魔装学園H✖R(ハートオブレガリア) (caose)
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全ての始まり

 この作品はエロで強くなりませんし大体が全年齢版です。


 西暦2022年・・・人類は、存続の危機に直面していた。

 今から15年前に突如空が割れそこから・・・大量の空飛ぶ戦艦と

人型機動兵器が世界中に出没して・・・破壊の限りを尽くした。

 全世界で数千万人の死者を出した後に『第一次異世界衝突戦』と呼ばれる戦争の後ある二つの兵器が存在した。

 一つはハートハイブリットギア。

 あらゆる物理法則や原理を無視し、武器の生成や攻撃、防御などあらゆることに

秀でていた兵器であったが一つ難点があった。

 それは・・・。

 女性しか動かせないという事。

 これにより軍部再編の際には未だ年端も行かない少女たちに前線に出すという

一般兵からすれば屈辱ともいえる事が行われた。

 本来守るべき子供を最前線に送るなど外道だという人間も確かにそこにいた。

 そしてもう一つはハートハイブリットギアによって陽の目を見ることも

出来なくなった新兵器『ゼーガペイン』である。

 光装甲(ホロニックローダー)を機体内部に収納され、攻撃の際にはその光により反射、防御が可能となっておりその攻撃は理論上、敵の人型機動兵器を

破壊できるという利点があったのだが光装甲に必要な技術が不足していた事と

軍における早期再編を主としていたためにそのままプロトタイプ3機と幾つかの

予備兵装と新型戦艦を一緒に日本のどこかに封印した。

 そして15年経ち最早忘れかけたその時に・・・奴らはやってきたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『クソがアアアア‼!』

 「品川区防衛ライン突破!」

 「中野区防衛部隊壊滅!!」

 「国立市防衛部隊からの通信が途絶えました!!」

 『こちら八王子第9機械科小隊!!敵の数は膨大!!援軍を請う!援軍w』

 

 

 

 

 

 「敵は一体どれだけ強いんだ!!」

 自衛隊3軍の総司令官の一人が机を叩いてそう言うともう一人がこう言った。

 「もうここまで行けば後は壊滅だ。ここは全軍撤退を。」

 「姫川特務二佐はどうしている!?」

 『現在静岡に向かっております。』

 「呼び戻せ!それとこれを持って全自衛隊員は退避命令を発令!!

ギガフロートを出向させる!!」

 『それでは残っている日本人は!?』

 「今は集まっている者たちだけで出向させる!総理は既に退避した!!・・・

命を無駄にするな・・・!!」

 『!!・・・・了解。』

 総司令官はそう言って通信兵との交信を終えた後に総司令官は全員に向けて

こう言った。

 「残念であった。」

 「「「・・・・・」」」

 「諸君・・・ご苦労であった。」

 総司令官の言葉と同時に3軍は一斉に敬礼して部屋を後にした。

 そして一人になった総司令官は・・・懐から銃を出して写真を見ながら自らの頭に突き付けて・・・こう言った。

 「桜・・・園香・・・済まない・・・!!」

 その言葉を最後に・・・銃声と共にその命を散らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてギガフロートから数キロ離れた町の中。

 そこには大勢の人が歩く隙間もない程詰めていた。

 「押すな!」

 「ちょっと足踏んでるわよ!?」

 

 

 

 

 

 

 「こいつは酷いな。」

 そう言いながら遠巻きから見ているこの少年の名は『飛騨 傷無』

 本来はギガフロートに住んでいるのだが15年前に死んだ父親の墓参りで

本土に来ていたのだ。

 そんな中でこの騒ぎなので傷無はどうしようもないなと思ってこう考えていた。

 「(仕方ない。ギガフロートにある搬入ブロックから入るか。幸いにも

身分証があるから何とかなるな。)」

 そう思っている中で・・・大通りが一瞬で・・・爆発した。

 

 

 

 

 

 

 『ウワアアアアアア‼!』

 

 

 

 

 

 

 

 「ウワアアアアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 その爆発と同時に傷無は吹き飛んでしまい・・・失神した。

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くして・・・目が覚めた。

 「う・・・ッグウウウ。」

 傷無は自身の体を触りながら異常がないなと確認して大通りに入ると

そこは・・・地獄であった。

 

 

 

 

 

 体がありえない方向に曲がった死体。

 肉塊に成り果てた者。

 バラバラになった死体。

 体の一部が吹き飛んでもだえ苦しむ人間。

 「・・・ウウウ!!」

 傷無はその光景を見て危うく吐き掛けそうになった。

 すると・・・・声が聞こえた。

 「誰か!?・・・誰か来て!!家族が瓦礫の中に!!!」

 「!!」

 その声を聴いて傷無はその場所に向かうとそこにいたのは・・・。

 「大丈夫か・・・・」

 傷無はその人間を見て・・・呆然としてしまった。

 金色の長い髪

 顔は人懐っこそうな表情

 服の上からでも分かるくらいのスタイルの良さ

 間違いなくアイドルになれそうな少女であった。

 「ええと・・・どうした・・・?」

 傷無は頭を振りながらそう聞くと少女はこう言った。

 「お父さんとお母さんがあのビルの瓦礫の中に!!」

 そう言って指さすとそこには・・・倒れたビルの瓦礫の中で薄っすらとだが

人影が見えた。

 それを見た傷無は慌てながらも近くにあった鉄パイプで瓦礫をどかそうと

するも・・・ 全く効果なかった。

 すると傷無はある事を考えたが傷無はそれを嫌っていた。

 だが・・・。

 「ああ、もうやけだ!ちょっと耳塞いでいて!?」

 「う、うん?」

 そう言って少女は耳を塞ぐと傷無は大声で・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「エロス!!」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと傷無の体から黒い光が溢れ出て傷無の体に・・・鎧として

纏ってきた。

 これがハートハイブリットギアであるが・・・その呼び声ドウヨ?

 「うるせえエ!!」

 地の分読むな。

 そして傷無はどちらかと言えば少し軽いパワードスーツを身に纏って瓦礫に

向かって行った。

 「せーのー!!」

 傷無はそう言って力の限り瓦礫を持ち上げた。

 そしてそれをどけて露わになったのは・・・もっと酷い光景であった。

 「お父さん!お母さん!!」

 「クラウ・・・シェル・・・・」

 母親らしき人間が弱弱しくそう言った。

 父親は既に息を引き取っているらしく母親も瓦礫によるものであろう。

 鉄柱が腹に突き刺さっていて血が出ていた。

 素人目から見ても分かった。

 もう・・・長くないことを。

 クラウシェルという少女が母親を抱きしめるも母親は弱弱しく

抱きしめながらこう言った。

 「クラウ・・・ごめんね・・・」

 「もう・・・お母さん・・・」

 「イヤだよ・・・絶対に嫌だ!!」

 クラウはそう言って泣きながら母親を抱きしめるが母親はクラウに向かって

こう言った。

 「生きて・・・・」

 「!!」

 「生きて・・・幸せ・・・に」

 そう言って母親は・・・息を引き取った。

 「!!・・・・お母さん!!」

 クラウはそう言って泣きながら母親の亡骸に縋るが・・・大きな足音が

聞こえた。

 「「!!!!」」

 二人はその音を聞いて後ろを見て・・・絶句した。

 そこにいたのは・・・青い騎士のような風体をした・・・髑髏の顔をした

兵器であった。

 これこそ異世界の人型機動兵器である。

 すると傷無がクラウに向かってこう言った。

 「逃げろ!!」

 そう言うもクラウは・・・母親の亡骸を抱きしめて離れようとはしなかった。

 いや・・・出来なかったのだ。

 もう・・・死を覚悟する以外に道はなかったのだ。

 騎士型の機動兵器が銃を向けると傷無は出来るなら盾にでもなろうと

クラウの前に立ちながらこう思っていた。

 「(俺はこんな所で終わるのか?)」

 「(何も出来ずに・・・この子も守れないまま・・・俺は死ぬのか?)」

 「(・・・力が欲しい)」

 「(この子を・・・この子だけでも・・・守れる力が!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『その願いを叶えよう)』

 

 

 

 

 

 「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷無はその声を聴いて振り返るとそこにいたのは・・・クラウではなく

白髪の少女であったが・・・人ではなかった。

 耳のあたりに羽が生えていたのだ。

 すると少女は傷無に向けてこう言った。

 『然し貴様がそれを望めば莫大な力の代わりに対価を支払う』

 『ソレデモか?』

 そう聞くと傷無は有無を言わずにこう答えた。

 「ああ!構わない!!」

 『契約は成立した。』

 『真の名を呼べ』

 『その真の名は』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銃口が傷無達目掛け、クラウは目を瞑ると・・・傷無が大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レガリア---!!」

 

 

 

 

 

 

 その声と同時に傷無の周りに黒いナニカが纏わりつくと同時に何処からともなく鎖が現れてそれに巻き付くと・・・破裂するかのようにそれは現れた。

 

 

 

 

 

 

 全身黒の鎧

 炎の様な意匠が施されていた。

 

 

 

 

 

 

 そしてそれが跳躍すると・・・青い騎士型が銃口をそっちに向けて

攻撃するも・・・効かずにそのまま蹴りを繰り出して・・・破壊した。

 

 

 

 

 「え?」

 クラウはそれを見て驚いているとソレハ・・・こう言った。

 

 

 

 

 「大丈夫か?」

 「う・・・うん。」

 クラウはそう言うとソレハこう続けた。

 「後は任せて逃げろ。」

 そう言うとソレハそのまま飛翔して・・・敵の航空戦艦を破壊し始めた。

 弾幕の雨をものともせずに破壊しつくした。 

 敵の機動兵器も同じく。

 

 

 

 

 

 

 そしてクラウはそこから避難場所に向かうが既にギガフロートは出航していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もうギガフロートは出航したか。」

 そう言うとソレ・・・いや、傷無はそう言って解除した。

 どうするかなあと思っていると周りには生き残った人たちや逃げ遅れた人たちが近くの自衛隊基地で食事を作っていた。

 その中にはクラウもおり傷無はこう呟いた。

 「何とかするしかないか。」

 そう言うと傷無はその場所に向かった。

 そして物語はそれから半年後の・・・・夏になる。




 クラウシェル・アスフォード
 性格はレガリアに出てくる『ユインシェル・アステリカ』に
『戦翼のシグルドリーヴァ』に出てくる『クラウディア・ブラフォード』の容姿。
 人柄がよく親しみやすい少女。
 イギリス出身なのだが家族旅行で日本で来た際に『異世界人』がやってきて家族を失った。


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あれから・・・。

 人類は戦った。
 国土を・・・愛する人たちを守るために。


あれから4か月経った。

 後に語られる「東京の奇跡」と呼ばれる戦闘の後も異世界側からの戦闘艦が次々と現れ武器、弾薬が底をつきかけた中である兵器に目を付けた。

 お蔵入りになっていた「ゼーガペイン」である。

 軍の倉庫に保管されているゼーガペインを生き残った自衛隊と当時いた民間の

組み立て工場勤務者や民間人によって完成し、実戦投入し、勝利した。

 それからも幾つかの戦闘があり兵士の少なさから志願兵を募り、その中に

傷無と・・・クラウシェルがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 『現在敵は足立区防衛ラインを通過し、荒川に侵攻!《ゼーガペインmarkⅠ》は

直ちに南千住に向けて出動されたし‼!』

 「了解!至急出動する!!」

 そう言ってコックピットの中で・・・傷無がそう言うと後ろに振り向いて

こう言った。

 「出撃だぜ、クラウ。準備良いか?」

 「うん、何時でも良いよ。」

 クラウはそう言って・・・後部座席に座りながらそう言うとこう言った。

 「《ゼーガペインmarkⅠ》起動!」

 【機体システム起動】

 「光装甲各部循環」

 【光装甲各装甲内に展開】

 「翼部スラスター、起動」

 【スラスター、起動】

 機体から流れる音声と共に機体各所にある灰色の機体色のラインが緑に変わった。

 原点のゼーガペインならば全身に光装甲を展開するがこの世界では急ごしらえである事から通常装甲を取り付けており内部で循環させるようにしている。

 そしてゼーガペインが起動して・・・傷無はこう言った。

 「《ゼーガペインmarkⅠ》≪飛騨 傷無≫≪クラウシェル・アスフォード≫!

出撃する!!」

 そう言ってゼーガペインmarkⅠは天に向かって飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 南千住8丁目、住宅区。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「こちら南千住防衛ライン!増援は未だか!!」

 『現在台東区と墨田区から増援を要請!!増援が来るのに速い部隊で後7分』

 「ふざけるな!そんなに待ってたら全滅だ!!そんなことするくらいなら

防衛ラインにいる部隊に民間人の救助を」

 『それと直ぐに《ゼーガペインmarkⅠ》がそちらに到着する!それまで持ってて下さい!!』

 オペレーターがそう言って通信を切ると通信していた隊長、「天塚 弥生」は

それを聞いて自身の機体でもある国連軍推奨戦術兵器「レギオン」の

コックピットを叩いた。

 レギオンは第一次異世界衝突戦後にアメリカが開発した大量生産、

速攻配備を主軸とした誰にでも扱える機体であるのだが

第2次異世界衝突戦においては全くと言っていい程効いていない。

 武装は右手に固定されている大型マシンガンしかなく、攻撃能力に

疑問視されている。

 そんな中で天塚はぎりりと歯軋り鳴らしながらこう言った。

 「アタシらは結局・・・子供を使わなければ生き残れないのか!!」

 そう、彼女もハートハイブリットギアに対する反対派であった。

 然し時世はそれを許さずに結局のところ自分たちは

それで助かってしまっていると笑えない話であった。

 そして騎士型の人型機動兵器が天塚の乗っている機体に銃口を向け・・・自身が大破した。

 『ゼーガペインが来てくれたぞ!』

 『反撃だ!!』

 各隊員の声を聴くと天塚はゼーガペインmarkⅠのいる方向に視線を向けた。

 機体に内蔵されている光学銃が騎士型を破壊すると傷無はクラウに向けて

矢継ぎ早にこう言った。

 「クラウ、光学剣展開!銃を下げて盾を出してそれと敵機の位置把握!!」

 「もうやった!」

 そう言うとゼーガペインmarkⅠの右手に内蔵されている銃が格納され、光の盾が現れると左手に剣が出た。

 そして騎士型を次々と倒すと大型の戦艦から・・・多数の砲撃が

降り注いできた。

 然し放たれる砲撃に対してゼーガペインmarkⅠはそれを避けながら

懐に入り込むと傷無はクラウを見てこう言った。

 「クラウ!」

 「光学銃展開!」

 すると剣が格納されて銃が出てそれを使って攻撃して・・・戦艦が撃沈した。

 これまではハートハイブリットギアを使うものでしか倒せなかったが

残された資料と傷無のハートハイブリットギアのデータによって相手の機体に合う波長が特定したためそれに見合った武器を現在製造中である。

 そして暫くして・・・敵が去っていった。

 残ったのは味方の・・・機体の残骸しかなかった。

 敵機は何故か時間がたつと粒子となって消えていくのだ。

 そう・・・一部を除いては。

 するとオペレーターから音声が聞こえた。

 『各隊は所定の防衛ラインに退避。南千住防衛部隊は墨田防衛ラインまで後退。残存する荒川区防衛部隊は各員所定の場所にテ待機されたし。

ゼーガペインmarkⅠは至急補給が済み次第江東区の本部に来られたし。』

 「「??」」

 二人は何だろうと思って機体を一度撤去される南千住防衛ラインの

指令部に向かった。

 

 

 

 

 

 

 南千住防衛ライン指令所は南千住駅の中に設置されており地下を通って

部隊とやり取りしているのだ。

 そして無論補給物資もこの中にある。

 傷無達は給油だけをしていると後ろから声が聞こえた。

 ソレハ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「よく生き残ってたな!お前ら!!」

 「「ムグ!!」」

 天塚が二人を見て胸を押し付けるかのように抱きしめた。

 彼女の胸部は豊満であるため押し込まれると反発するかのように

跳ね返ろうとしている。

 正直な所傷無は思春期であるためにこれは如何なんだと思うが

もう何回もあるので諦めている。

 「何なんですか?天塚さん。」 

 傷無がそう聞くと天塚は二人を放してこう言った。

 「ああ、悪い悪い。生還したから嬉しくてな。」

 ついというと天塚は後ろに着いてきている部隊を見てこう言った。

 「・・・今日だけで25人も死んだ。内機体は13。補給部隊として来ていた民間人12人と来た。」

 最悪だなと言って傷無達は俯くが天塚は二人に向かってこう言った。

 「アンタらが悪いんじゃない。アタシら大人たちがちゃんとしなかったからこうなったんだ。」

 寧ろよく働いてるよと言うと3人に向かってこう言った。

 「傷無さん!クラウシェルさん!!機体の補給が整ったので出せますよ!!」

 整備兵がそう言うと天塚は二人に向かってこう言った。

 「さあ、行きな!・・・死ぬんじゃないよ。」

 「「!!・・・了解!!!」」

 傷無とクラウはそれを聞いて敬礼した後ゼーガペインmarkⅠに搭乗した。

 そしてそれが飛び立つのを見送った天塚は二人に向かってこう言った。

 「・・・約束だぞ。」

 そう言って敬礼した。




 ゼーガペインは機体に武器を保有し、光装甲は「機動戦士ガンダムSEED」に
出てくる「フェイズシフト」を思ってください。
 レギオンの見た目は「鉄のラインバレル」に初期に出てきた量産機です。


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とある通知。

 その通知は・・・とんでもないものである。


江東区、東京国際展示場。

 そここそ自衛隊改め異世界抵抗軍と名を改めている面々の本部である。

 そこには残存している海上自衛隊の護衛艦と潜水艦が待機しており街の周りには

避難してきた人たちがテントや壊れた建物に身を潜めて生きながらえている。

 更に元々異世界軍に対する準備をしていたため密かに作られていた指令所、

発電機、整備所などが地下深くで今でも起動していた。

 一般的に地下は1階までとなっているが実際には地下10階クラスまでになっておりさらにその地下には元々は「レギオン」の格納庫であったのを今は

ゼーガペインシリーズの開発及び整備所としても使われている。

 傷無とクラウは近くにある「レギオン」の発着所から地下に

ゼーガペインmarkⅠと共に入っていった。

 感じ的に言えば某人型汎用決戦兵器でもあるあれが発進するかのような感じと

思えば宜しいでしょう。

 そしてゼーガペインmarkⅠがそこに着くと下では慌ただしく準備していた。

 「良いか!戦闘があったんだ!!何があってもいいように機体の整備は

抜かりなく、そして完璧にやれよ!!!」

 『『『『了解‼!』』』』

 全員に向かって命令するのがここの班長でもある整備班長、

通称「おやっさん」である。

 傷無達はおやっさんに向けて敬礼すると傷無はこう言った。

 「只今、・・・また犠牲者が出ちまったよ。」

 傷無が顔を俯かせてそう言うとおやっさんは怒鳴ってこう言った。

 「馬鹿言うんじゃねえ!!お前さんがいなかったら今頃俺らはあの戦いで

死んでたんだ!!二度目の命と思って全員お前さんに託したんだ。」

 「俯くんじゃなくて顔を上げて死んで逝った奴らを誇らしく語るのが

生き残った手前の仕事だろ。」

 「そんでもって今生きてる奴らを守るのも同じくだ。」

 あんま肩肘張るなよと言うと傷無はそれを聞いてはいと答えた。

 そして整備班長は傷無達に向かってこう言った。

 「それじゃあさっさと水浴びして司令部に行ってこい!!」

 「「了解!!」」

 二人はそう言うと整備所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 地下の中には生活物資が都内全員が1年生きながらえるだけの水と食料が

完備されており現状の人数ならば4年は生き永らえる位はある。

 無論生活水も完備されておりシャワー程度ならば使える程である。

 傷無達はシャワーを済まして・・・軍服に着替えて司令部に向かった。

 (傷無が着ているのは海上自衛隊、クラウが着ているのは航空自衛隊の

制服である。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「失礼します。」」

 「おお、悪いな。帰ってきて早々呼び出しちまって。」

 傷無とクラウが入室したのは小さな会議室。

 そこが司令官部屋である。

 部屋の主は「里見 一郎」

 見た目は飄々としているが実際は優秀な指揮官であり航空自衛隊においては

智将とも呼ばれる逸材である。

 そんな男の部屋にあるのは地図と戦没者の名前が書かれたホワイトボードが

幾つかとベッドとコーヒーメーカーである。

 「それじゃあさっさと本題に行くか。」

 里見はそう言うと二人に向けてこう言った。

 「・・・《飛騨 傷無》・《クラウシェル・アスフォード》以下2名は・・・」

 「「・・・・・」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「2週間後にテ現在大西洋に航行している《ギガフロート・日本》に向かい、《ゼーガペイン》の教導菅になってもらう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ああもう!!」

 傷無はエントランスホールに作られた食堂で机を思いっきり叩いた。

 「どうしたんだ?傷無」

 そう言うのはゼーガペインmarkⅡに搭乗しているガンナー「織斑一夏」である。

 幼馴染でもある「篠ノ之 箒」と共に戦っている。

 そして隣にいる箒はクラウに向けてこう聞いた。

 「どうしたんだ?」

 「いや、それがね・・・。」

 クラウは箒に向けて説明する中で傷無はこう続けた。

 「何が教導菅だよ!!体のいい事を言って実際は脅しじゃねえか!!!」 

 そう言う声が聞こえて何があったんだと人々が傷無を見た。

 「あああ!スミマセン!!!」

 クラウは全員に向けてそう謝る中で箒はこう続けた。

 「いや、今回のは貴様の言う通りだ!我々が必死になって戦っているのに

ギガフロートのお偉いさんは何を言ってるんだ・・・・!!」

 箒は最後らへんになってギリギリとそう呟いて一夏に向けて説明すると

一夏も同じ気持であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間前

 『ちょっと!どういう事ですか!?』

 傷無は里見に向かってそう言うと里見は・・・はあとため息交じりで

こう言った。

 『いやな、現状の打開の為にゼーガペインのデータが欲しいって

うるさいんだよ。』

 『ですけど今ゼーガペイン1機抜けると戦線に大きな損失を招きますよ!!』

 クラウは里見に向かってそう言うと里見は・・・苦々しい顔でこう言った。

 『今までは断ってたんだけどねえ・・・もしまた断ったら支援として

融通している物資を削るってさ。』

 『そんなの・・・脅迫じゃないですか!!』

 傷無はそれを聞いて更に怒った。

 現在水と食料だけならばなんとかなあるが医療物資や弾薬等は融通が

利かないためにギガフロートから小型潜水艦で輸送してもらっているのだ。

 もしこれが途絶えると戦線の維持が困難になるのだ。

 『済まねえな。大人の事情にお前らを巻き込ませたくなかったんだけど・・・

本当に済まない。』

 里見はそう言って頭を下げて謝るのを見て傷無達はこれ以上何も言えなかった。 

里見自身から流れ出る・・・後悔の意識が見え隠れするからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 そして彼らはそれに了承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして現在に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷無は今でも頭をガシガシと搔いていると後ろから・・・声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・父が済まない事をした。」

 「「「「・・・・・・あ。」」」」

 そう言う声が聞こえて傷無達が振り向いた先にいたのは・・・・。

 白髪の髪。

 右目は赤、左目は青のオッドアイ。

 そして少し寂しそうな顔をしてる青年は・・・・・。

 現総理大臣の息子であると同時に避難民の誘導や戦力の再分配において

作戦司令部に入ることが出来る青年。

 「御子神 司」である。




 次回に続く。


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現状の説明

 ここからは現在の戦線による影響です。


「話は既に指令から聞いている。父がこちらに対して圧力を加えたことに

対して・・・申し訳ない。」

 司はそう言って食事を机において・・・土下座しようとしてきた。

 「「「「いやいや、待て待て!!」」」」

 それを見た傷無達は流石に公衆の面前とはなと思いそれを

何とか阻止しようとするも司は断固として譲ろうとしなかった。 

 「いや、謝らせてくれ!それどころか踏みつけても殴ってもいい!!」

 「いや、お前殴ってもどうしよもねえし!!」

 「それに殴るんなら司じゃあなくてお前の親父だろうが!!」

 司の言葉を聞いて傷無と一夏がそう答えた。

 そしてクラウと箒はこう続けた。

 「そうだよ。貴方には何も悪いことないじゃない。」

 「それどころか皆を守るために四方八方手を尽くしているではないか。」

 そう言うと司の後ろから・・・声が聞こえた。

 「そうだぞ、アンタが謝っても何も解決しないからな。」

 そう言うのは白髪のウエーブがかかったセミロングのサイドテールをした少女。

 「駒込 アズズ。」

 人類最高の知能を誇っておりとある少女と共にゼーガペインの開発を仕上げた

天才である。 

 そして彼女も開発班として司令部によく足を運んでいる。

 「アンタがよくやっているのはウチだって知っているし悪いのは

アンタの親父。」

 「まあ、ここでボコボコビされてもウチには何の得にもならないしな。」

 「駒込・・・。」

 司はアズズを見てそう言うと・・・クラウと箒がこう言った。

 「もう、アズズったら。素直じゃないよね。」

 「ああ、心配しているとか素直に言えんものなのか?」

 「聞こえてるぞお前ら!!」

 アズズは二人に向かってそう言うと傷無は司に向かってこう言った。

 「まあさ、確かにお前の親父には色々と言いたいけどそれをお前に向けるのは

お門違いってもんだぞ。」

 「俺達は仲間なんだ。仲間として助け合わなくちゃあいけねえだろ?」

 「飛騨・・・済まない。」

 「こう言う時はありがとうだろ?」

 「ああ・・・ありがとう。」

 司は傷無に向けてお礼を言ってから席に着くと傷無は司に向けてこう聞いた。

 「然し備蓄はあとどれくらいあるんだ?」

 そう聞くと司は直ぐにこう答えた。

 「直ぐには支障はないと思うが弾薬や医療品がギガフロートから

来られなくなると持って2年。」

 「その間にゼーガペインシリーズを何機製造できるかで今後の戦闘に大きく影響しちまうな。」

 司に続くかのようにアズズがそう言うとクラウはアズズに向けてこう聞いた。

 「アズズ、ゼーガペインシリーズはそれまで大体何機できるの?」

 そう聞くとアズズは空に向かって算盤を弾くかのような感じ・・・こう答えた。

 「今のままの生産だとしたら大体2年で・・・7機だな。」

 「!・・・それだけなのか・・・?」

 箒はその言葉を聞いてそう聞き返した。

 何せ2年で7機となると1年で厄3機までしかできないからだ。

 するとアズズはこう返した。

 「当たり前だろう?機体を作ってもパイロットの育成に短期訓練。

ゼーガペインシリーズの光装甲は物理学を応用して出来てるから

大量生産するとなると間に合わせのここじゃなくてもっと真面な機材が整っている場所じゃないとだめだな。」

 そう言うとアズズはこう続けた。

 「今は製造ドッグに2機ほど開発してるけどあれは元々倉庫に死蔵されてた

予備パーツをくみ上げた奴だから1から作るとなるとそれだけかかるな。」

 そういう意味であった。

 例え造ったとしても使う人間がいなければ只の置物になれ果ててしまうからだ。

 然も貴重な資材で作るだけあって間に合わせでは無理だと考えているのだ。

 それにとアズズは5人に向かってこう続けた。

 「今あの船のメンテと武器の補給でそれどころじゃないからな。

だから合間合間にするとなるとそれくらいになるって事だ。」

 そう言ってアズズは食事を再開して他の皆も再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夜。

 傷無とクラウはゼーガペインmarkⅠのコックピットにて就寝していた。

 もし何があってもいいように全員は機体の近くかコックピットに寝るように

言われているのだ。

 無論整備士たちも交代交代で寝ていた。

 そんな中で起きていた傷無はクラウを見ていた。

 最初は憔悴して、泣くこともしなくなり無表情であったクラウも

ここに避難している子供たちや頑張って働いている大人達を見て少しずつであるが笑顔を取り戻して今や笑えるようになったのだ。

 そんなクラウを見て傷無は少し笑顔になってこう呟いた。

 「ギガフロートか。」

 苦い思い出数多く残る場所。

 そして何よりも・・・肉親でもある母と姉がそこにいる。

 自分が乗船していない事を知ってどう思っているのかは最初は分からなかったが通信が回復して最初に・・・姉を見た時に怒られたのを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 《今まで何をやっていた!!》

