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#1 夢の世界

彼女の能力を説明します!

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↑イメージ画

高度育成高等学校学生データベース
氏名 城崎結唯 シロザキユイ
クラス 1年D組
部活 無所属
誕生日 7月20日

評価
学力 A
知性 B+
身体能力 A
判断力 A
協調性 A

面接官からのコメント
学力、身体能力だけ見れば本当に優秀。
面接の時も堂々と言葉を発していた。クラスのリーダーに匹敵する。だが、過去にも色々と問題があるためDクラス所属とする。

担任からのコメント
クラスをまとめるリーダー役にぴったり。
クラスから男女問わず人気がある。この調子で頑張ってもらいたい。

身長 151cm
体重 33kg
スリーサイズ B65(B)/W52/H69

体はほんとうに小さい。誰でも軽々と持ち上げられるレベル

※目はオッドアイで、観察力、洞察力が優れている。
しかも、それを生かす頭脳を持っているため、心理戦では負けない



ということで始めまーす!

#1 夢のような世界

 

1、日本社会の仕組み

 

綾小路清隆

 

突然だが、ちょっと俺のだす問題を真剣に聞いて、答えを考えて見てほしい。

 

問い 人は平等であるか否か

 

今現実社会は平等、平等と訴えて止まない。

男女の間は常に平等であるべきだと叫ばれ、その差をなくそうと躍起になっている。

女性の雇用率をあげよう、専用車両を作ろう、時には名簿の順番にまでケチをつける。

障害者ですらも差別するべきではないとして『障がい者』と言葉を改めるように世論は働きかけ、今の子供たちは人は皆平等だと教え込まれる。

それは本当に正しい事なんだろうか?と、そんなふうにオレは疑問を抱いた。

男と女な能力も違えば役割も違う。障がい者はどれだけ丁重に表現しようとも障害者であることに変わりはないのだ。そこから目を背けてもなんの意味もない。

 

つまり、答えは否。、人は不平等なもの、存在であり、平等な人間など存在しない。

かつて、過去の偉人が、天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず、という言葉を世に生み出した。でも。これはみんな平等なんだよと、訴えていた訳じゃない。

そう、この有名すぎる一説には続きがあることを皆は知っているだろうか。

その続きはこうだ。生まれた時は皆平等だけれど、仕事や身分の違いが出るのはどうしてだろうか、と問うている。そして、その続きにはこうも書かれてある。

差が生まれるのは、学問に励んだのか、励まなかったのか。

そこに違いが生じてくる、と綴ってある。それが有名すぎる『学問のすゝめ』だ。

そして、その教えは少なくとも2015年年を迎えた現代においても何一つ事実として変わっていない。もっとも、事態はより複雑かつ深刻化しているが。

兎にも角にも·····俺たち人間は考えることの出来る生き物だ。

平等じゃないからと言って本能のままに生きていくことが正しいことだとは思わない。

つまり、平等という言葉は嘘偽りだらけだが、不平等もまた受け入れがたい事実であるということ。オレは今、人類にとって永遠の課題に新たな答えを見出そうとしていた。

 

2、ようこそ、夢のような学校生活へ

 

城崎結唯

 

バスの中で、私は静かに本を読んでいた。

今日は、私が今から通う高校の入学式だった。今、バスの中には、私と同じ制服を着ている人が多い。これから同級生になる。

さて、今のバスの中の状況はこうである。

バスはもうほとんど、いや、ないと言っていいほど席が埋まっている。そこに、見るからにお婆さんがバスへ乗車してきた。

危ないっ、と思って私は席を譲ろうと立つ。

 

「あの!」

 

「ちょっと」

 

私と、大人の人の声が同時に響く。

だけど、大人の人の声の方が強く、みんな私を見てくれない。

 

「席を譲ろうと思わないの?」

 

OL?の方は目の前にいる私と同じ制服を身にまとった男子高校生に言っていた。

なんか、優先席だ、なんだ、とか言っていた。

優先席だからといって席を譲らなくてはいけない。という決まりはもちろん無い。

 

「あの!」

 

まだ話してる途中だけど話しかける

え?という顔をしたOLさんがこっちを向いた

 

「ここでよかったら、座ってください!」

 

笑顔でそういうと、

 

「ほんとうですか!?ありがとうございます!」

 

OLさんと、お婆さんにありがとうと言われた。

 

「いえいえっ!私、近いので、全然大丈夫ですよ」

 

「ありがとうねぇ」

 

そういって、バスは私の目的地まで着いた。

 

「お婆さん、ではm(*_ _)m」

 

「ありがとうございます!」

 

OLさんは、笑顔でそう言って送ってくれ、お婆さんは、手を振ってくれた。

 

「あのー」

 

後ろから声がして振り返ると

可愛い女の子がいた

 

「はい?」

 

「お婆さんに席を譲ってくれたの、あなたですよね?」

 

「はい、そうですが」

 

「やっぱり!友達になってくれませんか!?」

 

