五等分の花嫁と元暗殺者 (シナプス・フィン)
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第1話 彼女たちの出会い

最近はまっている物を小説にしようということで投稿した作品です。


では、どうぞ。


色々なことがあったな。

君と出会って、いろんなところに行って・・・。

笑って、泣いて、怒って・・・。

 

 

 

 

 

コレは、5人の姉妹と1人の家庭教師と

 

 

 

 

 

()()()()の日常を綴った物語である。

 

 

 

 

 

場所は、学校の食堂。

空腹を満たすために教師や生徒たちがよく利用する場所。

 

「焼肉定食、焼肉抜きで」

「あいよー」

 

そう注文したのは上杉風太郎(うえすぎふうたろう)

旭高校の二年生で学年首席だ。

そして・・・。

 

「おばちゃん。カツ丼と肉じゃが」

「あいよー」

「・・・斗真」

「俺が出すから栄養摂れ。勉強に支障がでるぞ」

「・・・すまない」

「そう思うならしっかり食べろ。らいはちゃんを心配させたくなかったらな」

「ウグッ・・・」

 

上杉は、思わず言葉を詰まらせらた。彼と話をしている人の名は新城斗真(しんじょうとうま)

斗真は、上杉と同じクラスでテストで上位争いをよくしている。

上位に入ってくる為、上杉が斗真に声をかけたのがきっかけでそれ以来交流をしている。

互いに食事場所を探しているところを見つけ互いに席を着いた時、もう一人、同じ場所に席に着いた。

 

「「ん?」」

 

斗真は、そのまま席に座っているが上杉ともう一人顔を見ると女子が食事を持っていた。

すると斗真は、女子の方を見てある疑念を抱いた。

 

「(あの制服は確か、黒薔薇女子の・・・。何でここに・・・?)」

 

斗真は、気になり視線を移す。

すると、なにやら2人が言い争いになりそうだったが仕方がないとため息を吐く。

 

「上杉、いいから座れ」

「け、けど」

「いいから。食べる時間なくなるぞ」

 

斗真の言葉に催促されそのまま座った。

 

「アンタも座りな。今から別の席探すのは大変だぞ」

 

女子は周囲を見ると斗真の指摘通り簡単に見つかりそうにない為「分かりました」と言いそのまま座った。

そして、斗真は彼女の食事を見ると思わず引き攣った。

 

「(うどんだけでなく天ぷら類5つにデザートのプリンって・・・。

  男子高校生ならいざ知らず女子高生が食える量かこれ?)」

 

そんなこんなで食事をしているのだが上杉は食事をしながらテストの復習をしている。

 

「行儀悪いですよ」

「テストの復習してるんだ。ほっといてくれ」

「・・・全く、この勉強バカは」

 

斗真は呆れながら上杉に視線を向けるのだった。

 

「へぇ〜。余程追い込まれているんですね」

 

何やら表情が変わったぞ。

 

「何点だったんですか?」

 

そう言い彼女は上杉の解答用紙を取る。

 

「おい!勝手に・・・」

「えぇ〜、上杉風太郎君。得点は・・・100点!?」

「あーめっちゃ恥ずかしい」

「わざと見せましたね?!」

「・・・何やってんだか」

 

斗真は2人のやりとりに呆れてしまった。

すると彼女は何か閃いた。

 

「そうです!せっかく相席になったんです!

勉強教えてください!」

「ごちそうさま」

 

上杉は彼女の言葉を無視するかのように食事を終えそのまま席を立った。

 

「食べるの早!?」

 

彼女の驚きを無視しそのまま席をたった。

 

「お昼!私の分分けましょうか?」

「アンタは頼みすぎだ。

 

 

 

 

 

()()()

 

その言葉にカチンと来たのか頬を赤くしプルプル震える女子。

すると上杉の頭に衝撃が走った。

殴られたというよりチョップを食らったと言った方が正しい。

痛みの余り悶絶する上杉。

顔を赤くしていた女子の表情は真逆の真っ青な表情をしていた。

その様子を見ていた他の生徒。

そして極めつけは・・・。

 

「お前はデリカシーに欠けるんだよ。

 

 

 

 

 

上杉」

 

もはや修羅と言われてもおかしくない程の威圧感を出す斗真だった。

※食器は斗真の片方の手に持ってあるので割れてないです。

 

「・・・お、お前な」

 

文句を言おうとしたら突如、上杉の携帯に着信が入った。

 

「・・・俺が片付けておくから行ってこい」

「・・・助かる」

 

上杉は食堂から離れた。

そして、斗真は何事もなかったかのように席に着き食事を再開する。

 

「麺、伸びるぞ?」

「!」

 

女子は思わずビクッとし席に座り食事を再開した。

 

「あの・・・」

「さっきの礼を言いたいのなら聞かないぞ」

「え!?」

「俺は、飽くまであの勉強バカを注意しただけだ。

ましてや、さっきまで怖がってたのが無理に強がるもんじゃねぇぞ」

「・・・はい」

「礼の変わりって言うのも何だが聞いてもいいか」

「な、なんですか?」

「お前さんが来ているその制服。黒薔薇女子の制服だろ。何でここに?」

「実は今日、この学校に転校してきたんです」

「なるほど、転校生が5人来るって聞いていたがその内の1人はお前だったのか。ところで、アンタ名前は」

「私は、中野五月です」

「新城斗真だ。よろしく」

 

その後、互いに自己紹介を終えて食事を済まし解散した。

 

 

 

 

 

場所は、変わり斗真の教室。昼休みの後の授業始まる前。

妙にウチのクラスがそわそわしていた。

そして担任が入ってきた。

 

「えぇ〜。このクラスに転校生が来ます。さっ、入って」

 

教師に催促され1人の生徒が入ってきた。

 

「・・・中野三玖です。よろしくお願いします」

 

みんなが彼女に対して可愛いだの黒薔薇女子の子だとか騒いでいるが斗真は別のことを考えてた。

 

「(さっき出会った五月と全く一緒の顔。

  別人に成り代わる必要はないのに一体なぜ?)」

 

考え事していると彼女が斗真の席の隣に座ってきた。

 

「・・・よろしく」

「こちらこそ」

「ああ、新城」

「はい」

「中野に校舎を案内させてやってくれ」

「分かりました」

 

因みにその時の男子の視線はかなり厳しいものだった。

これなら視線で人を殺せるな。

まあ、あの超生物は絶対に無理だが・・・。

そう言い視線を空に向けた。

そこには砕けた月が印象良く見えた。

 

 

 

 

 

放課後となり中野と共に施設を案内をする事になった斗真。

一通り見て回り休憩と同時に飲み物を買うことになった。

 

「何がいい?」

「・・・え?」

「転校祝いで1本奢りだ」

「・・・でも」

「言ったろ。転校祝いだ」

「・・・それじゃあ」

 

すると三玖は、斗真の言葉に催促され1本奢ってもらった。

学校に備え付けてあったベンチに座りお互いに水分補給していた。

 

「1つ聞いていいか?」

「・・・何?」

「今日の昼の時間にお前とそっくりの人が食堂に来ていた。

ソイツは名前は五月と言っていた。親族か?」

「・・・うん。五つ子の内の1人」

「なるほどそれっ・・・今なんて言った?」

「・・・?五つ子の1人って」

「・・・えっ?お前、五つ子なの?」

「・・・うん」

「・・・マジで?」

「・・・マジで」

「・・・本気と書いて?」

「・・・マジ」

 

思わず頭を抱えてしまった。

 

「・・・大丈夫?」

「・・・見っともない姿を見せた」

 

実際のところ、過去に五つ子が産まれたという事例は実際にあった。

しかし、実際に目の前にいるというと話は変わってくる。

あまりの衝撃な事実に思わず頭を抱えてしまった。

 

「しかし、何故5人揃って転校を?」

「・・・ッ」

 

斗真が話を突っ込むと三玖は思わず黙り込んでしまった。

 

「・・・軽率だった」

「・・・気にしないで」

「そろそろ帰ろう」

 

斗真は立ち上がり荷物のある教室に向かった。

 

「・・・トウマ」

「何だ?」

「また、お話ししよう」

「・・・俺でよければ喜んで」

 

そして互いに帰宅した。

しかし、この出会いは偶然か必然かこの出会いが新たな物語を紡いでいくことになるのは皆知らない。

 

 

 




今回はここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第2話 中野家の五つ子姉妹

立て続けに2話連続になります。


それとタグに暗殺教室(本編終了後)と書かれていますが
暗殺教室のストーリーは、本編から2年後の設定とされています。

それでは、物語本編です。どうぞ。


翌日。

三玖と挨拶し今日も授業に励む。

 

 

 

 

 

午前の授業が終了し昼食を食べようと思い食堂に向かった。

 

「・・・トウマ」

「ん?」

 

すると1人で向かおうとした時、三玖に止められた。

 

「三玖。どうかしたのか」

「い、一緒にお昼食べない?昨日のお礼したい・・・」

「・・・礼はいらないよ。頼まれ事を引き受けただけだ」

「で、でも・・・」

「(あぁ〜こりゃ引かないな。あ、そうだ)

  それなら、抹茶ソーダ。1本奢ってくれ。それでチャラってのはどうだ?」

 

三玖は、鳩に豆鉄砲を食ったようにキョトンとしてしまった。

すると思わず笑みを浮かべた。

 

「じゃあ、それで」

 

そう言い彼女は斗真の手を握り食堂に向かった。

・・・周囲の視線に刺されながら(主に男子の視線)。

 

「(結構大胆だな。後、アクティブ)」

 

と考えながら移動していた斗真であった。

そして移動している最中、三玖が誰かにあたり倒れそうになった時斗真が支えた。

三玖は、思わず目を瞑っていたがいつまでたっても衝撃が来なかった。

ゆっくり目を開くと斗真が支えていた。

 

 

 

 

 

三玖が斗真に抱きついた状態で。

不幸中の幸いか他に人はいなかったのが救い。

 

「大丈夫か?」

「・・・大丈夫///」

 

三玖は思わず顔を両手で隠した。

斗真は、流石にマズイかと思ったが突如、ガコンッという音が聞こえた。

振り返ると既に三玖は、抹茶ソーダを買っていた。

 

「き、昨日はありがとう///それじゃあ・・・」

 

抹茶ソーダだけ渡しその場を後にした。

 

 

 

 

 

「借金が無くなる?」

「ああ・・・」

 

三玖と食堂前で別れた後、昨日、上杉の妹・らいはちゃんから連絡があった。

聞いた話だと2人の父親・勇也(いさなり)さんが仕事を持ってきたという話だ。

 

「仕事内容は?」

「・・・家庭教師だそうだ」

「家庭教師なのに相場の五倍ね・・・。妙に胡散臭いな」

「やっぱりお前もそう思うか?」

「まあね。つか、相手は誰だよ」

「・・・転校生だった」

「転校生?」

「お前も昨日食堂であっただろ」

「・・・面倒な事になったな」

「あぁ。それで・・・」

「お前が謝るんだ」

「まだ何も言ってないだろ!?」

「どうせ五月の中を取り持ってくれって頼むんだろ?

これは、お前が引き起こした問題だからな」

「えっと・・・。手伝ってもらうのは・・・」

「今渡した肉じゃがを倍にして請求させるぞ」

「すいません僕が悪かったです僕がやるので勘弁してください!」

 

こんなので大丈夫か?

斗真はある種の不安を覚えたのだった・・・。

 

 

 

 

 

放課後となり上杉の家庭教師の言動が気になり少し周辺を探ってみることにした斗真。

と言ってもフリーランニングで電柱の上や建物の屋根を使って移動しているだけだけど。

 

「まっさか中学で培った能力をまた使う羽目になるとは・・・」

 

トホホホ。とがくりと項垂れながら移動する斗真。

そして彼女たちを見つけ追尾する最中、上杉を見つけた斗真。

 

「アレで誤魔化せてるって思ってるのがすごいわ・・・」

 

そう。上杉が隠れている場所はコンビニエンスストアの顔出しパネルの所だ。

アレで気づいていないのは余程の鈍感かただのバカのどっちかだ。

普通の人だったら怪しい人間だと気づく。

 

「あ、三玖が気づいた」

 

そして携帯を手に出されて通報しないよう説得していた。

彼女はそのまま離れていった。

 

「全く、世話がかかる奴だ」

 

そう言いながら彼等の尾行を続けた。

 

 

 

 

 

尾行を続けていると到着したのは一つのマンションだった。

 

「なるほど・・・。相場が5倍って言ってたのも納得出来る」

 

そして、上杉がマンション近くに到着する付近で待ち構えるようにしていた。

 

「上杉」

「斗真!?お前、バイトは?」

「無理を言って休んだ」

 

※嘘です。君の様子を遠目で観察してました。

 

「・・・すまん」

「謝る相手は別だろ」

「・・・ああ」

 

そう言い再び彼女たちのマンションに向かう。

 

 

 

 

 

歩くこと数分。

上杉の携帯で地図を確認した所、目的地にたどり着いたそうだ。

そこはここ近くでは、かなり高い位置にある高層マンションだった。

 

「マジかよ・・・!?」

「なるほど。色々と納得した」

 

上杉と一緒にマンションに入ろうとすると斗真は足を止めた。

 

「斗真?」

「ちょっと待ってろ」

 

斗真は上杉に対してそれだけ言うとその場から消えた。

 

「は!?斗真!?」

「嘘!消えた!?」

 

すると今度は、柱の陰から五月似の少女が2人出てきた。

 

「お、お前ら!?」

「やば!気づかれた!!?」

「あの程度で隠れ切れるなんて思ったか?見つけてくださいって言ってるもんだぞ」

 

 

「「「!?」」」

 

 

3人は、五月の姉妹たちの後ろを見ると斗真がそこにいた。

 

「・・・嘘?完璧に隠れてたのに」

「ああ、()()()()なら確実に隠れていた。

でも、俺から隠れ切れるなんて思わないほうがいいぞ」

 

彼女たちの前から消えたり現れたりと目の前にいる人は人間なのかという疑念を覚えてしまった。

 

「・・・トウマ」

 

そんな中、疑心が積もる中、ポツリと斗真の名前を呼んだ。

思わず彼女の視線を向けると斗真は僅かに目を開き驚いた。

 

「三玖?」

「・・・トウマって。

 

 

 

 

 

忍者の末裔だったりするの?」

 

 

「「だあああーーーー!!!!!!」」

 

黒いリボンをしている五月(?)と上杉は思わず倒れた。

 

「三玖!現代に忍者なんているわけないでしょ!?」

「でもあれは、人間離れしすぎてる」

「気持ちはわかるけど現実見て!!」

 

ワーワー騒いでいて上杉は思わず何が何だかついていけてない。

すると、斗真は視線を上杉に向けた。

それに気づいた上杉はマンションに向けて走り出した。

 

「あ!ちょっと!!」

 

すると今度は、斗真に標的を変えた。

 

「アンタ!彼奴の仲間なの!?三玖に近づこうとしたのもそれが理由!?」

「何を勘違いしているかしらんが、お前の隠れ方が下手クソだったから仕置きをしただけだが」

「そんな理由!?」

「いや〜俺が知ってる中でダントツで下手だったわ。五月擬き」

「誰が五月擬きよ!!」

「俺はお前の名前を知らない」

「私の名前は二乃よ」

「二宮金次郎?」

「二乃って言ってんでしょうが!!?」

 

ツッコミ疲れたのか二乃と呼ばれる女子はゼェーゼェーと疲れていた。

 

「・・・トウマはどうしてここに?」

「上杉は個人的に交流があってな。家庭教師の件を相談されて俺個人で気になってついてきたってところだ」

「・・・納得」

「・・・んで、アンタにはどう見えたの?」

「それは・・・。

 

 

 

 

 

後ろに隠れている人を交えて話をしようか。いつまで隠れているつもりだ

 

語尾を多少強くすると今度はショートヘアの女子とリボンをつけた女子が苦笑いをしながら現れた。

 

「いや〜君すごいね。お姉さんを簡単に見つけるなんて」

「一花!四葉!?」

「・・・トウマ凄すぎ」

「それよりいいのか?恐らく上杉は五月の元に向かってるぞ」

「は!そうだった!!アンタも来なさい!」

 

そう言い二乃は斗真の手を掴もうとしたが直ぐに解けてしまいそのままマンションに向かった。

 

「・・・」

 

二乃は、一体何をしたのか全く分かっていなかった。

 

「・・・二乃?」

「・・・!なんでもない」

 

四葉に声をかけられた二乃は慌ててマンションに向かった。

こうして、元暗殺者と五つ子全てと邂逅を得た斗真。

これから起こる物語は一体なんなのか・・・

 

 

 

 

 

※オマケ

 

 

「何なんですか!貴方は!?今から家庭教師の方が来るんです!!」

「それ、俺」

「え?」

「その家庭教師。俺」

「ガーン」

 

 

崩れ落ちる五月であった・・・。

 

 

 




今回はここまでとなります。


誤字脱字ございました連絡ください。
では、次回。


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第3話 家庭教師スター・・・ト?

書いてて二乃の扱い雑だなと感じてしまいました。


全国の二乃ファンの皆さんすいません・・・。
なるべく改善していく所存ですので暖かく見守ってください。
それと、当小説のヒロインは三玖になりました。
後ほど、タグを編集しておきます。

では、どうぞ。


「君達の家庭教師をする事になった上杉風太郎です。

これから楽しく勉強・・・」

「・・・上杉。現実を受け止めろ」

「・・・何故誰もいなーい!!?」

 

上杉の叫びが中野家に木霊した。

そう。今ここにいるのは家庭教師の上杉と斗真だけなのだ。

姉妹達は皆、それぞれの部屋に入ってしまったのだ。

このまま解散かと思われたその時だった。

 

「はいはーい!!私がいまーす!!」

「えっと四葉だっけか?0点の」

「ファ!?」

 

お盆に氷水を持ってきてくれたのは中野家の四女の中野四葉だった。

上杉の言葉を聞いた時、斗真は思わず驚いて声を上げてしまった。

 

「えへへ〜・・・」

 

四葉は、苦笑いを浮かべながら頭を掻く。

 

「ちょっと、眉間に皺を寄せてくれないか?」

「え?こうですか?」

 

上杉の頼まれ事に疑念を抱いたにも関わらず上杉の言う通りにし眉間に皺を寄せた。

 

「・・・本当に五つ子なんだな」

 

上杉は、先程の話が余りにも信じられず四葉で真偽を確かめたかったようだ。

 

「やっぱ信じられない?」

「信じられ無いって?斗真は、知ってたのか?」

「俺のいるクラスに三女の三玖が転入してきてな。学校の案内も兼ねて親睦を深めたついでに教えて貰った」

「そ、そう言うことか」

「何か意外ですね。三玖が新城さんに心開くなんて」

「そうなのか?」

「三玖は、比較的大人しい性格ですから。

あまり自分から話すタイプじゃないですから」

「そう言うもんか?」

「そう言うものです」

 

斗真は、これ以上の追求は必要ないなと感じその話は終了した。

 

「んで、何で四葉さんがいるんだ?」

「四葉でいいですよ。それにここにいるのは上杉さんの授業を受けるからに決まってるじゃないですか!」

「四葉・・・抱きしめてもいいか?」

「さあ、他の4人を呼びに行きましょう!」

 

上杉のセクハラもどきの発言をスルーし腕を高くあげ気合を入れる四葉であった。

因みに、斗真はバイト先の連絡をしたいため一時的に抜けている。

 

 

 

 

 

「・・・アンタ、まだいたんだ」

「ん?」

 

バイト先に連絡を入れている時、誰かの声を聞いたようで斗真が振り返ると黒いリボンをした女子・・・。

 

「二宮金次郎!!」

「アタシの名前は二乃よ!!」

「それで何のようだ?」

「アンタ、いつまでこの家にいるつもり?」

「俺は元々、アイツの様子が気になって付いてきたようなものだ。

適当に切り上げて帰る予定だ」

「そう。なら今すぐ帰って。今日は、終わりだから。

それに私達は、家庭教師なんて必要ないから」

 

そういい彼女は、キッチンの方へと向った。

 

「・・・必要ない、ね」

 

その言葉に一つの懸念を覚えた斗真だった。

斗真は、上杉の様子が気になり上に登った。

すると、部屋から三玖が出て来た。

 

「三玖?」

「・・・あ、トウマ」

「どうしたんだ?勉強のやる気でも起きたか?」

「違う。実は、ジャージがないの」

「ジャージ?俺は見てないが、どんな奴だ?」

「赤色のジャージ」

「さっきまであったのか?」

「うん。引っ越してくる前までは」

「荷解きした時に他の人の荷物と混ざったか?」

「・・・あり得るかも」

「他に探していない所は?」

「・・・あるにはあるけど」

 

三玖は何やら煮え切らない様子だった。

三玖は別の所に視線を向けていた。

その先は、一番端っこの部屋だった。

 

「あの部屋は?」

「一花の部屋」

「行かないのか?」

「・・・部屋が汚い」

「・・・マジで?」

 

三玖はマジな目で斗真を見つめ頷いた。

 

「あ。そう言えば次女がそれらしいのを着てたかも」

「二乃が?」

「おーい。クッキー焼き過ぎたんだけど食べる?」

 

すると突如、噂の本人の方を見ると彼女の赤色のジャージを着た二乃がいた。

そして、左胸の刺繍には()()()と書かれたジャージがあった。

 

「・・・犯人見つけたな」

「・・・疑ってゴメン」

「疑うのは当然だ。私物がなくなったのなら尚更な」

 

 

 

 

 

「さあ、これで4人は揃った。勉強を始め・・・」

「おいひ〜」

 

いざ勉強をしようと思われた矢先、まさかの遅れてのティータイム。

上杉をスルーしてクッキーを食べている。

斗真は、その様子を少し離れて観察していた。

 

「(このメンツ。やたら勉強したがらないな・・・。

  単純に諦めているか或いは別の理由か・・・。

  仮に諦めているって言う意味だったら2年前の()()だな)」

 

何処か斗真は既視感らしきものを覚えた。

それは、彼自身の過去の出来事から来るものだろう・・・。

 

「クッキー嫌い?」

 

そう言いながら二乃が斗真に声を掛けて来た。

 

「減量中なんだ。夕食までは食べないようにしている」

「ヘェ〜。何かスポーツやってるの?」

「武術を少しな」

「・・・だからあんなデタラメなことできるんだ」

「デタラメ?アレはまだ優しい方だぞ。アレと比べたらな〜・・・」

 

そう言いながら遠い目をする斗真。

二乃はその様子を見た時に深く聞くのはやめた。

 

「そんなことより勉強するぞ!」

「まあまあ、まずはクッキー食べなよ。食べてくれたら勉強してあげてもいいけど?」

「(こいつ、何企んでやがる・・・)」

 

そんな事を考えている中、上杉は、二乃の作ったクッキーを頬張った。

 

「おぉ〜。男の子だね。もりもりたべるじゃん!美味しい?」

「ああ。美味いな!!」

「嬉しいな〜。あ、私達さぁ。ぶっちゃけ家庭教師要らないんだよね〜」

 

二乃の言葉に思わず背筋が凍った上杉。

斗真は、思わず眼を細めた。

 

「なーんてね。はい、お水」

 

そして二乃が上杉に水の入ったコップを渡した。

上杉は、何も疑いもなくその水を飲んだ。

そのまま飲み干したコップをテーブルに置くと二乃は立ち上がった。

 

「バイバーイ」

「は?」

 

上杉は、何の事か分からず頭に?を浮かべた。

すると上杉は、そのまま意識を失った。

 

「ちょっと、フータロー君!?」

「・・・二乃。何したの?」

「・・・う〜ん?アレ、上杉さんもお昼寝ですか?」

「即効性の睡眠薬を水の中に混ぜて上杉をダウンさせたんだろう」

 

斗真は、いつの間にか中野家のキッチンの方にいた。

 

「アンタ!人のキッチンで何してんのよ!?」

「一歩間違ったら犯罪のような事をしている奴が何を言ってんだか」

 

そう言いながら僅かながら粉の入った袋をゴミ箱から取り出した。

 

「そ、それは・・・」

「睡眠薬を服用しすぎると依存症になったり一歩間違ったら命を落とす危険なものだ。

お前は、家族に迷惑をかけるだけでなくソイツの命を奪う可能性もあったんだぞ」

 

その事を聞いた二乃は青ざめた表情をしていた。

 

「・・・まあ、見た所、服用は初めてだったみたいだしそこまで大事には至らないだろう。

けど、上杉は、俺の友人の一人だ。謝罪はして貰うぞ」

「・・・わかったわ」

「それともう一つ」

「・・・何よ?」

「上杉を眠らせてどうするつもりだったんだ?

女子だけの力じゃ運ぶの難しいと思うが」

 

 

「「「・・・あ」」」

 

「・・・大丈夫なのか?色々と」

 

ここまで後先考えないのは初めてだ・・・。

 

「何ですかさっきから。うるさいですよ」

 

先ほどの騒ぎを聞きつけて来たのか部屋から五月が出て来た。

 

「って何で上杉君が寝ているんですか?」

「二乃が薬を盛った」

「ちょっと三玖!?」

「二乃!いくら何でもそれはやりすぎですよ!?」

「わ、分かってるわよ!ソイツに言われて反省したわよ・・・」

「ソイツ?」

 

五月は、視線を斗真の方に向けた。

 

「貴方は新城斗真君、でしたよね?」

「覚えてたんだ」

「三玖が話していたのを覚えていたので。

それと、姉が申し訳ありません・・・」

「まあ、見た所、今日は無理だろうと高を括っていたけど」

 

そう言いながら上杉の荷物と自分の荷物を纏めて上杉を担いだ。

一花はボソッと「うわっ、力持ち」と呟いていた。

 

「こいつは、簡単には諦めないぞ。

お前達が勉強しないと言う理由があるように上杉にも家庭教師をする理由がある」

「じゃあ、アンタは何なの?」

「付き添い。それだけだ」

 

そう言いながら彼女の自宅を後にした。

そして、タクシーを呼んで待っている時だった。

 

「新城君!」

 

誰かが斗真を呼ぶ声が聞こえた。

振り返るとマンションから五月が出て来た。

 

「どうかしたのか?」

「ご迷惑をおかけしたので私が送って行きます!」

「いや、流石にそれは・・・」

「お願いします!」

 

五月の圧に負け斗真は根を上げた。

 

「分かったよ。なら、上杉は任せた」

「はい。任されました」

 

その後、電話で読んだタクシーが到着し上杉を五月に任せ斗真は帰宅した。

帰宅の途中、こんな事を考えていた。

 

「(勉強に対して後ろ向き。俺達と比較する訳じゃないが状況は似ている・・・。

  姉妹の中で1人がやる気になれば芋蔓で鼓舞するはずだが・・・次女はどう思うか)」

 

などと一つの不安を抱えながら夜空を見上げた・・・。

こうして、中野姉妹と上杉の家庭教師が始まった。

しかし、斗真もこのハチャメチャ生活に巻き込まれていくのだと言う事はまだ知らないでいた・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回から、暗殺教室のキャラを少しづつですが出して行きます。


誤字脱字ございました連絡ください。
では、次回。


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第4話 旧友の再会

今回から暗殺教室のキャラクターが出て来ます。


では、どうぞ。


翌日。

斗真は、家庭教師に同行せずとある喫茶店に来ていた。

 

「新城君」

「久しぶりだな。みんな」

 

店内に入るとそこにいたのは2年前、かつてのクラスメイト達。

()()()()のメンツだった。

メンバーは、磯貝、片岡、茅野、渚、速水、千葉の6人で新城を含めた7人による小さな同窓会をしていた。

 

「新城君、元気そうでよかったよ」

「確かに、お前だけ隣町の高校に行ったもんな」

「去年は、電話でのやり取りだけだったから直接会って話してないもんね」

「それでどうなの?そっちの生活。色々聞かせてよ」

「まあ、奇妙?な事が起きたな」

「奇妙な事?」

 

斗真のセリフに速水が反応した。

斗真は、ここ最近有った出来事を大雑把に話した。

因みに、プライバシーの為、中野姉妹や上杉の事は話していない。

 

 

 

 

 

「五つ子が転校して来てお前の友人が家庭教師・・・」

「しかも相場の5倍・・・」

「臓器売り飛ばすとかじゃないでしょうね・・・?」

「そんなんだったら真っ先に烏間さんに相談してるよ・・・」

 

などとボヤきながらアイスコーヒーを飲む斗真。

 

「しかし、その家庭教師になった奴大変だな。5人全員面倒を見ないといけないんだからな」

「恐らく、5人纏めて面倒を見ると言う事であの相場なんだろう」

「大変だね・・・」

「恐らくその家庭教師(上杉)も頭を抱えているんだろうけど・・・。

渚、教師を目指すなら問題児と向き合う覚悟を持った方がいいぞ」

「アハハ・・・。肝に銘じておくよ」

 

斗真のその予想は翌日の学校で知る事になるとは今も思っていないだろう・・・。

その後、喫茶店のケーキやコーヒーを堪能しある程度雑談したらその日は解散となった。

帰り道、突如携帯が鳴った。

 

《斗真さん。お電話ですよ》

「サンキュー。律」

 

斗真の携帯から声を出した少女は『律』。

彼女も暗殺教室の()()の1人だ。

携帯の番号を見ると斗真は意外な表情を浮かべた。

そして斗真は、その電話に出た。

 

「久しぶりですね。

貴方からかけて来るとは思いませんでしたよ。

 

 

 

 

 

()()()()

 

電話の相手は、()()()()()

五つ子の父親だ。

 

『久しぶりだね、新城君。元気そうで何よりだよ』

「そちらも相変わらず忙しいようで・・・。

態々俺の為に時間を割く必要はないでしょうに」

『君には柳沢の件で世話になったからね』

 

柳沢誇太郎(やなぎさわこたろう)

かつて、暗殺教室の担任・()()()()()を生み出し尚且つ月を爆発させた張本人である。

何故、斗真と中野先生が親しくしているのかと言うと斗真は、柳沢が何か企んでいると睨みその計画を妨害しようと思い独自に捜査をしていた。

その捜査の途中で資金援助をする様に脅されていたのが中野先生でその人質になりかけていたのが再婚したばかりの中野先生の奥さんと五つ子達だった。

流石に対応しなかればならないと思い、お叱りと殺人ゲンコツを引き換えに()の担任の烏間先生に報告し対応してくれた。

その結果、柳沢の行動を妨害し彼の計画を遅らせる事に成功できたのだった。

因みに、何故資金援助を求めたのかというと地球滅亡を回避した後の政府以外の支援が必要となると考えていてその標的になったのが中野先生だったのだ。

柳沢が雇った諜報員が中野姉妹を狙っていると知った斗真は、それを撃退し中野先生には大きな借りを作ったのだった。

更に驚いたのは中野先生は柳沢と一時期研究プロジェクトで一緒に研究をしていたとのこと。

恐らく、何らかの形で話が柳沢の所に情報が漏れたのだろう。

 

 

閑話休題(それはそれでいいとして)

 

 

『流石は、暗殺教室の生徒。とでも言っておくべきかな』

「先生。それはあまり口外しない方がいい」

『これは失礼した。それで本題は、娘達の件だ』

「もしかして家庭教師ですか?」

『・・・知っているのかい?』

「娘さんの1人が俺と同じクラスで家庭教師の上杉は級友なんで大まかな事は知っています。

(というか、中野の名字聞いた時に気付けなかった自分を恨むぜ・・・。

 同じ名字じゃん・・・先生と)」

『なるほど・・・。君から見て上杉君は?』

「勉学に関しては、問題ないでしょう。

ただ、家庭教師としてはここから先、色々な壁にぶつかる事は想定した方がいいでしょう」

『娘達の方はどうかね?』

「勉強嫌いってのもあって思う様には進んで無いみたいですね・・・。

何かしらのキッカケがあればモチベーションが上がるでしょう」

『・・・やはりか』

「勉強嫌いは想定してました?」

『想定してはいた。君から見てはどうだい?』

「始まったばかりだから何とも。ただ、余り幸先はいいとは言えませんね」

 

そう言うと中野先生が何やら考え出した様だ。

 

『斗真君。君には、上杉君のサポートをして貰いたい』

「一応、アルバイトしている身ではありますけど?」

『君が出来る範囲で構わない。飽くまで上杉君を中心に行動してほしい』

「分かりました」

『勿論、君の用事を優先してもらっても構わない。

君は、それに値する結果を出しているからね』

「結果は飽くまで判断基準ではないのですか?」

『確かにそうだが、娘達の行動も加味しなければならないとなると話は変わって来る』

「心配なら娘さん達と食事でもしたらどうです?

