エーリカ・ハルトマンのD-DAY~個人の戦闘力で戦争を終わらせる方法~ (両生金魚)
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エーリカ・ハルトマンのD-DAY~個人の戦闘力で戦闘を終わらせる方法~

「おぉ……神よ……」

 

ノルマルディア上陸作戦でとある合衆国歩兵の呟いた言葉

 

 

 海を覆い尽くす鉄の船。それらを支援する為に飛び立つ膨大な航空機の群れ。海岸から見れば海面よりも鋼の色が多く見えるであろう見る者に絶望を与える神話的な光景。海からの圧倒的な火力により、哀れな二線級の駐留部隊は即座に叩き潰される。その筈だった。

 

 

『汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ』

 

 オープンチャンネルで流されてきたのは、幼い少女の声。あまりにも戦場に似つかわしく無いその声色が、逆に奴の異常性を際立たせる。

 

『告げる。汝等は帝國の領域を侵犯している』

 

 そしてまた違う少女の声。帝國・戦場・少女。この三つから連想される名を、共和国将兵は骨髄まで知っている。それも、最悪な事に複数を。

 

『帝國の安寧を脅かし続ける諸国兵よ。汝等は何の道理が有りて我らが祖国を蹂躙せんとする?』

 

 三つ、三つだ。ラインで、そして広漠な東部戦線で紡がれる一つの警句が彼らの脳裏を過る。

 

 一人の少女の声を聞いたら死を覚悟しろ

 

 彼女らは死告天使。もしも狙われたなら命は無い。

 

 二人の少女の声を聞いたならば全滅を覚悟しろ

 

 彼女らは狡猾な狩人だ。個としての力は超絶。その上で恐るべき戦術で敵対者の尽くの上を行く。軍事的な全滅を事も無げに積み上げる。

 

 三人の少女の声を聞いたならば……神に祈れ

 

 そして、彼女らは数を増す事にその連携はより強固となる。塹壕も、要塞も、軍艦も、司令部も。彼女らに狙われた標的は尽くが灰燼と化した。

 

 知らないものが聞けば一笑に付すような伝説が身動きの取れない我々を狙っているとすればだ。将兵には、神に祈ること以外に何ができようか? 

 

『サラマンダー戦闘団長より、戦闘団各位。…汝等こゝに入るもの一切の望みを棄てよ。ここが汝らの地獄門であると奴らに教育してやれ。』

 

 恐らく今この瞬間、この地は最も信仰心の篤い地であろうと生き残ってしまった兵は語った。

 

 

 

 どうもみなさま朝も早くからおはようございます、(わたくし)は帝国陸軍中佐の地位を頂いておりますエーリカ・ハルトマンと申します。第二次世界大戦中のドイツ空軍という中々ニッチな所がお好きな方なら何となくピンとくる名前でしょう。そう、エーリカとはエーリヒの女性名であります。前世は極東の島国で生まれ育ったのですが……ああいえ、所謂秋津島と呼ばれる場所ではありません。日本という別世界の島国で生まれ育ち、事故で死んでしまった所、なんとかの天照大御神様からこの世界に飛ばされてしまった日本人をフォローしてくれと頼まれまして、このドイツに似た帝国にて再び生を授かった次第であります。

 

 同郷からアブラハムが信仰する神――彼女が言うには存在X――に飛ばされてしまった被害者であるターニャ・デグレチャフとの出会いは士官学校に遡りまして、他にも将来はかの大英雄になるであろうハンナ・ルーデルとの出会いもあり、共に灰色の青春を過ごした挙げ句年端も行かぬ少女三人が戦争に放り込まれました。が、日頃の鍛錬と天照大御神様の御加護と戦友たちの尽力の下に何とかあのカエル食い共を叩きのめし、時代遅れの連中を蹴散らし、更に東から無尽蔵に湧いてくる共産主義者連中をひたすら磨り潰す事が出来ました。そして今、目の前には世界を引っ掻き回す二枚舌の紳士を名乗る外道共と海を隔てた大陸で金儲けだけを考えてる連中とそのおまけの軍勢が、堂々と我がライヒの領海に居座っています。見た感じ史実ノルマンディーより遥に多い数に思えるのですが、やはりWW1が無かった分余裕があるのでしょうかね?

