特急「北斗」ニセコ・積丹殺人事件 (新庄雄太郎)
しおりを挟む
消えた乗客
そして、一緒に乗っていた女性が消えた。
札幌駅
あの1人の男が、札幌駅に来ていた。
「すいません、17時20分発の函館行特急「北斗12号」で札幌から洞爺まで特急券と1枚ずつください。」
と、窓口の人は書き込むと、
「すいませんが、12号は満席ですね。」
「L特急の「ライラック20号」なら、指定席ならありますよ。」
と、言った。
「洞爺までは何時に着きますか。」
「20時19分ですね。」
「イヤー、弱りましたなぁ。」
そこへ、1人の男がやって来た。
「これをお使いください。」
「これは御親切に。」
「いえいえ、私も丁度特急「ライラック」に乗るところだったんです。」
「そうでしたか。」
男は、そう言って特急「北斗12号」函館行に乗った。
17時20分、札幌駅で特急「北斗12号」が発車した。
特急「北斗」は、札幌と函館を結ぶディーゼル特急である、ヘッドマークには北斗7世のイラストが描かれている。昭和57年のダイヤ改正で特急「北斗」にキハ183系気動車を登場した。特急「北斗12号」は札幌を17時20分に発車し、途中停車駅は千歳空港、苫小牧、登別、東室蘭、伊達紋別、洞爺、長万部、森、終着函館には21時25分である。
「どちらまで行くの。」
「函館よ。」
「へぇ。」
「どうして、函館まで行くんだ。」
「私、東京へ帰るの。」
「それでか。」
「ええ。」
ファーン!
と、警笛を鳴らし特急「北斗12号」は室蘭本線に入った。
「どうか、しましたか。」
「車掌さん、こっちへ来てください。」
「どうしましたか。」
客と車掌が急いでいくと、伊達紋別から乗車した、函館鉄道公安の福田公安班長が駆けつけてきた。
「どうしたんですか。」
「それが、トイレの中で様子がおかしいんです。」
「えっ、何ですって。」
福田公安班長はノックして声を掛けた。
「もしもし、誰かいるんですか?。」
と、声を掛ける。
そして、ドアを開けて見ると。
「あっ。」
「し、死んでる。」
「この人、ナイフで刺されてるよ。」
「本当だ。」
21時25分、特急「北斗12号」は函館駅に定刻通りに到着した。
女は下車して、函館市内へと言った。
そこへ、駅員と私服の公安隊員が高架橋を通ってホームへやって来た。
「どこだ、死体が見つかったのは。」
「25分に到着した、特急「北斗12号」の車内に。」
「死んでるのは、男性のようです。」
と、駆け上って行く。
「場所はどこだ。」
「車内のトイレで。」
「何ですって。」
数分後、函館中央署の刑事たちが到着した。
「はい、下がって、下がって。」
と、公安隊員が客に誘導した。
「どうしたの?。」
「まぁ。」
現場は騒然としていた。
「それで、被害者の身元は。」
「そこまでは。」
「あれ、もう1人の客は。」
「あっ、そう言えば。」
「さっきまで、乗ってたのに。」
「どこへ行ったんだ。」
そして、第2の事件は寝台特急「ゆうづる」で起きた。
次回も、お楽しみに。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
身元照会
次の日、特急「北斗12号」で起きた殺人事件は公安特捜班に伝えられた。
「はい、わかりました早速調査いたします。」
と、捜査主任の小林洋介は電話を切った。
「おい、南、小泉、北海道警から捜査協力の要請だ。」
と、メモを渡す。
「早速、調べて見ます。」
と、言って南と小泉は捜査をする事になった。
「本当に、「北斗」に乗ってたのかな。」
「道警では、女と一緒に乗っていたと言っているんだ。」
「しかし、その女性が函館で消えたと言ってるんだ。」
「とにかく、調べて見るか。」
「ああ。」
南は、時刻表を見て特急「北斗12号」の時刻を調べて見た。
「小泉、これが「北斗12号」の時刻だ。」
「なるほど、千歳線と室蘭本線と函館本線を経由して運転するのか。」
「ああ。」
「調べて見たら、犯人は長万部で下車したって事は考えられるな。」
「それもありますね。」
「そこからは、普通列車って事も。」
「それは考えられるな。」
その頃、函館では「北斗12号」殺人事件の捜査本部である函館中央署に、ある人がやって来た。
「すいません、この死体は同僚ではないかと。」
「何ですって。」
霊安室に行くと。
「あっ。」
「知ってるんですか。」
「はい、下川達郎です。」
「遺体は下川に間違いないですね。」
と、杉刑事は言った。
「はい、間違いなく下川です。」
その後の道警の調べで、特急「北斗12号」で殺害されたのは北國開発公団の秘書・下川達郎と判明した。
「えっ、被害者の身元が分かった。」
「ああ、北國開発公団の秘書・下川達郎と道警の調べで分かった。」
「でも、どうして特急「北斗」に乗っていたんだ。」
「洞爺で、仕事に行っていたそうだ。」
「それで、「北斗12号」に乗っていたって事か。」
「死因は、ナイフによる出血し。」
「それで、殺害された場所は。」
と、小泉は言う。
「車内のトイレだそうだ。」
「ほう。」
そして、彼女は函館から青函連絡船に乗り、青森駅から常磐線経由の寝台特急「ゆうづる6号」が入線して来た。
彼女は、「ゆうづる」に乗ると、寝る仕度をしていた。
ジリリリリリリリリリリリリ
と、発車ベルが鳴り、寝台特急「ゆうづる6号」は青森を発車した。
ピィーッ!
