転生3妖精? (蟲鳥獣)
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プロローグ
第0話


「うっぷ、しんどい」

 

 俺・・・いや、私は死んでいた。

 情報が処理しきれず、思考の大渋滞が起きているからだ。

 

「はやく慣れないと、まともに動けない」

 

 この状況を説明するにあたって、一言で済ませるなら転生したのだ。

 創作の中だけと思っていたけど、本当にあるとは思わなかった。

 まぁ、もしかしたら今いる世界自体が、創作の世界なのかもしれないが、どちらにせよ関係は、ないと思うので割愛しよう。

 うん、まぁ、もっと説明するなら、転生特典って奴だ。

 詳細は私を転生させたであろう存在が、置いたであろうメモが近くに落ちていた。

 それを見る前に、この状態なんですけどね。

 

「とりあえず、あの熊が住処にしそうな樹洞に行こう・・・」

 

 私はフラフラしながら、宙に浮かんで樹洞に入った。

 もちろん安全確認は、現状の原因のおかげで入る前に済ませている。

 

「くぅう、痛いー」

 

 んで、私の転生特典は原作風に言えば【一つの精神と三つの肉体を持つ程度の能力】だ。

 一つの精神と言うのは、転生した私のことであり、三つの肉体と言うのは、『サニーミルク』『スターサファイア』『ルナチャイルド』の肉体の事だ。

 

「あっ、スターの身体を制御しなきゃ、良かったのか・・・」

 

 そしてさらに、肉体である三妖精の能力を使用できる。

 さっきまではスターの肉体を主軸に制御していた。

 ここまで辛いなら、サニーかルナのどっちかで目覚めたかったな。

 スターの能力は【動く物の気配を探る程度の能力】

 そうやらパッシブスキルになっているようで、文字通り動く物の情報がスターの頭の中に大量に入ってきた。特に今は風が吹いているから、風で揺れる葉っぱも対象内だ。情報が増える、増える。

 目が覚めた瞬間から、コレだものひどいったらありゃしない。

 ちなみにルナは【周りの音を消す程度の能力】で、サニーは【光を屈折させる程度の能力】だ。

 2つ共使い方次第になるけど、強力な能力だ。

 

「とりあえず、メモを読も」

 

 さてルナ体とサニー体を、同じく樹洞に入れて、サニー体で落ちていたメモを読む。

 


拝啓、転生者くん

 

 私は君を転生させたものである。

 詳しいことは自力で思い出してね。

 以下、特典情報

 

特典『三妖精の体と能力』

 これは君の「東方projectの三妖精になりたい」という曖昧すぎる願いの結果だ。

 という事で、特別サービス。三妖精全員の身体を創ってプレゼント、もちろん能力付きだよ。

 泣けよ、望んでいたんだろw

 内容としては程度の能力関連は省く、そっちで勝手にがんばって。

 して、幻想郷産の妖精体ですので「一回休み」が存在しているよ。

 自然がなくても一回休みは発動するけど、全ての体が同時に一回休み状態になると死にます。

 一回休みからの復活は、一回休み状態から8時間後です。

 つまりは8時間という時間の中で、すべての体が一回休み状態になったらアウトです。

 

敬具

 邪神モドキより

 

PS.このメモ用紙はよく燃えます(´∀`)

 


 

「・・・」

 

 どう反応すればいいのだろうか。

 とりあえず過去の自分を殴りたいと思ったのは確かだった。

 



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第1話

「ホントウダ、ヨクモエルナ」

 

 私は、メモ用紙を見終えたあと、黙ってサニーの能力を使って着火した。

 どうやったかと聞かれたら、虫メガネのアレだ。

 太陽光を一点に集めて、紙を燃やす奴だ。

 できるかどうかは分からなかったが、やってみれば案外すんなりとできた。

 ただまぁ、太陽光でしか、こういうことは出来ないだろうけどね。

 

「・・・火種にすれば良かったな」

 

 そして燃え尽き灰と化したメモ用紙を見て、そう思って後悔した。

 まぁそれにしても、この【光を屈折させる程度の能力】の“光”ってどこまでなんだろうか?

 光は確か電磁波の一種だったよな?

