青薔薇のベーシストはヤンデレなのか? (ka-主)
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1話 再会

3月頭に投稿するヤンデレ作品に向けて始めていきます!不定期投稿ですが、応援よろしくお願いいたします!
それでは……どうぞ!


……訳あって長野県にいた俺、大江神楽《おおえ かぐら》は故郷である東京で一人暮らしを始める。そして羽ヶ丘学園(元羽ヶ丘女子)に転校する事になり、そこで幼馴染みである彼女、今井リサと湊友希那と出会う……。

 

…………………………

………………

…………

 

「フゥ〜……一通り片付いたな」

 

両親や引越し業者の協力あって自分の新しい住まいで暮らす準備が整った。引越し業者は荷物を所定の場所へ置くなり帰っていった。

 

「何だか済まないな…神楽」

「ごめんなさいね……本当は貴方には実家からいなくなって欲しくは無かったんだけど……貴方の夢の為だもの。無理強いはしないわ」

「大丈夫だよ母さん、親父。もとい二人の仕事の都合で少し早めの自立をする事になったんだからさ。仕方がないと思ってるよ」

 

そう、俺……大江神楽は両親の仕事の都合、そして自分の夢の実現の為に長野県から故郷である東京で一人暮らしをする事になった。長野県ではかれこれ10年は過ごした。東京に戻って来たのはかれこれ保育園の年長ぶりだ。

 

「後は転校先の学校の手続きだが……1人で大丈夫かい?」

「大丈夫だよ。手筈通りにやれば後は転校初日をまつだけだろ?」

「生活費とかは月の頭に振り込めたら振り込むから……何かあったらすぐ連絡するのよ。あんたは1人じゃないんだから」

「大丈夫だって!学校慣れるのに多少なりとも時間はかかるだろうけど、心配しないで!いつか俺の夢がかなった時は真っ先に二人に連絡するから!」

「そうか……寂しくなるが、元気にしてるんだぞ」

「ああ、二人も身体には気をつけて……っとそろそろ時間か?荷物…ありがとう」

 

もっと会話をしていたかったが、生憎両親はもうすぐアメリカへ渡米する。見送れないのが唯一の心残りだ。

 

「それじゃあな神楽。元気でな」

「神楽。元気でね」

 

そう言って両親は空港へと車を走らせた。その姿を俺は後ろから手を振りながら見届けた……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜???side〜

 

「おっはよ〜友希那!」

「おはようリサ。相変わらず今日も元気ね」

「だって今日から新学期だよ?元気なのは当たり前じゃん!」

 

新学期初日。私……今井リサは何時ものように友希那と挨拶をかわした。

 

「でも……今日は何時もよりも元気そうに見えるのは私だけかしら?」

「あ!そうそう!実は今日うちの学校に転校生がくるんだって!」

「転校生?初耳だわ……」

「風の噂でね〜!私も最近しったんだ!しかもね!その人男で、うちのクラスに来るらしいんだ!」

 

昨日、ダンス部の新人勧誘の準備で駆り出されて……その時初めてしった。そういえば一昨日から家の向かえに長野県から引っ越して来た人…お母さんが言うにはその人も男で、私と歳が一緒みたい。

 

(まさか……ね、考えすぎかな?)

 

「どおしたのリサ?考え事かしら?」

「え!?あ、ああ。あのさ、友希那。大江神楽って子…しってる?」

「大江神楽……懐かしいわね。保育園の年長以来かしら?彼がどうかしたの?」

「いや〜、その転校生が神楽だったらな〜……なんて思ってさ〜。神楽今何やってるんだろ?」

 

大江神楽…私と友希那とは幼馴染みの関係だが、両親の仕事の都合上…

長野県へ引越してしまった。

 

「さあ?そもそも引越してから10年くらい立ってるんじゃないかしら?私達の事なんて忘れてるんじゃないかしら?」

「!!…そ、そんな事無いもん!神楽が私達の事……忘れるわけない!」

「っ!……そうだったわね…何だかごめんなさい無神経だったわ」

 

少し声を荒げてしまった。

 

(わ、私ったら……バカバカ!友希那に当たってどーするの!?)

 

「そういえば……お父さんが一昨日長野県から引っ越してきた男の人からおはぎを貰ったって言ってたわ」

「え!友希那ん家も?私ん家も一昨日もらったんだ!」

「……ねぇリサ」

「ん?どうしたのー?友希那?」

「神楽の事だけど……少しくらい貴女がそう思ってもいいかもしれないわね」

「!……友希那……」

 

幼馴染みの以外な1面を見て関心していた。

 

(神楽……会いたいな。久しぶりに……)

 

…………………………

………………

…………

 

「は〜い、皆席着いてーHRはっじまるよォ〜」

 

砕けた口調で教室に入って来たのは私達のクラス担任、高橋音々(たかはし ねね)だ。皆からは『ねねちゃん』と呼ばれている。

 

「今日わね〜、皆も知ってると思うけど、私達のクラスに転校生がきまーす!」

 

先生がそう言った瞬間周りがザワめいた。

 

(周り……と言うよりクラス全員かな?まあ当然っちゃ当然だよね)

 

「じゃ〜あ〜…さっそく自己紹介して貰うから〜……入ってきてー!」

 

「「…っ!?」」

 

おそらく友希那も驚いている……だろう。私に関しては思わず立ち上がっていた。背丈は私より高い……というよりこのクラスの中で背が高い子を越していた。白髪のボサボサ髪、私の髪と同じ栗色の瞳。

 

(間違いない……てか間違える筈がない!彼は……!)

 

「か、…神楽!!」

 

 

 

 

〜END〜

 

・大江神楽

・誕生日:12月18日

・身長:175cm

・体重:67.5kg

・好物:鯖・海老・チョコレート

・苦手:シイタケ・豆乳

・趣味、特技:音楽、動画鑑賞、ゲーム、ギター

・本作の主人公。極力面倒事は避けるタイプだが、以外と努力家で偶に策士並の脳が働くときがある。リサと友希那とは幼馴染みである。

・能力的なもの:死亡フラグが立っても死なない。




どうも!ka-主です!投稿中の作品を増やして大丈夫か?……大丈夫だきっと!今後とも応援よろしくお願いいたします!

感想、高評価等よろしくお願いいたします!


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2話 抑えられない気持ち

ヤンデレオーラってやつかな?いきなり出した方がいいですか?それともジワジワさせた方がいいですか?意見を聞かせてください!


〜神楽side〜

 

「それじゃ〜入ってきて〜」

 

俺は音々先生ことねねちゃんに呼ばれ教室にはいる。やはり元女子学園なだけあって女子生徒が多い。

俺は黒板の前まで来て自分の字を書いて自己紹介した。

 

「小茂呂高校から転校してきました。大江神楽です。よろしくお願いします」

 

小茂呂高校……『小茂呂音楽高校』とも言われる国内でも数少ない音楽に力を入れてる高校だ。

……まあ予想どおり、「小茂呂高校!?」「長野県から!?」などのテンプレ的な呟きが飛び交った……とある叫び声?が場を支配するまで

 

「神楽!!」

「っ!?」

 

声の主は俺の目の前……ではなく窓際の中腹辺りに座っていた女子生徒だった。栗色のウェーブロングヘア、緑色の瞳。背丈は俺の肩位まで。昔の面影はあまり無かったが……俺は彼女を知っていた。

 

「神楽!!……会いたかった……会いたかったよ、神楽ぁ!!」

 

いつの間にかリサは俺の目の前まで来て俺に抱きついていた。

 

「……久しぶりだな……リサ…なんだか、見ない間に大人っぽくなったよな」

 

(ん?リサがいるって事は……)

 

「久しぶりね神楽……貴方も見ない間に大きくなったわね?」

 

いたいた……俺が探していたのは彼女、湊友希那だ。

 

「友希那こそ……なんだかクールっぽくなったな」

「ふふっ…褒め言葉として取っておくわ」

 

……というやり取りを席から見ていた他の生徒らは……

 

(え!?あの転校生今井さんと湊さんと知り合い!?)

(あの湊さんが……何だか嬉しそう?)

(あの2人とはどう言った関係なの!?)

 

……などと飛び交っている事を俺達は気づかず…

 

「えっと〜3人とも?感動の再会はHR終わったあとでもいいかしら?あと今井さんと湊さんに大江君の学園案内頼みたいんだけどー?」

「はい先生!喜んで!」

「分かりました」

「んじゃあ……大江君の席は……あっ!良かったね?今井さんの隣りだよ!」

「お?そーなんですか?……リサ、今日からよろしくな!」

「……うん///」

 

席を案内され俺は自分の席へついた……リサはやっと離れてくれた。

 

(昔……ここまで俺の事好いてたかな?)

 

リサがここまで俺を想ってるのか?……そう思いながら残りのHRを過ごした。

 

…………………………

………………

…………

 

〜リサside〜

 

「ねぇ神楽……ホントにいっちゃうの?」

「ごめんねリサ……お母さん達の仕事で……」

「うぅぅ……やだ!私神楽と一緒にいたいよぉ〜!!」

「……俺だって……リサと友希那と一緒にいたい!」

「神楽君……私も貴方といたいよ……」

 

10年前のあの日……幼稚園卒園後、神楽の家の家具とかは全て引越しのトラックに積まれて、家の中はもう何も無かったそうな。私と友希那は神楽にさよならを言うために一緒に遊んだ公園にきていた。

 

「やだやだ!神楽……いっちゃやだよぉー!!」

「リサ……泣かないで?ほらこれ……」

「…?これは……?」

「お母さんに買ってもらったんだ!赤いリボンがついた髪ゴム!」

「良かったね、リサ」

「うん……ありがとう…神楽ぁ……」

「約束……して?また何処かであうまで……そのリボンの髪ゴムつけてくれる……って」

「……うん!約束する!神楽も約束!私達とまたあうまで元気でいてね!」

 

「うん!約束だよ!!」

 

…………………………

………………

 

……私は自分の髪を縛っているゴムに手を伸ばし外す。そのゴムには赤いリボンが着いていた……

 

「……約束守ったよ?神楽……神楽も約束……守ってくれたよね?」

 

私はそのゴムを握って胸に押し当て……また髪を縛った。

 

(神楽……ずっと…会いたかった……。ずっとずっと……会いたくて堪らなかった……)

 

そして私は……再会出来たらある事をしようとずっと決めていた。

 

「いいよね……私…この感情……もう抑えられない。この抑えられない気持ちを神楽に伝えたい!」

 

私はあの日みたいな雲ひとつない春の青空を見上げ……

 

「私……神楽に告白する!」

 

誰も居ない屋上で私はそう……ケツイした。

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

『私……神楽に告白する!この抑えられない気持ちを!想いを伝えたい!』

『……そう、なら私は応援してるは。頑張ってリサ』

 

私はそう返信した。今、目の前には神楽がいる。

 

…………………………

 

『……友希那、俺がもしまたここに戻ってくる……その時までリサの事……頼める?』

『……任されたわ神楽君』

 

…………………………

 

「……守れなかったわね。約束」

 

あの日……神楽と約束をしたのはリサだけではなかった。

 

「ん?どうかした友希那?」

「!……いえ、幼い頃の事を思い出していたの……」

「そっか……ホントに久しぶりだよな。こうして友希那と歩いてる昔見たく歩める日がまた来るなんてな!」

 

あの日以降……リサと会話する機会が少なくなり、家が隣り同士でも会話する機会がなくなって……とうとう疎遠の仲となってしまった。

 

(それに比べてリサは……)

 

『ねぇねぇ友希那!今神楽どうしてるかな?』

『また神楽話……?ホントに好きよね……リサは』

『当たり前じゃん!私ね!また神楽にあったら自分のこの抑えてた気持ちを神楽に伝えるんだ!』

『……それって告白するって事?』

『うん!』

『……そう。なら幼馴染みとして……応援させてもらうわね』

『!……ありがとう!!友希那!』

 

…………………………

 

(……きっと、近いうちに告白する。自分と神楽とでかわした約束を果たした証として)

 

「ねぇ神楽?」

「ん?」

「神楽って向こうにいても私達の事……忘れないでいてくれたかしら?」

「当たり前だろ?俺達幼馴染みじゃん。悪れるなんて大罪……許されるわけないだろ?幼馴染みとして」

「そうね……それを聞けて安心したわ」

「?」

 

(頑張ってリサ……貴女のその告白……その恋は絶対実る……私がそれを実らせるわ!)

 

友人……幼馴染みの恋が無事実る為に応援する事を私は心の中でそう誓ったのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




次回、リサが動きます。そして物語が動き出します……
お楽しみに!高評価、感想等お待ちしております!


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3話 告白

感想、アンケートありがとうございます!自分まだまだ勉強不足だなという所があるので編集しながら直していきたい限りです!これからもよろしくお願いします!一応3話まではまだ変貌しません(てかしようにも途中結果凄すぎて動けない……)次回話編集する時までに分かればいいけど……!


転校初日の昼休み。俺達3人は屋上でお弁当を食べていた。(ちなみに俺は初日なだけあってお弁当は持って来ず、購買のパンで今日はしのごうと思った。)

 

「そういえば神楽さー、向こうでは何やってたの?」

「……確か、小茂呂高校って数少ない音楽校よね?」

「そうだよ?ギターボーカリスト目指しててさ」

「!!……もしかして……幼稚園の頃言ってた夢?」

「覚えてたんだリサ……そう。今も昔も……あの時俺達3人で見た友希那のお父さん達のバンド…そのギターリストに憧れてさ」

「……私もそれは覚えてるわ……懐かしいわね。あの日3人でバンド組もうって言ってたかしら?」

 

お昼ご飯をたべながら俺達3人はそんな会話を花咲かせていた。俺はあの時……友希那のお父さん達のライブ映像を見て…そのギターリストに俺は心を強く打たれた。

 

「バンドって言えば……友希那達……バンドやってたんだね?」

「実はそーなんだ!アタシと友希那……他の娘3人でやってるの」

「Roselia……それが私達のバンド名よ」

 

2人がバンドを始めた事は高2の頃しった。確か……FWF『フューチャー・ワールド・フェス』…に向けて今も妥協なしの演奏をしてるんだっけ?

 

「改めて昔振り返ると……俺達変わったよな」

「そうだね」

「ええ……」

 

でも……悪い変わり方はしなかった……俺は少なくともそう思う。

 

「そう言えばお父さん達は元気にしてるの?」

「あー……両親は仕事の都合上アメリカに渡米したよ」

「アメリカ?」

「そうそう。親父は考古学の教授、母さんはその助手……そんな中2人とも俺の夢気にかけて故郷(東京)で一人暮らしするようにって」

「そうだったのね……」

「アタシ…神楽のお母さんが作るバタースコッチパイ好きだったな〜」

 

そんな中、リサが俺のお母さんが作るバタースコッチパイの話をした。

 

「アハハ!お母さん程じゃないけど……もし良ければ食べにおいでよ」

「神楽……料理できるの?」

「アタシ初耳!!」

「よく手伝いとかしたし、1人の時が多かったから……」

 

高校の時からかな?1人の時が多くなった時に母さんにレシピとか教えて貰って自分で作るようになった。お弁当も自分で作れるかな?

 

「ねぇねぇ神楽!実はアタシのお弁当……自分で作ったんだ!」

「そーなの?リサも料理できるんだ!」

「ええ、得にリサの作るクッキーは絶品よバンド練習でよくいただくの」

「……でさ、神楽にアタシのお弁当…どれか1つ食べさせて上げる!」

 

リサも料理できたんだ……そういえば昔お母さんのお手伝いでクッキー焼いたってはしゃいでたっけ?

 

(あの時から感ずいてたけど……リサって女子力高いよな〜)

 

そう思っているとリサが自分のお弁当を持って俺にどれを食べたいか見せてくれた。

 

「アタシの自信作はね〜…この卵焼きと鯖の味噌煮!」

「鯖の味噌煮だって!?」

「神楽……昔から鯖の味噌煮好きだったわよね」

「おっ?じゃあ鯖の味噌煮……食べてくれる?」

「是非!……ってそういや俺弁当持ってきてないから箸ないや……」

 

「「あっ……」」

 

んー手で食べるなんて罰当たりな事したくないしな〜……どうしよ?

 

「な、ならさ……アタシが食べさせて上げる!」

「え!?そ、それってつまり……」

「俗にいう……『あ〜ん』ね」

 

(そうですよねぇー!!)

 

「神楽……あ〜ん」

「あ、あ〜……んむっ……!?」

「どう?神楽……美味しい?」

「……美味しい!美味しいよリサ!」

「ふふっ……よかったわねリサ」

「うん!喜んでくれて嬉しいよー♪」

 

(美味しかった!……けどそれ以上にめちゃドキドキしたばい!神様ありがとう!!)

 

俺はそう思いながら密かにガッツポーズを決め、神様に感謝したのだった。

 

キーンコーンカーンコーン♪……

 

お昼を食べら色々と会話に花咲かせていると学校のチャィムが鳴った。

 

「あっ!そういえば今日は新学期初日だから午前中で終わるんだ!」

「確かそうだったわね」

「ねえ友希那?今日何時から練習だっけ?」

「確か……16時から18時までの2時間よ」

 

どうやら今日は午前中で終わるらしい……となると暇だな

 

「ねぇ神楽。もし良かったらアタシ達の練習見にこない?」

「え?」

「そうね……小茂呂校生としての貴方の意見とか聞いて見たいわ」

「2人がそう言うなら……喜んで」

 

俺の午後からの予定がそれなりに決まった。……確かに、正直楽しみかな?

 

(2人とも……どんな演奏するんだろ?)

 

俺は2人の……Roseliaの演奏がどのようなものか早く聞きたい……そう思わずには居られなかった。

 

…………………………

………………

…………

 

「いや〜こうして3人で帰り道歩くのって久しぶりだよな〜」

「そうだね!よく公園で遊んだ時とかアタシ達3人で一緒に帰ってたよね!」

「そうね……そういえば神楽…もしかして家……近所?」

 

俺達3人で昔見たく帰っていると、友希那がそんな事を聞いてきた。

 

「どうしてそう思った?」

 

実際……多分そうだが俺の家はリサ達と近所だ。しかしそう聞かずには居られなかった。

 

「こないだ……お父さんがお萩を貰ったって……誰からって聞いたら同じ歳の男の子だって……って何だか嬉しそうに話してくれたから」

「あ〜…そう言うことか。うん、そうだよ。確かリサん家の向いだよ」

「そーなの!?……ってそうかもね。実はアタシのお母さんもお萩貰ったって言ってたや」

 

いや〜2人の両親……得に友希那のお父さんとは結構話盛り上がったな〜。リサのお母さんとはお茶飲みながら世間話とかしたっけ?

 

「……っと、そうこうしてる内に着いたな」

「そうだね!……ってホントに向いだね」

「これで毎日一緒に登下校できたりするわね」

「そうだね〜!それじゃぁ神楽、時間になったら来るからね!」

「うん、よろしくなリサ」

 

そう言って3人は互いの家へ入って言った。

 

ピロリン♪

 

「ん?リサからだ」

 

ちなみにリサと友希那とは昼休みの時に連絡を交換済みだ。

 

『急で悪いんだけど……昔遊んだ公園に来て』

『了解。着替えたらすぐ行く』

 

トーク画面にはそう送られていた。そして俺はすぐ向かう旨を伝えた。

 

…………………………

………………

 

「お待たせ、リサ」

「神楽……速かったね」

「まあ着替えたらすぐ向かうって言ったしな……それに…」

 

俺はそう言葉をと切らせ、周りを見渡す。

 

「3人で遊んだ思い出の公園の場所……忘れるわけないだろ?」

「!……そうだよね。忘れるわけないもんね!」

「……それでリサ?話って?」

「…………」

 

リサは中々口を開かなかった。

 

「……ねえ、神楽?」

「なに?」

「『あの時の約束』……神楽は覚えてる?」

「!……ああ、覚えてる」

 

そう言うとリサは自分の後髪に手を伸ばし、ゴムを外した。

……そしてその手には……

 

「!!……その髪ゴム……そうか、つけてくれてたんだ」

 

あの時渡した赤いリボンが着いた髪ゴムが……リサのその手には握られていた。

 

「うん……途中ゴムが切れたりして新しいのに変えたけどね」

「そうだったんだ……」

「ねえ神楽……アタシね、ずっと会いたかった……」

「うん……」

「ずっと……ずっとずっと……神楽の事忘れ無かった。会いたかった!そして……会えた!!」

「ああ、……嬉しかったよ正直言って…2人にまたあえて」

 

リサは髪ゴムを握りながら……自分の感情を爆発させていた。……余程会いたかったんだな。

そしてリサは2、3回深呼吸して……

 

「神楽……アタシ…アタシね、ずっと前から神楽の事好きだった!神楽に会えたら付き合おうって思ってた!神楽にこの髪ゴムを貰って励ましてくれた時から……好きだった!」

「!!……リサ……」

「だから……神楽!」

 

リサは更に2、3会話深呼吸して……

 

 

 

「アタシと……付き合ってください」

 

 

 

「……こんな俺で良ければ……喜んで!」

 

こうして俺は転校初日……久しぶりにあった幼馴染みに告白され、恋人となった……。

……そしてこの日から……この時から……リサの様子がおかしくなって行くのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 




感想、高評価等お待ちしております!
アンケートは次回話編集する時に締め切らせて貰います!


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4話 嫉妬そして……

アンケートありがとうございます!今までの中で多い投票吸うで感動しました!今後の進行についてまたアンケート出来ればと思います!
それでは……どうぞ!


……ライブの練習時間となり、俺はもう一度身支度を整え家をでる。

 

(即席で作ったけど……リサ達…喜んでくれるかな?)

 

俺はそう思いながらショルダーバッグの中に即席で作ったある物と麦茶の入った水筒……その他色々を入れ家を出た。

 

「神楽〜!」

 

家を出るとリサが手を振って俺の名前を呼んでくれた。隣には友希那もいる。

 

「お待たせリサ、友希那。2人も今出たとこ?」

「ええ、そうよ」

「うん!……ってあれ?神楽、そのショルダーバッグどうしたの?」

「ん?お楽しみだよ?」

「え〜!気になるじゃんか〜!」

「まあ楽しみにしててよ。……他の3人(・・)も喜んでくれればいいんだけど……」

 

「他の……3人(・・)?」

 

「うん、だって俺以外の3人は初めまして……だろ?リサ達が喜んでくれるとは思うけど……他の3人(・・)はわかんないだろ?」

 

「!……そ、そうだよね!神楽は他の3人とは初めまして…だもんね!アハハハハ……」

 

俺がそう言うとリサはバツ悪そうに笑っていた。

 

(俺の……何かへんなことしたか?)

 

「どんなものかは知らないけど……楽しみにしてるわ神楽」

「おう!絶対喜ぶと思うから楽しみにしてろよ!」

 

「…………」

 

(リサ……もしかして……さっきのことで恥ずかしがってるのか?)

 

……俺は2人と落ち合う前…リサに告白された。正直……嬉しかった。リサが10年も前から俺の事想っていてくれた事が。

 

(だから普通はその後は胸張って俺の彼女だって主張してけばいいと思うんだけど……女の子って難しな)

 

俺はそう思いながら3人と練習場所へと向かった……

 

…………………………

………………

…………

 

着いた場所は『CIRCLE』と呼ばれるライブハウスだ。隣はカフェテラスとなっていて、途中立ち寄って一服するのも悪くない。

 

「へぇ〜…ここがCIRCLEか……」

「神楽はCIRCLE初めて?」

「うん、ネット出よく見かけるよ。ガールズバンドを初めとした色んなバンドが集まる場所……まさに聖地ってわけだ」

「聖地……あながち間違いでは無いかもね」

友希那(・・・)もそう思うでしょ?」

 

友希那(・・・)……も?」

 

「リサ?どうしたの?」

「リサ…?もうすぐすれば練習が始まるわ。そろそろ気持ちを切り替えて頂戴?」

「あっ!ゴメンゴメン……アハハ〜…」

 

(ほんとにリサ……どうしたんだ?)

 

さっきもいきなり黙り混んで……俺は少しリサが心配になってきた。

 

「あっ!友希那さんとリサ姉!お疲れ様ー!」

「お、お疲れ様……です」

「お疲れ様です2人共。そちらの方は?」

 

俺がリサの心配事をしていると……例の3人がCIRCLEに現れた。

 

「紹介するね!彼は大江神楽。長野県小茂呂高等学校から羽丘に転校してきたの!」

「大江神楽だ。宜しく、3人とも」

「よ、宜しく……お願い…します……。え、えと……白金燐子です」

「宇田川あこだよ!宜しくね!神兄(かぐにい)!」

 

(神兄?)

 

「氷川紗夜です。宜しくお願い致します。大江君」

「神楽でいいよ紗夜。燐子もあこも宜しくな」

 

「「「はい!!(はい…!)」」」

 

…………………………

………………

 

互いに自己紹介をした後……俺達6人は練習をするべく、楽器の準備、機材のセッティングをした。

 

改めてパートを紹介すると……友希那がボーカル、リサがベース、紗夜がギター、あこがドラム、燐子がキーボードだ。

 

「ねえ神楽?これから一曲合わせようと思ってるのだけれど…貴方にその後感想を述べて貰うけどいいかしら?」

「俺なんかがいいのか?」

「貴方…だからこそよ?神楽の才能を見込んで頼んでるの……」

 

どうやら友希那は俺の音楽の才能を相当評価してるらしい。

 

(まあ俺も1度友希那とリサ達が奏でる音楽……それがいかなるものか……聞いてみたかった)

 

「いいよ。けどその前に……リサ!」

「どーしたの神楽?」

 

リサは俺に呼ばれるなり、直ぐにベースをベーススタンドに置いて俺の元へ顔を赤くさせながら寄ってきた。

 

「ちょっといいか?」

 

「「??」」

 

…………………………

………………

 

俺はリサを連れてスタジオに繋がる廊下の途中まで来て歩みを止めた。

 

「どうしたの神楽?何かあったの?」

「……リサ…少しだけ……じっとしていてくれ」

「え?それって、どういう……っ!?」

 

リサが言い終わる前に俺はリサを力強く抱き締めた。

 

「ちょっ!?神楽!?」

「…………」

 

(あー…やばい、いい匂いしすぎて目的果たせずにやこっちがパンクしそう)

 

そうなる前に俺はリサに伝えたいことを伝えた。

 

「リサ」

「な、何!?それよりどうしたの神楽!?」

「……とりあえず落ち着け」

「!……うん」

 

俺に抱き締められて少しパニックに陥ってたリサをおちつかせる。

 

「リサ……後悔してるのか?」

「え!?」

「……俺に告白してから……全然落ち着けれてないと思ってな…もしかして……俺に告白したことに対して後悔してるんじゃないかって……」

 

「そ、…そんな事無い!」

 

今も抱かれてるままだが……リサは俺の質問に対してそう答えた。

 

「私……神楽にもっと自分のこと見て欲しくて……でも、その為にどうしたらいいか分かんなくて!気がついたら神楽が皆と仲良くする所見てたら何かぐちゃぐちゃになって……私、私……」

 

遂にリサは俺の胸に顔を押し当て、泣き始めた。

 

「リサ……」

 

知らない内に酷いことをした……何て物じゃない。彼氏として当たり前の事をしてやれなかった自分を殴り飛ばしたかった。

 

「神楽……心配かけてゴメンなさい…でも、私の事をもっと見て……私の事を1番に思って欲しいの!」

「……済まなかった。お前の気持ち……気づけなくて…分かってやれなくて……」

 

だからリサに対してもう幼馴染みではなく、『彼女』として接していこうと誓った。

 

「また……約束になるけど……これからはお前の彼氏として全力を尽くせるように頑張るよ」

「約束……だよ?」

「ああ、だからリサ……これからは俺の彼女として胸張って皆にアピールしてくれよ。そうすれば……お前の彼氏としての実感?ってつかな?それが湧いてくる」

「うん……分かった!約束ね!神楽とアタシの2人だけの約束!破ったら針千本飲んでもらうから!」

「ハハ!望むところだ!」

 

凄い懐かしい約束の仕方を交わし、俺はようやくリサから離れた。

 

「ん〜!見てて神楽!アタシ達のステージを!」

「ああ!見せてくれよリサ!Roseliaのステージを!」

 

そう言葉を交わし俺とリサは手を繋ぎながらスタジオに戻った。

 

…………………………

………………

 

「おっ待たせ〜♪」

「済まない友希那、時間をとらせた」

「大丈夫よ……それより2人とも……」

 

「「どうした?(どうしたの?)」」

 

友希那が訝しむ理由を代わりにこの3人が答えてくれた。

 

「あ、あの……大江さんと今井さん……」

「2人とも……も、もしかして……」

「付き合ってるの!?」

 

「「そうだよ??」」

 

「「「えぇぇ〜〜〜!!!?」」」

 

そのやり取りを見ていた友希那は吹き出して笑っていた。

 

「あれ?友希那驚かないの?」

「ええ…だって2人が付き合うことなんて幼馴染みの私からしたら想像何て容易いものよ?私はただ練習を厳かにしないか少し心配だっただけよ」

 

それを聞いて今度は俺が笑った。隣ではリサがまた顔を赤くしている。

 

「ハハハ!友希那に1本とられたや!でも大丈夫だ!厳かになる様な事はしない……約束するよ」

「ありがとう……そう言って貰えると嬉しいわ」

「うぅ〜……///」

 

なんやかんやでRoseliaの練習がはじまった。予定通り最初に曲を一曲合わせた。

 

「いくわよ……BLACK SHOUT!」

 

〜♪〜♪〜♪

 

「!?」

 

曲が始まってから俺は一瞬にして友希那たちRoseliaの世界に飲み込まれた。

 

「予想以上……だな…これは……」

 

「〜勝ち取れ今直ぐに!」

「「「「「SHOUT!」」」」」

 

……曲が終わって……俺の腕の震えはしばらく止まることはなかった。

 

…………………………

 

「いや〜凄いな……やっぱ直で聞くと迫力が違うな〜」

「ありがとう神楽……それで…どうだった?」

「うん、パート一人一人、しっかり周りを聞けてるし、聞けてるゆえサポートケアも抜かりない。流石だよ……ただ」

 

俺は少し言葉を置いて

 

「もっとこの曲の世界感を理解して演奏できる……俺はそう思ったな」

 

以上だよ?……という表情で友希那に向き直る。

 

「……ありがとう、期待以上だわ。貴方ならマネージャーになっていいサポートが出来そうね」

「アハハありがとうな……って今なんてった?」

 

友希那の言った言葉にリサは目を輝かせていた。

 

「神楽……貴方にはRoseliaのマネージャーになってもらうわ」

「………悪くない…な。よし!その話乗った!」

 

そして俺は今日からRoseliaのマネージャーとなった。

 

…………………………

 

「「わぁ〜!!」」

 

俺の差し入れをみてリサとあこはまるで子供の様に目を輝かせていた。

 

「こ、これは……」

「蜂蜜の塩レモン漬け…ですか?」

「ああ、練習終わりにでもって閃いて即席で作ったんだ」

「水筒に入ってるのは……麦茶ね?リサのクッキーと張り合えるんじゃないかしら?」

「おいおい…そんなつもりは無いって」

「でもリサ姉のクッキーも美味しいんだよ!」

「はい。今井さんのクッキーには練習の意欲を高めてくれる効果があるんですよ?」

 

リサのクッキーそんなに人気なんだ。流石女子力高いだけあるな〜

 

「そうなの?なら今度リサのクッキーご馳走になろっかな?」

「本当に!?」

「ああ、皆がそういうんだ。美味しいに決まってるよ」

「そ、そんなに褒めても何も出ないぞ〜?///」

 

俺がそう言うとリサは照れながらそう言った。

 

(可愛いな…リサ)

 

「そろそろ帰りましょうか」

「そうね。皆、今日練習で指摘された所を各自復習しておくのよ」

「「「「了解ー!(了解です)(了解です!)(はい…)」」」」

「神楽」

「ん?」

「次からは宜しくね」

「ああ、了解した」

 

次の練習からは俺もRoseliaの一員として練習に参加する。

 

(よーし!気張ってくぞ!)

 

心の中でそう、誓いをたてたのだった……

 

…………………………

………………

…………

 

〜リサside〜

 

「それじゃあ2人とも、また明日!」

「ええ、また明日」

「また明日な2人とも」

 

そう言って私達はそれぞれの家へ入っていった……

 

「ただいま〜」

 

アタシはそう言って上がり、自分の部屋へはいっていった。

 

「…………」

 

私は部屋に入るなり、カーテンを閉め、ベースやれ荷物やらを決めた場所に置き、ベッドに仰向けになる。

 

「…………ふっ…ふふふ…ふふふふふっ」

「アッハハハハハハハハハ!!」

 

私は部屋中に響きわたるのお構い無しに高笑いを上げた。そして自分の腕…胸など、あの時(・・・)神楽に触れた所を全てさすりながら悶えた。

 

「ああぁ…神楽に抱きしめられた♡神楽に触られた♡嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい♡身体全てで神楽を感じられたよぉ♡」

 

そして遂には服や身体中の匂いをかいだ。

 

「ん〜…私の匂いが強いけどぉ♡微かに神楽の匂いがする♡

当分洗濯したくないなぁ…♡」

 

今日からグッとタイミングで両親はしばらく新婚旅行でいない。何てタイミングだろう……♡

 

「あぁ…神楽♡私だけの神楽♡神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽ぁ♡神楽は私だけの物♡誰にも渡さない♡だってぇ……」

 

一呼吸置いて……

 

「私は神楽の……彼女だもん♡」

 

私の心は……神楽のお陰(せい)で……崩壊寸前だった……

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 




……ラスト…いよいよリサが変わり始めました。どんな結末が待っているのか……お楽しみに!

また新たにアンケート作りますので宜しくお願い致します!高評価、感想等宜しくお願いします!

それではまた次回お会いしましょう!


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5話 溺愛

前回のアンケートありがとうございます!今回からリサのヤンデレ進行速度を最後辺りに書きたいと思います!ガイドラインに乗っ取って精一杯頑張りたいと思います!
それでは……どうぞ!


〜リサside〜

 

「ん……?」

 

目を開くとそこは私の部屋……ではなく、とても暗い…暗い場所だった。

 

「なんだか……怖い……」

 

「怖い…怖いわよねぇ…♡」

 

「!?」

 

振り返って見ると……そこにはもう1人(・・・・)のアタシがいた。

……しかし彼女の目のハイライトはoffになっている。…そればかりか何かドス黒いオーラを纏っている様に見えた。

 

「あ、貴女は誰?」

「アタシは貴女♡貴女自身よ♡」

「え!?」

 

私は耳を疑った。

 

(嘘……そんな事…有り得ない……)

 

「有り得るんだよ♡」

「!?」

 

(嘘!?アタシの思ってる事……わかるの!?)

 

「言ったでしょ?アタシは貴女自身♡貴女の思ってる事なんて、造作もなく分かるわ♡」

「そ、そんな……」

「理解出来ないかもだけど…ホントのことだよ?貴女に()に対する溺愛の感情がある限りアタシは存在するの♡」

 

言ってることがイマイチ分からないけど……

 

「つまり……貴女はアタシの溺愛?の感情を濃く持ったアタシってことかな?」

「そーゆーこと!」

「それで……どうしてアタシの夢の中に?」

「え〜とね〜……」

 

もう1人のアタシはわざとらしく考えてる仕草を見せて……

 

「貴女……このままだと神楽取られちゃうよ?」

「……え?」

 

何をいいだすの?……そんな事……

 

「……そんな事嘘に決まってるじゃん!だって、アタシは神楽の彼女なんだよ?神楽はアタシだけのものなの!誰にも渡さないって……誓ったんだから!」

 

そう、アタシは誓った……神楽の彼女として胸張って生きてくって、自分だけの物だって主張できるようになるって。

 

「残念だけどその誓いは呆気なく崩れるわ♡」

「そ、そんな事ない!アタシと神楽で交わした誓い……そう簡単に崩れないんだから!」

 

誰になんと言われようと、それだけは譲れなかった。

 

「そうね……でもいつか必ずその日は訪れる♡彼と接した事のある女は得に…ね♡」

「!?……そ、それって……」

 

(嘘だ…だってそんな事起きたとしてもRoseliaの皆はそう言う事をしない。)

 

「時には……白金燐子。彼女の魅力的な身体付きで彼なんか一瞬ね♡」

「!!」

「時には……宇田川あこ。……弟、妹のいない彼には恋しい存在かもしれない♡」

「……やめて」

「また時には……氷川紗夜。彼女みたいな純粋で自分に厳しい人を神楽は欲してるかも知れない……」

「やめて!」

「そして……」

 

私が止めようとしても彼女は止まらなかった……

 

「湊友希那……貴女と彼の幼馴染みだからこそ、貴女と同じくらい彼の事を好いてる」

 

「やめて!!」

 

こんなの……デタラメだ。嘘に決まってる……

 

「はぁ、はぁ、はあ……」

「彼女達だけじゃないわ♡貴女の知人とかだって…もしかしたら彼の事を好きになって、貴女から奪うかも知れない♡」

「もうやめてって言ってるでしょ!?そんなデタラメ言って…貴女はなにがしたいの!?」

 

神楽が…アタシの彼氏が……他の女に取られる何て……絶対にあってはならないのに……

 

「そう♡絶対にあってはならないわ♡だから貴女に素晴らしい提案をしてあげる♡」

「提案……?」

 

「そう♡彼を取られたくなかったら……周りの女を消せばいいのよ♡」

「!!?」

 

消す……消すって……

 

「友希那達を……こ、殺すって事?」

「そう♡確かに貴女は誰よりも彼の事を好いてる♡愛している♡……けど」

 

彼女は一息置いて……

 

「今のままだと他の女に必ず取られてしまう…♡」

 

ドクンッ!

 

「!?」

 

(な、何?……今の?)

 

もう一度……彼女に同じ事を言われた瞬間、アタシの何かが揺らいだ。

 

「だから貴女はもっと彼に好かれる努力をしなければ行けない」

 

ドクンッ!

 

「でも彼女達が貴女の努力の邪魔をする♡」

 

ドクンッ!

 

「はぁ…はぁ……」

 

「邪魔で邪魔で仕方なくて……遂に貴女は……」

 

ドクンッドクンッ!

 

「決断するの♡邪魔な彼女達を殺そうって♡」

 

「!!?」

 

や、やめて……

 

「私の恋の邪魔する女は……皆敵♡敵ならどんな手を使ってでも殺す♡」

 

ドクンッドクンッドクンッ!

 

私にこれ以上……変な感情を吹き込まないで!

 

「例えそれが知人だろうとRoseliaだろうと」

 

ドクンッドクンッドクンッドクンッ!

 

「湊友希那であろうと……♡」

 

「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

…………………………

………………

…………

 

「んはっ!?」

 

目が覚めるとそこは何時ものアタシの部屋だった……

 

(もしかして……さっきのは夢?)

 

そう……夢だ。悪い夢をみたに違いない…そう思ってると自然と笑いが込み上げてきた。

 

「あ、アハハ……冗談キツイって……っ!?」

 

お腹辺りに何か違和感ある痛みを感じたアタシはお腹周りに手をあててみた……

 

べちゃぁ………

 

「!!?」

 

「な、何……これ……」

 

腹部に触れた瞬間……異様な音がしてアタシは触れた手を見た……

 

……そしてその手はアタシの血で真っ赤に染まっていた。

 

「い、いや……いやぁぁぁぁ!!…っ!?ゴフッ!?」

 

叫んでしまったからだろう。口からも血が吹き出てきた。

 

「ゴフッ!!…い、いやぁぁ!!い、痛い!痛い!!だ、誰か……助けて…!!」

 

(い、痛いよぉ……!だ、誰がこんな事……!?)

 

周りを見るとベッドのすぐ横にもう1人のアタシが……

 

『血塗れ』になった包丁を握って驚いた表情でこちらを見ていた……

 

「ど、どお……し…て……」

 

もう1人のアタシは悲しそうな顔で包丁を振りかざした。そして……

 

「……ごめんなさい…もう1人のアタシ……」

 

ザクッ!!…ぶしゃァァァァ!!

 

「あっ……がっ…………」

 

ドシャッ!!

 

勢いよく包丁で切りつけられたアタシは大量の血を吹き出しベッドから崩れ落ちた……

 

……そしてアタシはもう二度と立ち上がることも、意識を取り戻すこともなかった……

 

…………………………

………………

…………

 

「んはッ!?」

 

……さっきと同じ、アタシと同じ部屋で目が覚めた。

 

そしてアタシは身体中汗を大量に流していた。

 

「さっきのも……夢なの?それとも……何なの……」

 

『夢なんかじゃないわ♡』

 

「!?」

 

頭の中からもう1人のアタシの声が聞こえた。

 

『自分の今握ってる方の手をみてご覧なさい♡』

「手?……!!?」

 

いつの間にか私の手には『血のついた』包丁が握られていた……

 

「そんなっ!?……ど、どうして……」

 

(なにが起こったの?どうしてアタシが…コレを?)

 

『貴女は貴女自らの意思で貴女の本心を殺したの♡』

 

「本…心……?」

 

『そう♡そして本心を殺したという事は……』

 

『彼を溺愛するケツイが出来た……という事よ♡』

 

「!!!?」

 

ドクンッ!!

 

……ああ、なるほど……そう言う事だったんだ……

 

『これで分かったでしょ?彼との愛を邪魔する奴は誰であろうと殺さなきゃいけない♡彼を溺愛するなら……彼にまとわりつく敵を葬らなければいけない♡』

 

アタシは……

 

「……アタシは今井リサ♡神楽の彼女♡神楽を溺愛していいのはアタシだけ♡神楽はアタシだけのものなの♡」

 

『そう…それでいいのよ♡アタシ♡』

 

「アタシと神楽の恋の邪魔する奴は全員殺す♡周りにいるヤツら全員♡殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す♡」

 

……アタシはもう既に…壊れてるんだ。あの瞬間から……もう、『あの今井リサ』はもういない……

 

「ふっ……ふふふっ♡……ふふふふふっ♡」

 

アタシは包丁に付いた自分の血を舐めた……

 

(あぁ♡美味しい♡)

 

 

『アハハハハ♡アーッハッハッハッハッハッハ!!♡』

 

 

神楽♡……こんなアタシでも……

 

 

 

 

愛して……くれるよね?♡

 

 

 

 

 

今井リサ:ヤンデレLv0→Lv3

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤンデレLv0からスタートし、3にUP……この先どうなるんでしょうかね……お楽しみに!
高評価、感想等お願いします!


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BAD 6話 愛し過ぎ?

アンケートありがとうございます!アンケートの結果、本編はルートストーリー&ルートEND形式で投稿します!まずはBADストーリーから……!果たして結末はハッピー?トゥルー?BAD?お楽しみに!
それでは……どうぞ!


「神〜楽♪」

「Zzz……」

 

「神楽〜?」

 

ユサユサッ

 

「Zzz……」

「んもうっ!神楽ってばー!」

 

バシィッ!!

 

「うぅああぁぁ!?」

 

全く……誰だよ、人の癒しの一時を破壊した奴!

 

「全く!誰だぁ?朝っぱらから俺を叩き起す…奴……え?」

「オハヨー神楽♪早く起きないと学校遅刻しちゃうぞ♪」

「え……リサ……?」

「そーだよぉ〜♪神楽の愛しのリサだよ〜♪」

 

(え?……なんでそんなリサが俺の部屋に?なにこれ?どゆこと?)

 

まず、昨日の晩辺りから記憶を遡らせよう。

まず、夕方……練習帰りで荷物を下ろし、夕飯の買い出しへスーパーへ→帰宅→夕飯の支度(ちなみに昨日の夕飯は蕎麦にキュウリの浅漬け)→風呂沸かす→暇つぶし(主にゲームしたりアニメみたりだ)→風呂に入る→歯を磨く→明日の準備→寝る

振り返ってもリサが家に上がって来るような出来事は思い当たらなかった。……となると

 

「……なぁリサ。何時俺ん家に来た?」

「神楽ん家の電気が全部消えた後だよ〜♪ん〜大体深夜0時過ぎかな?」

「どうやって?」

「玄関の鍵空いてたよ〜♪無防備すぎるな〜神楽ったら♪」

「……迂闊だった」

 

……やはり…か

 

「んで、何しに家に来たのかな?」

「神楽と一緒に寝たかった!」

「今更だが……両親は?」

「昨日から旅行にいったよ!1週間は帰ってこないんだ〜♪」

 

こうして聞いてると頭を抱えたくなる程の身勝手さだ。両親が居ないからといってもやっていい事に限度がある。

 

(それに両親がそんな娘の姿みたら泣くでしょうに……)

 

「なあリサ……別に家に上がるなとはいって無いけどさ……連絡くらい寄越してくれれば良かったんじゃないか?」

「だって!神楽に会いたくていても立っても居られなかったんだもん!」

「だもんってなぁ……俺だから良かったけど…1歩間違えたら犯罪だぞ?」

 

そこは彼氏である俺がどうにかすべき……と思った瞬間……

 

「犯罪じゃないもん!!」

 

ガシィッ!!

 

「リ…サ…ッ!?グッ……ぐるじぃ……ッ!?」

 

リサの目には光が灯ってなかった……それどころかドス黒い怒りのオーラがリサの身体を纏わせていた。

 

「アタシの愛は神楽の為にあるの♡こんなに愛情ある行動してるのに…ドウシテワカラナイノ?」

 

ググググ…ッ!

 

「あっ…が……リ…サ……!」

 

リサは更に俺の首を絞める力を強めた。引き剥がそうにも力が強過ぎて剥がせない。

 

(てか…ヤバい!?このままだと!)

 

「アタシの愛を理解出来ない神楽には……」

 

ググググググッ!!

 

(ヤバい!?ほ、ホントに!!)

 

「リ……サ……」

 

「お仕置きが必要だね♡」

 

「……ッ!!」

 

……そして俺は奈落のように深い闇へと意識を手放そう(・・・・)としていた。…………………………

 

…………………………

 

「……っん?」

「神楽!!」

「わっ!?り、リサ?」

 

(嘘……だろ?生きてる……?)

 

何が何だか分からなかった……。俺は確かにリサに首を締められ窒息死した……筈だ。

 

「ごめんなさい!アタシ……ついカッとなっちゃって……神楽が何も喋らなくなった時に我に返って……ほんとにごめんなさい!!」

「そう…だったのか……ッ!?」

「だ、大丈夫!?」

「大丈夫……っ!」

 

首に物凄い激痛が走る……どうやら首を締められたのは本当らしい。

……だとすると……偶然死を免れた?

 

(意識を手放す感覚すらあったのに……今も首に激痛が残ってる……)

 

俗にいう『死に戻り』……と言うやつだろうか?しかし死に戻りなら時間すら戻ってる筈…そして何より死んだ事は記憶にあっても死んでなかった事にされるんだから……死に戻りとは違う現象…という訳だ。

 

「……ッ!?まさか……」

 

死に戻りでない……となると俺はある仮説にたどり着いた。

 

「どうしたの?神楽?まだ痛む……?」

「ん?あ、あぁ!大丈夫大丈夫!……それよりリサ」

「何?」

 

俺はリサを刺激させないように話しかける。

 

「リサ……さっきはスマン…お前の気持ち…分かってやれなかった」

「っ!?い、いいのいいの!アタシ達まだ付き合って1日しか経ってないのよ!?」

 

……逆に言えば付き合って2日目の朝に俺は彼女に殺された(かけた?)のだ。

 

「そうか……でもリサ。やっぱり互いの意思とかは尊重し合おう。会いに来る分にはいいけど……連絡してくれると助かる事とかあるからさ」

「うん……わかった……」

 

時計を見ると7時30分を刺していた。そろそろ友希那も家を出るはずだ。

 

「やば!急がないとな!行くぞリサ!」

「うん!」

 

俺は急いで制服に着替えてリサと家を出た。(ちなみにリサは俺が起きる前に一旦家に返って着替えていたらしい。…通りで制服姿のわけだ)

 

…………………………

………………

…………

 

俺が家を出ると、既にリサは友希那と合流していた。

 

「あら、おはよう神楽。遅かったわね……」

「ああ、おはよう友希那。……朝は弱くてな…眠い」

「も〜!そうやって寝ないの神楽!ほらっ!」

 

ムニュッ!

 

「んな!?り、リリリサ!?」

「……リサ…凄い大胆ね……」

 

何が起きたのか……歩きながら寝ようとしていた俺の腕に抱きついて来たのだ。リサが抱きついて来るなんて……幼稚園以来だ。しかし、園児の時と今とじゃ明らかに身体付きが違う……よって今俺の右腕にリサの成長中の2つの果実(・・・・・)が当たっていた。

 

「り、リサ!あ、当たってる……」

「目……さめた?」

「さ、さめた!さめたから!誰かに見られると色々不味い!」

「む〜!もうちょっと悪ノリしてもいいのにな~」

「限度があるでしょうが!」

「ふふっ……嬉しそうね、神楽」

「友希那……フォローしてくれたっていいのに……」

「だ〜め!神楽はアタシのなんだから!友希那にはあげないんだからね!」

「分かってるわよ……」

 

リサはそう言ってるが……何処まで本気なのだろうか?さっきの事もあるし……

 

(まあこれがリサが見せる愛の形なら……止めなくてもいいよな)

 

……この考えが、後に自分を絶望のどん底へ落とす事になるとは……今の俺には予期すらしていなかった……。

 

…………………………

 

〜友希那side〜

 

……リサの様子がおかしい……私がそう思ったのは昨日バンド練習の時からだ。多分だけれど、あの時のリサは神楽にもっと自分を見て欲しい

……そう思うがあまりの過剰的な反応……に見えた。そしてそれは『BLACK SHOUT!』を演奏する前にはいつも通り(?)のリサに戻っていた。

 

……そう、思っていた。

 

『アッハハハハハハハハハハ!!♡』

 

練習が終わって自分の部屋に戻った私の耳に聞こえたのはリサの笑い声……ただの笑い声ではない。あれは……狂気に満ちたそれだった。私は気味が悪くなってリサに電話をした。

 

最初はなんの変わりのない世間話が続いた。しかし……話題が神楽の事になると……

 

『神楽って…その、以外と女子力あるよね!』

『神楽のギターテクと歌声…聞いてみたいなぁ〜♪』

 

最初はそんな感じだった。しかし……

 

『神楽に抱き締められた時にいい香りがしたんだよ~♡あれは林檎の香りだったな〜♡』

『神楽をもっと感じたいから……当分服とか洗わないでもいいよね……♡』

 

次第に一線を超えた発言が増え……仕舞いには

 

『神楽はアタシのモノだからね♡』

『他の女なんかに渡さないんだから♡』

『神楽に手出したら…友希那でも許さないから♡』

 

……身も毛もよだつってこう言うことだろう。電話を切った後……しばらく震えが止まらなかった。

 

「もう……手遅れかもしれない……」

 

このままだと神楽だけじゃない。……他の皆が傷ついてしまう。

 

 

 

「……リサを……救いたい」

 

 

 

そう私は誓うのだった……

 

 

リサ:ヤンデレLv Lv3→Lv4

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 




友希那が動き出します……果たして救えるのか……お楽しみに!
高評価、感想等よろしくお願いします!


