傭兵の戦場 (からす the six hands)
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世界

世界は3度目の大戦を越えた。

それにより各地の均衡は崩され、衝突が多発している。

そんな小競り合いの世界の中、エネルギー革命が起こった。

それは北欧とロシアとの国境を巡った戦闘で北欧側が研究をしていたときに偶然産まれた物質、その名は「ギレント」

大気中に多く存在する原子で電子と同格の大きさを持ち、一定数集まった真空の場所に電流を流すことで核融合もお払い箱になるほどのエネルギーを長時間生成することができるまさに魔法のエネルギーだった。

しかし、集めるのが至難の業だった。

大気中に多くあるとはいえサイズが小さいため集めにくく、未知の物質だったために誰も進んで研究しようとはしなかった。

そんななか北欧の大手電算機器メーカー「ラップランド」がこの物質を使った大型発電機の開発に成功した。

そしてそれとともにわかったことがこの物質はチタンとニッケルの合金に引かれるということだった。

 

その発電機の発明を機に世界各国はそれぞれこの物質を使ったエンジンを積んだ戦車や戦闘機を開発した。

そんな中、この圧倒的な技術発展をもたらしたラップランド社はロボットを作り始めた。

その名も「多次元型戦闘用兵器ウトガルド」

今までよりも大きなギレントエンジンを搭載した超高性能な軍事兵器として注目を浴びた。

 

しかし、このウトガルドというロボット、製造難易度が究極系に高かった。

そのために、性能は高かったものの一般部隊への配備にはつながらず、戦場の主役たりうることはなかった。

そんな状況下で、世界最大の軍事企業、「ペイロード」が一石を投じた。

量産型ウトガルド「Pigeon」の開発に成功したのだ。

 

そこからウトガルド業界は加速度的に発展を遂げ今に至る。

そして、そんな高度な戦争が行われる世界で、また新たな火種が起ころうとしていた

 

 

主要三大企業解説

 

 

 

ペイロード:軍事企業の中では最大手

世界各地に多数のシェアをもつ

ウトガルドの量産に最初に成功した企業でもある

パーツは全体的なバランスに優れ、どんな戦場にも適応できる汎用性をもつ

マスプロ形式の生産ラインの性質上全体的なパーツの値段が安いことも魅力

 

 

ブリリアンス:新興のウトガルド専門企業

今までの軍事的な用法を主軸としたことによる無骨なデザインの流れを一気に変えた企業

デザインは全体的にEN防御に優れる流線型を採用しており、大半のパーツに装飾がついているが、この装飾も無駄にならないようになっている。そのため、実用性とデザイン性の両立を図った新しいウトガルドとして人気を博している

しかし、装飾が多いことによりパーツごとの価格が高く初心者や低ランカーには手を出しにくい存在になっている

 

 

 

美國重工:現代軍事企業としては最古参の企業

主に一般兵器や都市防衛装備を主軸に作っていたがつい最近ウトガルド業界へ参入した

榴弾砲などの重火器や特殊な製法の装甲などの技術に関しては他の企業の追随を許さず、

古い企業ながらもその分野でこの企業を越えられたところは未だにない

ウトガルド生産に関しては一般兵器で培ってきたノウハウを活かし、重装甲な機体を量産している

また、戦場の主力がウトガルドとなった今立場が失われつつある一般兵器に光明を与えようと言うことで、ウトガルド生産側の立場からウトガルドの欠点を考え、そこをつける一般兵器の生産も始めた

 

 

 

 



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第一章
『AVENGER』前篇


ある日俺は家族を失った。

それは今から十数年前、小学生の頃に遡る。

 

あの頃は幸せだった。

決して裕福とは言えない家庭ではあったが毎日両親と平和で幸福な日々を過ごしていた。

しかしそんな日常はある日を境に音を立てて崩れ去った。

 

今でも忘れない、あの太陽照りつける夏の日のことを。

友と大休憩を遊んで過ごした後の三時間目、授業も聞かずぼんやりと窓の外を眺めていた。

授業終わりのチャイムが鳴る寸前の空気感になり、自分も窓から目を外して正面を向いた。

そして授業が終わるチャイムが鳴りクラスが騒々しくなる…はずだった。

だが、チャイムはならずその代わりにけたたましい音が教室に鳴り響いた

それは、時折避難訓練で聞く敵による強襲のときになるアラート音、つまるところ自分の住む所…三國所属でない機体による襲撃を受けたということだ。

そして、教室は地獄と化した。

多種多様な反応を示す同級生達、泣き叫ぶ者、廊下に逃げ出す者、先生のところに泣きつく者等々。

かくいう自分も狼狽えてただ、呆然としていた。

 

そんな地獄に静寂をもたらしたのは、先生の怒号ではなかった。窓の外から訪れた一瞬雷かと思うほどの白い光を伴った爆音だった。

それが終わったあと、アラートは止まった。

だが、窓の外には教室の地獄がぬるいものと思えるほどの地獄が広がっていた。

あちこちから立ち上る煙に崩壊した街、それはまるで歴史の教科書で見た大戦当時の街のようになっていた。

ふと、視界の端に山の麓の村から煙が上がっているのが見えた。

そこは私の生まれ育った家があるところの近くだった。

なんとなく嫌な予感がして、私は教室を飛び出した。

混迷を極める廊下の人混みをかき分けて街に出ると二階から見ていたのとは違う、細部まで見れる地獄があった。

道の端で倒れた人の手を握りながら泣いている親子に火に焼かれた人の形をした肉塊等々。

そんな悪臭と叫び声で溢れた町中を吐き気を抑えながら全速力で駆け抜ける。

たまに喉の奥から溢れ出してくる吐瀉物を飲み込みながら我が家の前に立ったとき絶望した。

私が生まれ育った家は崩れ去っていた。

さらに付近には両親のかげもない、家に潰されたのだろうか。

 

そしてフラフラしながら家に近づくと何かが頭を撫でる感触に出会った。

ハッとして見上げるとそこには細く白い手が家の瓦礫の隙間から伸びていた。

その手が母のものだとすぐにわかった。

そして私は瓦礫をどかそうとした、だがすぐにそれは無意味だとわかった。

なぜならその手は、既に肘より少し上で切れていた。

撫でられたと思ったのはただ瓦礫がずれただけだった。

それがわかった私はその場に泣き崩れた。

その後、敵機の接近によって再びアラート音が街を包んだそのとき爆音を聞いて空を仰いだ。

その音の主である自分の直上を通ったあの機体…そのボロボロの機体が自分の心の拠り所を壊したことはなんとなくわかった。

そしてそのときに私はその機体への復讐を誓った。

 

その日からというものの、私は毎日のように各企業が生産しているウトガルドの資料を闇市から仕入れては読み耽った。

だがどのカタログを漁ってもあの日見た機体は載っていなかった。

すべてのカタログを漁った私はより深い闇市…闇市の道端で耳にした『書店』の噂を頼り町中をさまよった。

その書店には世界各地の軍事関連の機密資料があるという。

だが探しても探してもその書店は見つからなかった。

 

自分の街の闇市を一日中歩き回り、さらには危険地帯と言われる街の郊外にあるゴースト街にまで出向いて探し回ったが見つからなかった。

あまりにも見つからなかったので、書店を探すことは諦め、せめてあの機体の情報を手に入れようと闇市にいる情報屋と呼ばれる男に情報を求めたが、「詳細は私にもわからない、ラップランドかはたまたブリリアンスの仕業か。まあとりあえずわかることとしては未だ市場に出回っていない機体ということ、そしてあの機体のパイロットは凄腕ってことだ。なんでも、本社から派遣された精鋭部隊を3部隊同時に相手取って殲滅したらしいからな…そんな凄腕、企業所属だったら単騎突撃なんてさせる企業はいない。まあ十中八九傭兵だろうな」

という返答だけが帰ってきた。

 

傭兵…ならばMRSに登録しているランカーの可能性が高い。

MRS所属であればデータベースに出撃記録が残っているはずなのであの日の履歴を見ればわかるはずだと踏んだ私はMRSに入社するための勉強を始めたのだった。

 



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『AVENGER』中篇

そして現在、私はあのときの決意通りにMRS本社に就職した。

MRS、日本名で傭兵管轄機構とも言われることのあるこの企業は20年前に起業し、その名の通り傭兵を管理、支援することで収入を得る新しいビジネスタイプを採用した企業だ。

行っている事業の内容は、加盟している傭兵に実力に合った依頼を提供し、紹介料として報酬の何割かを受け取るということ、そして練習用のVRアリーナの設置や加盟している傭兵の動きをAIに学習させることで、仮想空間での対戦を実現した新時代のトレーニング装置の設置など多岐にわたる。さらに加盟することによって企業の試作パーツを貰えたりなど特典が多いためほぼすべての傭兵はこの機関に属していると言っても過言ではない。

