がってるんだもの。そんなの何年も目の前で見せられ続けたら、お節介したくなると思わない?」
「う・・・・・・ん?お互い?」
「言ったでしょう?ぴったり、って♪
さて、そういうことだけど・・・・・・どうするかしら、零ちゃん?」
「・・・・・・マギーさんすみません、これ、少し頂きます」
ついさっき、マギーちゃんがモッキンバードを作るために使ったボトルを手に取って、ぐいっと呷る夜ノ森さ・・・・・・ん?
「ちょっと待って零ちゃん、それは・・・・・・!」
「ま、待った!そこまでお酒強い訳でもないのにテキーラをそのままボトルからなんて────!」
「んっ、んっ、んっ・・・・・・ぷは・・・・・・あ、これ、思ったよりキツ・・・・・・」
「んもう・・・・・・ダメよ、零ちゃん。お酒の力を借りられるのは大人の特権だけど、それでも無理な飲み方は良くないわよ?」
ふらり、と力が抜けたように倒れそうになった夜ノ森さんを受け止めたマギーちゃんが、そのまま私の隣まで連れて来て私の方を向くように椅子に夜ノ森さんを座らせてあげる。
「夜ノ森さん、大丈夫?マギーちゃん、早く水──」
「・・・・・・さくら、さん」
うつらうつら、ふらりふらりと椅子に座っていても頭が揺れている夜ノ森さんに呼ばれて、マギーちゃんに少しだけ向けていた視線を戻すと、彼女が私に向かって倒れ込んできた。
「あぶな・・・・・・」
「あなたのことが、すきです・・・・・・わたしと、つきあ・・・・・・て・・・・・・」
慌てて受け止めた時に途切れ途切れに聞こえたその言葉は、胸で抱き留めて無事に済んだ安心感も、経験が余りない抱き締めている感触も、全部吹っ飛ぶくらいの衝撃で。
「・・・・・・・・・・・・どうしよ、マギーちゃん」
嬉しさを感じるのと同時に、頭の中が真っ白になってしまったのだった。
確認はしてもらってる大丈夫朔紗奈が書いたものだよ!な感じで
もっとそれまでにやれる話あっただろとも思いつつ知ったことか書きたいのを書くぞお前の精神で行きますわよ
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桜野恋愛08:恋人。
例によって確認はして貰ってるので安心安全に好き勝手してますわよ
見下ろすと、すう、すう、と私の布団の中で眠っている、私の恋人(予定)の絶世の美女が寝息を立てている様子が視界に入る。
何度瞬きしても、目を擦っても、そこにいるのは私の片想いだと思ってたら両想いだと発覚した上に告白までされてしまった相手で。
「どうしよう、ほんと・・・・・・」
なんで私の部屋で寝ているかというと、少し前、アダムの林檎にいた頃まで遡る。
「マギーちゃん、どうしよ・・・・・・頭が追い付いてないんだけど・・・・・・私、告白・・・・・・された、んだよね?」
「ええ、お酒の力も借りたとは言え、零ちゃんは勇気を出して貴女に告白していたわね。
受けるか、それとも断るか・・・・・・そこに関してはアタシが口を出す事は何もないから、零ちゃんが起きた時にちゃんと返事してあげなさいな」
「・・・・・・うん・・・・・・うん?起きたら?
この店、2人も泊まれるようなスペースあったっけ?」
「貴女のお部屋で泊めてあげればいいじゃない?」
「私の部屋かぁ、それなら・・・・・・私の部屋ぁ!?」
「いいじゃない、どうせその内一緒に住んだりするようになるんだからお試しってこ・と・で♡
それとも、零ちゃんを部屋に上げるのは嫌?」
「その言い方はズルじゃない・・・・・・?
いやまぁ、嫌なわけじゃ無いけど・・・・・・」
「無理にとは言うつもりは無いけれど・・・・・・頑張った零ちゃんに、ご褒美くらいあってもいいんじゃないかしらねぇ・・・・・・
恋人同士なら、零ちゃんがいいって言った範囲でなら何したっていいのよ・・・・・・?ふふっ♪」
「・・・・・・ごくっ・・・・・・いやごくっじゃなくて!そういうことしたくない訳じゃないしむしろしたいけど!!付き合って早々はなんか違う気がする!!」
「明日はお赤飯かしらね〜♪」
「しないから!!・・・・・・・・・・・・多分!!!!」
と、そんな感じのやりとりがあって。こうなる事を見越していたらしいマギーちゃんが店を任せておく為に呼んでいたビーちゃんにサムズアップで見送られながら、マギーちゃんに手伝って貰って私の部屋に帰って来て、今に至る。
「やば・・・・・・」
こんな可愛いしいい匂いする子が両想いで、無防備に私の布団で寝てる・・・・・・?夢じゃないのコレ・・・・・・?
「そっか、無防備・・・・・・・・・・・・」
眠ってるならもっと近くで顔を見てもバレないかな、と、顔の高さを合わせるようにして屈むと、当然だけどそのお人形みたいに整った顔が近付く訳で。
「・・・・・・キス、とかしちゃっても・・・・・・バレなかったり・・・・・・?」
なんて、自分で言ったことも忘れて魔が刺してしまうくらいには、眠ってる好きな相手の柔らかそうな唇が目の前にあるっていう光景が魅力的なシチュエーション過ぎて。
思わず、そろり、そろり、と少しずつ顔を近付け──
「ん、んん・・・・・・?」
──かけた所で、寝返りをされて我に帰った私は飛び退くような勢いで布団から距離を取った。
「・・・・・・っっぶな・・・・・・!眠ってる間に勝手には流石にダメだって・・・・・・!やっぱ最初くらいはお互いにいい感じの時にした方がいいじゃんいやでも実際本番では今度は私からの方がいいのかなでも夜ノ森さんから」
「ん・・・・・・さくら、さん・・・・・・?あれ、なんでさくらさんがわたしのへやに・・・・・・」
しゅる、という体を起こして布団が動く音と、ぼんやりとした夜ノ森さんの声が聞こえてぴたり、と思考も体の動きも止まり、ぎぎぎ、と油の切れた古い機械のようにゆっくりと夜ノ森さんの顔を見ると、残ってる酔いもあるのか、ぼんやりとした顔。
「・・・・・・あれ、ここ、わたしのへやじゃ・・・・・・でも、なんだか見覚えが・・・・・・え?」
私を見て、きょろきょろと周りを見て、もう一度私、と見回していく毎に少しずつ目が覚めていってるみたいで、ぼんやりした様子が少しずつ無くなっていき、頭をぺたぺた、腰をぺたぺた。自分の胸を見下ろして、段々と顔が赤くなっていく。
「ン"ッ、んんっ・・・・・・お、おはよ、体調はどう?」
「・・・・・・・・・・・・あの、ええと・・・・・・ここ、って・・・・・・もしかして、チェリーの部屋、じゃなくて・・・・・・」
「・・・・・・うん、リアルの私の部屋。マギーちゃんが送ってくれた。だめだよ?そこまでお酒に強い訳じゃないのにあんな飲み方」
「マギーさんに・・・・・・それに関しては、何も言えないわね・・・・・・後でお金も払わないと」
「ん、まぁ払わなくてもいいって言いそうだけどね、マギーちゃんなら」
「そういうわけにはいかないでしょう?お店のものを貰ったんだもの」
「真面目だなー、夜ノ森さん」
思ったよりお互いに普通に話せていて、出来るだけ落ち着いて普段通りを意識したのが良かったのかな、と布団の端に座りながら少し思っていると、袖に触られた感触があった。
「ん?」
「・・・・・・零、でいいわ・・・・・・ええと」
私の袖を摘みながら恥ずかしいような、困ったような、そんな表情で見つめられて、かっっっっっっっっわ・・・・・・と悶えそうになりながら、困っている理由に気付いて、その手を反対の手で軽く握る。
「恋愛、だよ」
「れあ・・・・・・?」
「うん、桜野恋愛。桜の木に野原の野、恋愛、って書いてれあ。貴女が恋人に選んでくれた、普段あんな風な癖に自分からは告白できなかった恐がりの名前。結構今のダイバーネームまんまな名前でしょ?」
「れあ・・・・・・桜野、恋愛・・・・・・ふふっ、そうね、本当にそのまんまな名前。
・・・・・・ねぇ、恋愛?」
「どう、ぉわ!?」
声をかけられて、返事をしようとした瞬間に握ってる手とは逆の手も使って引っ張られたせいで、布団に寝ている零に覆いかぶさるような体勢になった。
「ど、どしたの・・・・・・?」
「・・・・・・ちゃんと、答えを聞かせてくれないかしら」
恥ずかしがってるのがよく分かるくらいに真っ赤な顔で・・・・・・とても真剣な声色でそう囁く零の声が耳に入って、今の状態が気にならなくなる、とまではいかないけど、少なくとも頭の端に押しやれるくらいにはすぅ、と落ち着く。
でも、一度落ち着いたからか、不安も帰って来てしまって。
「・・・・・・本当に、私でいいの?」
つい、口からこぼれた。
「可愛い女の子がいたら、多分あっちこっち目移りするよ?」
「いつものことだもの・・・・・・何も思わない訳ではではないけれど」
「仕事が仕事だし、一緒に居られる時間安定しないかもだよ?」
「お店に行けば会える、でしょう?」
「お酒とか沢山飲むよ?」
「体に悪そうな飲み方はやめた方がいいとは思うけれど・・・・・・その程度で嫌いになんてならないわよ」
「私、結構えっちだよ?」
「それも、知ってるわ」
「何されても、知らないよ?」
「・・・・・・本当に嫌なことじゃなければ・・・・・・何しても、いいわよ・・・・・・?」
「えっち」
「・・・・・・貴女ほどではないと思うけれど・・・・・・私だって、人並みには興味くらいはあるわよ」
「・・・・・・それでも、私でいいの?」
「それでも、貴女がいいの」
不安で口に出した事、出した事、全部受け入れられてしまうのが、嬉しくて、信じられなくて。まるでこの時間が夢か何かなんじゃないか、って思っちゃうくらいに。
「はー・・・・・・まさか、こんな風に好きな人に口説かれる日が来るなんてなー・・・・・・」
「・・・・・・私も、何だか今更になって恥ずかしくなってきたわ」
「・・・・・・ね、零」
「何、かしら、恋愛」
布団の上で一度体を起こし、零の体を踏まないようにしながら姿勢を整えて、上半身を起こした零に向かって正座で座り直す。
「不束者ですが、末永くよろしくお願いします。────愛してるよ、ハニー♡」
「・・・・・・まったく、貴女は・・・・・・
こちらこそ、何かと迷惑をかけてしまうかも知れないけれど・・・・・・末永く、よろしくお願いします。
・・・・・・私も、愛してるわ・・・・・・は、はにー・・・・・・」
「ン"ッッッッッッッッッ!!!!」
「急にいつもの調子に戻るのはやめないかしら」
顔を赤くしながらのはにー、が可愛すぎて胸を抑えながらリアクションすると、ジト目になりながらそう返す。かわいい。
「零」
「何?」
「かわいい。好き。ぎゅってしていい?」
「・・・・・・・・・・・・ん」
両手を広げ、応えてくれた零をぎゅ、と抱き締めると、それだけで感じる暖かい体温と、体の華奢さ。それ以上に、ずっとこうして居たいと思ってしまうくらいの多幸感。何とかニウムが足りない、なんて誰かと触れ合うネタがあるのが、心と体で理解出来た。こんなの、足りなくなるに決まってる。
「やば・・・・・・幸せ過ぎる、何これ」
「そう、ね・・・・・・何だか、安心する」
こんなにくっついてるのに、足りない、もっと、って感じる。永遠にこうしてたいくらいに、もっと、もっと、体の奥まで染み込むくらいに・・・・・・零を、感じたくなる。
「あの、さ」
「なに?」
「・・・・・・もっと、ほしい」
「・・・・・・いい、わよ・・・・・・?」
お互いに抱きしめあったまま、布団にぽふり、と倒れ込む。
そして────
「で、どうだったのかしら?」
「何が?」
「あの後、帰ってか・ら♪
零ちゃんに、ちゃんと返事は出来た?ビーちゃんと2人でどうなるかしらね、って少しだけ心配してたのよ?
さくらちゃん、一回告白されても不安がりそうなんだもの」
「うぐぅっ・・・・・・!まるで見てたみたいに・・・・・・!!
・・・・・・でも、ちゃんと返事は出来たし、受け入れてもらえた。・・・・・・本当、夢みたいだけど」
「夢じゃないわ、これは素敵な現実。
あんな良い子、嫌われるような事しちゃダメよ?」
「ん、気を付ける」
「ところで、な・ん・だ・け・ど♪」
「?」
「その首元の赤い痕、何かしら?」
「はぁ"っ・・・・・・!?や、まってそんな見えるとこ、ろ・・・・・・に・・・・・・無いじゃん!!」
「あらあら♪
お赤飯、おにぎりにして用意しておいたけど食べる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・イタダキマス」
「こんにちは、マギーさん・・・・・・すみません、先日は御迷惑をおかけして・・・・・・
れ、恋愛も、こんにちは・・・・・・」
「あらあらあらあらいらっしゃーい♪
いいのよそんなの気にしなくて!それより、零ちゃんもお赤飯食べる?何なら、お祝いに一品サービスでつけちゃうわよ♪」
「そんな訳には・・・・・・お赤飯?
