ホロライブラバーズ トロフィー「夢覚めぬ者」獲得RTA (うろ底のトースター)
しおりを挟む

設定集

90%ブラボ。


【世界観】

 

基本的な世界観は一般のホロラバ同様、現世、魔界、天界など複数の世界で構成されている。

 

ただし、『ヤーナム』という土地があり、獣狩りが行われていた。要はBloodborneクリア後の世界。

 

詳しくは【Bloodborne】で解説。

 

 

叶不(かなわず) 玲香】

 

本作主人公。艶やかな銀髪と、人形のような無機質な美しさが際立つ少女。(モチーフは人形ちゃん)

 

両親は不明。物心ついた頃から感情が希薄で、唯一不快感だけは人並みに存在している。そのせいで、育った孤児院では子供からも大人からも気味悪がられていた。

 

ホロライブ学園入学前に、『狩人の夢』を見てしまい、獣狩りに身を投じることになる。

 

非力な上、頑強でも耐久力が優れているわけでもないがとんでもなく器用で、特技は相手の攻撃を弾き、内臓を引きずり出すこと。

 

 

『彼女は快楽を知り、血に酔った。

       古き良き、殺戮の狩人だ。』

 

 

【魔族】

 

ここで言う魔族は2種類。

人類に友好的な『一般魔族』と、敵対的な『敵対魔族』。

 

前者は現世に降りて暮らしてきたり、あるいは現世と積極的な交易を行っていたりする。

 

後者は破壊と凌辱を好むために現世転覆を企んでいる、『一般魔族』も含めた全種族の敵である。

 

 

【Bloodborne】

 

今作の根幹に宿る作品。

 

あらゆる病の特効薬『青ざめた血』を求め、墓暴きの古都『ヤーナム』を訪れた主人公が、獣や狩人、上位者の狩りに挑み、『悪夢の目覚め』を求める物語。

 

フロムゲーの名に恥じない難しさと、狂気を孕んだ美しさ、多くは語らず、プレイヤーの考察を促すそのスタンスの変わらなさは未だ多くのファンを魅了し続けている。

 

『獣狩りについて』

 

人々を蝕み、人喰いの化け物へと変える『獣の病』。その罹患者達を狩り殺す行為を言う。『獣の病』の原因は、未だ誰にも分からない。だが、上位者(かみ)の墓を暴いた者には相応の呪いだろう。

 

『上位者について』

 

宇宙より降臨した超越者。神と呼ぶには歪な容姿だが、人の理を超えているならば、それは崇められて然るべきだ。しかし、彼らは外様の狩人によって狩られた。

 

『狩人の夢について』

 

全ての狩人が1度は見た夢。獣狩りに赴く狩人を、助言を与える老人と、血を以て力を与える見目麗しい人形が出迎える。されどそれは、悪夢の入口であり、廻る悪夢の1つである。

 

『悪夢について』

 

現実の上塗り。訪れた人を閉じ込める、『青ざめた血』の罠。繰り返される惨劇の檻。あるいは別世界の狩人を招く昏い箱庭。

 

『血の歓びについて』

 

狩りは、全てを一緒くたにするには余りに多くの意味を持つ。ある者には、弔い。ある者には、医療行為。

 

そしてある者には、己を満たす自慰行為。

 

かつての狩人の多くは、血に酔い、果てなき獣狩りを求めて深い悪夢に降りていった。




ホロラバ作者陣と視聴者に、大型コラボについてのご連絡があります。

詳しくは活動報告の方に。


赤頭巾さん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクリから入学まで

人魔の狭間も越えてないのに新小説出しちゃったよ。しかも死にゲー繋がりでRTA風小説ときたもんだ。

作者はバカかぁ?



敵対魔族の腸をぶち抜くRTA、始まるよー。

 

今回やっていくのは『ホロライブラバーズ』ですね。

 

ライバーの通う学園『ホロライブ学園』を舞台としたゲームで、ホロライバーとの恋愛や、コアゲーマーを唸らせるアクション要素、ハンカチ必須のヒューマンドラマと、各分野からいいとこ取りしたような素晴らしいゲームです。

 

みんなも買おう!(ダイマ)

 

 

さて、トロフィーの説明に入りましょう。

トロフィー『夢覚めぬ者』は、フロムの某死にゲーをリスペクトして作られたDLCで追加され、獲得条件がトップレベルで複雑です。

 

簡単に説明すると、

 

特定の武器を獲得

校内バトルロワイヤル三連勝

ラスボス討伐

 

となります。

 

「何が複雑やねん!」と思った画面の外の君ぃ!

 

特定の武器の獲得が大変なんですねぇ。

 

その数、なんと26個!

狩人が持つべき装備が揃い踏みです!

 

これは失踪不可避!

 

それでは、キャラクリをやっていきましょうか。

 

種族は人間です。狩人だし当たり前だよなぁ。

 

因みに特定の敵対魔族の血を大量に浴びて討伐し、あるアイテムを3つ集めて握り潰すと上位者になれ、2週目以降の種族選択で『上位者』が選べるようになります。

 

閑話休題(それはおいといて)

 

性別は女です。男にすると恋愛フェーズで無駄な時間を過ごしてしまうからですね。

 

百合はない(断言)。

 

名前は速度を考慮して『叶不玲香(かなわずれいか)』、名前と苗字を逆にして略せばレズちゃんです。

 

初期値は、パリィとモツ抜きダメを向上させるために器用に極振りします。

 

(防振りじゃ)ないです。

 

次に基礎スキルガチャをやっていきましょう!

 

今回欲しいのは足らない防御力を補う『天性の肉体』か『頑健』、そして追加された新しいスキルですね。

 

じゃ、回しマース!

 

 

〘天性の肉体〙〘極悪非道〙〘器用貧乏〙

 

 

や っ た ぜ  ! !

 

目的のスキルが上手く出てくれました。

 

DLC追加スキルの〘極悪非道〙は、敵の背後からの攻撃を強化でき、しかも格下の敵に『尋問』を行えるようになります。

 

加えて恒常スキルの〘器用貧乏〙は、器用以外を強化する際必要なポイントが二倍になる代わりに、器用値を三倍にするというもの。

 

これがあるとないとでは火力が違います。

モツ抜いてやるよほら!

 

最後に同学年のホロメンを選びます。まぁ、3期生一択ですが。理由は後々。

 

それではゲームスタートです!

イクゾー!デッデッデデデッカーン!

 

 

はい、親の顔より見たクソ長OPですね。

他兄貴のところで見飽きてるんだよ!という方もいるのではないでしょうか?

 

では、み な さ ま の た め に 〜

 

ホロライブ学園に入学するまでの動きを解説します。

 

基本は鍛錬になりますが、

その前にDLC武器の1つ、『仕込み杖』を獲得します。

 

「『ノコギリ鉈』じゃねぇのかよ!」と思った人は近接戦闘で団長に勝ってから言ってくださいね。

 

そうこうしてるうちにOPが終わりましたね。

 

 

──「・・・朝か」

  目が覚めた。さっさと起きて朝食を食べに行こ

  う。

 

 

さて、始まりましたが、これは?

 

 

──いつも通り、栄養剤を食べる。

 

 

ちょ!まずいですよ!

 

レズちゃんの部屋に生活感が無さすぎます!加えて栄養剤を食べてらっしゃる!

 

所謂『空っぽ』状態ですね。

 

こうなると、ホロメンに心配されるという好感度イベントが発生する可能性が高くなります。

 

好感度関係のトロフィーを目指すなら非常にうま味な上、少しずつ人間味を得ていく主人公が見れるという一石二鳥な状態なのですが、今回は関係ないのでまず味です。

 

でも基礎スキルが良すぎるため再走はしません。

 

 

──さて、どうしようか。

 

  ・商店街に行く

  ・鍛錬する

  ・勉強をする

 

 

ここは『仕込み杖』を獲得するため商店街に行きます。と言っても、商店街で『仕込み杖』が買えるわけではなく、必要なアイテムを購入するためですね。

 

 

【商店街】

 

──商店街に着いた。何処へ行こう。

 

  ・肉屋へ行く

  ・魚屋へ行く

  ・八百屋へ行く

  ・闇市へ行く

 

 

ここも迷わず闇市ですね。当チャートでは、食材を購入する必要はないので、肉屋などが活躍することはないです。

 

 

──闇市に着いた。何を買おうか。

 

  ・[狩人]のお香

  ・[火薬]のお香

  ・[純潔]のお香

 

 

おおう、こうなりますか。

まず、『仕込み杖』獲得に必要なアイテムは、

『[狩人]のお香』です。

が、今後特定の武器を獲得するためには、

『[火薬]のお香』が要るんですよ。

後々のイベントを考えると、余りお金は使いたくないんですけど・・・。

いいや買っちまえ!(チャート無視)

 

では家に帰って夜まで鍛錬しましょう。

 

 

【自宅】

 

──夜だ。そろそろ寝よう。何を焚こうか。

 

  ・[狩人]のお香

  ・[火薬]のお香

 

 

ここで『[狩人]のお香』を焚きましょう。

 

 

──[狩人]のお香を使った。

 

 

【???】

 

 

──気付けば、見知らぬ家の前にいた。

  ここは一体・・・。

 

  「・・・あぁ、君か」

 

──車椅子に座った老人が家から出てくる。

  「どなたですか?」

 

  「この老耄のことなどどうでもいいだろう。

   それよりも、君は空っぽのようだね。」

 

──見透かされたような口振りに腹が立った。

 

  「あぁいや、気分を害してしまったったか。

   これは申し訳ない。しかし、君が空っぽ

   なのは本当だろう?」

 

──確かに、私の心は空っぽだ。

 

  「君は幸運だ。まさにヤーナムの血の医療

   だけが、君を導くだろう」

 

──血の、医療・・・?

 

  「心配はいらない、君は使者達から武器を

   授かればいいのだ」

 

──足元に、骸骨のような小さなナニカが、

  集まってくる。どうやら老人の言う武器を

  渡してくれるようだ。

 

  右手武器

 

  ・ノコギリ鉈

  ・獣狩りの斧

  ・仕込み杖

 

 

はい、選択画面が来ました。もちろん『仕込み杖』を選びます。

 

 

──仕込み杖を手に入れました。

 

  左手武器

 

  ・獣狩りの短銃

  ・獣狩りの散弾銃

 

 

こちらはどちらでも構いませんが、パリィのしやすさを優先して短銃の方を選択します。

 

 

──獣狩りの短銃を手に入れました。

 

  「さぁ、夢から覚める時間だ。では、

   良い目覚めを・・・。」

 

 

──目が覚めた。妙な夢を見た気がする。

  ・・・部屋に、夢で見た銃と杖があった。

  どうやらただの夢でないようだ。

 

 

──さて、何をしようか。

 

 

ここからの選択肢は入学当日まで変わらないので、全て鍛錬に費やします。

 

 

──今日も鍛錬を熟す。

  動きが身に付いてくる・・・。

 

  [当身]を習得しました。

 

 

や っ た ぜ ! !

 

今回習得した当身は、文字通り相手の背後に回って気絶させるというものです。

要は、某奇妙な冒険の何とか院さんのあれです。

 

バトルロワイヤルでモツ抜きなんてしたらダメなんでね、こいつが必要なんです。

 

後は早送りでいいでしょう。

 

 

──今日は入学式か。さっさと準備して行こう。

 

  [ホロライブ学園の制服]を獲得しました。

 

 

さて、またもや飛ばせないムービーが入ったので、

 

 

み な さ ま の た め に 〜

 

序盤のバトルロワイヤルの戦い方を説明いたします。まず、モブ相手の戦い方ですが、基本杖状態の『仕込み杖』で殴って気絶させていきます。

 

るしあやマリンも同様ですね。

 

で、残りの3期生はどうするかと言うと、パリィからの当身で気絶させます。

だから当身を習得したんですね(メガトン構文)

 

ただ、団長だけは簡単にパリィさせてはくれません。

 

団長の攻撃はほとんどがパリィ不可の[重打]属性を持ち合わせています。

なので、仕込み杖で団長のリーチ外からちまちま削って、パリィできる攻撃が来たら当身という流れになります。

 

 

──これから、私の学園生活が始まる。

 

 

そうこうしてるうちにムービーが終わりましたねぇ。

 

では、本日はここまで。

 

ご視聴、ありがとうございました!




時計塔のマリア様に勝てないので失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

バトルロワイヤル

レズちゃんの見た目は人形ちゃんです。



だんだん血に酔っていくRTA、

はっじまっるよ〜!

 

前回のあらすじ。

 

主人公が『空っぽ』状態で[狩人]のお香と[火薬]のお香手に入れて夢の中で武器を貰った。

 

では、今回から本編へ入っていきます。

 

『ホロライブ学園』入学後は少し時間を潰したらすぐにバトルロワイヤルが始まります。某ヒーローアカデミアもびっくりですね。

 

 

──教室に着いた。席を確認しよう。

  隣は、宝鐘マリン、か。

 

 

あらあら、船長がお隣ですねぇ。

 

クラスで席が隣になったホロメンは好感度が上がりやすくなります。その分イベントも多くなりますが、あまり関係はありません。

 

 

──「あらすっごい美少女だワ・・・」

 

  どうやら隣の席の生徒が来たようだ。

 

  「Ahoy!宝鐘海賊団船長、宝鐘マリンです〜

   これからよろしくね!」

 

  「・・・叶不玲香、よろしく」

 

 

と、このように、『空っぽ』状態であればあらゆる会話が素っ気ないものになるからです。

これで好感度上げろなんて無理な話ですよハハッ!

 

・・・まぁ、心配されるイベントはありますが。

 

さて、ここからのバトルロワイヤル開始まで暇なので、

 

み な さ ま の た め に 〜

 

器用値とパリィ、モツ抜き、当身の関係について話したいと思います。

まずはパリィですが、これは器用値が高いほど判定時間が長くなります。

初期のステータスを器用に全振りし、さらに3倍になった今の判定時間は約0.5秒!これを、パリィタイムと呼びます。

 

次のモツ抜きこと内臓攻撃ですが、単純に威力の上昇ですね。今の状態でも大概の敵対魔族は一撃で仕留められます。

 

最後の当身ですが、実はこれ、確定で気絶というわけではなくて、器用値で確率アップって感じですね。

この器用値ならほぼ確実に気絶してくれます。

 

 

ではそろそろバトルロワイヤルですね。

 

 

──「バトルロワイヤル!スタートです!」

 

 

まず初動としては、先駆者ニキのように動き回りません。基本は待ちの姿勢でカウンターを狙っていきます。

 

早速モブが来ましたねぇ。

ここら辺は適当に避けて適当に後ろに回って殴ってれば〘極悪非道〙の効果もあってすぐに気絶してくれます。

 

これを何度か繰り返していると、おっ、

 

 

──「あなたとっても強いんですね!

   私は白銀ノエル!いざ尋常に勝負です!」

 

  目の前の少女から強い威圧感を感じる。

 

 

団長が釣れましたね。何やってんだよ団長ー!

 

では予定通り『仕込み杖』の仕掛けを動かして中距離から軽く削って行きましょう!

ただしその間もモブ達は寄って集って来るので頑張って対応していきます。

 

さて、そろそろですかね。

団長は体力が八割をきると、防御力に任せた突進攻撃を繰り出してきます。が、ここがチャンスです。

 

突進攻撃をパリィすることは出来ませんが、技の出始めにはパリィが有効なんですねぇ。

 

つまり、あえてこちらも突っ込みます。

 

 

タイミングは・・・今!

 

ドーン!!

 

ヨシッ!モツ抜き待機状態になりました!

と言っても安心出来ません。待機状態はあまり長く続かないので、モブを迅速に処理するか、もしくは無視する必要があります。

 

今回は無視して当身をぶちかまします!

 

「もう、無理ぃ・・・」

 

はい勝ちぃ〜。

このままの勢いで次々と行きましょうか。

 

はいドーン、と振り向きざまに小銃でパリィ、そのままモツ抜きをします。

うーんと、これはー、ふぁんでっどのようですね。

 

 

──「ネクロマンス・・・いい腕ね」

 

  「そんな、ふぁんでっど、さん・・・」

 

 

はい、るしあちゃんです。

るしあちゃんを相手にする際に注意しなければならないことは、ズバリ、物量です。

 

といっても、とりあえず鞭で薙ぎ払えば対応できますし、最悪無視してもいいので、少し気は楽です。

 

 

──「・・・次は私の番よ」

 

  「ふぁんでっどさん!」

 

 

るしあが相手の場合、いつまでも待っていては埒が明かないので詰めます。

ふぁんでっどの攻撃パターンは2つです。

 

オーソドックスに殴る。

複数体でコンビネーションアタック。

 

コンビネーションアタックが少々厄介ですが、とりあえず1体目を踏み台にしとけば何とかなります。

 

そうこうしてるうちにるしあちゃんの目の前ですね。

 

では、失礼して、当身!

 

 

──「あぅっ!・・・」

 

 

これにてるしあ戦は終わりです。

では今回はここまで!

ご視聴、ありがとうございました!

 

 

───────────────────────

 

 

入学早々始まったバトルロワイヤル、クラスが混乱に包まれる中で、たった1人だけ、冷静な人がいた。

綺麗な銀色の長髪に、整った顔立ち。じっとしていると、まるでお人形さんみたいで、戦いなんかとは無縁のように感じた。

 

でも、それは違った。

 

『これでリタイヤは15人目!叶不玲香、未だに疲れる気配がない!』

 

開始早々何人もの人を立て続けに倒してしまい、今戦っているとっても強そうだった白銀ノエルさんも、すぐに倒されてしまうだろう。

 

でも、何より恐ろしいのは、殆ど移動していないということだ。全ての攻撃を待って、流して、カウンターを仕掛ける、という単純な動きを、まるで機械のように正確に繰り返し続ける。

 

でも、あのまま移動しないでいてくれたなら、勝ち目はある。

 

「お願い、ふぁんでっどさん・・・!」

 

背後から襲えば、流石にあの人でも・・・。

 

『ここで白銀ノエルがダウン!』

 

ノエルさんが倒された。ちょっと場所はズレているけど、あれくらいなら修正できる。

 

・・・今だ!

 

 

 

「ネクロマンス・・・いい腕ね」

 

 

 

「そんな、ふぁんでっど、さん・・・」

 

なんで、どうして、完璧な不意打ちだったのに。

 

 

 

「・・・次は私の番よ」

 

 

 

「ひっ・・・」

 

彼女と、目があった。

 

その翡翠色の瞳には、何も、写ってなかった。

 

これ以上の戦いは、無駄だって分かってる。

 

それでも、私は、弱い私に勝ちたいの!

 

「ふぁんでっどさん!」

 

 

 

とは言っても、結局勝てるわけなくて。

 

「ちょっとだけ、大変だったわ」

 

「あぅ!・・・」

 

意識が途切れるその直前にに、強い彼女に認められたのが、とても嬉しかった。

 




青ざめた血をぶん殴ってくるので失踪します。

Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

バトルロワイヤル終幕まで

第一話で集める武器種は13種類みたいなこと言ってましたが、正しくは26種類でした。
すみません。
ブラボにハマった勢いと深夜テンションで書くからこんなことになるんだ・・・。


ライバーとラバーズしないRTA、始まってんだよなぁ。

 

前回はるしあちゃんに当身して終わりましたね。

では、今回でバトルロワイヤルを終わらせていきましょう。

 

さて、これからの動き方としては、攻めに転じていこうと思います。理由としては、全体の人数が半数以下になったからですね。こうなると経験値うおっほんMOBが攻めて来なくなります。

 

お、船長を見つけました。すれ違いざまにMOBを殴りつつ近づいていきましょう。

 

 

──「美少女ちゃん!?」

 

  「名前、教えたわよね?」

 

 

はい、マリン戦です。

船長は基礎スキルに〘大胆不敵〙を持ち合わせてます。これは相手の体力より自分の体力が多いなら、スーパーアーマーを持つというスキルです。

レズちゃんはダメージを受けていませんが、元々体力に1ポイントも振っていないので、多分船長よりも体力が少ないです。

 

スーパーアーマーが発動するということは、パリィが取れない、ということではありません。ただ、突進技と一部の強攻撃はパリィできないのでそこは注意ですね。

また、散弾銃も注意が必要です。一撃喰らえばあとは連撃でクソザコ体力が消し飛んでしまうからですね。気をつけましょう(2敗)。

 

それでは、さっさと接近してさっさと当身していきます。

 

 

──「こっち銃持ってるんだけど!?」

 

  「だから近づいてるのだけど」

 

 

真正面まで来ましたね。ここまで来ると船長は二刀流に切り替え、近距離戦を仕掛けてきます。距離を置き過ぎると散弾銃に戻すので、あまり離れないように弱攻撃を誘いましょう。

 

今ですね。

 

今回はMOBを気にせず当身します。少なくなってるからね。

 

 

──「強過ぎでしょ・・・」

 

 

これにてマリン戦は終了ですね。

次はフレアを狙っていきたいと思います。

 

フレアは今回の戦闘では1番の鬼門になると思います。理由としては、パリィが出来ないからですね。

というのも、フレアの攻撃は基本が火魔法になり、近接攻撃が極端に少ないです。無理矢理近づいて攻撃を誘ってもいいのですが、RTA的には非常に時間がかかります。

なので、フレアがMOBに気を取られている間に後ろから当身というのがセオリーとなっております。

 

しかし、とある理由であまりフレアの友好度を下げるようなことはしたくないので、真正面から行きます。

 

あ、フレアを見つけました。

 

攻め込んでるMOBが吹っ飛んだのを見計らって、

 

突撃ィーーー!(日本兵)

 

 

──「初めまして、さようなら」

 

  「会って早々勝った気?生憎簡単に負けてあげ

   られな───」

 

  「突撃ぺこぉーーー!!」

 

  「「!?」」

 

 

ぺこーら乱入!?チョットマッテクダサイヨオヤッサン!!ソリャナイデショウ!?

 

いやぁキツいっす、マジで。

 

前話から余裕でネームドNPCを倒してると思ってる人は滝行してきてください。結構綱渡りなんですよこれ、一撃受ければ即オワタなんでね。

 

加えて、ぺこらはできるだけ一対一で戦いたい相手なんですよ。

パリィタイム自体はあるのですが、ぺこらが速すぎてかなり遠くでパリィしてしまう、なんてことがよくありますので実質的な時間は約0.1秒ですね。

 

つまりは、パリィしにくい相手が2人襲ってきたってことですね。

 

辛い、辛い・・・。

ふーむ、これは、チャート変更ですね。

 

はい、負けてしまいましょう。

 

と言うのも、ラスボスやその他必須イベントまでにバトルロワイヤルは何度もあります。また、最初のバトルロワイヤルよりも難易度は高くなりますがタイムへの影響は小さいです。

 

今回のバトルロワイヤルは経験値稼ぎの意味合いが強いので、負けてしまってもモーマンタイです。

 

あとは2回目以降のバトルロワイヤルで私が頑張れば・・・はっ!

 

その時、走者(やみ)に電流奔る!

 

 

今回調子いいよ・・・

 

ここで頑張れば・・・

 

    もっと楽になるかも・・・

 

 

ゲールマンの狩りを知るが良い!(決意ガンギマリ)

 

歴戦(n走目)の走者が2人に負けるわけないので勝ちます。

 

 

───────────────────────

 

 

身の毛のよだつようなさっき受けて、咄嗟に勝ち残ってたエルフと手を組んだはいいものの、

 

あれ、一体なんなんだぺこ!?

 

ペこーらが何回突撃しても隣の子が何回魔法使っても、全っ然当たりゃしないぺこよ!?

 

「ハッ!」

 

「ぺこっ!?」

 

なんで踏み込んで攻撃できるんだぺこ!?

 

「ふっ!はっ!シィッ!」

 

「ちょ、ちょっと待つぺこよー!!」

 

この一撃一撃が正確すぎて、避けるのも一苦労だぺこよぉ!

 

「・・・そろそろかしら」

 

「え?」

 

急に右に回避して、一体どうしたん・・・あ。

 

後ろから来る魔法を避けたんだぺこか〜。

 

魔法の射線上にペこーらが来るように立ち回ってたんだぺこね〜、多数を相手にする時勉強になるぺこよ〜。

 

「───あっついぺこぉぉぉぉーーー!!??」

 

「えぇ!?ご、ごめん!」

 

「隙ありよ」

 

「あぅっ・・・」

 

うわぁ、背後から急襲して一気に気絶させやがったぺこ。えぐいぺこ。

 

んでもって、かな〜りマズイぺこね、これ。

 

「さて、後はあなただけね」

 

あっちは無傷で息切れもしてない、こっちは火魔法をしっかり喰らって人数有利もなくなった・・・

 

無理じゃねーかぺこ?

 

・・・ダメ元で、突撃してみるぺこか。

 

「腹は決まったようね」

 

「行くぺこよ」

 

両足に力を込めて!

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」

 

「速いわね、でも、ごめんなさい」

 

「ギャン!?」

 

やっぱり、当たる直前で弾丸を喰らい、突撃が止められてしまったぺこ。

 

後はもう、

 

「私の勝ちよ」

 

気絶するだけ、ぺこ・・・。

 

 

───────────────────────

 

 

やったぜ(You Hunted)!!

 

これは嬉しい!いや美味しい!

物語後半で効いてきますよここの勝利は!

 

しかし、ここで少し問題発生ですね。

 

かなり時間をかけての勝利だったので、ここから後2連勝しないと下手をすればタイムがプラスになってしまう可能性があります。

 

加えてあまり時間を置かずに結構強いボスと戦うことになるので、それで先駆者ニキみたいに入院イベントが来てしまうと連勝記録が最初からになってしまいます。

 

が、レベル的に余裕がありますし、走者もかなり調子がいいので大丈夫でしょう!(一級フラグ建築士)

 

では今回はここまで!

ご視聴ありがとうございました!




ちょっと短いのは許して・・・。

幼年期が始まったので疾走します


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

獣狩りの初陣-1


ダクソとUndertaleどっち買おうか迷ってるので初投稿です。



本格的に腸をぶち抜いていくRTA、始まっちまったなぁ。

 

前回でバトルロワイヤルが終わり、予定以上の経験値を稼げたのでレベル的な余裕が出てきましたが、ポイントは全て器用に振るのでHPは依然低いです。油断はできません。

 

さて、先駆者ニキは主人公くんに日常を謳歌してもらってましたが、狩人の日常は勿論獣狩りです。

 

すまない、日常パートはないんだ、本当にすまない。

 

とはいえレズちゃんも模範人間、わざとサボったりするのはノーセンキューです。だったら休む理由を作ってあげればサボれるので、今日はとことん夜更かししてもらいます。

 

 

──家に着いた。今日は疲れたな。

  さて、何をしよう。

 

  ・鍛錬する

  ・勉強をする

  ・寝る

 

 

ここは鍛錬をしましょう。勉強は特に意味がないんでね。

 

 

──今日も鍛錬を熟す。

  動きが身に付いてくる・・・。

 

  [加速]を習得しました。

 

 

おお、これはこれは。

 

またもや嬉しい誤算ですね。このスキルは回避行動を早くすることができます。敏捷の低いレズちゃんにはありがたいスキルですね。

 

 

──もうこんな時間か。そろそろ寝よう。

 

  目が覚めた。

  ・・・昼だ。どうやら寝坊したらしい。

 

  今日は学校を休もう。

 

 

ヨシッ!これで平日に休日同様の行動ができるようになります。

 

 

──さて、何をしようか。

 

  ・商店街へ行く

  ・エルフの森へ行く

  ・鍛錬する

  ・勉強をする

  

 

出ましたね、エルフの森。ここはエルフの森に行きましょう。

ほんへイベントを一つ、特殊な方法で消化しに行きます。

 

 

──エルフの森に着いた。

  ・・・随分と血腥い臭いがする。

 

 

はい、既プレイニキや先駆者ニキの視聴者は知っていらっしゃるでしょう、[フレアの後悔]イベントです。ここのランダムボスで苦しんだ兄貴も多いはず。

しかし、まだエルフの森は燃えていないので本来なら来る意味はないのですが、狩人はその嗅覚で(DLCによって)魔族の侵攻を察知することができます。

 

先に進みましょう。

 

 

──・・・ゴブリン?

  なんでここにゴブリンが・・・。

  それに酷く慌てて、いや、恐れている?

 

 

お、見つけましたねぇ。では後ろから、失礼して。

 

 

──「何をしているの?」

 

  「ヒィッ!?に、人間!?」

 

 

〘極悪非道〙で尋問を行います。ゴブリンは格下、はっきり分かんだね。

 

 

──「ば、化け物が、化け物が隊長を!それで俺、

   に、逃げて来て!」

 

  「そう、じゃあ、案内して」

 

  「は?い、いや、化け物が!」

 

  「だから、そこに案内して。それとも、

   ここで死ぬ?」

 

  「ヒィッ!?」

 

 

レズちゃんまさに鬼畜の所業。これじゃどっちが人間か分かんねぇな。

 

さて、ゴブリンが案内を始めましたね。走者は着いていくので忙しいですが、皆さんさぞ暇でしょう。なので、[フレアの後悔]におけるほんへとDLCの違いを説明していこうと思います。

 

[フレアの後悔]と言えばランダムボスが有名ですね。運が悪いと先駆者ニキのように終盤ボスレベルの魔族が現れます。

が、DLCではゴブリンも言っていたように、ボスは魔族でなく化け物です。

 

ではここで問題

 

狩人が狩るものと言ったらな〜んだ?

 

正解は───

 

 

 

──「ガァァァァァァァァァ!!」

 

  「来たよ、来ちまったよォ!」

 

  「・・・あれは確かに、化け物ね」

 

 

片腕の肥大化した怪物、[聖職者の獣]でございます。こいつに苦しんだ狩人さんも多い筈だゾ。

 

 

──あの怪物を見た時、頭の中でナニカが開く

  感覚がした。開いたそのナニカ()

  『奴を狩れ』と訴えてくる。

  あれは私の敵だ。

  あれは、獣だ。

 

 

さぁ、バトルスタートです!