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BAD 7話 6つの魂

前回死に目を味わった神楽君だが……今回は神楽の能力的な話メインになります!ん?リサ?リサは今回は休み……な訳ないんだよなぁ~……
お楽しみに!
それでは……どうぞ!



転校2日目は何事もなく、放課後……俺はRoseliaのマネージャーとしてCIRCLEで5人と練習をしていた……のだが

 

「……なぁリサ?そろそろ練習再開しようぜ?」

「ん〜♡もうちょっとぉ♡もうちょっとだけこのままでいさせて~♡」

 

ムニュッ♡スリスリ♡

 

……とこの様に一通り合わせて気になる所を攫いながら練習していて今は休憩中なのだが……練習再開時間になってもリサは俺に抱きつき甘々の甘えん坊状態となっているのだった。

 

「今井さん、そろそろ練習再開しますよ。大江君が困ってます」

「いいじゃんかぁ〜♡もうちょっとでアタシの神楽エネルギーが満タンになるから〜♡ね?もう少しだけ……」

「リサ。神楽とイチャイチャするなとは言わないわ。けど……今日CIRCLEに来てからこれで何回目よ……これじゃあ練習にもならないじゃない」

 

(……てか神楽エネルギーって何だよ……リサ、お前はロボか何かか?)

 

友希那のゆう通り、リサは今日CIRCLEに来てから、正確にはCIRCLEに向かう道中もこんな事をしていた。……流石にしんどくなるぞ……。

 

「い、今井さん…そ、そろそろ練習再開しましょう……次のライブまで時間が…ないです」

「そーだよぉリサ姉〜!早く練習再開しよ~よぉ~」

チッ……もぉ〜皆揃って~♡羨ましいの?でもダメだからね〜♡神楽はアタシのなんだから!」

 

俺抱きつかれてるから聞こえたのだが、今彼女舌打ちしましたよ?俺の彼女が?流石にそろそろ危ない……が、俺とて俺もリサの彼氏としてそろそろ注意してやらないとな。

 

「リサ……もういいだろ?流石にくっつき過ぎだ。これじゃあ練習にもならない。練習再開するぞ……聞けないなら当分1週間くっつくの禁止だ」

「も〜!神楽までそれ言うの?……しょうがないな〜♡分かったよ♡ごめんね皆!練習再開しよっか♪」

 

そう言ってようやくリサは俺から離れ、5人は練習を再開した。

 

神楽……後でお仕置き……だね♪

「?」

 

リサが小声で何か言っていたが……聞き取れなかった……

 

……無事練習は終わり、各々家へ帰宅した。……しかし俺はリサに捕まり、リサの家にて「彼氏の自覚をもっと持ってもらう」と言って俺を連行して色々危ない?説教&お仕置をかれこれ2時間以上されたのだった……。

 

…………………………

………………

…………

 

「おはよ~」

 

転校3日目。何気なく普通に挨拶をして入るとクラスメイトの女子生徒が俺に歩み寄ってきた。友希那と同じ銀髪ロングでエメラルド色の瞳の娘だ。

 

「お、おはようございます大江君…!」

「おはよう。えっと…確か南雲エミさんだっけ?」

「は、はい!じ、実は大江君に話があって……今お時間大丈夫ですか?」

 

俺は周りを見てリサが居ないことを確認する。彼女は日直で早めに登校していた。

 

「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」

「あ、あの……ここでは話ズラいので屋上でもいいですか……?」

「うん、いいよ。荷物置いてくるね」

 

そう言って俺は自分の席に荷物を置きエミと屋上へ向かった。

 

…………………………

………………

 

「それで…話って?」

「はい……えっと……///」

 

屋上に着いた俺はエミに本題を聞く。何故か彼女は恥ずかしがって本題に入らない。

 

「じ、実は……っ」

 

彼女はそう言って一言置いて……

 

「あ、あの!私!大江君の事が好きです!付き合ってください!」

「……」

 

話しずらさからして予期はしていた。その為答えるのは割と簡単だった。

 

「……ごめん。俺はリサと付き合ってる。君と付き合う事は出来ない」

「ッ!!……そ、そうだったんですね……リサと付き合ってるんですね」

「……ん?その言い方……もしかしてリサと知り合い?」

 

リサの事を今井さんと言わない辺り彼女とリサは何かしらの縁があると言う事。

 

「は、はい……私、リサと中学からの友達で……」

 

やはりそうだった。服装から見た感じギャル友…って感じだろう。

 

「そっか……なら1つ忠告」

「忠告……?」

 

そう言って俺はエミに歩み寄り……

 

「この事はリサには言わない方がいい。俺はリサと付き合ってるけどそれ以前に幼馴染だから言わせてもらう。……今の彼女は危険だ」

「っ!?」

 

そう言って俺は離れ屋上を去ろうとした。そして……

 

「振っちゃったけど……もし君が良ければ……リサのよしみで友達としてなら歓迎するよ」

 

そう言い残して屋上を去った……

 

……………………………

………………

 

〜リサside〜

 

「?あれって……神楽?隣にいるのは……エミ?」

 

日直の書類を取りに職員室へ行ってたアタシは偶然教室の廊下で神楽とエミが歩いてる姿を見かけた。

 

(……何だか…嫌な予感がする)

 

そう思いアタシは2人を尾行した。

 

…………………………

 

(屋上……?何の用でここに……?)

 

アタシは気になり屋上の扉を少し開け覗いた……

 

「私……!大江君の事が好きです!」

 

「……え?」

 

ドクンッ!

 

(え、エミ……?嘘でしょ……どおして……)

 

エミの告白を聞いたアタシの何かが激しく揺らいだ。

 

(……友達だったのに……エミはアタシが付き合ってるって知らなかったの……?)

 

そして次第に……

 

「友達だったのに……なんで?信じてたのに……」

 

「許さない……」

 

「許さない許さない許さない許さない許さない!!」

 

アタシはエミに対する怒り……否、通り越して殺意が芽生えた。

……気づいたらアタシは不敵な笑みを浮かべて教室へ歩いていた…。

 

「神楽に手を出したエミを裁かないとね♡」

 

…………………………

………………

…………

 

コンコンッ

 

「は〜い♪」

 

保健室の扉をノックすると、これまた陽気でゆったりとした声が聞えた。

 

「3-Aの大江神楽です」

「あっ!大江君〜♪入って入って~♪」

 

入室の許可をもらい俺は中にはいる。目の前には若い女性の保健室の先生……弥生サクラがいた。

見た目の年齢は20代半ばくらいだろうか?椅子に座っているが背丈は友希那達とそう変わらない。薄ピンク色のウェーブロング、薄紫色の瞳……おっとりとした顔立ちが印象的だ。そして……

 

(……大きいな(・・・・)

 

Roseliaの燐子と同じ……いや、それ以上だろうか?初対面の男子生徒を虜にする程の大きさだ。(何がとは言わない)

 

「も〜、ジロジロ何見てるのかな〜?」

「っ!すみません……流石の俺でも先生の魅力に多少なりとも惹かれてしまいました」

「ふ〜ん?やっぱり年頃の男の子だね〜♪」

「からかわないで下さい……」

「冗談だよ、じょーだん♪」

 

怪しまれない様に素直に答えたが……逆に思う壷……だったらしい。

 

「それより……どうして俺の名前を?初対面の筈ですが?」

「あっ?言ってなかったっけ?ねねちとは昔からのよしみでね〜♪君の事はねねちからきいてるよ〜♪」

「ねねち……音々先生の事……ですか?」

 

この人はどおやら音々先生と昔ながらの仲らしい。

 

「そ〜だよ〜♪じゃあ私の自己紹介も済んだことだし、そろそろ本題に入ろっか♪んで……神楽君は今日はどうしたのかな?」

 

今日俺は先日起きた現象……リサに首を締められ殺された筈が生きてる……つまり殺された筈が運良く(?)生きてることに関してある仮説というか理論に辿り着いた。風の噂で生物の死について独学で研究している先生……弥生サクラ先生の話を聞き、ここに訪れた。

 

「はい。……実は風の噂で先生は死について色々研究なさってると聞いたので」

「そ〜だよ~♪」

「そして先生にはその関連で幾つか聞きたいことがありましてここに来ました」

「そーなんだね〜♪じゃあ何について聞きたいのかな?聞かせて聞かせて♪」

 

おっとりとした口調で聞いて来た為俺はそれに習い本題に入る事にした。

 

「先生は死に戻り……って聞いた事あります?」

「死に戻り?確か死をトリガーに起こる現象だよね?何らかの要因で自らが死ぬとその死亡フラグが建つ前の時間まで遡ってその時間に居た場所で蘇る……いえ、あれは目覚めるって言った方が正しいかしら?」

「はい。それであってるはずです」

「?はずですって事は……大江君が聞きたいのは死に戻り以外(・・)の死に関する現象を私が知ってるか聞きたいってこと?」

 

……流石伊達にそれに関する研究をしているだけはあると正直に思った。

 

「その通りです。俺が知りたいのは…何らかの要因で死んだ筈が運良くその死を免れた現象について何か知ってたらと」

「……ん〜死を免れた、ねぇ〜もしかしてそれって経験談?」

「……申し訳無いですが、オフレコでお願いします」

「分かってるって〜♪こう見えて私は元警察の出だからね〜口は硬いよ~」

「ありがとうございます。実は……」

 

(以外だな……サクラ先生が元警官だったなんて。人はやっぱ見かけに寄らないな~)

 

そう思い俺はサクラ先生にあの事を話した。

 

「なるほどねぇ……つまり明らかに彼女に絞め殺された筈の君は生きていた……実に興味深いね〜♪」

「はい……あの時意識を手放した感覚すらあったのに…生きてる……まるで自分の中にある魂か何か(・・・・・・・・・・・)が身代わりになってくれたみたいな感じで……」

 

そう言うとサクラ先生は何か思い当たる事を思い出したかのような顔をした。

 

「多分……君の中には複数(・・)の魂が宿ってるんだろうね~♪」

「複数の魂……ですか?」

「うん、そしてこれを『不死の加護』って言うんだ」

「不死の加護……」

「そうだよ~♪けど不死の加護と死に戻りの違いは死をトリガーにする死に戻りに対して不死の加護は死が確定(・・)しないと発動しないの」

 

違いがあまり分からない……それが素直な感想だった。

 

「確定…というより死ぬ直前かな?生物は死ぬち直前ドーパミンという快楽ホルモンを分泌して死へのストレスを和らげてくれるの。故に不死の加護はそのドーパミンが一定量分泌されないと発動しないの」

「な、なるほど……」

「後不死の加護は発動回数があるの。その発動回数を超えると二度と発動しなくなる」

 

凄い重要な話なのに俺は理解が追いつかなかった。

 

「その……発動回数ってのはどのようにわかるんですか?」

「霊感が強い人、または霊が見える人しか分からないわ」

「そ、そんな……」

 

発動回数がわかなければ自分がいつ本当の死を迎えるのか分からないという事だ。それが恐らく死に戻りとの大きな違いだろう。

 

「安心して。私生まれた頃から見えるから……霊」

「!?」

 

(もう……この人なんでもアリだな。)

 

元警官、死に関する知識あり、霊が見える……ほんとになんでもアリだ

 

「そうね……」

 

サクラ先生がジーッとコチラを見詰めて来た。恐らく発動回数を知るためだろう。

 

「大江君は後5回(・・)不死の加護が発動するわ」

「5回ですか……」

「以外と多い方だよ?逆に発動回数が多過ぎると逆に呪われたりするからね♪」

「……まあでも、安心しました。自分の事についてよく分かりましたよ」

 

最後まで聞いて来たが頭が上がらないなと思った。……実に感謝し切れない先生だ。

 

「お礼はいいよ~♪また何かあったら何時でもおいで~♪出来れば私保健室の先生だから怪我の手当目当てでね〜♪」

「分かりました。色々ありがとうございます。サクラ先生」

「お大事に~♪」

 

サクラ先生に見送られながら俺は保健室を出た。

 

…………………………

………………

 

「……さてと」

 

俺は学校を出てしばらく歩いて立ち止まった。

 

(サクラ先生の話を聞いて分かったことは……俺には6つの魂が宿ってるって事。っと言ってもうち1つは俺の命そのものだけど)

 

「待ってろよリサ」

 

そして先生の話を聞いて俺はケツイした。

 

「この命尽きるまでにお前を必ず幸せにしてみせるからな」

 

俺はオレンジ色に輝く陽だまりの太陽にそう誓った。……

 

…………………………

………………

…………

 

……日が沈んで満月輝く夜……時刻は今日が終わる間近の時……

 

「ハァ、ハァ、ハァ……!」

 

銀髪ロングの彼女は暗闇の夜道をひたすら逃げていた(・・・・・)

彼女のエメラルド色の瞳は一種の恐怖に怯えていた。

 

「ハァ…ハァ…ハァ……!」

 

気づいたら彼女はとある街の裏路地まで逃げていた。

 

「やっと追いついた♪」

「!!?」

 

彼女が振り向くとそこには栗色のロングウェーブの彼女が暗闇から現れた。彼女の右手には銀色に煌めく刃物を握っていた。

 

「ねぇ?何でアタシからにげるの?エミ?アタシはエミと話がしたいだけなのに」

「だ、…だったらその刃物持って追いかけなくてもいいんじゃない?リサ」

 

エミはそう言って追いかけてきたリサにそう言った。……しかしエミの声は恐怖で震えていた。

 

「アハハハハ!エミっておかしな事言うね!何でこうなってるかは分かってるクセに」

 

そう言ってリサはエミに1歩1歩歩み寄る……。

 

「や、やめてリサ……朝の事は悪かったから!もう大江君とは関わらないから!」

「うん♪そうしてくれると嬉しいな♡でもエミはもう二度と関わらなくていいの!」

 

さらに1歩歩み寄り、エミを突き飛ばす……。

 

「キャアッ!!」

「だってこれからエミは死ぬんだから♡」

「!!?や、やめて……」

 

リサはそう言いながら刃物を舐めエミに馬乗りになる。

 

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!許してリサ!……ッ!だ、誰か助けて!!」

 

「うっさい」

 

グサッ!!

 

「!!?ッカハッ!!」

 

「神楽はアタシだけのもの神楽に手出しする奴は殺す。誰であろうと、エミであろうと」

 

グサッ!!グサッ!!グサッ!!グサッ!!

 

「リ……サ……」

「エミがいけないんだよ……アタシの神楽に手出しするからこうなるの?」

「…………」

 

エミはこれ以上何も言わなくなった……エメラルド色の瞳から涙を流して……

 

「うふふふふっ!アハハハハハ!!」

 

ペロリッ

 

エミの血が付いた刃物を舐め狂気の笑みを浮かべるリサ。

 

「ああ♡美味しい♡」

 

「これも全部……ぜ〜んぶ♡」

 

 

 

 

「神楽の為だよ♡」

 

リサはそう言ってもう一度、刃物を舐めた……。

 

 

リサ:ヤンデレLv Lv4→Lv5

 

 

 

 

 

~END~




次回もお楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております!


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BAD 8話 準備

ギャル友を1人殺めたリサ……それに気づかない神楽達クラスメイト……今回は友希那目線メインでストーリーを進めます!
当然(?)リサも変わっていきます……
それでは……どうぞ!!


……『悲報』『凶報』といった知らせは何時知らされるか分からない。

明日かもしれないし……今日かもしれない……

 

「え〜……皆さんに悲しいお知らせがあります」

 

 

 

「南雲エミさんが街の裏路地で刃物に刺され亡くなりました……」

 

 

 

「「!!??」」

 

エミが何者かに殺害されたという知らせはクラスメイト全員をざわつかせた……

 

「そんな!?……エミ…どぉして……!」

 

その中でも、リサは特に悲しんで(・・・・)いた。それもそうだ。古い付き合いだった彼女が死んでしまったのだから……。

 

「…………」

 

しかしただ1人……彼女の状態を見て、警戒心を強くしてこちらを見ている女子生徒がいた……

 

…………………………

………………

…………

 

~友希那side~

 

「…………」

 

私は屋上で途中自販機で買ったカフェオレを手に、そしてフェンスに背中を預けて空を見上げた。

 

「…………」

 

(……雲ひとつない青空……のはずなのに……)

 

今日は快晴……の、ハズ……しかし友希那にはその快晴の空は曇り空(・・・)にしか見えなかった。

 

(私の心の中……曇ってるのね?……きっと……)

 

「…………ふぅ…」

「や〜っぱりここに居たか」

「!……神楽」

 

カフェオレを一口のみ一息ついてると、屋上の扉が開いた。そして神楽がコチラに向かって歩いて来た。

 

「……隣、いいか?」

「え、ええ…でもリサが怒らない?」

「ん?大丈夫だよ。リサには次のライブで友希那と話し合いたいって納得させたから」

 

「納得させるのに時間かかったけど」っとため息混じりでその後こう言った彼に私は苦笑いで答えた。

 

「ねえ神楽」

「なに?」

「貴方は今……幸せ?」

「…………」

 

神楽は直ぐに答えなかった。そして彼は手に持っていた缶コーヒーを一口飲んで、ようやく口を開いた。

 

「……幸せ……何だと思う」

「……そう」

「けど()リサから貰ってる幸せを俺は望んでない」

「?どういう事……?」

 

神楽が何を言いたいのか……私にはイマイチ分からなかった。

 

「友希那も勘づいてるだろ?リサの俺に対する愛は……一線を超えてしまっている」

「……そうね」

 

私は思わずその言葉にそう答えてしまった。……でも事実そうなのだから言い換え用がない。

 

「正直言うと……俺はそんな愛を…リサから与えて貰う幸せを……俺は望んでない」

「……そう」

 

ここでようやく神楽の言いたい事が分かった……しかし

 

「身勝手……だよな。幼馴染みで、俺と再開するまで自分の気持ちを抑えてた彼女のくれる愛…幸せを俺は拒んでる……それどころか他人にそれを求めてしまう」

 

「俺は……リサを愛する事が出来ない……身勝手なやつだ……」

 

神楽はそう言ってもう一口コーヒーを飲んで私に向き合った。

 

……神楽が身勝手……?そんな事……

 

「……んな事……ない」

「?……友希那?」

 

 

「そんな事ない!!」

 

 

 

「……っ!?」

 

気が付いたら……私は神楽を抱き締めていた。背丈の差は20㎝位違う。そのため……神楽の胸元に顔を埋める形で抱き締めてていた。

 

「神楽は……身勝手なんかじゃない!神楽はリサを幸せにしようと全力を尽くした!それの何処か身勝手なの!?」

「それは……」

「神楽……私、私わね……」

 

これ以上自分の気持ちを爆発させるのは不味い……そう思ったが、もう私には止まることができなかった。

 

 

 

「私……神楽の事が好きよ」

「っ!?」

 

 

 

(伝えれた!私の気持ち!想い!)

 

「友希那……どうして」

「私にも分からない……多分リサと神楽を見て魔が指したのかもしれないわね……」

「友希那……」

 

恐くきっかけはあの時……私とリサがまだ幼馴染みとして出会ってない時の事……

 

…………………………

 

あれは……私が3歳の頃……あの公園で起きた出来事。

 

「ウグッ……ウウッ……ヒッグ」

「ねえ、どうして泣いてるの?」

「ここにいつもいた猫ちゃんが……ヒッグ……死んじゃった……」

 

公園でいつものようにお母さんと遊んでいた私に懐いていた1匹の子猫……灰色の毛並みでサファイアの瞳がクールで……可愛かった。その子猫と一緒にいる事があの時の私の癒しだった。……その猫がある時死んでしまった。

 

「可哀想……」

 

悲しんでる私の前に現れたのは1人の男の子…そう、彼が神楽だった。

 

「んっ……」

「え?……」

「ハンカチ……これで涙拭きなよ。君に泣いてる顔なんて……似合わないから」

「き、君は?」

「僕は神楽。君は」

「……友希那よ。……ハンカチ…ありがとう」

 

何故だか知らないが、彼に貰ったハンカチで涙を拭いたあと……自然と笑顔になれた。

 

「うん、友希那ちゃんには笑顔が1番だよ。多分……その猫も君の笑顔でいつも元気だったと思うよ」

「!!……う、うん…多分そうだと思う」

「よし!決めた!」

「え!?」

 

そう言って彼は私の手を握ってこう言った。

 

「友希那ちゃん!僕と友達になろうよ!僕が君の笑顔守ってあげる!」

 

…………………………

 

これが私と神楽との出会い……多分だけど神楽を好きになった理由。そして私は決めた。

 

「神楽……私…貴方を守りたい」

「…………」

「覚えてるか分からないけど……貴方があの時してくれた様に……貴方の笑顔を今度は私が守る」

 

神楽と付き合う……それは神楽に恩返しするという事……

 

「俺には……リサがいる。お前を1番に想えない……」

「それでもいい……!私は神楽の笑顔を守りたい……それだけだから」

「友希那……」

「神楽……んむっ!?」

 

気づいたら私の目の前に神楽の顔があり……私は神楽とキスをしていた……時間が一瞬、止まった様に思えた。

 

「……言質、とったからな。俺も…覚悟を決めるよ」

「ありがとう……神楽」

「そろそろ戻ろうか」

「……ええ、神楽…好きよ」

 

そう言って私達は屋上を後にした。

 

(リサ……これ以上貴女を壊れさせたりしない。私が貴女を救って見せる!)

 

私は神楽の隣でそう誓ったのだった。

 

…………………………

………………

…………

 

~リサside~

 

「神楽~♡!!」

「うぉッ!」

 

放課後、アタシはCIRCLEに着くなり神楽に抱きついた。

 

(ん〜今日もいい匂い~♡ずっとこうしてたいな……)

 

「おはようございます……って今井さん……また大江さんと……」

「いいじゃんいいじゃん〜♡神楽はアタシの物なんだから♡学校の時はずっと我慢してたんだよ?」

「……とか言って……昼休みの時抱きついて離れなかったの忘れてないからな」

「うっ!……いいじゃんか〜♡神楽のケチ!」

 

神楽はアタシだけの物……どうしてそれが分からないの?

 

「リサ……いい加減にしなさいライブももうすぐなのよ?そこまで浮かれてちゃ困るわ」

「も〜友希那まで~♡大丈夫だって!あと少しで気持ち入れ替えるからさ!ね?」

 

何時もならこれで友希那達は引き下がる……今日とそう思っていた。けど……違った。

 

「神楽から離れなさい、リサ。今の貴女じゃ神楽を幸せに出来ない」

「何それ?聞き捨てならないな~♡神楽はアタシだけのものだっていってるじゃん」

 

少しドスを効かせても……今日の友希那は引かなかった……そして

 

 

 

ギュッ♡

 

 

 

「!!??」

 

 

 

「神楽は私の彼氏(1番)よ?気安く触らないで!」

 

 

 

 

 

「…………え?」

 

 

 

 

~END~

 

 

 

リサ:ヤンデレレベル Lv5

 

 

 

 

 




ヤンデレレベルは変わらず……そして友希那の驚愕な告白……物語はさらに加速する……
お楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております!


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BAD 9話 宣戦布告

前回修羅場並の展開になり終わりました……。2人はこの先どう動くのか……
それでは……どうぞ!



〜リサside〜

……気づいたらアタシは自分の部屋にいた。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……」

 

CIRCLEまで走ったせいか、かなり息が上がっていた。……そして

 

「う、うう…!ウグッ……エグッ」

 

どうして?どうしてアタシは泣いてるの?涙をながしてるの?

そしてとうとう涙腺が崩壊してアタシはその場で泣き崩れてしまった…

 

「どうして……どうしてなの?友希那ぁ…!友希那は…友希那は…友達として…幼馴染みとして……応援してくれるんじゃなかったの!?」

 

『神楽は私の 彼氏(1番)なの!気安く触らないで!』

 

「アタシは……神楽の……神楽の彼女なに……どうして?どうしてなの?友希那ぁ……!」

「あの時の友希那の言葉は……嘘だったの?どうして応援してくれないの?どうして?どうしてアタシから神楽を奪ったの!?……」

 

返事が返ってくるハズない……そうわかっていたとしてもアタシはそう泣き叫ぶしかなかった……

そして私はカバンからカッターを取り出して刃を出し……

 

ザクッ!!

 

……自分の左腕を切りつけた。当然切り口から血が流れ出る。

 

(……痛い。……でもまだだ)

 

ザクッ!!ザクッ!!ザクッ!!ザクッ!!

 

何度も……何度も何度も……気が済むまでカッターで自分の左腕を切りつけた。切りつける度に切り口から血が流れ、止まらない。

そして……

 

グサッ!!

 

「ッ!!ああああああああああ!!」

 

痛みに耐えきれず…なのか、アタシの我慢の限界…なのか。もしかしたら両方かもしれない……とにかくアタシは耐えられず泣き叫んだ。……

 

「……友希那」

 

気が済んだのか、カッターで自分を傷付けるをやめていた。

 

「……アタシから……神楽を取らないで……取らないで…取らないで…お願いだから……」

 

そして私はその場でしばらく泣き続けたのだった……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜神楽side〜

 

「「「「………………」」」」

 

リサが飛び出して行ってから俺達5人の間には沈黙が暫く続いた……。

 

「……湊さん」

 

それに耐えかねたのか紗夜さんが友希那に話しかけた。

 

「何かしら?」

「ッ!…………」

 

パァンッ!!

 

「紗夜さん!?」

「ひ、氷川さん!?」

「…………」

 

パァンッ!!

 

「紗夜さん!?お、落ち着いて下さい!!」

「そ、そうです……!ど、どうしたんですか……!?」

 

俺と友希那は紗夜に思い切り平手打ちされた……しかしその痛みよりも逆に清々しさが勝って何故か清々した気分だった。

 

「2人とも……自分達が何をしたのかわかってるんですか?」

「そうだな……他人(・・)から見ればリサを裏切ったな」

「ッ!?…どうしてそれを!平然と言えるんですか!?湊さんもそうです!!今井さんと大江さんを応援するんじゃなかったんですか!?」

 

……まあ確かに、他人(・・)からしたら俺達の行動は批判されるに値する行動だもんな……

 

「ええ、確かに応援する……リサにもそう約束したわ。けど…その必要が無くなった……だから私はリサを裏切って神楽と付き合う事にした」

「!!……何故それを平然とっ!!」

「!!さ、紗夜さんやめて下さい!」

 

リサに対する平然とした態度に怒りが爆発したのだろう。紗夜がもう一度友希那に殴りかかろうとした。そしてそれをあこがそれを止めにかかった。そしてそれに続くように燐子も止めにはいった。

 

「氷川さん落ち着いて下さい!!きっと…神楽さんと湊さんにも訳があるはずです!出なければ…2人はこんな事しないはず…です!」

「なら尚更です!どうして話してくれないんですか!?私達はRoseliaです!仲間なら…話してくれたっていいじゃないですか!」

「……紗夜の言う通りだ」

 

「「「!!」」」

 

「神楽……」

「大江さん……どう言うつもりですか?」

「済まない……この問題(・・)に関しては俺と友希那でどうにかしょうとしてた……だから話せなかった。済まない」

「……話してくれるんですね?」

 

少しづつだが、紗夜が落ち着きを取り戻し始めた。

 

「ああ……すべ話すよ。こうなった理由」

「……分かりました……宇田川さん、白金さん。私は大丈夫です。2人も…取り乱して申し訳ありません」

 

そう言うと燐子とあこが紗夜から離れた。その時一瞬身構えてしまった友希那を「もう大丈夫だ」と言い落ち着かせた。

 

「では話します。最初から言いますけど、これから言う事は全てが事実…ではなく俺と友希那の考察もあります。それを踏まえて聞いて下さい」

 

「「「はい…」」」

 

そう3人に言うと俺は話し始めた。

 

「まず…知っての通り俺とリサは3日前……俺が転校して来た日に付き合い始めた。リサが言うには俺が戻って来たら告白しようと考えてたそうだ。そうだな?友希那」

「ええ……リサは私と疎遠になる前…神楽が転校した後暫くした後に神楽の事が気になって話し始めたの」

 

そして友希那は一息置いて話を続けた。

 

「そしてRoseliaが出来た時から私とリサは昔見たく隣同士で話を弾ませていたわ。そしてその時だった。リサは神楽の話をして自分が神楽に告白するって言ったのは」

「そんなに前から……」

「そして転校した日……今井さんは…告白した…」

「その時からリサ姉神兄の事好きだったんですね……」

「そうなるわ」

 

転校した後の日の事は友希那に告白されてから聞いた。俺はその時そこまでリサが自分の事を好いていた事により素直に嬉しかった……。

 

「そしてリサと付き合うことになって1日が過ぎた……その日からだろうな。リサが変わったのは……いや、付き合うことなった日からだろうけど」

「今井さんが変わった……?」

「心当たりあるんじゃないか?俺がRoseliaのマネージャーになった練習の日からリサが俺に甘える様になった」

「そう言えばそうです!」

「はい……でも、今井さんの甘え方……なんと言うか…独占的なものが強かった……気がします」

「……!確かに…今振り返って見れば……」

 

俺はこの時、あえてあの事件に着いては語らなかった。そうすれば皆がリサに対する態度等が一変すると考えたためだ。

 

「そして俺はリサの甘えが自分に対する愛し方なのだとそう勝手に解釈していたが、同時にその愛が強くなり過ぎて誰か傷つけてしまうのでは無いのか……って心配もした……が遅かった」

「お、遅かった……?」

「何かあったんですか?」

「皆はうちの学校のクラスメイトの南雲エミが今日何者かに殺された…事は知ってるかしら?」

 

そして友希那は今日先生から教えられたエミが何者かに殺された件を話し始めた。

 

「あ、あこもそれ聞きました!」

「わ、私も……」

「今日のHRで聞きましたね……でもそれが今井さんと何か関係が?」

 

どうやら花咲にもこの件は知れ渡ってるみたいだ。

 

「彼女はリサと古い仲だったの」

「ああ、いわゆるギャル友ってやつだなそして事件の日……俺は彼女に告白されたんだ」

 

「「「!!」」」

 

告白された話をした瞬間、3人の顔は一気に青ざめた。

 

「ま、まさか……」

「神兄……嘘だよね?」

「大江さん……もしかして……」

「…………」

 

どうやら3人とも同じ事を考えてたらしい。なら……

 

(今更だが隠す必要はないな)

 

「俺と友希那は……彼女を殺めたのはリサだと踏んでる」

 

「「「!!!」」」

 

「そ、そんな!今井さんがそんな事……!」

「リサ姉がそんな事するなんて……嘘だよね?神兄!?」

「何かの…間違え……では……?」

「ああ、俺もそう信じたかった……だけど……」

 

俺はそう言った後、友希那の方を向いた。そして友希那は微かに頷いた。

 

「リサが殺ったのを私達は目撃してない……」

「!?だったらなぜ!」

「私がリサがやったと言う確信を持ったのは2つの出来事……」

 

一息置いて話を続けた。

 

「一つはリサとの電話……最初はただの雑談だった……けど神楽の話をし始めたらリサの様子が一変したの」

「それって……つまり?」

「最初は神楽を褒めるだけだった……けどそれがだんだん一線を超えた話になって……仕舞いには……」

 

そこで友希那が身体を震えさせた……あの電話の内容を思い出したのか、顔も微かに青ざめていた。

 

『神楽に手を出したら友希那でも許さない』……そう言ったの……身も毛もよだつってこういう事を言うんだって改めて思いしったわ……」

 

とうとう耐えきれず友希那はしゃがみこんでしまった。

 

「友希那さん!?」

「だ、大丈夫……ですか!?」

「湊さんもう十分です。ごめんなさい、思い出したくもない事を思い出させてしまい……」

「大丈夫……ごめんなさい、取り乱してしまったわ」

「しかし……これだけだなら確信は持てるとおもうのですが……」

 

確かに、それだけならリサが殺ったと言う確信が持てる……しかしこれは友希那が体験した事だ。

 

「さっきのはあくまで友希那が体験した出来事だ」

「2つ目はエミが死んだと知った時ね」

「ああ、あの時エミの友達……恐らくリサと同じギャル友の生徒らが泣

いていた……そしてリサも」

「仮に今井さんがやってないなら……それは当然なことでは……?」

 

確かに燐子の言う通りだ。もし仮にリサがやって無ければ友希那や俺と同じくらい大切な友人を殺されたんだ。悲しむのは間違いないはず……

 

「けどそれは……感情を抑えた演技に見えたんだ……」

 

「「「!!??」」」

 

「そ、それはどう言うことですか?」

「分からない……けど俺は隣にいたからだろうな……リサからは心の底からエミが死んだ事に対して悲しんでなかったように見えた……あと」

「あ、あと……?」

 

「小声だけど確かに聞き取れた……『神楽に手をだすからこうなったんだ』…ってな」

 

「!!そ、そんな……リサ姉が!」

 

3人は驚きを隠せずにいた……しかし俺は確かにあの時聞いてしまった。リサが悲しみ間際に口にした言葉を。

 

「……俺はこのままだとリサが俺の知るリサじゃ無くなってしまう……他の…知人や友人……Roseliaの皆…友希那までもが傷ついてしまう」

「もう手遅れかもしれない……だけど私は何があろうとリサを救いたい……その思いで私は神楽と協力関係(・・・・)になった……恋人とは少し無縁の関係だけれども」

「そうだったん…ですね……」

「これが友希那と付き合うことになった全ての理由だ」

 

そう言い終え俺は3人を見る。未だに驚きを隠せず青ざめた表情は変わらないままだが……。

 

「にわかに信じ難い……ですが、2人を信じましょう」

 

紗夜がそう言うと俺と友希那の方を向き頭を下げた。

 

「先程は……あなた達を叩いてしまって…ごめんなさい」

「顔を上げてくれ。もとい俺と友希那が隠してたのが行けないんだから」

「そうね。私達の方こそ……ごめんなさい」

「それで…私達に何か出来ることはないでしょうか?」

 

互いにさっきの事を謝った後、紗夜が俺達にそう尋ねてきた。

 

「わ、私も……2人の力になりたい…です」

「あ、あこも!リサ姉を助けたいです!」

 

それに続いて燐子とあこが尋ねてきた。

 

「紗夜…燐子…あこまで……」

「3人には……今まで通りリサと接して欲しい。無理に接すると何がおこるか分からない……ただし」

 

俺はそこで一息置いて

 

「リサが暴走しそうになったら……手がつけられなくなった時は…その時はよろしく頼む」

「はい!」

「分かりました……!」

「任されました!」

 

そう言うと3人は力強く頷いてくれた。そこで友希那が、ある事を思いついたのか、俺達に話しかけた。

 

「皆…今回のライブで話しておきたい事があるの」

「友希那?」

「実は……」

 

この時俺と紗夜、あこと燐子の4人には友希那の提案に潜む覚悟(・・)の重さにきずくことが出来なかった……。

 

…………………………

………………

…………

 

〜友希那side〜

 

その日の夜……私は何時もの様にある曲の作詞をしていた。しかしこの曲は次のライブでは演奏しない。……そう決めていた。

 

「……出来た!」

 

何回か考え直し納得が行くまで書いては消してを繰り返し、ようやく完成した。

 

「あとは……」

 

完成して間もなく、友希那はとある人物に電話をかけた……

 

(……お願い、繋がって……)

 

『……もしもし?どうしたの?友希那』

「リサ……今…話せるかしら?」

『……正直、誰とも話したくない……明日にしてくれる?』

 

かけた相手はリサだ。今日のことを引きずってるのだろう……話を拒否しようとしていた。

 

「ごめんなさい。次のライブの事で……どうしても貴女と話したかったから……」

『……分かった。今、窓開けるね』

 

そう言った直接、リサの家の方から窓が開く音がした。それに続く様に私も窓を開ける。

 

「リサ……」

 

彼女を見るなり私は絶句しそうになった。目の前の彼女はものすごくやつれていて、目尻が赤かった。

 

『友希那、話って何?』

「ええ、……その前にリサ、その…さっきはごめんなさい貴女に酷い事を言ってしまったわ……」

『大丈夫だよ……ってあまり正直にいえないけど…もういいよ。友希那はアタシの為に神楽と付き合おうとした……そうだよね?』

「!……それ、神楽から聞いたのかしら?」

『……うん、さっきまで神楽と話しててね…言ってくれたの。アタシの為に友希那と付き合ったって。アタシをちゃんと愛したいからって』

「……そう…だったのね」

 

それを聞いて…なんだか複雑な気持ちになった。協力関係として恋人同士となったのに……何なのだろう?この感じ……

 

「リサ……次のライブで…貴女を救いたい。私は…今にも壊れてしまいそうな貴女をこれ以上見てられない……だけど…幼馴染みとして放って置く訳にはいかない」

『友希那……アタシ……待ってるから。友希那がアタシを救ってくれるのを……待ってる』

 

やつれた状態でも……リサは私に向かって微笑んでくれた…しかしその微笑みはどことなく今は悲しげに見えた。

 

『アタシ、そろそろ寝るね?明日にはちゃんと接せれると思うから』

 

「そう……なら今は神楽は私のものでいいわよね?」

『っ!……うん、神楽をよろしくね?でもどこに行っても神楽の彼女はアタシだけなんだからね?』

 

もう……容赦しないから

 

「?何か言ったかしら?」

『うんん!大丈夫!それじゃあまた明日ね!』

「ええ、おやすみ……リサ」

 

そう言って私は窓を閉め、カーテンを閉めた。

 

(リサ……貴女は必ず……私が救って見せる)

 

電話を切った私はそう強く誓ったのだった……。

 

…………………………

 

〜リサside〜

 

『おやすみ……リサ』

 

友希那からの通話が終わりアタシも窓とカーテンを閉めた。

そして私は通話中ずっと隠してた左腕を見た。……今の左腕には手首から肩の少ししたまでにかけて包帯を巻いていた。

そして……机にある写真立てをてにとってそっと抱きしめた……

 

「もう……手遅れなんだよ…友希那。私はもう……壊れちゃってる。だから……」

 

 

 

 

「次のライブで……お別れだね」

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 




次回ライブ前日、前夜回……友希那は果たしてリサを救えるのか……?
お楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております!


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BAD10話 リサと友希那

お待たせしました!BADルート10話!ライブ前日、前夜回です!リサと友希那……2人は前日……何を思って行動するのか……お楽しみに!
それでは……どうぞ!



「リサ、もう少し周りを意識して」

「了解~」

「友希那はあこのドラムに少し耳傾けて」

「分かったわ」

「紗夜さんはそこの所はリサとアンサンブルする様に」

「分かりました」

「あこは全体的にどっしりと構えて皆を支える感じで」

「了解しました!」

「燐子はあことリサとアンサンブルする様に弾いて…他の2人をフォローする感じで」

「分かり…ました」

 

ライブ前日、俺達は当日のセトリの順で1曲ずつさらっていた。

リサも友希那も、今日は互いにわきまえており、ライブの練習に力を注いでいた。

 

…………………………

 

「この辺で休憩にしましょう」

「そうですね」

 

一通りさらい、俺達は休憩する事にした。

 

「クッキー焼いて来たよ〜♪」

「レモンと飲み物もあるからな」

「やった〜リサ姉と神兄のさしいれだぁ〜♪」

「お、美味しそう……!」

 

リサのクッキーに続く形で俺の即席レモン漬けは5人の間で好評となった。

 

「2人とも、何時もありがとう」

「遠慮なく…いただきます//」

 

あこと燐子に続いて友希那と紗夜さんも俺達の差し入れを食べ始めた。

 

(ここ何日かの練習で紗夜さん変わったな……)

 

リサの話をした日から……てっきり俺はリサや俺に対して警戒するかと思ったが、警戒しないどころか初めてあった時よりも俺に対して好印象も持たれつつあった。大方差し入れの面もあるだろうが……

 

(紗夜さんに関しては他の要因がある様に思える……)

 

「そのくらい|紗夜さん可愛いくなったな〜……っいた!?」

「誰が可愛いくなったって?」

 

横からリサに思い切り腕を抓られた。となりを見るとリサが不機嫌丸出しでこちらを見ていた。

 

(しまった!?つい心の声が途中から漏れちまった!)

 

「ち、違うんだリサ!こ、これは……」

「何が違うのかしら?神楽」

「ゆ、友希那まで!?」

 

さっきまで差し入れを食べてた友希那が不機嫌そうな顔でこちらに歩み寄ってきた。……すぐ近くで紗夜さんが顔を赤くして恥ずかしがってるのが見えた。

 

「神楽……アタシが居るのに友希那だけじゃなくて紗夜にまで手出すつもり?」

「そうよ神楽……貴方アタシと付き合ってることを忘れたのかしら?」

「だ、たから誤解だ!そ、その……紗夜さんが差し入れ食べてる姿見て会った時よりも印象変わったなって意味でいっただけで……!」

「ホントに?」

「ホントかしら?」

 

(やばいやばい!2人のめに光点ってねえ!リサに関しては殺意丸出しだ!)

 

「ほ、ホントだって!ほら!2人も紗夜さんを見てみろよ!紗夜さんがあんな感じで差し入れ食べてる姿なんて2人は見た事無いだろ!?」

「……確かにそうね」

「紗夜……両手にアタシのクッキーと神楽のレモン漬けって……全く子供みたいだな〜♪」

 

どうやら誤解(?)が解けたようだ。紗夜さんもこっちの様子を察したのか恥ずかしがってるのをやめて夢中になって差し入れを食べてるフリ(・・)をした。

 

「な?言っただろ?だから俺達も差し入れ頂こうぜ?」

「そうね……神楽、疑ってごめんなさい」

「アタシも……早とちりしちゃった」

 

(フゥ〜……何とかなった……それにしても紗夜さんには悪い事したな……)

 

後で2人に内緒で何か奢ってあげよう……そう思ったのだった。

 

…………………………

 

「さあ皆、練習再開するわよ」

「了解~♪」

「今度はさっき攫った所を各自個人練しよう。それから最後に1回通しで合わせる……これでいい?」

「問題ないです」

「あこの闇の鍛錬……とくとご覧あれ!」

「了解…しました……」

 

そう言って5人は個人練を始めた。

その間俺は一人づつワンツーマンで個人練に付き合ったりした。

 

…………………………

………………

…………

 

『お疲れ様でした~!』

 

あれから暫くして、ライブ前日の練習が終わった。

 

「皆、明日に備えて今日は早くやすむように」

「そうですね。万全な状態で明日に挑みましょう」

「はい!」

「分かり…ました」

「了解〜……っとごめんね!アタシこの後バイトだから先上がるね!」

「ああ、気をつけてな」

「うん!」

 

そう言ってリサは一足先にCIRCLEを出た。

 

…………………………

…………

 

「…………」

 

スタジオの片付けが終わり、俺は1人……ステージを見つめていた。

 

「……何か考え事かしら?」

「友希那……ああ、ちょっと…な」

 

先に帰ったかと思った為少し驚いたが、直ぐに俺はまたステージを見つめた。

 

「……変わったわね、神楽」

「友希那?」

「ええ、……皆と初めてあった時よりも打ち解けれてる……少なくともそう私には見えるわ」

「そうか?……俺はRoseliaのマネージャーとしての責務を果たしてるだけなんだけどな……」

「それでも……昔の貴方じゃ考えられない事よ?」

「……確かに、そうかもな」

 

昔の俺は……リサと友希那位しか仲良くできる相手がいなかった。ちょっとしたコミュ障……もあったが、俺の中で2人と仲良ければそれでいい……そう割り切ってたからと言うのもあった。

 

「神楽は……私達と一緒に居れて楽しいかしら?」

「?……ああ、楽しいよ。いきなりどうしたんだ?友希那?」

 

なんだか……友希那の様子が変に思えた。どうしてそんな当たり前(?)な事をきくんだろう?

 

「……明日……貴方や他の4人に……ライブを通して伝えたい事があるの」

「伝えたい事?」

「明日……私の歌声をよく聞いてて頂戴」

 

そう言って友希那は俺から離れていった。

 

「!ど、どうゆう事だ?……友希那!」

 

しかし友希那は振り返らず右手を上げて答えるだけで、そのままCIRCLEを出ていった。

 

「……どう言う事なんだ……?」

 

友希那の言いたい事は……家に帰るまで、わからなかった。

 

…………………………

………………

…………

 

ライブ前夜……俺は自分の部屋のベッドに仰向けになっていた。

 

「……分からない……友希那はライブで何を伝えようとしてるんだ?」

 

あれから俺は友希那の言葉の意味を考えていた。しかし一向に理解出来なかった。

時計を見ると22時をすぎていた。

 

「そろそろ寝るか……」

 

そう思った俺はまぶたを閉じてそのまま眠りにつこうと思った……

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

しかしその行動を1本の電話が引き止めた。

相手は……リサからだ。

 

「もしもし?」

『あっ!神楽!今バイト終わった所!……もしかして寝ようとしてた?』

「そのもしかしてだ」

『ご、ごめんね!明日の事で落ち着かなくて……本当は神楽が寝てるのを確認したくて電話したんだ……

「ん?何かいったか?」

『うんん!何でもないの!……ねえ、神楽』

「何?」

『その……落ち着かなくて……今日……神楽の部屋で寝てもいい?』

「!…………」

 

いきなりすぎて、返事に困った。

 

「……いいよ」

『ホントに!?』

「ああ……実は俺も少し落ち着かなくてな……」

『神楽は当日はお客さんなんだよ〜?』

「いや……リサが本番ヘマしないか心配でな……」

『ちょ、ちょっと!アタシそんな事しないよ〜!』

「冗談だよ」

『も〜!神楽のバカ!』

「悪かったって……っぷ」

 

『「アハハハハ!!」』

 

少しくだらな過ぎて俺達は揃って吹き出した。

 

(リサ……お前とこうしてずっと……笑ってたいよ)

 

俺は心の中でそれを強く願った。

 

『あ〜スッキリした♪いっぱい笑ってたら……落ち着いてきたよ♪』

「そいつは良かった」

『ねえ神楽……』

「ん?」

『明日……楽しみにしててね!おやすみなさい!』

「…ああ、楽しみにしてる!また当日、CIRCLEでな!」

 

そう言って電話を切った。

 

「明日……楽しみだな」

 

そう呟いて俺は眠りに着いたのだった。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




投稿遅くなりました!編集完了次第もう1話投稿します!
お楽しみに!


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BAD11話 陽だまりに乗せる覚悟

どうも!今回はいよいよライブ当日!友希那がみんなに伝えようとしてる事とは……お楽しみに!



〜友希那side〜

 

カーテンの隙間から刺す陽光で私は目覚めた。

 

「……いい朝ね」

 

カーテンを開けて私はそう呟く。リサはまだ起きてないのか、まだカーテンはしまったままだ。

私は机に置いてある、1枚の原譜を見て昨日の事を思い出した。

 

『私は皆に伝えたい事があるの』

 

「……もしかしたら……今日で最後(・・)のライブになるかもしれない……」

 

(考えてはいけない……だけどどうしても考えてしまう)

 

「私は今日のライブで……皆に伝えたい……」

 

 

 

 

「……『ありがとう』って」

 

 

 

 

 

…………………………

………………

…………

 

〜神楽side〜

 

「……よく寝た……」

 

今日は珍しく目覚ましがなる前に起きた。余程……今日のライブが楽しみだったのだろうか?

 

「結局……分からなかったな……」

 

昨日友希那に言われた事……その意味は当日になっても分からなかった。

 

「けど……友希那のあの顔……間違いなく何か伝えようとしてる。このライブを通して……」

 

それだけは間違いないと俺は思った。

 

 

 

 

「頑張れよ……皆!」

 

俺は鏡の前でそう言って出かける支度をし始めた。

 

…………………………

………………

…………

 

「お疲れ様〜」

 

CIRCLEに着いた俺は控え室へと向かった。そこには既に友希那がいた。

 

「神楽……」

「まだ誰も来てないんだな……」

「ええ……」

 

しかし友希那は控え室に備え付けてあった鏡の前で衣装に着替え、目を閉じ、たったまま動かなかった。

 

(もしかして……精神統一……か?こんなに集中してる友希那…初めてだ)

 

「差し入れ……置いてくからな……頑張れよ」

 

そう言って俺は控え室を出ようとした……

 

「神楽」

 

振り返ると友希那が俺の方へ振り向いていた。

 

「……昨日言った事……覚えているかしら?」

「ああ、覚えてる。皆に何か大切な事を伝えたい……そうだろ?」

「ええ……だから神楽…少し、いいかしら?」

「ん?」

 

そう言って友希那は俺の元へ歩み寄り、抱きついて来た。

 

「友希那!?」

 

「神楽……見てて、私達のライブ……そしてよく聞いて居て頂戴。

……私の歌声を」

 

「友希那……」

 

そう言って友希那は俺から離れて再び鏡の前で精神統一をしにいった。

 

「……ああ、しっかり見届けさせてもらうぜ」

 

そう言って俺は控え室を出た。

 

…………………………

………………

…………

 

~友希那side〜

 

……時間が立ち、本番直前……

 

皆とステージに上がる前に……私はあの事を伝える為に皆を集めた。

 

「……皆、少しだけ……いいかしら?」

「どうしたの?友希那?」

「どうしたんですか?」

「友希那さん……どうしたんです?」

「湊さん……どうしたんですか?」

 

「…………」

 

何故かしら?……いざと言う時に限って言葉が出てこない……

 

(余程……皆と離れ(・・)たくない……のよね)

 

私はそう思い、彼女達をみる。

彼女達と出会ってから……色々あった。楽しく笑いあった日も、目的を違え散り散りになった日も……皆が居なかったら無かった日常……

 

「今日のライブ……私は皆に伝えたい事があるの……だから、私の歌声を……最後まで聞いて居て欲しい」

 

……まだ、『さよなら』は……『ありがとう』は言わない。そう決めていた。

 

「わかったよ♪それが友希那のしたい事なら!」

「ギターを弾きながら聞いていますね」

「友希那さんの歌声……しっかり聞いていますね!」

「分かり……ました」

 

何も知らない4人はそう応えてくれた。

 

「……皆、行くわよ!」

 

「「「「はい!!!!」」」」

 

…………………………

………………

…………

 

〜神楽&Roseliaside〜

 

「こんにちは、Roseliaです」

 

満席に近い観客席で俺は最前列で5人を見ていた。

 

「メンバー紹介……行くわよ!

