ワールドトリガー 〜鬼殺の剣士〜 (シナプス・フィン)
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主人公設定※随時更新とネタバレ注意

今更ながら主人公設定を投稿します。

では、どうぞ。


綾瀬紘太(アヤセコウタ)

 

PARAMETER(パラメーター)

 

 

トリオン:6

 

攻撃:20

 

防御・援護:7

 

機動:10

 

指揮:7

 

技術:14

 

特殊戦術:9

 

射程:3

 

 

TOTAL(トータル):76

 

 

 

FAMILY(ファミリー)

 

・父 母 祖父(他界) 祖母(他界)

 

 

 

PROFILE(プロフィール)

 

誕生日:9月1日

 

年齢:15歳

 

身長:166cm→172cm

※本部の身体検査をしたらそうなった。

 

星座:つるぎ座

 

血液型:B型

 

職業:中学生

 

好きな物:鍛練、刀の鑑賞

 

 

 

SIDE EFFECT(サイド エフェクト)

 

NO DATE

 

 

 

SKILL(スキル)

 

 

全集中の呼吸、それに関する剣技

 

の呼吸

 

 

習得する為に鍛練中

 

 

 

詳細不明

 

???の呼吸

 

 

・透き通る世界

痣、発現。

体温も独自にコントロールしている為、平均寿命まで生きられる。

 

隙の糸

 

 

 

・概要

嘗ては、三門市に住んでいた少年だったが親の仕事の関係上、他県に転勤する事になってしまった。

その為、近界民(ネイバー)をよく知らないで三門市に戻って来てのだ。

紘太が剣術の技術を利用して実戦を積んでいた事を唐沢に情報が入り紘太にコンタクトを取ろうとしたものの紘太の両親は、紘太が離れるのを良しとしなかった。

その為、門前払いされてしまったのだ。

後にこの事を知った紘太は、同じく剣を学んだ父親に勝負を挑み紘太が勝つ事を条件にその話を了承した。

しかし、紘太の父親は、紘太の想定外の成長速度に驚き、一方的にやられてしまった。

これは流石に如何な物かと母と共に話したが紘太が「爺ちゃんと過ごした街を守りたい」と言う紘太の並々ならぬ覚悟を感じた2人は、渋々だが了承した。

因みに、忍田さんがボーダーで本部長していると電話で話をしたらビックリしていて本人達が忍田に直接、息子を頼んだと言われていた。

後日、要らぬ手間をかけてしまったのでお詫びにいい所のどら焼きを差し入れたとここに記載しておく。

 

 

 

・交友関係

本編での描写で僅かながら描かれたが三雲と空閑の同級生でクラスメイト。

紘太が刀でトリオン兵を倒すところを間近で見た為、紘太のポテンシャルの高さをよく理解できる人物達。

紘太は、近界民(ネイバー)だと自分でバラした空閑に対しては、特に負の感情は持っていない。

寧ろ、似たような経験をしている同士だと思っている。

使用しているトリガーも同じ攻撃手(アタッカー)である為、よくお互いの良い点、悪い点を話し合っている。

空閑曰く、「こっちの世界で似たような奴はいないと思っていたけど事を理解してくれるのはありがたい」と話している。

レプリカも紘太に直接、仲良くして欲しいと言われた。

三雲に対しては、攻撃手(アタッカー)なら色々とアドバイス出来るが射手(シューター)になってしまった為、具体的に教えるのは難しいがレイガストを使って近接戦闘のフェイントと言った隙を狙って倒す戦い方を教えている。

この点は、烏丸と要相談と言う形で話をしている。

悪戯にレパートリーを増やすとパニクる為、主体は、烏丸、紘太は、アシストと言う形で補っている。

本部所属になるのだが玉狛支部によく出入りするので転属しているのと聞かれる。

 

 

 

・ボーダー戦闘体(隊服)

服装のイメージは、太刀川隊の隊服のコートの丈を腰程にまで短くした物。

黒い柄は、深紅色の格好。

 

・羅刹の場合

炭治郎の格好そのもので羽織が深紅色

 

 

 

・紘太専用トリガー「羅刹」

待機形態は、普通のトリガーと一緒で色が深紅色。

「羅刹・起動」という音声認証で起動する事ができる。

ただし、最初の時だけ必要でそれ以降は、普通のトリガーと同じ様に同等の扱いをしている。

起動すると格好が鬼殺隊の隊服に変わり紘太が普段使っている日輪刀が腰に備わる。

羅刹に念じると日輪刀限定だが出し入れが可能になる。

紘太の呼吸剣術と体術が通常のトリガーだと機能障害を起こしかねない可能性がある事が忍田本部長がそう伝えられ紘太専用にチューニングされた。*1

通常体でも使用できるがそれでも6割が限界と言われ羅刹でない限りは、最大6割の力で戦わないといけない為、紘太は、常にもどかしい戦いを強いられる。*2

羅刹を戦闘以外で使用する際は、エンジニアの寺島の管理の元、行わなければならない。

理由としては、紘太の身体能力が予想していた数値以上を出した為、かなりシビアな物になってしまった。

呼吸剣術でのデータを更新するだけで想像以上の負荷がかかってしまい機能障害を起こさない様にする為。

異常な負荷を与えて機能障害に陥ったのは、日の呼吸を使ったのがその例。*3

その為、定期的に開発室に行っている事もあり鬼怒田以外は、ほとんどのエンジニアとは、顔見知り。*4

 

 

 

紘太とよく接する人物。*5

・玉狛支部全員

・太刀川慶

・風間蒼也

・嵐山隊

・那須隊

・黒江双葉

・忍田真史

・ヒュース

 

紘太の友人達から見ての紘太

 

・三雲→紘太

「偶に同い年?と疑問に思う」

 

・空閑→紘太

「オサムと同意見だけど話をわかってくれる人がいるのはありがたい」

 

・雨取→紘太

「面倒見のいい先輩」

 

・小南→紘太

「勝ち逃げするんじゃないわよ!!」

 

・烏丸→紘太

「俺がいない間に修の面倒を見てくれるのはありがたい」

 

・木崎→紘太

「今度、玉狛(ウチ)で食事にでも来い」

 

・迅→紘太

「忍田さん斬られる未来見た時は、ひっくり返った」

 

・宇佐美→紘太

「眼鏡掛けようぜ!♪」

 

・太刀川→紘太

「俺と闘えぇ!!」

 

・風間→紘太

「トリガーでの戦闘に慣れるとランク戦では、脅威になる」

 

・嵐山→紘太

「弟と妹を助けてくれたいい奴」

 

・時枝→紘太

「剣を使う時の彼の場馴れの理由が知りたい」

 

・木虎→紘太

「負けたくない」

 

・佐鳥→紘太

「ワンチャン狙撃手(スナイパー)に・・・」

 

・綾辻→紘太

「アクション俳優に見えた」

 

・那須→紘太

「・・・何か、気になる」

 

・熊谷→紘太

「・・・本当にB級?」

 

・日浦→紘太

「狙撃が当たりません!!」

 

・志岐→紘太

「・・・ごめんなさい、やっぱり男の人は苦手です」

 

・双葉→紘太

「剣の師匠」

 

・本部長→紘太

「腕を上げたな・・・」

 

・ヒュース→紘太

「底が分からない奴」

 

 

 

*1
当小説の本部長も同様。炎の呼吸を支えるのもそのおかげ

*2
その時点で太刀川や本部長と対等に戦える時点で可笑しい

*3
弧月の刀身が壊れて再生不可能になったものそれが原因の一つ

*4
鬼怒田は、会議等でいない事が多い為、紘太と顔を合わせる事があまりない

*5
第49話時点




今現在投稿しているのは21話時点の紘太です。
話が進むにつれて中身が変わってきますのでご理解お願いしたします。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第1章 邂逅編
第1話 三門市に帰ってきた剣士


どうも皆さん。
そして、初めましての方は初めまして。
シナプス・フィンです。

突拍子もなくストーリーを作ってしまいました。
他の小説の投稿の兼ね合いもあるのでかなりバラツキがあるのでご了承下さい。

では、どうぞ。


とある平日。

電車で人が行き来する中、1人の少年が刀剣バッグを携えていた。

 

「ようやく着いた〜・・・()()()

 

少年は、背伸びしながら体をゴキゴキ鳴らす。

 

 

・三門市

人口は28万人で市の中心を川が流れている。

少年、綾瀬紘太がかつて住んでいた町だ。

 

「えっと、三門市立第三中学校は・・・」

 

そう言い貰った地図を確認しながら紘太が次に通う中学に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「はい、綾瀬紘太君。学校は来週からだから8:30までに登校してきて下さいね」

「分かりました」

「それと綾瀬君」

 

紘太は、一例しそのまま帰宅という形になる。

すると、先生が紘太を止めた。

 

「何ですか?」

「その肩に掛けているバッグって・・・」

「ああ、これは実家が道場をやってまして引越しの時に一緒に積むの忘れちゃって」

「まあ、そうだったの。部活に入るなら構わないけど基本は持ってこないようにね」

「分かりました」

 

そして改めて先生に一例し職員室を出た。

その後、そのまま帰宅してもよかったのだがどうせならということで校舎内を散策している時だった・・・。

 

「・・・!?」

 

 

ウィーン!ウィーン!

 

 

『緊急警報!緊急警報!イレギュラー(ゲート)発生!!

市民はシェルターに避難して下さい!!』

「イレギュラー門?・・・俺が離れている間に何か妙な事が起きてるな」

 

紘太は、ゾロゾロと慌てて出てくる生徒と反対方向に移動し始めた。

 

 

 

 

 

場所は変わり、中学校の2階。

そこでは、2人の少年が未知の生物と呼べる存在近界民(ネイバー)と対峙していた。

一人は、三雲修。ネイバーと戦う組織、界境防衛機関(ボーダー)の1人だ。

もう一人は、空閑遊真。彼は、向こうの世界、ネイバーから来た少年だ。

彼らは、近界民の兵器、トリオン兵、モールモッドと対峙していた。

しかし、そのモールモッドを倒す事ができず戦闘不能になってしまった。

そこに遊真が修の戦闘用具、トリガーを手に取り戦闘を開始した。

現れたモールモッド2体は、遊真の手で倒され事態は終息した・・・と思ったその時。

 

 

『ユウマ。新たなトリオン兵が出たぞ』

 

「「!?」」

 

またモールモッドが2体現れ標的は、修達に定めた。

遊真が再びトリガーを構えたその時、突如、2人の前に何かが通り過ぎていき・・・。

 

 

 

 

 

ザシュ!!

 

修と遊真は、誰かが1体のモールモッドを切った音が聞こえた。

すると、2体のモールモッドが真っ二つに斬られそのまま崩れたのだった。

 

「な、何だ・・・?空閑。お前がやったのか?」

「いや、俺は何もしていない。レプリカ。分かるか?」

『どうやら、何者かが()()()()()使()()()にあのモールモッドを斬ったようだ』

 

「「!?」」

 

『先ほどのモールモッドを調べているがトリオンを使用された痕跡が全くない』

 

2人は、驚愕の表情を露わにした。それもそのはず。トリオン兵は、通常兵器は効かない。

以前、三門市で第一次近界民が侵攻してきたがその時に軍隊の兵器等では、対抗できず一方的にやられるしか無かった。

その敵に立ち向かったのがボーダーのトリオン技術だ。トリオン兵を倒すにはトリガーで倒すしかない。

それが常識だった。

 

「トリガーなしでネイバーを倒すって、そんな事可能なのか?」

「正直、信じられない。俺たちのいた世界でもトリオン技術は必須だったからな」

 

この答えは誰も真実を教えてくれる事はなかった・・・。

 

 

 

 

 

「しかし、何か校舎ぶっ壊してたからアイツら倒したけどこれでよかったのか?」

 

そう、先ほどのモールモッドを斬ったのは紘太だった。

彼は、日の光を浴びた特殊な鉱石を刀にした()()()でモールモッドを斬ったのだ。

紘太の剣の腕は岩だけでなく、コンクリートだけでなく鉄板まで切る事もできるほどの実力を持っている。*1

こうして、面倒なことになる前に校舎を出ようとした時だった。

 

「綾瀬君!!」

 

突如、誰かに声を掛けられた。

振り返ると先程挨拶した先生が慌ててこちらに来ていた。

 

「大丈夫!?怪我はない!?」

「ええ。それにしても一体何が・・・」

 

一先ず何が起きたのか状況を聞き出すため何も知らないフリをした。

紘太は、先生に疑問を答えようとした時だった。

 

「嵐山隊、現着!!」

 

突如、誰かがこちらに到着した。

 

「嵐山隊だ!」

「A級隊員だ!!」

 

すると今度は、学校の生徒が騒ぎ出した。

 

「先生。何ですか?あの人たち」

「アレは、ボーダーっていう組織の嵐山隊」

「ボーダー?」

「さっき出てきたネイバーを倒している組織達のことよ。

あの人達は、その組織の部隊なの」

 

紘太は、なるほどと納得しこれ以上の追求はやめた。

そして程なくして、校舎の屋上に取り残されていた生徒達が出てきた。

その後、銃を持った嵐山隊のやたら爽やかな人が二人の中学生に抱きついた。

 

「この子達は、俺の弟と妹なんだ」

 

ということだそうだ。

シスコンとブラコンだったのかと紘太は内心驚いた。

 

「嵐山先輩。C級隊員訓練以外のトリガーの使用は許可されていません。

彼がしたことは明確なルール違反です。違反者を褒めるようなことはしないでください」

 

などと規律を重んじるように話す少女。

しかし、その話を聞いた紘太は・・・。

 

「下らん」

 

「「「!?」」」

 

「・・・何ですって?」

「下らんと言ったんだ。

そもそも、訓練生が戦ったのはお前達が現場にいち早く来なかったからだ。

そんな事も分からない奴に規律だの何だの言われる筋合いはない」

「・・・!」

 

少女は、こちらを睨む。

正論を言っただけなのにと紘太は呆れる。

 

「下らんプライド引っ提げて人命を守るとかほざくような奴に守って欲しくない」

 

紘太は、それだけ言ってその場を後にした。

少女は、紘太の言われた言葉に怒りを感じ握り拳を作った。

 

 

 

 

 

その日、慣れ親しんだ街を徘徊しながら家に向かっているのだが気づけば夕方になってしまった。

 

「すっかり夕方になったな・・・」

 

紘太は、自宅に帰ろうと・・・。

 

 

ウィーン!ウィーン!

 

 

『緊急警報!緊急警報!イレギュラー(ゲート)発生!!

市民はシェルターに避難して下さい!!』

「いつの間にか物騒な街になったもんだ・・・」

 

紘太は、剣を持ち直し空から現れたトリオン兵の所に向かった。

 

 

 

 

 

場所は変わり街の近くの河川敷。

そこには、修、遊真の他に紘太が文句を言った少女、木虎が上空から来たトリオン兵を見て驚いていた。

 

「あんなトリオン兵、見た事ない!」

「イルガーか。珍しいな」

「空閑。アレが何なのかわかるか?」

「イルガーは、爆撃型のトリオン兵だ」

 

そんなやりとりをしている間にもイルガーは、街に爆弾を落としていく。

その後、修と木虎は戦闘体に換装するが修は、日中の戦闘でトリオンが切れているのだ。

一先ず、木虎がイルガーを担当し修は、街の人命救助活動を開始した。

 

 

 

 

 

場面は変わり街中。

紘太は、イルガーを追跡しながら奴の弱点を探っていた。

 

「(下にいれば爆弾で上に居れば妙なレーザー砲。

  ただ見れば爆弾投下だけの飛んでいる奴にしか見えないがさっきから見える妙な構造は何だ?)」

 

紘太は、イルガーを透き通る世界で観察していた。

 

・透き通る世界

相手の状態を見通すことで、相手の初動を潰し一方的に攻め立てる先の先を現実のものとする。*2

()を発現させた上で更に身体能力を高めないと得られない視界であり、限られた者しか使用できない。

発動条件は、39℃を超える体温200を超える心拍数

しかし、痣を発言させ自身の身体をコントロールできなくなった場合は、短命となり26歳に命を落とす。

紘太は、その力を完全に習得しているのだ。

すると、今度は誰かがイルガーの上に飛び乗った姿が見えた。

 

「アレは・・・。今日いたボーダー隊員?」

 

そんな様子を見ながらイルガーのいる場所まで詰め寄っていき近くまで向かい近くの物陰に隠れた。

すると今度は、イルガーの口が閉じると紫色をした突起物が現れた。

 

「熱が上がっている・・・!?」

 

紘太は、そのままイルガーが降りる先に視線を移すと町があった。

 

「自爆するつもりか!?」

 

紘太は急いでイルガーの元に向かう。

すると、イルガーの下側から鎖のようなものが現れそのまま川に引き摺り落とした。

そしてイルガーは、爆発し川の水が雨のように水飛沫が飛んだ。

 

「誰かがあのデカブツを引っ張って川に沈めたのか・・・」

 

紘太は、状況を冷静に分析して一つの答えを導き出した。

その後、下手に巻き込まれ刀剣バッグのことを指摘されるのは面倒なので自宅に帰った。

しかし、これは、紘太にとって新たな物語の始まりにしか過ぎなかった・・・。

 

 

 

*1
やってる事は最早人間じゃない

*2
骨や内臓、筋肉の繊維も見れる




今回は、ここまでとなります。
主人公は、全集中の呼吸・常中も習得しています。
呼吸剣技は、この後とも出てきますので今しばらくお待ち下さい。

では、次回。


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第2話 ラッド駆除作戦

ここいらで連続投稿。


では、どうぞ。


翌日。

紘太は、昨日のイレギュラー(ゲート)が気になり外に出て調べてみることにした。

透き通る世界で周囲を見渡すと近くの柱の物陰に()()()()()()のを見た。

紘太は、高速で抜刀しその何かを突き刺した。

すると、緑色の何かを噴出しながらがくりと項垂れた。

紘太は、それを手に取った。

 

「何だこれ?蠍の割にはデカいな・・・」

「そいつは、()()()()()だな」

「!?」

 

紘太は、誰かに声を掛けられ慌てて振り返るとそこには、サングラスを首に掛けた青少年と・・・。

 

「君達って、確か三門中にいた・・・」

「オレ、空閑遊真。よろしくな、剣士さん」

「ぼ、僕は、三雲修。君、それは・・・」

 

紘太は、内心見られたかと溜息を吐いた。

 

「それは追々話す。綾瀬紘太・・・。来週から君達の学校に転校してくる」

「なんと、オレと同じ転校生か。よろしくな、アヤセ」

「ああ、よろしく。それで、アンタは誰だ?」

 

空閑と修に一言挨拶し真ん中の青少年に視線を向けた。

 

「オレは、迅悠一。ボーダー隊員だ。ヨロシク!」

「ボーダー?」

「昨日着た人達と同じ組織の人だ」

「昨日?ああ、あの無駄にプライドの高い女と同じ組織の人間か・・・」

 

「「ブッ!!」」

 

空閑と迅と呼ぶ人物は、思わず吹き出した。

空閑は、昨日の様子を知っているから何となく分かる。

だが問題は・・・。

 

「何でアンタが笑うの?」

「い、いや、木虎に対して結構毒吐くなって思ってさ・・・」

「まあ、アンタは信頼していいかもね。胡散臭いけど」

「・・・結構、辛辣だね」

「正直者って言って。それで、ボーダー隊員だっけ?

このサソリにも見えるこいつ何なの?」

 

紘太は、そう言い背中に隠していたラッドを取り出した。

 

「それはラッド!?」

「おお〜。アヤセが仕留めたのか。やるな〜」

「え?何が?」

『コウタ。君が捕まえたのは、トリオン兵・ラッドだ』

 

すると、空閑の指輪らしき物から()()()()()()が出てきた。

 

「誰!?」

『初めましてだな。コウタ。私は、レプリカ。ユウマのお目付役だ』

「ご、ご丁寧にどうも・・・」

 

紘太は、礼儀正しく挨拶をしたレプリカに思わず礼儀正しく挨拶する。

 

『では、改めて説明しよう。コウタが仕留めたのは偵察型のトリオン兵・ラッドだ。

これは、背中に門の発生装置が取り付けられた改良型だ。

付近の人間からトリオンを少しずつ吸収して門を発生させる』

「綾瀬も見たかもしれないがここ最近起きているイレギュラー(ゲート)の原因はコイツだ」

 

修の話でなるほどと納得した。

 

「それでどうするの?駆除しようにもかなりの数いるみたいだけど」

「・・・気づいてたのか?」

「似たような気配がかなり感じる。千は超えてると見た方がいい・・・」

 

紘太は、鋭い視線で周囲を見渡す。

 

「大丈夫だ。ここからは、ボーダーの仕事だ」

 

迅は、それだけ話すとラッドを持ってボーダー本部に向かった。

こうしてボーダー総出でラッドの駆除を行うことになった。

紘太も乗り掛かった船なので最後まで付き合うことにした。

 

 

 

 

 

時刻は、夕方になり修と空閑と共にラッドの駆除を行っていた。

残りの数は、そう多くなく残るは、4匹となった。

そして修と遊真は紘太の指示の元、残りの3匹を挟み撃ちで仕留めようとしていた。

 

「見つけた!」

 

2人が追跡しそのまま仕留めようとした時、正面から紘太が出てきた。

 

「お、いいタイミングでアヤセがいた」

「綾瀬!そのまま動きを止めてくれ!!」

「いや・・・。

 

 

 

 

 

俺が仕留める!!

 

スゥゥゥゥゥゥ!!!

 

「うお、すごい息吸ってる」

 

空閑の驚きを無視し紘太は、刀を構える。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

捌ノ型 滝壷

 

紘太は、両手で持っている刀を思いっきり振りおろす。

そして、滝のようなエフェクトが入りラッドはそのまま舞い上がり切り裂かれてた。

そのまま、地面に落ちると紘太は何事もなかったかのように刀を納刀する。

 

( ゜д゜)←修

「アヤセ凄いな」

『どうやら、以前学校を襲ってきたモールモッドを仕留めたのもコウタと見て間違いないな』

 

空閑は、口を3の形にして感心していた。

その後、最後の1匹は、木虎が仕留めたと報告が入りラッドの駆除が終了したのだった。

 

「お疲れ3人共。それにしても紘太、お前人間か?」

「お疲れの挨拶に対しては、辛辣過ぎはしませんか?」

「いや、トリオン兵をその剣で斬れるのは普通じゃないから」

 

空閑にも指摘されてしまった。解せぬ・・・。

 

「しっかし、遊真がボーダー隊員じゃないのは残念だ。

これだけのことをすれば表彰もんだぞ?」

「ふむ。それじゃあ、その手柄は、修の物だな。

後で返して貰うから」

「え?」

「ああ〜それ良いかもな!それならクビ取り消しとB級昇格は間違いなしだ!」

「ち、ちょっと待ってください!僕何もしてませんよ!?」

「三雲。それは受け取るべきだ」

 

ここで話を入ったのが綾瀬だった。

 

「綾瀬!?急に何を?」

「空閑がボーダー隊員じゃない理由は知らないけど本人たちの好意を無化にするのもアレだし強くなる為に吸収出来るものはちゃんと吸収するべきだ」

「で、でも・・・」

「そうだな。紘太の言う通りパワーアップできる時はしておいた方がいい。

それに、メガネ君は、誰か助けたい子がいるからボーダーに入ったんじゃない?」

 

修は、それ以上は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

その日の夜中。場所は、ボーダー会議室。

そこには、上層部の人達が集まっていた議題は・・・。

 

「では、会議を始める。議題は・・・。

 

 

 

 

 

トリオンの反応もなくトリオン兵が斬られた事についてだ」

 

ボーダーの最高司令官。城戸正宗。

修達が通うモールモッドを仕留めた件と今回のラッド駆除作戦の中にボーダー内のトリガーで仕留められた痕跡がないラッドが確認された。

 

「しかし、分からぬ。

嵐山隊が回収してきたモールモッドを何度見ても全くトリガー反応も無かったわい」

「三雲君もそれは分からないと話していましたし。

手がかりと言える手がかりはないですからね・・・」

 

この話をしているのは、鬼怒田開発室長。トリガーの開発責任者。

もう一人は、根津メディア対策室長。ボーダーのイメージやメディア対策を行なっている。

 

「城戸司令。いかがいたしましょう?」

 

その話をしてきたのは唐沢外務・営業部長。

主に資金集めの他、県外のスカウト等も行なっている。

 

「・・・・・・」

 

忍田本部長。街の防衛を第一と考える人物。

本部長は、何やら思い当たる節があるそうだ。

 

「忍田本部長。どうかしました?」

「・・・城戸司令。その件、私に一任させて貰えないでしょうか?」

 

「「「!?」」」

 

まさかの提案に一同驚きを隠せないでいた。

 

「・・・理由を聞こう」

「このような荒技をできる人物に心当たりがあります。

少なからず、これは近界民(ネイバー)の仕業ではない事は確かです」

 

城戸司令は、顳顬に指を当てて考える。

 

「・・・よかろう。ただし、報告を怠らないように」

「ありがとうございます」

 

それだけ話をするとその日の会議は終了した。

 

「本部長!」

 

忍田本部長に1人の女性が駆け寄る。

名は、沢村響子。忍田本部長の補佐をしている。

 

「沢村君か」

「先程の会議ですが・・・」

「沢村君。明日、会議で話した人物にコンタクトを取る。

今日は、早く帰って休みたまえ」

 

忍田は、それだけ話してその日は解散となった。

紘太の運命の日は近い・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「ところで迅さん。

なんで俺がここにいるの分かったの?」

「俺のサイドエフェクトがここに紘太が来るのが見えたんだ」

「見えた?何を?」

「俺のサイドエフェクトは、未来を見通せるんだ」

「・・・迅さん。一回、精神科に行った方がいい」

「俺どこも悪くないから!!?」

 

というやりとりがあったとか無かったとか・・・。

 

 

 




次回は、オリストーリー中心になる予定です。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第3話 雨取千佳

最新話です。
近いうちにヒロイン募集を行います。
詳細は、活動報告に載せます。

では、最新話です。どうぞ。


ラッドの駆除が行われイレギュラー(ゲート)の事件を解決した翌日。

紘太は、とある墓参りに来ていた。

そこに書かれていたのは・・・。

 

 

鱗滝幸之助ノ墓

 

 

と書かれていた。

線香と花を立てて墓参りを終わらせ帰ろうとした時だった。

紘太の前に男性と女性の2人が花束を持ってこちらにやってきた。

その男性は紘太にとって見覚えのある人物だった。

 

「久しぶりだな。紘太君」

「真史さんもお元気そうで何よりです・・・」

 

 

 

 

 

墓参りを終えた3人は、近くの喫茶店に来ていた。

沢村さんと紘太はそれぞれ挨拶をして早速本題に入った。

 

「紘太君。以前の三門市の中学校で起きたイレギュラー(ゲート)でのモールモッドとラッド数体を仕留めたのは君だね?」

「そうです」

 

何も躊躇いもなく質問に答えた紘太。

しかし、沢村さんは信じられないことを聞いて驚きの表情をして忍田本部長は、やはりとため息を吐いた。

 

「・・・流石、鱗滝さんのお孫さんと言うべきか」

「そっちは気づいていたでしょ?俺が切ったの」

「ああ、切口からみてあそこまで綺麗に切れるのは鱗滝さんか君くらいだからね」

「流石。それで、今日は何しに?

ただ墓参りに来たわけじゃないでしょ?」

「では、単刀直入に言おう。紘太君。

 

 

 

 

 

ボーダーに入ってくれないか?」

 

沢村さんは驚きの表情をした。

紘太は、納得の表情をしていた。

 

「・・・条件として俺の刀。使えるように出来ない?」

「打診はしておく。しかし、あまり期待はできないと思うが・・・」

「そんときは、好きに暴れる。まあ、真史さんに迷惑かけない程にするけどね・・・」

 

紘太は、それだけ話し、施設見学も兼ねて近いうちにボーダーに来て貰う事になった。

 

 

 

 

 

忍田本部長と沢村さんは、ボーダー本部に戻る車の中、話は紘太の事で持ちきりだった。

 

「しかし、驚きました。まさか、ただの日本刀でネイバーを切るなんて・・・。

それでその鱗滝さんという方は?」

「鱗滝さんは、私の師匠で紘太君の祖父だった。2年前に病で亡くなってしまったのだ。

紘太君は、お爺さんの住んでいた家に住みたいからこちらに戻って来たらしい」

「アルバイト探しの手間も省けると言われたのは些かどうかと思いますが・・・。

まあ、アレほどの実力者なら直ぐにでもB級に慣れるでしょう」

「贔屓するつもりはないが恐らく直ぐに這い上がってくるだろう」

 

そう言い2人は、ボーダー本部に戻るのであった・・・。

 

 

 

 

 

そんなこんなで午後は、刀を振る為、警戒区域に足を運んでいた紘太。

そこに向かう途中、1人の女の子が警戒区域の方に向かって走っていく姿を見かけた。

気になり追いかけようとしたその時・・・。

 

「お、アヤセだ」

「空閑?何でこんな所に」

「ちょっとね。ところで女の子が走っていくの見なかった?」

「ああ見たよ。・・・もしかして、警戒区域に?」

「そう。アヤセも見たの?」

「ああ」

 

紘太は、視線を警戒区域の方に向けた。

 

「・・・追いかけよう。心配だ」

「だな」

 

こうして、空閑と共に警戒区域に向かっていった女の子を救出する為に向かう紘太であった。

 

 

 

 

 

「(ここまでくれば街の方にはいかないよね・・・)」

 

彼女は、雨取千佳

先程、空閑と自転車の乗り方を教えていた人物だ。

そして、紘太が警戒区域に向かって走って行っているように見えた人物だ。

彼女の近くにトリオン兵がいる悪戯

 

「(私はいない・・・。心を無にして)」

 

そうした時だった。

 

 

ピリピリピリ!ピリピリピリ!

 

すると彼女の携帯が鳴ってしまいトリオン兵が気づいたのだ。

そのトリオン兵が気づいたその時・・・!

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

紘太は、家の屋根を使いトリオン兵に近づいていき・・・。

 

 

弐ノ型 水車

 

 

縦方向に身体ごと1回転しながら斬りつけた。

トリオン兵は、ダメージを負い痛みのあまり悶絶していた。

 

「今のは・・・」

 

屋根に着地後、そのままもう一度、トリオン兵に近づき刀を振り下ろし切り裂いた。

そして、トリオン兵は倒された。

 

「凄い・・・」

 

千佳は、そう呟いた。

そして紘太は、彼女の近くに着地した。

 

「あいっ変わらず物騒な奴らだ」

「あ、あの・・・」

「あ、君大丈夫?」

「は、ハイ・・・」

「お、無事だったか」

「君はさっきの!」

「千佳!!」

 

突如、誰かが呼ぶ声が聞こえた。

振り返るとこちらに走って来たのは修だった。

 

「あ、三雲だ」

「修君!!」

「綾瀬!?なんでここに!?」

「ああ、この子が警戒区域に向かっていくのを見てね。

空閑と一緒に追いかけて来たんだ」

「と言っても、全部アヤセが美味しいところを持っていったけどな」

 

という解説が入り一応納得した三雲。

 

「ありがとう綾瀬。千佳を助けてくれて」

「礼はいいよ。それで・・・」

 

紘太は、視線を千佳の方に向けた。

 

「千佳ちゃんだっけ?教えてくれないか?

何故、この子が警戒区域に来たのか」

「それは・・・」

「綾瀬。僕から説明させてくれ」

「心当たりがあるのか?」

「ああ、実は千佳は・・・。

 

 

 

 

 

トリオン兵を引きつけるみたいなんだ」

 

修の話を聞く為、場所を移動した。

今その場で話しても良かったのだが付近にボーダー隊員がいると判明しその場を離れた。

 

 

 

 

 

場所を離れ、旧弓手町駅の方に向かった。

ここで、改めて話をする事になった。

 

「ここならいいだろう。2人に紹介するよ。

この子は、雨取千佳。ウチの学校の1年生。僕が世話になった先輩の妹だ」

「よろしく」

「こっちは空閑遊真。最近、うちのクラスに転校してきた。

外国育ちで日本のことをよく知らない」

「どうもどうも」

「え!?修君と同い年だったの!?」

「いいよ。敬語なんて」

「それでこっちは・・・」

「いや、俺から話すよ。俺は、綾瀬紘太。

俺も転校生で三雲と同じ学校に登校するからその時はよろしくな」

「こちらこそよろしくお願いします」

 

こうして各々の自己紹介は終えた。

 

「さて、本題に入るか。いいな?三雲」

「ああ、今回、空閑を呼んだのは空閑の知恵を貸して欲しいんだ」

「知恵?」

「ああ、空閑は、近界民(ネイバー)・・・じゃなくて近界民(ネイバー)に詳しいんだ。

だから千佳が狙われる原因がわかるかもしれない」

「そっか。遊真君もボーダーの人なんだ」

「っ、大体、そんな感じかな」

 

三雲は、引き攣った顔で千佳の疑問に答えた。

 

「しかし、近界民(ネイバー)に狙われる理由なんて、トリオンしか思いつかないんだよな・・・」

「トリオン?」

「何だそれは?」

「僕たち、ボーダーがトリガーのを使う時の原動力となるエネルギーみたいなものだ」

「それじゃあ、千佳が狙われてるのはトリオンの量が凄いからって事になるのか?」

「そう考えると千佳ちゃんが狙われている理由に納得が行くな」

「何なら測ってみるか?な、レプリカ」

 

すると、空閑の指輪からレプリカが出てきた。

 

『そうだな。そうすればハッキリする』

「うわ!?」

『初めましてだな、チカ。私はレプリカ。ユウマのお目付役だ』

「は、初めまして・・・」

 

するとレプリカは、口から何か出してきた。

 

『この測定索でトリオン量が測れる』

「どうぞお試し下さい」

 

しかし、いざ測定しようとしたが千佳は躊躇ってしまった。

 

「レプリカ僕から先にいいか?」

『分かった。ならこの測定索に触ってくれ』

 

修は、レプリカが口から出した測定索を握った。

 

『解析完了』

 

するとレプリカの上に光るキューブが出てきた。

 

『これは、オサムのトリオン能力を視覚化したものだ。

大きければ大きいほどトリオン能力が高い』

「このサイズは、どれ位なんだ?」

「うむ。トリオン兵に狙われるならこれの3倍は欲しいな」

「・・・別に狙われたいわけじゃない」

 

修は、どこか拗ねた感じだった。

 

「なら俺もいいか?空閑はともかく俺がやらないのもアレだしな」

『分かった。測定してみよう』

 

紘太も便乗し測定して貰う事になった。

 

『解析完了』

 

そしてキューブが出てきた。

 

『このサイズは、オサムの約3倍と見ていいだろう』

「う〜む。トリオン兵に狙われるならこれくらいは欲しいな・・・」

「左様ですか・・・。まあ、それはいいや。本題は俺たちじゃなくて千佳ちゃんだから」

 

そして、本題の千佳ちゃんがトリオン能力の測定をした。

その間、空閑が修に対して「付き合ってるの?」と直球で聞いてきて顔を赤くしていた。

紘太は、そんな光景を見ながら周囲を警戒していた。

 

「(三雲をつけていたヤツらか?

  そろそろ仕掛けて来そうだな・・・)」

 

紘太からみて斜め後ろのビルを見る。

 

『解析完了』

 

レプリカの頭には三雲と紘太とは比べ物にもならない程のサイズが出てきた。

 

「うおっ!?デカっ!!オサムの何倍だこれ?」

『これ程のサイズなら狙われてもおかしくは無いだろう・・・』

 

すると紘太は、突如後ろを向いた。

 

「綾瀬?」

「どうかしたの?」

「・・・三雲。お前、()()()()()()みたいだぞ」

「!?」

 

紘太の言葉通り、2人の高校生らしき人物がこちらに来ていた。

 

「・・・こちら三輪。現場を抑えた。あの3人の中に、近界民(ネイバー)がいる」

「(あの人は、会議室にいた・・・!)」

 

紘太は、内心この状況に舌打ちした。

 

「(恐らく、レプリカの測定索を見たからだろう・・・。

  状況は最悪だな)」

 

と、紘太は悪態を付けるしかなかった・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第4話 ブラックトリガー

お気に入りが100件を超えました。
ご愛読ありがとうございます。


活動報告にてヒロイン募集をしていますので気軽にコメントを下さい。
では、最新話です。どうぞ。


現在、紘太達は、かなり面倒な状況に陥っていた。

 

「(現場を抑えた・・・。恐らく三雲と一緒にいることで何かあると探っていると見ている。

  一体何を探っていた・・・?)」

「恐らく、近界民(ネイバー)はあの女だ」

「マジ?気がひけるんだけど」

 

紘太は、2人の会話を聞いて確信した。

 

「(コイツら。千佳ちゃんを近界民(ネイバー)って勘違いしてるのか!?)」

 

紘太は、いつでも抜刀出来る様に構える。その時だった。

 

「オレだよ。あんた達が探している近界民(ネイバー)ってのは」

 

「「「!?」」」

 

「・・・遊真君が近界民(ネイバー)?」

「(ちょいちょい三雲の言葉が言い淀んでいたのはこれか・・・。

  普通だったら言えないだろうな)」

 

と思っていた時、拳銃を携えている少年が空閑に目掛けて発砲した。

 

「・・・!?」

「・・・な、何を考えているんですか!?」

近界民(ネイバー)の排除が我々の任務だ」

「・・・コイツら正気か!?」

 

紘太は、発砲した少年に対し信じられない表情を浮かべた。

 

「ふぅ〜。危ない危ない」

 

「「!?」」

 

「オレじゃなかったらやられてた」

 

空閑は、盾と書かれた光の障壁で先程の攻撃を防いだ。

紘太は、その光景を見て安心したが、彼らの警戒心は更に強くなった。

空閑は、服の埃を取りながら立ち上がった。

 

「あのさ、ボーダーに迅さんって人いるだろ?

その人に掛け合ってくれない?」

「迅・・・?やっぱり一枚噛んでいたか。裏切り者の玉狛支部が・・・!」

「裏切り者?」

「(どうやら、組織も一枚岩では無いみたいだな・・・)」

 

紘太は、この戦闘に乱入するかどうか悩んでいた。

下手に介入すれば忍田さんに迷惑をかけてしまうだけでなく三雲に何か処罰もあるかもしれない。

紘太は、この場で自分が何もできないことに歯痒さを覚えた。

 

「(どうすればいい・・・!?どうすれば・・・)」

「オサム、アヤセ。2人は、チカを頼む。コイツらはオレに用があるみたいだし」

「・・・分かった」

 

そういい空閑は、2人の前に立ちはだかった。

 

「トリガー・起動(オン)

 

すると、空閑の格好が私服姿から黒い格好になった。

 

「悪いな。チカ、アヤセ。巻き込んじまって」

「え?」

「空閑。お前・・・」

 

紘太は、対峙している2人以外に視線を見晴らしのいいビルの方に向けた。

 

「(恐らく、目の前の2人以外に後2人。

  あの距離から見ると狙撃手と見た方がいいだろうけど・・・)」

 

康太が思考を巡らせている間に空閑と戦闘を開始したボーダー隊員。

槍使いの攻撃を交わした後、突如、空閑の首に切り傷が入った。

 

「「「!?」」」

 

「・・・何だ?今の。確実に避けたと思ったのに」

「(空閑が手傷を負った?!)」

「(あの槍。先端部から枝分かれになるのか?

  だとしたら空閑のやつかなり苦戦するかもな)」

「迅さん!助けて下さい!!」

「(三雲。・・・なるほど。なら!)三雲、ちょっとかせ!」

「綾瀬!?」

 

紘太は、三雲の携帯を強引に借りて迅と話をする。

 

「迅さん!」

『おお、紘太。一緒にいるとはな』

「教えてくれ。オレが乱入したら未来はどうなる?」

「!?綾瀬!一体何を!?」

『大丈夫だ。遊真は、負けねぇよ。アイツは特別だから』

「・・・なら、配置している狙撃手も無視していいと?」

『あらら〜やっぱ気付いてた?それでも遊真は負けないよ。

でも、念の為、手は打っておいた方がいいな。ビルの方に狙撃手がいるから無力化してくれる?』

「・・・分かりました」

 

紘太は、それだけ言うと携帯を三雲に返した。

 

「すまないがここは任せた」

「綾瀬?」

 

紘太はそれだけいうとその場から()()()

 

「え!?」

「消えた!?」

「何!?」

「マジか!?」

「え?近界民(ネイバー)の白チビも驚いてる?」

 

上から、千佳、三雲、空閑を射った人、空閑、槍使いの順番に驚いていた。

 

「奈良坂!古寺!」

 

慌てて連絡を取る少年。

すると・・・。

 

 

 

 

 

ズガァアーーーーーン!!!!

 

「「「!?」」」

 

全員の視線は反対側のビルの方に向けた。

突如、不思議な土煙が舞い上がっていた。

 

「オイオイ・・・。まさかあっちも近界民(ネイバー)とか言わないよな?」

「いや、あっちはオレの友達。この世界で知り合った」

「マジか!?」

 

何故唐突な土煙が上がったのかその状況を見てみよう。

 

 

 

 

 

「動きませんね。人型」

「だが、気を抜くな。いざと言う時に撃てるように構えておけ」

「了解」

 

といつでも攻撃を仕掛けるように構えていた時だった・・・。

 

 

 

 

 

「やれるものならやって見ろ」

 

「「!?」」

 

 

ズガァアーーーーーン!!!!

 

 

突如、狙撃手2人が慌てて回避すると何かに斬られた後が見られた。

 

「斬撃?」

「へぇ。少しはやるみたいだね」

 

狙撃手2人は、銃を構えた。

構えたその先には、紘太が抜刀していていつでも攻撃できる体制でいた。

 

「・・・近界民(ネイバー)か?」

「でも、彼は報告には来ていませんでしたよ!?」

「・・・それかもしや、アンノウン?」

「まさか!トリオン兵を斬った未知の存在!?」

 

紘太は、狙撃手の反撃を警戒する中、2人は秘匿通信で話をしていた。

 

『奈良坂先輩。どうしますか?』

『迂闊に手を出さない方がいい。

迅さんみたいな()()()()()()()()だったらマズイしな・・・』

 

そんな話をしている時だった。

 

「よお、奈良坂。古寺。揚げ煎食うか?」

「迅さん?」

「オレに脅しだけさせて高みの見物ですか?迅さん」

「迅さん・・・!まさか、アンノウンと!?」

「あのさ、さっきから言ってるアンノウンって何?」

「ああ。トリオンもなくトリオン兵を倒した存在が未知の存在だからそう名付けたんだ」

「ちょっと待て!忍田さんは何も言ってないの!?」

「本部長?」

 

古寺は視線を奈良坂に向けて視線を移した。

視線を向けられた奈良坂は首を振った。

 

「いや、僕達は特に言われていないよ」

「俺たちは、城戸司令の特命で動いている」

「特命?・・・なるほど。それが今回の理由か・・・」

 

紘太は、その話を聞いて思案する。

 

「ああ、奈良坂と古寺。下手に攻撃しない方がいいぞ。

出ないと首をバッサリ斬られるからな。オレのサイドエフェクトがそう言ってる」

 

「「・・・・・・・」」

 

狙撃手の2人は、迅さんの警告を素直に聞いたのかそのまま銃をしまった。

 

「お、遊真の方も終わったみたいだ」

 

迅さんの方を見るとそこには戦っていた3人が体のあちこちに重石がついていた。

戦闘は終了し、そのまま遊真達の元に向かった。

 

 

 

 

 

「してやられたな。秀次」

「迅さん・・・。やっぱりお前が関わってたのか・・・!」

 

秀次と呼ばれる人物は、憎しみを込めた瞳で迅を見ていた。

 

「まあ、お前達じゃあ、遊真を倒せないよ。

何せこいつのトリガーは・・・。

 

 

 

 

 

ブラックトリガーなんだから」

「ブラックトリガー!?」

「マジかよ!?」

 

秀次と呼ばれる人物達は、驚愕の表情をしていた。

しかし、同じボーダー隊員の三雲は、何のことだか分かっていなかった。

 

『優れたトリオン使いが命と全トリオンを注いで作ったトリガーだ。

通常のトリガーを遥かに凌ぐ性能を持つが、作った人物の人格が反映されるため使用者を選ぶ性質も持つと言われている』

 

紘太は、そんな凄いものを持っていたのかと納得した。

 

「城戸さんにコイツを狙っても得なんて無いよって伝えといて」

「損得の問題じゃない。近界民(ネイバー)は全て敵だ!!緊急脱出(ベイルアウト)!」

 

すると、秀次は、光となって飛んでいった。

 

「何だ?アレ」

緊急脱出(ベイルアウト)。トリオン体が破壊されたとき、トリガーホルダーを自動的に基地に送還することでホルダー内に収納されていた本体を守るシステムだ。

トリオン体が完全に破壊されていなくとも任意で発動できる。さっきみたいにな」

「ふむ。負けても逃げれるって事か」

 

その後、迅と三雲は、報告が偏ると大変なので本部に行くことになった。

紘太は、その後は特に用事はないので後は解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。紘太の携帯がなった。

相手は、忍田さんだった。

 

「・・・もしもし」

『紘太君か。今いいかい?』

「はい。大丈夫です」

 

叱られると思っていたが次に投げかけてくれたのは意外な言葉だった。

 

『ありがとう。有吾さんの息子さんを助けてくれて』

「・・・え?」

『私自身、本部長という立場もある。

露骨に彼を守ることはできないからな』

「・・・難儀なものですね」

『そこで、迅からの提案もあるのだが明日、ボーダー本部でスカウトという形で君にはトリガーの使い方を学んでもらいたい』

 

思いがけない提案だった。

用事はないから問題はない。しかし・・・。

 

「随分と急ですね。何かあったんですか?」

『迅の予知だと3日後に、精鋭部隊が戻ってくる。

君にはそれを(の)撃退するのを手伝って欲しい』

 

紘太は、その言葉を聞いた時、思わず目を見開いた。

 

「何考えてるんですか!?それ下手したらアンタの首が・・・!」

『命の次に大切な物を守れない力であるのなら、そんな力は必要ない』

「(この人、思いっきり良すぎだろ・・・)」

 

紘太は、溜息を吐いた。

 

「明日行くのは問題ありません。けど、本部の人達にバレますよ?」

『沢村君を迎えに行かせる。それなら問題あるまい』

 

と言うわけで具体的な待ち合わせや時間を決めて翌日にまで待つのだった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回からオリジナルストーリーとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


それと、活動報告にてヒロインについて募集していましたが人が多くなりそうだったので急遽アンケート形式にしました。ご理解の方宜しくお願いします。


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第5話 ボーダー仮入隊

今回は、オリジナルストーリーになります。
あと、ヒロインのアンケートも実施していますので気軽に投票して下さい。


では、本編です。どうぞ。


翌日。

紘太は、とある場所で人を待っていた。

昨日、忍田本部長にボーダー本部で仮入隊の為、トリガーを使用させると話していたので沢村さんが迎えに来ると話していた。

そして、無事に合流し彼女の車でボーダー本部に移動することになった。

ついでに日輪刀を持ってこいと言われた。なんで?

 

「じゃあ、本部長と最後に会ったのは、君が親の転勤で三門市から離れる前だったんだね」

「その時は、爺ちゃんの弟子ってことで剣術を学んでいたけどうちの流派は学ばなかったみたいですね」

「そうなの?」

「まあ、覚える数が少ない奴を学んだみたいですけど具体的に何をやったのかまでは知らないですね・・・」

 

などと、本部長談義をしている中、何事もなくボーダー本部に到着した。

 

 

 

 

 

後に忍田本部長と合流し、一つの部屋に入った。

そこには、見た事のある顔ぶれが・・・。

 

「お疲れ様です。忍田さん。おお!君は三門中の!!」

「あ、確か・・・嵐山さんでしたっけ?」

「ああ。俺は、嵐山准。それでこっちが・・・」

「僕は、時枝充。よろしく」

「俺は、佐鳥賢。ポジションは狙撃手(スナイパー)だ。よろしくな!」

「貴方は、初めましてですよね?」

「ああ。三門中の時は、ちゃんと話してなかったね。よろしくな」

「はい」

「それで、こっちはウチのオペレーターの綾辻遥だ」

「よろしくね〜」

 

綾辻さんは、手を振りながらこちらに挨拶した。

 

「それでこっちが、以前君と話をしていた。木虎だ」

「・・・よろしく」

「さて、これで全員の挨拶を終えたな」

 

少し離れ、傍観していた忍田本部長が話に入る。

 

「早速だが、彼が仮入隊するから嵐山隊に面倒を見ていただきたい」

「え!?」

「分かりました」

 

木虎は驚き、嵐山さんは問題なく了承した。

 

「では、紘太君。日輪刀を貸してくれ」

「そういえば日輪刀を何に使う気ですか?」

「実物は、無理でもトリガー内に仕舞えるようにしたり武器の重さを日輪刀そのものにコピーするようにも出来る。

その為の実物が欲しかったのだ」

「ああ、なるほど」

「遅くても2日後にはできる計算だが構わないな?」

「終わって連絡くれれば」

「分かった。では、嵐山。後は頼んだ」

「はい!」

 

そう言い紘太は、日輪刀を忍田本部長に渡し、嵐山さんの元を去った。

 

「それで嵐山さん。この後はどうするんです?」

「それじゃあ、まずは、トリガーについて話をしよう」

「トリガー?」

「これの事よ」

 

綾辻さんがお盆らしきものに大量のトリガーを持ってきた。

 

「全く似た物だらけですね・・・」

「それじゃあ、まずは、武器の種類から話そうか」

 

その前にボーダーが使用している武器には、距離によって変わる。

まずは、そこから説明しよう。

 

攻撃手(アタッカー)

近接戦の戦い方。紘太が日輪刀をしているように剣等を使用して戦う。

 

 

銃手(ガンナー)

中距離戦を目的としている。

主に銃を使用している事が多いが射手(シューター)と言う銃を使わずに手からトリオンを出して攻撃する仕様もある。

 

 

狙撃手(スナイパー)

長距離戦・狙撃を目的とした戦い方をする。

標的の捕捉設定をされている為、基本的には外れない。

 

「ざっくりとした解説はこんな感じかな。

何か使ってみたいものはある?」

「攻撃手を」

「悩まず言ったね。他にもあるのに?」

「ウチの爺ちゃんに剣術を習ってたのでどうせならそれに類似するものがいいなって。

使っていた剣が日本刀に近いものがいいですね」

「なら、弧月(こげつ)だね」

弧月(こげつ)?」

「日本刀の形をしたトリガーでボーダー内でも一番人気の万能ブレードの事よ」

「・・・なら、俺にピッタリですね」

 

そして、仮想訓練室に嵐山さんと共に入る。

 

「綾辻。市街地エリアにしてくれ」

『了解です』

「市街地エリア?」

 

すると、突如、全くない空間が市街地に変わった。

 

「何これ!?」

「仮想戦闘訓練室。ここならいくら暴れても問題ない。

それじゃあ、トリガーを起動するんだ」

「はい。トリガー・起動(オン)!」

 

紘太の音声認証により紘太の体は、戦闘体に換装された。

紘太は、体を軽く動かす。

 

「違和感はないかい?」

「何か、普通の体と同じですね」

「あはは。トリオン体は、普通の体を入れ替えているようなものだからね。

そう思っても不思議じゃないさ」

「ヘェ〜・・・」

 

場所は変わり嵐山隊室のモニター。

そこでは、木虎は「私、不満です」と言う表情をしていた。

 

「藍ちゃん。ご機嫌斜めだね?」

「・・・正直、色々と認められません」

「彼、結構ズバズバ言ってたもんな」

「正直、忍田本部長に聞いた時、どうして何だろうと思ったけどその答えが今出てるね」

 

「「「え?」」」

 

「時枝先輩。どう言う事ですか?」

『綾瀬君!君凄いな!!』

 

モニター越しで嵐山が興奮しながら紘太を称賛していた。

それは、仮想訓練室でトリオン兵と戦っていたのだが・・・。

 

「嘘!?」

「マジで!?」

「トリオン兵が・・・。

 

 

 

 

バラバラになってる」

 

仰天する一同。

では、何があったのか見てみよう・・・。

 

 

 

 

 

仮想訓練室である程度身体を動かして感覚を少しづつ掴めてきた紘太。

 

「よし。早速、トリオン兵を相手してみようか」

「トリオン兵って学校に襲撃してきたアレですよね?」

「そうだよ。今用意するよ」

 

嵐山は、そう言い1体のトリオン兵が現れた。

 

「デッカ。あのトリオン兵は?」

「あれは、捕獲用トリオン兵・バムスター。トリオン兵の中ではメジャーな方だね」

「へぇ〜・・・。じゃあ、早速」

 

紘太は、弧月を納刀したまま構える。

そして、そのまま走り出し・・・。

 

 

 

 

 

ザシュッ!!

 

抜刀した孤月を再び納刀するとバムスターは、10等分され崩れた。

 

「う〜ん・・・。やっぱり馴染むのに時間かかるなぁ・・・」

 

そう言いながら肩を回しながら体の感触を確かめていた紘太であった。

それをモニターで見ていた嵐山隊一同。

 

「今、何をしたんだ?」

「多分、居合斬りをしたんだよ」

「居合斬りを?」

「・・・しかも一瞬で?」

 

紘太のやった事を推測ではあるが時枝が解説した。

その後、様々なトリオン兵を居合だけで倒した結果、嵐山と時枝以外のメンバーは引き攣った顔をしていた。

紘太は、何故そのような表情をしていたのか理解できないでいた。

その日の仮入隊の訓練は、かなりいい成績を収めたとここに記載しておく。

 

 

 

 

 

帰り道。紘太は、忍田本部長に自宅に送って貰っていた。

 

「どうだった?今日の訓練は」

「トリオン体での身体の動かし方に慣れるのが時間かかりそうのと弧月が難しい。

ちょっと軽いかも」

「やはり自分の剣でないと難しいかい?」

「そりゃそうですよ。腐っても剣士ですから」

 

そんな話をしていると自分の自宅前に到着した。

 

「紘太君」

 

家に戻ろうとした時、本部長に呼び止められる。

 

「何です?」

「・・・頼んだぞ」

「・・・アンタは、無茶しないでね」

 

それだけ話、本部長は車を走らせその場を去った。

紘太は、来る日に備えることにした。

 

 

それから数日後。

 

 

空閑のブラックトリガーを狙う為、ボーダーの遠征チームが戻ってきた。

紘太の携帯に一通の通知が届いた。

その内容を確認した後、携帯をしまい出かける支度をした。

 

「いよいよか・・・」

 

鬼殺の剣士がボーダートップチームに牙を剥く。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回からブラックトリガー争奪戦になります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第6話 ブラックトリガー争奪戦

本編でのやり取りと違うところが出てきますのでご了承ください。


では、どうぞ。


とある住宅街。

そこには10人前後の人の群れが高速で移動していた。

ボーダー遠征部隊に選ばれたトップチームだ。

ボーダー最高司令官城戸司令の命令により空閑のブラックトリガーを奪取しに奪い取りに来た。

しかし、トップチームにもアンノウン(紘太)の話は報告が入っている。

アンノウンも警戒しつつ事に当たれと命令が入った。

玉狛支部に向けて移動中、一人の青年が突如止まるように堰き止めた。

 

「!止まれ!!」

 

全員の足が止まり目の前には、腰にボーダーのトリガーとは一回り大きいトリガーを掛けていた迅がいた。

 

「久しぶり太刀川さん。みんな揃って何のよう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、玉狛支部で空閑の監視をしていた三輪隊の米屋と古寺。

トップチームと合流して空閑のブラックトリガーを奪取する手筈だったのだが・・・。

 

「古寺!」

 

米屋が何かに気づき移動している足を止めた。

誰もいない住宅街の暗い陰から一人の少年が出てきた。その人物は・・・。

 

 

 

 

 

日輪刀を腰に引っ提げ変装をしていた紘太だった。

と言ってもかなり不審者丸出しの格好だった。

サバイバルネックウォーマー フルフェイスマスクをしてサングラス。

更に、黒尽くめの戦闘服を着ている。

 

『・・・不審者丸出しですね』

『・・・ああ。でも、纏っている雰囲気はただもんじゃねえな』

『と言うことは、アンノウンの可能性が・・・』

『だろうな・・・』

 

などと内部通信をしている。

紘太は、向こうが話し合いをしていることなどお見通しな訳で居合いの構えをする。

 

「やる気満々だな」

「仕方ないですね・・・」

 

米屋と古寺も武器を取り出し戦闘態勢に入った。

そして、一瞬で勝負は決まった。

 

 

 

 

 

突如、2人の胴体が真っ二つに割れた。

 

「「!?」」

 

そして、肝心の2人は何をされたのか分からないまま緊急脱出(ベイルアウト)した。

では、そのプロセスを見ていこう。

 

 

 

 

 

紘太は、既に()を出せる状態になっていた。

2人が構え僅かに油断している時に、紘太は一気に畳み掛ける。

 

 

全集中 雷の呼吸 壱ノ型

 

霹靂一閃 六連

 

 

神速の踏み込みからの居合い斬りをする。

そのまま刀を納刀し、彼らが光となりて飛んでいった。

紘太は、それを確認したらそのまま迅の居るところまで移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、迅とトップチームが対峙し、後に嵐山隊が現着し迅の戦闘に介入したのだ。

しかし、いざ戦闘に入ろうとした時、三輪隊のオペレーター、月見から通信が入った。

 

『三輪君!米屋君と古寺君がアンノウンに落とされた!!』

「何!?アンノウンだと!?」

 

「「「!?」」」

 

『トリガーの反応がないからどこにいるか分からないから気をつけて!!』

 

三輪は、苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

 

「あらら〜。これは、本格的に撤退をしたほうがいいんじゃない?」

「だが、それでも俺達は任務を遂行するだけだ」

 

迅に忠告されたがそれでも引こうとしないトップチーム。

 

「なら仕方がない。それと、風間さん」

「何だ?」

「今すぐその位置を離れたほうがいい。

 

 

 

 

 

首が吹っ飛ぶよ」

 

「!?」

 

その時、頭上から何かが降りてきて風間は、バックステップで距離を取った。

ギリギリの所で急所は外したが左腕が僅かに斬られ僅かだがトリオンが漏れた。

頭上から現れた人物は、そのまま迅のいる所に距離を詰めた。

 

「・・・アンノウン!」

「ほぉ・・・。奴が」

「風間さん。大丈夫ですか?」

「問題ない。擦り傷だ。行動に支障はない。だが問題は・・・」

 

風間の視線は、アンノウンに向けた。

 

「アンノウンと繋がっていたのか?迅」

「いや、繋がっていたのは俺じゃない。

 

 

 

 

 

忍田本部長だ」

 

「「「!?」」」

 

驚いたのは、トップチームだけでなく嵐山隊も同じだった。

そして、アンノウンは、そのままサングラスとフェイスマスクを取り素顔を晒した。

 

「嘘!?」

「!?」

「き、君は・・・。

 

 

 

 

 

綾瀬君!?」

 

アンノウンの正体を晒した紘太は、凍りついた視線をトップチームに向けていた。

 

「友達の大切な物を奪おうとしてるんだ・・・。

 

 

 

 

 

大人しく渡す訳には行かない・・・!

 

紘太の纏う絶対零度の空気に思わず呑み込まれそうになる一同。

しかし、一人だけ違った。

 

「面白い。なら、お前を本部に連れて行く。一応、捕獲命令も受けているからな」

「・・・やれる物ならな」

 

太刀川と紘太が睨み合い、2人は、一気に間合いに入り鍔迫り合いに持ち込む。

 

「迅さん!この人は俺が受け持つ!!」

「風間さん!こいつは俺がやる!邪魔すんなよ!!」

 

そう言いながら2人は、戦いにくい為、エリアを移動していた。

 

「・・・迅。説明してくれるんだよな?」

「・・・ああ。後でな」

 

その言葉を皮切りに戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

場面は変わり、紘太と太刀川の一騎打ち。

お互い斬り合いながら漬け込む隙を探している。

斬り合いの後、お互い距離を取る。

 

「年下なのに結構やるじゃねぇか。しかもトリガーなしで。

怪我しても責任は取らねぇぞ」

「ご心配なく。自分の行動には責任を持って動くので」

 

紘太は、それだけ言って再び構える。

もう一度、懐に入ろうとした時、透き通る世界で身体の動きに違いが現れた。

 

「旋空弧月」

 

それに気づいた紘太は、慌ててストップし回避行動を取った。

×上に飛んできた斬撃を下の隙間を利用して避けた。

 

「・・・斬撃か。随分、便利だな!!」

 

もう一度、懐に入り込み剣で攻撃を仕掛ける。

しかし、実力が均衡している所為か付け入る隙がない。

そんな時、上空に光が飛んでいった。

 

「お、誰か落ちたな」

「・・・」

 

紘太は、空をチラ見したがそのまま太刀川の方に視線を向けた。

 

「動揺しないんだな」

「今やるべき事は、アンタを倒すことだけだ」

「全く、お前がボーダー隊員でないのが残念だ」

 

そう言い太刀川も構える。

再び斬り合いになるが紘太が動くのを止めた。

光弾がこちらに飛んできたのを確認すると紘太はその光弾を斬った。

 

「・・・何だと!?」

「狙撃手か」

 

紘太は、それだけ呟くとその場から消えた。

 

「消えた!?」

 

狙撃手・奈良坂は、慌てて周囲を見回した。

そして、背後に何かいると感じとり慌てて振り返ると既に刀を振り下ろす態勢になっていた紘太を確認しそのまま切り裂かれ緊急脱出した。

 

「様子見で観察していたみたいだけどあれで隠れ切れると思ったら大間違いだ」

 

紘太は、それだけ呟くとその場から離れ太刀川の下に向かった。

 

 

 

 

 

ここまでの戦況を整理しよう。

現在、迅vs風間隊、嵐山隊vs三輪、出水、狙撃手の混合チーム、そして紘太と太刀川がそれぞれ3エリアで戦闘を行なっていた。

紘太の戦闘で倒したのは、米屋と古寺、今新たに倒されたのが三輪隊の奈良坂だ。

迅は、トリオン切れで部隊を撤退させ本部との衝突を起こさないよう考えた。

しかし、それは不可能だった為、プランを変更し敵を倒すことに専念。

その最初の脱落者が菊池原だった。

嵐山隊が劣勢に追い込まれているときにオペレーターの綾辻から連絡が入った。

 

『嵐山さん。奈良坂君が落ちました』

「落としたのは?」

『多分、紘太君です。トリオン反応がありませんでしたから』

 

「「「!?」」」

 

『綾瀬って何者なんすか?』

「賢の疑問もごもっともだが今はこの戦いに勝つぞ!」

 

「「「『了解!!』」」」

 

再び、戦闘を再開する嵐山隊だった。

 

 

 

 

 

場面は、紘太がいる場所に移り変わる。

そこには、何もせず突っ立っていた太刀川がいた。

 

「待ってたんですか?」

「奈良坂が済まなかったな」

「・・・普通だったらそのまま斬りかかるはずでしょ?」

「俺は、強い奴と闘いたい。それだけだ」

 

そう言い、紘太と太刀川が構えた時、3つの光が飛んで行ったのを確認した。

すると無線から迅の声が聞こえた。

 

『紘太、もう大丈夫だ。太刀川さんを倒していいよ』

「・・・了解」

 

そう言い不敵な笑みを浮かべた紘太。

すると今度は、炎のようなエフェクトが紘太の体を包み込んだ。

 

「俺を倒すか・・・。なら、やってみろ!!」

 

そう言い太刀川は、こちらに攻撃を仕掛けてきた。

 

 

全集中 炎の呼吸

 

壱ノ型 不知火

 

 

そう言い剣を大きく振り下ろし太刀川を切り裂いた。

 

「・・・またやろうぜ」

『戦闘体活動限界 緊急脱出(ベイルアウト)

 

そして太刀川は、光となって飛んでいった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
それと、一つ言い忘れていたことがあります。
ヒロインは、1人だけになります。
ハーレム物はしませんのでご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第7話 動き出す物語

今回でブラックトリガー争奪編は終了です。
一旦、幕間の話を出します。


では、本編です。どうぞ。


「ど、どう言うことだ・・・」

 

鬼怒田開発室長が、唖然とした声を上げていた。それもその筈。

トップチームを駆り出しブラックトリガーを奪取する筈だったが迅による妨害でそれは防がれた。

そして、問題なのは・・・。

 

「忍田本部長!何故玉狛に手を貸した!!そして何故アンノウンと接点がある!!