・・・・・・ねぇ、恋愛?」
「・・・・・・バレちゃった」
「ちょっと────!!」
「で、私が産まれたという訳です」
「突然何言ってんだお前は・・・・・・どっかでバグでも拾って来たか?」
「誰かにそう言えと言われた気がしたので。やめて下さいダディ私は健康体です検査の必要は」
「いいから来い。良い機会だ、久し振りにしっかり診てやる」
「ダディ」
「何だ、大人しくする気になったか」
「・・・・・・優しく、して?」
「あ"?」
「・・・・・・おかしいですね、マミィによれば・・・・・・」
「本当に碌な事しやがらねえなあいつは・・・・・・!!」
ゲーミングに輝くヨシヒコとウォズがぐるぐる回っておるわ
マギーちゃん、仲の良い成人の知り合いとくらいはこんな話もしててもいいと思う・・・・・・思わない・・・・・・?そう・・・・・・
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チェリー・ラヴ23:新ミッション。
「だぁぁぁぁぁぁっ!!きっっついなぁもう!!」
『こっちの、セリフ・・・・・・っ、よ!!』
GBNの宇宙空間で、零・・・・・・もといクーちゃんと一緒に、それぞれの機体、ガンダム・アナトフルドレスウェディングとジャバウォックに乗りながら揃って声を上げる。
デブリは少なくて、良くも悪くも障害物が無いエリアのここで、私達は『自分達の機体と』戦っていた。
自分のガンプラと戦う、って言うとGBNではミラーミッションが代表的なものだけど、今の私達は、ミラーミッションとはまた別の理由で愛機と戦っている。じゃあ何でかというと、
『っ、と・・・・・・新しいクリエイトミッション・・・・・・これ、ソロでクリア出来る人居るのかしら、キョウヤ以外で』
「ソロだと、流石にいないんじゃないかなぁ・・・・・・キョーちゃん以外だと。
まぁでも、30人くらいまでは同時に参加出来るようにするつもりだし、クリアだけなら出来るんじゃない?」
そう、新しいクリエイトミッションを作るにあたって、クリア可能かどうかのテストプレイとして2人で挑戦していた。
内容としては、『高嶺の花嫁』の派生にしてアップグレード版・・・・・・或いは高難度版で、クリア条件はそもそもの高難度のものと変わらず『ガンダム・アナトフルドレスウェディングの撃破』と、そこは特に変わらない。
────ただ、前衛にジャバウォックが居るだけで。
『────っ!『エンド・オブ・ワールド』、来るわよ!』
「りょーかい!下がって、クーちゃん!」
ビットでの撃ち合い弾き合いの嵐が起こる都合でジャバウォックを抑えるのをお願いしていたクーちゃんをアナトの後ろに隠しながら、ヴォーパルソードを振りかぶる敵のジャバウォックにウェディングユニットの下部を見せるように角度を変え、開いているユニットを閉じて蕾のようにする。そして、
「バインダー改めドレス・ビット、1、3、5、7号基射出、ミノフスキードライブ始動・・・・・・突撃っ!」
ウェディングユニットに手を加えた事で可能にした、ユニット丸ごとじゃなく、それぞれのドレス・ビットを切り離してその両縁に増設したミノフスキードライブを始動、今回は囮兼盾兼質量兵器として突撃させると、流石に無視出来なかったらしいジャバウォックはそっちに向けてヴォーパルソードを振り下ろし、4基纏めて爆発する。流石、というには相変わらず過剰なほどの火力。・・・・・・でも、
「──今っ!」
『データとは言え、あの時の借り・・・・・・返させて貰う!』
その4基分の規模の大きな爆煙の目眩しこそが、打ち合わせ通りの真の狙い。爆煙を突き抜けて、ヴォーパルソードを握りしめたクーちゃんのジャバウォックが相手のジャバウォックの後方に居るウェディングに向かって飛び出すのに合わせて、残ってるストライカー・ビット、リフレクター・ビットを追従させるように向かわせ、クーちゃんを狙う相手のビットの射撃を弾く、或いはビットそのものを狙って射撃する事で出来るだけジャバウォックの損傷を抑えるようにする。
でも、敵のジャバウォック自体は撃破した訳じゃ無いわけで。
「こっちの子を抑えるのが、私の役目ってね!」
残りの4基のミノフスキードライブも始動、今度は射出せずにユニットごと突撃する。
「少し開いてぇ・・・・・・捕まえた!!」
お互いに巨大だからこその荒技。イメージで言うなら、高速で飛んでいくUFOキャッチャーのようにしてジャバウォックを捕らえて、
「ばーい♪」
ウェディングユニットを脱出、そのままどこかに飛んでいくのを見送る。
多分そんなにしない内に壊して戻って来ると思うけど、それは問題無い。一番大事なのは、『敵のアナトにマリッジリング・ウェディングを吐かせること』、それに尽きる。
完全に私がプレイヤー側に居るからこそのメタ戦術だけど、先に吐かせてさえしまえば、私がやり返すことで耐久値こそお互いに全快だとしても、相手だけが武装が2種類足りない状態での戦闘に持ち込める。それでウェディングの武装からビット2種なんて引いた日には、ボーナスタイムの始まり。2人で最大火力の集中砲火でゲームセット。
さてさてどうなるかな、とクーちゃんが向かった方向に視線を向けると、丁度蒼い光の剣が振り下ろされる瞬間で。
『『エンド・オブ・ワールド』────ッ!!』
ウェディングユニットを袈裟に切り捨てた事で起こる、さっきの比じゃない爆発。
「────来た!」
アナトのフルドレス、手持ちのライフルが分解されるのを見て相手のマリッジリング・ウェディングが発動したのを確認、こっちからも発動し返し、私よりも近くで様子を確認出来るクーちゃんに声をかける。
「クーちゃん、どう?」
『・・・・・・ビットは、今のところ出て来ないわね』
「んん〜〜っ!大当た」
『で、聞きたいことがあるのだけれど』
「りぇ?」
『あのアナト、いつのバージョンかしら』
「とーぜん!最新版・・・・・・あ"」
『つまり、あの・・・・・・ドレス・ビットだったかしら、は、さっきの貴女と同じ運用が出来るのよね?』
「ソウダネ」
『しかも、前になんて言ってたかしら。マザーファンネル的な運用が出来るようになって、ビームバリアも張れて、射出した状態でもメガ粒子砲を撃てるようになった、だったわよね?』
「・・・・・・ソウダネ」
『あの速度であのサイズのものが飛んで来て、直撃したら大ダメージよね?』
「・・・・・・・・・・・・ソウダネ」
『先に使わせれば、何が始まるって言っていたかしら』
「・・・・・・な、なんだっけかなぁー・・・・・・?」
『・・・・・・・・・・・・はぁ』
爆炎が晴れて向こうに見えるのは、二つのサイコシャードの輪を背負い、ドレス・ビットを全て外してこちらに向けているウェディングと、サイコプレートは分解から逃れたらしい、ヴォーパルソードを握りしめたジャバウォックの姿。
『ちなみに、だけれど。さっきまで相手があの動きをしてなかったのは、何でかしら』
「純粋にビットが残ってたから、とか・・・・・・私の動きを学習して、今までにしてない動きの仕方を覚えた・・・・・・とか・・・・・・?」
『・・・・・・なるほど、ね』
「えーーっとぉ・・・・・・クーちゃん?」
『・・・・・・まったく、随分とスリルのあるボーナスタイムもあったものね・・・・・・』
ギシ、と改めてヴォーパルソードを構え直したクーちゃんが続ける。
『まぁ、いいわ。今のアナトで出来る事、この際だから全部叩き付けてしっかりと見せつけなさい。ただ、出来るだけ最短で。
────代わりに、その間は貴女に一基たりとも触れさせないから』
「クーちゃん・・・・・・トゥンク・・・・・・」
『トゥンクなんて実際に口に出す人、初めて見たわね・・・・・・』
割と素直にときめいてしまったのを軽く誤魔化しながら回復したドレス・ビットを再射出、そこから更に破壊されていたビット達を展開していく。
「じゃ、少しの間だけよろしく!」
『任せなさい。アレを抑えるくらい・・・・・・AIに出来る事が、私に出来ないなんて道理は無い事を見せてあげる』
「やば・・・・・・私の恋人が格好良すぎる・・・・・・すき・・・・・・」
『い、今はそう言う事言ってる場合じゃないでしょう!?ほら、来るわよ!』
「よーし、やるよアナト!早くクーちゃんとそう言う事を言ってられる場合にする為に!」
ウェディングのサイズじゃどう足掻いても避けきれない範囲にメガ粒子砲、そしてその隙間を埋める様にビットを配置していきながら、技名とかあってもいいかもな、とふと考えて──うってつけな単語が浮かんだから採用する。
迎撃に向かったクーちゃんのジャバウォックに当たらないようにだけ気を付けて、
「よーし・・・・・・『ウェディングセレモニー・フルバースト』!!」
斉射。
いつもと違ってそこまで細かい操作は必要無いから、その分物量で雑に面制圧出来るそれは視界一面をビームで埋め尽くす様な状態で。
相手のドレス・ビットを全部切り捨てていくクーちゃんを見ながら撃てるビームは全部撃ち切るくらいに連射し続けているうちに、目の前にミッションクリアを表す文字が浮かんだ。
「ふふーん・・・・・・これが新・ウェディングユニットの力・・・・・・!
ウェディングドレスって、眩しいんだから!」
「と言うわけで、楽しいミッションに仕上がったからラバーズのみんなもやってみてねー」
コメント
:知らない間にキマシの塔が建っていた件
:楽しい(地獄)
:おいおいおい死んだわ
:一人で艦隊戦か何かしていらっしゃる?
:その戦法は他の人間はできないんよ
:などと旦那(嫁)に膝枕されながら申しており
「みんな・・・・・・クーちゃんの膝枕、めっちゃ気持ちいい・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・ママ・・・・・・?」
「報告しなくていいから!やめなさい!」
「しかもめっっっちゃいい匂いすいたいいたいいたい!ひどい!匂い嗅いでただけなのに!」
「転がして落としてもいいのだけれど?」
「ぶー」
「ぶーじゃない」
ぶー。
コメント
:邪竜の端末(ママ)
:ほう・・・・・・いい匂いですか・・・・・・
:ツンツンした事言いながら頭撫でてるママ(邪竜の端末)
:それはもうママでは
まあ、リアルよりも身長とかおっぱいとか大きくてお姉さん感が増してるから新鮮みがあってテンション上がったとこはあるけど。見栄張ってるの可愛い・・・・・・可愛くない・・・・・・?
今度改めてクーちゃんに甘え倒す配信とかもいいかもなぁ、と思いながらとりあえず話を戻す。
「まぁ、さっき言ってたと思うけど30人は同時参加できるし、高嶺の最高難度よりはゴリ押し効きそうな気がするんだけどなぁ・・・・・・
あー、でも後はシステム・セイレーネに気をつけるくらい?」
コメント
:システム・セイレーネ。
:そんなんまで載ってたのか・・・・・・
:はい????
:あの物量の中、味方と敵の区別が付かなくなると??
:まぁ、常にある程度固まって連携して動けば・・・・・・動けば・・・・・・厳しいのでは?
:やっぱりただのレイドボスやんけ
「えー?区別つく必要ある?
・・・・・・私達の事だけ、見てればいいんだよ・・・・・・♡」
コメント
:膝枕で頭撫でられてる状態で何を言ってるのか
:騙されんぞ(ピエロ回避ショタ
:あながち間違ってはいないのでは(それでクリア出来るとは言っていない
:ビット使わないならまだ気にしなくていいんですけどねぇ!!
「えー、でもキョーちゃんはソロで『要するに、アナト本体さえ撃破出来れば良いんだろう?』って言いながらクリアしてたよ?」
流石に無傷とはいかなかったみたいだけど。
コメント
:チャンプは出来た、は理論上クリア可能と意味がほぼイコールなんよ
:必殺技吐く前に本体をどうにか出来ればそりゃあクリアは楽だろうけども・・・・・・いや楽ではねえな
:しかしねぇ、このミッションには前衛にジャバウォックがいるのだから
:よく言った!(同意偽マフティー
:そうだよ(便乗
:もう誰なんだよ同意偽マフティーは
:仲良しかよ
「・・・・・・本当、キョウヤはギミックも何も無い戦闘だと大抵何でも勝つわよね」
「ねー。リッ君もタイマンでいい勝負してるとは聞くけど、本当あの子は流石のセンスというか・・・・・・」
「獄炎のオーガと1対2で勝ったのが・・・・・・4年くらい前、かしら。
4年でそこまで追い付いたと言うべきか、それとも、ビルドダイバーズのリクの成長速度を持ってしても4年経ってもそこまでしか追い付けてない・・・・・・と言うべきかしらね」
コメント
:第二次有志連合戦が・・・・・・4年前・・・・・・?
:新手のスタンド攻撃を受けている
:ボーイミーツガールのクライマックスを見た気分だったなぁアレは
:今だから言えることだけど、これだけELダイバーの人数が増えてるのを見るとビルドダイバーズが勝たなかったらと思うとゾッとするとこはある
:再現シチュエーションミッションのやつやったけどマジでクリアできる気がしない
:地下から潜ればと思ったらカルナと出くわすの嘘だろお前ってなったわ
「あー・・・・・・確か、あの時はモモちゃんが押さえてた・・・・・・って言うと違うかもだけど、カルナ君がモモちゃんを押さえてたから主戦場に来れなかったって聞いたなぁ・・・・・・
モモちゃん個人が強いかと言われるとそこまででも、って感じだけど、トリックスターと言うか、常識に囚われない動きするから、気が付いたらあの子の行動を起点に流れが変わってる、なんて事も少なくないんだよねー、あの子達」
「かと言って気にし過ぎると、他の主力を抑えられない・・・・・・本当、良いフォースよね。ビルドダイバーズは」
「みんな可愛いしね!あ、な・・・・・・コーイチ君以外ね?友達だけど流石に可愛いのカテゴリには・・・・・・どしたの?」
「・・・・・・別に?」
何となく様子が変な気がして、起きてクーちゃんと顔を合わせようとすると、露骨に態とらしく顔を背けられる。
「もしかしてやき」
「何のことかしら」
「クーちゃん拗ねて」
「ないけれど?」
つーん、と顔を逸らしながら食い気味に否定してくる、今の様子を見てのコメントの盛り上がり方にも気付いてない様子のクーちゃん。
・・・・・・ふーん?
「リッ君は始めたばっかりの頃も男の子って感じでかっこかわいかったけど、今は今で大人になった感じで、こう、おねショタが逆転したような感じで萌えるじゃん?」
「・・・・・・」
「ユッキーは身長が伸びて、かわいい感じは残ってるけど知的な方向のイケメンに育ってるのが凄くいいじゃん?」
「・・・・・・・・・・・・」
「モモちゃんは猫耳しっぽ似合ってるし、元気っ子でムードメーカーなの見てて可愛いし元気出るし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「アーちゃんは忍者ロールして一見クールっぽくしてるけど、可愛いもの見た時とかのデレッデレになってる時とかの素の笑顔めちゃくちゃ可愛いし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「サーちゃんはもう正妻って感じ凄い。可愛いまま綺麗に育ったし、服も相まってもうあんなの人妻じゃんえっちだよえっち」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅん?」
「クーちゃんはもう最初に会った時から一目惚れだったし。可愛い。綺麗。最高。二次元から出て来たんじゃ無いかってくらいの美少女。いい匂いする。顔が天才。俺の嫁って感じ。もう実質私の嫁だけど。・・・・・・いやでも嫁というか・・・・・・旦那様・・・・・・?」
「」
あ、固まった。
コメント
:合法ロリ巨乳の嫁(旦那)の邪竜の端末、突然の嫁のベタ褒めで思考が止まる
:男女問わずビルドダイバーズのメンバーを可愛い可愛い言い始めたと思ったら急に惚気られたんだが
:コーイチ兄貴ェ・・・・・・
:成長したサラちゃんの人妻感はガチ
:ビルドダイバーズのリクの嫁なんだから人妻だぞ
「・・・・・・は、え、な、ぁ・・・・・・っ!?」
「どしたの?顔、真っ赤だよ・・・・・・?」
体を起こして、クーちゃんにしなだれかかる様にしながら首に腕を回して軽く抱き付く。
そのまま耳元に口を近付けて、
「・・・・・・あ・な・た♡」
「────っ!?」
囁いて軽く耳にキスをすると、ぽふ、と音がしそうな勢いで真っ赤になるクーちゃん。
「可愛い・・・・・・♡」
「な、れ、ちょっと、こんなところで・・・・・・!?」
「なら、2人っきりだったらいいってこと?」
「そっ・・・・・・!そうは、言って・・・・・・なくも、なくも、なくも・・・・・・ない・・・・・・けれど・・・・・・」
「なら、続きはリアルの私の部屋でって事で♪
・・・・・・それじゃ、みんなに終わりの挨拶しよっか?」
コメント
:終わって何するんですかねぇ・・・・・・
:ナニするんじゃないですかねぇ・・・・・・
:キマシの塔が高くなるわね
:エッチなことするんですね?