 

 

 

 

 

 

 最初はどうしてそこにいるとかナゼ乗っていなかったのかをきつく言われたが

最後には自分の意思を尊重させてくれたのだ。

 無論、自身のハートハイブリットギアが変貌したことについては

何も言っていない。

 別れば今すぐに来いとか言われそうだと確信しているからだ。

 然しもし向こうに行けば間違いなくまた実験だなと思っているため

言いだせなかったのだ。

 然し向こうに行けば遅かれ早かれと思うが自身はゼーガペインの教導官として

向こうに行くからと思っているから大丈夫であろうと思っていた。

 そして傷無はクラウの手を触れて・・・こう言った。

 「大丈夫、大丈夫だ。」

 そう言うとクラウの手が・・・傷無の手を握り返した。

 「クラウ?・・・・」

 傷無はクラウを見て起きてるのかと思っているとクラウは目を瞑ったまま・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 「パパ・・・ママ・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 そう言った途端にクラウの目から・・・涙がこぼれ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 「クラウ。」

 傷無はそんなクラウを見て涙を指で拭うとこう言った。

 「大丈夫、俺は離れないから・・・離れないから。」

 そう言いながら傷無はクラウを優しく抱きしめた。

 偶にだがこう言うのがあるので傷無はクラウを抱きしめてから就寝することがあった。

 そして傷無も夢の中に・・・入っていった。




 エロよりも・・・純愛の方は良いなあ。


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サヨナラは言わない。

 プリンセス 暁の名前はこちらで勝手に決めました。


あの後傷無とクラウは里見に教導官拝命着任についてを聞いた後幾つか

戦闘があった後、傷無とクラウはゼーガペインmarkⅠと共に向かう為に

ギガフロートと往復する際に使われる最新鋭の小型潜水艦で向かう事となった。

 この潜水艦は最新技術をふんだんに投入された潜水艦で防音、防諜、

ステルス航行等が使われている。

 小型と言ってもゼーガペインを格納するには十分な程広いので何とか

輸送できるのだ。

 そして傷無とクラウを見送ろうと・・・全員が集まってきた。

 「態々来なくていいのに。」

 「何言ってんのよ?貴方の人柄でこんなに人が来たんだから少しは

喜びなさいよ。」

 「確かにそうですね。」

 そう言うのはゼーガペインmarkⅢのパイロットでもある「更識 楯無」と

整備士の一人の「布仏 虚」である。

 そしてこちらもこう続けた。

 「・・・頑張ってね。」

 「応援してるね~~。」

 そう言うのはmarkⅢのオペレーターでもある「更識 簪」と

「布仏 本音」である。

 そして他の人間からも出迎えがいた。

 「ここまで盛大に見送るんだ。向こうの連中を徹底的に扱けよ!傷無」

 そう言うのは物資管理を主とする御子神の親友「真田 勝人」

 「うむ、お主等がいたからこそ皆ここにおるのだ!精進せよ!!」

 そう言うのは自警団に入っている「一条 葵」

 「子供たちの事は任せて頑張ってよ!!」

 そう言う小柄な少年はマジシャンでもある「プリンセス 暁」こと『暁 真人」

 「怪我人の事は任せておいて、48時間以内なら死んでも治しておくから。」

 そう言う白衣を着た女性・・・いや、少女は医療部隊に所属する「神崎 桂音」

 「ええと・・・頑張って。」

 そう言う暁と同じくらいに小柄でベレー帽を付けている少女はアズズと同じ

知能指数を持っている開発部所属「大橋 林檎」

 そしてそれを聞いて暫くすると・・・こう声が聞こえた。

 「アズズ!ほら傷無とクラウが行っちゃうよ~~!!」

 「うっさい!ウチはもう少し寝たいのに~~!!」

 「アズちゃん。ほら、もうすぐだから。」

 そう言って現れたのはアズズを入れて3人。

 アズズを連れてきたのは黒髪をポニーテールにしている和風な服を着た少女。

 もう一人は小柄でピンクの髪を両端で結んだ・・・巨乳の少女。

 「あれ?『宮古』に『園香』じゃないか!?態々アズズ連れてきてくれて

サンキューな!!」

 傷無はそう言って二人にお礼をした。

 宮古、本名「六車 宮古」は料理の腕が一流であるため調理班にいる。

 園香、本名「沖田 園香」は戦死した「沖田 歳三」の娘でもあり姉は

先の戦争で戦死している。

 すると宮古がカバンからある物を出した。

 ソレハ・・・。

 「これって・・・弁当か!?」

 「ピンポーン!何せ船の中だから大体が保存食だろうと思ってさ!!

最初の朝、昼、晩位は作ったからクラウと食べてよ!!」

 「ありがとうな。宮古」

 「(*´σー`)エヘヘ。」

 傷無はそう言って宮古の頭を撫でているとアズズがある物を出した。

 ソレハ・・・。

 「USBメモリ?」

 「ああ、こいつの整理で寝不足だからな。お前らの機体設定と量産するに

あたっての注意と光装甲に関する論文をまとめてるからちゃんと

向こうの連中に渡しとけよ。」

 アズズはそう言いながら眠気眼でこうも言った。

 「まあ、アンタらなら大丈夫かもしれないと思うけど・・・気を付けろよ。」

 そう言うと園香が子供たちと一緒にある物を傷無とクラウに渡した。

 ソレハ・・・。

 「これって・・・俺達の人形?」

 「うん。皆で作ったお守りだよ。傷無とクラウが無事に戻ってきますようにって願いを込めて作ったんだ。」

 ああ、あとねと言ってもう一つ渡された。

 ソレハ・・・。

 「これって・・・お酒?」

 「うん・・・弥生お姉ちゃんがね、向こうで戦勝した時に呑んどけって。」

 「・・・俺ら未成年だぞ。」

 「本人曰くね・・・。」

 ーー戦場を経験している時点でお前はもう大人だ!!

 「だって・・・。」

 「・・・相変わらずだね・・・。」 

 「お姉ちゃんが本当にすいません。」

 クラウの言葉を聞いて園香は賺さずに謝った。

 そして傷無はまあ取り合えずだなと思って入れると里見がグラスを傷無と

クラウに差し出した。

 そしてそれに・・・お酒を入れてきた。

 「「ちょっと待て!!」」

 「良いじゃねえかよ。・・・もしかしたらこれがお前らと飲める最後の酒に

なるかもしれねえしさ。」

 そう言いながら里見は日本酒を注いでおくと全員に向けてこう言った。

 「これから二人は俺らの下から離れるが逃げるんじゃない!

ここを去った者たちが生き残り、ここに帰ってくるために力を付けさせるために

出立する!!」

 「根性の別れになるって言ったがそうはならねえように俺らも頑張るから・・・元気でな。」

 「「ハイ!!」」

 それを聞いて傷無とクラウはグラスに入っている酒を一気飲みして里見に返すと里見は大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「君たちに大和の加護があらんことを!!」

 そう言って敬礼して・・・全員がそれに続いた。 

 そして傷無とクラウは潜水艦に乗る前に手を振ってから乗船して・・・そのまま行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 「頑張れよ。」

 里見はそう言って見送ると・・・警報がなった。

 

 

 

 

 

 

 「総員戦闘配置!!」

 

 

 

 

 

 

 『『『『『了解‼!!!!』』』』』

 それを聞いて全員が出動した。

 帰ってくるであろう仲間の場所を守るために。




 等々・・・第1巻に入ろうとしている。


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海の上で戦闘。

 それでは、第1巻。
 開始!!


あれから8日が経過した。

 潜水艦の中で傷無とクラウはゼーガペインmarkⅠの調整とシュミレーション

トレーニングをしていた。

 シュミレーションの方はこれまでの傷無とクラウ達が行っていた戦闘データから

作られた物であり状況の再現やオペレーションの音声、戦闘中における部隊の音声が生で聞こえるのだ。

 傷無とクラウは長年それを聞いていることにより雑念を払って集中できたのだ。

 助けられる命とそうでない命。

 何時のまにか自分はそう言う選択に対して分けてしまう事に慣れてしまった事に

少し自嘲気味であった。

 無論クラウも同じ気持でありよくお互いで反省会をしていた。

 そんな中で・・・潜水艦の中で警報音が鳴り響いた。

 「この音って・・・・」

 「如何やら着いたようだな。」

 傷無はその音についてそう答えた。

 潜望鏡から見てみるとそこに映っていたのは・・・巨大な鉄の塊が水上を

航行していた。

 あれこそが現在の日本政府の中枢であり避難船。

 「ギガフロート 日本である。」

 大小併せて4つの大型の船で構成されており各地の情景を可能な限り

再現されていると・・・言われている。

 何故疑問形なのかと言うと傷無が暮らしていたのはそんな中の一つであり

他のがどういう所なのか知らないからだ。

 「あれが『ギガフロート』か。」

 傷無はそう言って潜望鏡から見た景色を見ていると・・・その更に向こうにある

何かを見て・・・傷無はすぐさまに機体に向かった。

 「傷無?どうした・・・まさか敵!?」

 「ああそうだ!くそ!!もう直ぐで着くって時に!!」

 傷無とはそう毒づきながらもゼーガペインmarkⅠを起動しようとすると

クラウも機体に搭乗して準備した。

 各システムが起動するとクラウは更にある事をした。

 ソレハ・・・。

 「潜水艦の全システムをハック!緊急浮上及びハッチ解放!!」

 その声と同時に潜水艦が・・・激しく動いた。

 恐らくは緊急浮上することによる衝撃であろう。

 そして潜水艦が浮上するとハッチが解放された。

 そしてゼーガペインmarkⅠが起動すると同時に立ち上がりスラスターから

起動音が聞こえた。

 そして機体が完全起動すると傷無とクラウはこう言った。

 『《飛騨 傷無》!《クラウシェル・アルフォード》!!出撃‼!』

 そして彼らはギガフロートに向けて全速力で向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「このお!!」

 そう言いながら銀髪の少女は大量の武器を持ちながら異世界の軍勢相手に

戦っていた。

 少女の名前は「千鳥ヶ淵 愛音」。

 「ゼロス」と呼ばれるハートハイブリットギアを使う主に近接格闘戦に特化した使い手である。

 「ハアアアア!!」

 そのすぐ近くにいるのは黒髪長髪の少女。

 少女の名前は「姫川 ハユル」。

 この部隊の隊長的な立ち位置で「ネロス」と呼ばれるハートハイブリットギアを使い刀における近、中距離型の戦闘をする。

 そしてもう一人・・・メンバーがいる。

 「ファイヤー!!」

 少し遠くでそう言いながら攻撃するのはアメリカにおいてその名を知らないと

言われるトップエース。

 金髪の長い髪が特徴の少女。

 「ユリシア・ファランドール」

 ハートハイブリットギア「クロス」を使い遠距離における戦闘を

得意としている。

 異世界軍との戦いに於いて高い実力を発揮したのだがキルレシオは嘗て

「東京の奇跡」において最も荒々しく好成績を上げた

謎のハートハイブリットギアが彼女の記録を軽く凌駕しているため

現在世界№2である。

 そんな中においてユリシアがハユルに向けてこう言った。

 「ちょっと!あとどのくらいいるのよ!?戦艦もいるのに!!」

 「結構な数です!それに情報によれば《ヴァイキング》も出たとの事です!!」

 「じゃあそっちはアタシが行けば」

 それを聞いて愛音がそう言うがハユルはこう答えた。

 「今はそれどころではありません!!こっちにいる騎士型を何とかしなければ」

 ハユルが言い終える前に・・・上空で爆発が起きた。

 「「「!!!」」」

 一体何だと思っていると更に爆発が幾つも増えた。

 すると・・・通常通信が3人に向けて届いた。

 『おい!早く海上に出た《ヴァイキング》をぶっ潰せよ!!こっちは俺らだけで何とかする!!』

 「一体誰なんですか!?いきなり出たと思えば命令口調で!!

我々は指令の指示でここの死守を」

 『だーかーらー!!ここは俺達が何とかするからって言ってるだろうが!!』

 「だからあなたは一体誰なんですか!!」

 ハユルは怒鳴りながらそう言うと通信でこう言った。

 『こちらは日本異世界抵抗軍所属《ゼーガペインmarkⅠ》のパイロットの

《飛騨 傷無》とオペレーターの《クラウシェル・アルフォード》!!

今日付でアンタらの教導官に任命されたんだ!!」

 「な!?」

 『分かったらさっさと仕事しろ!!』

 そう言って通信を切られて上空を見ると・・・緑の線が煌く

ゼーガペインmarkⅠが攻撃していた。

 敵の航空戦闘能力を持つ『アルバトロス』達が放つ砲撃を避けながら確実に

敵機の腹部に命中していた。

 そしてさらについでと言わんばかりに海上から出てきた《ヴァイキング》の

脚部や頭部に攻撃してもう一度沈め直していた。

 そんな中で《アルバトロス》が剣を構えてゼーガペインmarkⅠに近づくも・・。

 「遅ぇよ。」

 傷無はそう言って敵機の腹部から・・・光学剣を出して貫いて

そのまま斬り裂くとそのまま《アルバトロス》の内部に突入して

そのまま斬りあいになったが・・・一方的であった。

 ゼーガペインmarkⅠの攻撃に対して《アルバトロス》は成すすべもなく

破壊され、傷一つ付けられなかった。

 そして暫くすると・・・艦隊が退いて行った。

 そんな中でハユルはそれを見て・・・こう言った。

 「あれが・・・最前線の強さ。」

 そう言いながらゼーガペインmarkⅠを見ている中で・・・通信が来た。

 『ユリシア、姫川、千鳥ヶ淵は直ちに帰投せよ。』

 「おいおいおい・・・まさかこの声って・・・・」

 「?」

 『艦隊に対しては追撃するな。』

 その音声が・・・映像と一緒になると傷無はゲッとした表情になるとその・・・女性はこう言った。

 『それと・・・飛騨 傷無とクラウシェル・アルフォードは直ちに

ギガフロート内にある格納庫迄来い。』

 「・・・姉ちゃん。」

 「・・・・ええええええ!!お姉ちゃん!!?」

 クラウシェルはそれを聞いて驚くと女性は傷無に向けてこう・・・

秘匿通信で言った。

 『さてと・・・色々と訊かなければならないことがあるよなあ?・・・傷無?』

 「アハハ・・・ハハハ・・・」

 傷無はそれを聞いて・・・乾いた笑いをするのがやっとであった。




 次回は自己紹介と説明。


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自分よりも先に・・・作りやがった!!

 怜悧「弟が彼女連れてきた!!」
 京 「ご愁傷様。」


《ギガフロート 日本》の地下には幾つものドッグを保有しており

緊急時に使う揚陸艇や武器、弾薬がある倉庫、食料を作るプラント等

上げればキリがないくらいにあり設計が施されておりその中の一つに

《ゼーガペインmarkⅠ》は中に入った。

 すると中には幾つもの機材が所狭しと散らばっておりよく見たら

機体固定用のクレーンアームが幾つかあった。

 そして着陸すると周りには年若い少年少女達が《ゼーガペインmarkⅠ》を

キラキラとした目で見ていた。

 そして着陸してコックピットのドアが左右に切り開かれるように開くと

そこから傷無とクラウが出てきた。

 そして簡易型のエレベータークレーンに乗って降りるとそこにいたのは・・・。

 「久しぶりだな、傷無」

 「久しぶり・・・姉ちゃん。」

 傷無は何やら不機嫌な顔をした姉『飛騨 怜悧』を見て少し引きながらも

そう言うと怜悧は傷無を睨みつけるかのようにこう言った。

 「よく来たな。」

 「来なけりゃあ抵抗軍の物資を削るって言われて仕方なくだよ。」

 「・・・あのクソ政治家共が・・・・!!」

 それを聞いて怜悧は嫌な顔をしてそう呟いていると怜悧はクラウを見て

こう聞いた。

 「所で傷無、この・・・女の子は?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「あ、初めまして!傷無のお姉さんですよね?」

 「あ・・・ああ。」

 「私、《ゼーガペインmarkⅠ》のオペレーターとして傷無のパートナーとして

抵抗軍に参加しています『クラウシェル・アスフォード』と言います!!」

 宜しくお願いしますと言って頭を下げるのを見ている怜悧であったが怜悧は

その少女が自分の事を姉と言ったのでこう思っていた。

 「(義姉・・・パートナーと言ってたがまさかこいつ傷無の!?)」

 顔には出さないが正直な所卒倒したいほどの光景である。

 何せ自分には正直な所・・・男がいない。

 詰まる話が彼氏がいないのだ。

 まあ、仕事上ではあるとしても出会いもなければ付き合った事すらないという

苦痛を味わっているのにもかかわらず弟は既にこれ程の美少女を

パートナーと言っているともならば既にそう言う関係に!?・・・と思っていても不思議ではない。

 そして怜悧はクラウをじっと観察し・・・こう結論付けた。

 「(顔は間違いなく美少女だ、それにスタイルに至っては千鳥ヶ淵と

ほぼ変わらぬが何と言うかアイツは神が造ったのに対してこいつは・・・

人の手でと言う感じの自然な感じがする。おまけに言葉一つ一つとっても

ちゃんとしているし・・・いや、待てよ?性格はどうだ?)」

 そう思っていると怜悧はクラウに向けて咳払いしながらこう聞いた。

 「時に聞くが『クラウシェル・アスフォード』。一つ聞くが良いか?」

 「?」

 「貴様にとって傷無は・・・どういう存在だ?軽い口調でも構わん。」

 そう聞くとクラウは普通にだが・・・しゃんとした感じでこう答えた。

 「私にとって傷無は命の恩人で・・・両親のお墓を作ってくれたり・・・皆を引っ張ってくれるリーダー的存在です。」

 「ふむふむ。」

 「ですけど普段は子供には優しくてちょっとドジ踏むところがありますし、

それに真っすぐで・・・正直で・・・仲間の死を悼んで・・・それでも傷ついても立ち上がって前に進む・・・私にとって傷無はかけがえない・・・

大切な私のパートナーです。」

 「・・・グふぁああ!!!」

 それを聞いた後にクラウの穢れのない笑顔を見て怜悧は血反吐吐いて

吹っ飛んだ。

 「ウォォォォイ!姉ちゃん!?」

 「お姉さん!?」

 二人は驚いて怜悧に近寄ると怜悧は息絶え絶えで・・・こう言った。

 「傷無・・・私は・・・ここまでだ。」

 「いや、何言ってんのアンタ!?始まって早々じゃねえか!!」

 これで死ぬってバカらしいぞと傷無はそう言うと怜悧は・・・こう返した。

 「私も・・・彼氏・・・作りたかった。」(ToT)/~~~

 「何コントしてんだよ?!姉ちゃん!!」

 俺がいない間にキャラ変わったなと心の中でそう思っていると・・・

機械的な声が聞こえた。

 『済まない。恐らく怜悧は君とクラウの関係について幾つか誤解が生じて・・・というよりも負け犬組になったことに絶望したようだ。』

 「誰が負け犬だ!!」

 「ウォォォォ!蘇った!!」

 傷無は突如起き上がった怜悧を見て驚くと傷無はオレンジ色の髪をした

少女?・・・に向けてこう聞いた。

 「あのう、君は?」

 『あ、初めまして《飛騨 傷無》、《クラウシェル・アスフォード》。私は今の≪ギガフロート 日本≫の技術主任をしている《識名 京》。こう見えても

そこにいる負け犬とは学生時代からの親友だ。』

 「おい識名!誰が負け犬だと言っている!!」

 「え!姉ちゃんと同い年って・・・何時も何時も姉がお世話になっています。」

 傷無は最初に年齢について驚きながらもそう言って頭を下げるも京は

こう答えた。

 『気にするな、よく言われる。』

 「?・・・ちょっと待てよ、今の技術主任って事は・・・・聞いて良いか?」

 『君の母親、《飛騨 那由多》についてだろ?』

 それを聞いて傷無はこくんと頷くと京はこう答えた。

 『・・・現在君の母親《飛騨 那由多》は・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『失踪中だ。』

 「・・・・はあ?」

 まさかのであった。




 次回は母親がいない理由について。


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経験が長い人の叱責は経験になる

 そう言えばこのころの原作ヒロインズって・・・結構闇抱えてるよな。


 「行方不明って・・・何でって何時から!?」

 傷無はそれを聞いて取り乱している中で京はこう答えた。

 『ある日気が付いたら何処にもいなかったんだ。調査した結果、

このギガフロート日本においてどこにも存在しない。』

 「・・・他のギガフロートはどうだ?それか他に探していない場所とか」

 『それも考慮したが然しあの博士ならばセキュリティシステムを

改ざんさせることなど訳ないし、それに禁止エリアも含めて調べてみたが

何処にもいなかった。』

 「・・・何考えてんだ?あの母さんは」

 それを聞いて傷無は呆れ顔でそう言った。

 確かに昔から自由奔放な所はあったがあんなでも母親だと思っていた。

 例え・・・切り捨てられたとしても。

 「それで、俺はこれからどうしたら良いんだ?もし総理大臣に会うなんて言ったらあいつの顔に思いっきりぶん殴り倒しかねんぞ。」

 『それを自分で言うあたり中々度胸があるな。それは怜悧がやってくれるから君はアタラクシアの学園にある大講堂に来て就任の挨拶と何か1,2言喋ってくれ。』

 「俺喋るのって苦手なんだよなあ・・・まあ、仕方がないか。」

 傷無はそう言ってため息つけながら到着した潜水艦から荷物を引っ張り出して

行こうとするとクラウが傷無に向けてこう聞いた。

 「大丈夫?傷無。」

 そう聞くと傷無はこう答えた。

 「まあ・・・何とかかな?・・・正直な話何か目の前で話すのって

苦手なんだよなあ。」

 「ううん、お母さんの事。」

 「!!」

 それを聞いて傷無は目を丸くするがクラウを見て・・・こう言った。

 「正直な所、会わなくてほっとしている自分がいるんだが・・・

それとは逆に落ち込んでるような感じがして何て言うか・・・

ごっちゃごちゃになってるんだよなあ。」

 そう言っているとクラウは傷無の右手を・・・自身の左手で握りしめて

こう言った。

 「大丈夫。何があっても私がいるから。」

 「クラウ・・・ありがとう。」

 「どういたしまして♪」

 傷無とクラウはそう言いながら・・・お互いに握りあっている手の指が

絡み合うかのように繋がりながら・・・歩いて去っていった。

 世に聞く・・・恋人繋ぎである。

 それを見ていた整備員の内男性陣は血の涙を流し、女性陣は良いなあと

思いながら指を咥えていた。 

 そして京と怜悧はと言うと・・・。

 

 

 

 

 『青春だな。』

 「・・・・・・」

 京はそう言いながら見ているが怜悧は・・・体が白くなって口から

魂を吐きながら呆然としていた。

 それを見た京は仕方がないと思いながら怜悧を引きづりながら去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後傷無とクラウはアタラクシアの制服(男性は普通なのだが女性は肩と腋が丸出しであった。)に着替えた後大講堂に向かうと既に・・・千鳥ヶ淵、姫川、ファランドールが待機していた。

 すると姫川は傷無とクラウに向けてこう聞いた。

 「貴方達が先ほどの機体に乗っていたパイロット達ですか?」

 そう聞くと傷無はああと答えると姫川はこう答えた。

 「私は日本特務隊及びこのアタラクシアの風紀委員兼ハートハイブリットギアチーム『天地穹女神(アマテラス)』の隊長をしています

『姫川 ハユル』です。」

 そう言いながら敬礼すると傷無とクラウも同じく敬礼した。

 そしてお互いに敬礼を解くと姫川がこう言った。

 「先ほどの戦いには感謝します。《ヴァイキング》をあの場所で撃滅してくれたおかげでギガフロートを守ることが出来ました。」

 ですがと言うと姫川はこう続けた。

 「今後はこちらの作戦に従ってもらいます。貴方達は教導官とはいえ

このアタラクシアの一員になります。そして異世界軍相手と

戦う事になっていますから必然的にこの『アマテラス』に所属することと

なっておりますので」

 「生憎だが俺は君の指揮には従わない。」

 「何かある時には私に報告ってナンデスッテ!!」

 それを聞いてハユルは目をまんまるにして驚いた。

 「き・・・傷無」

 クラウはそれを聞いて慌てているが傷無はこう続けた。

 「俺は君よりも長い間戦場で戦い抜いてきた。正直な話君よりも

戦闘における知識は高いほうだと自負しているし状況把握能力もそれなりにあると思ってる。あの時に君は《ヴァイキング》が上陸してきた際に何していた?」

 「そ・・・それは、あの時は《アルバトロス》が未だ多くいたので

その対処にと」

 「それならそこにいる外人さんに指揮権を一時譲渡してから移動すれば良かったんじゃないのか?」

 「そ、それは」

 「はっきり言えば君の戦い・・・いや、ここにいる全員がまとまっていないと思ってる。」

 「「「!!!」」」

 それを聞いて姫川だけではなく千鳥ヶ淵とファランドールも目をきっと

傷無に向けて睨みつけるが傷無はそれでもこう続けた。

 「良いかよく聞け。戦場はゲームみたいに戦って勝ったから経験値が溜まる訳じゃない。戦場においては例え個々の戦闘能力が高くってもチームとしての

連帯感がなければ勝てる戦いも勝てないし被害が増えるばかりだ。」

 「そういういうのは『英雄』じゃなくて『蛮勇』って言うんだ。

正直な話自殺志願者かとでも言いたいほどだ。」

 「手前が良くても周りが被害被ればその分リスクが増えるし物資にも

限界が来る。」

 「それでも自分勝手に戦うって言うんならさっさと一人で死んでろ。」

 「ナンデスッテ・・・・・!!」

 「俺はそう言う奴らを何人も見てそいつらが仲間事くたばるのも見た。」

 「良いか、これは警告だ。死にたくなかったら周りを信じろ、自分の実力を

過信するな。驕りは自分を見失うぞ。」

 そう言って傷無は黙って座った。

 然し彼女たちはと言うと・・・・怒り狂っていた。

 正直な所殴り飛ばしたいのに何故か動けない・・・自分がいるのだ。 




 次回は自己紹介です。


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己の意思に旗を掲げよ!!

 自らの心に1本の槍を突き刺せ。
 信念という名の槍を!!


