機動戦士ガンダムDRAGOON 『LAST STARDUST』 (COTOKITI JP)
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竜騎兵の目覚め

ドラッツェ乗りの物語だけはどうしても書きたかった……。


ここは、どこだ。

 

瞼が重い。

 

目が開けない。

 

背中の感触が柔らかい。

 

きっとベッドの上に寝かされているのだろう。

 

………………誰かがベッドのすぐ側で話している。

 

─うるせェな……お喋りなら他所でしやがれ……。

 

 

 

─眠いんだよ。 もう(・・)起こさないでくれ。

 

 

 

─俺は死ぬほど疲れ────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんてこった……! 目ぇ覚ましやがった!」

 

「マジか!? ゾンビじゃねえよな!?」

 

重い瞼が、気付けばもう軽くなっていた。

 

目の前にいるのは医療用ベッドを取り囲むガラの悪そうな男達。

趣味の悪いタトゥーを体に刻み、戦闘服と兼用しているのであろう単色の衣服で着飾っている。

 

その服装や装備の統一性の無さからジオン軍兵士や連邦軍兵士であるという線は消えた。

 

自分の状況が理解出来ずキョロキョロと辺りに視線を巡らせ、元の位置に戻った。

 

「俺、カシラ呼んでくる!!」

 

一人の男が誰かを呼びに飛び出して行った。

 

ここは最初、病院か何処かだと思ったがどうやら違うようだ。

窓は無いしベッドは数を重視して寝心地は度外視された配置。

 

恐らく宇宙船の医務室だろうここは。

 

自分の顔をジロジロと見て男達がざわめく中、医務室の扉が再び開いた。

 

「本当に目覚めるとはな」

 

「えぇ、カシラの見込み通りでしたぜ」

 

女。

 

女だ。

 

彼女が彼らの言うカシラなのか。

 

恐らく宇宙海賊かその類の輩の頭領にしてはその女は余りにも若く、そして華奢な身体だった。

 

銀髪を一つに束ね、前髪は青い鉢巻のような布切れで押し上げられている。

それによって真っ二つに別れた前髪はまるで二本角のようだ。

 

男は彼女に疑問をぶつけようとするが何故か声が上手く出せず、ちょっとした発音にも手間取る。

 

「あ……アンタがカシラってぇのかよ……」

 

「如何にも、私がこの海賊団を率いている」

 

何とか絞り出せた嗄れた声に女頭領は答える。

現代を生きる若者にしては少し古臭い物言いで、海賊と言うよりはなんだか、騎士を相手にしている感じがした。

 

「して、9年間(・・・・)の眠りから目覚めた気分はどうだ?」

 

─待て、こいつは今なんと言った。

 

彼女のたった一言が信じられず、理解出来ず、混乱が巻き起こる。

あの時より一体どれ程の月日が経ったのか、その真実は彼を納得させるには余りにも残酷過ぎた。

 

「ジオンの亡霊よ」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

時の流れと言うのは恐ろしく早い。

 

瞬きする度に月日が流れゆく。

 

9年の昏睡によるブランクは日々のリハビリと訓練によって徐々に取り戻しつつあり、今では兵士として充分に動く事が出来るくらいにはなれた。

 

この海賊団の団員は皆、若くそしてそれぞれが何かしらの事情を抱えて海賊になっていた。

 

ある者は借金を抱えた親に捨てられ。

 

ある者は戦争でコロニーごと家を失い。

 

またある者は連邦兵に全財産を奪われ、一攫千金を目指し。

 

海賊団団長であるあの銀髪の女、『アリーナ』は先代の団長の娘だったらしい。

 

父親の死後団長を引き継いだとの事だ。

 

どんな理由であれど、彼らは互いにそれを理解し団結している。

 

ジオンや連邦のような正規軍の統率とはまた違う、どちらかと言えばまるで家族(・・)のような雰囲気を感じた。

 

そして自分自身も、その雰囲気に絆されてしまったようだ。

 

団員と酒を飲み交わし、今後の方針を話し合い、明日の生存を祈り合う。

 

とにかくそんな関係が、今はとても心地良かった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

《UC.0095 10/21》

 

 

「では、もう一度作戦概要を伝える」

 

宇宙海賊にとっての仕事場はもちろん宇宙だ。

 

標的である輸送船団の航路を把握し、待ち伏せし、物資をかっ攫う。

 

今回業務再開した海賊団の標的は月へと向かう物流会社の輸送船団だった。

 

物資内容は不明。

 

ひとつ気がかりなことがあると言えば護衛の規模がやけに多い事ぐらいだ。

 

サラミス級巡洋艦が6隻に3隻の輸送船の内の一隻は偵察隊によるとMSが発進出来るように細工されているという情報まである。

 

これ程の戦力で守る物は相当の価値がある物と踏んだ彼らは予測した航路に沿ってデブリに紛れて戦力を展開。

 

こちらの戦力はMP-02A駆逐モビルポッド『オッゴ』が8機、MSが3機だ。

 

その3機の内に元ジオン兵の彼、『ザハール・マリノフ』も含まれていた。

 

 

 

 

 

 




Q:輸送船団の物資の中身は何でしょう?

ヒント:作戦決行日とユニコーンガンダムの完成日


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悪魔の心臓

そういえばオリジナルMSのタグ付けなきゃ。


《UC.0095 10/21》

 

《レーダーに感あり! この規模は間違いなく例の輸送船団だ!》

 

「来たか……!」

 

ザハールは緩んだ手の力をもう一度入れ直し、操縦桿を強く握り直す。

 

サラミス級6隻にMS数機となればこちらもそれなりの苦戦は覚悟しなければならない。

 

犠牲を無くす為にもこの作戦に参加する全ての団員が役割を確実にこなす必要がある。

 

《もうすぐポイントに入るぞ》

 

ヘッドセット越しにアリーナの声を聴きながらレーダーとデータ共有済みの戦略マップを交互に見る。

 

襲撃予定ポイントであるA(アルファ)へ輸送船団はもうすぐそこまで来ていた。

 

デブリに隠れたオッゴとMSはモノアイでその様子を見る。

 

《サラミス6隻……一体どんなお宝を隠し持っているのやら……》

 

ザハールと同じMS隊である『ツェザリ・イオールビチ』が値踏みするように船団の様子を見守る。

 

「それを知る為にも、失敗は出来ねえな」

 

《もしお前が死んだらそのMSを棺代わりにしてやるよ》

 

そう言って笑いながらツェザリのギラ・ドーガがMMP-78の安全装置を解除した。

 

「よせ、俺はドラッツェ(・・・・・)の棺桶なんて御免だ」

 

ザハールもドラッツェに装備された大量の(・・・)シュツルムファウストと右手に装備したハイパーバズーカの安全装置を解除する。

 

ジオンのMSに連邦の兵器を持たせるのは少しばかり違和感を覚えたが、これが海賊のやり方と言うのは分かりきっていた。

 

《しっかし、軍艦を沈めるためとはいえどんだけロケット砲持って行くんだよ》

 

ザハール、ツェザリと同じくMS隊でジムスナイパーIIのパイロットの『アーサー・バーネット』まで会話に混じってきた。

 

「俺はマシンガンやビーム兵器よりこっち(・・・)の方が性に合ってる。 デラーズ紛争の時は1回シミュレータでシュツルムファウストとバズーカの命中率100%叩き出した事あるんだぜ」

 

