獅子王アルトリア・ペンドラゴンが行く異世界転移 (アルトリア・ブラック)
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異世界転移する獅子王・アルトリア

オーバーロードの世界にFate/GrandOrderの獅子王・アルトリアのアバターでありプレイヤーであるオリ主が戦友であるモモンガと異世界転移で二人で巻き込まれて行く話です。

初ハーメルン投稿です。ん?と思うところがあると思いますが生暖かい目で見守ってください汗

オリ主は女です。


DMMO-RPG、ユグドラシル

 

ユグドラシルとは西暦2126年日本のメーカーが満を持して発売した、仮想世界内で現実にいるかのように遊べる体感型のゲームだ。

 

かくいう私はこのゲームにハマりのめり込んだ。

 

富裕層の一人として生まれた私は親や従兄弟たちの常に媚びへつらうような表情に嫌気がさしていた。

 

常に上へ尊敬の眼差し、思ってもいないことを口に出しへつらう、下へは侮蔑や差別の眼差し、そんな世界に飽き飽きしていた。

 

だからこそ、ユグドラシルにはハマった。かなりの数のアバターから選べた

 

私は異形種であるものの人間種と見た目は大差ない種族・竜人を選んだ。レベル100まで鍛え上げ、ユグドラシル内で出会った仲間達とギルドを作り楽しかった。

 

そして、極悪ギルドとして名を馳せていた《アインズ・ウール・ゴウン》と幾度となく争い、引き分けで終わり続けた。

 

アインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人であったたっち・みーさんと仲良くなり、交友を持つ事が増えた。

 

アルトリアが仲良くなったのはギルド長であるモモンガさんと仲良くなった。ユグドラシルに給料のほとんどを課金するレベルのプレイヤーで誰よりも熱意が凄かった。

 

「…ユグドラシルも今日が最後か…」

 

アルトリアは一人でギルド《円卓領域・キャメロット城》の玉座にいた。

 

仲間達とこのギルドを作り上げ、仲間達は現実世界を取って去っていた。誰も最終日まで残る者は居なかった。

 

するとチャットが流れてくる。

 

『アルトリアさん、こんにちは、モモンガです。最終日にログインしてたんですね、ボイチャ繋げていいですか?』とモモンガが言ってくる。

 

『はい、大丈夫です。最後ですから話しながら終わりましょう』

 

そう言ってボイチャをつなげる。すると頭にモモンガさんの声が聞こえてくる

 

《こんにちはアルトリアさん、最終日にログインしてたんですね》

 

元気のない声、モモンガさんは確かにユグドラシルに全てを賭けていたプレイヤーだったから終わりが来ると知って良い感情を抱くわけはないだろう。

 

「最終日くらいNPC達の顔を見たくて来ました。このキャメロット城もかなり丹精込めて作ったので」

 

《確かに、キャメロット城は難解な城でしたからね》

 

アルトリアは歩きながら玉座に向かう

 

玉座の周囲にいるNPC達を見る

 

玉座の隣にいるのは【アグラヴェイン】でレベルは自分と同じ100だ。

 

玉座の間に集まっている騎士達を見て微笑む

 

端からガウェイン、ランスロット、モードレッド、トリスタンがいた。

 

ここにはいないNPCもいる。

 

玉座に座り、モモンガと会話をしながら最後の時間まで待っていた。

 

《楽しかったですね…》

 

「そうですね、楽しかった。次があるなら…いや、まだ続けていたかったですね」

 

《……はい》

 

時間を見れば後もう少しで終了する時間だった。

 

「モモンガさん」

 

《はい》

 

「もし、ユグドラシル2なんてものが出たらまた一緒に戦いましょう」

 

《はい、そうしましょう。ありがとうございました》

 

0:00

 

終わる、そう思って目をつぶったのだが一向に終わらない。

 

すると…

 

「陛下、どうなされましたか」

 

「………は?」

 

横にいたアグラヴェインが自主的に声をかけてくる

 

《アルトリアさん…き、聞こえますか?》

 

伝言(メッセージ)が聞こえてくる

 

《これ…終わって、ないですよね、NPCが話しはじめてるんですが…》

 

アグラヴェインに反射的に静かにと言って止めると手を胸に当て『失礼致しました』と言ってくる

 

『確かに動きはじめてます。自分の意思で…あのモモンガさん』

 

《はい…なんですか?》

 

『リアルで見たことがあるんですけど…これって異世界転移…?』

 

二次創作が大好きな従姉がそう話していたのを思い出す。

 

《異世界、転移…?》

 

『ごめんなさい。こっちが落ち着いたらまたメッセージを飛ばします』

 

前を見ると騎士達が尊敬の眼差しでこちらを見ていた。

 

(…どうしよ…)




獅子王・アルトリア・ペンドラゴン
【種族】竜人
レベルは100
【武器】ワールドアイテム《聖槍》

【円卓領域・キャメロット城】
極悪ギルドとしてユグドラシルで名を馳せていた《アインズ・ウール・ゴウン》があるとするならば、キャメロット城は極善ギルド、全員は助けはしないけれど助けを求められれば助けるギルドであり、度々アインズ・ウール・ゴウンと戦闘があった(途中から遊びで救援とか関係なくなって来ていた)


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極善ギルド【キャメロット】

二話目で、今回もモモンガさんが出てきます。オリ主のギルドの騎士達の話です。

ハーメルンで小説読んでて投稿したくなったので登録して書きます。前回言い忘れましたが、オリ主は女です。


「陛下、どうされましたか?」

 

隣にいたアグラヴェインがそう言ってくる

 

「いや…少し混乱していた。すまない」

 

「いえ、我々に出来ることがあればなんなりとお申し付けください」

 

(そうだな…もし、異世界転移したのなら、周りの状況も探らないと)

 

彼らNPCが動き出したというのも驚きだったが、まずは周りの状況を探らねばならない。

 

【キャメロット城】はユグドラシルでは砂漠地帯に位置していたはずだ。それがもし、転移したとなら話は別だ。

 

「ガウェイン、トリスタン、二人はまず周辺を警戒しつつ見に行ってくれ」

 

「「は!」」

 

「モードレッド、お前は急ぎレベル100の守護騎士達を広間に集めてくれ」

 

「了解だ!父上ー!」

 

「ち、父上?!」

 

モードレッドは確かに自分が作ったNPCの一人であるが、親子設定はしてなかったはず…

 

(あ!!したわ!!アルトリア・ペンドラゴンの息子として…!)

 

リアルでは一人っ子だったので弟として付けようとしたのだが、仲間の一人に『いや、弟よりも息子の方が萌える!!』とか無茶苦茶な設定を付けたはずだった。

 

モードレッドが離れて行ったのを見送り、立ち上がる

 

「アグラヴェイン、一緒に来てくれるか」

 

「はい、無論でございます」

 

慣れない、この崇めっぷり

 

「どうやら、アインズ・ウール・ゴウンのギルド長もこの世界に転移して来たようだ。先程から連絡が来る」

 

「!!あの極悪ギルドの…!」

 

「?ど、どうした?アグラヴェイン」

 

アグラヴェインの表情が苛立ちに似たような、そんな怒りの表情に変わる。

 

「かつてこのキャメロットに居られた御方々と幾度となく争った異形種ギルドがあるのですか、あのような極悪ギルドとまた戦うことになるとは…!」

 

「とりあえず落ち着いてくれ、アグラヴェイン」

 

「!!失礼致しました。見苦しいところをお見せし、申し訳ありません」

 

そう言って膝をつくアグラヴェイン

 

(まさか、そんなにあのギルドを嫌っていたとは…)

 

悩んでいると…

 

『失礼致します。王よ、ガウェインでございます』

 

《伝言》が直接頭に流れて来る。

 

(この感覚慣れないなぁ…)

 

『周辺には草原が広がっておりました。遠くの方に小さな村が見えます』

 

「…小さな村、草原…砂漠地帯ではないのか?」

 

『はい、見渡す限り草原です』

 

「そうか、周囲に敵の影はあるか?」

 

『今のところありません』

 

「分かった広間に戻ってきてくれ」

 

『はっ』

 

キャメロット城があったのは砂漠地帯だったはずだ、それが草原となっている、そう考えれば転移したと考えて間違いないだろう。

 

 

数日後…

 

情報を整理し終わった後、伝言で戦友の元に繋げる

 

『モモンガさん、今よろしいですか』

 

伝言でそう言うとあちらもひと段落したのか

 

《はい、アルトリアさん聞こえてます。こっちは草原地帯みたいです》

 

『私の方も草原地帯のようです。それと近くに村がある』

 

《村…それって、カルネ村の可能性が高いです》

 

『カルネ村?』

 

《はい、草原の近くにあった村で転移してきた日に襲われていたので助けに行った村です》

 

対処が早いなぁと思いつつ、今後の課題を話し合おうとしたのだが…

 

(…むやみやたらに会うのは良くないか…?アグラヴェインの反感を見るにアインズ・ウール・ゴウンにNPCは良いイメージを抱いていないようだし…)

 

『わかりました。その村への調査はいずれします。こっちが落ち着きましたらまた連絡します』

 

《はい》

 

そう言って伝言が切れる。

 

確かに、同じ時間軸に戦友であるモモンガが転移して来たのは良かった。

 

不安を打ち明ける友がいるのは有り難い

 

しかし、彼らアインズ・ウール・ゴウンがこのギルドにとって良い存在になり得るかといえば疑問だ。

 

この【キャメロット】とアインズ・ウール・ゴウンは敵対関係にあった。

 

後半こそお互い交友関係はあった。

 

でも最初の方こそ、争いは絶えなかった。

 

NPCであるアグラヴェインやベディヴィエールは何度か彼らに殺されている。

 

幸いにもアグラヴェインのレベルは100まで戻せたが、ベティヴィエールのレベルは90台だ。

 

広間に着くとそこにいたのは守護騎士たちとレベル100の領階守護者を集めていたモードレッドがいた。

 

私が来たのが分かったのか、騎士達は膝をつき臣下の礼をする。

 

「至高の方であられる我らが王・獅子王陛下の招集に馳せ参じました。守護騎士並び領階守護達にございます」

 

そう言ってガウェインが挨拶する。

 

アグラヴェインが横から下に行き、ガウェインの隣に膝をつく

 

「我ら円卓の騎士、今後とも獅子王陛下に忠義を尽くす次第にございます。なんなりと御命令を」

 

(うわぁ、ガチな忠誠…まじだ…)

 

息を整え、深呼吸をし

 

「良い、今後ともよろしく頼む」

 

そう笑顔を見せながら言うと彼らは惚れ惚れしたようなそんな表情を浮かべる

 

(……この時はマジで富裕層でよかったなぁ…)

 

リアルでの教育に感謝しつつ全員を見渡す

 

「さすがは、我が王、こんな下々な者達にそのような配慮までされるとは惚れ惚れ致しますわ」

 

声を発したのは《モルガン》でこのギルドでは珍しくカルマ値は邪悪な分類だ

 

魔法詠唱者(マジックキャスター)でレベルは100だ領階守護者で、キャメロットの第1階域を護っている。

 

「モルガン、貴公にも期待している」

 

そう言うと「はい、我が王」と言う

 

「皆の者に話すことがある。玉座にて再び会議をする。守護騎士は持ち場に戻り、領階守護者達は玉座に来てくれ」

 

「「「は!!」」」

 

玉座の間に転移し、玉座に座り頭を抱え

 

「……疲れた」

 

これからどうなるかは分からない。

 

アインズ・ウール・ゴウンとの距離の取り方、この世界をどう探索するか考える必要がある。

 

「……酷いことにならなければ良いんだがな…」

 




【領階守護者】
ナザリックでいう「階層守護者」と同じもの
基本的なレベルは100。
ガウェイン、ランスロット、モードレッド、トリスタン、モルガンが今のところ領階守護者

【カルマ値】
基本的に極善のNPCが多いが、モルガンは邪悪、アグラヴェインは善〜中立。アルトリアは例外
今後も少しずつキャラが増えるので随時追加あり


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カルネ村にて再会

今回はアインズ様ことモモンガ様とアルトリアがカルネ村で再会する話です。

極善ギルドと極悪ギルドの今後の展開が良い展開に転がるか悪い展開に転がるか楽しみにしていてください。


玉座の間にて待っていると…

 

「お待たせ致しました。我が王!申し訳ありません」

 

そう言ってランスロットが走って来る

 

「良い、呼び出したのは私だからな」

 

ランスロットは【剣士】のNPCだ。元々このギルドには近接戦や広範囲の攻撃を得意とするNPCが多い

 

まぁ、かくいう私も広範囲の攻撃も近接戦の攻撃も出来るのだが

 

面々が玉座に集まっていくと、全員が跪き

 

「キャメロット第1領階守護者、モルガン参りました」

 

「キャメロット第二領階守護者、ガウェイン御身の前に」

 

「キャメロット第三領階守護者、ランスロット、御身の前に」

 

「キャメロット第四領階守護者、モードレッド参りました!!」

 

場違いなような大声にアグラヴェインが睨んだ気がしたが気にしないふりをする。

 

「キャメロット第五領階守護者、トリスタン御身の前に馳せ参じました」

 

「玉座の間守護者統括アグラヴェイン、我が王の帰還心よりお待ちしておりました」

 

「各領階に異変はなかったか?」

 

「はい、どこも正常に動いておりました」

 

「そうか、礼を言う」

 

(切り出すのが怖いな…でも、切り出さないと始まらないな)

 

「皆の者に話すことがある。これから言うことに不満がある者は遠慮なく申してくれ」

 

極悪ギルドとして名を馳せていたアインズ・ウール・ゴウンと共闘関係を結びたいとそう思っていた。

 

理由はこの転移した先で情報交換が出来るからだ

 

それに、戦友を裏切るような真似はしたくないからだ

 

「この世界にアインズ・ウール・ゴウンのギルド長がギルドごと同じ時間に転移してきた。そのことは皆も知っているだろう、そのアインズ・ウール・ゴウンと共闘関係を結びたい」

 

「「「!!!」」」

 

(あー!!やっぱり嫌な顔をするよねー!!分かってだけども!)

 

「我が王、意見を述べてもよろしいでしょうか?」

 

ガウェインが挙手して来る

 

「なんだ?」

 

「あの極悪…失礼致しました。あのアインズ・ウール・ゴウンとの共闘関係を結ぶメリットがあるとは到底思えないのですが、なぜ、共闘関係を結ぶのでしょうか?」

 

ガウェインは殺気は無いものの、明らかに良いイメージを持っていないのは確かだ。

 

「この世界に転移して来てあちらは早速、この世界の情報をある程度理解したようだ、その情報交換をこちらとしても共有したい」

 

「この世界の情報なら、アサシン達を持ってすれば…」

 

地下階層に存在している高レベルのアサシンNPCの存在を言って来る

 

「確かに彼らを使えば調査は容易いと思うが、私はできる限り貴公達を危険に晒したくない」

 

「!!」

 

「無論、そなた達は強いのはわかっている。だからこそ、警戒しているのだ、友が残した子を、私が作った命を犠牲にしたくない」

 

未知の世界であるがゆえにむやみやたらにNPCを出したくないし…それに、アインズ・ウール・ゴウンの存在があればこちらのNPCがあちらのNPCに殺される可能性だって万が一にもあるのだ。

 

「王…!我らを思ってくださる方に不敬の念を抱いた私を断罪してください!!」

 

「ちょっと待て!ガウェイン!」

 

私の行動に疑念が生じたらしく、ガウェインはそんな疑念を抱いた自分を断罪しようとワールドアイテムの一つである【ガラティーン】で腹を斬ろうとした。

 

西洋風に設定したはずなのになんで首じゃないんだとか思ったが、大慌てで止めるとランスロットが羽交い締めにしてくれた。

 

「それに、共闘関係を結べば、あちらが間違った行動をした場合は止めやすいだろう?」

 

「確かに、あちらがむやみな虐殺をしようとすれば止められますな」

 

アグラヴェインの言葉に頷く

 

「先程、あちらと話が繋がりここから少し離れたカルネ村という所で話し合いを取り付けることが出来た」

 

「!王自ら行かれるのですか?」

 

「無論だ、この城の守護はアグラヴェイン、ランスロット、トリスタンに任せたい。私が帰るまで護っていてくれるか?」

 

「「!命に代えてもお守り致します!!」」

 

「ガウェイン、モードレッド、モルガン、貴公らは私に着いてきてくれ」

 

「「「は!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

カルネ村に行くために馬に乗って向かうことにしたのだが、向かう前にこの城周辺に第10位階魔法《絶対障壁》でキャメロット城を護ることにした。

 

(帰る場所がないのは悲しいし)

 

「聖槍抜錨、我が城を、我が子達を護りたまえ」

 

そう言い、聖槍を突き刺すと周囲に結界が張られていく

 

(これなら第10位階魔法じゃなければ障壁を破壊することは出来ないだろうし、悪魔種達は無論弾き出せる)

 

すると…

 

「ハァァ…//この至高なる力、この目で見られるとは幸せにございます」

 

後ろにいたモルガンが惚れ惚れしたような表情を見せる。

 

「我が創造主、アルトリア・ペンドラゴン様は魔法詠唱者でもないのにこのような高位魔法を使えるなど、悶える程の素晴らしさでございます。ハァァ///」

 

「不敬だぞ、モルガン」

 

アグラヴェインの怒りの声にモルガンは『仕方ないじゃないですか、アグラヴェイン、私はこの目で見るために生まれてきたのですから』と話す

 

途中から『その御力に身が焼かれるのならこれ以上のない喜びにございます』と途中からドM思考に入り出してるのを見てため息をつく

 

(…確かに、魔女らしく設定したけども、こんな変態にまで設定してなかったはずなんだけどなぁ…)

 

「ゴホンっ!」

 

「!申し訳ありません。陛下」

 

「失礼致しました。獅子王様」

 

「アグラヴェイン、留守を任せた、モルガン、行くぞ」

 

「はい、かしこまりました陛下」

 

馬に跨り走る、目指すはカルネ村

 

『モモンガさん、もうすぐでカルネ村に着きます』

 

《分かりました。準備しておきます》

 

カルネ村に着くと巨大な門がそこにあった。

 

「我が王!お下がりください!」

 

ガウェインが自分から前に行くと村人達が明らかに怯えた表情をする。

 

「ガウェイン。怯えさせるな」

 

「!は、申し訳ありません」

 

ガウェインを下がらせ、代わりに馬から降りて門に向かって歩いて行く、すると門の中から『ゴウン殿?!』と声が聞こえてくる

 

「門を開けよ」

 

低い声が聞こえてくるが、確かにこの声はモモンガさんの声だった。

 

《すみません。アルトリアさん、魔王ロールで行きます》

 

伝言でそう言って来る

 

(大変だなぁ…向こうも)

 

門が開き、中から出てきたのは確かにモモンガさんだった。

 

(魔王オーラぱねぇ)

 

モモンガさんの左右にいるのは、確か、アインズ・ウール・ゴウンでは守護者統括のアルベドと悪魔種のデミウルゴスだ。

 

二人の表情を見て苦笑いが溢れそうになる。

 

明らかに殺意が半端ない。それに、警戒心が凄まじい

 

「モモンガ、貴公もこの世界に来ていたとは、友と同じ時間で良かった」

 

「ははは、私も嬉しい、我が戦友・アルトリア」

 

そう言って握手をする。

 

「少し中で話さないか」

 

「私は別に構わないが、私の騎士達も良いか?」

 

「あぁ、構わん」

 

そう言って後方にいるガウェインとモードレッドを見る

 

モルガンはお辞儀をして粛清の騎士たちの前にいく

 

モードレッドとガウェインが横に着いて来る

 

モモンガさんは上機嫌だが、横の二人は警戒を辞めない。

 

(…これは明らかにダメだな…)

 

出来るなら共闘して行きたかったが、デミウルゴスとアルベドの表情を見るにこちらに害意を向けて来る可能性が高い。

 

ガウェインとモードレッドも警戒は怠らない。

 

それからテーブルと椅子のところに通され、そこで村長から教えてもらったらしい地図でいろいろ教えてもらう。

 

(王国に帝国…聖王国に評議国、法国が位置している…)

 

キャメロットがあるのはエ・ランテルからかなり離れた地点にあり、ナザリックからも割と離れた地点に位置しているのが分かった。

 

(大きな山があって、上手い具合にキャメロット城が評議国側から見えないようになっていたな…)

 

かなりモモンガさんは教えてくれたが、教えれば教えるほどデミウルゴスの眉にシワがよるのが分かる。

 

「ありがとうモモンガ、これだけ情報をくれればありがたい」

 

そうにこやかに言うとモモンガさんの表情は変わらないが安心したような、そんな雰囲気がする。

 

「モモンガ、一つ質問があるんだが良いか?」

 

「?なんだ?」

 

「人間の事をどう思っている?」

 

元は人間だったのだ、何かしら思っているからこそこの村を助けたのだろう

 

「特に何も感じなくなっている。私にとって大事なのは、アインズ・ウール・ゴウンの仲間達が残した子達だ。アルトリアは違うのか?」

 

「いや、私も無論、友の残した子供達は大事だ」

 

そう言って立ち上がる

 

動くたびにアルベドが警戒心を露わにして身構える。身構えるたびにガウェインが睨みを効かせる。

 

悪循環だ

 

「モモンガ、良い話をしてくれてありがとう。私の方も何か分かればお知らせしよう」

 

「うむ、礼を言う」

 

「達者でやってくれ」

 

そう言って立ち上がり背を向けて歩き出す、鎧がガシャンガシャン音を立てて門に向かう

 

少しだけ振り向きデミウルゴスを見る

 

門を出て、馬に跨りキャメロットに向けて戻る




獅子王・アルトリア・ペンドラゴン
【主武器】聖槍・ロンゴミニアド
【準武器】聖剣・エクスカリバー
アルトリアが持っているものは基本的にワールドアイテム。魔法詠唱者ではないものの、第10位階魔法を少し所得している(運営に無理矢理通したら受諾された)
【創作NPC】モードレッド、モルガン、アグラヴェイン

ガウェイン
【主武器】ワールドアイテム・ガラティーン
【カルマ値】極善
【レベル】100
【種族】竜人
【クラス】騎士

モルガン
【主武器】無し
【取得魔法】第九位階魔法
【カルマ値】邪悪
【種族】悪魔
【クラス】魔法詠唱者
【レベル】100

粛清の騎士
レベル50以上の騎士たち。基本的にキャメロット城を護る騎士達だが、アルトリアの命令によって出撃する。


次回はアインズ様目線の話です


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アインズ・ウール・ゴウン

今回はアインズ様の目線です。

ちょっと短いかも、カルネ村襲撃の後に守護者達を玉座の間にてアインズ様がオリ主のギルドについて今後共闘していくと伝える所から始まります。



カルネ村を襲ったニグン達との戦いを終え、モモンガはナザリック地下大墳墓に戻って来る

 

玉座の間にて、守護者達が報告を始める

 

「ご報告させて頂きます。捕獲したスレイン法国の指揮官は氷結牢獄に送り込んでおります。情報収集は特別情報収集官に任せました」

 

デミウルゴスの言葉に頷き

 

「ニューロニストであれば問題ないだろう。死体は私が実験に使う予定だというのは伝えてあるか?」

 

「承知しております」

 

「今後、私の名はモモンガではなく《アインズ・ウール・ゴウン》と名乗ることにする!」

 

この世界に来ているであろう仲間達にその名が届くように

 

(あ、そういえばみんなに、アルトリアさん達がいる事を伝えないと…)

 

アルトリアさんが所属しているギルドはユグドラシルでは【善ギルド】として名を馳せていた。

 

悪質なPKや一部種族からの救援に答えて救援にいく、そんなギルドだった。

 

アインズ・ウール・ゴウンが【社会人プレイヤー】であるのを条件にしているギルドだとするなら、円卓領域・キャメロットは【一定の課金額以上】のと【多種族OK】という条件のギルドだった。

 

いつぞやユグドラシルのネット掲示板では『アインズ・ウール・ゴウンが極悪ギルドなら、キャメロットは極善ギルド』と言われるような感じになった。

 

「みなに話すべき事がある」

 

そう言うと守護者達は顔を上げる

 

「この世界に転移してきたギルドは私達だけではなく、我が戦友・アルトリアのギルドである【円卓領域・キャメロット】が転移してきた」

 

その言葉を言ってすぐ守護者達の雰囲気が変わる

 

(え?)

 

「アインズ様!あのギルドがこの世界に転移していたというのですか?!」

 

デミウルゴスが珍しく殺意を露わにする。

 

「アインズ様!あのギルドがあるのならば態勢を立て直し全軍で攻めましょう!」

 

アルベドの言葉に思わず『待て待て!!』と言う

 

(確かにあのギルドと幾度となく争ったけど…!あれは遊びで…!)

 

「確かにあのギルドは昔から幾度となく戦闘を行ってきたが、ギルド長とは交友関係を結んでいる。あちらから害意を向けて来る事などない」

 

モモンガの言葉にデミウルゴスは何か感じたのか「なるほど!」と言う。

 

え?何が理解出来たの?とか思いつつ、話に乗っかりいろいろこじつけた。

 

冒険者としてエ・ランテルで活動する事を決めている。

 

伝言ではあちらも情報収集に勤しんでいるらしい。

 

なんとか守護者達を納得させ、向こうも落ち着いたのかカルネ村で合流して話すことになった。

 

カルネ村の村長に友人が来るという名目で伝え、テーブルと椅子を用意して待つ事にした。

 

すると、遠くから複数の高レベルの人物達がやって来る気配がする。

 

「アインズ様」

 

アルベドが咄嗟に戦闘モードに切り替える。

 

「我が王!!お下がりください!」

 

大きな男の声が聞こえてくる

 

村人達が怯え反射で槍等を構える。

 

「ガウェイン、村人を怯えさせるな」

 

静かな声、確かにアルトリアさんだ

 

(凄いなぁ…慣れてる…)

 

念の為に伝言をつなげて見れば門の前にきたと言っていた。

 

『すみません。アルトリアさん、魔王ロールで行きます』

 

そう言うと《はい、分かりました。大変ですね、モモンガさん》と返してくる。

 

ギィィと門が開き、門の外から中に入ってくる人物を見る

 

ガシャンガシャンという鎧の音が響き渡る

 

黄色みがかなり強い緑の瞳に白一色で統一された鎧、まさに王と言った感じで内心『あれが理想の王様って感じだよなぁ』と思っていると…

 

「モモンガ、貴公もこの世界に来ていたとは、友と同じ時間で良かった」

 

王らしい口調だが、完全に無機質というわけでない声だった。

 

「………」

 

後ろにいるアルベドから殺気が漏れて来ると同時に彼女が連れている騎士の一人から同等の殺気が漏れて来る

 

《ガウェイン》

騎士のNPCでかなりの火力と耐久力を待っている。レベルは100であのたっち・みーさんも『あのキャメロット城のゴリラ強すぎる』と言うくらいの耐久力を誇る。

 

《モードレッド》

広範囲攻撃を得意とした騎士のNPC。レベルは100で魔法詠唱者の放つ魔法を高確率で防ぐNPCだ。ウルベルトさんもよく『何あのゲーム法則無視したNPC』とか言ってたなぁ

 

(確か、いつもキャメロット城攻略ではこの二人にやられてたんだっけ、その度にふてくされながら帰って来るウルベルトさんとたっちさんがいたなぁ…)

 

それからこちらの知り得た情報を教え、あちらからも転移した時の情報もいろいろ共有できた。

 

(こっちからも今後交渉しやすくするためにデミウルゴスを使いに…)

 

それを提案しようとしたが

 

「モモンガ、良い話をしてくれてありがとう。私の方も何か分かればお知らせしよう」

 

「うむ、礼を言う」

 

「達者でやってくれ」

 

そう言って立ち上がり背を向けて歩き出す、鎧がガシャンガシャン音を立てて門に向かう

 

その背中を見送っていたのだが、終始、向こうのNPCであるガウェインが睨むような視線でこちらを見ていた。

 

(……今後上手くやって行けるかな…)




アインズ様目線の話が意外と書きにくい…

次はオリ主達が原作のメンツと遭遇します


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獅子王、青の薔薇と出会う

タイトルにあるように青薔薇のメンバーと遭遇するアルトリア一行。

最初は青薔薇目線、後半はアルトリアの目線です。

今更になって題名の『ソロプレイヤー』に???と疑問を持つようになってしまった。変更できない…

ここら辺から原作と流れが変わりますので悪しからず


王国と帝国の境の草原に巨大な城が突如現れたという話は王国でも話題になった。

 

王国のアダマンタイト級冒険者である青の薔薇が調査に向かうことになった。

 

「…どう考えても、これは遺跡って感じじゃないわね」

 

ラキュースは城全体を護る高位の結界に息を呑む

 

「明らかに歓迎されてねぇ感じだなぁ、おい?イビルアイ?」

 

ガガーランは近くで震えているイビルアイ

 

「怖い、魔神の再来…いや、それ以上の再来だ…ぷれいやー?百年の揺り返しが今来たのか…?リグリットに話を聞かなければ…」

 

「イビルアイ!!?大丈夫なの?!」

 

ラキュースの大声にイビルアイは辺りを不安そうに見回していた。

 

「おい、ラキュース、遠くから馬の気配がするぜ」

 

ガガーランが警戒したように武器を構える

 

すると、イビルアイが震え、崩れ落ちる

 

「イビルアイ?!」

 

「なんだ、この者達は」

 

静かな女性の声、多く感じた馬の音が鳴り止む

 

白一色の鎧に身を包んだ騎士がそこにいた。

 

「我が王、お下がりを、この者たちを即刻断罪致します」

 

騎士の男が剣を構えてやって来る

 

(…怖い…顔を見れない…!明らかにこれはぷれいやーだ、勝てっこない…!)

 

強者の風格、レベルの明らかな相違

 

「…剣を下ろせ、ガウェイン卿」

 

「!しかし…!」

 

「この者達から敵意は感じない。敵意ではなく恐怖だ」

 

そう言って女性は、ぷれいやーは馬から降りてこちらに歩いて来る

 

「怯えさせてすまなかった。私はこの城の王、アルトリア・ペンドラゴンだ。ガウェインが失礼した」

 

「王…」

 

ガウェインと呼ばれた騎士は警戒をとかないが、王と名乗ったぷれいやーはラキュースを見て

 

「単刀直入に言う、私はこの世界に来てからまだ日が経っていない。何もわからない状態で来た。貴公らが良ければこの世界についての話を聞かせてほしい」

 

ラキュースは冷静な声に息を飲み、深呼吸をし

 

「失礼致しました。私は、アダマンタイト級冒険者・青の薔薇のリーダー・ラキュースと申します。貴女は一体…この城の王だと聞きましたが…ぷれいやーなのでしょうか?」

 

イビルアイから以前聞いた十三英雄の話の中にぷれいやーなる存在がいると聞いた。

 

おとぎ話で聞いた八欲王や法国の基礎を作り上げた神に等しい、六大神が異世界から来たぷれいやーという話があった。

 

「プレイヤーかと言われたらそうなのかもしれないな、気がついたらここにいた、それだけだ」

 

この王は明らかに神に近しい何かを感じた。

 

「モードレッド、急ぎ城に入り客人をもてなす準備をしてくれ」

 

「!?だけど…!」

 

「モードレッド」

 

「!!」

 

静かな声にモードレッドと呼ばれた女性は警戒しつつも王の命令に従ったのか、王に頭を下げ城の中に走って入っていく

 

「…いいのかよ、敵か味方かも分からない奴らを招き入れるなんて」

 

ガガーランの言葉にぷれいやーは首を傾げ

 

「悪意はない。それに、ここに用があったのなら良いだろう」

 

そう言って門が開かれ、その中に入っていく

 

 

 

 

 

 

カルネ村から帰還した時、門前にいたのは明らかに冒険者と言われる者達だった。

 

(モモンガさんから聞いた冒険者の中でこの世界で一番強い冒険者たちのことをアダマンタイト級冒険者って言ってたな…)

 

そこで、城内に案内する事を提案すればガウェインたちの警戒ぶりはすごい

 

(確かに、ここで招き入れるのは危険行為だが、この冒険者たちのレベルは高くてレベル30以上…)

 

高レベルのNPC達で囲ってしまえばこの人達はひとたまりもない。それに、王国とのパイプを持てれば今後の動きも幅が広がる

 

かつて親が言っていた。どんなに嫌でも人脈を築けば上手く行くと

 

城に招き入れあちらの警戒心を薄めようにも警戒心はなかなか崩れない。

 

青の薔薇のリーダー・ラキュース曰くこの城にいずれ王国の軍勢の一部が探索に来るという話を聞き、ふむと考える

 

「王国の兵にわざわざ来てもらう必要はない。私自ら王国に行こう」

 

そう取り付け、明日王国に向かうことになった。

 

 

 

 

「ふう、疲れた…」

 

ラキュースたち青の薔薇が帰還したのを見送り、アルトリアはキャメロットの地下にある温泉に入っていた。

 

「………」

 

鏡に映る自分の美貌と胸の大きさにため息をつく

 

リアルの自分はこんなに胸がなかったし、こんな金髪美女ではなかった。

 

「綺麗なアバターにしていて良かった…」

 

身体を流し、温泉に入る

 

すると…

 

『お休みの時に失礼致します。アグラヴェインです』

 

アグラヴェインの声が聞こえてくる

 

「どうした?アグラヴェイン」

 

『はい、今度の王都への件についてお聞きしたいことがございました』

 

「なんだ?」

 

『なぜ、王自ら王国に?』

 

「私はこのキャメロットが脅かされず、あり続ける事が出来るならそれでいい、お前は嫌かもしれないが、私は臆病になっているのかもしれないな、アインズ・ウール・ゴウンがいる以上、お前たちを一人たりとも失いたくないと」

 

『陛下…!』

 

アグラヴェイが感きわまる声が聞こえてくる

 

『王都への訪問の際には我がキャメロットの威光を知らしめる為に全力を尽くします!』

 

そう言ってアグラヴェインとの伝言が止まる

 

「………大丈夫かな」




対して進んでない…

書きたいところが上手く描けないつらい、感想等ありがとうございます。

次回はアルトリア達が王都に向かう話です。



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獅子王、王都へ行く

早速いろいろ間違いを指摘して頂きました。

まず、NPCは死んでもレベルダウンしない!!コメントで教えてくださった方々ありがとうございます!

これからもいろいろ間違ってるかもしれませんが、その度に編集し直し、頑張っていきます。オーバーロードもfgoも大好き

そして、獅子王一行はナメているであろう王国に向かうべくフル装備で向かう事に!


リ・エスティーゼ王国内では草原地帯に突如として出現した謎の巨大都市に冒険者達を派遣し調査を実施したのだが…

 

『あの城の王と話が着いた。明日、あの王自ら全軍を率いて王国に顔を出すと言っていました』

 

そういうラキュースの顔は実に覇気がなく、人の前にあまり出てこないと言われている青の薔薇のメンバーの一人であるイビルアイが王の前に出て来て『死にたくなければ、生きていたいのなら、あちらの要件を飲むように』と伝えていた。

 

(…貴族の方々は馬鹿らしいと言われていたが、あの青薔薇のイビルアイ殿が怯えるほどの強者…王は最大限のもてなしで迎えると言っていたが…)

 

ガセフは王宮の廊下を歩きながら考え込んでいた。

 

カルネ村にてアインズ・ウール・ゴウン殿に出会ってから世界の見方が変わりつつあった。

 

アインズ・ウール・ゴウン以上の強者かそれ以下なのかは分からないが、警戒しておくに越したことはないだろうと覚悟していた。

 

すると…

 

(…なんだ?)

 

外から人々の声が聞こえてくる

 

驚愕や恐れの中に歓喜の混じった声が聞こえてくる。

 

(…!なんだあれは?!)

 

外にいたのは無数の騎士達。旗を掲げ進軍するそれはまさに何処か王国の一軍のように見えた。

 

「戦士長殿!キャメロット軍が来たようです」

 

「!分かった。私は王の元に行く、お前達は万が一の事を考え準備をするんだ」

 

「は!!」

 

全て白銀で統一され、武具は魔法の武具で統一されていた。

 

"神話の軍隊"

 

(あの軍隊で暴れられたら王国はひとたまりもない!)

 

ガセフは王の元に走る

 

 

 

 

 

 

 

(すっごい恥ずかしい、めっちゃ恥ずかしい…)

 

なんとかポーカフェイスを保ちつつ王国内を進軍する。

 

(…アグラヴェイン…凄い積極的だったなぁ…)

 

出立する前にアグラヴェインが鎧を急遽、魔法の鎧で固め、本来は付けていない白銀のマントに頭に金の王冠を勧めて来た。

 

百歩譲って白銀のマントは良いとしても王冠なんて恥ずかしすぎる

 

「か、かっこいい」

「美人…!」

「何処かの国の女王様なのかしら?」

「別嬪だ」

 

など市民達から羨望やら未知なものへの恐怖といった様々な感情が流れてくる

 

アルトリアは王国内の騎士に案内され、王がいるであろう場所に向かう

 

歩きながら装飾等を観察する

 

(…財力はそこそこだが、煌びやかさが足りない。それに…ここはあまり良い空気ではないな…)

 

ここにいるとリアルでの光景を思い出す。

 

両親に連れられ富裕層のパーティーに参加したときのことを、煌びやかな装飾で身を固めるが、人々からは自分の家が素晴らしいだの財力だの血筋だの目に見えないものばかりを自慢し、権力を振りかざす

 

そこに人間としての温かみも何も感じなかった。

 

そんな気配が漂っていた。

 

ギィィと扉が開き、中に入ると…

 

「遠方からの来訪、感謝申し上げる、アルトリア・ペンドラゴン殿、貴公のことは青の薔薇から聞いていた。私の名はランポッサ三世だ」

 

(随分、歳の行った王様だな…まぁ、王らしい風格で良いな)

 

玉座に座るランポッサ三世は長テーブルの反対側を指し示す

 

アグラヴェインが椅子を引いてくれ、そこに座る

 

「私の方も青の薔薇から貴公の話は聞いていた」

 

話をしながら周囲を見る

 

王の左右にいるのは恐らくは王子である二人だろう、そして、王の斜め後ろにいるのはモモンガさんから聞いた【戦士長・ガセフ】だろう。

 

話の途中で二人の自己紹介が入る

 

長男・バルブロ王子と次男・ザナック王子が挨拶してくる

 

(…うん、挨拶の仕方からして分かるなどっちが優秀なのか…)

 

まず、長男の方は少し睨みを利かせればソワソワと動き落ち着きがない。次男の方は睨みを利かせれば少しだけ怯むもののこちらを見てくる意志の強さを感じる。

 

挨拶から人となりが分かるとはまさにこの事だ。

 

観察しながら今後の話を切り出そうとするもと…

 

「ッチ!さっきからテメェ、何処みてやがる」

 

モードレットが突然ガチギレする。

 

モードレッドがバルブロ王子に向かって怒鳴る。怒鳴られたバルブロはモードレッドの殺気に気づいているのかいないのか分からないが『なっ!王の前で怒鳴るなど礼儀がなっていないぞ!』とか言い出す。何してんの?この二人

 

「モードレッド」

 

そう言うといつもなら黙るのだが、珍しく止まらず

 

「さっきからオレ達の王にいやらしい目で見やがって!」

 

モードレッドがガチギレする理由を聞いて「ああなるほど」と思った

 

先程からバルブロ王子は私を品定めするような目で見ていたらしい。明らかに下心があったのだろう。

 

モードレッドがヒートアップする前に止めないと話にならないと思い

 

モードレッド、静まれ

 

声のトーンをやや下げ、割とガチめにするとモードレッドはビクつき顔色がみるみる内に悪くなって行く

 

「も、申し訳ありません」

 

「部下がすまなかった。申し訳ない、頭に血が上りやすい性格でな」

 

「こちらもすまなかった」

 

王は謝るが息子を退出させるのかと思えばそうでなかった。

 

「さきの話だが、王国に従わなくても構わない、だが、同盟を結んでくれないか?」

 

「…ほう」

 

普通なら従属を要求してくるかと思ったが、従属ではなく同盟と来た所は割と良い展開だ。

 

「同盟を結んで共闘か、私としてみれば少しでも干渉して来る国を減らせるのはありがたいし、この国とは友好を深めたい。だが、どうも貴公らは私を舐め腐っているようだな」

 

「そのようなことは…」

 

「下心を隠しているつもりなのか?それで」

 

後ろの貴族達を煽れば煽るほどイラついて見て来るのが分かる。

 

バルブロ王子が怒り『大口を叩くだけの実力はあるのだろうな!?』とキレる。

 

(…なんで言うかなぁ、穏やかな方のランスロットまで怒り始めてるじゃん)

 

ガウェイン達の殺気があふれんばかりに膨れ上がろうとしたのを見て立ち上がり、窓の方に向けて歩き出す。

 

ランポッサ三世はジッとこちらを見て来る

 

大きな山があるのを確認し、人が誰もいないことを魔眼で確認し

 

「モルガン、万が一に備えてくれ」

 

「はい、かしこまりました、我が王」

 

聖槍を使うまでもない、彼らには少しだけ怖い目に遭ってもらおう

 

「我が聖槍・ロンゴミニアド、我が力の一部を展開する」

 

手に現れた光の玉がみるみる内に膨らんで行き、一定以上の大きさになった後、小さな槍の形になる

 

「我が聖槍、破壊せよ!」

 

槍が物凄い勢いで飛んで行き山にぶつかり、数秒後…

 

「なっ!?」

 

誰の声かは分からない驚愕の声が聞こえてくる

 

山が吹き飛びキノコ雲が発生する。

 

「お見事です。王よ」

 

「すげぇ!!さすが父上だぜ!!」

 

「息を吐いただけであの威力…惚れ惚れいたします」

 

「周りに被害が及ばぬよう"最小限"の威力で力をお見せするとは、慈悲深き王よ」

 

「最小っ!?」

 

今まで黙って見ていたザナック王子が初めて声を荒げる。

 

出していた手を下げ、席に向かって歩き出す

 

「安心してくれ、威力は最小限に控えた、あの山に人の影はなかったから被害は出ていないだろう」

 

顔を上げて見てみるとガセフは睨むようなそんな目に変わっており、バルブロに関しては完全に怯えている。

 

唯一顔色が変わっていないザナックはさすがといったところか、ランポッサ三世だけは何か探るようなそんな目で見ていた。

 

「話はこれくらいにしておこう。そろそろ城に戻ろう、また何かあれば連絡する。今後も良くやっていこう」

 

そう言って退出する。

 

(…この王国も、放っておけば勝手に滅びるだろうな…)

 

内政のことは事細かには知らない。だが、あの様子からしてみて大体わかった。

 

『静謐、聞こえるか?』

 

伝言でキャメロットにいるNPCを呼ぶ

 

《はい、聴こえております。アルトリア様》

 

静謐

アンデット系のNPCであり、レベルは95でアサシン軍団の副リーダーを勤めている。

 

『王国に二、三アサシンを調査に向かわせてくれ基本50レベル以上のアサシンを頼む』

 

《かしこまりましたアルトリア様》

 

そう言って伝言を切る。




【アサシン軍団】
リーダー:???
副リーダー:静謐(せいひつ)
最高レベル100、最も低いレベル30


次回はツアーあるいはほのぼの回でございます


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キャメロットでの日常

ほのぼの回というか、今回はガウェイン達目線の話でございます。

今回も新キャラ出てきますので悪しからず


【円卓領域・キャメロット】がユグドラシルから異世界に転移してから数ヶ月が経過した。

 

キャメロット城内は慌ただしく動き始める。

 

メイド達はこのキャメロットに最後の最後まで残ってくださった慈悲深き王であり、至高の王であるアルトリア・ペンドラゴンに全ての忠義を尽くすべく動き回っていた。

 

「王の目覚めの時間まであと二時間です!王の目に触れる所は綺麗に!目覚めの時間までに全てを用意して王に忠義を尽くしなさい!王は一つ二つのミスは許してくださったとしても!小さなミスの積み重ねが取り返しのつかないことになり得るのですから!!」

 

ガウェインの声にモードレッドは「やかましくね?」と言うと

 

「ガウェイン卿は最後まで残ってくださった王が我々に失望し、去ってしまわれるのが一番怖いのでしょう」

 

「トリ野郎」

 

「トリスタンです。貴女は創造主に捨てられたことがないから分からないのでしょうが、去って行く創造主の後ろ姿をただ見ることしか出来なかった私にはガウェイン卿の気持ちは痛い程分かります」

 

「…そうか、創造主のこと恨んでんのか?」

 

「いいえ?私は別に、去ってしまわれた理由も恐らくは何か理由があったのでしょう。私の場合は創造主が去る前に二、三褒めて頂けましたから幸いですけど」

 

ガウェインの創造主が去るときにガウェインの創造主は『こんなゲームのNPCに話しかけてた自分が恥ずかしい』と言って去って行ったらしい。

 

ガウェインからしてみれば創造主に失望されたつらさと自分を創ってくださった方が自分のことをなんとも思っていなかった事への苛立ちがごちゃ混ぜになりつらかったらしい。

 

「自壊出来るのならしたかったと言われましたねぇ、それでもしなかったのは毎日、ガウェイン卿の顔を見に来て褒めてくださったアルトリア様がいたから忠義を尽くそう、命を捧げようと決意したようですよ」

 

本来、NPCの優先順位は創造主>>>ギルド長>>>他のギルメンという位置付けになっている。

 

どんなにギルド長の命令があったとしても、創造主の命令が違うのならば創造主の命令に従う事を優先する。

 

それが、ガウェインの場合は違かったギルド長・アルトリア>>>>創造主という位置付けになっている。

 

「トリスタン!!モードレッド!貴方がたも準備をしなさい!」

 

「はいはい、わかりました今行きますよ」

 

「わぁーたよ!ゴリラ!」

 

「誰がゴリラですか!」

 

 

 

 

 

 

(うーん、至れり尽くせり〜あ、ダメになりそうだわこれ…)

 

アルトリアは風呂に入りたいといえば最高級ホテル以上のことをしてくれる。ダメになりそうだと思っていると

 

「アルトリア様、お加減の方はよろしいでしょうか?」

 

メイドの一人がそう聞いて来る

 

「うん、気持ちいい、ありがとう、マリア」

 

「!私の名まで覚えてくださっていたのですか?」

 

「ん?ダメだったか?ギルド長たるもの部下の名前が分からなくてどうする。それに、王と名乗れるのはお前達の存在があってこそだ、王は一人では王とは言えないのだからな」

 

「アルトリア様っ!私は、命に代えてもこのキャメロットの、いえ!アルトリア様に全てをお捧げ致します」

 

マリアはそう言いながらもマッサージしてくれる手は止まない。プロ根性を感じる

 

服に着替えようとするとメイド達が服を用意し、着させてくれる

 

(うーん、ここまでやってくれなくていいと言うと顔色が悪くなるし、自分が何かしたか泣きながら謝って来るからなぁ)

 

変に断れないと苦笑いする。

 

鎧衣装に着替えて執務室に向かう。

 

丁度そこにはアグラヴェインがおり、アグラヴェインは入ってきた私に気づいたのか頭を下げる

 

「アグラヴェイン、予定の時間より少し早いがちゃんと休めたか?」

 

「はい、問題はありません。王のために尽くすことが休息にございます」

 

何故ドヤるのか分からないが実に自信満々な顔をしていた。

 

「そ、そうか」

 

何そのブラック企業で働くサラリーマンの鏡と思っていると…

 

「失礼致します第一地下階層領域守護者・アナスタシアです」

 

「ん、アナスタシアか、入りなさい」

 

「はい、ありがとうございます。陛下」

 

キャメロットは第一地下階層、第二地下階層、第三地下階層と別れている。

 

基本的な防衛ラインは第一領階からなので、大きなことがない限りあまり発動しない。

 

「先日、王国内にいた罪人からの情報を得たので報告に参りました」

 

アナスタシアは第一地下階層の領域を護っており、第一地下階層は《永久凍土領域》という氷でなる世界を護っている。基本的に拷問等の仕事は第三地下階層のNPCがやってくれるが、時たまにアナスタシアもそれに加わることがある。

 

まぁ、残虐な行為はせず、基本的に凍えさせるだけらしいが、まぁそれが耐えられない

 

(あそこは修行の時に行くんであって、決して自分から行こうとは思わないよなぁ…)

 

アナスタシアの足元からは常時微弱だが吹雪が舞っている。

 

「どうやら王国内にナザリック地下大墳墓の者がおられるようです」

 

「「!」」

 

「それは誰だか分かるか?」

 

「はい、セバスというらしいです」

 

「セバス…たっちさんが創ったNPCだな、竜人の種族でカルマ値はプラスの方だと聞いたな」

 

「それともう一人、メイドの者がいたとのことです」

 

王国の王と会談した後に早速ナザリックの影が見え隠れしている。

 

(うーん、多分調査だけだろうし)

 

「!さすがです。王よ!」

 

(はぇ?)

 

何をどう理解したのか唐突にアグラヴェインが尊敬の眼差しでみて来る

 

「王国に訪問された理由はこの為だったのですか」

 

(いやちょっと待て、何を理解して何を突き進んでる?!)

 

そう聞こうとするとアナスタシアが『意味が分からないのですけど、教えてくださいませんか?アグラヴェイン様』と言う

 

「あのような無能な王国に訪問し、王としての強みを見せたのはナザリック地下大墳墓への牽制であり、いずれ王国が滅びた場合はキャメロットの領地とし、市民を救済しナザリックから守るのです」

 

「なるほど…」

 

アナスタシアが納得するが、アルトリアは内心大慌てだった。

 

そこまで考えてなかったし、王国へ行ったのも単に情報が欲しかったからで…

 

「さすがはアルトリア様、民達のために悪の手から護ろうとするお心遣い、さすがは慈悲深き王です」

 

アナスタシアが嬉しそうに輝いた表情を見せたので

 

(…うん、もうそれでいいや)

 

面倒ごとが一つ増えたが、それくらい、頑張ってやろう!と決意してため息をつく




【アナスタシア】
第一地下階層《永久凍土領域》の守護者
種族は異形種だが人間種と見た目は同じ
《カルマ値》中立
《レベル》95

マリア
一般NPC
今日はアルトリア様担当日だった。
やる事なす事褒めてくれたりするアルトリア様を尊敬してやまない。
アルトリア自身も割と気を抜いて話せる存在


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王国の現状

今回は王国の現状を探るためにモルガンとランスロット、アルトリアが王国に向かう話。王都襲撃事件と並行していますが、基本的にそっちにはノータッチなアルトリア様方です。

並行していますが、バルブロやボウロロープ公のいる場所が違ったりします。


キャメロット軍が訪問してから数週間後、ガセフは通常の業務に戻り王国の兵士達を鍛えるために歩いていた。

 

(…あの御仁はやはり、ゴウン殿と同等以上の力を持っていた…山一つ容易く吹き飛ばすことができるとは…)

 

キャメロットは確かに"人間で構成されて"いるものの個々の戦闘能力は王国以上いや、手の届かぬ位置にあるのかもしれない。

 

その気になればこの王国を滅ぼすことも容易く出来るだろう。

 

すると、剣を振るう音が人気のないところから聴こえて来る

 

「ふんっ!」

 

(…あれは、クライムか…)

 

平民出身でありながら"黄金"と称されるラナー王女の身辺を任された兵士の一人だ。

 

「それ以上剣を振るうな、クライム」

 

「!ストロノーフ様!申し訳ありません」

 

「分かっているのなら何度も言わせないで欲しいがな」

 

「…はい」

 

「そうだクライム、一つ剣を交えてみないか?」

 

「ストロノーフ様とですか?!」

 

「あぁ」

 

「…しかし」

 

クライムが迷う理由は分かる。どう転んでも王派閥の人間や貴族派閥の人間に付け込まれるから稽古が出来ないと言いたいのだろう。

 

「…つい最近、己の実力に限界があると思い始めていたのだ」

 

「ストロノーフ様が…?」

 

「二度も強者に相対し、己の無力さを思い知った。一人目はアインズ・ウール・ゴウン殿、二人目は先日訪問されたアルトリア・ペンドラゴン殿だ」

 

「!一人目の方は知りませんでしたが、二人目の方は知っております。ラナー様が話されておりました。確か山を吹き飛ばした辺境の王だと」

 

「あぁ、計り知れない強さを持っておられた。その気になれば王国を滅ぼすことも出来るだろう」

 

「!!!」

 

クライムの表情が険しくなる。

 

「アルトリア殿は女性でありながら数多の強者達を纏め上げ、抑え込む力も持っておられた。今後は王国との同盟関係で進むらしい、クライムも知っておくといい」

 

「はい!!その名を胸に刻み込みます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王国内は古き昔の王国みたいな感じであった。

 

(道は整備されていない上に、人々の目に活気がない…うーん、何の魅力もない国だな…)

 

馬に乗らず歩いて王国内を見ていた。

 

(しっかし…!大丈夫か、この王国、さっきから兵士とすれ違ってるのに顔をみて驚いて来ないなんて…)

 

どうやらあの訪問から王国は変わらないようだった。

 

仮にも山を吹き飛ばした者が魔力を抑えてではあるものの、目の前を普通に歩いているのに兵士達は何も反応しない。

 

別嬪がいると言って話しかけて来る人間がいるが、その度にランスロットが『我が王…主人に触らないで頂けますか』と男の腕を粉砕骨折させる並みに握り込んで抑えて来る

 

「…ハァ、なんかいろいろ期待はずれだったな」

 

休息を取るために宿を借りるとモルガンが疑問そうに『失礼ですが、このような王国を視察に来られた理由をお聞きしてよろしいですか』と訪ねて来る

 

「王国の現状の視察が第一だが、問題を王国の王に突きつけ王国を根底から変えようと思ったのだが…なんか問題が多すぎて何を突きつけたら良いのか分からなくなって来たな…」

 

「奴隷売買に強盗、殺人…このような全ての犯罪が行われている街など初めてみました。それに、貴族達の腐敗がひどい、皆問題を棚上げし権力闘争に明け暮れております。これではいつ問題が解決するのやら分かりません」

 

ランスロットの言葉は確かに的を射ている

 

腐敗しきる貴族達、統制のとれていない法律

 

兵士が金で買収されている現状

 

「そうだな、確かに酷い現状だ、アサシンの情報によれば八本指がこの王国を裏から操る存在らしい。それらについて調査を頼めるか?ランスロット」

 

「お任せを」

 

そう言ってランスロットが退出する。

 

 

 

 

ランスロットは鎧姿から軽装に着替え王国内を歩いていた。見つからないと思った八本指はすぐに見つかった。

 

(隠すつもりがあるのだろうか)

 

役人は醜い笑顔を向け、公然と奴隷売買について話していた

 

いくら裏路地であろうと誰が来るか分からない外であんなに話すだろうか?