ギター、氷川紗夜!」

 

「よろしくお願いします」

 

「ベース、今井リサ!」

 

「楽しも~ね♪」

 

「ドラム、宇田川あこ!」

 

「Roseliaのライブ……とくとご覧あれ!」

 

「キーボード、白金燐子!」

 

「よろしくお願いします……」

 

4人の自己紹介が終わり……

 

「そして……我らがボーカル、湊友希那!」

 

「よろしく」

 

全員の自己紹介が終わった直後、俺と友希那の目があった。

 

「早速1曲目……行くわよ。『LOUDER』!!」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

「裏切りは暗いままfall dawn〜♪」

 

「!!」

 

友希那が歌い始めた瞬間……俺の身体中に何かが突き抜けた。

 

(これは……初めて聞いたBLACKSHOUT!とは違う……!)

 

(湊さん……!これは……!)

 

(友希那さんの想い……凄い伝わって来る!)

 

(湊さん……覚悟(・・)を決めたんですね!)

 

(友希那……伝わってるよ……友希那の想い!)

 

(神楽に……皆に……届いて!)

 

「何かを伝えたいその気持ち……確かに受け止めたぞ、友希那!」

 

…………………………

………………

 

「……次で、最後の曲になります」

 

LOUDERから始まって……計4曲歌ってきた。次で……最後の曲だ。

 

「聞いてください……『陽だまりロードナイト』」

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

「!!……どうやら皆にも伝わったみたいだな……」

 

(これで最後よ……神楽、皆……!!)

 

(!!……湊さん、その気持ちは……皆同じです!)

 

(友希那さん……感謝したいのはあこ達です!)

 

(湊さん……貴女には感謝してもしきれません!)

 

(友希那……アタシこそ……『ありがとう』)

 

「こんなにも愛しさで満ちてる〜♪明日も〜♪まぶしいくらいに〜♪」

 

(神楽……貴方にも感謝したいわ……『ありがとう』)

 

「感謝を〜♪」

 

「友希那……いいライブを聞けた……ありがとうな……」

 

 

 

 

 

「……皆……今日は『ありがとう』」

 

 

 

 

…………………………

………………

…………

 

〜神楽side〜

 

ライブが終わり、客も皆いなくなったステージに……俺は昨日見たくステージを見つめていた。

 

「……昨日も、ここでステージを見ていたわね」

「友希那……」

「どうだったかしら?私達のライブ」

 

友希那はそう言って俺に歩み寄ってきた。

 

「とてもいいライブだった……友希那の伝えたい事……身体中で受け止められた」

「!!……そう。それは良かったわ」

 

気づいたら友希那は俺の隣にいた。

 

「そういえば皆は?」

「……先に、帰ってもらったわ」

「そうなのか?」

「……ええ」

 

そして友希那はおれと向き合った。

 

「神楽……神楽だけには歌詞……ではなくちゃんと言葉で伝えたい」

「友希那……?」

 

そう言って友希那は俺に抱き着いた。

 

「私達の元へ戻って来てくれてありがとう」

「!!」

 

「幼稚園の頃……私とリサの友達になってくれてありがとう」

「友希那……」

 

短い(・・)時間だったけれど……私と付き合ってくれて……

ありがとう」

「!?」

 

「私を……湊友希那を少しでも愛してくれて……

ありがとう」

「友希那……!!」

 

友希那はそう言って俺から離れた。

 

「今回のライブで……貴方にこれを一番伝えたかった」

「そう……なのか……なあ友希那」

「何かしら……んむっ!?」

 

今度は俺が……友希那に感謝を伝える番だ。

……しばらく俺と友希那の唇は重なったまま……まるで時が止まったかのようだった

 

「……友希那、今日は最高のライブをありがとう」

「私達は……全身全霊のライブしかしないわ///」

 

唇を話して俺は友希那に感謝の気持ちを伝えた。

 

「……私……まだ着替えてないから……先に帰って頂戴」

「分かった」

 

そう言って俺は友希那をスタジオに置いてCIRCLEを出た。

 

…………………………

 

〜友希那side〜

 

私は誰もいなくなった控え室にまだ私服に着替えずにいた。

 

「……もう、ここには誰も居ない……わね」

 

そう呟いて私はカバンからビデオカメラとCDレコーダーを取り出した。

 

 

 

 

 

「……最後に……皆に……『本当に伝えたい事』を……」

 

 

 

 

 

……私はビデオカメラに電源を入れ、録画を初めてたビデオカメラを机に置いた……

 

 

 

 

〜END〜

 




感想、高評価等よろしくお願いします!


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BAD12話 五輪の紫薔薇

今回のサブタイトル……意味を考えました。
どんな意味を込めたのか、考えながら本編をご覧下さい!


※ここから先は残酷な描写が多く登場します。大丈夫な方のみご覧ください。

また、今回はリサと友希那のみ登場します。ストーリーの設定上、推しの皆様方がショックを受ける、又は不快に思われるシーンが登場しますが……主は本編に限り、最大限の配慮しか致しません。以上の要素が本当に大丈夫な方のみ、ご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

〜友希那side〜

 

「…………」

 

今日のライブの疲れを癒した私は裸のまま(ただし下着姿)自室へ向かいクローゼットを開ける。

 

クローゼットには私服や制服……ライブの衣装などが収納されてる。

その中で私は端にかけてあったお気に入りの私服がかけてあるハンガーを手に取った。

 

(大事なライブ……主に勝負時によくこの服を着ていたわ……だから今日はあえて(・・・)別の服を選んだ……)

 

そう……全てはこの時の為に……

 

「……準備は出来てる……

もう……後戻りは出来ない」

 

私は所謂勝負服に着替えて腰にある物(・・・)がついたベルトを巻き付け、それが隠れるようにコートを羽織る。

 

「……行きましょう」

 

『23時に貴女1人で思い出の公園に来て』

 

彼女にそうLINEで送って家を出た。

 

…………………………

 

~リサside〜

 

『23時に貴女1人で思い出の公園に来て』

 

このメッセージを見た時……アタシは息を飲んだ。

 

(友希那がこのメッセージを……)

 

「本気何だね……友希那」

 

ならアタシが打つべき言葉は……

 

『今すぐ向かう』

 

「さて……」

 

アタシは立ち上がり、部屋にいけておいた6色(・・)の薔薇……五輪ずついけてあるそれの真ん中……

紫薔薇を五輪全て抜き取り、紙に巻いた。

 

「そろそろ行こう……」

 

アタシはある物(・・・)が入ったショルダーバッグと紫薔薇の花束を持って家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

………………

…………

 

※ここからは一般視点でお送りします。

 

…………

………………

…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……来たわね、リサ」

「お待たせ~友希那♪」

 

時間は丁度23時を指す所で、2人は約束の公園に姿を表した。

 

「覚えてる?ここの公園……よく3人で遊んだわよね」

「そ〜だね〜♪でも、それだけじゃないよ?」

 

「?」

 

「ここでアタシは神楽に告白して

……付き合ったの」

「!……そうだったわね」

 

 

「「…………」」

 

 

しばらく二人の間に沈黙がながれる。

 

 

「……リサ。聞きたいことがあるの」

「答えらる物ならなんでも良いよ〜♪」

 

両者落ち着いてる様に見えるが……明らかに互いに出方を伺っている。

 

「……どうして南雲さんを殺したの?彼女は貴女にとって私と同じくらい古い友人じゃないの?」

「アタシの神楽に手出したからだよ?

アタシと神楽の愛を邪魔する奴は誰であろうが殺す。

それが友達でも……家族でも……Roseliaでも……

そして……友希那でもね♪」

 

その言葉に悪寒を感じ震えそうになる友希那だが、それを何とか堪えた。

 

「もう……何を言っても響かない……そんな顔をしてるわね」

「だって〜、神楽の愛を身体全体で感じたいのに……

そんな事したら疲れちゃうよ〜♪」

 

リサの顔は……昔みたいな無邪気な笑顔……ではなく狂気に満ちたそれへと変わり果てていた。

 

「なら……これで最後(・・)

……リサ、昔の貴女に戻って頂戴。それが出来なければ……」

 

刹那、友希那は羽織っていたコートを脱ぎ捨てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……神楽と別れるか死を選びなさい」

 

そう言って、右腰にぶら下げていたホルスターから拳銃式のエアガンを取り出し銃口をリサに向けて友希那はそういった。

 

「本物……いや、エアガンか……

そんなのでアタシを殺そうと思ってるの?友希那?」

 

リサは多少驚き気味だったが、すぐさま落ち着きを取り戻し友希那を挑発した。

 

「安心して……これで(・・・)貴女は殺さない。これは威嚇ようよ。いざとなれば貴女の目を撃って失明もできるし……

玉が切れれば鈍器として使って……貴女を殴り殺せる」

 

しかし友希那はそれに動じず自分の手の内を明かした。

 

「……本気なんだね?友希那……」

 

今度はリサがベンチの方へ歩きだし……自分のバッグと紫薔薇の花束をベンチに置き、バッグから赤い染みが所々着いた布で巻かれた包丁を取り出して再び友希那と向き合った。

 

「LINE見て薄々勘づいてたけどさ~……」

 

布を取って、リサは不気味そうに輝く鋼色の刃を舐めた。

 

「本気なら……仕方ないよね……」

 

そう言って静かに包丁を降ろす。

……しかし刃先は友希那の方へとむけられていた。

 

ジャキッ!

 

友希那が玉を装填し、構え直した。

 

「……ねえ、友希那」

 

リサが一歩前へ進んだ。

 

「アタシを殺る気の友希那にはこんな事言ってもなんも響かないと思うけど……」

 

更に一歩。

 

「アタシは……ーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ……!!

 

「!!??」

 

リサの言う様に……今の友希那はどんな言葉をかけても怯まないという自信があった。

……しかし彼女に聞かされた言葉には、数秒にも及ぶ隙が生まれてしまった。

 

「あっ……カハッ……ッ!?」

 

結果……リサに急接近され、包丁を刺された。

 

「ッ!!」

 

ドンッ!!

 

……ぶしゃァァ……ッ!!

 

咄嗟にリサを突き飛ばしたが……その際に包丁が抜けて、傷口から血が吹き出した……

 

「あぅ……くぅ……ッ!!」

「ん〜♡友希那の血……アタシやエミのより美味し♡

……どうしたの友希那?アタシを殺すんじゃないの?」

「ッ!!……うっさい!!」

 

パン……ッ!!

 

友希那がリサに向けて引き金を引く……がリサはそれを軽々しく躱した。

 

「も〜友希那〜♪そんなんじゃ当たらないよ~?」

 

ジャキッ!

 

「……次こそ!ー!?」

「……遅い」

 

装填し、狙いを定めようとした瞬間、咄嗟に横へ跳ぶ。

直後、さっきまで友希那のいた所に包丁が斜めに弧を描くように振り下ろされた。

 

「すごいね友希那!包丁で刺されたってのによくそんなに動けるね〜♪……っと」

「……くっ!」

 

又もや躱されてしまう。

 

「でも無理しない方がいいよ~?傷口が開いて狙いを定める所の話じゃ無くなっちゃうから♪」

「ッ……余計なお世話よ!」

 

パン……ッ!!

 

「はい残念〜♪……も〜ガッカリさせないでよ♪」

 

リサが友希那に肉迫して来た。

 

「狙いを定めるって……こう言う事を言うんだよ?」

「ッ!?」

 

友希那から見たリサの斬撃は、まるで剣の舞……だった。

躱したらまた一振り、また一振りと……それも同じ所では無く腕や腹……足……太腿……時には首も狙って包丁をふり回した。

これでは銃を構える暇すらない……友希那にそんな焦りが産まれた瞬間だった。

 

ザクッ!!

 

「ああ!!」

 

右太腿に斬撃が通ってしまい。体勢が崩れた。

 

「まずい!?」

 

友希那は無理矢理身体を捻り横に転がった。

 

「……っう……!!」

 

何とか躱したものの、腹の刺傷、右太腿の切り傷が開き血が流れ出してしまった。

 

「もう諦めなよ……」

「!?」

 

友希那の状態を見てリサはそう言って一歩一歩……友希那に近寄る。

 

「もう分かったでしょ?友希那にアタシを

殺せない。だって……運動神経からしてもそうだし

友希那にエアガンなんて扱えない……そんな事は

始めから分かってた」

 

「……!!うるさい!……うるさいうるさい!!」

 

ジャキッ!……パンッ!!

 

ジャキッ!……パンッ!!

 

続けざまに2発撃つが……2発とも躱されてしまう。

 

「教えてあげる♪狙撃手って……常に冷静でなきゃ

狙った場所を撃ち抜け無いの」

 

段々と二人の間が縮まって行く……。

 

パンッ!!パンッ!!パンッ!!パンッ!!

 

ひたすら撃ち続ける友希那。

しかし玉は一向に当たらず、かすりもしない。

 

……そして、リサはあと一歩、2歩程度進めば包丁が届く距離まで近ずいた。

 

「はぁ……はぁ……ッゥ!!」

「以外と呆気なかったね……」

「…………」

「これじゃあ神楽の彼女失格だね♪……もっとも、

神楽の彼女はアタシが一番相応しいんだけどね♪」

「!!」

 

そしてリサは一歩前に出て、包丁を振り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよなら♪」

 

振り下ろされた包丁……そして友希那はタイミングよく躱す。

 

「!?」

「今!!」

 

友希那はこの瞬間を逃さなかった……この距離でリサが包丁を振り下ろすこの瞬間を。

……一瞬の隙をついて友希那はリサの右目に向けて引き金を引いた。

 

「あぁあああああぁああああああああああああぁぁぁ!!!!!」

左手で右目を抑えながら無我夢中に……否、一心不乱に包丁を振り回すリサ。

 

ザクッ!!

 

「っう!!」

 

咄嗟に後に跳び距離を取ろうとした友希那だが、運悪く右手首に刃物が当たってしまった。

 

「友希那ああああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

自分の知る彼女では無い……そんなリサの叫び声を聞いて友希那は驚いていた。

 

「……多重人格(・・・・)……ね……貴女の言っていたこと……

ようやく理解出来たわ」

「だったらなんだってんのよ!?」

「貴女に……さっきの言葉の訂正をひてもらうわ……」

「訂正!?」

 

「私が神楽に相応しい女になるの!!貴女みたいな自分の優勢に酔い知れていた女なんかに神楽の女が務まるわけない!!」

「な!?何ですって!?」

 

リサはあたかも狂気の目で友希那を睨みつけた。

 

「リサ……神楽と別れて……それが嫌なら……」

 

友希那はエアガンを捨て左腰に刺していたペディナイフを抜き、リサの目の前に突き付けた。

 

「……今ここで死になさい」

「ゆ、友希那……」

 

直後……リサの左目から涙がこぼれ落ちた。

 

「アタシを……殺して……」

「リサ……どうして……泣いてるの?」

「アタシはアタシ自身をこの手で殺したの……

言ったでしょ?友希那の知ってる今井リサは……もう死んだの」

「……でも……」

 

「アタシは……取り返しのつかない事をしてしまった……償い切れない程に……ならいっその事……全て洗い流して清算したい……」

「!!」

「だからお願い……アタシを殺して……

あっ……神楽のことは……よろしくね?」

 

涙を流しながら死を望むリサの元に友希那が少しづつ歩み寄ってきた。

そして……ペディナイフをしまい、リサの前に立つと……跪いた。

 

「友希那……?」

「人は……どんな悪い事をしても……やり直す権利がある……時間がある……どんな悪い人でも……やり直す事で正しい人生を歩み直せる事が出来る……」

 

そう言って友希那は両手を拡げた。

 

「リサ……本当に貴女が悪い事をしたと言うなら……私と一緒に償いましょう?」

「!!」

「償って……一緒に一からやり直しましょう?皆なら……神楽なら分かってくれるわ」

「友希那……アタシを……許して……くれるの?」

「神楽ならきっと……こうするから……」

 

リサが立ち上がり……少しづつ歩み寄ってきた。

 

「来て……リサ……貴女の苦しみ……全部受け止めてあげる」

「ありがとう……友希那……!!」

 

友希那とリサの距離がゼロになりかけ…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶしゃあぁぁぁあ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当……バカなんだから♪」

 

友希那の首から他の傷口から出ている量とは比べ物のならない量と勢いで血が吹き出した。

 

「あ……が……

…リ……サ……どお……して……」

 

そして友希那は横に倒れた。

首から未だに血が吹き出ている友希那の身体を仰向けにさせるリサ。

 

「言ったでしょ?友希那の知ってる今井リサは……

もう居ない。このにいるのは……」

 

「溺愛の感情しかない今井リサだって♪」

 

そう言ってリサは友希那に跨り……

 

「友希那……こんなアタシでも……幼馴染みとして

傍に居てくれて……ありがとう♪」

 

包丁を振りかざし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さよなら♪……友希那♪」

 

グサッ!!……

ぶしゃああああああああああぁぁぁ!!!!!

 

「リ…………サ…………ーーーー」

 

……春ーーーー某月某日、深夜0時羽丘中央公園にて……

青薔薇の歌姫は……この世を去った…………………………

 

翌朝……彼女の死体には……

……五輪の紫薔薇が備えられていたーーーー。

 

 

 

 

リサ:ヤンデレレベル……Lv5→Lv6

 

 

 

 

 

〜END〜

 




……感想、お待ちしております!
最後に……五輪の紫薔薇は『尊敬する貴女に出会えた喜び』と言う意味があります。


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BAD 13話 心を保てない……

12話主人公視点のストーリーです。
そして主人公は2度目の……
お楽しみに……!


〜神楽side〜

 

「……眠れない」

 

ライブが終わり、いつも通り夕食を済ませ明日の準備を済ませいつも通り寝る……それだけなのに、今日は何故な眠れなかった。

 

「いや……生れつき不眠症気味だから……にしてもこれ程眠れないのはおかしすぎる……」

 

(まるで……何か不吉なことが起きそうな……)

 

「……って馬鹿、縁起でもない……

少し、外歩くか」

 

気分転換にと……俺は家を出ていった。

……その時時刻は23時30分を過ぎていた。

 

…………………………

………………

 

「……やっぱりおかしすぎる……」

 

外を出歩いてざっと15分程度過ぎたのだが、未だに落ち着かなかった。これ程までに眠れなかったり、落ち着かなかったのは生まれて初めてだ。

 

「……こうなったら……あそこ(・・・)に行ってみるか……」

 

俺は次の目的地……『思い出の公園』へと向けて歩き出した。

 

…………………………

 

「〜♪~♪〜♪〜♪」

 

いつの間にか俺は今日のライブの曲を鼻歌で歌いながら歩いていた。

 

「そういえば……」

 

『貴方に……伝えたい事があるわ』

『私の彼氏になってくれて……ありがとう』

 

(友希那は……結局何を伝えたかったんだ……?)

 

脳裏に友希那のあのセリフが浮かび上がる。

……明日彼女に何を言いたかったのか聞いて見よう。そう思った瞬間だった……。

 

「!!??」

 

(こ、この匂い……!?)

 

平和な日常……であればこんな匂いはしてこない……しかしそんな平和な日常が崩れる瞬間は……

 

血の匂いがする……ーーーー

 

俺は走り出した。急がないと、取り返し付かない……

そう脳内で訴えかけられたかの様に……。

 

…………………………

 

「……な、……っ!?」

 

公園に辿り着いた俺は目を見開いた。

……目の前の光景に……

 

「あっ♪神楽だ〜♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前には地面に大量の血を流し倒れている友希那……そしてその横に、包丁をもって身体中血まみれのリサが狂気の笑みを浮かべてこちらを見ていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おい……友希那……?」

 

俺は友希那の元へ歩み寄り友希那の横まで来て跪いた。

よく見ると友希那の身体の上に五輪の紫薔薇が置かれていた。

 

「へ、返事……してくれよ?……な、なあ……友希那?」

 

幾ら呼びかけても、身体を揺すっても……友希那は動かなかった。

 

「う、嘘……だろ?……友希那……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友希那ーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして……どうして友希那が……

なんで……」

 

友希那が何をした?彼女は今日……歌姫として多くの観客に歌を届けただけだ……なのに……なのに…………

 

「おい……どうしてだよ……どうして……」

 

俺はリサの胸ぐらを思い切り掴んで叫んだ。

 

 

「どうして友希那を殺したぁ!!??」

 

 

「どうしてって……神楽おかしな事言うね♪

そんなの……決まってんじゃん♪」

 

直後、リサは胸ぐらを掴んでる俺の腕を掴み……

 

 

グサッ……!!!!

 

 

「!!??

う、うわあああああああ!!??」

 

俺の腹を思い切り刺した。

 

「そんなの……友希那が神楽と付き合い始めた頃から

……うんん。神楽を愛し始めた時から決まっていた

運命……そう、運命なの♪」

 

「あがっ……!?お前……何……を……言ってるんだ?」

 

痛い……痛くて思う様に喋れない。

 

「この際だから神楽にも教えちゃうね♪アタシ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシはもう……神楽の知ってる『今井リサ』じゃないの」

「アタシは今井リサを殺した溺愛の感情のリサ……

神楽を愛する事を以外の感情は何処にもないの」

 

「ど、どういう……事……?」

 

「友希那も言ってたけど……アタシは昔から『多重人格』……だったの」

 

「多重人格?」

 

間違いでなければ……多重人格とは自分の身体の中に幾つもの別人格の魂が宿っていて、自分じゃない何かが偶に乗り移って何かをする……と言われている。

 

「エミや友希那を殺したのは……アタシの溺愛の感情が膨れ上がって生まれたもう一人のアタシの意志……」

「じゃ、じゃあ……さっき言ってた溺愛以外の感情は……」

 

リサは微笑んでいるままだ……。

 

(頼む……違うと言ってくれ……)

 

アタシ(・・・)の意志に溺れたリサが壊したよ♪」

「あ、ああ……!」

「神楽を溺愛するのに……他の感情なんて要らない。必要な無いもの♪」

 

俺は絶望した……俺の知ってるリサは……もう居ない……

 

(なら俺が生きてる理由も……もう無いんじゃ……)

 

そう思った俺は急所を外したまま……腹に刺さったままの包丁をリサの手の上から握った……

 

「神楽?」

「俺の愛するリサが居ないなら……俺の心を支える友希那も居ないなら……俺はここに居る理由がない……なら」

 

俺は刺さっていた包丁を無理矢理抜いた……

そしてーーーー

 

「神楽!?駄目ーーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ!!

ぶしゃあぁぁぁあ!!!!!

 

……1度抜いた包丁を自分の心臓の位置へ持っていき突き刺した。

 

「神楽!?神楽ぁ!!??」

 

そのまま仰向けに倒れると同時に包丁も抜け、血も吹き出した。

 

「さよならだ……リサ……お前にもう一度出会えて……お前と付き合えて……ほんとに良かった……」

「神楽!?死なないで!?アタシは……神楽をまだ

……まだ全然愛せてないのに!!」

 

リサは必死に俺を助けようとバッグに入っていたタオルで止血を試みる……が当然、血は止まらない。

 

(あ…やばい……視界が霞んで来た……そろそろだな)

 

俺は一つ、リサと会い、今みたく殺された場合にリサに伝えたい事があった。

 

「リサ……お前はひたすら逃げろ……逃げて逃げて……こ……ここに書かれてる所まで……」

 

俺はとある場所が記されてるメモをリサに渡した。

 

「ここ……なら……お前の……事を……り……理解してく……れる人がいる……っごは!?」

 

「神楽ぁ!!」

 

いつの間にかリサは大粒の涙を流していた……

 

(なんだ……そんなに泣ける(・・・)なら……大丈夫そうだな)

 

「リサ……最後に……短い間だったが……俺を……誰よりも……愛してく……れて……ーーーー」

 

(……ありがとう。リサ、俺は必ずお前を助ける)

 

俺は静かに目を閉じ……間もなく終わる意識を手放した……ーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神楽?……ね、ねえ……返事してよ……」

 

「神楽ああああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

…………………………

………………

…………

 

「…………っ」

 

意識が……回復して行く……

 

「……こ、……ここ……は?」

「っ!!先生!目が覚めた様です!!」

 

(先生……この匂い……病院か……?)

 

視界がハッキリしていくにつれ……あと消毒液の匂いから察してここがとある病院の病室だと言うことがわかった。

 

(不死の加護か発動したか……)

 

目覚めた場所が病院……腕に輸血キットが繋がれている……そして胸部と腹部に残ってる痛みから察して……2度目(・・・)の不死の加護が発動した事を悟った。

 

「君……大江神楽君で良かったかい?」

「はい……そうですが?」

「神楽君……君は深夜に、羽丘中央公園で誰かに刃物で刺されて瀕死の重傷を追ってここへ運ばれた……覚えているかい?」

「はい……覚えてます……が、た誰に(・・)刺されたかわ……」

 

(そう言えば……何か忘れてる……っ!?)

 

「すいません先生!か、彼女は……!?あの公園で俺と一緒に倒れていた彼女は!?」

 

俺は友希那も刺されて重傷だった事を思い出し、先生に友希那の安否を確認した。

 

「…………」

 

「う、嘘……ですよね……?」

 

「……友希那ちゃんは……発見された時には……もう……」

 

「!!??」

 

……分かってはいた……

しかし、心のどこかでかそれを認めたくなかった……。

 

「そう……ですか……っ!!」

 

(……こんな事……!!)

 

「……少し……1人にして貰っても……いいですか?」

「構わないよ……」

 

そう言って先生はナースと共に病室を出た。

 

「友希那…………」

 

「……っ!ううっ……どうして……!」

 

コンコンッ

 

扉の方からノックの音が聞こえた。

 

「……どうぞ」

 

「……失礼するよ」

 

入って来たのは警察の人だった。

 

「大江神楽君だね?私は関東警察の原田と言う者です」

「もしかして……今回の事件に関しての聞き込み……ですか?」

「ああ。さっき先生から話を聞いて君の生存を確認出来た為……ここに来た。事件の時の事を……詳しく聞かせて欲しいんだ」

「……分かりました」

 

俺はあの事件の真相の1部を隠し、打ち明けた。

 

…………………………

 

「……以上が……俺の知ってる限りの事件の全てです」

「……ありがとう。御協力感謝するよ。……お礼に……これを」

 

1部を覗いて全てを話した後原田さんに大きめの茶封筒を渡された。

 

「友希那さんのご自宅の自室にて見つかった物だ。

……両親から了承は得てる。受け取ってくれ」

「……ありがとうございます」

 

俺に茶封筒を渡すと原田さんは任務があると言って病室を出ていった。

 

「……友希那」

 

茶封筒を揺すって見ると以外とズッシリしていて何処と無く軽かった。

慎重に封を切り、中身を取り出す。

 

「!!……これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……中には無題のDVDディスク、便箋、そして……

……『Keep Heart』と書かれたスコアと原譜が入っていた。

 

 

 

 

〜END〜




次回は紗夜、あこ、燐子メインのストーリーに、なります!お楽しみに!


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BAD14話 彼女達に遺したメッセージ……

前回の後書きに記したとおり、リサ覗くRoseliaのメンバーメインとなります。なお、リサメインはこのストーリー投稿後に編集予定です!
それでは……どうぞ!


〜紗夜side〜

 

「……もう朝ね……」

 

昨晩は余り眠れなかった。理由……としては昨日のライブ……。

 

(湊さんは……あのライブで私達に感謝を伝えようとしていたのはわかった……。けれど、何故……)

 

湊さんの意志がよく分からなかった。感謝を伝えようとしたのは分かったが、その動機が分からない……。日頃の感謝の気持ちを伝えるにせよ、タイミングが曖昧すぎる……私はそう思った。

 

「なにか……他に私達に伝えたい事があったのかしら?」

 

考えれば考える程……分からなかった。他の皆も同じ事を考えていると……

 

「お姉ちゃん!!大変だよ!!」

「!!日菜!?ロックしてって何時もいってーー」

「今すぐ今朝のニュースみて!!大変なの!!」

「ニュース?」

 

私はスマホのニュース画面を開いた。

 

「!!??」

(う、嘘……!?そんな!?)

 

私は直ぐに私服に着替えて羽丘中央病院へ向かった。

そのニュースには……こう報道されていた。

 

『昨晩、羽丘住宅街の公園にて男女2人が何者かによって刃物で刺され羽丘中央病院へ緊急搬送された。被害者の内、女性の方はRoseliaのボーカリスト湊友希那、男性は大江神楽いづれも羽丘学園の3年生。大江神楽は病院で一命を取り留めたが、湊友希那は搬送時に死亡が確認された……』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜燐子side〜

 

「……ん……もう朝?」

 

昨晩は余り寝付けなかった。昨日のライブで湊さんがとった行動が頭に離れずに……。

 

(湊さん……どうして私達に感謝の気持ちを伝えたの……?動機が……分からない……)

 

昨日のライブ……お客さんに……というより湊さんは私達に伝えたい事があった様に思えた。まだ……私達は頂点に立てていない……日頃の感謝にしても……1曲1曲感謝を述べるだろうか?……

 

(ダメだ……いくら考えても動機が分からない……)

「朝ごはん……だべなきゃ……」

 

少しの気分転換にと、私らリビングに行って朝食をとることにした。

……普通に今まで通り朝食をとっていたつもりだったが、今日は何故かニュースを見なければ行けない……そんな衝動に狩られ私はテレビを付けた。

 

『続いてのニュースです。昨晩、羽丘住宅街の公園にて羽丘の生徒男女2人が何者かによって刃物で刺され、羽丘中央病院へ緊急搬送されました。男性の名前は大江神楽、女性の方は湊友希那さんいずれも高校三年生。大江神楽さんは今朝病院で一命を取り留めましたが、湊友希那さんは搬送中に死亡が確認されました。湊友希那さんは有名バンドRoseliaのボーカリストで……』

 

「!!??」

(う、嘘……湊さんが……死んだ……!?)

 

私は朝食を後にし、急いで病院へ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜あこside〜

 

「おはよ〜……」

「おはようあこ……ってどうしたんだよ?朝だってのに元気ないな?」

「うん……昨日のライブが頭から離れなくて……余り眠れなかったの……」

 

ライブがあった次の日はRoseliaの皆とカッコイイライブが出来たのが嬉しくて眠れない……ってのはよくある事だったけど……昨日のライブは違かった。

 

「昨日のライブ……私もAfterglowの皆と見に行ったけど……何時もとは違う感じだったな」

「お姉ちゃんもそう思った?」

「ああ……なんて言うか、湊先輩の歌声……誰かになにか伝えてる様な風にえて……何時もより心に残ったっていうか……」

「そう!あこもそんな感じ……友希那さんがあこ達に感謝の気持ちを伝えてたってのは分かったんだけど……」

「動機が分からない……て感じか?」

「うん……」

(友希那さん……あこ達に何を伝えたかったんだろ?)

 

そう考えているとテレビでニュース番組が始まった。

 

『昨晩、羽丘住宅街の公園にて羽丘の生徒男女2人が何者かによって刃物で刺され、羽丘中央病院へ緊急搬送されました。男性の名前は大江神楽、女性の方は湊友希那さんいずれも高校三年生。大江神楽さんは今朝病院で一命を取り留めましたが、湊友希那さんは搬送中に死亡が確認されました。湊友希那さんは有名バンドRoseliaのボーカリストで……』

 

「「!!??」」

 

ニュース冒頭で私とお姉ちゃんは信じられないニュースを見た。

 

「おい……嘘だろ……」

「友希那さんが……死んだ?」

「!?お、おいあこ!!」

「ごめんお姉ちゃん!あこ病院に行ってくる!!」

 

私は急いで身支度を整え羽丘中央病院へ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

※ここからは一般視点になります。

 

「大江さん!!」

「神楽さん!!」

「神兄!!」

「皆……」

 

原田さんから貰った友希那の遺品を眺めていた神楽の元に、紗夜、燐子、あこの3人が来た。

 

「ここに来た……という事は皆……ニュースを見たんだな」

「はい……」

「そうです……」

「うん……エグッウウ……ゆぎな……ざん……」

「あこちゃん……」

 

3人の顔は……とても悲しいだけで住むようなものでは無いくらい悲壮感溢れていた。あこに関しては既に泣きつつある。

 

「皆……本当にごめん……!!俺が……リサを止めれていれば!!

リサの事をちゃんと愛してやれれば……!!」

「友希那の気持ちを……もっと早く察して入れれば……!!

本当に……ごめん皆……!!友希那を殺したのは……俺みたいなもんだ……」

「大江さん……これ以上自分を責めないで下さい……この結末は……きっとあの2人以外には止められ無かった……」

「!!」

「ひ、氷川さん!?」

「紗夜さん!?」

「おい……今なんていった?」

 

いつの間にか神楽は紗夜の胸倉を掴んでいた。

 

「止められなかった?じゃあ俺は……友希那が死ぬ姿を指くわえて観てた方がマシだった……そう言いたいのか?」

「……っ!」

「神楽さん!止めてください!!」

「そ、そうだよ神兄!そんな事したって友希那さん喜ばないよ!!」

「!!ゆ……友希那……っ!」

 

あこの一言で我を取り戻した神楽は紗夜を離した……そして

 

「……ごめん皆……取り乱した……」

「わ、私こそ……言わなくてもいい事を……」

「いいんだ……事実なんだし……」

「あ、あの……神楽さん……それは……?」

 

燐子が俺が枕元に置いておいた茶封筒の存在に気づいた。

 

「さっき……関東警察の原田さんって人から貰った友希那の遺品……だそうだ」

「中に……何が入ってたの?神兄?」

「……手紙とDVDディスク、あとある曲のスコア原譜だ」

「曲……ですか?」

「それは一体……」

「曲に関しては俺達には知らされてない……友希那だけが知ってる新曲だ。ちなみに俺はまだ何も見てない。紗夜達と見ようと思って連絡しようとしたんだが……」

「連絡する前に来た……という事ですね」

 

その問いに俺は頷き話を続けた。

 

「そして手紙から見るようにと便箋に書いてあった。……読む前に……準備……出来てるか?」

「もちろんです!」

「その為に……私達は来ました……から!」

「何時でもいいですよ。大江さん」

「それでは……読みます……」

 

俺は友希那が残した遺品の1つ……俺達5人(・・)に遺したメッセージを読み始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『初めに言うけど、この手紙を読んでるという事は私はもうこの世には居ない……そういう事になるわ。どうか……この手紙はRoseliaの皆か私を愛してくれた彼……あとお父さんの手に渡って欲しい。別に……ヒーローに憧れた訳じゃない。私は2人しか居ない幼馴染みの苦しんでる姿をこれ以上見たくなかった。Roseliaの皆が私見たいな目にあって欲しくなかったから……。仇を取ろうなんて思わないで。そんなことをしても誰も報われない。幸せな日常は戻らない。燐子……貴女ならもっと変われるわ。いつか貴女のピアノのコンクールで演奏を見た時私は確信した。そしてそれはこれこらのRoseliaに必要だから。あこ……時折貴女と会話をしていると頭が痛くなるの……もちろん冗談よ。けど貴女のその無邪気な性格なら……きっと皆の力になれる。弱音を吐かないで……強く生きて。紗夜……思えばRoseliaを結成するとき……最初に貴女と出会った事が全ての始まりね。貴女が居ればRoseliaは生き続けるわ……ただし……決して1人で抱え込まないで頂戴。皆もそうだけれども……1番心配するのはきっと日菜だろうから。いざと言う時は誰でもいいから頼るのよ。そしてリサ……貴女は決して悪くない。だから自分を追い込む様なマネは絶対にしないこと。いい事?辛くなったら……何時でも戻って来なさい。Roseliaは……神楽は何時でも貴女の味方よ。最後に神楽……もし……もしもこれを読んでるのが貴方なら……つたえる事はひとつよ。リサを……私の中で貴方と2人しか居ない大切な幼馴染みを……これからも愛し続けなさい。それ以外の事は……絶対にしてはダメよ。それ以外の貴方の行為は絶対報われないから。そして不本意だけどお父さん……これを呼んだらあとは神楽に任せて頂戴。彼なら……きっと彼女を救ってくれるから……。

P.S.:最後のメッセージはDVDにあるから見て頂戴……友希那より』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「「「「…………………………」」」」

 

「……DVDみるよ」

「はい……」

「お願い……します……」

「うん……」

 

しばらくの沈黙の後……互いに短い返事を交わしDVDを見た。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『……ちゃんと録画されてるわよね……?されてるわね。誤ってこれを先に見た場合もあるからもう一度言うけど……これを見てると言うことは私は死んでるわ。最後のメッセージ……だけれど……私なりに考えた結論として……歌で残す事にしたわ。封筒に入ってるスコアがそれよ。これを歌う前に……皆……こんな私に今までついてきてくれてありがとう。ぶつかり合って散り散りになった時……私を受け入れてくれて……ありがとう。最後に……Roseliaに全てを掛けてくれて……ありがと』

 

……ここで録画がとぎれ、次の映像が映し出された。

 

『それでは……聞いて下さい……

『Keep Heart』』

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

『過去から未来から♪ 突然現れる♪

言い知れない不安に♪試される事は日常で♪』

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

『嗚呼、♪呑まれずに♪染まれずに♪

崩れないものは絶対♪

離しはしないわ♪』

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

『耳をすませ深呼吸♪五感の全てが告ぐ♪

大切なものは今♪

一途な言葉で綴ってゆく私の思い♪』

 

〜♪〜♪〜♪〜♪

 

『守られるよりもずっと♪

守り続けていたいから♪

勇気は自ずと生まれてくるの♪迷わず翳せ♪

降り掛かる困難を払え♪

最上へと晴れてゆく♪』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

友希那が作った新曲のアカペラは神楽達4人の心に深く響いた。

 

「……っ」

「ああああああああああ……!!ゆぎなざん!!ゆぎなざん……!!」

「湊さん……!!私……私……!!」

「湊さん……貴女の思い……っ、伝わりましたよ……!」

 

この時4人は気づいたのだろう。友希那が昨日のライブでどうして感謝の気持ちを伝えていたのか……全てはこれを伝えたかったから……この新曲の歌詞見たく強く生きて欲しいと……そして……

 

「俺は……退院後……リサを探す」

 

「「「!!!???」」」

 

「な、何を言ってるんですか!?」

「き、危険……過ぎます……!」

「神兄危ないよ……!」

 

神楽の一言に驚きを隠せずにいる3人。むしろ危険だと止めようとしている。

 

「勘違いするな……俺はリサを愛する為に……宛のある所に行くだけだ」

「だったらあこ達も!」

「いや……3人は……CIRCLEであの曲を練習していてくれ」

「どうして……ですか?」

「あの曲を……リサに……今までRoseliaを支えてくれた皆に聞かせるんだそれが唯一俺達に課せられた事だ」

「……分かりました」

 

「「氷川さん!?(紗夜さん!?)」」

 

以外にも紗夜が従ってくれた。

 

「ですが、大江さん。必ず……生きて帰ってきて下さい。そして……今井さんを救って戻って来てくれる事を約束してください」

「持ちのローンで任せろ必ず……救ってみせる」

 

こうして4人のすべき事が決まり、各々行動するのであった。

 

 

 

 

〜END〜

 

 




次回リサメインです。……BADルート要素が次回含まれるかも?
……お楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております!


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BAD15話 彼女が選ぶ運命(未来)

今回はリサメインです。リサ視点でお送りします!



※今回リサ推しの方にとっては不快に思われる可能性のある描写が含まれます。それらが大丈夫な方のみご覧ください。またBAD12話同様……このストーリーに限り最大限の配慮しか致しませんのでご了承ください。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…………ん?」

 

……ここは……どこなの?見たことの無い部屋……周りには黄色い薔薇が一面に咲いている。

 

「あっ!目覚めたんだ♪おはよう今井さん!」

 

その声は……

 

「サクラ先生……」

 

声のした方を向くとそこにはアタシの学校の保健室の先生である弥生サクラ先生がいた。

 

「サクラ先生……ここは?」

「ここは私の研究所……かな?」

「研究所……?何の研究を来てるんですか?」

「あれ?噂とかで聞いた事ないかな?私が生物の死について研究してるって」

「いえ……初耳……です」

「そっか……んで幾つか聞きたいんだけどさ……」

 

サクラ先生はそう言いながらなにかを挟んだファイルを持ってアタシの元へ歩み寄って近くにあった椅子に腰掛けた。

 

「まず……今井さんの事ちゃんとしりたいから……『本人』出てきて貰える?」

「!?あ、ああ……!」

「『貴女』のままでもいいけど……私ホントのことしりたいから……」

 

「あ、あああ……!あああ!!あ、アタシが……アタシが……!うあ!あああ!!」

「落ち着いて今井さん!まずは深呼吸!ほら!息入れて!」

「はあ……はあ……アタシが……悪い……アタシが全部……アタシが……殺した……アタシが……友希那を……」

 

これまでの行いが……あたかも走馬灯のように振替される。そう……『本当』のアタシはそんな事しない。けど……そこにいるのは……今ここにいるのは『今井リサ』……その事実に変わりはない……間違いなどどこにも無い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全部……あたしが殺ったんだ……

 

「あああああああああああぁぁぁ……!!!!!」

 

アタシはベットから転がり落ち発狂しながらのたうち回る……そして床に頭を何度も何度も……血が出てもなお打ち付け……

 

グサッ!グサッ!ザシュッ!ザシュッ!

 

近くにあったハサミで左腕に刺しては切り刻んでを繰り返し……血が止まらないんじゃないか……貧血で倒れるんじゃないか……そんな事お構い無しに右腕も同じように傷つけた。

 

「今井さん!今すぐ辞めなさい!!」

「ほっといて下さい!!」

「きゃあっ!!」

 

アタシは心配して駆け寄ってくれたサクラ先生を突き飛ばした……いや今のアタシにはサクラ先生かどうかなんて今はどうでも良かった。1人にして欲しい……

 

「アタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが殺したアタシが……アタシが全部悪いんです……アタシが神楽を好きになっちゃったから……神楽を愛しちゃったから……アタシが……あんな『約束』をしたから……アタシが……この世にいたから……」

 

 

 

「!!……いい加減になさい!!」

 

 

バチィン!!!

 

 

「あうっ!!……」

 

 

ぎゅうっ!!

 

え……何……止めて……止めてください……サクラ先生……アタシが全部悪いんです……アタシが全部……全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部……!!アタシはもう……死んで罪を償いたい……もうこれ以上……だかれかが傷ついて倒れ……死んで欲しくない!だから……

 

「もう……自分を責める必要はない……」

 

「えっ!?」

 

だって……アタシのせいで……エミも死んで……友希那も死んで……神楽も死んだ……全部アタシのせいなのに……どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?……

 

「今井さん……『多重人格』……なんですって?」

「ど、どうしてそれを!?」

「貴方が寝ている間……少し調べさせて貰ったの……大江君から貰った情報を元にね」

 

えっ!?……神楽……神楽は……生きてるの?

 

「神楽は……生きてるんですか?」

 

そんな訳ない……だってアタシが……神楽を……この手で……

 

「生きてるよ♪彼には口止めされてるんだけど……彼ちょっと他の人と違うの」

「違う……?」

「そう……詳しく言えないけど……彼はあと4回人生をやり直せるの」

「……え!?」

 

にわかに信じられ無かった……けど……

 

「生きてる……神楽が……良がっだ……ううっ!」

 

涙が止まらなかった……理由はともあれ神楽は生きている。それだけで……『他の事がどうでも良くなった』……

 

「!?だ……駄目……そんな事思っちゃ……」

「話を戻すけど……貴女が眠ってる間に色々調べてね……興味深い事が分かったの♪」

「違う……違うんです!私……私は!」

 

さっきのは……絶対に思ってはいけない!思ってしまったら……アタシは……もう……!

 

「まあ落ち着いて今井さん……貴女の多重人格を直せる事が出来るかもしれないの」

「直せるんですか!?お願いします!!アタシ……もうこれ以上誰も傷付けたくないんです!」

「分かってる……今井さん……とても辛い思いをしたんだもんね……それを……人思い(・・・)に終わらせたいもんね」

 

あれ?……何……意識が……遠のいていく……?

 

「今井さん……周りを見て頂戴……綺麗な黄色い薔薇でしょ?」

「とても……はい……綺麗……」

「どれでもいい……周りの黄色い薔薇に意識を向けて」

「はい……っ!?」

「動かないで……いま精神安定剤を打ってるから……」

 

なんだか……黄色い薔薇に意識を集中してるのに……アタシの耳には……サクラ先生の声が鮮明にきこえる……

 

「今井さん、結論を言うけど……貴女には『死神の加護』が備わってるわ」

「死神……加護……?」

「死神の加護はね……多重人格に凄く似てて……喜怒哀楽等の感情表現が激しい人に備わりやすい……いいえ、取り付きやすい能力よ」

「取り付きやすい……?」

 

なんだろう……?鮮明にサクラ先生の声が聞こえるのに……意識が遠のいていく……このままだと……『彼女』が出てきてしまう……

 

「そう……死神の加護の死神……感情・衝動が激しい精神に取り付き強くなる……やがて他の感情・衝動が邪魔になり……囁くの……本体の最大の弱味を」

 

覚え……があった……あの時……溺愛の心を強く持った彼女が……きっとそうなんだ。

 

「そして加護は……本体が滅ぶとき……弱い感情・衝動を身代わりにするの……」

 

これも……覚えがある……アタシがアタシを刺した時だ……

 

「!?あ、あがっ……!!あああ!!」

 

な……なに?イキナリ身体が……熱い……!!苦しい!!

 

「黄色い薔薇の花言葉……色々あるけど……その中に「愛情の薄らぎ」「嫉妬」があるの……今の大江くんの貴女に対する愛はまさに愛情の薄らぎ。そして……嫉妬……これが溺愛と同じように大きくなりつつある衝動……」

 

「や……止めて……止めて……!」

 

『貴女は……彼女達に嫉妬している……彼女達が憎く思える……氷川紗夜の誠実さ……白金燐子の心優しさ……宇田川あこの無邪気さに……嫉妬している』

『けどねけどね!それと同じくらいに彼を凄〜く愛してるの!今までの貴女には考えられない事だよ〜!』

 

止めて……アタシの心に入らないで!アタシをこれ以上……壊さないで!

 

「そして今も大きくなりつつある溺愛が……嫉妬と1つになろうとしている……」

 

『彼女達が憎いのなら……殺せばいい』

『彼をもっと愛したかったら……彼女達を殺さなければ……いずれ彼が取られてしまう……』

 

「ヤダ……止めて……これ以上神楽を……取らないで……アタシを……ああああ!!」

「落ち着いて今井さん……ほら……これ」

 

サクラ先生が私にくれたのはアタシが愛用する包丁だった……。

 

「貴女は……まもなく死ぬ……溺愛と嫉妬に精神を蝕まれて……廃人と化すわ……そうなる前に貴女の手で自害して……加護を発動させるの……」

 

『そう……それで彼女達を殺しなさい』

『彼をもっと愛したかったら……それで彼女達の心臓を滅多刺しにするの』

 

「ハア……ハア……こ、これで……終わる……全て……」

これで全て終わるなら……神楽とまた愛し合えるなら……

 

「さ♪思いっきり……殺っちゃえ♡

「あああああああああああぁぁぁ!!!!!」

 

そして私は包丁を自分に向けて……ーー

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ぶしゃあああああああああああぁぁぁ……!!!!!

 

「あ……が……ーー」

 

アタシは彼に……神楽にもう一度愛して貰いたさに……自害した……

これで……お別れ……だ……ね……ーー

 

「ふふふ……これでいいわ……まさか……彼女が死神と契約していたなんてね」

 

「ふふふ……ふふふふ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」

 

そう……弱いアタシとお別れした……これでもう弱いアタシは居ない……この身体はもう……

 

「アタシ達2人(・・)のもの……♡」

「ふふふっ♪気分はどお?死神さん♪」

 

ザシュッ……ぶしゃあああああああああああぁぁぁ……!!!!!

 

「は……ハハ……やっぱり……こうなるん……だーー」

「んん〜〜♡♡美味し♡♡」

 

先生の血も……癖のある味♡美味しいよぉ♡♡

 

「待っててね神楽♡……アタシだけの神楽♡神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽神楽♡♡……アタシと神楽の愛を邪魔するやつはこの手で殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す♡♡」

 

永遠の愛を誓う為に……待っててね♡♡アタシの愛しい神楽♡♡

 

「ふふふ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♡♡♡♡♡♡」

 

 

 

 

リサヤンデレLv……Lv6→8

 

 

 

 

 

〜END〜




高評価、感想等お待ちしております!


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BAD16話 変わり果てた彼女

お待たせしました!今回からリサが本格的に動き出します!


「ここに……リサが居るはず……」

 

とある羽丘から少し離れた山の麓にポツリと1軒、家が建っていた。

……いや、いえと言うより別荘が建っていた。周りは色鮮やかな花がそびえ立っていた。

あの日……俺が死ぬ間際に渡したのは弥生サクラ先生の家の住所……今後、学校で話しずらい事があったらと渡された。まさかあんな形で生きるとは思わなかったが……。

 

「リサ……今助けるからな……」

 

俺は植物のアーチをくぐり抜け扉の前でチャイムを鳴らした。しかし……応答が無かった。

 

「?……おかしい……ここであってるはず……?」

 

ドアノブに手をかけると鍵が空いている事に気づいた。おっとりとした先生だが、戸締りを忘れるような人ではないと俺は思い余計に疑問に思った。

 

「お邪魔します……」

 

俺は1度頭の中に浮かんだ疑問等を棚に押し上げ、中へ入った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

(靴は……2人分……リサと先生で間違いない)

 

まだこの別荘?に2人は居ると悟った俺は少しだけ安堵した。

 

(だけど何だ……この拭い切れない不安は?何をそう不安がらせるんだ?)