 細かくは覚えていないけど、確か赤外線や紫外線も“光”だったはずだ。

 

 ・・・まぁ、いいか。現状をどうするか、まとめてから本格的に考えるとしよう。

 

「えっと、スターは論外だから、後はルナか・・・」

 

 『ルナチャイルド』の方に意識を向けると、突然目の前でサニーの体が倒れた。

 

「うわっ、ととセーフ」

 

 とっさに体を動かして、サニーの体を支えた。

 

「うーん、意識の移動は当然だな。えっとルナだな」

 

 体の操作変更は、前触れもなく切り替える事ができるようだ。

 

「頑張れば、同時に動かせるのか?・・・いや、まだ早いか」

 

 ルナの体で、考える人のポーズを宙に浮きながらとる。

 妖精の体だから、空を飛べる。

 メモ用紙を信用してもいいなら、一回休みを一定時間内で同時に起きない限り、実質的に不死身とある。さらに妖精だから、寿命も長いかそもそも寿命という概念すら当てはまらないだろう。

 

「うーん、時間は一応無制限にあるし、頑張ってみるか。そのまえにスターの能力に慣れる所から始めないと・・・」

 

 あの辛さは地味にトラウマになっている。

 それでも慣れなきゃ進まない。

 

「まっまぁ、そのまえにルナの能力確認だ」

 

 ルナの能力は【周りの音を消す程度の能力】だ。

 文字通り、周りの音を消し去る能力だ。

 

「・・・・・・・」

 

 能力を発動させると、周りの音が消えた。

 どれだけ大声を上げようが、音は一切響かない。無音

 

「・・・あっ、あー。よかった戻った」

 

 能力の調整は難しいことが分かった。

 サニーの能力は調整が簡単だったんだけど、なんでだろうか?

 どっちかというと、サニーの能力の方が難しいと思うんだが・・・

 アレか?サニーは三妖精のリーダー的な感じの存在だからか?

 ・・・難しく考えても仕方が無いか、うーん後はスターなんだが、嫌だなぁ。

 三妖精の中では一番好きなだけに、ここまで意識を移すのが億劫なのはなぁ・・・はぁ

 



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第2話

「あっ、ばばばばばばば」

 

 私の視界が歪む。

 ぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃ、と視界が歪む。

 

「くぁwせdrftgyふじこlp」

 

 私は音にならない悲鳴を上げ続け、頭を抱えて地面を転げまわった。

 それでも妖精の体だからか、その身も服にも一切の汚れは付着しなかった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 

 数時間ほど頑張って、サニーの体へと意識を戻した。

 汗は掻いていないが、全身が気持ち悪いと感じた。

 今いる樹洞の外に目を向けると、日が暮れてきていた。

 そろそろ夜になることが分かる。

 

「あー、もう無理」

 

 ドサッ

 指一つ動かせない。

 

 本当にしんどい、きつい、無理。過去の転生直前の私をぶん殴りたい気分だ。

 

「うっぷ、吐きそう」

 

 とっても吐きたい気分なのだが、吐く為の内容物は体内に存在していない。

 そのため、吐いて楽になるという方法をとることができない。

 

「はぁ・・はぁ・・・」

 

 土の地面に寝転がって、そのまま寝てしまった。

 そして気がつけば、数時間と言う時間が、経過していた。その時にはもう、身体が動かせる位には回復していた。

 そんでもって樹洞内部は、暗くなっている。どうやら今日は新月の夜だったらしい、屈折可能な光の総量が少なすぎる、ような気がした。新月以外での夜をまだ知らないのにそう思ったって事は、順調にこの身体に馴染んでいると言う事だろうか?

 まぁ、そうであろうと、なかろうと私は私だからどうでもいいか。

 

「はぁ、どうしよう」

 

 この場所に来てから、1日が経過しようとしているが、判断に困る。

 全くと言っていいほど、判断材料が無い。

 この世界が『東方project』の世界、つまり『幻想郷』が存在する。もしくは存在する事になる世界なのか?それとも全く無関係の異世界なのか?

 これからの行動を決める為に、せめてどんな世界なのか知っておきたい所だ。

 

「よっと・・・ん?あっ」

 

 ここが地球じゃない事が確定しました。

 え?何故かって、いやだって、目の前に腕四本の熊夫婦が、仲睦まじそうに寝ているからだ。

 

 ・・・良かった、ルナとスターの体は無事だ。

 一先ず、ルナとスターを熊夫婦と離れた位置の壁に座らせ、サニーはその中央に座る。

 そしてルナの体に意識を切り替える。

 

「・・・なるほど?サニーの能力を無意識に使っていたのか」

 

 隣を見てみると、サニーとスターの姿が消えていた。

 これはおそらくサニーの能力によるものだ。

 熊夫婦には私の体は、見えていなかったのだろう。

 それでも匂いで分かったりしそうだけど、そこはどうなんだろう。

 妖精だから、そもそも匂いなんてしないのかな?

