英雄たちの戦場に不死鳥が降り立つ (厨二病と妄想の不審者)
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無印
プロローグ


あっこんなキャラいたらどうなるんだろ?的な軽いノリで書きました


「ほら、いくよ!お兄ちゃん先に帰っちゃう」

「はいはい、もうすぐだからっと」

 

と帰りの支度を急かしたのはイリヤスフィール・フォン・アインツベルンという雪のような銀髪に赤い瞳を持つ美少女。

そして急かされたのは衛宮仁久須(ニクス)という、火のような真紅の髪を後ろに纏めて首元まで伸ばしてる髪型に金色の中に黒目を持つ年相応の10歳の美少年。

という側からみても目立つ2人だがいつもの事でそこまで目立っていない。

 

「人生長いんだからもうちょっとゆっくりでもいいと思うよ?」

「もうまたそんな事言って置いて行っちゃうよ?」

「ごめん、ごめん。よしできた」

 

若干マイペース気味で返答し、呆れられながら帰りの支度を完了させ、2人は急いで教室を出る。

 

 

イリヤと仁久須のいる穂群原学園小等部と兄のいる穂群原学園高等部は遠くなく両校舎には行き来が可能

 

その高等部の校門の前に目的の人物はいた。

 

その人物を見つけイリヤと仁久須は駆け寄った

 

「お兄ちゃん!」

「兄さん!」

 

仁久須よりかは茶髪よりの赤み掛かった童顔な顔つきの少年は()()帰る時間が重なったと思いながら笑顔で

 

「おー、奇遇だなイリヤと仁久須。お前らも今帰りか?」

「うん!一緒に帰ろお兄ちゃん」

 

部活がない時は毎回一緒に帰っている癖に何故に気づかないんだろうか…この兄さんは…

 

「いいけど…俺自転車だぞ?」

「私もニクスも走るの得意だから」

「まあそうだけど…疲れたくないよ」

 

まあ流石に兄さんも自転車で走ってついて来させようとは…

フッ兄さんを嘗めるなよぉ〜兄さんは生徒会長の仕事を自分から手伝う優しい心の持ち主だ。

そんな兄さんがそんな妹と弟を人ともは思わない非道を犯すなんて事ありえない‼︎

 

「よーしそれじゃぁ…家まで競争だイリヤ!仁久須!」

「ああっちょっとお兄ちゃん⁉︎」

「えぇ…」

 

前言撤回…悪虐非道のお兄さんであった…

これを突発的に行うなんて兄さんはサイコパスかなにか?

この非道に姉のイリヤは

 

「待てー‼︎」

 

全力疾走をかまして悪人お兄さんについて行ったので僕も仕方なく走ってついていく

 

暫く走って

 

「そんな、ついて来なくても…」

「嘗めないでよ…これくらい…50メートル走なら男子にも…負けた事…ないんだから」

「まあ僕も長距離走ならイリヤにも負けた事ないもん♪」

「ほんとにそうなんだな…全然息が切れてないな、イリヤはゼイゼイなのに…悪かったよゆっくり行こう」

「イリヤはペース配分をガン無視で走るんだもん、そうなるよ♪」

 

兄さんがゆっくり漕ぎ始めた。

まあそれもあるけど…

 

「ウ"〜体力おばけめ〜疲れた〜後ろ乗せてよ〜お兄ちゃん」

「2人乗りは違法だからダメ」

「え〜〜じゃあニクスおんぶ〜」

「いやで〜す〜そんな汗だくの人をおぶりたくないで〜す」

「な⁉︎そんな汗かいてないもん⁉︎」

 

そんな茶々を仁久須が入れるとイリヤはかなりの反応をした…

 

やっぱり人間の雌だからかな?

 

「このっ薄情者どもめ〜‼︎

 

周り一帯にイリヤの声は響き渡った

 

 

衛宮士郎とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンに衛宮仁久須は3人兄妹である。

だが誰一人血は繋がっていないが血の繋がった実の家族並みにそれ以上に仲が良い。

家族構成は長男の士郎・長女のイリヤ・末弟の仁久須・父の衛宮切嗣・母のアイリスフィール・フォン・アインツベルンに使用人のセラとリズの2人がいるがほぼ家族のような括りである。

この側からみたら異色の家族だが当の本人達は全く気にしていない

まあ両親2人は海外関係の仕事で家を空けることが多い為ほぼほぼ5人で楽しく過ごしている

 

 

そして家まで帰っていった3人

何やらイリヤが姉の威厳など物騒な事を言い出したので、宥める為にイリヤと観ている[魔法少女マジカル⭐︎ブレードムサシ]のアニメを膝に乗せて観ることになった。何故に????

 

1クールまで観たぐらいでイリヤに

 

「もう遅いし目、痛いでしょ?お風呂入って寝よ?」

「え〜まだ観たい〜」

「ダメですよイリヤさん。ニクスの言う通り夜遅いですし夜更かしし過ぎると朝起きれなくなりますよ?」

「グヌヌ…セラまで…」

「明日また観よ?ね?」

「わかった〜……ふぁ〜〜入ってきまーす」

 

うまくセラと僕でイリヤをお風呂に誘導して休憩を取らせた

 

「全く、弟のニクスは自己管理できるのに何故姉のイリヤさんは…」

「大丈夫だってセラ。イリヤも自分でしなちゃいけない状況になったら自分でできるって」

「はぁ〜兄であるシロウもそうですが、貴方もイリヤさんの自立を促してください!」

「はいは〜い」

「はいは一回‼︎」

 

セラが説教モードに入りだしたので自分の部屋に退散する

 

 

イリヤがお風呂から上がってくるまで部屋で過ごそうとした時不意に窓から映る夜空に小さな光が見えた、明らかに星や飛行機の光ではない謎の光にこの前イリヤと観た未確認飛行物体のUFOかな?思いイリヤと兄さん達に自慢する為に瞳孔を開いてよく見てみるとそれは兄さんぐらいの歳の人間の雌2人が謎の棒で謎のブレス?を吐いて互いに攻撃し合っているのが()()()()()()

それから謎の棒二つが人間の雌2人から離れていきその一つがこの我が家に飛んできた。

 

「あの場所ってお風呂場⁉︎今はイリヤが!」

 

と急いでお風呂に向かうが

お風呂という事はイリヤは今全裸だ…もしなんともなかったらどうする…

イリヤになんて言い訳すればいい…

 

(なんか変な棒がお風呂場めがけて飛んできたんだ‼︎)

 

っていうのか?いや絶対信じて貰えないし絶対嫌われて家族としてみてもらえなくなるかもしれない………それでも…それでもイリヤに何かあったりしたら絶対後悔する…イリヤや兄さん…家族は()絶対死なせない!

 

と覚悟を決めてお風呂場に入るとそこには…

 

「……イリヤ無事⁉︎……え?」

「あ、ひゃ⁉︎早速見られた‼︎に、ニクス⁉︎こ、これは!」

 

イリヤがピンク色を基調としたふりふりの格好をしながらお風呂場に入っていた…それだけならまあいい、イリヤにお風呂場でコスプレしちゃダメでしょ?って言えばいいだけだもの…だが

 

「きゃわいいショタっ子キターー‼︎」

 

謎の棒が言葉を発した、あらかじめ設定されたセリフを発したようではなく喋ったようなだがそれよりも

 

「あ"?んだとこの」

 

とこのふざけた棒をどうにかしなくてはならない‼︎

 




マスター認証の採血どうしようか…

どうカード集めに参加させましょうか…

悩みどころさんですね


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魔法(奴隷)少女爆誕そして初戦

「あーうー目が…目が…流石に1クール一気観はニクスの言う通りやり過ぎだったかな…」

 

流石にもう魔法少女に憧れるような歳でもないけど…

あったら色々と便利だよね〜

空飛ぶ魔法とか

宿題片付けちゃう魔法とか

恋の魔法も…

 

好きな人かぁ…

私の弟の衛宮仁久須…

小学校に入学当日周りとあまり話せなくて友達ができないんだと思って諦めたかけた時

当時同じクラスだったニクスがタツコやミミ達の4人に私を連れて話しかけてまずニクスが話しかけてから私が背中に隠れながらだけど話しかけれて友達になれた。今ではそんな事はなく遊んだりしてるけどニクスがいなかったらもしかしたら私は独りぼっちだった気がしてしまう。

今日もアニメを観ると豹して(実際観たかった)膝に乗ったりしながら甘えたりしたけど、優しく諭された…

でも少しデリカシーのない発言をする事があるのはお兄ちゃんに似たのかな?

 

「あー少し痛い行動だったかな〜恥ずかしかなってきたよ〜!……でも」

 

柔らかったな…

 

そう感触を思い出していた時、開けていた窓から何か光が見えた。前にニクスと観たUMA特番でやってたUFOかな?って思ってニクスやお兄ちゃんに自慢しようと思ってよく見ようと窓に体を近づけたら、その光が高速で飛んできて反射的なのか奇跡的なのかわかんないけどしゃがんで回避してしまった

 

窓を開けているかいないかでイリヤの未来はここで大きく変わっていたのかもしれないけどもう時すでにおすし

 

「え、え⁉︎何これ⁉︎何なの⁉︎」

 

当然飛来してきた謎の物体に驚いてると

 

『フゥー…避けられてしまいましたか…なかなかの回避性能の持ち主ですね……手っ取り早く済まそうと思ったんですが…

 

その謎の物体は人が喋るみたいに言葉を発していたしかも最後ら辺は何か物騒な事を呟きながら

 

『はじめまして!わたしは愛と正義のマジカルステッキ、マジカルルビーちゃんです!貴方は次なる魔法少女候補に選ばれました!さぁステッキ(わたし)を手にとってください!力を合わせて悪(わたしにとっての)と戦うのです!』

 

あまりに突然の出来事すぎて混乱してるけど

私の直感が告げていた

 

 

 

こいつはうさんくさい‼︎

 

 

 

 

『あぁ〜今貴方わたしの事をうさんくさいと思いましたね〜⁉︎』

「えっ⁉︎いやあの……うん」

 

このマジカルルビーという物が私の思っている事を言い当てて

 

『ショックです!ルビーちゃんショッキン!あぁ嘆かわしい…現代ではもう都合のいい(魔法少女に憧れる)少女は絶滅してしまったのでしょーか』

「あ…うん…もういいからほかを当たっーー」

『楽しいですよー魔法少女!』

「あのーー」

『羽エフェクトで空飛んだり』

「ちょーー」

『必殺ビームで敵を殲滅したり!』

 

イリヤの言葉に被せるようにルビーが迫ってきてうんざりとしていたその時

 