ボーダーを裏切る気か!!?」

 

そう、今回の事件は、本部長の指示で嵐山隊が迅に協力した。

その様子をモニターで見ていた上層部一同は、紘太がアンノウンの正体だと判明。

更に、忍田本部長と繋がりがあったと発覚。

最早、ブラックトリガー騒ぎではなくなりつつある。

 

「一つずつ話そう。

まず、アンノウンの正体だが彼は、私が昔通っていた剣術道場の師範のお孫さんだ。

彼も私と同じく剣を学んだ関係だ。そして、こちらが最も重要だ」

 

忍田本部長は、一区切りつけて鬼怒田を睨む。

 

「裏切る?論議を差し置いて強奪を強行したのはどちらだ?」

 

忍田本部長は、鬼怒田を睨んだ。

その鬼怒田は、その気迫に思わずたじろいだ。

 

「もう一度はっきりと言っておくが、私はブラックトリガーの強奪には反対だ。ましてや相手は有吾さんの子・・・。

これ以上刺客を差し向けるつもりなら、次は嵐山隊ではなくこの私が相手になるぞ。城戸派一党」

 

鬼怒田、根付は、何も言えなくなった。

 

「(忍田本部長はA級1位太刀川慶に剣を教えた師匠。ボーダー本部においてノーマルトリガー最強の男・・・。

怒らせたのはまずかったな・・・。やはり強硬策より懐柔策を・・・)」

 

などと思考を巡らせていた時だった。

 

「なるほど・・・。ならば仕方ない。次の刺客は、天羽を使う」

「・・・!?」

「な・・・?」

「天羽君を!?」

 

「(S級隊員 天羽月彦・・・。迅悠一と並ぶもう一人のブラックトリガー使い・・・。

素行にいろいろと問題はあるが単純な戦闘能力では迅 悠一をも凌ぐという。

城戸司令はとことんケンカするつもりだな・・・。

しかし、あのアンノウンに認定された少年。どこかで・・・)」

 

そんなやりとりをしている最中、部屋の自動ドアが開いた。

 

「どうもみなさんお揃いで。会議中にすみませんね」

 

何と、迅が入ってきた。

 

「貴様〜!よくも抜け抜けと!」

「まあまあ鬼怒田さん。血圧上がっちゃうよ」

「何のようだ?迅。宣戦布告でもしに来たか?」

「違うよ城戸さん。交渉と忠告に来た」

「何?」

「交渉と忠告だと?」

 

迅の言葉に城戸司令と鬼怒田は、疑問の声を上げた。

 

「色々と話したいことがあるけどまずは会って欲しい人がいるんだ」

「何?」

「いいぞ。入って〜」

 

するともう一度ドアが開くと現れたのは・・・。

 

 

 

 

 

紘太だった。

 

「貴様は、アンノウン!!」

「お初にお目にかかる。ボーダー上層部。

呼吸剣術継承者兼師範・綾瀬紘太だ。以後、お見知り置きを」

 

紘太は、何の躊躇いもなく挨拶をした。

 

「・・・呼吸剣術だと?」

「知っているんじゃないんですか?城戸司令。

紘太君は、鱗滝さんの孫だ」

「!?」

 

城戸司令は、思わず目を見開いた。

 

「鱗滝?一体誰のことだ?」

「我々にも説明をお願いしたいですねぇ」

「鱗滝幸之助。旧ボーダー時代のメンバー候補の一人だった人ですね?」

「・・・知っていたのかね?唐沢君」

「私は、アンノウン・・・綾瀬君をスカウトしに彼が住んでいると言われていた場所に向かったのですが・・・。

その時は、ご両親に門前払いされてしまいました」

 

意外なことを聞いた上層部は、驚いていた。

 

「正直、三門市に来ていたとは知りませんでした」

「両親に誰が来たのか聞いた時に、問い詰めたら唐沢さん。

しかも三門市に戻ることが条件でしたからね。

戻る条件として親を倒してからにしろと言われましたからね」

「そして、親御さんを納得させてこうして三門市に戻って来たということだね?」

 

唐沢の推測を聞いてそういうことだと会釈した。

 

「ま、俺の事は今はいいでしょう。それより、本題は迅さんの方でしょう」

「それで早速交渉なんだけど・・・。ウチの隊員・空閑遊真の入隊を認めて貰いたい」

「それを認めると?」

「勿論、タダでとは言わないよその代わりに・・・。

 

 

 

 

 

俺の風刃と紘太を本部に渡す」

 

 

「「「!!!???」」」

 

 

ただでさえ表情を変えない城戸司令も思わず目を細めた。

紘太は、忍田本部長との話を思い出していた。

 

【今回の争奪戦を利用して本部に入れるか打診してみようと思う】

【それ、大丈夫なんですか?色々と。真史さん・・・下手したら首飛びますよ?】

【こっちの心配はするな。それで紘太君には、慶を倒して貰いたい。

奴は、私を除いたボーダー正隊員の中でトップクラスの腕を持っている。

そいつを倒したら君に対しての()が高くつく】

 

などと思い出していた。

 

「どういうことだ迅?風刃を渡すのはわかるが何故その男をいきなり本部に渡そうとする?」

「別に紘太をそっちで処分してくれって訳じゃない。

紘太を正隊員にして欲しい」

 

忍田本部長以外は、驚きの表情をしていた。

 

「紘太がアンノウンとして活動し続けると他の正隊員に狙われる。

場合によっては、紘太が命を落として命を奪った正隊員にトラウマを植え付ける可能性もある」

「・・・なるほど。お前は、アンノウンの安全確保のためにこの提案をしたのか?」

「正解。それに紘太は、太刀川さんを倒したからかなりの戦力になると思うよ。

それにトリガーを使っていないのにトリオン兵を倒しているし戦い方を知っている動きだ。

これ位の歳の子でこんなにいい人材がいるのにそれをミスミス逃すのもどうかと思うけどね」

「た、確かに・・・」

「それはそうだが・・・」

 

鬼怒田と根付は、言葉を詰まらせた。

しかし、この話は・・・。

 

「そんなことを私が許すと思って居るのか?」

「城戸さん。次に天羽を刺客に出すつもりでしょ?」

「・・・だったら何だ?」

「やめといた方がいいよ。

 

 

 

 

 

実際に戦闘になったら天羽が負ける未来が()()()()()()()()()

 

「「「!!??」」」

 

「どういう事だ!?迅!!」

「天羽君が負けるというのかね!?」

「というより、俺や忍田本部長、ここにいるボーダー戦闘員は全員勝てないよ」

 

その言葉に絶句をする城戸派一党。

本部長は、そうかと納得した表情を浮かべていた。

 

「それに、紘太が居るだけで今度起きるであろう大規模進行に対抗できるし民間人とかの生存率もかなり上がるよ」

「それは本当かね!?」

「城戸さんやボーダーという一組織にも大きなメリットがあるはずだよ」

「いいだろう。空閑遊真とアンノウン・綾瀬紘太の入隊を許可しよう・・・」

 

こうして、ブラックトリガー争奪戦は幕を下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ〜。緊張した〜・・・」

「全く、迅さんと言い真史さんと言い何でこう無茶しますかね?」

「未来ある若者を手助けしたいのも先輩の役目だよ。

忍田さんの兄弟子だったんだろ?なら、頑張りたくなるもんでしょ」

「それで自分が大変な目に遭うのはダメでしょ・・・。ん?」

 

紘太が何かに気づいた。

その視線の先には、太刀川と風間がいた。

 

「どうもお二人さん。揚げ煎食う?」

 

紘太は、ダメだこりゃという表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

「まったくお前は意味不明だな。なにあっさり風刃渡してんだ。

しかも、こいつを本部に所属させるとか本当に意味が分からん。

今すぐ取り返せ。そしてもう一度俺と勝負しろ」

「無茶言うね。太刀川さん」

「ブラックトリガー奪取の指令は解除された。風刃を手放す気があったのなら最初からそうすればよかっただろう。

わざわざ俺達と戦う必要もなかった。それに、アンノウンも正体がバレる事もなかったかも知れないはずだ」

「紘太に関しては、近界民(ネイバー)ではないという確固たる証拠が必要だった。

その為には、戦力としての箔を付けるだけでなく繋がりがあることが必要だった。玉狛以外の人の繋がりが」

「繋がり?コイツ近界民(ネイバー)じゃねーのか?」

「違うよ。三門市の出身で忍田さんの師匠の孫だって」

「マジか!?」

 

驚きの声を上げたのは太刀川だった。

風間も声には出さなかったが驚いた表情をしていた。

 

「俺も爺ちゃんに稽古をつけて貰っていたから真史さんとは同じ門下生って感じかな」

「お前の爺ちゃんそんなにスゲェのか!?」

「まあ、2年前に病気で亡くなったけどね」

 

その言葉を聞いた皆が思わず黙り込んだ。

 

「・・・すまない。無神経だった」

「いいですよ。もう過ぎたことですし。ここで誤魔化すのもアレですし」

「アンノウンの事については概ね理解できた。

だが、何故近界民(ネイバー)まで庇う?アンノウンがこっちの世界なら庇う理由も分かるが・・・」

「その新しく入った遊真ってのが結構ハードな人生送っててさ。俺達はあいつに()()()()()を作ってやりたいんだ」

「・・・()()()()()?さっきもそう言ってたが、それとボーダー入隊がどう繋がる?何か関係あるのか?」

「オレは、太刀川さんたちとバチバチ戦り合ってた頃が最高に楽しかった」

 

その言葉を聞いた時、太刀川と風間が何か思い出した表情を浮かべていた。

 

「ボーダーにはいくらでも()()()()がいる。きっとあいつも毎日が楽しくなる。

あいつは昔のオレに似てるからな。そのうち上にあがってくると思うから、そん時はよろしく」

「へえ・・・。そんなに出来る奴なのか。ちょっと楽しみだな」

 

太刀川は、不敵な笑みを浮かべていた。

 

「だが、迅。その近界民(ネイバー)()()()()()と言った。

だとすればアンノウンはどう言う理由だ?」

「綾瀬紘太。俺は、忍田さんに直接スカウトされたから来たって所です」

「何!?忍田さんが直接スカウト!?」

「・・・・・・」

 

またしても驚きの表情をしている2人だった。

 

「俺は、爺ちゃんと過ごした思い出の街(三門市)を自分達の利益の為に壊されるのがムカつく。

だから倒す。それだけです」

 

至極単純な理由に太刀川と風間は、呆気に取られた表情を浮かべていた。

 

「・・・フッ。なら、共に戦える日を楽しみにしているぞ」

「はい。えっと・・・」

「風間蒼也だ。歳は21だ」

「改めまして。綾瀬紘太です。よろしく、風間さん」

 

そう言い互いに固い握手をする2人だった。

 

「いや〜いい友情だね〜」

「俺は、お前と戦えるのなら文句はねぇよ」

 

などと様々な言い分はあるが紘太は、新たな仲間と共に近界民(ネイバー)と戦う事を心に誓うのだった。

 

 

 




今回はここまでとなります。
ヒロインのアンケートですが、本日の0:00までとなっておりますので
投票していない方は、お急ぎ下さい。
結果は、小説のタグに改めて表示しますのと次回話に改めて発表しますので今しばらくお待ち下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、また次回。


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第8話 玉狛支部

最新話になります。
ヒロインアンケートは、後書に記載しますので最後までお付き合い下さい。


では、どうぞ。


ボーダー正式入隊まで残り2週間を切ったある日。

この日は、終業式前最後の授業がある学校で三雲と空閑、そして綾瀬の3人で昼食を取っていた。

因みに、3人共クラスメイトになったので休み時間もよく3人で過ごしている。

 

「じゃあ、空閑もボーダーに入るんだ」

「も?と言うのは?」

「実は、俺もボーダーに入るんだ」

「えっ!?」

「そうなのか!」

 

2人は、驚きの表情を浮かべていた。

 

「時期は、空閑と一緒になると思うから同期になるね」

「おお、なるほど。その時は、よろしくな。アヤセ」

「よろしくな、空閑。三雲もよろしくな」

「あ、うん。よろしく頼む」

 

そんな風に話をする一同だった。

 

 

 

 

 

終業式が終わった翌日。

この日は、迅さんと共にある場所に向かっていた。それは・・・。

 

「ここが俺や遊真、メガネ君がいる玉狛支部だ」

 

目の前には、川の上に建物がある場所だった。

 

「本部と大違いですね」

「ここは元々河川調査のための施設で、それをボーダーが買い取って改修して今の支部になったって訳だ」

「へぇ〜・・・」

 

そう言われながら迅に連れられて中に入る紘太。

すると、小さな子供とカピバラがいた。

 

「ちーっす。今戻った」

「新入りか?」

 

すると迅さんは、コツンと子供にチョップした。

 

「新入りか?じゃないだろ。陽太郎」

「あ、迅さんおかえりってお客さん!?

ごめん今お茶出すね!どら焼き残ってたかな?」

 

そう言いながら眼鏡をかけた女子は、慌てて部屋を出た。

 

「今の人は?」

「ウチのオペレーターの宇佐美栞。

さっきの子供は、林藤陽太郎。ウチの支部長の息子だ。

さて、そろそろみんなが来る頃だろうけど・・・」

 

すると外のドアからガチャリとドアが開いた音が聞こえた。

 

「おはようございます・・・え!?」

「おお〜おはよう。メガネ君」

 

入って来たのは三雲だった。

 

「どうしたオサム?お、アヤセだ!」

「綾瀬さん!?」

「空閑に千佳ちゃん!?」

 

後から入ってきた空閑と以前出会った雨取千佳ちゃんだった。

 

「空閑は、入隊したのは知ってたけど千佳ちゃんも入隊したの?」

「うん。そうなんだ」

「・・・何か、俺が知らない所で話がポンポン進んでる」

 

そんなやりとりをして居るときに宇佐美がやって来た。

 

「どら焼き持って来たけどこのどら焼きいいとこのだから美味しいよってどうしたの?」

 

紘太は、千佳がボーダーに入隊した事に困惑し頭を悩ませていた。

 

 

 

 

 

「一応迅さんに聞いたと思うけど改めて自己紹介するね。

私は、宇佐美栞。玉狛支部のオペレーターやってます」

「綾瀬紘太です。一応、スカウトと言う形でボーダーに入ります」

「スカウト!?」

「ほぇ〜。それは凄いね」

「とは言ったものの具体的な事は聞いてないんですよね。

スカウトの場合だとどうなるんです?」

「スカウトだと試験とかは全部免除されるんだ。

かなり即戦力として期待されてるって事だね」

 

真史さんェ・・・。無茶振りすんなや・・・。

ただでさえトリオン体での戦闘慣れてないのに・・・。

 

「それで、嵐山さんに一通り教えて貰ったって話してたけどポジションに関しては説明は聞いたんだよね?」

「ええ。攻撃手(アタッカー)をやるつもりです」

「それじゃあ、本格的にトリオン兵と戦うのに慣れておいた方がいいね。

それじゃあ修君達と混ざって一緒にやろうか」

「はい。お願いします」

 

そう言いながら訓練室に向かう紘太と宇佐美。

そんな時だった。

 

「私のどら焼きが、な〜い!!

 

などと叫びながら入って来た。

 

「誰が食べたの!?」

 

紘太は、頭を?に浮かべながら荒れた人を見ていた。

一方、三雲達は、なんか見たことある光景だと思っていた。

 

「手付けてない奴のならそこにありますよ。

俺、甘いもの食べないので」

「・・・うぅ、ありがとう」

 

そう言いながら2人の男性が入ってきた。

 

「何だ?また小南が騒いでいるのか?」

「いつものことじゃないですか」

「おお〜。レイジさん。京介」

「迅さんっと、そっちは?」

「ってそうよ、迅!誰なのコイツ?」

 

などと言いながら小南と言われた人は、紘太について言及した。

 

「実は言ってなかったんだが・・・。

 

 

 

 

 

コイツ、遊真のお兄さんなんだ」

「?」

 

紘太は思わず頭を?にし何言ってんだと言う表情をしていた。

普通だったら嘘だと気づくはずなのだが・・・。

 

「え?そうなの?」

 

それをすんなり受け入れた小南という少女。

え?どう言うこと?

 

「遊真、アンタ兄さんなんていたの?」

「いたよ。詳しく聞かれなかったから話さなかっただけだよ」

「とりまる。そんな話聞いてた?」

「聞いてましたよ。小南先輩、忘れてたんですか?」

「わ、忘れてないわよ!レイジさんも聞いてたわよね?」

「聞いたぞ。遊真が一人っ子と言うのは」

「一人っ子。え?どう言うこと?」

「コナミ先輩。それ、嘘だから」

「・・・」

 

数秒黙り込んだ小南は・・・。

 

(;゚Д゚)

 

「このすぐ騙されちゃうのが、小南桐絵17歳」

「騙したのー!?」

「いや〜相変わらずブレないな。小南」

「大丈夫なんすか?色々と」

 

紘太は、何やら心配な表情を浮かべてしまった。

 

「それで其方の2人はどちら様?」

「ああ、紹介するね。こっちのもさもさした男前が烏丸京介。16歳」 

「もさもさした男前です。よろしく」

「こっちの落ち着いた筋肉が木崎レイジ。21歳」

「落ち着いた筋肉?それ人間か?」

「それで、今日お客さんで来ているのが綾瀬紘太君。

スカウトされて本部所属のボーダー隊員になるんだって」

「よろしくお願いします」

 

などと全員の挨拶を済ませた。

 

「所で迅さん。何で俺を連れて来たんです?」

「その前に京介達に話しておかないとだな。

紘太は、この前、噂になっていた()()()()()だよ」

 

「「「「!?」」」」

 

玉狛第一の人間は、驚きの表情をしていたが三雲達は、訳がわからない表情だった。

紘太に至っては何故話した?と言う表情を浮かべていた。

 

「こいつが!?」

「・・・マジっすか?」

「これは、驚いたな・・・」

「あの、アンノウンってどう言うことですか?」

 

三雲は、おずおずと手を上げながら皆に聞いてきた。

 

「以前、ラッドの一斉駆除の作戦の時のは覚えてる?」

「はい、僕もそれに加わっていました」

「その時に、トリガーを使わずに倒したのが上層部で結構問題視されててね。

その正体が分からないからアンノウンって言われてた」

「綾瀬、何をしたんだ?」

 

三雲はジト目でこちらを見てきた。

 

「トリオン兵を倒したからじゃない?刀で」

 

「「アレか〜・・・」」

 

三雲と空閑が思い出したかのようにしみじみに感傷していた。

 

「・・・本当にコイツがアンノウンなの?」

 

小南は、未だに信じていなかった。

 

「結構疑り深いんですね。すぐ騙されるのに」

 

「「「ブッ!!」」」

 

迅、空閑、京介と呼ばれる人物が思わず吹き出した。

肝心の小南は、プルプル震えていた。

 

「あんたね〜!!」

 

ウガー!!っと紘太に掴みかかるが単純な動き故に簡単に避ける。

それをしばらくやって数分後。

 

「ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・」

 

息切れし息を整えていた。

迅は、それをスルーして話を進める。

 

「今日来てもらったのはトリガーを慣らすようにすると言うのが理由だな」

「それなら本部で出来るでしょ?」

「紘太は、遊真とメガネ君と同じクラスメイトなんだ。

知っている人がいるのが幾らか気楽かなって思ったんだよ」

「そうなの?」

「それは、本当です」

 

これは、遊真の代わりに修が答えた。

なるほどと小南は納得した。

 

「なら、私と戦いなさい」

「随分急ですね」

「弱い奴は、玉狛に入らないの。そもそも、アンタがアンノウンなんて信じてないし」

「俺、本部所属予定なのに?つか、俺、アンノウンなんて言われたの殆どないんですけど」

 

と言いつつ紘太の首根っこを掴み訓練室に連れて行く小南であった。

すると、迅の未来予知が発動した。

 

「うわぁ〜・・・」

 

思わず引き攣った顔をしていた。

 

「迅?どうかしたか?」

「いや〜・・・。これは見てからの方がいいでしょ」

 

皆は、迅の言い分に頭を?にしていた。

 

 

 




本編は、ここまでとなります。
では、ヒロインの結果発表です。
結果はこうなりました。


綾辻 遥   119 / 24%

加古 望   78 / 16%

国近 柚宇  96 / 20%

那須 玲   131 / 27%

三上 歌歩  63 / 13%


以上の結果になります。
結果、「那須 玲」が今作品のヒロインとなります。
たくさんの投票ありがとうございます。
次回から少しずつですがおり混ぜて行くつもりです。
今しばらくお待ち下さい。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。




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第9話 全集中の呼吸

今回は、玉狛支部の人達との邂逅話を書きます。


では、どうぞ。


玉狛支部のボーダー隊員との邂逅をした紘太。

そして、A級アタッカー小南の癇に障る発言をしたため模擬戦をする事になった。*1

 

「正直、アンタがアンノウンとかそう言うのはどうでもいいの」

 

そう言いながら指をパチンッ!とならした。

すると、地面からトリガーが出てきた。

 

「好きなの選びなさい。ボコボコにしてあげるから」

 

その様子をモニターで見ていた一同。

 

「コナミ先輩、大人気ないな」

「だがいい機会だ。アンノウンかどうか迅の証言だけじゃ納得できないからな」

「酷いな。レイジさん」

 

などと話していた時だった。

紘太も戦闘体に換装し、弧月を構えた。

そして、開始のブザーがなったその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ!!

 

既に小南の胴体が切り裂かれていた。

 

「「「!?」」」

 

迅以外の皆が驚いた。あの小南が瞬殺されたのだ・・・。

訓練室から出てきた小南が壊れたロボットのような動きで出てきた。

 

「あ、ありえないわ・・・。この私が一瞬で・・・」

 

そして、崩れ落ち四つん這いになった。

 

「小南。紘太は、()()()太刀川さんを倒したんだぞ?

小南が勝ったら太刀川さんの立場ないって」

 

「「「はあ!?」」」

 

小南は、ショックのあまり聞こえてなかったが他の玉狛第一と宇佐美が驚いた。

それもそのはず。太刀川を倒したと言うことだけでなく生身と付け加えたのだ。

驚かない方が可笑しい。

 

「マジもんの化け物じゃないっすか・・・」

「烏丸先輩酷いですよ。俺は、人間を越えていない」

 

「「「それはない」」」

 

「酷い!!」

 

今度は、三雲や空閑も加わり否定された。

この話についていけない雨取だけは苦笑いを浮かべていた。

そんな中、小南がゆらゆらと立ち上がった。

 

「もう一回よ・・・」

「え?」

「もう一回勝負よ!さっきのはまぐれだからね!!」

「えぇ〜・・・」

 

そう言い首根っこを掴まれまたしても訓練室に連れて行かれた。

そして最終的には、30本近く模擬戦をしたその結果・・・。

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・ゼェ・・・」

 

「・・・・・・」チーン

 

息を整える紘太と真っ白に燃え尽きた小南がいた。

 

「まさか、最初の1本だけ落として、残り全て勝ち越すとは・・・」

「小南先輩がここまで負け越したの初めて見たかもしれません」

 

トータル29勝1敗。

最初の一戦は、彼女が速攻を仕掛けて倒したが紘太が透き通る世界で呼吸と筋肉の繊維を見てフェイントを仕掛けて全てカウンターを仕掛けて倒した。

 

「迅さん・・・。もしかして、視えました?」

 

不意に三雲が迅に聞いてきた。

 

「アハハ・・・。小南が紘太を訓練室に引っ張って行った時にね・・・。

大惨事だったよ」

 

苦笑い気味に答えた迅。

流石のこれは、言った方がいいかと思ったがものの見事に予知通りになりポリポリと頬を掻くのだった。

 

「しかし、綾瀬。修が言っていたが本当に中学生か?

それ位の歳で動けるのは些か年齢を疑うぞ」

「烏丸さん。人の年齢疑ないで下さい・・・。

まあ、小さい頃から爺ちゃんに剣術を習っていたってのもありますからね」

「剣術を?」

「それは、実戦向きの?」

「えぇ。実際に出たこともあります」

「実際にって・・・。戦ってたのか!?」

「トリオン兵ではないけどね。人間相手に戦ってた」

 

思いがけない情報が入り小南もガバリと起き上がった。

 

「・・・お前、いつから戦地に赴いていた?」

「9歳の頃から少しづつ。2年前からはバリバリ戦っていました」

「・・・でも、腑に落ちないわね。だとしたらトリオン兵を斬れる理由が分からないわよ。

その刀に仕組でもあるの?」

「調べてみます?ただの刀だと思いますけど」

 

そう言い宇佐美に解析を頼み調べてみた。

その結果、なんの変哲もない普通の刀・・・ではなかった。

 

「この刀。何か変」

「どう言うことだ?」

「所々、色が変色する要素があるの」

「色が?」

「その刀は日輪刀。別名、色変わりの刀と言われています」

 

「「「色変わりの刀?」」」

 

「持ち手が握ると刀身の色が変わるんです」

 

皆が疑問に思う中、空閑が紘太の発言に興味を示した。

 

「ふむ。一回見てみたいな」

「なら、百聞は一見にしかず。見てみようか」

 

紘太は、刀を抜き柄の部分に力を込めた。

すると、刀身が黒くなり真っ赤に染まった。

 

「わあ!?」

「赫くなった!」

「これが日輪刀です」

 

これを見た皆は、リアクションはそれぞれだが驚きの表情をしていた。

 

「驚いたな・・・。刀身の色が変わる刀なんて初めて見た」

「この日輪刀の原材料は、猩々緋鉱石(しょうじょうひこうせき)と言う日光が蓄えられた鋼で造られた特殊な刀なんです」

「へぇ〜・・・」

「ここまで色を変わるの見たことないですね」

 

すると、今度はレプリカがある疑問を投げかけた。

 

『アヤセ。その刀のことは理解した。しかし、未だに君がトリオン兵を斬れる理由が分からない。

それを教えて貰いたい』

「理由ねぇ〜・・・・。正直、全集中の呼吸を使ったとしか心当たりがねぇんだよな・・・」

 

「「「全集中の呼吸?」」」

 

「アンタね・・・。息吸って吐いていたら誰でも強くなれたら苦労しないわよ」

「あの、小南先輩。綾瀬の言っている事、多分それだと思います」

 

ここで話に入ってきたのは三雲だった。

 

「修、アンタ、こいつの話を信じてるの?」

「コナミ先輩。アヤセは、()()()()()()()()()()

「はあ!?遊真まで?」

「そんなに信用できないなら実際にやってみます?」

 

普通のトーンで聞いてきた紘太に対してカチンときたのか小南はやれるならやってみなさいと言うことで動かないトリオン兵を用意した。

 

『いつでも良いよ』

「分かりました」

 

宇佐美のアナウンスで了承の確認を取り紘太は、攻撃準備に入る。

 

スゥゥゥゥゥゥ!!!

 

大量の息を吸い込み・・・。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

壱ノ型 水面斬り

 

 

トリオン兵の首の部分を的確に狙い切り込んだ。

そして、ゆっくりと斜めに擦り落ちていきトリオン兵は、一刀両断された。

ズドン!!と落ちた事を確認し紘太は、刀を納刀した。

因みに、この様子を見ていた玉狛第一はというと・・・。

 

 

( ゚д゚)

 

 

ご覧の表情だった。

しかも、普段からポーカーフェイスの木崎と烏丸でさえご覧の表情だった。

因みに、三雲、空閑、雨取、迅の4人は、見た事ある為特に何とも思ってなかった。

 

「・・・アンノウンと言われた理由も納得しますね」

「どう言う力してるんだ。アイツは・・・」

 

木崎と烏丸は、紘太の馬鹿力に呆れていたのだった。

そんなのはつゆ知らず訓練室から出てきた紘太。

 

「とりあえずこんな感じです」

「やっぱアンタ。人間じゃないわ・・・」

 

つくづく失礼な先輩だなと感じた紘太だった。

 

 

 

 

 

小南が原因で午前が丸々潰れ、昼食を摂ってからにしようと言う話になり皆で木崎さんが作った料理を食べていた。

そして、一通り食事を終え一休みしている所だった。

 

「それで、その全集中の呼吸か?それって一体何なんだ?」

「まあ、分かりやすく言うと操身術みたいな物ですね」

「つまり、息を吸うことで身体能力を上げているのか?」

「その通りです。木崎さん」

 

紘太は、具体的な話をしようとした。

 

「著しく増強させた心肺活動により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、身体能力を瞬間的かつ大幅に上昇させる。

これが全集中の呼吸です」

「なるほど、それで力が強くなったって訳か・・・」

「でも本当にそれだけで強くなるの?」

「普通は無理ですよ。まずは肺を鍛えてからじゃないと始まりませんから。

そもそも、鍛えないで全集中なんてしたら吐血しますからね」

 

その言葉を聞いた皆は青ざめた表情をしていた。

 

「それに、この呼吸法学ぶのにどれだけ死にかけた事か・・・」

 

紘太は、どこか遠い表情をしていた。

 

「そ、そんなに大変なのか?」

 

三雲は、興味本位で聞いてみたがすぐに後悔した。

 

「爺ちゃんが訓練メニュー作ってたんだけど、その時にやったのが・・・。

 

罠を掻い潜りながら下山(死んでもおかしくないような罠が大量だった)

素振りを1000回(終わったと思えば500回追加)

滝行(蹴り飛ばされ滝に落とされた)

藁を水平に切る事(刀を折ったら腕を折ると言うおまけ付き)

受け身(ただただ、投げ飛ばされた)

 

こんな所ですかね」

 

更に青ざめるどころか引いていた。

 

「いや、引く事ないでしょ」

「よ、よく生きてたわね・・・」

「いや、実際に三途の川を5回程渡りかけましたよ」

「もういい!聞きたくない!!」

 

小南の悲鳴じみた叫びで紘太の修行内容は、強制終了となった。

実際にトリオン体で戦うのにあまりそう言うことは遭遇しないだろうと思っていたが、紘太のエグすぎる話にあまりにもドン引きするしか無かった。

こうして、紘太を交えた訓練は、着々と行って行くのだった・・・。

因みに、小南が何度も紘太に挑むも、ただただ負け数が増えて行くだけだった。

 

 

 

そして、ついに入隊日を迎えた。

 

 

 

*1
尚、紘太は無自覚




今回は、ここまでとなります。
今思えば、ワートリのキャラやってる声優さん、鬼滅出演者多いですよね〜。
小南さんとの試合、正直強すぎたかな?
今回は、エピソードメインで書きたかったので戦闘描写を省略させて貰いました。
ご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第10話 ボーダー正式入隊

今回から紘太がボーダーに所属し、正隊員も徐々に出していきます。


では、どうぞ。


遂に、ボーダー正式入隊の日がやって来た。

 

「ふぅ〜・・・。緊張してきた」

「何でオサムがするんだよ」

「お前は、もう少し肩の力を抜いた方がいいぞ?」

 

紘太は、苦笑いを浮かべながら話した。

 

「よし、確認するぞ。C級隊員の空閑と千佳はB級を目指す」

「オレ達がB級に上がったら、3人で隊を組んでA級を目指す」

「A級になったら遠征部隊の選抜試験を受けて・・・」

「近界民の世界に、さらわれた兄さんと友達を捜しに行く!」

「今日がその第一歩。だろ?」

「ああ!」

 

紘太の問いに強く答える三雲。

紘太は、三雲達が上位を目指す理由を知っている。

その為、紘太が出来る事や教えれること、戦う相手になったりしている。*1

そして、ステージに忍田本部長が登壇してきた。

 

『ボーダー本部長・忍田真史だ。君たちの入隊を歓迎する。

君たちは本日、C級隊員・・・つまり、訓練生として入隊するが、三門市の、そして人類の未来は君たちの双肩に掛かっている。

日々研鑽し、正隊員を目指して欲しい』

 

そして、最後に敬礼をして言った。

 

『君たちとともに戦える日を待っている。私からは以上だ。この先の説明は嵐山隊に一任する』

 

そう言い、ステージの端っこに嵐山隊の人達がいた。

 

「嵐山隊・・・!本物だ!」

「嵐山さん!」

 

嵐山隊に変わると黄色い声が所狭しと聞こえてきた。

 

「凄い人気・・・」

 

紘太の言葉にうんうんと頷く空閑だった。

 

「あーあー。喜んじゃって・・・」

 

紘太は、隣の話し声が聞こえその方に振り返った。

 

「素人は簡単でいいねぇ」

「なぁ、それどういう意味?」

 

その話に遊真が食いついた。

 

「なんだこいつ」

「頭白っ」

「無知な人間は踊らされやすいって意味さ。

嵐山隊は宣伝用に顔で選ばれた奴らだから、実際の実力はたいしたことないマスコット隊なんだよ」

 

紘太は、何言ってるんだ?と言う表情をしていた。

紘太は、ブラックトリガー争奪戦の時、遠目ではあるが嵐山隊の戦闘を見ている。

A級と言うことなだけあって連携は見事な物だと感心していた。

 

「ボーダーの裏事情を知ってる人間にとってはこんなの常識」

「知らなくても、ちゃんと見てれば見抜けるしな」

「本気かこいつら?」

「どうせ、ガセ情報で踊らされてるんだろ。ほっとけ」

 

紘太の言い分にとりあえず賛同した空閑だった。

そして、オリエンテーションが始まるのだが、まず、ポジションごとに別れる事になった。

狙撃手は、佐鳥さんについて行くので雨取とは、別行動する事になった。

今、この場に残っているのは、攻撃手(アタッカー)銃撃手(ガンナー)だけとなった。

 

「改めて、攻撃手(アタッカー)組と銃撃手(ガンナー)組を担当する、嵐山だ。まずは、入隊おめでとう!」

 

視線を少し下にずらすと紘太、空閑、三雲の3人に気づいた。

空閑は、小さく手を振り、紘太と三雲は小さくお辞儀をした。

 

「忍田本部長もさっき言っていたが、君たちは訓練生だ。

B級に昇格して正隊員にならなければ、防衛任務には就けない。

じゃあどうすれば正隊員になれるのか、それを説明する。自分の左手の甲を見てくれ」

 

そう言い、皆が手の甲を見ると、1000と数字が出てきた。

話を要約すると訓練用トリガーには各自選んだ戦闘用トリガーが一つだけ入っている。

これは、現状その武器を使いこなせている目安とのことだそうだ。

その数字を4000まで上げることが出来ればB級に昇格できる。

しかし、例外は存在する。

仮入隊の際、余程いい成績を残した人は、ポイントを上乗せされている。

中には、2000以上だったり3000だった人もいる。

そして、紘太の場合・・・。

 

「(3850って・・・。真史さんェ・・・。やり過ぎだよぉ・・・)」

 

と嘆いているが仮入隊の時に10秒以内でモールモッドを20体以上余裕で殲滅できる人が何を言っているんだと言う話である。

そして、肝心のポイントの上げ方だが週2回ある訓練とランク戦でポイントを奪い合う事だそうだ。

一通りの説明が終了すると嵐山先導の元、訓練室に移動する。

 

 

 

 

 

「三雲君」

「木虎」

「何でここにいるの?B級になったでしょ」

「転属の手続きと空閑と綾瀬の付き添いだよ」

 

と、2人で話していた時だった。

 

「お、キトラ久しぶり!」

 

空閑が気づき声を掛けてきた。

 

「オレ、ボーダーに入ったからよろしくな」

「(・・・まさか、こいつが迅さんの言う近界民(ネイバー)だったなんて)」

「仮入隊の時以来だな。木虎」

「・・・綾瀬君」

「おう、よろしくな」

「・・・正直、貴方が一番驚いたわ。アンノウンだったなんてね」

「久々に戻ってきたら変な奴らいたし、とりあえず倒すかってノリでやったら倒せた」

「・・・そんな軽いノリでトリオン兵倒さないでよ」

「まあ、単純に街を破壊するトリオン兵がウザかっただけだから」

「・・・近界民(ネイバー)に恨みでもあるの?」

「ないよ。友好的に接してくるのならそうするし街を破壊してくるなら撃退するし。

思想は、忍田本部長に近いかな。街を守りたいって言うのもあったし」

「・・・そう」

 

木虎は、それだけ言って訓練室に移動した。

すると空閑が、木虎にある事を聞いてきた。

 

「オレ、なるべく早くB級に上がりたいんだけどいい方法ない?」

「簡単よ。訓練で満点を取ってランク戦で勝ち続ければいいのよ」

「なるほど、分かりやすくていいな」

 

そして、訓練室に到着した。

 

「へぇ〜・・・。結構広いな」

 

今回やるのは戦闘訓練。

早速、トリオン兵を倒す事だそうだ。

 

「あのトリオン兵は、バムスターか。2人もやったの?」

「えぇ、やったわ」

「僕の時もそうだったよ」

 

そう話している間に、早速訓練が始まった。

 

「この訓練は、早く仕留められるかか・・・。

どれ位のスピードで倒せばいいの?」

「1分切ればいい方ね」

「木虎は、どれ位だったの?」

「私は、9秒だったわ。それより、並んでおいた方が良いわよ」

「おっといけね。空閑、行こうぜ」

「ああ」

 

そう言われつつ、紘太について行く空閑だった。

訓練が進んでいく中、58秒で倒した人が出てきた中、いよいよ空閑の出番だった。

 

『5号室。訓練開始』

 

開始と同時に空閑が、一瞬で反対側に着地した。

同時に、バムスターがぱっかり割れた。

 

『記録。0.6秒』

 

その記録が出たと同時に三雲と紘太以外は、驚きの表情を浮かべた。

 

「流石」

「まあね」

 

そう言いながらハイタッチをする紘太と空閑。

 

「ま、まぐれだ!計測器の故障だ!もう一回やり直せ!」

 

と、58秒叩き出した奴がイチャモンを付けてきた。

 

「うわ〜・・・。負け犬の遠吠えかよ」

 

などと聞こえない程度で声を発する紘太。

 

「ふむ、もう一回?いいよ」

 

と言うことで空閑は、もう一度タイムを測った。

その結果、今度は0.4秒を叩き出した。

 

「「「縮んでる・・・!?」」」

 

「(さて、この結果を見て、貴方はどう思います?

 

 

 

 

 

  風間さん?)」

 

そう言い、紘太に気づいたのか視線を向けた。

アイコンタクトをしたが特に何もなくそのまま視線を逸らした。

 

「アヤセ。お前の番だ」

「はいは〜い」

 

軽いノリで入っていく紘太。

 

『5号室。訓練開始!』

 

開始のアナウンスが入るとそのまま踏み込んで行き・・・。

 

 

 

 

 

「あ、ミスった」

 

 

 

 

 

 

ドゴオォォォォーーーーーーーン!!!!!!!

 

 

紘太は、力み過ぎてそのままバムスターに体当たりをしてしまい・・・。

 

 

 

 

 

バムスターの頭を吹っ飛ばした。

そのまま宙返りで綺麗に着地した。

それを見ていたギャラリーはというと・・・。

 

 

( ゚o゚)ハッ?

 

 

言葉が出なかった・・・。

 

「嵐山さーん!やり直して良いですかー!?」

「あ、ああ!勿論だとも!!」

 

今若干引き攣った声だったが気にしない事にした。

改めて、紘太は、タイムアタックをやり直す。

そして今度は、力み過ぎず力を込めて・・・!

 

 

 

 

 

ザシュ!!

 

一度抜刀した弧月を納刀するとバムスターが真っ二つに切られた。

 

『記録、0.2秒』

 

これもこれで驚愕のタイムだった。

しかし、先程の頭の破壊の所為で最後の記録は、頭に入って来なかった。

 

「アヤセ大丈夫か?見てて結構痛そうだったぞ?」

「見た目はだろ?痛みはないから問題ないよ」

 

空閑は、何の躊躇いも無く紘太に話しかけていた。

因みに、最初のタイムは、1秒だった。

 

 

 

 

 

その様子を遠目で見ていた三雲と木虎はというと・・・。

 

「・・・綾瀬。またやっちゃったのか」

「また?またってどう言うこと?」

「迅さんの計らいで玉狛支部で綾瀬も混ざって訓練をしてたんだ。

その時、今見たように破壊したんだ・・・。頭突きで」

 

木虎は、引き攣った顔で紘太を見ていた。

 

「・・・貴方の友人。人間よね?」

「・・・本人は、人間だって言っているけど先輩達は、疑ってる」

 

不憫なのか、最初からそうしているのか紘太の評判は、何とも言い難いリアクションをしていた。

 

「修」

 

すると突如、三雲に声を掛けてきた。

 

「あ」

「か・・・かかか、烏丸先輩!」

「おう木虎、久しぶりだな」

 

そう、彼に声を掛けたのは烏丸だった。

 

「バイトで遅くなった。どんな感じだ?」

「問題ないです。空閑が目立っているのと綾瀬がやらかしました・・・」

「やらかした?頭突きか?」

「はい・・・」

「全くアイツは・・・」

 

烏丸もやれやれと言う表情をしていた。

 

「か、烏丸先輩・・・。最近、ランク戦に顔出されてないですね。お時間があったらまた稽古つけてください!」

「いや、お前十分強いだろ。もう俺が教えることなんてないよ」

「そ、そんな。私なんてまだまだです」

「ん?そういやお前、修と同い年か」

「? はい、そうですね」

「じゃあちょうどよかった。こいつ、俺の弟子なんだ。木虎もいろいろ教えてやってくれ」

「?弟子・・・!?」

 

烏丸の言葉に目をパチクリさせる木虎。

 

「で、弟子というと、その、マンツーマンで指導する、的な・・・?」

「そうそう、そんな感じ。だいぶ先は長そうだけどな」

「すみません・・・」

「さて、嵐山さんにも挨拶しとくか」

「あ、嵐山さんは向こうです」

「(烏丸先輩の・・・弟子!なんて羨ましいぃ・・・!!!)」

 

などととてつもない嫉妬のオーラが見えた。

因みに、紘太はそれを見ると見なかった事にした。

 

「なるほど。迅が言っていた後輩は、お前だったのか」

 

空閑と嵐山さんと話しているのを見た時、紘太は声が聞こえた方を見た。

 

「風間さん!」

 

そこにいたのは、総合ランク3位の風間さんだった。

 

「綾瀬、随分調子がいいな」

「まあ、お陰様で」

「嵐山、訓練室を一つ貸せ」

 

すると風間は、トリガーを取り出し戦闘体に換装する。

 

「迅の後輩とやらの実力を確かめたい」

「な!?正気か、風間さん!彼は訓練生だ!!」

「いいよ、オレと戦っても」

 

紘太は、この場合誰と戦うのか分かっていた。

 

「違う。オレが戦うのは・・・。

 

 

 

 

 

お前だ。三雲」

 

「「「!?」」」

 

紘太は、なるほどと納得した。

そして三雲は、風間と模擬戦をする事になった。

紘太と空閑は、その様子を見ていく事にした。

 

 

 

 

 

三雲と風間の模擬戦結果は、0勝24敗1引き分け。最後は、相打ちという形で勝負を終えた。

三雲の惨敗だが最後の最後で意地を見せて引き分けに持ち込んだのだ。

そして、風間が去り際に・・・。

 

「綾瀬、こんな所で油を売ってないでさっさと正隊員になれ」

 

とだけ話して、そのまま去っていった。

どうやら異常なポイントの上乗せは、風間さんも一枚噛んでるな・・・?と紘太は、推測した。

その後、嵐山が慌てて三雲達を呼びに来た。

何でも、雨取がトラブルを起こしたみたいだが基地の壁をアイビスで貫通したと言う事だった。

紘太は、千佳ちゃんを怒らせたら基地の壁のようになるかもと察し「絶対に怒らせないようにしよう・・・」と心に誓った。

 

 

 

*1
手加減はしている




今回は、ここまでとなります。
最後の所は、特に変える必要は無かったのでショートカットさせてもらいます。
ご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第11話 ボーダーでの日常

いよいよヒロインが出ます。
と言ってもちょっとしか出ませんが・・・。


最新話です。どうぞ。


無事にボーダーに入隊した、紘太、空閑、雨取の3人は、それぞれ訓練を行っていた。

 

「地形踏破訓練、隠密行動訓練、探知追跡訓練。

ボーダーって民間企業だって真史さんが言ってたけど結構しっかりしてるんだな・・・」

 

紘太は、訓練の質に関して感心していた。

正直な話、近界民(ネイバー)(ゲート)を通ってきたトリオン兵だけかと思っていた。

しかし紘太は、空閑と出会いそれは違うと考えた。

そうなると戦闘訓練以外も必要になるのだが大丈夫かと考えていた事があったが、その心配は杞憂だった。

合同訓練が終了し順位は、紘太がブッチギリの1位。

適当にランク戦で勝てば正隊員に昇格できるのだが余りにも呆気なさすぎるが下手にズルズル引き摺るのもアレなのでさっさと4000ptまで稼ぐ事にした。

そして、4000まで上げたので開発室に向かい戦闘用のトリガーを貰いに向かおうとしたその時、紘太の視線の先には、壁に持たれ掛けていた少女がいた。

康太は、それが気になり彼女の元に向かった。

 

「大丈夫ですか?」

 

肌の色は、色白でショートカットの少女だが左手を心臓の部分に当てていて息が荒く、かなり苦しそうな表情をしていた。

 

「だ、大丈夫・・・。今日は、ちょっと体調が・・・」

 

そう言いふらりと少女が倒れたが紘太が支えて何とか倒れるのを防いだ。

 

「おい!しっかりしろ!おい!?」

 

呼びかけるが下手に体を揺らしたりすると負担を与えてしまう可能性がある。

そんな時だった。

 

「・・・何をしているんですか?」

 

誰かが声を掛けてきた。

振り返ると年下の少女が警戒の目でこちらを見ていた。

 

「この人が息苦しい表情をしていたら急に倒れたんだ。

すまないが医務室を教えてくれないか?」

「え?」

 

その少女は、倒れた少女の顔を見ると疑いの顔から真剣な表情に変わった。

 

「案内します。ついて来て下さい」

「頼む」

 

紘太は、倒れている少女を担ぎ、年下らしき少女の先導の元、医務室に向かう。

 

「・・・今のは、双葉?」

 

それを遠目で見ていた女性の存在に気づかず・・・。

 

 

 

 

 

年下の少女の先導の元、無事に医務室に到着。

医療スタッフに事情を説明し紘太が担いできた少女をベッドの上に寝かせる。

 

「一先ず大丈夫です。

安静にしていれば直ぐに目覚めます」

 

そのことを聞いた紘太と少女は、よかったと一息ついた。

 

「ありがとう。助かったよ」

「いえ、気にしないで下さい。

所で、貴方は誰ですか?」

「俺は、綾瀬紘太。C級隊員だ」

「黒江双葉です」

 

お互いに挨拶をした時、ベッドで寝ていた少女が目を覚ました。

 

「・・・アレ?ここは」

「那須先輩。大丈夫ですか?」

「・・・双葉ちゃん?」

 

那須先輩と呼ばれる人物は、ゆっくりと体を起こす。

しかし、上手く力が入らないのか、思うように起き上がらない。

 

「横になった方がいい。黒江、すまないが先生を呼んできてくれ」

「分かりました」

 

黒江は、先生を呼びに席を外した。

 

「気分はどうですか?」

「幾らか落ち着いた。ありがとう。

君は、見ない顔だけど・・・」

「C級隊員の綾瀬紘太です。訓練していた際、休憩しようと思っていたら貴方が具合悪そうだったので」

「ああ、そうだったんだ。ありがとう。私は、那須玲。よろしくね。綾瀬君」

 

お互い挨拶を終えた紘太と那須。

 

「所で、付かぬことを聞きますが何故ボーダーに?

こんな事を言って申し訳ないのですが些か身体が弱い様に見えますが・・・」

「・・・実は」

 

那須さんの話を要約すると病弱の身体だが、トリオン体と健康という研究テーマがありその研究を手伝うという名目で入隊したのだとの事。

 

「知らなかった・・・。トリオン体でそんな研究してたんだ・・・」

「私が自由に体を動かせるのも、ボーダーのお陰でもあるんだ」

 

紘太は、なるほどと感心していた。

その後、医者が入って来たので後は医者に任せた。

 

「(綾瀬紘太君、ね・・・)」

 

と、心の中でそう呟く那須だった。

そして、改めて開発室に向かうのだが・・・。

 

「しまった・・・。開発室の場所知らねぇ・・・」

「開発室に用があったんですか?」

「ああ。俺、もうB級に上がったから正隊員用のトリガーを貰いに行こうと思っててその時に那須さんを見つけたんだ」

「そうだったんですか・・・」

 

そんな話をしている時だった。

 

「双葉」

「あ、加古さん」

 

今度は、ロングヘアーの大学生位の歳の方がこちらに来た。

 

「医務室に来て、どうしたの?」

「那須さんが体調を崩してたので、綾瀬先輩が運んでいたのを手伝っていたんです」

「あら、那須ちゃんは大丈夫なの?」

「今、医者の人に診てもらってます」

 

黒江との話を終えると加古と呼ばれる人物は、視線を紘太に向けた。

 

「貴方が綾瀬君?」

「綾瀬紘太です。一応、C級隊員です」

「一応?」

「B級に上がったのでトリガーを正隊員用に変えるために開発室に向かう途中だったそうです。

その時に那須先輩を見つけて今に至ります」

「あらそうだったの。開発室ならその通りの突き当たりを右に行けばすぐよ」

「ありがとうございます」

 

そう言い紘太は、一礼しその場を後にした。

 

「それにしても珍しいわね。双葉が異性に興味を示すなんて」

「か、加古さん!!///」

 

突如、揶揄われる双葉だった。

 

 

 

 

 

こうして、無事に正隊員用のトリガーを受け取り早速試そうと考えランク戦ブースにやって来た。

 

因みに、紘太のトリガー構成は、こうだ。

 

 

メイントリガーサブトリガー
弧月スコーピオン
旋空エスクード
バッグワームグラスホッパー
カメレオンFree

 

 

と言う構成だ。

正直な所、紘太は刀一本あれば幾らでも対応出来るのでそこまで使わない可能性が有る。*1

空閑にフリーの練習相手を頼もうとした時だった。

何やらC級ランク戦ブースが騒がしかったから気になり見に行ってみた。

模擬戦の様子をモニターで見ているとそこには、空閑と白い隊服を着た少年が闘っていた。

 

「どうなってんだ?」

「綾瀬!」

 

誰かに呼ばれたかの様に聞こえて振り返ると三雲と陽太郎と三輪隊の槍使いが座って観戦していた。

 

「三雲と陽太郎と・・・確か、三輪隊の」

「米屋陽介だ。よろしくな」

「綾瀬紘太です。それで、この状況は・・・」

 

三雲曰く、空閑と闘っている相手は、緑川と言って三雲と模擬戦をしていたがギャラリーを意図的に集めたのが気に入らなかったのか空閑が喧嘩を売ったのだ。

そして、今は、2本目だそうだ。紘太は、2人の戦闘を見て・・・。

 

「なるほどね・・・。安心しろ。3本目以降だが、空閑は()()()()

 

三雲は、その言葉の意味を理解できないでいた。

そして、3本目。紘太の予想通り空閑が勝った。

その後、6、7と遊真が立続けで勝ち続けた。

 

「いいぞー!遊真ー!!」

「ど、どうして・・・」

「あの緑川って奴は、覚えた技を見せたくて仕方がない」

「けど、白チビの方は、効率良く相手を倒す事を優先している」

「こうなったら、空閑のペースだ。緑川が一矢報いる事はないだろう」

 

こうして、紘太の予測通り8-2で空閑の勝利だった。

 

「空閑」

「おお、アヤセ。どこ行ってたんだ?」

「開発室。すまないが一足先に昇格させて貰った」

「え!?」

「もう昇格したのか?・・・何かずるいな」

 

空閑がブーブーと文句を言ってきた。

 

「そう言うなって。どういう訳か、かなり上乗せされててさ。俺ももう少しかかると思ってたんだよ

 

空閑と三雲の2人にしか聞こえないように話す。

一先ず、嘘はついていないということで空閑は、納得した。

 

「おーい。遊真、メガネ君、紘太」

 

突如、第3者の声が聞こえた。

振り返るとそこにいたのは・・・。

 

「迅さん?」

「どうしたんですか?こんな所で」

「遊真とメガネ君に用があってな。

というか綾瀬、入隊初日なのにB級とは流石だな」

 

迅がそういうと周囲がかなりざわめき出した。

目の前の緑川も驚いていた。

 

「ちょっと訓練して昇級するなんてさっさと現場に出ろって意味じゃん。

もう少し訓練楽しみたかったんだけど」

「それだけ期待されているってことだ」

 

紘太は、面倒くさい感じで溜息を吐く。

 

「と言うわけで2人借りてくよ〜」

 

空閑と三雲は、迅に連れて行かれた。

 

「なあ、綾瀬。昇級したんだろ?ならいっちょ勝負しようぜ!!」

「・・・それもそっすね。いいですよ、やりましょうか」

「その勝負、俺も混ぜろ」

 

思わずデジャヴを感じ振り返るとそこには、髭を生やした青年がいた。

 

「太刀川さん!!」

「あ、太刀川さん」

「よお、綾瀬。もうB級に上がったんだってな。

何で教えてくれなかったんだよ?」

「忘れてました」

 

本音を隠さず堂々と言うと皆が思わずズッコケた。

 

「またバッサリと・・・」

「トリガーがB級用のになったので一勝負しませんか?早速試したいので」

「お!いいぜ、やるか!!」

「太刀川さん。どうせなら、他の奴も呼びましょうか?」

「チーム戦か?それでもいいが分けるの面倒だぞ?」

「だったら、バトルロイヤルでやりません?」

 

「「それ採用!!」」

 

と言うことで、今集められる人を集めるだけ集めた結果・・・。

 

 

 

 

 

A級隊員

太刀川、出水、米屋、緑川

 

B級隊員

荒船、堤、村上、紘太

 

 

以上8名だった。

 

一先ず、紘太は、全員に挨拶をしランク戦ブースに入る。

 

『ランク戦。転送開始』

 

 

 

*1
それは可笑しい




次回は、オリジナルストーリーとなります。


誤字脱字ござましたら連絡下さい。
では、次回。


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第12話 ボーダーでの日常 模擬戦編

今回は前回の続きで、模擬戦を行います。


では、どうぞ。


太刀川と米屋、紘太の提案の元、ランク戦(バトルロイヤル)をする事になった。

場所は、『市街地C』。

住宅地の中で高低差がある所で、狙撃手(スナイパー)には、かなり有利だ。

紘太は、挨拶していた荒船さんが比較的有利だ。

紘太は、早速バッグワームを起動し、レーダーに映らないようにした。

周囲を確認しながら移動していく。

そして早速、誰かを見つけた。その相手は・・・。

 

「来たな・・・。綾瀬」

「前回のリベンジマッチですか?

 

 

 

 

 

太刀川さん」

 

紘太が早速見つけたのは、太刀川だった。

お互いに軽く言葉を投げかけると早速抜刀し戦闘に入った。

2本の剣と1本の剣での鍔迫り合いで一瞬膠着し距離を取り体勢を整えた。

 

「旋空孤月」

 

孤月による2本の斬撃を紘太は、何なく躱した。

紘太も負けるかと言わんばかりに太刀川に攻撃をする。

そして、この様子を遠目で見ていた人物が・・・。

 

「綾瀬の奴すげぇなあ。太刀川さん相手に押してるよ」

「あれ、俺達も混ざれねぇかな?」

 

出水と米屋だった。この2人は、紘太がアンノウンだと言う事だと知っている。

米屋は、リベンジマッチ。出水は、紘太に対しての興味で戦闘の様子を見ていた。しかし・・・。

 

「2人共。油断してていいの?」

 

そう言い攻撃を仕掛けて来たのは緑川だった。

 

「あらら〜。もう見つかっちゃった」

「まあ、アイツと戦う前の肩慣らしと行こうか!!」

 

米屋は、孤月(槍)を取り出し、出水は、トリオンキューブを生成し戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

場所は変わり残りのB級3名、堤、荒船、村上の3人が結託して落とそうと考えていた。

 

「太刀川さんと直接やり合っている新人。マジでヤバいっすね」

「ああ、対策なしで突っ込んでいったら一気に返り討ちに遭うな・・・」

「堤さん。どうします?」

 

腕を組んで頭を回す堤。

 

「じゃあ、俺と村上で引きつけて荒船の狙撃で落とす。

即興のチームだから下手に策を作るよりシンプルに行こう」

 

「「了解」」

 

皆が、了承し移動を開始した。

 

 

 

 

 

場所は変わり再び紘太と太刀川。

先程の状況を見ると紘太に僅かな切り傷があるが太刀川は、胴体をバッサリ斬られかなりのトリオンを漏出している。

紘太は、ここで仕留めようと考え行動に移した。

 

「綾瀬、次の一撃で勝負だ!!」

「望む所!!」

 

2人は、一気に懐に入った。

 

「旋空弧月」

 

弧月から2つの斬撃が飛んできた。しかし、紘太は・・・。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

参ノ型 流流舞い

 

 

旋空弧月を、流れる様に回避しそのまま太刀川を切り裂いた。

そして、彼の体は光に包まれ緊急脱出(ベイルアウト)した。

 

「よし、まずは一人」

 

紘太は、飛んでいくのを確認したら次の敵を探しに移動した。

 

 

 

 

 

「お、誰かが飛んでいったな」

 

米屋がそれを確認するとその隙に緑川が攻撃を仕掛ける。

しかし、それを防ぐ米屋。

一網打尽にするべく、通常弾(アステロイド)で攻撃を仕掛ける。

 

 

 

 

 

紘太が移動している時、突如何かがこちらに攻撃を仕掛けて来たのを感じバックステップで後ろに下がった。

視線を移すと堤が銃を構えていた。

攻撃を仕掛けて来たのは彼だと確信した。

その証拠に、銃の所から煙が出ていた。

 

「新しい人か・・・。それじゃあ、手合わせ願います」

 

そういい紘太は、弧月を構える。

 

「悪いけど、簡単にはやられないよ」

「!!」

 

紘太は、何かを仕掛けてくると感じ慌てて距離を取った。

すると攻撃を仕掛けて来た村上が現れた。

 

「なるほど・・・。手を組んで来たか」

「悪く思うなよ・・・。お前が太刀川さん並にヤバいと思ったから一足先に落とさせて貰う」

「やれるのならやってみなさいな」

 

紘太と村上は、互いに睨み合う。

そして、お互いに仕掛けようとした時、紘太は、サイドステップで左側に動いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡り、場所はランク戦ブースに移る。

様々な人達がモニターでランク戦を見ていた。

その中には、バトルロワイヤルに出ている人物のチームメイトも来ていた。

 

「太刀川の奴、レポートをやっているかと思えば何をしている・・・」

「アレは、最早病気ですね」

「それにしてもあの新人。想像以上ですね・・・」

「アンノウンと呼ばれるだけの事はある、と言う事だろう」

 

そして、太刀川が出てくる。

 

「いやはや、想像以上だな」

「俺が離れている間に面白いことをしているな。太刀川」

「ゲェ!?か、風間さん!!」

「綾瀬の模擬戦の結果は、後でログを見ろ。

と言うわけで続きをするぞ。歌川、菊池原。行くぞ」

 

「「了解」」

 

そう言い連れて行こうとした時だった。

 

「「「おおお!!!」」」

 

唐突に聞こえた驚きの声に何事かと視線をモニターに向けると綾瀬が荒船を斬っている姿が映った。

 

 

 

 

 

場面は戻り、『市街地C』。

紘太は、こちらに攻撃を仕掛けてくるのを感じ取りフェイントを狙っている。

そして、荒船が狙撃をしてきた光弾を斬り裂いた。

 

「・・・マジか!?」

「・・・見つけた」

 

紘太は、高速で移動し荒船の背後を取った。

荒船は、イーグレットをしまい弧月を抜刀しようとしたが・・・。

 

 

 

 

 

 

既に荒船の首は斬られていた・・・。

そして、そのまま緊急脱出(ベイルアウト)した。

 

「荒船がやられた・・・!?」

「!村上!後ろだ!!」

「!?」

 

村上は、レイガストで紘太の攻撃を防いだ。

このまま詰めれないと悟った紘太は、一度距離を置いた。

そして、堤が銃撃で村上をフォローする。

 

「エスクード!」

 

紘太は、初めて防御トリガーを使ってみた。

 

「おお。これ使えるな」

 

そう言い何か閃いた用に思い付き、レーダーを確認した。

そして、移動し始めた。

 

「逃げた?」

「追いかけるぞ」

「了解」

 

村上と堤は、紘太を追いかける。

 

 

 

 

 

ある程度逃げ回るとついに行き止まりに辿り着いてしまった。

 

「ここまでだな」

「悪いけど大人しく倒させて貰うよ」

「・・・フッ」

 

すると突如、周囲が爆発した。

 

「「!?」」

 

そして紘太は、左手でサバイバルナイフサイズのスコーピオンを生成し2人に向けて投げた。

それに気づいた2人は、堤は回避、村上は、レイガストで弾いた。

すると、堤の脚に何かが刺さった。脚を見ると・・・。

 

「さっき投げたスコーピオン!?」

 

村上は、後ろを確認するとグラスホッパーを起動しているのを確認した。

 

「(まさか、わざと逃げるように仕向けたのはこの罠を仕掛けるため・・・!?)」

 

そして、紘太は一気に懐に入り込んだ。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

肆ノ型 打ち潮

 

 

淀みない動きで斬撃を繋げ2人を同時に切り裂いた。

 

「次は負けない・・・」

 

村上は、それだけ言ってそのまま緊急脱出(ベイルアウト)した。

さて、後はA級の人達だけだな。

 

 

 

 

 

残りのメンバー、出水、米屋、緑川の3人を遠目で見ていた紘太。

どうしたもんかと頭を掻いていた。

その時、弾丸が飛んできた。

紘太は、それを問題なく叩き斬った。

 

「お前、結構無茶苦茶だな・・・」

「出水さんですか。折角の機会なので実験台になって下さい」

 

それだけ話して紘太は、一気に距離を詰め寄った。

 

通常弾(アステロイド)

 

トリオンキューブが生成され紘太に向けて放たれた。

紘太は、その攻撃が迫って来た時、世界がモノクロになりスローモーションになった。

そして、飛んできた弾丸を全て叩き斬った。

 

「ホント、無茶苦茶だな!?」

 

そして、そのまま一気に勝負を決めようとした時、こちらに迫ってくる何かを感じ急ブレーキをしそのまま体を捻って距離を取った。

その迫って来た何かが緑川だった。

 

「空閑と戦った年下ね・・・」

「遊真先輩の知り合いみたいだけど・・・。俺が勝つよ」

「大した自信だ。でも」

 

しかし、緑川が反応した時点で既に胴体は真っ二つにされていた。

 

「俺の剣技、ナメるなよ」

 

そのまま緑川は、緊急脱出(ベイルアウト)した。

 

「クソっ!!」

 

出水は、もう一度攻撃してきたが今度は弾道が変化した。

 

「誘導弾か・・・。面倒だな」

「今だ槍バカ!!」

 

その時、上に人の影が被ったように見えた。

紘太は、すぐに上を見ると米屋がこちらに攻撃を仕掛けて来た。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

漆ノ型 雫波紋突き

 

 

米屋の槍と紘太の弧月が激突し、そのまま吹き飛んで行った。

紘太は、その隙を逃さず一気に詰め寄り米屋を切り裂き緊急脱出(ベイルアウト)した。

残るは、出水だけになったが・・・。

周辺には、見当たらない。

 

変化弾(バイパー)炸裂弾(メテオラ)

 

変化炸裂弾(トマホーク)

 

飛んできた弾丸が紘太に向けて放たれそれを交わすが数弾ほどこちらに飛んできた。

紘太は、慌ててエスクードで防いだ。

 

「・・・よし」

 

紘太は、息をしっかり吸い、全体に意識を集中する。

出水がどこにいるのかをしっかり聞き見定める。そして・・・。

 

 

 

 

 

「さあて、緑川達には悪いが俺が勝たせて貰うぜ」

 

などと意気込んでいるが・・・。

 

 

 

 

 

「余所見は厳禁ですよ」

「!?」

 

慌てて回避した出水は、致命傷は避けたが右腕が使い物にならなくなってしまった。

 

「マジか・・・」

「と言うわけで勝負と行きましょうか!!」

 

紘太は、勝負に出た。

出水も左手にトリオンキューブを生成し、互いに睨み合う・・・。

瓦礫が崩れ落ちると紘太が出水に向けて走った。

 

通常弾(アステロイド)

 

 

全集中 雷の呼吸 壱ノ型

 

霹靂一閃

 

 

一歩踏み出した瞬間に神速で斬り込んだ。

ランク戦を見ている人達は、息を呑み込んで見ていた。

 

 

 

 

 

ピキッ!!

