ストライクウィッチーズ Nと行くROAD to BERLIN! (Dr.クロ)
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音炉の設定とかです
ネタバレもあるので見たくない方はバックでお願いします。

ネウロックたちの設定を追記しました。2022/2/8


空初 音炉/そらうい ねろ

外見:ネウ子の髪型で後ろ髪を胸の所まで伸ばし、胸の大きさが坂本美緒並みに大きくなった宮藤芳佳。目は赤色。服装のは腕が隠れる程長い袖付きジャケットで下がビキニ

概要

かつて宮藤芳佳と出会い、ウォーロックにより消滅した人型ネウロイが奇跡的に残ったコアの欠片からミセスSの手で人間であるウィッチと混じった状態のネウロイ、ネウロイウィッチなって復活した。

空を自由に飛ぶのが好きでいつか芳佳と一緒にまたあの青い空をめいいっぱい飛ぶことが夢

性格は色んなものに興味を持ちやすいタイプで芳佳に引っ付きまわってる感じ

まだうまくしゃべれず片言でしか会話できない。

静夏と犬猿の仲で他のメンバーとはかつて戦ったことから警戒している感じ。(特に坂本)

同じくミセスSの手で復活し、芳佳を殺そうと計画しているウォーロックⅡを倒すために501部隊と行動を共にする。

子機作製能力も強化され、どんな設定にすることもできる自分や味方を補佐する端末オプションを作り上げる固有魔法『装置創造』となる。

ただし人を食べれる設定はできない。

使用するストライカーは外見は出会った時芳佳が使用していた宮菱重工業A6M3a零式艦上戦闘脚二二型とネウ子のストライカーのを組み合わせたのだが性能は段違いに凄い、A6M3a零式艦上戦闘脚二二型Nカスタム

パーソナルマークはお日様輝く青空を見る赤いコアを持った黒猫

芳佳と再会する前はシンフォギア世界に住んでいた。

 

ウィズ

外見:猫のボンベイ

概要

ミセスSが音炉の為に用意した人工使い魔の猫

基本的に芳佳と音炉に甘えん坊だが、他の面々にはツンツンで創造主であるミセスSでも甘えない。

良く芳佳の頭や音炉の肩に乗っている。

 

ネウロイウィッチについて

ネウロイウィッチとはネウロイのコアの欠片のミセスSが超技術で作ったウィッチの身体を組み合わせて誕生した存在

ようするに外見はウィッチ。中身はネウロイ

様々な能力を持っており

・身体の一部を自由に変化させることができる(金色の闇みたいな感じ)

・学習能力も高くなっていて、何回か見たウィッチやネウロイの攻撃方法を真似することができ、覚えた攻撃方法を組み合わせて攻撃したりもする。

・ネウロイなので多少損傷しても回復する。ただし大部分を損傷すると普通に死んでしまう。

・鉄を食べたりすることでパワーアップすることができる。(音炉の場合、倒したネウロイの欠片を吸収できる)

・ネウロイ反応を無効化

・耐水性

・人間には有害なものも多少なら平気

また使い魔と一体化してないと学習能力と鉄を食べる能力は使用することができない。

 

ネウロイについて

この作品内でのネウロイは人間の真似をする謎の生命体と言う解釈になっており、何処から来たのかは未だ不明

水と冷たいのが苦手だが平気な個体も居る。

人間にとって有害な場所でも活動できる。

攻撃的なネウロイ以外にも他の事を真似したりするネウロイも居たりする。

 

 

ウォーロックⅡ

外見:ウォーロックの腕とか足をガンダムOOに出るレグナントのに変え、カラーリングが黒紫と深紅色になったネウロイ化ウォーロック

概要

かつて501部隊に倒されたウォーロックがミセスSにより復活した姿

自身を倒した501部隊、特に芳佳への復讐心を宿しており、彼女たちを抹殺するためにミセスSのところから脱走し、暗躍を開始する。

他のネウロイを支配できる能力を持っており、支配されたネウロイは赤い部分が紫色になる。

この能力でベルリンのネウロイ「ウォルフ」を支配し、ベルリンのネウロイたちのボスとなった。

また支配したネウロイを強化改良することができる。

分身としてネウロックを強化したネウロックⅡ作り出せる。

 

ネウロックⅡ

外見:「ストライクウィッチーズ 白銀の翼」に出てきたネウロックを赤い部分を紫色にし、腕とか足をガンダムOOに出るレグナントのに変えた感じ

概要

ウォーロックⅡが作り出したウォーロック型ネウロイ(コア持ち)

他のネウロイと合体しパワーアップすることができる。



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第一話~不思議な少女~

ローザンヌ医学校で医学を学んでいた宮藤芳佳は501の上司であった坂本と再会した後に新たな出会いを果たす。


夢を見た。

 

夢だと判断したのは自分が空を飛んでる以外に隣にあの子がいたから……

 

上手く話が出来ず、そのまま消えて行ってしまった敵であったあの子を……

 

もし叶うのならばもう1度あの子と話したい。

 

色んな事を、戦う事以外の話を……そう願いながら宮藤芳佳は夢から覚める。

 

 

 

 

それは見ていた。

 

自分に攻撃を仕掛ける者達の中で1人だけ自分と話そうとする者を……

 

数回だけであったが自分の中に残り続けた。

 

会いたいと願うがその願いが叶いそうにないとそれは思っていた。

 

―おやおや、まだ意識があるのう―

 

その人物に拾われるまで……

 

 

 

 

ヘルウェティア連邦、ローザンヌ医学校……より少し離れた上空

 

そこで1人の少女が展開された画面を見てはふぅとうっとりとした顔で見ていた。

 

映し出されているのは女性と話す数冊の本を抱えた少女、宮藤芳佳だ。

 

少女「…やっト、ミツケた」

 

嬉しそうに呟いてから芳佳を見続ける。

 

女性、坂本美緒と彼女の腹心の土方と歩いている彼女に少女は飽きもしない様子で送られて来る映像を見る。

 

少女「アノ時からほとんど変わッていなイ。アッチのは眼帯ナクナッた?」

 

前半は芳佳を見て、後半は坂本を見てから後は弱くなった?と首を傾げた少女は見続けていると芳佳は坂本達と一緒にジープに乗ってどこかに向かう。

 

少女「あ、追いかけナイト」

 

見失わない様に少女はジープを追いかけながらどこに行くかを調べる為に会話を聞いて見ると移動用サーカスが来ているのでそれを見に行く様だ。

 

少女「サーカス…ってナンだ?」

 

ん~と悩んでいると何やら騒がしい事に気づく。

 

下を見ると複数の人が慌てて何かに逃げている様だ。

 

少女「何かアッタのカ?」

 

よく見てみると興奮した白熊がおり、1人の少女が襲われそうであった。

 

そんな少女の前に芳佳は割って入り、シールドで白熊を止める。

 

少女「オオ!凄い!」

 

それに少女は感嘆してるが白熊はガムチャラにシールドを殴り続けて吠える。

 

少女「アノ子に攻撃しているアレ…倒した方がイイ?」

 

それに少女は何かしようとして……

 

―良いかの?むやみやたらに攻撃してはいかん。足止めとかの手助けは良いが、傷付ける事をあんまりしてはならん。お前さんが会いたいと願っとる奴は優しい子じゃからな~―

 

少女「…傷つけルのダメ。なら、止めル手伝イならイイ?」

 

ここに来る前に言われた事を思い出して、良しと気合を入れて向かって行く。

 

 

 

 

芳佳は呻く。

 

先程、白熊が吠えた時に暴れてる原因に気づいたが()()()()()()()のか、激しく暴れていてシールド以外に力を割いたら押されてしまいかねないので後ろにいる少女、同じ学園に通う同級生のアルテアの安全を保障できない。

 

どうすれば……と思った時……白熊の両腕に何かが巻き付いて動きを止める。

 

???「今ダゾ!」

 

芳佳「!」

 

上からの声に芳佳は白熊に向けて治癒魔法を発動する。

 

芳佳「大丈夫。落ち着いて」

 

グルルと唸る白熊へと芳佳は優しく声をかけ続ける。

 

しばらくすると唸っていた白熊は段々と落ち着いて行き、それを見た芳佳はシールドを消すと終わったのを確認して白熊の両腕を止めていたのが外れてから白熊は甘えた声を出して芳佳の顔を舐める。

 

芳佳「ははは、くすぐったいよ」

 

???「大丈夫カ?」

 

そんな甘える白熊にくすぐったそうにしていた芳佳は声のにお礼を言おうとして、先に見ていた坂本と土方と同じ様に目を見開く。

 

いたのはストライカーユニットを纏い、黒い猫耳と尻尾を出した少女で、髪を抑える様に丸めており、オデコの隣部分、丁度猫耳の所から伸びる様に水色のメッシュが入っており、目の色が赤色、手が隠れる程長い袖の黒いコートの様なのを纏っていたのだが、3人が驚いているのはその顔で、アルテアが代わりに声を漏らす。

 

アルテア「え?芳佳ちゃんにそっくり……!?」

 

少女「ヨシカ?」

 

首を傾げた少女は芳佳を見て、そうかそうかと納得する。

 

少女「ヨシカ。それガアナタの名前」

 

芳佳「う、うん」

 

坂本「そう言うお前の名前はなんだ?」

 

近づいて確認する少女に芳佳が慌てて頷いた後に近づいて来た坂本が問う。

 

少女「アタシ?アタシは…音炉!空初音炉!ソレがアタシの名前!」

 

芳佳「空初…音炉…」

 

そう!と少女、音炉は嬉しそうに芳佳に微笑む。

 

 

 

 

その後、音炉を含めて、芳佳は白熊の調教師になぜ、白熊が暴れ出したかの理由を説明する。

 

調教師「む、虫歯?」

 

芳佳「はい、きっとそれが痛くて暴れたんだと思います」

 

目をパチクリさせる調教師に芳佳はそう言う。

 

調教師「そうか、さっき振った鞭が虫歯に当たったんだな……」

 

悪い事をしたなと檻に入れられた白熊に向けて調教師は謝罪する。

 

音炉「防ぎナガラそれ気ヅいたヨシカ。スゴイ!」

 

芳佳「たまたま気づけたんだよ」

 

褒める音炉に芳佳は照れながら返す。

 

そんな話してる2人、特に音炉を坂本は見ていた。

 

土方「どう思います少佐?」

 

坂本「怪しいな……名前から扶桑出身だと思うがそんなウイッチを扶桑では聞いたこともない。それに彼女が使っているストライカー……見た感じは宮菱重工業A6M3a零式艦上戦闘脚二二型と似ているがそんなストライカーがあるって話は聞いたことがない……のだが……」

 

同じ様に見ていてそう問う土方に坂本はそう返してから少し言葉を切る。

 

土方「?」

 

坂本「なんだか何処かであった気がするのだ。彼女とは…」

 

なぜか分からんがな……と坂本は呟く。

 

その間に芳佳は逃げてる際に捻ってしまったアルテアの足を治療し始める。

 

アルテア「ありがとう。でもびっくりしちゃった。芳佳ちゃんってウイッチだったんだ」

 

芳佳「うん。一応ね」

 

お礼を述べてからそう言うアルテアに芳佳は照れ臭そうに返す。

 

アルテア「こんな治癒魔法使えるのにどうして医学を?」

 

芳佳「……私ね。魔法が使えなくなった時があったんだけど、その時医学を学べば魔法がなくても人助けできるんじゃないかなって。それで此処に留学させてもらったの」

 

その後に質問をするアルテアに芳佳はそう返す。

 

音炉「ヨシカ。優しい!ヒトのために医学勉強スルなんて!」

 

芳佳「ありがとう音炉ちゃん」

 

凄い凄いと褒める音炉に芳佳はまた照れ臭そうに笑う。

 

アルテア「ひょっとして芳佳ちゃんってウィッチ隊?」

 

坂本「そうだ。宮藤は軍人だ。まもなく前線に復帰することになっている」

 

質問したアルテアに坂本が変わりに肯定して付け加える。

 

アルテア「へ?あ、あの……」

 

戸惑うアルテアに自己紹介してない事に気づき、坂本はすまないと謝罪してから名乗る。

 

坂本「そう言えば自己紹介がまだだったな。扶桑海軍少佐、坂本美緒だ」

 

アルテア「えっ!?坂本少佐ってひょっとしてガリアとヴェネツィアを解放した501統合戦闘航空団の……!」

 

驚きの声をあげるアルテアにああと坂本は肯定する。

 

坂本「宮藤もそうだ」

 

アルテア「え、ええ!?芳佳ちゃんも!?」

 

続けて付け加えられた事にアルテアは驚く。

 

音炉「501とうゴウ戦闘こう…?……ア、ストライクウィッチーズ!」

 

それに音炉が言おうとして詰まってから通称の方を言う。

 

一応教えて貰って知ってはいるが最初の漢字が難しくて覚えていなかったのだ。

 

その間、アルテアは立ち上がったと思ったら、涙を浮かばせて芳佳に抱き着く。

 

芳佳「う、うわっ!?」

 

音炉「あ、抱き着イタ!アタシもスル!」

 

驚く芳佳に音炉も続いてギューと抱きしめる。

 

坂本「(…初対面の筈なのに宮藤に懐いているな空初は…だが、懐き過ぎだな……)」

 

それを見て坂本は考える。

 

宮藤の良さは間近で見て来た自分でも分かる。

 

だが、音炉は坂本からすれば初めて会ったつもりなのに芳佳に心を開き過ぎている。

 

逆に自分には警戒心を持っている。

 

それ故に坂本は彼女とは初対面であったと言うのを感じずにはいられなかった。

 

坂本「(一体何者なのだ……空初音炉……)」

 

 

 

 

しばらくして落ち着いたアルテアがなぜ芳佳に抱き着いたかの理由を語る。

 

アルテア「実はわたしの父はヴェネツィア海軍の戦艦の艦長なんです」

 

芳佳「え、そうなんだ」

 

驚く芳佳にアルテアは頷く。

 

アルテア「父は常々言ってました。自分が生きていられるのは501部隊の皆さんがネウロイと戦ってくれたからだ、って…」

 

坂本「我々は軍人だ。戦うのは任務で当然のことだ」

 

芳佳「そうそう」

 

そんなアルテアのに坂本はそう返し、芳佳も相槌を打つ。

 

坂本「それで御父上は今どこに?」

 

アルテア「それが…地中海から大西洋を回る任務に就いている筈なんですが…。手紙を出しても返事が来ないんです。こんなこと初めてで…」

 

不安そうに顔を伏せるアルテアに芳佳は手助けできないかと考えてハッとなって坂本を見る。

 

芳佳「それなら無線を使えばいいんじゃ…。ね、坂本さん」

 

坂本「ん~……声を聴くくらいなら構わんか。土方」

 

土方「了解しました!」

 

少し考えてから了承して呼ぶ坂本に土方は敬礼して準備を始める。

 

音炉「ねえ、ヨシカ。ヒジカタ何シテルの?」

 

芳佳「アルテアちゃんのお父さんがいる船と無線を繋げているんだよ」

 

そーなのか~とほへぇーとなりながら土方の作業を見る。

 

坂本「……まるで子供だな」

 

そのしぐさを見て坂本はポツリと呟く。

 

その呟きは芳佳と音炉達には聞こえなかった。

 

土方「こちら、扶桑海軍土方一等兵曹。ヴェネツィア海軍軍司令部、応答されたし」

 

アルテア「お父さん……」

 

その間に土方が目的の相手に繋がる様に何回か言葉を交わした後に了解と返してからアルテアに受話器を差し出す。

 

土方「……繋がりました」

 

アルテア「!……もしもし?……あ、お父さん!?」

 

差し出されたのを受け取ってから聞こえた声に顔を明るくしてアルテアは父と話して行く。

 

その様子に良かったと芳佳は安心する。

 

音炉「アルテア、オ父さんと連絡できて嬉しソウ!ヨシカのアイデアのおかげ!」

 

芳佳「ううん、坂本さんたちが無線を繋げてくれたお陰だよ」

 

そう言う音炉のに芳佳は首を振って否定してから自分の父と楽し気に話すアルテアを見ながら坂本へ言う。

 

芳佳「……坂本さん。私、501で戦えて良かったです。私の力で誰かを守ることができた……私、ウィッチで良かったです!」

 

坂本「そうか……実はな、宮藤。私はこの度、正式に501統合戦闘航空団の所属を外れることになった」

 

そう言った芳佳は坂本の口から出た言葉に驚く。

 

芳佳「えっ……!?坂本さん、501を辞めるんですか!?」

 

坂本「二十歳を過ぎて、魔法力がなくなった時点で私はもうウィッチとして戦えないんだ」

 

慌てて聞く芳佳に坂本は静かにそう言う。

 

芳佳「それは…わかりますけど…。でも、もう坂本さんと一緒に飛べないなんて…」

 

坂本「まもなく大規模な作戦が発動する予定だ。そんなことを惜しんでいる場合では――」

 

音炉「サカモト、ストライクウィッチーズから離れるの、危ナイ」

 

寂しそうな芳佳に坂本はないぞと言い終える前に音炉が遮る。

 

坂本「!?」

 

芳佳「え?」

 

音炉「サカモト、ウィッチとして戦えナクなったの関係ナイ。()()()はサカモトも狙ウ。だから離れるの危ナイ」

 

突然の音炉の言葉に驚く2人に音炉は続けて言う。

 

坂本「アイツ…?」

 

芳佳「音炉ちゃん、一体何の…」

 

事……と芳佳が音炉の言葉の真意を聞こうとした時……

 

アルテア「お父さん!?」

 

突然、慌てた様子で何度も父に呼びかけるアルテアにただ事じゃないと芳佳はジープに駆け寄る。

 

芳佳「どうしたのアルテアちゃん!?」

 

アルテア「お父さんの……お父さんの船に何かあったみたいなの!」

 

坂本「状況は!」

 

帰された言葉に芳佳が驚く中で坂本は土方へ問う。

 

土方「無線の感度が急に低下しました!原因不明です!」

 

何が起きているのかと思っているとアルテアの握っている受話器からアルテアの父と思われる声が響く。

 

氷山が向かって来ると言う声が聞こえた後にノイズだけになる。

 

坂本「……今の、聞いたか宮藤」

 

芳佳「……氷……山……!?」

 

確認した坂本が何が起きていると呟いてる間に土方は通信機を弄っていたが、ダメです。繋がりませんと返す。

 

アルテア「お父さん……何かあったんだわ」

 

芳佳「え?」

 

驚く芳佳にアルテアは顔を向ける。

 

アルテア「さっき、無線の向こうで悲鳴が聞こえたの!」

 

芳佳「悲鳴!?」

 

坂本「聞こえたか?土方」

 

土方「いえ、私には…」

 

驚く芳佳の後に坂本が確認するが土方は聞こえてないと否定する。

 

アルテア「本当にです!本当に聞こえたんです!」

 

芳佳「ひょっとしたらネウロイの攻撃かも!ウィッチに出動要請を!」

 

坂本「慌てるな宮藤。水を苦手とするネウロイが氷山に化けたりはしない」

 

音炉「ジャア氷山を中デ操ってルとか?」

 

中で操っていると言う音炉の言葉に馬鹿なと坂本は呟く。

 

坂本「水もそうだが低温も嫌うネウロイが氷山の中で操るなんてできるはずが……」

 

音炉「ネウロイ確かに水と寒いのキライ。デモ人間に変わり者いるミタイに片方だけ平気ナノ居るカモ」

 

否定しようとする坂本だが音炉の言葉にそう言われると全てを否定しきれなかった。

 

変わり者と言う言葉であるネウロイを思い出したのもあるからだ。

 

坂本「(変わり者のネウロイ……そう言えば宮藤を全く攻撃しなかった人型のネウロイが居たな……言われてみれば、とあるウィッチの部隊が冷気を操ったネウロイと交戦したと言う話があったな……そんなネウロイの様にもし寒さに強い変わり者のネウロイが氷山を操ってる……確かに可能性としてはある)」

 

芳佳「坂本さん」

 

考え込んでいた坂本は芳佳の呼びかけに我に返り、なんだ?と聞く。

 

芳佳「私がアントウェルペンまで飛びます!」

 

坂本「なに!?」

 

アルテア「芳佳ちゃん!?」

 

告げられた事に誰もが驚く中で芳佳はアルテアへ顔を向ける。

 

芳佳「悲鳴が聞こえたんだねアルテアちゃん」

 

アルテア「う、うん……」

 

再確認した芳佳は坂本へ顔を向ける。

 

芳佳「救助要請じゃなくて私が勝手に行くのは問題ないですよね?」

 

坂本「宮藤……」

 

音炉「ヨシカ……」

 

坂本へと確認した芳佳は瞳に決意を込めて叫ぶ。

 

芳佳「私、守りたいんです!」

 

坂本・音炉「!」

 

その言葉に坂本と音炉は目を見開き、坂本は守りたい……と呟いた後、ふっと笑ってから高笑いする。

 

坂本「はっはっはっはっはっ!!宮藤。お前はやっぱり宮藤なんだな」

 

芳佳「えっ?あっ、はぁ……」

 

褒めてるのか分からない言葉に戸惑う芳佳に音炉はうんうんと頷いている。

 

土方「しかし少佐。飛ぶと言っても我々はストライカーユニットを積んでいません。あるのは彼女が持っているのだけです」

 

芳佳「あっ!」

 

音炉「それナラ大丈夫!えっと……」

 

そこに土方が最もな事を指摘し、芳佳もしまったと思ったら音炉がそう言って懐を探ると見つけたと言ってメモを取り出す。

 

ほいと渡されたのを坂本はなんだとメモを開いて見て目を見開く。

 

坂本「『ヘルウェティア空軍基地にあるのをメンテナンスしてあるからそれを使え』……まさかこちらが考えていた場所と同じとは……」

 

驚いた後に行くぞ!と坂本はジープに乗り込み、芳佳とアルテアも慌てて乗り、音炉も続いて乗り込むと土方がジープを発進させる。

 

向かいながら芳佳は先ほど向かう先に連絡していた坂本へと気になった事を聞く。

 

芳佳「ヘルウェティアに空軍基地ってあったんですね」

 

坂本「アルプスに囲まれているとはいえネウロイが侵攻こないとは限らんからな。万一に備えてユニットを購入した記録もある」

 

だからこそ当てにしていたと坂本は付け加えてる間に目的の空軍基地に着く。

 

倉庫の前に1人の男性がいた。

 

???「いやー!お待ちしておりました!マイヤー整備兵であります!」

 

敬礼しながら笑うマイヤーによ、よろしく頼むと坂本は不安になりながら案内してくれと頼む。

 

途中、坂本は音炉からついでにこれも渡してと言われて忘れてたともう1つメモを渡される。

 

倉庫に入り、しばらく進むと綺麗な形でストライカーユニットが置かれていた。

 

マイヤー「いやー、驚きましたよ。前日にはクモの巣張っていたユニットが次の日にはこんなに綺麗になっていたんですから。不思議な事ってあるもんですねぇ」

 

芳佳「く、クモの巣?」

 

軽く言うマイヤーだが芳佳は自分がそこまでオンボロになっていたのを履いてたかもしれない事に驚き、坂本は整備兵なのに話からストライカーを全然整備していなかっただろうマイヤーを睨む。

 

その睨みにひっ!?とマイヤーは怯える。

 

気を取り直して坂本は芳佳へと顔を向ける。

 

坂本「これなら飛べるな宮藤」

 

宮藤「はい!」

 

力強く頷き、アルテアに行ってくるねと言ってからストライカーユニットへと向かう。

 

ストライカーユニットを装着し、久々の感覚に頬を緩めながら、すぐさま真剣な顔をして前をみつえる。

 

芳佳「発進!」

 

号令と共に勢い良く飛び出して行く。

 

マイヤー「すげぇ……」

 

アルテア「うわぁ……!」

 

その雄姿にマイヤーとアルテアが感嘆の声をあげる中でマイヤー整備兵とメモを見ていた坂本は声をかけてから肩を強く握りしめる。

 

マイヤー「いてててぇ!?」

 

坂本「この整備状況についてちょっと話があるんだが……」

 

そう言って来る前に音炉からもう1つ渡されていたメモとそれに同封されていた写真を見せる。

 

その写真には蜘蛛の巣が張り、全く手入れをされずに汚れた、先ほど芳佳が履いたストライカーの整備される前のが写されていた。

 

万が一にと言いながら、備えで手に入れてたのにこんな状態でほったらかしにしていたなど、ネウロイが何時来るか分からないし、ウィッチもいない状態とはいえ、流石にこれは問題がある。

 

坂本「もしこの状態のストライカーで宮藤が飛んでいたら途中で堕ちていた可能性が高い。そんな状態までほっておいて……何が整備兵だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!恥を知れ!!!

 

マイヤー「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!申し訳ございません!!!」

 

力の限り怒鳴る坂本にマイヤーは慌てて謝罪する。

 

それを見ていた土方は周りを見てハッとなる。

 

土方「!?少佐、音炉さんがいません!!」

 

坂本「何!?」

 

その言葉に坂本は周りを見て、確かに音炉の姿がない事に気づき、まさかと思っていると倉庫からストライカーを履いた音炉が飛び出した。

 

音炉「ンじゃアタシも行ってクル!」

 

そんな坂本達に音炉はそう言って芳佳の後を追って飛ぼうとする。

 

坂本「待て、空初」

 

音炉「ン?」

 

そんな音炉を坂本は待ったをかける。

 

呼び止めたのは自分が501を辞めると言った際に出て来た彼女の言葉についてだ。

 

坂本「……さっき言いかけていた()()()とは誰のことだ?そしてお前は一体……」

 

芳佳にあんなに懐き、初対面の筈なのに初めて会った気がないウィッチ。

 

敵なのか、味方なのかを坂本はハッキリさせたかった。

 

音炉「……アタシはヨシカを守りタイ。ヨシカの笑顔を曇らせたくナイ。ダカラ、アナタ達を守りにキタ。だからサカモト……」

 

そんな坂本に音炉は真剣な顔で言い、最後は言葉を途中で切る。

 

坂本「?」

 

なぜ切ると思ったが音炉は悪戯っ気のある笑みで笑い……

 

音炉「……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そう言い残して飛んで行く。

 

坂本「(()()()()()()()()()()……!?)……土方、我々も行くぞ!」

 

土方「は、はい!」

 

それに坂本はまさかと思ったがすぐさま自分が出来る事をしようと土方へそう言い、土方も返事をする。

 

坂本「(まさか…空初の正体は……!)」

 

走りながら自分の予想に坂本は歴戦のウィッチとして外れてないと確信していた。

 

 

 

 

音炉「ヨシカー、アタシも行くゾ~」

 

少しして音炉は芳佳を捕捉し、呼びかけて横に並ぶ。

 

芳佳「音炉ちゃん!?良いの、一緒に来てくれて」

 

音炉「大丈夫!それ二、ヨシカと一緒に飛ぶノ、夢だったカラ!」

 

え?と戸惑いの声を漏らす芳佳を知らずに音炉は芳佳の手を取って行こうとスピードを上げる。

 

芳佳「(私と一緒に飛ぶ…それが音炉ちゃんの夢?初めて会ったばかりなのに……もしかしてどこかで私の事を聞いた?)」

 

どういう事だろうかと芳佳は戸惑ってしまう。

 

とにかくどうして自分と飛ぶのが夢なのかを聞こうとして……

 

音炉「~♪」

 

芳佳「え?」

 

するとそれだけご機嫌だったのか、音炉は芳佳の周りをくるくると飛び回る。

 

その動きに芳佳は既視感を覚える。

 

芳佳「(何だろう、この感じ…この動き…どこかで見たことが…)」

 

それが何なのか芳佳は思い出そうとして、見つケタ!と言う音炉の言葉で我に返る。

 

音炉「あの戦艦!氷山攻撃しテル!」

 

その言葉で芳佳は音炉の見てる方へと顔を向けるとそこでは戦艦が巨大な氷山に向けて砲撃しているのが目に入り、氷山もまるで意思を持った様に戦艦を追いかけている。

 

芳佳「あの氷山の動き……まるで船を追いかけてる……」

 

音炉「! ヨシカ、危ない!」

 

警告に芳佳はえ?と思った直後に氷山が光り、ビームが芳佳目掛けて放たれる。

 

向かって来るビームを芳佳は慌ててシールドを展開して防ぐがその威力に後ろに吹き飛ばされる。

 

芳佳「ビーム!?まさか……!」

 

音炉「ヤッパリ、あの氷山……ネウロイ!」

 

音炉に受け止めて貰いながら芳佳は音炉と同じ確信に至った時、氷山が揺れる。

 

まるで目覚める様に正反対の向きから元の向きに戻るかの様に氷山は傾いて行く。

 

その光景に戦艦の者達と含めて誰もが驚愕する。

 

そして完全に直立する様になった氷山の中央部分に、光る円がいくつも見える穴を持つネウロイとしての姿を見せる。

 

芳佳「水が苦手なネウロイが……なんで氷山に……!?(もしかして音炉ちゃんが言っていた変わり者のネウロイ!?)」

 

そんな芳佳と音炉へと氷山ネウロイは穴の近くの氷から触手が数本飛び出し、その先端からビームを放つ。

 

ビームの嵐に芳佳は慌ててシールドを張り、音炉はそんな芳佳を支える。

 

音炉「大丈夫カ、ヨシカ!?」

 

芳佳「ありがとう音炉ちゃん!」

 

お礼を述べた後に芳佳は気合を入れてシールドの向きを上に反らしてビームによる衝撃を軽減させる。

 

少ししてビーム連射が止まったので芳佳はシールドを消す。

 

音炉「攻撃、止まっタ。攻撃のチャンス?」

 

芳佳「でも今、わたしたち武器持ってないからチャンスがあっても活かせない……!」

 

息を整えながら音炉のに答えた芳佳は万が一にも基地から銃を借りとけば良かったと少し後悔しながら氷山ネウロイをみつえる。

 

 

 

 

一方で港へと土方の運転するジープでアルテアと共に向かっていた坂本は芳佳に通信を試みているが繋がらない事に苛立つ。

 

坂本「くそっ!一体何が起こっているんだ……!?」

 

考えられる事は氷山はネウロイだったと言う事。

 

そのネウロイにより通信妨害をされている可能性があると言う事だ。

 

ならばと坂本はすぐさまある場所へと通信を試みる。

 

坂本「繋がってくれるといいが……!」

 

芳佳の前に現れた謎のウィッチ、空初 音炉。

 

彼女が何者なのか……




芳佳「次回『集結と再会』、あなたは……」


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第二話~集結と再会・前編~

氷山型のネウロイと戦う芳佳たち
戦いの中、魔女たちはかつて戦った強敵との再会をする


前回、ドージェの様子を見る為に発進した芳佳と音炉。

 

氷山がネウロイだったので武器ない状況でどうすれば良いか考える芳佳。

 

すると、芳佳から見て氷山ネウロイの右側に何かが被弾して爆発を起こす。

 

芳佳「爆発!?」

 

音炉「あっ、アッチ!」

 

何がと思った後に音炉の指さす方を見ると海岸沿いに建てられた要塞が砲撃しているのが目に入った。

 

それを好機と感じたのか、戦艦も砲撃を再開し、要塞と挟んで氷山ネウロイを左右から攻撃して行く。

 

芳佳「左右同時に……今のうちに武器を何とか手に入れないと……!」

 

音炉「ねえヨシカ。アルテアのお父さんが乗ってる船から借りレナイ?」

 

そうか!と音炉のにそれが良いと考えてから氷山ネウロイの様子を伺う。

 

芳佳「(…あれ?あのネウロイ、なんか色が変な気がする……?)」

 

余裕が出来た事で、芳佳は気づく。

 

本来、ネウロイは赤い筈なのだが、あのネウロイの発する色は紫なのだ。

 

芳佳「(もしかして新種のネウロイ?だから冷たいのも平気なのかな……?)」

 

音炉「! ヨシカ、上!」

 

え?と突然の警告に考えていた芳佳は慌てて上を見ると氷山ネウロイが展開していた触手の先端を自分の上空に射出し、射出されたのが円を描く。

 

芳佳「何……あれ……!?」

 

音炉「触手、分裂。まるでミサイル?」

 

何をする気と展開されたのに気を取られた芳佳に隙ありと言わんばかりに氷山ネウロイは上空に向けてなかった触手からビームを放つ。

 

気づいた時にはシールドを張る暇がなく、慌てて緊急回避するが、左足のストライカーに掠ってしまい、火花の後にボフン!と言う音と共に煙を噴き出す。

 

芳佳「ストライカーが!?」

 

音炉「ヨシカ!」

 

そのまま墜落する芳佳を音炉がなんとか追い付くが追い打ちとばかりに放たれたビームをなんとか避けた所を今度は音炉の右足のストライカーが芳佳の左足のストライカーと同じ状態になってしまい、音炉と芳佳はヤバいとなんとか戦艦ドージェまで向かうとそこに自分達を受け止める為に海兵達が布を大きく広げており、あと少しと言う所で完全に停止してしまい2人は落ちてしまう。

 

ドスン!!

 

音炉「イタタ……ヨシカ、大丈夫?」

 

芳佳「う、うん。……あ、皆さん。ありがとうございます……」

 

海兵A「ど、どういたしまして」

 

なんとか布の上に不時着し、下敷きになってる海兵の面々へと芳佳はお礼を言う。

 

海兵B「とにかくこちらへ」

 

芳佳「は、はい!」

 

音炉「よいしょっと……」

 

ストライカーの修理の為に案内してくれると察して芳佳と音炉はストライカーを脱いだ後に抱えて付いて行く。

 

整備室に案内され、その部屋にいた整備兵2人は早速セットされた2人のストライカーを見る。

 

その際、音炉のストライカーを見て整備兵は驚きの声をあげる。

 

整備兵A「おいおい、こっちのはなんだ!?中の構造の見た事もないぞ!?家の手持ち云々よりどう直せば良いんだ!?」

 

整備兵B「参ったな……ストライカーのパーツがない分、宮藤少尉のはなんとか家の手持ちで飛べる様には出来ますけど……」

 

芳佳「ええっ!?」

 

音炉「あーヤッパリ……」

 

告げられた事に驚く芳佳の隣で音炉は知ってたと言う感じ声を漏らす。

 

整備兵A「君!持ち主で直し方を知ってるなら手伝ってくれないか!」

 

音炉「ワカッタ!サイエンスに教えてもらった通りにやってミル!」

 

芳佳「出来るの!?」

 

応急処置だケドと驚く芳佳にそう返しながら整備兵と共に音炉は自身のストライカーの修理を開始する。

 

見ていた芳佳に後ろから宮藤少尉と呼ばれ、振り返ると士官と思われる男性がいた。

 

士官「至急ブリッジへ、艦長がお呼びです」

 

芳佳「館長……アルテアちゃんのお父さん!」

 

用件に芳佳はすぐに了承して、音炉に行って来ると告げて士官と共に向かう。

 

途中、芳佳はまだ上空に射出している氷山ネウロイを見る。

 

芳佳「(あのネウロイ……何するつもりなんだろう……)」

 

少尉?と呼ばれ、芳佳は慌てて追いかける。

 

士官「宮藤少尉を連れて来ました」

 

扉を開けてそう言う士官の後に芳佳はブリッジへと足を踏み入れる。

 

そんな彼女に艦長と思われる男性が近寄る。

 

艦長「宮藤少尉ですね。当艦のカルロ・グリマーニです」

 

芳佳「アルテアちゃんのお父さんですね」

 

自己紹介する艦長、カルロは芳佳の言葉に驚く。

 

カルロ「アルテアを知っているのですか!?」

 

芳佳「はい!」

 

一緒に学んでる仲ですと答えた芳佳にそうでしたかとカルロは頬を緩ませる。

 

ズドォォオオン!

