変身姉弟 (Hira@コス)
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プロローグ

どこか地球とは遠く離れた星のとある場所。倒壊した建物やバラバラになった機械。あたり一面は瓦礫の山だった。

そんな中、1人でたたずんでいる少年がいた。幼児とも言えるくらいに幼く小さい少年は白色に輝く髪に綺麗な赤色の瞳をしていた。だがその瞳に光はなくうつろなものだった。

 

「・・・・・・お、ねえ、ちゃん」

 

少年は小さな声でつぶやく。その声は風と共に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう冬になって寒くなってきたな~。日直の仕事やら先生の頼み事やらで遅くなっちまった。ララも美柑も待ってるかな・・・?」

 

ある冬の日。日も短くなりあたりは暗くなっていた。そんな中明るい茶色の髪をした青年が道を歩いている。彼の名前は【結城梨斗】。高校一年生の彼は現在下校中であった。

いつもと同じ道を通って家に向かっていると1人で公園のベンチの座っている姿が目に入った。

 

(ん?もう暗いのにあんな小さい子が一人・・・?親御さんも見当たらないし・・・)

 

少年の見た目はまだ小学校に入ったかどうかと思うほどに幼い。そんな子が1人で公園にいることを不思議に思ったリトは公園に入っていった。

 

「こんばんは」ニコッ

「っ・・・」ビクッ

 

リトが少年に声をかける

 

「こんな遅い時間に1人で大丈夫か?寒くないか?」

「・・・?」

 

根っから優しいリトは1人でいた少年が心配だったようで、ベンチの前でしゃがみ込み、優しい笑顔で目線を合わせながら少年に話しかけた。だがいきなりのことで少年は首をかしげている

 

「・・・だれ?」

「ああ、いきなり話しかけてごめんな。俺は結城リトだ」

「・・・りと?」

「おう。よろしくな」

「ん・・・」

「それで・・・よかったら君の名前を教えてくれないか?」

「・・・なまえ?」

「うん」

「・・・ルノ」

「そっか、ルノか。教えてくれてありがとな」ナデナデ

「・・・ん」

 

リトは笑顔と持ち前の優しさで少年・・・ルノと話す。ルノもいきなりで驚きはしたものの嫌ではないようだ。証拠にリトがルノの頭をなでても手を振り払うことはしていない

 

「それでルノ、こんな時間に1人で大丈夫か?お父さんやお母さんは?」

「もう、いない・・・しんじゃった・・・・・・・」

「っ!・・・ごめんな。嫌なこと聞いちゃったな・・・」

 

親が周りに見当たらず迎えに来る様子もなかったのは昔亡くなってしまったからだったようだ。リトも悪いことを聞いたと考えルノに謝る。

 

「ううん、だいじょうぶ」

「そっか・・・ならルノは何してるんだ?」

「・・・おねえちゃんをさがしてるの」

「お姉さんか・・・この町にいるのか?」

「わかんない。だからずっとさがしてる」

「・・・家は、帰る場所はあるのか?」

「・・・・・・ない」

 

なら何をしてるのかと思いリトはルノに尋ねると、ルノはどこにいるかもわからない姉を探してると答える。しかもその上帰る場所がないという。そんなことを聞いておいて放っておくなどリトにはできなかった

 

「・・・ならさ、家に来ないか?」

「?」

 

リトは自分の家に住むように提案する。小さな子供が帰る場所もなくたった1人で過ごすなど危なくて見過ごすことができなかった。ただでさえ最近はララ達宇宙人の存在もあり物騒なことも多いというのに

 

「帰る場所、今ないんだろ?ならさ、俺の家に住まないか?」

「・・・でも」

 

だがルノは断ろうとする。小さい子ながらも迷惑が掛かってしまうことはわかっているようだ。

 

「迷惑がかかるとか考えてるなら遠慮するな。もうすでに1人居候がいるしもう一人増えたって大丈夫だ。俺の親も事情を話したら喜んで許してくれるさ」

「・・・・・・・」

「もう1人の居候してるやつだって騒がしいけどいいやつだよ。妹もしっかりしてる自慢の妹だしな」

 

考え込むルノを説得するようにリトは言葉を重ねる

 

「・・・なんで」

「ん?」

「なんでそんなに言ってくれるの・・・?」

 

ルノはリトになぜここまで気にしてくれるのか尋ねた。2人はついさっき会ったばかり。なのにここまで言うことができる人などそうはいない

 