 

「何かあってばれるのは嫌だから、音も消しておきましょ」

 

 こうしてこの樹洞内部の音が全て消えて、私は眠りについた。



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第3話

 あれから数年が過ぎた。

 えっ?時間が飛びすぎだって?でも変わり映えのない光景が続くだけだし、問題無いよね。

 

 まぁとりあえず、この数年の間スターの能力に慣れる事を頑張った。

 頑張った結果、慣れる事ができた。

 本当につらかったけど、毎日少しずつ制限時間が、延びていったのは嬉しかったな。

 今は能力の微調整を頑張っている。

 微調整の練習で分かった事は、スターの能力の範囲は、既に最小単位だったと言う事だ。

 最小単位は感覚的に大体直径1㎞程で、これ以上範囲収縮は見込めなかった。

 正直扱いに困る。もうちょっと範囲狭くならないかなぁ~なんて・・・はぁ。

 

 あっそうそう、話は変わるけど、あの熊夫婦はいなくなった。

 理由?簡単だ。人に殺された。

 なんで死んだのかが分かったのは、スターの能力だ。

 感知範囲をどうにかもっと狭く出来ないかと思って、試しに逆に範囲を広げてみたら、殺された事を感じとれたからだ。

 近くには人サイズの人型の何かが、動いている気配がしたので、間違いは無いだろう。

 スターの能力で分かっていたけど、母熊は子どもを妊娠していた。

 まだ本当に小さい受精卵だったけど、アレは殺されさえしなければ産まれてくる命だった。

 

 別に何も思っていないけど、冬場においては最高のあったか毛布だった。

 そして季節は秋、そろそろ冬へと変わる頃・・・

 その時、私に電流が走った。

 

「私の毛布に何しとんじゃ貴様ぁ」

 

 って感じにね。

 えっ、人間はどうなったかって?四眼の黒く体格のいい狼集団に喰べられたんじゃない?

 ちなみにその人間のお陰で、この世界がどこなのか漸く分かった。

 『HUNTER×HUNTER』だってさ。

 

「ぐわっ・・馬鹿な、俺の念がきかねぇ・・だと・・・」ガクッ

 

 とか言っていたからね。ハンター証(☆無し)も手元にあるし、間違いないでしょ。

 売れば億単位のお金が、手に入る代物だっけ?身ぐるみ剥いで、残りは言わなくても分かるか。

 まぁ分かった所で、時系列が何時なのか、サッパリ分かっていないけどね。

 それと人間は1人じゃなく複数で、内1人は12本足の蜘蛛みたいな刺青が彫られていたね。

 厄介事の香りがする。

 そして熊親子が狙われた理由は、やっぱり毛皮だった。

 資料にそう書いてあったからね。

 熊親子ぐらいだと億単位取引だってさ・・・

 綺麗にはぎとられて、完璧な処置がされてたよ。最高のモフモフ具合だ。

 テントやら、何やらを回収して、樹洞内は快適になりました。

 ん~そろそろ3つの身体を、同時に操作できるように練習を始めようかな~?



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第4話

 さらに数年が経ちました。

 時間の流れって速いですよね。

 そしてついに私は3つの身体、全ての同時操作が出来るようになりました。

 スターの時並みにめっちゃ辛いですけど、私は今日も元気です。

 

「さぁて、これからどうしようかな」

 

「そろそろ外を見に行きたいよね」

 

「ネテロとか、ジンとか見ときたいよね。HUNTER×HUNTERの世界みたいだし」

 

 傍から見れば、三人の羽を生やした少女の微笑ましい会話に見えるだろうけど、皆さまお分かり全部私です。

 何をやっているのかというと、観客の誰も居ない独り芝居である。寂しいものだね。

 でもこうでもしないと、中々身体の同時操作なんて出来ないから、使えるものは使って行かないとね。恥ずかしがっている場合じゃないんだよ。

 

「でもどうやって外に行く?」

 

「空から行こうか?」

 

「でもソレは無理だったじゃん」

 