 「それでは今回もまた見事敵の襲来を撃退した、我らがアタラシアが誇る

ハートハイブリットギアチーム『アマテラス』の隊員たちに諸君、盛大な拍手を

お願いしましょう!!」

 そう言う言うのは黒髪の男性で・・・何処か司に似ている男。

 この男こそ現総理大臣であり司の父親「御子神 仙波』である。

 それを見ていた傷無は舌打ちしながらこう言った。

 「けっ!自分の人気取りという為にここまでやるかねえ。」

 「まあまあ。」

 クラウはそれを聞いて傷無を宥めていると仙波はこう続けた。

 「そして今回、彼らと共に戦い好成績を収めた2人を紹介しよう。」

 「紹介する、異世界抵抗軍機動兵器パイロット『飛騨 傷無』君と

『クラウシェル・アスフォード』君だ!!」

 仙波は仰々しくそう言うと同時に2人はSPに押されるかの様に前に出された。

 するとそれを見ていた生徒たちが口々にこう言った。

 「異世界抵抗軍ってあの?」

 「機動兵器ってあのロボットのか!?」

 「すげえ活躍だったよな。」

 「ああ!まず間違いなくエースだな。」

 「それにしてもあの金髪の女の子可愛いなあ、スタイルも千鳥ヶ淵と

変わんねえぞ!!」

 各々そういう中で傷無とクラウを見てそう言った。

 すると仙波は傷無とクラウを見てこう言った。

 「よく来てくれたね2人とも。これでアタラシアも安泰だよ。」

 そう言いながら握手してきたが傷無とクラウを顔を出さずにそれに応じた。

 ・・・正直な所思いっきり殴り飛ばしたいと傷無はそう思っていた。

 そして終わると傷無はこそりと手を制服で拭いていた。

 すると仙波は2人に向けてこう言った。

 「それじゃあ君たち、彼らに何か一言?」

 そう言ってマイクを渡すと傷無はそれを取って全員の前に立ってこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 『皆さん!私は今日この《アタラシア》に教導官として配属されました

「飛騨 傷無」です。私がここに配属されることとなったため貴方達全員に

戦う術を学ばせます。』

 『ですが・・・一つ聞いて宜しいでしょうか?』

 『『『『『?』』』』』

 全員何だろうと思って聞いて見ると傷無は躊躇いもなくこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 『貴方達は隣にいる仲間が死んだときどうしますか?』

 『『『『『!!!!!』』』』』

 それを聞いて全員がざわめくが傷無は更にこう続けた。

 

 

 

 

 『そうだよな、最初にそれ聞いたら皆狼狽えるだろうな。』

 『だけどな・・・それが俺達にとっちゃあ当たり前なんだよ。』

 

 

 

 

 

 『昨日仲良かった仲間が次の日には物言わぬ死人、又は骨だけになっていた

なんて日常茶飯事で助かっても重症負っていたり帰ってきたと思ったら

そこで死に絶えるなんてことがしょっちゅうだ。』

 

 

 

 『・・・俺がいたところじゃあ腐乱した死体があちこちある戦場だった。今でもそう思っている。』

 

 

 

 

 『だがここにいるのはそう言うのは無縁な場所。』

 『良い所じゃないか、平和が謳歌されるこの場所。

正に人間がいるべき場所だ。』

 『だけどな・・・・お前ら何時まで逃げ惑ってるんだ!!!』 

 

 

 

 傷無の怒号の様な大声と同時に床に思いっきり足を踏み鳴らしたのを見て

全員恐怖するが傷無は躊躇いもなくこう続けた。

 

 

 

 

 『ここは楽園じゃねえ!!只の偽物!!鍍金で出来た屑鉄の檻だ!!』

 『本当に楽園が欲しいなら何故抗おうとはしねえんだ!!』

 傷無がそういう中で生徒の一人がこう言った。

 

 

 

 

 

 「・・・何よ、アタシらの事知らないくせに」

 

 

 

 

 『ああ知らねえよ!知らねえけどな!!俺からすりゃあ手前らは

只々逃げ惑うだけの蟻と一緒だ!!』

 『手前らはここで満足してんのか!?偽物の大地で!!偽物の平和で!!

何時までも異世界軍から逃げ惑いながら一生を過ごすのか!!!

えええ!!???』

 傷無の言葉を聞いて誰もが下を向いていた。

 自分たちが今いるのはいつ沈むか分からない船の上。

 如何に防衛がしっかりしているとしても何時何があるか分からない。

 然し抵抗軍が何時まで持つか分からない。

 其れならばいっそと思いたくもなるのだが傷無の一言が・・・・。

 

 

 

 

 

 『手前らは国に帰りたくはないのか!?』

 

 

 

 

 

 全員の心に灯をともした。

 

 

 

 

 

 「・・・帰りたい。」

 

 

 『ああ!何だって!?』

 傷無は女生徒の言葉を聞いて何だと大きく言うと女生徒は・・・・大声でこう言った。

 

 

 

 

 「帰りたいわよ!家に!!国に‼!!」

 その言葉と共に・・・全員が思い思いにこう続けた。

 

 

 

 「ああ、帰りてえよ!!」

 「いい加減もう海を見るのは沢山だ!!」

 「俺達の本当の家に帰りてえよ!!」

 

 

 

 『なら何をすればいい!!』

 

 

 

 

 

 「「「強くなりたい!!!」」」

 

 『ドウヤッテだ!!』

 『『『あのロボットに乗って俺達の国を取り戻す!!』』』

 『取り戻すじゃねえだろ・・・・。』

 『『『『『?????』』』』』

 傷無の言葉を聞いて何でだと思っていると傷無は・・・大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『異世界軍共を皆殺しにする覚悟もちやがれええええ!!!!』

 『『『『『!!!!!』』』』』

 それを聞いて全員目を丸くするが傷無は尚もこう続けた。

 『あいつらは俺達の国を!故郷を!!思い出を!!!全てを潰した害虫共だ!』

 『奴らに俺達の力を見せつけて二度とこの世界に来るという意志を

徹底的に踏み砕いてぶっ潰せ――――!!!!』

 『『『『『『おおオオォォォォおおおお!!!!!!!』』』』』

 その言葉と同時に全員が大きく声を上げて拳を天に大きく振り上げた。

 今ここにいるのは原点とは違い・・・数多なる人間たちを導く先導者であった。




 次回は傷無とクラウのクラスからです。


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戦う人間とそれ以外の人間の違い

 立場によって人間の言葉が違う。


「全く、とんでもない事を言うなお前は。」

 「ここは『アマテラス』がいれば大丈夫だって連中がいるかもしれないし

それに本土じゃあここの連中を《逃げ武者》って言って《落ち武者》が戦って

敗北した者ならあいつらは戦うことなく逃げた腰抜けだって連中がいるからな。意識をしっかりとしねえとな。」

 「・・・腰抜けか。」

 怜悧は傷無の言葉を聞いて心が痛んだ。

 自分たちが国を棄てたのは命欲しさではなく種の存続としての一時的な

逃避であるのだが未だ国を守るために戦っている彼らからすれば

自分達はそう見えていても仕方がないとは思えてならないのだ。

 そして怜悧は気を取り直して傷無とクラウに向けてこう言った。

 「それじゃあ特訓についてなのだが明日の放課後から始めるとして内容は

どうするんだ?」

 実技とかどうするんだと聞くと傷無とクラウはお互いにこう言った。

 「先ずは体力を見極める。俺達は朝昼夜とお構いなしだしそれに寝ている中で

戦闘が起きたって事もあるし見張りもあったから体力次第で篩にかける。」

 「後は本土に帰還するまでにどれだけ皆が戦える様ににするかが重要ね。

いざ闘う時に他の事に目を向けていたら生き残れませんし。」

 そうだなと傷無はそう言って今度のスケジュールを話し合っていたが

それを見て怜悧はまた胸が痛くなってこう思っていた。

 「(これが最前線で戦っていた傷無の・・・こいつらの意識の差か。我々とは・・覚悟が違う。)」

 そう思っていた。

 然しそれはそうであろう。

 ここにいる人間の中にはいっそずっとこの海の上でという人間も多少ながら

出始めているのだ。

 だが傷無達を見ていると彼らは諦めるなど絶対に考えない様にしているのだと

分かった。

 諦めを覚えたら・・・自分たちはもう二度と立てなくなると

分かっているからだ。

 そして何よりもそれ自体が・・・死んだ仲間に対しての侮辱だと

はっきりしているからだ。

 それを感じ取った怜悧は何も言わずに只々それを見ているしかなかった。

 そして話が終わるのを見計らって怜悧は2人に向けてこう言った。

 「それじゃあクラスなのだがここでは『戦技科』と技研科』の二つに

分かれている。お前らは2人とも『戦技科』だが男女クラス分けしているから

別々でお願いしたい。」

 そう言うと2人はこう答えた。

 「「分かりました。」」

 そう言うと部屋についての説明もした。

 「部屋についてだがお前たちは教導官として来ているから教師棟の部屋を

使ってくれ。部屋は1人部屋だから好きに使え。」

 そう言って怜悧は部屋の鍵を渡した後にそれとと言って咳払いしながら

こう言った。

 「んん!!それと貴様らは未だガキだからな。その・・・だ・・・・」

 「「??」」

 「ふ・・・不純異性交遊は禁じているから部屋でそういう事を・・・

絶対するな!!」

 「・・・・はーーー!?」

 「ふぇーー!!」

 傷無とクラウはそれを聞いて驚くが怜悧は更にこう続けた。

 「良いな!こんな所でそういう事したら噂が広まるから・・・良いな!!」

 そう言ってずんずんと足音鳴らすかのように去っていった。

 そして残された2人はと言うと・・・・。

 「それじゃあ・・・行くか?/////」

 「う・・・うん//////」

 お互いに顔を真っ赤にして各々の教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ今日から皆の教導官として着任しつつ学校で学び合う仲間の」

 「『飛騨 傷無』です!今日から宜しくお願いします!!」

 傷無はそう言って全員に向けて挨拶すると男性教師はこう続けた。

 「傷無君は貴様らよりも長い戦闘経験を積んでいる!

今後は『アマテラス』だけではなく貴様らも最前線に立ってもらう事なるかも

しれんが先ほどのスピーチで貴様らは・・・腰を抜かしておらんだろ?」

 『『『『『ハイ!』』』』』

 「宜しい!今後についてだが当面は体力強化トレーニングを中心とし、

野外特訓や戦闘訓練、《ゼーガペイン》を使ったシュミレーションも行う!!

適正次第では最前線に立つこととなるが・・・気合い入れて立ち向かえ‼!」

 『『『『『おおオオォォォォおおおお!!!!!』』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ今日から皆の下で新しく配属された・・・ええと~~?」

 「『クラウシェル・アルフォード』です。今後は《ゼーガペイン》についての

教導と戦闘に伴う訓練を担当することとなっていますのでよろしく

お願いいたします。」

 クラウはそう言って頭を下げた後にこのだらけた女性教諭《崎坂 早紀》がこう続けた。

 「取敢えずは《ゼーガペイン》のシュミレーションと・・・体力強化とか

行うから皆宜しくねえ~~~。」

 「・・・大丈夫かなこの人?」

 クラウは崎坂の態度を見て一抹の不安が過った。

 するとファランドールがクラウに近づいてこう言った。

 「ハ~~い、クラウ。ようこそうちのクラスへ。」

 そう言うとハユルがこう言った。

 「初めましてクラウシェルさん。今後ともよろしくお願いいたします。」

 「ああ、こちらこそどうも。」

 そう言って握手するがハユルはクラウに向けてこう言った。

 「あの男に会ったらこう言っておいてください。」

 「?」

 「・・・《大きなお世話です》って!!」

 「アハハハ・・・。」

 それを聞いてクラウは乾いた笑いをするしかなかった。

 多分他の2人も同じなんだろうと思い前途多難だなあと思っていた。




 次回は・・・どうするか?


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私達は離れない

 例え何があっても心はいつもそこに


「『余計なお世話』ってあんにゃろう・・・!!」

 「まあ、いきなり現れて言っちゃう傷無も悪いけど正直な所

『アマテラス』の人達ってなんかこう・・・。」

 「何だ?」

 「うん・・・何だか一人で何かを背負ってるって言うか・・・

重荷持ちって言うかね・・・。」

 傷無とクラウはお互いにそう言いながら・・・ファーストフード店で

ハンバーガーを食べながら話していた。

 周りを見てみると既に傷無とクラウを(特にクラウ)注視していた。

 何せ本国の異世界抵抗軍で然もキルレシオは最高ランク、実力もあるし

傷無の言葉を聞いて奮起する人間が出てきたのだ。

 そしてクラウに対しては『アマテラス』と同等の美少女である事が要因である。

 そんな中で傷無はクラウに向けてこう言った。

 「それじゃあ特訓についてだけど・・・時間設定や教導も考えて

明日姉ちゃんと相談して見るか。」

 「ああ・・・あの人・・・アタラクシアの校長先生だったんだよねえ。」

 「本当・・・こっちが驚いたよ。」

 傷無はそう言いながらポテトを頬張っていた。

 怜悧は司令官であると同時に校長も兼任しておりアタラクシア全般は怜悧が

指揮しているのだ。

 そして傷無とクラウは時間について色々と詰めた後午後の勉強を終えて

教員棟に向かった。

 そして部屋に入って見ると・・・。

 

 

 

 

 

 「「うわあ・・・広いなあ。」」 

 2人揃ってそう言った。

 部屋の中はワンルームマンション並みに広く、ベッドにテレビ、キッチン等

電化製品1式が備わっていた。

 そして傷無とクラウはそれぞれの部屋で・・・同時に荷物を置いて部屋から

出てくると部屋から出たクラウが傷無に向けてこう提案した。

 「ねえ傷無。今日のご飯はここで何か買って作るけど何が良い?」

 そう聞くと傷無はこう答えた。

 「そうだなあ・・・取りあえずは軽いものでいいかもしれないな。」

 「それじゃあ・・・今日はハンバーガーだったからサラダとお魚のムニエルでもしようか?」

 「それだったら米が欲しいなあ・・・買ってくるか。」

 「それだったら一緒に買いに行こうよ。ここら辺の地理も知っておきたいし。」

 クラウの言葉を聞いてそれもそうだなと言ってお互いに買い物に向かうが

それを見た独身連中から見たら・・・こう言う風に見えた。

 男性の場合

 「青春だなあ。」

 「羨ましいぜ!!」

 女性の場合

 「あんな恋愛したい!!」

 「これが持つ者の余裕なのか!!?」

 そう言いながら・・・見るしかなかった。

 因みに怜悧はと言うと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「弟が彼女見つけて連れてきたんだぞ~~!京!!私にも彼氏が

欲しいぞ~~!!」

 「ああ・・・はいはいはい。」

 酔いどれになってしつこい親友を京は宥めていた(ウザそうにだが)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして食事が終わってベッドに2人は別々の部屋で寝るが・・・

揃いも揃ってこう言った。

 

 

 

 

 「「寝られない。」」

 

 

 

 

 

 そう、戦場で然も寝る時には何時もコックピットの中で2人一緒に寝ているためいきなりベッドで寝る事が出来ないのだ。

 2人は何度も体勢を変えたりして寝ようとするも・・・結局のところ

眠れなかった。

 そして2人は同時に部屋から出ると・・・お互いにその姿を見て

少し笑顔になってこう言った。

 

 

 

 

 「クラウもか?」

 「うん・・・まあね。」

 そう言って2人は夜も更ける校舎の中に入った。

 校舎と教員棟は繋がっているためこの様に入る事が出来るのだ。

 傷無とクラウはお互いにとある教室に入って外を眺めた。

 「綺麗な星空だね。」

 「ああ・・・そうだな。」

 クラウの言葉を聞いて傷無もそうだなと答えた。

 東京にいた時にも見ているんじゃないかと思われるが戦場の真っただ中で

そんなものを見ようとする余裕などなくぐっすりと寝ているのだ。

 だからこそ・・・このような感じで星空を見ることなどなかったのだ。

 そして傷無はギガフロートの向こうにある広大な海を見ていた。

 無論向こうでも見えていたがあそこで見えるものといえば・・・

海上自衛隊の護衛艦と潜水艦と・・・避難民が暮らしている大型船である。

 瓦礫が散乱しており無論中には住んでいる人間もいれば

船で避難してきた人たちがそこでそのまま暮らしているという例があるのだ。

 あの海の向こうでは皆が未だ戦っている。

 そう思うと自分がこんな平和な所で呑気にいて良いのかと

思ってしまっているのだ。

 するとクラウは傷無の考えていることを理解したのかこう言った。

 「信じよう傷無。」

 「クラウ・・・。」

 「皆あそこで戦っている。今日も明日も明後日も・・・何でだか

分かるでしょ?」

 クラウがそう聞くと傷無はこう答えた。

 「俺達の帰りを・・・信じているから。」

 「そう、皆私達が帰ってくるって信じてる。だったら私達も

それに答えなきゃね。」

 クラウの言葉を聞くと傷無は肩の力を抜いてこう言った。

 「ああ・・・そうだな。」

 「そうだよ。」

 それを聞いて傷無は少し気が楽になったと言った瞬間に大きく欠伸を掻いた。

 そして2人は黒板の近くに来てブランケットを敷くとそこで2人は眠りについた。

 お互いに手を繋いで・・・明日に備えるために。

 そして・・・信じている仲間の無事を願って・・・。




 次回は怜悧がある真実を傷無に告げる。


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呼び出しの・・・本当の理由

 今回は取敢えず・・・特訓からです。


そして次の日・・・。

 「よーし、取敢えず今日はここまでだ。」

 『『『『『・・・・・・』』』』』

 傷無の言葉を聞いても全員無言であった。

 何せ全員・・・死んだかのように倒れているからだ。

 それは男女関わらずそれである。

 かの『アマテラス』ですらへとへとになって疲れているからだ。

 因みにやったのは・・・これ。

 ①ただ走る。(全力疾走で)

 ②走り終わったらその後にシュミレーションをする。

 これの繰り返しである。

 これは志願兵などが多い異世界抵抗軍の場合、体力に斑があったため戦闘後に

倒れたりする場合が多かったためそれに対する備えである。

 ここにいるのは確かに基礎訓練を受けている人間が殆どだと思われるが

未だ実戦経験があるのは『アマテラス』だけでありいざという時に

びびってしまう事もあるため極限状態に伴うシュミレーションをすれば

まあ多少は使えれるようになるだろうと高を括っていた。

 「皆さーん、水とカロリーメイトを置いてますので動けるようになった人たち

から食事してくださいねー。」

 『『『『『・・・ハ~~~い・・・・』』』』』

 それを聞いて全員が・・・何とか這いつくばろうとしながらそう答えた。

 すると・・・校内放送が響き渡った。

 『飛騨 傷無氏。校長先生がお呼びですので至急ナユタラボに来るように。』

 「・・・何であそこって言うか俺だけってどういう意味だ?」

 傷無はそれを聞いてため息つけながら頭を掻いてこう言った。

 「クラウ、ちょっと行ってくる序に何か買う物とかあるか?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「う~~ん。そうだねえ・・・・だったら今日は麻婆丼にしようと思ってるから

豆腐とミンチを買ってきてくれる?」

 「おお、分かった。」 

 そう言いながら傷無はクラウに向けて手を振りながら向かって行くのに対して

クラウはそれを手を振って答えた。

 そしてそれを見ていた男女はと言うと・・・。

 「・・・まるで新婚夫婦だな。」

 「羨ましいぜ~~、あんな別嬪さんの飯食えるのって。」

 「そう言えば朝早く起きた生徒が学校に向かっていると2人が仲良く校内を

歩いているのを見たって聞いたよ。」

 「まさか既にあの2人ってそう言う関係!?」

 等などと口々に話し合っているのを聞いているクラウは舌を出して

こう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 「(本当は昨日教室で2人で寝てただけなんだけどね。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナユタラボはギガフロートの中で特別に厳重にされているため地下に

存在している。

 傷無はそこに向かうと既に怜悧がそこにおり傷無は怜悧の後に続いて

ナユタラボにある・・・傷無達の母親、『飛騨 那由多』の部屋に入ると・・・

京が既に入っていた。

 そして京の前に移動すると京が怜悧に向けて目で何かを合図すると

怜悧は口を開いてこう言った。

 「さて・・・お前を呼んだ・・・『本当の目的』について話したい。」

 「本当の・・・一体何なんだよ?」

 傷無の言葉を聞くと京がこう答えた。

 『先月の話になるが無記名のメールが届いた。』

 『内容は・・・《飛騨 傷無》。貴方の保有するハートハイブリットギア

《エロス》の機能についてのデータが届いたんだ。』

 「《エロス》・・・ああそうだったな。」

 傷無はそのワードを聞いて少し遠い目をしていた。

 何せ今の自分のハートハイブリットギアは変貌しているだけではなく

声を出さなければ出なかったあの鎧も通常モードとしてなら発音無しで

出せるようになっているのだ。

 「何他人事のように言っているのだ貴様は。」

 「いやその・・・ナンデモナイよ。」

 傷無は取敢えずと思ってあれの事はクラウと異世界抵抗軍の人間以外には

話さないと決めておりカタコトであるがそう答えた。

 『恐らくは那由多博士が書いたものと思われるがトラッキングは無理だった。』

 「だろうな。」

 傷無のその言葉を聞いて京の眉間が少し動いたが傷無は

そんな事など知らんとばかりにこう続けた。

 「それで・・・母さんが何を書いてたんだよ?」

 そう聞くと怜悧はこう答えた。

 「データを解析した結果だがこれは画期的な発見であり傷無の『エロス』だけが保有する特殊能力が説明されていたんだ。」

 「特殊能力?」

 「何故お前のハートハイブリットギアのパフォーマンスが低いのかに

ついてだが。」

 怜悧がそう言うと一息ついて・・・こう続けた。

 「適正ではなく男性であるからこそナンダ。」

 「・・・何じゃそれ?」

 傷無はそれを聞いて何だと聞くと京がこう答えた。

 『ハートハイブリットギアのパフォーマンスが発揮されるのは

女性がインストールして初めてとなっており実験結果から事実となっている。』

 『然し男性がインストールすると戦闘能力が低い代わりに

ハイブリットカウントの消費率が少ない。』

 「ハイブリットカウント?」

 『ハートハイブリットギアのエネルギー残量の事だ。』

 傷無の言葉を聞いて京がそう答えてこう続けた。

 『詰る所耐久力が高くなるという事であるがそれだけでは勝てないという事は

君も分かっているだろう?』

 「まあな・・・攻めなきゃあいけない時もあるしな。」

 京の言葉を聞いて傷無もそう答えた。

 守るだけでは何も救えないということぐらいは自分がよく知っているからだ。

 そして京は傷無に向けてこう言った。

 『でも貴方のハートハイブリットギア《エロス》には

男性がインストールした場合にのみ使用可能な特殊能力がある。』

 「それで・・・何なんだよ、一体?」

 傷無がそう聞くと京はこう答えた。

 「《ハートハイブリット現象》と呼ばれていて我々がこれを《接続改装》と

呼んでいる。』

 「だから、勿体ぶらずに一体何なのかを話してくれよ。」

 傷無の言葉を聞いて怜悧が・・・。

 「傷無、お前には・・・・。」

 「うんうん。」

 重く口を開けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「《アマテラス》のメンバーに対してHな事をして貰いたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スミマセン、俺とクラウ東京に帰させてもらって良いですか?」




 そりゃあ・・・言うよな。


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隠し事はお互い様

 あのさあ・・・バカナのお前ら?