 

が、今の武器、仕込み杖で戦うのはタイム的にまず味です。なので、どうするかと言いますと、

 

一回死にます。

 

死にます。(大事なことなので二度言いました)

 

死ぬとですね、狩人の夢に帰れるんですよ。啓蒙を得たレズちゃんは晴れて使者たちから狩人と認められ、初期に選ばなかった武器を渡してくれます。

 

それから獣に特攻を持つノコギリ鉈で切りまくるんですね。

 

それじゃ行き・・・・・・ん?ちょっと待って。

 

 

──「ちょっと、何さこれ!?」

 

  「・・・今からアレを狩るところよ」

 

 

ファッ!?フレアさん!?

今日学校ですよ!?(棚上げ)

 

ま、ままま、まずいですよ!?ここでレズちゃんが死ぬとこ見られたら会話の文字数多くなっちゃう!

 

いやまだだ、もしかしたら逃げてくれるかもしれない!

 

 

──「あとで色々と聞かせてもらうからね!」

 

  不知火フレアが仲間になりました。

 

 

ダメみたいっすね。(諦め)

 

でもこれ以上チャート歪めるわけにはいかないですし、やっぱり死ぬしかないじゃない!

 

今の体力なら飛びかかり一撃でお陀仏です。なので聖職者の獣から距離をとって飛びかかりを誘発します。

 

ん、ちょっと待って?

 

タゲがフレアじゃねぇか!ふざけんな!

 

 

──「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

  「・・・え?」

 

 

あ、危ねぇ・・・!あと少し対応が遅れてたらと思うとゾッとしますよ。

 

うっ、フレアの顔が曇ってますね・・・。なかなかクるものがありますよクォレワ・・・。

 

いえ、これもタイムのため。会話は全部カットです。狩人にに情は要らないのです。

 

 

──「・・・ここは」

 

  あの獣に殺された私は、いつの間にか、

  あの日の夢の中にいた。

 

  「初めまして、狩人様」

 

  不意に背後から声がした。

  振り向くとそこには、私によく似た人がいた。

 

  「あなたは?」

 

  「私は人形。

   この夢で、あなたの世話をする者です」

 

 

はい、出ました人形ちゃん。Bloodborne原作では、レベルを上げてくれる癒しキャラですが、今作での役割は武器の強化になります。

 

啓蒙足らなくて作業道具使えないからね、仕方ないね。

 

今は強化アイテムがないので、現在の人形ちゃんは癒し効果オンリーになります。

 

 

──「おお、君も遂に啓蒙を得たか。

   これで彼らから本当に狩人と認められた」

 

  老人が声をかけてくる。

 

  足元でいつか見た小さな骸骨が、

  私が選ばなかった武器を差し出してくる。

 

  ノコギリ鉈を手に入れました。

  獣狩りの斧を手に入れました。

  獣狩りの散弾銃を手に入れました。

 

 

これで準備は整いました。

 

では今回はここまで。次回、狩ります。

 

 

───────────────────────

 

 

森に異変を感じて、今日は学校を休んでいた。なんだか、空気が軋むと言うか、歪むというか。そんな気を感じて見回りをしていると、獣の咆哮を聞いた。

 

エルフの森に、こんな咆哮を上げる動物はいない。思った通り、異常だ。

 

不審に思い、急いで駆けつけると、咆哮を上げたと思われる怪物と、とても印象に残っている人間がいた。

 

叶不玲香。

バトルロワイヤルで多くのダウンを取り、圧倒的な強さでトップに立った人間。フレアとぺこらが組んでも倒せなかった、人間。

 

「ちょっと、何さこれ!?」

 

恐怖を押し殺し、詳しい現状を恐らく知っているだろう玲香へ聞いた。

 

「・・・今からアレを狩るところよ」

 

要領を得ない回答に、それでもあの怪物と戦うのだろうと分かった。

 

「あとで色々と聞かせてもらうからね!」

 

私は、玲香を信用していた。自分とぺこらを倒したこの人間であれば、きっとこの怪物も倒してくれると、思ってしまっていた。

 

ここで逃げれば、私は、あんな光景を見なくてよかったかもしれない。あるいは、ここで逃げなかったから、玲香が味わう地獄を知れたのかもしれない。

 

不意に怪物が跳躍した。

それと同時に、玲香に突き飛ばされ、転んでしまった。

文句の1つでも言ってやろうとすぐさま彼女の方を向いた私は、()()()()()()()()()()

 

「ぐぁぁぁぁぁ!?」

 

「・・・え?」

 

血が辺りに飛び散り、地面を紅く彩る。あの怪物の拳を食らった彼女の身体は木の葉のように吹き飛び、木々にぶつかってようやっと止まった。

 

「え、あ、え、?」

 

暫く、理解ができなかった。まだ広がり続ける紅色でさえ、なんなのか分からなかった。

 

「・・・やだ」

 

玲香に近づく。

 

「・・・いやだ」

 

頬に触れる。

 

「・・・いやだ!」

 

こんなに冷たいのは、誰のせい?

 

「私の、せいだ・・・」

 

(お前)が強ければ、こうはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っは!?」

 

ベッドの上で目が覚めた。急いで時計を確認する。時刻は7時、朝だった。

 

「あ、そっか、戻ったのか」

 

狩人の夢に囚われた玲香が死んだから、時間が巻き戻って、今朝になっている。私が目覚めたということは、彼女も目覚めたということなのだろう。

 

「今度は、間違えないように・・・あれ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ベッドで目覚めたなら、夢オチだって気づくのが普通だ。でも、根拠のない確信が私にはあった。

 

そして、狩人の夢。

聞いた事のない単語を、まるで普通のように思って、使っていた。

 

どうして・・・いや、今はどうでもいい。私は、玲香を助けなければいけないのだ。

 

開きかけの瞳が、そう啓蒙してきた。

 





なんでこう、受難を与えたくなるんだろうなぁ・・・。

あ、失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

獣狩りの初陣-2

ラバーズニキ増えてきたなぁ。
いいゾーこれ。




最初の壁を超えていくホロライブ、始まってんだよなぁ。

 

前回は[聖職者の獣]を狩るための下準備をして終わりましたね。その際フレアに会うというガバがありましたが、ノーカウントというものだ。(パッチ)

 

ノコギリ鉈ヨシ!体力ヨシ!水銀弾ヨシ!

 

イクゾー!デン!デン!デデデデン!カーンッ!!

 

前回で[聖職者の獣]までの道筋が分かっているので、今回はゴブリンは無視です。

 

では、目的地まで3.64倍速。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

な ん で 等 速 に 戻 す 必 要 が あ る ん で す か ?

 

 

──「やっぱり来た・・・」

 

  死ぬ前に獣狩りを手伝おうとしていた人だ。

 

  「あなたは、確か・・・」

 

  「不知火フレアだよ」

 

 

ん?ちょ、待てい!(江戸っ子)

エンカウントしたどころかなんか前世の記憶持ってないですかこれ?

 

 

──「あの怪物、狩りに行くんでしょ?」

 

  「ええ、あれは、私の敵だから」

 

  「なら私も行くよ。今度は、間違えない」

 

  不知火フレアが仲間になりました。

 

 

チャート壊れちゃ〜う!

ここでフレアを仲間にしても、正直守りきれる気がしないのでちょっとマズ味です。タゲを取り続けるにはスタミナも体力も心許ないですよ。

 

それにしてもどうしてフレアに前世の記憶が残ってるんですかね?もしかして、[聖職者の獣]を見て啓蒙得ちゃったからでしょうか。

 

それはさておき、このまままた死ぬのもタイム的に辛いので、さっさと倒しに行きましょう。フレアのことは行ってから考えます。(脳死)

 

 

──「・・・来る」

 

  「ガァァァァァァァァァ!!」

 

 

開幕飛びかかりは余裕で回避。ここで[加速]が効いてきますよ。回避速度が上がり、無敵時間が伸びるので、多少のガバはリカバーできます。

 

さて、こいつの狩り方ですが、基本は細い右腕側から殴っていきます。右腕の攻撃力は低いので、万が一食らっても即死ということにはならないからです。また、太い左腕の攻撃を誘発できれば、大きな隙にもなります。

 

退く気はないので大丈夫だと思いますが、もしフレアにタゲが向いた場合は、タメ攻撃をぶち当てれば多分タゲを取れます。タイミングは気合と直感で何とかしましょう。

 

そろそろフレアの援護射撃が始まりますかね。こいつの弱点属性は炎なので、フレアの魔法はかなり刺さりますし、怯みも取れる可能性があります。キャラ構成が防御向きだったらありがたかったんだけどなぁ。

 

 

──「いくよ!」

 

 

お、来ましたね火魔法。

 

 

──「ガァァ!?」

 

 

ファッ!?火力高スギィ!一撃で1割近く持っていきましたよこのエルフ!

 

おいおいこれじゃヌルゲーじゃねえか・・・うん?

 

あ、タゲが移るっぽいですね。したらば、溜めて打ち込んでやるぜ。

 

 

──「グァッ!?」

 

 

痛そうだねぇ。

他の女を見るからそうなるのよ・・・。(ヤンデレ)

 

はいタゲが戻ってきましたのでまた右から攻撃していきます。

 

おっと、跳躍入りましたね。これは落ちてくるタイミングが分かっていれば余裕で回避できます。

 

着地すぐは隙だらけなので今のうちに殴っておきましょう。火力支援も入っているのでどんどん削れていきます。いいゾォこれ。

 

そろそろHPが半分削れますね。そこからは少し行動パターンが変化するうえ、火力増加を行ってくるので余計注意が必要です。ただ、火力増加の行動中はまた隙ができるのでダメージ稼ぎにはもってこいです。

隙だらけだなこいつ・・・。

 

そうこう言っているうちにHPが半分を切り、火力増加を行いそうですね。さっさと殴りに行きま

 

 

──「ガァァァァァァ!!」

 

 

キャンセルするのやめろォ!(建前)やめろォ!(本音)

 

危ねぇ死ぬとこだった。

 

こんな行動見た事ないです。フレア参戦したからなんすかねぇ。だとしたらやっぱり狩りに仲間を連れてくるのはマズ味・・・?

 

 

──「・・・そこ!」

 

  「ギャアッ!?!?」

 

 

ウマ味!フレアの魔法で[聖職者の獣]がパリィ待機状態になりました!

 

それでは失礼して、手づかみで、獣のモツを、ゲットだ!

 

 

──「さようなら」

 

 

You Hunted

 

 

や っ た ぜ !

 

啓蒙が、うん、おいしい!

 

 

──剣の狩人証を手に入れました。

 

 

お、目的の物が手に入りましたね。今回手に入れた[剣の狩人証]のような[狩人証]系統のアイテムは、夢の中で使者たちに渡すと武器が貰えます。

このアイテムの場合は[教会の石槌]と[教会の連装銃]ですね。石槌は、変形後の火力が現状最強なので、今後獣以外を相手する時はこちらを使っていきたいと思います。

 

しかし、意外となんとかなるものですね。タゲ取りが上手くいってよかったですよ。

 

 

──「ねぇ、なんであんなのと戦ってたの?」

 

  「・・・あれが獣で、私が狩人だからよ」

 

  このまま色々と聞かれるのも面倒だ。

  さっさと帰ってしまおう。

 

 

ほんとレズちゃんコミュニケーションしないなぁ。こちらとしてはありがたい限りだけど。

 

ではお家に帰りましょう。

 

 

───────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・あれが獣で、私が狩人だからよ』

 

そう言う彼女の目には、感情(ひかり)がなかった。まるで虚無感に支配されているような、そんな目だった。

 

でも、怪物の頭蓋へ手を突っ込み、中身を引きずり出して大量の血を浴びた直後の彼女は、

 

笑みを、浮かべていた。

 

彼女はこれから、あんな獣を何度も倒しに、いや、狩りに行くのだろう。そして少しだけ満たされては、また空っぽになってしまうのだろう。

 

奇しくも私は、彼女の地獄の一端を知ってしまった。

 

「・・・助けないと」

 

自分の命を棄ててまで私を助けてくれたんだ。

 

今度は、私が助けないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

──家に着いた。・・・少し疲れている。

  もう寝た方がいいだろうか。

 

 

獣狩りはさすがのレズちゃんでも疲れるみたいですよ。

でも残念、今日はもう1戦やってもらうよ。

 

夢の中でなぁ!

 

 

──[火薬]のお香を使った。

 

 

 

 

  「・・・ここは」

 

  目が覚めると知らない場所にいた。どうやら

  廃墟街のようだ。火薬の臭いがするあたり、

  街全体が焼かれたのだろうか。

 

  「ほう?」

 

  曇ったような声がした。

  見ると、灰色の狩装束の男がいた。

 

  「貴公、良い狩人だな」

 

  どうやら臭いはこの男からするようだ。

 

  「無慈悲で、血に飢え、狩りに酔っている

   だからこそ、」

 

  私の脳は、同じ狩人であるこの男を、

 

  「私は、貴公を狩らなければならない」

 

  狩れ、と言っている。

 

 

はい、[古狩人デュラ]戦です。

 

こいつは左腕の散弾銃で牽制し、右腕に装備した、爆裂機構で鉄杭を撃ち出して相手にぶっ刺すロマン武装、パイルハンマーで止めを刺すという戦法を使ってきます。

パイルハンマーを振る機会が少ないため、パリィを取るのは難しいですが、パイルハンマーのチャージ中にバックスタブが取れるので問題ないです。

 

開幕は大概散弾銃を撃ってくるので、タイミングを読んで回避で近づいて行きます。[加速]があるので非常にスムーズな滑り出しです。

 

近づいたときのデュラの行動は、バックステップからの銃撃、その場で銃撃、パイルハンマーによる迎撃の3択です。

 

バックステップをした場合は同じように接近していき、パイルハンマーで攻撃してきた場合はパリィ。

 

そして銃撃をしてきた場合はわざと受けます。こうするとデュラは確定でチャージをするので、バックスタブとモツ抜きで2度おいしいです。

 

今回は、その場で銃撃ですね。わざと受けて、タメ攻撃を誘発。即背後に回って、

 

 

──「ぐぁぁ!?」

 

 

うん、おいしい!

これで3分の1削れるのは非常に良きです。

 

行動パターンは変わらないので、これを繰り返せば勝てます。

因みに、下手にこちらから攻撃すると、

 

 

──「くっ!」

 

 

このように逆にパリィされます。欲張りすぎなんだよ!

 

ただ逆にあちらの攻撃も誘発できましたね。パリィしてあげましょう。これで半分ですね。全然勝てますし、タイムも好調です。

 

 

──「はぁっ!」

 

  「チッ、2人目か・・・」

 

 

待って聞いてない(困惑)

 

こいつは面倒なことになりましたよ。まさか銃槍持ちが参戦するとは・・・。銃槍というのは、その名の通り銃と槍を合体させた仕掛け武器ですね。

 

銃撃もできてリーチも長いとかちょっとキツいっすねー。

 

でもいい感じに銃槍狩人とデュラとの距離が離れてるので、銃槍狩人を優先して狩るようにしましょう。

 

こいつは引き撃ちが多いですが、[加速]持ちに勝てるわけないだろいい加減にしろ!

 

溜め突き攻撃はデレ行動、丁寧にパリィしておめぇのモツに(右腕を)ぶち込んでやるぜ!

 

えぇー、一撃ぃ?

レズちゃん器用高すぎて引くんですけど()

 

残りのデュラもしっかり調理していきましょう。

これは、パイルハンマーを振って来ましたね、はいパリィ。

 

残り4分の1はゴリ押しで削りましょう(適当)

だってそっちの方が速いので。

 

これにて、調理完了です。

 

 

──「・・・貴公、貴公こそが、獣だ・・・」

 

  「私が、獣・・・?」

 

  「気づいていないか、貴公、笑っているぞ」

 

  それが、この男の最期の言葉になった。

  思わず触れた頬の肉は、つり上がっていた。

 

  [火薬の狩人証]を手に入れました。

 

 

はい、思いもよらないところで、レズちゃんの感情に動きがありましたねぇ。

 

・・・まさか獣にならないよね?

 

それでは今回はこれで終わりです。

ご視聴、ありがとうございました。




コメントをくれると走者が泣いて喜びます。

コメント下さい・・・(乞食)


Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の墓場【色のない新月】-1

Twitter始めたので初投稿です。



投稿頻度の遅いRTA、始まってるんだよなぁ。

 

前回は[聖職者の獣]と[古狩人デュラ]を狩って終わりましたね。

 

今回はとりあえず学校に行きます。

 

が、目覚める前に、狩人の夢に送られます。

 

 

──「これは・・・なるほど、

   古狩人を狩って来たようだね」

 

  「古狩人?」

 

  「強者であったが故に、死に場所を得られな

   かった者たちのことだ。彼らは狩りに疲れ、

   己を夢へ閉じ込めてしまったんだ」

 

  「・・・狩ってしまったのだけれど」

 

  「それで良い。過程はどうあれ、君は彼を

   解放したのだから。今後も、彼らの夢に

   迷い込むことがあるかと思う。その時は、

   どうか、解放してやってくれ」

  

  足元から、使者たちが這い出してきた。

 

  「きっと彼らの遺産が、君の力となるだろう」

 

  教会の石槌を手に入れました。

  パイルハンマーを手に入れました。

  銃槍を手に入れました。

  教会の連装銃を手に入れました。

 

 

ヨシ!(現場猫)

装備を教会の石槌に交換しておきましょう。サブ武器は獣に特攻を持つノコギリ鉈です。

 

 

──朝だ、今日はさすがに登校しようか。

 

  「あっ!玲香ちゃん!」

 

  「・・・宝鐘マリン、だっけか」

 

  「覚えててくれたの!じゃなかった、

   大丈夫だった!?怪我してない!?」

 

  「・・・どうしたの?」

 

  「昨日エルフの森で化け物が出たらしくて、

   フレアも玲香ちゃんも休んだからなんか

   あったんじゃないかって思って!」

 

 

あー、そりゃ心配もされますよね。というか昨日の今日で情報が広がるって、情報伝達早すぎませんかね。

 

 

──「私もフレアも無事よ。それに、あれはもう

   私たちが狩ったわ」

 

  「・・・へ?」

 

  「それより行きましょう?遅れるわよ」

 

 

うーん、チャート上だとここに会話イベントはないはずなんですけどねぇ。

 

あ、授業は全部カットです。

 

 

───────────────────────

 

 

「ねぇねぇ、朝言ってたのってどういうこと?」

 

待望の昼休み。

 

隣の玲香ちゃんに机をくっつけ(無許可)、朝の意味深発言を追及してみる。

 

「どういうってそのままの意味よ。エルフの森に行って、フレアと協力して、狩った」

 

この可愛い子が?可愛いエルフと協力して?あんなでかいのを?

 

まさかぁ〜。

 

いやでも2人とも休んでたしなぁ。

 

「玲香、それ言っちゃっていいの?」

 

フレアも話に入ってきた。って、こう言うってことは本当ってことだよねぇ。

 

「追及されるのは不快だもの、言ってしまったほうが楽よ」

 

「玲香がいいなら別にいいけど・・・」

 

「え、何?もしかして聞いたらまずいことだったの?」

 

「大丈夫よ。あなたが正気でいればいいだけだもの」

 

え、怖っ。聞くだけで正気でいられなくなるような経験をしてきたの?

 

「──ともかく、マリンはこれ以上掘り下げないで。いいね?」

 

「アッハイ」

 

ん〜、怖いけど気になるなぁ。

 

「玲香、放課後またどっかに行く気でしょ」

 

「獣を狩るのが役目だもの」

 

・・・尾けてみっかな。

 

 

───────────────────────

 

 

学校が終わったので、獣を狩りに行きましょう。

 

──「で、どこに行くの?」

 

  ・エルフの森

  ・旧下水道

 

 

ここは旧下水道に行きましょう。エルフの森を選ぶと別な獣と戦うことになりますが、ぶっちゃけ意味はないので無視でいいです。

 

この旧下水道ですが、現在使われている下水道のさらに下にある古い下水道です。人の手から離れて久しいので内部は軽いダンジョンと化していて、一般の人はまず近づきません。

 

では、移動中は暇なので、

 

み な さ ま の た め に 〜

 

前回、フレアの記憶が残っていた理由を説明したいと思います。と言っても、当初の予測の通り、啓蒙を得ていたからですけども。

 

どうやら啓蒙を得ていればどのホロメンでも記憶を保持してしまうようです。

 

で、ここからが本題です。

 

啓蒙を得たホロメンは、もれなく狩りに着いて来てしまいます。

 

フレアは、とある理由で元々仲間にする予定だったので問題はないのですが、これが他のメンバーだったらちょこっと辛かったです。元々1人で戦うためのチャートですからね。

悪いなのび太、これ(チャート)、1人用なんだ。

 

はい、旧下水道に入りましたね。軽いダンジョン、とは言っても出てくるのは野生化した大ねずみやらハエやらな上、長ーい一本道なのでつまらないです。

 

なので、甥の木村、加速します。(3.64倍)

 

 

お、霧が見えてきましたね。このまま霧の向こうまで加速です。

 

 

 

 

な ん で 等 速 に 戻 す 必 要 が あ る ん で す か ?

 

 

──「そろそろ出てきてくれないかしら?

   ねぇ、宝鐘マリン?」

 

  「マリン!どうして来たの!?」

 

  「い、いやー、どうしても気になってさ」

 

 

アイエエエエ!船長!?船長ナンデ!?

 

ちょ、マズイですよ!

 

 

──「で、これからどうするつもり?

   私は帰ってもらえると嬉しいのだけれど」

 

  「で、でもさ?せっかくここまで来たのに、

   帰れってのは無理でしょ?」

 

  「・・・まぁいいわ、来なさい。

   愚かな好奇を忘れる程の悪夢が待ってるわ」

 

  「ちょっと玲香!?」

 

  「何度も後をつけられたら不快でしょう?

   多少の危険があっても、ここで諦めてもらっ

   たほうが楽だしまだ安全よ」

 

  「じゃあ、着いて行くってことで」

 

  宝鐘マリンが仲間になりました。

 

 

あぁもうめちゃくちゃだよ・・・。

 

とりあえず、チャート通り進んでみましょう、うん。

霧の中を直行します。ここでも前半では大ねずみなどが襲って来ますが、音をよく聞けば位置は把握できます。

 

そして後半では、

 

 

──「キシャァァァァ!!」

 

  「フッ!」

 

  「グギャ!?」

 

 

というように獣が襲ってくるので武器を持ち替えて、ノコギリ鉈で対応します。

 

 

──「うわ、なにこれ」

 

  「獣よ、私たちの獲物」

 

  「森に現れた怪物も獣だったんだよ」

 

  「なるほど〜、だから『狩った』だったんだ、

   よっ!」

 

  「ガァッ!?」

 

 

およ?船長も獣倒せてる?

それはともかく、そろそろ霧を抜けますね。

 

抜けた先は、

 

 

ー昏い悪夢の墓場ー

 

 

到着しました、昏い悪夢の墓場。ボス戦部屋でございます。

 

 

──「・・・墓場?なんで旧下水道に墓場が?」

 

  「違うよマリン、もうここは悪夢の中」

 

  「あなたは悪夢に迷い込んだ。

   もう、逃げられないわよ」

 

  「え、どういう」

 

  ザクッ、ズズズッ、ザクッ、ズズズッ。

 

  「・・・どこもかしこも獣ばかりだ。

   どうせ貴様も、そうなるのだろう・・・?」

 

  「ひっ、何、アレ・・・」

 

  「構えなさい宝鐘マリン、アレが、獣よ」

 

 

 

 

ムービーが終わったところで今回はここまで。

ご視聴ありがとうございました。




今回のボス、だ〜れだ?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の墓場【色のない新月】-2

なんか赤かったので初投稿です。



旧下水道を進んだ先にあったのは、墓場だった。見上げれば空があり、まだ夕方のはずなのに深夜のように暗い。

 

そして、月がなかった。

 

こんな意味不明な状況でも、フレアも玲香ちゃんもとても冷静で、ついて来れない説明してくれる。

 

ここは悪夢。

目の前のあの男の人は、獣。

今からアレを狩らなければ、殺さなければならない。

 

私に、できるの・・・?

 

無理、絶対に無理だよ。人なんて、殺したことない。なのに今殺せなんて、できるわけない。

 

「怖い?」

 

フレアが聞いてくる。

 

「怖いよ!」

 

当たり前だ。手は震えてるし、寒気だってしてる。

 

殺すのも殺されるのも怖い。

 

「フレアは、フレアは怖くないの!?」

 

「怖いよ」

 

諭すような言葉が返ってきた。

 

「でもねマリン」

 

 

───狩ら(殺さ)なきゃ、狩ら(殺さ)れるのは私たちだよ。

 

 

私は、ようやっと覚悟を決めた。

 

 


 

 

おっはー!(石槌振り下ろし)

 

ボス戦から始めて行きますよー!行く行く!

 

今回のボスは[悪夢のガスコイン神父]。

獣狩りの斧と散弾銃を持った理性なき狩人、その悪夢です。

 

獣狩りの斧は、扱いやすい手斧型と両手で持つ戦斧型の2つの形態があり、確率で相手に[出血状態]を付与します。[出血状態]になるとスリップダメージが発生するだけでなく、斬撃系攻撃の被ダメが増えるので注意しましょう。

 

では、第1段階の手斧形態を攻略していきます。

この形態は素早い攻撃と隙を補填するような銃撃が厄介ですが、ぶっちゃけパリィできれば余裕です。注)1人であれば

 

 

──「マリン危ない!」

 

  「きゃあ!」

 

 

パリィぃぃぃぃ!!

(無駄に)動くと危ないだろ!危ないだろ!

 

と、このようにタゲがバラけるので常に気を張ってないと最悪の場合遺体が一つ増えることになります。(3敗)

 

 

──「マリン、狩りを恐れないで!」

 

  「わ、分かってるよ・・・」

 

 

タゲがこちらに戻って来ましたねぇ。距離を置きすぎると散弾銃をブッパしてくるので接近して斧を振らせます。

 

 

──「ぬぅん!」

 

  「ふっ!」

 

 

はいパリィ!

腸抜かれるの、感じるんでしたよね?

うん、(ダメージが)美味しい!

 

ということで第1段階調理完了です。

 

 

──「匂い立つなぁ・・・。

   堪らぬ血で誘うものだ・・・。

   嘔吐くじゃないか・・・」

 

 

第2段階では斧を変形させ、戦斧形態で襲いかかってきます。こちらは攻撃の溜めが長くなるのでパリィのタイミングがずれないよう注意しましょう。

(あとリーチが長くなったり威力が上がったりしますがパリィするので関係)ないです。

 

あとは人力でパリィ不可能な斧突き攻撃が来ないように、向かって斜め前あたりで攻撃を誘いましょう。

 

あれをパリィできる人は多分人じゃないゾ。

 

 

──「マリン、あまり突っ込まないようにね」

 

  「・・・うん、分かった」

 

 

フレアナイスゥ!これでタゲがバラけてもパリィまでの時間ができますね。

 

はいパリィ。モツ、頂きます(偽語録)。

 

ヌ!?第3段階まで体力削れてない!?

 

殴れば何とか・・・。

 

 

──「はぁっ!」

 

 

船長!?おお、削れてる・・・。

いやー、今回まででここまで来たことは何回かあるんですけど、ずっと1人で戦ってきたんで共闘ってのに慣れてないんすよねぇ。新鮮でさぁ、こりゃ。

 

 

──「船長だって、やればできるんだぜ!」

 

  「・・・そう」

 

  「相変わらずドライ!」

 

 

船長、なんか調子取り戻してらっしゃる。

ともかく、これで第2段階調理完了、第3段階に入ります。

 

第3段階は、はい。

 

 

──「ガァァァァァァァァァ!!」

 

  「ヒッ!何あれぇ!?」

 

  「やっぱりか・・・」

 

  「えぇ、獣だったわね」

 

 

そういうことですね。

 

とはいえ[聖職者の獣]に比べるとまだ人型に見えますが、それでも人には見えないです本当にありがとうございました。

 

この状態だとパリィできる攻撃が限られてきますので、単純な殴り合い(一方的)になります。フレアがいる分楽そうですが。

 

獣に特攻があるノコギリ鉈に持ち替えて切りに行きましょう。

 

 

──「マリンはヒットアンドアウェイに専念して!

   素早い攻撃に気をつけてね!合図を出したら

   そいつから離れて!」

 

  「了解!」

 

 

フレアの指示的確すぎない?(恐怖)

いやでもこれで戦いやすくなりました。

 

第3段階では斧を捨て、素手で殴りに来ます。リーチは短くなりましたが動きは素早くなり、威力も高いままなので気は抜けません。

 

パリィできる攻撃は、手前へのフックと飛び込みの2つです。ただ飛び込みはパリィするよりも前ステップで着地時に背後に回れるよう位置取り、バックスタブを狙った方が確実でダメージも稼げます。

 

なので、飛び込みを誘発できるよう、タゲが散らない程度に中距離にいましょう。

 

 

──「ガァァァ!」

 

  「よっ!」

 

  「グルァ!」

 

  「やっ!」

 

  「ガァァァァァァァァ!」

 

  「今!ていやぁぁぁぁ!」

 

 

えぇ・・・(困惑)。

 

ちょっと船長強い、強くない?

まさにヒットアンドアウェイの完成型ですね。攻撃に当たらないよう立ち回りつつ的確に切りつけていき、しかもしっかりパリィしていくとか。

 

えぇ・・・(再度困惑)。

あ、さすがにモツ抜きはできないみたいっすね。

 

 

──「おりゃぁぁぁぁぁ!」

 

  「グギャァァァァァァァァァァ!?」

 

 

まさかのダクソの傭兵式!?

ゲームが違うよマリンさん!?

 

 

──「マリン!玲香!」

 

  「分かった!」

 

  「えぇ」

 

 

あぁもうめちゃくちゃだよぉ!