 そしてここまで出来るようになってから、私は一度森の外へ出ようと空を飛んだ。

 空から森の外に行こうと思ったからだ。

 でも駄目だった。何が理由なのか分からないけど、空からではこの森を脱出する事は出来ない。

 まぁだからと言って、闇雲に森を歩き飛びたいとも思わない。

 森の中で野宿はちょっと避けたい。

 理由?あの熊夫婦の一件だよ。

 あの一件から森の生物たちの中で、大変動が起こっている。

 今いる樹洞のある木は、入口を木やら何やらで塞いで、更にサニーの力で隠してあるけど、外を覗き見ればそこらかしこに動物の死体が見えるだろう。

 試しにルナの能力を止めて見たが、静かだった。今は休戦中なんだろうが、暫くすればアニマル大戦争が勃発する筈だ。

 勃発すれば、夜中も続いて満足に眠れない。

 全く良い近所迷惑である。

 

「「「はぁ」」」

 

 あの一件で手に入れたテーブルに、私はグテーと伸びながら溜め息を吐いた。

 能力練習はもういいと思うし、身体に関しても大丈夫だと思ってるんだよ。

 何が言いたいのかというと、暇なんだよ。

 私は今やることが無さすぎて、超絶暇なんだよ。

 手に入れた品も電気が無いので、電池切れであり、太陽光発電装置なんてそんなもん無かった。

 予備バッテリーあったけど、こっちも数年のうちに全部使い果たしたし、本当にやることが一切無い。調理器具見つけた時は、趣味でやってみようかと考えたけど、今やればここがボロボロになってしまうだろうし、何よりも食材が無かった。

 今の私にとっては、食材無くて良かったと思ってる。

 前述の通り、ボロボロになる可能性までは、当時の私は考えていなかったからね。

 あぁ~、ハンターでも何でもいいから、私を森の外まで連れてってくれそうな輩が、この森に来ないかな~・・・

 



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第5話

「これは一応」

「こっちはどうしようかな?」

「これはいらないよね」

 

 ガヤガヤしながら、私は荷物をリュックに詰め込んでいた。

 ちなみに今のリュックの中には

 

ハンター証課金用4個
拳銃とりあえず持ってく2丁
水筒水入り・気分転換用3個
生命力と言うべき何か(オーラ)を纏うナイフ257という番号が刻印されている1個
四腕熊の毛皮毛布として2個
サバイバルナイフ特に無し1個
折り畳み傘雨天用3個
爆弾薔薇のマークが描かれている1個
携帯電話電池切れて使えないゴミ15個
フライパンなんとなく1個
宝石の付いた装飾品課金用4個

 

 が入っている。

 こうして旅の準備みたいな事をしているのは、ついに何者かが近くまで来たからだ。

 精度を上げたスターの能力で、その何者かは確実に人間だ。と確信している。

 

「よし、いくぞー」

「「おぉー」」

 

 詰め込むもん詰め込んで、とっとと樹洞から出ていく。

 出入り口を出て見える景色は死屍累々、この場所の主である熊夫婦が死んでから今日まで、未だに新たな森の主が決まっていない。

 どこもかしこも動物の死骸だらけだ。

 

「「「うぇー」」」

 

 長らく見ていなかった森の景色を見て、あの綺麗な森はもう無いのだと感じた。

 

「ぐぉお」

 

 ゴリラっぽい何かが現れた。

 沢山の猿やらゴリラやらを従えている。

 

「ぎゃぁあ」

 

 カラスっぽい何かが現れた。

 大量の鳥の大群を従えている。

 

「ぐるぁ」

 

 オオカミっぽい何かが現れた。

 四足獣に分類される大量の動物が、群をつくり一匹に従っている。

 三つ巴のアニマル戦争が始まった。

 

「うわっ」

 

 ゴリラ?が石を投擲し、私は回避する。

 

「ひゃっ」

 

 鳥の大群が突撃してくるのを回避する。

 

「どわぁ」

 

 オオカミは前足を振って、斬撃を飛ばしてきて、それを回避した。

 

 どの攻撃も私に向けての攻撃では無い。

 なぜなら私は、サニーの力で姿が見えていない。

 声もルナの力で消している。

 匂いで見つかる事も無い。

 念の「円」を用いても気配を感じる事は不可能だと、あの日の出来事で分かっている。

 

「「「くそがぁ、邪魔すんなぁ」」」

 

 戦争が激しくて中々先へと進めず、イライラが溜まった私は、勢いに任せてスペルカードを発動させた。

 