ドラッツェの至る所にポン付けされた何発ものシュツルムファウスト。

 

腰にはオッゴのロケットポッドまで積んでいる。

 

右手のハイパーバズーカと合わせれば一体何と戦争する気なんだという程の単体火力となる。

 

仮にこのドラッツェに名前をつけるならば……

 

《『ドラッツェ・ロケッター』……か、まさにザハールの為に用意された機体だな》

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

今回の作戦に於いてザハールの役割は敵護衛艦隊の無力化。

 

具体的には単機で船団直上からトップアタックを仕掛け、船団右側面の2隻を無力化する。

 

前後の2隻はオッゴ隊がやってくれる。

 

後は敵MS隊を物資を傷付けないように撃墜すれば作戦は成功となる。

 

《目標、Aポイントに到達! 作戦開始だ!》

 

「よしっ……!」

 

早速待ち伏せていたオッゴ隊が前後の護衛艦への攻撃を開始した。

 

ロケットポッドによる爆発音を聞いたザハールのドラッツェはデブリから飛び退き、真上から突撃する。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

突然目の前の護衛艦が爆ぜた事により艦隊は混乱に陥る。

 

「な、何事だ!?」

 

「艦長!! 先頭と後尾のサラミス級が撃沈!! 敵はジオンではありません!!」

 

真っ二つにへし折れるサラミスを見ながら艦隊司令官は歯軋りする。

 

「おのれ……よりにもよってこんな時に海賊とは……!!」

 

するとブリッジのレーダー要員から悲鳴のような声が上がった。

 

「更に高速接近反応確認!! ち、直上です!!」

 

「ええぃ!何をしている! 全艦対空戦闘用意! 敵を決してこの輸送船に近付かせるな!!」

 

「MS隊が発進許可を求めています」

 

「全機発進させろ! なんとしてでもここを突破する!!」

 

残り4隻のサラミスはなんとか応戦を開始することが出来たが、それももう手遅れだった。

 

《な、なんだあのMS!?》

 

《速すぎる!! 対空砲が当たらん!!》

 

《だ、駄目だ!! こっちを狙って────》

 

途切れる無線。

 

隣を見れば右にいた2隻のサラミスがいつの間にか爆炎を上げながら内1隻がコントロールを失い、こちらに寄り掛かるように向かってきた。

 

「い、いかん! 最大戦速!!上げ舵30度!! 回避しろ!!」

 

急に舵を上げたことによって船内が滅茶苦茶になるが、最早それどころではない。

 

MS母艦に改造された輸送船はその腹の中に1機のMSも残さぬまま上昇する。

 

すぐ真下を掠める寸前で通り過ぎた燃え盛るサラミスを見て船員は皆顔が青ざめた。

 

「い、一体何者だ……!? これ程の手練……!」

 

「艦長!! 9時の方向よりMS更に2機接近!! 残された護衛艦は残り1隻です!!」

 

最後に残されたサラミスは懸命に対空砲火で応戦するも、MS2機による機動戦に着いていけず、着々と無力化されていく。

 

「なんて事だ……」

 

その光景に唖然としていた時、ブリッジ船員達が唐突に悲鳴を上げた。

 

何事かと前を向けば、窓を覆い尽くすのは赤く輝く巨大な1つ目。

 

ギラ・ドーガのモノアイだった。

 

《輸送船団に告ぐ、荷物を置いて直ちにこの宙域を離脱せよ。 安心しろ、脱出艇まで追いかける程我々は外道ではない》

 

「オープン回線です!」

 

「馬鹿な!MS隊はどうなった!?」

 

《ジェガン4機、ただの物流会社にしちゃあ随分と贅沢な機体使ってるじゃねえか。 パイロットは未熟だったがな》

 

視界にジムスナイパーIIも割り込んで来る。

 

もう戦闘音は止み、辺りを静寂が支配していた。

 

艦隊司令官は悩んだ。

 

この荷物を海賊ごときに決して渡す訳にはいかなかったのだ。

 

それも船員全員の命と天秤にかけるほどに。

 

《抵抗すれば、ブリッジを吹き飛ばして荷物だけ貰っていくぜ》

 

ギラ・ドーガがMMP-78の銃口をブリッジに向けた。

 

ざわめく船員達。

 

皆不安の眼差しを司令官に向けている。

 

荷物は渡したくない。 しかし自分達に最早抵抗する力は無い。

 

悩み苦しんだ末、司令官は遂に決断した。

 

「分かった……荷物は置いて行く……」

 

《協力感謝する。 貴官らはそのまま脱出艇でここを離れてくれ》

 

アリーナの指示通りに船員は全員脱出艇に乗り込み、この宙域を離れて行った。

 

《さて、家主もいなくなったことだ。 空き巣の時間と行こうぜ》

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「オーライ!オーライ!」

 

「ゆっくり下ろせ! 床凹ますんじゃねえぞ!!」

 

輸送船団が運んでいた荷物はそれなりに大きく、人力での移送は難しいと判断してMSで積み込んでいた。

 

荷物は幾つかに別れていたが、どれも頑丈な箱と緩衝材、そしてカバーによって強固に守られており、ただの資源や機械部品では無い事は明らかだ。

 

《積み込み完了!MSが着艦し次第ハッチを閉鎖!》

 

MSの格納を終えた団員達は我先にと並べられた戦利品へと群がった。

 

特に視線を集めていたのは箱の中でも一際大きい物だった。

 

軽自動車かそれ以上はあるサイズの箱を見ていると、遂に開封が始まった。

 

「さぁ、何が入っているやら……」

 

「ただのガラクタだったりしてな」

 

「だったらこれを運んでた物流会社の本社にカチコミかけてやる」

 

数人がかりでカバーと緩衝材を外し、箱の鍵をこじ開けた。

 

バキンっと鈍い音が鳴り、鍵が開く。

 

「開けるぞ……」

 

その中に入っていたのは、見慣れない形をした機械部品だった。

 

「なんだこりゃ?」

 

「これは……見た事無ぇ型だな」

 

傍らで様子を見ていた整備士の1人が呟いた。

 

「知ってるのか?」

 

「知ってるも何も、こいつぁ俺達みてえな奴らがいつも弄り回してる部分だぜ」

 

これが何かはアリーナも知っていたようで、訝しげにそれを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コイツは、MS用のジェネレータだ」

 

ただの部品。

 

その筈なのに、何故かザハールにはそれが恐ろしく見えた。

 

 

 

 

 




シュツルムファウストだいしゅき

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評価もしてくれていいのよ


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コンタクト

小説って何時ぐらいに更新したら1番見る人が多いんやろか。


《UC.0095 10/22》

 

艦長室。

 

そこにいるのはアリーナともう1人、顎から縮れた髭を下げた初老の男の2人きり。

 

「それで、その話は本当なのか? 『アレクシス』整備班長」

 

彼の名は『アレクシス・ファルカ』。

 

この海賊団の整備班長を勤めていた。

 

彼は自らの経歴を語る事が無く、彼がどのような人物なのか知る者はいない。

 

「間違いねぇ、あの装甲材は……」

 

ザハール達が盗んだ物は彼らが想像するよりも遥かに重要な代物だった。

 

「『サイコフレーム』だ……」

 

「成程、ではあのMS用ジェネレータは?」

 

それについて聞くとアレクシスは顎髭を弄りながら唸り声を上げた。

 