「もちろんです!」

 

「ありがとう!私は櫛田桔梗といいます!」

 

「よろしくね!私は城崎結唯!結唯って呼んで!桔梗ちゃん」

 

「よろしくね、結唯ちゃん

一緒に教室まで行かない?」

 

「もちろん!」

 

クラス表を見に行くと、私は1年Dクラス、桔梗ちゃんもDクラスのようだった。

行く途中に、視線がいっぱい集まってたけど多分あれは、桔梗だ。桔梗ちゃん、めっちゃ可愛いからなぁ…。

 

城崎結唯ちゃんもすっごくかわいいです!By作者

 

Dクラスの教室に着くと、ガラガラとドアを開けた

 

私の席は、窓側の後ろから2番目の席かー

うしろのひともう来てるなぁ。はや

私は席につくと、後ろの人に挨拶をしようと思って後ろをむく。

 

「おはよう!私は城崎結唯っていいます!これから、前の席なのでよろしくね!」

 

そういうと、後ろの席の人は挨拶をしてくれた

 

「あぁ。こちらこそ、よろしく。

俺は、綾小路清隆です。」

 

「えっとー、隣の子は?」

 

「さぁ、名前もわからない」

 

隣の人はこれはまた美人な女の子だった

 

「名前教えてください!」

 

「あなた…」

 

名前を教えて欲しくてそう叫ぶと、呟き?が返ってきた

 

「え?」

 

「さっきのバスでお婆さんに席を譲った人だな」

 

綾小路くんがなぜ!?

私は心の中でそう突っ込む。

 

「俺ら。同じバス乗ってたんだ」

 

心を読んだかのようにそういって驚いていると、

 

「別に心を読んだつもりは無い」

 

「な、なんでさっきから分かるの!?」

 

「顔に出てるからじゃない?」

 

そう言ってきたのはこれはまたポニーテールの美女である

 

「え?」

 

「あ、ごめんね

私は軽井沢恵だよー!城崎さん、面白そうでつい‪w

てか、今の話だいたいこのクラスのみんな聞いてると思うけど、大丈夫?」

 

「ふぇっ!?」

 

全員が、聞いている?だと!?

私の印象がバカになったらどうしよう。

 

「いやいやー、それはバカじゃなくて天然だと思うけどなぁ」

 

「えぇっ!?」

 

そういうと、軽井沢さんは大きな声で笑いだした

 

「ごめんごめん‪w。城崎さん、面白すぎ‪w」

 

「そ、そうかな?面白くしてるつもりは無いんだけどな…」

 

「まぁ、まぁ、私のことは恵って呼んで!」

 

「ありがとう!私のことは結唯でいいよ」

 

「うん!これからよろしく!結唯!」

 

「こちらこそ、恵ちゃん!」

 

また、新たな友達ができた。

そんな時に、ガラガラとドアが空く。

入ってきたのは恐らく、いや、確実に先生だ。

 

「えー、新入生諸君。私はDクラスを担当とすることになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。よろしく。今から1時間後に入学式が体育館で行われるが、その前にこの学校の特殊なルールについて書かれた資料を配らせてもらう。以前入学案内と一緒に配布はしてあるがな。」

 

そういって先生は資料を配り始めた。

前の人から受け取り、それを後ろへ回す。

この資料は見覚えのある資料だった。

この学校の特徴は大きく2つ。

1つ目は学校に通う生徒全員に敷地内にある寮での学校生活を義務付けると共に、在学中は特例を除き、外部との連絡を一切禁じていることである。

 

2つ目は、Sシステムの導入である。

 

「今から配る学生カード。それを使い、敷地内にある全ての施設を利用したり、売店などで商品を購入することが出来るようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただし、ポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものは無い。学校の敷地内にあるものなら、なんでも購入可能だ」

 

ということはこの学生カードがお金になるということ。

使い方を間違えると、ダメなことになるということだ。

 

「施設では機械にこの学生証を通すか、提示することで使用可能だ。使い方はシンプルだから迷うことは無いだろう。それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが既に支給されているはずだ。なお、1ポイントにつき1円の価値がある。それ意地脳の説明は不要だろう」

 

みなさん、お気づきですか?

今先生は"今月分"の10万ポイントが振り込まれたと言った。

毎月10万円はないだろうなー…。

でも、クラスのみんなは驚いている。

 

「ポイントの支給額が多いことに驚いたか?この学校は実力で生徒を測る。入学を果たしたお前たちには、それだけの価値と可能性がある。そのことに対する評価みたいなものだ。遠慮することなく使え。ただし、このポイントは卒業後には全て学校側が回収することになっている。現金化したりなんてことは出来ないから、ポイントを貯めても得はないぞ。振り込まれた後、ポイントをどう使おうがお前たちの自由だ。好きに使ってくれ。仮にポイントを使う必要が無いと思ったものは誰かに譲渡しても構わない。だが、無理やりカツアゲするような真似だけはするなよ?学校はいじめ問題にだけは敏感だからな。」