と、警笛を鳴らした。
上野と青森を結ぶ、寝台特急「ゆうづる6号」は21時19分に発車し、夜の青森を走り去っていった。
寝台特急「ゆうづる6号」のヘッドマークは赤色に鶴が描かれている、この列車は東北本線ではなく、常磐線を経由して運転されているのだ。
寝台特急「ゆうづる6号」は、青森を21時19分に発車し、途中停車駅は野辺地、八戸、盛岡、仙台、水戸、終着上野には6時40分に到着する。「ゆうづる」には客車タイプと電車タイプの2種類がある。この「ゆうづる6号」は583系といわれる昼夜兼用特急である。
そして、この「ゆうづる6号」で殺人が起きるのだ。
そして、犯人は?
どんな、トリックを使ったのか?
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
旅立ちの女
「ゆうづる6号」に乗った女は、B寝台の中段に乗っていた。
「すいません、乗車券と寝台券を拝見させていただきます。」
と、車掌がやって来た。
「はい。」
「どうも、ありがとうございます。」
ガタン、ガタン、ガタン、
と、列車は今は東北本線である。
ピィーッ!
と、警笛を鳴らし、朝を迎えた。
そこへ、車掌長の長谷川が様子を覗った。
「う、お、おい。」
と、長谷川車掌長が女を起こそうとしたが、息はしていなかった。
「君、君、どうしたんだ、君、しっかりしろっ!。」
と、言った。
「ゆうづる6号」は、定刻通りに上野駅に到着した。
そこへ、上野公安に待機していた高山と桜井と岩泉が応援の公安隊員と一緒に現場へ向かった。
「何、女性の死体。」
「場所は何処なの?。」
と、桜井は言う。
「6時40分着の「ゆうづる6号」の車内で。」
「死んでるのは女性だそうです。」
と、駅員と一緒に現場へ向かった。
「状況は?。」
「女性が、何かに絞められて殺害したのではないかと。」
「なるほど。」
数分後、東京公安から捜査主任の小林と南と小泉が到着した。
「でも、どうして「ゆうづる6号」に乗っていたのかしら。」
「函館から青函連絡船に乗って、青森から「ゆうづる」に乗ったんだよ。」
「青函連絡船!?。」
「どうした、南。」
「実は、音ノ木坂の頃に友人と一緒に北海道へ旅行した時に乗ったことあるんです。」
「そうなのか?。」
「ええ。」
「いつ乗ったんです。」
と、高山は言う。
「うん、高校2年は「ゆうづる」と「おおぞら」に乗ったことがあってね。」
「なるほど、「ゆうづる」と連絡船に乗り次いで旅行したのか。」
「はい。」
「寝台特急って言う事は2段式か3段式のベットって事ですね。」
「それで、この女性の身元は。」
岩泉は、女性の身元がわかる物を見つけた。
「小林主任、被害者の身元がわかりました。」
「本当か、岩泉。」
「えーと、被害者は東京在住の杉野末子ですね。」
「うん、この件は警察に報告しておこう。」
「ええ。」
数分後、警視庁捜査一課と所轄の上野署の刑事たちが到着し、捜査をしていた。
「絞殺って事は、犯人は何処で下車したって事は考えられるんじゃないか。」
「それも考えられるな。」
「まず、第一の事件は特急「北斗12号」で男性を殺害して、途中下車した、そこから函館で連絡船に乗り、青森で「ゆうづる6号」に乗った、そこで絞殺し、盛岡で下車した。」
「なるほど、南の言う通りならね。」
と、小林主任は言った。
「問題は、どこで乗り換えたかだ。」
「北斗」と「ゆうづる」 そして事件の接点は?