『恋の魔法でラブラブになったり!』

「えっ…」

 

その言葉に反応してしまった。

さっきまで少し恋愛脳になっていた際で興味を持ってしまった…

…おのれ弟め…

 

『お?興味ありますか⁉︎あるんですね⁉︎意中の殿方が⁉︎』

「そういうんじゃないよ⁉︎……でも…どこまでできるの?」

 

深く聞いてしまった

 

『(ムフフ釣れたな)そうですね…どんな草食系奥手男子も超ムラムラ肉食系男子に早変わりに!』

 

超ムラムラ肉食系男子……⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

〔イリヤ…もう僕…我慢できないんだ…〕

〔ダメだよ…わたしたち姉弟なんだよ…〕

〔でもイリヤだって…誘ってた癖に…もう知らない〕

〔んっ♡ダメっ♡あっ♡〕

 

 

 

 

 

 

 

理性を保ちながらちゃんと考える

 

『いや、理性が鼻から漏れてますよ?(採血完了(認証完了))』

「わ、わたしはベ、別に興味なんてないんだから⁉︎」

『清純そうに見えますがなかなかのむっつりさんですね〜』

 

何やら失礼な誤解を抱かれているから掴んで投げようすると体が動かなくってしまった

 

『うふふふふ〜想定以上にちょろかったですねー』

 

ルビーが不穏な声をあげて

 

『血液によるマスター認証・接触による使用の契約、そして起動のキーとなるオトメのラヴパワー!少しスケベが混ざってますが

 

な、なに、なにが起こってるの…

 

『全て滞りなく頂戴しました!さあ…最後の仕上げといきましょうか。貴方の名前を教えてくさださいまし♪』

 

体の自由が効かずステッキを振り下ろすように構えて

 

「イ…イリヤ…イリヤスフィール・フォン・アインツベルン!」

 

イリヤが本名を名乗ってマスター登録が完了してあのピンクのフリフリの衣装になってしまった

 

「なあああ⁉︎何これー⁉︎ホントに魔法少女なの⁉︎恥ずかしい!これを誰かに見られたら」

 

特にニクスに見られたら…

 

だがそんな少女の願いは虚しく

 

「……イリヤ無事⁉︎……え?」

「あ、ひゃ⁉︎早速見られた⁉︎に、ニクス⁉︎こ、これは!」

 

あ…やばいよぅ…1番見られたくない人に早速見られた…死にたい!

 

「きゃわいいショタっ子キター‼︎』

 

あ、あ…不味い…ニクスにとって禁句の言葉を…

 

「あ"?んだとこの」

 

怒ったような声をニクスがあげた…

ニクスは自分をかっこよく魅せたい・ありたいと思い努力している。

ちょっと方向性がおかしい時がかなりあるけど…

 

昔わたしがニクスを可愛いと言ってしまいニクスがプリプリ怒り出してその様子がまためちゃくちゃ可愛いくて連呼してたら……丸一日、まともに口聞いてくれなかった。

あの塩対応とゴミを見る目は本当に辛かった…辛かった…

 

『な、なんか怒っていらっしゃるんですか…』

「ルビールビー!」

『はいはいなんでしょ?』

「今すぐ、カッコいいって言って⁉︎」

『え?どういう事ですか?この子は…』

「私の弟だよ!いいから、それで機嫌治るから⁉︎」

『は、はぁ…そうですか。

ゴホン…いやーすみません〜よく見ればとってもカッコいい殿方ではないですか〜いやーなんか…そう!雰囲気がカッコいいですしね〜』

 

よしこれなら!

 

「そんな都合がいい事言ってもグフフ…まあ僕はかっこよくて寛大なので許してあげましょう…エヘヘ…」

 

『なんてチョロい姉弟‼︎

なるほど…可愛いは禁句となるほどなるほど…

ルビーちゃんのメモ帳に記載っと』

 

ふぅ〜これで一安心…我が家の安穏は保たれた…

 

「えっと…それでイリヤはなんでお風呂場でそんな格好を?それに今の喋る棒は…」

 

そうじゃん‼︎この状態、何も解決してない‼︎

 

「いや!なんか勝手にこのステッキがーー」

 

言い訳をしようといたら窓から手が伸びて引っ張られた

 

「イリヤ⁉︎」

 

唐突にイリヤがお風呂の窓に吸い込まれて

僕も何事かと困惑していて初動が遅れてしまったが窓から出たらさっき空を飛んで戦っていた人間の雌の赤い印象を持つ人がいて

しかもなんかめちゃくちゃ怒ってイリヤが持っていたステッキ?を取り上げようとしていた

 

「イリヤ?そのステッキ?がその人の物ならちゃんと返した方がいいよ」

「い、や、返そうとしてるんだけど…なんか…手が離れないよ⁉︎」

「はぁ⁉︎もう1人の一般人にも見られてるの⁉︎

あ"あ"…んっもうどうしてこんな上手くいかないのかしら⁉︎」

 

僕が現れたらもっと怒り出したよこの人…

 

「ダメですよお3人方…すでにマスター登録は完了済みなんです!本人の意思は関係ありません!わたしが許可しない限りマスター変更は不可能です!」

 

赤い人がステッキ?を壁に叩きつけてめり込ませた

 

なんなんだこの状況…カオスすぎるでしょ…

だがその前に

 

「すみません‼︎とりあえず場所を変えましょう‼︎

ここは住宅街です夜とはいえ、さわぐと目立ちます!

その言いようで察しますがあまり人に目られるのはステッキの方も貴方も…えっと」

 

これ以上は喧嘩に発展してしまう…それだとそのステッキを持っているイリヤが怪我をしてしまう

 

「私は遠坂凛よ、凛でいいわ。そしてこのステッキはルビーって言うの…そうね人目につくもの不味いはねとりあえず…」

「あ、じゃあ私の部屋でどうですか?」

『ふむふむ、凄いですねぇこう言った場合凛さんは暴れるのがオチですがよく回避しましたね〜』

 

僕の必死の説得にルビーとやらが茶々を入れてくる…

なんかかなりムカついてきた…

 

その後はイリヤと凛さんを先に行かせて、僕がセラに壁の凹み跡をイタズラと言ってなんとか信じてもらった(めちゃくちゃ怒っていたけど…)

 

「あの子凄いわね、咄嗟にあんな言葉が出せるなんて」

「自慢の弟です!」フンス

「それに比べてあんたは慌ててばかりで…」

「し、しょうがないじゃん…あんな状況初めてなんだもん」

 

遠坂凛はなんかあの少年に少し違和感を感じていた…

一般人であるのにあの咄嗟の対応力に…

 

『逸材ですよ!あの!あの凛さんの手綱を握るなんて将来立派な詐欺師になりますよ』

「そうね…あんたの手綱も握れたら1番だったわね…」

 

ルビー携帯モードになったルビーを凛さんが握り潰そうとしていた

 

「人の弟の将来に変なこと言わないでよ…」

 

イリヤの部屋に僕が入ってきてまたルビーと遠坂凛さんが喧嘩をしていた。またカオスに…

 

 

 

それから凛さんがどんな人で何をしているのかなどを聞いた

 

凛さんは魔術師で悪用すれば街ひとつ滅ぼせるくらいの危険物の《カード》というものを回収して処理をする為にやってきた魔術師だった。

でも生身だと処理のが難しくそこで助っ人としてルビーが貸し出されたと、でもルビーとマスター契約を切られその代わりにイリヤがマスター契約を交わしてしまい、ルビーは変える気はないということなのでイリヤの協力が必要だと事

 

「ふむふむ了解。あとはイリヤはどうする?」

「え?…どうする?ってどういう…」

「イリヤがルビーの使用権限を持っているならイリヤがやろうしなければルビーを使えないでしょ?まあルビーに強制的に戦わせる洗脳とかがあるなら別だけど…」

 

この弟、物凄く物騒な事言ってるんだけど⁉︎

 

『そんな物騒なことできませんよ?唯マスターの契約を切ったり、新しいおもちゃに囁いて確保する(新しいマスターを私の話術で確保する)ぐらいですよ?』

 

うん、もう無視しよう

 

「でもこれ解決しなかったらこの街が本当に滅んじゃうからそのバカ説得させられない内はわたしの代わりに戦ってもらうから…形式だけやっちゃうかしら…いい?今から大事なこと言うからよく聞きなさい」

 

遠坂凛さんの雰囲気がガラッと変わり真面目な雰囲気になり

 

「命じるわーー貴方わたしの奴隷(サーヴァント)になりなさい」

 

イリヤは魔法少女から凛さんの奴隷に転職(ジョブチェンジ)しました。

 

そして明日になり

 

イリヤは夜遅くまで考え事していたのか寝不足で授業で居眠りをしてしまってイリヤ達のクラスの担任の藤村大河先生に頭叩かれて起こされてしまった。唯イリヤは緊張だけではなく何か楽しそうにもしていた。

 

放課後になり下校する為にイリヤは下駄箱へ駆け足で移動する。

仁久須は日直によりまだ帰れないのと魔法の練習をしてみたかったので置いていってしまった(先に行くとは伝えてある)

 

『お、ようやく放課後ですか、ランドセルの中は退屈でしたよ〜』

「お待たせルビー、早く帰って魔法の練習しよう!」

『おっやる気ですねイリヤさん』

「うん何事も前向きにいかなきゃね」

 

ルビーと話をしながら下駄箱に来て、自分の靴箱を開けると靴の上に手紙があった

 

「ん?これって…」

『おおっ!もしやこれはあれですかね!ラブでレターなアレじゃないですか⁉︎』

 

え⁉︎ラブレター⁉︎

 

『今どきこんな渡し方するなんてお相手はピュアな人ですね〜もしかしたらですよ⁉︎お相手は⁉︎まさか⁉︎』

「そんな!ニクスは日直だから入れる隙はないよ⁉︎」

『あれれ〜?イリヤさ〜ん?何もニクスさんとは誰も言ってませんよ〜』

 

ハッ⁉︎自分で墓穴掘ってしまった…

 

『まあバレバレですけどね〜ささ早く中身を…』

 

腑に落ちないけど、とりあえず手紙を開けてみる

 

[今夜0時高等部の校庭まで来るべし来なかったら殺す迎えに行きます]

 

「『………』」

 

わたしとルビーは一気に白けてしまった。

これはラブレターなんて夢のあるものではなく唯の脅迫状だった。

 

『帰りましょうかイリヤさん…』

「そうだね…」

 

 

 

 

そして夜になった。

 

 

現在深夜0時

 

人の気配なんて全くない高等部につき校門を超えた2人

 

「だ、誰もいないよね?」

「まあ警備の人ぐらいはいると思うけど大丈夫だと思うよ?」

 

誰もいない校舎というのは小学生には少し怖いだろうホラーものの舞台に学校というのは定番であるだがイリヤにとってはそれだけではないだろう。

何故なら今イリヤの格好は制服や私服といった普通の服装ではなくピンクを基調としたあの衣装をしている。こんな格好で外しかも兄さんを迎えに行く為に結構な頻度訪れている見慣れた所を歩き回るのは羞恥心が刺激しまくるのだろう。

それを察した仁久須はイリヤの手を握ってあげた。

 

『そういう所ですかね〜イリヤさんのハートを射抜いたのは』

「わわわ、ニクスは気にしなくていいから⁉︎」

「……?」

 

ハート?心臓を射抜いたのか?