でもチャートより早いってどういうこと?

 

 

──「ガァァァァァァァァ!」

 

  「まだ生きてる!?」

 

  「玲香ちゃん危ない!」

 

 

ちょっと予想外のこと起きすぎなんよ前回からさぁ(パリィ)。

 

でもまぁ、早いならOKです!(モツ抜き)

 

 

──「・・・これで終わりね」

 

Hunting Overtuer

 

 

終わったよぉ!

いやぁ今回は色んな意味で疲れましたねぇ。

 

序曲(オーバーチェア)が終わったところで今回はここまで!

ご視聴ありがとうございました!

 

 

───────────────────────

 

 

「勝っ、た・・・?」

 

「えぇ、()()()わよ。私とフレア、そして、あなたが、ね」

 

肉を切る感覚が手に残っている。見様見真似で玲香ちゃんのパリィを真似したけど、その後の攻撃がダメだった。

 

これが、殺すという感覚なの・・・?

 

「マリン、あまり人を殺したなんて考えない方がいいよ。ああなったらもう人じゃないし、それに、これは全部悪夢だから」

 

「悪夢・・・?あぅっ!」

 

急に酷い頭痛がした。

 

「大丈夫!?」

 

「何、これ、?」

 

狩人の夢、獣、そして、啓蒙。

 

「狩人は、死んでも蘇る・・・?」

 

「そっか・・・、マリンも知っちゃったか」

 

「え?」

 

「啓蒙を得て、狩人を知って、玲香の一端を知ったんでしょ?」

 

これが、狩人?これが、玲香の一端?

 

「なんで正常でいられるのさ・・・?」

 

「正常じゃないよ、ほら、見てあれ」

 

フレアが指した場所には、玲香がいた。彼女は、あの獣の内臓を抉り、未だ血塗れた右腕を眺めていた。

 

「・・・笑ってる?」

 

「そう、多分自覚はないんだろうけど、玲香はもう、狂ってるよ・・・」

 

 

ゆっくりと姿を現した蒼い三日月を背景にして、血を纏って笑う彼女は、とても妖艶で美しかった。

 

 




オーバーチェアの理由は後ほど・・・。

猛り爆ぜるので失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の聖堂街【蒼い三日月】


猛り爆ぜたので初投稿です。



夜の永いRTA、始まってんだよなぁ。

 

前回はガスコイン神父を倒して終わったんですよね。実はあのガスコイン神父、DLC最初のボスだったんですよ。

だから序曲(オーバーチェア)だったんですね。(メガトン構文)

 

 

──「あれ、さっきまで月なんてなかったのに」

 

  「それに蒼い・・・、さすがは悪夢だね」

 

 

お、月が変化しましたね。

この悪夢の中では、イベントの進行度で月が変化します。

 

ガスコイン神父を倒すまでは[色のない新月]。そして今は[蒼い三日月]ですね。

 

あと3回月は変化しますが、それはその時に。

 

 

──「それで、獣狩りを知ったわけだけれど、

   あなたは着いてくるの?」

 

  「・・・行くよ、船長にもできることがあり

   そうだからね」

 

 

来るのかぁ(諦め)。

 

気を取り直して進んで行きましょう。この先で4つほど武器が拾えますので、今のうちに回収しておきましょう。

 

 

ー昏い悪夢の教会ー

 

 

 

──「うっ、来るだけで啓蒙が開くなんて・・・」

 

  「ここが本陣というわけね」

 

 

来ました[昏い悪夢の教会]、外に出ると聖堂街に出ます。ここからは敵を倒しつつ武器とアイテム回収をするので、倍速。

 

そして、み な さ ま の た め に 〜

 

聖堂街の話と、取れる武器やアイテムの話をしたいと思います。

 

まず聖堂街ですが、今はまだどこに行こうとイベントは進行しません。ここが真の姿を現すのは、もう一度月を変化させる必要があります。

 

ただここで取れる強化アイテムが非常に美味しいので、通常プレイではここでの周回をおすすめします。しかし、今回はあまり武器の強化をしないので、多分月が変化するまでもう来ません。

 

そして、ここで取れる4つの武器ですが、

 

1つ目は[獣狩りの曲刀]、変化前は重量のある曲刀、変化後は素早い攻撃のできる大鍘刀と、少々溜めが長いものの高い攻撃力を持つ武器です。

 

2つ目は[獣肉断ち]、変形前は振りの速い打撃武器、変形後は獣に特攻を持つ大振りの蛇腹剣として機能します。ぶっちゃけ某オサレ漫画の蛇尾丸です。

 

3つ目は[爆発金槌]、一撃一撃の威力が高い小型の炉を持ったハンマーで、変形の変わりに撃鉄を起こし、次の一撃の威力と範囲を強化できます。ロマン武装です。

 

4つ目は[回転ノコギリ]、変形前は扱いやすいメイス、変形後は巨大な丸鋸として機能します。多段ヒットが魅力の武器で、獣に特攻を持ち合わせています。

 

というように、どれもそれぞれ違った強さを持った比較的良い武器なのですが、器用に補正が掛かるのが[獣狩りの曲刀]だけなので多分他のは使わないです。

 

あとは、武器の強化に使う[血石の欠片]と[血石の二欠片]と、おお、[ノコギリの狩人証]がこんなところに・・・。

 

この狩人証はランダムドロップなのでありがたいですね。

 

では、帰りましょう。

 

 

──「うっ、割り切ったとは言え、やっぱり

   慣れないなぁ、この獣狩りの感覚」

 

  「・・・帰りに飲み物買ってこっか」

 

  「うん・・・」

 

  「それじゃあ、私はこっちだから」

 

  「うん、おつぬい〜」

 

  「ヨ〜ソロ〜」

 

  ・・・家に着いた。

  ポストに手紙がある。

 

 

ヌ?なんでしょうか。

 

 

  古い招待状を手に入れました。

 

 

ファ!?マジかよ・・・。

 

これはDLCのランダムイベントの1つです。ただこれ、初期の発生確率が5%と非常に低く、1年経つごとに10%づつ加算されていきます。なのでこんな序盤に来るのは珍しいってレベルじゃないんすよねぇ。

 

・・・ぶっちゃけシステム的な何かを感じざるを得ないです。

 

うーん、でも武器が貰えるので行っておきたいところなんですよね。

 

行くか(ケツイ)。

 

 

──辺りが霧に包まれ、いつの間にか家の前に馬車

  が止まった。私は、馬車に乗った。

 

ー廃城カインハーストー

 

 

多分もう2度と来ない新ステージ、カインハーストです。見てもらえれば分かる通り、そんなに移動していないにも関わらず見渡す限りの銀世界、作中での言及はないものの、おそらく次元が歪んでいるのでしょう。

 

さて、このステージで出てくる敵MOBは皆、[血族]と呼ばれる特性を持ち合わせていて、『教会の〜』とある武器が特攻を持ちます。

 

[教会の石槌]が輝きますね。

 

では経験値を稼ぎつつ城内に入っていきましょう。城内では優美なドレスを着た幽霊や、腰の曲がった小間使いなどの敵がいます。一体一体は弱いのですが、何より数が多いため囲まれると瞬殺されます(4敗)。

 

そうこう言っている間に城に着きましたね。

 

お、開いてんじゃ〜ん(城門)。

オッスお願いしまーす(侵入)。

 

 

──濃く、そして甘い血の香りがする。

 

 

な ん で 流 血 鴉 が い る ん だ よ

 

え〜、コイツの名前は[カインの流血鴉]、ライバーを除くと作中最強のNPCと名高い敵MOBです。右手には血を纏う妖刀[千景]を、左手には[教会の連装銃]を持った手強い敵で、走者もできれば極力戦いたくない相手です。

 

お前さんフラグ建てなきゃ来ないはずダルォ?なんでここで出てくんだよ。

 

しかし今回は器用全振りのレズちゃん、とりあえずモツ抜きしとけば死ぬでしょう(適当)。

 

では、イクゾー・・・。

 

コイツの気をつけなければならない点は2つ。

 

1つは連装銃による射撃です。火力がおかしいのでレズちゃんが受ければ多分8割飛びます。

 

2つ目は[千景]変形後の、仮名称[血刀状態]の居合切りですね。多分死にます、はい。

 

それでは、絵面が地味だったので倍速です。

 

 

──「うっ!」

 

  「ふふふ、あぁ、いいわ。脳髄が蕩けるほど

   甘い血・・・。なんて、甘美・・・!」

 

  「がぁっ!」

 

  「でも足りない・・・!足りないの!

   もっと私に快楽(ココロ)を頂戴!」

 

  「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

  「ふふ、ふはは、あははははははははは!!」

 

 

うわぁ、レズちゃんの狂気がすごい・・・。というか、いくら器用に特化させたとはいえ、まさか3回モツ抜きして終わるなんて、キミ強すぎ。

 

では今回はここまで。

ご視聴ありがとございました。

 

 

───────────────────────

 

 

私は、孤児院で育った。

 

玄関辺りに捨てられていたらしい私は、本当の両親から名を与えられず、院長の苗字である[叶不]を取って名前を付けられた。

 

そこから少し経ってから、私の異常が現れ始めたらしい。

 

泣きはせど、笑わない。

 

不快しか持ち合わせていない、空っぽの人間だった。

 

そんな私を気味悪がって、孤児院の大人たちは、腫れ物のように扱われ続けた。幸い私は、欲望などもなく、食料と飲み水を与えていればあとは静かな子供だった。

 

 

 

『我々は、君の入学を許可する』

 

16歳の春、あの学園から入学許可証が送られてきた。大人たちはさぞ喜んだだろう。

 

住み慣れた我が家を手放すというときにも、まるで怪物でも見ているかのような大人たちの目が不快で仕方なかったがために、挨拶もそこそでさっさと出ていった。

 

 

 

再度言うが、私は、空っぽの人間だ。

 

いや、空っぽの人間だった。

 

 

『君は幸運だ。まさにヤーナムの血の医療だけが、君を導くだろう』

 

『・・・貴公、貴公こそが、獣だ・・・』

 

 

どうやら私は、快、という感情を知ったらしい。

 

 

血を浴びて歓喜し、涙を流して悦んだ。

 

 

 

嗚呼、嗚呼!

 

私はこの血刀と同じだ!

 

血濡れることでしか満たされない!

 

 

 

私は獣?それとも狩人?

 

いえ、もうどうでもいいことね。だってどちらにしろ血に酔って、狂っているもの。

 

だからせめて、狩りを手伝ってくれるあの人たちの前では、良い狩人でいましょう?

 

ねぇ、[千景]?

 

 

 

狂気[()に酔う]

[血族]以外からの被ダメージ1.5倍。

戦闘中、回復魔法を受け付けない。

 

 

スキル[血の歓び]

内臓攻撃時、HP上限の50%を回復。

死亡時、10%の確率で蘇生。

[千景]によるスリップダメージを無効化。





Twitterの使い方を学ぶために失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

廃城カインハーストから第2回バトルロワイヤル前まで


他の走者ニキたちのホロラバ見てたらホロライブの知識不足を実感して1度消そうか迷ったものの、とりあえず続行することに決めたトースターです。

有識者様にはどうか「ここ違う!」ってのを指摘して頂きたいなぁと思います。(語録無視)



久しぶりのRTA、始まるよォ。

 

前回は、えーっと、なんですかね、このスキルと、狂気?ってやつ。もしかしてあれですかね、トラウマ。でもムービーにトラウマになるような描写はなかったんですよね。

 

とすると、何かしらのイベント?でも攻略にも何も書いてないですし・・・。

 

んにゃぴ、よく分かんなかったです。

 

いやまぁ、回復阻害は少々厄介ですが、被ダメ上昇はぶっちゃけいっつも一撃喰らえばオワタなので、あんま意味はないです。

 

それに、覚えたスキルがぶっ壊れレベルで強いので完全にプラスイベントですね。

 

では、引き続きカインハーストを攻略していきましょう。

 

カインハースト内部の敵は、幽霊と小間使い、騎士とガーゴイルの4種類しかいないため、そこまで難易度は高くないです。いやまぁ幽霊に囲まれたら終わりですが。

 

1番怖いのはガーゴイルで、遠距離から威力高めの超音波を放ってくるんですね。乱戦でやられたらたまったものではないので、見つけたらさっさと倒してしまいましょう。

 

ここからは敵を倒しつつボス前に向かうだけなので、

 

甥の木村、加速します。

 

 

 

着きましたね。カインハーストの屋根の上、文字通り、この大きな廃城の頂上になります。

 

武器を[千景]に変更しておきましょう。

 

 

──玉座に、白骨化した死体が座っている。

  王冠を被っているが、とても王には見えない。

 

  いや、死体であって死体でない、か。

 

  白い骸が動き出した。

 

  血は通っていないみたい、残念ね。

 

 

はい、殉教者ローゲリウス戦になります。

 

ローゲリウスは2段階目まであり、1段階目は怨念と呼ばれる霧状の赤い骸骨と、手に持った鎌で攻撃してきます。

 

どれもこれも威力が高い上に速いため、まともに戦うとかなり厄介ですが、パリィは非常にしやすいのでいつも通り狙っていきたいと思います。

 

まずは[加速]で近づき、鎌攻撃を誘発しましょう。鎌を振りかぶったら、気持ち遅めに銃を撃ってパリィ!

 

(ダメージが)高ぇなぁおい。(嘘語録)

 

モツを抜いたらすぐに距離を取りましょう。このとき、欲張って追撃を狙うと爆発ドクロに殺されます(2敗)。

 

とまぁ、ローゲリウスはこれだけで倒せます。体力が半分になると少々動きが変化しますが、やることは同じです。

 

と、いうことで、

 

甥の木村、加速します。

 

 

この間に、Bloodborne既プレイ者、または知ってるよ〜って方に、ホロラバ世界における[神秘]と[血質]について説明していこうと思います。

 

興味ねぇ!って方は飛ばして、どうぞ。

 

この世界における[神秘]、[血質]ですが、そもそもステータスとして存在しません。

 

というのも、ポイントの割り振れる基本的ステータスが

 

[体力]、[持久力]、[力]、[器用]、[魔力]

 

の5つしかありません。

 

じゃあ原作の[神秘]、[血質]補正はどうするんだ!って話ですが、恐らく、レベルに置き換わっています。

 

簡単に言えば、

 

今、レズちゃんは[器用]にのみ特化させていますが、レベルが上がると、Bloodborneにおける[神秘]、[血質]の数値も上昇するので、[血刀]状態の[千景]の攻撃力が跳ね上がるわけですね。

 

つおい。

 

さて、説明終了。と、同時に、

 

 

You Hunted

 

 

ローゲリウスも狩り終えましたね。

 

うん、(経験値が)おいしい!

 

 

──[カインの証]を手に入れました。

 

 

このアイテムも、[火薬の狩人証]と同じく仕掛け武器の獲得に必要なアイテムで、ローゲリウスを狩らなければ手に入らない貴重品です。

 

だからここに来たかったんですね(メガトン)。

 

 

──一瞬、強い吹雪が辺りを覆い、気が付けば私は

  自宅の前に佇んでいた。

 

  ・・・もう遅い、寝よう。

 

 

 

この後に、仕掛け武器[レイテルパラッシュ]と、左手武器[エヴェリン]を手に入れて、第一回バトロワ後のイベントは全て終了になります。あとは、第二回までひたすら授業、特訓、就寝を繰り返すだけなので、

 

カ↑ット↓します!

 

 

──朝だ。今日はバトルロワイヤルがある。

 

 

バトロワの朝ですね。第二回になると、他のホロメンも参戦するので、難易度がガツンと跳ね上がります。

 

また、今回からバトルロワイヤルの会場が、専用の闘技場から学園敷地内になるので、環境ギミックや想定外のエンカウント、狙撃など、前回と比べてより緻密な策を練る必要があり、1人で立ち回るのはちょっとキツいです。

 

 

──「あ、玲香たん、おっはよ〜!」

 

  「ええ、おはよう、マリン」

 

 

船長のエンカウントイベントですね。バトロワの日にエンカウントすると、5割の確率で協力の提案が持ちかけられます。

 

 

──「いよいよバトロワだねぇ」

 

  「そうね」

 

  「あのさ、協力しない、バトロワ?」

 

 

やったぜ!ここは勿論、承認しましょう。

 

 

──「分かったわ、協力しましょう」

 

  「やった!実はさっき、フレアとノエちゃんが

   組んでてさー、船長もそーしよーって!」

 

 

Oh......、ノエフレはてぇてぇけど、かなーり厳しい戦いになりそうです。

 

前衛に作中最強レベルのタンクであるノエル、その後衛でヒーラー役もできるフレア。

 

他のホロメンの相手もしつつ、この2人に対抗する、かぁ。

 

やべぇこれ。1番組ませたらダメなコンビかもしれん。

 

こ、今回はここまで。

ご視聴、ありがとうございました・・・。

 

 





なんか、こう、ポロラバいっぱい増えたからさ、レイドボスみたいのやってみたいなぁって思う。

制限時間50分

アシストに2人までホロメンを連れて行ける。(ただし被りなし)

的な感じで。


Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル

新作ホロラバが多すぎて追いつけないので初投稿です。


はい、よーいスタート(バトロワ)。

 

使う武器は[千景]と[エヴェリン]でいきます。

 

[千景]は見た目刀の仕掛け武器で、扱いは直剣と同じです。しかし、仕掛けを起動するとその武器種は刀に分類されます。

 

起動後の[千景]は、血を纏うことでトンデモリーチの高火力武器になる代わりに、使用者にスリップダメージを与える妖刀に早変わりするわけですね。

 

()()()()

 

レズちゃんは前々回で手に入れたトラウマ?によって、このスリップダメージは無効化されます。

 

(つまり代償が)ないです。 バケモンが・・・。

 

今回からバトロワのシステムが大幅に変更され、会場は学園全体に魔法がかけられ、バトロワ中に起きた事象、負った傷は全て回復されます。

 

タヒっても殺っても大丈夫です。

 

モツ抜きもできます、できるだけしませんが。というのも、ホロメンに対してモツ抜きをすると[精神異常:恐怖]を付加してしまうらしく、ちょっとまず味なんですよ。

 

なので、前回と同じように[当身]で気絶させてから優しく逝かせてあげましょう。(無慈悲)

 

閑話休題。

 

さて、開始地点は屋上になります。これはウマ味、もというま味ですねぇ。屋上は射線がよく通るので、魔術職やら弓使い、銃使いが集まりやすいです。

 

そこに近中距離で固めた2人、どうなるかは、もうお分かりですね?(暗黒微笑)

 

 

──「よし、ここから魔法を放てば」

 

  「あら、ごめんなさい。もう定員オーバーよ」

 

  「ぐはぁ!」

 

 

釣れたぜ!

 

ここで待ってるだけでモブ(カモ)経験値(ネギ)を背負って集まってくるわけです。

 

しばらくはこのままモブ狩りが続くので、今回のバトロワの注意事項を説明していきたいと思います。

 

 

まず1点目は、ホロメン最強格のお嬢とホロライブのターミネーターことロボ子さんに会わないことです。

 

ぶっちゃけ会ったら死にます。

 

お嬢は、まぁ、いつもどおり安定した(バカみたいな)強さを誇ります。

 

しかもパリィ耐性持ちです。

 

パリィ耐性持ちです。

 

とても大事なことなので2回言いました。

 

つまり、純粋なPSで戦う必要があるわけです。無理です。死にます。

 

ロボ子さんは、ぶっちゃけ会っても大丈夫といえば大丈夫です。多分死にはしません。が、倒す手立てもないです。

 

当然の如くパリィも[当身]も効かないですし、仮にモツ抜きができてもレズちゃんの腕が逝くだけです。はい逃げ安定。

 

 

2点目は、1箇所に留まりすぎないことです。

 

1箇所に留まり続けた場合、前回の団長のようにホロメンが釣れることがあります。1人や2人だけならまだ対処は可能ですが、これがグループで来た場合はキツイです。確実に手数で負けます。

 

また、一部銃持ちのホロメンにぶち抜かれます。(4敗

お前のことだぞFPSつよつよライオン。

 

レズちゃんの体力だと一撃受ければ確実にYou diedされるのである程度稼いだらちゃっちゃと移動しちゃいましょう。

 

 

3点目は、なるべく屋内で戦うことです。

 

相手によっては不利になるものの、基本的に屋内では近接2人組のこちらが有利です。わざわざ外に出て状況不利のまま戦う必要はありません。無理せずいきましょう。

 

 

では、そろそろ移動します。

 

移動先は特に決めていません。というか、どこに行っても大体ホロメンがいるので随時計画に修正を加えながらになりますね。

 

 

───────────────────────

 

 

玲香ちゃんと転送された先は、学園の屋上だった。グラウンドを覗くと、各々の武器でお互いを攻撃し合う生徒達が見える。

 

「うわぁ、やってるよぉ」

 

「バトルロワイヤルなんだから、当たり前でしょう?」

 

玲香ちゃんは、武器の手入れをしていた。()()()()で使っていた直剣と鉄槌の仕掛け武器(狩人の使う特殊な武装)ではなく、西洋風の柄を持った刀だった。

 

「あれ?武器が変わってる」

 

「[千景]と言うの、綺麗でしょう?」

 

うっとりと目を細める玲香ちゃん。確かにとんでもない美少女だから絵にはなるんだけど、刀を見ながらってのはちょっと船長いただけないかなぁ。

 

「さて、これからどうするの?」

 

いつも冷静な玲香ちゃんなら、勝つための策の1つは用意しているはず!船長、それに従います!

 

「どうもしないわ」

 

あれぇ?

 

「わざわざこちらから動かなくても、ほら」

 

「あ、足音。2人分かな?でもなんで屋上に?」

 

「ここ、見晴らしいいでしょ?」

 

「確かに・・・あ!狙える!」

 

「そういうことよ」

 

ふむふむ、ここまでくれば船長でも察せるぞぉ。つまり、銃やら魔法やらを専門にしてる子たちを近接でボコボコにするわけだね、うん。

 

「人の心はないのかなぁ?」

 

「(要ら)ないわね」

 

「オイオイ、マジかよ」

 

殺さないための手加減はいらなくなったけどさぁ、さすがに慈悲がなさすぎでは?

 

「・・・そろそろ構えなさい」

 

「りょーかーい」

 

チラッと玲香ちゃんに目を向けると、居合切りの構えをしていた。刀、どこかで習ってたのかな。

 

ガチャ、と扉に手が掛けられる音がした。

 

「よし、ここから魔法を放てば」

 

手に持ったブレードを突き出す。

 

「あら、ごめんなさい。もう定員オーバーよ」

 

「ぐはぁ!」

 

より早く、赤い斬撃が2人の魔法使いを切り裂いた。

 

・・・ん?()()

 

「え、何その刀怖い」

 

血が纏わり付いた刀を持っていた。

 

「そう?私は綺麗だと思うけど」

 

「頭大丈夫?」

 

「どうやら切れ味をその身で味わいたいみたいね」

 

「ごめんなさい」

 

平謝りである。多分ステータスだけなら船長の方が強いのになぁ、なんでか絶対に勝てないって確信がある。

 

「てか、これ船長いらない子では?」

 

「私が切り漏らしたらどうするのよ」

 

「まさかの残り物処理!」

 

人を残り物って言ってるあたり、私も結構キてるなぁ。

 

「さ、ある程度狩り終わったら移動よ」

 

「うぅ、了解・・・」

 

はぁ、並び立てると思ってたのになぁ。




一応こちらでも連絡を。

活動報告に大型コラボなどについて書いてます。

ひっさびさに書いたせいで船長の言葉遣い分かんないのでまた失踪します。


48サンチ三連装陽電子衝撃砲さん
Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-2


主人公ロールプレイングが楽しかったので初投稿です。


ほないくど〜。前回は屋上から移動したところで終わりましたね。こいつ全然進まねぇなぁ。

 

ほな今回も戦っていこかー。

 

屋上から校内に降りたので、接近戦が比較的多くなります。が、屋内で扱われる武器のリーチなんてたかが知れてるので、[千景]の圧倒的リーチで刻んであげましょう。

 

 

──「うわぁ、さすがに可哀想・・・」

 

  「マリン」

 

  「はい、後ろの子達は任せてね〜」

 

 

船長も十分エグいんだよなぁ。サーベルのあの短いリーチでよく3人を相手どれるとか。しかもノーダメ。

 

ぬ?体育館側から爆発音・・・。近寄らんとこ。

 

 

──「体育館が騒がしいわね」

 

  「この音は〜、ロボ子先輩かな?」

 

  「・・・誰?」

 

  「3年生のロボ子先輩、機人ですね。

   常にバトロワ上位に名を連ねる猛者です」

 

  「機人てことは、血は通ってないのよね?」

 

  「それがどうかしたんですか?」

 

  「なら興味はないわ、無視でいいわね」

 

  「えぇ・・・」

 

 

ヨシ!レズちゃんも近寄らんようにしとる!

 

ただレズちゃんや、その基準はどうかと思うでさすがに。良い狩人はこうなるんすねぇ。

 

んー、そろそろホロメンと出会いたいところですねぇ。あ、お嬢とロボ子さん以外でお願いします。ろぼさー並びに百鬼組の兄貴姉貴、すまねぇ。

 

 

──「・・・マリン、衣擦れの音、2人分。

   曲がり角の先よ」

 

  「足音聞こえないってことは手練かな〜。

   ・・・待って玲香ちゃん耳良すぎない?」

 

  「会敵まで5秒」

 

  「話聞いてよ!」

 

 

はいちょっとストップ。

 

んーと、レズちゃんのこの反応的に多分獣人ですかね。獣人の一部は奇襲に特化するので隠密スキルを持っている場合があります。

 

しかも2人分、おかころかフブミオかな?

 

おかころは正直負ける要素は少ないです。コンビネーション攻撃は非常に厄介ですが、[加速]による無敵時間を利用することでノーダメで抜けられます。

何より、こちらも2人いるので分断することが出来ますしね。

 

で、より厄介なのがフブミオになります。理由としては個々が強いからです。

かとしょうニキの幸福論者√を見ている方は知っているかも知れませんが、この2人、クッソ強いです。

双方が、膂力、脚力ともに高水準で治まっている上、ミオしゃは狼としての狩猟技術が、フブキは妖術と刀剣術、更には黒上と分裂もできるという、この強さよ。

 

正直この2人ならお嬢と張り合えそう。

 

ま、パリィは効くので勝ち筋はあります。

 

それじゃ、命は投げ捨てるもの、逝くぞ。

 

 

──「3、2、1、今!」

 

  「了解っと!」

 

  飛び出してきた影を、マリンはサーベルで、

  私は、エヴェリンで迎撃する。

 

  「っ!?」

 

  「なんでぇ!?」

 

  黒い獣人と白い獣人が躍り出る。どうやら

  奇襲を対応されたことに驚いているらしい。

 

 

いやぁ、厄介なほうが来ちゃったかぁ。まま、ええわ。策はあります。まずは船長にミオしゃの対応をしてもらって、こちらはフブキの相手をしましょう。

先程も言った通り、白上黒上に別れられると非常に厳しいことになります。なので、別れる前にパリィして倒すのが最善策ですね。

 

それではフブキに斬りかかりましょう。

 

 

──「フッ!」

 

  「うわ!リーチが伸びる!?」

 

  居合切りが避けられた。

  初見でこの一撃を避ける、かぁ。

 

  すごく、いいわぁ・・・。

 

  「奇襲も防がれるしなんかこの子強そうだし、

   あーもう今日は厄日です!」

 

  「あらそう、私は最高の日になりそうよ」

 

 

さらに接近しつつ、血刀状態では銃撃ができないので、解除しておきます。そうすることで、妖術の使用を抑制することができます。

 

剣術しか使えないフブキはパリィピーポーのいいカモです。

 

 

──「そこです!」

 

  「残念ね」

 

  「うわっ!?」

 

 

はいパリィ。後は[当身]で気絶させて、丁寧に葬送して終わりで・・・ん?ちょっと待って?

 

 

──「ッ!?」

 

  「お前、やるなぁ」

 

 

ファ!?うっせやろ!