「いや、姉ちゃん阿保なの?ねえ阿保なの??彼氏がいないから遂に

頭が可笑しくなったの!?」

 「貴様いいたか放題言っているようだが最後のは確実に違うって言うか

余計なお世話だ!!」

 傷無の言葉を聞いて怜悧は怒り乍らそう言うと京がこう言った。

 『傷無、君のお姉さんは頭が可笑しくなった訳では・・・いや、

彼氏がいないからって鬱憤晴らしをしてクラウシェルと別れさせようと

しているかもしれないな。』

 「何で私がそんな回りくどい事をしないといけないって言うか私の味方は

誰もいないのか!!」

 怜悧はそう言って頭を抱えているが傷無は京に向けてこう聞いた。

 「あのう、良いですか?」

 『何だ?』

 「それって・・・他の人間でも出来ないか?」

 傷無は京に向けてそう聞いた。

 もし出来るのならば自分は要らないって言うか絶対したくないと

そう思っているのだが京の答えは・・・残酷な物であった。

 『済まないがそれは無理だ。様様なシュミレーションをしたのだが出来るのは

君だけのようだ。』

 「マジかよ・・・。」

 傷無はそれを聞いて頭を悩ませていた。

 自分しかできないと言っても相手の事も考えなきゃあいけないだろうが

そう思っている中で京はこう説明した。

 『この技術には無限の可能性がある。』

 「俺から見ればBAD ENDフラグだけどな。」

 「単にエネルギーを補給するだけでは留まらずにハートハイブリットギアの

パワーアップまで実現する可能性を含んでいる。今までにない新武装の追加。我々はそこにも期待している。』

 「期待したとしても俺は絶対にやらねえぞ!!」

 京の言葉を聞いて傷無はキレ気味にそう言っていた。

 当たり前だ、そんなので強くなるんだとしたらこれまでの犠牲は一体何なんだと思ってしまうからだ。

 すると怜悧が傷無に向けてこう聞いた。

 「何言ってるんだ!男としては嬉しい状況だろうが!!」

 「時と場合によるわ!常識的に考えても馬鹿かって言うほどだし

無茶苦茶だろうが!!」

 「お膳立てしてやろうと言っているだろうが!!」

 『据え膳食わぬは男の恥』

 「お前ら大概にしろよなって言うか俺はあくまでも『ゼーガペイン』の

教導官として着任しているから絶対にやらねええよ!!」

 傷無は怒鳴るようにそう言うとこうも言った。

 「第一に子供の頃にこれをインストールされた時に実験していたけど

ハートハイブリットギアのエネルギーって放っておいても

自然回復するじゃねえか!!何でそんなことして迄回復させなきゃあ

いけねえんだよ!!!」

 傷無は怜悧と京を見てそう言った。

 すると怜悧は・・・口を閉ざしてしまい傷無から目を背けてしまった。

 すると京が代わりにこう言った。

 『自然回復には膨大な時間が必要となっており実戦ともなればその消費量は

馬鹿にならないほどだ。だからこそ《接続改装》が必要なのだ』

 「それでも俺はやらないぞ。その代わりと言ってだが

その分を俺とクラウが務める。」

 そう言うと傷無は怜悧に向かってこう言った。

 「だからこの話はもう終わりだ。これで失礼してもらうぜ。」

 そう言って傷無が立ち去ろうとすると怜悧がこう言って止めようとした。

 「ああ、待て傷無!お前の《エロス》についてだが」

 「それじゃあ・・・さいなら!!」

 そう言うと傷無は部屋から出て行った。

 すると京は・・・小さい声で怜悧に向けてこう言った。

 「れーり。あの子、何か隠してるわよ。」

 「ああ、そうだな・・・私もだがな。」

 怜悧はそう言って自嘲気味にそう呟いた。

 すると京は怜悧に向けてこう言った。

 「貴方の隠し事はれーりが決心着いてからで良いと思う。」

 「すまんな。ケイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日・・・。

 

 

 

 

 

 

 「まさか、アタラクシアに来て初めての任務が資源調査だとはな。」

 「仕方ないよ、ギガフロートの事情を考えれば。」

 傷無の言葉を聞いてクラウがそう答えた。

 現在ギガフロート日本はインドネシア沖を航行している。

 今回の調査はその近くにある無人島にある豊富な資源の採取である。

 普通こう言うのは専門家がいなければ意味がないように見えるが

調査機器はマニュアルで行いデータは随時アタラクシアに転送される。

 そしてサンプルは改めて専門家が調べるのだ。

 ギガフロート日本は海洋資源とリサイクルで成り立っているため

簡単に見えて重要なのだ。

 然し傷無から見れば自分たちはそれすらもないなと自嘲していた。

 ガソリンは乗り捨てられた車。

 毛布とか生活用品は誰もいないコンビニやデパート等で・・・

奪うしかなかった。

 そう言う生活を各国の取り残された人達はお互いに助け合っているのだ。

 死者たちの為に、そして・・・今を、明日を生きる人たちの為に。

 そんなことを考えているうちに目的地についた。

 南国らしい樹や緑がありちょっとしたプライベートビーチのようであった。

 そんな中において傷無はクラウに向けてこう言った。

 「クラウ、取敢えず機体のレーダーは付けたまま、万が一に備えてだ。」

 「うん、分かった。」

 そう言うと傷無達はゼーガペインの両手にある調査機器を取り出して準備した。

 今回に備えてゼーガペインの両手には機器を運ぶためのコンテナを

保有しているのだ。

 そして機材を運び始めているがそれを見ているのは・・・一人だけいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑色の装甲を身に纏った・・・・女性が。

 

 

 

 

 

 

 

 「へえ・・・こんな所にいるんだあ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「黒の・・・解放者さん♪」




 次回は恐らく戦闘になります。


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自慢する相手は選んどけ

 相手を見て自慢する内容は考えないと・・・恥かくぞ。


 傷無達は資源調査機器を起動させると京が通信でこう言った。

 『データ受信を確認した。収集には2時間ほどかかるので

その間に島の植物と鉱物のサンプル収集を。完了後、機器を回収して帰還せよ。』

 そう言って通信を切られたので傷無はクラウ達に向かってこう言った。

 「それじゃあそれぞれ5人いるから・・・そうだなあ。」

 傷無がそう言いながら考えていると・・・姫川が割って入った。

 「それは私がします!」

 そう言うと取敢えずと言って分けた。

 

 

 

 南側を傷無、クラウ、ユリシア。

 反対側は姫川、千鳥ヶ淵。

 

 

 

 

 このように分けられた。

 そして傷無達は南側を散策している中でクラウは海を見てこう言った。

 「綺麗な海ねえ。」

 「ああ・・・本当だな。」

 傷無はその言葉を聞いてそう答えた。

 そう言いながらクラウは風にたなびく髪をかき分けているが

その光景はまさに一つの絵画と言っても良い光景だなと思っていた。

 そんな中でそれを見ていたユリシアはこう呟いた。

 「へえ・・・そう言う関係なのかしらね?」

 そう呟くと小さな声でこう言った。

 

 

 

 

 

 「ま、足手纏いにならなければ別に良いけど。」

 

 

 

 

 

 

 そしてサンプルを回収している最中でユリシアは傷無に向けてこう聞いた。

 「ねえ、傷無。一つ聞いてもい良いかしら?」

 「?」

 「今までさあ・・・何機くらい倒したのかしら?」

 そう聞いたので傷無はこう返した。

 「あんまり数えたことないけど大体・・・500くらいかな?」

 「500!?」

 傷無の言葉を聞いてユリシアが驚いていると傷無はクラウに向けてこう聞いた。

 「そう言えば俺らってどんくらい倒したっけ?」

 そう聞くとクラウは少し考えて・・・こう答えた。

 「確か・・・空母級7、戦艦級大小合わせて35、敵起動兵器は537だと

思ったけど・・・。」

 「だそうだけど・・・どうしたんだよユリシア。そんな顔をして?」

 傷無がそう言ってユリシアの顔を見ると当の本人は・・・。

 顎を大きく開けてポカーンとしていた。

 すると傷無はこう聞いた。

 「そういうお前はどれくらいだ?」

 そう聞くとユリシアは少し小さな声で・・・こう答えた。

 「・・・300。」

 「・・・船入れて?」

 傷無はそう聞くとユリシアは小さく首を横に振った。

 それを聞いてクラウはこう答えた。

 「まあ・・・こっちは最前線だししょうがないと思うよ。」

 アハハと言ってサンプル回収を再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして元居た砂浜に戻ると傷無達は機器を回収し、サンプルは千鳥ヶ淵と姫川が持って帰ることとなった。

 姫川はサンプルを持ってこう言った。

 「じゃあ私達は先に戻りますので。」

 そう言うとユリシアがこう言った。

 「ええ、でもすぐに追い付いちゃうかもしれないわよお?」

 「競争ですか?確かにユリシアさんの最高速度は目を見張るものがありますが

容赦はしませんよ。」

 「お前ら何対抗意識燃やしてんだ?」

 「アハハ・・・。」

 ユリシアと姫川の言葉を聞いて傷無は呆れ口調でそう言うのを聞いて

クラウも乾いた笑い声を上げていた。

 「じゃあ、愛音さん。私達も競争ですよ。どちらが先にアタラクシアに

着くのか」

 「そんなのハユルが圧倒的に有利じゃない?勝負にならないわ。」

 姫川の言葉を聞いて千鳥ヶ淵はそう答えると姫川は褒められたのが

嬉しかったのかどうか分からないが頬を染めながらもじもじと体を捩らせて

こう言った。

 「そ、そんなことありませんよ。愛音さんこそ、機動性は素晴らしいじゃ」

 「だって、胸部の空気抵抗が段違いだわ。」 

 「行きますよ!!」

 姫川は千鳥ヶ淵の言葉を聞いて鬼の形相で飛び立っていった。

 するとそれを聞いた傷無はこう呟いた。

 「言っていい事といけないことぐらいあるだろうが・・・。」

 はあとため息ついていた。

 2人が飛び立って見えなくなるとこっちも続けようと思って機器を

回収している中で『ゼーガペイン』から・・・音声でこう言った。

 『衝突面(エントランス)を認識!直ちに攻撃準備されたし‼!』

 「「!!」」

 傷無とクラウはその音声を聞いて目を見開くとユリシアはどうしたのだと思ってこう聞いた。

 「どうしたのう、2人とも?」

 ユリシアがそう聞いた次の瞬間に・・・大きな影がユリシアの後ろに

覆い隠す様に広がり・・・・。

 「!!クロス」

 ユリシアは直感のままにハートハイブリットギアを展開して砲撃した。

 すると騎士型の起動兵器の頭部と体に直撃して騎士型はそのまま後ろに

倒れこむとユリシアはある物を見て・・・こう言った。

 「衝突面(エントランス)」

 後ろの景色がゆらりと揺れて青い海と白い砂浜がまるで歪んだガラス越しで

見ているかのような感じであった。

 本来『衝突面(エントランス)』とはある程度の広さを持った陸地に限定して

現れるのだ。

 然し何故こんな所にと思っている中で傷無はクラウに向かってこう言った。

 「クラウ、俺達は『ゼーガペイン』に!」

 「うん!」

 2人はそう言って『ゼーガペイン』に向かうが・・・上空から何かが

展開されていた。

 すると2人の行くルートに・・・見えない壁の様な出来て2人の行く先を塞いだ。

 「くそ!!」

 「傷無!これって!!」

 「ああ、そうだろうな・・・!!」

 傷無とクラウは如何やらこれの正体を何か知っているようであるが2人が

振り向くとそこに映っていたのは・・・・。

 「嘘だろ・・・。」

 「そんな・・・・」

 騎士型が5機、飛行型が8機もいた。

 然しユリシアはそれを見て・・・平然とした様子で傷無とクラウに向けて

こう言った。

 「2人は下がってて。見せてあげるわ・・・・アメリカ最強の力をね!!」

 そう言うとユリシアは自身の武器でもある『攻起動粒子機関

(デイファレンシャル・フレイム)』を展開してこう言った。

 「覚悟は良いかしら・・・みーんな撃ち落としちゃうわよお。」

 妖艶な笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして離れた所である女性がそれを見ると・・・傷無の顔をアップにして映すとこう言った。

 「早く見せて・・・・貴方のあの・・・チ・カ・ラ♪」

 そしてその後方には・・・巨大な起動兵器が待機されていた。




 次回はドラゴン型が登場


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傷無、変貌

 やっと本編でこれが出せれたーーーーーーーー!!


「全砲門発射(ファイヤー)!」

 ユリシアの言葉と共に全身に装備されているデイファレンシャル・フレイから

光弾が一斉発射されるとアルバトロスの胴体に風穴が空いた途端に更に砲口の

位置を変えて他の敵機を追いながら攻撃して・・・5秒後。

 

 

 

 

 

 

 「如何やら・・・ギリギリ持ったようね。」

 ユリシアはため息交じりでそう言って周りを見た。

 既に敵機は光となって消滅した。

 そしてユリシアは傷無達に向けてこう言った。

 「もう出てきて大丈夫よー。」

 そう言うと傷無達はゆっくりとだが茂みから出てきた。

 するとユリシアは傷無に向けてこう言った。

 「見たでしょ?私達は単体で何でもできる。だから私達は組まなくても

大丈夫なのよ♪」

 そう言うとユリシアは柔軟しながらこう言った。

 「さあてと、こんな所早く出て行ってアロマオイル入りのお風呂に」

 ユリシアはそう言いながら傷無達の方向を見ると傷無達が上空を見て・・・

顔を引きつらせているのを見て何だと思って見てみるとそれを見てユリシアは・・・言葉を失った。

 上空に突如現れたのは・・・紅い起動兵器・・・のようなナニカであった。

   

 

 

 

 

 長い首

 

 

 

 

 翼が生えた胴体

 

 

 

 

 

 そしてその胴体の上部分には2振りの槍を持った騎士型の起動兵器がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 「『竜騎兵(ドラグリエ)』

 

 

 

 

 

 

 ユリシアはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 なかなかお目にかかれないカテゴリーA級

 見た目はまるでお伽噺に出てくるドラゴンの胴体から人間が融合しているかの

ような兵器である。

 ユリシアはそれを見て頬に汗が流れてた。

 通常であれば倒せないわけではないのだが・・・今自分の体は

まるで何かを背負ったかのように重く感じているのだ。

 いま彼女のハートハイブリットギアはエネルギー切れになりかけているのだ。

 すると『竜騎兵(ドラグリエ)』の首がユリシアを見るとそれに気づいた傷無は大声でユリシアに向けて大声でこう言った。

 「避けろユリシアーーーーーーーー!!」

 その声を聴いてユリシアは『竜騎兵(ドラグリエ)』のいる方向に

目を向けたその時にユリシアが目にしたのは・・・赤く、不気味に光る眼と・・・回転している・・・空と海であった。

 「(私・・・吹き飛ばされ・・・たの?)」

 ユリシアはそう感じた次の瞬間に・・・『竜騎兵(ドラグリエ)』の

口から・・・ユリシア目掛けて巨大な炎が迫ってきて・・・直撃した。

 「キャアアアアアアアア!!」

 「ユリシアーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ・・・グウ。」

 ユリシアは大ダメージを受けて片膝ついていた。

 然も今の攻撃で絶対領域が働きハートハイブリットギアが光の粒となって

消えた。

 がるるるるる・・・。

 『竜騎兵(ドラグリエ)』からそう言う声の様なナニカを感じ取ると

再び炎を出そうと口を開けたその時に・・・傷無がその中に割って入った。

 「何してるの貴方!逃げなさ」

 ユリシアがそう言った次の瞬間に傷無の体からピンク色の粒子が出た

その時に・・・装甲が現れた。

 それを見たユリシアは驚きながらこう言った。

 「ハートハイブリットギア・・・まさか貴方!!」

 ユリシアは驚きながらそう言うと傷無はユリシアを抱えて・・・炎が出た瞬間に避けた。

 そして傷無はユリシアをクラウがいる茂みに隠れるように入るとクラウに向けてこう言った。

 「ユリシアを頼む。」

 「分かった・・・気を付けて。」

 クラウの心配しているような声を聴いて傷無も分かったと言って

その場を後にするとユリシアはクラウに向けてこう言った。

 「何・・・してるの・・・逃げなさい。」

 ユリシアは『竜騎兵(ドラグリエ)』の方に向かう傷無に向かってこう続けた。

 「あれは・・・カテゴリー・・・A級・・・名無しの・・・貴方じゃあ・・・

勝てない。」

 ユリシアは傷無に向けてそう言った。

 あれを知らないユリシアから見れば傷無派恐らくあれで戦ったことはないと

勝手に思い込んでしまっているのだがクラウはユリシアに向けてこう言った。

 「それは違うよ、ユリシアさん。」

 「貴方・・・。」

 「傷無は・・・弱くありません。」

 そう言いながらクラウは傷無を見ていた。

 そして傷無は『竜騎兵(ドラグリエ)』の前に立つと

『竜騎兵(ドラグリエ)』は傷無に向けて槍を向けた。

 するとみるみると槍から光が現れ始めたのだ。

 如何やらあれは槍に見えた銃火器なんだろうと思っていると傷無は・・・大声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レガリアーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 その雄たけびと共に傷無の足元から・・・黒いナニカが現れた。

 そして傷無を包み込むように闇が広がり浮かんでいくと・・・

地面に現れた闇から鎖が幾つも闇を縛り付けるかのように絡まり・・・締め上げたその時に・・・それは闇から姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 全身が漆黒で包まれた装甲

 炎の様な装飾が施された。

 

 

 

 

 

 漆黒の戦士。

 

 

 

 

 それを見たユリシアは・・・口を大きく開けながらこう言った。

 

 

 

 「まさか・・・傷無が・・・あの・・・伝説の・・・。」

 

 

 

 

 

 「『黒の解放者(ブラック・リベレイター)』」

 

 

 

 

 

 そう、現在メガフロートにおいて伝説となった・・・・世界第1位

 

 

 

 

 

 

 異世界兵器総勢2160と言うキルレシオを叩き上げた・・・英雄が・・・

今そこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 「さあ来いよ・・・『竜騎兵(ドラグリエ)』!!」

 そう言いながら傷無は『竜騎兵(ドラグリエ)』に立ち向かった。




 次回は『竜騎兵(ドラグリエ)』戦です


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圧倒的な力。

 その力の前に・・・竜ですら無力。


 「行くぞ。」

 傷無はそう言って『竜騎兵(ドラグリエ)』に向かって歩いて行くと

『竜騎兵(ドラグリエ)』はそれを見て槍から光線が出て傷無に向かって

襲い掛かった。

 「ちょ!?」

 ユリシアはそれを見て慌てるがクラウはユリシアに向けてこう言った。

 「大丈夫。」

 そう言って傷無のいた方向に向けて指を向けるとそこには・・・。

 

 

 

 

 

 

 「それだけか?」

 

 

 

 

 無傷の傷無がそこにいた。

 

 

 

 

 「嘘でしょ・・・・」

 ユリシアはそれを見て呆然としてしまっていた。

 何せあの攻撃に対して何も問題がないように思えて仕方がなかったのだ。

 

 

 

 

 「今度はこっちだ。」

 傷無はそう言って『竜騎兵(ドラグリエ)』に向かってジャンプして・・・

思いっきり殴り飛ばした。

 すると『竜騎兵(ドラグリエ)』はその衝撃で・・・海に迄飛ばされたのだ。

 

 

 「何のよあの力・・・・?」

 ユリシアはそれを見て恐怖してしまった。

 確かに徒手空拳を得意としている千鳥ヶ淵の戦いは見たことが何回もあるが

あそこ迄飛ばされるというのは見たことがないのだ。

 するとクラウはユリシアに向けてこう説明した。

 

 

 

 

 「レガリア」

 「?」

 「それが傷無の今の状態の名前。」

 「レガリア・・・。」

 ユリシアはそう呟くとクラウはこう続けた。

 

 

 

 「レガリアになった傷無は誰よりも強いの。」

 「知ってるわ。2100以上の異世界兵器を倒して」

 「4500。」

 「・・・まさかそれって。」

 ユリシアはそれを聞いて顔を青くしているとクラウはこう答えた。

 「そう、レガリアになった傷無が倒した異世界兵器の総数。」

 「・・・もう何があっても私はもう驚かないわ。」

 ユリシアはそれを聞いて頭を抱えているがユリシアはちょっと待てと思って

こう聞いた。

 「ねえ、聞くけどさ・・・彼って休む時何日くらい休んでるの?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「え?・・・毎日毎日が戦いだったし全部傷無が出張ってたよ。」

 そう言うとユリシアは慌ててこう言った。

 「いやいやいや、あり得ないわよそれって!」

 「?」

 「良い、よく聞いて!私達『ハートハイブリットギア』所有者には

カウンターって言ってエネルギー残量があるの!ホンライナラ1週間以上は

休まないと回復しないのに毎日って・・・一体どういう原理でなったら

そうなるのよ!!!」

 ユリシアはそう言いながら頭を抱えていた。

 事実、ハートハイブリットギア所有者は全員カウンターによっては

出撃しない様に心がけているところがあり下手すればユリシアみたいに戦場の

真っただ中で強制解除されるなんてオチが待っているのだ。

 然し当の本人はそんなのお構いなしの如く戦っていると

『竜騎兵(ドラグリエ)』は槍を傷無に向けて振りかざすが傷無はそれを避けると腰部後ろに搭載されている円盤型のソーサーを取り出すとそれから

長い1本の棒が出てそことは逆の部分から・・・刃が現れた。

 

 

 

 「あれが傷無の武器」

 ユリシアはそう言いながら傷無が持つ・・・槍を見ていた。

 ハートハイブリットギア所有者はそれぞれによって武器の形状や種類が違い、

それに応じてフォーメーションを組まないといけないのだが我が強いアマテラスの面々からすればそう言うのはお構いなしと思う風潮がある。

 然しクラウはユリシアに向けてこう答えた。

 「違うよ、あれは傷無の武器じゃないの。」

 「え?」

 ユリシアは何でだと思っているとクラウがこう言った。

 「まあ見てて。」

 クラウはそう言って傷無を見守っていた。

 

 

 

 

 

 傷無は槍と化したソーサーを持ってバトンのように持ちまわりながら『竜騎兵(ドラグリエ)』の槍を弾き、搦めて、そして等々・・・・『竜騎兵

(ドラグリエ)』の右手の槍を腕ごと破壊した。

 

 『!!!!!』

 

 

 

 『竜騎兵(ドラグリエ)』はそれを見て絶叫しながらもう一方の槍で

立ち向かおうとするもそれすらも弾かれ、斬り落とされた。

 

 そして残った竜の様な首が伸びて傷無に向かって噛みつこうとするも

傷無はそれに対して・・・槍を投擲して口の中から真っすぐに首を・・・砕いた。

 

 

 

 そして『竜騎兵(ドラグリエ)』は戦えない事を察知したのかどうか

わからないが翼を広げて逃げようとすると傷無はもう一方のソーサーを

腕に着けるとそれは形を変え・・・巨大な砲塔になった。

 

 

 

 「えええ!あの槍が主武装じゃないの!?」

 ユリシアはそれを見て目を見開いて驚きながらそう言った。

 ハートハイブリットギアの武器は一人1つまでとなっており他の武器が

出てくるなどこれまで確認されなかったのだ。

 するとクラウがユリシアに向けてこう説明した。

 「あれが傷無の力。」

 「?」

 「あらゆる武器を吸収し、それを自身の武器とする。」

 「それこそが傷無だけが持っている・・・武器。」

 そう言うと傷無の腕にマウントされた砲塔はよく見たら幾つかの穴があり、

そこから砲塔にセットされると傷無は『竜騎兵(ドラグリエ)』に向かって

こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「吹き飛べ!!クソったれがアアアアアアアア‼!!」

 

 

 

 

 

 そう言った次の瞬間に砲塔から・・・黒い焔らしきものが噴出して・・・

『竜騎兵(ドラグリエ)』に襲い掛かった。

 『竜騎兵(ドラグリエ)』はそのまま燃え盛る焔に飲み込まれて・・・そのまま墜落した。

 するとその炎は周りを覆っていたシールド毎焼き払って・・・全てが終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれを遠くで見ていた人間は・・・こう言った。

 

 

 

 「まだまだ楽しめそうね♪」

 そう言って何処かにへと・・・・飛んでいった。




 次回はその後についてです。


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レガリアとは一体・・?

 今回はレガリアについて京視点でお送りします。


 暫くして傷無達は今回の報告をするためにアタラクシアに戻る中で

傷無はユリシアに向けてこう言った。

 「今回の事は他言無用で願いたい。」

 そう言ったのだ。

 レガリアは未だ分かっていない所が多くあり正直な所今回の事があの総理に

聞かれたらプロパガンダにされるのが目に見えるからである。

 然しユリシアはそれを聞いてこう答えた。

 「ごめんなさいね、助けてくれたことには感謝しているけどそれとこれとは

別問題よ。今回の事は指令にだけ報告しておくから。」

 そう言ってユリシアは傷無にウインクした。

 「・・・マジかよ。」

 傷無はそれを聞いてクラウにしか聞かれない様にこう言った。

 「・・・こいつ戦死したって言って海に捨てるか?」

 「それは流石に。」

 クラウはそれを聞いて少しだが・・・引いた。

 

 

 

 

 

 

 そして傷無の事でユリシアは怜悧に向けて報告するとすぐさま傷無を

呼んで・・・検査を始めた。

 そして暫くして・・・・。

 

 

 

 

 

 

 『良し、スキャンは終了したから調整室から出てきてくれ。』

 「ハイハイッと。」

 傷無は京の言葉を聞いてそう言いながらCTスキャンの様な機器から

起き上がった。

 そして傷無は研究室に戻るとクラウが傷無を見てこう言った。

 「お帰りなさい、傷無。」

 「ああ、只今。」

 傷無はそう言いながらクラウが持っていた上着を着こんだ。

 そして傷無は京に向けてこう聞いた。

 「それで検査結果は?」

 そう聞くと京はこう答えた。 

 『体に異常は無し。身体、精神、どちらも正常数値だ。』 

 京はそう言うと少しして・・・こう言った。

 『君は今の自分の体についてどれくらい知っている?』

 「いや、あれから闘いばかりだったから検査なんてしてねえよ。」

 当たり前だろうが傷無は京に向けてそう言うと京はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 『君の体内にあるハートハイブリットギアがバラバラになっている。』

 

 

 

 

 

 

 

 「はあ!?じゃあ何で俺は未だ変身出来るんだよ!!」

 可笑しいだろうがとそう言うと京はこう続けた。

 『済まない、誤りがあった。正確には《君の体の隅々に

ハートハイブリットギアがばらけている》だ。』

 「それって一体?」

 傷無はそれを聞いてそう聞くと京はこう答えた。

 『本来ハートハイブリットギアは手術で胸らへんに移植されるものだ。』

 そこは知っているなと言って傷無は頷くと京はこう続けた。

 『だが君の場合はそれが頭から足のつま先まで幾つもの小さな・・・

ナノマシンとも呼べるくらいのサイズまでバラバラになって点在している。』

 そう言うと京はその情報を見てこう続けた。

 『これはハートハイブリットギアの新たな進化か・・・それとも我々が

未だ解明されていないハートハイブリットギアのシステムかどうか分からないが

これの解明次第ではハートハイブリットギアの強化、又は進化に繋がるかも

しれない。』

 そう言うと京は傷無に向けてこう言った。

 『もう少しデータが欲しい。本来ならば実験したいところだが現状

君しか発現していないともなるそれでこの・・・

《レガリア》が使用不能になる事の方が我々にとって恐怖だ。』

 『だからこそ・・・君には当面の間《レガリア》だけで』

 「断るぞ、俺は『ゼーガペイン』の教導官としてここに来てるんだ。

あの時は仕方がないとはいえ今後オレハ『ゼーガペイン』を主軸として戦う。」

 話はそれでおしまいと言って傷無は部屋から出て行こうとすると怜悧は

こう言った。

 「待て傷無!これは人類が生き残るために」

 「今この瞬間にも皆はあそこで戦っているんだ!!」

 「「!!」」

 傷無の大声を聞いて2人はビクッとして驚くと傷無は2人に向けてこう続けた。

 「俺達がここに来ているのは皆の・・・今でも東京で戦っている

同胞たちのためだ!!俺はそれが終わったら出て行くしそれに!!・・・

そっちの都合だけで戦い方を押し付けるんじゃねえ・・・!!」

 そう言って傷無はクラウを連れて出て行った。

 無論クラウは2人に向けて失礼しましたと言って律義に立ち去った。

 そしてそれを見ていた京は・・・クスクスと笑いながらこう言った。

 「結構熱い所があるのね、あの子」

 そう言うと怜悧は京に向けてこう言った。

 「済まなかった。・・・アイツの言葉もまあ一理あるとは言えな。」

 そう言いながら頭を搔いていると京は怜悧に向けてある事を言った。

 それは・・・。

 「それと彼のハートハイブリットギアのカウンターについてなんだけど」

 「何か分かったのか?」

 怜悧は京に向けてそう聞いた。

 正直な所連戦、然も毎日戦っているなど冗談しか言えない様な

感じであったのだ。

 それで傷無のハートハイブリットギアのカウンターを調べるように頼んで

おいたのだ。

 すると京はデータ映像を怜悧に見せると怜悧は・・・・目を見開いて驚きながらこう聞いた。

 「これは本当なのか!!」

 そう聞くと京は・・・少し目つきを鋭くさせてこう言った。

 「ええ真実よ。これならば『レガリア』が連日連戦していた利用も納得ね。」

 そう言って京はもう一度ユリシア視点から見ていた『レガリア』の戦闘シーンを見ていた。

 そして怜悧は傷無のハートハイブリットギアのカウンターを見て・・・ブルリと体を震わせていた。

 計測には・・・こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ≪飛騨 傷無 ハートハイブリットギアカウンター残り・・・・・

計測不能(∞)≫

 そう出ていたのだ。




 次回はちょっと傷無とクラウの・・・ギガフロート日本ぶらり旅。


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誰しもが望郷を望む

 誰もが・・・帰りたいと願っていた。


 それから暫くして今日は学園が休みで生徒たちは全員各々の休日を楽しんでいる中傷無とクラウはと言うと・・・。

 

 

 

 

 「今日はこんなものかな?」

 「そうだね。」

 そう言いながら『ゼーガペイン』に搭乗してシュミレーションをしていた。

 休みであるのだが前線では休みなど0に等しいのでシュミレーションを

していると・・・足元から声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 「ねえさ~~。終わったらさっさと出てきてくれない?整備できないん