 

「ハルトマン中佐! それにルーデル中佐! 間もなく敵中に突入します!」

 

 おっと、そんな事を考えていたらパイロットから上ずった声が届きました。どうやらこんな物に乗る流石の彼もこの数には思うところが有るのでしょうね。

 

「了解です、進路そのまま。ぶつからない様にだけ気をつけて」

 

「それじゃ張り切っていこうかガーデルマン!」

 

「アイアイマム!」

 

 返事と共にこころなしか身体にかかるGが強くなった気がしました。今私とハンナが乗っているのは超高速戦闘輸送機、通称サジタリウスと言いどこぞのマッドサイエンティストが開発した双発ジェット機なのです。兎に角速さが重視された機体で旋回性能だの航続距離は二の次ですが、速さだけがこの時代を置き去りにしたオーバースペックな機体です。

 

「よーし、じゃあ早速始めるよ!」

 

「ええ、残らず叩き落としてやりましょう」

 

 そう言うと、私もハンナも術式を起動させます。この機体に武装は搭載されていません。なぜなら、私達という最強にして最軽量の武装を運ぶから。……言っててちょっと恥ずかしいですが、事実私達のためだけに巨額の開発費用が投じられて作られてしまったのですよね、これが。

 

 

 

 その光景は正しく悪夢であった。

 

「高速の飛翔体、接近!」

 

「数は!?」

 

「反応、一つだけです!」

 

 その一つだけという言葉を聞き、一部の合衆国の将校は恐怖した。ひょっとすると帝国はもうあの神の火を手に入れたのかと。結論を言えば、彼らの心配は杞憂であった。ただし、与えて来るものは同じく死と絶望であった。

 こちらの大規模な航空編隊の中央を突っ切るようにやって来たその飛翔物は、前後左右に縦横無尽に美しい光を解き放ち、そのどれもが炎の華を咲かせた。

 

「ま、魔導反応確認! 三姉妹の内、二人があの機体に乗り込んでいる模様!」

 

「なんだとっ!?」

 

 三姉妹と聞いて畏れを抱かぬ連合国の将兵は誰も居ない。彼女らに骸にされた帝国の敵は数知れず。それ故に、彼女らが居ない時を狙ったのだ。それなのに

 

「ど、どういう訳だ貴様っ!!!」

 

 情報将校が詰め寄られているが、当然だ。奴らが太鼓判を押したからこそ、この作戦が決行されたのに。こうしている間にも、空では戦闘機・爆撃機・輸送機問わずあらゆる機体がスクラップと化し鉄屑と燃料をばら撒いている。

 

「迎撃は出来んのか!」

 

「無理です! 速すぎてどの機体も追いつけません! 対魔導対空砲も照準を付けられません!」

 

 それは事実上、航空戦力を見殺しにするしか無いという救いようの無い現実。だが、彼らに訪れる試練はこれだけでは無かった。先行した魔導師団が制圧のために向かった先、そこには三姉妹最後の一人と悪魔の二個増強大隊が待ち構えていたのだ。幾ら奴らでもこの数をぶつければという、希望的……いや、楽観的過ぎる考えは、早々に打ち砕かれた。CQに飛び込んでくる通信は、悲鳴、悲鳴、悲鳴、そして断末魔。絶望だけが、目の前に存在した。

 

 

 

 潮と鉄と燃料と火薬の香り漂う海辺からこんにちは、こちらターニャ・デグレチャフ中佐です。存在Xという不愉快な存在からこんな世界に放り込まれて、何の因果かD-DAYを真っ向から受け止める立場になりました。空ではハンナとエーリカが楽しく大輪の花を咲かせていますが、私だけこんな所に配置というのは何かのイジメでしょうか。いや私があそこに行ってもあそこまでの戦果が出せないのは分かっているのですが、全くどうしてこうなった……。

 

 と、自嘲するターニャの横には副官のセレブリャコーフ中尉が、そしてその後ろには精鋭の二個増強大隊が揃っている。本当は三姉妹に一個増強大隊ずつ持たせたかったが、基準をやや甘めにして育てることにしても流石に数が足りなかった模様。だがどいつもこいつも他国のネームドクラスの猛者な上に更に地上には精鋭だけで揃えたサラマンダー戦闘団まで控えている。

 正面から大量の敵魔導師がやって来るが、大隊連中が意気揚々と狩っていく。魔力技量共に敵とは隔絶している。目下の上陸艇も次々と血で染め上げられて戦車はただの障害物と化した。後片付けするのはこちらなんだぞと益も無いことを考えつつ、ターニャも次々と敵を屠り続ける。軍事学上は避けるべき多数の敵を相手に正面から少数で戦うという事態に、最早慣れきっていたのだ。

 

「ああ、始まったか」

 

 空から響く爆発音が消え、艦隊の方を探ってみれば空から一直線に降下してくる魔導反応が二つ。どうやら航空機は粗方片付けたらしい。

 

「中佐、あれは……」

 

「ああ、エーリカとハンナだ。まったく、連合国及び合衆国将兵には同情するよ」

 

 自分なら絶対に戦いたくないとの呟きに、副官は深々と頷いた。

 

 

 空から落ちてきた二人の魔導師は二手に分かれた。片方の魔術師は貫通術式を起動すると、真上から空母を貫き大爆発を起こさせる。それだけでも、あらゆる軍人の常識が揺らぐ光景だ。

 

 だが、もう一人の姉妹は更に恐るべき光景を現出させていた。背負っていた秋津島刀を抜刀すると、それを媒体に魔力を這わせ刀身を身長の何十倍にも伸ばし、振り上げる。

 