 

 

──「よぉ、ちょっと遊ぼうぜ?」

 

  「クロちゃーーーん!」

 

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

 

 

 

───────────────────────

 

 

 

「・・・どういう原理?」

 

玲香は冷や汗を垂らした。

 

目の前の白い狐の獣人、その一撃を弾き、後は気絶させるだけだと思っていたら、獣人の中からもう1人の獣人が()()()()

 

白いほうと似ているが、こちらは全体的に黒く、そして、強い。

 

「原理だとか理屈だとかは、今はどうでもいいだろ?」

 

体の節々を伸ばしながら、黒い獣人はケタケタと笑った。

 

「俺は黒上だ。んでこいつは・・・おい、いつまで惚けてやがる」

 

「はっ!えっと、白上フブキです!」

 

「・・・叶不玲香よ」

 

得物を握り直す。視線は絶対に外さない。外したら確実に殺される。

 

「そんじゃ、挨拶も程々に───()るか」

 

黒い獣人、黒上が消え、目の前に現れる。

 

「くぅッ!?」

 

悪夢の中で鍛えられた反射神経が、咄嗟に銃弾を吐き出させパリィに成功する。

 

このまま首を獲る、そう[千景]を構えて、

 

「ッッッ!」

 

横から放たれた妖術に回避を余儀なくされた。

 

「クロちゃん攻めすぎだよ!」

 

「わりぃわりぃ、ちょっとこいつのパリィってのが気になってな」

 

2人の駄弁を聞き流しながら、玲香は2対1の危険性を再認識した。

 

黒上は速い、が、反応できないほどではない。白上の妖術も同様だ。故に、個々であれば、玲香は負けないだろう。が、ここにチームワークが混ざってくると一気に形成は逆転される。

 

パリィから、次の攻撃(アクション)に繋がらない。

 

かと言って、単純な近接戦に切り替えてもジリ貧だろう。

 

「・・・なぁ、薄々気付いてんだろ?勝てないって」

 

「ええ、そうね」

 

「だったらよ、なんで」

 

黒上が、心底理解できないという風に顔を顰め、白上は生物的な恐怖を覚えた。

 

「なんで()()()()()()()()?」

 

視線の先で、玲香が凄絶な笑みを浮かべていた。

 

「確かにこのままだと私は負けるわ」

 

「なら」

 

「だから」

 

セリフを遮るその言葉には、確かに喜色が混ざっていた。

 

「良い子の私はもうお仕舞い───

───さぁ、獣狩りを始めましょう?」

 

 





愉悦部御用達のホロラバがまた生まれたので疾走します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-3


今回はちょっとゴアです
苦手な人は注意してね



振り下ろされる凶爪を、当たると痛そうだなぁとなどと呑気に思いながら、マリンは手に持った曲剣で受け流した。

 

「さすがにバトロワ上位常連は違いますねぇ、ミオ先輩」

 

「そう言うなら!そろそろ!当たってくれないかな!?」

 

そう言いながら、連撃を繰り出す大神ミオの額にはうっすらと汗が滲んでいる。

 

対するマリンは、いっそ清々しい程の笑顔。それどころか、今いる位置から()()()()()()()()

 

「いや、強いですよ?それこそ一撃喰らえばおしまいレベルで」

 

「それ!当たらなきゃ!意味!ないじゃん!」

 

1度距離を置いて呼吸を整える。

 

マリンは動かない。

 

「攻めて、来ないんだね」

 

「特に急ぐ理由もありませんし、疲れるも嫌なので」

 

「いいの?お連れさんが負けたら、2人同時に相手しなきゃいけなくなるよ?」

 

「そっくりそのままお返ししますよ?」

 

「フブキが、負けるって言いたいの?」

 

「玲香なら勝ちますよ。あっと、黒上さんも来ましたか。これはちょっと時間かかりそうかな?と、いうことで、もう少し船長と踊ってから逝きません?」

 

顔に浮かんだ笑みは、以前崩れないまま。

 

「・・・逝くのはそっちだよ!」

 

「それは無理ですねぇ、船長、腐っても狩りのお手伝いさんなので!」

 

悪夢の中で地獄を見た。正気を失った狩人が徘徊し、獣を狩り、狩り尽くしてはこちらに殺意を向けてくる。

 

酷く蕩けた瞳と目が合う度、背中を冷たい恐怖が走ったのを覚えている。それでも、戦わないと死ぬからと、戦って殺して、戦って殺して、戦い続けて、殺し続けた。

 

そしていつしか、生物が持つ恐怖という本能が、宝鐘マリンから消えていた。

 

あんな地獄を越えたのだ、そんな代償を払ったのだ、今更こんなところで負けてやれるものか。

 

絶対の自信と覚悟が、マリンの余裕を生み出した。

 

「よっ」

 

左手の曲剣を逆手に持ち、横凪に振るわれた爪を()()()

 

「なッ!?」

 

それは、地獄で得た、もう1つの[パリィ]。

 

「船長と対等に戦いたいなら、あと100回は死線を潜り抜けてきてくださいね〜」

 

ガラ空きになったミオの腹部に、右手の曲剣を突き刺した。

 

 

───────────────────────

 

 

叶不玲香の狩りは、単純である。

 

通常の獣であれば内臓を引き抜き、強大な怪異であれば、避け()()()攻める。

 

時に光すら置き去りにするステップが、それを可能にした。

 

この優位性は、多対一であっても変わらない。

 

「ちくしょう、こいつ、急に強く・・・!」

 

「当たらないし当たるし体は重いしあの子は怖いし、もうどうすればいいんですかぁ?」

 

致命傷はないものの、傷だらけのフブキと黒上。傷口に染みる玲香の血(猛毒)が、2人の体を蝕んでいる。

 

「はぁ、たまらない♡」

 

対して、恍惚とする無傷の玲香。飽くまでマリンに悟られないように、血を愉しんでいる。

 

このままジリジリと攻め続ければ、この1戦は玲香に軍配が挙がるだろう。

 

「あぁ、でも、そろそろ物足りなくなってきたわねぇ」

 

だが、そんな狩りを彼女は好まない。

 

「それじゃあまずは」

 

血を纏った刃が引き抜かれる。長いリーチ、速い連撃、そして猛毒。さんざん辛酸を舐めさせられたそれに、黒上の警戒レベルが最大限に引き上げられる。

 

「あなたからね」

 

玲香の視線が、黒上を射抜いた。

 

ゆらりと、その上体が倒れ込み、消え、

 

「えっ?」

 

「ふっ」

 

次の瞬間、()()()()()()()()()()()

 

「ざけんじゃねぇ!!??」

 

最速最高効率の反転、自身の捻り出せる最大の力をもって、玲香の背中を裂かんと爪を突き出した。

 

───このとき、黒上は気付くべきだった、既に血刃は解かれており、その左手に古式銃が握られていることを。

 

飛び込む黒上に、一瞥もくれずに銃口が向けられた。

 

「は?」

 

パリィ。

 

「ッ!?」

 

「かかったわね?」

 

反転し、[千景]を振りかぶる玲香。

 

「させないですよ!」

 

すぐさまフブキが斬りかかり、攻撃を妨害する。が、

 

「それを待ってたのよ」

 

血のように紅い瞳と目が合う。

 

銃口は、既に向いていた。

 

「───あ」

 

パリィ。

 

2対1で、相手の連携のために致命傷を与えられない。ならどうするか。答えは、2()()()()()()()()()()()()

 

「さてと、」

 

玲香は思考する。

 

パリィの行動不能は一時的である。故に、どちらかを倒すのに時間をかければ、もう一方が動き出す。悠長に斬りつけている時間はない。

 

「なら、仕方ないわよね?」

 

当初の予定通り、黒上に向かい合う。

 

「いただきます」

 

「ゴプッ!?」

 

内臓に腕を突き刺した。

 

「ゴハッ──ガァッ、クッソがぁ・・・!」

 

腕が引き抜かれ、血が辺りに撒き散らさせる。既に黒上の身体は、消滅を始めていた。

 

「なに、して、え、クロちゃん?」

 

半身に流れる血が、フブキの頬に跳ねた。

 

「逃げろ白上ィ!!」

 

なけなしの体力を掛けて、ありったけを叫ぶ。

 

「コイツはもう、ぶっ壊れてる!!」

 

それが最期の言葉になった。

 

対して、天を仰ぐ玲香。

 

「あぁ、あぁ、あぁ!本っ当に良い血!あの狂った狩人共よりも新鮮で、嘔吐(えず)きそうなくらい甘い!

 

 

 

 

 

 

 

 

あ、ところで、

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、あなたは、どんな香りの血が通っているの?」

 

「い、やだ、嫌だ、来ないで!」

 

「来ないで?先に襲ってきたのはそっちでしょう?なら頑張りなさいよ、最後まで抗ってみなさいよ。つまらない狩りは嫌いなの。ほら、立ちなさい、速く、速く、速く!」

 

瞳孔が、蕩けていく。端正な顔立ちが狂喜に歪む。

 

得体の知れない恐怖に囚われたフブキに、もう戦意は残っていなかった。

 

「降参、します・・・」

 

小さく、そう呟いて、白上フブキは転送された。

 

「興覚めね」

 

そう言って、腕にこびれつく血を払った。





狂った女の子っていい、良くない?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-4


ヒットマン2ができるようになったので初投稿です。


ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!

 

やってしまった・・・。

 

ホロメンのバッドステータス[恐怖]よりも負けるほうが怖かったとは言え、(心が)すごく、痛いです。

 

だが、まだ、まだこの程度のガバでリセするわけにはいかないのです。これ以上ない運の上振れがあったのでね。

 

 

──「あ、そっちも終わっ、あー、やった?」

 

  「あの状況じゃ仕方なかったわ」

  ほんとなら、あともう少し楽しめたのに。

 

  「あー、うん、そっか」

 

 

──『残り50人です!』

 

 

あー、もうそんな時間ですか。これはちょっと経験値がまず味です。うーん、仕方ない。校庭に出ましょう。

 

え?なるべく屋内で戦うって言ってただろって?知らんな(すっとぼけ)。

 

ほら、校庭って人いっぱいいるんですよ。んで、人いっぱいいるってことは、ホロメンもいっぱいいるんですよ。

 

そゆこと(脳死)。

 

 

──「おー、まだいっぱいいますね」

 

  「ここまで残ってるってことは・・・」

 

  「それなりに強いでしょうねぇ。

   バトロワ上位常連が集まってます」

  

  「へぇ、それは気を引き締め直さないとね」

  あぁ、楽しみ♡

 

 

レズちゃんさァ、地の文だったら狂っていいと思うなよ。見てるからな(俺が)。この状態、走者の精神衛生上良くないなぁ。誰が好き好んでガバの原因になりそうなもんを眺めたいというのか。

 

さて、屋外に出るときは必ず校舎屋上を確認してください。粗方の狙撃手と魔術師は倒したものの、ししろんを筆頭に狙撃、魔術を得意とするホロメンが生き残ってる可能性があります。その場合撃ち殺されます。

 

「動くと当たらないダルォ!?」

 

動いても当たるんだよなぁ。

 

いないな、ヨシ!そんじゃあ行きますか。わぁい、経験値がいっぱいだァ。

 

 

──「どうします?船長的には漁夫一択ですけど」

 

  「そうしましょうか」

  つまらないなぁ。

 

  「・・・ッスー」

  うわ、玲香ちゃんが退屈そうなんだワ。

 

 

レズちゃん、ステイ、まだだ、まだそのときじゃない。

 

ここは船長にしたがって、1戦終えて疲れきった生徒を狙います。下手にクロスファイアなんてされたらたまったもんじゃないです(2敗)。

 

・・・そろそろ狩るか♤

 

例えばそこでクタクタになってる天使とかちょうど良くないです?なぁ、かなたそォ!

 

 

──「ねぇまたぁ!?ボクもう疲れたんだけど!」

 

  「なら休むといいわ、負けたあとでね」

 

 

ということで、天音かなた戦です。パリィして[当身]して丁寧な埋葬すれば終わりです。

 

かなたそは、実は単一だとそんなに強くないです。火力の高さには要注意ですがそれ以外は平均程度、防御力は低めという微妙な性能。

 

ただ、バフや回復などの支援魔法が豊富なので、集団戦になると途端に化けます。火力の出せるバファー兼ヒーラー、良くない?

 

 

──「嘘、ボク、こんなところでぇ・・・」

 

  天音かなたを倒した!

 

 

うーんこの、ゲームシステム上例え気絶してても倒されたらセリフをちゃんと言う謎設定よ。[沈黙]付与中に喋ったときはさすがにビビったゾ。

 

ともかく、こんな感じで無差別攻撃していきます。

 

ただあんまりやりすぎるとお嬢に目をつけられるので、程々にね、程々に。

 

 

──「次、行くわよ」

  物足りない・・・。

 

 

程々に、つってんだろうが!待て、勝手に敵をロックオンすんな!解除だ解除!できない、だと!?

 

あーもう、やってやろうじゃねぇかこの野郎!

 

硬い!硬いんよもう!最終局面まで残ってるMOBって弱いくせに硬いからうざいゾ!

 

・・・もうやっちまったし、モツ抜いても、バレへんか。

 

アムロ、抜っきまァァァァあっぶぇ!!!??

 

危うく焼き狩人になるところだったゾ!

 

 

───────────────────────

 

 

トドメを刺そうとした目の前の生徒が、突然発生した爆炎に吹き飛ばされた。

 

下手人に心当たりのある玲香は、不機嫌そうに顔を顰めた。

 

「横取りなんて悪趣味ね、フレア」

 

「え、いや、待って違うの玲香、二次災害みたいなものだから!」

 

「二次災害?」

 

「そうそう、別に玲香の獲物を狙ったわけじゃ・・・ッ!?」

 

「フレア?」

 

突然唖然とするフレアにつられ、爆炎の先を見る。

 

「───はははははははははははははははッ!」

 

心底愉快そうに笑う鬼がいた。

 

「・・・嘘、あれで無傷ってことある?」

 

「フレアが狙ったのって、あの子?」

 

出鱈目もいいところだ。人が吹っ飛ぶような爆破を食らってるのに、ピンピンするどころか高笑いしている。

 

「今年の新入生は粒揃いだと聞いてはいたが、予想以上だぞ!」

 

「無傷の先輩に褒められてもなぁ」

 

「え、あの子先輩なの?」

 

「「先輩だが!?」」

 

比較的小柄な体型から、てっきり同学年だろうと思っていた玲香は目を丸くした。

 

「2年生、百鬼あやめ先輩。昨年のバトロワでは優勝回数7回、うち5回は連覇というとんでもない強者です」

 

マリンが困ったような表情で説明する。

 

「そういえばふーたん、ノエちゃんは?」

 

回答の代わりに、背後で岩でも砕いているかのような音がした。

 

「あ痛たたた、あれ?マリンと玲香ちゃんも来てたの?」

 

頭でも打ったのだろうか、後頭部をさすりながらノエルが現れる。その後ろでは、校舎の一角が倒壊していた。

 

「ちょっとあやめ先輩に殴り飛ばされてさ」

 

「うん、痛かった!」

 

「にしては元気ね」

 

傷ひとつないあたり、こちらの耐久性も大概人の枠から外れている。これが白銀騎士団団長の実力か。

 

「さてと」

 

話を区切り、こちらを、具体的には玲香を眺めながら首を捻る百鬼あやめに目を向ける。

 

「ん〜、あ!見たことのある顔だと思えば、今年度最初のバトロワで優勝した人間様か!」

 

「目をつけられたね、玲香」

 

「そうみたい」

 

呆れるフレアに、困ったように笑う玲香。内心ウッキウキである。

 

「期待の新入生4人!これは楽しくなりそうだ余!」

 

そう言うと、あやめは二振りの愛刀を引き抜いた。

 

「さぁ4人とも、どこからでもかかって来るといい!!」

 





ワクチンの副作用って、怖いですねぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-5


当社比いつもの1.5倍くらい血なまぐさいので初投稿です


「彼らは、[古狩人]と呼ばれる者達だ」

 

あの悪夢の帰り、夢の中の老人──ゲールマンというらしい──に、あそこで見た全てを伝えると、あの狂った狩人について、そう答えた。

 

「狩りに溺れ、血に酔い、獣性に堕ちきった、人でも獣でもない憐れな狩人の成れの果て、それが彼らだ」

 

そう言うゲールマンの表情は、憎悪とも悲哀とも呼べない、複雑なものだった。

 

「彼らの膂力は見ただろう」

 

「あれこそ、獣性の証」

 

「獣性は、血によって更なる力が引き出される。だがそれは、人間を逸脱することに同義だ」

 

「どうか、君はそうならないでくれたまえよ」

 

この言葉に、私はどう返したのだったか。

 

 

 

 

 

 

「うぅぅぅ、相変わらず攻撃が重い!」

 

「すごいなノエル、力で余と張り合える人間など今まで見たことなかったぞ!」

 

あそこで小さなクレーターを作り上げてる2人は、古狩人と呼んでもいいのではないだろうか。いや、それ以上だろうな。

 

この場でもっとも非力な玲香は、遠い目をしてそう思った。

 

「う、おりゃぁぁ!!」

 

「うぉ!?」

 

ノエルがあやめを吹っ飛ばした。だが、あやめは危なげなく着地した。

 

「うん、楽しいな!」

 

「楽しそうで結構ね」

 

都合3発の水銀弾を撃つ。走り出しを殺す気で撃ったその弾丸が、必要最低限の動きで回避される。

 

さっきからこの調子だ。さすがに4VS1なので掠りはするが、追撃をさせてくれない。

 

百鬼あやめは巧い戦いをする、この短時間で、玲香の下した評価である。

 

このままの調子でいれば、恐らく勝てないこともない。地道に削り、体力を消費させて狩る、要は我慢比べだ。

 

それは、玲香のもっとも苦手な分野であり、だから、つい攻めすぎる。

 

「来るか!」

 

間合いに入らなように細心の注意を払いながら、リーチの差を活かして斬りつける。常人であれば回避不能の攻撃範囲だが、それら全てが躱され、逸らされ、防がれる。

 

決め手のない現状に苛立っていた。

 

「玲香たん、そんな焦って戦わなくても大丈夫だよ、堅実にいこう?」

 

「・・・分かってる、けど」

 

もっと血が欲しい。狂おしいほどに血を浴びたい。

 

再度突貫する。

 

袈裟斬り、後ろに下がって躱される。逆袈裟、真上に向けて逸らされる。踏み込んで一閃、防がれてそのまま鍔迫り合いになり、間もなく、飛ばされる。

 

ギリッと、奥歯が鳴った。

 

足りない。

 

足りない!

 

足りない!!

 

苛立ちを込めて、全速力の突きを放つ。

 

「玲香!攻めすぎ!」

 

「───あ」

 

点の攻撃は、避けられやすい。そんなものに全力を尽くしてしまった。

 

この鬼からすれば、玲香を斬る絶好の機会だ。

 

「貰ったァ!!」

 

「ぅ・・・ぁあ・・・!」

 

双刀が深く、深く胸を穿つ。紛れもない、致命傷である。

 

「玲香ぁぁぁぁぁ!?」

 

悲鳴が辺りに木霊した。

 

 

 

 

 

 

「獣は素早いだろう?」

 

「ええ、正直厄介ね」

 

そうだ、前にもこんなことがあったか。なかなか斬らせてくれない獣がいたの。狩りはしたけど、時間がかかった。だから助言を求めに行った。

 

「その左手の銃で動きを止める、というのが最善策だが」

 

「そんなの分かってるわよそのくらい、それが通じなかったときの話よ」

 

「ふむ・・・あまり推奨はしないが、ときにはわざと食わせるのも手だ」

 

「バカにしてるの?」

 

私は、嘲りを含んだ目でゲールマンを見た。

 

「バカにはしていない。我々には回復手段がある。傷すら塞ぐ魔法のような手段がね。であれば、己を囮とするのも悪い策では」

 

「はぁ、話にならないわ」

 

イラついていたのもあって、話を半ばで切った。

 

「・・・では、これだけは言っておこう」

 

「何?」

 

「狩人は、焦った者から呑まれる。気を付けたまえ」

 

その言葉を、私は無視した。

 

 

 

 

 

 

さすがは助言者を自称するだけはある、胸に刺さる刀を見てそう思った。ゲールマン、かつては高名な狩人であったと言うがどうやら本当らしい。

 

確かに玲香は焦り、そして今報いを受けている。

 

少しばかり後悔がよぎった。だが、すぐに笑いが込み上げてくる。

 

「えぇ、えぇ、認めるわ。あなたの助言は全て正しかった」

 

ありがとう。

 

「おかげで勝てそうよ」

 

玲香の頬が、三日月のように歪んでいた。

 

「勝てそう?そんな死に体で一体何を」

 

その言葉が、最後まで続くことはなかった。

 

突然玲香に抱き寄せられ───

 

「ようやっと、捕まえた!」

 

────[千景]を、腹に突き刺された。

 

「かはっ!?」

 

ここに来て、百鬼あやめは初めて血を吐く。久方振りに感じる痛みと、血の抜けていく不快感に顔を顰めた。

 

「どこに、そんな力が!?」

 

驚愕に声が震える。ある程度耐久性に秀でた鬼に、死にかけの人間が重傷を負わせるなど、ありえないのだ。

 

身長の高い玲香を見上げる。

 

この時、不幸にもあやめは玲香の瞳を覗いてしまった。

 

「アアアァァァァぁぁぁぁぁぁ、良い・・・」

 

「ッ!?」

 

紅い、血のように紅い瞳だ。果たして、この者の瞳はこんなにも紅かったか?

 

まるで、今しがた、血を浴びて色鮮やかに染まり直したかのような────。

 

「なん、なんだ、お主は・・・!?」

 

今相対してるのは本当に人間か?

 

斬り合いに興じているときは、洗練された狩人のような印象だった。だがこれは、まるで獣、いやむしろ、狂気じみた別世界の存在か。

 

「いや」

 

思考を廃棄する。今は何より距離を取ることが先決。

 

そう切り替えると、あやめは玲香の腕を振り払おうとして、()()()()

 

「なんだと!?」

 

こんな細腕に似合わない、骨さえ砕かんとするほどの万力のような膂力だ。

 

「まだ逃げないでもらえる?()()()()()()()()()()()()()

 

「は?」

 

[千景]を手放す。

 

「さっき戦った黒い狐の子も良かったけど」

 

 

「あなたの血も好きよ、だから」

 

 

「ちょうだい?」

 

 

血飛沫が、舞った。





戦闘描写が書けないモーーン!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-6


三人称視点が苦しくなってきたので失踪したいです。




同じ一日を2度繰り返したあの日。

玲香が初めて死んだあの日。

私は、獣を知り、狩りを知り、悪夢を知り、

 

自分の、無力さを知った。

 

玲香が死んだのは、私のせい。だから今度は私が玲香を守ろうって、そう思って強くなった。

 

いや、強くなったのだと誤解していた。

 

私はなんにも変わってないのかもしれない。

 

血を流す玲香を見て、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ゲホッ」

 

腹から登った血が溢れ出す。足の先から少しずつ消えていく感覚に、百鬼あやめは悔しさを覚えた。

 

全力を発揮したかと問われれば、違うと彼女は言うだろう。そして、油断したかと問われたら、それも違うと首を振るだろう。

 

下級生でも相手は優勝者。組んでいた残りの3人も、相当な猛者であると把握していた。そも、油断などできる相手ではなかった。

 

では、敗因は?

 

叶不玲香の認識を誤っていたことだ。力はなく、強靭な肉体も持っていない、だが技量に特化している、それが玲香への認識だった。

 

しかし、現実は違った。

 

玲香は、刺されてなお動き、あやめを怪物じみた力で押さえつけ、その腹を刀と腕で貫いた。

 

「余が甘かったか」

 

この力が血への執着に起因することを、彼女は知らない。

 

それでも、何らかの狂気を抱えているということは、理解していた。

 

「叶不玲香、次は斬るぞ。瞳の奥の、狂気ごとな」

 

 

 

────百鬼あやめ、敗退。

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

湧き上がる歓びを抑えながら、目を瞑り、深呼吸をひとつ。それでも高揚は治まらない。鬼の血のなんと甘美なことか。貫いた右腕の震えている。

 

「玲香!」「玲香たん!」

 

フレアとマリンが駆けつけてくる。それを見て、そう言えば私は刺されたのだったと、玲香は思い出した。どうやら随分と心配をかけてしまったらしい。

 

「傷は!?大丈夫!?」

 

「問題ないわ」

 

オドオドとするマリンにそう言ってやる。事実、刺された胸はもう痛くない。

 

それどころか傷すら()()()()()()()()。血を浴びたからだろうか。

 

そう考えていると、フレアに左手を握られた。そのまま胸まで持ち上げられ、血にまみれることも顧みず、ぎゅっと抱きしめられる。

 

まるで、病床の人間の手を握るようだった。

 

「このバカ!ほんっとバカ!こんな無茶して!」

 

顔を伏せて、そう言われた。

 

「ごめん、なさい?」

 

「謝っても許してやらないから!」

 

じゃあどうすればいいのよ、と困り果てた玲香は、フレアの身体が震えているのに気がついた。

 

これは、恐怖しているのだろうか。

 

「フレア、もう大丈夫だから」

 

フレアに、優しく声をかける。顔を上げた彼女の瞼は、赤く腫れていた。

 

「次無茶したら私が殺すから」

 

「肝に銘じておくわ」

 

彼女の目元に浮かぶ涙を払いながら、困ったように笑った。

 

しかしまぁ、相変わらず綺麗な顔付きだと思う。

 

こうして向かい合っていると、そう言えばエルフの血はどんな香りがするのだろうかと思って───

 

「・・・まずいわね」

 

誰にも聞こえない呟きを零した。

 

先程の怪力、今の思考、震え続ける右腕。なるほど、あの老人の言っていた獣性とはこのことか。

 

着実に、あの悪夢の狩人共に近づいている。

 

少し、落ち着こう。せめて2人の前では正常でいようと心に誓ったのだから、今は血に酔ってはいけない。

 

「ねぇ、玲香ちゃん」

 

ゾクッと、寒気がした。

 

呼んだのは、それまで無言だったノエル。

 

「今の、なに?」

 

今の。おそらく内蔵攻撃の話をしているのだろう。

 

「ノ、ノエル?今のって」

 

「団長、今玲香ちゃんに聞いちょるんよ。だから静かにしてて、ね?」

 

話を遮る彼女の背に、玲香は修羅を幻視した。1歩踏み出す度に地面が軋んで見える、それほどの威圧感。

 

これは質問でなく尋問であると、そう示しているようだった。

 

「で、なに、あれ?」

 

「内蔵攻撃、敵を内側から破壊する業よ」

 

「ふーん、なんでそんな残酷なことするのかな?」

 

「臓腑を傷つけ血も掻き出せる。殺すには最適でしょう?」

 

「そっか」

 

ノエルから、一切の表情が消えた。

 

「やっぱり危険だよ、君」

 

「───いいわ、元々()る予定だったもの。始めましょう」

 

開戦の狼煙が上がった。

 

メイスが振り下ろされ、地面が砕ける。手応えはなし。そんなもの予測済みだ。既に視線は避けた玲香を追っている。

 

刃に血は纏っていない。パリィを狙っているのだろう。

 

「思惑が見え透いちょるよ」

 

「そうかしら」

 

ノエルは、前回大会の玲香戦を思い出していた。あのときの彼女の戦い方は、リーチの長い武器で体力を削り、不意をついてパリィ、気絶させるというもの。

 

今は武器が変わっていたりさらに攻撃的になっていたりと違いはあるものの、強敵相手はパリィ頼りという根本は変わっていないらしい。フレアの情報だ、まず間違いはないだろう。

 

であるなら、先の一戦における玲香の戦い方は、歪だ。

 

「ところでさ、なんであやめ先輩と戦ってるとき、パリィしなかったの?」

 

パリィのタイミングなど、いくらでもあったはずだ。なのに、その古式銃であやめの攻撃を弾くことはなかった。

 

「もしかしてさ、強すぎる攻撃は、パリィできないんじゃないの?」

 

両手で握ったメイスを振り上げる。

 

「例えば、こんな風に!」

 

振り下ろす。やはり、玲香は回避した。

 

「図星みたいだね」

 

顔を顰める目の前の敵を見て、百戦錬磨の聖騎士は不敵に笑った。

 

「なら、勝てる」

 

再び、メイスは振り上げられた。

 

 

───────────────────────

 

 

「始まっちゃった」

 

フレアがそう言葉を零した。

 

「いいんじゃないです?どうせこの後すぐに戦う予定だったんですから」

 

「いや、そうなんだけど。こう、戦う理由?みたいのがちょっと納得いかなくてさ」

 

「あー、玲香たんの内臓ドーンのあれですか」

 

うーん、別になんとも思わないのは、船長たちが慣れすぎたからでしょうか?