そんなMRS本社はかつての北アメリカ大陸の西部、シリコンバレーなどがあった場所に本社を置き、その地の周辺で盛んだった半導体技術を独占し本社の機械化をとてつもない速度で進めている。それ故に、人件費の大幅な削減に成功しており、収入は起業した当時よりも爆発的に増加している。しかしながら、受付や事務、警備などはさすがにAIに任せるわけにはいかないらしく、そこばかりは人を雇っているようだった。

 

さて、私はこの企業において、総務主任という役職を目標としてきた。

この主任という地位は本社データベースのセキュリティ管理などが一任される、ということから私の復讐の相手、その対象の出撃データをデータベースから漁ることができるのではないのだろうかと思ったのだ。

そのために入ってから私は毎日寝る間も惜しんで勉強して、つい先月に私は主任の地位を手に入れたのだ。

 

そして、その日からというものの私は毎日遅くまで残ってデータルームのコンピューターをハッキングして、あの年の惨劇を引き起こした依頼を探し続けた。

だが、いくら探しても見つからなかった。 

そして、今日

「お疲れさまでした〜」

後輩がそう言って退社したのを見届け、

社内の監視カメラを見て、社内に自分を除いて誰もいないことを確認してから、私は今日もデータルームへと向かっていた。

懐中電灯を片手にノートパソコンを携えながら社内をうろつくその様は傍から見ればただの不審人物だろう。

そして、データルームの目の前に立ち、鍵を開けて鉄の重たい扉を開ける。

中はブルーライトのようなもので怪しく光っており、不気味ささえも感じてしまうほどだ。

そして、ずらりと並ぶスーパーコンピュータのうちの一台にパソコンのケーブルを繋ぎ、カタカタとキーボードを入力し始めた。

そこからは単純作業だ。

依頼記録のデータファイルを開き、成功した依頼の一覧を開く、あとは上から順にポチポチとマウスを押し続けるだけだ。

ファイルのタイトルには依頼名、依頼主名、月日が書いており、ファイル内には報酬や誰が受けたか、そしてその依頼が行われた地名が載っている。

 

だが、あの惨劇が起こった土地の名前は一向に出てこなかった。

一通り見終えて「今日も収穫なしか…」とつぶやき、ファイルを閉じて電源を切ろうとしたが、連日の睡眠不足がたたってか間違えて失敗した任務の一覧を開いてしまった。

一応見てみるかと思い適当にクリックしていくと、見覚えのある地名が作戦地域のところに入っている依頼を見つけた。

その日時はあのときと一致するうえに、その日の周辺の依頼であの地名を見受けることはできなかった。

つまり、この依頼こそが私の故郷を壊し、家族を奪った元凶なのだ。だが確証はない。

「まさかな…」

そう言って一応の確認のためにと、そのデータをパソコン内部に落とし、

確認してみると完全にあの日あの時と全く同じものだった。

その依頼とは、

 

依頼主:ブリリアンス 依頼名:美國領地への威嚇攻撃

月日:7月18日木曜日(緯度135゜における時刻)

 

以来内容:美國重工による侵略行為への制裁として、美國重工領地内への威嚇攻撃。美國本社近隣都市の破壊、もしくは美國本社城下の工場の破壊またはその両方を行うこと。

敵部隊と交戦とした場合は可能な限り撃退すること。

 

依頼受領者:アレン・クライスト

作戦領域:美國重工本社周辺都市(半径20km)

前払い報酬:250000$

作戦成功報酬:5000000$

 

作戦結果:失敗

原因:依頼内容の未達成がありながらも撤退したため

 

 

といった内容だった。

「本当にこれだったのか…ついに、ついに見つけたぞ…!」

 

 

アレン・クライストという人物は社員だけが見れる傭兵リストで検索すればすぐにでてきた。

ブリリアンス専属と言っていいほどにブリリアンスの依頼を多く受ける傭兵らしい。

なんでもブリリアンスの株主でもあるとある財団の次男坊で、精神的に幼いが、ウトガルド乗りとしての適性は高く、ブリリアンス製のオーダーメイドの機体の性能も加わって手がつけられないとのこと。

あの作戦当時はまだ12歳ながらもすでに2つの作戦を遂行した天才と言われたが、年齢相応にビビりで、少しでも被弾すると撤退する臆病者という評価も散見された。

現在はブリリアンス本社に住んでいるらしい。

彼の搭乗する専用機名はNorthern Crossと書かれていた。

青くリンクになっているその機体名をクリックすると、データベースに登録されている機体の詳細情報や整備記録などが表示された。その機体こそあの日あの時に見た、今でも脳裏に染み付いている美しくも醜い白色の機体そのものであった。

とてつもない攻撃性能に機動性も両立したブリリアンスの最新型実験機で機体性能はジャイアントキリングも狙える良質な機体というのがパッと見たところの感想だ。

 

今の私の給料で買えるような機体では傷一つつけられないだろう。だが、安い機体でMRSに登録して、成り上がって優秀な機体を手に入れる時間はない。奴の戦績を見る限り、企業や傭兵、民間人からもとてつもないヘイトを買っているようなのだ。奴は今にも誰かに打ち取られるような状況に置かれているのだ。たしかに、かつて謎の第三世代機を第一世代の改良版であるPigeon.Mk.2で撃破したというガルム卿のような腕前が自分に有れば第二世代機をカスタムして撃破も可能だろうが、自分は操作説明書を読んだ程度の技量しかない。実戦経験などは皆無だ。どうしたものか、候補としては二つある。一つ目はどこかの非合法組織と契約をして格安で機体を譲渡してもらう方法、もう一つはMRSの近くにある兵器貯蔵庫に侵入し、企業の試作パーツの中から機体を作り出す方法。どちらも非現実的だ。非合法組織との契約など余程の腕を持つ傭兵でもなければ受けられない。だが世界でも有数の警備に守られている倉庫に忍び込んでさらにはそこでウトガルドを一機、バレないように組み立てねばならないのはほぼ不可能と言えるだろう。

どちらかと言えば前者のほうが可能性としては高い。幸運なことに、ここ旧アメリカ大陸西海岸側北部には傭兵部隊『メアリー・スー』の本拠地があると聞く。彼らは来るもの拒まずのスタンスという噂を聞いたことがある。運が良ければ私でも契約できるだろう。

「速戦即決だ、明日には辞めさせてもらおう。」

 

翌日、窓から指す朝日で目を覚ます。

スーツを着て昨日書いた退職届を人工革の鞄に入れて、外に出た。

いつものように荒野を走る通勤電車に乗り込み、揺られながら辞める文句を考える。私は社長の直属ということになっているために、退職届を社長に渡さなくてはいけないのだ。社長は大変優秀ながらもどこか飄々として掴みどころがない。今回の退職の話も話の途中で曖昧にされないか心配だ。

 

そんなことを考えていると電車が駅に到着した。自分が降りるこの駅はペイロード周辺を除けば北アメリカ大陸では最大で東海岸側を一本縦断するように通っている寝台電車に乗ることもできる。

駅の前にはMRSが管轄する社員バスが5分おきに到着するので通勤面のストレスは全くない。近隣の会社に向かうサラリーマンの波をかき分け、バスに乗り込む。ここから会社まではざっと20分ほどで着く。会社はここ、旧シリコンバレーの小高い山の上に位置している。

向かう途中歩道に傭兵らしき人がちらほら見受けられた。おそらくは今日も今日とて日銭を稼ぎにきた人だろう。

眺めていると、バスが速度を落とした。本社前の小さなバスターミナルに入ったようなので、降りる用意をする。人の多い車内だったが、前の方に座っていたので、容易に降りることができた。

 

降りたあとは、エントランスをくぐり、途中まで吹き抜けになっているロビーを通り、奥にある大きな社員用エレベーターに乗った。

中には誰も乗っておらず閑散としていた。普段であれば一人二人は乗っているというのに。着々と上がっていくエレベーターからは地上の様子が見て取れるがそこにもまた、誰もいない。こんな情景は私に世界に一人しかいないような感情を抱かせる。エレベーターの数字が30階を指し示して、扉を開いた。開いた扉の目の前には、また扉。だがそれはエレベーターのような無機質的なものではなく、黒樫で作られた荘厳な扉だった。コンコンと、扉をノックして「総務主任の北木です。今、お時間よろしいでしょうか。」そう訪ねた。

すぐさま、「はい、どうぞ〜」と、気の抜けた声が聞こえてきた。それを聞いて、ゆっくりと扉を開け、社長の目の前に立った。

社長室は木の茶色を基調とした落ち着いた雰囲気を纏った部屋だった。肝心の社長はと言うと、部屋の中央にある執務席に窓からさす逆光に照らされながら座っていた。

「本日は誠に勝手でございますが、私用で退職させていただきたく思い、社長に相談に参りました。」

そう言って執務机に鞄から取り出した辞表を置く。

社長は一瞬ギョッとした顔をしたが、いつもの顔に戻り、

「君は優秀だったから手放したくないんだけどなぁ。まあ、その目を見たら引き止められないよねぇ。わかった、辞めてもいいいよ。ただ退職祝いの会みたいなのはできないけど辞めるのは今日でいいかな?」