「みんな、グッチェリー・・・・・・良き終末を♡」
「よ、良き終末を・・・・・・」
クーちゃんの挨拶が終わったのを聞いて配信を止めると、もぞ、と手が私の体に回ってくる感覚。
「だーめ、ここはまだGBNだよ?『クーちゃん』。
言ったでしょ?リアルの私の部屋で・・・・・・ね♡」
「そう、ね・・・・・・」
そう返事をしても、抱きしめる手は離れない。リアルで2人でいる時にもある、私に甘えてくれてる時の零の姿。
「しょーがないなぁ・・・・・・今度は私が膝枕してあげるから、一旦離して?」
「・・・・・・、ん・・・・・・」
名残惜しげだけど離してもらって一旦離れて座り直すと、こてん、と横になって私の膝枕に頭を乗せる零。
「よし、よし・・・・・・いいこ、いいこ・・・・・・♡
・・・・・・愛してるよ、零♡」
年上感が増してる姿でもいつも通りに甘えてくれるのが可愛くてなでなでしながら優しい声で甘やかしてあげると、猫みたいに気持ちよさそうにして目を細めていた。
可愛いなぁ、と思いながら、配信中のコメントを見て考えついたミッションの設定のちょっとした変更は後にしよっかな、とその内容を少しだけ思い出す。
艦隊戦。いいじゃん?派手そうで。
参加上限を、30人じゃなくて、30ユニットに。戦車でもプチモビでもモビルワーカーでもMSでもMAでも────戦艦でも構わず、30ユニット。
その方が難易度も下げようとすれば下がるだろうし、お祭り感覚でやりやすいかもなぁ、と考えていると、気付かない間に零が私を見ていた。
「何か・・・・・・考え事?」
「少しだけ、邪竜の花嫁の設定を変えよっかなって。後で説明してあげるから、今は横になってていいよ?
それとも・・・・・・そろそろ、リアルに帰る?」
「・・・・・・・・・・・・」
真っ赤と言うには色っぽい、事前のテンションに近い表情と小さい頷き。
「・・・・・・すぐ、行くわね」
「ん、待ってる。気をつけてね?」
零が先にログアウトするのを確認して、ちゃちゃっと設定を変更させてから私もログアウトすると、ログアウトする前とほぼ同じ部屋が視界に映る。
さっきまで零が──クーちゃんの姿だけど──居たのにもう影も形もないっていう、ほんの少しの違和感。
完コピ部屋だとこうなる事があるんだよなー、と思いはする事もあるけど、過ごしやすいし、零にも安心して貰えるのも事実だから、変えるつもりは特にない。
「お風呂・・・・・・は、一緒に入ろうかなぁ・・・・・・」
零が来てからの事を考えて浮つく気持ちをなんとか宥めながら、まぁその辺の零とシたいことは来てから考えることにして。
とりあえずベッドを整えたり、爪の長さを確認したり、そういう準備から始めるのだった。
邪竜の花嫁
前衛にフォース・エターナルダークネスのリーダーにして恋人、クオン/夜ノ森零のガンプラ、ジャバウォックが増えた高嶺の花嫁、といった内容で、クリア条件はガンダム・アナトの撃破から変更は無い。
参加可能機体数は上限が30となっており、モビルワーカーから戦艦まで何を使ってもその数字は変わらない。
クリア報酬は『桜色のブーケ』。アクセサリーとしても持てる他、フォースネストでの家具、または換金アイテムとしても使用出来る。
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ビスク02:『ビスク』
「こんにちは、グランマ・・・・・・と、メイも居ましたか」
「あら?ビスクちゃんじゃない、いらっしゃ〜い♪」
「ん、ビスク姉さんか。珍しいな、一人でここに来るなんて」
「・・・・・・まぁ、私にもそういう気分の時があるという事です」
『La Rencontre』。
マミィがあちらの世界で仕事をしている『アダムの林檎』の支店と言って差し支えない店舗であり、トップランカーの1人、『マギー』が店主を務めているバーであるここは、日中は初心者・ベテランダイバーを問わない店名さながらの交流の場として利用されていますが、日本時間における20時近辺を過ぎると比較的客数が落ち着くという傾向にあります。
それを見込んでやって来たのは、店内に居たのがグランマ──マミィが仕事中にママ、と呼んでいた事への勘違いから呼んだのを切っ掛けに、そう呼んで欲しいと本人から言われてそのまま呼んでいる──とメイしか居ないのを見るに、どうやら正解でした。あまり他人がいても煩わしいので。
「チェリーちゃんなら、今日はお休みよ?」
「・・・・・・えぇ、だから来ました」
「あら」
今日、マミィは配信をしていました。
新しいミッション、『邪竜の花嫁』の公開の為の配信を。
その内容と最後を思い出して、あまり良い気分にはなれずため息を一つ。
「とりあえず、まずは何か飲み物でもどう?何はともあれ、一息つけましょ?」
「そう、ですね・・・・・・では・・・・・・ビール、というものを」
「意外だな、ビスク姉さんがアルコールの類を飲む印象は無かったんだが」
「そうですね、飲んだ事はありません」
「そうねぇ・・・・・・初めて飲むとなると、ビールはあまり美味しく無く感じるかも知れないけど、大丈夫かしら?」
「ええ。興味自体はあったので、良い機会です」
マミィがあんな風に飲んでいる物が美味しくないなどという事があるのでしょうか、と少しだけ思いましたが、恐らくは癖のある味なのだろう、とアタリをつけました。要するに、恐らくコーヒーの様な『大人の味』と評される類のものなのでしょう。
残しても大丈夫よ、という前置きをしながら私の前にグランマが置いたグラスを受け取り、一口。
「どう?」
「苦いですね」
「苦いのか、チェリーはいつも大量に流し込んでいたが」
「ええ、苦いです」
「一応、ビールって普通はあんなに一度に一気飲みするものじゃないのよ・・・・・・?」
流し込む、と聞いて、そう言えばマミィは味わう様な飲み方ではありませんでしたね、と気付き、グラスを傾けて普段はあまりしない飲み方で残りを飲み干しました。
・・・・・・ふむ。
「なるほど、確かにこの飲み方の方が飲みやすいです。やはり苦いですが。
流石はマミィ・・・・・・パフォーマンスかと思っていましたが、この飲み方こそが最適解だったのですね」
「本当、ビスクちゃんはチェリーちゃんの事大好きよねぇ」
「自分の親であり尊敬すべき存在を嫌いになる理由がありませんので」
そう────だからこそ、マミィの幸せを、私が邪魔をしてはいけないのです。
例えこのもやもやとした気持ちが拭えなくとも。どこぞの馬の骨のトカゲの泥棒猫がマミィを奪って行ったとしても。マミィが幸せなら・・・・・・幸せなら・・・・・・
「あの泥棒猫・・・・・・!!」
「・・・・・・本当、あの子の事大好きねぇ」
そう呟いたグランマが、そう言えば、と続ける。
「ビスクちゃんって、チェリーちゃんがまだ前の名前だった頃に生まれたのよね?」
「すー・・・・・・ふー・・・・・・んんっ、ええ、そうですが、どうかしましたか?」
「どう、というほどの事じゃ無いのよ?ただ、その割にコスチュームの着替えまでしかしているのを見た事が無いような気がして」
「確かに、ダイバールックそのものを変えていたのはリクとの一件の時以外見たことが無いな」
「その事ですか・・・・・・グランマ、お代わりを貰っても?」
新しいグラスに注がれ、目の前に置かれた黄金色の液体を一口、今度は口の中で転がさずに飲み込む。・・・・・・慣れてくると、悪く無いかも知れませんね。
「理由としては、ダディから基本的に禁止されているから、と言うだけです」
「禁止?」
「アンシュが、か?」
「えぇ。
グランマ、ELダイバーが生まれ始めて少しした頃に流行った、ドッペルゲンガー、或いはGBNゴーストと呼ばれていた存在は知っていますか?」
「えぇと・・・・・・そうね、確かにそんな噂が流れていた記憶があるわ。
確か、毎回姿が違う正体不明のダイバーが、目の前に現れたと思ったら自分そっくりになって、またふらりと何処かに居なくなるとか・・・・・・
チェリーちゃんはその頃は活動してなかったから違うのは分かってたけど、まさか」
「それはかつての私です」
またビールを一口。
「マミィへの憧れ、私が生まれた理由、そしてマミィの真似をしていれば、マミィに見つけて貰えるんじゃないか、マミィを見つけられるんじゃないか、そう考えた私は、見かけたダイバー達を観察し、外見と全く同じ姿になり、本人同様の行動を演じる、と言う事を繰り返し続けていました。
────自分自身の姿も記憶しないままに」
「それって・・・・・・!」
「当然、待っていたのはアイデンティティの不安定化でした。
マミィへの執着で保っていたようなもの、とダディは言っていましたね。
どうやら、当時でも私の事は上手く捕捉できないELダイバーが居る、と言う程度には把握されていたらしいのですが、ELダイバーのデータのサンプルが少なかったのもあって私を見つけられなかったとか」
そして紫色のハロに────ダディに、出会いました。
「思えば、確かに最後の頃は思考がふわふわとしていてあまり纏まっていなかった気がします。
そんな頃にダディに拾われた私は、ダディにこの素晴らしい身体と、ビスクという名前を付けて頂き、漸く、私は私としてこの世界に生まれたのです」
グラスの中身を流し込む様にして飲み、空になったグラスをトン、とテーブルに置いて続けます。
「私が私になって、最初に言われたのがダイバールックのマイセットに今の姿を登録する事、身体的な変化の禁止と一時的な服装の変更の禁止、そして1日に1度は自分自身の全身を鏡で見る事で、自分がどんな姿をしているのかをしっかりと認識する事、というものでした。
性格的なものに関しても元の在り方は覚えていなかったので、同じくダディに取り敢えず適当にでも敬語で話しておけ、と言われ、言われた通りにこうしています。
────つまり、今の私は何の誇張も無く、マミィとダディのお陰でこの世界に生まれ、生きているELダイバー、『ビスク』という訳です」
「大変だったのね、ビスクちゃん・・・・・・!」
「むぎゅ」
「それでビスク姉さんはアンシュの事をダディと呼んでいるのか」
「もむいむももめむ」
そういうことです、とカウンター越しに顔をグランマに抱きしめられ埋めた状態で返事をすると、メイはなるほど、と小さく頷きます。
「つまり、身体的な変化を禁止されているのは、かつての不安定化の再発防止、と、そういうことだな」
「ぷは・・・・・・そうなりますね。最近はダディが居る場ならしてもいいと言う許可も出て、短時間の変装でどうにかなる事も無いので問題は無いとは思うのですが・・・・・・
・・・・・・サラお姉ちゃんの一件で、また禁止にされてしまいました」
「まぁ、それは仕方のない事だろう。
しかし、これで納得が行った」
「納得ですか」
「アンシュをダディ、と呼ぶ事もそうだが・・・・・・何やら、ビスク姉さんは妙にアンシュに似ている気がしていたからな」
「似ている、ですか。私とダディが?」
紫ハロの姿、リアルでの姿を思い浮かべ、毎朝毎晩鏡で見ている私の姿を想像で重ねてみますが、そもそも球体のダイバールックと、リアルでは細身ながら男性の姿のダディ。
似ている、となると・・・・・・
「そうね、確かに似てると思うわ」
「・・・・・・そんなにも、私は目付きが鋭いでしょうか?」
「目・・・・・・?やだ違うわよ、性格の話!そうよね、メイちゃん?」
「ああ。
他人には必要以上に興味を示さず、多少なりとも好意を抱いている相手とは自分からも話すようになり、大切にしているものを脅かすものにはなりふり構わず容赦もしない。
思い入れの深さ・・・・・・いや、これもまた愛、と言うのだったか。その点においても、よく似ていると私は感じた」
愛。
言われてみればメイの言っていたような面があるような気はしなくもない・・・・・・でしょうか。
そして、あまり他人と自分からは関わらない傾向のあるダディから仕事というだけでは無い言葉をかけられる事があるのも事実。ぞんざいに見える扱いはされていても、その対応自体はコーイチやマミィに対してとほぼ変わらない、と言っても過言ではありません。
つまるところ、ダディなりに親しみのある相手と認識されているという事でしょう。
・・・・・・ただ、サラお姉ちゃんの一件の時に不意打ちで初めて一度だけ娘と呼んでくれて以来、呼んで貰えないのは不満な点でもありますが。
「・・・・・・もう一度ダディを怒らせるような事をすればダディから娘扱いしてもらえるという事でしょうか・・・・・・?」
「ダメよ?ビスクちゃん。
そんな事してビスクちゃんに何かあったら、チェリーちゃんは悲しくて今度こそこの世界に戻って来なくなっちゃうかも知れないわよ?」
「絶対にしません」
「えぇ、そうしてちょうだい」
マミィを怒らせてしまうなら兎も角・・・・・・いえ、全く良くはありませんが、兎も角として、悲しませるなどという事は断じてあってはなりませんから。
・・・・・・ですが、そうなると、
「やはり、この『ダディうちわ』でアピールをするしか・・・・・・」
「アンシュの顔が描かれたうちわか。変わったデザインだな」
「・・・・・・そういうのも、やめた方がいいかも知れないわね?