 

何かがひび割れる音が聞こえると紘太は、弧月を納刀し出水の方を見る。

 

「・・・お前の勝ちだ。綾瀬」

「はい。ありがとうございました」

 

そして出水は、緊急脱出(ベイルアウト)した。

 

 

 




後、もう1、2話投稿したらアフトクラトル戦に入ります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第13話 ボーダーでの日常 玉狛&那須隊編

最新話となります。
正直、些か強引と思いますが、那須隊とのやりとりを追加しました。


模擬戦を終えてランク戦のブースを出る紘太。

そこには沢山のギャラリーが紘太に視線を向けていたのだが・・・。

 

「太刀川さん・・・。またレポートすっぽかして来たな・・・」

 

出水は、風間が太刀川の首根っこを掴んでいる姿を見て呆れていた。

 

「荒船君。狙撃一回しただけで終わっちゃったね・・・」

「言うな・・・。結構気にしてるんだ」

 

荒船隊のチームメイトにも先程の模擬戦について揶揄われていた。

 

「鋼が負けるなんて、驚いたな・・・」

「すいません、来馬先輩。でも、次は負けません」

 

村上は、先程の模擬戦の話をしていたが決意を新たに紘太のリベンジに燃えていた。

 

「堤〜。お前ボロカスに負けたな〜」

「諏訪さん。悪い顔してますよ」

 

堤は、同じ諏訪隊に揶揄われいてそれを笹森が宥める。

先程、模擬戦をやっていたメンバーはそれぞれのチームメンバーに良いように言われていた。

紘太は、この光景を見て思わず・・・。

 

「なんじゃこりゃ?」

「主にお前が大暴れしたからだろ」

 

米屋が緑川と共に声を掛けてきた。

 

「やっぱお前とは、サシでやりたかったぜ。

なあ、またやろうぜ!!」

「今日は、この後玉狛に行きますのでまたの機会にして下さい」

「え!?玉狛に行くの!?」

「どうしたんだ?」

「緑川は、迅に助けて貰ったことがあってな。

さっき、メガネボーイにちょっかいかけてそれを白チビがボコったって事だ」

「あぁ、そう言うこと」

「ねぇねぇ。紘太先輩って遊真先輩達と仲良いの?」

「俺は、クラスメイトだからな。そういや、迅さんに連れて行かれたけど、終わったのかな?」

 

そんな話をしている中・・・。

 

「アヤセ」

 

噂をすれば何とやら・・・。

 

「おっ、空閑と三雲。話は終わったみたいだな」

「無事にな。それじゃあ玉狛に行こうぜ」

「だな。それじゃあ、俺達はこれで」

「遊真先輩!俺も行きたい!!」

「おい、緑川。お前は、防衛任務だろ?逃さねぇぞ」

「ウゲェ・・・。バレてた」

 

そう言い今度は、米屋が緑川の首根っこを掴み連行して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紘太、ちょっといいか」

 

小南を模擬戦でボコボコにして木崎さんが用意してくれた夕飯を頂き、一休みしていた時、迅に呼ばれた。

 

「ウチの支部長(ボス)と挨拶してなかっただろ?今戻ってるから挨拶しておけ」

「あ、そうですね。遊びに来ているとはいえ顔出しておかないとですね」

 

と言うことで迅と紘太は、支部長室に向かった。

そして、部屋に到着すると一人の髭が生えていて眼鏡をかけた男性が椅子に座っていた。

 

「お前さんが綾瀬か。俺がここの支部長の林藤だ。よろしくな」

「綾瀬紘太です。よろしくお願いします」

「おう、よろしくな。それにしてもお前さんやるな。上層部でも話題になってたぞ。

小南や太刀川をボコボコにするなんてな。しかも、アンノウンの正体が修達の様な中学生だってな」

「まあ、アレは成り行きでしたけどね。それより、小南さんは何であんな簡単な嘘に引っかかるんです?

色々と心配なんですけど」

「あはは・・・。まあ、それは言ってやるな。

俺たちからして見ればアレはデフォルトなんだ」

 

と言った感じの挨拶をし、今、紘太と迅は、支部の屋上でコーヒーを飲んでいた。

 

「お前に今日来て貰ったのは頼みたい事があるんだ」

「何ですか?」

「近いうちに近界民(ネイバー)の大規模侵攻が来る。

その時には、紘太に人型近界民(ネイバー)を相手して貰いたい」

「人型・・・。空閑のような人が来るって事ですか?」

「・・・ああ。それでお前には人型と何人か戦って欲しい。

そうすれば、かなり戦況が有利になるし三門市の被害を抑える事が出来る」

「一つ聞きますけど、その戦いの最悪の未来はなんですか?」

「最初は、メガネ君が死ぬ未来だったり、千佳ちゃんが連れ去られるがあったんだけどお前が入隊したらそれが無くなったんだ。

そして、別の未来が見えた」

「その一番最悪な未来の内容は?」

「一番最悪な未来は・・・。

 

 

 

 

 

紘太が死ぬ事だ」

 

紘太は、その話を聞いて「そうですか」とだけ呟く。

 

「その未来って確定ですか?」

「え?いや、まだ確定の未来って訳じゃないけど・・・」

「なら、俺がその最悪な未来をぶった斬ります。

それと迅さん。一つ大事な事を忘れてますよ」

「なんだよ?」

 

 

 

 

 

「どんな敵であろうと勝てばいいだけの話ですよ。」

 

紘太は、それだけ話して中に入った。

 

「・・・はは、どっからそんな自信が出るんだか」

 

などと呟き、その呟きは、風が吹いて消えて行った・・・。

 

 

 

 

 

翌日。

紘太は、本部でランク戦をしに来たのだが、紘太を見た途端に避けていく。

 

「(何でだ?)」

 

と考えていた時だった。

 

「綾瀬君」

 

突如、聞き覚えのある声が聞こえて振り返ると那須さんがいた。

しかし今回は、友人らしき人達と一緒に来ていた。

 

「こんにちわ、那須さん。気分はいかがですか?」

「お陰様で。今日は絶好調よ。それと紹介するね。

私のチームメイトよ」

 

今度は、那須さんのチームメイトの紹介をすることになった。

 

「私は、熊谷友子。玲を助けてくれてありがとう。

それで、こっちが・・・」

「私は、日浦 茜です!狙撃手(スナイパー)やってます。

よろしくお願いします!綾瀬先輩!!」

「改めて、綾瀬紘太です。

最近、ボーダーに入りました」

 

 

 

 

 

それぞれ挨拶をし、那須があるお願いをしてくる。

 

攻撃手(アタッカー)対策ですか?」

「近い内にランク戦が始まるんだけど、主に、村上先輩の対策が必要でね。

それで、もし良かったら頼まれてくれないかな?」

「いいですよ。訓練の相手を探してましたし」

「なら決まりだね。行きましょう」

 

紘太は、特に問題なく了承し那須隊の隊室について行く。

しかし、この時の熊谷の目は、何やら面白い物を見つけた目をしていた。

 

「玲。何か私たちが見た事がない笑顔してたね」

「え?そうですか?」

「くまちゃん、茜ちゃん。置いてくよ?」

「今行く!私達も行こうか」

「はい!」

 

そう言い後に続いていく2人。

 

 

 

 

 

「というか、なんで先輩?」

「え?綾瀬先輩って歳上じゃないの?」

「俺、15です」

 

「「「えっ!?」」」

 

というやりとりがあったとか無かったとか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、ここで新たな問題が発生した。それは・・・。

 

 

ガクガクガクガク

 

 

隊室に戻るや否や、紘太を見た瞬間、部屋の物陰に隠れガクガクと震えていた。

 

「えっと、那須さん・・・。あの人は?」

「あの子は、志岐小夜子。ウチのオペレーター何だけど、男の人が苦手なのよ・・・」

「俺、退室した方がいいのでは?」

 

紘太の疑念は最もだ。

模擬戦の相手を頼まれたとはいえ、まさかメンバー内に男の人が苦手の人がいるとは思いもよらなかった。

紘太は、悪気が無いとはいえ居心地の悪さもあり、隊室から出ようかと提案したのだが・・・。

 

「小夜ちゃんには、少しでも男の人に慣れて欲しいから、少し粗治療をしてもらう事にしたわ」

「那須さん。容赦ないね・・・」

 

お淑やかな性格に見える那須さんのアグレッシブ度合いに思わず引き攣る紘太。

そして、彼女の心配を他所に訓練に励むのだった。

 

 

 

 

 

熊谷は、紘太にある疑問を抱いていた。

那須が以前医務室にいると聞き、チームメンバー全員でお見舞いに来た時は、既に歩ける位に回復はしていた。

その時、何やら雰囲気が明るい感じに思え気になり尋ねてみた。

 

【ここに運んでくれたC級隊員の子に少し話し相手をして貰って楽しかった位よ】

 

とだけ話していた。

この時の熊谷は、表情と話の内容である推測を立てた。

それは・・・。

知らぬ間にその少年に()()()()()()んじゃないのかと推測した。

だが、本人のプライベートである故、深く探り込むのは如何なものかと。

その時は、深く追求しなかった。

そして、時は、今現在に戻り・・・。

 

 

 

 

 

「・・・あ、綾瀬君。君、ホントにB級上がりたて?」

「そうですよ?」

 

熊谷は、恐る恐る聞いてきた。その理由は、単純。

村上先輩対策で紘太と模擬戦を行ったのだが那須の攻撃は、簡単に躱すわ、日浦の射撃を切り裂いて一気に距離を詰めて落とすわ、熊谷を簡単に遇らう。

一言で言うと惨敗だった。

余りの呆気なさにやられた本人達も唖然とするしかなかった。

 

「正直、全然素人の動きに思えなかったんだけど・・・」

「まあ、祖父が剣術の師範だったので護身という名目で教えて貰いました。

んで、楽しかったので極めてみました」

「極め過ぎでしょ・・・」

 

熊谷は、力無く反論した。それもそのはず。

那須は、バイパーで周囲を囲み動きを封じて攻撃をするが紘太は、どこに飛んでくるのかが分かっているかのうように簡単に躱し反撃をし撃破。

日浦は、スコーピオンを手裏剣のように使い居場所を炙り出し移動中の隙を狙い撃破。

熊谷は、余りの呆気なさに驚きと困惑を交えながら交戦。

だが、紘太の剣術歴は、もはや一目瞭然。

これと言った反撃が出来ずにやられてしまった。

 

「私達、何も出来ないで終わっちゃったんだけど・・・」

「私なんてスコーピオンを手裏剣代わりで攻撃受けて落ちちゃいましたし・・・」

 

一先ず、紘太の余りの強さに驚くしか出来なかった。

 

「どうします?俺は、まだ時間ありますから訓練できますけど」

 

紘太の言葉に皆は、顔を見合わせ頷いた。

 

「もちろんやるわ」

「やられっぱなしも癪だからね」

「次は、絶対に勝ちます!」

 

意気込む那須隊であった。

 

 

 

 

 

夕方になり、那須さんの体調も兼ねて今日は早めに切り上げる事になった。

意外なことに紘太と那須の自宅の方向が一緒だという事が判明。

本当は、親御さんに迎えに来てもらう予定だったのだがお互いに仕事の為、タクシーを使う事になったのだが

警戒区域にタクシーを入れるのは流石に不味いので近場のタクシー乗り場まで同行する事になった。

 

「今日は、ありがとうね。付き合って貰って」

「いいえ。いい訓練になりましたから」

「・・・私達、手も足も出なかったんだけど?」

 

那須さんは、少し不機嫌な表情で見ていた。

 

「い、いやあ〜・・・。そう言われましても・・・」

「ふふっ。冗談よ。私達がまだまだだって事は理解しているわ」

「・・・揶揄わないで下さい」

 

紘太は、思わずゲンナリとした表情をしていた。

 

「ねぇ、紘太君。どうして、ボーダーに入ったの?」

「どうしたんですか?急に」

「ちょっと気になって。

あんなに強いなら何か特別な思いとかあるんじゃないかなって」

 

紘太は、ああ〜と言いながら言葉を紡ぐ。

 

「俺、10歳になる頃まで三門市に住んでたんです」

 

那須は、思わず驚きの表情をしていた。

 

「その時は、爺ちゃんと両親と合わせて4人で生活してました。

その後に親の転勤で引っ越したんですけど、爺ちゃんは三門市に残ったんです」

「・・・もしかして、お爺さんは」

「いえ、近界民(ネイバー)には、殺されてませんよ。普通に寿命でしたよ。

第一、90歳になっても自衛隊の精鋭部隊一つを1分以内で潰せる程の強さですよ?

そんな人があんな虫もどきに潰される訳ないですよ」

 

那須は、思わず固まったのと同時にあるピースがハマった。それは・・・。

 

「(それだけ強いお爺さんの遺伝子を受け継いでいるのならあの強さは納得・・・)」

 

と、思考を回していた。

 

「俺が近界民(ネイバー)と戦う理由は、単純に爺ちゃんとの思い出の街が壊されるのが気に食わないだけです。

友好的に来るのなら無駄な争いはする必要はないですから」

 

那須は、思わず感心してしまった。

自分より年下の子がここまで考えているとは思っても見なかった。

この時の彼女は、こう感じた。

 

「(彼の事をもっと知りたい・・・)」

 

そう思っていた・・・。

そんな話をしていると、ついに迎えのタクシーが来た。

そして、彼女がタクシーに乗ったのを確認し、お疲れの挨拶をした後、彼女は・・・。

 

「ねぇ、紘太君って呼んでいいかしら?私の事は、玲って呼んで」

 

紘太は、思わず戸惑い、「じゃあ、玲さんで」と妥協して貰ったが了承した。

 

「じゃあ、気をつけてね。紘太君」

「はい、玲さん」

 

そして、タクシーは走り去っていった。

2人は、小さな変化に戸惑っていたがその戸惑いは、決して悪いものじゃないと感じていた。

 

 

 

その3日後、新たな戦いの火蓋が幕を開けようとしていた・・・。

 

 

 




次回から大規模侵攻に入って行きます。
恐らく、アニメや原作とのストーリー構成がかなり変わる可能性があります。
その点は、ご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第2章 大規模侵攻編
第14話 開戦!大規模侵攻


今回からタイトル通り大規模侵攻編になります。
それと、皆様のおかげで当小説は、お気に入り600件を超えました。
拙い文章でありながらご拝読ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。


では、どうぞ。


冬休みが終わり、通常通りの学校が始まり登校する紘太達。すると・・・。

 

「「三雲君!綾瀬君!」」

 

「「B級昇格、おめでとう!!」」

 

「え!?な、何でそんなこと知ってるの?」

「サイト見たぜ!」

「サイト?」

 

曰く、ボーダー正隊員の人達は、広報サイトに名前が記載されるのだと話していた。

 

「・・・意外な事実が分かったな、三雲」

「う、うん。正直、知らなかった・・・」

 

その後、教師が入って来たが紘太と三雲は、14時から防衛任務が入るため特別早退をする事になった。

そして、クラスメイトに揉みくちゃにされる2人だった。

 

 

 

 

 

「はあ〜・・・」

「つ、疲れた・・・」

「アヤセも人に囲まれたな。

オサムは、相変わらずだけど」

「マジで大変だった・・・」

 

力尽きる2人だった。

その後、雨取とその友人、夏目出穂と合わせて5人で食事をする事になった。

 

「そういえば、C級隊員にも大規模侵攻の連絡は入ってるのか?」

「一応、来てたよ。戦えないけど避難や救助のサポートには、トリガー使っていいってさ」

 

などと当たり前の日常を過ごしているが・・・。

 

 

 

 

 

その日常は、突如終わりを告げた・・・。

 

「「!!」」

 

雨取、紘太は、何かを感じ取った。

紘太は、視線をボーダー基地に移した。そして・・・。

 

 

ウィーン!ウィーン!

 

 

基地周辺に大量の(ゲート)が発生した。

そして、紘太と三雲の携帯に緊急呼び出しのアラームが鳴った。

皆は、一度、担任に現場に向かうと話すと同時に警戒区域を出る可能性があるから避難して欲しいと話す。

 

「三雲、俺達も」

「ああ、空閑も力を貸してくれ」

「OK、そう来なくっちゃ」

 

そして、紘太達は、学校の外に出て雨取に警戒区域に来ないように示唆する。

夏目にも雨取をよろしく頼むとお願いする。

空閑は、ちびレプリカを渡す。

すると、学校の窓から皆が出てきて紘太達にエールを送った。

 

「・・・負けられない理由が増えたな」

「ああ、んじゃ、行くか!!」

 

 

「「「トリガー・起動(オン)!!」」」

 

 

3人は、戦闘体に換装し、トリオン兵に迎撃に向かった。

 

 

 

 

 

諏訪隊、鈴鳴第一、東隊といったチームが現着し戦闘を開始した。

一方、紘太達も戦闘区域に到着した。

 

「敵が数千対の時と爆撃型と同じ組織の奴なら恐らくボーダー戦力はある程度知っている可能性があるな・・・」

「オサム、アヤセ。心して掛かれよ。

戦いは、基本的に数が多い方が勝つ」

 

空閑の言葉で気を引き締める2人。

その後、トリオン兵を発見し迎撃に入る一同。

すると、紘太はバムスターを見て何かを感じ取った。

 

「どうした?綾瀬」

「バムスターの中に何かいる・・・」

「え?」

 

紘太は、急いで弧月をバムスターの腹部に突き刺した。

そして、安心の表情を浮かべた。

すると、通信が入った。

 

『忍田さん、こちら東!新型トリオン兵と遭遇した。サイズは3メートル強、人に近い形態で二足歩行。

小さいが戦闘力は高い。特徴として隊員を捉えようとする動きがある。各隊警戒されたし、以上』

「まさか・・・綾瀬が今言ったのって・・・!」

「さっきの腹部に新型が隠れていたのか・・・!レプリカ、真史さんに連絡を!」

『心得た』

 

レプリカは、紘太に頼まれ本部に新型の事を話す。

 

『シノダ本部長。その新型はおそらく、かつてアフトクラトルで開発中だった捕獲用トリオン兵、ラービットだ』

『捕獲用?捕獲は大型の役目じゃないのか?』

『役目は同じだが、標的は違う。ラービットは、トリガー使いを捕獲するためのトリオン兵だ』

『なんだと!?』

『心して掛かれ。A級隊員であったとしても、単独で挑めば食われるぞ』

 

新型に警戒しつつ、戦闘を継続する紘太達。

そして、紘太と空閑は、ある違和感を覚えた。

 

「空閑、これは・・・」

「ああ、向こうの手に乗らざるを得ないな・・・」

「だが、そうも言ってられない・・・。とにかく、撃破するぞ!!」

「おう!」

 

お互いを鼓舞し、敵の迎撃に向かう2人だった。

 

 

 

 

 

場所は変わり、とある場所。

そこには、頭に角を生やした人物が紘太達の戦闘の様子を見ていた。

 

「おいおい・・・。もうラービットとまともに戦えるヤツが出てきたぞ」

「いやはや、玄界(ミデン)の進歩も目覚ましい・・・ということですかな」

「大したことねぇよ。ラービットはまだプレーン体だろが」

「いやいや、分散の手にも掛からなかったしなかなかに手強いぞ」

「ハイレイン隊長。いかが致しますか?」

 

すぐに出撃するか論議をしている中、老人が紘太に注目した。

 

「この少年は・・・」

「ヴィザ翁。どうかされましたか?」

「10年程前に私が玄界(ミデン)に降り立った時に対峙した剣士の動きに似ています」

「・・・前話していた、修羅の話ですか?」

 

老人、ヴィザの話によれば三門市の人達を連れ去る際に本人も任務で参加した事がある。

しかしヴィザは、一人の剣士に敗れたのだ。

その剣士は、ヴィザよりも一回りほど歳が離れていたがトリオン体で戦闘を行なったにも関わらず手も足も出なかった。

 

「もしかすると、その親族かもしれません・・・」

 

ハイレインと呼ばれる人物は、少し思案する。

 

「この少年に関しては、ヴィザ翁に当てるとして念の為、動向を注視しよう。

警戒を怠るな」

 

全員が「了解」と返事をしモニターを注視した。

 

「(しかし、この少年に対しての焦燥感は何だ・・・?)」

 

ハイレインは、この時、知らないでいた。

全て、紘太によって狂わされるという事を・・・。

 

 

 




長くなりそうなので今回はここまでとします。
それと、新たにアンケートを作ります。
よろしければ気軽に投稿して下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第15話 ボーダーVSトリオン兵

最新話になります。
それとアンケートの件ですが後書きに詳細を記載しますのでご了承下さい。


では、どうぞ。


ついに近界民(ネイバー)による大規模侵攻が始まった。

ボーダー隊員達全員で戦闘を行なっていた。

しかし、戦闘の途中で新型トリオン兵・ラービットの投入により戦況は苦しい一方である。

そして、紘太達の所に新型の魔の手が迫っていた。

 

「・・・!三雲、空閑!気をつけろ!なんかヤバイ奴が来る!!」

「何!?」

 

突如、マンションが破壊される音が聞こえるとラービットの姿が現れた。

 

「新型・・・!」

 

新型は、三雲に狙いを定めて攻撃を仕掛けた。

三雲は、レイガストをシールドモードにし、攻撃を防いだ。

紘太は、スコーピオンで牽制しラービットを三雲から切り離しこちらに来るように誘導しさらに攻撃を仕掛ける。

すると突如、ラービットが吹き飛んだ。

視線を移すと空閑が、ブラックトリガーを使用していた。

 

「空閑、お前・・・!」

「うお、こいつかってーな」

「ブラックトリガーは使うなって言ったろ!林藤支部長や迅さんが庇いきれなくなるぞ!!」

「けど、このままじゃチカがやばいんだろ?」

「・・・!」

「三雲。出し惜しみしてる場合じゃないぞ」

「ああ、一気に片付けるぞ」

 

その空閑に弾丸が降り注ぐ。

 

「命中した!やっぱこいつボーダーじゃねぇぞ!人型の近界民(ネイバー)だ!」

「本部!!こちら茶野隊。人型近界民と交戦中!」

「そこのメガネと弧月使い!早く逃げろ!!」

「よせ!あんた達の後ろに新型がいる!!」

 

紘太がそう言った直後、ラービットが起き上がり茶野隊を捕まえた。

すると、弾丸の嵐がラービットに直撃した。

そして、装甲が抉り出されると紘太は、スコーピオンをラービットの目玉に投げた。

スコーピオンは、直撃しラービットは、戦闘不能になった。

紘太は、視線を上に向けると嵐山隊の姿を確認した。

 

「目標沈黙!!」

「嵐山さん!!」

「ナイスタイミングです」

 

紘太達は、安心の声を出した。

 

「あ、嵐山先輩!人型近界民(ネイバー)が・・・!!」

「落ち着け。彼は味方だ」

「味方・・・?」

 

そんな中、嵐山は、本部に報告をしようとしたのだがノイズが酷く通信ができないでいた。

 

「・・・マズイ!」

 

紘太は、大急ぎで本部に向かった。

 

「綾瀬?・・・あれは!?」

 

紘太が何故本部の方を見たのかその理由は・・・。

 

 

 

 

 

イルガーが本部に突っ込んでいた。

 

「爆撃型トリオン兵接近!!」

「砲台全門撃ちまくれ!!」

 

ボーダー本部に備えていた砲撃でイルガーを一体撃墜した。

 

「一体撃墜!!もう一体が来ます!」

「衝撃に備えろ!!」

 

しかし、もう一体は、倒しきれずそのまま激突した。

激突で基地が墜とされたと思いきや、煙が晴れると焦げた跡が残っていた程度だった。

 

「この間の外壁ぶち抜き事件以降、装甲の強化にトリオンをつぎ込んで正解だったわい」

「第二波来ます!!」

 

今度は、四体のイルガーが基地に目掛けて突っ込んできた。

 

「装甲の耐久度は?」

「後一発なら持ち堪えてみせる!!」

「一般職員はシェルターに避難!限界までトリオンを回せ!一体だけでいい。確実に撃墜するんだ!!」

「いや、一体だけでは・・・!!」

 

そして、一体は撃墜したが・・・。

残り三体が基地に迫っていた。

 

「一体撃墜」

「忍田本部長!!残りの三体は保証できんぞ!!」

「問題ない。残りは・・・」

 

砲撃が止むと二人の人影が本部前を通り過ぎた。

 

 

 

 

 

 

「ゼロだ」

 

一人は、太刀川により撃破。

残り二体は、紘太が一体を一撃で仕留め、グラスホッパーで体勢を立て直し・・・。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

壱ノ型 水面斬り

 

 

紘太が、グラスホッパーを利用し水面斬りで最後のイルガーを斬り伏せた。

 

「太刀川!綾瀬!!」

「おお!!」

「後続は?」

「今のところ、ありません」

「よし、今のうちに外壁を修復し次に備えろ」

 

紘太は、撃破したのを確認し一先ず、大丈夫と見ていいだろうと感じた。

 

「やるな、綾瀬」

「太刀川さん」

『慶、紘太君。お前達の相手は、新型だ。斬れるだけ斬ってこい』

「了解。じゃあな、綾瀬」

 

太刀川は、それだけ言ってその場を離れた。

 

「(後続がない・・・。イルガーを大量に投入すれば基地を落とすことが容易なはずなのに・・・。

基地を破壊するのが目的じゃない・・・。何かを炙り出す・・・ん?炙り出す?・・・まさか、敵の狙いは・・・!?)」

 

すると、通信が入った。

 

『忍田本部長!玉狛支部の三雲です!僕達をC級隊員の援護に向かわせてください!』

『C級隊員の?』

『避難が進んでる地区の防衛は後に回されると聞きました!その地区には僕達のチームメイトがいます!』

『そうか・・・よしわかった。玉狛の隊員は別行動で・・・』

『待て』

 

すると、城戸司令がそれに待ったをかけてきた。

 

『C級隊員の援護に向かうのは、三雲隊員だけだ。空閑隊員には残ってもらおう』

 

「「「・・・!」」」

 

『空閑隊員がブラックトリガーで戦えば、茶野隊が敵性近界民(ネイバー)と誤認したように、隊員と市民に大きな混乱をもたらす危険性がある。

空閑隊員は、嵐山隊と共にトリオン兵を殲滅して貰う』

 

城戸司令の言い分は最もだ。

下手に警戒区域に出れば空閑を敵と見てしまい市民に混乱を招く恐れがある。

それを回避するには、それが一番いい。

ただでさえ非常時だ。いらない混乱は避けたい。

 

『ブラックトリガーの独断での使用は、非常時ゆえ特別に許そう。だが、こちらの指揮には従ってもらう』

「ブラックトリガーを使わなかったらオサムについて行っていいの?」

『無意味な仮定だな。ことを望めばお前は必ず黒トリガーを使う。そういう人間だ』

「・・・・・・」

『お前は父親に似ている』

 

数秒、沈黙していたがここで・・・。

 

「こちら本部所属のB級、綾瀬です。

C級隊員の援護、空閑隊員の代わりに自分が向かっていいですか?」

 

「「「!!」」」

 

『綾瀬!?』

「空閑がダメならノーマルトリガーの自分なら問題ないはずでは?」

『・・・よかろう。許可する』

「了解。三雲、先に向かってるぞ」

 

紘太は、通信を切り雨取の居るとこに向かった。

 

 

 

 

 

視点は、三雲のところに移る。

思いがけない提案に三雲は驚きを隠せないでいた。

 

「オサム。アヤセがいるなら大丈夫だろ。

トリオン兵を生身でぶった斬る強さを持っているんだぞ」

「そうだな。アンノウンと言われる程の技量を持っているからな」

「アンノウンって!?」

「さっきの弧月使いがですか!?」

 

茶野隊は、驚きを隠せないでいた。

本部の模擬戦で太刀川を倒したというのは噂になっていたがその人物がアンノウンとは思わなかった。

 

「・・・ああ、分かった!」

「決まりだな。それじゃあ俺達は、トリオン兵を駆除しつつ新型を仕留める。

空閑君。手伝ってくれ」

「了解」

「茶野隊は、警戒区域から出て行こうとするトリオン兵を排除してくれ」

 

「「了解!!」」

 

この後の方針が決まった時だった。

 

「嵐山先輩。三雲君に同行していいですか?」

「・・・木虎?」

「彼らには、借りがあるので」

「・・・分かった。本部長、よろしいですね?」

『嵐山の判断に任せよう』

 

本部長の了承も得て各々行動を開始した。

 

 

 

 

 

場面は変わり、人型近界民(ネイバー)がいる船。

ヴィザ翁の表情は、笑みを溢していた。

 

「やはり、この少年は・・・」

「ヴィザ翁。いかがなさいましたか?」

「先程、イルガーを斬った少年。以前お話しした剣士の親族、あるいは門下生の可能性が高いです」

 

「「「!!」」」

 

船内に緊張が走った。

 

「・・・確かか?」

「先程の剣技がその証拠です。あの動きは、私が出会った剣士以上の強さ・・・。

正直、私のブラックトリガーでも倒せるか否か・・・」

 

思いがけない言葉に驚く、ハイレイン。そして・・・。

 

「ランバネイン、ヴィザ、エネドラ。お前達は、剣士を叩け」

「・・・よろしいのですか?隊長殿」

「正直な所、ヴィザ翁の腕を信じていないという事ではない。

念には念をということで保険を掛けておきたい」

「ケッ。あんな猿、俺一人で十分だぜ?」

「隊長が決めた事だ。口を慎め、エネドラ」

「あぁ?」

「隊長、自分も加勢しましょうか?」

「いや、ヒュースは、自分の仕事に専念して欲しい。

雛鳥を捕まえるのも任務の一つだ」

「分かりました」

「(この剣士を我々の軍に引き入れたいが・・・。

  どうしたものか・・・)」

 

ハイレインは、ラービットを障害とも思わず容赦無く叩き斬る紘太の姿を見ながら作戦を考えていた。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
アンケートの件ですが、3/12 0:00までとします。
ご協力お願いします。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第16話 アフトクラトル

最新話になります。


では、どうぞ。


場所は、基地北西部。

そこには、真っ平らな平地に一人の少年がポツンと座っていた。

 

「おいおい。真っ平じゃんか、天羽」

「迅さん・・・」

 

そこに駆けつけた迅は、苦笑いで話しかけた。

 

「お前な〜・・・。もうちょっと加減しろよ」

「嫌だよ、面倒臭い・・・。どいつもこいつもつまんない()のザコばっかだもん。全然やる気起きないよ・・・」

「うんうん。余裕があっていいことだ」

「どうせなら、迅さんの知り合いの()とやりたいね」

「彼?」

「綾瀬って言う人。今まで見た事のない色をしていた。

()()()()()()()()()()()いい色をしている」

 

天羽は、紘太を遠目で見ていた時、今まで見たことの無い色を見て、目を見開いた記憶がある。

 

「あー・・・。機会があったらな」

 

と、軽口をやっている時だった。

突如、迅の副作用(サイドエフェクト)に新たな未来が映し出された。

 

「迅さん?」

「・・・天羽、俺が担当している西側頼める?」

「何で?」

「・・・敵さんが動くから、俺も動く。

それに、下手したら綾瀬と会えずじまいになるぞ」

「・・・分かったよ」

「(頼んだぞ・・・。紘太・・・)」

 

そして、迅の所に一つの通信が入った。

 

 

 

 

 

紘太は、新型トリオン兵・ラービットを撃破しつつトリオン兵を駆除していた。

 

「・・・クソッ。一体一体は大した事ないがキリがないな」

 

紘太は、倒しても倒しても出てくるトリオン兵にうんざりしていた。

どうにかして突破口を開かないといけない。

トリオン体に換装している紘太なら簡単ではないのかと思うが戦闘体に換装すると運動能力も大幅に強化される。

紘太の場合、全集中の呼吸と元の身体能力の高さ故に力のコントロールがやりづらいのだ。

仮入隊から約1ヶ月程、トリオン体で戦闘訓練を行なっているが命の安全面が考慮されただけで全力で力を発揮できないのだ。

その失敗例が、入隊初日や玉狛で起きた頭突き事件だ。

普通のトリガーでは、匙加減が難しいと言うことで思うように力を出せないでいた。

 

「とにかく、倒すか!!」

 

紘太は、フルスピードで周囲のトリオン兵を蹴散らした。

しかし、周囲の建物を破壊している為、いかがなものかと思った。

とにかく、今いるこの場は戦場。切り替えていくしかないと感じた。

 

「三雲、聞こえるか?」

『綾瀬か?』

「そこにレプリカはいるか?」

『アヤセ、呼んだか?』

「トリオン兵ってトリオンを使っているんだよな?」

『そうだ』

「もしかして、ラービットってかなりのトリオンを使ってるか?」

『アヤセの推測通りだ。私もさっきのラービットを解析してみたが、相当の量のトリオンが使われていた。

こちらの世界にこれほどのトリオンを注ぎ込めば、本国の備えが手薄になる』

「そして、分散してトリオン兵を使っている・・・。

B級以上の奴らを捕まえるために新型を投入した。だが・・・」

『ボーダーには緊急脱出(ベイルアウト)がある。

捕えられる前に緊急脱出(ベイルアウト)する事を徹底させれば極端な話、被害はゼロに抑えられる。

ラッドの調査を経て満を持して攻めてきた敵がそんな簡単なことを見落とすだろうか?』

「四方へのトリオン兵の分散進攻、ラービットによる隊員の捕獲、本部基地への爆撃、それらの陰に・・・敵の真の目的が隠されている気がする」

『真の目的って・・・』

「(炙り出しをする。ラッドを使って一体何を・・・)」

 

紘太は、仮入隊の時に嵐山にトリガーについてレクチャーされていた事を思い出していた。

 

【訓練と戦闘用に違いがあるんですか?】

【訓練用では、武器は、1つしか使えない事。

B級以上になると最大8種類まで使うことが出来る】

【へぇ・・・。でも、負けた時ってどうなるんですか?

流石にその場で戦闘体が解かれて終わりって事はないですよね?】

【その点は心配ない。戦闘用には緊急脱出(ベイルアウト)と言う機能がついていてトリオン体が自動的に本部に飛んでいく仕掛けを施している】

 

この時、紘太は、緊急脱出(ベイルアウト)を知らないフリをしていた。

流石に、迅さんから教えてもらいましたとは言えないからだ・・・。

 

「(そうか・・・!そう言う事だったんだ!!)」

 

紘太は、急いで本部に連絡をしようとしたその時だった。

突如、背後に何かが来る気配を感じた。

振り返ると(ゲート)が発生し中から3人の()が出てきた。

 

「・・・チッ。よりによってガキ相手かよ」

「しかし、油断は禁物ですぞ、エネドラ殿。相手は、ラービットを一瞬で倒せるほどの実力者ですぞ」

「ヴィザ翁の言う通りですな。隊長が玄界の中で最強と言っていい剣士だ。

心してかかった方がいい」

「・・・こちら、綾瀬。人型近界民(ネイバー)3人と接触。

敵は、()()()()()()()。ブラックトリガー使いもいる。そして敵の狙いは、C級隊員の捕獲。

俺は、これより人型3人と戦闘を開始します。他の隊員達に、C級援護に向かわせて下さい」

『待つんだ紘太君!1人で3人の人型と戦うのはむc・・・』

 

紘太は、強引に通信を切り人型に視線を向けた。

 

「ほう?オレ達3人に1人で挑む気か?」

「いやはや、何と勇ましい少年。あの若さでその意気込みはよし」

「しかし、身の程を弁えさせなければなりませんな」

 

ランバネイン、ヴィザ、エネドラの3人を同時に相手にする紘太。

今、戦いの折り返し地点に入ろうとしていた。

 

 

 

 

 

一方、本部は、大慌てでいた。

 

「忍田本部長!!」

「分かっている!!全部隊に通達!!」

 

普段から冷静でいるはずの忍田本部長がここまで焦るのは初めて見たと沢村は、そう思っていた。

 

「敵は、アフトクラトルと判明!ブラックトリガー使いも参戦している!

南地区を担当している隊員は、トリオン兵殲滅後、綾瀬隊員の援護に迎え!!

他の地区を担当している隊員達は、トリオン兵を迎撃後、C級の支援に向かえ!!」

 

忍田の鬼気迫る声に正隊員も戸惑いながら返事をする。

 

「・・・あの大馬鹿者!!」

「本部長!迅君が本部に到着しました!」

「迅に()()()()()()を持って行くように伝えるんだ」

「了解!」

 

そんな中、城戸司令は、忍田に声を掛ける。

 

「・・・忍田君。今の指揮官は、君だ。それを忘れるな」

「・・・分かっています」

 

しかし、それでも本部長は握り拳を作っていた。

 

 

 

 

 

本部長が焦る中、三雲と木虎も紘太の無茶に頭を抱えていた。

 

「あのバカ!!」

「何て無茶してるのよ!!」

 

C級隊員に追い付く所に忍田本部長の通信を聞き、内容を聞いた2人は、目を見開き驚愕の表情をしていた。

 

『しかし、アヤセのお陰でどの国が攻めてきてるのか、そして、目的が何なのかがハッキリした。

オサム、キトラ。アヤセが全力で敵を食い止めている。それを無駄にしてはいけない』

「分かっている!!」

 

そして、C級隊員を発見し、トリオン兵とラービットの戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

場所は、南地区。

そこでは、那須隊のメンバーがトリオン兵と戦闘を行なっていた。

 

「紘太君・・・!」

「綾瀬、一体何考えてるのよ!?」

 

ビルの所から狙撃している日浦が那須に通信をする。

 

『那須先輩!急いで綾瀬君の所に行かないと!!』

「分かっているけど、このトリオン兵の多さじゃ・・・!」

 

紘太が人型近界民(ネイバー)と戦っていると連絡が入ると那須は、居ても立っても居られない。

年下の後輩が命懸けで闘っているのに自分は、目の前の敵に悪戦苦闘している。

どうにかして、突破口を開かないと思ったその時、高速で移動する何かにトリオン兵が倒された。

彼女達の前に立ったのは迅だった。

 

「迅さん!」

「助かりました。けど、どうしてここに?」

「那須ちゃん達にお願いがあってね。大急ぎで来たんだ」

「お願い?」

 

迅は、1つの小さなアタッシュケースを取り出した。

 

「これは?」

「本部のエンジニアが開発していた()()()()()()()()()だ」

 

「「「!?」」」

 

思いがけない言葉に那須隊の面々は驚きの表情をしていた。

 

「本当は、俺が届けたいんだけど、メガネ君や千佳ちゃんが生き残る分岐点に差し掛かっていてかなり重要な所なんだ。

俺は、そっちの加勢に向かう。だから、那須ちゃん達に任せたい」

 

その言葉を聞いた那須隊達は、メンバー全員の表情を見て頷いた。

 

「分かりました。引き受けます」

 

那須は、アタッシュケースを受け取り紘太のいる南西地区に向けて移動を開始した。

 

「・・・頼んだぞ。みんな」

 

その表情は、普段の姿から想像出来ないほど真剣な表情だった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第17話 羅刹・起動

最新話になります。
それと、アンケートは、3/12 0:00までとなります。

では、本編です。どうぞ。


場所は、南西地区。

紘太は、人型近界民(ネイバー)・エネドラ、ランバネイン・ヴィザの3人と交戦していた。

他にも、ヒュースが戦闘に出たが三雲の所に向かっている。

紘太は、何が何でもこの3人を倒して、皆と合流しないといけない。

 

「舐めんじゃねぇぞ!ザコがぁああ!!」

 

エネドラがブラックトリガー・泥の王(ボルボロス)で自身の体を液状化しブレードで攻撃してくるが紘太は、その斬撃を防ぎ、攻撃を仕掛けた。

しかし、自身を液状化している為、攻撃は、全く効いていない。

距離を取り、透き通る世界で弱点を探す。

すると、何やら伝達脳らしき物を発見したがその伝達脳があちこち移動しているのだ。

どうやら、あれが弱点とみて良いようだが・・・。

 

「我を忘れて貰っては困るな!」

 

ランバネインのトリガー、雷の羽(ケリードーン)で連続射撃で攻撃してきた。

その威力に紘太は、接近することができないでいた。

次に、ヴィザが懐に入り込み仕込み杖を抜刀し剣で攻撃してきた。

紘太は、弧月で剣を受け流し反撃する。

その反撃が功を奏したのか、ヴィザの胸部にダメージが入り、トリオンが漏れた。

 

「ほほぅ。剣の腕は、かなり良いものですな」

「いやはや、3人での戦闘でありながらここまで奮闘するとは、恐れ入った」

「感心してんじゃねえ!このザコ程度に遅れを取るオレ様じゃねえ。

とっととくたばりやがれぇええ!!!」

 

エネドラは、再び液状ブレードで攻撃を仕掛けて来たが紘太は、それを躱す。

 

「(近づけない・・・。こうなったら・・・!)」

 

紘太は、一か八かの賭けに出る。

ランバネインの雷の羽(ケリードーン)が腕の銃に弾丸が装填された時だった。

 

「(ここだ!!)」

 

スコーピオンをクナイサイズで取り出し、スコーピオンを銃口に投げた。

そして、そのまま暴発した。

 

「何と!?」

「ランバネイン殿!?」

「(隙ができた!)」

 

紘太は、一気に間合いに入り込んだ。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

参ノ型 流流舞い

 

 

水のように流れる動きでランバネインの両腕を切り裂き、透き通る世界でエネドラの伝達脳探しだし、そのまま切り裂いた。しかし・・・。

 

「ダミーか・・・」

 

もう少し早ければ、本物の伝達脳を切ることが出来たかもしれないと歯痒さを覚えた。

 

「(日の呼吸でないと無理があるか・・・?)」

 

紘太は、一度、トリオン体で日の呼吸を試しては見たものの技は成功してはいるが弧月が砕けてしまったのだ。

これは推測の域だが、日の呼吸で弧月を振り下ろす力に耐え切れなかった可能性を考えていた。

 

「・・・惜しかったな」

 

紘太は、分が悪いと感じ、カメレオンを起動する。

 

「・・・消えやがった」

「恐らく、分が悪いと感じ撤退したのでしょう・・・」

「しかし、奴一人の所為でかなり消耗させられてしまった」

「ならば、早期に決着を付けましょう。そんなに遠くに行っていないと思われますので炙り出します。お二方、私の近くに」

 

ヴィザの指示に従い、近づくエネドラとランバネイン。

 

星の杖(オルガノン)

 

ヴィザがそう呟くと周囲の建物が()()()()

崩れ落ちる建物を見て、紘太は、驚きを隠せない。

 

「(あの杖。仕込杖だけでなく広範囲で斬撃なんてできるのかよ!?)」

 

これでは、下手に仕掛けると斬撃の餌食になってしまう。

 

「・・・使うしか無いのか、()()()()を」

 

紘太の切札と言える呼吸剣技で一番適正のある呼吸剣技でもある。

しかし、以前話した通り弧月では、刀身が持たない。

それは、どんなにトリオンを注いでも同じだった。

しかも、戦場ではトリオン切れは、強制的に緊急脱出(ベイルアウト)するだけでなく緊急脱出(ベイルアウト)出来ないエリアで戦闘になったらその場で換装が解ける。

その場合、戦場に取り残される可能性がある。

 

「(持ってくれよ・・・!)」

 

紘太は、意を決して敵に突っ込む・・・。

 

 

 

 

 

その時、無数の光弾が敵全員に迫ってきた。

それに気づいた紘太は、距離を取り回避。

敵もランバネインのシールドで攻撃を防いだ。

 

「今のって・・・」

「全く、無茶しすぎよ」

 

振り返ると那須隊全員が集結していた。

 

「玲さん!?」

「茜ちゃん!紘太君の援護を!!」

『了解!!』

 

日浦は、建物の影に隠れながら狙撃する。

 

「旋空弧月」

 

熊谷が放った斬撃は、ランバネインに直撃するがシールドで防がれた。

 

変化弾(バイパー)

 

那須の放たれた弾丸はヴィザの剣に斬られずそのまま直撃した。

しかし、間一髪、ランバネインに防がれてしまった。

 

「・・・堅い!」

「くたばりな!!」

「エスクード!」

 

エネドラの攻撃を防ぐ紘太。

そして、急いで物陰に隠れる。

 

「にゃろぉ・・・!ちょろちょろと隠れやがって・・・!

大人しくオレに殺されろぉ!!」

 

怒り叫ぶ中、紘太は、那須隊の人と話をしていた。

 

「どうして・・・」

「アンタを一発ぶん殴りたい所だけど、今は何もしないであげる。

私達がここに来たのは、迅さんからのお使いよ」

 

そう言い熊谷は、アタッシュケースを紘太の前で開ける。

中には、深紅色のトリガーが入っていた。

 

「これは・・・」

「本部長が紘太君をボーダーに入隊させる条件として貴方の刀をデータ化、そして、今までの戦闘データが入ったトリガー。

トリガー名は、()()。貴方専用のトリガーよ」

「羅刹・・・」

 

紘太は、アタッシュケースからトリガーを取る。

 

「ありがとうございます。

皆さんは、他の地域の援護に向かって下さい」

『でも、私達が力を合わせれば・・・!』

「敵のトリガーは、恐らく2つは、ブラックトリガーです」

 

「「!!」」

 

「悪戯に突っ込んで返り討ちに合うのは、避けたいです。

それなら俺一人で一気に殲滅した方が効率が良い。

それに、俺はそう簡単にやられる程、柔な鍛え方してませんよ」

 

優しい笑みを浮かべてから真剣な表情で2人を見つめる。

 

「・・・みんなを守って下さい。そうすれば、俺は後ろを気にせず戦えます」

 

その力強い決意を聞き、ついに・・・。

 

「・・・分かったわ」

「玲!?」

「ただし、約束して。絶対に帰って来て」

「勿論」

「それと、本部長のお叱りを受けなさい」

「・・・えぇ〜?」

「返事は?」

「イエス、マム!!」

「よろしい!」

「はあ・・・。綾瀬は、本部長に任せるか。そういう事だから、負けたら承知しないからね!」

『綾瀬君、頑張ってね!!』

 

那須隊の面々は、それだけ話して他の部隊の援護に向かった。

この時の紘太の心情は、「絶対に玲さんを敵に回したらアカン」と感じた。

 

 

 

 

 

「オラ!!出てこいや!!クソガキ共!!」

 

エネドラは、怒鳴り散らしながら周囲の建物を破壊しながら紘太達を探していた。

すると、無数のクナイがこちらに飛んできた。

エネドラは、それを防ぐ。視線を向けるとそこには、紘太がいた。

 

「テメェ一人か。女のガキ共はどうした?」

「お前らは、俺一人いれば十分だ」

「・・・何?」

「神の国だろうが何だろうが関係ない・・・。

 

 

 

 

 

今を一生懸命生きている人を傷つけた報い、受けて貰う!!

 

紘太は、深紅色のトリガーを取り出した。

 

「羅刹・起動!!」

 

紘太は、予め換装していた戦闘体の上に新たに換装する。

このトリガーは、紘太の戦闘能力に合わせる為、任意に力加減を調整する事が出来る。

つまり、力み過ぎて頭突きでトリオン兵を倒すということはまず起きない。

そして、羅刹の一番の特徴は、紘太が()()()()()()()()()をそのまま使うことが出来るのだ。

戦闘体に換装したその姿は、普通のボーダー隊員の服ではなく洋装で、背に「滅」の文字が書かれている服装の上に深紅色の羽織をきていた。

 

「貴様ら全員、俺が斬る!!」

 

今、現代の鬼狩りの剣士が神の国の戦士に牙を剥く。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第18話 日輪剣舞

最新話となります。
それと、皆様のお陰でお気に入りが700件を越えました。
自分が投稿した作品の中では、一番多い数です。
今後ともよろしくお願いします。


これまでの戦況を整理しよう。

大量のトリオン兵を投入してきた敵の正体は、近界(ネイバーフッド)最大級の軍事国家『アフトクラトル』だった。

敵の主将・ハイレインは、各方面にトリオン兵を投入。ボーダーと戦闘を開始。

このまま押しきるかと思いきや、バムスターの腹部の中に新型トリオン兵・ラービットが隠されていた。

新型に手こずるボーダー、トリガー使いを標的とするラービットに対し、A級隊員がラービットを相手にしB級隊員が他のトリオン兵の対処に当たった。

 

 

 

ある程度経ったら、基地に向けて爆撃型トリオン兵・イルガーを投入し基地を襲撃。

1体ではあるが、攻撃を受けたが、残りのイルガーは、太刀川、綾瀬の活躍により迎撃され最低限の被害で抑えられた。

その後、避難が進んでいる南西地区は後回しにし戦闘隊員を一箇所に纏めて合同で一エリアずつ潰して行くと指示を出す。

その事を聞いた三雲は、南西地区にチームメイトの雨取がいると本部に話し援護に行く事になった。

そして紘太は、これまでの敵の戦術を紐解いて行くと敵の狙いは、C級隊員と推測し一足先に向かう。

その近くのエリアでトリオン兵が出現し対処に当たった。

その時いたラービットを3体同時に撃破したがこの様子を見ていたアフトクラトルの剣士・ヴィザは、以前玄界に遠征した際、対峙した御老人と太刀筋が似ていると話した。

指揮官・ハイレインは、ヴィザ1人で対処させるには、荷が重いと考え、ランバネインとエネドラにも同行させた。

これは、トリオン体でなくてもトリオン兵を斬っている様子をラッドを通して見ている為、慎重に対処したいという事でこの人員となった。

 

 

 

 

 

 

紘太がトリオン兵と戦闘を開始した同時刻。三雲は、木虎と共にC級隊員の援護に向かい合流。

だが、ラービットとモールモッドが出現しそれの対処に当たる。

戦闘の際、三雲は、紘太からモールモッドと戦っている時の教えを思い出していた。

 

『動きながら観察をするんだ。トリオン兵は、こっちでいう人工知能に似ている。

よく観察し、隙を見つけて一気に叩き込め』

 

紘太に言われた事、烏丸に教えられた事を思い出しながらモールモッドと戦闘を行い無事に倒した。

木虎も脚を犠牲にしながらもラービットを撃破。

だが、この後にアフトクラトルの兵士・ヒュースとラービット5体が追加された。

その時、木虎がラービットに捕まり、立方体(キューブ)にされてしまった。

解析班曰く、適切な解除コードをしない限り、立方体(キューブ)が破壊されることはないとの事。

その為、木虎や捕まったC級隊員が死ぬということはない。

その後、玉狛第一の木崎隊が現着し、ヒュースの足止めを行いながら烏丸と三雲にボーダー基地へ向かうように指示を出す。

紘太の所に現れた3人の近界民(ネイバー)を迎撃しながら一般人の被害を食い止めつつC級隊員を基地に逃す。

 

戦いは、いよいよ最終局面に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

紘太が、ボーダーに入る際に提出した条件、それは、自分の使う刀を使用できるようにして欲しい。

正直な所、期待はしていなかったが迅が提言した事によりその条件が通ってしまったのだ。

良い意味で予想を裏切ってくれたお陰で、内心かなり喜んでいた。

更に、紘太の呼吸剣術に関してのデータが欲しいということでここ最近は、本部に入り浸っていたのだ。

正直、具体的なことは聞けなかったが今まさにこの為にあるトリガーだと思っている。

 

「報いを受けろ?調子乗んじゃねぇぞ、クソ猿がぁ!!」

 

液状ブレードで紘太に攻撃を仕掛ける。

すると、突如、液状ブレードが()()()()

 

「な!?」

「・・・今、何を?」

 

紘太は、3人が気付かぬ間に抜刀して斬撃を防いだのだ。

そして、紘太は、3人の前から消えて再び刀を振り下ろした。

ランバネインは、なんとかシールドで防ぐが僅かながら小さな切り傷を受けてしまった。

 

「・・・動きが変わった!?」

「お気をつけ下さい。敵の動きが先程と比べ物にならない程良くなっています」

「んなもん知るかぁああ!!」

 

エネドラは、感情に任せて紘太に攻撃を仕掛けた。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

㭭ノ型 飛輪陽炎

 

 

紘太は、刀を振り下ろしエネドラに攻撃する。

 

「へっ!そんなこうげ・・・!?」

 

すると、迫って来た刀身が、陽炎のように揺らぎエネドラの計算が狂った。そして・・・。

 

 

 

 

 

エネドラの伝達脳とトリオン供給機関が斬られトリガーが解除された。

 

「エネドラ!!」

「ランバネイン殿!!」

「!!」

 

ランバネインがエネドラの方に視線を向けていたその隙に紘太が、懐に入り込んだ。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

壱ノ型 円舞

 

 

ランバネインは、紘太の斬撃をシールドで防ごうとするが、余りの威力にそんな物はお構いなしかの用に切り裂いた。

 

「何だと!?」

 

そして、そのまま切り裂き、ランバネインを撃破した。

紘太は、その視線をヴィザに向け剣を突きつけた。

 

「残るはお前だけだ」

 

紘太は、剣を向けていたその時だった。

 

「ふ、ふざけんな・・・」

「!?」

 

紘太は、視線をエネドラに向けた。

トリガーが解除されたとしてもフラフラになりながら立ち上がった。

紘太は、エネドラに剣を構えた。

 

「この、オレ様が・・・。玄界の猿なんぞに・・・負け・・・」

 

負けてと言いかけた時、突如、エネドラの左腕に黒い針のようなものが刺さった。

 

「グアアアアア!!」

「何だ?・・・!」

 

突如、黒い(ゲート)が発生した。

すると、女性が現れた。

 

「黒い角・・・!ブラックトリガー使いか・・・!」

「ミラ!何のつもりだ!!?」

「貴方の回収を命令されたのはブラックトリガーだけなの」

「何だと!?ふざけるな!!ソイツは、オレのものだ!!」

「残念だけど貴方より相応しい使い手がいるわ」

 

それだけ言って、左腕についている装飾品を取り外した。

 

「気付いてる?貴方の目が黒くなっているのを。トリガーホーンが脳まで根をはった証拠よ。

貴方の命は、そう長くない」

「ミラ・・・!テメェ・・・!」

「とても悲しいわ。昔は聡明で優秀な子だったのに・・・。さようなら、エネドラ」

 

そう言いミラと呼ばれる女性は、トリガーを発動させ、エネドラを串刺しにし、トドメを刺した。

 

「まさか、コイツらの目的は・・・」

「ランバネイン、引きなさい。時間がないわ」

「了解した」

「ヴィザ翁、貴方も此方に。金の雛鳥の確保に向かいます」

「申し訳ありませんが、ここで彼を食い止めなければ玄界(ミデン)の兵士達と合流してしまいます。

そうなれば更に苦戦を強いられます。この場は、私が引き受けます。ミラ殿は、ヒュース殿の援護に」

「・・・分かりました。ですが、隊長も出動しています。

できるだけ、迅速にお願いします」

「承知致しました」

「逃すか!!」

 

紘太は、追撃をしようとするがヴィザが行手を阻んでしまった。

そして、ミラは、(ゲート)を閉じる。

 

「チッ。逃げられたか・・・」

玄界(ミデン)の剣士よ。貴方の名は?」

「・・・綾瀬紘太」

「では、コウタ殿。貴方を誇り高き一人の剣士として果し合いを申し込む!」

 

ヴィザは、仕込杖を抜刀し構える。

 

「・・・仕方がない」

 

紘太も日輪刀を構える。

 

「5分でケリを付けてやる・・・!」

 

睨み合う紘太とヴィザ。そして、小さい瓦礫が崩れると同時にお互い同時に仕掛けた。

星の杖(オルガノン)と日輪刀が鍔迫り合いとなりその衝撃で周囲の瓦礫が吹き飛んだ。

お互いの剣術の技量は、五分五分だが紘太の剣の一振りに掛ける思いの重さは、ヴィザ以上の力を持っている。

その想いの強さ故か、紘太が徐々に押し始めた。

ヴィザは、流石に不味いと感じ、一度距離を取った。

 

「・・・いやはや、この若さでこの技量。()()()()を思い出す」

「・・・()()()()?」

「貴方にお尋ねしたい。()()()()()という剣士をご存知ですか?」

「!?何故、祖父の苗字を知っている!!」

「祖父・・・。やはり血縁者でしたか。それで貴方の疑問ですが、答えは簡単です。私は、彼と剣を交えたのです」

「な!?」

 

紘太は、衝撃の事実を突きつけられた。

 

「貴方と闘っているとその当時の事を思い出す・・・。

あの時の敗北は、私を新たな自分と向き合わせてくれた、素晴らしい剣士だった。

彼は、今どこにいるのですか?」

「・・・亡くなったよ。2年前に」

「・・・そうですか」

 

 

ヴィザは、どこか寂しい表情をしていたが、すぐに切り替えて星の杖(オルガノン)を発動した。

 

「彼との因縁ではなく、剣士・コウタとしてお相手させて頂こう!!」

「・・・勝負だ。ヴィザ!!」

 

お互いに攻撃を仕掛け懐に入った。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

漆ノ型 斜陽転進

 

 

ヴィザの迫る剣戟を躱し、紘太の一振りがヴィザの肩を切り裂いた。

すぐさま反対に周りもう一度攻撃をできるように構えるがトリオン体が身体中にヒビが入りそのまま爆発した。

 

「・・・私の負けです。コウタ殿」

 

ヴィザが話をし始めた。

紘太は、いつでも反撃できるように構える。

 

「またお会いしましょう・・・。我が宿敵よ」

 

ヴィザは、それだけ話すとミラの(ゲート)が発生し撤退した。

撤退したのを確認すると紘太は、すぐに本部に連絡した。

 

「こちら南西地区の綾瀬です。人型近界民(ネイバー)3人を撃破。

その内2人は、撤退。1人は、仲間の手で殺されました。回収班を回して下さい」

 

 

 

 

 

紘太が、本部に通信が入ると鬼怒田室長は、力尽きたかのように崩れた。

 

「あやつは、何なんじゃ・・・」

「・・・本当に寿命が縮みましたよ。

それにしても、人型近界民(ネイバー)をたった1人で撃破するとは・・・」

「綾瀬隊員」

 

すると、城戸司令が紘太に声を掛ける。

 

『何でしょうか?』

「C級隊員の援護に迎え。新たなブラックトリガー使いが出現しA級B級合同で対処に当たっている。

座標データを送る。確認後、直ぐに迎え」

『了解。直ちに向かいます』

 

紘太は、それだけ話し通信を切った。

 

「・・・やはり鱗滝氏の孫か。ちゃんと血は受け継いでいるな」

 

城戸司令もどこか疲れた雰囲気を出していた。

肝心の本部長は、どこか安心した表情をしていた。

 

 

 

 

 

「・・・無事で居ろよ、みんな」

 

紘太は、それだけ呟いて猛スピードでC級隊員の所に向かった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
それと、アンケートの件ですが紘太は、玉狛第二に所属させない形にさせていただきます。
ただ、一友人として絡んだりしますので出る頻度は減ると思いますが出す事には変わりませんので。
改めて、どの部隊に所属させるかまたアンケートをするかもしれないのでその時は、またご気軽に投票してください。
具体的な内容詳細は、次回の投稿で話します。
※主に選んだ理由。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第19話 運命を覆せ

最新話となります。


今回の話を合わせて後、1、2話で大規模侵攻編が終了となります。
では、どうぞ。


紘太が新型と遭遇する少し前に遡る。

空閑と嵐山は、本部南西エリアの警戒区域を移動しながらトリオン兵を駆除していた。

迅が、羅刹を那須隊に託した後、空閑と合流し、三雲達の援護に向かう事を伝えた。

最悪の未来を防ぐためにと伝えるとその内容は・・・。

 

「最悪の未来は・・・紘太が自害する事だ」

 

「「「!?」」」

 

迅が話した紘太の自害、それは敵に捕まりそのまま兵士として使われるのを防ぐために自ら命を断つという事だ。

嵐山は、その内容を聞き、思わず絶句した。

だが、まだ間に合うと言われた空閑は、迅と共に三雲達と戦闘を行なっているエリアに向かう。

そして、紘太が、3人の人型を倒した事もあり未来が変わり始めている。

 

 

 

 

 

「!!」

「迅さん?」

「未来が変わった・・・。紘太が、人型を倒してくれたおかげで大分楽になった。

(だが、紘太が自害する未来は、ぼんやりだが見えている。)急ぐぞ」

 

一方の紘太も、三雲のいる南西の警戒区域に向かいながらトリオン兵を排除していた。

ヴィザ達と戦闘していた際、何処かで入れ違いになってしまったのだ。

合流する為、移動しながらトリオン兵を排除している途中だった。

 

「綾瀬?」

「風間さん?」

 

戦闘中、風間隊と合流していた。

 

「確か君は、アンノウン」

「何してるの?しかも、一丁前に羽織なんて着て」

「本部長にスカウトされた時、入る条件として普段使っている刀を使えるようにして欲しいって頼んだらこうなりました」

 

紘太の話を聞いた、菊池原と歌川は、「コイツ何を言ってるんだ?」という表情をしていたが・・・。

すると風間は、紘太の持っている武器を見てなるほどと納得した。

 

「・・・もう実戦投入したのか?」

「出し惜しみしている場合じゃないですからね。この状況は」

「確かにな・・・」

 

風間は、何の躊躇いもなく話を続けた。

実の所、A級隊員にデータ収集にヘルプを呼ばれて何度か紘太と手合わせをしている。

最初は、太刀川に頼もうとしたが紘太に客観的に話せるか?という疑問を風間に話していた。

どう考えても無理だと考えていた風間は、紘太の剣術に興味があるということもあり、データ取りの相手を自ら志願してきたのだ。

そんな話をしていると、新たにトリオン兵が現れた。

 

「ここは、俺たちが受け持つ。お前は、C級隊員の援護に行け」

「分かりました。後は頼みます!」

 

紘太は、それだけ言うと霹靂一閃で一気にトリオン兵を蹴散らし三雲の元に向かう。

 

「・・・アイツ人間ですか?」

「奴は、強くなる為の鍛錬を続けた結果だと話していた。

努力が身を結んだその結果がアレだ」

「・・・人間の限界を越えた姿を見た気がしますね」

「話は、ここまでだ。俺達もコイツ等を蹴散らす。

三上、サポートを頼む」

 

「「『了解!!』」」

 

風間隊も再び戦闘を再開した。

 

 

 

 

 

視点は変わり三雲に移る。

ヒュース、ラービットの魔の手から雨取を守る為に基地に向かっている途中、新たなラービットが出現。

窮地に追い込まれた時、米屋、緑川、出水、空閑の4人が合流。

迅も戦闘に加わり、ヒュースとラービットの分断に成功。

戦闘している最中、ラービットの装甲では、突破する事は出来ない為、三雲は、雨取のトリオンを臨時接続しアステロイドでラービットを撃破。

しかし、この様子を見ていたハイレインは、自ら雨取を確保する為、戦場に現れた。

その際、雨取がハイレインのブラックトリガー卵の冠(アレクトール)により立方体(キューブ)にされてしまった。

自分のミスに呆然とする三雲だが、他の人達により鼓舞され、レプリカと共に基地に目掛けて移動する。

そしてハイレインは、三雲を捉えようとしたその時だった。

 

「エスクード!」

 

地面から盾が現れた。

ハイレインの攻撃はそれによって阻まれた。

 

「何!?」

「これって・・・まさか烏丸先輩!?(でも、新型と戦っているはずじゃあ・・・?)」

 

すると屋根の上から人が降りてきた。

その降りてきた人物に皆が驚きの表情を浮かべた。

 

「お前は・・・!?」

『いつも、彼には驚かされてばかりだな』

 

 

 

 

 

「綾瀬!!」

「お前、ついさっき人型倒したって聞いたのにもう追い付いたのかよ!!」

「ていうか、そんな服着てたっけ?」

「アヤセ、ナイスタイミング」

「間に合った・・・。三雲、ここは任せろ」

「ああ!頼んだ!!」

 

三雲は、立方体(キューブ)を手に取り本部基地に向かい紘太は、ハイレインに視線を向けた。

 

「さあ、お前の首を貰うぞ・・・」

 

ハイレインは、すぐ様に生物を生成し紘太に向けて放った。

紘太は、日輪刀を握り直し刀身を赫くする。

 

「うお!?真っ赤になった!」

 

驚く出水を他所に、思いっきり踏み込み横振りに刀を振った。

振った刀の風圧と小さな石や瓦礫がハイレインに向けて放たれそのまま風圧で吹き飛ばされた。

 

「うわ〜・・・」

「こりゃ酷ぇ・・・」

「綾瀬先輩ヤバ・・・」

 

出水、米屋、緑川の順番に引き気味に話す。

空閑は、紘太と訓練している際、よく見ているから特に驚かない。

 

「4人とも、聞いて下さい。あの生物達は、トリオン体にしか効かないみたいです。

ボーダーのトリガーでいう鉛弾(レッドバレット)に近いですね」

「お前、さっきの一振りでそんなのも分かったのか!?」

 

紘太の恐ろしい観察眼に驚く出水。

すると、ガサリと何かを踏みつける音が聞こえた。

その視線の先には、ハイレインがこちらを睨みつけていた。

 

「ミラ、ラービットをこちらに回せ。敵を分散させる」

『了解しました』

 

すると、周囲にいたラービットが紘太達の近くに現れた。

すると、空閑、緑川、米屋の3人が前に出た。

 

「ここは、俺達が引き受ける」

「綾瀬先輩、今度、模擬戦してよね」

「・・・いいだろう」

「アヤセ」

 

空閑は、ただ一言。

 

「負けるなよ」

「お前もな・・・。

 

 

 

 

 

遊真」

 

その言葉を聞いた空閑は、笑みを浮かべラービットに向かった。

そして、再び対峙した紘太と出水。

紘太は、秘匿通信で出水に話をする。

 

『出水さん。さっき話しましたけど敵は、鉛弾(レッドバレット)に似ています。

それに、この位置だとやり辛い』

『なるほどね・・・。だったら考えがあるな』

 

出水は、2つのトリオンキューブを生成。

 

炸裂弾(メテオラ)変化弾(バイパー)

 

そして、そのまま合成。

 

変化炸裂弾(トマホーク)

 

出水が放たれた光弾は、周囲の建物を破壊し尽くした。

そして、そのまま生き埋めを狙ったが・・・。

 

「惜しかったな。玄界(ミデン)の射手よ。生き埋めにするには足りないぞ」

「ああ、確かに建物がもっとあれば生き埋めに出来たのにな」

「(けど・・・)」

 

すると、腹部に何かが貫いた。

 

「・・・何だと!?」

「(狙撃するには、いいポジションだ)」

 

ボーダー基地の所には、狙撃手の古寺、奈良坂、当真がイーグレッドで攻撃していた。

 

「・・・狙撃だと!?」

「あの隙間で当てるのかよ!!やっぱ内の狙撃手(スナイパー)は、変態だわ!」

 

などと出水が、褒めているのか貶しているのか分からないが紘太は、無視して話を進めた。

 

「残念だけど、これ以上の戦闘は、無意味だ」

「・・・どういう事だ?」

「周辺を見てみな」

「・・・!!」

 

そう、紘太に言われた通り、周辺を見てみると狙撃手(スナイパー)では、東、荒船、別役、日浦。

銃手(ガンナー)射手(シューター)は、茶野隊、諏訪、堤、木崎、烏丸、来馬、那須達が勢揃いしていた。

攻撃手(アタッカー)は、熊谷、米屋、笹森、緑川。

正面には、出水と紘太。まさに形勢逆転だ。

 

「そうか。確かに雛鳥が基地に入ってしまった以上これ以上の戦闘は無意味の様だ・・・。

だがな、玄界(ミデン)の戦士よ。一枚、私の方が上手だな」

 

すると、紘太の足が変形した。

 

「(さっき仕込んだ奴か・・・)」

「お前を捕らえさせてもらう!」

 

ハイレインは、紘太の正面に突っ込んでいく。

出水が対応するがミラの攻撃で妨害されてしまった。

他の皆もミラのワープや針で他の場所に飛ばされたり攻撃を躱す他、各隊員がバラバラにされてしまった。

そして、そのまま紘太に動物が迫ってきた。

 

「綾瀬!!」

 

皆が、逃げろといった事を叫んでいるが、紘太は・・・。

 

 

 

 

 

「・・・それを待っていた!」

「・・・何!?」

「トリガー・解除(オフ)!!」

 

紘太がそう叫ぶと換装体が解かれると同時に煙幕が現れた。

 

「目眩し・・・!」

 

ハイレインは、慌てて距離を取った。

しかし、既に紘太は、ハイレインの背後を取っていた。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

拾弐ノ型 炎舞

 

 

紘太が振り下ろした刀は、一度防いだと思われた攻撃を更に追い討ちをかけた為ハイレインの身体は、切り裂かれ、崩壊しトリオン体は、解除された。

ハイレインは、今現在何が起きているか分かっていなかった。

ミラは、ワープでハイレインの元に到着し側による。

 

「・・・一体、何をした。換装体を解いたはずなのに、何故、剣を持っている?」

「簡単な話だ。この刀は、トリオンで出来ていない。

()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「!?」」

 

ミラは、驚き、ハイレインは、しまったという表情をしていた。

 

「(奴が生身でありながらトリオン体を斬れるという事を見落としていた・・・!