「はい。構いません。いきなりのお願い申し訳ありません。」

「いいんだって〜。退職金は明日あたりに君の通帳に振り込んでおくからね。新天地でも活躍を願ってるよ。」

社長が親指をグッと立てた。

 

社長に向けて頭を深々と下げ、踵を返して部屋を出ようとした時後ろから声をかけられる。

「最後に忠告。何かに熱中するのはいいけど、自分の命は大事にしなよ。」

「ご忠告…ありがとうございます。」そうとだけ言って部屋を後にする。

 

誰もいなくなったバスターミナルで駅行きのバスに乗り、駅で電車に乗り、家に帰った。

自分の少ない荷物をキャリーバッグに詰め、近場の銀行で預金を全ておろした。

スーツを脱ぎ、荒野の暑さにも耐えられるような私服へと着替えた。

再び駅へ行き、寝台列車のチケットを取り、ちょうど来ていた列車に乗り込んだ。

揺られることおよそ十時間、電車が終点についた。

 

降りるたとき、時刻はちょうど真夜中、一時だった。

真夜中の荒野に吹く風は寒く、夏にもかかわらず上着がなくてはいられない。

この深夜、野営するわけにもいかないので近くに町でもないか探してみることにする。この辺りは都市に住めなくなった人たちが集まっているバラック街がたくさんあると聞く、さらに、こうした駅の近くは観光客から金を巻き上げるのに最適、それ故に近場にあるはず。

 

 

そう考えていたのに歩き回ること体感30分。

かなり遠くに来たのに、未だ街の明かりすら見えない。

このままでは復讐を果たすことなくだだっ広い荒野のど真ん中で野垂れ死んでしまう。

そう思いながら、小高い丘のようなものを登った時、自身の眼前が一気に明るくなった。

そう、街があったのだ。クレーターのような窪んだ土地に作られた大きめな街で、家や店は錆びたトタンで作られているのが見て取れる。

急いで坂を駆け降り、商店街の入り口のようなところを覗き見る。

両側に居酒屋のようなものがずらりと並んでおり、一本道の途中では、ビール箱を椅子にして飲んでいる若い人もちらほら見受けられる。

中に入っていき、入り口近くにいる3人組の男性に声をかける。

「すまない。宿はどこにあるかな?」

「あぁ?あんたこの辺の人じゃねぇなぁ。身なりも綺麗だしよぉ。ま、教えてやってもいいけど俺は情報屋だ。金払ってもらうぜ。」

1人がそういったので、財布から取り出した50ドルをテーブルに置く。

「これで足りるかな?」

「ヒュー!ずいぶん羽振りがいいねぇ。ついでにこの辺のことも教えてやるよ!まず、宿はここの道をまーっすぐ行って、突き当たりを左だ。それと飯屋ならここにしとけ、酒もいいのが安く飲めるからな!あとはそうだな…あぁ、宿の対面にある電気屋には近づかねぇ方がいいぜ。ま、俺らはたまにからかいに行くけどな。」

「近寄らないほうがいい?どういうことだ?」

男は店主にビールを頼み、手に持っている瓶を呷り投げ捨ててから話し始めた。

「いやなに、化け物が襲ってくるなんてことはないが、爺が気持ち悪りぃんだ。ずっとおんなじことをブツブツブツブツと、東洋のネンブツ?でも唱えてんのかって感じでよ。なんだっけかな…確かノーカンとかノーバンみたいなやつ。」

「あれだよ、ノーザンクロス。そんくらいもわかんねぇとか馬鹿か?」

と隣にいたやつが茶化す。それに対して情報屋の男はなんだとぉ、と殴りかかって残り1人がケラケラと笑っていた。

「ノーザン…クロス、君、今そう言ったのか?」

私がそう言ったのを聞いてじゃれあいを止めた2人はこっちを向いて、

「ああ、そうだぜ?なんだ?聞いたことないか?白鳥座って意味らしいぜ。でもあの爺さん、天体観測しているような雰囲気は」

「ありがとう。これはチップだ。」

彼が話しているのを遮り、30ドルをテーブルの上に投げ捨てる。

そしてツカツカと道を歩いて行き、宿を取った。

 

翌日、目を覚ました私は顔を洗い歯を磨き、着替えて、対面にある小さなトタンの小屋を訪ねた。

「らっしゃい。」

店主が無愛想にそう言いはなつ。昨日の彼らのように煽りに来た若者と思われているのだろうか。

イメージの払拭のためにできる限り丁寧に、

「すみません。店主のあなたに要件がありまして…」

そう尋ねている間に、店主が立ち上がり、カウンターの下にあったであろうショットガンをこちらに突きつけてきた。

「てめぇ、何者だ。そんな綺麗な英語この辺じゃ話してるやつはいねぇ。徴税局のやつか?だったら帰れ!俺は払う気はねぇんだよ!」

「い、いえお待ちください。私はただ」

「ただ!なんだ!俺から金を取りに来ただけってか!?」

今にも撃たれそうな雰囲気だったのでいきなり話を切り出す。

「ノ、ノーザンクロスという名前に聞き覚えは?!」

かろうじて本題を伝えられた。

それを聞いた瞬間、店主はこちらを睨みつけていた目を緩め、ショットガンをおろし、こちらを一瞥した。

「てめぇ、何者だ。」

今度は先ほどまでの敵意はなく、ただの質問だった。

それに対しての答えはおそらく一つ。

 

「私はおそらくですが、()()()()()()、白鳥に大事なものを奪われたものです。」

 

 




退職のいい文言が思い浮かびませんでした
あと予定より短くなった。


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『AVENGER』後篇

「なるほどな。ついて来い。いいもの見せてやる。」

店主はそう言って、店の奥、暖簾の先に消えていった。

暖簾を手で抑えながら店の奥を覗くと、そこはシャッターが閉じられたガレージだった。

クレーンのついたトラックが一台あるだけの簡素なガレージ。

だが、そのガレージのシャッターはトラックが通るためには大きすぎる印象を受けた。

店主はその部屋の角、シャッターの側に立って、「おい、こっちだ。」と手招きしていた。

店主のそばに行くと、そこの床だけが他と違うことに気づいた。

周りはコンクリートなのに、そこだけ錆びた分厚い鉄板が置かれていたのだ。

「これは?」

「まあ見てろ。」

店主がそう言ってその板をフン!とどかすと、そこの下には地面がところどころ、剥き出しになっている梯子のついたコンクリートの穴が広がっていた。

「ここの下だ。落ちねぇように気をつけろよ。結構深いからな。」

そしてカンカンと音を立てながら降りていく店主に続いていく。

降りている途中で下を進んでいる彼に色々と尋ねる。

「この先になにが?」

「ついてからのお楽しみだ。」

「ご家族は?」

「あの野郎にやられた。家も丸ごとだ。仕事もクビになった。」

「元のお仕事は?」

「機械技師と建築をやってた。この穴は建築の応用で1人で掘った。」

 

しばらく無言が続く。

10m?20m?よくはわからないがそのくらいを下った時、店主が口を開く。

「ついたぞ。ゆっくり降りてこい。」

その後、数段梯子を降りた時地面に足がつく感触がある。

そしてゆっくりと梯子から手を離す。

降りて反対を向いた先には、コンクリートで補強された、裸電球が頭スレスレの位置に

吊るされている通路があった。そんなに距離はなく、少し先に錆びた鉄のドアが見える。

先に店主が入ったのか、少し開いていて、中から光が漏れ出している。

 

そこの扉を開けた時、広いコンクリートの部屋の真ん中に立って何かを眺めていた店主がこちらに向き直り、話し始めた。

「てめぇの目を見た時に確信した。こいつは俺と同じ、白鳥を堕としたいバカ野郎なんだってな。目の中に隠しきれない復讐者が顔を出してるんだ。お前はウトガルドを求めてここにきたんだろ?違うか?」

その問い対して、無言で店主の目を見つめる。

「まぁ、俺も復讐がしたいバカなんだ。そのためにこのガレージも作ったし、そのほかにも色々作った。だが、気づいた時にはもう遅かった。俺はとっくのとうに戦える体じゃなくなってることに気づかなかったんだ。だから、作った()()()をなんとかできないかと悩んでいたんだ。そんな時に、テメェが来た。なんたる僥倖だって思った。諦めた俺の復讐が叶うかもしれないってな。そこで一つ聞きたい。お前は俺の復讐のための捨て駒になってくれるか?」

この問いはおそらく、彼なりの他者への依頼、お願いなのだろう。

「もちろんです。最も、捨て駒になるつもりはありませんけどね。」

そう、軽口を叩く。

それを聞いた彼は、玉砕覚悟だっただろと呟いて手をこちらに差し出した。

「ドランだ。」

その手を握り、「北木です。」そう挨拶を交わした。

 