 

直後、爆発音が響き渡る。

 

カルロ「どうした!?」

 

士官「大変です!ネウロイが分離したのをいくつか使い、要塞の武装を破壊!要塞を突破しました!」

 

驚いて聞くカルロに見ていた士官がそう言う。

 

カルロ「くっ、先ほど分離させていたのは爆弾型のネウロイかっ……!」

 

士官「か、艦長!大変です!こちらにもいくつかの爆弾ネウロイが!」

 

顔を歪めるカルロに士官が叫ぶ。

 

カルロ「全速離脱!!」

 

すぐさまカルロが指示を出すと共に戦艦はスピードを上げて、落ちて来た爆弾型ネウロイを回避する。

 

氷山ネウロイは次はそちらとばかりに戦艦にビームを放つ。

 

カルロ「今度はこちらを狙う気か!」

 

芳佳「あ、でもネウロイ本体はこっちに来てない!?」

 

呻くカルロの隣で外を見た芳佳は驚いて言う。

 

確かに、氷山ネウロイは触手は戦艦に向けているが本体である氷山は戦艦を無視して進んでいる。

 

芳佳「この先には港が……もしかして狙いは港!?」

 

カルロ「進む方向を考えても奴の狙いはアントウェルペン港を破壊する事。あそこは統合軍にとって最重要補給地点……最悪の状況としか言い様がないですね」

 

士官が出してくれた地図を見て言う芳佳にカルロも同意して厳しい顔をする。

 

芳佳「一体どうしたら……」

 

士官「状況を考えたら……他にウィッチがいれば……」

 

誰もが状況のに悔しい顔をする中で士官の言葉が響く。

 

芳佳「(ユニットさえ直ったら飛べるのに……!)」

 

早く直ってと芳佳は願う。

 

 

 

 

一方、別の空域で、501の一員であるミーナ・ディートリンデ・ヴィルケはゲルトルート・バルクホルン、エーリカ・ハルトマン、そして新たに加わったハイデマリー・W・シュナウファーと服部静夏と共に芳佳の救援に急行していた。

 

そんな彼女達を突如現れたネウロイX-1と分類されているネウロイと多数のH型の小型ネウロイで構成されたネウロイ軍団が襲撃した

 

静夏「このっ……!」

 

ミーナ「皆、気をつけて!このネウロイたち、色がいつもと違うわ!」

 

攻撃を避けながら応戦する静夏や他の3人にミーナは叫ぶ。

 

彼女達が戦ってるネウロイもきしくも芳佳の方で出た氷山ネウロイと同じ赤色ではなく紫色であった。

 

バルクホルン「なんだこいつら!新種のネウロイか!?」

 

エーリカ「ねえ、おかしくない!?こいつら、まるで私達の邪魔をしに現れた感じしない!?」

 

次々と向かって来るのに呻くバルクホルンの後に攻撃を避けながらエーリカはミーナに叫ぶ。

 

ミーナ「(確かに……宮藤さんの救援に行こうとしてる時にハイデマリーさんが突然現れたと言う報告と同時に仕掛けて来るなんて、普通じゃない!)」

 

応戦してるハイデマリーを見ながらミーナは誰かの仕業と思いながら避ける。

 

それは他の所でも同じであった。

 

 

 

 

坂本からの芳佳の救援要請に向かおうとしていたリネット・ビショップとペリーヌ・クロステルマンもまた突然現れたネウロイX-2とネウロイX-14が使っていた子機の様な小型ネウロイ群に襲撃されていた。

 

リネット「芳佳ちゃんの助けに行きたいの……邪魔しないで!」

 

ペリーヌ「お退きなさい!!っう!なんと言う絶妙な動きを!!」

 

自分に向かって時間差で来る小型ネウロイ群により狙撃が思う様に出来ないリネットを助けようとしているが避けられたらリネットに行く様な動きをされて銃撃とトネールを上手く放てないペリーヌは苛立ちながらおかしいと考える。

 

ペリーヌ「(このネウロイたち、まるでわたくし達の特徴を把握してそれを邪魔するように連携していますわね……)」

 

そんな知能的な戦いをネウロイがすると言うのかと思いながらX-2の放つビームを避ける。

 

 

 

 

フランチェスカ・ルッキーニとシャーロット・E・イェーガー(通称シャーリー)はネウロイX-10の包囲攻撃にイライラしていた。

 

シャーリー「あーもう!面倒なネウロイだなこいつ!」

 

ルッキーニ「こいつって確か前にブリタニアで戦った奴だよねシャーリー」

 

だなと返しながらシャーリーは飛び回るキューブ群を見渡す。

 

前は坂本のお陰でコアがあるのが分かり倒せたが、今は自分とルッキーニしかいない。

 

シャーリー「(こりゃ二人で倒すのに一苦労しそうだな)」

 

ルッキーニ「シャーリー来るよ!」

 

おっと!とルッキーニの警告と共にビームを避けながらシャーリーはどれがコアかねぇと攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

さらに別の場所でサーニャ・V・リトヴャクとエイラ・イルマタル・ユーティライネンも向かおうとしていたが自分達の後ろから突如現れたネウロイX-5の襲撃を受けていた。

 

ただ、こちらは他の3か所と違い、赤色であった。

 

未来予知持ちであるエイラだが常に素早く動くX-5に狙いを定められない。

 

エイラ「クソッ!こいつ、動き早すぎダロ!」

 

サーニャ「落ち着いてエイラ」

 

落ち着かせるサーニャにだけどなとエイラは呻く。

 

エイラ「アイツ、こっちが向かう方に飛んで行くから追いつけないし!」

 

サーニャ「……あれ?でもそうなるとこのまま芳佳ちゃんたちのところ行けるんじゃない?」

 

苛立っていたエイラはサーニャのに言われてみれば……と気づいた後に笑みを浮かべる。

 

エイラ「んじゃこのままアイツを追いながら宮藤たちのところ行くカ!」

 

サーニャ「うん」

 

ならばと思った瞬間、エイラは予知出来たがそれよりも早い動きにより避けれずに2人ともお腹の部分に何かが巻き付いたと思った瞬間……引っ張られた。

 

サーニャ「えええええええ!?」

 

エイラ「なんだよこれぇええええええ!?」

 

悲鳴を上げながら2人は引っ張られていく。

 

※普通の人がされた場合死ぬかもしれませんが魔法力で大丈夫な感じになってます

 

 

 

 

戻って芳佳の方は執拗なビームとミサイルネウロイの攻撃に晒されていた。

 

飛んで来たビームは後部艦橋で芳佳がシールドで防いではいるが時間の問題である。

 

カルロ「このままではこの船は!」

 

芳佳「っ……!」

 

音炉「芳佳!修理、オワッタ!」

 

そんな芳佳の元に音炉が来て修理完了を告げる。

 

芳佳「直ったのストライカーユニット!」

 

音炉「ウン!アト、武器借りるダケ!」

 

それなら!と芳佳は音炉と共に走る。

 

整備兵A「来たか!修理は完了してる!」

 

整備兵B「後、この銃をどうぞ!必要になると思って用意したっす」

 

来た芳佳と音炉へ整備兵達は銃を手渡す。

 

渡されたのはブレン軽機関銃であった。

 

芳佳「ありがとうございます!」

 

音炉「ヨシカのと同じ!アリガト!」

 

手渡されたのを手に2人はストライカーを履くと共に整備兵Bが艦首エレベーターを操作し、外に出る。

 

整備兵B「出来る限りの事はしました!」

 

整備兵A「そっちの子のはともかく。あんたの方は無理し過ぎないように2000回転を超えない程度に飛ぶ様に気を付けて行くんだぞ!」

 

芳佳「了解!宮藤……出ます!」

 

音炉「空初!発進!」

 

整備兵達の激励を背にカタパルトから芳佳は飛び出し、続けて音炉が飛び出す。

 

飛び上がった芳佳と音炉は戦艦へと飛んで来る爆弾ネウロイをみつえる。

 

芳佳「たぁああああああっ!」

 

音炉「おぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

ミサイルネウロイの合間を抜けてから振り向き……

 

芳佳「行かせない!」

 

音炉「空中爆発シロー!」

 

トリガーを引いて銃弾を放つ。

 

1つのミサイルネウロイに着弾すると共に銃弾を浴びたミサイルネウロイはバランスを崩して別のミサイルネウロイとぶつかって行き、連鎖爆発を起こす。

 

2人だけで多数の爆弾ネウロイを殲滅した事にカルロ達は驚嘆する。

 

爆風の中から飛び出した芳佳と音炉はそのまま氷山ネウロイへと向かって行き、触手の放つビームを避けて行く。

 

芳佳「っ!」

 

向かって来た触手を避けると共に側面に銃撃を撃ち込んで行く。

 

ドカァアアアアアン!

 

音炉「オオ!凄い!ナラ、アタシも!」

 

それを見て音炉も同じ様に触手を避けてから側面に銃撃を叩き込む。

 

ドカァアアアアアン!

 

次!と向かおうとして氷山からまた新たな触手が現れる。

 

芳佳「増えた。これじゃあいくら倒してもキリがない!」

 

音炉「なら隠れテル本体を見つけてタオス!」

 

うん!と芳佳は頷いた後、注意深く氷山の中にいる本体を探す。

 

芳佳「見つけた!きっとあれが本体だ!」

 

音炉「デモどうやって入ル?氷、厚そう」

 

他と違う輝きが氷の中からしたのを見つけた芳佳に音炉は聞く。

 

???「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

芳佳「え!?」

 

音炉「ナンだ?」

 

突如、後ろから響き渡る悲鳴に芳佳と音炉は振り返り……突っ込んで来る黒いのに気づく。

 

慌てて2人は左右によけ……

 

ドゴーーーーン!!!!

 

丁度芳佳が見つけた本体のいる場所に激突する。

 

芳佳「い、今のって……ネウロイ?」

 

音炉「……ア、ヨシカ。上」

 

突っ込んだのがかつて戦った事のあるタイプのネウロイになんで?と思っていると音炉がそう言う。

 

上?と言われて見上げると落ちて来る影があり、慌てて音炉と共に受け止める。

 

受け止めたのを確認して驚く。

 

芳佳「エイラさん!?サーニャちゃん!?」

 

エイラ「おー、ミヤフジ」

 

久しぶりダナと返しつつ、音炉に抱きかかえられてるサーニャに気づき、お前!と音炉に噛み付く。

 

エイラ「サーニャをさっさと降ろせ!」

 

音炉「…キャッチしたのに怒ラレタ…(´・ω・`)」

 

サーニャ「エイラ、助けて貰ったのにそれはダメ」

 

ショボンと落ち込む音炉の頭をサーニャは撫でながら注意する。

 

エイラ「だって……」

 

芳佳「でも二人ともどうして降ってきたの?」

 

それな……とエイラは先ほど氷山ネウロイにぶつかった事で消えて行くX-5を指さす。

 

エイラ「あのネウロイに引っ張られて来たんダヨ。魔法力なかったらヤバかったんダナ。あれは乗り心地悪すぎダロ」

 

芳佳「ネウロイに?」

 

返答に芳佳は驚く。

 

まさかネウロイに牽引されたと聞いたら当然の反応であるが……

 

音炉「乗り心地ワルかった?ハヤク来れるように設定シタんダケド」

 

エイラ「あ?設定した?」

 

その言葉に3人の目は音炉に集まる。

 

芳佳「え?もしかしてあのネウロイ、音炉ちゃんが用意したの?」

 

その通りダ!と音炉は胸を張る。

 

音炉「アタシの固有魔法『装置創造』!ドンナ設定にでもデキルオプションをツクレル!」

 

なんじゃそりゃとエイラは信じられない顔で呟く。

 

所でと音炉はX-5がぶつかった部分を見る。

 

音炉「ヨシカ。これで本体居るトコまで行ケル?」

 

芳佳「あ、確かに!これなら……!」

 

言われてみて気づく。

 

先程のX-5の激突でコアまでの道になりそうな穴が出来たからだ。

 

芳佳「エイラさん!サーニャちゃん!ちょっと此処任せていいですか!?」

 

エイラ「良いけど、お前等が突撃するノカ?と言うかこいつ誰?」

 

サーニャ「初めて見る人だね」

 

お願いする芳佳に改めて音炉を見るエイラとサーニャ。

 

音炉「アタシは空初音炉!ちゃんとした自己紹介アトでスル!」

 

芳佳「行こう、音炉ちゃん!」

 

おう!と返した音炉と共に芳佳は穴から中へ突撃する。

 

エイラ「空初音炉……変わった名前ダナあいつ。……ん?どうしたんダ、サーニャ?」

 

見送りながらエイラは様子がおかしいサーニャに気づいて声をかける。

 

サーニャ「……空初音炉……そらういねろ……あ」

 

だが、サーニャはエイラのに答えずに何かに気づいた様子でなんだよと思った後に向かって来た氷山ネウロイの触手ビームを避ける。

 

エイラ「先にこいつらを片付けるゾ、サーニャ!」

 

サーニャ「う、うん!」

 

意識を切り替えて言うエイラにサーニャも頷いてフリーガーハマーを構え直す。

 

 

 

 

突入した芳佳と音炉は芳佳を先頭に途中で先の様子から掘り進んだ方が良いとシールドをドリルの様にして突き進んでいた。

 

音炉「ヨシカ凄い!バリアでドリル!」

 

芳佳「もう少し……!着いた!」

 

感嘆する音炉のを聞きながら芳佳は気合を入れると共に広い場所に出る。

 

そして奥に紫色に光る氷山ネウロイの本体とコアを視認する。

 

芳佳「あれが本体!(コアも紫色になってる……やっぱり新種?)」

 

新種ならばどういうのをするか調べるべきだろうが港に向かってるのを考えてすぐに破壊しなければならないと考えて芳佳は突っ込む。

 

芳佳「たぁああああ!!」

 

バシュン!

 

刹那、トリガーを引こうとした芳佳の履いてるストライカーのプロペラが消えて芳佳は落下してしまう。

 

芳佳「!?」

 

音炉「ヨシカ!」

 

慌てて音炉が助けに向かう。

 

芳佳「(こ、こんな時に!)」

 

体勢を整えようとする芳佳にビームを発射しようと触手がエネルギーをチャージする。

 

音炉「させナイ!」

 

ガキィン!

 

発射される直前、音炉が芳佳の腕をつかみ、発射されたのをバリアで防ぐ。

 

音炉「ヨシカ!今のウチに!」

 

芳佳「う、うん!」

 

言われて芳佳はコアへと狙いを定める。

 

芳佳「たぁあああッ!」

 

気合の声と共に放たれた銃弾がコアに炸裂して行く。

 

バリィン!

 

銃弾を受けたコアはひび割れを起こすと共に四散する。

 

やったと思った後に氷山が崩れ始め、慌てて音炉と共に脱出する。

 

 

 

 

外でも変化が起きており、触手がドンドン消えて行く。

 

サーニャ「芳佳ちゃん達、本体を倒せたんだね」

 

エイラ「お、おい。おかしいゾこれ……!」

 

それにサーニャが安堵するがエイラの言葉にえ?となって氷山を見る。

 

そして気づく。

 

サーニャ「氷山が止まってない……!?」

 

どうして!?と驚くサーニャの後に脱出した芳佳と音炉も気づいて驚く。

 

芳佳「なんで止まってないの……!?」

 

音炉「慣性で動イテル!あのネウロイ、自分倒されてモ港破壊するツモリだったンダ!」

 

氷山の動きを見て言う音炉に芳佳は銃を構える。

 

芳佳「なら早く止めないと……」

 

港に起りかねない被害を抑えないと4人が行動しようとした時……

 

ブィィィィン!!

 

氷山の上に魔法陣が出現する。

 

エイラ「なんだアレ!?」

 

サーニャ「! 何か出てくる……!?」

 

突如、現れた魔法陣にエイラが驚く中でサーニャが気づいて言う。

 

何が出て来るのかと誰もが警戒する中で現れたのに芳佳、サーニャ、エイラは目を見開く。

 

芳佳「あ、あれって……!」

 

それは、かつてウィッチに代わる人類の新たな守りの翼として人の手により作られたが自己中心的で、権威主義な者が動力源としてネウロイのコアを使った事により皮肉にも人類の敵に転じてしまった兵器をネウロイが模倣した存在……

 

エイラ・サーニャ・芳佳「ネウロック!?」

 

自分達の目の前にいる存在、芳佳達501が戦ったウォーロックの姿をしたネウロイ、通称ネウロックに3人は驚きの声を漏らす。

 

※:ネウロックについて詳しくはストライクウィッチーズ 白銀の翼を参照

 

魔法陣から完全に姿を現したネウロックに3人は戸惑いを隠せなかった。

 

芳佳「なんでネウロックが!?」

 

エイラ「ん?なんか微妙に姿変わってないカ?」

 

驚いていたエイラは改めて観察して気づく。

 

自分達が戦ったのと違い、目の前の存在は肩が尖がったのになっており、手が5本爪の手になり、足も翼を失くし、細い感じになっている。

 

サーニャ「それに色も紫色になってる…」

 

芳佳「もしかしてネウロック型の新種のネウロイ!?」

 

驚いていると魔法陣からH型の小型ネウロイがドンドン出て来る。

 

サーニャ「小型のネウロイがあんなに……!?」

 

音炉「あの魔方陣消さナイト、ヤバい!」

 

氷山もそうだが、魔法陣も消さないといけないと考えて向かおうとする4人をネウロックとH形小型ネウロイが阻む。

 

エイラ「この数はちょっとマズイナ……」

 

芳佳「確かにこれは……」

 

苦い顔をするエイラに芳佳も冷たい汗を流す。

 

4人だけでは目の前の大群を相手にするのは厳しい……誰もが止められないのかと絶望しかけた時。

 

???「おいおい、ここも沢山いるじゃないか?私等も混ぜて貰うぞ!!」

 

芳佳「え?」

 

サーニャ「この声って……!」

 

響き渡る声に芳佳達が声を漏らした後、1つの弾丸の様な影が突っ込んで来て、数体のH型小型ネウロイを弾き飛ばしてから芳佳達の横で止まる。

 

その人物は、ルッキーニを抱えたシャーリーであった。

 

シャーリー「よう宮藤!」

 

ルッキーニ「芳佳ー!久しぶりー!」

 

芳佳「シャーリーさん!ルッキーニちゃん!」

 

駆け付けた2人に芳佳は笑顔になる。

 

シャーリー「あたしら以外にも来てるみたいだぜ」

 

芳佳「え!?」

 

ニッと笑って言うシャーリーのに答える様にH型小型ネウロイに電撃が襲い掛かり、その後にネウロックに向けて銃弾が向かって行き、それをネウロックは防ぐ。

 

芳佳「今のは対装甲ライフル!それにあの電撃は……!」

 

その攻撃を見て芳佳が誰が放ったのか気づくと芳佳ちゃん!と言う声と共に顔を向けると共に突撃して来たリネットに抱き着かれる。

 

芳佳「リーネちゃん!来てくれたんだ!」

 

リネット「うん!」

 

ペリーヌ「ほらほら。まだ攻撃きますわよ」

 

嬉しそうに顔を赤らめるリネットに後から来たペリーヌが呆れた顔で注意する。

 

芳佳「ペリーヌさん!」

 

ペリーヌ「坂本少佐から出撃要請が来たんですから。来ないわけには行かないでしょ」

 

嬉しそうに顔を輝かせる芳佳にペリーヌが来た理由を述べる。

 

芳佳「坂本さんから?」

 

そうですわと芳佳のに答えた後にペリーヌはネウロックを睨む。

 

ペリーヌ「まさかあのネウロイとまた戦うことになるとは思いませんでしたわ」

 

???「それには同意よペリーヌさん」

 

溜息を付きかねない感じにぼやくペリーヌに同意する様に声がした後に、バルクホルンとエーリカを引き連れたミーナが合流する。

 

芳佳「ミーナさん!バルクホルンさん!ハルトマンさん!」

 

ミーナ「久しぶりね宮藤さん。その子が空初さんね」

 

喜びの声を上げる芳佳に微笑んでから坂本から聞いたのか音炉を見て呟く。

 

その後に遅れて静夏とハイデマリーが来る。

 

静夏「宮藤さん!」

 

芳佳「静夏ちゃん!それにハイデマリーさんも!」

 

久々の2人に喜ぶ芳佳にこちらこそとハイデマリーは会釈してから音炉を見て首を傾げる。

 

直後、ネウロックの放ったビームを避ける。

 

ミーナ「これ以上氷山を近づかせない為にも、素早くネウロックを排除にかかります!」

 

一同「了解!」

 

ミーナの号令に音炉を含めた全員が答えた時、ネウロックの方にネウロイX-1、X-2、X-10が現れる。

 

エーリカ「あー!私達を邪魔してたやつ!」

 

シャーリー「あっちのはあたし達のを邪魔してたのだ!」

 

ペリーヌ「あちらのはわたくしとリーネさんの方に居たネウロイですわ!」

 

エイラ「(こっちには来なかったのは黙っておコウ)」

 

それにエーリカ、シャーリー、ペリーヌが声を出し、エイラは音炉を見てそう思っているとネウロックが左手を上げる。

 

それを合図に3機の大型ネウロイが動き出す。

 

まずX-1がネウロックの背中に合体、X-2は下側がネウロックの左腕に装着する様に合体。

 

最後にX-10が集まって長方形になってから継ぎ目を失くした後にネウロックの右手に握られて盾の様になる。

 

バルクホルン「合体しただと……!?」

 

静夏「ネウロイ同士が合体するなんて……!」

 

驚きの声を漏らす静夏の後に攻撃開始!と言うミーナの号令と共に動く。

 

それを迎え撃つとネウロックは咆哮する。




音炉「後編へと続くんダゾ!」


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第二話~集結と再会・後編~

音炉「ネウロックと戦う後編、スタートダゾ!」


 

ミーナの号令開始と共に攻撃を開始する面々。

 

芳佳も攻撃に加わろうと向かおうとし……

 

芳佳「わとと……」

 

音炉「ヨシカ、大丈夫カ?」

 

ストライカーの羽の回転が止まりかけた事で芳佳はよろけかけて音炉が支える。

 

芳佳「なんか調子悪いなぁ……」

 

ミーナ「大丈夫宮藤さん」

 

様子がおかしいと見てミーナが話しかける。

 

芳佳「あ、はい。なんとか…」

 

ミーナ「そう。あまり無茶しないようにね。それで空初音炉さん。あなたの事はあとでしっかり話を聞かせてもらいます」

 

芳佳から音炉へと顔を向けてミーナはそう言って攻撃を仕掛けているメンバーに加わる。

 

音炉「ヨシカ、調子悪い。その分、アタシ頑張る!」

 

芳佳「ありがとう音炉ちゃん」

 

気合を入れる音炉に芳佳は礼を述べる。

 

音炉「でもアイツ相手だと能力使わナイとちょっとヤバい」

 

ピピピピピピピ!

 

ううむと唸っていると音が響き渡り、何と芳佳が思っていると音炉が自分の付けているインカムに触れる。

 

音炉「モシモシ?」

 

???『音炉。聞こえるか?ワシじゃよ』

 

そう言った音炉に物体から声が響き渡る。

 

芳佳「女の人の声……(もしかして音炉ちゃんが言ってたサイエンスって人?)」

 

???『連合軍との交渉は成功じゃ。()()()()()()()使()()()()()()()。じゃからそれで敵を倒し、被害を少なくするのじゃ。お主ならできるじゃろ?』

 

音炉「おお、丁度良かったゾ」

 

ニッと笑って音炉はネウロックをみつえる。

 

音炉「ヨシカ、銃持っテテ!」

 

うえ!?と投げ渡された銃を慌てて持ち直す中で音炉は手を翳す。

 

音炉「さあ、行くゾ!」

 

その言葉と共に、芳佳は驚く。

 

なんと音炉の両腕が見た事もない銃砲が沢山付いた銃の様なのに変化し、銃口から赤いエネルギー弾が放たれて小型ネウロイを次々と落としていく。

 

シャーリー「なんだあれ!?」

 

エーリカ「すごーい。次々とネウロイを撃ち落としてる…」

 

それに気づいたミーナ達が驚く中で音炉は小型ネウロイを撃ち落としつつネウロックへと接近する。

 

音炉「喰ラエ!」

 

放たれたエネルギー弾にネウロックは盾で防ごうとするがそのまま撃ち抜かれて行き、元々のX-10のコアに撃ち抜いたのか盾はバリーンと割れて消滅する。

 

やられてばかりじゃないとネウロックが左腕の銃からビームを放つ。

 

音炉「ウオッと!」

 

飛んで来たビームを音炉は避ける。

 

そんな音炉をもう一度狙おうとしたネウロックの銃に何かが炸裂して銃が消滅する。

 

サーニャ「そう何度も攻撃はさせない」

 

エイラ「ナイスだサーニャ!」

 

サーニャが撃ったロケット弾だった様でネウロックは苛立つような感じに拳をぶつけた後にドージェを見ると向かって行く。

 

バルクホルン「なっ!アイツ、戦艦を狙ってるぞ!」

 

音炉「!」

 

士官「艦長!こちらに向かってきます!」

 

カルロ「迎撃しろ!」

 

それに慌ててドージェが砲撃するがネウロックは避けながら近づいて行く。

 

芳佳達も助けに向かおうとして小型ネウロイに邪魔されて進むのを阻まれる。

 

芳佳「これじゃあ近づけない…!このままじゃドージェが!」」

 

音炉「ドージェ…アルテアのお父さん!」

 

芳佳の言葉を聞いて音炉は小型ネウロイの合間を縫ってドージェへと向かう。

 

バルクホルン「あ、おい!」

 

それにバルクホルンも続いて音炉の通った道を抜けて行く。

 

ドージェへと向かっていたネウロックは翼となっていたX-1を分離するとX-1は強く光りながらドージェに飛んで行く。

 

ミーナ「!まさかミサイルとしてぶつける気!?」

 

そんなネウロックの意図に気づいたミーナが叫ぶ中でミサイルとなったX-1はドージェへと迫り……

 

ガキィィイン!

 

間一髪回り込んだ音炉がシールドで防ぐ。

 

音炉「ぐぅぅぅぅ……ッ!!」

 

なんとか耐えようとするがX-1がさらに力を入れたのか押され始める。

 

芳佳「音炉ちゃん!!」

 

そこに芳佳が加わって、一緒に力を入れる事で止める事に成功する。

 

踏ん張りながら音炉は髪の毛を変化させて拳の様にする。

 

ルッキーニ「髪の毛が腕になっちゃった!?」

 

シャーリー「何するつもりだ!?」

 

髪の変化に驚くルッキーニの後のシャーリーの疑問は次の行動で分かった。

 

音炉「ドラぁっ!」

 

シールドを維持したままX-1の両翼を力強く殴って向きを上空に向けさせて進行方向を変えさせる。

 

ペリーヌ「力づくで方向を変えた!?」

 

ミーナ「なんて出鱈目な…!けど、これでドージェは助かったわ」

 

まさかの力技にネウロックは今度は小型ネウロイを向かわせようとしてるのかを手を上げようとし……

 

バルクホルン「隙だらけだ!!」

 

音炉と芳佳に注意を向けていた事で懐に潜り込んだバルクホルンに固有魔法によるパンチで殴り飛ばされる。

 

殴り飛ばされたネウロックはそのまま軌道を変えられたX-1と衝突し……

 

ドカァァァァン!!

 

ミサイルとなっていたX-1は爆発し、爆発をもろに受けたネウロックは氷山上にぶつかり、展開されていた魔法陣は激突の影響で消滅する。

 

その際、ネウロックは破損し、壊れた胸の中央部分に紫色に光るコアが露出する。

 

ペリーヌ「コアが見えましたわ!」

 

ミーナ「みんな、コアを狙って!」

 

ミーナの号令で集中攻撃を仕掛けるが小型ネウロイたちがネウロックの周りに集まり、バリアの様に固まってネウロックへの攻撃を防ぐ。

 

バルクホルン「くっ、これでは攻撃が届かない…!このままでは再生されてしまうぞ!」

 

音炉「ナラちっちゃいの吹き飛バス!」

 

そう言って音炉は再び腕と今度は髪も含めて様々な銃に変化させて一斉放射し、小型ネウロイを撃ち抜いて穴をあけていく。

 

芳佳「リーネちゃん!」

 

リーネ「芳佳ちゃん!」

 

自分の下に向かう芳佳にリーネは彼女が何をしたいかを察して高度を下げる。

 

そのまま芳佳がリーネを肩車する様に合体するとリーネは自分のボーイズMk.I対装甲ライフルを構える。

 

リーネ「…見えた!」

 

コアを捉えた瞬間にリーネはトリガーを引く。

 

放たれた銃弾は逸れずにネウロックのコアを貫く。

 

ネウロック「!!!!?」

 

コアを貫かれたネウロックは体を震わせ、足から光りになって行く。

 

ミーナ「やったわ!ネウロックを撃墜よ!」

 

音炉「見て、小型のもキエテいく!」

 

喜ぶミーナの後に音炉の言った事に誰もが見ると確かにネウロックと共に四散して行く小型ネウロイの姿があった。

 

エーリカ「これで残ってるのは氷山だけか」

 

ハイデマリー「早く止めないと港に激突します。今も進み続けてます!」

 

急がねばと誰もが止めに入ろうした時……

 

ネウロック「これは………始まりに……過ぎない……」

 

501一同+音炉「!?」

 

突如ネウロックから流れた機械音声に誰もが驚く。

 

静夏「ネウロイが……喋った!?」

 

ルッキーニ「嘘!?」

 

ネウロック「貴様ら……全員を……皆殺しにし……我がリベンジを……成功させる……」

 

驚いている間にネウロックは目を強く光らせてハイデマリーと静夏、音炉を除いた芳佳達を見渡して言う。

 

ネウロック「このワタシ、ウォーロックⅡが……!」

 

シャーリー「ウォーロックⅡ!?」

 

バルクホルン「どういうことだ!?Ⅱだと!?」

 

出てきた言葉、特にⅡと言う所に誰もが驚く中でネウロックの消滅は顔まで来て……

 

ネウロック「ベルリンで……待って……る……ぞ…………」

 

バリィィィィン!

 

その言葉を最後にネウロックは四散する。

 

ミーナ「ベルリン……ですって……!?」

 

芳佳「ベルリンって確か……」

 

音炉「……ヨシカ。話すのはアト。先に氷山。トメナイと…」

 

驚くミーナの後に芳佳は思い出そうとして音炉の言葉にそうだ!と氷山を見る。

 

港にぶつかる前に止めないと……と芳佳は動こうとした時……

 

プスン!