「届けっ! 雲耀の彼方までっ! はぁああああああああああああああああっ!」

 

 水平線の彼方まで届くような叫びと共に振り下ろされた剣は、戦艦を真っ二つに()()()()()。あまりに現実離れした光景に、選良であれと教育された高級士官達ですら、その思考が停止する。必死の対空砲火をあざ笑うようにすり抜け、あるいは弾き飛ばし、次々と船が狙われていく。戦艦が、空母が、巡洋艦が、駆逐艦が、次々と爆発、または輪切りにされ沈んでいく、黙示録の様な救いの無い光景。現代文明の叡智全てが魔導に蹂躙されていく様は、神の許の平等を虚ろにした我々への罰の様にも思える。十字架を首から提げている者は知らず知らずの内に手を取り、持たざる不信心者は必死に何度も十字を切る。

 

「おぉ……神よ……どうか我らを救い給え……」

 

 それは、誰が呟いたのか。この光景を見た連合全ての将兵が思ったことか。ここはノルマルディア。今、世界で最も信仰の篤き地である。

 

 今日、この日だけで数千の戦闘艇、万を超える航空機、そして十数万の将兵の命が露と消えた。その報は世界を駆け巡り、それを聞いた全ての指導者がしばし現実を理解できなかった。そして正気に戻った時、連合王国首脳部は恐慌状態に陥った。合衆国では、あまりの損害と1セントの利益も手に入らなかった事から厭戦・反戦感情が爆発し、次期の民主党の当選は絶望的となった。そして連邦ではすり減らされ続けてきた人口と国力が、限界に達しようとしていて、世界中で神に祈る者が増えた。

 

 

 今の、そして未来の歴史家は語る。これは少女三人が終わらせた戦争であると。




幼女戦記は神様転生オリ主が居ても物量に押し潰された物語だけどその物量を蹂躙できる存在が居たらヤバイよねと思って書いてみた。特に反省はしていない。

以下補足

【エーリカ・ハルトマン】
元ネタは撃墜王エーリヒ・ハルトマン。中身は元日本人。天照様よりターニャのフォローに送られた転生者。天照様の加護を授かっているが流石に極東の島国の神の力を借りているというのを公言するのは無茶苦茶にまずいので「我らの慈母よ」と祈りの言葉を唱えている。
三姉妹の内空対空戦闘を得意として最新鋭の戦闘機や戦略爆撃機にすら追いつく速力を持つ。帝国の決戦兵器扱いの内の一人。
なお背負っている刀は秋津島留学の時に導かれて見つけた刀。エーリカの死後国宝として祀られ世界一有名な宝刀になっているが合衆国やら連合国やら共和国の人間からのテロの標的として幾度も狙われる。が、不思議な事に至近距離からの爆破に晒されても傷一つ無かったという。

【ハンナ・ルーデル】
ご存知ルーデルの少女バージョン。勿論他のお方の二次創作に影響されました。得意分野は空対地。東部戦線では既に一人で何十個師団も全滅判定を与えておりお陰で赤い軍勢の士気はどん底で三姉妹の内一人の反応が出ただけでもう前線が崩壊する始末。帝国軍の決戦兵器のうちの一人。

【ターニャ・デグレチャフ】
元ネタ幼女戦記の主人公にして元サラリーマン。存在Xを恨んでいるが、天照様には感謝している。しかしもう少し早く助けてほしかったと思うのは仕方ない事か。
本人はシカゴ学派と言う数値至上主義の考えを持っているがそれを実践できるのはあまりに少数の人間だけだとエーリカ・ハンナの二人から度々軌道修正を受ける。非合理に揉まれ続けて最近はアニメ版並には人の感情が分かってきた模様。
直接戦闘力は他二人に劣るが指揮能力は神がかっている。特に魔導大隊やサラマンダー戦闘団を率いた戦闘能力は他の追随を許さない。

【超高速戦闘輸送機・サジタリウス】
例のマッドサイエンティスト作。エーリカとハンナの二人をいざという時に届けられたら即応戦力として最強じゃね?との発想が何処から出されて満場一致で開発が承認された。
パイロットとエーリカ・ハンナの三人乗りを前提に開発され、とりあえずひたすら速くする事に主眼が置かれた機体。最高時速940Kmであり他の追随を許さない。
武装は?→あの二人なら大丈夫だろ。
脱出装置は?→あの二人なら放り出しても大丈夫だろ。
と完全に個人の能力に依存している機体だがその二人が見事に要求に応えるもんだから困ったもんである。