  奴の策に乗せられたか、戦場で換装を解かないと思い込んでしまったか・・・!)ミラ!引き上げるぞ!!」

「了解です!」

 

そう言い(ゲート)を発生させ、逃走を図ろうとした。

 

「逃すか!!」

「やめろ!綾瀬!!」

 

深追いしようとした時、紘太の足元が突如、爆発した。

視線を向けると那須がトリオンキューブを展開していた。

肝心のハイレインは、既に逃げられていた。

 

「・・・玲さん」

 

那須は、何も言わず降りてきた。

 

「・・・これ以上の深追いはダメよ。紘太君」

「・・・分かりました」

 

紘太は、不満の表情ではあるが渋々、刀を納刀した。

すると那須は、紘太を抱きしめた。

 

「れ、玲さん・・・?///」

「・・・無事で、良かった」

 

数秒である筈なのに数時間近く抱きしめられていた感覚に陥ったが問題はそこじゃない。

なんせここには・・・。

 

 

 

 

 

「よぉ〜、お二人さ〜ん。戦闘中なのにお熱いねぇ〜」

 

「「!!?///」」

 

紘太と那須は、諏訪に揶揄われると顔を真っ赤にした。

他の隊員達もニヤニヤしながら見ていた。

一部数名は、何やら嫉妬の目で見ているが・・・。

 

『いや〜まさか玲ちゃん年下好きとは〜』

『あら、お似合いだと思うわよ?』

 

仕舞いには、オペレーターの小佐野と月見に言われる始末。

 

「・・・穴があったら入りたい」

「・・・自業自得です」

 

などとツッコミを入れる紘太だった。

突如、日の光を感じた。

視線を空に向けると黒い雲で覆っていた暗雲が消え、空が見えた。

 

「・・・ようやく晴れたか」

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
それでアンケートの内容ですが、なぜ、あの5つなのか説明させて頂きます。

1.那須隊
ヒロインがいると言うことで選びました。

2.太刀川隊
物語を進めていくうちに唯我が遠征に加わる事のない数合わせの意味合いも兼ねています。
※太刀川のストッパーもやるかも・・・

3.冬島隊
狙撃手と特殊工作員とオペレーターだけの構成で攻撃手を放り込めばいいんじゃないのかと考え選びました。

4.迅さんポジ
強さ的に言えばそうですが、紘太は、玉狛に遊びに行ってると言うこともあるので一友人としての付き合いも兼ねています。色々な人に戦い相手してもらうと言うことで色々と引っ張り出されます。

5.オペレーターと紘太だけ
これは、以前感想のコメントに書かれていましてなるほどと納得したと言う事になります。


大まかな選定候補の理由は、こちらになります。
選ぶのに悩んだら適当にポチりとして下さい。



誤字脱字ありましたら連絡下さい。
では、次回。



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第20話 大規模侵攻 終結!

今回で大規模侵攻編は、終了となります。


では、どうぞ。


ハイレインは、ミラと共に戦闘エリアからワープで遠征艇に逃げてきた。

 

「隊長!大丈夫ですか?」

「・・・ああ、問題ない」

 

ミラが心配するが、ハイレインは、内心、悔しい感情でいっぱいだった。

 

「(何なんだ奴は・・・!たった一人の小僧に戦況をひっくり返されただけでなく我々を撤退まで追いやったと言うのか・・・!)クソッ!!」

 

ハイレインは、怒りの余りテーブルに拳を叩きつける。

 

「・・・申し訳ございません。私がもっとしっかり足止めしていれば・・・」

「・・・いや、少し、頭に血が上っていた」

 

ハイレインは、幾らか冷静になれた。

 

「エネドラは死に、ヒュースを捨て、帰り道は艇が広いな!」

「俺のやり方は厭わしいか?ランバネイン」

「・・・いや、当主の命令だ。文句は言わんさ」

「・・・作戦は終了だ。本国に着くまでゆっくり休んでくれ。

()()()()が逃げられ()()も仕留め損ねた・・・。

だが、エネドラとヒュースの件も含めて()()()()()()()()()()()

玄界(ミデン)の剣士・・・。今度会った時は、必ず仕留める・・・!)」

 

 

 

 

 

場所は、ボーダー基地。

立方体(キューブ)にされた雨取がゆっくりと目を覚ました。

 

「千佳!」

「・・・ここは?」

「ボーダー基地だ。戦いが終わるまでここに居れば安全だ」

 

三雲、遊真の2人に安全だと言う事を伝えた。

紘太は、その様子を遠目で見ていた。

 

『チカは、私の分身を付けよう』

「なら俺達は、残りのトリオン兵を駆除しに行こう」

「ああ」

「分かった。千佳は、ここにいるんだ。いいな」

 

それだけ話し、3人は、その場を後にした。

 

「そう言えば、()()()は、どうするの?

換装するにもまだ時間が掛かるんでしょ?」

 

三雲は、紘太を下の名前で呼ぶ遊真に対して驚いていた。

 

「遊真。忘れたか?俺が何て呼ばれていたのかを」

「はて?何か呼ばれてたか?」

 

紘太は、不敵な笑みを浮かべてこう答えた。

 

 

 

 

 

「こっからは、アンノウンとして、大暴れしてやろうじゃねぇか」

 

遊真と三雲は、呆気に取られるが、直ぐに笑みの表情を浮かべる。

 

「だな」

「もう一踏ん張りだ。気合入れて行くぞ!」

 

「「了解!!」」

 

戦士達は、再び戦場に向かった。

 

 

 

 

 

紘太、三雲、遊真の3人は、残りのトリオン兵の排除に駆り出ていた。

 

「今だ!やれ!!」

「スラスター・オン!!」

 

三雲は、レイガストのオプショントリガーでスピードを上げてモールモッドを仕留めた。

遊真もブラックトリガーでバムスターなどを倒していた。

残り数十体のトリオン兵も、紘太に集中して迫ってきた。

 

「一撃で終わらせるか」

 

紘太は、構え、炎が燃え上がった。

 

 

全集中

 

炎の呼吸 奥義

 

 

紘太は、構えと同時に一気にトリオン兵の懐に入り込み・・・。

 

 

煉獄

 

 

振り下ろした刀が、数十体のトリオン兵に激突しそのまま吹き飛ばされそのまま撃沈した。

今度は、新たなモールモッドが出現し三雲に攻撃を仕掛けてきた。

すると、光弾がモールモッドに直撃した。

 

「今のは、誘導弾(ハウンド)?」

「貴方のことは、上から聞いていたけど本当に恐ろしい子ね」

 

すると、女性の声が聞こえて振り返るとそこには、加古と黒江の2人がこちらに来ていた。

 

「加古さんと黒江!?」

「久しぶりね、綾瀬君。ここからは私も混ぜて貰うわ」

「コウタ。この人は?」

「A級の加古さんと黒江だ」

「A級隊員・・・!」

「遅れた分、しっかり働かないとね」

 

加古は、再び誘導弾で攻撃する。

すると黒江は、紘太の隣にやってきた。

 

「黒江?」

「今度、剣を教えてくれませんか?綾瀬先輩の戦い方を参考にしたので」

 

紘太は、思わず頭をポリポリ掻く。

 

「色々と落ち着いたらな」

「・・・約束ですよ」

「なら、さっさと終わらせるぞ」

「はい!」

 

それだけ話すとお互い同時に残りのトリオン兵を排除に攻撃を仕掛ける。そして・・・。

 

 

 

 

 

ウィーーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視点は、迅とヒュースが一騎打ちをしている場面に移る。

ヒュースが出現し、遊真が対処していたが後に迅がその対処することになっていた。

そして戦闘中の最中、通信が入った。

 

『人型近界民(ネイバー)撤退。千佳ちゃんは基地に入ったって・・・。

みんな、もう大丈夫だよね?』

 「くあ〜っ・・・」

 

すると迅が、一仕事終えたかの様に地面に寝転んだ。

ヒュースは、何をしているのか分からなかった。

すると、今度は笑い出した。

 

「もう大丈夫だ。紘太も自害しないし、メガネ君も死なない。

千佳ちゃんも基地に入った。もう心配無いよ」

『・・・よ、よかった〜!』

 

宇佐美は、安心した反動で涙を流していた。

 

「これ以上の戦闘は、意味ないぞ」

「・・・!貴様・・・!(この男、最初から時間稼ぎのつもりで・・・!)」

「何か事情がありそうだな。それに、お前さんは、ここに残って正解だ。

俺のサイドエフェクトがそう言ってる。・・・投降しろ。悪いようにはしない」

 

迅は、これ以上の戦闘は無意味だと伝え、ヒュースに投降する様に示唆した。

 

 

 

 

 

「・・・終わった、のか?」

「ああ、終わったんだ」

 

遊真の言葉に三雲は、緊張が解けたのかその場に座り込んだ。

 

「大丈夫か?オサム」

「・・・ゴメン。何か緊張が解けたら力も抜けちゃった」

 

三雲は、力なく笑った。

すると、紘太は、三雲に手を差し出した。

 

「よく頑張ったな・・・。

 

 

 

 

 

修」

 

そう言われた修は、紘太の手を掴んだ。

 

「お疲れ様。紘太」

 

紘太は、そのまま修を立ち上がらせた。

その後、小南が本部に戻り、先に立方体(キューブ)にされた木虎やC級隊員も無事に解放されたと連絡が入った。

 

 

 

 

 

「こちら太刀川。近界民(ネイバー)の残党排除に成功。

俺の見た限り、C級でも連れ去られている奴はいないな」

「本部、こちら東。こっちも連れ去られたC級はいない。

立方体(キューブ)にされた隊員はいるが、皆、全員無事だ」

 

本部の人達全員は、安心した表情をしていた。

 

「はあ~~・・・。市民の重傷者もほとんど出ず連れ去られた者も0に抑えられました」

「今回の侵攻の死者は、敵以外は出ていないな」

 

すると、本部に迅から通信が入った。

 

『城戸さん。もう敵戦力の追加はないよ。東部と南部に救護班を向かわせても大丈夫だ』

「・・・迅。この結果はおまえの予知の中ではどのあたりの出来だ?」

『・・・一番と言っても良いくらいの()()()()()だ。

A級B級が捕まるパターンも、民間人が死にまくるパターンもあったけど・・・。

紘太が人型の大半を相手してくれたおかげだ。・・・皆も、本当によくやったよ」

「・・・そうか。分かった、御苦労』

 

城戸司令は、それだけ言って席を立ち、その場を後にした。

 

 

民間人 死者 0名 重傷 2名 軽傷 20名

ボーダー 死者 0名 重傷 0名 軽傷 0名

近界民(ネイバー) 死者 1名(近界民(ネイバー)の手による物) 捕虜 1名

 

 

こうして、対近界民(ネイバー)大規模侵攻 三門市防衛戦は終結した。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第3章 ランク戦前半編
第21話 取り戻した日常


大規模侵攻の後日談となります。


では、どうぞ。


大規模侵攻から一週間後。紘太は、復興している街を眺めていた。

学校等は、大規模侵攻の影響で現在は、休校。束の間の休息だ。

 

「(この前の戦いの時に、ブラックトリガー使いの死体を回収するよう頼んだけど何か進展があれば良いけど・・・)」

 

すると、紘太の携帯に着信が入った。

 

「・・・親父?」

 

紘太の電話の相手は、彼の父親だった。

 

「もしもし?」

『久しぶりだな、紘太。三門市で大規模侵攻があると聞いたが大丈夫だったのか?』

「・・・まあ、母さんから聞いたと思うけどその通りだよ」

 

紘太の父親。綾瀬直人。

紘太の実の父親で霞の呼吸を使う。

ある民間警備会社の部隊隊長をしている。

 

『そうか・・・』

「それで?何か用?ボーダー辞めて戻って来いなんて言ったら問答無用で叩き斬るけど?」

『違うよ。それに、お前が日の呼吸使ったら絶対に勝てないから。

それで、早速本題なんだが例の刀の製作の目処がたった』

「・・・今このタイミングでか」

 

直人の言う武器とは、呼吸剣技には、突き技に特化した剣技が存在しその為に刀を手配したのだが素材が少ない他、調達に時間がかかると言われていた。

大規模侵攻に備えて用意して置こうと考えていたがその前に大規模侵攻が始まってしまったのだ。

 

『余り無茶はするな』

「今更でしょ。俺が何の為にこっちに戻ってきたと思ってるの?」

『・・・そうだな。とにかく、体には気をつけろ』

 

紘太はそれだけ聞いて電話を切った。

その後、偶々街で見かけたテレビで城戸が近界(ネイバーフット)遠征の話をしている姿を見ていた。

ダイジェストで記者の内容に関して修を責めている姿を見て額に血管を浮かべていた。

 

「・・・マスゴミ共が。切り刻んでやろうか?」

 

などと物騒な言葉を告げてその場を離れた。

 

 

 

 

 

数日後。紘太は、本部長の元にやって来ていたのだが・・・。

 

「・・・鬱陶しいな、この視線」

 

紘太に何やら興味津々の目で様々な隊員に見られていた。

そんな中だった。

 

「よう!綾瀬!」

「出水さん」

 

出水が紘太に声を掛けてきた。

 

「来てたのか。ちょっとバトんね?」

「いや、今日、本部長に呼び出しされたんです」

「え?何でまた?」

「何でも論功行賞の事で話があるって」

「ああ〜・・・そういやもうそろそろか〜」

「すいません、そろそろ時間なんで」

 

紘太は、それだけ話してその場を後にした。

無事に到着し中に入ると上層部が一同揃っていた。

 

「遅くなりました」

「いや、時間通りだ。早速だが、本題に入ろう」

 

今回は、論功行賞について話だ。

今回の論功行賞はこうだ。

 

 

特級戦功 報奨金150万+1500pt

 

 

天羽月彦 新型(ラービット)撃破数 1

 

太刀川慶 新型(ラービット)撃破数 11

 

綾瀬紘太 新型(ラービット)撃破数 5

 

 

なのだが・・・。

 

「君の働きは、それに納めるには些か足りないと思いその倍を用意した」

 

つまり、紘太は、300万と3000ptが報酬として出される。

 

「では、次は、一級戦功に入ろう」

 

 

一級戦功 報奨金80万+800pt

 

空閑遊真 新型(ラービット)撃破数 4

 

風間隊 新型(ラービット)撃破数 4

 

迅悠一

 

小南桐絵 新型(ラービット)撃破数 3

 

嵐山隊(木虎の単独含む) 新型(ラービット)撃破数 5

 

 

二級戦功 30万+350pt

 

 

木崎レイジ

 

烏丸京介

 

 

米屋、出水、緑川、東のA、B級合同となる

 

 

以上となった。

紘太は、一通り話を聞き少し思案する。

 

「城戸司令。一つ提案があります」

「何だね?」

「玉狛支部に所属している雨取隊員に私の3000ptを譲渡することはできますか?」

「・・・理由を聞こう」

「今回の敵の狙いは、C級隊員でしたが、雨取隊員一人が重点的に狙われました。

狙われた理由は・・・」

「・・・彼女に内包している莫大なトリオン量だな」

 

紘太は、城戸の言葉に頷いた。

 

緊急脱出(ベイルアウト)機能を持っていない訓練用のトリガーでは、彼女を守れません。

彼女一人になった時に、いつでも戦えるようにする事と逃走出来る様にした方がいいです」

「そうだな!彼女のトリオン量は、貴重じゃ!」

「私も同意見だ。紘太君がいいのなら3000ptは、彼女に与えることにしよう」

「・・・分かった。その件を了承しよう」

 

紘太は、その話の後、鬼怒田と共に開発室に向かう事になったが・・・。

 

「紘太君」

「・・・本部長?」

「ありがとう」

「・・・俺は、ここの一隊員。任務を遂行しただけです」

 

紘太は、それだけ話してその場を後にした。

 

 

 

 

 

場所は変わり、開発室。

そこには、鬼怒田、紘太、そしてエンジニアの寺島雷蔵がいた。

 

「羅刹どうだった?」

「問題なく起動しました。

後、結構理想に近い動き出来るとなると全然違いますね」

「なら、頑張って作った甲斐あったよ。

弧月使っている姿を見た時、アクション映画の現場を見ているみたいな動きだったからね。

久々に本気で作ったよ」

 

寺島は、趣味が映画を見る事で忍田本部長が羅刹の製作依頼が来た時は驚いた事と戦闘データを見ていた時に興奮のあまりかなり気合を入れて作ったと鬼怒田は、そう述べていた。

 

「じゃあ、届くのはまだ先なんだね?」

「はい。大規模侵攻の時に間に合えばよかったんですけどね・・・。

何か色々手間取っているみたいで」

 

父親と話していた新たな武器も羅刹で使えるようにして欲しいように依頼はしている。

しかし、羅刹は、紘太の戦闘データが入っている為、容量に問題があるのだ。

その為、普通のトリガーとは別で定期的なメンテナンスを行わないといけないのだ。

 

「じゃあ、後は、よろしくお願いします」

「うん、また遊びに来てね」

 

紘太は、その日は、特に用事もなく帰宅するのだった。

 

 

 

 

 

翌日。紘太は、ある人に会いに行っていた。それは・・・。

 

「お疲れ様です。綾瀬先輩」

「すまないね。約束したのに1週間以上経ってしまって」

「いえ、事情は聞いていたので気にしないで下さい」

 

紘太が会いに来たのは黒江だった。

大規模侵攻の時に、剣を教えて欲しいと頼まれていたのだが羅刹のメンテナンスや報告書や、各々の学校等で時間をとる事ができなかったのだ。

そして、ようやく時間を作る事が出来たのだ。

 

「早速だけど、まず黒江がどんな闘い方をするのか分からないからまず一勝負と行こうか」

「分かりました」

 

そして、早速ランク戦のブースで模擬戦を行う事になった。

 

 

 

 

 

 

「さて、一先ず闘い方としては、戦術面に関しては、今はいいや。チーム戦に関しては、専門外だから省くよ。

問題は、1人の時だな・・・」

 

紘太と黒江は、戦った後のログを見ながら先程の戦闘を確認していた。

 

「しかし、『韋駄天』か・・・。面白いオプショントリガーだな」

「これでもまだ試作品だそうですよ」

「マジ?完成形も見てみたい物だな・・・」

 

紘太は、韋駄天に興味を抱き簡単ではあるがこれ以上は脱線してしまうので紘太自身が打ち切った。

 

「まずは、弧月を振っている時の力が足りないな」

「力ですか?トリオン体になっているから気にしなくていいと思いますけど・・・」

「確かにそれはそうだけど、知っての通りトリオン体に換装すれば気にしなくていいけどその土台が重要になる。

まずは、単純な握力を鍛えてからだな。それとペラ剣を真っ直ぐ振れるようにする事だな」

「ペラ剣ですか?」

「剣を真っ直ぐに振れる事は、敵を素早く倒す事が出来るようになる。

場合によっては、力の入れ方によっては、新型の装甲を斬れる程の腕をあげる事ができるし剣を振る速度をあげる事ができれば敵のリズムを崩して攻撃を仕掛けやすく出来るからね。

これはやって損はない。それでトリオン体としての闘い方は、そっちの方が詳しいと思うから色々と試してみないとだね。

戦術に関しては、どう立ち回りたいかは、その都度だね」

 

黒江は、素直に頷いた。

 

「急がば回れ。焦らずしっかりやろう。

色々と不安になると思うけど、その時その時しっかり教えるよ」

「・・・今後とも、ご指導よろしくお願いします」

 

黒江は、しっかりと挨拶をしこの日は解散となった。

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「所で紘太先輩は、どんな修行をしていたんですか?」

「・・・色々と端折ると、5回の臨死体験の賜物」

「・・・聞かなかった事にしていいですか?」

「・・・そうしてくれ」

 

その後、2人は下の名前で呼ぶようになり師弟関係を結んだ。

因みに、その事がボーダーに知れ渡り、揶揄ってくる隊員がいたり、那須が嫉妬の目で見てきて宥めるなどの忙しさで疲労困憊になる未来を見た迅は、合掌し修と遊真は、紘太の表情を見てギョッとしながらも心配された。

双葉は、加古に揶揄われるのだったとか・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
一応、双葉が弟子になったのは単純に紘太の剣を見てこの人の闘い方を学びたい純粋な思いからです。
ヒロイン候補という訳ではないので悪しからず。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第22話 呼吸VS呼吸

最新話となります。
アンケートももう少しで終了となります。
ご了承下さい。


では、どうぞ。


黒江を弟子にして早数日。

無事に再開した学校が終了し、紘太は、一足先に玉狛支部に来ていた。

 

「色々とありがとうな、紘太。お前のボーナスptを千佳ちゃんに献上させてもらってな」

「いや、寧ろいい機会ですよ。千佳ちゃんの身の安全確保もできますから」

 

林藤と玉狛の支部長室で話しているとドアノックが鳴った。

ドアが開くと修達が来ていた。

 

「紘太?」

「ヤッホ。勢揃いだな」

「どうしてここに?」

「今回は、千佳ちゃんについてだ」

 

紘太と林藤は、説明を開始する。

 

「まず、今回呼んだ理由なんだが、千佳ちゃんをB級に上げようと思う」

「え?千佳を?」

「どうして?」

「紘太が城戸司令に打診したんだ。紘太のボーナス3000ptを千佳ちゃんに譲渡してくれって」

「え!?」

「そんな事が可能なんですか?」

「普通は、無理だな。それで今回の大規模侵攻で千佳が異様に狙われた事を危惧した事の処置だな」

『確かにチカのトリオン量は、どこの国でも欲しがる位だ。緊急脱出(ベイルアウト)機能を持たせた方が安全性も増す』

「レプリカ先生の言う通りだ。しかも鬼怒田さんが紘太の意見に賛同してくれてな」

「本部長も同じような話をしていてね、今回来たのはその話をする事だ。

流石に学校で話すのもどうかと思った改めて玉狛で話そうと思ったんだ」

「ありがとうございます。紘太さん」

 

一先ず、雨取のB級昇格の目処はたった。残るは・・・。

 

「さて。話は変わるが、近々B級ランク戦が始まるんだが・・・。お前達、オペレーターはどうするんだ?」

「あ、そう言えばそうだった・・・」

「実は、凄腕のオペレーターに宛があるんだが、会ってみるか?」

「是非お願いします!」

 

そんな話をしている中だった。

急にドアがバタンと開いた。

 

「凄腕オペレーターです!!」

「宇佐美先輩!?」

「栞さん!」

「ほぉ〜」

「何何〜?私じゃ不満?」

「いや、そんな事ありません!!」

「宇佐美さん、玉狛第一のオペレーターのはずでは?」

「大丈夫!小南たちには、了承してあるから!」

 

眼鏡をキラリと光らせてサムズアップをする。

こうして、玉狛第二・三雲隊が無事に結成された。

 

「あ、そういや紘太は、ランク戦出ないのか?

お前一人とオペレーターだけって言う選択肢もあるが?」

「まだ少し時間があるのでギリギリまで考えます。

それで、林藤さん。例の話ですが・・・」

「安心しろ。問題なく使えるぞ」

「そうですか。はあ・・・」

「コウタ。どうかしたのか?」

「・・・大規模侵攻の時に人型3人相手にしたからちょっとしたお仕置きだとさ」

「お仕置き?」

「ってそうだ、紘太!何無茶しているんだよ!!」

「今更すぎだろ、修!?」

 

遊真曰く、修の面倒見の鬼が露わになり紘太もびっくりするしか無かった。

 

「でも、この後に何かあるんだろ?」

「まあ、お前達も見ていけ。かなりレアな物が見れるぞ」

 

「「「???」」」

 

修、遊真、千佳、そして宇佐美の4人は、頭を?にしていた。

すると、ドタドタしながら誰かがこちらに来た。

バタン!と勢いよく入って来たのは小南だった。

 

「ちちちち、ちょっとどういうことよ!?」

「小南?どうかしたの?」

「どうしたもこうしたもないわよ!!何で・・・」

 

すると、小南の後ろに誰かが歩いてきた。

その姿を確認した修と宇佐美は、驚愕の表情を浮かべていた。

遊真も意外という表情をしていた。

千佳も?を浮かべていた。そして、その相手とは・・・。

 

 

 

 

 

「すまないな、林藤さん。時間と場所を用意して貰って」

「いやいや。今回の紘太は、流石に俺も思う事はあったからな。

思う存分しごいてやって下さいな。

 

 

 

 

 

忍田本部長」

 

そう、中に入って来たのは忍田本部長だった。

 

「ほ、本部長がどうしてここに?」

「何、弟弟子が無茶をしたから、そのお仕置きに来たんだ」

 

本部長の威圧の先にいたのは紘太だった。

その肝心の紘太は、冷や汗をダラダラ掻いていた。

 

「人型3人を1人で相手していたからな・・・。全く、とんでもない無茶をしてくれた物だ。

同じ門下生として、少しお仕置きしなければと思ってな・・・」

 

忍田の思いがけない提案に皆がついて行けてない。

そんな中、修は、オドオドと手を上げた。

 

「あの、紘太と本部長のご関係は・・・?弟弟子と仰っていましたが・・・」

「そうか、君たちは知らなかったのか。なら、話しておこう。

まだ、ボーダーが設立されていなかった時代、私は、剣の腕を磨く為にある人物の元で修行をしていた」

「その人が俺のお爺ちゃん。鱗滝幸之助」

「綾瀬のお爺ちゃんが忍田さんの師匠・・・!?」

「うわ〜・・・思いがけない情報が出てきて混乱する・・・」

「だから爺ちゃんの元で剣を学んでいた時は、俺からしてみれば兄弟子って言えばいいのかな」

 

などと頬を掻く紘太。

 

「通りで強い訳だわ・・・。アンタ・・・」

 

紘太の強さの秘密が全集中の呼吸だけでなく本部長と共に剣を学んだという事を考えるとその強さは、納得する物がある。

 

「さて、時間が惜しい。林藤さん、訓練室を借りるぞ」

「了解した。宇佐美、訓練室の準備をしてやってくれ」

「は、はい!」

 

宇佐美は、慌てて訓練室に向かい準備をする。

本部長と紘太も模擬戦の準備をする。

そして、この場に残った遊真、修、千佳、小南の4人はというと・・・。

 

「・・・なんかどっと疲れたわね」

「・・・ですね」

「模擬戦をするのか。本部長がどんな戦いをするのか楽しみだな」

「アハハ・・・」

 

ウキウキの遊真を横目に千佳は、状況がうまく飲み込めず苦笑いを浮かべるしか無かった。

 

 

 

 

 

紘太と本部長は、玉狛の訓練室でトリガーを展開し対面していた。

後から来た烏丸、木崎、迅の3人もこの対戦カードは、驚かざるを得なかった。

 

「お前の予知でも見えなかったのか?」

「うっすらだけど見えてたけど、正直、意外だったな〜・・・。

城戸さんも紘太の扱いには、少し頭を抱える未来がちょこちょこ見えてたし」

 

迅の苦笑いを他所に紘太と本部長は、お互いに弧月を抜刀し戦闘を開始した。

その戦いは、最早常人では、捉える事が出来ない程早く、鋭い物だった。

 

「・・・凄い」

「本部長は、ノーマルトリガー最強の男だ。

紘太以外なら、まず絶対に勝てないだろう」

「流石、本部長と言ったところね・・・」

 

小南達は、この戦闘を見ながら息を呑んでいた。

 

 

 

 

 

場面は、紘太と本部長に移り変わる。

お互いの弧月で斬り下ろすが、お互いの手の内を知っている者同士な為か攻め手に欠ける。

 

「・・・腕を上げたな!紘太君」

「真史さんこそ、鍛練は、欠かさずやってたみたいだね!」

 

鍔迫り合いに持ち込んだがそれでも互いに攻めきれないでいた。

本部長は、そのまま紘太の剣を切り払い、一度距離を取った。

 

「私も、少々本気で行こう!」

 

すると今度は、本部長が()()()()()()()()()()()をする。

 

「あの構えは!?」

「本部長、まさか!」

 

修と烏丸は、思わず声を出した。そして・・・。

 

 

全集中 炎の呼吸

 

壱ノ型 不知火

 

 

振り下ろした剣は、紘太に目掛けて振り下ろされたが紘太は、ギリギリの所で回避し頬を僅かに切り裂かれた程度だった。

 

「今のは!?」

「紘太が使っていた呼吸剣術!!」

「おかしな事ではないだろう。

同じ道場で学んでいたのなら使えてもおかしくない」

 

小南と修が驚く中、木崎の冷静な分析で皆が落ち着いた。

一方の紘太は、バックステップで一度距離を取り、紘太も反撃をする。

 

 

全集中 水の呼吸

 

漆ノ型 雫波紋突き

 

 

高速の突き技で反撃をするが本部長は、それを流れるかのように攻撃を躱す。

 

 

全集中 炎の呼吸

 

伍ノ型 炎虎

 

 

本部長の攻撃が迫る中、紘太は、ジャンプし回避をすると・・・。

 

 

全集中 日の呼吸

 

漆ノ型 斜陽転進

 

 

そのまま攻撃を仕掛けて本部長の右肩に切り傷を入れた。

 

「・・・本部長が攻撃を受けた!」

「かなりトリオンを流出させたな。恐らく、次の一撃で決まるな・・・」

 

木崎の推測通り、お互いに構え大技を繰り出そうとしていた。

 

「この一撃で」

「決着をつけましょう」

 

2人は、お互いに構えた。

 

 

全集中 炎の呼吸 奥義

 

 

全集中 日の呼吸 陸ノ型

 

 

お互い、同時に駆け出した。

 

 

煉獄!!

日雲の龍・頭舞い!!

 

ザシュッ!!と切り裂かれた音が聞こえた。

数秒お互いに動かず、沈黙が続いた。そして、先に体が崩壊したのは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・見事」

 

『トリオン漏出過多、本部長ダウン!』

 

勝負は、紘太の勝ちとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、仕事があるのでそのまま身支度を整えた後、そのまま本部へと戻って行ったのだが・・・。

何故か、お通夜状態だった。*1

 

「えっと・・・。これは・・・?」

「アハハ、みんな目の前の現実を受け入れるのに時間が掛かってるんだろう」

 

そう笑いながら林藤は、笑いながら解釈する。

 

「いや、ボスも見たでしょ。こちらにも伝わってくる緊張感」

「まあな。久々に見たよ。本部長が全力で闘う所をな」

「俺としては、日常茶飯事でしたよ?」

 

すると、修は、意を決したように感じた。

 

「紘太」

「修?」

「僕達のチームに入ってくれないか?」

 

「「「!?」」」

 

思いがけない提案に皆が驚いた。

 

「修、残念だがそれは無理なんだ」

「林藤支部長?」

「どういう事なの?本部から移転しちゃダメなの?」

「紘太がアンノウンとして活動している時に迅が風刃を手放す際に紘太も本部所属を条件と出されてしまってな・・・」

「つまり、お偉いさん達が何も言わない限りコウタは、異動出来ないの?」

「そうだな。これに関しては、俺でも何も出来ないな・・・」

「そう、ですか・・・」

「心配するな、修」

 

紘太は、励ますように声を掛ける。

 

「紘太・・・」

「異動はダメだが、遊びに来るなとは言われていない。

普段通りに接してくれれば助かる。勿論、お前達も扱いてやる」

「ほ、程々に・・・」

 

紘太の勧誘は、失敗したがそれでも普段通りに接する事にある種の安心を覚える修達だった。

 

 

 

*1
特に玉狛第一のメンバーが




忍田さんを出した理由としては、元々原作やアニメ本編では、エネドラと交戦していましたが紘太一人で全て相手をしてしまったので出番がなくなってしまいました。
どうせなら出番を出そうと言う事で今回の話を作りました。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第23話 玉狛第二ランク戦開始!

最新話になります。
アンケート結果は、後書きに記載しますので最後までご覧ください。


では、どうぞ。


紘太と本部長が模擬戦をして早数日。

千佳は、無事に昇格し専用のトリガーを受け取った。

遊真は、後数回ランク戦をすればB級昇格となる為、本部でランク戦をしていた。

そして、いよいよランク戦Round1の試合当日となった。

 

「いよいよだね〜」

「似合ってるな。お揃いの隊服」

「ありがとう」

「よし、行ってこい!」

 

「「「うん!/おう!/はい!」」」

 

修、遊真、千佳達は、宇佐美と共にランク戦の控え室に向かった。

すると、こちらに歩いてくる人物に気づいた紘太。

 

「・・・城戸司令」

「・・・綾瀬君か」

 

こうして邂逅するのは、紘太がアンノウンとして認識されている時以来だった。

 

「君は、ランク戦に参加しなくていいのかね?」

「今は、修達を鍛える事に専念しているだけです。

今すぐとは言いませんが、俺も部隊を持とうと考えています」

「そうか・・・。彼等に伝えておいてくれ。

部隊結成おめでとうと君達の目標が達成出来るよう励みたまえと」

 

城戸司令は、それだけ話してその場を去った。

 

「・・・素直じゃないって言えばいいのかな。この場合は」

 

紘太もそれだけ呟きランク戦の観戦ブースに向かった。

 

 

 

 

 

場所は変わりランク戦の観戦ブース。

そこには、C級隊員が巨大モニターでランク戦の様子を見ていた。

そして紘太が中に入ると皆が紘太に注目した。

 

「おい、アイツだ。この前の大規模侵攻で日本刀でトリオン兵を斬ってた奴」

「マジ?トリオン兵ってトリガーじゃ無いと倒せないんだろ?」

「なんかちょっとカッコいいかも」

 

紘太は、そんなヤジに目もくれずある人物を探していた。それは・・・。

 

「佐鳥さん。お疲れ様です」

「来たな、綾瀬!!ここに座って」

 

佐鳥に促される形でその隣に座る紘太。

すると1人の少女がこちらに顔を出してきた。

 

「綾瀬隊員ですよね?」

「そうですが貴方は?」

「私、海老名隊のオペレーターの武富桜子と言います。

ランク戦の実況・解説をさせていただきます」

「よろしくお願いします。と言うより、何でまた解説を?」

「上層部にボーダー全体の練度をアップする場ということで私がプレゼンした結果このようになりました」

「え?武富さんがこれ導入したの?」

「正確には、プレゼンをしたということだけですけどね」

 

まさかの話で紘太は、驚くことしかできなかった。

 

「と言っても具体的には何をすれば?」

「このヘッドホンをつけて下さい。

これで戦闘状態がクリアに聞こえて、このロビーに自分の声が響くようになっています」

「へぇ〜・・・」

「もう少しで始まるのでそれを付けててお待ちを」

 

紘太は、言われた通りヘッドホンを装着しランク戦開始まで待つ。

 

〔ボーダーのみなさんこんばんは!海老名隊オペレーターの武富 桜子です!

B級ランク戦新シーズン開幕!初日・夜の部を実況していきます!本日の解説は、『オレのツイン狙撃(スナイプ)は見た?』

でお馴染みのおなじみ!嵐山隊の佐鳥先輩!〕

〔どーもどーも!〕

〔そしてもう一人は、先日の大規模侵攻で特級戦功を出したB級ソロ隊員、綾瀬隊員〕

〔よろしくお願いします〕

〔今回はこのお二方と解説をしていきたいと思います!

さて、初日という事で佐鳥先輩。簡単にB級ランク戦の説明をお願いします!〕

〔OK、桜子ちゃん!B級って上位、中位、下位って三つにグループ分けされてんのね。今、21部隊(チーム)あるからちょうど7部隊(チーム)ずつ。

そんでグループん中で三つ巴・四つ巴のチーム戦をやってバリバリと点を取り会うわけ〕

〔他の部隊の隊員を倒せば一人に付き1点。最後まで生き残った部隊(チーム)にはボーナス2点。これだけ!

点を取って順位を上げて、上のグループを目指せ!B級の1位と2位はA級への挑戦権がもらえる!がんばれ!おわり!〕

〔佐鳥先輩ありがとうございます!

更に一つだけ補足させていただくと前シーズン上位だった部隊には順位に応じて初期ボーナスが付きますのでその分有利がありますね!〕

〔それそれ!〕

「(・・・そんなシステムもあるのか)」

 

と、関心しながら見ている紘太だった。

 

〔さあ、いよいよランク戦の開始だ!

吉里隊、間宮隊、玉狛第二、転送完了!すでに戦いは始まっている!〕

 

武富の言う通りモニターには、修達が転送されている事が確認した。

 

〔さて、早速ですが、初解説の綾瀬隊員ですが、注目しているチームはありますか?〕

〔やはり今季デビューした、玉狛第二ですね。

彼等がどんな戦いをしてくれるのか楽しみです(それに2チームのログを見たけど条件さえ揃えば簡単に撃破出来る)〕

 

 

 

 

 

場所は、ランク戦の戦闘エリア。

遊真と修は、吉里隊を発見し攻撃を仕掛けた。

と言っても遊真が前衛2人を倒し最後の一人は、修が隙をついてレイガストで最後の1人を仕留めた。

 

〔は、早!?吉里隊、あっという間に全滅!?

と言うより三雲隊員は、どこから現れた!?〕

〔市街地Aは、比較的に建物が多いから隠れる場所が多い。

バッグワームでレーダーでバレない様にして奇襲を狙ったみたいですね。

(アイツ、教えた事をしっかり吸収して自分の物にしているな・・・)〕

〔なるほど・・・。さあ、残ったのは、玉狛第二と間宮隊の二チーム!

間宮隊は、ここから巻き返しなるか!!〕

 

紘太は、冷静に状況を分析し解説した。

残るは、間宮隊だけとなった。

 

 

「アイツ、緑川に勝って噂になってたやつだぞ」

「あのメガネは、風間先輩と引き分けたって」

「まともに当たるのは良くないね」

 

間宮隊は、修達をマークしたのだが以前動かないでいた。

 

〔・・・っと動かない!間宮隊建物に身を隠して動かない!〕

〔これは()()っすね〕

〔待ち?〕

〔寄ってきた所を全員の弾で削り倒す感じじゃないすか?〕

〔・・・へぇ、全員射手(シューター)の部隊か。

待ち伏せして一気に仕留めるのを狙ってるみたいですね〕

 

紘太は、手元の資料を改めて見直していて間宮隊の特徴を見ていた。

 

〔さあ、綾瀬隊員がお話しした通り間宮隊は、全員が射手(シューター)

3人同時の両攻撃(フルアタック)が決まれば超強力!これは迂闊に手は出せないか・・・!?〕

〔武富さん、玉狛第二には、まだ使っていない札がありますよ〕

〔それは、どう言う事でしょうか?〕

〔今に分かります〕

 

紘太の言葉に疑問を抱きながらモニターを見る武富。そして・・・。

 

「千佳ちゃん。あの建物を撃ってくれる?」

「・・・はい!」

 

宇佐美の指示を了承すると千佳は、アイビスの引き金を引いた。

そして、狙った建物が木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

〔どああ!!!???〕

〔デカイの出たー!!!〕

 

千佳の撃った弾丸に驚く一同。

その後、奇襲してきた遊真の手により敵を殲滅したのだった。

 

〔し、衝撃の決着・・・。狙撃手(スナイパー)雨取隊員がアイビスで障害物を粉砕!

・・・というか、威力がおかしいぞ!!??〕

 

紘太は、そりゃそうだろうと当然な表情で見ていた。

 

〔生存点の2点を含めて一挙8得点!強い!強いぞこのチーム!!この一戦で暫定順位は12位まで急上昇!

早くも中位グループに食い込んだ!この勢いでどこまで行けるか玉狛第二!えぇ、水曜日に当たる第2戦の相手は・・・〕

 

武富は、手元のディスプレイで感心した声を上げた。

 

〔暫定順位10位荒船隊!そして同じく8位の諏訪隊!これは中々の好カード!

B級に現れた期待の新星、次回も注目です!〕

 

こうして、玉狛第二のランク戦の火蓋が切って落とされた。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
アンケート結果ですが、紘太は、迅ポジで支援したりする形にしました。
と言っても日常回には、出せるだけ出します。
一応、感想でもランク戦に出した方がいいんじゃ無いかという意見もありましたが紘太の強さ的な意味では、この方がいいだろうという事でこの様な形にしました。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第24話 修の苦悩

最新話となります。


では、どうぞ。


ランク戦Round1を完全勝利という形で収めた修達。

そしてその数日後、玉狛支部小さな祝賀会をしていた。

 

「しょくん!よく頑張った!先輩としても鼻が高いぞ!」

「早速、俺が教えた事を活かしていたな」

「そうだな。修の動きも大分変わり始めてきたな」

「ありがとうございます」

「でも、油断は禁物よ。

アンタ達が蹴散らした下位グループとは違って次に戦うB級中位グループはそこそこまあまあよ。

部隊ごとに戦術があってちゃんと戦いになってるわ」

「・・・そこそこまあまあ?」

「ふむ。じゃあ上位グループは?」

「上位グループはかなりまあまあ。どの隊にもA級レベルのエースがいるわ。

A級にいたことある隊もあるし名実ともにA級予備軍ね」

「・・・じゃあA級は?」

「A級は・・・。全力でまあまあね」

「まあまあしかいないじゃん」

「つか、自分もA級だからまあまあって評価になるんじゃ・・・」

「余計な事を言わなくていいわよ、紘太!!」

 

紘太のセリフが癇に障ったのかヘッドロックを仕掛けるのだが紘太は、それを難なく躱す。

そして、小南が息切れしている中、紘太が話す。

 

「でも、小南さんのいう通り修達が次戦う荒船隊や諏訪隊は、遊真程じゃないけど腕は立つ。

だからしっかり戦術を練らないとやられるぞ」

「コウタは、戦ったことあるの?」

「荒船さんと堤さんは、変則の即席チームで1回だけ。

だから俺から何か聞き出そうとするのは、あまり期待はできないぞ」

「ふむ、それは残念。それでその2チームは、どんなチームなの?」

「諏訪隊は・・・」

「京介」

 

すると、木崎が待ったをかけた。

 

「なんでもかんでも教えるな。自分たちで調べさせろ」

「レイジさん・・・」

「作戦室に過去のランク戦のデータがある。宇佐美が来るまで見ておけ」

 

「「はい!」」

 

「了解」

 

木崎にそう言われると3人は、ログを見に部屋を出た。

 

「・・・ちょっと厳しく無いですか?」

「情報収集も立派な訓練だ。

アイツらの戦いは、もう始まっている」

「まあ、なる様になるでしょう」

『コウタの言う通り、オサム達なら大丈夫だろう』

 

レプリカも紘太の言い分に賛同し、紘太は、ソファーから立ち上がる。

 

「もう行くのか?」

「はい。今日は、玲さんの訓練の付き合いもありますので」

「そう言えば、那須さんと仲がいいと聞いているが?」

「と言っても本部で話をするくらいですよ?あ、いけね。そろそろ時間なんで行きます」

「そうか、また来いよ」

「偶には、飯でも食べに来い」

「はーい!」

 

そうして紘太は、玉狛支部を後にした。

 

 

 

 

 

場所は変わり、本部の那須隊室。そこの訓練室で紘太と那須が戦っていた。

変化弾(バイパー)で攻撃を仕掛けるが紘太は、それにそそくさと対応し全てを躱し懐に入り込み那須を切り裂いた。

 

「相変わらず強いな・・・」

「あぅ・・・。全く当たりませんでした・・・」

 

熊谷は、紘太の強さに苦笑いを浮かべ日浦は、がくりと項垂れていた。

2人の戦闘が終了し訓練室から出てきて一休みする事になった。

そして那須は、紘太にある事を尋ねる。

 

「ねぇ、紘太君。素朴な疑問なんだけどどうやってその剣術を覚えたの?」

「どうとは?」

「ボーダーで言うと仮想訓練室で反復練習したりトリオン兵を出して実践的に戦える様にしたりしてるけど紘太君の場合は、どうなんだろうって」

「そう言う事ですね。と言っても特に特別な事はしてませんよ」

「そうなの?」

「はい、ただ三途の川を何回か渡る手前にはなった事はありますけど」

 

「「「・・・えっ?」」」

 

紘太は、玉狛で話をした事をそのまま話した。

 

「「「・・・・・・」」」

 

その結果、青ざめて引いてしまった。

 

「いや、引く事ないでしょう」

 

「「「それは無理」」」

 

「仲がよろしいことで・・・」

 

紘太は、彼女達のシンクロ率に思わず苦笑いを浮かべた。

 

「このことを知っているのは?」

「玉狛の人達と本部長と、後、三途の川を渡りかけたって言う点では、双葉が知ってます」

「え!?本部長も知ってるの?!」

「本部長の師匠は、俺の爺ちゃんなんだよ。

俺も爺ちゃんから剣を習っていたから俺は、本部長にとっては弟弟子って事になるな」

「・・・アンタの交友関係凄いな」

 

熊谷は、思わず引き攣った顔をしていた。

 

「あ、それとまだ時間ありますか?羅刹のデータ取りを頼まれていたので」

「いいわよ。頼んでいる身だからそれくらい全然良いよ」

 

すると那須は、立ち上がろうとした時、身体がふらついた。

それを紘太が受け止めた。

 

「大丈夫ですか?」

「・・・うん///」

 

那須は、思わず頬を赤くした。

すると、パシャリとシャッター音がなった音が聞こえた。

 

「「え?」」

 

振り返ると熊谷が、携帯を取り出しカメラアプリを起動した。

高画質のフルサイズでこの記録を鮮明に写していた。

日浦は、隣でキラキラした目で見ていた。

 

「く、くまちゃん?」

「いや〜いいもの見せて貰ったよ」

「ちょっとくまちゃん!!」

 

顔を赤くしながら画像を消すように言う那須だが親友の見た事のない表情のあまり揶揄う熊谷だった。

紘太も若干だが顔を赤くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。玉狛支部で修の様子を見にきた紘太。

学校でもランク戦の作戦を考えていたみたいだが何やら行き詰まっている様だった。

 

「ダメだ!選択肢が多すぎます!!!」

 

修の魂の叫びと言える声が部屋のドア前まで聞こえた。

 

「お邪魔しま〜す」

「あ、いらっしゃい、紘太君」

「アンタもよく来るわね〜」

「学校でも行き詰まってたみたいだったので様子を見に来たんです。

案の定、予想どおりになりましたけど」

「こ、紘太・・・」

「偶には息抜きで外にでも出てみたらどうだ?

閉じこもっていても何も変わらんぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うことで、修、遊真、千佳、紘太の4人は、自転車でサイクリングに洒落込もうと言うことで外に出た。

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

4人は、自転車に乗り近くの公園まで出かけた。

 

「そう言えば、遊真君。自転車乗れる様になったんだね」

「コツさえ掴めば簡単だからな。スピードの上げ方も!」

 

そういい遊真は、自転車のスピードを上げた。

 

「あ、こら空閑!スピード出し過ぎるな!」

「分かってるよ!」

 

そんなこんなでとある公園で休憩する。

 

「いい気分転換になったか?」

「と言っても、こんなことをしていい作戦が思いつく訳・・・」

「お前達、何している?」

 

突如、知っている人の声に呼ばれた様に感じ振り返ると烏丸さんが何やら荷物を持っていた。

 

「烏丸先輩」

「ちょっとガス抜きです。烏丸さんは?」

「さっきバイトが終わったんだ。

店長が差し入れくれたからみんなで食べようと思ってな」

「そう言えば、小南先輩が昼食を作ってましたよ」

「今回は、ハヤシライスに挑戦していたよ。

カレーだけどカレーじゃない。大変美味しかったですぞ」

 

すると烏丸は、手元にある寿司を見て数秒悩み・・・。

 

 

 

 

 

紘太達に渡した。

 

「じゃあな」

 

それだけ伝えて烏丸は、その場を去った。

 

「本当に俺達だけで食べていいのか?」

「・・・せっかくだし食べよっか」

「だね」

 

と言う事で、烏丸から頂いた差し入れを食べる事になった一同。

遊真は、興味津々で寿司を見ていた。

 

「・・・ふむ。みた事のない形状だ。上に乗ってるのは魚か?」

 

そして寿司を一つ食べた。

すると、わさびの辛さに当たったのか悶絶していた。

千佳がわさびについて説明すると遊真は、何やらハマりそうな顔をしていた。

 

「わさびでツーンか・・・」

「修?流石にそれでヒント浮かぶと言うのは難しいと思うぞ・・・」

「あ、えと、それもそうか・・・」

「フッ・・・」

「ハハッ・・・」

 

紘太と千佳の笑い声が皮切りに皆が笑い出すのだった。

そして、ある程度スッキリしたのか修は、改めて作戦を練るのだった。

 

 

 

そして、いよいよランク戦当日となった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
それと、皆様のおかげでお気に入り800件を超えました。
今後ともよろしくお願いします。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第25話 諏訪隊VS荒船隊VS玉狛第二

最新話となります。


では、どうぞ。


遂に始まるB級ランク戦Round2。

紘太は、解説付きで見てみたいと言う事で観戦ブースにいた。

そんな時だった。

 

「紘太先輩」

 

振り返ると双葉が制服姿できていた。

 

「おぉ、双葉」

「隣いいですか?」

「いいぞ。今、学校帰りか?」

「はい。先輩の同級生が出ると聞いたので気になって見に来ました」

「なるほどね。なら、見ておいた方がいい。

戦いは、力だけじゃなく頭も必要になるからな」

 

そして、遂に時間となった。

 

〔B級ランク戦新シーズン!2日目・夜の部がまもなく始まります!

実況は本日もスケジュールがうまいこと空いた、わたくし武富桜子!

解説席には先日の大規模侵攻で二級戦功をあげられた東隊の東隊長と・・・〕

〔どうぞよろしく〕

〔草壁隊・緑川くんにお越しいただいています!〕

〔どうもっす〕

〔今回の注目は、何と言っても前回完全試合で8点をあげた玉狛第二!

注目度の高さからか会場にもちらほらと非番のA級の姿が見られます〕

 

紘太は、それに気づいてなかったのか周囲を見回すと米屋、古寺、嵐山、時枝、木虎と言ったA級隊員を見かけた。

 

「嵐山さんも見に来ていたのか・・・」

「意外ですか?」

「見るとは、思っていたけどログとかで見てると思った。正直、忙しいイメージしかないからな・・・」

「確かに、広報部隊となると忙しそうですもんね・・・」

 

そんな話をしていると武富が話を進めた。

 

〔さて東さん。一試合で8点というのはあまりお目にかかれませんが・・・〕

〔いやすごいですね。それだけ玉狛第二が新人離れしてるってことでしょう〕

〔遊真先輩は強いよ。あっという間にB級に上がってったし〕

〔緑川君は、玉狛の空閑隊員と個人で戦ったという噂が・・・〕

〔うわ、その話ここでする?〕

 

本人は、少し苦笑いらしき声を上げた。

 

〔8-2で負けました。ボッコボコでした!でも今度また10本勝負する約束したから。次は勝つよ!〕

 

本人の口から負けたと言われ、観戦ブースがどよめいた。

 

「駿が負けたんですか?8-2で」

「ああ。最初の2本だけ取られたな。つか、緑川と知り合いなのか?」

「はい、幼馴染です」

「なるほど。そうだったのか・・・」

 

そして、改めて武富が進行をする。

 

〔さて!玉狛第二の今日の相手は、接近戦の諏訪隊に長距離戦の荒船隊。戦法が明確な部隊です!〕

〔順位が低い玉狛第二はステージ選択権があるので、まずは地形で有利を取りたいところですね〕

 

紘太は、そのことが気になり黒江に問いかける。

 

「知ってた?」

「はい。そう言えば先輩は、部隊は作らないんですか?」

「まあ、今期は、見送りを考えてる」

「・・・そうですか。ランク戦で戦ってみたかったです」

「またの機会にな」

〔玉狛第二が選んだステージは、()()()C()

 

ランク戦観戦者達は、驚きの表情を浮かべた。

 

〔しかし、これは・・・。狙撃手(スナイパー)有利なステージに見えますが?〕

狙撃手(スナイパー)有利・・・ですね。市街地Cは、坂道と高低差のある住宅地で狙撃手が高い位置を取るとかなり有利です。

逆に下からは建物が邪魔で身を隠しながら相手を狙うのが難しい。射程がなければなおさらです〕

 

紘太は、そのことを聞いた時、なるほどと思った。

 

「修の奴。あえてその地形を選んだみたいだな」

「どう言うことですか?」

「ああ、この段階じゃあまだ推測の域だから試合を見てからにしようか。

ただ、少なからず、いい勉強にはなると思うよ」

「そうですか・・・」

 

そして、遂に・・・。

 

 

ーーーB級ランク戦・転送開始

 

 

電子アナウンスが鳴り響き隊員達は、転送された。

 

〔さあ転送完了!各隊員は一定以上の距離を置いて、ランダムな地点からのスタートになります!〕

 

そして、直ぐに狙撃手(スナイパー)達は、バッグワームを展開した。

荒船隊は、すぐさま高台に向かった。

諏訪隊・笹森も高台に向かっているが荒船隊・穂苅の牽制で諏訪隊は、進みにくくなった。

その隙に、荒船隊隊長・荒船は、高台に登っていった。

その直後、荒船が攻撃を仕掛けようとした時、したから光弾が飛んで来た。

そしてその近くのビルに直撃した。

 

『素人が。位置がバレバレだ』

 

荒船は、もう一度狙撃をした。

千佳は、再び荒船に向けて攻撃を仕掛けた。

 

〔この威力!もはや砲撃!玉狛第二意外にも撃ち合いを挑んだ!〕

 

そして、東は、この戦況を冷静に分析していた。

 

「(なるほど)」

〔東隊長。この展開はどう思われますか?〕

〔玉狛第二の分が悪いですね。下からでは荒船隊の動きが見えにくい。

その上、撃つたびに自分の居場所がばれる。逆に、上にいる荒船隊からは的がよく見える。

(シールド)を何枚張っても、防御が崩れるのは時間の問題です〕

 

と、冷静に解説する東。

 

「けど、修の目的は、撃ち合いに勝つ事じゃない」

「・・・どう言う事ですか?」

「荒船隊の位置を諏訪隊に()()()って所だ」

 

黒江は、その言葉を聞いて頭に?を浮かべていた。

 

〔東隊長の解説通り、玉狛第二が一方的にダメージを受けていく!本職相手に狙撃勝負は無謀だったか!?〕

〔いや、端から勝つ気はないようです〕

〔え?〕

 

すると、モニターの外れている所から無数の光弾が荒船に向けて飛んで来た。

その発生源は、諏訪隊・諏訪がショットガンでの攻撃だった。

 

〔あーっと!砲撃の陰で諏訪隊が登ってきていた!〕

〔さっきの砲撃は、諏訪隊の援護ですね。長距離戦で荒船隊に勝てないのは織り込み済み。

ステージの選択から敢えて状況を荒船隊有利に偏らせることで、諏訪隊と玉狛第二の利害を一致させた。

玉狛第二は、地形戦をよく練ってますね〕

 

黒江は、そのことを聞いてハッ!となった。

 

「気づいた?」

「荒船隊を落とす為に、わざと狙撃手(スナイパー)有利のステージにしたって事ですか?」

「そう。これも全て、修の考えた事だ。

(修は、戦闘経験は、殆どないし最弱と言って良い。

でも、それを誰よりも自覚しているからこそ、できることを模索する。

アイツ自身の戦い方だろう)」

 

紘太は、それをしみじみに思いながら見ていた。

そしてモニターでは、遊真が、諏訪隊・堤を落としている映像が映った。

 

〔おお!今のは、グラスホッパー。加速・移動特化の機動戦用トリガー。

前回は使用していませんでしたが・・・〕

〔俺が教えました!昨日〕

〔昨日?何と、普通に覚えたてだったとは〕

 

すると黒江は、緑川に対して毒づく。

 

「駿のバカ・・・。敵を強くしてどうするのよ」

「まあそう言うなって。あくまで敵は、街や人を襲う近界民(ネイバー)やトリオン兵だ。

そこは、多めに見てやりなよ」

 

紘太は、苦笑いを浮かべながら黒江を宥めるのだった。

遊真は、新たな標的を荒船に定めた。

すると、荒船は、弧月を抜刀し近接戦闘に切り替えた。

 

「遊真の奴、やりにくそうだな・・・」

「それって、穂苅先輩の狙撃が効いているからですか?」

「あぁ。荒船さんは、本職の攻撃手(アタッカー)ではないけど太刀筋は、悪くない。

あの動きからして、今でも弧月を使っているな。けど、向こうは向こうで思う様に動けないだろう」

「どう言う事ですか?」

「三雲の位置を見てみな」

 

すると、東が修の位置を解説した。

 

〔いや〜。三雲隊員が地味に良い仕事してますね〕

〔え?どう言う事ですか?〕

〔今、彼がいる位置は、荒船隊の2人を攻撃できる範囲にいます。

ただそこにいるだけで空閑隊員の意識を割かないといけない〕

「いつの間に・・・」

「修のいる位置は、2人を同時に撃ち落とせる位置にいる。

だから、実質2対2になる訳だ。更に、諏訪隊の人も加わるとなると・・・」

 

穂苅を笹森がマーク。

そして、穂苅が遊真を崩す為に攻撃したが崩しきれず穂苅は、笹森によって倒された。

穂苅の援護射撃がなくなり、一騎討ちになった荒船と遊真。

遊真は、グラスホッパーを囮にし、荒船の両足を切断した。

 

〔〔うまい!!〕〕

 

東と緑川は、思わず声を上げる。

そしてモニターでは、屋根の上から諏訪がショットガンで攻撃をしてきた。

そして、笹森がカメレオンを起動し、遊真に近づく。

動きを止めて遊真を倒そうとした時、千佳のアイビスが飛んで来た。

周囲の物お構いなしに全て吹き飛ばした。

しかし、移動中に荒船に狙撃され緊急脱出(ベイルアウト)してしまった。

遂に一騎討ちになった諏訪と遊真。遊真の動きを推測し読み切った後、ショットガンを遊真に向けた。

 

〔勝負アリですね〕

 

 

 

 

 

「玉狛の勝ちで」

 

だが、屋根の上で待機していた修の通常弾(アステロイド)に倒されてしまった。

最後の最後で遊真を囮にして玉狛の勝利をもぎ取った。

 

〔ここで決着!スコア、6-2-1。

この結果により玉狛第二が、8位にジャンプアップ!〕

 

この時、嵐山と時枝は、驚きの表情をしていたが木虎は、何やら面白くない様な表情をしていた。

こうして、ランク戦Round2は、終了したのだった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第26話 Round2終了後にて

最新話となります。


では、どうぞ。


玉狛第二が勝利し総評が終了し、次回の対戦カードが決まった。

その相手は、那須隊、鈴鳴第一の三つ巴となった。

 

「・・・チームの構成は、結構似てるな」

「ところで、紘太先輩。那須先輩と仲良いんですか?」

「え?まあ、仲良いけど、何で知ってるんだ?」

「噂になっていますよ。よく2人が一緒に帰る姿も見られていましたし」

 

黒江も自分も見たことあると話していた。

 

「え?マジで?」

「気づいてなかったんですか?」

「全く。まあ、玲さんの体調面もあるから下手に心配させるのもな・・・」

「・・・そうでしたか」

 

2人が知り合ったのは、元のきっかけは、那須が体調不良を起こしてからだ。

これがきっかけというのは、些かどうかと思うが・・・。

 

「まあ、なる様になるだろう・・・。

双葉は、この後どうする?俺は、修達に会いに行くけど」

「私は、加古さんの所に行きます」

「そっか。遅れるとまずいから行くか」

「はい」

 

そして、観戦ブースから出ようとした時、嵐山隊に挨拶をすることにした。

 

「嵐山さん」

「おお、綾瀬君!随分珍しい組み合わせだな」

「嵐山さん、時枝先輩。お疲れ様です」

「双葉ちゃん、お疲れ様!」

「・・・どうも」

 

木虎に挨拶されるが双葉は、そっけなく返す。

解説しよう。木虎の対人欲求は、年上には『舐められたくない』、同年代には『負けたくない』、年下には『慕われたい』と極端。

年下の双葉にはいつも冷たい態度を取られる為、結構なダメージを受けている。

そして、心の中で涙を流しているのだ。

 

「お疲れ様。2人は、仲良いの?」

「紘太先輩は、私の剣の師匠です」

「そうなのか!」

「確かに、綾瀬君の腕なら問題ないね」

「いや〜・・・。俺自身、今でもこのやり方でいいのか合っているか不安になりますよ」

「今まで教え子を受け持ったことはなかったのかい?」

「はい。初めての事だらけで正直、双葉には、申し訳なくて・・・」

 

などと後輩育成関係で話の花を咲かせる紘太、時枝、嵐山。

そんな中、木虎の心中はというと・・・。

 

「(双葉ちゃんが、綾瀬君の弟子・・・!?なんて羨ましいぃ!!)」

 

木虎は、またしても嫉妬の炎を滾らせていた。*1

どこか見たことある光景に紘太は、後ろを見ることにした。

そして、改めて修達の所に向かうとそこには、修達の他に緑川、米屋、古寺、歌川、菊池原が屯っていた。

 

「修、みんな」

「紘太!」

「紘太さん」

「お、コウタだ」

「おお〜、綾瀬君!」

「綾瀬先輩だ」

「うわ、出たよ人外・・・」

 

菊池原は、どこか嫌そうな顔をしていた。

 

「作戦、うまくいったな」

「お陰様でね・・・」

 

修は、苦笑い気味に答え紘太とハイタッチをした。

 

「ランク戦見にきたの?」

「ああ、教え子と一緒にな」

「教え子?」

「双葉と見てたでしょ」

 

ここで話したのは緑川だった。

 

「双葉?」

「そうだぞ」

「マジ?綾瀬、お前、那須だけじゃなく黒江ちゃんまで誑かしたのか?」

「米屋先輩?いっちょぶった斬られます?」

 

紘太は、瞳が深紅になり羅刹をいつでも発動できるようにしている。

 

「じ、冗談だって!」

「正直、意外なんですよね!双葉が心開くなんて」

「そうなのか?」

 

緑川は、慌てながら話の話題を変えた。皆は、安心した表情を浮かべた。

紘太は、怒りをすぐに沈めると緑川の話を聞く。

 

「双葉、ちょっと人見知りのところあるから。どうやって弟子にしたの?」

「えっと、話を遮って悪いんだけど、双葉って名前の人、誰?」

「修と遊真は、一回だけ会ってるぞ。A級加古隊の黒江双葉。

大規模侵攻で援護してくれた弧月使いの女の子だ」

 

「「あっ!!」」

 

修と遊真は、思い出したかの様に声を上げた。

 

「あの時の子か・・・」

「コウタの弟子になったのか。闘ってみたいな」

「機会があったら紹介するよ。それで、弟子になった経緯だけど大規模侵攻で一緒に闘っていたその時に言われた」

 

そして、ランク戦終了後なのに遊真と緑川は、ランク戦をする為、個人ランク戦ブースに向かった。

 

「仲良いですね〜・・・」

「ですね〜・・・」

 

すると、宇佐美の携帯に着信が入った。

 

「レイジさん。迎えに来たって。修君と紘太君は、どうする?」

「僕は、空閑の所に行きます」

「俺も残ります」

「そっか。じゃあ、明日ね」

 

宇佐美と千佳は、木崎が迎えに来たのでそのまま帰宅する事にした。

 

 

 

 

 

場所は変わり、個人ランク戦ブース。

そこでは、緑川と空閑がランク戦を行っていてその様子をモニターで見ていた。

30本やった結果、21-9で遊真が勝ち越した。

 

「遊真、だいぶ動けるようになったな」

「けど、緑川の奴も負けてない」

 

と、紘太と米屋は、2人の模擬戦を見て素直に感想を漏らしていた。

 

「あ〜らら。やればやるほど勝てなくなるや・・・」

「ふむふむ。だいぶ分かってきたぞ」

 

そう言いながらランク戦の個人ブースから出てきて頷きながら来た。

 

「21-9。この割合だと、丁度、7-3と言ったところか」

「7-3か・・・。まあ、前よりかは、マシか・・・」

「成長したな、ミドリカワ」

「そういや、綾瀬はやらないのか?」

「今日は、修のランク戦を観に来ただけでしたから・・・」

「んだよ、釣れないな〜」

 

と、米屋から不満の声が漏れた。すると突如、野次馬が騒ぎ出した。

振り返ると鈴鳴第一の攻撃手(アタッカー)・村上が中に入ってきたのだ。

 

「あ、村上さんだ」

「鋼さん」

「緑川、丁度よかった。相手してくれないか」

「あぁ〜今日は、ポイントが惜しいからまたの機会で」

「なら、俺とやりませんか?」

「お前、グラスホッパー入れてないだろ?」

「あぁ〜、なるほど。空閑対策ね」

 

村上がここにきたのは、グラスホッパー対策ということで緑川に対戦相手を頼んだのだが・・・。

 

「だったら、オレとやろうよ」

 

遊真本人が直接対策しないかということで対戦する事になった。

そして、10本勝負と5本試合した後、15分休憩の後に再開するという条件を付け加えた。

いざ闘った結果、なんと6-4で遊真が負けてしまったのだ。

何故、巻き返す事が出来たのかそれは、村上が、副作用(サイドエフェクト)持ちだからだ。

 

 

強化睡眠記憶:経験した技術や知識を15分程度の睡眠で完全に定着できる。

 

 

具体的な例を挙げると学校の教科書を一通り読み15分眠ると覚えているという代物だ。

この副作用(サイドエフェクト)もあり、彼は、攻撃手(アタッカー)No.4という称号を持っているのだ。

 

「・・・なるほど、これは強敵だ」

 

しかし、遊真の表情は、苦い顔ではなく寧ろやる気に満ち溢れていた。

 

 

 

*1
主に黒江と仲良くしているから




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回


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第27話 戦いに懸ける思い

最新話となります。
そして、那須さんが新技を使います。


では、どうぞ。


ランク戦Round3がある数日前。

紘太は、自転車を漕いである場所に向かっていた。

そして、とある一軒家に辿り着いた。その表札には・・・。

 

 

 

 

 

 

「那須」と表札に書かれていた。

 

「まっさか、作戦会議に俺まで引っ張り出されるとは・・・」

 

紘太は、前日の出来事を思い出していた。

 

【え?作戦の意見が欲しい?】

【どうせなら一緒にやった方がいいかなって。それに紘太君、ソロでしょ?