「日・月・星熱『アイスディゾルバー』」

 

 私はこれを発動させた。

 内容は、空へと舞い上がり、空から大量の星型弾を降らせて、さらに三妖精からはコメット弾が放たれると言うものだ。

 そしてどこからともなく現れた弾幕によって、この瞬間の戦争は混乱を招いて、休戦となった。



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第6話

「到着しました。人間の町ー」

「「いえー」」

 

 はい、到着しましたよ。人間の住む町にね。

 文字は読めないけど、『パドキア共和国』の近くでしょ、いやだって目の前に『天空闘技場』が見えておりますからね。

 

 さぁて、どうしようかな?

 人間の町に辿りついてからの事を、一切考えていなかった。 

 てきとーに動こうにも、土地勘無いからすぐに迷うだろうしなー。

 

 ・・・どうやら、286期ハンター試験をやる時期らしい。

 主人公が確か、287期ハンター試験を受けていた様な気がする。つまり来年の試験を主人公一行は受ける訳だ。

 うーん、興味は無いけど、一応行って見るかぁ。

 


 

 はい、と言う事で、ハンター試験会場に来ちゃった。

 試験会場に到達するのは、楽勝だったね。だってヒソカ見つけちゃったから・・・。

 後をつけて行ったら、試験会場に辿り着いたよ。

 

 しかし未だに姿を見せていないから、参加資格になるナンバープレートを貰ってない。

 姿を見せたくは無いし、見せたら面倒事が確定しそうなので、こっそりとプレートを貰っといたと言うか、スリ取っておいた。もちろん、きっちり3枚ね。

 しかしこのナンバープレート、生命力を纏っている。やっぱりこれ、オーラだよなぁ。

 ヒソカを見る限り、ソレっぽいからね。

 

 おっと、どうやら試験が始めるらしい。

 最初の試験は、『鬼ごっこ』ね。

 試験官から一時間を、逃げ切れば良いみたい。

 隠れても無駄なんだろうな、プレートの発するオーラって、目の前の試験官と同質のものみたいだしさ。とりあえず、天井に貼りついておこう。

 ここなら見つからないだろう、だって試験官が小さい円を発動したからね。

 天井にピタッと貼りついておけば、円に触れる事も、感知される事も無いと判断できる。

 

 おぉ、凄く速い。ただ実力さえあれば、避ける事は容易いだろう。

 現に何人かは、簡単に避けてる。

 ヒソカは単純に、身体能力で避けているね。

 

 よし、1時間経った。

 めっちゃ退屈だったなぁ、いや見てる分には面白かったけどさ。張り合いってものが無いから、めっちゃ暇になるんだよね。

 おっといけない、いけない。気を抜くのは駄目だね。

 会場を移動するらしいから、ついて行かないとね。

 どうやら、私の事には、存在だけ気がついているみたい。だが一体何者なのか、分かっていない様だ。正体は可愛い可愛い、常時1人3役の妖精さんです。

 まぁ最終試験とか、1VS1とかになるまで、姿を見せる気は微塵も無いわけですけどね。

 おっと、どうやら第2試験会場に到着したみたいだね。

 さぁ、適度に頑張るぞ。

 



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第7話

 はい、どうも。

 サニーでルナでスターな私です。

 

 現在はハンター試験に参加しております。

 もちろん、姿は一切見せていません。

 サニーで姿を見えなくして、ルナで音を消してます。念を広げて、円を使おうとも、妖精と言う体の影響なのか、感知される事は無いのです。さらに体臭は、何ソレ?おいしいの?っていう身体でもあるので、ぶつかりさえしなければ、まず見つかる事は無いです。

 達人は空気の揺らぎで、感知してきそうだけど、いくら激しく動いても、その揺らぎは起きないですし、スターの動くもの感知があるので、まずぶつかる可能性は低いですね。

 

 んでもって、第2試験会場に到着したので、そろそろ開始します。

 内容は、『筆記試験』

 ・・・鬼ごっこから、一気にグレードダウンした感じがしますけど、問題はそこじゃないんですよね。と言うか私にとって、一番の鬼門です。

 いやだって私、まだハンター文字の読み書きが出来ないんです。

 そして読み書きできても、この世界の教養なんて、持って居ませんから、答える事が出来ないんですよね。

 