 

芳佳「え!?あぁあああ!?」

 

静夏「宮藤さん!」

 

突然自分が履いていたストライカーが止まってしまい自由落下して行く芳佳を静夏が間一髪抱きかかえる。

 

芳佳「ありがとう静夏ちゃん」

 

静夏「いえ、ストライカーが故障してたんですか宮藤さん?」

 

音炉「ヨシカのストライカー、さっき攻撃かすって壊れタ。応急処置シタけど、限界カナ?」

 

確認する静夏に音炉が代わりに答える。

 

その間にミーナ達が銃で氷山を削りにかかるが大きさもあって少しずつしか削れていない。

 

静夏「全然壊れない…!」

 

芳佳「このままじゃ…!」

 

音炉「……ねぇ、ヨシカ。シールドで押して止めタラ?」

 

その言葉にそうか!と気づいた芳佳はメンバーへと叫ぶ。

 

芳佳「皆さん!シールドを使って氷山を押して止めてください!!」

 

バルクホルン「シールドでか…ナイスアイデアだ宮藤!」

 

エーリカ「ってか冷静に考えたら壊すよりそっちの方が成功率高いよねー」

 

うぐとミーナが呻くのをスルーしてエイラ以外がシールドを張って押し始める。

 

エイラはシールドを張るのが苦手(サーニャを護る時は普通に張れる)なのでサーニャのシールドを一緒に押す。

 

芳佳「音炉ちゃんもお願い!」

 

音炉「ワカッタ!」

 

お願いする芳佳に音炉は頷いて氷山へと向かって行く。

 

音炉「…ア、そうだ!こうすれば…!」

 

途中、そう言って音炉は氷山をみつえる。

 

バルクホルン「おい、何をしている!」

 

エーリカ「早く手つだ…えっ?」

 

んぎぎと押していたエーリカは目に入った光景に目を丸くする。

 

いや、他のメンバーもそれぞれ驚きの表情を出していた。

 

彼女は両手を上に翳した。

 

音炉「えーい!」

 

その後に白い光の欠片の様なのが放出され、それらは氷山から離れた場所で集まって巨大な形になって行く。

 

それによって作り出されたのは全体が赤く輝く海賊船で、赤い海賊船は鎖を射出して氷山に巻き付けると港とは反対方向に引っ張る。

 

ルッキーニ「すっごーい!空飛ぶ海賊船を作っちゃった!?」

 

ハイデマリー「え、あれって…」

 

サーニャ「ハイデマリーさん。シー」

 

目を輝かせるルッキーニの隣で何かに気づいたハイデマリーをサーニャは止める。

 

顔を向けたハイデマリーにサーニャは首を横に振って小声で言う。

 

サーニャ「話はあとで聞こう。今はこれを止めるのが先

 

ハイデマリー「……そうですね

 

確かに今は氷山を港から離すのが大事だとハイデマリーは押す事に集中する。

 

カルロ「おお、流石は第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズ!!」

 

その光景にカルロ含め、ドージェの船員達は見とれる。

 

音炉「少しズツ止まってキタ!あともうチョイ!」

 

その言葉と共に押してる全員が力を入れる。

 

芳佳「止まって…ッ!」

 

静夏「止まってください!」

 

見てる2人が見守る中で氷山は動きが遅くなっていき、そして……氷山は動きを止まり、港への衝突は免れた。

 

音炉「…止まっタ…」

 

ふうと息を吐いた音炉のを皮切りに歓声が沸き上がる。

 

リーネ「ギリギリだったね」

 

芳佳「止まってくれてよかった……ホントに良かった」

 

近くに来て安堵の息を吐くリーネに芳佳が同意すると音炉がヨシカ~♪と前から抱き着く。

 

音炉「氷山、止マッタ!港、助カッタ!」

 

うん!と芳佳も微笑む中でエイラとハイデマリーは音炉を少し警戒する様に見ていた。

 

 

 

 

しばらくして坂本と共に港に来たアルテアは父と無事に再会が出来たのに芳佳は501の面々と共に嬉しそうに見守る。

 

その後にあれ?と音炉の姿がない事に気づいて周りを見渡すと離れた場所で音炉が隠れていた。

 

芳佳「どうしたの音炉ちゃん」

 

音炉「いや、ソノ……」

 

すすっと隠れようとする音炉に芳佳は首を傾げるがエイラとハイデマリーはアルテアと話してるカルロやドージェの船員達を見てる事から腕や髪の変化ので何か言われるのを恐れているのではないかと気づく。

 

その後にアルテアがカルロと共に芳佳達の方へと近づく。

 

カルロ「すいませんが、宮藤少尉に良く似た彼女は?」

 

芳佳「それでしたらあちらですけど」

 

聞かれて芳佳は正直に言うとカルロは頭を下げてから音炉に近づき、見られてる本人は顔を出す。

 

音炉「えっと、何?」

 

アルテア「お父さんを助けてくれてありがとう!」

 

カルロ「お陰で私や船の船員達も助かった。娘と同じ様に礼を言わせて欲しい。ありがとう」

 

顔を少し出して聞く音炉にアルテアとカルロはお礼を述べる。

 

後ろで船員達も感謝の敬礼をしている。

 

見ていたかもしれないのに得体の知れない自分に感謝の言葉をかけてくれたカルロ達に音炉はテレくさそうに頬を赤らめる。

 

では……と船員達とドージェの状況を確認する為か歩いて行くカルロにアルテアも付いて行く。

 

見送ってから芳佳は思い出した様に音炉に顔を向ける。

 

芳佳「そう言えば、どうして音炉ちゃんは私を手伝ってくれたの?」

 

音炉「…アルテアのお父さん傷ついタラ、アルテア悲しむ。アルテア悲シンだら芳佳も悲シムと思ッタから…」

 

その言葉に芳佳はありがとうと言い、音炉は嬉しそうに笑う。

 

坂本「しかし、反攻作戦前に、ウォーロックの名をまた聞く事になるとはな……」

 

ミーナ「しかもウォーロックはベルリンで待ってるって言っていたわ。一体ベルリンで何が起こってるのかしら…」

 

不安そうに呟くミーナや坂本の言った事に芳佳は気になった。

 

芳佳「反攻作戦?」

 

ええと頷いてミーナは続ける。

 

ミーナ「私達人類のネウロイへの反攻作戦がついに開始されるのよ。その目標が……ベルリン」

 

芳佳「ベルリンってさっきネウロックの……それに確かカールスランドの……」

 

リーネ「うん、首都だよ」

 

場所を聞いて確認する芳佳にリーネは頷く。

 

バルクホルン「ついに来たか……!」

 

エーリカ「気合入ってんねぇ」

 

気合を入れるバルクホルンにエーリカは気だるげに言う。

 

バルクホルン「当然だ。わたし達の国を取り戻す時が来たんだ!」

 

ミーナ「ベルリン上空には強力なネウロイの巣が確認されています。戦いは今まで以上に……」

 

音炉「…そのネウロイの巣、乗っ取ラレタ。ウォーロックⅡに」

 

気合を入れたバルクホルンの後に言おうとしたミーナの言葉を遮って音炉がそう言う。

 

誰もが遮った音炉に顔を向ける。

 

坂本「……空初。お前、ウォーロックⅡの事を知っているのか…?」

 

音炉「知っテル。と言うかアイツからヨシカ達護るタメに来た。アイツを蘇らせてしまったセキニンがアル」

 

最後の言葉に誰もが驚く。

 

坂本「蘇らせただと!?」

 

ミーナ「どういうこと!?一体あなたは……」

 

サーニャ「……あなたは人じゃないんだよね?」

 

ぽつりとサーニャは呟く。

 

その呟きに誰もがえ?となる中でハイデマリーも続く。

 

ハイデマリー「あなたが作り出したあのオプション……あれからネウロイの反応を感じました」

 

バルクホルン「あれがネウロイだと……!?」

 

先ほどの船を想像し、驚くバルクホルンの後にサーニャは続ける。

 

サーニャ「ネウロイを作り出せるウィッチなんて聞いたこともない。それが出来るとしたらそれはネウロイ。おそらくアレは子機のようなものでしょ?」

 

音炉「……」

 

問われても無言な音炉にサーニャはもう1つの確信を言う。

 

サーニャ「そしてあなたの名前。平仮名にして最初のそらって字を取り除いて残った四文字を並び替えたら……()()()()って文字になる」

 

芳佳「あっ…!」

 

言われて芳佳も気づく。

 

確かにサーニャの言った通りにするとネウロイと言う言葉が出来上がるのだ。

 

サーニャ「ただ空って字がなぜあるのか分からなかったけどこれって偶然にしては…」

 

音炉「…空ッテ字はあの時、ヨシカと一緒ニ飛んだアノ空が思い出に残ッテるから名前に入れてモラッタ」

 

分からなかったと言う空の部分に黙っていた音炉が口を開いて理由を言う。

 

「!」

 

坂本「宮藤と一緒に飛んだ…やはりお前は…!」

 

芳佳「音炉ちゃんの正体って…もしかして……!」

 

その言葉に静香とハイデマリーを除いた501の面々が驚く中で坂本は自分のが当たっていた事で、芳佳はまさかと言う思いで聞く。

 

そんな2人のを頷いて肯定して音炉は言う。

 

音炉「ウン。アタシはかつてヨシカと出会った人型のネウロイ……ネウロイX-11ダヨ」

 

その言葉に芳佳は涙を浮かばせながら割れ物を扱う様に音炉の頬を撫でる。

 

芳佳「本当に…あの子なの…?」

 

音炉「ウン、そうダヨ。ヨシカ」

 

生きていた、それだけで芳佳は良かったと涙を流して抱き締める。

 

音炉もじっくりと芳佳を感じようと抱き返す。

 

坂本「(ブリタニアに出現した人型のネウロイ……やつのことは宮藤の中で心残りになっていたからな……)」

 

その光景に坂本が思う中でミーナがインカムを抑える。

 

どうやら通信が入った様だ。

 

ミーナ「はい、こちら501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズ、ミーナ……!パットン将軍とガランド中将!?」

 

驚いた顔で慌ててメンバーから離れる。

 

その間、静夏とハイデマリーを除いたメンバーは音炉を見ていた。

 

バルクホルン「(くっ……どうすれば……宮藤の邪魔はしたくない。だが相手はネウロイ!ネウロイは敵だから倒さねば……だがそしたら宮藤が悲しむ……)」

 

エーリカ「(トゥルーデ、複雑な顔してるなー)」

 

リーネ「(芳佳ちゃん……あの時からずっと悩んでたもんね……)」

 

ペリーヌ「(まさかあの人型ネウロイが人の姿で宮藤さんの前に来るとは……後、あの時より胸が大きいですわね)」

 

サーニャ「(……でもおかしいな。なんであの子自身をネウロイと感知できなかったんだろ……)」

 

エイラ「(それにしても宮藤と顔変わんないな……おっぱい魔人2号にならないヨナ)」

 

ルッキーニ「(ねえ、シャーリー。あのネウロイって確か……)」

 

シャーリー「(……ああ、分かってる。あの時確かにアイツは……)」

 

それぞれ思う中で静夏はむむむと敵意を出している。

 

敬愛する芳佳に抱き着いてるのもそうだし、見て貰えてるのが羨ましいのだ。

 

ミーナ「……わかりました。ではそのように……」

 

すると話終えたミーナが堅い顔でメンバーを見渡して口を開く。

 

ミーナ「皆、聞いて。彼女、空初音炉さんは『()()()()()()()()』と言う外部協力者として501に参加することになったわ」

 

告げられた事に誰もが驚く中でミーナは続けて言う。

 

ミーナ「新たに扶桑海軍からウィッチが一人…服部さんが501に加わります」

 

静夏「は、はい!」

 

言われた事で音炉を睨んでいた静夏は慌てて直立して敬礼をする。

 

ミーナ「また坂本少佐が正式に部隊を抜けるのが決まっていましたが上層部の判断で少し保留となりました」

 

坂本「何!?」

 

どういう事だ!?と驚く坂本の後ろで芳佳達も戸惑う。

 

ミーナ「詳しいことは基地で空初さんの保護者って人が説明してくれるらしいわ。とりあえず此処に501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズを正式に再結成します!」

 

戸惑うメンバーへとミーナは再結成を宣言する。

 

芳佳「(この子と再会できたのは嬉しいけどウォーロックⅡにベルリン…一体何が起こってるの?)」

 

再び集まり、新たな仲間が加わった501。

 

だが、今の彼女達には喜びではなく、現れた人型ネウロイだった少女、音炉に対する疑問とウォーロックに対する不安が渦巻いていた。




???「次回!『ネウロイウォッチとネウロイの真実』デース!あたしが誰かは次回で分かるデス!」


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第三話~ネウロイウィッチとネウロイの真実~

再び集まった501、彼女達は音炉から衝撃の事実を知らされる。



はあとミーナは溜息を吐く。

 

思い出すは先ほどの話し合いでの統合軍西方軍集団最高司令官ジェラルド・S・パットン大将の荒れ模様。

 

港は無事であったがウォーロックの事もあり、計画されていたオペレーションサウスウィンドの延期に彼は荒れ、統合軍西方軍集団副司令官・中将オスカー・ニースン・ブラッドレーに宥められていた。

 

坂本「凄い荒れ模様だったなパットン将軍」

 

ミーナ「気持ちが分かるけど、流石にあの荒れ模様は……」

 

困った様にぼやくミーナにそうだなと坂本は唸ってからはぁと溜息を吐く。

 

坂本「私の方もオスカー中将から頑張りたまえと改めて501在中を言われたのは嬉しいと言えば嬉しいが、ウォーロックの事となるとな……後は協力者的にもな」

 

ミーナ「よくあのパットン将軍がネウロイだったあの子の協力を許可したわね…」

 

全くだと坂本はミーナのに同意してからそれと……前を見る。

 

そこには金髪の少女と黒髪ツインテールの少女がいて、坂本に気づいて手を振る。

 

坂本「そんなネウロイだった音炉を助け出してあの姿にした昨日出会った女性と私の護衛と言うあの2人には驚かされたよ」

 

ミーナ「まさかウィッチでもないのにウィッチのように戦えるなんて…何者なのかしら彼女達は」

 

全くだなと疲れた顔をするミーナのに坂本は苦笑する。

 

 

 

 

一方、アントウェルペンの港では芳佳は音炉と共にドージェの整備兵2人に自分が使っていたストライカーをヘルウェティア空軍基地に返して貰う所であった。

 

整備兵A「じゃあこれはウチの方からヘルウェティア空軍に返却しておくから」

 

芳佳「はい!色々、ありがとうございました!」

 

音炉「アリガトゴザイマシタ!」

 

頭を下げて礼を述べる2人にいやと整備兵Aはなんとも言えない顔で頭を掻く。

 

整備兵A「礼を言われる整備じゃなかった。応急処置とはいえ半端な仕事をしたつもりはないんだが…」

 

芳佳「わたしもずっと2000回転以下で飛んでいたんですけど……」

 

音炉「整備兵さんタチ、船にアッタパーツで精いっぱい頑張ッテた!」

 

それは分かってるよと芳佳は音炉のに返すと宮藤さんと言う声に顔を向けると静夏が走って来た。

 

芳佳「静夏ちゃん!迎えに来てくれたの?」

 

静夏「勿論です!宮藤さんを一人で行かせるわけにはいきません!」

 

音炉「…アタシも居るンだけド…」

 

ふんす!と気合を入れる静かに芳佳の後ろから顔を出して音炉が主張する。

 

静夏「まだあなたを信用してませんので、宮藤さんが信用していてもネウロイならば警戒しなければなりません」

 

そう言い返す静夏にそっかと芳佳が悲しそうに顔を歪める。

 

静夏「す、すみません宮藤さん!わ、私は宮藤さんを悲しませたくないだけで!」

 

芳佳「う、ううん!大丈夫だから…」

 

慌てて弁解する静夏に芳佳はそう返してから笑顔になる。

 

芳佳「ネウロイが危ないって気持ちはわかるから。それでもわたしは音炉ちゃんを信じてるから」

 

静夏「宮藤さん……」

 

そう言って音炉の頭を撫でる芳佳に静香は眩しいなと思っていると芳佳は言う。

 

芳佳「それじゃあ一緒に行こう!501基地に」

 

静夏「はい!」

 

音炉「ウン!」

 

返事をした後に3人は歩き出す。

 

 

 

 

しばらくして、ネーデルラントのデン・ヘルダーの第501統合戦闘航空団基地に到着する。

 

これまでの基地を初めて見たときのを思い出して懐かしむ芳佳はわーと声を漏らしているとお帰り~と言う声と共に1人の女性が来る。

 

芳佳には見覚えのない白いメッシュが入った紫髪に、右目が藍色、黒色のSのマークが描いた眼帯をした女性に新しい人と静夏に聞こうとする前に音炉が近寄る。

 

音炉「サイエンスー!」

 

女性「おー、音炉。元気そうじゃの」

 

嬉しそうに駆け寄って抱き着く音炉にサイエンスと呼ばれた女性は楽しそうに頭を撫でる。

 

音炉「ストライカー、応急処置したところアトで直シテ」

 

女性「うむ、良いぞ」

 

お願いする音炉に女性は快く頷いた後に芳佳と静夏を見る。

 

芳佳「あ、あなたは…?」

 

女性「わしか?わしはミセスS(サイエンス)。音炉の保護者じゃよ」

 

話しかけた芳佳に女性、ミセスSは自己紹介する。

 

あなたが……と呟いた後に芳佳は頭を下げる。

 

芳佳「音炉ちゃんを助けてくれてありがとうございます!」

 

ミセスS「いやいや、それに余計な事もしてしまったのもあるからのう」

 

お礼に対し、ミセスSは困った顔をする。

 

余計な事と首を傾げる芳佳や静夏にミセスSは困った顔をしてから歩き出す。

 

それに芳佳と静夏は慌てて付いて行く。

 

ミセスS「あ、そうじゃ。これお土産」

 

芳佳「あ、ありがとう…っ!?こ、これは…!」

 

そう言ってミセスSは芳佳に何かを渡し、芳佳はお礼を言いかけて渡されたのに目を見開く。

 

渡された物……それは……

 

芳佳「救世主芳佳ちゃんまんじゅう…!」

 

ミセスS「面白そうじゃったから買ってみたのじゃ」

 

フォフォフォと笑うミセスSに芳佳ははううと少し恥ずかしそうに頬を赤らめる。

 

音炉「ヨシカ、有名!まんじゅうにもナッタ!」

 

静夏「宮藤さんは扶桑の英雄ですからね!……わたしはなりすぎないよう気を付けないと……

 

目を輝かせる音炉の後に静香は言ってる途中で少し恥ずかしそうに呟く。

 

芳佳「と、とりあえず貰ってはおきますね…」

 

ミセスS「うむ。それではミーナちゃんが待っておるから行くとするかのう」

 

こっちじゃよと言って歩くミセスSに芳佳達は続く。

 

芳佳「あのもしかしてサイエンスさんは知っているんですか?ベルリンのことやウォーロックⅡのこと…」

 

ミセスS「うむ。それも含めてこれから話そうと思っているのじゃよ。」

 

確認する芳佳にミセスSは肯定する。

 

静夏「その、一体なんなんですか?ウォーロックってのは」

 

ミセスS「あーそうか。お主は知らないんじゃな」

 

恐る恐る挙手して質問する静夏にミセスSは困った顔をする。

 

芳佳自身も悲しい顔をしているのでそれだけ何かあったのかと静夏は息を飲む。

 

ミセスS「ガリア解放戦線ってのは知っておるよな?」

 

静夏「あ、はい!宮藤さんがガリアを解放した話のですよね?」

 

芳佳「…その時に現れたのがウォーロックなの」

 

確認するミセスSに静香はそう返してから芳佳の言葉にえ?となる。

 

自分が聞いた限りではウォーロックと言うのは聞き覚えないからだ。

 

そんな静夏の反応にミセスSは知らなくても仕方ないと述べてから言う。

 

ミセスS「トレヴァー・マロニーが自身の野心を叶えるためにウィッチ達に頼らない新しい戦力とするために作り出されたネウロイのコアを動力源にする無人人型航空兵器……それがウォーロックじゃ」

 

静夏「ネウロイのコアを動力源に…!?」

 

内容の中にあった聞き逃せないのに静夏は目を見開く。

 

ミセスS「ウォーロックは最初は多数のネウロイを倒していたんじゃが途中で自我に目覚めて暴走、赤城や当時の501基地を攻撃したんじゃよ」

 

静夏「そんな事が……」

 

驚きながら静夏は自分が知らないのも規制されていたからかと納得する。

 

芳佳「そのあと暴走したウォーロックはわたし達が倒したんだけどウォーロックⅡってのは…」

 

ミセスS「…それはみんなと一緒に聞いてもらった方がいいのう」

 

ほれ着いたぞいと言う言葉と共に大きい扉の前でハイデマリーが金髪の少女と黒髪ツインテールの少女と共にいた。

 

音炉「あ、シラベ姉さん!キリカ姉!」

 

金髪少女「おー!音炉、元気そうデスね!」

 

ツインテ少女「そっちの人が宮藤さん?」

 

元気よく近寄る音炉に金髪の少女は嬉しそうに言い、ツインテ少女は芳佳を見て聞く。

 

芳佳「えっとあなた達は…?」

 

金髪少女「アタシは暁切歌!音炉のお姉さんその1デース!」

 

ツインテ少女「私は月読調。音炉のお姉さんその2」

 

元気よく挨拶する切歌とお辞儀して言う調に芳佳も宮藤芳佳ですと挨拶して頭を下げる。

 

それと同時に扉が開いてミーナが現れる。

 

芳佳「ミーナ中佐」

 

ミーナ「みんな、これからサイエンスさんからベルリンで起こっている事、ウォーロックⅡについて説明があるから座って」

 

新隊員の紹介とかは簡略になってしまうのはごめんねと静夏とハイデマリーにそう言ってから中に入る様に促す。

 

7人が中に入ると芳佳を除いた501の全員がおり、座る様に促されてそれぞれ座ろうとし……

 

ガッ!

 

静夏「う、うわっ!?」

 

先に入った静夏がカーペットの歪みに足を取られて、そのまま転倒して転がって行き……

 

ドカッ!!

 

中央の机にぶつかる。

 

芳佳&リーネ&調「あ」

 

静夏「いたたっ……はっ」

 

痛みに呻く中で静夏は自分が今、机を背に仰向けでお尻を突き出して凄い無防備な状態になっているのに気づく。

 

それにシャーリーとルッキーニ、エーリカは大爆笑し、エイラは笑いそうになるのをサーニャに窘められる。

 

ちなみに切歌と調はこの世界の女の人の服装は本当に大胆だなと頬を赤らめる。

 

ペリーヌ「もう!人の失敗を揶揄うのはお止めなさい!!」

 

ミーナ「だ、大丈夫?服部さん」

 

芳佳「け、怪我してない?」

 

それにペリーヌが注意する中で、ミーナと芳佳が声をかける。

 

シャーリー「あはは、悪い悪い、緊張すんなって」

 

ルッキーニ「するなって!」

 

軽く誤ってからそう言う2人にいや無理でしょと調は内心ツッコミを入れる。

 

静夏「死ぬ程死にたい」

 

調の思った通り、静夏は膝を抱えて落ち込んでいる。

 

そんな静夏に芳佳は近寄る。

 

静夏「宮藤さん」

 

芳佳「失敗は誰にもあるよ。元気出して」

 

手を差し出し、立ち上がらせると静夏の両手を握り締めて微笑む。

 

芳佳「改めて宜しくだね」

 

静夏「~~~はい!」

 

ミーナ「宮藤さんにも後輩が出来たわね」

 

坂本「はっはっはっ!確かに、宮藤は501では他の皆の後輩だったからな、しっかり服部の指導を頼むぞ宮藤」

 

嬉しそうに言う静夏にミーナは微笑ましそうに言い、坂本も同意してから芳佳に頼んで、芳佳ははいと答える。

 

芳佳が先輩だと言うのに静香は嬉しそうに芳佳の手を握り締める。

 

それにリーネは羨ましそうに見ていた。

 

ミーナ「それじゃあ改めて話し合うから、それぞれ座ってね」

 

言われて、芳佳はリーネの隣に座り、ハイデマリーはバルクホルンの隣の席に、静夏と音炉は芳佳とリーネの後ろの席、切歌と調はサーニャとエイラの後ろの席に座る。

 

ミーナは中央の机へと向かい、ミセスSは右の机にいる坂本とは反対の左の机の所に立つ。

 

全員を見渡してミーナはまず、ベルリン奪還作戦の延期を伝えて、今いる所が最前線だと言うのを念押しする。

 

ミーナ「続けてこの前現れた新種のネウロックとそのネウロックが言ったウォーロックⅡについて…サイエンスさん。お願いします」

 

ミセスS「うむ。まずこれがウォーロックⅡじゃ」

 

そう言ってミセスSは件の存在、ウォーロックⅡの全身図を張る

 

見た目は前日に戦ったネウロックと変わらない感じであった。

 

芳佳「あれがウォーロックⅡ…… 」

 

リーネ「姿形はこの前見たネウロックとほとんど同じだね」

 

それを見て芳佳とリーネは述べた後にミセスSは解説を始める。

 

ミセスS「性能はお主たちが戦ったウォーロックより格段に上がっており、ネウロイを支配する能力も健在じゃ。お主たちが戦った色違いのネウロイは奴に支配されたネウロイじゃ。奴に支配されると赤い部分が紫色になるのじゃ」

 

芳佳「そうだったんだ…!」

 

だから色が違ったんだと思い出しながら芳佳は呟く。

 

ミセスS「またこのウォーロックⅡにはネウロイを強化改造することが出来る。おそらくこれからはネウロイたちは更なるパワーアップされたのが来ると予想される」

 

バルクホルン「ネウロイを強化改造できるだと!?」

 

告げられた事に誰もが驚く。

 

ミセスS「さらに分身体としてこの前戦った色違いのネウロック……ネウロックⅡを作り出すこともできる」

 

エーリカ「こりゃ凄いねー。……ってか詳しすぎない?」

 

ほへぇと感嘆してから気づいて指摘するエーリカにそう言えばと切歌と調、音炉以外の501の面々はざわめき、それにはミセスSも困った顔をする。

 

ミセスS「さてこのウォーロックⅡが誰が作り、何処から来たかと言うと率直に言おう……()()()()()()

 

バルクホルン「……は?」

 

ミーナ「……さ、サイエンスさん?今なんて……」

 

白状したミセスSのに誰もが呆気に取られ、ミーナが慌てて聞き直す。

 

ミセスS「じゃからこのウォーロックⅡはわしが作ったんじゃよ。んでわしのとこから脱走したのじゃ」

 

501「「「「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」

 

困った様に頭を掻いてもう一度言うミセスSに誰もが驚愕する。

 

バルクホルン「あんたがウォーロックⅡの製作者!?」

 

坂本「バカな!?軍でも何人もの科学者たちが居て出来たウォーロックの強化したのをお前が……しかも軍に全く知られずに作っただと!?」

 

ミセスS「そりゃバレるわけないじゃろ。作ったのこの世界ではないし」

 

身を乗り出すバルクホルンと坂本にミセスSはそう返す。

 

この世界と言う言葉に誰もが戸惑う。

 

ミセスS「並行世界と言うのを知っておるじゃろうか?世界はひとつだけではなく複数存在している。わしらはその別の世界から来たのじゃ」

 

サーニャ「並行世界……だからその……別の世界でウォーロックⅡ作ってもバレなかった?」

 

エイラ「信じられないナ。証拠でもあるのカ?」

 

な~にいっとるんじゃとエイラの問いにミセスSは切歌と調を見る。

 

ミセスS「芳佳ちゃん以外には昨日、見せたろうに、護衛としての実力を見せると言う意味で見せた奴を、あれが証拠じゃ」

 

ルッキーニ「あ、あれ!?」

 

シャーリー「マジか…」

 

驚きの声をあげるルッキーニとシャーリーや驚いてる面々にまだ知らない芳佳はリーネに聞く。

 

芳佳「ねえ、あれってなに?」

 

リーネ「実は昨日、紹介された時に強いのかとバルクホルンさんやエイラさんが疑問に思って、それを証明する為に2人が実際に戦う所を見せてくれたんだ。見た事もない服や武器を使って凄かったよ」

 

音炉「シラベ姉とキリカ姉、強い!」

 

リーネの後に続いた音炉のにそんなに凄いんだと芳佳は切歌と調を見る。

 

坂本「では、なぜウォーロックⅡを作り上げたのだ?」

 

ミセスS「ん~~~…面白そうじゃったから」

 

出てきた言葉に501の面々は止まった。

 

調は凄く同情する目でその反応は分かるとうんうんと頷いている。

 

坂本「…は?」

 

音炉「サイエンス、『面白そう』ダカラって理由があれば色ンな物作ル!ちょっぴりオカシイ科学者!」

 

ミセスS「言ってくれるのう音炉。まああってるんじゃけど」

 

声をやっと漏らした坂本に音炉は笑顔で言った事にミセスSは苦笑いする。

 

バルクホルン「そんな理由でウォーロックⅡを作ったと言うのか…ふざけるな!」

 

ミセスS「わしだってまさかアレでウォーロックⅡが起動するとは思わなかったんじゃよ」

 

机をバン!と叩いて言うバルクホルンにミセスSは困った様に肩を竦める。

 

芳佳「アレって何ですか?」

 

切歌「えっとデスね、Sちゃんはいろんな世界の話がアニメ、映像作品にされてるのを持っているんデス」

 

調「その中のひとつにこれがあったの」

 

そう言って調がある物を取り出す。

 

それは芳佳と坂本が描かれたこの世界にはない物、DVDであった。

 

芳佳「これって…わたしと坂本さん!?」

 

坂本「なるほど。つまり別の世界ではわたし達の出来事がお話の中の一作品となっていたのか…」

 

ミセスS「その映像を切ちゃんたちと見ていてラストのシーンを見終わった途端にウォーロックⅡが起動。わしのとこから色々な物かっさらってこの世界に逃亡したんじゃ」

 

驚く芳佳の後に理解する坂本にミセスSは困った顔で言う。

 

ちなみに、DVDの絵を見た面々の反応は以下の通り

 

ミーナ「(わたし達のことはお話になっていたなんて…ってことはあの時のもあったりするのかしら…)」ムズムズするの

 

リーネ「(お、お風呂のシーンとかは流石にないよね…)」

 

ペリーヌ「(な、なんと言う羨ましい絵……はっ、もしや私と少佐の2人だけの奴も!)」※DVDのパッケージ絵にはないです

 

バルクホルン「(宮藤と一緒だと!?いや、待て、まさか恥ずかしい事も!)」妄想でのフリフリ

 

エーリカ「(おー、なんか面白いの出てそう)

 

エイラ「(ちょっと待テ、映像って事はさ、サーニャのあ、あんな事も見れるのデハ)」少し鼻血タラー

 

サーニャ「(恥ずかしい事映されてないよね……)」

 

シャーリー「(凄いな、もしかしてあいつ等の世界には物凄く速いのもあるのか?)」

 

ルッキーニ「(こんな小さいのにわたし達の記録乗ってるんだすごーい!)」

 

ハイデマリー「(もしかして三人の世界ってわたし達の世界よりずっと未来の世界なんでしょうか?)」

 

静夏「(これがあれば宮藤さんたちの記録がいつでも見れるなんて…凄いです!)」

 

各々に思う中で坂本はコホンと咳払いしてから話を戻す。

 

坂本「それで?どうしてそれで動き出したんだ?」

 

ミセスS「おそらく501に自身が負けたシーン見たからそれにより501への復讐の意思が宿り、起動したと思うんじゃよ」

 

問いのに対し、ミセスSはそう返す。

 

芳佳「復讐…」

 

ミセスS「うむ。自身を倒した当時の501のメンバー……静夏ちゃんとハイデマリーちゃん以外の坂本少佐を含めた11人の抹殺が奴の目的じゃろう」

 

ミーナ「待ってください。坂本少佐はすでに魔法力を失ってウィッチではなくなっています。その状態の彼女に復讐なんてなんの…」

 

呟いた芳佳にそう返したミセスSへミーナが待ったをかけてから言ってる途中でミセスSは首を横に振る。

 

ミセスS「そんなこと奴には全く関係ないじゃろうなぁ。相手がどんな状態であっても奴は必ず狙う。それが復讐ってものじゃ。じゃからわしが上層部と相談して501から彼女を抜けるのを伸ばしたのじゃ。下手に1人で行動しておれば格好の的で他の者と行動していればその者達が危険じゃ」

 

その言葉に誰もが黙る。

 

少しの沈黙の後に坂本が口を開く。

 

坂本「成程、ウォーロックⅡに盗まれたのに現存のウィッチでは対処の厳しいのがあるという事か。そうだとしてもよくウィッチではない私が抜けるのを延期させることができたな?」

 

ミセスS「まあウィッチとしては無理じゃけど()()()()()()()()なら問題なしと言うのが上層部の判断じゃ」

 

坂本「なるほど……ん?ちょっと待て。()()()()()って……」

 

納得しかけて出てきた言葉にミセスSを見る。

 

ミセスS「む?言ってなかったか?美緒ちゃんはわしの監視役兼部下になっておるんじゃよ」

 

坂本「な……なんとぉぉぉぉ!?