 

2人が居ることに安堵しているはずなのに……謎の不安のみ拭いされなかった。そのせいで俺は謎の焦りを覚えた。

 

「リサー!!サクラ先生ーー!!ここに居るんだろ!?返事してくれーー!!」

「…………」

 

返事は……帰って来なかった。

 

「いや……もしかしたら看病で手が離せないんだ……きっと……そうだよな?」

 

そう割り切りたくても……割り切れなかった。色んな不安が込み上げて、逆にさっきの安堵が何時かその不安で押し潰されそうで……

 

「でも……リサの顔を……見ておかないと……例えあの日から変わってしまったとしても……」

(リサはリサなんだ……)

 

そうだ……あの日……リサと最後に出会ったあの日から……変わってしまったとしても……『今井リサ』それに変わりはない。

 

「それに友希那が死んだ今のRoseliaにはリサが必要だ……何としてもこれを……」

 

俺は鞄から友希那が遺した遺品を取り出した。

 

「……とりあえず、2人はこの中に居るはずだ……探さないと」

 

俺は別荘に上がり2人を探し始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ここにもいない……収穫があったとすれば……脱衣場だけだな……」

 

そこにはリサが身につけていたであろう服一色が置いてあった。察するに俺が来るまでに……もしくは何処か別の所を探してる間に脱衣場を利用していた彼女が何処か移動したとなる。

 

「しかし……唯一ベットがあるこの部屋も違うとなると……2人は一体何処に……」

「……神楽?」

「!!」

 

後の方で聞き覚えのある声が聞こえた。何度か聞いた事のある……俺の彼女の声。俺は振り向き彼女の名を叫んだ。

 

「リサ!!……ッ!?」

 

そこには見間違えるはずのない……今井リサが立っていた。しかし彼女は服を来ておらず、下着のみ身につけているだけ……そして髪は下ろして居るという何とも無防備な姿だった。

 

「神楽……会いたかったよ!凄く……凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く凄く会いたかった!!」

「あ、ああ……俺も会いたかった!あの日から……変わってしまったお前を助けるために……!それよりもどうしてそんな姿を?」

「ごめんね♪さっきまで他の女の『血塗り』を落とすためにシャワー浴びてたんだ♪どぉ?この姿のアタシも刺激的でしょ?」

「うん……髪下ろしててその上下着姿……魅力的だよリサ」

 

俺は今の(・・)リサを刺激させぬように彼女を褒めた。そして俺は鞄の中からリサに渡そうと思った友希那の遺品を取り出しリサに渡した。

 

「これは?」

「落ち着いて聞いて欲しい…………友希那が残した俺たちへのメッセージだ」

「友希那が?」

「ああ……今日はそれを渡す為にここに来た……あと、お前の容態を知りたくて……元気そうで何よりだ」

 

それを聞いたリサは一瞬表情を曇らせた……やはりあの日の自分の行いに多少なりとも罪悪感を残してるのだろう。

 

「そっか……友希那が……アタシに殺された癖に……抜かりないなぁ……昔から……でも……ありがとう神楽♪アタシの事心配してくれて……ああ♡神楽がアタシの事心配してくれた♡久しぶりに……嬉しいな……嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい♡♡」

「あ、ありがとうな……それよりサクラ先生はどこだ?お前の事を匿ってくれたんだ。お礼を言いたいんだが……」

「サクラ先生……?」

 

俺に心配されて見悶えるように喜んでいた彼女だったが、俺が先生の名前を出した瞬間……態度が一変した。

 

「ねえ神楽?どうして他の女の名前が出てくるの?ここに世界で1番美しい……魅力的なアタシが……彼女が居るのに?ねえ……どうしてよ?……はっ!まさか神楽!知らない内にあの女に変な事吹き込まれたんじゃ……っ!」

「お、おい落ち着けリサ!……俺はお前を匿ってくれた先生にお礼をしたいんだ!別に変な事は吹き込まれてないし……お礼をするのは当たり前の事だろ?」

「ご、ごめん……!アタシったら……そうだよね。サクラ先生……だっけ?先生ならこの先の地下で寝てる(・・・)よ♪研究で疲れちゃったらしくて……案内してあげる♪」

 

どうにかリサは納得してくれてサクラ先生の居場所を教えてくれた。地下室……あったんだな。道理で見つからなかったわけだ。俺はリサの後をついて行く形で地下へと向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ここだよ」

「ありがとう……」

(血の匂い……まさか……嘘だよな……)

 

リサに案内されて地下室の扉の前にいる俺はそこから立ち込める血の匂いに最悪な事態(・・・・・)が頭をよぎった。嘘であって欲しいと俺は願いながら扉を開けて研究室に入った……そこで目にしたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大量の血を流し既に死んでいる弥生サクラ先生の死体だった……

 

「!?サクラ先生!!」

 

俺はすぐさまサクラ先生のそばに駆け寄り容態を確認するが……現実は変わらず、先生は息絶えたままだった……。

 

「な、なぁリサ……先生はなんで……こんな事に?……ま、まさかお前が殺ったんじゃ……ーー」

 

グサッ!!……ぶしゃあああああああああぁぁぁ!!!

 

「あああああああああぁぁぁ……!!ど、どお……して……リサ!」

 

刹那、俺が振り向いた瞬間……リサが突き出した包丁が俺の心臓を突き刺し血を吹き出しながら俺は先生の横で倒れた。

 

「どうして?アタシ言ったよね?神楽と私の恋の邪魔をする奴は誰であろうと殺すって……先生はアタシと神楽を引き離そうとした。アタシに宿る『死神』に恐れて……だから友希那と同じ目に合わせたの♪」

「し、死神……?な、なにを……言って……」

「アタシがこうなったのはアタシの多重人格の1人の感情が、衝動が……その死神のせいで大きくなり過ぎてこうなったって。そしてその死神はね……大きくなりすぎると他の感情を殺す様に私に命令するの」

「!?ま……さか……お前の溺愛……?」

「大正解♪流石アタシの彼氏だね♪……そうだよ。アタシの溺愛の感情が……アタシの中にある弱い自分を殺すように命じて……アタシはそれに従って殺した……だからね……」

 

リサは俺の血がついた包丁を舐めうっとりした顔でこう答えた。

 

「もうアタシの中には溺愛のアタシしかいないの!神楽を溺愛すること以外何も要らない!神楽とアタシの愛を邪魔する悪い虫共は理由がどおあれ全員殺す♪例えそれがアタシを愛せない(・・・・・・・)神楽だったとしても……全員……全員……殺すことにしたの♪さっきもさ……神楽はアタシが居るのに先生の事ばっか……アタシが居るのに……ねえ?どうして?アタシはこんなにも元気でこれまで以上に神楽を愛してるのに……ねえ?どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして?」

 

グサッ!!グサッ!!グサッ!!グサッ!!

 

「アガッ!!……や、やめ……リサ……ご……ごめん……ゆ、許して……」

 

どうしてリサが俺の『不死の加護』を知ってるのか……恐らく先生がおしえたんだろうが……今はそんな事どうでも良かった。俺は今、リサに謝る事しか出来なかった。……彼女を救えなかった以前に、彼女を愛せ無かったことに……

 

「もう、遅いよ……アタシね……決めたんだ♪もう迷わないって。神楽との愛を邪魔する虫は1匹たりとも駆逐する……神楽を愛していいのはアタシだけだって思い知らせるために……だから神楽を殺したら……他の虫共を殺しにいくの♪」

「!!??……や、……めろ……さ……紗夜たち……Roselia……に……」

「うっさい……アタシだけを愛せない神楽はもう要らない……だからもう死んで」

 

グサッ!!……

 

「!!……ごめ……り……リサ……ーーーー」

 

俺はリサに滅多刺しにされそのまま命を落とした……ーーーー。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「んん〜〜♡♡やっぱり神楽の血は美味しいな♡……今日はもっと味わいたいな♡♡……チュルルルル♡♡」

 

もう神楽は死んじゃったけど……また生き返るんだよね?なら今の内にいっぱい♡い〜っぱい♡♡神楽の血を味あわないと♡♡

ああ♡♡美味しい♡♡神楽を1番感じられてる♡♡美味しい♡美味しい♡美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい美味しい♡♡♡

 

「ハア♡美味しかったぁ♡♡ご馳走様♡♡」

 

美味しかった♡でも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きっと……アタシを今までより1番愛してくれる神楽の血は……アタシが悶え死ぬくらい美味しいんだよなぁ♡♡」

 

だから待っててね……神楽♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神楽がアタシの事いっぱい……いっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱいいっぱい♡♡♡愛せるようにこれから虫けら共を駆逐するからね♡♡

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

リサ:ヤンデレLv……Lv8→Lv10




大変お待たせしました!
BADルートも折り返し?これからもよろしくお願い致します!
感想、高評価等よろしくお願いします!


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BAD17話 狙われた彼女達

知ってる人もいるかもですが、本作品はルートストーリー……BAD〇話と記してるのはそのためです。そしてBADと言うことは……


※今回は一般視点でお送りします。

 

「じゃあねー!六花!明日香!」

 

あこのクラスメイトであり、友達である朝日六花の家で戸山明日香と遊んでいたあこはそろそろ自分の家に帰らねばと六花の家を後にした。

 

「ん〜!今日も楽しかったね!明日香!」

「そうだね♪まさかあこがあそこまで強かったとは思わなかったけど……」

「ふふ〜ん♪あこのお姉ちゃん愛は誰にも負けないのだ〜!!」

「へ、へぇ〜……なら今度日菜先輩とやってみる?」

「うグッ……ひ、日菜先輩は強すぎるも〜ん!あこでも負けちゃうよ〜!」

「あはは……そうだよね。私もお姉ちゃんの事誰よりも好きだって思うけど……さすがに日菜先輩には勝てないや……」

 

道中2人は六花の家でやった『カードファイト!!お姉ちゃん!!』での1幕を熱く?語っていた。2人の姉もまた、妹である自分達を愛していながら今を代表するガールズバンドの1人でもある。

 

「まーね☆私のお姉ちゃんは誰よりも凄いもん!それは2人にも譲れないな〜♪」

 

「「日菜先輩!!??」」

 

後ろから2人の会話に入ってきたのは氷川日菜……。Roseliaのギタリスト氷川紗夜の妹であり2人が通う羽ヶ丘女子学園の生徒会長だ。

 

「ヤッホー☆偶然ここ通り掛かってさ♪一緒に帰ろ?」

「は、はい!」

「あこも全然大丈夫です!」

「よ〜し!それじゃぁレッツゴー☆」

 

そして日菜は2人の後ろ(・・・・・)につき、あこと明日香の3人で一緒に帰ることになった。

 

「……よしと♪」

(そっちも頑張ってね、お姉ちゃん)

『あこちゃん保護完了☆明日香ちゃんも一緒だけど大丈夫だよ♪』

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ピロリン♪

 

(日菜から……)

 

『あこちゃん保護完了☆明日香ちゃんも一緒だけど大丈夫だよ♪』

『ありがとう。私も白金さんと一緒に帰ってるわ。何かあったら直ぐに連絡して頂戴』

『OK♪』

 

日菜からLINEでこのメッセージが送られたのを確認した紗夜はこちらも大丈夫たという旨を伝えた。

 

「あ、あの……氷川さん……」

「大丈夫です白金さん。宇田川さんには日菜と明日香さんが居るそうです。ひとまず(・・・・)は大丈夫かと……」

「そう……ですか……」

「貴女は私が……守って見せます」

「!!……ありがとうございます……」

 

(大江さんから連絡が来なくなって1週間……私達で今のRoseliaを守らなくては……)

 

神楽とここ1週間連絡が取れない事に紗夜はただならぬ警戒心を抱いていた。

 

「氷川さん……」

「!!……白金さん?」

 

不意に、燐子が紗夜の手を握ってきた。咄嗟の行動に紗夜は驚いた顔をしたが、さっきまで抱いていた警戒心が和らいだ。

 

「信じましょう……神楽さんを……彼なら……きっと大丈夫……です」

「そうですね……彼を信じましょう」

 

2人でそう言葉を交わし、一度止めた足を動かし始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「それじゃぁまたあしたねあこ!」

「うん!また明日!明日香!」

 

最寄り駅で明日香と別れると、日菜が「今からあこちゃんにいいもの見せてあげる☆」といい、今度は日菜かおこを連れていく形で一緒に行くことになった。

 

「あの〜日菜先輩?今から何を見に行くんですか?」

「星だよ〜☆この町の景色を見れる高台があってね、そこから見る夜景と一緒に見るとるん♪ってするくらい綺麗なんだー!私とお姉ちゃんしか知らないお気に入りの場所なんだけど……今日は特別にゲスト(・・・)も迎えてあこちゃんに見せてあげるよ♪」

「ホントですか!?あこ……楽しみです!!」

 

それを聞いたあこはとてもはしゃいだ。

 

「それじゃぁ何か飲み物でも買って行こっか♪」

「はい!!」

 

最寄りのコンビニで飲み物を買った2人は高台へと向かった。……その時日菜は、後ろから(・・・・)つけて来る(・・・・・)人物に気付かないフリをしながらあこと高台へと向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ピロリン♪

 

『燐子ちゃんを家に送ったら羽丘の駅で待ってて』

『分かったわ』

 

(日菜……大丈夫……よね?私の考えすぎよね?)

 

燐子を家まで送り届けた直後、日菜から届いたメッセージを見て紗夜は妙な胸騒ぎを感じた。

 

(まだ宇田川さんと一緒という事?それとも日菜なりの考え?)

 

日菜の考え、行動の、ほとんどは姉である自分でさえも分からない。故に紗夜がとった行動は……

 

「駅で……待ちましょう」

 

紗夜は日菜のメッセージに従うことにした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

日はすっかり沈み……辺りは暗くなり、とある町外れの高台で……

 

「綺麗〜!!」

「でしょでしょ!今日は快晴だっから星がよく見えるし、加えて今日は満月!!とってもるん♪ってくるよね!!」

「はい!!この夜景と星空……お姉ちゃんにも見せたいです!!」

「あこちゃんもそう思うよね!?お姉ちゃんにも見せたかったなぁ〜」

 

あこと日菜は高台から羽丘と花咲川の夜景と綺麗な夜空を見ていた。

地上には街の眩い街灯や建物の明かり、上空は満天の星々にあたかも太陽のように明るく照らす満月……その光景はまるで疲弊した身体、精神をそっと癒してくれるような感じだった。

 

「きっと見れますよ!あっそーだ!秋にこの夜景見ながら皆で月見とか良くないですか!?」

「いいねあこちゃん!るん♪って来たよ!!いつか絶対にやろ〜ね☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもこの綺麗な景色を見るのは今日で最後になるけどね♪」

「!!??」

「やっぱり着いてきてたんだね……でもストーカーは関心しないな〜?しかも女子高生2人をストーカーなんて……欲張りだな〜……ねえ?」

「あ、ああ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサちー?」

 

光ある所……影あり……その言葉の如く暗闇から現れたのは、包丁を持った今井リサ……彼女だった……。

 

 

 

〜END〜




感想、高評価等よろしくお願いします!


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BAD18話 守る為に

別作品でも述べましたが、就活を本格的に始める為投稿が遅くなるかもしれませんが……何卒宜しくお願いします。


※今回は一般視点でお送りします。

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「やっほーリサちー。私が見ない間に変わったね」

「久しぶり日菜♪あこも相変わらずで何よりだよ♪」

「り、リサ姉……そ、その手に持ってるの……」

「包丁だよ?これでこれからあこや紗夜達の心臓滅多刺しにして神楽を独り占めするの♡」

「ひ、ひぃっ!?」

 

とある町外れの高台にて……日菜とあこは狂気に満ちたリサと対面していた。そして日菜にとある疑問が生まれた。

 

「神楽……確かだいぶ前にウチに転校してきた男子生徒だよね?もしかしてその人とリサ姉は恋人どうしなの?」

「アハハ♪日菜って相変わらず変な事聞くんだね。紗夜から何も聞いてないの?」

「勿論聞いてるよ?でもそんな事しらたきっと神楽君悲しむよ?私が神楽君の恋人だったら……そんな事しないと思うんだけどな〜?」

「ぷッ!アハハハハハハハハハハハハハハハッ!♪」

 

しかしその疑問に対してリサは狂ったように笑った。それを見たあこはますます顔を青ざめさせ、怯えだした。

 

「も〜!♪日菜ってどうしてそんなおかしな質問するの?そんなの決まってるじゃん♪神楽を愛していいのはアタシだけ♡他の女共が……虫共が神楽を愛する事は絶対あっちゃいけないの。神楽の身体♡血♡心臓に臓物……♡全てを愛していいのはアタシだけ♡そう……神楽の全部♡全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部!♡神楽の全てはアタシだけのもの♡アタシだけが愛していいの♡」

「へ〜……じゃあ私がもし神楽君の事好きになったら?」

「させないよ?言ったじゃん♪神楽を愛していいのはアタシだけ♡他の虫共なんかが神楽の事するなんてあっちゃいけないの♪もし神楽を愛しようものなら日菜でも殺すよ?」

「り、リサ姉……」

 

そして先程まで怯えていたあこがリサに向かってこう言った。

 

「……そんな事しても……神兄は喜ばないよリサ姉……!お願いだからあの頃の優しいリサ姉にもどってよぉ!」

 

泣きながらあこはリサに訴えかけた。しかしーー

 

「アハハハハハハハハハハハッ♪……アタシはアタシだよ〜あこ♪そもそもアタシはそんなに優しくないの。神楽を愛する為なら束縛でも殺しでも……なんでもしちゃう人なの。妥協なんて一切しない。邪魔するなら……あこ達皆殺すよ?」

 

動じない所か、あこを脅し始めた。狂気の笑みで……それも恰も殺人鬼みたいな笑み、殺害等の非道を快感と捉えてるような顔だ。

 

「そ、そんな……っ!?い、嫌だ……あこ……し、死にたくない……!死にたくないよぉ……ッ」

 

リサから感じたただならぬ狂気にあこの顔は一気に青ざめ、あこは日菜の後ろへ隠れた。

 

「も〜リサちーったら怖いこと言うじゃん。あこちゃん怖がってるよ〜?(……あこちゃん、これから私の言う事よく聞いて)」

(え?……う、うん……)

 

それを見た日菜はリサに気付かれないようにあこに小声で話しかけた。

 

(お姉ちゃんから話は聞いてたけど……想像以上かな?私1人(・・・)でならどうにかなるかもだけど、2人だと正直キツいかな?だからあこちゃん。私が隙を作るから最寄り駅まで全速力で逃げて)

(!?)

 

日菜の口から出された言葉はとんでもない事だった。1人でならどうにかなる……つまり日菜はあの狂気に満ちたリサを1人で食い止めるということだ。

 

(そ、そんな事したら……!?日菜先輩まで死んじゃいますよ!!)

(そうなる……かもね。でもこの状況を切り抜くにはもうこれしかないの。大丈夫、駅にはお姉ちゃんがいるから。お姉ちゃんと合流したらお姉ちゃんと一緒行動して)

(で、でも……っ!?)

 

「ねぇ2人とも〜……さっきから何ヒソヒソはなしてるの?アタシも暇じゃないんだ。日菜とあこ殺したらすぐにでも紗夜達を殺しに行かないと行けないの」

 

2人が会話してる姿を見ていたリサは次第に苛立ちを見せていた。

 

(時間が無いの……お願いあこちゃん!ここで私達が死んだらリサちーすぐにでもお姉ちゃん達の所に行っちゃう!)

(日菜先輩……分かりました!その代わり日菜先輩……絶対に……死なないで下さい!)

(大丈夫!こう見えて私お姉ちゃんと同じくらい運動できるから♪……いい?私が合図したら全速力で駅に向かってね?)

(はい……!)

 

何とか理解してくれたあこを見て、日菜はリサと向き合った。

 

「お待たせリサちー♪残念だけどあこちゃんは死なせないよ?お姉ちゃんとの約束だからね☆」

「ふ〜ん……あっそ。ならアタシからあこを守って見な……っよ!!」

 

言い終わると同時にリサが日菜達目掛けて迫ってきた。対する日菜はさっきまで自分が飲んでいた空き缶を手に迫り来るリサ目掛けて走り出した。

 

「ッ……えぃッ!!」

 

そしてリサに向かって空き缶を投げつけた。そしてーー

 

「走って!!」

 

……ドンッ!!

 

「!?……きゃあっ!?」

 

当たった空き缶に一瞬怯んだリサ。そしてその一瞬を逃さないかのように日菜が叫んでリサにショルダータックルを決めた。まともに喰らったリサはそのまま後方へと軽く飛ばされた。

あこは日菜の言われた通りに合図であこは、駅を目指して高台から姿をけした。

 

「ふぅ〜♪やっと2人きりになれたねリサちー☆」

「はあ……なりたくて2人きりになった訳じゃ無いんだけど」

ため息混じりにそう言ったリサは立ち上がって日菜にゆっくり間合いを詰めた。

 

「まあでも……アタシと神楽の愛を邪魔する虫を駆除できるんならそれでもいっか♪あこ達は必ず殺すからね♡」

「でもそれは私を殺せれたらの話でしょ?言っとくけど私お姉ちゃんと同じくらい運動できるからね?少なくとも……リサちーからあこちゃん達を逃がす位の時間は稼げると思うんだ☆」

「その言い方だと日菜……もしかして」

「アハハハ☆半分(・・)ジョーダンだよ♪でも……」

 

そう言うと日菜はブレザーの内ポケットからカッターを取り出した。

 

「どうせ死ぬくらいなら……リサちーと一緒がいいな♪」

「アハハハ……それはちょっと無理なお願いかな〜?だって日菜はここでアタシに殺されるんだから♪」

 

月光照らす中……2人の女性が今……ぶつかりあう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「遅いわね……日菜、大丈夫かしら?」

 

とっくに日がくれ、すっかり夜になった。

日菜はきっと大丈夫……そう信じたい紗夜だったが、合流するのにここまで遅くなると流石の紗夜も不安になった。そして雲一つない夜空に浮かぶ満天の星々、満月の光が自分達を不気味に照らしてる様に見えて不安が更に高まる。

 

そしてその不安は……寄りによって当たってしまった。

 

「紗夜さ〜ん!!」

 

振り返るとそこにはあこが顔を真っ青にして、全速力でこちらに走ってきた。

 

「宇田川さん!?だ、大丈夫ですか?」

「あこは大丈夫……日菜先輩が一緒だったから……そ、それよりも紗夜さん!!日菜先輩がリサ姉と!!」

「な、なんですって!?」

「日菜先輩……紗夜さんと合流したら一緒に行動するようにって……自分1人だったら時間位稼げるって!」

「そんな……っ!?」

 

今度は紗夜の顔が青ざめた。日菜に関しては紗夜が1番よく知っている。

だからこそ……

 

「お願い……無茶だけはしないで。……死なないで頂戴、日菜……」

 

だからこそ……こうして無事を祈るしか出来なかった。

そして紗夜はある行動をしようと決意した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ねぇ日菜……何時になったら反撃してくるの?アタシの事バカにしてる?」

 

場所が変わって町外れの高台。リサが一方的に攻めている状態だった。

 

「別に馬鹿にしてないよ〜……。さっきも言ったじゃん♪それもこれも……全部時間稼ぎだって☆」

「アハハ♪その状態(・・・)よく言えるね〜♪アタシから見たら痩せ我慢してる様にしか見えないよ?」

 

対する日菜はリサの斬撃を躱し、さばき……時にいなすの繰り返しでリサの言う通り痩せ我慢していた。

致命傷的な傷は無いものの、至る所に軽度の切り傷。当然その傷口から血が流れる為じわじわと体力が消耗していく状態だ。

 

「ねぇ日菜?紗夜達の居場所教えてくれるなら命だけは見逃してあげるけど……どうする?」

「教えなくても……今のリサちーなら……そんなの……造作もないんじゃない……?」

「それもそっか♪てか話すのもやっとみたいな感じじゃん♪」

「ッ……うあっ!?」

 

リサにそう言われた直後、日菜が膝まづいた。遂に立つことさえもままならなくなった様だ。

 

「か、身体に……力……入んない……!」

 

そしてその瞬間を今かと待っていたリサが一気に間合いを詰め、日菜を押し倒した。

 

……ドンッ!!

 

「あうっ!?」

「まずは今も大事そうに握ってるカッターの方の腕……使えなくしちゃおっか♪」

 

即座に馬乗りになったリサはカッターを握ってる日菜の腕目掛けて包丁を振り下ろした。

 

グサッ!!

 

「ああああああッ!!」

「アハハハハハハハハハハハッ!!それだよ♡その悲鳴を聞きたかったんだぁ♡……レロ♡ん〜日菜の血も美味しい♡」

 

刺された痛みでてからカッターを離してしまった日菜。その傷口からは先程とは比にならない位血が流れる。

 

「あぐぅ……ッ……リサ……ちー……!」

「へぇ〜、まだそんな目つきが出来るんだ?」

 

しかし、彼女の目付きは……こんな状況に立たされていても笑っていた。

 

「リサ……ちー……わ、……私を……殺して?……もう……十分私は時間……稼いだから……」

「やっぱり……はじめから(・・・・・)そのつもりだったんだね♪一応遺言と聞こっか?」

「アハハ…………スウーー」

 

深呼吸をし、最後の力なのか否か……それを振り絞ってはっした。

 

「私が死んでもお姉ちゃんは絶対強いから負けない!!最後に生き残ってリサちーには罰を受けて貰うんだからね!!!」

 

 

グサッ!!!……ぶしゃあああああああああぁぁぁ……!!!!!

 

 

「アハ……ごめん……ね……お姉ちゃ……ーー。」

 

 

紗夜に……最愛の姉に謝罪を述べ……日菜は笑顔(・・)でこの世を去って行った……ーー。

 

「アハハッ♡……アタシの邪魔をするからこういう目に会うんだよ?日菜……」

 

 

 

 

 

……月光照らす中ーー

狂気に満ちた彼女は満月の真下で不気味に微笑んだのだった……ーー。

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

リサ:ヤンデレLv1012

 

 




大変お待たせしました!
BADルート……注意書き残酷な描写が多く出す度に書いた方がいいでしょうか?ご意見お願いします!
感想、高評価等宜しくお願いします!


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BAD19話 もう……戻れない

色んなアプリで色んなイベントが盛んだ事で……
中々捗らないです(ToT)


〜燐子&あこside〜

 

「ウグッ……うう……日菜ぜんばいぃ……」

「そ……そんな……」

 

朝……私とあこちゃんは朝のニュース速報を見て絶句しました。

そのニュースにはこう報道されていました……。

 

『昨晩未明、町外れの高台公園にて女子高生1人が何者かに刃物で殺害された。名前は氷川日菜高校三年生。羽丘女子学園生徒会長で、人気アイドルバンド「Pastel*Palette」のギター担当。警察は先日起きた湊友希那、南雲エミを殺害した犯人と同一人物として調査を進めている。また、羽丘女子学園の学校関係者も早朝より緊急会議を開くのとこと……』

 

「あこが……日菜先輩と一緒にいたから……あの後……紗夜さんと合流したらすぐに戻ってれば……!」

 

あこのせいだ……あの時……日菜先輩と一緒に逃げていれば。

日菜先輩を説得していれば……。

あの後仮に自分だけ逃げてしまったとしても紗夜さんと合流したらすぐに戻ってれば……!

 

「あこの……あこのせいだ……!」

「あこちゃん!?待って!!」

 

私の声を無視してあこちゃんが氷川さんの家(・・・・・・)からとびだしてしまった。

 

「ど、どうしよう……!?お、追いかけなきゃ……!」

 

もうこれ以上……誰かが傷付いて死んで欲しくない。氷川さんは今日菜さんの遺体を見に病院へ行っている。神楽君はあの日から連絡が繋がらないと氷川さんは言っていた。もしかして……神楽君も……

 

「駄目……弱気になっちゃ……神楽君なら……多分大丈夫……だと思う……から!」

 

きっとどこかで今井さんを助けようと必死に探してる。私にも……何か出来ないかとずっと考えていた。

 

「けど……今は……あこちゃんを追いかけないと」

 

2人がいない今……私だけでもあこちゃんのそばにいてあげないと……

そう思った私も氷川さんの家を出てあこちゃんを追いかけた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

ーー時は昨晩に遡り……

 

「やはり3人だと窮屈……ですよね」

「あこは……大丈夫です……」

「わ、私も……大丈夫……です……」

 

宇田川さんと合流した私はついさっき見送ったばかりの白金さんを呼び出して今晩は3人で泊まることにしました。それがおそらく今の状況で最善の判断だとふんだからです。

 

(日菜……無事でいてよね……)

 

この後の予定としては2人が眠った後……無事日菜が帰って来てくれたらそれでよし、出なければさがしにいく。本当は直ぐにでも合流したいのですが……

 

(おそらく2人は私と行くと聞かないでしょう……そうならないためにも……)

 

「2人とも、何か飲みませんか?日菜の事は私も心配ですが……今は信じて落ち着くのも大切かと……」

「氷川さん……」

「紗夜さん……あこが……あこがもっと警戒心強くしてれば……」

「あこちゃん……今は氷川さんの言う通り……日菜さんを信じよ?」

「うん……」

 

今の宇田川さんは自分のせいで日菜が1人で今井さんを食い止めてると思い込むほど精神的に追い込まれていた。だからこそ私は何か飲んで落ち着いて欲しい……そう思った。

 

「どうぞ……ホットミルクです」

「あ、ありがとうございます……!」

「ホットミルクだぁ……!ありがとうございます紗夜さん!」

 

さっきまでの心情が嘘のような表情で2人はホットミルクを飲んでくれました。

 

(良かった……何も(・・)疑わずに(・・・・)飲んでくれたわ)

 

「美味しい……何だか……とても落ち着きます……」

「あこも……少し落ち着いたきがするよりんりん……!」

「ありがとうございます……。明日は早いですので早めに休みましょう……私、家の戸締りの再確認してきます」

 

一応……ここ、私の家はマンションで3階にある。私の記憶が正しければ真上の部屋、両隣の部屋には人が住んでいる。いくら今井さんでも不法侵入までして私の家に来ることはまず無いはずだ。だけど、今の(・・)今井さんは何をするか分からないとても危険な状態……そう大江さんから聞いてます。

 

(だから私は一刻も早く……日菜を探さなければきけません)

 

そう心の中で決意していると……

 

「ふぁ……あ……何だか落ち着きすぎて……あこ眠くなっちゃった」

「私も……んん……ごめんなさい氷川さん。私達先に寝ますね」

「分かりました2人のお母さんにはバンドのお泊まり会と伝えておきますね」

「ありがとうございます……氷川さん」

「紗夜さん、ありがとうございます!」

 

「おやすみなさい」と2人は口を揃えて挨拶をし、そのまま直ぐに(・・・・・・・)眠ってしまった。

 

「……可愛い寝顔……ですね」

 

私はついそんな言葉を口にしてしまった。だってそうしてしまいたい程……2人の寝顔は可愛らしく……まるで日菜みたいだったからだ。

 

「だからこそ……時は一刻を争う」

 

急がないと……と思った私……けれど何処かで……ほんとに、心の隅の何処かで……もう手遅れ(・・・・・)なのでは……と思ったせいか……

 

ピロリロリン♪ピロリロリン♪……

 

私のスマホから1本の電話がかかって来た。

 

「もしもし?」

『氷川さんの家の方でよろしかったでしょうか?私、関東警察の原田と申します』

「警察の方ですか……?どのようなご要件で?」

『……落ち着いて聞いてください。先程、羽丘中央病院の方から……彼女の死亡が確認された事を報告されました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………は?」

 

彼は……何をいってるの?理解出来ない……意味が分からない……否、理解したくない意味なんて分かりたくない……こうなる事はあの時から分かってた筈だ。

 

……万一今井さんと鉢合わせして殺り合う事になったら、命を捨ててでも互いに2人を守れ……と。

 

「い、今から……向かいます……」

 

(日菜……っ)

 

私は電話を切り羽丘中央病院へと向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「…………」

 

……そんなこんなで今に至ります。

そして今、私は病院に着いて日菜の遺体を見たあと……屋上でずっと……かれこれ6時間以上こうしています。

 

「…………」

 

私の支えとなっていた妹が死んだと言うのに……私の瞳から……涙は流れなかった(・・・・・・・・)

 

「…………」

 

そればかりか……自分が何者なのか……分からなくなるほど……今の私は抜け殻になっていた。

 

もう何も……残されていない。残されているのはーー

 

「日菜……私のせいで……私が……あんな事を言ったから……貴女は宇田川さんを……っ!?」

 

……違う。誰もが口を揃えて良くいう言葉は「日菜の行動や発想は予測不可能」

……しかし生まれてから姉妹として2人で生きて来た私だからこそ分かるものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お姉ちゃん♪だ〜い好き!!☆』

 

そう……いつだってあの娘は……

 

「私の……為……っ」

 

そう悟った瞬間……涙が溢れ出した。

そう……日菜はいつだって私の為に……私と交わした約束の為に生徒会やアイドル活動を頑張って来た……恐らくどんな局面に立たされてもどんな過酷な状況に対面しても私がいたから……私を尊敬してくれたからあの娘は「氷川日菜」……その名に恥じない生き様を見せてこれた。

 

「うっ……うう……!」

 

そしてそれは……私とて同じだった……Roseliaの「氷川紗夜」として恥じないようギターを頑張って来れたのは日菜のおかげ……あの約束を1度もたりとも忘れなかったのも……日菜がいたから……

 

「日菜……うう……!うぅぅ……ッ!」

 

そして私は理解しました……今こうして涙を流しているのも、さっきまで自分が抜け殻みたいだった訳も……

私は日菜を……ただ1人の最愛な妹を失ったのだ。

 

「うわああああああああああああ……ッ!!」

 

こんなにも悲しくなったのは……涙を流したのは初めてでした。それくらい日菜の事を誰よりも理解し、愛し、尊く感じていたということ。

そんな日菜がいなくなったから……死んでしまったから泣いている。

 

きっとそうだ(・・・・・・)……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……いや、違う。

 

「……日菜を殺した……私から日菜を……最愛な妹を奪われたから悲しいんです……涙が……止まらないんです……ギリッ」

 

彼女が……今井さんが日菜を……

 

あの女(・・・)が……私の妹を……許さない……

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない!!!」

 

ごめんなさい湊さん……貴女との約束……守れそうにありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はあの女(今井さん)を……殺さなければ……日菜の仇を取らなければ行けません……」

 

もう……私は戻れないかも知れません……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ハア……ハア……ハア……ハア……ッ!」

 

あこは今……ただひたすらに宛もなく走り続けていた。

あこが悪いんだ……あこのせいだ……あこのせいで日菜先輩が……

 

ドンッ!!

 

「きゃあっ!?……ご、ごめんなさい!!大丈夫ーー」

「……あれ?誰かと思ったらあこじゃん〜♪」

「ひっ!?り、リサ……姉……っ!?」

 

その時……あこ、考えちゃ行けない事を考えてしまった。多分……もう疲れちゃったから……もう……誰も傷付いて欲しくなかったから……

 

ー誰かが傷付いて死ぬくらいなら……あこは……

 

ギュッ!!

 

「あこ!?どうしたの?」

「リサ姉……お願い……一つだけ聞いてくれる?一生に一度(・・・・・)……本当に一度だけ……あこのお願いを聞いて?」

 

ごめんなさい友希那さん……あこ……友希那さんとの約束……守れそうないです……

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 




次回……散り散りになったメンバー達、彼女達の取った行動とは?
お楽しみに!
高評価、感想等よろしくお願いします!


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BAD20話 一生に一度のお願い

久しぶりの初投稿です。後書きに本編の今後についてのアンケートを取りますので最後までお付き合いお願いします。
それでは……どうぞ!


※今回あこ推しの方にとって不快に思われる描写があります。そういうのが苦手な方は閲覧を控える事をおすすめします。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「リサ姉……一生に一度(・・・・・)のお願い……聞いてくれる?」

 

あこのその一言に、アタシの心臓がドクンとなった。これは今まで聞いてきた冗談交じり(・・・・・)の一生に一度のお願いでは無い。あこの必死そうな……何処か疲れ切ったこの表情……そしていくらあこでも今のアタシが如何に危険か分かってるはず。そんなあこが言う『一生に一度のお願い』……

 

「あこ?あこのこれから言うお願い……聞いてあげても(・・・・・・・)いいけど……本気なの?」

 

アタシがあこにそうたずねると、あこは身体をビクッと震わせた。だけどその後『自分はもう決めた』……否『覚悟(・・)を決めた』表情をして答えた。

 

「うん……あこ……もうこれ以上皆が傷ついて、いなくなっちゃうのが嫌なの。あこのお願いでリサ姉が元に戻って(・・・・・)くれるなら……あこ……あこ……ーー!」

「!!……分かったよ、あこ。だけどその前に準備(・・)したい事があるから、一緒に付いてきて?」

「うん……ありがとうリサ姉……!」

 

あこの目は本気そのものだった。そこまで追い詰めてしまった自分に罪悪感(・・・)を覚えた。

そしてアタシはあこにそう言って一度自分の家へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤紫色の薔薇を五輪、取りに行くために……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

「……誰も、居ない……!?」

 

病院から帰ってきた私が目にした光景は……誰もいないもぬけの殻の家の中……すぐさま私は家の隅々……至る所を探し回った。

 

「白金さん!!宇田川さん!!何処にいるんです!?返事を……返事をしてください!!」

 

しかしいくらそう叫んでも、2人の靴がない時点で結果は分かっていた。だとしても……今の私(・・・)にはそう叫ばずには居られなかった。『あの女』を殺す為にも……せめてあの2人だけは守り抜かねばと言う使命感に精神をかりとられていたからだ。

そして私は、机の上に置いてある置き手紙を見て悟ってしまいましま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あこちゃんが飛び出してしまったので探しに行ってきます。

By燐子』

 

「……宇田川さん!白金さん!」

 

私は2人の名前を今一度呼び、ある物(・・・)を手に取り再び家を出ました。

宇田川さん、無事でいて下さい!!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜あこside〜

 

あこは……Roseliaが大好きだった。当時憧れだった友希那さんがバンドメンバーを集めていると聞いた瞬間真っ先にオーディションに参加したりした。紗夜さんが入って、あことリサ姉が一緒に入って……最後にりんりんも入って。そうしてRoseliaが出来た。色々とぶつかり合って、散り散りになった時もあったけど……『Roseliaが好き』って想いが皆をまた繋ぎ合わせてくれて……F.W.Fに向けて神兄とも出会えてあこ達はまた1つ団結できた。

 

……はずだった。

 

リサ姉がおかしくなっちゃって……友希那さんが死んじゃったあの日から、あこの心の中はぐちゃぐちゃになった。このままリサ姉が暴走して……Roseliaは……もう二度とRoseliaじゃなくなっちゃうんじゃないのかって……そう思っていた矢先……『日菜先輩が死んだ』。

あこのせいだ……あこがもっと危機感持って行動してれば……あの時日菜先輩の元へ戻っていれば……。

 

どんどん人が傷ついて……死んで行く……それをみて色んな人が悲しんで……あこがやった訳じゃないのは分かってる。だけど……日菜先輩の死が知らされた時……あの日の後悔が滝のように流れ落ち、あこに降り注いだ。

 

もう……限界だった。紗夜さんやりんりんならこんな状態になっても立ち直れるだろうけど……あこはもう、これ以上色んな人が傷ついて居なくなる光景を見たくなかった。だから……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせあこ。準備出来たよ♪それじゃあ……行こっか♪」

「うん……」

 

あこは……自分の人生をリサ姉に終わらして貰おうと思った……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「はい♪着いたよ〜あこ♪」

「ここは……」

 

リサ姉に連れて来られた場所は……悪れることの無い、思い出のある場所だった。

 

「ここ……昔よくお姉ちゃんと遊んだ公園だ……」

「そーだったんだね……ねぇあこ?何かやり残した事とかあったら……やって来てもいいんだよ?信じて貰えないかもだけど……アタシにとってあこ……うんん、紗夜や燐子も大切な友達だもん」

「リサ……姉?」

 

なんだか、リサ姉の様子が変だった……あの時見たリサ姉とは明らかに違う……もしかしてリサ姉……

 

「リサ姉……大丈夫だよ?あこ……死んでもリサ姉の事恨んだりしないもん……だって本当(・・)のリサ姉はーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう……いいよ」

 

 

 

 

グサ……ッ!!

 

 

 

 

「ーーッ!?……カッ……ハッ……」

「ありがとうあこ……アタシの事……最後まで心配してくれて……ダケドモウダイジョウブ♪ダカラ……モウシンデイイヨ♪」

 

……胸下辺りに冷たくて、物凄い激痛が走った。一瞬、何が起こったのか知らないけれど……リサ姉にそう言われた時、あこはリサ姉に刃物で刺されたんだという事を悟った……。

 

……ドサッ

 

リサ姉が刃物を抜くと、身体を支える力を殆ど失ったあこは……そのまま真後ろに倒れちゃった……。刺傷からはあこの血が……止まるという事を知らないくらい流れ出た。

すごく痛い……筈なのに、何だか普通に落ち着いてられた。

 

「フッフッフッ……ッ、だ……大魔王あこ……の……ッ、冥界への……旅立ちを……ッ、手伝ってくれて……ッ!カハッ!!」

 

視界が……霞んできた……で、でもダメ……。リサ姉はあこの……お願いを……聞いてくれて、……叶えて……くれたんだ、から……!

 

(お礼……い、わ……ないと……)

 

あこは……最後の力を振り絞っ……て、リサ姉に話しかけた。

 

「リ……サ姉……ハァ、ハァ……あこ……の……お願いを、……ハァ、ハァ……聞いてくれ……て、ありがとう……ハァ、ハァ……ねぇ、リサ姉……」

 

最後に……あこは『ほんとに最後の力』を振り絞って……リサ姉に話しかけた。

 

「あこ達全員死んじゃって……も、……あこ達は……Roselia……だ……よ……ーーーー」

 

アハハ……あこ、死んじゃったや……なんだか悲しいなぁ……Roseliaのみんなで……まだ色々成し遂げて無いのに……。

それと、……死んじゃう直前……たまたまリサ姉の顔が見れたんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして……リサ姉は涙を流してたんだろう……?

やっぱり……リサ姉は……____……のかな?

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「…………」

 

アタシは……あこの遺体に赤紫薔薇を5輪添えてこの場を去った。

 

しばらく歩いて……人気のない裏路地へと歩を進めた。

 

「……ッ、ウウッ……!」

 

どうして(・・・・)……なのかは分からない。分からないけどアタシは……気付いたらその場でへたりこんで泣いていた。

 

「ウウッ……どうして……アタシの『この感情』……『この衝動』は……もう壊したはずなのに……何で……ウウッ!!」

 

 

『あこ達全員死んじゃっても、あこ達はRoseliaだよ』

 

 

あこのその言葉が……脳裏で何度も繰り返し流れる。

そうだった……あこは……うんん、あこほどRoselia思いでRoseliaをあんなに愛しているメンバーは居ない。そんな彼女を……アタシが……

 

「あこ……あこ……!ごめん……ごめんねあこ……!あの時……アタシ……アタシ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アタシがあこを……殺したんだ

 

「アタシは……どうすればいいの?ねぇ……誰か……教えてよ……お願い……だから……」

 

アタシはしばらく……そのまま蹲って泣いていた……。

 

 

 

 

リサ:ヤンデレLv12→Lv14

 

 

 

 

 

 




久々の投稿でしたが……如何でしたか?感想、高評価等よろしくお願い致します!
次回……色んな人物が動き出します!お楽しみに!


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BAD21話 壊れてしまった彼女達

今回はあこの死によって彼女達3人に変化が……!?そして久しぶりに彼も動き出します!
それでは……どうぞ!



『今朝のニュースです。昨日未明、羽丘の町外れにある○○公園で16歳の少女が何者かに刺され死亡しました。少女の名前は宇田川あこ。羽丘女子学園に通う高校1年生で、人気バンド『Roselia』のドラムを演奏していました。警察の調べによると……ーー』

 

……今朝のこのニュース(悲報)を知った彼女達3人と1人の青年は今……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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〜紗夜side〜

 

「……また……守れなかった……」

 

宇田川さんが死んだ……朝のニュースでそれを知った私は彼女を守れなかった事に対しての後悔が土砂降りのように降り注いだ。

 

「あの時……もっと早く……家に帰って居れば……亡くなったあの娘(日菜)ので頭がいっぱいになってなければ……宇田川さんだけじゃない……白金さん達の元へ寄り添ってあげれたものを……」

 

結局……あの後いくら探しても宇田川さんは愚か、白金さんを見つけて連れ戻すことが出来なかった……

 

「もう……これ以上誰も……ーー」

 

『ーーっ!?た、たった今……速報が入りました!』

 

「……速報?アナウンサーの顔も真っ青だし……どうしたのかsーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『同じく昨晩未明ーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え?」

 

私は…………夢…………でも…………見て…………るの…………?

速報の…………タイトル…………画面に…………映し出された…………

黒髪ロング(・・・・・)彼女(・・)』の…………写真…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーぁあああああああああああああああああああああああああああああああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁあぁあああああぁあああああぁあああああああああああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁあぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁあああああぁ……!!!!」

 

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……!!!!!

 

私はその場で泣き崩れ……愚かな自分を呪った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は……誰一人守れない……守れなかった…………守り……たかった……せめて…………『あの人(・・・)』……だけでも……守りたかったのに………………ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……私の……信じてきた正義は……絆は…………友情は……全て嘘だったと言うの………………ッ!?

 

 

 

 

こんな筈じゃ…………無かったのに…………ギリッ」

 

別に私は正義のヒーローか何かになりたい訳じゃない……訳じゃない……けど、今、この今にも噴火しそうな感情を抑えきれなかった。

そう……この感情の元の原因と言えば……

 

「今井……リサ(・・)……あの女がいなければ……あの女が……私の大切な人を……日菜()を……!!ギリギリッ!……許さない……許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないッ!!!!」

 

そうよ……!!あの女が……日菜を……湊さんを……宇田川さんを……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………私が1番愛した……白金さんを!!!!」

 

 

 

私は……決めました。日菜を……私達Roseliaをめちゃくちゃにした……あの女を……!!!!

 

 

 

「清をもって粛し……『悪』をもって……殺してやる!!!!」

 

 

 

私は……あの女を殺すためなら……今まで信じてきた愛を……風紀を……友情を……絆を……Roseliaを捨て………………ーーーー

 

 

 

「……ーー悪に染まります」

 

ごめんなさい皆さん……私は、氷川紗夜は今まで信じてきたものを全て捨て……この身を、この魂を……この半立する理論に全てを捧げ悪に染まります。

 

 

 

……『アンチテーゼ』へ続く

 

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〜燐子side〜

 

「あこ……ちゃん……?」

 

あこちゃんが氷川さんの家から飛び出して、それを追いかけていた私は……とある人気の無い公園で、赤紫色の薔薇が5輪添えられて横たわっている親友(あこちゃん)を見つけた。

 

血が……流れてる……うんん、きっと……きっと大丈夫……だよね?まだ生きてる……うん、きっと気絶してるだよね……?

そう思って私は……あこちゃんの身体を揺すった。

 

「ねえ……あこちゃん?……こんな所で寝てたら……風邪引いちゃうよ……?ねえ……起きてよ?あこちゃん……」

 

だけど……幾ら身体を揺すっても、こえをかけても……あこちゃんは眉ひとつ動かさない。そればかりか……どんどん身体が冷たくなっていく……。

 

そして知らないうちに、私の瞳から……涙が流れはじめた。

 

「ねえ……起きてよあこちゃん……!ねぇ……ねぇ……!今日は……NFOのイベント限定の……レイドボス……氷川さんと3人で……一緒に倒そうって……!」

 

何度も……何度も何度も……あこちゃんの身体を揺すっても……あこちゃんは起きなかった。

 

「あこちゃん……死んじゃ……死んじゃやだよぉ……あこちゃん……あごぢゃん……!」

 

あこちゃんが死んじゃったら……私は……私は、どうすればいいの……?あこちゃんがいなきゃ……あこちゃん……!

 

『りんりん……泣いてるの?』

「!?」

 

私は目を見開いた。何処からともなく、何度も聞いたことのある声……ただし今目の前で倒れてるあこちゃんの口は動いてない……どういう事……なの?

 

『りんりん、前……向いてみて?』

「前……ッ!?」

 

そこには……信じられない事が起きていた。そこには、赤紫色の薔薇のドレスを身につけたあこちゃんが宙に浮いて(・・・・・)立っていた。

しかも……身体が少し透けている。

 

「あこちゃん……あこちゃん!!」

『うん、あこだよりんりん。あの……ごめんね?あこ、いきなり飛び出しちゃって……』

「うんん……!私……あこちゃんに会えただけで……すごく、嬉しい……!でも……どうしたの?その格好……?」

 

私は……あこちゃんに会えて嬉しい反面、あこちゃんの姿に疑問を抱いた。するとあこちゃんは……何時もの様な明るい笑顔から急に真面目な顔になって……私に話しかけてきた。

 

『りんりん、今からあこの言うこと……よく聞いて?』

「あこ……ちゃん?」

『リサ姉を……助けて上げて』

「!!??」

 

最初……あこちゃんの言ってることが理解出来なかった。

だって……今井さんは……

 

「だって……今井さんは、友希那さんや……日菜さんを……それにーー」

 

ここで私は言葉を詰まらせた。あこちゃんは……きっとまだ死んでない。そう……信じていたからだ。

 

『リサ姉は……多分……本当は誰も殺したくないんだと思うの』

「どういう事……?」

『あこ……見たの。リサ姉があこを刺した時……涙を流してたの』

「涙を……?」

 

おかしい……普通……誰かを殺す時に涙を流さない。流すとするならそれは、相手への情が移った事になる。

 

『信じて貰えないかもだけど……もしそれが本当なら、リサ姉を助ける手掛かりになるかもしれないの』

「手掛かり……っ!そうだ、神楽さん!」

 

確か神楽さんは……今井さんを救う為に必死になって探している。仮に見つかったとしても……丸腰で彼女と向き合うはずが無い。

 

「分かったよ……あこちゃん……私、神楽さんの所へいくよ……!」

『その意気だよりんりん!……あ』

「あこちゃん!!」

 

突如あこちゃんの身体が光り輝き、宙を浮き次第に身体が透けて行った。

 

『お別れ……だねりんりん。あこ……あこね、りんりんと親友でいれて……すっごく嬉しかったよ』

「あこちゃん……!あこちゃん!!」

『りんりん……約束だよ……?リサ姉を……助け……て……ーー』

「……!!!!」

 

りんりん……大好きだよ!

 

あこちゃんが光の中へ消えたのと同時にに、あこちゃんのその一言が最後に響いて消えていった……。

 

そして……目の前で横たわっているあこちゃんの身体は、完全に冷えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あこ……ちゃん…………ッ!

うわあああああああああああああああああぁぁぁーーーー……ッ!!!

あこちゃん!!あこちゃん!!あこちゃん!!あこちゃん!!