だけど~~。」

 そう言うのは茶髪の少女、『胡桃沢 桃』で整備科所属である。

 傷無とクラウはそれを聞いて渋々とだが機体から降りてキャットウォークで降るとそれとは反対に胡桃沢は上に上がりながらこう聞いた。

 「2人はさ、休暇なんだから今日ぐらいゆっくりしたら?」

 体が持たないよと聞くが2人はこう答えた。

 「いや、寧ろ体を絶え間なく動かした方が気が落ち着くし逆に休むのもな。」

 「うん、ちょっと気が引けるんだよねえ。」

 そう言うと胡桃沢はこう言った。

 「それだったらさ、ギガフロートを散策してみたら?防衛時に何処を守れば

良いのかを把握するのにちょうど良いと思うわよ?」

 そう言うと傷無とクラウはこう答えた。

 「それなら・・・どうする?」

 「行ってみようか?」

 そう言って2人は歩いて行くのを見て胡桃沢はこう呟いた。

 「はあ~~。良いな、ああいう風に男子と一緒でさ」

 そう言いながら胡桃沢は『ゼーガペイン』を見ると・・・足元を頬で摩りながらこう言った

 「けど私の彼氏は君だけだよ『ゼ―ちゃん』♡」

 ・・・この娘、気に入った武器に渾名をつけているという・・・変な趣向を

持っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 そして2人がまず向かったのは・・・京都エリア

 そこでは数多なる京都の名所や旧跡等が凝縮されている中でクラウは

店のウインドウを見て・・・足を止めていた。

 「どうしたクラウ?」

 傷無はどうしたんだと聞いてそこに向かうとそこは・・・着物屋であった。

 「・・・綺麗・・・。」

 そう言いながら眺めていると傷無はこう言った。

 「・・・着てみるか?」

 「ええ?」

 クラウはそれを聞いてポカンとしていると傷無に連れられて中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして暫くして・・・。

 「イヤあ、ええ素材ですから着こなしがいがありますわ。」

 店の店主がそう言ってクラウを前に出した。

 そこにいたのは・・・腰に迄届くほどの髪を纏め上げ、青い着物と黒の帯、

着物には恐らく鶯であろう鳥の様な模様が施されていた。

 「に・・・似合う?」

 クラウはその格好でびくびくと震えていると傷無はポカンとしながらも・・・

こう答えた。

 

 

 

 

 「ああ・・・綺麗すぎて言葉が出なかった。」

 「///////」

 傷無の言葉を聞いてクラウは顔を真っ赤にしていると店主がこう言った。

 「その着物、お金は要らないですから貰っといてくれやす?」

 そう言うと傷無は目を見開いて驚きながらこう言った。

 「えええ!けどこれって高いんじゃ」

 そう言うと店主はこう答えた。

 「構いはしまへん。こないに別嬪さんが着てくれるなら服も嬉しかようですし

それに」

 そう言うと店主は傷無とクラウを見てこう答えた。

 「アンタら抵抗軍の人でっしゃろ?」

 「「!!」」

 それを聞いて驚いていると店主はこう続けた。

 「お国の為に頑張っているお人たちにお金などいりまへん。」

 そう言うと店主は・・・深々と頭を下げてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 「今まで私らの国を守ってくれて・・・ありがとうございます。」

 

 

 

 「「・・・・・」」

 それを聞いて傷無とクラウは無言になっていると店主は名刺を差し出して

こう言った。

 「それは京都でのうちの店の住所があります。落ち着きましたら

またご利用してやす。」

 店主はそう言って出ていく傷無達に向けてこう言った。

 「また来てやす・・・生きてこその人生どすから。」

 そう言って店主は2人が立ち去るまで手を振ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 「良い人だったな。」

 「そうだね。」

 傷無とクラウはそう言って次のギガフロートに向かう中こう思っていた。

 「『逃げ武者』って呼んでる奴もいるけどこう言う人たちもいるんだな。」

 「うん。」

 2人はそのまま他のギガフロートに向かった。

 

 

 

 

 

 沖縄では必要な生活用品の補充とスイーツを食べ。

 神奈川では大仏殿の裏側にある避難所のチェック。

 北海道ではクラウは馬に乗って楽しんでいた。

 大阪では食事しつつ裏町にいるお爺さんたちと将棋をした。

 

 

 

 

 「結構充実したな。」

 「確かにね。」

 2人はそう言って書かれている避難所の場所や武器、兵器の保管所などを

チェックしつつ今日出会った人たちを思い出していた。

 皆傷無達の雰囲気が違う事を察したこともあり抵抗軍である事を看破すると

こう言ってくれたのだ。 

 

 

 

 

 

 『『『『国の為に戦ってくれてありがとう。』』』』

 

 

 

 

 

 そう言ってくれたのだ。

 あの人たちも断腸の思いで国を離れざる負えなかったのだ。

 そう思うとどうしようもない気持であるのだ。

 そして傷無はクラウに向けてこう言った。

 

 

 

 「絶対取り戻そうぜ。」

 「うん、皆の為に」

 そう言ってお互い夕日の空を電車越しで眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 然し彼らは知らなかった。

 

 

 

 

 

 これまでの中で最悪の状況が待っていることに。




 次回・・・厄祭来る。


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闘いが・・始まろうとしている

 闘いの狼煙が・・・上がろうとしている。


 そして3日後。

 ギガフロート日本はこれまで通り平穏無事な日常を送っており傷無達は授業に

勤しんでいると・・・傷無とクラウは何かを感じて立ち上がった。

 「「!!」」

 「どうした?飛騨」

 「どうしたの~?アスフォードさん?」

 先生たちがそう言った次の瞬間に・・・アラートウインドウが立ち上がって

電子黒板一面に真っ赤なフローティングウインドウと警報で埋め尽くされた。

 その瞬間に傷無とクラウは急いで教室から出ると2人は学校の外で出くわして

一緒に向かって行った。

 それを見た男子教諭はそれを見てこう言った。

 「あいつら、まさか敵が来るのを直感で感じ取りやがったのか・・・!!」

 それを聞いてマジかよと思っていた。

 如何に前線経験者と言ってもまだ子供だと思っていたがまさかここまでと思って

度肝をを抜かしていたのだ。

 そして傷無達はレギオンの搬入口から入って近くにあるバイクに乗った。

 抵抗軍において全員にあらゆる乗り物の乗り方を教えており特に傷無みたいな

年頃を中心に行っているのだ。

 そして2人はそのバイクで『ゼーガペイン』が格納されている倉庫に向かい、『ゼーガペイン』に向かうと既に何人かの整備科の生徒が準備をしていたが

傷無はそれを見てこう聞いた。

 「何時出せる!?」

 そう聞くと胡桃沢はこう答えた。

 「あと3分時間を頂戴!エネルギーラインの調整に時間が掛るの!!!」

 「もう敵が来てるかもしれないんだぞ!1分半で終わらせてくれ!!」

 それ以上は待てないと言いながら傷無とクラウはコックピットに向かって

キャットウォークを駆けあがりコックピットに入ると司令部と連絡を繋げた。

 「姉ちゃん!敵は今どこにいる!?数はどれくらいで規模は!!」

 傷無は怜悧に向かってそう聞くと怜悧はこう答えた。

 『敵は今ソロモン方面から真っすぐにこっちに来ている。あと15分ほどでこちらと接敵する可能性が出てきた』

 「そんなのは良いから数だけでも言えよ!!」

 傷無は怜悧に向かってどれくらいだと問うと怜悧は暫くして・・・こう答えた。

 

 

 

 

 

 『・・・敵は・・・』

 「早く!!」

 『・・・2000m級の戦艦1,1000m級の感染が凡そ30で半数が空母だ』

 「なあ!!」

 それを聞くと傷無もマジかよとそう思っていた。

 そんなの第2次異世界間衝突戦以来の大艦隊クラスじゃねえかよと傷無はそう思っていた。

 抵抗軍にいた時には確かに全盛期はそれくらいがあったが『ゼーガペイン』

投入時にはその半分くらいにも満たないものだったのだ。

 すると怜悧はこう言った。

 「『アマテラス』各員応答せよ!!」

 すると司令部で千鳥ヶ淵、姫川、ユリシアの3人が映ったウインドウが

立ち上がった。

 如何やら未だ教室にいるようであった。

 「状況は分かっているな?ユリシアは司令部でオペレーターと組め!今のお前のハートハイブリットギアカウンターは現在15%程だから戦闘参加は禁物だ!!」

 『・・・了解。』

 ユリシアはそれを聞いて苦虫を嚙み潰したような顔をしていた。

 何せ戦闘参加を禁止されているからだ。

 そして姫川、千鳥ヶ淵に向けてこう言った。

 「2人は出撃!『ゼーガペイン』と共に敵を撃滅せよ!!」

 『『了解!!』』

 2人はそう言って敬礼するとウインドウが消えた。

 そして怜悧は司令部にいるスタッフに向けてこう言った。

 「アタラクシア及び、ギガフロート日本の全域の防衛機能を展開!!レギオンを順次発進させろ!!」

 怜悧はそう言うと操作ウインドウを引き寄せてその中から

アタラクシア全校放送のアイコンをタップすると怜悧はこう言った。

 「全校生徒に告ぐ!これは演習でも学校行事でもない!!実戦だ!!!」

 「日ごろの成果と抵抗軍から鍛え上げられた力を異世界の連中に

見せつけてやれ!!」

 そう言うと各員戦闘配置に着いた。

 するとアタラクシアの様子が一変した。

 ビルの壁にシャッターが降り、重要施設が地下に降下する代わりに戦闘設備が

地下から地上に現れ、道路が開くとそこからレギオンがせりあがり、

偽装ビルが開くとそこには電子砲がチャージを開始し、公園の地面が

シャッターのように開いたと思ったら中から中距離ミサイルが顔を覗かせた。

 そして傷無達の搭乗する『ゼーガペイン』も準備を終わらせていた。

 『傷無君!アスフォードさん!!準備終わったよ!!』

 「分かったって・・・1分45秒かよ!?」

 『これでも速めに終わらせたんだからねえ!!』

 お互いに悪態付けながらも『ゼーガペイン』の後方の壁が開いた。

 するとキャットウォークが外れて『ゼーガペイン』が降ろされたと同時に

後ろに向くとスラスターを噴射させ、『ゼーガペイン』を起動させると

傷無とクラウはあの言葉を口にした。

 

 

 

 

 

 

  

 『《ゼーガペインmarkⅠ》!《飛騨 傷無》!

《クラウシェル・アスフォード》!!出撃します!!」

 そう言った次の瞬間に『ゼーガペイン』は海に向かって飛び立っていった。

 そしてその隣には既にハートハイブリットギアを身に纏った姫川と

全身に重武装を身に纏った千鳥ヶ淵が見えた。

 それぞれが向かうのはただ一つ・・・異世界軍である。 




 次回、戦闘開始!!


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攻撃開始

 海上戦、開始!!


『良いか、敵の旗艦の射程がアタラクシアを捉えるのは後15分。

それまでに敵旗艦の主砲を潰せ‼』

 怜悧は傷無達に向けてそう言うと傷無はこう呟いた。

 「簡単に言ってくれるが・・・そうは問屋は降ろしてくれねえようだぜ姉ちゃん」

 そう言うと敵の空母から50機ほどのアルバトロスが発進してきた。

 「行くぞ、クラウ!」

 「うん!!」

 傷無はクラウに向けてそう言った瞬間に『ゼーガペイン』のスラスターを吹かして単騎で突貫してアルバトロスの群れに突入した。

 「な!」

 「何単独行動を!?」

 千鳥ヶ淵と姫川はそう言ってその後を追おうとするとアルバトロスは

『ゼーガペイン』に攻撃するも全弾掠める程度であり其の儘アルバトロス目掛けて

光学銃で攻撃した。

 そしてそのまま7機ほどのアルバトロスを撃ち貫くと其の儘乱戦に入って時には

その銃剣を奪い取って突き刺したり光学剣を展開して斬り裂くなどの一騎当千の

働きを見せていると姫川はそれを見てこう呟いた。

 「凄い・・・。」

 そう言うしかなかった。

 あれが最前線で半年も生き抜いた人間の実力なのかと思うともしあれが敵になれば厄介どころか無理だと言いかねない程の実力を目の当たりにしているのだ。

 然し姫川は呆然としていた感覚を研ぎ澄ましてこう言った。

 「弩弓駆剣(ブレイド)!」

 そう言うと背中から自在に飛行する大型の剣が飛び出したと思いきや

大きな弧を描きながらアルバトロスの中を飛行して『ゼーガペイン』に向けて

攻撃しているアルバトロスの背後に忍び込んで其の儘斬り裂いた。

 姫川の武器でもある「弩弓駆剣(ブレイド)」は中近距離に使われる

無線誘導兵器の一つであり集中力を必要とする反面戦闘空間において

トリッキーな攻撃をすることが出来るのだ。

 操作している間に足を止めた姫川を見てアルバトロスは背後から

攻撃しようとして・・・『ゼーガペイン』によって斬り捨てられた。

 『ナニ足止めてんだ!死にたいのか!!』

 傷無は姫川に向けて大声でそう言うと姫川はこう返した。

 「仕方がないじゃないですか!『弩弓駆剣(ブレイド)』は高い集中力を

要求されるために止まらなくては」

 『戦場で足止めてそれが理由になるか!集中しながら攻撃して移動できなきゃあ殺してくれって言っているようなもんだろうが‼!』

 傷無はそう言いながらアルバトロスに向けて射撃して堕としながら移動した。

 一方の千鳥ヶ淵の方はアンチマテリアルライフルをアルバトロスに構えて

攻撃した。

 一部を除いて魔導兵器相手には効かないが・・・銃口をずらしたり行動を

制限させるには十分である。

 千鳥ヶ淵はそのままアルバトロスの首元に

そのアンチマテリアルライフルの銃口を押し当てて弾が無くなるまで

撃ち続けた後に・・・それを投棄して首をへし折った。

 そして千鳥ヶ淵はそれから離れて艦隊の位置を確認してこう言った。

 「距離はざっと・・・2,30キロ・・・くらいね。」

 そう言うと又もや空母から多数の魔導兵器を確認した。

 「更に敵機確認!その数は27。」

 クラウは傷無に向けてそう言うと傷無は時間を確認した。

 「タイムリミットは後7分か。」

 そう言うとクラウはこう報告した。

 「敵の中に『ドラグリエ』を確認!数は3!!」

 「クソが!魔導兵器は俺らが何とかするからお前らは戦艦の方を!!」

 傷無は千鳥ヶ淵と姫川に向けてそう指示を出すがドラグリエはお構いなしに

千鳥ヶ淵と姫川に向けて炎を吐き出した。

 「ヒアアアアアアア(*´Д`*)!!」

 「このお・・・・!!」

 姫川と千鳥ヶ淵はそれにダイレクトに命中してしまい

そのまま吹き飛んでしまった。

 更に攻撃しようとすると・・・上から『ゼーガペイン』の攻撃を喰らって1機が堕ちた。

 すると怜悧は千鳥ヶ淵と姫川に向けてこう言った。

 『今奴らは飛騨達に釘付けだ!残りは3分!!』

 怜悧の言葉を聞いて千鳥ヶ淵と姫川は大急ぎで艦隊に向かって行くが・・・

矢張り一筋では行かなかった。

 

 

 

 

 

 「キャアアアアアアアア!!」

 「クウウウウウウウウ!!」

 姫川と千鳥ヶ淵は何かによって吹き飛ばされるが傷無とクラウはそれを見て

こう言った。

 「敵艦からの攻撃!」

 「おまけに対空戦闘も完璧だしな!」

 傷無とクラウはそう言いながら『ゼーガペイン』でドラグリエ全機と

アルバトロスを既に8割ほど潰していると敵旗艦の砲塔が動き出した。

 然もその射線の先にいあるのは・・・アタラクシアではなく。

 

 

 

 

 

 「敵旗艦の砲塔!こっちに向いた!」

 「こっちが目的かよ!!」

 すると敵旗艦が『ゼーガペイン』に向けて・・・攻撃してきた。

 「キャアアアアアアアア!!」

 「クソったれがアアアアアアア!!」

 クラウと傷無は悲鳴を上げながら回避していた。

 如何やら傷無とクラウはその攻撃を利用して残りに敵魔導兵器を倒させるという腹積もりのようであるがそれが何時まで持つか分からないため傷無は

千鳥ヶ淵と姫川に向けてこう命令した。

 『こっちに気を取られているうちに速く旗艦をぶっ潰せ‼!』

 そう言うが対空砲に手間取っている2人はこう返した。

 「そんなこと言われましてもどうやってですか!!」

 「行っているだけは楽でしょうね!!」

 『こっちは命はってるんだからそっちも頑張れ‼』

 『傷無!攻撃来る!!』

 『こんのォォォォオオォォォォ‼!』

 それと同時に通信が切られると千鳥ヶ淵はこう提案した。

 「こうなったら懐に入り込んで白兵戦を仕掛けるわ!!」

 そう言うが姫川はこう反論した。

 「無茶言わないで下さい!この弾幕で近寄れるわけないじゃ」

 姫川が言いかけるも千鳥ヶ淵はそのまま突撃していった。

 千鳥ヶ淵は絶対領域と言うシールドを展開して最高速度で敵艦に突っ込むが

敵艦も馬鹿ではない。

 砲弾や対空砲で対応すると千鳥ヶ淵はそれすらも知らぬと言った感じで

突っ込んでいった。

 然しそんなことすればエネルギーが底を尽きてしまうとも分かっているにも

関わらずどうしてと思いながらもあと少しと言う所で・・・護衛艦からの

一斉射撃を諸に浴びてそのまま・・・不時着していった。

 「愛音さん!」

 姫川はそれを見て堕ちていく千鳥ヶ淵を捕まえると傷無はクラウに向けて

こう言った。

 「クラウ、攻撃をオートメーションして2人を回収してくれ。」

 「え?けどそうしたら・・・傷無!?」

 まさかとクラウは傷無の言葉を聞いてそう言うと傷無はこう答えた。

 「なあに、ちょっと空いた穴を埋めてくるさ。」

 そう軽く言うとクラウは傷無に向けてこう言った。

 「ちゃんと帰ってきてね。」

 「ああ、任せろ。」

 傷無はクラウに向けてそう答えるとコックピットから降りたと同時に

『ゼーガペイン』は2人の下に向かった。

 すると何故か攻撃が止まった。

 

 

 

 

 

 「一体なぜ?」

 姫川はそれを見てそう呟いた。

 何か目的があるのかと思っていると『ゼーガペイン』がこっちに来るのが

見えた。

 そしてコックピットから声が聞こえた。

 「2人とも、大丈夫!?」

 「アスフォードさん!どうしてここに!?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「それは後で話すから早く千鳥ヶ淵さんを!」

 「は、はい!!」

 クラウはそう言って姫川を急かすと姫川はコックピットを見てこう聞いた。

 「あのう、アスフォードさん?一つ聞いても」

 「傷無の事?」

 「ええ・・・どちらに」

 そう聞くとクラウは空に指さすのでその方向を見ると・・・

傷無がハートハイブリットギアを纏って空を浮遊していた。

 「どうして・・・彼がハートハイブリットギアを?!」

 そう聞くとクラウはこう返した。

 「まあ、見てて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷無は攻撃がやんだのを見てこう言った。

 「攻撃が・・・やっぱりアイツがいるって事だな。」

 傷無は何か確信したような言動でそう言うとこう・・・叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「レガリアーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉と同時に・・・闇が傷無を覆い、鎖がそれに巻き付いて

現れたのは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 「黒の解放者・・・・?」

 姫川はそれを見てそう呟いた。

 そう、日本において・・・いや、世界最強と名高いナンバー1

 

 

 

 

 

 

 

 

 「黒の解放者」なのだ。

 そして傷無はこう言った。

 「さあてと・・・いっちょ行くか。




 次回はレガリアにおける圧倒的な戦闘。


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破壊開始

 力の前に・・・屈服せよ。


 「あれって・・・」

 「嘘・・・。」

 オペレータールームではその光景を見て全員が口を大きく開けていた。

 何せ傷無がハートハイブリットギアを保有しているという事だけでも

驚きであったにも関わらずあの有名な「黒の解放者」と言うので

更に驚きなのである。

 それを見た怜悧もこう言うしかなかった。

 「あれが・・・傷無の。」

 ハートハイブリットギアの進化、又は突然変異と言うのが京の考えであると

聞いたが確かにあれは今まで見たことがない形態である。

 ハートハイブリットギアの装甲は肌が露出しているところが幾つもあるのだが

あれにはそれすらなく顔を覆い隠すほどの全身装甲を身に纏っており

正に異様の一言でしか言い表せないのである。

 するとユリシアがこう報告した。

 「『ゼーガペイン』が帰還!愛音とハユルも戻ってくるわ!」

 そう言うと怜悧は頭を切り替えてこう命令した。

 「直ぐに機体を着艦させろ!それと・・・信じるしかないかあいつを。」

 怜悧はそう言いながら画面に映る・・・レガリアと化した

傷無を見守る事しかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 「さあ・・・行くぞ。」

 傷無はそう言うと同時に腰に搭載されているソーサーを槍と銃に変形させて

突撃すると空母から50近い・・・ドラグリエが現れた。

 

 

 

 

 「こんな時にか!?」

 怜悧はそれを見て慌てていた。

 幾ら傷無が強かろうがドラグリエ50機近くを相手にしつつ30隻もの

大艦隊もとなると万が一があるかもしれないと思ってハユルだけでも

再出撃させようとすると・・・『ゼーガペイン』から通信が来た。

 『待って下さいお姉さん‼出撃は待ってくれませんか!!』

 「何言っているクラウシェル!相手はドラグリエだけでも相当数いるんだぞ!!それにあいつに何かあったら・・・・!!」

 怜悧はそう言って慌てていた。

 幾らとはいえ自分にとって血の分けた弟なのだ。

 もし何かあったらと思うと気が気でなかったのだがクラウはこう続けた。

 『信じてください!傷無を!!』

 そう言っている間に傷無はドラグリエに向かって突撃する光景が見えたが

クラウがいう意味が・・・そこで分かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 「邪魔だ。」

 傷無はそう言ってドラグリエの1体に向かって突撃するとそのまま・・・

槍でドラグリエにある竜の頭を貫くと其の儘人型に迄貫いた。

 すると他のドラグリエはそれを見て焔を出すが傷無はそれを避けると

はるか上空迄飛ぶと銃を向けて乱射した。

 それも全て・・・ドラグリエに命中した。

 爆散するドラグリエに今度は槍も使って更に攻撃の密度を高めようとした。

 「ああ、もう!じれったい!!」

 傷無はそう言うと銃を消して新たに・・・巨大な・・・大砲の様な銃を

展開した。

 それは・・・レギオンに搭載されているマシンガンであった。

 すると傷無はそれをドラグリエに向けて放って・・・破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

「何だと!?」

 怜悧はそれを見て驚いていた。

 何せ今まで聞かないと確信していたレギオンのマシンガンで魔導兵器を・・・

破壊することが出来たからである。

 「驚きましたか?」

 「アスフォード・・・!!」

 怜悧はクラウの声を聴くと怜悧はこう問い詰めた。

 「何故レギオンのマシンガンで魔導兵器が破壊できるんだ!?あの弾丸に

秘密があるのか!?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「いえ、マシンガンではなく・・・傷無自身なんです。」

 「何だと・・・。」

 怜悧はそれを聞いて驚いているとクラウはこう続けた。

 「傷無が取り込んだ武器はあらゆる魔導兵器に対抗できるんです。それも全て」

 「だから・・・『ゼーガペイン』は魔導兵器を倒せれるんです。」

 「どういう意味だ・・・。」

 怜悧は何故だと聞くとクラウはこう答えた。

 「『ゼーガペイン』には・・・傷無がこれまで戦闘で手に入れた

魔導兵器の武器を手に入れたからこそなんです。」

 「・・・・何だと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ウおらああああああ!」

 傷無はそう言いながら乱射していた。

 既に殆どのドラグリエが倒されて後は片手で数える位しかなかったのだ。

 それを見た傷無は残りのドラグリエをソーサーで切り刻んで破壊すると

傷無は艦隊を見て・・・こう言った。

 「ぶっ消えろ!!」

 そう言いながら突撃して敵旗艦に突っ込みに行くと護衛艦隊からの対空砲火が

傷無に向かって襲い掛かってきたが傷無はそれすらも無視して真っすぐに

旗艦に向かって・・・。

 

 

 

 

 

 「せいやああああああああ!!」

 飛び蹴りの様な感じで旗艦に命中して・・・貫通した。

 すると幾つもの爆発が起きて旗艦は・・・崩壊した。

 そして傷無はソーサーを銃に戻して・・・乱射した。

 そしてそれに命中した護衛艦と空母が・・・墜ちて云った。

 そして傷無は大声でこう言った。

 「いるんだろ!バトランティス帝国軍討伐隊!!出てこい!いるのは

分かってんだ!!」

 そう言うと・・・上空で声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 「あらあ・・・よく来たわね、『黒の魔人』」

 そう言って出てきたのは・・・二十歳前後と思われる緑の髪を腰に迄

長くした・・・緑色のハートハイブリットギアを身に纏った女性が現れた。

 そして傷無はその女性を見てこう言った。

 「やっぱり手前だったのか、・・・・『アルディア』!!」

 「久しぶりね。男の・・・いえ、私達の宿敵さん。」

 そう言う女性の顔はまるで・・・玩具を見つけた子供のように笑っていた。




 次回でたぶん第1巻が・・・終わる。


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祭りじゃあああああ!!

 やっとここまで来たなあ。


 その日の夜。

 ギガフロート日本で色とりどりの花火が空を照らした。

 各地域では道路一杯に人が溢れ返って飲めや歌えや騒げやの大宴会。

 まるで縁日の様な浮かれ具合であるがそれは当たり前である。

 何せ・・・人類が初めて異世界軍の艦隊に対して・・・損害0で勝てたのだから。

 全体的に見れば小さな勝利であるが人類側からすれば大きな勝利なのだ。

 そして傷無達はと言うと・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「いやあ、まさか弟さんがあの『黒の解放者』だとは。」

 「覚えが良いでございましょう。」

 「これで我らギガフロート日本も安泰ですなあ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あのう、傷無さん!サインください!!」

 「私と写真撮ってください!!」

 「あの、お付き合いとかできますか?」

 「いや、その・・・ええと。」

 

 

 

 

 

 

 

 「クラウさん、お食事はいかがで?」

 「クラウさん、俺と一曲踊っては?」

 「その着物凄く綺麗ですね。」

 「アハハ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在講堂では怜悧は有力政治家と、傷無とクラウは生徒たちや子供たちに

詰め寄られていた。

 そんな傷無の胸元には・・・5つのメダルらしきものが胸に付けられていた。

 そう、これは・・・政府から与えられた勲章。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「千狩り勲章」と言う新しい勲章である。

 これは異世界軍の兵器をその勲章の名の如く千機撃墜した者にのみ

与えるものとするという勲章である。

 これは「御子神 仙波」が急遽作った勲章である。

 これにより自身の安泰だけでなく国威発揚を目的として作られているのだ。

 そんな状況を・・・「アマテラス」の面々はため息交じりで見ていた。

 

 

 

 

 

 「凄いわねえ、ここまで傷無って人気なのねえ。」

 「仕方がありません。片や英雄、片や戦果を挙げていないんですから。」

 「それにしてもここ迄露骨かしら」

 ユリシア、姫川、千鳥ヶ淵はそう言った。

 何せ艦隊を半数以上撃沈させた傷無に対しては最早何も言う事が

出来ないからだ。

 無論自分たちにも声がかかるが傷無達に比べれば無いに等しいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの戦闘の後ギガフロート日本の上で傷無が降りてきてレガリアを解除すると

先ずはクラウが傷無に近づいて・・・・

 「お帰り。」

 「ああ、只今。」

 お互いにそう言いながら笑った後に・・・歓喜の雄たけびを上げて傷無と

クラウに対して胴上げを行ったのだ。

 その後に傷無が「黒の解放者」である事、5000以上もの異世界軍の兵器を

倒したことを発表して各ギガフロートにおいても祝電と同時に傷無に対して

勧誘する口調をする人たちがいる程であったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてパーティーが終盤となった時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふー、疲れた。」 

 「お疲れ様。」 

 傷無はクラウに膝枕してもらいながら学校の屋上で寝転がっていた。

 何せあれからと言う物傷無に対してはお見合い話が出たほどなのだから。

 そんなの断りたいと思いながらも取敢えずは写真だけは貰ってしまい、

どうしようかと思っている中でクラウは傷無に向けて・・・ある事を聞いた。

 

 

 

 

 

 「ねえ、傷無。」

 「ああ・・・言いたいことは分かってる。」 

 「あの人たちがいたの?」

 「ああ・・・アルディアがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前話の終わりらへん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これは参ったわね、ここ迄やられちゃうと・・・****に怒られちゃうわね。」

 そう言うとアルディアは手を振りかざすと・・・艦隊が回れ右して・・・

撤退していった。

 それを見た傷無はこう聞いた。

 「何だこれは?」

 そう聞くとアルディアはこう答えた。

 「何って逃げるのよ。貴方相手でこれだけで挑んだ罰かしらね?