「それは詳しくは分からん。 だがあの形状からして『ガンダム・タイプ』のジェネレータである事は確かだ。 それとあんな型は資料でも見た事がねえから恐らく連邦軍の最新型だ」

 

「流石、あの計画(・・・・)に加わっていただけはあるな」

 

アリーナは机の引き出しからネームプレートを取り出した。

 

アレクシスの物だ。

 

「あたりめえよ。 こちとらガンダムは弄り慣れてんだ」

 

ネームプレートには、『アナハイム・エレクトロニクス開発部』と書かれていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「我々の勝利と!今回の功労者のザハールに!!」

 

 

「乾杯!!!」

 

食堂では団員達がジョッキを手に今回の作戦の成功を祝っていた。

 

ザハールにしてみれば、開戦当初から色々と余裕の無かったデラーズ・フリートでは祝い事などした事も無かったのでこの光景はとても新鮮だった。

 

それに自分の名を使って乾杯されることも初めてだ。

 

初陣でハイパーバズーカでサラミス2隻を沈め、ジェガン2機をシュツルムファウストで撃墜した事を考えれば、必然とも言えるが。

 

「あの時のお前ぁ凄かったぜ!!」

 

「ギュンギュン飛び回ってたジェガンにまるで次の機動が分かってたみてぇにシュツルムファウストをぶちかましやがったんだからよ!!」

 

「もしかしてアレか? 俗に言うニュータイプって奴!」

 

多くの団員にもみくちゃにされながらジョッキに口を付けるザハール。

 

「ニュータイプなんかじゃねえよ。 実戦経験を積めばある程度動きは予測できるもんだ。 特に正規の訓練を受けた連邦兵はな」

 

「だとしてもだぜ!」

 

それから暫くどうでもいい話が続いた。

 

飲み始めてから数十分、話題は例の戦利品の話になった。

 

「あのジェネレータ、最新型なんだろ? どうするんだアレ」

 

「ウチで使うのか?」

 

「いや、あれだけの代物、欲しい奴がいないわけないだろ」

 

「俺の予想だけど、ジオンに売り付けるんじゃねえか?」

 

「確かに、連邦軍の最新型となればジオンは喉から手が出る程欲しい筈だ」

 

 

 

「戦利品の用途についてはもう決まっている」

 

食堂が一瞬にして静まり返った。

 

出入り口を見ればそこにはアリーナがいた。

 

「カシラぁ、それで戦利品の用途ってのは」

 

「先程、『パラオ』と秘密回線で交渉を行って来た。 こちらの言い値で買ってくれるそうだ」

 

そう告げると、食堂にいた男達は「おぉ……!」と喜びの声を上げた。

 

取引先はネオ・ジオン残党の拠点であるパラオ。

 

ジェネレータとサイコフレームの両方を言い値で買うと言ってきたのだ。

 

そんな感じで交渉はあっさりと成立し、明日から海賊団は取引場所として指定された『ハーレーン宙域』に向けて出発するとの事だ。

 

元より、軍需物資を戦利品として手に入れる事の多かったこの海賊団は昔からジオン軍残党と取引を行って来ていた。

 

交渉があっさりと成立したのもそういう昔からの関係があったからだ。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

《UC.0095 10/29》

 

「面舵50度!両舷強速前進! ヨーソロー!」

 

「両舷強速前進! ヨーソロー!」

 

今日も海賊船は宇宙を飛んでいる。

 

出発からかれこれ7日経っているが、漸くハーレーン宙域は目前まで迫って来ていた。

 

なにしろ海賊団が使用しているこの輸送艦は元々民間の貨客船を改造した軍艦だ。

 

正式名は『ヨーツンヘイム級 ミドガルド』。

 

ただの貨客船に大型コンテナだのMSとMP専用のカタパルトだの熱核ジェットエンジンだの自衛用の低出力メガ粒子砲と対空砲だの装甲に、武器弾薬とその他の物資。

 

これ含めた諸々を後付けでポンポン取り付けていったら気付いた頃にはもう元あった民間船の面影は無くなっていた。

 

しかもそのせいで艦の重量も増え、ただでさえ旧式でエンジン出力も足りてないと言うのに余計に速度性能が落ちてしまった。

 

とはいえ、彼ら海賊団はそのミドガルドの高い輸送能力に今まで助けられて来た。

 

この輸送艦で運んだ物は数知れず。

 

時に武器弾薬、時に食料、そして時には違法薬物。

 

正にこの艦があってこそ海賊団は経済的にも成り立っていた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「もうすぐハーレーンか」

 

兵員室のベッドで寝ていたザハールは現在位置を端末で確認しながら呟いた。

 

因みにツェザリとアーサーは同室だ。

 

実はこの2人、元連邦軍MSパイロットであり、しかも精鋭部隊である特殊MS小隊の隊員だった。

 

ここに来た経緯としては、内部腐敗を起こしていた連邦軍を見限り、傭兵として宇宙を彷徨っていた所を海賊団に勧誘されたらしい。

 

彼ら曰く、「腐った連邦軍やジオンなんかよりも、まだ海賊の方が裏表が無くて良い」だそうだ。

 

「しっかし『袖付き』かぁ……生で見るのは何気に初めてだな」

 

「お得意さんとはいえ、ここ数年はめっきり音沙汰無しだったもんなぁ」

 

「まぁ、お得意さんに死なれちゃ困るからな。 生きてて良かっ───」

 

唐突に艦内に鳴り響く警報。

 

それを聞いた途端彼らは弾かれたように動き出し、即座にノーマルスーツに着替える。

 

ここは宙域の中でもまだジオンの勢力下にあった場所だったが、敵が来たとすれば恐らく荷物を取り返しに来た連邦軍だろう。

 

ノーマルスーツを身に付けた彼らはヘルメット片手に何事かとブリッジへ向かった。

 

「来たか、現在この艦より4時の方角から艦艇が2隻接近中。 しかもかなり速い速度だ」

 

「サラミスじゃないのか?」

 

「あぁ、カメラの画像解析を行った所、アレは『クラップ級軽巡洋艦』だ」

 

それを聞いた団員達は大いに驚いた。

 

今まで連邦軍はこちらをあしらうかのようにサラミス級の警備艇しか対抗戦力として寄越して来なかった。

 

だが今回彼らを追跡しているのはただの警備艇ではない。

 

正真正銘の軍艦、軽巡洋艦だ。

 

「嘘だろ……!」

 

「新型兵器盗んだから連邦軍を怒らせちまったんだ!」

 

「クラップ級は確か1隻につき6機のMSを搭載出来たはずだ!」

 

「それが2隻だと!?」

 

ざわめき出す団員。

 

こちらはMSが3機しかない上に相手は軽巡洋艦2隻に随伴のMSが12機もいるのだからたまったものではない。

 

幾らエースのMS隊でもそれ程の戦力差で生き残れるとは思えなかった。

 

今回は、いつもは冷静なアリーナも焦りの表情を見せていた。

 

「落ち着け!! まず、取引は中止だ。 急いでこの宙域を離脱し、連邦軍艦隊を撒く!」

 

「アテはあるんすかカシラ!?」

 

「ここから僅か離れた場所に暗礁宙域がある」

 

ブリッジの地図にはサイド6付近に確かに暗礁宙域が広がっていた。

 

「この暗礁宙域を通過し、艦隊の追跡を振り切る!」

 

暗礁宙域は艦1隻通れるか通れないかぐらいのデブリの密度だ。

 

このまま暗礁宙域に突っ込めば、連邦艦隊はデブリへの衝突を恐れて不用意に追跡が出来なくなる。

 

これがアリーナの考えだった。

 

幸いミドガルドとクラップ級の距離はまだかなり離れている。

 

方向転換し、暗礁宙域に突っ込む時間ぐらいはあるだろう。

 

「面舵30度! 最大戦速! ヨーソロー!」

 

「最大戦速、ヨーソロー!」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

余談だが、海賊団の強奪によって装甲材のサイコフレームとジェネレータを失った損害は大きく、RX-0ユニコーンガンダムの完成は大幅に遅れる事となる。

 

そしてやってくる筈だった彼、『バナージ・リンクス』の覚醒の日も当分先となるのだった。

 

この時、宇宙世紀の歴史はたった1つの海賊団によって僅かか、大きくかは分からないが確かに歪められたのだ。

 




感想と評価、オナシャス!センセンシャル!