「さて、挨拶も済んだことだしコイツのお披露目と行こうか。」

そう言ってくいくいと親指を向けた先には布が被せられた大きな何かがあった。それは先ほど店主、ドランが眺めていたものだ。

「コイツが!この機体こそが!てめぇと俺の復讐の一矢!刮目しな!機体名はそう、復讐者(アヴェンジャー)だ!」

彼が布に手をかけ、一気にそれを引いた時、うちに隠されていた漆黒の機体が顕になった。

その機体は一眼見るだけでツギハギということがわかるものだった。配線は剥き出し、増加装甲を溶接したとわかる不自然なつなぎ目。そしてそこの中でも一際目を引いたのが、右腕だった場所に取り付けられた超大型の杭だった。機体の黒と対照的に白く塗装されたそれは、硬質金属で作られた一般的な工業用大型杭を短くして、射出装置のようなものにくっつけただけの簡易的なものだ。

 

「へっ、見た目はあれだが性能は悪かねぇぜ?この杭はレールガン方式で射出するからな、射程距離内なら亜音速まで到達する。まあ射程は50mくらいなんだけどな。」

「一つ聞きますが、この機体は何を素体としているのでしょうか…?」

「ん?ああ、あれだよ、Pigeon。近場のペイロード専用のゴミ捨て場から拾ってきたんだ。前面装甲はほとんど剥がれてたし、右手も足もなかったから、その後もそこに通ってパーツを集めたんだよ。足は重装型の輸送ロボットの逆足をくっつけてある。装甲は手当たり次第にそれっぽいの集めたからなぁ硬いところは硬いけど柔らかいところはとんでもなく柔らかい。」

「な、なるほど…」

まともな機体でないのは分かっていたが、そこまでだとは思っていなかったためについ溜息が出そうになる。

「あ、それと。カメラ映像をコックピット内に映すなんて高度なことはできてないから、自分で見て頑張ってくれ。一応簡易的なMASだけはついているから操作に関しては安心しな。」

そう言われてよく見てみるとたしかにコックピットの前部分には格子で覆われた窓がついているのがわかる。

ふざけるなと叫びたかったが、下手をすれば手に入れることすら叶わなかったはずのウトガルドだ、感情をグッと抑え我慢する。

 

「まあどれ、乗ってみろ。外で試運転だ。」

「そう言えば疑問だったのですが、この機体、どうやって上に運ぶのですか?」

「まぁそりゃ見ればわかるさ。乗って待ってな。」そう言ってドランは梯子の方へと向かって行った。

言われた通り、機体の後ろについている開いたままのコックピットに乗り込んだ。レバーをあげると、ガタガタと嫌な音を立てながらコックピットが閉まった。中は異様に狭く、操作は最初期Pigeonの特徴であるペダルレバー式のようだった。

そんなことを考えてしばらくした時、上から光が差していることに気がついた。

何事かと思い、ガラスに張り付いて上を見た時、自分が機体ごと大きく揺れた。

そう天井が開き、床だったものが動き始めたのだ。

そのままぐんぐんと上がり、先程の店の奥のガレージにつく。

目の前には少しドヤ顔気味なドランが立っていた。

 

そこから毎日ガレージの目の前に広がる荒野で操作練習を重ねた。歩行に始まり、耐衝撃訓練なども大量にやった一ヶ月ほどあとに、それは突然やってきた。

 

機体の調整のために、スクラップ場へと赴いていたドランがいきなり部屋に入ってきて、

「おい!あの野郎が見つかったぞ!」

と叫んだのだ。

「場所はここから北西、アラスカ寸前の針葉樹林で工場を破壊したとのことだ!今すぐ出るぞ!機体乗る準備しとけ!」

「あの、そのデータはどこから…」

「書店だよ書店。この辺にあんだ。」

兎にも角にも出撃とのことなので、ガレージにかけてあるパイロットスーツに着替え、機体に乗り込む。

システムオールグリーンの文字が表示されたのを確認してペダルを踏み込み、外に出る。

そして、無線越しにドランが

「おい、このヘリに懸架するからもうちょい前でろ!」

と言ってきた。

そう言われ、上を見るとそこには民間企業用の粗末な輸送用ヘリがあった。それは、手持ち無沙汰のように機体の下から懸架用ワイヤーをぶら下げていた。

そして、言われたとおりに前に出て、とまる。

「よーしいい場所だ。確かこれをこう…だったかな。」

そう言いながら機体の肩のところから、ガチャリと接続した音が鳴った。

 

「運びながらミッションブリーフィングをするぞ。」

空を飛んで少しした後、ドランからの無線が繋がる。

「目標は今崖の下にいるらしい。だから、作戦はこうだ。」

機体内部のHUDにマップが表示される。

「あの野郎が帰投準備をしている崖の真上、落差70mの崖の上から奇襲を仕掛ける。てめぇの機体にゃ俺が大枚はたいて買った対レーダー装甲がくっついてるからな、50mより内側に入らなきゃ基本的には勘づかれない。ただ、このヘリにはそういうのはついてねえから、少し離れたところでてめぇを降ろして、俺はナビしている。まぁ作戦領域までは時間があるからイメージトレーニングしておけ。」

ここで気になったことを聞いてみる。

「そういえばそのヘリはどこから仕入れてきたのですか?」

「あぁこれか?ちょっと借りさせてもらったのさ。ま、無断だが許してくれるだろ。」

「本当ですか?」

「…不安になってきたな。」

 

お互い無言のまましばらくした後、無線が開き

「そろそろ作戦領域だ。覚悟はいいか?」

「もちろんですとも。」

「決戦だ。きぃ抜くなよ。」

「ええ。」

その会話をした後肩のジョイントが離れる音が聞こえる。

そして機体は自由落下に晒された。

 

落とされた場所は針葉樹生い茂る森の中で、マップを見て前進を始める。

「おい、大丈夫か。」

「はい、落下による損傷などもありません。」

「そりゃよかった。あの野郎はこのまま真っ直ぐだ。」

そういわれるまま、木を避けながらまっすぐに進む。

 

性能が低いブースターながら最高速度は時速400キロ程度なので結構快速に思える。

そんなことを考えているうちに、目標地点が近づいてきて、森の景色がひらけた。

目の前には木が生えていない崖が広がっており、下は結構深いように思える。

そんな時ドランから無線が入った。

「この辺の下だ。多分目視できると思うが、どうだ?」

そう言われ、下側を見渡すと、少し離れた木の生えていないところに帰投用のヘリを待っているであろう純白の機体が見えた。

「…見えました。」

「よし、作戦手順は覚えているな?今から作戦開始だ。無事に帰ってこいよ。」

 

それを聞き気合を入れ、深呼吸をして、敵機の真上に行きそして前に向けてブースターを吹かせた。

ブースターと位置エネルギーで着々と加速しているのを感じながら、右手のところにあるレバーを押し込み、レールガンに電気を集中させる。そして敵機に接触する寸前、チャージ完了の文字を見て打ち込むだけ。そう思ったのに、自分の機体は哀れにも吹き飛ばされた。

一瞬何が起こったのか理解できなかった。ゴロゴロと転がる機体の中、生きているのか死んでいるのかすらわからなかった。

 

止まった時、自分の頭から血が流れているのに気づいた。

おそらくは先程吹き飛ばされた時、フロントガラスが割れたのが刺さったのだろう。

ちらっと視界に映った機体の破損状態から見るに、左腕と頭を持っていかれたようだ。

朦朧とする意識の中、ドランからの無線が聞こえるような気がするがそれを無視して、手を伸ばし、右側についているレバーを押し込む。

先程のチャージのせいなのか、オーバーヒートの警告が出ているがお構いなしにチャージする。

機体に付いているエネルギータンクからバチバチと音が鳴り、コックピットの中にも火が噴き出してきた。

 

白の機体はこちらに背を向けている。何か無線でもしているのだろうか。

そして私はチャージ完了の文字を見て、引き金を引いた。

引き金を引いた瞬間、相手はこちらを振り返ったがもはや間に合わず、右手の大杭は相手のコックピットを背面から貫いた。

 

ノイズでほぼ何も聞こえないドランの声が、落ちていく意識の中で頭の中を反響する。

「やって、やったぞ…」

そうとだけ呟いて意識を落とした。




第一章終わりです。アレンは死んだのか、北木は生きているのかは想像にお任せします。


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番外編:満員の宴会

……

今俺らはとある工作作戦が終わって撤退している最中だ。

「今日もうまく行きましたね隊長」

そう新参の兵士が無線を流してくる。

「そうだな、だが油断はするなよ。例の白い機体が来るかもしれん」

「それはありませんよ。だってやつは別の戦場で作戦中ですよ?」

それに同調するかのように他の隊員もそうだそうだと言ってきた。

「今日の打ち上げどうする?ガルム、お前この間の賭けに負けたんだからお前持ちな」

その隙間を縫うように俺よりも2つ下の隊員が言ってくる。

「チッ…忘れたと思ってたんだがな」

そんな談笑をしているさなか唐突にレーダーに反応があった。

「9時の方向…敵影です!敵機の数は…1?!データ照合結果は…例の白い機体です!」

「あぁクソッ…間が悪い。まだ主権領域を外れるのに逃げられる距離じゃ無い…」

そうこうしている間にもあの機体は我々のフルスピードを軽く超えるほどの速度で迫ってきていた。

ざっと見てあと3分もすればこちらと会敵するだろう。

 