いつまでも君付はあまり感心しませんよ?」

『・・・努力はしよう』

「しようじゃなくて努力して下さい。それでは自分はこれで」

 

斗真は、それだけ言って電話を切った。

そしてため息を吐いた。

 

「未だに改善されないのは単純な心配かそれとも別の理由か・・・」

 

そう言いながらそのまま帰宅・・・。

 

 

 

 

 

というわけでもなくとあるバイク屋に来ていた。

 

「こんばんわー」

「あーお客さん今日はもう閉店・・・新城じゃねぇか!!」

「久しぶり。吉田」

 

斗真が最後に寄り道したのはかつての級友の一人の吉田大成

彼も暗殺教室の1人だ。

今いるのは、彼の実家が経営しているバイク屋だ。

 

「悪いな。無理言って」

「気にすんな。お前がバイク乗りに目覚めて俺は嬉しかったぜ」

「そりゃどうも」

 

吉田の案内で彼が愛用しているバイクを取りに来てそれが仕舞ってある倉庫についていく。

そして、倉庫のシャッターを開けると1台のバイク、ホンダ・CRF250Lが置いてあった。

 

 

「点検は無事に終了してるぜ」

 

そう言いながらバイクの鍵をこちらに放り投げ斗真はそれをキャッチしキーを差し込みエンジンを着ける。

そして、右レバーを捻りエンジン音を確認する。

 

「どうよ?」

「流石だな。文句なしだ」

 

その後、額を払い斗真はバイクで帰宅したのだった。

 

 

 

 

 

その日の夕方。

斗真は、上杉の妹のらいはちゃんに呼ばれて一緒に食事をすることになった。

食材を調達しバイクを走らせ、無事に到着した。

 

「斗真さん、いらっしゃい!!」

「お邪魔します。らいはちゃん」

「悪いな、斗真。無理言って」

「今日の食事は元々外で済ませる予定だったんだ気にするな」

 

そんなやり取りをしていると外からただいまという声が聞こえた。

 

「風太郎~、らいは~。今帰ったぞ」

「あ!お父さんお帰り!」

「おお!斗真君じゃないか!!」

「お邪魔しています。勇也さん」

 

上杉勇也(いさなり)さん。

風太郎とらいはちゃんの父親。

見た目は金髪等怖い印象だが砕けた性格で接しやすい人だ。

 

「風太郎。家庭教師はどうだ?」

「まぁ、それなりに」

「2人揃って勉強の話か?それは後でやりな」

「・・・そうするか」

「だな・・・」

 

その後、らいはちゃんお手製のカレーを堪能した。

大変美味でした。

 

 

 

 

 

食事を終えた斗真は上杉と共にその日の出来事を聞いていた。

 

「実力テストをしたら全員落第候補かよ・・・」

「正直、想定外だ」

 

しかし、斗真は未だに疑念を抱いていた。

二乃が言っていた「家庭教師何て必要ない」という言葉の意味。

単純に勉強ができるんであれば必要ない。

中野先生に直談判すればいいだけだからな。

しかし実際は、5つ子全員落第レベルの学力。

中野先生が強行突破して上杉に依頼をしたのだ。

やはり娘の成績を上げたいのは、事実だろう。

だが、二乃の言った言葉と彼女の()

あの目は、私達の中に入るなというまるで邪魔者扱いをする目だ。

だが、これは全て斗真の推測に過ぎない。

実際、二乃が斗真達のことをどう思っているのか不明だ。

 

「上杉。彼女達の回答見せてくれ」

「あ、ああ」

 

斗真の頼まれ中野姉妹の回答を見せてもらった。

斗真は、その用紙を吟味している。

 

「・・・へぇ。面白い」

「どういうことだ?」

「見てみろよ」

 

そういい上杉に改めて回答を見せた。

すると上杉の目が見開いた。

 

「気づいたか?」

「ああ。しかしこれは・・・」

「お前が見た通り・・・。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう。彼女たちの正解問題が一つも被っていないのだ。

彼女たちの問題が被っていればいくらかやり様はあるだろう。

しかし、一つも被っていなければ上杉の負担は増すばかりだ。

これを見た上杉は、驚きと同時に頭を抱えた。

 

「これじゃあ、問題を作るのが手間取るな・・・」

「あ、上杉。言い忘れてたが俺も家庭教師の件、本格参戦するぞ」

「本当か!?」

「お前さんの雇い主から連絡を貰ってな。

サポートという条件で俺も家庭教師に混ざることになった」

 

言に中野先生から直談判されたし。

 

「でも、お前、バイトあるんじゃ・・・」

「その点に関しては上杉と要相談という形で収まった。

それと収入に関してだが俺も雇い主から高校生平均分の給料を支給すると話が決まった」

「俺の知らない所でそこまで進んでいたのか・・・」

「流石に負担が掛かるのはいけないと踏んだんだろう。

というわけだ。次からよろしくな」

「・・・ああ!お前が入れば百人力だ!!」

 

こうして上杉と斗真の2人態勢で家庭教師を行うことになった。

しかし、中野姉妹や上杉は知ることになる。

彼が積み上げて来た物・・・。

月の破壊の事件の真実・・・。そして・・・。

 

 

 

 

 

暗殺教室について・・・。

 

 

 




因みに、本編で書かれていたホンダ・CRF250Lは仮面ライダービルドの万丈が劇中で乗っていたバイクで
仮面ライダーレーザーバイクゲーマー レベル2のベース車です。
皆さんはどんなバイクが好きですか?
私は、オフロードタイプのバイクが好きです。
ライダーのバイクは、皆好きなのですがビートチェイサーが特に好きですね。
次回から、本編に戻ります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第5話 彼女の秘密

三玖と斗真のやりとりが主になります。


では、どうぞ。


彼女達の実力テストを行った翌日。

斗真は、何気なく登校しているが上杉が走りながら来ていた。

恐らく、夜遅くまで勉強していたのだろう。

勉学に励むのはいいがそれで体調を崩したら元も子もないのに・・・。

すると、一台の車が学校の校門前に停まった。

 

「見た事のない車だな。100万位するんじゃ無いか?」

「いや、上杉。その車。恐らくリムジン。下手したら0がもう一つ増える」

「・・・マジで?」

 

などと話していると車のドアが開いた。

中から出て来たのはまさかの中野姉妹だった。

 

「お前等!?」

「何ですか?ジロジロ見て・・・」

「おはようございまーす!」

「おー。フータロー君とトウマ君」

「またアンタ達?」

「・・・あ、トウマ。おはよう」

「あ、おはよう。三玖」

 

そう言いながら中野姉妹は階段を駆け上がって行った。

 

「上杉。お前、避けられてる?」

「・・・は!待てお前等!よく見ろ。害は無い!!」

「・・・ダメだこりゃ」

 

斗真は、上杉の行動に思わず頭を抱えた。

 

「騙されないわよ」

「油断させて勉強教えて来るかも」

「お前等、俺を一体何だと・・・」

 

上杉の扱いが雑過ぎて更に頭を抱えた斗真だった。

 

「私達の力不足は認めましょう。

ですが、自分の問題は自分達で解決します」

「勉強は一人で出来る」

「そういう事」

 

などと言う中野姉妹達。

しかし、上杉はそのまま彼女達にこう話した。

 

「そうか。じゃあ、テストの復習はしたよな?」

 

 

「「「・・・」」」

 

 

そう言うと思わず言葉を詰まらせる姉妹達。

コイツ等・・・。

 

「問一、厳島の戦いで毛利元就が破った武将を答えよ」

「と、斗真?」

「この問題は、上杉がお前達に用意した実力テストで実際に出た問題だ。

正解していれば普通に答えれると思うが・・・」

 

すると背を向けていた五月が振り返る。

解答するかと思いきや・・・。

 

 

 

 

 

プルプル震え涙目になり頬を膨らませていた。

 

「・・・無言」

「・・・」

「何ですか!その目は!?」

「・・・はぁ」

「あからさまな溜息を吐かないで下さい!!」

 

そんなこんなでこの場にいると遅刻してしまうので教室に移動する事になった。

 

 

 

 

 

「上杉」

「斗真?」

「ここ。見てみろ」

 

上杉は、斗真が見せて来た所を拝見する。

すると上杉も見せてきた所を見てそれに気付いた。

 

「これは・・・」

「妙だろ?」

「ああ、三玖の奴。正解しているのに何で・・・」

「三玖の事。俺に任せていいか?」

「いいのか?」

「お前の社交性を考えれば俺の方が上手く行くと思うが?」

「・・・分かった。頼んだぞ」

 

多少不満はあったが納得はしてくれた。

斗真は、軽く頷き教室に着いたので斗真達は別れた。

だが、彼女と話をしたいのだが思う様に時間が取れないでいて頭を抱えていた。

そんな時だった。

 

「・・・トウマ」

 

三玖自身が斗真の所に来てくれた。

 

「どうした?」

「一緒にご飯食べない?」

「いいよ。行くか」

 

三玖の誘いで一緒に昼食を取る事になった。

他の男子の殺気を浴びながら・・・。

 

「(コイツ等・・・。何かして来たら再起不能になるまで叩きのめしてやろうか・・・?)」

 

何やら物騒な事を考えていた斗真であったとか・・・。

 

 

 

 

 

食堂の中に入り、三玖のお気に入りの抹茶ソーダを買う。

因みに、斗真は無糖の紅茶。

 

「・・・トウマって意外と少食だね」

「今、体を鍛えているからってのもあってな。

低カロリーで高タンパクな食事を取る様に心がけている」

「トウマってそう言うの詳しい?」

「いや、受売り。中学の時、お世話になった先生がその辺に詳しい人を紹介してくれて」

「そうなんだ・・・」

 

そんな感じで席を探している時だった。

 

「うーえすーぎさーん!!」

 

何処かで聞いた事のある元気っ子の声。間違いない・・・。

 

「元気な奴だな・・・」

「でも、それが四葉のいい所」

「よくガス欠しない物だ。俺達も行こうぜ。

食べる時間がなくなる」

「うん。そうだね」

 

そう言いながら彼女達の元に向かっていった。

 

 

 

 

 

そして、上杉達と合流すると上杉が負のオーラを纏っていた。

 

「あ、トウマ君」

「あ、新城さん!」

「どうも。んで、どう言う状況?」

「恋・・・。あれは学業から最もかけ離れた愚かな行為だ。

したい奴はすればいい。だが、そいつ人生は学生時代がピークだろう」

 

その様子を見た一花、三玖、四葉は、唖然とした表情で見ていた。

 

「この拗らせ方・・・。手遅れだわ・・・!!」

「お前が原因かい・・・」

「アハハ・・・。新城さんはどうですか?恋愛する相手いますか?」

「さあな。行くぞ、三玖」

「うん」

 

それだけ言ってその場を離れた。

三玖は、そのまま斗真について行った。

 

「・・・何かいい雰囲気ですな」

「・・・いい雰囲気ですね」

 

などとほざいている長女と四女がいたとか・・・。

 

 

 

 

 

席を見つけ食事を取る事になった斗真と三玖。

そして、斗真は疑念だった事を三玖に聞いた。

 

「三玖。今朝の問題、テストの時は正解していたのに何故言わなかったんだ?」

「!」

 

その言葉を聞いた時、ビクッ!と震えた。

 

「・・・気付いてたの?」

「上杉が前回のテストの採点の記録をしてた時に見せてもらってな。

それを見て知ったんだ」

「・・・そう、だったんだ」

 

すると三玖は、心なしか暗い表情をしていた。

 

「・・・誰にも言わないのなら話していい」

「分かった。約束しよう」

 

すると三玖は、ポツリと話し始めた。

 

「私ね・・・。歴史が好きなの。正確には戦国武将何だけど・・・」

「戦国武将?」

 

所謂、歴女という奴か・・・。

しかし、このご時世、歴史の人物が好きと言う人はいてもおかしく無いと思うが・・・。

 

「クラスのみんなは、イケメン俳優や美人のモデルが好きだって・・・。

私だけ、髭のおじさん・・・。変だよ・・・」

 

この事を聞いて斗真は、確信した。

周囲の人達は、現代の様な今時の事の流行を好んでいるが彼女は違う。

 

「(本当に歴史が好きなんだな・・・)」

 

などと考え斗真は、彼女は、一人形見が狭い思いをしているのかもしれないと思った。

 

「三玖。自分が好きなものは胸を張っていい事だぞ」

「・・・え?」

「大切なのはその好きな気持ちを忘れないでいる事。

好きな物があるのは誇っていい事だぞ」

「・・・誇っていい事」

「まあ、言いふらす様な事をしろって訳じゃ無い。

本当に好きなら胸を張って好きですっていえばいいんだよ。

それは他でも無い君自身が好きになった事だから」

 

三玖は、斗真の言葉を聞いたとき頭の中でリピートする。

 

「中学の時にゲームが凄い上手い女子がいたんだ。しかも成績は優秀で。

1科目だけだけど学年上位にも入る程のね」

「・・・そうなの?」

「ただ、その子の親は、虚栄心、要は見栄を張りたがる人だったらしくてね。

良い点を取り続けなければならないプレッシャーのせいで落ちこぼれになったんだ」

「え!?」

 

三玖は思わず驚いてしまった。

すると昼休み終了の予鈴がなった。

 

「気になるなら放課後。話の続きしよう」

 

そう言いながら斗真は、教室に戻った。

しかし、三玖は驚きの声を上げていたが声が出なかった。

 

「・・・学年上位だったのに落ちこぼれって」

 

三玖は、時間がない事に気付き慌てて教室に戻った。

因みに、時間はギリギリでしたが教師には特に言われず次は余裕を持って行動してねと言う小言を貰った程度で済みました。

 

 

 

 

 

放課後となり三玖は、話の続きをしたいと言われ落ち着いて話をする為今度は、屋上のベンチに来ていた。

上杉には、「今すぐに勉強をさせて成績を上げるなら苦労しないから少し待て」と釘を刺した。

その為、下手に邪魔はされないだろうと踏んでいる。

 

「さて、話の続きだな」

「うん。それで、どう言う事?落ちこぼれって」

「俺とその同級生は、椚ヶ丘中学のクラスメイトだったんだ」

「・・・椚ヶ丘って凄い頭いい進学校だよね?」

「ああ。だが、同時に居心地の悪い学校だった」

「え?」

「成績がある程度下がると落ちこぼれと評され裏山にある旧校舎で授業をする羽目になるんだ。

劣悪な環境下で授業をするほどのな・・・。それが()()()()()()()()()()()()()

何て聞こえはいいけど実際はそのクラスに行くと本校舎の生徒に晒し者にされる様になってしまう・・・。

こうして言われるのが()()()()E()()。出来損ないと評される所にな」

「・・・酷い」

「そいつが成績不振になったのは目の前の現実が嫌になってゲームにのめり込んだ」

「・・・でも、成績は学年上位に入ったんだよね?」

「それは、俺達が3年になった頃に入って来た先生の言葉がきっかけで精神的に吹っ切れたってのもあったんだよ」

「どんな事を言われたの?」

 

斗真は、かつての担任の言葉を思い出していた。

 

「清流に棲もうがドブ川に棲もうが前に泳げば魚は美しく育つ。

要は、大事なのは居場所や肩書ではなく、本人がどう生きて何をやりたいかだ」

「何をやりたいか・・・」

「後は、お前の気持ち次第だ。それに・・・」

 

斗真が繋いだ言葉に三玖は頭を?にした。

 

「歴史好きは、勉強で言う日本史の問題に対抗する刃となる。

お前の日本史好きの思いがあるのなら俺とやってみないか?勉強」

 

その言葉を聞いた時、三玖は悩んだ。彼の言葉を信じていいのか。

すると三玖は、ある事を聞き出す。

 

「・・・斗真は、日本史は得意?」

「学校の授業で勉強している範囲なら答えられる。

けれど、もし俺が知らない事があるならその時は、教えてくれよ」

「・・・私が、教える?」

「勉強は必ずしも一人で出来ると言う訳では無い。

だからこそお互いに手を取り合って学んでいく事が大事なんだ」

 

斗真は、ベンチから立ち上がり彼女に手を差し出した。

 

「一緒にやろうぜ。勉強」

 

その言葉を聞いた時、三玖は少し戸惑ったがその手を差し伸べ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

上杉と四葉は、一緒に図書室で勉強していた。

すると、図書室が開くと斗真が入って来た。

上杉がそれに気付き、こちらに来る様に誘導する。

 

「遅くなった」

「斗真、三玖の方は・・・?」

「ああ、それだが・・・」

 

何かを言おうとした時、また図書室のドアが開いた。

上杉と四葉は、視線をそっちに向けると驚いた表情をしていた。

 

「・・・トウマ。遅くなった」

「大丈夫だ。俺も、今来たばかりだ」

「三玖!来てくれたのか!」

「・・・トウマも教えてくれるって言ったから。

その話を聞いて私でも出来るって考えた。だから、責任、取ってよね」

 

その事を聞いた時、不敵な笑みを浮かべた。

 

「おう、任せろ!」

 

こうして、三玖も上杉の授業に参戦する事となった。

残るは、後3人。まだまだ問題はあるけど1つずつ解決していこう・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第6話 やっぱり前途多難

ここ数話で、三玖のやり取りを広げられない事と暗殺教室のキャラを出したいがタイミングが難しく悩んでいる作者です・・・。


では、どうぞ。


三玖が上杉の授業を受ける様になって早数日。

今日は、中野家で授業をする事になった。

そして斗真は、駐輪場にバイクを止めてマンションに向かっていた。

そんな時だった。

 

「・・・トウマ?」

「三玖?」

 

マンションに向かう途中、バッタリ遭遇。

意外過ぎてお互いビックリした。

そして、彼女の手元にはコンビニ袋があった。

 

「買い物か?」

「うん。二乃のジュースを間違えて飲んじゃったから」

「それはまた・・・」

 

そんな他愛のない話をしながら移動する2人。

到着するとマンション前のパネルで何やら悪戦苦闘中の上杉がいた。

 

「・・・フータロー?」

「何してるんだ?」

「なっ!?お、お前ら、いつから!?」

「今さっき」

「ここに来る途中で三玖と鉢合わせしてな。

そこからここまで一緒にきた」

「な、なるほど・・・。ってそれよりこれをどうにかしてくれ!」

 

そういい上杉が指を刺したのはマンションのキーボードパネルだった。

 

「ここ、オートロックを採用しているからここに番号を入力しないとダメなんだよ」

「そ、そうなのか?」

「・・・フータロー。もしかして知らなかった?」

「も、勿論知っていたさ!」

 

上杉は、痛い所を突かれたのか変な汗を流していた。

 

「まあ、家主がいるんだ。三玖。よろしく頼む」

「うん。フータロー。早く入ろ?」

「あ、ああ」

 

三玖に催促され3人仲良くマンションの中に入っていった。

 

 

 

 

 

中野家に入ったのは良いが、今、リビングにいるのは斗真と三玖だけだった。

 

「スタートダッシュはあまり良いとは言えないな」

「・・・フータローは人望がない」

「それ、本人の前では言うなよ?」

 

三玖の思い掛けない毒舌に思わず引いてしまった斗真。

 

「新城君も来ていたんですか」

 

誰かが声を掛けてきた。

振り返ると上から五月が降りてきた。

 

「お前もやる気になったか?」

「上杉君に呼ばれて仕方なくですけどね」

「実力と態度があってないけどな」

「・・・どう言う意味ですか?」

「威張ってる割には成績は良くない」

「そう言う貴方はどうなんですか!?」

「・・・五月。トウマは、椚ヶ丘中学の出身だから私達より頭いい」

「・・・へ?!」

 

思い掛けない情報が三玖から聞いた時、五月は、驚きの表情を隠せない。

 

「な、何故、今の高校を選んだんですか?」

「生憎、プライバシーに関わるから黙秘権を行使する。

まあ、強いて言うなら進路の際、今通っている高校が都合が良いってだけだ」

 

何処か納得いかない表情でいた。その後、四葉と一花が降りてきた。

二乃は、相変わらずの様だが。

そして、上杉が降りてきて授業を始めようとした時だった。

 

「まーだいたの?」

 

部屋に居たはずの二乃がちょっかいを掛けてきたのだ。

 

「前みたいに途中で寝ちゃわなければ良いけど」

 

二乃の挑発に思わずイラッとしてしまう上杉。しかし・・・。

 

「そう言うお前こそ勉強が必要なんじゃないか?特に法律と化学系は」

「うぐっ・・・」

 

二乃は、思い当たる節があるそうで言葉を詰まらせた。

 

「て言うか、何でアンタがここにいる訳?」

「聞いてないのか?」

「何がよ?」

「俺、正式に上杉の補佐として雇われている」

 

 

 

 

 

「「「「「えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!?????」」」」」

 

上杉以外は、知らなかった様だ。

と言うより三玖もかなり驚いた声出してる・・・。

 

「上杉!アンタ知ってたの!?」

「え?あ、ああ。ただ、お前達が皆揃ったら話をしようって事だったからな」

「まあ、姉妹全員居たから丁度良かったから言ったんだけどな」

 

姉妹達が唖然としている中、淡々と説明する斗真と戸惑いながらも解説をする上杉。

 

「二乃。そんなに俺達と関わるのが嫌ならテストで結果でお前達の父親に示す事だな。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

しかし、鼻で笑い飛ばす二乃は斗真の話はスルー。

 

「そう言えば四葉。

バスケ部の知り合いが大会の臨時メンバー探してるんだけどあんた運動できるし今から行ってあげたら?」

「・・・は?」

 

二乃の言葉に上杉は戸惑いの声を出した。

斗真は、何処か納得した様な表情をしていた。

 

「(流石、五つ子。彼女達の性格を理解しているな・・・)」

「なんでも・・・「もういい。四葉行ってこい」・・・は!?」

「斗真!?」

「し、新城さん?」

「お前さん。困った人は放って置けないタイプだろ」

「ど、どうしてそれを?!」

 

四葉は、斗真の指摘に思わず驚いてしまった。

 

「お前さん達を学校内で見かけて行動して推測してそれに近い行動を照らし合わせただけだ。

まあ、今、二乃の言動で大まかは理解できたけど」

 

二乃は、上杉と斗真がいる事が快く思っていない。

 

「お前が家族を守ろうとする気持ちは分かった。

だがな、それで守っているつもりならやめて置け」

「・・・言ってる意味が分からないわ」

「まあ、俺には知った事ではないからな」

 

斗真は、四葉に視線を向けた。

 

「専用の問題を用意しておく。

出来上がりは上杉か俺に渡してくれればそれで良い」

「新城さん・・・。ありがとうございます!」

 

四葉は、そういいバスケ部の助っ人に向かった。

 

「・・・大丈夫なのか?」

「時間全てに勉強に費やすより要点を当てる。

効率を上げるにはその方がいい」

 

上杉は、斗真の言い分も一理あると納得した。

二乃は、面白くない様な表情をしていた。

 

「・・・そう言えば一花。アンタ、2時からバイトだったんじゃなかったっけ?」

「ああ、いけない!忘れてた!!」

「一花。間に合わなかったら倍にして課題を押し付けてやるから覚悟しろ」

「全速力で行ってきます!!」

 

斗真のガチな脅し?による圧で一花をバイト先に向かわせた。

二乃は、思わずポカーンとした表情をしていたが気を取り直して次の標的は五月になった。

 

「五月。ここじゃ煩いから図書館でやったら?」

「・・・それもそうですね」

 

五月は、勉強道具を片付け自宅を出ようとする。

 

「出かけるのか?」

「ここにいても集中できませんので」

「それは残念だ。授業を受けてくれたらコンビニの肉まんの無料引換券を差し出したのに」

 

すると突如、ビュンッ!!と言う音が聞こえた。

振り返ると五月が勉強道具を再び広げていた。

 

「何をしているんですか新城君。早く始めましょう。

そしてそのタダ券を私に下さい!!」

「本音だだ漏れじゃねぇかあ!!!」

 

新城は、五月の行動にツッコミを入れてしまった。

五月の言動に思わず二乃と上杉は、唖然とし三玖は、溜息を吐いた。

新城は、思わずマッハ20のタコを彷彿させてしまった。

すると二乃は、気を取り直して三玖に話しかける。

 

「・・・そう言えば三玖。前に間違えて飲んだジュース買ってきなさいよ」

「・・・もう買ってきた」

「えっ?」

 

そう言い三玖は、手元のビニール袋を指差す。

二乃は、その中身を取り出した。

中から出てきたのは・・・。

 

 

 

 

 

抹茶ソーダだった。相変わらず好きだなぁ〜・・・。

そして三玖は、二乃をスルーして勉強を始めた。

この子、思った以上に肝が据わってるな・・・。

 

「時間ないから始めよう?」

「そ、それもそうだな・・・」

 

そう言いなが上杉は、日本史のテキストを取り出した。

斗真も、2人のアシストを出来る様に教材を取り出した。

しかし二乃は、何処か面白くないような表情でこちらを見ていた。

 

「・・・アンタ何?そう言う陰キャ見たいなのが好みなの?悪趣味〜。

まあ、新城の顔は悪くないと思うけど」

 

二乃の指摘で思わずムッとしてしまった三玖。え、何故怒った?

 

「・・・2人共、気にしないで。二乃は面食いだから」

「お前も地味に酷いな・・・」

 

三玖の意外な切り返しで思わず突っ込んでしまった上杉。

斗真も彼女の言葉に思わず意外と言う表情を浮かべた。

 

「・・・そうか。三玖。このままじゃ、二乃は男は顔としか判断せず悪い男に捕まる可能性が高いぞ」

「・・・それは危険。二乃、その考えは改めるべき」

「アンタ等舐めとんのか!!?」

「に、二乃。落ち着いて下さい!!」

 

斗真の思いもよらぬ反撃に怒りを現す二乃を宥める五月。

上杉は、最早ついて行けずただただ戸惑うことしか出来なかった。

 

「(コイツ、下手したら女タラシクソ野郎に会ってる可能性が出てきたな・・・)」

 

など、唐突に旧友のコードネームを思い出す斗真。

そして、その考えに至った結果。

 

「(岡野に聞いてみるか・・・。つか、アイツ等って付き合ってたっけ?)」

 

などとここでは、場違いな事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

そんな考えは、他所に斗真が知らぬ間に2人が料理対決をする事になった。

審査は、腹の虫を鳴らしっぱなし上杉にして貰った。

結果からすると両者引き分けとなった。

上杉の舌が肥えてなさすぎで旨いかどうか分からなくなってしまったのだ。

結局、その日は授業は出来なかったので皆で食器や調理器具を片付ける羽目になってしまった。

 

「ご、ごめんね。二人共・・・」

「三玖が謝る必要はないよ。元を考えれば二乃の責任だ」

 

謝る三玖に対してフォローする斗真。

そこで上杉が声を上げる。

 

「・・・正直、二乃の奴と分かり合える日が来るとは思えない」

「・・・そんなことは無いと思いますよ」

 

上杉の言葉を否定する五月。

 

「誠実に向き合えば二乃も分かり合えますよ」

「・・・そんなのどうやって」

「・・・それを考えるのも家庭教師の仕事でしょ」

 

五月と三玖の話に頭を?にせざるを得ない上杉。

斗真は、彼女の行動にある推測を立てていた。

 

「(ここ最近では、俺達と関わりを持たせないように行動をしている。

  原因は、遠目で見ていて気づいたのは姉妹として心許している人物には明るく話している。

  そして、もう一つは、俺と上杉は、敵視している・・・。なるほど、そう言うことか)」

 

斗真は、推測の域ではあるがある程度の答えを導き出してきた。

 

「(二乃。その態度を続けるのなら・・・。

 

 

 

 

 

  下手したら取り返しのつかない事になるぞ)」

 

そう考えながら二乃のいる二階を見つめる斗真だった。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、俺達は帰るよ」

「・・・気をつけてね」

「四葉の問題集は直接渡すか三玖に頼むよ」

「・・・何故、三玖なのですか?」

 

「「クラスメイトだから」」

 

「息ピッタリですね・・・」

 

「「無い無い」」

 

「本当にピッタリですね!!?」

 

五月は、2人の思いも寄らぬシンクロ率に驚く事しか出来なかった。

 

「やれやれ。上杉。行くぞ」

「あ、ああ。それじゃあ2人共。しっかり課題やっとけよ」

 

そう言い2人は中野家を後にした。

 

 

 

 

 

「なあ、斗真」

「二乃の事、気になるのか?」

「・・・気付いてたのか?」

「少なからず、今のアイツじゃ何も変わらないだろう。

この先、突きつけられる現実に耐え切れるかどうか・・・」

「お前、結構怖い事言うな・・・」

 

などの話をしている時だった。

 

「・・・いけない。財布を忘れた」

「どうする?待ってようか?」

「どうせ取りに行くだけだから先に帰っててくれ」

「そうか。それじゃあ、また学校で」

「ああ。それじゃあ」

 

そして、斗真は駐輪場に向かいバイクに乗りガソリンの補充をしないといけない事を思い出し近くのガソリンスタンドに寄り道をしてから帰宅するのであった。

すると、そんな時。斗真の携帯にメールが届いた。

差出人は、上杉だった。内容は・・・。

 

 

 

 

 

助けて・・・。

 

ガソリンスタンドが丁度満タンになり急いで中野家に向かう斗真であった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第7話 一難去ってまた一難!?