【ゼートゥーア中将】
度重なる戦争に疲弊しつつも勝って勝って勝ち続ける戦争に実は楽しくて仕方がなかったりする。三人娘が持ってくる様々な理論を読むのも楽しい。
【ルーデドルフ中将】
上に同じ。孫娘の様な三人娘がかわいくて仕方ないらしい。三人がいる時は常に参謀本部にチョコやら牛乳が取り置きしてある。
【レルゲン大佐】
相変わらず胃が痛いがエーリカがフォローしてくれてるので原作よりはマシ……と思いきや政治家連中のお陰で原作より胃がヤバい。最近コンラート参事官と言う仕事上のパートナー兼心の友が出来た。
【ウーガ中佐】
原作同様裏方調整に大活躍。三人娘のお陰で原作より余裕が有る。
【ドクトル】
どんな無茶振りしてもどんな発明をしてもちゃんと動いて爆発さえしなければ生き残る三人娘(主に二人)のお陰で楽しくて楽しくて仕方がない。実はしばしエーリカからアイディアを貰っていると聞いたらターニャが助走をつけて殴りに行きそうなのでそれは話さない。
【連合王国の宰相】
毛が全部抜けた
【合衆国の大統領】
支持率急落。民主党の支持率も急落
【合衆国のお金持ちの皆様】
株価がナイアガラの滝。ついでにどこぞの未来を知ってる少女の合法インサイダー取引によりあらゆる財産を毟られる運命
【東のおじさん】
クーデター一歩手前
【ペド野郎】
残酷な運命5秒前
【後の秋津島】
三姉妹が大人気キャラになる。某運命作品で全員★5だったり履いてないアニメでも大エース扱い。例の刀は最も有名な刀になって擬人化されても一番人気となった。三姉妹+αのカップリング論争は永遠に決着が付きそうにない。
【存在X】
信仰が集まって大変満足と思ってたら天照にしばかれた

好評だったら他の戦線や内地での話も書いてみようか……


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カランドロ大佐の東部戦線(仮)

一度筆が止まると中々進まなくてずるずる伸びていってしまうのが自分の悪い癖……なので、とりあえず書けた所を出していこうかと思いこういう形で公開となりました。
後から文章がちゃんと思いつけたら途中やら戦闘描写も補完して行こうと思いますのでどうかご容赦の程を……


私は今日この日この瞬間に誓ったのだ。決して祖国にライヒとの戦端を開かせぬ事を、その為にあらゆる手段を尽くす事を。

 

――― イルドア王国軍 観戦武官 ヴィルジニオ・カランドロ大佐 回顧録より抜粋 ―――

 

 

 

 国家間に永遠の友情というものは存在しない。全ての国家間は潜在的に敵国足り得るのだ。例え、今は友情を保っていたとしても。故に我がイルドア王国としても選ばねばならない。このまま暫くの間帝国との友誼を保ち続けるか、それとも()()()()()を迎えるか。我らが友人である帝国は今の所よくやっているように思える。いやこれはあまりにも過小評価か。あまりにも()()()()()()()()()()と言うべきだ。共和国と協商連合を打ち破り(近代国家とも呼べぬおまけも居たが)、その後も連合王国と連邦と二つの国家との戦線を抱え、それでも尚押されているのではなく安定して押し返しているのだ。それも第三者の心温かい支援を受けた彼の二国相手に、だ。

 如何に強大な帝国とは言え、常識的に思えば考えられぬ善戦振りである。そこまでの強さの秘密は有るのか、それとも我が国の諜報機関でも見破れぬ欺瞞が有るのか。先日我が国が起こした()()()()への反応を見れば酷い慌て振りの様だったが……さりとてこの目で見るまでは確かめられぬ事も有る。

 よって我がイルドア王国は正確な情報得るための目として私が観戦武官として東部戦線を訪れることとなった。

 

 

【そこで見た光景は、広漠な東部戦線、少数ながらも精鋭な帝国軍に、『支援』を受けた膨大な連邦軍。だが、そんな数をあざ笑うかのようにサラマンダー戦闘団は、そして何より三人の少女はあらゆる戦力を薙ぎ払う。軍団・旅団・師団すらも、敵では無く、むしろ死体の片付けや鹵獲品の接収などの方が苦労しているのでは?という有様だった。連邦軍の死体はやせ細っており、そしてなんと一人一丁の銃すら持っていない場合すら有ったのだ】

 

 

 

「しかし、本来ならば中佐達はこんな所ではなく学び舎で同学年の友人達と青春を過ごしているのだろうに」

 

 戦場での苛烈な姿や部下の前で見せる規律の正しさと、勤務時間外での少女たちの交流は、あまりにも落差が有り。故に、カランドロ大佐はこの様な事を()()()()()()()

 

「……大佐殿は、『カルネアデスの板』と言う問題をご存知でしょうか」

 

「多少だが。確か自分が助かるために小さな板切れに他の男を掴まらせないようにし、結果的に相手を水死させてしまったという……」

 

「ええ、その通りです」

 

 わずかに首肯し、エーリカは持っているカップに目を落とす。深いオレンジ色の水面に彼女の目が映るが、何故だかカランドロ大佐には彼女の目が酷く濁っているように思えてならなかった。穏やかな空気が、いつの間にか重苦しく……そして恐ろしい物に変わってしまったかのように錯覚する。