心臓がなくなってしまうと死んでしまうから絶対させないししないはず…何故?

 

少し考えながら校庭に着くと

凛さんがいた

 

「おっ、ちゃんと来たわね…」

「そりゃあんな脅迫状出されたら……」

 

イリヤはため息を吐きながら凛さんの言葉に答えると

 

「やっぱり、仁久須も来たのね」

「うん、イリヤの保護者として」

「同い年でしょうが……」

 

凛さんが呆れている。

 

姉が家族が心配なのは理解できるがそれでも…

 

「これは遊びじゃないの。イリヤみたいな防御手段がないようだと私も守りきれるかわからないの。だから少し遠くで待ってイリヤが鏡面界に行って帰ってくるまで待ってなさい」

 

これは遠坂凛にとって最後の忠告・脅しであるのだがなるべく一般人を危険から遠ざけようする優しさから出てきた言葉なんだろう

それは仁久須も伝わっていただから真面目に

 

「自衛手段はあります。だから信用してください。お願いします」

「………わかったわ。でも私から離れるんじゃないわよ。

じゃあルビーお願い」

『はいは〜い、個人的にはニクスさんの自衛手段に興味ありますがちゃっちゃとやっちゃいますね〜それじゃあ行きますよー半径2メートルで反射路形成!鏡界回廊一部反転します!』

 

ルビーが詠唱を唱えると魔法陣が現れ、光が増して

 

「えっ…な…何をするの?」

 

イリヤも仁久須も初めてみる現象に不安になる

 

「カードがある世界に飛ぶの。ここにはカードはないわ、あるのは無限に連なる合わせ鏡。この世界をその像のひとつとした場合、それは鏡面そのものの世界。さっきも言った鏡面界と呼ばれている世界にあるの」

 

凛さんの説明が終わった瞬間に世界が反転した。

 

ついさっきまでいた校庭は変わらず…空そして雰囲気が全く違う

 

「な…なに、この空…?」

「重々しいねこの空気感」

「流石私の弟図太い」

「何呑気なこと言ってるの⁉︎くるわよ!構えなさい‼︎」

 

凛さんのお叱りの後

 

空間が割れてその隙間・闇の中から

何か人間のような姿の者が出てきた

黒い衣装の青髪の女性だった、特徴的な眼帯でとても人間ぽさはなく恐怖感を()()()()()()()は感じていた。

 

「な、なんか出てきたっ⁉︎キモッ⁉︎」

 

イリヤが異形な雰囲気と見た目に〔ヒーッ⁉︎〕と若干怖気付いている

 

「くるわよ!」

 

凛さんが叫び

 

その瞬間女性は接近してきてその手に持っている鎖ような物ではなく腕を叩きつけた

 

「わわっ⁉︎」

 

咄嗟にイリヤも回避に成功し、凛さんは僕の腕掴んで回避しつつ

 

Anfang(セット)

 

すぐにカウンターに指の間の宝石を投擲し、命中した

 

「爆炎弾・三連‼︎」

 

宝石魔術は宝石や鉱石などの魔力を貯蔵しやすい物資を使用した魔術。使い捨てである代わりに威力も高く、財力のある魔術師には結構使われている魔術の1つ。

唯効いている様子はなく、爆炎の中から無傷の敵が現れた

 

「やっぱ魔術は無効か…!高い宝石だったのに!」

 

防御力ではなく何かで無効化したらしい。

そして今の発言からして凛さんはあまり財力のある魔術師では無さそうだ。

 

「じゃ、後は任せたイリヤ!わたしたちは建物の影に隠れてるから!」

「ええっ投げっぱなし⁉︎」

 

遠坂凛は仁久須を抱えて逃げ出した。

最も対抗できるイリヤに戦闘を任せた。

いきなりのことにイリヤは困惑していた。

 

『イリヤさん2撃目きますよ!』

「えっ…おひゃぁッ⁉︎かすった!今かすたったよ!」

 

敵がイリヤに向けて、鎖に繋がれた杭を投擲してきた。

それを紙一重で躱すイリヤでいきなりのことに困惑している。

仕方ない産まれてこの方

戦闘のせの字もなかった人生だったんだから

 

「イリヤ!まず距離を取って落ち着いて!」

『そうです接近戦は危険です!』

「キョリね!そうね取りましょうキョリ!…キョリーーーー!!!」

 

敵が鎖を回転させた攻撃しようとしてくる瞬間に全力疾走で駆け出すイリヤ

物凄い勢いで敵とイリヤの距離が開く。

 

「……逃げ足だけは最強ね、アイツ」

「人生逃げ続けた者にしか到達できない領域だよ、あれは」

 

校舎の陰から凛さんと僕は呆れと関心を込めた様子で観察していた。

 

「なんかめちゃくちゃ失礼なこと言われてるよォォォ‼︎」

『まずは落ち着きましょうイリヤさん!とにかく距離を保ちつつ魔力弾を打ち込むのが基本戦術です!魔力弾はさきほど練習した通り、攻撃のイメージを込めてステッキを振ってください‼︎」

「あーもー、どーにでもなれーッ‼︎」

 

イリヤがルビーの助言通りヤケクソになりながらも巨大な魔力の斬撃を放った。

不意打ち気味に放たれた広範囲の攻撃が当たり、敵が吹っ飛んでいった。

そして煙が立ちこんで姿が見えなくなった。

 

「スッ…スゴッ⁉︎なにコレ⁉︎殲滅ビーム⁉︎」

『おお、やりますね〜いきなり大斬撃とは!』

「これでやっつけたとかは……」

 

攻撃をしたイリヤ本人が1番驚いていた。

 

そして煙が晴れた、その中から敵が負傷気味でよろっとした感じて現れた。

まだ倒し切れていないようだった。

 

「効いてるわよ!間髪入れず速攻‼︎」

「よく当てたね…」

 

イリヤは遠くからの歓声?指示に微妙になりながらも

今度は砲撃タイプの攻撃を繰り出した。

 

だが相手は理性をなくしても人理に刻まれる英雄、そんな戦闘ど素人の攻撃を素早く躱す。

 

そしてルビーの指示で散弾タイプに切り替え校庭の埋め尽くす程の規模の攻撃をした。

 

「や…やった?」

『いいえ、おそらく今のでは……』

 

広範囲にしすぎた影響で一撃当たり威力が減少した為

当たりはしたがそこまでダメージを稼げなかった。

 

煙が晴れ、敵は眼帯を外しその隠された顔を晒した。

そして目をカッと開く

 

「え、あれ⁉︎う、動けない…」

『ッ⁉︎これは魔眼です‼︎今解除をーー」

 

同時にイリヤが動かなくなり、ルビーがすぐにその拘束を解除しようとするが、その前に敵が鎖付きの杭をイリヤ目掛けて投擲した。

 

 

 

流石にもうこれ以上任せるのはまずい…

出来るだけ魔術師の前では隠しておきたかったけど

 

 

 

全力で建物の陰から飛び出す

 

「ちょっと、あんた⁉︎待ちなさ……え?」

 

 

イリヤは迫ってくる杭にもう間に合わないと恐怖で目を閉じた。

 

だがこれからやってくるであろう痛みはなかった、

代わりに金属を弾く音と少し強めの暖かい風を感じた。

何が起こったのか目を開けてみると、そこには…

 

「………へ?…………えェェェェェェ⁉︎⁉︎

 

目の前に我が弟、衛宮仁久須がいて、敵の攻撃を弾いたようだ。

それだけでも驚きなのだが1番驚いたのはその姿だった。

仁久須の姿は両腕以外は変わらなかった。

そう、その両腕が…人間の腕ではなかった。

 

両腕が翼になっていた。

 

両方の翼が元の腕の大きさよりもデカかった

天使とかそういうファンタジー的な優しさそうなやつじゃなく、鷹とかのガチなやつ、そしてなんか燃えてるし…

 

そして一度大きく羽ばたてから、威嚇する様に大きく広げた。

 

「さてさて、どう料理したものか」

 




【部分獣化】
手足や体の一部を過去の自分に再生させるもの

姿はモ◯娘のハーピー的な姿。
翼は常に燃えているが敵意を向けている相手以外は熱いとは感じない。
腕を鳥の翼にすることにより飛行が可能になり
アクロバットな戦闘が可能、腕力?翼力?の強さも上がる[筋力D+]
脚を鷹の脚のような脚になることにより脚力が上がり蹴りが強くなる。[筋力B-]

魔力を翼や脚に流すことにより
翼は硬質化し切ることもガードにも使うことができる(のちにルビーにウイングブレイドと名付けられる)
脚はかぎ爪が鋭くなる

部分獣化時のステータス的なやつ(宝具以外)

[筋力C]
[耐久D+]
[俊敏A+]
[魔力Cー]
[幸運D]

翼とか脚とか再生力とかが関わると色々と変動するのでなんとなくです。




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火の鳥少年

誤差報告ありがとうございます。

三人称的な視点の遠坂凛の呼び方を『遠坂凛』に、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトの呼び方を『ルヴィア』など、フルネームのキャラとそうでないキャラがいます。
それはただ単に自分が書いててしっくりこなかったからです。
統一感のない書き方ですかどうかご了承ください。

ちょっとグロイ目の表現が最後ありますが頑張って読んでください♪



仁久須は自分の髪と同じ色の翼を威嚇する様に広げて敵と向き合い

 

「さてさて、どう料理したものか」

 

そういった瞬間、両者がぶつかりあった。

敵は鎖付きの杭を短剣を持つように構え、仁久須は硬質化した翼を合わせている。

力比べだが、段々仁久須が押されている。

それは翼力が足りないからでもあるのだが、唯のスニーカーでは踏ん張りが効かないからどんどん押されていっている。

敵が自分の方が力があると思いニヤリと犬歯が生えてる歯を見せてきた。

 