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暗礁宙域機動戦

やっぱり二次創作が1番落ち着くなぁ。


《UC.0095 10/29》

 

サイド6より僅か離れた所にある暗礁宙域。

 

そこでは、誰も知らない間に小さな戦争が起きていた。

 

暗き宇宙を明るく彩る爆炎。

 

鉄が弾け、鮮血が舞うこの宇宙で1人の竜騎兵が定めに抗わんとしていた。

 

「アーサー!! 9時方向より更に3機!! 横っ腹を突いてくるつもりだ!!」

 

《オッゴ隊!!前に出すぎるんじゃねぇ!!》

 

スタークジェガンのミサイルの爆風がオッゴを襲う。

 

ロクな装甲を施していないオッゴは紙細工のようにひしゃげて爆散する。

 

《カシラ!!オッゴ隊が!! このままじゃ全滅しますぜ!!》

 

《分かっている!! オッゴ隊は弾を使い切り次第すぐに補給に戻れ!》

 

「連中! まさかデブリの中を突っ切って来やがるとは……!!」

 

暗礁宙域を回避するかと思われたクラップ級2隻はあろう事かそのまま全速力でデブリの中まで突っ込んで来たのだ。

 

クラップ級に追い付かれた末、敵MS隊による攻撃を受けこんな事になっている。

 

《も、もう駄目だ!! 数が多すぎる、これ以上は……!!》

 

「ツェザリ、下がれ!!」

 

ジェガンのビームライフルで右腕をもがれたギラ・ドーガは回避運動を試みるが今度はバックパックをミサイルで破壊され、動けなくなった隙に敵のスタークジェガンが肉薄を仕掛けた。

 

《ツェザリぃ!!》

 

「俺が行く!!アーサーはミドガルドを守れ!!」

 

ギラ・ドーガにビームサーベルで切り掛からんとしていたスタークジェガンにドラッツェの全速力で半ば体当たりのように突っ込んだ。

 

「バズーカ……直撃じゃ駄目だ!」

 

武装選択パネルを操作しバズーカの設定を開く。

 

設定でバズーカの弾頭の信管を着発から時限信管に切り替えた。

 

レンジファインダーが測定したスタークジェガンとの距離を元に時限信管の作動時間を自動で設定し、薬室に装填する。

 

「くたばれ肩パッド野郎!!」

 

バズーカを2発発射。

 

弾頭の信管は寸分違わずギラ・ドーガにビームサーベルを振り被ろうとしていたスタークジェガンの目と鼻の先で作動。

 

爆風と飛び散る破片によって体勢を大きく崩されたスタークジェガンは1度後退する。

 

「今の内だ!!ツェザリ、コックピットから脱出しろ!!」

 

呼び掛けるが、ツェザリはコックピットから出ようとしない。

 

爆煙の中から現れたスタークジェガンのビームライフルを間一髪で回避し、バズーカを乱射して追い払う。

 

運良く1発が当たったようで、左腕を失ったスタークジェガンが再び煙の中へと消えていく。

 

「何してやがる!! 早くそこを──」

 

《駄目だ……ハッチがグシャッて出れねぇ……》

 

ギラ・ドーガのコックピットハッチを見ると、あのミサイルの直撃のせいか、胸部装甲ごとひしゃげておりそこに人が通れるような隙間は無かった。

 

「待ってろ!! 今出してやる!!」

 

弾切れのバズーカを捨て、マニピュレータでギラ・ドーガのコックピットハッチをこじ開けようとすると、落ち着いた口調のツェザリが諭すように話し始めた。

 

《ザハール……もういい……》

 

「……!? 何言ってんだてめぇ!!」

 

無線機の故障か、ツェザリの声にノイズが走り始め、段々と彼の声が聞き取りにくくなった。

 

《きっと……今…で人を…し続け…来たツキが…てきただけだ……》

 

「馬鹿野郎!! てめぇがいなくなったら誰が中距離戦を担当するんだ!!」

 

この間に体勢を立て直したスタークジェガンは右手でビームライフルを構え、銃口をドラッツェに向けた。

 

アーサーのジムスナイパーIIは現在他のジェガンに気を取られていて援護が出来ない。

 

オッゴ隊は補給を終えたばかりの上に壊滅状態だった。

 

《いいや……お前なら出来るさ……お…と……その『ドラッツェ・ロケッター』なら……》

 

突然、ギラ・ドーガがドラッツェの左腕を掴み投げるように自分の後ろへ引き寄せた。

 

「何を……!?」

 

視界の端に映る光の奔流。

 

眩い光が迸り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それはギラ・ドーガの胸を貫いた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

ハーレーン宙域。

 

そこに浮かぶ3隻の船。

 

本来ならば彼らはここで取引をする筈だった。

 

「連邦軍に追跡されていた為、取引は中止……か」

 

「カール少佐、如何致しますか?」

 

ブリッジに佇む男は鼻を鳴らすと副官の方を振り向いた。

 

「心配するな、あの小僧なら必ず生き残るだろう」

 

「あのパイロットをご存知なのですか?」

 

「知っている。 デラーズ紛争時、ウチの部隊に1人のドラッツェ乗り(・・・・・・・)の噂が広がっていたのでな」

 

彼はデラーズ紛争時代からの古参兵だった。

 

今に至るまで様々な戦争で最前線を駆け抜け、多くの屍を越えて生き抜いて来た歴戦の猛者とも言えた。

 

「確か……『竜騎兵のザハール』なんて大層な渾名をよく聞いたな……」

 

如何にもな名前を口にした彼に、副官はどのような人物なのかと聞いてみた。

 

「会ったことがないから正確には分からん。 しかし、ドラッツェ1機でMS3個小隊とサラミス級8隻を相手に善戦したという話が有名だな」

 

「……! それは最早ただのエースパイロットでは……!」

 

「あの時、降伏したその連邦兵を捕虜として拘束したのは俺の部隊だ。 連邦兵乗り奴ら何て言ってたと思う?」

 

この場に用を無くした艦隊は回頭し、パラオへ引き返す航路へ進み出した。

 

「『誰も追い付けなかった。 誰も当てられなかった』だとさ。 そいつは怯えて半狂乱になってたぜ」

 

静寂の支配するこの宙域を3隻の船は去って行った。




今まで私のモチベを動かして来たのは一握りの感想と評価だけだ!