「なんで、なんでか・・・」

 

リトは一瞬考えたそぶりを見せるがすぐに答える

 

「なんだろう、ほっとけないんだよ。なんか会ったばかりだけどさ、ルノのこと弟みたいに見えてさ。妹がいるのもあるのかな。まあそんな感じだよ」ハハッ

 

リトは笑いながらそう答える。底抜けに優しいというかお人好しというか。だがリトの笑顔には人を引き付けるような魅力があった。

 

「おと、うと・・・?」

「うん。だからさ、俺にも世話焼かせてくれ。そもそもルノくらいの年の子が1人で無理することないんだよ」

「っ!」ダッ

「おっと」

 

リトの優しさがルノの心を溶かしたのか、今まであまり表情や雰囲気を変えなかったルノがリトに抱き着く。

いきなりのことにリトは驚くが、倒れることなく受け止める。ルノは言葉を発していないが、リトにはなんとなくどんな気持ちでこんな行動を起こしたのかわかったようで、優しく微笑みながら頭をなでる。

少し時間がたったところでリトはもう一度声をかける

 

「・・・ルノ。俺と、いや俺達と一緒に暮らそう。お姉さんを見つけるのだって協力する。だから、な?」

「・・・うん」

 

リトの言葉にルノは抱き着いたまま答える

 

「よし、なら帰ろうぜ。俺たちの家に」

「うん!」ニコッ

 

ここでルノは初めて笑顔を見せる。ここまであまり表情の変化がなかったルノだが、これが本当の姿なのだろう。

その笑顔はリトにも負けないくらいの魅力を持っていた。



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結城家へ

遅くなって申し訳ありません!
学年末テストがあって満足に書けておりませんでした!


暗い夜道をルノとリトが手をつないで歩く。リトのもう片方の手には携帯電話があった。リトは家に帰るまでの間に彼の父親である【結城才培】と、妹である【結城美柑】に電話である程度事情を話していたようだ

 

「さて、親父や美柑に連絡もしたしそろそろ家に着くぞ~」

「みかん?」

「ああ、美柑は俺の妹の名前だ。いつもおいしい料理を作ってくれたり、家の仕事をしてくれたり、本当にできた妹なんだよ」

「ごはん?みかんすごい?」

「おう、今日の晩御飯も美柑が作ってくれてるぞ。楽しみにしとけよ~、っと着いたぞ。ここが今日からルノが住む家だ」

 

そんなことを話しているうちに2人は家に着く。ルノもワクワクしているのかどことなく表情が明るい

 

「ルノ、今日からここがお前の家だ。だから家に入るときは『ただいま』だからな」

「う、うん」

「よし、じゃあ入るか。ただいま~」

「た、ただいま・・・」

 

リトはいつも通りに、ルノは若干緊張したように家の中に入る。すると中から足音が聞こえてくる。まず出てきたのはピンク色の髪をした女の子だった

 

「おかえりリト~!おそかったね!」

「ああ、ただいま」

「・・・みかん?」

「あ、違うぞ。こいつはララ。さっき言ってたもう一人の居候で、デビルークって星のお姫様なんだ」

 

少女の名は【ララ】。正式な本名を【ララ・サタリン・デビルーク】という、宇宙を治めるデビルーク王の娘だが今は高校一年生として彩南高校に通っている。そんなことをリトが説明する。

 

「それでリト。その子は?」

「美柑から聞いてなかったか?」

「美柑も詳しくは聞いてないって言ってたよ?」

「あ、詳しく説明したのは親父だけだったか。まあ紹介は後で良くないか?美柑にも紹介しなきゃいけないし、俺らを待っててくれたからまだ食べてないんだろ?」

「あ、そうだねー!はやく行こー!」

 

そう言ってララはリビングに向かう。ルノはララのテンションに驚いているのか少し固まっている。リトはそれを見て苦笑いをする

 

「騒がしいやつだろ?でもさっきの会話だけでもわかるかもしれないけどあいつはほんとにいいやつだよ。まあ、いちいち騒ぎを起こす困ったやつでもあるだけどな・・・」トオイメ

 

リトはそう話しながら遠い目をする。明らかに疲れたような表情をしているあたり相当苦労をしたのだろう

 

「まあでも裏表のないいいやつだよ。だからさ、仲良くしてくれな」

 