 

「ノエルの言い分も分かるんだよ。あの攻撃、見た目がゴアすぎるから、自警団的になんか引っかかったんだと思うけど」

 

「正義感が働いたのかな?」

 

「そんな感じ、に見えた」

 

言葉の最後が濁っていた。

 

「見えたって、なんか含みのある言い方しますね」

 

「こう、なんて言うのかな。それ以外になんかありそうに思えてさ」

 

「なんか、ですか」

 

確かに、フレアの言う通りだと思う。

 

玲香の攻撃は、まぁ、常人が見れば少々過激が過ぎるのだろうけど、戦闘自体は正々堂々の真っ当なもの。この程度を残忍だ悪だと言うのは、納得がいかない。

 

それでも危険と断念するのは、別な理由があるから。

 

「いや、考えても仕方ないか」

 

分かんないや。

 

「え?」

 

「2人で首を捻ったところで答えが見つかるわけでもないじゃないですか」

 

「いや、そうだけど」

 

「なら、別なことしないと。例えば───」

 

腰のサーベルを引き抜いて、フレアに突きつけた。

 

「───バトロワの続き、とかどうです?」

 

「へー、いいんだ、こんな早々に負けても」

 

「むしろいいんですか、そんなこと言って。それで負けたら大恥ですよ?」

 

「ははは」

 

「ふふっ」

 

「「あっははははははははははははは!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「燃やす!」

 

「斬る!」

 

海賊を舐めるとどうなるか、思い知らせてやる。





一人称が書きやすすぎて疾走しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-7


初配信を終えたので初投稿です。


殺意の込められた一撃が、大地を抉る。

 

動き自体は遅くて単純だから直撃を避けるのは簡単だ。それでも瓦礫は飛んでくるため、少しずつ傷が増えていく。

 

「チッ」

 

全くめんどうなことだ。

 

対して、あちらは私の攻撃を気にする様子はなし、か。

 

ま、そうよね。ノエルが警戒しなければいけないのはパリィと内臓攻撃だけ。なら、他の攻撃はわざわざ避ける必要もない。

 

正直な話、互いに決定打のないこの状況は不快極まりない。けれど、さっきみたいな恥を、醜態を晒すわけにはいかない。

 

この獣性は、隠さないと。今後、狩りを続けるためにも。

 

とはいえ、このままでは打つ手がないのも事実。この単純なステイタス差を埋めるほどの戦闘技術を、あいにく私は持ち合わせていない。

 

なら、どうにか足元を掬うしかない。

 

「そういえば、あなたはフレアとどういう関係?」

 

「言う必要ある?」

 

随分と無愛想な返しだこと。

 

「いいえ、ちょっと気になっただけよ」

 

横薙ぎのメイスを最低限の動きで避け、そのまま距離を置いた。

 

「まぁ、バトロワで組むくらいの仲なら気づいてるんじゃないかしら?」

 

「・・・」

 

無言の圧力が、言葉の先を催促してくる。

 

「あの子の変化について」

 

「っ!」

 

掛かった。

 

「今までフレアと一緒に戦ってきて、何か感じたことはある?」

 

「・・・」

 

「あるわよね」

 

「・・・ないよ」

 

「嘘はいけないわ。メイスの柄、軋んでるわよ」

 

「シッ!」

 

また1つ、地面にクレーターが増えた。

 

心が乱されているのか、先より幾分か雑な攻撃だ。格段に避けやすい。

 

「話は最後まで聞きなさい」

 

「ハァッ!」

 

「だから、いや、もうそのままでいいわ」

 

ここから重要なのは、言葉選びだ。どう煽るか、どう乱すか、どう崩すか。勝つには、これしかない。

 

ごめんなさい。私は今から、あなたの善意を利用する。

 

「フレア、加減がないと思わない?」

 

メイスが振るわれる。

 

「付き合いの短い私でも分かるくらいの変化よ」

 

振るわれる。

 

「一回目のバトロワのときは、まだ手心が感じられた」

 

振るわれる。

 

「でも今回は違う。完全に燃やし尽くす魔法だった」

 

振るわれる。

 

「それはこのバトロワで死人が出ないように設定されているから?」

 

振るわれる。

 

「それとも」

 

振るわれる。

 

「彼女が無慈悲に変わってしまったから?」

 

ブチッと何かが切れる音がした。

 

「もう黙ってッ!!!!」

 

怒声が、耳朶を殴った。

 

「フレちゃんが変わったとかどうとかうるさい!無慈悲になった?そんなわけないでじゃん!フレちゃんはいつも優しくて、頼りになって、とっても強い団長の友達なの!何も知らないあなたがフレちゃんを語らないで!!」

 

今までと比べ物にならないほどの連撃。一撃一撃が私にとっての必殺で、全身全霊でもって回避せざるを得ない、正しく悪夢のような攻撃だ。

 

誰しもこの圧に晒されれば、死を覚悟するだろう。

 

()()()()

 

「本当に良かった、あなたが友達のために本気で怒れる人で」

 

1歩、身を引く。

 

「確か、最初にあなたと戦ったときもこんな勝ち方だった気がするわ」

 

私を追うためか、ノエルは振り切ったメイスを握り直していた。

 

「両手でしっかり握ったところで変わらない」

 

下げた足に力を込めているようだ。おそらく次の動作は、突進(チャージング)

 

「溜めのない攻撃の振り始めなんて」

 

蹴られた地面が、文字通り爆ぜた。

 

でもね、

 

「パリィの、格好の的よ?」

 

私の勝ち。

 

「────あ」

 

彼女の小さく零れた声が、放った銃声と重なって消えた。

 

私は、[当身]を首元に叩き込んだ。

 

「許してほしいとは言わないわ。でもそうね、贖罪がてらに教えてあげる」

 

[千景]を鞘に納め、腰を低く据える。所詮、居合の構えだ。

 

「フレアは、あなたの思う不知火フレアのままよ。本当に、優しい人」

 

刀身が鯉口を切り裂く。

 

白銀ノエルの幕引きは、存外呆気ないものだった。

 

 


 

 

「ねぇマリン、バトロワ中の玲香はどんな感じだった?」

 

「あーっとね、あやめ先輩の他に1人、内臓をブスっとやっちゃってる」

 

「そっかぁー・・・ちなみに誰?」

 

「フブキ先輩」

 

「へー、フブキ先輩「の黒い方」はいぃ?」

 

「え、黒い方って、フブキ先輩の裏人格って言われるあの?」

 

「そう、あの。いや〜、見たかったなぁ玲香たんの戦闘シーン。船長そのときちょうどミオ先輩と戦ってたからな〜」

 

「玲香、まさか2人同時に相手してたの?」

 

「そういうこと」

 

「うわぁ、玲香だなぁ」

 

「褒めてるのそれは?」

 

「褒めてる、と思う」

 

「そっかー」

 

「うん。ところでさ」

 

「はい」

 

「そろそろ当たって?」

 

炎弾を繰り出す。

 

「いや」

 

ぴょんっと避けられる。

 

さっきからずっとこの調子だ。私は魔法を当てられず、かといってマリン攻められずの均衡状態。このままだと、魔法を放ち続ける私の魔力切れが先か、常に動き回らないといけないマリンのスタミナ切れが先かの泥仕合になる。

 

移動してない分私の体力は有り余っているから、最悪スタミナの少ないマリンに突貫するのもあり。だけどその後、玲香かノエちゃん控えてるんだよなぁ。そうなったら確実に負ける。

 

まぁ、そうならないように手は打ってあるのだけど。

 

「マリン、地雷って知ってる?」

 

「踏むと爆発するあれだよね、知ってるよ?」

 

「そうそう。罠としては便利そうだよね、地雷」

 

「えー、船長はちょっと・・・。そもそも、地雷を使うような相手と戦うことなんてなさそうだし、獣にはそもそも効かなそうだし。要らなくない?」

 

「まーそうだよね。実際の地雷なんて対戦車用でもない限り、そこまでの威力はないらしいし」

 

「ほら要らないじゃんって待ってなんで今急にその話したの?」

 

「ちょっと考えてみたんだけどさ」

 

「え、無視?」

 

「もし、地雷を魔法で再現できたら。それで、威力も調節できたら」

 

「嫌な予感がするんだワ・・・」

 

「丁度いいところにいるからさ、マリン」

 

「タンマしても」

 

「実験台になってくれない?」

 

対鬼人用地雷魔法が、大地を吹き飛ばした。

 

避けようとしても、受身を取ろうとしてももう遅い。これは元々あやめ先輩を倒すための魔法、人に向けることは想定していない超広域超高威力魔法だ。

 

しかも罠というその性質上、戦闘前に仕込んでおける。予め隠して設置した火種に少しづつ魔力を送って育て上げるだけで、地面に大輪の火の花を咲かせられるわけだ。

 

トータルの魔力消費で言えば決して無視はできないが、準備ができたのはあやめ先輩と闘っている間。休む時間は十分にあった。

 

つまり、私は万全に近い状態で最後の戦闘に挑めるんだ。

 

「と、言いたいところだけど」

 

マリンがこんなことで倒れるとは思えない。満身創痍だろうが、それでも、この爆煙に紛れて私の首を狙いに来るはず。

 

「だからわざわざ置いたんだけどさ。ねぇ、マリン」

 

背後で、爆音が鳴った。

 

 


 

 

「はぁー、それは無理ゲーなんだワ」

 

1回目の地雷。確実に避けたと思ったのに、とんでもない爆発範囲のせいでもろにダメージを受けた。

 

あれ、絶対にあやめ先輩に向けたやつでしょ。なんせ全力で回避した上で()()()()()()()()()()()。まだリタイヤしてないのが不思議だったよほんと。

 

それでもどうにかフレアを倒そうと、感覚頼りに背後に回って奇襲しようと思ってたんだけど。

 

「最初から、()()()()()()()()()()()()()()()と」

 

威力は当然1回目に劣る。それでも、今の船長が倒れるには十分すぎる爆破だった。

 

地雷の位置に誘われたときから、負けは確定していた。

 

「ハー、悔し」

 

身体が消えていく。いやぁ、勝てると思ったんだけどなぁ。

 

「玲香たん、あとは任せた」

 

 

 

────宝鐘マリン、敗退。





やっぱり一人称のほうが書きやすいので失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2回バトルロワイヤル-仕舞い-


遅すぎた初投稿
本当に申し訳ない


マリンが消えるのを確認した。

 

魔力残量は、十分。そしてコンディションは、完全ではないけども、万全だ。

 

振り向くと、案の定1人で立っていた玲香の紅い瞳が私を射抜いた。失せない戦意に、右手に焔を燻らせる。

 

玲香、別に私はあんたを倒したいわけじゃ、殺したいわけじゃないの。強くなったんだって証が欲しい、弱い自分を否定したい、ただそれだけ。

 

「だからさ、本気でいくよ」

 

対玲香用、対獣用に調節した魔法が山ほどある。もちろん威力は、対人のそれより遥かに高い。

 

玲香の強さは、一重にあの一瞬消えて見える独特のステップ。どういう原理か、あれは1部の攻撃をすり抜けるらしい。とはいえ消えるのは1ステップにつき一瞬。要は断続的なのだ。継続的な魔法には、弱いはず。

 

そこで目をつけたのが、爆破と熱。

 

瞬間火力の爆破を囮に、副次的に発生する熱でじわじわと体力を削る作戦だ。性質上、大量に魔力を消費するが、後のことは考えなくていいのだから、関係はない。

 

「────行くよ」

 

浮遊する5つの炎を飛ばす。例え避けられようと、これは第1波。避けた先に次を放てば、少なからずダメージ与えられる。

 

肝心の玲香の初動は、接近。予想通りだ。

 

おそらく玲香は、爆破と熱の2段構えに勘づいているだろう。故に、爆破を回避した上で最も熱源から早く離れられる方法を選んだ。それが、直進による熱源とのすれ違い。

 

接触から爆破までの一瞬で加速し、爆破を回避。そのまま前方に加速すれば、すぐに逃れられる。加えて距離も詰められて一石二鳥だ。玲香らしい効率的な動き。

 

だから、罠が張りやすい。既に私の前方数メートルは、地雷原だ。そのまま突っ込んで来てよ、玲香。そうすれば、私の勝ちだから。

 

これが私の、三段構えの完璧な玲香攻略法だ。

 

「でもま、突破してくるだろうなぁ」

 

確信に近い予感を抱きつつ、炎の行先を眺めていた。

 

そして、ああ、やっぱり、と。

 

2発の銃声が鳴り響き、炎が爆ぜた。ただし、玲香の()()()()()()

 

魔法の中心点を撃ち抜いたんだ。

 

「いよいよもって人じゃないなぁ」

 

さてと、持ってきた秘策が早速破られたわけだし、当初の予定通りに罠に嵌めますか。

 

さすがの玲香も、()()()()()()囮とか、気づかないよね。

 

 


 

 

負けるわけにはいかなくなった。無論、私の自業自得である。フレアを話題に出してノエルを煽る、なんて非道な手段を選んだのだ。これで負けるなんてこと、認められない。

 

「だから、今だけ黙ってなさいよ・・・」

 

血を求めて疼く右腕を鎮める。ノエルの腸がそんなに欲しかったか。

 

やっと右腕が落ち着いた頃、フレアは既に炎を5つ展開し、放っていた。おそらくは私用に調節された特性の魔法。であれば、私の強みを殺す特徴を持っているはず。ぱっと思いついたのは、所謂スリップダメージというもの。私の回避性能を継続的にダメージを与えて潰そうとしてくるだろう。

 

爆発で回避を切らせて次手で狩る。なるほど効率的だ。

 

でもそういう魔法って、ちょっとした外力で瓦解するくらい繊細なんじゃないの?

 

「例えば、銃弾とか」

 

距離を詰めつつ、[エヴェリン]を構える。そのまま5回の発砲。全て炎の中心に命中、予想通り爆発と熱放射が起こる。

 

「それで、次の魔法は?」

 

────地雷。

 

()()()()が私に啓蒙する。

 

「足から仕留める、か。アリね」

 

走る勢いそのままに、地雷を飛び越えた。数秒後に、爆鳴が響く。

 

「バレてるかぁ」

 

術士であるフレアは困ったように笑うけど、焦りがないということはまだ先があるということ。

 

そして予想通り、猛攻が始まった。

 

────上、大量の火矢。

 

これは囮。本命は避けた先の地雷。だから必要最低限以外は無視でいい。

 

────横、爆風と熱波。

 

全力で走り抜ける。

 

────前方、大規模な炎。

 

[加速]。

 

残り、あと5m。

 

ここまで来ればあとは近づいて殺すだけ。この距離の爆発は自分自身にもダメージを与えかねないから。

 

残り3m。

 

あと1歩で、射程圏内。

 

残り0m。

 

 

 

────危険。

 

「もーらい」

 

右手には、火炎。

 

「てことでさ、玲香」

 

燻りが爆ぜ、

 

「我慢比べしよ?」

 

熱量が辺りに撒き散らされる、その前に、

 

「いやよ」

 

「え?」

 

1度だけバックステップを挟み込み()()()()で切り裂いた。

 

「これで、私の勝ち」

 

 


 

 

あっぶねぇーーーーーーー!!!

 

お嬢戦からずっと危ない橋渡スギィ!安定してたのフレア戦だけだゾ。え、フレア?このチャートで何百何千とプレイしてきたんですから、相方の戦い方くらい把握済みです。

 

自爆なんて何回喰らったかも覚えてないわ。

 

というか、今はそれどころじゃないんですよね。あのさぁレズちゃん、1回死んでるよね君?これが、[血の歓び]の効果ですか、はぇー。

 

10%あそこで引き当てたの?

 

しかもその後のあのパワー、心当たりがあるけども、まさかね?ま、結果的にその後のモツ抜きで助かったんですけども。不穏だなぁ。

 

さて、とはいえこれで2度目の優勝になります。いろいろ気になるところはありますが、悲しきかなこれはRTA。サブストーリーは無視したまえの精神が大事です。

 

さてさて貰えた経験値が美味しーので、そろそろ体力に注いでも、いいよね?・・・やっぱやーめた、技量特化で。

 

要は死ななきゃいいんすよ。(慢心)

 

あ、あと一瞬リザルト画面を確認して起きましょう。ここではホロメンの順位と倒された相手、技が確認できます。ザコ運の上振れで狂気的なビルドのホロメンがいないか確認するために一か八か0.2秒の画面展開です。

 

今回確認したいのはロボ子さんを倒した相手です。え、会長?この時期はまだ竜化しないので危険度は低いです。

 

それではチラチラ見ていきましょう。

 

 

──ロボ子さん 11位

  兎田ぺこら・潤羽るしあに敗北

 

 

えぇー・・・。(困惑)ロボ子さんの装甲ぶち破るって2人とも何者なんですか?

 

その後相打ちになってるあたり、多分即興のコンビだったんでしょうけど。即興コンビで倒せるのか、たまげたなぁ。

 

いやはやこれは困りましたよ。予定ではあと1回バトロワに出場しなきゃいけないのに強敵が増えるとか、頭に来ますよ。

 

ともかく、今回はここまでです。

ご視聴ありがとうございました。

 

次回はー、団長に会いに行きます。





ヤーナム民の皆様に注意喚起
ここから先、Bloodborneに対する作者の婉曲解釈、独自考察が含まれていきます。ご注意ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の旧市街【蒼い三日月】

今週合格発表なので初投稿です。


おっはー!(クソデカ音声)

 

ホロライブラバーズが始まるよ!

 

前回はバトロワで優勝して終わりました。フーキモチィー!

今回からはまた獣狩りにで、出陣()ますよ。

 

と、その前に、物語の進行上必要なフラグを建てに行きます。これがないと先に進めないとか啓蒙くんもっとちゃんと働いて?

 

まずは学校に行きましょう。そうするとノエルかスバルのイベントが進行します。

 

 

──「玲香ちゃん、ちょっといい?」

 

  登校してすぐ、ノエルに声を掛けられた。

 

 

今回はノエルですね。ここで”はい”を選択します。するとノエルの家へご案内されるので大人しくしましょう。

 

 

──「あ、玲香たんじゃん」

 

  「玲香も呼ばれたんだ」

 

  連れられて来たのは、白銀邸の一室。

  中ではフレアとマリンが待っていた。

 

 

案の定2人も居ますね。つまりは獣関連、狩り関連のお話になります。

 

 

──「全員揃ったみたいッスね」

 

  そう言って、部屋に入ってきた少女は

  何故か警官服を纏っていた。

 

  「・・・誰?」

 

  「2年のスバル先輩。ノエルと同じく自警団の

   トップを務めてる人です」

 

  「こっちは捜査が専門みたいなものッスよ」

 

 

ということで、初登場のすばうになります。バトロワでは出会いませんでしたが、ここでは立派な自警団のお頭です。敬意を表しましょう。

 

 

──「それで、私たちはどうして呼ばれたの?」

 

  これでも私たちは学生だ。

  くだらない内容だったら帰ってしまおうか。

 

  「ちょっと見てもらいたいものがあるの」

 

  そう言ってノエルは、着いてくるよう促した。

 

 

寄り道してアイテムを集めることもできますが、レズちゃんのビルドでは特にめぼしいものはありません。ここではちゃんと大人しく着いていくようにしましょう。

 

行き先は地下室です。(同人誌みたいな展開は)ないです。

 

 

──「エルフの森の先の廃工場、知っちょる?」

 

  「確か、5年前に工場長が逃げたっていう」

 

  「そう、それッス。ついでに言うと、

   金も持ち逃げされていていましたね」

 

  当然と言えば当然ッスねと、スバルが続けた。

 

  「それで、その廃工場がどうしたのよ」

 

  苛立たしげに、その先を催促した。

 

  「その周辺で、ちょっと不可解な死体が

   見つかったんスよ」

 

  「見てほしいのはそれってわけね」

 

  ”死体”、その言葉に、右腕(獣性)が疼き出す。

  バトロワ同様、これを黙らせんとする。

 

  「着いたよ」

 

  そう言って、ノエルが扉を開いた瞬間、

  私は、獣性を鎮めるのを諦めた。

 

  「この臭い、獣の・・・?」

 

  フレアが顔を歪ませた。

  そう、これは、嗅ぎなれた獣の血の臭い。

  けど、少しだけ人の血の臭いも混じっている?

 

  「案の定、知ってたみたいッスね。

   ”それ”の説明はあとでしてもらうとして

   今重要なのは、”それ”の()()()ッス」

 

  1枚の調査書が差し出された。

 

  「死体の調査結果ッス」

 

  血液、内臓、筋肉繊維に至るまで、

  全身が調べあげられた調査書には、

  ありえないことが記されていた。

 

  「やっぱり、人の血が含まれてる」

 

  先程の臭いはこれか。

 

  「その通り。この死体の血中から

   人間の血液が採取されたッス。

   それ以外の血液の成分は一切不明、

   少なくともこの世のものではなかったッス」

 

  そして、と続けて、彼女は言う。

 

  「その血液が、逃げた工場長の物と一致。

   我々はその獣を、工場長と断定したッス」

 

 

わーびっくりだなー。(棒)

 

と言うわけで、我々狩人に依頼が出されます。内容は、廃工場の調査ですね。これでフラグ建築は終了になります。ではさっさと行きましょう。時間は有限です。(RTA)

 

 

──「ノエル」

 

  「・・・なに?」

 

  廃工場へ向かう道の途中、私はノエルに

  声を掛けた。

 

  「あなたが私を危険と言った理由、

   獣の死体を見たからだったのね」

 

  「そう、だね」

 

  「腹を腕で貫き、内臓を抉り出し、血飛沫を

   上げる姿が、まるで獣に、見えたと」

 

  「うん、そう」

 

  「・・・ごめんない。それでも私は、

   あの攻撃をやめることはできない」

 

  「そっか・・・」

 

  「でも、安心して。

   狩人が獣になることは絶対にないわ」

 

  「本当?」

 

  「ええ、本当」

 

  私は、嘘を吐いた。

  その嘘はまるで自己暗示のようでもあった。

 

 

はい着きました廃工場。団長はここでお別れとなります。着いてきても、ええんやで。あ、ダメですかさいですか。

 

では失礼して。オ、アイテンジャーン。

 

中は真っ暗ですので本来なら明かりが必要ですが、道筋は覚えてるので要らないです。

 

ただ歩くだけなので割愛。

 

しばらくすると白い霧が見えてきます。

 

 

──「あの霧、確か旧下水道のときの・・・」

 

  「やっぱり、悪夢が原因ね」

 

 

オッスお願いしまーす。(入場)

 

 

ー昏い悪夢の旧市街ー

 

──「うぇ、また開いちゃった・・・」

 

  「少し慣れてきたなぁ」

 

  「慣れるものこれ?」

 

  「私のほうが1回分多いからさ」

 

 

(啓蒙が)うん、美味しい!

 

ま、ブラボ本編に比べて使い道はほぼないんですけどね。むしろ事故の原因になりかねないから増えていいことはあまりないゾ。

 

さて、ここら辺の獣は厄介なことに[遅効毒]属性を持っているので、攻撃は極力喰らわないようにしましょう。レズちゃんは一撃受けると死ぬので関係ないです。

 

こちらも道中めぼしいものはないのでボスに向けて全速前進しましょう。

 

 


 

 

燃える磔の死体。人の形を残した獣。辺りに散らばる肉片と血。そして、教会。

 

思い出すのは、先に味わった悪夢の聖堂街。なるほど、歴史は繰り返すとはこのことか。旧市街という名前にも納得がいく。

 

「この場合、殺して弔うのが正解よね」

 

せめて苦しまないように、千景を振り抜いた。

 

ああ、本当に面倒だ。

 

何度か獣の死体を転がして、辿り着いたのは一際大きな教会。大聖堂とでも言おうか。例に漏れなく血塗れのそこは、どうしてか、異様な気配を吐き出していた。

 

奥に見えるのは、人。

 

「玲香」

 

「全員、警戒して」

 

悪夢に在る人間など、マトモであるはずないのだから。

 

死闘の予感に覚悟を決め、足を踏み入れた。

 

 

 

「──ようやっと来たね」

 

優しい、可憐な声だった。目を凝らすと、黒いドレスに身を包んだ少女が見える。くるりと回ってこちらに顔を向けるその所作は、いっそ怖気のするほどに美しい。

 

「ずっと会いたかった」

 

敵意は、なかった。その瞳の奥にあったのは、慈愛か或いは恋慕か。

 

どちらにしろ、狩場に持ち合わせるには度し難い感情だ。

 

千景を握る手に力が込もる。

 

「嗚呼、でも、そんな貴女じゃダメなの。狩人の貴女じゃ、ダメ」

 

何を夢想しているのか。芝居がかった様子で悲劇を語る。いや、本当に哀しんでいるのか。

 

調子の狂う相手だ、そう思っていた最中のことだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

憐れみの含まれたその言葉に、私は、全速力で駆け出した。

 

「ちょっ、玲香!?」「玲香たん!」

 

敵か味方か、そんなことなど眼中になくただ千景を振り抜いた。

 

まるで知っていたかのように、躱される。

 

「フフフ、ごめんなさい。構ってあげたいところだけど、私も忙しくてね。代わりにこの子に遊んでもらって?」

 

逃がさない。返す刃で腹を絶とうとして、振った千景は、降りてきた”それ”に阻まれた。

 

「その子、毒を持ってるから気を付けてね?」

 

またねと残して奥に消えた少女、その道を塞ぐように立つ”それ”。

 

ギリっと、奥歯が鳴った。

 

「バトロワのときに痛い目見たの忘れたの!?」

 

追いついてきたフレアに叱られる。

 

それもそうだ。あのときも何かに急かされて、攻めすぎて、深い傷を負った。今回だってそうなる可能性は十分あったんだ。

 

分かってた。

 

「それでも、抑えられなかった。ごめんなさい」

 

「玲香・・・」

 

かつて空っぽだった私は、何者か。あの少女が知っている。

 

「秘密は甘いもの。自分のものであれば、尚更」

 

知らなくては。暴かなくては。

 

「2人ともー、お喋りはそれくらいにしときません。来ますよ、あれ」

 

マリンの視線の先、まるで待っていたかのように”それ”は佇んでいた。

 

恐ろしい病にでも罹っていたのか、背から皮膚が裏返り毒素をばら撒く、獣。

 

お前は邪魔だ。だから狩る。

 

上る口角を隠しながら、叫ぶ獣に千景を向けた。

 




血に渇いた獣って血の酒効くのかわいいよね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の聖杯教会【蒼い三日月】


少々グロ描写があります。ご注意を。


はい、[血に渇いた獣]戦です。

 

皮が背中からくぱっと開いてだらんと垂らしてるこのグロデザインよ。これがBloodborneクオリティ。

 

さてこのかわけもくんですが、非常に強い獣です。広い空間を縦横無尽に駆け回り、鋭い爪で斬り裂いてきます。また、HPが6割を切ると攻撃に遅効毒が付与されているのも厄介な点の1つです。

 

そして何より厄介なのが、攻撃の判定が縦に長いこと。下手にバックステップで避けようものならバクステ狩りに合います。注意しましょう。

 

こいつの攻撃の避け方は、1つ。それは意外にも前ステです。かわけもくんの攻撃を避けるための前ステを”勇気の前ステ”と言います。これさえできれば、攻撃後の隙を狙うこともできるので、皆さんも頑張ってくださいね?

 

 

──「アレは獣、私は狩人。なら、狩る」

 

 

開幕飛び込みに前ステ、振り返ってきた顔面を2回ぶった斬ります。

 

ここで重要なのは、ヘイトを常にレズちゃんに向けることです。マリンもフレアも解毒薬や状態異常回復の魔法を持っていないので、必然的に被毒→死になります。あと単純にこのメンバーだとレズちゃんのDPSが高いので、攻撃をしやすくする意図もあります。

 

かわけもくんの右側に移動して二撃。

 

そうするとステップを踏んで逃げるので、追撃をフレたんに任せます。獣なので、弱点は炎。あの魔法はさぞ痛いでしょう。

 

む、もう6割を切りそうですね。ではそろそろフレたんにアレを頼みます。

 

 

──「フレア、頼める?」

 

  フレアに目配せをしながら、千景を掲げた。

 

  「ん、りょーかい」

 

  私に向かって放たれる炎を、斬り裂く。

  すると、裂かれた炎が刀にまとわりつき、

  [千景]に火が猛った。

 

  「ありがとう」

 

  さすがの技術だと心の中で賞賛しながら、

  燃える刀を手に、獣を狩るために突貫する。

 

 

いい炎だ。

 

これが、アシストにフレアを置いた理由になります。本来エンチャント魔法を記憶するか、アイテムを使用しなければ扱えない炎エンチャントもフレアに頼めばちょちょいのちょいです。(死語)

 

ただし発動時間はそこまで長くないので、通常プレイで同様の動きをする際には、MP回復アイテムをフレアに持たせることをオヌヌメします。

 

ま、私は1回のエンチャントで終わらせますがね。

 

 

──「逃がさない・・・!」

 

 

余りにも殺意が高い。

 

前線を抑えていたマリンに代わり、強気に出ます。さてと、ダメージは、うっそさっきの1.5倍ってマジでぇ?想像以上の火力ですね。

 

と、かわけもくんのHPが6割を切ったので第2段階に入りましたね。第2段階突入モーション(咆哮)中にできる限り殴っておきます。

 

以降の動きは少し考えなければなりません。というのも、HPが3割を切ると余計厄介になるからです。常時毒散布しだして近づくだけで感染とか、こんなの絶対おかしいよ!

 

なので、3割直前で1度止め、一気に残りHPを削っていきたいと思います。

 

顔面横に位置して斬りまくればすぐですねぇ。攻撃は全て[加速]で避けきれるので問題ありません。

 

おっと、もうHP3割ちょっとか。炎入るとこんな火力になるんすねぇ。

 

では、いい感じにヘイト値も稼げているので、血刀を解除しつつかわけもくんの顔面手前に立ちます。前方連撃の誘発のためですね。

 

まぁ、銃持って攻撃誘発って言ったら、あれですよ。

 

合図は、腕を振りかぶって上体を起こし、下ろした瞬間。はいドーン。(パリィ)

 

最後の一撃くれてやるよホラ!

 

 

You Hunted

 

 

これにて、狩猟完了です。

 

 


 

 

引き抜いた腕に血が絡まる。腐りながら、焦げながら、それでも薫る獣の血。ゆっくりと愉しみたいところではあるが、今の私にそんな余裕はなかった。

 

「通路が、消えてる?」

 

目の前の異常現象に、戸惑いよりも怒りが上回る。

 

逃げられた、逃げられた、逃げられた。目の前にあった秘密が、霞のように消えてなくなった。

 

それが堪らなく不快だった。

 

『貴女が何者かを思い出してもらわないと』

 

私が何者か?思い出す?

 

狩人以前の私は、ただの孤児だ。なら、彼女の言う”貴方”は、誰?

 

私は、一体誰なの?

 

「───玲香たん?」

 

その一言で、私の思考は終わった。

 

「大丈夫?怖い顔してたよ?」

 

「えぇ、大丈夫よ」

 

努めて、平然と。往く道がない今、私がするべきことは黙って考えることじゃない。これ以上被害が拡大しないよう、報告することだ。

 

普通の人ならそうするだろうから。

 

「戻りましょう」

 

獣のいないこの聖堂では、私の声はよく響く。我ながら、随分と平坦な声音だと思った。

 

 


 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

 

深夜の林道を、1人の男が走っていた。時折脚を縺れさせながら、一心不乱に駆けていく。玉のような汗の流れるその頬には、つい先程まで友人()()()肉塊がこびれついていた。

 

「なんだよ、なんなんだよアイツ!!」

 

男は、数人の仲間と共に立ち入り禁止の林道を通り、健全とは言い難い遊戯に興じていた。

 

悪行を働いていないわけではない。不法侵入に未成年ながらの飲酒喫煙、さらには違法薬物等、挙げ始めればきりはない。だが、殺されるようなことはしていないはずだ。

 

それでも、アイツは追ってくる。

 

白衣を纏い、金の三角錐を被った大男。その手に持っていたのは、2枚の巨大な車輪が重なったような、異形の武器。車輪の内からは赤黒い怨霊が覗いている。

 

あのおぞましい車輪が、仲間を轢き殺したんだ。

 

振り下ろす度に血と肉と内臓が飛び散る光景は、一生脳裏から離れることはないだろう。

 

最も、生き残ることができればだが。

 

ドンッと、重い銃声が鳴った。同時に、男が姿勢を崩し無様に転がる。

 

「ぐがぁっ!?」

 

脚を撃たれた痛みに喘ぎながら、それでも寝っ転がっている時間はない。男は立ち上がろうと右脚に力を入れて、()()()()()

 

大男に撃たれたわけでも、何かに引っかかったわけでもなく、立ち上がれない。

 

「あ・・・」

 

そもそも、()()()()()()()()()

 

「ああああああああぁぁぁっ!!!!」

 

喉から悲鳴が溢れ出す。車輪の怨念が手を差し伸べる。

 

 

深夜の森に、グチャリと、湿った音が響いた。





殺されるために登場したMOB男くん可哀想で大好き。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

まだ薄暗い早朝に

あけましておめでとうございます今年もよろしゅう。

あと最初に謝っておきます。

エルフレンドの皆さんごめんなさい!!