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13番目

長らくお待たせ致しました。

課外などもあって疲れていたので少しばかり休んでおりました。


《UC.0096 2/16》

 

ここは工業コロニー、インダストリアル7。

 

元はサイド5だったが、現在はアナハイム・エレクトロニクス社によって管理されている。

 

つまり人の住める大きな工場という事だ。

 

その街中を駆け抜ける人間が2人。

 

1人は高校生ぐらいの少年で、もう1人はその少年に手を引かれている質素な服装を除けば貴族のような雰囲気を纏った女性だ。

 

かなり全力で走っていたのか、女性は息も絶え絶えでそれに気付いた少年が足を止める。

 

「も、もう撒けたでしょうか?」

 

「まだ追ってくるかもしれないし、なるべくここから離れよう」

 

女性が息を整えた事を確認した少年が再び走り出すと、ちょうど角から現れた通行人と鉢合わせ、勢い良く衝突した。

 

「うわっ」

 

「どわっジ!」

 

少年は何ともなかったが、勢い良くぶつかられた男の方は尻もちを突いた。

 

その時に右手にあったレジ袋の中身が飛散し、大量の食品や医薬品が歩道にばら撒かれる。

 

「す、すみません!」

 

「あぁいや、大丈夫だ」

 

そそくさと荷物を拾い集める男を少年も手伝い、レジ袋に全ての荷物を戻し終えると、男は一言礼を言った。

 

「全く、前は見て歩けよ。 青臭いカップルめ」

 

「そ、そんなんじゃないですよ!」

 

慌てて否定する少年を見ながら男は笑う。

 

「その感じ、何かから逃げてるって感じがするな。 違うか?」

 

男の言葉に少年はハッとする。

 

まさに今、2人はある者達から逃げていた所だった。

 

言葉に詰まる2人に男は「まぁ、頑張れよ」と一言だけ告げてそのまま去っていった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「アリーナ、帰ってきたぞ……」

 

街中の人目のつかない所にある狭い空き家。

 

ザハールとアリーナの2人はそこを拝借して一時的な隠れ家としていた。

 

がらんとした部屋の中には小さなテーブルとパイプ椅子が2つあるだけ。

 

「……そうか」

 

パイプ椅子に腰掛けていたアリーナは机に突っ伏し、呟くかのようなか細い声で応えた。

 

「買ってきたモン、ここに置いとくぞ」

 

テーブルに街のスーパーで買った食料や薬の詰まったレジ袋を置く。

 

アリーナはずっと前からこの調子だ。

 

廃人のように項垂れ、口も開かぬまま食って寝てを繰り返している。

 

「……これまでに多くの事が起こりすぎた。 俺達が生き延びたのは奇跡と言うべきか……」

 

ツェザリが死んで以降、ザハール達を待ち受けていたのは最悪の運命だった。

 

度重なる連邦軍の追撃に団は疲弊し、死者が続々と出始めた。

 

オッゴ隊は1人残らず全滅し、ミドガルドも砲撃を受けて戦闘員以外の団員も沢山死んだ。

 

そしてたった2人のMS隊で支え続けてきたその長きに渡る逃走劇も、アーサーの戦死を皮切りに崩壊した。

 

ミドガルドを捨ててここ、インダストリアル7に密かに逃げ込んだ時には生き残っていたのは脱出艇でやってきたザハールとアリーナの2人しかいなかった。

 

その頃からアリーナはおかしくなった。

 

いつもの余裕そうな顔を見せることは無くなり、日々仲間達の名前を呟いてはそのまま喋らなくなる、といった事が続いた。

 

最近アリーナの様子が更に悪化し、夜中に魘されたかと思えば急に悲鳴を上げて泣き出したり、酷い時には嘔吐までしていた。

 

医者に見せようにも、多分自分達は指名手配されている。

 

だから不用意に外に顔を出す訳にはいかなかった。

 

顔がバレていないとしても逃げた先がインダストリアル7だと発覚すれば、直ぐに捜査が始まるだろう。

 

その時に真っ先に疑われるのは住所不定無職で戸籍の無い2人だ。

 

「アリーナ…とりあえず今は寝とけ。 この時期だ、風邪引くぞ」

 

団長としての威厳の欠片も無くなった1人の少女はとぼとぼと席を離れ、ブルーシートを間に挟んで床に敷かれた寝袋の中に潜り込んだ。

 

「……これからどうしろってんだ……」

 

自身の空っぽの手を見ながら、ザハールは呟いた。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

ああああぁああああああああああああぁぁぁあああああああああああぁぁぁ!!!!!

 

夜中の空き家の中に突如鳴り響く少女の悲鳴。

 

ザハールもう何度目だと愚痴りながら彼女の元へ駆け寄る。

 

まるでもがき苦しむようにブルーシートの上をのたうち回る彼女を抑えながらザハールは必死に宥める。

 

「落ち着け! 目ェ覚ましやがれ!!」

 

嫌だ!!嫌だぁ!! みんな置いてかないでくれぇぇぇぇ!!!

 

昔のアリーナだったら決してしないような話し方。

 

なんだが幼さすらも感じるその様子にザハールは不気味さを覚えつつも必死に声を掛け続ける。

 

しかし今日に限って彼女はやけに荒れており、泣き止む気配は無かった。

 

そうして暫く叫び続けていると、アリーナは不意に誰かの名を叫び始めた。

 

「プルスリー!!プルファイブ!!プルエイトぉ!!みんな!みんな溶けて無くなる!!!」

 

聞いたことも無い名を叫び続けるかのようなを宥め続けることかれこれ20分。

 

漸くアリーナは静かな眠りについた。

 

「ま…………す……たぁ」

 

そう虫の音のような声で言いながら眠りに落ちた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「お前に、伝えておきたい事がある……」

 

朝、起きて朝食を取ろうとした時にアリーナはそう言った。

 

ちょうどピザパンに齧りつこうとしていたザハールはそのまま停止し、彼女の目を見る。

 

彼女の表情は暗いままだが、何だかいつもと違う。

 

まるで、何かを決意したかのような強い意志の宿った目をしていた。

 

「……何だ?」

 

 

 

 

「私には両親は存在しない」

 

「そりゃどう言う……」

 

「私を産んだのは人でも生物ですらない。 ただの機械だ」

 

「……!!」

 

その言葉にザハールは目を見開く。

 

アリーナはザハールが入団した時、前団長の父親の話をしてくれた。

 

「私が父親と呼んでいたのは、血の繋がりもないただの親代わりだった」

 

彼女の告白に暫く呆然としていると、アリーナは勝手に話し始めた。

 

「昔、第一次ネオ・ジオン抗争時の事だ。 あの時ネオ・ジオン軍はある新兵器の計画を実行した」

 

第一次ネオ・ジオン抗争についてはデラーズ紛争以降の歴史を知らなかったザハールも仲間から教えてもらったり、本を読んだりしてよく知っている。

 

言ってしまえばあの辺りがジオン公国のピークだったのかもしれない。

 

今も残されているネオ・ジオン残党は最早嘗てのジオン公国の面影など無い、烏合の衆に過ぎない。

 

まだデラーズ・フリートの方がマシに思える程にだ。

 

「その新兵器……いや、新兵器達は『プルシリーズ』と呼ばれた」

 

「まさか……」

 

ザハールはジオン軍内で言えばまだまだ雑兵の類だ。

 

しかし長い事軍人をやっていると妙なきな臭い噂を聞くこともあった。

 