最新話になります。
それと、当小説がお気に入り100件を超えました。
拙い文章ではありますが、今後ともよろしくお願いします。


では、どうぞ。


上杉から連絡を貰い大急ぎで中野家に引き返した斗真。

三玖に通して貰い部屋に向かう。

到着したら三玖が出迎えてくれた。

 

「・・・トウマ」

「三玖。状況は?」

「・・・今から裁判する」

「は?裁判?」

 

いきなり何の事か分からずじまいのまま三玖について行く。

そして・・・。

 

「これより上杉風太郎()()()()の裁判を始めます」

「・・・どう言う事だ?」

「実は・・・」

 

三玖の話をまとめるとこうだ。

財布を回収しに来た上杉は、風呂上りの二乃と遭遇。

彼女は、普段コンタクトレンズを使用している為、上杉だと気づかずどう言うわけか上杉が二乃を押し倒していた。

その状況を五月が撮影され、今に至る。

大雑把な説明を聞いた斗真は・・・。

 

「・・・帰っていい?」

「頼む斗真!見捨てないでくれ!!」

「急にメールで助けてって言われて急いで引き返してみれば・・・。

五月、写真見せて。状況を知りたい」

「はい。これです」

 

五月に見せて貰った写真は三玖の話を聞いた通り二乃を覆いかぶさっていた上杉だった。

 

「トウマ君。今から裁判を始めるので席について下さい」

 

一花のセリフに内心面倒だなと感じそのまま彼女の指示の元、席に着いた。

 

「裁判長」

「ハイ!原告の二乃君」

「この男は、マンションから出たと見せかけて私のお風呂上がりを待っていました。

悪質極まりない犯行に、我々はこの男と家庭教師補佐の出入り禁止を要求します」

「・・・捏造だ!?」

 

斗真は、二乃の発言を無視してこの状況に陥った原因を考えていた。

ヒントは、五月の写真の中に隠されている事にあった。

 

「(さて、どうしたことか・・・)」

 

すると斗真は、あることに気付いた。

 

「(二乃の手の甲が赤くなってる?)」

 

上杉の覆いかぶさった様子、五月の写真、二乃の手の甲・・・。

なるほど、そう言う事か・・・。

 

「コイツはハッキリ言った。()()に来たって。盗撮よ!」

「忘れ物を()()に来た。でしょ」

 

斗真は、彼女達の話を聞いた瞬間。こう思った。

 

「(日本語って難しいね〜)」

 

流石に三玖だけ話すのはいささか大変だろうから斗真は助け舟を出した。

 

「発言いいか」

「はい、どうぞ」

「マンションを出た後、奴は財布を忘れたと話していた。

その言葉はマンションのレコーダーと俺の証言で証明できる。

二乃の言い分は立証できない」

「フムフム」

「そもそも盗撮するとしても使い慣れていないオートロックシステムを利用してまでそんなややこしい真似をするでしょうか」

「言われてみれば確かに」

「と、斗真〜・・・」

 

上杉は、涙を流しながらこっちを見てきた。

よるな気色悪い・・・。

二乃は、何処か納得いっていない表情だった。

 

「裁判長〜。三玖はその補佐と一緒にいたいがために被告を完全な個人的な感情で庇ってま〜す」

 

すると、三玖は顔を真っ赤にした。

 

「ち、違・・・」

 

二乃の頓珍漢な発言に流石の斗真も頭に来たようだ。

 

 

 

 

 

 

「なあ・・・。

 

 

 

 

 

もういいか?

 

 

「「「!!!???」」」

 

冷たい雰囲気に皆思わず発言を止めてしまった。

皆が戸惑う中、五月は、斗真の変わりように思わず一花に抱きつき震えていた。

 

「と、斗真・・・?」

「もうこれ以上付き合ってられん。上杉の無実を証明させて貰うぞ」

「無実って・・・。なんでそんな事言えるのよ?」

 

二乃が疑問の声を上げるが斗真は無視して話を進めた。

 

「まず、上杉は、忘れ物を取りに来た。それは皆聞いているな」

「う、うん。三玖の証言もあるからそうなんじゃ無いかって皆が思ってる」

「上杉は、事故とはいえ偶然、二乃の裸を見てしまった。問題はこの後だ」

 

皆が?を浮かべる中斗真は話を続けた。

 

「本が異様に落ちているのは上杉が二乃を守っているようにも見える」

「言われてみれば・・・」

「確かに・・・」

「上杉は、忘れ物を取りに来たのと同時に何らかの事で二乃の頼み事を聞いた。

そして、棚の中にあった本が何らかの拍子で落ちてきて上杉が二乃を庇った。違うか?」

「そ、そうだ!斗真の言う通りだ!!」

 

上杉が慌てて声を上げるが二乃が噛みつく。

 

「な、何言ってんの!そんなのアンタの想像でしょ!?」

「残念だが証拠はある」

「え?」

「棚の中に入っていた本が落ちてきたのは棚に何かがぶつかった振動で落ちてきたんだろう」

 

すると斗真は、ニノの右腕を強引に掴み上にあげた。

 

「そしてこの手の甲。俺たちが来た時には、こんな痕のような物はなかった。

見てから30分も経っていない。まだ痛みが残っているんじゃ無いのか?」

「・・・!?」

「二乃、その手見せなさい!!」

 

裁判長でおふざけでいた一花は、いつもの姉の様子に戻った。

そして、五月は、救急箱を取り出していた。

 

「お前が俺達を嫌っているのは今はどうでもいい。

少なからず上杉がお前を助けたのは礼の一言は言うべきなんじゃ無いのか?」

 

斗真の言葉で二乃は、何も言えなくなった。

 

「上杉。そもそもお前がちゃんと事情を説明しなかったからこんな事になったんじゃ無いのか?」

「す、すまん・・・」

 

上杉は、申し訳なくなり斗真はため息を吐いた。

 

「それじゃあ、俺は帰らせて貰う」

「ちょ、ちょっと!何解決した感じ出してんの!?適当なこと言わないで!」

「二乃、しつこい」

「あ、アンタね・・・!」

 

三玖の追撃で怒りの矛先を変えた二乃。

 

「まあまあ、落ち着いて。昔は仲の良い五姉妹だったじゃ無い」

「・・・昔はって、私は・・・」

 

一花が、二乃を宥めるが突如、彼女が家から出て行った。

 

「・・・アイツ、出て行ったけどいいのか?」

「・・・うん。放っておけばいいよ」

 

三玖の言葉を皮切りに斗真と上杉は、帰宅の準備をするのであった。

 

 

 

 

 

エレベーターに乗って下に向かっている途中、上杉がボソッと呟いた。

 

「・・・アイツ等、これでよかったんだろうか」

「・・・人の家の事情に首を突っ込むべきじゃ無い。

突っ込むときは、手を貸して欲しい時だ」

「・・・斗真、お前」

「俺達のやることは、彼女達を無事に卒業させる事。

今出来るのはそれだけだ」

「・・・」

 

上杉は、斗真をジッと見つめた。

 

「・・・何だよ?」

「・・・お前ってたまに同級生かって疑う時があるんだが」

「・・・喧嘩売ってんのか?」

 

血管を浮かび上げて手をゴキゴキ鳴らして脅す斗真。

上杉は、高速で首を横に振り失言だったと詫びる。

 

「全く・・・」

 

斗真は、思わずため息を吐く。

そして、エントランスに到着しマンションを出てふと横を見ると・・・。

 

 

 

 

 

体育座りをしている二乃がいた。

すると二乃は、斗真達の存在に気づくとエントランスに向かった。

しかし、二乃が入る前に自動ドアが閉まった。

 

「っ使えないわね・・・!」

 

二乃は、鍵を持たずに家を出てきてしまったようだ。

流石に姉妹に頼むのもバツが悪いようだ。

 

「何よ。アンタ達の顔なんて見たく無いわ」

「・・・そうかよ。悪かった」

 

そう言い上杉と斗真は、マンションを後にしたが・・・。

その途中で上杉が足を止めた。

 

「上杉?」

「悪い、斗真。先に帰ってくれ」

 

上杉がそう言うとそのまま引き返した。

斗真は、なるほどと納得した。

そして、斗真も引き返し・・・。

 

 

 

 

 

少し離れた場所に彼女の隣に座った。

 

「・・・何してんのよ」

「解けない問題があってな。それを終わらせないと気が済まないんだ」

「俺はバイト先に連絡しないといけないのを思い出したから今の内に済ませてるんだ」

「・・・あ、そう」

 

そして、僅かながら沈黙が訪れる。

 

「・・・ホント、みんなバカばっかで嫌いよ」

 

上杉は、その呟きに反応した。

 

「・・・それは、姉妹達もか?」

 

その言葉に二乃は僅かに反応した。

 

「それは嘘だな」

「・・・嘘じゃ無い!アンタ等みたいな得体の知れない男達を招き入れるなんて、どうかしてるわ・・・」

「5人の家にアイツ等が入る余地なんて無い」

「!」

 

斗真は、その言葉を聞いた時、二乃の異常なほどの敵視している理由が納得した。

 

「・・・姉妹を思うが故、自分が憎まれ役になれば他の姉妹を守る事ができる」

「・・・何よそれ、勘違いも甚しい。キモッ・・・」

 

それだけ言うと再び沈黙が訪れた。

 

「・・・フフッ。分かる。分かるぞ二乃。俺にも妹がいてな・・・」

「・・・そうよ」

 

何か言い出したぞ?

 

「私、悪くないよね。よくよく考えたら何で私が落ち込まなきゃいけないわけ!?」

 

突如、二乃が何かやる気みたいなの出し始めた。

どう言う事だ?

そして、斗真達に向けて笑顔でこう宣言する。

 

「私は、アンタ等を認めない。

たとえ、あの子達に嫌われようともね」

 

そう宣言すると上杉は、顔を青くしていた。

するとエントランスから三玖が出てきた。

 

「二乃。いつまでここにいるの?早く帰るよ。

あ、トウマ。明日の事なんだけど・・・」

「さ!帰るわよ。三玖!」

「え?まだ話が・・・」

 

二乃は強引に三玖を連れて帰った。

そして、ドアが閉まる直前に俺達の方に視線を向けて「ベーッ!」と舌を出した。

 

「・・・どうしたらこうなるんだ」

「上杉〜。帰るぞ〜」

「と、斗真!?」

 

余りにも変わりのない友人に思わず驚きの声を出してしまった。

 

「お、お前、言われっぱなしでいいのかよ?」

「言わせておけ。それに、アイツはそのうち自滅するだろうよ」

「じ、自滅?おい、それって」

「勘違いするな。自殺するとかそんなのじゃねえよ」

「じゃあ、何に?」

 

 

 

 

 

「自分だけ何も変わらないジレンマに押し潰されるだろうよ」

 

上杉は、その言葉の意味は、全く分からず首を傾げた。

斗真は、疑問を浮かべている上杉を放ったらかしにしてそのまま帰った。

バイクに乗せて行かない?彼は、免許を取って半年しか経ってないので2人乗りできません。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第8話 恩師の再会

タイトル通りになります。


では、どうぞ。


とある休日。

上杉が悶えている中、斗真はバイクでとある場所に向かっていた。

そして、駐輪場にバイクを置き、ある建物の中に入っていった。

その建物は・・・。

 

 

 

 

 

防衛省

 

 

 

 

 

入館の手続きを終えて中に入り、迷わず1つの部屋に向かって行った。

そして、その場所に到着しドアをノックした。

 

「入りたまえ」

「失礼します」

 

ドアを開き中に入るとそこには30代の男性と20代の金髪の女性がいた。

 

「ご無沙汰しております。()()()()

「ああ、元気そうだな。新城君」

「なーにー?こんないい女放ったらかしで男同士で話を進めないでよ」

「何だ、いたんだ()()()()()

「ハッ倒すわよこのクソガキ!!」

 

今やりとりしている人物は、烏間惟臣(からすまただおみ)

2年前、暗殺教室時代に暗殺技術を教えてくれた副担任だ。

もう一人は、烏間イリーナ。旧姓:イリーナ・イェラビッチ。

察しの通り烏間先生の奥さんだ。

彼女は、元は腕利きの殺し屋だったが暗殺教室での様々な出来事を通してゴールイン。

暗殺教室卒業後の1年後に婚約をしたのだ。

現在は、夫婦共に防衛省で勤務をしている。

 

「新城君。イリーナと話している所悪いが早速本題に入りたい」

「ああ、すいません」

 

斗真は、自分の非を謝罪し早速本題に入る。

 

「それで早速だが、君が睨んだ通り柳沢が雇っていた人物達が中野姉妹達を標的にしていた」

「やっぱり・・・」

「だが、柳沢という雇い主がいなくなり収入源を断った怒りで新城君を狙いに絞っている。

彼女達を標的にして中野先生の資産を狙っていると言うことはないだろう」

「そうですか・・・。渚達の方は?」

「被害は報告されていない。念の為、秘密裏に護衛を付けている。

だが、何名かは護衛に気付いているみたいだが・・・」

「て言うより、アンタが無茶しまくったせいでウチの旦那がどれだけ怒ったことか」

「・・・・・・」

 

斗真は、痛い所を突かれて言葉が詰まってしまった。

以前話した通り、斗真はお叱りと殺人ゲンコツを貰っている為、烏間先生に頭が上がらないのだ。

 

「とにかく、下手に暴れるんじゃないわよ。

アンタは、()()()()()()欲しくないのよ」

「・・・そうならないように願いたいですね」

 

それだけ話して斗真は、先生達に挨拶し後にした。

 

「どう思う?」

「・・・彼が戦う時は、何かを賭けてのことだ」

「ガキどもの為と、自分が生きる為・・・」

「俺達が出来る事は、限られている。とにかく、急いで柳沢の残存勢力を探さないとだな」

「ええ」

 

そう言い2人は、仕事に戻った。

 

 

 

 

 

斗真は、話を終えた後、駐輪場に向かっていた。

すると突如、携帯がなった。

電話の相手は、中野先生だった。

 

「はい、新城です」

『やあ、新城君。済まないが今よろしいかね』

「問題ないです。それで、用件は?」

『君の給料を渡したいのだが空いている日を教えて欲しくてね』

「ああ〜・・・。今から待ち合わせをして渡してもらうってのは駄目ですかね?

一応、外出中ですので今から移動すればいいですし。

江端さん辺りが動けるんじゃないでしょうか?」

『確かにその案はありだが、給料は娘達に預けてしまっていてね。

それでは二度手間になってしまう。それと聞いた話では、娘達と誰一人とも連絡先を交換していないようだね』

「・・・それは、単純に忘れていました」

『娘達には、今日向かうと話しておく。では、私も仕事に戻らないといけないのでね』

 

そう言い中野先生は、電話を切った。

 

「・・・行くか」

 

そう呟き、バイクを走らせた。

 

 

 

 

 

場所は変わり中野家。

三玖は、1つの封筒を手に持っていた。

 

「三玖。そんなに気を張らないで。トウマ君はちゃんと来るって」

「・・・でも、パパもパパよ。江端さんに頼めばいいのに」

「まあまあ、二乃。江端さんも忙しいんだからそう言わないの」

 

二乃の怒りを宥める四葉。

その時だった。

 

ピンポーン。

 

「はーい!」

『新城だ。何か中野家に来るよう言われたんだが』

「・・・トウマ。今向かうからマンションのエントランスで待ってて」

「え?み、三k」

 

三玖は、それだけ伝えるとそのまま貴重品と封筒を持ち家を出た。

予想外の行動に一花、二乃、四葉は、ポカーンとした表情をしていた。

 

 

 

 

 

斗真は、余りにも唐突な事が起きたのでそのまま彼女の言う通りエントランスのベンチで待っていた。

途中、マンションの管理人がこちらにきて何をしているんだと聞かれたがここで待っててくれと言われて同じ高校の子だと話すと「青春だね〜」とだけ言われてその場を離れた。

何のこっちゃと疑問を浮かべていたがエレベーターが到着した音が聞こえるとエレベーターから三玖が出てきた。

 

「トウマ」

「三玖、すまない。いらない手間を掛けたな」

「ううん。トウマと一緒に話をするのは楽しいから・・・」

「・・・嬉しい事言ってくれるね」

 

そんな優しい雰囲気が流れる中、三玖は、手元の封筒を斗真に渡した。

 

「・・・これ、今月の給料」

「ありがとう」

「・・・ねぇ。トウマ」

「ん?」

「・・・今日、この後、暇?」

「え?空いてるけど、何かあるのか?」

「今日、花火大会なんだけど一緒に行かない?」

「・・・え?」

 

そう。その日は花火大会が行われるのだ。

斗真も花火大会があるのを知っていたが家からでも見えると言う事もあって外出せずに自宅で花火を楽しんでいた。

 

「・・・ダメ?」

 

瞳を潤わせながら斗真に聞いてくる三玖。

斗真は、思わず頬を赤くした。

 

「(その瞳は反則だ・・・)」

 

斗真は、一度咳込んだ。

 

「いいよ、行こう。花火大会」

「本当!?」

「ああ。いつもだったら家で花火の音を聞くけどたまには見に行くのも悪くないだろう」

「じゃあ、今日の夕方。ここで待ち合わせ」

「了解した。ああそれと、三玖」

「何?」

「連絡先交換しないか?

俺等友達になのに連絡先知らないからさ」

「うん。いいよ」

 

そう言いつつポケットにしまっていた携帯を取り出しお互いの連絡先を交換した。

無事に連絡先が交換を終えると三玖は嬉しそうな表情をしていた。

 

「それじゃあ、今日の夕方に」

「うん。後でね」

 

そう言いながら三玖は、エレベーターの方に向かって行った。

斗真も、夕方の花火大会の準備の為、一度、帰宅するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。三玖から改めてメールをもらい指定した時間に待ち合わせをする為、自宅を出た斗真。

そして、夕方。

 

「何でアンタがここにいるのよ!?」

「出会って早々に失礼な奴だな」

 

マンションの出入口前で三玖を待っていた所、五月以外の全員が浴衣姿で出てきた。

そして、斗真を見つけるや否や文句を言われる始末。

 

「俺は、三玖に花火大会に誘われてここで待ち合わせしていただけだが」

「はあ?妄想も大概にしなさいよ!」

「・・・トウマの言う通り、私が呼んだ。

二乃にどうこう言われる筋合いはない」

「・・・な!?」

 

思い掛けない横槍で驚きを隠せない二乃。

 

「まあまあ、三玖が誘ったんだしいいじゃない?

大勢の方が楽しいでしょ?」

 

一花が二乃を宥め斗真がいても問題ない状況を作った。

 

「そういえば、五月はどうした?

姉妹全員で花火大会に行くなら呼ぶべきじゃないのか?」

「五月なら上杉さんお金を渡しに行きました」

「アイツ。家知っ・・・てたな」

 

知らないと思っていたが以前、二乃が睡眠薬で眠らせた時、上杉を自宅に送った事を思い出した。

それもあってか知っててもおかしくないなと斗真は、自己完結した。

 

「ならどうするんだ?三玖に誘われて来たが具体的なプランは知らんぞ?」

「屋台を回りながら時間を潰した後、お店の屋上を貸し切っている所があるのでそこで花火を見ようってことになってます!」

「・・・ブルジョワが」

 

斗真は、彼女達の予定を聞いて思わず毒付いてしまった。

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん・・・。斗真さんと五月さんが4人いるよ・・・?」

「え?」

 

上杉の妹、らいはちゃんが唖然とした表情でこちらを見ていた。

そして、視線の先には上杉と五月が一緒にいた。

斗真は、上杉に対して・・・。

 

「妹と遊びに行くフリをしてデートかよ」

 

 

「「違う/違います!!」」

 

 

と言うツッコミを繰り出す2人だった・・・。

 

 

 




当作品での烏間先生とビッチ先生の婚約時期は、独自に考えた際の時になります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第9話 思い出の花火

お気に入りが150件以上になりました。
ご愛読ありがとうございます。


では、最新話です。どうぞ。


三玖に誘われ花火大会に行くことになった斗真。

祭りに向かう途中で、上杉と五月、そしてらいはちゃんと遭遇した。

そして、皆で夏祭りに行こうとなったのだが・・・。

 

「おい上杉。何で俺達は中野家にいる?」

「それはだな・・・。

 

 

 

 

 

こいつ等が宿題をやっていなかったからだ!!」

 

斗真は、思わず呆れると同時に溜息を吐いた。

そう、彼女達は上杉が出した課題とは別に学校の課題を全くしていなかったのだ。

斗真も課題を終わらせないといけない人間なのだが週末、と言うより日曜日は、恩師に会いに行っていた為日曜日には課題が行えないと考え前日に終わらせたのだ。

当然、彼は椚ヶ丘の生徒で上位争いをした人物である為、課題なんて1時間もあれば終わるのだが、余裕を持たせておくと言う意味で早急に終わらせたのだ。

そんな訳で、斗真は今、三玖の課題を見ている。

 

「三玖。その問題は、この公式を使うんだ」

「・・・あ、解けた」

「後の問題も似たようなものだからこの公式を使うんだ。

また分からなくなったら言って」

「・・・うん」

 

などとなるべく答えは教えず、飽くまでヒントを出している。

三玖は、そのヒントを元に問題を解いている。

そんなこんなで・・・。

 

「・・・一番乗り」

「え!?」

「嘘!?」

「三玖早い!」

「いつの間に・・・」

「お疲れ様」

 

中野姉妹達が驚く中、上杉は特に何も思っていない。

むしろ流石だと思った。

 

「(流石、椚ヶ丘学年首席で卒業しただけの事はあるな・・・)」

 

彼は、高校1年からの付き合いである為、斗真が椚ヶ丘の出身である事は知っている。*1

上杉は、数回程、斗真に勉強を見て貰ったことがあり教え方が丁寧なのは知っているのだ。

その為、以前彼が百人力だと言った言葉の意味は彼の指導力の高さも理由の一つなのだ。

 

「三玖!その解答見せなさいよ!!」

「んな事やってないで、早く終わらせたらどうだ?余計時間を食うぞ」

「グヌヌヌ・・・」

 

斗真の横槍のせいで二乃は、まるで仇を取られたような表情をしていた。

 

「全く、どうなることやら・・・」

「斗真?」

「何でもない。三玖。頑張った褒美で屋台で1つ好きなの奢ろう」

「本当!?」

「ちょっと!何、三玖にだけ優しくしてんのよ!!?」

「贔屓だ贔屓だ〜」

「ブーブー!!」

「三玖だけズルイです!!私も奢って下さい!」

「そんな事言ってていいのか?」

 

そう言いながら時計の方に視線を移すと時刻は、17時半を指していた。

 

「ヤバっ!急がなきゃ!」

 

三玖以外の姉妹達は大急ぎで問題を解いた。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、無事に課題を終わらせ祭りの屋台を堪能している一同。

 

「はあ~・・・。疲れた」

「体力なさすぎだ」

「何ですか?祭りに相応しくないその顔は」

 

そういいながらアメリカンドッグを手にこちらに来たのは五月だった。

斗真は、気づいたが上杉の方はというと・・・。

 

「誰だ?」

 

全く気づいていなかった・・・。

 

「その声は五月か?」

「その通りです。新城君」

「・・・よく気付いたな」

「声で推測。手に持っている物が食意地の証拠」

「・・・納得した」

「納得しないでください!!それと新城君!私はそこまで食意地は張っていません!!」

「手に持っている物のせいで説得力何て存在しない」

 

斗真にそう指摘されるとしまったという表情をしてアタフタしていた。

 

「アハハ。新城君の洞察力は凄いね~」

「まあな。(それくらいできないとあの教室ではやっていけなかったよ)」

 

などとしみじみに思い出していた。

 

「ところで2人共。浴衣は本当に下着を着ないのか興味ない?」

「それは昔の話だ。知っている」

「本当かなぁ?なら・・・。

 

 

 

 

試してみない?」

「やめろ一花。嫌な事を思い出す」

 

斗真は、手元に持っていた缶ジュースが握り潰れて顳顬に血管を浮かべていた。

斗真の言う嫌な事を思い出すと言うのは暗殺教室時代、ビッチ先生の英会話授業で指名された際に正解しようが不正解であろうが問答無用でディープキスをして来たのだ。

斗真は、あの手この手でビッチ先生に迫られて回避して来たが向こうも向こうでしつこく迫って来てついに斗真の堪忍袋の尾が切れて脳天瓦割りをした。

この事があってか、ビッチ先生は斗真に対してディープキスはして来なくなった。

と言うより色気の類が苦手になった・・・。

そう言うのは本当に好きな人同士でやれと感じた斗真がいたとか・・・。

因みにこれを受けた本人は、「体が半分になるかと思った」と言うほど痛いらしい。

※別にキスが嫌いと言う訳ではなく斗真はビッチが嫌いなだけである。

 

「ご、ゴメンゴメン!冗談だから」

 

一花も、流石に斗真の怒りには揶揄わずすぐに謝罪した。

すると、一花の携帯が鳴りその場を少し離れた。

一花が電話が鳴っている最中、二乃が斗真達と合流した。

 

「お兄ちゃ~ん!!」

 

そんな時、らいはちゃんの声が聞こえた。

 

「見て見て〜!四葉さんが取ってくれたの〜!!」

 

その時、上杉は彼女の手に持っている物に目が行ってしまった。

そこには、大量の金魚が袋一杯に詰め込まれていた。

 

「何をどうやったらこうなる・・・?」

「(金魚の袋詰め・・・。磯貝を思い出すな・・・)」

 

斗真は、以前再会した磯貝を思い出していた。

彼の家は貧乏で生活が大変で100円で一食浮いたと話していた。

それが金魚袋詰めだった。

因みに、後にクラスメイトから聞いたのだが金魚を調理し食したと話していた。

美味しかったと話していた。それを聞いた斗真も驚きと大丈夫なのかという不安の両方があった。

※大事には至らなかったと話していた。

 

「後、これも買ってもらったんだ!」

 

らいはちゃんが取り出したのは、花火セットだった。

 

「それ、今一番いらない奴!」

「四葉、気が早すぎだろ・・・」

 

斗真と上杉は、思わず頭を抱えてしまった。

 

「四葉のお姉さんにちゃんとお礼は言ったか?」

 

らいはちゃんは、上杉に言われて四葉にお礼を言った。

 

「ありがとう四葉さん。大好き!!」

 

四葉は、思わずハートにクリティカルしたようだった。

 

「ああ~ん。らいはちゃん可愛すぎます~!妹にしたいです!!」

 

すると四葉は、何かひらめいたようだ。

 

「ちょっと待ってください。このまま上杉さんと結婚すれば合法的に姉と妹にできるのでは?」

「アンタ自分が何を言ってるか分かってる?」

「何故、勉強はできないのにその発想の回転は速いんだよ・・・」

 

二乃がツッコミ、斗真は呆れてしまった。

 

「と言うより、そろそろ花火が始まるから移動した方がいいんじゃないのか?」

 

斗真の提案で花火が見えるお店に移動する事になった一同。

上杉も屋上を貸し切ったと伝えた時、思わず「ブルジョワか!?」と突っ込んだ。

 

「(やはり俺の感性は間違いでは無かったか・・・)」

「待ちなさいよ」

 

すると、二乃は皆にストップをかけた。

 

「せっかくお祭りに来たのに()()を買っていないわ」

 

「「「ああ!」」」

 

「アレ買ってなかったね!」

「売っていますかね?」

「アレは買っておかないと」

「早くアレ、食べたいな〜」

 

姉妹それぞれ反応し、思い出していた。

 

「・・・何だよ。アレって」

「せーのッ!!」

 

「かき氷/リンゴ飴/人形焼き/チョコバナナ/焼きそば!!」

 

「「えっ?」」

 

斗真と上杉は、思わず戸惑ってしまった。

 

「「「全部買いに行こー!!」」」

 

「お前等全員五つ子なのか、疑わしくなって来たぞ・・・」

「・・・右に同じく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二乃の先導により貸切の店に向かう一同。

そんな中、五月が何やら不満な表情をしていた。

その理由は・・・。

 

[お、別嬪さんだね!これはサービスだ!!]