師の弔いをお願いされるRTA、始まってるんだよなぁ。

 

ということで前回はゴスロリちゃんチラッとして血に渇いた獣を狩って終わりましたね。

 

今回は〜、レズちゃんに1回死んでもらおうと思います。ガバじゃないです。必要経費です。

 

と、いうのも、カインハーストのイベントを完遂すると、次のバトルロワイヤル後1週間以内に必ず襲撃イベントが発生します。

 

この襲撃イベントですが、タイミングと襲撃者の奇襲方向が完全ランダムであり、前回のような強制性のイベントでもない限り1週間の全ての日に発生する可能性があります。

 

要するに予測不可ってことですね。

 

加えると、この時点でのステータスであればどれだけ体力上昇を優先しても初撃で死亡、もしくは瀕死です。(なおオーディションは除く)

 

なので、まあ、仕方ないことです。今後の計画に支障がでないよう、できるだけ早く来ることを祈りましょう。

 

 

──「おはよう、玲香」

 

  「ええ、おはよう」

 

  登校の途中、フレアと合流した。

  心配そうな顔をしていた。

 

  「あれからだいぶ落ち着いたわ

   もう大丈夫よ」

 

  「うん、そっか」

 

 

嘘つけ絶対引きずってるゾ。まいいや。

とりあえず襲撃イベントまで会話は割愛・・・

 

あ、もう来た?

 

 


 

 

「あれからだいぶ落ち着いたわ。もう大丈夫よ」

 

すぐに嘘だと分かった。瞳の奥に怪しい深紅色が見えたから。いつかの神父を狩ったときと、同じ色だった。

 

「うん、そっか」

 

それでも、嘘を吐く程度の正気が保てているなら、見逃してもいいかと思った。

 

あの日から件の廃工場は侵入を禁じられ、その付近が隅々まで捜査されたが、案の定と言うか、『叶不玲香』を知っているらしいあの少女は見つからなかった。

 

未だに悪夢が通じているところを見るに、きっとまだ彼女はあの中にいるだろう。

 

結局何も分からず仕舞いであった。

 

とは言え私たちの本業は学生。探偵でも戦士でも、狩人でもない。少しばかり日常を謳歌してもいいはずだ。

 

玲香と登校するこの一幕も、そんな日常の1ページに含まれる。

 

()()()()()、どういうわけか嫌な予感がする。このままだと、取り返しのつかない何かに巻き込まれるような、そんな予感。

 

だから、少しだけ遠回りな道を行こうって。

 

「ねぇ、玲香」

 

もっと早く言うべきだったんだ。

 

 

ぐちゃりと、粘着質な物が潰れるような音がして、私の頬を生暖かい紅が彩った。

 

「────え?」

 

隣にいたはずの玲香は消え、代わりに黄金の四角錐を被った白衣の大男が立っていて。

 

そして玲香は、奥の壁に打ち付けられていた。半身が、潰れているのが見えた。見えてしまった。

 

「は、え、は・・・?」

 

信じられない光景に呆けることができたなら、まだ幸せだったろうに。理解したくもない現状を、私の聡明な瞳が紐解いていく。

 

ああ、そうだ。この大男が、その手に持った車輪のような歪な武器で以て、玲香を殺した。

 

玲香は、私の目の前で2度目の死を遂げたんだ。

 

「──────ッ!!」

 

声にならない叫びだった。

 

死なせないと決めたのに、助けると誓ったのに、玲香の狂気は更に深まり、そしてまた死んでしまっていた。

 

「玲香、玲香ぁ・・・!」

 

蹲り、嗚咽を洩らして、頬に染み付いた温かさにまた涙を流す。無力感、悲しみ、怒り、様々な感情が私の心をめちゃくちゃにしていた。

 

それでもまだ、無情な現実は責める手を止めてはくれない。

 

「師の、弔いを」

 

大男が、車輪をゆっくりと振り上げた。

 

「何を、する気なの・・・?」

 

瞳は啓蒙する。

 

「やめて・・・」

 

こいつは、

 

「お願い・・・」

 

玲香を強く憎悪しているこいつは、

 

「もう・・・」

 

既に息絶えた玲香の遺体を更に潰す気だ。

 

「やめてよぉ!」

 

「弔いをォォォォォォォォォォォォォォォォ!」

 

潰す、潰す、潰す潰す潰す潰す。

 

潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰────

 

 

 

目が覚めた。()()()朝だ。

 

目覚めとしては下の下だ。なんせ友達の鮮烈な血の色が瞼の裏まで焼き付いているのだから。気持ち悪くて仕方がない。

 

「殺さないと」

 

原因はあの大男。あいつのせいで玲香は死んだ。

 

殺さないと、殺さないと。

 

入念に焼いて仕舞わないと。

 

玲香がもう、死なないように。

 

「死なないように?」

 

いつも死と隣合わせの狩りに出向いてるのに?

 

「そっか、狩人なんてやめてもらおう。そしたら玲香が死ぬこともないよね」

 

 

 

「見つけた」

 

あの場所に、大男はいた。

 

なんで殺したのとか、どうしてここにいるのかとか、いろいろと聞きたいことはある。

 

でも、殺さなきゃ。

 

「それじゃあ、燃えて」

 

「アァ?」

 

火種を爆発させる。目標は、もちろん大男。

 

「グ、アァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「できるだけ早く死んでよ。玲香が来ちゃうじゃん」

 

火力を上げた。

 

「何を、してるんですか!?」

 

「分からない?あんたを殺そうとしてるの」

 

死体が残ると面倒だなぁ。灰にすればいいか。

 

「あんたが今殺そうとしてるのはね、私の恩人なの。命懸けで助けてくれた大切な人。だから私はあんたを殺す。理解した?」

 

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「うん、じゃあ死ね」

 

指を鳴らすと、一際大きく燃え盛り、すぐに消えた。後には、黒い灰のみ。

 

「あ〜あ、人殺しちゃったなぁ」

 

いや、今更か。獣は人。つまり、獣を狩る狩人は人殺しというわけで。

 

ああ、ならいいや。

 

 


 

 

非常に、非常に不快だった。悪夢で邂逅したあの黒い少女は取り逃がし、次の日には面識のない相手に()()()()()()()()()()()()

 

あの大男を殺さなければ、この不快感は払拭できない。そんなに気がした。どうせ狂っているのだから、殺してしまってもなんの問題もないか。

 

「──フレア?」

 

そんな思惑は、すぐに消え去ることとなった。

 

「あ、おはよう」

 

空を漂う炭化した何か。倒れている歪な車輪。

 

「殺したのね」

 

そう判断するのに、十分だった。

 

「うん、殺した。だって玲香を殺したから」

 

フレアはそう言った。

 

「玲香。狩人なんて辞めちゃおうよ」

 

彼女は続ける。

 

「死ぬのは苦しいでしょ?痛いでしょ?」

 

「そうね、苦しいし痛いわでも私は」

 

「そんなに血が好き?」

 

キュッと胸を掴まれた気がした。私の心を踏み荒らされているような不快感が臓腑を満たした。

 

「いつから知ってたの?」

 

「最初から。玲香って意外と分かりやすいよ」

 

「そう」

 

ああ、知られてしまった。私の秘密を、私の快楽を。心の内で、何かが切れる音がした。

 

「私もう嫌だよ。玲香が狂うのも、玲香が死ぬのも・・・」

 

その何かは、きっと。

 

「ねぇ、知らない”自分”ってそんなに大事?」

 

きっと、理性だったのだろう

 

 

 

「あなた、邪魔ね」

 

「邪、魔・・・?」

 

「ええ、邪魔」

 

「わ、私は!玲香のためだと思って!」

 

「誰が頼んだの?」

 

「え・・・」

 

「私は1度も頼んでないわ。だから、ねぇ、誰に頼まれたの?」

 

「だれ、にも・・・」

 

「そう。ならあなたのそれは独り善がり。偽善ということになるわね」

 

 

 

「不快よ」

 

被る猫は既に死んでいた。ならもう演じる必要はない。背中で嘔吐くような泣き声を聞きながら、私は足速に去った。




このとき、フレアの好感度が高すぎるとBADEND√に突入することになるのでご注意を。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の死体溜り【紫紺の半月】

ちょー短いのは勘弁して・・・


─不知火フレアがパーティから離脱しました─

 

─パーティが編成できなくなりました─

 

─トロフィー【理性欠落者】を獲得しました─

 

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!(発狂)

 

こんなの絶対おかしいよ!レズちゃん死んだだけなのになんでこうなってんだよぉ!!キャラクリ時の人格がガバとか誰も気付かないだルルオ!?

 

なんだ!?モツか!?モツ抜きすぎたのか!?

 

はぁ、はぁ、ふぅっ。

 

とりあえず落ち着きました。(落ち着いてない)

 

気を取り直して、とりあえず先を急ぎましょう。パーティが組めなくなったのは辛いですが、フレアの主な活躍の場は最終決戦ですのでそれまでに復帰してもらえれば問題ないです。・・・復帰するよね?

 

さて、今回向かう悪夢はガスコイン神父と戦った方、聖堂街側ですね。

 

あ、その前に消し炭の近くに落ちているアイテム、【車輪の狩人証】を拾いましょう。トロフィー獲得に必要なアイテムですので忘れないように。

 

ほな行くど〜。

 

 

ー昏い悪夢の教会ー

 

 

前回ストーリーがまた進行したので月が変わり、紫紺の半月が空に浮かんでいますね。

 

へへ、青ざめるにはまだ早いぜ。

 

前来たときに引き返した地点まで行くと新しい道が続いているので進みます。

 

ここの意味の無い門をバンバン叩いてる人(?)は倒すと回復アイテムを大量に落とすので拾っておくといいでしょう。レズちゃんには必要ありませんがね。

 

それでは早速ボス戦になります。そして相手は、作者が最も苦手とすると同時に最も好きな、彼です。

 

 


 

 

腐肉が、血液が、私を誘う。

 

血の河を越え、巨漢の怪物を越えた先から香るそれは、私に陶酔と期待をもたらした。この先にあるのは秘密か、それとも強靭な獣と甘い血か。

 

どちらも、喉から手が出る程に求めて止まないもの。

 

憂さ晴らしができるなら誰でも良い。気晴らしになるならなんでも良い。この感情の根本が消えるならなお良い。

 

だからここに来た。そしてその選択は間違えてはいなかった。

 

 

「・・・ああ、ああ、あんた・・・助けてくれ・・・」

 

ズンッと大地を揺らし、それは現れた。

 

「あいつが・・・おぞましい、醜い獣がやってくる・・・」

 

死臭の源。

 

「ああっ・・・呪われたルドウイークが・・・」

 

暴虐の権化。

 

「赦してくれ・・・赦して・・・くれ・・・」

 

圧倒的威圧を前に、私は歓喜した。

 

「あはァ♡」

 

 

「キャアァァァァァァァァァァァァァ!」

 

 


 

 

『あなた、邪魔ね』

 

『不快よ』

 

胸を、心を酷く抉る言葉だった。呆然として、意味を理解して、泣き出した。やがて雨が降り出して、泣いても無意味だと思って、しばらくフラフラと放浪した。

 

気付けば私は森の中にいた。エルフの森、私が初めて玲香の狩りを見た場所。

 

「あの時、出会わなかったら」

 

こんな酷い思いはしなくて良かったのかもしれない。頭にいろんな”もしも”が浮かんでは、消えていく。さんざん利用されて、捨てられて、それでもまだ隣にいようとしてるなんて、まるで心酔してるみたい。玲香の狂気が移ったかな。

 

「こんにちは、迷い子さん」

 

聞き覚えのある声に、くだらない思考が停止した。たった一度聞いた声、それでも私は、この声を一生忘れない。

 

「傘もささずに、どうしたの?」

 

悪夢の中にいた、黒いドレスのあの女。

 

「よかったら、お話聞くわよ?」

 

玲香を真に狂わせた、あの女。

 

「お前のせいだ・・・」

 

怨嗟を吐いた。

 

「そう。元々、そんな心持ちじゃあ会話も成り立たなかっただろうし、構わないわ」

 

冷たい身体が熱を帯びる。手に触れた雨粒が蒸発する。

 

「戦いましょう、気が済むまで」

 

虚無感も、無力感も、悲しさも寂しさも何もかも消し飛んで、

 

「殺してやる」

 

強烈な殺意だけが、残った。




ホモメンと行動しないホロラバとかそれなんてアクションゲーム?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

獣と狩人と血と

ここからフロム脳爆発!
ずっと俺のターン!


肉を裂く鋭い爪、骨を穿ち貫く大牙、躍動する巨大で高密度な筋肉、全てが彼女を昂らせた。上がった口角が下がらない。興奮が、冷めない。

 

あの巨体にあの敏捷。何度その肉を斬っても、何度その水銀弾を撃ち込んでも尚暴れ続けるタフネス。

 

今までの獣とは一線を画す、間違いなく最高の強敵。

 

千景を振るう。どちらのものとも分からない血が舞う。しかし浅い。分厚く強靭な筋肉に阻まれ、大したダメージを与えられない。そして爪が襲い来る。避ければ牙が、あるいは別の爪が。一撃必殺が、連撃となって迫り来る。

 

この死闘の中で、叶不玲香は、この上なく幸せだった。

 

(足りない、足りない、足りない、足りない!)

 

何もかも忘れられ、ただ血と快楽を享受する。その様は、まさに狩人の皮を被った1匹の獣。

 

(もっと血を!溺れるほどの血を!)

 

獣性の発露。獣特有の怪力が、千景の柄をミシリと軋ませた。そして振るった一撃は、硬い肉を容易く斬り裂いていく。しかし、巨獣はそれを無視した。深いダメージも、傷口を蝕む劇毒も、脳に響く激痛も、全て意に返さず、攻撃する。

 

怯まず、狼狽えず、ただ己の武器を振るうのは、獣以前の勇敢さが故か。もしくは、この獣も死闘に酔っているのか。

 

暴れる、暴れる、暴れる。

 

足下の血溜まりから飛沫が跳ね、少女の美しい銀髪と獣の体毛を濡らた。少女は笑った、獣は吠えた。

 

そして、狂ったように暴れる獣のその豪腕が、攻め込んだ少女を捉えた。この獣は学習した。女は隙を突いて攻撃してくる。ならばわざと隙を見せよう、と。然して少女は獣の罠に落ち、そして()()()()()()()()()()()

 

(?)

 

手応えが、ない。肉を潰し血が溢れ出す感触が伝わってこない。混乱する獣。()()()()()()()

 

「あははァっ!」

 

獣の右眼は、最後に深紅を見て、潰された。

 

「クギャ!!??」

 

獣は、[加速]の業を忘れた。たった一瞬世界の理を歪めるその歩法を、理性と共に脳髄の奥底へと押し込んだ。だから消えたと錯覚した。

 

恐るべきは少女の策略。理性を失いながらも、狩りへの執着心によって練られたそれは、見事に獣の視力を奪ってみせた。

 

そして、視力を失ったということは、死角ができたということ。少女の姿が右へと消える。急いで左眼で追った先に、少女はいない。

 

ひゅんと音がして、肉体に傷が刻まれる。攻撃を受けた方向に向く。いない。また傷が刻まれる。向く。いない。斬られる。向く。いない。斬られる。向く。いない。いない。いない。いない。いない。

 

どこにも敵が見えない。されど傷が増えていく。

 

獣は初めて恐怖を抱いた。本能のままに血肉を求めた醜い獣の何でもないその本能が、恐怖を抱いた。矮小な生命だと思った。多くの屍と同じ様に、蹂躙の対象だと思っていた。

 

しかし今は?

 

蹂躙されているのは己なのだと、獣は理解した。

 

同時に少女は、自身の勝利を確信していた。されど油断はせず、死角に隠れ、あるいは[加速]し、少女は獣の視界から消え続け、斬る。斬る。斬り裂く。

 

血を浴びる度、獣性は引き出され、更なる力と快楽を少女にもたらした。より深く、より大きく、より多く。何度も、何度も。

 

この獣が倒れるまで。この獣を狩りとるまで。

 

「はははっ」

 

「ははははははっ!」

 

「あっははははははははははははっ!!!」

 

少女の興奮は、血欲は、狂気は、獣性は、最高潮に達した。

 

そしてついに、

 

「ギッ!?」

 

獣が膝をつき、その頭が垂れ下がる。

 

少女は弾かれたように駆けた。速く、速く、速く。狂った笑みは深まり、込められた力は最早獣と遜色ない。

 

加えて言うならば、メインディッシュを目の前に我慢できる理性を、少女()は持ち合わせていない。

 

「いただきまーす♡」

 

脳髄に向けてその華奢な右腕が指し込まれ、勢いよく引き抜かれた。その衝撃に獣の上体は大きく吹き飛び、倒れた。

 

少女は、決着を悟った。体の熱が冷めていく。興奮が霧散していく。手に残る余韻はあれど、獣の血はもう味わえない。最高の獣を、倒してしまった。

 

だから、更なる血と死闘を求めて、先へ進もうとした。

 

 

 

 

 

「ああずっと、ずっと側にいてくれたのか」

 

獣の瞳に、英雄が宿る。

 

「我が師」

 

姿を消し、獣と堕ちたはずの英雄が、それでもなお背負い続けた大剣を、再度その手に持ち、掲げた。

 

「導きの月光よ」

 

細い月明かりは言った、かの少女を、獣を止めろと。ならば先達として、狩らねばならぬ。

 

かくして英雄、聖剣のルドウイークは、少女に月光の聖剣を向けた。

 

 


 

 

あれだけ緑に溢れていた森の一角が、雨の中にも関わらず、焼け野原と化した。原因は魔力切れで立てない私と、

 

「少しは落ち着いた?」

 

息切れすらしていないこの女だ。

 

あれから殺す気で戦った。罠を張り、熱を放ち、炎を投じ、あらゆる魔術で焼き殺そうとしたのに対し、この女は逃げ続けた。おちょくり続けたと言ってもいい。

 

傘をさして、優雅に、踊るように炎を避ける様はまるで劇場でオペラを見ているような美しさがあった。最も、私にとっては忌々しいだけだが。

 

とにかく、これ以上私にできることはないので、今は大人しく話を聞く他ない。

 

「それじゃあ、お話しましようか」

 

女は、近くの焦げた切り株に座った。

 

「まずは悪夢について。玲香やあなたたちが頻繁に訪れ、狩りを行っている悪夢は、【上位者】と呼ばれる存在が見ている、いえ、作った世界」

 

「【上位者】?」

 

「ええ、そう。詳しいことは分からない。分かっているのは、それが【宇宙】から来ること、そして【赤子】を求めていることだけ」

 

「【赤子】・・・」

 

「彼らがこの星に訪れたのははるか昔、【トゥメル人】の時代。【トゥメル人】っていうのは、そうだね。神に近い人種、とでも言えばいいのかな。彼らは特殊な血を持っていて、その血が最も濃い者を女王とした。その女王の名は【ヤーナム】。彼女は血を操り、トゥメルの血族を統治した」

 

「何の話しよ」

 

「言っただろう?悪夢の話、あるいは、そうだね」

 

「?」

 

()()()()()()()()()()()

 

「それって!?」

 

「玲香自身が求めてやまない情報だよ。でも教える気はないし、今の彼女に聞ける余裕があるとは思えないな」

 

「どういう意味?」

 

「狩りに酔ってるって意味」

 

「そんな・・・」

 

「でも大丈夫。続く悪夢の先で、いつかあの子は真実を知るから」

 

「・・・」

 

「続けるわね?トゥメルが統治されて数百年、【ヤーナム】は子を、【メルゴー】を授かった。そして、【メルゴー】が産まれると同時期に、最初の【上位者】が降りてきた。名を【ゴース】、あるいは【ゴスム】。赤子を求めて降りた【ゴース】だけれど、彼女もまた子を孕んでいた。と言っても、結局【ゴース】は死んじゃって、その子もお腹の中で流れちゃったのだけど」

 

「それで?」

 

「あとを追うように【メルゴー】も死んでしまった」

 

「何故」

 

「今となっては分からないよ。けれど、死んだのは確か」

 

「どうしてそんなことが言えるの」

 

「見つかったからだよ。全ての狩人の起源である、【ビルゲンワース】に」

 

「狩人の起源・・・」

 

「最初期の狩人の多くは、【ビルゲンワース】という学校の研究員だったの。その活動内容は、トゥメル人の残した地下遺跡の調査であり、その最中で見つかったのが【メルゴー】の遺体」

 

「持ち帰ったの?」

 

「持ち帰ったどころか、刻まれて血を搾り取られたよ」

 

「え」

 

「そのまま輸血液にされたの。そして、人々にそのまま輸血された」

 

「そんなのって・・・」

 

「惨いよね、分かるよ。でも当時はそれが普通で、研究のための犠牲だったの。そしてもちろん、彼らはそれで終わったわけじゃない。彼らは代償を、天罰を与えられた」

 

「天罰?」

 

「【獣の病】。人を獣に変える不治の病よ」

 

「それって、つまり私たちが戦ってきた獣って」

 

「あなたたちは一部がって思ってたみたいだけど、実際は全部ってこと」

 

「そん、な・・・」

 

「でも、獣になった時点で人として死んでるの。狩ったとして、それは元の人のための行為。気に病まないで」

 

「・・・」

 

「ともあれ、獣の原因はその病。でも、さっき私は天罰って言ったけど、急に蔓延しだすのはおかしいと思わない?」

 

「確かに・・・。何か原因が・・・まさか!」

 

「そう、【メルゴー】の血。死してなお、血に意志を残して人々の体の中を巡っていた」

 

「復讐のため?」

 

()()()()()()()()()()

 

「は?」

 

「というより、自分とは別のトゥメルの命を宿らせるためと言ったほうが正しいかな」

 

「そんなこと!」

 

「できるよ、血の濃い【ヤーナム】の子なんだから」

 

「血の、濃い・・・」

 

「【メルゴー】はトゥメルを残すために、人々の血から働きかけた。体が、血が適さない人はそのまま獣となり、そして血が適した女体を」

 

「孕ませた」

 

「そういうこと。その適した人は、トゥメルの血を継いでいる人なんだけどね?」

 

「生き残りがいたの?」

 

「もちろん。とは言っても、ほぼ全員が【穢れた血族】として排斥、処刑されたけど」

 

「処刑・・・」

 

「そう、処刑」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからね、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・は?」

 

「あー、自己紹介がまだだったね」

 

女は切り株から立ち上がり、丁寧にお辞儀をして、言った。

 

「初めまして、不知火フレアさん。

()()()()()()()()()、以後お見知りおきを」




そろそろ玲香ちゃんの正体が分かった人現れそう。答えは本編で書くまで教えないけど。



Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

狩人と獣と血と

受験があった。

卒業式があった。

新生活の準備があった。

入学前試験があった。

さまざまな障壁があった。

それでも私は書いていた。

だが、最も高い壁が待ち受けていた。

名を―――

―――ELDEN RING

褪せ人如きが不遜なので初投稿です。


英雄を見た。

 

獣に落ち、それでも理性を取り戻した英雄を。

 

月光を師とし、導きとした獣狩りの英雄を。

 

名を、ルドウイーク。

 

聖剣のルドウイーク。

 

醜くも立ち上がり、剣を携えた強敵の復活、いや、覚醒を、

 

「私をこんなにも昂らせてくれるなんて、あぁ、あなたは素敵な人ね」

 

(少女)は喜び、祝福した。

 

 


 

 

月明かりの導きのままに剣を振るいながら、私は異常を認識する。

 

何故、私は生きている?かつて私は、月の香りの狩人に首を落とされ、やつしの狩人に介錯されたはずだ。それでも、再度私は獣に落ち、この場所に至り、また理性を取り戻した。

 

まるで、繰り返しているようではないか。

 

『悪夢は巡り、そして終わらないものだろう』

 

古い男の言葉が脳裏に蘇る。まさか、終わった悪夢まで繰り返されるというのか。

 

いや、違うか。

 

かつて私を目覚めさせたあの狩人は、理性を失ってはいなかった。光を持った眼差しに、狂気の色は見えなかった。だが、目の前の狩人は理性を失っている。繰り返し、というわけではないだろう。考えても分からない、保留だ。

 

次に、この獣。狩りに酔い血に溺れた、正しく獣と違わぬ狩人の成れの果て。正体がどうであれ獣の介錯を受けるわけにはいかないのだ。狩らねばならない。

 

狩らなければならないのだが、おかしい。どうも違和感がある。

 

この獣、[加速]の業を会得している。いや、[加速]を扱う狩人は、そう多くはないがいる。だがこの獣のそれは異常に練度が高い。師事により授かったと言うには若すぎる、まるで、元々その業を知っていたような、あるいは染み付いていたかのような熟練度―――。

 

そして、一つの仮説に辿り着いた。

 

(彼女の血であればあるいは、か)

 

「ならば尚更、狩らねばならんな」

 

この悪夢の意味は知らない。

 

だが月光が目の前の獣を狩れと導き、私の良心が目の前の()()を狩れと言っている。

 

元より私には、それしか能がないのだから。

 

剣を握る手に、力を込めた。

 

月光によって編まれた大剣の破壊力は凄まじい。

 

だがそれ以上に特徴的なのは、斬撃に翡翠色の衝撃波が伴うことである。

 

「ぬぅん!」

 

横薙ぎの一閃。弧状に衝撃波が放たれる。さすがにこれには驚いたと見え、狂気を孕んだ紅い瞳が大きく見開かれた。しかし、それでも躱される。躱されるが、今までのように必要最低限の回避行動とは違い、随分と無駄の多い大げさな動きだった。

 

故に、勝てると踏んだ。この獣は、月光を知らない。()()()()()()

 

()()は、戦闘の勝敗を分ける大きな要因の一つである。ときに油断の原因となるそれは、しかし大抵の場合有意義に働く。事実、優秀な狩人は皆獣という存在に慣れていた。巨大な獣に怯まず、素早い獣に惑わされなかった。目の前の獣もそうだ。狩人としての獣への慣れが、前面に現れている。私が獣であったとき、だからあれは強かった。

 

で、あれば。あれが慣れていないうちに狩る。でなければ狩られるのみ。

 

人から逸したこの身は水銀の弾丸はいらず、また埒外の膂力を有している。皮肉にも、かつて狩人であった頃よりも遙かに狩りに向いているのだ。

 

再度、聖剣を構え、見合う。獣の目には、警戒の色が強く現れていた。

 

 


 

 

何処も彼処も獣ばかりなホロラバ、始まります。

 

前回、獣を狩ってたら獣になってました。なんで?(困惑)

 

まあ操作に支障がないどころか獣性補正で火力が上昇しているのでRAT的にはプラスです。やったぜ。

 

ではボス戦解説に移ります。

 

【醜い獣、ルドウイーク】もとい【聖剣のルドウイーク】は、第二形態まである作中屈指の強ボスです。形態変化に専用ムービーがあるのも特徴。

 

前半の醜い獣モードは素早い連撃が多く、不用意に近づこうものなら紙耐久だと即死は避けられません。離れれば突進攻撃や跳躍からの落下攻撃をしてきます。非常に火力が高いので紙耐久だと即死は避けられません。唯一、きもいほうの口から放たれる水銀ビームは隙が大きく避けやすいですが、走者が相手だとなかなかしてきません。つらい。

 

後半の聖剣モードはかなりリーチの長い高火力斬撃を連発してきます。もちろん紙耐久だと即死です。しかも聖剣から高火力のブレード光波が飛んできます。こちらも紙耐久だと(以下略)。

 

要するルドウイークの攻撃ほぼすべてがレズちゃんにとって即死ダメなので、強制ノーダメを要求してきます。つまりいつも通りなので問題はありません。

 

第一形態はさっきの方法で倒せます。[加速]のごり押しになりましたが、通常の回避行動でもなんとかなります(経験済み)。ホロラバ攻略に必要なのは超高火力でも多彩な技でもなく回避技術です。皆さんも最強のニュータイプを目指しましょう。でも(足はかざりじゃ)ないです。

 

そして第二形態。こちらがきっついです。といってもブレード光波は別に怖くはないです。[加速]で回避可能です。が、この第二形態、ルドウイークの前方を一掃する必殺技を使用しています。火力高すぎてある程度耐久力があっても即死します。

 

その分猶予があるので回避自体はできるのですが、問題は必殺技使用直前の弱ダメアサルトアーマーです。

 

軽いダメージと高いノックバックを伴うアサルトアーマーは、普通にプレイしてれば蚊に刺される程度の攻撃。しかし、紙耐久かつ極低HPのレズちゃんからすれば即死攻撃に早変わりです。

 

この技を警戒しなければならないので、接近するにも二の足を踏むことになります。

 

攻める必要があるのに攻めづらい、【聖剣のルドウイーク】はそんなボスです。やっぱりつらい。

 

色々考えた結果、このキャラクリだと比較的隙の大きい攻撃を誘発してヒットアンドアウェイが一番安定します。本当なら少しはHPを振ればいいんでしょうけど、火力=速度なので必要経費、ということにしておきます。

 

ひと心地ついたし、そろそろ狩るか・・・♠

 

 


 

 

これまでいろいろな経験を積んできたけれど、同じ朝を2度経験するのはさすがに初めてだった。原因なんて探る必要はなく、脳裏の瞳が淡々と伝えてきた。

 

叶不玲香の死。

 

気付けば外に飛び出していた。走りながらフレアに連絡。応答なし。ツー、ツー、という電子音が余計に焦らせる。

 

玲香が死ぬとなると悪夢に潜ったか、それともトラブルに巻き込まれたか。フレアが巻き込まれているのを鑑みるに、おそらく後者。それでも、呼ぶ余裕はなかったのかと思ってしまう。

 

「船長ってそんなに頼りないですかね」

 

歯ぎしりとともに自虐が漏れるのは、弱さを自覚しているから。

 

知っていた。自分が、二人より弱いこと。それでも心配するのは傲慢か。それでも側にいたいと思うのは利己的か。

 

それでも、それでも――!