 

「ランスロット様、アサシンを向かわせますか?」

 

「あぁ、あの頰に傷がある男に着いて行き調べろ」

 

「かしこまりました」

 

そう言って消える

 

数分が経過するとアサシンから連絡が入る

 

《ランスロット様、八本指のアジトを突き止めました》

 

『…早いな、レベルは大体どれくらいだ?』

 

《30にも満たないかと》

 

『30以下か…中の様子はどうなっている?』

 

《奴隷売買の巣窟になっております。なにやら表に人が集まっているようです》

 

『そうか、分かった。転移してそちらに行く』

 

《かしこまりました》

 

ランスロットはアサシンとの連絡を切った後、主人であるアルトリアに連絡を取る

 

『陛下、八本指のアジトを見つけました』

 

《…早いな、今日調査に来て今日見つけるとは…》

 

『はい、これから複数人を捕まえに行きます』

 

《分かった。危険があればすぐに戻って来るように》

 

『はい、かしこまりました』

 

ランスロットは転移して八本指のアジトの中に入る

 

山のようにある書類の中に貴族達の名簿にあきれ返る

 

「……もう、滅ぼした方が早いと王に進言してみよう」

 

市民に罪はない。滅ぼすのは王国の貴族達だけに限れば良い

 

書類をアサシンに渡し、念のために辺りを見渡し出口に向けて歩き出す

 

「……これは」

 

死体の山を見て人の仕業ではない殺し方にしゃがみこみ【上位死体探知】を行う。

 

死体が誰に殺されたか過去を調べるスキルだ

 

「……セバス・チャンか」

 

ナザリック地下大墳墓のメンバーがここの襲撃に関わっていた。

 

「…早く撤退するか」

 

そう言って王都側の方を見るとそこには巨大な炎の壁が出来ていた。

 

あれば恐らくナザリックの仕業だ

 

転移して主人が待っている宿に戻る

 

「ただいま戻りました」

 

「…あぁ、入ってくれ」

 

「?いかがなさいました。陛下」

 

そこには呆れ返っているアルトリアが座っていた。

 

「バカはバカだと思っていたが、あそこまでバカだと思わなかった…」

 

「?モルガン、何かあったのですか?」

 

ランスロットは隣で同じく呆れ返っているモルガンに聞くと

 

 

「キャメロットから王が出かけたのを見ていた王国の貴族派閥の人間がバルブロ王子に知らせ、キャメロットを7万の軍で降伏させようと進軍したとのことです」

 

「………バカ?」

 

思わず素が出ると『バカですよね本当に』とモルガンが言ってくる

 

「…王国の王は止めなかったんでしょうか?」

 

ランスロットの疑問にアルトリアは『今、王都は悪魔達の襲撃に遭ってる。王はそちらに掛かっているせいで王子の動きを見ていなかったんだろう』と言ってくる

 

「ガウェインとモードレッド達に任せてある。我々はここで様子を見よう」

 

そう言って鏡を出す




ナザリックと絡ませるのはまだ少し先でございます。だって高確率で戦闘になります。

次回、やっと戦闘シーンになります


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王国軍(7万)vsキャメロット

序盤はツアーがリグリットと話す場面です。

後半からバルブロvsキャメロットの話になります


ツアーは自分の元にやって来た友・リグリットと『100年の揺り返し』について話していた。

 

先日遭遇したヴァンパイヤと草原地帯に転移して来たのが同じ仲間なのかは分からないが、少なくとも、あの巨大な城から感じたのは悪意がないといことだった。

 

「もしや二人以上のぷれいやーが転移して来た可能性もある。八欲王は八人からなるギルド拠点だった」

 

「ところでツアー、あの城について分かったことがあったのだが良いか?」

 

「なんだい?あの城についてもう調べたのかい?」

 

「あぁ、青の薔薇のメンバーが調査に向かったらしいぞ、インベルンの嬢ちゃんから聞いた。ツアー、お前の言う通りぷれいやーのギルドだったようだ」

 

「…やはり」

 

「あの城の王の名は、獅子王・アルトリア・ペンドラゴン。聞いたことあるか?ツアーよ」

 

「…以前にリーダーが言っていた上位ギルドの内の一つかもしれない」

 

「ほう、あのリーダーが」

 

ユグドラシルには上位ギルドなるものがあり、上位になればなるほど異常なほどの力を持つと言う。最早人の域では勝てない存在だという

 

「本質が善なら味方に着いて貰えるとありがたいが…世界に協力してもらえるよう取り付けてみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、バルブロは王都が悪魔に襲われる数時間前に貴族派閥の義理の父・ボウロロープ公の手持ちの軍団である精鋭部隊7万と共にキャメロット城に進軍していた。

 

「あの不敬極まりない女は現在王城を離れております。攻め落とすのは今しかないと」

 

ボウロロープ公は自信満々に言う。それに、バルブロはうむと頷く

 

本来ならば、王都が襲撃されたのなら進軍は諦めて王都に戻り、武勲を立たなければならないのだが、バルブロの頭の中には悪魔などよりもあの獅子王と名乗るあの女を降伏させることしか考えてなかった。

 

「あの城を攻め落とし、あの女が降伏した際にキャメロットもあの女も我が手中に収めるのだ」

 

「流石です!王子!」

 

バルブロには勝つだろうとしか考えていなかったので、キャメロットに何があるか調べもせずに向かっていた。

 

巨大な門の前に着くと、門の上に一人の騎士がいた。

 

「ようこそおいでになりました。王国の兵士達よ」

 

バルブロは兵士達に命じて槍を、弓を構えさせる

 

「警告します。無意味な殺戮行為は王の御意志に反します。死にたくなければ王国に戻りなさい」

 

ガウェインの警告にバルブロは鼻で笑う

 

「門を開け!行くのだ!!」

 

精鋭達にそう命令する。精鋭達は大木を持ち、門を殴る

 

ガウェインはそれを見て表情一つ変えず『警告はしました。それでは行きます』と言って剣を構える

 

ガウェインは門の上から飛び、地面に降りる

 

その衝撃だけで兵士達が吹き飛ぶ

 

この剣は太陽の写し身、あらゆる不浄を浄める焔の陽炎…

 

兵士達がまっすぐに走ってくる

 

転輪する勝利の剣(エクスカリバーガラティーン)ー!!!」

 

真横に薙ぎ払っただけで、王国兵士7万人中4万人を一瞬にして灼熱の炎に焼かれ一瞬にして絶命する。

 

「なっ…!?」

 

バルブロは一瞬で兵士達が"居なくなった"光景に恐怖やらいろいろな感情がごちゃ混ぜになっていた。

 

この男は、4万の兵士達を一人でいとも容易く倒した

 

王国内でも数少ない精鋭部隊をたった一振りで4万人を虐殺した。

 

「ガウェイン、俺にもやらせろ」

 

そう言ってモードレッドが出てくる

 

「私は別に構いませんが、王からの命は忘れないように」

 

「おうよ!」

 

モードレッドはクラレントを構え走っていく

 

「ッヒ!!」

 

バルブロは今になって自分達が圧倒的に不利だと言うことを思い出し、馬を蹴り逃げようとする

 

「逃すかよ!!」

 

馬を蹴り飛ばされ、馬から投げ落とされる。

 

「けっ!弱すぎるぜ!!」

 

アサシン達がバルブロを取り押さえる

 

「おい、ゴリラ、これで終わりか?」

 

「ええ、7万人連れてきていたようですが、質がなっていない者達で構成されてましたからね」

 

ガウェインは頭上を見上げ

 

「マーリン、近くに敵の気配はありましたか?」

 

「んー?いいやぁ、誰もいないよ〜」

 

魔法詠唱者であり、キャメロット内部にある花の塔の領域を支配しているレベル100のマジックキャスターだ。

 

一応は第10位階魔法まで使えるらしいが、本人はあんまり外に出たがらないのでマーリンの実力はアルトリアしか知らない。

 

「君たち、容赦なさすぎない?ボクが魔法を行使する前に殺害しちゃって、そんなにアルトリアのことを言われるのが嫌だったのかい?」

 

マーリンの気の抜けた声にガウェインは静かに「ええ」と言う

 

「我が王を愚弄しておいて生きて帰ろうとするその意地汚さ万死に値する」

 

ガウェインの言葉にマーリンは苦笑いし

 

「さ、君らも後始末して入りたまえ、もうすぐ王の帰還だよ?」

 

「わかっています。エミヤ、よろしく頼みます」

 

「………あぁ」

 

恐怖により失神したバルブロを連れてキャメロットに入る

 

マーリンは焼け焦げた死体や凄惨な光景を見て静かに祈る

 

「兵士達よ、君たちの来世が幸せなものであるよう祈ろう」

 

マーリンは魔法を行使する

 

「星の内海。物見の台。楽園の端から君に聞かせよう。君たちの物語は祝福に満ちていると、ガーデン・オブ・アヴァロン!」

 

死体が綺麗に消えていき、死体があった場所から花が舞う

 

「さてさて、私はいつも通り塔に籠ろう!」

 

 




【ガラティーン】
ワールドアイテムであり、元はアルトリアの武器だった。
異世界に転移する前にガウェインに見合う武器を持ってきて授けてた。アルトリアの持つ聖剣・エクスカリバーとは姉妹剣
エクスカリバーは垂直に振りぬく垂直な閃光であるが、ガラティーンは真横に薙ぎ払う灼熱の炎という違いがある。
昼間なら通常以上の10倍ほどは出る


マーリン
【種族】夢魔
【レベル】100
【クラス】魔力系魔法詠唱者
【カルマ値】善〜中立

エミヤ
【種族】人間
【クラス】アサシン
【レベル】85
【カルマ値】中立〜悪

次は王国側かあるいはナザリック陣営の話でございます


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属国

今回はナザリック陣営の話が序盤にあり、後半はキャメロット陣営と王国側の駆け引きです。

皆さんの感想コメントありがとうございます。


王国の兵7万がキャメロットに進軍したとデミウルゴスからの報告を受けたアインズは急いで戦友・アルトリアに連絡を入れたのだが、出た声は実に落ち着いた声で『あぁ、大丈夫ですよ』と一言で済ませていた。

 

キャメロットの様子を鏡で見ていたのだが、その対処の仕方に驚く反面、彼らとは絶対に敵対関係になりたくないと思っていた。

 

キャメロットのNPCであり、たっち・みーさんからは『ゴリラ』と呼ばれているガウェインがいとも容易く7万人中4万人を一瞬にして殺戮、残る3万人はモードレッドが打ち倒していた。

 

その光景に一緒に見ていた支配者達はより一層、キャメロットに対して警戒心をむき出しにするし、あの王国での悪魔騒動の際にデミウルゴスからの情報では『すでに王国にはキャメロットの手が伸びております。取って変わるのもそう遠くはないでしょう』と憎々しげに言っていた。

 

(…やっぱり、アルトリアさんの戦術は凄いなぁ…リアルではなんだっけ?なんとかの野望が大好きだったって言ってたし、そういうのは転移した先でも活かせるのか…)

 

アインズはふと考えに至る。

 

アルトリアと真正面から戦って勝てるかと言えば分からない。

 

あちらのギルドは全体的に火力に重点を置いている。ガウェイン対デミウルゴスになってはこちらが不利になるが、ガウェイン対アルベド、あるいはコキュートスなら有利に持ち越せる可能性がある。

 

それに、夜間帯での戦闘ならガラティーンは最大出力には出来ないだろう。逆にアルトリアの持つ技である《ロンゴミニアド》は一撃で全てが決まる攻撃技であり、一撃を逃せば次の発動までに軽く二日は要する。

 

(…て、俺は何を考えてるんだ?アルトリアさんと敵対なんて…)

 

この世界にいるかもしれないナザリックの仲間が第一優先だ。

 

アルトリアは確かに戦友ではあるが、リアルではほとんど会ったことのない赤の他人なのだ。

 

(…それでも、みんなを優先したいけど、アルトリアさんを殺したいわけじゃない)

 

複雑な思いを抱えたまま守護者達の話を聞いていた。

 

デミウルゴスは計画を前倒しにするために動くといっていた。

 

王国にはキャメロットの手が伸びている。ならば、こちらは帝国に手を出そうとデミウルゴスは口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

王国から帰還したアルトリアは玉座に座り、アグラヴェイン達から今後の王国のことについて話し合っていた。

 

「ところでトリスタン、バルブロ王子についてはどうなっている?」

 

「はい、第二地下階層にてエミヤ殿達の尋問を受けています。あの王子バカなのか未だにくだらないことをほざいていますが、最近は落ち着いてきているようなので第一地下階層領域守護者のアナスタシア殿に引き渡される予定です」

 

「そうか、殺さずに喋れる程度にするように伝えておいてくれ」

 

「かしこまりました」

 

バルブロ王子を殺すことは出来なくもないが、王国側に『まだ生きている』と伝える方が今後のことを考えれば良いだろう。

 

《陛下失礼致します。モルガンです》

 

『どうした?モルガン』

 

伝言にて表門にいたモルガンが言ってくる

 

《表門に王国の一行が、今回は国王自らやって来たようです》

 

アルトリアはモルガンからのメッセージをアグラヴェイン達に伝えると『では、用意致しましょう』と言って準備を始める

 

王国をあのままにしていれば市民は苦しい生活を余儀なくされ続ける

 

人身売買で人が売り買いされるのは異形種になっている今でも良しと出来ない。

 

上層部が貴族派閥だの王派閥だの分裂して政争に明け暮れている場合ではない。

 

玉座に座り、待っていると王国一行が入ってくる

 

ランポッサ三世、次男ザナック王子、ガセフ戦士長と後方には貴族達がいた。

 

 

 

 

 

 

 

長子・バルブロと貴族のボウロロープ公が7万の大軍を率いて同盟者であるキャメロットに攻め入り、6万人の死者を出した事を謝罪に来たランポッサ三世は憔悴しきっていた

 

長男であるバルブロが生きている可能性なんて限りなく低い

 

ガセフは王に付き従い、キャメロット城内に入る

 

(…なんだこれは…!)

 

キャメロットの城内は明らかに王国の城を上回る宝石類で飾られていた。

 

玉座に座る獅子王に、恐怖心が沸き起こりそうになるが、グッと堪える

 

貴族達は獅子王の纏う殺気に耐えかねて震えている者もいる。

 

「遠路はるばるご苦労だ、ランポッサ三世」

 

獅子王を見上げるランポッサ三世は深々と頭を下げる

 

「今回の件は私達の責任だ、誠に申し訳ない」

 

あの王子が後先考えずに行動するタイプだというのは知っていたが、王が留守の時を狙っての進軍など許されるべき行為ではない。

 

ガセフも引き続き頭を下げる

 

「悪魔騒動で王子のことにまで気が回らなかったのだろう。それは致し方ない、今回のことは大目に見よう」

 

「!!」

 

獅子王の両サイドに立っていた騎士達が驚く

 

「だが、それはそれ、これはこれだ。ランスロット卿」

 

「は」

 

そう言ってランスロットと呼ばれた騎士は何十枚もある書類を玉座から降り、ザナック王子に渡す

 

「…!これは…!」

 

ザナック王子の持っていた書類には山のように書かれた八本指の協力者、貴族達の汚職、派閥争いに紛れ込んだ人身売買の情報が山のように乗っていた。

 

「なぜ、赤の他人である私がここまで調査出来て、貴公らは自分の国内のことを調べられない?挙げ句の果てには大量の汚職、市民達は犯罪に苦しみ悲しみ、生活も満足に出来てはいない。冒険者組合は帝国より花形だが、帝国よりも魔法への教育は遅れている。こんなんではいつまでも変わらない」

 

獅子王の言葉の一つ一つに棘がある

 

強大な力を持っている上に政治にも博識、このような存在に我々が人の身で勝てるとは思えない。

 

「だが、私は人間は好きだ、市民は好きだ、私はあの王国の民が幸せになるのならなんでもしよう」

 

そう言って微笑む獅子王には慈愛が感じられる。

 

「だが、今の情勢では"上層部のみ"破壊しても構わない」

 

"王侯貴族なんて居なくたって誰も困らないのだから"という獅子王にガセフが覚悟の上で声を出そうとすると…

 

「お待ちください。獅子王陛下」

 

そう言ってくるのはザナック王子であり、彼は覚悟を決めた顔で前に出る。

 

「どうした?ザナック王子」

 

「私の願いとしては是非ともキャメロットに属国を申し入れたい」

 

「…ほう」

 

ザナック王子の言葉に貴族達はバッとザナックを見るが、レエブン公だけはザナック王子が言おうとしていたことが分かったのか、黙って獅子王を見ていた。

 

「しかし、属国の準備を少しばかりもらっても構いませんか?」

 

「…私は別に構わないが、貴公らのことを考えればこちらから使者を出した方が早いだろう」

 

そう言って『モルガン』と呼ぶ

 

「彼女は魔法詠唱者であるが、私の信頼厚き部下だ、彼女と擦り合わせをすれば上手くいくだろう」

 

悪魔だ

 

周りの騎士は皆、人間なのに彼女だけは悪魔だった。

 

「よろしくお願いします」

 

そう言って微笑んでくる彼女からは邪悪なものしか感じない

 

ザナック王子も『信頼厚き部下』と言われてしまった手前、他の人間にしてほしいとは言えなそうだった。

 

「第一王子であるバルブロ王子は属国の草案が決まった日に返還するとしよう」

 

「!!」

 

黙っていた王がその言葉で反応する。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャメロットから王国一行が去って行ったのを見ていたアルトリアは門の上から彼らを見ながら小さなため息をもらす。

 

「おやおや、属国までの時間をあげるなんてお優しいじゃないか」

 

「マーリン」

 

「そう睨まないでおくれ、私だって大変だったんだよ?後始末」

 

マーリンは花を舞わせながら歩く

 

「…私は、あまり人を殺したくない…それは出来ないことなのだろうか」

 

王国の兵士といえど6万人も大量に殺してしまった上に、王国に避難した残りの1万人には多大なる恐怖を植え付けてしまった。

 

「王である限り無理な話だろうねぇ」

 

「…そうか、やはりか」

 

「そして、王である以上争いも向こうから追ってくるだろうさ」

 

マーリンは杖をタンッ!と地面を叩きキャメロット周辺に結界を張る

 

アルトリアは上を見上げるとそこにいたのは白銀の鎧を着た何かがいた。

 

 




はい、ツアーさんの出落ち、ツアーさんの登場は本格的に次でございます。

アルトリアとモモンガを絡ませたいけどなかなか出来ない…。次はアニメでいう第3期に入ります。

仕事のある日は多分、こんなに投稿出来ないと思いますのでお許しを


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第二章
対話


今回はツアーが出ます。

ナザリック陣営もそろそろ出るかもです

戦闘シーン入れたいけど、入れるのがまだ先な気がする…

今更ですが、アニメしか見ていない方は要注意です。書籍版のネタバレとか普通にしてます。


ツアーはキャメロット城の近くまでやってきた時、いきなり展開した結界に驚き、少し離れる

 

(…やはり、ぷれいやーの城だったか…)

 

ツアーは門の上に人影がいるのが分かり、警戒を崩さず見ると…

 

(…ふむ、見たところ種族は竜人か、本質は善だな…)

 

彼女はこちらに結界を張るだけでいきなり攻撃してくる事はなかった。

 

本質は善、そう確信する

 

彼女の目から悪意を感じられない。

 

こちらに向けて結界を張ったのも、襲ってくる可能性を吟味してだろう。

 

「驚かせてしまってすまない。私はアーグランド評議国の竜王・ツァインドルクス=ヴァイシオンだ」

 

ここで偽名を名乗っても良かったのだが、彼らから悪意は感じられないし、なおかつ隠し事を貫けるか分からなかったからだ

 

プレイヤーの中にはひときわ頭脳に秀でている者だっていた。その可能性を考えれば嘘をつくのは得策ではない。

 

プレイヤーの動向を見ていると、プレイヤーと思しき人物の周りにNPCが集まってきているのが分かった。

 

(ぷれいやーとは話ができるとしても…えぬぴーしーとは出来る限り話は避けたい…)

 

八欲王の時や六大神の時もそうだった。

 

ぷれいやーとある程度話は出来ても、えぬぴーしーとは全く話が繋がらない。

 

というのも、NPCはプレイヤーに狂信的に忠義を尽くしている。プレイヤーの命令や言葉なら従うが、他の者の意見は聞かないからだ

 

「…ここに何用だ」

 

警戒しているであろうプレイヤーにツアーは十三英雄のリーダーと出会った時の事を思い出し、深呼吸をする。

 

「君はこの世界に転移してきたぷれいやーだろう?話がしたい。もちろん、信用に足らないと思うならそれでいい」

 

「…!ツァインドルクス=ヴァイシオン『ツアーで構わない』では、ツアー、私の名はアルトリア・ペンドラゴンだ」

 

「よろしく頼む、ペンドラゴン殿」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツアーと名乗った鎧は、器用に宙に浮きながらこの世界の事について教えてくれた。

 

ツアーはアーグランド評議国の永久評議員で、六百年前の六大神というプレイヤーが転移して来た時からプレイヤーと関わりがあるらしかった。

 

この世界に転移して来たプレイヤーが人によっては大陸を荒らし回ったり、時には人類を救済してくれたり、様々な事をしたからツアー自身がいつプレイヤーが転移してくるか大体の仮説を立て世界を巡回しているらしかった。

 

(…私に声をかけたのも、私が世界を滅茶苦茶にする可能性が低いから声をかけて来たのか…)

 

ツアーのレベルは見たところ、レベル90行くか行かないか、断言は出来ないが相当な力の持ち主だろう。

 

ガウェイン達なら圧勝とまでは行かないが、勝利を収める事は出来るだろう。

 

「ところで君に質問したい」

 

「なんだ?」

 

「以前、砂漠地帯に吸血鬼が出現していた。赤い服を着て銀髪だった、見た目は少女と大差なかったが…あれは君の部下なのか?」

 

"赤い服装の吸血鬼"

 

それを聞いてまず先に思いついたのは、ナザリック地下大墳墓にいるシャルティアだった。

 

「私の部下ではない。一応種族は竜人に統一している。稀に悪魔や夢魔もいるが、彼らは積極的に人を襲いはしない」

 

後ろにいたマーリンが『めんどくさいからねぇ』と言う

 

悪魔はこのギルドに二人いる。一人はアルトリア自身が制作したNPCであり、もう一人は"第三地下階層から出ることは出来ない"悪魔だ

 

「…そうか、君の部下ではないか」

 

「信じるのか?」

 

「信じるよ、君は出来るなら"誰も殺したくない"んだろう」

 

そう聞かれ思わず苦笑いが溢れる。

 

ガウェイン達は持ち場に戻らせたが、マーリンは後ろにいて聞いている。

 

「聞かれていたか」

 

「君とは今後も良好な関係を築いて行きたい。何か聞きたいことがあるなら…」

 

そう言うツアーにアイテムを渡す

 

「なんだい?これは」

 

「携帯という物だ、こちらから連絡を入れたい時にかけるアイテムだ、真ん中のボタンを押せばモニターという大きなスクリーンが出てくる。そこから私の声は聞こえるし会話も出来る」

 

「そんな重要なものを良いのかい?」

 

「何、そんなに重要でもない、ただ便利だから愛用しているだけだ。無論盗み聞き出来る機能までは入っていないから安心してくれ」

 

「…そうか、大事に持っておくとしよう」

 

ツアーがいなくなったのを見てアルトリアの後ろにいたマーリンは

 

「おや、正直に彼のことも口に出すなんて珍しいじゃないか、アルトリア」

 

マーリンは花を愛でながら言う。

 

第三地下階層にいるのは中立〜極悪までのNPCがいる。彼らはギルド長の了解が無ければ外に出てくる事はないし、ある意味、本質は悪だ

 

「彼は、カルマ値が極悪であろうと悪魔であろうと、私の仲間が作った命だからな、軽んじたくない」

 

「お優しいねぇ〜」

 

マーリンは微笑みながら花の塔に向けて歩き出す

 

(…ツアーに、ナザリックのことは言わなかった…言った方が良かったのだろうか…)

 

この世界に転移して来ている者は自分達【キャメロット】を含め、極悪ギルドとして名を馳せていた【ナザリック】だっている。

 

本来ならツアーに伝えるべき事柄だったのだろうが、どうであれ、戦友を安易に売りたくはなかった。

 

(…しかし、あのナザリックがこんなに静かなわけない。一度、確かめる必要があるか…?)

 

もしも、彼らが人の命を軽んじているような行為をするならば、こちらとしてもツアー達に手を貸さねばならない。

 

アルトリアはマントを翻し、玉座の間に向かって歩き出す。

 

すると、帝国に向かわせていたアサシン達から連絡が入る

 

『どうした?アサシン』

 

《陛下、帝国の皇帝がナザリック地下第墳墓に向かいました》

 

『何?皇帝がか?』

 

《追跡しますか?》

 

『いや、追跡はダメだ。ナザリックに向かったと知れただけでいい。撤退しろ』

 

《はい、かしこまりました》

 

(…皇帝とナザリックが接近したってことは…)

 

アルトリアは至急、アグラヴェイン達を呼ぶことにした。




第三地下階層の領域守護者の【彼】
カルマ値極悪、キャメロットの知恵者
大抵のことは解決できるし、少しのことで大抵は分かる。
レベルはそんなに高くないが、頭脳戦だと高確率でデミウルゴスば負ける。チート級レベルの人


マーリン
アルトリアのNPCではないが、アルトリアの唯一無二の親友が残して行ったNPC。設定上は『アルトリアと最も仲良し』ということになっているので、悩み相談とかも普通に乗っている。
花の塔で犬?猫?みたいな動物飼ってる。
第三地下階層の【彼】と創造主が同じ
マーリンがロクデナシなら【彼】は人でなし


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聖剣の光

今回はキャメロットの属国になる前の王国が帝国から宣戦布告を受けて獅子王に『我々はまだ出来る』事を見せつけるためにカッツェ平野の戦いに挑む話でございます。

アルトリアの作った国の名前どうすれば良いか…案が…何も閃かない…

後半はアインズ様の目線です。


王国はキャメロットの属国になると正式にザナックが発表したのだが、時を同じくして帝国から戦争の宣戦布告を受け戦いに挑むことになった。

 

王国貴族達は『キャメロットの王にまだ我らがやれるという事を見せよう!!』と躍起になっていた。

 

その様子をキャメロットの執務室で見ていたアルトリアは貴族達の無能さにため息が溢れる。

 

「…我が王、この者共はどうされますか?」

 

アグラヴェインの質問にアルトリアは少しだけ考えるが…

 

「アグラヴェイン、どう思う」

 

アグラヴェインは「私としてみればこの者共は放っておいて良いかと」と言う

 

「救援要請が来ているわけでもないからな、私も同意見だ」

 

アルトリアは椅子に寄りかかる。

 

カッツェ平野での戦いにナザリックがいる以上、王国の全滅いや…壊滅は避けられないだろう。

 

「王国が徴兵する兵士の数は25万、帝国は6万、これは最早勝利は決定だな」

 

王国の被害は洒落にならないだろう。25万全員が死ななくても働き盛りの農民の大半が徴兵されている以上、多数の犠牲者を出せば王国の機能は回らなくなる。

 

「しかし、問題はエ・ランテルだな」

 

「はい、ナザリックが国を建国してしまえば本格的に問題が起こるかと」

 

「本格的に戦えば、少なくともこちらにも被害が出る可能性もある…戦争が終わった後に王国を急いで潰すことは出来るか?」

 

「はい、出来るかと思います」

 

アルトリアは王国の行動を止めるつもりはない。

 

勝手に戦いに挑み勝手に自滅し、王国が崩壊しつつあるところで取って代わる必要がある。

 

(百を救うことは出来ない。だが、選び取ることは出来る)

 

無能な貴族は世界を破滅に追いやる原因だ

 

鏡に映ったザナック王子は貴族達の提案を必死に止めようとしているようだったが、暴走している貴族達は止まらない。

 

ランポッサ三世は本来なら止めねばならないところを何も止めていないようだった。

 

まぁ、キャメロット側からしてみれば別にそこは拘らない。

 

「戦いが終盤に差し掛かって来た際に、我が王の力を王国の市民達に見せ、王国を乗っ取りましょう!」

 

「……ん?」

 

アグラヴェインがやる気になり話し始める

 

 

 

 

 

 

 

王国に戦争を仕掛けると言った時に真っ先に出てきたのは、王国のバックにいるであろうキャメロット陣営が出てくる可能性だった。

 

デミウルゴスもそのことについて警戒していたのか、戦場に同行するアインズの護衛としてアルベドを同行させることになった。

 

(…アルトリアさんとはあれ以降連絡が取れない…彼らが敵対するのはどうしても避けたい…)

 

王国を乗っ取るのがまだ上手くいっていないとデミウルゴスは言っていたが、本当に上手くいっていないのだろうか?

 

アルベドと共に戦場に立ち、戦争が開幕した

 

(…いないな…)

 

彼らの中にアルトリアさんの気配も、キャメロットの騎士も一人たりとも見当たらなかった。

 

(…隠れてるわけじゃない。この戦いには参加していないのか?)

 

キャメロットが抱えている高レベルアサシンが出てこられたら確かに危険だし、急いで戦線離脱しなければならない。

 

超位魔法を展開しても彼らからの攻撃はない。

 

アインズは超位魔法をスキップするアイテムを使い、<黒き豊穣への貢>を発動する

 

 

瞬く間に7万人の命を一瞬にして奪い、そこから黒い仔羊達が5匹出現する。

 

「ハハハハハ!!素晴らしい!!こんなに召喚出来たのは私が初めてではないか!?」

 

「おめでとうございます!アインズ様」

 

アルベドの嬉しそうな笑顔に対し、帝国騎士であるニンブルは恐怖に引きつりながらも「おめでとう…ございます」と褒める

 

四人殺してはいけないと言おうとした際に高位の存在が出現したのに気づき

 

「アルベド!!」

 

「!はい!!」

 

警戒態勢に入れ!と言うとアルベドが身構える。

 

王国の兵士をおおよそ17万人弱ほど虐殺した時、王国側に見覚えのある影が現れた。

 

「アルトリア…さ…」

 

さんと言おうとして止める

 

アルトリアさんが逃げ惑う兵士の前に現れていた。

 

「…モモンガ…いや、アインズ、お前はそこまで人としての感覚を失ったか…」

 

アルトリアさんの声が聞こえてくる

 

遠いはずなのに耳元にまで聞こえてくる

 

アルトリアさんはガセフの横に立ち"聖剣"を構える

 

「!!」

 

聖剣・エクスカリバー

 

ユグドラシルの時、その聖剣を求めて多くのプレイヤーが争った剣だ

 

攻撃威力が高いだけではなく、魔法さえあれば、いや、近くに魔法詠唱者がいれば何度でも連射できるチートレベルの剣

 

あのたっち・みーさんがアルトリアさんとの戦いを繰り返していたのはあの剣が強かったからこそ幾度どなく争った。

 

そして、あの剣はカルマ値が『極善』で無ければ持てず、なおかつ竜人という種族でなければ持てない剣とされていた。

 

聖剣エクスカリバーはワールドアイテムの一つだ

 

アルトリアさんが聖剣を振り上げる

 

周囲から物凄い光が聖剣に集まる

 

約束された勝利の剣(エクス・カリバー)ーー!!

 

物凄い勢いで振りかざす

 

放たれた一撃は金色の奔流となって射線上にある一切を消し飛ばす

 

アインズは帝国軍全体にシールドを貼り、衝撃波を食い止める

 

黒い仔羊達がまとめて吹き飛ぶ

 

「アインズ様…!」

 

アルベドが憎々しげにアルトリアの方を見ていたがアインズを護ろうと警戒態勢に入る




約束された勝利の剣
《エクスカリバー》
集束・加速させることで運動量を増大させ、光の断層による“究極の斬撃”として放つ。 放たれた一撃は金色の奔流となって射線上にある一切を消し飛ばす
本気で放てば数km先から発動が確認でき、攻撃対象がどれほど強大な構造物や大群であっても瞬く間に消滅させられる。
ユグドラシルではその強さゆえに多くのプレイヤーが手に入れるために争った。


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カッツェ平野での戦い

カッツェ平野での戦いの後半です。次はリ・エスティーゼ王国平定の話。基本的にどっちも好きなので強さの配分は今のところ両方同じです。

感想コメントをしてくださる方本当にありがたいです。オバロの知識が未だ軟弱なので、本当にありがとうございます。

ワールドアイテム持ちにはワールドアイテムは意味ないと教わったので急遽、新しい武器が登場したりします。

ここに関しては思っくそfgoと関係ない剣が出てきたり『あれ?これ、アルトリアじゃなくて北欧神話の人が持ってたような剣だよね?』みたいなのが登場します。


カッツェ平野に転移でやって来た時、アインズ・ウール・ゴウンが五匹の黒い仔羊達を出し、王国の兵17万人を虐殺していた。

 

ガセフはその黒い仔羊達を王のもとに向かわせないように殿を務めていたが、まるでなすすべがない状態だった。

 

そんな時に、キャメロットの王であるアルトリア・ペンドラゴンが出現し、五匹を纏めて吹き飛ばしてしまった。

 

聖剣によって吹き飛んだ黒い仔羊達から幸いにも追撃の手は来ない。

 

「貴殿は…」

 

横にいたのは黒い仔羊の一匹と戦闘をしていたであろうガゼフがボロボロだった。

 

「ストロノーフ様!!」

「ガゼフ!」

 

遠くからラナー王女付きの騎士であるクライムとブレインが走って来る

 

「二人とも無事だったのか」

 

ガゼフは二人を見て立ち上がる

 

ガゼフは立ち上がりアルトリアを見る

 

「ペンドラゴン殿、助けてくださり感謝申し上げる」

 

そう言うとアルトリアは横目でだけ見てすぐにアインズの方を見る

 

物凄く不機嫌な雰囲気を感じる

 

「…ガゼフ・ストロノーフと言ったな」

 

「はい」

 

「早く撤退したらどうだ?私は、無能な貴族が死のうとどうでもいいが、兵士に罪はない。ただ徴兵させられただけでこうも非業の最期を遂げねばならない理由がどこにあった?」

 

アルトリアの言葉にクライム達は苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「貴殿の言うことは一理ある。王国の兵士達は望んで来たわけではないかもしれない。だが、兵士達はこの戦場に立った時に全てを覚悟している」

 

ガセフの言葉にアルトリアは何も言わない。兵士達の亡骸を写した目には何も感じていないような、そんな色をしていた。

 

(つい最近になって気づいた。この御仁はやはり、人ではない)

 

姿形は人間そのものだが、人というにはあまりにも力が強すぎる上に存在のあり方が人としては高位すぎる。

 

人が当たり前に持つ【欲】という感情が欠落しているような、そんな気がしていた。

 

ガセフは剣を持ち構え、アインズ・ウール・ゴウンの方を見る

 

「…なんのつもりだ?」

 

アルトリアの言葉にガセフは笑い

 

「私は王の剣として最後まで在るつもりだ。王が完全に逃げ延びるまでゴウン殿と一騎打ちを申し込む」

 

「「!!」」

 

クライムとブレインがその言葉に驚くが、アルトリアは無表情で

 

「死にたいのか」

 

「死にたくはない。だが!!」

 

ガセフはアルトリアの方を見て吠えるように言う

 

「貴殿がこの王国を乗っ取るつもりでここに来たのは知っている!あの兵士たちをひたすらに踏み潰して行った黒い羊達をいとも容易く倒した貴殿ならば、きっと王国の民達も認めよう」

 

「ならば、何故死にに行く?乗っ取られるのが分かるのならば」

 

「王の助命を乞う!!そのためにアインズ・ウール・ゴウン殿に一騎討ちを申し込む」

 

その言葉にアルトリアは無表情なまま「お前が死んだ場合、王が生きているかどうか分からないぞ」と言う

 

アインズが召喚したアンデット達が進んでくる

 

「私は王のために戦う」

 

つまりは、アルトリアが王国を支配する時まで生きるつもりがないのだろう。

 

アルトリアはため息を吐き『好きにしろ』と言って転移門に入る

 

 

 

アルトリアはキャメロットに戻って来ると執務室の椅子に座る。

 

メイド達が戻って来たアルトリアを見て頭を下げ、脱いだ鎧をしまうと、新しい服を出して着させてくれる。

 

王国を完全に乗っ取るまで後もう少しだ。

 

「………」

 

鏡をもう一つ用意してガゼフの方を見る

 

「…命を懸けてまであの王の助命を乞う…それほどまで、あの王が死ぬのは嫌なのか…」

 

自分はアインズほどではないだろうが、人間ではなくなって感覚が麻痺しているような気がした。

 

転移して来る前は富裕層が貧民層を使って代理戦争をしているのを快く思わなかった。

 

人の生き死にをどう思ってるんだと怒り、転移前の世界を変えようと努力したことだってあった。

 

でも変わらなかった。何を提案して実行に移そうとも更に上層部がそれをもみ消し富裕層の金になる事ばかりを叶えた。

 

(…だから私はあの世界に失望してゲームに逃げ込んだ…本当は、逃げるべきではなかったのだろうけど…)

 

言っても変わらないバカ達の相手をしたくないと諦め、逃げた

 

だからこそ、この世界では平等な社会を作りたかった。

 

踏みにじられることも踏みにじることもないように

 

人の根は腐り落ちるもの、故に選び取る

 

人間は進化してはいけない。人間は今のままで十分

 

文明は人を破壊し、世界を破壊する。

 

思考が脱線しかけたところでアインズとガゼフが対峙した映像になる。

 

(…モモンg…いや、アインズはこういうタイプが好きなのか、コレクターとして集めたいんだろうな…)

 

まぁ、アインズが欲しがるのも無理はない。

 

ガゼフは確かにこのキャメロットの騎士達と似たようなものを感じた。

 

ガゼフの戦いはあっさりしていた。それもそのはず、アインズは《時間停止》をしていた。

 

時間停止中はダメージを与えたりする魔法は発動できないのだが、アインズは魔法が解けたと同時に魔法を発動していた。

 

ユグドラシルのプレイヤーは確かに《時間停止》対策は必須だし、無論自分もしている。

 

絶命したガセフを見てアルトリアは王を本当に殺すべきかと思ったが、ガゼフの亡骸が写り

 

(……予定変更だな)

 

ふと考えが頭をよぎる。

 

 




次回、獅子王・アルトリア、新王国建国!

そして、王国を支配し、新しい国を建国する話でもあります

ツアーさんとアルトリアで旅に出したい…(切実)

戦闘シーン入れたかったけど、まだ早いと思って先送りにします


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建国

アルトリアの王国が建国される話です。

基本的にナザリック陣営とキャメロット陣営の力は互角という扱いにしております。

戦闘回にしようと思いましたが、本格的に戦闘をするのはナザリックがキャメロットと対等になったらにしようと思います。アニメ以上の話もあるのでネタバレが含まれます


カッツェ平野での戦いは王国の惨敗で終わった。属国になることが決まっていたというのに、王国側は勝手に兵を動かし17万人の死傷者を出した。

 

(結局、ガゼフ・ストロノーフはアインズに一騎討ちを申し込んで死んだ。そうまでしてランポッサ三世の命を乞うた…)

 

ベットから起き上がり、長い髪を自分で梳かしながら物思いに耽っていた。

 

今日、王国の宮殿に行き、ザナック王子の王位継承権を剥奪及び新王国を作る宣言をしなければならない。

 

(あー、新王国の建国と言っても王国の民達の反感を考えれば胃が痛くなる…)

 

人間っぼい見た目をしているが、自分の種族は『竜人』だ、人間ではない

 

(…反乱を考えればやることは山積みだなぁ…今日が最後の就寝だったのかもしれない)

 

いろいろと考えていると…

 

「失礼致します。陛下、ガレスです」

 

「あぁ、入りなさい」

 

「はい」

 

そう言って入って来たのはメイド達の長でもあり、キャメロットの食料及び人事の管理をしている円卓の騎士の一人であるガレスが入ってくる。

 

ガレスはレベル60程度で、外に出ることは基本的にないが戦闘にも長けている。ガウェインの妹で兄妹の仲は良好と設定されている。

 

少女騎士のような見た目をしているが、やはりガウェインに似て美形だった。

 

「朝食を準備出来ました」

 

「そうか、ありがとう」

 

鎧に着替えて玉座の間の隣にある部屋に行き、朝食を食べる

 

(あーー!!うっっまいー!最高ー!)

 

料理が食べれる種族にしておいて良かったとしみじみと思っていた。

 

「美味しい。ありがとうガレス、料理長達にも伝えてくれ」

 

「!はい、陛下!」

 

食事を済ませ、深呼吸して玉座の間に入ると、そこには跪いている騎士達がいた。

 

玉座に座るとアグラヴェインが先日の戦況についての話を始めた。

 

「カッツェ平野での戦いにてナザリックはエ・ランテルを強制的に奪い、王国側は食料生産量に優れていたエ・ランテル近郊を魔導国に奪われてしまいました」

 

モードレッドが自重したのか小さい声で『あの無能国家滅ぼそう』と呟いたのが聞こえた。まぁ言ってすぐにトリスタンに肘で小突かれていたが

 

それから王国の現状を聞き、王国の基盤を最初っから破壊するのは決定事項だ。

 

「そして、我が王があの国の上に新王国を建国する日が参りました」

 

こちらをみて誇らしげな表情を見せていた。

 

「その為に一つ必要なことがございます」

 

「なんだ」

 

守護者達の方を見てアグラヴェインは真面目な表情をし

 

「我が国の名を決めなければならないことです。あの国の名前をそのまま付けねばならないのはどうかと思います」

 

「んじゃあ、ブリタニア王国は?」

 

モードレットの言葉にモルガンが『いえ、ここは、獅子王の名を取り獅子王国にするのはどうでしょう』と話す

 

「ガウェインはどうだ」

 

アグラヴェインの言葉に『私は帝国で良いと思います』と話しランスロットが『シンプルに新王国と言うのはどうでしょうか』と言う

 

「トリスタン」

 

「陛下は以前、このキャメロットの名を"ブリテン"と名付けようとしたとお聞きしました。なので世界中に響き渡るよう"ブリテン王国"というのはどうでしょうか?」

 

アルトリアは他の案を聞いてもなんかイマイチピンと来ないのと、自分が名付けたら絶対にロクでもない名前になりそうだったのでトリスタンの案を採用しようと思い頷き

 

「うむ、トリスタンの意見を採用し、ブリテンと名付けよう」

 

ガウェイン達が歓喜の声を上げる。

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、アルトリアは重装備で王国内に入場する。

 

市民達はカッツェ平野での戦いの一部始終を聞いていたのか、登場したアルトリアをみて『我らの王国に繁栄を!』『獅子王様!我らの王!』と歓喜の声で手を振って歓迎していた。

 

そこに恐怖なんて色は見えなかった。

 

初めの頃に見た未知なものを見る目はなくなり、その目にはこの王国を良い方向に導いてくれるという期待の目しかなかった。

 

そして、王国の宮殿に入り、元王族の彼らは部下として扱うことになった。

 

拷…尋問済みのバルブロ王子を返還し、使える貴族と使えない貴族で分けることにした。

 

(元王族である彼らに仕事なんて出来るか分からないが、少なくともザナックは期待しても大丈夫だろう)

 

今までランポッサ三世が座っていた玉座に座り、並ぶ貴族達を見る

 

貴族達は皆、冷や汗をかきながら待っていた。

 

(…別に殺すとか言わないけどな)

 

「まず、今後の市民政策についてだ、貴族は大幅に削減し、そこから市民に食糧等を回す」

 

アルトリアは今後の方針を伝えれば伝えるほど、貴族達は不満げな表情を見せていたが、度重なる失敗をしでかしたことからおおっぴらに声を出さなかった。

 

「ザナック・ヴァルレオン・イガナ・ライル・ヴァイセルフを王国の筆頭に政策を執り行うように」

 

ザナック元王子ならきっと大丈夫だろう。使えそうな貴族達は彼の下に付けやっていけばいい。

 

使えない貴族達は一度、キャメロットに連れて行き"再教育"しなおせば良い

 

王国の執務室にてアルトリアはため息をつく

 

(使えない奴が多すぎる…)

 

カッツェ平野での戦いで貴族家の長男や優秀な者達は死んだ。

 

代わりにスペアと言われる次男三男は生き残っている。それが逆にまずかった。

 

本来なら家を継げない立場であるからこそ、何も教育は施されていない。

 

(…【彼】やアナスタシアの負担が増えるな…いっそのこと…)

 

聖槍を見てあることを考えるが首を振り

 

(…いや、コレはまだ先に残しておこう)

 

すると…

 

「陛下、アダマンタイト級冒険者の方々と関係者の方が参りました」

 

「!分かった、別室に通せ」

 

「はい、かしこまりました」

 

アルトリアが呼んだのは王国に滞在していたアダマンタイト級冒険者・青の薔薇のメンバー達と彼らと関係がある者達を呼んだ。

 

片付けていた書類をメイドに渡して部屋を出る。




次回、モルガンが動き出します

ガレス
【種族】竜人
【レベル】60
【居住区】キャメロット第一階層

【詳細】
ガウェインとは兄妹設定。ランスロットに惚れてる
獅子王に絶対の忠誠を誓っている。
キャメロットの人事や料理長も兼任している。


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閑話・モルガンとラナー

合間の話が多すぎて困ってます。そして、これから次回予告?するの辞めようかなと思ってます。なんかその通りに書けなくなってるし…

今回はモルガンが動き出します。


モルガンはキャメロットが、自身の創造主・アルトリアが新たな国を建国出来たことに暴れたいくらい喜んでいた。

 

しかし、王国に行った際に問題は山積みだった。

 

キャメロットを開ける事は出来ないゆえに新たな王都はキャメロットに変更され、市民達はそちらに移る者が多い中、モルガンやトリスタン数名はブリテン王国に残り貴族の選別に当たる事になった。

 

「モルガン様、冒険者組合はあのまま残すのですか?」

 

使える貴族の一人だったレエブン公の質問にモルガンは『えぇ、陛下は使えると判断したのだからあのままよ、青の薔薇の方々は人間の中では強いようですし?』と言う

 

モルガンは自分の創造主に会えない鬱々としていた。

 

その雰囲気が周りにも漏れていた。

 

レエブン公は冷や汗を流しつつ仕事をしていた。

 

「モルガン様、失礼ながら意見を言っても構いませんか…?」

 

「何かしら?」

 

レエブンはお辞儀をしてとある王族の人物について話し始める

 

途中まで興味がなかったモルガンが筆を置き、レエブン公を見る

 

 

 

 

 

 

 

クライムはリ・エスティーゼ王国からブリテン王国に変わってからも変わらずラナー元王女の元で騎士を務めていた。

 

(貴族の方々が追放やキャメロットに移動する中、新王…アルトリア様は何故、ラナー王女様を残しているのだろうか…)

 

何もないのは有難いが、何もなさすぎるのも怖かった。

 

とりあえず、ラナー元王女はザナック元王子と共に居を移され、そこで生活をしていた。

 

クライムは屋敷の戸をノックする

 

「失礼致します。ラナー様」

 

公共の場で『王子、王女』なんて名称を付けては呼べない。

 

そんなことをしたらブリテン王国から目を付けられてしまう。

 

屋敷に入るとそこにいたのはラナーで微笑み

 

「お帰りなさい、クライム」

 

笑顔で言ってくる

 

(ラナー様をなんとしてもお護りせねば…)

 

命に代えても

 

「クライム、ごめんなさい。仕事が終わったら一緒にお茶をしましょう」

 

そう言うラナーにクライムは『私にできることがあればなんなりと!』と言う。

 

仕事を片付けていると…

 

「ラナー様、モルガン様が参られました!」

 

侍女の焦った声にクライムが驚くが、ラナーは冷静に

 

「準備しましょう。クライム、お願いします」

 

「!はい!ラナー様!」

 

その後すぐに入ってきたキャメロットのメンバーの一人であるモルガンが部下を二人ほど連れて入ってくる

 

クライムはモルガンの登場に良い感情にならなかった。

 

この王国に配属されたトリスタン卿やランスロット卿のように紳士的な人間ではなく、悪魔であるモルガンが来る事は大抵悪いことを意味している。

 

モルガンに睨まれたら命の終わりと一部貴族の人間からは言われている。

 

クライムは部屋から出され、部屋の前で待つことにした。

 

「ご機嫌よう、ラナー元王女」

 

嫌味ったらしく"元"を付けて言うモルガン

 

「何か書類に不備がありましたか?モルガン様」

 

その言葉にモルガンは「いえ、大丈夫ですよ、完璧なまでに」と笑いながら言う。

 

「それでは何か?」

 

「私は悪魔で魔法詠唱者ですよ、貴女のその本当の顔を見に来ました」

 

「…本当の顔?」

 

ラナーはその言葉に少しビクつくが笑顔は崩さない

 

「貴女の頭脳があれば大抵のことは出来ましょう、あの悪魔騒動で裏を引いていたのも貴女で、ナザリックとつい最近まで繋がっていたのも」

 

「………」

 

ラナーの気味の悪さはトリスタンも気づいていたのか、アルトリアに『ラナー元王女の処遇について』を進言していた。

 

ラナーは精神異形種だとモルガン自身も感じていた。

 

「我々はナザリック…いえ、魔導国と敵対関係にあります。それも出会えばすぐに殺しあうくらいの関係です」

 

ラナーは無言でモルガンを見つめる。

 

「貴女の在り方は我が王が作る理想都市と懸け離れていますわ、だからこそ、貴女は早急に処理をしなければなりません。ナザリックに今後通じてしまった場合のデメリットを考えればね?あぁ、貴女が死んだ場合、あのワンコちゃんは当然とランスロット卿の配下になります。他人の物同然となりますが」

 

モルガンの真っ黒い笑顔にモルガンの配下二人の粛清の騎士が分かりやすく震える

 

「………それはいけませんわ、クライムが離れて行ってしまうのは悲しいです」

 

ラナーは悲しげな声を出すが表情はまるで泣いてもいない、まるで悪魔のように引き攣った顔をモルガンに向ける

 

「ふふふ…では取引しましょう」

 

モルガンはラナーの表情を見て笑う

 

自分と似たような化け物がこんなところにいた。

 

「……取引?」

 

「貴女が裏切らないという確固たる忠誠を我が王に誓ってください。王に忠誠を誓い、責務を果たした際にはあのワンコと貴女を悪魔にさせてあげましょう!逆に私が裏切ったと感じた場合はあのワンコを強制的にキャメロット第三地下階層に転移させます。魂を悪魔にして、そうですね、私のワンコにするくらいのことをしましょう」

 

モルガンの言葉にラナーは微笑み「頑張ります」と言う

 

モルガンは話を終え、部屋を出るとそこにちょうどいたクライムに微笑み出て行く




なんか、モルガンの性格がやばい方向に転がり込みそう…

アルトリアって言っても【獅子王】です。『騎士王』の方じゃないので理想の世界が少しだけズレてるので悪しからず!


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閑話・獅子王と円卓の騎士

アルトリアが王国を乗っ取ったと知ったツアーがブリテン王国に調査を入れる話。そして、青の薔薇と円卓の騎士達が交流する話


リ・エスティーゼ王国がキャメロットに譲渡され、新たな王国【ブリテン王国】となったことにツアーは驚きと少しの警戒心が沸き起こる

 

(彼女には悪意はないが…彼女のあり方は善ととっても良いのだろうか…)

 

かつての王国がぷれいやーに手を出してしまったのならば、それはかつての王国に非がある。

 

ぷれいやーは人によって違うが、積極的に干渉してこない者だっているし、積極的に人に害意を成す存在だっていた。

 

その間として干渉してこなければ干渉しないぷれいやーだっている。彼らの場合は穏やかな生活さえ約束されればむしろこちらに手を貸してくれる存在でもある。

 

(…リーダーだってそうだった、彼女はリーダーみたいなタイプではないのか?)

 

そして、もう一つ疑問ある

 

それは"彼女は本当に魔導国の事を知らなかったのか?"

 

おそらく時期・同程度の強さを考えれば双方に何か関係があるかもしれない。

 

もしや内部分裂を起こし今の状態に至った?

 

(…いやそう考えればあの陣営の偏り方はおかしい…魔導国はアンデット…キャメロットは人型が多い…)

 

カッツェ平野での戦いでは、魔導王が出した【黒い仔羊達】の対処方法も知っていた。

 

(…敵対関係にあるギルドが同じ時間に転移してきた?そう考えれば…)

 

ゾッとする光景がツアーの脳裏によぎる。

 

二つのギルドが正面衝突した場合、間違いなくこの大陸は焦土化するだろう。

 

「リグリット、青の薔薇に頼んで調査出来ないかい?」

 

近くにいたリグリットに問いかける

 

「イビルアイに聞いておこう」

 

 

 

 

 

 

 

ーブリテン王国、王宮内ー

 

円卓の騎士の一人であり守護者でもあるランスロットはまず、トリスタン達と話し合い、王国内の冒険者を国抱えの兵士に出来ないかという話をしていたが

 

冒険者組合は人々を守るために活動しており、国から独立した機関である

 

組合は、国の政治や戦争には加担しない規約があり、それを守ることで国家を超えて活動が可能になっている。

 

「国抱えの兵士には出来ないか…」

 

ランスロットは面会に来た組合長達を返した後、悩んでいた

 

「王国の労働力等は剣士兵達でなんとかなるとしても、軍備までキャメロットの兵士で固めるのは些かどうかと思いますね、それでは公平と言えません」

 

トリスタンは書類を見ながらいう

 

キャメロットには三種類の騎士達がいる

 

キャメロットの守衛及び外部の敵を排除する役割を担っている【守護騎士】は基本的に外に出ないでキャメロットの警備に尽力している。

 

【守護騎士】のレベルは80〜90に該当する。

 

【粛清の騎士】はキャメロットから他のギルドを攻める為にあるもので、基本的なレベルは50〜80と低いが、他の騎士達と違い多い軍勢で構成されているし、大体の粛清の騎士達は纏まって動くようになっている。火力はそこそこだが、耐久値及び体力が尋常ではないくらいあるので耐久戦にはもってこいだ。

 

【剣士兵】はレベル50で統一された騎士達で役割はまぁ、粛清の騎士達と似ているものの、ランスロット直下の精鋭部隊でもある。

基本的に何でもこなすという役割の元作られ、キャメロットにあった。

 

「王国の兵士達もカッツェ平野で多数死んでしまったからな…新たに出来るまではキャメロットの兵で何とかするしかないな」

 

「その方が良いでしょうね、それよりもランスロット卿、孤児院の建設は上手くいっていますか?」

 

「ええ、ガレス卿が建設してくれているし、孤児院の表向きの管理は元王族のラナーに任せようと思ったが…あの人はナザリックに繋がっていた事を考えれば安易には任せられないしな…」

 

「モルガンが彼女を監視して管理下に置いていると聞きましたね」

 

「モルガン殿の事だから大丈夫だと思うが…」

 

「そういえばランスロット卿」

 

「?なんだい?」

 

「王国戦士長と言われたガセフ・ストロノーフに匹敵するくらいの戦士が王国にいたと聞きました。名前は確か、ブレイン・アングラウスでしたっけ?彼を抜擢したらどうでしょう?」

 

「ブレイン・アングラウスか…人間の中で強いというなら考えてみよう」

 

そういってランスロットは立ち上がって王宮内を歩いていると…

 

木刀の音が響き渡る音が聞こえてくる

 

場所はかつて貴族達が使っていた部屋を何部屋かぶち抜き、兵士達が稽古できる場所になっている。

 

その中を見るとモルガンから聞いたクライムがいた。

 

(…確か、ブレイン・アングラウスはラナーの部下だと聞いたな…)

 

ランスロットが稽古部屋に入ると、静まり返り、兵士達は横に退き頭を下げる

 

(…王国を平定してから大分日は経ったと思いたかったが、やはり、少し恐怖は感じられるな…)

 

兵士達は獅子王・アルトリアが兵士たちを蹂躙して行った黒い仔羊達をいとも容易く倒した王の直属の部下なのだ。

 

あそこまで行かずとも実力は桁外れだと思っているのだろう。

 

(…ガウェインが4万人消しとばした事も知られてるだろうしな…)

 

あのアルトリア至上主義のガウェインは一応極善なのだが、人間から見てみれば極悪なタイプに見えてしまうかもしれない。

 

ランスロットはクライムを見つけ

 

「クライム」

 

そう一声かけるとクライムはビクつくが「は!!」と大きな声を出して走ってくる

 

「お呼びでしょうか!!」

 

「あぁ、少し聞きたいことがある。一緒に来てもらって構わないか?」

 

「はい!」

 

断る事など出来ない、そう言っているように見えて少し笑ってしまう。

 

「そう緊張しないでくれ、ブレイン・アングラウスと親交があった君にいろいろ聞きたいんだ」

 

「!ブレインさんの事をですか?」

 

「あぁ、ここではあれだ、移動しよう」

 

「!はい!」

 

 

 

 

 

 

 

クライムは自身の直属の上司でもあるランスロットと共に王国内の街を歩いていた。

 

直属の上司と言われると少しだけ違う気もしていたが、兵士達を纏めているのがランスロットなだけで、クライム自身がランスロットに声をかけることは基本的に緊急の用事がなければ無理なのだ。

 

いつもの鎧姿になっているランスロットはブレインがいるであろう場末の酒場に来ると丁寧にお辞儀をしたので驚いていると、ブレインも緊張の糸が切れたのか笑いながら『お偉方が来ると聞いてヤケ酒でもしていたんだが、お偉方のアンタにそんな律儀な風にされたらなぁ』と笑っていた。

 

クライムはラナーのときと同じように立って話を聞こうとしたら、ランスロットに椅子を指差されたので、拒否しようと思ったが、ラナーから『円卓の騎士の方々には逆らわないでくださいね』と言われていたので、頭を深く下げ椅子に座る。

 

それからブレインをブリテン王国の兵士長(戦士長の役割は無くなり代わりに兵士長という役割が追加された)に任命したいとランスロットから言われブレインは苦笑いして『俺にそんな実力はないな』と言う

 

ブレインは人を纏める役割はむかないといい、ランスロットの意見を否定しようとするが、ランスロットは『我が王に先ほど確認をとりました。あの戦士長と互角にやり合える貴方を是非と推薦がありました。なのでここで断られると代わりを探すのに手間がかかり…』と言う

 

ブレインはそれを聞いて『そうまで言われれば』と受諾していた。

 

「しかし、ランスロット様は酒も飲めるのか」とクライムに言うとランスロットにも聞こえていたのか微笑み

 

「私は何でも飲めますよ、キャメロットでも賑やかな酒盛りはよく開かれていました。我が王も参加されてましたね」

 

「へぇ、獅子王様がな」

 

それからブレインが自分の剣の実力に限界を感じていると言ったことに興味を持ったランスロットが「何か壁にぶつかったんですか?」と聞かれ

 

「シャルティア・ブラッドフォールンに出会ってからだな」

 

そう言った瞬間、ランスロットが持っていたジョッキが物凄い音を立てて壊れる

 

「…シャルティア・ブラッドフォールン?」

 

「知ってるのですか?」

 

クライムの質問にランスロットはブレインに『それはいつのことですか?』と聞く

 

「結構前だったけどな…確か、半年前だったか」

 

そう言うとランスロットは立ち上がり、代金を支払いブレインを見て『私はこれで失礼します。クライム、ブレイン・アングラウス殿を王宮に案内してくれ』といわれクライムは頷く

 

去って行ったランスロットにクライムとブレインは首を傾げる

 

 




終わりです!

聖王国編買いました!これから読みます!


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法国とブリテン王国

カッツェ平野での戦いを漆黒聖典の一人が観察していたというのでそこら辺の話もします。100原作の通りというわけではないので悪しからず。

聖王国編書こうと思ってたけど、ナザリック陣営も出したいのでどうしようかな悩んでます。ナザリックのリザードマン編みたいにオリジナル編書こうかなと思ってます。ミノタウルスとか…どうしよ


カッツェ平野での戦いの一部始終を見ていた漆黒聖典の第七席次【占星千里】は見ており、その現状に絶望し部屋にこもってしまった。

 

「故に報告が遅れてしまったことを謝罪申し上げます」

 

と謝罪を入れたのは土の神官長であるレイモン・ローランサンだ。

 

「最初の議題は王国の城塞都市エ・ランテルを占領し、そこを中心に二週間前に建国されたアインズ・ウール・ゴウン魔導国とリ・エスティーゼ王国から新たにブリテン王国と建国された問題について話し合いたいと思います」

 

突如として二つの国が建国され、一つはアンデットを中心とした魔導国、もう一つは謎の騎士達で建国されたブリテン王国の議題

 

ただし、情報を細部まで知っている者は少なく、得ている情報は噂程度でしかなかった。

 

まず、魔導王がアンデットであり強大な魔法詠唱者であること、王国の軍勢を17万人虐殺したということ、軍勢として数多のアンデット達を使役しているということ

 

そして、その17万人を虐殺したアンデット(黒い仔羊達のこと)を獅子王と名乗る者が一振りで倒したということ

 

「やはり、確認せずに戦争に介入すべきだったのではないか?」

 

「何を言う、状況も分からない状態で介入するのは危険だと言う意見で決着しただろう。お主は反対だったようだが、今更蒸し返すな………しかし、まさか本当にアンデットの国ができるとは思わなかったが…」

 

一同が揃って頷く

 

「帝国はどのように動くつもりなのだろうか?魔導国の同盟国として連名で建国を支援していたが、完全に協力者に成り果てたのか?それとも魔法で操られでもしているのか?」

 

「それはないな、あのフールーダ・パラダインがいる」

 

神官長達は議論を重ねていき、魔導国の恐ろしさに震えていた。

 

数百のアンデット達になんて勝てる可能性なんて皆無だと、その場面を見た占星千里は絶望して部屋に閉じこもってしまったのだろう。

 

だが、占星千里は"とある可能性"もあると報告書にまとめていた。

 

「新王国となったブリテンの王であるアルトリア・ペンドラゴンならばアンデットの国である魔導国を止める可能性が高いと言われました」

 

獅子王と名乗る王はリ・エスティーゼ王国を乗っ取り蹂躙するのかと思いきや、かつての王国よりも良い社会を築き上げているという

 

犯罪が蔓延っていた王都周辺は一掃され犯罪は撲滅していた。

 

人々の目にもこれから良くなるという歓喜の色しかなかった。

 

「新たな王都はキャメロットと名付けられ、周辺の守りも確固たるものになっているようです」

 

魔導国と互角にやり合える可能性のある存在がいるということに神官長達から歓声が沸き起こる。

 

「至急、ブリテン王国に使者を送りなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーキャメロット第四階層ー

 

「あーー!!!うっっぜー!!」

 

モードレッドは鎧を脱ぎ捨て、ソファーに座る

 

「あん?どうした」

 

第四階層の鍛冶屋として存在するNPC・獅子劫界離(ししごうかいり)が修理していた手を止める。

 

「王国の方にいるフリップって馬鹿がウゼェんだよ、大人しく笑ってりゃヤラシイ笑顔で擦り寄って来てよ!!!」

 

苛立ちマックスのモードレッドに獅子劫界離は苦笑いして

 

「仕方ねぇだろ、それも王サマの計画のうちなんだろうし」

 

「つってもよー!なんで俺なんだよ!モルガンでもよかっただろうが!」

 

「モルガンは悪魔だから嫌だったんだろ、その点お前は顔は良いし黙ってりゃそこら辺の令嬢と見間違うしな、ガレスさんはガウェイン卿がブチ切れて取り返しつかないことになるから却下されたんだろうし、王サマには近寄らせたくなかったんだろ?」

 

「あったりめぇだろ!父上に糞虫が付くなんて斬り殺すだけじゃ足りねぇ!!」

 

「ハイハイ、落ち着いて寝ろ、この部屋片付けたからな、明日に備えろよ〜守護者サマ」

 

獅子劫界離は手を振って部屋から出て行く




獅子劫界離
第四階層にいる鍛冶屋のNPC
基本的には武器の修理等に尽力している。
レベルは45と低めなのであまりキャメロット外には出ない。
種族は人間
モードレッドのストッパー役としての役割を買っている。


フィリップ・ディドン・リイル・モチャラス
モードレッドを妻にするとか宣った正真正銘の馬鹿
ある下級貴族の三男坊。次男は病死、跡継ぎの長男は上項の大虐殺で死亡したことにより、なれないはずだった次期当主に繰り上がる。しかし、父親が本来なら必要のない三男坊故にろくに教育しなかったせいでバルブロよりも生粋の馬鹿になった。


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閑話・獅子王の統治

またも内政の話になります。そして、市民目線の話もあります。

善は善でもみんなの思っている善意ではなく独善の善の可能性もあります。

前書き書くことが無くなり始めた…



キャメロットの統治下に置かれてから人々の生活水準はだいぶ上がり、市民達は獅子王の政治に何の不満も抱いていないように見えた。

 

「しっかし、この国もありえないくらい発展したもんだなぁ〜王都の道路は整備され、馬車と歩道を分けて市民が馬車に轢かれる可能性を軽減させたり、土地代を取らない代わりにその日に実った良い野菜を複数献上すればいいってのは些か王サマ方にはおつらくねぇのか?」

 

その日の供物を複数献上、野菜等が実らない年は以前の賃金より数十分の1のお金を国に収めるだけでいい。

 

以前の貴族制度を考えれば天と地程の差だった。

 

挙句の果てには労働力は国からの支援まである。

 

ガガーランの言葉にティアは『王国の官僚クラスが毎日巡回してるし、いろいろ手伝ってもくれるから、みんな嬉しそう』と呟く

 

現にアルトリア・ペンドラゴンの直属の部下であるランスロットはよく町に訪れでは、労働力の足りない箇所をくまなく探してサポートしてくれる。

 

それに、紳士的な態度で接してくれる故に王国の民達は皆口を揃えて『ブリテン王国になってよかった』と言った。

 

冒険者組合も以前と変わらず存在し、王国外に行くことも増えた。

 

冒険者達で対処できない魔獣はキャメロットの騎士達が片付けたりするなど冒険者達との協力をしたりなど友好的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィリップ・ディドン・リイル・モチャラスの父は息子の愚鈍な態度に頭を痛めていた。

 

息子であるフィリップはブリテン王国の官僚であるモードレッドを自身の妻に迎えると宣った時には、その異常な言動についに頭をやったかという考えになった。

 

フィリップは妄想したことが出来ると勘違いし、王国内を走っているキャメロットの馬車を襲撃して荷物を奪えばモードレッドはその責任を問われ、捨てられたところを慰めるために擦り寄るというのだ。

 

(…あれは正真正銘の馬鹿だ、だが、私が直接手を出すことは出来ない…)

 

もはや、フィリップは暴走し、この王国に残っていた盗賊達を使い襲う算段を企ててしまった。

 

王に殺される覚悟の元、獅子王の元に行き、事の経緯を説明すると王はフィリップの暴走を知っていたかのように『そうか』と言い、直談判に来た己は許してくださった。

 

逆に爵位と財産の一部は抑えられることになったのだが、命に変わるものはないと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

カツカツと鎧靴の音が響き渡る。

 

(想定通りにフィリップは動いたか…しかし、彼には悪い事をした)

 

フィリップは今後の政策のための贄と定めていた。

 

無能な貴族といえど理由もなく処罰することは出来ない。

 

故に理由を付けて行う必要がある。

 

「モードレッドは上手くいっているか?」

 

「は、苛立っておりますが、うまくいっているようです」

 

「そうか、なら始末も任せよう」

 

「かしこまりました。そのように伝えておきます」

 

 

 

 

 

 

 

フィリップは盗賊達に命令し、キャメロットの馬車を襲撃することに成功した。

 

馬車を襲撃したフィリップは盗賊を追い払ったという名目を立て、王の元に凱旋した。

 

その中にいたモードレッドを見て内心ほくそ笑んでいた。

 

(王に管理体制の杜撰さを伝え、モードレッド様に責任を問わせ追放させるのだ。そして、行く宛のなくなった彼女を我が妻に…)

 

王の、獅子王の言葉にフィリップは途中で思考が停止する

 

「貴公は隠し事が下手くそなのか、フィリップ」

 

獅子王は表情一つ変えずに大きな"もの"に襲撃現場の様子を映し出した。

 

「これは我がキャメロットが保有するマジックアイテムの一つであり"実際あったことしか"映し出さない物だ」

 

王国の"宰相"アグラヴェインはフィリップが自身満々に馬車襲撃の件を話した二人の伯爵達と事件前に告白したフィリップの父の証言を突きつける。

 

フィリップは二人の伯爵と父に激怒する

 

獅子王の右手にあった聖槍が光る

 

「……!」

 

今更になって恐怖が沸き起こり、尻餅をつく

 

ふとモードレッドの方を見ると以前と打って変わってお淑やかな女性から女戦士の顔になっており、殺気はマックスだった。

 

「貴公のしでかした愚行は、王国内の市民達の大切な物資を踏みにじっただけではない。下手をしたら他国にも迷惑がかかっていたかもしれない。それに私が最も怒っているのは、私の子供達に邪な気持ちで見たことだ、故にお前の処遇はモードレッドに任せる」

 

モードレッドと良い空気になっていた(フィリップの一方的な勘違い)と感じたフィリップはモードレッドの方を見るが、モードレッドは獅子王の方を見て

 

「死刑で」

 

そう簡潔に伝えるモードレッドに獅子王は頷く

 

物凄い光が聖槍に集まり、こちらに向けて発射される。

 

フィリップは身を焼かれる感覚を味わったのちにすぐに絶命する。




【犯罪解明道具】
ユグドラシルのアイテムの一つだが、ゴミアイテム。
戦闘メインのユグドラシル内においてあまり意味のないアイテムだったが、犯罪学・心理学が好きだったアルトリアの仲間の一人でマーリンと第三地下階層にいる【彼】の創造者が趣味で集めていた。


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法国の使者


ツアーってどれだけ強いのだろうか…戦闘シーン入れたいなぁ

後、マーリンの魔法の系統を【精神系】から【魔力系】に変更しています。魔力系と精神系の違いがイマイチわかってなかったので…ごめんなさい


アルトリアはベットに横になる。

 

(…あー、疲れた…)

 

アルトリアは気の張り詰める思いばかりしていた。

 

(人を殺める事への恐怖は湧かないのにな…)

 

ベットの両サイドにあった天幕を下げ、外から見えないようにして目を閉じる

 

(…NPCの忠誠も絶対という訳ではないだろうし…みんなの願う理想の王様で居ないとなぁ…しっかし…市民達の平穏もずっとこのままじゃないだろうし、人間は変化し続けるものだしな…)

 

これからの難民の政策や移民についても考えなければならない。

 

(やる事山積みで困った……)

 

リアルの世界での権力者達はこれらを適当に行い、市民達は不幸になって行った。

 

それを考えればここら辺を疎かにするわけには行かない。

 

ふとある事を思い出した。

 

(…アインズは…モモンガはどうしているだろうか、やはり敵対した事を怒っているだろうな…)

 

自分はこの世界だけはリアルのような凄惨な世界にしたくないと思い行動している。そもそも、あの世界に帰りたいとすら思っていない。

 

変わらない世界から逃げこの世界で好き勝手に生きている。

 

それに関してあちらはどうなのだろうか?