 

初耳だったのか坂本は驚愕する。

 

ミセスS「ってことでよろしくな美緒ちゃん」

 

ペリーヌ&ミーナ「なんでそうなんるんですか/の!?」

 

思わず質問する2人にミセスSは紙を取り出して何かを書き込み……

 

ミセスS「じゃあお主らは払えるのか?これを」

 

そう言って見せて、全員が見て……ルッキーニ以外が噴いた。

 

書き込まれていたのは、とんでもない額の金額であった。

 

バルクホルン「な、なんだその金額は……!?」

 

ミセスS「美緒ちゃんが大和でライン川遡上した時にガリアの漁協に請求され、軍が代わりに支払った借金じゃよ」

 

誰もが理由にあーと声を漏らして納得した。

 

坂本自身も最もな理由にはっはっはっと弱弱しく笑うしかなかった。

 

ミセスS「その借金をわしが代わりに払ったんじゃよ。んで現在その借金はわしから美緒ちゃんへの借金になっとるわけじゃ」

 

お判りいただけたかなと言うミセスSに質問した2人は小さくなりながらは、はいと返した。

 

坂本「元ウィッチも借金には勝てぬというわけか……」

 

ミセスS「そう言う事じゃ。ちなみにお金の代わりにこの世界では希少となっている金属渡したんじゃよ」

 

遠い目をしながら呟く坂本にミセスSはそう返す。

 

そんな希少な物をポンと出せるものなのかとバルクホルンは思った。

 

エーリカ「んじゃあ少佐は基本的に何やるの?ミーナの手伝いとかするのかと思ったけど」

 

ミセスS「あ、それは別に変らんよ。まあわしがやりすぎないよう見張っといてくれって上層部からの命令じゃな」

 

腕を頭の上で組んで言うエーリカにミセスSはそう返す。

 

エイラ「やり過ぎる所とかあるノカ」

 

切歌「あるデスね」

 

調「とあることでは怪物と合体して人類の敵になったりしたし」

 

聞いたエイラはやり過ぎ通り越してネ?と冷や汗を流す。

 

ミセスS「まあこの世界では多少自制するから安心しておくれ。厄介な物も取られちゃったしのう」

 

ミーナ「厄介なもの?」

 

告げられた事にそれは一体と聞くミーナにミセスSは言う。

 

ミセスS「お主たちも知っとる筈じゃ。ウルスラちゃんが研究していたストライカーの…」

 

エーリカ「あっ、ストライカーの魔法力フィールドのこと!?」※ちぃサーニャ2巻参照

 

言われた事にエーリカは驚いてかつてあったとある出来事でサーニャが小さくなった際の事を思い出す。

 

ちなみにエイラは思い出してデレデレしていた。

 

ミセスS「そうじゃ。なかなか便利そうじゃったからわしが改良したのを奴が持っていってしまったんじゃ。この前ので氷山の上に出てきた魔法陣もそれじゃよ」

 

坂本「ちょっと待て!アレが敵の手に渡っているのならヤバいことになるぞ!?」

 

腕を組んで言うミセスSのに指摘した坂本に芳佳達はあっとなる。

 

あんな自由に移動できる様にされたのがあるのならばどんな所からでも攻撃が出来ると言う事だ。

 

ミセスS「じゃろうな。だが出口に必要なポインターを置かねば、意味がない。調べてみた所あの氷山と現れた付近の場所にポインターとなる機械が置いてあった」

 

肯定してから報告するミセスSにだから向かう途中で現れたのか……とミーナは前日での自分達を妨害したネウロイ達の出現に納得する。

 

シャーリー「って事はそれを置いてない場所には行けないって事か」

 

バルクホルン「それだけがこちらの助けになっていると思いたいな」

 

頬杖を付いて呟くシャーリーにバルクホルンは机に肘を付いて腕を組んで呟く。

 

ミセスS「だが逆に置かれたら早めにポインターを破壊しないといけぬがな」

 

エーリカ「うわぁ、それめんどくさい」

 

うへぇとぼやくエーリカとは逆にやる気満々なバルクホルンは手の骨を鳴らす。

 

バルクホルン「だったらそのポインターとやらを破壊して奴の思い通りだと思ってる鼻を折ってやろう」

 

切歌「ただ厄介なのはそれだけじゃなく色々なデータもなんデスよ…」

 

調「…そのデータを元にネウロイ強化されるかもしれない」

 

困った様に言う2人のにそれだけヤバいデータがあるのかと坂本は想像して頬に冷たい汗が流れる。

 

その中で芳佳が挙手する。

 

芳佳「あの音炉ちゃんのこと聞いてもいいですか?」

 

ミセスS「お、そうじゃな。次は音炉についての説明をするか」

 

そう言ってミセスSは音炉を呼んで自分の隣に来てから説明を開始する。

 

ミセスS「音炉はネウロイウィッチと言う存在じゃ。ネウロイウィッチとはネウロイのコアの欠片とわしが超技術で作り出したウィッチの肉体を組み合わせてできた見た目はウィッチ、中身はネウロイな存在なのじゃ」

 

坂本「見た目はウィッチで中身はネウロイな存在だと…!?」

 

さようと驚くメンバーへ向けて頷いてからミセスSは説明を続ける。

 

ミセスS「ネウロイなため、身体を自由に様々な物に変化できる。また多少損傷してもネウロイじゃから再生はするが大部分を損傷してしまうと人間の様に死んでしまうのじゃ。それ以外は人間と同じ様に食事も出来たり、水に触れても大丈夫じゃし、ネウロイとしての反応も出ない」

 

だから探知出来なかったんだとミセスSの最後の説明にハイデマリーとサーニャは納得する。

 

ミセスS「また金属を食べてパワーアップすることもできる。あとは人間には有害なものも多少じゃったら平気じゃ」

 

坂本「かなり常識はずれな存在なのだな…」

 

ルッキーニ「ねえ、一つ質問いいー?」

 

感心する坂本の後にルッキーニが手を上げてそう言う。

 

ミセスS「む?なんじゃ?」

 

ルッキーニ「音炉を作るのにコアの欠片を使ったって言ったけど……その……」

 

芳佳「?どうしたのルッキーニちゃん…?」

 

言い淀んで芳佳を見るルッキーニに見られた本人は首を傾げる中でシャーリーがルッキーニの頭をポンと軽く撫でた後に代わりに口を開く。

 

シャーリー「あのウォーロックの強力なビームに飲み込まれて良く残っていたな」

 

芳佳「……え?」

 

ビームについては芳佳も巣の中で避けたのを覚えているがまさか飲み込まれていたと言うのは初めて聞いたので芳佳は驚く。

 

音炉「ヨシカ……大丈夫?」

 

その光景を想像してか顔を青ざめた芳佳に音炉が声をかけ、芳佳はう、うんと答える。

 

ミセスS「ふむ、普通じゃったら確かに残らなかったじゃろうなぁ…。芳佳ちゃん、お主彼女と初めて出会った時の事覚えておるか?」

 

芳佳「……あ、は、はい!」

 

顎を摩ってから確認するミセスSに芳佳は慌てて返事をする。

 

ミセスS「あの時、彼女がコアを出した時、()()()()()()()?」

 

そう言われて芳佳は思い出す。

 

コアを見せられた際、自分が何をしたか……

 

芳佳「えっと……()()()()()()()()()()

 

ミセスS「それじゃ。コアの欠片が残った理由は」

 

え?と誰もが驚く中でミセスSは自分の言った事に対して言う。

 

ミセスS「わしが音炉のコアの欠片を見つけた時、欠片は青いオーラ…魔法力に包まれていた」

 

坂本「魔法力だと…まさか!?」

 

その言葉に坂本はハッとなり、ミセスSは肯定する様に頷く。

 

ミセスS「うむ。おそらく芳佳ちゃんはコアに触った時、無意識にじゃがコアに魔法力をほんの少しだけじゃが送っていたんじゃ。その魔法力がほんの少しだけコアを守り、奇跡的に欠片を残すことができたんじゃろうな」

 

あの時、と芳佳は自分の手を見る。

 

芳佳「(あの子が出したコアを自分でもわからないけどでも……コアに触らなきゃいけないって思ってそれで…)」

 

音炉「ヨシカのおかげデ助かッタ!アリガトウ、ヨシカ!」

 

そう言ってギューと後ろから抱きしめる音炉にうんと芳佳は笑う。

 

バルクホルン&リーネ&静夏「…………」

 

エーリカ「(うわ、ミヤフジを抱き締めてるのに凄い羨ましいと言う顔で見てる)」

 

シャーリー「(これは宮藤を巡る関係が荒れそうだな;)」

 

ミセスS「(おそらくそれがこの世界の違ったところなんじゃろうなぁ。…もしかすると感じ取ったのかもしれんな。あの子に危険が迫っているのを……故に生き残り、こうしてワシらと共に彼女の前にいる)」

 

そんな音炉に対して嫉妬の目線を向ける3人にエーリカは呆れ、シャーリーは冷や汗を流す中でミセスSがそう締め括る。

 

ミーナ「(コホン)所で、ネウロイたちがこちらの弱点つくような戦法を取って来たのはそちらが持って行かれた奴に我々の情報もあったからかしら?」

 

ミセスS「そうなんじゃよ。奴は頭が良いからそれを元に対抗策を考えておるんじゃろ」

 

咳払いしてから確認するミーナにミセスSは困ったもんじゃわいとぼやく。

 

ホントに厄介だわとミーナは顔を歪める。

 

ミセスS「今はおそらくベルリンでその準備をしているんじゃろうな」

 

坂本「そう言う意味では、お互いに準備期間と言う事か……」

 

そう言ったミセスSのに坂本は腕を組んで呟く。

 

ミーナ「その間にあちらが仕掛けてこないとも限らないし気をつけていきましょう」

 

坂本「そうだな。とりあえず、気を引き締めてくれ。それで何か質問はないだろうか?」

 

確認する坂本にバルクホルンが挙手する。

 

バルクホルン「丁度良いから音炉に聞きたい事がある」

 

アタシ?と首を傾げる音炉にバルクホルンは頷く。

 

バルクホルン「単刀直入に聞く。お前たちネウロイは一体なんなんだ?なんで人間を攻撃する!国を奪う!」

 

音炉「スル…理由…?」

 

ミセスS「あーそれ聞いちゃうか…」

 

誰もが聞きたかった事を問うバルクホルンにミセスSは困った顔をし、切歌と調も同じ顔をする。

 

どうしてそんな顔をするのかと芳佳は思っていると……

 

音炉「()()()()()()()()()()……カナ?」

 

バルクホルン「……は?」

 

出てきた言葉に誰もが呆気に取られる。

 

誰よりも我に返った坂本は音炉に近づいて慎重に音炉の肩に手を置き、彼女と目線を合わせながら真剣な顔で彼女の言った言葉の意味について問う。

 

坂本「空初。どういうことだ?人間達がしていたからと言うのは……」

 

音炉「ネウロイ、怪異時代の頃はワカラナイけど昔から人間達を見テいて、やってることトカ真似したりスル。ソレで人間達が戦争シテイルのを見たネウロイ。それを真似シテ人間達に戦争始めタ。そしタラ、奪った場所で金属タクサン食べレルって他のネウロイ達も知って、次々と戦争に参加シテいったノ」

 

その言葉に誰もが言葉を失くす。

 

それが真実ならば、ネウロイの侵略は元を辿れば、人同士の戦争がネウロイ達を動かしたとも言えるからだ。

 

バルクホルン「馬鹿な……そんなこと信じられるはずが……」

 

エーリカ「でも真似するってのは本当かもしれないよトゥルーデ。サーニャの歌を真似たネウロイだって居たんだし」

 

質問したバルクホルンが茫然とする中でエーリカが指摘する。

 

言われてみればそうダナとエイラも思い出してそう呟く。

 

坂本「真似をしてか……人の業と言えば簡単だが……」

 

ミーナ「ちょっと受け入れがたい真実ね……」

 

ミセスS「じゃろうなあ……。ワシらも聞いた時は言葉がでんかったわい」

 

腕を組んで呟く坂本にミーナも困った顔をする中でミセスSはそう返す。

 

音炉「……ヨシカ。アタシなんか困ルこと言った?」

 

芳佳「ん~……;」

 

首を傾げる音炉の言葉に芳佳もどう言えば良いか困って言葉が詰まる。

 

それを見かねてミーナは手をパンパンさせる。

 

ミーナ「色々と思う所があるかもしれないけど、とにかく、今回はここまでにしましょう。ハイデマリーさんに服部さん、そして空初さんも改めて宜しくね」

 

そう言って話を終えるミーナのに各々に出て行く。

 

残ったのはミーナと坂本にミセスSと芳佳と音炉、リーネに静夏、切歌と調であった。

 

坂本「リーネ。丁度良いから宮藤や服部、空初に基地を案内して貰えないか?それに暁と月読も付き合って貰っても良いだろうか?」

 

切歌「了解デース」

 

調「はい、いいですよ」

 

リーネ「あ、はい!行こうか芳佳ちゃん」

 

う、うんと言う芳佳と共に6人は出て行く。

 

それを見送ってから坂本はふうと息を吐いて椅子にもたれる様に座り、天井を見上げる。

 

坂本「ままならないものだな。ネウロイが人類へ攻撃を仕掛けた大本になるだろう理由を聞くと」

 

ミーナ「そうね……。色々と複雑な気持ちになるわ」

 

ミセスS「やった事で自分に損として返って来る因果応報はそいつ等にして欲しいもんじゃな」

 

呟かれたミセスSの言葉に2人はなんとも言えなかった。




エーリカ「次回は『基地の探索』だよ。次回も宜しくね~」


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第四話~基地の探索~

新たな基地を見回る芳佳達、その後の訓練で宮藤に異常が起こる。


一方、芳佳達は気分転換で音炉に気になっていたあることを聞いていた。

 

芳佳「ねえ音炉ちゃん。初めて会った時小さかったけど、音炉ちゃんっていつ頃生まれたの?」

 

音炉「えっト……ヨシカと出会う一月前!」

 

指で数えて言う音炉に生後一ヶ月!?と芳佳達は驚く。

 

切歌「アタシたちも聞いた時驚いたデスよ」

 

調「でもネウロイだから人の常識なんて関係ないんだと思う」

 

音炉「あ、デモ巣の中で自我を持っテから数えたカラ生まれたのもう少し前……カナ?」

 

そう答えた音炉にへぇと芳佳は感嘆する。

 

静夏「ホント謎な存在ですよね。まさか一ヶ月だったなんて……」

 

リーネ「そうだね。複雑だよね」

 

はいとリーネの言葉に静夏は同意する。

 

ちなみにリーネが言った複雑と言うのはネウロイが人類に攻撃を仕掛けた真実の一旦を聞かされた事と音炉の誕生した時間である。

 

自分達が翻弄された相手がまさかの芳佳がウィッチなったのとそれなりに変わらない月日であったのでなんとも言えないのだ。

 

そんなリーネのに同意かミセスSと共にアニメを見ていた切歌と調がうんうんと頷く。

 

音炉「最初のコロは巣の周り飛ンデ、たまに人間に見つからナイよう飛んでタリしてた!ダカラ、ヨシカが初めて出会った人間でウィッチ!」

 

芳佳「そうだったんだ。……じゃあ人間を攻撃したりは……」

 

音炉「自分カラはシテナイ!サレタラ反撃するけど」

 

あの時は酷かったとぷんすか怒る音炉にそう言えば……と切歌と調は思い出す。

 

確かに攻撃されるまでは芳佳と触れ合う感じだったので彼女の言葉は事実であった。

 

音炉「ネウロイ、全員攻撃的なやつジャナイ!他の事真似シタリするネウロイもイル!」

 

切歌「音炉が言うにはヴェネチィアに居た人型ネウロイは観光を真似しようとしてたって他のネウロイから聞いたみたいデス」

 

観光と言うのに静夏は唸る。

 

坂本経由で知ったのだがその人型ネウロイと遭遇したのが坂本の同期の先輩ウィッチだったのでどういう目的だったのかを知らなかったがまさかの観光だったと聞いたら唸りたくなるもんである。

 

芳佳「そ、そうだったんだ……;」

 

音炉「ウン。だから消えちゃったのが悲シイ……」

 

出てきた言葉に芳佳はそうなんだと同じ様に悲しむ。

 

見ていた切歌と調もあの光景に音炉から聞いたのから本当に悲しい出来事だと理解できるからだ。

 

リーネ「あ、そう言えばあなたの使い魔ってどんな子なの?」

 

そんな雰囲気を見かねてリーネがそう質問する。

 

芳佳「猫耳あったから猫科の使い魔なの?」

 

音炉「ウィズ!ポンペイって種類の黒猫!」

 

ほらと言うのと同時に音炉の肩に黒猫がポンと現れる。

 

芳佳「あ、可愛い!」

 

音炉「ウィズ。ヨシカだよ」

 

ふんふんと黒猫もといウィズは顔を近づけた芳佳に鼻を近づけて匂いを嗅いだ後に甘える様に鳴いてから芳佳の頬を舐めてから芳佳の腕を伝って頭に乗る。

 

芳佳「の、乗っちゃった」

 

音炉「ウィズ、ヨシカ気に入ったッテ!」

 

自分の頭の上に乗ったのに目を丸くする芳佳に音炉は笑う。

 

ゴロゴロと甘えるウィズに芳佳はふふと笑う。

 

リーネ「いいなぁ…。芳佳ちゃん。わたしも…」

 

切歌「あ、やめた方が…」

 

羨ましそうに見ていたリーネがウィズに向けて手を伸ばそうとして切歌が止めようとする。

 

ウィズ「フーーーーーー!!!!」

 

すると、先程の甘えてた様子から一転、毛を逆立ててリーネを威嚇する。

 

リーネ「うわっ!?」

 

調「この子は甘える人を選ぶの」

 

切歌「生みの親でもあるSちゃんにも懐かないデス」

 

驚くリーネに調と切歌がそう言う。

 

静夏「生みの親にも懐かないなんて……ん?()()()()?」

 

それ程とは思った所で出てきた言葉に引っかかって3人は切歌を見る。

 

切歌「そうデスよ。ウィズはSちゃん作の人工使い魔デス!」

 

「「「えぇえええ!?」」」

 

胸を張って言われた事に芳佳と静夏、リーネは驚く。

 

ウィズ「?」

 

当の本猫は首を傾げてから芳佳にゴロゴロと甘え直す。

 

静夏「使い魔まで作るなんて……何者なんですかあの人!?」

 

何者と言われて切歌と調は顔を見合わせ……

 

切歌&調「面白いことが大好きな良い意味でのマッドサイエンティスト」

 

出てきた言葉に3人はなんとも言えなかった。

 

 

 

 

次に来たのは射撃練習場であった。

 

バルクホルン「お、宮藤たちか」

 

エーリカ「やっほー」

 

そこには機関砲を両手に持ったバルクホルンと見ているエーリカがいた。

 

芳佳「あ、バルクホルンさん!ハルトマンさん!」

 

バルクホルン「基地をリーネに案内してもらっているのか」

 

はい!と芳佳と静夏は元気よく答える。

 

エーリカは芳佳の頭に乗っかってるウィズに気づく。

 

エーリカ「ミヤフジー、その頭に乗ってる猫なに?」

 

音炉「アタシの使い魔!ウィズ!」

 

むふんと胸を張る音炉にほーと思いながらエーリカは手を伸ばす。

 

ウィズ「フーーーーーー!!!!」

 

エーリカ「うわっ!?」

 

芳佳「あ、ハルトマンさん!ウィズちゃんはどうもなかなか懐かない性格みたいで……」

 

威嚇するウィズに驚くエーリカにそう言ってからダメだよ威嚇しちゃあと芳佳が注意するとウィズはゴロゴロと甘える。

 

バルクホルン「宮藤には懐いているんだな……」

 

切歌「パートナーの音炉とそっくりデス」

 

確かにと切歌のにエーリカは同意する。

 

バルクホルンは気を取り直して静夏を見る。

 

バルクホルン「服部だな。折角だ。これから射撃訓練をするから見て行け」

 

静夏「は、はい!了解ですバルクホルン少佐!」

 

敬礼する静夏にもう少し力を抜きなよと笑うエーリカにお前は抜き過ぎだとバルクホルンは叱ってから位置に付く。

 

バルクホルン「行くぞッ!」

 

ダダダダダダッ!

 

狙いを定め、トリガーを引いて5枚の的を撃ち抜いて行く。

 

音炉「オー!」

 

静夏「流石ですねバルクホルン少佐!」

 

感嘆の声をあげる2人にバルクホルンはうむと満足そうに機関砲を見る。

 

エーリカ「調子いいじゃんトゥルーデ」

 

芳佳「凄いですバルクホルンさん!」

 

そうだろそうだろ!!と芳佳のに凄く嬉しそうにバルクホルンは胸を張る。

 

調「(なんだか宮藤さんのだけすごく嬉しそうな感じだね)」

 

切歌「(まるで頼られて嬉しそうなクリス先輩デース)」

 

むふー!と元気になってるバルクホルンに調と切歌はそう思った。

 

リーネ「それじゃあ次に行こうか」

 

芳佳「そうだね。それじゃあバルクホルンさん。ハルトマンさん、失礼します」

 

静夏「失礼します!」

 

頭を下げて射撃練習場を後にする芳佳達にエーリカは手を振り、バルクホルンも明日はビシバシ鍛えてやるからなと声をかける。

 

 

 

 

リーネ「次はお風呂場だね」

 

芳佳「お風呂!そういえばさっき扶桑式って言ってたね!」

 

次の案内場所について言うリーネに芳佳は歩いてる最中に聞いた事を思い出して顔を輝かせる。

 

切歌「お風呂好きなんデスか?」

 

調「切ちゃん、宮藤さんの思い出して」

 

首を傾げた切歌は調のに芳佳のある事を思い出してあーと声を漏らす。

 

音炉「……ヨシカ、もしかしておっぱい見レルから風呂好き?」

 

芳佳「な、何を言っているの音炉ちゃん!?」

 

ち、違うよと否定する芳佳にリーネは困った様に笑う。

 

音炉「? 違うノ?」

 

芳佳「そ、それは……」

 

そこで口籠ってチラチラッとリーネの胸元を見ている芳佳に安定してると切歌と調は思った。

 

音炉「ヨシカになら見らレテも良いヨ」

 

芳佳「音炉ちゃん……!」

 

頬を赤らめて言う音炉に芳佳は顔をパぁとさせる。

 

リーネ「(ぷく~)」

 

切歌「んー……音炉らしい答えではあるデスけど……」

 

調「字面だけだとホント危ない;」

 

それにリーネは少し不満げに頬を膨らませ、切歌と調は心配する。

 

静夏も静夏で自分の胸をサスサスしている。

 

とりあえず、風呂を見ようと中に入る。

 

シャーリー「はぁ~、いい湯だなぁ~」

 

ルッキーニ「いい湯だねぇ~」

 

そこではシャーリーとルッキーニがまったりしていた。

 

芳佳「あ、シャーリーさん。ルッキーニちゃん」

 

リーネ「お風呂入って居たんですね二人とも」

 

おーミヤフジとシャーリーは手を上げて振る。

 

シャーリー「いい湯だぞ~?一緒に入るか?」

 

音炉「お~良いのカ?」

 

おうさとシャーリーが返した事に音炉は御湯加減を確かめようと手を入れる。

 

芳佳「あ、音炉ちゃんお湯触って大丈夫?」

 

切歌「大丈夫デス!さっきSちゃんも言ってましたが音炉は耐水性も付いてるのでお風呂もへいきへっちゃらデース!」

 

確認する芳佳に切歌はそう言い、そう言えばそうだったと芳佳も思い出す。

 

音炉「ア、良い温度。入浴剤は入ってナイ?」

 

シャーリー「入浴剤?」

 

首を傾げるシャーリーに音炉はうんと頷く。

 

音炉「お風呂、入る時にサイエンス作ったのイツモ入れてル!」

 

ルッキーニ「入浴剤ってなに?」

 

芳佳「あ、前にお母さんから聞いたことあるよ。確かお風呂に入れる粉で、物によって色んな香りを楽しめるって奴だね」

 

首を傾げるルッキーニに芳佳が答える。

 

音炉「色んなのアル!お肌スベスベになるのや疲れ取れる効果アル!後は泡風呂とかも出来る!」

 

シャーリー「へー、そうなのか。それは面白そうだな」

 

ほへーと声を漏らしたシャーリーは肩こりにも効くんだろうかと思った。

 

何分、最近胸が成長してるのか、増した重みで肩がこったりするのだ。

 

シャーリー「ミーナ中佐に許可貰って今度使ってみるか」

 

切歌「使うとお肌にも良いから楽しみにしてて欲しいデス」

 

おー待ってるぞとシャーリーはそう言う。

 

芳佳「音炉ちゃん。どうする?入るの?」

 

音炉「ん~……基地見回ったら入ル!」

 

分かったと返してからシャーリーとルッキーニにそれではと挨拶して出て行く。

 

見送ってからシャーリーはふうと息を吐く。

 

シャーリー「ネウロイと分かっちゃいるけど、年相応……より幼い感じだなホント」

 

ルッキーニ「……ねえシャーリー。あの子と友達になってもいいかな?」

 

音炉を思い浮かべて呟いたシャーリーにルッキーニが聞く。

 

なんでわざわざと思ったシャーリーはルッキーニが自分の事を気にしてるのに気づいてふっと笑って頭を撫でる。

 

シャーリー「いいんじゃないか?ルッキーニ自身が友達になりたいって思ってるならさ」

 

ルッキーニ「うん!」

 

良い子だと撫でるシャーリーにルッキーニも笑う。

 

 

 

 

お風呂を後にした芳佳達は庭園に来ていた。

 

リーネ「5人とも歩き回って疲れたでしょ?」

 

芳佳「うわ~、美味しそ~!」

 

中央にあるテーブルを囲む椅子にそれぞれ座った後にどこかへ向かっていたリーネがお菓子を持って戻って来てテーブルの上に置く。

 

切歌「おー!本場のスコーンデス!」

 

調「おおー」

 

それに切歌と調が目を輝かせる中で音炉が頂きます!とスコーンを早速手に取って食べる。

 

音炉「オー!美味しい!」

 

静夏「美味しいです」

 

芳佳「やひょりひょねひょんのひょとひゃこーひゃはひゃいひょうひゃね」訳:やっぱりリーネちゃんのお茶とスコーンは最高だね

 

目を輝かせる音炉の後に御茶を飲んだ静夏も賞賛し、芳佳は口に詰め込みながら賞賛する。

 

リーネ「そんなに褒めてもおかわりぐらいしか出ないよ」

 

そう言ってクリームとジャムを乗せたクラッカーを差し出し、芳佳はあーんと食べる。

 

音炉「アー!ヨシカに食べさせるの良いナ~!」

 

芳佳「ん~美味しい♪」

 

嬉しそうに顔を緩める芳佳にくすっと笑うリーネに音炉は羨ましそうに言いながらウィズにスコーンを食べさせる。

 

ウィズ「(もぐもぐ)」

 

リーネ「ウィズちゃん、どう美味しい?」

 

静夏「そう言えば猫ってスコーン食べてもいいんでしょうか?」

 

人工使い魔と聞いたけどそこらへんどうなのだろうかと静夏は思っているとウィズはぷいと顔を反らす。

 

合わなかったのかなと思ったが尻尾はゆらゆらとご機嫌な感じに揺れているから美味かったのは美味かったって事かなとリーネは音炉を見る。

 

音炉「ウィズ。素直に美味しカッタって言えばイイのに」

 

ウィズ「……ニャア」

 

少し呆れた様な音炉のにウィズは鳴いた後に芳佳の頭に乗ると丸くなって欠伸をする。

 

静夏「また宮藤さんの頭の上に…」

 

芳佳「気にいっちゃったのかな?」

 

zzzと寝てるウィズにホントにお気に入りになってるなと誰もが思った。

 

リーネ「所で服部さん。何か他に基地の事で分からない事はある?」

 

静夏「あ、いえ。大丈夫です。ただ、宮藤さんと同室で……空初さんがその上の屋根裏部屋ってのは驚きました」

 

その後に確認するリーネに静香は慌てて返事をしてからそう述べる。

 

芳佳「音炉ちゃんの部屋がわたし達の部屋から通じる屋根裏部屋なんてビックリしたよ」

 

調「三人だと狭いからSちゃんと協力して作ったの」

 

それには同意と言う芳佳に調がそう言い、切歌もVサインする。

 

芳佳「でもあの部屋、初めて入ったのに昔から使ってた感じがしたの」

 

リーネ「良かったぁ。芳佳ちゃんの好みに合わせて内装を変えておいたの」

 

嬉しそうに言うリーネに通りでと芳佳も楽し気に笑う。

 

そんな楽し気に話す2人に静香は少し寂しそうに顔を反らす。

 

切歌「(なんだか寂しそうデスね静夏さん)」

 

調「(そうだね。芳佳さんを良く知ってるリーネさんは彼女の為に出来てるけど、自分が出来ない事で悩んでいるのかな?)」

 

それに小声で話しかける切歌に調はそう返す。

 

音炉「……?」

 

そんな服部の様子に音炉はスコーンをハムハムしながら首を傾げる。

 

 

 

 

お茶会を終えて、一通り回った6人はストライカーの格納庫へと来ており、並べられた13機のストライカーの中でミセスSが右から4番目のストライカーを弄っていた。

 

見ていたリーネがミセスSが弄っているのは芳佳のストライカーだと伝える。

 

ミセスS「お、芳佳ちゃん達ではないか」

 

芳佳「あ、サイエンスさん」

 

そんな6人に気づいて顔を向けるミセスSに芳佳達は近寄る。

 

静夏「宮藤さんの紫電改に何してるんですか?」

 

ミセスS「一応メンテナンスと改良じゃ。敵も強化されてるしこっちも強化しとかないとのう」

 

芳佳「でもわたし達だけなんて……」

 

良いのだろうかと戸惑っている芳佳にそうもいってられんからなとミセスSは弄りながらそうぼやく。

 

ミセスS「いいか。今、奴が一番狙っているのはお主たちじゃ。そのお主たちがやられたら奴は次に世界を狙うじゃろう。奴にとってお主等が一番の脅威であり、排除すべき相手になっとる。終われば次はお主たちの知人を狙うじゃろう」

 

リーネ「そんな…!」

 

そう言ったミセスSのにリーネは口を抑える。

 

ミセスS「ちなみに今はお主の不安定な状態に合わせて変わる様に調整してる所じゃよ」

 

私の?と不安定と言われて自分を指さす芳佳に当たり前じゃろとミセスSは呆れた顔をする。

 

ミセスS「これから模擬戦するんじゃろ?それでどういう意味なのか分かると思うぞ」

 

じゃろ?ペリーヌちゃんやとミセスSが芳佳達の後ろに向けて言い、芳佳達が振り返るとバツの悪い顔をしたペリーヌが出て来る。

 

ペリーヌ「分かってたのならすぐに声をかければ良いものを……」

 

ミセスS「いいじゃろ?わしは面白い方が好きなのじゃ」

 

ほっほっほっと笑うミセスSにはぁと溜息を付いてからペリーヌは静夏を見る。

 

ペリーヌ「服部さん。新人と言えぞ、本番では待ったはなしですから、本気で行く様にしなさい」

 

静夏「は、はい!」

 

ペリーヌは直立して返事をする静夏に結構と返してから芳佳とリーネも見る。

 

ペリーヌ「じゃあこれから五人で飛行訓練をします。宮藤さんとリーネさんに空初さんも宜しいですわね?」

 

芳佳「は、はい!」

 

リーネ「わかった。準備するね」

 

音炉「お~芳佳との同時飛行~!」

 

わっほーいと喜ぶ音炉に訓練ですからねと注意してからペリーヌは自分のストライカーの所に向かう。

 

調「私たちはここで待ってるね」

 

切歌「いってらっしゃいデース!」

 

行ってきまーすと言う声と共に5人は飛び出す。

 

それを見送りながらミセスSは腕を組む。

 

ミセスS「これで彼女の抱えている問題がはっきりとわかればいいんじゃが……」

 

 

 

 

海に数本の棒が均等に並んで刺さった所をペリーヌを先頭に飛んでいた。

 

リーネ、芳佳、音炉と続いて遅れて静夏が続く。

 

ペリーヌ「どうしたの服部さん。二秒も遅れてますわ」

 

静夏「すみません!クロステルマン中尉!」

 

指摘するペリーヌに静香は謝罪する。

 

ペリーヌ「坂本少佐の推薦で来たんでしょ。あの方の顔に泥を塗る気ですの?」

 

静夏「す……(ガキィン!)うわぁ!?」

 

発破をかけるペリーヌに静香は謝罪しかけた途中で棒にぶつかりかけてシールドで防ぐが体勢を崩してしまう。

 

落ちそうな所を芳佳が手を取って助ける。

 

芳佳「大丈夫?静夏ちゃん」

 

は、はいと静夏は頷いてから手を放す。

 

芳佳「気にしない!それより落ち着いて、わたしの後に着いてきて。ね?」

 

静夏「は、はい!」

 

教えに静夏は答えて芳佳の後ろを飛ぶ。

 

それにより先ほどよりも安定して付いて行く。

 

ペリーヌ「へぇ……」

 

リーネ「服部さん。その調子!」

 

それにペリーヌは感嘆し、リーネが応援する。

 

静夏「はい!」

 

音炉「ヨシカー。アタシはどう?」

 

その傍に音炉が来て飛び方について問う。

 

芳佳「うん。上手だよ音炉ちゃん」

 

音炉「ワーイ!」

 

褒められたのに音炉は楽しそうに舞う様に飛んで行く。

 

ペリーヌ「こら空初さん!チームとして組むのですからちゃんと並んで飛びなさい!!」

 

それにペリーヌは注意して音炉はブーブーとぶーたれる。

 

ペリーヌ「(仕方ありませんわね)ちゃんと訓練しないと宮藤さんの手製の料理の品が少なくなりますわよ」

 

音炉「エー!ソレはヤダー!」

 

告げられた事に音炉はすぐさま静夏の後ろに並ぶ

 

ペリーヌ「それにしてもあのサイエンスって方の調整凄いですわね。ストライカーがいつものより調子良いですわ」

 

リーネ「うん。前よりも凄く小回りが出来るしね」

 

そんな3人を見ながらペリーヌは感嘆しながらストライカーのについて言い、リーネも同意する。

 

しばらくして訓練はここまでと言い、ペリーヌは次の内容を言う。

 

ペリーヌ「続けて二機編隊で模擬戦ですわ。最初は宮藤さんと服部さんのペア。その次に宮藤さんと空初さんのペアの順番でわたくしとリーネさんのペアと戦いましょう」

 

服部「はい!」

 

音炉「ハットリ、先良いナー」

 

芳佳「少し待っててね音炉ちゃん」

 

羨ましそうに言う音炉に芳佳は頭を撫でて言う

 

ペリーヌ「では、模擬戦開始!」

 

号令と共に音炉を置いて四人は上空へ飛んでいく。

 

先輩からのご挨拶と放たれるペリーヌの銃撃を静夏は躱す。

 

そんな静夏の後ろを狙うリーネに静夏は気づいて振り向いて銃口向けるが振り向いた所を今度はペリーヌに後ろを取られる

 

ペリーヌ「後ろを取られ過ぎですわ!」

 

静夏「あぁっ!?」

 

放たれた銃撃に静夏は慌ててシールドで防ぐ

 

そんな静夏へとリーネの追撃の狙撃が放たれ、それもシールドで防ぎ、距離を取ろうと移動しようとするがその前にペリーヌに先回りされる

 

静夏「!」

 

ペリーヌ「追い立てられましたわね」

 

そう言ってペリーヌがトリガーを引いた瞬間、静夏は展開された巨大シールドに守られる。

 

どこからと静夏は上を見上げると少し離れた場所に芳佳が浮遊していた。

 

静夏「っ!宮藤さん!」

 

ペリーヌ「シールドをあの距離から!?」

 

距離があったのにあんな巨大なシールドを張ったのに静夏もそうだが、ペリーヌとリーネも驚く。

 

芳佳「今だよ!」

 

静夏「はいッ!てぇぇぇぇっ!!」

 

芳佳の言葉と共にシールドを回り込んでペリーヌへ向けて銃撃。

 

度肝を抜かれたので怯んでしまったペリーヌのストライカーに銃弾が2発命中する。

 

ペリーヌ「あっ!もう、してやられましたわぁ!」

 

音炉「ヨシカたちの勝ちー!」

 

それにペリーヌが悔しがる中で音炉がそう宣言する。

 

ペリーヌ「もう!あのシールドは反則じゃなくって!?」

 

リーネ「芳佳ちゃんの魔法力じゃないとできないもんね」

 

キーー!と悔しがるペリーヌにリーネは負けたが少し誇らしげに言う。

 

静夏「ふぅ……」

 

芳佳「やったね静夏ちゃん!」

 

息を吐いた静夏の隣に芳佳は来て声をかける。

 

静夏「宮藤さん……(わたし、宮藤さんと飛べてる……!これなら、これからも宮藤さんと一緒に501で……!)」

 

音炉「ヨシカ!次、アタシの番!早くヤロウ!」

 

それに静夏は嬉しそうに自信を持つ中で音炉がはやし立てる。

 

芳佳「もう、焦らないの音炉ちゃん」

 

ペリーヌ「始める前に空初さん。模擬戦では固有魔法使わないでくださいね。模擬戦でネウロイ出されたら勝ち目有りませんわ」

 

それに芳佳が苦笑する中でペリーヌが1つ付け加える。

 

音炉「あ、ダメ?」

 

芳佳「ん~流石にそれは反則すぎるかな?」

 

確認する音炉に芳佳もペリーヌに同意か頬をポリポリ掻いてそう返す。

 

音炉「ん-、芳佳が言うナラ仕方ない。固有魔法使わナイ。じゃあ早速――」

 

やろう!と音炉が言いかけた時……

 

プスン!パスン!!ポスン!ボスン

 

静夏・芳佳・音炉「ん?/ン?」

 

突如響いた音に誰もが何の音と見てみるとそれは芳佳のストライカーからした音で……

 

芳佳「おっ?あ、あぁああああああ!?」

 

プロペラが突然止まってしまい、芳佳は落下してしまう。

 

静夏「宮藤さーん!?」

 

音炉「ヨシカ―!?」

 

それに誰もが慌てる中で音炉は固有魔法を使用。

 

それにより海に落ちそうだった芳佳は出現した何かにより弾む。

 

それは音炉が作り上げたクッションの様なオプションネウロイであった。

 

静夏「ふぅ……」

 

リーネ「芳佳ちゃん、大丈夫?」

 

芳佳「う、うん。音炉ちゃんのおかげで助かったよ」

 

芳佳が助かった事に安堵の息を吐く静夏の後に安否を聞くリーネに芳佳は頷いて平気だと返す。

 

ペリーヌ「気を抜きすぎですわ。それにしてもこのネウロイ、本物のクッションみたいにふわふわしてますわね。こんなネウロイも作れるんですね、あなた」

 

音炉「どんな設定にもデキルから!コンナ風にフワフワのもデキル!」

 

そう注意してから興味深そうに芳佳を助けたクッション型オプションネウロイを見るペリーヌに音炉は胸を張って言う。

 

芳佳「確かに、凄く気持ち良いよ~~~」

 

ふんにゃりとクッション型オプションネウロイに気の抜けた顔で体を預ける芳佳にみ、宮藤さん?と静夏は心配そうに声をかける。

 

音炉「アタシの居た世界でよく見る人を駄目にするクッションをモデルにしたからこうナッテる?」

 