 

五月が貰った人形焼きの量が普通で一花が山盛りの人形焼きを貰ったのだ。

 

「どう言うことですか!?顔は全く同じなのに!」

「・・・複雑な五つ子心」

「不憫だな・・・」

 

斗真と三玖は、思わずそう呟いたのであった。

そして移動の途中、一花、四葉、五月、らいはちゃんは、各々行動し始めた。

 

「アンタ達遅い!」

 

二乃は、移動しながらこちらに文句を言って来た。

 

「妙にテンション高いな・・・」

「三玖。花火大会に思入れとかあるのか?」

「・・・花火は、お母さんとの思い出なんだ。

お母さんが花火が大好きで毎年みんなで花火を観に行ってた。

お母さんがいなくなってから毎年揃って。

私達にとって花火はそう言うもの・・・」

「・・・スマン。失言だった」

「気にしないで・・・」

 

そして、斗真はこの時ある事を思った。

彼女(二乃)は家族が大好きで・・・。

 

 

 

 

 

変わっていく事を恐れ、家族が離れ離れになるのを恐れている。

 

「(変化を恐れていては自分の殻を破る事はできないぞ。二乃・・・)」

 

そんな事を思っている斗真だった。

その時・・・。

 

『大変長らくお待たせしました。これより花火大会を始めます』

「(マズい・・・!?人が移動し始める!)」

 

斗真は、急いで三玖の手を掴んだ。

 

「・・・と、トウマ///?」

「このままじゃ逸れる。この手、絶対に離すなよ」

「う、うん・・・痛ッ!」

 

一瞬、三玖の顔が歪んだ表情を見せた時、斗真はマズいと思い出来るだけ急いで人混みを抜け出した。

 

 

 

 

 

人混みを抜けて何とか一息付いた斗真と三玖。

そして、三玖の足を応急処置をした。

 

「応急処置だが一先ずこれで大丈夫だ・・・」

「・・・ありがとう」

 

三玖は、お礼を言ったが不安な表情を浮かべていた。

 

「しかし、参ったな・・・。下手に移動すると見つからない可能性が出て来たな・・・。

上杉に連絡でもしてみるか」

 

斗真は、携帯を取り出し電話をするが人混みの影響のせいか電波受信が良くない。

 

「電波が悪過ぎる・・・!」

「・・・こっちも繋がらない」

 

最早手詰まりになった時だった。

すると周囲が突如明るくなった。

斗真は、空を見ると花火が打ち上がっている様子を目撃した。

 

「最悪だ・・・!花火が始まりやがった。・・・!?」

 

悪態をついていると、突如斗真の携帯がなり携帯を見る。

相手は上杉だった。

 

「上杉!ナイスタイミングだ!もしもし」

『繋がった!斗真、今どこにいる?』

「歩道橋の下。三玖と一緒にいる」

『本当か!?』

「それで、そっちは誰と一緒だ?店の場所が分からない以上、下手に動きたくない」

『ああ、それで・・・』

 

斗真は、店の場所を上杉から聞き出しその場所には二乃と一緒にいると言う情報を得た。

そして、上杉が彼女達を探すべく一人で残りの姉妹を探しているとのこと。

 

「分かった。直ぐに向かう」

『気をつけてな。それと、一花を見たか?』

「一花を?いや、見てはないが・・・」

『実は、妙な髭のおっさんと一緒に行動してたんだ』

「・・・分かった。こっちも移動しながら調べてみる」

『ああ。頼んだ』

 

斗真は、その話を終え通話を切った。

 

「・・・トウマ?」

「三玖。実は・・・」

 

斗真は、上杉と電話で聞いた情報を三玖に教えた。

すると三玖は、何やら心当たりがあるようだった。

 

「・・・それらしい人が車の中から?」

「一回だけ見たことある・・・」

 

斗真は、三玖の話を聞いた時、頭を動かした。

 

「・・・ダメだ。情報が少なすぎる」

 

しかし、持っている情報が少なすぎる為頭をガシガシする。

 

「とにかく、店の方に移動するか・・・」

 

斗真は、そう言い立ち上がり三玖に手を差し出した。

 

「歩けるか?」

「・・・うん、ありがとう」

 

差し出した手を三玖はその手を取った。

その時だった。

 

「すいません、アンケートにご協力をお願いしているのですが・・・」

「カップルですよね?」

 

「「・・・えっ?」」

 

 

 

 

 

一方、上杉は、一花と合流して姉妹達の合流地点のお店に向かうはずだったが・・・。

 

「・・・私は皆と一緒に花火を見れない」

 

果たして、彼女が言った言葉の意味とは・・・?

 

 

 

*1
勿論、暗殺教室のことは知らない




中途半端になってしまい申し訳ありません。
今回は、ここまでとします。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第10話 五等分の幸せ

今回は、投稿した中で一番長いかもしれません。


では、どうぞ。


花火大会が行われる為、一緒に見に行こうと三玖に誘われた斗真。

五つ子と上杉兄妹と一緒に見て回ることになった。

しかし、人混みの多さで皆と離れ離れになってしまった。

斗真は、三玖と合流し二乃が予約した店に向かう事を決めた。

その時、女性2人組が街頭アンケートをしていてそれに捕まってしまった。

 

「・・・え?いや、その」

「カップルですよね?手を繋いでいますし・・・」

「ち、違・・・」

「すみませんが、そう言う関係ではありません」

 

「「えっ?」」

 

アンケートを行なっている女性2人は、驚いた。

三玖は、何故か不満そうだった。

 

「彼女は、先ほど人混みの中で足を踏まれて怪我をしました。

その為、彼女の怪我を悪化させないように対応していただけです。

それと、勝手な先入観を持たないで下さい。

もし、冷やかしならこちらとしては迷惑なのですが?」

 

斗真の怒気を含んだ声に萎縮したのか女性2人は「すいません」と一言だけ言ってその場を去った。

 

「・・・全く、迷惑な奴らだ」

「・・・トウマ?」

「あ、悪い。怖がらせたな」

「・・・ううん。大丈夫」

 

しかし、何故か三玖は、ご機嫌斜めで「ムスッ!」と私、怒っていますと言う表情をしていた。

 

「えっと三玖?何でそんな不機嫌なの?」

「・・・トウマ、切腹」

「何で?!」

 

三玖は、物騒な事を言い出し斗真は、何が何だか分からずただ混乱していた。

すると三玖は、何かに気付いた。

 

「・・・トウマ。アレ」

 

斗真は、視線を向けると人混みをキョロキョロと見て回る五月がいた。

 

「・・・五月!」

「よかった・・・」

「俺が連れてくる。ここで待っててくれ」

 

斗真は、それだけ伝え五月の元に向かった。

 

「・・・」

 

斗真の背中を見つめる三玖は、突如寂しげな表情を浮かべた。

 

「・・・どうして、トウマばかり見るんだろう・・・?」

 

恋という花火は、直ぐには打ち上がらないようだ・・・。

 

 

 

 

 

「五月!」

「新城君!?」

 

五月を見つけ声を掛けた斗真。

肝心の五月は、自分を見つけたのが斗真だったのがかなり意外だったようだ。

 

「そんなに驚くことか?」

「す、すいません!上杉君だったらどうしようと思ってしまいまして・・・」

「・・・アイツに恨みでもあるんか?」

 

斗真は、五月の言い分に困惑するしかなかった。

 

「とにかく行くぞ。向こうで三玖が待ってる」

「本当ですか!?」

「とにかく合流するぞ」

「は、はい!」

 

こうして、何とか彼女を先導していく斗真だった。

そして移動中、五月がある事を聞いて来た。

 

「・・・新城君。聞いてもいいですか?」

「何だ?」

「・・・貴方は、家庭教師の補佐の身でありながら何故ここまでお節介を焼くのですか?」

「・・・三玖に聞いたんだ。毎年、花火を見ている理由」

「!」

「そんな事情を聞くと嫌でも助けたくなるんだよ・・・。俺は」

「・・・そうですか。では、もう一つ聞きます。新城君・・・。

 

 

 

 

 

貴方は、何者ですか?」

 

斗真は、思わず足を止めた。

 

「何者?俺の事は、ある程度知っているんじゃないのか?

お前等五つ子と同級生で三玖のクラスメイト。それだけだと思うが」

「貴方が異常な程高い身体能力と皆が気づかぬ間にキッチンにいた事は二乃から聞きました。

正直、ただ鍛えただけでは説明がつきません。それに、二乃と上杉君の冤罪の時だって・・・」

 

五月は、僅かながら震えていた。

どうやら斗真の怒りの様子を思い出し怖がってしまったのだろう。

 

「・・・怖がっているのなら話さない」

「・・・!」

「知りたい以前にお前は、俺を怖がっている。

そんな奴が俺を知りたいなんてよく言えた物だ」

「し、しかし・・・。それでも私は・・・!」

「仮に何かあったとしても話すつもりはない。

行くぞ。三玖が待ってる」

 

そう言いながら斗真は、早く行こうと催促し三玖の元に向かう。

 

 

 

 

 

一方、三玖は、斗真と離れた後、自身を写していた窓ガラスを見ていた。

斗真と待ち合わせをし皆と花火大会に行く前、三玖は、一花に問い詰められていた。

 

【ねえ、三玖。どうして、トウマ君を誘ったの?】

【い、一花には関係ない・・・】

【ふーん・・・。ねぇ、折角だから髪型変えてみたら?】

【え!?】

【もしかしたら喜ぶかもよ】

【い、いいよ。恥ずかしいし・・・】

 

と言われながら少しばかり揶揄われていた。

 

「(斗真は、褒めてくれるかな・・・?)」

 

三玖は、そう思いながら髪の毛をセットし始めた。

 

 

 

 

 

場所は変わり、五月と斗真が人混みの中を移動しようやく人混みを抜けた。

しかし、ここで新たな問題が発生した。

 

「三玖が・・・いない!?」

「待ち合わせの場所、間違えたんじゃないんですか?」

「それはない。オマケに三玖は、足を踏まれて怪我をしている。

そんなに遠くにはいけないはずだ」

「あ!新城君、アレ!!」

 

五月は、三玖を見つけた。

しかし、肝心の三玖は、見知らぬおっさんにどこかに連れて行かれていた。

 

「三玖!?」

「追わなければ連れて行かれますよ!?」

「だが、お前を置いていくのは・・・」

「私は大丈夫ですので、行ってください!」

「ああもう仕方がない!

店の場所を教えるからそこに行け!」

「新城君!」

 

五月は、斗真を呼び止めた。

 

「・・・三玖の事、よろしくお願いします」

「了解した」

 

斗真は、五月にそう言い三玖を追いかけた。

 

 

 

 

 

場所は変わり、上杉と一花がいる路地裏。

一花と合流できた上杉は、彼女を二乃の元に連れて行こうというとしたが一花がそれを拒否。

すると、一花と一緒に行動していた男性が一花?を見つけた。

しかし、その人物は・・・。

 

「三玖!?もしかして、私と間違えて・・・」

 

そう、男性は、一花と三玖を間違えて三玖を連れて行こうとしていた。

マズいと思った上杉達は、2人を追いかけていた。

上杉が三玖を見つけの強引に引き離そうとした時、突如、()()が横切った。

そして、男性の手は三玖から離れていた。

上杉、一花、三玖、男性は驚きの表情を浮かべた。

そこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

「これ以上、()()()()()に迷惑をかけないで貰いたい」

 

直ぐそこにいなかったはずの斗真だった。

 

「斗真!?」

「トウマ君!?嘘!?いつの間に!?」

「な、何だ、君は!?」

「聞こえなかったのか?大切な友達と言ったんだ」

「と、友達?悪いけどこれ以上君に構っている暇は無いんだ」

 

そう言い男性は、再び三玖の手を取ろうとした時、斗真は掴んでいた手で・・・。

 

 

 

 

 

背負い投げをした。

 

「ガハ!」

 

一瞬だが男性は、過呼吸になった。

上杉、一花、三玖は、斗真の行動に思わず驚きと困惑の表情を浮かべてしまった。

そして斗真は、その流れで男性の腕を締め上げ動きを封じにかかった。

 

「イタタタ!!」

「そういうアンタこそ何者だ?

三玖を連れて行こうとするなんて何を考えていやがる?」

 

すると、唖然としていた一花が意識を取り戻し斗慌てて斗真を止める。

 

「トウマ君、ストップ!その人私の知り合い!!!」

「はっ?一花!?いつからいた?」

「今さっき!ていうかその人を放して!」

「・・・・・・」

 

斗真は、何処か納得してないが素直に彼女の頼みを了承し離した。

男性は、痛みのあまり締められた右腕をゆっくりと回した。

 

「・・・ちょっと容赦なさすぎじゃ無いかな?」

「知るか。それでいい加減話してくれないか?何故、間違えて三玖を連れて行こうとした」

「間違えて?何を言っているんだい?この子は、ウチの大切な若手女優なんだ!」

 

その言葉に反応したのは、上杉だった。

 

「え?若手女優?」

「ん?一花ちゃん!?え?何で一花ちゃんが2人!?」

 

すると斗真は、若手女優である事を思い出した。

 

【気になる女優?】

【エキストラの子なんだけど最近注目している子がいるんだ】

【茅野が言うんだったらその子、今後絶対売れるだろう。どんな子だ?】

【えっとね、フルネームは分からないんだけど・・・。

 

 

 

 

 

名前が一花っていうのは覚えてるよ】

 

そう、斗真が思い出したのは嘗てのクラスメイトで元天才子役・磨瀬榛名(ませはるな)

名は、茅野カエデ。

彼女は、1年前に女優として復帰しその年で主演映画に抜擢される程の実力も有している。

そして、時間を見つけてはクラスメイトと遊んだり交流を持っている。

因みに、彼女の最近の悩みは渚と進展がないのが悩みの種だとか何とか・・・。

 

 

 

 

 

斗真は、今になってこの事を思い出し頭を抱えていた。

 

「(このおっさん。芸能プロダクションの関係者かよ・・・。胡散臭えぇ・・・)」

 

斗真は、何処か納得していないようだった。

 

「勘違いしてしまったのはこちらの落ち度だ。本当に申し訳ない。

だが、これから一花ちゃんには大事なオーディションがあるんだ。この辺で失礼するよ」

 

男性は、そう言いながらその場を離れた。

一花もそれについて行った。

 

「一花は、それでいいのか?」

「・・・ゴメン。みんなによろしく」

 

それだけ言い、その場を後にした。

 

「上杉。一花を頼めるか?」

「・・・分かった。三玖を頼んだ」

 

それだけ伝え、上杉は、一花を追いかけた。

 

「・・・トウマ」

 

すると突如、斗真は、三玖の方に向き・・・。

 

 

 

 

 

優しく抱きしめた・・・。

 

「と、トウマ!?」

「・・・すまなかった」

 

三玖は、その言葉を聞いた時、心配させてしまった罪悪感を浮かべてしまった。

 

「ううん・・・。トウマが来てくれて嬉しかった」

 

そういうと何処か優しげな表情を浮かべる三玖だった。

 

「ああ〜・・・それと、三玖。個人的な事なんだが・・・」

「・・・何?」

「その髪型、似合ってる。たまにでも良いからその髪型にして貰ってもいいか?

も、もちろん!三玖が嫌じゃなければの話だけどな!!」

 

斗真のアタフタしている様子に思わず笑ってしまった三玖。

 

「うん。いいよ。また機会があったらね」

「いや〜。青春ですなぁ〜」

 

「「!?」」

 

突如、第3の声が聞こえた。

斗真と三玖は、慌ててその声の方に視線を向けた。

そこには、ニヤニヤしていた四葉と目を輝かせていたらいはちゃんがいた。

 

「よ、四葉!?」

「らいはちゃん!?いつから見てた!?」

「新城さんが三玖に髪型のお願いをした時からです!」

「oh・・・」

 

斗真は、思わず遠い目をしていた。

肝心の三玖は、顔を真っ赤にし両手で顔を隠していた。

すると、斗真の携帯がなった。

 

「俺だ。・・・え?ああ。分かった。直ぐに手配する」

 

斗真は、話を終えると電話を切った。

 

「・・・トウマ?」

「三玖、四葉。お前達に頼みたいことがある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は、一花のオーディション会場。

上杉は、ビルの前で目を開けながら眠り彼女を待っていた。

そして、オーディションを終えて上杉と一花は、ある場所に向かっていた。

 

「・・・みんな怒ってるよね。花火大会の事」

「そうだな。だが、諦めるには速いんじゃないか?」

 

そう言いながら上杉が一花を連れてきた場所は、とある公園だった。

そして、そこには・・・。

 

 

 

 

 

他の姉妹達が、花火セットで花火をしていた。

斗真はそれに気付き視線を彼女の方に向けた。

 

「・・・来たか」

「一花!上杉さん!!我慢できずおっ始めちゃいました!」

 

そんなやりとりをしている時、斗真は、姉妹達から少し離れた。

すると二乃が上杉の顔を近づけた。

 

「あんたには一言言わなきゃ気が済まないわ。お!つ!か!れ!」

 

斗真は、思わず普通に言えんのかと思った。

 

「お前達で花火をしてな。俺はそこのベンチで休んでる」

「・・・トウマ。大丈夫?」

「少し疲れただけだ。ああそれと一花。上杉に感謝しな。

この提案は、上杉だから」

「えっ!?」

「斗真!お前余計な事を・・・」

 

斗真は、シラを切りベンチで休んでいた。

 

「みんな、ごめん!私のせいでこんなことに・・・」

「そんなに謝らなくても・・・」

「全くよ!なんで連絡くれなかった訳?今回の原因はアンタにあるわ」

 

上杉が止めようとしたが二乃が言葉を紡いだ。

 

「後、目的地を伝えてなかった私も悪い・・・」

「・・・っ」

「私も、自分の方向音痴に嫌気がさしました」

「私も今回は失敗ばかり・・・」

「よく分かりませんが・・・私も悪かったです。屋台ばっかり見てしまってたので・・・」

「みんな・・・」

 

二乃は、一花の前に行き花火を差し出した。

 

「はい。あんたの分」

「お母さんが言ってましたね・・・。誰かの失敗は5人で乗り越えること。誰かの幸せは5人で分かち合うこと」

「喜びも」

「悲しみも」

「怒りも」

「慈しみも」

「・・・私たち全員で五等分ですから」

 

そんな5姉妹の様子を野郎2人は遠目で見ていた。

 

「(幸せも五等分か・・・。恐らく近いうちに誰かが気付くだろうな・・・。

  幸せは五等分に出来るものがある。だけど・・・。

 

 

 

 

 

姉妹であっても、所詮、1人の人間であることには変わりはない。

個人の幸せは、分ける事はできない事に・・・)」

 

斗真は、何処か寂しく悲しげな表情で破壊された月を見上げていた。

 

「(アンタは、こんなことが起きたら何も弊害もなく解決しちまうのかな・・・?

 

 

 

 

 

殺せんせー・・・)」

 

斗真は、恩師の助言が欲しいと不覚にも感じてしまった。その後花火を終えて、皆が自宅に戻る。

流石に時間が時間なので上杉は、らいはちゃんを送り先に帰らせ斗真が五つ子達を送っていく事になった。

そして帰り道、何やら二乃がソワソワした様子だった。

 

「二乃。どうかしましたか?」

「・・・ああもう!」

 

モヤモヤしながら斗真の方にズガズガと歩いて行った。

 

「・・・何だ?」

「アンタにい・ち・お・う!お礼を言っておくわ・・・。

 

 

 

 

 

ありがとう。三玖を守ってくれて・・・」

 

二乃が言った言葉に斗真は思わず・・・。

 

「お前ってお礼言えたんだ」

「はっ倒してやるぅ!!!」

 

怒りのあまり斗真に掴み掛かろうとするが四葉と五月が何とか抑えている。

 

「ず、ずいぶん辛辣だね・・・」

「日頃の行い」

 

斗真は、バッサリと切り捨ててしまいこれ以上は言わなかった。

そしてトラブルもなくマンション前に到着した。

 

「それじゃあトウマ君送ってくれてありがとう!」

「・・・フン。一応、感謝だけしておくわ」

「・・・トウマ。気をつけてね」

「新城さん!送ってくれてありがとうございました!」

「お休みなさい。新城君」

 

三玖以外は、挨拶しマンションに入って行った。

すると三玖は、振り返り斗真の方に向かった。

 

「・・・三玖?」

「・・・少ししゃがんで。ゴミついてる」

「え?分かった」

 

斗真は、何の疑いも無く三玖近くにしゃがむ。

そして三玖は、ゴミを取り同時に・・・。

 

 

 

 

 

チュッ。

 

 

 

 

 

「!?」

 

突如聞こえたリップ音に斗真は、頬を赤くし自分の頬に触れた。

肝心の三玖は、りんごのように顔が真っ赤に染まっていた。

 

「・・・守ってくれてありがとう。お休み」

 

彼女はそれだけ言って帰って行った。斗真は、終始唖然とした表情をしていた。

どうやら、小さくはあるが恋の花火は打ち上がっていたのかもしれない・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第11話 斗真のバイト

今回は、前半が五等分要素で後半はオリジナルとなっています。


では、どうぞ。


花火大会の翌日。

斗真と上杉は、いつも通り登校していた。

すると、コンビニの前で一花が飲み物を飲みながら待っていた。

 

「おっは〜。2人共」

「一花か。今日から冬服にしたのか」

「うん。少しずつだけど肌寒くなってきたしね。

フータロー君は、コメントなし?」

「お前は、地味に目立つから嫌なんだが・・・」

「確かに、一花の知名度が少しずつ上がっていると考えるとな・・・」

 

斗真は、そう言いながら周囲を見渡す。

一花は、気にしないで笑って流す。

 

「昨日ね、話したの。仕事の事」

「みんなは何て言ってた?」

「驚いてたよ」

「だろうな。新人とは言えお前は、エンターテイナーになったからな」

「でも、スッキリした!」

 

一花の表情は凄く晴れやかだった。

学校到着後、教室は、何やら重い雰囲気だった。

そう、遂に上杉と斗真の真価が問われる・・・。

 

 

 

 

 

中間試験が始まるのだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、いつも通り図書室で勉強していたが上杉が二乃と五月を説得する為に動いていたが戻ってくると左の頬が真っ赤になっていた。

 

「派手にやられたな」

「・・・大丈夫?」

「上杉さん!問題です!今日は私のどこが違うでしょう?」

 

と言う四葉が話をしているのだが・・・。

 

「さて、3人共。知っていると思うがもうすぐ中間試験が始まる」

「無視!?」

 

上杉は、それを無視し斗真もその話を聞いている。

 

「正解は、最近の流行はチェックだと聞いて変えてみました!」

「そうか。良かったな、四葉。お前の答案用紙も流行りのチェックでいっぱいだ」

「わ~~~!最先端~~~・・・」

 

そう言いながら上杉は、四葉のリボンを掴みながら答案用紙を見せる。

 

「四葉も気合入れろよ?言っちゃあ何だが五つ子の中で一番成績が低いんだからな」

「あはは〜・・・。面目ないです」

 

四葉は、シュンとなり頭とリボンががくりと下がった。

何故リボンまで・・・?

 

「んで、ここからは徹底的に教えていくからな。覚悟しておけ」

「ええ〜?」

 

一花は、不満の声を上げた。

 

「お前はもう少し勉強しておけ・・・。

クイズのバラエティ番組で恥をかきたいのか?

「うぐっ・・・」

 

斗真は、一花に仕事の事を引っ張り出すと黙り込んでしまった。

 

「三玖も日本史以外の勉強を・・・ん?」

 

上杉は、日本史以外の勉強をする様話すが彼女は既に苦手科目の英語を勉強していた。

 

「み、三玖が自ら苦手な英語を勉強だと!?熱でもあるのか?」

「上杉、それは失礼すぎるぞ?」

「少し、頑張ろうって思っただけ・・・」

 

斗真は、彼女の心境の変化があって内心喜んでいた。

 

「(人は、大きなきっかけ一つで変わる事ができる・・・。

  あの頃の()()のようにな・・・)」

 

因みに、四葉と一花は、大声を出して怒られていたとか。

何をやってるんだか・・・。

 

 

 

 

 

下校時刻となり、皆は家に帰るのだが上杉と斗真は、今後の方針を考えていた。

 

「・・・どうする?斗真」

「・・・少なからず全教科赤点回避は難しいだろう。

どう考えても時間が足りなさすぎる・・・」

「やっぱりお前もそう思うか・・・」

「・・・まあ、俺達がいた所と比べると大した事じゃ無いんだがな」

「・・・・・・」

 

上杉は、言葉が出なかった。

斗真のいた所は、以前、三玖に話した通り劣悪な環境であると同時に精神的に追い詰められてもおかしくない環境だった。

そんな中での学年首席を取るのは彼自身の努力の結果だったのだろう・・・。

 

「ねえ、この後みんなでパフェ食べに行かない?」

 

この提案を一花、三玖、四葉は、了承したが上杉と斗真はと言うと・・・。

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

バイトという事で誘いを断り、一人の男性と車で一緒にいた。

 

「すまないね・・・。もうすぐ試験だっただろうに」

「事情が事情ですし、仕方ないですよ・・・。それで、()()()()。状況は?」

 

斗真が話をしている人物は、鶴田博和(つるたひろかず)さん。

烏間さんの部下で暗殺教室時代も俺達をサポートしてくれた人物だ。

斗真が何故、今も彼と行動しているのかと言うと以前、斗真が柳沢の行動を妨害し彼の計画を遅らせる為に動いていた時当時の敵勢力が今だに何かしらの計画を立てているという事を突き止めたのだ。

斗真は、その敵との因縁に決着をつける為にバイトという名目で防衛省と共に捜査を行っていたのだ。

鶴田さんと言った斗真をよく知る人物と一緒に行動する事を条件に烏間さんの上司がそれを了承。

しかし、烏間さんは終始反対していたが斗真の決意を聞き先に烏間さんが折れたのだ。

 

「奴等の情報はどうです?」

「君が睨んだ通り、奴等は裏ルートを利用して銃といった類をそこで取引するようだ。

君の任務は、取り押さえた犯人達を逃さないようにして欲しい事だ。頼めるね?」

「了解・・・」

 

そんなやり取りをしている中、上杉はというと・・・。

 

「貴方からは絶対に教わりません!」

「お前にだけは絶対教えねぇ!」

 

新たな問題が浮上しようとしていた・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな問題が起きている事など知らず、斗真は、かなり緊張感漂う雰囲気の場所にいた。

 

「各員、配置についたな。よし、行け!」

 

斗真は、裏ルートで取引している現場の退路を断てという指示の元、逃げそうなルートで待ち構えていた。

そして、その予想が当たったのか、逃げてきた人と遭遇。

 

「敵は、2人か・・・」

「既に退路は絶たれていたのか?!」

「落ち着け!相手はただのガキだ!」

 

そう言い男性は、拳銃を取り出した。

しかし、既に斗真は、敵の懐に入り込み背負い投げをして拳銃を落とさせボディブローで1人を制圧。

 

「貴様ッ!!」

 

男性は、1人だったが懐からサバイバルナイフを取り出した。

そして、ナイフで連続突きをしてくるが斗真はそれを難なくかわす。

隙ができ斗真は、そのまま回し蹴りで敵の顔に蹴りを入れた。

しかし、敵は瞬時にそれに気付いて左腕で防ぐが威力のあまり吹き飛んでしまいドラム缶といったものにぶつかってしまった。

斗真は、警戒しながら近づいていく。

すると、中なら男性が飛び出してきた。

斗真は、慌てて距離を取ったが男性のナイフが頬を掠めてしまいその傷口から血が流れてしまった。

斗真は、垂れた血を少し触り血が流れているな程度の認識で気にも留めなかった。

男は、息を整えて攻撃を仕掛けてくるが斗真は、瞬時にナイフを持っている手首を掴みそのままナイフを叩き落とす。

そして、流れるように敵の腹部にサッカーの要領で蹴りを入れた。

男は、あまりの威力に胃の中の物を出してしまった。

 

「新城君!」

 

その後、鶴田さんがこちらに駆けつけて来た。

状況を説明した後、増援で駆けつけた警察に男達は、身柄を拘束されお縄についた。

警察は、斗真のことを聞いてきたが防衛省の関係者という事で話を通した。

 

 

 

 

 

「全く、君は無茶をする・・・」

「・・・・・・・」

 

斗真は、頬の怪我を治療して貰う為、病院に訪れていた。

自分でどうにかすると言ったが信用できないと言われそのまま連れて行かれた。

そしてその病院が中野先生、五つ子の父親が経営している病院だった。

正直、斗真は鶴田さんを恨んだ。

 

「少しは、自分の身を大事にして欲しいものだ。

君は、立派にやっているが無茶をするとなると話が変わってくる」

「骨折とかでないだけマシでしょう。今回は」

「それでも、無茶をして欲しくないと思っているよ」

 

斗真は、中野姉妹に出会う前、捜査で犯人を捕まえる際に無茶して骨折をした事があるのだ。

それが1、2回で済めばいいのだが2桁行く手前までした事だってある。

最初はよく怪我するなと言う程度で中野先生は、気にも留めなかったが担当医の話を聞いて余りにも不審だと思った。

念の為、娘達が巻き込まれないように斗真の素性を調べ対策を考えた。

そして、その素性を調べる際に防衛省が関わっている事を知る事が出来たが具体的に知る事は出来なかった。

しかし、中野先生は知る事になった。斗真の恐ろしい能力を・・・。

しばらくした後、この事を知った斗真が素性を調べている人物を炙り出そうと考え斗真自身の情報という名の餌を撒いた。

そして、その餌に引っ掛かったのが中野先生だった。

斗真は、烏間さんに中野先生がこちらを探っている事を話し、烏間さん立会の元中野先生に暗殺教室の事を話した。

事件が大々的にニュースで流れてはいたが国家機密でもある為、情報規制は今でも行われているのだ。

そして、斗真が暗殺教室に関わっていたという事を知った中野先生は、驚愕の表情しか浮かばなかった。

月が蒸発したのはニュースで皆が知っていたがその事件関係者がいるとも思えなかったのだ。

 

「君は、学生であるからまずは勉強が優先される。

このままでは、落第もありえるぞ」

「油断しなければ問題ありませんよ。

それに、目的は、進学をする事ですから順位が1位だろうが2位だろうが俺の知った事ではありませんからね」

 

中野先生は頭を抱えた。

流石に個人の意志の問題だから深くは聞かなかった。

 

「ああ、そうだ。君も家庭教師の補佐をしていたね」

「そうですね。何ですか?藪から棒に」

「君から見て、娘達は赤点回避は可能か?」

「・・・今回の試験は厳しいでしょう。1人ならともかく、5人だと家庭教師より塾に通った方がいいでしょう」

「そうか。それと上杉君には、赤点が一人でも出たら解雇させると話した。

補佐である君も同じくな」

「・・・一体何を考えているんですか?」

「君達が行ってきた家庭教師としての成果を見せて貰いたいが・・・。

君の話と家庭教師の進行状況を聞いてこちらの考えも改めなければならない。

新城君。君にある条件を出そう」

「・・・何ですか?」

「学年1位を取りなさい。そうすれば、上杉君の解雇はなかった事にしよう。

勿論、君も引き続き補佐をして貰う。君ならば容易い事だろう?」

「・・・わかりました」

 

そう言い、斗真は診察室を後にした。

 

「・・・新城君。君の中にある可能性、見極めさせて貰うよ」

 

中野先生は、不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


それと、斗真の過去編は、アニメでいう1話後に話をする予定ですので今しばらくお待ちください。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第12話 唐突な泊まり込み勉強会

頻度は多くないですが、二乃がいじられます。


では、どうぞ。


敵勢力の取引の現場を押さえた翌日。

斗真は、上杉と共にいつも通り中野家に来ていたのだが・・・。

 

「何故こうも問題を起こせる、この勉強バカ!!」

「と、斗真・・・。これ以上は・・・」

 

しかし、斗真は、上杉の頭を掴みアイアンクローをしていた。

何故、斗真が上杉にアイアンクローをしているのかというと五月と上杉が口論となり仕舞には勉強を教えないと啖呵切ってしまったのだ。

このことで斗真は、呆れと怒りのダブルパンチで上杉にお仕置きをしているのだ。

因みに、中野先生に言われた斗真が100点を取るという条件は、他言無用と言われた為、上杉にも中野姉妹全員にも伏せているのだ。

 

「とにかく、二乃がこの事を知ったら間違いなく妨害か勉強を全くしなくなる。

二乃にこの事を知られないように尚且つ、五月と関係の修復。

この二つを必ずやる事。いいな?」

「えっと・・・。手伝って貰うなんてことは・・・」

い・い・な?