 

確か、モモンガは貧困層出身だったはず、会社で稼いだ金の大半をユグドラシルに注ぎ込むと言っていたのを思い出す。

 

寝ようとすると…

 

「お休みのところ申し訳ありません。陛下、トリスタンです」

 

天幕を出て鎧姿に着替える

 

「どうした?トリスタン」

 

「はい、法国の使者を名乗る者達が訪れました」

 

「…法国の使者?」

 

「はい」

 

確か、法国というのはかつてこの世界に来た六大神が建国した国だったはず。

 

人間至上主義国家だとツアーから聞いていた。

 

(ツアーの情報を鵜呑みにしてはいけないが…エミヤに確認に行かせたところ確かにその通りだと聞いたな…)

 

人間至上主義だと聞いたので、万が一のことを考え人間で構成されているアサシン軍団の一部で調査に向かわせた。

 

とても宗教色の強い国家と聞いた

 

そして、ワールドアイテムの保持も確認出来たとアサシン軍団のリーダーからも聞いたし、キャメロット第三地下階層にいる【彼】は『全面戦争すれば厄介な国だが、放っておいても害のない国だ、人間で構成されてるからそこまで強くもないが三人の神人には気をつけた方が良い』と

 

(面会しておくに越した事はないか…)

 

「ガウェインとマーリンを呼んできてくれ、アサシンのリーダーにも別室で待機しておくようにと」

 

「はい、かしこまりました」

 

ワールドアイテムを持つ国の人間ならこちらもワールドアイテムを保持している二人で対処した方が良いだろう。

 

 

 

 

豪華絢爛な部屋に通された法国の一行は入って来たブリテンの王と二人の従者にたじろいているのが見てわかった。

 

ガウェインは戦士としてのレベルはマックスで、マーリンは人間が到達出来ない領域である【第10位階魔法】を使える魔力系魔法詠唱者だ

 

その二人に王であるアルトリアの王としての風格に使者達は息を呑む

 

「我が王国に何用か」

 

静かな声に使者達は顔を見合わせ、魔導国についての話を始める。

 

魔導国は人間にとって脅威であると、人間を正しく導くアルトリアは是非とも人類を守る王であって欲しいと言っていた。

 

ブリテン王国のことを褒めちぎり、魔導国のことは下に言う

 

その在り方にアルトリアは眉を寄せる。

 

王のことを褒められている故にガウェインはアルトリアの表情に首を傾げているようだったが、マーリンはアルトリアの表情を見て大方分かったのか、二人の使者を見て杖を動かす

 

二人の使者は動くたびにマーリンの方を見る

 

「失礼だけど、君達の国は人間至上主義であるのだろう?それ以外の種族は皆討伐すべき者達なのかい?」

 

「もちろん、人間は力を持ちません。故に皆で守り合い、人類の脅威を摘むのが我々の責務です」

 

その言葉にマーリンは呆れたように苦笑いし

 

「確かに人間は弱い生き物だ、それはまぁそうなんだけどねぇ、君達はただ暮らしている異形種まで"徹底的に排除する"つもりなんだろう?そんなんじゃ争いは一生終わらないだろうし、こちらとしても争いばかり生む国とは交流を持ちたくはないだろ?」

 

マーリンの言葉に使者達はぐうの音も出ていないようだったが、話を逸らすように魔導国対策について今後、法国と協力してくれないかという話になった。

 

(素性の知れない相手の口車に乗ったらいけないな…)

 

リアルで耳にした『国同士の関係には信頼関係は必要だ』と得体の知れない国にむやみに協力する事は出来ない。

 

「魔導国はアンデットを王とした組織!!いずれ人々は蹂躙されていき、この世界は地獄絵図に…」

 

アルトリアがため息をつくと彼らは静止しアルトリアを凝視する。

 

「確かにモ…アインズ・ウール・ゴウンはアンデットであるのには変わりない。カッツェ平野での戦闘では自らの魔法のために17万人規模の被害を出した。人間を思いやるという考えが欠落しているのは確かだろう」

 

そう言ってアルトリアは足を組み

 

「だからといってアンデットだらけの国になるとは限らん、それに、むやみやたらにあちらと敵対して私の子供達を犠牲にしたくはない」

 

「しかし、アンデットならば今後…」

 

「私の望みはブリテンの安寧、世界がどうなろうと知ったことではない」

 

彼らの在り方には少し好感を持てたのだが、人類でないのならば差別も辞さないみたいな思考は理解できなかった。

 

「容易く他者を信じれば、即寝首を掻かれよう」

 

使者達を追い返し、魔導国が出来たエ・ランテルの方を見る

 

「王、本当に良いのですか?」

 

「何がだ?」

 

「いえ…法国は人類の守り手と全世界に知られています。その国と敵対した場合、良い印象を抱かれないのでは…?」

 

「ガウェイン、お前のいう事は一理ある。だが、私は差別をする国に良い印象はない。そういう国は何度も同じ過ちを繰り返し自然を破壊し、世界をめちゃくちゃにするだろう」

 

「なるほど…」

 

アルトリアは背を向けて歩き出し、ガウェインが持ち場に戻り、メイドがやって来たので執務室の椅子に座る

 

「アグラヴェインと移民・難民のことで話したいことがある」

 

「はい、アグラヴェイン様をお呼びします」

 

 




そろそろ戦闘回が入るかも?

獅子王様は差別は好まないけど、徹底的な幸福のためならある事も辞さない考えの持ち主です。

国民からの支持率は最高峰です。


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人間のあり方

今回はちょっとキャメロットの理不尽とも取れるような話です。

ナザリックほどでもありませんが、アルトリアはリアルのような世界にしたくないと決意しているため、少しだけ暴力的な思考に至る事があります。

アルトリアも人間性が少しずつ、極善の方向に振り切り始めてます。(アインズ様が人間をなんとも思っていないのならアルトリアはその逆)

超位魔法のあの結界?なんて言うんだろ…

アインズ様がブルー?白?なのに対し、モルガンの位階魔法はメディア(Fate)の魔術と同じ色をしています。


アグラヴェインは創造主・アルトリアに呼ばれ執務室に向かう

 

エ・ランテル割譲でだいぶ王国の領土は減ったものの、王国の領土は強大だ、そんな国を管理するにも人手が足りない現状では、移民や難民を無作為に増やす事は避けるべき事だろう。

 

王国はかつて難民達を無作為に受け入れ犯罪が増加したという歴史もある。

 

何も難民や移民を受け入れることが正義だとは限らないのだ。

 

部屋の前にいたメイドがアグラヴェインに気づき、アルトリアに訪室のことを伝える

 

「入ってくれ」

 

「はい」

 

それから二、三王国の内政の話になり、王国門の近くに集まりつつある移民・難民をどうしようかという話になった。

 

「我が聖槍には第10位階魔法《魂の選定》が付与されている。それを使えば容易いだろうが…弾かれた人間をどうするかだな」

 

「なるほど…陛下はそれをお悩みだったのですね」

 

《魂の選定》は魂の本質、悪を知っても悪にならない者が望まれる

 

「陛下、私の方で少し擦り合わせを行ってよろしいでしょうか」

 

「別に構わない(その方が助かる)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

難民達は王国の門の前に集められており、そこである程度調査を受けて国内に入るのが通例だったのだが、ブリテン王国となった今、その方針も見直された

 

クライムは難民達が雪崩のように王国内に入らないようにするために門の前で警備していた。

 

魔導国から逃げて来た者、法国の手から逃げて来た移民達など様々だった。

 

「おい、まだなのか?王国に入れるのは?」

 

「お待ちください。今、準備しております」

 

クライムは人間達が多い中、何人かのエルフ達がいるのを見て複雑な気持ちになる。

 

王国でもエルフや異形種はかつてまで奴隷の対象とされていた。

 

それが新政権になり改善されたとはいえ、王国の深いところにはいまだにその名残がある。

 

(…彼女達が王国に入れるのか…?)

 

エルフ達は最後の望みでここに来たのだろう。

 

人間達と違いみすぼらしい姿をしたエルフ達は隅っこで纏まり震えていた。

 

クライムが彼女らに毛布等を渡そうとした時…

 

「皆さん、よく参られました。ブリテン王国へ」

 

その声のする方を見ると門の前にいたのは、炎の騎士と呼ばれているガウェイン卿がいた。

 

「ここから先は人間も異形種も平和に暮らしているブリテン王国があります。入国される方々には安寧を約束しましょう」

 

その言葉に難民達は歓喜の声を上げる。

 

「我が王・獅子王に祈りを捧げなさい」

 

そう言うとそびえ立つ門の上から獅子王が現れる

 

「…最果てに導かれる者は限られている。故に私は選び取る」

 

その声と共に獅子王の手が光る

 

「!」

 

クライムのすぐ横にいたエルフ達全員と人間達の半数がその光に呼応するように光る

 

「50名の者達を我が王国に招き入れる"回収しろ"ガウェイン卿」

 

難民100名のうち50名が光るのを確認した獅子王はガウェインに指示を出す。

 

「心得ました。行きなさい、剣士達よ」

 

その言葉でガウェインの後ろから剣士達が現れ、光に包み込まれた人々の手を取り王国内に入って行く。

 

「おい!俺らはどうなるんだ!?」

 

「ねぇ!?私はーーちゃんと一緒に行けないの?」

 

50名全員が門の中に入ったのを確認すると…

 

「モルガン、後は任せました」

 

そう言ってガウェインが門の中に消えて行き、代わりにモルガンが現れる。

 

「ふふふ、可哀想な子供達、哀れな人々」

 

(っ…!なんだあれは…!?)

 

モルガンの周りに複数展開されているモノ

 

カッツェ平野で魔導王が見せたそれと同じくらいの禍々しさだが、あちらの青色がかった結界と打って変わり、紫色になっているそれを複数展開し、モルガンは不敵に笑う

 

「可哀想な子兎達、せめて一瞬の痛みもなく安寧を迎えさせてあげましょう」

 

魔法が発動したと同時に人々は倒れこむ

 

「!?」

 

クライムは目の前で起きた現象に息を呑む

 

この場にいるのは50名が一瞬のうちに絶命した。

 

(なぜ…こんなことを)

 

モルガンと交代する形で出てきた全体的に白い衣装を着て、足元から花が舞っている男は遺体を見て

 

「やれやれ、あの時よりいくばくか少ないけど、やってあげるか」

 

そう言って男は杖でタンッ!と地面を叩く

 

花々が咲き誇り、遺体全てを包み込むとその場から搔き消える

 

「君達の次の来世に必ず幸せを届けよう久遠に開かれた理想郷(ホープ・オブ・アヴァロン)

 

無数の光の玉が天に向かって登っていく




【魂の選定】
第10位階魔法で聖槍付与されている。
聖槍を手に入れた際に魔法詠唱者である友人と考えて『これ付けたら女神っぽくていい』という理由で付けられた。
fgo獅子王様と似たような能力だが、こちらは『悪意を知っても悪にならない者、何があっても悪い行動に移らない者』を条件にしている。少しでも邪な気持ちや悪意があれば弾かれる。


【久遠に開かれた理想郷】
第10位階魔法。
ガーデン・オブ・アヴァロンとは違い遺体を地に返し、魂を天に戻し、別の清い体に蘇生する魔法。
マーリンの杖が指し示すのは地平線の彼方。
久遠の先で光り続け、いまも人々を走らせ続ける『希望』そのものである。

【モルガンが発動した魔法】
第8位階魔法
一瞬の痛みも苦しみもなく眠るように相手を殺す魔法


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管理社会

えー、前回の小説を削除してしまい申し訳ありませんでした。

物語を考えながら『これ違う、あれ違う』と悩んだ末に削除致しました。今回は最初の方だけ前回のストックがあったので書きます。

極善による管理社会になりつつあるブリテンとエ・ランテルを支配下に置いたナザリックが帝国に手を伸ばす話。

感想コメントの方でありましたが急速すぎてナザリックの方の進みがわからないとのことでしたので、頑張って書きます。

ワーカーは普通?にナザリックに潜入しています。


ブリテン王国が移民希望者100名のうち50名を向かい入れ、残りの50名はブリテン王国の官僚の一人であるモルガンの手により葬られたと世界各国で話題になった。

 

しかし、その後、ブリテン王国の宰相位であるアグラヴェインが世界に発表したのは、これが獅子王の聖伐だと公表された。

 

ブリテンに犯罪を生むであろう存在は無作為に命を奪われる

 

そのことを知った移民達は人間であれば法国、異形種達は竜王国などに避難していった。

 

それでも一縷の光を求めブリテンに来る者達も多かった。

 

ブリテン王国の人々は獅子王を喝采し、その犠牲もやむ得ないものと判断しているものが多かった。

 

「…私には洗脳されてると思うんだが」

 

イビルアイ達、青の薔薇の面々は酒場に集まりその話になった。

 

「このブリテン王国は確かにひと昔前の貴族社会よりかは人々の生活は潤っている。犯罪に怯えることも、異形種に襲われる危険性も少ない。ヤルダバオトのような悪魔が出現しないようにお偉方は常に城から街を見ている」

 

「…まぁ、あの時はマジかと思ったなぁ」

 

魔導王が虐殺した数に比べればいくばくか少ないものの、それでも、人々が犠牲になったことには変わりない。

 

(…このことをリグリットにも相談したが…まずかったか?)

 

かつて十三英雄の一人であるリグリットに獅子王が行った聖伐について話をした。

 

その話は無論、あの竜王の耳にも入るだろう。

 

それが吉と出るか凶と出るかなどイビルアイには分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ーバハルス帝国皇帝・ジルクニフー

 

ジルクニフはカッツェ平野での戦い以降、毎日胃がキリキリと痛んで仕方なかった。

 

どんな貴族を粛清するときも、帝国を揺るがすような反乱の計画を聞いたときも、隣国との関係が悪化したときも、決して慌てず混乱もしなかったというのに、答えの出ない問題を前に頭を抱える事しか出来なかった。

 

「おのれ!奴め、死んで腐ってしまえ!」

 

ジルクニフは頭を掻きながら呪いの言葉のようなものを口にする。

 

魔法による呪いで相手を呪い殺す事は出来るが、ジルクニフにはその力を持たない。その為、単なる罵声にしかすぎなかった。

 

魔導王のことを考え、毎日そのような罵声を吐くことが増えた。

 

「いや待て、生きろ、というのが正しいのか?破壊されろと言った方が良いのか?神官はアンデットを神聖なる力で破壊できると聞いたことがあるからな…」

 

そんなくだらないことばかり考えてしまう。

 

魔導王の引き起こした最強魔法とそれらを一瞬で葬り去った獅子王なる存在の恐怖による帝国騎士団の脱退だ

 

あの戦いの後、騎士団を脱退したいと望んだ者の数は3780人だ。カッツェ平野の戦争に参加した帝国騎士16万のうち、6%が辞めてしまっている。

 

(いかん、思考が脱線してしまった。法国の使いの者と会うのは闘技場と決まった…そこで何を話しするかだ)

 

法国の使者は先日、リ・エスティーゼ王国からブリテン王国となった王国に向かい、現王である獅子王と会談を行ったらしい。

 

少なくともアンデットを王とする魔導国よりかは、人間で構成されているブリテン王国の方が安全だという判断に至ったようだが…

 

(あの王国も魔導王以上とまでは行かないが、価値観が少々人間にしては逸脱しすぎているような気もするがな…)

 

先日、ブリテン門前で行われた『聖伐』による死者は50名だと聞いた。

 

どうやっているかは不明だが、獅子王は『犯罪を犯さない・悪意のない者』のみをブリテン王国に向かい入れているらしい。

 

(それでは家畜になったのも同然じゃないか?)

 

限定的な者しか受け入れない

 

そんな管理社会など恐ろしすぎるとジルクニフにも感じていた。

 

しかし、国を治めている身だからこそ分かる犯罪発生率の高さ、いくら制御しても穴という穴から抜け出て国内で好き勝手する犯罪者ども

 

それらを入れないように出来るのなら、ジルクニフだって手を出していただろう。

 

「皇帝陛下、闘技場に行きましょう」

 

「あぁ、分かった」

 

バジウッドの言葉に頷き立ち上がる

 

 

 

 

 

 

 

 

ー魔導国・ナザリック地下大墳墓玉座の間ー

 

デミウルゴスはブリテン王国と対抗するための方法をアインズに進言する。

 

(アインズ様はすでに分かっていただろう)

 

デミウルゴスの計画の一つには、帝国を属国にするためには何通りかの計画があった。

 

アインズは現在、エ・ランテルに残っていた冒険者組合の人間と出かけ皇帝がいるであろう闘技場に向かっていた。

 

「ねぇ、デミウルゴス、アインズ様の智慧は確かに凄いわ、でも一つだけ問題があるのだけど、それについては大丈夫なのかしら?」

 

アルベドの言葉にデミウルゴスは眼鏡をクイッと上にあげる

 

「君の心配はわかっているよ、アルベド、キャメロットにいる第三地下階層領域守護者の【彼】についてだろう?」

 

「ええ」

 

キャメロットの情報はあまり多くない、ユグドラシル当時の情報しかないゆえに決定的とはいえないが、ナザリックが最大限に警戒するのは獅子王とそれに並ぶくらいの頭脳を持つ第三地下階層にいる【彼】の存在。

 

「あの男はあそこから出てくることはないと聞いたけど、出てこないからこそ貴方の策が看破されていないか不安なの」

 

戦闘については【彼】は不得意だろうが、下手にこちらの情報を与えて処理されたらたまったものではない。

 

「安心したまえ、というには適切ではないだろうが、私自身もいくつかの計画はアインズ様に進言している。アインズ様なら大丈夫だろう」

 




キャメロット第三地下階層の【彼】はまだ出てきません。まぁ、大方分かってる人もいるかな?

そもそも、アサシン軍団のリーダーだって当ててる人いるし…もうそろそろ出そうかなぁと思っています。

ちなみに獅子王はデミウルゴス程の頭脳の持ち主ではないです。デミウルゴスが深く考えすぎています。

いろいろ今後もあると思いますが、よろしくお願いします


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設定・キャメロット陣営について

今更すぎる設定です。

見切り発車で始め、こんなに続くと自分も思っていなかったので、設定を今更書かせて頂きます。

なんか遅くてごめんなさい。


【登場人物】

 

獅子王・アルトリア・ペンドラゴン

オリ主であり性別は女性、転移前も転移後も女性。

プレイヤー

種族は竜人でレベルは100

【創作NPC】円卓の騎士

ワールドアイテムを複数所持している。

 

【経歴】

転移前は富裕層の令嬢だった。

大学卒業したばかりの女性で親兄弟や親戚が傲慢に金を好き放題に使い、貧困層を下に見るような発言や罵倒を聴き続けたためにリアルでの生活には飽き飽きしていた。それでも恵まれた環境においてくれた親には感謝しているが、働き始めた会社で部下の女性(貧困層出身)も仲良くなったが、親が娘に悪い虫が付いたと思い会社に働きかけ、その友人を自殺に追いやってしまった。それから貧困層にもアーコロジーのような生活をと直談判していたが、改善はなく趣味の一環にしていたユグドラシルに逃げた。そして、親から強制的に結婚させられ、政治運動をしないように幽閉されるように追い込まれた。

ユグドラシル内で友人達とギルド《円卓領域キャメロット》を作り極悪ギルドなどから一方的に狩られる人間種など護るギルドとなる。その際に仲間達からの推薦を受けてギルド長になる。

 

【性格】

現実での影響ゆえにカルマ値は極善。

極悪ギルド《アインズ・ウール・ゴウン》とは幾度となく争った故にギルド長・モモンガとは戦友になる。

転移後は転移前のような世界にしたくないが故に行きすぎた正義を振りかざし、人間達を選別している。

割と大胆な動きをする。仲間内でも頭脳派タイプではなく『考える前に動いてる』肉体派タイプだった。

 

 

《NPC》

 

アグラヴェイン

【創造主】アルトリア

【種族】竜人

【クラス】騎士

【レベル】100

【カルマ値】善〜中立

【役職】キャメロット守護者統括→(ブリテン王国建国後)ブリテン王国宰相

 

【所持品】

ツアーがキャメロットを訪れた日以降、アルトリアからワールドアイテムの一つを貸し与えられている。

 

【性格】

創造主・アルトリアを敬愛している。

デミウルゴス同様に主人の頭脳は自分の上をいくと思っている。

アルトリアの前ではたまに性格が崩壊するが、基本的には無表情で無愛想、ランスロットとは仲悪い、モルガンはあんまり話したくない。

 

モードレッド

【創造主】アルトリア

【種族】竜人

【クラス】騎士

【レベル】100

【カルマ値】極善

【役職】キャメロット第四領階守護者

 

【所持品】

燦然と輝く王剣(クラレント)

「如何なる銀より眩い」と称えられる白銀の剣。モードレッドの主武装であり、通常はこの状態で戦闘を行う。

ワールドアイテムではないが、威力は聖剣・エクスカリバーに匹敵するほどの威力がある。

 

不貞隠しの兜鎧(シークレット・オブ・ペディグリー)

ワールドアイテムであり、鎧全体に魔法詠唱者が放つ魔法を高確率で無効化する能力がある。

装備している限りは毒や魅了などといった魔法はキャンセルする。

 

【性格】

創造主・アルトリアを『父上』と呼んでいる。アグラヴェイン同様敬愛している。

非常にキレやすく、すぐに剣を抜く癖がある。

鍛冶屋NPCである獅子劫界離と仲が良く、よくバーに飲みに行っている。

 

ガウェイン

【種族】竜人

【創造主】アルトリア

【レベル】100

【クラス】騎士

【カルマ値】極善

【役職】キャメロット第二領階守護者

 

【所持品】

転輪する勝利の剣(エクスカリバーガラティーン)

ワールドアイテムであり、元はアルトリアの武器だった。

異世界に転移する前にガウェインに見合う武器を持ってきて授けてた。アルトリアの持つ聖剣・エクスカリバーとは姉妹剣

エクスカリバーは垂直に振りぬく垂直な閃光であるが、ガラティーンは真横に薙ぎ払う灼熱の炎という違いがある。

昼間なら通常以上の10倍ほどは出る。

 

【性格】

ナザリックでいうアルベドのようにアルトリアを崇めている。

アルトリア至上主義、盲目的に命令を聞くがある程度の真摯さは持ち合わせている

最優先事項はアルトリアの命令なので、殺戮だろうがアルトリアが命じたことならなんでもやる。

また同じ創造主に創造された妹・ガレスとは最も仲良く、部屋は隣同士

 

モルガン

【主武器】無し

【創造主】アルトリア

【取得魔法】第九位階魔法

【カルマ値】邪悪

【種族】悪魔

【クラス】魔法詠唱者

【レベル】100

【役職】キャメロット第1領階守護者

 

【性格】

キャメロットで唯一のカルマ値邪悪のNPC

ナザリックでもやって行けるくらい邪悪な性格の持ち主で人間のことはどうとも思っていない。

バッドエンドが大好物と設定されており、親兄弟で殺し合うみたいな展開も大好きなので、モルガンに睨まれたら一番怖くて痛い死に方をする。

 

ランスロット

【種族】竜人

【創造主】アルトリア

【レベル】100

【主武器】アロンダイト

【カルマ値】善

【クラス】剣士

【役職】キャメロット第三領階守護者

 

【所持品】

武器であるアロンダイトは神器級アイテムであり、ワールドアイテムではないものの、威力が高い

クラスは剣士でモードレッド達のように攻撃波を飛ばしたりとかはせず、己の剣の腕のみで戦う

 

【性格】

紳士的で温和な方。

アルトリアのことは崇拝しているが、モードレッド達のような盲目さではない。

臨機応変に人間に優しく、向き不向きを考えて対応してくれる。

 

トリスタン

【創造主】アルトリア

【種族】竜人

【レベル】100

【カルマ値】善

【クラス】弓兵

【役職】キャメロット第五領階守護者

 

【性格】

自由奔放、アルトリアに忠義を尽くしている

主武器を楽器のようにして奏でたりしている。

市民達とよく話したり、子供と遊んだりしている。

 




はい、ひとまず終わりでございます。

アナスタシアとかエミヤとか説明したかったけど情報多くなると思ったのでひとまず終了させて頂きます。

次は本編に入ります

一部変更しています。円卓の騎士の創造主は全員アルトリアとなっています


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ifルート『単独転移』
番外編・単独転移『新たな世界』


本編は一時休止いたします。聖王国編を書きたいけど読んでないので書けないので…読んだらまた投稿いたします。

うぅ、ごめんなさい

番外編でアインズ様達と同時間軸に転移した獅子王様ことアルトリア・ペンドラゴンがツアーと遭遇し、そこから冒険をして行く話です。

本編とは違いアルトリアが獅子王にならず、『アルトリア』らしく、普通の女性らしくなっています。

NPC達がいないから気取る必要もなくのんびりとしています。


ユグドラシル最終日にログインし、モモンガさんといろいろ話して気づいたら見知らぬ草原におり「ほえ?」となってしまったのは無理もない。

 

コンソールもメッセージも使えないし、先ほどまでいたキャメロットではなくなっていたし…

 

姿を見てもアバター『獅子王・アルトリア・ペンドラゴン』のままだし、アイテムボックスを触ってみるとそこには聖槍やら聖剣やら入っていたのでゲームの操作も出来ると

 

(体の感覚もあるし、現実?)

 

混乱しつつも、動かなければ意味がないと思い、とりあえず近くに落ちていたコートのような物を鎧の上から羽織り歩く

 

 

 

 

それから数時間後、この世界のレベルは高くて40行くか行かないか、一般人のレベルは一桁でかなりレベルが低いものであった。

 

そして、宙を浮いていた鎧が私を視認して『ぷれいやーか?』と言っていたので、警戒しつつも動向を探っていると、あちらも下手に戦いに発展させたくなかったのか、敵意がない事を示すとある程度話が出来るようになった。

 

「なるほど…ユグドラシルからプレイヤーが百年の感覚で転移して来ていると…」

 

「あぁ、リーダー…いや、リクもこうして戸惑っていた」

 

リク、彼らのかつてのの仲間でプレイヤーの一人であった彼の仲間の事を聞く

 

それからツアーに『その衣装では目立つからなるべく隠した方が良いよ』と言われ鎧兜で顔を隠し、冒険者として王国内で歩む事になった。

 

聖剣を持ち、魔獣等を討伐しまくっていたら、ツアーの友人と名乗る老婆?が訪ねてきた。

 

名をリグリットといい、十三英雄の一人でプレイヤーと歩んだ事があり、ツアーからいろいろ聞いたのかかなり柔軟な態度で接して来た。

 

「アダマンタイト級冒険者・青の薔薇か…」

 

リグリットが帰った後、イビルアイを紹介され、彼女達のチームに入る事になった。

 

「私は青の薔薇のリーダー・ラキュースよ、よろしく」

 

「あぁ、短い期間かもしれないがよろしく頼みます」

 

王国に悪魔が出現しつつあると聞き、アダマンタイト級冒険者達が集められた

 

 

 

 

 

 

 

ー青の薔薇・イビルアイー

 

ラキュースはイビルアイから『紹介したい奴がいる』と言われ紹介されたのは、王国で唯一のソロ冒険者でありアダマンタイト級冒険者の実力を持つ冒険者・アルトリアと呼ばれる女性に会った時、一目見ただけでわかった。

 

()()()()()()()()()だと

 

アルトリアと別れた後、イビルアイと二人きりになり、彼女の話になった。

 

彼女・アルトリアは十三英雄のリーダーのような存在でありながら、力は六大神を超えると言われている存在だと聞いた。

 

「彼女は基本的に害意はない。助けを求めれば助けてくれる存在であり大抵の魔獣や化け物も彼女には勝てないだろう」

 

イビルアイは『彼女と敵対したくないからこそ、こうやって対話しているんだ』と言う。

 

「そう、つまりはこちらとしても交流してチームに入ってもらえれば万々歳だということね」

 

 

 

 

 

ー悪魔騒動ー

 

燃え上がる王国の街

 

青の薔薇のメンバーである彼女達と交流して行く中、そこそこな関係を築けていると思っていた。

 

ガガーランは豪快な女性だが、とても話しやすく自然と打ち解けて行けたし、ティアやティナは忍者らしく話しづらいと思ったが、話せば話すほど個性が爆発していて面白かった。

 

ラキュースは完全に中二病を拗らせていたが、貴族の令嬢のように気遣いに長けていてリーダーを務めるだけはあると思った。

 

イビルアイに関しては…まぁ、現在進行形で関係構築中だろう。何より、彼女はアルトリアに恐怖心的な物を抱いている。

 

そんな彼女達が王国内で戦っている。

 

「…ヤルダバオトにやられたのか…」

 

ティアとガガーランがやられたという話をラキュースに聞き、怒りが沸き起こる

 

確かにレベルは低い彼女達を殺すのは簡単だっただろう。

 

だが、仲間と認めた彼女達が殺されたというのはどうも気持ちよくない。

 

王国内に散らばった悪魔達を討伐しまくった後、ヤルダバオトが撤退したと知り、ラキュース達の元に行った時に思わず足が止まる。

 

「……モモンガさん?」

 

黒い鎧に身を包んだ気配はどう考えてもモモンガさんであり、傍らにいるのはナーベラルだ。

 

そう呟いた次の瞬間、彼と目が合い、ナーベラルは明らかに警戒態勢に入る

 

「どうしたの?アルトリア」

 

ラキュースが心配そうに聞いて来る

 

(…ここで戦うのはダメだな…)

 

青の薔薇のメンバーがいる以上、交戦なんてしようものなら悪魔騒動の二の舞になる。

 

(…悪魔騒動…?)

 

違和感が脳裏によぎる。

 

「…いや、なんでもない。私は帰る」

 

そう言って背を向けて歩き出すとラキュースが慌てたように着いて来る。

 

イビルアイはモモンガのそばにいて離れなかったが、アルトリアとラキュースが去ったのを見てこちらに走り寄って来る

 

 

 

 

 

 

 

ー王国のとある宿泊地にてー

 

拠点としていた屋敷に戻って来ると早速、ティアとガガーラン、イビルアイに襲われた事について聞く

 

(やはり、どう考えてもヤルダバオトはデミウルゴスだな…彼が青の薔薇のメンバーをやったのか…)

 

ナザリック地下大墳墓は極悪ギルドだ、ナーベラルもいる以上単独転移したわけじゃないという事だろう。

 

考え込んでいると…

 

「モモン様!」

 

「!」

 

全身フルプレートのモモンが訪ねてきたらしく、イビルアイと話す声が聞こえてくる

 

(…少し話をするべきか…)

 

ガタリと椅子から立ち上がる




はい、獅子王ifルートです。

遅くなりました!


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番外編・単独転移『転移後の世界の仲間』

獅子王にならず、アルトリア・ペンドラゴンとして青の薔薇チームと共に旅をすることになったアルトリアがモモンガ達ナザリック陣営とどうやり取りするかがifルートのテーマです。

本編の方は頑張ってその内投稿致します。仕事なんてなかったら聖王国編読めるのに…!

ラナー王女とアルトリアの遭遇などいろいろあります。

投稿遅れてすいません。ヘルニアがひどくて…(言い訳)


モモンガはいつも考えていた、この世界にプレイヤーがいる可能性があると

 

それが、ギルメン達ならどれほど良かったかと

 

(…だけど、アルトリアさんを敵に回して良いことなんてない)

 

「モモンガ様、危険です。アルトリア・ペンドラゴンがいる以上、こちらもアルベド様やシャルティア様を呼び体勢を立て直す方が得策かと」

 

ナーベラルの言葉に『確かにそうだな』と思ったが、アルトリアさんがいる以上、本格的な戦いになればあちらに接近戦に適している上に遠距離の攻撃も馬鹿みたいに強い

 

(…ナザリックに乗り込んで来ない可能性が高くても、外に出た守護者達がやられる可能性がある…なるべく協力関係でいないとな…それに、今回の騒動でデミウルゴスのことはばれてしまったかもしれないし…)

 

モモンガは青の薔薇が泊まっている屋敷に行き、出てきたイビルアイにアルトリアさんを呼んでほしいと頼み、数分後に来たアルトリアの瞳を見て『あぁ、これは知っているな向こうも』と感じ取る

 

アルトリアさんは玄関から出ず、一言『帰ってくれ』と言ってくる

 

メッセージにてアルトリアさんが《今ここで戦闘はしたくない。仲間が犠牲になってはらわたが煮えくり返っているところだが、ナザリックを敵に回すほど落ちぶれてもいない》と言われる。

 

アルトリアから敵意の目で見られるが、ここで聖槍をぶっ放されたらこちらとしてもたまったものではないので、悪魔騒動の礼を言うとその場から離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモン様…行かれてしまった…」

 

イビルアイが物悲しそうにする一方、アルトリアは黙って彼らの背中を見送る

 

(…どうしようか…彼らがいる以上、安易に情報を散らばせるわけには行かないし…)

 

今後、彼らが接触して来る可能性だってあるだろう。

 

(…さすがに彼ら全員を相手にするのは骨が折れる…)

 

アルトリアは考え込んでいると

 

「アルトリア?どうしたの?」

 

「!」

 

ラキュースが首を傾げて来る

 

「なんでもない」

 

「そう?明日、ラナー王女のお茶会に誘われたんだけど、アルトリアも来ないかしら?」

 

「私は良いが…逆に私でいいのか?」

 

「アルトリアだから来て欲しいのよ」

 

「そうか、なら行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー王宮内にてー

 

アルトリアはラキュースと共に王宮に入る

 

(…王宮ってこんな感じなんだな…)

 

メイド達が頭を下げていた。

 

「ラナー来たわよ、アルトリアも今日一緒に来たわ」

 

「いらっしゃい」

 

ラナーと後ろにいる兵士を見てアルトリアは二人を交互に見る

 

若い兵士はアルトリアを見て息を呑む

 

「紹介するわね、チームメンバーの一人で剣士のアルトリアよ」

 

「よろしくお願いします」

 

それからいろいろな話をしていたのだが、ラナー王女の人となりを見て何か不気味に思う。

 

話し方やアダマンタイト級冒険者が請け負う任務についての話以外に女の子らしい会話も入るのだが、話して行けば行くほど不気味な何かを感じる。

 

(…なんか違うというか…ラキュースとは友人関係のように接しているように見えるけど…なんというか…)

 

ラナーの話の内容に親近感を感じない。

 

例えで言うのならば、会社の運営などで別の会社とお互いの利害が一致しているから仲良くなるために接待などをしているような感じだ。

 

ラキュースからはラナーは友人だと守ってあげれるのなら守りたい友人だと聞いたが、ラナーからは別の目線で見ている気がする。

 

(…気持ち悪い…)

 

「それじゃあ帰るわよ、アルトリア」

 

「あぁ」

 

そう言って退出し、王宮から出る

 

コツコツと歩きながら外を見る

 

「ラキュース、実は相談したいことがあるんだ」

 

「相談したいこと?良いけど…珍しいわね、貴女が悩みがあるなんて」

 

ラキュースは笑顔で『任せなさい』と言って来る。

 

二人は王宮外に出ると…

 

「私の他にプレイヤーがいる」

 

「…え?」

 

ラキュースはアルトリアの言葉に唖然とする。

 

プレイヤーがどのように転移して来るかは未だに不明らしいが、ツアーの父がワールドアイテムだけを抽出しようとしたら間違えてプレイヤーまでついて来るようになったと聞いた。

 

「ちょっと待って、そのぷれいやーって誰のこと?組織?」

 

混乱するラキュースに「組織だ」と頷き

 

「近いうちに王国は()()()()()

 

滅亡するのは確定だと言うアルトリアにますます混乱するラキュース

 

いろいろな疑問はあるものの、アルトリアの言葉を最後まで聞こうと深呼吸をする。

 

「プレイヤーの組織の名は《アインズ・ウール・ゴウン》、極悪ギルドで基本的に異形種で統一されている」

 

「!アインズ・ウール・ゴウンって確か…」

 

帝国と王国が戦争する際に帝国側が持ち出してきた名前だ。

 

「私は人間じゃないからこそ、他の人間が死のうと多分何も感じない。だけどこれだけは言える」

 

「冒険者である以上戦争には参加出来ないし、参加してお前達を危険には晒したくない」

 

「アルトリア…」

 

「だからこそ言う、ラキュース、この王国から逃げたほうがいい」

 

アルトリアは以前と比べて自分達のことを信頼してくれるようになったとラキュースは暖かくなる。

 

「アルトリア、ありがとう、心配してくれて」

 

「…信じてくれるのか?今の話を…」

 

「もちろんよ、だって仲間じゃない」

 

ラキュースは笑顔を向けて来る。

 

その笑顔にアルトリアは微笑む

 

護りたいのだこの笑顔を

 

「それでも、私はこの王国から逃げる事はしないわ」

 

「…そうか」

 

逃げてほしいという気持ちを込めて言ったのだが、やはりラキュースは優しい

 

(…王国の貴族がどうなろうとどうでもいいが…市民に罪はない。ラキュースの気持ちを優先しよう…)

 

例え、そこに自分がいなくても

 

 

 

 

その次の日、アルトリアは起きて顔を洗い、食事をとりにいくと…

 

「おう!先に食ってるぜ!」

 

ガガーランが手を挙げて言って来る

 

「アルトリア、ガガーランが食べないように残しておいた」

 

そう言ってティアが出して来る

 

「ありがとうティア」

 

アルトリアはガガーランの隣に座り食事をとり始めるとティナが

 

「アルトリアは大食いなのに食べた物はどこに行ってるんだ?」

 

「ガガーランでも筋肉に行ってるのに」

 

「やっぱり胸に行っているのか?」

 

ティナとティアがこっちを見て来る

 

(まぁ、アバターだからなぁ…)

 

「「イビルアイも食べないと成長しない」」

 

「やかましい!」

 

和気あいあいで食べる彼女達を見て微笑む




【番外編アルトリアの人間関係】

・ラキュース
【アルトリアからのイメージ】
リーダーとして尊敬している。二人でよく魔法についての話し合いや稽古をしている。友達
【ラキュースからのイメージ】
最初は恐怖心があったものの、次第に打ち解け、今は唯一無二の親友だと思っている。

・イビルアイ
【アルトリアからのイメージ】
年齢は自分の上を軽く行っているけど、性格は少女のようで可愛い
この世界について教えてもらったので感謝している。
蟲のメイドを仕留め損なったと聞き、高確率でナザリックから狙われると感じ、彼女にワールドアイテムの一つを渡している。
【イビルアイからのイメージ】
ぷれいやーであることを知っており、なおかつ八欲王の再来と当時は怖がっていたものの、悪魔騒動編の少し前から恐怖心は無くなり、本気で怒って喧嘩しても軽くあしらわれるのに怒り、目標はアルトリアを殴ること

他メンバーとの関係随時更新。


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番外編・単独転移『モモンガとの対話』

最近風呂はぶっ壊れるわ、マイクラのセーブデータが親が勝手にブレーカーを落としたせいで消し飛ぶし…なんか嫌なことしかなくて鬱々しています。

投稿頻度が遅かったのはヘルニアのせいとマイクラをやってたせいなので、マイクラのデータ消し飛んだのでしばらくは小説の方に専念します。もうどうでもいいやぁ〜

今回は魔導国の虐殺の後からです。作者がバカなのであんまりデミウルゴスは出ません。


冒険者としての仕事をしつつ、王国で生活していると…

 

「帝国側に着いたアインズ・ウール・ゴウンが王国側の兵士18万人の死者が出たらしい」

 

「ガセフ戦士長も亡くなったとのことだ…」

 

「…あんな化け物達とどう戦えって言うんだ…」

 

王国と帝国の戦いは王国の惨敗で終わった。

 

「……この王国はもう終わりに近いな」

 

イビルアイの言葉にアルトリアは『そうだな』と言う。

 

「なぁ、アルトリア、一つ聞きたい」

 

「なんだ?」

 

「ラキュースから聞いたが、こうなると分かっていたのか?アインズ・ウール・ゴウンの力を知っていたのか?」

 

「…知っていた、でも、止まらないというのは分かっていた」

 

「…そうか、ところで一つ聞きたい。アインズ・ウール・ゴウンとお前が戦ってどれくらいの確率で勝てる?」

 

「………」

 

縋るような言葉にアルトリアは少し考え込む

 

「…魔導国の戦力を考えれば一対一でならあちらを複数殺せるとは思うが…纏めてかかって来られたら勝ち目がない。アインズとならフル装備で勝てるが…」

 

アルトリアの性能的に言えばデミウルゴスやアウラ・マーレの三人なら最初っからワールドアイテムと神話級アイテムで固めて全力で戦えば勝てる可能性がある。

 

シャルティアやコキュートスになれば流石に圧勝はできない。必ず大怪我や瀕死まで追いやられてしまう可能性だってある。

 

シャルティアの《血の狂乱》を起こさせれば聖槍でゴリ押しすれば勝てるかもしれないが、そこは分からない

 

(…アルベドとは戦ったことがないから分からないし、セバスは種族としての相性は良い…)

 

問題は…

 

(…ルベドが出てこられたら絶対に勝てないな…)

 

あれは強敵過ぎる

 

最悪相討ちになる。

 

ツアーやラキュースが蘇生してくれる可能性は高いが、プレイヤーがこの世界でも普通に蘇生出来るかは不明なところだ

 

ツアー曰く八欲王と呼ばれる彼らは何度も蘇生したらしいが、それは課金アイテムをふんだんに使っていたからだろう。

 

自分も持っているが、ナザリックと本格的に戦うことになれば底が尽きる可能性だってある。

 

「…あんまり期待しないほうがいい」

 

「…そうか」

 

(キャメロット城が転移してくれば話は別なのだが…)

 

この世界に転移して来る際にいた拠点であるキャメロットがこの世界に転移して来るのならば、それなりに対応も取れるし対策も練れる。

 

あそこはナザリックとの度重なる戦闘・防衛戦に連なり強化されている大城だ。

 

NPCが転移して来てくれた場合はナザリックとほぼ互角に戦闘が出来る可能性が高い。

 

(…まぁ、無いものに強請ったって意味ないか…)

 

城がないのなら己の実力で戦わなければならない。

 

持っていないものを強請るよりも可能性を信じた方が良い。

 

歩いていると…

 

「青の薔薇・アルトリア様ですか」

 

兵士の一人がそう声を掛けて来る

 

「?あぁそうだが…」

 

「魔導国の魔導王陛下が話をしたいと…」

 

兵士の表情はとにかく怯えており、縋るような目で見られる。

 

「!アルトリア…」

 

イビルアイの心配したような声にアルトリアは『大丈夫だ』と言ってその兵士に続く

 

 

 

 

 

 

 

 

ー王宮内にてー

 

アルトリアは王宮内に入り、兵士に続いて入るとそこにいたのは魔導王となったアインズとアルベド、ラキュースがいた。

 

他に複数の気配もするので隠密しているのだろう。

 

(…前は冒険者として来てたけど、今は魔導王として来たか…)

 

兵士は退出するとアインズが支配者のような口ぶりで話しかけて来た。

 

確かに、彼はそういうロールプレイだったし、そういう口調なのは王様として下に見られないようにするためだろう。

 

「単刀直入に言う。私の支配下に入れ」

 

その言葉にラキュースが息を呑む

 

アインズ・ウール・ゴウンが部下として勧誘して来たのはガセフ・ストロノーフとクライムから聞いたのだろう、ラキュースがアルトリアを見つめる。

 

「…貴公にメリットは何も感じないが?」

 

ナザリックにアルトリアを招くことは内側に爆弾を入れるのと同義だ。

 

それに、ナザリック地下大墳墓とキャメロット城の戦争の際にナザリックの階層を複数吹き飛ばしたこともある。

 

(…あの後の報復もまぁまぁ痛かったけど…)

 

キャメロット城の半分をナザリック勢に吹き飛ばされたこともあった。

 

「メリットはある。私の敵になる存在が一つでも減るということ、そして、貴女とは何度か剣も交えた。出来るのならば同盟を結びたい」

 

アルトリアはアインズの言葉の大半が本音なのは分かっている。

 

「…こっちとしてもルベド達とは戦いたくない。だが、私自身が安全になったとしても意味がない。私の仲間が無事でいられるならそれでいい。実のところ王国がどうなろうと私は別にどうでもいい」

 

「ならば…」

 

「エントマを瀕死まで追い詰めたのは私の仲間だ。それを許せるのか?貴公は」

 

そう言うとアルベドがキッと睨み、アインズから不快な気配が漂って来る

 

ラキュースは双方の強烈な圧に気絶しそうなのをグッと堪えていた。

 

「…貴女は自分の子供が襲われたら許すのか」

 

その言葉にアルトリアはため息をつく

 

「許す・許さないの問題じゃないだろう?それに、十分そちらはこちらに報復を取ったと思うが?エントマを瀕死に追い詰めた罰を死をもって償わせた。それでおあいこだろう?」

 

アルトリアの強い口調にアルベドがますます怒りの表情を見せる。

 

「…アルトリア…」

 

ラキュースが小さい声でアルトリアを止める。

 

「…私は誰の味方でもないのだが…青の薔薇のメンバーさえ生きていればそれでいい。どこの国の管轄に入ろうとも」

 

「ならばこそ我が支配下に入れ」

 

「…本当に約束出来るのか?仲間を傷つけないと」

 

「保証する」

 

「そうか、ならその約束が破られた場合はナザリックの階層を吹き飛ばす」

 

宣戦布告とも取れるような言動にラキュースは息を呑み、アルベドは武器をいつのまにか持って警戒していた。

 

「一つ聞きたい。アインズはどうして魔導国を作り上げた?」

 

そう言うとアルベドが『そのような事をなぜ伝える必要が…』と言いかけるが、アインズに制される。

 

「この世界に来ているかもしれない友を探すために《アインズ・ウール・ゴウン》の名を世界に知らしめる」

 

そうハッキリと言うアインズにアルトリアは何も言わなかったが『は?』と内心思っていた。

 

「……そうか、叶うといいな」

 

「アルトリア、お前も叶うといいな」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そうハッキリと言いたくなる気持ちを堪え、素直に頷く

 

友は《ユグドラシル》を辞めて行って最終的に残ったのは自分一人だけだった。

 

アカウントも消してアバターも消して消えて行った友たちが多い、この世界に転移して来る条件が【最終日にログイン】なら絶対に叶わないし、そもそも、ユグドラシルのデータを最終日以前に消しているのなら絶対にこの世界に来れない気がする。

 

この世界に来てから転移する条件を考えたのだが、八欲王や六大神、十三英雄のリーダーとその仲間の一人は大抵はワールドアイテムを持っているのと同時に彼らのギルドとは何回か戦ったことがあるが、まぁユグドラシルへの愛情が強かった気がするので途中で止めるようなタイプでもなかった。

 

現にモモンガだってそうだった。

 

アルトリアは席から立ち上がってラキュースと共に退出する。




アルトリアは『ナザリックの支配下に入る』とハッキリと明言していません。ボカして答えてるのは今後とある話を書きたいためにボカしました。

登場人物の相関図書こうと思いましたけど、あんまりまとまらないので次回に致します。



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番外編・単独転移『アルトリアの危険性』

前を向いて転移後の仲間を取ることを決意しているアルトリアと、昔に縋り昔の仲間を探している過去に囚われているモモンガさん二人の行く末は…

本編の方、その内やろうと思ってるけど、山のように書きたいことありすぎるのですいません。

アルトリアはは騎士なので、魔法詠唱者とは相性が悪いです。モモンガさんのように努力して苦手を克服しようとしてます。

後、本当にすいません。悪魔騒動編前に書こうと思ったシーンが抜けたので今更書いております。

あれです。クライムと青の薔薇メンバーが話すシーンです。


アルトリアは魔導王の支配下に入るという話は保留にした。

 

ナザリック全体を信用しているわけじゃない。

 

実際に過剰な反応でガガーランとティアを殺した彼らの仲間になんてなりたくもないし、お互いプレイヤーだとしても、見ている世界が違いすぎる。

 

王宮から出たアルトリアはフラついたラキュースを支える

 

「大丈夫か?ラキュース」

 

何かされたのかと思ったが、ラキュースは『ごめんなさい。魔導王との話し合いが怖くて…情けないわ』と言う

 

「ねぇ、アルトリア、私はどうしたらいいのかしら」

 

ラキュースの言葉にアルトリアは無言になる。

 

「私達は貴女ほど力があるわけじゃない。どちらかといえば、魔導王の放った攻撃で即死するような貧弱な人間…だからこそ、彼らの言う通り、王国の民を見捨てて彼らの支配下に入った方が幸せだとそう思ってしまったの…」

 

ラキュースは優しい。

 

一人でも王国の民を見捨てたくないと言う思いが強いのだろう。

 

あの戦争で親を失った子供達が沢山いる。

 

ラキュースは持っている財や力でなんとか彼らを支援しているが、それでも足りないのは確かだろう。

 

「…私自身もどうしたら良いか分からない。でも、出来るならば少数をとって大勢を見捨てても構わないと思っていた。私は…この世界に来て何も分からず右往左往していた時にツアーやイビルアイに助けてもらった恩を返したいだけなんだ」

 

イビルアイがナザリックに殺されそうになったり精神支配を受けようものならば、最低でもモモンガを殺して死ぬ覚悟は出来ていた。

 

「大勢を見捨てた先にお前達の笑顔がないのならば意味がない。私は…だんだんと人間としての感覚が無くなってくる自分が怖いんだ…私も、その内…お前達を忘れてしまいそうで怖い」

 

聖槍はワールドアイテムであり、同時に強大な力を保有している。

 

故にデメリットもあり、アバターが記憶していた仲間の情報が少しずつ消えるというデメリットもある。

 

ユグドラシルではアバターの条件であっただけで情報が消えるのはデータ上だけであり、本体である自分は覚えているのでただのデメリットに過ぎなかったのだが、ユグドラシルの法則がそのまま適応されるこの世界において、それは大きなハンデに繋がるだろう。

 

「そうね、私達のことはいずれ忘れてしまうけれど、イビルアイは貴女と一緒に生きていけると思うわ、だからアルトリア、これだけは言えるわ」

 

「………」

 

「最悪、私達の誰かが犠牲になったり人質に取られた時はイビルアイを助けてあげて」

 

「…そんなことはしない」

 

「全員を助かることなんて限りなく少ないの、世界のためならレベルの高い人を生かした方が私も嬉しいわ」

 

「見捨てることなんて…」

 

「して良いのよ、貴女は選び取る権利がある」

 

「………」

 

ラキュースは深呼吸をして『いろいろ話したいことはあるけど、とりあえずは温泉にでも入りに行きましょう』と言って歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー悪魔騒動前の話ー

 

クライムはガガーランとイビルアイにラキュースとラナーの話した内容を伝えにやってくる。

 

「よぅ、おつかれさん」

 

そう言ってガガーランが労ってくる。

 

クライムは彼女が苦手なのですぐに帰ろうとするとガガーラン達が八本指について話し始めたので聞くことにした。

 

そこから剣の才能についての話になり、イビルアイから『お前に剣の才能はない』とキッパリ言われる。

 

「才能というものは生まれつき持っている天才と能力は持っていても開花せずにいる者の二パターンがある。かつての十三英雄のリーダーだってそうだった。誰よりも弱かったが傷つきながらも強くなって行った。だがお前は努力してそれだ、剣の才能はない」

 

「それでも諦めるわけには行かないのです」

 

その言葉にイビルアイはため息をつく

 

「アルトリアとは王宮で出会っただろう?アイツを見て何を感じた?」

 

イビルアイの言葉にクライムは『一目見ただけでも凄まじいお方だと思いました』というと

 

「そうだろうな、アイツはぷれいやーだから能力も桁外れだ。この世界の人間でアイツに勝てる存在なんてこの世界にいるかどうか分からんしな」

 

「ぷれいやー…ですか?」

 

クライムにとってその『ぷれいやー』という存在がどういうものか分かっていなかった。

 

「八欲王…いや、法国の基礎を作り上げた存在はわかるか?」

 

「!はい、確か六大神が建国した国と…」

 

「その六大神とほぼ互角な力を持つのがアイツだ」

 

「…え?マジで?アルトリアの奴、そんな強いのか?」

 

ガガーランはイビルアイの言葉に驚く

 

「お前だって初対面の時に『馬鹿強い奴来たな』と言ってただろ」

 

「ありゃあ確かにラキュースや法国の英雄級レベル以上あるとは思ったけどよ、神に匹敵するレベルだとは思わなかったが?」

 

その言葉にイビルアイは『神を知らないから無理はない』と呟く

 

「妄言かと思えるかもしれんが、アイツは英雄級レベルじゃない。最早規格外の化け物だ、そいつを見てお前が()()()()程度にしか認識出来ないのは、お前自身の能力がそこまでだからだ」

 

「!」

 

「才能があるやつはアイツを見てまず防御に入る。アイツを紹介して来た奴だって、フル装備でアイツと対面してなんとか話し合いが出来たくらいだ、私やラキュースだってアイツと出会った時は恐怖しかなかったさ……今は違うがな」

 

イビルアイにとって『ぷれいやー』と共闘したことがあるのは十三英雄の彼らくらいであり、敵対したことはないが、ツアー曰く『ぷれいやーは味方になってくれた場合は心強いが、道を踏み外してしまった場合は災厄が降りかかるだろう』と言っていた。

 

つまり、アルトリアが外的要素で人間と敵対したりこの世界の人々を憎むようなことになればこの世界の者で対処が出来るか分からないとのことだ。

 

「…もし、アルトリア様が敵対するなんて事は…」

 

クライムの懸念はわかる。

 

アルトリアとラキュースがいるのは王宮で、この国ではまず対処できる存在はいないので、万が一にも暴れたり暴走した場合は誰も対処が出来ないのを懸念しているのだろう。

 

「それはない。ラキュースとアルトリアは最も仲良い、アルトリアが激昂したり世界に失望する可能性は我々が死ぬ、あるいは殺された時だろう」

 

それがない今は安心して良いというとクライムが胸をなで下ろす。

 

「つう事はよ、オレ達が死んだ時はお前に任せればいいんだな!」

 

「…私自身抑えられるかは分からないがな」

 

「まぁ大丈夫だろ!あいつ、お前のことも子供のように可愛がってるからな!」

 

「…いつか殴る」

 

「そっちの方が危ねぇだろ」

 

 

 

 

 

 

 

ー評議国のとある場所にてー

 

ツアーとリグリットはアルトリアを青の薔薇に紹介し、メンバーとなってからも彼女達と上手くやっているのを見て危惧していたことが今のところ起きていないことを見て安心していたが…

 

「今大丈夫だからと言って今後も大丈夫かは分からないから、引き続き様子見を頼むよ、リグリット」

 

「構わんよ、ところでツアー、草原に現れた吸血鬼について何かわかったか?」

 

「彼女から情報は得たよ、特徴等を彼女に聞けば恐らくはナザリック地下大墳墓にいる異形種、シャルティア・ブラットフォールンの可能性が高い」

 

「彼女の仲間ではなかったか」

 

「嘘をついている様子はなかったし、言葉に迷いもなく答えていた。彼女はおそらく単独転移。彼女自身が所属していたギルドと敵対関係にあったギルド拠点が転移して来た可能性が高いって言っていたが」

 

ツアーにとって彼女の情報は貴重だ

 

最初は嘘をついている可能性も高かったが、彼女の言っている事は的を得ていた。

 

「ところでツアーよ」

 

「なんだい?」

 

「もし、お前と彼女が戦ってどれくらいの勝算がある?」

 

「鎧なら戦い方によっては勝てるかもしれないけど、開けた場所で彼女と戦ったら負けるだろう。本体になれば十中八九負けるね」

 

「…そこまでの強者なのか」

 

リグリットが彼女・アルトリアを思い浮かべて険しい顔をする。

 

「あぁ、彼女が持つワールドアイテムはおそらく四つ以上持ってる。内二つは武器の聖槍と聖剣。残りは本人が言っていたが彼女が着ている鎧と彼女の目にあるだろう」

 

ワールドアイテムをどれくらい持っているか聞いた際に本人は「四つ以上は持ってる」と言ったので最低の目安は四つとしている。

 

もっと持っているかもしれないが、本人が言わないし、これ以上聞いたら向こうに敵意を向けられる可能性が高かったのであえて聞かなかった。

 

「彼女が八欲王のようにならないことを祈るしかないだろう」




お風呂場で思いっきり転んでお尻痛い…打撲かな…普通に歩けるし…

【番外編アルトリアの人間関係】

ガガーラン
【アルトリアからのイメージ】
筋肉量が凄くてカッコいい。
最初は距離があったものの、最近はティア・ティナと一緒にガガーランのことをからかったりしている。
仲間として大切に思っていたので、ガガーランがデミウルゴスに殺された日は激しく怒ってた。
【ガガーランからのイメージ】
大食いなのに全然筋肉にならず細身なのにめちゃくちゃ強いアルトリアのことを不思議に思っている。
プレイヤーであることは知らないが、なんとなくおとぎ話に出てくるような奴だと認識してる。

ツアー
【アルトリアからのイメージ】
世界に来てから初遭遇した鎧。
中身が空っぽなのは知っている
警戒心をむき出しにされているのは分かっているし、アルトリア自身も警戒している。八欲王を殺したり六大神と話しをしていた事も知り、悪しき存在になれば狩られるというのは理解した。
ツアーの事は基本的に好きじゃない。
【ツアーからのイメージ】
鎧で戦えば時と場合によっては勝てるかもしれないけど、基本的には相手にしたら80%負ける可能性が高いから出来るだけ敵対したくない。リーダーに聞けなかったユグドラシルの知識をアルトリアから聞けるので出来るのならば、敵対関係は取りたくない。
アルトリアの事は『強すぎる力を持っているから嫌いだが、性格的に言うならリーダー程じゃないが意見が合いそうだ』と思っている。

他メンバーも随時更新


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番外編・単独転移『死の足音』

うーん、ノッブの方も書きたいけど圧倒的に時間が足りない!