どうして……どうして死んじゃったの……!?どうして……どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてえぇぇぇぇぇ……ッ!!!」

 

私は……ひたすら泣いた。泣き喚いた。

冷たくなった……大好きな親友の身体に顔を埋めて。

そして……それと同時に、私の心の奥底である感情が膨れ上がった。

それは……先のあこちゃんと交わした『約束』に反する、絶対に私が抱いてはイケナイ感情。

 

「今井さん……貴女に、聞こえますか?……親友を亡くした私の……悲しみの声が……貴女に……理解出来ますか……?出来ないですよね??なので……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私のこの悲しみを直接……身体に教えますね?」

 

待っていてね……あこちゃん。

 

これが終わったら……直ぐに(・・・)向かうから……。

 

 

 

 

……『悲しみ』へ続く

 

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〜???side〜

 

「…………」

 

目が……覚めた。あの日、3回目の死を迎えてからずっと眠っていた。

そして眠っている際に……様々な出来事が、夢となって俺の脳内に投射されていく。

 

「…………ッ」

 

俺は……誰も守ってやれなかった……彼女を……止めることが出来なかった。

夢の中で……ただ見ている事しか出来なかった。

そのせいで……ーー

 

「日菜先輩が……あこが……そして、燐子が……

彼女達だけじゃない……紗夜やリサまで……壊れてしまった」

 

皆死んで……戻れない所まで壊れてしまった……。

 

「もう誰も……傷付けさせない……」

 

そう呟いて俺はベッドから降り、すぐ側にあった血まみれのハサミを手に取った。

 

「待っていてくれリサ……紗夜……お前達2人を助けて救う為にも……俺は……」

 

そう言ってハサミを開き、ゆっくり自分の首筋へと持っていく……

そして……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ……ぶしゃああああああああああああぁぁぁーーッ!

 

「アッ……ガッ……!」

 

首筋から大量の血を吹き出して、俺はその場に倒れた。

 

「リサ……君を愛する為なら……俺、大江神楽のこの命尽きるまで……何度でも……やり直し……て……みせ……ーー」

 

そして俺は……4度目の死を自ら迎えた。

 

 

 

……『君の為なら』へ続く

 

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〜リサside〜

 

「はぁ……、はぁ……!……ッ、もう……嫌だ……」

 

ようやく家に帰れたと思うと、アタシの口からはそんな言葉が発せられた。そしてその場でへたりこみ、なお続けた。

 

「違う……アタシのしたかった事は……こんなことじゃない……!」

『何が違うの?何も間違ってなんかいないわ!寧ろあと2人♪白金燐子と氷川紗夜……あ、氷川紗夜は貴女が妹を殺した事で壊れてるから……先に白金燐子の方が……』

「もう辞めて!!アタシはもう……誰かを殺したくないの……!傷つけたくないの!!アタシは神楽を愛して……Roseliaをまた愛せるようになれば……もうそれ以外何も要らない!もうアタシの事放って置いてよ!!」

 

もう……嫌だった。あこをみて気付いた。どんな風になっても、アタシの事を待ってる人が……仲間がいるんだって。それをアタシはただ自分の欲望の為だけに、アタシの大切なものまで……Roseliaまで捨てようとした。それだけは……絶対にしたくなかった。アタシにとってRoseliaは……居場所同然なのだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……うっさいなぁ』

 

ゴキャッ……!!!

 

「アッ……ガッ!?……な、何……が……!?」

 

突如……アタシの首がとても鈍い音で折れた。そしてアタシはそのまま倒れ込んでしまった。

……うんん、何かドス黒い……何処か分からない場所に沈んで行くような……コレ……何なの?怖い……怖いよぉ……

 

『貴女さ……そんなに世の中甘くない事くらい分かってるでしょ?世の中はとても残酷なの♪貴女の愛するRoselia何て……神楽を愛する事と比べたら今は無に等しいのよ?それに神楽を狙う輩なんて……この世にごまんといるかもしれないの。分かる?アタシの言ってる意味』

「…………ーー」

 

あっ……もう沈んじゃったか……深い……暗い……『慄える愛』の沼の奥底へ♪

まあいつか彼女がこうして反発する事くらい分かってたから……もぉ良いよね?

 

 

 

 

……ゴキャッ!!

 

 

 

 

 

「しばらく……眠っててよ♪その間……アタシが神楽を愛するから♡」

 

 

 

 

「アタシが……アタシと神楽の愛を邪魔する奴ら……全員皆殺しにしてア・ゲ・ル♡

うふふふふ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!♪」

 

 

 

待っててね♪神楽♡アタシの慄える様な愛を今から届けてあげるから♡

 

 

 

〜END〜




少し時系列がこんがらがる視点での21話でした。次回もお楽しみに!
高評価、感想等よろしくお願いします!


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BAD22話 悲しみ

今回は燐子回です。(てか久しぶりに本編書いた……)
初めに警告します。この話を読むにあたって、燐子推しの人は閲覧を控える事をおすすめします。これを書く……という事は、もう……お分かりですよね?
それでも大丈夫という方のみ、ご覧ください。


〜リサside〜

 

「後……3人(・・)か」

 

 

アタシは自分の部屋に生けておいた白い薔薇青い薔薇それぞれ5輪をみてそう呟いた。

 

白い薔薇は燐子。彼女は今頃、親友を失った悲しみと怒り……憎しみで我を忘てるだろう。

 

青い薔薇は紗夜。彼女はもう……戻れない所まで壊れてくれた。理由は言うまでもなく、自分と一心同体とも言える大切な妹、大切な仲間を2人……友希那とあこを失ったから。まぁ最も……日菜を失ったショックの方が大きいと思うけど……♪

 

 

「誰でもいいよ♪アタシが全員殺してあげるから♪もう……何したって挫けるような今井リサ(アタシ)じゃないから……ね♪」

 

 

アタシはそう言って、2人を見立てて行けた薔薇とは別の……101輪の赤い薔薇101輪の黒色の薔薇……そして真ん中に、5輪のオレンジ色の薔薇……これだけで部屋の大半を埋めつくしてるけど、それだけアタシは……

 

 

「アタシは……死ぬほど好きで、恋焦がれてるんだよ♪狂いそうな位……溺れそうなくらい……ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと……愛してるからね♡神楽♡」

 

 

3色の薔薇の真ん中に立ててある神楽とアタシの写真を手に取り……アタシは息を荒くしながらそう言った。

 

そして……ーー

 

 

ピーンポーン♪

 

 

「アハッ♪キタキタ♪」

 

 

インターホンが鳴った……それに気づいたアタシは、赤い液体の入った小瓶を手に取り……それを数口飲んだ。

 

 

「んんん〜〜〜♡♡♡やっぱり美味しいなぁ〜♡♡♡……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神楽の……ケ・ツ・エ・キ♡♡♡」

 

 

そう言ったアタシは、「ジュルリ」と舌なめずりをし、インターホンを鳴らしてくれた人物(害虫)お出迎え(駆除)しに……玄関へ向かった。

 

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〜燐子side〜

 

「ついに……来ちゃった……」

 

私……白金燐子は……あこちゃんが死んでから……一旦家に帰り色々と準備をして、此処……今井さんの家に来てます。そう……あこちゃんを……私のただ1人の、親友を……殺した人……。

抱いちゃイケナイ感情が……此処に近くにつれて段々と膨れ上がって、本当の目的(・・・・・)は違うんだ……って、何度も何度も言い聞かせて……何とか抑えてる。

 

「そう……此処に来たのは……あこちゃんとの約束を果たす為……今井さんを探して……Roseliaに戻って来てもらうよう……説得させるのが……此処に来た目的」

 

だけど……だけどもし……説得に失敗したら?

もう1つの目的として、神楽さん……あの人は今、必死になって……今井さんを元に戻す為に尽力してる。神楽さんを見つけて、あこちゃんが言ってた事を……伝えたかった。

 

「でも……結局は見つからなかった……」

 

友希那さんや氷川さん達見たいに……洞察力や、行動力に長けてない私が見つけれる訳ない……薄々気づいていたけど……そうなった。

 

「だから……私が今井さんに……説得も兼ねて、神楽さんの居場所を……聞き出す……それがもし……失敗したら……」

 

私はそう言って……カバンの中に入れて置いたカッターを取り出した。

 

 

「あこちゃんの仇……私の心の中に渦巻くこの今にも膨れ上がって、弾けそうな……この感情を……今井さん。貴女に……ぶつけます……」

 

 

そう言って私は……カッターを仕舞い、インターホンを鳴らした。

 

応答は無かったけど、余り時間をかけずに……ドアが開いた。

 

 

「燐子……」

 

 

当然だけど……出てきたのは今井さん本人だった。だけど……私の知る今井さんじゃ……無い……そう思えた。

 

貴女(・・)は……誰なの?)

 

そう思える位……私の目の前にいる今井さんは……別人に見えた。

だけどそれは今、関係のない事……そう割り切って私は頭を振って、話し出した。

 

 

「今井さん……少しお話……宜しいでしょうか……?」

 

「うん……中に入って」

 

 

そう言って今井さんは私を家の中へ招き入れてくれた。

 

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「さっき迄……頭少し使い過ぎちゃってさ……ホットミルクティーでもいい?」

「あ、ありがとう……ございます」

 

今井さんはリビングで待つようにと私に言って……ホットミルクティーを作りに台所へ向かった。私は……今井さんが来るのを待つ為に、椅子に座って待った。

 

机の上には……白い薔薇が5輪、丁寧に生けてあった。

 

(白い薔薇の花言葉って…… 「純潔」「私はあなたにふさわしい」「深い尊敬」「純潔」「清純」だった……よね?それにそれが5輪……もしかして……あこちゃんの言ってる事……本当なのかも……知れない)

 

私はそうであって欲しいと……願った。

 

「お待たせ燐子♪隠し味で蜂蜜も入れて見たんだ♪」

「ありがとうございます……いい匂い……早速、いただきますね……」

 

美味しい……やっぱり、あこちゃんの……言う通り……なのかもしれない……本当は、今井さんは……

 

 

「所で燐子?話って……何?」

 

 

今井さんにそう聞かれて……私は我に返った。

 

 

「話の前に……今井さん。神楽さん……何処にいるか……知りませんか?」

 

 

「!!??……どぉして……神楽の名前を他の女が……ブツブツ」

 

 

「い、今井さん……?」

 

私が神楽さんの名前を出した瞬間……今井さんは何か小言で呟いていたが……何を言ってるのか……分からなかった。

 

 

「!!……うんん!何でも無い!えっと……神楽が何処にいるのか……だよね?実はアタシも……神楽の事探してて……神楽の行きそうな場所全部探したんだけど見当たらなくて……それで一旦家に帰って考えよう……って」

 

 

「そうだったん……ですね」

 

 

「でも何で……アンタ見たいな女(燐子)が神楽を探してるの?」

 

 

今井さんの口調に……違和感を感じた私は……一瞬弾けそうになった、あの感情を何とか抑えて、今井さんの問に答えた。

 

 

「友希那さんが……死んだ後……神楽さんが私達に……言ったんです。自分はリサを救うために……探しに行く……と」

 

 

「友希……那……」

 

 

「その後……日菜さんが死んで……あこちゃんが……あこちゃんが……死んで……氷川さんもとても辛そうで……そんな中、私は何も出来なかった……どうしてこんな事になったのか……わかんなくて……毎日頭の中がぐちゃぐちゃになって……私、……私!!」

 

 

「日菜……あこ……」

 

 

今井さんの表情が歪んだのを見て、何故だかは知らないけど……私は、私の中にさっき迄膨れ上がっていた感情を今井さんにぶつけていた。

 

 

「今井さん……私……もう他の人が傷ついて……いなくなって行く……この異常な日常が……耐えられないんです……!どうして……こんな事になったのか……どうしたら……私達(・・)は元の日常に……戻れるんですか……!?」

 

 

そして私は……遂に言葉を荒らげてしまった。こんな事を言う為に……此処へ来たんじゃないのに……

 

 

「燐子……そうだよね……燐子も、あこと同じくらい……Roseliaの事大好きなのに……アタシ……ーーねぇ、燐子?」

 

 

「!!……ご、ごめんなさい……!と、取り乱して……しまいました……」

 

 

今井さんに呼ばれた私は、何とか……落ち着く事が出来ました。

 

 

「燐子……アタシ……Roseliaに戻れる……かな?」

 

「……え!?」

 

 

刹那、今井さんの口から……思いもよらない言葉が発せられた。

 

 

「燐子には……言ってないんだけど……今のアタシ……ホントのアタシじゃ……ないんだ」

 

 

言ってる意味が……分からない。どうして……今井さんはそんな突然……

 

 

「アタシ……多重人格で……ホントは……ホントのアタシは……そんな事望んでなかった。だけど……アタシの中にいる何人かのアタシが……囁いたの……『このままじゃ……神楽を他の女に奪われる』……って。アタシは必死にそれを否定したけど……ダメだった。気付いたら……アタシは知らないアタシを殺して……それを何回も何回も繰り返して……今のアタシは……『溺愛』と『嫉妬』の感情が強いアタシに心も身体も支配されて……燐子が来たって知ったのか……アタシを呼び出したの」

 

 

「今井さんが……多重人格……?」

 

 

俄に信じ難いけど……今井さんの言葉に、信憑性が感じられる辺り……本当なんだと思った。

 

 

「じゃ、じゃあ……本当は……今井さんは……本当に……人殺しなんかしたくなかった……って言いたいんですね……?」

 

 

「信じて……貰えないかもだけど……その通りなの。アタシは……神楽を好きになって、神楽とRoseliaの皆と一緒に、楽しい日常を遅れれば……それで良かった……なのにアタシの中にいる嫉妬と溺愛が……それを許してくれなかったの……」

 

 

「そ、それじゃあ……本当に……!?」

 

 

あこちゃん……あこちゃんの言ってた事……本当だったよ!今井さんは……今もこうして自分の心の中で戦って……Roseliaに戻りたいって……必死にもがいてるよ!

 

 

「今井さん……私、今井さんを信じます……それはきっと……氷川さんも神楽さんも同じだと……思います。皆……今井さんが戻ってくる時を……きっと、今か今かと……待ってるはずです!」

 

 

「燐子……」

 

 

私は……嬉しかった……今井さんはRoseliaを……私達を裏切ったりなんか……してなかったって……。

私は思わず今井さんの両手を握った。

 

 

「今井さん……!今なら……まだ間に合います……!一緒に……神楽さんを探して……一緒に帰りましょう!」

 

 

「燐子……うん!戻ろ!アタシと神楽……燐子と紗夜で……アタシ達の帰るべき場所に!」

 

 

今井とそう誓い合った私は、早速今井さんと一緒に神楽さんを探そうと立ち上がった……その瞬間だった。

 

 

「あれ……?何か……すごい眠い……」

 

 

急に……物凄い眠気が私に襲いかかった。そういえば……あの日から、寝てなかったんだ……だからこれは、安心と疲労からなる……眠気……だよね……?

 

 

「ありがとう燐子♪アタシの事……ずっとずっと……信じてくれて♪」

 

 

「今井さ……ん……そ、んな、……事……ない……で、す……」

 

 

「本当にありがとう、燐子♪そして……」

 

 

「今……井……さーー……」

 

 

お別れだネ♪燐・子♪

 

 

最後、今井さんはなんて言ったか分からないまま……私はそのまま意識を手放し、深い眠りに着いた……。

 

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「……ん」

 

目が覚めるとそこは……今井さんの家……ではなく、何処かの廃工場でした……。

 

「おはよう燐子♪」

「今井……さん……ッゥ!」

 

目の前には……今井さんが目を濁らせて妖しく微笑んで立っていました……そして、意識がハッキリするにつれて、身体中に痛みが走り……私は顔をしかめながら自分の体を見てみると……

 

 

 

「……な、……なん……で……ッゥ!!」

 

 

 

私の身体は……所々切り傷や刺傷で血塗れた状態だった……状況が飲み込めず、もう一度……今井さんを見て……私は顔を真っ青に、しました……。

 

何故なら……可能の身体も……私の血で所々赤くなっていて、今井さんの右手には……私の血で赤くなった、包丁を……握っていたからだ。

 

 

「今井……さん……ど、……どう……して……」

 

「安心して、まだ急所刺してないから♪そう簡単には……死なないよ♪」

 

 

違う……そんなことを……聞きたいんじゃない……

 

 

「ど、……うし……て……今井……さんは……もうこれ以上……人を殺めたくない……って……ろ……Roselia……に、戻り……たいって……ッゥ!!」

 

 

何で……もしかして今井さん……私に言った言葉……そんな……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グサッ!!

 

 

「ああああああああぁぁぁーー……ッ!!」

 

 

グサッ!!グサッ!!グサッ!!グサッ!!グサッ!!

 

 

「今井……さん……!!や、辞め……痛い……!!あぁ……ッ!!」

 

 

「アハハッ♪いい声で鳴くじゃん燐子♪ペロ……ん〜♡美味しぃ♡♡」

 

 

刹那、今井さんは私の両肩、両腕、太腿を思いっきり刺した。ただでさえ状況が読み込めない私に襲いかかる痛みによって悲鳴をあげる私を見て……今井さんは私の血を舐めて、うっとりした顔でそういった。

 

よく見たら……私の両手首、アキレス腱……今井さんに刺されてる……道理で立ち上がろうにも……それができなかったんだ……

 

それを知った私は……痛む身体を無理やり起こして喋り始めた。

 

 

「今井さん……どぉして……私に言った事は……嘘だったんですか……?」

 

 

「…………うっさい」

 

 

グサッ!!

 

 

「あ……ガッ……ッ!!?」

 

 

肺を……思い切り刺され、再度私は仰向けに……倒されました。呼吸が……思う様に……出来ない……

 

 

「アタシ以外の女が……安易に神楽のこと話して言い訳ないでしょ?そして……神楽の事を話したって事は……幾ら馬鹿な女(燐子)でも……分かるよねぇ?」

 

 

グサッ!!

 

 

「あうぅう……ッ!!??ゴフッ!?」

 

 

反対側の肺も刺され、まともに呼吸が出来なくなり、口からも血が……出てきた……

そんな……今井……さん……

 

 

「じゃあ燐子♪死ぬ前に本当の事を教えて上げる♡」

 

 

「本当……の……事……?」

 

 

まともに喋れない……もしかしなくても……私はもう少しで死ぬ……いや、今井さんに殺されて死ぬんだ……

 

 

「うん♪まず先に……神楽は生きてる。居場所(・・・)も知ってるよ♪」

 

 

ああ……やっぱり……そうだったんだ……それに関しては……薄々気づいてた。神楽さんも神楽さんだし、こんな騒ぎになれば……例え宛があっても無くても……互いに居場所の把握くらい……できる……よね?

 

 

「そして最後に……っとその前に♪燐子?何か死ぬ前に言いたいことがあったら……聞いてあげるよ?」

 

 

「!!??」

 

 

その顔……今井さんは……この人は……ずるいな……どんな残酷な人格になっても……『陽だまりのような優しい顔』が……出来るんだから……

 

 

だったら……私は……それに答える言葉を……発さないと……だよね……?

 

 

「なら……一つだけ……言わせて……下さい」

 

 

「うん♪いいよ〜♪」

 

 

そう言って私は……最後の力を振り絞っ……て……話し始めた。

 

 

「今井さんと……Roseliaの……皆と……あこちゃんと過ごした日々……私は……忘れません……絶対に……だ……だから……今井……さんも……私達と……すご……した、日々を……Roseliaを……忘れないで……下さい……ッゥ!!カハッ!!」

 

 

「燐子……本当に……あこと同じくらい……Roseliaのこと思ってたんだね……」

 

 

私の言葉に対して、今井さんは尚優しい顔でそう言って、仰向けの私に馬乗りになり、包丁を両手に持った。

 

友希那さん……日菜さん……あこちゃん……直ぐに……そちらに……向かいますね?

 

 

「じゃあね燐子……あ、そうだ。最後に言っておく事があったんだ……♪燐子に言った言葉……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜ〜んぶ……嘘なんだ♪」

 

 

「!!??」

 

 

嘘……今井さん……いま、何てーー

 

 

グサッ!!……ぶしゃあああっっっ……!!

 

 

「今……井……さ……どぉ……し…………ーーーー」

 

 

今井さんに心臓を刺され……私は痛みよりも今井さんが放った言葉のショックが隠せず……

 

涙を流しながら……ーー

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

なるほど……これは、あの娘がそう言いたがるのも……無理ないか♪

アタシはそう思いながら燐子(あの女)の血を舐めた。

 

 

「相変わらず……誰の血も……美味し♡」

 

 

そう呟いたアタシは……カバンから、白い薔薇を5輪……既に冷たくなった、燐子(あの女)の身体の上に……備えて目を閉じた。

 

でも……もう後戻りは出来ない……

 

これは……アタシが神楽を愛した時から……決まっていた未来……

 

 

「待っててね、神楽……♡」

 

 

あと一人……うんん……神楽にまとわりつく(害虫)殺したら(駆除したら)……直ぐに貴方の元へ行くからね?

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

リサ:ヤンデレLv14→Lv16

 

 

 

 

 

 

 




これであとは紗夜1人……いや、紗夜と神楽の2人だけとなりました。次回もお楽しみに!
感想、高評価等お待ちしております!


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BAD23話 君の為なら

時系列的には神楽と紗夜は殆どおなじです。というわけで今回は神楽回です。紗夜回は次回投稿します。
それでは……どうぞ!


「……これで、4回目(・・・)か……」

 

そう言って俺、大江神楽はベッドから降りて辺りを見渡した。何となく……だが、今此処にリサは居ない。恐らくは……紗夜を探してるのだろう。

 

4回目……と言うのは不死の加護の発動回数。不死の加護の発動回数も含めて俺はあと2回(・・)……死ぬ事が(・・・・)できる。

 

「行動するなら……今しかない……よな?」

 

そう呟いて、俺は身支度を整えて、桜先生宅を出た。

 

「雨……」

 

外は生憎の雨……例えリサでも、紗夜はともかく、俺を探すのは骨が折れるだろう。

 

しかし……

 

「何処で……間違えたんだ……?どぉして……」

 

自分を呪うように、俺は心の中の自分に自問自答した。

 

何がいけなかったのか……

 

何が間違えていたのか……

 

分からない……リサは俺を愛してしまったからっと言っていたが……ほんとにそうなのか……

 

「俺は唯……リサと付き合って……Roseliaの皆と変わらない日常を過ごせれば……それで良かった……なのに……」

 

リサは変わってしまった……きっと、俺が彼女達と出会わくても……変わっていたのかもしれない。

 

「もうこれ以上……誰も傷ついて欲しくないのに……どうすればいい?どうしたら……」

 

俺はそうつぶやきながら……降り注ぐ雨に打たれつつーー唯宛もなく歩きだした。

 

そして……自分がどうすればいいか分かったのは……自分の家にたどり着いて、しばらくした後だった……。

 

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いつぶり……て程では無いが、久しぶりに家に帰ってきた。あれから……戸締りは厳重にしていた為、誰かが入ってきた形成は見当たらなかった。

 

 

シャワーを浴び、出てきた俺はコーヒーを入れて、一息着いていた……

 

 

そして……懐かしい思い出に、いつの間にか浸っていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜回想〜

 

「ねぇねぇ!」

「……ぼく?」

 

「そう!ねぇ!いっしょにあそぼうよ!……あ、アタシ、今井リサっていうの!キミは?」

「大江……神楽」

「そっか!ねぇ!あっちでアタシのともだちといっしょにあそぼうよ!ひとりであそぶよりもずっとずっと……たのしいよ!!」

 

リサと初めて会ったのは……あの公園。俺は昔から1人で遊ぶのが好きだった。別に……友達何かいなくても、やって行ける……あの時まではそう思っていたからだ。

 

「あ、あなたは……神楽……くん?」

「えっと……友希那ちゃん……だっけ?」

 

実を言うと……友希那とはリサと初めて会うよりも先に……出会っていた。

 

 

「あれ?友希那は神楽くんのことしってたの?」

「えっと……まえに……ここでネコちゃんがしんでてないてた私を……神楽くんがなぐさめてくれたの」

 

「そうだったんだね!ねぇねぇ!なにしてあそぼっか?」

「う〜ん……すなのおやまつくろうよ」

 

「いいね!つくろつくろ!」

 

 

ただ無邪気に遊んでいたそれだけなのに……2人と遊んでいるうちに……それが楽しくなって、生憎だが2人にだけ打ち解けれるようになった。

 

 

「たのしかったね〜!2人はどおだった?」

「私はたのしかったわよ。ネコちゃんのおやま……じょうずにできたから!」

「がんばったよね、3人で」

 

「うん!ねぇねぇ!神楽くんさ、アタシたちとおともだちにならない?そうすれば、ずっとずっと……ずーっと!3人でなかよくあそべるよ!」

「私も……神楽くんとおともだちになりたいわ!」

「2人がそういうなら……いいよ!これからもよろしくね!」

 

『アハハハハ♪』

 

 

 

 

〜回想END〜

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

あの頃は……ほんとにたのしかった……3人で笑いあって、ふざけ合って……偶に喧嘩もしたけど……それら含めて、他愛もない楽しい時間だった。

 

そしてもう一度……今度は小学校の頃に起きた出来事を思い返してみた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜回想〜

 

「ウグッ……ヒグッ……エグッ……!」

 

「リサ、どぉして泣いてるの?」

「隣りのクラスの子達に……虐められたそうよ……」

 

あれは小学校……3年……だったかな?放課後、リサが廊下で蹲って泣いてる姿を見た俺はそれを聞いて……心の中が抉られるように悲しくなった。

 

「リサ……ごめん……気づいて上げれなくて……大丈夫?」

「かぐ……らぁああああああああぁぁぁーー……ッ!!アダジ……なんもじでないのに……なんもじでないのに……ヒグッ……うわあああああああああん!!」

 

「リサ……辛かったよね……本当に……気づけなくて……ごめんね……!だから……ほら」

「え?……ハンカチ……?」

 

「リサに涙何か……似合わないよ。これで涙拭いてさ、少なくとも俺と友希那といる時は笑顔で居てよ。もう……リサの涙何か……見たくないからさ」

「そうね、リサは笑顔がとっても良く似合うわよ」

 

「2人とも……ヒグッ……ありがとう……♪」

 

そうだ……あの時、友希那にしたようにリサにもハンカチ上げて、慰めたんだ……でも、あと1つ、何かした様な気がするんだけどーー

 

 

「リサ、キミの為なら、俺は自分の命捨ててでも守ってあげるからね!!」

「!!……か、神楽……ありがとう!!約束……だよ!!」

「ふふッ……リサの為に、がんばってね、神楽」

 

 

 

 

〜回想END〜

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ーーッ!?」

 

思い出した……いや、分かった(・・・・)

 

俺はそう心の中で呟いて、コーヒーを飲み干して、立ち上がった。

 

「そう言う事か……」

 

全ての始まり……それは俺達3人が出会ってから……では無く、あの時ーーあの場所で、俺は先程4回目の不死の加護を発動する直前に呟いた言葉を、リサに言っていた。

 

それがもし……リサを救う手がかり……否、手段として使えるのなら……

 

俺はスマホを取り出し、変わってしまった彼女を呼び出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ピーンポーン……♪

 

呼び出して、余り時間を欠けずに、リサは家に来た。

 

 

「神楽……会いたかったよ♡」

 

「ああ、俺も……会いたかった……シャワーでも浴びてきなよ。コーヒー入れて待ってるからさ」

 

「うん♪そうするね♡」

 

 

そう言ってリサは、何も疑いもなくシャワーを浴びに行った。いや……なんも手の込んだことは考えてないからな?

 

「しかし……念には念だ」

 

今は唯、リサと一緒に過ごしたい。それ故に他のメンツ……第三者らの介入はお断りだ。

そう思った俺は、玄関の鍵を全て閉め、家のあらゆる鍵を全て閉め、カーテンも締め直し……それからコーヒーを入れた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「お待たせ〜♪も〜!リビングで待ってるかと思って探したんだよ〜!」

 

「ごめんって、……ほら、コーヒー出来てるから、適当に座って飲みなよ」

 

相変わらず瞳は濁っているが……陽だまりのように、相変わらずリサは可愛かった。

 

 

「ちょっと神楽〜?じーっと見られてると、飲みずらいんだけど〜?」

 

「いやな……いつ見てもリサって可愛いな〜って。当たり前の事だけど……そう思わずには居られなくてさ」

 

「もう!褒めても何も出ないんだからね!」

 

本当……コーヒー飲んでる姿も様になるし、何をしてもリサは可愛い。例え、どんな姿になったとしても……だ。

 

 

「ふぅ〜、ご馳走様♡」

 

「お粗末様。……と、リサ?少し……いいか?」

 

 

そう言った俺は立ち上がって、リサの隣に腰を下ろした。

そして……リサの顔をマジマジと見つめた。

 

 

「か、神楽……!?恥ずかしいよ……///」

 

「リサ……」

 

「か、神楽ーーきゃッ!?」

 

俺はそのままリサを抱き抱え、自分のベッドに投げ出して……キスをした。

 

 

「んちゅ……ちゅぱちゅぱ……♡レロレロ……ジュルジュル……♡」

 

「んむ♡……ジュルジュル♡レロレロ♡……はァ♡ちゅぱちゅぱ♡……ぷはぁ!♡か、神楽!?どうしちゃったの!?///」

 

 

リサの言う通り……なのだろう。それもそうだ。こんな可愛い彼女……そうせずには居られない。今まで平然を装っていたが……我慢の限界だった。

 

 

「リサ……俺はお前の事が好きだ。これからも……ずっと、お前の傍にいたい。例え……俺の命が全て(・・)尽きようとも……」

 

「神楽……ッ!」

 

「だから……今日はお前と……愛分かち合いたいんだ」

 

 

そう言って俺は部屋の灯りを除夜灯にして、1夜限り(・・・・)彼女(リサ)との時間を過ごしたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜リサside〜

 

嬉しかった……神楽が、あそこまでアタシの事を愛してくれたのは、初めてだ。アタシはベッドから降りて、下着やら服やらを着て……ある疑問が浮かんだ。

でも……なんだろう?初めてなのに……なんだか違和感を感じる……。

 

何時から……?

 

何処で……?

 

 

「…………あ」

 

 

そしてそれは……アタシが思っていたよりも早く、答えが出た。

 

 

「ふふっ♡……本当、良い彼氏を持ったね♪アタシ♪」

 

 

ならアタシは……神楽の想いにめいいっぱい答えないと……イケナイヨネ?

 

神楽がアタシを守ってくれるなら……アタシは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシは……神楽を守る為に……まとわりつく全ての(害虫)を始末しないとね♪」

 

 

服を着替えたアタシは、神楽にーーーのキスをして、部屋を出たのだった……。

 

 

 

 

〜END〜

 




前回、紗夜回と言ってしまい申し訳ございません!ただし、次回は本当に紗夜回です。
短めでしたが、今回はここまでです。
感想、高評価等お待ちしております!


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BAD24話 アンチテーゼ

今回は紗夜回です。
やっぱチャートは大切だなと思う毎日です。
それでは……どうぞ!
※今回、紗夜推しの方にとって、ショッキング、及び不快な描写が多く登場する恐れがあります。大丈夫でない方は閲覧をお控え下さい。


〜紗夜side〜

 

私は今……自分の部屋にて、正座をし、精神統一をしています。理由はただ一つ……今井リサ(あの女)への復讐心、殺意を高める為。

 

今の私は、Roseliaのギターリストでも、日菜の姉でも、花咲川の風紀委員長でもない。それら全てのプライド、誇り諸共捨てて、大切な人達を奪った者に対しての負の感情を極限にまで高めた復讐者。所謂……反立する存在。

 

 

「もう……誰も信用出来ない。誰にも信用されようとも思わない。私の居場所は……もう無くなったも同然。そしてそうさせたのはーー」

 

 

私はスッと立ち上がり、机に立てておいたRoseliaの集合写真を取り出し、手に持ったカッターで、憎むべき人物の顔に向かってーー

 

 

「ーーハァッ!!」

 

 

その人物……今井リサの顔面、身体、その写真に写ってるその女の身体全てを……手に持っているカッターで、滅多刺しにしました。

 

 

「私は、氷川紗夜……自分の持っていた定義に反立し、今井リサ(あの女)に復讐する者……」

 

 

私はそう呟いて壁に立て掛けて置いたある物を手に取り、家を出ました。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「ハァッ……ハァッ……!!」

 

俺は今……羽丘の街を縦横無尽に走り回っていた。きっかけは、2つ。1つは朝起きた時にはリサが居なかったということ。そして2つ……机の上に、リサが書いた置き手紙の内容。

 

その置き手紙には、こう書いてあった……。

 

 

『昨晩は、アタシの事をたくさん愛してくれてありがとう。神楽と2人きりになるために……神楽にまとわりつく女を全員殺して来るね♪By:リサ』

 

 

「どうして……そうなるだよ……!」

 

文面道理なら、紗夜がターゲットになる……いや、紗夜だけじゃない。全員……という事は、俺……もしくはRoseliaに関わりを持った人間全て、リサのターゲットという事。急がないと……取り返しのつかないことになる。

 

もうこれ以上……お前の悲しむ姿なんて、見たくない。誰一人傷つけて欲しくない。

 

 

「リサ、お前を守る為に……残りの命に変えてでも、救ってやるからな……!」

 

 

俺はそう誓って、再度走り出した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」

 

 

「アハハ♪も〜逃げられないよ♪」

 

 

「リサさん……辞めて……下さい……!」

 

私は……神楽にまとわりつく全ての()達を駆除する為に、私の知り合い初めとした娘達を探し、殺すことにした。紗夜が見つかれば……あるいは自分から来てくれれば良かったんだけど……目の前にいる赤髪の後輩、あこの姉である宇田川巴を偶然見つけたから、彼女を先に殺すことにしたんだ♪

 

そして、その巴を廃工場まで追い詰めた。

 

「辞めないよ〜?アタシと関わってる以上、アタシの愛しの神楽にいつ手を出すか分からないでしょ?だから〜……早めにそう言う虫は、始末しないと……ネ?」

 

 

「そんな……アタシはなんもしてないのに……恋愛経験ですな皆無なのに……と、とにかく……それ以上近づかないで下さい!!」

 

いつもは男気のある娘なんだけど……今のアタシを前にした巴は、普通の女の子がする様なウブな怯え方をしていた。

 

そしてアタシは、包丁を舐めて、こう言った。

 

 

「大丈夫だよ巴♪あこ(・・)を殺したときの様に、人思いで殺してあげる♪」

 

 

「!?……あこって……もしかして、リサさんが……!?」

 

 

巴はそれを聞いて、驚愕な表情をしていたが、全て理解したのか、また脅えだした。

 

 

「あこだけじゃないよ♪燐子や日菜、エミ……そして友希那を殺したのも全部アタシ♪日菜はちょっと違うけど……それもこれも全部、神楽にまとわりつくからイケナイノ……ダカラ、コロシタンダ♪」

 

 

そう言ってアタシは、1歩、また1歩と妖しく微笑みながら巴に近づいて行く。

 

 

「い、いや……!来ないで……下さい!!」

 

 

後ろに下がろうにも、後ろが壁な為、下がれてない事に気づいてるかどうかはさて置き、それでも尚……怯えながらそう訴える姿が……本当にそそるね〜♪

 

 

「巴には何も罪は無いけど……一足先にあの世へ行って貰うね♪」

 

「い、嫌……!止めて下さい……!!」

 

「バイバイ、巴♪」

 

 

そう言ってアタシは、包丁を振りかざし、巴目掛けて切りつけようとーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュッ……!!

 

 

「ッ!?」

 

 

カラッ……カララララ……

 

 

ーー何かに強く弾かれて、アタシの持っていた包丁は床に落ちた。そしてすぐ近くには……あれって、矢?

 

 

「宇田川さん、逃げてください!!!!」

 

 

「あ……!?」

 

 

声のした方……正確には矢が飛んできた方を振り向くと、いつの間に居たのか、右壁際に紗夜が次の矢を構えて立っていた。

そして、アタシが目を離した隙に……巴は逃げてきた道を一目散に逃げていった。

 

 

「あ〜あ……逃げられちゃったか〜……でも、いいや♪紗夜が自ら来てくれたおかげで探す手間が省けtーー」

 

「気安く私の名前を呼ばないで」

 

 

「キャッ!?」

 

 

紗夜はアタシの言葉を遮るかの様に、アタシ目掛けて矢を放った。そして紗夜の目は……まるで憎き相手を殺すかの目付きをしていた。

 

 

「貴女は私の大切にしていたもの、誇りに思っていたもの、愛していたもの全てを私から奪い去って行きました!!なので今から貴女を清をもって粛し……()をもって殺します!!」

 

 

そう言い捨てた紗夜は、再度アタシに向かって矢を放った。1発目は横へ転がり難なく躱したが、2発目が直ぐに放たれていた事に対して気づくのが遅く、咄嗟に左腕で庇った。

 

 

「アウッ……!!」

 

 

「痛いですか?でもこんなものじゃないわ!貴女には私達が苦しんだ分まで……いえ、それ以上に苦しんで地獄へ突き落としてあげる!!」

 

 

(このままじゃ……早く反撃しないと……!)

 

「させません!!」

 

 

ドス……ッ!!

 

 

「アア……ッ!!」

 

 

反撃しないと、本気で殺されるーー今まで感じたことの無かった恐怖心を感じたアタシは、左腕の矢を無理矢理引き抜いて、包丁が転がっている方へーー

 

ーー走ろうとした刹那、アタシの脇腹に飛んできた矢が深く刺さり、アタシは苦痛に耐えきれず転んでしまった。

 

 

「言ったはずです。貴女には、私達が苦しんだ分まで苦しんで貰うと!1発1発……しっかりと苦しんで下さい!!」

 

 

そう言って紗夜は矢筒から1本取り出し、狙いを定め、矢を放った。

 

 

ドス……ッ!!

 

 

「アグッ!!」

 

 

「これは貴女の友人、南雲さんの分!!」

 

 

ドス……ッ!!

 

 

「アウッ!!」

 

 

「これは宇田川さんの分!!」

 

 

アタシが今まで殺した人の名前を言いながら矢を放つ紗夜。矢を抜こうにも、そうやって次々と矢を放ってくるお陰で、それをモロに喰らいその痛みが矢を抜くという動きを鈍らせていた。

因みに、先の2発の矢は不幸にも両太腿に深々と刺さっている。

 

 

「そしてこれは……湊さんの分!!」

 

 

ドス……ッ!!

 

 

「あぁぁぁ……ッ!!」

 

 

左二の腕に刺さった矢……友希那の分と言って放った矢は、何故かは知らないが、先の2発よりも痛みを感じた。

 

 

「フッ!先程の2発よりも良い悲鳴をあげるじゃない!やはり貴女にとって湊さんはよほdーー」

 

 

「うっさい!!」

 

 

どぉしてアタシは動揺してるの?友希那との縁は……彼女との関係はあの日で終わりにしたのにーー

いや、今はそれはどうでもいい。アタシは無理矢理に今刺さってる矢を全部抜いて、それをまとめて持って紗夜に迫った。

 

 

「そしてこれが……私が愛した白金さんの分!!」

 

ドス……!!

 

 

「アグウ……ッ!!」

 

 

しかし、身体中に刺さった矢の傷口が思いの他痛みまともに走れないアタシは、紗夜の放った矢を躱すことすら出来ず、今度は内蔵に刺さり、仰向けに倒れた。

 

 

「痛い……こんな所で……倒れる訳には……いかないのに……グフッ!」

 

 

こんな所で、死にたくない……神楽の為にも……紗夜を殺さなきゃ行けないのに……身体が全く動かないし、仕舞いには内蔵に刺さった事で口から血まで出てきた。

 

 

「殺さなきゃ……紗夜を……神楽の……為に……グフッ!ガハッ……」

 

 

何とかして立ち上がれたけど……その姿勢を維持するのに精一杯……そして目の前の紗夜は最後の1本(・・・・・)を構えていた。

 

 

「今井リサ……最後にこの1発を、貴女の心臓に穿って終わりにします」

 

 

(死にたくない……だからお願い、アタシの身体。一瞬だけでいいから……動く為の力を……)

 

 

「これで最後です。そしてこれは……私の最愛の妹、日菜の分よ!!」

 

 

躱せば紗夜を殺せる、射抜かれれば死ぬ……迷うことの無い二者択一。

 

これを交わしてーー紗夜、貴女を殺す!!

 

そう決めたアタシは、足に残った力を込め躱す体勢に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………え!!??』

 

 

ーーだけど、アタシは動かなかった。動けなかった(・・・・・・)訳では無い。紗夜の手元には矢はない。だけど当たってない……そして何よりアタシと紗夜の目前にはーー

 

 

「嘘……そ、そんな……!」

 

 

「か、神楽ーー……ッ!!」

 

 

アタシの目の前には、神楽が立っていた。

そして……神楽の心臓辺りにはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー紗夜の放った最後の矢が貫通していた……。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

……時は少々遡りーー

 

 

「ここに……リサと紗夜が……」

 

 

探し回ってかれこれ数時間が経ち、赤髪ロングの女子が顔を真っ青にして走っていくのを見かけ、俺は声をかけた。その人はあこの姉で、今し方リサに襲われかけて、紗夜に助けられたと言っていた。

居場所を彼女に聞き出した俺は全速力で2人のいる場所へ向かい、今にいたる。

 

 

「待ってろよリサ。今お前を助けにーー」

 

 

『神楽』

 

 

「!!??」

 

 

手遅れになっても構わない。何がなんでも、リサを助けるべく俺は廃工場へ入ろうとした瞬間……聞き覚えのある人物の声が聞こえ、俺は振り返った。

 

 

「ゆ、友希那……!?」

 

 

今はこの世にいるはずが無い……彼女が……友希那がどぉして……

 

 

『神楽、リサと紗夜を助けて頂戴』

 

 

「ッ!?……いや、それよりも友希那……お前、死んだはずじゃ……」

 

 

『えぇ……あの日、私はリサに殺されたわ。だけど何故か魂だけどなって今もこうしてさまよっているの。どうしてかは……分からないけどね』

 

 

似てる……あの日見た夢……あこがリサに殺されて、燐子があこの元に駆けつけた時と。恐らく原因は……

 

 

「多分……友希那が残してくれた遺言。あれを俺達は守らなかった。全員……どうにかしようと必死にもがいて……知らないうちにお前との約束を違えてしまったんだな」

 

 

「本当に申し訳ない……」そう付け加えて俺は友希那の魂に頭を下げた。

 

 

『いいの……こうなる事は……リサに殺されたあの日から薄々感ずいてたから。だからこそ、神楽?私のお願いを聞いて』

 

 

「お願い……?って友希那、段々薄く……!?」

 

 

友希那の魂がそう言い終えると同時に、それが輝いて段々透けていった。

 

 

『時間が無いから……1度しか言わないわよ?これは貴方があと1回死ぬ事が出来る(・・・・・・・・・・・)のを前提に話すわ』

 

 

「!!……もしかして、ずっと……俺の事を……?」

 

 

今の友希那ならそれは可能……だと思ったが、友希那はその問に応じず、話を続けた。

 

 

『2人に……今から私が言う事を伝えて。そしてなんとしてでも2人を死なせない事。それが出来なかったらーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リサか紗夜……どちらかを殺しなさい』

 

 

「な……!?正気か友希那!?そんな事をしたらーー」

 

 

『分かってる。だから賭けなの。出来ればもうこれ以上……誰かが死ぬ姿を見たくない。だから、貴方がそれを終わらせに行くの』

 

 

俺に……出来るのか?自分の命投げ出して、2人を救う事が。そして、友希那の言葉をそのまま受け止めるとなると……

 

 

「ーー場合によっては、全員死ぬ事になる。それでも友希那は……あの2人を止めろって言うのか?」

 

 

『言ったでしょ?これは賭けだって……だからお願い神楽。2人を……』

 

 

友希那の魂がそう言い終える前にさっきよりも友希那の魂が光り輝いた。

 

 

「ッ……わかった。2人をなんとしてでも、助けてみせる」

 

 

『そう言ってくれると思ったわ。最後に、あの2人に伝えて欲しい事だけどーー』

 

 

友希那が言い終えるのと同時に、俺は静かに頷いた。

「了解した」……の意味を込めて。

 

 

『ありがとう神楽……最後に……貴方と……会え……て……嬉し……かっ……ーー』

 

 

そして友希那の魂は……俺に礼を述べる前に、光の中へ消えていった……。

 

 

「2人を助ける……それが出来なかったら……俺とあの2人は死ぬーー」

 

 

自分で言った言葉だが、俺はそれを否定する事にした。その時は……覚悟を決める他ないのだがーー。

 

 

「迷うことなんて……何一つない。俺はやる、誓ったんだ。俺の命……尽きてでも、守って見せると」

 

 

リサに約束した事をケツイに変えーー

 

 

俺は廃工場の中へ入っていった。

 

 

 

〜END〜




BADストーリーもそろそろクライマックスです。分岐ENDを考えています。TRUEEND、BADEND。この2つに絞りますので、アンケートお願いします。
それではまた次回、お会いしましょう!
感想、高評価等よろしくお願いします!


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BAD25話 想いよ、伝われ

BADストーリー分岐END手前のストーリーです。次回からTRUEEND・BADENDの何れかになりますので、お楽しみに。


〜神楽side〜

 

 

「はぁ…、はぁ…、何とか……間に合っ…た」

 

「か………神楽ァーーーー!!??」

 

「そ、そん……な……わ、たし……が…!」

 

 

友希那からの伝言を承った俺は覚悟を決めて2人が対峙してる廃工場の中に入った。中に入って直ぐ目に映し出された光景は、身体中傷だらけげ所謂満身創痍なリサ。そして、今まさにそのリサにトドメを刺そうとしてる怒り狂った紗夜さんの姿だった。

 

ーーもうこれ以上、誰も傷付いて欲しくない。居なくなって欲しくない。その一心で、全速力で2人の間にはいり……リサを庇って紗夜さんの放った最後の矢を全身で受け止めた。

 

リサの心臓を狙っていたのか、矢は1ミリもブレずに一直線に俺の心臓に突き刺さった。

 

 

ーーズボッ!

 

 

「ーーック、カハァッ!!」

 

 

心臓に刺さった矢をぬいた…。当然だが、痛いーーしかし倒れるのを我慢したのは決して格好付けるためではなく、あの2人に俺と友希那の想いを伝えなければいけないのにこんな所で倒れて居られないーーそう思ったからだ。

 

 

「リサ、紗…夜さん……っ、俺の話…を、聞い……て、くれ……グフッ」

 

「これ以上喋っちゃダメだよ神楽!?し、死んじゃうよ!?」

 

 

そう言って、リサは俺を無理矢理横にさせ恐らく包丁を巻いていたであろう布で俺の傷口を抑えてくれた。

 

 

「お、大江さん……ごめんなさい……わ、私の放った矢で……こんな事に……!!」

 

「いいんだ、こうなる事は……覚悟…、の上だった…から」

 

 

紗夜さんに至っては……さっきから顔が青ざめている。俺が「大丈夫」だと落ち着かせても、変わらなかった。

まあそぉ……だよな。なんせ自分が放った矢がリサではなく俺。しかもブレる事無く心臓に見事命中してしまったのだからーー。

でも、だからこそ2人を落ち着かせる為にも、今は一刻を争う状態でもあった。

 

 

「2人とも、良く…聞いてく…れ」

 

 

息たえだえな状態だが、おれはお構い無しに話始めた。

 

 

「もぅ……これ以上誰かを傷付けたり、殺し合うのは……やめてくれ。燐子やあこ……日菜さんにそして、……友希那が喜ぶと思うか?」

 

 

『……!!』

 

 

「それに……友希那だって手紙で言ってたろ?そんな事をしても誰も報われない。幸せになんて以ての外、なれるはずないんだ」

 

「ゆ、友希那……」

 

「湊……さん……わ、私……は……!」

 

 

2人の表情が変わった様な……気がした。後もう一押しーーそう思った瞬間だった。

 

 

「ーーングッ!?カハッケホッ……!?」

 

「お、大江さん!!」

 

「神楽ァーーーー……!!」

 

 

 

 

 

 

〜【BADEND1話】やっと〜へ続く

 

 

 

 

口から血が吹き出た辺りーーそろそろ最後の不死の加護が発動すると、俺は悟った。

ならーーちゃんと伝えないと……だよな?

そう思った俺は、静かに呼吸を整え……友希那から伝えられた伝言を、俺の想いを伝え始めた。

 

 

「フゥ……紗夜さん、これはーー友希那から伝言…だ。貴女の信じてきた、守ってきた定義(もの達)は何一つも違ってなんか居ない。もうこれ以上……半立した定義に染まる必要(悪に染る必要)はない。貴女はーー『Roseliaのギタリスト氷川紗夜』なのだから」

 

「湊……さん……っ、ウウ…ッ」

 

「さ、…最後に、リサ……改めて、俺の彼女になってくれて……ありがとう。俺の事は心配ない(・・・・)から、安心して……戻って来いよ(・・・・・・)

 

「か、神rーーッ!?」

 

 

最後にーー自分の唇とリサの唇を重ねた。それと同時に、互いの中から、何かが浄化され消えていくような感じがした。

 

そして、それが完全に消え去った時にはーー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今井さん!!大江さん!!」

 

 

 

 

俺達は何処か安心した様な……そして何処か悲しげにも見える表情で互いに向き合ったまま倒れたのだったーー。

 

 

 

〜【TRUEEND1話】おかえりなさい〜へ続く

 




如何でしたか?一応、どのタイミングでTRUEかBADに変わるかを分かりやすくはしておきました。アンケートの方はもう少し、様子を見ます!
感想、高評価等お待ちしております!!


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BAD【BADEND1話】やっと

BADEND1話目です。多分、長文で、これを含めて2、3話で終わると思います。
それでは……どうぞ


※BADENDストーリーを読むにあたって……と言っても言いたいことは今までと何ら変わりません。BADENDストーリー全体を通して、本編に登場するヒロインの残酷な描写が多く登場し、不快な思いをする恐れがあります。それらが大丈夫でない方は、申し訳ありませんが、TRUEENDをお読み下さい。

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「グッ……ま、まだ……だ……ッ!俺に……は、まだ言うべき事……が……ッガハァ!?」

 

「神楽!もう喋っちゃダメ!死んじゃうよ!これ以上神楽の死ぬ姿(・・・・・・・・・・)を、アタシは見たくないのに……!!」

 

 

最後の不死の加護が、もうすぐ発動すると分かっていた俺は何としてでも2人に……リサと紗夜さんにあの事をーー友希那からの伝言と俺の想いを伝えようと必死に喋ろうとするが、俺の身体が徐々に死を受け入れようとしている為かそれを許してくれなかった。

対するリサは、俺に死なないでと必死に訴えている。紗夜さんは……遂に両膝を跪き、青ざめながら自分のしてしまった事を恰も呪詛の如く嘆いていた。

 

 

(もうこれ以上……誰かが苦しむ姿を見たくないのに……2人を、救いたいのに……!だから頼む、俺の身体!あともう少しだけ、もってくれ!!)