隊を組んでないからそう言った事を学べる丁度良い機会だと思ったの】

【いや、そうかも知れませんが・・・】

【なら決まりね。それじゃあ13時に私の家ね。

住所を送るからその時にね】

 

こうして、引っ張り出されたのだった。

うだうだ考えても仕方がないと腹を括りドアベルを鳴らす紘太。

すると中から1人の女性が出てきた。

玲さんにそっくりの容姿、恐らく姉だろうと思っていた。

 

「もしかして、綾瀬紘太君?」

「はい、玲さんに誘われて来ました」

「あの子ったら男の子を誘うなんて、ウチの子にも春が来たのかしら」

「え?」

 

「春が来たってどういうことだ?」と考えていた時、後ろから那須本人が現れた。

 

「紘太君、いらっしゃい」

「あ、玲さん」

「あら、玲。体は、大丈夫?」

「うん。でも、お母さん。来たなら教えてよ」

「あら、貴方が男の子を呼ぶなんて滅多な事ないから気になって仕方がないじゃない」

 

紘太は、思わず頭に?を浮かべた。

 

「玲さんのお母さん?」

「はい、玲の母です」

「・・・お姉さんではなく?」

「よく間違えられるのよ」

 

那須の言葉に思わず固まってしまった紘太。

 

「・・・マジで?」

 

「「マジで」」

 

那須母は、悪戯大成功という表情をし那須本人は、苦笑いを禁じ得なかった。

因みに、後にこのことを修に話したら「似たのような経験がある」と言われた。

 

 

 

 

 

「玉狛の砲撃。やっぱり厄介だね」

「紘太君は、どう考える?」

「転送位置によりけりですけど、合流して移動するのが吉でしょうね」

 

その後、あらかじめ来ていた熊谷とボイスチャットでやりとりをする志岐と共にやりとりをする。

 

「ねぇ、綾瀬。エースは、やっぱりこの空閑君なんだよね?」

「それは、間違い無いです」

『じゃあ作戦は、空閑君が考えているの?』

「それは、不正解です。これは全部、おs・・・三雲が考えた作戦です」

 

「「『えぇ!?』」」

 

エース級の動きをする空閑が作戦を考えていたのだと予想していたが思いがけないことを聞いた。

 

「アイツは、自分の弱さを自覚している。その上で作戦を練っています。

だからこそ、どう動くべきか、どう作戦を練れば良いのかを理解している。

場数こそ少ないが戦術に関しては、一定の能力値に達していると見ています」

 

その事を聞いた3人は、なるほどと感心した。

 

「どちらかというと奇襲を警戒した方がいいかもね」

「だね。問題は、鈴鳴第一だろうけど・・・」

「村上先輩をどうするか。だね・・・」

「紘太君ならどう対処する?」

 

紘太は、那須隊と戦闘訓練をしている為、それなりに戦い方やチームの戦法を理解している。

その点を踏まえて那須は、聞いてきたのだ。

 

「玲さんの間合いで戦うならそこは、変えなくていいと思います。

俺だったら、天候を弄りますね」

「天候?」

攻撃手(アタッカー)封じという名目で視界を奪うようにしたり動きを制限するように悪天候にするとか。

今回のステージ選択権は、那須隊でしたよね?」

「そうだね。利用できるものは利用した方がいいね・・・」

「後は、茜ちゃん次第だと思うけど・・・」

「日浦、何かあったんですか?」

 

そして、那須と熊谷は、意を決したような表情をし話をした。

 

「・・・そう、ですか。中学卒業と同時に三門市から引越すと」

「そうなの・・・」

 

紘太は、事の内容を知りこれ以上は何も言わなかった。

日浦自身にとっては、辛い内容だろうと思う。

 

「なら、尚更負けられませんね」

「えぇ。だからこそ、私達の力で勝たないと意味がない」

「紘太君は、戦い慣れた人の視点としてアドバイスを欲しい」

「分かりました」

 

こうして、那須隊with紘太の作戦会議は、夜まで続いた。

因みに、ボイスチャットで遅れて参加した日浦が紘太もいるということで仰天していた。

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「所で、どうして呼んだんです?」

「迅さんに、もし悩んだら、紘太君に知恵を貰ったらいいよと言われたの。

後、今シーズンは、隊を作れたり入れたりしないからボッチまっしぐらだから構ってあげてって」

「左様ですか・・・」

「・・・本当は、それだけじゃないんだけどね」

 

と、躊躇いもなく言う那須に対し、思わず遠い目をした。

そして迅に今度会ったらぶった斬ると誓いを立てた。

因みに、那須の小さな呟きは、紘太に聞かれなかった。

 

 

 

 

 

そして、迎えたRound3。

紘太は、玉狛の人達と一緒にランク戦を観戦する事にした。

 

「すいません。俺まで一緒に」

「お前には、修が世話になっているからな。

多少でも、もてなした方がいいと思っただけだ」

 

そして、どら焼きを置いていると紘太は、その数に違和感を覚えた。

 

「いつもより一つ多くないですか?」

「それもそうね。えっと、陽太郎、とりまる、紘太、私、ボス・・・。

後誰だったかしら?」

「迅さんは、本部で解説。木崎さんは、防衛任務で不在。烏丸さんは、何か知ってますか?」

「今回のシークレットゲストは、何と、根付メディア対策室長です」

「・・・斬っていいですか?」

 

紘太は、無常にも羅刹を起動し日輪刀を取り出した。

紘太は、異常に根付を毛嫌いしていた。

何故、かというと大規模侵攻の後にあった記者会見の際、質問のやり取りに根付と記者が僅かに会釈をしているのが見受けられた。

そして、そのやり取りの推測と後に忍田から聞いた話を纏めると、修をダシにしてスケープゴートを図っていたのだ。

紘太は、その事に対して怒りを露わにし、根付を真っ二つに斬ろうとした。

因みに、この事は、迅の未来予知で既に対策済みで忍田の尽力により被害はゼロに抑えられた。

だが、そのやり方に対しては、今でも怒りを抑えきれず紘太は、彼の好感度は、ゼロに等しいのだった。

本部長も許せないと言っていたがこれ以上の追求は、野暮だと言われて引き下がった。

 

「・・・とりまる、今回はアンタが悪いわ」

「・・・紘太、嘘だから落ち着け」

 

何とか、怒りを抑えた紘太。

しかし、そんな修を大切に思える友達に巡り会えた事は、感謝するべきだと思う事と紘太自身は、あの場にいることが出来なくて申し訳なかったとも思っていた。

そんな時だった。

 

「悪い悪い、遅れた」

 

そんな時、林藤支部長が入ってきた。

そして、もう一人入ってきたその特別ゲストの正体は・・・。

 

「お前は・・・!

 

 

 

 

 

誰だ?」

 

小南は、思わずがくりとコケ、烏丸は、溜息を吐き、林藤は、苦笑いを浮かべた。

 

「コイツは、ヒュース。大規模侵攻で攻撃してきた()()()()()()()の敵兵で今は、捕虜だ」

「じゃあ、報告に上がっていた捕虜って・・・」

「おう、コイツだ」

 

紘太は、それだけ納得し一先ずランク戦を見る事にした。

 

 

 

 

 

試合が開始され、隊員達が転送された。

そして、そのエリアは・・・。

 

 

 

 

 

河川敷A・天候・暴風雨だった。

 

「・・・転送位置もそうだけどスタートダッシュはいい方に向かったな」

「綾瀬。お前、那須先輩がこうなるのを分かっていたのか?」

「以前、玲さんに作戦会議に呼ばれて少し助言しただけです」

「はあ!?アンタそんなことしてたの!?」

「一応、フリーなので特に問題はないと思いますけど?」

「そ、それは、そうだけど・・・」

「確かに綾瀬の言う通りだな」

「なら、綾瀬は、那須隊が何をしようとしているのか分かるのか?」

攻撃手(アタッカー)の動きを制限して中距離戦闘に持ち込むのが目的ですけど・・・」

 

するとランク戦では、移動する為に必要な橋が落とされた。

 

「グラスホッパーで反対側のエリアにも渡れますけど、修は、あえて那須隊全員の合流を防ぐ為に橋を落とす事を優先した。

そして、遊真にこっちは気にしないで敵を倒せと話すでしょう」

 

紘太が自身の推測を話しているとヒュースは、紘太を見ていた。

 

「(ヴィザ翁とハイレイン隊長が警戒していた少年・・・。直接見るのは初めてだが、とても戦い慣れしているようには見えない。

  だが、奴の闘いぶりを陽太郎に見せてもらったが異常な程に戦い慣れしている・・・。この男は、一体何者なんだ・・・?)」*1

 

などと考えていたが、紘太は、ランク戦を見ていてヒュースなど気にも止めていなかった。

そして、日浦が、メテオラの罠を設置し遊真を迎撃したが全て躱されてしまい片腕を囮にし隙を作り日浦を落とした。

遊真が日浦を落としている間に熊谷と村上の一騎討ちをしていたが村上の強さに勝てず落とされてしまった。

それでも最後の悪あがきで置き弾をレイガストに設置していたがそれさえも見破られてしまった。

那須の方も鈴鳴第一の来馬と別役、そして修と戦闘を行っている。

ビルの壁もあちこち足場にして高機動で敵を翻弄し仕留めている、那須の普段通りの戦い方。

アクロバティックに交わしあらかじめ仕込んでいた変化炸裂弾(トマホーク)を放つ。

そして、そのまま来馬は、撃破。修が、そのまま追撃をする。

那須は、その攻撃を躱し変化炸裂弾(トマホーク)で攻撃を仕掛けた。

しかし修は、それを読めていたのか上手いこと攻撃を躱したが突如、心臓部に衝撃が走った。

これは、見ている人全てに驚きの表情を与えた。

驚かなかったのは、唯一、この未来を見ていた迅ともう一人、紘太だけだ。

 

 

 

 

 

那須が、スコーピオンで修の心臓部を貫いたのだ。

衝撃のあまり、驚きの表情をする修だが、無情にもそのまま緊急脱出(ベイルアウト)してしまった。

因みに、この光景を見た小南達も驚きの光景を見た。

 

「那須先輩がスコーピオン!?」

「どうして!?」

 

小南と烏丸は、驚きの表情をしている中、特に感情が変化の無いのは、ヒュースだけ。

しかし、彼は、ボーダーの内部事情は、知らない。よって除外される。

この中で、唯一、知っている人物。僅かに頬が吊り上がったのを見た林藤がその人物に問いかけた。

 

「那須にスコーピオンを仕込んだのは・・・お前だな?綾瀬」

「あらら、バレましたか」

「一瞬だけ、お前の表情が緩んだからな」

 

小南と烏丸は、驚きの表情を浮かべた。

 

「あ、アンタ!何を教えたの!?」

「何をしたにも何も、玲さんが教えてくれって頼まれたんです。

俺自身、スコーピオンを手裏剣として使っているので」

 

彼女自身も戦闘スタイルを貫き通すか悩んでいた時期があった。

そんな時、紘太がグラスホッパーを利用してスコーピオンを投げるという戦術にこれは使えると思い紘太に教えて貰うように頼んだ。

流石に渋った紘太だが、紘太と玲の関係を誇張しみんなにバラすという脅しを受けて教える事にした。

と言っても彼女自身、体が弱い事を危惧して効率よくできる方法がないか検討したらダーツを勧められた。

ベッドの前に的を設置しそのまま投げるだけで良いという事だ。

実際に身に付いたかどうかは、紘太が那須隊の隊室に向かい、その成果を見てもらっているのだ。

その結果が実を結び、手裏剣スコーピオンなんてものが出来てしまったのだ。

現にこの手裏剣スコーピオン限定勝負で紘太と那須が模擬戦をし、スコーピオンが紘太の首に直撃し倒したのだ。

更にとしては、シールドやエスクードに一点集中で攻撃しそのまま通常弾(アステロイド)を与えるとそのまま破れた事になるのも実証済みだ。

だが紘太は、悪戯に技を増やしてしまうと器用貧乏になる可能性があるという懸念があったため、これを続けるかどうかは、那須自身の判断に任せる事にした。

 

 

 

そして、肝心のランク戦だが彼女のトリオンが過剰に漏れてしまい戦闘継続は、不可能となりそのまま緊急脱出(ベイルアウト)してしまった。

トータル、4-2-3で玉狛第二の勝利で幕を閉じたのだった。

 

 

 

*1
後に、紘太の人外っぷりに驚愕の表情を隠すことが出来なくなる




今回は、ここまでとなります。
那須さんにスコーピオンを使うようにした理由としては、自身が動いて相手を翻弄してアステロイド等を放つスタイルでしたがスコーピオンを混ぜた戦い方もできると考えこのような形にしました。


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では、次回。


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第28話 修、鍛える!

今回は、かなり長くなります。


では、どうぞ。


ランク戦が終了し総評となった。

まずは、各隊隊長の対決から見る事になった。

 

〔戦い方という点で見れば、一番意外だったのは、那須だな〕

〔スコーピオンは、ブレードの出し入れが自由で重さがほぼゼロ、

手以外から出すことも可能で、トリオンの調節で変形可能といった特徴がある反面、

耐久力が低く受け太刀等の防御には適していません。

恐らく、那須隊長が高機動で近寄られる時に対応する時に思いついたのでしょう〕

〔ですが、思いついたとしても実行に移すものでしょうか?

那須隊長は、射手(シューター)でスコーピオン無しでも点を取れる実力と思われますが・・・〕

〔恐らく、村上対策で入れたんだろう。

剣として使うのではなく手裏剣のような使い方をベースにしているのなら目眩し程度になるが対して意味無いだろう。

どんな使い方を想定しているかは、分からないが那須自身も新しい試みをしているんだろうよ〕

〔なるほど・・・〕

「(正直、紘太と連携で滅茶苦茶無双する未来が見えたなんて言えないよな・・・)」

 

迅は、そう遠くない未来。

紘太と那須の2人が一緒に人型近界民(ネイバー)を倒す未来が見えた。

その鍵となるのがスコーピオンとは、到底信じられないだろう・・・。

因みに、那須本人曰く・・・。

 

「太刀川さんのいう通り新しい戦い方を模索している時に紘太君のスコーピオンを見て思い付いた」

 

と話していた。実際の所、上手くいっているのかは、実況・解説にいる太刀川、三上の2人でも分からない。

紘太が話した通り、不要と感じたら外した方がいいという事は、伝えている。

しかしこの先、これを利用して新たな戦略を立てる事になるとは、まだ本人もわからないでいた。

 

 

 

 

 

場所は、変わり観戦室。

そこには、出水とB級射手(シューター)No.1 二宮がランク戦を見ていた。

 

「どうですか?玉狛第二。凄いでしょ」

「白いチビは、兎も角、あの2人は、正直眼中にない。

俺が気になったのは、那須の方だ」

「確かにスコーピオンをあんな使い方をするなんて思っても見ませんでしたけど」

「全く、何処の馬の骨も分からん奴が訳の分からん知恵を吹き込みやがって・・・。

三上の言う通り、奴のトリオン量も技術も射撃で攻めればいいだけの事だ」

「う〜ん、そうせざるを得ないキッカケができたのかどうか・・・」

「それは個人のことだからこの際どうでもいい。

しかし、玉狛に関して一つ気になった事を言うのならメガネだな。所々、妙に鋭いところがあった。

明らかに剣を使う奴の動きだ。お前なら何か知っているんじゃないのか?」

「多分だけど、綾瀬が関係しているんじゃないですかね?」

「綾瀬?頭突きで訓練用のバムスターを倒したB級か?」

「アイツ、何度か玉狛に遊びに行ってるみたいですよ。

一応、太刀川さんや俺も倒したし、双葉ちゃんの師匠やってるみたいですし」

「・・・何?」

 

二宮が今聞いた話は、耳を疑った。

A級隊員がB級隊員に教えて貰うのは普通だったらまずない。

逆のだったら納得は行く。だが、実際は違った。

 

「いくらお前でも冗談が過ぎるぞ。黒江が、A級がB級に教えて貰うなど・・・」

「その師匠、ちょっと前に話していたアンノウンですよ」

「何だと?」

「更に言うと、そのバムスターを頭突きで倒したのも綾瀬本人ですよ」

 

二宮は、その話を聞いて耳を疑うと同時に合点が入った。元チームメイトの加古から黒江の話は耳にタコが出来るほど聞いている。

だがここ最近、メキメキと力をつけてきたことも知っている。ただでさえ無愛想な二宮も感心するほどだ。

しかし、その正体が名の知らないB級隊員ならどう言う神経をしているのかと思ったがアンノウンだと分かれば話は別だ。

 

「ソイツの戦闘ログは、あるか?」

「ありますけど、あまり数はありませんよ」

 

出水がそういうと用意して貰ったログを見る。

そして二宮は、思わず目を見開いた。

 

「・・・コイツ、トリオン体でありながら力を制限しながら戦っている」

「は?」

 

出水は、言われた言葉に思わず聞き返してしまった。

そして、そのログを見て「あぁ〜」と言う納得の声を上げた。

 

「出水。お前、舐められてないだろうな」

「それはないですね・・・」

「・・・根拠は?」

「以前、本人と話す事があったんですけど・・・」

 

 

 

 

 

事は、大規模侵攻が終了し数日が経った頃、紘太、米屋、出水の3人で昼食を取っていた時だった。

 

【そういやお前、バムスターを頭突きで倒したんだってな】

【何で知ってるんですか?】

【噂になってたぜ。C級隊員に人外現る!ってな】

【・・・失礼な奴ですね。そんなこと言ってる奴いたらトラウマ植え付けますよ】

【・・・怖ぇこと言うなよ】

【んで、実際の所、どうなのよ。そもそも何でそんな事になったんだ?】

【元からですよ。遊真と一緒にボーダーのトリガーに慣れるように練習した時に踏み込む力をミスってそのまま頭突きしただけです】

【・・・お前、そんなに石頭なの?】

【どうでしょう?一応、鉄板凹ませた事はありますけど】

 

因みに、その話を聞いた2人は、これ以上の追及はやめた。

 

 

 

 

 

「・・・ソイツは、人間か?」

「それ、本人の前で言わないで下さいね?結構気にしてましたから」

 

二宮は、紘太のぶっ飛びエピソードを聞いた時、柄にも無く引き攣った顔になった。

因みに、出水は、二宮に力加減を間違えてこうなったと言う事を弁明した事を記載しておく。

 

 

 

 

 

紘太の人外話は、全く耳に入っていない本人はと言うとRound3での試合の反省会をしていた。

 

「・・・してやられたわね。三雲君に」

「・・・まさか、雨取ちゃんに狙撃だけさせて後は、隠れていたなんてね」

「うぅ・・・。私が空閑君を落とせていれば」

 

今、那須達と共にログで見直していた。

紘太は、苦笑いを浮かべながら日浦にドンマイと言っていた。

 

「俺のトータルとしては、迅さんと同じく問題ないでした。

けど玲さん、流石にスコーピオンを晒すのは、不味かったのでは?」

「でも、ダメージを負っている中で通常弾(アステロイド)を生成するよりすぐに対応出来るスコーピオンを選んだの。

正直、変化炸裂弾(トマホーク)を避けられるとは思わなかったの」

「あぁ〜・・・。アレは、驚きました。修の奴、幾らか様になってきましたし」

「綾瀬、もしかして、アンタがやった訓練をやらせてるんじゃないの?」

「やらせてますけど、流石に俺ペースでは、やらせてませんよ。

第一、やらせたら三途の川に行きますからね?」

 

「「「それもそうだね・・・」」」

 

那須隊戦闘員は、全員揃って納得した声を上げた。

 

「ただ、この鍛錬を続けていけばアイツは、もっと強くなりますよ」

「・・・その時が楽しみだね」

 

那須は、紘太の言葉に不敵な笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

那須隊の反省会の終了後、玉狛に向かい修の様子を見に行った。

 

「(一人だけ点を取っていなかったから思い詰めていなければ良いけど・・・)」

 

などと考えていた時、遠目でバムスターが現れたのを確認した。

 

「全く。今日は、厄介日か?」

 

トリガーを起動させ、バムスターのいる場所に向かったのだが、何者が既に倒してしまった。

紘太は、それが気になり念の為、現場に向かった。

 

 

 

 

 

「綾瀬現着ってもう終わったのか?」

「紘太!?」

「綾瀬君!?」

 

現場に到着すると修の他に木虎がいた。

 

「もう終わっているみたいだけど、どう言う状況?」

「三雲君〜!」

「あ、嵐山さん」

「撮影よ。今、私達、広報任務でバムスターを出現させたの」

「あぁ、なるほど。んで、修は、何でここに?」

「いや、その・・・。ちょっと、外の空気を吸いに」

「外の空気を吸いにで、私達の仕事を邪魔しないで・・・」

「ご、ごめん」

 

木虎のジト目に思わずたじろぐ修。

すると修は、すぐに真剣な表情をする。

 

「ところで、木虎って強いよな・・・」

「な、何よ急に!?」

 

紘太は、修の悩みを木虎に押し付けようと考えたが・・・。

 

「(信用できねぇ・・・)」

 

一先ず、事の成行を見守る事にした。

 

 

 

 

 

「忌憚なく言わせて貰うと、空閑遊真に頼りすぎじゃ無いかしら。

エースを起点に作戦立てるのは、定石だけど彼だって絶対に落とされないとは、限らないわ」

 

修は、Round3でのランク戦について意見を聞いていた。

 

「というか、綾瀬君に頼めば良いんじゃないの?」

「綾瀬は、飽くまで戦い方と立ち回りを教えて貰っているだけだ」

「戦い方を教えるのを条件にランク戦の作戦等のアドバイスは、一切関与しない。

教える事の条件を提示した」

「・・・これも条件に含まれてるって事?」

「大規模侵攻みたいな事でなければな」

 

日常の訓練では、紘太の意見は出さない。

しかし、大規模侵攻やトリオン兵といった実戦になってくると話は変わる。

 

「それ、大丈夫なの?」

「風間さん、太刀川さん、その他諸々の人達がレクチャーしてくれてる」

「ネームの強さ・・・」

「ついでに嵐山さんからアドバイスを纏めたノートも貰って時間がある時に読んでいる」

 

一体どこから取り出したのか分からないがそのノートには、付箋といった物がたくさん貼られていた。

 

「・・・話を戻すけど、木虎。

君はどうやって強くなれたんだ?」

「え?どうって・・・。才能があったからかしら」

「嫌な女」

「そこ、黙りなさい!!」

 

紘太の躊躇いも無い言葉に声を荒げる木虎だった。

 

「じゃあ、僕はどうやったら強くなれる?」

「さぁ?そう言った事になった事が無いから分からないわ。

というか、それこそ綾瀬君に聞くべきじゃないの?」

「いや、それは・・・」

「今の修じゃあ、体を壊しかねない」

「どう言うことよ?」

「俺が使う剣術は、そもそも攻撃手(アタッカー)に特化している。

大きい一撃を狙うレイガストだと、相性が悪い」

「ふーん。一応、考えてるのね。それで、話を逸らしたけど、三雲君が体を壊しかねないってどう言うこと?」

「読んで字の如く、俺がやっている剣術の応用を教えようにも基礎体力が重要になる。

その基礎体力ができてないで技を教えたら最悪、吐血する」

「・・・ちょっと待って?生身で訓練してるの?」

「俺は、そうだが?」

「貴方基準で考えたら意味無いでしょ!?三雲君のメイン武器は、レイガストでしょうが!!」

「だから立ち回りを教えている。無理無く負担がかからない動き方を教える為にな。

だから生身で覚えさせている」

「・・・だからって、吐血させる程まで鍛える?」

「甘いぞ、木虎。人間、臨死体験を5回近くやらないと限界は、越えないぞ」

「下手したら死んでるじゃない!誰よ、そんな物騒な事した人は!?」

「実行は、俺。教えたのは、俺の爺ちゃん」

「もう、お腹いっぱいなんですけど・・・」

 

木虎は、紘太のぶっ飛んだ鍛え方に思わず頭を抱えてしまった。

 

「・・・三雲君に教えるのを躊躇った理由が分かったわ」

「・・・ま、まあ、限界は見極めてくれているから」

「頭で考えても強く慣れるとは限らないんじゃない?」

 

すると、ここで傍観していた時枝が話に加わってきた。

 

「・・・頭で考えても」

「そ、そうよ。頭でっかちにならないで、こう、体でね」

 

すると修は、何か閃いたようだ。

 

「木虎!一緒に来てくれ!!」

 

修は、木虎の手を引っ張り本部の方に走っていった。

 

「流石ですね。時枝さん」

「木虎も似たような悩みを持っていたからね」

「同年代には、嫌味ったらしいですけどね」

「けど、君の事は、認めていたみたい。

それでも、大規模侵攻でやった事に対しては怒っていたけど」

「そうですか。それは、本部長に怒られましたから大目に見て欲しいですけど」

 

そう言い紘太も、本部に向かって歩く。

 

「三雲君を追いかけるのかい?」

「はい。多分、人手がいると思いますから。

嵐山さんによろしく伝えておいて下さい」

 

紘太は、時枝に挨拶し本部に向かった。

 

 

 

 

 

そして、本部に到着しランク戦にはいないみたいでどこにいるか探している時だった。

 

「羽織先輩!」

「あ、夏目さん」

 

紘太に声を掛けたのは、雨取の友人、夏目だった。

 

「こんなところで何してるんすか?」

「修が本部に向かって行ったみたいでな。どこにいるか分からなくてな」

「メガネ先輩なら訓練室に向かいましたよ」

「何で知ってるんだ?」

「C級で噂になってましたよ。

メガネ先輩がA級隊員と模擬戦をしているって」

「なるほど・・・。お前も行くか?」

「はいっす!」

 

そして、夏目と共に訓練室に向かう紘太。

 

 

 

 

 

訓練室に到着するとそこには、米屋、緑川、荒船、歌川と言った様々な攻撃手(アタッカー)達が来ていた。

夏目は、観戦席で様子を見ていた。そして、模擬戦相手の中には・・・。

 

「双葉」

「紘太先輩。お疲れ様です」

「お前も来たのか」

「はい。先輩もやるんですか?」

「傍観するつもりだったけど、修って意外と頑固だからな」

 

ポリポリと頭を掻きながらトリガーを出す。

 

「友達が必死に足掻いているんだ。

手助けするのが道理だろ?」

「ですね」

 

その後、双葉と紘太も混ざり修の模擬戦に付き合った。

そして最終的には、修は、力尽き倒れてしまったのだった。

後日、烏丸から聞いた話では、幾らかスッキリした表情をしていた修がいたとか。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
次回から、エルガテス編に突入します。
そして、紘太が大暴れします。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第4章 逃亡者編
第29話 異世界の逃亡者


今回から逃亡者編に突入します。


では、どうぞ。


B級ランク戦Round3が終了し、修の武者稽古から数日。

学校の修了式が終わり、紘太は、実家にある四塚市に戻ってきた。

実の所、紘太は、実家に帰るのは、不本意であった。

紘太の父親、綾瀬直人の職場、民間警備会社の部隊隊長をしていて紘太も偶に現場に駆り出されることもある。

今回もそれなのだろうと思っていた。

実の所、父と母は、紘太が戦場に出るのはあまりそれを良しとしない。

彼が戦場に出る条件として、父が目の届く範囲にいる事が条件とされていたからだ。

唐沢がボーダーにスカウトし、ボーダーに入隊させて欲しいと話したが両親はそれを拒否。

紘太は、自分の意思を無視した親に対して紘太は、自分の考えを話した。

そして、ボーダーに入隊する条件として、父・直人を倒す事と長期休暇、学校で言う夏休みや冬休みに顔を見せに戻ってくる事が条件だった。

実の所、戻らないで黒江や那須の訓練を合同で行おうと考えていたのだが母親にゴリ押しされ帰ってこいと言われたのだった。

事の趣を本部長に話し、実家に戻ると伝えた。そして、四塚市に到着し実家に到着。

実家に到着し紘太の部屋に荷物を下ろすと直人がやってきた。

 

「・・・親父?」

「稽古を付ける。付いてきなさい」

 

父親の言われた通り、道場に到着し木刀を手にする。

すると直人は、攻撃を仕掛けてきたが紘太は、直ぐに対応。

そして、そのまま横に斬り払う直人。紘太は、バク宙で攻撃を避ける。

直人は、追撃で攻撃を仕掛けるが、紘太に当たった思われた攻撃は、空振りになった。

驚きのあまり反応が一瞬鈍り紘太の木刀は、そのまま直人の首筋にあった。

 

「・・・腕は、訛っていないようだな」

「そんな事を確認する為に、俺を強引に三門市に引っ張ったのか?」

「そうだ・・・。って言ったら?」

 

紘太は、溜息を吐き、木刀を下ろす。

 

「・・・単純に寂しかったんじゃないの?」

「そうとも言う」

「母さんに女の人誑かしたって告げ口するから」

「御免なさい父さんが悪かったからそれはやめて下さい」

 

紘太は、呆れた口調で話をする。

直人は、実の所、天然の誑しで任務の先々で女性を無自覚に誑かしている。

そして、毎度の如く母に制裁を受けている。紘太は、この様子を見て・・・。

 

−−−−いつか、この家から出よう・・・。

 

と心に決めていたのだ。一番の理由としては、何故毎回両親の痴話喧嘩を見なければならなんのだと言う理由。

そのことが原因でフラストレーションが溜まりに溜まり父・直人と稽古の際、当時、8歳だった紘太が後一歩の所まで追い詰められた記憶があった。

紘太が、直人に勝てるようになったのは、割と最近の事である。

 

「はあ・・・。書斎にいるからご飯になったら呼んで」

「わ、分かった・・・」

 

紘太は、若干怒りの口調でそう伝え、道場を後にした。

 

 

 

 

 

一方、紘太が四塚市に向かう2日前の玉狛支部。

そこでは、林藤支部長が修達にある提案をしていた。

 

「合宿ですか?」

「おう。ボーダーが所有している合宿所があってな。

ランク戦のインターバルの間、どうせなら集中的に鍛えるのもありだと思ってな」

「合宿所って、もしかして四塚市の?」

「おう、そこだ」

「そういえば、綾瀬も四塚市に里帰りするって言ってたな」

「え!?綾瀬の実家って四塚市なの?」

「初めて聞きました」

「嘘です。今考えました」

 

烏丸お得意の小南弄り。

そしてそれに釣られた修も巻き込まれてヘッドロックを喰らう。

 

「アンタのせいで騙されたじゃないの!!」

「僕騙してませんって!!」

「まあ、でも。合宿するのはありなんじゃ無いのか?

あそこなら息抜きしながら合宿するのに最適だからな」

 

小南と修のやり取りは、無視し木崎は、合宿を推奨した。

こうして、先輩達のススメもあって玉狛第二は、四塚市で合宿をするのだった。

 

 

 

 

 

夕食を終えて紘太は、夜のルーティーンのランニングをする為、トリガーを手にランニングに出掛ける。

 

「出掛けるの?」

「ランニングに行ってくる」

「あまり遅くならないでね」

 

母にそれだけ伝えると紘太は、家を出てそのままランニングに向かった。

 

 

 

 

 

ランニングでしばらく走っていると突如、紘太は、足を止めてある一点を見る。

まるで何かに見られているかのような感じだが気のせいかと思い、移動する。

そして、木の影から紘太を見ていた人物が現れた。

 

「・・・驚いたな。まさか俺様の存在に気づくとは」

 

少年は、紘太を狙うのは、些かリスクが大きいと考え紘太を見逃した。

 

 

 

 

 

そして肝心の紘太は、移動している最中、街の少し外れの森の中にいる何かの気配を感じ取った。

 

「(この気配は・・・。トリオン兵?)」

 

紘太は、トリガーをいつでも起動できるように忍ばせ、物陰に隠れながら近くに移動した。

そして、近くに立ち寄ると遠目で断言できないが腰程まで伸びた長い髪の人がいた。

紘太は、気付かれないように近くまで移動する。すると近くで爆発音が聞こえた。

紘太は、気になり爆発があった方に向かう。

爆発のあった方に覗き込んでみると何と、修が見た事のないトリオン兵と交戦していた。

 

「・・・何だ?あのトリオン兵」

 

そんな時だった。

 

「貴方・・・」

「!?」

 

紘太は、トリオン兵を見るのに夢中となり慌てて振り返った。

だが、紘太が振り返りその人物は、先程の紘太が見つけた人物だった。

 

「君は・・・」

「お願い!ゼノを止めて!」

「ゼノ?」

 

紘太は、その少女に言われた事を理解できていなかった。

 

「ああ!!」

 

すると雨取の声が聞こえた。

慌てて振り返ると雨取が倒れそうな所を修が支えていた。

 

「(できるだけ、対等な立場で話したかったが・・・仕方がない)君、名前は?」

「私は、リリス」

「リリス、君の話を聞くがまずはあの男を止めてからだ。いいな」

「分かった」

 

紘太は、少女・リリスと共に修達の元に向かう。

 

 

 

 

 

場面は変わり、修の場面。新しいタイプのトリオン兵が現れ応戦する事になった玉狛第二。

修の発想でステルス機能を持った敵と戦う時、雨取にトリオンに臨時接続し巨大トリオン立方体(キューブ)を生成。

できる限り小さくしスロー弾丸で光弾をばら撒き敵を炙り出しトドメを刺そうとした時、先程、紘太を狙っていた少年と同一人物だった。

皆の気が緩んで隙ができているときに雨取の首にトリオン兵がくっついた。

だが、先程のは、トリオン兵ではなくトリオン兵を模した爆弾だった。

爆弾を解除しようと説得しようとした時だった。

 

「ゼノ!貴方何をしたの!?」

 

リリスの声が一点に集まった。

そして・・・。

 

「まさか、俺を狙っていたガキが近界民(ネイバー)だったとはな」

 

紘太も現れたのだった。

 

「紘太!?」

「お前は、さっきの!?」

 

修は、なぜここに居ると言うニュアンスで話し、リリスがゼノと言っていた少年は、標的にしていた少年がリリスと一緒にいる事に驚いていた。

ゼノとリリス。この2人が新たな戦いの渦になっていく事を今ここにいる皆は、まだ知らないでいた・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとします。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第30話 姿なき敵

最新話になります。


では、どうぞ。


大型連休を利用し、実家に帰郷していた紘太。

そして、四塚市に合宿に来ていた玉狛第二。

修達は、今後のランク戦の為に鍛えようと思っていた矢先、今まで見た事のないトリオン兵と遭遇した。

交戦する中、雨取の首に爆弾型のトリオン兵がくっついて人質になってしまった。

そして紘太は、この物語の鍵となる少女・リリスと邂逅。

新たな戦いの火蓋が切って落とされたのだった。

 

 

 

 

 

一先ず、情報を得るためにお互いの戦闘行為を中断した。

 

「しかし、修達も来ていたとはな・・・」

「僕としては、紘太が四塚市に実家があるとは思わなかったよ・・・」

「お前達」

 

すると、席を外していたゼノが現れた。

 

「いつになったら千佳の首についてるこれを外すんだ?」

「外すつもりなどない」

「それで、お前の目的は何だ?」

「お前なのではない。ゼノ様と呼べ」

「・・・それで、ゼノ様は、どこの国から来たの?」

 

だが、ゼノは回答を拒否。だが・・・。

 

「リリス。君達はどこの国から来たんだ?」

「乱星国家エルガテス」

「リリス!?」

 

紘太は、既にリリスと仲良く話をしている。

そのことに思わずこの2人の対応に驚くゼノ。

 

「遊真、知ってるか?」

「いや、聞いた事ない。レプリカは?」

『残念だが、こちらにも記録はないな。乱星国家は、決まった軌道で動かない未知の星だ。

ユーゴも全ての国を巡った訳ではなかったからな』

「(トロポイのトリオン兵・・・。珍しいな)」

「リリスは、追われてるの・・・。エルガテスを裏切ったから」

「なら、事情を説明してくれたら助ける事もできたかもしれないじゃないか!!」

「オレは・・・リリス以外を信じない」

 

リリスは、ゼノの様子を見てある決心をする。

 

「約束する!必ず爆発はさせない!!」

「勝手に約束するな!」

「でないと、リリス。ゼノについて行かない。一人で逃げる!」

 

その言葉に思わず言葉を詰まらせたゼノだった。

 

「一週間後には、他の惑星国家が近づくからその時にこの星を出ていく。

その間だけ、逃げ切れれば何とかなるから」

「船はあるのか?」

「うん、逃げてくる途中で攻撃を受けたけど自己修復モードが動いてる。

人質を取っておきながらこんな事を言うのも何だけど、リリス達を助けて!!」

 

リリスの懇願に対して、修は、チラリと遊真を見る。

 

「・・・嘘は、ついてない見たいみたいだな」

「なら、千佳を解放しろ!!」

「外さないと言ったはずだ。トリオンが必要だからな」

「何を勝手に・・・!」

 

すると、修の携帯に着信が入った。

相手は、宇佐美だった。

 

「何だそれは!?」

「僕達の仲間からの連絡だ。ずっと帰ってこないから心配しているんだ」

「通信端末か・・・。誤魔化せ。いいな」

 

ゼノの言い分に了承し電話に出る。

 

「もしもし、宇佐美先輩?」

『あ、修君!よかった繋がった!今どこ?何してるの?』

「えっと、実は・・・」

 

すると紘太は、ある提案を思いつき修に変わるように指示する。

修は、何を考えているか分からないが一先ず任せる事にした。

 

「俺です。宇佐美さん」

『え!?紘太君!?』

「実は、ランニング中にばったり会いました」

『そうだったんだ・・・』

「今、実家にいます。今日は遅いのでそのまま家に泊らせます」

『でも、迷惑じゃ・・・』

「両親は、急用の仕事で家を出ています。道場がありますので布団を敷けば問題ないです。

暖房も完備しているので1日くらいなら問題なく過ごせますよ」

『分かった。それじゃあ、修君達をよろしくね』

「分かりました」

 

そう言い着信を終了した。

 

「第一関門は、クリアだな」

「・・・ありがとう、紘太」

『それでも、ゼノとリリスを追ってきた敵とチカの事。問題は山積みだ』

「ああ・・・」

 

レプリカの言う通り、問題は山積みだ。

そして、これ以上の移動は、不味いのでこのまま野宿する事になった。

紘太は、目を瞑り僅かな睡眠を取っている時だった。

 

「・・・敵だ」

「・・・何?」

「2人を起こせ」

 

そして、雨取とリリスを起こしゼノが監視用で展開していたトリオン兵を回収するとゼノが雨取の手を取り逃げ出す。

 

「ゼノ!乱暴しないの!」

「あのバカ!!」

 

紘太は、悪態を付けつつゼノを追いかける。

そして、道路に出ると攻撃が止まった。

 

「攻撃、止まったな」

「あぁ・・・」

 

そして、先程の場所には、戻れないと考え、ゼノ達を安全な場所に匿う事になった。

 

 

 

 

 

どこに行くか考えた結果、ボーダーの合宿所前にいた。

中に入るか考えている時だった。

 

「みんなおはよ〜」

「烏丸先輩!小南先輩!?」

「港で朝市やってるって聞いたから買い物に行ってきてその時、ばったり会ったんだ」

「夜行バスでさっき着いた」

「ていうか、綾瀬も来ていたなんて驚いたわ。所で、そっちは?」

「こっちは、俺の地元の友人です」

「私は、リリス。こっちはゼノ」

「おい!余計な事をペラペラと話すな!」

「綾瀬も合宿か?」

「俺の場合は、帰郷ですけどね。不本意ですけど1週間くらい滞在予定です」

「実家に帰るのがそんなに嫌なの?」

「・・・ここには、かつて死んで行った者達の魂が蔓延っていた街です。

俺の両親は、警察官でその不可解な死の調査に本腰を入れる為に四塚市にやってきたのです」

 

思わず、小南、宇佐美、修、雨取がごクリと飲み込んだ。

ゼノとリリスも思わず身構えた。しかし・・・。

 

「そ、その原因は、解明されたの?」

「はい。全て、俺が今でっち上げた嘘ですから」

 

 

「「「・・・へっ?」」」

 

 

「今の話、全部嘘です」

 

皆が唖然とする中・・・。

 

「だ、だ、騙したの〜!!!??

「いや〜、咄嗟のネタでしたからね」

「やるな、綾瀬。驚きは、しなかったが中々面白かったぞ」

「うむ。オサム達も張り詰めていたぞ」

 

などと小南がガミガミ言い出す中、ポカーンとするゼノとリリスだった。

 

 

 

 

 

その後、朝食でシーフードカレーを食していたのだが・・・。

修は、なぜこんな状態なんだ?と困惑していた。

紘太は、食事の前に一度、両親にボーダーの仕事で近い内に任務で仕事に出ると話していた。

食事もこちらで済ませると伝えた。そして、食卓に戻るのだが・・・。

 

「え?なんですか?」

「お姉さん達もカップルなんですか?」

「え?なんですか?」

「お姉さん達もカップルなんですか?」

 

烏丸とリリスのやりとりが何故かループしていた。

 

「どう言う状況だ・・・」

 

紘太は、頭を回転させて考えては見たものの答えは、出なかった。

そして、食事を終え一休みしていた時だった。

突如、小さな地震が起きた。

 

「これは・・・!」

「まさか、今朝の!?」

「何!?どうしたの?」

「今朝のってなんだ!?」

『ここに来る途中、ユウマ達は、姿が見えないトリオン兵に襲撃を受けた』

「何!?」

「どうして言わなかったの!?」

 

烏丸と小南は、外に出て応戦する事になった。

宇佐美のオペレートだと、既に近くにいるはずなのだが未だその姿が見えない。

ステルス機能を持っているのと思ったがそれも違った。

紘太は、ある一つの仮説を立てた。

 

「(空、正面、透明じゃない・・・。まさか!?)

2人共気をつけて下さい!敵は地中だ!!」

 

 

「「「!?」」」

 

「地中ですって!?」

「そうか・・・。だから光弾が一つも当たらなかったのか・・・!」

 

そして2人は、すぐさま応戦する。

小南の斧で地面を割り、烏丸が銃撃で撃破した。

そして、すぐさま対応し敵をどんどん減らして行く。

 

「リリス、今のうちに逃げるぞ」

 

そしてゼノは、リリスを連れて逃げようとしたが・・・。

 

「よせ!敵に勘付かれるぞ!!」

 

「「!!」」

 

紘太に言われ、思わず足を止めたが2体がこちらに迫ってきた。

 

「言ってるそばから・・・!修達は、ここにいるんだ!!レプリカ、手を貸してくれ」

『何か作戦があるのだな』

「そう言うことだ!」

 

紘太は、そう言い外に出る。

 

「紘太!!」

 

紘太は、そのまま外に出た。

 

「トリガー・起動(オン)

 

すぐに戦闘体に換装した。

 

『それで、具体的な作戦は?』

「具体的って言っても力押しだけどね・・・。滝壺で敵を地中から叩き出して一気に仕留める。

俺が指示するからその時に(ブースト)を掛けてくれ」

『了解した』

 

そして、息を吸い込み・・・。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

「レプリカ!やれ!!」

『承知した!』

 

紘太に言われた通り(ブースト)を発動した。

 

 

捌ノ型 滝壷

 

 

そしてそのまま弧月を地面に叩きつけた。

 

 

ドゴーーン!!!!

 

 

勢いよく叩きつけた弧月の衝撃によって地面に隠れていたトリオン兵が現れ空中に飛んでいった。

 

「とりまる!!」

「残りのトリオン兵!一体誰が?」

 

紘太は、空中に飛ばされたトリオン兵が落ちて来るタイミングで一気にケリをつける。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

肆ノ型 打ち潮

 

 

そして、トリオン兵を切り裂き敵を倒したのだった。

 

「ふぅ。レプリカ、残存勢力は?」

『さっきコウタが倒したので最後だったようだ』

「なら、ミッションコンプリートってね」

 

それだけ呟くと、そのまま皆がいる合宿所に戻った。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第31話 ゼノのトリオン兵

戦闘が終了し、紘太が合宿所に戻った。

一度、家に戻り合宿所に泊まり込みをするために支度すると話した。

 

「みんな」

「紘太。親御さんの許可は?」

「取れた。渋ってたけど」

 

その後、紘太と修は、合流し移動を開始した。

 

「「へっくし!」」

 

「へっくし!!」

 

突如、ゼノ、リリス、そして遊真がくしゃみをした。

 

「寒いのか?」

「寒くなどない・・・ハックし」

「素直じゃないんだから〜」

「リリスは、大丈夫なのか?」

「うん、寒くないよ」

 

紘太の問いに、リリスは、元気に応える。

 

「・・・玄界(ミデン)は、いつもこうなのか?」

「いや、3月の半ば頃までは、こんな気候かな」

「この時季は、寒いからな。一応、4ヶ月後は、あっつくなるぞ」

「暑い時もあるのか・・・」

「エルガテスはどんなところ?」

「とっても暑い国よ!周りは、砂漠だらけ」

「まるでエジプトだな」

「エジプト?」

「何だそれは?」

「分かりやすく言えばエルガテスの玄界(ミデン)版って言えばいいかな」

 

ゼノは、そんな所があるのかと話した。

 

「そこに向かうのはやめておけ。

ここは、小さな島国だから海やら谷やらを越えないといけないから先に朽ち果てるのがオチだぞ」

「そんなに遠いの?」

「お前達で言う飛行艇に乗れば半日だけど、惑星国家に行くのはかなり大変だ」

「お前達が使っているルートでは、いけないのか?」

「千佳ちゃんを人質で連れて行くとなると最低でも1ヶ月はかかる。

エジプトに行くための身分証明証がいるからな」

「・・・玄界(ミデン)は、そこまで面倒なことをするのか?ハクシュ!」

 

紘太は、予備の上着を出した。

 

「着るか?」

「いらん」

「オサムとコウタは、優しいね。リリス達を普通の人間として扱ってくれて」

近界民(ネイバー)にも友達がいるから」

「そう言うこと」

 

そんな話をしつつ、移動した。

 

 

 

 

 

そして、廃棄された遊園地に辿り着いた。

 

「合宿所の方が良くね?」

「あそこに潜伏したのが敵に知られてしまっているからな」

「ゼノは、これ以上貴方達に迷惑を掛けたくないのよ」

「お前、つまんないウソは付かないけど素直じゃないな」

「必要以上に借りを作りたくないだけだ!

それと、オレ様の事はゼノ様と呼べと言ったはずだ」

「はいはいゼノ様」

 

遊真は、はいはいそうですかのようなノリで受け答えする。

 

「合宿所の方が絶対安全なのに」

『オサムの言う通りだ。下手に移動するより留まった方が安全だと思うが?』

「何故、敵の心配をする?仲間を人質に取られているからか」

「オサムは、面倒見の鬼なんだ」

「その面倒見が災いにならないように気をつける事だな」

「そう言うお前は、リリスの安全を最優先して自分の身を滅ぼさない事だな」

「またそう言う言い方するんだから〜」

 

リリスがゼノの言い方にケチをつける。

 

「ゼノ様、尻に敷かれてるな」

「何!?俺達は、常に対等だ!」

「いや、そのやりとりは、完全に俺の両親の痴話喧嘩に似ている」

「そうなのか?」

 

紘太の言い分に思わず尋ねる遊真。

 

「正直、痴話喧嘩を聞くのが嫌で家を出て三門市に戻ったって言うのもある」

「そんなに嫌だったのか?」

「ああ。お陰で結構気楽にやれてる」

「・・・お前は、変な奴だな」

「お前の捻くれ根性ほどじゃねぇよ」

「何だと!?ハクシュ!!」

 

紘太は、平然と切り返しゼノは、ムキになった。

しかし、寒さの影響かくしゃみをしてしまう。

 

「流石にここにいるのは、マズイな」

「そうだなぁ・・・。あっ、あそこなんていいんじゃないのか?」

 

修が見つけたのは、お化け屋敷だった。

現在は、使われていないから問題はないだろうと言うことで移動する事にした。

 

 

 

 

 

お化け屋敷の中に入ったがゼノは、というと・・・。

 

「な、何だこの部屋は・・・?」

 

部屋の作りに対して驚いていた。

 

「・・・悪趣味、極まりないな」

「元々この施設は、人を怖がらせて楽しませる為のアトラクション、所謂娯楽施設だ」

「怖がらせて楽しませる娯楽施設!?意味が分からん!」

 

遊真がwolfと書かれたスイッチを押す。

 

 

ワオーーーン!!