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
姿なき殺人鬼
北海道警察は、重要参考人を連行した。
「だから、私は殺していないって。」
「とぼけんな!、あんたが殺したんだろ。」
「俺が殺した、証拠はアンのか?。」
「いや、そう言われても。」
彼の名前は、梅野孝明、彼は特急「北斗」ではなく、特急「ライラック20号」に乗って洞爺へ行ったと言う。
公安特捜班
「彼は犯人ではないな。」
「南はそう思うのか。」
「うん、札幌駅で下川と一緒に乗車券を譲ったと梅野が言うんだ。」
「ライラック?、何それ。」
と、小海は言う。
「札幌と旭川と東室蘭を結ぶ特急列車だよ。」
「へぇー。」
「昭和55年に「いしかり」を廃止して、「ライラック」に変わったの。」
「うーん。」
「その梅野は、札幌から「ライラック」に乗ってたのか。」
と、松本は言う。
「ついた時間は何時なんです?。」
と、梶山が言う。
「時間は、20時19分に洞爺へ着いたと言っているんだ。」
「そうね、「ライラック」ってどんな列車なの?。」
「特急「ライラック」はね781系といわれる交流専用電車なんだ。」
「なるほど、よく485系に似てるって言うよな。」
「うん、よく似てるけどね。」
「犯人は、切符を譲った後に殺害されたって事になるな。」
「札幌で下川と梅野に会ったんだよね。」
「その時に、犯人が特急「北斗12号」に乗って殺害したと思われるよ。」
「うん、恐らく犯人は開発公団か建設と興産会社の社員か役員の可能性があるな。」
「ああ、道警ではその線で捜査しているが。」
「つまり、梅野は鉄壁のアリバイがあるって事か。」
「その通りだよ。」
「問題は、どうやって「北斗」と「ゆうづる」に乗ったかだ。」
「そこなんですよね。」
特捜班は、梅野はアリバイがあると確信した。
南は、時刻表を見て見ると。
「やはり、「ライラック20号」の始発は旭川ですね。」
「そうか、「ライラック」の中でも旭川発のもあるのか。」
「ええ。」
「殺害方法も違うし、犯人は凶器を処分したって事も考えられるな。」
「それもあるな。」
「問題は、何処に捨てたかだ。」
「それもそうだな。」
函館本線・大沼付近
深夜、保線区員がレールの点検に行っていると、何かを見つけた。
「お、おいっ、これなんだ。」
「何ですかね。」
「それに、何か付いてる。」
「どれどれ。」
保線区の人が見たものは、血が付いたナイフで会った。
「お、おいっ、これナイフじゃないか。」
「ああ。」
「もしかして、特急「北斗」の事件のじゃないか。」
「ああ、そうかもしれん。」
保線区員は、すぐに警察に報告した。
そして、犯人が使ったトリックとは。
しかし、梅野には鉄壁のアリバイがあった。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
殺しの素描
次の日、南と高山と小泉と小海は小林主任と高杉班長の指示で、函館へ向かった。
「やっと来たな、北海道。」
「ああ。」
「今回の事件は、「北斗」で殺人だから何か分かるかもな。」
「うん、徹底的に調べて見よう。」
南と小泉は、大沼公園付近にやって来た。
「おい、保線区の人だ。」
「行って見よう。」
2人が駆けつけて見ると、何か話をしています。
「どうしました。」
「あっ、公安の方ですか?。」
「はい。」
「実はな、線路でナイフを見つけたんです。」
「それ、本当ですか?。」
保線区員は、血の付いたナイフを見せた。
「これ、事件と関係してるんじゃないか。」
「やはり、凶器だ。」
「恐らく、「北斗12号」の時にだ。」
すぐに、南と小泉は函館中央署へ向かった。
「何、大沼公園で凶器が発見された。」
「はい、東京の公安特捜が発見されたそうです。」
「なるほど。」
と、道警本部の橘警部は言う。
「犯人は、トイレの窓でナイフを捨てたんですよ。」
「という事は、長万部付近でナイフを捨てたって事か。」
「はい。」
「発見したのは、保線区員だそうです。」
「という事は、長万部へ通るのは19時頃か。」
「考えられますね。」
「うん、ところで彼は北海道へ行って旅行してたのかな。」
「話によると、彼は小樽辺りでニセコ積丹へ行ってたそうです。」
「ニセコ積丹?。」
「北海道の国立公園ですよ。」
「よし、僕らも行って見よう。」
「ええ。」
「高山、行きましょう。」
「何か、分かるかも。」
南と高山達は、函館から函館本線に乗り、小樽へ向かった。
「ところで、南さんは小樽へ行ったことあるんですか?。」