ほら、恥ずかしがって口を聞いてもらえなくなるかも知れないもの」
「成る程・・・・・・ダディに娘として扱われるのは、中々に難しい事なのですね」
「そうかしら」
そんな事は無いんじゃないかしら、とグランマ。
「娘として接する、親子として接するっていうのは、直接同じ血が流れてる私たち人間の親子だって本当にいろんなカタチがあるの。大切にしてる気持ちをあまり直接は表に出さないようなお父さんも、もちろん居るわ。
彼は・・・・・・多分、結婚もしていないのに自分の事を親として扱う貴女っていう存在が出来て、気恥ずかしいだけじゃないかしら。現に、一度は呼んでくれたんでしょう?」
「ですが・・・・・・ダディと出会ってから、もう3年以上経ちます。それでも、まだ気恥ずかしいものなのでしょうか」
「それでも、よ。
もう少し待ってあげましょ?ビスクちゃん。いつか、気持ちの整理がついたらもう少し表に出してくれるようになるわよ、彼も。
それまでは・・・・・・そうね、仕事で疲れてそうだったらお茶とかコーヒーとかをそれとなく差し入れしてあげたり、出来そうな仕事を手伝ってあげたり、なんてしてみるのもいいんじゃないかしら?アシスタントとか、助手みたいな感じで補佐してあげたりすると頼りになるって思ってもらえそうだし、一緒にいる時間も増えれば早く慣れて貰えるかもしれないじゃない?」
助手。ダディの。私が。
もし、そうなったとしたら、ダディはどんな反応をするでしょうか・・・・・・例えばこんな・・・・・・
『ダディ、任されていた仕事が終わりました』
『流石の仕事だ。頼りにしてるぞ』
・・・・・・いえ、そこまで行くとダディらしくありませんね。もう少しダディがしそうな言い方に寄せて・・・・・・
『ダディ、任されていた仕事が終わりました』
『見せろ。
・・・・・・まぁ、悪くねえな。次は、これを任せる。頼んだぞ』
「・・・・・・・・・・・・いい、ですね」
私には見えました。あの鋭い目でこちらをチラリと見ながら仕事のリストを私に手渡すダディの姿が。
そうとなれば善は急げ、こんな所にいる場合ではありません。
「ご馳走様でした、グランマ。早速実行に移そうと思います。お代はこちらに。では」
「あっという間に行っちゃったわねぇ・・・・・・少し酔ってるように見えたけど、大丈夫かしらビスクちゃん」
「ああ。だがビスク姉さんの事だ、アンシュの所に行くと言うなら大丈夫だろう」
「でも、最初のビスクちゃんがどんな感じだったのか、見てみたかったわね・・・・・・どんな子だったのかしら」
「あれだけチェリーに影響を受けているビスク姉さんの事だ、案外、チェリーと似た姿をしていたのかも知れないな」
「答えを知るのは、神・・・・・・じゃなくて、GBNのサーバーのみぞ知る、って事かしらね」
ビスクのクーちゃんに対しての言い草は確認済みなのでヨシ!(現場猫
あぁ^〜ビスクのポン化が進む音^〜
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チェリー・ラヴ24:夏。
あ、何となく浮かんでつけたは良いものの、内容に合わなくなっても仮タイトルのまま来てたのをようやく変えたよ
夏、それは茹だるような暑さの季節。
子供の頃ならいざ知らず、いい歳になって来るとエアコンの効いた部屋から一歩も出たく無くなる、そんな季節。
そして、
「ピクシーでフェアリーでマーメイドな水着美少女が魅惑する季節!!」
「危なくないかしらその発言」
そんな日差しの、正確にはそんな日差しの設定になっているGBN内の砂浜での私の言葉に、じとっとした目の零──もとい、クーちゃんがはぁ、とため息をついて、
「まぁ、貴女がそうなのは分かっている事だからいいけれど・・・・・・というか、なんでそんなもの着てるのかしら、いい歳した大人なのに」
「えー?似合わない?ス・ク・み・ず♡しかもほら、ちゃんと旧スクだしひらがなで名前も入ってるよ?
てかさ、このおっぱいの下のあたりに乳袋的にならずに空間出来るの運営の癖を感じるよね最高」
「似合うというよりは犯罪的かしらね・・・・・・」
「・・・・・・似合って、ない・・・・・・?」
なんとも言えない表情の黒いビキニを着たクーちゃんに正面から抱きつきながら、ダイバーの姿だからこその身長差もあって少し見上げるような感じでおっぱいも押し付けつつ少し態とらしく訊ねる。背中すべすべだし翼の付け根とかもえっちぃ。
「ちょっ!?似合ってる!似合ってるから離しなさい!と言うかその手を止めなさ、ひゃん!?」
「ねぇみんな聞いたこの声?可愛すぎじゃない私の恋人。水着でもいい匂いするし」
「ちょっと、離れなさい、って言ってるでしょう!」
「スゥゥゥゥゥ」
コメント
:テテテッテッテッテッ
:プァーーン
:Yo(ry
:なお手は止めない
:実際犯罪的が過ぎる
:クオンちゃん様がチェリーとくっついてからというもの、2人での配信の度にタワーが乱立してコンクリートジャングルになっていく
:親の顔より見たキマシタワー
:もっと親の顔のキマシタワー見て
:百合夫婦が親・・・・・・ってコト!?
:これがGBNのワールドランキングでも十分にトップ層の女性プレイヤーが合法ロリ巨乳の嫁に弄ばれてるの図かぁ・・・・・・
「ふぅ、ビキニクーちゃん堪能したぁ・・・・・・まだ足りないけど」
「これだけ人前で好き勝手して、よく足りないって言えるわね・・・・・・」
「もっと楽しむのは後で二人っきりの時で、ね♡」
「はいはい後で後で」
付き合い始めてからというもの、色々と配信内外でイチャイチャしたり2人きりで私の部屋に居る時とかにキスしたりえっちしたりと甘々いちゃらぶな日々を送って来た訳だけど。
まあ何というか、零もある程度慣れて来たというか、余裕が出てきたというか、人前で分かりやすくいちゃつく事に対しての理性が前と同じくらいには帰って来ちゃったというか。
要するに、まぁ外では付き合う前に近い空気感での絡みが増えたって感じになってたりする。
私的には別に見せつけてもいいんだけど、こんな感じにじゃれるのも楽しいしいっか、って感じで。出る時はポロッと出たりもするのもそれはそれで可愛いし。
「ちなみにこれが私の部屋で2人きりとかだったら抱きついたままクーちゃんの上の水着解いて脱がせてたよ」
「やめなさい」
「いたぁ!」
「こんな軽いデコピンで痛い訳ないでしょう」
むー、と軽くむくれて見せながら、出オチ用に着ていたスク水とは別にあらかじめ用意していた水着に着替える。小さめのフリルでアクセントの付いた白のビキニに、パレオを着けた真っ当に・・・・・・というとなんだかなって感じだけど、好みな水着。
腕を組むようにしておっぱいを軽く下から持ち上げるようにしながら、ハロカメラに向かって軽く前屈みになる。
「こーゆーの、好きでしょ?オ・タ・ク・くん♡
見て見て、ほらおっぱいのここに黒子あるんだよ?えっちくない?」
コメント
:は?好き
:当たり前だよなぁ!
:エッッッッッッッッッッッッッ
:デッッッッッッッッッッッッ
:黒子とかいう、特になんて事ないものの筈なのに場所によって妙にエロく見える謎の存在なんなんだろうな・・・・・・
:わかる(わからない)
:わからない(わかる)
:わからない事がわかる
:無知の知
:むちむち
うんうん、分かる分かる。私も好きだもん美少女がこんな水着着てこんなポーズしてるの見るの。
やっぱりオタクに刺さるものはオタクが一番良く分かってるんだよねー、と思いながらクーちゃんの様子を見てみると、
「?どしたのクーちゃん、顔赤いけど・・・・・・ははーん?」
「な、何かしら?ただ暑くて赤くなってるだけ」
「見惚れちゃった?」
「────っ!!そ、そんなんじゃないから!そうよ、これ!上着!着なさい!」
「わぷ」
軽く前屈みになって上目遣いでクーちゃんを見上げながら揶揄った途端に、ばさ、と慌てた様子で薄手のパーカーを投げつけられたのを顔と体で直接受け止めた私は、しょーがない、と取り敢えず羽織ることにする。ジッパーまでは閉めないけど。何の為に着たのか分かんなくなるし。
「クーちゃん・・・・・・羽織りはしたけどさ、流石にパレオとこのパーカーは合わなくない?」
「い、いいのよ別に合わなくて!えぇと、その、はしたないでしょう!?」
「えー?これ水着だよ?なんならパレオ着けてない分クーちゃんの方が露出多い──」
「私はいいから!ほら前も閉めなさい!」
しょーがないなー、と呟きながら、とりあえずパレオを外して前のジッパーを少しだけ閉めると、ふぅ、という安心したようなクーちゃんの溜め息が聞こえた。
「・・・・・・そんなにみんなに見られるのヤだった?私のカ・ラ・ダ♡」
びくぅっ、と図星と言わんばかりの反応のクーちゃんを見て可愛いなぁ、と思いながらハロカメラが映像も音声も拾えないように近付いて、おっぱいの下までしか閉めていなかったパーカーを少し広げて見せる。
「・・・・・・安心していーよ♡ダイバーの姿だし・・・・・・私の全部を見たことあるのも、昨日付けられた零のものって印がどこにあるのかがわかるのも、零だけなんだから♡」
「っ、な、ちょ、こんな所でそんなこと」
「さー水に入ろー!ハロカメラもカモン!ほらほらクーちゃん、行くよー!」
コメント
:見えてないし聞こえてないけどチェリーがどんな事してたかが何となく分かるこの顔である
:どう見ても迫られて赤くなってる初心な女の顔
:エッチな事したんですね?(画像略
ざぶざぶと大体胸の下位まで浸かる(私の感覚で)かな、という位まで進んだ所で、こう言う時にしか中々出番のないアイテムの浮き輪を体を通した状態で呼び出し、足が付く間は適当に足元の砂を蹴って、進んだ後は浮き輪に身を任せる。
「やっぱさー?浮き輪は絵的にも実際の使用感も良いんだよねぇ・・・・・・何より楽だし」
「そうね・・・・・・安心するわよね・・・・・・浮き輪」
泳げないの、と聞こうとして、リアルでの零の脚の事を思い出してそりゃそうだ、と押しとどめる。・・・・・・いやまぁ、元々運動得意そうな感じの印象はあんまり無いけど。
んー・・・・・・でも話題に使わないには惜しいしなぁ・・・・・・あ、でも確か昔は義足では無かったんだっけ。
「クーちゃんさ」
「何かしら」
「小学校とかの頃、泳ぐの苦手だったでしょ」
「・・・・・・そんなことないわよ?」
「えー?だってさっきの安心するって言い方、めちゃくちゃしみじみした感じだったじゃーん?
ほれほれ、おねーさんに言ってみなさいって」
「歳下は貴女でしょう・・・・・・というか、貴女はどうなのかしら」
「私は別に、苦手ってまではいかなかったけど?ほら、自前のよく浮くものがあ・る・か・ら♡」
「・・・・・・聞くんじゃなかった」
コメント
:チェリーの方が年下、と。保存した
:小学校の頃から大きかったと?
:人間泳げないだけならそうそう問題は起こらないし平気平気
:大人になると特に、プールとかも大して行かなくなるしなぁ
「ま、流石に子供の頃のおっぱいはこんな大きくなかったけどねー、身長も今よりはちっちゃかったし」
「それはそうで──」
「小学校の高学年の頃にはお母さんの身長も抜きはしたけど、それで止まった辺りやっぱ血筋なんだなーって。お母さん私より小さいし見た目が若いから、並ぶと私がお姉ちゃんに見られる事あるんだよねー」
「・・・・・・これで、抜いた身長・・・・・・?
え、えぇと・・・・・・チェリーのお父さんは?」
「やだなーもうお義父さんなんて気が早いんだから、あ・な・た♡」
「あぁもう、違・・・・・・わないけど、将来的には!そうじゃなくて!」
「ちなみにお父さんの身長は199cmね、悩みは2mまで1cm足りない事」
コメント
:ちいさ・・・・・・若・・・・・・幼・・・・・・?
:デッッッッッッッッッッ(身長
:犯罪臭しかしない身長差なんですがそれは
:チェリー・ラヴは母親と父親、2人の特徴を併せ持つ♡
:それは(両親なんだから)そう
:身長を母親から受け継いでるのに父親から受け継いだ大きい要素が胸のサイズとかそんな事ある??
:なっとるやろがい!!
「お父さん凄いよー、見た目。背が高くてムッキムキで普段外出る時グラサンかけてるから、慣れてないと圧がやばいし。2m位の身長の日本人のバッキバキに仕上がってる某未来から来たサイボーグみたいな雰囲気」
コメント
:圧よ
:ツェネちゃんかぁ・・・・・・
:チェリーパッパがサムズアップしながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙せずにいられませんでしたね・・・・・・
:SEQUEL始まった?
「ちなみにお母さんは130cm台だよ」
「・・・・・・あの、本当に法には触れてないのよね?」
「やだなー、法に反する事なんて見た目の他には無いって。ただ、未だに新婚ばりにイチャイチャしてるから偶に職質されるだけで」
「まぁ、でしょうね・・・・・・」
「ま、何はともあれ今は私の家庭事情よりも海だよ海!お母さんの事深掘りするよりも、目の前に超絶美少女の彼女が水着で居るんですけど!
それともまさか、もっと年下に見えて実年齢が年上の、未だにランドセルが似合うような合法ロリの方がいいってこと・・・・・・?クーちゃん、そんなレベルが高い好みだったの・・・・・・?私、お母さんに恋人取られちゃう・・・・・・?」
「そんな訳ないでしょう!?」
コメント
:20年以上新婚ばりのイチャイチャかぁ・・・・・・
:身長199と130台で外でもイチャイチャしてたらそりゃあなぁ
:見えない角度で舌ぺろしてるのほんまこの女は・・・・・・
:美「少女」・・・・・・?
:受刑者ニキさぁ・・・・・・
「受刑者ニキ後でAVALONのフォースネスト裏ね。期待していーよ?ビスクちゃんも呼んでおくから」
コメント
:処 刑 宣 告
:許してください何でもしますから
:もう見た
:懲りん奴だな本当に
:あの女が来るとか聞いてねえよぉ!!