 

「私も、ターニャも、ハンナも……ただ生き延びたかっただけなのですよ」

 

「それは……」

 

 およそ少女……いや幼女とすら呼べるような年齢の子供が発するとは思えない言葉。相手の見た目と態度から油断してしまったのか、触れてはいけない領域に踏み込んでしまった愚を悟るが、時は既に遅かった。

 

「私も、ターニャも育ちは孤児院です。神の下で、日々それは慎ましやかな暮らしを営んでいました。……しかし、私達には幸か不幸か魔導師としての才能が有り、不安定な情勢では徴兵される事はほぼ確定的でした。ヴィクトーリヤ中尉の様に」

 

 帝国軍の台所事情は伝え聞いていた。魔導師としての才能があるものは若年でも男女問わず徴兵され、また徴兵範囲も次々と広まっていると。

 

「せめて徴兵されるならば、予め学んでおいた方が生き延びる確率は高い。そう思いました」

 

 とても少女とは思えない、冷徹な思考と判断力。でなければこの歳でエースにはなれないのだろうと内心で納得しつつも、話に聞き入る。この話を聞き逃してはいけないと観戦武官としての理性と本能が叫んでいた。

 

「そして軍人として、魔導師として出来得る限りの知識と技術を詰め込まれた私達は、ラインの空へと放り出されました」

 

 ライン戦線は地獄だ。月並みな言葉だが、イルドアの他の観戦武官が呟いた言葉だ。ありとあらゆる口径の砲、銃弾、そして魔導が飛び交う地獄。塹壕の中と外ですり減らされ続ける命。常に隣り合わせの死。劣悪な環境、乏しい食事。【地獄】。これ以上の表現は無いだろう。そんな地獄に、目の前の少女は放り込まれたのだ。

 

「魔導師の砲撃の観測は、主な使い道の一つです。空からの観測は地上のそれよりも正確で、それ故によく狙われます」

 

 これも、観戦武官達からの報告の通りだ。それがあまりに有効で有るが故に――

 

「初めてラインの空から見た光景は、まるで世界の総てが敵になったかの様でした」

 

 魔導師ではない自分にはおよそ知ることが出来ないであろう、しかしどれだけ過酷かは筆舌に尽くしがたいであろう場所であることは容易に想像がつく。そんな場所にだ、もし少女が放り込まれたとしたら。

 

「向かってくる多数の敵魔導師。そしてHQから届く、『増援は出せない』との言葉。あの時、私は総てを悟ったのです」

 

 聞きたくないと心が悲鳴を上げる。目の前の、最も新しい伝説、最も新しい英雄のその胸の内を知るのがこれ程までに恐ろしいものだったとは。

 

「そう。敵は総て殲滅せねば、私達に平穏は訪れないのだと」

 

 あどけない微笑みと共に紡がれた言葉に、得心が行く。彼女たち三姉妹の挙げた膨大な戦果の数々。敵の士気も勇気も継戦能力も全てをへし折る様な苛烈な破壊のその根源を。

 

「それ、は……」

 

 一文明人として、幾らでも否定の言葉を出したい。しかし、これまでの帝国(ライヒ)に対する他の国々の反応により、それを否定する言葉を何一つ浮かべられない。この戦争は、全て他の国々が帝国を恐れ戦争を仕掛けたのだから。そして中立を嘯き利益を貪る第三国の国々。それは、少女を絶望させるにどれ程の不足が有ろうか?

 

「私もかつて大佐の祖国に訪れた事が有ります。そこでの暮らしはまるで別世界の様でした。色と笑顔に満ち溢れた町並み、豊富な物資に、とても美味しい料理やお菓子の数々。イルドアの食事はそれはもう、軍の支給品とは比べ物にならない味でした」

 

「そ、そうですか。気に入って頂けた様ならなによりです」

 

「ええ、とても。是非、私もああいった暮らしをしてみたいです。美味しいご飯を食べて、銃ではなくお人形を取り、上司や部下や同僚でなく、お友達と遊べる暮らしを」

 

 真っ直ぐ向けられる憧憬。当たり前を知らない少女の、焦がれる想い。それなのに、自らの胸には哀れみよりも先に恐ろしさが湧き上がる。

 

「だから、そんな暮らしをする為にも……連邦であろうと、連合王国であろうと、例え合衆国であろうとも――敵は総て、消し去ろうと誓っているのです」

 

 そう微笑みかけてくる少女の、裏の声がはっきりと聞こえる。もし、我が祖国も敵に回ったのなら……一切の容赦も無く、殲滅するのだと。そして、それがハッタリと思える訳が無い。目の前のエーリカ中佐やハンナ中佐が空を舞うだけで航空機も・戦車も・野砲も、そして何より歩兵や魔導師も根こそぎ吹き飛ばされるのだ。あの膨大な量のレンドリース(他国の親切)与えられた物資は、軒並み鉄屑になるか鹵獲されて帝国に再利用されるか、だ。前線で見る連邦兵の平均年齢も、徐々にだが下がっている。