リーネ「人を駄目にするクッション!?」

 

ペリーヌ「そんなのあるんですの!?」

 

そんなほんにゃりした芳佳を見て言う音炉のにリーネとペリーヌは驚く。

 

芳佳「お胸の様に柔らか~い~~」

 

静夏「宮藤さん……」

 

ペリーヌ「もう!このおっぱい魔神は!」

 

戸惑う静夏の隣でペリーヌは呆れ果て、リーネは困った様に笑う。

 

ペリーヌ「宮藤さん!だらけてないで早く飛んだらいかがですの!」

 

芳佳「!ご、ごめんなさい!!」

 

怒鳴るペリーヌに芳佳はガバッと起き上がって慌ててストライカーに魔力を流そうとする。

 

芳佳「あ、あれ……?」

 

音炉「?ドウシタの?」

 

すると戸惑った声を漏らす芳佳に音炉は聞く。

 

芳佳「動かない……」

 

リーネ&ペリーヌ「「え?」」

 

告げられた事に誰もが呆気に取られる中で沈痛な顔で芳佳はもう一度言う。

 

芳佳「ユニットに魔法力が全然伝わらなくて……動かないの」

 

ペリーヌ・リーネ「え、えぇえええ!?」

 

静夏「宮藤さん……」

 

誰もが驚く中でペリーヌがすぐさま我に返る。

 

ペリーヌ「とにかく、基地に戻って中佐に……」

 

報告をと言う前に警報が鳴り響く。

 

ペリーヌ「緊急警報!?」

 

静夏「もしかしてネウロイが!?」

 

リーネ「……あ、もしかして音炉ちゃんが今出したネウロイに反応して……」

 

こんな時にと驚く2人にリーネが芳佳の乗ってるクッション型オプションネウロイを見て言うのに誰もがあっとなる。

 

 

 

 

オプションネウロイを消すと警報が鳴り止んだのであれが原因だったかと音炉を除いた4人がなんとも言えない中でペリーヌとリーネが芳佳を抱えて格納庫に戻ると通信機を手に連絡を取ってるミセスSの姿があった。

 

ミセスS「いやホント伝え忘れてすまんかったわい。ああ、大丈夫、ちゃんと音炉の出すオプションネウロイに反応して鳴らん様にレーダーのを調整しちゃるから、ホントすまんのうミーナちゃん」

 

相手はミーナの様で謝ってるミセスSを見ていた5人に切歌と調に警報を聞いてか来てたバルクホルンとエーリカが近寄る

 

切歌「だ、大丈夫デスか芳佳さん!?」

 

調「何があったの……?」

 

2人に支えられた芳佳に気づいて切歌と調が聞く。

 

芳佳「それが魔法力が変なの……」

 

ミセスS「やはりそうか……」

 

やっぱりわしの言った通りになったか……と通話を終えたミセスSが来る。

 

エーリカ「何?宮藤に起こった事が何か分かるの?」

 

バルクホルン「大方久々の訓練でたるんでいたんじゃないのか?」

 

ミセスS「そんな簡単なもんではない。芳佳ちゃん。すぐにドクターに見てもらった方が良いぞ。お主、魔法圧に異常が起きておる」

 

腕を組んで言ったバルクホルンはミセスSのに何!?と驚く。

 

告げられた事に芳佳は戸惑うしかなかった。




静香「次回、『芳佳の異常と静夏の決意』。宮藤さん…」


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第五話~芳佳の異常と静夏の決意・前編~

ミセスSが告げた事の意味、それを知った服部は……


シャーリー「魔法圧の低下!?」

 

数時間後、集められたメンバーでミーナから告げられた事にシャーリーは驚きの声をあげる。

 

ミーナ「ええ。それがドクターの診断結果よ」

 

芳佳「えっと……そうみたいです」

 

強張った顔で言うミーナに芳佳は分かってない感じで自信なさげに言う。

 

ルッキーニ「で、魔法圧って何?」

 

ペリーヌ「わたくしたち航空ウィッチは魔法力を使って飛行・シールド・攻撃・固有魔法を並列して行使するでしょ。これらを調整、コントロールする機能。それが魔法圧と言われるものですわ」

 

質問するルッキーニにペリーヌは分かり易いように説明する。

 

それにルッキーニは理解した様にうむうむと頷いた後……

 

ルッキーニ「で、どういう事?」

 

分かってなかった事にはぁとペリーヌは溜息を吐く。

 

ミセスS「水が全くでない蛇口からいきなりとんでもない水が迸るなんてことをすれば栓が壊れて、栓をしたとしても垂れ流れてったり、壊れた栓を上手に調節できず上手く流れる事が出来んようになるのと同じと考えれば良いんじゃよ」

 

シャーリー「分かったかルッキーニ?」

 

ルッキーニ「うん、分かった!」

 

エーリカ「ってそれマズイじゃん!?」

 

そんなルッキーニにミセスSがより分かり易く絵も交えて例え、ルッキーニが納得した後にエーリカが叫ぶ。

 

エイラ「たーいへんダ。大変ダ「フシャーーー!!!」ギャーーー!?」

 

サーニャ「もう、駄目よエイラ……」

 

茶化そうとして怒ったウィズに連続引っ掻きの刑を受けるエイラにサーニャは呆れて溜息を吐く。

 

静夏「そんな……」

 

その中で静夏もショックを受けている。

 

坂本「調整が効かない以上、魔法力の回復力も低下している。通常の半分まで落ちているそうだ」

 

リーネ「つまり芳佳ちゃんは魔法力が強いから今まで出力調整が上手くいかなくても強引になんとかできてたんですね」

 

腕を組んで述べた坂本はリーネのにそういう事だと肯定する。

 

ミーナ「一度枯渇した魔法力の奇跡的な復活が魔法圧に副作用を及ぼした可能性があるそうだけど……」

 

バルクホルン「原因はいい!それよりも宮藤の魔法圧は元に戻るのか!?」

 

困った様に言うミーナに机を叩いてバルクホルンは結論を急かす。

 

ミセスS「いつ戻るのかはわしにも分からん。じゃが芳佳ちゃんが出力調整を練習すればもしかしたら治るかもしれんぞ」

 

芳佳「出力調整を、ですか?」

 

出てきた言葉に芳佳は首を傾げる。

 

ミセスS「そうじゃ。壊れた栓もうまく調整すれば使えるように芳佳ちゃんが自分の魔力出力を上手にコントロールできればいいんじゃよ。調整ができれば回復の方も次第に治っていくかもしれぬしな」

 

バルクホルン「魔法力の回復力の低下に魔法圧の異常……今の状況にとっては手痛いな……」

 

腕を組んで呟くバルクホルンにミセスSは頷く。

 

ミセスS「まあこれは少しずつ治すしか他に手はないじゃろ」

 

じゃろ芳佳ちゃん?と声をかけるミセスSに芳佳もはい!と返す。

 

芳佳「わたし、頑張ります!訓練でも何でもして必ず治してみせます!」

 

決意を込めて言う芳佳に坂本はうむと頷き、ミーナが口を開く。

 

ミーナ「とにかく、様子を見るためにも宮藤さんはしばらく出撃を禁じます」

 

バルクホルン「……」

 

それを聞いてバルクホルンは目を閉じて椅子に座る。

 

芳佳「バルクホルンさんが怒るのも当然です。戻ってきたばかりなのに……」

 

エーリカ「怒ってるんじゃないんだけどなー」

 

憂う芳佳にエーリカは小声で呟いて、バルクホルンに無言で足を踏まれる。

 

芳佳「静夏ちゃん。音炉ちゃん。ごめんね。一緒に飛べなくなっちゃって」

 

謝罪する芳佳に顔を伏せていた静夏はい、いえと返す。

 

音炉「アタシ、待つ!ヨシカがまた飛ベルようになるまで!」

 

静夏「!わ、わたしも!全然大丈夫ですから!大丈夫……です……」

 

そう言う音炉に静夏も続いてから顔を伏せる。

 

 

 

 

静夏「ふう……」

 

夕日が見える中、静夏は1人、基地の外で黄昏れていた。

 

沈む夕日を見ながら静夏はぼんやりしていると……

 

坂本「どうした服部。そんなところで黄昏ていて」

 

静夏「さ、坂本少佐!?」

 

座っていたので立ち上がろうとする静夏をそのままで良いと止めて、坂本は静夏の隣に座る。

 

静夏「………あ、あの。坂本少佐」

 

坂本「こうやって考え込んでいるのは宮藤の事だろう」

 

言おうとして先に言われて静夏は言葉が詰まったがこくんと頷く。

 

坂本「やはりそうか……」

 

静夏「宮藤さん、大丈夫でしょうか……?」

 

不安そうに聞く静夏に分からんと坂本はそう返す。

 

坂本「魔法圧の異常。元に戻るのはかなりの苦難することだろう」

 

静夏「そう……ですか」

 

顔を伏せる静夏の背を坂本は強く叩く。

 

坂本「だが宮藤なら大丈夫だろう。宮藤が空に帰ってくるまでお前も頑張ればいいんだ服部」

 

背中を抑える静夏に坂本はそう言う。

 

静夏「そ、そうですか……わかりました。話したら少し気が晴れました」

 

坂本「そうか、とにかく、本格的に訓練が始まるのだ。気を引き締めろよ服部」

 

はい!と返してから失礼しますと言って静夏は去っていく。

 

それを見送る坂本は少し困った顔をする。

 

坂本「(どうやらうまく解決できなかったみたいだな……服部自身で解決できれば良いが)」

 

ふうと息を吐いて坂本も歩き出す。

 

 

 

 

翌日の早朝

 

芳佳「よし!とりあえず走り込みだ!」

 

気合を入れた芳佳は早速基地の滑走路で走り込みを開始する。

 

それをミセスSは見ていた。

 

ミセスS「頑張ってるのう芳佳ちゃん。……じゃが魔法圧と走り込みはあまり関係ないんじゃけど……;」

 

体力は付くだろうけどのう……とミセスSはうーんとなんとも言えない顔で見送る。

 

少し時間が進み、静夏は音炉と共にペリーヌとリーネ監修で昨日やった訓練をやっていた。

 

静夏「はぁはぁ……!」

 

ペリーヌ「遅い!そんなトロトロ飛んでいたら意味がないの。もっと回しなさい!」

 

息を荒げながら飛ぶ静夏にペリーヌは叱咤する。

 

静夏「は……はい!」

 

慌てて返事をしてなんとか付いて行こうとするが途中で鉄骨にぶつかってしまう

 

ペリーヌ「今度は視界が狭まってる!目の前ではなく全体を見なさい!」

 

静夏「す……すみません!」

 

続いての注意に静夏は謝罪する。

 

ペリーヌ「フォーメンション・アンリ。着いてきなさい」

 

そう言って飛んで行くリーネとペリーヌに音炉も続き、静夏も遅れて後に続く。

 

その中で音炉はぶーとつまんなさそうに飛んでいた。

 

音炉「ヨシカ居ないからつまんなーい」

 

ペリーヌ「わがまま言わない!それに真面目に頑張れば宮藤さんからご褒美を貰えると思いますわよ」

 

ブーブー言っていた音炉はヨシカからのご褒美!と目を輝かせて気合を入れる。

 

単純だ事とペリーヌは苦笑しながら後ろを見る。

 

音炉と違って静夏はドンドン3人から引き離されていた。

 

静夏「はぁ……!はぁ……!」

 

ペリーヌ「………」

 

不安そうにあたりを見渡してしまう静夏にふーと息を吐いてからペリーヌは減速して彼女の隣に行く。

 

ペリーヌ「今この場に居ない人を頼るのをおやめなさい」

 

静夏「あっ……!」

 

そう声をかけてからペリーヌは速度を上げて再び前に出る。

 

ペリーヌ「どんなに信頼している人でも、いつも傍に居てくれるとは限らないのよ」

 

静夏「……!(分かってます。でも……宮藤さん……!)」

 

振り返らずにそう言うペリーヌに静夏は歯を食い縛り……

 

静夏「(っ……!こんなことじゃ駄目だ!)せいやぁああーーー!!」

 

気合を入れ直す為に叫んで3人を追いかける。

 

なお、その芳佳はと言うと……

 

ミセスS「あー……頑張っているところ言いにくいんじゃが芳佳ちゃん。走り込みは体力は付くが魔法圧には何の効果もないんじゃよ」

 

芳佳「え、そうなんですか?!」

 

走り込みから戻って来た所をミセスSに指摘されて出鼻を挫かれていたのであった。

 

 

 

 

静夏は飛んでいた。

 

その両隣を501のメンバー全員が並んで飛んでいて、そんな静夏の隣に芳佳が来る。

 

それに静夏はどこまでも行けると思った瞬間、501の面々が消えてしまう。

 

芳佳も含めて消えてしまった事で焦って探す静夏の周りが暗くなり、雲海がネウロイの巣のように黒く染まった後に突然ストライカーが止まってしまい、静夏は堕ちて行く。

 

 

静夏「宮藤さぁあああああんーーーーーー!!」

 

 

 

 

直後、静夏は跳ね起きる。

 

静夏「っ!はぁはぁはぁ……」

 

息を荒げながら静夏は先ほどまでのが夢だと気づき、落ち着きながら汗を拭う。

 

静夏「……あれ?梯子が下りている……?」

 

その後に音炉の部屋の行き来する為の梯子が降りているのに気づいた後に今度は芳佳のベッドがもぬけのからなのに気づく。

 

静夏「宮藤さん……?」

 

着崩れた寝間着を着直しながら静夏はベッドを出る。

 

静夏「何処行ったんでしょうか……」

 

見渡してから窓を見ると飛んでいるエイラとサーニャにハイデマリーの姿が見えた。

 

静夏「ユーティライネン中尉とリトヴャク中尉、シュナウファー少佐の夜間哨戒任務……宮藤さん……」

 

哨戒任務をしてる3人をぼんやり見ていた静夏だったがそんな彼女の耳に音が入って来る。

 

静夏「ん?何の音……?」

 

その音がどこなのかを辿って格納庫からして来るのに気づいて何だろうと気になって服を着替えて向かう。

 

開いてる事に気づき、静夏は空いた隙間から覗き込んで驚く。

 

静夏「!」

 

芳佳「うぉおおおおおおっ――!!」

 

そこでは芳佳がストライカーを動かす姿があった。

 

傍には音炉が見ている。

 

芳佳「っ~~~!行けぇえええ!!」

 

咆哮と共にストライカー固定具から飛び出して少しだけ進むがプロペラが消えてしまう。

 

芳佳「うわっ!?うわわわわあああああ!?」

 

音炉「よっと」

 

倒れかける芳佳を音炉がクッション型ネウロイを出して地面に倒れるのを防ぐ。

 

芳佳「へぶっ!」

 

顔からダイブした芳佳は体を起こす。

 

芳佳「はぁはぁ……あ、ありがとう音炉ちゃん。付き合ってくれて」

 

音炉「良いよ。アタシはヨシカの手伝いデキて嬉しいカラ!」

 

お礼を述べる芳佳に音炉は笑って返す。

 

芳佳「そう言ってくれてありがとう。……よし、もう一回!」

 

気合を入れた芳佳はストライカーを持って戻る。

 

そしてまた進んでは音炉に助けられるのを繰り返す。

 

静夏「宮藤さん…………っ!」

 

そんな頑張っている芳佳を見ていられなくなり、静夏は走り去ってしまう。

 

その後、廊下をトボトボ歩いていると明かりがついている部屋を見つける。

 

なんだろうと覗き込むと、そこではリーネがお料理を作っていた。

 

静夏「リネット曹長、何を?」

 

声をかけられて、リーネは振り返ってあ、服部さんと言ってからその問いに答える。

 

リーネ「これね、芳佳ちゃんお腹すかせて戻ってくると思うから」

 

静夏「夜食……」

 

作ったサンドイッチを見て静夏は拳を強く握り……頭を下げる。

 

静夏「お願いですリネット曹長……宮藤さんを助けてあげてください!わたしは寄りかかってばかりで何もしてあげられないんです……っ!」

 

リーネ「服部さん……」

 

悲痛な叫びにリーネは芳佳の事を大事に思ってくれてる静夏に少し笑った後……

 

リーネ「芳佳ちゃんなら大丈夫だよ」

 

そう返す。

 

 

まさかの返答に予想してなかったのか静夏は目を見開く。

 

静夏「宮藤さんが心配じゃないんですか!?」

 

リーネ「心配だよ。でも……わたしはずっと芳佳ちゃんを見てきているから」

 

その言葉に顔を上げて叫ぶ静夏にリーネは視線を逸らさずにそう言う。

 

静夏「っ!……わたしにはリネット曹長みたいなことできません……」

 

そんなリーネの視線に静香は逆に目を反らして言葉を漏らす。

 

リーネ「それなら服部さんは服部さんにできることを芳佳ちゃんにしてあげて」

 

静夏「わたしに……できること……」

 

笑って言うリーネに静夏は呟いた後に失礼しますと言って寝室へとフラフラ向かう。

 

坂本「すまんなリーネ」

 

リーネ「大丈夫です。服部さんの気持ち、私も分かりますから」

 

そんなリーネの隣に隠れていた坂本が礼を述べて、リーネはそう返す。

 

実は坂本も芳佳の特訓に気づいて覗いた後に夜食を出してやろうかと向かったら丁度リーネが作っていたので話していた所で服部に気づいて坂本は隠れて様子を伺ったのだ。

 

リーネ「服部さんならきっと自分自身で答えを見つけられると思います」

 

坂本「そうか……。……わたしも自分自身の手で解決できればいいが……

 

そう言ったリーネのに坂本は自分の手を見てそう呟く。

 

リーネ「何か言いましたか?」

 

坂本「……いや、なんでもない。ほら、宮藤はきっとお腹を空かせてるだろうから持って行ってやれ」

 

訝しげだがそろそろお腹減ってそうなのもあってリーネは失礼しますと頭を下げてサンドイッチを手に出て行く。

 

坂本「(……わたしはできるだろうか……彼女に……)」

 

そう考えながら坂本は寝室に向かう。

 

 

 

 

寝室に戻り、寝間着に着替えた静夏は眠れずにいた。

 

時間が進む中でどうするか考えているとドアが開く。

 

すると芳佳をオンブした音炉が入って来る。

 

オンブされている芳佳は疲れたのか寝ている。

 

音炉「よいしょット。おやすみ、ヨシカ」

 

静夏「……宮藤さん、寝てしまったんですか?」

 

芳佳をベッドに寝かせた音炉は声をかけられて起きてる服部に気づく。

 

音炉「あ、ハットリ」

 

起きてたんダと言う音炉に静香は頷いた後に体を起こし、音炉も隣に座る。

 

音炉「サッキ倒れてクッションに落ちた時、そのママ寝ちゃッタの」

 

静夏「そうなんですか。……あの、貴女はショックじゃないんですか?」

 

音炉「ン?」

 

突然言われた事に音炉はキョトンとなる。

 

静夏「宮藤さんの魔法圧の事です。貴女は宮藤さんと飛ぶのが好きなんですよね。なのになんで宮藤さんが飛べなくなったのに全然ショック受けてないんですか?」

 

音炉「ダッテもう二度と飛べないッテわけじゃないデショ?なら、アタシは待つ。ヨシカが飛べる様になるのを」

 

楽しみと言って純粋な目の音炉に静夏は目を開く。

 

音炉「どれクライ掛かってもヨシカならきっとマタ飛べるようニなるッテ信じているカラネ」

 

静夏「……なんでそんなに待つ事ができるんですか?魔法圧治る可能性があるかどうかもわからないのに……!」

 

芳佳が起きてしまうかもしれないが静夏は叫びたくなる程聞きたかった。

 

なぜそうしてまで待てるのかが……

 

音炉「……ヨシカと再会スルのもそうダッタから」

 

静夏「……え?」

 

告げられた事に静香は目を見開く中で音炉は語りだす。

 

音炉「アタシが目覚めた時、ソコは元居た世界とは全然違ウ世界ダッタ。サイエンスから世界ごとに時間の経過は聞イテもしかしたらヨシカがもうイナイかもシレナイとも聞いた。デモ数か月ぐらい待ったラ会えた。ダカラその数か月と比べタラ、ヨシカの傍で手伝いしナガラ待つのは平気」

 

笑って言う音炉に静夏は眩しいと感じた。

 

そして芳佳の様に輝いて見えた。

 

静夏「……ほんと、変わったネウロイなんですね貴女は……」

 

音炉「ニヒヒ、そうならヨシカのお陰だと思ウ」

 

その言葉に音炉は楽しげに笑う。

 

静夏「(宮藤さんは凄い。ネウロイにも影響を与えてしまうなんて。だから信じられるんだ)」

 

芳佳の誰にも寄り添う心に静夏は胸を握り締める。

 

音炉「……デモそんなヨシカをアイツは殺そうとしてイル。だからアタシは守りに来たノ。ヨシカを」

 

静夏「宮藤さんを……」

 

真剣な顔で言う音炉に静夏は息を飲む。

 

音炉「……デモ、もしアタシだけで守り切れナイ時……もしデキたら力を貸してクレナイ?ハットリ」

 

そう言われて静夏はうつむく。

 

静夏「……すみません。少し、考えさせてくれませんか」

 

音炉「ワカッタ。答えはいつでもイイよ」

 

強制はしないからと含んで音炉はオヤスミーと言って自分の部屋に戻る。

 

それを見送ってから静夏は寝転がる。

 

静夏「(ネウロイと一緒に宮藤さんを守る……そんなことわたしにできるんでしょうか……)」

 

そう考えてるうちに静夏は眠りに誘われた。

 

 

 

 

次の日の早朝

 

ネウロイ「■■■■■ッ――!!」

 

監視班員A『ネウロイが二体に分裂!』

 

監視班員B『基地に向けて二方向から接近中!』

 

ミーナ『二手に分かれて迎撃し、可及的速やかに排除して』

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

501基地に紫色に光るネウロイが進軍し、それに夜間哨戒に出ていたエイラとサーニャにハイデマリーを除いたシャーリー、リーネ、ルッキーニ、バルクホルン、エーリカ、ペリーヌが出撃し、芳佳と音炉と静夏にミーナは基地に待機する。

 

出撃した6人はシャーリー・リーネ・ルッキーニのチームとバルクホルン・エーリカ・ペリーヌのチームに分かれて迎撃に向かう。

 

命令を出してからミーナは待機を命じた芳佳と静夏を見る。

 

ミーナ「魔法圧が安定しない以上、宮藤さんは出せません。服部さんも現状、実戦に出るのはまだ早いと判断しました」

 

芳佳&静夏「はい……」

 

音炉「アタシは?」

 

判断に少しやるせない2人とは別に待機を命じられた音炉が聞く。

 

ミーナ「空初さんは宮藤さんと一緒じゃなくても安全なのかわからないのと、もしもを考えて基地で待機して貰います」

 

心を許している芳佳以外と基地より外で行動させても平気なのかと少し不安からミーナは待機だと返す。

 

音炉「分かっタ」

 

仕方ないかと音炉が頷いてから電話機が鳴り、ミーナははいと出て、報告に目を見開いて机を叩く。

 

ミーナ「逃げるだけ!?どういうこと!?」

 

監視班員A『分析中です!』

 

監視班員B『地上側より三体目のネウロイが出現。接近してきます!』

 

驚いていたミーナは続けての言葉になんですって!?と叫ぶ。

 

監視班員A『おそらくこれは三体分裂型ネウロイです!』

 

監視班員B『内一体は超低空飛行でレーダーの目を誤魔化したものと思われます!』

 

ミーナ「と言う事は……っ!海上のネウロイはウィッチを分散させるための陽動!?本命は地上側!」

 

いけない!とミーナは立ち上がる。

 

ミーナ「わたしも出ます。三人は引き続き……」

 

芳佳「わたしも出ます!出撃させてください!」

 

待機と言う前に芳佳が前に出て申し出る。

 

静夏「宮藤さん……」

 

ミーナ「駄目よ。魔法圧の安定しない今の宮藤さんはウィッチとして半人前も良いところ。実戦に出すわけにはいかないわ」

 

芳佳「半人前……」

 

坂本「戦闘の途中で不調が起きたら的になってしまう。危険だ宮藤」

 

体を心配してあえて突き放す様に言うミーナと諭す様に坂本に芳佳は顔を伏せて手を握り締める。

 

静夏「(宮藤さんは怖くないの……?飛べるかどうかも分からないのに……なんで?)」

 

そんな芳佳に怖い筈なのにどうして飛ぼうとするかが静夏は疑問であった。

 

芳佳「お願いです!わたしにもこの基地を守らせてください!」

 

だが、その言葉が静夏の胸にストンと落ちて疑問も解けた。

 

静夏「!(そうだ。宮藤さんはいつだって守りたいんだ!ただひたすらに、ただひたむきに。なのにわたしは……!宮藤さんが居ればって、自分のことしか考えてなかった……!)」

 

あの時だって、魔法力がなくても誰かの為に戦った芳佳を思い出して静夏は手を握り締めて叫ぶ。

 

静夏「わたしも行かせてください!」

 

芳佳「静香ちゃん……」

 

坂本「服部……」

 

力強くミーナと坂本をみつえ、静夏は前に出て己の思いを告げる。

 

静夏「わたしもまだ半人前です!だけど!半人前でもできることはあるはずですッ!」

 

お願いしますとみつえる静香の拳を芳佳は左手で包み込む。

 

静夏「宮藤さん……!」

 

芳佳「一緒に行こう静香ちゃん。半人前でも二人ならきっとできるよ!」

 

見る静夏に芳佳は力強く返す。

 

静夏「……!はいっ!半人前でも二人合わせれば一人前です!」

 

音炉「じゃあアタシも加ワレバ更に倍の2人前?」

 

そう言って芳佳と静夏の間に入って2人を引き寄せて笑う音炉に2人も笑う。

 

そんな3人にミーナは困った様に笑う。

 

ミーナ「まったく……」

 

坂本「はっはっはっはっ!一本取られたなミーナ!」

 

ならばと坂本は3人をみつえて言う。

 

坂本「その力、戦場にて発揮してこい三人とも!」

 

はい!と3人は力強く答える。




音炉「後編に続く!」


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第六話~芳佳の異常と静夏の決意・後編~

3体目のネウロイの迎撃に入るミーナ達。
そんな彼女達を悪意は狙う。


ネウロイ「■■■■―――!!」

 

基地へ向かうネウロイは滞空するミーナと音炉を視認してビームを放って攻撃を仕掛ける。

 

向かって来るのにミーナと音炉は焦らずシールドで防ぐ。

 

ミーナ「此処から先は通さないわ」

 

音炉「ここ、通行ドメ!帰レ!」

 

そう宣言する2人にそんなの関係なしとネウロイはビームを放つ

 

それを避けながら二人はネウロイへと接近し、ミーナは右側、音炉は左側を銃撃し、通り過ぎるときも翼に銃弾を浴びせて行く。

 

それに怒って咆哮したネウロイは大きく旋回してミーナと音炉に近づく

 

ミーナ「今よ!」

 

自分に向かって来るネウロイCをみつえながらミーナは叫ぶ。

 

すると太陽の方から芳佳を抱えた静夏が飛んでくる。

 

芳佳「魔法圧が不調なら!」

 

静夏「二人で協力し合えばいいんです!」

 

そんな自分に向かって来る2人に気づいてネウロイはビームを次々と放つが静夏に避けられる。

 

静夏「わたしは宮藤さんを運ぶことに集中」

 

芳佳「わたしはシールドだけに集中!」

 

ガキィン!ガキィン!

 

静夏が飛び、芳佳がシールドで防ぎながらネウロイへ接近する。

 

そんな2人にネウロイCが気を取られている間にミーナと音炉が攻撃し、先端から少し手前の装甲が剥がれてコアが曝け出される。

 

ミーナ「コアを確認!」

 

音炉「ヨシカ!ハットリ!コア、あそこ!」

 

それを見てミーナと音炉が叫ぶ。

 

芳佳「静夏ちゃん!」

 

静夏「はい!」

 

今度は芳佳が静夏を背負う態勢になり、直進する。

 

接近してくれる二人にネウロイCはビーム放つが全て芳佳のシールドに防がれる

 

静夏「宮藤さんが守ってくれるなら!」

 

そのまま静夏は機関銃の狙いを定める。

 

芳佳「いっけぇーーー!!」

 

静夏「わたしに恐れるものはない!!」

 

その言葉と共にシールドが消えた瞬間にトリガーを引いてコアへと銃撃!

 

放たれた銃弾はコアに命中し、ネウロイは白くなって消滅する。

 

音炉「ヤッタ!倒した!」

 

ミーナ「ふぅ……」

 

息を吐いた後にミーナのインカムに連絡が入る。

 

 

 

 

ネウロイのコアが破壊されると共に本体だったからか……

 

パキーン!

 

シャーリー「えぇッ!?」

 

ルッキーニ「勝手に消えた!?」

 

 

 

 

パキーン!

 

エーリカ「え?自爆?」

 

バルクホルン「いや。おそらく誰かがコアを持つ本体を破壊したんだ」

 

分離していた2か所のネウロイは連動する様に消滅したのだ。

 

 

 

 

ミーナ「そう、分かったわ。三人とも、トゥルーデ達やシャーリーさん達、2か所のネウロイも消滅したそうよ」

 

それを聞いて良かったと芳佳は安堵し、やりましたねと静夏が声をかける。

 

芳佳「さっき静夏ちゃん言ったよね。半人前でも二人合わせれば一人前だって。昔、同じことをリーネちゃんに言われたな」

 

静夏「リネット曹長が……」

 

感慨深く言う芳佳に静夏はあの夜でのリーネを思い出し、だからなんだと察する。

 

芳佳を支えられる様に自分も精進しないと……と静夏は決意する。

 

芳佳「わたしも一人で飛べるように頑張んないと。……でも、静香ちゃんに支えられるのもちょっと良いかな?なんかこう、背中の感触がとても気持ち良いしね」

 

静夏「はい?」

 

芳佳の言った事にどういう意味かと思ったが……

 

ぽにゅん

 

静夏「!!///……!(怒)」

 

芳佳が自分の胸の感触を堪能してる事に気づいて顔を真っ赤にする。

 

静夏「猛特訓です!一日でも早く魔法圧を治してもらいます!これは上官命令ですので!!」

 

芳佳「えっと上官って……わたし達、同じ少尉だよね?」

 

怒鳴る様に言う静夏に芳佳は思い出しながら確認する。

 

静夏「それは軍医としての階級です!501での宮藤さんの階級は曹長です!」

 

芳佳「ええっ!?そんなの聞いてないよー!?」

 

まさかの自分の階級が降格していた事に驚く芳佳。

 

なお統合戦闘航空団内で曹長に降格したのはあくまで軍医少尉は医者であり兵科(つまり戦闘部隊)の将校として能力が欠如している事に対する措置である。

 

※ちなみに音炉の階級は特別判任官三等(軍曹レベル)と言う特殊な階級になっており、ミセスSは特別外部研究員(ミーナレベルの権限)となっております。なお、この小説内だけのオリジナルですのであしからず

 

ミーナ「やれやれ、今回も前途多難になりそうね」

 

音炉「回収っと」

 

ぎゃあぎゃあ騒ぐ2人を前にネウロイの欠片を回収してる音炉を後ろにしながらミーナは苦笑してそう呟いた時……

 

ドガァアアアアン!

 

「「「「!?」」」」

 

突如ミーナ達の後方の離れた地面から爆発した様に土埃が起こったのに誰も何事だと見る。

 

ネウロイ「■■■■ィーーー!!」

 

すると地面から戦闘機の翼の様なのを付けたモグラ型のネウロイが飛び出す。

 

芳佳「四体目のネウロイ!?」

 

ミーナ「まさか地中を潜ってきたの!?」

 

音炉「あれッテ……スーパーモグリン?」

 

驚く芳佳とミーナの後に音炉がネウロイの外見を見て呟く。

 

暇な時に切歌と調と共に見ていた奴にソックリなのだ。

 

それに静夏が聞こうとするがその前にネウロイもといスーパーモグリンネウロイ(SM型ネウロイに略称)がビームを放って来たので4人はそれぞれ避ける。

 

ミーナ「こちらミーナ!現在、新たに地中から出現した中型ネウロイと交戦中。海上に居るウィッチたちはすぐにこちらに……」

 

バルクホルン『こちらバルクホルン。こちらも現在現れた小型のと交戦中だ!』

 

シャーリー『こちらシャーリー!こっちも同じく小型のと交戦中!』

 

慌てて援護を要請しようとするが告げられた事になんですって!?と驚く。

 

 

 

 

一方のバルクホルンチームは芳佳達が交戦したSM型ネウロイを小さくしたミニもぐりん型ネウロイ達と交戦しており、エーリカに向けてドリルを飛ばして攻撃して来る。

 

エーリカ「このっ!」

 

ガキィン!ギュィィィイイイン!

 

向かって来たのにエーリカはシールドで防ぐが当たったドリルが回転し、シールドを削り、貫通しようとする

 

エーリカ「うぇ!?このドリル、シールド破ろうとしてる!?」

 

バルクホルン「ハルトマン!」

 

驚くエーリカを助ける為、バルクホルンが上から銃撃し、ドリルを破壊する。

 

エーリカ「助かったよトゥルーデ」

 

バルクホルン「まさかシールドを貫通しようとするとはな。厄介な相手だ」

 

お礼を言うエーリカと共にみつえながらバルクホルンは冷や汗を流す。

 

 

 

 

シャーリーチームもまたミニもぐりん型ネウロイに苦戦していた。

 

ルッキーニ「このー!」

 

リーネ「きゃっ!このネウロイ、ユニットを狙ってる!」

 

ミニもぐりん型ネウロイ達から執拗にストライカーを狙われ、シャーリーは避けながら攻撃をするが自分達より小さくて小回りが出来るミニもぐりん型ネウロイに顔を歪める。

 

 

 

 

通信のにしてやられたとミーナは呻く。

 

基地を襲撃しようとした3機目のネウロイもまた囮、真の目的は分断して3機のネウロイ達の戦いで疲弊してるだろう501のメンバーを狙った三重の作戦。

 

ミーナ「こんな作戦をネウロイがしてくるなんて……!」

 

静夏「どうしますミーナ中佐!!」

 

ビームを放って来るSM型ネウロイを見ながら静夏は問う。

 

ミーナ「連戦でキツいかもしれないけど、わたしたちだけでこのネウロイを倒します!」

 

芳佳「了解です!」

 

音炉「あ、ネウロイの口の中!」

 

すぐさま指示を出すミーナに芳佳が答えた後に音炉が指さす。

 

SM型ネウロイの開いた口の中に紫色に光るコアが見える。

 

静夏「コアです!口の中にコアが!」

 

ミーナ「みんな、コアに狙いを……」

 

芳佳「待ってください!ネウロイが……!」

 

すぐさま破壊する様に指示を出そうとしたミーナは芳佳の言葉で改めてSM型ネウロイをみる。

 

SM型ネウロイは開いた口の中でエネルギーを収束させると巨大なエネルギー弾として発射する。

 

散開!!と言うミーナの言葉と共にそれぞれ避けた後に後ろに行ったエネルギー弾は円を描く様に飛んでから地面に着弾し……

 

ドーーーン!!