リトもララのことは少なからず大切に思っているようだ。証拠に今のリトの表情はララを思いやる優しい顔をしている。

そして2人は靴を脱ぎリビングに入る。すると中には長いダークブラウンの髪をした少女がいた。その少女は晩御飯の準備をしていたのかエプロンを身に着け、机に料理を用意していた

 

「あ、リトおかえり」

「ただいま、美柑」

 

少女の名前は【結城美柑】。帰宅途中にも言ったようにリトの妹で彩南第一小学校の五年生だ。

 

「みかん?」

「え?私?」

 

ルノは美柑を指差しながらリトの方を向く。美柑はいきなり自分の名前を呼ばれて驚いている。

 

「ああ、俺の妹の美柑だ。美柑、この子がさっき電話で言ってたルノだ。今日からルノも家に住むことになったんだけど・・・勝手に決めちゃってごめんな」

「りと・・・?」

 

無視できない理由があったとはいえ相談せずに決めてしまったことを悪く思っているのかリトは表情を暗くする。

 

「いいよ。事情があったんでしょ?部屋だって余ってるしそれにお父さんから許可ももらってるみたいだし」

 

それより、と2人にというよりルノに近づきながら美柑は続ける

 

「リトがそんな顔してるからルノ君が不安そうにしてるよ」

 

そう言ってルノの頭をなでる。美柑の対応によっては追い出されるかもしれないと思い表情を暗くしていたルノに気づいたため落ち着かせるために行ったようだ。そのおかげかルノは表情を明るくして気持ちよさそうに撫でられている

 

「もう知ってるみたいだけど、リトの妹の美柑だよ。よろしくね」ニコッ

「ぼくルノ!みかん、ごはんたべたい!」

「ふふっ、そっか。じゃあそこの流しで手を洗っておいで」

「うん!」

 

そう言われてるのはルノは手を洗いに流しへ向かう。その後ろ姿を見る美柑は笑みを浮かべる。

 

「言ったこと素直に聞いてくれたし可愛くて良い子じゃん」

「・・・その、ありがとな」

「いいよ。ほら、リトも早く行った行った。はやく準備して食べよ。ララさんだって待っててくれたんだから」

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい!おいしそー!」

 

ルノが机に並んだ料理を見て目を輝かせている。

料理の準備も終わり全員リビングに集まって、食べ始めるところだったがたくさんの料理を見て興奮しているようだ。

美柑も料理を褒められてうれしいのか嬉しそうな、そして少し自慢げな表情だ

 

「ほらルノ、落ち着け。もういただきますするから」

 

リトがそう言うとルノはワクワクした表情はそのままに席に着く

 

「じゃ、いただきます」

「「「いただきます(!)」」」

 

そう言ってリト達は食べ始める。今日の献立はリトの好物である唐揚げだ。リトもララも美柑も美味しそうに頬張る。だがここでリトは一番喜びそうなルノが静かになっていることに気づく。食べる前にあんなに嬉しそうにはしゃいでいたのにどうしたのか、そう思ったリトは隣を見る。

 

「りと、これなに?」

 

リトが顔を向けた先ではルノが不思議そうに箸を持ち上げていた。

 

「あ、ああ、それは箸っていって食べ物を食べるときに使う道具なんだけど・・・知らないのか?」

「・・・わかんない」

(箸を知らない・・・もしかして外国の子だったのか?確かに名前も外国の子でもありえる名前だけど・・・でも外国の子が1人で日本に?)

「あ、じゃあ私がフォークとか持ってくるよ」

「あ、サンキュー・・・」

 

台所に向かう美柑を見送りながら箸の使い方を知らないルノをリトは疑問に思う。日本で育った子がこのくらいの年まで箸を知らないとは思えない。となると外国で育ったというのが一番濃厚なのだが1人で日本に来ているとは思えない

 

「はい、ルノ君」

「ありがとう!」

「ふふっ、どういたしまして」

 

美柑がフォークとスプーンを渡すとルノは嬉しそうに受け取る。

 

(姉と一緒に日本に来て、姉が行方不明になったパターンか?でもそれだと箸の存在自体を知らないのはちょっと不自然だし・・・)

「ーーーと、りと!」

「あ、ああ。どうしたルノ?」

 

いつのまにか深く考え込んでしまっていたようでルノが呼んでいるのに気づかなかったようだ。リトは慌てながら横を向く。

 

「おいしいね!みかんすごいね!」

 

そこにはフォークを持ちながら満面の笑みを浮かべたルノの姿があった

 