今回はペースがゆっくりですが、アルトリアの武器についてや仲間たちとの冒険の話などがあります。

デミウルゴスが急遽、ヤルダバオトとしての立ち回りを取りやめたので聖王国編は発生しません。何故ならアルトリアがデミウルゴス=ヤルダバオトと見抜いているので

後…モモンガがよくアイテムを取り出すあれなんていうんだろ…調べ足りないのか調べても??なのでアルトリアの場合は『宝物蔵』と明記してます。

宝物庫だったらAUOだけど、『宝物蔵』だからなぁ…


アルトリアは青の薔薇の拠点にて武器の手入れ等をしていた。

 

この世界に来てよく使う聖剣、聖槍の手入れは欠かせないのと同時に使わない武器の手入れも欠かせない。

 

宝物蔵から出した武器等々を見てハァ…とため息をつく

 

こうして見ると剣類が多すぎる。

 

(…まぁ、私はギルドの中でも騎士だったし…他のギルメンは魔法詠唱者とか効率良くしてたけど…この世界に来て武器頼みじゃいけないな…)

 

ワールドアイテムのうち数個はキャメロットの騎士達に持たせているので蔵にはない。

 

(…聖剣ばっかり振るっていたらいたらで問題だな…)

 

ワールドアイテムの聖剣は確かに威力は格別だが、同じワールドアイテムを持つ者には威力が弱くなる。

 

特にアルベドの持つ武器とは圧倒的に相性が悪い。

 

ワールドアイテムの防御鎧で固められてしまえば、ただの威力の高い武器にしかならない。

 

(…やっぱりそうなると、ワールドアイテムじゃないやつでも使えるようにならないといけないか…)

 

アルトリアは蔵から一本の剣を出す。

 

手に持つと剣の刀身が消えていく

 

アルトリアのスキルの一つに《風王結界(インビジブル・エア)》というスキルがある。

 

不可視の剣であり、敵に武器の間合いを把握させないためのスキルだ。強力な魔法によって守護された宝具で、剣自体が透明という訳ではない。

 

しかし、シンプルではあるものの、敵にしてみれば振るっている剣がワールドアイテムなのか神器級アイテムなのかふつうの武器なのか分からないように出来るのだ。

 

隠されてしまえば対処の仕方は限られる。

 

たっち・みーのようにワールドチャンピオンなら少し大変だが、並みのプレイヤーならコレで突破出来る。

 

武器を見つめていると…

 

「アルトリア、任務」

「任務の時間」

 

ティアとティナがやってくる

 

「あぁ、行こう」

 

武器を消して蔵に収めて彼女達についていく

 

 

 

 

 

 

 

 

ー王都にてー

 

任務のために王国をしばらく離れていたら王国の馬鹿貴族が魔導国の馬車を襲い、それに怒った魔導国が一部領地を襲ったと情報が流れてくる。

 

ラキュース達は急ぎ王国に戻り王都まで攻めてくる可能性が高いため、逃すべき者達を逃すことにした。

 

「アルトリアがいない間を狙うとはな」

 

アルトリアが王国に戻ればそれなりに向こうの手は緩むだろうと王国の貴族たちは思ったのだろうが、魔導国の手は緩むことはない。

 

イビルアイはラキュース達が叔父であるアズスに会うと言ったので着いて行くと、そこにいたのは女に囲まれている男がいた。

 

アルトリアは何か考えていたのか気づいていなかったが、異様な光景にラキュースはため息をつく

 

「叔父さん、もっとマシな格好で会えないのかしら?」

 

「いや、もう少し遅く来ると思っていてな、まぁ、なんだ、ベットでやっている訳でもないんだ。別に構わないだろ?」

 

「構いますよ!」

 

それから女達を下がらせ、魔導王の侵略について話し始める。

 

「叔父さん、一緒に戦いましょう」

 

「無理だやめておけ、直接見た訳じゃないからどれくらいの強さか分からんが、並大抵の奴じゃ勝てっこない相手だ。そうだろ?アルトリア・ペンドラゴン」

 

そう言ってアルトリアの方を見る

 

アルトリアは静かにアズスの方を見る

 

「化け物に化け物をあてるならまだ勝ち目はありそうだが、アンタがあの魔導王と何度か戦ったことがあるって聞いたが、今この場で勝てるような奴はいるか?」

 

アズスの言葉にアルトリアは首を振る

 

「そうだろうな、アンタと戦って勝てない冒険者だ。アンタが何も言わずにラキュースを連れてきたのはどうしてだ?」

 

「…ラキュースを説得しても王国で戦うと聞かなかったからこそ着いてきた。本気で危なくなるなら転移魔法で評議国あたりに飛ばす」

 

「アルトリア!」

 

ラキュースは最後までここで戦いたいという思いがあるのだろう。アルトリアを説得しようとする。

 

「ほぉ、最高の友人を持ったなラキュース」

 

「叔父さん!」

 

「初対面の人にはっきりというのはあんまり好ましくないんだが、私としては貴公が残ったところであまり勝てるとは思えない。そのスーツがあれば少しは保つだろうが…」

 

機嫌を悪くするのだろうかと思ったのだが、アズスは笑いながら

 

「アンタの言う通り俺自身はクソ弱いな、ハッキリ言う奴は嫌いじゃねぇ」

 

「そうか」

 

「…二人の会話、胃がちょっと痛い」

「うん、ちょっと胃が痛い」

 

ティアとティナがそう呟く

 

「客が来る前にアンタに少し聴きたいことがある」

 

「なんだ?」

 

アズズは前のめりになり、アルトリアを見て真剣な眼差しになる。

 

「魔導王の人となりは?」

 

「石橋を叩いて結局渡らず、飛行の魔法で飛ぶ奴だな」

 

「要は慎重派ってことか」

 

「…そして、この世界にいない仲間達をいつまでも探し続ける狂人だ」

 

アルトリアの強い言葉にイビルアイは驚く

 

彼女は敵に対してもあまり口調を変えずに話し、強い言葉は決して使わない。

 

(…確執でもあるのか…)

 

そうこうしていると…

 

「客が来たぜ」

 

アズスがそう言うと扉を開けて入ってきたのは複数の男女とフードを被った女がいた。

 

「……」

 

「…アルトリア?」

 

アルトリアの右手に透明な剣が現れる

 

「ん?来るのは二人って聞いたが、明らかに増えてるな?それに、そこのフードの女とそこの青年の仮面は神人だな」

 

そう言うと青の薔薇のメンバーが警戒する。

 

「約束を破った事をまずはお詫び申し上げます。アイドラ様、青の薔薇様、かの神々と同等な方が青の薔薇に所属していると聞きましたので我々が参りました」

 

そう言って謝罪する男の目はアルトリアしか見ていない。

 

神人の後ろにいた十本の指に指輪があり、柔和な笑顔を整った顔に浮かべている男が前に出て

 

「我々は魔導国の侵攻に伴い、王国の冒険者方を勧誘しに参りました」

 

その言葉にアズズは『お断りだ、法国の冒険者になるつもりなんてない』と言う。

 

「それでは青の薔薇様はどうされますか?」

 

その言葉にアルトリアはラキュースを一度見て

 

「イビルアイが命を狙われていたと聞いたが、それは本当か?」

 

静かな声に優男ではなく、神人が『それは事実でございます。我々の国は人間を守り人間に害をなす可能性の高い存在は排除するという使命がございました。しかしながらそれは過去の話。これからは青の薔薇・イビルアイ様や青の薔薇様には手を出さないとお約束いたします』と言う。

 

イビルアイは法国の神人がそこまで下手に出ているのに驚きつつ、ラキュースに小声で「アルトリアに任せてみろ」と伝えると「ええ…」と頷く

 

「法国のあり方なんて分からないし、興味がない。だが…」

 

アルトリアは真剣な眼差しで神人を見る

 

「人種を差別するような国は信用しないようにしている」

 

そう言ってアルトリアはラキュースを見る

 

「私はどこに行っても構わない。ラキュース達が幸せになれるのならどこにでも着いていく」

 

アルトリアの笑顔にラキュースはハッとなる。

 

神人はそれを見て少し面食らったような顔をしたが、微笑み

 

「分かりました。法国の傘下になるの話は一度保留に致しましょう。青薔薇様」

 

「…何?」

 

イビルアイは彼らが引き下がった事に驚く

 

基本的に法国はスカウトしに来たのならばその場で了解か拒否を決断するように言ってくるが、アルトリアの言葉を聞いてお辞儀をする。

 

「…隊長良いのですか?」

 

優男の言葉に「大丈夫だ」と言う神人

 

「何かあれば法国にいらっしゃってください。攻撃などしないよう法国の者にも言っておきます。おそらく神官長達も納得するでしょう」

 

「柔軟な上層部だな…」

 

「えぇ、上層部はかの神々と同じ御方である貴女の事は信用されております」

 

そう言って退出しようと背を向ける彼らの中にいて一言も喋らなかったフードの神人を見て

 

「フードの神人」

 

そう言うと少しだけ振り返ってくる彼女

 

「お前は強い、今度会えるのならば手合わせしてくれるか?」

 

その言葉にフードの神人は『……会えたらね』と呟く

 

そう言って宿から居なくなる気配を感じとる

 

「叔父さん、これからどうするんですか?」

 

「ん?俺は隣の部屋で腰を軽くしてくる。お前らはこのまま逃げるのか?」

 

「…避難させるだけの市民を避難させたら対処いたします」

 

アズスの言葉に顔を顰めつつもお辞儀をして部屋から去っていく

 

外に出た際に遠くの方で爆発などが起きているのを見てラキュースは全員を助ける事は出来ないと感じつつ、孤児院がある方向に向かうようにティア・ティナ達に指示を出し、走って行ったのを見て自分も行こうとすると…

 

「ラキュース」

 

アルトリアの声に振り向くと

 

「これを持っておいてほしい。出来るのなら全員に渡したかったが、一つしかないからお前に渡しておく」

 

「…何?これ」

 

渡されたのは剣の鞘であり、大きさに対してかなり軽かった。

 

「私の持つ聖剣の鞘で名前はアヴァロン、ワールドアイテムだ」

 

「え…?ワールド…アイテム…」

 

ぷれいやーが持つ強力なアイテムであり、この世界においてそれらを破壊するためには同じワールドアイテムくらいだろう。

 

かつて、八欲王がそれらワールドアイテムを使い大陸を荒らし回ったと聞いていたラキュースは手にある物を見て少し怖い気持ちになるが…

 

「大丈夫だ、これは攻撃に適していない。危惧する事は起きない」

 

アルトリアを見ると微笑んでくる

 

「デカイからかさばるだろう。《同一化》」

 

「!」

 

ラキュースの手にあったアヴァロンが消え、代わりにラキュースが光る

 

「安心してほしい害も副作用も何もない。代わりに攻撃を防いでくれる。その気になればヤルダバオトの炎だって弾くだろうし、怪我も治癒し続ける」

 

「…そんな凄いもの、どうして私に?」

 

その言葉にアルトリアは微笑み『生きていてほしいから』と言う

 

「え…」

 

まるで死を覚悟するような言葉にラキュースはハッとなる。

 

「待って、アルトリア、何か危険なものでも迫ってるの!?」

 

アルトリアがこちらに武器などを渡す時は大抵、敵が来ている時か、あるいは…

 

「アルトリa…「《転移》」」

 

ラキュースを転移させる。

 

聖剣を構えて振り向くとそこにいたのは…

 

「…本当に嫌気がさす。お前とは戦ったことがないから戦いたくないし、お前の妹は強すぎるから嫌いだと言ったのにな。アルベド」

 

屋根の上から冷たくこちらを見下ろすアルベドと表情が分からないが、こちらを敵意の眼差しで見つめるパンドラズ・アクターがいた。

 

そして、目の前に立つルベド

 

 




【アヴァロン】
聖剣・エクスカリバーの鞘でありワールドアイテムの一つ
鞘であるがゆえに攻撃は出来ないが、防御に全てをかけている。
アルトリアの魔力に呼応し、持ち主に不老不死と無限の治癒能力をもたらすとされており、本人以外が持っても持ち主が生きている限り別の持ち主を治癒し続ける能力もある。
本気になれば超位階魔法を一度だけ跳ね返す

【カリバーン】
エクスカリバーよりも劣る剣だが性能は普通にいい。
かつてユグドラシルで『エクスカリバー』を手に入れようとプレイヤー達が争う中、全く同じ形・色でユグドラシル内にあった。
エクスカリバーより威力が劣るため、ユグドラシルプレイヤーからは『偽物』と言われ捨てられていた。
アルトリアが拾い神器レベルまで引き上げた。


【漆黒聖典の人達とアルトリア】

隊長
第一席次。
アルトリアと対面して法国の基礎を作り上げた神々と同じ存在だと知りつつも、アルトリアが仲間思いであるのを認識し、そう簡単に敵対しないだろうと安心して国に帰った。
今後、関係を構築しようと思っているのだが、アルトリアの周りに評議国の者がチラチラ見えるのでそこを警戒している。

番外席次
フードをかぶってアルトリアを見ていたけど、自分より明らかに強い上に、女だったので少しガッカリしつつ時と場所が整ったら本気で殺し合いしたいなと思っている。
強さを認められたので少しだけ嬉しくなってる。


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番外編・単独転移『ルベドvsアルトリア』

今回、頑張って戦闘シーン描きます。

頑張るって言ったけど、ルベドってどんな戦い方するんだ…?(後悔)

なので、イメージはヘラクレスvsとかクー・フーリンのイメージ。


アルベドは王国への侵略のために出陣したのだが、その前に万が一、王国内にアインズ・ウール・ゴウンメンバーがいる可能性が高いために至高の四十一人捜索隊を出して良いかとアインズに直談判した。

 

当然と許可は下りてルベド、パンドラズ・アクター達と共に王都へやってきた。

 

そして、そのルベドがどれくらいのプレイヤーになら勝てるのかという機能調査のためもあった。

 

もしも、今後、至高の四十一人の誰かしらが見つかった場合、ルベドを出して秘密裏に処理出来るかの実験もある。

 

(たっち・みー様よりも弱いアルトリア・ペンドラゴンを始末出来れば及第点もいったところね…)

 

アインズからは出来る限り、アルトリアが出現した場合は撤退しろと言われていたが、今後の障壁であることには変わりない。

 

「力量はやはり、ルベドの方が優勢ですね」

 

パンドラの言葉にアルベドは『そうね』と言う

 

先程からアルトリアはルベドの攻撃を受けている。

 

「しかし、アルトリア・ペンドラゴンの持っている武器がワールドアイテムなのか神器級アイテムなのか分からない以上、むやみにルベドを特攻させたらマズイのでは?」

 

パンドラの言葉に『そうね』と返す

 

「ワールドアイテムを持ち出される時の対処法はしてあるわ、ルベドにはワールドアイテムを持たせてあるわ」

 

「なるほど…」

 

「殺してしまいなさい。ルベド」

 

その言葉にルベドは吹き飛んだアルトリアの方に向けて飛んでいく

 

 

 

 

 

 

 

 

いろんなところを切り飛ばされ、殴られて血が流れる

 

(ゲームだったから分からなかったけど、こんなにも痛いのか…リアルだと…)

 

アルトリアは目の前に立つルベドに恐怖心が沸きつつも、ここから先には行かせないように動きながらの戦闘をしていた。

 

魔導国が侵略してきた時にいろんなスキルを重ね合わせていたお陰で、ルベドの一撃で即死する事はない。

 

血だらけになりつつ《治癒》で回復し、攻撃をするがルベドは軽々と避けて行く

 

強敵すぎる

 

(…ここで終わりか…な)

 

ルベドがアルトリアの上に乗っかる

 

「殺しなさい。ルベド」

 

アルベドの声が聞こえて来て思わず苦笑いする。

 

アルトリアにとって、自分はもはやどうでもいい存在だった。

 

この世界に来て良くしてくれたラキュース達が生きていてくれるのなら他に何も要らなかった。

 

(死んだらあの世界に戻れるのだろうか?それは嫌だなぁ…)

 

あの世界はもはや崩壊している。

 

出来るのならばこの綺麗な空で死にたいと思っていると…

 

大剣やハンマーなどが飛んで来てルベドを弾き飛ばす

 

「《世界断絶障壁》」

 

静かな声が聞こえて来る

 

「《大治癒》」

 

大怪我がみるみる内に塞がって行く

 

ラキュース達が来てしまったのかと思ったのだが、煙の中で見えたのは白銀の鎧が見える

 

「君がここで倒れられたら困る」

 

そう言って手を差し出してくる

 

「…世界の利益のために?」

 

苦笑いしながら手を出すとツアーが引き上げてくる

 

力強い手に少しだけかっこよく思えてしまう。

 

「物は言いようだね」

 

そう言ってアルトリアの武器を拾って渡してくる

 

見えていないのにどうやって拾ったかは分からないが

 

「目標の難度は?」

 

「…測定不能、私の考えでは相討ちで倒せて良いと思ってる」

 

「それは出来る限り避けて欲しいな、君の考えではぷれいやーは蘇生出来ないんだろう?」

 

「かつてのプレイヤーの事を聞いてなんとなく思ってるだけで実際は分からないが、かつてのプレイヤー達が蘇生に対して良いと思わなかった可能性が高いし」

 

アルトリアはルベドが体制を立て直したのと未知の存在がアルトリアを助けに入ったのを見て臨戦態勢に入ったのを見て、ツアーを見る

 

「…ツアー」

 

そう言って宝物蔵から宝石で出来た剣を渡す。

 

「なんだい?これは」

 

「ワールドアイテムの宝石剣。ユグドラシルじゃ、宝石剣ゼルレッチって名前だった」

 

「…そんな安易に渡して良いのかい?」

 

「今この場であの二人とタメ張れる可能性があるのが"お前だけ"だし…出来るならあの軍服を着た奴は倒さない方がいい、アインズがガチギレする」

 

「そうか、でも、殺さないでいられるかは分からないな」

 

ツアーは宝石剣を持ち直す

 

「うん、それでいい。出来るだけあの二人の注意を引きつけていて欲しい」

 

「あぁ、それと、アルトリア」

 

「?なんだ?」

 

「ラキュースからの伝言とイビルアイからの伝言だよ」

 

「!」

 

「『絶対に死なないで帰って来て』と『自分だけ英雄顔して死ぬのは許さない』だそうだ」

 

その言葉に暖かくなる。

 

帰る場所はある。

 

この世界にも家族のような存在がいる。

 

リアルのような冷たい家族じゃない、仲間という家族が

 

「あぁ、絶対に生きて帰る」

 

剣を構えるアルトリアを見てツアーは『僕は、君のようなぷれいやーは生きて欲しいと願っているよ』と言ってくる。

 

ツアーが飛び立ちアルベド達の方に行く

 

ルベドが不気味な笑顔を見せながら攻撃の態勢に入る

 

今までなら恐怖が沸き起こったが、今は怖くもなかった。

 

「私には帰るべき場所がある。ここが貴様の死地だ!!!ルベドっ!!!」

 

物凄い勢いで地面を蹴ってルベドの方に向けて飛んで行く

 

走ったところから亀裂が走り、地面が割れる

 

ルベドが武器を振りかざしてくる

 

聖剣・聖槍対策をしっかりとしているルベドの武器が肩を直撃するが、アルトリアは《風王結界》を解き、カリバーンで攻撃する。

 

(MPが底をつくだろうが構うものか!!)

 

本来ならワールドアイテムの武器を持つルベドに敵わないはずだったが

 

約束された勝利の剣(エクス・カリバー)ァァアア!!!」

 

アヴァロンと同じく《同一化》のスキルで一時的にワールドアイテム・エクスカリバーの力を自分のMPに転換させてカリバーンから射出する。

 

本来、カリバーンから出ない威力が出てルベドを完膚なきまでに破壊する。

 

「ぐっ…!」

 

MPが底をつき、強烈な激痛が襲いかかってくる

 

ルベドの死亡を確認したアルトリアはツアーの方に向けて大声で『リク・アガネイヤ!!!』と叫ぶ

 

初対面の際に『リク・アガネイヤ』と彼が名乗り、何度か会話していけば気を許したのか本名の方を教えてくれた。

 

リク・アガネイヤは偽名だと彼が言っていた故にこの場で本名を叫ばないためにも必要だろうと判断した。

 

ツアーはアルベドの攻撃をかわしてアルトリアの方に飛んでくる

 

「《転移》」

 

ツアーとアルトリアがその場から搔き消える。

 

アルベドは居なくなった二人を見て舌打ちしたくなる気持ちを堪える。

 

ルベドが死んだ、その事に拳を握り締めて震える




《宝石剣ゼルレッチ》
ワールドアイテムであり、マナ供給を得る事で光の斬撃を無限に放つ事が可能。
つまり無限に魔力を補給しながら攻撃可能なトンデモアイテムである。デメリットがないわけではなく、人間種とレベルが90以下のプレイヤーが耐えられる設計はしておらず、一度振り抜くごとに筋繊維が一本ずつ切れて激痛が伴うという、使用者の体力と精神をゴリゴリと削るような反動を伴う。
転移後の世界で振るえる存在はアルトリアかツアーくらい。


アルトリアとツアーを会話させたかったのと戦闘シーン書きたかっただけなので、後は二日後?くらいに出すかもしれません。すっごい疲れた…


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番外編・単独転移『来るべき時まで』

とりあえず単独転移の話は終わりです。

次は別の番外編if書くかもしれないし、本編書くかもしれません。自分でもどっち書くか未だに考えてない…。

評議国に避難させたツアーと逃げ延びたアルトリアと、アルトリアと合流するために評議国に向かう青の薔薇のメンバーの話。

転移説見てて100年単位ならキャメロットが転移して来る可能性があるのは100年後なので…

後、リグリットの口調分からない…。


王国の滅亡、大勢の市民達の虐殺

 

しかし、状況は一変、魔導国の兵はとある地点から動かず、撤退を決めたという話があった。

 

おかげでそこから先の市民達は法国、評議国に逃げ延びることが出来た。

 

ラキュース達は廃屋でその事をリグリットから聞いた

 

「アルトリアが…」

 

ラキュースを強制転移させたアルトリアが魔導国の兵を退けたとのことだった。

 

「魔導国の最高戦力をやったからしばらくは魔導国の手は緩むだろうって言っていたな、実際、魔導国はエ・ランテルと王国の半分を支配下に置いただけで後は静観を決め込んでいるしな」

 

リグリットの言葉にイビルアイは『そうか』と言う

 

「所でよ、アルトリアは無事なのか?」

 

ガガーランの言葉にラキュースも心配そうに見る

 

「ツアーが保護して評議国に避難させたそうだ」

 

その言葉にラキュースは生きていることに安堵する。

 

「避難させた?避難したのでは無いのか?」

 

イビルアイが何か違和感を感じたのかリグリットの言葉を聞き返す

 

「イビルアイ?」

 

「あぁ、状況のことは言っておらんかったな、アルトリアは一度転移したのちに意識不明になり、ツアーが状況を確認するために評議国に転移させたとの事じゃ」

 

「意識不明…!」

 

ラキュースは不安そうな顔を見せるがリグリットが『ツアーが着いておるから大丈夫だ』と言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー評議国、とある場所にてー

 

リグリットから青の薔薇のメンバーを評議国に向かい入れても良いかという話があり、ツアーはしばらく考えたのちに了承を出した。

 

鎧姿で青の薔薇達を向かい入れる

 

「アルトリア!!」

 

ラキュース達がベットにいるアルトリアに向けて駆け出す。

 

「ツアーよ、状況はどうだ?」

 

リグリットの言葉にツアーは腕を組みながら

 

「ここに来るまでに彼女から聞いたが、魔法を発動するための力が一時的に底をついてしまっただけで問題はないって言ってたね、後、聖槍に魔導国の最高戦力…彼女が言うにはルベドというえぬぴーしーのデータを閉じ込めておいたから魔導国が本気で攻めて来る可能性は無いだろうともね」

 

「そうか」

 

「まぁ、念のために魔導国が手出しづらい場所に彼女を匿う事にはするけど…青の薔薇の彼女達は出来る限り評議国外には出さないで匿っておきたいと思ってるんだ」

 

ツアーはアルトリアの安否を確認して安心しているラキュースを見つめる。

 

「…そうか、彼奴らから情報が漏れるのを懸念して、か」

 

「あぁ、どうなるかは分からないけど、彼女が復活するまでは魔導国と本気の戦いはしたくない。魔導王の戦い方、宰相であるアルベドやその他のえぬぴーしーの情報を聞けば安易には喧嘩を売ってはいけないだろうから、封印という流れに持ち込めるか考えてみるさ」

 

「そうか」

 

 

 

 

ー魔導国にてー

 

魔導国、ナザリック地下大墳墓にてアルベドがルベドの消失を招いたことは厳罰ものになる。

 

「私は、アルトリアさんには手を出すなと伝えておいたはずだが…」

 

アインズの言葉にアルベドは跪き震えていた。

 

(…王国の侵略を決定したのは俺だから、俺にも責任はあるな…でも、ルベドの喪失はキツイ…)

 

アルトリアとルベドがユグドラシル時代に戦ったことがあった。

 

その際は、ルベドの全勝、アルトリアはレベルダウンだった。

 

(…アルトリアさんも少なくともこの世界に来て強くなったということか…)

 

アルベドは死をもって償うと言っていたが、今この現状でアルベドを失うのはキツイ上に、ただでさえルベドを失ったのだ。

 

戦力を欠くわけには行かない。

 

「アルベド、罰はそのうちに決める。ルベドを葬ったアルトリアさんの捜索を続けよ」

 

「は、い」

 

アルトリアの持つ聖槍の能力は他のギルドのNPCをやった場合、そのデータを聖槍に補填することだ。

 

その補填したNPCから魔力なり、データなどを抜き取り、こちらの対策をしてくるのだ。

 

故にユグドラシル時代ではアルトリアの聖槍対策は必須であり、アルトリアが出現した場合は聖槍に入るデータ以上のMPを持つプレイヤーが対抗する流れになっていた。

 

故にアルトリアが出た今回の場合は、アインズ自身が出ばらねばならなかったのだ。

 

 

 

 

 

ー100年後ー

 

アルトリアは評議国内にて変わらぬ日々を過ごしていた。

 

時々遊びにくるイビルアイと仲良く戯れたり(イビルアイは戯れてない)、ツアーが世界を見て回り、プレイヤー及びギルドの転移がなかったかの報告を受けることもあった。

 

「今日は随分と荒々しい稽古の仕方をしたものだね」

 

イビルアイが地面に伸びながら『…100年経っても全然勝てない…』としょぼくれていた。

 

「ツアーも遊ぶ?」

 

そう聞くとツアーは器用に鎧を動かし、呆れたようなポーズをとり

 

「君が前に鎧の腕の部分を木っ端微塵にしたのは忘れていないよ、君は加減を知らないからね」

 

ツアーが50年前ほどに破壊された鎧の腕の部分をさする

 

「…まだ怒ってるのか?ちゃんと直したし、ワールドアイテムを一つ譲っただろう…」

 

アルトリアの笑顔にツアーはかつての仲間達が《中身が空っぽの鎧》について言ってきたことが重なる。

 

「君がいれば法国の彼らも少しは黙っているだろうし、彼女とも仲良くやれているのかい?」

 

「あぁ、番外席次(あの子)の事か、上手くやれていると私は思うな、少々性格に難ありなところもあったが、実に可愛げのある子だ」

 

「そうか、彼女を宥める事が出来るのは君くらいだからよろしく頼むよ」

 

番外席次はハーフエルフであるが故なのか、割と長寿である。

 

番外席次は強く、アルトリアもそこそこ本気を出さないと勝てない存在なのだ。

 

「それで?ツアー、私に何か用でも?プレイヤー関連?」

 

ふてくされるイビルアイを起こしながら聞く

 

「あぁ、魔導国から少し離れた地点の草原にギルド拠点が転移してきた。恐らくは100年の揺り返しが今回も発生したのだろう」

 

「魔導国の近くか…近いと魔導国と戦争になりやすいかもな、特徴は?」

 

かつて、魔導国が周辺諸国に喧嘩を売ったように

 

「白亜の城でかなりの大きさだ。えぬぴーしーか、ぷれいやーかは分からないけど、門の上に立つ騎士風の男はいたね」

 

「白亜の城…、騎士風の男…その城の中に花が舞っている塔はあったか?」

 

「あったよ、もしかして知っているのかい?」

 

「私の作ったギルドの可能性がある」

 

その言葉にツアーが何か考える仕草を見せる。

 

「そこの騎士達はやけに動き回っていたから、恐らくはぷれいやーなきギルド拠点なんだろう。なら、君が見に行ってみれば話は早い」

 

ツアーの言葉にアルトリアは「まぁ、その方が早いだろうな…」と言う

 

「アルトリア、本当に大丈夫か?」

 

イビルアイの言葉にアルトリアは『まぁ、少々怖いが、もし、違うのならば転移の魔法で死に物狂いで逃げてくればいいし、私のギルドなら、NPCの情報は分かってるから大丈夫だろう』と言う。

 

「ならば早いうちに向かった方が良いだろう。もしも、君のギルドだった場合は君がえぬぴーしーの暴走を抑え込めるだろうし、今後の対策にもなりえる」

 

「わかった。今日のうちに出て見る」

 

「そうか」

 

「私のギルドだった場合、NPC達にツアーとイビルアイの事を伝えなければな…この世界における私の友人だとでも、言わないと多分、敵対行動をとると思うしな」

 

「それは困るね」

 

そう言ってアルトリアとツアー達は部屋から退出していく




【100年後の説明】
キャメロット城の転移があり、終わりました
最終日まで近くにいたアルトリアが神隠しにあったように目の前から消えた事に驚いたアグラヴェイン達が死に物狂いで王を探そうと行動しようとした矢先にアルトリアとツアー達がキャメロット城にやってきます。
アルトリアの帰還に大喜びした円卓の騎士達は本編ほど周辺諸国を敵視しておらず、アルトリア至上主義のガウェインがイビルアイやツアーに対しても同等な扱いをしたりなど変化もあります。


【本編アルトリアと単独転移アルトリアの違い】

本編アルトリア:アインズ同様NPC優先。リアルでの生活が影響し、転移後の世界を極善による管理社会にしようとしている。そのため周辺諸国との関係は良くないけど、クライムやブレインは生きてる。

単独転移アルトリア:本編と違い転移後の世界の仲間優先。リアルでの生活は対して影響しておらず、聖槍はあまり使わなかった。評議国・法国との関係は本編と違い良好な状態。本編では王であるのに対しこちらは王でもないのでクライムやブレインは生存していない。

聖槍を対して使っていないので、聖槍からのデメリットは対して受けておらず、100年経ってもラキュース達の存在は覚えている。


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ifルート・『王国存続ルート』
番外編・アルトリアin王国『ガセフとアルトリア』


アルトリアin王国の話です。また番外編です。

アルトリアが単独転移し、ツアーに見つかったのではなくガセフに見つかったというifルートです。

本編書くのがだんだん辛くなって来たので横道に逸れます。

そして、本編とは完全に違います。

たっち・みーとはリアルでは兄妹設定になります。たっち・みーとウルベルトのリアルでの生死を描写しておりますので悪しからず


ーアルトリアin王国ー

 

アルトリアはゲーム《ユグドラシル》に最終日にログインし、気づいたら知らぬ土地にいた。

 

(…こんな平野の真ん中に女一人なのも危ないから【騎士王】の状態になっておくか…)

 

【騎士王】アルトリアは『獅子王』とは違い、女性ではあるのだが、少年と言われたら少年のように見える形態である。

 

『獅子王』は聖槍を主武器にしており、【騎士王】は聖剣を主武器にしている。

 

何も分からず右往左往、その際、魔獣に襲われて聖剣バサバサ斬っていたところを王国戦士長『ガセフ・ストロノーフ』と出会い、行く宛がないというと宿を紹介されたが、泊まる為の金銭もないし、見たこともない字で混乱したアルトリアは横に付き添っていたガセフを見てある事を提案した。

 

『言葉が読めないので教えて頂けたら嬉しいです』と頼み込み、なんとかガセフから交友関係を広げることが出来た。

 

そうこうしつつ、ガセフに教えてもらうがてら王国の事を知れる良い結果になった。

 

(…さてと、お邪魔してるんだし…何かご飯でも作るべきか…)

 

外に干していた洗濯物を取り込み食事を作っていると…

 

「アルトリア」

 

ガセフが帰って来た音がし、そちらを見ると一人の男を担いでいるような状態だった。

 

「お帰りなさい。その人は?」

 

タオルを持ってそちらに行くとガセフが『ブレインを寝かしてくる。服が濡れてるから部屋に入らないように』と言われ、タオルを渡して料理の準備をしていると…

 

「ふぅ…」

 

ガセフが降りて来て疲れたように椅子に座る

 

「彼、お知り合いですか?」

 

そう言ってコーヒーを出すとそれを飲みながらガセフは話し始める。

 

「路地裏で倒れていてな…かなり憔悴しきっていたので連れて来てしまった。見境なく襲うタイプではないと思うが、二階には立ち入らないようにな」

 

ガセフの言葉に『はい』と頷く

 

「ところで…知り合いは見つかったか?」

 

「いえ…それがまだ見つからなくて」

 

この世界に転移して来てからかなり経っているが、いまだに他のプレイヤーは見つからない。

 

というか、アルトリアが探しているのは《アインズ・ウール・ゴウン》のメンバーなのだが

 

(…兄さんからの伝言を伝えないといけないのに、最終日間際でこんな事になるなんて…モモンガさんのチャットに行くことすらできなかったし…)

 

アルトリアは《ユグドラシル》を兄から勧められて始めたようなものだった。

 

現実世界で友人を自殺に追いやった両親に嫌気が指し、政治運動をしていた。

 

貧困層の彼らにも平和な生活をと動いていたのだが、変化を嫌った両親と親戚に好きでもない男と結婚させられ、思い通りにいかない世界に失望し、やる気が何もかも湧かなくなった際に心配した兄が《ユグドラシル》を勧めてくれた。

 

結果的にそのゲームにはどハマりしたのだが、そのゲーム世界で兄が所属しているギルド《アインズ・ウール・ゴウン》と何度か戦闘して遊んだりなどした。

 

「そうか、見つかるといいな」

 

「はい」

 

ガセフの言葉に笑顔になると台所に向かって行く

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数日後ー

 

目を覚ましたブレインはガセフと数度会話し、街を放浪する日々が続いた。

 

シャルティア・ブラッドホールンという自分では到底勝てない存在に打ちのめされ、強さの高みに登る事は出来ないと諦めていた。

 

ブレインは街をブラブラ歩いていると…

 

「ありがとうね、アルトリアさん、いろいろ手伝ってくれて」

 

「いえ、何かあったら言ってください」

 

(…アイツは…)

 

ガセフと暮らしているアルトリアという少女だったはずと思い様子見をしていると…

 

「あ、ブレインさん」

 

視線だけで気づいたのか、アルトリアが振り返ってくる

 

両手には大きなカゴが握られており、とても女性一人が持てるような荷物ではなかった。

 

それを軽々と持ちやってくる

 

「買い物中だったのか?」

 

「はい、薬草を取りに行ってから王国の近辺にいる魔獣を狩ってました」

 

「魔獣を一人で狩ってたのか…?」

 

「はい」

 

ブレインはアルトリアの格好を見ると確かにマントの下に立派な鎧を着ており、腰には立派な剣をぶら下げていた。

 

(…どこかの国の王女なのか?)

 

見目は普通によく、下手したら王国の黄金とも呼ばれるラナー王女以上の美人かもしれない容姿で、このままアルトリアが成長すれば、王国の中では随一の美女になるのではと思っていた。

 

女に興味のないブレインでも、アルトリアの美貌には見ほれてしまう自信はある。

 

(そもそも、ガセフとはどういう関係なんだ?)

 

ガセフのことだから手は出していないはずだろうが、どういう経緯でガセフと暮らしているのか気になった。

 

「そういえば、ガセフと一緒に暮らしてるのか?」

 

「一緒に、というと正しいか分かりませんけど、ガセフは王国の宮殿で住み込みですし、あそこは実質私一人で使わせてもらってます。流石に家主が帰ってきた時は宿泊施設で暮らしてます」

 

持ち家がないという事なのだろうか?ますます分からなくなってきたと悩んでいると…

 

「さっき、魔獣を狩ってきたって言ってたが、その報酬はどこからもらってるんだ?話から察するに冒険者組合には所属していないんだろ?」

 

「秘密です!ガセフにも言っていないので」

 

そう言われてブレインは余計に考えてしまうが、女性に深く介入するのは良くないと思い、そのままアルトリアと共にガセフの家に帰宅する。

 

 

 

 

 

ーその夜ー

 

ガセフが帰宅し、アルトリアについての話題になり、ブレインはガセフからアルトリアを見つけた経緯を聴いて信じがたい話に「嘘だろ?」と言うとガセフは真顔で「本当なんだ」と言ってくる

 

「アルトリアを見つけたのはカッツェ平野付近で一人で魔獣を狩りまくっていた所を見つけたんだ」

 

それも、アルトリアは王国のオリハルコン級の冒険者ですら倒すのに手こずっていたギガント・バジリスクを一振りで倒したりなどしていた。

 

「『只者ではない』と感じ、保護の名目のもと王国に来てもらったんだが…王国の字を知らない、王国の情勢についても何も知らなかったから何処か滅びた国の王女か、あるいは戦士だったのではないかと思うんだ」

 

出身が分からない以上、むやみに放り出す事が出来ないとガセフは言う。

 

「……アルトリアの作る料理は美味しいんだ…」

 

酒を飲みながら言うガセフにブレインは大笑いする。

 

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアと…ー

 

王国に来てからアルトリアは治安の悪さに少し嫌な思いを抱いていた。

 

犯罪の温床、それを見て見ぬフリをする兵士

 

(…普通に買い物に来ただけなのに暴漢達に出くわす始末…なんか、嫌だなぁここ…)

 

鉢合わせた暴漢の男二人を張り倒して路地裏に放置して歩いて行く

 

テクテクと歩いていると…

 

(…アレは…)

 

ゴォォオオ!という炎の音が響き、王都周辺が炎に包まれる。

 

(ゲヘナ…?)

 

アルトリアは魔力を探知されないように魔力隠匿スキルをかけ、武装状態になると屋根の上に登る

 

「いやぁああ!!」

 

「やめてぇ!!」

 

「離してっ!!」

 

住民の叫び声が聞こえてくる

 

「!!」

 

アルトリアは住民を捕まえている悪魔を視認し、屋根の上から飛び降りる

 

聖剣を振るい、悪魔を斬り殺す

 

「あ、ありがとうございます…!」

 

住民はアルトリアを見てお礼を言ってくる

 

「大丈夫ですか?!」

 

「は、はい」

 

「ここにいるのは危険です。広場の方に向かってください。なるべく路地裏を通るように!」

 

「はい!」

 

住民達が逃げて行く時間を稼ごうと聖剣を構えて巨大な悪魔を見据える

 

(…急に何処から現れた?誰かが召喚してるのか…?とりあえず、救援に回らないと…)

 

アルトリアは悪魔を倒して辺りを見渡す

 

(…とりあえず、どこに誰がいて敵がどんな奴かある程度知らないと話しにならない)

 

深呼吸をし、辺りに気配を張り巡らせる

 

そして、一つの異常な所を発見する

 

(…レベル30相当の戦士と51レベルの何かが戦っている…近くにレベル100がいる。これは危ないな…)

 

周囲を見渡し、敵に襲われている住民がいないのを確認し、目立たないように道を走りながらそちらに向かって行くことにした。




【番外編のアルトリアについて】

アルトリア・ペンドラゴン
カッツェ平野に転移した瞬間に魔獣やらなんやらに襲われて大暴れしていた際にガセフに会い、王国の言葉を教えてもらうがてら生活している。
冒険者には所属していないのは実質ソロだし、相手を見つけるのもアレだなぁと思っているから


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番外編・アルトリアin王国『人間のために』

前に書いた単独転移の話とは別物ですが、なんか似てるのはすいません。

デミウルゴスとの戦闘ですが、あらかじめ言っておきます。作者はFateもオーバーロードもどっちも大好きなのでどっちも贔屓はしていません。

このシリーズに登場するFateキャラとオバロのキャラは基本的に同等レベルの強さという認識をしております。

アルトリアがいるため、原作とは少し違う流れになっております。

過去回想があり、至高の御方々の口調が違うかもしれませんがお許しください。

最近評価のところが怖くて見れない状態になって来た…感想コメントが嬉しくてそれだけ見てます!


ーイビルアイ ー

 

ラナー王女付きの兵士であるクライムに『お前に才能がない』と偉そうなことを言っておいて、いざ自分が敵と相対したときに改めて己自身にも才能がなかったと呆れてしまう。

 

(……あの二人から引き離して戦えればいい方だ…)

 

ガガーランとティアの死体から離すために仮面の悪魔『ヤルダバオト』と戦おうとしていた時、目の前に何かが飛び出してくる

 

「!!」

 

ヤルダバオトはそれを見た瞬間に飛び上がり、空を舞う

 

(なっ!なんだ…?!)

 

とてつもない風が一瞬にして吹き荒れる。

 

バサバサと飛ぶ音が響く

 

イビルアイは顔を上げるとそこにいたのは青いドレスに白銀の甲冑を纏い、見目麗しい金髪翠眼の少女剣士がいた。

 

(…彼女が…ヤルダバオトを退かせたのか…?)

 

ヤルダバオトは飛びながらやって来た少女騎士が異質な存在だと判断したのか、更に上空に行き

 

「ここら辺で退散させて貰いましょう」

 

早々に退散しようとするヤルダバオトに向けて少女騎士が何かを察知し

 

「《次元封鎖》!」

 

ヤルダバオトの周囲に魔法がかけられる。

 

(…アレは、ヤルダバオトが仕掛けた魔法と同じ…?)

 

おそらく双方の実力は互角で、彼女は唯一、ヤルダバオトを倒すことができる存在

 

「貴公に聞きたいことが山ほどある。答えてもらおう」

 

「困りますね、私は一切答えれる情報は持ち合わせておりません」

 

「…私に嘘は通用しないぞ、貴公の攻撃技及び能力については兄から散々聞かされた。いや…ウルベルトさん本人から凄く自慢された思い出がある」

 

「!!!」

 

ヤルダバオトは【ウルベルト】という言葉に明らかに反応し、動揺していた。

 

「私は…いや、あの人はむやみな殺生は最も嫌いだろう。あの人が最も嫌いなのは、富裕層であり、なおかつ傲慢で人の命をオモチャのように弄ぶ輩だ。今、貴公が行っていることはあの人の思いに反した行為ではないのか」

 

「………れ…」

 

ヤルダバオトから強烈な殺気が漏れ出す

 

「あの御方の名を語るな!!!貴様に何がわかるっ!!」

 

怒号と共にヤルダバオトが飛んでくる

 

物凄い勢い音が響き渡り、イビルアイの前にいた二人が消えて少し離れた所から衝撃音が響き渡る

 

「なんという…戦いだ」

 

二人の戦いは常人では見えないほどの戦いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

アルトリアが【デミウルゴス】について知ったのは、ナザリックに招かれた際に兄とウルベルトさんが口論しているのを間近で見た際の事だった。

 

「俺のデミウルゴスは最強ですぅ!おたくのなんの設定もないNPCとは違いますー!」

 

「甘いですね、設定が凝り固まりすぎて想像の余地がなくなっているじゃないですか」

 

「お二人ともー…せっかく、キャメロットからお客さん来てるんですよー」

 

「…たっちさん、妹さん放り出して喧嘩してて恥ずかしくないのー?」

 

「…兄ってゲームだと人格変わるんですね…」

 

モモンガさん、ペロロンチーノさんが二人の喧嘩を止める

 

「てわけで、俺のデミウルゴスは最強なんだよ!」

 

ウルベルトが楽しそうにNPCについて語っているのを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

アルトリアは飛んできたデミウルゴスの攻撃を聖剣で弾く

 

「風よ!荒れ狂え!!」

 

地面をえぐるように聖剣から爆風が吹き荒れる。

 

(…転移してきてNPCにも意思があるなら、ここで時間をかけているのはまずい)

 

デミウルゴスは頭脳明晰と言っていたのを思い出す。

 

下手に長期戦に持ち込めば何が起こるか分からない。

 

周囲にルベドやアルベドがいるかもしれない可能性がある。

 

デミウルゴスが本形態になって攻撃をしようとしているのを見て、構えを変える。

 

(聖剣でNPCを葬るのは簡単だ…でも)

 

どうしても殺すという事に抵抗感を感じてしまう。

 

『モモンガさんに伝えて欲しい事があるんだ。あの人は多分今もゲームにログインしているだろうし』

 

ゲーム最終日、自分の元に兄からメールが届いていたのを思い出す。

 

兄の死後、ゲームなんてやろうとなんて思えなかった。

 

それでも、そのメールが来たことから伝えようとゲームにログインした。

 

どうあがいても、デミウルゴスは口を割ってくれないだろう。

 

「ウルベルトさん、ごめんなさい」

 

彼の創造主に心の中で謝罪し、武器を変える

 

武器は聖剣ではなく、聖槍に切り替える

 

《魔力の収集を確認。規定値を突破、第二段階、限定解錠を開始》

 

騎士王の状態で【獅子王】の主武器を使うのは危険行為に近いが、今、この戦闘の時に形態を戻している時間はない。

 

光の柱が両手から空に向けて伸びる

 

「聖槍、抜錨」

 

瞳の色が黄色みがかなり強い緑に変化する

 

「あの御方の名を…!!!口にするなぁぁぁあああ!!」

 

デミウルゴスらしからぬ大声が響き渡る

 

「ロンゴ・ミニアド!!!!!」

 

最大に近い出力でデミウルゴス目掛けて発射する。

 

強烈な光が爆発し、デミウルゴスを飲み込む

 

 

 

 

 

 

 

 

ーナザリック地下大墳墓ー

 

「デミウルゴスが死亡しました」

 

そう、アルベドに告げられたとき、モモンガは言い知れぬ感情と動揺が沸き起こる。

 

「デミウルゴスは王国にいたのか?」

 

「はい、王国にて魔皇ヤルダバオトとして任務を行っていた際に不測の事態が発生…。王国を襲っていた悪魔達は数十人の人間をナザリックに連れてくることしか出来ずに撤退。《ゲヘナ》もデミウルゴスの死亡と同時に消失致しました」

死亡と同時に消失致しました」

 

NPCの一覧を見てモモンガは違和感に気づく

 

確かにデミウルゴスの名前があったところは喪失しているが、完全には消えていない。

 

目を凝らせば薄く《デミウルゴス》と書いている表示がされている。

 

この表示が意味するものは…

 

「アルベドよ、デミウルゴスはワールドアイテムによる封印をされている可能性が高い」

 

「ワールドアイテムですか…?例えば、山河社稷図等といった封印でしょうか…?」

 

「いや…もっと高位のワールドアイテム。例えば、たっちさんの妹さんが持っていた聖槍のような武器がNPCのデータをまるごと保存できるだろう…もしかして」

 

「どうされました?アインズ様」

 

モモンガは顎に手を当て考える始める

 

(…もしかしたら、アルトリアさんがここに転移してきているのか?シャルティアを洗脳した奴らがワールドアイテムを持っていた可能性が高いなら、アルトリアさんたちギルドあるいは、キャメロットのプレイヤーの誰かが転移してきているのなら一連の動きはなんとなく合致する)

 

キャメロットのプレイヤー達は皆個性が強く、個々がバカみたいに強かった。

 

しかし、彼らは洗脳系統のワールドアイテムなど持っていなかった

 

どちらかといえば武器等々のワールドアイテムが多かった気がするのだ。

 

「アルベドよ、至急対策を練るぞ、デミウルゴスの消失は(主に自分が)堪える」

 

「はい、かしこまりました。至急守護者を呼びます」

 

 




小説と一切関係ないけど、仕事中に熱中症で早退してしまった…この時期に…?会社が30℃だった…


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番外編・アルトリアin王国『兄妹みたいな関係』

熱中症で早退してしまったがために次の出勤が精神的につらいので、小説投稿に逃げ込みます。

早退してんのになんで小説投稿に勤しんでるんだか…でもやってられないんだよー!

今回は『ヘルシング』の台詞を引用しております。

えっと、今回はイビルアイの前で戦闘を行ったのでそこから話が始まります。ツアー達に会うか?いえ、本編は王国内部の話なのでツアー達は回想で出てきたりするだけでございます。

なんか、ガセフと恋愛的要素がありそうに見えますが、どっちかというと家族愛みたいな感じになりますので悪しからず。

今回は法国が出張ります。


ーアルトリアー

 

悪魔騒動収束から数日後、アルトリアの元にガセフが来てリ・エスティーゼ王国の王自らアルトリアに会いたいと告げてきた。

 

「悪魔騒動を収束させたことについての礼を仰られたいそうだ」

 

「すっごい緊張します……胃が痛い…」

 

そう言うとガセフは笑い「怖い方ではないから大丈夫だ」と言ってくる

 

二人は王宮内を歩き、王が待っている所に行く

 

それから王と貴族達が入って来るのだが、この光景のいやらしさに眉間にシワが寄るのが分かる。

 

そして、短剣が授与されるのだが、見たところただの短剣で魔力のカケラもない物で少しガッカリする。

 

それから貴族達が話し始めるのは、悪魔騒動にて自分は何一つ解決していないと言うのに偉そうなことばかり言う貴族達

 

貴族達の話し方、派閥争い、それら全てが現実世界の社会を思い起こさせる

 

そして、貴族のいやらしい視線に苛々が募り始める。

 

(…あぁ、不快だな…凄く不快だ…)

 

彼ら貴族は豪華な装いに身を包み、偉そうなことばかりほざく

 

ランポッサ三世に言われ、お辞儀をして退出する

 

外に出るために騎士の後ろを歩いて退出する

 

(…凄く腐敗した社会だな、市民達はあそことは違って普通の生活は送れているみたいだけど…)

 

犯罪が跋扈し、人間が人間を売る人身売買が行われているのに貴族達はどこ吹く風、自分には一切関係ないというような素振り。

 

王自身ですら周りを見る余裕がない

 

(…リアルみたいな世界になる前になんとかしたいな…)

 

そう思ってまっすぐ帰っていると目の前に立派な馬車が止まる。

 

「アルトリア・ペンドラゴンか」

 

中から出て来たのは衣装と明らかに浮いている貴族が出てくる

 

いやらしい目はあそこにいる貴族となんら変わりない

 

男達が出て来て、アルトリアはため息をつく

 

 

 

 

 

 

 

 

ーガセフー

 

アルトリアが王との謁見を終えてから数時間後、自宅に戻ったのだが、ブレインが『アルトリアと一緒じゃねぇのか?』と聞いてくる

 

「帰ってきていないのか?」

 

部屋の中を見ると帰って来た形跡など微塵もなかった。

 

「てっきりお前と一緒に帰ってくると思ったんだが…何かあったのか?」

 

ブレインと二人で外を歩きながらアルトリアを探す

 

アルトリアは普通より強い上に悪魔騒動でアダマンタイト級冒険者イビルアイが強いと明言するくらいだ。

 

早々やられるとはおもっていないが…

 

すると…

 

少し離れた所から爆発音が響き渡る

 

「な、なんだ!?」

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

知らない人には着いて行かないようにと良く言うのだが、この貴族の目つきからして何かおかしなものを感じ、ものは試しに着いて行ってみた。

 

早々にやられるつもりはないので、神器級の服で身を固めて行けば案の定、そこは奴隷やら人身売買やら普通に行われていた。

 

地下に放り投げられた所は人身売買で攫われた女の人たちが拷問されている場所だった。

 

いやらしい声に、泣き叫ぶ声

 

アルトリアは見た瞬間に虫酸が走り、聖剣をぶっ放し、家を破壊する

 

「さあ、逃げましょう」

 

そう言って女性達に声をかける

 

子供を抱え外に避難させると貴族の男達が醜く大声で吠える

 

「我々は伯爵だぞ!!こんなことをしてただで済むと思うな!!我々の力があれば貴様など、貴様のような()()()()()()()()()()()んだぞ!」

 

「!」

 

その言葉に強烈な怒りと感情が沸き起こる

 

『貧困層の友人など作って何になる。まぁ、元より我々富裕層にあのような貧民など、不釣り合いた。お前に付いた虫は消して潰しておいたからな』

 

同じ人間であるのに、どうしてそんなことが出来るのだろう。

 

どうして、同じ人間なのに虐げることができるのだろう。

 

「ひっ!!」

 

強烈な殺気と怒りが男達を包み込む

 

「……いいか、口の聞き方に気をつけろ、言葉という物はどんな魔法の篭った武器にも勝る物なんだ使うときは冷静に考えて使った方がいい」

 

冷気が男達を包み、命乞いを始める

 

「…安心しろ、私は人間は殺さない。人間を殺すのは…"いつだって人間だ"人間でなくてはいけないんだ」

 

怒りによって自分の言っていることがよく分からなくなって行く

 

強烈な怒りが『竜人』としての形態に戻りかけた時…

 

「アルトリア!!!」

 

「!!」

 

大声が聞こえてきたと思ったらアルトリアの肩を掴んでくる人物がいた。

 

少し振り向くと、そこにいたのはガセフで更に後ろには青い顔をしているブレインがいた。

 

「……」

 

ガセフは走って来たのか深呼吸をしながら辺りを見渡す。

 

崩壊した貴族の屋敷にボロボロな衣服を着る女性や子供

 

剣を持っているアルトリア

 

「…アルトリア、状況だけ見ればお前が貴族を襲ったように見えてしまうが、これはお前がやったのか…」

 

「……そうですね、状況だけ見れば私が襲ったように見えるでしょう」

 

冷静になった頭で周りを見渡す

 

「ですが、彼女達から証言は得られます」

 

そう言ってガセフは女性の一人を見ると女性が強く頷く

 

 

それからその貴族は爵位剥奪で貴族社会から姿を消した。

 

それだけで社会は変わらなかった

 

(まぁ、一人二人消えたくらいでなんとかなるとは思ってもいなかったけど…)

 

彼らを変えるにはどうしたら良いのか分からない。

 

権力者は早々に変わらないのが特徴だ。

 

己の今の在り方に満足し、変わることを拒否する。

 

(…あの世界よりまともとはいえ…今の現状が続けば良い未来は絶対に待ってない。確か、ガセフが言ってたな…王は次の王を長男に譲るか次男に譲るか思案してるって、支持率や才能的に言えば次男の方が王としては向いてるけど、そうすると長男が可哀想だからどうするか思案しているとか…)

 

アルトリアは王の姿を思い出し、大げさにため息をつく

 

「……可哀想だからって言って国滅したらもっと可哀想だと思うんだけど…優柔不断って」

 

かといって一市民である己が何かしても何にもならないだろう。

 

そうこう悩んでいると、玄関が開く音がして一階に降りるとガセフが帰って来ていた。

 

「お帰りなさい」

 

そう言うとガセフが気づき『ただいま』と返ってくる。

 

「ご飯作っておきましたから食べてくださいね」

 

「ありがとう」

 

アルトリアは走って上に行こうとすると…

 

「アルトリア」

 

声をかけられて止まり振り向く

 

「はい?」

 

「…アルトリアは、王国に、王に仕えてみないか?」

 

その言葉にアルトリアが少し真顔で考えた後、微笑み

 

「ワガママを言うようですけど、王自らに仕えるのはなんか嫌です。仕えるならガセフのような人がいいですね」

 

そのハッキリとした物言いにガセフは苦笑いし「そうか、分かった。王にもそのように言ってみよう。明日から行けるか?」と言われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーガセフー

 

アルトリアがガセフの下に仕官すると決まってから数日後、アルトリアはガセフの部下達と急速に仲良くなって行った。

 

「それでよ!アルトリアさんが凄いんすよ!戦士長が見つけただけはある!!」

 

「そうだよな、料理も美味ぇし!なおかつ腕も立つし、美人だし!!何処かの国の騎士と言われても違和感全くねぇんだよな!」

 

弾丸のように褒めちぎる部下達にアルトリアが赤くなりながら「うぅ、そんな凄い人じゃないですよー…」と言っているのをみてガセフは笑ってしまう。

 

王に忠誠を誓い、今まではそれら全てに全身全霊で仕えていたが、今はもちろん、王に忠誠を誓うところは変わりないのだが、アルトリアと王が危険に晒されればアルトリアを優先して助けてしまう気がした。

 

(…妹のように可愛がるとはこういうことを言うんだな)

 

恋愛感情を彼女に向けたことはまるでない。

 

なんというか、自分は彼女に釣り合うような年齢でも強さも持ち合わせていないのだ。

 

「ガセフー!助けてくださいー!」

 

そう言って走ってくる

 

「どうした?」

 

「皆さんが朝からずっと褒めちぎってくるんです!恥ずかしすぎて死にます!」

 

その言葉に笑うとアルトリアが「あ!笑いましたね!」とむくれてくる

 

「お兄ちゃんに甘えてるのかー?」

 

「やっぱり戦士長が一番好きなんだな〜」

 

「違いますっ!」

 

ぎゃいのぎゃいの騒ぐ彼らを見て笑うガセフ

 

 