 

 

そう心の中で訴え、俺は最後の力を振り絞って口を開く。

 

 

「2人…と、…も。俺の事……は、大丈夫……だからーーッガハァ!ゴフゥ……ッ!?」

 

「神楽!もう止めてェ!!」

 

(頼む……!も、……もう少し……だけ……ッ!)

 

「2人……だ、け……でも……ロ、……ゼ……リアの……ーーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「か、神楽……?ね、ねぇ……起きてよ神楽?」

 

「神楽ァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……ッッ!!!!」

 

結局……俺は2人に何一つ伝えれないまま、最後の不死の加護を発動させたのだった……。

 

 

(ごめん、2人とも……ごめん、友希那ーーーーーーーーーーー)

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

 

「神……楽……」

 

 

神楽が……アタシの目の前で死んだ……。

いや、分かってる(・・・・・)。神楽はまた生き返る事くらい……それでもアタシは今、それらを受け入れられない位ーーーーーーーーーーー

 

 

「紗夜が……神楽をーーーーーギリッ」

 

 

アタシは立ち上がって、紗夜を見た。紗夜は未だに、自分の犯した罪を呪うかのように嘆き呟いていた。

 

 

「ねぇ……何時までそぉしてるの?紗夜のせいでアタシの神楽が死んだんだよ?ネェ……ドォセキニントッテクレルノ??」

「私は……私は……私……は……ッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーもう、終わりにしてください」

 

「紗夜……」

 

 

よおやく別の言葉を話したかと思ったら、紗夜はアタシに向かって自分を殺して欲しいと言った。

 

 

「私は……誰一人守れない。日菜も、宇田川さんも、白金さんも……もう、充分です。もう……この異常な日常に、疲れてしまったんです。だから今井さん、一思いに……私を殺して下さい」

 

「………………」

 

 

アタシは何も言わずに、転がった包丁を手に取り、紗夜の元へ戻り刃を紗夜の頸動脈にあてがった。

まだ……刃はそのまま、動かさずに。

 

 

「ホントにいいの?何か……言いたいことがあったら聞くよ紗夜?」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜紗夜side〜

 

私は、もうすぐ死ぬ……。今井さん(・・・・)の逆鱗に触れた為……。大江さんを不可抗力だったにせよ殺めてしまった為……。

大江さんに言われなくても、気づいていた。こんな事をしても……何にもならない事くらい。

何か別の方法で、今井さんを殺めずとも、この騒動を収める事が出来たかも知れない。例えば、今井さんと話し合って『私達は貴女の事を待っている』『貴女の事を恨んでなんか居ない』って事を分かって貰って正気に戻ってくれるのを待っても良かったかもしれない。あるいは、いつも通り今井さんと何気ない会話をしたり、大江さんや、白金さん達とセッションをして、今までRoseliaとして築き上げて来た音楽の素晴らしさを思い出して貰っても良かったかもしれない。

幾らでも方法はあった筈なのに……私は『大切な人(日菜)』を失ったが故に膨らみ過ぎた負の感情に身を委ねて、今井さんを殺めること以外考えられなくなってしまった。考えられなくなってしまったから、今……この結果を生み出してしまった。

情けないくらい惨めで、正直後悔する気も失せるくらい……生きる価値すら無くなりそうなくらい笑えてくる。

そう……身勝手ながら、私は疲れてしまった。こんな結果になるくらいなら……『大人しく今井さんに全てを任せても良かったのでは』と、考えてしまうくらい。

だから、結果的に……必然的に、今井さんに問われたことに対しての答えはいとも簡単にでた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今井さん、私達4人が居なくなっても……貴女が居ればRoseliaが……私達が築き上げて来た音楽は決して無くなったりはしません。辛い業を背負わせてとても辛いですが、どうか自分を大切にし、Roseliaをずっと守り続けてください……」

 

 

今井さんにそう言い終えた私の瞳からは……何故だか知らないが、涙が流れ落ちた。死ぬのが怖い……と言うのもあるかもしれないけど、それ以上に今井さんを1人にしてしまうと言うこと自体に、私は悲しんでるのかも知れない。

だけど……それでも今井さんが、Roseliaの事をずっと想い続けてくれるのであれば、この命ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ……ッ!!ブシャァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーー……ッ!!

 

 

「サヨナラ……紗夜」

 

 

ーーーーーー喜んで、貴女に差し出します……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

目覚めるとそこは……まだ廃工場だった。しかし、直ぐ近くで、血の匂いがして、俺は悟った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハ♡やっぱり生き返ってくれた♡アタシだけの……ステキデカッコイイ神・楽♡」

 

 

そして、目の前には傷だらけだが物凄い量の返り血を浴びたのだろうか……血塗れの彼女(リサ)が、同じく血塗れの包丁を舐めながら俺が目覚めるのを待っていた。

そして……リサの足元には、首から大量の血を流して既に死んでいる紗夜さんの遺体と、その上に5輪の青い薔薇が添えられていた。

 

 

「………………」

 

 

俺はその光景を見て、全てを悟った。

自分のしてきた事……変わり果ててしまったリサを元に戻す為に、短い間だったがRoseliaの皆と過ごした何も変哲のない楽しい日常を取り戻す為に……リサ(彼女)をもっとちゃんと愛する為にしてきた事……全部。

 

 

ーーーーーー無駄だったんだと。

 

 

ーーーーーープツン

 

 

それらを悟った瞬間、俺の中にある何か……例えるならプライド、誇り……その他諸々全て、俺の中の常識という名の糸が静かに、虚しく途切れた音がした。

そしてそれらの糸は、もう……再び繋がることはない。何故ならーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサ……頼みがある」

 

 

此処には……否。この世界(・・)には俺が1番に愛する事ができる最愛(・・)彼女(リサ)しかいない。それ以外……何も、見えない。分からない。

 

ーーーーーー認知出来ない。

 

この世界の俺は、この世で1番可愛い……美しくて儚く、尊いリサを愛する為に生まれた存在ーーーーーー。

 

 

「俺、分かったんだ……全て。この時、この瞬間の為に今までしてきた事全てーーーーーー」

 

「ーーーーーーリサ、お前と一緒に生きる為だけにしてきた事なんだって。だからーーーーーー」

 

 

そう……俺は、最後の不死の加護を発動した瞬間に生まれ変わったんだ(・・・・・・・・・)と。

だからーーーーーーこうすることが、当たり前(・・・・)なんだって……

 

 

「お前をもう、1人にはしない。俺の身も心も全て……何もかもお前に捧げーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーープツン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエニエイエンノアイヲチカウヨ」

 

 

ーーーーーー俺は、生まれ変わった。

 

 

ーーーーーー1人の『人間』である『大江神楽』から……

 

 

ーーーーーーリサを愛するためだけに生まれた『人形』に……。

 

 

 

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 

 

リサヤンデレLv:Lv16→Lv20(MAX)




如何でしたか?
次回ーーーーーー最終回。
乞うご期待下さい。
感想、高評価等お待ちしております。


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BAD【BADEND最終話】無邪気な貴方(貴女)に出会えた喜び

1話長文でもなかったな……ボソッ
BADEND最終話です。変わり果ててしまった2人のその後です。


〜リサside〜

 

ーーーーーー……一連の騒動から数ヶ月が経った。警察もとうとうアタシが起こしてしまった事件の真相に辿り着けず、迷宮入りを余儀なくされ、羽丘・花咲川女子学園でさえもその話題は持ち上がらなくなり……自然消滅していった。

 

そしてーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜、やっと終わったぁ〜♪」

 

 

授業が終わったアタシは伸びをしながらそう呟いた。あの日の一件が過ぎ、今はこうしていつも通り授業を受けている。

自分の感情(・・)を制御しながら……。

最初はこれを押されるのにとても苦労した。アタシの神楽を…アタシだけの神楽を誰かが奪うんじゃないかって。特に巴初めとした。アタシやRoseliaの皆と関わってきたみんなが報復や、言及をしてくるんじゃないかって……怖くてコワクテ……。

最初は学校休んで口封じをしようって考えた時が何度もあったが、不思議な事に、それらをしてくる人物は誰一人いなかった。それがわかった日からは、それに怯えることもなくなり、学校ないではこうして授業もいつも通り過ごす事ができている。

 

 

ーーーーーー1つの例外(・・)を除いて。

 

 

「今井さ〜ん、ちょっといい?」

 

「どうしたんですか、先生?」

 

 

丁度荷物を纏めて教室を出ようとしたその時だった。アタシのクラスの担任である音々先生がアタシを呼び止めた。

 

 

「神楽君の事なんだけど……最近の調子(・・・・・)はどぉ?今井さんに神楽君の事任せっきりにしちゃったけど……負担になってない?」

 

「神楽は……一応峠は超えたって感じです。後は神楽自身ですけど、順調に回復して来てるのでもう少しで学校に来れると思います。あと、アタシは神楽の彼女なので……全然負担とか感じてませんよ♪」

 

 

先生は、神楽の最近の体調等についてアタシに今の近況を聞いてきた。神楽は今、あの日から起きた騒動で自分に責任があると思い込んで、鬱になり精神状態が不安定で学校に来れない……ーーーーーーって()にしている。

最初の頃は先生も心配で様子を見に来ていて、正直アタシは気が気じゃなかった。

でも、何とかアタシが神楽を看病する事を押し通す事に成功して……今はアタシ()の家に神楽はいる。

 

 

「そう……今井さんも同じくらい悲しい思いをしたと言うのに、何だかごめんなさい。こう言う時こそ先生が助けなきゃ行けないのに……」

 

 

そう言って先生はアタシに頭を下げた。

教師として当たり前の事をしたのだろうけど……それが逆に今のアタシの心を締め付け、とても気不味く、申し訳なさでどうにかなりそうで正直言って……やめて欲しかった。

 

 

だって……こうでもしなきゃ、神楽はーーーーーー

 

 

「…っ!そ、そんな…!?顔を上げて下さい先生!確かに、アタシもバンドのメンバーやエミ達が居なくなって……とても辛い思いをしましたが、何時までもそれでアタシが下を向いてちゃ……それこそ皆に顔向け出来ないし、神楽を余計に苦しめる事になっちゃうので……だから辛くても、こうしてアタシだけでも前向きに生きて、神楽に元気になって貰おうって……決めたので!だから……」

 

 

そこまで言って、アタシは言葉を詰まらせた……こんな建前……アタシに対して何の慰めにもならないのに……

何時までこんな事……続けてれば良いのかーーーーーー

 

 

「だ、だから……アタシそろそろ行きますね!神楽が早く元気になってくれるためにも……アタシが神楽の傍に1秒でも長く居てアゲナキャイケナイノデ……」

 

 

ーーーーーー!?ダメ、今出てきちゃ(・・・・・)ダメ。今出てきたら……先生まで巻き込んじゃう……

そう思ったアタシは、急いで教室を出ようと試みる。

 

 

「そう……なら引き続き、今井さんに任せるわね♪何かあったら……何時でも先生に相談してね?今井さん、貴女は1人じゃないんだから……ね?」

 

「……っ!はい!それじゃあ先生ーーーーーーサヨウナラ…!」

 

 

そう言ってアタシは、何とか大急ぎで……教室をでて、学校から離れる事に成功したのだった……。

 

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「はァ……、はァ……、はァ……ッ!」

 

 

教室からダッシュで走って……アタシ()の家まであと少しの所でアタシは立ち止まり、荒くなった呼吸を整えようとした。

ついでに……アタシの精神状態を元に(・・)戻す為に。

 

 

『ネェ?何時までそうしてるの?そんな事したって皆は戻って来ないんだし……また何時神楽が取られるか分からないんだよ?だったら、さっきあの場であの先生()を殺してさえすれbーー』

 

「もう辞めて!!アタシは……もうこれ以上誰かを殺したくないの!!アナタだって……あの時見たでしょ!?もう神楽はアタシだけのモノ(・・)になったの!!だから神楽を……神楽…を……」

 

『そぉだったわね♪もう神楽はアタシ達のモノになったんだもんネ♪その後のアナタの行動にアタシは関心して、アナタを解放(・・)したンダモンネ♪だかrーーーーーー』

 

「だからもう……出て来ないで。大丈夫♪アナタがいなくても神楽をーーーーしてる限り神楽はアタシのナンダカラ♪」

 

『ウン♪ならアタシは遠くでアナタの事を見てるから♪でも忘れないで?アタシはアナタ。それはずっとズット……変わらないんだって事をーーーーーー』

 

 

そう言ってもう1人のアタシ(彼女)はどこか遠くへ……アタシの心の中から消えて行ったーーーーーー様に感じた。

 

 

「ようやく……居なくなってくれた」

 

 

長かったーーーーこれでようやく、アタシはアタシで居られる。もう色んな感情(アタシ)に乗っ取られずに済む。

でも……感謝はしている。彼女達が居なければ、神楽をここまで愛する事なんて出来なかったし、神楽を独占する事なんて……出来なかった。

故に彼女達は……アタシに『本当の愛』が、いかなるものかを弱いアタシ(感情)を使って教えてくれた。

だからアタシは、今この一時を過ごせている事に感謝している。

 

 

例えそれがーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーアタシが神楽に注ぐべき『愛』じゃ無くなったとしても」

 

 

そう呟いてアタシは、帰りを待っているであろう……愛しの神楽の居る、アタシ()へ再び歩みを進めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「ただいま〜♪神楽ぁ〜?帰ったよ〜♪」

 

羽丘のとあるアパートに着いたアタシは、そう言いながら部屋の中へ入った。

あの日の後……両親が帰ってきたと同時に、アタシは両親に、状況を偽ってアタシの家から離れたとあるアパートで同棲したいと頼んだ。両親は2つ返事で納得してくれて、そこらにあるアパートの中でも、環境の良い所を探して、少し早めの同棲生活を送ることに成功した。

 

全ては、両親がいない間に起きた真実(・・)を隠す為に。

 

全てはーーーーーー

 

 

「オカエリ、リサ!ズット……リサガカエッテクルノヲマッテタンダ!」

 

「ただいま神楽♡今日も此処でアタシの帰りを待っていてくれてアリガト♡ちゃんと大人しくしていてくれた……ヨネ??」

 

「アァ!ダッテリサノタノミゴトダモン!アイスルリサノタノミゴトヲチャントマモルノガ……カレシトシテノヤクメダロ?」

 

「ウンウン♡ちゃんと言いつけ(・・・・)を守ってくれた神楽はエラいなァ〜♪♡そんな神楽にはチャントーーーーーーご褒美をアゲナイトネ♪♡」

 

「ヤッタ!リサノゴホウビ!ハヤクハヤク!」

 

「も〜!そんな子供見たいにはしゃがないの!ご褒美は逃げないんだから♡だからーーーーーーんッ♡」

 

 

どこからともなく、目を濁らせた(・・・・・・)神楽がアタシを出迎えてくれた。今日もちゃんと大人しくしていてくれたご褒美に、アタシは神楽にキスをした。

とても長く……重い、アタシの愛情たっぷりのキスを♡

 

 

「アハ♪リサノキス、トッテモイイヨ!モットシタイナ!」

 

「ウン♪♡帰ってきて早々だけど……今日も沢山……アタシノアイヲウケトッテネ?神楽♡」

 

 

そう言ってアタシは、神楽と共に部屋に上がり……今日の学校での出来事諸共忘れるくらい……楽しい夜を過ごした。

 

 

そう、全てはーーーーーー神楽をアタシだけがアイスル為に。

 

 

アタシはあの日から……神楽を監禁しているのだ。

 

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ーーーー神楽と一通り早めの夜を楽しんだアタシは、神楽と同じベッドの上で、思い病んでいた。

 

 

「リサ?ドウカシタノ?」

 

「…………」

 

 

確かにアタシは今……とても幸せだ。

ようやく神楽を独り占めできて、神楽をこれ程以上に愛して、神楽に沢山愛情を注いで……神楽とこうして毎日毎日、2人きりで1夜をすごしている……。

幼い頃、神楽が長野県へ引っ越してから叶えたかった夢がようやく叶った。もう誰も、アタシと神楽の愛の一時を邪魔する女なんてもう居ない。

とても幸せで、儚く尊い時間を過ごせてる筈なのに……

 

 

今のアタシの瞳からはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ッ」

 

「リサ……ナイテルノ?」

 

 

ーーーー涙が零れ落ちていた。

 

アタシが叶えたかった夢って……アタシがしたかったことって……ーーーー

 

ーーーーこんなのだったっけ?

 

認めたくないけど……答えは『NO』だ。

確かにアタシは神楽を沢山好きになって、愛して、愛情を注いで、独り占めしたかった。

 

しかしそれは……こんな形で、叶えたくなかったーーーー。こんなはずじゃ、なかったーーーー。

 

友希那、紗夜、燐子、あこ……色んな女を殺して、ようやく手に入れた神楽とアタシだけの愛の一時……。だけど、彼女達が居なくなって、神楽を監禁して暫くして……気付いてしまった。悟ってしまった。

 

アタシの求めていた、叶えたかった夢は、時間はーーーーーー

 

ーーーーーーコレじゃなかった。

 

友希那達がいて、皆がいて……。その空間の中に、アタシと神楽の愛する一時をーーーーーー。

 

皆と笑いあって、ふざけあって……その上で神楽を愛する。そんな一時を、アタシは求めていた。

 

ーーーーーーそのはずだった。

 

しかし、皮肉にもアタシの中に潜む感情(今井リサ)が、アタシを変えてしまった時から……その夢は、求めていた一時は叶う事も、訪れることも許されなかった。

 

神楽を愛したかったら、周りの女を殺さなければ……神楽を取られてしまう。神楽を愛することが、出来なくなってしまう。そう教えこまれてしまった為……幾らアタシが心の奥底で止めようとしても、それを彼女達(アタシ達)が聞き入れてくれるはずも無く、アタシの神楽を奪うかもしれない人物をーーーーーー殺して行った。

 

そしてそれは……遂に神楽の精神にも及んでしまい、アタシがあの日紗夜を殺したあの日から、神楽は壊れてしまい、アタシを愛するための『人形』に生まれ変わってしまった。

 

正直、監禁し始めた時は、嬉しかった。

神楽がここまで壊れてくれて、アタシを愛してくれるようになってくれたーーーーーーそう思い込んでいた。

 

でも、監禁をつづけて、神楽の衣食住全てを束縛する様になってから……徐々にこれって、ホントにアタシのしたかった事なのか、疑問に思うようになり、言葉遣いから、態度からして……ある時これは神楽じゃない。否、神楽だけど、神楽という『人』ではなく、『人形』なんだと悟った時は……今以上に、涙が溢れ、嗚咽を漏らして泣いた。

 

幾らアタシが神楽に愛情を注いでも、束縛しても、痛めつけて分からせても……『人』としての抵抗はせず、『人形』地味た感情表現しかしなくなってーーーーーー

 

 

「ねぇ神楽?神楽は……アタシと居れてとても幸せ?」

 

「モチロンダヨ!オレハ、リサトコウシテイッショニイレテトテモシアワセダヨ!イタイコトサレテモ、ミステラレソウニナッテモ、ソレハスベテリサノアイジョウナラ……カレシトシテノソレラヲスベテウケトメナキャイケナイ……ソウオシエテクレタノハ、リサダロ?」

 

「アハハ……そう、だったよね……ウウッ」

 

「ネエリサ?ドオシテ、サッキカラナイテルノ?リサガカナシンデルスガタミテルト……オレ、トッテモカナシイヨ」

 

 

ホントの神楽は、こんな事言わない。

アタシと一緒にいても、面倒事は極力避け、嫌なことは嫌。直して欲しいことがあったら正直に言ってくれる。それがホントの大江神楽なのだ。

 

 

だからもう……此処には神楽は居ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神楽が居ない日常なんてーーーーーー耐えられない。

 

時間を巻き戻せるなら、神楽と付き合う前まで遡って、もう一度、1からやり直したい。

 

皆と、一緒に笑いあって、神楽とずっと……付き合いたかった。

 

でも……そんな事、出来ない事は分かってる。

 

だからアタシは、決めたんだーーーーーー。

 

 

ーーーーーー時が来たら、死んでしまおう……って。

 

 

そしてその時が、ようやく訪れてくれた。

アタシの中にいる今井リサ(彼女)達が、消えてくれたおかげでーーーーーー

 

 

ーーーーーー神楽の元へ、友希那達の元へ逝く事が出来る。

 

 

これでアタシの罪が全て、償われるとか、微塵足りとも思って居ない。むしろ恨まれ、下手をしたら殺意を抱かれてもいい事をアタシはした。

 

 

(キット……神楽達の元へ……友希那達がいるかもしれない天国になんて、行けないかもね……)

 

 

そう虚しく思いながら、アタシは一旦神楽の元を離れ……とある剤錠の入った小瓶を手に取り、近くにあった水の入ったペットボトルも手に取り……傍にいけておいた5輪のオレンジ色の薔薇を持って神楽の元へ戻った。

 

 

「神楽?アタシ……アタシね?神楽の事すっごい愛してる。それは、今も昔も……ズット、コレカラモ♡」

 

「オレモダヨリサ!オレ、リサノコトダイスキ!コレカラモ……ズットズット、アイシテルヨ!」

 

 

あぁ……人形に変わり果ててしまった神楽でも、そう言ってくれて、そう想って居てくれて……アタシはトテモウレシカッタ。

 

 

「……ウゥ、ヒッグ」

 

 

感極まって、またアタシは泣き出してしまった……ホントアタシ、昔から泣き虫だなぁ……。

 

 

「ナカナイデヨリサ……ゲンキダシテ?リサニナミダナンカニアワナイヨ?ホラ!エガオエガオ♪」

 

「ウゥ……アリガトウ、神楽ァ……!」

 

 

ホント……神楽は優しいなぁ……どんな姿になっても、神楽は神楽なんだって……思ってしまう。

 

でもーーーーーーそれじゃダメなんだ。

そうやって、何時までも神楽に依存し続けていたら、いつになっても、この世を去ることが出来ない。

 

 

(そろそろ……覚悟を、決めないとね…。)

 

 

「ねぇ神楽?この薬はね?アタシが神楽とズットズット……永遠に一緒に居たいために、特注で作ってもらったトッテモイイお薬なんだ♪」

 

「トクチュウヒン?スゴイネリサ!オレノタメニワザワサシイレテクレタンダネ!ウレイヨ!」

 

「アハハ……♪喜んでくれて、アタシも嬉しいな……♪これを飲むとね?夢の中でズットズット……アタシと一緒に居られるんだよ?だからーーーーーーッ、だから、これ飲んで、一緒に寝よ?」

 

「ウン!ハヤクノモ!オレ、ハヤクリサトズットズット……アイシアウユメミタインダ!」

 

 

そんなおとぎ話みたいな薬……ある筈がないのに、神楽はなんの疑う事もせず、寧ろ早く飲みたがっていた。その薬は、言うまでもなく、睡眠薬。そう……アタシは神楽と一緒に、睡眠薬の大量摂取で、自殺する事にした。

 

 

(アタシは……なんて罪な彼女なんだろう……)

 

 

そう思いながら、アタシは小瓶から大量の睡眠薬を手から取り出し、神楽に渡した。

 

 

「コンナニイッパイ……フクサヨウトカナイノ?」

 

「大丈夫だよ♪この薬は、トテモ特別で、いっぱい飲まないと、効果が得られないんだって♪」

 

「ソーナンダ!アァ、ハヤクリサトズットイッショニイラレルユメミタイナー!」

 

 

少し位疑ってもいいのに……でも、もういいんだ。これで神楽を説得する事もできた。後はーーーーーー

 

これでよし……。5輪のオレンジ色の薔薇を神楽の身体の上に置いて、アタシも小瓶から残りの睡眠薬を全て取り出した。

 

 

「それじゃあ神楽……夢の中で、いっぱいイッパイ……アタシとアイシアオウネ……♡」

 

 

アタシがそう言うのを合図に、お互いの手にある十何粒もの大量の睡眠薬を口にし、水を飲んだ。

 

 

あぁ……これで、やっと終われる。

 

 

「おやすみ神楽♡一緒に、シアワセナユメヲミヨウネ♡」

 

「ウン、オヤスミ……リサ」

 

 

『ズットズット……アイシテルヨ』

 

 

互いにそう言ってーーーーーーキスをした。

それがトリガーとなり、急激な眠気に襲われる。

アタシはそれを……何の抵抗も無しに受け入れた。

5輪のオレンジ色の薔薇を、すかさず2人で握った。

 

 

神楽、ダイスキダヨ……♡

 

 

 

 

ズットズット……アナタノコトヲアイシテルカラ……♡

 

 

 

 

 

 

 

ズット……ズット……アタシと……神楽の愛……は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『永遠』ーーーーーーダカラネ……♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………………ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー後日、羽丘のとあるアパートの一室にて、男女の高校生の遺体が発見された。

男子生徒の名前は、大江神楽。女子生徒の名前は、今井リサ。

死因は睡眠薬の大量摂取なのだが……

2人とも……『5輪のオレンジ色の薔薇を握って、トテモ幸せそうな表情で、息を引き取っていた』のだった……ーーーーーー。

 

 

 

〜青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?BADルート【BAD】END〜

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?2話だけでしたが、これにてBADENDのストーリーは完結です。次回からはTRUEENDのストーリーとなります。お楽しみに!
高評価、感想等お待ちしております。


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BAD【TRUEEND1話】おかえりなさい

TRUEENDの1話になります。TRUEEND完結後のN(ノーマル)ルートについてのストーリー内容を決めたいので、後程アンケートのご参加、よろしくお願いします!


ーーーーーーーー2年後。長野県のとある病院

 

 

〜神楽side〜

 

 

「706号室の今井リサさんですね?了解しました。どうぞ、お通り下さい」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

受付のナースにそう言われ、紗夜さんは礼を言って、706号室にいる、リサの元へ向かい出した。

ーーーーーーーーそう、1人(・・)で。

 

 

「……大江さん?何時までそうしてるのですが?今井さんが待っていますよ?」

 

 

迷った訳ではない。足に何十kgかの錘が付けられてるかのように、俺、大江神楽の足が全く持って……動かないのだ。

 

 

「いや……分かってるんだけどさ……?この2年間面会しかしてあげれなかったから……ちゃんと、接して上げれるかな……って」

 

「はぁ……、全く、そんな事でさっきから彫刻像のように固まっていたんですか?今井さんの彼氏が聞いて呆れるわ……ほら、彼女(今井)さんが待ってますよ」

 

 

彼女と書いて今井と呼ぶ紗夜さん……何か悪意ある様に聞こえるのは俺だけですか?もしかして……ヤキモチとか妬いてたり??いやそんな訳ないか。

 

 

「色々とありましたが、この2年間で私は貴方の親友になったんです。悪意としてではなく励ましとして捉えてくれてもいいんじゃないのかしら?それに、誰だってヤキモチくらい湧くものです」

 

「いや普通に俺の心の中を読み取らないでくれません?凄い通り越してこわいんだが……」

 

「ふふっ、ごめんなさい。不可抗力だったわ……さ、早く行きましょ」

 

(不可抗力って……やっぱ紗夜さん凄いわ……)

 

 

冗談交じりそう思いながら、ようやく歩き出す決心がついた俺だった。

 

そんなことよりもだ。どうして俺と紗夜さんが、此処……長野県内の病院にいるのか説明しないといけない。

 

2年前……あの日の一件の時、俺は友希那の遺言を実行するべく当時対峙していたリサと紗夜の間に割って入り友希那と

俺の想いを2人に伝え、最後の不死の加護を発動させた。

その際、どうしてだかは知らないがリサの心を支配していた死神の加護が……元い死神が跡形もなく消えて無くなっていた。どうしてそれがわかったか?それはーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神楽……紗夜……ごめんなさい…!!ごめんなさい……!!アタシ皆を……Roseliaを……ウゥッ!うわあああああああああああんンンンーーーー……!!!!

ボンドに……ごめんなざい……ほん……どに……ウゥッ!エグッ!……!!』

 

 

俺を愛する為なら、どんな犠牲もい問わない。自分の大切にしてしたもの全てを捨てる気でいた当時のリサが、泣きじゃくて、泣きじゃくって……これでもかというくらい涙を流して俺と紗夜に謝ったのだ。

 

その時俺は、漸く確信した。

 

リサはあの時……友希那を殺したあの日から、ずっとずっと……心の中で様々な感情、衝動を持ったリサと戦っていたんだと。どんなに絶望的な局面に立たされても屈しず、堕ちる事を拒み最後まで死神の思惑に抗っていたんだと。

 

そう思った俺は、今まで起きた騒動を振り返り、ある事を提案した。

 

 

『リサ病院へ行こ?今のお前なら、壊れてしまったその心を……治せるはずだ。漸く元のリサに戻ってくれたのに、警察に引き渡してもう二度と……会えなくなる。なんて事……俺は嫌だから』

 

『神楽……でも、そんなこと出来るの?』

 

『原田さんに事情を話せば……それに、もうお前は1人じゃない。俺と紗夜さんが、必ずお前を守ってやる……そうですよね?紗夜さん?』

 

『はい。今井さん……1度失ったものは、時間は、もう戻って来ません。取り戻すことはもう……出来ないわ。でも……心だけなら、長い時間を掛けて元通りに出来ると私は思ってます。それはここに居る誰にでも言えること。だからーーーー』

 

 

そう言って紗夜さんは、俺の方を見た。恐らく……「貴方も同じ意見ですよね?」と確かめる為に見たのだろう。そう思って俺は静かに頷いた。

 

そして再び、リサの方に向き直りーーーー

 

 

『ーーーー2年。2日や2ヶ月では恐らく私達の心の中に出来た溝、傷は癒えません。ですが2年ならきっと、元通りになるはず。なので今井さん、約束です。2年後、私達が必ず貴女を迎えに来ますので、どうかその時まで自分の心と身体を癒して頂戴?』

 

『…………うん。わかった、約束するよ。2年……2人にちゃんと顔向け出来るように、元のアタシにちゃんと戻れるように……がんばるね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー暫くして、原田さんが来たので、俺と紗夜さんで原田さんを説得させようと試みた。不思議な事に、原田さんも同じ考えだったらしく、知り合いが長野県の病院で、精神科の医師を務めてるとの事で、そのまま原田さんはリサを保護して長野県の病院へ送り届けてくれた。

 

そして……2年後、今に至る。

 

 

「今思い返すと、この2年間結局リサの事が心配で面会って形で週1ペースで様子見に行ったな…」

 

「そうですね。まぁ私も今井さんの事が心配だったので、お互い様って感じですね」

 

 

エレベーターを経由して、7階に着き、リサのいる706号室へ向かいながら、俺と紗夜さんはそんな会話をしていた。

因みに、この2年間、俺と紗夜さんら無事学校を卒業し偶然にも同じ大学に進んだ。大学生生活を送ってる際も毎週欠かさずリサに会いに行った。

それとは別に、俺と紗夜さんはあの騒動の後色々とやるべきことをして……リサが退院したら行うある計画(・・・・)の準備をしていた。

 

 

「なぁ紗夜さん。改めてリサの退院日を迎えたけど、あの計画……リサは受け入れてくれるかな?」

 

「そればかりは何とも言えないけど……今井さんを信じましょう。今井さんならきっと、受け入れてくれるはずだと」

 

「そうですね……っと、着いたか」

 

 

色々と会話をしている内に、リサのいる706号室の扉の前まで来た。

2年間……面会を除いてリサと接する、連絡する事をしてこなかった。彼女の身体が、心が無事癒えてくれている事を願いながらーーーー

 

俺は、扉をノックした。

 

 

「どうぞ〜」

 

 

リサの声ーーーーひとまず部屋には居る。問題は、その後だ。

 

紗夜さんの顔をみて、紗夜さんも俺をみて、互いに「何時でも出迎えられる状態である」ことを確認した。

 

 

『失礼します』

 

 

俺は扉を開けた。

 

そこに待っていたのはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神楽ーーーーーーーーッ!!」

 

「うぉあッ!?」

 

 

分かっていたが、そこに居たのは誰でもない。俺の愛しの彼女、今井リサその人だった……のだが、それを確認する暇を与えないリサによる、ダイビングハグをモロにくらい、俺はうしろの壁に激突した。

 

 

「今井さん、元気そうで何よりで……と言いたい所ですが、退院したとはいえ仮にも病み上がりの身です。もう少し自分の行動を謹んで下さい!」

 

「アハハ……ごめんごめん♪でも、この2年間ずっとずっと……待ってたんだ。アタシの事を神楽と紗夜が迎えに来てくれるのを、ずっと……待ってたんだよ……ウゥッ、ほんとに……今か今かって、ずっと……ヒグッ、待ってたん……だから……ッ!」

 

 

俺達が来てくれたことに感極まったのか、俺の胸元でリサが泣き出した。

 

 

「そうだよな。2年間、よく頑張ったなリサ。面会の日以外は……大人しく療養してたって感じか?」

 

「うん。面会以外の日は精神科の先生とか、ナースの人とカウンセリングしたり、偶に原田さんが当時の近況を聞きに来てくれて……お陰様で、この通り♪殆ど(・・)精神状態とか良くなったよ♪」

 

「そうか……ほんとに、よく頑張ったなリサ。えっと……とりあえず、此処廊下だから……部屋に戻ろ?」

 

「……ハッ!?ご、ごめん神楽!!そ、そうだよね!」

 

 

改めて見て、心身共に何ともない事を確認出来て安心した俺だったが、リサのダイビングハグで廊下に出てしまったので、俺達3人は部屋に戻ることにした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「失礼するよ。リサさん、おめでとう。改めてこの2年間、ほんとによく頑張ったね」

 

 

俺と紗夜さんでリサの退室の身支度を手伝っていると、リサの担当に着いてくれた精神科の先生であろう人が入室して来た。

 

 

「あ、先生!その説はホントに、お世話になりました!先生達のお陰でアタシ、殆ど(・・)精神状態とか良くなりました!長い間、ホントにありがとうございます!」

 

「そうですか。えっと、そこにいらっしゃるのはリサさんの面会に来てくれたお2人さんですね?ご覧の通り、リサさんの精神状態は我々が見る限り正常に戻ることが出来ました。お2人の御協力のあってこそだと我々は思ってます。ありがとうございます」

 

「そんな、顔を上げてください。此方こそ先生方にはお手数お掛けしました。入院中の2年間、彼女に寄り添って頂きありがとうございます」

 

「ありがとうございます。これでリサさんは退院となりますが、また何か精神状態で異常がございましたら、是非御相談下さい。何時でもお相手致します」

 

「ありがとうございます。それでは、私たちはこれで。改めて……2年間今井さんに寄り添って下さり、ありがとうございました」

 

 

『ありがとう御座いました』

 

 

「はい。お大事に」

 

 

一通り先生と会話をして、俺達3人は先生にお礼を言って、病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーそう言えば、今井さんに渡すものがありましたね」

 

「そう言えば、すっかり忘れてたや。リサ?ちょっと俺達の前に移動してくれないか?」

 

「?……神楽、紗夜?どうしたの??」

 

 

病院の受け付けで退院の手続きを終え、外に出た俺達はリサにとあるものを渡すのを忘れていた事に気づき、リサを俺と紗夜さんの前に立たせた。

 

そして紗夜さんが、さっきまで背中に隠していた13本の黄色の薔薇をリサの前に出し、俺と紗夜さん……声を揃えて、リサにこう言った。

 

 

 

『おかえりなさい』

 

 

 

「!!??……ーーーーただいま」

 

 

 

俺達に言われた言葉と、差し出された13本の黄色の薔薇にリサはとても驚いていたが、それに応えるかのように陽だまりのような綺麗な笑顔で、リサもそう返事したのだった……。

 

 

 

〜to be continuous〜




如何でしたか?因みに、黄色の薔薇には「友情」の花言葉があり、薔薇が13本あると「永遠の友情」になります。
感想、高評価等お待ちしております!
TRUEEND完結後のアンケートもよろしくお願いします。


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BAD【TRUEEND2話】現実

TRUEEND2話です。言い忘れましたが、TRUEENDにヤンデレ要素は採用してません。残酷な描写は……殆ど登場しません(採用してないとは言ってない)。という訳ですので、引き続きよろしくお願いします。


「ん〜〜〜〜ッ!久しぶりの羽丘だぁ〜♪」

 

 

羽丘駅に着いた俺達3人は、駐車場に自分の車(・・・)を駐車して、駅の方へ向かう。

 

 

「大江さん。今日ははありがとう御座いました。それではまた、後ほど(・・・)。今井さんを、頼みますよ」

 

「ああ、此方こそ。紗夜さんも2人(・・)の事、よろしくたのみます」

 

「またね紗夜!神楽と迎えに来てくれてアリガトウ♪」

 

 

互いにそう言葉を交わして、紗夜さんを見送った。

 

 

「リサ、俺達も行こっか」

 

「そ〜だネ♪……って神楽車の免許取ってたんだね!神楽の運転とても上手で、乗り心地とか良かったよ〜♪」

 

「そっか。それじゃあまた暫くドライブに付き合ってもらうな?」

 

「やった♪神楽と2人きりのドライブ、楽しみだな〜♪」

 

 

リサは俺との2人きりでのドライブを楽しみにしているが……行き先を俺はあえて言わなかった。決して意地悪だったり、焦らしてる訳でわない。これは俺なりにリサの精神状態(・・・・)がどれだけ回復したか見定めるためだ。

 

場合によっては……例の計画の実行タイミング諸々考え直さなきゃいけない。

 

 

(いや、その必要は無いかもな。どのような結果になろうと、俺は……否。俺達はあの曲(・・・)をーーーー)

 

「神楽〜!早く早く〜♪」

 

 

リサに急かされ、俺は一旦考えるのをやめにした。

俺は決めたんだ。リサをーーーー俺の愛しの彼女の心を荒ませないって。その時は……俺が寄り添ってリサを導こうって。

 

そう心に決めて、俺はリサを乗せてとある場所へと車を走らせた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

 

「ねえ神楽?一体……何処へ向かってるの?」

 

 

アタシは今、神楽の車の助手席に乗って2人きりでドライブを楽しんでいる。入院中の出来事とか、他愛もない会話に花を咲かせてただけだが、神楽と久しぶりにこうして一緒に会話できる事が何よりも楽しい一時だと、アタシは思った。

だけど……いつまで経っても車を走らせている神楽をみて、何処へ向かっているのか、アタシは疑問に思って聞いて見たのだ。

 

 

「リサ。こんな事唐突に言われて戸惑うだろうけど……これから向かう場所についても、心を強く持って、現実(・・)と向き合ってくれ」

 

「え?それって、どう言うーーーー」

 

「そろそろ着く。降りる準備をしてくれ」

 

「う、うん……?」

 

 

神楽の言ってる事も気になったが、アタシは「もうすぐ着く」と言われて、仕方なしに降りる準備をした。

 

一体……何処へ向かってるの?神楽ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……こ、ここって……お墓……?」

 

「ああ。ひとまず……何も言わずに着いてきてくれ」

 

「うん……」

 

 

たどり着いたのは、街から少し外れたところにある霊園。所謂お墓だった。

その時のアタシは、まだ神楽がここに来てどうしたいかの意図が掴めないまま、神楽の後を黙ってついて行った。

 

霊園の中を暫く歩いて、神楽はとある墓石の前に立ち止まった。その墓石に書かれていた家の名前はーーーー

 

 

「南雲家……ーーーーッ!?」

 

 

ドクンーーーーッ!!

 

 

神楽が足を止めた墓石には、『南雲家ノ墓』と書かれていた。そして、その横にある遺族の名前を見た瞬間ーーーーアタシの心が大きく揺らいだ。

 

そこにはーーーー『南雲エミ』。そう刻まれていたのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

神楽がしたかった事……それは、アタシが2年間自分の手で殺めてしまった人達の墓参りだった。

 

エミの墓参りを終えて次はサクラ先生、日菜、あこ、燐子と……神楽は何も言わずに、無言でそれぞれが眠る墓にお墓参りをした。

勿論ーーーーアタシも、神楽に習って黙ってお墓参りをした。

 

 

 

 

ドクンーーーーッ!、ドクンーーーーッ!、ドクンーーーーッ!、ドクンーーーーッ!、ドクンーーーーッ!

 

 

 

 

しかし……アタシの心は墓参りを重ねるに連れて大きく揺らぎ、アタシは頭の中であの時の記憶をーーーー無意識に(・・・・)フラッシュバックさせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『エミがいけないんだよ……アタシの神楽に手出しするからこうなるの?』

 

 

『ハア……ハア……こ、これで……終わる……全て……』

 

 

『アハハッ♡……アタシの邪魔をするからこういう目に会うんだよ?日菜……』

 

 

『アタシは……どうすればいいの?ねぇ……誰か……教えてよ……お願い……だから……』

 

 

『燐子……本当に……あこと同じくらい……Roseliaのこと思ってたんだね……』

 

 

 

 

2年前のーーーーあの時の記憶が……アタシの頭の中に次々と投射されていくーーーー。

 

 

「ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、」

 

 

そしてその記憶が、心の揺らぎがアタシの殆ど(・・)癒えていた心を抉り、締め付けて行くーーーー。

 

 

「行くぞリサ……次で、最後(・・)だ」

 

「ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、ハァ……ッ、」

 

 

神楽にそう言われて、アタシは何とか、痛みを堪えていつの間にかおぼつかない足に鞭打って、神楽の後に着いていった。

 

そして……。最後に神楽と訪れた墓石にはーーーー

 

『湊家ノ墓』と書かれていて、その横の遺族の名前にーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『神楽は私の彼氏(1番)よ?気安く触らないで!』

 

 

『さよなら♪……友希那♪』

 

 

『リサ……貴女は決して悪くない。だから自分の追い込む様な真似は絶対にしない事。いい事?辛くなったら……何時でも戻って来なさい。Roseliaは……神楽は何時でも貴女の味方よ』

 

 

 

 

ーーーー『湊友希那』と、刻まれいた。

 

 

「ゆ……友希那……ッ!ウウッ、ヒッグ……アダジ……アダジィ……ッ!!」

 

 

とうとうアタシは、耐えられなくなって跪き、嗚咽を漏らしながら泣いてしまった。

そう。アタシは……確かに精神状態は殆ど(・・)良くなった。神楽を独占しようとしたり、誰かを傷つけようだなんて、思わなくなった。そして、神楽に対して重い愛情を注がないで、神楽に相応しいちゃんとした彼女になろうって心に強く決めた。

 

だけど……この過去(この記憶)を綺麗さっぱり忘れる事は、出来なかった。出来ることなら、この2年間で懺悔して、忘れてしまいたかった。

 

だけど……出来なかった。

 

何度も何度も……試した。時には大袈裟に宗教関連の人に来てもらって、実際にその人に懺悔したりもした。

 

それでも……忘れる事なんてーーーー『逃避』する事なんて、出来なかった。

 

 

「アダジが……全部悪いんだ……ッ!!アタシが……アダジが……ッ!!」

 

「リサ……」

 

 

そうーーーー全部アタシが悪いんだ。

アタシが全部……全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部

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�����全�����部全�����全�����部全�����全�����部全部�����部全部全�����部全�����全�����全�����全部全

�����全�����全�����部�����部�����部ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーギュッッ!!!!

 

 

 

 

「ーーーーーーーーえ??」

 

 

アタシ……今、何をされてるの?神楽?何でそんなーーーー

 

涙をながしているの?

 

 

「辛いよな?とても……苦しかったよな……?でも、それが現実なんだよ……俺達(・・)が犯したーーーー『罪』なんだよ。だけどリサ?お前はそれを逃げようとしつつも必死に……受け入れようって、努力したんだよな……?全部背負い込ませてーーーーホントにごめんな?……リサ……ッ!」

 

 

朦朧としていた意識が、少しずつ元通りになった。

 

 

今アタシはーーーー神楽に力いっぱい抱きしめられて……詫びられている。神楽は悪くないのにーーーー神楽は必死にアタシに謝っている。

 

 

ーーーー何で?

 

 

「何でそんなに謝るの!?悪いのはアタシなのに!!アタシが全部やった事なのに!!!!神楽や紗夜達は何も悪くないのに!!アタシが皆の人生をめちゃくちゃにしたのに!?アタシが……ッ!アタシがーーーー友希那達を殺したのにッッッッ!!!!」

 

「何で……何で……ッ、精神状態良くなったって現実逃避の為の嘘までついたアタシに……どぉしてそんな事が出来るの……ッ?神楽は何の罪を犯してないのに……そんなこと……言わないでよ……」

 

 

神楽に抱きつかれながら、アタシはめいいっぱい泣き叫んで、泣き喚いた。

 

全部アタシがやった事なのに……神楽達は何もしてないのに……どぉしてなの……?

 

罪を償うべきはーーーー裁かれるべきはアタシ、なのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーーーーーーーーーーRoseliaは……神楽は何時でも貴女の味方よ』

 

 

友……希那……??

 

 

刹那ーーーーアタシの脳内に、友希那が残した遺書の文章がよぎった。否、恰もすぐ側で友希那がそう囁いたかのような感覚だった。何で今……こんなアタシに、友希那がそう囁いたのかわからなかった。

 

 

「お前はもう……ひとりじゃないんだ。辛いことがあったら……何時だって相談に乗ってやる。目を背けたい事があったらーーーーRoselia(俺達)と一緒にそれを乗り越えて行けばいい。皆……お前の味方なんだから」

 

「神……楽……ーーーーアタシ、戻ってきて良いの?大切な人を傷つけて、人生めちゃくちゃにした皆の元に……Roselia(神楽達)の元に……戻ってきて、良いの……?」

 

 

神楽にそう言われて……アタシの口からは、無意識にそんな言葉が出てきていた。

 

 

「ああ……だから一緒に、皆でこの『現実』と向き合お?」

 

「うん……うん……ッ!」

 

 

頷きながらーーーー今度は、アタシが神楽を抱き締め返した。

 

 

「ありがとう、神楽……アタシの心を癒して(・・・)くるて……ほんとに……ありがとう」

 

「うん。……それじゃあ、友希那に挨拶して……帰ろ?

俺達のーーーー日常に」

 

「そうだね」

 

 

そう答えたアタシは、神楽と立ち上がって、改めて友希那のお墓の前に立ち……静かに目を閉じ、手を合わせお辞儀した。

 

 

『友希那……皆……ほんとにごめんなさい。そして、アタシを励ましてくれてありがとう友希那。これからは、神楽と紗夜と一緒に、皆の分までしっかり生きていくからね……』

 

 

「『約束』……だよ」

 

 

アタシは最後に、そう呟いて……神楽と手を繋ぎ、友希那達が眠るお墓を後にした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

 

あれから暫くして、俺はリサを家に送り、自宅でひと段落した。本当なら、例の計画を実行する為にお墓参りの後リサをとある場所へ連れていこうと考えたが……漸くリサの精神状態が完全に(・・・)良くなったとはいえ、病み上がりの身であるリサをこれ以上連れ回すのは良くないと考え、連れていくのは後回しにした。

 

 

その代わりーーーー

 

 

『ーーーーもしもし、紗夜さん?例の計画なんだけど……うん、リサならもう大丈夫だ。ただ、病み上がりでもあるから明日ーーーー計画を実行するから、2人を……』

 

 

 

 

『ーーーーCIRCLEに集めて置いてくれ』

 

 

そう言って俺は、紗夜さんとの通話を終了した。

 




如何でしたか……?次回含め残り2話程で完結予定です。
感想、高評価等お待ちしております。


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BAD【TRUEEND3話】彼女(友希那)が残した曲

TRUEEND3話です。タイトルにもありますが、神楽と紗夜が密かに計画し、準備していたものの全貌が明らかになります。それでは……どうぞ!


〜リサside〜

 

 

『ゆきなちゃん、かぐら〜!』

 

『リサちゃんおはよう。今日も3人でセッションしよ〜!』

 

『ウン!やろやろ〜!リサね、ちゃんとタンバリン持ってきたんだ〜!』

 

『ボクも、おもちゃのギター持ってきたよ〜!』

 

『いいなぁ〜!リサもおもちゃのギター欲しい〜!』

 

『それだとリズムとる人がいなくなっちゃうよ〜!』

 

『そぉだよリサちゃん!それよりも早くセッションしよ〜よ!』

 

『ウン!それじゃあカウント行くね!ワン、トゥー、ワン、トゥースリー!』

 

 

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜ーーーー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ん」

 

 

カーテンの隙間から差し込む朝日の光で、アタシは夢から目覚めた。とても懐かしい夢……いや、夢って言うより思い出……かな?幼い頃は何時もあの公園で、友希那はおもちゃのマイク。神楽はおもちゃのギター。そしてアタシはタンバリンを手に、セッションをしていた。リズムや音程なんて、当時のアタシ達は意識なんて微塵もしてなく、互いにやりたい様に、楽しくセッションをしていた。最も、セッション……と言うよりもアタシ達のそれは友希那のお父さん達がやっていたそれの真似事で、そうだと分かっていようが無かろうが……当時のアタシ達からしたら立派なセッションで、とても他のどの遊びよりも楽しい一時だった。

 

そしてそれは時が過ぎーーーー思い出となり、今から2年前……遊びから本当のセッションをするなんて……誰が想像出来たことだろうか?

 

 

「ほんとに……懐かしい思い出()だったなぁ……」

 

「そんなに……いい夢を見ていたのか?」

 

「ひゃぁあッ!?か、神楽……!?脅かさなきでよ〜……ビックリしたじゃんか……」

 

 

てかなんで神楽がアタシの家にいるの……?人の家に許可無く無断で出入りするのは犯罪なんだよ?ーーーーって、人のこと言えないやアタシ。

 

 

「何でって、……昨晩寝しまに電話して来て、『眠れないから添い寝して欲しい』ってスマホのスピーカー越しに泣きついてきたのはだれだっけ?」

 

「!!??……ボフンッ///」

 

 

あああああああああああぁぁぁーーーーっ!!か、かか、神楽にアタシの心のなか読まれたァーーーー!!??