「・・・だろ!美柑はすごいぞ!他にもいろんな料理が作れるからな!」

「ほんと!?」

「ああ!これからは毎日食べられるんだぞ!」

「やったあ!」

(まあ、今は気にしないでいいか。なにせルノがこんなに心からの笑顔を見せてくれてるんだ。今はこれで十分だ)

 

最初公園で見た時はもう感情がないのではないかと思うような表情をしていたのだ。こんなうれしそうな顔が見れただけでも家に誘っておいてよかったとリトは心から思った。

 

「みかん!もっとほしい!」

「はいはい、まだいっぱいあるから焦らない。ララさん、唐揚げとってルノ君に渡してくれない?」

「いいよー!はい、ルノくん!いっぱい食べてね!」

「ありがとー、らら!」

「ちょ、ララ!それ多すぎじゃないか!?」

 

山のように積みあがった唐揚げが乗った皿を渡すララとそれを笑顔で受けとるルノ、その光景を見て慌てた様子だが楽しそうなリトと、少し苦笑い気味だが微笑んでる美柑。結城家の夜は新しいメンバーを加え今日もにぎやかに更けていく。




ああ、書くたびに自分の文章を書く力のなさに絶望する・・・
もう一つの作品は一人称視点だったし三人称視点に慣れてなさすぎる・・・

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結城家でおはよう

めちゃめちゃ遅くなりましたすみません!
新学期辛い・・・


ルノが結城家に来た次の日の朝。窓から差し込む朝日でルノは目を覚ます。まだ眠たげにしている眼をこすりながらも体を起こし布団から出るがまだ完全には目を覚ましていないのかふらふらしている。それでも部屋を出るためにドアに向かうがーーー

 

ゴンッ

 

「あうっ」

 

寝ぼけているためドアを開けることを忘れ頭を勢い良く打ってしまう。突然の衝撃に声を出してしまうが額を少しさすりつつ今度はきちんとドアを開け部屋から出る。部屋から出ると美味しそうなにおいが漂ってくる。まだ覚醒しきっていないながらも本能のままにふらふらしながらもにおいをたどっていく。進むにつれだんだんとにおいが強くなりキッチンに着くとエプロンを着けた美柑がいた。机の上にトーストや目玉焼き、ウインナーソーセージやサラダが並んでいるのを見たところ、朝食の準備をしていたようだ。

 

「あ、ルノ君起きたんだね」

「みかん~?」

「まだ目が覚めてないのかな?そうだよ、美柑だよ、おはよう」

「みかんおはよ~」

 

ルノがいることに気づいた美柑はルノに声をかける。だが舌っ足らずな返事を聞いてまだ目が覚め切ってないと苦笑い。それでもちゃんと挨拶を返してくれることに笑顔を浮かべる。

 

「ふふっ、よく眠れたみたいだね」

 

そう言いながら美柑が頭をなでてくる。どうやら寝癖がついていたようだ。

そう言えばこんなにぐっすり眠れたのはいつ以来だろうか、といまさらながら美柑に言われて気づく。少なくともここ1年はなかった気がする。

 

「ねれたよ~。あったかかった~」

「そっか、よかった。家で寝るのは初めてだから1人で寝させるのとか少し心配だったんだけど、大丈夫だったみたいだね。よかった」

 

初めての家で寝るというだけでなく、昨日リトに説明してもらったように両親もおらず、姉も行方不明なのだ。そのためルノを一人にすることが心配だったのだがとりあえず昨夜は大丈夫だったようだ。

そういえばそのルノを家に連れてきた兄がまだ起きてきていないと気づく。ルノに起こしてきてもらおうかと考えるもルノはこんな状態。この状態だと下手したらリトと一緒に寝ちゃうかも、そう思い準備もほとんど終わっているため自分で起こしに行くことにする。エプロンを外し、兄の部屋へと向かう。

 

「ルノ君、朝ごはん食べる前に洗面所で顔洗って来ようか」

「ん~」

 

部屋を出る前にそうルノに声をかける。ルノの返事は曖昧だが洗面所の方を向いたところを見るとちゃんと聞き取れたのだろう。ルノの姿を見送りながら兄を起こすために美柑は二階に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

洗面所から戻ると二階に行っていた美柑も戻ってきた。だがリトはまだ来ていないのか姿が見えない。

 

「あ、ルノ君、ちゃんと行ってきたんだね。えらいぞ」

「ん、おなか空いた」

「ふふっもうできてるから一緒に食べよっか。あ、そうだ。ララさん見てない?」

「おふろってぺけが言ってた」

「そっか、ありがと」

 