【番外編・アルトリア・ペンドラゴンについて】

アルトリア
【騎士王】形態と【獅子王】の形態で戦い方及び口調等が変わる

《ユグドラシル時代》
ワールドチャンピオン三位であり、二位は兄のたっち・みー
一時期、二位になったり三位になったりと兄と派手にバトルを繰り広げていた。
ギルド・キャメロットにて個性の塊である友人達をなんとかコントロールしていたが、英雄王は唯一苦手だった。キャメロットのギルメン達は『ーー王』と王が付いていた。
ナザリックに招かれた事があり、ナザリック内で最も仲良しだったのはぶくぶく茶釜とやはりたっち・みーだった。
兄の影響は最も強く受けている。
兄の武器である《アースカリバー》と対を成す《エクスカリバー》を所持している。また、5000人ほどのデータ(魂)を保存できる《聖槍》を当時から持っていた。


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番外編・アルトリアin王国『番外席次vsアルトリア』

今回はスレイン法国神人、番外席次と第一隊長が出てきます。が、名前が分からないので普通に【番外席次】あるいは【隊長】それか【神人】と書いております。

番外席次のレベルが100とさせてもらってます。本当はもっと低いかもしれないけど…

デミウルゴス居ないのに王国と帝国の戦争に発展しています。理由はデミウルゴスが伏線を張っておいたので勝手に事態が進んでます。

家族愛書こうとするとどうしても恋愛風になってしまって、何回か消しては直してを繰り返してます。後、これ長編になる可能性高い


ーガセフー

 

アルトリアはガセフの部下達の鍛錬を付けてから彼らの成長を見て、この世界の人間の可能性を

 

(…人間の限界値は30レベルくらいで、才能がある人は40レベルしか行かないか…異形種はレベル50まで行く可能性は高いけど…)

 

アルトリアと共に鍛錬する兵士達はどれだけ頑張っても20レベルに満たなかった。

 

(まぁ、レベル100も行ったら凄いよなぁ…)

 

《ユグドラシル》のようにみんな強くてレベル100まで行く事ができる当たり前の世界ではないのだ。

 

アルトリアは剣をしまうと、兵士たちは「はー、疲れた」と言いながら地面に座り込む

 

「お疲れ様です。みなさん」

 

「マジで強いなぁ、アルトリアさん」

 

「本当に人間なのかよぉ…」

 

そう言いながら兵士たちは笑いかけてくる

 

そうこうしていると…

 

「ガセフ戦士長!!」

 

兵士の一人が王宮から降りてくるガセフに気付いたのかやってくる

 

アルトリアも振り向く

 

「これから任務のために出向くぞ」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

 

 

 

 

それからガセフ達一軍は聖王国とスレイン法国、王国がある地点にやってくる。

 

(…王は、王国の村に被害が及ぶ可能性のある魔獣を倒してほしいと言われたが…)

 

ガセフ達は何事もなく任務を終えるだろうと思っていた。

 

「あれはスレイン法国の…!」

 

「漆黒聖典…!?」

 

目の前に現れたのは漆黒聖典の一軍だった。

 

(何故彼らが…!落ち着け…彼らとは敵対関係にない。話せば…)

 

いくら国家が違うといえど藪から棒に攻撃をしてくるとは思えない。

 

ガセフは部下達を落ち着かせるために手を上げ静止する。

 

あちらもこちらに気付いたのか警戒しながら通り過ぎようとした時…

 

「ガセフ下がってください」

 

アルトリアが前に出てくる

 

「アルトリア、どうし…」

 

アルトリアを見ると、異常なほど警戒しているのが分かる。

 

彼女が見ているのは一人のフードを被った少女を見つめていた。

 

今まで見たアルトリアとは違う。明らかに警戒度が凄い

 

すると、フードを被った少女が突然、止まり体を震わせていた。

 

「…しより…人、みつけ…た!」

 

小さくて聞こえないが、興奮した声が聞こえてくる

 

「ーー!落ち着いてください!」

 

もう一人の若々しい男が必死に止めているのが見える。

 

「ここにいたの、私より強い奴!」

 

「ロード・キャメロット!!!」

 

アルトリアが何処からか出したのか大きな盾を出し、ガセフ一行を爆風から守る

 

「アルトリア!!」

 

アルトリアはその盾を消すと、聖剣を構え、フードの少女を見る

 

フードの少女はフードを外す

 

「!」

 

少女の見た目はどう見ても人間ではなく、長い髪は片方が白銀、もう片方が漆黒の色をしている。

 

髪と同様瞳の色も左右で異なっており、その特徴はエルフに似ている面があった。

 

アルトリアが聖剣を構える

 

「…ガセフ。少し離れてください」

 

「……」

 

ガセフはアルトリアを見て少し下がる

 

「戦士長!」

 

部下の言葉を遮るようにアルトリアとフードの少女の間に爆発が起こる

 

激しい剣戟が聞こえてくる

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

ガセフ達との任務はいつも通り終わるはずだった。

 

しかし、スレイン法国の一団と遭遇した時、違和感を感じた。

 

違和感、というよりかはこの世界に来て初めて感じる脅威

 

デミウルゴスとは違った状況。デミウルゴスはスキルや攻撃方法を知っていたから対処が出来た。

 

しかし、今は違う。彼女の戦い方は初めて見るものだ。

 

(時間停止!?いや…これは…)

 

確かに《時間停止》なのだが、番外席次の彼女の攻撃はどう考えても違う

 

《時間停止》中にも関わらず、彼女は動いて攻撃してくる

 

しかも、その攻撃は無効化ではなく、普通に攻撃が貫通する仕組みになっている。

 

(このまま戦い続けるのは部が悪い…彼女を殺したくはなかったけど…)

 

アルトリアはふと目の前の存在を見る

 

「私より強い奴見つけた、でも、女…女同士で子供は作れないのかしら?でも…!作れる可能性が…」

 

とボソボソと呟いている

 

そんな彼女の目には狂気じみた感情の中に、悲しみや焦りといった感情が見え隠れするのが分かった。

 

「……」

 

アルトリアは番外席次を吹き飛ばすと少しだけ後退する。

 

「…アルトリア?」

 

ガセフは足を止め、聖剣を地に刺したアルトリアを見て怪訝な声を発する

 

「何をするつもりなんだ!アルトリア!」

 

番外席次が向かってくる。

 

手に鎌を持って走ってくる

 

(デミウルゴスのように上手く行くか分からないけど…やるしかないか)

 

デミウルゴスのデータは今現在も保存できている。

 

《聖槍》はかなりの数のNPCのデータを保存できるが、それに欠点はある。

 

《ユグドラシル》の時、あまりにも強大すぎるワールドアイテムであったことから運営から一時期ペナルティとして『記憶の忘却』と『神霊化』というペナルティがあった。

 

『神霊化』についてはユグドラシル時代はペナルティどころかプラスであり、自身の周囲にギフト等といった権能を授けることができるようになり、ギルドの繁栄にも大きく役に立った。

 

しかし、転移した今、それはデスペナでしかなく、まずもって獅子王・アルトリアの権能に耐えれる人間など早々いない

 

5000人ほどの魂を保存できるというのはあくまで設定であり、実際は100レベルNPCを三人程度しか保存できないのである。

 

しかも、最初に保存するNPCはカルマ値極悪ならばその後も極悪でなければいけないのだ。

 

手に持った詠唱スキップの課金アイテムを見つめる

 

これは、本来なら《魔法詠唱者》が使うもので、アルトリアには不必要なものなのだが…

 

(…彼が大量に買って大量に渡してきたな…)

 

キャメロット城の東側にある街《ウルク》の支配者であり、ユグドラシルでは暴君と言われた英雄王を思い出す。

 

引退する日に要らないといったのに『今後必要になるかもしれないから持っておけ!』と強引に渡された記憶を思い出す

 

「聖槍、抜錨」

 

強烈な光の塔が出現し、凄まじいほどの圧が番外席次にのし掛かる

 

「アルト…リア…?」

 

姿が獅子王に戻っていることについて驚いているであろうガセフの声が聞こえてくる

 

「!《黒白》ニグルアルブム」

 

番外席次は遅れて攻撃技を発動させるが、アルトリアの攻撃は止まない。

 

「我が加護を受け入れよ。ここがお前達の最果ての地だ。私の手に収まる時だ…」

 

凄まじい光と共に番外席次の足元が光に飲み込まれて行く

 

「私…負けるの…?」

 

敗北を悟ったような表情

 

「…あぁ…死ぬの…これから死ぬのね」

 

アルトリアはそれを見て手を差し出す

 

「私は、殺さない。無辜の命は決して、我が手を取れ」

 

「…!」

 

このまま番外席次を聖槍に取り込む事は出来る

 

しかし、デメリットの方が多いのだ。

 

「敗北を認めた者に死は無意味」

 

番外席次は膝ほどまて光に飲み込まれかけていたが、アルトリアを見て笑い

 

「お人好しな人もいたのね」と言って手を伸ばす

 

「負けたわ…貴女が、男だったら良かったのに…」

 

 




終わりです。ここで終わってしまった…次回も近日中に投稿したいです。

後、また関係ないけど、頚椎の首の骨がなんかおかしくて左手首が人差し指を除いて麻痺になりかけている…。完全に動かないわけではないけど、今後も投稿がありますが、誤字脱字が多いかもしれませんがお許しください


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番外編・アルトリアin王国『交流、そして、己の願望』

感想コメントありがとうございます。それがすっごい励みになります。

今回は法国の神人を味方に付けたアルトリアとついにカッツェ平野での戦いが迫ってきております。

首のことについてですがリハビリ始めました。背筋伸ばして小説投稿勤しみます


サーバーダウンしてデータの半数吹き飛んでやる気無くしてました。書いてる最中にサーバーダウンって運なさすぎ…


ーガセフー

 

法国は王国と戦争状態に無いにしろ、お互いの関係は冷え切っているような関係だった。

 

法国は王国からSOSが来たとしても理由を付けては救援に来てはくれない。

 

挙句の果てには王国の戦士長を暗殺しようと暗殺者を向かわせる始末だ。

 

そんな法国の最大戦力である【神人】がアルトリアを前に敗北した。

 

(…アルトリアの攻撃もみな初めて見た…アルトリアは…なんなんだ…?)

 

アルトリアが大人の姿から元の姿に戻ると、倒れていたフードの少女が起き上がる

 

「負けたわ…こんな完膚なきまでにやられたら、困るわね」

 

そう呟くとフードの少女の後ろで戦いを見ていた隊長らしき人物が我に返り、前に出てくる

 

「ーー大丈夫ですか」

 

その言葉にフードの少女に駆け寄り、無事を確認すると…

 

「騒ぎ立てしてしまい申し訳ありません。王国戦士長殿」

 

深々と頭を下げる隊長はガセフに謝罪した後、アルトリアの方を見るとスッと膝をつく状態になる。

 

「!?」

 

アルトリアはビクつき彼を見る

 

アワアワとしているアルトリアにガセフは少しだけ笑いがこみ上げてきそうになる。

 

あれほど、戦闘時は凛々しくしていたというのに、敬われるのは慣れていないのか本当に慌てている。

 

「と、とりあえず、膝をつくのはやめてください。私はそんな偉い人では無いので…」

 

アルトリアがそう言うと隊長は笑い『失礼しました』と言って立ち上がる

 

「此度の無礼、誠に申し訳ありませんでした。番外席次がご迷惑をおかけしました」

 

そう言って番外席次を立たせて帰らせようとしたのだが…

 

「貴女、法国に来ない?」

 

番外席次の言葉によってガセフ達が静まり返る

 

王国の兵士をヘッドハンティングすることは別に悪くない。

 

冒険者達をスカウトすることを王国は特に責めてはいない。

 

しかし、アルトリアの場合はそうは行かない。

 

王国戦士長直下の部下であるアルトリアを引き抜くということは王国側に多大な不利益があるのだ。

 

「王国にいたってなんのメリットも無いと思うわ、だって、あの国は放っておいても滅びると思うわ」

 

番外席次は立ち上がり、鎌を持ち上げる

 

「腐敗した貴族に腐敗した政治。あんな国に何か未練でもあるの?」

 

番外席次の言葉にガセフは何も言えなくなる。

 

アルトリアはそんな番外席次を見て苦笑いに似た笑顔を見せる

 

「…私は、あの国が良いとは思いません。正直に上層部は腐り落ちてる。国に未練はありませんが、人には未練があります」

 

アルトリアは聖剣を鞘にしまう。

 

「……私は、ガセフによってこの世界のことを知り、多くの人々に出会えた。巡り会えました。あの国の人々は犯罪で苦しんでいるけれど、すごく優しい人々でとっても過ごしやすい国です」

 

アルトリアはそう言って笑いかける

 

「私は、人々を護りたいだけなんです。お誘いありがとうございます」

 

そう言ってガセフの元に向かって歩き出す。

 

番外席次はため息をついて隊長に向けて『帰るわよ』と言う。隊長も続いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーラナーー

 

宮殿内にて、ラナーは【青の薔薇】のメンバーと少し話した後、一人、外を見つめていた。

 

「……困ったわね」

 

ラナーの願望は『クライムとずっと一緒にいること』である。

 

つまり、今の王国の現状ではその願いは叶わない。

 

王国に未来なんてない、一番上の兄が王になったとしたらこの世の終わりだ。

 

(…ザナック兄上が王になった場合は少し変わるのでしょうけど…完璧な状態にはならないわね…)

 

ラナーはガセフ戦士長直下の部下になった『アルトリア・ペンドラゴン』の存在に少し苛立つ部分もあった。

 

(…あの人の所為で、彼らは消極的になってしまったわ…でもまぁ、事は起こしてくれるようだけど、あの人をなんとしても挫かなければならないけど…今のところ方法が思いつかないわね…)

 

アルトリア・ペンドラゴンは、ナザリック地下大墳墓の絶対支配者である『アインズ・ウール・ゴウン』と同等の力を持っている。

 

「ラナー様?どうされましたか」

 

クライムの声に笑顔になり振り返る

 

「クライム、一つ頼みごとをして良いですか?」

 

「はい!なんなりと」

 

子犬のように健気なクライムを見てラナーは撫でたくなる気持ちを堪える。

 

「ガセフ戦士長の部下のアルトリア・ペンドラゴンさんにお会いしたいのだけど、呼んできてもらっていいかしら?」

 

「はい!かしこまりました!」

 

そう言って頭を下げ退出するクライムを見送り、窓の方を見る

 

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

法国との一悶着の後、特に何かが変わることなく時間は過ぎていた。

 

そんなある日、アルトリアたち兵士の元に来たのは王国と帝国の戦争のことだった。

 

詳しい内容までは知らされなかったが、今回の戦争はいつもの戦争とは違い、帝国が本気である可能性が高いとして兵士たちはかなりの数集められていた。

 

そんな中、アルトリアは女である事を理由に兵士から降ろされそうになったが、ガセフに頼み込み、なんとか続投になった。

 

「今回の戦いで何人の人間が犠牲になるかわからない。帝国の侵攻がいつもと違う以上」

 

ガセフとアルトリアは二人で焚き火で温まりながら話をしていた。

 

「戦争に犠牲は付き物です。でも、私はなるべく人は死なせないよう尽力します。少なくとも貴方や貴方の部下は」

 

そう言うとガセフは飲み物を地面に置き、何か考えるような仕草を見せる

 

「?ガセフ?」

 

ガセフの顔色を伺うと

 

「…アルトリア、気分を害してしまうかもしれない質問を一つしていいか?」

 

その言葉にアルトリアは少し身構えたが、ガセフの性格を考え苦笑いし答える

 

「えぇ、良いですよ」

 

「…お前は本当に人間なのか?」

 

その言葉にアルトリアは表情一つ変えずに『いいえ』と頷く

 

「!」

 

ハッとなるガセフにアルトリアは頭を下げると

 

「私は竜人という異形種です。ですが、寿命以外は人間の姿そのものです」

 

アルトリアの種族は『竜人』で異形種に近しい形態を持っているのだが、アルトリアはある職業を取っているため竜人の形態にならずとも本気を出せる。

 

「そうだったのか…人間と言われたらなあ驚いていたかもしれないな…」

 

責められると思ったが、ガセフは納得したのか飲み物を置くと立ち上がって手を差し出してくる

 

「?」

 

手を握ると

 

「改めてよろしく頼む。アルトリア」

 

真実を知った上でアルトリアのことを受け入れてくれるガセフにアルトリアは微笑む。

 

「はい、よろしくお願いします」

 

握手をするとガセフがアルトリアの過去について聞こうとすると…

 

「ペンドラゴン様!」

 

そう言って現れたクライムに二人は静かになる。

 

「ラナー様がお呼びです。来てもらっても良いですか?」

 

その言葉にアルトリアは「はい」と頷く

 

 

 

 

 

 

 

ー??ー

 

ビーストマン連邦や異形種が跋扈する大陸の端にある白亜の城内にて白い魔術師は塔の中から彼女の様子を伺っていた。

 

「おや、そんな所にいたのかい、アルトリア。随分離れた場所にいるねぇ」

 

「フォウフォウ」

 

白い獣を見て白い魔術師は獣を持ち上げる

 

「ほら、君の主人だ。迎えに行ってくれ」

 

「フォウ!!?フォーウ!!」

 

不満があるのか白い獣は手をバタつかせて反抗していた。

 

「いやいや、私が向かったら彼らが勘付くだろう?君ならアルトリアは気づいてくれるだろうし、他の人達からしてみても魔獣程度にしか見られないだろうし。ほら行ってきたまえ」

 

「フォーーーウ!!?」

 

白い獣を塔から落として手を振る

 

「さてと、アルトリア、君はあの悪魔たちを止めれるか?物語はハッピーエンドだからこそ美しいのさ」

 

 




【番外編の世界情勢について】

大陸端の方にある白亜の城
ビーストマン連邦と隣接している。リ・エスティーゼ王国からかなり離れた地点にある国で、かなりの巨大な国家
しかし、王と呼べる存在はおらず、国の運営・管理は守護者統括という謎の役職の男が取っている。200年前からある国
リ・エスティーゼ王国や法国など人間国家に視察団を送ったりして何かを探している様子がある。


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番外編・アルトリアin王国『選びとる』

しばらく書いていなかったせいでどこまで書いたか忘れてました。ごめんなさい。

オリジナル国家が出てきたところで終わってましたが、今回はカッツェ平野での戦いが発生します。




ーカッツェ平野での戦いー

 

王国軍と帝国軍は24万と7万の軍勢で戦うことになったのだが…

 

「まだ来ませんね」

 

レエブン候の言葉にガセフは頷く

 

アルトリアは後方の部隊におり、クライムや王の近くに待機していた。

 

(…アルトリアが居るならば王はきっと大丈夫だ)

 

アルトリアの強さはもはや人の域を超えている。

 

自分よりも絶対に王を守ってくれるだろう。

 

(それに…)

 

「戦士長殿!動き出しました!」

 

帝国軍が動き始める

 

その中央にいる人物達を見てガセフは警戒する。

 

「ゴウン殿…」

 

かつて、合間見えた存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

アルトリアは王国軍の後方、王のテント付近にいた。

 

「……」

 

「アルトリアさん?とうしました?」

 

「…!いえ、なんでもありません」

 

ガセフ直下の部下に心配され、笑顔で返す。

 

アルトリアは前日に出会ったラナー王女との面会の時に感じた不気味さ・異質さに気味が悪くなっていた。

 

ラナー王女は女として強いアルトリアのことを尊敬する事を言いながらも目の奥底に見えたのは異形種の姿だった。

 

(…彼女はおそらく、この国のことはどうでもいいと思ってる。自分の幸せのためなら他の人間なんてどうなろうとどうでもいいと…)

 

そして、アルトリアと面談した際に気づいただろう。

 

アルトリアがラナー王女を毛嫌いしたということを

 

それを理解した上で起こす行動なんてあの手のタイプは恐ろしい事しかしない。

 

(…あの王女がいる限り、この国は変わらない。変えられない…)

 

拳を握り締めると…

 

『ならばいっそのこと殺してしまえば良かろう?』

 

「!」

 

かつての友人の声がこだまする。

 

頭を振り、目の前に集中すると…

 

「!(あれは…!)」

 

帝国軍中央から出て来た人物に息を呑む

 

『モモンガ』

 

兄が所属していたギルドのギルド長。

 

ゲームの世界こそ最も幸せな世界だと捉えていた人

 

その人物は超位魔法を使おうと魔法陣を展開していた。

 

「!」

 

「アルトリアさん?!」

 

アルトリアは転移魔法を使って最前線まで行こうとしたのだが、転移魔法を阻む魔法が働いていた所為か、転移できなかった。

 

故に馬を勢いよく走らせて前に向かう。

 

 

 

 

 

「黒き豊穣への貢!」

 

展開された魔法は数多の人々を生き絶えさせる。

 

そして、真っ黒な羊達が出現し、王国の人々を虐殺し始める。

 

蹂躙して行く羊達を見てアルトリアは聖剣を構える

 

「っ…!?」

 

ユグドラシル時代ではあり得なかった光景が目に移る

 

羊達の中に何かがいる。

 

『助けてぇ…』『死にたくない…』『出してぇ…』

 

(…このまま切ってしまえば…)

 

瞳に映る光景は地獄絵図そのものだ。

 

「アルトリアさん…!」

 

後ろから仲間達が走ってくる

 

「!危な…」

 

次の瞬間、子羊達の足が彼らを踏み潰す

 

遅れてしまった。

 

判断が遅いばかりに選択を間違えてしまった。

 

「…!」

 

アルトリアは迫ってくる羊を見て聖剣を下ろす

 

「…いつも、私は間違える…いつも判断が遅かった…」

 

兄の死も、友人の死も、自分が判断を下すのが遅いから間違える。

 

兄の親友だからと言って手を出すのを躊躇った己を恨む

 

「私は間違えない。もう…」

 

ビリビリと周りに赤い稲妻が走る。

 

「私は、人類を愛している」

 

聖槍・抜錨

 

手を頭上に上げると空高く光が伸びる

 

「私は、間違えない」

 

光の塔が立ち、姿を【獅子王】の姿に戻す

 

手に出したのはワールドアイテムの一つ宝石剣・ゼルレッチ

 

『メェェェエエエエ!!!』

 

子羊の足がアルトリアに向かって振り下ろされる。

 

振り下ろされる前に子羊の足が吹き飛ばされる。

 

「我が聖槍に収まれ、人類の魂よ、聖槍に収まるべきものは人類のみ」

 

冷たい声が辺りに響く

 

子羊達二匹を手に持った聖槍で吹き飛ばす。

 

(…これは《時間停止》)

 

それを同じくして《時間停止》が働き、辺りが止まったのが分かる、

 

『アルトリア、お前は、お前のままでいい』

 

「……ガセフ…?」

 

アルトリアの目に光が戻る。

 

嫌な予感を感じ取る。

 

「《転移》」

 

転移を使い、ガセフ達の気配の元に行くと…

 

「ペンドラゴン様?!」

 

「アルトリア…?」

 

そこにはクライムとブレインがいた。

 

そして…

 

「ガセ…フ…?」

 

そこに倒れていたのは、自分を拾ってくれた恩人で、兄のような人だった。

 

魔法によってやられている。

 

アルトリアは前を見ると、そこにいたのは…

 

「アルトリアさん…?」

 

そこにいたのは、あれほど会って話したいと思っていた存在『モモンガ』だった。

 

(……あぁそうか、彼はアンデットだったな…)

 

アルトリアの頭の中はひどく混乱していた。

 

それと同時にアルトリアはガセフを見つめる。

 

ガセフは生き絶えている

 

それも低位の魔法では蘇らせられないように

 

「………」

 

こんなことを出来る人物など一人しかいない。

 

アルトリアは光の消えた瞳でモモンガを見る

 

「アルトリアさん、王国にいたんですか」

 

毒気が抜かれたように話す彼は、悪意がない。

 

沢山の人が死んでいるというのに眉ひとつ動かさない。

 

人を殺したのに動揺もしていない。

 

(…あぁ、この人は人間性を失ったんだな)

 

アルトリアはガセフの死に際が兄の死に際に重なる。

 

「………」

 

「アインズ様!!」

 

モモンガの隣にアルベドとマーレが飛んでくる

 

「良い」

 

「しかし…!」

 

「…一つ聞く、モモンガ、お前は人間が死んだことに何も感じないのか」

 

その言葉にモモンガは辺りを見渡していたが、いつも通りの口調で

 

「別に何も感じませんよ、アンデットになった影響ですね、ところで…」

 

「困っている人間がいたら助けるのは当たり前」

 

「!!」

 

その言葉にモモンガはハッとなり、アルベドとマーレは警戒心を露わにする。

 

「どうして、兄に助けられたのに兄の気持ちを無視する?どうして、人を殺した?」

 

「……それは、ナザリックのためですよ、アルトリアさん。みんなが戻ってくるための場所を世界に知らしめようと…」

 

「どうして、虐殺することが良いと感じたのか私には理解出来ない。こんなことをして兄は戻ってくると思ったのか?世界征服の過程である犠牲者のこと何も考えなかったのか?子羊達に踏み潰された彼らには帰るべき場所があり、待っている者達がいたのだ。なぜ、それを理解できない」

 

「…アルトリアさん、たっちさんの妹さんらしいな」

 

まるで話が通じない。

 

「たっちさんは戻って来ますよ、だってここには…」

 

(…狂人だ)

 

彼は、モモンガは

 

帰ってくるはずのない彼らをいつまでも待ち続ける。

 

ユグドラシルを辞めたのに何故戻ってくるなどと思っているのだろう。

 

聖槍にある程度集まったのを確認すると、聖槍を持ち直す

 

動くたびにマーレとアルベドが警戒している。

 

「…ガセフを殺した理由は」

 

そう聞くとモモンガは一連の流れを話し始める。

 

ガセフは王のためにモモンガに戦いを挑んだとのことだった。

 

「力の差を理解しているはずなのにな」

 

その言葉にアルトリアは怒りがこみ上げてくるが、冷静に辺りを見る

 

ガセフの亡骸とクライム、ブレインがいる。

 

ここで戦闘を行ったら間違いなく人死にがもっと増える。

 

アルトリアは怒りをグッと堪えモモンガを見る

 

「…私がここに来たのはガセフを連れて帰るためだ。貴公に用はない」

 

その言葉にモモンガも『俺も貴女と戦うのは望みません』と言って子羊に乗り移る。

 

アルベドとマーレもそれに続いて去っていく

 

アルトリアは彼らが完全に居なくなったのを見届けるまでそこにいた。

 

「…行きましたね」

 

クライムの言葉にブレインが頷く

 

完全に気配が消えたのを見て、アルトリアの周りに何か光が集まっているのを見たブレインはアルトリアの方を見る

 

「アルトリア?」

 

そう問いかけてハッとなる。

 

アルトリアから物凄いプレッシャーが襲ってくる

 

セバスやあの魔導王並みの強烈な圧が

 

「必ず、彼らを滅ぼさなければ…必ず、絶対に」

 

これは殺意だ

 

ブレインはそう感じ、アルトリアを止めようとするが恐怖で進めなくなる。

 

ガセフの亡骸を見てアルトリアが魔導王に対して敵意を剥き出しにしていると…

 

「フォウ」

 

小動物の鳴き声が場に響き渡る。

 

「フォウフォーウ」

 

アルトリアの肩に登り、スリスリとアルトリアに擦り寄る。

 

「……フォウ?」

 

アルトリアはフォウに気づき、辺りを覆い尽くそうとしていた殺気を止める。

 

アルトリアは深呼吸をすると、ガセフを見て悲しげな顔をする。

 

「…連れて帰りましょう」

 

「あ、あぁ…そうだな」

 

ブレインが背負い、アルトリアはそれに続いて歩いていく

 

光の塔が消え、辺りには兵士の遺体が積み重なっていた。

 

 




【アルトリアの呼び方】
名前や『あなた』などと言った言い方の時は親しみを持っている話し方で『貴公』あるいは『お前』などと言った呼び方の時は怒っているか警戒しているかのどちらか。


フォウ
【種族】魔獣(異業種)
【レベル】??

【詳細】
白い魔術師(マーリン)の塔にいた小動物。
キャメロットのプレイヤーである◾️◾️◾️◾️が作ったNPCであり、人間同士の競争と成長、そして妬みや悔しさを糧とし、「相手より強くなる」特徴を持つ獣。
白い魔術師(マーリン)の塔にいるのは、◾️◾️◾️◾️がアーサー王伝説を参考に作ったから。
塔から突き落とされてアルトリアの元に向かっていた。


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番外編・アルトリアin王国『自分の信念』

お久しぶりでございます。

アルトリアが今回、カッツェ平野での犠牲者達を復活させる話です。

前に書きましたが、聖槍にはデメリットがあります。それを考えて悩むアルトリアと荒んだ王国や王やナザリックの戦いを密かに喜んでいるラナー

他のシリーズの続きは書いているのですが時間がない!!


ーアルトリアー

 

アルトリアは夢の中でニコニコと笑っている夢魔と対面する。

 

「やぁ、アルトリア、元気そうで何より」

 

嬉しそうに笑う夢魔…マーリンにアルトリアの肩にいたフォウが『マーリンシスベシフォーウ!』と吠える

 

「あははは、可愛くないなぁその獣は」

 

マーリンが微笑むとその後ろにギルメンがいるように見える

 

「…この世界に来てどれくらい経っているんですか、貴方は」

 

そう言うとマーリンは指で数えながら

 

「ザッと200年くらいかなぁ、あの時は大変だったよ、アグラヴェインやガウェインがこの世界に王がいるのではとあちこちに戦争を仕掛けるし、他の領域はギルド長がいないから動かすことは出来ないから」

 

マーリンは机と椅子を出すと、そこに座る。

 

「君はガセフを助けたいんだろう?それは紛う事なき君の気持ちだ」

 

「………」

 

アルトリアは椅子に座る

 

「…でも、ガセフは生き返ることを望んでいません」

 

「命は一人一つ。うん、それもまた本当のことだ。この世界は命についての価値が軽すぎる。生き返らせてもらえるからと命を軽視して戦いに挑む。そんなものは生きていると言わないだろうね」

 

マーリンは紅茶を出して飲みながら話す

 

「君たちギルメンの世界のように、命は一つというわけでもないからこの世界の人々はいつまでもレベルが低いまま、考え方もどこか穏やかなところがある。でも君たちギルメンやあのアンデットの王様は違う」

 

「マーリン…あなたは」

 

リアルのことを知っているのかと問うとマーリンは微笑み

 

「僕を作った創造主が誇らしげに言っていたよ、リアルは凄く楽しかったと」

 

「…そうですか」

 

「話がかなり脱線したね、アルトリア、君は今、数多の人々の生き死にを決定できる力を持っている。聖槍はそれ程の力を持っているんだよ」

 

アルトリアの手には聖槍が握られていた。

 

「…私の…いえ、魔導王を許さないという気持ちは、ガセフが死んだ事によって意味を成しています。ガセフを蘇らせ、結果的にそれが復讐を止めることになれば、また同じことを繰り返すと思うのです」

 

アルトリアの悩みにマーリンは微笑み、手をパチンとする。

 

「蘇らせないという選択肢も時として必要だろう。でもね、本当に重要なのはこれからのことだ」

 

「…!」

 

「君は一人きりで歩むべきじゃない。少なくとも、僕はまだそちらに行けない。君はこれ以上失ったらダメだよ」

 

マーリンはアルトリアを慰める。

 

アルトリアの肩にいたフォウはつまらなさそうにアルトリアの膝に降りる。

 

「君は一人でこの世界に来て、何も分からない状態で右往左往していた。そんな中、君はその強大な力に振り回されることなく、人を踏み潰すようなことをしないで人々と共に歩めているだろう」

 

「……」

 

アルトリアにはその強大な力を使って王国を好き勝手に出来たはずだろう。

 

「君が最初からキャメロットに居れば違った結末になっただろう。それこそ、人類を選別し、標本のような世界になっていた可能性も否めない。でも、今の君は王国の人々の温もりが大好きだろう」

 

マーリンが立ち上がると花が舞う

 

「さぁ、夢から醒めるんだよ、アルトリア」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

目を覚ますとそこはガセフの家で、お腹の上ではフォウが寝ていた

 

「…フォーウ(おはよう)」

 

「……あぁ、おはよう。フォウ」

 

フォウを人撫でして起き上がる。

 

「決めた、私は…ガセフを生き返らせる。あの場で失った人々を蘇らせる」

 

その言葉にフォウは一鳴きして肩に登ってくる。

 

「…その過程で、大切な記憶を失ってしまうかもしれない。何を忘れてしまうかは分からないが」

 

聖槍のデメリットは記憶の忘却だった。

 

本来ならキャラクターの情報を消失させる程度の能力でしかなかったが、この世界に来てゲームの状況がそのまま適応されるとなるなら…

 

アルトリアは着替えて外に出ると…

 

「アルトリア様!」

 

クライムとブレインがそこに立っており、クライムが王・ランポッサ三世が呼んでいるという話になった。

 

馬車に乗り、目の前にクライムとブレインが座っていた。

 

「兵士全員の蘇生ですか…?そのようなことが可能なのですか?」

 

クライムの質問にアルトリアは「えぇ」と頷く

 

「アダマンタイト級冒険者・青の薔薇のラキュースでさえ一人を蘇生させるのにかなり力を使うと聞いたぞ…」

 

ブレインの信じられないという顔にアルトリアは何も言わずに外を見る。

 

「…信じて貰えなくてもやるつもりです。私は…ガセフの思いと反すると思いますが、ガセフを蘇らせ、あの戦場で失った多くの兵士たちの命を救います」

 

そう決意しているアルトリアを見てブレインは頷く

 

「アルトリアがそこまで言うんならガセフもさすがに文句は言えないな」

 

ブレインの笑顔にアルトリアは微笑む

 

 

 

 

 

 

 

王宮に行くと憔悴しきっているランポッサ三世とその横にいるザナック王子がいた。

 

「18万規模の兵士達を蘇らせることが可能だと…?」

 

初めてランポッサ三世の表情に明るい表情が戻る

 

ザナック王子はそんな事が可能なはずないという疑念の一方、戦場で兵士達をアリのように踏み潰した異形の化け物をアルトリア・ペンドラゴンは一振りで倒したと報告が上がっていた故、アルトリアならば出来る可能性が高いだろう。

 

「…万が一、蘇らせない事態が起こったらどう責任を取る?」

 

ランポッサ三世は一度、ラキュースにガセフの復活を頼み、復活ができないということを知らされ、激しく怒り狂ったことを思い出す。

 

「出来ます」

 

出来ないとは絶対に言わないアルトリアに生き残った貴族達は騒めき出す。

 

「だが、青の薔薇の話によればガセフ・ストロノーフには蘇生魔法で復活させられないよう魔法をかけられたとブレイン・アングラウスから聞いたが」

 

その質問にアルトリアは…

 

「復活出来なかったのは低位の蘇生魔法による蘇生を試みたからでしょう。あの魔導王が使った魔法はそれ以上の魔法です」

 

聖槍に補填されている魂は復活できる。

 

無論、聖槍にはガセフの魂もある。

 

「故にお願いいたします」

 

そう頭を下げるアルトリアにランポッサ三世は一つ返事し、場所を用意するように命令する。

 

 

 

数時間後…

 

王都から少し離れた領地にて、多くの兵士たちの亡骸と少し離れた高い台にガセフの亡骸が安置されていた。

 

「アルトリア、本当に平気なのか」

 

ブレインの言葉にアルトリアは「…蘇生に関しては問題ないと思います。でも、一つ問題があります」

 

そう言って姿を《獅子王》の形態に戻す

 

「…この武器によるデメリットは記憶の忘却なんだ」

 

「記憶の忘却…?お前自身の記憶が無くなるのか?」

 

「…大切だった記憶が一つ無くなるだけだ、それで彼らが蘇れるなら問題ない」

 

そう言って歩き始める

 

「聖槍、抜錨」

 

アルトリアの両手からまばゆい光が立ち込める。

 

「地に増え、都市を作り、海を渡り、空を割いた、聖槍よ、数多の人々の命を地に戻せ」

 

「!」

 

聖槍から現れた無数の光の玉が兵士たちの前に現れる。

 

ブレインは辺りの光景に息を呑む

 

最早、人間が出来る領域の魔法ではない。

 

それは青の薔薇のメンバーにも伝わっているのか辺りの光景に息を呑んでいた。

 

「…神話の領域か…」

 

アルトリアはガセフの前に行くと微笑み

 

「…貴方に、恩を返します」

 

そう言って手をかざす

 

「ロンゴ、ミニアド!」

 

そう声を発すれば光の玉が兵士たちに入る

 

「!!蘇生されてるわ…!これほどの数を…」

 

ラキュースが兵士の意識を確認する。

 

「!!アルトリア!!」

 

意識が遠退いたのか、アルトリアの体がグラリと傾く

 

姿が元に戻り、ブレインが支えようとする直前…

 

「お疲れ様、アルトリア」

 

アルトリアを支えたのは白い魔法使いで、ブレインを見てニコリと微笑む

 

杖を持った状態で軽々とアルトリアを抱える。

 

「ブレイン、だっけ?アルトリアを寝かせられるところはあるかい?」

 

その言葉にブレインは「あぁ、こっちだ」と案内する。

 

 




つ、疲れた

とりあえずここで終わりにします。夜中まで編集してしまった…


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番外編・アルトリアin王国『王国の騎士王』

聖王国編書きたいと思うのでそろそろ番外編は終わりたい…。

なんか飛ばし飛ばしになると思いますがごめんなさい。




ーブレインー

 

アルトリアが18万程の兵士達を復活させたという話は一気に王国全土や他国にも知れ渡り、その過程を見ていたであろうスレイン法国の神官長達は『神の降臨だ』と口にしていた。

 

「アルトリアは大丈夫なのか?」

 

ブレインの言葉に白い魔法使いは笑いながら

 

「平気だよ〜さすがに18万人クラスの復活魔法は使ったことないから疲れ果てて気絶しただけだと思うし、問題ないさ」

 

白い魔法使いは笑顔でアルトリアを撫でながら言う

 

大人の姿になっているアルトリアは確かに絶世の美女だった。

 

「ところでガゼフ君はどうしたんだい?蘇ったはずだけど」

 

「王に呼ばれて挨拶したらすぐに戻ってくるはずだ」

 

「あ、そう、その前に退散しないとねぇ」

 

「ところでアンタ…誰なんだ」

 

白い魔法使いとアルトリアは知り合いのような雰囲気だった。

 

「ん?ボクかい?ああ、自己紹介を忘れてたね!ボクの名前はマーリン!アヴァロン宮廷魔術師さ!」

 

「アヴァロン…?宮廷魔術師?」

 

首を傾げるブレインにマーリンはにこやかに笑い

 

「ブリテン王国って知ってるかい?」

 

「!!ブリテン王国って確か、大陸にある国家じゃ…!」

 

その言葉を聞いてマーリンは微笑む

 

「そうそう、そのブリテン王国の魔法使いさボクは。そこの小動物は私の支配領域にいて、最もアルトリアと仲の良かったギルメ…友人の創った子さ」

 

ブリテン王国は巨大な国家であり、王がいない代わりにひとりの男が管理していると言われる国家だ。

 

「アルトリアが…そこと何の関係があるんだ?」

 

恐る恐る聞くと

 

「うーん、アグラヴェインが居ないから言って良いのかな…いや、さして危険な話でもないし、言ってしまおうか!」

 

「アルトリアはそのブリテン王国の要人達を創った神の如き存在。獅子王、アルトリア・ペンドラゴン、最も他に仲間はいたけど…()()()()()()()()()()唯一の人さ、多分、アルトリアが生存しているって分かれば彼らは血眼になって探して迎い入れるだろうね」

 

「……アンタは」

 

その言葉にマーリンはアルトリアの方を見て

 

「ボクはアルトリアが戻って来たらきっとつらい目に合うと思うんだよ、ボクは特殊な目を持ってるんだけど、そこに映った可能性を見れば君らに出会った今の彼女の方が幸せだと思うんだよ、ぼくたちに会うより数倍はね」

 

アルトリアの可能性はいくつもある。

 

その中で最も笑顔のある世界といえばこの世界だけだろうとマーリンは言う。

 

「そうそう、アルトリアの記憶についてだけど、心配しなくていいよ」

 

そう言うとガゼフの乗った馬車が到着した音がし、そちらを向いて前を見ると…

 

「…いない」

 

マーリンが忽然と姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガセフはアルトリアの力によって蘇生されてからいろいろ医師に診られたが、特に何の異常もなく、青の薔薇のメンバーにもいろいろ聞かれたが、イビルアイの言葉によればレベルダウンもないようだった。

 

「王はアルトリア様に爵位を与えるという決断になりました。貴族の方々も反対はないようです」

 

「…そうか、アルトリアに爵位か」

 

「ちなみに伯爵位だそうです。異例中の異例だそうです」

 

ガゼフはアルトリアに復活させてもらってから生命力が落ちていないことに驚きつつ、自宅に戻ると…

 

「ガゼフ!」

 

「ブレイン。無事だったか」

 

出て来たブレインは何処か焦っていた。

 

「?どうした?」

 

「アルトリアが…」

 

二人は階段を上ってアルトリアが寝ている部屋に向かうと…

 

「ガ…セフ…」

 

泣きながらガセフを見てくる

 

「…どうした…?」

 

「思い出せません…何も思い出せないんですっ…兄さん、のことが…どんな人だったのか、どんな声だったのか…家族のことが…」

 

兄がいたことは覚えているのに、声も、話した思い出も、友人の声も

 

全て失いたくなかった記憶だというのに

 

「…アルトリア」

 

ガセフは近くに歩み寄る。

 

ブレインから聞いたアルトリアの魔法の事。

 

18万の命を救うためにアルトリアの大切な記憶を消失するというデメリット。

 

(これが…その代償か…)

 

ガセフは唇を噛みしめる

 

一番の功労者が救われないなど、そんなことあって良いものなのか

 

ガセフはアルトリアのベットに座り、黙ってアルトリアの頭を撫でる。

 

自分がアルトリアにかける言葉が見つからない。

 

 

 

その夜、アルトリアは一人で外に出ていた。

 

風に当たりながら空を眺める。

 

綺麗な空。あの世界のような淀んだ世界ではなかった。

 

(…兄さん。私はこの世界で生きて行くことにしました…貴方の事は忘れてしまったとしても…貴方が生きたという結果は忘れていません。だから…前を向いて歩くことを許してください)

 

許してくれるだろうか、と不安になると…

 

「…!」

 

背中をそっと撫でられたような気がして振り返るが、そこに誰もいなかった。

 

「フォーウ?」

 

足元にフォウが現れる。

 

「なんでもありません。中入りましょうか」

 

そう言ってフォウに手を差し伸べる

 

「フォウ!」

 

そう言って肩に登ってくる。

 

室内に入る

 

 

 

 

 

 

 

 

ーザナックとアルトリアー

 

【18万人の蘇生】という話題は一気に王国のみならず帝国や法国にも知れ渡った。

 

【女神の降臨】などと呼ばれ、民達は無条件で兵士達を蘇生したアルトリアを神ごとき存在と尊敬していた。

 

(…蘇った貴族達は妙に静かになって気味が悪い。王派閥が優位に動いているのは確かに有難いが…)

 

まだ、ランポッサ三世は皇位継承者を決めないでいる。

 

理由は長男バルブロの安否が分からないからだ。

 

(カルネ村に送り出して戻って来ないというのを鑑みれば、兄は死んだと分かるだろう…)

 

ザナックは父の『優しいがそれだけの人間』であることに不満を感じていた。

 

あの父の方針では、王国はゆっくりと破滅してしまうだろう。

 

ザナックはアルトリア・ペンドラゴンに爵位を譲渡するという話をするために玉座の間に行く。

 

「皆の者、よく集まってくれた」

 

父の掛け声に六大貴族を含めた彼らの目が父に向く

 

戦争前はあれだけ我先に声を出していた貴族達も、今回は大人しくて逆にそれが不気味だった。

 

「此度、皆に来てもらったのは他でも無い。皆を蘇生させたアルトリア・ペンドラゴンに爵位を譲渡するという話だ」

 

その言葉に貴族達は騒めき出す。

 

蘇らせて貰った手前、罵詈雑言は飛ばないが『農民の出の者に…』とか『どこの出自かも不明ですな』と反対意見ばかり言っていた。

 

王派閥の貴族達も、貴族派閥の貴族たちも皆、良い顔はしなかった。

 

唯一、違った表情をしていたのは、レエブン候だけであった。

 

レエブン候は手をあげる。

 

「どうしたのかね?レエブン候」

 

「陛下、失礼を承知で申し上げますがよろしいでしょうか?」

 

「なんだね」

 

「ペンドラゴン殿が以前、陛下から自分の配下にならないかと誘った際に断った事を覚えておりますか?」

 

「うむ。覚えている」

 

レエブン候の眼光は鋭く、いつものレエブン候ではなかった。

 

何か覚悟を決めたような、そんな表情だった。

 

「陛下、私はあの時…カッツェ平野での戦いの際に死を覚悟しました。男でありながら情けなく我が子を思い必死で逃げようとしました。あの巨大な化け物が怖かったのです」

 

その言葉に貴族達は無言になる。

 

それもそのはずだ、あの場にいて無慈悲に命を刈り取られたのだから

 

「しかし、そんな中、ペンドラゴン殿だけは違った。命をかけてガセフ殿を助けるべくあの化け物に突撃しました。女性でありながらです」

 

最後の言葉に貴族達は口を揃えて『あの化け物と対等に渡り合える力を持っていたから強気になれただけだろう』と

 

「ならば問います。我々人間を虫けらのように踏み潰したあの化け物と対等の力を持っていたなら、なぜ、この王国を自分のものにしないのですか?ペンドラゴン殿は、民を思い、民の幸せこそ己の幸せというまさに王のような御方です」

 

レエブン候の言葉にザナックは確かにと頷きたくなる。

 

あの化け物と、それを召喚した魔導王と対等にやり合える存在。

 

そんな人物を王国に繫ぎ止めるためにはどうしたら良いのか

 

以前、ガセフからの報告ではスレイン法国の神人と戦闘になり、見事に勝った経緯からスレイン法国から『神』と呼ばれ、何度か勧誘されている経緯もある。

 

「話が逸れましたが、陛下。我々は変わらなければならないのです。爵位どうこう言っている場合でもないのです。この話題をまたペンドラゴン殿に振ればきっとまた断るでしよう。帝国のように一枚岩で態勢を立て直さなければあの魔導国ともやりあえません」

 

「しかしだな、レエブン候…変わると言っても急には…」

 

父の言葉にレエブン候は食い気味に『変化を恐れて後手に回っていては魔導国の進軍を許します。陛下はいつまでもペンドラゴン殿お一人に全てを押し付けるおつもりですか?あの強大な蘇生魔法もそうやすやすと使える物ではないとペンドラゴン殿は言っておりました』と言う

 

ザナックは先ほどかガゼフが何も言わず、王の方を見向きもしていない事に気づく

 

忠誠心は失ってはいないだろうが、どことなく様子がおかしい。

 

アルトリア・ペンドラゴンの話題になってから特に変わっていた。

 

「故に決断してください陛下。失礼な事を申しましたが、わたしからの意見は以上です」

 

そう言い頭を下げて後ろに下がる。

 

 




【アルトリアの大切な記憶】
たっち・みーのこと、亡き親友のことを大事に思っています。
確かにガセフや転移後の世界を大事に思っててもその二人の事は決して忘れていません。
だからこそ、大切な記憶が無くなっているという事は覚えております。


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番外編・アルトリアin王国『変化』

番外編を終えるために何個か書いておきたいところがあって困る…

というか、王国存続するためにはラナーの処遇をどうするか考えないと…



ーレエブン候ー

 

どうして、人の世にあんな化け物魔法詠唱者がいるんだ!と叫びながら逃げた。

 

あんな化け物を倒せる存在なんているのだろうかと、一度の魔法で人間を殺戮する恐ろしい魔法詠唱者。

 

黒い子羊の足がレエブン候に向けてくる

 

「い…」

 

『メェエエエ!!!』

 

レエブン候を踏み潰そうとしていた化け物の足が光に飲み込まれて消えていく

 

「!」

 

化け物を倒したのは、ガセフ戦士長の義妹と呼ばれるアルトリア・ペンドラゴン殿だった。

 

あの時の背中は未だに忘れられない

 

前から思っていたが、彼女は人間ではないと

 

アーグランド評議国やビーストマン連邦の出身かと思ったが、そうでもないようだった。

 

化け物を倒した彼女の背を見て、理解してしまった。

 

人間の誇りだ、人間国家だなんて言っている場合ではない

 

人間国家を守るためには、彼女に統治してもらったほうが早いと

 

今の王国の状態では破滅しか待ち受けていないと、優しいだけで何もしない王や知恵はあるが力のない王子でもなく

 

真に必要なのは人間でなくても強大な力を持ち、己の意思を、民を守ろうとする強い意思。

 

「…私が王に…ですか?」

 

レエブン候は18万人の兵士を蘇生した後、アルトリアを屋敷に招き、今後の王国について話していた。

 

ザナック王子に相談することなく、独断で動いたのは王に期待出来なかったからだ。

 

「はい、この王国に必要なのは貴公のような存在です。ペンドラゴン殿がいなければ王国は破滅していました」

 

「………」

 

支持者も集めるつもりでいるが、今の王国の民達の支持は『王家でなくアルトリア・ペンドラゴン様こそが支配者として相応しい』という支持が多かった。

 

現に、王が街に出ても以前のような活気さはなく、ただ見ているだけの民達が多く、アルトリアが街に出れば蘇生された兵士の家族が我先にと彼女の元に行き、感謝と労いをかける。

 

「私は王にはなれません。向いていないと思うのです」

 

「しかし…」

 

アルトリアは微笑む

 

「私に出来るのは、騎士として…戦士として力を振るうことだけです。それに…」

 

アルトリアは少し考え込むような素振りを見せる。

 

「私が王になれば取り返しのつかないことになりそうで怖いのです」

 

そう言って頭を下げる。

 

「…ペンドラゴン殿、ならば一つ相談しても良いですか?」

 

「?はい。なんでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

ーザナックー

 

レエブン候から言われたのは、アルトリア・ペンドラゴンをザナック王子の支持者として仕えさせることだった。

 

実質の王位継承者はザナック王子なのだが、バルブロ第一王子の失踪があり、王は生きているかもしれないという思いから継承を遅らせているとのことだった。

 

カルネ村に向かわせた一軍が戻って来ないということを考えれば死亡と問われてもおかしくない。

 

「なるほどな…アルトリア・ペンドラゴンを側近として迎えれば王位継承は捗るか…」

 

ザナックは傍らにいるレエブン候に話しかける。

 

「はい。そうすれば貴族派閥も納得せざる得ないでしょう」

 

貴族派閥の貴族達の大半はあの戦いで前線に出て殆ど死亡した人間だ。

 

それをアルトリア・ペンドラゴンの力により蘇生されて今に至る。

 

現状を鑑みれば、アルトリアに反対意見を言うということは民達の反感を買うことになる。

 

「それで、レエブン候。アルトリア・ペンドラゴン卿がカルネ村に調査に行く件だが…結果的に兄上が死んでいた場合はどうなると思う?」

 

アルトリアが遺体を見つけてしまった場合、蘇生させてほしいと嘆願する可能性が高い。

 

ザナックからしてみれば見つからないほうが幸せなのである。

 

「流石に陛下には諦めて頂けなければなりません。それか…」

 

レエブン候は言葉を濁す。

 

ザナックは兄のことを不憫に思うが、哀れには思わない。

 

明日は我が身かもしれないのだ。

 

 

 

 

 

 

ーカルネ村へー

 

アルトリアは初めて一人で、隊長として部下達を率いてカルネ村に行くことになった。

 

カルネ村と言っても実質、魔導国の傘下に近い状態なので、訪問に近いのだろうが

 

魔法アイテムをふんだんに使い、厳戒態勢で向かうことになった。

 

「アルトリア」

 

ガセフに呼ばれ、振り返る

 

「はい。なんですか?ガセフ」

 

「…無理はしないように」

 

そう言って頭を撫でてくる。

 

少し恥ずかしくなるも笑顔で「はい」と頷く

 

「行ってきます!」

 

馬上から声をかけるとガセフが頷く

 

馬を蹴り、カルネ村に向かう。

 

走っていると次第に周りの景色が変わり、田畑が増えていく

 

「アルトリア様!ここから先、カルネ村です!」

 

「わかりました。皆さんは私から離れないようにお願いします」

 

「はい!」

 

カルネ村の近くに差し掛かると、門の上にゴブリン達が弓を構えた状態で立っていた。

 

「貴様ら何用だ!」

 

ゴブリンの言葉にアルトリアは相手を刺激しないように話すために深呼吸する。

 

「リ・エスティーゼ王国、ガセフ・ストロノーフ戦士長の部下のアルトリア・ペンドラゴンと申します」

 

落ち着いた声で言うとゴブリン達がざわめき出す。

 

アルトリア・ペンドラゴンの名は今や大々的に知られており、カッツェ平野での大虐殺で18万人規模の兵士をデメリットもなく蘇生させた神の如き存在。

 

「皆さまに少しお聞きしたいことがあってきました。王命でバルブロ第一王子の行方が分からないので安否確認に来ました」

 

アルトリアにしてみればナザリックがいるのなら、きっと死んでいると思ったのだが、レエブン候との話では『王は死因がはっきりしていたほうが納得するだろう』とのことだった。

 

「バルブロ?それって確か王国の…」

 

いろいろ話している声が聞こえてくる

 

すると…

 

「!エンリ姐さん?!」

 

「エンリの姐さん!危険ですよ!」

 

とゴブリン達の騒ぐ声が聞こえてくる

 

(エンリ…って確か、カルネ村の新村長の名前じゃ…)

 

疑問に思っていると大きな門がギィイイと開かれる。

 

そこから現れたのはオレンジ色の髪の女性が出てくる。

 

「あ、あの…戦士長様の部下でいらっしゃるんですよね…?」

 

「はい、ガセフ・ストロノーフの部下のアルトリア・ペンドラゴンです。今回は事情聴取に来ただけです。後…」

 

アルトリアは馬上から降りると、深々と頭を下げる

 

「以前のバルブロ王子の所業。誠に申し訳ありませんでした」

 

「アルトリア様…!」

 

部下達が騒めき出す。

 

バルブロ王子が何をしたかは分からない。

 

それでも、帰ってこないと言うのはそういうことだ。

 

頭を下げたアルトリアにエンリは慌て出す。

 

「頭をお上げください。えっと…」

 

「役職名がないので、騎士とでも呼んでください」

 

「は、はい、騎士様。実はお話したいことがあって…その」

 

そう言ってエンリが後ろを見る

 

「!」

 

後ろにいるのは紳士服を着た男性で、見覚えがあった。

 

「アインズ様の配下の方がいらっしゃってまして…騎士様と話したいことがあると…」

 

そう言われ、背筋を伸ばす

 

「はい、分かりました。では一人部下を連れて行って良いですか?後の部下達はここで待機させます」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「ありがとうございます」とにこやかに笑うとエンリの表情が少し赤くなる。




日常でのことなんだけど、一方通行の道を逆走してる馬鹿野郎が来て危ないから自転車止めたら『止まるんじゃねぇよババア』と言われた。逆走してんのになんでキレんの?いい歳こいた男の人が声に出して文句言ってて恥ずかしくないのかなぁ…(ストレス)

次回、セバスと問答します。

創造主に妹がいた場合、NPCってどう言う意思で動くのだろうか…?アインズ様優先だろうけど…創造主の妹も無下に出来ないだろうし…


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番外編・アルトリアin王国『明日に備えて』

なん最近、小説投稿したいのに、仕事のせいでノイローゼ気味でなかなか投稿できませんでした。

気分転換に投稿します。

今回法国など出ます。ガゼフとアルトリアは兄妹的な関係です

ツアー出せなかった…連続投稿を志すと無理なことになる…


ーガゼフー

 

アルトリアがカルネ村に行っている時…

 

ガゼフは王国の屋敷で過ごしていた。

 

(…思えば、アルトリアが来てからここは随分綺麗になったな)

 

アルトリアが来る前は、あまり自宅に戻らず、王宮の近くにある兵士専用の宿舎で寝泊まりしていた。

 

ガゼフにしてみれば王国の王に忠誠を捧げるのが使命であり、王を守る事を生きがいにしていた。

 

よくブレインには『忠義一徹の武人』と言われたのを思い出す。

 

(今思えば、あまり周りを顧みなかったな)

 

余裕がなかったと言うか、強くなるためには必死に生きていた。

 

それがアルトリアと出会って己の限界を知った。

 

いくら王国最強と言えど上には上がいる。

 

アルトリアが良い例だ、本当の天才というものは格が違う。

 

(ゴウン殿が唯一警戒する存在がアルトリアか…)

 

アルトリアから発しられる強者の威厳はあまり感じなかった。

 

(そういえば、部下に褒めちぎられていたときは赤面していたな)

 

思い出して笑う。

 

アルトリアはきっと、王として君臨したら誰もが着いて行く存在になるだろう。

 

それぐらいの強さをアルトリアは持っている。

 

しかし、絶対的な王などいない。アルトリアの考え方は少し常軌を逸している部分があった。

 

以前、人身売買や麻薬製造を行っていた貴族がアルトリアを捕まえた際に発したアルトリアの殺気は、かつて見たゴウン殿と同じものだった。

 

アルトリアが王になれば、きっと国は明るくなるだろう。でも、アルトリアが救われない。王であろうと必死で足掻き自分を殺すだろう。

 

(そうあってはいけない…)

 

部屋に戻ろうとすると…

 

コンコンとドアがノックされる。

 

「ガゼフ!アルトリアが戻って来たぞ!」

 

ブレインの言葉に『分かった』と返すといつもの身なりに整えて外に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

「アルトリア様はやっぱり凄いですね…私胃が痛くて仕方ないです」

 

部下の一人・アーサーがそう呟く

 

アーサー・ディドン・リイル・モチャラス。

 

とある男爵家の長男で、あの大虐殺の際に兵士として出たが子羊に踏み潰されて死亡したが、アルトリアの魔法により蘇生。

 

戦場でアルトリアの背中に魅せられて貴族位を放棄してアルトリアの部下になると言ってやって来たイレギュラーだった。

 

当然、部下達とガゼフは驚いていたが、アーサーは本当に部隊に入る気満々だったのだ。

 

貴族の子息が厳しい鍛錬にも着いて来て、なおかつ、アルトリアの稽古にも『まだまだやれます!』と挫けないのを見て、ガゼフや他の部下達も認めていた。

 

「大丈夫ですか?帰ったらちゃんと休んでくださいね」

 

アルトリアの気遣う言葉に『そうします』と言う。

 

アーサーは家督を放棄したが、弟のフィリップが家督を継いでから破茶滅茶な統治をして、調子こいた弟が『魔導国の宰相アルベド様を妻に迎えたら良いと思う』という奇天烈な思考になったのを見た父がアーサーに戻ってきてほしいと泣き付き、貴族としての仕事の片手間に兵士として仕事をしていた。

 

「休むつもりなんですけどねぇ…弟がおかしな行動してるのを見張らなきゃならないんですよ…なんか無料の酒場で男爵達を囲って何かしてるみたいなんですけど、もう、執事長達も困り果てて、兵士として勤務させようかなと思ってるんです」

 

「それは大変ですね…、確かフィリップ・ディドン・リイル・モチャラスさんでしたっけ?弟さん」

 

「はい、もう…なんというか、馬鹿すぎて、家に戻った時、領地が荒れに荒れてて大変でした。私が帰った時にあんなに喜ぶ父初めて見ましたし」

 

「あはは…」

 

苦笑いするアルトリアにアーサーが『絶対に弟が来たら連絡してください。見境なしに口説く馬鹿なので!』と言う。

 

「そういえば、アルトリア様はガゼフ戦士長と同じの屋根の下で暮らしてるって聞きましたけど、結婚するさいは是非私に言ってくださいね!盛大にお祝いしますから!」

 

そう言うと他の仲間に『おいおい、何言ってるんだ』と肘で突かれていた。

 

「ガゼフとはそういう関係ではないですよ、兄のように尊敬してます」

 

アルトリアは微笑み、前を向き

 

「では帰りましょう!王国に」

 

「「「はい!!!」」」

 

 

それから数時間かけて王国に戻ると、すっかり日が沈んでおり、王国に戻ると、夜だというのにアルトリアが帰還するのを待っている人々がいる灯が見えた。

 