今度はちゃんとした所で戦うから。」

 じゃあねえと言ってその場から去っていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この事お姉さんには?」

 「報告したけどこれは極秘事項って事で外部に喋るのは禁止って言ってたけど

まあ正しいわな。」

 そう言うと傷無は天井に手を差し伸ばすと・・・こう呟いた。

 

 

 

 

 

 「相手が人間相手だなんてこっちも未だ信じられねえよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それで京。何か収穫があったか?」

 「収穫は上々ね。後はこいつらの技術体系が分かればね。」

 そう言いながら京は・・・灰色になった戦艦や空母の破片と魔導兵器の

残骸の山を見ていた。

 本来ならば光となって消えるはずなのに何故か傷無が攻撃した奴だけはこうして残っている。

 いったい何が原因なのか分からないが寧ろこれは僥倖である。

 これまで明らかに出来なかった魔導兵器の仕組みが分かるとだけあって

今でも技術科の人達は解析に勤しんでいた。

 「それにしても傷無君が倒した物だけこうやって現存できるのもあのレガリアが原因だとすれば矢張りもっと研究したいわ。」

 京はそう言いながらレガリア化した傷無の戦闘データを見てそして・・・

アルディアの映像を見ると京は怜悧に向けてこう言った。

 「情報統制はちゃんとしているけど良いの?何時かバレるわよ。」

 そう言うと怜悧はこう答えた。

 「馬鹿者、こんなことがばれて戦えなくなったら目も当てられんわ。」

 そう言うと怜悧はこう続けた。

 「世の中・・・知らないほうが良い事もある物だ。」

 そう言って立ち去って行く怜悧を見て京はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「確かに、時には真実に蓋をしなければならないときもあるわね。」

 そう言って京は解析を再開した。

 この先未だ・・・戦いが続くのだから。




 これにて第1巻は終了とする。


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力がない事による・・・絶望

 2巻スタート!


半年前・・・日本の静岡付近。

 この時すでに各地では敗北と同時に多数のレギオンの残骸と・・・

人の死体があった。

 そんな中で当時特殊攻撃隊に所属していた姫川は空を飛んでいる中で

通信が聞こえた。

 『特殊攻撃隊、応答せよ。』

 「こちら特殊攻撃隊、大本営どうぞ」

 『現在位置を報告せよ。』

 それを聞くと姫川は眼下にある山に囲まれた湖を見てこう報告した。

 「現在は静岡、箱根を通過中。名古屋到着までの予測時間は」

 『名古屋作戦を注視して東京に至急帰還せよ。」

 大本営からの報告を聞いて姫川は耳を疑うが大本営からはこう続けた。

 『経った今現時刻を持って名古屋を放棄し東京フロートを出航するため

護衛に就け』

 そう言うと姫川はこう反論した。

 「そ、それじゃあ・・・名古屋は!他の都市はどうするんですか!私が行くのを待っているのに!!大勢の人達を見殺しにするんですか!!?」

 そう聞くと大本営からはこう返された。

 「ならばこちらを見殺しにするのか?』

 「くっ・・・!」

 『ともかくこれは命令だ、早急に帰還せよ』

 そう言って通信が切れてしまい姫川は・・・後ろ髪を引かれる思いで

東京に向かうがそんな中でレギオンが爆発する音や自衛隊員の断末魔、

市民の悲鳴などが聞こえるような感じがして耳を塞ぎながら向かうしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 そして東京。

 東京湾の埠頭には数万人以上の老若男女の人だからが出来ていた。

 そんな中で声が聞こえた。

 「おい、何だあれアハ!」

 「特殊攻撃隊だ!助けが来たぞ!!」

 人々は姫川を見て指を刺して期待と安堵が入り混じった声が聞こえた。

 姫川はそれを見て涙をこらえながらこう思っていた。

 「(そうだ、自分はこの人たちを守らなければならないんだ。

泣いている暇なんてないんだ!!)」

 そう思っていると姫川は彼らの目の前に降りてこう言った。

 「皆さん、ご安心ください!これからは私が皆さんをお守りしますので

どうか落ち着いて誘導に従って間もなく来る船を待って下さい!!」

 そう言いながら姫川は周りの人達をかき分けて進んでいった。

 そんな中で姫川は子供を連れている母親を見つけた。

 子供は幼稚園に通っているくらいの少女で小さなクマのぬいぐるみを持ちながら泣いているのを見て姫川はこう聞いた。

 「どうしたの?怖いの?」

 そう聞くと少女はぐずりながらこう言った。

 「ぐす・・・うん。お姉ちゃんは?こわくないの?」

 そう聞いたので姫川は笑顔でこう答えた。

 「うん、全然怖くないよ。だって・・・悪い奴らは皆このお姉ちゃんが

やっつけちゃうんだからね!!」

 そう言いながら少女の頭を撫でていると少女はこう聞いた。

 「ほんとう?本当にお姉ちゃんが助けてくれるの?あたしも、ママも??」

 そう聞くと姫川はこう答えた。

 「ええ、本当よ。」

 そう言うと・・・怯えた様な声が聞こえた。

 「おい!あれは何だ!?」

 そう聞いて姫川はどうしたのだと思って人垣をかき分けて進んでいくと

目にしたのは・・・。

 直径10メートルほどもある焔の塊が迫ってくるのが見えた。

 すると姫川は全員に向けてこう言った。

 「皆さん落ち着いて!体をなるべく低くして隠れられる人たちは近くの物陰に」

 そう言いかけた次の瞬間に・・・凄まじい衝撃波が姫川に襲い掛かった。

 「・・・・え?」

 天地が突如ひっくり返って地面に叩きつけられた。

 「がは・・・・!!」

 姫川はあまりの痛さにも関わらずに四つん這いに立ち上がろうとしながら

こう言った。

 「み・・・みなさ・・・ん。」

 そう言って周りを見てみると・・・先ほどまでいた人たちが

全員いなくなっていたのだ。

 いったいどこにと思って立ち上がって調べようとすると周りにあるのは・・・

地獄であった。

 見渡す限りの瓦礫。

 業火と黒煙

 「・・・・?」

 ふと足元に何か柔らかい感触がしたので舌を見て・・・姫川は顔を青くした。

 何せそれは・・・半分焦げている・・・少女が持っていたぬいぐるみであった。

 それを見てまさかと思っていると・・・唸り声が聞こえた。

 巨大な金属同士がこすれ合って軋みあうような音が。

 そして姫川はそれを見て・・・顔を黒くそして・・・闇色に染めた。

 それは巨大な・・・3本の首

 冷たく光る瞳

 紅く光る口

 三つ首の龍であった。

 姫川はそれを見て叫ぼうとしようとしても声が出せず恐怖と怒りと、悲しみ、

焦りが体の中で混ざり合ってどうすればよいのかを考えていると・・・

上空から何かが来るのを感じた。

 「!!」

 姫川はそれを聞いてまさかと思って上空を見たその時・・・三つ首の龍が

破壊された。

 「・・・へ?」

 姫川はそれを見て呆気に取られているとそれを倒した存在を見た。

 

 

 

 

 

 

 全身が黒い装甲で覆われ、炎の様な装飾が施された・・・

ハートハイブリットギアらしきナニかが。

 

 

 

 

 

 

 

 「あ・・・あの」

 姫川はそれを見て呼び止めようとするとそれは去っていった。

 すると去って行った方向から・・・光の球が輝くのが見えた。

 姫川はそれを見て立ち尽くしてしまうも持っていたぬいぐるみを見て・・・

膝から崩れ落ちて・・・叫んだ。

 「アアアアアアア(*´Д`*)アアアアアアアア!!!!!!!」

 力のない自分を呪うかのように・・・絶叫を上げた。




 次回なんだけど・・・風呂の回は・・・どないしよ。


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暫く経って・・・。

 今回はハートハイブリットギアを発言した傷無についてです。


「はあ・・・はあ・・・はあ・・・夢?」

 姫川は夜中に突如起き上がった。

 先ほど見た夢の影響である。

 「『飛騨 傷無』が・・・彼が『黒の解放者』」

 そう呟きながら姫川は自室にある・・・焦げたクマのぬいぐるみを見つけた。 

 これはあの時助けられなかった少女の形見として、そして・・・

自分の不甲斐なさに対する戒めとして置いているのだ。

 そしてそれを見た後にこう言った。

 「どうして・・・あそこ迄強いんですか貴方は?」

 そう呟いた。

 あの後姫川はギガフロート日本に何とか辿り着いて暫くすると・・・

日本が死守されたことを聞かれて軍上層部に何とか引き返してもらおうと説得を

試みるも・・・こう言われたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『敵は未だ日本にいるのだ。もし負けた時に君は残りの民間人たちに死ねと

言うのかい?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言われたのだ。

 種を残すためには仕方がない事とは言え未だ残っている民間人を残すなどと

抗議するも取り付く島もなく諦めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 「その間にも彼らは生き残った。」

 今ある物資を有効活用し、勝利と敗北を繰り返し今でも日本を守っている。

 大切な人たちが暮らすこの国を、思い出の詰まった祖国を守るために。

 「そんな人たちの思いを彼はずっとその背中に背負っていた。」

 そうなるとクラウさんもと思っていた。

 彼女もまた守りたい何かの為にと思い考えるも出るのは・・・これだけである。

 「・・・分からない。」

 そう言ってもう一度寝る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今の国の形はこれだね。正直、何処の国がどこの海にいるのか、

さっぱり分からないけどまあ、ばったり出くわすこともあるかもねー。」

 崎坂先生の間延びしたこのやる気もない言葉を聞いている中で・・・

殆どの少女達はある一点を見ていた。

 それは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあええと・・・『飛騨 傷無』解説宜しく~~。」

 「はい。」

 そう言って・・・何故か男子でもある傷無が女子の中に入っていた。

 あの戦闘の後ハートハイブリットギアを保有していることが明らかになったため取敢えずは男子の『ゼーガペイン』の教導官と・・・上層部の圧力も相まって『アマテラス』の部隊長も兼任しつつここにいることとなった。

 因みにこれを聞いた男子勢は揃ってこう言ったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『吹き飛べハーレム野郎』』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 そう言いながらサムズアップするも傷無はこう反論した。

 

 

 

 

 

 

 

 「阿保かお前らは、俺はクラウがいるから別に」

 『『『『『クタバレリア充!!!!』』』』』

 そう言って中指を宙に向けて刺したそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、そんな中においても傷無は地理の・・・自分たちがいた時の戦闘状況を

説明していた。 

 「このように、俺達がいた時を逆算して『練馬、足立、北、板橋』を放棄して『荒川、中野、杉並』に防衛ラインを整えていると思います。」

 「成程ねえ~~、もう良いから座って~~。」

 「ハイ。」

 傷無はそれを聞いて着席すると今度は何やら潜水艦のようなものが見えると

崎坂はこう説明した。

 「日本が出くわす可能性が高いのがこのウエストUSAかしらね~。

太平洋にいるはずだしこいつ潜水機能が付いているから海中を

移動できるそうよ~~。まあ知らないけど。」

 そう言うと授業を終えた。

 そして授業を終えて一息付けようとすると・・・怜悧から呼び出しがかかった。

 それもよく見たらクラウもいれてアマテラス全員にだ。

 何があったんだと思いながら傷無達はナユタラボに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それでは今回呼び出した理由について説明する。」

 怜悧はそう言って集まった面々に向かってこう言った。

 「それではケイ、説明を。」

 そう言うと京はフローティングウインドウを開くとこう説明した。

 『昨日、ギガフロート日本標準時午前2時10分に微弱な電波を捉えた。』

 そう言うと現在ギガフロート日本がいるパプアニューギニアと

フィリピンの間にある現在地から赤い線が伸びていくとその先にあるのは・・・。

 『電波を解析したところ、人類が通信として使用しているもので間違いない事が分かりその電波の発信場所は・・・ここだ。』

 そう言ってその先にある物は・・・。

 「・・・グアム?」

 ユリシアがそれを見てそう言うと怜悧はこう言った。

 「そうだ、通信電波はグアム周辺からだがユリシアはグアムの米軍基地に

行った事は?」

 そう聞くとユリシアはこう答えた。

 「第2次異世界衝突戦前に1度だけだけどあそこって普通のリゾート地だったけどだけどそこにもエントランスがあるんでしょう?」

 そう聞くと京はこう答えた。

 『確かにユリシアの言う通りで戦闘になった記録があるがその後どうなったかは誰も知らない。』

 そう言うと怜悧は本題を全員に向けて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 「誰かが・・・生存者がグアムに未だおり救難信号を発信したか、又は異世界のナニカがそれを使ったという事のどちらか分からないが前者ならば

我々は手を差し伸べなければならない為に・・・今回のミッションは

異世界軍の支配下にあるグアム島に上陸して潜入、電波の発信源が何なのかを

突き止めよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処かの場所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ見回りに行ってくる。」

 「気を付けろよ。」

 「ああ、・・・あれだけには気を付けるさ。」




 次回はグアム上陸までです。


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いざ出陣!

 前回の続きです。


 「敵地って・・・何で日本じゃないんだよ?」

 傷無は怜悧に向けてそう聞いた。

 それならば先ずは日本じゃないかと思われるが京がこう説明した。

 『無論それも検討されたが陸地から2,300キロ以内の海域に入ると

敵に捕捉される可能性が高いし、危険度が上がる。東京湾も今どの位安全なのか

見当が付かないことから近隣にエントランスがないグアムが妥当なのだ。』

 そう説明すると怜悧は5人に向けてこう言った。

 「先ずギガフロート日本はグアムから300キロの地点まで近づくが『アマテラス』全メンバーはそこから全機発進。2手に分かれて中央市街地の『ハガニア』と

『タモン』、北側の『アンダーセン空軍基地周辺を調査する為に組み分けと

現場指示は傷無」

 「了解!」

 そして怜悧は全員に向けてこう言った。

 「作戦決行は明日の夜早くに行う。それまでに現地の地図を頭に叩き込むなり

それぞれの情報端末にインストールしておけ。」

 そう言って今日は解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして夕方。

 傷無達はナユタラボに隣接されている400m物の試験場にいた。

 すると傷無は2人に向けてこう言った。

 「それじゃあ組み分けだけど俺とクラウと姫川。ユリシアと千鳥ヶ淵の

コンビとしたい。」

 「その理由って?」

 ユリシアがそう聞くと傷無はこう答えた。

 「先ずは戦術的だな。ユリシアは遠距離型で千鳥ヶ淵は近距離型だし

それに指揮能力を考慮したものだしユリシアには土地勘があるからな。」

 後と言って傷無はこう言った。

 「後はハートハイブリットギアの残量だな。ユリシアは前回戦っていなかったしそれなりにって・・・どんくらいだ?」

 そう聞くとユリシアはこう答えた。

 「19%って所かしらね。あれから休みを幾つか取り入れておいたからねえ。」

 そう言うと傷無は千鳥ヶ淵にも聞いた。

 「それで千鳥ヶ淵は?」

 そう聞くも千鳥ヶ淵は何も言わないので・・・近くにいた京がこう答えた。

 『現在10%。戦闘するにしても無茶は禁物で本来ならば

出撃は控えさせておきたいが数が足りないのでな。』

 詰る所合計して2人で29%。

 正直な所戦えるのかと思ってしまうが仕方がないと思い傷無は2人に向けてこう命令した。

 「良し、戦闘になりそうと思ったら取敢えずは隠れろ。

体力は温存しておいておけ。あくまでも俺達の目的は潜入調査だからな。」

 そう言うとユリシアは了解と答えるも千鳥ヶ淵は何も言わなかった。

 そして傷無は全員に向けてこう言った。

 「良し!全員出撃だ!!」

 傷無の呼び声と同時に3人のハートハイブリットギアと『ゼーガペイン』が

発進した。

 今回ゼーガペインは基地近くにて建物に隠すような感じで待機させるつもりで

ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アマテラス全員が出撃した後怜悧と京はナユタラボにて待機して作戦の経過を

見守る事にした。

 すると京は怜悧に向けてこう聞いた。

 「れーり、何か飲む?地ビールもあるよ?」

 そう聞いて怜悧はこう答えた。

 「ああ、アタラクシアで作られた人口ビールだろ?・・・話のタネぐらいに

飲んでみよう。」

 それを聞いて京は冷蔵庫からアタラクシアのラベルが貼られた瓶ビールと

コーラ瓶を取り出すとビール瓶の方を怜悧に渡して栓抜きで栓を開けるとお互いにこう言った。

 「作戦の成功を祈って」

 「乾杯」

 そう言うと瓶を当てた瞬間にカチンと音をたてた。

 「ふむ・・・意外にいけるな。」

 「そうなんだ。」

 そう言ってあっという間に怜悧は1本目を飲み干すと冷蔵庫から生ハムと2本目を取り出した。

 すると京は怜悧に向けてこう聞いた。

 「れーり。あの電波って・・・何だと思う?」

 そう聞くと怜悧はこう答えた。

 「十中八九ただの偶然だな。例えば老朽化した通信施設の誤作動とかが関の山」

 「本当にそう思う?」

 京の言葉を聞いて怜悧はこう聞いた。

 「・・・何かあったのか?」

 そう聞くと京はこう答えた。

 「あの電波からデータを受信したの」

 「何・・・?」

 「受信したのは何かの理論と図面のような画像ファイル」

 「詳しい内容は?」

 怜悧は顔を厳しくしてそう聞くと京は首を横に振ってこう答えた。

 「それは未だ解析中よ。例の魔導兵器と戦艦の情報と同時進行で

調べているから。」

 そう言うと怜悧はこうも聞いた。

 「それじゃあ魔導兵器の方はどうだ?」

 そう聞くと京はこう答えた。

 「先ずは魔導兵器だけれどあれは・・・完全な無人機だったわ。」

 「無人機・・・それが本当ならばとんでもない科学力と言う事に」

 「それも違うわ。」

 怜悧の言葉を聞いて京はそう言って否定するとこう続けた。

 「あれの動力と使われている技術がちぐはぐなの。あれを動かすとなると

それなりの動力機関が複数あると思っていたけどあれはそれすらないのに

何故か動いていたわ。戦艦も同様にね。」

 そう言うと京はコーラを飲んでこう締めくくった。

 「知れば知る程謎が深まるわ。本当なら動いている奴を

鹵獲するべきだと思うけどそうするとどの位の被害が出るか分かったもの

じゃないわ。」

 そう言った後に聞いた怜悧はこう言った。

 「それならば尚の事調べなければならないな。あの情報が異世界軍が

送ったという事も視野に入れて」

 「那由多博士の可能性は?」

 京はそう言うが怜悧はこう答えた。

 「・・・多分あるはずだろうがあの人がそんなもの送るくらいならば

もっと効率の良い兵器をここで作っているはずだ。」

 何せと言って怜悧は・・・言葉を途切れさすと京はこう聞いた。

 「どうしたのれーり。」

 そう聞くと怜悧はこう思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 優しかった母。

 

 

 

 

 

 

 科学者としての彼女

 

 

 

 

 

 

 そして・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方は今でも・・・苦しんでいるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜な夜なに写真を見て声なく泣いている・・・・母の背中を。




 次回はグアム上陸!


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基地の様子

 千鳥ヶ淵・ユリシアサイド。


 ユリシアと千鳥ヶ淵はグアム島北部にある米軍基地の前に立っていた。

 街灯は0。

 唯一の光は月明かりと星の光だけ。

 普通ならば昼夜問わず光が灯されている司令部や事務方のビル、

戦闘機やレギオンの格納庫からも光を感じなかった。

 ユリシアは開けっ放しにされている門から堂々と入りながらこう言った。

 「人の気配がないとまるで別の場所って感じね。」

 そう言うと千鳥ヶ淵はこう聞いた

 「前来た時と何か変わりがある?」

 千鳥ヶ淵はそう聞きながらマシンガンとハンドガンを持ちながら構えていた。

 千鳥ヶ淵の攻撃は主に格闘戦であるため牽制用に本来ならばもっと重火力の武器を保持しているのだが今回は隠密潜入である為全てサイレンサーが装備されている。

 「うーん、2,3日いただけだし正直な所あんまり

よく覚えてないんだけどさあ・・・でも、変ね?」

 「変って何が?」

 ユリシアの呟きを聞いて千鳥ヶ淵がそう聞くとユリシアは周りを見てこう言った。

 「戦闘の形跡が・・・一つもないのよねえ。」

 そう言って周りを見渡すと確かにと思っていた。

 ここに異世界軍が来ていたのであれば何かしらの戦闘があって

何処か崩落していても可笑しくないのにもかかわらず無傷と言う点が

気になっているようだ。

 すると千鳥ヶ淵はこう返した。

 「逃げ出したのか・・・それとも抵抗することなく投降したのかしら?」

 そう言うとユリシアは少し納得していないようであるがそうねとこう答えた。

 千鳥ヶ淵はそのまま顔の周りに幾つものウインドウを表示させて

各種センサーで周囲を探った。

 「特に引っかかるものは無いわね。まさに誰もいない無人のビルって所ね。」

 「・・・ここにいた人たちがどうなったのかを知る手掛かりがあれば

いいんだけれど。」

 そう言いながらユリシアは周りを警戒しながらビルに入ると千鳥ヶ淵は

こう言った。

 「そう言えば異世界軍の支配下になった場所で潜入するって・・・あたしたちが初めてじゃない?」

 「・・・そう言えばそうね、少なくとも何らかの情報を持ち帰ったって・・・

日本以外にないでしょ?」

 ユリシアは千鳥ヶ淵の言葉を聞いてそう答えた。

 確かに異世界軍の兵器や技術をよく知っていて且つ対応できていると言えば『ゼーガペイン』を開発した日本にいる異世界抵抗軍とアタラクシアだけである。

 ユリシアと千鳥ヶ淵は大きな鉄塔があるビルの手前で止めるとこう言った。

 「確かここが通信施設があったはずよ。先ずはここの確認よ」

 開けっ放しにされている玄関からビルに入ってみると真っ暗な廊下が

続いていた。

 ユリシアは腰に搭載されているハートハイブリットギアのエネルギーを

弾丸に変えることが出来る武器『粒子銃(パーティカルガン)』を構え、

千鳥ヶ淵は銃を構えるとユリシアはこう言った。

 「私が先行して様子を見るから愛音は後方をお願い。」

 「了解」

 そう言いながら2人はゆっくりと・・・ハートハイブリットギアから

照らし出されている淡い光を頼りに細心の注意を払って進んでいった。

 そんな中で千鳥ヶ淵はユリシアに向けてこう聞いた。

 「ねえ、随分と・・・綺麗って言うか・・・さっぱりしてるわね?

 そう聞くとユリシアはこう答えた。

 「って言うか・・・何もないわね。」

 そう言った。

 トラップはおろか設備や機器類がほとんど残っていないのだ。

 本棚を見ると本が1冊も存在せず、机の中ですら何もなかったのだ。

 そして・・・パソコンなどの電子機器類も見つからなかった。

 軍隊と言えども役所と同じで本来なら本や書類が大量にありパソコンも

あったはずだ。

 すると千鳥ヶ淵はこう聞いた。

 「ねえ、ユリシア。米軍って言うのは貧乏なの?家具も質屋に

売り払ったとか?」

 そう聞くもユリシアはこう答えた。

 「そんなんだったらギガフロートなんて作れないわよ。」

 馬鹿にしてんのと言いながら奥へ奥へと進んでいって・・・廊下の先に

薄っすらとだが灯が見えた。

 「あr」

 千鳥ヶ淵が言いかける前にユリシアは千鳥ヶ淵の口を手で塞いで

目で訴えていた。

 ・・・喋るなと。

 そして2人は足音を出来るだけ忍ばせながら灯が強くなっていく場所に

向かった。

 そして廊下の先には・・・扉が開かれていた。 

 ユリシアと千鳥ヶ淵はお互いに鼓動を速くしながら・・・進んでいった。

 そして先ずはユリシアが扉に手をかけて・・・勢いよく開けてみると

そこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「クリアー、何もいないわ。」

 誰もいなかった。

 あるのは・・・電源が入ったままの通信機が低いノイズをたてていた。

 するとユリシアはそれを手に取って何か操作している中で千鳥ヶ淵は

通信機の放つモニターの光を見てこう言った。

 「これだけがずっと電源が入っていたのかしら?」

 そう言うとユリシアはこう答えた。

 「それか誰かが最近までいたとかってのも考えれれるわね。」

 「合流まではまだそんなに時間がないわけじゃないから私はここで調べるから

愛音は他の部屋を調べといて。」

 「分かった。」

 ユリシアの言葉を聞いて千鳥ヶ淵は部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景を・・・廊下の向こうで誰かが見ていたとも知らずに。




 次回は傷無とクラウ・姫川サイドです。


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一方、傷無達は?