このままじゃ負けると感じイリヤも何かできないかと考えた

その瞬間吹っ飛ばされてしまったのを見た。

 

吹っ飛ばされたのは仁久須ではなく、敵の方だった。

 

そしてその脚を猛禽類のような脚と鋭いかぎ爪を持っていた

 

仁久須は姿勢を低くしてから先の力比べの時の速度とは比較にもならない速度で突撃する。

敵の目の前まできて腹部に強力な蹴りを放ち、重い一撃を入れる。

敵が怯んだ隙を見逃さず、もう一つの脚でも蹴りを入れ攻撃した

なんとか耐えた敵は両脚がお留守になってまともに動けない所を攻撃しようとした。

だが仁久須その両翼を羽ばたいて低空飛行で躱し、回転を加えて回し蹴りを喰らわし、少しだけ離れ助走をつけて追い討ちに踏みつけた。

 

そのとても魔法少女ものとは思えないファンタジーとは

かけ離れた動物的な戦いを観ていた3人は唖然としていた。

 

「どういうことなの⁉︎

ステッキの力を使ってない一般人がなんで英霊と戦えているの⁉︎」

『あれが先程言っていたニクスさんの自衛手段ですか…』

「自衛どころの話ではないわよ⁉︎英霊を圧倒する程のって…」

『確かにまだ一回も攻撃を加えられてないですねお相手は』

「しかもあの姿は何⁉︎まるで…」

『獣…ですね』

 

魔術や魔法などのそっちの世界に明るい遠坂凛とルビーは戸惑いながらこの状況を理解しようとするとけどできてないみたいだ。

 

そしてイリヤも同様にとても混乱していた。

 

いつも一緒にいて私が何か困ったり、どうしようもない状況になった時にいつも手を差し伸べてくれる・守ってくれる…だけどこんな獰猛な目・姿や怖い雰囲気のニクスは見たことなかった…それ故に少し怖かった、私の全く知らないニクスになっちゃったみたいで…

 

敵はこのまま接近戦を行えば負けると直感し

一度目を閉じてから目をカッと開き魔眼を使おうとした。

だが仁久須はそれを見切り、脚で校庭の砂利を器用に掴み、敵の顔を向けてかけて魔眼をキャンセルした。

お返しとばかりに身体全体を使いサマーソルトを敵に喰らわせたが敵が寸前で後ろに引いたことにより、そこまでダメージにはならず大きく相手と距離を離してしまった。

低空飛行中の仁久須はすぐさま追撃する為に近づくがその前に、敵が今度こそ魔眼を使用し、見事命中した。

空中で硬直を喰らった為ドサっと地面へ撃墜されてしまった。

状態異常への耐性は保有しておらず再生力で拮抗しながら効果に苦しむのと飛行ダウンで動けなくなっている間に敵が何か禍々しい赤い魔法陣を展開した。

 

その場の4人はやばいと背筋に氷をつけられたような感覚が襲ってきた。

 

「宝具を使う気よ‼︎逃げなさい‼︎って今は無理か…クッ‼︎イリヤ!こっちきなさい‼︎ダメ元で防壁張るわ‼︎」

「えっ…ニクスは…」

 

凛さんと私の距離は近かったが戦いっていたニクスとは遠かった。

 

「ニクスは……間に合わないわ‼︎」

「え…嘘……やだ‼︎やだよ‼︎そんなの‼︎」

『イリヤさん!落ち着いてください‼︎全魔力を魔術障壁物理保護に変換!』

 

それ以上答えてくれなかった2人が何をしようとしているのか感覚でわかった。

 

 

ニクスを見捨てるんだ

 

 

助けに行こうとするとその前に凛さんが私の腕を引っ張って押さえつけた。

 

多分何かしら強化をしているんだろうそして私が助けに行こうとするのを予想して

 

「イリヤ…仁久須…ごめん」

 

ギリっと凛さんを睨むと凛さんの唇から血が出ていた。

こんな決断しかできない自分が悔しくて

 

「イ、イリヤ‼︎…だ、大丈夫だから‼︎」

 

硬直で動き辛くなっているニクスの苦しむ声で叫ぶのを聞いた…覚悟を込めた声を

 

でもこの覚悟は無駄に終わる

 

 

「……クラスカード《ランサー》、限定展開(インクルード)

 

冷たい声でそう囁き

 

刺し穿つ(ゲイ)…………死棘の槍(ボルク)‼︎」

 

その瞬間深紅の槍が、敵の胸を貫いた。

そして敵が倒れた。

 

「《ランサー》接続解除(アンインクルード)

クラスライダー撃破」

 

「え……だ……誰……?」

 

唐突に現れた紫色の全身タイツの少女を見ながら困惑していた

 

その格好はどこかイリヤの魔法少女の衣装に似ていたが、イリヤはドレス型であり、その少女は全身タイツ型でイリヤとは露出度に差があった。

 

「オーッホッホッホ‼︎」

 

唐突に鳴り響く高笑い

 

「無様ですわね遠坂凛(トオサカリン)!相手の宝具に恐れをなして逃げ惑い、果てには仲間を見捨てる愚行!とんだ道化ですわね、トオサーー」

 

数々の攻撃による傷、心臓を撃たれてなお立ち上がってくるのが英雄…その英雄の死亡を完全に確認するまで決して気を抜いてはならない。

 

撃破したと勘違いした近くの少女ではなく、戦場で大声を上げた女性にヘイトがいき杭を投擲した。

 

みんな完全に油断していた為反応が遅れた……ただ1人を除いて

 

硬直から脱した仁久須はその速さを活かして敵に止めを刺すことは容易だがそれでは狙われた女性は攻撃される…ではどうするか…それは

 

その女性に向けて放たれた杭をその身で受けた

 

「「「「なっ⁉︎(えっ⁉︎)」」」」

 

左胸に深々と刺さったことに一同驚愕する。もちろん敵もそんな行動するなんて思わなかった想定外の出来事に少し固まる。

各自、行動に移す前に杭が刺さったままの仁久須が全力で敵に接近し飛びかかった。

そして敵の首を鷲掴みし、へし折り、もう片方の脚で肩を掴み頭を引き抜いた。

 

その行動にみんな引いている…だが仁久須は真面目に心臓を貫いたのに攻撃をする化け物にそれだけでは足りないと思い念には念を入れたのだった。

 

「な、なんてバイオレンスな…」

 

そして今度こそ倒れ、胸からカードが現れ消滅した。

 




メデューサさん…耐久力半端ねぇ〜
ヘブンズフィール観て勢いでライダー初のレベル100にしちゃいました


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天才転校生現る

見事勝利をもぎ取った仁久須は久々の戦闘に精神的に疲れたのかだらりと翼を下ろした

 

「えっと…君…大丈夫だった?」

 

何故かこの人間の雌を見てると最初にイリヤと出会ったような懐かしい感覚を覚えて思わず話しかけてしまった

 

黒化英霊が消滅したことによりその武器である杭が消え左胸から血が吹き出した

 

「あ、あの…あなたこそ…大丈夫ではないですよね?」

 

冷静な返しを受けて、みんな我にかえる

 

「ちょっと大丈夫なのそれ⁉︎」

「そうですわ⁉︎

わたくしを庇っていただいた事の感謝は後でさせてもらいます!

先に治療ですのよ!」

「死なないで‼︎ニクス‼︎」

 

みんなの心配されていると

吹き出している血が・傷口から炎が吹き出し炎が収まったら

 

「え…嘘でしょ…」

「こんなことって…ありえますの…」

 

なんと傷がなくなって、綺麗な白い肌が現れた

 

『やっぱりですか…これで確定ですね』

「どういう事なのルビー…」

 

その光景を見て納得したような

 

『ニクスさんの正体ですね、ですがその前に脱出しますよ〜皆さん集まってくださ〜い!ではでは半径6メートルで反射路形成、通常界へ戻りま〜す』

 

さっきよりも大きい魔法陣を展開し元の世界に戻った。

ルビーの考察が的外れである事を祈ろう

 

「…じゃあルビー、ニクスが何者だっていうのよ」

『それはですねーニクスさんのその鳥のような姿に微かな神性を感じます』

「はぁっ⁉︎神性持ってんの⁉︎」

「しんせい?」

『神性とはですね、イリヤさん。その体に神霊…英霊の上位互換的な感じの適正があるかないかのやつです。ぶっちゃけ言うと神様的なランクです』

「うェェェ⁉︎ニクス神様だったの⁉︎」

「いやそこまで凄い存在じゃないから…現代でいう絶滅危惧種ぐらいだから」

「それでも凄いよ⁉︎」

 

元の人間の姿に戻り、否定する。

 

話が少し逸れた所を戻すように遠坂凛が催促をする

 

『そうですね〜燃えた翼を持つ鳥に致命傷も瞬く間に治す再生力、そして神性……それはもう該当するものは一つしかないでしょう〜』

「不死鳥…」「フェニックスですわね」

「それなら黒化したとはいえ英霊に張り合う…圧倒するのは納得よね」

 

みんなそれで疑問を自己解決して納得する

 

『答え合わせですよニクスさん、あなたは不死鳥(フェニックス)さんですよね?』

「まあそうだけどさ…」

 

探偵のような物言いに困ったように答える

 

『じゃ、どうしますか?魔術師の御二方さん?

もしかしたら現代に存在する不死鳥を魔術師協会に研究素材として捕らえればその功績で手っ取り早くあの大師父の弟子になれるかもしれませんよ?』

 

身体の一部を異形のものに変化させる、そして不死鳥の代名詞と言える蘇生もおそらく可能であろう。それは現代では再現が困難な魔法の域の存在である。根源に到達する事が目的の魔術師にとって仁久須は恰好の研究素材だろう

 

そうこれを予測できたから魔術師の前でこの姿を晒したくなかった…それにその魔術師が2人…

どんな能力を所有しているか不明の段階で戦闘は不利…

逃走が1番か…

 

もう一度部分獣化しようとしたら、その前にイリヤが僕の前に立ち塞がり手を広げて庇うような体制をしている。

 

「やめて‼︎ニクスに酷いことしないで!」

「イリヤ…」

 

イリヤの手足が微かに震えている。

さっきの自分よりも年上でさっきの戦闘からとても強い人たちであるのは明白で恐怖もある

イリヤは魔術師の事情をあまり知らないけど、仁久須が何か酷い目に遭わされるのは直感できた。

ただ大切な人を守りたいと言う意思・勇気で立ち塞がっている

 

「はぁ〜あのね…そんな事しないわよ。

ただでさえさっき見捨てようとしたのに、それプラス実験材料にするなんてしないわよ…さっきは本当に悪かったわね、ごめんなさい…それでルヴィアあんたはどうなの?」

 

凛さんはさっきの事を悔やんだように謝罪してくる。

そんなに気にしなくていいのに…

 

「まずは私はルヴィアゼラッタ・エーデルフェルトと申しますわ。先程の攻撃から身を挺して守っていただき、御礼の言葉を遅れてしまって申し訳ございませんわ。

そうですわね、もし急に目の前に出されたとしたらそれをする可能性はありますわ。

ですが!先程の攻撃から庇って頂いた命の恩人そしてその事に何一つ触れていないこんな純粋な子にそんな非道、絶対できませんわ⁉︎

そしてそれは優雅さ(エレガンス)とはかけ離れた愚の骨頂!