「…あの人混みに入るの慣れませんね」と苦笑いすると部下達が微笑むのが分かる。

 

「アルトリア様!お帰りなさい!」

 

「アルトリアさん!お帰りなさい!」

 

「アルトリアお姉ちゃん!お帰り〜!」

 

まるで王の凱旋だというばかりの賑わいにアルトリアは恥ずかしくなる。

 

「…た、ただ今戻りました」

 

一行は城に入るとガゼフとブレインが待っているのが見えた。

 

「ただ今戻りました」

 

そう微笑むとガゼフは心配していたのか胸を撫で下ろし「お帰り」と返してくる。

 

「アルトリア、怪我はないか」

 

心配するガゼフにアルトリアは『大丈夫ですよ、会って話して来ただけですから、後、バルブロ王子の詳細を王とザナック王子に報告して来ます』

 

そう言うアルトリアの横に着いて行くガゼフ。

 

ザナック王子とランポッサ三世がいる部屋に向かうと、バルブロ王子が死亡していたと報告。遺体は持ち帰れなかったのか問われた際に魔導国が遺体を隅々まで分解してしまったと告げると、貴族達は吐き気を催す外道と言っていた。

 

報告し終えるとドンドンと扉を叩く音が聴こえてくる

 

「失礼致します!陛下。法国の使者の方々が参られました!」

 

「うむ、話を聞こう。ペンドラゴン殿、戦士長、二人も同席してほしい」

 

「はい、分かりました」

 

アルトリアとガゼフは王の近くで待機していると、漆黒聖典の面々が入って来る。

 

その一行を見た貴族達は息を呑み、話すのを待っていた。

 

「よく来られた。遠路はるばる」

 

「陛下もお変わりなくてよかったです」

 

そう言って漆黒聖典の隊長が王と握手し、ガゼフに深々と頭を下げた後、アルトリアの前に立つと…

 

「アルトリア様、戦争での活躍はお聞きしました。流石のご活躍です」

 

ザッと漆黒聖典の隊員達が同時にアルトリアに膝をつく

 

アルトリアが『!?』と驚く

 

足並み揃った行動にアルトリアはアワアワとなっているのがガゼフには分かるが、アルトリアは深呼吸して「は、はい」となんとか返事を返していた。

 

小さい声で「お願いです。たってください」と呟いているのが聞こえる。

 

王国の王とアルトリアでの対応の違いに貴族達はざわめき出す。

 

法国は明らかに区別している。

 

王国の王よりもアルトリアの方が格上の存在であり、敬うべき存在だという事を

 

「失礼しました。私達が告げるべき事柄は一つです。陛下」

 

「うむ」

 

隊長は王の方を見る

 

「我々はアンデットの国である魔導国と対抗するためにアルトリア様のお力を借りたくてまいりました。これからの戦いで、法国、評議国、竜王国、聖王国などの同盟を結ぶ事を視野に入れるべきだと神官長の方々は言っておられます。故にリ・エスティーゼ王国の方々も覚悟をお決めください」

 

政争や派閥争いをしている暇はないと宣言する

 

 




アーサー・ディドン・リイル・モチャラス
20代後半、見目よく美男子。イメージはグレイを男性にしたような容姿。
アルトリアの直属の部下。大虐殺以降、アルトリアに着いて行こうと決めて部下になった。アルトリアの美貌にも惚れているが、何より強さに惚れている。
男爵家の長男坊だったが、アルトリアに着いて行きたいと願い出奔した。
家督は三男である弟のフィリップに移行されたが、あまりにも馬鹿すぎる統治と奇天烈な思考を見た父に泣き付かれ、アルトリアの部下として仕事する片手間、領地の運営をしている。
【モチャラス家の当主順番】
父→アーサー(途中放棄)→フィリップ(当主になった以降、領地内が荒れた)→アーサー(父に泣き付かれて渋々当主に戻った)


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番外編・アルトリアin王国『正義の在り方』

ツアーって原作読んでてなんか通り魔みたいなものを感じてしまった…いや、ナザリック目線だからそう見えても仕方ないんだけど…

番外編を書くにあたり、貴族復活させて後悔してます(絶対に長編になるの確定してしまった…)

今回はセバスとアルトリアが問答する話で、アルトリアがセバスを見て兄を思い出す話。


【誤字訂正】ガセフ× ガゼフ⚪︎でした。盛大に誤字ってます。


ーマーリンー

 

「ありゃ、気づかれたかぁ〜」

 

マーリンは花の塔にてそう呟く

 

コツコツと入って来た女性を見る

 

「そう殺気付かないでくれるかい?モルガン」

 

高い位置で髪を結び、手には魔法の杖を握っていた。

 

「コソコソと隠れて何をやっていたかと思えば…創造主が、王が帰還しているというのになぜ、アグラヴェインたちに知らせなかったのかしら?マーリン」

 

マーリンはモルガンが苦手で仕方なかった。

 

アルトリアの被造物であり、力はマーリンをゆうに超えている。

 

故にマーリンがおかしな行動を取ればモルガンも察知する可能性が高い。

 

(王国に行ったのも数十分で終わらせたというのに…その数十分いないだけで気づくかぁ〜)

 

マーリンは『まぁまぁ』と言って椅子に座る

 

「アルトリアがこの世界にいると言わなかったのはアルトリアのためさ」

 

「……アルトリアの、ため?」

 

先程より強い殺気がマーリンを襲う。

 

「そうそう。確かに君らといた方がアルトリア自身の安全は確保されるだろう。でもね?アルトリアが転移したのは人間国家であるリ・エスティーゼ王国、アルトリアは何もない場所で一人で一から築き上げた。今のアルトリアはなかなかに幸せそうだろう?」

 

「………」

 

モルガンは無言で机の上に置いてあった水晶を見る。

 

無言になったモルガンを見てマーリンは微笑む

 

「…ナザリック相手に王一人で立ち向かえと?そんな死地に追いやることを貴方は良しと?」

 

モルガンの言葉に「やれやれ」と呟くと

 

「アルトリアは今、自分の意思で自分の手で未来を掴もうとしてる。それを邪魔するほど野暮でもないだろう?」

 

「……」

 

マーリンは水晶に映っているアルトリアがセバスと会っているのを見る

 

「アルトリアは家族を失い、親友も失い、この世界に流れ着いた。その過程でいろんな大事なものを見つけて過ごした。その大事なものを護る為に大切な記憶を失った。それほどの覚悟をしたアルトリアを連れて来るというのかい?」

 

「…嫌なことを言う。夢魔」

 

「あはは、褒め言葉として受け取っておくよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

「お、お茶です」

 

そう言って緊張しているであろうエンリがお茶を出して来る

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

アルトリアとセバスの言葉にエンリが「は、はい!」と言ってそそくさとその場から居なくなる。

 

アルトリアの後ろには部下の一人がおり、セバスの後ろにはプレアデスのルプスレギナが立っていた。

 

「そうですか、あの時に殺していましたか」

 

アルトリアの言葉にセバスは何も言わず、ルプスレギナは興味なさそうにしていた。

 

部下はその空気に必死に耐えていた。

 

「わかりました。その報告をします。教えてくださりありがとうございます」

 

そう言ってアルトリアが頭を下げる。

 

本来、敵国が情報を伝えるメリットなどない。

 

しかし、アルトリアが来たからこそ教えたというのもあるのだろう。

 

立ち上がろうとすると…

 

「アルトリア様は何故、あの国に属していらっしゃるのですか?」

 

セバスの言葉にアルトリアは少し驚く。

 

NPCが意思を持って動き出しているのはマーリンで慣れたはずだが、流石に兄の作ったNPCが動いているのは慣れなかった。

 

「貴女様ほどの方であれば王国を作り、王として世界を支配できたのではありませんか?」

 

セバスの言葉にアルトリアは微笑むと

 

「私は自分で国を作るのは苦手なのです。剣を振り回すのが得意なんですよ」

 

アルトリアの微笑みにセバスが少し驚く素振りを見せる。

 

「人が幸せそうにしていのを見ているのが好きなんです。王国の人々は人達は優しくて暖かい人たちなので」

 

そう言ってアルトリアは頭を下げてセバスの横を通り過ぎる。

 

 

 

 

 

 

ーセバス

 

たっち・みー様の妹君であるアルトリア様と会うことが許されたのは、アインズ様の許可があったからこそだ。

 

セバスはカルマ値極善であり、人間に感情移入しやすいと言う観点からナザリックの外に出る事は王都以降なかった。

 

アルベド様は反対していたものの『創造主の妹に会えるのは貴重だ』ということと『アルトリアさんが話しやすいのは多分、セバスだけだろうし』とのことだった。

 

会って話していた際に感じたのは、アルトリア様の後ろにたっち・みー様の姿がチラついて仕方なかった。

 

『誰かが困っていたら助けるのは当たり前!』

 

創造主の言葉が脳裏によぎる。

 

立ち上がって去ろうとしたアルトリア様を止めるように声をかけてしまう。

 

それに驚いたルプスレギナが緊迫したように二人を見ていた。

 

「アルトリア様。たっち・みー様は…アインズ様…いえ、至高の御方々がおられた世界で生きていらっしゃるのですか?」

 

自分の創造主の所在を知っているのはアルトリア様しかいない。

 

もしかしたら他の至高の御方々の行方もアルトリア様なら知っているかもしれないという願いを込めて聞く

 

それを聞いたルプスレギナは息を呑み、どこか期待したような表情を浮かべた。

 

「……」

 

アルトリア様は悲しそうな表情を浮かべる。

 

「…私は、先日の戦争で、モモンガさんが大量殺戮した兵士たちを蘇らせる為に聖槍を使い蘇生させました。その代償で、私は兄の声や言葉を、容姿を忘れてしまいました。なんとなくの輪郭しかもはや思い出せないんです」

 

その言葉にセバスは息がつまるのがわかる。

 

先日の大虐殺は、アインズ様がかねてよりデミウルゴスと話していたことを実行したと聞いた。

 

その過程で、アルトリア様はたっち・みー様との大切な記憶を無くされた。

 

脅されて蘇生させられたのか問うと、自分の意思で、あの時に兄だったらこうするだろうと考えて行動したらしい。

 

「おつらい事を思い出させてしまい、申し訳ございません」

 

セバスが頭を下げると、アルトリア様は微笑み

 

「…確かに失った記憶はありましたが…きっと兄は弱き人々を護る為なら怒らないと思います。それに、失っても生きて行かなくてはならないのですから」

 

そう言ってアルトリアは歩いてテントの出入り口まで歩いていく

 

「それと…モモンガさんに伝えてください。私は…この世界の人々を大事に思っています。特に、ガゼフやブレインさんは、だからこそ…」

 

アルトリアは真剣な眼差しでセバスを見つめる。

 

「大事な人を奪った貴方は決して許せない。これ以上、彼らに手出しするなら、こちらも剣を向けねばなりません。同じ世界を生きた者としてそれだけはしたくないと、私に、兄の作ったNPCを殺させないでくださいと、脅迫とも取れるかもしれませんが、デミウルゴスはそのための人質と思ってもらっても構いません」

 

「!」

 

ルプスレギナが分かりやすくキレ、殺気づく

 

「失礼します」

 

そう言って出入り口から出るアルトリア

 

 

 

 

 

ー法国・番外席次ー

 

アルトリア・ペンドラゴンが18万人の兵士を蘇生したという話は神官長達から聞いた番外席次は、リ・エスティーゼ王国に向かうための一軍の副将として向かうことになった。

 

「分かってるわよ、今回は武器を構えないわ、あんな散々だったんだもの、それぐらいの判断は付いてるわ」

 

「そうですか、それなら安心できます」

 

「安心してないでしょう」と言うと第一席次は「さぁ」と返してくる。

 

番外席次が動けば、評議国の竜王も動くと神官長達は話していたのだが、ぷれいやーらしき人物と会おうとしている法国の人間にいきなり斬りかかるほどの馬鹿でもないでしょと言うとさすがに神官長達も黙っていた。

 

「漆黒聖典は使者として王国に向かい、アルトリア・ペンドラゴン様と対談するのだ。くれぐれも無礼のないようにな」

 

「はい」

 

水の神官長の言葉に第一席次は深々と頭を下げる

 

「そして、番外席次からの報告にあったガゼフ・ストロノーフの暗殺はこれより帳消しとする」

 

アルトリア・ペンドラゴンが最も親しくしていたのが、ガゼフ・ストロノーフであった。

 

男女が同じ屋敷に住んでいると言うことはそう言うことだ。

 

もし、ぷれいやーの子孫がいるのならスレイン法国にとっても重要な案件になる。

 

 




盛大に勘違いするスレイン法国と不穏なまま終わった魔導国との会談(?)

次は多分ツアー出す。ジルクニフも出したい


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番外編・アルトリアin王国『現実世界』

クライムとアルトリアの話があります。

最初はクライムとの話です。故に法国が来る数日前の話が最初の方にあります。

ツアーが出て来るのはまだ先にします。出そう出そうとして文脈崩壊しつつあるので…

本編書きます。番外編は暇があれば書きますので…


ークライムー

 

クライムの朝は早い。

 

自らが仕えているラナー王女が起床する前に、クライムは起きて鍛錬に勤しんでいた。

 

「ふっふっ…!」

 

剣を振り、少しでもラナー王女のために強くなろうと尽力していた。

 

「ふぅ」

 

剣を下ろして汗を拭うと…

 

少し離れたところから剣が交わる音が響き渡る。

 

クライムはそちらの方を見に行くと…

 

(ペンドラゴン様)

 

アルトリアとガゼフが二人で稽古をしていた。

 

二人とも本格的な姿で稽古に勤しんでいた。

 

(少し近くに行ってみよう…)

 

近くに行き、見ていると…

 

「ふぅ…相変わらず強いな、アルトリア」

 

ガゼフが笑いながら腰を下ろす。

 

「前より筋が良くなって来てますよ、ガゼフ」

 

アルトリアが立派な剣を地面に突き刺す

 

「そうか、昔よりはよくなってるか」

 

「はい」

 

二人の関係に少し気になっていると…

 

「クライムですか?そこにいるのは」

 

アルトリアの声にびっくりして『は、はい!』と言って外に出る。

 

「失礼致しました!ストロノーフ様!ペンドラゴン様!」

 

クライムは出て行き、頭を下げる

 

「ペンドラゴン様、私に剣の稽古をして頂けませんか!」

 

アルトリアは王国最強と謳われるガゼフより上位、更にはスレイン法国最大戦力である漆黒聖典の神人に圧勝した経歴を持つ。

 

「剣の相手ですか?私は別に良いですけど、時間は大丈夫ですか?」

 

「はい!」

 

ラナー王女が起床する時間までまだまだある。

 

ガゼフを見ると苦笑いを浮かべて立ち上がる

 

「アルトリアの剣を受けるのはやめた方がいい。クライム、アルトリアの剣を持ってみろ」

 

「は、はい、ペンドラゴン様の剣を、ですか?」

 

アルトリアの剣を見ると、立派な装飾がされた細身の剣だった。

 

「持ってみます?気をつけてくださね」

 

そう言ってアルトリアから受け取ろうとすると…

 

「ぐっ!?」

 

クライムの手から滑り落ち、地面にドンッ!と落ちる。

 

「お、重い…!」

 

見た目は細いのに、明らかに重かった。

 

(これを華奢なペンドラゴン様が振るっているのか…!)

 

剣の重量は確かに必要だ。

 

戦場で戦うために無駄に軽いとすっぽ抜ける可能性があるのだ。それに、重い刀の方が相手に与えるダメージは大きい。

 

(それにしても、ペンドラゴン様の剣は重いってところの話じゃない)

 

男ですら持つのがつらい剣をアルトリアが軽々と持っている。

 

それに驚き、落としてしまった事を謝るとアルトリアが『気にしないでください』と言ってヒョイっと持ち上げる。

 

ガゼフは腕を組み苦笑いして

 

「アルトリアとの稽古は基本的に打ち込みにした方がいい。アルトリアから打ち込まれれば大抵は骨が折れるからな」

 

「うぅ…あの時のことまだ怒ってるんですか…?」

 

アルトリアが申し訳なさそうに言うとガゼフが笑い『治してくれたからな、別に怒っていないぞ』と言って来る。

 

「なるほど…ペンドラゴン様はどうやってその剣を振るえるようになったのですか?」

 

クライムの質問にアルトリアは「えっと…かなり昔のことなんですけど、かつての友に茶化されて岩に突き刺さっていたこれを誰が抜けるか!とチャレンジしてたんですよ、それで私が抜けちゃったんです』と言って来る。

 

「すごい…!」

 

クライムの純粋な言葉にアルトリアは微笑み

 

「それからは訓練ですよ、さすがに最初はきつかったです」

 

アルトリアはクライムの剣を見ると「見せてもらえますか?」と言う

 

「は、はい!」

 

そう言ってアルトリアに渡すと、アルトリアは刀身を見て

 

「よく研ぎ澄まされてますね、刀身も綺麗ですし、クライムと合ってる剣で良いと思いますよ」

 

そう言ってアルトリアから受け取ると、アルトリアと剣の打ち込みの練習を終えると、地面に崩れ落ちる。

 

「お疲れ様でした」

 

アルトリアは呼吸一つ乱さず頭を下げて来る

 

「ペンドラゴン様。私は…これ以上は強くなれないのでしょうか…?」

 

クライムの言葉にアルトリアは無言でクライムを見つめる。

 

「才能には限度がありますが、限界はありません。剣を振るのを諦めてしまえば弱体化する一途です」

 

「はい…」

 

アルトリアは笑顔になり『強くはなれますよ、誰でも、剣を振るうことを理解すれば』と言う

 

「剣を振るう意味を…」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

漆黒聖典と王達が話す内容にアルトリアは胃が痛くなるのがわかる。

 

法国から神様のように崇められるのが慣れなくてムズムズするのである。

 

法国が如何に魔導国が危険か話す。

 

アンデットの王に支配された可哀想な国民達を守るためにどうするかという議論に発展していた。

 

(…モモンガさんの事だから、はちゃめちゃな統治はしないと思うけど…)

 

ランポッサ三世はスレイン法国との同盟のために動くことを約束し、ザナック王子を次期国王として指名し、王国内をより良くすると話をつけた。

 

「浮かない顔してるわね、貴女は」

 

「貴女は…」

 

いつのまにか隣にいた番外席次の声に驚く。

 

「あら、さっきから隣にいたけど気づかなかったのかしら?」

 

「すごい考え事してたんですよ」

 

「魔導国のこと?」

 

「………」

 

「分かり易いわね」

 

番外席次の言葉にアルトリアは苦笑いする。

 

「魔導国の王・モ…アインズ・ウール・ゴウンとは旧知の仲なんです」

 

「へぇ…仲間?」

 

「いえ、正確に言えば兄の友人と言った方が良いでしょう」

 

番外席次は無言でアルトリアの言葉を聞いていた。

 

「兄の友人だからこそ、あんまり敵対したくないといいますか…なんというか」

 

兄の声や顔はもう思い出せない。

 

王宮の外に出て話していると

 

「貴女がいた世界…って言った方が正しいかしら?その世界に帰りたいと思っているの?」

 

番外席次の言葉にアルトリアは固まる。

 

「異世界から来ているというのを知っているんですか?」

 

「法国だけだと思うけれどね…あの、白金の竜王は分からないけど…とにかく、その世界は神々がいる世界で、100年の揺り返しでその世界から神が降臨するとか言われてるのよ」

 

「そうなんですか…」

 

「中には帰る為の方法を模索する神だっているって聞いたし、貴方はどうなの?」

 

「……」

 

この世界に来てから一度も帰りたいとは思わなくなっていた。

 

あの世界に未練がないわけではない。あの世界に戻って兄を思い出して、かつてのギルメン達と会って話がしたいと思っていた。

 

「…どう、なんでしょうかね…、まだ答えは出ていません。後少し誤解しているところがあると思いますが、《ユグドラシル》は確かにそういうプレイヤーがたくさんいますが、私達は213…現実世界という場所からユグドラシルに来ています」

 

いろいろ難しい話になるが、少し嘘を交えて話していた。

 

「へぇ…」

 

番外席次は聞き入るように聞いていた。

 

「その世界は酷い世界ですよ、こんな綺麗な青空は広がっていません。身分の差もこの世界の比ではありませんし…多くのプレイヤーはあんな世界に帰りたいと思わないんじゃないでしょうか?伝承で聞いた八欲王がこの世界を好き勝手にしたのは、この世界を愛していたからじゃないですか?」

 

「…あら、それだと、この世界の人にしてみればはた迷惑なことになるわね」

 

番外席次の言葉に苦笑いする。

 

「確かに迷惑ですね」

 

そう話していると…

 

「はいはい、戻れば良いのね」

 

番外席次がスキルを使ったのか、そういうアイテムがあるのか、独り言をいう。

 

「?どうしました?」

 

「隊長が戻ってこいって言うのよ、話し合いは終わったからって」

 

「そうなんですか、じゃあ送りますよ」

 

「あら、優しいのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーサー・ディドン・リイル・モチャラスは仕事を終え、自宅に戻った。

 

モチャラス家は男爵家であり、領地としては小さい領地だ。

 

「ただいま」

 

「お帰りなさいませ…」

 

元気のない執事長の声にアーサーは察してため息をつく

 

「…弟か?また何かしたか?」

 

「はい…その、フィリップ様がヒルマという方の提供された酒場にて宴会を開くと話しておりました。その…なんというか、魔導国の宰相をお招きすると…」

 

「はぁ!?」

 

あまりにもおかしな内容に声を荒げてしまう。

 

「す、すまない。驚きすぎて怒鳴ってしまった…」

 

「いえ、アーサー様の動揺も分かります」

 

アーサーは椅子に座るとメイドが珈琲を持って来る

 

「……それで、あの馬鹿は何処にいるんだ?」

 

「現在、旦那様の命令で部屋に軟禁しております。どうもヒルマという方から無料でメイドを借りたとも…」

 

「………もう、勘弁してくれよ…」

 

思わずそう漏らすと、代わりに執事長が頭を下げる。

 

無料というのに釣られてあの弟はヒルマからかなりの物を受け付けていた。

 

その度にヒルマの元に行き、これ以上、弟に売りつけないでほしいと送り、それでも来るのなら上官であるアルトリアに許可を取り、アルトリアの名を出して止めるようにしていた。

 

「…それで今回はあの馬鹿から行ったのか?」

 

「はい…ヒルマ殿から連絡が来てどうにかしてほしいと参りました」

 

「はぁ…もはや病気の類だな…」

 

アーサーは騎士として仕事するがてら領地の運営もしており、それで家計が成り立っているというのに、フィリップは何も仕事をせず、かつて、ほんの数ヶ月貴族として生活したが故に変に高みにいるのだ。

 

まるで、自分が一国の主人かのように澄ましている顔は、アーサーが罪悪感を抱かせるのには十分だった。

 

(当主としての役目を放棄してしまった私にも責任はあるか…)

 

また一から教育し直すべきかと思っていると…

 

「アーサー様。アルトリア様から手紙が来ております」

 

執事がそう言って手紙を渡して来る。

 

「手紙?」

 

受け取ると、そこにはアルトリアの字で書かれていた。

 

「…今すぐに来てほしい…?」

 

「アーサー様。一体何が書かれていたのですか?」

 

アーサーは立ち上がり、服を着直すと

 

「アルトリア様から至急来るように連絡があった。書類は昨日まとめておいたのを父上に出してくれ」

 

「はい、かしこまりました」

 

アーサーは準備を始めて玄関に行く

 

 

 

 

 

 

 

 

ーマーリンー

 

「どうしても彼らは戦争を起こしたくて仕方ないようだね」

 

マーリンは紅茶を飲みながら水晶を見つめながら言う。

 

「このままではアルトリア様が死んでしまうわ、死んだらどうするの?マーリン」

 

モルガンの強い言葉にマーリンは「うーん」と悩む

 

「あ、そうだ。地下階層にいる彼に相談してみようか、彼ならアルトリアの役に立てるだろうね」

 

「なら早速行って来るわ、貴方はそこにいなさい」

 

「待て食らってる?僕」

 

何も言わずに転移していなくなるモルガン。

 

マーリンは水晶に映ったアルトリアが慌てたように走り回っていた。

 

 

ナザリック地下大墳墓は本気でアルトリアを潰しにかかって来た。

 

正確に言うならアルトリアのいる国を、だろうが

 

 




【六大神や八欲王がいた世界】
転移後の世界では《ユグドラシル》という世界から神々が降臨していると思っている。


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番外編・アルトリアin王国『魔導国vs』

最近、いろいろあって小説ロスが続き、Pixivの方で軽い小説しか書けなくなってきてる…

なんか遠回しにこっちも書いてくださいねという圧が来てる…。

だんだんネタが無くなりつつある。少しだけ飛ばして良いですか?


ーアルトリアー

 

魔導国が宣戦布告して来たということは王国内全土を震撼させた。

 

アルトリアはレイヴン公に呼ばれてがゼフと共に、レイヴン公の館に来ていた。

 

そこにいたのはザナック王子がいた

 

魔導国の兵力が攻めてくるという話になり、魔導国の軍隊が他国からの援軍を防ぐために国境沿いを包囲しているらしい。

 

「今回の戦いで数多くの貴族が寝返った。まぁ…彼らの気持ちは正直痛いほどわかるが…アルトリア・ペンドラゴン…。貴公はこの戦いどう見る?遠慮せず申してみよ」

 

ザナックからの言葉と地図に書いてあるおおよその軍勢をみて、今回の戦いがいかに熾烈を極めるか見て分かった

 

「…ナザリック…魔導国が本気で攻めてくる場合、私がいる地点を集中的に高レベルをぶつけてくると思います…だから、首都を守るとなったら……」

 

最悪な展開が想像できて頭が痛くなる。

 

向こうは私を完全に潰して安心を手に入れたいのだろう

 

アインズがそう思っていなくても、他のNPCがそう思っていた場合は、100レベルのNPCを総当たりでぶつけてくるに違いない

 

そうなれば、こちらも全力を出さないと命すら持っていかれる可能性がある。

 

ナザリックで復活、なんてことは本当にやりたくない

 

「守ることになったら?」

 

ザナックの言葉にハッとなる

 

慌てて謝罪すると

 

「……自分でこう言うものなんですけど…高レベル…魔導王レベルの者が複数同時に襲ってくると思います。そんなことになれば、首都は無くなると思って貰った方がいいと思います」

 

聖槍あるいは聖剣なんて首都で振るったら焦土とかしてしまうだろう。それが分かっているからナザリックは全力で向かってくるだろう。

 

(…マーリンの話が正しければ、キャメロットもこの世界にいることになる…そうなれば、少し楽になると思ってもいいだろうけど…)

 

かといって、彼らのうち誰かを召喚魔法で呼び出すことを考えれば、戦況を大幅に変えることが出来るだろう

 

しかし、誰が転移魔法でくるかわからない、完全にガチャである。

 

マーリンを呼び出せればいいのだが、マーリンは防御に全振りしており、安易に話を聞くだけで召喚して返すにはかなり労力がかかる。

 

「そうか……首都にいない方が貴公は戦いやすいか」

 

ザナックがうーんと悩んでいると

 

「ならば、アルトリア様が首都から離れ、奴らの最高戦力がそちらに向いた際、我々が魔導国の軍勢と…立ち向かうと言うのは」

 

自分でも難しいことを言っているのを理解しているのだろう、気難しい顔をしている。

 

「……一つ可能性はあります」

 

そう言うと2人がこちらを見てくる

 

「リスクもありますが、召喚魔法である人たちを呼んでみます」

 

 

 

 

 

ー王国広場ー

 

アルトリアは広場にやってくると魔法陣を描き始める

 

「召喚魔法か…それでお前と同等の人間を呼び出して王国を守るための準備をするのか…」

 

ブレインからの言葉にアルトリアは頷く

 

「はい、でもリスクはあります。彼らを本当に信じていいのか、この世界でもその通りなのか、少し不安要素はあります…でも不安に思っているだけではこの国は救えません。それと…」

 

ブレインたちと一緒にいるザナックとレイヴン公を見て

 

「…もし仮に、召喚に成功して今後の作戦に組み込んだ場合…出来るなら、いえ、絶対にラナー王女とクライムに召喚した相手のことを言わないでください」

 

その言葉にザナックとレイヴン公は驚かないが、ブレインとガゼフは『何故?』と言ってくる

 

「一度クライムと会ったことがあり、彼からラナー王女の話を聞いたことがあります。王宮内で遠目ではありますが、彼女の姿を見たことがあります。その時…失礼なことを申し上げますが…」

 

王族の、まして、妹のことを悪く言われて良い気持ちになる人間なんていないだろう…

 

躊躇いがちに言うとザナックは笑いながら『良いなんでも申せ、この国がやって行くにはそちの力がなければ立ち行かんからな』と言う

 

「ラナー王女様の目を見た時、彼女から底知れぬ恐怖を感じました…1人の少年のために全てを犠牲にしてもいいと思える人間の目をしていました」

 

リアルにいた時のある人物を思い出して気持ちが悪くなる

 

「ああ、分かった。まさか、ラナーが精神系の魔法を習得しているとは思えないが」

 

そう言われてハッとなる

 

「精神汚染を保護する道具持ってました。ちょうど人数分あります」

 

そう言って第9位階魔法までを防御する小さなダイヤモンドのアクセサリーを4人に渡す

 

「一応念のために持っていてください」

 

そう言って魔法陣の方に進む

 

英霊召喚で呼べる人数は最低でも3人ぐらいしかいない。誰が出てくるかわからない状態で呼ぶのは相当リスクがある

 

(できれば…もし、彼らがいるなら…)

 

英霊召喚の詠唱をスキップするためのアイテムを出す

 

頭の中でNPCの一覧をイメージする。

 

召喚魔法が働き、円陣が動き出す

 

三つの煙が立ち込める

 

「召喚に参じました。魔法詠唱者・モルガン」

 

「同じく円卓の騎士、ガウェイン」

 

「円卓の騎士・モードレット、召喚に応じたぜ」

 

その3人を見て飛び上がるほど驚きそうになる

 

(選りに選ってこの組み合わせの3人||?)

 

アグラウェインをイメージしたのに、まさかモルガンが来るなんて思わなかった

 

 

 

 

 

モルガンたちが召喚され、3人に王国の顛末を伝えると、ナザリックがいるのは知らなかったのか驚きつつも了承してくれる

 

そもそも、英霊召喚して呼ばれたNPCのMPは召喚主に依存する

 

つまり、モードレットやガウェインが宝具を使用すればアルトリアのMPもゴッソリ持っていかれる

 

(幸いにもMPは多いから良いけど…)

 

今後の戦争のことを考えてため息をつきたくなる

 

 

 

ーモルガンー

 

召喚に応じた際に見た創造主・アルトリアを見て胸が高鳴る気持ちを堪える

 

知らない国を守るのは不快だったが、あんなにイキイキしている創造主を見るのはユグドラシルでもあり得なかった

 

(唯一の不服は、アルトリア様の心は我々の方を向いていないことだけれど…)

 

「……?何か気に障ることをしたか?」

 

そう言うガゼフを見ていたが、ある程度見定め『ふーん』という

 

マーリンがこの国で幸せに過ごしているアルトリアをブリテンに連れてこない方がいいと言っていたのを思い出した。

 

「なんでもないわ、良い男だと言われるだけはあるわ」

 

そう言ってその場から離れる

 

明日から始まる戦争に心踊らせながら、覚悟を決める

 

霊体化し、その場でガゼフを見る

 

 




【英霊召喚】
召喚魔法。第10位階魔法
魔獣などを召喚する魔法は他にあるが、英霊召喚は自分のNPCや所属しているNPC(ギルドメンバーが作った英霊も)を召喚できる
レベル100の異形種限定で人間種は召喚できない。
デメリットとして召喚主のMPを使うため、高ランクのNPCほどごっそりMPを取られる。また、召喚できるNPCはMPが多ければ複数召喚できるがまず持ってない。
ユグドラシル時代では、他ギルドに侵攻する際に作戦の一環の召喚魔法として使われていた(次元封鎖対策)

【ブリテン王国の立ち位置】
大陸地方の端にあるため、あまり有名ではない国家、人間の国家があると言うのは知っているが、つい最近やっと動き始めている。
ツアーからは彼らがプレイヤーなのか判断しかねている(理由は対策を取られ続けているから)


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再三章〜聖王国編〜
人間を喰らう者たち・Ⅰ『序章』


ナザリック面々がドワーフ編なのに対し、アルトリア側の話は人を食べる種族が王国の近くに出現したと聞き、調査に向かう話でございます。

聖王国編に入りますが、少しだけ展開が違うので悪しからず

やっと本編に入りますがifストーリーも続けて書いていくとは思いますので悪しからず


ーブリテン王国・アルトリアの自室ー

 

(…今日も山のように積み重なる書類を片付ける日か…)

 

ブリテン王国の王となったアルトリア・ペンドラゴンは聖槍による聖伐によって悪意のある人間と悪意のない人間を捌けているが故に王国の問題は少ないものの、まだ聖伐には穴がある。

 

故にアルトリアやアグラヴェインが有能貴族から上がって来る書類を見て内政管理もしないといけないのだ。

 

(…国のトップはこんなにも疲れるのか)

 

内心、アグラヴェインやトリスタンに仕事を押し付けたくなる気持ちもあるが、こんな所で投げ出すわけには行かない。

 

起き上がりボサボサ頭の自分が鏡に映り、ある程度整えていると…

 

「王、失礼します。ガレスですっ!」

 

元気な声が外から聞こえてくる。

 

「…ん、入れ」

 

そう言うと元気な声が聞こえてくる。

 

「失礼します!」

 

ガレスは衣類を持ってくるといろいろやってくる

 

メイド達が髪を梳かしてくれる。

 

「本日のご予定ですが、市民達に顔を見せた後に内政管理、各所から上がって来た書類の整理があります」

 

「あぁ(全体的に事務仕事だな…)」

 

ガレスは緊張しながらも笑顔で話す

 

「それと、ランスロット卿が青の薔薇様と共に謁見をしたいと言って参りました」

 

「ランスロットと青の薔薇のチームがか?…珍しい組み合わせだな…」

 

今までは青の薔薇のみ、ランスロットのみということが多かった。

 

この組み合わせで謁見に来るのは珍しい

 

「…そういえば、大事なことを聞き忘れていたな…」

 

「はい、何なりと!」

 

ガレスの期待の眼差しに「うっ…」となる。

 

「最近、アグラヴェイン達の近状を聞いていないと思ったな」

 

その言葉にガレスはみるみる内に顔色が悪くなり、ぺたりと跪く

 

「…!申し訳ありませんっ!何か報告に問題がございましたか…?!」

 

アグラヴェイン達から政治関係のことはいろいろ聞いているし、報告に一切の不備はない。

 

「違う違う。今のは私が悪かったな、すまない」

 

「!陛下が謝る必要など…!」

 

このままでは埒があかないと思い、本題を切り出すことにした。

 

「ランスロットやガウェイン達は市民達と関わって上手くやれているか?」

 

「はい、ランスロット様は冒険者話の方々や孤児院の方々と連絡を取り合い、よく話しているのが見受けられます。トリスタン卿も同じく孤児院や街の方に足を運び街を見回っておられます。モードレッド卿は獅子劫界離さんと一緒に居酒屋や建築の手伝いなどをしております。以上ですね」

 

「…ん?」

 

「?陛下?」

 

ガレスの話にはランスロット、トリスタン、モードレッド等は出てきたが、ガウェイン、アグラヴェイン、モルガンが何処で何をしたかがなかった。

 

「アグラヴェインやガウェイン、モルガンはないのか?」

 

「アグラヴェイン卿はキャメロットや王国の宮殿を行き来したり、キャメロット内部の管理を見直したりなどしております。ガウェインお兄様は陛下と常におりますし、モルガンは基本的にブリテン王国宮殿内におりますので市民と関わっているところは特に見られません」

 

「…あぁ、そうか、アグラヴェイン達には悪いことをしたな」

 

アルトリアの言葉にガレスが『陛下のためならばキャメロットの者達は全力を尽くすと思います』と言う。

 

アルトリアは立ち上がり、通常衣装に着替えた後、ランスロット達が待機しているであろう場所に向けて歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

ーランスロットと青の薔薇ー

 

ブリテン王国になってから冒険者組合は変わらない。

 

ブリテン王国の官僚・ランスロットが冒険者組合長達と連携を取り、凶暴なモンスターを狩る役目を担っていた。

 

冒険者は国とは関係ない者達ということになっているので、彼らはブリテン王国の市民と同等の扱いになる。

 

そんな彼らが苦戦を強いられるモンスターならば、ブリテンの兵士が出張り、助けることをする。

 

「人を喰らう種族ですか…」

 

青の薔薇はランスロットと対面し、北上してきた異形種についての相談をしていた。

 

「竜王国近隣から王国に向けて上昇して来たビーストマンの異形種が王国の市民達の村を襲う事件が多発しております。我々冒険者も手を尽くしているのですが…」

 

ラキュースのつらそうな表情にランスロットは慰めつつ、被害に遭った村の位置について少しだけ考えていた。

 

被害に遭った村はローブル聖王国の東に位置するアベリオン丘陵と法国、王国の県境にある村だ。

 

一応領土としては王国に属しているものの、周辺に法国、魔導国、王国が隣接していることからそこに王国の兵士を派遣することになればそれら周辺諸国といざこざになる可能性が高いのだ。

 

「一度陛下に相談してからまた改めて話をしたいと思う。今回は流石に急を要すると思うからな、近日中に答えを出せるようにしよう」

 

その言葉にラキュースは『お願いします』と返して来る

 

「といってもな…私はその村の惨状を知らないから王に事細かに説明することは出来ない。陛下は現状を正確に知ることを求めているしな」

 

ラキュース達はその言葉にドキリとする。

 

「大丈夫、陛下は市民をむやみに殺す行為なんてしない」

 

ランスロットの笑顔にラキュースは『はい』と頷く

 

 

 

 

 

 

 

 

青の薔薇の面々はキャメロット城に向かい、獅子王・アルトリアに謁見するために玉座の間に来ていた。

 

「…相変わらず凄い城だな…」

 

ガガーランの小さな声にティアとティナが小さく頷き

 

「…豪華絢爛だけど、みんな魔力がある程度込められてて凄い…」

 

「…迫力がすごい」

 

前の方ではランスロットがブリテン王国宰相のアグラヴェインといろいろ話して打ち合わせをしていた。

 

すると…

 

「青薔薇の皆さん、陛下が来るまでまだ時間はありますから、待合室にお通しいたします」

 

そう言って来た少女騎士にラキュースは『お願いします』と言う

 

少女騎士に通されて部屋に入ると、そこも相変わらず白銀で統一された部屋にティナはガガーランに『調度品壊さないように動いて』と言いガガーランが『壊さねぇよ』と返す

 

ラキュースは仲間の言葉に少しだけ安心する。

 

アダマンタイト級冒険者チームのリーダーとして情けない姿を見せられないと昨日からかなり緊張した状態でここに来た。

 

いくら貴族の娘だと言ってもこんな豪華絢爛で一つ一つの装飾に魔法が込められていそうな物は見たことがなかった。

 

「あ!申し訳ありません。自己紹介が遅れました。キャメロットの第一領階層の管理をしておりますガレスと申します」

 

ぺこりと頭を下げるガレスに対してラキュース達は慌てて頭を下げる

 

「青薔薇様方は何かお嫌いな物ありますか?食べれないものは?遠慮なく言ってください!陛下の準備が終わり次第お伺いにまた来るのでどうぞ召し上がっていてください!」

 

ガレスは笑顔で料理を並べて誇らしげに去って行った。

 

「…ラキュース、ビーストマンについてだが、本当に我々だけでは勝てない奴らなのか?」

 

イビルアイは評議国に出かけていたこともあり、ビーストマン達が人間の村を襲撃した日はチームにいなかったため、ビーストマン達の強さがどの程度のものなのか知らなかった。

 

「…ええ、魔剣キリネイラムの攻撃があまり効かなかったのもあるわ…それに、かなりの数がいてそれらを相手にするのは大変なの…」

 

ラキュースの脳裏には市民達が泣き叫びながらラキュースに手を伸ばす光景が思い起こされる。

 

助けられなかったことにラキュースは拳を握り締める。

 

「…最後の頼みなの」

 

その言葉にイビルアイは「…そうか」と呟く

 

すると…

 

「青薔薇様、玉座の間にお願いします」

 

そう言ってやってきたガレスに続いて玉座の間に進む。

 

玉座の間に着くとアグラヴェインの指示の元、ランスロットの後ろに跪いて待つことになった。

 

数分遅れで入ってきた獅子王の威圧感にイビルアイは震えそうになる足を必死で止める。

 

「我がキャメロット並びにブリテン王国の王の御成です」

 

ガレスの言葉にランスロットが深々と頭を下げ、それに吊られるように青薔薇も頭を下げる。

 

獅子王の鎧の音が響き渡り、静かに玉座に座ったアルトリアが青の薔薇の面々に向けて口を開く

 

ラキュースは深呼吸をしてビーストマンの襲撃に遭った村についての説明をし始める。




そろそろ聖王国編に入りますが、ナザリック面々がドワーフの国に向かっている最中の話です。

次はランスロットかトリスタンかアグラヴェイン出そうと思うんだけど、誰だそうか悩み中。とりあえず、アサシン軍団のリーダーがついに出ます。

【人間の村を襲ったビーストマン】
人間を食料にしている。近年は人間の国である竜王国に大軍で攻め入っている。
その大軍から分裂したビーストマン達が北上してきている


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人間を喰らう者達・Ⅱ『ビーストマン』

ビーストマン編に入りますが、私の書くビーストマンは原作のビーストマンとは違います(まだ出てきてないはずだから…)

人間の村が襲撃された地点に向かうことになったキャメロット軍と青の薔薇のメンバー。そして、今回ついに(やっと)、アサシン軍団のリーダーが出ます。

今更だけど、ビーストマンについての捏造があります。いろいろ調べて動画漁っていたら脳内のビーストマンイメージがエゲツないことになってしまったので、とりあえず落ち着かせる為にビーストマンのオリキャラが登場します。

#人間を食べるという種族の話故に残酷な描写があるのでご注意くださいませ#


アルトリアは謁見に来た青の薔薇の面々からビーストマンについての話をいろいろ聞いていた。

 

聴き終えたアルトリアは青の薔薇を帰すとNPC達と共に話し合うことになった。

 

ブリテン王国、魔導国、法国の近くにある小さな村が襲撃され、青の薔薇の面々はそのビーストマンが北上してきて王国の領土を踏み荒らす可能性があると聞き、急いで軍を整えてそのビーストマンのいる地点に向かおうと思ったのだが…

 

「陛下自ら行かれるのは危険です。どうか我々にお任せください」

 

領階層守護者とアサシン軍団のリーダーなど100レベルのNPCが多くいる。

 

アグラヴェインの心配したような声にモードレッド達も頷く

 

「心配は分かるが、ビーストマンの好きにさせてはおけないだろう?それに、国の危機に王が出向かねば周辺諸国から良い目で見られないのは確実だ」

 

「しかし…」

 

(…まぁ、簡単に言えば少しキャメロットから離れたいのもあるんだけど…)

 

キャメロットは確かに自分の帰るべき場所であり、守るべきものなのだが、キャメロットで気を抜く事は出来ないし気が張り詰めるのも事実だ。

 

なんとか彼らを説得しようとすると…

 

「…その警護に我の他に二、三同行すれば良いだろう」

 

そう声を出してきたのはアサシン軍団のリーダーであり、レベルは100の『山の翁 ハサン・サッバーハ』である。ギルメン達からは『キングハサン』とあだ名で呼ばれる事があった。

 

牛のような立派な双角を備えた髑髏面の奥に青白い眼光をしており、その巨体もあってかなり怖いNPCになっている。

 

信仰系魔法詠唱者でありながら大剣を振るい敵を葬り、敵を即死させる能力を持つ。

 

キングハサンは【対モモンガの為のNPC】として創られており、ナザリックとの激戦が繰り広げられている時期にギルメンであり友人である『オジマンディアス』が先頭に作り上げた。

 

キングハサンはその異常なほどの強さから運営から消される対象になったが、その翌日になっても運営から消される事はなかった。

 

オジマンディアス曰く『倒せないレベルのNPCじゃない。ちゃんと段階踏めば倒せるから違法じゃない』と言っていたが、明らかにオジマンディアスがリアルの権力を振りかざしたように見えた。

 

キングハサンは真面目に戦っても勝てないようなNPCなのだ。

 

まず、蘇生アイテム(この世界で使えるかは分からないが)を持っている状態だとかなりの確率で即死させることができる。

 

即死対策をしていれば即死する事はないが、気配遮断スキルが圧倒的に凄すぎて創ったオジマンディアスでさえ気付かずに首を切られるくらいだ。

 

(…その世界がリアルである以上、彼はあまりキャメロットから出したくないが…もしも、モモンガさんやシャルティアやアルベドがいれば対処できるし…キャメロットの警備はガウェイン、モードレッド、モルガン、アグラヴェインに任せるべきか)

 

第三地下階層にいる彼と打ち合わせして警備をしてくれたら盤石なものになるだろう。

 

アグラヴェインは連れて行きたかったが、統括であり、なおかつ攻撃の仕方が特殊故に未知に近い場所に連れて行けないだろう。

 

「山の翁の意見を採用しよう」

 

「かしこまりました…陛下」

 

不満そうなアグラヴェインに『帰って来たら二人で王国内の視察に行こう』と言うとモードレッドが『羨ましい!!』と馬鹿でかい声で言って、ガウェインは無表情ながらも恨めしそうな雰囲気を醸し出す。

 

「同行するのはトリスタン、ランスロット、山の翁に任命する。アグラヴェイン、キャメロットの警備及び私が居ない間の外交は第三地下階層にいる彼と話し合いで決めてくれ」

 

「かしこまりました陛下、ご武運を」

 

アグラヴェィンの声が少しだけ嬉しそうな雰囲気になっているのを見て可愛いなぁと思いつつ、準備に入ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアベリオン丘陵付近ー

 

ビーストマンの青年・ディルは上層部からの命令で食料調達のために北上していた。

 

「よし、今回の食料はこれくらい集めておけば良いだろう」

 

上官・ディレルの言葉に兵士達は頷く

 

かなり大きいカゴに入れられている人間達は恐怖に慄き、失神する者達が多い。

 

上官たちはその光景がいつもの通りなので特に気にもとめていなかった。

 

ディルにとって生け捕りにする事はあまり好きではない行為だった。

 

出来るのならば見たくない気持ちがあった。

 

「ディル?どうした?」

 

「ディーン…いや、なんでもない」

 

ディーンは自分と同じく食料調達のために北上してきた一軍の一人であった。

 

「次に襲うのはここからすぐ近くの村に行くぞ!」

 

上官の言葉にディル達は頷く

 




山の翁 ハサン・サッバーハ
【あだ名】キングハサン
【創造主】オジマンディアス(一応そうなってはいるが、アルトリアを含めたギルメン全員が彼を創るのに携わっている)
【レベル】100
【種族】アンデット
【カルマ値】中立

【能力】
ナザリック激戦時代に【対モモンガ対策】の為に作られたNPC。
実際はウルベルト対策の為に作る目的だったが"それは別で"補われた
死の概念がないアンデットに死を与える能力を持っている。
全ての攻撃に即死効果を付加することができる。即死対策をしていればその確率は低いものだが、課金アイテム(蘇生アイテム)を持っている状態だと即死するが確立が高い。課金アイテムを持っている状態で戦いに挑めば課金アイテムを無効化させて殺すので蘇生できない状態になる。
《ユグドラシル》時代に実際にモモンガと二回ほど戦闘を繰り広げた事があり、一回はモモンガの撤退、2回目は創造主が撤退と言われた為に撤退した為、モモンガと真正面から激突したことはない。
気配遮断スキルがある為に背後にキングハサンがいることが分からずに飛び出したオジマンディアスの首を一回落としたことがあって以降は、全面的にキャメロットの警護を任されていた。

【詳細】
かなりの課金で創り上げたNPCで『ギルメンの課金金額数えたら多分億手前まで行く可能性ある』程であり、ほとんどの課金はオジマンディアスがしていたが、やりすぎた事から運営からアカウント消滅されかけたが"翌日には運営が何も言わなくなった"経歴がある。

【周囲との関係】
領階層を自由に出入りできる許可を得ているためキャメロット内を巡回しており、サボり傾向にあるモードレッドらマーリンに低い声で『働け』と叱っている。
ギルド長を務めるアルトリアについては命令を忠実に聞くものの、彼女の在り方に少しだけ否定的な面がある。
アサシン軍団のまとめ役であり、個性が強いアサシン数名を一言でまとめる事が出来る。


オジマンディアス
アルトリアの友人の一人でかつてのキャメロットにいた。
リアルでは富裕層のトップクラスにおり、ゲーム《ユグドラシル》にかなりの課金をしていた。
キングハサン及び数人のNPCの創造主。
性格はfgoオジマンディアスとほとんど同じ、キングハサンを作り上げた際に運営から消されそうになったがリアルの権力で運営を黙らすという違法行為もしたりした。
《ユグドラシル》を辞める際にアイテム等を売り払った為、キャメロットに彼の物は一切ない。
《ユグドラシル》を辞めた理由はリアルの方が楽しいから

【現地人設定】

ディル
竜王国に進軍していたが、上層部の命令で北上し、王国の村を襲った。人間は食料という感覚はあるものの、痛めつけて殺すのは趣味ではないので優しく殺そうとしている。
【種族】ビーストマン
【年齢(人間に換算して)】15歳


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人間を喰らう者達・Ⅲ『人間の頃の残滓』

書きたいし読みたいし休みたいし寝たいし…やりたいことがありすぎて困ってます。

左手首がクッソ痛いし痺れてる…病院行っても湿布とかしか貰えないんだよなぁ

『ヘルシング』がアマゾンプライムでやってたから1話から見てたら途中からアーカードさんの声の良さと内容の濃さに脳内パンクして『しよーせつかかなきゃー!』と意味不明な言語しか喋れなくなった…


ー襲撃された村にてー

 

アルトリアたち一行はブリテン王国から出発して襲撃された村に来ていた。

 

目の前に広がる凄惨な光景にアルトリアは何も感じない自分に少し恐怖した。

 

(これが異形種に変化したせいなんだろう…)

 

ラキュース達は村人たちの遺体に治癒魔法をかける。

 

本来なら遺体に魔法をかけるなんて贅沢なことはしない。

 

だが、遺体の数々は喰われたせいなのか片腕がなかったり等、何かしらの欠損があった。

 

アルトリアは仮のテントに入ると続けてランスロットが入ってくる

 

「…村人の遺体治療は終わりそうか?」

 

そう問いかけるとランスロットが静かに『はい』と頷く

 

目の前にある果物を見つめる

 

(…こうやってアインズも人らしさを欠いて行ったのか…いや…アインズの場合は少し違うか…)

 

自分のギルドにいた友たちはどちらかというと素の状態で人間性を欠いているような人間がいたりした。

 

特に良い例はキングハサンの創造主であるオジマンディアスが良い例だろう。

 

リアルでも何回か会ったが【オジマンディアス】という性格そのものだった。

 

だからこそ仲良くなれたこともあるだろうが

 

アインズは、モモンガは仲間を何よりも最重要視する。

 

度重なるキャメロットとナザリックの戦闘ではオジマンディアスが『ナザリックの設備について』悪口を言った際は激しく激怒していたことを思い出す。

 

アルトリアはジュースを飲むと、ふとテントの隙間から外を見る

 

ラキュース達が遺体を見て悲しい表情を浮かべていた。悔しそうに拳を握りしめていた。

 

「ランスロット」

 

「はっ」

 

「ラキュース達の手助けをしてやってくれ」

 

「トリスタンと交代致します」

 

「いや、それはいい。二人で応援に行ってやれ」

 

「…かしこまりました」

 

そう言ってランスロットが退出するとブゥンという低い音と共にキングハサンが現れる

 

(…いつ見ても怖いなぁ…しかし、種族はアインズと同じアンデット系だし…)

 

キングハサンは先ほどまでランスロットが立っていた位置に立つと黒い大剣を地面に突き刺す。

 

「山の翁、今回の事についてお前はどう思う?」

 

ビーストマン討伐については無論実行するつもりだ。

 

しかし、アルトリアの…人間だった頃の残滓の所為なのか、ビーストマンを殲滅する事を躊躇っている部分もあった。

 

『聖伐』などをしている自分が何を今更と言われたらそれまでなのだが、聖伐とは明らかに事情が異なる。

 

「どう、とは、それは滅ぼすべきか否かのことか?」

 

山の翁の重低音の声に少しだけ怖く感じてしまうのは悪くない。

 

「あぁ、私としては自分の民に手を出したビーストマン達は許すべきものではないと思っているし、無論、話があった以上は滅ぼすことは確定だ。しかし、彼らにとっての食料は『人間』という事だけで全てを滅ぼすべき事なのだろうか?人間が豚や牛を食糧にするように彼らは…悪い、忘れてくれ」

 

アルトリアは頭を振りそう呟く

 

(…どうかしてるなぁ…私、いろいろ考えた所為で話がこんがらがってる…王としてここは制裁を加えるべきだろうが…)

 

キングハサンは少し考えたような空気を出した後

 

「どう足掻いたとてビーストマンと分かり合えないのは事実だ。人間を食糧にしている以上」

 

キングハサンはアルトリアを見て言う

 

「そうだな、おかしな事を言った許してくれ」

 

アルトリアは立ち上がろうとすると…

 

「陛下!この村を襲撃したビーストマン達を発見致しました!」

 

粛清の騎士の報告を聞き、そちらに向かうことにした。

 

「敵は硬い外装に守られているそうだ。流石にワールドアイテムを無効化する程の外装ではないだろうが用心するに越したことはない」

 

「はっ!」

 

「ランスロットは青の薔薇達と向かい、トリスタンは周囲に敵の気配がないか確認しろ。山の翁は私と共に来てくれ」

 

「了解した」

 

 

 

 

 

 

 

「なんか騒がしくなってねぇか?」

 

村人達の遺体を治癒していた際にブリテン王国の騎士達が慌ただしく動き出したのを見たガガーランが口にする。

 

「…そうね、何かあったのかしら?」

 

村人たちから目線を離さないで言うと…

 

「ラキュース、王が来た」

 

ティアの声に顔を上げ後ろを見るとアルトリアがテントから出て歩いて来ていた。

 

やってくるアルトリアは村人達の遺体を見ると少し目をつぶって祈るような仕草をする。

 

それがまるで人間のようでラキュースは警戒心が薄れる

 

「ラキュース卿、一つ聞きたいことがある」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「彼らを生き返らせる行為は悪か?」

 

アルトリアの言葉にラキュースは固まる

 

死んだ村人達は200人以上いる。

 

彼ら一人一人を蘇生するのに蘇生魔法は魔力が足りなくなる。

 

ガセフの時もそうだったが、人一人を復活させることしかできないのだ。

 

しかし、アルトリアの口ぶりからして全員を蘇生することはできる、と言っているように等しかった。

 

「…いえ、蘇生させる事は悪ではありません…しかし、彼らはほとんど力を持たない村人達です。復活させた後、もしも後遺症等があれば…」

 

その言葉にアルトリアは少し考えた後

 

「ラキュース卿、貴公はこの村人達を蘇生させたいか?」

 

「!」

 

アルトリアの言葉にラキュースは息を呑む

 

「…陛下は…そんな事ができるのですか…?力のない無辜の人々を蘇生する事が…」

 

「断言は出来ないが、完璧な形なら出来るだろう」

 

その言葉にラキュースは後ろを振り返る。

 

後ろには眠っている遺体や苦しげな表情のままの遺体、泣いて手を伸ばした状態で固まっている遺体などがあった。

 

彼らを復活させてあげることが出来るならどれだけ良いか

 

ラキュースは「お願いします」と深く頭を下げる

 

アルトリアはそれを見て何か構えるような仕草を見せる。

 

「聖槍抜錨」

 

「「「!!!」」」

 

巨大な光の塔が立つ

 

「聖槍よ、ここにあるすべての魂を回収し、再構築しろ」

 

そう告げると聖槍が光り出し結界を作る

 

「蘇生には1時間ほど掛かる…か、その間にビーストマン達を追撃するか、ランスロット、トリスタン、山の翁行くぞ、軍は…」

 

「私達も行きます」

 

ラキュースの言葉にアルトリアは止まる。

 

「何が起こるか分からないが良いのか」

 

「はい、このままここに居るわけには行きません。私達も彼らの敵討ちをしたいのです」

 

ラキュースの強い瞳にアルトリアは「分かった」と告げる。

 

「ランスロット卿、ラキュース達の警護を頼む」

 

「はっ」




次回、戦闘回に入りたい


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人間を喰らう者達・Ⅳ『生きること』

前半はビーストマンの青年の話です。

そろそろビーストマン編終えたい…

後、今回も少し残酷な描写があります。

ビーストマンについての捏造がありますので悪しからず。


ーアベリオン丘稜付近ー

 

ディル達ビーストマン一行は竜王国に進軍している本体に戻る為に進軍していたが、王国の村を襲ってから数時間足らずで王国の軍が進軍して来たという情報が入る。

 

「たかが人間の軍勢だろ?食糧が向こうから来てくれるなんて嬉しいじゃねぇか」

 

上官は檻から出した食糧を調理しながら言う

 

盛り上がる上官達から離れて食事をとっていた。

 

「…ディル、本体に戻ったら家族に食料を渡すんだろ?これくらいで足りるか?」

 

仲間の一人であるディーンの言葉に首を振り『足りないんだこれじゃ』と言う。

 

ディル達ビーストマンは大陸中央にあるビーストマン連邦から独立した組織になっている。

 

理由は主食である人間の激減や意見の相違から連邦から独立した。

 

結果的に連邦の支援を受けれなくなった彼らは竜王国に攻め入っているものの、戦争では少数の食料しか獲得出来ていないのだ。

 

「にしても、王国の外れにある村だと言ってもブリテン王国の進軍は避けられないだろ」

 

ディルの言葉にディーンは『だろうな』と呟くが、大して危険視していないのか欠伸をしながら言う。

 

「どんな国なのかは分からないが、少なくとも以前の国と大して変わりないだろ」

 

ブリテン王国になる前のリ・エスティーゼ王国の時に帝国との戦いで大規模な犠牲者を出す戦争が起こったと耳にした。

 

故に国民から兵を集めている王国にしてみれば、すぐにこちらに対応できないだろうし、出来たとしても寄せ集めの軍でしかない王国兵は人間とは違い、硬い外装で守られているビーストマンにしてみればありにも等しい存在であるのに変わりない。

 

すると…

 

「上官殿!!敵襲です!!」

 

兵士の一人が走って来て上官の前に立つ

 

「敵襲?アベリオン丘稜にいる部族民か?それともつい最近にエ・ランテルにできたアンデットの国のやつか?」

 

「いえ…それが、ブリテン王国の国旗です!後方にいた兵士達が破れました!!」

 

「何?!」

 

後方で念のために周囲を確認していた軍の一部がやられたと聞き、流石の上官も反応して立ち上がる。

 

 

 

 

 

 

 

ー先鋒・ランスロットー

 

キャメロットの兵および青の薔薇の面々と共にビーストマンのいる場所に向かうと、進軍を予期していなかったのか彼らはのんびりしていた。

 

しかし、彼らの食べる物はおぞましいものであり、ランスロットは思わず嫌な顔をしてしまったのは悪くない。

 

(…レベルは30以下…決して強いわけじゃないが強いのは外装が人間の武器では太刀打ちできないようになっているからか…)

 

人間は異形種と違い、硬い体を持つ訳でも鋭利な爪があるわけでもない。

 

「くっ!相変わらず硬ぇ!!」

 

ガガーランが武器を振り回しながらビーストマンと戦っていた。

 

青の薔薇の面々はビーストマンとやりあってはいるが、苦戦を強いられていた。

 

イビルアイという少女?は彼女達と違い、少し押してはいるが時間がかかり過ぎれば負けてしまうだろう。

 

「ランスロット様、敵の総大将が見つかりました。ここから数メートル先にいるようです」

 

部下の報告にランスロットは『そうか』というと馬から降りて武器を構える

 

構えるとビーストマン達が警戒心を露わにしてこちらを向く

 

「王国の民に手を出した愚行、命を持って償わさせてもらう」

 

静かな声にビーストマン達は長い鋭利な爪を構え、ランスロットに向けて放つ

 

「ランスロット様!!」

 

「平気ですよ」

 

「!!!」

 

ランスロットはラキュースを安心させるように言う

 

ビーストマンの鋭利な爪をアロンダイトで防ぐ

 

「ふむ、確かにその爪でやられれば人間はひとたまりもないな」

 

「ば、バカな…!貴様は…人間では…?それは、魔法の武器か?!」

 

人間だと思って攻撃したビーストマンの兵士は体勢を立て直す為に離れようとするが、ランスロットに腕を掴まれる

 

「ギャァァアアアア!!!!」

 

バキッ!とビーストマンの腕がヒビ割れる

 

「お前達を指揮している者はどこにいる?」

 

「くっ!うぉぉおおお!!」

 

ガガーランと戦闘をしていたビーストマンが拳を振り上げ迫ってくる

 

「しまった…!」

 

イビルアイが攻撃を放とうとすると、その横を物凄い勢いで矢が飛んで行き、兵士の頭を貫く

 

「あそこの山の中腹にいる…!」

 

口を割ったビーストマンを見ると部下に引き渡し『捕虜としてキャメロットに連行しろ』と言う

 

「はっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

ーディルー

 

こんなことになるなんて思わなかった。

 

家族を満足に食べさせてあげたかったから今回の進軍に参加した。

 

どこで間違えたのだろう、連邦から抜けてこんな一軍に加わったから?