:殺意ヤバそう(こなみ
「ねーぇークーちゃーん!受刑者ニキに虐められたぁー!」
「はいはい、いい子いい子」
まぁ、受刑者ニキが相手だからもう特にどうという事もないけど。クーちゃんもそれが分かってるから少し雑めだし。でもまぁ、これはこれで・・・・・・
「ん〜・・・・・・♡」
「と言うか、受刑者って何なのかしら?」
「んー?えーっと、私がクーちゃんと初めてヴァルガで戦った時の、キョーちゃんとタイマンしてたアストレアとオーライザーのミキシング機覚えてる?」
「機体は流石に・・・・・・でも、そうね。キョウヤが何か楽しげにしてたような記憶はあるわね」
「多分それかな?あの時も余計な事言ったからヴァルガに連れ出したんだよねー。で、丁度配信を見に来てたキョーちゃんも来るって言ってたから声かけてぶつけてみたんだよね、と・・・・・・あったあった。配信にも乗せよっか、ハロカメラおいでー」
ぽよん、とおっぱいの上に乗せて、画面を見える様に、と
「おっと、向き間違えた」
コメント
:ちっっっっっっっか
:肌色で何も見えない
:突然画面いっぱいに大迫力のIの字が
:これだけで3食白飯食える
置くと見せかけて、わざと間違えたと言いながらおっぱいに正面から埋め・・・・・・
「チ ェ リ ー ?」
「はーい」
ているのがコメントでクーちゃんにバレて、仕方ないから元に戻しながら騒がなければバレなかったのに、と小さくカメラに向けて呟くと、それも聞こえていたらしいクーちゃんのいい笑顔が目に入る。
わーかったってば、全くもう、なんてやり取りをしてハロカメラの向きを動画の画面に向けながら、クーちゃんの横に移動して再生。
「へぇ・・・・・・成程、確かにいい動きね」
「でしょ?」
コメント
:何度見ても頑張ってんなーって
:でしょ、じゃ無いが
:獄炎とも絡んでるんだっけか
:絡まれてるの間違いなんだが??
:受刑者ニキも遠い存在になっちまって・・・・・・星空に顔が浮かんで見えるわ・・・・・・
:死んでないが???
:トップ層のプレイヤーに褒められてる自覚あるか??
:分かっちゃ居るがこんな何段も階段を飛ばしたような相手に注目されるのは求めてない
:自業自得
:受刑者ニキの頑張り過ぎだ!
:そうだよ(便乗
:ちくしょう何も言えねえ!!
:お?
:画面めっちゃ揺れる
:オロロロロロロロロロロ
「受刑者ニキの反応も面白いけどさー?今はカメラ、私のおっぱいの上って事忘れてなーい?ほ〜れほ〜れ♡ぽよんぽよ〜ん♡」
「やめなさ・・・・・・っ!あ!?」
「あ」
ハロカメラを取り上げようとしたような動きのクーちゃんの手が当たって、私のおっぱいの上から弾いちゃったカメラが転がり落ちてゆらゆらと角度を変えながら水に浮かぶのを見て、慌てた様子のクーちゃん。
「・・・・・・そんなに、ヤだった?」
「そ、そういう、訳ではないけれど・・・・・・」
浮き輪を消してクーちゃんの背に手を回すように抱き締めながら、ラバーズのみんなには悪いけどカメラは後回しにして、マイクに声が拾われないように小声で囁く。
「私の配信、というか私の事はまぁ知っての通りだし、変える気も今の所無いから、これからもちょいちょいやきもち妬かせちゃうとは思うけどさ」
「・・・・・・」
「私が実際にこーゆー事するのは、零だけなんだから・・・・・・」
私のリアルとほぼ同じなダイバーとしての姿と、零の『クオン』としてのダイバーの姿。私は足を伸ばせばどうにか、って深さでもクーちゃんはもうちょっとは余裕がある分、私が浮いてるとしても身長差はあまり埋まらない。
でも、今はそれでいい。それが、その高さが、丁度いいから。
「・・・・・・っ、!?」
軽く触れる程度の、私の体に残ってる跡と同じ場所へのキス。
跡は残らないし残せないけど、伝えるにはそれだけで十分。
「・・・・・・ね?だから安心して?」
コメント
:水面でバシャバシャゆらゆらしてるカメラ、何も見えないし水音で何も聞こえないけどそれはそれとして嫌いじゃない
:チラッと見えた感じでは抱き合ってますねぇ!!
:えんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
:ククク・・・・・・キスには、場所によって意味があると言われている・・・・・・首筋や胸元は執着心や独占欲、所有欲を示すと言われているぞ・・・・・・!
:解説ニキの解説助かる
:こんな所にも現れるのか解説ニキ
:えっっっっっっっど
:江戸城(以下略)
:略さないで
:クオチェリ、矢印の大きさ思ってたより大きくない??
:お、カメラ拾われた
背中をとんとん、と軽く撫でてあげた後にカメラを拾い直しながらコメントを見るとまた盛り上がってるのが目に入って、見せたくない訳じゃないけどアレでも見えるもんなんだなぁ、と思いながら乗っかる。
「そだね、みんなが思ってるより愛されてると思うよ?ね、クーちゃん♡」
「・・・・・・・・・・・・ノーコメントで」
「私的には、アウトにならない範囲でならいつもみたいに可愛いクーちゃんをみんなに見せてあげたいくらいなんだけどなー」
「何のことかしら」
「ダメだってさ。残念でした、みんな♡昨日の夜とか凄かったんだよ?」
「やめて。やめなさい、本当お願いだから」
「しょーがないなー♪」
コメント
:本気過ぎてガチ感が凄い
:なるほどなぁ・・・・・・
:薄い本が厚くなりますねぇ・・・・・・!
「さて、そろそろ他にも海っぽい事しよっか!スイカ入刀とかする?」
「何か混ざってないかしらそれ」
「後はビーチバレーとかジュース飲みながら日光浴とかオイル塗りあいっことか!んー、楽しみになって来た!」
「オイルはしないわよ?ねぇ、ちょっと聞いてるかしら、チェリー?」
「れっつごー!」
「ちょっと!!」
ひっそり解説ニキゲスト出演ですわよはい拍手ー!
寒くならないと水着回を投稿できない芸人になってしまってるの何とかなってください
グエル・ジェターク、声も相まってボオス・ブルネンを思い出してヤバいデスネー
お前もライザのアトリエをやらないか(猗窩座コラ
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チェリー・ラヴ25: 紅蓮の雷鳴。
機動戦士ガンダムサンダーボルト、という作品がある。
大胆なアレンジやデザインの機体が登場し、雰囲気も含めて色々な意味で独特な事もあって、多少好みこそ分かれるだろうとは思うけれど、アニメ化やキット化するくらいには好評な作品のサンダーボルトは、勿論と言うか、GBNでもモチーフにしたエリアが存在していた。
その名も、『フリーバトルエリア:サンダーボルト宙域』。
サンダーボルトの最初の舞台として描かれた、コロニーのデブリという障害物の多い宙域であり──何を隠そう、宇宙のヴァルガとすら呼ばれる魔窟だったりもする。
見通しの悪いデブリ、時折発生する雷で行動が制限される上、サンダーボルトのジオン側の主人公、ダリル・ローレンツのように超長距離から狙撃をする変態スナイパーのダイバーも居る始末。噂では、雷でビームが曲がる事まで計算して狙撃するようなのまで居るとか居ないとか。
そんなサンダーボルト宙域にも、ヴァルガに出没する某名物上位ダイバーのような、このエリアと言ったら、と言われるダイバーが存在している。
《あ、あー、テステース》
そのダイバーを一目見てみようとフルドレスでこのサンダーボルト宙域にやって来ていた私は、そんなオープンチャンネルでの声が聞こえた瞬間に音量を一気に絞る。そして、
《Check it out!ルール無用で誰彼構わずぶっ飛ばしたくてたまらないMF共!!サンダーボルト放送局GBN支部の放送の時間よ!!
今日の放送もいつも通りこのあたし、DJ・CLがお届けするわ!!》
「うるっっっっさ!?音量これだけ絞っても普通に聞こえてくるって何!?」
思わず顔を顰めながらボリュームを更に下げていると、アナトの横をデブリまみれのエリアとは思えない速度で一瞬で駆け抜けていくサイコ・ザクベースの機影がチラリと視界に入り、遠ざかって行くごとに音声が小さくなっていくのを確認して少しだけ音量を戻す。
このクソデカオープンチャンネル音声の発生源でもあるその機体こそが、このサンダーボルト宙域の名物ダイバーの愛機。
自分が好きな曲とリクエストがあった曲を爆音で流し、マップの全てを理解しているとしか思えないギリギリを攻めた高速の変態機動でスナイパーに接近しては一撃で仕留めてそのまま離脱、或いはカウンタースナイプで消し飛ばす。そんな実力者の割に他のエリアで確認されない為、此処でしか実力を発揮出来ない変態なのではないかとすら噂される、通称「ライバルと乗る機体を間違えたイオ・フレミング」、「爆音テロリスト」、「1人赤ザク全部載せ女」、「雷よりも災害」────
『紅蓮の雷鳴』DJ・CL-ディージェイ・コル-。
ちなみに、キマってる二つ名に見えて、意味としては「サンダーボルト宙域の赤くて速くて五月蝿い奴」というだけとかなんとか。
《先ずはやっぱりこの曲──
サンダーボルトのメイン・テーマからいきましょう!!
No war no life!聞き惚れてぼんやりしてると、あたしのポイントになるわよ!!》
「さぁーて、お手並み拝見といこっかな?」
やや後方から追いかける形で飛んでいると、宣言通り流れ始めるサンダーボルトのメインテーマ。ドラムが鳴り始め、ベースとピアノが重なって行き、サックスとトランペットが鳴り響き始めた瞬間、突然回避行動のような動きを見せた。それに合わせて私も動かしてみると、
「うっそぉ・・・・・・反応なんて、どこにも・・・・・・」
さっきまでいた位置を、このエリアに因んだと思われる武装、ビッグガンと思われる狙撃が駆け抜けていった。
彼女の機体、情報によれば『サイコ・ザクウォーリアCL(コメットライトニング)』と言う名前の機体に視線を戻すと、急制動しながらバックパックにマウントしているガナーザクウォーリアの武装、オルトロスの改造品を手に取って構え、一瞬の機体が安定した瞬間に発射。その狙撃と言うには余りにも雑な射撃は、撃たれた射線をなぞるように突き進んで行き、そして
《Bull's Eye!!》
着弾したと思われる遠い位置に小さな爆発を確認した彼女はオルトロスをマウントし直して、サブアームを利用しバズーカに持ち替えて再度急発進。
《そこの見かけないバエルの改造機のリスナー!!
着いて来たいなら遅れないようにしないと、そのまま置いてくわよ!!》
「おっと、流石にバレてた。
でも・・・・・・そう言う事、言っちゃう?アナトに向かって?私とフルドレスのアナトの速さを舐めないで欲しいなぁー?
着いてくどころか、スコアまで追い抜いてあげようか?」
《んん〜〜っ!!ノリの良いリスナーね!!
他のリスナー!!あたしたちのポイントになりたくなければ逃げるか隠れるか、それとも逆に戦いを挑むか、好きな方を選びなさい!!
────音楽が聴こえたら、あたしが来た合図よ!!》
「どこにいても聴こえんだよ!!」と言うガラの悪そうな、でもノリの良いヴァルガ民ベースイメージのダイバー達の合唱が脳内で響いたたものの、それは無視。
「阿頼耶識発動、リミッター解除!フルドレスユニット、ヴォワチュール・リュミエール展開っ!
飛ばすよ、アナト!!」
《Let's party!!》
機動力に関わるものをフル稼働、スラスターも全開にして、少し前を飛んでいく紅蓮のザクを追いかける。けれど、速度は兎も角歴然なのはこのエリアへの理解度の差。
「追い、つけない・・・・・・っ!」
移動速度をほぼ落とさないままに最低限の動きでデブリを回避、移動しながら他の機体を撃破するサイコ・ザクウォーリアCLに対して、少しでも気を抜くとぶつかる気しかしなくて、着いていくだけでやっとの私。正直、5分もする前には抜かせる気がしなくなって来ていた。
《な、ァ!?》
「ラッキー、目の前っ!!」
《クソがぁ!そこの爆音イオ女といい、クソみたいな変態機動で飛びやがって!動くと当たらないだろ!!》
「汚い!それにソロの芋砂が文句言ってんじゃなーい!!」
偶然見つけた、迷彩色でデブリに紛れている135mm対艦ライフルを構えたゲム・カモフの狙撃用に改造した機体をすれ違い様に撃ち抜いてスコア1────
「なっ、わっ、ちょ、あぶな!?」
になった瞬間、目の前にデブリが迫ってることに気付いて慌てて緊急回避。
《甘い甘い!!そんなんじゃあたしに追い付くなんて300年早いわよ、バエルのリスナー!!》
「なんの、まだまだぁ!」
とは言ったものの、今の回避運動のせいで距離は余計に離されてしまっているのが現実。
これは撃墜数を気にしてたら離される一方だなぁ、と思考を切り替え、追う事だけに集中する事にして、軽めに深呼吸。
「────よし」
アクセルはもうベタ踏み、速度だけ見れば十分。理解度の差は、回避行動を出来るだけギリギリに攻めることで埋めるしかない。
一瞬擦る程度なら無視、デブリに引っかかるとタイムロスになるからそれだけは気を付けて、バエルソードとビームライフルはデッドウェイトになるから投げ捨てるようにして放棄。
《ワォ、初めてにしてはクレイジーなコース取りじゃない!!でも、いいのかしら!!?スコアを稼げないとあたしには勝てないわよ!!》
「いーの!!」
このエリアにおいては少なくとも、勝つ勝てないの土俵には立ててないのは分かった。でも、それならせめて食らいつき続けるくらいはしたい。
昔の、ブロッサムの頃のインプット中以来なんじゃないかってくらいに目の前を先行する赤いザクに集中しながら、攻撃以外の挙動に近い動きに少しずつ真似をしていく。
追い付けないけど、追い付いてないからこそ出来る一種の見取り稽古。
コスプレの為の画面を見つめてのインプットとは違ってほぼリアルタイムで、しかも形の違う機体で挙動を寄せるのはもうめちゃくちゃに頭が疲れるけど、そこはもう気合いと意地で続ける。
《へぇ、よくついて来るじゃない!!》
なんて言葉にこっちは軽口を返す余裕も無いのに、目の前の機体は碌に見もせずにサブアームだけで狙いを付けてシュツルム・ファウストを発射、芋砂をまた一機撃墜。
控えめに言って意味が分からないレベルだし普段なら拍手ものだけど、今はそっちに思考を割くだけノイズになるから構ってられない。
そして、少しずつ距離が詰まり、擦る回数も減って行く頃には、アナトは擦り傷塗れなのにサイコザク・ウォーリアCLは無傷で撃墜スコアが二桁に乗る、なんて差が付いた頃。
《気を付けなさい、バエルのリスナー!!》
ノイズになるから、とBGMくらいに聞き流していた声が言った内容が理解出来なかったタイミングで、今までに無かった急角度での方向転換をされて視界から居なくなった。
「──っ、な!?」
集中していた意識が引き戻されて周りを見回すと、そこは妙に開けた位置。
「まず・・・・・・っ!」
それに気付いてグッとザクが消えた方向に急いで向けようとした瞬間、四方八方から飛んで来るビームと実弾の狙撃に晒されて────
「ちょ、まっ!?」
その狙撃の嵐に、意識を引かれたのがとどめだった。
「・・・・・・あ」
目の前に壁が現れたのに気づいた時にはもう手遅れで、勢いのままに激突。
ガツン、と強い衝撃で強制的に動きが止まったアナトを、このディメンションで芋砂をし続けている歴戦のスナイパーが見落とす訳もなくて。
《──Good game!》
「──で、狙撃の嵐にそのまま呑まれて、どかーん!てねー・・・・・・
いやー、ほんと凄かった。コルちゃんもマップもスナイパー達も」
コメント
:あそこの連中、ヴァルガに似てるようでヤバさの方向性が違うからなぁ・・・・・・
:知ってるか?サンダーボルト宙域のヤバい連中は三つに分けられる。各地に散らばる変態精度芋砂、デブリの間を飛び回る変態高速機動機体、高速機動変態精度狙撃騒音女、この3つだ
:1人だけ別カテゴリに分けられてるの草
:行ってみれば分かる、マジでアイツだけ群を抜いてヤバいしヤバすぎて名物ダイバーになるレベルの奴だから
:ヤバい・・・・・・名物ダイバー・・・・・・ウッ
「あれはあれで結構楽しかったけどねー
みんなも行ってみない?芋砂掘りとか」
コメント
:悠長に探してる間にコックピットぶち抜かれるんよ
:宇宙だし上下がないから余計になぁ
:控えめに言って一年戦争のモブジム乗りの気持ちを味わえるゾ
:狙撃される、じゃなくてコックピットぶち抜かれるって言うのがもう段階をいくつか飛ばしてるんだよなぁ・・・・・・
:ン狙撃ッ
:狙撃・・・・・・ウッ
:さっきからトラウマ抱えてる奴おるな??