 もし、イルドアが帝国へと戦争を仕掛ければ……あの光景は、間違いなく我が軍でも再現がされる。そうなれば、最悪南部と北部が割れるかもしれない。未回収のイルドアどころか、イルドア自体が四分五裂になりかねない。

 

「あ、ああ……。中佐、ありがとう。よく分かったよ」

 

 もし、敵に回れば慈悲など期待できない。なればこそ、私の役目は唯一つ。絶対に帝国との戦端を開かせない事。自分には、イルドアが帝国軍に勝利する光景が――帝国が、他の国々に負ける光景が全く想像が出来なかったのだ。

 まずは、未回収のイルドアを諦めさせる事。その難事に頭が痛くなりそうだが、目の前の少女に比べれば遥かに楽な仕事ではないかと、ふとそう思った。




エーリカ「まあこれだけ言っておけば納得してくれるよね?(テヘッ)」

という訳で、この後終戦まで慢性的な胃痛に悩まされることになったカランドロ大佐のお話でありました。この後国に戻った大佐は何が何でも戦争を阻止しようと大立ち回りをする事になります。あんまり強硬的な事言う奴には一度サラマンダー戦闘団で見学して貰うと皆180度意見を翻してくれるようになります。流石に何度も訪れられると流石に面倒なので、何回か後には撮影者エーリカによるルーデル独演会のフィルムを送りつけられる事になりました。

ちなみに史実米帝様がソ連に送ったレンドリースは

航空機 14,795
戦車 7,056
ジープ 51,503
トラック 375,883
オートバイ 35,170
トラクター 8,071
銃 8,218
機関銃 131,633
爆発物 345,735 トン
建物設備 10,910,000 ドル
鉄道貨車 11,155
機関車 1,981
輸送船 90
対潜艦 105
魚雷艇 197
舶用エンジン 7,784
食糧 4,478,000 トン
機械と装備品 1,078,965,000 ドル
非鉄金属 802,000 トン
石油製品 2,670,000 トン
化学物質 842,000 トン
綿 106,893,000 トン
皮革 49,860 トン
タイヤ 3,786,000
軍靴 15,417,001 足
という頭のおかしい量なのですが、勿論この世界だと全部無駄になった上に連邦がボロッボロなので取り立てすらロクに出来ない有様です。

そして他の短編ネタなのですが……他の戦線の話より、戦後の【三姉妹ショック】と呼ばれた各国の狂乱の話ってネタの方がたくさん溢れてくるのですが……需要有りますかね?


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世界各国の様子・セリフ集

某所に投稿されている形式を真似て書いてみました、世界各国の様々な人達の様子です。
短編集としてこういう形式なら気軽に書きやすい感じですね。この形式+補足として短編みたいな形もいいかも知れません。


「大戦が始まった時、戦争からきらめきと魔術的な美が奪い取られてしまったかの様に思われた。だが、それは間違いだった。新たに始まってしまったのだ。いまだかつて神話の時代でしか見たこともないような、英雄と魔術の時代が。世界が、英雄を欲する時代が」

 

 ウィンストン・チャーブルの戦後の回顧録より。戦後に書かれたこの書には、彼の絶望と後悔が滲み出ている。

 

 

「ドーヴァー海峡は、連合軍の屍で舗装されり……か。あぁ……神よ……どうか彼らが安らかに御前に旅立てたことを願います」

 

 連合王国海軍大将、戦後でサルベージ事業を視察しての言葉。駆逐艦から戦艦まで全ての船は二度と再利用が出来なく、また輪切りにされた船は下手に火災や爆発などが少なかった分内部の光景は酸鼻を極めていた。

 

 

「それで、また無茶苦茶された死体か」

「もう何件目でしたっけか……」

「忘れた。そしてまたまた『上の』案件だとさ」

 

 戦後の連合王国各地で起きた連続殺人事件の一幕。もはや情報部員はまともに暮らす事すらままならない事もまま有った。

 

 

 

「今こそ我々植民地の人間が団結をして白人から故郷を取り戻す時だ!」

 

 戦後、各地の植民地より。あの大戦で国力を使い果たした国々では最早独立を止める手立ては何一つ無かった。

 

 

 

 ーーこの先飛び降り禁止。最期まで人に迷惑をかけるのは止めましょうーー

 

 合衆国で一番高いビルの屋上に貼られている張り紙。大戦以降あまりにも多くの飛翔者が出るので最近はあまり人が近寄らなくなってしまったのだった。

 尚連合王国や合衆国の他ビル等にも似たような場所は多数存在する。

 

 

 

 ーーご自由にお使い下さいーー

 

 モスコーのとある広場、拘束された秘密警察の人員達の横に置かれた様々な工具に添えられた看板。

 

 

 