 傷無達サイドの捜索です。


一方の傷無とクラウ、姫川達はグアムの町中にある観光客向けの目抜き通りと言う所にいるのだが・・・いや、所であった場所であった。

 何せそこは・・・瓦礫の山と化していたからだ。

 「酷い・・・」

 「傷無・・・多分」

 「ああ、クラウ。こいつはもう・・・。」

 ここは昨日に映像で調べた際には高級ブランド品を扱う店舗が

数多くあったのだが・・・全てが壊されていた。

 未だ立っているビルも傾いていたり焼き焦げた跡が残っていた。

 比較的損傷が少ないビルの方を見てみるとどれも壊されており商品は

全くと言っていい程残っていなかった。

 「・・・クラウ、そっちの方はどうだ?」

 そう聞くとクラウはこう答えた。

 「こっちも同じ。本とかブランド品とか服とかも兎に角全部無い。」

 それを聞いてやっぱりと思っていると姫川は2人に向けてこう言った。

 「それではこのまま捜索してみましょう。何か、異世界軍に関する情報があるかもしれませんし。」

 そう言って姫川は先日進んでいくのを見て傷無はこう呟いた。

 「リーダーって俺だろ?」

 そう言いながら周りを見ていた。

 舗装は魔導兵器が進軍した影響で砕かれており陥没していた。

 そしてさらに進んでいくと折れて倒壊したビルが行く手を塞いでいた。

 傷無達はビルの残骸を迂回して道路の先を見るとそこにいたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 「・・・野良犬か。」

 そう言いながら恐らくは飼い犬だったのが野犬化したのであろう、

首輪が付いていた。

 傷無達を見て野良犬は何かを察したのか近づくと傷無を見て・・・

その手に目掛けて頭を擦り始めたのだ。

 まるで・・・撫でて欲しいと言わんばかりに。

 く~~~ん。

 犬がそう鳴くので傷無はよしよしと言いながら顔の下にある首元を撫でていた。

 「可哀そうに・・・。」

 姫川はそれを見てそう言った。

 もしかしたらまだ帰ってこない飼い主を思ってい待っているかもしれないと

思ってしまうからだ。

 そして傷無はじゃあなと言ってその野良犬を別れると・・・

犬が付いてきたのだ。

 「お、おい。」

 傷無は犬に向かって離れるように言うが犬はついて行きたいと言わんばかりに

傷無の周りをグルグルと周り乍ら付いてきたのだ。

 そしてクラウはそれを見て犬に向けてこう聞いた。

 「ねえ、一緒に来たいの?」

 そう聞くと犬はく~~~んと鳴くとクラウは撫でながらこう言った。

 「じゃあちょっとだけだよって・・・くすぐったいよ~~。」

 犬はクラウの顔をペロペロと舐め始めたのだ。

 それを見て傷無はホッとしたような表情をしてその・・・白い犬と一緒に

向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 「ここにいた住人や旅行者は何処へ行ってしまったんでしょう?」

 姫川はそう言いながら辺りを見回していると傷無はこう答えた。

 「俺らの時は下水道や地下トンネルとか地下鉄を使って取敢えず安全な所を

目指していたな。」

 そう言いながらしばらく進んでいると・・・ビルが崩壊したのであろう。

 コンクリートの鉄骨や壁が巨木のように屹立していた。  

 3人はそうして潜り抜けるとその先に会ったのは・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見渡す限りの瓦礫の中でビクトリア調の椅子に優雅に腰を掛けて紅茶を

飲んでいる・・・アルディアの姿があった。

 「「!!!」」

 傷無とクラウはそれを見て目を見開き、犬の方は唸り声を上げて構えていた。

 然し彼女を知らない姫川は彼女を見て出てきてこう言った。

 「生き残りですか!?」

 そして姫川は笑顔でこう言った。

 「もう大丈夫ですから、安心してください。我々はギガフロート日本から

来ました。」

 「おま!こんな状況で!?」

 傷無は姫川の行動を見て呆れながら慌てていた。

 何せ異世界軍がいた場所で幾ら姿がないからってこんな戦場のど真ん中で

アフタヌーンティーを飲んでいる奴が生き残りなわけないだろうが思っていても

可笑しくは無かろう。

 それをみてアルディアは傷無とクラウを見て・・・艶やかな声でこう言った。

 「あら・・・・あらあらあらあららあ。」

 そしてアルディアはこう呟いた。

 「ネロスはともかくとして・・・またあなたと会えるなんてこれは最早偶然じゃ済まないようですね。」

 それを聞くと姫川はこう聞いた。

 「もしかして、米軍のハートハイブリットギアチームの方ですか?

でしたら何かの作戦でこちらに??」

 「お前未だそれを!?」

 傷無はそれを聞いて呆れを通り越してもう何言って良いのか

分からなくなりそうだと頭をガシガシと掻いていると・・・アルディアは

こう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ゼエル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと体から・・・緑色の粒子が溢れ上がってそれが・・・

装甲となって体を覆った。

 「ハートハイブリットギア」

 姫川はそれを見てそう呟くと姫川は『ブレイド』を構えてこう言った。

 「貴方は何処の国ですか?何処のハートハイブリットギアですか!!」

 そう聞くとアルディアはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『バトランティス帝国』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『バトランティス帝国』!そんなの聞いたことが」

 「いや、真実だ。姫川」

 「飛騨君!?」

 傷無の言葉を聞いて姫川は何を言っているんだと思うと傷無は・・・重い口調でこう答えた。

 「こいつらは・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「エントランスの向こう側からやってきた異世界人だ」




 次回は・・・戦闘かな?


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アルディア戦、開始!

 最初の異世界軍の人間との戦闘です。


「飛騨君・・・それって一体・・・どういう意味で」

 「どうもこうもない。こいつはエントランスの向こうにある世界から

来てるんだ。」

 傷無は姫川の言葉を聞いてそう言うとアルディアはこう答えた。

 「まあ良いわ。『レガリア』は奪えなくとも・・・『ネロス』を奪えば

良いんだし。」

 アルディアはそう言って逆5角形を細長くしたような楯状の姫川の『ブレイド』と同じような無線兵器を6つ展開すると一つを槍状に変形させて持つと

アルディアは姫川に向けてこう言った。

 「それじゃあ・・・行くわよ。」

 「姫川逃げろ!!」

 傷無はその攻撃態勢を見て姫川を背負いながら林立する鉄骨目掛けながら

傷無はクラウに向けてこう言った。

 「クラウ!お前は例の合流ポイントまで行け!」

 「分かった!!」

 クラウは傷無の言葉を聞いてそう言うとクラウはビルの間に入っていった。

 そして傷無と姫川は傾きかけたビルの後ろまで下がると姫川は傷無に向けて大声でこう言った。

 「貴方!どうしてそんな重要な事を黙って」

 「文句言いたきゃあ姉ちゃんにでも言ってろ!!」

 傷無は姫川に向けてそう言うと傷無は姫川に向けてこう説明した。

 「気を付けろ。」

 「はい?」

 「あいつに障害物なんてあってないような物だ。」

 「それってどういう」

 意味だと姫川が言う前にビルの壁が・・・ぐにゃりと歪んだ。

 「!!」

 姫川はそれを見て目を見開くと渦巻くようにビルの壁から穴が出来上がって

そこから・・・アルディアが優雅に歩いてきた。

 すると傷無はいつの間にかハートハイブリットギアを展開すると傷無は

こう言った。

 「それとあいつに絶対領域は通じない。さっきと同じ要領でな。」

 「つまり・・・防御は愚策と言う訳ですね。」

 だったらと姫川はそう言って無線型の『ブレイド』が唸りを上げて滑るように

飛び出してアルディアを貫かんとする勢いで攻撃するも・・・

アルディアの楯と激突して弾かれた。

 然も、只弾かれただけではなくゴムのようにぐにゃりと曲がって明後日の方向に向けて飛んでいった。

 「え!?」

 姫川はそれを見て驚いて『ブレイド』の方に視線を向けてしまったため・・・。

 「馬鹿!前を見ろ!!」

 傷無がアルディアに集中するようにそう言うが一歩及ばずに・・・槍が姫川の

腹部に当てた。

 その時に腹部が引っ張られるように曲がりそのまま・・・水平に飛ばされた。

 「ぐ・・・ハアアアアアアアアア!!!」

 姫川はそのまま奇妙な回転をしながら吹っ飛んでいった。

 「姫川!」

 傷無はそう言って1瞬の間だが姫川に注意がいってしまい・・・

アルディアの行動を見ていなかった。

 その間にアルディアは槍を地面に突き立ててそのまま足元に線を引いた。

 「しま!!」

 傷無はヤバいと思って前を見ると・・・それは異様な光景であった。

 アルディアの足元の瓦礫が・・・波打って徐々にだが高さを増し始めた。

 「マズイ!」

 傷無はそれを見て姫川を急いで回収すると・・・そのまま瓦礫の津波目掛けて突っ込み始めた。

 「行けえええええええええ!!」

 傷無はそのまま瓦礫の波に入って・・・その間を縦横無尽に駆け上がった。

 途中で物が落ちてくるがそう言うのは足場にしつつそのまま上について・・・

アルディアと遭遇してしまった。

 「くそが!?」

 「はああ!」

 アルディアは傷無目掛けて槍を振るい傷無も姫川の刀を持とうとして・・・

2人の間に金色の光が通過した。

 それを見ると傷無は・・・こう叫んだ。

 「ユリシア!千鳥ヶ淵!!クラウ!!!」

 そう言うと『ゼーガペイン』の肩に乗りながら砲撃したユリシアと

『ゼーガペイン』のアタッカーに乗っている千鳥ヶ淵とオペレーターに乗っているクラウを見た。

 「集合時間にもう遅れてるけど・・・彼女がそれね。」

 ユリシアはそう言って照準を合わせた。

 如何やらクラウから聞いたのであろう。

 だが半信半疑であったようだ。

 「それで、あいつを捕えれば良いのよね。」

 千鳥ヶ淵はそう言ってアルディアを見ているとアルディア千鳥ヶ淵を見て

こう呟いた。

 「白い魔導装甲・・・・赤い瞳、銀色の髪。」

 アルディアは千鳥ヶ淵を見て何やら観察するかのように見ていると・・・

こう聞いた。

 「貴方出身地は?」

 「日本の東京ヨ。」

 今でも戦闘しているねとそう言うとアルディアは少し考えて・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『女神は踊る。虚無と、死と、皇帝と、そして永久に』

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「?」」」」」

 アルディアが呟く詩のようなナニカを聞いて全員が何だと思っていると

こう言った。

 「今日はここでお暇しましょっか。」

 「・・・どういう意味だそれは」

 傷無はアルディアの言葉を聞いて何故だと聞くとアルディアはこう答えた。

 「だって、雑魚ばっかじゃ貴方本気出せないんでしょ。」

 だからと言ってアルディアは指パッチンすると・・・エントランスの向こうから何かが出てきた。

 直径10メートルはあろう巨大な光の球体が渦を巻きながらゆっくりと

傷無達目掛けて近づいて行くが傷無は中にある僅かなシルエットを見て・・・

目を見開いてこう言った。

 「ヤバい!あいつを出す気か!!」

 傷無はそう言ってクラウに向かってこう言った。

 「クラウ!光楯を最大出力で展開!!皆『ゼーガペイン』に

入れーーーーー!!」

 その声を聴いて全員機体に入ると・・・球体が破裂して巨大な衝撃波が

襲い掛かった。

 『『『『『ウワアアアアアア!!!』』』』』

 全員それをによる衝撃で驚き、今度は数瞬して光の欠片が周りに降り注いで

目抜き通りは焔に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「大丈夫か!?」

 「ええ・・・。」

 「何なのよ、今のは・・・。」

 「こっちも・・・。」

 傷無の言葉を聞いてユリシア、千鳥ヶ淵、クラウがそう答えると・・・

『ゼーガペイン』の警報音と同時に警告が流れた。

 

 

 

 

 

 

 『敵機確認!目標は《ギドラ》型と推定‼!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 その警告文を見て傷無はこう言った。

 「《ギドラ》型って・・・マジかよ!!」

 そう言って目の前にいるのは・・・・三つ首の龍であった。

 




 次回は《ギドラ》型戦です。


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対《ギドラ》型戦開始

 《ギドラ》型とは日本で情報が出た時に仮称と付けられた名前。


 「さあて・・・暴れちゃってねえ。」

 アルディアはそう言ってそこから立ち去るのを見ると傷無はこう言った。

 「ああクソが!その前にこの《ギドラ》型を何とか」

 そう言いながら《ギドラ》型と呼ばれるこの三つ首型の魔導兵器を見ると・・・

姫川はこう呟いた。

 「あいつは・・・」

 そう言うと姫川は機体のコックピットを開くと・・・姫川は叫びながら

突っ込んでいった。

 「ウワアアアアアア!!」

 その姿を見てアルディアは・・・阿保を見るかのような目でこう言った。

 「あの子何する気なの?死ぬ気かしら??」

 ま、関係ないけどねとそう言いながら近くのビルの屋上に降りると

あるナニカを見つけて・・・こう呟いた。

 「へえ・・・まだいたんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 姫川は無線型の『ブレイド』を引き連れて《ギドラ》型の魔導兵器目掛けて

斬り裂こうとするも・・・全然意味がなかった。

 「嘘でしょ!」

 「ハユルの『ブレイド』が・・・何で!?」

 それを見てユリシアと千鳥ヶ淵がお互いに大声でそう言った。

 これまで行く数十もの魔導兵器を紙のように斬り裂いた『ブレイド』が

何にも効果がない事に驚いているが傷無はこう言った。

 「馬鹿!あいつの装甲の硬さは『ドラグリエ』以上で然も再生能力付きだから

そう簡単に壊せるわけないだろう!!」

 傷無の説明を聞いて全員が目を見開いた。

 何せ攻撃が効かないで自己再生までできると言うならばそれでこそ・・・

一撃決殺級の一撃でなければ不可能じゃないじゃないかと思っているとユリシアがこう呟いた。

 「つまり・・・傷無の『レガリア』で然効果がないって事よね?」

 そう言って傷無の方を見ると傷無は何も言わずに頷いた。

 如何やら『レガリア』ならばと言う事であり姫川を下げらせようとユリシアが

通信しようとするも・・・応答しなかった。

 その間にも姫川は《ギドラ》型の下に滑り込んで腹部に剣を突き刺すも・・・

装甲が厚いためか全く意味がなかった。

 「ハアアアアアアアアア!!」

 それでも姫川は何度も攻撃するが全く意味がなく・・・《ギドラ》型の口部からビーム状の焔が姫川に向けて襲い掛かった。

 「キャアアアアアアアア!!」

 絶対領域を展開したとしても意味がなく、その衝撃波で姫川はビルの壁に

叩きつけられそのままビルは崩れ落ちた。

 「「ハユル!!」」

 ユリシアと千鳥ヶ淵が心配するような声でそう言うが・・・姫川は

何も考えていないのか無策で突撃して《ギドラ》型を攻撃した。

 今度は4基全ての『ブレイド』を使って真ん中の首を動けなくさせるように

抑え込んだ。

 「たあああああああああ!!」

 姫川はそう言いながら剣を振るうが・・・効かなかった。

 「この!この!!この!!!このおおおおおおおおおお!!!!」

 剣を振るうのに必死になっていた姫川は《ギドラ》型の残りの首が姫川に照準を合わせていた。

 「ちょっとユリシア!早く援護しなさいよ!!」

 千鳥ヶ淵はユリシアに向けてそう言うもユリシアはこう反論した。

 「無理言わないでよ!あの子の攻撃が無茶苦茶だから援護射撃なんてしても

ハユルに当たってしまうわよ!!」

 そう言いながらユリシアは照準を合わせているが確かにここぞという

タイミングで姫川の『ブレイド』が間に入るために攻撃のチャンスが

生かせないのだ。

 その間にも残りの首が姫川に照準を合わせると・・・焔を吐き出して

姫川を吹き飛ばした。

 「がは・・・・・!!」

 姫川はそのまま吹き飛んで・・・気絶してしまった。

 「う・・・。」

 姫川のハートハイブリットギアの装甲が消えると《ギドラ》型は

とどめを刺そうとして攻撃しようとすると・・・突如に首の1本から

爆発が起きた。

 「何が起こったの!?」

 千鳥ヶ淵はそれを見て驚くとユリシアは爆発が起きた方角から直線距離で

見ると・・・何かを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 「人影?」

 

 

 

 

 

 

 

 そう、ビルの屋上から誰かが攻撃してきたのだ。

 すると傷無はユリシアに向けてこう言った。

 「ユリシアは姫川を回収!千鳥ヶ淵は援護!!俺とクラウがあいつの注意を

引き付ける!!!」

 散開と傷無の指示と共に全員が行動に移した。

 「ハユル!」

 「ちょっと、死んでないでしょうね?」

 千鳥ヶ淵が姫川の容体を見てそう聞くも姫川からは・・・。

 「う・・・・ん。」

 「未だ息はあるわ。」

 ユリシアの言葉を聞いてほっとする千鳥ヶ淵はそのまま姫川をおぶる中で傷無はこう指示を出した。

 「各員はアタラクシアに戻れ!俺達が時間を稼ぐ!!」

 そう言って通信を切ろうとすると・・・何かが当たった。

 何だと思って見てみようとすると・・・機体からメッセージが届いた。

 「メッセージ?」

 クラウは何だと思って見てみると・・・傷無にも見せると傷無はこう言った。

 「各員はアタラクシアじゃなくてユリシア達が最初に向かった基地に向かえ!

そこで合流する!!」

 そう言って傷無は通信を切ると『ゼーガペイン』で攻撃しながら離れていった。

 そして・・・それを見ていた人影はそのままローブを使って

隣のビルに向けて飛び移るとそこから離れていった。

 そしてそれを見ていたアルディアはこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やっぱここって・・・面白いわね。」

 そう言って笑っていた。




 次回は・・・人影の正体。


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隠された戦士たち

 本編で何も書かれていなかったので取敢えずこう言う感じかなあと思って
書きました。


 あれから傷無達はそれぞれ別ルートから合流して北部にある空軍基地に着いた。

 「傷無、大丈夫かしら~~?」

 ユリシアが傷無に向けてそう聞くと傷無達は手を振って答えた。

 そして『ゼーガペイン』を着陸させると千鳥ヶ淵はこう聞いた。

 「ねえさ、こんな所に来てどうするの?何にもなかったわよ?」

 そう言うと傷無は周りの様子を見てこう言った。

 「奇妙だと思わないか?」 

 「何が?」

 傷無の言葉を聞いて千鳥ヶ淵がそう聞くと傷無はこう答えた。

 「戦闘がなかったにせよだ、俺達が見回った時にもだったけど戦闘の跡どころか『レギオン』のパーツが一欠けらもなかったんだ。」

 「それがどうしたのよ?」 

 「確かに気になるわね~~。」

 ユリシアは傷無の言葉を聞いて確かにと思っていた。

 何もなかったにせよ、レギオンが戦闘を起こした時に出来る弾丸の山や残骸などが一つも見当たらなかったのだ。

 それが無いと言うのは・・・可笑しい事なのだ。

 何せ『レギオン』は全世界に配備されている最もメジャーな兵器であるにも

関わらずにだ。

 「それじゃあ・・・一体皆何処に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここにいるぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「!!!!」」」」

 傷無達はその声を聴いて目を見開いて戦闘態勢に移行すると

目の前にいたのは・・・。

 「まあ待てよ、アタシは味方だ。」

 金髪の髪をホーステールにした女性であった。

 「君は?」

 傷無は何時でも攻撃できるような態勢のまま聞くと彼女はこう答えた。

 「おいおいおい、構えるなって・・・まあ無理かもしれねえけど

あの『三つ首』をそこのジャパニーズガールから救ってやっただろ?」

 「『三つ首』って・・・『ギドラ型』の事!?」

 「へえ、あれってそう言う呼称何だな。教えてくれてサンキューな。」

 「あ!」

 千鳥ヶ淵は迂闊な事を言ってしまった事に慌てているが傷無はこう聞いた。

 「君があのメッセージを送ったのか?」

 傷無はそう言って『ゼーガペイン』の肩にある・・・小さな何かが

取り付いていた。

 すると女性はこう名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「初めましてだな。アタシは『レイン・ミューゼル』。

ここ『グアム異世界解放軍』のメンバーだ。」

 宜しくなとウインクしてそう言った。

 

 

 

 「解放軍・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷無達は『レイン・ミューゼル』に着いて行って着いたのは・・・。

 「ここって整備室か?」

 傷無はそう言って周りを見ていた。

 周りにあるのは整備に使われる工具であったり武器であったりと様々であった。

 そんな中で『レイン・ミューゼル』は工具箱からリモコンを取り出すと

それを幾つか押すと・・・ガチャッと言う音と共に階段が姿を現した。

 「こいつは隠し階段か!」

 「そうだぜ、こいつを使って兵士を、レギオンは格納庫から下に下げて、

民間人はこっちで作ったシェルターにある非常口を使って『ウマタック』って言う

南西にある村の地下で暮らしているぜ。」

 そう言うと『レイン・ミューゼル』はその階段に入って来いよと言って

案内した。

 暫くは電気が無くて懐中電灯を頼りに進んでいた。

 そして暫くすると・・・ある扉が目に入った。

 『レイン・ミューゼル』はその扉を開けると開けた先に広がっていたのは・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「ウワアアアアアア・・・・・」」」」

 

 

 

 

 

 

 多数のレギオンや武器、そして兵士が交代で寝ていた。

 すると『レイン・ミューゼル』は全員に向かってこう言った。

 「皆起きてくれ!大事な話がある!!」

 全員はその声を聴いて起きて聞いてみた。

 「ここにいるにのは日本のギガフロートの連中だ!ついさっきまで上で

戦っていたハートハイブリットギアメンバーだ!」

 それを聞くと全員は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『『おオオォォォォおおおお!!!!!!』』』』』

 

 

 

 

 

 

 全員勢いづいた。

 何せグアムにはハートハイブリットギアチームがいなかったからだ。

 そして『レイン・ミューゼル』は傷無とクラウも紹介した。

 「そしてこの2人は『レギオン』よりも高性能な兵器を扱っている精鋭だ・・・所でお前ら誰だっけ?」

 『レイン・ミューゼル』は傷無とクラウに向けてそう聞くと

傷無とクラウはこう答えた。

 「日本、異世界抵抗軍!『飛騨 傷無』!」

 「同じく、異世界抵抗軍『クラウシェル・アスフォード』!」

 2人はそう言って敬礼すると兵士の一人が・・・こう呟いた。

 「日本って・・・まさか今でも戦っているって噂の!?」

 そう聞くと傷無達はこくりと頷くと・・・更にヒートアップした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『『ィよっしゃアアアアアアア!!!!!!』』』』』

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員が勢いづくとこう続けた。

 「ついにこの時が来たんだ!!」

 「日本の抵抗軍が来てくれたんなら怖いものなしだぜ!!」

 全員がそう意気込んでいた。

 これまで小規模な戦闘とはいえ倒せなかった異世界軍を倒せれるのだと思うと

勢いが止まらないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「結構皆さん元気でしたね。」

 「まあね小規模でも異世界軍の連中を倒せなかったからな。」

 猶更だねとそう言うと傷無はこう続けた。

 「解放軍・・・そんなのがあったのか?」

 「多分ここだけじゃなくて世界中にいると思うよ。主に置いて行かれた連中が

中心となってね。」

 そう言うと傷無は確かにとそう思っていた。

 日本と同じように戦っているのだ。

 例え『ゼーガペイン』が無いと言っても。

 力なく倒れ、朽ちても・・・守りたい物の為に戦っているのだ。

 そんな中で傷無は『レイン・ミューゼル』に向けてこう聞いた。

 「なあ、『レイン・ミューゼル』。一つ良いか?」

 「?」

 「俺達はある電波を追ってここに来たんだが・・・何か覚えはないか?」

 そう言うと『レイン・ミューゼル』は暫くして・・・こう答えた。

 「そういやあ、少し前にハートハイブリットギアと一緒にいた女を見たな。」

 「それって何時ですか!?」 

 クラウがそう聞くと『レイン・ミューゼル』はこう答えた。

 「確か・・・昨日ぐらいかな?」

 「傷無。」 

 「ああ。」

 傷無とクラウは恐らくと思っていると『レイン・ミューゼル』は携帯電話を

取り出すと操作しながらこう言った。

 「あの時俺見張りしていてな。その時に撮ったんだ。」

 ほれと言って写真を見せると・・・傷無の目が見開いた。

 「・・・嘘だろ?」

 「傷無?」

 クラウはどうしたんだろうと思って見てみると映っていたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 白衣のような上着を羽織り、黒髪の長髪をした・・・怜悧によく似た女性。

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・母さん。」

 『飛騨 那由多』その人であった。




 次回は・・・何故母がいたんだ?