 

「ダメだよお姉さん」

 

「これ以上先には通せない」

 

場所にして、旧下水道入り口前。

 

無我夢中で悪夢に向かっていた私の前に、二体の()()に阻まれた。誰だとか、どうしてだとか、そんなことはもう頭になくて。

 

「どけ」

 

ただ純粋に、殺意を吐き出した。




ミケラの刃、マレニアを知り得たので失踪します。



Othuyegさん
誤字報告ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

苦悩の海賊/激戦の聖剣

・・・待て。

(花開く)

惨い展開は、また書かれる。

(翼を広げて飛ぶ)

貴公は、おぞましいものを見るだろう。

腐れ!


私、宝鐘マリンには野望がある。いつか海賊団を率いて海に出る、そんな野望が。あとかわいい女の子とイチャイチャしたい。

 

そんなこんなで、バトルイベントと美少女が多いと噂のホロライブ学園の門を叩いた。運動は嫌いだったけど腕には多少自信があったので、強敵揃いと聞くあの高校は腕試しにちょうどいいと思った。

 

そして、入学初日に後悔した。

 

正直な話、レベルが違った。そこらかしこで魔法が飛び交い、銃弾が飛び交い、一部では人体が吹っ飛んでいく様まで見えた。

 

でもまぁさすがに適当な奴に負けたくはなかったので必死に戦った。戦って、勝って、また戦って勝って。

 

そして、あぁ、そうだ、玲香に負けたんだ。

 

隣の席の儚げ美少女。こんな華奢な子が戦えるのかと驚けば、今度はその強さに驚いた。華麗で流麗。器用にすぎるその戦闘スタイルであの場の全員を圧倒した。後に聞いた話、あのとき際立って強かった他の4人も倒してしまったらしい。

 

その日から私は、玲香に憧れた。憧れた()()()()()

 

『その程度で船長なんて笑っちゃうね』

 

心に芽生えた劣等感を、認めたくなかったから。

 

 


 

 

やっぱり私は、弱い。

 

フレアみたいに魔術が使えるわけでもなく、玲香のように鋭く刃を振るえるわけでもない。ノエルほど力は強くなく、ぺこらほど素早くもなく、るしあのように頭数を揃えることができない。

 

総じて中途半端。それが私。

 

だからほら、今も攻め切れない。玲香の危機に足踏みしてる。

 

立ち塞がった二人の狩人は、きっと個々はそこまで強くない。ただ、連携が恐ろしく上手い。

 

一人は、戦闘用に改造された白衣のようなものを纏っている少年の狩人。武器は、青白い雷光が迸る銀の打撃棍。防ごうものなら刃を通じて雷撃がダメージを伝えてくる。

 

もう一人は、戦場に似合わない血のように紅いドレスを着ている少女の狩人。武器は、レイピア。変形後は刀身の変化により銃撃が可能になる。

 

少年が攻めて、その隙を少女が埋める。このオーソドックスな連携が攻め切れない最大の理由になっていた。

 

フレアなら、魔法で罠でも張って賢く殺せていたのかな。ノエルは戦闘経験が豊富だからきっと上手く立ち回れるんだろうな。ぺこらはその脚で逆に翻弄してたかも。るしあは数の暴力でいくらでもやりようがあるよね。

 

玲香は、きっとバトルロワイヤルのときみたいに蹂躙するんだ。

 

『で、(おまえ)は?』

 

打撃棍が脇腹を殴打した。肋が折れる音がして、雷撃が肌を焼く不快な臭いが漂う。

 

きっと今のも、()()()()()()()躱せたかな。

 

想像するのは、常に私以外の誰か。だって『私の場合』は現実が嫌という程見せてくるから。

 

痛みを無視して駆け出した。少年に向けて曲剣を振るおうとして、少女の弾丸がそれを弾いた。

 

パリィ。そうだ、狩人ならこれくらいできるか。

 

無防備な腹を、雷光が打ち抉る。開けた空き地の端まで転がって、止まって、ちょうど曇天が視界を占めた。

 

「諦めた?」

 

少女が尋ねる。

 

いやだ、諦めたくない。勝って玲香を助けに行かないとならない。

 

反面、体は動いてくれない。

 

こういうとき、曲剣は少し不便だと思う。よくある剣を杖にするやつ。刀身が短い上に曲がってるせいであれができないから。

 

まぁ、そんなの立てない言い訳なんだけど。

 

『もう諦めたら?』

 

『凡才にすぎる(おまえ)にして頑張ったよ』

 

そうかなぁ、そうかも。私にしては、多分よくやったほうだよ。

 

元々フレアと玲香に着いて行ってるのがおかしかったんだ。着いていって、強くなった気でいたのがおかしかったんだ。

 

だから、そうだ。諦めてしまおう。そしたら、楽だから。

 

「せっかく助けに行こうとしたのに、お姉さんも不幸だね」

 

少年が言った。

 

「だってお姉さんが探してる人、多分もうすぐ」

 

 

 

「また、死んじゃうんだよ」

 

 

 

殺してやる、そう思った。

 

ぶちりと脚の筋が切れる音がして、有り得ない速度で走り出していた。ぐちゃりと腕の肉が歪む音がして、埒外の力で曲剣を振っていた。

 

その首に刃が届きかけて────視界を触手が埋めつくした。

 

 


 

 

玲香は、まず真正面に立たないことを徹底した。歴戦の英雄の眼前に立つなど自殺行為。更にその剣には光刃が伴う。正面から切り結ぶ利点は一切ない。

 

が、逆にルドウイークは獣を正面に捉えることを徹底した。醜い獣であった頃の記憶が、[加速]による翻弄を警戒させていた。

 

お互いがお互いの土俵に引き摺りこもうとする、長期戦のテンプレート。傷が増えていくのは、やはりルドウイーク。血刃が肉を削り続ける。

 

一見玲香が優先に見えるが、その実は一撃当たれば即死の綱渡り。ルドウイークの誇る高い耐久性が故に、その綱の終端は遥か遠く。

 

警戒は解かず、それでも玲香の口元は弧を描いていた。

 

月光が髪先を焼く度に頬に朱が差し、獣肉から吹き出した血を浴びる度に多幸感が心を満たす。さながらそれは、恋する乙女のように。

 

戦況を変えるべく、ルドウイークが動き出す。狙い澄ました突き刺すような攻撃から、広範囲を薙ぎ払うような大振りの攻撃へ。張り付く玲香を引き剥がし、回避に専念させる。

 

対して、玲香はルドウイークの想定通りに回避を優先した。やはり、無駄の多い大袈裟な回避。けれど少しずつ、その回避に余裕が現れていた。

 

浅かった踏み込みは深く、深く。無駄な動きを削ぎ落として。ゆっくりと、英雄の首に刃を刺し込もうと近づいていく。

 

やがて、玲香が月光に完全に慣れ、光刃を掻い潜り、攻めに転ずる。

 

その刹那に。

 

「ふっ」

 

小さく息を吐きながら、ルドウイークが切り札を発動した。

 

聖剣を夜月に掲げ、その力が結集されていく。どおっ、と威圧が場を支配する。

 

再び張り付こうとした玲香を、力の集約に伴う衝撃波で引き剥がし、場は整った。

 

それは、地を迸る月光の奔流。数多の獣と怪異を屠ってきたルドウイークの、最大の技巧。

 

地に聖剣を叩きつけ。

 

紅一色の死体溜まりが、月明かりに切り裂かれた。

 

 

 

手応えは()()()()

 

獣の勘か、あるいは辛うじて息をしている脳裏の瞳か、それともこれまでの経験則か、必殺の一撃さえ掻い潜った玲香は、ルドウイークに斬りかかり。

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

異例、必殺の連続使用。

 

回避されることを前提に初撃を放ち、この二撃目に全てを託した。

 

この戦場において行われた獣同士のあらゆる駆け引きは、ルドウイークに軍配が上がり、玲香は負けた。

 

玲香の瞳が見開かれ、その華奢な肢体が消し飛ばされ───

 

 

 

唐突に、喀血した。聖剣を掲げ、獣を狩らんと万力を込めたまま、血を吐き出していた。

 

一瞬の困惑。次いで、狩人であった頃の長きに渡る狩りの記憶が答えを弾き出す。

 

それは、『劇毒』。

 

千景の誇る血刃、その刀身に含まれた劇毒が、ゆっくりと巨体を巡り、蝕み、たった今牙を剥いた。

 

激痛と多量の出血を強いるそれは、獣の身であってもよく効いた。

 

拳に込めた力が抜け膝から崩れ落ちる身体を、

 

「うっ」

 

しかし彼は

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

気力でもって繋ぎ止めた。

 

聖剣の担い手たる我が矜恃のため、獣と堕ちた目の前の少女のため、そして何よりこの先に佇んでいるだろう戦友のため。限界さえ超えた全身全霊を込めて。

 

そして、()()()()()()()()()()()()

 

玲香は、眼前から移動していなかった。身を屈め、紅い刃を鞘に納め、ルドウイークを狩るための工程を全て完了させていた。

 

それは、居合。血を消費するという千景特有の居合が、彼女の圧倒的技量によって放たれる。

 

たった一刀。されど、英雄の気力を打ち砕くには十分だった。

 

腹を裂き、肉を斬り、内臓を蹂躙し、脊椎まで損傷させ、ついにその巨体が膝を突く。

 

「ありがとう」

 

そっと囁かれたのは、短い別れの言葉。

 

右腕が、内臓に突き立てられる。

 

「・・・嗚呼・・・すまない」

 

誰にも届かない謝罪を零して、見えぬ夜空を仰ぐ。月光の導きは、もう見えず。腕が引き抜かれ肉体が霧散し、英雄が再び没した後、玲香は余韻に浸り、静かに哂った。




なんか執筆意欲が高いので失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

昏い悪夢の時計塔【紫紺の半月】-1

気をつけてたのに、少しずつ書いていたのに・・・。

1ヶ月、空いた!!!


相変わらずどんどん狂っていくRTA、始まらないで(恐怖)

 

前回はギリギリの戦闘を制し、見事ルドウイークを討ち果たして終わりましたね。もう二度とやりたくない。

 

今回は武器集めをしつつ、先に進んでいきたいと思います。まずはそこら辺に転がっているルドウイークのもげた首に攻撃を加えます。するとアイテムをドロップするので回収。

 

 

──[月光の聖剣]を入手しました。

 

 

みんな大好きルドウイークの代名詞となる剣です。ホロラバでは脳筋武器なので華奢()なレズちゃんには扱えません。

 

ちなみに、本来は生首に話しかけ会話を進めることで入手できるのですがRTA的には無駄なので殺しました(無慈悲)

 

そのまま死体溜まり奥へ行き、右の扉をくぐると牢獄のような場所に出ます。ここにとんでもねぇ火力の銃を持った車椅子爺とクソデカ医療従事者がいるので注意。クソデカ医療従事者のほうは比較的パリィが簡単なので、爺の攻撃を避けてから丁寧にモツを調理しましょう。爺は機動力に欠けるので楽です。

 

ここから左手に下に向かう階段があるので降ります。その先に落ちているアイテムを回収。

 

 

──[瀉血のお香]を入手しました。

 

 

これは[火薬のお香]同様、夢の中で敵を倒すことで武器が入手できます。

 

降った階段を登って先に進むと開いている牢屋の一つから狩人が現れるので、[千景]の悪質リーチを利用して牢屋の扉で嵌め殺します。本当は嵌め殺したくないけどタイムのためには仕方ないのだ(ずんだもん)

 

倒したらアイテムをドロップするので回収。

 

 

──[教会の杭]を入手しました。

 

 

[教会の杭]は、槍とウォーピックに変形する刺突特化の武器で、地味ながら強武器の一員です。器用の補正値が高いので使用武器の候補に入れておきましょう。

 

この先、教会のようなところに出ます。そこで厄介な狩人二人が現れるのですが無視できるので無視します。

 

教会奥のエレベーターで上に参ります。

 

上がった先、右手側にアイテムが落ちているので回収しましょう。

 

 

──[やつしのお香]を入手しました。

 

 

これは[火薬のお香]同様以下略。

 

さて、チャート上ではここで一度帰ってお香を使うところですが、今帰ったら何が起こるか分からないので次のボスまで進みます。決してガバから目を逸らしてるわけではないです。

 

それでは皆さん。

 

狂気をご照覧あれい!

 

 

ー昏い悪夢の実験棟ー

 

 

徘徊する頭の肥大化した化け物、床を這いずる人だった何か、画面越しに伝わってくる濃密な死の気配・・・。作中トップクラスにとち狂ってるステージ、それがこの実験棟です。

 

ここは、ステージに影響を及ぼす大規模なギミックが存在し、そのギミックを作動させることでボスエリアに侵入することが可能になります。

 

とはいえ道中敵以外何もないので倍速。

 

まずは脇の部屋からエレベーターに乗り込み、そのまま中央の螺旋階段へ。とにかく上を目指します。最上階にレバーがあるので作動、すると螺旋階段が回転しつつ下がるのでこれでボスエリアに繋がる大扉に行けるようになりました。

 

大扉の奥はボス戦なので、心構えだけはしておきましょう。準備?レズちゃんにはいらないです(恐怖)ではイクゾ!

 

 

──中央の大きな花を囲うように、辛うじて人型と

  呼べなくもない怪物が佇んでいた。

  獣とも狩人とも違う異様な気配がする。

 

 

やって来ました!フーッ!失敗作たち戦です。ボス戦といいましたが、ぶっちゃけ雑魚たちです。酷く弱いです。当MOD最弱ボスと言っても過言ではありません。

 

初見は数の多さにビビるかもしれませんが、よく見ると遠距離型と近距離型に別れているので、冷静に見極めつつ中央のオブジェクトを利用して射線を切れば近距離型だけを相手にできます。雑魚です。

 

そして何より近距離型にはパリィができます。雑魚です。

 

たまに隕石を降らせるというバカげた大技を放ってきますがこれも中央のオブジェクトで防げます。雑魚です。

 

しかも大技の間は無防備に突っ立ってます。雑魚です。

 

モツ抜きを繰り返すだけなので倍速しつつ、今後の予定をば。

 

この実験棟ですが、このボスを倒して終わりというわけではありません。この先にちゃんとした『時計塔のマリア』という強ボスがいます。そいつがまー難敵。今RTAの難所の一つです。これを一発で倒せれば大幅な時短になりますが、この紙耐久でどれだけ頑張れるか・・・。

 

そうこう言ってる間に終わりますね。最後の一発くれてやるよホラ!!

 

 

You Hunted

 

 

工事完了です・・・。やっぱり雑魚でした。

 

話すこともないですし、さっさと先に進みます。

 

 


 

 

血の匂いの充満する実験棟は、玲香にとって心地のいい空間だった。床を這う異形も、頭の肥大化した人間も、時折見かける狂人も、屍肉を喰らう畜生も、彼女の快楽のために狩りつくされた。

 

特に大扉の奥の怪物たちはよかった。人のものとそれ以外のナニカが混じった異様な血は、例えるなら料理の香辛料のようで飽きを感じさせない。

 

そんなことを考える程度には、玲香は興奮した。

 

()()()()()()()

 

巨大花を越えた、さらに先に続く扉の前で佇む。弧描いていた唇は硬く結ばれて、高揚に蕩けていた瞳は酷く憎々しげに扉を見つめていた。

 

どうして、こんなにも冷めてしまったのかは分かっていない。どうして、こんなにも苛立っているのかも分かっていない。

 

啓蒙はもう聞こえない。それなのに何故か、この先に自分を不快にさせる人がいるのだと、直感が訴えていた。

 

獣と落ちた本能が騒ぐ。殺せと、この先の存在を()()()と。

 

全身を巡る血が叫ぶ。知っているのだろうと、この先の存在は、お前の───。

 

「黙れ」

 

ああ、ようやっと静かになった。・・・ああ、また空っぽになった。

 

血の興奮も、死闘の興奮もなくなった。不快だ、不快だ、不快なだけだ。いつかの、私のように・・・。

 

嫌な思考を振り切るように、玲香は扉を押し開けた。

 

 

 

「──酷い悪夢だ」

 

その女は、()()()()()()()()()

 

体型も、声も、顔も、血の匂いでさえ。

 

「罪は全て秘匿したと思っていたのだがね」

 

違うのは、髪色と少しばかり感情豊かな表情。

 

「会いたくはなかったよ。特に、そんな状態の()()とは」

 

憂いと、申し訳なさと、愛おしさを滲ませながら、女は武器を手に取る。

 

それは、柄の双方に刀身を持つ両刃剣と呼ばれる武器。女は、この武器の機能を解放し、柄から分けて双剣とした。

 

長刀と短刀の歪な二刀は、まるで時計のようだった。

 

「その狂気が覚めるまで、殺してあげよう」

 

そんな言葉は、もう玲香には聞こえていなかった。

 

彼女は、心に芽生えた新しい感情に混乱していた。炎のように燃え上がり、闇のように昏く、殺意と害意を伴って現れるその感情は、怒りに似ていて怒りより強く、冷静さを蝕んだ。

 

「きっと、これが憎悪なのね」

 

見知らぬ女に憎悪を持つなど、本来有り得るものではない。そんなこと、関係ないけれど。

 

「殺す」

 

そっと、呟いた。

 




失敗作たちは本当に雑魚ですありがとうございました。(多分)元人間だから仕方ないとはいえなんか不憫だなぁと思います。

ちなみにボクはエブたそ派かマリア様派かで聞かれたらメルゴーの乳母派です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

破られる秘匿

エルデンリングトロコンしたので初投稿です。


手数という観点では、目の前の女が圧倒的に有利である。短刀のリーチの内に入ろうものなら、右の長刀と共に振るわれ、すぐさま斬り刻まれるだろう。辛うじて残った玲香の冷静さがそう断じた。

 

で、あれば、そもそも懐に入らせなければいい。リーチでは血刃を振るうこちらが有利。何よりこちらには[加速]がある。詰められたとて、距離を離す方法はあるのだ。

 

強気に攻め、その血刃を薙ぐ。

 

瞬間、独特のステップによって女の姿が()()()

 

「!?」

 

反射的に逃げを選択。眼前を、長刀が過ぎ通っていった。

 

あの場にいたら、死んでいた。

 

[()()]。玲香が誇る高速移動術にして回避術。それを使えること自体に問題はない。どういう原理かは知らないが、ここまでに狂った狩人が使うことは多々あった。

 

問題なのはその練度。

 

「・・・私より、(うま)い」

 

無駄がない。少ない予備動作、長い移動距離、姿の消える時間。あらゆる面で上を行く。

 

「当たり前だろう」

 

また消えた。

 

「この業は私が産み、普及させた」

 

無理矢理に千景を滑り込ませ長刀を防ぎ、続く短刀を体を逸らして回避する。

 

「そもそも、お前が使えることが異常だ」

 

身体のバランスが崩れたところを、鍔迫り合っていた長刀が千景を弾いた。瞬時に[加速]し、仕切り直しを狙うが、詰められる。

 

圧倒的不利。勝っていたリーチ差も意味がなくなった。

 

後に残るのは、手数の差。

 

首に向けられた長刀を避ければ、腹を狙って短刀が突き出され、退いて躱せばまた長刀が振るわれる。それは、終わらない連撃。何度も薄皮を切り裂かれ、その表情には疲労が滲んでいた。

 

思い出されるはいつか戦った二刀の鬼の少女。目の前の敵は、恐らく少女よりも強く速い。仲間と戦ってようやく勝ったあの少女よりも、だ。

 

苛立たしい、ああ苛立たしい。ただでさえこの女が憎いのに、攻められ続けるのは本当に不愉快だ。こうも連撃を繋げられれば、無理に攻め入る隙さえない。

 

だから、玲香は目を凝らす。耐えて、耐えて、敵の動きをよく観る。

 

その瞳が、開く唇を捉えていた。

 

「私は、血族の一人だった」

 

その語りは憂いを伴って、それでも剣に迷いはない。

 

袈裟斬り、突き、逆袈裟、横薙ぎ。

 

「血族は排斥され、処刑の対象だった」

 

水平切り、[加速]、突き、切り上げ。

 

「私がこの首を斬られなかったのは、人を上位者ヘ至らせる研究を行っていたから」

 

大振りの振り下ろし、逆袈裟、突き、突き。

 

「私の命を留めたそれは、同時に私の罪でもあった」

 

巧く、鋭く、速く、念入りに。

 

「私の犯した全ての罪を、かつての私は秘匿した」

 

しっかりと、殺せるように。

 

「嗚呼、しかし私は一つだけ、罪を()()()()()()──」

 

 

「──お前だよ」

 

攻撃は、更に苛烈に。瞳は、より慈愛に満ちて。まるで一貫性のない矛盾を抱えたこの女は、実際にはある一つの目的のために動いていた。

 

それは、罪の秘匿ではない。もっと倫理的で、人間的な目的。

 

「既に堕とした子のことなど、どうでもいいと思っていた」

 

語りは、独白へ。

 

「それでも、一度腹に宿した子というのは、愛しいものか」

 

二刀の武器は、また両刃剣へ。

 

水平に構え、渾身の突きを放たれる。その威力は凄まじく、人の身体など容易く風穴を空けてしまえそうなほど。

 

故に隙。玲香はその一撃を躱し、懐に入り込む。鞘に収めた血刃で、その首を落とすために。

 

「なあ、可愛い可愛い()()()()

 

憎悪が、鈍った。

 

眼前に、銃口があった。

 

「お前を捨てた身で勝手だが」

 

パリィ。体勢が大きく崩れる。

 

「そんなお前の姿は見たくはなかった」

 

優しく、優しく抱擁され、その右腕が、内臓に突き刺さった。

 

多量の出血とともに引き抜かれ、倒れ伏す。

 

「叶うなら、どこか遠い地で、何もかも忘れて幸せになってほしかったよ」

 

薄れる意識の中、玲香が最後に見たのは女の───母親の涙だった。

 

 


 

 

気が付けばまたベッドにいた、3回目の今日の朝。つまり、一日に二度玲香が殺されたことになる。

 

私はメルゴーを名乗るあの女から、全てを聞いた。狩人の原点、ビルゲンワースの衰退、学派の分離、悪夢の終わり。

 

そして、玲香の秘密。

 

『きっともうすぐ、あの子は殺される。全てを知って上で、ね──どうか、支えてあげて』

 

最後の言葉から滲む罪悪感と愛情は、嘘ではないと思った。まぁ、だからと言って私にできることなんてないのだけれど。

 

思考は深く落ちていく。思い出すのは、メルゴーとの遭遇のその更に前。初めて人を殺めた、あの瞬間。玲香の拒絶は、私の奥深くに巣食い、絶望の根を張り巡らせていた。

 

私が玲香に向けていた感情は、助けになりたいっていう願いは、ある種の依存だったのかな。

 

「・・・あれ?」

 

気付けば、悪夢に繋がるあの廃工場が目の前にあった。どうやら考え込んでいる間に来てしまったらしい。無意識に悪夢に足を向けるあたり、少しずつ狩人に染まっていっているのかもしれない。

 

染まり切れていたら、今も隣りにいれたかな。

 

ああほら、こんなときにもまた玲香だ。自分に対して嘲笑が漏れる。

 

そんな折。

 

「フレちゃん?」

 

幼馴染が、私に手を差し伸べた。

 

 

 

「───つまり、玲香ちゃんに狩りを辞めてもらいたい?」

 

「そう。できるなら、玲香の納得できる方法で」

 

場所は変えて、行きつけの定食屋。ノエちゃんは相変わらず牛丼を注文していたが、私は何も食べる気にはなれなかった。

 

「団長はさ、今3つの案を提示できるよ」

 

1つ目は、理想案。

 

「団長とフレちゃんと、あとはマリンも誘って、みんなで説得する」

 

2つ目は、妥協案にしてノエちゃんの最善案。

 

「玲香ちゃんを、物理的に動けなくする。例えば、騎士団本部(うち)の地下牢に閉じ込めるとか」

 

そして、3つ目は。

 

「フレちゃんが、一人で玲香ちゃんを説得する」

 

きっと今、私が取るべき手段。何となく、そんな気がする。

 

「団長的には、2つ目がオススメ。玲香ちゃんにはちょっとお灸を据えてあげないとだしね」

 

手をかけた丼に罅が入った。過去に数回しか見たことのない怒り方だ。私のために怒ってくれるのは嬉しいけど、でもそれは玲香を壊してしまいそうだから選べない。

 

だからと言って、玲香を説得できるとも思わない。ましてや、私一人なんて。

 

「うーん・・・よし」

 

私が言葉に詰まっている間に、ノエちゃんは答えを出した。

 

「ごめんね。団長、少し強引な手を取るよ」

 

「え?」

 

いつの間にか空になった丼を置いて、立ち上がりながらそう言った。

 

「今から玲香ちゃんを探しに行くよ。で、見つけ次第重要参考人として連行する」

 

「それって」

 

「うん、2つ目を実行するよ」

 

焦燥が背筋を焼いた。あの目は、本当にやるときの目だ。

 

「それは」

 

「それがダメって言うなら!」

 

「!」

 

「フレちゃんが探して、自分で説得して」

 

私は、否応なしに走り出していた。何を話すかも決めていなければどこにいるかも分からないけれど、ぐちゃぐちゃな感情をそのままにただ足を動かしていた。

 

「妬けるなぁ、玲香ちゃん」

 

小さく呟かれた言葉が私の耳に入ることは、なかった。




ところどころで入れてるブラボの説明、どこまで通じてるのか心配になったわ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

想いと仲直り

久しぶりすぎてもはや初投稿です。


起き上がる気にはなれなかった。

 

脳裏に浮かぶのは、あの女の、母の顔。憎い、ああ恨めしい。あの女を千切りたくて潰したくて殺したくて堪らない。すくなくとも、理由の分からない憎悪に呑まれたあの瞬間はそう思っていた。

 

『なぁ、可愛い可愛い私の娘よ』

 

()()()()()。私の血が、脳裏の瞳が、そう伝えていたのに、真実から目を背けていた。

 

私の知らない私の秘密。求めた物があったのにどうしてそれを否定したの?

 

あの時どうして憎悪を抱いたの?

 

殺意が鈍ったのは、何故?

 

私は、何がしたいの?

 

私は私が分からなくなった。知らない感情が綯い交ぜになって心の中を暴れ回っている。

 

『叶うなら、どこか遠い地で、何もかも忘れて幸せになってほしかったよ』

 

「捨てたくせに、ふざけないでよ」

 

本当に、本当に、不快だ。

 

 


 

 

玲香の自宅、ここにいる、そんな気がした。多分この直感は正しい。インターホンを押せばあの無表情な顔がドアの隙間から覗くだろう。

 

だから、二の足を踏んでいた。

 

恐怖なんだろう。玲香の拒絶が、心の傷になって私を縛り付けている。もしもう一度邪魔だと、不快だと言われたら、私は───。

 

また玲香が死んでもいいの?