 

ゼノは、思わずビビってしまった。

 

「つまり怖いんだな。ゼノ様は」

「意地張るねぇ〜」

「こ、怖くなんてない!!だが、安全を確認しない事には・・・!」

 

そう言い部屋の奥に入り椅子に座る。

 

「随分と心配性だな。いつもこんななのか?」

「そうだよ。ゼノは、心配性なんだ」

「・・・慎重なだけだ」

 

紘太は、やれやれと言った雰囲気で首を振った。

 

「(千佳ちゃんからトリオンがリリスに向けて流れていっている。

  彼女が()()()()()()()()()()()であることには、間違いない・・・)」

 

紘太の透き通る世界は、トリオン体で過ごす事が多くなった影響でトリオンの流れを理解することができるようになった。

この仕組みのおかげかどうかは、不明だが、風間のステルス戦術やエネドラの液状ブレードもなんなく対応できるようになった。

紘太がそんな考えをしている時、皆で食事を取る事になったのだが・・・。

 

「何故、たこ焼き?」

「宇佐美先輩が持って行けって・・・」

 

紘太としては、色々と突っ込みたい所ではあるが・・・。

 

「・・・作るか」

「だね・・・」

 

これ以上考えるのは、面倒だったのでやめた。

紘太と修は、手際良く作っていき出来上がり皆で食すのだが・・・。

ゼノは、警戒心のせいか、手を付けない。

 

「食べればいいものを・・・。食べないと体が持たないぞ」

「・・・余計なお世話だ」

 

と言いつつ腹がなり本人は、渋々食べた。

たこ焼きを食したが熱さのあまり思わず驚いてしまった。

だが、気に入ったのかたこ焼きを吟味し始めた。

 

「ゼノ様やリリスと同じようにオレもソースの味を知った時は、割と感動したぞ」

「・・・近界民(ネイバー)が言っていた友達というのは、お前だったのか」

 

そして終いには、たこ焼き機を分解し見始めた。

 

「ゼノ。お前、異様な程機械に興味を持つな。何故だ?」

「お前が知る必要はない」

「ゼノは、トリオン兵のエンジニアをしているの」

「エンジニア?」

「リリス!?」

「いいじゃない!コウタは、ゼノを心配してくれてるんだから。

それにユウマは、自分が近界民(ネイバー)だって教えてくれたし!!」

 

そして、ゼノは、何も言えずそのまま言葉を詰まらせたのだった。

 

「それでリリス、ゼノがエンジニアって?」

「ゼノはね。エルガテスの一番凄い学校で一番の成績を取ってるの!それに凄く強いんだ!」

 

紘太は、その話を聞いてある程度納得はしたが一つの疑念が浮かんだ。

それは、何故築き上げてきた物を投げ出してまでリリスを守るのかその理由が分からなかった。

紘太は、その強い意志が何なのか、彼を動かしている心の動力源がわからなかった。

そんな考えをしていると知らぬ間にゼノと修が戦う事になった。

 

 

 

 

 

場所は、河川敷に移り、ゼノと修が対峙していた。

 

「なんか俺が考え事している間に決闘する事になっているけど?」

「オサムがゼノ様やリリスの事を知りたいからって事で始まったそうだ」

「流石は、面倒見の鬼。何ともまあ・・・」

 

紘太は、呆れながら2人を見ていた。

 

「そう言えば、コウタもトリガー使いなんだよね」

「ああ。トリガーを使う組織で遊真と同期なんだ」

「そう言う事」

「へぇ〜」

 

そんな話をして2人が戦闘をしている時だった。

 

「!!」

 

紘太が敵の気配を感じ取った。

 

「オサム!後ろだ!」

「敵襲だ!リリスと千佳ちゃんは、安全な場所に隠れているんだ」

「う、うん!」

「分かったわ!」

「おい!リリスに命令していいのは俺だけだ!!」

 

とか言いつつリリスを守るゼノ。紘太と遊真は、トリガーを起動し迎撃の準備をした。

そして、ゼノが操るトリオン兵、メリッサがビットでレーザー攻撃を受けた。

しかし、球体状のトリオン兵がノイズを走り分裂した。

 

「分裂した!?」

「ダメージを受ける度に分身を増やすのか・・・」

 

分裂したトリオン兵は、修、遊真を攻撃する中、紘太は、分裂する敵の動きを見て弱点を探していた。

そして、紘太が一体の敵の注意を引きつけたお陰かは、不明だがゼノの攻撃で分裂体と本体のトリオン兵を同時に撃破した。

 

「(敵の狙いは、リリスなのは間違いない。

  正直、後手に回っているのが否めないが、何か対策を練らないと・・・)」

 

紘太は、彼女の様子を心配していた。それは、彼女自身の様子だった。

ここ数日、敵に見つからない様に外に出歩かないようにしていたが時折寂しい表情を見せていた。

 

「(こりゃあ、一波乱ありそうだな・・・)」

 

紘太は、そう言い今いる河川敷を見通せるビルを見つめていた。

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「あの2人が逃げてきた近界民(ネイバー)?」

「見たいね・・・」

「ていうか、紘太先輩、俺達に気づいているよね?」

「・・・完璧にこっちを見たわね」

 

紘太の人外スキルを目の当たりにする2人だった。

 

 

 




今回はここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡ください。
では、次回。


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第32話 玄界(ミデン)の夕陽

最新話です。


では、どうぞ。


紘太は、昨日のトリオン兵を迎撃後、ゼノの根城に戻ってきた。

日が跨ぎ、食事を取る事になったのだが・・・。

 

「お出掛けね・・・」

 

紘太は、頭をカリカリと掻く。

 

「必要な物があるならオレ様が取ってくる」

「やめとけ。お前が抜けている間にリリスが狙われるのがオチだぞ。

物によっては、この世界の金銭が必要になる。お前達、無一文だろ?」

「・・・グッ」

 

紘太が今絶賛お悩み中なのは、雨取が手にしていた雑誌が発端だった。

そこには、四塚市のレジャー施設と言ったものが特集で書かれていた物だった。

リリスの目は、子供のように純粋な目だった。

 

「・・・行ってみたいんだろうな」

 

紘太は、その様子を見て何か案はないだろうかと考えた。その事を、雨取が相談してきた。

紘太が考えていた通り、彼女の精神ケアも必要になる可能性もあり得る。しかし、ゼノはそれを拒否。

理由は、エリアステルスという保護フィールドのようなものを設置しなければならない。

それがないとリリスが敵を見つけて襲撃される可能性がある。

紘太もそれが原因で民間人に被害が出たら不味いと考えていた。それは、修も同意見だった。

 

「・・・とりあえず、何か遊べるものを探してみるか」

「遊べるもの?」

「平たく言うと、ここから出ないで時間潰しになる物を探してくる」

「なら、レプリカを連れて行け」

『私の分身を渡しておく。これを通じて皆と通信できる』

 

遊真の好意に甘え、レプリカを連れて行く事にした紘太は、一度実家に戻った。

実家に戻り適当な物を見繕っている時だった。

 

『コウタ。オサムからだ』

「え?修から?」

『内容は・・・』

 

紘太は、修の提案に思わずギョッとしたのだった。

 

 

 

 

 

 

修の提案で、リリスにショッピングを体験して貰おうと考えたが結論から言うと失敗した。

メインシステムに多大な負荷が掛かってしまいシステムがダウンしてしまったのだ。

その為、リリスは、ショックを受けて暗い顔をしてしまった。

 

「キチンと説明すれば良かった物を・・・」

「でも、それじゃあ・・・」

「修の言い分も分からない事もない。それでも妥協案は、提示するべきだったんだよ。

擬似体験でいいなら可能だと。それだけでも幾らか変わったと思うぜ」

 

紘太は、彼女の精神的ケアも考慮するべきだったと話した。

修は、そこまでは、頭が回らなかった。

 

「あ、でもいい場所あるな」

「本当か!?」

 

紘太は、ある場所に行くのに最適な場所があった。

※因みに、木虎も手伝ってくれたが流石にこれ以上は、面倒だと言うことで傍観していた。

 

 

 

 

 

「見晴らしの良い場所に?」

「今から行けば日が沈む所を見れるから、良いと思うぞ」

「そこは、ボーダーの合宿所からほぼ一本道でそれ以外の場所も人が入らない山道になっている」

「その区間だけでいい。エリアステルスを設置してくれないか?」

「お前達、もういい加減に・・・」

「ゼノ。お前は、ここに来てから彼女の笑顔を見たか?」

「・・・急に何を言い出す」

「リリスを守るなら、連れ去られるのを防ぐだけじゃなくリリスの心も守らないといけない。

今の現状が続くようでは、リリスにも精神的な限界が来る。少しでも彼女の負担を減らしたい」

「なら聞くが、お前はリリスを守れるのか?」

「守れるのか守れないかじゃない。()()()()。俺が今までそうして来たようにな」

 

紘太の瞳に宿した決意は、純粋でとても真っ直ぐだった。

ゼノは、紘太の瞳を見て・・・。

 

 

 

 

 

「勾配が急だけど、大丈夫?リリス?」

「うん。大丈夫!」

「千佳ちゃんも大丈夫?」

「大丈夫」

「コウタは、余裕そうだな」

「これでへばるのは、修だけで十分だ」

「かも!」

「そっちは大丈夫か?」

「誰に言っている」

「ゼノ様に」

 

ゼノは、リリスの頼みを了承し見晴らしの良い景色に向かった。

しかしそこに向かう道中・・・。

 

「!!」

「修!来るぞ!!」

 

すると上空からトリオン兵が現れた。

 

「空閑!紘太!!」

「ああ!」

「了解!!」

 

 

「「「トリガー・起動(オン)!!」」」

 

紘太、修、遊真の3人は、トリガーを起動しトリオン体に換装した。

 

「隠れるところが多い。あそこに逃げ込む!」

 

ゼノは、そう言いリリスを連れて廃棄された倉庫の方に向かった。

修達もそこに向かう事になった。建物の中に入りゼノは、自身のトリオン兵を起動した。

 

「数で勝負しようって事か」

「それならいくらでも対処しようがあるがな」

 

すると、1体のトリオン兵の瞳が輝きだすと周囲の物が浮かび上がった。

 

「何だ!?」

「重力を操れるのか!?」

 

しかし、紘太は、近くの鉄類を足場にし体勢を立て直した。

 

「遊真!連携して倒すぞ!!」

「了解!」

「修とゼノは、千佳ちゃん達を頼む!」

「・・・クッ!」

「分かった!」

 

修は、了承しゼノは、不本意のようだが了承した。

遊真は、紘太の近くに向かい作戦を立てる。

 

『中心部にいる大型の敵が周囲の小型を操っているようだ』

「重力操作の方は?」

『小型の方が行っているようだ』

「なら、小さい方から潰した方がいいな」

「だな。カウント3で行くぞ」

 

遊真は、会釈し了承した。

 

「3、2、1。Go!」

 

紘太の合図と同時に一気に迫る遊真。正面からビームが迫りそれを回避する。

しかし、その頭上に鉄屑に激突し動きが阻まれた。

紘太は、周囲の鉄屑を足場にし乱反射(ピンボール)のように迫っていき1体を撃破。

だが、すぐさま敵の重力操作で身動きが取れなくなってしまった。

そして、敵のトリオン兵がそのままリリスに迫ってきたその時、敵トリオン兵は、背後から攻撃を受けた。

 

「グラスホッパーの使い方は、俺の方が上だね。遊真先輩」

「緑川!」

 

すると、ワイヤーがリリスの隣を通り過ぎると木虎が彼女を保護した。

 

「木虎!」

「全く!世話ばかり焼かせないで!!」

 

悪態をつけながらもワイヤーで足場を生成。

スコーピオンで1体を撃破、その後、緑川、遊真が一緒に撃破した。

重力が消えて皆が地面に足をついた。

 

「みんな、ありがとう・・・」

 

紘太も重力操作で邪魔をしていた鉄骨類をどかし立ち上がった。

すると、金髪の青年と()()()()()()()()()()()()()()()()()がこの場を去るのを見かけた紘太は、慌てて追いかけた。

 

 

 

 

 

『失敗しちゃいましたね。ギーヴ様』

「だが、まだ狙えるチャンスはある」

 

ギーヴと呼ばれる青年が歩いている時、突如、光る何かが飛んできた。

それに気づいたギーヴは、慌てて距離を取った。

地面には、クナイ型のスコーピオンが刺さっていた。

 

「これは・・・」

「お前がリリス達を追っている奴か?」

「!?」

 

木の上から紘太が降りてきた。

 

『あちゃ〜気づかれちゃいましたね』

「(レプリカに似ているトリオン兵・・・。だが、腕の装着しているのは、ゼノと似ている・・・)

何故、執拗にリリスを狙う!」

「貴様には、関係ない!!」

 

そう言いギーヴは、掌から光弾を放つ。紘太は、それを切り裂き攻撃を仕掛ける。

それを躱したギーヴは、煙幕で目眩しをした。

煙が晴れるとギーヴの姿は、消えていた。

 

「逃げられたか・・・」

 

紘太は、これ以上の追跡は不可能と断念し修達の元に戻った。

 

 

 




今回はここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第33話 ギーヴ襲撃

今回は、紘太の過去を少し話します。


では、どうぞ。


目的地に到着し、無事に景色と夕焼けを見ることができた一同。

そして、戦闘訓練を行おうとした時、紘太が皆を呼び止めた。

 

「どうしたんだ?急に」

「今回、リリスを追ってきた敵の正体を掴めた」

「何だと!?」

「急にいなくなったと思ったら敵を追いかけていたのか」

「それで敵は、どんな奴だったんだ?」

「エルガテスの追手で敵は、ギーヴと名乗っていた」

「ギーヴ?」

「2人は、何か知らないか?」

 

リリスとゼノは、お互いの顔を見るが・・・。

 

「いや、俺たちは、聞いたことがない」

「それともう一つ、敵は、レプリカと同じ形状のトリオン兵と一緒に行動していた」

「レプリカと同じ!?」

『恐らく、それは自律型トリオン兵と見て間違い無いだろう』

「敵の正体を知った以上、向こうもなりふり構わず攻撃をしてくる。

みんな気を付けろよ」

 

皆は、紘太の言葉で一段と気を引き締める。

 

 

 

 

 

紘太の事後報告を終えて解散し、修、遊真、ゼノ、そして宇佐美は、戦闘訓練をしていた。

傲慢な態度は、相変わらずだが修の欠点を指摘していく。

一方の紘太は、雨取とリリスの様子を少し距離を取り護衛をしていた。

 

「綺麗・・・。海って言うんだっけ?」

「エルガテスには、無いの?」

「周りは、砂漠だらけ・・・。一杯の水を奪い合うだけで命懸けで争い合うくらい」

「そうなんだ・・・」

「何処の国も物騒だな」

「ねぇ、コウタ」

「何だ?」

「コウタって、トリガーを使い始めてからずっと戦っていたの?」

 

リリスは、紘太に対して聞いて来て思わず驚いた。

 

「何でまた急に?」

「コウタは、私達に対して分け隔てなく接してくれる。

でも、戦っている時のコウタは、ちょっと怖かった・・・」

「・・・俺が戦場として戦っていたのは、10歳、5年前からだ」

「・・・え?」

「家族と一緒に出掛けていた時、強盗、盗みを働く輩がいてな。

その時、俺は初めて・・・。

 

 

 

 

 

人を斬った」

 

「「!?」」

 

紘太の話した衝撃の内容に2人は、驚きの表情を隠せないでいた。

 

「あの時は、無我夢中で刀を振ったけど冷静になったら人の命を奪っていた。

怖かったよ。刀一本振り下ろすだけで人の命を奪える自分の剣を・・・」

「・・・だったら、どうして今は平気なの?」

「事件の時から1年後位かな。その時の強盗事件に巻き込まれた女の人がいて当時は、まだ産まれていない子供がいたんだ。

その母親がお礼を言って来たんだ」

「・・・どんな気分だったの?」

「戸惑った。人を殺したのに何でお礼を言われたんだって。

その後に、子供がいたって教えてくれた。その時、爺ちゃんに言われたんだ」

 

 

ーーー確かに、お前のした事は到底許せることではない。

   だが、それでも救えた命もあるのだと言うことを忘れるな。

   その力を何に使うかは、お前次第だ。

 

 

「それ以来、刀を振るにはただ暴力であるわけにはいかない。

()()()()()()()()()。その理由がいるんだ」

 

2人は、しんみりとした表情で紘太を見ていた。

 

「悪いな。せっかくの雰囲気を台無しにして」

「ううん!気にしないで!!」

 

すると雨取が・・・。

 

「そういえばリリスちゃん。泳げる?」

「泳ぐって何?」

「泳げないと、リリスちゃん溺れちゃうよ?」

「溺れるって何!?面白そう!リリス溺れてみたい!」

「いや、それはアカンぞ。リリス」

「何で?」

「溺れるって言うのは、水の中で息ができない事なの。

とても苦しいんだよ」

「苦しいのは嫌だな・・・。チカ!リリスに泳ぐを教えて!

ゼノに泳ぐを教えてあげたい!」

 

そんなこんなで日が沈んできたので合宿所に戻った。

 

 

 

 

 

合宿所に戻ると修がバテていた。

リリスは、ゼノに泳ぐと言うのを教えようとしたがゼノはそれを拒否。

すると、宇佐美がキャンプファイアを提案してきた。

 

「キャンプファイヤーって何だ?」

「火を囲んでみんなで歌を歌ったり、お話ししたりするの」

「火を囲んで?」

 

遊真もキャンプファイヤーを経験したことがない為、理解していなかった。

と言うわけで、キャンプファイヤーをやる事になった。

日が沈み、焚き火の前でココアなどを持ち寄り体を暖めていた。

 

「・・・何の儀式だ。火を見て何が楽しい」

「まあ、儀式という点では、間違いではないけど」

「儀式である事が間違いない?」

「元々は、親睦を深めると言う名目で言われている。

内容は、様々だけど友情を誓うと言う意味での儀式とも言われている」

「友情か・・・。オレ様には、必要のない物だな」

「ま、他人を蹴落として誰かを守るような奴には、縁遠い事だろうな」

「・・・何が言いたい?」

「お前に、リリスを守り通せるのか?

たった2人で逃げて来たのにも関わらず、結局は人に頼らないといけない。

ただでさえ、俺達を道具としか見ていない奴が本当にリリスを守れると思っているのか?」

「貴様・・・!言わせておけば!!」

 

ゼノは、拳を紘太に向けて放つ。しかし・・・。

 

 

 

 

 

パシッ!!

 

紘太は、何事も無かったかのように片手で受け止めた。

 

「人間一人での力なんざたかが知れてる。たった一人で誰かを守るなんて口では、簡単に言える。

でもそれは、物凄く大変な事なんだ・・・。お前は、これから先、リリスを失う事なんてないと言い切れるのか?」

 

紘太の宿した瞳は、ゼノには、思わずすくんでしまった。

 

「ゼノ、やめて。折角、皆と仲良くなれたのに・・・」

「リリスには悪いが・・・お前に一つだけ言っておく。

もし、俺の仲間に危害を加えたらその時はただじゃ済まない」

 

紘太とゼノは、お互い睨み合う。

 

「・・・コウタが怒ってる。珍しいものが見れた」

「キャンプファイヤーで、ゼノやリリスちゃんと仲良くなれると思ったのに・・・」

「大炎上だな」

 

宇佐美は、がくりと肩を落とした。

 

「でも、紘太の言っている事は、分かる。

ゼノのやり方は、僕も納得できない」

「オサムも怒ってる。やっぱ面倒見の鬼だな」

「・・・茶化さないでくれ」

 

そんな話をしている時だった。

 

「修君!!」

 

雨取がかなり険しい表情をしながらこちらに来た。

 

 

 

 

 

木虎と雨取の話によると海の方から大型トリオン兵がこちらに来ている。

 

「街を攻撃するつもりか?」

「違うな。街を吹き飛ばすつもりだ。

オレならそうする」

「ゼノ様分かってるね」

「そんな!?街の人達は?」

「お構いなしだろうな・・・。向こうの目的は、リリスだ。

向こうもなりふり構ってはいられないだろう」

「奴らの目的は、オレ達の船だ」

「船?」

「オレたちが玄界(ミデン)に渡った時に使った奴だ」

「なるほどね・・・。奴らは、街ごと吹き飛ばすと同時にゼノの船を破壊しようって魂胆だな。

うまく破壊出来れば、ゼノとリリスは、この世界に止まらないといけないからな」

「それだけじゃない。奴らは、街の人に危害を加えれば俺たちが出てくることも分かっている」

「僕達を炙り出そうとしているのか・・・。

宇佐美先輩。爆発の規模はどれ位になりそうですか?」

 

宇佐美の計算では、爆発の規模は、イルガーの約67倍。

かなり広範囲と予測される。

 

「できるだけ早期決着が望ましいな・・・。

爆発の影響で津波が発生したら大変な事になる」

「理想は、沖合7キロに入る前にトリオン兵を仕留めたい」

「沖合7キロに到達する予測時間は?」

「今の速度で行けば、後1時間もないわ」

「千佳。もし危険だと思ったら僕達に構わず逃げるんだ」

「修君・・・」

 

雨取は、修を心配する声をあげた。

そして、敵を湾内に入れない為に、行動を開始した。

 

 

 

 

 

四塚市の港。

そこには、ゼノ、紘太、修、遊真、木虎が集まっていた。

 

「行くぞ、2人共!」

「おう!」

「了解だ!」

 

「「「トリガー・起動(オン)」」」

 

戦闘体に換装し、ゼノが出現させたトリオン兵に乗り、敵の元に向かった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


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では、次回。


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第34話 四塚市攻防戦

最新話です。
最近、前書きで書くネタが無くなってきてこんな感じになってます。
申し訳ない。


では、どうぞ。


ギーヴがトリオン兵を従えて四塚市に攻撃を仕掛けて来た。

紘太達は、それに迎え撃つ。

ゼノが出現させたトリオン兵で沖合に向かうと木虎が何かに気づいた。

 

「何、アレ?」

 

その先には、フェリーが接近していた。

紘太は、透き通る世界でフェリーを調べた。

 

「偽装している可能性があるな・・・」

「中に乗客がいる。どうやら捕まったみたいだ」

 

「「「!?」」」

 

「何故、そんなことが分かる?」

「分かりやすく言うと俺は、中の様子を見ることが出来る副作用(サイドエフェクト)を持っている」*1

副作用(サイドエフェクト)!?」

「貴方、そんなものを持っていたのね・・・」

「話は、ここまでだ。来るぞ!」

 

紘太がそう言うと正面からレーザーが放たれた。

皆は、ゼノのトリオン兵から慌てて離れた。

 

「ナービス!」

 

遊真、紘太は、グラスホッパーで水中にいるトリオン兵の攻撃を躱す。

木虎は、ハンドガンに仕込んであるスパイダーでアシストして貰う。

ギーヴは、攻撃が当たらないと踏んで攻撃をやめた。

 

「2人共、大丈夫か?」

「オレたちは、大丈夫だ」

「でも、三雲君が・・・」

 

修達は、シールドらしき物に閉じ込められてしまった。

閉じ込められたのは、トリオンリフレクターと言い、端的に言えば、シールドの強化版で攻撃を反射する能力を持っているおまけ付きだ。

そして、ギーヴがゼノに顔を晒した。しかし、ゼノは、顔を見ても一切心当たりがないとの事。

ギーヴは、ゼノにお前を仕留めるとだけ話し、回線を切り街に攻撃を仕掛けようとする。

 

 

 

 

 

場面は変わり、紘太達のエリア。

先程の攻撃とは打って変わって一切攻撃して来ない。

 

「どう言う事?さっきと違って静か過ぎる」

 

すると、再び攻撃してきて回避するが回避したと同時に遊真から木虎が離れてしまった。

木虎は、スパイダーで遊真に掴むようにするが遊真はそれを掴む事ができず、木虎は、そのまま落ちていってしまった。

だが、突如、彼女の落下は、止まった。彼女の腕に誰かが掴んでくれて落下を防いでくれたのだ。

その人物は、嵐山だった。

 

「嵐山先輩!!」

「待たせたな!みんな!!」

 

その言葉は、とても心強かった。

 

「待ってましたよ!嵐山さん!」

「すまないな。新型トリオン兵に手こずってね」

 

ボーダーのヘリが上空に上がっていく。

 

「三雲君が(トラップ)に捕まりました」

「一旦引くぞ」

 

「「了解」」

 

紘太と遊真は、グラスホッパーでヘリから垂れ落ちている縄に捕まり一度、戦線から離れた。

 

 

 

 

 

上空で退避していた紘太達は、レプリカに無線チャンネル傍受し修に通信を試みた。

無線で通信を試みると修とゼノの無事を確認する事ができた。

話によれば、船の乗客がトリオン供給源にされていると聞いた。

だが、これを聞いた嵐山は・・・。

 

「今日聞いた中で一番いいニュースだ」

『え?』

「修。トリオンの供給源にされていると言うことは、船の破壊と供給源にされている民間人に被害は出ないと考えていい。

だからその隙に、救助とトリオン兵の排除に専念すればいい」

 

紘太の説明で納得した修。

そして、ヘリにいる隊員達は、船に乗り込むために奇襲を仕掛ける。

船に乗り込む事に成功したが、エルガテスのトリオン兵がこちらに向けて進軍してきた。

 

「大人しくしている気は無いみたいだけどな」

「新型トリオン兵を排除しつつ、乗客の安全を確保する!」

 

「「はい!」」

 

「戦闘開始!!」

 

紘太達は、トリオン兵を排除する為、戦闘を開始した。

 

 

 

 

 

それぞれ散らばり、戦闘をしている中、紘太は、トリオン兵を排除しつつギーヴを探していた。

 

「恐らくこの事件も奴が仕組んだ物。だったら何処かに・・・!」

 

紘太は、外を見るとトリオン兵らしき物に乗っかり上空へと逃げていった。

 

「逃したか・・・!」

 

敵を逃してしまい歯痒い思いをする紘太。

それでも、目の前にいるトリオン兵の排除に専念する。

すると、修から通信が入った。内容は・・・。

 

「上手い事考えたな。

それなら修達は、脱出が出来る」

 

船の中に乗り込んだ隊員達は、全員動きを止めトリオンリフレクターに捕まった。

すると嵐山から通信が入った。

 

『全員、準備はいいか?』

 

「「「はい!!」」」

 

『合わせて行くぞ!3、2、1!』

 

嵐山がカウントダウンをしている間に紘太は、技の体勢に入った。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

嵐山がカウントダウンを言い切ると皆がトリオンリフレクターに攻撃をした。

 

 

漆ノ型 雫波紋突き

 

攻撃した後、トリオンリフレクターが破壊された。

修とゼノは、そのまま船内に飛び込んだ。

 

「よし、成功だ!」

「おい、急げ!」

 

ゼノの喝を入れられ、修は、トリオンの供給装置を探す。

トリオンリフレクターは、反射する能力を持っているが所詮は、シールドの強化版。

広範囲にシールドを展開すると強度が下がる。そこに一点集中すれば破壊は可能となる。

トリオンを無尽蔵に供給できるとはいえ、シールドに供給されるトリオン量には限りがある。

だからこそ、破壊が可能だったのだ。

 

「全く、修の発想力は、オレも驚かされる」

 

紘太も感心しながらトリオン兵を排除しつつ、供給装置を探す。

 

「レプリカ。供給装置はどこにある?」

『船の動力室の付近に空き部屋がある。

そこに大量のトリオンが集中している』

「オサム。聞いたな?」

『ああ!直ぐに向かう!!』

 

レプリカの指示の元、供給装置のある場所に向かう。

そして、到着したが見張りのトリオン兵が人間を縛り修の攻撃を躊躇わせた。

ゼノがトリオン兵を呼び出しそのまま攻撃を仕留めようとした時、何者かがゼノのトリオン兵を足場にしそのまま敵トリオン兵を人質に被害が出ないように仕留めた。

 

「修は、その人を頼む!」

「紘太!!」

 

紘太が、いつの間にか現場に到着して見張りトリオン兵を倒し供給装置を破壊した。

そして、敵トリオン兵の動きが止まった。

 

「大丈夫か?修」

 

紘太は、修に手を伸ばし修は、その手を掴んだ。

 

「貴様、よくもオレ様のトリオン兵を踏み台にしてくれたな」

「お前が何振り構わず敵を排除しようとしていた事はわかっていた。

だからあんな行動をした。それだけだ」

 

しかしゼノは、敵トリオン兵の動きが止まった事も事実でありそれ以上は言わなかった。

そんな時、突如船が揺れた。

 

「何だ!?」

 

3人は、外に何かあると思い、デッキに向かった。

外に出ると水中にいた巨大トリオン兵が姿を現した。

 

「アレは!」

「水中にいた巨大トリオン兵!?」

 

ゼノは、トリオン兵を出そうとした時、バランスを崩して海に落ちてしまった。

 

「ゼノ!」

 

すると修は、ゼノを救うべく海に飛び込んだ。

 

「修!ゼノ!」

 

すると、ちびレプリカが紘太の隊服から出てきた。

 

『2人が海に落ちたのか?』

「レプリカか。このエリアで爆発したらどれくらいの規模になる?」

『四塚市を呑み込んでしまう。更に津波も起きると考慮すると大規模な被害が予測される』

「不味いな・・・。この位置だと、水流飛沫とグラスホッパーで届くけど仕留めきれなかった時のリスクがデカい・・・どうすれば」

 

すると、光が紘太の目の前を横切った。

 

「何だ!?」

 

目の前を横切った光は、トリオン兵に直撃しそのまま沖合に飛ばされ爆発した。

 

「今のは・・・」

『恐らく、チカのアイビスだな』

「自由にしたのか・・・?アイツ・・・」

 

紘太は、浮き輪に捕まっているゼノを見ていた。

こうして紘太達は、四塚市の被害を未然に防ぐ事ができたのだった・・・。

 

 

 

*1
分かりやすく話しているだけで副作用(サイドエフェクト)そのものとは言っていない。遊真も気付いている




今回は、ここまでとなります。


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第35話 リリスの正体

最新話になります。
では、どうぞ。


大型トリオン兵を撃破した翌日。

四塚マリンワールドで訓練ををする事になったのだが・・・。

 

「アレは訓練に必要なものか?」

 

ゼノの視線の先には、プールで遊ぶアイテムが所狭しと並んでいた。

 

「オレもごもっともだ・・・」

「あ、アレは、訓練に使うって栞さんが・・・」

「わーい、あっさり犯人が特定された〜」

 

紘太は、物凄い棒読みで犯人見つけたと言う。

終いには、遊ぶ気満々の声がダダ漏れだった。

 

「マイク切り忘れているぞ、しおりちゃん」

 

やれやれと肩を振る一同だった。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、着替えを終えた男性陣は、一足先に準備運動をしていた。

 

「しかし、これだけの大量の水を使うとは、恵まれてるんだな玄界(ミデン)は」

「とは言っても、プールの水を作るには、それなりの手間は、掛かるかな」

「まあ、ある程度使い回しているってのもあるけどね」

「そうなのか?」

「エルガテス程じゃ無いかもしれないけど、水が限りある資源である事には違いないからね」

「その点は、他の国と似ていると言ってもいいからな」

「田んぼや畑の収穫を左右する水は、凄く大事だったから神様が祀ったんだって親父から聞いた事がある」

「なるほど。だから水に入る前は、こうした儀式が必要って訳か」

「いや、違う。今やっているのはそうじゃない」

「紘太の言う通り、これは準備運動。水の中で急に動くと筋違えたり、肉離れが起きる・・・」

 

すると、修が肉離れの事を説明しようとした時、言葉を詰まらせた。

 

「どうかしたのか?」

「今、あそこに誰か居たような・・・」

 

紘太は、透き通る世界で修が指摘したところを見たが・・・。

 

「誰も居ないな・・・」

「そういや遅いな。しおりちゃん達」

「そうだなぁ・・・。連絡してみるよ」

 

そして修は、雨取に電話し異常がないか聞いてみた。

聞いたところ異常はないとの事だそうだ。

 

「一応、この建物の中を調べた方が良いかもしれないな」

「オレも行く」

「遊真。ちびレプリカを出せるか?何かあった時に連絡出来るようにしたい」

「それもそうだな」

『承知した。私の分身を3人に渡しておこう』

 

紘太の提案を受け入れてちびレプリカを作り出し4人は、建物の中の調査に向かった。

 

「(何もなければ良いが・・・)」

 

紘太のこの考えがのちに的中するとは、思っても見なかった・・・。

 

 

 

 

 

施設の中を散策しているときに、紘太は、何かの気配を感じた。

その場所は、水質の管理施設だった。紘太は、その中に入った。

しかし、異常らしきものが無かった。

その後、修達と合流したが何故か修が女性陣の着替えを覗き見したと疑われたそうだ。

 

「どう言うこっちゃ?」

 

紘太は、その事に関して思わず頭を?にした。

結局、遊真のサイドエフェクトで修が覗いていない事が証明された。

 

 

 

 

 

そんなこんなで皆が着替えを終わらせ各々遊んでいた。

そして、スイカ割りをしている時、修と紘太は、先程の人物について考えていた。

 

「やっぱり気になるか?さっきの人影」

「ああ、どう考えても偶然とは思えない」

「オサム。さっきの事気にしているのか?」

「ん?ああ、どうも頭から離れない」

「コウタのスキトオルセカイだっけ?それでも見つからなかったんだろ?」

「確かに見つからなかったけど妙な気配は、感じている。

けど、その正体がわからないんだ」

「コウタがそれを感じるって事は、まだ施設の中にいるって事なんだな?」

「だな。少し調べてみる」

「僕も」

「いや、修は、みんなと居てくれ。何かあったら連絡する」

 

紘太は、それだけ伝えるともう一度施設の中を調べに行った。

 

 

 

 

一方その頃のボーダー本部の地下施設。

木虎は、プールで訓練をしようとしていたのだが、中に入ると先客がいた。

その人物は、小南だった。

 

「小南先輩?」

「あら、木虎ちゃんも来たの?」

「何してるんですか?」

「実はな、木虎。何でも、三雲君達が四塚マリンワールドを貸し切っているそうじゃないか」

 

今度は、嵐山、那須、熊谷、佐鳥の4人がリゾート気分を味わっていた。

 

「せっかくだからボーダーの施設を使ってリゾート気分を味わおうって訳」

「・・・私は、普通に訓練しに来たんですけど」

「ここ最近、この施設で真面目に訓練したのって言えば紘太君位じゃない?」

「綾瀬って泳げるの?」

「ううん。()()()()

 

 

「「「・・・は?」」」

 

那須の言葉に熊谷以外は、言葉に?を浮かべた。

 

「那須先輩。誰が走ってたんですか?」

「紘太君。全力で水の上を走ってたわよ」

「いやいや、那須先輩。いくら綾瀬でもそれは無理でしょ」

「それが出来ちゃうんだよな〜これが」

「そうなのか?」

「改めてログを見せますけど紘太君と河川敷で訓練をしたら」

「真正面から川の上を走って来たんですよ」

「そっからみんな落とされましたし」

 

熊谷の言葉に思わず皆が固まってしまった。

 

「・・・綾瀬君って人間ですか?」

「いいえ、絶対に人の皮を被った何かよ」

 

小南の失礼な物言いが紘太に聞かれていたら文句の一つは出るだろう。

因みに、後に烏丸と木崎が中に入り木虎も水着を着替える羽目になったとか無いとか・・・。

那須も紘太に水着を見せたかったと残念がっていた。

 

 

 

 

 

そんなボーダー本部で起きている事は全く知らない紘太。

施設を探っている中、紘太は、意識を集中する。

すると、目の前に人影が出てきた。

 

「あの、すいません!」

 

紘太が呼びかけるとその人は、一目散に逃げ、追いかけようとした時、その気配は、邪悪な物になった。

紘太は、足を止めてトリガーを起動し追跡する。

追いかけた先には、更衣室のシャワールームに辿り着いた。

一箇所だけ明かりが付いていて紘太は、その場所に足音を立てずに向かう。

近くに到着し、透き通る世界を使う。そして驚愕の事実が判明した。

 

「・・・全身、水!?」

 

向こうは、その事がバレたのか光剣で紘太を攻撃した。

紘太は、それを弧月で受け止め反撃する。

だが、切り裂いたいのは、水だった。

 

「修!敵だ!」

『紘太!こっちも襲撃を受けた!!』

 

修の話を纏めると敵探知の副作用(サイドエフェクト)を持っている雨取でも探知できなかったと話していた。

本部にこの状況を伝えると、鬼怒田曰く、水を操っているコアらしきものが何処かにあると話していた。

 

「修!制御室で水を一箇所に集めるんだ!」

『一箇所に?』

「ああ、鬼怒田さんの話だと水の出る所を限定すれば、そのコアを一箇所に炙りだせる!宇佐美さん!」

『ガッテン承知!!』

 

その後、制御室に向かい修と合流。

スプリンクラーや排水管の出口を屋上の貯水タンクに誘き寄せた。

そして、屋上の貯水タンクにやって来た。

しかし、修と紘太は、1つの突っかかりがあった。

 

「修。敵の狙いは、リリスだよな?」

「やっぱり紘太も?」

「どう考えても標的を変えていた」

 

そんな疑問が過ぎる中、敵が現れ、コアを見つけた。

遊真がシールドを展開し雨取の攻撃を狙いやすくした。

そして、雨取がアイビスで攻撃を仕掛けようとした時、突如アイビスが暴発し遊真以外、戦闘体が解除されてしまった。

遊真は、皆を気にしている時に隙ができビルの下まで落とされてしまった。

すると、ゼノの前にリリスがたった。

 

「やめて・・・」

 

リリスの懇願も聞かずそのまま迫るトリオン兵。

 

「やめて・・・」

「リリス、ダメだ・・・。逃げろ・・・!」

「リリス!よせ!!」

 

すると、ゼノと紘太の静止も聞かず、突如、リリスの体が輝き出し皆は、思わず目を瞑った。

光が収まるとリリスは、両腕、両足がとても鋭利な物になった。

そして、光の羽らしきものを展開し敵トリオン兵に攻撃。

攻撃のあまり、跡形もなく吹き飛んでしまった。

皆は、その力の余り唖然としていた。

 

「ようやく本性を表したな。麗しき破壊の女神」

 

振り返るとギーヴが紘太を人質にしていた。

 

 

 




今回はここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第36話 囚われた紘太

ちょっと鬼滅要素があります。
と言っても今後の物語に大きく関わらないとだけ話しておきます。


では、どうぞ。


四塚マリンワールドで訓練(遊び)に来ていた紘太達。

だが、ギーヴが新たなトリオン兵を用意し攻撃を仕掛けて来た。

敵の策により、皆が戦闘不能になった時、リリスが姿を変えそのままトリオン兵を攻撃し消滅した。

だがギーヴは、その隙に紘太を人質に取ってしまった。

 

「紘太!」

「来るな!リリスを守れ!!」

「でも!!」

『安心して下さい。リリスを渡せばちゃんと返しますから。

また会いましょうね』

 

カロンがそう言うとギーヴが(ゲート)が発生しそのまま連れて行かれた。

 

「紘太ァ!!!」

 

修の叫び虚しく紘太は、連れて行かれたのだった・・・。

 

 

 

 

 

場所は変わり、四塚市の中にある採掘場。

その事務所代わりらしき場所に紘太は、幽閉されていた。

紘太は、ここに来る途中、意識を失っていたようだ。

 

『おはようございます。こうして話すのは初めましてですね』

「・・・オレを使ってリリスを連れて帰ろうって訳か」

『驚くほど冷静ですね。まあ、話が早くて助かります。引き受けてくれますか?』

「断る」

『即答ですか。なら取引をしましょう。リリスを連れて来てくれれば玄界(ミデン)に危害を加えない。

悪く無い取引だと思いますが?』

「よく言うよ。無関係な人間を襲っておいて、そんな奴の言葉を信じられると思うか?」

『あらら〜。それは残念。ですが、一刻も猶予はありませんよ。

貴方の命は、私達の手の中にありますからね』

「精々、悔いのない選択をする事だな」

 

そう言い、カロンとギーヴは、部屋を出た。

 

「さて、どうやって()()()()()

 

紘太は、反撃の隙を狙う策を練るのだった。

 

 

 

 

 

場面は、変わりボーダー合宿所。

宇佐美が紘太の携帯電話のGPSを使って追跡をしていた。

だが、途中で足取りを追えなくなってしまった。

そんな中、修の表情は暗かった。

 

「オサム?」

「どうかしたの?」

「・・・あの時、紘太が庇ってくれなければ僕が連れて行かれた」

 

修の言う通り、紘太がギーヴの存在に気づいた時、修を突き飛ばし紘太が身代わりになってしまったのだ。

修は、その事を悔やんでいた。

 

「・・・僕のせいで!」

「オサム。紘太は、自分からやったんだ。あまり気負うな。

それに、取られたら取り返せば良いだろ?」

「空閑・・・。ああ!絶対に助ける!!」

 

遊真に言われ修は、気合を入れ直すのだった。

そして修達は、ゼノがどうしてエルガテスを裏切ったのか話を聞いた。

要約するとリリスをトリオン兵の実戦兵器として運用するべくゼノとの記憶を消そうとした。

しかし、リリスは、それを拒絶した。

その事を知ったゼノは、彼女を守るべく、エルガテスという国を敵に回した。

そして、船を奪い国を出て今に至るという事だ。

 

「お前達もそうだが、全部奴が、()()()がいてくれたおかげだ。

アイツがいなかったら俺たちは、何も出来なかっただろう」

 

修は、ゼノの呟きを聞き鼓舞するように話す。

 

「紘太は、僕達を助けてくれた。一人の友人として、戦う仲間として。

紘太がいてくれたからここまで来れたんだ」

「そうだな。近界民(ネイバー)のオレを何ともなく普通に接してくれたし」

「私とも気さくに話してくれたし」

「みんな、コウタがいてくれたおかげだ」

「だからこそ、僕達で助けるんだ」

 

修の決意を聞くと眠っていたリリスが目覚めた。

 

「・・・ゼノ?」

「リリス!」

 

リリスが目を覚まし思わず抱きしめるゼノ。

リリスも思わず顔を赤くするがそのまま抱きしめる。

するとリリスは、辺りを見舞わし焦った表情をする。

 

「お願い、ゼノ!コウタを助けて!!」

「どうしたリリス」

「コウタは、私がトリオン兵だっていうこと()()()()()!!」

 

「「「!?」」」

 

その事を聞いた皆が驚きの表情をした。

 

「リリス!それはどういうことだ!?」

「キャンプファイヤーをやった日、トリオン兵が襲撃した後にコウタが聞いてきたの・・・」

 

 

 

 

 

【リリス。君は、トリオン兵か?】

【・・・どうして?】

【オレは、副作用(サイドエフェクト)を持っていてお前の体の構造がトリオン兵によく似ていたのを知った。

だから、君は、トリオン兵だという事がわかった】

【・・・この話をしてどうするの?】

【どうもしないよ。と言うより事実かどうかを知りたかっただけだ】

【私がトリオン兵だって事、気にならないの?】

【遊真と一緒にいるトリオン兵もいるから、俺たちからして見ればだからどうしたって事だ】

【・・・コウタ】

【安心しろ。言いふらさないしお前もゼノも纏めて守ってやるよ。この剣に誓ってな】

 

 

 

 

 

「アイツ・・・」

「コウタが、守るっていう言葉に異様に固執していたのは、ゼノの事を考えての事だったのか・・・」

「お願いゼノ!コウタを・・・」

「分かっている。アイツには、返さないといけない大きな借りがあるからな」

 

ゼノは、紘太が知らぬ間に自分達を守ると約束していた。

リリスの正体を知っても変わらず接してくれた。

そんな人間を必ず助けようと決めた。そんな時だった。

 

「みんな!綾瀬君から通信来たよ!!」

 

「「「!!」」」

 

宇佐美からの言葉に一同笑顔になった。

 

 

 

 

 

場所は、紘太がいる砕石場。

紘太は、ここを脱出する方法を考えていた。

そして、丁度よくギーヴが入ってきた。

 

「さて、答えを聞かせて貰おうか」

 

しかし紘太は、うつ伏せになりギーヴの顔を見ない。

 

「貴様、自分の立場を分かっているのか?」

 

そう言いギーヴは、紘太の頭に掴みかかろうとした時、拘束していたワイヤーを外しそのままギーヴを投げ飛ばした。

 

「グア!」

『ギーヴ様!!』

 

カロンは、紘太に攻撃を仕掛けようとするが頭部の触覚を掴みそのままギーヴの方に投げた。

ギーヴは、腹部に当たりそのまま吹き飛ばされると同時にトリガーを落とした。

紘太は、それを拾い戦闘体に換装した。

 

「無駄な事だ!!」

 

ブレードを出し紘太に攻撃を仕掛けるが、落ちているワイヤーで足元を狂わせギーヴを倒した。

 

「何!?」

 

そして、そのまま心臓部を弧月で貫き戦闘体を解除させた。

紘太は、新たにもう一撃、弧月を振り下ろした。

ギーヴは、それを躱し頬を掠めた程度の攻撃を受けたが普通だったら血が出るのかと思いきや・・・。

 

 

 

 

 

噴き出たのはトリオンだった。

 

「・・・やはりコイツは」

「お、オレの体からトリオンだと・・・?」

 

ギーヴは、動揺のあまり自分の意識を保てないでいた。

 

『余計な事を!』

 

背後にいたカロンが紘太に攻撃を仕掛けるがそれを躱す。

すると、外で警備を担当していたトリオン兵がこちに向かって来ている事に気づきここは逃げる事にした。

トリオン兵が集まっている中、紘太は、物陰に隠れ宇佐美達に通信をした。

 

「こちら綾瀬。宇佐美さん聞こえますか?」

『綾瀬君!無事!?』

「無事です。それで、そっちはどうなっています?」

『本部にこの事を伝えたらレイジさん達がこっちに向かってるって』

「そうですか。ならオレの居場所は分かりますよね?」

『うん。今君が砕石場にいるのも知ってる』

「脱出しようにもトリオン兵が巡回しています。

修達に俺を向かいに来るなら正面から来いって伝えて下さい」

『了解!無茶しないでね』

「元よりそのつもりです。ああそれと」

『何?』

「リリスに自分を責めるなって伝えておいて下さい。

敵に捕まる事を前提で動いていたって話しておいて下さい」

『ちょっと待って!最初からこうするつもりだったの!?』

「敵が来ました。対応します」

 

紘太は、それだけ話すと通信を切った後、ギーヴが用意したトリオン兵を蹴散らしていく。

そして、迎撃していく中、1つの紋様を見つけた。

紘太は、その紋様を見た時、思わず目を見開いた。

 

「これは・・・。

 

 

 

 

 

()()()()()()・・・」

 

紘太は、その紋様を見て驚きの表情をしていた。

 

・藤の家

かつて、鬼狩り全盛期だった頃、鬼を狩る組織、()()()に命を救われた一族によって運営されており、鬼殺隊員であれば無償で怪我の治療や休息が受けられる。

その家紋が四塚市の砕石場の壁の一部に彫られていた。

 

「そうか・・・。この地帯は昔、土砂崩れで藤の家が巻き込まれたところだったのか。

当時は、被害が酷かったから再建するのは無理だったからそのまま放置されたのか」

 

そんな推測をしていると背後にトリオン兵が迫っている気配を感じた。

紘太は、距離を取ると保護色で隠れいていたトリオン兵が姿を現した。

 

「本当にカメレオンだな・・・」

 

紘太は、修達が必ず来る事を信じて持ち堪えるしかなかった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
藤の家の補足としては、ギーヴが透明化するトリオン兵で迷路化していた時、たまたま見つけたと言う感じです。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第37話 呼吸剣術(紘太)VSブラックトリガー(ギーヴ)

最新話になります。


では、どうぞ。


修達は、紘太達がいる砕石場に到着していた。

 

「宇佐美先輩、砕石場に到着しました。これから突入します」

『了解。行く前に話したけどここの砕石場は、かなり古いから地図がないから自分達の足で探す事になるから』

「分かりました」

「敵は、罠を張り巡らせている可能性もある」

「早速、宇佐美先輩が入れてくれたオプショントリガーの出番だ。

みんな、準備はいいな?」

 

皆は、会釈で了承の合図を出した。

 

「「「ステルス、オン!」」」

 

すると皆は、透明化し砕石場に移動した。

中に潜入し、紘太を探している時、ギーヴが仕掛けた罠が反応し修達が通りかかった場所が爆発した。

 

「オサム!大丈夫か!?」

「ああ、僕は大丈夫。千佳も大丈夫か?」

「う、うん。大丈夫」

「やはり、待ち伏せしていたのか・・・」

「あれ?遊真君?」

 

すると雨取が、遊真がいない事に気づきどこにいるか分からない。

遊真も分断された事に納得しつつ紘太を探しながら修達の合流を考えた。

 

 

 

 

 

 

一方、取り残された紘太は、周囲の散策しながら修達と合流を考えていた。

 

「修達が来たか?だとしたら、どうやって合流するか・・・」

 

頭を掻きながら周囲を移動すると開けた場所に出てきた。

すると、誰かがこちらに来る気配を感じ、紘太は、臨戦態勢を取る。

現れたのは、ギーヴだった。

 

『よくもやってくれましたね。いらない手間を増やさなで下さい』

「もう一度、人質になって貰う」

 

紘太は、何も言わず弧月を構える。

 

『飽くまで対抗しますか。だったら一度痛い目に遭ってもらいましょう』

 

ギーヴは、トリオン兵を出現させた。

出現したトリオン兵は、煙で周囲の視界を奪った・・・。

思わず目を瞑った紘太だが、何も起きないと思いゆっくりと目を開いた。

すると中は、真っ黒な空間が出来上がっていた。

 

「閉じ込めたのか?」

 

すると、紘太の目の前にモールモッドが現れた。

 

「モールモッド?」

 

一先ず出現したモールモッドを仕留めて脱出の策を練ろうとした時、モールモッドが紘太の攻撃を躱した。

 

「(・・・躱した?)」

 

だが紘太は、焦りもせずもう一度攻撃をしモールモッドを仕留めた。

すると今度は、バムスターとバンダーが現れた。

 

「(こうして戦うのは、久しぶり・・・でもないか。

  防衛任務で散々倒してるし)」

 

などと考えるとある突っかかりを覚えた。

 

「(向こうは、何故、エルガテスのトリオン兵を使わない・・・?

  その違和感に何か突破口があるはずだ・・・)」

 

すると今度は、ラービットが現れた。

 

「(なるほど、俺の記憶で戦い方を探り苦手な敵を炙り出そうとしているのか・・・)」

 

新たに出現したラービットも仕留めるが流石に面倒と思って来た紘太。

そして、戦闘を繰り返す中、ギーヴとカロンは、高みの見物としていた。

 

『中々、しぶといですね。ギーヴ様』

「なら、これでどうだ」

 

内部でラービットを倒し終えた後、視線を向けるとそこには、江戸時代の着物らしき服を着た老人がいた。

 

『ギーヴ様。アレは?』

「奴の脳波を調べたら特に強い物を調べて再構築した。

どうやら奴にとっては、特別らしい」

 

だがギーヴは、この時、これならどうにかなるだろうと思っていたが紘太の恐ろしさを理解していなかった。

 

 

 

 

 

 

「・・・爺ちゃん」

「久しぶりだな、紘太。元気そうd・・・」

 

紘太の祖父は、それ以上の言葉は言わなかった。

いや、言えなかった。なぜなら・・・

 

 

 

 

 

紘太が、彼を斬ったからだ。

 

『ええ!?斬っちゃいましたよ!』

 

これには、思わず2人は、驚きの表情をした。

 

「爺ちゃんの記憶を利用して俺を仕留めようって訳か・・・。

 

 

 

 

 

 

いい気になるなよ、三下風情が!!

 

紘太は、それだけ言うと息を深く吸い込み・・・。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

捌ノ型 滝壷

 

 

弧月を振り下ろすとその衝撃で周囲にいたトリオン兵が一気に吹き飛ばされドーム状に覆っていた空間が破壊された。

 

「何だと!?」

『一撃で仮想空間を破壊しちゃいましたよ!?』

 

空間から解放されると紘太は、煙を発生させたトリオン兵を一瞬で仕留めた。

 

「・・・ギーヴとか言ったな」

「!!」

 

ギーヴは、思わず紘太に視線を移す。

 

「貴様がリリスを連れ戻すとかそんなの今は、どうでもいい。

 

 

 

 

 

・・・人の記憶を弄んだ貴様だけは絶対に許さない!!

 

 

 

 

 

場面は、変わり修達は、中を見ながら紘太達を探していたそんな時だった。

 

 

ドゴーーーン!!

 

 

「何だ?今の音」

「意外と近いな。誰かが戦闘をしているかもしれない」

「遊真君か紘太さんかな?」

「とにかく急ごう!」

 

修達が衝撃音に気づき、その場所に向かう。

 

「・・・何だ?今の衝撃音は」

『ここから近い。恐らく、オサム達かコウタが戦闘をしている可能性がある』

「なら、急いだほうがいいな」

 

遊真も大きな音に気付き、その場所に向かう。

 

 

 

 

 

ギーヴの策は、紘太の記憶の中にある敵を自身の目の前で戦わせようと策を練ったのだが紘太は、両親と過ごすより祖父との思い出が一番多い。

所謂、おじいちゃん子なのだ。

鍛錬しているときは、厳格の人だがそれでもちゃんと紘太の話をしっかり聞いてくれた。

その思い出に土足で入り込んだ怒りは、凄まじい物だろう。

 

「・・・ならば、こちらも奥の手と行こう」

 

すると、カロンがギーヴの腕に融合すると白かった腕がカロンの角以外全て黒くなった。

 

「・・・ブラックトリガーか」

「私も全力で相手しよう」

 

そう言いギーヴは、黒いトリオン兵を出現させた。

出現した黒いトリオン兵は、両腕をブレード化して攻撃を仕掛けてきた。

紘太は、攻撃を受け流しそのまま斬りかかるが敵は、そのまま下がり攻撃を躱しもう一体が攻撃を仕掛けた。

紘太は、それを繰り返しながら反撃の糸口を探しつつ息を吸い直そうとしたが、敵の目から光線が放たれた。

慌てて回避しスコーピオンをトリオン兵の目に向けて投げたが敵は、光線を放ちスコーピオンを破壊した。

 

「面倒だな・・・(羅刹があれば何とかなると思うが、まだ本部に預けたままだし・・・)」

 

羅刹は、ここに来る前に一度本部で預かっている。

使っている物がかなりシビアな為、調整を間違えると一気に使い物にならなくなる程の物だ。

エンジニアの雷蔵は、紘太にいい物を渡す為に日夜奮闘してくれてるのだ。

だが、敵の攻撃が段々鋭くなっていき、そして、敵の攻撃がクリーンヒットするポジションに当たってしまった。

 

「(やられる・・・!)」

 

だが、その時!

 

 

 

 

 

通常弾(アステロイド)!!」

 

複数の光弾が、紘太の前を横切り敵に命中した。

 

「今のは・・・!」

 

後ろを見ると、修、雨取、ゼノの3人が到着した。

 

「みんな!」

「遅くなった」

 

修達は、紘太の前に来て紘太を立ち上がらせた。

 

「ゼノ、お前・・・」

「・・・お前が死ねばリリスが悲しむ。それだけだ」

 

などとそっぽを向いているが内心は、修は、素直じゃないなと感じていた。

 

『飛んで火にいる何とやらですかね。

ゼノ自らやられに来るとは』

「だが、好都合だ。お前達を仕留めさせて貰う」

 

そう言い、ギーヴは、新たにトリオン兵を生成した。

皆は、臨戦態勢を取ると、無数の光弾が飛んできて新たに生成されたトリオン兵が破壊された。

後ろを振り返るとブラックトリガーに換装していた遊真がこちらに来ていた。

 

「遊真!?」

「悪い。雑魚の相手に手間取った」

『これ以上、時間をかける訳にはいかなかったからな。

全力で行かせて貰った』

 

すると、ゼノが紘太達の前に出た。

 

「ゼノ?」

「コイツとの決着を付けるのはオレの仕事だ。

そもそも、コウタを回収できたのなら長居は、無用だ。お前達は、引き上げろ」

「一人で戦う気か!?」

「言ったはずだ。コイツとの決着を付けるのはオレの仕事だと」

 

紘太は、ゼノの言葉を聞きその決意の瞳を見て問いかける。

 

「・・・アレは、ブラックトリガーだ。手強いぞ」

「お前が凌げたんだ。オレでも凌げるはずだ」

「・・・無茶だけはするな」

「フッ。誰に向かって言っている」

 

紘太は、ゼノの言葉を聞き紘太と修達は、それだけ伝え、逃走を図る。

 

『あ!逃げた!!』

 

ギーヴが、紘太を追いかけようとした時、ゼノのトリオン兵がその行手を挟んだ。

 

 

 

 

 

砕石場の外に出ようとした時、さっきまで無かったはずの壁が現れて行手を阻まれた。

それを繰り返している内に、紘太と遊真は、ある事に気づいた。

 

「遊真。これって・・・」

「ああ、同じ所を繰り返し移動している」

 

紘太は、透き通る世界で周囲を見回す。

そして、壁になっているトリオン兵を確認できそのまま倒した。

 

「ステルスを搭載しているのか・・・」

「俺の透き通る世界と千佳ちゃんの副作用(サイドエフェクト)の出番だな。千佳ちゃん、行けるな」

「はい!」

「よし、急ごう」

 

紘太を先頭に外に出ようとするその時だった。

 

『遊真、聞こえる!?』

「コナミ先輩」

『そっちはどうなってる?』

「コウタは、無事に回収できた。

けど、ゼノ様が一人でギーヴと戦っている」

『何ですって!?』

「こっちも脱出を試みていますけど待ち伏せしていた敵と交戦しています!」

『分かったわ!もう少しだけ持ち堪えて!!』

 

小南は、通信を切り木崎は、車を走らせて急ぐ。

 

 

 

 

 

紘太、遊真が前衛で戦闘を行う中、前後挟み撃ちにされてしまい思うように動けない。

 

「どうにかして突破口を開かないと!!」

「でも、こうも出てくると厄介だぞ」

 

すると、千佳がアイビスを取り出した。

 

「2人共!伏せて!!」

 

紘太と遊真は、同時に伏せた。

そして、千佳のアイビスは、そのまま敵トリオン兵により倒された。

しかし、衝撃のあまり紘太達も爆発に巻き込まれた。

 

 

 

 

 

その後、修、千佳は、紘太と遊真に担がれ砕石場を後に合流した小南達を筆頭に脱出。

ゼノもリリスによって脱出できたがリリスは、トリオンの消費の影響で意識を失ってしまった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


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では、次回。


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第38話 ギーヴの謎

いよいよ逃亡者編が折り返し地点になります。


では、どうぞ。


ギーヴの策略により敵の手に落ちてしまった紘太。

しかし、紘太の能力を軽視していたギーヴの落ち度により自力で脱出。

その後、修達と合流しギーヴから逃れることが出来た。

そして、紘太が囚われてから翌日、次の惑星国家が近づくまで後、1日となった。

 

「次の惑星国家が接近するまで約24時間・・・」

「修。敵は、また襲ってくるからしら?」

「・・・分かりません。向こうにだいぶダメージは与えましたし」

「間違いなくギーヴは、また来る」

 

寝室からゼノとリリスが出てきた。

 

「ゼノと同意見。時間がないのは向こうも同じだからな」

「何にせよ、迎え撃つ準備はしておいた方がいい」

 

木崎の言葉に同意する一同。

 

「そうなると24時間後には、ゼノ達とお別れって訳か」

「そう考えると、少し寂しくなるね」

「色々あったからな」

「アンタ達、随分と仲良くなったわね」

「フッ。仲良くなったつもりなど無い」

「捻くれは、相変わらずだがな」

「う、うるさい!!」

 

しかし小南は、ゼノの態度が気に入らなかったのか頭をチョップで叩いた。すると、烏丸が・・・。

 

「そう言えば小南先輩。エルガテスの人間に我々が触れると角が生えて来ます」

「嘘!?そういうのは早く言ってよ!大丈夫!?もう生えてきるかしら?」

「まあ、嘘ですが」

 

周りは、分かっていると思っていてもそれを理解できていないのが小南。

修は、小南に締められると思い防御の構えをする。

 

「ってどうでもいい嘘つくな〜!!」

「何で俺が叩かれるんだ!?」

 

修は、ホッとし紘太は、やれやれと言った表情をしていた。

すると、雨取はあることを言ってきた。

 

「リリスちゃんとゼノ様もこっちに残ることは出来ないのかな?」

「リリス、チカやオサム達と暮らすの楽しそう!」

「うん!そうすれば本物のショッピングに行けるね!!」

「ゼノもそうでしょ?」

 

小南は、ゼノをポカポカと殴っていたが2人して真面目な表情をする。

 

「難しいな・・・。この玄界(ミデン)もオサム達のようにオレ達を受け入れてくれるとは限らない」

「まあ、ウチの支部は、平気だけどね」

『だが本部が未だに、ゼノ達の身柄を引き渡せって言わないのが不思議なくらいだ』

 

レプリカの発言に思わず顔を強張るゼノとリリス。

 

「まあ、四塚市以外でもトリオン兵の騒動はあったからそっちの対処に追われていたからな。

でも、その騒動が落ち着いて来たから本部もこの機会に身柄を引き渡す命令を出してもおかしく無い。

それを考えると、ゼノ達は、当初の予定通り他の惑星国家に逃げる方が得策だ」

 

紘太の意見を言うと雨取は、暗い表情をする。

 

「ゼノ、リリス。すまない。お前達をこれ以上匿うことが出来なくて」

「ううん。私達を守ってくれてありがとう。コウタ」

 

紘太は、リリスにお礼を言われるがそれでも表情は、穏やかには、なれなかった。

 

「修、何が何でもゼノとリリスを送り出すぞ」

「ああ、元よりそのつもりだ」

 

そして、ギーヴを迎え撃つ準備を開始したのだが・・・。

 

「それと、その前に」

 

「「「???」」」

 

「一つ話しておかないといけない事がある」

 

 

 

 

 

そして、話を終えると木崎がある物を紘太に渡した。

 

「綾瀬」

「木崎さん?」

「届け物だ」

 

小さな小包を開けるとそこに入っていたのは・・・。

 

「・・・羅刹!」

「メンテは、完璧だと本部のエンジニアから伝言だ。思いっきり暴れていいそうだ」

「ありがとうございます」

 

紘太は、笑みを浮かべ羅刹を見るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギーヴは、上空で外で見張りをしている木崎を確認していた。

 

『トリガー使いは、3人ですか』

「どうやらゼノは、ここにいるみたいだ」

 

ギーヴは、玉狛第一の人員を確認後、上空から地面に降り木崎に攻撃を仕掛ける。

木崎は、ギーヴを確認後、ガトリング砲で攻撃を仕掛ける。

だがギーヴは、それを素早く躱し、光剣で木崎を斬りかかる。

木崎は、それをレイガストで防ぐ。

一気に押し通す為、ギーヴは、トリオン兵を新たに出現させた。

小南、烏丸のいる場所にもトリオン兵が出現し戦闘を開始した。

3人は、敵をここで死守するという気概で攻撃を止める。しかしそれは、ギーヴも同じ事。

カロンとギーヴの腕が融合しブラックトリガーになり玉狛第一を攻撃した。

しかも、味方諸共巻き込んで倒していく。

 

「この戦い、私も何としても勝たないといけないのでな。

ゼノ。お前は、大きな勘違いをしている。

そもそも心を持たないトリオン兵は、所詮道具でしかない。

その道具に特別な感情を抱いてしまうとは、実に愚かなやつだ」

 

そして、玉狛第一が動きを封じられ、ついに防衛ラインを突破し合宿所に突入した。

 

「ハハハ!!ここまでだな、ゼノ!観念するんだな」

 

高笑いを出すギーヴ。

カロンは、モニターを出し、中の様子を確認した。すると・・・。

 

『ギーヴ様。誰か一人だけいますね』

「リリスか?ハッ。ゼノの奴め。命が惜しくて1人で逃げたのだろう」

 

そう決めつけたその時、突如、トリオン兵がバラバラに斬られた。

 

「何!?」

『トリオン兵が斬られていきますよ!?』

『残念だったな。ギーヴ』

 

玄関から1人の人間が現れた。

その人物を見たギーヴは、憎悪の表情を・・・。

 

 

 

 

 

「既にお前が襲撃するのは、分かっていた」

 

紘太に向けていた。

 

「貴様・・・!」

『一杯食わされた訳ですか・・・。ほんと腹が立つ剣士ですね』

「ならば、貴様を仕留めるまでだ!」

「残念だが、それは出来ない」

 

木崎が、ギーヴがブラックトリガーで生成したトリオン兵の首根っこを持ちながらこちらに来た。

 

「邪魔をするな。貴様達に用はない」

 

更に追加で2体、同類のトリオン兵が破壊された。

 

「アンタに無くても」

 

烏丸が現れた。

今度は、上から飛んできた。

その破壊した人物は・・・。

 

「こっちにはあるのよ」

 

小南だった。

所々損傷は、あるがそれでも敵を倒したことに変わりはない。

そして、ギーヴがトリオン兵を生成しようとした時、烏丸と紘太がエスクードで動きを封じた。

更に小南が、ギーヴの左腕を切り裂いた。

 

「うああああああ!!!!!!」

 

情けなく悲鳴を上げたギーヴ。

 

「悪く思わないでね」

「ここでお前を食い止めるのが」

「俺たちの役目だ」

 

紘太は、内部通信で玉狛第一に繋いだ。

 

『皆さん、気をつけて下さい。

追い詰めたら何か起きる可能性があります』

『分かってるわ。正直、コイツが()()()()()って今でも信じてないけどね・・・』

 

なぜ、小南がそういうのかそれは、まだギーヴが攻めて来ない時まで遡る。

 

 

 

 

 

「ギーヴがトリオン兵!?」

「何でそんなのわかるのよ?」

「コウタは、透視能力の副作用(サイドエフェクト)みたいなのを持っているから」

副作用(サイドエフェクト)!?」

「見ようと思えば人間の骨や内臓まで見れますよ」

 

その話を聞いた皆は、全員青ざめた。

すると、レプリカが現れた。

 

『コウタにギーヴについて調べてくれと頼まれた時に、調べてみた。

その結果、所々にトリオン兵に似ている構造があった』

 

そしてレプリカは、モニターを映しギーヴの構造を見た。

 

「確かにトリオン兵と同じ構造だ・・・。奴は、プロトタイプか?」

『そう考えるのが妥当だろう。どちらにせよ、奴が本気を出したら手がつけられない可能性がある』

「つまり、何の関係のない憎悪を向けられたって訳か。いい迷惑だ」

 

と、吐き捨てるゼノだった。

 

 

 

 

 

警戒しているとギーヴの様子がおかしくなった。

切り裂かれた腕が突如、異形のような形をし始め蠢き始めた。

 

「何?」

「マズイ!離れろ!!」

 

木崎の指示により距離を取る一同。

ギーヴは、力を制御出来ないせいか、そのまま爆発してしまった。

紘太達は、爆発に巻き込まれず被害は受けていない。

 

『こちら本部!一体何があった?』

「急に言われても分からないわよ・・・」

「奴はどこだ!?」

 

木崎が気づいた時には、既にギーヴはいなかった。

 

「修達の所に向かいます!」

「綾瀬!!」

 

紘太は、全速力で修達がいる廃墟となった遊園地の元に向かって行く。

惑星国家接近まで、約12時間・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
月の呼吸に関しては、登場はしばらく先になります故ご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第39話 霞と花

今回は、ある人物達が活躍します。
では、どうぞ。


夕方になり紘太は、全速力で修達のところに向かっていた。

すると突如、爆発音が聞こえてきた。

紘太は、修のいる所の近くまで来ていると分かり急いで追いかけることにした。

 

 

 

 

 

場所は、四塚市内。

何も知らない一般人がカロンの手によりトリオンの供給源にされていた。

だが、それを掻い潜って生き延びた人物が2名。それは・・・。

 

「貴方・・・。紘太は・・・」

「ボーダーの子と一緒にいると話していたからね。大丈夫だよ」

 

紘太の両親だった。

2人揃って、現代には似合わない日本刀を携えていた。

 

「紘太と真史君が話していた近界民(ネイバー)がこの事態を引き起こしたのかな?」

「だろうな・・・。真史の奴、三門市にしか出ないって話してだろうに」

 

そう言い直人は、頭をガシガシと掻く。

その時、新たなトリオン兵が現れた。

 

「どうやら、無駄話をしている場合じゃないわね」

「久々の実戦だけど、行ける?」

「えぇ。問題ないわ」

 

すると2人は、同時に動いた。

 

 

全集中 霞の呼吸

 

 

弐ノ型 八重霞

 

 

複数の斬撃を出すとトリオン兵は、バラバラに崩れ落ちた。

 

 

全集中 花の呼吸

 

 

弐ノ型 御影梅

 

 

自身の周囲が放った斬撃でトリオン兵を倒した。

 

「真史君に連絡した方がいいわよね?」

「だろうな・・・。問題は、回線が生きているかどうかだけど・・・」

 

2人は、本部に状況を伝える為、直人自身が勤務している会社に向かった。

 

 

 

 

 

場所は、四塚市の山付近。そこでは、修達が異形の形をしたギーヴと戦闘をしていた。

四塚市全市民が一斉に蜘蛛の糸らしきものに捕まってしまったのだ。*1

これは、ギーヴとは、別でカロンが仕掛けていたのだ。

大量のトリオンがギーヴに注がれると人間の姿とは打って変わってまさに怪物と言っていい姿になってしまったのだ。

 

「修!」

「紘太!」

 

異形の姿になったギーヴを斬ったのだが切り口が浅かったのか大したダメージは、与えられなかった。

 

「みんな無事か?」

「コウタ!ギーヴが・・・」

「自身の肉体、いや、この場合は、トリオン体が変化したって言えばいいか?」

『どうやら、ギーヴ様がトリオン兵だってことに気づいていたみたいですね』

「だが、それがどうしたと言う話だ。俺達は、ゼノとリリスを守る。

今俺たちがやる事は、それだけだ!」

 

紘太はそれだけ話し、遊真と同時に斬りかかるが動きが早く思うように捉えることが出来ない。

ギーヴは、胴体を開くとエネルギーを溜めて攻撃を仕掛けてきた。

すると、修達の前にエスクードが現れた。

振り返ると玉狛第一が勢揃いだった。

 

「気を付けて下さい!大量のトリオンがアイツに流れ込んでいます!!」

「来るぞ!」

 

ギーヴは、体のあちこちから光線を放ち紘太達を襲う。

それぞれ回避や、斬り伏せたりエスクードで逃げたりして何とか防いだ。

戦闘を開始し、劣勢になり始めてきた。

そして、もう一度胴体を開きエネルギーをチャージして攻撃しようとしたその時、夕日の光を浴びるとギーヴの動きが止まった。

異形だった姿のギーヴは、突如元に戻りバタンと倒れた。

 

「あーあ。これだから失敗作は」

 

カロンは、(ゲート)を開きギーヴを連れて撤退した。

 

 

 

 

 

紘太達は、拠点となっているお化け屋敷に戻った。

そこで、今後の方針を考えていた。

偵察に行った木崎さん曰く街の人全員が人質にされてしまったとの事。そんな時だった。

 

『・・・ら、・・・・・・せ・・』

「コレは、無線?」

「宇佐美さん。どこからか分かりますか?」

「ちょっと待ってね」

 

宇佐美は、PCでノイズの発生源を特定する。

その場所は・・・。

 

「あった。四塚市のビルだね」

 

紘太は、宇佐美のデータが示したエリアを見せると紘太は、驚きの表情をした。

 

「ここ、親父の職場だ!」

「え!?」

「紘太さんのお父さん!?」

 

紘太は、電波を拾う為、チャンネルを合わせた。

 

『こちら、独立防衛隊隊長・綾瀬直人。

応答せよ。誰か、この電波を受信している方。いませんか?』

 

紘太は、それに答えた。

 

「親父!俺だ!聞こえるか!?」

『その声は、紘太か!?』

「2人共、無事?!」

『ああ、母さんも無事だ。急に街中に蜘蛛の糸が張られて街の人を捕まえたんだ』

「よく無事でしたね」

『その声は誰だ?』

「玉狛第二の三雲修です!紘太君の友達です!」

『そうか!・・・でも、ゆっくり話すのはまたの機会だ。

街全体に糸が張り巡らせてあって捕まっている人達は、意識を失っているみたいだ』

「救出はできそう?」

『可能だが、如何せん数が多すぎる。

私達だけでは、日を跨いでしまう』

「それだったら本元を叩かないとダメだな・・・。とにかく、真史さんに一般人が無事だって伝えて。

電波チャンネルを教えるよ」

『分かった。こっちは任せておけ』

 

そう言い直人は、通信を切りボーダーに連絡をした。

 

 

 

 

 

場所は変わり、ボーダー本部。

沢村は、直人が放った無線電波を拾った。

 

「本部長!」

「どうした!」

「四塚市から無線電波が発信されています!」

「何だと!?」

「生存者か?」

「繋いでくれ」

「了解です」

 

沢村は、忍田にそう話し、電波を拾った。

 

『こちら、独立防衛隊隊長・綾瀬直人。ボーダー本部、応答せよ!』

「その声は、直人さんか!?」

『真史か!ということは無事に繋がったか!!』

「早速で悪いのですが、そっちの状況は?」

 

直人は、本部長に事態を伝えた。

 

「民間人を人質に・・・!?」

「分かりました。あとはこちらで何とかします!直人さんは、至急避難を!」

『馬鹿を言うな。息子が戦っているんだ。親が黙って逃げる訳にはいかない』

「それは、こっちのセリフだ!通常兵器は、効かないのだぞ!!」

「分かりました。ですが、無茶はしないで下さい。紘太君に半殺しにされますよ」

『嫌なこと言うな・・・。とにかく、こっちは、任せてくれ』

 

直人は、それだけ話し、通信を切った。

 

「本部長!どう言うつもりじゃ!?」

「先程の通信相手は、綾瀬直人。紘太君の父親だ」

 

「「「!?」」」

 

「何じゃと!?」

「綾瀬君の父親!?」

「・・・なら、腕は立つのだな?」

「安心して下さい。ビル一つ余裕で斬ることができる人間です。

簡単にやられはしません」

 

本部長は、それだけ話して正面の大型モニターに視線を移した。

 

 

 

 

 

場所は、紘太達のいるお化け屋敷。

木崎達がこちらに向かっていると言われ通信が入った。

そのまま、待っている時、突如、地震が起きた。

 

「修、遊真」

「ああ、千佳達は、ここにいてくれ」

 

修はそう伝え、3人で外に出た。

すると、トリオンの塊が壁になっていき遊園地全体を覆い被さってしまった。

 

「何があった!?」

「どうやら閉じ込められたみたいだ」

 

その後、木崎から連絡が来て外壁の近くまで来たのだが外から見たらドーム状に覆われている。

紘太達を監視しに来ていた出水が攻撃をしてみたが傷一つもつかない程、頑丈だった。

そんな中、四塚市では、大量のトリオン兵が出現した。

ボーダー本部は、A級B級の混成部隊が駆除に向かうとの事。

修がその話をしていると突如、(ゲート)が開いた。

 

「・・・来たな」

 

(ゲート)から出てきたのは、怪物の姿になったギーヴだった。

そして、戦闘を開始した。

 

通常弾(アステロイド)!」

 

通常弾で攻撃をしているが装甲の硬いあまり全く攻撃が効いていない。

そのまま修に攻撃をするが修は、レイガストで防いだ。

修が吹っ飛ばされると遊真、紘太が同時に仕掛けた。

だが、攻撃を防いでそのまま反撃をしてきた。

射撃攻撃もあるせいで迂闊に近づけない。

すると、リリスがギーヴの前に立ちはだかった。

 

「リリス!!」

「ギーヴ、もうやめて!!」

 

すると、ギーヴは、動きを止めた。

リリスは、自分と同じ存在だと説得をする。

だが、カロンが記憶を消したと伝えたがリリスは、それでも諦めないで説得する。

すると、胴体が開いてリリスを取り込み始めた。

 

「リリス!」

「ゼノ!」

 

お互い手を伸ばすがその手を掴む事は出来なかった。

すると、ゼノの横を何かが通り過ぎて何かがリリスと一緒に取り込まれた。

 

「リリスを取り込んだ!?」

 

すると、トリオンでできた外壁からトリオンがギーヴに向けて放たれた。

ギーヴは、そのまま吸収し続けるとどんどん大きくなって行く。

その姿は、まさに怪物だった。

 

 

 

*1
紘太の両親は、それを斬り伏せて逃げ切った




今回は、紘太の両親に活躍して貰いました。
具体的な詳細は、また改めて更新しますので今しばらくお待ち下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第40話 リリスを救え

後、1、2話で逃亡者編が終了します。


では、どうぞ。


カロンの策略により、トリオンを利用した外壁を作り廃墟の遊園地を覆い被せ逃げ道を塞がれた。

更に、四塚市にいる住民を人質にしトリオンを供給させていた。

怪物の姿になったギーヴは、紘太達を襲撃する。

その時、リリスが説得に入るものの、ギーヴがリリスを取り込んでしまった。

リリスを取り込んだギーヴは、更に暴走してしまい更に巨大化してしまった。

紘太達は、この状況を突破することができるのだろうか?