我が軍は何処かの研究所で人間を改造してニュータイプの兵士を作っていて、しかも連邦軍も全く同じ事をしている……とか。

 

結局その話の真偽は不明のままだったが、ジオン軍は一年戦争時代から記録上に存在しない謎の部隊があったという話は聞いたことがある。

 

彼女も、まさか……。

 

「私は…………」

 

今まで所属不明の部隊だの、強化人間だの、妙な噂を信じて来た事は無かったが、それがもし目の前に実在したとしたら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれが身近にいたとしたら、。

 

「プルシリーズの13番目(・・・・)、『プルサーティーン』。 そしてプルの名を持つ中で最後の生き残りだ」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

《はい、ミドガルドの航路から彼ら(・・)はここに逃げ込んだ筈です》

 

《では例のブツの受け渡しと同時に、2人を回収すると》

 

《そのようにお願いします》

 

《しかし、あの者らにそれ程の価値があるのか》

 

《勿論。 特に彼はイレギュラー……下手をすればこのゲームの盤をひっくり返しかねない代物です。 しかしその能力は……》

 

《軍事機密……だろう?》

 

《察しが良くて助かります》

 

 

 

 




感想、評価をお願いします。
コレで私は明日も頑張れます(›◜௰◝‹ )


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LAST STARDUST

中々いい物語と言うのは浮かんでこないものですなぁ。


《UC.0096 6/1》

 

ある一つの事件が起きた。

 

たった数十人余りの海賊団によって引き起こされたその事件は、宇宙世紀の歴史を大きく歪めた。

 

この事件はUC計画に大きな遅延を発生させ、計画の一部であった『RX-0』またの名をユニコーンガンダムの完成も大幅に遅れた。

 

その結果、本来ならば4月7日に起こるはずだった『ラプラスの箱』の譲渡、そしてラプラス事変はこの日まで引き伸ばされた。

 

結局彼らの敗北という歴史を覆す事は出来なかったが。

 

しかし、それでも私は戦う。

 

戦い、抗わなければならないのだ。

 

恐らく、それが残された者達に与えられた権利であり、義務である。

 

 

 

……もし、私と志を同じくする同志がこれを見ているならば、これだけは伝えておきたい。

 

 

 

 

 

……我々に、最早ジオンの旗は必要無い。

このふざけた鎖を喰い千切るのにそんな贅沢な肩書きなど、あってないようなものだ。

 

牙を剥いた貴族など、不格好ではないか。

 

我々には泥まみれの()が似合いだ。

 

 

 

 

……万が一、我々と終わり無き地獄を共にしたい大馬鹿者がいるのなら、指定する宙域に来い。

 

 

 

 

 

 

 

 

群狼よ、連邦を喰い殺せ。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「き、急に何が起こった!?」

 

街中に響く爆発音。

 

上を見上げれば見慣れない連邦軍のMSとザクとは少々違うが見慣れたデザインのMSが戦っていた。

 

コロニー内でのMS戦。

それがどれだけ危険なものか、ザハールも分かっていた。

 

「ここはやべぇ!! 一旦離れるぞ!!」

 

辺りに戦闘で飛び散った瓦礫が降り注ぎ、地面を抉る。

 

それを躱しながら2人は避難出来る場所を探してインダストリアル7の中を駆け回る。

 

アリーナもザハールに手を引かれながら必死に走る。

 

ここ暫く精神的に参っていたアリーナといえども流石にこの騒ぎには目を覚まさざるを得なかったらしい。

 

避難場所を街中で探し回っていた時、突然目の前に現れた巨大な影が2人を覆い隠した。

 

地響きでよろける2人。

見上げるとそこには1機のギラ・ズールが佇んでいた。

 

紅く光るモノアイが2人の姿を捉える。

しかし銃口をこちらに向けてくることは無い。

 

「な、何だ?」

 

《安心されよ! 我等は敵に非ず!!》

 

ギラ・ズールのパイロットがスピーカーで声を掛けてきた。

 

彼が一言喋ったその直後に更にギラ・ズールの後方にやたら大きな貨物を積んだ輸送機が着陸した。

 

あの大きさからして、中身はMSかそれに準ずるものである事は間違いない。

 

しかし、わざわざ連邦軍と戦闘を起こしてまで自分にMSを届に来るという意図が分からなかった。

 

それともプル・サーティーンであるアリーナの物だろうか。

 

《届け物だ、ザハール! 貴公も戦闘に参加されたし!!》

 

コンテナが自動で開くと、やはり中身はMSだった。

 

しかし、かなり特殊な形状をしている。

 

少々頼りない細めの脚部に対してMAレベルの巨大なバーニアスラスタを背中と脚部の裏に装備している。

 

これは完全に宇宙での使用を前提とした機体だ。

 

この細い脚部は恐らくAMBAC用だろう。

 

武装は見える限りでは右腰部に未知のビーム兵器が1丁。

 

左腕には見慣れないパーツと共にビームサーベルが内蔵されている。

 

更にビーム攪乱膜投射装置にスモークディスチャージャー、頭部はゴテゴテとした形状でメインカメラはただのモノアイではなく、複数のカメラを組み合わせたより高性能な物に変わっている。

 

第一印象だけで言えば、ドラッツェとよく似ていた。

 

《急げ! 早く乗られよ!!》

 

「あ、アリーナは!?」

 

《彼女は輸送機に乗せ、戦域を離脱する!》

 

そう告げられたザハールは暫く迷い悩む。

 

彼等はネオ・ジオン残党、袖付きだ。

 

自分も元はデラーズ・フリート所属、つまり友軍である事は確かなのだが、ジオン軍は今と昔では内部の状況がかなり違うと聞いている。

 

同じジオン軍とはいえ、彼等を信頼するには少し情報が足りなかった。

 

だが隣にいるアリーナの事を考えれば、そうも言ってられる状況でない事も理解出来る。

 

ここで迷っていたってどの道彼女を危険に晒すだけだ。

 

《不安か?》

 

「違うと言えば嘘になるな……」

 

彼の声は先程とは打って変わって諭すような穏やかな声になっていた。

 

「だいたい、何故俺達なんだ。 俺はそんな特別な人間かね?」

 

《その理由は今は言えん。 しかしいずれ明らかになる事だ》

 

話している内にも戦火は拡大し、爆風が吹き荒れる。

 

しかも、連邦軍の機体がこちらに気付いたようで2機接近してきた。

 

《彼女の身の安全は、ジオン公国軍兵士の名にかけて、この私が保証する!!》

 

ギラ・ズールがビームマシンガンで連邦軍機体を牽制しながら叫ぶ。

 

《信頼しろとは言わん!! だが、今だけは我々に委ねてくれ!!》

 

「……分かった! 今は協力してやる!! アリーナも早く輸送機に!!」

 

アリーナも渋々だが承諾し、輸送機に乗り込む。

 

輸送機が飛び立った事を確認すると早速機体に駆け寄った。

 

横たわった機体によじ登り、コックピットハッチを開く。

 

ドラッツェは胴体にザクの物を流用していたが、これは機体の殆どがオリジナルだ。

 

コックピットハッチが開くと座席が前に迫り出してきた。

 

「最近のMSは気が利くもんだな!」

 

急いで座席に座り、ハッチを閉じると迫り出した座席がまた機内に引き戻される。

 

ハッチが閉まったと同時にコックピットの電灯が点き、中を照らす。

 

「内部までドラッツェそっくりとは、ありがたいこった!」

 