それに対して今我々がいるブリリアンスの主権領域を脱するのに所要すると思われる時間は最短距離、最高速度で約6分…

このままでは終わる。

そう判断した私は一気に減速しブースターを使って一気に反転した。

「…?!隊長何してるんですかっ!」

こちらの異変を察した隊員が振り返ってそう聞いてきた。

「あーわりい。俺今月もう金ないんだわ、そんなわけで打ち上げの予約はお前らでやっといてくれ。あと俺の席を入れとけよ」

振り返らずにそう言い放つ。

「っ…隊長ご武運を祈ります」

「ただサボりたいだけでご武運祈られるとはな…これじゃふざけてやれねぇや」

そして、自身がいる長い一本道の谷、その道の端に見える白い機体に照準を合わせる。

 

会敵は一瞬だった。

こちらが敵を視認した瞬間眼前へと迫り手に持った大剣を振り下ろしてきた。

それを右手の斧を近接補助ブースターでむりやり合わせる。

武器と武器がぶつかり合う瞬間目の前を覆っていた白が消えた。

そしてそれを予測して右側に構えていた左手のマグナムの引き金を引くと右から鈍い命中音が聞こえてきた。

そしてすかさずブースターで急加速させた斧をよろけた白い機体に叩き込む。

対象は崩れた体勢にクリーンヒットしたために地面に強く叩きつけられた。

最後の抵抗のように左手にある大剣を力まかせにこちらに振ってくるのをマグナムで腕ごと吹き飛ばす。

そして斧で空けた装甲の隙間から少し見えるコックピットに銃口を向け引き金を引いた。

 

キャラ紹介

ガルム・アーノルド

:ペイロード工作部隊第3小隊隊長

主にウトガルドを用いた基地破壊をメインとした部隊の隊長

経験豊富で今まで上げてきた戦果は数しれず

この話の主人公

 

Pigeon Mk.Ⅱガルム専用機

:Pigeon Mk.Ⅱをカスタムしたタイプ

近接適性のみを極限まで高めた

装甲、攻撃性能、機動性どれをとっても普通のPigeon Mk.Ⅱより高い

そのかわり照準速度や射撃安定性を失っている

 

アレン・クライスト

:ブリリアンス専属の新入り傭兵

ブリリアンスの株主でもあるとある財団の次男

己を正義だと思い込むフシがあり、時々上官の命令を無視することもあるが親の権力を盾にしているので契約解除にはならない

 

Northern Cross

:真っ白なカラーリングが特徴的なアレンの専用機ともいえるほぼワンオフ機に近い機体。

圧倒的な機動性と攻撃性能で戦場を荒らす。

性能としては第4世代機に食い込むほどでベテランが使えば格上狩りも見えるほどの優秀な機体

しかしアレンはまだ若く経験が浅い上に優秀な遠距離適正を無視してかっこよさだけで武装を大剣だけにしたために機体性能的には二周りも格下なガルムの機体に負けたのだ

 

 




アレンの過去です。はい


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MRSランカー
Eランク 270位〜221位まで


全て

E:270〜171

 

D:170〜101

 

C:100〜51

 

B:50〜21

 

A:20〜1

 

 

見方

 

ランクの数字 人名(登録名):〇〇

説明文

搭乗機名:〇〇

説明文

 

 

Eランク

 

 

270位 人名:ウーディン

実直な青年。経験不足のため臆病でまともな戦いができない。

搭乗機名:ヒュプノス

PigeonをベースにライフルをPeacockの重ライフルに変えただけ。

 

 

269位 人名:ハイルディア

新規登録した傭兵。元々はペイロードの一般部隊に所属していた。

搭乗機名:ビークライ

Pigeonをベースに武装がアップグレードされている。

 

 

268位 人名:リーヴェン

若年の女性。勇敢だが実力が伴っていない。

搭乗機名:フロイライン

ガネーシャの脚部を装備したowlベースの機体。

 

 

267位 人名:エルバート

正義感の強い青年。実力は悪くないが性格故に長生きはしないだろう。

搭乗機名:クレセント

ノーマをベースとしてスタビライザーを大量につけた機体。

 

 

265位 人名:日沢楼

サラリーマンを辞めて傭兵となった。ブラック企業での経験からか恐怖心が薄い。

搭乗機名:残響

コアやヘッド部分のみをスイザワで構成し、それ以外をpeacockで構成した機体。

 

 

264位 人名:フォーベル

自意識過剰で尊大、傲岸不遜な性格の男。傭兵向きな性格である。

搭乗機名:スラップベース

peacockとカニスの複合機体。他の機体より少し耐久性が高い。

 

 

263位 人名:ジョージ・リー

能天気な青年。ヒーローを目指している。

搭乗機名:プライムブレイバー

多種多様なパーツを組み合わせて作ったヒロイックな機体。バランスはいいが装備の噛み合わせがない。

 

 

262位 人名:李煌河

厳格な雰囲気のある中年男性。プライドの高さと戦闘経験が比例していない。

搭乗機名:金龍

スイザワをそのままに龍の塗装が施された華美な機体。

 

 

261位 人名:スーリエ

陽気な青年。カレーをよく作っている。

搭乗機名:ブハ

ガネーシャをベースに腕だけをPigeonに換装している。

 

 

260位 人名:クレイブン

素性不明の青年。人と関わることを好まず、クールな印象があるが戦績は芳しくない。

搭乗機名:オルターエゴ

このランク帯では珍しくeagleをそのまま使っている。

 

 

259位 人名:ジェイコブ

慎重な青年。臆病者という評価が多い。

搭乗機名:レモラ

妨害や罠に特化したカスタムのPigeon。頭部だけowlになっている。

 

 

258位 人名:ピーター

環境のために戦う男。近年の環境破壊を止めるために傭兵になった。

搭乗機名:グリーンノート

ノーマをベースとして腕部をカニスに換装した機体。装備はレーザー武装で固められている。

 

 

257位 人名:モルデル

心優しい中年男性。家族を養うために傭兵になった。

搭乗機名:ビーク

peacockをそのまま運用している。

 

 

256位 人名:リフレイア

貞淑とした女性。落ち着いた雰囲気から人気を博している。

搭乗機名:レディクランケ

Lophostrixに増加装甲をつけた重量四脚機体を駆る。武器火力が高い。

 

 

255位 人名:ロイ・ヴェルグリウス

飄々とした男性。戦闘センスの不足を自覚しており、自嘲することが多い。

搭乗機名:ローザンヌ

peacockの脚部を装備したカニスとノーマの複合機。

 

 

254位 人名:ヴィトール

粛とした青年。規律に厳しい。イレギュラーが起こった時にパニックになる。

搭乗機名:コモン・センス

バランス良好なブリリアンス製ライフルを両手持ちにしたeagle。

 

 

253位 人名:木川誠哉

ヤンキー上がりの青年。徒手空拳で傭兵となり、才能だけでここまで来た。学が少なく短気。

搭乗機名:ゴールデンパンチ

安価な塗料で金ピカに染められたスイザワ。塗料の重量で少し機動性が落ちている。

 

 

252位 人名:リィン・クラーバ

若年の女性。新入りでありながら才覚を発揮し始めている。

搭乗機名:プラーミャ

Pigeon(シグニットカスタム)にショットガンを装備した近接機動戦機体

 

 

251位 人名:バーナービーン

元ストリートパフォーマーの男性。魅せる戦いをすることから一定のファンがいる。

搭乗機名:アルミクラウン

多種多様な武器を装備した改造型のガネーシャ。腕部に通常の腕がついている。

 

 

250位 人名:姜嬰

素性不明の女性。今まで受注したミッションを全て成功している。

搭乗機名:翡翠

瞬間火力に重きを置いたカスタムのノーマ

 

 

249位 人名:ロット・ラッゾ

元ペイロード統治領域内の資産家。しかし事業に失敗したためにあえなく傭兵になった。

搭乗機名:リーマンショック

純正のCrane。搭乗者の腕が足りず、この機体ですらこのランクである。

 

 

248位 人名:コルテス

穏やかな性格の男性。戦い自体は嫌いではないらしい。

搭乗機名:オセアーノ

鮮やかな水色の塗装が施されたノーマ。武装はデフォルト。

 

 

247位 人名:リック・オーヴェム

学者肌の男性。戦闘によって得られるデータを集めるために傭兵になった。

搭乗機名:テストチューブ

eagleをベースに独自の改造を施した機体。

 

 

246位 人名:朴晶一

気のいい男性。戦闘センスの不足を努力で補っている。

搭乗機名:オルム

中距離戦特化型のPigeon。独自カスタムにより第二世代クラスの射撃性能を得た。

 

 

245位 人名:ムサシ

美國統治領日本の武士、宮本武蔵をコードネームとするヨーロッパ地方の男性。

搭乗機名:二天一流

硬質対艦ブレードを両手持ちにしたeagle。スタビライザーが大量につけられている。

 