 

茶柱先生はそこまでいうと一旦話をきる。

 

「質問はないようだな。では良い学生生活をおくってくれたまえ」

 

茶柱先生は教室から出ていった。

その後、Dクラスはざわめいていた。

すると、恵ちゃんと、その後ろに2人の子が私の前に来てくれた

 

「結唯、この後ショッピングモール行こうよー」

 

「恵ちゃん!と、?」

 

「あ、ごめんね!私は佐藤麻耶!」

 

「松下千秋だよ!」

 

「城崎結唯です!」

 

よろしくって言ってくれたからよろしく、と返す。

あ、そういえば…

 

「みんな!!」

 

そういって私はみんなを引き止める。

 

「入学式までまだ時間あるし、みんなで自己紹介しよ!」

 

「いいんじゃない?」

 

「さんせー!」

 

恵ちゃんに続き、麻耶ちゃんと、千秋ちゃんが賛成してくれた。

 

「じゃあ、私から!

城崎結唯っていいます!みんなと仲良くなりたいです!

気安くファーストネームで呼んでください!

暇な日も多いと思うからどんどん遊びに誘ってくださいね!

ぜひ、連絡先も交換しましょ!これから、3年間よろしく!(*^^*)」

 

そういうと、みんなが拍手をしてくれた。ほんとに優しい!

 

「じゃあ、次は僕だね」

 

そういって立ち上がったのはこれはまた顔が整っていらっしゃるイケメンさん。

 

「僕の名前は平田洋介。中学では普通に名前で呼ばれることが多かったから気軽に名前で呼んで欲しい。趣味はスポーツ全般だけど、特にサッカーが好きで、この学校でもサッカーをするつもりなんだ。よろしく。」

 

「私も、洋介くんって呼んでいい!?」

 

「城崎さん、もちろんだよ」

 

「洋介くんも、結唯でいいよ!」

 

「ありがとう。じゃあ、そう呼ばせてもらうよ」

 

私たちがそんな会話をしてると、私も私もという声が聞こえてくる。元気で優しくてほんといいな

 

その後、恵ちゃん、麻耶ちゃん、千秋ちゃん、その他にも自己紹介をした。

そして、次は

 

「次は私だねっ」

 

そういったのは桔梗ちゃん。

 

「私は櫛田桔梗といいます。中学からの友達は1人もこの学校に入学してないのでぼっちです。だから、早く顔と名前を覚えて友達になりたいと思ってます!私は学校中みんなと仲良くなることが目標です!よろしくお願いします!」

 

桔梗ちゃん、やっぱりかわいいなぁ。しかも、あの胸だし。

私なんか、全然ないし…。

 

桔梗ちゃんの後も色々な人が自己紹介をして、入学式へ向かった。

そして、入学式が終わって恵ちゃん達との遊びに少しだけ顔を出す。

 

「恵ちゃん、ごめんね、私この後用事あるんだ。

またメールするね!その時まだ遊んでたらまた来てもいい!?」

 

「わかった!もちろんいいよー!

また後でね!」

 

みんなにバイバイして、私はショッピングモールから出た。

そして、私が向かった先は職員室。

 

「失礼します。1年Dクラスの城崎結唯です。

茶柱先生に用があってきました。」

 

「私にか?」

 

「はい。」

 

そういって、茶柱先生を呼び出す。

 

「何だ?」

 

「はい。まずはSシステムのことです。

先生は今月分の10万ポイントが振り込まれた。

と言いましたよね?」

 

「そうだな。確かにそう言った」

 

「ということは来月はそうならない。ということですか?」

 

茶柱先生はピクっと眉毛を上にあげる。一瞬だったけど私の目はその一瞬も見逃さない。

 

 

「ほう?さっきまでのお前とは随分差があるんだな?」

 

「いえ?これはクラスのためにやっています。しかも、友達と接する時と先生と接している時、態度が違うのは当たり前ですよ。

それに、茶柱先生、動揺してますね」

 

私がそういうと険しい顔になった。

 

「私からはさっきの質問には答えられないな。」

 

「そうですか。なら次ですね。

先生はこのポイントではなんでも買えると言いましたね?それは間違いないですか?」

 

「それは断言しよう。間違いないぞ」

 

なるほど。

 

「では、これで最後です。

本当に、進学率、就職率100%ですか?