あなた方は御姉弟ですわね、通常の魔術師はこんな考え方はしませんわ。

もし魔術師に狙われたその時はエーデルフェルト家が全力でお守りする事を誓いますわ」

 

途中からとても早口になりイリヤと仁久須はよく理解しきれていないが多分問題ないってことかな?と首をコテンと傾けている

 

「ですがこの貧乏魔術師のような目先の利益に目が眩んで何をしでかすかわかーー」

「うなことこすっかぁーッ‼︎」

「ホウッ⁉︎」

 

遠坂凛とルヴィアが急にマジカルプロレス(喧嘩)をし始めた

 

『あーあ、さっきまでカッコいい雰囲気出してたのに台無しですね〜』

『ほんとに悪い意味で不変の元マスターです』

 

暫く小競り合い続き、もう流石に時間的に遅いと言うことで各自解散になった。

 

「ニクスが昔からたまに変なこと言う所あったけど、そう言うだったんだね〜」

「あ、うん…そうなのかもね……イリヤってさ…」

「うんうん、なになに?」

「弟が人外だったんだけど…やっぱりさ…その…どう思った?」

 

生物とは自分と違う所を拒絶する傾向がある。

イリヤや兄さんにも出来るだけ隠しておきたかったのはこれが怖かったからだ…

 

「ん〜ちょっとさっきの様子は少し怖かったよ?雰囲気とか変わっちゃってさ…」

 

イリヤが望むなら僕は……

 

「でもさ、それでもニクスは姿・雰囲気が変わってもニクスなんだな〜って思っちゃたんだ」

「…どゆこと?」

 

思っていた風な拒絶な反応を示さないイリヤに困惑する仁久須

 

「だってあのルヴィアさん庇った時だってとても驚いて怖かったんだけどさ、ニクスが優しいままだったって事でしょ?」

『そうですね〜おそらく攻撃の隙を突き仕留めることも出来たでしょうからね』

「ほんとにさっきはわたしの事も守ってくれてありがとう…危ない所を助けてくれて」

 

結構な評価を頂けているようで…お礼までもらっちゃった

 

おそらくイリヤは自分がなにを言っているのか理解していないのだろう、だから打算的ではないと確信できる。

それ故にとても胸が暖かかった

 

「でも!あんな危ない事もう絶対しないでね…?」

「…善処します」

「もう!絶対だからね!心臓がいくつあっても足りないよ」

「あはは…ルビーもありがとうね?」

『何がですか?』

「凛さんとルヴィアさんに僕をどう扱うかを聞いてくれたでしょ?」

 

あの人たちは人間的に見ても、おそらくとても居心地のいい人間だ

だがそれとこれとは別で彼女たちは魔術師だ。

魔術師の事はお父さんによく聞かされたどういう存在なのかを…

それを理解してなくて、そこまで隠そうとしてなかったから結構危なかった。

その際で、ある出来事のせいでイリヤと兄さんの記憶を封印してもらったのは本当に申し訳なかったと思う。

僕のせいで家族に危険が訪れる事だけは避けたかった…

 

『あー、あれですね〜凛さんやルヴィアさんは喧嘩で人を困らせる事はありますが、姑息な手段で一般人に危険な目に合わせる事はしないとは思うのですがもしもの為ですね。なんだかんだ魔術師ですしね』

「魔術師ってそんな酷いことするの?」

『はい、そうですよ?目的の為ならどんな非道も構わないぐらいの事をするような世界ですから凛さんとルヴィアさん以外の魔術師には気をつけてくださいね?できゃ標本にされたりしますよ?』

「ヒェェェェ⁉︎あの昆虫とかのでしょ⁉︎

やだ〜‼︎ヒ、標本はやだよ〜」

 

ルビーの脅しにガチビビりしておられるイリヤ

 

『まあこんな魔法少女(MS)力の高いロリっ子とショタケモナーに手出しはこのルビーちゃんが許しませんよ〜!』

 

酷い言いように苦笑いを隠せないイリヤと仁久須

そして何かを思い出したような反応をイリヤはした

 

「あ、そうだ!あの子⁉︎あの子誰だったの⁉︎」

「あの子って……」

『ああ、そういえばサファイアちゃんの新しいマスターさんですよ!

ニクスさんの正体の影に隠れて忘れちゃってました〜!』

「ん?…そういえば…そうだったね」

 

そういえばあの子誰だったんだろうか…

 

「やっぱり鳥さんだから3歩で忘れちゃうんイダダダダッ⁉︎」

「いや、あなたよりは成績いいですよ?僕?

ここ最近テストの点が悪くてセラにアニメの時間減らされそうになって僕や兄さんに泣きついたのは誰かな〜?」

 

物凄くバカにされたのでイリヤの鼻を摘んで懲らしめる

 

「イタタタ…なんとなくだけどさ…あの子私たちと同じぐらいの歳だったよね?」

「まあそうだね」

 

新キャラしかも同じ魔法少女で同い年

 

「このパターンでいくとこれってさ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「美遊・エーデルフェルトです」

 

昨日の少女が転校してきました。

 

イリヤはこれを予想していたのかな?

そして席はイリヤの後ろに

 

(な、なんか見られてる⁉︎このプレッシャーは、なに⁉︎)

『メンチで負けてはいけませんよ!』

 

確かにイリヤもジト目で観察されている、でもイリヤの前の席の僕も観察されている気がする…

 

『ニクスさんも対抗して、オラついてくださよ〜』

 

わけがわからないよ

 

休み時間になり、早速注目の的にされている。

流石にあの状況で連れ出すわけにはいかないので代わりの方に来てもらいました

 

『ではわたしがお話を伺います』

「これはどうもご丁寧に」

 

昨日美遊さんが持っていたステッキに来てもらいました。

一応注目が美遊さんに向いてるとはいえバレる可能性があるので

窓際で話す事に

 

『まずはわたしのご紹介をサファイアと申します』

「はぁどうも…」

 

挨拶をするサファイアに対してイリヤもこのシュールな絵面に少し困惑しながら返事をする

 

「ステッキって2本あったんだね?」

『ええ、わたしとサファイアちゃんは同時に造られた姉妹なんですよー』

「それでサファイアの方はルヴィアさんの元を離れてあの美遊さんに乗り換えたと」

『はい、今は美遊様にお仕えしておりますがよく分かりましたね』

「まあ、あの夜に凛さんとルヴィアさんが喧嘩してルビーとサファイアが離れていったのを見てたからね」

「え!ニクスあれ見えてたんだ⁉︎」

 

鳥の視力は人間の8倍はあると言われている。

そして仁久須はその気になれば日本から隣の韓国ぐらいまで見えるとのこと

 

『流石は伝説の不死鳥ですね、わたくしたちの常識よりも更に先にいきますね』

『でも美遊さんも大したものですねー初めてなのに宝具を使うなんて』

「「宝具…?」」

 

初めて聞く用語に頭に?を浮かべる仁久須とイリヤ

 

『説明してないのですか姉さん?』

『そういえばカード周りの事はざっくりとしか説明してませんね。一度に説明しても混乱させるかと思いまして』

 

まあ僕らにとって全く知らない知識を100全部教えられたところで覚えられないし混乱しやる気が消え失せるからね

 

『以前凛さんに見せてもらったクラスカードがありましたよね?』

「うん、なんかすごく危険な力を持ってるカードなんでしょう?

「あの弓兵のカードね」

 

イリヤと仁久須はそれぞれ凛さんが見せてくれたカードを思い出す

 

『はい、そのカードはなんの前触れもなく突如この冬木市に出現したんです。異常な魔力(オド)の歪みを観測した協会は調査を開始しました。それが約2週間前のことです』

「2週間か…結構最近だ…」

 

2週間まえに何か変化があった記憶なんてないけど…

 

『魔術師協会は2枚のカードを回収し分析をしましたが…製作者不明・用途不明・構造解析もうまくいきませんでした。ただひとつわかったのは、このカードは実在した英雄の力を引き出せるらしい……ということのみ』

 

あのカードは様々な神話や伝説上の数多の英雄の力を引き出し行使する事ができるらしい。

その英雄からしたらたまったもんじゃないだろう

なんの努力もなく自分の力の一部を使われると言うことを許容できる英雄はそうそういないと思う

 

『その英雄が死亡し英霊の座と呼ばれる高次元の場所へと迎えられます。そうして英霊と成った者はそれぞれが力の象徴たる武装を持っています。通常の武具を遥かに超え奇跡を成す強力な兵器…それが宝具です。わたしたちはカードを介することによって英霊の座へとアクセスし、英霊の持つ力を一瞬だけ具現化し使用する事ができるんですよ。』

『昨夜、美遊様(マスター)が仕留めたのがそれです。刺し穿つ(ゲイ)

死棘の槍(ボルグ)ー放てば必ず心臓を穿つという必殺の槍です。まあライダーには心臓を貫いても辛うじて活動はしておりましたが』

『どうもカード1枚に対し英霊ひとりが対応しているようで…ってちゃんとついてきてますか?イリヤさん!もうちょっと続きますよ!』

 

イリヤが情報量の多さに頭から蒸気を出している。

 

「イリヤもうちょっと頑張って、後で理解できなかった所は教えるから」

「だ、大丈夫だよ…7割くらいは理解してるよ…たぶん……」

 

前々からお母さんからそっち系は軽くだけど聞いていたからなんとか理解はできてるけど、全てが初見のイリヤは理解が少し追いついていないようだ

 

ルビーがやれやれとしながら説明を続ける

 

『では続けますよーもう気づいてるとは思いますが昨夜戦った相手…あれもまたカードによって引き出された英霊の一部……いえ英霊そのものと言っていいでしょう』

「でもそんなに思考ができていた様には感じられなかったけど?本能的に動く感じで」

『はい、その通りです。本来の姿から変質している上に理性が消失しているのです』

 

2回目の魔眼は相手の隙を見て使わずに僕のリーチ内で使ったから防いで、たまたま距離の離れた時にタイミングよく魔眼が刺さったという感じだった。

 