昨夜はペケがエネルギー切れで話すことができなかったが先ほど洗面所で会った時に自己紹介も含め少し話すことができた。キッチンに戻ろうとした際、ララがシャワーを浴びているためその世話をする、というようなことを言っていたのを思い出しそれを美柑に伝え、朝食を食べ始める。

 

「「いたただきます」」

 

そしてカリカリに焼かれ、きつね色をしたトーストを口に入れる。美柑もそれを見てから朝食を食べ始める。するとリトが二階から下りて来た。

 

「あ、やっと来た。おはようリト」

「おう、おはよう。美柑、ルノ」

「おふぁほー」

「ああ、ものを食べながら喋っちゃダメ」

 

リトは顔を洗う前にとりあえずのどを潤すためにコップに水を注ぎそれを一気に飲む。

 

「もうご飯はできてるよ」

「ああ、とりあえず顔洗ってくるよ」

 

美柑の言葉に相槌を返し、コップを置くとリトは洗面所に向かった。それを見送りながらまた食べ始める。

 

「あ、たしか今洗面所って・・・」

 

すると美柑が何やら1人でつぶやき始める。

 

「あ、やばいかも。リトちょっとmーーーー」

『ラ・・・ララ!!裸でうろつくなよ!!服を着ろ!!』

『あ、リト!おはよー!』

「・・・おそかったか」ハァ

「だいじょうぶ?」

「ああ、大丈夫だよ。ただ、朝から騒がしいなって。さ、食べちゃお」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆が朝食も食べ終えた後、平日ならルノを除いた三人は学校に行くはずなのだが今日は休日。それぞれが思うように過ごしている。リトは庭にある植栽や鉢植えの世話、手入れをしており、美柑は食器を洗ったり洗濯をしたり、ララは自作のメカの手入れをしながらテレビを見ている。その中でルノはリトに付き添い、手伝いをしていた。

 

「ルノは花とか好きなのか?」

「うん。みんなきれいですき」

 

家で花の世話などをしているうちにそれが趣味になったリトだが、ルノも花が好きなようだ。花に水を与えては顔を近づけて花を見ている。

 

「俺も世話を続けるうちに楽しくなってさ、世話したらその分綺麗に咲いてくれたりするのが嬉しくてな。今じゃ俺の趣味の一つだよ」

「なんとなくわかる。この子たち幸せそう」

 

そんなことを話しながら鉢植えに水をやったり雑草が生えていたりしたら手入れをしたりと穏やかに時間が過ぎていく。

庭での作業も終わり部屋に戻ろうとしたとき、リトがルノに声をかけた。

 

「そういえばルノ、昼から一緒に来てほしいとこがあるんだけど大丈夫か?」

「ん、大丈夫」

 

ルノはこの町、この家に来てまだ日がとても浅い。そのため昼からは姉を探しながらこの家の周辺や遠方を散策しようかと考えていたのだが、これは絶対に今日やらなければならないわけでもないし、そもそも今日だけで終わるとも思っていない。

それに、1人で居た自分に優しく声をかけてくれて快く家に住まわせてくれたリトが来てほしいと言っているのだ。ついていかないという選択肢はルノにはなかった。

 

「どこに行くの?」

「ああ、親父の家だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで昼はルノと出かけてくる」

 

昼食を食べている途中、リトがルノと父親の家に行くということを美柑とララに説明していた。

いわく、ルノと会って、結城家に住まわせることを決めたときに父親に電話をしていたらしく、その際に会って話してみたいから連れてきてほしいと言われていたようだ。

 

「リトパパのところに行くの?私も行きたい!」

「ララさん誰かと約束してるって言ってなかった?」

「そうだ!春菜と遊ぶ約束してたんだった!」

 

ララは前に行ったときに漫画に興味を持ったらしくまた行きたいと思うが、春菜との約束があったことを思い出し断念する。

 

「みかんは来ないの?」

「ん~、特に用もないし邪魔になるだろうからいいかな。ごめんね」

「ん、大丈夫・・・」シュン

「はは、なら帰りに町の案内がてら買い物でもしてこようと思うから夕飯の材料とか買ってきてほしいものがあったらメールでもしてくれ」

「りょーかい。ありがと。リトもルノ君も気を付けてね」

 

そうして昼食を食べ終えると、食器を洗い準備を済ませルノとリトは家を出た。




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