 

否、大陸にいても結局は変わらなかったはずだ。

 

仲間達が人間の剣士達にやられて行く、あの人間達には長い鋭利な爪も硬い外装で守られているわけでもないはずなのに

 

(…こんなところで…終わりたくない)

 

帰りたい

 

母に会いたい、妹に会いたい

 

そう思っても戦争というものは強者がそれを選択するものだ。

 

食糧を保管していた檻が壊され、剣士達が中にいた食糧を解放する。

 

「青の薔薇様…!ありがとうございます…!剣士様!ありがとうございます…!」

 

震えながら保護されて行く食糧、代わりに斬られる仲間達

 

無慈悲に殺される仲間のディーンは物言わぬ死骸に成り果てる。

 

「な、なんで…!」

 

上官は震えながら命乞いを始めようとする

 

しかし、剣士達は眉ひとつ動かさずに無慈悲に殺戮する

 

「くっ!!」

 

ディルは飛んできた矢を必死で弾き飛ばす

 

「助けてくれ!!私達…いや!私だけでも!!ブリテンの王よ!」

 

馬に騎乗しているブリテンの王は助命嘆願をする上官にディルは自分だけでも助かろうとする言葉に拳を握り締める。

 

「そういった村人達を殺して行ったのはお前達だろう」

 

ブリテンの王の冷たい瞳は上官から目を離さない

 

「私は己の民を殺した者は許さない。何があろうと」

 

そう言うブリテン王の目には迷いがなかった

 

ただ冷たく、無感動に上官の命を奪う

 

(…どうせ勝てないのなら…!)

 

ディルはブリテンの王に向けて持っていた槍を放とうとすると…

 

目の前に、ブリテンの王の目の前に巨体な男がいつのまにかいた。

 

「神託は下った。聴くがよい、晩鐘は汝の名を指し示した。 告死の羽首を断つか死告天使(アズライール)

 

大剣が振り下ろされ、一瞬のうちに目の前が真っ暗になる。

 

「かあ…さん」

 

最後の最後まで家族のことを思いながら絶命するディル

 

それを黙って見つめるブリテンの王・アルトリア




【ビーストマンについて】
まだ原作の方で明らかになっていないので別物と考えてください。

【レベル】
ガセフや青の薔薇の面々と同程度のレベル。

【特徴】
人間の武器では倒せないほど硬い身体(外装)で出来ている。再生能力が高く切ってもすぐに再生してしまう。長い爪がありその爪で人間を刺したり等をする。
リザードマンに近い見た目をしている。
聴覚・嗅覚が鋭く隠れていても獲物が見つけやすいようになっている。


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人間を喰らう者達・Ⅴ『終章』

今回は『ビーストマン編』の終章です。次から多分、聖王国編かあるいはオリジナル編に入るかもしれません。

大幅に章編集したから違和感あったらごめんなさい。一応、本編思いついたので、本編を書こうかなと思ってこの展開にしました。IFの方は時々書きます。


ーアルトリアー

 

絶命するビーストマンたち、周囲に敵兵がいないかハサンたちに確認させる

 

(…ハサンたちはみんなで作ったから動かしやすくてありがたい)

 

まぁ、オジマンディアスやギルガメッシュは関わってはいないが

 

おおかた狩り尽くしたようで、いないと伝えてくる

 

「王、どうされますか?この残骸、持ち帰って研究しますか?」

 

トリスタンの言葉に少し悩む

 

無数に積み重なる死体の山

 

この者達に王国の人間は食われたのだ、王として1人残らず消滅させる方がいいのだろうが…

 

(死後まで愚弄するつもりはないしな…うーん)

 

自分一人だけ助かろうとした隊長らしいビーストマンを見ると

 

「その遺体だけでいい。後は燃やして処分してくれ、ナザリックが変に目をつけたら困る」

 

「そうですね。かしこまりました」

 

そう言ってトリスタンとランスロットが離れていく

 

がガーラン達がビーストマンの残骸のところにいる一方、ラキュースとイビルアイは近くにいた

 

キングハサンが姿を消して安心したのか二人がやってくる

 

馬上から見下げているのは嫌だったので地面に降り立つ

 

別にキングハサンは消えていないのだが

 

「ありがとうございます。陛下」

 

頭を下げて言ってくるラキュースに相反し、イビルアイは警戒を解かないのか、そのままだった

 

「…ビーストマンは手強い存在だったか?」

 

イビルアイの言葉にラキュースがちょっと…と言っていたが、ジッと見ていた

 

「簡潔に言えば強いとは言えない存在だったが…」

 

レベル100のプレイヤーにとってレベル100以下は特に脅威ではないのだ

 

しかし、油断しきってレベル90に負けた仲間も知っている

 

90レベルでもやり方を変えれば100レベルの者に勝てる可能性はある

 

(…まぁ、相当油断して相当慢心しなきゃいい話なんだけど…)

 

「弱かったか?」

 

「………」

 

ランスロット達しか相手していなかったから強いかは分からないが多分強くはないだろう

 

馬に乗り、村まで戻ってくると、聖槍に補填されていた魂が修復したというのがわかる

 

村の人たちを蘇生させた後、ランスロットとトリスタンが戻ってくる

 

テント内で話していると…

 

「失礼します」

 

そう言って入ってきた呪腕のハサンに振り返って『どうした?』と言う

 

「バハルス帝国が魔導国に属国を申し出したとのこと」

 

帝国の動向を探っていた別働隊のハサンからの報告が入る

 

「アグラヴェインからお早いお戻りをとのこと」

 

「分かった。急ぎ転移して戻る、ビーストマンの遺体は後回しでいい」

 

聖槍をしまい、転移門を作ると

 

「すまないが、キャメロットに繋がっているからそこから転移で戻ってくれ、手間をかけてすまないが」

 

そう言って門をくぐる

 

 

 

 

ーキャメロット・執務室ー

 

 

キャメロットに戻ってくると、アグラヴェインから言われたのは魔導王ことアインズが闘技場で武王を倒し、その脅威を見たからなのか、魔導国に帝国が属国化を申し出たとのことだった

 

「帝国が属国化した際、魔導国の領地は大きくなります。このブリテンと隣接してしまうことを考えたら…あまりよろしくない展開だと…」

 

アグラヴェインの言葉に少し悩む

 

モモンガは一体何をしようとしているのか、魔導国として国を立ち上げて何をしたいのだろうか…

 

(案外…私と一緒で部下の言葉に乗せられて…とかならありえるかな…)

 

最初は失望されたくないから必死こいていたが、今は国のため、この世界にいる人間のために動けている

 

「それで、魔導国が帝国を属国化した際に複数の国から使者が来ておりました」

 

ビーストマン討伐のために出かけていたせいで対処できなかった。それについて謝罪するとアグラヴェインは慌てながら『大丈夫です。陛下』と言っていた

 

「こちらである程度まとめております。まずはスレイン法国から使者が来ておりました」

 

「…招いたのか?」

 

スレイン法国はかつて六大神が築き上げた国家として有名で、ツアーのいる評議国と公ではないが、敵対的であり隣接を避けている国家である

 

それにプレイヤーがかつていたことからワールドアイテムを持っていると思って間違い無いだろう

 

「いえ、場所は元リ・ロベル領で行いました。精神保護アイテムを使用しました」

 

「うん、それならば問題ないだろう」

 

「次はローブル聖王国の使節団が来ており、まだ王国内におります」

 

「至急の問題なのか?」

 

ローブル聖王国の情報はあまり集められていない

 

理由はヤルダバオトという悪魔の軍勢が侵攻しているらしく、その悪魔がどっからどう見ても嫉妬の仮面を被ったデミウルゴスにしか見えなからだ

 

ナザリックがそちらに手を伸ばしている可能性がある以上、安易にハサン達を送れない理由にもなっている

 

「現在、聖王国で悪魔達が暴れており、国家が破滅しかねない状況とのことです」

 

「…ローブル聖王国…」

 

調べられた情報には、悪魔…デミウルゴスが暗躍しているということ鑑みればむやみに協力できないだろうし、最悪、ナザリックと衝突しかねない

 

(話を聞くだけ損はない…か?よほど、状況が悪くなければ…いや、前の王国みたいに属国化させてしまうのも…うーん)

 

「現在、師団は国内におりますが謁見されますか?不敬ながら早く返答が欲しいと向こうは言っておりまして…」

 

心底不快だったのか眉を顰めていた

 

「…そんなに嫌なことがあったか?お前にとって彼らはどう思う?」

 

「…早く救援が欲しいと思えばあの反応も頷けますが…少々、聖騎士団長のあの頭の悪い発言はイラつきました。部下であろう方が必死で宥めていたので、念のため保留にしておきましたが…正直に言えば、聖王国よりも評議国から来た使者を最優先にしても問題ないかと思います…が」

 

ナザリックが聖王国を手中に収めようとしていたのなら、彼らの話を聞いて援軍に行かなければならないだろう

 

ナザリックが今以上に拡大されては少し困る

 

 

 

 

 

ネイア達、聖王国の印象からしてリ・エスティーゼ王国をそのまま乗っ取り新たなブリテン王国とした獅子王の力量と最強の歌われる軍隊が多いブリテン王国に応援を出してもらいたかった

 

聖王・カルカの死亡、神官ケラルトの行方不明

 

ヤルダバオトという悪魔の進軍により、国は滅亡する危険があった

 

すぐにでも応援が欲しかったが、法国はエルフとの戦いと竜王国への支援で手が足りない始末、帝国は魔導国というアンデット国家に属国してしまったことから最後の頼みはブリテン王国しかなかった

 

実際のところ、魔導国に対しても援軍要請はしていないのだが…

 

(グスターボ副団長がなんとか取りなしてくれたからご破算にならなかったものの…)

 

ブリテン王国の元王都があった場所で宰相と謁見になったのだが、ブリテン王は現在、王国の村の一つがビーストマンに襲われ、その救援に当たっていて不在とのことだった。

 

村の窮地に王自ら行くのは珍しいが、ビーストマンが進行してきたのなら王自らが精鋭部隊を連れて行くのは問題ではない

 

王が帰還するのは早くて今日の夜遅く、すぐに謁見はできない上、評議国との話し合いを優先したいからという理由で明日夕方なら可能という宰相の言葉にグスターボ副団長をはじめ、明日夕方でもだいぶ早い方だと納得し、待とうという空気になったのだが、そこでレメディオスは何をとち狂ったのか、だいぶ余裕のある評議国を優先して危機に陥ってる我々の言葉を先に聞いて欲しいと懇願したのだ

 

(………あの時の宰相の顔…すごい不快そうだったなぁ…本当に首切られててもおかしくなかったんじゃないかな…)

 

評議国との同盟と協力を重要視したい王の気持ちを否定された上、遠回しに自分しか見ていないようなその発言に宰相の目が見捨てるという目をし、慌ててグスターボが謝罪し、いつまでもお待ちするということになった

 

宰相はグスターボの目を見て何か感じ取ったのか『王がご帰還された際に伝えます』と言って下がって行った

 

ネイアは宿から見える王国内の景色を見ていた

 

現在のブリテン王国の繁栄は目を見張るものがある

 

自国内の整備や兵士たちの訓練など余裕があるように見えた

 

現に王国内にきてから少し村人の話を聞けば、前より遥かに暮らしやすくなっているという

 

だが、余裕があれど、王や王の部下達はそうだとは言い切れない

 

評議国、法国、果ては魔導国との国家間のやりとりもあるのだ

 

それを無視して早く会えなんて王を馬鹿にしたと思われてもいた仕方ないだろうし、現にされただろう、レメディオスはそんなこと忘れたのか早く謁見できないかとこぼしていた

 

 

(…胃がいたい…)




はい、お久しぶりでございますレベル…

次からオリジナル入ろうと思ったんですけど、カオスを極めた聖王国編に入ります

レメディオスってブラック上司よなぁ…ホンマ


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救いを求めて

カオスを極める聖王国編。

今気づいた…オチどうしよう…!!


ー謁見ー

 

ブリテンの王ーこの国に来てから判明したのは、貴族間や平民達には『獅子王』と呼ばれていること、その獅子王と対面が叶ったのは約束の日の夕方17頃、だいぶ遅い方であったが、ブリテン国内の貴族らしき人々が行ったり来たりしているのを窓から観察できた。

 

聖騎士団一行、最後尾にはネイアが到着した居城はとてつもなく凄いものだった。

 

なんと言えば良いのか、凄いとしか言い表すことしかできないぐらい白銀の装飾に全てに魔法が込められているような装飾

 

元王都のようなみすぼらしい場所ではなく、新王都と呼ばれているキャメロットの城の足元に案内される。

 

巨大な門を潜り抜けた先に見えた白亜の城に同じ聖騎士団達も息を呑んだであろう。

 

(…す、凄すぎる…これが獅子王陛下の城なのか…)

 

こんな巨大な白亜の城があったなんてわからなかった。

 

おそらくは高位の魔法で隠されていたのであろうが

 

旗が垂れ下がり赤いカーペットの上を進んでいくと、その先にいた存在にビクッとなる

 

「ようこそ、聖王国の皆様。ブリテン王国、円卓の騎士・ガウェインと申します。王のいる間へご案内させて頂きます」

 

黒い仮面を被った騎士達と共に出て来た美男子

 

白銀の甲冑と深緑の外套を身に付けた金髪の騎士が現れる

 

筋骨隆々、たくましい姿にレメディオスも少しだけ驚いて声を出せていないようだった。

 

「こ、これはご丁寧にありがとうございます。私は聖王国使節団の団長、レメディオス・カストディオと申します。本日は私どものためにお時間を作ってくださり、誠にありがとうございます」

 

深々と頭を下げる珍しいレメディオスに釣られて頭を下げる

 

「感謝など必要ありません。偉大なる獅子王陛下は聖王国で起こっている事態に対して深い憂慮を抱いております」

 

「そ、それはありがとうございます…」

 

「それでは陛下がお待ちなので、謁見の間にご案内致します」

 

騎士達に釣られある部屋に通される

 

長い机に銀の装飾、椅子にも豪華絢爛な装備で埋め尽くされていた。

 

「こちらは作戦会議の場にございます。謁見の後、問題がなければ貴国の情報を整理し援軍を出すという流れになっております」

 

そう言ってガウェインは隣の部屋に出ると、そこは巨大な、白銀の色で統一され、玉座すらも華々しくなっていた。

 

「こちらでお待ちください」

 

そう言ってガウェインが言った後、黒騎士達が脇に立ち、自分は少し壇上へ上がって行く

 

【円卓の騎士】とは聞き覚えのない言葉だが、聖騎士団みたいなものだろう。

 

(…それにしては、凄い装備…)

 

彼らの装備と自分達の装備を比べたくはないが、どうしても装備の違いが凄まじい

 

部下一人一人(と言っても要人達だけだろうけど…)に魔法で守られているであろう甲冑を着させていた

 

聖王国内でもこんな光景を見たことはなかった

 

「王の謁見です」

 

宰相の言葉に頭を下げる

 

獅子王と言われている王がどのような姿形をしているかすごく気になるが、レメディオスが『皆、頭を下げよ』と指示が飛んでくる

 

頭を下げつつ、目だけを必死に動かし、周囲の聖騎士たちの姿勢を盗み見る

 

(大丈夫…かな)

 

もちろん、後ろ姿だけの判断なので、正面からだと自分だけ少し変という可能性はある

 

「アルトリア・ペンドラゴン獅子王陛下の入室です」

 

玉座のわずか斜め前に立つ宰相の声とともに、足音が聞こえてくる

 

カツンカツンという硬質な何かが歩いて行き、玉座に座るような気配があった

 

「許可が出ました。頭を上げろ」

 

宰相の言葉に少し剣がある言い方に結構胃が痛くなる

 

レメディオスの以前の態度は相当不快だったのだろうか

 

ゆっくり数秒数えて顔を上げる

 

(あ、あれが獅子王陛下…)

 

まず一際目を見張ったのは絶世の美女だということ、綺麗な金髪に人では見たことのない黄色みがかなり強い緑色の瞳、白銀、いや白一色なのだろうかネイアから見て初めて見た立派な鎧似を包んでいた

 

(これが…獅子王…)

 

人間としては異常すぎるぐらい高潔で王という風格にふさわしい存在だった

 

不敬だろうが聖王女よりも数倍…いや数十倍王としてふさわしすぎた

 

獅子王から『さて』という声が聞こえてくる

 

「はるばる聖王国からここまでご苦労であった。カストティオ殿、そして聖騎士団の方々」

 

単調に聞こえる声、己の感情を見せることなく超然としている様子だった

 

「ありがとうございます。獅子王陛下」

 

レメディオスの拳が握り締められていた

 

「国を挙げての歓迎の宴を開いてもよかったのだが、貴殿らに時間的余裕はないと判断し、時間を作った。故に無駄な時間はない、今現在の聖王国のことを教えてほしい。嘘偽りなく、隠すことなく発言してくれ」

 

「わかりました。獅子王陛下」

 

了解したレメディオスは聖王国の現状を滔々と語る

 

どのように考え、情報を提供する気になったのかはネイアにはわからない。考えるのが少し面倒になったこともあった

 

戦局はギリギリ持ち堪えているというところで終わった

 

聖王国が崩壊寸前になっているということは他国に言いたくないのだろう

 

「…それで卿らは貴国をこれからどうしていくつもりなのか」

 

「はい、そこで獅子王陛下にお願いがございます。貴国にいるモモンという冒険者をお借りできればと」

 

その言葉に獅子王は初めてん?と言ったような空気を出す

 

「…いささか情報に食い違いがあるようだが、かつての王国を支配下に置いたと言えど、冒険者一人一人を管理しているわけではない。それに、モモンは統治下においてエ・ランテルへ向かった。あそこは魔導国の国、モモンを貸してほしいのなら魔導国に援軍を求めるべきだと思うが…」

 

宰相が失礼しますといって冒険者としてブリテン王国内にいるのは青の薔薇以外アダマンタイト級の冒険者はいないと伝える

 

他のアダマンタイトは評議国におり、話によれば評議国に応援をしてみるのもどうかという話になる

 

評議国は聖王国から離れすぎていることもあり、なおかつ亜人の国家だと聞いたレメディオスは訝しげな表情をする

 

「それは失礼いたしました…獅子王陛下」

 

情報間違いなんて洒落にならないが、獅子王は気にしていないのか「良い」と言ってくる

 

「…ところで話は変わるが、カストディオ殿の話で出てこなかった者達の話でヤルダバオトがかつてこの王都で暴れた際に現れたメイド達がいたらしいが…その者達を聖王国で見てはいないか?」

 

「聖王国ではそのような者達の姿は見ておりません」

 

「…なるほど…出さないようにしているのか…?」

 

「陛下」

 

宰相の声に獅子王が振り向く、少し目配せした後、無言が数秒訪れる

 

「南の方はまだ大丈夫だという話だったが、南の方とは連絡を密にしているのか?」

 

「ある程度は取っております」

 

その言葉にガウェインと言っていた騎士が若干首を傾げるような仕草を見せる

 

「単刀直入に聞こう、我々の軍勢を貸し出したとして聖王国は我が国の支援に対し、どの程度の見返りを差し出せる?」

 

当然の質問だ。ごくごく当たり前の、しかし、答えるのは非常に困難だ

 

「我が国の友情と、信頼、そして敬意を」

 

レメディオスの答えに相変わらず表情が変わらない獅子王の代わりに落胆の表情をする宰相

 

レメディオスが悪いのかと言われればそうとは言い切れない。時に聖騎士は、それだけで命のかかった戦いに赴くことができる。例えば報酬の支払えない村からの願いを受け、亜人達と戦うことが聖騎士の鑑とされている

 

「聖騎士らしい言葉だ。動くことに関して文句はない、困っている国を見捨てるほど悪ではない、が、その言葉、忘れるではない」

 

そう言われ、援軍が得られることに聖騎士団一向の顔色も血色が良くなる

 

「話は以上だ、とは言っても援軍とは言ってもこちらも準備に時間を要する、なるべく今日動けるようにしたいが早くて今日の夜だ、卿らの体調を鑑みれば明日の方が良いか?」

 

その話にえ?となる

 

軍の準備に1日もかからない

 

その言葉に驚く、通常、他国へ援軍に行くための軍隊の準備には想像以上に時間がかかる

 

それを今日の夜、出発可能だと言うのだ

 

「今日!今日の夜お願いいたします!」

 

レメディオスの叫び声に獅子王は「よかろう」と言って立ち上がる

 

「獅子王陛下、退出されます」

 

宰相の言葉に反応し、ネイアは頭を下げる

 

入ってきた時の同じように足音が遠ざかっていく。やがて扉が閉ざされる音がした

 

「退出されました」

 

ネイアが頭を上げると、ガウェインと呼ばれた騎士ではない男の騎士が「それではご案内いたします」と言う

 

 

 

 

 

 

 

かなり危険な賭けだが、今回の聖王国への援軍は自分自ら行くことにした

 

そのことに相変わらず騎士達は正反対していたが、ハサン達をフル活動すること、そして、今回は円卓の騎士の数名を連れていくことを入れた

 

危険が伴うだろうが、王はどっかりと座っているだけでは失望されてしまう可能性もある。

 

出来るならば【ボス】ではなく【リーダー】のような王としてありたいと思っている部分もあった

 

キャメロットをガラ空きにはできないため、アグラヴェインにはいてもらうことになるが、ランスロット、ガウェイン、モードレットというかなり火力重視のチームにすることにした

 

それと、ジャンヌダルクを連れていくことを決めたら渋々、彼らも納得してくれた

 

(それと、キャメロット外の見張りは彼に任せて…アグラヴェインのサポートとして、マーリンを説得することに成功して、後は…)

 

かつての仲間が残したNPCを思い出し、少し頭を悩ませるが…あの存在はナザリックは周知しているだろう、だからこそ安易に攻め入れない




ジャンヌ・ダルク
【レベル】90
【種族】英霊
【カルマ値】極善
【クラス】信仰系魔法詠唱者
【性別】女性
【創造主】アサシンエミヤを創った創造主

【詳細】
旗を持って戦う信仰系魔法詠唱者
レベルは低いが防御魔法、蘇生魔法に全振りしている。基本的にはキャメロット外に出てくることもなく、創造主が消えてからはアルトリアの話の相手にはなるが、彼女のやり方に加担は一切しなかった。それでも今回出てきたのはアルトリアが必死にお願いしたから

【能力】
味方全員に防御力UP、時間制限はあるが体力を全回復させる、一回の攻撃を無力化、味方全体の弱体状態解除といった耐久戦にもってこいの能力
もう一つ、自爆技に似たような最大の能力はあるが、アルトリアから絶対に使わないようにと言われている


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聖王国への準備

聖王国編を読み返してみるとレメディオスってほんまイラつくんやな


ーネイアー

 

獅子王本人が援軍を率いるという話がネイア達聖騎士団の元にやってくる

 

獅子王自ら行くという話は他国には知らせていないらしく、聖騎士団にしか知らせていないということだった

 

(王自ら軍隊を率いてやってきてくれるなんてありがたい…)

 

ことの重要性に気付いて動いてくれているのはありがたい

 

(…もし、援軍が大活躍した新たな聖王様は…聖王女様と言った方がいいのかな、聖王女様は大変だよなぁ)

 

聖王女が生きているかどうか不明だが、レメディオスの話では絶対に生きているという話だが…

 

もし、国が安定したなら、ブリテン王国に大きな借りが出来てしまう。すぐにその反動は来ないだろうが、もし、魔道國と同じように聖王国を属国化を求めてきたら聖王国は大っぴらに拒否出来ないだろう

 

(…まぁ、あくまで国が安定した後の話なんだろうけど…)

 

ネイアの目の前で、あのレメディオスが不適切な言葉ばかり発していることに呆れを通り越して恐怖すら湧いてくるレベルだ

 

「聖王女様が見つかれば、必ず、必ずこの国と対等にやりあえるだろう、聖王女様の方が優しい!」

 

取り憑かれたようにそればかり言うレメディオスに一種の恐怖を感じる

 

グスターボ副団長が必死で宥めているのが、心底、同情してしまう

 

聖王女がいくら優しかろうと、騎士の王としてあんな完璧な王を見てしまえば、リ・エスティーゼ王国の王族達が尻込みしてしまうのも分かる

 

魔導國との戦いで颯爽と現れて、兵士たちをなんの抵抗もできず蹂躙していた羊のような化け物を武器一つで葬り去ったのだ、このまま魔導國とあの王二つを相手にしたくないと判断し、属国となり国自体を明け渡した王族の判断は正しい

 

現にブリテンとなってからこの国の市民の生活は良くなり続けている。市民も『今の王権の方が昔よりも圧倒的に幸福だ』なんて言っている

 

政策もバンバン出しているし、ただ、金や市民の生活を搾取し続けている貴族は排除されている

 

そういう冷酷な判断をあの王は出来ているが、聖王国の王女はどうだったのだろう?

 

南部貴族と北部貴族は分裂しており、ヤルダバオトの攻撃があってからもまとまりはない

 

ある程度、落ち着いたところで宿屋の門を叩く音がする

 

「…すまない、ネイア、出てもらえないか…?」

 

「!は、はい!」

 

疲れきっったグスターボ副団長の言葉に頷き、扉の前に行く

 

「失礼します。王の命できました。ジャンヌ・ダルクです」

 

「円卓の騎士の一人、ランロットだ」

 

そう言ってやってきた女性にネイアは一瞬息を呑む、あの王とは別の意味で聖女を思わせるような女性がやってきた。聖女のような優しい表情、穏やかな声、ネイアは一瞬、このブリテン王国には何人美男美女がいるのかわからないと思った。

 

ランスロットと名乗った騎士も美形で、落ち着き払った声に圧倒される

 

「あの…」

 

「!!し、失礼しました!聖騎士団団員のネイア・バラハと申します!至急、団長達に知らせて参ります」

 

ネイアは慌てて団長達の部屋に駆け込む

 

「失礼します!」

 

そう言って簡潔にブリテン王国の者がやってきたということを伝える

 

作戦会議というか、援軍へ向かう際、どこから攻め落とすかの話がしたいということだった

 

「入ってもらえ」

 

レメディオスの言葉を受けてまたネイアは走る

 

ランスロットとジャンヌダルクが入った後、青黒い特殊な甲冑を着た騎士が宿屋前に待機していた

 

「失礼します。聖騎士団の皆様、これから援軍に行く際にどこから手をつけて良いのかとのことです」

 

ランスロットとジャンヌダルクが並んでレメディオスと副団長グスターボが向き合っていた

 

ジャンヌの容姿に聖騎士団員たちが見惚れているような気配を感じ、レメディオスが部下達に対して舌打ちする

 

それにランスロットがそちらを見たが、こっちに向かってやっていないことを見てまた地図を見ていた

 

「何か良い案はあるか?」

 

意見交換している中、分からないのか突然グスターボに頼る『はっ』と言って地図を指差す

 

「もし…国内では亜人達もおり、その他にも化け物達がたくさんいます…情けない話ですが、我々でなんとか亜人達は倒せているのですが…」

 

それでも時間がかかりすぎているということを言おうとしたら、プライドが邪魔をしたのかレメディオスが『問題なく退治出来ている』と言う

 

「…団長!」

 

グスターボが余計なこと言わないで欲しいのか宥めていた

 

ジャンヌは苦笑いを浮かべており、ランスロットは相変わらず地図を見ていた

 

「…その亜人が、あなたがたで倒せるのであれば我々はヤルダバオトを含めた悪魔達を打ち倒していきます。それでよろしいですか?」

 

「は、はい、ありがとうございます。それで…我々は捕虜収容所に囚われている人々の救出を優先したいと思っております」

 

捕虜収容所に囚われている王族を解放できたら聖王国内で聖騎士団員達の味方をしてくれるだろう

 

聖王女様は亡くなられたが(レメディオスは認めてない)王族全てが死に絶えたという情報はい。もし、一人でも生きていれば、その方を旗印として南部の貴族達から全面的な協力を得ることが出来るかもしれない。

 

「それに、貴族達も救えれば救いたい」

 

レメディオスの発言にネイアは少しだけうーんとなってしまう

 

(聖王女様に対して多くの貴族はあまり好意的な態度を示して来なかったからなぁ)

 

団長からしてみれば好きではない相手だろう。しかしながら北部貴族でも南部の貴族と血が繋がっている者もいるだろうから、恩を売っておきたいのだろう

 

「分かりました。我々がヤルダバオトの軍勢を倒します。これから進軍する際、王は馬車に乗って行きます。我々はその周りにおりますが…もし、聖王国内について詳しい方がいらっしゃれば共に乗ってくれるとありがたいとのことです」

 

そう言うランスロットにレメディオスは何を考えたのかネイアの方をじろっと見た

 

「従者ネイア・バラハ。お前が獅子王陛下付きにする。我々の役に立つように上手くもてなしてくれ」

 

「は?は!!?ちょっとお待ちください!従者である私が王に仕えるなど…」

 

ここにランスロットとジャンヌがいる以上、下手なことは言えないが、普通従者に王の相手はさせない

 

聖騎士団団長が本来なら相手をするのが普通だ

 

「それぐらい努力しろ」

 

「努力とかそう言う問題ではありません!」

 

世間一般にそういうのは非常識だ

 

レメディオスは頭がおかしくなったんじゃないか

 

「そ、そうです!団長、本来ならそれなりの身分の者が侍女として仕えなくては…!!」

 

グスターボが援護してくれるが、レメディオスは『私には聖騎士団団長としてやることがある』と言って聞かなかった

 

「「…………」」

 

ランスロットは眉間に手を当て、ジャンヌは苦笑いしながらもネイアを見て

 

「それでは、異例中の異例ですが、よろしくお願いしますね、ネイア様」

 

ジャンヌの言葉と笑顔にネイアはもう引き下がれなくなる

 

「かしこまりました。非力ではありますが、努力したいと思います」

 

そう深々と頭を下げるとジャンヌは『はい』と返事をする一方

 

「ああ、お前に任せたぞ」

 

グスターボがさっきから本当にアワアワしていて、見ているこっちがつらい

 

大役を押し付けられたと言うのに、レメディオスが余計なことを言わないか常に警戒していた

 

そんなグスターボにランスロットが『今日はありがとうございました。お疲れ様です』とレメディオスには『失礼します』とだけ言って部屋から出ていく

 

出て行ったランスロットに続き、ジャンヌも出て行こうとした時『ありがとうございました』と言って部屋から出ていく

 

二人が去った後、聖騎士団たちに頭を下げ

 

「努力致しますので、皆様方にも協力していただければと思います」

 

「ああ。何かして欲しい時はコイツに言え」

 

グスターボを見ながら言う

 

ネイアはかなりの絶望感を抱きながら、王の相手をするにはどうすればいいのか必死で頭を動かすことに専念した

 

 

 

 

 

 

 

「……想像以上に酷かったな」

 

王都へ戻る道すがらランスロットが呟く

 

「…まぁ余裕がないのですから仕方ないでしょう」

 

先ほどの聖騎士団団長の表情から何から何まで見ていたが、本当にアグラヴェインやガウェイン含め円卓の騎士が嫌いそうな人種だ

 

まぁ、ランスロットでさえイラッとした何かを覚えたぐらいだ

 

逆に副団長のグスターボには本当に同情した

 

力はないが頭脳は明晰で必死で努力しているのが見て取れる

 

その従者ネイアも八つ当たりを食いながらも必死で国のために戦おうとしている

 

あの聖騎士団団長からもそれは感じるのだが、いささか横暴がすぎる

 

国のためというよりかは行方不明になっている王女や妹を思っているのは心底伝わってくるのだが…

 

(……どうしても歩み寄ろうとは思えない…)

 

なるべく人を理解し、その者の視点も理解して行きたかったのだが、いかんせん理解できる範疇にいないというか、王女と妹以外は心底どうでもいいと思っているのだろうか、少しばかり他国への礼儀がなっていない気がしてならなかった

 

(とはいえ…モードレットやガウェインが他国に行った場合はああ言うふうに見えるのだろうか…ある程度は彼女の言動については伝えないとな…)

 

 




グスターボ
この後、胃痛で吐いてたところを見てたハサンが『お疲れ様です…』と少し憐れんで、バレないように荷物の中に胃痛を一瞬で治せる薬を入れておいた
結構、この人いなきゃ進まなかったところが結構あった(アグラヴェインの時といい…)

レメディオス
アルトリアが絶世の美女であることと、美男子達(騎士の凄腕&王らしさ)にイラつきマックス。関係ないのにネイアに八つ当たりした
円卓の騎士達には大多数嫌われている(ランスロットはなんとか理解しようとしているが…)
アルトリアからは現状、特段興味持たれてはいない(大変なんだな程度)

ネイア
一番の被害者。
ランスロットとジャンヌから期待されているのが逆にストレスになってはいるが…
ジャンヌの美貌に女でありながら惚れそうになった(ジャンヌからは男だと思ってる)


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捕虜収容所【Ⅰ】

進み遅いですか…?ごめんなさい…なんとか仕事に復帰するまでには書きたい(休職中)


ーネイアー

 

馬車が揺れる

 

この馬車は獅子王が所有する馬車で白亜の城と同じ素材なのか白銀の色に馬車の周りには魔法道具がぶら下がっていた

 

隠密を可能にできる物があるのはわかったが、それ以上にやってきた獅子王の威圧感に胃が痛くなったが、馬車に乗った瞬間には威圧感はなくなり、普通の女性のような笑顔を見せてくる

 

「今日はよろしく頼む」

 

「は、はい!こちらこそ恐悦ながら頑張らさせていただきます」

 

と本当に空回りしてしまわないか不安でたまらなかった

 

(にしても…本当に座り心地が良いなぁ)

 

長時間座っていてもお尻が痛くならない柔らかなクッションがネイアを感動させた。

 

ネイアは向かいの席で、外に視線を向けている獅子王を盗み見る

 

あの玉座の間では威圧感と王らしさが凄まじかったが、今はそんなプレッシャーを感じなかった

 

それでも、王にふさわしい威厳があるものだ。身振りの一つ一つに王者としての品格を滲ませている。

 

「?私の顔に何かついているか?」

 

「え?い、いえ、失礼いたしました!陛下、特に何もないのですが…」

 

どうやらボーとしていたのか獅子王をジッと見つめてしまっていたようだ

 

「何も話さないで馬車に乗っているのは、流石につらいか、君の話でも聞かせてくれないか?」

 

母親のような慈悲深い言葉で言ってくる

 

「…陛下が聞いて面白い…とは思えないような話ばかりだと思いますが…」

 

特段面白い話はない、そもそもどういった話をすれば面白いか分からない

 

「喜劇や悲劇のような物語は聞き飽きている、そうだな、君が従者になった話でも良い、そういった話を聞かせてくれないか」

 

「そのような話で良いのであれば…」

 

家族関係や仕事のことなどいろいろ話すが、馬車に乗る際にレメディオスから国内の情報を渡さないようにと言われているが、いちいちそこまで気にしていたら何も話せない

 

「バラハ殿は従者の中では珍しい弓使いということか」

 

「弓使いなどと胸を張って言えるほどではありません。陛下、単に私は剣より弓の方が得意だっただけなのです」

 

「いや…遠距離武器が得意な聖騎士候補生か…弓が得意なら弓を極めていけばいいと私は思うな、他に剣が得意な者がいるのであれば、剣はその者に任せて鍛えていけば良い、その方が自分のためにも国のためにもなる」

 

「ありがとうございます」

 

獅子王の言葉はとても真剣なもので、心の底からそう思っているとネイアに感じさせるには十分だった。

 

「騎士だからといって騎士にならなければいけないということはない、やりたいことをやれる、そういう社会を目指したいのだが、案外上手くいかないものだ、私の相手という面倒なことをさせられたことは心苦しいと思う。君の能力を生かすなら内ではなく外に配置した方が正解だろう」

 

優しい声で発せられる言葉にネイアは目を丸くする

 

これが、この王と話していて心臓に悪いところだ

 

親しい者にはこのように話しているのだろうか、そう思わされてしまう

 

ネイアは気を引き締める

 

「私が陛下のお付きを命じられていることは皆が知ること、お気にされずに。第一、陛下のお付き以上に重要なことはございません」

 

これは本音だ

 

獅子王と話して見て思ったのは存外、普通の王と大差ない(かつての王国を問題を起こさずまとめ上げる技量、魔導王が召喚したアンデットを簡単に葬り去れるだけの力はあるが)

 

「そうか?そう言ってもらえるならありがたい」

 

そう言って馬車の外を眺める

 

「聖王国は南北対立していると話を聞いた、こんな悪化している状況の中、協力し合わず、他国に援軍を頼むなど、単刀直入に言ってしまうが、あの騎士団団長でうまくまとめられないのか?少し言葉を強めに皇女が危機に陥っているから兵を出せーなどと言ったような」

 

I従者である自分にそこまでの権力はない。

 

質問にどう答えようと悩んでいると「すまない、これは着いた際に聖騎士団団長に聞くとしよう」と言われる

 

「申し訳ありません。陛下」

 

そう頭を下げると獅子王は『いや私も悪かった、すまない』と同じ目線に下がってきてまで謝ろうとする

 

「我々はヤルダバオトが現れた際の対処にあたることになっているが、率直な話をすれば、我々は大きくは動けない。分かってはいると思うが…聖騎士団の方々中心に動いてもらわなければ聖王国のためにもならないだろうからな」

 

ブリテン王国が活躍し続けてしまえば、聖王国内でも国家間においてもマズイことになるだろう

 

聖王国はブリテンの傀儡なのでは?と下手したら思われかねない

 

「は」

 

確かに亜人討伐はやるとレメディオスは言っていたが、その亜人達にすら勝てるのだろうか

 

馬車がつき、そこは崩壊した城塞が広がっていた

 

「陛下、失礼いたします」

 

そう馬に乗ってやってきたガウェインにネイアが少し驚く

 

立っている時でさえ、威圧感がすごいのに、馬になんて乗られたら遥か高みから見られているような感じに陥る

 

ガウェインは馬から降りると先に突撃しに言ったレメディオスが勝手に作戦を進めてしまったのか目印となる捕虜収容所に向かうと言っていた

 

(は?!陛下をお出迎えしてから進軍するのが普通なのに…!)

 

まるで獅子王なんて見えてない扱いにネイアは『ここから急ぎ、追います!!』と声を出し、行こうとすると、獅子王の手で静止される

 

「捕虜収容所の周りはどうだ?」

 

そう空に向けて言うと、どこからともなく黒装束の男が現れる

 

「複数の亜人を感知、捕虜もいます。周辺にナザリックの影は今の所見えません」

 

その言葉に獅子王は「そうか」と言って戻ってきたガウェインとランスロット、馬車の後ろに乗っていたジャンヌが走ってくる

 

「…流石にこれは想定外だったが、急ぎ向かおう、アサシン達は引き続き監視を頼む」

 

「御意」

 

そう言って消えるアサシンと呼ばれた彼ら

 

「ここから走っていくのは遅くなる。バラハ殿は…」

 

いつの間にか白銀の装飾がされた馬を取り出していたのか、獅子王の真横には馬がいた

 

「私が連れて行きます。ネイアさん、失礼します!!」

 

「うぇ!?ジャンヌ様!?」

 

聖女と思っていたジャンヌが軽々とネイアを抱えて自分の馬の方に走っていく

 

「行くぞ」

 

そう言って獅子王が馬に乗って捕虜収容所へ向かう

 

聖騎士達が門に到着し、物見櫓から矢が聖騎士に放たれようとしていた

 

「父上!突っ込むぜ!」

 

「頼む」

 

重い鎧を着ているとは思えない程、軽々と城壁を駆け上がっていくモードレット

 

すぐに物見櫓からバフォルクの死体が三体落下してきた

 

それを見て何が起こったのか分かっていないのか愕然としていたが、モードレットが櫓の上から「ボーとしてるやつがいるか!!」と怒鳴り、ハッとなる聖騎士団達

 

丸太で作られた門が揺らぎ、ミシィという音が聞こえてくる。

 

『もう一度だ!』という聖騎士達の声

 

再び門が揺れ、今度の揺れはもっと大きい

 

門を構成する丸太の一本が大きくへし曲がり、聖騎士達の歓声がここまで聞こえてくる

 

「下がれ!!」

 

突然の大声に視線が集中する

 

突破された門の中からバフォルクが出てくる

 

その手に持っているものに聖騎士団員達は尻込みする

 

モードレットがいつの間にか獅子王の隣に戻ってきていた

 

バフォルクの右手には少女、7歳ほどの子供の姿があった。その子供の喉元にはナイフが押し当てられていた

 

「お前達が下がらないのであれば、この人間を殺すぞ!」

 

「卑怯な!」

 

聖騎士の一人が怒鳴る

 

「早く下がれ!見ろ!!」

 

子供の喉から血が流れている

 

「良いから下がれ!!」

 

そう言って聖騎士団員達が離れ続けているのを見て獅子王は「悪手だ、彼らにできることはない」

 

そう言って合図すると、既に動いていたのか、バフォルクの後ろに先ほどのアサシンと呼ばれた人とは別人の女性が現れており、バフォルクの首を一気に斬り、落ちてきた少女を抱えて退避してくる

 

その余りにも手際の良さにネイアは一瞬何が起こっているのかわからなかったが、アサシンの女性は少女の表情や魔法をかけたのか「人間です」と言った後、手当てをしていた

 

「いつまでそんなことをしている、早く入らなければもっと犠牲が増えるぞ、横槍を入れてすまないが、貴公らの動きは遅い」

 

そう言って獅子王の手から強烈な光が捕虜収容所に向けて放たれる

 

外壁がけたたましい音を上げて破壊される

 

「団長!」

 

グスターボが破壊された外壁の中を見る

 

「ぐぎぎ…突撃だ!!」

 

レメディオスの言葉に聖騎士達が動き出す。何が起こったのか分かっていない者もいるのか、命令に全てを委ねたという方が正解に正しい

 

「獅子王陛下!感謝いたします!」

 

先に突撃したレメディオスがいなくなった後、グスターボがそう言って頭を下げると走り出す

 

「モードレット卿、バフォルクの強さはどうだった?」

 

「木を切っている並に弱かったぜ」

 

「そうか」

 

そう言う獅子王

 

ネイアはハッとなり、ジャンヌの後ろに乗っていたが慌てて降りていき、獅子王に謝罪する

 

余りにも勝手すぎるレメディオスの行動に先んじて謝罪するのは悪くない

 

今ここで謝罪しなければ、今後、聖王国が安定した際に限りなく悪い印象しか抱かれないだろう。下手をしたら獅子王陛下の国と戦闘になりかねない

 

(もう、悪印象しかないだろうけど…!)

 

頭を深々と下げ謝罪すると、獅子王は「良い、我らと行動していた貴公には何の咎もないだろう」と言ってくる

 

「そうだぞ、お前は悪くねぇ、つうか…救出したいのは分かるんだけどよ…」

 

「…モードレット卿」

 

咳払いをしたガウェイン

 

「ガウェイン卿、モードレット卿、周囲に高レベル帯のものがいないか警戒を怠らないように」

 

「「は!!」」

 

 



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捕虜収容所【Ⅱ】

これ書いていて思ったんだけど、ナザリック陣営も出したりしてたらとんでもないぐらい話長くなる…




ー獅子王ー

 

レメディオス聖騎士団団長の強さは聖騎士団員の中ではぶっちぎりで強いとのことだが、いかんせん協調性が無さすぎるのが悩みどころだろう

 

現にグスターボ副団長はもう胃が痛いのかさすりながら頭を下げている一方、レメディオスは次の収容所を解放するのに必死だった

 

そのことに関してグスターボには労いをかけるが、彼女に関しては特に必要性を感じなくなってしまう自分は悪くないだろう

 

必死で集めた情報を部下達に共有している一方、こちらにはグスターボかネイア越しにしか報告してこなかった

 

「なぁ、舐めてんのか?」

 

「?!」

 

いつの間にか離れてレメディオスの前にいたモードレットにビクッとなってしまうのは悪くない

 

「は?何を言って…」

 

「自分の国が大切なのは分かるが、何の連絡もなしにいくのはどうかしてるんじゃねぇか?」

 

「モードレット卿…!」

 

もっと暴走させないで、と言ったような表情をするランスロット

 

「それについては謝罪する。申し訳なかった。しかし、早く助けなければ救えない命も救えなかった。王の相手は私がするものz…「申し訳ありません!!!皆々様をご不快にさせてしまい!!誠に申し訳ありません!!」」

 

レメディオスの言葉を遮るようにグスターボがモードレットに謝罪する

 

余りにも必死な表情にモードレットも気圧されたのか「お、おう」と言っていた

 

「モードレット」

 

そう言うとモードレットは戻ってくる

 

 

 

 

 

 

ネイアはモードレット卿がブチギレたのを見てああ終わったと思っている時…

 

「モードレット卿は短気ですからね…捕虜収容所を解放して回るのはいいけど、その過程で聖騎士団を失うのはいささか痛いことには変わりないですから」

 

隣に現れたのは旗を持ったジャンヌだった

 

「ジャンヌ様!先ほどはありがとう御座いました。ご迷惑をおかけしました」

 

そう謝罪すると「全然大丈夫ですよ」と笑顔で言ってくる

 

「聖騎士団を失ったら、他国内で勝手に救援活動をしているブリテン王国の兵士…とだけ移りますし、下手をしたら他国から進軍されているんじゃないかと思われてしまうから勝手な行動は控えてほしいとモードレット卿は言ったんですよね…まぁ、かなり喧嘩越しで言ったのは問題でしたけど…」

 

「いえ、獅子王陛下やモードレット様のおっしゃりたいことはわかります。今回は明らかにこちらに非があります」

 

謝罪すると微笑んだジャンヌが「とはいえ、まだ解決には至っていませんからこれからもがんばりましょう」と言ってくる言葉に「はい」と返事を返す

 

すると、レメディオスの怒号が聞こえてくる

 

ランスロットが何か言ったのかキレているレメディオスが

 

「弱き民に幸せを、誰も泣かない国を、という聖王女様の願いが間違っていると言うのか?」

 

ランスロットが言ったのかと思ったが、どうやらグスターボが言ったようで必死で宥めていた

 

「間違ってなどおりません!!ですが、状況によって変える必要はあります」

 

「誰が、だ?誰が変える!?それに聴かせてもらおう。誰一人として死者を出さないと言うこと以上の正義は存在するのか!?」

 

グスターボが口をつぐむ。先ほどの少女を救う際、自分達では何もできなかったことを言われたようで苛ついているようだった

 

今後の方針をレメディオスが筆頭ではなく、ランスロットを筆頭にレメディオスたちを率いて捕虜収容所を解放していくことをグスターボは言ったらしい

 

獅子王陛下では、ブリテン王国に頼り切っていると思われかねないが、ランスロットならブリテン王国の一騎士にしかすぎないから、聖王国内から見ても大丈夫だろうと踏んだのだろう

 

しかし、レメディオスからしてみれば、これ以上、ブリテン王国に活躍して貰っては困るのだろうが、わざわざ声に出す必要性は感じない

 

「意見を戦わせているときに申し訳ないが、全員死なぬことを考えて後手に回るよりも少数の犠牲で多数が救われるのならそうした方がいい、だが、カストディオ団長殿、人質が効果的だと思わせないように亜人以上の動きを取れる者で救出なら一切問題はないだろう」

 

獅子王がレメディオスを見る

 

レメディオスより数倍身長のある獅子王は正義に、聖王女に囚われているレメディオスに問う

 

「それを貴公らが出来るのならばそうすれば良い、だが、相手に人質は効果的だと広められてしまう。私としては誰一人として死なせずにあの都市を落とすことはできない」

 

「そのようなことはない。本当はもっと素晴らしい方法があるはずなんだ。誰一人として死なず、悲しむことのない方法が!」

 

血の滲むような声に、獅子王は平坦な声で返す

 

「その方法を探るのは今ではない、今は捕虜収容所を解放して回るのが優先だ。こんな議論をしていては救える命も救えないだろう。それでは、この捕虜収容所の解放は貴公らが担当すればいい、亜人やヤルダバオトがいる可能性の高いこの捕虜収容所は私たちが担当する」

 

そういって背を向ける

 

 

 

 

それから何とか捕虜収容所の解放については話がつき、グスターボが獅子王の元にやって来て礼を言ってくる

 

ネイアはそのまま獅子王付きの従者になる。理由はわからないが、聖王国内についての知識はネイアの方があるという理由なのだろう

 

解放した収容所の中には生きている人間が数人いるが、ボロボロで中には瀕死の人間もいた

 

「ああ、きてくれた」

 

「ありがとうございます!!」

 

そう言って獅子王の元にやってくる人間達

 

「ジャンヌ、彼らに蘇生魔法と治癒魔法をかけてくれ」

 

獅子王の言葉にジャンヌは「かしこまりました」と言って端の方にいく

 

次の瞬間眩い光が辺りに立ち込める

 

「ジャンヌ様は…魔法詠唱者なのですか…」

 

そう言うと「信仰系魔法詠唱者だ」とだけいう

 

次の捕虜収容所に行こうとすると、アサシンの一人がやってくる

 

今度は黒い長いローブのようなものを着ている男?が現れる

 

「捕虜収容所の一部からヤルダバオトの悪魔が出現、憤怒の悪魔だと思われます」

 

「同時進行で憤怒の悪魔の他にやるヤルダバオトが出現した模様」

 

別のアサシンがやってくる

 

「そうか、悩んでる場合ではないな、私とガウェインはこちらに向かう、モードレット卿とジャンヌは憤怒の悪魔達が現れた方へ行ってくれ、ネイア殿は…」

 

ネイアはハッとなり「ジャンヌ様たちの行く方向の地形は私が知っております!!」と声を上げる

 

ネイアの故郷の方に出現したのならその立地に詳しい自分が行けば、彼らのためにもなるんじゃないかと思ったが、最悪足でまといになってしまうだろう

 

「おう、分かってるなら行くぞ!!」

 

モードレットの言葉に「は、はい」と言う

 

獅子王は何か考えているような顔をしていたが、耳に手を当て、数秒後には『無理はしないように』と言ってくれる

 

「ご武運を」

 

ガウェインの言葉に頭を下げて馬の方に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

「…デミウルゴスさんを早く救出しないと…まさか、キャメロットが来るなんて思わなかった」

 

そう言うマーレと近くにいる魔獣達

 

「早くいかないと!!」

 

そう言って崖から降りていく

 

 




書くのは楽しい、でも、書いていて気づいたら時間と充電がなくなっている……

ちなみに自分が忘れるからと言うのもあるけど、聖王国へ行ったメンバーは…

【メンバー】
アルトリア(獅子王)
モードレット
ガウェイン
ランスロット
ジャンヌ・ダルク

ハサン達の中に一応キングハサンはおらず、キャメロットを守備している

軍隊を連れてきてはいる


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戦う意味【Ⅰ】

あれなんです。やりたいことが山のようにあって連続投稿してるんです

今回は戦闘描写、というか久々のアインズ様、そして、聖王国編の代名詞であるイラつくレメディオスと苦労人のネイアがあんまり出せない。それについては素直にごめんなさい…


ーアインズー

 

デミウルゴスが聖王国で今後の計画のために動いていることは知っていたが、まさか、聖王国をも支配下に置こうとしているなんて思わなかった

 

世界征服なんて取り消したくて仕方なかったが、あの期待に満ちたNPCの表情を見ては途中で止められない

 

だからこそ何とか、失望させないようにないはずの胃を傷めながら必死で頑張ってきたはず

 

(なんてことだ!!早く救出に行かなければ…!!)

 

同時期に転移してきたキャメロットと絶対に敵対関係になるまいと同盟の方向で考えていた。でも、ジルクニフが何を思ったのか属国化を求めてきてしまったことで草案を何とかまとめざる終えなかった

 

そういうことばかりしていたせいで、デミウルゴスの動きを見ていなかった自分に圧倒的非がある

 

「マーレを向かわせております。獅子王は現在、消息はつかめず、キャメロットにいるのか不明で…」

 

アルベドからの報告が若干耳に入らなかったものの、話では聖王国が救援要請のためにブリテン王国に行ってしまった

 

その救援を受けて少なくともランスロット以下数名の円卓の騎士が聖王国に向けて行ったとハンゾウ達から報告が入る

 

「アインズ様までも魔導国から離れるのは危険でございます!!」

 

アルベドの言葉にグッと立ち止まる

 

アルトリアさんとはカッツェ平野での戦い以降から話せていなかった。もし、聖王国にアルトリアさんがいるなら、デミウルゴスは殺されるのだろうか…

 

いてもたってもいられないが、必死で止めてくるアルベドとコキュートスに説得されてしまう

 

 

 

 

 

 

ガウェイン、ランスロットを引き連れて向かったところには聖騎士団員数人と相対している悪魔達と奥にいる人物にハッとなる

 

仮面を被ったデミウルゴスがそこに立っていた

 

聖騎士団員と戦っている悪魔はレベル50から戦っており、そいつらは守備騎士達数人がかりでも問題はないだろう

 

「ここでお会いするとは…想定外でした。貴女と戦うのは明らかに場が悪い…帰らせていただきます」

 

デミウルゴスを倒すのは正直厄介ごとしか生まないだろうが、今後、魔導国を止めるためには必要だろう

 

「<転移門阻害>」

 

転移を阻害する魔法を周囲にかける

 

「聞きたいことは山ほどある。それに…この蛮行は見逃せない」

 

そう言うガウェインとランスロットが悪魔を倒しつつデミウルゴスに向かっていく

 

魔法で攻撃しながらもガウェインとランスロットが魔法を防ぐ

 

(よってたかっていじめてるようにしか見えないな…あんまり長期戦は好ましくないな)

 

デミウルゴスが出したレベル90の魔獣達を見てランスロットが後退し

 

「エクスカリバー…ガラティーン!!」

 

距離を取ったガウェインがガラティーンを解放する

 

こっちにまで衝撃波が飛んでくるが、聖槍を地面に刺すと光が空に立ち込め、ガラティーンからくる衝撃波を防ぐ

 

一体何が起こったのか分からないのか聖騎士団員達が呆然としていた

 

「あの悪魔達を意図も容易く…」

 

「蒸発したぞ…」

 

この世界では倒すのが困難なのだろうが、レベル100にでもなれば簡単に倒せる存在だ(ガウェインがガラティーンを使ったのは背後にいるデミウルゴスも巻き込むため)

 

デミウルゴスに攻撃が当たったのか右腕を押さえていた

 

デミウルゴスの攻撃方法はかつて、ナザリックに招待された際に自慢げにウルベルトが言っていたのを思い出した

 

まぁ、情報全部言っていたわけではないだろうが、あんだけ誇らしげにしていたウルベルトの言葉から推測するのは簡単だった

 

『ガウェイン、ランスロット、このまま戦い続けるのは良くない。聖槍で奴の魂を縛る』

 

そう伝言で伝えれば二人はこちらを見ずに了承してくる

 

敵が目の前にいるのに表情を動かしたら先を読まれてしまう可能性が高い

 

それに、早いところデミウルゴスを戦闘不能にしてモードレット達の方に救援に行きたかった

 

憤怒の悪魔のようなもの達だけならモードレット一人でも何とかできるだろうが、ここにデミウルゴスがいたのだ、他のNPCがいてもおかしくはないだろう

 

手の中心に光が集中する

 

「聖槍、抜錨」

 

「!!」

 

デミウルゴスがそれに気付き、全力で襲いかかってくるが、第三形態のおぞましい悪魔の状態では動きも制限されるのか、こちらに向かってくる前に素早い動きでランスロットがアロンダイトでデミウルゴスに攻撃する

 

下から斜め上に切り上げ、デミウルゴスの腕を持っいく

 

「聖槍、格納」

 

巨大な光が空へ立ち上る

 

「ロンゴミニオド!!」

 

巨大な眩い光がデミウルゴスへ襲い掛かる

 

近くにいたランスロットが光に当たるギリギリで後退する

 

(ランスロットの悪い癖だなぁ…)

 

アロンダイトは近接戦が大の得意だ

 

その破格の能力故に遠距離で攻撃してくる仲間の攻撃が当たるギリギリまでいるのだ

 

聖槍が見事に命中し、デミウルゴスを聖槍に封印することが出来た

 

「ランスロット卿、ガウェイン卿、無事か?」

 

二人に念のために治癒魔法をかけるが何の怪我もしていなかったガウェインには外れるが、ランスロットはかすり傷程度なのか食らっていたのか治るエフェクトが出る

 

「問題ありません!!陛下」

 

すごい元気いっぱいに言ってくるガウェインと怪我をしてしまったことに申し訳なさそうにしているランスロット

 

「ランスロット、もう少し後退して戦ったら上手くいくぞ思うぞ」

 

そう笑顔を向けて言うと「はい」と言ってくる

 

ガウェインがどこかショボンとしたような空気になる

 

「ガウェイン卿は相変わらず強い、貴公がいればこの先も上手くいくだろう」

 

「はい!!全身全霊でお供させて頂きます!!」

 

声が辺りに響き渡るぐらいの音量で言ってくる

 

頭を撫でたくなる衝動に駆られるが、我慢し襲ってきた80レベルのモンスターを軽く槍で一振りし、倒し

 

「問題はモードレットたちだ。デミウルゴスがいる以上、他の者もいる可能性がある。ここを離れて応援に行くぞ」

 

「「ハッ!!」」

 

そう言って馬に乗ろうとした際、デミウルゴスがいた場所に座っているように見えた人物を見る

 

「王…」

 

ガウェインも目に入ったのかその人物が何を意味しているのか理解し、顔を逸らしたくなる有様にアイテムボックスから大きめの棺桶を出す

 

「…完全に蘇生できるか分からないが、あまりにも悲惨すぎるな…」

 

「…はい」

 

ランスロットが辛そうに顔を逸らす

 

ガウェインは聖骸布(神器級アイテム)を取り出して丁重にしまう

 

アイテムボックスにしまうのは気が引けてしまう

 

不可視の魔法をかけて置く

 

馬がいた場所へ行き、残りの悪魔が聖騎士団員だけで倒せるのを確認し、聖騎士団員の一人に「ヤルダバオトは倒した、残りは悪魔数匹だ、守備騎士を三人置いていく」

 

そう言ってブリテンの別働隊が当たっている方に直ぐに行かなければならないと伝え、馬で走っていく

 

「す、凄い…」

 

「あんな強すぎるヤルダバオトをあんな簡単に…ガウェイン様の力も凄まじかった…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ー同時刻…

 

ネイアはジャンヌの馬に乗り、モードレットが先頭を走る中にいた

 

(陛下の方よりも圧倒的に兵が多い…こっちの方が難度高いのかな…)

 

黒い鎧…ジャンヌが言うには粛清の騎士らしい兵士達とモードレットのすぐ後ろにいる粛清の騎士以上にガッチリした鎧を着たのは守備騎士というらしく、ブリテン王国内でも精鋭の分類に入るという

 

「ネイアさん!確か、ネイアさんは弓使いでしたよね?|」

 

本来の馬が出せる以上の動きで動いているため、当然、風も凄まじかった

 

そんな中、声を大きくするだけでハッキリと聞こえてくるジャンヌの声に驚くものの、その言葉にしっかりと答えるように

 

「は、はい!!!」

 

弓使いと言われるくらい立派なものだとは言えないが

 

「これから現れる敵が想像以上に苦戦を強いられるかもしれません。兵に死人が出るかもしれません」

 

その言葉にまさかとは思ったが、ジャンヌのまじめな表情にネイアは唾を飲み込む

 

憤怒の悪魔を探している中、捕虜収容所を解放する際、聖騎士団員達がやっとのことで倒せた悪魔をモードレットは一振りで倒していた

 

王命では憤怒の悪魔の他に何かがそばにいる可能性が高いと言っていた。

 

それがヤルダバオトの手下なのかもしれない

 

だからこそ、警戒するに越したことはないのだろう

 

「ジャンヌダルク!!!」

 

戦闘にいるモードレットの大声にびくつきそうになるが、その声に馬が止まる

 

「あのぉ…なんで、ブリテンの人がいるんですか…早くデミウルゴスさんを助けないといけないのに…」

 

子供の声が聞こえてくる

 

(こんな所にエルフの子供…!?)