 

爆発を起こす。

 

静夏「な、なんですかあの威力は……!?」

 

芳佳「あれじゃあシールドでも防げない……!」

 

下手に防ごうもんなら爆発の衝撃や爆風の大きさであの世逝きだと言うのに静夏と芳佳が青ざめる中でミーナの切羽詰まった声が響く。

 

ミーナ「2人とも避けて!!」

 

慌てて前を見るとSM型ネウロイがこちらに体当たりを仕掛けようとしてるのに気づき、慌てて避けようとする静夏だが、翼にぶつかってしまい、芳佳がシールドでダメージを防いだがその衝撃で2人は離れてしまう。

 

しかも最悪な事に芳佳のストライカーが止まりかけて落ちて行く。

 

芳佳「うわああああ!?」

 

静夏「しまった!宮藤さあああん!」

 

落ちそうになる芳佳を狙ってSM型ネウロイが追撃しようとするがそうはさせないとミーナが足止めする。

 

その間に芳佳は音炉が出したクッション型オプションネウロイに助けられる。

 

何気に羊の様な感じにされており、芳佳が乗ったのを確認すると鳴き声をあげて走って戦闘宙域から遠ざかっていく。

 

それを見て静夏は安堵した後にキッとSM型ネウロイを睨む。

 

静夏「よくも宮藤さんを……!」

 

ミーナ「落ち着いて服部さん。無暗に突っ込んだら敵の思うツボよ」

 

ですが!と叫んだ後にSM型ネウロイが再びあのエネルギー弾を放そうとしてるのか口を開こうとしていた。

 

静夏「あのエネルギー弾を放つ前にコアを!」

 

ミーナ「待って!服部さん!」

 

やらせないとミーナの制止を振り切って飛び出した静夏は撃たれる前にとコアを破壊しようする。

 

静夏「これで!……え?」

 

エネルギー弾を作る前に接近し、コアを狙おうとして静夏は目を見開く。

 

見えた筈のコアが……ないのだ。

 

静夏「コアが…ない!?なんで!?」

 

驚く静夏はそれにより気づくのが遅れた。

 

SM型ネウロイの上下の口に鋭い歯が生え、静夏に向けてその鋭い歯を備えた口を閉じようとする。

 

静夏「(まさかこれが狙い!?退避……駄目、間に合わない……!)」

 

ミーナ「服部さん!」

 

迫る死に静夏は目を思わず閉じる。

 

ガキン!!

 

思わず目を背けたミーナは音がしなかったのを見て視線を戻し、驚く。

 

静夏は痛みが来ない事に気づいて恐る恐る目を開ける。

 

音炉「ッ……!」

 

静夏「そ、空初さん……!」

 

顔を歪めた音炉の顔が目に入ると共に左側の服が破れて血と思われるのが流れてるのが目に入る。

 

音炉が静夏が噛まれる寸前、猛スピードで飛び込んで助けたのだ。

 

静夏「空初さん、怪我を……!」

 

音炉「ダイジョウブ!すぐ回復スルから!」

 

驚く静夏に音炉はそう返すと確かに治っているのが目に入る。

 

音炉「ネウロイだからこれぐらいヘイキヘッチャラ!」

 

静夏「だからと言って!!」

 

自己犠牲にするべき事じゃないと叫ぶ静夏に音炉は真剣な顔をする。

 

音炉「デモああしないとハットリが死んでイタ」

 

静夏「!」

 

眼を見開く静夏に音炉は続ける。

 

音炉「死ヌ感じ、とってもイヤな物。アタシもなりそうになったから分かる。だからって、助けられる人を助けられナイのは嫌ダ」

 

その言葉に静夏はだから……と呟く。

 

静夏「無茶をしてでもわたしを助けたんですか…?」

 

音炉「ウン、ヨシカの悲しむ姿を見ルの嫌、だけど他の人が死んでヨシカがさらに悲しむのはもっと嫌だ」

 

その言葉に静夏は改めて音炉が芳佳を想っている事を知る。

 

音炉「だからアタシはヨシカも護るし、芳佳の守りタイ人達を守ル」

 

静夏「空初さん……!」

 

SM型ネウロイ「■■■■!!」

 

そんな2人へとSM型ネウロイがビームを放つ。

 

静夏「うわっ!」

 

音炉「おっとと……!」

 

別れて避けるが音炉は怪我は回復するけどダメージそのものは回復しないのか動きが安定していない。

 

ブィン!

 

それを好機と見たSM型ネウロイの目が光り、ドリルが回転しながら音炉へと発射される。

 

気づいた音炉は逃げるがドリルは追尾してくる。

 

音炉「このッ!」

 

両手をバルカン砲にして銃撃するが回転によりはじかれてしまう

 

そのままドリルが迫り、音炉がヤバいと感じた時……

 

静夏「はぁぁあああッ!!」

 

ガキィン!!

 

下から静夏がシールドを展開しての体当たり、シールドアタックでドリルを弾き飛ばす。

 

弾かれたドリルはそのままMS型ネウロイの方に飛んで行き、命中する。

 

ドカーン!!

 

SM型ネウロイ「■■■■■ッ――!!」

 

体勢を崩すSM型ネウロイを見ながら静夏は音炉と並ぶ。

 

静夏「大丈夫ですか空初さん!」

 

音炉「あ、アリガト……」

 

さっきのお礼ですと笑って返す静夏に音炉も笑う。

 

その後に静夏は真剣な顔をする。

 

静夏「昨日の誘いの答え……まだ言ってませんでしたよね」

 

音炉「あ、ウン。そうだけド……」

 

右手を握り締め、胸に当てて静夏は答える。

 

静夏「私はは最初、不安でした。ネウロイである貴女と一緒に宮藤さんを護れるのかって。……でも今一緒に戦って分かりました。あなたは宮藤さんと同じ、いや、私達ウィッチと同じ様に誰かの為に戦う仲間だと信頼できるんだって」

 

音炉「ハットリ……」

 

そして右手を音炉に差し伸べる。

 

静夏「静夏で良いですよ。これから一緒に宮藤さんを護りましょう空初さん!」

 

音炉「コッチも音炉でイイ!よろしくシズカ!」

 

左手を差し伸べて静夏の右手とガッチリ握る音炉に静夏も頷く。

 

そんな2人へとSM型ネウロイは怒った様に鳴き声を上げてビームを放ちながら突撃して来る。

 

芳佳「させるかぁぁぁぁ!!」

 

羊ネウロイ「メェェェーーー!!!」

 

そこに芳佳が乗った羊ネウロイが走って来て飛び上がり、それに合わせる様にミーナが上空から急降下して来て、お互いにシールドを展開して、芳佳が乗った羊ネウロイが左翼を、ミーナが右翼へとシールドアタックを炸裂させる。

 

2人に夢中でミーナと芳佳のことを忘れていた事でマトモに受けたSM型ネウロイは勢い良く体を回転させられる。

 

芳佳「今だよ!!」

 

ミーナ「決めなさい2人とも!!」

 

静夏「宮藤さん!ミーナ中佐!」

 

音炉「行こう!シズカ!」

 

はい!と力強く答えた後に静夏と音炉は突撃する。

 

動きがふらついているSM型ネウロイはやらせるかと小型のエネルギー弾を放つが2人は避けて行き、髪の毛を拳に変えた音炉はSM型ネウロイの口を強引にこじ開ける。

 

音炉「今だァ!」

 

静夏「はあッ!!」

 

先程は視認出来なかったが今は見えた光るコアへ向けて静夏は発砲する。

 

バババババババ!バキーン!!!

 

銃弾をモロに受けたコアは破壊され、SM型ネウロイはもがきながら消滅していく。

 

静夏「やった……」

 

音炉「ヤッタネ、シズカ!」

 

ネウロイの破片が散らばる中で喜ぶ静夏に音炉は抱き着く。

 

おーいと言う声と共に羊型ネウロイに乗った芳佳と並走して飛ぶミーナが来る。

 

静夏「宮藤さん!ミーナ中佐!」

 

音炉「アレ?ヨシカ、離れてたンじゃ?」

 

芳佳「羊さんにお願いして戻って貰ったの」

 

ミーナ「その後に私に通信をして、さっきのをやったってわけ」

 

ホント無茶するわねとぼやくミーナに芳佳はすいませんと謝る。

 

その後に真剣な顔をして静夏を見る。

 

ミーナ「……それより服部さん。私が止めたのに無視しましたね。空初さんに助けられたから良かったものを、死んでいたかもしれないんですよ」

 

静夏「あ、すみません!命令無視してしまいました!」

 

謝罪する静夏をミーナはしばらく見ていたがふっと表情を柔らかくして罰を下す。

 

ミーナ「それでは罰として今日のお風呂掃除を命じます。良いですね服部静夏少尉?」

 

静夏「はい、了解です!」

 

宜しいとミーナは笑ってから3人に言う。

 

ミーナ「皆ご苦労様、これより基地に帰投します」

 

芳佳&静夏&音炉「了解!」

 

羊型ネウロイ「メェー」

 

元気よく返事した3人と共に鳴いた羊型ネウロイに誰もが笑う。

 

その後にミーナを先頭に、後ろで折角だからと羊型ネウロイに乗っている3人にミーナはくすっと笑った後に真剣な顔をする。

 

ミーナ「(ネウロイがこんな作戦をしてくるなんて……本当に私達を殺そうとしているのねウォーロックⅡは……)」

 

改めてミーナはこれまでとは違う激戦になると言う事を感じ取り、心の内で絶対に皆で生き残ると言う事を決意する。

 

 

 

 

帰投後、静夏は言われた通り、風呂の清掃活動をしていた。

 

静夏「いいんですか?手伝ってもらって」

 

音炉「一緒に無茶シタからネ。それに終われば一番、ヨシカと一緒に風呂入っても良イッテ」

 

楽し気に言う音炉に全くと静夏は苦笑する。

 

静夏「ホントに子供なんですから音炉さんは」

 

音炉「それほどでも~」

 

褒めてませんってとお互いに笑いながら掃除する。

 

坂本「まさか服部がいきなり命令違反をするとはな」

 

ミセスS「芳佳ちゃんと音炉の影響かもしれんな。あとお主も」

 

そんな2人を見ていた坂本は一緒に見ていたミセスSのにかもしれないなと困った様に笑ってから音炉と共に笑いあう教え子の成長を微笑ましそうに見るのであった。

 

ちなみに……

 

ルッキーニ「zzzzz」

 

後から人をダメにするクッションのを聞いたルッキーニとエーリカが音炉にお願いしてクッション型ネウロイを貰って早速昼寝用に使ったり……

 

羊型ネウロイ「メェ~~」

 

大活躍した羊型ネウロイは消さずに見た目を良く知られる通常の羊カラーに変えられて、基地の除草係として飼われるのであった。



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第七話~ペリーヌと音炉、真夜中の幽霊船~

音炉の事で距離を取っているペリーヌ。
そんな2人の距離感を変えるのは……


前回から2日後

 

音炉「ヨシカ―、頑張れー!」

 

芳佳「う、うん!」

 

格納庫前で音炉と静夏、リーネに見守られながら芳佳は緊張した顔で深呼吸する。

 

今彼女はミセスSが作った特製ストライカー型トレーニングマシンで魔法圧の制御する為の特訓をする所だ。

 

トレーニングマシンは魔法圧を制御して設定した時間まで行けば成功、失敗すればお仕置きが起こると言う物だ。

 

芳佳「はぁああああっ!」

 

気合と共に魔力を開放して制御を開始する。

 

リーネ「頑張って、芳佳ちゃん!」

 

静夏「いいですよ!そのまま、そのまま……」

 

このままいけると思った瞬間……

 

プスンパスンポスン

 

芳佳「……あ」

 

途端に制御できなくなり、情けない音が響いた後……お仕置きは始まった。

 

芳佳「あはははははははははははははははははは!!」

 

足へと襲い掛かる強烈なくすぐりに芳佳は悶えまくる。

 

ストライカーユニットの内部に足をくすぐる様に刷毛が付けられているのだ。

 

リーネ「芳佳ちゃん……」

 

音炉「また失敗シチャッタ……」

 

静夏「なかなか難しいですね……魔力圧の制御は」

 

そんな笑い悶える芳佳を見ながら各々に呟くリーネ達。

 

芳佳「も、もう一回……」

 

お仕置きが終わったのでぜえぜえと息を荒げながら再度開始する。

 

しっかりー!と言う応援をしてるリーネ達、特に音炉を離れた場所で見ている者がいた。

 

ペリーヌ「………」

 

ペリーヌだ。

 

芳佳を応援してる音炉を見てペリーヌは不安そうであった。

 

坂本「まだ、彼女を信頼するのかが不安か?」

 

ペリーヌ「坂本少佐……」

 

そんなペリーヌへと近づいて同じ様に見た坂本は不安は分かると返す。

 

坂本「力は信用できるが、彼女自身を信頼できるかと言われたら不安になってしまうのは当然だ。元々は、ネウロイであるからな」

 

ペリーヌ「それもあるのですが……怖いんです」

 

そんな坂本のに対し、ペリーヌはそう答える。

 

怖い?と呟いた坂本にペリーヌは頷く。

 

ペリーヌ「……彼女が居たのは……ガリアの巣ですよね。坂本少佐」

 

確認する様に聞くペリーヌに坂本は一瞬呆気に取られたが頷く。

 

坂本「そう……だったな……」

 

ペリーヌ「わたくしは怖いんです。もしもかつての彼女と同じ様な人型のネウロイが現れた時、彼女と被らせてしまうのではないかと……」

 

その言葉にそういう事かと坂本は納得する。

 

ペリーヌ「それに……彼女に心を許していいのか分からないのです。彼女と同じガリアの巣のネウロイに殺された人たちの事を考えると……」

 

坂本「そう、だな……」

 

それは仕方ないなと顔を伏せるペリーヌを見ながら坂本は思う。

 

彼女自身、ガリア陥落の際に親類縁者をネウロイにより目の前で失っている。

 

ネウロイである音炉に教えるのはともかく、一緒に戦う場合はまだ厳しいだろう。

 

難儀なものだと坂本はふうと息を吐く。

 

 

 

 

少し時間が進み、射撃訓練を行っていた。

 

音炉と服部が各々に撃っているが音炉の命中率が高い事にバルクホルンは感心する。

 

バルクホルン「なかなかの命中率だな。誰かに教わったりしたのか?」

 

音炉「ウン!クリスお姉ちゃんに教わッタ!」

 

え?と静夏とハイデマリー以外のウィッチ達は呆気に取られ、切歌と調はあとなる。

 

なんで呆気にとられるのかに静夏とハイデマリーは首を傾げていると……

 

バルクホルン「クリスに教わっただとぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

切歌「違うデス違うデス!」

 

調「人違いです。私たちの世界のクリス先輩にです」

 

妹の名前を出されたと思って迫ろうとするバルクホルンを切歌と調が慌てて止めに入る。

 

エーリカ「え?そっちにもクリスって名前の人が居るの?」

 

調「はい。本名は雪音クリスって名前です」

 

切歌「射撃がとっても上手な頼れる先輩デース!」

 

この人がそうデスと切歌は写真を取り出して見せる。

 

芳佳「!リーネちゃんやシャーリーさんに負けない位の胸!」

 

エイラ「これはいいおっぱいなんダナ」

 

ルッキーニ「シャーリーより背が小さいけど胸が負けない大きさだ~」

 

静夏&リーネ&サーニャ「……………」

 

くわっ!!と目を見開いて鼻息を荒くする芳佳の隣でエイラはほうと感心し、ルッキーニは面白そうに言う。

 

シャーリー「おー、こりゃ確かに大きいな」

 

ルッキーニ「シャーリーと同じくらいあるんじゃないかな?」

 

凄いなと感心する2人の後ろでいひゃいひゃいと芳佳は静夏とリーネに両頬を引っ張られ、エイラは不機嫌になったサーニャのご機嫌取りに四苦八苦していた。

 

エーリカ「空初はこの雪音って子に教わったんだね」

 

切歌「はいデス!知りたがっていたのでクリス先輩が嬉しそうに教えたんデス」

 

調「飲み込みも良かったからホントに可愛がっていたんです」

 

へぇ~とエーリカは感心する。

 

バルクホルン「しかし、別の世界に同じ名前の者がいるとはな……」

 

坂本「世界は広いものだな……」

 

調「(実際、坂本さん達と似た名前の人がいたりするのは黙っておこう)」

 

並行世界のあるあるにバルクホルンと坂本が感心する中、そこに事務仕事をしていたミーナが来る。

 

ミーナ「皆、作戦室へ集合して」

 

坂本「ミーナ。何かあったのか?」

 

ええと困った顔をしたミーナのに誰もが作戦室に向かう。

 

 

 

 

バルクホルン「ベルリンへの反抗作戦がさらに延期される可能性があるだと!?」

 

着いて早々に告げられた事にバルクホルンが叫ぶ。

 

耳を抑えていたミーナはどうしてそうなる可能性があるかの理由を述べる。

 

ミーナ「アントウェルペン近くの海域に謎の船が出没し始めたそうなの、近くを通りかかった船を見境なく襲うそうで、なんとかしなければ反抗作戦開始が遅くなりうるそうなのよ」

 

エイラ「謎の船?」

 

シャーリー「ならその船を捕まえればいい話じゃないのか?」

 

最もな指摘にそれが出来ればこっちに話が来ないわとミーナは返す。

 

ミーナ「その船は暫くすると発生した霧に紛れて消えてしまうそうなのよ……後眉唾な話だけど、ある証言によると……その船の船員が普通じゃなかったそうなの」

 

エーリカ「普通じゃない?」

 

芳佳「どういうことですかミーナさん?」

 

出てきた言葉に誰もが顔を見合わせる中で聞く芳佳にミーナは困った顔をする。

 

ミーナ「なんでも……船員の顔が骸骨……だったそうよ」

 

切歌「デデース!?」

 

調「骸骨!?」

 

サーニャ「え……!?」

 

告げられた事に怖い物が苦手な切歌や一部の面々はビクッとなる。

 

坂本「ネウロイと言う可能性はないのか?」

 

ミーナ「それはないと思うわ。氷山の時と違って海に直接浸かる船にネウロイがなるはずないとの報告もあったわ」

 

バルクホルン「なるほどな……」

 

腕を組んで唸るバルクホルンの後にミセスSは顎を摩った後に1つ物申す。

 

ミセスS「ホントに現れた船は海に浸かっていたのか調べた方がいいのではないか?形だけ船で浮いているのかもしれぬし」

 

シャーリー「そういやウォーロックの赤城や決戦の時の大和も浮いてたな」

 

思い出して言うシャーリーに言われてみればとその時に戦ったメンバーも思い出す。

 

ミーナ「それでメンバーを前の戦いのを考えて基地を襲撃されてはいけないのを考えて少数で行ってもらう事になります」

 

ハイデマリー「少数ですか?」

 

ええ……と返してからミーナはメンバーを言う。

 

ミーナ「メンバーは宮藤さん、服部さん、ペリーヌさん、そして空初さんの4名よ」

 

ペリーヌ「(!空初さんと一緒のチームですか……)」

 

音炉「えっと、ヨロシク!ペリーヌ」

 

ええと固く返しながらペリーヌはギュっと手を握り締める。

 

ミーナ「他に意見は?ないならすぐに出撃を」

 

芳佳&服部&ペリーヌ「了解!」

 

音炉「リョウカイ!」

 

返事をした後にそれぞれ準備に向かう。

 

坂本「……少し不安があるな」

 

ミーナ「そうね……けど、今の状況を考えると、乗り越えないといけないわ」

 

ペリーヌの事を案ずる坂本にミーナはそう返す。

 

そうだなと坂本はペリーヌの事を考えながら祈る。

 

 

 

 

基地を出発した4人は水上を飛んでいく。

 

音炉「そろそろアントウェルペン!」

 

静夏「一体何なんでしょうかね。その謎の船って……」

 

楽し気な音炉の後に芳佳を支えながら静夏は呟く。

 

ペリーヌ「侵攻作戦延期を防ぐためにも早く見つけないといけませんわね」

 

芳佳「そ、そうですね」

 

少し怯え気味な芳佳にペリーヌは訝しむ。

 

ペリーヌ「……もしかして宮藤さん。怖がっているんですの?」

 

芳佳「ふぇ!?」

 

指摘されていや、そのと挙動不審になる芳佳にペリーヌは溜息を吐く。

 

ペリーヌ「あなたと言う人は、前の基地の地下を探索した際はなんともなかったではありせんか?」

 

芳佳「そ、そうなんだけど……乗組員が骸骨って聞いたら怖くなっちゃうよ」

 

奇妙な声の時は冷静に対応してたのにと呆れた顔で言うペリーヌに芳佳は困った顔をする。

 

なお、その奇妙な声が自分が恋焦がれる坂本が酔っ払った事で爆走していた際に出た奇声に近い笑い声であるのをペリーヌは知らない。

 

 

閑話休題

 

 

アントウェルペンに着いた芳佳達は早速、港で情報収集に入り、暫くして合流して情報を交換しあう。

 

芳佳「そっちはどう?静香ちゃん」

 

静夏「えっとですね。大体はミーナ中佐が言っていた事と同じでした。出る時間帯が大体夜から朝日が出る間での間みたいです」

 

お2人は?と音炉とぺリーヌに聞く。

 

音炉「霧と夜の闇に紛れて現レルから外見を直接見た人は居ないッテ」

 

ペリーヌ「こちらも服部さんと空初さんと同じでしたわ」

 

肩を竦めるペリーヌにそうでしたか……と芳佳は呟く。

 

ペリーヌ「こうなると夜に行動する事になりますから連絡をしてサーニャさんやハイデマリーさんに来て貰った方が宜しいですわね」

 

芳佳「ナイトウィッチの出番って事ですね」

 

音炉「ジャアこの後はどうスル?」

 

確認する音炉にそうですわね……と呟き……

 

ペリーヌ「私が連絡しますから、皆さんはその間ここら辺りの警戒をお願いしますわ。もしもを考えてと言う事で」

 

静夏「分かりましたクロステルマン中尉」

 

音炉「ワカッタ!」

 

芳佳「分かりましたペリーヌさん」

 

3人ともそれぞれ了承した後にそれでは解散と言うペリーヌの号令と共に別れる。

 

音炉「ヨッシカ~一緒に回ろう」

 

芳佳「うん、いいよ」

 

静夏「あ、待ってください!」

 

訂正、芳佳を中心に音炉と静夏が取り合いながら向かうのにペリーヌは苦笑する。

 

ペリーヌ「モテモテね宮藤さんは……」

 

そう呟いてからペリーヌは連絡を取る。

 

ミーナ『こちらミーナ、ペリーヌさん。何か進展はあった?』

 

ペリーヌ「はい。聞き込みした結果、どうやら例の船が現れるのは夜だと言う事がわかりましたわ。それでナイトウィッチのサーニャさんかシュナウファー大尉の増援をお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」

 

報告に了解したわと返した後に何か話す様な声がした後にミーナが言う。

 

ミーナ『ミセスSさんから試作品になるけど夜に役に立つのを持たせてくれるそうよ。それのテストも兼ねて捜索をお願いね』

 

ペリーヌ「分かりました。それでは捜索に戻りますわ」

 

お願いねと言うミーナのを聞いて通話を追えたペリーヌはふうと息を吐いて見上げる。

 

ペリーヌ「船が現れる夜まで待ちませんとね……」

 

気分直しにと思ってふと、自分の足元を見ると音炉の使い魔であるウィズがいた。

 

ペリーヌ「! あなたは空初さんの使い魔の……」

 

どうしてここにと思って膝を付くとウィズはその膝を足場にペリーヌの肩に乗るとなぁうとひと鳴きする。

 

とっとと探索に出たらどうだとばかりに鳴いたウィズにペリーヌは戸惑う。

 

彼女はウィズが芳佳や音炉以外には威嚇したり引っ掻いたり(特にエイラを)しているので自分の肩に乗ると言うのをしたのが信じられないのだ。

 

動かないペリーヌにウィズはもう一度なぁうと鳴く

 

ペリーヌ「……!わ、分かってますわ」

 

行くつもりだったのだしと思いながらペリーヌは歩き出す。

 

見歩く間ウィズはペリーヌの肩に乗って毛づくろいしている。

 

ペリーヌ「(完全にくつろいでますわねこの子……どういうつもりなのかしら)」

 

自分の肩でマッタリしてる黒猫にペリーヌはなんとも言えない顔をしてるとウィズが突然身を乗り出す。

 

危ないと慌てて抱きかかえる中でウィズはふんすふんすと鼻息を荒くしており、一体何を見て興奮してるのかと視線を向けると……チーズがあった。

 

ペリーヌ「……もしかして好きなの?」

 

そう聞くペリーヌだがウィズは答えずに前のめりでチーズを見ている。

 

それにペリーヌは息を吐いた後にチーズを売ってる所に向かい、手で持てるサイズの小さめのチーズを買う。

 

ペリーヌ「……はい、どうぞ」

 

差し出したチーズにウィズは目を輝かせてパクリと咥えてもしゃもしゃと美味そうに食べる。

 

その様子にペリーヌはくすりと笑う。

 

ペリーヌ「(美味しそうに食べますわね。普通の猫の様に……)」

 

作られたとは思えないと思っているとゴロゴロとウィズは甘えた声を出す。

 

ペリーヌ「(完全に懐いていますわね……けどなんでわたくしに?)」

 

自分は主である音炉より距離を取ってたのにと思ってる間もウィズはご機嫌に鳴く。

 

 

 

 

夕方になり、音炉達と合流したペリーヌはウィズを音炉に差し出す。

 

ペリーヌ「はい。あなたの使い魔。お返ししますわ」

 

音炉「あ、ウィズ。ペリーヌのとこ行ってタンだ」

 

なぁ~とウィズは返事をして音炉に甘える。

 

芳佳「居ないと思ってたらペリーヌさんの方に行ってたんだね」

 

静夏「クロステルマン中尉。一緒に居て大丈夫でしたか?」

 

ペリーヌ「大丈夫でしたわ。チーズを上げたら大人しかったですし」

 

そうだったんですか?と静夏は驚く。

 

音炉「ウィズはチーズが大好物!あげると機嫌良くナル!」

 

芳佳「へー、そうなんだ~だから機嫌が良いんだね」

 

ゴロゴロと鳴いてるウィズに3人は楽しそうにしてるとお~いと言う声の後にエイラとサーニャが来る。

 

芳佳「エイラさん!サーニャちゃん!」

 

サーニャ「お待たせ」

 

降り立った2人に駆け寄った所でペリーヌはエイラを見る。

 

ペリーヌ「で、なんでエイラさんまでおりますの?」

 

エイラ「そりゃあサーニャと一緒にいたいからと言うのは半分で、ミセスSからの試作品を持って来る為に付いて来たんだヨ」

 

静夏「Sさんからの試作品って?」

 

まずはこれだなとエイラは円筒の筒を出す。

 

音炉「あ、ソレ懐中電灯」

 

エイラ「ストライカーのを応用して魔法力で光りを出す奴だってさ」

 

芳佳「懐中……電灯?」

 

静夏「扶桑の提灯みたいなものでしょうか?」

 

エイラの握る筒を興味深そうに見る芳佳と静夏に使い方こうと分かり易いように手形が付いた所を握って魔法力を流す。

 

パっ!

 

すると懐中電灯の先端が強く光る。

 

ペリーヌ「光りましたわね」

 

サーニャ「これで夜でも安心して見ることができるの」

 

これは便利ですわねとペリーヌは目を丸くする前でエイラは肩を竦める。

 

エイラ「試作品だから、どれ位消耗したかを後でレポートしといてクレって言われた」

 

んで次はこれなと3個のインカムを取り出す。

 

エイラ「改良型でネウロイの妨害とか電波塔なくてもこれだけで通信をやり取り出来るインカムだってサ」

 

芳佳「ネウロイの妨害を受けないインカム!?」

 

静夏「凄い技術ですね……」

 

告げられた事に驚く3人へとエイラはなんとも言えない顔をする。

 

エイラ「マッ、これも試作品だからどれ位の距離で繋がり難くなるかもレポートお願いだとサ」

 

ペリーヌ「ようするにちゃんと使えるかの試運転をお願いされたって事ですわね」

 

音炉「あんマリ行き過ぎナイのを作るってサイエンスは言っテタ」

 

やれやれと思いながら今付けてるのから試作品のインカムに変えるとタイミングよく通信が入る。

 

ミセスS『あーあー。聞こえるかのう?』

 

芳佳「サイエンスさん!」

 

聞こえますよと返した芳佳によしよし、ここらへんは良いなと言うミセスSの声が響く。

 

ミセスS『現存の通信機を調整してお前さん達が今使ってるインカムに繋がる様にしておる。ネウロイが妨害電波を出しても繋がるかも試しておきたかったんでのう』

 

静夏「はい。よく聞こえます!」

 

ペリーヌ「確かに効率よく通信できるのは良いですわね」

 

じゃろと楽しそうに言うミセスSにどことなく誰かを思い出しながらペリーヌは本番での実験はほどほどにして欲しいですわと呟く。

 

ミセスS『安心せい、実験とかは501ではない他の子にして貰うからのう』

 

芳佳「他の人にもしないでください!?」

 

と言うか実験するの確定してますのねと芳佳のツッコミを聞きながらペリーヌはミセスSの言い方でその人物にご愁傷様と内心黙祷するのであった。

 

ミセスS『とにかく、謎の船の調査は頑張るんじゃぞ』

 

音炉「ハーイ!」

 

元気よく返事をする音炉に元気良しと返してミセスSは通信を終了する。

 

ペリーヌ「では船の捜索を開始しますわ」

 

芳佳&静夏&サーニャ「はい!」

 

エイラ&音炉「りょ~カイ」

 

それぞれ返事をして謎の船の調査へと飛び立つ。

 

暗くなっているので魔力圧が不安な芳佳と芳佳を支えてる服部と探査魔法を使うサーニャ以外が魔力電灯をつける。

 

エイラ「ん~、イナイな」

 

音炉「居ないネー」

 

見える範囲を捜索するがなかなか目的の船が見つからない。

 

静夏「見つかりませんね……」

 

芳佳「今日は出ないのかな?」

 

サーニャ「……!」

 

照らされてる所を見ながら呟く静夏の芳佳の後にサーニャが何かに気づく。

 

サーニャ「何か巨大な物体がこちらに接近してくる」

 

ペリーヌ「もしかしてそれが……!」

 

報告にペリーヌやメンバーが身構える中でサーニャは感知した反応に考える。

 

サーニャ「(でもこの反応ってやっぱり……)」

 

誰もが警戒してると霧が辺りを包む。

 

芳佳「霧が……!」

 

静夏「!宮藤さん、あれ!」

 

警戒する芳佳に静夏が前を見る。

 

霧の中からこちらに迫る影が目に入る。

 

エイラ「あれが探していた船か」

 

音炉「……ン?あの外見ッテ……」

 

呟いたエイラの後に音炉が見えて来たのに首を傾げる。

 

その船は見た目が古びた木で出来ており、マストも先が破れており、先端に奇妙な二本角が生えた髑髏が付いていた。

 

穂先の所に掲げられた旗にも髑髏が描かれていた。

 

エイラ「も、木造船か?」

 

ペリーヌ「しかもこの外見、まるで……」

 

芳佳「ゆ、幽霊船……」

 

5人が驚きを隠せない中で音炉だけはうーんと首を傾げる。

 

静夏「ん?どうかしましたか音炉さん」

 

音炉「……これ、おそらくネウロイ。ウォーロックⅡ作の」

 

やっぱりと呟いたサーニャに芳佳達はサーニャを見る。

 

サーニャ「あの船からネウロイの反応がする」

 

エイラ「え!?ホントかサーニャ!?」

 

静夏「ですが外見は違いますよ…?」

 

音炉「おそらくネウロイを覆う感じに幽霊船を作ッタんだと思ウ」

 

驚いて言うエイラと静夏に音炉は幽霊船を見ながら呟く。

 

ペリーヌ「つまりあの船の中にネウロイがいるんですね。ですがどうして気づいたんですの?」

 

芳佳「もしかしてこの船、見たことあるの音炉ちゃん」

 

気になったので聞く2人に音炉は頬をポリポリ掻きながら言おうとして……

 

ギギギギ……

 

その前に何かが動く音に全員が気づいた後……

 

エイラ「お前等避けろ!!」

 

エイラの言葉と共に慌てて散開すると、大きい音と共にメンバーがいた所を光弾が通過する。

 

静夏「攻撃!?」

 

音炉「あ、アレ!」

 

驚いた静夏は音炉の言葉と共に幽霊船を見ると砲門を展開されてるのが目に入る。

 

さらに言えば上甲板から骸骨の顔をした黒い身体と赤い瞳の兵が現れて手に持った銃で攻撃して来る。

 

芳佳「あれって骸骨の姿をしたネウロイ!?」

 

ペリーヌ「こんな人型に近いネウロイを作るなんて……!」

 

飛んで来る光弾を避けながら応戦する。

 

エイラ「このっ!」

 

サーニャ「っ!」

 

エイラが骸骨兵の銃を落とした所をサーニャがロケット弾で吹き飛ばす。

 

芳佳「このっ!」

 

静夏「はあッ!」

 

続けざまに芳佳と静夏も骸骨を倒して行く。

 

ペリーヌ「っ、この……!」

 

一網打尽にしようとペリーヌはトネールを使うが、放たれた電撃は骸骨に向かう途中でマストの引き寄せられてしまう。

 

ペリーヌ「!?トネールがマストに……」

 

音炉「引き寄せられタ!?」

 

そんなと驚いてるペリーヌに砲弾は迫る。

 

気を取られていたペリーヌはしまったと思った直後……

 

音炉「ッ!」

 

ガキィン!