「うん、友人と小泉の妹と一緒に行ったことあるんだ。」
「そうなんだ。」
列車は、小樽へ到着した。
「はるばると来たんだな。」
「ああ。」
「函館から小樽で捜査するとはな。」
と、小泉は言う。
南と高山達は、小樽でレンタカーを借りてニセコ積丹へ向かった。
「ここが小樽海岸へ。」
「お、おい、この人に聞いてみたら。」
早速、聞き込みをすることにした。
「えっ、ああこの人か。」
「何か知っていますか。」
「この男の人とこの女はニセコ積丹に来ていたぞ。」
「いつ頃です。」
「さぁね、2週間ぐらいかな?。」
「それって、この男ですか。」
と、小海は写真を見せる。
「ああ、この男ですよ。」
「間違いない、梅野孝明だ。」
「という事は、梅野の無実は証明されたわ。」
「この時間帯は、梅野は小樽へ旅行していた。」
「うん。」
「この時間帯なら、杉野末子は函館に入た事になるね。」
「うん。」
「よし、これで梅野は犯人じゃないな。」
「うん。」
そして、小樽と函館で列車に乗り次いで、函館と青森までは連絡船に乗り東京へ戻った。
青森駅
「おいっ、あれはなんだ。」
「ああ、特急「はつかり」だよ。」
「「はつかり」か。」
と、その時南はピンときた。
「待てよ。」
「どうした。」
「なるほど、分かったよ犯人のトリックが。」
「何、分かった。」
「うん。」
南と高山と小海達は、青森発14時35分発の特急「はつかり22号」盛岡行に乗って東京へ帰った。
特急「はつかり22号」は青森を14時35分に発車し、盛岡へ到着するのは17時00分、そこから17時13分発の東北新幹線「やまびこ72号」に乗り、終着上野には20時34分である。
「何、犯人のトリックがわかった。」
と、高杉は言う。
「うん。」
そして、犯人は誰なのか?
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
犯人の接点
「犯人のトリックがわかったって本当か。」
「ええ。」
「どういう風に犯行に及んだのか。」
「つまり、犯人は八戸で列車に乗り換えたんですよ。」
「本当か、それ。」
「はい、犯人は函館で青函連絡船に乗り、青森で寝台特急「ゆうづる6号」に乗り、八戸で下車したんです。」
「本当か、それは。」
「ええ、それが可能なんです。」
「八戸からは、東北本線の特急「はつかり」を利用したんです。」
「何、「はつかり」だと!。」
と、高杉は驚く。
「そうか、青森へ行くには「はつかり」を利用したのか。」
「はい、その通りです。」
小泉は、時刻表を見て見ると。
青函連絡船
函館発 17時00分
青森着 20時55分
寝台特急「ゆうづる6号」
青森発 21時19分
八戸着 22時33分
特急「はつかり27号」
八戸発 22時58分
青森着 0時06分
「なるほど、八戸で「ゆうづる」から「はつかり」に乗り換えて青森から北海道へ戻ったって事か。」
「その通りだよ。」
「そうか、犯人は「ゆうづる6号」で殺害の後に八戸で下車して、「はつかり27号」に乗って青森へ向かい、又青函連絡船に乗って函館へ舞い戻った。」
「うん。」
「もし、南の言う通りなら、犯人はそれを利用する事は可能だな。」
「可能性があるわね。」
「うん。」
「よしっ、道警には連絡入れておく。」
高杉は、道警に報告した。
「何、犯人は「はつかり」と連絡船を乗り継いで函館へ戻っただと。」
「ああ、うちの公安官の推理通りならね。」
「わかりました、早速参考にして見ます。」
「頼みますよ。」
早速、道警ではこの線で捜査をすることにした。
「やはり、みちのく特急「はつかり」を利用したのか。」
「ああ。」
「函館へは、どうなるんだ。」
「そうだな。」
青函連絡船
青森発 0時30分
函館着 4時25分
特急「北斗1号」
函館発 4時42分
札幌着 8時29分
「そうか、又連絡船に乗って函館で特急「北斗1号」に乗ったら、札幌には戻れるんだ。」
「その通りだよ、高山、小泉。」
そこへ、高杉班長がやって来た。
「いやー、よく気づいたね南は。」
「南がアリバイ証明されるとは。」
「問題は、犯人は誰だかだ。」
「うーむ、そこなんだよな。」
「怪しいのは誰だかだ。」
「南さん、やっぱりあの人が犯人じゃないか。」
「なるほど、犯人はこの3人か。」
「という事は、開発公団と建設会社と興産会社の中に犯人がいるって事か。」
「うん、それも考えられるはね。」
「いずれにしても、3人の中に犯人が。」
「考えられるわ。」
そして、犯人は誰なのか?