 

244位 人名:シャン

素性不明、眉目秀麗な男性。どこかの機関と繋がっている噂があるが真偽は不明。

搭乗機名:ナイアーラトテップ

機体コンセプト不明な異形のオリジナル機体。見る角度によって姿が変わる。

 

 

243位 人名:ルイン

幼い印象のある女性。物腰柔らかで戦闘でも支援を主軸に据えている。キ・クルとコンビを組んでいる。

搭乗機名:アボンダンス

純正のOwlに味方支援用の追加大型弾倉やスモークを搭載した前線支援機体。

 

 

242位 人名:キ・クル

姉御肌の女性。ルインとは大学時代からの親友。現在でもコンビを組んでいる。

搭乗機名:ニンフルサグ

eagleを近接機動戦用にカスタムした機体。ショットガンとサブマシンガンを用いる。

 

 

241位 人名:ラルフ

平々凡々な男性。ミッション成功率が六割と優秀な傭兵。

搭乗機名:ノーマライズ

高火力なヘビーライフルを装備したeagle。増加装甲によって耐久性が上がっている。

 

 

240位 人名:†ルシファー†

典型的な厨二病。しかし性格は堅実な努力家。美國周辺の出身

搭乗機名:アビスリーパー

黒く塗装された改良型eagle。内部性能が全体的にグレードアップされている。

 

 

239位 人名:ヘリスト

信心深い男性。救済のために傭兵となった。

搭乗機名:メサイア

高機動化したEagle。高い射撃性能を持つ。

 

 

238位 人名:マヒーナールジュナ

口数の少ない老人。博識。

搭乗機名:アートマン

ラセルタをベースに高耐久なノーマの腕とコアを装備した機体。

 

 

237位 人名:ヒルドル

神話研究の軍資金を稼ぐために傭兵になった。得意分野は北欧神話。

搭乗機名:ヴァルキューレ

ノーマを空中戦用にカスタムした機体。フラフラと空を飛びながらミサイルを降らせてくる。

 

 

236位 人名:イディ・ビキラ

真面目な青年。故郷に残した家族を養うために傭兵になった。

搭乗機名:クジティア

純正のeagleに少し増加装甲をつけた機体。カタログスペック以上の性能を発揮する。

 

 

235位 人名:ヘンドール

極限までの差別主義者の男性。特に人種差別の意識が強い。

搭乗機名:ホワイトクラン

高い瞬間火力を持つ軽量高機動カスタムのラセルタ。継戦能力に欠ける。

 

 

234位 人名:リーンニッツ

元ドイツ正式軍の少佐の男性。正義感が強く厳格な性格。

搭乗機名:レオパルド

クルップメタルの試作機。2.5世代機ほどの性能だが随所に問題点がありフルスペックを発揮しにくい。

 

 

233位 人名:ベルグソン

元フランス傭兵部隊の構成員。リーンニッツとはライバル関係。

搭乗機名:エクレール

バランスと瞬間火力を両立したノーマ。

 

 

232位 人名:アーロン

ペイロード領地内の一般家庭に生まれた男性。家族を守るために傭兵になった。

搭乗機名:ルーク

増加装甲を大量に装備したカニス。装甲に対して機動性が高いが、火力が低い。

 

 

231位 人名:佐藤ウルナ

ハーフの女性。若年でありながら実績を残している。

搭乗機名:スティレットヒール

スキップジャックに追加ブースターを装備した高機動機体。

 

 

230位 人名:ハイド

イタリア系ギャングの元構成員。ヘマして組を抜けたあと行き場がなかったために傭兵になった。

搭乗機名:ヒマンテス

近接戦を重視したOstrich。機動性が低い。

 

 

229位 人名:エルダ

他者と関わることを嫌っている女性。連携を必要としない任務を得意とする。

搭乗機名:コルベット

空中戦を前提とした高機動なeagle。

 

 

228位 人名:王志明

自信過剰な感のある男性。特定の企業に肩入れしない傭兵らしい人物。

搭乗機名:蛟龍

狙撃中心の機体。ECMやミサイルチャフ等を装備しており一方的な狙撃が可能。

 

 

227位 人名:グェン・ダン・フン

思慮深い青年。内紛から逃れて職を得るため傭兵になった。

搭乗機名:スウ・タンビン

内部性能を引き上げたeagle。

 

 

226位 人名:アンジェリカ

モデルを兼任している傭兵。ランク7位マリア・クルアレスへの対抗意識から傭兵になった。

搭乗機名:ビュティステップ

スキップジャックを改造した機体。名前通りの飛び跳ねるような機動性が特徴。

 

 

225位 人名:カラード

近年一気に頭角を表した素性不明な傭兵。素顔を見たものはいないとのこと。

搭乗機名:ストレイド

純正のeagle。しかしミッションによって様々な機体を使うので、これという機体は無い。

 

 

224位 人名:ローマン

古株のEランカー。名前の通りロマンを追求した機体構成を好む。

搭乗機名:テストA

スキップジャックにパイルバンカー、サーモナックルといった高火力近接装備で固められた変態機体。

 

 

223位 人名:ヘイル

若年の天才と言われる男性。フォーレンとタッグを組んでいる。

搭乗機名:ワンザスキャット

ラセルタに特殊な武器腕パーツを装備した機体。武器腕マシンガンとグレネードのコンビネーションは強力。

 

 

222位 人名:フォーレン

新世代の象徴と言われる男性。ヘイルとは幼なじみでタッグを組んでいる。

搭乗機名:シアンハウンド

純正のLophostrix。後方からの高火力支援を行う。

 

 

221位:ラヴァーズ

苛烈な性格の男性。ローマンとほぼ同期。

搭乗機名:ラヴァロード

スキップジャックベースの機体に腕部をラセルタにした機体。高火力な近接装備を圧倒的な機動性で用いる。



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用語解説
企業解説  ペイロードグループ


ペイロード

 

 

現行の世界において最も影響力のある大企業。旧ワシントンD.C.から五大湖までの北アメリカ北東部が統治領域であり、本社は要塞化を施したマンハッタン島、「サテライト」に建てられている。元はアメリカ的マスプロダクションを主軸に据えた航空宇宙産業関連の企業であったが、第二代目CEOであるレヴァン・ガードナーの時に第三次世界大戦が起こり、その末期に急遽軍事企業へと転向。現当主であり三代目であるフィル・ガードナーがCEOとなったことで企業として成功、その規模を急速に拡大させた。

現在は量産型ウトガルド技術のリーディングカンパニーであり、元来の高いブースター技術とマスプロ式量産体制によって量産性と性能の両立を実現している。

しかし大企業ゆえに影が多く、代表株主(通称:七賢)の過半数は己の利益しか考えない旧企業の代表で、時折ペイロードの経営方針や戦略に口を出してはペイロードの名、ガードナー家の名声を低下させる原因になっている。

また、一気に世界的な大企業となったことをよく思わない勢力も多数いるらしくペイロードの点検怠慢に見せかけた事故を引き起こしたりなどの妨害工作が年間を通して発生している現状がある。

 

 

 

 

シグニットエアライン

 

 

元々はイギリスの一大航空機メーカー。ペイロードグループに参入した後、本社をロンドンからサンベルト東部へと移した。ウトガルド技術に関しては実験的な側面が強く試行錯誤の途中、と言った印象を強く受ける。しかし老舗大手の航空機メーカーとしての意地なのかブースター関連や空力効率のいいデザインなどの速度面で他企業と比べて大きなアドバンテージがある。一般兵器、大型兵器としての航空機開発も並行して行なっており、現在世界で流通している輸送機はシグニット製が90%を占める。またペイロードの主力大型攻撃機である「Seraphim級」のパーツ生産にも多大な貢献をした。

現在はミサイル関連の開発に勤しんでおり、試験的ではあるがウトガルドの特殊装甲を無視することができるものやCIWSに引っかからない特殊ミサイルの開発に成功している。

 

 

 

 

デザートデサント

 

 

サハラ砂漠全域を活動範囲とする中堅企業。元々はサハラ砂漠の緑化運動を行なっていた非営利組織の様相を呈していたが、第三次世界大戦後にペイロードに取り込まれてからは工場をロボット生産用に作り替えて極地戦闘用の独自カスタム機を生産し始めた。事業の一環として砂漠でも安全、安定に航行できるサンドモービルを開発していたこともあり温度や粒子による故障を起こさない特殊ブースターや天候によるカメラ不調を起こしづらいヘッドパーツなど特殊環境での優位性を確保できるパーツ生産でアドバンテージを確保している。

現在の世界ではペイロード寄りではあるが独立企業的な中立の立場を保っている。

 

 



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企業解説 Europe cartel-cyndicate(Ecc)

ブリリアンス

 

 