「それでは全員の賛成を持ちまして、『毎年度魔力検査義務化法案』と『魔力保有者の訓練義務化法案』を可決致します」

 

 大戦後、あらゆる国家が死に物狂いで『英雄』を求めるようになった。魔力を持つ者は老若男女関係無く、可能性が有るならば誰もが訓練を施される様になった。

 

 

「ーーあの姉妹を墜とせる兵器を作れ。最優先で、だ」

 

 世界各国の研究機関に出された厳命。これにより世界中で対魔導師戦術が洗練されていき、正面戦力としての魔導師の価値は著しく下がっていった。そう、「正面戦力」としての価値は。

 

 

 

「はっはっはっはっは!温い温い温い!」

「まだまだ照準が甘いですね」

 

 なお帝国で新たに開発された対魔導師も想定されたCIWSの攻撃を事もなげに弾くなり避けるなりする姉妹の姿がそこに有った。そしてそれを見て某MADは燃えに燃えていた。

 

 

「こんな物騒な物が全基地に配備されるとか世も末だな……」

 

 基地に配備された地対魔導師用小型追尾核ミサイルを見てのとある合衆国高級将校の呟き。これらを使用する想定は勿論彼女達であり、連合王国も同様に各基地に似たような物を配備している。彼らは、陸海空全ての軍が骨の髄にまでトラウマを刻み込まれていた。

 

 

 

「此度の大戦は、彼女たちのお陰で勝てた。ーーだが、彼女らが居なくなった時、ライヒは果たして勝てるのか?」

 

 戦後、独り思索に耽るゼートゥーア大将の独白。帝国は大陸における絶対的な覇権国家として君臨した。だが、そこにはあまりにも自明な危うさが存在した。

 

 

 

「……そしてまた一つ、帝国は神話を手に入れ誇示するようになってしまった、か」

 

 外務省のロビーの中央に大きく掲げられた三姉妹の絵を見たコンラート参事官の嘆き。嗚呼我らが無敗の帝国よ、永遠なれーー

 勝利の伝説は、未だに終わらない。

 

 

「あのねパパ! 私大きくなったらなりたいものが有るの!」

「なんだい?」

「ターニャさんやエーリカさんやハンナさんみたいな魔導師!」

「……そ、そうか……」

 

 戦後、大きくなった娘と会話するウーガ准将の家庭の一幕。三姉妹は最早生ける伝説では有るのだがあの様になりたいと言われると何とも言えなくなるのは本人たちを知っている故だった。

 

 

 

「君とハンナが生きている間に戦争をふっかけてくる馬鹿は居まい。そして我々が居なくなった後もまあ核と大陸間弾道ミサイル、ついでに戦略原潜さえ有れば次の大戦は防げるだろうが……」

「問題はテロですよね。魔導師がテロリストにとか頭が痛いって問題じゃないですが……まあ魔導師利用した不正規戦とかテロの方法とかちょっとレポートにして出してみましょうか」

 

 ターニャとエーリカの会話。似たような世界の未来を知る故に、大国のぶつかり合いよりもむしろテロリズムを驚異に思っていた。

 

 

 

『……………グフッ』

 

 ターニャとエーリカの二人が執筆した非正規戦・テロリズムのレポートを読んだ参謀本部の面々の反応。あまりの悪夢に皆の胃が盛大な悲鳴を上げたのだった。

 

 

 

「まあ原発だろうとダムだろうと中央金庫だろうと白い家だろうと一度入り込めちゃったら私一人でどうにか出来るよねー」

 

 戦後より時間が経った後、ハンナ・ルーデルの独白。事実上、ハンナとエーリカにとって一度入り込めば地上のどんな施設であろうとも一人で破壊出来るし船舶や何ならジャンボジェットや大統領専用機に至っても飛んで追いついて取り付いてハイジャックすることすら出来た。

 

 

 

「……ちなみに、対処法は有るのかね?」

「私達が突っ込む以外の対処方法はもう徹底的に輸出製造を監視するなり技術流出を防ぐなりですかね」

「多分技術流出が発生してしまった場合はもう防ぐのは事実上不可能です。なにせ懐中時計サイズですので分解すれば髪留めにだって隠せますからね、部品」

 

 レポート提出後の参謀本部での雑談。自爆テロを防ぐのはもう事実上不可能であるという救いようの無い、しかし確実に訪れるであろう未来の想像に精神的ダメージは甚大であった。

 

 

 

「あの✕✕✕✕野郎共がっ!!!!!!!」

 

 しばしの後、アルガニスタンに合衆国が懐中時計を持ち込んだと聞いた時のレルゲン大将の叫び。彼の、そしてひいては彼女達の懸念通りに合衆国がばら撒いてしまった火種は十数年後に世界中で盛大に発火する羽目になった。

 

 

 

「こちらNYTリポーターのリンダです。ワールドトレードセンタービルをテロリストが占拠してもう2週間になりましたが今だに膠着状態であり、当局は有効な手をまるで打てていない模様でーー」