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
怨念
「つまり、犯人は3人の中って事か。」
「ええ、犯人はこの3人に絞りました。」
「じゃあ、犯人はあの人か。」
「ええ。」
特捜班は、この3人に絞った。
奥村 昌義
橋爪 喜三郎
村瀬 幸太郎
「私は、犯人はこの人と思うの。」
「それは、どういう事だ。」
「長万部で下車して、普通列車に乗り換えて函館へ行った。」
「という事は、「北斗12号」ではなく、普通列車のトイレでナイフを大沼で捨てた。」
「そうよ。」
「なるほど、つまり「北斗」から普通列車に乗り換えて函館へ向かった。」
「その通りだ。」
「恐らく犯人は、あの人だ。」
「分かったの、犯人が。」
「ああ。」
「やっぱり、村瀬が犯人だ。」
「本当。」
「やはり、村瀬は札幌から「北斗12号」に乗っていた、村瀬は車内トイレで下川を殺害、そして、長万部で下車した、そこから普通列車に乗り、函館へ向かった。」
「それで。」
「函館から連絡船に乗り、青森で「ゆうづる6号」に乗って杉野を絞殺した。」
「そこから、八戸で特急「はつかり27号」に乗って、青森へ行く。」
「そして、函館へ向かう、特急「北斗1号」に乗って札幌へ戻った。」
「そうか、「ゆうづる」と「はつかり」と連絡船と「北斗」に乗り次いで北海道へ向かったのか。」
「その通りだ。」
「村瀬は梅野に罪を着せて犯行に及んだって事ね。」
「やはり、犯人は村瀬か。」
「ええ、可能性が高くなりました。」
「しかし、こんなトリックを思いつくとはな。」
「すぐに、道警に報告しておかないとな。」
「はい。」
そして、南の推理で犯人は村瀬幸太郎と判明した。
「これで、逮捕の時間の問題だ。」
「すぐに、函館公安に連絡しよう。」
早速、南と高山と小海と小泉は函館へ向かった。
「あっ、村瀬だ。」
「よしっ。」
南は、村瀬に声を掛けた。
「鉄道公安の物ですが、村瀬ですか?。」
「えっ、ひっ。」
と、村瀬は走り逃げた。
「待ちなさい。」
「待てぇー。」
小泉は、挟み撃ちした。
「逃がさないぞ。」
「どけっ!。」
と、村瀬は小泉を突き飛ばした。
「村瀬、もう逃げられないぞ。」
「観念しろ、村瀬。」
と、南は手錠をかけた。
「いいい、くそーっ。」
「村瀬幸太郎、下川達郎及び杉野末子容疑でお前を逮捕する。」
「何故わかった、私の事を。」
村瀬は、函館公安に同行した後函館中央署へと連行した。
村瀬は、北國開発公団で不正に奥村の指示で犯行をしたと自供した。
そして3か月後、贈賄と殺人教唆で奥村 昌義と役員を逮捕した。
「これで、事件は解決ですね。」
「ああ。」
「さすがですね、南は。」
と、岩泉が言う。
「いやー、それほどでもないけどね。」
「でも、犯人が「はつかり」に乗ったってよくわかったね。」
「八戸には、特急が止まるからそれに乗ったとわかったんだ。」
「なるほどね。」
劇中の列車時刻は、昭和62年4月のダイヤを使用しています
劇中に登場した青函連絡船は昭和63年のダイヤ改正で廃止されました。
目次 感想へのリンク しおりを挟む