新興のウトガルド専門企業。代表の手腕により開業からわずか一年足らずで世界の主力ウトガルド企業まで名をあげた異例と言わざるを得ない企業。

流線型が多い機体はEN関連に対して高い耐性を持つ。量産性だけならばペイロードに劣るが、ワンオフ機の製造に関してはより先進的。

ウトガルドの登場により没落したハイテク系企業のヴァイスデヴォールを母体としたことや、ラップランドによる手厚い技術、資金援助を受けたことによりレーザー兵器やFCS、その他ソフトウェア関連に対して専門性を発揮している。

代表者はキャロル・アーティア。かつてマンハッタンにあった老舗アパレルブランドのデザインリーダー兼CEOだった人物。しかし、ペイロードの経営戦略により会社が接収されたことで路頭に迷うことになった。

そこから数週間後にかつての同僚や同業者を持ち前のカリスマを以ってまとめ上げ、旧フランス、パリへと移り、そこでブリリアンスを立ち上げた。

立ち上げ当初は大した規模ではなかったがキャロル・アーティアが当時フランスの統一企業であったものの最早支配力を失ったヴァイスデヴォールに目をつけ、その弁舌をもってブリリアンスに統合することに成功した。

そこからというものの企業は加速度的に巨大化していき現在に至るようになった。

本社はエッフェル塔を囲うように建てられている連立式高層ビル。デザイン性や景観を重視したために要塞機能は一切ついていない。

現在は実質的なヨーロッパの支配者、代表としての地位を得たが三大企業のほか2つと比べるといまいち発言力にかける印象を受ける。

その代わりに全くの新しいウトガルドの形を提唱したことによって新規流入してきた顧客の大半を抱えているという明確なアドバンテージを得ることに成功している。

さらに専属的な傭兵や私兵の数(ウトガルドのみ)だけならば世界で最も多い企業になった。

と、このようにウトガルド技術全般ではほか企業よりも一歩先を進んでいる印象を受けるが、企業としての政治力が著しく弱いという欠点を抱えている。

後継者が決まっていないこと、軍事企業という名の統治企業のステージでは経験という面ではるかに離されていること、新興ゆえのパイプの少なさなどいつ瓦解するかわからない不安定な状態に置かれている。

急成長した代償は大きい。

 

 

 

ローゼンヴェルナー

 

 

旧ドイツの軍事企業であるクルップメタルの後釜として作られた新興企業。職人的な精巧さで作られる重厚な機体は値段こそ高いもののどんな戦局にでも適応可能。

ブリリアンスとは対等な関係を築いており、ブリリアンスからはEN技術やFCS関連技術を、ローゼンヴェルナーからは新装甲技術やブースター関連技術をお互いに共有しあっている。

一応はEccのメンバーであるものの世界各地の独立企業や美國とも技術的な協力関係にある。この手広さこそローゼンヴェルナーの強みとも言えるかもしれない。

また、新興といえどもクルップメタルと内部機構がほぼ変わらないために世界中の資産家たちからの信頼も厚く、企業規模以上の投資を受けている。

このことから世界の主力企業の四企業目の候補とも言われる。

 

 

 

 

ラップランド

 

 

北欧を拠点とする老舗電算機器メーカー。2300年代の初頭から創業しており、かれこれ100年近く生き残っている。

史上最初のギレント粒子の発見者、そしてウトガルドの創始者でもある。

閉鎖的な企業体制によって本社の所在地から製造ライン、どの程度の戦力を保持しているのかまですべてが不明。

この企業製の市場に出回っている機体一式は最初に作った『スルト』のみで、そこからしか企業内部は伺えない。

この企業はFCS系のソフトウェアやエンジン系に高い専門性を発揮し、小型、高性能なものが多い。

さらにギレント粒子系の特殊兵装の開発も行なっており、MRSの上位ランカーに試験兵装としてよく貸与されている。

Eccの一員ではあるがその立ち居振る舞いは独立企業的な感が強い。

 

 



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企業解説 美國重工 その他東アジア経済圏企業

美國重工

 

 

第三次世界大戦以前より存在する大企業。元は国営の軍事企業であったが代表が国家へ反旗を翻したことで独立した企業となった。またそれによって日本の国家解体は完了した。

本社は紀伊山脈を覆うようにして作られた要塞の中心部にある。要塞はとてつもない強度に加え、20m口径の防衛砲をはじめとした無数の大口径防衛火器に守られている。それゆえに、どんな兵器であろうとも破壊するに足り得ない、とまで言われる。

ウトガルド開発に関しては他の大企業からは二歩ほど遅れをとっているが特殊な装甲技術からなる重装機は世界でも類を見ないため、そこの一点で三大企業の地位を守っている。

一般兵器の生産も盛んに行なっており、攻撃性能や耐久性だけ見ればウトガルドに匹敵するものも少なくなく安価高性能を心情とした通常兵器は武装組織の戦力や独立都市の防衛要員としてウトガルドが主流になった今でもニーズが高い。本社にはウトガルドを撃破しうる特殊な通常兵器部隊も存在する。

東アジアの支配権はこの企業が全て掌握しており、経済圏としての規模だけならば世界最大になる。

代表は美國隆久。天才的な手腕を持って前代で一気に低迷した美國を復興させた人物。典型的な大艦巨砲主義信者であり、その思想は今代の美國の製品に如実に表れている。

 

 

 

 

龍景

 

第三次世界大戦で敗れた中国の主力軍事企業でもあった中国本土南東部を中心とする企業。

各地の国家解体が起こり始めた直後に国家解体を終了させ、一時期は中国周辺から東南アジアにかけて覇権を握っていた。しかし、美國重工が大規模な侵略作戦を敢行した際に一瞬のうちに飲み込まれた。

今では美國重工のための資材発掘や各種パーツ生産を主軸に行なっている。

ウトガルド技術などはかなり貧弱で、総合的な技術力で見ても第三次世界大戦直後ほどしかない斜陽企業と化している。

独自生産のウトガルドパーツは量産型ウトガルド最初期に試験的に製造した「海燕一号」のみ。

性能的にはPigeonの劣化版と言ったところで、量産性だけはそこそこではあったがそれ以上に各種パーツの雑さが目立ったために量産に漕ぎ着けることはできなかった。

 

 

 

 

ブルネイ独立統治政府

 

東南アジア一帯を占領する美國の完全下請け企業。政府という名であるのは国家解体足り得る企業がこの地になかったために国家解体ができなかったためである。

無主の地となったことで内紛や混迷が絶えず、迂闊に侵略できなかった美國が活動のための楔としてすでに支配力を失ったブルネイの政府へと接近し、各種援助を行なって独立を支援した。名義上独立してはいるが、その実態は美國の完全なる傀儡であり各種資源の採掘基地にしかなっていない。

また、統治のための政府として出来上がったはいいものの、上層部の腐敗や諸々の理由によって統治力が消滅し、美國の管轄下以外では内戦が絶えない。

ウトガルドはおろか各種兵器の製造技術が貧弱でまともな製造工場は存在しない。



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企業解説 独立企業 前編

MRS(Mercenary Ruling System)

 

 

日本名は傭兵統括機構。世界最大の傭兵集団でありその規模はただの組合の枠を越え、一企業として扱われる。株式企業であり筆頭株主はペイロード。その名の通り傭兵の管理を行っている。

本社は北アメリカ南西部、旧シリコンバレーのあった場所に構えている。ここは急激な砂漠化が進行したためにペイロードが見放した土地で、ここの開拓をMRSは行った。その甲斐あって現在はペイロード本社周辺サテライトに匹敵する規模の大都市となった。

世界各地に支社を持っており依頼の斡旋をはじめとした各種傭兵支援事業を行なっている。

代表者はロイマン・フライネス。底の読めない飄々とした男で、私生活は完全に謎に包まれている。だがその政治的手腕は本物で、傭兵支援機関という形を取らず傭兵を統合した軍事企業として統治を始めれば一瞬のうちに北アメリカの利権を取りきることすら可能と噂されるほど。MRSに類する傭兵支援の企業は第三次世界大戦以降無数に現れたがそのどれもが創業してすぐに同業者争いや資金不足、傭兵の離反によって消えていることからも彼の優秀さが窺えるだろう。

しかし、どれだけ代表が優秀でもこの企業は株式で運営されている。ペイロードが資金の八割を担当している以上ペイロードの傀儡なのだ。

 

 

 

アルバヒスサイエンスグループ(通称アルバヒスSG)

 

 

アラビア半島周辺の広範囲を統治する特殊研究機関。現在世界で最高の技術力、知識量を持つとまで言われる。だがラップランドに匹敵するほどの閉鎖体質故に市場に情報が流れることはほとんどなく、何もかもが噂話の域を出ない。

本社は旧エジプト中心域。砂嵐に隠された旧市街の中心にひっそりと聳え立つ大型研究施設。そこではギレント粒子に始まる他分野にわたる技術的探求が日夜を問わずに行われている。

統治企業、という体を取ってはいるがその構成員全てが研究にしか興味がないため実質的な支配は行われておらず、この周辺地域の治安は世界でもトップクラスに悪いと言われる。だが流石に資源がなくなるのは困るらしく他企業が侵入してきた際には武装化した都市による高火力迎撃が行われる。さらにかつての地球規模の砂漠化によってアラビア周辺は砂嵐に常に覆われており、目視は言わずもがなレーダー系統もまともに機能せず衛星も使い物にならなくなるという侵略者にとって最悪な立地にある。