ジェネレータの起動スイッチを押し、機体にエネルギーを循環させる。

 

「動力路異常無し」

 

自己診断システムを起動し、機体のステータスを確認する。

 

「兵装、マニピュレータ及びペディピュレータ、レーダー、各種電算機能異常無し。 システムオールグリーン!」

 

完全に起動した機体が遂に起き上がった。

 

黒みがかった灰色の機体はその三つ目を淡く灯し、目の前の連邦軍機体を捉える。

 

「ザハール、出るぞ!」

 

この機体の名は『ワイバーン』。

 

飛龍とそれを駆る竜騎士は宇宙(そら)へと飛び立つ。

 

その肩に、『最後の星屑』を刻んで。




このオリジナルMSの紹介は次回辺りですると思います。


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インダストリアル7脱出

正直、サンダーボルトとかそういう世界線の宇宙世紀はどんな馬鹿げたオリジナル兵器登場してもあんまり違和感無さそう。


《UC.0096 6/1》

 

背部バーニアスラスタが周囲の人間の鼓膜を破りかねない程の爆音と共に爆炎を噴き出した。

 

同時に台風や嵐という言葉で言い表せない恐るべき衝撃波が周囲の建物の窓ガラスを一瞬にして粉砕し、周囲の信号機や標識、観葉樹は地面から引っこ抜かれ、紙吹雪の如く吹き飛ばされた。

 

その瞬間的で驚異的な推進力は機体は1秒と経たずに飛び上がらせ、パイロットを殺さんとする勢いで加速させた。

 

「があぁぁぁぁああああああああぁぁぁッッッ!!??」

 

いつもドラッツェに乗っていた時と同じノリでスロットルレバーを全開1歩手前まで倒してしまったザハールはその圧倒的加速力によるGによって鼻血を吹き出し、目から出血した。

 

《馬鹿者!! 出力を落とせ!!》

 

ギラ・ズールのパイロットが呼び掛けるも彼にはそもそも聞く余裕すら無かった。

 

通常、訓練を受けていない人間の耐えられるGの限界値は6〜7Gである。

 

耐Gスーツを着用した戦闘機のパイロットで最大12Gまで行けるが、9Gを超える機動は基本しない。

 

因みにMSのパイロットはより高度な3次元機動を行うので12G以上でも耐えられるように訓練を積み上げ、その上で耐Gスーツを着用する。

 

彼がデラーズ・フリートでドラッツェのパイロットとして現役だった頃に耐えられた最大のGは21G。

 

そして彼、ザハールがこの瞬間に体験したGはと言うと……。

 

実に、37G(・・・)である。

 

 

目と鼻から血を流しながらもがき苦しむザハールは目の前に地面が迫ってきている事に気付いた。

 

途轍も無いGに苦しみながらもザハールは何とか操縦桿を掴み直し、バーニアの噴射口を前方へ向けた。

 

急停止によるさらなる負荷をその身に受けたが、何とか機体は停止し住宅街にコンピュータの自動制御で着陸した。

 

その華奢な脚で一軒家を踏み潰して漸く停止したワイバーンにギラ・ズールが無線で呼び掛ける。

 

《ザハール! 無事か!? 応答を!》

 

しかしワイバーンの方から応答が来る気配は無かった。

 

G-LOC(高Gによる失神)か! ええい!面倒な!!》

 

ギラ・ズールが連邦機、『リゼル』2機を相手にしながら輸送機とワイバーンに近付かせまいとビームマシンガンを乱射する。

 

コロニー内の更に奥の方では別の袖付きの機体と複数のリゼルとジェガンが戦っており、爆炎があちこちで上がる。

 

《ロンド・ベルめッ……!!》

 

斬りかかってきた1機のリゼルのビームサーベルを咄嗟に引き抜いたビームホークで往なし、至近距離からビームマシンガンのアンダーバレルグレネードランチャーを胴体に放った。

 

大口径のグレネードをほぼゼロ距離で胴体に食らったリゼルはコックピットが吹き飛び、炎を纏いながら墜ちた。

 

《ザハール!! 早く目覚められよ!! 私1機では流石にもたんぞ!!》

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

今は遥か彼方。

 

古の記憶。

 

そして歴史の改変の始まりでもあった。

 

この時、ザハールが見ていたのは記憶。

 

だが、それは自分の知る記憶では無かった。

 

謎の狭い容器の中に寝かせられていたザハールはガラス越しに声を聞いた。

 

知らない声。

 

だが不思議とその声は何処か懐かしく感じた。

 

『DC計画は凍結だと……!?』

 

『はい、それで……DC-13は……処分せよと……』

 

『馬鹿な……今まで研究に研究を積み重ねて漸く生まれた傑作を無駄にしろと総帥は仰るのか!!』

 

白衣を身に纏った初老の男は机を叩き、怒る。

 

『完全に……我々の敗北です』

 

『フラナガンめぇ……あのような奴に!!』

 

暫く机の上に突っ伏し、唸った後彼は何かを決心したように立ち上がった。

 

もう1人の助手と思しき若い研究員はその様子を訝しげに見ている。

 

『DC計画を凍結されたとて、DC-13を捨てる気は毛頭ない!』

 

『しかし、どうなさるのです! 国外に逃がしたとしても今度は連邦軍に捕獲される恐れも……』

 

『外に出しはせん。 戸籍を偽造し、記憶を改変してジオン軍に入隊させる!』

 

『……それは!』

 

それから急に視界が暗転し、元に戻った時には記憶はかなり飛んでいた。

 

ザハールは初老の男を前にし、直立している。

 

その面構えに彼も満足気に笑っていた。

 

『お前は最強のニュータイプだ。 個人の力でお前に勝る者は未だいない』

 

彼はザハールの両肩に手を置き、目を合わせた。

 

『ジオン軍でMS戦の経験を積むんだ。 それで生き残る術を身に付けろ』

 

このときザハールは次第に大きくなっていく頭痛に襲われていた。

 

まるで、頭の中にある何かを否定されているような、妙な感覚だった。

 

『それじゃあ、養成学校では上手くやるんだぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

『ザハール・マリノフ』

 

「……ッ!!」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「ハァッ……ハァッ……!」

 

コックピットの中で顔を血で濡らしながらザハールは目覚めた。

 

全天周囲モニターで周囲の状況を確認すると、リゼルと格闘戦をしているギラ・ズールが見えた。

 

「クソっ……血垂らしてる場合じゃねえな……!」

 

先程の反省を活かし、出力は極力上げすぎないように調整しながら再びフットペダルを踏んだ。

 

血塗れの顔を拭いながら適度な速度でギラ・ズールの援護へと向かう。

 

しかし適度な速度と言ってもそれはリゼルのウェイブライダー形態の凡そ2倍程の速度があった。

 

《……! ザハール、目覚めたか!!》

 

「マニュアルぐらい事前にくれよ。 危うく血の噴水が出来上がるとこだったぞ」

 

《生きているならば良い! そのMSの性能を試してみよ!》

 

メインカメラが目の前にいるリゼルを捉えた。

 

その機体の進行方向や速度、距離から算出された未来位置がモニターに緑色の丸として表示される。

 

武装選択画面を見ると、『可変式ビームキャノン』という武装が目に止まった。

 

「ビーム兵器なんて初めてだが……」

 