 

恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいィィ…///

 

恥ずかしすぎて死んじゃいそうだよォ……///穴があったら今すぐ入りたい……///あ、穴は無いけどベッドがあるじゃん……そこで蹲って今日1日終わっtーーーー

 

 

「リサ……悪かったから、ベッドに潜らないでくれ。今日はCIRCLEに行くんだから」

 

「んぁあああああああああああぁぁぁーーーーッ!!///どぉして神楽はそうやってアタシの心の中読むの!?///ナニ(・・)されてもアタシはここ(ベッドの中)から出ないんだからね!?///」

 

 

てか今神楽……CIRCLEに行くって言った?いや、そんな事今のアタシには関係ないもん!神楽がアタシの心の中読むのがイケナインダカラネ!

例えーーーー神楽がアタシを愛育もう(・・・・)と迫って来ても……だ。まぁそんな事いくら神楽でも有り得ないでしょ(フラグ(・・・)

 

 

「そうか……例え愛育もうと迫ってきてもそこから出ないんだな?ならお言葉に甘えて……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前がそこから出てこない選択をした事……今から(・・・)後悔させてやるよ」

 

「な!?だから何でアタシの心の中woーーーーって何でアタシのベッドの中に入ってくるのォ!?///」

 

 

てかアタシの耳元で囁くの反則!!訴えるんだから!!……でも、神楽とこうしてほぼゼロ距離で一緒にいるの久しぶりカモ……って今そんなときめいてる場合じゃないよぉ〜///

 

 

「か、神楽ごめんなさい!アタシが悪かったから!謝るから!!だからそれだけはーーーー」

 

「さぁリサ……朝だからって、手加減しないからな?」

 

 

だから耳元で囁くの反則だってぇーーーーーーーーーーーー……ッ///

 

こうしてアタシは、朝から神楽に色々と分からされたのだった……そして、暫くして紗夜が恰も鬼の形相でアタシの家に押しかけて神楽と一緒に説教されたのは……別の話だ。

 

(アタシ悪くないのに……(˘•̥ω•̥˘))

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだ……CIRCLE(此処)に来たの」

 

 

アタシは、久しぶりに見るCIRCLEの玄関前に立って、そう呟いた。

最後に来たのはーーーーあの日(・・・)のライブ依頼か……。

そう思い返したアタシは、『アタシが此処へ戻ってきて良かったのか…?』…と思い、中へ入る為の1歩が踏み込めなくなってしまった。

 

 

「思えば……あの日のライブから……きっと、皆変わってしまったんだな……」

 

「神楽……ほんとnーーーー」

 

「大江さん?貴方がそんな落ち込んでどうするのですか?私達が此処へ戻って来たのはーーーー」

 

「分かってる。済まない紗夜さん……リサ。お前の気持ちは痛いほど分かる……分かるからこそ、あえて厳しめな事言うーーーー何時までも過ち(過去)に囚われて無いでこれから(未来)と向き合う覚悟をもってくれ。その為に、俺達はCIRCLE(此処)へ戻って来たんだ。その覚悟が無いのなら……今すぐ帰ってくれ」

 

「ーーーーーーーーッ!?」

 

 

神楽はアタシにむかって……そう言った。

正直に言えば、今すぐにでも此処から立ち去りたい。此処に戻る資格なんてない。あの過去を乗り切って、未来と向き合う覚悟なんてないーーーー

 

ーーーーって、2年前(昔の)アタシならそう弱音を吐いていたかもしれない。

だけど昨日……そんなアタシを神楽は受け入れてくれた。神楽だけじゃない、紗夜もだ。

もう過去に囚われる必要はない。1人で全部、背負い込まなくていい。辛くなったら……仲間を、友達を、そしてーーーー神楽(彼氏)を、頼ればいい。

そう言ってくれた神楽と紗夜の気持ちにーーーー友希那達()から託された想いに応える義務が、アタシにはある。

 

だからーーーーアタシが取るべき行動は、決まっていた。

 

 

「ごめんね神楽、紗夜。変な気…使わせちゃって。ちょっとだけ、アタシの存在意義について自問自答してただけだから……だからもう、大丈夫だよ♪」

 

 

そう言って、アタシは背負っていたベースを背負い直して、2人を抱きしめた。

ホントに…2人とも優しいよね。その優しさが、直に伝わってくるよ♪

 

「今井さん……」

 

「覚悟が、決まった様だな。それじゃ、早く中へ入ろう。2人(・・)がまってるから」

 

「ウン♪」

 

「そうですね」

 

 

神楽言葉に対して、アタシと紗夜は互いに返事をし、2年ぶりのCIRCLEの中へ入っていった……。

 

……って、神楽さっき2人(・・)って言ってなかった?てっきり神楽と紗夜の3人でセッションするのかと思った……誰なんだろ?

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「お、2人とも来てたんだ」

 

 

神楽はスタジオの扉を開けて中に入るやいなや、中に居るであろう2人に声をかけた。

残り2人……誰なんだろ?気になりつつもアタシは紗夜の後に続く形で、スタジオにはいった。

 

そこにいた2人はーーーー……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!お疲れ様です神楽先輩!」

 

「紗夜さんも、お疲れ様です!先輩達より遅く来るなんて、失礼ですから!」

 

「ふふッ……今も昔も、羽沢さん達は変わらないですね」

 

「ハイ!だって、アタシ達幼馴染みですから!」

 

「巴……つぐみ……?」

 

 

そこに居たのは、Afterglowのドラム担当宇田川巴、キーボード担当の羽沢つぐみ。

 

どぉして、2人が此処に?巴に至ってはあこを殺した恨みをアタシにもってる筈なのにーーーー

 

そんな事を考えていると、2人がアタシに気づき、駆け寄ってきた。

 

ヤバい、逃げなきゃーーーーうんん、逃げちゃダメだ。逃げたらさっき神楽達に言ったことが嘘になっちゃう……だったら、どうすれbーーーー

 

 

ギュ……ッッ!!

 

 

『リサさん(リサ先輩)!!』

 

「ワワ……ッ!?ふ、2人とも、どうしたの??」

 

 

そうこうしてる内に、2人に両手を握られ(両手ーーーーと言うより右手に巴、左手につぐみだ)アタシは、いきなり過ぎて驚いてしまった。

 

そしてーーーー

 

 

「話は紗夜さんから聞きました。とても……辛かったですよね?」

 

「辛いことがあったら……何時でも言って下さい!アタシ達も、相談にのりますので!」

 

 

2人の口からは、そんな言葉が発せられた。

巴に至ってはーーーー悪い言い方しちゃうけど、本人かどうか疑っちゃったよ?だって……アタシの知る巴って、女の子なのにとても強気で、蘭たちは勿論、あこのこと大切に思ってたから……

 

 

「巴……アタシの事……恨んでないの?」

 

「正直……今でも、リサさんの事恨んでます。アタシの1番の妹を……奪った人として。でも、神楽先輩達から話を聞いて……恨むのをやめました。そんな事しても、何にもならない。あこが喜ばないって分かったからです。なのでーーーー」

 

 

巴は、一通り喋り、次のセリフを発する前に……アタシのの右手を強く握りしめた。

 

 

「精一杯、あこ達の分を力強く生きましょうよ!途中で弱音吐いたら……許しませんから!」

 

「巴……ウン、頑張ろ!アタシ達全員で!!」

 

 

そう言って、今度はアタシが2人を抱き締めた。

さっき、巴がアタシの右手を力強く握りしめた様に……。

 

その光景を、神楽と紗夜は暖かそうな目で見守っていてくれた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「さて……皆揃った事だし、リサに話して置くか」

 

「巴とつぐみがCIRCLE(此処)にいることも気になったけど……神楽はアタシ達と何がしたいの?」

 

 

CIRCLEに来る前、確かに神楽は『セッションをする』って言ってた。アタシはてっきり、Roseliaの音楽を忘れない為に、神楽と紗夜の2人でセッションして3人で支えていくのかと思った。

だけど、スタジオに巴とつぐみの2人がいるのを見てーーーーそれは違うんだって思った。2人はAfterglowのメンバーであり、Roseliaのメンバーじゃない。ならどうして此処に居るのか……神楽の言う『セッション』が何を示しているのか……アタシには理解出来なかった。

 

 

「リサ。友希那が残した遺書に、友希那が作った曲があったよな?」

 

「ウン……?その曲が……どうかしたの?」

 

 

アタシがそう聞くと、神楽は鞄の中からとある紙を取り出し、アタシに渡した。

 

 

「こ、これってーーーーッ!?」

 

「KeepHeartのスコアと、ベース(リサの)パートの楽譜だ。そしてその曲、KeepHeartをーーーー次の日曜日にまで完璧(・・)に仕上げ、ここにいる5人で演奏する」

 

「……ーーーーねぇ、神楽?お願いがあるんだけどさ……」

 

 

『????』

 

 

アタシはスコアとパート譜を貰って、そう言いながら背中に背負っていたベースを下ろし、巴とつぐみが準備してくれたアンプとベースを繋げた。アタシの行動に対して、神楽達4人は不思議そうな表情をしていた。

 

 

そしてーーーー

 

 

「♪〜♪〜♪〜♪〜」

 

 

『!!??』

 

 

♪〜♪〜♪〜♪〜ーーーー

 

 

アタシは……渡されたスコアもパート譜も見ずに(・・・)、メロディーを鼻歌で口遊ながら、ベースを弾いた。

懐かしい(・・・・)』……ただ、そう思いながら。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

一通り弾き終えた後、アタシはベースを抱えたまま、神楽の方へ向き直った。

 

 

「神楽……KeepHeart(この曲)スコアマスター(・・・・・・・)を、アタシにやらせてくれないかな?」

 

「リサさん!?」

 

「そんな!?だってリサさん少なくとも2年のブランクがあるのに……それに、次の日曜日まであと1週間も無いんdーーーー」

 

「良いだろう」

 

 

『神楽先輩!?』

 

 

つぐみと巴はアタシのお願いに対して反対的だった。そりゃそうだよね。幾らRoseliaでベースを弾いてたからと言っても、例の一件で2年間ベースに触れてない。ただでさえそのブランクを取り戻すのに時間が有するのに、バンドの練習内で大きな責任を伴うとも言われてるスコアマスターを引き受けるって言ってるんだもん。未だに口を閉ざしてる紗夜はともかく、つぐみと巴がそう言うのは無理ないって思った。

 

そんな中ーーーー神楽がつぐみの言葉を遮ってOKしてくれた。

 

ただ、しっかりと説明した方がいいと思いアタシは更に口を開いた。

 

 

「このスコアを、楽譜を見た時……アタシの頭の中に懐かしい風景が広がったの。幼い頃、アタシと神楽、そして友希那の3人でセッションする風景……そして、そのセッションした曲がーーーー正しくこの曲だったの」

 

 

どうしてもっと早く気づけなかったんだろ……きっと、これに気づくことが出来たら……2年前、もっと違う結末が待ってた筈なのに……。

そう思ったアタシは、後悔とか諸々暗い考えは一旦棚にあげようと、頭を振り再度話を続けた。

 

 

「この曲を弾いてる最中も、アタシの頭の中に広がる風景は変わらなくてーーーーその時悟ったの。あの時友希那も、自分がもし生きてたら……この曲をもう一度、神楽含めたRoselia6人でライブしたいって。だから神楽には悪いけど、Roseliaのベーシストで、友希那と長く一緒に居た幼馴染みであるアタシが、この曲を仕上げて、この5人と演奏しなきゃいけないんだってだからーーーーホントに我儘なんだけど、アタシに、この曲のスコアマスターをやらせて欲しいの」

 

 

そう言ってアタシは、立ち上がって、神楽達の前で深くお辞儀をした。

 

 

「今井さん」

 

「紗夜……」

 

 

すると、さっきまで口を閉ざしていた紗夜が、アタシの目の前まで来て話しかけてきた。

 

 

「ブランク含めて、この曲を仕上げる準備が整うのに……どのくらいかかるの?」

 

「この曲を仕上げる準備は、もう出来てる。だけどブランクは……」

 

「2時間でブランクを無くして」

 

「……え?」

 

 

紗夜は、2年前のアタシ……つまりはRoseliaのベーシストとしていた頃のアタシに、そしてこの曲を仕上げる準備が合わせてどのくらいかかるのかを聞いてきた。

そして紗夜はブランクに関して答えを詰まらせたアタシをみて2時間で無くすようにと言った。

一瞬何を言われたのか、分からなくてつい聞き返してしまった。

 

 

「貴女はRoseliaのベーシスト。それは今も昔も、変わりません。さっきの言葉に偽りがないのであればーーーー私は今再び貴女を信頼し、協力しますので2時間でブランクを無くして、この曲に取り掛かりましょう?ライブまでの時間は……残りわずかなのだから」

 

「紗夜さん……リサ先輩、さっきは無理だとかいって、ごめなさい……私も、協力します!」

 

「リサさん!アタシも紗夜さんの言葉を信じて協力します!」

 

「リサ。俺はリサの言葉を信じる。だからーーーーリサの全てを掛けて、この曲を完成させてくれ」

 

「皆……ウン!アリガトウ!アタシ、皆の期待と信頼に答えられる様に頑張るから!」

 

 

そしてアタシは気合いと覚悟に満ちた表情で皆にそう言って、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃぁ、練習頑張ろっか♪」

 

 

こうしてアタシ達有志バンドの練習が幕を開けたのだった……。

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 




如何でしたか?次回で、TRUEEND最終話になります。最後までお付き合いよろしくお願いします。
アンケートも、引き続きよろしくお願いします。
感想、高評価等よろしくお願いします。


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BAD【TRUEEND最終話】新たに花咲く5本の薔薇

TRUEEND最終話です。神楽達有志バンドのライブ、そしてーーーー『その後』をご覧下さい。
アンケートはこの話を投稿したと同時に締め切ります。


〜神楽side〜

 

 

♪〜♪〜♪〜♪〜ーーーー……

 

 

「神楽、もう少しだけサビの部分周りの音に気を使って貰ってもイイかな?表現の仕方は何も言うこと無いくらいいいんだけど……それに意識しすぎて周りをちょっと意識してないふうに聞こえたかな?」

 

「了解」

 

「紗夜は逆にサビの部分とか紗夜のギターがメインになる所はもっと主張出来てもいいと思うな?」

 

「分かりました」

 

「巴は全体的に張り切りすぎかも……サビの部分で張り切ってくれる分にはいいけど、巴以外でメインになるパートに対してリズム隊としての意識をもう少しだけ意識して?」

 

「了解です!」

 

「つぐみは全体的にリズム隊の意識が強くていいんだけど、それ故に控えめな所がちょくちょくあったから、今の感じに、控えめな部分を無くせば大丈夫だよ」

 

「分かりました!」

 

 

リサを有志バンドに迎え入れて数日が経ち、今度のライブで演奏するKeepHeartも、俺の予想を遥かに超える位の仕上がりになった。

それもこれも、リサがスコアマスターを担当してくれたからこそだと俺は思っていた。

そして、ライブ前日の土曜日。俺達はCIRCLEのスタジオでライブに向けた仕上げをおこなっていた。

 

 

「それにしても……リサにスコアマスターを任せて、正解だったよ」

 

「ちょっ……イキナリ何言い出すの神楽!?」

 

 

「少し休憩しよ」とリサがいって、各々水を飲んだり、会話を花咲かせてたりしてる中……俺はリサの隣にきて、そう話しかけた。

 

 

「思った事をそのまま言っただけだよ。それほどこの曲はリサにとって、とても大切な曲になってくれたんだなって」

 

「それは……神楽もでしょ?」

 

「……そうかも、しれない」

 

 

俺はそう答えて幼い頃を思い出した。この曲を完成させたのはたしかに俺たちだ。しかしーーーーこの曲を作り俺たちをここまで導いてくれたのは、他の誰でもない、友希那なのだ。

その事を忘れちゃいけない。そう心に決めた俺は、立ち上がった。

 

 

「リサ。明日のライブーーーー絶対に成功させよう。そしてーーーー」

 

「ーーーーウン。絶対に成功させよう!ってことで練習再開ね♪」

 

 

リサの言っていた言葉に対して、待ってましたと言わんばかりに、他の3人も休憩を終わらせ戻ってきた。

 

 

「皆!ラストスパート、頑張って行こ!」

 

「ああ!」

 

 

『ハイ!!!』

 

 

各々再び楽器を取り出し、練習を再開した。先程指摘された場所を攫いながら、かつ自分の苦手意識のある所を克服させた。

そしてーーーー

 

 

「完成…した…の?」

 

「そう…だな…」

 

「じ、実感が…」

 

「湧かないです…」

 

「アタシも…」

 

 

今日で最後の合わせが終わった瞬間ーーーー不思議な感覚だった。KeepHeartを何とか仕上げる事が出来た俺たちーーーーなのだが完成したと言う自覚が湧かなかった。

 

 

「ン〜〜〜〜〜ーーーーッ!!!!!」

 

「うぉ!?」

 

「い、今井さん!?」

 

「完成…したんだよ!アタシ達の曲!!友希那が…遺してくれたKeepHeart(想い)が!!」

 

 

リサはそう言って、俺と紗夜さんを抱き閉めた。それもーーーー力強く、涙流しながら。

 

 

「皆のーーーーお掛けだよ!皆のお掛けで、アタシ達の曲が、ーーーー友希那の作った曲が…アタシ達に託した曲が、ようやく完成したんだよ!ホントに…ホントに、ありがとう!!」

 

 

リサがこんなに涙を…嬉し涙を流したのは、俺の知る限り初めてだ。それほど、友希那の作った曲を……友希那が遺してくれた懐かしき曲を完成させたのが、嬉しかったのだろう。

 

 

『…………』

 

(!?……ど、どうしてーーーー)

 

 

直後ーーーー俺の目の前に、友希那(・・・)が現れた。恐らく、ずっと、この時(・・・)をーーーーこの曲に命を吹き込んでくれるのをリサの傍でずっと待って居たのだろう。

 

 

『友希那…(湊さん・友希那)ーーーー!!??』

 

 

「か、神楽…!?」

 

「な、何故友希那さんの名前を…!?」

 

「ふ、2人だってーーーーもしかして、2人も見えた(・・・)のか??」

 

 

偶然にしては余りにも出来すぎる様なーーーーリサも紗夜さんも、どうやら友希那を目の前で見たと言ったのだ。

 

この瞬間、俺はあの時消えたであろう友希那の魂が、今までこうして俺たちを見守ってくれたんだと悟った。出なくちゃ、俺達3人の前に現れたりしない。

 

 

「神楽、紗夜、皆……今までホントにお疲れ様。明日のライブーーーー最高のライブにしよ!!」

 

「ハイ!」

 

「頑張りましょう!」

 

「えぇ、そうですね!」

 

「ああ!」

 

 

リサの呼びかけに対して、巴、つぐみ、紗夜、俺が力強く返事をした。

 

そして、俺達の目の前にいた友希那が、優しく微笑みーーーー

 

 

『神楽、リサ、紗夜ーーーー3人ともよく頑張ってくれたわね。私の曲を完成させてくれて、ありがとう……』

 

 

そう言って、友希那はスゥ……っと、俺達の目の前から消えていったのだった。

 

 

「なぁ皆……そう言えば、このバンドの名前まだ決めてなかったよな…?その名前を今、思いついたんだけどーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー『RoseV's』と言うのは、どうだろう?」

 

 

俺の提案したバンド名に、4人は異論なく、満場一致で賛成してくれた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして、ライブ当日ーーーー。

 

「いよいよだな……」

 

「そうだね……」

 

「2人とも、緊張してるんですか?」

 

「そういう紗夜さんだってーーーー」

 

「アハハ…皆も緊張してるんですね……」

 

 

ライブには俺達以外にも、何組か出場する。5人の要望で、出番は大トリ。ライブは滞り無く進行していき、どのバンドも良い演奏をしてステージを降りていった。

因みに、5人のライブ衣装だが、つぐみ発案でリサ達4人はゴスペルとロックバンドを掛け合わせたーーーー所謂魔族っポイ見た目のカッコ可愛いデザイン。俺は、黒のジャケット、ジーンズ。所々に黒のチェーン、オレンジ色の薔薇の装飾とこれも魔族っポイ見た目のデザインとなっている。

 

 

「皆。俺達が今日演奏する曲ーーーーKeepHeartが産声を上げる瞬間は近い。そして、その産声を上げさせるのは、他の誰でもない俺達、『RoseV's』だ。今日で解散してしまうのが、名残惜しい位充実したバンドの練習の数々を胸にーーーー」

 

 

「ーーーー今日限りだが……RoseV'sに全てを懸ける覚悟を持って、オーディエンスを盛り上げよう!!」

 

 

『ハイ!!!!』

 

 

こうして、各々内秘めた想いを胸にーーーーステージへ上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「RoseV'sです。聞いて下さいーーーー『KeepHeart』」

 

 

《※ここから最後まで、KeepHeartを脳内再生しながら閲覧下さいませ》

 

 

演奏している最中、今日までの過去の記憶が…俺の頭の中で恰もフィルムの様に巻き戻され、フラッシュバックされていく。

全てはーーーーリサがあの公園で全てを伝えたのが始まりだった。初めはなんて事ない、俺のよく知る今井リサだと思っていた。しかしーーーーあの時、まさかのリサに首を絞め殺された時に、リサは変わってしまった。

当時、リサの病んでしまった心を変える。その為の犠牲は個人的に出さないでリサを救おう……そう意気込んでいた。

だけど、現実はそう簡単に出来てはおらず、罪の無い人が死んだ。その事態をしって、本格的に動こうと思って居たのは俺だけで無く、友希那もーーーーその1人だった。友希那もまた、俺と同じ幼馴染みのリサを助ける為に……最前を尽くしたが、リサの心の病みは思っていた以上に深く、遂には友希那までもが……この世を去ってしまった。

 

その後ーーーーリサの暴走は泊まることはなく、遂には友希那以外のバンドメンバー、あこ、燐子までもが…

紗夜さんに至っては、妹の日菜を殺された事により、怒り心頭し精神が戻れないくらいまで壊れてしまった。

 

そして、廃工場にてリサと紗夜さんが対峙しーーーーそれを止めようと俺は友希那から受け継いだ遺言と想いを伝えるべく、自分の中にある最後の魂と引き換えに…何とか、リサの暴走を、紗夜さんの怒りを沈め止めることが出来た。

 

 

(あれから2年が経って、その間にも色々とあったけど、俺達は何とか元に戻ることができた)

 

 

そう、そしてーーーー友希那が遺してくれたこの曲を完成させ、ようやく俺達のあの狂ったような日常に終止符が打たれようとしてる。

 

 

もう少しーーーー間もなくーーーーそしてーーーー……

 

 

♪〜♪〜♪〜♪〜ーーーー……。

 

 

「ーーーーありがとうございました」

 

 

『わあああああああああああああああーーーー……ッ!!』

 

 

周りの観客達の歓声が轟き、今この瞬間ーーーー長きに渡る俺達の異常なまでに狂った日常が、ようやく、終わりを告げたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ライブは無事、成功した。観客の全員が俺達のライブに魅了され「またライブをしてくれ」なんて言葉が飛び交ったりした。CIRCLEの責任者でもある月島まりなさんも「今日限りにしてしまうのが勿体ない」といって、活動を促す言葉をいってくれた。

残念ながら、RoseV'sが、今後活動することは無い。もといこのバンドはこの曲を完成させる為に、リサを迎え入れる為に結成したバンド。そういう事で巴とつぐみをこのバンドに迎え入れたのだ。よって、このライブが終われば2人はこのバンドを抜け、自分達のバンドに戻る事になる。当の二人はそうなるのが名残惜しいと、もっと活動したかったと言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、あれから時が経ちーーーー

 

 

『F.W.F』会場にてーーーー

 

 

数多くの有名バンドが集う音楽の祭典、F.W.F。そこの舞台袖に、そのバンドはいた。

 

 

「いよいよ、だな」

 

「うん。アタシ達…遂にここまで来たんだね…!」

 

「ここまで来るまで、沢山の経験を積んできました。とても、長かったですね」

 

 

あのライブが終わった後ーーーーリサは俺と紗夜さんに、こんなことを提案してきた。

 

 

『もっと、2人とライブしたい。アタシ達の音楽を、友希那が遺してくれたこの曲を、F.W.Fへ連れて行きたい』

 

 

その時のリサの目は本気…というより、以前よりも活気溢れた瞳をしていて、その瞳を見て、俺達はリサの提案にのった。そしてーーーー

 

 

「神楽さん!私、早くお客さんに、私達5人の最高のライブを見せて上げたいです!」

 

「そうだね…私も、早くライブ…したいです。この5人で築き上げたものを…お客さんに、見せたい…です!」

 

 

偶然ーーーー俺達3人でセッションをしていたある日、あこと燐子によく似た人物が2人、ドラム担当のあゆ、キーボード担当の梨香子がスタジオに押しかけてきたのはびっくりしたが……『私達を、バンドに入れてください!!』そう、言われた時ーーーーなんの迷いもなく2つ返事で迎え入れた。ほんとに、あこと燐子によく似ていて、技術面も遜色ない程だった。

 

 

「ーーーーの皆さん!お願いします!」

 

 

スタッフさんと言葉を聞いて、俺達は最後に、円陣を組んだ。

 

 

「いくぞ『NeoRoseV's』ーーーー頂点のその先へ、羽ばたきに!」

 

 

『ハイ!!!!』

 

 

 

 

〜青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?BAD【TRUE】END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがきに入る前にーーーー7月いっぱいで完結させると言ったのに最終日寝落ちしてしまい間に合いませんでした。ほんとに申し訳ありませんでした。寝落ちしてなければ…完成間近だったんですよ。ほんとです嘘じゃないです。証拠写真上げたいくらいです。トホホ…(´TωT`)
ーーーーコホン、気を取り直して、青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?BADルート【TRUEEND】及び全BADルート完結になります。いやまさかアンケート1つでこんな血生臭くなるなんて思いませんでした…それでも、ここまで頑張って来れたのは、ここまで読んで下さった読者さん達のお陰です。実の所は、これを上げるきっかけが、自分のとある作品のヤンデレストーリーを上げようと思い、その為の予行演習になる作品を執筆しようと思ったのがきっかけです。その為、7話程度で完結予定だったのが…いざ投稿してUA数覗いて見たら…増えるは増えるで、なんだか7話程で完結していいのか迷ってしまい…今にいたります。
さて、次回からはN【ノーマル】ルートとなります。さて…気になるアンケート結果はーーーー
最後になりましたが、BADルートを最後まで呼んで下さり、本当にありがとうございました。
感想、高評価等よろしくお願いします。


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番外編
if 1話:バレンタインだよ!


今回は番外編。ルートEND無しのもしもの話です。
そしてこれ執筆及び投稿した頃にはもうバレンタインは終わってます……それでは、どうぞ!!


〜リサside〜

 

「ん〜ふふ〜んふふ〜ん♪」

 

どうも!今井リサだよ!アタシは今チョコレート作りに没頭中だよ♪え?なんでかって?今日はバレンタイン♪Roseliaの皆や、大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きnーーっとゲフンゲフンッ、アタシとした事が、神楽のことが大好き過ぎてアタシの愛が爆発しそうだったよ〜♪

 

そう、今作ってるのは私の大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好kーーっていけないアタシ!また興奮し過ぎて……

 

「ンン!?いけない……鼻血が……っと、もう♡神楽は全く罪な彼氏なんだから♪」

 

気を取り直して、今作ってるのは私の大好きな彼氏こと大江神楽の本命チョコを作ってる所なんだ♪あ、Roseliaの皆の分はもう作ってあるよ♪だって神楽には飛びっきり凄いのをあげるんだからね♪皆の分だけに時間かけてられないもん♪

 

「あとは型に流して固めれば完成かな〜?……ん〜でも隠し味とかしたいよね〜……あっ!」

 

アタシは隠し味に関してとっても……と〜っても、と〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ってもいいモノ(・・・・)を思い出して自分の部屋に戻ってとある小さな小瓶を持ってきた。中にはとても怪しげな液体が入っている。因みに、これである事をしたかったから開封してないんだ♪

 

「うふふふふっ♪♡何時か神楽と○○する為にこっそり買っておいて良かった♪♡これを……あ、スポイトで吸った分全部入れちゃった……まぁいっか♪これを全体的に馴染むように混ぜて……型に入れたら……」

 

やった〜♪神楽に上げるアタシ特性手作り生チョコの完成!!

あとは固まるのを待ってココアパウダーをかけてラッピングすれば完成だね♪

 

「ああ、早く神楽に上げたいな〜♪♡待っててね、アタシだけの神楽……♡///」

 

そう言いながらアタシは片付けをして学校の支度をしに部屋へ戻ったのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

『今日日直だから先に行くね』

 

「む〜……!」

「リサ……いい加減機嫌を治しなさいよ」

「だってだって〜!折角のバレンタインなのに彼女置いてく彼氏がいていいと思うの!?」

 

学校に行く時間になった時、神楽から日直で先に行くと言うメッセージが来てアタシは今ご機嫌がナナメだ。

 

「仕方無いじゃない。神楽だってリサの事を思ってそうしたんじゃないのかしら?だとしたら我儘を言っては行けないと思うわ」

「でもさ?何時も日直の時は事前に言ってアタシに合わせて登校してたんだよ?」

 

「今日だけおかしくない?」と愚痴っぽく友希那にそう言うと友希那もふむと頷いた。

 

「確かに……互いに日直の時は前もって連絡してそれに合わせて登校していたわね」

「でしょでしょ!?なのに何で今日に限って今日のアタシ達が登校する日になって連絡するのか訳わかんなくて……」

「もしかして……今日がバレンタインなのと関係あるのかしら?」

「と言うと?」

「あくまでもしかして……だけれど、早めに行って私達に見られたくない現場とかを隠蔽しよう……とか?」

「見られたくない……現場?」

 

友希那がそう言った事に対して、アタシは少しだけ嫌な予感がした。

 

「神楽本人に自覚があるかどうか分からないけど、結構彼の評判は他のクラスの女子にも人気があるらしいわ」

「!!……ま、まさか神楽……」

 

アタシって言う素敵で可愛くて神楽の事すんごい……すんごい愛してる彼女が居るのに……それを差し置いて他のオンナのチョコをもらって……

 

「……こうしちゃ居られない!友希那、そうと決まったら早く行って神楽を捕まえるよ!!」

「え!?ちょっとなんで私まで……!!」

 

神楽?もしそうだったら……ゼッタイニユルサナインダカラ

そう心の中で呟きながらアタシは友希那と一緒に大急ぎで学校へ向かった。

 

……あ、道中で友希那は勿論、紗夜達にもあったから『ついで』にチョコあげたよ♪

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「はぁ〜……」

 

どうも、神楽です。俺は今一通り日直の仕事を終えて屋上で頭抱えながら悩んでいます。え?何になやんでるかって?

 

「予想は……あら方ついてたけどさ、まさかこれ程とは……」

 

そう言って俺は横に置いて置いた買い物袋の中身をみてもう一度ため息をついた。中には可愛らしい包み紙でラッピングされた箱があった。それも1つや2つなんかじゃない……数えるのがしんどくなるくらいある。そしてこれは全てチョレートだ。どうしてこんなに大量にあるんだ?って疑問に思う奴らもいるだろうから説明しよう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜回想〜

 

「はぁ……思わずリサ達に何も言わずに登校しちまったよ。後で何か奢らないとな……」

 

そう、時は遡って丁度学校に着いた時だ。今日は日直というのもあって何時もより早く登校したんだ。ただ何時もはリサ達に事前に連絡してリサ達もそれに合わせて登校する手筈だったんだけど……今日は謎めいた男の感?と言うやつがそれを引き止めた。

何はともあれ不味いことをしたには変わりないからどうにかしないと……と思い下駄箱をあけたーー

 

ドバドバドバドバーーーー!!!!

 

「…………はぃ?」

 

何が起きたか分からず俺はその場で数秒硬直した。落ちてきたのは可愛らしい包み紙でラッピングされた小箱……そして今日はバレンタインって事は……

 

「これ、全部バレンタインのチョコ……なのかよ……」

 

甘いものは大体好きだが、これほどの量は流石に困る。しかもよく見たら小箱だけではなく何やら手紙たるものまである。

1枚1枚確認していると……

 

「はぁ……なんてこった……全部ラブレター……」

 

それも一通やそこらでなく、何通、何十通……だ。そして俺は朝の男の感がこれの警告の印なんだと改めて思い知った。

 

(てか俺……リサと付き合ってるんだけどな……)

 

「リサが来る前に何とかしないと……」

 

この光景……リサが見たら修羅場で済むはずながない。早く隠蔽して何事も無かったかの様に過ごさねば……

 

「幸い、エコバッグを持ってきてたからこれで何とかするか……」

 

そう呟いて俺は手早くエコバッグにそれらをしまい、教室に向かった。

 

そしてこれが……頭を抱えさせる序章に過ぎないと知らずに……

 

 

 

 

 

「おい……なんだよこれ……」

 

教室に来て先ず目に入った光景……それは俺の席であろう場所にバレンタインチョコの小箱の山……そしてよくよく見ると机の中にも小箱やらラブレターがパンパンに入っている何とも頭を抱えずに居られない光景だった……

 

「同学年の違うクラスならまだしも……他学年まで……」

 

これらも含めて隠蔽するのは流石に骨が折れる……どうにかならないものなのか……

 

「はぁ……とりあえず何とかしないと……ん?」

 

そう呟いて俺は自分の席にあるチョコとラブレターを入るだけエコバッグに入れ残りをサイドバックにいれる作業に取り掛かっていた時だ。周りからヒソヒソ話が聞こえた。

 

「やった!神楽君が私のチョコ手に取った!ラブレターまで!ヒソヒソ」

「あ、今度は私のチョコも!ヒソヒソ」

 

そして廊下からも……

 

「ねぇみた?神楽先輩が私のチョコ見て嬉しそうにしてたよ!ヒソヒソ」

「あ、私のラブレター手に取ってくれた!神楽先輩に想い伝わるといいな〜ヒソヒソ」

 

(もうヤダ、お家帰りたい……)

 

周りから物凄い誤解のヒソヒソオンパレード……俺、このまま家に帰っていいですか?

 

「はぁ……やっと終わった……」

(物凄い居ずらいし、屋上行くか……)

 

そう思った俺はため息混じりで脱兎の如く屋上へ逃げ仰せた。

 

 

 

「あ、神楽君が出てった!」

「追いかけよ!」

 

……と言った話をしている事に俺は気づく余地すら無かった……。

 

 

 

〜回想終了〜

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「てかほんとに……どーすりゃいいんだよ、これ……」

 

俺は改めてエコバッグの中身をみてため息混じりでそう呟いた。もうすぐリサ達が登校してくる時間だ……それまでに隠蔽しなくちゃいけないのに……

 

「いっその事、ありのままを説明した方がよっぽどまsーー!!??」

 

そう言いながら俺はフェンス越しに校門辺りを見渡した。……そしてリサと友希那が走って校門をくぐって行く姿が見えた。

 

「やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!!もう来ちまったよ!!どうにかしないとマジでーー」

 

ガチャッ!!

 

 

「神楽君〜!!!!(先輩〜!!!!)」

 

 

「!!??」

 

そして屋上の扉が勢い良く開いたかと思うと、何十人もの羽丘の女子生徒が一気に押し寄せてきた。

 

「神楽君!!私のチョコ受け取ってくれてありがとう!!」

「手紙……読んでくれましたか!?」

「私……神楽先輩のことが……」

「転校して来た時から好きでした!だから……」

 

 

『付き合ってください!!!!』

 

 

(あ……これもう詰んだ、終わったわ俺……)

 

彼女達のマシンガン如き言葉責め(告白?)を聞きながら俺はそうさとったのだった……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

 

ガララララッ!!……バンッ!!!!

 

 

「神楽!!いる!?」

 

 

アタシは教室の扉を乱暴に開けるなり、そう叫んだ。しかし、そこには神楽の姿は無く、代わりに端っこでビクビクガタガタ震えてる男子生徒や、女子生徒少数らがいるだけだった。

 

……てか、何でそんなに怯えてるんだろ?まあそんな事どうだって良いや()

 

「ねぇ○○さん!神楽もう学校に来てるよね?ドコニイッタカ……シラナイ?ズイ……ッ」

「ひ、ひいいいいいぃぃぃぃ!!??……ブクブクブクブク」

 

えぇ……近くのクラスメイトの女子に神楽の居場所を『普通に』聞いただけなのに……失神しちゃったよ……

 

「リサ……やりすぎよ、普通に聞きなさいよ」

「ご、ごめんごめん〜……」

 

友希那に突っ込まれて初めて、アタシの聞き方等が行けなかった事を悟った。こ、今度は気をつけよ〜……

 

「ね、ねぇ○○さん。神楽どこに行ったかシラナイ?」

「え、えっと〜神楽君だよね?神楽君なら教室入って十分もしない内に何か袋持って教室でていったよ?多分……屋上じゃないかな?」

「分かった、教えてくれてありがとう♪行くよ友希那!」

「ちょっと……せめてカバンをおkーー」

 

待っててね……神楽……

 

そう思いながらアタシらは一旦カバンを置いて(神楽にあげるチョコを忘れず持って……)屋上へ向かった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「神楽君!私と付き合ってください!」

「転校してきた時から一目惚れでした!」

「先輩と一緒に楽しい学校生活を送りたいんです!」

 

「だから俺にはリサgーー」

 

「ちょっと!抜け駆けはずるいわよ!私と付き合って、神楽君!」

「いいや、私と付き合って!」

「私よ!」

「私ー!」

 

「えぇ……」

 

どうも、今現在俺は彼女らのマシンガン如き言葉責め(告白)に途方にくれています。てか誰一人俺の意見に耳を傾けないし挙句の果てにはーー

 

「私だったら神楽君と毎日(規制音)して喜ばせれるんだから!なんの取り柄もない貴女達は引っ込んでて!」

「何いってるんですか!私だって(規制音)なテクには凄い自信があるんです!だから付き合うのは私です!」

「それがなんだって言うの!?私は神楽君と(規制音)して(規制音規制音規制音規制音)する覚悟だってあるんだから!だから付き合うのは私ー!」

 

等と、俺が居るのお構いなしに女子校生が言っちゃいけないセンシティブなワードがちらほら飛び交う始末……

 

「もうヤダ……早くここから抜け出しtーー」

 

「神楽!!!!」

 

「!!り、リサ……!」

「随分とモテるのね、神楽」

「友希那まで……」

 

早く抜け出したいと思っていた刹那ーー遂に最悪の自体が訪れてしまった……そう、友希那と俺の彼女……リサが来てしまったのだ……

 

「神楽……これ」

「友希那……もしかして、バレンタインチョコ?」

「ええ、私ひとりで頑張って作ったの。後でゆっくり味わって頂戴」

「う、うん……」

 

友希那はそう言って俺にチョコを渡すと、そそくさと屋上を後にした。

そして……

 

「神楽〜?バレンタインなのにアタシそっちのけでこんなに大勢の女にチョコもらったの?アタシっていうとっても……と〜ってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもとってもトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモトッテモ可愛い彼女が居るのに……ネェ、ナンデ?」

 

やばい……リサがこれまでに無いくらい御立腹……と言うよりヤンデレになってる……!

 

「ち、違うんだリサ!こ、こここれは不可抗力で俺だって貰いたくてチョコとラブレター貰ったわkーー」

「ラブレター?ねぇ?ラブレターって……どういう事?」

「ひぃぃ!?」

 

しまったーーーー!!!!リサのヤンデレの火に更に油注ぐワード発しちまった……!てか……リサの後に阿修羅とはんにゃのお面融合させたやつが見えるんだけど……これって俺終わった?死亡フラグたった……!?

 

「ねぇ、そこの貴女達……もしかしてアタシの神楽を独り占めしようって魂胆でチョコとラブレター送ったのかな?もしそうだとしたら……」

 

そこまで言うと、リサは制服のポケットからボールペンを取り出しーー

 

 

バキッ!!……ブンッーーバキャッ!!

 

 

『!!??』

 

 

……片手で思いっきり握り折って、思いっきりコンクリートに叩き付けた

 

「こうなりたくなかったら……サッサとそこのカバンに入ってるチョコとラブレター持って……もう二度とアタシの神楽に関わらない事を誓って、ココカラタチサッテ?」

 

 

『ご、ごべんなざい〜〜〜〜!!!!』

 

 

そして彼女達は号泣しながら俺のエコバッグに入っているチョコとラブレターを持って、脱兎の如く一目散に屋上を去っていった……

 

「さて……邪魔者もいなくなった事だし……ねぇ、神楽?」

「は、はい……ガタガタ」

「こうなったのは……アタシがこんなに怒ってるのは……一体全体ダレノセイカナ?」

「え、えっと……さっきまでいた女子生徒のsーー」

 

ギュッ……!!

 

「うぉあ!?」

 

漸く一件落着……と思いきや、今度はリサによる尋問が始まった。そして俺は彼女達のせいだといい切る前にリサが思いっきり抱きついてきた。そのせいで俺は体勢を崩し、尻もちを着いた。相変わらずリサは抱きついたままで。

 

「違うよ……今回の件は全部……神楽がカッコイイからイケナインダヨ?」

「え、えっと……リサさん?それってどう言うーーんむ!?」

「んちゅ♡ジュルジュル♡ちゅ♡ちゅ♡……ちゅぱちゅぱ……♡レロレロ♡ーー」

 

何が何だか分からない俺に追い討ちをかけるように、今度はリサがディープキスをして来た。暫くして漸く唇を離したが、リサの瞳は相変わらず濁っていて、まだドス黒いオーラを放ったままだ。

 

「神楽には……アタシって言う彼女が居るの。他の誰でもないアタシって言うトッテモ可愛い彼女が……」

「つ、つまり……?」

「むぅ……神楽には自覚が足りないって事なの。だからね?……」

 

そう言ってリサは「これ、神楽にあげるバレンタインチョコね」っと言いながら袋を開けて箱からチョコを1つ自分の口に入れてーー

 

「んむ!?……ん……んぐ……」

「……はぁ♡どぉ神楽?アタシの手作りチョコ……美味しい?」

 

リサに再びキスをされたかと思ったら自分の口に入れたチョコを口移しで俺の口の中に入れた。ほんのり苦く、それを上書きするようなとっても優しい甘味が口いっぱいに溶けて広がった。

 

そして……

 

「美味しい……流石リサだよ……だけど、何か身体が熱いんだけど?」

早速効いてきたんだね(・・・・・・・・・・)♪そのチョコ……隠し味に……」

 

「……媚・薬・♡入れたんだ♡」

 

「!!??……な、なんで……」

「本当は……アタシの家でタノシイコトしよって思ったんだけど……今此処でシテ……神楽にはアタシって言う彼女が居るって自覚を持ってもらうの♡」

 

そう言ってリサはもう1つチョコを口にして、制服を脱ぎ始めた……

 

「り、リサ……もうすぐ授業だし……これR18じゃないかrーー」

「もう!メタいこと言わないの!♡それとも……神楽は嫌?( ・᷄-・᷅ )」

「…………」

 

どうやら、逃げられないようだ。

そう悟った俺は、ため息混じりで……

 

「嫌なわけないだろ?……リサの彼氏として……お前の思うがままに……今を楽しも?」

「!!……うん♡そう来なくっちゃね♪♡」

 

ーーここから先は、ご想像に任せよう。因み、この後俺たちは友希那達に黙って学校を早退し2人きりの時間を過したのは……また別の話だ。

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 




もう終わってるけど……ハッピーバレンタイン!
今回はバレンタイン回であり、相棒のリクエストです!
多分何かしらリクエストとかあったらこのような形で番外編として投稿する予定です!それではまた次回!
感想、高評価等宜しくお願い致します!


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【1周年記念・お気に入り100突破記念】1人じゃないから(前編)

1周年記念及びお気に入り100突破記念回です。そしてこれはif……と言うよりTRUEENDに近いシリアス回です。ぱあっと下のを執筆したかったですが……ご了承ください。
それでは……どうぞ!


「皆……揃ったわね?」

 

とある日常の昼下がり、CIRCLEのカフェテラスの一角に5人のガールズバンド『Roselia』の姿があった。今日は特別ライブの練習という訳でもなく、かといって反省会でもない。今日はとある問題(・・)を解決する為に集まったのだ。

 

「今回集まった理由は皆察してると思うけど、神楽のことについてよ」

「ココ最近……と言うより、『あの日』を栄に姿を見なくなってしまったわね……」

「家の方には……いないんですか……?」

「友希那さん。学校にも……きてないんですよね?」

「ええ、学校に来てなければ家も愚か……神楽の行きそうな場所にすら、彼の姿影1つ見かけなかったわ」

 

学校に来てなければ、家に篭っている……と思いきや家にも居ない。そして神楽の行きそうな場所にすら何処にも居ないといった始末。

そして……

 

「アタシの……せいだ……」

「リサ……」

 

ここに来てからずっとくらい表情で、口を閉ざしていた彼女……今井リサが漸く口を開いたかと思うと、彼女から発せられたのは自分を責める言葉だった。

 

「アタシが……友希那達皆を傷つけなければ……神楽をアタシだけのものにしようって思わなければ……」

「……リサ、やめて」

「アタシが……神楽とあんな約束したから……神楽とつきあっちゃったから……!アタシが!アタシが……神楽とであって無ければーー!!」

「リサ!!」

「ーーっ!」

 

過剰なまでに自分を責めるリサに友希那は叱咤した。

 

「リサ、今此処で……自分を責めるのは良くないわ。仮に私がリサだったら……私も同じ事をしていたかもしれない。それは……此処にいる全員に言えること。だから貴女が気に病むことじゃないわ」

「でも……アタシ……アタシ……ッ!」

 

しかし友希那がそう励ましても、リサは自分を責めることを辞めなかった。それ程……自分がして来た罪に責任を重く感じているのだろう。

 

「今井さん……1度歩みだした道は、引き返すことは出来ません。しかし……」

「別の道を選んで……やり直すことは……出来るはずです……」

「そーだよリサ姉!リサ姉は1人じゃないから、あこ達でどうしたらいいか、一緒に考えようよ!」

「皆……ありがとう……!」

 

リサの両手を優しく握りながらそう言ってくれた4人に対して、リサは感謝の気持ちを述べーー

 

「行こ……神楽を探しに」

 

彼女達Roseliaは立ち上がり、神楽を探し始めたのだった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「ふぅ……久しぶりの遠出はやっぱ応えるな……」

 

俺……大江神楽は長野駅(・・・)に降り、出入口まで出てきてそう呟きながら伸びをした。何か目的あっての遠出は特に何も感じないで来れるが……いや、目的が無いわけではないが今の俺には無いに等しい。つまりただ此処へ来たかったから朝早く家をでてここまで来た。

 

「彼処に居れば……きっと皆揃って俺のやろうとしてることを止めに来る…………俺さえ……ーーーーーば……」

 

そう言って、俺はスマホのとあるネットを見て……そこから拾った所在地をナビで検索した。そこは、ここから徒歩でも10時間以上はかかるとの事だ。

 

「今頃……俺の事をやっけになって探してるんだろうな……」

 

そう呟きながら歩き始めた俺は、脳内に5人の人物のイメージが浮かび上がった。

彼女達には共通点がある。それはバンドをしてると言うこと。もう1つは俺と関わりがあるという事。

 

そして……

 

「リサ……」

 

そのうちの一人は、俺の最愛の彼女にして……俺によって不幸な人生を歩んでしまった人物。彼女だけじゃない……他の4人も、俺と出会って関わったが故に……歩むはずが無かった不幸な人生を歩んでしまった。

 

「もうこれ以上……誰かを傷付けさせない為にも……」

(これは……俺がしてきたことに対してのケジメ……)

 

そう思い、 呟いた俺は駅の近くに止まっていた空席のタクシーを捕まえて、目的の場所を告げ長野駅を離れた。

 

因みに、さっきまで見ていたサイト……そのタイトルはーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー『日本自殺名所』と書かれていた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「ああああああああああぁぁぁ〜〜〜〜〜……ッ!!??」

 

「わわっ!?ど、どぉしたのあこ!?」

 

「か、かか……神兄だあああああああああぁぁぁーーーー……ッ!!??」

 

「!!??……ど、何処なのそこ!?神楽は今……何処にいるの!?」

 

アタシ達はこれから、神楽を探そうと思い、どうやって探すか話し合っていた所、あこがSNSで神楽を見つけたらしく……あこはとあるSNSに上げられていた1つの動画をアタシ達に見せた。

 

「これは……有名な流浪のギターミュージシャン、ーーの動画?」

「ドラゴンとギター、そして発明が好きで……色んな所をバイクで走り回って路上ライブをしてる事で有名な?」

 

友希那が言うように、それは1人の有名なギターミュージシャン、ーーの動画だった。

 

「はい、でも……見て欲しいのは……此処です!!」

 

そう言うとあこは、動画のとある所で一時停止をし、ある場所を指さした。その先には……

 

「か、神楽!!??」

「ここは……『千曲駅』……どうやら大江さんは今、長野県千曲市に居るそうですね」

 

長野県……でもなんたって神楽はそこに……?……!?

 

「ま……まさか……!?」

「い、今井さん!?……どうしたんです!?」

 

もし、仮にアタシが神楽なら……と考えたアタシは、顔を青ざめさせながらスマホでとあるサイトを検索した。それは『日本自殺名所』と呼ばれるサイト……そのページを下へ下へとスクロールしーー

 

「見つけた……」

 

そう呟いて止めた画面には、『長寿捨ての高台』と呼ばれる長野県千曲市にある自殺名所の記事。もしも……もしも、神楽がこのサイトを目にしていて、長野へ向かったとするならーー

 

「神楽……!!」

「リサ!?何処へいくの!?」

「神楽が……早く神楽の元へ行かないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神楽が……神楽が死んじゃう!!!!」

 

『!!??』

 

アタシはそう叫んで……羽丘駅へと全速力で走った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「〜♪〜♪〜♪……」

 

パチパチパチパチパチパチ……!!

 

「まさか……ーー前にこんなにも素晴らしい演奏を聞けるなんてな……」

 

千曲駅に着いた俺は、外へでるやいなや、入口前で誰かがギターの路上ライブをしているのを見て、思わず見入ってしまった。

 

(確かあの人……日本各地をバイクで走り回って路上ライブをしてる有名なギターミュージシャンだったよな……?)

 

路上ライブが終わった後……俺は拍手をしながらそう心の中で呟いていた。

名前は確か……っと思い出そうとしていた刹那、彼と目があった。

 

「アハッ♪そんな近くで見てるって事は……余程俺のファン……なのかな?」

「い、いえ……丁度……素敵な音色が聞こえて……見入ってた限りです。……えっと、名前の方は……?」

「俺?俺の名前は竜騎。辰巳竜騎だよ!君は?」

「大江……神楽です」

 

互いに自己紹介をし追えると、彼……竜騎さんは駅のハズレにある喫茶店を指さしてこう言った。

 

「神楽君。せっかくこうしてあったのも何かの縁だ。彼処で……少し話さないか?」

「は、はぁ……」

 

そんな事から……俺は竜騎さんと喫茶店で話をする事になったのだった……。

 

 

 

〜to be continuous〜

 

 

 

 




執筆し始めてから1ヶ月以上も空いてしまった……後編へ続きます!
感想、高評価等宜しくお願い致します!