『アーチャーとランサーは協会が派遣した魔術師によって打倒されたのですが…ライダーについてはそうはいきませんでした。彼女には魔術を無効化するという概念的な守りを持っていたようです』

 

魔術師が魔術を封じされたら後は肉弾戦ぐらいだろうから確かに生身の人間があれに挑むのはきついわな

そこで魔術を使うのではなく魔術に使う魔力そのものを武器にして使用したらどうかと言うとこでルビーとサファイアが貸し出されたと

 

だがその使用者に問題があり、ルビーとサファイアを喧嘩に使うとする凛さんとルヴィアさんは見限られ、ルビーにイリヤをサファイアに美遊さんをマスター登録して今現在に至ると。

昨日の頼もしい決断力だけを見ていれば信じ難いが魔力弾の撃ち合いや魔術喧嘩(マジカルプロレス)を見たらそう思ってしまった

 

『協会が感知したカードの反応は全部で7つ残り4枚です。イリヤ様、仁久須様。わたくしたちも全力でサポートしますので美遊様(マスター)としてのカード回収にどうかご協力ください』

 

改まってイリヤと仁久須に向き合い協力を申し出があった。

 

「うん…イマイチ自信はないけど頑張ってみるよ」

『大丈夫ですよ!わたしや仁久須さんもついてますから!』

「あんまり頼りにされすぎると怖いけどね」

 

少し気軽目に受け答えをして美遊さんの事をサファイアに聞こうとすると

 

「サファイア、あんまり外に出ないで」

「いっ⁉︎」「おっと?」

 

突然、後ろから声が聞こえて驚くイリヤと仁久須

 

そしてサファイアが美遊さんの手元に戻っていった

 

『申し訳ありませんマスター、イリヤ様と仁久須様にご挨拶をと思いまして』

「誰かに見られたら面倒、学校ではカバンの中にいて」

 

そう言ってイリヤと仁久須を見る

 

「あ、あの…」

 

気まずい雰囲気に言葉が出ずに仁久須の制服の袖を握ってしまう

 

「ごめんね美遊さん。本人の居ないところで色々聞こうとしちゃって?」

「……いえ」

 

仁久須が話しかけると淡白な返しをしてそのまま廊下を歩き去ってしまった

 

「いや〜我がクラスの女神もダメだったか〜」

「でも唯一返事はしてたよ〜」

「ちゃんとした態度で攻めればいけるのか?」

 

上からタツコ・ナナミ・スズカが教室の入り口から団子さんのように顔を出している

 

「何してんのみんな?」

「やー美遊ちゃんにフラれちゃって…」

 

さっきの質問攻めをずっと続けてたら、〔少し、うるさい〕と言われ出ていったようだ。

まあ気持ちは理解できるからなんとも言えない…

 

 

 

 

 

2時間目になって数学の授業…

美遊さんが指名され、ただ単に円周率を解く問題だが

 

「ーー図より、外接半径と線分0Bの比はcos(π/n)内接半径は線分0Bに等しい…このことから外接半径と内接半径の比はcos(π/n)となり面積比はcos (2)(π/n)…よってこの場合の面積比は4倍となります」キラーン

 

問題を解き終えた美遊さんは少し得意げに振り返る

…褒めて欲しいのかな?

 

だが小学校ではそこまでやらない…用語が出てきたあたりから僕もわからなくなってきた。

周りも全く理解できてなくて『英語?』と言う言葉がポロッとこぼれたほど

 

「……いや、あの……美遊ちゃん?」

「はい、なんですか?」

「この問題は、そんな難しく考える必要はなくて…cosとかπとか使って一般化しなくていいの!」

「?」

 

藤村先生は理解はできるみたいだが、求める範囲を越えすぎてコメントしづらいのかな?

 

「いやそんな不思議そうな顔されても!もっとゆとりを持ちなさい!円周率はおおよそ3よ!文句あんのかコラーッ!」

 

表現が難しいくて叫び出した

 

「ニクスは理解でき…」

「唯の三角形にここまでの分析をするなんてやっぱり人間って凄い…ブツブツ

 

新しい事を学ぶときの仁久須はいつも人類の文明に感動してテンション上がった様に自分の世界を展開しがちである

 

 

 

3時間目になり図工

 

そこでも

 

「こっ…これは…」

「自由に描けとのことでしたので形態を解体して単一焦点による遠近法を放棄しました」

 

ピカソめいた芸術を披露してまた藤村先生が困惑した

 

「ニクスは何描いたの〜……これって黒いドラゴン?」

「そう、1番嫌いなもの描いてみた…チッ……ビリビリ…」イライラ

「あぁ…勿体ないよ…折角うまかったのに…」

 

 

4時間目の家庭科の時間

 

今日は調理実習であった。

 

「なんでフライパン一個でこんな手の込んだ料理がー⁉︎しかもウメェェーッ⁉︎なんちゅうものを喰らわせてくれるのかーッ⁉︎」

「先生少しうるさいです」

 

デジャブではあるが家庭科もできると

 

「ちょっと失礼…はむはむ…ん〜鶏肉美味しい〜」

『『「「……」」』』

 

イリヤと美遊、ルビーとサファイアは微妙な顔をした

 

 

5時間目の体育

 

 

完璧超人の美遊さんにイリヤが闘争心を燃やしている。

 

今日の体育は短距離走と長距離走…クラスのみんな的には地獄の日だった…みんな調理実習目的で来ていたが本当にこの時間は嫌そうにしていた。

 

長距離走は何故か男女共同で行われる…普通は別なのだが

 

「ニクス‼︎絶対勝ってよ‼︎絶対だよ‼︎」

 

闘争心を高めたイリヤが何故僕任せかと言うと

イリヤの得意な短距離走は中々の差をつけて負けたからである。

その後泣きついてきたので〔頑張ったね〜よしよ〜し〕とあやしながら頭撫でてたら機嫌を戻し、いきなり勝てと言ってきた。

 

いや、ギリギリで勝てたけど…勝てたけどさ…

 

 

いや、僕…ずるくない?

再生力で普通に走ってもスタミナ切れとか起こさないから

やろうと思えば永遠と走ってられるけど…

 

でもそんな僕にギリギリまで追いついていた美遊さんが1番凄いと思う。人の身で不死鳥と人間状態とはいえ張り合ったんだもん。

美遊さんが1番でいいと僕は思う

 

 

 

 

 

夕方になり勝てた気はしなかった。

そしてイリヤは得意分野で完膚なきまで敗北したイリヤは体育座りで落ち込んでいた

 

『いつまでいじけているんですかイリヤさん。早く家に帰りましょうよ〜』

「別にいじけてないよ…ただ才能の壁ってのを見せつけられたっていうか…」

 

ため息をつきながら抱っこして帰るかと考えた

 

「…なにしてるの?」

 

不思議なものを見る目で話しかけてくれたのは美遊さんだった

 

「あ、これはどうもお恥ずかしいところを…ミユさんにあらせまして今お帰りで?」

「…なんで敬語?」

 

もっともあと少し美遊の登場が遅れていたらイリヤはもっと恥ずかしい状況を見せられたのである。

 

『何卑屈になってるんですか〜イリヤさん!美遊さんは同じ魔法少女の仲間です。学校での成績なんかで優劣はつきませんよ〜!』

 

その言葉にイリヤは仲間と言う言葉に中々のものを感じである

 

「あなたも…ステッキに巻き込まれてカード回収を?」

「う…うん成り行き上です仕方なくっていうか…騙されて?魔法少女にささられたというか……」

 

イリヤはクラスメイトが言っていた美人などの褒め言葉をしみじみと感じている

 

だが頑張れ!イリヤ!友達を作るんだ!いけ!

 

「そう…………」

 

全く会話が続かない…このままでは会話が終了してしまう!

 

沈黙を破ったのは意外にも美遊さんだった

 

「どうして戦うの?」

「え…?どうして……って?」

 

イリヤの戦うの為の覚悟を美遊さんは聞いている。

 

「ただ巻き込まれただけなんでしょ?あなたには戦う責任も義務もない。本気で拒否すればルビーだって諦めるはず、どうして?」

 

イリヤは痛いところを突かれたことにより観念したように

 

「本当はね、ちょっとこういうのに憧れたたんだ。ホラ、これっていかにもアニメとかゲームみたいな状況じゃない?」

「…ゲーム?」

 

さっきから質疑応答のような淡々としたテンションで美遊さんは話していたが、それよりもどんどんそれから下がっている

 

「うん、まほーを使って戦うとか…ヘンな敵とか…冗談みたいな話だけど…ちょっとワクワクしちゃうっていうか…折角だからこのカード回収ゲームも楽しんじゃおうかなーってそれでーー」

「もういいよ」

 

イリヤの戦う覚悟?を粗方聞いた美遊さんがバッサリと会話を切った

 

「その程度?そんな理由で戦うの?」

「え…な…なに?」

「遊び気分の半端な気持ちで英霊を打倒できるとでも?」

 

イリヤに失望したような口調で冷ややかなで言い放ち、帰ろうとしながら

 

「あなたは戦わなくていい、カードの回収は全部わたしがやる。せめてわたしの邪魔だけはしないで」

 

それだけ言って帰ってしまった。

 

イリヤとルビーは何故怒っているかわからない様子だが何故怒ったかはなんとなく理解はできる。

 

だが覚悟がなくとも意地がなくともやる奴はやるしやり遂げる・成し遂げる…だから全てのやつが確固たる意思・覚悟を持つ必要はないのである。

でも持っていた方が戦いやすいのは事実…でもそんなこと人生も戦闘経験もない平和な世界にいたイリヤがそこまでわかるはずがないのである。

 

 

 

そこでイリヤの愚痴を聞きながら自宅前まで着くとそこにセラがいた。

この時間は大抵家の中で家事をしているけど…珍しい…なんだろうと駆け寄る

 

「ただいまーセラ〜」

「どしたの?何かあったの?」

 

2人を出迎えるセラの表情は少し困惑していた

 

「あ、お帰りなさい。イリヤさん、ニクス…ええとですね…あれを…」

 

セラは自宅の向かいを指をさした。

そこを見ると今朝までなかったはずの豪邸が君臨していた

 

「なっなにこの豪邸…⁉︎こんなのウチの目の前に建ってたっけ⁉︎」

「おお、すご〜い。煙突だ〜」

 

イリヤと仁久須は驚愕する。

 

作りは洋風でイリヤと仁久須の身長の2倍もある門があり、鉄柵で囲まれた壁が囲っている。

 