それを選択し、ワイバーンの右手が動き出すと背中のウェポンラックに格納されていたMSの身長程の大きさはある可変式ビームキャノンを取り出した。

 

モニターから可変式ビームキャノンとE-CAPの接続の完了を確認し、安全装置を解除した。

 

「来た!」

 

リゼルの放って来たビームライフルをワイバーンの高速性能で躱しながら、可変式ビームキャノンの砲口をリゼルに向ける。

 

FCSが照準を誘導し、より正確な位置に調節される。

 

ワイバーンが可変式ビームキャノンの引き金を引いた。

 

ビームライフルよりも太い赤色の光線がリゼルの胴体に寸分の狂いもなく命中し、コックピットがあった部分には大穴が開いた。

 

「こ、こいつはすげぇ……戦艦もブチ抜けるんじゃねえか……?」

 

《今の内だ! 外に逃げるぞ!》

 

隣に来たギラ・ズールが『お肌の触れ合い会話』で呼び掛けた。

 

ギラ・ズールの誘導に従いインダストリアル7の外に出ると、そこはコロニー内とは打って変わって物静かな宇宙が広がっていた。

 

ミノフスキー粒子散布下で対空レーダーは使えないが、代わりにメインカメラが10数km先にいる艦船を捉えた。

 

カラーリングと形状からして友軍の輸送艦だろう。

 

コロニーからある程度離れると、ミノフスキー粒子の影響も大分弱まり、向こうの輸送艦の方から無線が入った。

 

《……こちらサマーラ。 応答願います》

 

それに応えるのはギラ・ズール。

 

《こちらゲルト・ハーン少佐、作戦は無事に成功した。 着艦許可を乞う》

 

《了解、4番と3番を解放します》

 

輸送艦正面のハッチが開き、着艦用のガイドビーコンが点灯した。

 

先にザハールのワイバーンが着艦するべく輸送艦に接近した。

 

「こりゃあ、なかなかデカい船だな。 ヨーツンヘイム級超えか?」

 

ガイドビーコンに従ってコンピュータが自動で着艦に入る。

 

バーニアを前方に噴射して速度を落としながら入口に足を付ける。

 

大きな衝撃と共にワイバーンは綺麗に格納庫の中へと入った。

 

その後は周囲に脅威がいないことを確認したギラ・ズールが同じように慣れた手つきで着艦し、終わるとハッチは閉じた。

 

「ザハール、艦長がブリッジにお呼びだ」

 

コックピットハッチを開いて真っ先に見たのは赤毛で若干女性寄りな顔付きの男だった。

 

「お、女……?」

 

「何を言うか、私はれっきとした男だ」

 

傍から見れば女と見間違えてもおかしくはない容姿だ。

 

声だってただの低めな女性の声とも聞き取れなくもない。

 

それに見るからにかなり若い。

 

ゲルト・ハーンという男、この若さで少佐と言う事が驚きだった。

 

親族のコネか、それとも天賦の才の持ち主か。

 

自分はこれからこの青年を上官として扱わなければならないのか、と階級が大尉止まりのザハールは気だるげにそう思った。




常に私のモチベを動かして来たのはひと握りの感想と(ry


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設定集 第一号

これは本編にはあまり関係ないので読まなくてもオーキードーキーです。


○ドラッツェ・ロケッター

型式番号:MS-21G

開発者・組織:アレクシス・ファルカ

主動力:熱核融合炉

装甲材質:超硬スチール合金

・性能諸元

頭頂高 29.8m

本体重量 23.9t

全備重量 59.0t

ジェネレーター出力 596kW

推力 117,500kg

センサー有効半径 10,900m

 

・武装

シュツルムファウスト×8

オッゴ用ロケットポッド×2

ハイパーバズーカ

ビームサーベル

 

説明:本機体は、海賊団所属の整備班長アレクシス・ファルカが独自に設計、開発したものである。

ザハールの搭乗していたドラッツェを元に対艦戦闘を想定してシュツルムファウストやバズーカなどのロケット兵器を大量に搭載している。

その為機体重量は跳ね上がり、機動性は低くなったが使用済みの兵器を切り離し、投棄することによってデッドウェイトを少しでも減らすように工夫している。

尚、パイロットであるザハールの意向でマシンガンなどと言った中〜近距離用の武装は装備しておらず、接近戦時の唯一の自衛手段はビームサーベルのみである。

 

 

 

 

○人物紹介

 

・ザハール・マリノフ

階級は大尉。

出生日は戸籍上では10月の14日であり現在の年齢は29歳。

一年戦争時、ア・バオア・クー防衛戦で学徒兵として初めての実戦を経験する。

その後、彼は終戦後もデラーズ・フリートとして連邦軍相手に戦闘を継続する。

MS、特に高速機の操縦技能はデラーズ・フリートの中でも頭ひとつ抜きん出ていたエースパイロットでありその実力はかの有名な『ソロモンの悪夢』と呼ばれたアナベル・ガトーにまでその名を覚えられていた程であった。

現在に至るまでの戦果はMS、戦闘機、ボール合わせて34機撃墜。

艦船はサラミス改級巡洋艦13隻、マゼラン改級戦艦4隻、その他輸送船や補給艦などを47隻単機で沈めている。

ジオン公国やザビ家への忠誠心こそ微塵も無いが、常に戦場で生き残る事を考えており、自分と同じ部隊の隊員が生き残るのに最適な行動をとるように心掛けていた。

学徒兵時代もデラーズ・フリート時代も特にこれといった親しい仲の人間はおらずあくまで兵士としての人間関係を保ち続けており、そういった事でトラブルが起きたりすることは無かったものの周囲からは少し避けられていた。

 

 

 

 

・アリーナ

出生日及び年齢は不明。

第一次ネオ・ジオン抗争時に彼女はプル・シリーズの13番目、『プル・サーティーン』として生み出された。

肉体や精神の強化を施されていたと言うだけあって戦闘能力は極めて高く、サイコミュ兵器も難なく使いこなせる程にニュータイプとしての能力も高かった。

プル・サーティーンとしてグレミー・トトの下、戦い続けて来たがその実力は計り知れず、量産型キュベレイの性能もあってか実に75機もの敵機を撃墜している。

しかし、第一次ネオ・ジオン抗争時にアリーナ含めたプル・シリーズで編制されたNT部隊はゲーマルクと交戦、ほぼ全滅した。

その時にアリーナはメガ粒子砲で機体に致命的な損傷を負い、脱出を試みたがその後の爆発で吹き飛ばされ、意識を失う。

彼女の眠る脱出ポッドは宇宙を長時間彷徨い続け、その後奇跡的にも海賊団に拾われる。

当時パイロットの不足していた海賊団は団員として迎え入れたが、彼女はゲーマルクと戦ったあの光景(・・・・)がトラウマとなっておりMSを操縦しようとするとあの光景がフラッシュバックとして蘇り、パニックを起こすという状態に陥っていた。

パイロットとして働かせる事を断念した当時の海賊団の団長、ミハイル・エルジネフは今度は団員を導く団長として彼女を育てあげた。

ミハイルの死後、団長としての任務を託されたアリーナはその後も海賊団を導いていった。

彼女はプル・シリーズの中では面倒見がいい方で姉妹達からは慕われていた。

中でもプル・トゥエルブとはそれなりに親しい仲だった。

 

彼女の記憶の中ではまだ、プル・トゥエルブは死んだままである。

 




こういうオリジナル兵器の設定考えるのすき。


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