 

あまりにも不自然な状況に驚いた次の瞬間…

 

「!!!」

 

近くにいた粛清の騎士達が吹き飛ばされる

 

ジャンヌがネイアを抱え、馬から降り、少し大きめの石の方へ後退する

 

(モードレット様は!!?)

 

前を見てみると、そこには無傷のモードレットが赤い剣を構えていた

 

「名前から聞いて胡散臭ぇと思ってたけどよ!ここで会ったのが運の尽きだぜ!マーレ!!魔導国はこんなところまで欲しがってんのか!?」

 

モードレットの言葉の内容にハッとなる

 

「ガキだからって容赦しねぇぞ!!」

 

「もう、嫌だなぁ、アインズ様からの命令を最優先にしたいのに」

 

魔導国、その国の言葉にネイアは息を呑む

 

「ネイアさん、私たちは後方支援です。絶対に私から離れないでください」

 

「!はい」

 

今はそんなこと気にしている場合ではない

 

気を引き締め、前方の二人を見る




【聖槍補填】
世界級アイテムである聖槍の能力
攻撃ではなく魂を聖槍に保管する。番外編の方ですでに登場しているが、最初に補填されたNPCが極悪ならその後も極悪しか補完できなくなる
また、聖槍に取り込まれた後、聖槍から出すまで復活できない


【ジャンヌの創造主】
アサシンのエミヤとジャンヌを創った。アルトリア(本心から)の親友、たった一人の理解者。
キャメロットでは例外の貧困層(親が富裕層だったが、没落して貧困層になった)
他のギルメンからは嫌悪されていたが、アルトリアともう一人のギルメンからは信頼されていた。
性格・簡潔に言えばジャンヌのように生きたかったエミヤのような性格
現実世界の二極化された世界と上層部の歪んだ価値観を嫌い、破壊したかったのかもしれないが、アルトリアのように幸せな人間がいる、なぜ壊されているのか分からないくらい無関係な人もいて気が触れそうになった。
アサエミはそんな時に作った
キャメロットから去ったが、アカウントは残しているが、すでに現実世界では死んでいるかもしれない…
もしアルトリアと出逢ったら間違いなくアルトリアを止めるべく動いた。
(でも、アルトリアが人間至上主義に傾きつつある原因は彼にある)


【作中の解放された収容所】
獅子王チーム・5つ以上(獅子王が動き回ったらガウェインがそれ以上に動いた)
モードレットチーム・3つ(憤怒の悪魔を探し回っているため、解放したらすぐに聖騎士団に任せてた)
レメディオスチーム・2つ(最初のところともう一つをやっと落とした)

【棺桶の描写】
詳しく書こうかと思ったけど、なんか警告出されそうでビビったので(今更)ぼかし表現しました
棺桶の中に入った人は原作のあの人です。ちなみにレメディオスは別で動いていたので、その存在はまだわかっていないです。

【戦闘のタイミング】
獅子王たちと同タイミングでモードレット達も戦ってます。
原作の本が近くにないため、完全なるオリジナルルートに入ってから少し軌道修正します


ネイア…まだ活躍するのでお待ちください(^_^;)


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設定・キャメロット陣営について【Ⅱ】

途中で登場したキャラについての説明。というか作者が忘れすぎてしまう…

一話目から少し設定変わってますので悪しからず…転移場所の描写でカルネ村みたいなところが見えていると言っていましたが、編集し直して場所はリ・エスティーゼ首都の端の方として設定し直してます


キャメロット登場人物

 

山の翁 ハサン・サッバーハ

【あだ名】キングハサン

【創造主】オジマンディアス(一応そうなってはいるが、アルトリアを含めたギルメン全員が彼を創るのに携わっている)

【レベル】100

【種族】アンデット

【カルマ値】中立

 

【能力】

ナザリック激戦時代に【対モモンガ対策】の為に作られたNPC。

実際はウルベルト対策の為に作る目的だったが"それは別で"補われた

死の概念がないアンデットに死を与える能力を持っている。

全ての攻撃に即死効果を付加することができる。即死対策をしていればその確率は低いものだが、課金アイテム(蘇生アイテム)を持っている状態だと即死するが確立が高い。課金アイテムを持っている状態で戦いに挑めば課金アイテムを無効化させて殺すので蘇生できない状態になる。

《ユグドラシル》時代に実際にモモンガと二回ほど戦闘を繰り広げた事があり、一回はモモンガの撤退、2回目は創造主が撤退と言われた為に撤退した為、モモンガと真正面から激突したことはない。

気配遮断スキルがある為に背後にキングハサンがいることが分からずに飛び出したオジマンディアスの首を一回落としたことがあって以降は、全面的にキャメロットの警護を任されていた。

 

【詳細】

かなりの課金で創り上げたNPCで『ギルメンの課金金額数えたら多分億手前まで行く可能性ある』程であり、ほとんどの課金はオジマンディアスがしていたが、やりすぎた事から運営からアカウント消滅されかけたが"翌日には運営が何も言わなくなった"経歴がある。

転移後の世界でもだいぶ能力は最強の分類であり、モモンガ・シャルティア特攻すぎる.強すぎるが故に切り札の一人

 

 

【周囲との関係】

領階層を自由に出入りできる許可を得ているためキャメロット内を巡回しており、サボり傾向にあるモードレッドらマーリンに低い声で『働け』と叱っている。

ギルド長を務めるアルトリアについては命令を忠実に聞くものの、彼女の在り方に少しだけ否定的な面がある。

アサシン軍団のまとめ役であり、個性が強いアサシン数名を一言でまとめる事が出来る。

 

 

呪腕のハサン

【レベル】68

【種族】アンデット

【カルマ値】中立

【クラス】暗殺者

【性別】男性

 

【能力】

 

気配遮断

自身の気配を消す能力、完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃体勢に移ると露見する

 

妄想心音(ザバーニーヤ)

対象・一人

対象に触れ、その疑似心臓を握りつぶすことにより、対象を呪殺できる。

しかし、心臓のないアンデットに対しては有効ではない

 

【作中動向】

概ね偵察部隊として動いている。

聖王国の現状をギリギリまで潜り込んで情報をもたらした

 

 

静謐のハサン

【レベル】50

【種族】アンデット

【カルマ値】善〜中立

【クラス】暗殺者

 

【能力】

呪腕のハサン同様、気配遮断能力がある

 

変化(潜入特化)

文字通り「変身」する能力。自在に姿を変え、対象に接近することが可能になる。ただし、変身できるのは自分と背格好の人物のみ。しかし、条件さえ満たしていれば異性にも変身することができる

 

 

妄想毒身

猛毒と言われるその体自体が彼女の能力、爪、肌、体液、吐息にすら猛毒が含まれている。犠牲者の遺体に触れた者にも被害を及ぼす凶悪なもの

 

 

アナスタシア

【カルマ値】中立

【レベル】95

【種族】英霊

【所属領域】第一地下階層《永久凍土領域》の守護者

 

【詳細】

ワールドアイテムは所有していないこと、キャメロットの第一地下階層から来ることは滅多にないことから作中では、あまり戦闘することはない

代わりに騎士達が捕まえた者を捕らえている場所を管理はしてはいるが、拷問はしていない

それらしい報告を受けても見てはいないのであまりわかっていない様子

暑さにはめっぽう弱く、ブリテン王国となった元首都にはあんまり行きたがらない

 

【能力】

絶対零度に等しい冷気を操っており、広範囲のあらゆる存在を片っ端から凍結させる程の能力を持つ

 

残光、忌まわしき地の城塞

己の身を守りヴィィの魔眼を全力で解放し、巨大な手で叩き潰す。最後に極寒の寒さの視線でダメージ判定を発生させる

 

ジャンヌ・ダルク

【レベル】90

【種族】英霊

【カルマ値】極善

【クラス】信仰系魔法詠唱者

【創造主】アサシンエミヤを作った創造主

【所属領域】キャメロットの娯楽室付近

 

【詳細】

旗を持って戦う信仰系魔法詠唱者

レベルは低いが防御魔法、蘇生魔法に全振りしている。基本的にはキャメロット外に出てくることもなく、創造主が消えてからはアルトリアの話の相手にはなるが、彼女のやり方に加担は一切しなかった。それでも今回出てきたのはアルトリアが必死にお願いしたから

 

【能力】

味方全員に防御力UP、時間制限はあるが体力を全回復させる、一回の攻撃を無力化、味方全体の弱体状態解除といった耐久戦にもってこいの能力

もう一つ、自爆技に似たような最大の能力はあるが、アルトリアから絶対に使わないようにと言われている

 

アサシンエミヤ

【レベル】85

【クラス】暗殺者

【種族】人間

【カルマ値】中立〜悪

【創造主】ジャンヌと同じ

 

【詳細】

最初の方から登場している。アサシン達と行動をしているが、基本的に一匹狼

アサシンでありながら高レベル帯であり、偵察関係の仕事よりも気配遮断して暗殺の仕事の方が向いている

ブリテン王国になってから、王国内に入ってくるスパイを捕まえるのが仕事だが、本人は平和すぎると思っている

関係ないが、バルブロを捕まえる際にミスって殺した(その後蘇生された)時にガウェインに怒られているが『引っ張ったら首がもげるなんて思わないだろう』と、暗殺特化だが、拷問にはあまり向いていない

 

【能力】

FGOのアサエミと同じ、拳銃などの武器を使用している

気配遮断して隠密行動するよりかは、暗殺に特化しており、アルトリアが王国にいる際の警護を担当している

何人か各国のスパイを捕まえている。

 

【キャメロットが転移して来た場所】

リ・ロベルとリ・エスペルの間の場所でやや王都側

 

【最新話時点でのブリテン国と周辺諸国との関係】

 

・アーグランド評議国

吸血鬼の一件とアルトリア自身の考えで同盟を結びたいと思っている国家

龍特攻を持っているアルトリアがいるため、ツアーからしても安易に敵に回せない存在

 

・スレイン法国

要警戒国家。アルトリアはあまり好ましいと思っていない国家だが、別に滅ぼすほどじゃないしな…と思っている。一応使者がきたりしてはいるが、特段興味もない模様

スレイン法国からしてみれば腐敗に満ちた国家を新王国として綺麗にしてくれた国家なので是非とも同盟したいと思っている。プレイヤーの転移だと思っている。現在、エルフ王国と戦争中でもし、エルフ王が出てきて対処できなくなれば頼ろうと思っている

 

・エルフ王国

ブリテン王国には悪評しか届いていない国、基本的に干渉してはいないが、ブリテンにこようとするなら滅ぼすという姿勢

エルフ国内からは当然未知の国、知らないし、最近できた国だから侮ってる。アルトリアやモルガンの美貌を見て良からぬことを考えているが…

 

・竜王国

ビーストマンの一件以降、同盟を組み支援しようかなと思っている国家だが、現在は保留中

上記の件があり、竜王国の女王は救援要請を頼めば救出してくれるかもと期待している。救援要請しようと思ったけど、現在は手が足りないと言うことで保留にされている

 

・魔導国

帝国を属国にしてから敵対国家となっているが、アルトリアからしてみてもモモンガからしてみても絶対に敵対したくない国家

同盟を考えていたが…

 

・ローブル聖王国

現在戦闘中、南北別れていることに少し嫌悪感は湧いている模様

 

 

【ブリテン王国になってからの元王族達】

 

・ラナー

モルガンに本質を見破られてしまっているが、モルガンの下で今後王のためにやっていこうとしている。現在も密かに動いている模様

原作に比べて少し幸福度は落ちてはいる

アルトリアからは『何を考えているか分からないから怖い』

 

・バルブロ

大人しくなるどころか、まだ自分は王族だと言っている

だが、相手にされていないところか定期的に反乱分子を集めさせる為だけにいる。反乱を起こそうと思うたびに部下?達が逮捕されるので『次こそは』とか思っている。家族からも相手にされておらず、ラナーは完全に眼中に無い、ザナックからは『頼むから俺には声をかけるなよ』と思っている

キャメロットの拷問官からは『どうしてあそこまでやったのに、まだそう言えるんだろうか?』と疑問に思われており、逆にキャメロットの拷問官を鍛えさせている

アルトリアからは『必要以上のことやったら分かってるだろうな』と珍しく怒ってる

 

・ザナック

レエブン候と一緒に王都内の政治に関わっている。ブリテン王国内では侯爵ぐらいに下がってしまっているが、バルブロや父よりも比較的良いところにいる

アルトリアからも『優秀で市民のことを考えているから好印象』キャメロットに呼んでアグラヴェインの補佐としてどうかなと思っているが、そうなればザナックがストレスで禿げることになる

 

・ランポッサ3世

ラナーの邸宅で隠居生活をしている

ガゼフを失ってからも蘇生られないことに不満を抱いているが、バルブロ同様相手にされいないどころか、モルガンからは『老人の戯言』程度にしか思われていない。アルトリアかは反面教師としてみられている




その内、小話程度には今の王族がどう暮らしているか書きたい


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戦う意味【Ⅱ】

モードレットVSマーレとの戦いがメイン

どうしても…ナザリック側の戦闘描写があまり無い分、書きづらいんだよなぁ、シャルティア出しゃいい話だったんだけど、またシャルティアにやらかさせるのもなと…

後半、レメディオスがまたやらかします


ーモードレットー

 

ブリテン王国になってからも、相変わらず平和な日々が続き、あるとしても、冒険者とやらが倒せない魔獣の討伐しかなく、モードレットからしてみれば何も無いのは鬱憤しか堪らなかった。

 

例の馬鹿貴族からのいやらしい目で見られたことなど、鬱憤は積もり積もっていたが、王から『ナザリックがいる手前、訓練を怠らないように』と言われたこともあって、何度もナザリックの情報をもとに訓練したり、円卓の騎士同士で訓練などもした。

 

そして、ローブル聖王国へ行ってから、聖王国の聖騎士団団長にイラつきながらもヤルダバオトなんて名乗っているが、仮面をかぶっていることや色々なことを鑑みて王は魔導国が今回関わっているという話になった。

 

「っけ、実際にガキと戦うのは誤解を生むからやりたくねぇけどな!!」

 

そう言ってマーレが出した武器を弾き飛ばす

 

「僕の目的は戦闘じゃないんですけど…」

 

「ハッ!腕にそんなワールドアイテムぶら下げて、魔獣引き連れて聖王国に来るなんざ、侵略していると取られてもおかしく無いだろうが!!」

 

モードレットの着ている鎧は世界級アイテムであり、鎧全体に魔法詠唱者が放つ魔法を高確率で無効化する能力がある。装備している限り、毒や魅了といった魔法はキャンセル出来る

 

(奴が持っているのは、世界級アイテムの強欲と無欲か…)

 

白と黒のガントレットで、効果は確か、装備車が手に入れるはずの経験値を【強欲】が吸収・ストックし、必要に応じて【無欲】がストックした経験値を消費して様々なことに使用できるアイテムだったはず

 

(あんだけ、ガウェインからきつく言われたこと、覚えといて良かったぜ)

 

「えい!!」

 

巨大な大木のようなものが襲ってくるのをクラレントで弾き、横に着弾する

 

「クラレントブラッドアーサー!!」

 

マーレが魔法ではなく殴ってきたのをみてノーモーションで大技を打つと…

 

(ッチ…相変わらず瞬発力すげぇな)

 

マーレが血を流しながら飛び退く

 

だが、強欲と無欲に経験値が入らなかったのは素直にありがたい

 

『モードレットは身を守るための防具を付けた方がいい、その方がモードレッとらしくて良い』と獅子王がギルドメンバーの誰かと話しているのを思い出す

 

モードレットにとって、世界がどうなろうとどうでも良かった

 

獅子王のためになら死んでもいいと思えるほどだった

 

「テメェにいくら聞いたって意味なんざねぇだろうが…なんでここを狙う?魔導国から離れてるだろうが」

 

クラレントとマーレの杖がぶつかり合う

 

内心、クラレントとぶつかっても大丈夫な魔法の杖に引くものの、そんなことは問題ではない

 

「アインズ様の作戦のためにならいくらでも…」

 

すると次の瞬間、少し離れた所から強烈な光が空に登る

 

「あれって…。!」

 

そういったマーレが<伝言>でも受け取ったのか離れて、耳に手を当てていた

 

「え?え?で、でも、デミウルゴスさんが…」

 

マーレがなぜか慌てながら必死に言っていたが1秒もかからない内に『わかりました!』と言って転移魔法で消えようとする

 

「!!」

 

純粋な戦士職であるため、転移の魔法を阻害させることができず、転移でその場から去って行ってしまう

 

「クソっ!逃したか…」

 

舌打ちして剣を下ろすと

 

「モードレット!!」

 

後ろからジャンヌとネイアが走ってくる

 

「おう!怪我はねぇか?」

 

ちょくちょくネイアとジャンヌの方角にマーレが魔法を飛ばそうとしているのがわかったため、なんとか防いでいた

 

ジャンヌにはまだ仕事があり、ネイアという従者は聖王国の人間であるが故に守らなければならない人間だった

 

「私たちは何もありませんが…まさか、ナザリックの者が出てくるなんて…」

 

そう呟くジャンヌにモードレットはマーレとの会話を思い出し

 

「しきりにデミウルゴスがどうのこうの言ってたな、アイツは八割程度しか本気出してなかったから侵略が目的じゃねぇな、ありゃ…」

 

「モードレット様、もしかしてヤルダバオトというのは…」

 

「デミウルゴスが本名でヤルダバオトは偽名なんじゃねぇか?」

 

そう言うと、ネイアが暗い顔をしているのをみて

 

「まぁ、ことの経緯は父上が分かってるだろうから合流しようぜ」

 

そう言って倒れている粛清の騎士達の方に行こうとする

 

「…あの、モードレット様、不躾なことをお聞きしますけど…よろしいですか?」

 

「あん?」

 

振り返って聞くと戸惑い気味に

 

「父上…と言うのは獅子王様のことなのでしょうか?」

 

「あ」

 

「…モードレット…」

 

ジャンヌからジト目で見られる

 

公共の場では出来る限り、そう呼ばないように言われていたのを思い出す

 

「えっとだな!父上っていうのは…」

 

慌て出すモードレットにジャンヌはため息をつき

 

「モードレットを始め、今日ここに来た騎士は皆、獅子王陛下が創造したんです。まぁ…これ以上は国家秘密になっちゃうので、あんまり詳しく言えませんが…モードレットは獅子王陛下の息子の一人でもあるんですよ」

 

そう言うジャンヌにネイアが「え?息子?え??」となる一方、国家秘密に安易に触れたことを思い出し、物凄い大慌てで頭を下げられる

 

「失礼しました!!モードレット様、陛下のご子息であることを知らず!!」

 

変な方向に勘違いをし始めてるネイアにモードレットは「俺以外も父上からして見れば息子だからな!!」と余計なことを言ってジャンヌから伝言越しに『もう喋らないでください』と言われ、じゃあなー!と騎士の方に行く

 

「もうすぐ獅子王陛下がこちらに来るみたいですよ、準備しましょうか」

 

そう言って馬の方へ行くジャンヌに慌てて着いていく

 

 

 

 

 

 

モードレット達と合流し、報告を受ける内容に(やはりか…)と思わざる終えなかった

 

(…ナザリックが関わっていたと他国に判明したら少なくとも国家間での争いになる…でも、それを防ぐほどの義理は…)

 

今は聖槍に取り込んでいるから何も聞けないが、キャメロットに帰還した際にデミウルゴスが何をしたかったか聞かなければいけない。それが無理な場合は強引な手段を講ざる終えないが…

 

(ナザリックが攻めてくる可能性を考えればすぐに撤退したいけど…この状況で放置して帰るのもいささか問題になるし…)

 

救出された聖王国の国民達が獅子王とガウェイン達に手を振って歓迎していた

 

(…幸いにも私たちと一緒にいた聖騎士達は失っていないし…犠牲は…少なからずあったけど…片付いている方だろうけど…)

 

まだ悪魔数ひきは残っている状況だが、正直言って、デミウルゴスを倒す過程でやりすぎた面もある

 

(…あのレメディオスって聖騎士、態度と顔が噛み合ってないんだよな…)

 

捕虜収容所を解放して回った際に何人か捕虜に混じったドッペルがいた

 

大方、ガウェインの炎によって死んだが、厄介だったのは王兄に化けていたドッペルだった

 

(あのレメディオスにバレるのは問題なかったけど…グスターボ副団長含めた聖騎士にバレたらややこしいことになってたしな…)

 

幸いにも悪魔が化けていると言うことは瀕死の重症だった国民が見ていたから問題なかったが、王族が全員死んでしまったのは痛手だっただろう

 

聖騎士団(主にグスターボ)が大いに頭を悩ませていた

 

隠す必要はなかったから聖王女の首から下は見つかったと報告すると、複雑な表情でありながらもグスターボや聖王女と会ったことある人間に見せ、悲惨すぎる状態にツラそうにしていながらも着ている衣服やほんのわずかに残ったMPと王族もとい王女しか付けることの出来ない物を身に付けていたことから本人だと断定された…が

 

「カルカ様は死んでいない!!魔力が残っているのなら復活させることが出来るはずだ!!」

 

喉が壊れんばかりの大声でレメディオスが叫ぶ

 

グスターボは『団長!聖王女様はもうすでに…』と言おうとした言葉を遮り、気でも狂ったのか『蘇生魔法で蘇生できるだろう?!』と叫んでいた

 

「この状態で蘇生することは困難かと…」

 

神官の言葉にレメディオスは『なんのための蘇生魔法だ!!?』と怒鳴る

 

(パワハラもここまで来れば凄いよ…)

 

ただでさえ戦闘で疲れ果てているのに団長からの無茶振り

 

もう呆れを通り越してレメディオスは厄介なクレーマーにしか見えなくなってきた

 

すると、レメディオスがジャンヌを指差し『蘇生魔法を得意とする者ならいるだろう!』と言う

 

指さされたジャンヌは『え?え|あ、はい、使えますけど…』と完全に気圧されていた

 

「なら使って聖王女様を蘇らせればいい!!」

 

そう怒鳴るレメディオスにため息を小さくつくと

 

「…先ほどから貴公は何を言っている?」

 

獅子王の地を這うような声と背後にいたランスロットがついにブチギレたのかすごいオーラを出していた

 

幸いにもガウェインとモードレットは外にいるため良かったが、二人がいたら完全に殺していただろう

 

ランスロットは比較的温厚な方だと言うのに、そんな人物ですらブチギレさせるレメディオスには心底驚かされる

 

(首を持ってきて蘇生させる…なんてこともできるけど、そんなことをしたら凄い痛いことになるだろうけど…まぁ、生き返らせることに必死だからいいんだろうけど…)

 

「…自分にできないことを命令する貴公は王にでもなったか?」

 

立ち上がり、レメディオスを見る

 

「そう大口を叩くなら首を探して持ってくるといい、蘇生はこちらでやろう、しかしだ、今のこの国にそこまでやる義理がどこにある?必要性を残念ながら毛頭感じない」

 

「首を持って来れば…「すぐに!すぐに探して参ります!陛下はお休みください!どうか、団長の無礼をお許しください!!」」

 

グスターボの大声が響き渡る

 

めちゃくちゃ綺麗に土下座し、地に頭を擦り付ける

 

それに釣られて頭を下げる聖騎士達

 

ランスロットも綺麗で流れるような土下座に我に帰ったのかすごく小さい声で『早い』と呟いていた

 

(こんな這いつくばられたらなぁ…)

 

そう言って歩いて部屋から去っていく

 

後で伝令を向かわせればいいだろう

 

 




【マーレと他の場合】
強欲と無欲を装備しているため、ガウェインとアルトリア(アルトリアの場合は対処できる)の場合だったら相性はあまり良くなく押されていたかもしれない。(下手したら聖王国が焦土と化していた)
ランスロットとは五分五分だが、ランスロットが躊躇って(ネイアとかいる場合)本気出せていないことがあったので最終的に負けていたかもしれない




後関係ないけど、メイドインアビスのゲーム買いました。後、色々やりすぎて整体から『腕の凝りすっごい…』と驚かれた、特に手首の凝りがぱねぇ…肘のある場所マッサージ(というか軽く触れられた程度)で絶叫するぐらい痛い……

あと、1日に3話連続書いてたんで腕麻痺るぐらい痛いので、明日遅くなります


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閑話・元王族とブリテン

書きたい書きたいと思っていたので書きます…バルブロとか久々なメンツです。後、パソコンで書いてるから手首と肘痛めて医師から怒られました…




ー旧王都、リ・エスティーゼー

 

元第二王子であるザナックはブリテン国となってから侯爵としての地位まで下がってしまったが、それでもその待遇で不満はなかった

 

(まぁ、王としてこの国の民達を幸せにしたいという思いはあの王も同じだったからな、それが変わるだけの話だしな…しかし…)

 

ザナックの元にくるブリテン王国からの仕事内容には正直頭が痛いものがあった。適切に配下の貴族(ザナック以下は全員伯爵で唯一の例外はレエブン侯)に割り振ることが多かった

 

「…にしてもなぁ、胃が痛くなるものだ…臣下の立ち位置になってこそ初めて分かるな、貴族の腐敗の酷さは」

 

山のように積み重なった書類を見ながら言う

 

「まだ、ザナック王…失礼しました。ザナック様の元で処罰を受けるなら幸せな方ですがね、一体何人がそのことに気づいているのでしょうか」

 

元内務尚がそう言ってくる

 

金や地位にばかり目が眩んでいる人間はあの手この手で金を稼ごうと犯罪行為に手を染めて動こうとしている

 

今は壊滅した八本指の元アジトを起点に麻薬の密売や人身売買を行おうとしているのだが、必然的にその行為はバレて摘発されている

 

「…そもそも兄上は、自分がいいように扱われていると気づかないものか…」

 

部下は首を振る

 

バルブロはブリテン王国になってから数日後に父であるランポッサ三世の元に帰還した

 

単独でキャメロットへ進軍し、返り討ちに遭い、五万ほどの兵を失ったという大失敗をし、捕らえられ尋問されたのにまだ懲りていない

 

「失礼します。ザナック様、ラナー様がお見えです」

 

「ん、入れてくれ」

 

そう言って部下が下がっていく

 

妹のラナーは王族ではなくなったことからその歪んだ感性で仲良くクライムと暮らしている。一人の元王族を婚姻させずにいるのは肉親であるザナックからの命令もあるが、ブリテン王国の官僚の一人であるモルガンと交流を深め、自由に暮らしているという

 

ある意味では今の方が幸福なんじゃないかと思っている

 

「失礼します」

 

そう言ってラナーが入ってくる

 

傍には相変わらずあの男がいた

 

ラナーの本質を知らない、ラナーだけを見ている男

 

「お前も話を聞け、今更王子でもあるまいし、聞かれて困るような内容はないしな」

 

「…しかし…」

 

外に出ようとしたクライムに声をかける

 

「お兄様もそう言っていることですし」

 

そう言われたため、クライムは頭を下げて座る

 

「失礼します」

 

「お兄様は最近、反乱分子を兄上様の元に沢山集めさせているみたいですが、順調ですか?」

 

「レエブン侯のおかげでな」

 

ブリテン王国になってからかつての王政のように頭を悩ませる機会は少なくなってきた

 

王族の務めから貴族としての務めに変わってから、必要な人員を育成して反乱分子を兄の元に集わせるのは簡単な話だった

 

まぁ、あの兄が暴走することがよくある為、ザナックの目下の悩みは兄と今の戦士長を失い錯乱傾向のある父だけなのだが

 

「それにしても、兄上の最近の動きはアレでな…徒党を組み始めてる」

 

「あぁ、陛下が今、聖王国に騎士の方々を率いて救援に行かれたからですかね、王都を落とすなら今しかないと奥様の実家の力を借りて行こうとしているんですよね」

 

今は亡きボウロロープ侯の妻の実家を利用し兵を集めたり、元王族であったバルブロの口八丁に載せられた貴族の三男や四男、果ては何も考えていない貴族を率いて王都を襲う予定なのか、モルガンがいる領を狙っているのだろうが…

 

「モルガン様一人だけで一万の兵士を殺戮することは可能ですしね、お兄様はその後、才能ある貴族を雇用していかなければなりませんし、頑張ってください。最近モルガン様から兄上をキャメロットの宰相様の補佐にしたいみたいな話が出てるみたいですよ」

 

ラナーの言葉に『もし、可能なら辞退したいと言ってくれ、宰相の元で仕事をしていたらストレスで死にそうだ』と言う

 

「ところでお兄様、最近のお父様のご様子はどうですか?」

 

ザナックの邸宅で過ごしているランポッサ三世はあまり貴族としての仕事をしていない。まぁ、ザナックからしてみても軽率に入ってこられても困るのだが

 

「生きてるさ、まぁ、最近はよく散歩に行かれているな」

 

バルブロの暴走を止める訳でもなく、父は王としてのあり方を捨てきれてないのだろう

 

それでも、あそこまでの王としてあり方を魅せられてしまえば、自分の王政よりも獅子王の王政の方がいいだろう

 

「バルブロ兄上様のことを止めたりしていないんですか?」

 

ラナーのキョトンとしたような表情にザナックは「そこまで馬鹿ではないからな、兄上は今回の叛逆も生きているだろうし」と書き物をしながら言う

 

すると、部下が飛んできてバルブロ率いる軍がモルガン領へ向かったと言う報告を聞く

 

軽く返事をした後、今回もモルガンによって倒される報告を聞くのを待つだけだろうと思っていた

 

 

 

 

 

 

ランポッサ三世は繁栄していく街を見て何も言えない状況だった

 

過去の王達がやってきた蛮行を清算するには自分の代だけでは足りなかった。

 

それをあの王は簡単に清算していっている

 

無能派閥と有能派閥を作って無能派閥が定期的に内乱を起こすことを待って処分していた

 

しかも処分するのは貴族だけ、その部下達、いわば、召集された兵士たちの処遇はなかったものになる

 

例え、殺されても再び蘇生魔法で蘇生され、家族の元に戻る

 

そして、キャメロットの門の前で起こったこと

 

獅子王の魔法で難民が選別され、入ることを叶わないと言われた人間はモルガンの魔法によって命を奪われた

 

そんな光景を、そんなことをして人間を選別し始めている獅子王のことをランポッサ三世は危惧していた

 

(いずれ、この王国に残る人間は機能しなくなる)

 

確かに兵力に関しては一切心配していないのだろう

 

獅子王には自分の軍隊がいる。国民を徴兵する必要はないのだ

 

上に立つ者の力が増大であるからこそ、それを失った未来を想像したら心底怖くて仕方ないだろう

 

力に頼った国は力を失ったと同時に崩壊する未来しかない

 

(…それを私が気づいていたところでどうにかなる問題でもないだろう…)

 

国民はそのことに気づきながらも声を上げることはない

 

何故なら今の政権の世界が最高だからだ

 

家族を失うこともなければ、ある程度働けば自由時間が沢山あるのだ

 

(……私が、王位を放棄したのは正しい行いだったのだろうか…)

 

晴天の青空を眺めながら呟く

 



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戦う意味【Ⅲ】

今回からやや原作に回帰している感じです。ネイアがよく出ます

手首と腕いてぇ…


ーネイアー

 

獅子王陛下をあそこまで怒らせたのは団長が初なんじゃないかと思っていた

 

ネイアにとって獅子王陛下やその騎士達はもう神にも等しい存在に他ならないと思っていた

 

魔導国の刺客であるマーレというエルフはどう見ても強かった

 

言葉では表すことのできないぐらいの戦いを見せられた後、レメディオス含めた聖騎士団員の戦いは地味すぎた

 

(グスターボ副団長の土下座、すごい綺麗だったなぁ…)

 

プライドすら投げ打って自らの団長の暴走を謝罪したグスターボ副団長には素直に尊敬した。

 

(獅子王様のあの絶対零度の怒りを浴びて置いてまだ要求できた団長もすごいけど…)

 

聖王女の首の捜索はこちらで行うことになり、増えた仕事にため息をつく

 

焚き火の前で火に当たっていると…

 

「お隣いいですか?」

 

そう言って声をかけてくる人物を見てはっとなる

 

「ジャンヌ様!」

 

大声を上げようとしたネイアに『シー!』と言ってくる

 

慌てて口を閉じると、ネイアの隣にスープを持って座る

 

「聖王女の首の捜索についてなんですけど、私も協力することになりました」

 

その言葉に『そんな、あれだけの不敬を皆様に働いたのにも関わらず…申し訳ないです』

 

あの一部始終を見ていた国民達からはレメディオスに対して『あの聖騎士団長、本当に何様なんだろうな』や『あれだけ動いてくださった陛下達を罵倒するなんて神経をやったんじゃないか?』との不満が出ていた

 

レメディオスは無駄に力がある以上、団長の席において置くことはできなかったが、グスターボ副団長と数名の部下がが行動して団長としての地位はそのままだが、大きな命令権をグスターボに移動しさせた。

 

「あぁ、それは気にしていないので大丈夫ですよ」

 

獅子王陛下はあの場では怒っていたが、それはあまりにも部下に対しての労いが欠けていること、聖王女や自分の妹の行方が分からない不安を当たり散らかして良い理由になんてないという事を責めただけだと

 

「陛下ってそんな簡単に見捨てないので大丈夫ですよ、関わった以上最後まで守る、そういう人です」

 

「…そう、なんですか」

 

獅子王陛下の懐の広さに驚く

 

アレは見ていても正直不快だった。

 

「まぁ、聖王女様が復活されたら団長殿関連の要求はされるとは思いますけど…」

 

苦笑いしながら言うジャンヌ『あの人は誰かの上に立つに相応しくないとか言ってましたけど』と呟く

 

自分の上司だから大っぴらには言えないが、確かにと思う

 

「これから複数の悪魔が召喚された場所に聖騎士団員の皆様と行くことになってます。もちろん情報提供はしていますけど、あの聖騎士団団長がどこまで信じるかわかりませんが、頭部だけを持ち去る悪魔は複数います」

 

「いるんですか?!」

 

情けない話、聖騎士団員達は悪魔の種類を全部知っている訳ではない。

 

今まで戦った収容所にいた悪魔から推定して装備を整えているだけにすぎない

 

それに比べて、陛下達は数多の悪魔の情報を知っていると言うことだった。しかし、情報はタダではないし、あんな愚弄を働いた聖騎士団団長に教えるかはわからないし、教えたところで信じないだろうと言うのが王の判断だった

 

だからこそ、ネイアにジャンヌをつけて別行動さたという話しだった

 

『頭冠の悪魔』奴が聖王女の首を持っているんじゃないかという話だった

 

「さて、その悪魔討伐のためにギリギリまで休みましょう」

 

そう言って今日の夕方出発することを話される

 

横になり目を閉じる

 

 

 

 

 

ージャンヌー

 

獅子王・アルトリアが世界が変わったこの世界で王政を敷いたと言うのはキャメロットにいる時から聞いていた

 

あの人は私を作った創造主の親友の一人だった

 

私を創った人はとても優しい人で、現実というものはわからないけれど、私に人間の愚かさをたくさん教えてくれた

 

それでも、人間を嫌いにならないでほしい、人間はそういうものだと諦めないでほしい、人間を恨むのは簡単で殺すのは最も簡単だから、人間を愛してほしいと私に教えてくれた

 

そして、あの人と話している主を見たことがあった

 

主の生き方があの人を変えたのかもしれない。あの人の根底には人間愛で満ちているけれど、そこに人間への絶望もあった。だからこそ、人間を選別しているのかもしれない

 

『人間とは犠牲がなくては生を謳歌できぬ獣の名だ』

 

そう言った主の仲間がいた。主は彼らと喧嘩し、キャメロットから去られてしまった。

 

そのことに悲しみは覚えど、会いたいとは思わなかった。

 

主の生き方は、心は歪んだ形であの人の心に根付いてしまった

 

「……」

 

食事を摂って休んでいるネイアを見る

 

ネイアはこの世界の人間で、決してレベルは高くない人間だ

 

あの人やガウェイン達に比べれば赤子のように簡単に捻り潰せるかもしれない存在

 

でも、ネイアから感じらるのはこの国を愛しているということ、この国の民のために命をかけているというのは伝わってきた

 

辺りの聖騎士が動き出したのを見てネイアを起こす

 

「ネイアさん、いきましょう」

 

そう声をかけるとバッと飛び起きる

 

今度はネイアも馬を持っていたのか、ネイアとジャンヌ別別で頭冠の悪魔がいるであろう地点に向かっていく

 

「失礼ですが…ジャンヌ様は復活魔法が使えるんですか…?」

 

聖王女を復活させるために必要だと言っていたのを思い出す

 

「…使えます。でも、聖王女を復活させるのは少しだけ困難だと思われます。あんな状態です。首を刎ねられた上、その首が無事でも蘇生する関係で本人には相当な苦痛があると思いますが…」

 

聖王女の下半身はだいぶボロボロだった、それを修復魔法で治したところで首の状態にもよる

 

復活する際に、本人の魂が蘇生を拒否したらどんな上位の魔法でも復活させられないことがある。逆に言えば蘇った後、死んだ時のことを覚えていれば再びショック死してしまうことがありえる

 

「……陛下の力でも無理なのでしょうか?」

 

ネイアの言葉に『蘇生魔法はそんな便利なものではありませんし…陛下がやるとなれば…完全に別物になってしまう場合がありますし…』と言うとネイアもうーんと悩んでいたが、悪魔の気配が前方からしてくる

 

「前方から悪魔の気配です!!」

 

その言葉でネイアもハッとなり弓を構える

 

 

 

 

ー獅子王ー

 

アルトリアはテントからジャンヌ達の様子を見ていた

 

頭冠の悪魔は正直、そんな強くない

 

ジャンヌだけでも問題なかったのだが、ジャンヌがネイアを気に入っているようなところがあったので、もし、首が見つかった場合の証人としてネイアも同行させることにした

 

「ジャンヌ殿が着いておりますが、あの弓兵がいることで返って大変なことにならないでしょうか?」

 

ランスロットの言葉にガウェインも『確かに…』と言っていた

 

「前線で戦わせないとしても、ジャンヌ一人で首を持ち帰ったら逆に我が国の計略だと思われかねないだろう」

 

ブリテン王国側の援軍が聖王国内で活躍し、国民達はアルトリアにいくら感謝しているとしても、レメディオスの暴走がある以上、安易にこの国から出発できない

 

「あのグスターボって副団長大変そうだったしなぁ…」

 

モードレットの言葉に(それなぁ…)と脳内で呟く

 

他国が勝手に破滅するのは構わないのだが、関わった以上、最後まで責任を取りたいと言うのが私の気持ちだった。

 

「それに、他の王族を探すよりもこちらの方が納得がいくだろう」

 

聖王国に王族がいないまま宙ぶらりんだと内乱の元になる。そこまで責任を負えるのかというと全然取れない

 

「こいつじゃねぇか?その聖王女の首って、こっちはなんか女の首持ってるけど…どっちだ?」

 

モードレットの言葉に画面を見ると、二つの首を持った悪魔がネイア達に向かって行った

 

ネイアの口の動きを呼んでいたが、聖王女の首らしかった

 

ジャンヌが攻撃を交わしながら戦っていた。

 

「相変わらず、旗なのに殴打する力強ぇな…ガウェインみてぇ」

 

「…………」

 

モードレットのツッコミを流しながら見ていると、ジャンヌがネイアを回復させ、その瞬間にネイアが頭冠の悪魔を討ち滅ぼす

 

「…少し時間はかかったが、終わったな」

 

そう言って画面を消すとガウェインが「準備して参ります」と言ってテントの外へ行く

 

「ジャンヌ達を迎えに行こう」

 

そう言ってランスロットとモードレットを連れて外へ行く

 

 

 

 

ネイアが確認したのは聖王女の首と神官の首の二名だった

 

「…蘇生は出来るとは思いますが…神官様の方は無理かと思われます…腐敗が凄まじい…」

 

そう言うとグスターボは『聖王女様だけでも出来るのならば…』と頭を下げていた

 

レメディオスがいないことに気づく

 

「そちらの団長がいないが…」

 

そう言うとグスターボは頭を下げ『妹君の首を見て錯乱しており、この場には欠席させていただいています』と言われる

 

「…そうか、妹であったのか」

 

まぁ、人なのだから混乱しておかしくなっても仕方ないだろう

 

「ジャンヌ、良いか?」

 

そう言うと『やってみます』と言ってその場から離れ、地面に旗を刺して魔法を発動させる




獅子王の治世は一体いつまで続くのでしょうかね(他人事)

本が手元にないからネイアの活躍を詳しく書けなかった


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聖王国の結末

コメントは毎日見て励みにしております。これからいろいろあってまた投稿頻度遅くなります。聖王国の次書くとしたら最終章(魔導国編)か竜王国かな…

エルフについてはマジで書こうか迷ってる


ー聖王国首都ー

 

魔導国とヤルダバオトが間接的に関わっていたと言う話は瞬く間に国家間で話題に上がった。

 

ヤルダバオトが魔導国の手の者だと分かってから、モモンがどうなのか、いろいろ問題になっているのと同時に聖王国へ救援し、王とその部下達が大活躍し、聖王国の人々を助けたという話題は他国に轟いた。

 

聖王国の首都にて、アルトリアは復興し始める街並みを見ていた。

 

(…この世界にまだ希望はある…あんな世界とは縁遠い、いや…あんな世界にしてはいけない…)

 

汚染された現実世界を思い出す。

 

人間が私利私欲のために過ごした結末があれだった。

 

ならば、この世界はどうだろうか

 

あの世界のように発展してはいない。

 

異形種という種族が存在しているから人間は縮小傾向にある。

 

それが吉と出てこの青空は護られているのかもしれないし、多種族の脅威があるから人間は現実ほど恐ろしいものを使っていないのだろうか

 

聖王国の女王・カルカはなんとか復活した。

 

ジャンヌの蘇生魔法は大したものだ。

 

それでも、死の恐怖は感じただろう。

 

あんな状態で見たかったのだ、デミウルゴスからどんな扱いを受け、死んだか想像に難くない

 

(…もし、魔導国が本気で戦うつもりだとしたら…最悪なことになるかもしれない…)

 

聖槍に補填されたデミウルゴスの魂を奪い戻そうとするだろう。

 

(…戦いは始まったばかりか…考えたくない、でも…どうしてだか…)

 

青空を見上げる

 

「…奪われる痛みは誰よりも、貴方が理解しているはずなのに…」

 

モモンガは囚われていらのだろうか、アンデットの体に

 

一度会って槍を構えず話をしたいと思っていた。

 

そう思っていると、部下がやってくる

 

「陛下、聖王女様が参りました」

 

「ああ分かった」

 

そう言ってそちらへ行く

 

 

 

 

 

数時間前…

 

 

誰も泣かない国を、誰も傷つかない世界を、そう願っていたのは今や昔の話だ

 

カルカにとって、今回の戦いはもう二度と味わいたくないものだった

 

「私が死んでいた間、ブリテン王国の人々に助けを求め、ブリテン王国の人々が活躍してことが収まったという話を聞きました。蘇生させた時の状況も覚えています」

 

活躍した聖騎士団のメンバー達が目の前で頭を下げていた。その中にレメディオスもいた。

 

ケラルトの確定された死亡は相当応えたのだろう。目つきがもっと悪くなっていた。

 

「しかし、今回の戦い、聖王国の聖騎士団の皆様も大きく活躍してくれたと同時に、ブリテン王国の王陛下自らこの国を守ってくれたことに私は感謝しかありません。しかし、ことは聞いております」

 

聖騎士団のメンバーを見て

 

「今回の戦いでレメディオスは大きく活躍してくれました。同時にブリテン王国の王陛下や騎士の方々に罵倒や押し付け等があったという報告もありました。レメディオス、貴方は聖騎士団団長剥奪及び左遷を申し上げます。そして、王都に無断で立ち入ることを固く禁じます」

 

そうハッキリと言った時、レメディオスは気が狂ったのか声高高に

 

「偽物だ!!聖王女様はそのようなこと言われない!」

 

多くの貴族の爵位を剥奪したり、蘇生する前ではやらなかったことをカルカ自らが行うようになった。

 

発狂するレメディオスがいる下にゆっくりと歩み寄る

 

「レメディオス。貴女の才能は確かに素晴らしいものでした。でも、それ以上にすごい方々を見て貴女は…助けに来てくれた援軍の方々を罵倒した。本来はあってはならない愚行。ブリテン王国の王陛下は聖王国が復興するまでの手伝いをすると言われました。そんな方々を不快にさせた罪は重いのです」

 

それでもなお操り人形だ、何故気づかないと叫ぶ

 

「私は一度ヤルダバオト…いえ、デミウルゴスからの攻撃にこの身を全て焼かれました。振り回され、首と胴が真っ二つになりました。その時の痛みは想像を絶するものでした。あぁやっと終われる。そう思いましたが、死の間際にも貴女の言葉は聞こえてきました」

 

聖王女の隈が出来た目がレメディオスを見る

 

「…どうして、死なせてくれないのだろう。またあの同じ痛みを味合わせてくるのかと貴女の声を聞きながら拒否しようと思いました。でも…」

 

暗闇の中、眩い黄金の光が辺りに立ち込める。

 

『聖王女様、生きて行きましょう。もう二度とあんな風には味わいたくないですよね、でも、生きるのですよ』

 

そう言って私を優しく抱きしめ、手を引っ張ってくれた人々は誰だったのだろう。

 

そこにいたのはかの王と聖女を思わしき人だった。

 

「命というのは人一人一つです。それは絶対に忘れてはならないことです。私が偽物だと、そう言いましたね、レメディオス」

 

ハッキリと言うカルカはレメディオスから目を離さない

 

「私は誰も泣かない国にするために必要なのは力です。私たちの力では本当になす術はなく蹂躙されました。誰も泣かない優しい国を作り上げるために私は大きく人員を変えて行くつもりです。グスターボ、貴方を聖騎士団団長に任命するわ、そして、貴族の…」

 

聖王女の指揮を出す言葉にレメディオスは何も言えなくなる

 

自分の知っているカルカと違いすぎる

 

いつもケラルトと二人で話し合い、動き出すのが多かった

 

それでも、残酷な決断は出来なかった。

 

それに、今の聖王女の顔は凛と先頭に立っている知らない人だ

 

「私の知っているカルカ様は!!そんなことを言わない!!そんな残酷な決断は…」

 

カルカは振り返り、レメディオスを悲しげな眼差しで見る

 

「…レメディオス、私は変わりました。あのような絶望と痛みは二度と味わいたくはありません。一度は蘇生魔法を拒否することもありましたが、私を救い上げたのはここにいるグスターボと獅子王様とジャンヌ様達だけでした。変わらなければいけないのです。私はあなたの知っているカルカらしくないかもしれません。でも、そうでもしなければこの国は持ってはいけませんから」

 

騎士達にレメディオスを外に出すように命令する

 

 

 

 

 

 

 

ー数時間後…

 

「それで、今日未明には国へ帰る」

 

「はい」

 

聖王女が深々と頭を下げる

 

後ろには聖騎士団団長になったグスターボがいた。

 

「私ができることはここまでだ。復興のための食糧を送るのは後々やろう。問題は今回の自軍に負傷した人はいたが、死者は1人たりとも出ていない喜ばしいことだ」

 

「はい」

 

聖王女の顔色が悪い

 

「これからどうこの国を変えて行くが、どうするか、そなたは一人きりで考えることになるやもしれない。まぁ、グスターボ団長という心強い存在がいる以上すぐには壊れないだろう」

 

レメディオスが左遷され新たな軍隊を築いて行くのも相当時間のかかることだろう。

 

「はい、分かっております。すぐには解決できない問題だということも、ですが」

 

胸を張って言うカルカ

 

「この国が復興し、繁栄するまで、決して陛下の気分を不快にさせることはもう二度と起こらないようにいたします」

 

「そうか…それに、あまり話していても意味がないな、今日はこれにて失礼しよう。魔導国のこともある以上、長く国を離れるわけにはいかない」

 

そう言って立ち上がると、馬車が準備されている場者に向かう

 

歩いて降りていると、そこにいたのはジャンヌと親しげに話しているネイアがいた。

 

現れた獅子王と聖王女に驚いたのな流れるようにはじによって頭を下げようとするネイアを止める

 

「ジャンヌ。やたらネイアと話しているようだが、そんなに気に入ったか?」

 

その言葉にジャンヌはやや顔を赤くしながら「はい、楽しかったです」と笑っていた。

 

そんな姿を見てアルトリアはアイテムボックスの中から白銀色の立派な弓を手渡すとネイアな「え?え?私?」と言われる

 

「一番の労力者であろう者が何も持っていないならいささかな。その武器で今後ともこの国の助けてあげてください」

 

そう言って渡された遺物級のアイテムを持ちながら「大切にいたします!」と言われる。

 

白銀の装飾がされている馬車の門を開けるランスロット

 

「何か困ったことや問題があったら、遠慮なく知らせてくれるように」

 

「はい、ありがとうございました」

 

ガウェインが先頭部の所に乗る

 

ジャンヌがネイアと軽く抱擁した後、自分の馬車に向かって走って行く

 

「ブリテン王国の王陛下及び騎士の方々がご帰還されます!!」

 

グスターボの声が聞こえてくる

 

その音お共に、馬車が動き出す

 

その瞬間、国民達の熱狂が響き渡る

 

「陛下ー!!ありがとうございます!」

 

そう叫ぶ人々の声を聞きながら目を閉じる




グスターボ
正式に聖騎士団団長へストレスの要因がいなくなったので、これからはノーストレスになるだろうと期待している

ネイア
ジャンヌとの戦いの後、名声をあげ聖王女の従者と言う大出世を果たしてしまった。
ジャンヌとは仲良くなれてる

レメディオス
カルカに縋ったら切り捨てられた。
偽物だなんだと叫んでいるがもう、彼女の言葉を真面目に聞くものはいなかった


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他国との交渉

メイドインアビスって面白いね(趣味悪い)←ゲーム版でひたすら三層に潜ってる憧れは止められない(わかる人にはわかる…?)

今回はブリテン王国に帰った後のアルトリアの話、次は評議国編にしようか模索してる、アビスと仕事のせいで吐きそうになってます(アビスに関しては自滅)


ーブリテン王国ー

 

聖王国から帰還した後、聖槍に補填したデミウルゴスをキャメロットの最下層に移し、魔導国が聖王国に関して行ったことは各国に知らしめ、悪名を轟かせていた

 

(うーん…友の持っている本は趣味が悪すぎる…)

 

図書館から持ってきた本を部屋のベッド脇に置いておく

 

アグラヴェインから報告が入り各国の情報を教えてくれる

 

聖王国への食糧運搬はうまく行っており、その食糧運搬をジャンヌがやりたいと言い出し、もしも何かあれば即時撤退するようにと言ったのと、アサシンの一人を周囲に張ることを約束した

 

「陛下がご不在の間、竜王国の使者が参っておりました。連日、ビーストマン連邦から攻められており、救援を頼みたいと…」

 

「…ビーストマンか…」

 

聖王国を助けに行ったためか、各国から助けてほしいという救援要請が凄い

 

(簡単に手を差し伸べたのは安易だったか…)

 

竜王国もギリギリで持ち堪えているが、聖王国のように放っていたら空中分解し、こちらにまで火の粉が飛びかねなかったという理由はある。

 

しかし、その前に狙われるのは法国からだからブリテン王国へ来るのはまだ相当先の話だっただろう…

 

「竜王国に関してはおいおい考える、ところで魔導国からの動きはないか?」

 

デミウルゴスを取り返そうと動き始める可能性があった

 

だから、これからは安易に国を離れるわけにはいかなかった。

 

「それが、何も動きはありません。我が国に侵入している可能性を鑑みて守りは強化してはいますが…」

 

アグラヴェインはすぐ動きがあると思っていた分、あそこまで静かなのは想定外だったらしい…

 

(秘密裏に会うわけにはいかないよな…)

 

ナザリックの場所は大方検討はついているが、あれ以来偽物を作っている可能性はある

 

エランテルのカルネ村付近にある可能性はある

 

プレイヤーやNPCは転移できてもギルドは転移できないはずだろう

 

「もっとこの世界に関しての知識が欲しいが…評議国と話し合いはできないか?」

 

「あちらが好意的ではありますが…相手は龍です。いろんな種族が集まり、議員となっている国ですが、白金の竜王とはコンタクトを取れています」

 

「分かった。評議国との関係を重視して話を進めていこう。ところで、このエルフ王国というのはなんだ?」

 

「法国の南方にあるエイヴァーシャー大森林の中に国があります。この国に関してはあまり情報がないのですが、法国と長らく戦いを繰り広げている国家になります。エルフの王国で女性のエルフをよく戦いに出している模様です。法国にエルフの奴隷がいるのもそのためかと…」

 

つい最近、エルフ王国について調べがついたようで、アサシンのエミヤいわく「国王が強いだけで国民は大したことない」と言っていた

 

アサシンエミヤ曰く、レベルは自分と同程度かそれ以下とのことだった

 

(……この世界の指数で見れば大したことあるんじゃない…?レベル30で英雄扱いされるんだし…)

 

85レベルのアサシンエミヤでさえ、この世界では異常扱いだ

 

バルブロの首根っこを持ってたらミスって殺してしまうぐらい弱い人間が多い(アサシンエミヤ曰く力を入れすぎたらしい)

 

「魔導国を最大限に警戒しつつも評議国と連携を取れるようにしていこう」

 

「は」

 

魔導国と今後もし敵対していくことになった場合、スレイン法国とアーグランド評議国と同時に敵対することは避けなければならない

 

 

 

 

 

 

 

 

ーカルネ村

 

 

魔導国の国となったカルネ村にとって今まで辺境とはいえ、自分の国だったリ・エスティーゼ王国が突然違う国になり、ブリテン王国となったことはエンリたちを大きく混乱させた

 

「どうも最近は魔獣も狩られまくっているし、避難民が多くいる…でも繁栄しているって話ですぜ、姐さん」

 

ジュゲムの言葉にエンリはブリテン王国となった国の方角を眺めていた

 

「ンフィーレア…大丈夫かな」

 

冒険者組合に用があり出かけたンフィーレアをまっていると…

 

「まぁ、心配してもラチ飽きませんし、姐さんは食事でも作って旦那の帰りを待ったらどうですかぃ?」

 

「う…うん」

 

それから数時間後、戻ったンフィーレアに王都のことを聞く

 

「え?あんまり雰囲気は変わらないの?」

 

食事をとりながらその話になる

 

「うん。基本的に冒険者組合の依頼受付とかは変わりなかったけど、変わったところといえば、アダマンタイト級冒険者が不在で緊急で魔獣を倒さないと行けなくなった時、ブリテン王国の騎士の人が応戦して倒してくれてるみたい」

 

「それと王都の街並みが綺麗になってたよ、馬車と歩いている人間が轢かれないようになってる」

 

以前まではかなり治安が悪かったが、今ではかなり治安よく国民たちもみんな幸せそうにしているとのことだった

 

「でも、王都はエスティーゼじゃなくてそこから離れた場所にあるキャメロットっていう城が新王都になったみたいだよ、それよりも冒険者組合に入る前にさ、どこから来たか騎士の人に聞かれて答えたら結構またされて…やっぱり国家間で何かあったと思った方がいいかな…」

 

ここ最近、ルプスレギナも見かけないし…と言うと

 

「魔導国が、ゴウン様の作った国と周辺諸国の関係ってあんまり良くないって聞くんだ…ほら結構前にここにきた騎士の女性知ってる?」

 

エンリの記憶の中に純白の服と鎧に身を包んだ女性を思い出す

 

「その騎士様の国家になったんだって、ゴウン様とその騎士は仲良しだったみたいいなんだけど、在り方も全部真逆で、もう仲良くできないかもしれないって言っていたな」

 

友人というか、戦友とも呼べる存在を失うのは苦しいだろう

 

「みんな幸せになって欲しいよね」

 

そう言いながら食事を続行する

 

 

 

 

ーアインズ

 

 

デミウルゴスがブリテンに捕まってから数日が経過した、ブリテンが大きく動いている様子もなく、魔導国と周辺諸国の関係は悪化するばかりだ。

 

(世界征服なんていいかもしれないなんて、そんなことを言った俺が悪いのは分かってる…聖王国にデミウルゴスが行ってたなんて想像できなかった…)

 

NPCの管理を出来ていない自分に圧倒的比があるだろう…

 

(…だからこそ、デミウルゴスを取り返すためにできることは一つしかない…)

 

これ以上、友の残した子供を失いたくない

 

目の前にいる守護者達を見てないはずの唾を飲み込む

 

失望されるのを覚悟にブリテン王国との戦争を避けるため、守護者達へ向けて今後の作戦を話す

 

デミウルゴスがキャメロットに囚われた以上、ブリテンと交渉し、返還を求めるつもりでもあったことを伝えると、守護者たちは複雑そうな顔をしていた

 

気持ちは分からなくもない。守護者を失うたびに頭を下げていては他国に舐め腐れるだろう

 

(…デミウルゴスが死んでいない以上、殺すことを考えてない…)

 

データー上ではシャルティアが死んだ時の状態のようになってなかった

 

(…良い機会だ、俺が無能だというのもみんなに理解してもらうにはちょうど良いじゃないか、アルトリアさんと話せるのも今しかないんだし)

 

そう重いながらもキャメロットに連絡を取るように指示を出す

 

 

 

 

 

 

ーアルトリアー

 

評議国の使者との対談は上手くいき、今度は法国との面会になった

 

(…国家間の駆け引きってこんなに胃が痛いことになるなんてなぁ…)

 

自室に戻り、テラスから外を眺める

 

少し離れた所に見える海

 

アルトリアの自室から見えるのはリ・ロベル領の小さめの城で、そこから先には広大な海が見えていた

 

(……私の方針としては、世界征服なんて望んでいないから…最終的には自国の安永さえ守られればそれでいいか…)

 

評議国の竜王はこちらが悪きプレイヤーなのか否か探っている気配を感じていた

 

それと、ザナックからの情報によれば、この世界には六大神と八欲王という存在がおり、彼らには英雄譚と言われるような伝説があったという

 

とはいえ、かつての王国が持っていた情報はだいぶ薄く、六大神は法国を作り上げた者達という話がある一方、八欲王に関しては、情報が少なすぎた

 

(…仮に、六大神がプレイヤーだとして、人間を重視していたのなら、この世界でも人間が生きながらえている理由はわかるし…その後きた八欲王がこの世界の人間ではなくプレイヤーだとして…)

 

伝承である以上、一体どこからどこまで本当のことなのか分かりはしないが

 

椅子に座り、書きながら考えていると…

 

『陛下、失礼します』

 

モルガンの声が聞こえてくる

 

「どうした?」

 

『魔導国の使いのものが参りました』

 

「!」

 

『追い払いますか?』

 

「いや、玉座の間に通せ、先触れを殺すのはまずい、キングハサンを呼んでくれ」

 

『はい、かしこまりました』

 

そう言って伝言が切れる

 

魔導国の先触れがきたと言うことに少しだけ安心する一方、これからの行く末を考え、気分が滅入るような気持ちになる

 

(できるならば、モモンガさんとは敵対したくない)



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