 ・・・詰みましたね。

 いやー、困った。まじで、どうしよ。

 あっ、問題用紙と答案用紙を取らなきゃ・・・あっ、そうだ。良い事思いついたわ。

 


 

「以上だ、合格者はこっちに来い」

 

 はい、なんとかなりました。

 スターの気配感知で、巡回する試験官を避けながら、堂々とカンニングしました。

 見えないし、音しないし、匂いもしないし、空気は揺るがないし、円での感知は出来ないしで、無敵ですね。いやまぁ、攻撃は避けなきゃ普通にダメージになっちゃいますけどね・・・

 それでも、それだけでアドバンテージですから。

 こうして試験官のテーブルに近寄って、答え合わせ様の紙をカンニング出来てますからね。

 ビデオとか、センサーカメラとか、録音機とか、色々とソレな感じの機器が、周囲に設置されてますけど、カメラ周りの光を屈折させれば、何も映りませんし、音は消しているので録音も無意味ですし、そもそもセンサーが機能してないですね。これは・・・

 

 まぁ、そんなこんなで、無事に第2試験は突破いたしましたとさ。

 そして第3会場に案内されていますけど、あの試験官は知ってますよ。前世で見ました。

 

 無限四刀流の人ですね。

 つまりこれから、ヒソカに半殺しにされる人です。

 ちゃんとヒソカ、第2試験を突破していますからね。

 

 おぉ、広いですね。第3試験会場

 そしてバトルフィールドがある。戦えって事ですね。

 んー、『試験官と手合わせ』これが、第3試験の内容ですね。

 うわぁ、ヒソカ舌舐めずりしてる。きしょ

 



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第8話

 はい、どうもー(^v^)

 サニーでルナでスターな私です。

 

 今までなんやかんやあって、ハンター試験にこっそりと参加して、第3試験が開始しました。

 もちろん姿は、見せておりませんとも。

 

 試験は、1人ずつ順番だけど・・・すぐに終わるんだろうなぁ・・・って思ってます。

 いやだってさぁ、初手からヒソカだし・・・

 

「さて・・・いくぞ」

 

「・・・あぁ、頼むよ♠」

 

 ひえっ、気色悪ゥ・・・絶対に関わりたくない人種だよ。

 

 そんなこと考えている合間に、早速始まりました。

 

 まず他の受験者は、見えていないのだろうけど、両者構えた瞬間に纏っている生命力、つまりオーラが増えた。そこから試験官が、背を低く保って、ヒソカへと突撃していった。

 下段からの曲刀による華麗な刀さばき、ヒソカはスレスレで避けた。

 ヒソカは少し崩れた体勢から、綺麗に足を振り上げて蹴る。しかしながら、その蹴りは試験官に易々と避けられた。

 

 試験官は距離を取って、ヒソカは体勢を戻す。

 ・・・非常に感じづらいけど、ヒソカから試験官に何かが繋がっている。

 アレはきっと『伸縮自在の愛(バンジーガム)』なのだろう、試験官は気がついていない様子だ。

 

 そして、試験官は地面を踏みこんで、一気に距離を詰めて、曲刀を上段より振り下げた。

 一気に距離を詰めた方法としては『足にオーラを溜めて噴出した』こんな感じだ。

 

 ヒソカはニヤリと、鳥肌の立ちそうな気色悪い笑みを浮かべた。

 無意識ながら、その笑みを見て私は自然と抱き合っていた。1人だけど3体あるから・・・

 そこからの勝負は一瞬で終わった。

 

 『伸縮自在の愛(バンジーガム)』を引っ張り、ヒソカが試験官の鳩尾にズドン。

 これは凄く痛そうだ。カハッてなんか空気抜ける音がしたからね。

 そしてトランプで、ズバズバッと斬って、バキボキッと殴り蹴る。

 まるで虫を潰すかのような残念そうな顔で、ヒソカは殺ってるので非常にシュールだ。

 そんな考えは、欠片も無いけどね。

 

 おっと、ストップが入った。

 うわぁ、原作よりも酷いんじゃないの?