「だーいじょうぶだって、多分案外何とかなるから」
割と適当に言ったけど、何とかなるかぁ!!ってコメントが大量に流れてるのを見てそりゃそうだ、と思い直す。
でも、案外最高速でただただ機体を振り回すのも久し振りで結構楽しかったのも事実な訳で。
「まぁでも、デブリ帯でのマニューバの練習には良いんじゃない?大分荒療治だけど。
偶にはああいうのも楽しーよ?」
なんて言って、あのディメンションでの話題は締める事にした。
ちなみに後日、コルちゃんのキルスコアが以前に比べて増えたとかなんとか。
DJ・CL
ダリル、ジョニー、シャア、ルナマリアの頭文字が名前の由来。
キャラクリエイトで義肢を装着しないといけない事や、恩恵がMFと近しい事、ハイパー化が出来ない事からイマイチ人気が無いPRD使いである事、スピード狂の気がある事、オープンチャンネルでクソデカ音量で音楽を流しながら宇宙をカッ飛ばして行く事から良くも悪くも有名となり、誰が呼んだか『紅蓮の雷鳴』と呼ばれている。速くてうるさい。本人は気に入っている。
赤いザクとその活躍が好き、というのが高じて、HGサイコ・ザクをベースにka版を参考にして大型ブースターの増設等の改造、その上で更に機動性、火力を求めて作り上げた機体。
突貫から超高火力を瞬間的に叩き込み離脱する、という戦術を得意とする。
基本はサイコ・ザクとザクウォーリアのミキシングで、スパイク部分を黄色に染めたザクウォーリアのシールドを両肩に装着して防御性能を高め、ビーム・バズーカも装備している。
ドッズ効果を発揮できるよう改造を施したオルトロスをバックパックにマウントしている。
また、このバックパックはCLウィザードと名付けており、ウィザードシステムのコネクタを採用しているので、他のウィザードを用意すれば付け替えが可能。
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チェリー・ラヴ26:チェリキャンδ。
ふんふん、と鼻歌を歌いながら、アナハイムとティターンズを足して割ったような校章と治安の学校、アスティカシア高等専門学園──正確にはその再現ディメンションの舗装された道を歩いていく。
格好も郷に入っては郷に従えの気持ちで制服に着替えてみたけど、宇宙に近い環境だとスカートよりもこういうパンツスタイルの方がパンチラとか無くていいのかもなぁ、なんて実感として感じられる辺り、アニメ作品の中の、無重力空間の体感を一般人でも出来るGBNは改めてとんでもない・・・・・・とんでもないけど、
「パンチラ出来ないのはそれはそれで寂しいんだよねー・・・・・・」
あのハーフパンツなスタイルからしか得られないえっちさはあるけど。ミオリネのスラッとした脚のタイツとか、セセリアのハーフパンツで絶対領域なむちむち太ももとか、レネのアシンメトリーな感じとか。
それはそれとして完全にスカートがないっていうのはやっぱり物足りなく感じるのも事実だけど、今更変にスカートで合わせようとしても違和感になりそうだし、制服でこういうのも新鮮でいざ着てみるとこれはこれで悪くない。
コメント
:いやまぁ分かるけども
:学校の敷地内のエリアでパンチラ出来ないのが寂しいって言い出すの、余りにもブレない
:でも見慣れるとこれはこれで気にならんのよな
:てかホルダー用の色じゃないのか
「まぁねー、結構好きなんだよね普通の色」
後はまぁ、結構チラチラホルダー用の色のコスチュームを着てる人が居るから、みたいなオタク特有の逆張り的な気持ちも全く無い訳でも無いけど。
専用ディランザに乗ったグエルにタイマンで勝つっていう結構シンプルなミッションの報酬で配布されてるから、結構みんな着てるんだよねーあれ。
コメント
:グエル・ジェターク、1話のアレから味わいがころころ変わっていくおもしれー男
:ヤンデレの弟がいるスレッタの花嫁候補
:スレッタよりも主人公してる男
:やめなさい!(パァン
:やめなさい フレッシュトマト 尻叩き
:最悪過ぎるハイク
:やめなさい!(デュエルディスク装着
:デュエル開始の宣言をしろ、シャディク!
:決心解ィィィ放!!
「グエルのホルダー色もアレはアレでもう少し着てて欲しかった気がしなくもないけどねー・・・・・・っと、着いた着いた」
コメント盛り上がってるなー、なんて眺めながら歩いてるうち、緑の多いエリアに到着。
目的地だったアス高のエリアの一つ、グエルが寮を出てからソロキャンプをしていた区域で、ダイバー達にもキャンプ地として人気の通称グエキャンエリア。
「って訳で、チェリキャンやってくよー」
テントを含めたキャンプセットをカジュアルにキャンプしたい人向けの簡易展開で使用すると、ゲームでよくある感じにぽん、と現れるテントやらイスやらと焚き火。
テントを使う予定自体はないけど、やっぱりあった方が絵としては良いし。
リアルなやり方も出来て楽しいしそれはそれで好きだけど、一応配信だし今回はお手軽に。
「やっぱさー、キャンプって言ったらコレやりたいよなーって」
おっきめのマシュマロと串を出して、刺したら焚き火の横の地面に立てて軽く火に当たるようにする。
焼きマシュマロ、シンプルな割に案外やる機会無いから丁度いいんだよねー、なんて思いながら、椅子に座ってスキットルを取り出す。
「っくぅ・・・・・・!はー、おいし・・・・・・
やっぱ外でこうやって飲むお酒は普段とまた違っていいよねー」
コメント
:流れるように酒を飲む女
:肉じゃなくてマシュマロを焼きながら酒を飲むのか・・・・・・
:ちなみに中身は
「ウィスキーだよ、ストレートの。お肉はこの後かなー・・・・・・っと、そろそろかな」
コメントの次にマシュマロの様子を見て、そろそろっぽそうなのを確認したら、クラッカーと板チョコを取り出す。
クラッカーに適当に割ったチョコを乗せて、焼きマシュマロをその上に。更に挟むようにしてもう一枚クラッカーを乗せてから、マシュマロを抑えるようにして串を引っこ抜いて、
「はい、スモアかんせー!」
焼かれて柔らかくなったマシュマロと、その熱で溶けてきて柔らかくなったチョコがクラッカーに挟まったお菓子。食べなくても味が想像しやすくて、それでいて不味いわけがないコンビネーションな訳で。
「甘くておいし。こんなの嫌いな人居ないでしょ」
コメント
:不味い理由がないでしょこんなん
:コーヒーとか紅茶が欲しくなりそう
:ここらで一杯牛乳が怖い
「紅茶かー、淹れよっかなブランデーもあるし」
折りたたみの小さなテーブルに置いたマグカップにティーパックを放り込んで、お湯を入れたら予めブランデーのボトルも出しておく。
コメント
:本当、余りにも当然のようにブランデーが出てくるな
:ブランデーがあるから紅茶を淹れるのか・・・・・・
:しってた
:いつもの
:実家のような安心感
:親の顔より見た飲酒
:もっと親の顔の飲酒見て
:ちなみに割合は
「取り敢えず1:1くらいかなー」
適当に色と香りが付いたのを見計らって引っこ抜いたら、代わりにブランデーをどばーっと目分量で流し込んでマドラーで軽く混ぜて、
「ん、こんなもんかな」
コメント
:1 対 1
:こう・・・・・・ちゃ・・・・・・?
:どっかの提督もこれにはにっこり
:もはや紅茶じゃなくてブランデーの紅茶割りなんだよなぁ
「こんなん紅茶って言って出したら、クーちゃんはおこになっちゃうかもだけどねー」
紅茶好きだからなぁ、なんて、大事な世界一可愛い恋人が「・・・・・・恋愛?」って静かにいい笑顔になってる様子を想像しながら、マグカップを口に運ぶ。
「ん、おいし」
コメント
:クーちゃん様紅茶好きだからなぁ
:そこまで好きじゃなくても引くんだよなコレは
:まぁこれでこそ、ではあるけどもな
:お湯で割ったりした酒はどうにも鼻に刺激が来て苦手だわ
:などと学校の敷地内で制服を着た合法ロリが申しており
「あー、まぁあったかいのは慣れがいるかもねぇ・・・・・・あと飲んでるのは紅茶だからせーふせーふ」
さてと、と残りのスモアを紅茶で流し込んで、今度はあらかじめ用意していた串に刺さってはいるまだ焼いてない状態の焼き鳥を呼び出す。
「それじゃあ次は、焼き鳥とハイボールでホルダーになっていく事にするわね」
コメント
:飯テロ始まった
:混ざってるんよ色々と
:またウィスキーが出て来た
さっきのスモアと同じような感じに火に当たるように刺して、新しく氷がゴロゴロと入ったジョッキを呼び出したらその中にウィスキーと炭酸水を適当な量流し込んで軽く混ぜてから一口。
割ってる分さっきよりは度数も薄くはなるけど、ウィスキーの香りと炭酸が弾ける感覚。
「たまんな・・・・・・こういうテントといい氷といい、雑に手間を省けるのも便利で助かるよねー、ほんと」
リアル志向にしてキャンプやら料理やらを楽しむのも勿論楽しくはあるけど、便利なショートカットを利用して楽に楽しむ、って選択肢は現実じゃない環境ならでは。
焼き鳥も多分この方法だと普通よりも焼けるのに時間がかかるんだろうけど、それなりのペースで火が通ってくのが分かるあたり、ゲーム特有の手軽さで大変良き。
適当に焼き色がついて来たら向きを変えつつ、ついでにサングラスも掛けて、指で摘んだ塩胡椒をパラパラとふりかけて味付けしたらハイボールをもう一口。
コメント
:塩振りおじさんも混ざり始めたぞ
:飯テロすな
:こんな事もあろうかと冷凍焼き鳥と冷凍たこ焼きをレンチンする用意がある
:飯テロには飯テロぶつけんだよ!!
:こちらも呑まねば無作法というもの
:偶然買って来てたコンビニおでんが火を吹く
「たこ焼きもいいなぁ・・・・・・私も後でコンビニ行こかなー」
コンビニで買える冷凍たこ焼きも案外侮れないし、パックに入ったフニャッとした柔らかいたこ焼きもあれはあれで美味しいからそっちも捨てがたい。
その後のことを考えると零は青のりとか気にしちゃうかもだし、食べるとしたらかけない方がいいのかもなぁ、なんて考えてるうちに、串を回して火に当てた面がいい焼き色になってくる。
「そろそろ良さそうかな、と・・・・・・うん、いー感じ」
食べ頃に火が通った焼き鳥の串を摘んで引き抜き、先っぽから一つ二つと食べて、
「ん〜〜っ、おいし。ハイボールも、っと・・・・・・」
口の中で広がった焼き鳥の香ばしい香りと塩胡椒の塩味を、よく冷えたハイボールで流し込む。
「っくぅ〜〜〜〜!!
はー・・・・・・この為に生きてるんだよなーって」
コメント
:小学生レベルの背のロリ巨乳が制服を着ながら、キャンプセットの前で飯テロしつつ酒を飲むこの絵面よ
:い つ も の
:味と匂いの幻覚を感じ始めた
:実際に食べれば現実だぞ
「食べる?ほらほら、あ〜ん♡」
コメント
:寄せるなァ!
:テロだよそれは!
:あーんされる焼き鳥うんま
:冷凍焼き鳥が美味そうで何より
「おいし?」
コメント
:めっちゃ美味い
:冷凍でも常備しておけば・・・・・・!
:焼き鳥が無い俺氏怒りのストレングスゼロ開栓
:カシュッ(迫真
:へぇ・・・・・・?
:あっ
:降臨なされたぞ
:クーちゃん様の御前である!控えおろう!
「あ、クーちゃんいらっしゃーい!焼き鳥食べる?冷凍庫に入ってる筈だから後であっためよっか?」
コメントがざわつき始めたのを見て軽く見ていって見つけた、クーちゃん・・・・・・零の少し不機嫌そうな短いコメントに取り敢えずいつもの感じでそう返すと、ぐい、と焼き鳥を持っていた手を誰かに掴まれる感覚。
「っ、な、だ・・・・・・ぇ?」
「大丈夫よ、今貰うから」
その声がした方を向くと、そこに居たのは私の手ごと持ち上げて、食べかけの焼き鳥を一つ食べて「結構おいしいわね」と呟く、『ホルダーの制服を着た』クーちゃん。
「何、かしら」
「ふーん?」
「な、何よ・・・・・・」
「べっつにー?私の花婿さんはヤキモチ妬きで可愛いなーって思っただ・け♪」
コメント
:突然の登場!
:意外ッ!それはホルダー用の制服ッ!!
:この後も2人っきりの時間を過ごすご予定、と
:チェリーは私のものアピール・・・・・・ってコト!?