代表者は不明。兵器開発は行っているようだがウトガルドに関しては全くの未知数。デザートデサントと繋がりがあると言う噂があるのでおそらく作られているだろうというのが国際世論。

隠された技術力が解き放たれれば一気に世界第四の主力企業となるだろうと噂されている。

 

 

 

アセナアナドール

 

 

アナトリア半島を中心とした中堅企業で勢力域は狭い。本社は城塞都市アナドール(旧アンカラ)。この地の武装勢力を土壌として成立した企業だが元の武装勢力が大規模だったために成立後も企業として他企業に潰されることなく生き残っている。現行の企業支配体制に対して疑問を抱いており、第三次世界大戦以前の国家支配による平穏の復興という崇高な目的を掲げているが企業としての規模も小さく大々的な行動には至れていない。最初の目標はペイロード。世界で最も影響力のある企業な上に多数の企業からのヘイトを買っているために色々な企業からの賛同を得やすいのだろう。それがなされるまでは真の目的は秘して他の企業に擦り寄っている。

代表者はケマル。この名前は偽名でありかつてのトルコの父の名でもある。革命のために武装勢力を立ち上げ、民草を率いた時に改名した。元の名前は今や知る人はいない。

ペイロードグループを除いたほとんど全ての企業とつながりを持っており他種企業の技術を高速で吸収し、さらに武装勢力時代からいる天才技術者の手腕によって最強クラスの機体の設計がなされているという。

肝心のペイロードは恐るるに足らず、とたかを括っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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企業解説 独立企業 後編

トゥアイエ機関

 

 

一切の詳細が不明な企業。本社位置も不明、戦力も不明。わかっていることはこの企業専属の傭兵を多数抱えていることのみである。MRSに登録されている傭兵は六名。最高でCランカーまでであるがその全員がランク以上の性能を発揮している。機体はどれもこれも奇怪な見た目をしておりあくまでも実験機のようだ。噂話すら流れることのない完全閉鎖企業というのは世界の命運を変えうる要因になりうるかも知れないと近年急速に注目が集まっている。

 

 

 

アウシュニャギャーン

 

 

インドの旧デリーからゴア旧市街までを中心としたハイテク系企業。記録的にはブリリアンス以降に成立した新興企業だが、その実態は第三次対戦後に地域で多数成立した小規模企業の集合体である。そのため企業としての練度は三大企業と同等かそれ以上と言える。技術はエネルギー系に傾倒しており装甲などはローゼンヴェルナーに頼りきりである。一応は独立企業の体を保っているがブリリアンスの対西南部アジア圏侵略政策の対象になったことで現在はブリリアンスの完全子会社に成り下がっている。大型兵器を多数開発しており、主要な兵装としては対地レーザー衛星トリシューラを射出するための超大型空母パールバティー、固定式レーザー砲台ガンガーダラ、移動式陸上要塞アイラーヴァタなどが挙げられる。ウトガルドに関してはガネーシャとナーガラージャの二機のみが主流な量産型でそれ以外は作製されていない。代表者は先述の通り多数企業の集合体故に存在しない。そのため政治的な歴史で言えば三代企業に匹敵するが、三代企業には任命されていない。この企業が完全にブリリアンスに合併された時には世界のパワーバランスが一気に崩れ去ると噂されている。

 

 

 

モスクワ・ソヴィエト

 

 

世界で唯一、自治権を持ちながらも企業支配が行われていない領域にある国家。第三次世界大戦の終了後、領土の八割近くを条約によって割譲されたロシア内部において大規模な反乱が起こり、その反乱後に反乱の首領たちによって建てられた市民議会によって運営されている。兵器戦力などは貧弱の一言に尽き、ギレント技術は一切発展しておらず兵器類などは第三次世界大戦当時とほぼ変わっていない。さらに元々渇き切っていた土地しかなかった領土が、モスクワ周辺しか無くなったために年中とてつもない食糧不足に陥っている。この国家が今現在でもそのまま残っている理由とは欧州支配を行なっているブリリアンスに見向きもされていないからである。数機のウトガルドで壊滅する他との繋がりもない弱小な国家など敢えて手に入れる必要もないからだろう。この先、この国家が発展することがあればその時は世界に一波乱起こることだろう。



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大型兵器

随時増える


ペイロード

 

・Seraphim級大型飛行要塞

 

全長600m

全高450m

全幅2700m

 

武装 

主兵装

9インチ対空地三連装砲 12基 Erie

7連対地クラスター爆弾 4基 McKinley

大陸間弾道ミサイル 2基 St Elias

水平投射式分裂ミサイル 2基 Foraker

 

 

副兵装

1.58インチガトリング 38基 Itasca

5.23インチ対空レーザーキャノン 12基 Sulfur

多用5連装ミサイル 18基 Blackburn

0.787インチ多目的チェーンガン 52基 Webster2

 

積載数

ウトガルド20機

 

駆動方式

ギレント粒子衝突式ジェットエンジン 24基

 

最大航行時間

六週間

 

機体構成

二段接続型全翼機

 

各種防御機構

主翼装甲:340mm

機関部:790mm

連結部:250mm

中枢・居住部:470mm

資材部:主翼+200mm

二層分裂型ギレント粒子分散フィールド

 

着陸可能箇所

サテライト郊外ペイロード軍部特殊整備工廠

サハラ砂漠中央部超長距離滑走路

ユーラシア北部凍土ペイロード管理区 ※夏場のみ

太平洋北西部ペイロード海上整備基地

 

同型機

一番機:Seraphim

二番機:

三番機:Apostle

四番機:

 

 

 

・Adam級三胴型戦艦

 

全長:1200m

全高:270m

全幅:240m

 

武装

主兵装

12インチ連装擬似両用砲 8基 St Clair

高衝撃垂直ミサイル 6基 Sanford

 

副兵装

SAM 27基 Lituya

0.785インチ対空連装機関砲 44基 TwinWebster

6インチ両用単装砲 36基 Farm

 

積載数

ヘリ8機

戦闘機5機

 

駆動方式

ギレント発電型ターボエレクトリック方式スクリュー 4基

 

船体構成

主艦部 一機

舷側部 二機

 

各種防御機構

主艦部

舷側装甲 350mm+50mm+270mm

甲板装甲 190mm+230mm

主砲塔装甲 780mm+130mm+240mm

司令塔 580mm

 

舷側部

舷側装甲 270mm+180mm

甲板装甲 220mm+150mm

主砲塔装甲 560mm+250mm

 

航路

太平洋アカプルコ、ハワイ間ペイロード航路

大西洋マサチューセッツ、ホーン岬間ペイロード航路

その他各領海内部

 

同型艦

一番艦:Adam

二番艦:Eve

 

 

 

 

 

アウシュニャギャーン

 

・超大型空母パールヴァティー

 

全長:2000m

全高:350m

全幅:600m

 

武装

主兵装(艦載機)

航空機 240機

ウトガルド 50機

対地レーザー衛星 3機

 

副兵装

152mm単装砲 72基 Haryana

 

駆動方式

ギレント発電型ターボエレクトリック方式スクリュー 2基

 

各種防御機構

舷側装甲:270mm+180mm+350mm

甲板装甲:20mm+330mm+50mm+270mm

甲板接続部:450mm+20mm+270mm

格納庫:305mm

司令塔:500mm

 

航路

インド東岸〜太平洋ポイントネモ

 

 

 

・資源基地兼任型移動要塞アイラーヴァタ

 

全長:7000m

全高:750m

全幅:3200m

 

武装

主兵装

13.6mレーザー砲 2基 Indra

272mm三連装砲 26基 Manipur

133mm近接防衛レーザー 58基 Yama

32連装ミサイルポッド 80基 Kaveri

 

副兵装

43mm近接防衛対空砲 130基 Bihar

23.5mm対地重機関銃 120基 Jharkhand

 

搭載機

ウトガルド 50機

戦闘機 120機

 

駆動方式

ギレントエンジン直結型アクチュエーター多連式脚部 4基

 

各種防衛機構

脚部装甲:全面13347mm

胴体部装甲:側面20396mm

      底面9673mm

      上面7053mm

 

 

 

・半移動式拠点防衛用レーザー砲台マハーデーヴァ

 

全長:1400m

全幅:260m

全高:170m

 

武装

主兵装

18.9mレーザー砲 1基 Mahadeva

 

副兵装

43mmAAMC 18基 A.Bihar

133mm高精度レールガン 4基 Yama2

7連SAM 6基 Yamuna

 

装甲

駆動部:576mm

弾薬庫:1204mm

 

駆動方式

旧世代型核融合反応式エンジン

 

 

 

・大型航空機マルドゥク

 

全長:443.9m

全幅:437.3m

全高:70.1m

 

武装

主兵装

47mm機関砲 12基

大型AAM 4基

 



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