 回復系の念能力じゃないと、完全に回復しなさそうだぁ(目逸らし)

 

 あっ、ヒソカが失格と言う事で、しぶしぶ退場していきました。

 受験者たちも、ヒソカの戦いを見て、何人か退場して行っちゃったよ。

 残ったのは・・・私を含めて、5人残った。私はサニー、ルナ、スターの体を合わせて1人だ。

 この条件が無ければ、7人と言う事になる。

 そしてどうやら、このまま第4試験を受ける事になるようだ。

 第4が、実質的に第3試験だね、あはは・・・はぁ・・・。

 



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第9話

 という事で第4試験こと、第3試験が始まりました。

 まぁ試験内容を聞く限りは、最終試験なんだけどね。

 試験の内容は、飛行船の中での移動中に説明された。

 今、到着した島でのサバイバル生活をしていく中で、島に散りばめられているアイテムを探して手に入れていく。

 探すアイテムにはポイントが設定されており、試験終了までに最もポイントが低かった人が失格となり、他の人は試験合格となる。

 殺して人数を減らしてもいいが、最下位が失格になるのは変わらず、最後の一人になれば、その時点で試験終了。合格者なしで、今回のハンター試験は終わるらしい。

 

 これはつまり、一人を捕らえて、死なないように管理すれば、絶対に合格できるってことだ。

 んじゃ、あいつにしよ。

 この中じゃ、めっちゃ弱いし・・・

 いや、あえてあっちの強い奴にしてみるか?

 

 どうにしろ、私の姿は見られていない。

 そのことに一人が疑問視して、「ここにいるのは4人だが、5人目はどこだ」と聞いていていたが、そいつの目の前に【ここにいるぞ】と採取しておいた血で、書いた紙を落としてみたら、その場の空気が一瞬で固まったね。

 いやー、笑えた。

 試験管が円と思わしき力を使っていたが、私は感知できないので、首をかしげていた。

 空気の揺れとかで、わかるかな?と思ってた時期があったけど、やっぱりダメみたいですね。

 よほどの達人が使う円じゃなきゃ、使っても見抜かれないみたいだ。

 

 まぁ、このことは追々確認していくとして、サバイバル生活の期限は7日間だ。

 そういうことで、拠点をここにするとしよう。

 ここに来るまでに幾つかの点数アイテムを見つけて、一番弱いと思われる参加者を気絶させて、拠点を見つけるまで運んでいました。

 この人が監視?観察?を任されているだろうハンター協会の人は、いきなり倒れたと思ったら、その姿が消えたから驚いたり、焦ってたりしてるんだろうか?

 

 まぁ、興味はないので、どうでもいいですけどね。

 さてと、この人に猿轡して、手足だけじゃなく体全体をグルグルと、それはまるでミイラの様に縛って探索に出かけることにしよう。

 妖精に食事は必要ないので、この人の食料は確保しませんとね。

 現在の食料は、支給されたサバイバル道具一式と保存食3日分だけですね。

 水が支給されてないから、確保する方法を考えないとね。

 最悪、食料に関しては放置しても、人は何も食べなくても1ヶ月以上は生きられるから大丈夫、大丈夫。でも水は3日飲まなかったら、死ぬって古事記に書いてあったと思うから確保する必要はあるよね。んじゃあ、探索開始するぞー。



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第10話

「おっと、試験終了の日か」

 

 意外と7日間って長かったな。

 とりあえずこの人間は、集合場所の近くに放置ってことでいいか。

 ん?試験の内容は描写しないのかって?

 いやー、特に何もなかったから、別にいいかなぁ~って思ってる。

 他の参加者からの襲撃は来なかったし、監視役のプロハンターと思われる人たちには結局、最後まで見つけられなかったようだしさぁ。

 確保した人間は衰弱しているけど、死んでるわけじゃないから大丈夫でしょ。

 もう必要はないので、体の拘束だけを外して、集合場所の近くに放置しておいた。

 ハンター協会の方で、保護してもらえると思うからね。

 

「合格者は・・・1人だ。おめでとう、居るのかしらんけど・・・」

 

 結局、今年の合格者は、私1人だけみたいですね。

 他のところで一体、何があったんだろうか?

 まぁ、考えても仕方がないけど、私がいなければ今年の合格者はいなかったね。

 これは断言していいと思う。

 

 それで、ハンター証を貰った。

 真っ黒なローブと真っ白仮面で正体を隠してね。

 いやぁ、上手くいって良かった。

 声出すと正体がバレる気がしたから、その場に存在していただけだけどね。

 ん?ハンター文字が読み書き出来るのかって?なんか出来てた。

 多分、特典的なやつでしょ、言葉とか通じなかったら、一から覚えねきゃだからね。

 

 ちなみに日本語訳とか、そういうんじゃなくて、普通に母国語のように使えてます。

 もちろん、前世の日本語は使えるよ?