どのクラスにいても限りなく100%といえますか?」

 

また茶柱の眉毛が一瞬だけ動く。

分かりやすいんですね。茶柱先生。今日はこれだけ収穫したのでいいとしましょうか。

 

「私からは言えないな」

 

「そうですか。ありがとうございます。では」

 

そう言って職員室を後にする。

今から向かうべき場所はもう決まっていた。

 

「失礼します。1年Dクラスの城崎結唯です。」

 

そういって向かった場所は

 

 

生徒会室だ。

 

「入れ」

 

さっき、入学式で見た時思ったけど、めちゃくちゃ顔整ってるんだよ。この人。ホントすごいなぁ。

 

「城崎結唯。なんの用だ?」

 

「そんな、警戒しないでください。堀北先輩」

 

「すまない。ちょっと席を外してくれないか」

 

書記の人へそう告げる。

わかりました、と生徒会室を出ていった。

 

「じゃあ、改めて何の用だ?」

 

「学くん、その言い方は酷い。」

 

「別にいいじゃん。」

 

私と、この生徒会長堀北学は中学が同じで生徒会にも入っていたため、仲がいい。

 

※堀北学と、堀北鈴音は違う中学校に通っていた事とします!すみません。

 

そう言うと、キリッとした目で見られる。

ほんと、こういう目こわいっ!!

 

「それで、お前は何でここに?」

 

言い方ひど!学くんは唯一、この学校で私の過去を知っている。まぁ、先生は知ってると思うけど。

 

「Sシステム。答え合わせに来た」

 

「もう分かったと?」

 

「ちょ、その発言、私をバカにしてるよね?こんな、"パズル"みたいなものは、あの人にチェスで勝つことよりも簡単」

 

「そうだな。じゃあ、言ってみろ」

 

「うん。

まずはクラスポイントとプライベートポイント。

多分今私たちは1年だから、3年間全部で今持っているクラスポイントをなくさないようにするんだよね?どんどん増やしていかないといけない。そうしないとプライベートポイントは手に入らない。

どうかな?」

 

「合っている。続けろ」

 

(。_。`)コクと頷き、私は話を続ける。

 

「そのクラスポイントの減る要因は大まか、遅刻、授業中の私語、態度、多分監視カメラが設置してあったのはリアルタイムで生徒を見るから。先生ひとりで授業しながら、生徒のこんなところを見るなんて無理だからね。」

 

話を一旦切る。

 

「監視カメラ、いつ気づいた?」

 

「教室に入った時から。てか、ここ監視カメラ多すぎだよ。視線感じるし…。

詳しくいえば、校門くぐったときから気づいてた」

 

目を開き、その後(¯v¯)ニヤと笑った。

 

「続けろ」

 

私は淡々と話す。

 

「クラスポイントが増える要因は、テスト、そして何か特別試験かな?

それに、多分、テストで赤点とったり、特別試験の内容が悪かったりしたら退学かな?でも、テストでは点を売ることも出来るし、退学者を救うことも出来る。それに、このポイントでクラス替えられるでしょ?」

 

学くんは話を聞いてくれている。そう思って話を続ける

 

「それに、毎月10万はこない。

AクラスからDクラス。Aクラスのみが夢みたいな進学率、就職率100%を叶えられる。それ以下はこの学校の不良品ってことだよね?学くん。私の説明合ってる?」

 

「そうだな。間違ってない。

それより、気になっていることがある。」

 

ん?なんだろ?気になっていること?

 

「何故、俺のところに来た?」

 

「え?」

 

「ここで確認してなんの意味がある?

お前はどうせクラスに、話したりはしないだろ?

なら、担任が話すのを待つのみ。

Dクラスだから?自分がDクラスというのを納得してないからか」

 

「なんでかな」

 

「?」

 

「学くんにはバレちゃうの。なんで?」

 

「お前はまだあの時の傷が癒えてない。」

 

「そうだね。」

 

「私はどうせ、汚い人間だから。

当たり前なんじゃないの?私がこんなことになるのは。汚いんだもん。、仕方ない」

 

「それに、Dクラスに配属されたこと、すごい納得した。

だって汚い私を優秀生とは思わない。私はどっちにしろ、汚くて、1人では何も出来ない不良品なの。」

 

「不安だったのか?」

 

「違う。私はそんなんじゃないっ。幸せなの。今が

なんも怖くない。あんな思いは二度としない。」

 

私は少し強がってそう言ってしまった。

すると、学くんは私が着ている赤いジャケットを脱がした。

 

「学くん…?」

 

「お前の傷が癒えているというなら、腕見せてみろ」

 

!!

 

「それと、横腹だったか?」

 

!!

私はへたり込む。傷はそう簡単には癒えない。

でも、そんなのお構い無しの学くんは私のシャツを捲り上げる。そこから出てきた私の体は…。

 

今も、汚い。




いやぁきついね。
つかれたね。


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#2 実力至上主義の世界

1 城崎結唯の独白

私の体は、汚い。

 

小学生の時には虐められた。

低学年の頃から私はいじめにあっていた。

低学年の時はまだ我慢できるようないじめだった。

高学年になるにつれて、いじめはどんどん加速していく。

そして、事件は起こった。

私は、小学校6年生の三学期。あと少しでみんなとお別れする日が来る時、一生忘れることの出来ない、傷が、腕と横腹にできた。

横腹にはナイフで切られた後、腕には銃で撃たれた傷。

いまも、私の体に残っていた。

小学生がこんなもの。

みんな、そう思ったでしょ?