 

 

 

 

 

「・・・紘太」

「まさか、コウタまでギーヴの中に入るとはな」

「紘太さん。大丈夫かな・・・?」

 

ゼノは、自分の無力を呪った。

自分では、守ると言っておきながら結局、紘太がいの一番に助けに向かった。自分の命を顧みず・・・。

更に、追加でA級B級の混成部隊が向かっていると連絡が入り、玉狛第二は、ギーヴの対処に専念するのだった。

 

「ゼノ、リリスを助ける方法は・・・」

「リリスに手を出すな」

「ゼノ・・・」

「・・・応援が来ると言ったな?」

「ああ、四塚市の市民を救出するために」

「本当は、どさくさに紛れてリリスを捕らえようとしているんじゃないのか!?」

 

ゼノが吐いたセリフに皆は、驚きを隠せなかった。

 

「何を!?」

「落ち着け!リリスが捕まったからってパニックになるな」

『コウタがギーヴの中にいる。まだ助かる可能性は、残っている。諦めるのは、早計だ』

「黙れ!!」

 

ゼノは、自身のトリオン兵を出現させ修達を囲んだ。

 

「リリスは、誰も触れさせない!中にいるコウタもな!!」

 

ゼノは、トリオン兵に乗りギーヴの元に向かった。

 

「ゼノ・・・」

 

 

 

 

 

一方、ギーヴに取り込まれたリリスと自ら飛び込んだ紘太。

紘太は、朧げな瞳だが何とか意識を取り戻した。

 

「ここは・・・。!!」

 

意識を取り戻すとリリスは両手、両脚がギーヴによって動きを封じられていた。

 

「リリス!待ってろ!今すぐに・・・!」

 

だが、それは、紘太も同じだった。

 

「どうすれば・・・」

 

紘太は、飛び込んだのは良いもののこの状況をどう突破すればいいか思いつかなかった。

 

 

 

 

 

修達は、ゼノのトリオン兵で助けに行けずしどろもどろになっていた。

どうにかしないといけないそんな時だった。

 

『ゼノ・・・ゼノ・・・?』

「リリス!?」

 

突如、リリスから通信が入った。

 

「リリスちゃん!?」

「交信の回線に入り込んでる・・・」

「無事か!?」

『リリスは、平気・・・。でも、大変なの。

ギーヴに取りついたトリオン兵が彼を自爆させようとしている・・・』

 

「「「!!???」」」

 

「リリスの回収を諦めたか」

『あれ程のトリオンが一つの塊となって爆発を起こしたら四塚市が吹き飛んでしまう』

「えぇ!?」

 

レプリカの解説により皆が驚きの表情をした。

 

「待ってろ!今、助けに行く!」

『ううん。リリスは、ここで良い・・・』

「・・・え?」

『ギーヴが自爆すると同時にリリスも自爆すれば、双方のトリオン反応が打ち消しあって爆発の威力を抑え込めるかも・・・』

「そんな事したら、リリスちゃんは助からないよ!!」

 

そのことを聞いたカロンは、電流を走らせ紘太とリリスの意識を奪おうとする。

 

「リ、リス・・・!」

 

紘太は、こんな時に何もできていない自分を呪った。

だからこそ、今出せる力を振り絞ろうとしている。

 

『リリスは、幸せ者だよ・・・。兵器として生まれてきたのに見知らぬ誰かを傷つける為じゃない・・・。

大好きな人の大切な物を守るために役に立てるんだもの・・・』

「リリス・・・」

 

救出する為、ギーヴに近づこうとするがボード型のトリオン兵が破壊され落とされてしまった。

 

「・・・リリス」

『今、ギーヴが自爆モードにならないよう必死で止めている・・・。

オサム、ユウマ、チカ。貴方達こそ、この空間から逃げて・・・。

リリスの意識が保っているうちに、早く・・・』

 

リリスは、それだけ言うと意識を失った。

そして紘太は、握り拳を作り力を込めた。

 

『ふぅ、トリオン漏出と攻撃の制御完了。

さあ、ギーヴ様!綺麗さっぱり吹っ飛ばしちゃいましょう!

貴方も、意地なんて張らずに吹き飛んで仕舞えば楽になれますよ』

 

再び、リリスに電撃を流したその時、突如、ギーヴの体に異変が起きた。

 

ーーーグオオーーー!!!

 

『ギーヴ様?どうなさいました?』

 

カロンがそう質問したその時だった。

 

 

 

 

 

ドゴーーーーン!!!!

 

突如、ギーヴの腹部の部分が爆発した。

 

「「「!?」」」

 

『な、何事ですか!?』

 

ギーヴの腹部の部分から煙が現れた。

修達もそれは、確認済みだ。

 

「アレは・・・!?」

「・・・炎か?」

 

遊真が言った通り、そこには、荒々しい炎が包み込んでいた。そして、その炎が治ると・・・。

 

 

 

 

 

羅刹を起動し、リリスを救出した紘太がそこにいた。

 

「紘太!!」

「紘太さん!!」

 

皆が歓喜の声を上げた。

そして、リリスをそのままゼノのいる所まで連れて行った。

 

「ゼノ・・・?」

「・・・リリス」

「後は俺たちの番だ。奴らは、俺達が仕留める」

 

紘太がそう話すとゼノは、紘太を見る。しかし、その姿に驚いた。

 

「お前、その姿は・・・」

「話は、後だ。修、リリスが話した通り、奴は、自爆して四塚市を吹き飛ばすつもりだ。

下手したら、ゼノの船も破壊される可能性もある。ここまで来たらもう倒すしかない」

 

紘太は、決意を宿した瞳でそう話す。

 

 

 

 

 

時を少し戻し、場所は四塚市。

そこでは、A級B級の混成部隊が街にいるトリオン兵の駆除をしていた。

そして、那須隊の那須、熊谷は、街中のトリオン兵を駆除していた時だった。

 

 

全集中 霞の呼吸

 

 

参ノ型 霞散の飛沫

 

 

 

全集中 花の呼吸

 

 

伍ノ型 徒の芍薬

 

 

突如倒されたトリオン兵に2人は、驚きを隠せないでいた。

 

「あの、貴方達は・・・?」

「ん?もしかして、ボーダー隊員ですか?」

「は、はい。那須隊隊長の那須玲です」

「チームメイトの熊谷友子です。それで、貴方達は・・・」

「申し遅れました。独立武装隊隊長・綾瀬直人です。それでこっちが」

「妻の綾瀬香織です。綾瀬紘太の親族の者と言えば納得するでしょうか?」

 

2人は、名前を聞いた時、思わず驚きの表情をした。

 

「紘太君のご両親ですか!?」

「・・・玲のお母さんにも負けず、若い」

「あら、嬉しいこと言ってくれるわね。

お茶をしながら息子の話でもしたいけど、今は、あっちの対処よ」

 

香織が視線を向けると新たなトリオン兵が出てきた。

 

「私達も手伝うわ」

「息子が頑張っているんだ。親の僕らが頑張らない訳にはいかないからね」

 

綾瀬夫妻は、剣を構えた。

那須と熊谷は、お互いの顔を見て頷いた。

 

「ご協力、感謝します」

「ですが、本当にまずいと感じたら私達に構わず逃げて下さい」

「分かりました」

「では、行きます!!」

 

那須、熊谷、綾瀬夫妻は、同時にトリオン兵に向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

紘太と玉狛第二、そしてゼノと共にギーヴとケリを付けるため立ち上がった。

 

「ゼノ、力を貸してくれ。もうこれ以上、奴らの好きにはさせない」

「・・・そう言っておきながら、リリスを連れて行こうとしているんじゃないのか?」

「そんなことはしない。友達を売るなんて事は、絶対にしない」

「なら、一つ聞かせろ・・・。何のためにオレ達を助けようとする?」

「僕が・・・」

 

修は、一度言葉を切り、左手の拳を胸に当てる。

 

僕がそうするべきだと思っているからだ・・・!

 

ゼノはそれだけ言うと、指をパチンと鳴らした。

すると、修が囲んでいたトリオン兵が離れていく。

 

「・・・オサム。決着をつけるから、手伝ってくれ」

「・・・ああ!!」

 

紘太は、これで役者は、揃ったなと言う笑みを浮かべた。

 

「ゼノ、奴の急所は分かるか?」

「このオレを誰だと思っている」

「ゼノ様でしょ」

 

ゼノは、分かっているじゃないかと笑みを浮かべた。

 

「奴の首元にあるトリオン供給機関が暴走のせいで異常発光している。そこを叩けば奴は、止まるだろう」

「問題は、いつ自爆モードに移行するか分からない状態だ。

供給機関の破壊とギーヴを操っている自律型トリオン兵を倒すこと。この二つを同時進行するぞ。

空閑は、自律型トリオン兵の破壊。紘太は、僕と一緒にトリオン供給機関の破壊だ」

「オレがあそこまで連れていけば良いんだな?」

「ああ。僕が紘太をアシストする。トドメは、任せた」

「了解」

「ゼノは、空からギーヴを引き付けてくれ」

「分かった」

「よし、作戦開始だ!!」

 

今、四塚市の運命をかけた最後の戦いが始まる。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回


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第41話 決戦!ギーヴVS玉狛第二with紘太

今回でエルガテス編が終了となります。


では、どうぞ。


ギーヴの手に落ちたリリスは、紘太が内部に入り込み羅刹を起動。

リリスを救出する事に成功した。

だが、それでもギーヴが大爆発をしてしまえば、ゼノが乗ってきた船が破壊されるかもしれない。

その為、紘太達は、ギーヴの大爆発を止める為、最後の戦いを挑む。

 

「宇佐美さんと千佳ちゃんは、リリスをお願いします」

「分かった」

「みんな、気をつけてね」

 

修達は、会釈をする。

 

「ゼノ・・・」

「必ず戻ってくるからな」

 

ゼノは、リリスにそう伝えた。

 

「作戦開始だ!!」

 

修の言葉に皆が同時に動いた。

まず、ゼノは、上空でギーヴを引き付けながら攻撃する。

ギーヴは、負けじとトリオンリフレクターで防御をする。

修、遊真、紘太の3人は、森から遠回りで背後に回り込む。

そして、ゼノが引きつけている間に、ギーヴの死角に入り込んだ。

紘太と遊真は、グラスホッパーを起動させトリオン供給機関の位置まで一気に飛び、近くに到着した。

 

「ここからは、別行動だ。空閑は、自律型を頼む!」

「了解だ。コウタ、オサムを頼んだ」

「了解」

 

そして、二手に分かれて修と紘太は、供給機関の元に向かい到着した。

 

「これが、トリオン供給機関・・・!」

 

すると、ギーヴの触手が紘太達に襲いかかる。

 

「気付かれた・・・!」

 

修が振り返るとギーヴの触手からビームが放たれた。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

参ノ型 烈日紅鏡

 

 

広範囲の斬撃でギーヴの攻撃を防ぐ紘太。

 

「修!俺が防ぐから、供給機関を破壊しろ!急げ!」

「分かった!」

 

修は、レイガストを展開し供給機関を破壊しようとする。

紘太は、攻撃を止んだのを確認すると触手2つを破壊しにかかった。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

拾ノ型 火車

 

上空で回転し2つの触手を同時に切り裂いた。

 

 

 

 

 

だが、この状況をただ見ているカロンではなかった。

 

『全く出来損ないのくせにここまで苦労させるとは。

仕方ありません。無防備になりますがギーヴ様にはしばらく意識を無くしていただくしか・・・」

 

カロンのブースターの部分から新たな触手が出てきてそれを突き刺した。

そして、痛みが原因かそのまま修が落ちてしまった。

 

「修!!」

 

紘太は、救出に向かおうと考えていたが新たな触手のせいで助けに行けない。

だが同時に、トリオンを使っての外壁が消えた。

雨取は、それを好機と見たのか宇佐美にある頼み事をする。

そして遊真は、カロンをスコーピオンで切り裂いたが・・・。

 

『予備システムに移行。貴方達の攻撃なんて・・・』

 

すると地面から新たな触手が出てきてカロンを捕まえ取り込んだ。

 

『な、何をするんですか!?離しなさい!ヒィーーーー!!』

 

カロンがいなくなったのか攻撃が止まった。

 

「動きが止まった?だったら・・・!」

 

紘太は、これを好機と見て一気にケリをつけようとする。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

拾弐ノ型 炎舞

 

 

2回の斬撃をトリオン供給機関に向けて放つ。

そして、その斬撃が決まり供給機関を破壊しギーヴの頭部が落ちた。

紘太は、そのまま修の所に降りた。

 

「・・・やった、のか?」

 

紘太は、そのまま崩れ落ちた頭部を見つめた。

 

 

 

 

 

 

場所は、カロンが取り込まれた内部。

 

『ちょ!離して下さい!!どこに連れて行くんですか!?』

「カロン、Dr.ラミアの為に一緒に消えてもらうぞ・・・」

 

カロンの先には、ボロボロのギーヴが妖しい表情を浮かべながら見ていた。

 

「ようこそ・・・。出来損ないの世界へ・・・」

『流石、ギーヴ様。トリオン兵の鏡ですね』

 

 

 

 

 

「・・・終わったな」

 

修がそう呟いたその時、紘太は、透き通る世界で破壊された頭部を見る。

 

「・・・トリオンの熱量が上がっている!?」

 

すると、頭部が光が漏れ出した。

 

「!逃げろ!!」

 

そう言い紘太、修、遊真は、慌てて距離をとる。

 

「何か爆発を止める手段は・・・!?」

「だが時間がなさすぎる!」

「みんな〜!」

 

突如、宇佐美が森の中にいる場所に向けて走るように促し木の影に隠れた紘太は、エスクードを起動させる。

そして、ついに爆発した。

衝撃が収まりエスクードから覗いてみると爆発した場所がシールドでドーム状に包まれていた。

 

「これは・・・」

 

周囲を見回すとそこには、現場に駆けつけてくれたA級B級混成部隊の人達がシールドで被害を抑えてくれた。

 

「間に合った〜・・・。作戦成功だね。千佳ちゃん」

「はい・・・」

 

どうやら爆発の対策は、雨取のお陰でどうにかなったようだ。

すると、空が少しづつ明るくなって行く。

 

「朝焼け・・・」

 

ゼノとリリスは、朝焼けを見入っていた。

 

 

 

 

 

その後の話をしよう。四塚市の市民は、無事に解放された。

負傷者・死傷者何でなくてとても安心し何事も無く過ごして行く。

そして、ついに別れの時が来た。

 

「気を付けてね。リリスちゃん」

「うん・・・みんなも元気で」

「元気で」

「忘れ物ないようにな」

「あ、フフ」

「出発の準備が出来た。急ぐぞ、リリス。惑星国家の再接近時間は、あまり長くない。

逃せばこの玄界(ミデン)に足止めだ」

「それでも良いかな・・・。ゼノ以外に初めて出来た友達だから」

「また機会があったら」

「いや、もう二度と会う事はないだろう・・・」

 

ゼノは、それだけ話し、紘太と修の前に立つ。

 

「オレはこれまで、このような言葉が何故必要かと思っていたがこんな日のためだったんだな」

 

紘太と修は、どう言う事だと言う表情をしていた。

 

「ありがとう、オサム。コウタ」

 

その言葉を聞いたら2人は、笑みを浮かべた。

 

「こちらこそ、ありがとう」

「お互い、苦難を乗り越えた仲って事で」

 

すると修は、手を出した。ゼノはそれが分からなかったが・・・。

 

玄界(ミデン)の友情の(シルシ)だよ、ゼノ様」

 

遊真の説明で納得し修とゼノが握手し、紘太がその手を重ねた。

 

「必ず守り抜けよ。己の全てと言った大切な物を」

「フッ。お前に言われるまでも無い」

「じゃあ、リリスも大好きなシルシを!」

 

そう言いリリスは、紘太、修、遊真、雨取の4人の頬にキスをした。

 

「ああ〜〜〜〜〜!?前言撤回だ〜〜!!誰が感謝などするものか!!」

「ダ〜メだこりゃ」

 

そんなことを呟いた紘太だった。

そして、不貞腐れた表情を浮かべるゼノと笑顔で手を振るリリスは、旅立った。

 

「あ!そういえばオレ達、合宿らしい特訓全く出来なかったな」

「・・・それを言うな」

「俺なんて里帰りで休もうと思ったのに全然休めてないんだけど・・・」

 

と何とも言えない空気が漂った。

その後、玉狛第二は、合宿所に戻り荷物を纏め一足先に四塚市を後にした。

 

 

 

 

 

 

紘太は、懐中電灯を片手にギーヴの監禁場所とされた砕石場に来ていた。

その時は、ちゃんと調べる事はできなかったがようやく改めて中の調査ができると考えていた。

だが、所々崩れており、形として残っているのかどうかが心配である所だが・・・。

そして、家紋を見つけてどこか中に入れる場所を探して1つの窪みを見つけた。

その窪みを引くとドアが開き、中に入った。

中に入ると物が散乱していてさらに畳がボロボロになっているのを確認する。

どうやら家という形状は、全壊手前と言っていい。

 

「よく家の形状として残ってたな。でもこれは、流石に文献は残ってないかな・・・?」

 

散策を続ける為、奥に入って行くと書斎らしき場所を見つけた。

中に入ったが、書物の大半は、既にボロボロだった。

比較的状態が綺麗な物は、殆どが似た者だった為、意味がないものと見ていた。

そして、紘太は、一つの書物を見た。

内容を見た紘太は、目を大きく開き、驚愕の表情を浮かべた。

 

「やっぱり文献に残っていたんだ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日の呼吸の派生の型・・・。

 

 

 

 

 

月の呼吸・・・」

 

紘太は、この場所にある僅かな手がかりで他の書物を見て行く。

その後、自宅に戻りこの事を両親に報告。

一先ず、トリガーで再現できるのでは?という両親の見解で紘太が文献を預かり本部長にこの事を報告することにした。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
月の呼吸は、しばらく出ませんのでご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第5章 ランク戦後半編
第42話 情報収集


今回からランク戦後半編に入って行きます。
では、どうぞ。


エルガテス事件から数日後。

紘太は、実家に戻り四塚市の砕石場の地下にあった藤の花の家にあった文献を解読していた。

しかし・・・。

 

「やっぱり月の呼吸は、血鬼術なしだと無理か・・・」

 

そう言い、ベットに寝っ転がり天井を見る。

ボーッとしてそのまま昼寝でもしようとした時、携帯から着信が入った。

 

「・・・真史さん?」

 

紘太は、何だろうと思い電話に出た。

話を聞きすぐに本部に向かう準備をし家を出るのだった。

 

 

 

 

 

本部に到着し、修、遊真、林藤ともう一人の人物が一緒にいた。

 

「お前は、確かヒュース」

 

そう、一緒にいたのは、現在捕虜になっているヒュースだった。

 

「紘太は、どうしてここに?」

「本部長に呼ばれた。理由は、後で話すって言われた」

 

そう話し、会議室に向かう。

中に入ると、城戸司令、忍田本部長、鬼怒田、風間隊の菊池原の4人が中にいた。

 

 

 

 

 

「本国の事に関しては、何も伝える事はない」

 

ヒュースをここに呼んだのは、ヒュースからアフトクラトルに関する情報を聞き出すためだ。

しかし、肝心の本人は、何も話すつもりは無いと言った。

鬼怒田は、必要なら荒っぽい事もすると話している。

本部長が遊真に向こうの世界の扱いは、どうなっていると聞いて見た所、拷問のような物はしている所もあったが助かりたいということで嘘を話すこともある。

その為には、複数の人を読んですり合わせをしないといけないと言っていた。

その辺を考慮すると拷問は、得策ではないとの事。

そして、本部長がヒュースに対してこう話す。

分かりやすく言えば・・・。

 

 

 

 

 

「君の遠征部隊も一枚岩ではないことも知っている」

 

ヒュースは、その話を聞いた時、目を鋭くした。

 

「自分自身を液体、気体化させるブラックトリガー使いを仕留めたと言うことを紘太君から聞いている」

 

ヒュースは、チラリと紘太を見る。

紘太もそれに気づき会釈する。

 

「そこからは、自分が説明します。戦闘の際にブラックトリガー使いを撃破後、ワープ使いが出現。

ブラックトリガーそのものだけを回収し、2人の近界民(ネイバー)を回収していきました」

「これは、君を動揺させて情報を引き出す為の嘘ではない。

必要とならば映像と音声も見せる。遺体も保管してある」

 

更に言うと、ヒュース本人かどうかは、具体的な情報源は不明だが置いて行くと言う発言をハイレインがそれらしい事を話していると言っていた。

しかし、ヒュースは・・・。

 

「侮るな!遠征に出る以上は、死ぬ覚悟の上だ!!

それ式のことで本国の情報を漏らすか・・・!」

 

どうやら、意地でもアフトクラトルに関する情報は、開示しないようだ。

 

 

 

 

 

その後、紘太は、修と遊真、菊池原と共に開発室に向かっていた。

エルガテスの件に関しては、過ぎたことではあるがちょっとだけ叱られた。

そんな話で、鬼怒田は、紘太に・・・。

 

「羅刹をうまく使いこなしているみたいだな」

「戦闘データに俺自身の戦い方が組み込まれているんです。

意地でも使いこなせるようにしたいですから。俺にとっては、これ以上ないトリガーです」

「なら、寺島に礼を言っておけ。喜ぶぞ」

 

開発室に入ると中には、黒いラッドがあった。

 

「黒いラッド?」

「寺島。始めてくれ」

「ハイ。トリオン注入します」

 

そう言い寺島は、トリオンを注入した。

すると、ラッドから()と足が生えた。

 

『あぁ〜。ようやく来たか、玄界(ミデン)の猿ども」

 

その声は、かつて紘太と戦ったエネドラそのものの声だった。

 

『お、オレ様をぶっ倒した剣士様がようやくお出ましか』

「この声・・・。まさか、液体化の?」

『覚えてくれていたとは、光栄だな〜。エネドラだ。よろしくな』

「紘太は、知っているのか?」

「ああ、戦った人型の一人だ。それで鬼怒田さん。これは・・・」

 

紘太は、思わず鬼怒田に問いかけた。

 

「確かに、奴は死んだがやつらの角には移植された者の生体情報を収集する機能があるようでな。

しかもこいつの角は、脳と一部同化しとった。人格や記憶まで保存されとったのはそのせいかもしれん」

「記憶が残っていたから俺の事も覚えていても不思議はないか・・・」

「それで、情報を話す件だが開示する条件に綾瀬になら話すと言う条件を突きつけられてな。

ついでに空閑の副作用(サイドエフェクト)を併用して使おうと考えた訳だ」

「なるほど。コウタがいる事とオレがいる事で本当の情報を得ようって訳か」

「そういうことだ。お前の副作用(サイドエフェクト)がどれほどのものかは知らんがな」

「大丈夫。鬼怒田さんがヒュースを拷問するってのを見抜くほどだから」

 

鬼怒田は、先程のヒュースの話の時、手荒な事をするみたいな事を話した。

どうやら本気ではないとの事だ。

 

「(・・・遊真を試したのか?)」

 

紘太の疑問は、さておき早速、エネドラの尋問を開始した。

そして、一番重要そうな事を話した。

 

『あと数年したら、アフトクラトルの神が死ぬからだ』

 

その言葉を聞いた皆は、頭を?にした。

 

『オレ達の世界が星が浮いて回っているのは知っているな?

夜の海をプカプカ回っている星だ。あの星は、トリガーを使って作ってある。

マザートリガーとか、クイーントリガーとかも言われている、クソデカいトリガーだ』

「星そのものがトリガーだったとは」

『その星の生贄に放り込まれて死ぬまで星のお守りをするのが神だ』

「つまり、今回の大規模遠征をしてきたのは、戦力増強だけでなく、その新たな星の神を探しにきたって事か?」

『流石、オレ様をぶっ倒しただけの事はある。その通りだぜ。

それで続きだが、星の神が死ねば星も死ぬ。風もふかねぇ。雨もふらねぇ。夜も明けねぇ。

 

 

 

 

 

アフトクラトルは、あと何年かでそうなる』

 

その言葉を聞いた皆は、驚きのあまり言葉を失った。

 

『あちこち遠征しているのも、そっちの剣士が言った通り新たな神を探しているって訳だ』

「なら、適当にその辺の人間を選べばいいんじゃない?なんでそんな面倒な事を」

『そうそういいものに出会わねからだよ。星の神がしょぼければ国土は、小さくなる。

そうなれば、雑魚市民を飼う余裕も無くなる』

「(そうか、だから千佳ちゃんを金の雛鳥と呼んでいたのか・・・。

  戦力補充もそうだけど星の神のお守りをさせる為の生贄を探していたって言えばいいのか・・・。

  胸糞悪い話だ・・・)」

 

紘太は、ハイレインのやり口に思わず握り拳を作った。

 

「なら聞くけど、俺を引っ張り出してまで話をしたのは何故だ?」

『決まってるだろ。復讐だよ、オレを置き去りにした、ハイレインをぶっ殺すためさ。

その為ならお前達猿どもに知恵を貸してやってもいい。

その剣士にハイレインを殺してもらいてぇからな』

 

紘太は、遊真に視線を移した。

 

「部分的には嘘だね。何か他の目的があるみたい。

でも、復讐するのと協力するのは嘘は言ってないよ。

コウタに復讐して貰いたいのも本当みたいだし」

「やれやれ、面倒が増えるな」

 

一先ず、今すぐ裏切ると言う事はないと見ていいだろう。

その日の情報収集は、終了し解散となった。

 

 

 

 

 

後に、菊池原の奢りで飲み物を飲みながらさっきの情報収集について話していた。

 

「何はともあれ、まともな情報が手に入りそうでよかった。

お陰で、アフトクラトルの遠征に目処が立つかもしれん」

「最短なら今シーズンの前半だけで遠征部隊決めるかもね」

「こうなりゃ、次の試合もガッツリ点をとらにゃあいかんな」

 

そんな話をしている中、紘太は、遊真が副作用(サイドエフェクト)で見抜いた別の目的が気になっていた。

 

「紘太?」

「ん?」

「どうかしたのか?」

「いつもより、ボーッとしてたけど」

「エネドラの目的が気になってな」

「そう言う君は、どうなの?何か復讐の道具になって欲しいみたいな言い方してたけど」

「アイツの考えに乗るのは釈然としませんが、ハイレインが街に攻めてきたのはムカつきますので倒します。

(それが、(アフトクラトル)が滅ぶ事に繋がろうとね・・・)」

 

その後、コーヒーを飲み終えた紘太は、防衛任務の為、一足先にその場を後にした。

 

 

 

 

 

防衛任務が終わり、自宅で文献を読んでいた紘太は、ある事を考えていた。

 

「遠征部隊は、ともかく、今後もアフトクラトルのような奴らが現れる可能性がある。か・・・」

 

紘太は、ある決断をする。

 

「よし!久々に()()()()()!!」

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
それと、アンケートの締め切りが迫っていますので投票がまだの人は、お忘れないように。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第43話 紘太の鍛錬と紘太がいない日常

今回は、オリジナル回となります。


では、どうぞ。


紘太が特訓という名目で山籠りを始める数日前。

親しい人達に事情を説明していた。

まずは、太刀川隊の太刀川さんと出水さん。

そして、一緒にランク戦しに来ていた米屋さんと緑川。

 

「「山籠り?」」

 

「何でまた?」

「新しい技を覚えようと思って集中したいので」

「んなの、本部の訓練室でやれやいいじゃねぇか。何でわざわざ」

「忘れました?太刀川さん。俺の剣術」

 

「「「あぁ〜・・・」」」

 

「え?どう言う事?」

 

この中で唯一、緑川だけ分かっていなかった。

紘太は、緑川に呼吸剣術についての概要を簡単に説明した。

ついでにアンノウンだって事も話した。

 

「紘太先輩、アンノウンだったの!?」

「まあ、驚くだろうな」

「それで、どんな技を覚えるんだ?」

 

驚く緑川をスルーして出水は、技の概要を聞いてくる。

 

「出水、ネタバレは、良くないぞ。それは、次のお楽しみに取っておけば良い。

次戻って来たら一番に教えろ。そして俺と戦え」

「あ!太刀川さんずるい!!俺も戦いたいのに!!」

 

太刀川、緑川を筆頭にギャーギャー言ってくる戦闘狂(バトルジャンキー)共だった。

 

 

 

 

 

風間さんの場合。

 

「事情は分かったが防衛任務の方は大丈夫なのか?」

「シフトの中に3連休があるのでそこを利用しようかと。

場所は、警戒区域に比較的近い所に行きますので緊急事態の場合にでも直ぐに対応できるようにしますから」

「なら構わないが四塚市では、訓練はしなかったのか?」

「あっちは、里帰りってのとエルガテスの件もありましたので」

 

風間は、なるほどと納得しその日は、ランク戦10本勝負で終わらせた。

※因みに、別れ際に太刀川の居場所を聞かれ馬鹿正直に答えた。

後に首根っこを掴まれて引っ張られていく太刀川の姿を見たとか・・・。

 

 

 

 

 

双葉の場合。

 

「そう、ですか・・・」

「悪いな。面倒見れなくて」

「いえ、教えてもらっている身ですし。時間がある時には、こうして教えて貰っていますから」

 

紘太がいない間でも出来る鍛錬を教えた。

そして、その日の訓練は、成果を見る為、ランク戦10本勝負をし、9-1で紘太が勝ったが弟子の成長を見れて紘太は、満足するのだった。*1

褒美に白玉餡蜜をご馳走したら黒江は、ご満悦だった。

 

 

 

 

 

玉狛第一の場合。

 

「山籠りか・・・」

「随分と思い切ったな」

「でも、わざわざ山に行かなくても訓練室使えば良いのに」

「小南さん。それ、太刀川さんと同じ事を言われましたよ」

「話は、分かった。せっかくだから飯でも食って行け」

「では、いただきます」

 

木崎さん特製のオムライスは大変美味しかった。

 

 

 

 

 

修達の場合。

 

「山籠り?」

「何でまた?」

「呼吸剣技の中に突き技があってな。

そろそろ本格的に習得しようかなって」

「へぇ〜。突き技なんてあるのか。ちょっと見てみたいな」

「それはまたの機会で。それで数日の間は、訓練見れないからってのを伝えに来た」

「それは、残念。コウタと戦うのは、良い訓練になるから」

 

遊真は、ブー垂れるが理解はしてくれている。

そんでもって色々とアドバイスや、力加減を調整して修の相手をする紘太だった。

 

 

 

 

 

那須隊の場合。

 

「そっか・・・」

「玲。ちょっと寂しいって思ってるでしょ?」

「くまちゃん!!///」

「でも残念だな。綾瀬君は、もう那須隊のメンバーなのに」

「一応、部外者だからね?部隊の人員としては」

「でも、綾瀬のお陰でウチの隊の実力は、上がって来ているからとても感謝はしている」

「後、小夜ちゃんの男性恐怖症も」

「後々が心配ではありますがね・・・。あ、それと玲さん」

「何?」

「ちょっと頼みたい事が・・・」

「???」

 

その後、紘太の頼みを了承し合同訓練は、終了した。

 

 

 

 

 

本部長の場合。

 

「事情は、分かった。それで、次は、何をやるつもりなんだ?」

「羅刹に新しいデータを入れようと思ってちょっと系統の違う呼吸剣術を覚えようと」

「と言うことは、アレか?」

「アレです」

「香織さんに教えてもらったほうが良いのではないか?

使い手ではあるのだろう?」

「母に聞きましたけど、今は、完全に花の呼吸しか使えないみたいですよ。

かなり感覚が鈍ってるって話してましたし」

 

そんな話をしながら、忍田、沢村、紘太の3人は、同時に仕事を進めていくのだった。

因みに、報酬として良いとこのどら焼きをご馳走してくれた。

 

「・・・ボーダー隊員や関係者って和菓子好きな人多いんだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の早朝。

三門市近くの山に到着した紘太は、早速訓練に取り掛かった。

内容は、至ってシンプル。ひたすら頂上から下山するだけ。

ただし条件としては、タイムアタックにして指定した時間内になるまで只管走る。

目標タイムは、30秒。

紘太がいる山の場所は、普通に歩いても5分以上も掛かる。

だが、紘太の場合、全集中の呼吸・常中を習得しての下山のタイムアタックは、最速で35秒。

残り5秒の壁が高いのだ。

しかし、ただ下山するだけでは、意味が無い。

祖父が残した(殺人兵器)が所狭しと並んでいる為、それを考慮して30秒を切らないといけない。

紘太が通り過ぎると時間差で配置が変わる赤外線センサーに触れると岩が落ちてくる。(序盤)

通り過ぎると落とし穴が大量にある。紘太は、その落とし穴に落ちないようにする。(中盤)

そして、最後も序盤と同じ様にセンサーが通り過ぎるとナイフが100本以上飛んでくる。(終盤)

これをひたすら繰り返す。

 

 

 

 

 

 

早朝からしているが未だに5秒の壁は、越えられない。

そして更に言うと、走る度にタイムが悪くなっていく。

紘太は、上手く行かないジレンマに陥っていた。

しかも、所々体に傷を負っているので更に体力を消費していく。

 

 

 

 

 

場所は、変わりボーダー本部。

そこでは、いつもと変わらない日常が過ごしていたのだが・・・。

 

「さて綾瀬と一勝負・・・。ってそういや、数日は居ないのか・・・」

「米屋先輩、綾瀬君がどうかしたんですか?」

「いや〜、この前、しばらく本部じゃなくて山で特訓するとか言ってよ」

「山籠りか?そう言えば、玲も似たような事言ってたな」

「奈良坂先輩も聞いたんですか?」

「玲が、よく綾瀬の事を楽しそうに話していたからな。

数日、本部に出ないって話していた時は、元気が無かったな」

 

三輪を除いた三輪隊は、特に米屋が紘太がいない事の違和感に慣れないでいた。

 

 

 

 

 

 

場所は、那須が通っている星輪女学院。その日の那須は、溜息が多かった。

クラスメイトの小南が那須の様子を心配していた為、声をかけた。

 

「どうかしたの?」

「あ、桐絵ちゃん。実は・・・」

 

紘太の名前は、伏せてしばらく会えないと言われて少し寂しいと話した。

 

「どうせなら、会いに行けばいいか呼びつければ良いじゃない。それか・・・」

 

 

 

 

 

ーーーその人が戻って来たらデートにでも誘えば?

 

小南が何気ない一言で思わず顔を赤くする。

そして、この事がきっかけかどうかは不明だが、那須に彼氏がいる疑惑が学校全体に広がったと記述しておく。

 

 

 

 

 

 

その日の学校が終わり、玉狛支部で話をしている一同。

紘太が訓練している日に修達がランク戦Round4をしていた。

結果は、3-2-1-2。玉狛は、1点しか取る事ができなかった。

修は、修なりに様々な人達に戦い方を伝授して貰ったが結果が伴わず意気消沈していた。

こんな時に紘太がいてくれたら何て声を掛けたのだろうと皆が思っていた。

 

「綾瀬がいないのか分からないですけど、何か落ち着きませんね」

「それにしても修、元気ないね・・・」

「アイツも、よく修の訓練相手をしてくれたからな」

「オサムも、コウタには申し訳ないと思っているかもな。

本人は、気にするなって言いそうだけど」

「紘太さんがよく言っていたよね。自分にできる事は、限られる。

だから限られる中で精一杯やるんだって」

 

雨取、修は、戦いの場数が圧倒的に少ない。

紘太は、戦場や戦う相手は、違えど戦場で実戦で戦った少年。

経験の差は、どうやっても埋まる事が出来ない。

だから、戦っていくしかないのだ。

 

「・・・修。紘太から連絡は?」

「メッセージなら来ました」

 

修は、その内容を見せた。内容は・・・。

 

「何何?『小手先の技を覚える事だけが全てじゃない。自分のやれる事を見直せ』どういう事かしら?」

「なるほどな・・・」

「そういう事か」

 

木崎、烏丸は、紘太のメッセージ内容を理解できた。

 

「とりまる先輩とレイジさんは、何か分かったの?」

「その答えを見つけるのが修のやるべき事だ。時間はないけどしっかり考える事だ」

 

そう言い木崎は、夕飯の支度を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

一方、そんなメッセージを送信した後、一人、測定機を見ていた。

そこには、33秒と書かれた数字を見つめていた。

 

「もう一息だな・・・。絶対にやり切ってやる・・・!」

 

紘太は、新たに気合を入れ直し自身の鍛錬に励むのだった。

 

 

 

*1
黒江が紘太に初めて黒星をつけた瞬間でもある




今回は、ここまでとなります。
次回からアニメで言う2nd seasonに入ります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第44話 新たな敵

今回からガロプラ編に入ります。


では、どうぞ。


紘太が山籠りしてから数日後。修達は、それぞれ独自に訓練・新たな戦略を模索していた。

修は、木虎から新しい戦術を教えて貰い、雨取は、影浦隊狙撃手(スナイパー)・絵馬ユズルに新しい戦い方のヒントを貰い遊真も、影浦と訓練に励んでいた。

そして、修達のランク戦Round5が行われる当日。

その裏側で、新たな戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

紘太の鍛錬が終了し、帰宅しようとしたその瞬間、悪意なる物がボーダー基地に迫っていると感じた。

 

「全く、休む暇がないね・・・」

 

紘太は、それを呟くと本部に向けて走り出した。

 

 

 

 

 

紘太が気配を感じ取った数時間前。

バムスターの中にいたトリオン兵・ドグが出てきて周囲を偵察していた。

バムスターやモールモッドのやられ具合を見ていた。

新たな敵、アフトクラトルの従属国家・ガロプロ。

紘太が気配を感じた新たな敵だ・・・。

 

「結構手際いいですね」

「今のトリガー使いが、一番強いかな?」

「だったらかなり楽なんだけどね」

「それはないでしょ。この前の槍使いの方が強かった」

「しかし、一番懸念したい国宝の使い手を打ち破った剣士がここ数日現れていない。

アフトの奴らが危険人物指定する程の手練だ。ソイツが邪魔をされるのが一番面倒だ・・・」

 

最年長の人物、ガトリンは、アフトクラトルから紘太が一番の危険人物として情報が渡っていた。

ガトリンは、紘太に関する情報を要求したがこれ以上はないと言われた。

その為、できるだけ情報を集めたかったがそれは叶わなかった。

 

「データを貰いましたけどそれらしい人物は、見つかりませんでした」

「怖気付いたか?」

「それは、無いでしょう。国宝の使い手を倒した位だし。

単純に任務に出ていないだけかもしれないし」

「何はともあれ面倒な敵がいなければ好都合だ。

ヨミ、トリオン兵の方はどうなっている?」

「いつでも出撃できます」

「よし。ならば、日が沈み切った時に仕掛ける」

 

こうして、ガロプラの本部の襲撃作戦が始まろうとしている。

 

 

 

 

時はガロプラが攻めてくる数分前になる。本部にいる迅の副作用(サイドエフェクト)で新たな未来が見えた。

小南、太刀川と一緒にトランプをしている手を止めカードを置いて立ち上がった。

 

「ん?」

「どうしたの?」

「敵が来る」

「お、やっと来たか」

「忍田さん!敵が来ます!パターンは一応、Aで」

「分かった。予定通り人員を配置する」

 

本部長は、そう話すと携帯を取り出す。

 

「パターンAって事は、基地防衛戦か」

 

太刀川は、柔軟しながら部屋を出る。

 

「・・・小南。太刀川さんについて行ってくれ」

「何でよ?」

「・・・太刀川さんが()()()()未来が見えた」

「!?」

 

小南は、驚きのあまり声が出なかった。

 

「今回の相手、思ったより厄介かもしれない・・・」

 

そして、(ゲート)が発生し人型トリオン兵・アイドラが出現し本部に向けて進軍する。

事前に待ち構えていたボーダーの方は、基地の屋上に狙撃班を転送。

迎撃の準備を始めた。そして・・・。

 

「来ました!トリオン兵です!!」

 

古寺がイーグレットのスコープでアイドラを視認した。

他の隊員達も確認できた。

 

「・・・人型のトリオン兵」

「面倒だな・・・。的が小さい」

「しかもこの数は、ダルイっすね・・・」

 

アイドラは、一気に走り出し基地に接近してきた。

 

「射程圏内に入った。迎撃を開始する!!」

 

木崎の言葉を合図に攻撃を開始する。

しかし、アイドラは、一箇所に固まり、シールドを展開し攻撃を防いだ。

その後、嵐山隊と言った地上部隊もトリオン兵を確認し迎撃に入る。

 

 

 

 

 

一方の紘太は、下山し戦闘区域が僅かに見えて来た頃、遠くではあるが基地が光っているのを見た。

 

「・・・始まったか!」

 

紘太は、更に急いでボーダー基地に向かった。

 

 

 

 

 

ガロプラは、ボーダーが待ち構えていたことにイラついていた。

 

玄界(ミデン)の兵が集まって来ています。如何いたしますか?隊長」

『このまま前進する。上を1分黙らせろ』

 

現場でトリオン兵を指揮している近界民(ネイバー)・コスケロは、屋上にいる狙撃手を黙らせる為、クナイ型の(ゲート)発生装置を飛ばした。

 

「何だ?」

 

(ゲート)発生装置が地面に刺さり、(ゲート)が発生した。

すると、中からドグが現れた。

 

「トリオン兵!?」

 

現れたドグは、狙撃組を攻撃する。

大半のメンバーは、シールドで防いでイーグレットで攻撃をするが思うように仕留められない。

そこで出番になったのが武闘派スナイパー2top・荒船と木崎だ。

荒船は、弧月で応戦し木崎は、レイガストの発動面積を小さくしボクシングスタイルでドグを粉砕する。

 

「おお!武闘派狙撃手(スナイパー)2top!!」

「頼りになるぜ・・・」

 

基地の下にいる地上部隊が集中攻撃を受けていて狙撃なしでは、かなりキツイ状態に陥っていた。

その隙に、敵部隊のガトリン、ウェン・ソー、ラタリコフの3人が基地内部に侵入した。

迎撃に向かった迅が風刃で攻撃を仕掛けたが風刃の情報がガロプラにも行き渡っていた為、防がれてしまった。

そして、迅の予知では、敵の狙いは、遠征艇ということが判明。

鬼怒田曰く、莫大な資金とトリオンが必要な為、破壊されたら1年は、計画の遅れが出てしまうとの事。

 

「俺のワープで地上部隊を敵の近くまで連れて行けますけど。どうします?本部長」

「いや、外が押されれば敵の侵入を許す恐れがある。外の戦力は回せない。

それに、迅の予知では、そろそろ()()()()()()()頃だからな」

 

通信を聞いていた司令部は、頭を?にしていた。

 

 

 

 

 

『嵐山さん。なんかする事ある?敵のトリオン兵を倒す感じ?』

「米屋か・・・!基地にトリオン兵を送っている近界民(ネイバー)がいるはずだ。

ソイツを探してくれ」

『了解!』

 

嵐山から指示を受けた米屋は、三輪と共に近界民(ネイバー)を探す。

狙撃班が襲撃を受けていた時、草壁隊・緑川が援護に来た。

 

「駿君!!」

「お待たせ〜」

 

そして、弧月を使いドグを斬る二宮隊・辻。

 

「辻ちゃんじゃねぇの!!」

 

後に木崎と荒船と共に上にいるトリオン兵を迎撃する。

 

 

 

 

一方、場所は、警戒区域東部。

そこには、B級3位の生駒隊が周囲の警戒をしていた。

その内のメンバーの狙撃手(スナイパー)・隠岐孝二が何かを見つけた。

 

『イコさん。正面から何か来ますよ』

『何やと?』

 

隠岐に言われると生駒隊隊長・生駒が隠岐の指摘した所を見ると高速でこちらに向かっている何かを見つけた。

 

『向かって来てるな』

『向かって来てますね』

『どないしますか?』

『とりあえず、呼び止め・・・』

 

生駒が最後まで呼び止めると言いかけた時、そのまま突風の如く通り過ぎて行った。

 

「何や!?今のスピードは!!隠岐!追えるか!?」

「すんません、見失いました・・・」

 

生駒が本部にこの事を連絡した時、忍田本部長は・・・。

 

『話は、分かった。そっちは引き続き警戒を続けてくれ。

今通り過ぎたのは、こちらで対処する』

 

とだけ言われそのまま通信を切られた。

生駒は、思わず不審に思ってしまったがまだ警戒中な為、それ以上の追求はしなかった。

 

 

 

 

 

場所は、変わりボーダー基地の屋上。

戦闘中、一体のドグが日浦に迫り攻撃を仕掛けようとした時、日浦は、目を瞑り奈良坂が前に出てシールドを展開する。

他の皆が攻撃やられると思ったその時だった・・・。

 

 

 

 

 

 

無数の蝶々が、周囲を覆い被さりドグ達の動きが止まった。

 

「・・・何だ?」

「蝶?」

「・・・?」

 

皆が疑問に思うその時だった。

何者かが基地の壁を走って行き上空に飛び上がり月とその人物が重なった。

その人物は、まさしく一つの舞としての動きに見えて皆が思わず見入ってしまった。そして・・・。

 

 

 

 

 

全集中 蟲の呼吸

 

 

蝶の舞 戯れ

 

 

無数の蝶々がドグに止まり・・・。

 

 

 

 

 

破壊された。

 

「「「!?」」」

 

そして、新たなドグが追加されると高速で移動する()()に斬られた。

 

 

 

 

 

司令部のレーダーでも屋上にいるドグの反応を捉えていた時、沢村が驚きの表情を浮かべた。

 

「これは・・・!?」

『沢村君!どうした?』

「狙撃班を襲撃したトリオン兵の数が急激に減っています!

迎撃しているトリオン反応がありません!」

「何じゃと!?」

「一体どうして?!」

「慌てるな」

 

鬼怒田と根付は、驚きの表情を浮かべるが城戸は、動揺せずピシャリと2人を静めた。

 

「トリオンに頼らなくともトリオン兵を仕留められるのは、()()()だ」

 

城戸は、分かっていた。

このようなデタラメな事をできる人物が誰なのかを・・・。

 

 

 

 

ドグを一斉駆除した高速で移動している何かが着地する。

すると日浦、三輪隊の狙撃手、木崎、当真、荒船が驚きの表情をした。

 

「お前は・・・!?」

「間近で見たのは初めてだが、デタラメにも程があるだろ・・・」

 

 

 

 

 

 

「綾瀬!」

 

皆は、綾瀬の存在に驚きを隠せなかった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第45話 鬼狩乱入

最新話となります。
後書きにアンケートの件について報告があります。


では、どうぞ。


修達がランク戦に集中する中、アフトクラトルの従属国家・ガロプラが攻めてきた。

A級B級の混成部隊が迎え撃つが狙撃班のいる屋上にドグを送り込まれて押し返されてしまった。

その後、増援にきた緑川、辻がドグを撃退する中、紘太が新たな呼吸剣術・蟲の呼吸を習得しガロプラを迎え撃つ。

 

「綾瀬君!?」

「こっちは、大丈夫!狙撃班は、地上の援護を頼みます!

日浦も下の援護を!!」

「分かった!!」

 

紘太は、それだけ伝えドグを撃破していく。

2体のドグが紘太に攻撃を仕掛けてきたが紘太は、レイピア風の剣を前に突き刺した。

そして、そのままドグの目は、破壊され崩れ落ちた。

 

「う〜わ・・・。話に聞いていたけど紘太先輩、本当に刀でトリオン兵斬ってるよ」

「・・・彼が、アンノウンだったのか」

 

緑川は、引き気味に紘太を見て、辻は、興味津々で紘太を見ていた。

木崎も負けじとトリオン兵を撃破していく。

 

「綾瀬。お前、山籠りで今日は、来れないと聞いたが?」

「少し前に下山していたら基地の方に光っているのが見えたので来て正解でしたよ」

「なら、修行の成果を見せて見ろ」

「了解!」

 

木崎のレイガストの攻撃と紘太のアクロバティックに動き、斬撃(生身)でドグを蹴散らしていく。

 

「す、すげぇ〜・・・」

「別役、見惚れてないで下を叩くぞ」

「は、はい!」

 

奈良坂に指摘され別役は、狙撃を再開する。

すると、(ゲート)発生装置が飛んで来るのが収まる。

 

「・・・止まったか?」

『狙撃班。敵が射線外まで引いた。下で追撃をするから狙撃手(スナイパー)を半分こちらに来させてくれ』

「了解だ」

 

木崎は、通信を切ると本部の屋上から荒船隊、木崎、辻、佐鳥の合計7名が降りてきたのだがもう一人、上から降りてきた。

皆は、思わず構えたが木崎は、溜息を吐いた。

 

「・・・お前は、いい加減戦闘体に換装しろ。

 

 

 

 

 

綾瀬」

 

木崎がそう言うと皆が紘太にギョッとした視線を送った。

かなり高い所から降りた筈なのにケロッとした表情で紘太を見ていた。

しかし、そんなものはお構いなしに話す人物が数名・・・。

 

「あ、紘太先輩」

「綾瀬。お前も来ていたのか」

「お久しぶりです。烏丸さん、双葉も数日ぶりだな」

 

そう言い紘太は、黒江に軽くハイタッチをする。

 

「あら、綾瀬君じゃない」

「加古さんも久しぶりですね」

「最後に会ったのは、1週間ちょっと前だからそこまでじゃないわ。

それと、ウチの双葉がお世話になってるわ」

「いえ、お気になさらず」

 

そんな話を気にしないで話している紘太と加古。

その様子を見ている皆は、ポケ〜っとした表情をしていた。

 

「・・・貴方、何で戦闘体になってないの?後、何でそんなボロボロなの?」

「何だ、木虎もいたのか」

「いたのかじゃないでしょ・・・」

「仕方ないだろ。トリオン体で全力で走ると加減間違えて止まらなくなるんだから」

 

 

「「「・・・は?」」」

 

 

玉狛第一、双葉、加古、日浦以外は、何言っているんだコイツと言う表情をしていた。

 

「コイツは、以前、頭突きでバムスターを破壊した張本人だ」

「付け加えると、数ヶ月前に上層部が問題視していた重要人物、アンノウンの正体が彼よ」

 

 

「「「はあ!?」」」

 

 

木崎、加古の話に驚く一同。

実の所、アンノウンは、A級以上の人が取り扱う案件だった為、B級以下は、必要最低限の情報しか行かなかった。

その為、今目の前に本人がいると皆は、驚愕の声を出していた。

二宮も紘太の事は、出水と加古から多少は、聞いていたが今改めて木崎と加古本人の口から聞かされても信じられない。*1

 

「君って確か、大規模侵攻で人型と戦って特級戦功を取った子だよね?えっと・・・」

「B級ソロ・綾瀬紘太です。まあ、話は後ほど」

 

紘太は、それだけ言って改めて戦闘体に換装した。

すると、本部から通信が入った。

 

『紘太君。無事に合流できたみたいだな』

「本部長。状況は?」

『トリオン兵に変装していた人型近界民(ネイバー)が基地に侵入した。敵の狙いは、遠征艇だと迅は、話していた』

「遠征艇・・・。アフトクラトルがこちらに来させないように仕向けたと見るべきでしょうか?」

『そう見て良いだろう。それで、侵入した人型は、現在、那須隊長と熊谷隊員の2名が人型と交戦中だ』

「(玲さん・・・!)それで俺は、どうすれば良いですか?」

『紘太君には、2人の援護に向かって欲しい。頼めるな?』

「・・・任務了解」

 

本部長は、それだけ伝えると通信を切った。

そして紘太は、冬島が用意したワープで那須隊の援護に向かった。

 

「・・・フフっ」

「加古さん?」

「あの子の将来が楽しみだわ」

「???」

 

紘太が本部長と通信をしていたときの表情を見たときに加古が思った事は・・・。

 

 

 

 

 

ーーー那須ちゃんも隅に置けないわね〜。

 

と言うことだった。

近いウチにある射手(シューター)会の時に聞いてみようと決めた加古だった。

 

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「黒江ちゃん。(紘太)に関して何も思わないんだね」

「私の剣の師匠ですから」

「あらら、意外な情報ゲット。噂は、本当だったて訳だ」

「それに、ああ言ったのは日常茶飯事なので気にしたら負けですよ?」

 

黒江は、さも当たり前のように話す。*2

B級二宮隊・犬飼は、黒江のメンタルの強さに思わず冷や汗をかいてしまった。

その事を聞いた皆は、紘太に関して深く聞くのが怖いと思った。

因みに木虎は、彼に関して色々と諦めた方が良いのではと思い始めた。*3

 

 

 

 

 

場所は、変わり基地内部。

ガロプラの兵士が遠征艇のある地下を目指していた所、那須と熊谷が足止めに入る。

しかし、ウェン・ソーが足止めをする為、この場に残り戦闘に入る。

ドグを操り2人に攻撃を仕掛ける。

熊谷にドグを斬られ新たなドグを追加した。

 

『犬が増えた・・・。これで5匹、いや、8匹!!』

 

ウェンがドグに気を取られている熊谷に攻撃を仕掛けて来たが那須が変化弾(バイパー)で熊谷を援護。

同時に、2体のドグを仕留めた。

 

『シールドの強度は、大体わかった』

 

するとウェンは、腰につけていた(ゲート)発生装置を取り出す。

新たにドグを出そうとしたかと思いきや突如、煙が室内を覆った。

 

『煙幕?』

 

視界を奪われた2人は、敵を見失ってしまった。

孤立した2人、熊谷は、ドグに攻撃を受けていて那須の元に行けないでいた。

一方の那須は、熊谷を見つけて彼女に近づいた。

 

『くまちゃん、私から離れないで!』

 

内部通信で熊谷にそう話すが肝心の熊谷は、ドグの対応をしている為、那須の元にはいない。

 

「玲!?」

 

熊谷は、何故そんな事を言うのか理解できていなかった。

恐らく敵が那須の元にいるのだろうと悟った。

那須が狙われたと思ったその時だった。

 

 

全集中 水の呼吸

 

 

陸ノ型 ねじれ渦

 

 

突如、強い風が周囲の煙幕を吹き飛ばした。

 

「「「?!」」」

 

突如起きた風は、周囲の煙幕をなくし、2人の熊谷が現れた。

そして、那須の近くにいる熊谷を()()が奇襲をかけた。

 

「!?」

 

熊谷?は、攻撃を防ぐと光学迷彩をしていたのか熊谷の姿はなくなり、ウェンが現れた。

 

近界民(ネイバー)!?」

 

ウェンは、一気に那須を墜とそうとしたが何者かがそれを防ぎ腹部に蹴りを入れて距離を取らせた。

ウェンは、体勢を立て直しその人物の顔を見た。

那須と熊谷の2人もその人物の顔を見て2人は、驚きと喜び、ウェンは、面倒だという表情をしていた。

勿論、その人物は・・・。

 

 

 

 

 

「紘太君!!」

 

紘太本人だった。

 

「さぁ・・・」

 

紘太は、弧月をウェンに向けた。

 

「ラウンド2と行きましょうか」

 

 

 

*1
紘太の噂は、出任せと言うことで信じてもらえず直ぐに噂は無くなった

*2
紘太が常々やらかす事は、大体噂で聞いて真偽をその場で聞いている。初めて聞いた時は、リアクションに困った顔をしていた

*3
今更ではあるが




今回は、ここまでとなります。
月の呼吸は、出す事は確定しましたがエピソードだとしばらく先になりますのでご了承下さい。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第46話 蟲の舞

紘太と那須隊(那須と熊谷)の共闘回になります。


では、どうぞ。


ガロプラがボーダー基地に攻撃を仕掛けて来た時、紘太が新技を引っ提げて戻ってきた。

外にいるトリオン兵・アイドラとドグを迎撃し体制を立て直そうとした時、本部長が紘太に那須と熊谷の救援に向かうよう指示を受けた。

そして、冬島のワープで那須と熊谷と合流。

危機を脱した2人は、紘太を交えて戦闘を再開するのだった。

 

『紘太君、いつ戻って来たの?』

『ついさっきです。本部長に頼まれて援護に来ました』

『助かったよ。一歩遅かったら玲がやられていたから』

『お気になさらず。それで、俺が人型をやりますので2人は、犬っころを』

『1人で大丈夫?』

『あの犬は、撹乱メインみたいですから先にそっちを仕留めたほうがいいでしょう。それに・・・』

 

「「??」」

 

『安心して背中を預けられる先輩がいますから』

 

その言葉を聞いた2人は、お互いの顔を見て笑みを浮かべた。

 

『なら、先輩の意地を見せないとね』

『そうね。行くわよ、2人共!』

 

『『了解!!』』

 

ウェンは、紘太の存在を見て歪な表情をしていた。

 

「(ここ数日コイツの情報を集める為にドグとか動かしていたけど・・・。

  アフト以外の情報がない中の戦闘・・・。最悪のタイミングね)」

 

バムスターの中に仕込んでいたドグでボーダー周辺を偵察していた。

アフトクラトルの情報に要注意人物として気をつけろと言われていたのが紘太だった。

一通りの情報は、貰っていたがそれでも厄介極まりない。

 

「(とにかく、コイツを足止めしないとだね・・・)」

 

ウェンは、そう自分に言い聞かせ構えた。

 

 

 

 

 

場面は、変わり地上部隊が迎撃している戦闘区域。

基地を守りつつ敵を押し返す策を講じる。

すると、2体のアイドラが前衛の銃手(ガンナー)の後ろに回り込んだ。

その内の1体が笹森が対処。急所は外したがダメージを受けてしまった。

その後、辻が合流し2人でアイドラの1体を対処する事になった。

もう1体も後ろに回られてしまった為、今度は、黒江と木虎が対応に向かった。

 

「30秒で肩を付けますから邪魔しないで下さい」

「大丈夫よ。完璧にフォローしてみせるわ」

 

マニュアル操作を受けたアイドラと接触。

黒江が攻撃を仕掛け敵の腕や足を斬り、バランスを崩す。

木虎がスパイダーで敵を拘束し黒江は、そのままアイドラの首を切り裂いた。

 

「目標、沈黙しました」

「(最後の攻撃、全然分からなかった。フェイントをしたの・・・?韋駄天を使わずに)」

 

紘太が黒江に教えたのは、韋駄天以外の戦い方。

以前、いつも通りの訓練をしている時に紘太は、黒江が韋駄天を主軸にしている動きが気になり本人に話を聞いた所、紘太が予測した通り韋駄天を主軸にした戦いをしていた。

そして、紘太が教えたのは、韋駄天を使わず敵を倒す為の戦い方を教えたのが今実践してみせた敵のタイミングを狂わせる戦い方。

剣の振るスピードを思う様に操る事ができればそのままフェイントで首を斬るだけでなくそのまま敵を崩して韋駄天を仕掛けると言った戦い方も出来る。

黒江は、この戦い方を教えて貰った時、かなりの手応えを感じその訓練を欠かさずしてきた。

そして、その努力が今回の戦闘で結ばれたのだ。

 

「(紘太先輩に教えて貰ったおかげで強くなれた気がする。

  少しずつだけど確実に変わって来ている・・・!)」

 

黒江は、確かな手応えを感じ笑みを浮かべるのだった。

 