「・・・・・・・・・・・・何のことかしら。丁度手に入れたし、気分が乗ったから着てみただけなのだけれど?」
露骨に恥ずかしそうにしながらそう言って顔を背けるクーちゃんに、ちょっとした悪戯心も含めて、食べかけの串の残りを手を添えて差し出す。
「クーちゃん、あーん♡」
「ちょ、あのね、こんな人前で」
「今更今更♪それとも、焼き鳥より私の方が食べたい・・・・・・?
いーよ・・・・・・?みんなに私の事食べちゃうとこ見せつけ」
「いい!焼き鳥でいいから!ほら、あーん!」
「しょーがないなぁ・・・・・・はい、あーん」
ヤケクソ気味に、目を閉じてさっさとしなさいと言わんばかりに開けたクーちゃんの口に串を近付けようとして、ふとその柔らかそうな、なんてふわっとした言い方をするには感触をよく知ってる唇に目が留まって。
おいしそうだなー、なんて。
「あー、むっ♡」
「ん、んんっ!?」
『そういう』時なら舌まで入れながら触ったりしてたけど、流石に一応配信中だし、そこまでは我慢。あとはまぁ、ココ学校の敷地内だし、今着てるのは制服だし──
「・・・・・・制服で、っていうのもいいかも」
「いいかも、じゃない!こんな、人前で・・・・・・!」
「折角だし、改めて口移しで食べさせてあげよっか?」
「しないわよ配信中になんて!」
コメント
:エンダァァァァァァァァァ
:イヤァァァァァァァァ
:イヤーーッ‼︎
:シェァァァァッ
:ニンジャと回転切りした勇者居たぞ
:チェリクオはガチ、古事記にもそう書いてある
:「配信中になんて」メモした
「あーあ、バレちゃった♡」
「しない!わよ!!」
「えー?でもこの間とか」
「・・・・・・してない!!分かったわね!!」
コメント
:イエスマム
:アッハイ
:アッハイ
:アッガイ
:アッハイ
:しょうがないにゃあ
全くもう、これだからこの子とリスナーは、なんて呟きながら顔を真っ赤にしてるクーちゃんに、もう一つ新しい椅子と今度は新しい焼きたての焼き鳥を改めて差し出すと、チラッと私が持ってる方を見てから受け取って、腰を下ろしてから先っぽからはむ、と咥えて串から抜き取る。
「おいし?」
「・・・・・・おいしい」
「ならよかった。そいえばどしたの?急に来たけど」
「・・・・・・別に、なんて事無いわよ。ログアウトする前に見てたらここに居るって分かったから、帰りの時間の確認ついでに顔を出そうかと思っただけ」
「そっか。んー、晩ご飯もあるしそんなに長くはしないつもりではいるかなー
そうだ、なんか食べたいのとかある?何も無ければキャンプついでにカレーにしようかなーと思ってたんだけど」
「そう、ね。良いと思うわ。何か買って来た方がいいものとかあるかしら」
「そーだなぁ・・・・・・ルゥは買い置きがあったと思うし、具材はこの間買ったはずだから・・・・・・
あ、ハンバーグも作っちゃう?中にチーズとか入れたりして」
「良いわね、美味しそう。そうなると、ひとまず買って来るものはひき肉とチーズでいいかしら」
「そだね、お願い」
コメント
:カレーとチーズ入りハンバーグはワガママセットが過ぎる
:ママじゃん・・・・・・
:親子か夫婦かって感じ
:結婚してないだけなんだよなぁ
:これは夫婦の会話
:あまりにもスーパーとかでカゴ持ちながら並んで話してそうな内容
食べ切った串を処分して、じゃあ買って来るわね、と言いながら先にログアウトするクーちゃんを見送りながら、手に持ってたのの残りを一気に食べる。
「とゆーわけで、口移しが見れなくて残念でしたー♡」
コメント
:口移しじゃなかっただけの事はしてたんだよなぁ・・・・・・
:ほぼ同じ事してた件
:見たらヴァルガ裏に呼び出し案件な気がするんですが
:ヴァルガ裏 とは
:でも見たいか見たくないかで言ったら見たい
:それはそう
「ちゅーした後にもっかい口移しなんてしちゃったら、そのまま先までしちゃいそうだしねー。さっきも触りたくてうずうずしたくらいだし。
リアルで会うまで我慢我慢」
コメント
:これ、リアルでこれからするって宣言されてるな??
:キマシの塔でジャングルになったわね
:ジャングルどころか剣山になってるんだよなぁ
「何はともあれ、ある分のを食べちゃおっか。
クーちゃんが怒らない程度にのーんびり、ね♪」
結局この後部屋に来てもまだGBN終わってなくてムスッとされたりした
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桜野恋愛09:パチ組み配信。
ダイバーギアの性能は勝手に盛ってるけどこの位は出来るでしょ多分
「よーし、と。準備おっけー・・・・・・かな?」
G-tubeに上がってる動画でもちょくちょく見かける、ガンプラの制作系の動画や配信。
どうしても投稿してる人数が多いからキットの被りとかは多発しはするけど、大体雑談がてら、って事が多いそのジャンルを、そういえばやったこと無かったなー、と何となしに思い立って、ガンプラ制作に使っている机の環境を整えた私は、配信開始前に一応の最終確認を済ませてサイズの都合で普段着の一つにしてるすごくダボっとした黒地のシャツのまま椅子に座る。
「やっぱ、ダイバーギアが優秀すぎなんだよねー」
主にGBNのアクセスとかガンプラのスキャンに使う端末ではあるけど、実際の所、GBNが絡む事であれば1ユーザーとしてやりたいと思うような事なら大抵は出来るという中々の性能だったりするダイバーギア。
他のユーザーとの通話機能すらあるこの端末は、勿論というか、G-tubeでの配信にも利用出来たりする。
かがくの ちからって すげー!と思いながら、念の為一応リアルの顔が映らないように、多少動いても大丈夫な角度に調整。
・・・・・・まぁ、ダイバールックとほぼ同じだし、マギーちゃんの店で働いてるのも公言してるからあんまり意味無いっちゃ意味無いんだけど。
「配信開始、と。
あーあー、てすてす・・・・・・まいっか、なんかあったらコメントでよろしくー」
コメント
:うーん、雑
:おけ
:GBNのグラフィックもここまでの質感出してきたかぁたまげたなぁ(棒
:どこで売ってるんだそんなシャツ・・・・・・
:OPPAI(柄
:OPPAI(高速回転ゲーミングカカポ)
「ほーらリアルのふよふよぷにぷにな巨乳だよー?これ以上の画質欲しかったら苦情はダイバーギアに、高級カメラは私によろしく♡」
コメント
:おのれダイバーギア
:何だこの画面邪魔だな
:ところで何でまた突然パチ組み?
「え、何となく。そういえばやってなかったなー、って。
私は雑談しながらパチ組みして楽しい、みんなは私の体が見れて嬉しい、一石二鳥だし良くない?よいしょ、っと」
コメント
;まぁ毎回ヤスリとか塗装とかしてると疲れるしな
;パチ組み配信を見に来たのであってチェリーのデッッッッッッッッ
:パワーが違い過ぎる・・・・・・ッ!!
話しながら、その方が楽だから半分、ラバーズを煽る半分で机の上におっぱいを乗せると加速するコメント欄に、少し指で押してみたり軽く揺らして見せてサービスしてから、さてと、と画面外に置いていたガンプラの箱を手を伸ばして掴み、映るように持って来る。
「はい、というわけで今回のキットは環八でーす!開封ー♪」
コメント
:あー、環八
:08小隊はいいぞ
:環八?
:ガンダム「イージーエイト」だから「かんたん」と「8」でカンパチだゾ。因みに本来の意味は違う
「08はアイナ様が可愛くてえっちだよね」
コメント
:わかる
:分かるけどもっとこう・・・・・・何かあるやろ!!
:ノリスのグフカスが格好良かったりとか色々あるやろでも分かる
:初見です角がVじゃないガンダムもいるんですね
「初見さんいらっしゃーい♡
そだね、この子は陸戦型ガンダムが壊されて修理した機体だからこうなってる感じかなー・・・・・・っと、はい、こんな感じの顔。シールは貼ってないけど見える?」
話題に上がったから、少し先に頭を作るためにバリがあまり残らないようにしつつ、程々に丁寧に切り取りながら手早く組み合わせたEz8の顔を手に乗せて、上手く映るように少し近付けて見せる。
コメント
:うーんこの絶妙なデザインの顔
:手放しに格好いいって言える顔じゃないけど味わい深い感じというか
:概ねガンダム顔だけどやっぱアンテナがVの形してないと物足りなく感じるのは否めない所はある
:これがいいんですよ、これが!
「で、と。胴体のパーツは・・・・・・ん?」
改めて説明書の流れ通りに組むためにと、本来最初の胴体部分のパーツを切り出そうとランナーを持ってざっと目を通して見つけたパーツは、胸部装甲に隠れるにも関わらずディティールがしっかりと施されていて。
「・・・・・・エッッッッッッロ、勝負下着じゃん」
コメント
:は?
:なんて?
:エロいのは分かるけどその発想は無かった。でも理解出来てしまうのが辛い
:ガンプラ 勝負下着 とは 検索
:ウーンドウォートの可愛さが分かるなら恐らく分かる感覚。表現は兎も角
:RGとかMG以上の内部フレームとかエロいやろ、勝負下着は聞かないけど
「めっちゃ気合い入ったディティール入ってるけど装甲パーツ付けたら見えないじゃん?こんなの勝負下着でしょ勝負下着。そうじゃないなら見せブラ」
コメント
:・・・・・・ええと?
:見ろ初見様が困惑していらっしゃるぞ
:隠れてるディティールが勝負下着なら鉄血系の丸見えなフレームはどうなるんだ
「んー・・・・・・ビキニ?」
コメントに少し考えてそう返した瞬間の気付き。つまり、
「・・・・・・アナトのフルドレスウェディングって」
コメント
:やめなさい
:おいコラ
:なるほど?
「んー、アナトがえっちに見えてきたなぁ・・・・・・アナト、そんな格好で今まで・・・・・・いいかも・・・・・・」
コメント
:やめろそういう風に見えてきた
:ヤメロォ!
:でも元々鉄血の剥き出しのフレームはエロかったじゃろ?後は少し扉を開くだけだったのやもしれん
:私が開く!(迫真レスバ仮面
:変な扉開くな
:ミーム汚染が酷い
「仕方ないから装甲のパーツも付けて、次は・・・・・・あー、バックパック。陸ガンのは背負子みたいで良いんだよねー」
本当ならウェポンラックを背負わせたい気持ちはあるけど、このキットには付いてないからなぁ・・・・・・と思いながら、パーツも少ないしで手早く組み立て。
そして、
「・・・・・・手足、2本も要らなくない?」
コメント
:いやまぁ分かるけども
:ウェディングをスクラッチで作った人間の言うことか??
:お前が始めた物語だろ
「なんか聞きたいことあったら手足組んでる間雑に投げてくれてもいいよ?
あ、ちなみに先に言っとくとおっぱいはダイバールックよりサイズ上がってるから違って見えたらたぶんそれ。ほら、私クーちゃんとラブラブだから♡」
コメント
:この内容先に言われて惚気られる事ある?
:相手が悪い
:質問潰されて草
:ガンダムあんまり詳しく無いけどガンプラ初めて買いに行くんですが、おすすめってありますか?
:クオンちゃん様に怒られない?と思ったけどそれすらいちゃつきのスパイスになってそう
「っと、さっきの初見ニキそっからか。そんな人まで釣るなんてさすが私、罪な女・・・・・・
じゃなくて、おすすめのガンプラでしょ?組む難易度と武装の充実度で言ったらエントリーグレードのガンダムフルウェポンセット・・・・・・だっけ?アレが優勝だと思う。道具使わずに手だけで組めるし、武器も色々付いてるし。
あー、っと・・・・・・まぁいっかここで。
で、あんまり作品の事知らないならいっそのこと店に並んでる箱を眺めて行って、目に止まった奴を買っちゃうのも良いと思うかなーって。案外その機体が愛機になったりするかもよ?」
画面の占有率と机のスペースとついでに配信の絵を考えた結果、机に乗せたおっぱいの上に組んだ腕パーツを先に嵌めて出来上がった上半身を寝かせるようにして置きながら、あと何か言うことあるっけなぁ、と考えを巡らせる。
「あ、好きなやつ、とは言ったけど、選ぶならHGで買った方がいいよ?MGとかPGだとサイズと値段が凄いことになるし、RGは小さいけどなんというか、気難しいキットだったりするから。
それと、エントリーグレード以外を買うなら先ずはお高くなくていいからニッパーも買わないとパーツ切れないから注意ね?爪切りでもやれなくはないけど、ニッパーあった方が楽・・・・・・どしたのみんな」
コメント
:めっちゃまともな事言うじゃん
:ありがとうございます、今度早速見に行ってみます
:この絵面に反して内容がまとも過ぎる
:殆どの人間はこの絵面に意識を持っていかれて話の内容が入って来ないと思われがちだが、ラバーズは違う!(ギュッ
:ガンプラになりたい人生だった
「どういたしましてー
まぁ、もし違う世界で恋人になったとしたら、ガンプラになるどころかいくらでも好きにさせてあげるよ?な・れ・た・ら♪
恋人が相手なら、どんなコトでもしてあげる♡それこそ、なぁ・・・・・・んでも♡」
コメント
:エッッッッ
:するって言いながら相手が食われる側になりそう
:腹上死コースじゃない?大丈夫?
:それはそれで本望な気もしなくもない
「子供は何人欲しい?1人?2人?サッカーチームが・・・・・・と、脚もおーわりっと。ふくらはぎにサーベルしまえるのいいねー」
かちゃかちゃ、とビームサーベルの柄をしまえる部分を開いたり閉じたり軽く弄ったあと、ちゃっちゃと残りの腰のパーツを組み上げて上半身と合わせ、完成した本体を両手を上げて滑り台を滑るような、わーい!って感じのポーズでおっぱいの上に座らせてから今度は装備品の組み立て。
コメント
:えらい人数飛ばなかったか?サッカーチーム?????
:恋人の世界線どこ?ここ?
:そういや宇宙でボールでサッカーしてる連中いたなこの間。ちなみにボールは棺桶の方
:待て環八そこ代われわーい!じゃない代われ
:ガンプラに!なりたい!!
:ジオラマに使う為に手脚ちぎりますねー
「ほら、私好きな人には尽くすタイプだし、えっちな事も好きだしさ。したいって言われたら一日中だってするし、子供だって好きだからそりゃあ・・・・・・ね?まぁ、この世界の私は今最高に幸せだから別に出来なくてもいいんだけど。ELダイバーの可愛い娘も居るし?