 原作知識とか、そういう関連情報は、基本全て日本語で書いてる。

 

 まぁ、今は何とかなっているし、あともうちょっとの辛抱だと思うから頑張るぞ。

 

―――

――

 

 な~んて楽観してたら、会長来ちゃったみたい。

 皆様お馴染み?の『ネテロ会長』がね。

 

 やっべぇ、どないしよ。

 どうやって姿を見せないようにして、乗り切ってみせようか?

 妖精だから、姿を見られたら絶対に面倒事になりかねないから、ハンター協会に情報を残したくないんだよね。(今さら考えついた姿を見せたくない理由)

 

「えー、562番!!ここに居るんだろうから言うが、こっちだ着いて来てくれ・・・」

 

 ドタキャンしちゃダメですか?

 あっ、顔からして無理みたいですね。いや、できるけども、頼むから着いて来てくれ感が、半端ないからできないや・・・

 

 とりあえず頑張っての意味を込めて、肩にポンとしといてやった。

 疲れているのか、目の下が隈だらけで、肩ポンに気がついてないけどね。

 いや、気が付いていない振りなのか?どうなんだコレ?

 

「会長、多分ついて来ているはずです。開けますね」

 

 あっ、気が付いてないなコレ・・・

 



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第11話

やる気がでねぇ・・・
とりあえず頑張った。


 目の前に貫禄のあるお爺さんが座ってます。

 そうですね、皆様ご存知、ネテロ会長ですね。

 

「本当におるのか?」

 

「えぇ、多分いるはずです。この部屋に・・・」

 

 はい、ちゃんといます。

 姿を見せる気はないけどね。

 

「ふむ、見えんし、分からんの」

 

 ヒゲを撫でながら、部屋を見渡している。

 おっと円を広げてきた。

 

「・・・本当におるんか?」

 

「分かりません・・・」

 

 えっ、ネテロ会長の円でも私を感じ取れないの?まじで!?

 

「むっ、おぉ?」

 

「どうしましたか」

 

「宙に浮く幼子が3人・・・多分こやつらじゃな」

 

 えっ、いきなり見つかった。なんで?

 

「見えないからと、気をゆるませんたんじゃろ。ほれ、とりあえず姿を見せんか」

 

 仕方がない、幼子の所まで分かっているなら、本当の姿を見せようじゃないか。

 

『ふぁっくしょん』

『あっ、やば。サニー見えてる。見えてるって』

『もう、遅いと思うよ』

 

 くしゃみしたふりして、光の屈折を止める。

 音を消すのはそのままだから、会話が相手に聞こえることはない。

 

「本当にいた・・・」

 

「・・・」

 

 私をここまで案内していた職員は、驚いたように私を見つめており、ネテロ会長はそのまま何かを考えるかのように髭を撫でている。

 

『どうする』

『どうしよ』

『そんな事よりおうどん食べたい』

 

 何も聞こえてないだろうけど、念の為に話し合っているふりしとこ。

 

「ふむ、人ではなかったか」

 

『天井に2人、隣に3人、下は無視でいいけど一応、盗聴器は結構あると思うよ』

『よし、やれ』

『はいさー』

 

「あっ、ネテロ会長、私はこれで失礼しますね」

 

 そそくさと部屋から出ていく職員が、完全にドアの向こうへと消えたその瞬間に、この部屋の音は消えた。

 

「これは・・・」

 

 驚いている声がした。

 声の主はネテロ会長のものだが、その声はもはや私にのみ聞こえる。

 

「んじゃ、話し合いを始めましょ、私じゃないけど」

「私は集中するからよろしく」

「えぇ・・・私がやるの?交渉役」

 

「「しょうがないじゃん、集中途切れたらさっき(サニー)みたいになるんだから」」

「はぁ、分かったから・・・それじゃよろしくね。人間さん」

 

 ネテロ会長は、静かにお茶を注いで飲んだ。

 

「今年は厄日じゃな」

 

 そうしてポツリと呟いた。

 あの、しっかりと聞こえておりますよ。ネテロ会長・・・

 

「わし、ネテロ。よろしくな、あーえーっと」

 

「私がサニー」

「私はルナ」

「私はスター」

 

 フルネームじゃなくていいでしょ、むしろフルで言って呪念でもやられたら、面倒くさからね。

 



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