「今朝から工事始まったと思ったら…あっという間にお屋敷が出来上がったんです。」

 

これほどのものを数時間で造ってしまうのは本当に信じ難いのである…

これだけのものを建てるのだけでも相当金がかかるのに、しかも元々此処には普通の民家があったのだそれが消えたと言うことから抹殺か買収したのかどちらかだろう

 

「いったい、どんな人が住んでるんだろうね?」

「んー地主さん的な?」

「あ…」

 

3人で豪邸を見ていたら突然聞き覚えがある声が聞こえた。

それはさっきイリヤと喧嘩別れしたばかりの美遊さんであった。

 

「あ!ちょっと‼︎え?入っていくってことは…この豪邸、ミユさんの家…?」

「……まあそんな感じ」

 

気まずい雰囲気による気恥ずかしさでそそくさと門を抜けてった

 

「なんだかおかしなコトになってきたね…」

「まあ、なんとかなるのかな?」

「今夜また会うだろうしね…」

 

イリヤはスカートのポケットに入れておいた招待状を取り出す

 

〔今夜0時、橋のふもとの公園まで来るべし〕

 




FGOでスフィンクスが神性持ったたんでフェニックスも神性持ってますよね?
fateの魔法の基準が時間とお金をかけてもなし得ない奇跡なんで、蘇生は電気ショックで、部分獣化は手術でできそうですけど完全再現は中々できないと思ったので魔法の域としました。


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敗北を知りたい()

イリヤ・仁久須・美遊・遠坂凛・ルヴィアとルビー・サファイアの5人と2本は橋のふもとの公園に集結していた…だが…

 

イリヤと美遊は魔法少女化して、仁久須は部分獣化して戦闘準備はできていた。

 

「ほんと近くで見ると不思議よね…人間の腕が鳥の翼になるなんて…でも油断しないようにね、イリヤ・仁久須。敵はもちろんだけど…ルヴィアたちがドサクサ紛れで何してくるかわからないわ」

「なんでこんなギスギスしてるのかなぁ〜」

『お2人のケンカに巻き込まないでほしいものですねー』

「ヘイト溜め過ぎでしょう…」

 

凛さんはルヴィアさんの事を障害物の一つとしか思っていないらしい

 

「速攻ですわ。開始と同時に距離を詰め、一撃で仕留めなさい」

「はい」

「あと可能ならドサクサ紛れで遠坂凛(トオサカリン)だけ葬ってあげなさい」

「……それはちょっと…」

『殺人の指示はご遠慮ください』

 

任務だというのに遠坂凛とルヴィアの歪み合いは止まるところを知らない。

 

『ではでは皆さ〜ん。行きますよ〜、限定次元反射炉形成!』

『鏡界回廊一部反転!』

『『「「接界(ジャンプ)‼︎」」』』

 

 

 

 

 

 

『いや〜ものの見事に完敗でしたね、歴史的大敗です』

「な、なんだったのよ…あの敵…」

「ちょっと、どういうことですの⁉︎ありえませんわ⁉︎」

『敗北は敗北です、受け入れてくださいルヴィア様』

 

今回の勝敗はこちらの完敗、わからせられました。

敵のいる鏡面界に転移した後、一同を出迎えたのは空いっぱいに展開されてた魔法陣であった。

待ち伏せを受けて早々に魔力弾の一斉掃射を浴びせられた。

 

遠坂凛陣営はルビーの障壁で

ルヴィア陣営はサファイアの障壁で防ごうとしたら、貫通してきて各々がダメージを喰らった。

遠坂凛たちはルビーたちの魔力防御力の高さを知ってるが故にその魔力の規格外さを実感した。

 

仁久須が飛んで攻撃しようにもさっきの攻撃で翼がボロボロになりまともに飛べないしまだ再生がはじまっていないから行動ができない。

 

美遊が反撃に最大出力の魔力弾を放ったが敵に当たる前に弾かれた。

敵の周りには魔力指向制御平面という相手の魔術を無効化する魔法陣を張り巡らせていた。

 

準備万端なお相手、こっちは色々想定外でガタガタ…

これには一度撤退して作戦を建てる必要が出てきた

だがその前に高速で魔法陣を展開した。

頭上に浮かぶ巨大な魔法陣を目にしてそこから放たれるであろう魔術の威力を想像し、ゾッとする。みんな消し炭だね☆

 

即座に撤退の準備の為ルビーとサファイアが離界(ジャンプ)の詠唱始め、攻撃が当たる直前で脱出が間に合った。

少し掠った気がする…

 

「まるで要塞でしたわ…あんなの反則ですわよ‼︎」

『もう魔術の域を超えてましたね。そりゃ障壁で相殺しきれないわけです』

「痛かったよ…」

 

ルヴィアさんは悔しさに歯軋りし、ルビーはしょうがないじゃんというように返す。

 

『あれは現在のどの系統にも属さない呪文と魔法陣でした。恐らく失われた神代の魔術と思われます』

「それでもあんな威力だったかな…」

『実際どうだったかではなく、曖昧な信仰や解釈によって存在が持ち上がり、実際に存在してたよりも強力になりますので…』

 

信仰心一つで英霊はここまで変化するらしい

 

「それにしてもあの魔力反射平面が厄介だわ…あれがある限りこっちの攻撃が届かない」

『攻撃陣も反射平面も座標固定型のようですので、魔法陣の上まで飛んでいければ戦えると思いますが…』

「…と言ってもねぇ、この中で飛べるの仁久須ぐらいで翼が損傷したら飛べないし…」

「面目ないです…」

 

再生が終わった翼をシュンと下す。

初動さえ遅れなければ問題ないのだが…

 

「大丈夫よ…それ以外でも充分戦力になれるし…」

「なにか火とか吐けませんの?」

「うな無茶な…」

 

無茶振りを受けて苦笑いをこぼす

 

「あ、そっか。飛んじゃえばよかったんだね」

 

さも当たり前のようにに飛んで見せたイリヤ…

 

翼もないのによく飛ぶね

これでいつでも巣立ちできるね♪

 

「ちょっと‼︎なんでいきなり飛べるのよ⁉︎」

『すごいですよイリヤさん!高度な飛行をこんなサラッと!』

「そ、そんなに凄いことなの?コレ?」

「そうだよ最初の巣立ちができるかできないかが最初の生死の別れなんだから、凄いことなんだよ」

 

巣立ちに失敗するとその下にいる捕食者に食べられて死ぬからね

 

『流石自然で生きていた人?ですね〜考え方が生物的です』

『そういうことではありませんが、強固で具体的なイメージがないと浮くことすら出来ない筈です。何故…』

「どうしてと言われても…魔法少女って飛ぶものでしょ?ちがうの?」

 

「「なっ…なんて頼もしい思い込み…ッ‼︎」」

 

たぶんイリヤは魔法少女のアニメを見ていたからそういう認識なんだなぁ〜

やっぱ人間の文明って凄い

 

「くっ…負けてられませんわよミユ!あなたも今すぐ飛んでみせなさい!」

 

対抗心を燃やしたルヴィアが美遊に飛行を強要した。

だがイリヤが飛んでからずっと黙り込んでいる。それにルヴィアも気づいて心配しだす

 

「ミユ?どうしましたのかしら…」

「…ません」

「はい?なんですの?」

「人は…飛べません」

「な、なんて夢のない子⁉︎そんな考えだから飛べないのです⁉︎それならニクスだって飛べるでわありませんの⁉︎」

「あの人は…翼が生えてます」

「そんな考えだから飛べないのですわ‼︎明日までに飛べるように特訓ですわ!」

「あう…」

 

ルヴィアは美遊の首根っこ掴んでプライド高めの母親感じで美遊を連れ帰った。美遊は壊れたラジカセのように「無理です」「不可能です」など否定的な言葉を繰り返す

 

「やれやれ…今日はとりあえずお開きね、お疲れ様。明日はちょうど学校もないしわたしも色々戦略練ってみるわ」

 

凛さんの言葉を聞きイリヤが疲労で僕に寄りかかってくる。

翼に頬を擦り付けて甘えてきて愛らしいが…

 

「あったか〜い、ふさふさ〜凄いね〜この火、全然熱くないよ〜」

 

イリヤは気持ち良さそうだがやられてる僕はなんとも言えない気分だ

というか火に寄りかかってくるとか度胸あるね

 

「あれに勝てるかな?わたしたち…」

「まあ…明日僕たちも特訓しよっか…」

 

 

不死鳥は能力的に他者を癒す事は出来ても、守る事は出来ない。

 

出来るだけイリヤにも空中戦を行えるようになってもらわなきゃ…

 

 



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魔法少女の舞台裏

翌日

 

仁久須とイリヤ、ルビーは人気のない林の中に来ていた

 

「うーん、林の中で特訓とか…魔法少女にしては随分と地味だよね」

「派手な所って大体人目のある所だからこういう所になっちゃうよね…」

『舞台裏なんてそんなものですよー日々の地道の努力が実を結ぶのです…まあイリヤさんは違った目的で来たかったみたいですが』

「違う目的って何?」

「黙っててルビー⁉︎ニクスは気にしなくていいから‼︎」

 

凄い勢いで迫ってくる…触れない方が身のためだな

 

『それではチャチャっと変身して特訓始めますよーコンパクトフルオープン!鏡界回廊最大展開!』

「魔法少女プリズマイリヤ推参‼︎」

「パチパチ…じゃ、やろっか」

 

僕も部分獣化して準備を整える

 

イリヤは変身シーンがいつもよりも雑だったのが気がかりであるがルビーが尺の都合と言う事で片付けた

 

「あ、そうだ!ニクスって不死鳥なんでしょ?」

「まあそうだね、それがどうしたの?」

 

イリヤが不死鳥の仁久須が何故人間になっているのかが疑問だったらしく聞いてきた。

それに仁久須は前世で死んだからと答えたが不死なのに死んだことがよくわからないみたい。

 

「不死とは言っても、色々条件があるんだよ。

これされたら死んでしまうとか、蘇生できないとかね。

不死鳥の場合だと死亡時の灰状態の時に水などで濡らされると蘇生できないね。

その時身動き出来ないし」

『なるほど〜ではニクスさんは何があって死んじゃったんですか?』

「ん?そうだね〜

前世で空飛んでたら突然大きい黒龍に襲われて死んで灰になってそれが水辺に落ちて濡れちゃって蘇生出来ずに死んじゃったよ♪

たぶん不死的に結構若く死んだと思う…100ちょっとぐらいだね」

「結構軽く言うんだね……だから昨日黒いドラゴン破いたんだね…」

 

自分の死因を気軽に説明して苦笑いをされている

 