「は、はい・・・」

 

上杉は、震えながら了承したが斗真は、心配になりながら溜息を吐いた。

その後、中野家にお邪魔したのだが斗真の頬に手当てした後を見た四葉がかなり心配していた。

後に出てきた一花、三玖も同じように驚きの表情を浮かべながら心配していた。

斗真は、ひったくり犯を捕まえたら逆上してナイフで襲われたと説明したらさらに心配された。

中野先生に診てもらったから大丈夫だと伝えると納得してくれたが三玖だけは心配の表情をしながらこちらを見ていた。

そんでもっていつも通りに勉強をしていたのだが・・・。

 

「結婚しました~!ご祝儀ください!!」

 

休憩という名目で皆で人生ゲームで遊んでいた。

斗真は、その間に自分の分の勉強をしていた。

 

「って、エンジョイしている場合じゃな~~~い!!!」

 

上杉は、事が重大のあまり叫んでしまい斗真は、溜息を吐いた。

 

「・・・フータロー。私達、そんなに危ない?」

「いや、その・・・」

 

三玖は、心配な表情を浮かべながら上杉を見て上杉は、思わず言葉を詰まらせた。

斗真は、この様子を見ながらどうするか悩んでいた。

 

「(下手に打ち明けると二乃にバレる。

  五月は、無駄に意地を張って頑に教えて貰うつもりはないと・・・。

  全く、世話の焼けるお嬢様達な事で・・・)」

 

斗真は、この状況に頭を抱えつつ事の成行を見守りつつどうフォローするか考えていた。

 

「ああ〜。なんだ、勉強サボって遊んでるんじゃない。アタシも混ぜてよ」

 

そう言いながら上杉と二乃が変わり二乃が人生ゲームで遊び出した。

上杉は、二乃が現れ言いかけた言葉を呑み込んだ。

 

「あんたも混ざる?」

 

二乃が話しかけたのは上杉ではなく五月だった。

 

「五月?」

「・・・・・・」

 

斗真は、特に声をかける事なく事の成行を見守っていた。

 

「いえ、自習があるのでがあるので失礼します」

 

そう言い五月は、素っ気ない態度で自室に戻った。

 

「(こりゃ無理そうだな)」

 

斗真は、五月の態度を見て直ぐに関係を修復するのは難しそうだと考えていた。

 

「ほら、アンタ等も今日のカテキョーは終わり。帰った帰った」

 

そう言いながら二乃は、上杉と斗真を追い払おうとするが・・・。

 

「もぉー、2人共。何言ってるの?約束と違うよ」

 

「「はっ?」」

 

「何?」

 

上杉と二乃は、頭に?を浮かべ斗真も疑念の声をあげた。

 

「今日は泊まり込みで勉強教えてくれるって話でしょ?」

 

「「えぇ〜〜〜〜〜〜!??!」」

 

「(コイツ。何を考えてやがる・・・?)」

 

斗真は、彼女の真意を理解できず何とか表情には出ていないが警戒心を露にしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斗真は、一度自宅に戻り宿泊用の衣類を取りに戻っていた。

ついでに、律に予め頼んでいた問題集を作ってもらっていた為、それを刷りに来たのだ。

荷物を纏めもう一度中野家に戻った。

 

「二度目ですがお邪魔しまーす」

「二度目ですけどいらっしゃいです。新城さん!!」

 

出迎えてくれたのは、四葉だった。

すると、浴室から二乃が何やらご機嫌な表情を浮かべながら出てきた。

 

「二乃。ご機嫌だね」

「ええ。()()()を聞けたからね」

 

斗真は、その言葉を聞いた時、一種の答えと悪知恵が働いた。

 

「ところで、上杉はどうした?」

「アイツならまだお風呂に入ってるわ」

「まさか二乃、お前・・・。

 

 

 

 

 

上杉と一線超えた?」

 

「ブフッーーーーーーー!!!!!」

 

「???」

 

斗真の素っ頓狂な発言に思わず二乃は吹き出し、四葉は頭を?にしていた。

斗真は、思わず四葉は、こんな純粋なまま育って欲しいと思ってしまった。*1

 

「んな訳ないでしょーーーーーが!!!!!」

 

二乃が顔を赤くしながら斗真にツッコミをした。

 

 

 

 

 

「・・・お前、バカにも程があるぞ」

「・・・うぐ」

 

斗真は、上杉が風呂から上がり髪を乾かし服を着替えさせて更衣室で正座をさせていた。

なぜ、このようになってしまったのかというと二乃に上杉に突きつけられた条件がバレてしまったのだ。

先程の笑顔は、その事を知った時の事だそうだ。

斗真は、ここまで予想が当たってしまい頭を抱えてしまった。

 

「普通謝る時は、面と向かってする物だろ。

どこに扉越しで謝罪するんだよ・・・」

「い、いや、アレは、格好がだな・・・」

「隠しているだけマシじゃ。アホ」

 

斗真は、上杉の言動に文句しか出なかった。

 

「まあ、バレたのはどうしようもない。とにかく、まずは一花、三玖、四葉の3人をどうにかするぞ。

彼女達だけでも赤点を回避させるぞ」

「・・・ちょっと待て。二乃と五月はどうするんだ?」

「向こうが言わない限り、俺は、何もするつもりは無い。

つーか、五月が無駄に意地を張って1人で勉強する限り、あいつ自身の力で赤点回避は、まず不可能だ」

「!?」

 

上杉は、思わず驚きの表情を浮かべ目を見開いた。

 

「椚ヶ丘時代、同級生は勿論、先生が力を貸してくれたから今の俺がある。

アイツは、それを全く分かっていない。一人でできる事なんざたかが知れてる

俺はそれをあそこ(暗殺教室)で学んだ」

「・・・・・・」

 

斗真は、自分一人の力では何も出来ないという事は重々承知している。

そのため、手を貸して欲しいと頼まれたら手を貸す。

しかし、五月のように意地を張り力を借りない人物は手を貸すつもりはない。

そう言っているのだ。

 

「とにかく、バレたものは仕方がない。

切り替えてアイツ等の赤点回避に専念するぞ」

「あ、ああ」

 

そう言い上杉は、更衣室を出た。

斗真は、溜息を吐き風呂場に入った。

 

 

 

 

 

風呂から出て家庭教師を再開した一同。

ある程度進めている時だった。

 

「・・・ねぇ。トウマ」

「何だ?」

「・・・好きな女の子のタイプは何?」

「え?急にどうした?」

「・・・気になった。教えてくれない?」

「それ、そんなに知りたいのか?」

「はいはーい!斗真さんは勿論ですけど、上杉さんの方も興味あります!!」

「お、俺!?」

 

四葉の発言で思わず素っ頓狂な声を上げた上杉だった。

 

「女子のタイプね・・・。あ、そうだ。上杉。ちょっと相談」

「は?」

 

斗真は、彼女達に少し待っててくれと話し、席を外す。

数分後。戻ってきた斗真と上杉。

 

「さて、三玖の質問に関してだが少しゲーム要素を混ぜよう」

「ゲーム要素?」

「お前さん達がノート1ページ進めていくとその答えを教える」

「ただし、先に俺のベスト3を出してからになる。

斗真の好みを知りたいなら俺の方を聞いてからな」

「トータルは、4ページ。上杉と俺で4ページ分だ」

「なんで4ページ?」

「俺の場合は、1つしかない。以上!」

「バッサリ!!」

 

とか言いつつ、真面目にノートを埋めていく一同。

 

「できた!」

 

最初にできたのは一花だった。

 

「それでは第3位は・・・いつも元気!」

 

次にノートを埋めたのが・・・。

 

「できました!!」

 

四葉だった。

 

「第2位は・・・料理上手!!」

 

最後の1つを知る為、皆が進めていき・・・。

 

「・・・できた」

 

今度は、三玖が出来上がった。

 

「それでは、第1位!ジャララララ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャン!!お兄ちゃん想い!!」

「ってアンタの妹かい!!」

 

思わずツッコミを入れたのは意外にも二乃だった。

 

「なんだ、ただ部屋にいるだけなら一緒に勉強すれば良いじゃないか」

「フン!誰がするもんか!!」

 

などと、やり取りをしている時だった。

 

「騒がしいですよ。

勉強会とは、もう少し静かにする物だと思うんですけど」

「ごめんね〜」

 

斗真達のやりとりが騒がしかったようで部屋から五月が出てきた。

上杉が五月に声を掛けようとしたが気まずいというのがあるせいか声をかけるのに戸惑ってしまった。

 

「三玖、ヘッドホンを貸してくれませんか?」

「良いけど・・・」

 

そう言い三玖は、五月にヘッドホンを渡し五月は、部屋に戻った。

 

「五月」

 

すると彼女を呼び止めたのは斗真だった。

 

「何ですか?」

「上杉ではなく、俺だったら家庭教師を受けるか?」

「・・・いいえ。自分の力でどうにかします」

「・・・信じて良いんだな?」

「・・・足手纏いにはなりたくありませんので」

 

五月は、こちらに振り向かずそのまま部屋に入っていった。

 

「(こうなった以上はもう無理か・・・)」

 

斗真は、今回のテストは厳しいだろうと見た。

 

「再開するか」

「・・・斗真、だけど!」

「ねぇ、フータロー君。ちょっと休憩しない?星が綺麗だよ」

「一花。また訳の分からんことを・・・」

 

一花は、上杉の静止を振り切ってベランダに向かった。

 

「行って来い。上杉。俺はまだ大丈夫だから」

「・・・分かった。何かあったら呼んでくれ」

 

上杉は、それだけ伝えてベランダに向かった。

そんなこんなでその日の勉強会を終了させたのだが新たな問題が発生した。それは・・・。

 

「いや、そっちがいいならここで寝るぞ」

「上杉に同意」

「ダメです!お客様をソファで寝させられません!」

 

という四葉のお達しが来た。

斗真と上杉は、泊めてもらう身であるためソファで寝るつもりだった。

しかし、流石に四葉はそれをよしとしていないとのことで、このままでは埒が明かない。

そんな考えをしている時だった。

 

「・・・トウマがいいなら私のベッドで寝て」

「・・・え?」

 

余程のことがない限り驚かない斗真は、驚いた声を出した。

 

 

 

*1
斗真は、悪知恵が働くと意味不明な行動をしてしまうのだ。今回がそれ




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第13話 彼は、何故家庭教師をするのか?

今回は、三玖と五月のやりとりがメインになって来ます。


では、どうぞ。


斗真と上杉の睡眠場所で一悶着あったが結果的には、三玖の部屋を斗真が使い上杉は四葉の部屋で就寝することになった。

 

「やれやれ・・・。色々と大丈夫か、コレ」

 

斗真は、ベッドに座り今後のことを考えていた。

 

「(中野先生は、俺が学年首席になれば問題ないと言っているが・・・。

  どこまで信用すればいいのやら。中々、探れないな・・・)」

 

などと考えていた。

そして、斗真は、今後の対策を考えながら夢の中に入った。

 

 

 

 

 

数時間後、突如斗真は目が覚め体を起こした。

何故、起きれるのかというと斗真は、烏間先生の特訓(地獄)の末、意識の半分は起きている状態になったのだ。

その為、誰かがこちらに来ていると言った気配がわかるのだ。

この時の斗真は、殺せんせーより烏間先生の方が人外では?と思ってしまったとの事。

確かに、かつての教え子達曰く、「もうこの人だけでいいんじゃない?」と思うほど強かった。

それはさておき、斗真は、不審者かと思い念の為いつでも取り押さえれるように構える。

そして、ドアが開き制圧をしようとした時、斗真は動きを止めた。

ドアから入ってきたのは・・・。

 

 

 

 

 

「・・・三玖?」

 

そう、三玖だった。

彼女の様子からしてみてかなり眠そうな表情をしていた。

 

「こりゃあ、かなり寝ぼけてるな〜・・・。仕方がない」

 

斗真は、ゆっくりとこちらに来る三玖を優しく止めた。

 

「んぅ。・・・アレ?トウマ?」

「しぃ〜。寝ぼけてたみたいだぞ」

「・・・もしかして、私、部屋間違えた?」

「部屋が暗いってこともあるのと寝ぼけていることもあっていつものノリで部屋に来たみたい」

「・・・ご、ゴメン」

「気にするな。あまりこんなことないと思うし」

 

斗真は、彼女に優しい言葉をかける。

 

「部屋に戻った方がいい。明日も早いんだし」

「・・・ねぇ。トウマ。少し話さない?」

 

どうやら眠るのはもう少し後になるようだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度、リビングに行き暖かいお茶を飲むことになった2人。

僅かな沈黙が漂う。すると、三玖がポツリと言葉を紡ぐ。

 

「・・・ありがとう。トウマ」

「どうした急に?」

「・・・私、勉強できないまま過ごしていくと思ってた。

トウマって頭いいけど苦労して上に這い上がって行ったことを聞いた時、私達と全然違うって思ってた。

でも、トウマが勉強を教えてくれて私でも出来るんだって知ることが出来た。

分からないことが分かるようになって歴史好きに自信持てた。だから・・・。

 

 

 

 

 

ありがとう。トウマ」

 

彼女の精一杯のありがとうを聞いた時、斗真は、心の中で思った。

 

「(俺は、この子の力になれているんだ。

  こんな俺でも、一度地獄を見た俺達でも人の役に立っているんだな・・・。

  アンタの言う通りだったよ・・・。

 

 

 

 

 

  殺せんせー)」

 

斗真は、彼女のお礼を聞いて力になれてよかったと答えた。

 

「・・・ねぇ。トウマ」

「ん?」

「・・・そ、その、す、好きな女の子のタイプって何?」

「・・・?」

 

斗真は、思わず頭を捻った。

そして、記憶を巡らせた・・・。

 

「・・・あ、言ってなかった」

「二乃のツッコミで有耶無耶になった。

フータローは言ったけどアレは意味ない・・・」

「・・・まあ、アイツは手遅れだしな」

 

2人は、どこか遠い目をして然りげ無く上杉をディスっていた。

 

「まあ、それはいいや。それで俺の好みか。そうだなぁ・・・。一言で言えば・・・。

 

 

 

 

 

何事にも一生懸命で素直な子かな」

「一生懸命な子・・・。五月とか?」

「いや、五月は違うな・・・。何というか・・・上手く言えないけど」

 

斗真は、五月が一生懸命に勉強を取り組んでいる事を知っている。

しかし、結果が伴わなければ意味がない。

それと同時に斗真は、ある人物と姿を重ねていた。

 

「(1学期の期末試験の時の(カルマ)だな。ありゃ。

  まあ、色々と違うけど・・・)」

 

赤羽(カルマ)。かつての暗殺教室の生徒で斗真と学年トップ争いをした人物。

元のポテンシャルが高いため、ある程度教えればそつなくこなせるが「勉強しなくてもどうにかなる・・・」

1学期末テストで彼の慢心が己の身を滅ぼしその結果、順位を8つ近く落とした。

 

「(本人のやる気はあっても何も反映されないのが目に見えてる・・・。

  そもそもの土台がガタガタなんだよ。アイツは)」

 

などと比較するのも如何なものかと考えていたがそう考えてしまう斗真だった。

 

「・・・トウマ?」

「あ、ごめん。考え事してた」

「・・・そう。・・・私達、ちゃんとやれるかな?」

「・・・不安か?」

「トウマとフータローがしっかり教えてくれてるけど・・・やっぱり不安」

 

斗真は、思わず彼女の頭を撫でた。

 

「・・・と、トウマ?///」

「あ、スマン。思わず・・・」

「・・・いいよ。続けて」

「お、おう」

 

三玖は思わず顔を赤くするが続ける様催促されそのまま撫でる。

 

「まあ、なんだ。誰だって不安はあるさ。だから、俺達が支える。

姉妹全員が笑顔で卒業できるようにな」

「・・・うん///」

 

すると三玖は、未だに恥ずかしいのか斗真の胸板に顔を隠してしまった。

 

「どうした?」

「・・・ゴメン。しばらくこうさせて」

「・・・分かった」

 

斗真は、僅かに笑みを浮かべ彼女の望むまま頭を撫でるのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほあああああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!???????」

 

ギリギリ聴こえるか否か微妙な音量で叫ぶ人物が1人・・・。

 

 

 

 

 

五月だった。

 

「(なななな何であのふ、二人が抱き合っていいいいるんですか!?

  まさか、付き合っているんですか!?◎$♪×△¥●&?#$!)」

 

本人はすこぶる混乱しているようだ・・・。

夜食で何か食べようと思いキッチンに向かおうと思い部屋から出ると知らぬ間に斗真が三玖の頭を撫でていてそしてそのまま三玖が斗真に抱きついたのだ。

因みに、抱き合っている所しか見ていない為、2人の話は聞いていない。

そして、本人は気付かれぬ様に一度部屋に戻ったのだが・・・。

 

「(・・・面倒な事になる前にフォローしておくか)」

 

斗真には、既にバレバレだった。

その後、斗真は三玖を一花の部屋に行く様促し斗真も三玖の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

「ふぅ〜・・・」

 

その様子を覗き見ていた五月は、2人が部屋に戻った所を見計らってキッチンに向かった。

のだが・・・。

 

 

 

 

 

「食べるのはいいがカロリーが低いものにしておけ」

「!?し、新城君・・・」

 

冷蔵庫に手を掛けて何か食べ物を探していた五月。

その時に斗真が声を掛けてきて五月は思わず冷蔵庫を閉じた。

 

「・・・眠れないんですか?」

「お前が勝手に覗き見して勘違いをしている可能性があるから誤解を解いておこうと思ってな」

「き、気づいてたんですか!?」

「声が大きい・・・」

 

少し睨みつつ静かにする様促す斗真。

五月も思わず口を両手で塞いでしまった。

 

「す、すいません。それで、さっきの話ですけど・・・」

「男女の関係ではないよ。俺が三玖を撫でたのは、単純に嬉しかったからな」

「嬉しかった?」

「・・・誰かの力になれたこと。三玖がその時にありがとうって言ってくれた。

俺は、誰かに必要とされたのは中学の奴等以外いなかったからな」

 

五月は、彼の言い分に耳を傾けていた。

彼女は、未だに斗真という人間の底が見えなかった。

 

「新城君。貴方は、どうして家庭教師を引き受けたのですか?」

「・・・・・・」

 

斗真は、このことを聞かれた時、どう答えるか悩んだ。

流石に中野先生と付き合いがあるということを話すと暗殺教室のことがバレてしまう可能性がある。

病院で担当してくれたと言って納得するとも言えないし不本意なやり方ではあるが・・・。

 

「・・・貴方もお金の為ですか?」

「別に。実の所、雇主には、給料は無くていいって言ったし」

「えっ!?」

 

五月は、斗真から思いがけない内容を聞いて思わず驚いた。

雇用契約に関して書類を書く際、給料の相談をした時、防衛省の件もあるからタダ働きでも構わないと話していたが流石にそれは色々と不味いので高校生の平均の給料を支給するということで話は付いた。

因みに、中野先生は、彼の極端な性格に思わず表情が引き攣ったとの事。

 

「なら何故・・・!?」

「生憎、困っている人は、放っておけないんでね。たったそれだけの理由だ」

「それだけって・・・。貴方にメリットなんて1つもないじゃないですか!」

「逆に聞くけど人を助ける際、メリットデメリットとか考えるか?」

「!」

 

五月は、その言葉を聞いた時、ハッ!とした表情を浮かべた。

 

「アイツは一人の友人だから助けた。

それ以上でもそれ以下でもない。ただそれだけだ」

 

斗真は、「早く寝ろよ」とだけ伝えて部屋に戻った。

 

「・・・私は」

 

五月は、俯きただそこで立っている事しかできなかった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第14話 「斗真は偶に人間じゃない時がある」by上杉

最新話です。
ピンとくるタイトルが浮かばなかったので上記に記述してるタイトルになってしまいました。


では、どうぞ。


翌日。

彼女達は、普段通り食事をしていた。

しかし、1つだけ違う点があった。それは・・・。

 

「結局、泊まったのね。あの2人」

「二乃も混ざればいいのに。結構楽しいよ?」

「お断りよ。五月、アンタも絆されるんじゃないわよ。

まあ、あの2人を起こさないと帰ってくれないけど」

 

三玖と四葉は、それぞれ2人を起こしに行っていた為この場にはいない。

五月は、二乃が作ってくれた朝食を食べつつ胸の内を露わにした。

 

「私は、上杉君と馬が合いません・・・。

この前も彼と諍いを起こしてしまいました。

些細な事でムキになってしまう自分がいます。

私は、一花や三玖のようになれません・・・」

 

という感じにどこか悲壮感を漂わせる五月。

 

「トウマ君とはどうなの?」

「・・・正直、分かりません。

ただ、あえて言うなら、お人好しだと思っています」

 

一花は感心し、二乃は興味がない感じだった。

すると一花は、何か閃いたようだ。

 

「なれるよ、五月だって!」

 

そういいつつ一花は、立ち上がり五月の髪を弄り始めた。

そして、散々弄った結果、三玖に近い髪形にして三玖の出来上がりになったのだが・・・。

 

「髪の分け目が逆!」

 

今度は、二乃が参戦し本格的に三玖に寄せ始めた。

只々弄られることしかできず抵抗できない末っ子だった・・・。

 

「私で遊ばないで下さい!!」

 

すると一花が彼等を騙せないか試そうと閃く。

しかし、ここにいる人達は気づいていなかった。

斗真のデタラメと言って良いほどの能力に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、斗真が眠っている寝室(三玖の部屋)

三玖は、斗真を起こしに部屋に来たのだが肝心の三玖はというと斗真の寝顔を見ていた。

 

「・・・フフッ」

 

その表情は、どこか穏やかで慈愛とも言って良い程、優しい表情だった。

 

「・・・可愛い寝顔」

 

三玖は、斗真の顔に触れようとした時だった。

 

「・・・そんなに俺の寝顔を見るの楽しいか?」

「!?」

 

三玖は、思わず心臓が飛び出しそうになった。

何と、斗真の目がパッチリと開いていた。

肝心の三玖は、急に話をされるとは思っておらず固まってしまった。

斗真は、そんな彼女を他所に起き上がった。

 

「・・・ビックリさせないで」

「それはすまんな」

 

罪悪感何てものは微塵もなく淡々と話した。

 

「・・・いつから気付いてたの?」

「部屋に入ってきてからずっと」

「・・・ほぼ最初から」

 

三玖は、斗真に言われ驚きの表情を浮かべていた。

 

「んで、何で部屋に?もしかして俺、寝坊した?」

「寝坊じゃないけど、トウマが遅かったから起こしに来た」

「そうか、ありがとう。着替えるから部屋を出てくれ」

「その前に顔を洗ったほうがいい。タオル渡すね」

「ありがとう」

 

そういい三玖は、部屋を出ようとしドアを開いたら三玖は、その場から動かなかった。

斗真は、それを不思議に思い三玖の方を見ると・・・。

 

 

 

 

 

三玖が4人とオマケで上杉が立っていた。

 

「三玖が4人と上杉が一緒にいるってどういう事?」

「何か、知らぬ間に『本物の三玖は誰だろな?選手権』とやらをやり始めた」

「・・・意味が分からんぞ」

「さあ、新城さん。どれが本物の三玖かを当てて・・・」

「今しゃべっているのが四葉。

頑張って垂れ目にしようとしているが垂れ目になってないのが二乃。

ショートヘアで喋っていないのが一花。

髪を服に隠しているのが五月。そして・・・。

 

 

 

 

 

この子が本物の三玖。違うか?」

 

「せ、正解・・・です」

 

斗真は、本物の三玖の肩に手を乗せた。

そして、ここにいる人物全員を驚愕の表情を浮かべさせた。

いや、浮かべざるを得なかった。

双子ならいざ知らず全てを特徴を指摘しそれが誰なのかを当てるのは至難の技。

というよりできないのが普通だ。

それを目の前の人物(斗真)が難なく当ててしまったのだ。

驚かないほうがおかしい。

 

「・・・お前、何でわかるの?」

 

上杉は、皆が思っていることを代表で聞いた。

そしてそういわれたのが・・・。

 

 

 

 

 

「わかるから答えた。それだけだが?」

「んな訳あるかあああああ!!!!!!!」

 

二乃の叫びがマンション一室に広がったのだった・・・。

因みに、三玖が斗真の肩に手を置いたとき・・・。

 

「(頭に手を置いて欲しかった・・・)」

 

小さな願望があったとか無かったとか・・・。

 

 

 

 

 

そんな感じでその日は、二乃と五月以外は図書館に来ていた。

これは、斗真と一花の提案で部屋にただいるだけだと息が詰まるので外の空気を吸うのも悪くないだろうということで急遽外出することにした。

効率よく覚えることも重要だが根を詰めて覚えきれないというのは意味がない。

その為、ガス抜きという意味も込めて外に出ることになった。

図書館に到着し、席を探している中、上杉は浮かない顔をしていた。

 

「・・・上杉。一度、中野家に戻れ」

「斗真?」

「今なら五月が一人で勉強しているはずだ。

腹割って話せる機会だろうからな」

「斗真・・・。すまない」

「礼はいい。行ってこい」

 

上杉は、斗真に礼を言い図書館を出た。

 

「アレ?トウマ君。フータロー君は?」

「一度、家に帰って使える参考書がないか探してくるってさ。

手持ちの関係上、あまり多く持ってこれないから使えそうなやつを探すってさ」

「そうなんだ」

「俺も、図書館の中に使える参考書を探してくる。

10分もかからないから始めててくれ」

「・・・・・・・」

 

一花にそれだけ伝えて斗真は、その場を離れた。

しかし、三玖だけは斗真をジッと見つめていた。

 

 

 

 

 

場所は変わり、図書館の奥側。

 

「もう出てきていいぞ。(カルマ)

 

すると、本棚の一角から1人の少年が出てきた。

 

「流石、新城。相変わらずデタラメだな~」

「俺はデタラメじゃない。

それは烏間先生だけで十分だ」

「それは言えてるけど、人のこと言えないよね?