でも、私の学校は異常だった。持ち物検査とか、全然なかったし、先生も差別したいなら、いじめをしたいならしてもいいよ。みたいな感じだったし、もちろん、同級生、上級生、下級生でも私の味方は居ない。

 

そんな日常も終わるかと思っていた。

私は受験してみんなとは違う中学校に入学した。

 

中学校では1年の二学期ぐらいまで良かったと思う。

だけど、冬休み中に、小学生の頃私がいじめられたことがみんなに知られた。三学期からまたいじめが始まるのか。そう思ったけどいじめは一向に始まらなかった。

でも、その代わり始まったのは、性的暴行だった。

するのは基本男子。先輩も、後輩も関係ない。

こういうことになったら男がなんでも勝ってしまうから。

女子にもされたことがある。先生にもされたことがある。

私の体は今も汚い。

 

 

2 終わる日常

 

城崎結唯

 

学くんに知られた…

 

これで、私の学校生活も終わり…かな

 

「俺は言うつもりは無いが、言って欲しいのか」

 

「え」

 

驚きすぎて、変な声が出てしまう

 

「言って欲しくないです。」

 

素直にそう言った。

 

「安心しろ。誰にも言わない。

それに、結唯」

 

「ん?」

 

「お前が、Dクラスに配属された理由は汚い人間だからじゃない。

元々、お前は汚くない。

お前の身体能力、学力、協調性。全てをとってもお前は3年、いや、それ以上の能力だと言っても過言ではない。」

 

過言ばかりじゃないですか?生徒会長が何を…

 

「いいから、話を聞け。」

 

私ってそんなに顔に出やすいかな…。なんか悲しくなる

けど、学くんは今だからこうしてくれてる。

やっぱり優しい

 

「続ける。

じゃあ、何故お前がDクラスに配属されたのか。

それを考えろ。答えが出たら俺に言いに来い。」

 

そういうと、学くんは、連絡先を渡してくれた。

でも、そんなの見つかるわけないじゃん。ある意味、無理難題…。

あー、そういえば…

 

「学くん、堀北鈴音さんって学くんの妹でしょ?

学くんと同じでハイスペックなのかな?

それとも、私と同じで普通とか?」

 

「お前で普通なら俺の妹は普通より以下になる」

 

「真面目に答えて!」

 

「本気だ」

 

「学くんの妹さんだよ!?私より下なわけないでしょ!」

 

「お前は、普通がおかしいんだよ。」

 

私が不服そうな顔をしてると、笑われた。

じゃあ、と言って付け加えてくる

 

「お前がハイスペックだとする。

そしたら、俺の妹は普通より少し上くらいの実力だ

いつかは、お前を超すかもしれない。」

 

さすが学くんの妹さんだなー。

私も越されないように頑張んないと

 

「じゃあね、学くん。また連絡するね」

 

そういって、生徒会室を出る。

 

 

 

次の日、私は早めに学校に行く。

私が行くと、数名教室にいた。

 

「おはよー!結唯!」

 

後ろからそう声をかけられた。

 

「わっ!恵ちゃんだ!」

 

恵ちゃんは、後ろにあと一人の子を連れていた。

 

「あ、私は森寧々!よろしく!」

 

「うん!寧々ちゃん!よろしくね!結唯って呼んでね」

 

また、仲良くなった子が増えて嬉しい

 

「綾小路くん!私ね、みんなのこと、下の名前で読んでるんだ!

清隆くんって呼んでもいいかな?」

 

「あぁ。構わない」

 

「ありがとっ!これからよろしくね!清隆くん!」

 

「あぁ。結唯?」

 

「うん!うれしいっ!」

 

そういうと、私は教室を出た。

1人で歩いていると、後ろから声をかけられた。

 

「あのー」

 

「はい?」

 

振り向くと、可愛い女の子がいた。

 

「これ、落としたよ」

 

それは、ハンカチだった。

 

「あ、ありがとー!」

 

 

「あ!もしかして、城崎結唯ちゃん?」

 

「え、どうして?」

 

「1年生の間で有名なんだよ!すっごくハイスペックな子がいるって!たしか、城崎結唯ちゃんのことだった気がする」

 

「うん、私が城崎結唯だよっ!噂通りではないけどよろしくね!1年Dクラス!」

 

「私は1年Bクラスの一之瀬帆波!よろしく!」

 

「帆波ちゃんかっ!」

 

「結唯ちゃん、もしよかったら連絡先交換しない?これから仲良くしていきたいなーって思って」

 

「うんっ!もちろんだよ!」

 

こうして、最強の友達に出会ったのです!