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【1周年記念・お気に入り100突破記念】1人じゃないから(後編)

前編の続きです。


〜神楽side〜

 

「ブラックコーヒー2つ、お待たせしました。ごゆっくりどうぞ!」

 

俺は今、長野県千曲市の駅前の喫茶店にてさすらいのギターミュージシャンの竜騎さんとお茶をしていた。正直、何も話すことなんてないし、早いところ目的地に赴きたい所だったのだが……竜騎さんの期待の眼差しに押されてしまった。

 

「それで……見ず知らずの俺に、何の話ですか?」

「うん。単刀直入に言うと……神楽君は今、何か悩んでるのかな?」

「……俺には、1人の幼馴染みの彼女がいます。付き合い始めたのは……今年の四月頃。親の事情で長野にいた俺は自分の夢を叶えるために単身で上京してきました。そしてそこで、幼馴染みの彼女と小学校ぶりに再会したんです……ーー」

 

 

 

……コーヒーを飲みながらだが、俺は今回此処へ来た目的を過去を振り返りながら竜騎さんに話した。その時の竜騎さんは何か相槌を打つわけでもなく、ただ黙って俺の話を聞いてくれた。

 

 

 

「ーーなので俺は、もう……誰にも傷ついて欲しくないために、此処へ来ました」

「成程……それはさぞかし……辛かったよね……?」

「そうかも……しれないです。だけど今思い返してみると……自分の自己満足で何の罪のない人まで巻き込んで……最低のクズ野郎だなって、しみじみ思いますよ」

「ん〜……神楽君がそう思うんなら……そうなのかもね……ても、彼女達は違うんじゃないかな?」

 

「……え?」

 

竜騎さんはそう言って、一旦コーヒーを1口飲み話を続けた。

 

「確かに君は恋人との……もっと言えば幼馴染み同士の問題で済ませるはずだった……それが瞬く間に彼女達を巻き込んで……その関係者まで巻き込んで、遂には公までにもその被害はおよんだ。これは一般の人達から見れば悪いのは君かその恋人だ。けど……他の彼女達4人はそうは思ってないと思う」

 

そう言い終えた竜騎さんは、再びコーヒーを1口飲み話を続けた。

 

「そもそも選択した人生は選択した者にしか責任を負えない。何もその結末にした物だけが全ての責任を追う必要はないんだ……」

 

「だからーー」と言って竜騎さんは言葉をとぎらせーーいきなり俺の頭を軽く叩いた。

 

「イタッ……!」

 

「君1人で何もかも全部背負う必要は全くないんだ。今回に限っては彼女達にだって、自分達が選んだ結末に対しての責任を負う義理がある。だから今、君がいなくなったら……君が背負う筈の責任を彼女達が背負わなきゃ行けなくなる。そうなったら彼女達5人の未来は、相当惨い事になってしまう。分かるだろ?」

 

「…………」

 

何も……言い返せなかった。むしろ気づいてしまった……自分がやろうとしていたのは自分の罪の押し付けだと結果的に、リサ達にまた癒えない傷を負わせるだけなんだと……。

 

「神楽君、ブランコ……って、知ってるかい?人生って、未来(・・)って揺れるブランコそのものなんだよ」

「ブランコ……」

 

「そ、不幸な人生を迎えたなら……その分漕ぎ出し前へ出る勇気を持って、未来へ前進して、羽ばたけばいい。それにブランコって1人で漕ぐより複数の人達で漕いで遊んだ方が何倍も楽しいんだ♪」

 

「何倍も…………フッ」

 

「漸く……笑ってくれたね♪」

「久しぶりに……心の底から笑った気がします……」

 

いつからだろうか……俺は笑顔で居ることを忘れてしまっていた。皆を……リサ達Roseliaを救う為に、自分はどうすればいいか悩み悩んでいった結果がそれなんだと、俺は悟った。

 

「竜騎さん。コーヒーご馳走様でした。俺、東京に帰ります。皆が……彼女(リサ)が待ってるので」

「そっか……俺も君と話が出来て良かったよ。だから神楽君……ユキや紗夜、りんりんやあこ、そして……リサを頼むよ」

「!?……どうして彼女達の事を……?」

「さぁ……なんでだろうね……?ほら、早くしないと東京行きの電車がきちゃうよ?」

「……そうですね。改めて、ありがとうございました」

 

色々と気になる事があって竜騎さんに聞きたかったが……リサ達が待ってる事を思い出し、俺はお代を置いて喫茶店を出た。

それにしても……ユキ、か……幼少期のころ友希那のことをよくそう呼んでたな……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜竜騎side〜

 

「ふぅ……相変わらず、色々と喋りすぎたな……」

 

彼が喫茶店を出ていって暫く物思いに耽っていた俺は、コーヒーを飲みながらそう呟いた。

 

「この世界で俺が果たすべき使命……彼が最後ということか……」

 

そう呟いて俺は会計を済ませ、喫茶店を出た。

 

「そろそろ戻るか……自分()の世界へ」

 

そう言いて俺はバイクに乗り、全速力で飛ばしーー

 

ーー光の中へと消えていった……。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜リサside〜

 

「そん……な……」

 

アタシは今……羽丘駅の切符売り場の上に掲示されている時間表を見て、そして長野県千曲市行きの電車までの料金を見て絶望していた……。

 

次の電車は、早くてもあと1時間後にしか来ない。そして長野県千曲市までの料金が……今のアタシの手持ちじゃ足りないという事。

 

「早くしなきゃ……神楽が……どぉして……ウウッ!」

 

アタシは遂に耐えきれずその場で泣き崩れてしまった……やっぱり……アタシのせいだ……これはきっと……アタシが神楽や皆にしてきたことに対して、神様が与えた罰なんだ……そう悟らずには居られなかった。

 

「神楽……ごめんなさい……ごめん……なさい……!!」

 

 

「り、リサ!?」

「今井さん!?どうしたんですか!?」

「リサ姉!?大丈夫!?」

「い、今井さん……!?」

 

 

「皆……ッ……うわあああああああああああああんんんんん……ッ!!」

 

 

『!!??』

 

そして……皆の姿を見たアタシはーー遂に涙腺が崩壊し、友希那に抱きついて大声で泣いてしまった。

 

「お、落ちいてリサ!何があったと言うの!?」

「と、とりあえず、此処を離れましょう!」

「リサ姉……大丈夫?」

「今井さん……」

 

アタシは……友希那達に連れられて、一通り泣きじゃくった跡、訳を4人に話した。

 

 

「確かに……これ程のお金……」

「片道ならまだしも……往復ってなると……」

「高速バスも……あまり現実的ではないわね……」

「お母さん達に訳を話して連れてって貰うのは?」

「無理よ……私達の両親は愚か、皆の所だって同じ状態じゃなかったかしら?」

 

そう、友希那の言うように……アタシ達の両親は、あの日の騒動が原因で、双方で距離をとっている。詰まる話……今は別々の場所で生活をしている。

 

「それもこれも……全部……全部アタシのせいだ……ホントに、ごめんなさい……」

 

だからこそ、そう言わずには居られなかった。

 

「ごめんなさい……友希那……皆……神楽……ッ!ウウッ!ホントにごめんなさい……ッ!!」

 

こうして唯ひたすら謝る事しか、今のアタシには出来なかった。

 

ピロリンッ♪

 

そして、アタシ達のこの重たい空気を破るかの様に、アタシの携帯の通知音がなった。

 

ピロリンッ♪

 

そしてもう1回……もう、アタシが悲しんでる時に何なの……?空気ぐらい読んでよ……

そう心の中で愚痴をこぼしながらアタシは送り主を見た。

 

「……え!?」

 

「?……リサ、誰からだったの?」

 

「神楽……から」

 

『!!??』

 

送り主は……何と神楽だった。そして、メッセージは二通に分けてこう送られて来ていた。

 

 

 

『今、羽丘へ帰る所。心配かけてごめん』

 

『着いたらリサとRoseliaの皆んなで話がしたいから、あの公園で待ってて』

 

 

 

「リサ、行きましょ」

「うん……ゔん……ッ!!」

 

涙出そうだったが、今は泣いてる場合じゃない。この涙は……神楽に会った時に存分に流そう。神楽の服が、ずぶ濡れになるくらい……

 

「行こ、皆……!」

 

アタシはそう言って……あの公園……全てが始まった、あの公園へアタシ達は向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

 

「なんだろ……この感じ……」

 

 

羽丘駅に着いた俺は、目の前に映る景色が全て新鮮な感じで輝いていた。何時も見てる景色の筈なのに……どうして……?

 

結論づけるのはまだ早いが、俺自身が産まれ変わったんだろう。多分。産まれ変わったのは、恐らくは精神(メンタル)……つまりは心だと俺は思った。それによって、目に映るもの全ての見方や価値観等がガラリと変わった。

 

なら何時から……?生まれ変わった時は分からないが、産声(・・)を上げた時なら直ぐに分かった。それこそ正に、竜騎さんのお陰だった。竜騎さんと出会わなければ俺は……『笑顔』という名の 産声を上げることすら叶わず、なんの代わり映えのない景色を死ぬまで、心の中でずっと1人で見ていたのかもしれない。

 

 

「だから俺は……もう逃げない。大切な人を置いて居なくなったりなんか……絶対しない」

 

 

そう俺は心に誓って、皆が待つ約束の場所へと向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽&リサside〜

 

 

(陽だまり……キレイだな……神楽と初めて出会ったあの日とおなじくらい、綺麗)

 

 

約束場所の公園にて、陽だまりを眺めながら……アタシは心の中でそう呟いた。

 

 

「神楽?きっと……来てくれるよね?信じて……いいんだよね……?」

 

 

そう呟いていると、胸の奥がギュッとなって、苦しくなった。

 

 

(そう言えば、神楽が長野へ引っ越す日……アタシ、神楽の乗る車を泣きながら追いかけたっけ?何だか懐かしい……)

 

 

「もしかしたら……今度は神楽が泣きながらこっちへ来たり……なんてね♪」

 

 

アタシがそう呟いた次の瞬間ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リサーーーー!!!!」

 

 

 

 

遠くから……アタシを呼ぶ声がした。そしてその声の主は、間違えるはずがない。その声はーー

 

 

「か、…………神楽……ッ!!」

 

 

 

ーー約束の公園はもう目前。ここまでくる間に見た景色、今までの思い出……そして、リサ(彼女)の事を思い返し終えた刹那、俺は走りながら彼女の名前を叫んだ。

 

 

そしてーー目の前に俺の最愛の彼女……リサが公園の入口で立っていて、俺は走るのを辞めた。

 

 

「リサ……!」

「神楽……!」

 

 

ーーアタシが立ってる所から距離は大体500mって所で、アタシは神楽の名前を呼んで1歩、1歩と神楽の方へ……大好きな彼氏(神楽)の方へ歩みを進めた。

 

 

「リサ!!」

 

 

ーーリサが歩み始めたと同時に、一度止めた足を再度リサの方へ……愛おしいリサ(彼女)の方へ歩み始めた。

 

 

「神楽!!」

 

 

ーーそして、その歩みは徐々に早くなり……次第に神楽とアタシの距離は縮まっていく。

 

 

「リサッ!!」

 

「神楽ッ!!」

 

 

ーー300、200、100……そして俺とリサの距離は50mを切り……

 

 

「リサ……ッ!!」

「神楽ァ……ッ!!」

 

 

ーー0になったと同時にアタシと神楽は、互いを抱き合った。間違いない。今、アタシが抱きしめてるのは……

 

「神楽!!……神楽ァ……ッ!!」

「リサ……!リサッ!!」

 

ーー俺が抱きしめてるのは、陽だまりに咲く……一輪の赤い薔薇。俺の最愛にして唯一無二の彼女。

 

ーーどんな時でも、どんな事があっても……アタシの為に、アタシを1番に思ってくれた……アタシだけの彼氏。

 

 

「リサ……ホントに……ホントにごめん!お前の目の前から、居なくなったりして……ホントにごめんッ!!」

「神楽……!アタシこそ……神楽にたくさん酷いことして……辛い思いをさせて……ホントに……ごめんなさい……ッ!!」

 

 

ーー俺は、此処に誓う。もう……もう二度と、リサを……最愛の彼女を手放したりしない。こんなにも美しくも愛おしい彼女を。絶対に。

 

ーーもう、神楽を悲しませたりなんかしない。アタシは、此処に誓うよ、神楽。貴方を絶対に……絶対に、この手から離したりなんかしない。

 

「神楽……約束……約束して……?もう、アタシの……アタシ達の目の前から……居なくならないって……1人で何もかも背負わないって……ッ!」

「ああ、約束する……もうお前の目の前から居なくなったりなんかしない。リサ……これからもずっと愛してる」

 

「!!……ッ、ウウッ……神楽……ッ、わああああああああああんんんん……ッ!!」

 

アタシは、神楽にもう一度、『愛してる』って言われて……涙腺が一気に崩壊した。神楽の腕の中で、めいいっぱい泣きじゃくった。

 

「神楽ァ……ッ!!あだじも……ずっどずっど……神楽のごど……ヒグッ……愛してるがらぁ……ッ!!ウウッ、うわあああああああああああああんんんんん……ッ!!」

 

俺の腕の中で、リサはめいいっぱい泣きじゃくっていた。俺はそれを、リサの身体をこれまで以上に抱き締めて受け止めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

〜神楽side〜

 

「神楽」

「友希那……皆も……」

 

リサを抱き締めている最中、公園から友希那達が出てきた。友希那達は俺とリサの状態を見て、半ら苦笑いでいた。

 

「全く……あれだけ心配した私達が馬鹿馬鹿しいです」

「でも……神楽さんが無事で……ホントに良かったです……」

「神兄……心配したんだよ〜!!」

「あこのゆう通りよ。全く……昔から世話ばかりかけさせるんだから……」

 

「ごめんって……でも昔から世話焼いたのは……ユキ(・・)の方だろ?」

「!?……神楽、今貴方……」

 

友希那に憎まれ口(?)を言われたお返しとして、俺は友希那を幼いころ呼んだ呼び方で呼んでやった。

 

「懐かしいだろ?昔を思い出してさ、たまにはそうやって呼ぶのも悪くないかもってな?どぉだユキ?」

「か、からかわないで頂戴!」

「アハハッ♪アタシもこれからはユキって呼ぼっかな〜♪?」

「もう……リサまで……!」

 

『アハハハハハハハハハハ……ッ!!』

 

いつぶりだろうな……こうして皆で、笑いあったのは?そう思えるくらい、その景色が眩しくて、儚く思えた。

 

「ふぅ……それじゃあリサ?そろそろ帰ろ?俺達の日常に」

「うん♪……あ!ちょっと待って!」

「……?」

 

日もだいぶ落ちてきたので、俺はそろそろ皆と帰ろうと思った矢先……リサが友希那達の元へいった。そして……

 

 

『おかえりなさい、神楽(大江さん、神楽さん、神楽兄)!!』

 

 

「……ただいま、皆」

 

 

彼女達のお出迎えに、俺は最高の笑顔で答えたのだった……。

 

 

 

〜END〜




改めて、「青薔薇のベーシストはヤンデレなのか?」1周年、お気に入り100突破……ありがとうございます!!ここまで来れたのは読者さんのお陰です!まだまだ続きますが、何卒暖かい目でこれからも見守ってください!
また、今回記念として相棒ことD・MAKERさんとコラボしました!相棒の作品も是非、ご覧ください!

D・MAKERさん→ https://syosetu.org/user/289283/

感想、高評価等お待ちしております!


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【リクエスト】リサとのデートは慎重に??

今回は我が相棒ことD・MAKERさんからのリクエストでデート回です!


「リサとのデートどうすれば良いかアドバイスくれ」

 

「いや何でそれを私に聞くのよ」

 

 

俺、大江神楽はこのクッソ暑い炎天夏の中CIRCLEのラウンジにて、クーラーに涼みながら今まで抱えたことのなかった悩みを解決すべく友希那にアドバイスを貰いに来ていた。ちなみに今日は練習は休みで、リサは家族と外出中だ。

 

 

「いやだってさ?幼馴染みのよしみだろ?それに、俺よりも友希那の方が一緒にいるんだから、何か些細な事でも良いからーー」

 

「嫌よ」

 

「え…少しだけdーー」

 

「嫌よ」

 

「ちょ…理由kーー」

 

「嫌よ」

 

 

……って、理由位話してくれたって良いじゃねえかよ!?なんたってそんな即答でNOするんだよ?

 

 

「なぁ友希那?なんでそんな厳しいんだよ?俺何かお前にしたか?」

 

「嫌よ」

 

「いやそれを聞きたいんjーー」

 

「嫌よ」

 

「ダァーーーーー!!!!…わかった!わかったよ!!お前がそこまで嫌よ連呼するなら、俺一人で何とかしてやるからな!!」

 

 

そう叫んだ俺は、ラウンジを出ようとした。だけど…只で引き返す訳には行かないからーー

 

 

「この間有名な猫カフェの整理券3枚(・・)当たったけど…要らないんだな??帰りに紗夜さんとかにあったら渡しちゃうからな!?」

 

 

バタンッ!!

 

 

そう言い放って、俺は扉を閉めた。

まぁ…誰かにあっても渡したりはしないんだけどな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、家に帰って暫くして友希那からメッセージが来た。

 

 

『神楽?さっきの猫カフェの整理券の話しが本当なら今すぐ私に1枚譲りなさい?さもなくばリサにある事無いことでっち上げて取り返しのつかない事にするわよ?』

 

『さし上げますのでそれだけはご勘弁下さい友希那様。なのでどうかアドバイスをしてください』

 

『素直でよろしい。なら当日はーー』

 

 

友希那の逆鱗(?)に触れてしまいつつも、何とかリサとのデートのアドバイスを貰うことに成功した俺であった……

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

そして当日ーー

 

 

「わぁ〜〜!!凄いよ神楽!色んなプールがたっくさ〜ん♪ねぇねぇ、早く泳ごぉよ♪」

 

「そんなにはしゃぐなって、プールは逃げたりしないぞ?それにほら、日差しも強いし日焼け止めぬろ?」

 

「そぉ〜だネ♪夏の日差しは女の子の敵だもん!……所で、神楽がそぉやって言ってくれるって事は、塗ってくれるん……だよね?」

 

「あぁ、可愛いリサだから日焼けしても大丈夫だろうけど、俺はリサの綺麗なその肌が1番良く似合ってると思うからさ?喜んで塗らせて頂くよ」

 

「もぉ〜///そんなに褒めてもなんもないんだからね?///……って事で神楽?塗って♡」

 

 

って事でやって来たのは都内で大人気のプール『トコナッツパーク』だ。聞くところによるとリサは以前Roseliaの皆と来たことがあるらしいが、俺と来てこのはしゃぎ用……恐らく『彼氏とデートで来るそれは格別』ってヤツかな?所謂雰囲気的な問題だ。

そうこう俺が思っている間に、リサは早く日焼け止めを塗ってくれと言わんばかりに時前で用意したパラソルの下のブルーシートの上にうつ伏せになり待ち構えていた。

因みにーーリサの水着は肩紐のないビキニ、所謂『バンドゥービキニ』。それも青の海をイメージしたヒラヒラと所々にハイビスカスのプリントがされてる、誰もが言わずもがなの攻めた大人のビキニだ。

 

 

(一言言おう……ヤバい)

 

 

恐らくリサだからこそ似合う水着だと俺は確信持って言える。それ故に他の男に目を付けられないか多少心配(・・・・)でもあった。

 

 

「ほ〜ら、隅から隅まで、満遍なく塗るからな〜ヌリヌリ」

 

「ありがとう神楽♡……ン♡やっぱ冷たい♡」

 

 

変な声でどうにかなりそうだったが、何とか耐えつつリサの身体と言う身体に満遍なく日焼け止めオイルを塗っていく。

 

 

「えっと……リサ?一応許可の元塗りたいから聞くけdーー」

 

「イイよ♡愛する神楽が塗ってくれるんだもん♡遠慮なくアタシの身体全部(・・・・)に塗って♡」

 

 

いや、少しくらい羞恥心を持ってくれ……と言わなかったのは褒めるべきだと俺は思ったが、それでもいい切る前に何の躊躇なく恥じずにそうやって頼むのはどうかと思いつつ、俺はリサの要望どうりに際どい所(・・・・)も含めリサの全身に日焼け止めオイルを塗り続けた。

 

 

「ン♡神楽の手つき……ンン♡凄く、いやらしいよぉ♡ぬ、濡れてkーー」

 

「コラ、R18設定してないんだからそういったセンシティブなワードを言うんじゃない」

 

「だ、だってぇ……ひゃんっ♡オイル塗られてるだけなのに……アン♡き、気持ち……イイ♡」

 

 

だからR18指定してないから間際らしいセンシティブなセリフを次々と言うのをやめなさい!?周りの目線が暖かかったり何か痛かったりと凄いんよ!?

 

 

「ウッ……な、何か頭が……バタリッ」

 

「ウップ……は、吐き気gーー(規制音ーーーーー)」

 

「あそこのカップル……物凄い……な……バタリッ」

 

「な、何にも甘い物食べてないのに……や、ヤbーー(規制音ーーーーー)」

 

 

(ほら言わんこっちゃない……)

 

 

周りの人達が次々と倒れていく中、何とかリサに日焼け止めオイルを塗り終えた。

 

 

「ハァ…♡ハァ…♡神楽、凄く上手だったよ〜♪今度はアタシgーー」

 

「そう言うと思ったから予め塗っといたよ〜って事でそろそろ入ろっか?」

 

「むぅ〜!それ位悪ノリしたっていいのに〜!……でもそぉだネ♪今日はいっぱい楽しも?神楽♪」

 

 

そう言って、俺はリサと手を繋いでトコナッツパークを満喫し始めた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

「リサは最初は何処行く?」

 

「アタシ?そぉだな〜……ーーっあ!あそこはどぉ?」

 

「ん?あれは……ウォータースライダーか?」

 

 

リサが指さした先にはウォータースライダーがあった。しかもただのウォータースライダーではなく、1人から3人まで乗れる浮き輪に乗って滑っていくヤツだ。

ここに戻って来るまで生まれてから1度もこう言ったテーマパークなる場所に来たことがなかった為どう言ったものか分からないが……

 

 

「ん〜!神楽とトコナッツパークは初めてだから、アタシがたっくさんリードしてあげないとだよね♪」

 

 

…と、言いながら俺の隣で気合いを入れてるリサを見る限り、ここはとても楽しい場所なんだと分かった。

 

 

「なら、今日はとことんリサを甘やかさないとな〜♪」

 

「ちょっと!?立場逆になってるじゃんか〜!」

 

 

と、俺が半分位冗談気味にいったらリサが俺の方を頬を膨らませながらポコポコ叩いてきた。

 

 

(ホント……可愛いな、リサは。ヤンデレ(・・・・)な所を覗いて何もかもが可愛いーー)

 

「ーーホント、友希那(・・・)もこれくらい自分に素直だったrーー」

 

 

ブンッ……!!ドカッ!!!!

 

 

「いっっっっっとぅ⤵︎ あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⤴︎ ⤴︎!!??」

 

 

刹那…俺の右肩に、物凄い衝撃音と同時に何かに例える事が出来ないくらいの激痛が襲いかかってきた。

やったのは他でもないーー

 

 

「ねぇ神楽?ドォシテアタシとデートシテルノニ、友希那の名前がデテクルノ?今はアタシとデートシテルンダヨ?だからーー」

 

 

そう、先程俺の方に衝撃…所謂肩パンを喰らわせたのは只今絶賛ヤンデレ中のリサである。

…てか途中から本音が声に出てたのかぁ!!??

 

 

「す、済まないリサ!折角のデートなのに他の娘の名前出しちmーー」

 

「だから!アタシ以外の娘のコトナンカ考えれないくらいいっぱいイッパイ楽しも♪」

 

 

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!!??

絶対に殺さrーーってアレ?

 

 

「お、怒ってないのか?」

 

「だって、今日は神楽と初デートなんだよ?それに……神楽はこう言った場所初めてなら、アタシと沢山此処で思い出作ろ……ナンテネ♪」

 

 

読者の皆さん聞きましたか!?ウチのヤンデレ彼女今井リサさんてっきり王道のヤンデレ暴走を決めるかと思いきや俺のために、普段見せないエスコートを見せてくれたんですよ!?俺は今……猛烈に感動してるばい!!

 

 

「リサ……!!ああ、そうだな!いっぱい作ろうぜ!!俺とリサの……此処でしか作れない2人だけの思い出を!!」

 

「ウン!!いっぱいタノシモ!神楽♪」

 

 

そう言って、俺とリサは再度手を繋いで、ウォータースライダーを目指したのだった……ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぎゃぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇええええええええええええええええええええ……ツツツツ!!!!」

 

 

 

 

ーーなんて事はなく、俺は今、自分でも知らなかった弱点(所謂絶叫系が死ぬほど苦手である事)をわからされて、かつリサが必要以上に俺の首をこれでもかと言わんばかりに締め付けながら……今にいたるのだった。

 

 

 

 

ザッパァーーーーーーーーーンツツツツ!!!!!

 

 

 

 

まだ1回目なのにこれって……俺はこれからどうなっちまうんだ……!?

ウォータースライダーから上がった俺は、少し涙目で息を荒らげながらそう思った。

 

 

「ン〜〜♪やっぱウォータースライダーはこぉでなくっちゃ♪さぁ神楽?まだまだアタシ達のデートはコレカラ……ダヨ?♡」

 

「…………ブクブクブクブク」

 

「アレ?返事ガナイナァ〜?もしかして……ウォータースライダー1回乗っただけで疲れちゃったノカナ??ソンナ事ナイヨネ?ダッテ他のオンナの事考エテルナクライダモン♡これを気にアタシのコトシカ考エラレナイカラダニシテアゲルンダカラ♡」

 

 

泡を吹いて気絶してる中……そんなとんでもないリサのいつも通り(??)なヤンデレゼリフを聞きながら俺はリサに引きずられながら初デートを満喫(????)したのだった……。

 

 

(リサとのデートは……自分の身のためにも慎重に楽しまないとな……)

 

 

気絶間際、そう痛感した俺だった。

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?感想、高評価等お待ちしております!!


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【リサ誕生日回】リサ(彼女)と誕生日デートとプレゼント

リサの誕生日回です。
今回は『誕生日の日にあの娘と……』の《神楽とリサ》のリメイクとなります。内容自体は大体同じですが、細部が異なりますので是非ともご覧頂ければと思います。
それでは、どうぞ!


俺、大江神楽は1人ショッピングモールのアクセサリーショップに来ていた。なんでかって?それは、遡ること昨日の事だ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜回想〜

 

只今俺は友希那の家でとある相談を幼馴染みの友希那に乗って貰っている。

 

 

「貴方……リサの彼氏なのだからそれ位考えておきなさいよ」

 

「考えたよ……考えたけどさ?候補が何種類何十種類もあってピックアップ出来ないんだよ……」

 

 

もうすぐリサの誕生日だと気付いた俺は、誕生日プレゼント、及びサプライズ等を高1週間程前から考えていた。

しかし……まとまらなかった。理由は主に2つ。

 

 

「だってさ……リサが可愛すぎてどれプレゼントして上げようか何してあげようか悩んでたら一晩開けるし、下手な事してリサをヤンデレにしたくないし……」

 

 

ーーーーっといった感じで、余りのリサの可愛さに、どんな物が似合うのか、どんな物プレゼントしたら喜ぶのか……逆にどんな物がNGなのかノートに書き記していたらノートを使い切ってしまい、気づいたら一晩開けてた始末。仕方なしに書き記した物からピックアップしているさ中……もし喜んで貰えなかったらリサはきっとヤンデレ化してしまうだろう等と訳の分からない被害妄想をしてしまい、完全に迷走してしまった……という訳だ。

 

そして、助け舟をして貰うべく友希那に相談しに来た訳だが……(因みにリサは、燐子と出かけていて半日戻って来ないとの事)

 

 

「……リサ狂いね。悪い意味で恐れ入るわ」

 

「……どうして悪い意味なんだよ。いいだろ?それ位リサの事想ってるんだから」

 

「神楽がどう言おうがかってだけど、私達5人はリサの要望でファミレスに行く予定だから、神楽は当時出し物やプレゼントを用意して頂戴?」

 

 

変な皮肉を言われ、挙げ句の果てに俺が知らない予定をカミングアウトされある意味今の俺にとって無茶苦茶(?)な事をたのまれたのだ。

 

 

「えっと……友希那?そのファミレスに行くメンバーにおrーーーー」

 

「居ないわよ?」

 

「なんでだよ!誘ってくれたっtーー」

 

「リサがヤンデレ化して修羅場になってもいいなら誘うけど?」

 

「分かりましたリサの誕生日に向けて出し物とプレゼントを用意させて頂きます」

 

「全く……最初からそう言えばいいのよ。分かったら明日、プレゼントの買い出しと出し物の準備をしなさい。当日はそれに合わせて私達も行動するから」

 

 

「もう私達はリサのプレゼント用意したから」と付け加えて友希那は当日まで行動を合わせてくれると言ってくれた。

 

 

「友希那……済まないな、時間を取らせちまって……」

 

「いいのよ。幼馴染みの仲だし、その程度のお膳立て位させて頂戴」

 

「分かった。それじゃあ当日なんだがーーーー」

 

 

そんなこんなで、友希那にリサの誕生日の日に向けて色々と相談に乗ってもらったのだった。

 

無事相談が終わり友希那の家を後にした瞬間……その姿を丁度燐子とのお出かけが終わり帰ってきたリサとばったり鉢合わせしてしまい、リサの家へ連行されたのは……また別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜回想終了〜

 

 

「てか誕生日プレゼント位前日までに用意しとけよ……」

 

「それでもリサの彼氏か?」って心の中で毒づきながら俺はリサの誕生日プレゼントを物色していた。幸い、誕生日会は今日の夕方に行う為まだ時間はある。

 

「可愛いらしいブレスレットだな……んん〜こっちも捨てがたい……」

 

俺の見てるアクセサリーのコーナーにはリサにピッタリの物が沢山陳列されていた。どれも気に入って貰えそうなものばかりなのだが……何処か物足りない。

 

「もしかしたらここじゃないのかもな……」

 

そう呟いた俺はアクセサリーショップを諦め、隣のジュエリーショップに向かった。

 

(!!……これは……)

 

そして……それは今日この日の為に作られたかのようにガラスのショーケースに丁寧に展示されていた。

俺の目に止まったのは1つのネックレス。サイドに薔薇の葉っぱの型に埋め込まれたグリーンダイヤモンド。そして真ん中にはピンクダイヤモンドとレッドダイヤモンドを薔薇の型に細かく、綺麗に埋め込まれたとても綺麗なネックレスだった。

 

「異性に贈るネックレスには束縛を意味するが……この3色のダイヤモンド……確か意味があったよな……」

 

グリーンダイヤモンドには「恵み」、ピンクダイヤモンドは「完全無欠の愛」「最終決定」更に宝石言葉は「可憐・優美」……そしてレッドダイヤモンドは……

 

「意味は無かった気がするけど……宝石言葉は……「永遠の命」」

 

どのカラーダイヤも今のリサにピッタリの意味、宝石言葉が備わってる。そして何より……

 

「薔薇のデザイン……それが何よりリサを強調してる……」

 

決めた。俺はこのネックレスを買う事にした。

 

「!!……てか凄い値段……」

 

カラーダイヤを3色使ってるというのもあって、中古車なら1台くらい容易く買える程の値段……

 

(大学行く為の貯金全部はたけば……何とかなる……か?)

 

これを見逃したら……もう二度と手に入らない……背に腹は変えられない。そう思った俺は行動にでた。

 

「すみません」

「いらっしゃい、何かお求めかな?」

「あそこにある……薔薇のネックレスを下さい」

「あいよ……お兄さん、彼女さんへのプレゼントかい?」

「え?あ、はい……俺の事をとても大切におもってる、俺にとっても最愛の彼女です」

 

俺がそう答えると店長らしき男性は「そうかそうか」と深く頷いた。

 

「なら……あのネックレスを半値で差し上げよう」

「!?そ、そんな……いいんですか?」

「いいんだよ……キミの彼女の事を聞いていたら、その娘ならきっとそれを大切にしてくれると確信してね」

 

嬉しい話だが、逆に申し訳なさでいっぱいだった。

 

「……分かりました。ありがとうございます……!」

「毎度あり……あ、そうだ。良ければこれは私店長からのサービスだよ」

 

そう言って店長は後の戸棚から小さな小箱を取り出し、それを俺に差し出した。中には……シンプルだが、どこからとも可愛らしい小さなブレスレットがはいっていた。真ん中には、赤い石が綺麗に磨かれてはめ込まれていた。

 

「お祝い事のプレゼント目的でお買い上げのお客様には、こうしてサービスしているんです」

「何から何まで……ありがとうございます」

 

店長に深々と挨拶をし、俺はジュエリーショップを出た。これでリサの誕生日プレゼントは買えた……

 

「!……いい事思いついた」

 

俺はある事を思いついた。……これなら、きっとリサも……!

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「神楽とデート♪神楽とデート♪」

「デートつっても……散歩だけどな?余り期待するなよ?」

 

プレゼントを買い終えた俺はリサを迎え、そのまま友希那達のいるCIRCLE……とおもったが、「いいと言うまで来ないで」と友希那に静かな圧と共に言われているので俺はそこらをブラブラ歩く散歩に出かける事になった。

 

「大丈夫大丈夫♪アタシにとって神楽と一緒にいる事自体がデートみたいなものだから!」

「ハハッ……そう思うと嬉しいな!」

「ねえ、神楽?」

「ん?」

「だ〜い好きッ!♡ニコッ」

「!?な、なんだよいきなり……!」

「えへへ♪何だか言いたくなっちゃった♡///」

「なんだよそりゃ……」

 

リサのいきなり過ぎる発言に、思わずドギマギしてしまった。

 

「ま、まあ……その、俺もだ。大好きだよ、リサ」

「も〜!なにそのぶっきらぼうな言い方〜!本当にアタシの事好きなの〜!?」

 

頬を膨らませながら俺の方を睨めるリサ。いや、仕方ないだろ?だってこんなに可愛いんだもん。

 

「はぁ、仕方ないな。そんなに疑うんだったら……」

「え、ちょっ!か、神楽!?顔近いよ〜!♡///」

「リサが悪い。今から俺がどれだけお前の事愛してるのか証明してやるよ……ちゅ♡」

 

そう言って俺はリサを塀際まで追いやり、唇を奪った。

 

「ンチュッ♡レロレロ♡ンン♡……はぁ!♡ご、ごめん神楽!私が悪かっtーーんむっ!?ンン♡ンチュッ♡レロレロ♡」

 

そしてかれこれ5分程キスをした後、俺はリサを解放した。当のリサは……すっかり顔が赤く茹で上がってしまっていた。

 

ピロピロリン♪ピロピロリン♪

 

「もしもし?」

『準備が出来たわ』

「了解……ピッ……リサ、そろそろ行くぞ」

「は、はひぃ……プシュー(/ω\)///」

 

友希那から連絡を受けた俺は、リサとともに友希那達が待つCIRCLEへと向かったのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

「……ねえ神楽?今日は練習休みだよ?どうしてCIRCLEに……?」

「まあ、いいからいいから♪」

 

CIRCLEに来たことに関して疑問を抱いているリサを余所に、俺はリサと共にCIRCLEにはいった。そしてまっすぐ言った先にあるラウンジと呼ばれる部屋に入ると……ーー

 

パァーーーーンッ!!!!

 

「!?」

 

「「リサ」」

 

「「今井さん」」

 

「リサ姉!」

 

「「「「「誕生日おめでとう!!!!!」」」」」

 

そこは……綺麗に装飾され、壁には『Happy birthday リサ』と書かれた模造紙が貼ってあった。

 

「今井さん……誕生日、おめでとうございます!」

「皆……ありがとう〜♪覚えててくれたんだね!」

「当たり前だろ?」

「そうよ、リサ。私達はRoselia……いいえ、それ以前に仲間でしょ?当たり前じゃない」

 

紗夜も、燐子もあこも「その通り」と頷いていた。

 

「リサ姉!私達でプレゼントつくったんだ!」

「私達4人の手作りです……湊さん」

「このプレゼント……正直、渡すのを躊躇ってしまうわ……」

 

そう言って友希那達(代表して友希那)が大き目……と言うより友希那が丁度抱き抱えられる位の大きさのプレゼントが入った袋をリサに渡した。

 

「わぁ〜!!すごいすごい!!アタシや神楽、皆の10分の1サイズのぬいぐるみだ〜!!」

 

「燐子が提案してくれたのよ。材料は燐子の指示で皆で買い揃えたわ」

 

「すごいな……小人みたいだ」

 

 

なんと、友希那達のプレゼントは俺たち6人の10分の1サイズのぬいぐるみだ。当然だが、とてもよく似てる。これを提案し、他の3人に指示を出した燐子がとても凄く思えた。

 

 

「次は……俺だな。俺からは……これだ」

 

そう言って俺は小さな小包に包まれた箱をリサに渡した。

 

 

「……こ、これ……ブレスレット?……ってこの箱……もしかしてあの高級ブランドのジュエリーショップのやつ!?」

「凄いわね……」

「高級ブランドってことは……値段とか凄いのでは……!?」

「あ?ああ……まあ何とかなったよ(それサービスで貰ったやつだから)」

「何とかって……」

「神兄凄〜い!!」

「ちなみに真ん中にはめられてる石の石言葉は『慈愛』だそうだ」

 

 

サービスで貰った事は伏せておいた(て言うか絶対言えない)。しかしあのネックレスは今は(・・)渡さない事にした。

 

(あれは2人で、あの場所で……)

 

そう、あれはあの場所出渡すのが相応しい……そう俺は考えてあえて渡さなかった。

 

 

「ありがとう神楽〜!これ、絶対大切にするね!」

 

 

リサは実際に左腕にブレスレットをはめ、俺に見せながら御礼をした。

 

 

「さあ皆、誕生日会は始まったばかりですよ」

「お、お菓子やケーキも……買ってきてあります……!」

「クッキーは今回私が作りました」

「ウソッ!?紗夜の手作り!?」

「皆で食べよ〜!」

 

 

メンバーのプレゼントを貰って楽しそうに笑うリサ。そしてケーキを囲うようにして食事をするメンバーと俺とリサ……楽しいゲームをしたりとリサの誕生日会は成功に終わった。

 

「リサ」

「何、神楽?」

「家に帰る前に……行きたい所があるんだ」

 

メンバーと別れて友希那と別れた後……2人きりとなった俺とリサは、とある場所へ移動した。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

俺とリサが訪れた場所……それはあの思い出の公園だった。公園に着くなりリサを公園のベンチに腰掛けさせ、近くの自販機で飲み物を買って戻ってきた。

 

 

「午後ティーだけど、大丈夫だった?」

「全然大丈夫だよ♪それにしても……懐かしいなぁ。子供の頃、良くアタシと神楽、友希那の3人で遊んだよね♪コクコク……美味し♡」

「そうだな……そして、此処でリサに告白されて……付き合い始めた場所」

「神楽……」

「…………」

 

 

会話が途切れ、暫くの沈黙がこの場を支配した……そろそろ頃合だと思った俺はとある覚悟を決め、リサを見つめた。

 

 

「リサ、改めて……誕生日おめでとう」

「ど、どうしたの〜急にかしこまっちゃって〜♪それは誕生日会でいっぱい聞いたよ〜?」

「確かにな……でも、俺としては改めて2人きりになれる空間で言おうと思ってた」

「ちょ、本当にどうしたの神楽〜?らしくないな〜熱でもある?」

 

 

そう言ってリサは俺のデコに手を当てた。そしてその手を俺は優しく両手で握った。

 

 

「か、かか神楽!?///」

「リサ……俺がこの公園で2人きりになりたかったのはお前に「おめでとう」を言う他に……理由があるんだ」

「え?」

「1回、午後ティー置いて、目……つぶって?」

「う、うん……///」

 

 

そう言ってリサは目をつぶった。そして俺はカバンから、リサに渡したかった本当(・・)のプレゼントを取り出した。

 

「まだそのまま……両手、広げて」

「……こ、こう?」

「そう、そのまま……よし、いいよ。目開けて」

 

俺に言われるがままにリサは目を開けた。

 

「!?……こ、これ……プレゼント!?でも、さっき神楽に……」

「ああ、あれもリサのために用意したプレゼントだ。だけど……真に渡したかったプレゼントは、これだ」

 

「開けてみて」とリサに言って、中身を見てくれるのを待った。

 

「これ……ネックレス……!?てかこの箱……あのブレスレットと同じ……てことは……」

「最初は隣のアクセサリーショップを物色してたんだが……ピンとくるやつがなくてな。それで例のジュエリーショップにいったら……それがあったんだ」

「凄く……綺麗……これ、カラーダイヤだよね!?実物初めて見たよ〜!」

「葉っぱの緑は『恵み』、花びらのピンクには『完全無欠の愛』『最終決定』の意味がある。あと宝石言葉に『可憐・優美』てのもある。そして赤には意味がない代わりに、宝石言葉に『永遠の命』があるんだ」

「永遠の……命……」

 

「あと一押し」と感じた俺はリサに伝えるべき想いを伝えた。

 

 

「リサ……この3つのダイヤの意味、宝石言葉のような日々を……そのネックレスの様に美しいキミと共に過ごしたいんだ」

「か、神楽……!!」

「ずっと……愛してるよ、リサ」

「〜〜〜〜ッ!!??」

 

 

リサにとって、誕生日でそこまでされた事が無かったのだろう。声にならない悲鳴を上げていた。そして……

 

 

「あ、アレ……?おかしいな……?嬉しい……嬉しい筈なの……なのに、なん……で……ポロポロ」

「嬉し涙ってやつだよ……おいで、リサ」

 

 

俺は静かに両手を広げた。直後、俺の胸元にリサの顔が埋まり……

 

 

「ウグッ……ウウッ……ウワアアアアアンッ!!神楽ぁ〜〜!!!!」

「ああ、俺は……ここに居るよ。ナデナデ」

 

 

俺の胸の中で泣きじゃくったのだ。そして、少し落ち着いて来たのか、リサは俺の胸元から離れ俺の顔を見た。

 

 

「う、ウウッ……あ、アタシ……恋愛とかになると……重くなっちゃうオンナかもしれないんだよ?そのせいで……神楽や、みんなに迷惑掛けちゃうかも……しれないんだよ?それでも……アタシを愛してるって……思ってくれるの……?」

「ああ、勿論だとも!」

「〜〜〜〜ッ///♡」

 

 

その言葉を聞いた刹那、リサは泣くのを辞め……陽は既に沈んでいるのに陽だまりの様な笑顔をみせてくれた。

 

 

「じゃぁ神楽!約束だからね♪嘘ついたら、針千本伸ばすから!」

「ああ!約束だ!」

「ゆ〜びき〜りげんまん♪」

「嘘ついたら針千本の〜ばす!」

 

 

「「切った!!」」

 

 

こうして、俺とリサの間に、新たな約束が結ばれた。

 

 

「ねえ神楽……」

「ん?」

「このネックレス……神楽に付けて欲しいな♪そして……そのままアタシの事を、シバリツケテ♡///」

「ハハ……分かったよ、じゃあじっとしていて」

 

 

最後言葉がカタコトだったのは一切気にせず、リサの首にネックレスをかけてあげた。

 

 

「うん、思った通り……すんごい似合ってる!」

「本当に?……ありがとう、神楽♪ニコッ」

 

 

神楽に御礼を述べたあと、「あっそうだ」とリサがとある事を思い付き、何故か顔を赤くしながら俺の方をみた。

 

 

「ねえ、神楽……異性へプレゼントするネックレスって、束縛の意味があるって知ってるよね?///♡」

「ああ、それが……どうかしたのか?」

「今日は……神楽に縛られて・・・・寝たいな……///♡」

 

 

……俺の彼女は、このように……偶にいやらしい事を要求する悪い娘でもある。

 

 

「分かった……ただし」

「……?///♡」

「……今夜は、寝かせないぞ」

「〜〜〜〜ッ!?///♡」

 

 

だから俺は……こうして悪ノリするのだった……。

 

 

 

 

 

〜END〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何でしたか?改めて、リサ……誕生日おめでとう!ストーリーの内容は1年前の【誕生日の日にあの娘と……】の《リサと神楽》のストーリーのリメイクです。細部の内容を変更したりしましたが、楽しんで読んで下さると幸いです。
本当は、他の作品でリサの誕生日回を執筆したかったですが……個人的にリサの誕生日回はやはりこの作品しかないと思い執筆しました。
それでは、本編にてお会いしましょう!
感想、高評価等お待ちしております!


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N EX話 年末は皆と……!?

どうも、ka-主です。
恐らくこれが今年最後の投稿になりますが……間に合うかどうか……間に合わなくても、暖かい目で彼らを見守ってくれたら幸いです。
それでは、今年最後の年末回……どうぞ!


「いや〜……やっぱりこのクッソ寒い年末は炬燵でぬくぬく過ごすにかぎるな〜……ヌクヌク」

 

 

F.W.Fも無事に終わり、Roseliaの皆とそつなく色んなライブをこなして……現在大晦日。

俺大江神楽は、早い内に家の大掃除を済ませ、年を越せる準備を整え、さて何もやることが無くなった今日は一日中炬燵の中でぐ〜たらして来年を迎えようと思っていた。

受験生……?ごめん、ナニソレイミワカンナイ。

一応皆知らないから教えるけどさ?俺は確かに面倒事は嫌いだ。だけど、自分の将来とか自分に関わる事は例え面倒くさくても妥協無しで取り組むんだ。

 

 

ピーンポーン♪

 

 

故に、受験生としての準備は、3年になった時点で……否。もっと前から少しづつ準備をしてきているため、やれ模試でいい成績を取れなかっただのやれテストを拗らせる等の失態は3年になった時点で撲滅している。

 

 

ピーンポーン♪

 

 

だから、今日この日はそんな日々の疲れを癒すための自分へのご褒美だ。

 

 

ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ピーンポーン♪ーーーーー

 

 

「んだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ッ!!!!

誰だよ!!人の憩いの一時を邪魔する傍迷惑な奴はよぉ!!」

 

 

さっきからずっと……俺の心の中での解説をしているにも関わらず連続インターホンのコールが続き、おれはとうとう痺れを切らし炬燵から出た。

そして、その傍迷惑な奴は誰なのか確認すべく、俺はモニターを確認した。そこには……

 

 

「あのさ……皆様方(・・・)は近所迷惑と言う言葉をご存知でしょうか?」

 

「あ!よ〜やく出てくれた!神楽?今暇だよね?ネ?」

 

「人の話をちゃんと聞け。てか俺は今から大掃除woーーー」

 

「今から温泉へ行くわよ、神 楽♡」

 

「だから人の話を……て、温泉?」

 

 

先程まで連続ピンポンコールをしていた傍迷惑な奴らは、有名なガールズバンドRoseliaの皆だった。

どうして皆が此処へ……?そう思ってる最中、友希那が温泉へ行こうと俺を誘ってきたのだ。

 

 

「そうです。実は先程私達5人で買い物へ行ってたのですが……」

 

「そこでやってた…福引きで…あこちゃんが特賞の温泉無料券を引き当てて……」

 

「6人じゃないと使えないから……神兄も誘おってなったんだ〜!」

 

 

なるほど、温泉か……。

そのワードを心の中で呟き、俺は今日が大晦日ということもあり、この1年……彼女達Roseliaと過ごした日々を思い返した。

 

羽丘へ編入して、編入先のクラスには幼馴染みの2人……リサと友希那。2人の再会の他、CIRCLEにて紗夜、燐子、そしてあこの3人と出会いーーーーー。

リサが昔から決意してた事として、俺に告白して、その後追って友希那。

幼馴染みの間で火花散る中……花女陣ーーーと言うのも紗夜と燐子の2人にまさかの告白。

そして、あこから他の4人達に負けない気持ちを胸に告白……。

 

一般の男女学生方がこれを聞けば、「ハーレム」だの「羨ましい」だのと言いたい放題になるだろうが……それは、約半年間彼女達と過ごしたことが無い者達が言える言葉だ。

 

何が起こったのか……?簡潔的にいえば、「ヤンデレ」、「メンヘラ」、「許嫁」、「ダーリン呼び」、「監禁」等……上げたらキリがないし、下手したらR18指定されそうな事までされたのだ、彼女達に。

 

しかし俺も、無抵抗でやられる訳にはいかず、何とかして5人の説得及び更正につとめたが……当然と言うべきか、簡単な事ではなかった。

 

5人を元に戻す為に、羽丘や花咲川を走り回り……自分の身を犠牲にしたりと、手段を選んでられない程過酷だった。

 

まぁ詳しく語るのもしんどいもので、寧ろ何やかんやで皆を元に戻せて、再び目指すべき道を1つにできて……そして、F.W.Fに出場することができた。

 

つまりーーーーーだな?

 

 

「……わかった。行こうか、温泉」

 

「「「「「おぉ〜〜〜ッ!!!!!」」」」」

 

 

何がとはもう、何も言わない。

 

皆、俺も含めて頑張った。

 

だから……それを癒す一時があっていいじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、ーー?」

 

「……?」

 

 

目的地の温泉旅行へ辿り着いて……湯で火照った顔を揃って夜風で冷ましながら、……2人きりとなった夜道、俺はとある人物に話しかけた。

 

 

「卒業まで……必ず答えをだす。だから君も……それに相応しい人になってくれ。おれも……それに相応しい人になるから」

 

「!!……コクッ!」

 

 

彼女はそう言って、俺にキスをし、帰路を離れた。

 

 

「来年も……よろしくな」

 

 

俺もそう言って……まもなく年が変わる事を確認し、家へはいっていった……。

 

 

 

 

〜END〜

 




以下がでしたか?
年……変わってしまいましたが、取り敢えず書き納めとさせていただきます。取り急ぎ仕上げたものの為、完成度が酷いですが、許して下さい(泣)
そして……あけましておめでとうございます。
新年も更に忙しくなりますが、今後ともka-主をよろしくお願い致します。
最後に、感想、高評価等宜しくお願い致します!


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