たった1人で組織一つ壊滅させた奴が否定出来る訳ないじゃん」

「・・・喧嘩売ってるなら買うが?」

 

などと軽口を叩いていたその相手は、赤羽(カルマ)

彼もまた、暗殺教室の1人だ。

彼も中間試験のため、図書館で勉強していたが斗真が中に入ってきたのに気づきイタズラで気配を消して斗真に近づいた。

しかし、ただでさえ気配察知に優れた斗真はそんな小細工は通用しない。

斗真は、逆に唯一、気配を感じなかった人物の気配を辿ることにした

そして、消した気配を辿った正体その人物が業だった。

 

「それで~?あの女の子たちは誰?新城の彼女?」

「渚達から聞いてないのか?」

「最近、忙しかったから連絡とってないね」

「今通っている高校の同級生に家庭教師の補佐を頼まれてな。

あの女子たちは教え子だ」

「へぇ~。あの子達の成績は?」

「・・・・・・」

 

すると斗真は、死んだ魚のような眼をした。

 

「え?どうしたの?」

 

業は、斗真の表情を見た時に引き攣った表情を浮かべ戸惑いながら聞いた。

 

「・・・五人の生徒を同時に受け持っているんだがな。・・・五教科の合計で100点」

「・・・は?」

 

業は、思わず耳を疑った。

いや、聞き間違いであると信じたかったのか再び聞き返した。

 

「えーっと・・・。1人一科目100点じゃなくて?」

「それくらいの点数だったらどれだけよかったことか・・・」

 

斗真の本気度合いを見て思わず同情したくなった業だった。

 

「・・・よく引き受けようと思ったな」

「・・・今通っている高校の同級生の頼みでな。

ドタバタだが何とかやれてる」

 

それに、と斗真は話しを続ける。

 

「烏間先生がやりがい持ってやっていた意味が分かった気がする。

あいつ等の成長を見ていると引き受けてよかったって思える。だから、それなりに楽しめてはいる」

「俺達に体育の授業(暗殺技術)をしていた時のように?」

「まあね」

 

流石にこれ以上、彼女達を待たせるのも申し訳ないので斗真と業は、ある程度話しその場で解散した。

しかし、その様子を見ていた人物が一人・・・。

 

「・・・トウマ」

 

三玖だった。

斗真が気になり後を付けていくと斗真と見知らぬ少年が話をしてた。

そして、三玖が聞いて嬉しかったのが・・・。

 

『それなりに楽しめている』

 

三玖がこの言葉を聞いたとき、思わず笑みが零れた。

そして、斗真が助力してくれた恩に報いるために限られた時間の中で奮闘しようと心に決めた三玖だった。

※因みに、組織を壊滅させた話は聞かれていなかったとここに記載しておこう。

その後、上杉からメッセージが届いていて内容を確認する。

そこに記載されていた内容は・・・。

 

『五月は、俺に任せてくれ』

 

と書かれていた。

 

「(全く。世話の焼ける奴らだ)」

 

事情を知る人間だったら呆れているかもしれないが斗真はどこか嬉しそうな表情をしていた。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第15話 ついに始まる決戦(中間試験)

テスト回ですが結果の方が長くなってしまったので分割します。


では、どうぞ。


チュンチュンと小鳥が鳴く早朝。

斗真は、皆が寝ている中、一足先に起床した。

 

「・・・朝か」

 

斗真は、7:00と映っていたデジタル時計を見る。

そして辺りを見回す。

そこには、五つ子の他、上杉までもがテーブルの上で腕を組んで寝ていた。

 

「・・・中々の惨事だな」

 

斗真は、昨日の出来事を思い出していた。

 

[はあ!?今日も泊まる?!]

[試験は、明日だ。効率度外視で詰め込むだけ詰め込む]

 

上杉がそう話ている中、そのまま通り過ぎようとしている五月に呼びかける二乃。

 

[五月!!]

[いいんじゃないですか?今日くらい]

 

[[[えっ?]]]

 

この様子を傍観していた斗真は、彼女の心境の変化にあった事に僅かな感心を覚え事の成行を見守った。

 

 

 

 

 

皆にもう少し寝て貰いたい所だが遅刻をさせるのは不味いので皆を起こすことにした。

 

「三玖、起きろ。朝だぞ」

「・・・んぅ。トウマ?」

「おはよう。眠っている所悪いが起きてくれ試験間に合わなくなる」

「うん・・・」

 

そう言いながらゆっくり立ち上がろうとする三玖。

しかし、バランスを崩して斗真の胸板に当たる。

そして、抱き止める形になってしまった。

 

「///・・・トウマ」

「三玖。この状態は流石に・・・」

「・・・このまま」

「えっ?」

「このままでいて欲しい・・・」

「三玖?」

「・・・ダメ?」

 

寝起きのせいか少し涙目の三玖を見て斗真の良心が揺らいだ。

 

「///5分だけ。それ以上はダメだ」

 

三玖は、そのまま分かったと言ったかのように顔に蹲った。

斗真は、内心「この子には随分甘いな・・・」と自嘲気味に笑った。

 

 

 

 

 

5分後。

 

「さて、みんなを起こそう」

「トウマ・・・」

 

斗真は、立ち上がろうとした時、彼の服の袖を握った。

 

「三玖?」

「テスト終わって、結果が全部赤点回避したら、伝えたいことがあるの」

「・・・内容は聞かない方がいい?」

「うん・・・。今は言いたくない」

「分かった。そうする」

 

その後、他の姉妹と上杉を起こし朝食を食べ、皆で登校するのだった。

因みに・・・。

 

「起きろや、この勉強バカァ!!!」

 

斗真は、上杉に腹パンした。

 

「ゴホァ!!!!」

 

上杉は、永遠の眠りについt・・・。

 

「殺すなっ!!」

 

ていなかった。

因みに、やり過ぎだと五つ子(二乃以外)に突っ込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、無事に学校に到着し各々の教室に向かう途中だった。

 

「さて、やれるだけの事はやったつもりだ」

「後は、お前達次第だ。気合入れていけ」

 

上杉と斗真は、五つ子達に激励する。

 

「・・・うん。頑張る」

「はい!頑張ります!」

「いい点取って、2人を驚かせないとね」

 

一花、三玖、四葉は、2人の激励を受けやる気を出す。

この3人は、自ら進んで指導を受けた。

少なからず、上杉が用意した実力テストの時よりかは力を付けたはずだ。

そう信じる2人だった。

 

「・・・言っておくけど、アタシはパパに真実をそのまま伝えるから」

 

そう言ったのは二乃だった。

彼女は、最後まで上杉達の授業に参加しなかった。

その行動が吉と出るか凶と出るかは分からない。

 

「・・・何もなければいいが」

 

斗真は、小さくそう呟いた。

 

「新城君?」

「何でもない。そろそろ時間だ。行くぞ」

「・・・はい。みんな、死力を尽くしましょう!!」

 

「「「おおー!!」」」

 

「お、おおー・・・」

 

そして、ついに始まった中間試験・・・。

 

「(頼むぞ・・・。みんな・・・!)」

 

上杉は、五つ子に心の中でエールを送った。

 

 

 

 

 

そして、中間試験。

彼女達の問題を解く様子を見ていこう。

 

・三玖の場合 〜社会編〜

 

「(難しい問題ばっか・・・でも、歴史なら分かる・・・)」

 

三玖は、歴史関連の問題は、スラスラ解いていく中、斗真に言われた言葉を思い出していた。

 

[清流に棲もうがドブ川に棲もうが前に泳げば魚は美しく育つ。

要は、大事なのは居場所や肩書ではなく、本人がどう生きて何をやりたいかだ]

 

三玖は、そう言われた事に少しづつ自信を持つことが出来た。

だからこそ、彼に報いたい。

その思いで、問題を解いていくのだった。

 

 

 

 

 

・四葉の場合 〜国語編〜

 

ポクポクポクポクチーン!

 

「(思い出した!五択問題は四番目の確率が高いっと・・・)」

 

赤点回避が出来るかどうか不安を募らせる四女だった・・・。

 

 

 

 

 

・二乃の場合 〜英語編〜

 

「(討論・・・討論・・・分かんない、次・・・)」

 

次の問題に行こうとした時、二乃はあることを思い出した。

 

()()()と覚えるんだ]

 

二乃は、彼らが勉強会で教えていた事を思い出していた。

 

「(・・・全く。勝手に教えてくるんじゃないわよ)」

 

 

 

 

 

・一花の場合 〜数学編〜

 

「(終わった〜。とりあえずこんな所かな?というわけでお休み〜・・・)」

 

一花は、夢の中に行こうとした時だった。

 

[この証明問題には、途中式でも点を貰える場合もある]

[その点を取れば赤点回避も可能になる。数学は式も解答の一つとして見られる。

だから証明問題の場合は、途中式にも目を凝らす事だな]

 

「(・・・もう少し、確認しようかな?)」

 

赤点回避の為に、様々なアドバイスをしてくれた2人の言葉を思い出し再び問題に向き合う一花だった。

 

 

 

 

 

・五月の場合 〜理科編〜

 

「(・・・あなたを辞めさせはしません)」

 

五月は、上杉と口論になったその日の内に中野先生に電話をしていたのだ。

 

[一人でも赤点なら辞めてもらうと先程伝えたんだ]

[・・・本当ですか?お父さん]

 

「(・・・らいはちゃんのためにも!念のためです!)」

 

と、意気込んでいるが既に斗真という存在が上杉の危機を脱する切札であることを上杉本人も含めて知らないでいた。

 

 

 

 

 

そして、肝心の斗真というと・・・。

 

「(一先ず解答は終えたが・・・。問題は、中野先生が手のひら返しで上杉の首を切らなければ良いが・・・)」

 

あの時は、口約束みたいなものだった。

正直、それが本当に約束通りクビにしないかどうかを信じ切れていなかった。

大人は汚いというが肝心の斗真が点を取れば一先ずの予防線を張ることができる。

 

「(頑張れよ・・・。みんな・・・)」

 

斗真も斗真で彼女達にエールを送り自分のやれる事をやり終え後は天に任せるしかなかった。

そして・・・。

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン!

 

「終了。それまで!!」

 

各々のやる事はやり切った。後は、試験の結果を待つだけとなった。

そして、遂に試験結果が帰ってきた・・・。

 

 

 




今回は、キリがいいのでここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第16話 結果発表

今回で中間試験編が終了します。
後、皆様のおかげで当小説がお気に入り300件を越えます。
今後ともよろしくお願いします。


では、どうぞ。


そして、遂に運命の日。試験結果が返ってきた・・・。

流石に個人情報だからと言うことで斗真の提案で中野家で結果を伝える事になった。

 

「集まって貰って悪いな」

「と言っても自分達の家だけどね。それにどうしたの?改っちゃって」

「あの、上杉君。新城君はどちらに?」

「テスト結果をバイト先に報告しないといけないって一度家に行ったぞ」

 

斗真がいない中、試験結果を見ようかと考えていた時だった。

 

ピンポーン!

 

『すまない。遅れた』

 

モニターの向こうにいたのは斗真だった。

そして、無事に中野家に入れた。

 

「自分のクビが掛かっているのに随分余裕ね」

 

二乃は、嘲笑うかのように斗真を見る。

 

「さて、結果を見せて貰おうか」

「何無視してんのよ!?」

 

斗真は、二乃の話を全く聞かずそのまま事を進めようとした。

 

「全ては、この試験結果で決まる。

そもそもお前自身が最初からしっかり勉強していたら俺達と関わることはなかったんじゃないのか?」

「グヌヌヌ・・・!」

 

斗真の正論に何も言えない二乃だった。

 

「さて、結果なんだが・・・」

「言えません!プライバシーに関わりますので断固拒否します!!」

「五月ちゃん?」

「・・・俺達は、大丈夫だ。だから教えてくれ」

 

そして、各々の試験結果を出した。

 

「じゃ〜ん!国語は勘が当たって50点でした!!

しかも、社会も赤点回避のオマケ付きです!」

 

国語数学理科社会英語合計
中野四葉5025263121153

 

 

 

「私は、国語と社会が赤点になっちゃったけど他は赤点回避できたよ。

2人共。ありがとうね」

 

国語数学理科社会英語合計
中野一花2448322533162

 

 

 

「国数理社が赤点よ。言っとくけど、手は抜いてないから」

 

国語数学理科社会英語合計
中野二乃1519281443119

 

 

 

「残念ですが合格ラインを越えたのは理科だけでした・・・」

 

国語数学理科社会英語合計
中野五月2722562023148

 

 

そして、いよいよ最後の1人・・・。

三玖だけになった。

 

「トウマ」

「ん?」

「ありがとう。私に勇気をくれて・・・」

 

三玖がそう言うと解答用紙を見せた。

その結果は・・・。

 

 

 

 

 

国語数学理科社会英語合計
中野三玖4145568035257

 

 

 

 

 

「三玖凄い!!」

「社会80点も取ってるじゃん!!」

 

一花と四葉は、三玖の頑張りを素直に驚いていた。

 

「嘘・・・!?」

「・・・・・・」

 

二乃と五月は、信じられないものを見ていたような感じだった。

 

「アイツらは勉強して成績を上げたいと言う意思を持って動いた。

その結果が三玖の赤点ゼロと言う目標を達成させた。

まあ、この世に絶対なんて存在しない以上、三玖が赤点になっていた事もありえた。

それでもアイツは赤点を回避した・・・」

「・・・何が言いたい訳?」

「いや、置いてけぼりを食らっている次女がこの話を聞いたらどんな反応するかなって」

「アンタ最低ッ!!」

 

二乃は、斗真にビンタをしようとするが斗真は難なく避け二乃にデコピンをした。

痛みのあまり悶絶していた。そして、斗真はというと・・・。

 

「少しは、頭冷えたか?」

「・・・・・・」

 

五月は、斗真のセリフに反応を示さず目を逸らした。

 

「言っとくが今回のアイツら成績をたまたまで片付けるなよ。

アイツらが俺達に頼んでしっかり努力した結果があれだ。

だが、肝心のお前はどうだ?意地を張った結果がそのザマだ。

目の前の現実をしっかり受け止めて次に繋げる事だな」

 

五月は、スカートを握りしめた。

 

「まあ、今回はスタートダッシュが躓いただけだ。まだ全然やり直しが効く」

「・・・ですが、貴方達は!」

「さて、上杉!みんなの総評と行こうか」

「あ、ああ・・・」

「新城君!」

「少なからず、俺や上杉位のレベルならいざ知らず土台が出来上がっていない奴がいくらやっても成長しねえよ。

まずは、1人でやれるくらいの土台を作る事だな・・・」

 

斗真は、それだけ言って五月の話を終わらせる。

そして、上杉は、皆に話をする。

 

「さて、まずは三玖。斗真が付きっきりとは言え今回のテストでこの点数はよく頑張った。

まだ不安はあるが社会は他の姉妹に教えていいくらいのレベルに達している。

これからは、姉妹達の力になってあげてくれ」

「う、うん」

 

上杉は、次に四葉に視線を向けた。

 

「四葉。イージーミスが目立つぞ。

次からは、そこを消していけ」

「了解です!」

 

次は、一花。

 

「一花。お前はもう少し粘ること。

そんなんじゃ取れる点も取れないぞ」

「はーい」

 

次に二乃。

 

「二乃。お前は最後まで授業を受けなかったな。

俺達が来ないからって油断するなよ」

「・・・フンッ」

 

それだけ言うと二乃はそっぽを向いた。

 

「もう来ないってどう言うこと?」

「すまないがそれは全て言い終えてからにしてくれ」

「え、分かった・・・」

 

一花の疑問に対して、斗真が待ったをかけた。

最後に五月。

 

「そして、五月だが・・・。

 

 

 

 

 

バカ不器用だな!」

「なっ!?」

 

上杉からも言われ放題だった・・・。

 

「一問に時間をかけ過ぎだ。

最後まで問題を解けていないじゃないか」

「そ、それは分かっています!私も反省しているんですから・・・」

「・・・反省しているならそれでいい。次から気をつけるんだな」

 

そして、5人の総評を終えると五月の携帯が鳴った。

五月は、携帯を取り出し画面を確認した。

 

「父です」

 

五月はそういうと上杉に携帯を渡し電話に出た。

 

「ハイ。上杉です」

『五月君と一緒だったか。1人1人聞いていこうと思ったのだが一緒だったとはね。

ところで上杉君』

「ハイ」

『この電話は、皆が聞いているかね?』

「え?」

 

上杉は、不意の質問に思わず?を浮かべた。

 

『どうなのかね?』

「い、いえ、今は自分にしか聞こえてません」

『そうか・・・。上杉君。皆に聞こえるようにしてくれ』

「え?わ、分かりました。ちょっと待って下さい」

 

上杉は、一度携帯を五月に返す。

 

「上杉君?」

「何か、みんなに聞こえるようにして欲しいって」

 

「「「???」」」

 

皆は、何故そうなったのか心当たりもなく五月は、中野先生の指示通り携帯をスピーカーモードにした。

 

「パパ。どうしてみんなに聞こえるようにしたの?」

『その声は、二乃君か』

「君付けは辞めてって言ってるでしょ」

「(直す気あるのか?中野先生・・・)」

 

斗真は、内心呆れてしまった。

 

『さて、本題だ。新城君』

「はい」

『では・・・。

 

 

 

 

 

試験はご苦労だった。

今後とも上杉君と共に励み、娘達の指南をよろしく頼む』

 

 

 

 

 

「「「・・・はっ?」」」

 

二乃、五月、上杉の3人は、頭を?にしていた。

 

「(今回は裏が無かったか・・・?いや、断言するのは早いか・・・)分かりました」

『では、次に皆の結果だが・・・』

 

「「「いやいやいやいやいや!!!!」」」

 

『何だね?』

「ちょっと待ってくださいお父さん!どう言うことですか!?」

『今後とも上杉君主体で新城君が補佐をする。何か問題はあるかね?』

「ちょっと待ってよパパ!上杉がクビになる話じゃなかったの!?」

『確かに彼にはそう伝えた。それは事実だ。しかし、それはカモフラージュにすぎない』

 

「「「えっ!?」」」

 

突如明かされる事実に皆が驚くことしかできなかった。

そして、それを知っている斗真は特に何も言わない。

 

「ど、どう言うこと!?」

『上杉君に電話の後、新城君が怪我をしてウチの病院に来たのだ。

その時に、彼と話をしたのだ。ある条件を達成すれば上杉君の解雇は見送りとすると』

「ある条件?」

「どう言うことなの?お父さん。

トウマ君がフータロー君と同じくらい頭いいって言うのは知ってるけどそんなに頭いいの?」

『新城君。話していないのかね?』

「三玖と五月にはちらっと。上杉は前から話していました」

 

「「あっ!!」」

 

肝心の2人は、心当たりがあるようだ。

上杉もアレかと思い出していた。

しかし、他の姉妹達は未だに理解していなかった。

 

『そうか。私から話した方がいいかね?』

「まあ、アレ(暗殺教室)の説明をしなければいいですけど」

『では、私の口から話そう。新城君は・・・。

 

 

 

 

 

2年前、椚ヶ丘中学の生徒で学年首席で卒業する程の実力者なのだ。

単純な学力では、上杉君に匹敵、またはそれ以上の実力を有している』

 

 

「「「!!!?!?!?!?!?!」」」

 

「・・・嘘!?」

「・・・トウマ、そんなに凄かったんだ」

 

五つ子は、反応はそれぞれだが驚きの表情を浮かべているのは確かた。

上杉は事前に教えられていた為、特に驚きはしなかったが。

 

「ちょっと待ってよパパ!

いくら中学時代が凄くても今が凄くないんじゃ意味ないわよ!?」

『確かに二乃君の言うとおりだ。しかし今回のテストで、新城君は5教科全て満点を取っている。

その試験結果は私の元に届いているからその事実は本当だよ』

 

「「「!?」」」

 

この日何回目の驚きだろうか。

皆は、もう勘弁してと言う表情をし出した。

 

『家庭教師を雇う上で私が下した判断基準に適していたかどうかを知る為には本気の彼を見定める必要があった。

その所為で、上杉君には損な役割を与えてしまった。すまなかったね』

「い、いえ。お気になさらず・・・」

『彼も上杉君と同じく家庭教師をして貰おうと頼む機会があったのだがその時は彼はアルバイトをしていてね。

補佐をすると言う事を条件に家庭教師をしてもらう事になったのだ』

「・・・それじゃあ、偶に来れない日があったのはもう一つのバイトをしていたからですね?」

 

五月の問いに斗真は、静かに頷いた。

 

『さて、本題の試験結果は、どうなったのかね?』

「赤点の総数は13個。5人の中で赤点を回避したのは三玖だけでした」

 

「「「!?」」」

 

斗真は、何も躊躇いもなく全てを話した。

 

『そうか・・・。では、上杉君』

「は、はい!」

『今後とも娘達をよろしく頼むよ』

「も、勿論です!自分と斗真にお任せください!!」

『では、私はこの辺で失礼するよ。仕事に戻らないといけないのでね』

 

そう言い中野先生は、電話を切った。

 

「「「はあ〜・・・・」」」

 

中野先生との電話を終えると二乃と斗真以外は疲れ切った表情をしていた。

 

「・・・なんかどっと疲れた」

「いや〜・・・アレはお父さんが悪いよ・・・」

 

皆がゲンナリする中、二乃は納得の行かない表情をしていた。

 

「ようやく、アンタ等の顔を見なくて済むと思ったのに・・・」

 

二乃は、上杉から1つでも赤点を取ったらこの2人が家に来なくなると言っていた。

しかし、結果はこの有様だ。父親の決めたこととはいえイレギュラー(新城斗真)の所為で二乃の思惑が全て水の泡と化してしまった。

その事実を受け入れることが出来ないでいた。

 

「・・・二乃?」

 

彼女は何も言わずどこか力が抜けた感じで自分の部屋に入っていった。

 

「(アイツ。だいぶ追い詰められるかもな・・・。

  家出するとか言い出さなければいいが)」

 

斗真は、二乃の背中をただ見つめそう考えていた。

 

「でも意外。そんなに頭いいならもっといい高校行ったんじゃない?」

「新城さん。どうして、今通っている高校にしたんですか?」

 

一花と四葉の疑問は最もだ。

椚ヶ丘の上位争いを制したのならもっと上を狙っていいはずだった。

しかし、彼はそれをしなかった。その理由は・・・。

 

「将来、自衛隊になろうかなってボンヤリ考えててね。

中学の先生に相談したら今通っている高校を紹介してくれたんだ。

ついでに早い段階で1人暮らしを体験しておくのもありだって言ってたし」

 

「「へぇ〜」」

 

一花と四葉は、斗真の問いに納得した。

 

「さて、試験終了したんだ。今からコンビニスイーツを買いに行くか。

1人一つなら奢ってやる」

「本当ですか!?」

 

斗真の太っ腹なアイデアに目を輝かせる五月。

 

「上杉。お前も来い」

「いや、俺は・・・」

「この問題児共に散々苦労したんだ。

これ位バチはあたらねぇよ」

 

上杉は、斗真に言われたことに唖然としフッと笑った。

 

「それもそうだな」

「ちょっと待って下さい。問題児って何ですか?」

「最初の試験で合計点数100点なんて聞いた事ねえよ。

どっからどう見ても問題児だ」

「心外です!!」

「そうだそうだ〜」

「言っとくが今回の試験で赤点取った三玖以外は、ペナルティで特製問題集を用意するからな。

ハードな物を用意しておくから覚悟しておけ」

 

「「「えっ!?」」」

 

「フフフッ・・・」

 

その笑みに皆が恐怖を覚えるのだった・・・。

三玖は、赤点回避できてホッとしていた。

因みに、後に斗真が用意した特別問題集を皆にやらせた結果二乃は脱走。

残りの3人は、白く燃え尽きた様子が見られたとここに記載しておこう・・・。

 

 

 

 

 

そして、皆でコンビニのスイーツを食べてお開きにしようとしたのだが・・・。

 

「三玖・・・」

「ゴメンね。呼び止めて・・・」

 

彼女の頼み事で呼び止められた斗真は、近くの公園で三玖と一緒にいた。

ついてきたら容赦しないというハイライトを消した瞳で一花達を見ていた時は流石の斗真も背筋を冷やした。

普段怒らない人ほど怒ると怖いと聞いた事はあったがここまでとは思わなかった斗真であった。

 

「ありがとう。トウマ。私に勉強を教えてくれて」

「礼を言われる程じゃないさ。俺は俺のやる事をやっただけだ」

 

すると三玖は、何やら深呼吸をし始めた。

 

「トウマ、あのね・・・。

 

 

 

 

 

私、トウマの事が好き」

 

三玖に言われた言葉に唖然とする斗真。

肝心の三玖は、顔を真っ赤に染めてしまった。

 

「・・・どうして、俺なんだ?」

「トウマが掛けてくれた言葉で自分に自信を持てた。

それからどんどんトウマのことを知りたいって思っていったら自然とトウマを追いかけてた・・・。

それで、いつの間にかトウマを好きになってた」

 

三玖は、斗真に真剣な眼差しで見つめる。

 

「大切な友達じゃなくて()()()()()になりたい。だから・・・」

 

すると三玖は、これ以上の言葉を発せなかった。それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斗真が、三玖にキスをしていた。

 

「///!?」

 

数秒しかしていなかったキスが何時間と感じた。

三玖は、斗真の行動に唖然とし言葉が出なかった。

 

「先に言われたのが癪だったから最初のキスは不意打ちさせて貰ったよ」

「・・・トウマ。もしかして・・・」

「ああ・・・。

 

 

 

 

 

俺も三玖のことが好きだ。この気持ちは揺るがない」

 

三玖は、斗真から言われた言葉に涙を流すのだった。

 

「とう、ま・・・これ、からも・・・よろ、し、くね!」

「ああ。よろしくな」

 

涙のあまりぐしゃぐしゃになりながら返事を言う三玖。

しかし斗真は、そんなことは一切気にせず笑顔でそのまま三玖を抱きしめ再びキスをした。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、また次回。


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第17話 上杉と斗真の出会い

今回は、斗真と上杉の出会いの話をします。


では、どうぞ。


試験を終えて通常のペースで授業を進めていく上杉と斗真。

そんなこんなで起きていた目の前の出来事は・・・。

 

「何これ?」

「・・・コロッケ」

 

三玖が上杉に食事をしていないと言う話をしていたのだが今回も三玖が食事を作る事になった。

しかし、いざ作った物がコロッケという名の暗黒物質(ダークマター)・・・。

出来上がった物はコロッケとは言わず石ころと言われてもおかしくないだろう・・・。

斗真は、晴れて恋人となった三玖の料理スキルの進展を見ては見たものの大きな進歩はなかった。

 

「(精進あるのみだな・・・)」

 

などと思っていた斗真だった・・・。

そして、いざ食してみたのだが・・・。

 

「コロッケか!普通にうまいな」

「あんまり美味しくない!」

 

上杉は貧乏舌、四葉はハッキリと不味いと言い切った。

 

「(・・・どっち?)」

 

三玖は、2人の意見の違いで頭を悩ませた。

 

「こうなったら、新城さんがジャッジして下さい!!」

「!?」

 

三玖は、四葉にそう言うわれるとビクリッ!と反応した。

斗真は、三玖に視線を移した。

それに気づいた三玖は、決意を固めた表情で頷く。

斗真もその決意を受け止め三玖のコロッケを食べた・・・。

 

「・・・どう?」

 

モグモグと噛み口の中に入ったコロッケを飲み込んだ。

そして判定は・・・。

 

「・・・トウマ。嘘偽りなく教えて欲しい」

「分かった。結論から言うと旨くない」

 

三玖は、ハッキリと言われて意気消沈とするが・・・。

 

「だが、この場合は揚げ過ぎだな。

中の具材を予め下処理をしていれば揚げ時間を短縮できる」

 

「「「えっ?」」」

 

斗真は、手に持っていたコロッケを置き、キッチンの方に向かう。

 

「新城さん?」

「すまないが食材を使わせて貰う」

「それはいいですけど、何をするんですか?」

「今日は番外編だ。

 

 

 

 

 

家庭科の授業。コロッケの作り方の勉強だ」

 

「「「えええ!?」」」

 

斗真の思いがけない発想でビックリする一同だった。

 

 

 

 

 

場所は変わり五月の部屋。1人である程度できそうな勉強はやっていた。

一通り終えると時刻は昼を過ぎていた。続きは、食事をとってからにしようと言うことになった。

部屋を出てキッチンの方に向かうと・・・。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、最後の工程をやるぞ〜」

「トウマ。これ、調理用タイマー」

「よし、これを1分位に設定しようか」

 

三玖と一緒に料理を教えている斗真。

それをただ眺めている上杉と四葉。

その4人の様子を見て五月は思わず・・・。

 

「どう言う状況ですか?」

「あ、五月!!」

 

四葉は、五月がきている事に気づきこちらに来るように手招きする。

 

「今日は家庭教師の日じゃなかったんですか?」

「アイツらにとってはそうだ」

「どう言う事ですか?」

 

事の経緯を説明中。

そして五月は・・・。

 

「三玖ずるいです!!私も混ぜて下さい!そして出来上がりのコロッケを下さい!!」

「オイ」

 

上杉は、思わずツッコミを入れてしまった。

 

「お、折角だから五月に食べて貰うか」

「え?」

「・・・うん」

 

そして、三玖に料理を教えながら作って行き・・・。

 

 

 

 

 

「・・・できた」

 

三玖は、そう言い五月の前に出来上がったコロッケを出す。

見た目は、こんがり狐色。盛り付けもキャベツが備え付けられている。

 

「見た目は、さっきのと全然違いますね・・・」

「ああ、三玖が作ったものとは思えないな・・・」

 

上杉は上杉で失礼な言い様だった。

 

「では、いただきます・・・」

 

箸にコロッケを差し込む。すると・・・。

 

 

 

サクッ!