 

間一髪、割り込んだ音炉がシールドで防いでペリーヌを救う。

 

音炉「大丈夫!?」

 

ペリーヌ「え、ええ……」

 

声をかける音炉にペリーヌは頷く。

 

エイラ「クソッ、倒しても倒してもキリがないんダナ!」

 

静夏「骸骨が邪魔して船にダメージが通りません!」

 

倒した所で湧いて出る骸骨にエイラは毒づき、静夏もその勢いに呻く。

 

サーニャ「なら船の横を攻撃しよう。そこからなら邪魔が入らない筈……」

 

それにサーニャがそう進言した所、幽霊船の横側の砲門が芳佳達を狙う。

 

芳佳「大砲!?」

 

エイラ「もしかしてコイツ、幽霊船は幽霊船でも海賊船カ!?」

 

驚きながらそれぞれ砲門から放たれた光弾を避ける。

 

どうするとペリーヌは必死に考えて、砲門を見て閃く。

 

ペリーヌ「空初さん!あの砲門の中に爆弾みたいなのを作って入れれません!」

 

音炉「ワカッタ!」

 

指示に音炉は頷いた後に固有魔法を使用しようとし……

 

芳佳「!危ない!!」

 

何かに気づいた芳佳が動いて咄嗟に音炉突き飛ばす。

 

その後に芳佳に何かがへばり付いて拘束する。

 

音炉「ヨシカ!」

 

エイラ「なんだこれ!?ネバネバしてるゾ!?」

 

助けようとして引き剥がそうとしたエイラは手にくっ付くのに驚いた後に外そうとして自分も巻き込まれてしまった後に2人して引っ張られた後に海賊船の船嘴(せんし)に宙ぶらりんにされてしまう。

 

サーニャ「!蜘蛛型ネウロイ!?」

 

ペリーヌ「あんなのまでいましたの!?」

 

骸骨兵達の後ろから現れた中型の蜘蛛型ネウロイに驚いていると船嘴の先から光線が放たれる。

 

見当外れの攻撃かと誰もが思った後に起こった現象に目を見開く。

 

光線が当たったを中心に幽霊船が通り抜けられる大きさの魔法陣が出来上がったのだ。

 

ペリーヌ「魔方陣!?まさか転移の!?」

 

静夏「まさか二人を連れて逃げるつもりですか!?」

 

魔法陣を見て誰もが驚いていると通信が入る。

 

ミーナ『こちらミーナ!基地目の前に転移の魔方陣が現れたわ!そっちの状況は!?』

 

静夏「え?そっちにもですか!?」

 

ペリーヌ「まさか基地に移動しようとしている……?」

 

内容に驚く中で幽霊船は魔法陣へと向かって行く。

 

ペリーヌ「追いかけますわよ!」

 

サーニャ「うん!」

 

静夏「はい!」

 

慌てて3人も魔法陣が消える前に潜り抜ける。

 

3人が潜ると同時に魔法陣は消え、辺りは静かになる。



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第八話~魔女VS幽霊船~

現れた幽霊船に囚われた芳佳とエイラ。
2人を助けるために歌を力に変える乙女2人が今戦場に舞い踊る。


ミーナ「出てきたわ!」

 

魔法陣が出現した事でストライカーを履いてすぐさま迎撃できる体制を取りながらミーナは注意する。

 

バルクホルン「まさかアントウェルペン港で出現した船型ネウロイが基地にやってくるとはな」

 

エーリカ「しかもウルスラの考えた奴で来るって気分良くないな」

 

顔を険しくするバルクホルンの隣でエーリカはぼやく。

 

シャーリー「出て来たぞ……っておい、アレ!」

 

リーネ「よ、芳佳ちゃん!?」

 

出て来た幽霊船の船嘴に縛られている芳佳とエイラを見てリーネは悲鳴を上げる。

 

私もいるゾ~と主張するエイラの後に同じ様に魔法陣を潜り抜けてペリーヌ達が合流する。

 

ミーナ「なんで二人があんなところに!?」

 

ペリーヌ「それが、船に居た蜘蛛型のネウロイの糸に宮藤さんが囚われてしまい、助けようとしたエイラさんも囚われてしまいました。下手に触ったら2人の二の舞です」

 

確認するミーナにペリーヌは報告して注意する。

 

ミーナ「ならまずその蜘蛛型のネウロイを倒さないといけないわね」

 

バルクホルン「宮藤!今助けるからな!」

 

エイラ「私もいるからナ!!」

 

このシスコン!!と叫んで揺らすエイラに芳佳はあわわとなる。

 

それに誰もが攻撃を仕掛けようとした時、幽霊船は紫色に怪しく光った後に浮かび上がる。

 

ルッキーニ「浮かんだ!?」

 

シャーリー「なにするつもりだ……?」

 

誰もが警戒してると幽霊船は回転を始め……縦横無尽に光弾や糸を飛ばして行く。

 

ハイデマリー「なっ!?っ!」

 

エーリカ「うわっととと!?」

 

攻撃の嵐に誰もが慌てて避ける。

 

ミーナ「このっ……!」

 

リーネ「……っ!」

 

反撃とばかりにミーナは他のメンバーと同時に銃撃、リーネは狙いを定めてマストを破壊しようとするが勢い良く回転する事で弾かれてしまう。

 

エイラ&芳佳「目が回るぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

静夏「み、宮藤さん!?」

 

サーニャ「エイラ!」

 

そんな激しい回転に貼り付けにされている2人は酷い目に遭っていた。

 

回転が止まると2人は目を回してグッタリしていた。

 

音炉「ヨシカ!大丈夫!?」

 

バルクホルン「くそ、2人を助けるにはどうすれば!」

 

状況にミーナは必死に頭を回転させる。

 

ミーナ「(どうする?まずは二人の救助が最優先だけど、あの幽霊船の砲撃もそうだし、蜘蛛型ネウロイの糸も厄介過ぎる。かと言って……美緒の様に斬撃を使える子は……)」

 

そう考えてからミーナはハッとなって慌ててインカムでミセスSに通信を取る。

 

ミーナ「ミセスS!あなたに聞きたい事があります!」

 

ミセスS『む?なんじゃ?』

 

光弾が放たれる中でミーナは確認したい事を聞くと出来ると返された後にすぐさまある事をお願いをする。

 

ミーナ「……と言う事でお願いします!」

 

ミセスS『うむ、分かった。すぐさま準備しよう』

 

その言葉と共に通話を終えた後にミーナはメンバーに言う。

 

ミーナ「皆、時間を稼ぎながら基地に近づかせない様にするのよ!」

 

エーリカ「時間稼ぎ!?」

 

バルクホルン「……何か策があるんだなミーナ!」

 

ええと返したミーナに分かったと返してバルクホルンは幽霊船の周りを飛び回る。

 

あたしもとシャーリーも周りを飛ぶ。

 

シャーリー「バルクホルン。ついでにあの蜘蛛型ネウロイを退治しちまおうぜ」

 

バルクホルン「策があるのか?」

 

威嚇する様にしながらこちらを見ている蜘蛛型ネウロイをみつえながらバルクホルンは問う。

 

シャーリー「ああ。あいつを船から引きずり出してやる方法があるから出てきたあいつを倒すのを」

 

バルクホルン「私がすればいいんだな。了解した」

 

じゃあ行くぞ!とシャーリーは蜘蛛型ネウロイへと突撃する。

 

蜘蛛型ネウロイ「!」

 

シャーリー「食らいな!」

 

銃弾を放つシャーリーに蜘蛛型ネウロイは糸を飛ばす。

 

それはシャーリーの体に巻き付いて蜘蛛型ネウロイは引っ張ろうとする。

 

シャーリー「よし、かかった!」

 

ニヤリと笑って自身も魔法を使って勢い良く距離を取る。

 

蜘蛛型ネウロイ「!?」

 

シャーリー「おっと。負けるかぁ!」

 

それに蜘蛛型ネウロイは引っ張られてしまうと慌てて踏ん張ってシャーリーを引っ張ろうとしてシャーリーも負けじと速度を上げる。

 

ルッキーニ「頑張れシャーリー!」

 

静夏「そうか!イェーガー大尉の速さにネウロイの糸を出す速さが追い付けなくなって、引っ張られるから!」

 

リーネ「蜘蛛型ネウロイはやがて……」

 

応援するルッキーニの隣で静夏とリーネはシャーリーがやろうとしてる意図に気づく。

 

その後に踏ん張りが出来ずに耐え切れなくなった蜘蛛型ネウロイはシャーリーに引っ張られる形で幽霊船から引きずり降ろされ……

 

シャーリー「今だ!」

 

バルクホルン「食らえ!」

 

下に回り込んでいたバルクホルンが蜘蛛型ネウロイの無防備なお腹へと銃弾を叩き込んで行く。

 

体全体に銃弾を撃ち込まれた蜘蛛型ネウロイはコアを撃ち抜かれたのか、そのまま四散して行く。

 

その直後、歌が周囲に響き渡る。

 

その歌に芳佳を除いて誰もが聞き覚えがあった後……

 

 

α式 百輪廻

 

 

大量の丸鋸が飛んで来て幽霊船を切り刻む。

 

その際の数枚が芳佳とエイラを縛る蜘蛛の糸を切り刻んで2人を開放し、バルクホルンが2人を回収する。

 

エーリカ「なに今の!?」

 

ペリーヌ「あ、あれを!」

 

驚くエーリカの後にペリーヌが飛んで来た方を見て叫ぶ。

 

そこにいたのはルッキーニと同じ制服を身に纏い、ツインテールを包む様に伸びた機械が付いたヘッドギアを装着し、ストライカーを履いた調の姿があった。

 

ルッキーニ「えー!?わたしと同じ服ー!?」

 

シャーリー「なんだあの姿?」

 

驚いているとお待たせデース!と言う声と共にシャーリーは風が通ったと思った後に自分に張り付いていた蜘蛛糸が切れる。

 

顔を向けるとエーリカと同じ制服を纏った切歌がいた。

 

エーリカ「切歌は私と同じ服だ!」

 

サーニャ「これって一体……?」

 

驚いているエーリカ達にミセスSの笑い声が響く。

 

ミセスS『ほっほっほっ、今お主ら目にしたのは見せたギアのもう1つの特徴。心に強いイメージをする事でそれに見合った変化を起こす心象変化じゃ。今の2人のは言うなればウィッチ型ギアじゃな』

 

ルッキーニ「ウィッチ型ギア……すごーい!」

 

シャーリー「そんなこともできるのか」

 

ミセスSの説明を聞いて目を輝かせるルッキーニと感嘆するシャーリーのに2人は照れる。

 

ミーナ「皆油断しないで!」

 

そこにミーナの警告が入って誰もが幽霊船を見ると表面を切り裂かれた幽霊船からドンドン木の板が落ちて行く。

 

そして……

 

ハイデマリー「本体を現しましたね」

 

音炉「……アレ?」

 

現れた黒い金属製の外装にハイデマリーが呟く中で音炉は首を傾げる。

 

静夏「どうかしたんですか音炉さん?」

 

音炉「いや、ナンカ思ってたのと違ウからおかしいなと思って」

 

そうなんですか?と首を傾げる静かに切歌と調も同意する。

 

切歌「モデルになっているうやつならアレが出来ていた筈デス」

 

調「どうやってしまっていたのかわからないアレがね」

 

バルクホルン「モデルだと?あれも何かの元があるのか?」

 

告げられた事にバルクホルンは聞く。

 

調「はい。私達が知っている物語に出てきた兵器です」

 

切歌「しかも1回は戦った事もあるんデスが、あんなのじゃなかったのデス」

 

戦った事あるんだとエーリカが呟いた後に幽霊船は攻撃再開とばかりに骸骨兵と共に砲撃を始める。

 

ペリーヌ「また来ましたわね。ですが蜘蛛型ネウロイのがない分、先ほどよりは……」

 

音炉「……!」

 

避けながら呟いたペリーヌの隣で音炉は何かに気づいて言おうとした瞬間……

 

ビシャーーン!!!

 

幽霊船のマストから全方位に雷撃が放たれる。

 

リーネ「きゃっ!?」

 

シャーリー「うおっ!?」

 

放たれたのに誰もが慌てて避ける。

 

ペリーヌ「まさかこれって……先ほど吸収したわたくしのトネール!?」

 

音炉「おそらくサッキ吸収したのを中で増幅サセテ使ってル!」

 

そんなとまさか自分の魔法を利用されると言うのにペリーヌはショックを受ける。

 

ペリーヌ「(わたくしの……クロステルマン家の固有魔法を悪用されるなんて!)」

 

自身の誇りを利用された事にペリーヌの動きが鈍り、避けようとして飛んで来た光弾を防ごうとして受け止めきれずに衝撃で吹き飛び、そこを別の光弾が迫る。

 

ペリーヌ「(しまっ!?)」

 

音炉「ベリーヌ!」

 

思わず目を瞑ったペリーヌは音炉の声がした後に呻き声が耳に入る。

 

音炉「ッ……!」

 

ペリーヌ「!空初さん!」

 

眼を開けてみると顔を顰めた音炉の顔が目に入る。

 

リーネ達からは音炉がペリーヌを庇い、背中に傷を受けたのが目に入った。

 

ペリーヌ「あなた……なんで!?」

 

音炉「へへ無事で良かッタ」

 

良くありませんわ!!とペリーヌは叫ぶ。

 

ペリーヌ「なんで自分の身を犠牲にするような真似をするんですの!?確かにあなたは私達と体の構造が違いますけども!自分の体を犠牲にする事をあなたが慕う宮藤さんが良しとするとでも思うのですか!!」

 

音炉「?違うノ?」

 

心底分からない感じに首を傾げる音炉にペリーヌは苛立つ。

 

ペリーヌ「宮藤さんが優しい人物なのは御分かりなのでしょう!あなたに戦い方を教えた人達は自分の体を犠牲にしてまで誰かを守る事を教えたんですの!?」

 

音炉「えーット……教えてモラッテはナイ。でも割としてたカナ?」

 

してたと言う言葉にペリーヌは愕然とする。

 

ペリーヌ「(その方々はどうしてそんな無茶な事をするんですの!?そんな事をしていれば死んでしまうかもしれないのに!?)」

 

戸惑うペリーヌに音炉は首を傾げる。

 

音炉「守りたいものに命かけるノハ普通じゃないノ?」

 

ペリーヌ「!それは……」

 

その言葉にペリーヌは口籠る。

 

確かに、守る為に命を懸けると言うのは分かる。

 

だが、その賭け方を履き違えれば死に至る。

 

ペリーヌ「はあ……良いですか空初さん。確かに守る為に命を懸ける。それは合ってますけど間違ってますわ」

 

音炉「?」

 

首を傾げる音炉にペリーヌは続ける。

 

ペリーヌ「命を賭けると言うのは確かに命を捨てる覚悟で物事に立ち向かう事ですが……ホントにかけてしまったら、再び宮藤さんは悲しむ事をお考えですか?」

 

音炉「ア……」

 

そう言われて音炉はハッとなる。

 

ペリーヌ「逆も然りです。宮藤さんがあなたの為に命を懸けて死んでしまったら……悲しいでしょ?」

 

音炉「ヤダ!絶対イヤ!」」

 

顔を振る音炉にそういう事ですとペリーヌは頷く。

 

ペリーヌ「だからもうそんな自分の体を顧みない行動は慎んでください。宮藤さんの笑顔をみたいならね」

 

音炉「ウン、分かった!」

 

頷いたのを見て良い子ですわと言った後に幽霊船ネウロイを見る。

 

ペリーヌ「さて、私の魔法を悪用してくれた罪、万死に値しますわ!」

 

音炉「ヨシカを捕まえタのもユルサない!」

 

そう言って2人は飛び出す。

 

音炉「ペリーヌ!アタシ、マスト壊す!」

 

ペリーヌ「了解ですわ!」

 

向かって来る電気をペリーヌが受け止め、その間に音炉は髪を伸ばしてハンマーに変える。

 

音炉「とりゃぁアアアア!!」

 

バキッ!!

 

勢い良く振るったハンマーは雷を放って皆を襲っていたマストをぶっ壊す。

 

音炉「今ダ!」

 

ペリーヌ「ええ!トネールッ!!」

 

先程までのお返しとばかりにペリーヌは電撃を浴びせる。

 

電撃を浴びた骸骨兵は次々と消滅して行き、海賊船を壊して行く。

 

ルッキーニ「うっわー、凄い威力」

 

リーネ「!あ、アレ!」

 

今まで以上に感じる電撃にルッキーニが呟く中でリーネは壊れた中にコアがあるのを発見する。

 

バルクホルン「よし、集中攻撃で破壊する…」

 

ミーナ「待って!ネウロイの様子が変よ!?」

 

2人に続こうとするバルクホルンをミーナは止める。

 

彼女の言う通り、幽霊船の様子がおかしい。

 

壊れて行くのが異常に早い感じがするのだ。

 

エーリカ「そんなにペリーヌのトネールの威力強かったのかな?」

 

切歌「あーこれはもしかして……」

 

調「……皆さん、ここからが本番だと思います」

 

首を傾げるエーリカの隣に来た切歌は何かに気づき、調はそう言う。

 

シャーリー「?どういう事だ?」

 

調「おそらく最終形態に変形しようとしているんです」

 

サーニャ「さ、最終形態?」

 

出てきた言葉に目を丸くするサーニャの後に静夏がハッとなる。

 

静夏「まさかさっきお2人が言ってた思った奴になると言う事ですか?」

 

切歌「多分そうだと思うデス」

 

調「どうやら來るっぽい」

 

その言葉に誰もが身構え、エイラと芳佳も意識を取り戻すと壊れたパーツが再集結して幽霊船は変形して真の姿を現す、

 

前に戦ったもぐりんのに似た姿のネウロイで背中にマストの様なのを備えている。

 

切歌「飛行船もぐりんデス!」

 

エーリカ「うわー」

 

ルッキーニ「またダサい」

 

前の奴が嫌な事をして来たので嫌な顔をするエーリカの隣でルッキーニはそう述べる。

 

ペリーヌ「!来ますわよ!」

 

音炉「来る!」

 

その言葉と共に側面に付いたレーザー砲からレーザーが放たれる。

 

エイラ「よっと」

 

エーリカ「うわっ!?」

 

放たれるレーザーをメンバーは基地の方に当たらない様に避けて行く。

 

バルクホルン「こいつ!」

 

シャーリー「食らいやがれ!」

 

銃撃するバルクホルンとシャーリーだが銃弾は装甲に当たるとキンキンキンと弾かれた音を出す。

 

バルクホルン「くっ、硬いな!」

 

シャーリー「うおっ!?」

 

呻いた後に襲い掛かるレーザーを潜り抜ける。

 

ペリーヌ「レーザーが届かないマストの影に…!」

 

音炉「あ、それ駄目!風にやらレル」

 

隠れようとしたペリーヌを音炉が止める。

 

ミーナ「3人とも、あれの元になったのを知ってるなら攻略法は!?」

 

切歌「アイツの武装を破壊して、最後のドリルをアイツにぶつける。ただそれだけデス!」

 

調「後はマストを雁字搦めにして動かなくするとか」

 

エイラ「そうと決まれば!」

 

ならばとエイラが飛び出し、レーザー砲のを避けて行くとその間を通り抜け、レーザー砲は追いかけていた事で同時に自分を破壊する結果となる。

 

エイラ「まずは一個!」

 

ルッキーニ「よーし!アタシも!」

 

そう言って同じ様に向かおうとしたルッキーニにネウロイの口からミサイルが放たれる。

 

ヤバッと慌てて避けるルッキーニだがミサイルはルッキーニを追跡する。

 

ルッキーニ「おっかけてくるー!」

 

ミーナ「追尾してくるの!?」

 

静夏「ルッキーニ少尉!っ!?」

 

驚いた後に自分にも向かって来るのに気づき、静夏も避けて逃げる。

 

助けようとした切歌も自分も誘導ミサイルに狙われて避ける。

 

切歌「来るなデース!」

 

静夏「くっ!」

 

ルッキーニ「このーっ!」

 

ミーナ「!3人とも、ギリギリまで引き寄せてお互いのをぶつけ合うのよ!」

 

必死に逃げる3人へミーナが叫ぶ。

 

切歌「あ、確かに原作でもそうしてたデス!」

 

静夏「りょ、了解!」

 

ルッキーニ「了解!」

 

すぐさま3人はお互いを確認しながら飛んで……

 

静夏「ここです!」

 

ルッキーニ「うん!」

 

切歌「はいデス!」

 

合図と共にそれぞれ方向転換してギリギリ避けると共にギリギリまで引き寄せられた誘導弾は同時にぶつかって爆発する。

 

バルクホルン「おい空初!縄を作れるか!それも太くて頑丈な奴を!」

 

音炉「ワカッタ!」

 

何回か撃ってから埒が明かないと判断してバルクホルンが音炉にそう確認し、音炉は言われた通りに太くて頑丈な長い縄を作り上げる。

 

それをバルクホルンは受け取ると輪っかを作ってから近づいてから勢いを付けて輪っかにした方を投げ飛ばしてマストに巻き付ける。

 

バルクホルン「リベリアン!!」

 

シャーリー「おう!」

 

呼びかけにすぐさま察したシャーリーはバルクホルンから縄を受け取ると自分の能力で加速して縄をマスト全体に巻き付けて行き、マストを動かない様に固定する。

 

シャーリー「よしっ!ひっぱれバルクホルン!」

 

バルクホルン「おう!」

 

傍に戻ったシャーリーから返された縄を掴んでバルクホルンは力の限り引っ張り上げる。

 

ギギギギギバキン!!

 

それによりマストは飛行船もぐりんネウロイから抜き壊されて四散する。

 

飛行船もぐりんネウロイ「ギィィィィィィ!!!!?」

 

エーリカ「トゥルーデたちばっかり見ていると今の様に痛い目に遭うよ!!」

 

サーニャ「発射!」

 

吠える飛行船もぐりんネウロイに接近していたエーリカがそう言って上から銃撃して丸のこを破壊し、もう片方もサーニャのロケット弾で破壊される。

 

ミーナ「これで残りはドリルだけ!」

 

呟いた後にミーナはどう出るかと思っていると飛行船もぐりんネウロイは鼻ドリルを飛ばす。

 

音炉「ドリル来た!」

 

切歌「ようし!……そう言えば調、あたし達でどうやって受け止めるか考えてなかったデスね」

 

調「あ」

 

気合を入れた後に確認する切歌に調も声を漏らす。

 

シャーリー「うおい!?あんたらが受け止めたとかなかったのか!?」

 

切歌「いやー、受け止めたのは違う方だったので…」

 

調「ど、どうしよ……」

 

まさかの言葉に驚くシャーリーに切歌と調は焦る。

 

ルッキーニ「ドリルが来るよ!!」

 

エーリカ「その時の再現的なの出来ないの!?」

 

切歌「ん~ちょっと難しいデスね。あれは凄いパワー持った人が三人と超頑丈なリボンでやっと止められたのですし」

 

音炉「あれは凄カッタ!」

 

シミジミと言う音炉にいやシミジミ言ってる場合はねえよ!?とシャーリーがツッコミを入れる。

 

エーリカ「ホントどうするのこれ!?」

 

ペリーヌ「……あの、普通にあのコアを破壊すればいいのではないですか?」

 

わたわたするエーリカの後にペリーヌが指さしながら言う。

 

確かに鼻ドリルを飛ばした事で見える穴にコアがハッキリと見えていた。

 

ミーナ「リーネさん!!」

 

リーネ「は、はい!」

 

すぐさま指示するミーナにリーネも頷いて返して狙いを定め……

 

リーネ「…そこっ!」

 

照準が定まると共に発砲。

 

放たれた弾丸はコアの真ん中を撃ち貫く。

 

パキーーン!!

 

それによりコアは四散し、飛行船もぐりんネウロイは消滅して行き、迫っていたドリルも消滅する。

 

ペリーヌ「やりましたわね」

 

音炉「ヤッター!」

 

切歌「……ネウロイって前提をすっかり忘れてたデース;」

 

エーリカ「まぁ、コアを丸出しにしてたらお間抜けだよね」

 

消えて行った飛行船もぐりんネウロイがいた所を見ながらうーむと唸る切歌にエーリカはそう言う。

 

芳佳「やっとフラフラが取れた……うわっ!?」

 

ぼやいた後に芳佳は落ちかけそうになってペリーヌに支えられる。

 

ペリーヌ「大丈夫ですの?宮藤さん」

 

芳佳「あ、ペリーヌさん。ありがとうございます」

 

全くとぼやきながらとにかく戻った方が良いですわねと呟いて戻っていくペリーヌと付いて行く音炉とリーネと静夏を見た後にミーナは切歌と調を見る。

 

ミーナ「2人とも、協力感謝するわ」

 

切歌「いえいえ。大丈夫デスよ」

 

調「困った時はお互い様と言いますし」

 

礼を述べるミーナに切歌と調はそう返す。

 

ミーナ「美緒の警護以外で今回の様な事態になったら頼むかもしれない可能性があると思うのでその時もお願いしてもいいかしら?」

 

調「はい。わかりました」

 

切歌「頑張るデス!」

 

ありがとうと言った後に帰投命令を出して全員基地へと帰還する。

 

終わったのを報告できいた坂本はふーと息を吐く。

 

坂本「しかしシンフォギア、改めて凄い技術だ」

 

ミセスS「この世界の時代より100年ぐらい先の技術じゃだからのう……」

 

未来の技術か……と坂本は呟く。

 

坂本「その技術がなければ倒せない存在がいるのだな、彼女達の世界は……」

 

ミセスS「……まあそうじゃな」

 

感慨深く呟いた坂本のにミセスSは肯定する。

 

実際倒せない存在がいるとの言うのは合っている。

 

ミセスS「(流石にアレのデータは奪われてはないから大丈夫じゃと思うが、出て来られるとその時点で詰みになりかねんからな……)」

 

ううむとミセスSが唸る中、坂本はシンフォギアである事を考えていた。

 

坂本「(シンフォギア……ウィッチではない者でも戦える力……もし私にも使えるのなら……)」

 

自分の手を見る坂本にミセスSは気づく。

 

ミセスS「(美緒ちゃん……もしやシンフォギアを……じゃが…)」

 

ううむとミセスSは唸る。

 

如何せん、シンフォギアにも相性や適合率がある。

 

坂本に合うのを見つけて加工し、ホントに使えるか確かめる必要もあるのだ。

 

ミセスS「(……む?そう言えば美緒ちゃんには確か……)」

 

考えていて思い出す。

 

彼女には、彼女自身が自分の全身全霊を込めて作り上げた刀、烈風丸があると言うのを……

 

切歌達の世界の聖遺物は現代の技術では製造不可能の古の時代の異端技術(ブラックアート)の結晶と言われている。

 

烈風丸も、広い範囲で見れば坂本美緒自身の魔力や技術でしか製造できない聖遺物とも言える。

 

誰かが自分の魔力を使って烈風丸と似た刀を作り上げたとしても、それは烈風丸を模した刀であって()()()()()()()()()()()ではない。

 

ミセスS「(もしかすると……適応するのかもしれんのう)」

 

物は試しと言うのもあるとミセスSは坂本へ提案する。

 

ミセスS「美緒ちゃんや、もしも戦える力をまた取れると聞いたら、お主はどうする?」



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第九話~真夜中の戦い~

音炉。初めての夜間懲戒


幽霊船の騒動から暫くして……

 

ハイデマリー「空初さんとの夜間哨戒ですか?」

 

ミーナ「ええそうよ。サーニャさんと交互に夜のパトロールをして貰う事になるからその際の随伴者として彼女にしたわ」

 

呼び出されたハイデマリーはミーナから告げられた事に成程となる。

 

ミーナ「それにSさんから聞いている空初さんの学習能力を考えたら最強のナイトウィッチのあなたと一緒での戦いは彼女のいい経験になると思うわ」

 

ハイデマリー「……分かりました」

 

理由のにハイデマリーは納得する。

 

確かに彼女にナイトウィッチのを経験させてあげればその分、夜でのパトロールの負担も減る。

 

後は個人的にも彼女と話してみたいと言うのもあった。

 

ハイデマリー「じゃあこれから夜に備えて就寝しますので失礼します」

 

ミーナ「はい、宜しくね」

 

はいと返してハイデマリーは退室する。

 

部屋に向かう途中で芳佳と音炉と出会う。

 

芳佳「あ、ハイデマリーさん!」

 

音炉「オッスハイデマリー。今日の夜はヨロしく!」

 

ハイデマリー「はい、空初さん。今晩はよろしくお願いします」

 

挨拶する音炉にハイデマリーも頭を下げる。

 

芳佳「音炉ちゃん。おっすは流石に駄目だよ;」

 

音炉「ん?」

 

ダメだった?と首を傾げる音炉にハイデマリーはくすりと笑う。

 

ハイデマリー「(面白い方ですね空初さん。本当にネウロイなのか疑問に思えるほどに)」

 

そう思っているとあ、そうだと音炉はクッション型ネウロイを出す。

 

と言ってもハイデマリーが見た良くルッキーニが寝転がっているような大きさのではなく、良くある枕サイズの大きさのであった。

 

音炉「コレ、良かったらドーゾ!」

 

ハイデマリー「あ、どうも」

 

受け取ってハイデマリーはホントネウロイなのに柔らかいとモフモフしながら感心する。

 

芳佳「じゃあ音炉ちゃんも夜に備えて寝ようか」

 

音炉「分かっタ!」

 

笑って言う芳佳に音炉は頷く。

 

芳佳「それじゃあハイデマリーさん。音炉ちゃんをお願いします」

 

ハイデマリー「はい」

 

それじゃあ芳佳は歩いて行き、音炉と歩き出したハイデマリーはクッション型ネウロイを抱き締める。

 

ハイデマリー「ものすごいふかふかですね。これならぐっすり眠れそうです」

 

音炉「それは良かったゾ」

 

ニコニコ顔の音炉にハイデマリーは聞く。

 

ハイデマリー「……あの、空初さんは夜の空を飛んだことありますか?」

 

音炉「んー……キリカ姉とシラベ姉の世界でストライカーの試運転をやったのはお昼とかだったカラ、これが初めて」

 

そうなんですねとハイデマリーは2人の世界と言うのでもう1つ質問する。

 

ハイデマリー「ネウロイだった頃はどうですか?」

 

音炉「その頃はんー……あんまりだネ」

 

そうなんですか……とハイデマリーは呟く。

 

ハイデマリー「そう言えばSさんと調さんと切歌さんに話に出たクリスさん以外はどんな人がいるんですか」

 

音炉「えっと響姉さんと未来お姉ちゃんとあと……」

 

そう言って楽し気に放す音炉にハイデマリーはくすりと笑う。

 

 

 

 

暫くして夜になり、ハイデマリーと音炉は夜のパトロールに出発する準備をしていた。

 

見送りに芳佳と切歌、調もいる。

 

芳佳「それじゃあ音炉ちゃん。気をつけてね」

 

切歌「鳥にぶつからない様に気を付けるデース!」

 

音炉「ハーイ!」

 

見送る2人に音炉は元気よく答える。

 

調「ハイデマリーさん。音炉をお願いします」

 

ハイデマリー「はい。それでは出撃します」

 

その言葉と共に音炉とハイデマリーは出撃する。

 

ハイデマリー「大丈夫ですか空初さん」

 

音炉「大丈夫だゾー。朝や昼とは違う感じでワクワクしてる」

 

楽し気にそう言う音炉にそうですかとハイデマリーは返しながら辺りを魔導針を展開しながら探査する。

 

ハイデマリー「(今のところ反応はないですね。今はこのまま彼女と夜の空を楽しみましょうか)」

 

そう思いながらハイデマリーは音炉と共に飛ぶ。

 

音炉「夜の空、星がキレイ!」

 

ハイデマリー「こうやって星々を見れるのは良いですよね」

 

うん!と頷く音炉にハイデマリーは微笑む。

 

ハイデマリー「切歌さん達の世界でもこんな星空は見れましたか?」

 

音炉「見れた!流れ星凄カッタ!」

 

流れ星ですか……とハイデマリーは思い浮かべる。

 

ハイデマリー「それは綺麗な星空だったんですね」

 

うんと音炉は頷く。

 

音炉「ものすっごくキレイ!」

 

その言葉を聞いてハイデマリーはホントに綺麗なんだなと思った。

 

そのまま何事もなく終わりそうだとハイデマリーが思った時……

 

音炉「!?」

 

直後だ、音炉が髪を使ってハイデマリーを引っ張った。

 

それにハイデマリーは驚きのあまり銃を放した結果、ハイデマリーがいた所を赤い光線が通り過ぎ、銃は爆発する。

 

ハイデマリー「なっ!?今のって……!」

 

音炉「ネウロイ!」

 

驚いている間に音炉はハイデマリーを引っ張って回避行動に移ると次々と光弾が通り過ぎて行く。

 

音炉「凄い攻撃!当たるとヤバい!」

 

ハイデマリー「さっきまで反応はなかった……ステルスタイプですか…!」

 

必死に避ける音炉に当たらない様にシールドを展開していたハイデマリーは顔を歪める。

 

先程のも、音炉の直感がなければハイデマリーは危なかった。

 

ハイデマリー「(まさかここまで完璧なステルスと高い攻撃力を兼ねそろえたネウロイが居るなんて……!)」

 

音炉「ハイデマリー!」

 

これ!と音炉は自分の持っていた銃をハイデマリーに投げ渡す。

 

ハイデマリー「ありがとうございます。ですがそちらは…」

 

音炉「ダイジョウブ!」

 

そう言って腕や髪を変化させる。

 

あ、そう言えばそうでしたねとハイデマリーは納得した後に光弾を避ける。

 

音炉「凄い弾幕!近づけナイ!」

 

ハイデマリー「姿も見えないし、隙が無い……!」

 

2人はそれぞれ避けながら探そうとするが姿が見当たらない。

 

ハイデマリー「(一体何処から…!?)」

 

音炉「ウウ、どこだ!」

 

見渡す中で音炉はうぬぬと唸る。

 

音炉「居るのは確実。ソレなら…!

 

そう言ってハイデマリーを自分の傍に引き寄せると髪と腕の砲門を全方位に当たる様に狙いを定め……

 

音炉「サッサと姿を現せ!!!」

 

光弾をばら撒いた。

 

ばら撒かれた光弾は様々な方向に飛んで行き……1方向だけ爆発を起こす。

 

ハイデマリー「見つけた!」

 

音炉「居た!」

 

すぐさま2人は爆発の起こった場所を攻撃すると火花が散り、やがてネウロイが姿を現す。

 

ギュィィィィィィン!!

 

音炉「やっと姿、見エタ!」

 

ハイデマリー「透明になっていたんですね」

 

鳴き声をあげるネウロイに音炉は鼻息を出し、ハイデマリーは構える。

 

ハイデマリー「気をつけてください。姿が見えたとはいえ奴の攻撃はかなり高いです」

 

音炉「ウン。流石にあんなのに当たるのはゴメンだヨ!」

 

会話しながら2人は避けつつ攻撃を仕掛けるが、命中してるものの、ネウロイのコアに当たってないので健在であった。

 

音炉「っ!避けるのに精いっぱいでコアを狙いニクイ!」

 

ハイデマリー「確かにこれは……!」

 

呻く2人を前に悠々と飛びながらネウロイは攻撃の手を止めない。

 

ハイデマリー「(なんとか攻撃の手を緩めさせて、コアを破壊しないと……)っ!」

 

応援を呼びたいけれど、激しい攻撃のもあって通信していたら攻撃に当たる可能性がある。

 

どうすれば……と思った時……

 

ドーン!!