 

ホームルームが終わり、私はみんなを教室に留まらせていた。

何故かと言うと、昨日のことを話すため。

だけど、須藤くん?だったかな?話を全然聞いてくれなかった。

恵ちゃん、麻耶ちゃん、千秋ちゃん、洋介くん、堀北さん、清隆くん。桔梗ちゃん、王美雨さん、井の頭心さん辺りは協力してくれるみたいなんだけど…。仕方ないか…。

 

「わかった!じゃあ、私の話信じてくれる人だけやってみよ!」

 

私が席に戻ると、恵ちゃん、寧々ちゃん、千秋ちゃんがいた

 

「結唯の話信じないとかないでしょ」

 

「仕方ないよ。だって出会って一日目で話聞けって言われても仕方ないんじゃないかな笑」

 

「私は信じるからね」

 

「ありがとっ!恵ちゃん!」

 

「結唯ちゃーん!!」

 

遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。

この声は帆波ちゃん?

 

「帆波ちゃん、どうしたの?」

 

「今日の放課後、学校の敷地内見るんだけど一緒にどう?」

 

「いいの!?」

 

「うん!私も1人じゃ悲しいんだよね」

 

「ぜひっ!」

 

「じゃ、また放課後!玄関集合ね!」

 

「はーいっ!」

 

帆波ちゃんと見学か!楽しそう!

 

「あの子は?」

 

千秋ちゃんが聞いてきた

 

「Bクラスの一之瀬帆波ちゃん!可愛いよね」

 

「しっかりしてそうだね」

 

うんうん。と頷く。

 

 

 

私たちは敷地内を見たあと、

 

「こんな幸せが続くなら、いいんだけど」

 

「そうだね」

 

「帆波ちゃん、今日は誘ってくれてありがと!」

 

「私の方こそ、楽しかったよ」

 

そういって別れた。

 

そして、運命の5月1日を迎えることとなる。

 

 

 

私たち、Dクラスのポイントは、0 だった。

無理、だったかぁ。

 

そして、ホームルームの時間がやって来る

 

「これより、朝のホームルームを始める。が、その前になにか質問はあるか?気になることがあるなら、今聞いておいた方がいいぞ?」

 

そう言われて数名の生徒が手を挙げた。

「あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてないんですけど、毎月1日に支給されるんじゃなかったんですか?今朝ジュース買えなくて焦りましたよ」

 

「本堂、前に説明しただろ、その通りだ。、ポイントは毎月1日に振り込まれる今月も問題なく振り込まれたことは確認されている」

 

「え、でも…振り込まれてなかったよな?」

 

池くんは今気づいたようで驚いていた。

 

「本当に愚かだな。お前たちは」

 

先生の低い低音の声が響く。

 

「愚か、すか?」

 

「座れ、本堂。2度は言わん」

 

今までとは違う先生の姿に生徒達は驚く。

 

「ポイントは振り込まれた。このクラスだけ忘れられたなどと幻想、可能性もない。わかったか?」

 

本堂くんたちはまだ意見を言える余裕があるみたいだ。

何かを言っていた。

だが、それは届かない。なぜなら、先生が言っていることは完全に事実だから。

 

「ははは、なるほど、そういうことだね。ティーチャー。理解ができたよ。この謎ときがね」

 

高円寺くんが高笑いで言った。本堂くん達を見下すかのように指を指した。

 

「簡単なことさ。Dクラスには1ポイントも支給されなかった、ということだよ」

 

「はあ?なんでだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって…」

 

「私はそう聞いた覚えはないね。そうだろう?」

 

ニヤニヤと笑いながら高円寺くんは茶柱先生にもその堂々とした指先を向けた。

 

「態度には問題ありだが、高円寺の言う通りだ。全く、これだけのヒントをやって自分で気づいたのが数人とはな。嘆かわしいことだ。」

 

教室の中は動揺という言葉で溢れていた。

 

「先生、質問いいですか?腑に落ちないことがあります。」

 

洋介くんが手を挙げた。

洋介くんはクラスのリーダーになりつつある。

自分のためじゃなく、クラスのことを思って手を挙げてくれたみたい。だけど、

 

 

それは、少し不正解…

 

「振り込まれなかった理由を教えてください。でなければ僕達納得できません」

 

「遅刻欠席、合わせて98回。授業中の私語や携帯を触った回数391回。ひと月で随分とやらかしたもんだ。この学校では、クラス成績がポイントに反映される。その結果お前たちは振り込まれるはずだった10万ポイントを全て吐き出した。それだけの事だ。入学式の日に説明したはずだ。この学校は実力で生徒を測ると。そして今回お前たちは0という評価を受けた。それだけに過ぎない。

だが、今までのDクラスならばそれで終わりかもしれないな?」

 

急な先生の問いかけと、今までの、という今の自分たちと前までのDクラス。何が違う?

 

「茶柱先生。僕らはそんな話ら説明を受けた覚えはありません…」

 

そういった所で私は黙ってたけど口を出す

 

「それ以上言っても無駄だよ。洋介くん」

 

言葉を発した瞬間、茶柱先生の口角が上がる

 

「城崎、いいじゃないか?」

 

「茶柱先生、何を言いたいのかは分かりませんが、私の方から言った方がいいんじゃないですかね」

 

「なぜそう思う?」

 

「私はあなたに訪ねに行った次の日、Sシステムについてこの学校のことを話しました。でも1日だけで信用していいのかなんて分からない。どうです?ここは私に任せてもらえないでしょうか?