それで何そのサッカー気になる。ボールをボールにしてサッカーって大丈夫?ヘタな速度で蹴ったら壊れない?」
コメント
:チェリクオてぇてぇ、と言いたいのになんだろうこの絶妙に言いづらい感じは
:分かる
:壊れる。だから移動速度上げても蹴る前に急制動かけてから蹴ってたし、ボールの球状を崩したら相手チームに一点らしい。ペナにならないのはそのシュートがゴールした時だけとか。
:ボールサッカーか・・・・・・
:それもう変に性能高いの使うよりジムとかの方がいいのでは
:急制動ふんわりシュートはテクニカル過ぎる
:なお他のプレイヤーのブロックはもちろん来る
:それゴール出来るか??
「んー・・・・・・発想としては面白いんじゃない?難しそうだけど結構遊べそう。
よーし、武器と盾とパラシュートパック完成したし、とりあえずマシンガンと盾着けてくよー」
100mmマシンガンを右手、陸戦型系がよく持ってるタイプの盾を左手に持たせて、取説の写真を見ながらポーズを今の格好から少しだけ調整すると、割と有名なシーンのポーズっぽくなった。
「はい出来た、倍返しっぽいポーズ!」
コメント
:わーい!(倍返しだぁぁぁっ!)
:逆逆
:倍返し再現楽しくて何度も高い所から滑り落ちる奴居そう
:滑り・・・・・・落ちる・・・・・・(超柔らかい物の上で座らされてる環八を見ながら
:わい返しだぁぁぁぁっ!
:わい返しってなんだよ
「パラシュートパックはこのベルト繋がないといけないっぽいからめんどくさいしパスで。
じゃ、安定のカトキ立ちにさせなおして・・・・・・あ、そうだ。
・・・・・・はい、おっけー♪」
コメント
:まぁ支障はないしな
:カトキ立ち、雑に格好良くなって便利なんよな
:待ちなさい
:態々胸部装甲外すんじゃないよ
:うーん勝負下着
:勝負下着、頭にこびりついて忘れられそうにない。助けて
:諦めろ
「男の子ってぇ・・・・・・こういうの、好きなんでしょ・・・・・・♡」
コメント
:好きだけども・・・・・・好きだけども・・・・・・!
:否定も肯定もしにくい雰囲気出して来るな
:好きだが??
「因みに私もこの下えっちなの着けてるよ?ほら、週末だから♡」
コメント
:ッスゥーーーー
:これは長引かせるとジャバウォックに蹴られるやつでは?
:えっちなことするんですね?(画略
「そだよ?」
まぁ、零の色んなお世話の方が先ではあるけど、って言うのは一応言わないでおくけど。
零の名誉のため、って言うにはみんなにも知られてそうだけど、それはそれで、って感じで。零のそういうところも可愛いし、お世話してあげるのも好きだし♡
「じゃ、そゆわけで♪・・・・・・私の事だけなら、色々想像したり、
おつチェリー♪」
この後めちゃくちゃ
色々お世話()した
ビルドストライクEG、あの子本当HGみたいなEG過ぎるし背中のコネクター有能過ぎてもう何だこのコスパの良さって感じだったわね
メタバースも始まったと思ったらヒロインは声帯が推しだしくまちゃんも自分のキャラの機体を貰えたしで良きものだだったし、あんなお姉さんにガンプラ教えてもらいたい人生だったって感じすごい
世界観とある程度しっかりした時系列教えてくだしあ公式さんや
まぁ分かってもGBNで続けると思うけども。
ついでに3話と言わずビルド系の供給もっと増やして??
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Exな話。
Ex1:片目の竜、第二次有志連合戦にて
「まず、集まってくれた事に感謝する」
目の前に広がる、かつての有志連合結成の為の集会を思い出させる──と言うには人相の悪さが目立つが──を見回し、軽く頭を下げる。
「で、どうしたってんだカークスよぉ、あっちもこっちも宇宙海賊系フォースが勢揃いじゃねえか?」
「まずは、一つ訊きたい。
お前らは、今起こってるELダイバーの一件についてどう思っている?」
「はぁ?どうもこうもねぇ、BDみてえなバグなんだろ?消すのが当然じゃねえのか?」
「何も思わねえとは言わんがなぁ・・・・・・GBNがなくなるかもしれねぇと言われちまうとよ」
「・・・・・・だろうな」
正直、俺も彼ら・・・・・・ビルドダイバーズと出会っていなければ、同じ感想だっただろう。
だが。
「俺は、あの子らと会った事がある。
友人と一緒に、この世界を楽しんでいる・・・・・・ただの、子供達だ。あのELダイバーと呼ばれている、サラという子も含めて、だ。
そんな子供たちが、たったの5人であのチャンプに、運営に・・・・・・いや、このGBNそのものに、喧嘩を売ろうとしている。たった1人の女の子の命を救う為の賭けに出ようとしている」
「・・・・・・オイ、まさかおめぇ・・・・・・正気か?」
「正気だよミートローフ。
他でもない、この集会は、1人でも多く仲間を集め、彼らに加勢する為に開いたんだ」
それを聞いて、騒つく一同。
当然だ、チャンプを始めとする実力者揃いのAVALON、そして有志連合と同等かそれ以上と言っていい戦力に、喧嘩を売ると言われれば。
その為に、1人でもノらせる為の発破をかける。
「考えて欲しい。女の子を目の前で文字通り犠牲にしたGBNで、これからも今まで通りに遊べるという自信はあるか?」
「それは・・・・・・まぁ・・・・・・だがよぉ!?」
「それに、だ。これは、ある意味ではチャンスだと俺は思う」
「チャンス、だぁ?」
「こう考えたらどうだ?
チャンプが後生大事に抱えてる極上の、捨てる気だが譲る気もないとか抜かしてるお宝を、俺達で掻っ払っちまうんだ・・・・・・海賊、らしいだろう?」
「ほう・・・・・・?」
元々、宇宙海賊ロールをしてる連中は結構な割合でノリが良く、それでいて悪人らしい悪人はさほど居ない。さっきの反応のように、少なからずは心を痛めている奴だって居るくらいだ。
だから・・・・・・こちら側にノりやすいように、説得をする。
「それに、だ。お前ら、クロスボーンは好きか?」
「お?あ、あぁ、そりゃ俺らにとっちゃバイブルみたいなもんよ」
「あいつらなら・・・・・・クロスボーン・バンガードなら、どっちに着くと思う?
権力を振りかざし1人の女の子を殺そうとする連中と、それに抗う者の2択で、だ」
実際にどうか、それに関しては、一部のクロスボーンの熱烈なファンのように深く理解している訳ではない俺には分からない。それでも、彼らならばきっと『こちら側』に着いてくれると俺なりに信じながら続ける。
「これは、一つの命を救う為の正義による戦いであり・・・・・・同時に、GBNにおいて今後二つとあるかも分からない、大手を振って運営に反抗する事ができる、アウトローの・・・・・・宇宙海賊の晴れ舞台だと、俺は確信している。
────どうか、あの子達を助ける為に力を貸して欲しい」
頭を深く下げ、その姿勢から動かずに騒つく一同の様子を声だけで伺う。
そして、真っ先に反応があったのは、宇宙海賊系フォースの中でも大手、クロスオーバー・バンガードのリーダー・・・・・・ミートローフ・キャッスル。
「・・・・・・なるほどなぁ?海賊らしく、そんでもってクロスボーン・バンガードなら、と来た。とんだ殺し文句を出して来たもんだな、カークスよぉ。
いいぜ、乗ってやる。ガンプラ動かしたきゃ、GPDの筐体くらいならその辺の店で埃被ってるだろうよ。
・・・・・・だが、違ぇだろ?アウトローを自称するなら、そんな軽々しく頭を下げんじゃねえ。胸を張れ、カークス。荒くれを味方につけようとしてるんだぞ、お前は」
そして、
「まぁ、子供を見殺しにして楽しめるかって言われるとなぁ?」
「海賊らしく襲撃を仕掛けて堂々とお宝を奪う、ってのも気に入ったしな」
「どうせ続けるか分からなくなるゲームなんだ、最後なら最後らしく、馬鹿騒ぎで終わってやろうじゃねえか!」
ミートローフに続き、声を上げる事で賛同してくれる声が響いていく。
「済まない、恩に着る・・・・・・!!」
海賊連合の参加決行のタイミングは、ビルドダイバーズのリクとチャンプが開戦する直前。
アライアンスを結び、俺が代表となって参加する事で前もってビルドダイバーズにアポを取っていた事で得た、俺達の参戦権を確定させたら宇宙に待機している連合がAVALONのフォースネストに向かって一斉に降下、大気圏内に突入次第、各自が保有する艦を質量弾としつつMSを展開して突撃、という算段だ。
楽しければそれで良い、というスタンスの奴・・・・・・『海賊皇帝』を自称する見た目も攻撃も派手で有名な馬鹿がこの場に来ていなかったのが気にはなるが、あまり気にしすぎても仕方がない。警戒だけは続ける事を頭に置いておき──参加のボタンを押す事で、参加の受諾を確認した俺は、改めて愛機、『クロスボーンガンダム3X3-サザンクロス-ゼノクロスカイ』に搭乗する。
「・・・・・・よし、行くぞ相棒」
開戦の合図と共に、ビルドダイバーズのものと思われるシャトルが突入するのを確認して、俺ともう1人・・・・・・基本的に艦を任せているベルーナ・リリーが乗るマンサーナ・フロール、並びに海賊連合の艦隊もまた、大気圏への突入を始める。
『・・・・・・チャンプ、並びに・・・・・・有志連合の皆さんに、フォース『片目の竜-ドラゴン・トエルト-』リーダー、カークス・ロストに代わり私、ベルーナ・リリーが申し上げます。
我々は、ビルドダイバーズを援護すべくこれより参戦致します。・・・・・・願わくば、余計な邪魔はされませんよう。
我々は宇宙海賊連合・・・・・・いえ、敢えてこう名乗りましょう』
『────我々は、『クロスボーン・バンガード』。
大いなる意志に立ち向かう少年達に手を貸し、サラという1人の少女をその手から奪わんとする、悪漢です』
『・・・・・・ふぅ・・・・・・』
「お疲れ様、ベルーナ。立派なもんだったぞ」
普段ならさして喋らず、ごろごろとしているのがほとんどで椅子にちゃんと座っている事すら少ない彼女にウィンドウ越しに声をかけると、既に背もたれをぐっと倒して気だるげに体を横にしていた。
『・・・・・・えぇ、疲れました・・・・・・普段なら、もうログアウトして寝たいくらいです・・・・・・
・・・・・・ですが・・・・・・そうも、言っていられない・・・・・・でしょう?』
「・・・・・・あぁ。これからは、彼を彼女の元に送り届ける為に一分一秒でも時間を稼ぐ必要がある。
悪いけど、ビギナーで出撃してもう少し手を貸してくれ」
『・・・・・・リアルに戻ったら・・・・・・一緒に、寝てください。・・・・・・そしたら、もう少し頑張ります』
「お安い御用だ」
『・・・・・・ん。・・・・・・では、軌道も安定したので・・・・・・そろそろ、ビギナーに移ります』
「ああ」
『よぉカークス。演説は嫁任せとはなぁ、発破かけといてここまで来てビビったか?』
「彼女の意志だ、と言いたい所だが、俺自身こういうのは得意じゃないからな」
『そうかい』
入れ替わるように通信を繋いでからかって来たミートローフにそう返すと、つまらなそうな顔になる。
「ミートローフ、ついでに開戦前に景気いいのを頼めるか?連中がアガるようなのがいい。
俺よりも、あんたの方が皆んなノりやすいだろうさ」
『ったく、しょうがねぇ・・・・・・
おうお前ら!!嬢ちゃんがぶち上げた演説は聞いたな!?
これから俺らは敵のド真ん中に奇襲を仕掛ける!恐がるこたぁねぇ!どこ見てもこっちに寄って来るスコアの山よ!暴れたいように暴れて、稼ぎたいようにスコアを稼げ!
────大漁を、野郎共!!』
連合内の全体に繋いだ回線から響くむさ苦しい・・・・・・けれど心強い叫びを聞きながら、改めて操縦桿を握り直す。
『・・・・・・そろそろ、です』
「・・・・・・よし、行くぞ」
ベルーナの話の通り、マップを見るにAVALON上空に差し掛かっている。更に言えば、チャンプ率いるダイバー達の有志連合が、反応が集まるあまりにレーダー上で壁のようになっているのも視界に入る。
現状ですら普通に考えればまともな戦闘にならない絶望的な戦力差。これに対して5人で戦争を仕掛けるのだから、大した子供達だと思ってしまう。
「・・・・・・大人の俺達が、少しでも手を貸してやらんとな」
『・・・・・・そう、ですね・・・・・・クロスボーン・ビギナー、ベルーナ・リリー・・・・・・出ます』
「サザンクロス、カークス・ロスト、出る!」
・・・・・・あの子達の願いを叶える為、手を貸してくれ────サザンクロス!
カークス・ロスト
カーティス・ロスコ、並びにトビア・アロナクスの名前から。
なお外見はカーティス寄り。
クロスボーンガンダム3X3ゼノクロスカイ
クロスボーンガンダムX-3、X-0のミキシング、というにはこの2機で組み上げたパッチワークと言った方が近い。
胸部、右腕がX-3、頭部、左腕、両足がX-0となっている。
2種類のクロスボーンガンダム3号機のミキシングだから、という理由でサザンクロスという名前を付けられた。
ゼノクロスカイはフルクロスとムーンガンダムのサイコプレートのミキシングを施してフルクロスに似た形状にした追加装備となっており、サイコプレートとしての遠隔操作も可能としている。また、この名前もまたXが3つ並ぶのが正式な表記となり、そこもまたX3につながる。
武装面においては主にX-0のものを利用しており、胸部ガトリング砲と右腕のI・フィールド発生装置が追加されたX-0といった仕上がりとなっている。
ベルーナ・リリー
ベラ・ロナの名前からベラドンナの花を連想→ベラドンナリリーに繋がり、ベルナデットの名前も入れる事でベルーナ・リリーというダイバーネームに。
なお外見はベルナデット寄り。
クロスボーン・ビギナー
ビギナ・ギナの頭、腕、バックパックをクロスボーンガンダムX-0のパーツに変更し、赤と黄色の部分を紫にする事で全体のカラーリングをビギナ・ギナに合わせた機体。
ビームライフルとビームランチャーを主兵装とした中距離での射撃戦をベースのビギナ・ギナよろしく主な戦法としており、実力的な問題もあって近接戦は避けていることから、ビームサーベルは護身用に、ブランドマーカーはビームシールドとして用いられる事が多い。
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