 

ギィィィィィィン!?

 

別の方向から飛んで来たロケット弾がネウロイを攻撃する。

 

ハイデマリー「え…!?」

 

???「オーイ、大丈夫か?」

 

突然の事に驚くハイデマリーは声のした方を見るとそこにはエイラとサーニャがいた。

 

音炉「エイラ!サーニャ!」

 

ハイデマリー「お二人とも、どうして此処に?」

 

エイラ「変な予感を感じて来たんだよ」

 

サーニャ「それで来たら正解だったね」

 

どうしてここにと問うハイデマリーにエイラとサーニャはそう返す。

 

ギィィィィィィン!!

 

それに怒る様に叫ぶネウロイのサーニャのフリーガーハマーのミサイルが当たった事で壊れた所が輝いていた。

 

音炉「アッタ!コア!」

 

サーニャ「あそこを狙えば……」

 

ハイデマリー「…!新たなネウロイの反応を感知!」

 

すぐさま壊そうとしたがハイデマリーの報告と共に上から攻撃が来て、それぞれ分かれて避ける。

 

現れたのはアントウェルペンで戦ったネウロックⅡであった。

 

サーニャ「ネウロック!?」

 

エイラ「マズイな…。アイツがあのネウロイと合体したら手に負えないゾ」

 

ハイデマリー「……では奴の相手は私がします。皆さんはあのネウロイを」

 

呻くエイラにハイデマリーがそう言って返事を待たずにネウロックⅡへと向かう。

 

ネウロックⅡ「任務妨害発生、排除スル」

 

ハイデマリー「あなたの相手は私です」

 

そう言って攻撃を仕掛けるハイデマリーにネウロックⅡは火花を散らしながら手から光弾を放つ。

 

ハイデマリー「!」

 

向かって来たのを避けてハイデマリーはすぐさま攻撃する。

 

ネウロックⅡは腕で防いでそのままハイデマリーに向けて腕を振るう。

 

ハイデマリー「ふっ!」

 

振るわれた腕に対し、ハイデマリーはシールドで防いでそれにより出来た隙を使ってカウンターで銃撃を浴びせる。

 

ハイデマリー「(!見えた…!)」

 

その際に胸に当たった銃弾で壊れた事で露出した輝くコアを視認し、ハイデマリーは攻撃しようとして腕で遮られる。

 

エイラ「このっ!」

 

サーニャ「これで…!」

 

後ろでは音炉とエイラが作った隙を突いてサーニャがミサイルをステルスネウロイのコアへと叩き込んでステルスネウロイを撃破した所であった。

 

音炉「まずは一体!」

 

エイラ「残りはネウロックだけダナ」

 

コアを破壊しようとして苦戦しているハイデマリーと合流する為に3人は向かう。

 

ネウロックⅡ「相手の回避能力、想定より上だと判断。修正します」

 

その言葉と共にネウロックⅡの目が強く輝く。

 

エイラ「こっちは終わらせたゾ!」

 

ハイデマリー「良かった。けど、あのネウロックは何をしてるんでしょうか?」

 

音炉「おそらく、ハイデマリーのデータを修正してイル」

 

合流した3人に安堵してからネウロックⅡを見て疑問を呟くハイデマリーに音炉がそう返す。

 

ネウロックⅡ「修正完了。反撃開始」

 

その言葉と共に先ほどよりも速い動きで飛びながら光弾を放ち始める。

 

ハイデマリー「動きが早くなった…っ!」

 

音炉「戦いながらバージョンアップなんてアタシのマネ!ズルい!」

 

誰もがギリギリ避ける中でネウロックは音炉とハイデマリーを攻撃しつつ、対象であるエイラとサーニャに弾幕を多く展開する。

 

サーニャ「っ、動きが早い…!」

 

エイラ「クソッ、一体どうすれば……」

 

予知もしづらいとかマジでこっちの対策済みかよとエイラは毒づきながら合間を避ける。

 

音炉「せめてアイツの目を潰せれば……」

 

エイラ「目?目か……」

 

ピーンと何かを思いついたエイラは音炉に耳打ちする。

 

エイラ「(おい、強烈な光を出せる様なのとか作り出せそうか?)」

 

音炉「(光?んーできるケド、それよりもいい考えがあるヨ)」

 

どんな?とエイラは問うと……

 

音炉「こんな!」

 

次の瞬間、手からボールの様なのが飛び出す。

 

それにネウロックⅡは壊そうと銃弾で撃ち抜くが……

 

ドパーン!!

 

貫かれたボールから液体が飛び出してネウロックⅡの顔にへばり付く。

 

ネウロックⅡ「!?視界不能!?」

 

音炉「訓練で使うペイント弾を真似シテ作ったペイントボール!」

 

エイラ「オー、なるほど……」

 

ハイデマリー「今が好機です!」

 

だな!と同時にコアを狙い撃つ。

 

ガガガガガガガガガ!!!!

 

コアに当たり続け、やがてコアにひび割れが起こって行く。

 

ネウロックⅡ「ピガァ!コア、破壊、機能停止、きの……う……てい……し……」

 

パキーーーん!!!

 

その後にコアは壊れ、ネウロックⅡも四散して行く。

 

音炉「ヤッタ!」

 

エイラ「ふぅ、面倒な相手だったゼ」

 

喜ぶ音炉の隣でエイラは息を吐き、サーニャとハイデマリーはやりましたねと笑いあう。

 

ハイデマリー「手ごわい相手でしたね…」

 

サーニャ「うん。これからもあんなネウロイが来る事になるのね」

 

ウォーロックⅡがいるベルリンの方角を見ながら呟くサーニャにまぁ、やるしかナイなとエイラが腕を後ろに組んで呟く。

 

エイラ「んじゃ基地に帰還するとするか」

 

音炉「ウン」

 

何もない事を確認して4人はその場を離れる。

 

 

 

 

帰還するとミーナと坂本、ミセスSに芳佳がいた。

 

ミーナ「良かった。4人とも無事だったのね」

 

ハイデマリー「はい。全員、無事帰還しました」

 

通信をしてなくてすいませんと謝罪するハイデマリーに良いのよとミーナは首を横に振る。

 

ミーナ「無事なのがなによりよ、今度からは気を付けてね」

 

音炉「ウン、分かった!」

 

頷いた後に芳佳~と音炉は早速芳佳に駆け寄る。

 

ミーナ「ホントに分かってくれてるのかしら……」

 

ミセスS「まあ、大丈夫じゃろ。芳佳ちゃんもおるし」

 

坂本「宮藤がちゃんと躾けてくれれば良いだけだな」

 

躾けっていとミーナは思ったが芳佳に甘えている音炉を案外ペットに近い感覚に見えてもおかしくないわねと思い直すのであった。

 

ハイデマリー「(……空初さん。今回の戦いであなたを改めて知る事が出来ました。芳佳さんの様に誰かの為に頑張れる優しい子だと言うのを)」

 

そんな2人の様子にハイデマリーはくすりと笑う。

 

距離が縮めたかなと感じながらハイデマリーはエイラとサーニャと共に続く。

 

 

 

 

ベルリン

 

紫色の光を放つネウロイ達が飛び交う中、ひときわ目立つ基地と言われても違和感ない人が入るには巨大な建物の中でそれは画面を見ていた。

 

???「次ノターゲット、コイツヲ餌トシテ釣ロウ」

 

機械音声で呟いた後、操作をし始める。

 

後ろでは改造されていくネウロイがおり、見ていた画面には、エーリカに瓜二つの少女が映し出されていた。



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第10話~ウルスラの目覚め~

基地にミセスSを尋ねにウルスラが来る事を知るウィッチーズ。
しかし、そんなウルスラへとウォーロックの魔の手が……


前回から暫くして……

 

エーリカ「え?ウルスラがこっちに来るの?」

 

集められた中で告げられた事にエーリカは驚きの声を漏らす。

 

ミーナ「ええ。技術省の方からミセスSさんの科学技術を見学しに来るみたいなの」

 

シャーリー「あー確かにあの人の技術凄いからなー。各国が少しでも手に入れようとするわけか」

 

理由を言うミーナにシャーリーもミセスSのやっている事を思い返して納得する。

 

坂本「それでカールスラントの方からはウルスラがくるってことか。大丈夫なのかミセスS」

 

ミセスS「まあ、彼女なら大丈夫じゃろ。科学技術の危険性もよくわかっておるじゃろうし」

 

坂本「それでカールスラントの方からはウルスラがくるという事か。そこは大丈夫なのかミセスS?」

 

ミセスS「まあ、彼女なら大丈夫じゃろ。科学技術の危険性もよくわかっておるじゃろうし」

 

確認する坂本にミセスSはそう返す。

 

音炉「ねえ、ヨシカ。ウルスラって誰?」

 

芳佳「あ、そっか。音炉ちゃんは知らないんだった」

 

首を傾げる音炉に芳佳はエーリカを見る。

 

芳佳「えっとウルスラさんはハルトマンさんの双子の妹で技術省ってところでいろんな武器を開発しているんだよ」

 

音炉「へー……ハルトマンにそっくり?」

 

簡単に説明した芳佳は音炉のにうんと頷いてからあれ?となる。

 

何か引っかかったのか首を傾げ、他のメンバーもん?となる。

 

誰もがんん?と引っ掛かりになんでだろうと思った時……

 

切歌「Sちゃん!緊急事態デス!」

 

調「ウルスラさんが乗っている飛行機から救難要請!」

 

慌てた様子で来た切歌と調のに誰もがあっとなる。

 

シャーリー「そうだった!?」

 

バルクホルン「ウルスラはメガネかけてる以外はハルトマンと瓜二つだから間違われる可能性があるぞ!?」

 

服部「ええ!?」

 

ヤバいと慌てて出撃にエーリカを先頭にウルスラの乗る飛行機の救助へ向かう。

 

 

 

時間を少し遡り、空域で501基地へ向かっている輸送機が悠々と飛んでいた。

 

その輸送機に乗るウルスラは見える景色から手元を見る。

 

そこには自分と肩を組んで笑っているエーリカの写真であった。

 

ウルスラ「姉さま。元気でしょうか?新たなウォーロックに命狙われていると聞きましたが……」

 

心配そうに呟いた後に写真のエーリカの顔部分を撫でる。

 

ウルスラ「なんでしょう……最近姉さまのことばかり考えてしまいます」

 

頬を抑え、ウルスラはほうと息を吐く。

 

ここ最近、ウルスラはエーリカの事で考える時間が多くなった。

 

姉に会いたい、姉を抱きしめたいと妄想したりもしている。

 

ミセスSに会うと言うのもエーリカに会いたいという口実の半分にしている程だ。

 

ウルスラ「……もしかして私、姉さまのことが……」

 

紅くなる頬を抑え、ウルスラは呟いた直後、機体が揺れる。

 

ウルスラ「!?今のは…!?」

 

慌てて機窓から外を見て、目を丸くする。

 

そこにネウロイと思われるのがいた。

 

思われると思ったのは……

 

ウルスラ「い、烏賊型のネウロイ!?」

 

そう、烏賊型のネウロイが空を飛んでいるのだ。

 

まさかの形態に呆気に取られていたウルスラだったが揺れに我に返る。

 

ウルスラ「あの色、おそらく報告書類に書いてあったウォーロックⅡに支配されたタイプのネウロイ。ですが何故輸送機を……?」

 

烏賊ネウロイの放っている光を見てすぐさま察した後に目的が何なのか考えようとして再び揺れる。

 

このままではヤバいとウルスラは倉庫へと向かう。

 

そこには万が一の為に用意していたストライカー、フラックウルフ Fw190A-8が鎮座しており、ウルスラはすぐさまストライカーを履く。

 

ウルスラ「私が囮になります!その間にこの空域から離脱と501基地へ救難要請を!」

 

パイロット『は、はい!ご武運を!』

 

インカムですぐさま指示を出した後に開いた所からフリーガーハマーを持ってすぐさま飛び出す。

 

ウルスラ「!」

 

距離を取ってからフリーガーハマーのトリガーを引き、放たれたロケット弾はネウロイに命中する。

 

ネウロイ「!」

 

ウルスラ「こっちです」

 

向かって来る烏賊ネウロイにウルスラは挑発して飛行機から距離を取る。

 

ウルスラ「(こっちを追ってきましたね。あとは救援が来るまでなんとか耐えれば……)」

 

そう考えていて触手が迫っているのに気づいて慌てて回避する。

 

ウルスラ「っ、!」

 

直後にビームを放って来る烏賊ネウロイにウルスラは必死に避ける。

 

ウルスラ「このっ!」

 

フリーガーハマーで攻撃するが触手に防がれてしまう。

 

ウルスラ「っ、触手が邪魔で本体に攻撃が……」

 

自分だけでは無理だと思っていると烏賊ネウロイは足を伸ばして来る。

 

万事休すと思われた所、ロケット弾が飛んで来て、絡み付こうとしていた足に炸裂する。

 

ウルスラ「今のはフリーガーハマーの…という事は!」

 

慌てて飛んで来た方を見ると芳佳達が飛んでいるのが目に入る。

 

ウルスラ「やはり姉さまに宮藤さんたち!……あの見慣れない子がネウロイウィッチの空初さんでしょうか?」

 

芳佳の傍を飛ぶ音炉にウルスラは呟く。

 

エーリカ「ウルスラー!大丈夫ー?」

 

ミーナ「あれがウルスラさんを狙っていたネウロイね。烏賊が空を飛んでいるのが凄いわね」

 

ウルスラへと近づくエーリカを横目に自分達を見る烏賊ネウロイにミーナはそう呟く。

 

バルクホルン「あの触手が厄介だな。本体への攻撃を防ぎそうだ」

 

リーネ「なら先に触手をいくつか落としてから再生する前に本体を狙いますか?」

 

触手を見て呟くバルクホルンの後にリーネは提案する。

 

ミーナ「そうね。ではその作戦で行きましょう」

 

宮藤「分かりました」

 

エーリカ「ウルスラには手を出させないんだからね!」

 

その言葉を合図にそれぞれ散開する。

 

ウルスラ「ありがとうございますミーナ中佐。助かりました」

 

ミーナ「良いのよ。それにこっちのに巻き込んだ非もあるわ」

 

ミーナの元へ来て礼を述べるウルスラにミーナは困った顔で返す。

 

非?と言うのにウルスラは首を傾げるがすぐさまビームのを避ける。

 

ミーナ「説明は後でするわ。今はこのネウロイを倒しましょう」

 

ウルスラ「はい!」

 

頷いてからウルスラはフリーガーハマーを構え直して援護に回る。

 

エーリカ「いくら似てるからって関係ないウルスラ巻き込むなよなー!」

 

バルクホルン「くらえ!!」

 

銃弾を浴びせようと放つエーリカとバルクホルンだが、烏賊ネウロイは回転して銃弾を防ぎながらメンバーへと襲い掛かる。

 

ルッキーニ「危ない!」

 

リーネ「きゃっ!」

 

回転攻撃を誰もが慌てて避ける中で墨の様なのがばら撒かれる。

 

芳佳「墨!?」

 

音炉「へぶっ!?」

 

驚く中で音炉の顔に墨がかかる。

 

音炉「ウー、べたべた…」

 

芳佳「大丈夫?」

 

急いでフキフキする音炉に芳佳は異常はないか聞く。

 

音炉「大丈夫ダケど、すごいベタベタするこの墨」

 

芳佳「帰ったらちゃんと落とさないとね」

 

うえぇと自分の肌や服に張り付いた墨に顔を顰める音炉に芳佳はそう言う。

 

誰もが墨を避ける中でウルスラに向かって行く。

 

エーリカ「シュトゥルム!」

 

そんな妹へと向かって来た墨を身に纏った風でエーリカが吹き飛ばす。

 

ウルスラ「ありがとうございます。姉さま」

 

エーリカ「どういたしまして」

 

礼を述べるウルスラにエーリカは笑う。

 

エイラ『避けろハルトマン!!』

 

そこにエイラの通信が来て、突然の警告にえ?とエーリカは呆気に取られた後……

 

エーリカ「!ウルスラ!」

 

咄嗟にウルスラを突き飛ばした後に何かに絡みつかれる。

 

 

 

 

少し時間を戻し、501基地で万が一の為に待機となったシャーリー、服部、エイラ、ハイデマリーは坂本と共にミセスS製ドローンで見ていた。

 

シャーリー「こんなものがあるなんて、別世界の科学技術凄いな…」

 

切歌「まあだからこそ秘密にしないといけないんデスけどね」

 

エイラ「ウルスラも似た様なのを開発してたケド、これだけ綺麗に映ってるのはスゲェーな」

 

映し出された映像のにほへぇと漏らす中で坂本は烏賊ネウロイを睨む。

 

坂本「にしても烏賊型のネウロイとは……また奇妙なのを作ったものだウォーロックⅡは」

 

調「ん~確かに烏賊だけどこれって元ネタ、あれだよね?切ちゃん」

 

烏賊ネウロイを見て話を振る調に話を振られた切歌はじーと見てああと手をポンと叩く。

 

切歌「ばいきんまんのイカロボットデスね」

 

坂本「ば、ばいきんまん?」

 

目をパチクリさせるシャーリーにミセスSはあーとなる。

 

ミセスS「そう言えば、こっちだとアンパンマンはまだ誕生しておらんな……」

 

知られてないのも当然じゃなとうんうんとミセスSは納得する。

 

坂本「それもそっちの世界にあるものなのか…?」

 

切歌「ん~、これも時代のギャップなんデスかね」

 

調「ちなみにパンのヒーローが主役の作品なんです」

 

シャーリー「パンのヒーローって凄いな;」

 

首を傾げながら聞く坂本に切歌は唸り、調が答えた事にシャーリーはそう呟く。

 

ミセスS「話を戻すがあのネウロイ、そのロボットを元にしておるなら能力は墨による煙幕を張る事じゃろ。それならサーニャちゃんやミーナちゃんの魔法で隠れても位置特定できるし大丈夫じゃ…」

 

エイラ「そ、そうダ……!」

 

知識からそう判断するミセスSにエイラも見た目から同意しようとし、未来予知が発動して、その内容に慌てて繋げて叫ぶ。

 

エイラ「避けろハルトマン!!」

 

突然叫んだエイラに誰もが驚く中で突然の通信にエーリカが驚いた後にウルスラを突き飛ばして何かに閉じ込められるのが写される。

 

 

 

 

バルクホルン「ハルトマン!?」

 

ミーナ「ネウロイの胴体に閉じ込められた!?」

 

突然の事に誰もが驚く。

 

何が起こったかと言うと烏賊ネウロイの頭のドリル部分が開いてそこから飛び出た鎖にウルスラを庇ったエーリカが絡め取られ、そのまま引っ張られて胴体に閉じ込められてしまったのだ。

 

芳佳「なに今の…!?あれも元々あったの?音炉ちゃん」

 

音炉「ううん、なかっタ。あんなの!」

 

戸惑いながら問う芳佳に音炉は思い出しながら否定する。

 

ウルスラ「姉さま!」

 

ペリーヌ「これじゃあ攻撃できませんわ!」

 

悲鳴を上げるウルスラの隣でペリーヌは苦い顔をする。

 

エーリカ「こらー!出せー!」

 

破壊て脱出しようとシュトルムを発動しようとして集めた魔法力が四散するのにえ?となる。

 

エーリカ「ま、魔法が発動できない!?」

 

どうして?と思った後に自分を縛り付けている鎖を見る。

 

エーリカ「まさか、この鎖が魔法を!?」

 

鎖から抜け出そうと力を入れるが逆に締め付ける力にがっ!?と悲鳴を上げる。

 

バルクホルン「エーリカ!」

 

ウルスラ「姉さま!」

 

それに助けに向かおうとするが烏賊ネウロイのビームと触手に阻まれる。

 

ミーナ「無茶しないで二人とも!助けたい気持ちはわかるけど」

 

リーネ「けど、このままではハルトマンさんが!」

 

避けながらミーナは呻く。

 

ミーナ「(エーリカを助けるにはまずあの触手の動きを止めないと……)」

 

縦横無尽に振るわれる触手にミーナはバルクホルンを見る。

 

バルクホルン「あの触手の動きを止める方法か…」

 

バルクホルンは伸びて来た触手を殴り飛ばして向かおうとするが別の触手がビームで阻害する。

 

音炉「ヨシカ!あの触手、まとめれナイ?」

 

芳佳「まとめる?……あ、そっか!」

 

提案に芳佳は思いついてミーナへと叫ぶ。

 

芳佳「ミーナさん!触手をがんじがらめにできませんか!?」

 

ミーナ「がんじがらめに……?」

 

そういう事ねとミーナは納得してからルッキーニを見る。

 

ミーナ「ルッキーニさん!敵の周りを飛び回って!」

 

ルッキーニ「え?あ、わかった!」

 

呆気に取られてたがタコを見てすぐさま意図に気づいてかルッキーニは元気よくを返して烏賊ネウロイの周りを飛び回る。

 

ルッキーニ「捕まえてみろ!アッカンベー」

 

烏賊ネウロイ「!!!」

 

挑発するルッキーニに烏賊ネウロイは怒って全ての触手を使って彼女を追いかけ回す。

 

ルッキーニ「うわとと。にゃ、ほいっと!」

 

向かって来るのにルッキーニは避けながら飛び回る。

 

烏賊ネウロイは捕まえてやると触手を動かして行き……

 

ギュっ!!!

 

全ての触手が結ばれて雁字搦めになる。

 

芳佳「音炉ちゃん!」

 

音炉「ウン!」

 

それにすぐさま音炉は髪を巨大なハサミへと変える。

 

音炉「エイ!!」

 

ジョキン!

 

そのまま勢い良く絡まった触手を根本の所でぶった切る。

 

サーニャ「触手をまとめて…!」

 

バルクホルン「よし、再生する前にハルトマンを助けるぞ!」

 

すぐさま突撃するバルクホルンに芳佳と音炉も続く。

 

ミーナ「気を付けて!まだ能力を隠してるかもしれないわ」

 

ウルスラ「!ミーナ中佐。ネウロイの様子が……」

 

注意を呼び掛けたミーナはウルスラの言葉に烏賊ネウロイを見る。

 

ルッキーニ「……なんか頭から煙出てない?」

 

確かに、煙が噴き出しているのにまさかとなる。

 

バルクホルン「発射する気か!」

 

ペリーヌ「なっ!?まさか、ベルリンに!?」

 

慌てて阻止しようとした芳佳達を触手がからめとる。

 

芳佳「触手!?もう再生したの!?」

 

音炉「違ウ!これ、さっき切った奴ダ!」

 

驚く芳佳に音炉はそう返す中で烏賊ネウロイの胴体が体から分離して飛び出す。

 

唯一逃れられたウルスラが急いで烏賊ネウロイの進行方向に飛び出す。

 

バルクホルン「ウルスラ!?何をするつもりだ!?」

 

ミーナ「一人じゃ無理よ!」

 

避けて!と叫ぶミーナ達だがウルスラはシールドを展開しながら動じない。

 

危険だと言うのは彼女だって分かっている。

 

だがここで、烏賊ネウロイをそのまま行かせれば追いかけられぬまま、姉さまは連れ去られてしまう。

 

それが、嫌だった。

 

ウルスラ「(姉さまは……絶対に連れて行かせない!!)」

 

折角会えた姉を連れ去られたくない。

 

その思いが最高潮に高まった時……ウルスラの姿がブレた。

 

そう芳佳達に見えたと共にウルスラがドンドン増えて行く。

 

バルクホルン「なっ…、ウルスラが……」

 

ルッキーニ「どんどん増えてる!?」

 

それに誰もが驚く中、烏賊ネウロイも突然の事に一時停止する。

 

ウルスラ「突撃!」

 

その言葉と共にウルスラ達は烏賊ネウロイへと向けて突撃する。

 

それに烏賊ネウロイはビームを無茶苦茶に放つ。

 

向かって来るビームにウルスラは恐れずにそのまま突き進む中で1人がビームに当たると光となって四散する。

 

サーニャ「消えちゃった!?」

 

ミーナ「!そういうことね。あれは実体のある分身だわ!」

 

すぐさまウルスラの起こった事に気づいたミーナに誰もがウルスラを見る。

 

バルクホルン「『分身』……それがウルスラの目覚めた固有魔法か!」

 

芳佳「凄い。こんな魔法見たことない」

 

誰もが驚く中でウルスラ達は一斉にフリーガーハマーを構えて放つ。

 

リーネ「武器まで分身してる!?」

 

ペリーヌ「凄いですわね。何度も分身を消して出し直ししたらほぼ無尽蔵に攻撃できますわね」

 

ルッキーニ「というか、あれだとハルトマン中尉がヤバくない?」

 

沢山のミサイルに驚きや感嘆が混ざる中、ルッキーニが指摘した事に誰もがあ……となる。

 

ドカーン!

 

烏賊ネウロイにミサイルが命中すると1つを除いて当たった瞬間四散し、1つのミサイルが烏賊ネウロイの目と目の間に炸裂する。

 

炸裂した所の装甲が砕け散って、そこに輝くコアが露出する。

 

リーネ「コアが!」

 

音炉「あ、ハルトマンが居るとこには当たってない」

 

凄いと思っている中でバルクホルンがチャンスと力をめいっぱい振り絞って触手を振り払うとコアへと狙いを定め……

 

バルクホルン「食らえ!」

 

銃弾を浴びせる。

 

銃弾を浴びたコアはひび割れを起こして行き……

 

パキーン!!

 

壊れると烏賊ネウロイは四散していく。

 

その中で落ちて行くエーリカに気づいてウルスラは接近して抱き締める。

 

ウルスラ「姉様!」

 

声を聴き、締め付けられた事で気を失っていたエーリカはううっと呻いてから目を開ける。

 

エーリカ「うっ…ウル…スラ…?」

 

ウルスラ「姉さま!無事でよかった…!」

 

そう言ってギュっと抱きしめるウルスラにエーリカは困った様に笑っているとミーナ達が近寄って来る。

 

芳佳はまた不調が起きたのか、音炉に抱えられている。

 

ミーナ「助かったわウルスラさん。あなたのおかげでエーリカを無事助けられたわ」

 

エーリカ「え?ウルスラ、何かやったの?」

 

目をパチクリさせるエーリカにウルスラは少し恥ずかしそうに笑いながらはいと頷く。

 

ウルスラ「私、固有魔法を使えるようになりました」

 

エーリカ「え!すごいじゃん!」

 

褒めるエーリカにウルスラは嬉しそうにはいと答える。

 

リーネ「ウルスラさん。とても嬉しそう」

 

ペリーヌ「そうですわね。それだけ姉に褒められたのが嬉しいんでしょう」

 

微笑ましそうに誰もが見る中でウルスラは興奮していた。

 

ウルスラ「(姉さま!姉さま!姉さまの身体、姉さまの声。やっと触れた。やっと聞こえた!)」

 

頬を赤らめ、はあはあと息を荒げたいのを抑えながらウルスラはエーリカのを堪能しようとくっ付く。

 

堪能しながらウルスラは確信した、確信してしまった。

 

自分は姉を1人の同姓として愛してると……

 

ウルスラ「(ああ、姉さまを私だけのものに……)」

 

うっとりしている所……

 

パシーン!!

 

ウルスラは頭をはたかれる。

 

突然の事に誰もが驚く中ではたいた人物である音炉はウルスラをはたいたハリセンをパンパンさせる。

 

音炉「ふぅ、危ないトコだった」ピコーン、ピコーン

 

芳佳「ね、音炉ちゃんいきなり何を!?ってかそのサイレンなに?」

 

汗を拭う音炉に芳佳は戸惑いながら鳴り響いている奴について問う。

 

音炉「これはヤンデレサイレン。誰かがヤンデレになりかけると鳴って知らせてクレル」

 

エーリカ「や、ヤンデレ?」

 

まさかと頭を摩ってるウルスラを見て手を振るエーリカやそうそうと笑う芳佳達だが、芳佳の事となると近い状態になるリーネだけは確信していた。

 

ウルスラはそのヤンデレだと……

 

リーネ「(ハルトマンさん……苦労しますねこれから)」

 

芳佳の事となると似た様な感じになる自分の事を棚に上げつつ、リーネはエーリカを見てそう思うのであった。

 

 

 

 

暫くして基地へ戻ったメンバーをミセスSと坂本が出迎える。

 

ミセスS「お帰り。無事だったようじゃな」

 

坂本「お帰りミーナ。中継で見ていたがかなりの強敵だったようだな」

 

ミーナ「ええ、ウルスラさんが固有魔法を出せた事でフラウも助け出せたわ」

 

2人にそう言ってからミーナは困った顔でエーリカと話してるウルスラを見る。

 

ミーナ「もしもまたウルスラさんがフラウと間違われて襲撃なんて受けたら大変だわ」

 

坂本「ウルスラも501基地に所属させることを上に頼んでみるか」

 

ミセスS「そうじゃな。その方がよいじゃろう」

 

顎に手を当てて呟いた坂本のにミセスSも同意する。

 

その方が良いわねとミーナは溜息を吐く。

 

技術省への事情説明などを考えているミーナに坂本は苦笑する。

 

坂本「苦労を掛けるな。ミーナ」

 

ミセスS「そういえば…肝心のウルスラちゃんはどこじゃ?」

 

あそこですとミーナは指さす。

 

そこには楽し気に音炉と話しているウルスラの姿があった。

 

ミセスS「お、仲良さそうじゃな」

 

坂本「意外だな。二人が楽しそうに話すとは」

 

ほうと感心する坂本にそうねとミーナも頷く。

 

ウルスラ「なるほど。自由に体を変形できるんですか。ほんとにネウロイなんですね」

 

音炉「ウン。そうだヨ」

 

変形させながら言う音炉にウルスラは成程と呟く。

 

その後にウィズも見せる。

 

音炉「この子が人工使い魔のウィズ」

 

ウルスラ「人工の使い魔ですか!」

 

おお!とウルスラはウィズを見る。

 

音炉「ちなみにこんな子達もいるンダ」

 

こんな子達と思っているとじゃんと指さす。

 

指さされた方向に誰もが見る。

 

そこにいたのは……自分達を小さくした様な存在が人数分いた。

 

音炉「芳佳との子だよ♥」

 

リーネ「芳佳ちゃん。少し詳しく」ガシッ

 

芳佳「し、知らないよ私!?」

 

エイラ「イヤ、宮藤以外にわたし等に似たのもいる事に気づけリーネ」

 

ポッと頬を赤らめた音炉の言葉にハイライトを無くして肩を掴むリーネに芳佳は慌てて否定し、エイラがツッコミを入れる。

 

なお、リーネの反応に切歌と調はガタガタ震える。

 

切歌「あ、あれはマリアに何かしら女性の匂いを感じた時のヤンデレ翼さんと同じデス;」

 

調「うんうん;」

 

これこれとミセスSは音炉に苦笑する。

 

ミセスS「それは音炉が芳佳ちゃんたちをモデルにして作ったオプションネウロイたちじゃよ」

 

音炉「ア、ばれちゃった」

 

芳佳「私たちをモデルにしたオプションネウロイ!?」

 

ええ!?と誰もが驚く中で芳佳似のオプションネウロイはしゅたたたと駆けると……バルクホルンの胸に潜り込む。

 

バルクホルン「ほわ!?」

 

N芳佳「(ほわー)」

 

芳佳「な、なんて羨ましい!」

 

音炉「じゃあアタシの胸に飛び込む?」

 

いきなり飛び込んできた芳佳似ネウロイに驚きの声をあげるバルクホルンに芳佳が思わず叫ぶと音炉が両手を広げる。

 

そんな芳佳にリーネ似のネウロイが頭に張り付き、静夏似のネウロイも足元で擦り寄っている。

 

シャーリー「凄いな本人達を凄く再現してるな」

 

音炉「ちゃんと再現出来るよう頑張ッタ!」

 

ペリーヌ「ほんとそっくりですわね…」

 

ほへぇと走り回っている自分似のオプションネウロイを見て呟くシャーリーに音炉は胸を張り、ペリーヌは素振りしてる坂本似のオプションネウロイをロックオンしながら呟く。

 

Nペリーヌ「ふしゃあ!!」

 

Nミーナ「ふー!」

 

坂本「はっはっはっ、なかなか元気が良いなペリーヌとミーナのは」

 

一方で自分の両肩に乗ってお互いに威嚇しあっているペリーヌ似とミーナ似のオプションネウロイのに坂本は笑う。

 

エーリカ「(少佐、それ牽制しあってるだけだと思うな)」

 

ミーナ「(そこまで再現してあるのね;)」

 

それにはミーナは恥ずかしそうに頬を赤らめる。

 

ルッキーニ「かっわいー!」

 

ウルスラ「姉さまそっくり…」

 

ルッキーニは自分似のオプションネウロイを抱え、ウルスラはうっとりとした顔でエーリカ似のオプションネウロイを持ち上げてみる。

 

ミセスS「みんな楽しんでるのう……む?」

 

うんうんと微笑まし気に見ていたミセスSは気づく。

 

同じ様に気づいた坂本が音炉に聞く。

 

坂本「……なあ空初。作ったオプションネウロイの数は何人だ?同じのを二体とか作ってないか?」

 

音炉「へ?数は14人でダブってるのはイナイゾ?」

 

なんで聞くの?と坂本の問いに音炉が首を傾げていると芳佳達が騒ぎ出す。

 

芳佳「あれ!?ちっちゃい私が増えてる!?」

 

エイラ「こっちも小さいサーニャが二人になってるゾ!?」

 

ルッキーニ「こっちもだ!」

 

ええ!?と慌てて音炉は見る。

 

確かにそこには坂本を除いて小さいのがもう1人増えていた。

 

ただ、音炉が作ったのは服が黒いのだが、もう一方は芳佳の服そのまんまであった。

 

バルクホルン「これは一体…!?」

 

音炉「あ、アタシも知らないゾ!?」

 

自分の胸にいるもう1人のチビ芳佳と自分の足元にいる自分似のチビに戸惑うバルクホルンに音炉本人も戸惑う。

 

調べていたミセスSはああとなる。

 

ミセスS「オプションネウロイたちが羨ましくて、使い魔たちが出てきてしまったんじゃな」

 

切歌「つ、使い魔デスか!?」

 

ええ!?と切歌が驚く中であと調は思い出した。

 

調「(そう言えば本であったっけ。使い魔が実体化したの)」

 

苦笑する芳佳に静夏も苦笑する。

 

こうしてウルスラも501に加わり、さらに賑やかになった。

 

なお……

 

ウルスラ「zzzz」

 

エーリカ「……えっとウルスラ?なんで寝てるの?」

 

個室を用意されたが寝る際はエーリカのベッドに忍び込んで寝ているウルスラであった。

 

なお、同室のバルクホルンは……

 

バルクホルン「全然気づかなかった」

 

と述べているのであった。



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