それに、私はまだ正解を貰ってないんです。」

 

そういうと、茶柱先生は口角を上げる。

 

「仕方ないな。本来なら教師がすることを生徒がする。異常だが、お前の入試の時のテストをここで公開してもいいなら構わないが?」

 

「先生も先生ですね。

仕方ありませんか。まぁ、わかりました。その条件のみます。」

 

そういった所で洋介くんが話しかけてくる

 

「どういうことかな?結唯さん」

 

「うん、まずは、説明を受けてない、って事だったよね。

それは、当たり前のことだから、だよ

義務教育、小学校から中学校までの9年間で習ってきたこと。ならここでは当然にしないといけない」

 

その言葉に洋介くん含めほとんどのクラスの子が下を向いてしまう。

それを付け足すように茶柱先生は口を挟んできた。

 

「それに、高校1年に上がったばかりのお前らが何の制約もなく毎月10万も使わせて貰えると本気で思ったのか?日本政府が作った優秀な人材教育を目的とするこの学校で?ありえないだろ、常識で考えて。なぜ疑問を疑問のままに放置しておく?

現に、城崎は訪ねにきた。そしてお前らに話したら信じて貰えない。という目にあって、お前らは今下を向くしかない状況だ。」

 

「では、せめてポイント増減の詳細を教えてください。今後の参考にします。」

 

「ポイントの減り方はさっきみたいな遅刻欠席、授業中の私語、携帯。後は、色々な試験ですかね

増え方も同じで、中間、期末のテスト、それに加え試験だと私は思います。それに、ポイントは0以下はないですよね?

ただ、今月は増える手段がないため、来月も0ということになります。」

 

「ほう。城崎、これをいつ分かった?」

 

「入学初日です。先生に質問しに来た時ですよ」

 

「やはりお前は面白い生徒だ。」

 

そういった所でチャイムがなり、ホームルームの時間は終わりを告げた。

 

「じゃあ、本題に移る。」

 

先生は手にしていた筒から白い厚紙を取り出し広げた。それを黒板に貼り付け、磁石で止める。生徒たちは理解も及ばないまま、戸惑いながら呆然とその紙を眺める。

 

「これは、クラスの成績ということ?」

 

堀北さんがそういったのが聞こえた。

やっぱり、すごいな。

AからDクラスの名前とその横に最大4桁の数字が表示されていた。私たちDクラスは0、Cクラスが490、Bクラスが650、そして、いちばん高いのがAくらすの940。さすが、Aクラス

 

「ねぇ、おかしいと思わない?」

 

「あぁ、ちょっと綺麗すぎるよな」

 

後ろで清隆くんと堀北さんの会話が聞こえる。

そう。これは奇妙といっていいほどおかしい。

 

「お前たちはこの1ヶ月、学校で好き勝手に生活をしてきた。学校側はそれを否定するつもりは無い。遅刻も、私語も、全て最後は自分たちにツケが回ってくるだけのこと。ポイントの使用に関してもそうだ。得たものをどう使おうとそれは所有者の自由。その点に関して制限をかけていなかっただろう」

 

「こんなのあんまりっすよ!これじゃ生活できませんって!」

 

今まで黙って聞いていた池くんが叫んだ。

山内くんに至っては阿鼻叫喚をきわめいている。

 

「よく見ろバカ共。Dクラス以外は、全クラスポイントを振り込まれている。それも1ヶ月生活するには十分すぎるほどのポイントがな」

 

「なんで、他のクラスはポイントが残ってんだよ。おかしいよな…」

 

「言っておくが不正は一切してない。この1ヶ月、全クラスが同じルールで採点されている。にもかかわらず、ポイントでこれだけの差がついた。それが現実だ」

 

「何故…ここまでクラスポイントに差があるんですか」

 

洋介くんは張り出された紙の謎に気づいた。

 

「段々理解してきたか?お前たちがなぜDクラスに選ばれたのか」

 

「俺たちがDクラスに選ばれた理由?そんなの適当なんじゃねーの?」

 

「え?普通、クラス分けってそんなもんだよね?」

 

ここで普通が通用するわけない。

 

「ここで、普通は通用しないよ。

ここでのクラス分けは優秀な生徒たちの順にクラス分けされてる。最も優秀な生徒はAクラス、ダメな生徒はDクラス。」

 

「つまり、ここDくらすは落ちこぼれが集まる最後の砦というわけだ。つまり、お前たちは、最悪の不良品ということだ。実に不良らしい結果だな」

 

茶柱が付け足して言った。

堀北さんは悔しい表情だった。なぜなら堀北さんは優秀な人材だから。

 

「しかし、1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのは過去のDクラスでもお前たちが初めてだ。よくここまで盛大にやったもんだと、逆に感心した。立派立派」

 

茶柱先生の大きな拍手が教室に響く

 