 

「「「!!」」」

 

皆が驚くのも無理は無い。

先程出来上がったものは音はなるが出来上がっているものとはぜんぜん違う。

五月は、ゆっくりと箸で取ったコロッケを口に運び味を噛み締めた・・・。

すると真剣だった表情がどんどん笑顔になっていった。

 

「三玖、このコロッケ凄く美味しいです!!」

 

今まで見た事ない位と言っていい程の眩しい笑顔を出す五月。

その言葉を聞いた三玖も思わず笑みが溢れた。

 

「せっかくだから上杉と四葉も食ってみろ。俺が保証する」

「それじゃあ・・・」

「遠慮なく・・・」

 

そう言い上杉と四葉は、斗真に勧められてコロッケを食べた。

 

「美味しい!!」

「ああ、美味いな!」

 

2人を美味いと唸らせると三玖は笑顔になった。

 

「よく頑張ったな」

 

斗真は、三玖にそう伝えた。

そして、笑顔で頷いたのだった。

そんな時・・・。

 

「何してんのよ。みんなして」

 

二乃が現れた。

 

「何かようか?」

「五月をランチに誘おうと思ったんだけど・・・。

何知らぬまに美味しそうなコロッケ食べてるのよ?」

「あげませんよ?」

「いらないわよ!!」

「三玖が美味しいコロッケを作ってくれたんです。

今日は外に出なくていいほどです」

「・・・は?」

 

三玖が作ったと言われたら二乃は思わず何を言っているか分からなかった。

 

「ま、まさか・・・」

「本当だよ。私も食べたもん」

 

四葉の追撃で言葉を詰まらせた二乃。

そう言い三玖は、少し多めに作っていた残りのコロッケを二乃に出した。

 

「・・・少し、小さいけど味の判断はできると思うよ」

 

そう言い三玖が差し出してきたコロッケを食べた。

 

「・・・お、美味しい!」

 

二乃は信じられない表情を浮かべていた。

 

「何で・・・」

「今日は家庭教師の番外編。トウマが先生になって作り方とコツを教えてくれた」

「はあ!?」

 

思いがけない話を聞いて二乃は斗真に視線を向けた。

 

「・・・アンタ、料理なんて出来たの?」

「一人暮らしをしているからな。

ネットのレシピ通りだが2年も自炊していれば色々とできるようにはなる」

 

改めて彼のハイスペックに驚きを隠せない姉妹達。

するとここで、四葉がある疑問を投げた。

 

「新城さんと上杉さんってどうやって知り合ったんですか?」

 

「「はっ?」」

 

「言われてみれば確かに・・・」

 

四葉の発言に頷く五月。

彼女達は視線を上杉と斗真に向けた。

 

「まあ、コミュ症の上杉を見ていれば嫌でもそうなるか」

「お前な・・・」

「そりゃそうだろ。勉強バカもここまでくれば呆れを通り越して尊敬する」

「それは褒めてるのか?」

「褒めてるのと貶してる」

「ひでぇ!?」

 

まさかのダブルパンチだった・・・。

 

「でも、上杉君の性格を考えると仲良くなるなんて思えませんし・・・」

 

五月の言い分も最もだ。

上杉は、勉強に全てを捧げていると言っていいほどの勉強バカだ。

その上杉が何故こうも色々と正反対な斗真と仲良くしているのかが理解できない。

 

「まあ、話してもいいか」

「それもそうだな。隠すほどでもないし」

 

上杉と斗真は、せっかくだから話をしようと言う事になった。

 

「俺と斗真が出会ったのは、今から1年前・・・」

 

※ここから回想シーンに入ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時の中間試験の結果が張り出され、上杉は自分の順位を確認していた時だった。

 

「(500点満点。学年1位。まあ、当然か・・・。ん?)」

 

この時も、上杉の視点は僅かだけ下にずらした。

そこに書かれていたのは点数が全く一緒だった。

 

「(俺と同じく500点・・・。名前は・・・新城斗真?

  ウチのクラスにそんな奴いたか?)」

 

と考える上杉。

その当時は、上杉と斗真は、同じクラスだったのだがこの当時の斗真は、防衛省の方に通い詰めだった為、上杉だけでなく他のクラスメイトも斗真の存在は都市伝説扱いされていたのだ。

斗真は、流石に欠席ばかりだとマズイと考え何か策は無いかと考えた。

そしてその策は、身体が弱い為、寝たきりの生活をしていると偽装したのだ。

因みに、偽装工作をしたのが烏間さんにバレてまたしても殺人拳骨を受けたのは言うまでもない・・・。

そして、上杉が斗真の点数の秘密を探れないか考えた。

そんな時、ある起点が訪れた。

 

「すまないが新城の家にプリントを届けて欲しい」

 

と、先生に頼まれた。

いつもは担任の先生がプリントを届けに言っているのだがこの日は急な出張が入ったため代わりに届けて欲しいと頼まれた。

上杉は、この手を利用しようと考えた。

 

 

 

 

 

先生に頼まれ、教えて貰った住所に向かった。

到着した場所は、それなりにいい住宅マンションだった。

 

「しかし、一人暮らしだったとは・・・」

 

などと呟く上杉だった。そして部屋番号を確認し部屋に到着した。

ベルを鳴らしたが誰も出てこない。

 

「留守か?」

 

体が弱いと聞いていたから部屋の中にいるかもしれないと思いポストの中に入れようと思ったその時だった。

 

「ウチに何か用?」

「えっ?」

 

上杉が声をかけられ振り返ると・・・。

 

 

 

 

 

腕にギブスをした斗真だった。

 

 

 

 

 

※一度回想終了

 

「「「いやいやいや!!!」」」

 

一花以外の姉妹達は、思わずストップをかけた。

 

「何だよ?」

「新城君が身体弱いのは驚きましたが何故骨折しているんですか?!」

「色々とやらかしてポキリと」

「身体弱いなら寝てないとダメでしょうが!?」

「知るか」

 

姉妹達の話を強引に終わらせ話の続きをする斗真。

 

 

 

 

 

※回想シーン再開

 

「えっと、新城斗真で良いのか?」

「ああ。君は?」

「俺は上杉風太郎。先生の代わりに来た」

「代わり?」

 

上杉は、ここにきた経緯を話した。

 

「そっか」

 

それだけ話すとドアの前に立ち鍵を開けた。

 

「入りなよ。麦茶くらいは出すよ」

「え?ああ」

 

斗真に促され彼の自宅に入る上杉。

中に入るとそこは何も変哲もない一人暮らしに適している部屋といっていい。

 

「(あるはずだ。こいつが学年首席になれた秘密が)」

 

しかし、部屋の周囲を見回しても特に変わりはない普通の部屋だった。

 

「珍しいか?一人暮らしの部屋は」

「え?あ、ああ。先生に話を聞いた時、思わずビックリしたぜ」

「母親は、前に亡くなった。父親ももういない。

親戚が保護者をしていて仕送りをして貰ってる」

「・・・すまない」

「もう前の話になるからな」

 

そして、適当に座らせて麦茶の用意をする斗真。

 

「流石に怪我人にさせるは悪い」

 

上杉は、それを言うと予め用意されていたコップに麦茶を注ぐ。

一先ずリビングに持っていきお茶を飲みながら一息つく。

 

「それで?君がここに来た理由は何?」

「な、何のことだ?」

 

上杉は、目的を指摘され思わず動揺してしまった。

 

「仲のいい友達ならこういったことは頼まれるのはおかしくない。普通だったら先生だしね。

それでも先生の中にはそれすら面倒でプリントを用意して封筒に入れて当日配達するように用意をしたりする。

けれど、今日来た君は、全くの初対面。そんな人がここに来るのは不自然とも思える。

クラス委員長か余程のお人好しでない限りね」

 

上杉は、思わず固まった。

彼に勉強方法を教えてくれと頼みに来ただけなのにそれを答え一歩手前まで導き出されてしまった。

指摘のあまり冷や汗が止まらない上杉だった。

 

「安心しろ。別に取って食おうって訳じゃない。

ただ、気になっただけだ」

「待った!話すよ。俺がここに来た理由」

 

そして上杉は、ここに来た理由を包み隠さず話した。そして・・・。

 

「ブハハハハハハ!!!!べ、勉強法を教えて欲しいってだけでここに来るなんて。

あ、だ、ダメだ!お腹痛い!ブフフフ!!」

「おい、ここまで笑うことないだろ!」

「いや〜スマン・・・。ここまで変な奴だとは思わなかった・・・」

「へ、変な奴・・・」

 

上杉は、斗真に言われた言葉に思わず心臓にグサリと刺さった音が聞こえた。

 

「まあ、笑ったお詫びも兼ねて教えるよ。

俺がやってる勉強法」

「本当か!?」

 

こうして、上杉は、斗真に勉強を教わることができた。

 

※回想終了

 

 

 

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

一通り話を終えたのだが思ったことは・・・。

 

「やっぱ上杉君/さん/フータローはブレない・・・」

「失敬な!斗真の勉強法は効率を上げるのに最適なんだ!」

「じゃあ何故教えてくれなかったんですか!?」

「意地張って教えなくて結構ですってほざいた後に自滅したのはどこの誰だ?

普通に教えてくれって言ったらちゃんと教えたぞ」

「うぐっ・・・」

 

五月の言い分に斗真が黙らせた。

 

「・・・はあ、バッカみたい」

 

二乃はそれだけ言って外に出かけた。

こうして、三玖の家庭教師番外編は、滞りなく?終了した。

 

 

 




今回はここまでとなります。


次回から林間学校編に入ります。
では、次回。


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第18話 メールアドレス

お待たせしました。


ワートリ小説を投稿していたせいで遅くなりました。
最新話です。どうぞ。


林間学校が近くなっていく中、今日は、三玖と一花、上杉、斗真といつも通り勉強していた。

その後、遅れて来た四葉に対して、上杉は・・・。

 

 

 

 

 

変なお面を被っていた。

 

「うわああああ〜〜〜〜〜!!!!????」

 

当然の如く?驚いた。

すると上杉は、マスクを外した。

 

「何だ。上杉さんですか・・・」

 

と思いきや、再びマスクを付けた。

 

「うわあああ〜〜〜〜〜!!!」

 

またマスクを外した。

 

「ホッ・・・」

 

また付けた。

 

「うあ!!!!」

「う、うん!!」

 

四葉と上杉は、声の元を見た。

その人物は、図書室の先生だった。

 

「図書室では、お静かに!」

 

「「すいませんでした」」

 

上杉と四葉は、ペコリと謝った。

 

「どうしたんですか?こんなに仮装道具を持ってきて」

「俺が勉強している間に林間学校の肝試し役に選ばれたんだ。

まあ、斗真に「腹いせと言う名目で他の生徒を脅かせば?」って言われたらな・・・。

盛大に脅かしてやろうじゃないか・・・!」

 

意外とノリノリの上杉は、やる気の炎を滾らせていた。

 

「トウマ君もやるの?」

「ああ、どうせなら二度と外の世界に足を出せない程のトラウマを植え付けようと思っている程にな・・・」

 

フッフッフ・・・!!といかにも悪役のやりそうな悪い表情をしていた。

そのセリフは、ここにいる皆が恐怖で震え上がるほどの覇気も漂っていた。

 

「と、斗真。落ち着け。そのやる気は、当日まで抑えておけ」

「おっと失礼。ここ最近、フラストレーションの溜まり具合が酷くてね」

「・・・何かあったんですか?」

 

四葉は、恐る恐る聞いて来ると斗真は、気怠げな表情になった。

 

「陸上部の部長の江場だっけか。勧誘があまりにも鬱陶しくてな・・・。正直、かなり迷惑。

(無駄に熱心に勧誘してくるせいで防衛省の事を知られる可能性があるから迂闊に動けない・・・。

 俺がボロを出さなければいいだけだけど正直、それ無しでも鬱陶しい)」

「トウマ、結構参ってるね・・・」

「どうしてそんな事になったの?」

「早朝のランニングで捕まったんだよ。正直、鬱陶しくてな」

 

斗真は、かなり面倒だと言う表情を浮かべていた。

 

「えぇ〜?折角身体を動かせる位回復したのにやればいいのに。

部活なんて青春の象徴じゃない?」

「馬鹿馬鹿しい。俺は、やりたい事があるからそれをやるだけだ。

一花も、女優をやっているのはやりたいって思いがあったからじゃないのか?」

「それは、まあ、そうだけど・・・」

「俺は、俺の意思で陸上やるなら何とも思わない。

だがな、その才能は伸ばすべきだと言われてやりたくない事をやるのはお門違いだ。

ただの迷惑だ。つか、一人暮らしでバイトしている身としては、そんな暇はない」

 

斗真の持論に思わず皆が言いくるめられた。

 

「あっ!私のお友達から聞いた林間学校が楽しみになる話をしましょう!

曰く、最終日に行われるキャンプファイヤーのダンスのフィナーレの瞬間に踊っていたペアは、生涯を添い遂げる縁で結ばれるというのです!」

「そんな伝説があったら、まず鈍感男子の鈍感を治す伝説を教えろ。

(このままでは、マジで茅野の恋愛が一方通行になってしまう・・・)」

「・・・新城さん、本当にストレス酷いですね」

 

皆は、普段の斗真とは思えない辛辣度合いに心配の表情を浮かべた。

 

「あっ、いけない!もう行かないと!!」

「仕事か?」

「うん。もう行かなきゃ。それと、フータロー君。トウマ君」

 

一花は、携帯を取り出しアドレスを差し出した。

 

「今後、こう言った事が起きるかもしれないから連絡先交換しておくね」

「確かに、それは必要だな」

 

斗真も、携帯を取り出したが・・・。

 

「折り畳み式!?」

 

斗真が取り出したのは俗に言うガラケーだった。

 

「ん?あ、いけね。職場用のだ」

 

斗真は、それに気づき、私物のスマートフォンを改めて取り出した。

 

「・・・職場用?」

「俺のバイト先ちょっと特殊でね。携帯を支給されるんだ」

「へぇ〜。結構変わってるね」

「所で、新城さんって何のバイトしているんですか?」

 

斗真は、思わずその回答に行き詰まった。

 

「(防衛省の話をする訳にはいかないし・・・。あ、そうだ)

まあ、ちょっとしたお役所での事務員。企業でのやり取りとかあるからできるだけ情報は漏らしたくないんだよ」

「お役所!?」

「それって、市役所とか?」

「似たような物。一応言っておくけど、来るなよ。

アポイントメント取らないで入ると門前払いされるから」

「ちぇ〜」

「一花。今度は、国立大学入試レベルの問題を出してやろうか?

スパルタ形式の24時間体制で授業してやる」

「ごめんなさい私が悪かったので通常通りの問題にして下さい」

 

斗真のあまりにもマジな目に一花は、垂直で頭を下げた。

その後、上杉と一花は、お互いに連絡先を交換し、四葉、三玖とも連絡先を交換した。

連絡先の交換が出来たことを確認し、そのまま仕事に向かった。

 

「・・・女優って大変だね〜」

 

すると上杉は、突如、何やら言い出した。

 

「ああ〜家庭教師をしている身としては!連絡先を交換しておいた方が今後とも役に立つだろうなって思っても見なかったり!?」

 

と言い出だしたが、三玖、四葉の連絡先は、無事に交換できた。

 

 

 

 

 

場所は変わり、食堂。斗真、上杉、四葉、三玖と共に二乃と五月の連絡先の交換に来ていた。

そして、各々紅茶を飲んだりパンを食べたりしていたのだが・・・。

 

「お断りよ。お・こ・と・わ・り!」

 

現在進行形で連絡先の交換を拒絶された。

 

「私たちには、あなた達のアドレスを聞くメリットがありません」

「上杉、頭悪い奴ほどメリットとかいう意識高そうな言葉を使う傾向があるって聞いたことあるけど、マジだったんだな・・・」

「安心しろ。こいつの頭が悪いのは今更だ」

「・・・それもそうか」

「2人共酷すぎます!!もういいです。絶対教えません!!」

「上杉が性格悪いのは今更では?」

「えぇ〜・・・?」

「・・・俺は、そこまで性格は悪くない、はず」

 

斗真の思わぬカウンターに五月は、困惑してしまい上杉は、拗ねた。

 

「まあ、そうきめつけんな。別にお前も上杉と連絡するメリットは十分にある。なあ、上杉?」

「ああ。俺の連絡先を交換すると、もれなく、らいはのアドレスも付いてくる!!」

「因みに、連絡先交換は、らいはちゃん本人にも了承済みだ。と言うよりらいはちゃんにこの話したらお前の連絡先欲しがってたぞ。

だからお前にも少なからずメリットはあるはずだ。それに、小さな子供の願いを無化にするかな〜?」

 

斗真は、悪どい笑みを浮かべながら煽ってくる。

 

「う、上杉さん。新城さんが腹黒いです・・・」

「・・・あんなに腹黒い斗真は、初めて見た」

「・・・フータローも見た事ないの?」

「ああ。こんなに煽る奴だとは思わなかった・・・」

 

などと3人が聞こえない程度で後ろで話していた。

そして五月は、少しほど考えた結果・・・。

 

「・・・背に腹はかえられません」

 

五月が折れて、連絡先を交換した。

 

「アンタ!!身内を売るなんて卑怯よ!!」

「ハハハッ!なんとでも言え!!」

 

二乃が何やら文句を言っているが上杉は、痛くも痒くもないような笑い声を上げる。

 

「じゃあ次は、お前だな。面食い女」

「誰が面食い女よ!!?」

 

斗真の言われように文句を言う二乃。

 

「そういや〜。連絡先交換していないのお前だけか〜?

上杉は、二乃以外連絡先交換しているからお前を抜きにして秘密の話をしているかもね〜?

いや〜、みんなが仲良く話をしたりしている姿が簡単に想像できるわ〜」

 

どう考えても煽っているようにしか見えない斗真。

その煽り具合を、引きながら見る上杉達。

 

「・・・か、書く物を寄こしなさいよ」

 

二乃は、プルプル震えながら屈辱と言わんばかりに書く物を要請した。

上杉は、生徒手帳を差し出した。

 

「よし、これで後1人だな」

「え?後一人って誰ですか?」

「よし、四葉さん。連絡先交換している人を上げていこう」

「はい、えーっと。一花、三玖、五月、二乃・・・」

 

すると四葉は、閃いたかのように声を上げた。

 

「あー!四葉!!私、してませんでした!」

 

斗真と上杉は、「コイツは、ただのアホなのでは?」と感じていた。

 

「て言うか、アンタは、交換しなくていいの?」

「俺は、あくまで上杉の補佐だ。勉強の事や家庭教師の日程は、上杉に聞け」

「な!?自分は煽るだけ煽って交換しないなんて何考えてるんですか!?」

「フハハハハッ!!他人を煽るのはこの上ないYU☆E☆TSUだからな!!!」*1

「キャラブレしてるぞ〜・・・」

 

上杉は、少し小さめの話し声でツッコミをした。

すると、四葉の連絡先を交換しようとした時、携帯がなった。その相手は、バスケ部の部長だった。

 

 

 

 

 

その後の話をしよう。四葉は、バスケ部に入部しないかと誘われたがそれを拒否。

二乃は、連絡先を書いたが返す前に四葉の後を追いかけて行った上杉は、生徒手帳を回収するのを忘れていた。

その為上杉は、学校があるのにわざわざ朝早く中野家に向かい生徒手帳を回収しに向かった。

その数分後に、痺れを切らした斗真が部屋にやってきた。

 

「お邪魔しま〜・・・」

 

二乃がソファーに座り上杉が正座していた。

 

「お邪魔しました」

「いや、何故回れ右をする!?」

「今、デジャヴった・・・。また上杉がやらかしたんじゃないのか?」

「してない!いや、したけどしてない!!」

「どっちだよ・・・」

 

斗真は、思わず呆れてしまった。

その後、一花が部屋から降りてきて二乃に何かを渡したようだ。

 

「ピアッサー?」

「アレ?トウマ君知ってるの?」

「ああ。一応、ピアスの穴開けは、医療行為として看做(みな)されるって聞いた事があってな。

一時調べたことがある。ピアスしたいならなら病院で開けた方がいいと思うぞ?

中学の友人が自分でやったらめちゃくちゃ痛いって話してたぞ」

 

二乃は、その話を聞いた瞬間、青ざめていた。

 

「ピアスつけたいならノンホールの方がいいんじゃないのか?」

「ノンホールピアス?」

「・・・何それ?」

「穴を開けないで耳につけるピアス。

金属アレルギーの人や、開けるのが怖い人が良く付けるって聞いたことがある。

ただ、欠点としては、動けば位置がずれて落ちてくるからしっかり固定されない事だな」

「金属アレルギーってことは、金属製の物じゃない物があるってこと?」

「樹脂製の物が発売しているはず。気になるなら調べてみたらいいぞ」

 

十中八九、二乃が周りがつけているからって名目で付けたがっていると思うが。

そんな話をしている中、斗真の言葉に耳を貸さず二乃の部屋に連れて行った。

 

「所で、トウマ君は、どうしてうちに?」

「上杉が遅かったから三玖に頼んで入れさせて貰った」

 

その後、結局穴を開けないで昔の写真を持ってきた二乃だった。

上杉は、上の方で生徒手帳に挟んである写真を見ているのだった。

因みに、小学生時代の中野姉妹を見分けるのは、流石に無理だと斗真は、話していた。

 

 

 

*1
ストレスの臨界点が突破しキャラがブレている証拠




今回は、ここまでとなります。
話の流れとしては、この次に林間学校に入ります。
この流れは、アニメ沿いになっています。ご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第19話 林間学校 準備編

最新話となります。
それとようやく暗殺教室のキャラと中野姉妹と邂逅します。


では、どうぞ。


遂に翌日にまで迫ってきた林間学校なのだが斗真の表情は、優れないでいた。

 

「(烏間さんは、気にするなって言ってたけど、奴らの動向は、気になるんだよな・・・)」

 

林間学校の為、3日程離れる事で斗真不在で何かが起きるのでは?と気になって仕方がないのだ。

溜息を吐く斗真に一人の女子生徒がこちらに来た。

 

「やあ、新城君」

「・・・江場」

 

斗真は、図々しそうな表情で女子生徒を見つめていた。

その人物は、以前斗真を陸上部に勧誘してきた部長本人だった。

 

「そんな怖い顔しないでよ。私は、()()()()()()()()()()()()から勧誘しているんだよ」

「・・・黙れ、エゴイスト。テメェ何かに・・・ん?」

 

斗真の視線の先には、三玖がウィッグらしき物を持っていた。

 

「どうかしたの?」

「・・・何でもない。とにかく、これ以上勧誘するなら生活指導の先生にこの事実を伝える」

「・・・分かったわ。()()は、諦めるわ」

 

江場は、それだけ言ってその場をさった。

すると斗真は、三玖を追いかけていた上杉を見つけた。

斗真は、気になり2人を追いかけた。

 

 

 

 

 

場所は、女子トイレ前。

上杉は、近くの柱に隠れていた。

 

「上杉」

「うぉ!?」

 

上杉は、思わず声を掛けられて驚いてしまった。

 

「・・・何だ、斗真か。脅かすな」

「それは、すまん。だが、こんな所で何してるんだ?」

 

上杉の話を要約すると一花が仕事で抜けると話し三玖に「いつものよろしく」と頼まれたそうだ。

その時にウィッグを渡されたそうだ。

 

「それで気になってついて来たのか・・・」

「ああ、一花の奴、一体何を・・・「出てきたぞ」・・・!」

 

斗真の言葉に慌てて女子トイレの方を見る上杉。

ヘッドホンをしているところを見ると三玖が変装しているのが確認できた。

そして、移動し始めたのでそれを尾行する斗真と上杉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は、一花のクラス前の廊下。

2人は、こっそりと中の様子を伺っていた。

 

「しかし、意外だな。お前が三玖の後を付けてくるなんて」

「・・・別に他意はない。お前こそどうなんだ?」

「お前と同じ」

 

と、斗真は、それだけ話し、三玖の後をついて行く。

 

「(流石に恋人が心配なんて言えないな・・・。単純に恥ずい)」

 

斗真と三玖は、恋人同士であるため不埒な輩がちょっかいを出してくるだろうと心配なのだ。

 

「(我ながら酷い独占欲だな・・・)上杉、しゃがみながらドア近くに行くぞ

「お、おう」

 

斗真の言う通り、しゃがみながらドア近くに向かう。

 

「な、中野さん。来てくれてありがとう」

 

中に聞こえた声をよく聴覚を研ぎ澄ます。

 

「(聞いた事のない声だな・・・。一花と同じクラスの奴か?)」

 

と言う感じで考えつつ中の様子を観察していた。

 

「えーっと、他の皆は?」

「わ、悪い・・・。君に来て貰う為に嘘をついた」

「えっ?」

 

どうやら、嘘をついて彼女と接触を試みたようだ。

 

「そ、それでですね・・・。お、俺とキャンプーファイヤーで踊って下さい!」

「・・・私と?何で?」

「それは・・・。好きだからです」

 

斗真は、その話を聞いた時、なるほどと感心と同時に呆れた。

 

「なんの話をしているだ?」

「一花の事が好きで告白したみたいだ」

「・・・学生の分際でいいご身分だな」

「問題はそこじゃねぇよ。一花の代わりに相手しているのは三玖だ。向こうは完全に一花と思い込んでいる。下手したら余計ないざこざが起きるぞ」

「だが、向こうは一花だと思い込んでいるんだろ。どうする?」

「俺が中に入る。上杉は、反対側から探しに来たって感じで来てくれ」

「いいのか?そんなんで」

「問題ない。これ位の問題ならな」

 

そう言い上杉は、もう一度しゃがみながら先程来たルートにスタンバイし斗真は、意を決して中に入る。

 

「一花」

「トウマ、君」

「戻ってくるのが遅いから心配したぞ。さっ、戻るぞ」

「おいコラ、何勝手に登場してんだよコラ。

つーか、気安く中野さんを下の名前で呼んでんじゃねーぞコラ。・・・お、俺も名前で呼んでいいのかコラ」

「知るか。一花、行くぞ」

 

斗真は、肩を掴んできた。

 

「・・・何だよ」

「こっちこそどういう要件だコラ?

俺は一花さんと話をしているんだぞコラ」

 

斗真は、江場とやりとりの後もあった為か余りにも虫の居所が悪かった所為もあり男子生徒の手首を掴み足を引っ掛けそのまま背負い根げをしそのまま動きを固めに入った。

 

「イデデデデ!!!」

「ちょ、ちょっとやりすぎ!」

 

一花(三玖)が思わず止めに入った。

斗真は、渋々だが男子生徒を解放した。

 

「お、お前、結構つえぇじゃねかよ、コラ。次は、本気で・・・!」

「わ、私・・・この人と踊る約束してるから!」

「・・・へ?」

「(まーた面倒な事が起きるよ・・・)」

 

斗真は、内心呆れながら小さくため息を吐いた。

 

「う、嘘だ!こんな奴が中野さんに釣り合う訳がない!」

 

斗真は、流石の鬱陶しさに頭が来てど突こうとした時だった。

 

「そ、そんなことない!・・・と、トウマ君は・・・カッコいいよ・・・」

「つ、付き合ってるんですか・・・?」

 

斗真は、これはチャンスと言わんばかりに一花(三玖)の手を握る。

 

「!?///」

「な!?」

「付き合ってるなら手を握ってても問題ないだろ?