『新たなエース機が出現した。レーダー上でマークする。

木虎、黒江両隊員は、引き続き対処に向かってくれ』

 

忍田の通達により新たに移ったアイドラを確認した。

 

「木虎、了解」

「黒江、了解」

 

そして、マニュアルモードのアイドラで敵の陣を崩す為に移動中、レーダーでマークした木虎と黒江に見つかった。

黒江は、紘太に教えられた事を思い出していた。

 

【今回も勝てませんでした・・・】

【そりゃあ、俺だって鍛錬するさ。闘い慣れた人ほど腕も上がるし周りを見る目も養える。

人間、成長したいって意欲があればどうとでもなるさ】

【・・・だからって、普通の日本刀でトリオン兵を斬れるのはおかしいですからね?】

【それは、俺が異端児(イレギュラー)って事で横に流して】

【それはそれで納得が行きません】

【アハハ・・・。人間、慣れれば嫌でも対応したりするさ。

成長を止めたら人間は、衰退していく。黒江、向上心を忘れるな。

足掻いて足掻いてお前だけの強さを見つけるんだ】

【私だけの強さ・・・】

【人間の強さの定義なんて人それぞれだ。

だから、お前自身の誇れる強さを見つけるんだ】

【じゃあ、先輩が誇れる強さって何ですか?】

【俺か?俺は・・・】

 

黒江は、弧月を握り締める。

 

「(尊敬した人に胸を張って凄い人だったって言える人になりたい。

  紘太先輩のお爺ちゃんは、それほどに理想だった。

  だから紘太先輩は、私の理想の強さです。だから・・・。

 

 

 

 

 

剣の師匠は、貴方で良かったって胸を張って言える強い攻撃手(アタッカー)になりたいです!!)」

 

黒江の意志の強さがアイドラに牙を剥く。

 

 

 

 

 

場所は、ボーダー基地内部。

ウェン・ソーとドグ、紘太と那須隊の那須、熊谷が戦闘をしていた。

ウェンの攻撃を紘太は、簡単にいなして攻撃を仕掛ける。

そして、熊谷がドグを仕留め、残るは、一体だけとなり紘太は、ウェンにさらなる追撃をする。

 

 

全集中 蟲の呼吸

 

蜻蛉ノ舞 複眼六角

 

 

攻撃は、受けたがシールドを破壊して2回ほど攻撃を与えただけで終わってしまった。

その隙に那須は、変化弾(バイパー)でウェンに攻撃を仕掛けるがドグとウェンが出すシールドで攻撃を防いだ。

 

『シールドは、犬頼りみたいね』

『犬が無くなれば、一気に畳み掛ける事ができますね。

(だが、さっきから感じる違和感は、何だ・・・?)』

「(もうドグは、弾切れ。隊長達が任務終了の時間を鑑みると後5分位かな。

  だったら、使うならここね・・・)」

 

ウェンは、腰についている装置を起動した。

 

藁の兵(セルヴィトラ)

 

するとウェンは、本物と同じ動きをする、鏡写しの虚像を作り出した。

 

「(奴の奥の手・・・!違和感の正体は、これか!!)」

 

奥の手で攻撃してきたウェンに、熊谷が攻撃を仕掛けるがそのまますり抜けてしまった。

 

『分身!?』

 

ウェンは、そのまま熊谷に攻撃を仕掛ける。

 

「(本体が分からない・・・!)」

 

熊谷は、オペレーターの志岐に本体の識別を頼むがレーダー上に映るのが多過ぎて判別出来ない。

 

『くまちゃん下がって!一本道で迎え撃とう!!』

「分かった!!」

「そうはさせない」

 

ウェンは、那須の思惑を防ぐ為、熊谷に攻撃の手を緩めず更に追撃をする。

 

「(トリオン切れを狙っている!?)」

 

紘太は、透き通る世界でウェンを見ていた。

 

「(全てを残像で誤魔化し、最速で仕留めるという算段か・・・。

  そうなるとそれを生み出している本体があるはず)」

 

紘太は、僅かながら敵の行動パターンを思い返していた。

 

「(犬を使っての奇襲、煙幕で自身を熊谷さんに変装して仕留めようとした時に俺が乱入して阻止・・・。

  煙幕の時に仕掛けた事を考えると分かりやすいところには、置かない。と言うことは・・・!)」

 

紘太は、視線を上に移した。

そして、そこには、八面体の物体の何かを見つけた。

 

『(アレか!!)玲さん!熊谷さん!天井に分身の発生装置がある!!』

 

「「!!?」」

 

2人は、紘太の言葉で上を向いた。

 

『アレが発生装置!』

『熊谷さんは、もう少しだけ粘って!!玲さん!()()をやります』

『分かったわ!!』

『しくじらないでよ・・・!』

『勿論!!』

 

那須は、トリオンキューブを消し、スコーピオンを手裏剣サイズにして出す。

紘太は、グラスホッパーを展開。そして・・・。

 

「スコーピオン!」

「グラスホッパー!!」

 

那須が投げたスコーピオンに紘太が用意したグラスホッパーに当てた。

そして、そのまま分身発生装置がピンボールの様に一気に破壊されていく。

紘太がグラスホッパーの強度をどれだけ上げれるか実験。その結果、スコーピオンを投げたらそのまま跳ね返ることに成功

これは使えると考案し那須と共に訓練し実践レベルに足した。

そして、一瞬で藁の兵(セルヴィトラ)の発生装置を全て破壊した。

 

「(仕掛けが分かっただけじゃなく装置を一瞬で全て破壊したって言うの!?)」

 

分身が消えて残るは、ウェン本人だけとなった。

だが、ウェンは、熊谷を仕留める為にトドメを刺そうとした時・・・。

 

『左にジャンプだ!!』

 

紘太の指示で、熊谷が左側にジャンプし自身が前に出て一気に仕掛けた。

 

 

全集中 蟲の呼吸

 

 

ウェンを狙い定めると地面が抉るほど踏み込んだ。

 

 

蜈蚣ノ舞 百足蛇腹

 

 

超高速でウェンを翻弄しそのまま突きを繰り出し両腕の展開しているシールドを破壊し蹴り上げた。

 

『玲さん!今だ!!』

 

紘太は、既に那須が変化弾(バイパー)を展開済みの彼女に指示を出す。

 

「くまちゃんが受けた傷。纏めて返すわ」

 

変化弾(バイパー)の攻撃を全方位に放つ。

那須は、変化弾(バイパー)をリアルタイムで動かす事ができる為、隊員達の間では、「鳥籠」と呼ばれていた。

ウェンに向けて放たれた変化弾(バイパー)は、腹部に直撃しそのまま貫いた。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第47話 処刑者VS呼吸

ガロプラ戦ももう少しで終了します。


では、どうぞ。


ガロプラと交戦をしていたボーダー隊員一同。

その内の1人、ウェン・ソーが那須と熊谷と交戦。

その最中、紘太が戦闘に乱入し蟲の呼吸と那須とのコンビネーションで敵を撃破したのだった。

 

「目標沈黙」

 

紘太は、それを確認すると風間隊の菊池原と歌川が現着した。

 

「遅くなりました・・・って、綾瀬?」

「何でいるの?」

「お疲れ様です。本部長の指示でこちらの応援に来ました」

「そうだったのか。なら俺達の応援は、いらなかったな」

「まあ、熊谷さんが緊急脱出(ベイルアウト)寸前だから敵の連行するのに人手は、欲しかったですから」

「でも、綾瀬が来てくれて助かったよ」

「ありがとう。紘太君」

「気にしなくて大丈夫ですよ」

 

そういい話している時だった。

 

『紘太』

「迅さん?」

 

紘太の無線に迅から通信が入った。

 

「どうしたんですか?」

『地下で太刀川さん達が人型2人と戦っているんだけど、援護に行ってくれない?』

「いいですけど、何か()()()んですか?」

『・・・太刀川さんがぶった斬られる未来が見えた』

「!?」

 

紘太は、思わず目を見開いた。

 

『念の為の保険ってことで頼むわ』

「分かりました。直ぐに向かいます」

 

紘太は、一通り話をすると通信を切った。

 

「迅さんの指示で太刀川さん達の所に向かいます」

「分かった。後のことは、俺達が引き受ける」

「風間さんの足を引っ張らないでね」

「頼んだよ。綾瀬」

「了解」

 

紘太は、司令部に通信し冬島にワープの用意をして貰った。すると、那須が・・・。

 

「・・・気をつけてね」

 

それだけ伝え、紘太は、サムズアップをする。

紘太は、そのまま転送された。

そして、その様子を見る一同は・・・。

 

『熊谷先輩。那須先輩ってまさか・・・』

『そう見たいよ』

『大規模侵攻の時に抱きついていましたからね』

『それと、下手に話さないでね。前に揶揄って鳥籠を喰らったから』

 

2人は、那須を絶対に怒らせない様にしようと心に誓った。

 

 

 

 

 

場所は、遠征艇が置かれている地下。

ガロプラの兵士、ガトリン、ラタリコフが遠征艇を狙いに来ていたが迅の予知で先回りしていた太刀川、風間、小南、村上が迎撃している。

太刀川が旋空弧月で攻撃を仕掛けようとした時、ガトリンの使用トリガー処刑者(バシリッサ)で破壊された橋を持ち上げ太刀川と後ろでラタリコフと戦闘している風間も巻き添えにしようとした。

その時、何者かが風間の間に入り橋を切った。

 

「「!?」」

 

「おお〜。まさかこのタイミングで最高の援軍が来たな」

 

太刀川の呟きに耳を傾けた時、その人物が振り返るその人物は、勿論・・・。

 

 

 

 

 

「遅刻だぞ。綾瀬」

 

紘太が弧月を抜刀している状態だった。

 

『隊長、奴は!』

『奴が来たと言うことは、我々は、かなり苦しい展開になってきた様だ』

 

太刀川達は、体勢を立て直すべく紘太の元に集まった。

 

『助かったぞ。綾瀬』

『アンタ。修行していたんじゃないの?』

『ついさっき戻って来ました』

『なぜこっちに来た?』

『迅さんの指示です。侵入してきた3人のうちの1人は、撃破して歌川さん達に任せました。後は、あの2人を捕らえるだけです』

『なら、さっさと終わらせるか』

 

太刀川は、もう一度剣を構える。

 

『それで、俺は、どうすればいいですか?』

『太刀川達と一緒にデカい方を迎撃してくれ。小南は、村上のカバーを頼む』

『風間さんの方に加勢しなくていいですか?』

『奴は、俺のステルスを警戒しているから俺が相手した方が都合がいい』

『了解。それじゃあ、共闘と行きましょうか。太刀川さん』

『おう、修行の成果を見せてみろ』

 

紘太と太刀川は、互いに剣をガトリンに向ける。

 

『隊長。どうしますか?』

『俺達のやる事は、変わりはないが気を引き締めろよ、ラタ。

相手は、ブラックトリガー使い2人を同時に仕留めた相手だ・・・』

 

お互い作戦会議は、終了し睨み合いをする。

そして、同時に動いた。

紘太と太刀川の弧月がガトリンの処刑者(バシリッサ)と鍔迫り合いになった。

ガトリンは、足を鎌のように攻撃を仕掛けるが紘太は、それを流れる様に受け流しガトリンに攻撃をする。

しかし、ガトリンは、それを躱し紘太に攻撃を仕掛ける。

紘太は、それを避けるとガトリンの伝達脳に攻撃を仕掛けた。

ガトリンも負けじと攻撃を防ぐ。

 

「(思ったより頑丈だな・・・。羅刹で行けるか?)」

「(この太刀筋・・・。さっき戦った4人の中で最も手強い・・・!)」

 

紘太と太刀川の攻撃をしている中、急に2人が下がった。

その後ろに、村上と小南が攻撃を仕掛けた。

 

「スラスター・オン」

炸裂弾(メテオラ)!」

 

2人の攻撃が決まり土煙が舞った。

3人は、やったかと思ったが紘太だけは、警戒していた。

そして、土煙が治るとそこには、無傷のガトリンがいた。

 

『本当に硬いですね・・・』

『自信無くしちゃうぜ』

『ムカつくけど正面からは、崩せなさそうね・・・』

『仕方ない・・・。皆さん、あの硬い足を1つ確実に潰す方法があります』

『お?その考えは、何か策があるみたいだな』

『えぇ・・・。出し惜しみ無しで行きます』

 

そんな中、ガトリンが4人に対して冷静に分析していた。

最初は、小南。

 

「(斧使いは、鋭い動きと大斧の一撃。炸裂弾での射撃もある。

  こっちを掻き回して隙を作る役目か・・・)」

 

次は、村上に対しての分析。

 

「(盾使いは、こちらと標的との間を的確に防御。位置によっては、攻撃も参加する。

  剣の腕もあって標的の破壊には一番邪魔な奴だ)」

 

次に太刀川。

 

「(髭は、2人の隙をカバーをして攻撃を繋ぐバランサー。

  戦況を動かす役割だが伸びる斬撃で獲物を狙ってくる動きもある)」

 

次に風間。

 

「(一番若そうな双剣使いも一人でラタを抑えている。

  透明化のトリガーには、警戒が必要だが他の奴も使ってくる可能性があるな・・・)」

 

そして、紘太・・・。

 

「(アフトから報告が入った危険人物・・・。剣の技量は、この4人の中では、一番と見ていいな。

  攻撃の鋭さもそうだが髭と同じく獲物を狙ってくる動きだ・・・。

  他の4人と比べて前に出て仕留めて来るタイプだ)」

 

ガトリンは、そっと左腕の大砲を撫でた。

 

「(大砲のチャージは完了している。

  この一発をどのタイミングで撃つかだな・・・)」

 

戦況は、膠着状態だが紘太が参戦した事で押され始めた。

 

『とりあえず、重い方に纏わり付いて大砲を撃たせない様にする。

チャンスがあれば作戦通りサクッと一発。そんな感じで』

『適当過ぎない?』

 

小南が太刀川の適当度合いに思わずツッコミを入れる。

 

『適当でいいんだよ。なんせこっちには、予知だけじゃなくアンノウン(紘太)がいるからな』

 

紘太は、苦笑いを浮かべながらやれやれと言う。

 

『『了解』』

 

小南は、ガトリンに攻撃を仕掛けるが処刑者(バシリッサ)で防ぐ。

更に太刀川が懐に入り攻撃を仕掛ける。

紘太も参加し追撃する。

 

『トリオン反応の位置をチェックしろ。

敵は、ポイントからポイントにワープしてくる』

『先回りするって事ですね』

『そうだ。予測すればワープ先に叩ける!』

 

小南が追撃し紘太が連続で攻撃を仕掛ける。

 

「(マズイな・・・。敵の大砲のエネルギーチャージはもう完了している。

  しかも村上さんは、腕を片方失っている。

  それを考えるとカバーに回った方がいいけど・・・!)」

 

するとラタリコフの使用しているトリガー・踊り手(デスピニス)を使い村上に向けて攻撃を仕掛けてきた。

しかし、攻撃を防いだのは、村上ではなく・・・。

 

 

 

 

 

 

変化弾(バイパー)!」

 

紘太が変化弾(バイパー)で村上に向けて仕掛けて来た攻撃を打ち落とした。

 

「何だと!?」

「村上さん!」

「助かった!」

 

村上は、レイガストでドグの攻撃を防ぐ。

紘太がカバーに入り残り2体のドグを仕留める。

一気に畳み掛ける為、紘太は、冬島が用意したトラップに足をふみ消えた。

 

「仕掛けは、既に割れている!!」

 

ガトリンは、紘太が出現するエリアを予測した。

そして、その予測した場所に紘太が現れ処刑者(バシリッサ)で攻撃を仕掛けたその時・・・。

 

 

 

 

 

処刑者(バシリッサ)が斬られ宙に浮いていた。

 

「何!?」

 

すると、ワープの出現場所から炎が現れ更にガトリンに攻撃を仕掛け胴体に切り傷を入れた。

炎が治るとそこには、羅刹を起動した紘太が現れた。

 

「(コイツ・・・。まさか、ブラックトリガー使い!?)」*1

『隊長!!』

 

思わず隙を作ってしまったラタリコフ。

風間は、その隙に両脚を切り裂いた。

 

『ラタ!!』

『分かっています!!』

 

踊り手(デスピニス)を村上に向けて放つがその前に紘太が村上の前に現れ全て切り落とした。

ガトリンは、その隙に大砲を向ける。

それに気づいた小南も村上のカバーに入る。

 

『大砲が来るぞ!村上を援護だ!!』

 

太刀川の掛け声と同時に小南が村上のカバーに入る。

ハンガーの前に来るが太刀川が処刑者(バシリッサ)を抑えている為、攻撃先が見えない。

 

「(太刀川さんごと撃つ気か!?)」

「(マズイ・・・。このタイミング、この位置、敵の射線が読めない・・・!)」

「(万が一、村上が間に合っても太刀川は倒せるか)だが・・・」

「一手遅かったな」

 

小南が脚を止めてそのまま太刀川の方に向かう。

 

「真っ二つだ」

「!?」

 

小南が急遽方向転換し太刀川ごと切り裂いた。

 

「(味方諸共・・・最短で攻撃だと!?)」

 

だがガトリンは、まだ諦めていなかった。

処刑者(バシリッサ)の斬られていない2本の足を地面に突き刺しバランスをとり砲撃を射とうとした。

だが、その時・・・。

 

 

全集中 日の呼吸

 

 

壱ノ型・改 円舞一閃

 

 

紘太がその間合いに入り、そのままガトリンの砲撃と処刑者(バシリッサ)ごと切り裂いた。

 

「(処刑者(バシリッサ)だけでなく大砲までも切り裂くとは・・・)・・・見事!」

「流石」

 

そして、そのまま爆発したかの様に煙に包まれた。

 

 

 

*1
違います




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第48話 終戦

ガロプラ編は、今回で終了します。


では、どうぞ。


ガロプラがボーダー基地にある遠征艇を狙いに襲撃して来た。

しかし、迅の未来視の副作用(サイドエフェクト)によって待ち構えることに成功。

更に、数日程不在だった紘太が新たな呼吸剣術・蟲の呼吸を習得し前線に参加。

ボーダーの各隊員と共に連携し敵を撃破していく紘太達。

ガロプラ遠征隊の紅一点・ウェン・ソーを那須、熊谷と共に撃破。

その後、本部の地下で待ち構えていた太刀川、風間、小南、村上が隊長のガトリンとラタリコフと戦闘。

そこに紘太が乱入し、膠着状態を打開させ攻撃手(アタッカー)陣が有利になるよう促した。

そして、敵が最後の賭けで太刀川ごと大砲を放とうとしたがその前に小南が太刀川ごと斬り伏せた。

だがそれでもガトリンは諦めず、処刑者(バシリッサ)を地面に突き刺しバランスを保ちハンガーに向けて放とうとした時、紘太が円舞一閃でガトリンを撃破し大砲の発射を阻止した。

すると、爆発したかの様に舞い上がった煙が現れた。

その煙がなくなると太刀川は、緊急脱出(ベイルアウト)したがガトリンまでもいなくなっていた。

 

「・・・本体がいない」

「我々の完敗です」

 

風間は、ラタリコフがそう話した事を聞くと彼に視線を移す。

 

「お見事でした」

 

ラタリコフも体にヒビが入っていきそのまま爆発すると本体が残っていなかった。

 

「・・・沢村さん!」

『トリオン反応消失!!那須隊、三輪隊が捕らえた近界民(ネイバー)も同時に姿を消した模様です』

「まさか・・・。緊急脱出(ベイルアウト)か・・・?」

「そう見て間違い無いだろう・・・」

 

紘太の推測に頷く様に風間が納得の声を上げた。

司令部の根付も同様驚きの声を上げた。

 

近界民(ネイバー)緊急脱出(ベイルアウト)!?」

「何を驚く必要がある。こちらも向こう(ネイバーフット)の技術を真似しとる。

逆があっても驚きはせぬわい」

 

鬼怒田は、冷静に見解を述べた。

 

「・・・逃したか」

『そう落ち込むな。今回は俺たちの大勝利なんだからよ』

「太刀川さん・・・」

「何言ってんのよ。予知通り真っ二つに切られた癖に」

『予知を利用して敵を倒したんだから迅の予知に勝ったと言っても過言じゃない』

「ハイハイ」

 

紘太は、小南と太刀川の話を聞いてこんなので予知に勝ったと言っていいのかと言う疑問を覚えたのだった。

 

「綾瀬。最後、よく防いでくれた」

「ありがとう。綾瀬」

「お気になさらず。あの位置なら上手く行きそうだったので」

「しかし、数日見ないだけで更に磨きが掛かったな。特訓の成果が出たか?」

「かもしれないですね。トリオン体にならないで体を動かしていたってのもありますから」

「なるほど。土台を作り直したと言った所か」

 

紘太は、そう言いながらストレッチをして村上は、話を聞いて納得していた。

 

「敵の完全撤退までは、油断は出来ないが第一の任務は達成だ」

 

小南も背伸びをしながらこちらに来た。

 

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

 

紘太は、小南とそのままハイタッチをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は、地上部隊の警戒区域。

こちらも戦闘が終了し敵部隊が撤退する中、敵のトリガーで遊んでいる人物が・・・。

 

「あっははは!何これ超滑る〜!!」

 

二宮隊・犬飼が米屋をクルクル回しながら遊んでいた。

 

「アレ、敵のトリガーか?」

「そうです。このまま帰って解析班に回します」

 

諏訪と三輪は、2人の光景を見ながら話していた。

 

「4人共、よくエース機を抑えてくれた。助かったぞ」

「ありがとうございます」

 

笹森、辻、木虎、黒江の4人に感謝を述べる嵐山。

その代表で笹森が答えた。

そんな中、嵐山の話を終えたら黒江は、加古の元に向かった。

 

「加古さん。お疲れ様です」

「お疲れ様、双葉。綾瀬君に稽古をつけて貰った結果が出て良かったわね」

「紘太先輩には、頭が上がりません」

「そうね。今度、ウチの隊室に呼んで炒飯でもご馳走しようかしら」

 

その事を聞いた数名が思わず戦慄したがこの時の紘太は、知らない。

それはさておき。双葉は、自分の実力が上ったことに確かな手応えを感じていた。

その結果が分かった事に喜びを感じていた。

紘太もこの結果を聞いて喜ぶ事も迅の予知で視えなくても分かりきっている事だろう。

ボーダー基地の屋上でも戦闘終了の様子が見えていた。

そんな中、日浦は、那須と熊谷が人型を倒した事にテンションが上がっていた。

 

「那須先輩と熊谷先輩が一人やっつけたって!!」

「やっぱ那須さんすげー!」

「綾瀬君も一緒に戦ったって話していたよ。ああ〜戦っている所、見てみたかったな〜」

「いつも一緒に訓練しているって玲が話していたが違うのか?」

「あれ?奈良坂先輩聞いていないんですか?」

「俺は、一緒に訓練しているとしか聞かされてないな」

「志岐先輩の男慣れも兼ねて一緒に訓練しているのと基本3VS1で戦っているんです!」

 

「「・・・はっ?」」

 

別役と奈良坂は、聞いて思わず頭に?を浮かべた。

 

「えっと・・・どう言うこと?」

「だから、那須隊VS綾瀬君の3VS1の対決をしているの!

全く勝ち越せないんだよ〜・・・」

 

2人が聞いた時に思わず何を言っているんだと言う表情になっていた。

 

「那須隊が戦闘する時に何かハンデを用いているのか?」

「全くしてません。最初なんて、1分も経たずに負けちゃいましたし」

 

2人は、この話を聞いた時、これ以上深く追及する事をやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は、ガロプラ遠征艇。

任務失敗の所為か船内の空気は、重かった。

 

「レギー。アンタ何やっているの。

民間人は、狙わないって決めてたじゃん」

「狙っていない。狙ったフリをしただけだ・・・」

「相手もそう思ってくれたらいいけどね」

「まあまあ・・・」

 

ウェンが話を追及するがそれをコスケロがそれを宥める。

 

「レギーには、トリオン兵の指揮を丸々押し付けて悪かったよ。

崩されちゃったのは仕方がない。

こっちの動きも読まれていたみたいだし新型で脱出できただけでも良かった」

 

コスケロがレギンデッツのフォローをするがそれでも表情は、暗いままだった。

 

「どこから情報が漏れたのでしょうか。

アフトクラトルの捕虜からだとしても情報が正確すぎる」

 

ラタリコフは、話を変えるかのように話題を先程の作戦に戻す。

 

「アフトの捕虜は、違うでしょ。

艇に乗るつもりだったみたいだし玄界(ミデン)に味方する理由ないし」

「となると後は・・・」

 

ラタリコフが情報の出所を考えていた時だった。

 

「隊長。処刑者(バシリッサ)が破壊された理由が分かりました。ただ・・・」

「どうかしたのか?」

「一つは分かりましたがもう一つは、原因不明です」

「どう言うことだ?」

「まず、左上のアームから」

 

ヨミは、映像を映した。

 

「破壊された箇所を見てみた所、同じダメージが2つ重なっています」

「つまり、同じ箇所に2度攻撃を受けたと言う事か」

 

ガトリンの話した通り、最初は、太刀川が傷をつけて小南が追い討ちを掛け破壊したのだと推測した。

 

「あの乱戦でそんな事を・・・!」

「それで、もう一つの方は?」

「実の所、隊長が戦闘していた敵の武器を調べてみましたが奇妙なんです」

「奇妙?」

「どう言うこと?」

 

ヨミは、処刑者(バシリッサ)のもう一つの破損部分を見せた。

 

「敵の武器も見てみましたがトリオン反応らしきものが一切検知されませんでした」

 

「「「!?」」」

 

「そんなバカな?!トリオンでない限りトリオンは、破壊できないんだぞ!」

処刑者(バシリッサ)と同じ類の物かと思って調べてみましたが正直、それらしいものは見つかりませんでした。

だから、可能性として考えられるのは・・・」

 

 

 

 

 

「敵対した剣士だけの腕で処刑者(バシリッサ)()()()()()。と言う事になるな」

 

ガトリンの解釈に皆が驚きを隠せない。

 

「・・・仮にそうだとしたら、簡単に出し抜ける相手じゃないな」

「でも、任務を放棄できないでしょ。次はどうするの?」

 

ガトリンは、顳顬に手を当てる。

 

「・・・少し、考える。玄界(ミデン)の軌道から外れるまでまだ日はあるからな。

それまでは各自、しばらく休んでいてくれ」

 

こうして人知れず、一つの戦いが終わるのだった。

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「警戒が解かれた。もう戻っていいそうだ」

「そうですか・・・。トリガー・解除(オフ)

 

紘太がそれだけ言うと戦闘体から元の体に戻ったら・・・。

 

「何でそんなにボロボロなの!?」

 

小南がギョッとした顔で紘太の姿を見た。

同時に風間と村上も紘太の姿を見て小南と同じ表情をしていた。

 

「特訓からそのまま戻ってきたからそりゃそうなるでしょ」

「て言うか今すぐ医務室に向かいなさいよ!!」

「いや、別にこれk「紘太君・・・?」・・・!?」

 

紘太は、思わずただならぬ気配を感じ思わず身構えるとそこには、背後に阿修羅が見える程の笑顔という名の怒りを宿した那須がいた。

 

「れ、玲さん・・・。これは・・・」

「今すぐ医務室に行くわよ」

「いや、でもこれ位なら・・・」

行くわよ

「・・・ハイ」

 

こうして那須に抗えず紘太は、そのまま連行された。

 

「「「・・・・・・」」」

 

紘太が連れていかれるのをただ見ていた風間、村上、小南は、唖然とした表情をして・・・。

 

「・・・綾瀬が無茶をした時は、那須を頼った方がいいかもしれないな」

「・・・大丈夫ですかね?」

「・・・いざという時には、奈良坂と熊谷にも頼むとしよう」

「・・・とりあえず、今見たのは忘れましょう」

 

「「・・・そうだな」」

 

風間達は、今見た光景だけを忘れる事にした。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


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第49話 新しい仲間

いよいよヒュースが動きます。


では、どうぞ。


紘太がガロプラと戦闘している中、修達のランク戦が行われていた。

修、雨取、遊真の3人は、他の隊員達に様々な戦い方を学び新たな必殺技を引っ提げて戻ってきた。

修は、木虎からスパイダーを教えて貰い遊真の戦いを有利に運ぶ様に支援の強化に努めた。

雨取は、影浦隊の狙撃手(スナイパー)・絵馬ユズルから狙撃をする際に鉛弾(レッドバレット)を使用すると言うアドバイスを貰った。

その結果、鉛弾(レッドバレット)狙撃が完成し対戦相手の柿崎隊と香取隊を仕留めるのに貢献した。

修もスパイダーを用いる事で香取隊の2人を撃破する事に成功。

その試合結果を、嵐山は、配布された携帯で試合結果を見ていた。

 

「木虎。三雲君たち、7点取って勝ったそうだ」

「当然でしょう。あのチームの能力を活かせばそれくらい」

「綾瀬君の影響もあったんじゃないのか」

「・・・・・・」

 

木虎は、以前修が試合のお詫びをしにきて差し入れを持ってきていた。

その時に木虎に戦い方を教えてくれと素直に頭を下げたのは、木虎自身も驚いていた。

一体、どう言った心境の変化なのか尋ねてみた所・・・。

 

【僕がこれまでのランク戦を見直した事と紘太に指摘されて思ったんだ。

僕自身が点取になるんじゃなく、空閑が有利に動ける様にすればいいんじゃないかって。

僕は、空閑や紘太の様に強くないし千佳の様にトリオンがある訳じゃない。

だから、僕にできる事を考えたら木虎がそれに近い答えを持っているって思ったんだ】

 

そして、その結果スパイダーを習得する事にした。

修は、自身が言った通り強くもなければトリオンもない。

できる事は限られてくるが何も出来ない訳ではない。

そして、その答えが今回のランク戦で実施したワイヤー戦術なのだ。

その試合結果も二宮も見ていた。彼は、試合結果を確認した後、そのまま携帯を仕舞った。

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、玉狛支部。

その日は、迅が食事当番で夕飯は、奮発してすき焼きとなっていた。

 

「玉狛第二大勝利、おめでと〜う!」

 

木崎が防衛任務で不在だが他の皆が食事中、1人の人物が入ってきた。

 

「お邪魔しまーす」

「紘太!」

「おお!帰って来たか!!」

「数日ぶりだね綾瀬君!!・・・でも、何で包帯塗れ?」

 

そう、紘太は、所々包帯を巻いていたり顔に絆創膏が貼られていた。

 

「特訓してちょっと怪我を・・・」

「アンタ、特訓もいいけど那須ちゃんに心配させるんじゃないわよ」

「いや〜それは〜・・・」

「風間さんから聞いたぞ〜?那須ちゃんに物凄い剣幕で怒られたみたいだな」

「あはは・・・。返す言葉もございません」

 

迅の指摘に紘太は、苦笑いで浮かべていた。

 

「まあ話はそれ位にして、お前も食べなよ」

「はい。頂きます」

 

迅に催促され紘太もすき焼きを頂く。

 

「試合、見てたぞ。スパイダーが上手く決まったな」

「練習に付き合って貰ったおかげです」

「スパイダーって確か、ワイヤーを使ったトリガーですよね?」

「ああ。木虎がよく使っているトリガーだ」

「木虎が?あいつに教えてもらったのか。意外だな」

「まあ、色々あって」

 

陽太郎もソファーの上に立ちながら食べて賞賛を送っていた。

 

「それで皆様に嬉しいお知らせがあります」

「嬉しいお知らせ?」

「何と、ヒュースが玉狛第二に入りたいそうです」

 

「「「!?」」」

 

皆が驚く中、紘太が一人頭を?にしていた。

 

「アンタどう言う風の吹き回し!?ついこの間・・・」

 

小南は、話を止めフードを被り・・・。

 

「100%ありえない。とか言ってたじゃない!」

「今のセリフは、どう考えてもヒュースじゃなくて小南さんが言いそうですね」

「そこ、だまらっしゃい!!」

 

紘太の指摘に顔を赤くしながら文句を言う小南。

 

「んで、どうしてそんな事を?」

「迅との取引だ」

「取引?」

 

紘太は、取引という言葉に引っ掛かりを覚えた。

 

「アフトクラトルまで同行することを条件に力を貸してやってもいい」

「ほう」

「アンタ本気でそんなこと考えていた訳?」

「面白いだろー」

 

小南は、迅に問いただすと迅は、何も躊躇いもなく話す。

しかし、彼は、以前雨取を狙っていた一味の一人だ。

小南が指摘したがその人物をチームに入れるのは、些か危険である。しかし・・・。

 

「この前と事情が変わった。オレは、本国に戻る事を優先する。

この際、金の雛鳥はどうでもいい。信じるかどうかは、お前達で決めろ」

「金の雛鳥って千佳ちゃんの事だよね?」

「そうです」

 

紘太は、視線を遊真に移す。

 

「一応、嘘は言ってないよ」

 

紘太は、次に雨取に視線を移す。

 

「私は別に・・・。修君がいいって言うなら・・・」

「また主体性のない事を・・・」

「遊真君も迅さんも大丈夫って思っているみたいだし・・・」

 

雨取は、2人が大丈夫だと言っているのならいいと話している。

しかし、それでも小南は食いつく。

 

「遊真たちは、新技覚えてランク戦は順調なんでしょ?

コイツをチームに入れる必要なんて無いわ!」

「それは早計ですよ。小南さん」

「はあ?どう言うことよ」

「まだ修のチームに穴はあるって事です」

「その通りだ」

 

ヒュースは、食べるのをやめて箸とお椀を置く。

 

「例えば、チカの重石攻撃。あれは確かに効果的だが普通の弾では人が撃てないと言うことが外で見てたオレでもバレバレだ」

「千佳ちゃんが人が撃てないって言うのもバレてるみたいだし柿崎隊の照屋さんだっけ?

対策が他の人達に露見したから狙撃が通りにくくなりますからね。

普通の弾を撃てれば色々と変わるんだけどね。ヒュースもそれは思っていた事でしょ?」

 

ヒュースは、会釈して話を続ける。

 

「そして何より、チームのエース、ユーマが落ちれば終わりという点は、以前と変わっていない」

「柿崎隊の隊長とタイマンで戦った時のがいい例だね。相打ちになっていたらまた戦況が変わっただろうから。

だから必要なんだよ。()()()()()()()が」

「どれだけ援護が優れていてもエースが落ちたら意味がない。

だからオレが・・・。

 

 

 

 

 

2人目のエースになってやる」

 

その言葉に修達は、息を呑んだ。

 

「そうすれば、どんな相手でも互角以上の戦いができる様になるだろう」

 

しかし、そこで小南が・・・。

 

「それだったら紘太が入ればいいじゃない」

「小南さん忘れました?俺、アンノウン認定されて余程のことでない限り他の支部に異動出来ないんですよ?」

「・・・あ、そうだった」

「(アンノウン?どう言うことだ?)」

 

小南の提案は、紘太の指摘ですぐに却下となった。

すると修は・・・。

 

「仮にヒュースがボーダーに入るとして、角はどうするんです?近界民(ネイバー)だってバレますよ」

「そうよ。大規模侵攻でコイツの顔を見られているはずよ。どうすんの?」

「角なしのトリオン体に換装すればいいんじゃない?

角を取ったモデル作れるし」

 

宇佐美の案で角の心配は、無くなった。

 

「大規模侵攻で見られた可能性は?バレたらかなり大ごとになりますよ」

『それはないだろう。ヒュースを見たのは、C級数人。それもかなり遠目だ。

角さえなければ、ハッキリ覚えている人間はまずいないだろう』

 

紘太の心配は、レプリカの推測で大丈夫となった。

 

「身元はどうするんですか?外国人が入隊したら目立つんじゃ・・・」

「ウチのエンジニアが丁度、外国人顔だから親戚って事にする」

「玉狛のエンジニア?」

「へぇ〜。エンジニアなんていたんだ」

 

遊真は、迅の話を聞いて思わず感心してしまった。

 

「いるよ。今は、他所の県に隊員スカウトに行っている。

名前は、ミカエル・クローニン。カナダ人設定だ」

 

「「・・・()()?」」

 

紘太と修が疑問の声を上げた。

 

近界民(ネイバー)なのよ。クローニンは」

「・・・近界民(ネイバー)!?」

「なるほど・・・。遊真が近界民(ネイバー)だからフランクに接しているのは、前例があったって訳か」

「オレが最初じゃなかったんだな」

近界民(ネイバー)は、意外と近くにいる」

 

迅の話を聞いた時、紘太は、感心した表情を浮かべた。

 

「となると、残る問題は・・・」

「・・・()()()()()()()()()()()()。そしてそれをするのは、隊長である僕の役目だ」

「真史さんは、ちゃんとした根拠があれば話を聞いてくれるけど城戸司令が近界民(ネイバー)だからと言う理由で拒否すれば頓挫するな・・・」

「でも、ヒュースが協力的なら・・・」

「ちょっと待て」

 

するとヒュースが待ったをかけた。

 

「前にも話したが本国について一切何も話さないぞ。

それを了承しなければこの話は無しだ」

 

皆が驚く中、遊真がエネドラの死体からアフトクラトルの情報を引き出していると話した。

それでも譲るつもりはないとの事。この話を聞いた紘太は・・・。

 

「ヒュースの主人に対して忠誠を誓っているからでしょ」

 

「「「???」」」

 

紘太の呟きに皆が視線を移した。

 

「・・・忠誠?」

「次に主人の前に立つ時は、己の恥があるかどうかでしょ」

「そうだ。これは、損か得かではないと言うことだ。オレ自身の問題だ」

 

紘太の話に同意するかのように今度は、ヒュースが話をする。

修は、紘太とヒュースの見解を聞いて・・・。

 

「・・・分かった。条件を呑もう」

「ちょっと、本気!?」

「これが損得の問題でなければ交渉は難しいです。

でも、アフトクラトルに行くという利害が一致しているのなら組む価値はあると思います」

「だが、そうなると上層部を納得させるのは、難しいぞ」

「分かっています。だから、できるだけ準備をして・・・」

 

こうして、ヒュースをボーダーに加入する為の策を練る修だった。

 

 

 

 

 

翌日。ついに上層部にヒュース加入の交渉する。

 

「(いよいよ本番か・・・。頑張れよ、修)」

 

紘太は、そう願いながら目の前の文献を解読していくのだった。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第50話 ヒュース加入

今回は、タイトル通りになります。


では、どうぞ。


修がヒュース加入の交渉に向かった2日後。

結論から言うとヒュースは、ボーダーに加入することが出来た。

ただし、入隊しても同じC級隊員1000ptからスタートすると言う事になった。

そして紘太は、嵐山隊に一言話し一緒に訓練室の様子を見ていた。その理由は・・・。

 

「ヒュース」

「・・・コウタか」

 

迅の頼みでヒュースの面倒を見て欲しいのとヒュース自身が頼んで来た。

それは、入隊日の前日にまで遡る。

 

 

 

 

 

「そっか。無事に許可が降りたのか。

しかし、千佳ちゃんが機関員として乗船しろと・・・」

 

雨取が機関員というのは、遠征艇を盤石な体勢にしたいと城戸司令は話していた。

そこで、トリオンの量が異常に多い雨取を遠征隊メンバーとして借り受けたいという話だ。

今回の遠征は、かなりの長期間になる為、トリオン量が異常に多い人物をメンバーに加えたいとの事。

同時にヒュースを入隊させるには、その条件を呑まなければこの話はなしだと言われたそうだ。

遠征に行くだけでなく、アフトクラトルに捕まった三門市民がいれば救助・奪還した後の搭乗スペースを確保するのに必要な事でもあると話していた。

付け加えると、遠征艇の規模を大きくすれば遠征に連れて行ける隊員も増やすことができると城戸司令は、話していた。

 

「尚更負ける訳にはいかなくなったじゃん」

「分かっている。だから、僕達は、もうこれ以上負ける訳にはいかない」

 

修もやる気の炎が瞳に宿っていた。

 

「コウタ」

 

すると、ヒュースが紘太を呼んだ。

 

「どうした?」

「オレと戦って欲しい」

 

「「「!?」」」

 

紘太と遊真以外は、驚きの表情を浮かべた。

 

「アンタ正気?!この人外と戦おうとするなんて何考えてるの!?」

 

紘太は、小南をデコピンで黙らせた。

あまりの痛さに悶絶しているのを無視し紘太は、話をする。

 

「戦って欲しい理由は、剣の感覚を取り戻したいからか?」

「!?・・・気づいてたのか?オレが剣を使っていた事に」

 

皆もヒュースの頼んだ理由を的確に当てた事に驚いていた。

 

「歩き方が、ヴィザの爺さんと似ていたからな。師匠もヴィザの爺さんだろ?」

「・・・ああ、そうだ」

「OK、了解した。宇佐美さん、攻撃手(アタッカー)用のトリガー出して下さい」

「了解!」

 

食事を終えた一同は、早速訓練室に向かいヒュースの訓練に付き合うのだった。

 

 

 

 

 

「やっぱりかなり鈍っているね」

「・・・正直、ここまでとは思わなかった」

 

紘太とヒュースは、訓練室で一戦交えていた。

使用した攻撃手(アタッカー)用トリガーは、弧月。紘太と同じだ。

そして戦った結果、当然、紘太が勝利した。

 

「お前から見て、今のオレの剣の腕は、玄界(ミデン)の組織の中では、どれ位の位置になる」

「そうだな・・・。正直な所、まだ動きが甘いところがあるから断言はできないけど・・・。

現段階から見ると上から数えた数字で言えば6〜7番目位と見るべきかな。

それなりにやり合えると思うけど勘を取り戻しても上位3位の攻撃手(アタッカー)と戦うのは、厳しいと思う」

「しかし、玄界(ミデン)のトリガーは、他のトリガーと組み合わせて使う節があるがそうではないのか?」

「合ってる。でも、ヒュースが入隊したら最初は、C級っていう一番低い階級からスタートになるから他のトリガーは、使えない。

B級にならないと他のは使えないからね」

「コウタは、使っていないようだが?」

「正直、基本的には、剣があればどうとでもなるからな」

「・・・ヴィザ翁を退けただけの事はあるか」

「後数本やったら今日は終わりだ。明日の入隊日に支障が出たら目も当てられないからな」

「分かった。もう一度頼む」

「おう、かかってこい」

 

ヒュースは、紘太に頼みもう一度扱いてもらうのだった。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで入隊日。

ヒュースの容姿は、他の隊員から見ても目立っている。

他のC級隊員もヒュースを見ていた。

 

「(顔もそうだが、やっぱ目立つよな。アイツ・・・)」

 

紘太は、遠目でそう見ていた。

そして、紘太や修達がやったバムスターの仮想訓練をした結果、記録は、1.5秒だった。

 

「凄いな。歴代第3位だな」

「・・・3位だと?やり直す。もう一度だ」

 

ヒュースは、その記録を聞いた時、納得がいかずもう一度するのだった。

 

「(負けず嫌いだなぁ・・・)」

 

紘太は、苦笑いを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

その後、ランク戦のブースにやって来て嵐山がランク戦の説明をする事になった。

紘太が入隊した時と同じ様に4000点以上でB級に上がると言う説明をされたが・・・。

 

「今から個人ランク戦をするが、その流れでもう一つやって貰いたいことがある」

 

入隊した段階では、以前話した通り1000ptからのスタートで仮入隊の時に好成績を残せばポイントが上乗せされる。

紘太も仮入隊の時に好成績を取った為、ポイントが上乗せされ早い段階でB級に上がったのだ。

だが、今回入隊した隊員達は、臨時入隊だった為、仮入隊の期間は設けられなかった。

今回は、その代用で簡単な実力テストをする事になった。

皆がざわつく中、嵐山は、説明していく。

 

「これから5人ずつに分かれて仮想空間で戦って貰う。

自分以外は、全て敵。1人倒す事で120pt加点。

その後は、メンバーを変えて同じ様に1人につき4試合繰り返す」

 

この実力テストを行えば単純な計算で行けば1920pt入る事になる。

タイム測定の訓練の結果と今行う実力テストを合わせればトータルで2000pt入る計算になる。

 

「(上手く行けば3000ptになる訳だな・・・。まあ、ヒュースなら楽勝か)」

「倒した数だけB級昇格に近づく。各自工夫して頑張ってくれ」

 

そう言いグループ分けをしている中、紘太がこっそりとヒュースに近づく。

 

「この実力テストで全勝して来い。上手く行けば今日中に昇格できる」

「分かった」

 

紘太は、それだけ話しその場を離れた。

そして、グループ分けをし、いざ実力テストをした結果・・・。

 

 

 

 

 

他のC級隊員が宙を舞った。

 

「・・・うん、予想通り」

 

そしてヒュースは、仮想空間から出てきてポイントを確認すると3000ptと書かれていた。

 

「(これで残りは、1000か・・・)」

「迅には聞いていたが凄いな」

「ですね」

 

ヒュースは、それだけ確認すると紘太の元に向かった。

 

「後は、1000pt位か?」

「ああ」

「それじゃあ、さっさと終わらせるか」

 

紘太は、それだけ言ってランク戦ブースに向かい操作方法を教えた。

 

「このパネルで対戦相手を選ぶ。ポイントが高い人と戦えば大量にポイントが入る」

「なるほど、大体わかった。それと、オサム達の方はどうなってる?」

「4-3-3で勝った。内容をざっくりと見たけどやっぱり懸念通りもう一人のエースが欲しいね」

「そうか・・・。さっさと終わらせてくる」

「行ってらっしゃ〜い」

 

紘太は、ヒュースのランク戦をヒュースのいるブースで見届ける事にした。

そして・・・。

 

 

 

 

 

3人のC級隊員がまた新たに宙を舞うのだった・・・。

ヒュースの左手の甲には、4016ptと書かれていた。

 

「これで無事にB級昇格だ。修達と戦えるぞ」

 

 

ヒュースB級昇格決定

 

 

「もう昇格したの?」

「時枝さん。お疲れ様です」

「お疲れ様。綾瀬君が来ているのは聞いていたけど彼と知り合いなの?」

「コウタの師匠とオレの師匠が古い友人でな。それで知り合った」

 

そう。実の所、紘太の祖父とヴィザは、何年か前に戦った事があった。

紘太がヒュースにその話をしたが・・・。

 

【残念だが、ヴィザ翁からも詳しくは聞かされていない。

唯一勝てなかった剣士がウロコダキという男だけだと聞いている】

 

遊真にも確認してみた所、嘘はついていないと言っていた。

ここで、紘太が他の隊員達にヒュースの素性を聞かれた時の対応策でダミー情報を使う事にした。

内容は、紘太とヒュースの師匠が共通の知り合いだということ。

余程のことがない限り大丈夫だと思うが念の為ということで話を付けた。

ヒュースも今後の行動に支障を出すのは、よくないと考え紘太の意見に賛同した。

紘太は、ブースの外を見るとざわついているのを見た。

 

「どうやら戦ってみたい人がいるみたい。

弧月限定でpt移動なしなら相手してくるんじゃないかって言ってる。

中には、ランク戦で当たる相手もいたからやって損はないと思う」

「(確かに、コウタのいう通り玄界(ミデン)の実力を知るいい機会だ。

  コウタも毎度支部に来ている訳ではないから他の相手で剣の勘を取り戻すには、丁度いいか・・・)分かった。受けよう」

 

紘太の意見も聞き戦う事を了承したヒュース。

まず一番手は、東隊・小荒井。

 

第1戦 東隊・小荒井

5vs0 ヒュースの勝利

 

 

第2戦 柿崎隊・巴

5vs0 ヒュースの勝利

 

 

第3戦 香取隊・三浦

5vs0 ヒュースの勝利

 

 

「何だこいつ!?」

「めちゃくちゃ強いよ!」

「向こうの動きは、頭に入れました。一矢報いてきます!」

 

そして、笹森が気合を入れて模擬戦に臨んだが・・・。

 

 

第4戦 諏訪隊・笹森

5vs1 ヒュースの勝利

 

「よーし!一矢報いた!!」

「・・・本当に一矢だけだね」

 

小荒井は、喜ぶが笹森は、少しがっかりしていた。

 

「本当に強いですね・・・。

これ、こっちがフル装備でも勝負になるんじゃ・・・」

「いや、流石にそれは・・・」

 

そんなやりとりをしている中、二宮隊・辻がやって来た。

 

「あ!辻先輩ー!!」

「?」

 

小荒井に流されるかのようにヒュースと戦う事になった。

そしていざ戦ってみるとヒュースは、先程戦った4人と比べてかなり腕が立つ様に見えたが・・・。

 

 

第5戦 二宮隊・辻

5vs2 ヒュースの勝利

 

 

「マスタークラスでも2本か〜!」

「太刀筋が他の人と違う。実際に剣術をやっていたんじゃない。で、誰?」

 

笹森が事情を説明しようとした時、小荒井が誰かを見つけた。

 

 

 

 

 

 

「B級1位の部隊の前衛?」

「二宮隊の辻さん。8000pt以上のマスタークラス。

部隊という点では、ランク戦で戦うとなれば一番強敵になる可能性がある」

「なるほど・・・」

「ん?あ、新しい人が来たぞ」

「分かった。行ってくる」

 

ヒュースは、それだけ言ってもう一度ランク戦を再開した。

 

「えーっと今戦っているのは・・・。あ、さっき修と戦っていた部隊の人か」

 

紘太は、ヒュースが戦っている間に生駒隊の隊長、生駒について調べた。

そして、最終戦で戦っている姿を見たら旋空弧月で斬られたヒュースが映っていた。

 

「・・・へ?!」

 

紘太は、その光景を見て思わず驚きの表情をしてしまった。

 

 

第6戦 生駒隊・生駒

5vs4 生駒の反則によりヒュースの勝利

 

 

「誠に申し訳ない。いつもの癖でやってもーうた」

 

と言いながら舌を出して謝っていた。

ブースに戻ってきたヒュースも困惑した表情をしていた。

 

「・・・一応説明すると、さっきの伸びる斬撃が弧月専用オプショントリガー()()

「今のが・・・(複数のトリガーを併用した戦い方をするとなるとやはり苦戦を強いられるかもな・・・)」

 

そんな話をしている中、新たな対戦相手が現れた。

紘太は、その確認をすると瞳が鋭くなった。

 

「コウタ?」

「どうやら、攻撃手(アタッカー)No.1がお前さんに興味を持ったみたいだ」

「何?」

「行ってきな。そんでもって実力を間近で見て来い」

 

そしてヒュースは、いざ戦ってみるという事で紘太は、その様子を見ていた。

 

「アイツに実力を確かめさせるのは、いい機会だろう。それにしても・・・。

 

 

 

 

レポート終わらせたんですかね?()()()()()

 

紘太の目の前のモニターには、ヒュースが斬られる映像があった。

 

 

第7戦 太刀川隊・太刀川

1vs5 太刀川の勝利

 

 

ランク戦が終了しヒュースが戻ってきた。

 

「お帰り。戦ってみてどうだった?」

「・・・かなり強かった。アフトでもあれ程の剣士はそうそういない。攻撃手(アタッカー)No.1というだけの事はある。だが・・・」

「だが?」

 

ヒュースは、紘太に視線を移した。

 

「正直な所、お前の方が実力はあるとみている。

この前の鍛錬、お前は手を抜いていただろ?」

 

紘太は、苦笑いを浮かべながら話をする。

 

「あの時は、お前の勘を取り戻させる事だからな」

「とは言え、要らぬ気遣いは不要だ。次からは全力で来い」

「・・・なら、そうさせて貰う」

 

その後、小荒井と言った対戦したB級の隊員達がヒュースの元に現れた。

そして紘太は、太刀川と話していた。

 

「さっき戦った新人。お前が剣を教えたのか?」

「いいえ、師匠の知り合いだったそうです」

「なるほど。それならあの強さは納得だ」

 

そして、ヒュースの話が終わったのがこちらにやって来た。

 

「もう大丈夫?」

「ああ」

 

紘太は、太刀川に挨拶しその場を後にした。

 

「今の、B級の子でしょ?」

「さっきオレと話していた奴。今現状オレが唯一勝ち越せない奴だな」

「はあ?マジで?」

 

生駒は、思わず驚いた声を上げ近くにいた辻も目を見開いていた。

 

「それにしてもさっきのB級。どっかで見たような・・・」

「どこかですれ違ったとかじゃないですか?」

「かもしれへんな・・・」

 

生駒は、そう言いながら頭をガシガシ掻いた。*1

 

 

 

 

 

夜になりヒュースと紘太は、玉狛に戻っていた。

 

「お帰り、ヒュース君。入隊式どうだった?」

「もうB級に上がったって」

「コウタが要点を教えてくれて思いの外早く昇格出来た」

「流石だね〜。じゃあこっち来て!」

 

宇佐美に促され訓練室に入る。

そして、修達も中に入るとヒュースは、専用の隊服を着ていた。

 

「様になってるな」

「ほらほら。3人も来て来て!」

 

宇佐美は、テンションを上げながら換装する様に促した。

こうして新生・玉狛第二が結成されたのだった。

 

 

 

*1
ガロプラ戦の時に防衛網を通り過ぎた張本人という事に気づいてない。周囲も暗かったという事もある




今回は、ここまでとなります。


誤字脱字ございましたら連絡下さい。
では、次回。


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第51話 古株と鬼

大分遅くなって申し訳ないです。


最新話です。どうぞ。


ヒュースが無事に玉狛第二のメンバーに加入する事が出来た。

修達の今後の戦いがどうなるのかが楽しみだと思っていた紘太だった。

そんなこんなで話は、終わると思いきや・・・。

 

「あ、そう言えばアンタ達、明日全員揃ってなさい。

ゆりさん達を紹介するから」

「ゆりさん?」

「県外スカウトに行ってた2人が帰ってくるの。

林藤ゆり、ミカエル・クローニン。ウチの古株メンバー、アンタ達の先輩よ」

 

どうやら、新たな出会いがある様だ・・・。

 

 

 

 

 

翌日。

小南に言われた通り玉狛第二全員来ていた。しかし・・・。

 

「何でオレまで呼んだんですか?」

 

紘太も何故か呼ばれてしまった。

玉狛の話ならいいだろうと思い遠慮させて貰おうと思ったが何故か小南が強制的に参加させてしまったのだ。

 

「アンタも玉狛のメンバーと言ってもいいくらい馴染んでいるんだからいいじゃない」

「ソロの人間でボッチ街道まっしぐらの人間の当て付けですか?

喧嘩売ってるなら買いますよ?」

 

などと紘太を宥める修だが、紘太は、ある事を気にしていた。

 

「何で木崎さんは、そんなにソワソワしてるんですか?」

 

そう。紘太は、思った以上に木崎がソワソワしているのが気になってしょうがない。

 

「いや、大丈夫だ。何でもない」

「・・・・・・」

 

紘太は、気になって透き通る世界で木崎の内蔵等を見ると・・・。

 

「(心臓の動悸が異常に早い。物凄くテンパってる・・・。何でだ?)」

 

そんなことを考えているとドアが開いた。

視線を向けるとロングの髪を1本に纏めている女性と外国人風の成人男性が入ってきた。

 

「戻りましたー」

「ただいま〜」

 

玉狛の古株メンバーは、それぞれ再開の挨拶をしていた。

そんな中、木崎のゆりに対しての異常な絡みが何とも言えなかった。

紘太も思わず何があったと突っ込みたくなる程に・・・。

修達もそれぞれ挨拶をした後、2人の林藤とクローニンの視線は、紘太に向けられた。

 

「君が綾瀬君だね?」

「はい。綾瀬紘太です。玉狛の人間ではないですが小南さんに誘われて来ました」

「林藤ゆり。よろしくね」

「ミカエル・クローニンだ。よろしく」

「こちらこそ」

 

紘太が挨拶をし終えて次は、ランク戦の話になった。

 

「次は、影浦隊、東隊、鈴鳴第一・・・。一度戦った事がある相手だっけ?」

「・・・ああ」

「なら、リベンジマッチだな」

 

現在の点差と順位は・・・。

 

B級ランク戦 順位・得点

 

第1位 二宮隊・37pt

第2位 影浦隊・34pt

第3位 生駒隊・30pt

 

そして4位が玉狛第二・30pt

 

「同点だと順位はどうなるんですか?」

「その場合は、シーズン開始時の順位が高い方が上になるね」

「となると、最低でも後5点は、欲しいって所になるのか・・・」

「他の部隊に抜かされない事を前提としてだがな」

 

と、皆が考えていた。だが・・・。

 

「それだけ聞くと難しいかもしれないかもしれませんけど、今の僕たちも前とは違う」

 

修のいう通り、遊真の新技とワイヤーを使った戦術。

雨取の鉛弾(レッドバレット)狙撃。そして何より・・・。

 

「ヒュースが加入してくれた事」

「色々と戦って勝って負けてを繰り返していったからこそ見えて来た物だろうね」

 

などと話しているが・・・。

 

「アンタの人外訓練のおかげで修の腕も上がってるしね?」

「人外とは失礼な人だな小南さん。俺は、人間をやめていない」

()()()トリオン兵斬れる様な奴はもう人間辞めてるわよ!!」

 

「「え?」」

 

ゆりとクローニンが驚きの声をあげ、ヒュースは、こいつは何を言っているんだという表情をした。

このやりとりを見ている修と雨取は、苦笑いを浮かべるしかなった。

 

「ちょっと待って下さい、桐絵嬢。今、なんて言いました?」

「だから!コイツ、普通の日本刀でトリオン兵を斬ったのよ!」

「いや、桐絵ちゃん。流石に信じられないよ・・・」

 

ゆりは、流石に信じられないと言う。

すると、ヒュースがある事を聞いてくる。

 

「コウタ。お前の剣術は、一体何を()()()()()に存在している」

「え?」

「ヒュース?」

「前から気になっていた。超常的な身体能力の向上に加えて、倒れた時の受け身が余りにも()()()()()()

トリオン兵を斬ると言う戯言を信じる訳ではないがあのデタラメな身体能力の裏に何かあると思っている。

その剣技は、一体何を倒す為に存在している?」

 

紘太は、ヒュースが聞いて来た時、『ついに気づいたか』と言う表情をしていた。

 

「その様子、いつか気づくだろうと言う表情をしているな」

「・・・まあね。木崎さんも?」

「もしかしたら・・・。とは思っていたんだがな」

 

紘太は、意を決して話をする。

 

「この剣術は、()()()()を斬る為に生まれた剣術だ」

「鬼?」

「鬼って何だ?」

 

そもそもの前提で遊真とヒュースは、鬼を知らない。

 

「日本で言うと、妖怪の様な類になるんだけど空想上の生物だけど・・・」

「違うな。鬼が実在したから呼吸剣術が存在する」

「・・・つまり、その鬼を倒す為にその剣術が存在していたという訳だな?」

 

紘太は、会釈する。

 

「紘太君が知っている鬼ってどんな存在なの?」

「日光以外では死なない不老不死性と、超人的な身体能力や怪力の持ち主。極め付けは・・・。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()。そういう存在だったそうです」

 

 

「「「!?!?」」」

 

「人間が・・・」

「食糧・・・?」

 

紘太から言われた言葉に皆が絶句した。

遊真とヒュースも思わず驚きの表情をしていた。

 

「全ては、ある1体の鬼が原因だそうです」

「たった1体の鬼が・・・!?」

「して、その鬼とは?」

 

 

 

 

 

「鬼の首領にして、鬼の始祖・・・。名は、鬼舞辻無惨

「・・・鬼舞辻」

「・・・無惨」

 

修と雨取は、紘太に言われた名を思わず復唱してしまった。

 

「奴の血は人間を鬼に変え、鬼にさらに血を与えると力が増すという特性を使って配下を増やしてきたそうです」

「そのオニとやらの存在は、どうやって仕留めていたんだ?」

「鬼は、太陽の光を浴びると消滅するんだ。俺が日輪刀と呼ばれる刀を持っているのもそれが理由だ」

「ということは、鬼は、夜行性って事?」

「そうです」

「紘太がその剣術を受け継いできたと言うことは、鬼がまだ生き残っている可能性も・・・」

「いや、それはない。無惨は、数百年前に倒されたと文献に書いてあった」

「そんな奴が玄界(ミデン)に存在していたのか・・・」

「でも、そんな物が実在していたら教科書の1つや2つに載っててもおかしくないわよね?」

「都市伝説として扱われていたらしいですよ。仮に実在しても熊の仕業と言うことで流されていたみたいです」

「そんな?!」

 

雨取は、思わず声を上げた。

 

「なら、何で鬼は、滅んだんだ?自滅って訳でもないだろ?」

「そう。俺が呼吸剣術を駆使して鬼を人知れず狩って来た組織がいた。それが、()()()

「鬼殺隊・・・」

「今で言うとボーダーみたいな所か?」

「ウチの爺ちゃんは、鬼殺隊の人と友人だったって聞いた事がある。

爺ちゃんの剣の修行中に鬼舞辻が倒されたから何とも煮え切らない様な事を言ってたみたいですし」

「その伝で今に至るまで剣技が伝わったという訳か・・・」

 

木崎の言葉に皆が納得した。

 

「鬼ってどんなのが居たんですか?」

「人間サイズだったりバムスターサイズまでデカくなったりと様々だな。

後、確か異能の鬼もいたな」

「異能の鬼?」

「鬼には、稀に血鬼術っていう特殊な術を使ってくる鬼も存在していたらしい」

「どんな事をしてくるの?」

「全部知っているって訳じゃないけど、例えば、蜘蛛の糸を出して操り人形にする。

地面の中に潜って奇襲を仕掛けてくる鬼もいたり体のあちこちに鼓を生やした奴もいたらしい」

「つ、鼓?」

「鼓ってなんだ?」

「手で叩く楽器だよ。でもその鼓を使ってどうやって戦うの?」

「その鬼は、血鬼術の使い手で鼓を叩くと別の場所に転移したり右に傾いたり斬撃を飛ばしてくるのがあったらしいです」

 

皆が驚き沈黙が訪れた。すると雨取が・・・。

 

「紘太さん。その、鬼と仲良くすることってできなかったんですか?」

 

雨取の思いがけない言葉に紘太、ヒュース、遊真以外は驚いた。

 

「遊真君や、ヒュースさんみたいに分かり合える事ができたからもしかしたらって・・・」

「残念だけど俺が知ってる範囲では、それは不可能だったそうだ。

鬼になると重度の飢餓状態に陥るから見境なく人を襲う。

それが、家族や友人、恋人だったとしてもな・・・」

「・・・そんな」

 

雨取は、紘太がキッパリ言い張ると暗い表情をした。

 

「でも、話し合うことも出来たんじゃ・・・」

「さっき話した通り全て鬼無辻が原因だ。

奴自体を仕留めなかったり野良鬼を仕留めない限りは、被害はもっと酷くなっていた。

そうしたら、俺たちは、こうして生まれてくる事も無かっただろう」

 

雨取の言い分も分からんでもないが所詮は、過去の出来事。

雨取の言い分を真っ向からの否定をした為、申し訳ない様な表情をする紘太だった。

 

「そんな化け物を倒す為に編み出された剣術なら納得なのかしら・・・?」

「綾瀬があれ程まで動けるのも色々と腑に落ちる」

 

小南、木崎は、紘太の剣術に対してある程度理解できた様な気がしたと述べていた。

 

 

 

 

 

※オマケ

 

「結局こうなるのか・・・」

 

紘太は、ヒュース、ミカエル、ゆりの3人がトリオン兵を斬れるという証拠を見せることにした。

 

「しかも宇佐美さんお手製のやしゃまるシリーズ・・・」

「大丈夫!動かない様にしているから存分にやっちゃって。

それとも、斬れる自信ないのかな〜?」

 

と言いながら煽ってきたが紘太は、面倒だと思い構えた。

そして、遠慮なく微塵切りにした。

 

「「「・・・・・・」」」

 

これを見た3人は、言葉が出なかったと同時に宇佐美は、崩れ落ちた。

 

「桐絵嬢の言う通りになりましたね・・・」

「正直、信じられないけどね・・・」

「・・・・・・」

 

3人のリアクション通り、ただただ、唖然とするしかなかった・・・。

 

 

 




今回は、ここまでとなります。
紘太の人外スキルは、今に始まった事じゃないですので悪しからず。


誤字脱字ございましたら教えてください。
では、次回。


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