「このポイントが0である限り、僕達はずっと0のままということですか?結唯さんは違うと言っていましたけど」

 

「あぁ。城崎の言う通り。その話も後でまとめてしてやる。

さぁ、お前らには残念なお知らせがあと一つある」

 

そういって黒板に張り出されたもうひとつの紙。

 

「この数字がなにかお前らでも理解できるだろう」

 

「先日やった小テストの結果だ。揃いも揃って粒ぞろいで、先生は嬉しいぞ。中学で一体何を勉強してきたんだ?お前らは」

 

1部の上位を除きほとんどの生徒は60点前後の点数。

これには私も驚いた…

 

「良かったな、これが本番だったら7人は入学早々退学になっていたところだ」

 

「た、退学?どういうことですか?」

 

「なんだ、説明していなかったか?この学校では中間テスト、期末テストで1科目でも、赤点をとったら退学になることが決まっている。今回のテストでいえば、32点未満の生徒は全員対象ということになる。本当に愚かだな、お前たちは」

 

「は、はああああああ!?」

 

7人の生徒たちは声を揃えて言った。

わ、全部揃ってた。すご

 

「ふっざけんなよ佐枝ちゃん先生!退学とか冗談じゃねぇよ!」

 

「私に言われても困る。学校のルールだ、腹をくくれ」

 

「ティーチャーが言うようにこのクラスには愚か者が多いようだねぇ」

 

高円寺くんが偉そうに微笑んだ

 

「何だと高円寺!どうせお前だって赤点組だろ!」

 

「フッ。どこに目がついているのかねボーイ。よく見たまえ」

 

「あ、あれ?ねぇぞ、高円寺の名前が…あれ?」

 

赤点組ではない。

高円寺くんは頭がいい。今回の小テスト、上から2番目に高円寺六助という名前があった。

 

「絶対須藤と同じくらいバカキャラだと思ったのに…!!」

 

「それからもう1つ付け加えておこう。国の管理下にあるこの学校は高い進学率と就職率を誇っている。それは周知の事実だ。おそらくこのクラスの殆どの者も、目標とする進学先、就職先を、持っていることだろう。」

 

当たり前だ。こんないい話は他にない。

 

「が…世の中そんな上手い話はない。お前らのような低レベルな人間がどこにでも進学、就職できるほど世の中は甘くできているわけないだろう。」

 

「つまり希望の就職、進学先が叶う恩恵を受けるためには、Cクラス以上に上がる必要がある…ということですね?」

 

「それも違うな。平田。この学校に将来の望みを叶えてもらいたければ、Aクラスに上がるしか方法はない。それ以外の生徒にはこの学校は何一つ保証することはないだろう。」

 

「そ、そんな…聞いてないですよ!そんな話!滅茶苦茶だ!」

 

確か、幸村くん?だったかな?幸村くんがそう叫んだ。

 

「みっともないねぇ。男が慌てふためく姿ほど惨めなものは無い。」

 

「Dクラスだったことに不服は無いのかよ。高円寺」

 

「不服?なぜ不服に思う必要があるのか、私には理解できないねぇ」

 

「俺たちは学校側から、レベルが低い落ちこぼれだと認定されて、その上進学や就職の保証もないって言われたんだぞ、当たり前だ!」

 

「ふっ。実にナンセンス。これこそ愚の骨頂だと言わざる得ない」

 

「学校側は、私のポテンシャルを計れなかっただけのこと。私は誰よりも自分のことを評価し、尊敬し、尊重し、偉大なる人間だと自負している。学校側が勝手にD判定を下そうとも、私にとってなんの意味もなさないということだよ。仮に退学するというのなら、勝手にするがいい。後で泣きついて来るのは100%学校側なのだからね。」

 

すっごく、高円寺くんらしい。

私も自信を持ってここまで言えるなら、苦労はしないな

 

「それに私は学校側に進学、就職を世話してもらおうなどとは微塵も思ってないのでね。高円寺コンツェルンの跡を継ぐことが決まっている。DでもAでも些細な事なのだよ。」

 

幸村くんも反論できない様子だった。

 

「浮かれていた気分は払しょくされたようだな。お前らの置かれた状況の過酷さを理解出来たのなら、この長ったるいHRにも意味があったかもな。中間テストまではあと3週間、まぁ、じっくりと熟考し、退学を回避してくれ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると確信している。出来るものなら実力者に相応しい振る舞いをもって挑んでくれ

 

あぁ。それと、城崎の小テストの結果は100点。流石だな」

 

「ありがとうございます。」

 

「入試の点数、お前わざとだな?」

 

「なんのことかさっぱり」

 

「5教科すべて80点。配布点の記載はなかった。

80点っていうのを揃えたな?」

 

「配布点なんて考えれば誰にでもできます」

 

「解答も異常だな?

まぁ、それが知りたいやつは後で私のところに来い」

 

そういって茶柱先生は教室からでた。

 

その瞬間、教室はざわめきで満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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