 

 発火してしまった最初の火種。世界は、この時初めて魔導師テロリストの驚異を知った。

 

 

 

「一体どうしろと!? 国の全ての重要機関に魔導師を常駐させておけとでも言うのか!?」

 

 合衆国の情報部や軍部や警察の上層部の合同会議での一幕。アルガニスタンに流れてしまった懐中時計はよりによって頑丈さに定評のある連邦系ーーつまり88mmを直撃させても下手をすれば落とせない様なシロモノーーの物だった。

 

 

 

「小型核が流出してただとぉ!?」

 

 連邦某基地より。世界が魔導師のテロの驚異を知り慌てて自国の基地の総点検を始めた所、よりによって夏期に「基地爆発」により消失した機材の中にとてつもない物が紛れ込んでいたのだった。

 

 

 

「あっすみません、私は主では無く天照大御神様を信仰しておりますので……」

「……か、過分にお聞きしませんが一体どの様な存在で……」

「秋津島の神話にの最高神にあらせられます」

 

 とある式典で主への祈りを薦められた時の一幕。直後辺りに悲鳴や怒号が鳴り響いた。だがしかし常に身につけている斬艦刀が天照大御神を祀った神社に秘蔵されていたものであり国を救った刀なので誰も表立って文句を言えなかった。そしてついでとばかりにターニャもカミングアウトしたので辺りが大混乱に陥った。

 

 

 

「エーリカせんべいにエーリカまんじゅうにエーリカの絵馬に……」

「いやー流石世界は違っても日本?人、商魂逞しいよねー」

 

 久々に秋津島に来訪したエーリカと初めて訪れたターニャ達がお忍びで刀が奉納されていた神社に来た時の反応。物凄い観光資源にされていたがまあ、秘蔵の刀を譲ってもらった立場なので文句も言えないし言うつもりも無いのだ。そしてこの神社は度々聖地として巡礼されることになる。

 

 

 

「た、大佐、それって生卵では……」

「エーリカ大佐!? その豆は腐ってますよ!?」

「魚を生でなど食中毒の心配が!」

『やかましい!黙って食わせろ!』

 

 久々の和食を堪能している二人を見た副官達の反応。よりによって上級者向けの物をチョイスした二人だった。

 

 

 

「戦略ゲーなのに個人がユニットになって最強の戦闘力持ってるとか草生える」

「残念でも無く当然なんだよなあ……」

「アンサイクロペディアのどんな嘘記事より公式記録の方が嘘っぽいのが大草原不可避」

 

 とある○aradox社製のゲームプレイヤー間での一コマ。彼女達にはどんなユニットをぶつけても薙ぎ払われるが史実通りだから仕方ないとプレイヤーは諦めているし、嫌なら彼女達抜きの設定でゲームをするしか無いのだ。そうすると大体ライヒが負けるのも史実通りだろうなとプレイヤー達はおろか殆どの歴史家も納得する。

 

 

 

「やっぱりハンエリをだな」「いやエリハンも良いぞ」「ここはあえてヴィシャタニャをひとつ」

 

 オタク間で永遠に終わらない論争の一コマ。可能性は無限大……だが例の三姉妹が汚いおっさんに負ける系の薄い本はほぼほぼ無い。本人たちが強すぎるからね、仕方ないね。あと何故かAIに書かせようとしても強すぎるからその展開は有りえませんとか拒否されるともっぱらの噂。

 

 

 

「はぁ~……極楽極楽。夜桜見ながら温泉で月見酒とか贅沢の極みだわ」

 

 エーリカ・フォン・ハルトマンの余生の一コマ。証拠が一切出ないのに物凄いインサイダーっぽい取引で資金を荒稼ぎするとそれをかつての部下達と分かち合ったり奨学金を設立したりライヒに神社を建てたり秋津島に温泉付きの別荘を買ったりと。帝国でやれる事を一通り終えたエーリカは姿を変えのんびりと余生を過ごしたようだ。そしてだからこそ他の国は畏れている。いつ何処でまた、あの三姉妹が現れるか分からないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、かつての伝説よ……我らが前に今一度姿を現せ!」

 

 恐らく世界中で秘密裏に作られるであろう、クローン実験施設。




というわけで、世界各国の様子でありました。当然の如く、世界はハンナとエーリカ並の魔導師を血眼になって求めるようになりそれこそ人口的な交配や後世になると帝国でもクローンが試みられたりと倫理観とかどっかに置いていった様な事が試され続けます。

しかし魔導師って考えれば考えるほどテロで使われると厄介過ぎる代物ですよね……下手すりゃ88mmでも使わないと落ちない装甲を歩兵が持ってるってなんだよ……しかも道具は懐中時計サイズ、燃費も水と食料さえ有れば長時間活動可能と。もう後世で合衆国はずっとずっと罵られ続けることになるでしょう。


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