 

気付いたときには、指に力が込められていた。扉を挟んで機械音が聞こえ、少しして足音が近づいてくる。

 

ガチャリと鍵が回されて、やはり表情のない少女と目が合った。

 

「ねぇ、今、大丈夫?」

 

玲香は静かに頷いた。その顔が苦しそうに見えたのは、きっと気のせいなんかじゃない。

 

恐怖は、なかった。

 

 

降り始めの雨のように、玲香はぽつりぽつりと語り出した。悪夢に行ったこと、本能の赴くままに獣を狩って回ったこと、母親に出会ったこと、殺されたこと。

 

そして、今胸の内に渦巻く名も知らない感情のこと。

 

私は彼女じゃないから、その全てを詳細まで理解できるわけではない。だから彼女が理解できるまで、傍にいるしかないんだ。

 

「玲香ってさ、泣き方知らないでしょ」

 

「泣き方?」

 

「そう、泣き方。みんなね、泣き方を知ってるの。嫌な感情で胸がいっぱいになったら、泣いて全部吐き出すの。そうじゃないと心が壊れてしまうから」

 

落ち着いた立ち振る舞いから、いつからか玲香を大人として見ていた。けどその実は、人並みを知らない女の子。知らないことは、わたしが教えてあげないといけない。

 

優しく玲香を抱きしめる。

 

「・・・フレア?」

 

「ゆっくり、ゆっくりでいいから、ちゃんと泣いて吐き出して」

 

啜り泣く音は、すぐに聞こえてきた。

 

 

「玲香さーん、そろそろお顔見て話したいかなって思うんだけど」

 

玲香が泣き出してから暫く。勢いで抱きしめたはいいものの、相手が同級生ということを意識してしまいどうにも気恥しくなってしまった。そのため、先程からこうして会話を試みてはいるのだが。

 

「・・・もう少し」

 

「それさっきも言ってたよね?」

 

この調子で、全然離してくれない。むしろいつの間にか背中に回された腕に、さらに力が込められる。

 

頼られてるのは嬉しいのだが顔から火が出そうだし玲香の吐息がくすぐったいし艶やかな銀髪からいい匂いがして妙な気分になるしでもう我慢の限界が近い。

 

「顔が熱くて、見られるのがとても嫌なの」

 

「人前で泣いてしまったのが恥ずかしいんじゃないかなぁ、多分」

 

「そう、これが恥なのね」

 

「今私も同じ気持ちだから、押し倒さないように、じゃなくて落ち着くために離れてほしいなって、ね?」

 

「私が落ち着くまで待って」

 

どのくらいかかるんだろうそれ。

 

「・・・フレア」

 

自分の中の変な欲求に耐えていると、ふと玲香が口を開いた。どうしてか、その身体が小刻みに震えているように感じる。何かを怖がっているようだった。

 

「どうしたの?」

 

「あの時、あなたを否定して、酷いことを言ったわ。本当にごめんなさい」

 

理解、そして納得。玲香は、私の胸の中でずっと謝ろうとしていた。許されないかもしれないという恐怖に耐えながら。

 

少しずつ感情が表に現れ始めた玲香が微笑ましかった。

 

「辛かったよ。拒絶されて、突き放されて、本当に辛かった。ここに来るのだって、またあんなこと言われたらどうしようって怖かったし」

 

「・・・そう」

 

「でも許す」

 

「え?」

 

「あ、やっとこっち向いた」

 

驚いて思わずこちらを向いた玲香の顔は、目元が赤く腫れていた。涙の痕もくっきり残っている。

 

「謝ってくれたから、もういいよ。それとも、まだ私を拒絶するの?」

 

「いいえ、もうしないわ」

 

「でしょ?だからもうこの話はこれでおしまい!」

 

震えは止まっていた。代わりに腕の力が強まったけど。

 

「──ねぇ、玲香はこれからどうしたいの?」

 

「フレアは、どうしてほしい?」

 

そんなの決まってる。

 

「もう悪夢に行かないでほしい、かな。私ね、玲香が傷つくと胸が苦しくなるんだ」

 

「・・・そう」

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい」

 

長い、長い沈黙の後に、静かに玲香は謝った。

 

「私はお母さんに会いたい。会って話がしたい」

 

「そっか」

 

やっぱりか、なんて諦めを抱えながら私は聞いていた。そしてほんの少しだけ迷って、観念した。

 

「──それじゃあ顔洗ってきなさい!涙袋に涙の痕って、可愛い顔が台無しだよ?」

 

「いいの?」

 

「うん、いいよ」

 

「・・・ありがとう」

 

そう言って玲香は顔を洗いに行った。

 

「また、悪夢かぁ」

 

右腕の燻りが蘇る。

 

 


 

 

中世の街並みを、黒い影がひたひたと歩いている。獣の病の罹患者の成れ果ては、既に人の形を失い、四足を地につけ、人ならざる膂力と俊足をもって民衆を喰い荒らす。手練の狩人であっても命を落とすことのある、危険な獣である。

 

その首が、突如飛んだ。翻る白刃は、獣狩りに用いるにはあまりに心もとない尋常な曲剣。しかし、扱う者が尋常ではなかった。

 

「まだ、まだ、足りない」

 

より速く、より鋭く、より強く。かつて己の弱さに打ちひしがれた少女、貪欲に力を求め続ける。抱えるそれは、狂気と呼ぶにはあまりに思いやりに満ちていて、同時に慈悲がなかった。敵にも、そして己にも。

 

いつか発揮した全力のその先を確実のものとするために、宝鐘マリンは、ただ一人悪夢を往く。獣の血を、滴らせながら。




ちと趣味がすぎた感は否めない、ないしイナムラなので失踪します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

宝鐘マリン

半年かからないで出せたので失踪してないってことで、ここはひとつ・・・あ、だめ、ダメか〜。


まるで綱渡りをしているようだった。獣になりかけの古狩人の死体を見下しながら、マリンは先の戦闘をそう評価した。

 

この古狩人の得物は獣の手足をそのままもぎ取ったかのような鉤爪であり、度々叫び声を轟かせてはそのおぞましい本質を解放させ、獣の如き身体能力を得ていた。

 

奇しくもそれは、マリンの求めていた力。だが、どうにもその仕掛け武器に魅力を感じないのは、彼女が正式な狩人ではないからだろうか。

 

マリンが目をつけたのは、それよりもむしろ古狩人が持っていた黒い丸薬だった。

 

獣の血と、同じ匂いがした。

 

確信がある。これを噛み砕けばすぐにでも力を手に入れられる。しかし同時に、それをすれば人ではなくなるのだろうという確信もある。

 

少し迷った後、それをポーチにしまいこんだ。

 

「まだ足りないですねー」

 

強くなるには死地が必要だと、マリンは考える。なぜなら、死んだことのある玲香はあんなに強いから。

 

「いっそ死んでみようかな。あ、でも死んだら終わりか。それはダメだなぁ」

 

奇声を上げる群衆を斬り裂きながら、悠々と街を闊歩する。行く宛てはない。ただ、強者を求めていた。

 

──ふと、焦げた獣肉の匂いが鼻腔を突いた。あの爆炎を放つ金槌に潰されたそれとは違う、未だ焼き焦がれているかのような、獣の匂い。

 

まるで誘われるように、マリンは匂いの元へ歩き出す。

 

「濃いなぁ」

 

近づく度、際立つこの匂い。身体が震え、気分が高揚する。血を浴びすぎた彼女は気付かない。いつかの玲香のように、歪んだ笑みがその顔に浮かんでいることを。

 

長い階段を登りきり、大聖堂に辿り着いたマリンは、それを目にした。

 

祭壇に横たわり、その身を()()()()()()()巨大な獣。

 

それは強く、狂気的な執着心を持ち、阻む全てを許さない。獣に落ちて尚人の頃の想いを抱え続けるそれは、己が相対したあらゆる敵とは格が違う。

 

やがて獣はその身を起こし、大聖堂に入り込んだ一人の狩人に手を伸ばす。

 

求めるものは、既に無くしてしまったというのに。

 

ついに地に足をつけた獣。巨大な体躯、肥大化した強靭な左腕、酷い血肉の焦げる匂い。かつて玲香が狩った獣と似てはいるが、その危険性は比較にならない。

 

「a・・・a・・・」

 

獣は、その喉を震わせた。

 

「Quaaaaaaaaaaa!!!」

 

「いいよ、()ろう」

 

そして、獣狩りが始まる。

 

 


 

 

まぁ、なんというか、楽観視ぃ、してたと思う。

 

ホロライブ学園。世界各国から特に戦闘力の優れた生徒の集まる私立高校。私が船長(わたし)になるために、目指した学校。

 

特に苦労することなく入学の切符を手に入れて、多分調子に乗っていた。この程度かと、慢心していた。

 

クラス分けと席順を確認して自分の席に向かうと、既に隣に人がいた。

 

綺麗な、とても綺麗な女の子だった。映える銀髪、華奢な肢体、ロシア人形みたいな顔立ち。

 

こんな子が、戦える?こんな子と、戦う?そうだ、隣同士になったのもなにかの縁、バトルロワイヤル中に会ったら守ってあげよう。

 

・・・バカだった。守る?できるわけがない。むしろ一蹴されて、轢き潰された。

 

あれ、もしかして船長、弱い?

 

これが一つ目の機転。

 

人生で初めての挫折。まぁ、伸びた天狗の鼻がへし折られたわけで。

 

でまぁ、倒された相手である玲香たんに興味が湧いて、(あとできればお近づきになりたいっていうのもあって)一緒に戦う・・・ちがうか、付きまとうことにしたんだけど。

 

獣狩り。詳しくは知らないけど、とてつもなく凶悪で危険な怪物と命のやり取りをしていた。あんなに華奢な子が、だ。

 

一緒に戦おうと思った。

 

正義感、というよりエゴのほうが近いかも。とにかく、その獣狩りを手伝って、前よりずっと強くなった。慢心は、自信に変わっていた。

 

でも、玲香たんの背中はさらに遠ざかっていて、隣に立たせてはくれなかった。

 

戦うことは、できなかった。

 

これが二つ目の機転。

 

悔しさと、焦りのような感情が生まれていた。このままだと、玲香たんがどっか行っちゃうんじゃないかって。フレたんでも届かないような、どこか、遠くに・・・。

 

それは嫌だ。そう、嫌だ。

 

でもできることは、狩りに付いていくことだけ。実際、半端な訓練を積むよりも狩りで得られる経験のほうが大きい。

 

もっと頭が良かったら、他にやり方を見つけられたのかな〜、なんて歯痒い思いを味わい続けた。

 

そして、事態が急変した。

 

獣と化した人、玲香たんのことを知っているらしい謎の人物、過剰に反応する玲香たん。

 

何が何だか分からなかった。分からなくて、分からないままその日は別れて。

 

そして、三つ目の転機が訪れる。

 

初めての殺意、初めての絶望。友達の危機にも駆けつけることができない、弱者。

 

ああ、どうしてこんなに弱いんだろう。

 

強くなりたい、あの子を助けられるくらい、強く。

 

強く・・・。

 

 


 

 

もう、二度と戻らないと思っていた。

 

獣の血を踏みしめながら、フレアは深く息を吸った。血の匂いはフレアにとっては戦場の証。否応にもその感性が戦闘のために研ぎ澄まされていく。

 

ふと気になって、横目に玲香を見た。狂気の一端はそこには見えなかった。

 

「どうしたの?」

 

髪色によく似た銀色の瞳と視線が交わる。

 

「・・・なんでもない」

 

はて、玲香の瞳はあんな色であっただろうか。少し考えたが、どうでもいいとフレアは切り捨てた。

 

 

 

「おかしい」

 

少し悪夢を進んだ先、獣の死体を見て玲香は呟いた。

 

狂った古狩人達が今も獣を狩り続けているため、その死体は珍しいわけではない。

 

「巧すぎる」

 

目を付けたのは死因と見られる斬られた首の断面。凹凸がなく、鮮やかな手並みであることが伺える。

 

古狩人達の扱う仕掛け武器は、削る(獣肉断ち)か、叩き斬る(獣狩りの曲刀)か、潰す(爆発金槌)か。いずれにしろこんな死体は生まれない。

 

「別の誰かが、悪夢に来てる」

 

「別の誰かって、随分と限られるよ」

 

悪夢について知っているのは、白銀騎士団の人員か宝鐘マリンのみ。そして、こうも容易く獣狩ることができるのは───。

 

「「マリン」」

 

2人は弾かれたように走り始めた。

 

獣の咆哮が、木霊する。

 

 




【次回予告】

次回も未定です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

宝鐘マリン-2

マラソン亡者、マラソンに時間を使いすぎる。


獣と開戦してからすぐに、マリンは左手に持った銃をもう一本のサーベルへと持ち替えた。

 

彼女の銃が放つ弾は、狩人達が使う特殊なそれとは違う。獣に対しての効果が薄いのだ。ましてこれほど強大な獣であればその効果はほぼない。

 

で、あれば、斬ったほうが良い。

 

「シッ」

 

短い呼吸音と共に真っ直ぐに駆け出す。同時に、獣がその長い左腕を鞭のようにしならせ、横薙ぎに振るった。当たれば即死、それほどの重圧を持った左腕を、高跳びの要領で飛び越えた。

 

そして、すれ違いざまに斬りつける。

 

「っ!」

 

しかし、その刃が肉を裂くことはなかった。分厚い体毛と強靭な筋肉が、半端な一撃を完全に防ぐ。

 

「あっつ・・・」

 

加えて、その躯体から零れる炎が肌を焼く。

 

硬い肉、高い破壊能力、そして体力をじりじりと削る熱と炎。攻撃手段が近接のみに限定されたマリンにとって、この上なくやりずらい相手だった。

 

特に炎。仮に刃が通ったとして、肉の裂け目から炎が溢れ肉体を焼かれると考えると、とてもではないが近づきたくはなくなる。

 

が、距離を詰めるその脚が、止まることはなかった。

 

(削り合いだと確実に殺される。長期戦は論外。懐に入り込んで短期戦に持ち込むしかない。何より───)

 

思い出すのは、フレアと戦ったあの最後の瞬間。

 

(───焼かれるのは、慣れた)

 

今のマリンは、半身を焼き消されたとしても止まらない。

 

トンッ、と。小さく、地面を蹴る音がして、マリンの身体が急加速する。それは、玲香の扱う[加速]を自身の解釈し、見様見真似で再現したもの。

 

実際に消えるわけではないものの、突然に行われた速すぎる加速は、獣の動体視力を遥かに超えていた。

 

「!?」

 

(よし、懐には入れた)

 

厄介な左腕も、この距離では気にする必要はない。それでもこちらの攻撃が効くようになるわけではない。

 

この問題に対するマリンの解決法は、単純だった。

 

「同じ場所を」

 

二刀袈裟斬り。

 

「同じように」

 

そのまま勢いを殺さずに身体を回転させ。

 

「斬り続ける!」

 

浅い傷口をより深く抉るようにさらに、袈裟斬り。

 

彼女の卓越した技量によって実現したその連撃は、確かに獣の肉体に深い傷をつける

 

()()()()()()()

 

「・・・うっそだぁ」

 

硬すぎた、あまりにも。

 

狩人達が、ただ鋭利なだけの武器を持たない最たる理由は、獣の硬い肉質と分厚い体毛に阻まれてしまうからだ。故に彼らはギザギザとした刃か、力任せに断ち切る鈍を好む。

 

「うわっと」

 

そして、短い右腕が懐での長居を許さない。

 

ただの斬りつけは通らない。半端に重ねても効果がない。何より右左関わらずあらゆる攻撃が致命傷。

 

マリンは、手詰まりに追い込まれていた。

 

・・・ただ、一手を除いて。

 

懐から取り出した黒色の丸薬。獣の血と同じ香りのするそれは、マリン自身が使うことはないとしていた危険な物。

 

確信がある。これを食らえば、獣に堕ちる。血を浴びる度に人を失っていく。

 

「あんな風になるんですかね」

 

これを持っていた狩人は毛深く、ともすればその姿は獣のようであった。

 

「そうなるのは嫌だなぁ」

 

毛深い自分の姿を思い浮かべて、うえっと舌を出した。

 

「まぁ、いっか」

 

しかし、マリンはもはや弱い今の自分に対する未練は何もない。

 

変わらなければならない、あの子の隣で、あの子を護れるように。執着的で狂気的な自己暗示をかけ続け、躊躇いは消えた。

 

丸薬を、喉へ落とす。

 

「はぁ〜〜〜・・・・・・・・・・・・・気持ちよくなってきた」

 

「Quaaaaaaaa!!」

 

振り抜いた獣の左腕から、血が吹き出した。

 

「玲香たんもこんな気分だったのかな」

 

本来の卓越した技量に、獣の膂力が上乗せされたその結果、ただ鋭いだけの刃が獣の肌を()()()()

 

獣性。

 

それは、血を浴びるたびに正気を削り人を人ならざるものへ近づける。故に獣性を呼び覚ます黒い丸薬は、所持・服用を禁止されている。

 

余程の使命に駆られているか、あるいは狩りに酔いしれたか、いずれにしろ使った者の結末は、往々にして破滅である。

 

「最っっっっっっっっっ高」

 

 


 

 

初めての感覚。万能感とでも呼ぶべきかな。ともかく、すごく気分がいい。肌に触れた血がゆっくりと染みこんで、どんどん体が軽くなっていく。握った曲剣からみしりと軋む音がして、踏みしめた床に蜘蛛の巣のような罅が刻まれた。

 

あの二人の狩人と戦った最後の瞬間、限界を超えたあの一瞬が、今自分の力としてこの手の中にある。

 

何より、この力には限界がない。血を浴びるたびに増していく。

 

「この力があれば・・・あはっ」

 

あの子を超せる。

 

けどまだ足りない。もっと血がいる。

 

腕をちまちま斬ってても出る血なんてたかが知れてるし、次はお腹でも狙いに行こうかな。本当は頭を落とすのが一番だけど高すぎて狙えないし。

 

ととっ。

 

「Quaaaaaaa!!」

 

「暴れないでよ、今どうやって狩ろうか考えてたんだからさ」

 

にしてもすごいなぁ。あんなに脅威だった鞭みたいに長くて破壊力抜群な腕が、今ならそんなに怖くない。もちろん喰らったひとたまりもないのだろうけど、簡単に避けることができるから、問題ない。

 

さっきより懐に潜りやすい。

 

「じゃあ行っちゃいますか!」

 

血を浴びてもっと強くなる。そのために、目の前の獣を狩る。斬り刻む。

 

増した脚力を存分に利用しての加速。

 

「はやっ」

 

つんのめりそうになるのを無理矢理制御して停止。慌てて頭を下げて右腕の攻撃を避けた。

 

「って、今の間に合うんだ」

 

改めて、今の身体のスペックの高さを理解する。てかマジですごいねこれ。さっきの船長だったら潰れたトマトのできあがりだったよ。

 

ともあれ、目の前には獣の腹。

 

さて、じゃあ切るか。

 

「やっっわらか」

 

振った刃が、ずぷっと硬い体毛と肉を裂いた。例えるならそう、庶民じゃ手の届かないような上等なステーキにナイフを入れている感じ。

 

あ〜、そう考えると溢れる血が肉汁に見えてきて〜、お腹空いてきたなぁ。

 

てか玲香たんいっつもこんなの味わってたの?そりゃあんな()()笑顔しちゃうわ〜。羨ましい〜。

 

・・・ってことは、玲香たんも血あびるたびに強くなってるんだよね。獣を狩るたびに遠くなるんだよね。ああ足りない足りない。もっと、玲香たんの倍は狩らないと、倍は血を浴びないと。

 

玲香たんっていつもどうやってあんなに血塗れになってたっけ?

 

ああそうだ。

 

「こんな感じだった、ね!」

 

裂いた傷口から体内に向けて腕を突っ込む。そのまま、中身を引きずり出すように振り抜いた。

 

最っ高じゃないこれ!肉殴る感覚も内臓抉る感覚も血を掻き出す感覚も全部最高!すっごく気持ちいい!ずるいなぁ玲香たん!教えてくれても良かったのになぁ!

 

もっと欲しいなぁ。

 

どうせ玲香たんに追いつくためにはもっと血が必要なんだし、もっと狩らなきゃいけないんだし。

 

あはっ。

 

もっと斬って抉って掻き出して血浴びて強くならないとね。

 

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと!!

 

じゃないと、じゃないと!

 

 

玲香たんに追いつけない強い獣を狩れない!

 

 

「あれ、今、何考えて───」

 

 

気付けば、空を飛んでいた。右半身が酷く痛んで、動かそうとしてもできなくて。てかなんで飛んでるの?ああ、殴られたのか、獣に。

 

「これは、死んだかもなぁ」

 

1秒後、べちゃりと肉の潰れる音が脳裏に響いた。




マラソン亡者、マラソンの休憩に別のマラソンを走る。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

その海賊の名は宝鐘マリン

いやーちとリアルで忙しくてねぇすこーしばかり書けませんでしたよゲヘヘヘヘかわいいなぁクルカイちゃん・・・。(ダクソ2トロコンエペランダイヤ2)


玲香とフレアが大聖堂へ辿り着いたとき、既に獣の拳は振り抜かれ、マリンの身体は宙を舞っていた。

 

そして、明らかに無事ではないその状態を認識した玲香は、冷静に───

 

「フレア、マリンをお願い」

 

───ブチ切れた。

 

千景を鞘に納めて走り出す。と同時に、獣が玲香の存在を認識する。新たな敵を迎撃するために振り向いた獣に対し、玲香はその躯体に瞬時に視線を走らせた。

 

燻る炎、巨大な腕、牡鹿のような角を持つ頭、そして酷く傷ついた腹部。

 

傷口は、鋭利な刃で斬りつけられてできたものだった。

 

「マリン、よく頑張ったわね」

 

その脚はさらに加速する。

 

左腕の攻撃は受けてはならない。懐に入っても右腕で迎撃されそうだ。不用意に近づけば火傷は免れない。獣の射程に入るまでの数秒であらゆる危険を確認した玲香は、()()()()()()()()()()()()()()

 

[加速]。獣の視界から、文字通り玲香が消えた。

 

彼女は、既に腹の前。極限まで全身を捻り、構え、そして刃を振り抜いた。

 

血刃の居合が、獣の躯体を腹から両断する。

 

「──────────」

 

咆哮はなかった。鳴くことさえしなかった。あまりに鮮やかな一閃は、獣に斬られたと認識させることは、なかった。

 

その狩りの一切に目もくれず、フレアがマリンの治療に集中できたのは、2人の間に確かな信頼があったからだろう。

 

「マリンの状態は?」

 

「一命は取り留めた、と思う」

 

持ち合わせの回復薬、焼け石に水の低級回復魔法。それらを最大限投与してようやっと血が止まった。

 

「でも、まだ危ない状態なのは確か」

 

肋骨数本の骨折、全身の打撲、その他多くの外傷に加えて重度の疲労。激しい衝撃によって内臓にも傷害があるかもしれない。

 

フレアは、マリンの容態をそう評価した。

 

「本格的な治療ができる場所に連れていかないと」

 

「・・・一度帰りましょう」

 

少し悲しげに、玲香は言った。

 

 


 

 

気付けば、身体は暗闇に投げ出され、ふわふわと浮いていた。思考にはうっすらとモヤがかかっていて、意識も少し朦朧としている。

 

あれ、何してたんだっけ。

 

ああ、そうだ。あの大きい獣と戦ってたんだ。斬っても斬っても斬れなくて、それで黒い薬を飲んで強くなって・・・。

 

それで、それで、どうしたんだっけ?

 

そっか、負けたんだ、とても強い力で殴られて。うわぁ多分死んでそ〜。

 

てか、なんで戦ってたんだろう。

 

そうだ、強くなりたかったんだ。

 

なんで?

 

玲香たんを助けたいから。

 

どうして?

 

どうしてって、それは・・・。

 

あの子はあなたより強いでしょ?

 

それでもあの子は傷ついてるし、なんなら死んじゃってる。だから強くなって守れるように・・・。

 

じゃあ、なんであの子にこだわるの?

 

・・・え?

 

たった2ヶ月の付き合いだよ?

 

あの子はあなたになにかしてくれた?

 

あの子からなにか貰った?

 

叶不玲香は、あなたにとっての、なに?

 

そ、れは・・・。

 

答えられない?

 

そうだよね。

 

だってあの子は、

 

とっても可愛くて強いだけのただのクラスメイトなんだから。

 

 

 

「う、あぁ、ぁ?」

 

「マリン?マリン!」

 

「目を覚ましたのね、本当に良かった・・・」

 

そう、か。気絶してたんだ。獣は・・・多分2人が狩っちゃったんだろうなぁ。

 

遠いなぁ。悔しいなぁ。

 

「マリン、大丈夫?痛むところはない?」

 

痛いところ?全部だよ。身体も心も。

 

『叶不玲香は、あなたにとっての、なに?』

 

何も答えられなかったなぁ。

 

『とっても可愛くて強いだけのただのクラスメイトなんだから』

 

何も返せなかったなぁ。

 

こんなに良くしてもらってるのに、どうしてだろうなぁ。

 

「やっぱり私も着いてくわ」

 

「でも玲香、お母さんには」

 

「いいの、友達が優先よ」

 

友達、友達だってさ。簡単に言っちゃって。

 

嬉しいなぁ。苦しいなぁ。友達って、船長は言いきれなかったのになぁ。

 

かっこ悪い、なぁ。

 

「マリン、泣いてるの?」

 

「・・・ぇ?」

 

うっそ泣いちゃってるの今。うわぁ余計かっこ悪いじゃんか。

 

「怖かったの?」

 

違うの。

 

「痛いの?」

 

違うよ。

 

「寂しかった?」

 

全然違う。

 

「・・・悔しいの?」

 

ちが、わない。違わない。

 

ほっぺたあっつ。涙がもっと流れてきたみたい。

 

ほんっと、弱いなぁ。

 

「・・・ごめんなさい、今は話を聞いている時間がないの。早く病院へ」

 

「ぉいてぃって、ひとりでぃくから」

 

泣いてるせいなのか痛みのせいなのか、呂律が回らない。でも言わないと。置いていってって、一人で行くって。

 

だってもう、かっこ悪いところを見たくない。迷惑をかけたくない。

 

「マリン」

 

だからせめて、せめて、もう足を引っ張らないように、いっそ死んで───。

 

「おぃてぃって」

 

「マリン、聞いて」

 

「ぇいか、たん・・・?」

 

頬を抑えられ、無理矢理に目を合わせられる。力強い銀色の瞳に、泣いている私が映っていた。

 

「私ね、全部どうでも良かったの。学校も人付き合いも、強い弱いも、私の人生さえも。特に人付き合いなんて、不愉快で鬱陶しいものだってずっと思ってた」

 

それじゃあ、友達なんて、嘘?

 

「でも、フレアとあなたに会った」

 

「ぁたし?」

 

「そう、あなた」

 

頬を抑えていた手が頭の後ろに回され、ゆっくりと持ち上げられる。

 

「邪魔だって思ったことがないわけじゃない。それでも、一緒にいて不愉快じゃない存在は、あなたたちが初めてだった。私に初めてできた、友達と言える人たちだったのよ」

 

そのまま、玲香たんの膝の上に運ばれる。

 

「それを知ったのは、ついさっきだったのだけど・・・私、本当に愚かね」

 

玲香たんが、ぽろぽろと泣き出した。流れた涙が私の頬を濡らす。

 

どうして泣いているの?

 

「私ね、フレアとあなたに泣き虫にされてしまったみたいなの。さっき初めて悲しいって感情を知って、今は怖いって感情を知った」

 

怖いって何が?

 

「私、友達を、あなたを喪うのが怖い、思わず泣いてしまうくらい怖いの」

 

・・・。

 

「ねぇマリン、お願いよ。愚かな私から、数少ない友達を奪わないで───生きて」

 

傷に障らないように、優しく抱きしめられる。背中に回された玲香たんの華奢な腕が、小さく震えていた。

 

怖い・・・そっか、怖い、か。

 

私は、深く、深く息を吸って、ゆっくりと、肺の中身を全て吐き出した。

 

 

 

 

 

全く、()()は一体何をしてたんでしょうか。ボコボコにされて、かっこ悪いところを見せて、挙句こんなかわい子ちゃんを泣かせて。

 

船長に生きてほしくて泣いちゃうような、寂しがり屋の玲香たんのために、死ねないですね!

 

目を閉じて、あの問いを繰り返す。

 

なんであの子にこだわるの?

 

当たり前、可愛いから!何より友達だから!

 

たった2ヶ月の付き合いだよ?

 

人付き合いは長さより質!一緒に戦った時間は今ではかけがいのない思い出なの!あと可愛いし!

 

あの子はあなたになにかしてくれた?

 

たった今してくれた!船長の命を尊んでくれた!

 

あの子からなにか貰った?

 

それは今から貰う予定!

 

叶不玲香は、あなたにとっての、なに?

 

とっても可愛くて強くて、寂しがり屋な私の友達!そして、船長が見つけた宝物!

 

目の前にお宝があるのなら、海賊がすることは一つ、だよね!

 

 


 

 

「Quaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

獣の咆哮が大聖堂に響き渡る。叫んだのは、玲香が胴体から切断した、あの獣だ。もはや獣の持つ本能や意識さえも燃え尽きて、人だった頃に抱いた強い感情のみが、彼の躯体を動かしていた。

 

「どうして死んでないの!?」

 

「チッ」

 

重傷者を抱えた2人に選択の瞬間が迫る。そして誰もいなくなった、玲香の答えは既に決まっていた。

 

「フレア、マリンを連れて逃げて」

 

「玲香は?」

 

「時間を稼ぐ」

 

腹の切断部から、血の代わりに溶岩が溢れ出す。その異様な光景に、いかに玲香と言えども戦慄せずにはいられなかった。

 

それでもやるしかないと腹を括り、千景を構える。

 

(強い・・・)

 

玲香は、目の前の獣が今までに戦ってきたどんな敵よりも強いということを感覚で把握した。獣という異形の威圧感に、そのまま人の執念がそのまま継ぎ足されたような、怪物。

 

(狩るなんて考えない、今は2人を逃がすことに集中しないと。最悪、死ぬことになる)

 

両腕の脅威はそのまま、ただし移動にも腕を使う分攻撃の頻度は少なくなるはず。また腹から下がないから、急に飛び込んでくることはない。しかし、あの溶岩が厄介だ。不用意に近づけば逃げ場がなくなる。

 

(ヒットアンドアウェイが最適解。これなら時間も稼ぎやすいわね)

 

分析が終わり、覚悟が決まる。

 

「はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・行くわ」

 

「まぁ待ってよ」

 

そんな玲香を止めたのは、マリンだった。

 

「・・・マリン?」

 

泣き腫らした目をそのままに、重傷の身体を引きずって、立って歩き出した。

 

「ずっと間違えてたんだ。玲香たんと一緒に戦うには、強い狩人にならないといけないんだって」

 

「そうよ、あなたは狩人になんてならなくていいの。だから」

 

「だから決めたんだ!私は海賊のまま獣を殺す!」

 

いつの間にか、その手にはサーベルが握られていた。

 

「海賊はね、可愛い子に守られ続けるなんてかっこ悪い真似は恥ずかしくってできないの!」

 

足取りが安定する。サーベルを握る手に力が入る。その目に、獣が映る。

 

「そんな身体で戦えると思ってるの?」

 

「戦える?まさか、()()()!」

 

そして、構える。これまでの自分に決別し、この凶悪な怪物からお宝を守るために。

 

「船長を信じてよ、玲香たん。大丈夫、もう絶対に負けない」

 

「・・・」

 

玲香は何も言わなかった。ただ、千景を鞘に納める音がマリンの耳に届いた。

 

「ありがとう───あ、そうだ。もう一つお願いしてもいい?」

 

「?」

 

マリンが振り向く。玲香と目が合う。

 

「勝ったらキスして?」

 

「マリン!?」

 

「いいわよ」

 

「玲香!?」

 

「ホント!?約束!約束ですよ!後でナシなんて絶対に認めないですから!」

 

「そんなことは絶対にしないわよ。だから、勝ちなさい」

 

「勿論」

 

海賊は、守るものがあるときと奪うものがあるときに一番強くなるのだと、マリンは思っている。そして今、守るものと奪うものが2つとも揃っていた。

 

「守るものは、2人。そして奪うのは、玲香たんのファーストキスとお前の命」

 

海賊なら、不利な今こそ不敵な笑みを。

 

「宝鐘海賊団船長、宝鐘マリン!大切なお宝のために、いざ、出航(ヨーソロー)!!」

 




正直キスのくだりが一番楽しかった。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。