言っておくが彼女が付き合ってるのはあまり言い触らしたくないと言う配慮もある。

これ以上話すことがないなら帰らせてもらう」

「・・・クッソー。わーったよ、わーったよ」

「おーい、一花ー。斗真ー。どこだー?」

「(ちょっと遅かったがまあいいか)」

 

と呟き、一花(三玖)を連れて戻ろうとした時だった。

 

「あの・・・私が聞くのも変だけど、何で好きな人に告白しようと思ったの?」

「中野さんがそれを言うか・・・。そーだな・・・。()()()()()()()()()()()()()。それに尽きるな」

 

斗真は、三玖に対してある疑問を持った。

 

「(何か悩んでいるのか?)」

「ったく、中野さんを困らせんじゃねーぞ」

「お前は、人の気持ちを考える事を覚えろ。彼女欲しいのならな」

「う、ウルセェ!!」

 

その後、予定通り上杉が来て男子生徒は、そのまま帰宅した。

 

 

 

「「つ、疲れた・・・」」

 

「だ、大丈夫か?お前ら・・・」

 

斗真と三玖の疲労度合を見て思わず心配の声を上げた上杉。

 

「全く、とんだ自己中野郎がいたものだ。

返事待ってって言ってるのにその場で返事しろとか何考えてんだ」

「・・・トウマ。想像以上に怒ってる」

 

斗真は、三玖に指摘されハッとなり、思わず自己険悪に陥った。

 

「・・・ハァ。すまない、お前達に八つ当たりしてしまって」

「ううん。トウマが私を助けてくれたから大丈夫」

「あまり気負うなよ」

「・・・ああ」

 

その後、斗真、上杉、三玖は、帰宅しようとした時、二乃、四葉、五月に捕まった。

 

 

 

 

 

場所は変わり、とあるショッピングモール。

そこでは、上杉の服のコーディネートをしていた。

四葉は、派手な物という名目で動物まみれのTシャツとズボン、ついでに赤い帽子。

 

「多分お前、ふざけいているだろ」

 

三玖は、和のテイストという名目でチョイスしたのが袴。

 

「和、その物ですけど!?」

 

五月は、男らしい服装を選んだ。

その結果、ビジュアル系バンドが着ているような格好になった。

斗真は、思わず・・・。

 

「酷い偏見だな」

「じゃあ貴方が選んで下さい!!」

「つか、俺、この流れでボケないといけないのか・・・?」

 

「「ボケんでいいわ!!」」

 

二乃と上杉は、揃ってツッコミを入れた。

 

「どんなのを考えていたんですか?」

「いや、たまたま見つけたって言うか・・・」

 

「「「???」」」

 

斗真が選んだのは・・・。

 

 

 

 

 

黒いロングコートに両手剣2本を背中に背負っていた。

 

「某人気アニメそのもののコスプレになってしまった」

「色々とまずいだろ!?」

 

そして最後は、二乃が選んだ服なのだが・・・。

灰色のズボンに黒いシャツ。そして、深緑色のロングコートだった。

 

「あ、二乃本気で選んでる」

「ガチだね」

「アンタたち真面目に選びなさいよ!!」

 

そんなこんなで着せ替え人形にされたが無事に上杉の服を見繕うことができた。

因みに斗真は、その間に日用品を買い足していた。

 

「・・・お、おい。いいのかよ、お金」

「アンタの為じゃないわ。ダサい格好でこられるとこっちが迷惑なのよ」

「まあ、ただでさえ古着とかしかないんだ。ありがたく受け取ったら?」

「・・・なら、ありがたく受け取っておく」

「うーん、男の人と服を選んだり一緒に買い物するって、デートって感じですね!」

 

四葉以外は、思わず言葉を詰まらせたが斗真は、こんな事を考えていた。

 

「(・・・あ、そういえば三玖と付き合ってからちゃんとデートしてないな。

林間学校の後に遊びに行くか・・・)」

「・・・こ、これはただの買い物です」

 

斗真がそんな事を考えている中、異性に対して潔癖な五月も、四葉のデート発言をバッサリと切り捨てる。

 

「・・・学生の間に交際だなんて不純です」

「言ってる事がまんま上杉だな」

「ですね!」

「い、一緒にしないで下さい!!」

「事実だろ。(三玖が何やら物凄い呪いみたいなオーラ放ってるし・・・)」

「あくまで上杉君とは教師と生徒、一線を引いてしかるべきです!」

「言われなくても引いてるわ!」

「はあ・・・。馬鹿馬鹿しい」

 

斗真は、それだけ吐き捨てて帰ろうとしたその時だった・・・。

 

「ひったくり!!!」

 

「「「!!??」」」

 

突如、若い女性の声が悲鳴を上げ、聞こえた方を見ると何やらニット帽とマスク、そして、サングラスをつけた大柄な人がこちらに目掛けて走ってきた。

 

「ガキ共!!そこを退け!!」

 

五月は、三玖に抱きつき、二乃は、姉妹達の前に出た。

肝心の上杉は、思わず固まったその時だった・・・。

 

 

 

 

 

斗真が、大柄の恐らく声からして男の足を引っ掛けバランスを崩し倒れさせた。

 

「ゴッ!!」

 

斗真は、思わず溜息を吐いた。

 

「・・・上杉、荷物を頼んだ」

「お、オイ!?」

 

斗真は、上杉の静止を無視し大柄の前に立った。

 

「テンメェ!ふざけんな!!」

 

大柄の男は、殴ってくるが単純な動き故に簡単に避けて顔を裏拳で殴った。

大柄の男は、痛みのあまり動きが鈍り斗真は、そのまま回転蹴りを顔面に向けて放った。

回転蹴りは、そのまま男に直撃し、前歯が掛けて気絶した。

 

「・・・まっさかひったくり犯を捕まえることになるとは。上杉、荷物寄越せ」

「と、斗真、お前・・・」

「後で話す」

 

斗真は、日用品と一緒に買っておいたガムテープを取り出し男の犯人の両手両足を固定していたその時だった。

 

「す、すいませ〜ん!!」

「この声・・・。まさか・・・」

「わ、私のバッグ・・・」

 

どうやら持ち主がこちらに来たようだ。

しかし、斗真は、振り返ろうとしない、いや、面倒だった。

斗真は、意を決して振り返ると少女が2人来ていた。

一人は、ショートヘアのウェーブを掛けた少女でもう一人は、ポニーテールをしていた。

少女2人は、思わず・・・。

 

「「し、新城君?!」」

 

「・・・俺に安息の時間をくれ」

 

斗真は、力無くそう話すのだった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回は、オリジナル回で斗真の過去をちょっとだけ話します。
具体的な話は、まだ出ないのでお待ち下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第20話 かつての友が知る斗真の顔

今回は、オリジナルストーリーとなります。


では、どうぞ。


前日の林間学校の準備の為、服を揃えにショッピングモールに来ていたが突如ひったくりが行われた現場に居合わせた斗真達。

斗真は、犯人を無力化に成功したが、そのひったくりの被害者が嘗てのクラスメイトで同じ暗殺教室のメンバー・矢田桃花と倉橋陽菜乃だった。

 

 

 

 

 

その後、ひったくり犯を警備員に引き渡しその場で解散と言いたかったが斗真が無力化した人兼事情説明の為に警備員について行く事になった。

残りの中野姉妹は、矢田と倉橋がお詫びというのも変だが、近くのレストランで食事をする事になった。

上杉は、父親から連絡を貰いそのまま帰宅した。

 

「それじゃあ、改めて。私は、矢田桃花。新城君とは、元クラスメイトです」

「私は、倉橋陽菜乃。よろしくね」

 

とそれぞれお互いに自己紹介。

そして、五つ子だと話を聞いた矢田と倉橋は、驚いていて同い年である事が分かった。

 

「改めて、巻き込んでごめんなさい」

「い、いいですよ!私達も急な事だったので・・・」

 

代表として五月が答えた。すると四葉は、ある事を言葉にした。

 

「・・・あの、新城さんのクラスメイトってことは、新城さんの事、何か知ってますか?」

 

「「え?」」

 

「アイツ、自分の事は、あまり話さないから2人なら何か知ってるんじゃない?」

 

二乃が補足で話をすると2人は、お互いに顔を見合わせた。

 

「今の新城君ってどんな感じなの?」

「・・・私達の家庭教師の補佐をしている」

「よく、私達を揶揄って来ます」

「いい人です!」

 

二乃以外は、そう答えた。

 

「そっか。ちょっと変わったのかな」

「変わった?」

「どう言うことですか?」

「昔の新城君って、今と違って結構無口だったんだ」

「え!?」

「嘘よ!かなり饒舌で話しているわよ!?」

「と言っても、私達は、卒業して以来の再会なんだ。

だから久しぶりに会ったんだ」

「多分だけど、親に対しての踏ん切りが付いたんじゃないかな?」

「親?どう言う事ですか?」

「それは言えない」

 

すると、先程明るい表情だった2人は、真剣な瞳で中野姉妹を見る。

 

「これは、新城君自身の事だから新城君本人に聞いて」

「・・・分かりました」

 

思わぬ気迫で思わずたじろぎながら話す五月。

 

「・・・あの!」

「えっと、三玖ちゃんだっけ?」

「・・・うん。トウマがE組に落ちた理由って知ってますか?」

「E組?」

「三玖、どう言うこと?」

 

椚ヶ丘のE組の事を知っている三玖は、2人に聞いてみた。

 

「・・・トウマの成績からして成績不振でE組に落ちるとは思えない。

だから、その理由が知りたい」

「・・・新城君は、本校舎の生徒を殴ってE組に落ちたんだ」

 

「「「!?」」」

 

中野姉妹は、思わず驚きの表情をした。具体的な詳細を話す前に矢田と倉橋はE組のシステムを話した。

本校舎の生徒には晒し者にされると言うことを付け加えて・・・。

その話を聞いた三玖以外は、驚きの表情を浮かべていた。さて、本題なのだが・・・。

当時、E組の面々の何人かは、斗真と友人関係を築いていた。

それは、E組に落ちていても変わらなかった。

ある時、E組のクラスメイトに嫌がらせを受けていたのを庇ったのが斗真だった。

当時の斗真は、必要最低限の事しか話さず1人でいる事が多かった為か、斗真の介入は当時の友人達の中では意外だったと言う話だ。

そして、E組にちょっかいを出していた本校舎生徒は、斗真の右ストレートで鎮圧。

だが、その数日後。その出来事が理事長の耳に入り斗真は、3年に進級すると同時にE組行きと1週間の自宅謹慎。

本校舎の生徒は、お咎めなしで終わったとの事。E組の生徒を庇った故にE組に落とされたのだ。

 

「・・・そんな」

「酷すぎます!!」

「・・・・・・」

 

五月は、呆然、四葉は、怒りの声を上げる。二乃は、信じられないような表情をしていた。

三玖は、以前聞いた事があったからそこまで驚きは、しなかったがそれでも聞いていて気持ちの良い物ではない。

 

「・・・アンタは、知っていたみたいね。三玖」

「・・・私がどんなに頑張っても成績が上がらないって話した時、トウマが自分の過去を教えてくれた。

私は、トウマが言ってくれた言葉のお陰で頑張る事ができた」

「どんな事を言ってたの?」

 

 

【清流に棲もうがドブ川に棲もうが前に泳げば魚は美しく育つ。

要は、大事なのは居場所や肩書ではなく、本人がどう生きて何をやりたいかだ】

 

 

「って言われた。だからトウマを信じる事が出来たからやって来れた」

 

その言葉を聞き、矢田と倉橋は、思わず笑みを浮かべ、二乃は、何やら面白くない表情をしていた。

 

「本当に変わったね。新城君」

「うん」

 

その後、少し程世間話をした後、お開きとなった。

 

「今日は、ありがとうございました」

「うん、また会おうね」

「あ、それと三玖ちゃん。ちょっとだけ良いかな?」

「・・・?」

 

すると矢田は、三玖の耳の近くでこう話す。

 

「新城君との交際。応援するね」

「///!?」

 

思いがけないフェイントを受けて思わず顔を赤くする三玖。

 

「それじゃあね!」

 

矢田は、それだけ話して倉橋と共に帰っていった。

 

「さ、私達も帰るわよって三玖。どうかしたの?」

「な、何でもない・・・」

 

三玖は、それだけ伝えて一足先に帰る。

皆は、頭に?を浮かべていた。

 

 

 

 

 

帰りの道中、矢田と倉橋。

 

「ねぇ、桃花ちゃん。新城君が変わったのって・・・」

「多分、三玖ちゃんの影響じゃないかな?」

 

そう、この2人は、三玖が斗真がE組に落ちた理由について聞いてきた時、もしやと思っていた。

そして、先程の爆弾発言の様子を見て確信したのだ・・・。

 

 

 

 

 

三玖は、斗真のことが好きだと。

※上杉も友人関係を築いていることも理由の一つだが2人は、それを知らない。

 

「桃花ちゃんの()()()()。取られちゃったね」

「でも、絶対に私と付き合えばよかったって後悔するほど良い女になってやる!!」

 

という新たな決心をする矢田だった。

 

 

 

 

 

斗真は、1人、自宅に帰っている時、携帯から着信が入った。

電話を見ると三玖だった。

 

「もしもし?」

『斗真、今大丈夫?』

「まだ家に帰る途中だけど話すくらいなら良いぞ」

『・・・うん。あのね、トウマ。矢田さんに付き合ってるのバレたかも』

「・・・そうか」

 

何となくだが予想はしていた。

彼女は、烏間先生の奥さん、イリーナの一番弟子と言って良いほど熱心に彼女の話術を学んでいた。

同時に、観察眼も鍛えられたとの事で斗真と互角と言って良いほどの観察力が鍛えられた。

 

『・・・トウマって昔、付き合っていた人いたの?』

「いや、俺は、その当時は、色々と参っていた時でさ、誰かと付き合いたいとは思わなかった。それに・・・」

『それに?』

「今は、三玖と居られればそれで良いのかもなって思ってさ」

『・・・///』

「アレ?三玖?おーい」

『わ、私も・・・』

「ん?」

『・・・私も、トウマの彼女になれて嬉しい』

「・・・ありがとうな。俺と付き合ってくれて」

 

何やらほんわかな空気が流れるその時、斗真は、ある事を思い出した。

 

「あ、三玖。林間学校終わったらデートしよう」

『・・・え?で、デート?』

「今思えば、付き合ってからちゃんとしたデートしてないと思ってさ。

流石に今日のは、デートとは言えないだろ」

『・・・うん、分かった。楽しみにしている』

「おう、任せとけ」

 

すると今度は、三玖が・・・。

 

『ねぇ、今日放課後にあった事だけど・・・』

「一花とは、踊らない」

『えっ?』

「俺は、三玖としか踊らない。それは、四葉が話していた伝説関係無くだ。

俺が好きになった人は、()()()()と言う少女ただ一人だ」

『・・・うん。ありがとう』

 

こうして、その日は、話が終わり翌日の林間学校当日となった。

しかし、またしても新たな問題が浮上しているのは、知らない斗真だった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回から、林間学校編に突入します。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第21話 林間学校スター・・・ト?

最新話になります。


では、どうぞ。


林間学校当日。

早朝、皆で学校のバスに集合し目的地に向かうのだが・・・。

斗真の携帯に着信音がなった。携帯を見ると相手は、五月だった。

斗真は、疑問に思いながら電話に出た。

 

「何だ?」

『新城君。上杉君から連絡来てませんか?』

「上杉?来てないが・・・。五月、今どこにいる。直接聞かせてくれ」

『では、3号車のバスの前にいます』

「分かった。ちょっと待ってろ」

 

斗真は、そう言い電話を切る。

 

「どうしたんだ?一体」

 

 

 

 

 

場所は変わり、上杉家。事は、林間学校前日。

斗真がひったくり犯を捕まえて警備員に同行している時、皆で移動して事情説明する事になったのだがその時は、上杉は、抜けているのだ。

理由は、妹のらいはが体調を崩してしまったのだ。父、勇也が仕事で抜けている間に上杉が看病していた。

上杉が看病していて勇也が戻ってきた時には既に朝になっていたと言う事だ。

そして今、勇也が林間学校に向かうように説得中だった。

 

「・・・一生に一度のイベントだ。今から行っても遅くないんじゃないか?」

「バスも無いし、別に大丈夫だ」

 

上杉は、行かなくていいと言う中、らいはが目を覚ました。

 

「ああ〜!!お腹空いた!」

 

突如、らいはが元気な姿で飛び起きたのだ。

 

「え?らいは?・・・熱は?」

「治った!!」

 

若さ故か、回復力も速いのだった。

 

「お兄ちゃん、ありがとう!私はもう大丈夫だから、林間学校行ってきて」

「けど、バスが・・・」

 

ピンポーン!

 

「こんな朝から誰だ?」

 

上杉は、朝からベルを鳴らしてくる人物に文句を言おうと思いドアを開いた。

しかし、上杉本人は、思わず驚いてしまった。その人物は・・・。

 

 

 

 

 

「林間学校に行くぞ。教員には、事情を説明済みだ」

「斗真!?」

 

斗真とそれに同行していた五月だった。

 

「あ!斗真さん!!」

「おお、斗真君!久しぶりだな!!」

「おはようございます。と言うわけで風太郎をお借りします」

 

「「おう!/はーい!」」

 

上杉は、何も分からぬまま斗真に連行されていった。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。一体何が・・・」

「五月が俺の所に来てお前が来てないって言われてな。

中野先生の秘書に車を出して貰ったんだ」

 

そこにいたのは、一花、二乃、三玖、四葉、そして運転席には、江端がいた。

 

「まあ、呼んだ理由として五月が肝試しの実行委員は、無理だって話だけどな」

「・・・新城君に指摘されるのは癪ですが、そう言う事です。だから、貴方がやって下さい」

 

上杉は、呆れていたが小さく笑みを浮かべた。

 

「・・・仕方ない、行くとするか」

 

こうして、7人で林間学校に向かう事になった一同。

しかし、向こうでもはちゃめちゃになるんだろうなと斗真は、遠目で青空を見ていた。

 

 

 

 

 

「五つ子ゲーム!」

 

「「「「イェーイ!」」」」

 

隠した手から伸びる指を当てるゲームです。

指の配置は以下の通り

 

 

一花=親指

二乃=人差し指

三玖=中指

四葉=薬指

五月=小指

 

 

となっている。

 

「二乃」

「三玖かな」

「四葉!」

「二乃です」

「二乃で」

 

上杉は、悩んでいる中、二乃の手を掴み答えを探そうとしていた。

 

「残念、三玖でした!」

「・・・なぜ裏返ってる?」

 

二乃が正解を見せたが、何故か手の甲が上杉の方を向いており、完全にヘヴィメタル系のバンドがやってそうなポーズをしていた。

 

「くそ。次、俺な!」

「やけにハイテンションですね」

「お前たちの家を除けば、外泊なんて小学生以来だ。もう誰も俺を止められないぜ!」

「・・・まぁ。

 

 

 

 

 

もう一時間以上足止め食らってるんですけどね」

 

そう、外は猛吹雪で渋滞にひっかかってしまったのだ。

そして、肝心の斗真はというと・・・。

 

「新城君どうですか?」

「・・・参ったな。迂回路を見てみたけどどこも渋滞で引っかかってる。

しかも迂回路の中には、交通事故の影響でストップがかかってる」

 

斗真は、ゲームに参加せずに江端の隣で迂回路を探していた。

だが、律が調べるとどこも渋滞になっている。

しかも、吹雪が凄すぎてホワイトアウトしてしまう程だ。

 

「・・・こりゃあ、どっかに一度宿泊だな」

 

斗真の予想は、的中したのだった。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、とある温泉旅館。

当日では、林間学校の宿泊地に到着できないと判断し、1番近くの温泉旅館に泊まることにした。

残っている部屋は、斗真達がいる部屋だけで他の団体客で殆どの部屋が埋まってしまったとの事。

 

「ねぇ、本当にこの旅館に泊まるの?コイツらと同じ部屋なんて絶対嫌!」

 

と、二乃が文句を言う始末。

しかし、彼女の言い分が全く間違いというわけでは無い。

思春期の男女が、同じ部屋に止まるのは些か大丈夫なのだろうかと言うのもあるのだが・・・。

 

「流石にこの吹雪じゃお手上げだな・・・」

「斗真!これ以上文句を言っていても仕方がない。楽しもうじゃないか!!」

「はーい。女子集合ー」

 

二乃の号令で中野姉妹全員が部屋の隅に集まった。

 

「良いこと?各自気をつけなさいよ」

「・・・気をつけるって何を?」

「それは、ほら・・・。一晩同じ部屋ですごすわけだから・・・。

 

 

 

 

 

・・・アイツらも男ってことよ」

 

と言い出す二乃。

要は、襲われる可能性があると言うことを危惧しているのだろう。

 

「・・・そんなことありえません」

「やろうぜ」

 

「「「「「!!!」」」」」

 

上杉が言った一言で、姉妹達は思わず固まる。

 

「トランプ、やろうぜ!」

 

上杉の誘いは、トランプの誘いだった。

すると四葉は、あることに気づいた。

 

「上杉さん。新城さんは?」

「ああ、バイト先に電話してくるってさ」

「・・・アイツ、真面目ね」

 

二乃は、思わず斗真の仕事っぷりに引いてしまった。

 

 

 

 

 

場所は変わりエントランス。

斗真は、防衛省が支給してくれた携帯で話をしていた。

 

「そうですか・・・。進展なしと・・・」

『だが、情報のほとんどは、こちらが把握している。

奴らが捕まるのも時間の問題だろう』

「そうですね・・・」

『・・・こちらの事は、気にするな。

本当の事を言えば、君には、渚君達と同じ日常を送って欲しいんだ』

「でも、それじゃあ俺自身が前に進めない・・・。

これは、俺自身のケジメでもあるんです」

『・・・今でも、お父さんの事は、恨んでいるのか?』

「・・・もう父に未練はありません。

俺は、俺自身の為に闘います」

 

それだけ話し、通話を終了する斗真。部屋に戻ると皆がトランプで遊んでいた。

せっかくだから斗真も混ざろうと言うことで斗真も混ざった。

ババ抜きをした結果、斗真が某メンタリスト並みのテクニックでババ抜き全戦全勝するのだった。

二乃は、悔しさの余りハンデとして斗真は、必ずババを持っている事にしたが皆、全敗した。

 

 

 

 

 

「すげぇ!」

 

日は、沈み夕食の時間になる。

旅館が用意してくれた食事は、天ぷらや魚の串焼き、刺身といった豪華な料理が所狭しと並んでいた。

 

「タッパーに入れて持ち帰りたい・・・!」

「やめてください・・・」

「こんなの食べちゃっていいのかな?明日のカレーが見劣りしそうだよ・・・」

「四葉、気にしたら負けだ」

 

と言うわけで食事を始めた。

 

「三玖、アンタの班のカレー楽しみにしてるわ」

「・・・うるさい。この前練習したから。それに、トウマが全面監修するから」

「へぇ〜?結局ソイツに頼るんだ〜」

「面食い女。お前、ヤケに絡むな」

「誰が面食い女よ!!」

「あ。そういえば、スケジュール見てなかったかも」

 

一花は、斗真と二乃のやりとりを無視し確認しようとした時、風太郎が即座に答えた。

 

「二日目の主なイベントは・・・。オリエンテーリング、飯盒炊爨(はんごうすいさん)、夜に肝試し。

三日目は、自由参加の登山、スキー、川釣り。そして夜はキャンプファイヤーだ」

 

「・・・何で、フータロー君暗記してるの?」

 

一花のいう通り以前は、乗り気ではないような雰囲気を醸し出していた。

それなのに急にノリノリなのは、不思議で仕方がなかった。

 

「あと、キャンプファイヤーの伝説の詳細がわかったんですけど」

「・・・またその話か」

「どうでも良い」

 

上杉は、呆れた表情をしていて、斗真は、バッサリと切った。

 

「関係ないわよ、そんな話したってしょうがないでしょ。どうせこの子たちに相手なんていないでしょ」

「・・・・・・」

 

斗真は、チラリと三玖に視線を移すと小さく首を振った。

 

「・・・二乃、誰からも誘われなかったんだと思う」

「そっか、拗ねてるんだ」

「そりゃそうだろ。男=顔なんて思ってる奴だぞ」

「アンタ達ねぇ〜!ていうか、アンタもいい加減面食い言うな!!」

「今は言ってないのにか?」

 

三玖の指摘され言葉を詰まらせ、四葉と斗真がそれを追撃する。

 

「あ、そう言えばここ温泉があるって・・・。え?混浴?」

 

その言葉を聞いた二乃と五月は・・・。

 

「はぁ!?こいつらと部屋のみならずお風呂まで同じってこと!?」

「言語道断です!」

「・・・なんで一緒に入る前提?」

「・・・面倒な奴らだ」

 

一花は、2人の発言に思わず突っ込み、斗真は、面倒臭い表情をしていた。

 

「二乃。一緒に入るのが嫌だなんて心外だぜ」

「!!」

「俺とお前は既に経験済みだろ〜?」

「・・・二乃」

「・・・お前、何考えてるんだ」

「やかましいわ!!アンタも変な誤解を生むな!!」

「ははは!いつものお返しだ!」

 

と、ただでさえダル絡みをしてくる上杉の対応に声を荒げる二乃。

しかし、ここで一花が・・・。

 

「・・・あ、混浴じゃなくて温浴でした」

 

一花が読み間違いをしているだけだと発覚した。そして・・・。

 

「・・・一花。ちゃんと見て」

「・・・アハハ。ごめんなさい」

 

と言う、三玖の指摘を素直に謝罪するしかなかった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第22話 「相変わらず物事は予定通りに進まない」by斗真

最新話となります。


では、どうぞ。


夕食を終えて中野姉妹達は、露天風呂で体を暖めていた。

 

「あ〜・・・。気持ちいい〜」

「みんなで一緒にお風呂に入るなんて何年ぶりでしょう・・・」

「三玖のおっぱい大きくなったんじゃない?」

「みんな同じでしょ」

 

と、いつも通りのやり取りをする。

そして二乃は、上杉の異常なテンションに警戒していた。

 

「上杉さん、普段旅行とか行かないのかな?」

「まるで徹夜明けのテンションだったね」

「・・・トウマも、珍しく困っていた」

 

「「「あぁ〜・・・」」」

 

一旦ここで回想シーン。

 

 

 

 

 

「斗真!温泉行くぞ!!」

「先に行っててくれ。外で軽く動いてくる」

「って何するの?」

「普段やってる武術の型」

「何を言ってるんだ。そんなのは後でいいじゃないか!とにかく温泉だ!!」

「え?上杉?おーいちょっと待てーー!!!」

 

そう言い上杉は、そのまま斗真を連れて行った。

 

 

回想シーン終了。

 

 

 

 

「新城君が見たことの無い表情でしたね・・・」

「いい気味よ」

「でも、こんな寒い中、よく鍛錬をしようと思ったね・・・」

 

「「「それは言えてる」」」

 

すると、ここで一花は、ある疑問を投げかけた。

 

「でもさ・・・。

 

 

 

 

 

トウマ君って何者何だろうね」

 

五つ子の中で一花が口に出した皆が思っている疑問。

それは、誰も指摘しなかっただけで皆が感じている疑問だった。

 

「・・・正直、新城さんが一番分からないよね」

「アイツ、本当に訳分からない。ひったくりを数回殴っただけで倒したし」

「警備員に対しての対応もしっかりしてましたし・・・。

まるで慣れているかのように見えました」

 

斗真がひったくりを鎮圧し、すぐに矢田達がやってきてその数分後に警備員がやってきたのだ。

その時見た斗真は、まるで現役の人そのものだった。

彼女達は、矢田から斗真について何か聞こうとしたが彼女達の表情は、下手に漬け込むなと言ってるかのような威圧感を覚えた。

 

「ひったくり犯に遭遇したって聞いた時は、ビックリしたよ」

「それでも、新城君の的確な対応の方が印象は強いですけどね・・・」

 

結局、どれだけ考えても斗真の正体は、分からなかった。

 

 

 

 

 

場所は変わり、斗真と上杉がいる男湯。2人は、体を洗い湯船に浸かっていた。

だが上杉は、斗真の鍛え上げられた体に思わず言葉を失った。

 

「・・・何ジッと見てるんだよ?」

「いや!斗真って結構鍛えてるんだなって、思ってさ・・・」

「・・・自衛隊を進路の一つにしているから、鍛えて損は無い」

 

そう言われると納得の表情を浮かべた。

その後、中野姉妹達が湯船に使っている中、斗真と上杉は、一足先に部屋に戻ったのだが・・・。

 

「上杉、もう寝ろ。フラフラじゃねぇか」

「あぁ、らいはを徹夜で看病していたのもあったのかもな・・・」

「そりゃフラフラになるぞ全く・・・。早く寝ろ。明日に差し支えるぞ」

 

そう言い斗真は、上杉を強引に布団の中に入れ眠らせた。

 

「・・・全く、ゆっくり休めよ。明日から忙しくなるからな」

 

その後、中野姉妹達も部屋にやってきて就寝しようとした時、警戒心を出していたが既に斗真と上杉が眠っている為、どうでも良くなり早く寝た。

 

 

 

 

 

皆が寝付いた頃の深夜。三玖が、目を覚まし斗真の近くに近づく。

そして、三玖が近づくと同時に斗真は目を開いた。

 

「・・・トウマ」

「・・・入るか?」

「・・・お邪魔します」

 

斗真の誘いに乗っかり三玖は、斗真の布団の中に入り抱きついてきた。

 

「ずっと、こうしたかった・・・」

 

斗真は、何も言わずただ三玖の思うがままにさせてる。

 

「・・・寂しい思いをさせたな」

「・・・でも、ちゃんとここにいる」

「・・・そうだな」

 

そして2人は、寂しさを埋めるかのようにそのまま抱きあったまま眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

皆が起きる頃、一花が目を覚ました。

 

「フータロー君?なんで・・・っ」

 

一花は、何故上杉が隣にいるのか分からないでいたが辺りを見回すとそうも言ってられないようだ。

 

「アハハハっ・・・。みんな滅茶苦茶・・・」

 

寝る場所に警戒していたのにも関わらず元の位置でなくバラバラで眠っている事に思わず苦笑いを浮かべる一花。

すると一花は、ある事に気づいた。

 

「五月ちゃんは・・・。もう起きたのかな?」

 

一度立ち上がろうとした時、一箇所だけ布団に包まれている場所を発見した。

一花は、それが気になり驚かせてやろうかと悪戯心が芽生えた。

ゆっくりと布団を捲るとその顔は、斗真だけだったが斗真以外の長い髪が見えた。

一花は、疑問に思いもう少し捲ってみた。一花は、思わずその光景を見て驚愕の表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

「(えぇぇーーーーー!!????)」

 

一花がみたものとは、三玖と斗真が抱きついて眠っていたのだ。

 

「(え?!何で!?何で2人が抱きついて眠っているの!?もしかして2人付き合ってるの!?

  でも、そんな素振り見せてなかったよ!?)」

 

一花は、何とか顔の表情に出してはいないがそれでも一番大人しい性格の三玖が異性との接点はほぼゼロだと思われていても仕方がない。

しかし、今、目の前の現実では、その認識を改めなければならない。

パニックの中、ようやく落ち着いた一花は、この2人を起こそうとした時、三玖の表情を見た。

 

「(・・・笑ってる。すごい幸せそう)」

 

一花がみた三玖の笑顔は、今まで見た事の無い幸せな笑顔だった。

その表情を見た時、どこか寂しい表情を浮かべた。

 

「(私達は、五つ子。血の繋がった姉妹・・・。この幸せは、五等分しないといけないのかな・・・?)」

 

『幸せも五等分』それは、今は亡き母の遺言。しかし、今となっては、悩みの種・・・。

彼女達は、自分達だけの幸せを掴む権利がある事を知る。そんな中・・・。

 

「皆さん、起きて下さい」

 

バタンとドアが開くと五月が部屋に入ってきた。

一花は、慌てて布団を被せた。

 

「お、おはよう!五月ちゃん」

「おはようございます、一花。どうしたんです?そんな慌てて」

「いや、ちょっとビックリしただけだよ」

「そうでしたか・・・」

 

そんなやりとりをしている中だった。

 

「・・・中野?」

 

突如、廊下にいた人に声を掛けられた五月は、その方に視線を移すと何と学校の先生がいたのだ。

 

 

 

 

 

「まさか、同じ旅館に宿泊していたとはな・・・」

「・・・うん、よくクラスメイトにも先生にも会わなかったね」

 

その後、教師一同と共に学校が用意したバスに乗り改めて林間学校に向かうのだった。

 

「(生徒が教師に好意を抱いた時、その生徒も正すのも教師の務め・・・。

上杉君、あなたの家庭教師としての覚悟。この林間学校で確かめさせていただきます。

そして、新城君。貴方が何者なのかを・・・)」

 

しかし、この時の五月は気づいていなかった。

既に斗真と三玖が恋仲になっている事に。

国の為に働いている諜報機関の人間だと言う事を・・・。

普通の人間が踏み込んではいけない領域に踏み込もうとしている事を・・・。

 

 

 

 

 

「・・・林間学校。楽しみだね」

「・・・だな」

 

斗真と三玖は、お互いの手を皆が見えない様に握るのであった。

その頃、一花は、以前斗真が投げ飛ばした芸能事務所の社長からメールが来ていた。

その内容は・・・。

 

 

 

 

 

−−−−女優業に専念する為、休学も視野に入れる事

 

 

 

 

 

こうして、相変わらずの破茶滅茶な日常の1ページが綴られようとしていた。

 

 

 




前回の話を書いていたときに、どうやっても中途半端になってしまうという事で分割する事にしました。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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