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グアム解放軍の現状

 現在のグアムの戦力分析です。


 「母さん・・・何で・・・!!」

 「この人が傷無のお母さん。」

 傷無はレイン・ミューゼルの携帯に映っていた那由多を見て驚く中で傷無は

もう一人の・・・恐らくハートハイブリットギア使いであろう人間を見ると

こう言った。

 「こいつは何処の所属だ?」

 「他国・・・かな?」

 傷無の言葉を聞いてクラウもそう答えた。

 紺色の髪で長身の女性。

 だが何処となくおどおどしているような感じがしたこの女性を見た。

 何故だが・・・嫌な予感がするからだ。

 「取敢えずこの事は姉ちゃんに報告することとして今後についてだが

あの《ギドラ》型を倒さない限り『ゼーガペイン』だって只じゃ済まなそうだし。」

 「となると・・・後は一つだね。」

 傷無とクラウはお互いに今後について話が決まると傷無は

レイン・ミューゼルに向けてこう聞いた。

 「取敢えず今後の確認も兼ねて司令官と話したいんだけど?」

 いるかと聞くとレイン・ミューゼルは・・・少し顔を俯かせてこう答えた。

 「・・・司令官は死んだよ。」

 「え?」

 「第2次異世界大戦の時に全員を逃がすために自分の側近と一緒に囮になって」

 「悪い。」

 それを聞いて傷無はそう答えるがレイン・ミューゼルはこう続けた。

 「なあに、何時か人間死ぬんだぜ?だったらよ、軍人として最後に後ろにいる

民間人を守って天国にイケれるならこれ以上の幸せなんて贅沢だろ?」

 「・・・司令官は私の叔母だったんだ。」

 「だからこそ・・・残されたアタシらがその意志を受け継いで戦ってやるさ」

 「例え道端でくたばろうと・・・それで守れる命があるんならよ。」

 そう言ってにこやかに笑っていると傷無はこう聞いた。

 「それでもう一つだけど、ここには日本人は何人いるんだ?」

 一応参考までにと聞くとレイン・ミューゼルはこう答えた。

 「ええと確か・・・373人いるって所だな。丁度ツアーとか観光に来ていたり

仕事の都合で来ている連中だったからな。」

 「今はどうしているんだ?」

 「さっき言った村で暮らしているぜ、あそこ迄はあいつらも来ていないしな。」

 「他の国は?」

 「後はアジア系に中東、アフリカ系って所だな。」

 ユーラシア関係の人間たちもそこだぜと言うと傷無は少し考えてこう答えた。

 「詰る所ここには1000人以上の人間がいるんだな?」

 「正確に言えば4280人て処だな。・・・本当なら1万人くらいいたんだけど

病気や自殺とかでな。」

 嫌になるぜとそう言うと傷無はこう言った。

 「それじゃあ今の戦力はどの位だ?」

 「戦力ねえ・・・戦闘機が50機とレギオンが120機。後は歩兵が10個大隊程。

後は戦車とか装甲車とかが80台ほどだけどそう言うのは殆どが避難民に移動用に使っちまったからなあ。」

 大体そんなところだなとそう言うと・・・ユリシアから通信が来た。

 「どうした?」

 傷無がそう聞くとユリシアは慌ててこう言った。

 《大変なのよ!ハユルが起きたと思ったらいきなり出撃しようとして‼!》

 「はあ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どいてください!私はあの魔導兵器を!」

 「無茶言わないでよ!アンタのその体で立ち向かえるとでも思ってんの!?」

 「それにハイブリットカウント見たの?貴方あと5%しかないのにそんな調子で向かって行っても返り討ちに会って今度こそ死ぬわよ!!」

 「その前に決着を付けます!!」

 「だーかーらー!!」

 ユリシアが何か言いかけていると・・・傷無が現れるとこう言った。

 「一体何してるんだお前は!」

 「飛騨君・・・」

 ハユルは傷無を見ているとハユルは傷無に向けてこう言った。

 「飛騨君!貴方からも何か言ってください!!今すぐにでもあの《ギドラ》型を倒すために」

 「それで・・・作戦はあるのかよ?」

 「・・・へ?」

 ハユルは傷無の言葉を聞いて言葉を閉ざすが暫くしてこう答えた。

 「あの《ギドラ》型を倒します!」

 「それじゃあ作戦なんて言えねえよ。それにアルディアが出てきたら

どうするんだ?」

 「その時は先に彼女を倒します!!」

 「自身は良い事だと言いたいところだがお前のは只の暴走と妄想だ。

作戦なんて無しで突っ込むなって・・・死にに行けって言いたいのかお前は!!」

 「ひっ!」

 ハユルは傷無の大声を聞いて少しだが怯むと傷無はハユルに向けてこう聞いた。

 「なあさ、お前《ギドラ》型を見てから様子が可笑しいが・・・もしかして

あの時に《ギドラ》型と戦ったのか?」

 異世界大戦の時にと聞くとハユルはこくりと頷いてぽつりぽつりと話し始めた。 

 第2次異世界大戦の際にアマテラスのメンバーの内、自分一人で

日本全体をカバーしなければならないこと。

 然し数が多く圧倒的な敵を前に自分がやってきた事は焼け石に水で結局のところ逃げなければならないこと。

 そして・・・。

 「あの時に港の防衛で私がいたのに・・・私は一人も守れなかった!!」

 「それとは反対に貴方は多くの戦果を挙げて異名を与えられ、それでも尚

戦い続けて・・・守り切っていた!!」

 「姫川」

 「貴方には・・・『レガリア』と言う特殊な力があるのかもしれませんが・・・私には何もない!!」

 「あるのは只の力で守れていなかった!!」

 「なあよ、姫川。お前の気持ちは」

 「気持ち!貴方に私の気持ちなって分からないわよ!!」

 ハユルは傷無に向けて・・・ある事を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何も守れなかった虚脱感を味わった事のない貴方には分からないんです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!!!」

 「ハユル!貴方」

 ユリシアはハユルの言葉を聞いて落ち着かせようとして・・・・。

 

 

 

 

 

 

 パンと大きい音が鳴った。

 

 

 

 

 「・・・・へ?」

 ハユルは自身の頬を摩った。

 それには痛みがあるからだ・・・・。

 そしてそれをしたのは・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「貴方に・・・傷無の何が分かるって言うんですか!!」

 半泣き状態でハユルを引っ叩いたクラウがそこにいた。




 この世の中に・・・挫折した人間何て一人もいない。


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叱責の意味

 何故叱られるのかその意味を知れ。


「クラウ・・・?」

 「嘘・・・」

 ユリシアと千鳥ヶ淵はクラウの行動を見て驚いた。

 訓練においてクラウは何時も参加者たちを労うだけではなく優しく介抱してくれる優しい存在であったのだがそんな人間がまさか引っ叩くとは

思いもよらなかったのだがクラウは姫川に向けてこう続けた。

 「貴方に傷無がどれだけ悔しくて・・・辛い思いをずっとしていたに

何で気が付いてあげれないんですか!!」

 「失った事、傷無はこれまでもたくさんの人達を救うために歯を食い縛って戦ってそれでも守れなかった人たちがいた!」

 「それでも傷無は今を生きる人たちを守るために傷だらけになってでも

戦って・・・傷ついて・・・這いつくばってました。」

 「虚脱感、そんなもの私達は・・・東京にいる人たちは

それを吐いて捨てる程味わいましたよ!!」

 「私だって力があればどれだけ救えたのかって思った事など何百回も

ありましたよ!けど・・・それでも私達は生きて戦うしかなかったんです!!」

 「東京だけじゃない!他の国でも多くの人達が今でも戦っています!」

 「今を生きる人たちの為に・・・死んで逝った人たちが安らかに眠れるように・・後に続く未来を創る子供たちに・・・希望を与えるために!!」

 「これまで傷無はそうやって傷ついて戦っていました!!その思いを・・・

分かったかのように言わないで下さい!!」

 「・・・・・」

 それを聞いて姫川は顔を俯かせると傷無は姫川に向けてこう言った。

 「姫川、お前の魔導兵器に対する戦闘の一切合切の権限を剥奪する。」

 「!!」

 「それと、お前のハイブリットカウントが5%であるため戦闘参加は無しだ。」

 「それでは誰が戦うんですか!?ハートハイブリットギアチームは殆ど全員が

戦えないんですよ!!」

 姫川はそう反論した。

 事実、「アマテラス」のメンバー全員の内ユリシアは19%、千鳥ヶ淵は10%、

姫川は5%。

 唯一戦えるのは傷無だけとなるのだが傷無はこう答えた。

 「俺が『ゼーガペイン』で戦う。ここのレギオン隊の小隊分借りても良いか?」

 傷無はレイン・ミューゼルに向けてそう聞くとレイン・ミューゼルは

こう答えた。

 「小隊どころか全部使ってやってくれ!あれと戦ったことのあるお前の指揮なら他の奴よりか生存率はありそうだからな。」

 そう言うと傷無は全員に向けてこう言った。

 「皆聞いてくれ!俺はあいつを倒さなければならない!!

ハートハイブリットギアチームが使えない以上、俺達が戦う羽目になるが頼む・・皆の命を暫くの間俺に貸してくれないか!?」

 頼むといって頭を下げるとクラウもこう言った。

 「私からもお願いします!!」

 そう言って頭を下げると・・・暫くして全員こう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「当たり前だろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺達は経験者であるお前と一緒に戦えるんだ!怖いものなんてないさ!!」

 「それに何時までも子供にばっか戦わせちゃア大人の威厳も無くなるってな!」

 「ちげえねえ!!」

 ハハハと笑っていると隊長格らしい髭を生やした男性が前に出てこう言った。

 「それじゃあ隊長・・・作戦は如何ほどに?」

 そう言うと傷無はこう言った。

 「それじゃあ作戦会議と行くが内容は・・・。」

 そしてその作戦会議は明け方まで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日。

 

 

 

 

 

 

 その日は快晴であった。

 そんな中で地下基地では既に『ゼーガペイン』を中心に攻撃態勢を整えていた。

 全機の戦闘配備が終えると傷無は通信でこう言った。

 『全員、準備は良いな?』

 

 

 

 『俺達がこれから戦う場所は死地だ、隣の奴が死ぬことなんて

覚悟していると思うがもう一度言う。』

 『例え何があっても敵から目を背けるな!味方が死んでも前だけを見ろ!!

例えそれが友人であってもだ!!!』

 良いなと言うと全員がこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『おオオォォォォおおおお!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと傷無はこう言った。

 「全機・・・出撃!!」

 そう言って戦士たちは・・・戦場に旅立った。




戦士たちよ・・・戦いの時だ。


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人類を舐めるな!

 《ギドラ》型戦開始!!


「全機攻撃開始!!」

 傷無の言葉と共に各地で配置されたレギオン隊が一斉に《ギドラ》型に向けて

集中砲火した。

 そのうちの何発かは『ゼーガペイン』における攻撃なのだが当たった部分が・・・再生し始めたのだ。

 すると《ギドラ》型は各建造物の陰に隠れているレギオン隊を見つけて

口を大きく開けて反撃しようとすると・・・今度は首らへんから爆発が起きた。

 それは、歩兵隊が建造物の内部に入って攻撃してきたのだ。

 然も、ユリシアの攻撃付きでだ。

 だがそれでも《ギドラ》型には通用しないのだが傷無はこう続けた。

 「撃て撃て撃て撃ち続けろ!集中砲火して最低限奴の火球を出させるな!!」

 そう言うと周りで一斉に攻撃してきた。

 すると《ギドラ》型の体上部に位置する人型の部分に搭載されている槍が

起動して・・・建造物の陰にいるレギオンや内部にいる歩兵隊を攻撃した。

 『グアアア‼!』

 「ドわあああ!!」

 『ケルベロス4大破!パンサー小隊通信不能!!』

 「クソが!胴体にいる人型は俺がやる!!他は奴を集中砲火して

攻撃させるな!」

 『ラジャー‼!』

 そう言うと《ギドラ》型に搭載されている人型二向けて『ゼーガペイン』が

攻撃してくるがそれを・・・翼が前に出て攻撃を防御すると『ゼーガペイン』が

それを・・・斬り裂いた。

 「手前の弱点はこいつだろ!?」

 傷無はそう言いながら光銃を格納して光剣を出して翼を斬り裂いた。

 ギャオォォォォォォォォ!!

 《ギドラ》型は断末魔のような悲鳴を上げて攻撃しようとすると

それをレギオン隊が食い止め始めた。

 そしてレギオンが放った弾丸がチャージ中で口を半開きしていたところに

入ると・・・内部から破壊された。

 すると傷無はレギオン隊全員に向けてこう言った。

 「口を狙え!奴の弱点だ!!」

 『全機!ファイヤー!!』

 その声と同時にレギオン隊と歩兵隊が一斉に口に目掛けて攻撃した。

 すると流石にヤバいと感じたのかどうかわからないが《ギドラ》型は

口を閉ざして再生し始めている翼を無理やり動かして離陸しようとしていると『ゼーガペイン』が光剣を振りかざして敵機の両腕を斬り裂いた。

 そして胴体に貫き通して頭部を破壊し、胴体を腕で上からぶち抜いて・・・こう言った。

 「クタバレーーーーー!!」

 傷無はそう言いながら『ゼーガペイン』の光銃を起動させて・・・内部から

攻撃した。

 ガガガガガガと銃声が響き渡って《ギドラ》型の人型が膨れ上がったかと思えばそれが全身に迄膨れ上がりそして・・・破裂しようとすると傷無は全員に向けて

こう言った。

 『総員退避ーーーーー!!』

 その声と共にレギオン隊は建物の中にいる歩兵隊を回収しながら退避して

暫くすると・・・大爆発が町中を駆け巡った。

 『『『『『ウワアアアアアア!!!!!』』』』』

 全員はそれに驚いて爆発を耐えた。

 そして爆風が巻き起こって周りがきのこ雲で覆われた。

 暫くすると・・・通信が来た。

 してきたのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 『こちら、《ゼーガペイン》。残存機全機聞こえるか?』

 その音声が続いていると・・・司令部から通信が来た。

 「こちら司令部!・・・《ギドラ》型の・・・反応なしを確認!!」

 その声を聴いて・・・全員が・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『『『『『いヤッターーーーー!!』』』』』

 そう言って歓声を上げた。

 これまで厄介であった魔導兵器を倒したという思いが強くあったのだが・・・

ある人間の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「へえ・・・あれ倒しちゃったんだ~~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「!!アルディアか!?」

 傷無はその声を聴いて上空を見上げると・・・既にアルディアがそこにいた。

 するとアルディアはこう言った。

 「まあ良いわ。《レガリア》諸共魔導装甲を回収してこいつら・・・

皆殺しにしちゃおうかしらってもう着いたのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「グラベル♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 傷無とクラウはそれを聞いてアルディアが見ている方向に目を向けると

そこで目に映ったのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「嘘だろ・・・」

 「なんつう・・・数だよ。」

 そう言ってアメリカ軍が見たのは・・・夥しい程の・・・異世界軍の

艦隊であった。

 そしてその艦隊の最前列にある船に・・・もう一人のハートハイブリットギアがそこにいた。

 軍用機を彷彿させるグレーの装甲を身に纏い、腰回りには大型の砲塔、

背面部には長距離砲を装備したアルディアとそれほど年が変わらない

褐色の金髪の女性がそこにいた。

 すると女性がアルディアに近づくとグラベルと呼ばれた女性がこう言った。

 「アルディア、本当なんだろうな。あいつがいると言うのは?」

 「ええ、そこにいるわよ。」

 アルディアはそう言って『ゼーガペイン』の方向に向けて槍を向けると

グラベルと呼ばれた女性は・・・ニヤリと笑ってこう言った。

 「成程な。確かにそれならば・・・これだけの戦力を揃えなければならないな」

 そう言うと艦隊に向けてこう指示を出した。

 「全艦攻撃開始、飛翔している兵器は鹵獲、中にいる人間は無傷で

手に入れたい。」

 それ以外は?とアルディアが意地の悪い顔でそう聞くとグラベルはこう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「殺せ、魔導装甲持ちは手足を引き千切ってでも連れてこい。」

 そう言った瞬間に・・・艦隊の砲門がせりあがって砲撃しようとした瞬間に・・艦隊の内2隻が轟沈した。

 

 

 

 

 

 「「!!」」

 アルディアとグラベルと呼ばれた女性たちは何があったんだと思って射線軸状の方向を見て・・・こう言った。

 「あれね」

 「厄介なものを・・・!」

 そう言って目に映ったのは・・・・『ゼーガペイン』で使われる

エネルギーの光が灯されている・・・電子砲がそこにあった。

 「グッドタイミングだぜ・・・姉ちゃん!!」

 傷無はそれを見てそう言った。




 さあ・・・人類の底力を見よ!!


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勝利の美酒

 その酒の味は・・・如何ほどか?


「敵艦1隻轟沈!」

 オペレーションルームにてオペレーターの言葉を聞くと周りが湧きだつが

怜悧はこう言った。

 「はしゃぐな!まだ1隻程度!!更に追撃せよ!!」

 『『『『『了解!』』』』』

 オペレーターの全員がそう言って再攻撃の為にミサイルなどを使って

時間稼ぎしているがそんな中において怜悧は椅子を深く座るとこう呟いた。

 「何とか間に合ったな。」

 怜悧は京に向けてそう言うと京はこう答えた。

 『確かに、《ゼーガペイン》の技術データから抽出して作った

この光子砲がなければ正直な所無理だったがそれにしても試射も無しにと言うのはちょっとな。』

 「そう言うな、傷無達が通信途絶して半日。異世界軍の艦隊を見た時には

これしかないと思ったんだ。」

 怜悧はそう言って映像を見た。

 先のギガフロート日本を襲った艦隊の倍以上は下らない程の戦力。

 先ほどの攻撃とはいえ焼け石に水だ。

 「あと少しあれのロールアウトが早ければ」

 怜悧はそう言いながら《ゼーガペイン》が扱っている格納庫とは別の倉庫にある

機体の映像を見た。

 蒼い機体カラーをした《ゼーガペイン》に酷似した機体がそこにあった。

 するとオペレーターの一人からある報告が来た。

 「指令!ギガフロート日本近くの海中から音震有り!」

 「何!?《ヴァイキング》か!?」

 怜悧はそう聞くがオペレーターの一人が音紋を合わせてみるとこう答えた。

 「いえ・・・この反応は!?」

 そう言って映像に切り替えると怜悧は・・・こう呟いた。

 「こいつは・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「全機攻撃開始!歩兵部隊は下がれ!!ユリシアは援護!千鳥ヶ淵は避難の

手伝い!!」

 傷無は矢継ぎ早に指示を出して攻撃した。

 前の2倍強はいるであろう艦隊と魔導兵器相手だがそれでもやるしかないなと

思い先陣を切った。

 すると海中から・・・何か巨大なナニカが出てくるのが見えた。

 「《ヴァイキング》?・・・いや、それよりも大きい。」

 傷無はそう言いながら海中から現れる物体を見てこう言った。

 「潜水艦!なんつうでかさなんだ・・・。」

 「傷無、あの形状何処かで見たことが・・・?」

 クラウはそう言って・・・ある事を思い出した。

 「もしかしてこの間の授業に出てたギガフロートウエスト・USA!?」

 「あれがか!戦艦が余裕で入るぞ。」

 傷無はそう言いながら潜水艦を見ていると・・・上面と側面の装甲が開いて

そこから・・・大量のミサイル発射口と巨大な大砲、速射砲、レールガン、

粒子砲が所狭しと出てくるとユリシアはそれを見てこう言った。

 『傷無!攻撃が来るから射線軸から下がって‼!』

 「傷無!」

 「退避する!」

 傷無はユリシアとクラウの言葉を聞いて即座に下に降りた。

 すると・・・それらが一斉に異世界軍の艦隊に襲い掛かった。

 シールドを張るもののその火力を前に攻撃できずにいた。

 すると潜水艦から・・・7本の光が飛び立つのが見えたので傷無は拡大して

見てみるとその光の正体は・・・・。

 

 

 

 

 

 

 「ハートハイブリットギアチームか。」

 そう、アメリカのハートハイブリットギアチームであった。

 そのまま彼女たちは異世界軍の艦隊に突撃すると傷無はこう提案した。

 「こちら『ゼーガペイン』!俺達は彼女たちの援護に回る!」

 『分かったわ!貴方達の力を見せつけなさい!!』

 「行くぞクラウ!」

 「うん!」

 そう言って傷無達も戦線に加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 「あれは?」

 アメリカのハートハイブリットギアチームの一人である紅い髪の少女が

『ゼーガペイン』を見て新手かと思っているとそれが魔導兵器を倒すのを見た。

 「え、何!?誤射!?」

 「いいえ違うわ!あれは間違いなく異世界軍の兵器に向けて攻撃したわ!」

 仲間の一人の言葉を聞いてそう答えると『ゼーガペイン』は瞬く間に敵機を

撃墜していった。

 それを見て少女はこう言った。

 「あれが何なのか分からないけど・・・行くわよ皆!」

 「「「「「「ラジャー!」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中でグラベルは戦局を見てこう呟いた。

 「魔導装甲が7つに例の機動兵器、それに敵の要塞級が2か。・・・」

 そう考えているとアルディアがこう聞いた。

 「まさか・・・退くの?」

 そう聞くとグラベルはこう答えた。

 「そうだな、ここで戦っても消耗戦だしそれに・・・あいつがあれになったら

面倒なことになりかねないしな。」

 「それもそうね。」

 そう言うと暫くして・・・艦隊が退いて行くのが見えた。

 「退いて行く。」

 クラウの言葉を聞くと傷無はこう指示を出した。

 「グアム解放軍攻撃停止しろ。これ以上はもうない。」

 そう言うとグアム解放軍のオペレーターの一人が・・・こう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「私達・・・勝ったの?」

 そう呟くと暫くして・・・こう言った。

 「俺達勝ったんだ!」

 「異世界軍に勝ったんだ!!」

 「ヤッターーーーー!!俺達の勝利だ!!」

 それを皮切りに各々が歓声を上げた。

 すると前線にいる部隊が『ゼーガペイン』を見てこう言った。

 「ありがとーーーーー!!」

 「よくやったーーーーー!!」

 「流石だぜーーーーー!!」

 そういう中でクラウはこう呟いた。

 「私達・・・勝ったんだね。」

 「ああ・・・けど」

 傷無はそう言うと周りを見た。

 あの戦闘の後にも10機近いレギオン隊や8小隊の連絡が途絶していたのだ。

 そして傷無は機体のシートに体を預けてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「俺達はまた・・・犠牲の上で生き残ってしまった。」

 「そう・・・だな。」

 傷無の言葉を聞いてクラウもそう答えた。

 死した者達がこの声を聴いて・・・安らかに逝ける様にと願って。




 次回で多分・・・第2巻が終わります。


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死した英雄たちに・・・安らぎを

 やっと第2巻が終わった。


 異世界軍の艦隊がグアムにあるエントランスから撤退するのを見届けた傷無達は

戦死した兵士の遺骨、又はドッグタグを回収しながらウマタックにいる避難した

観光客たちを各ギガフロートに載せていた。

 日本側からは日本人と半数の観光客。

 もう半数とグアム解放軍の重傷者をアメリカ側に載せる中で傷無は

レイン・ミューゼルを見つけたのでこう言った。

 「『レイン・ミューゼル』!」

 「おお、傷無じゃねえか!よく生きてたなお前らはよ!!」

 そう言いながら握手を交わした2人はこう続けた。

 「これからお前どうするんだ?」

 アメリカのギガフロートに行くのかよとそう聞くとレイン・ミューゼルは

こう答えた。

 「さっき軍部から聞いたんだけどな、今日本の技術者と共同でエントランスの封印実験を行っているらしいんだ。」

 「封印って・・・マジかよ!?」

 傷無はそれを聞いて驚いた。

 何せエントランスを封印することが出来れば異世界軍が来ると言う心配が

なくなるからだ。

 然しそんなの聞いた言葉ないなと思ってそう聞くとレイン・ミューゼルは

こう答えた。

 「ウエスト・USAの話によりゃあ謎の電波が届いたらしいんだがその解析に

時間が掛るってもんだから周囲のギガフロートに協力を求めようとして発信し直したらしいぜ。」

 「また傍迷惑な・・・。」

 傷無はそれを聞いて呆れてしまったがレイン・ミューゼルはこう答えた。

 「ま、上手く言ったらここをアメリカの中継基地兼エントランスの監視所として

機能させるようだし『ゼーガペイン』だっけ?あれの製造にここの整備基地を

使うってらしいぜ。」

 先ずは復旧工事が先だけどなと言うとこう続けた。

 「それとどうもその電波はここから発進されたらしいがそれが・・・

お前の母ちゃんが来た日と合致したらしいぜ。」

 「つまり母さんが?・・・何が目的だ」

 傷無はそれを聞いて考えているとレイン・ミューゼルは懐からある物を

出してこう言った。

 出した物は・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「それって」

 「・・・お酒を入れる容器入れ?」

 「一緒に飲もうぜ。」

 酒を入れるボトルであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「戦勝祝いだ。功労者でもあるお前らが飲まなかったら皆飲めねえだろ?」

 「確かにな。」

 「今日は・・・特別だもんね。」

 レイン・ミューゼルの言葉を聞いて傷無とクラウもそう答えて

レイン・ミューゼルが持ってきたグラスを手に酒を入れていた。

 そして注ぎ終わると傷無はグラスを高々に掲げてこう言った。

 「今日の勝利と・・・今日までに死んで逝った英霊たちに・・・安らぎを」

 「「安らぎを」」

 そう言って3人は酒を勢いよく飲んで・・・傷無とクラウは咽こんだ。

 「「ゲホゲホ!!」」

 「ハハハ!まだまだお子様だなあ!!」

 レイン・ミューゼルはそう言いながらお酒の入ったボトルを・・・地面に向けて注ぎ落しながらこう言った。

 「叔母さん・・・勝ったよあたし達。」

 「・・・見て欲しかったなあ。」

 レイン・ミューゼルはそう言いながらボトルの中にあるお酒を出し終えると

レイン・ミューゼルは傷無とクラウに向けてこう言った。

 「ありがとうな、お前ら。お前らが来なかったらこんないい日が

来なかったって事は確実だしそれに・・・叔母さん達の仇も取れてアタシは・・・アタシは・・・・」

 そう言いながらレイン・ミューゼルの目から・・・涙がこぼれ落ち始めた。

 「あれ?・・・可笑しいな・・・嬉しいのに・・・涙が止まんねえぜ。」

 くそ・・・クソと泣きながら目を擦るが・・・クラウは

レイン・ミューゼルの手を握ってこう言った。

 「今日ぐらいは・・・泣いても良いんじゃないですか?」

 「へ・・・?」

 「私達は生きています。生きているから笑って、怒って、こうしてうれし泣きが出来るんですよ。」

 「だからもう・・・泣いても良いんじゃないんですか?」

 そう言うとレイン・ミューゼルはこう返した。

 「け・・・年下の癖に・・・いっちょ前の事言いやがって」

 そう言うとレイン・ミューゼルはこう返した。

 「それじゃああたしはちょっと離れるけど・・・ついてくるなよ。」

 「ああ、分かってる。」

 「それじゃあ」

 そう言って傷無とクラウが離れていくのを見届けたレイン・ミューゼルは

空を仰いだ。

 青い空。

 白い雲。

 これまで見ることすらしなかったその景色を見て・・・そして・・・叔母の事を思い出して・・・。

 「・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!」

 泣き叫んだ。

 これまで溜めていた分の思いを。

 叔母の戦死の時でさえも泣かなかった分まで力強く。

 今を生きているという事を感じながら・・・。

 心の丈を込めて・・・泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「行こう。」

 「うん。」

 傷無とクラウは建物の陰からそれを見て・・・立ち去って行った。

 今だけは・・・そっとしておこうと思い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エントランスの近くで発電機の設備のような大きな機械が設置され、その周りをケーブルと様々な計測器やコンピューターが繋がっていた。

 現在封印実験の最中なのだ。

 それを見届けている傷無とクラウの・・・上空から声が聞こえた。

 「ねえ、ちょっと良いかしら?」

 「「??」」

 それを聞いて後ろを振り向くとそこにいたのは・・・。

 「貴方達があの機動兵器のパイロットさん達?」

 ユリシアほどではないがスタイルが良くて、明るく、活発そうな紅い髪の毛を

ポニーテールにした傷無達よりも1,2歳若い少女が降りたつと親指立てて

自己紹介した。

 「私は『マスターズ』のリーダー、『スカーレット・フェアチャイルド』!あの機動兵器ってアタラシアの?」

 スカーレット・フェアチャイルドがそう聞くと傷無はこう答えた。

 「いや、あれは異世界抵抗軍が組み立てた機体だ。」

 「俺は『飛騨 傷無』。異世界抵抗軍所属で『ゼーガペイン』のガンナー。」

 「私は『クラウシェル・アスフォード』。同じく異世界抵抗軍所属で

『ゼーガペイン』のオペレーターよ。」

 そう言ってお互い敬礼するとスカーレット・フェアチャイルドは驚きながら

こう言った。

 「異世界抵抗軍って・・・あの人類最後の防衛戦場『日本』の!!私貴方達の事尊敬しているのよ!!握手してくれる!?」

 「え?・・・良いけど?」

 「どうして?」

 傷無とクラウはそう聞くとスカーレット・フェアチャイルドはこう答えた。

 「何言っているのよ!人類の殆どが祖国を放棄して尚も防衛に成功して今でも戦っている正に英雄!!人類の希望を知らないのが不思議なのよ!!!」

 それを聞いて傷無とクラウはたじたじなのだが

スカーレット・フェアチャイルドは更にこう続けた。

 「そう言えばハートハイブリットギアチームが見当たらないんだけど

まさか・・・全滅したの?」

 スカーレット・フェアチャイルドはそう聞くが傷無はこう答えた。

 「いや、全員生きているよ。だけどハイブリットカウントが下らへんだから

俺らが出張って」

 

 

 

 

 

 

 

 「傷無ーーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 傷無が言いかける中でユリシアが上空から現れた。

 そして傷無はスカーレット・フェアチャイルドに自己紹介させようとすると

ユリシアはこう呟いた。

 「もしかして・・・スカーレット・フェアチャイルド!?」

 そう言うとユリシアはこう続けた。

 「やっぱり『スカーレット・フェアチャイルド』じゃないの!貴方もやっと

『マスターズ』の正式隊員になれたのね~~!」

 ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドに向けてそう言うが

当の本人はというと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 「ユリ・・・シア?」

 顔を青くしてまるで幽霊を見ているかのような表情であった。

 「何よお、私を見忘れちゃったのお?」

 ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドに向けてそう聞くが

スカーレット・フェアチャイルドはこう続けた。

 「嘘・・・そんな、事って」

 「え?・・・ちょっと・・・何?」

 ユリシアはスカーレット・フェアチャイルドの表情を見て動揺するが

スカーレット・フェアチャイルド震えながら・・・こう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ユリシア・・・貴方・・・・何で・・・未だ、生きているのよ?」




 本作は暫くお休みします。


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