不死鳥にとって100歳とはちょうどイリヤぐらいの歳である。

 

ようやく特訓を始めると言うことで、まずイリヤの魔力の効率運用を最適化するのこと。

飛行には大量の魔力を消費する

ルビーも魔力を無制限に供給できるが一度に使える量は個人差があり

それをうまくやりくりしながら戦うと言う事。

 

イリヤが浮遊し始めたので、仁久須も続いて翼を羽ばたいて飛ぶ。

 

「あ、リンさんからコレ預かってきたんだけど、試しに使ってみていいかな?」

『あら、カードですか。いいですよー』

 

使い方間違えれば街を滅ぼす力を持つものだから一応用事しながらイリヤを観察する。

 

「アーチャーっていうくらいだから弓だよね。どんな武器が…」

 

イリヤがカードをルビーにかざす。

 

「えーと…限定展開(インクルード)!」

 

イリヤが詠唱をするとルビーがイリヤの身長よりも大きい弓になった。

 

「スゴ‼︎ホントに出た!これがあれば勝てちゃうんじゃない⁉︎」

「凄そうな弓だけど…矢は?」

「あ、たしかに…ルビー矢はどこ?」

『ありませんよ?』

 

さも当たり前のように答えるルビー

 

「ええ弓だけ⁉︎全然意味ないよコレ!」

 

仕方なく下で大きめの石を掴んでイリヤの元へ届けた

 

「とりあえずコレ飛ばしてみて」

「わ、わかった…おっも⁉︎…よいしょっと…えい…あ」

 

石を矢の代わりに渡したけど

石だとうまく弓で撃たなかったみたい

木の枝折った方が良かったか…

 

『そういえば凛さんが試した時は手近にあった黒鍵を矢の代わりにしてましたが…』

 

ぐだぐだしている内に弓が元のステッキに戻ってしまった

 

「あ!戻った!」

「…制限時間とかあるの?」

『はい、暫くすると元に戻り。暫くアク禁されて同じカードは連続で使えないです』

「はぁ…地道に特訓するしかないね…」

 

イリヤは派手な事ができると思ってたらしく、少しげんなりとしている

 

「じゃあまず、基本の攻撃からの回避と動き回る相手へ攻撃を当てる練習ね」

 

そこからは凄かったです。

ニクスが空中を踊るように動き、私を撹乱して攻撃しても簡単に回避し背中やお腹を軽く(結構衝撃はありました)蹴りを繰り返しました。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…も、もう限界…」

「うん、じゃあこのくらいにしよっか」

『いや〜イリヤさん〜ボコボコですね〜』

「ほんっと姉を蹴り飛ばすとか…ありえないよぅ」

 

イリヤは疲労で仰向けに転がっている。

そんなイリヤを見ながら休もうとした

 

「あ…そういえばミユさんってどんな特訓してるんだろうね」

 

今日はルヴィア

さんが何か付きっきりで美遊さんに飛行を叩き込むとか言ってたけど…まさか身体が浮くと言う感覚を味合わせる為に上空から突き落とすとか…そんなこと…

 

そう思って上を見てみたら……

お空高くに一機のヘリがいた…

そこにはルヴィアさんとヘリのドア枠にに捕まって、産まれたての小鹿のように震えている美遊さんがいた。

 

何かを話しているけど視力がいいだけで聴力は並程度だからわからないが普通の会話ではなさそう……あ…

 

ルヴィアさんが美遊さんを蹴り落とした…

やな予感って大概当たるよね…

 

そんな事思っている場合ではない⁉︎

魔法少女の防御力は並大抵ではないとは思うけど!

数百メートル上空からの落下は耐えられるかわからない‼︎

 

そう感じて全力で空へ向かって飛んだ

 

「うわっ!」

 

いきなりの強風にイリヤがびっくりしているけど、今はごめん。

美遊さんを助ける事が先決だ。

 

どんどん落下速度を上げて落下していく美遊さんは体を丸めて衝撃に備えようとしている。

昨日から思っていたけど美遊さんの対応力は凄いと思う。

 

 

 

 

 

受け身を取るだけして後はサファイアの物理保護に任せるしかない。

冷たい風と内臓が上に動くような感覚、上空から落下していると言う現実からくる恐怖。

 

(こわいよ……お兄ちゃん…)

 

もしかしたら死んじゃうって思い目を瞑ってしまい

脳裏にこの世界に送ってくれた私のお兄ちゃんを思い浮かべた

 

だけど急に暖かい何かに包まれて落下が遅くなり

そしてまた冷たい風を浴び、

何か硬いものにお腹を掴まれるような奇妙な感覚を味わい、

目を開けてみるよ目の前には上から見る冬木市の街並みでも落下はしていなく、お腹の部分を見ると鳥の脚が私の身体を鷲掴みしていた…

咄嗟に攻撃しようと考えたがよく見るとこの脚どこかで…

 

「えっと…大丈夫?美遊さん」

「え、あ、その…」

 

その声はあの少女のそばにいた不死鳥の身体を持つ人だった。

 

そして美遊は助けてくれたのが自分の兄ではないことに少しがっかりしたが危ない所を助けて頂いたのに流石に失礼すぎると考えを切り替える

 

「あ、ありがとうございます」

『あぁ…仁久須様ありがとうございます。

全魔力を物理保護に変換しても美遊様のお体が無事か不安だったので…本当にありがとうございます…』

 

サファイアは安堵したような声で感謝を述べる

 

「まあ、無事ならいいんだけどさ…何してたの?」

『そのですね…ルヴィア様が飛ぶ為に身体が浮く感覚を実体験で知れと命令しまして…』

 

サファイアが説明してくれて本当に予感通りとは

まだまだ野生の感は衰えてないのかな?

 

「んーじゃあすぐに着陸しないでこのまま滑空しながら降りる?」

『美遊様、こんな体験なかなかできません。

ルヴィア様の案よりは格段に身につくと思います』

「はい、お願いします」

「うん、了解でーす」

 

 

美遊さんを掴んだまま大きく円の時で滑空しながら降りる

 

「美遊さんどう?感覚掴めそう?」

「いえ、何故私を掴んだまま飛行を可能なのか、体積やわたしの体重とあなたの…えっと」

 

そういえば名乗っていなかったね

 

「自己紹介遅かったね、衛宮仁久須って言うんだ。仁久須でいいよ!」

(衛宮⁉︎…そんな…まさか…)

「ん?どうしたの?酔った?着陸する?」

「ッ⁉︎いえ、大丈夫です。続けてください」

 

自己紹介してからなんか美遊さんの様子がおかしかった…

暫く擬似飛行をしていたが美遊さんはその感覚を掴めそうになさそうだ…そうだ!

 

「イリヤも飛べるからさ、イリヤからも飛び方聞いてみたら?」

「えっ…イリヤスフィールにですか…」

「うん、昨日の今日で言いづらいかもしれないけどさ

イリヤも悪いやつじゃないし、なんなら僕から言うこともーー」

「何故そこまでしょうとするのですか?あってたった数日の関係です」

 

美遊は突然出てきた人間に何故ここまで親切にしてくれようとしているのか不思議だった

 

「ん〜深い理由はないんだけどね、仲良くなりたいな〜って、友達になれるかな〜って思ってたんだよね」

「仲良く…友達…?」

「うん、友達…自分との時間を楽しく共有できる人のことだね」

 

それ本当はイリヤみたいな感覚を覚えて、なんとなく他の人間よりも優しく、特別待遇をしてしまうのだが流石にそれを言うのは恥ずかしいかったので言わないようにしようと決めた仁久須

 

美遊がかなり深く考え出したので仁久須はかなり無理をさせているのだと気づき慌てて

 

「いや、本当に気に食わないならいいんだよ?

その…なんだろう…本当に無理ならカード集めの為のビジネスフレンド程度でも…いいんだ…けど……いやでも…ちゃんと友達にもなりたいし…うーん」

 

焦りながら妥協案を提示して、でもそれじゃ自分的に納得がいかなく、でも美遊の意思を最優先であるからと葛藤している仁久須の様子を見てクスリと笑い

 

「じゃあ…ビジネスフレンドで…」

「ガーン⁉︎」

 

こう言ったら、どういう反応されるのか好奇心で発言したら予想以上にショックを受けていて、飛行も不安定になっている。

 

「冗談です、ちょっと意地悪してみました。すみません」

「ぶー、美遊さんのアホめ…」

 

悪ふざけに拗ね気味な仁久須を見て、とても伝説上の生物とは思えない親近感のようなものを抱いた。

 

「さっきはああ言ったけど友達のことゆっくりでいいから少し考えてくれないかな?」

「……わかりました。少し考えてみます。

イリヤスフィールの事も、あなたの事も」

「うんありがとう!」

 

そこから特に話はなく、上下左右にも動きながら滑空していって陸につき、優しく美遊を下ろして

 

ジト目で腕を組み

睨んでくる姉の姿が待っていた。

 

「ねぇニクス?」

「う、うんなんでしょう…」

「なんか、優雅に、ミユさんと、楽しい飛行をしていたけど…何してたの?」

 

だんだん近づいてくるイリヤに恐怖しながら少し後ずさる…

若干目の光が消えながら近づいてくる様は昨日のキャスターの大魔術よりも迫力があると思った。

ちゃんと美遊に唯飛行の擬似体験をしてもらったって言ったけど…信じてもらえてるだろうか。

そんないかがわしい事なんて一つもないはず…はず

 

そこで美遊が勇気を出してイリヤに飛行の仕方、そのイメージを教えてくれと言った。

イリヤのイメージ元である魔法少女のアニメを観ることになる。

 

その勇気とその後の展開に僕まで感動して嬉しくなってしまった。

 

だがその前にイリヤが自分も擬似的飛行をさせろと

姉命令なる邪悪な呪いを発動して少し時間を食ったのである。

 

そんなに楽しいかな?これ?

 

 



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神代への再戦

接界(ジャンプ)完了!一気に方をつけるわよ!」

「2度目の負けは許しませんわよ!」

 

「「「了解!」」」

 

遠坂凛とルヴィアは指示のあとすぐに橋の下に退避

イリヤと美遊、仁久須は戦場へ駆け出す

 

前回、想定されていたように事前準備をされていた事から

今回もさらに事前準備されていると予想し、

できるだけ短期決戦で仕留めることになった。

 

予想通り、前よりも魔法陣の数が増えているが

キャスター本体は前も変わらず上空、移動され潜伏されるのが1番厄介であったがそこは問題ないらしい。

 

あとは…

 

『いけますか美遊様』

「大丈夫」

 

美遊は跳んだのである、空気を蹴ったように

 

「おお…そんな感じに…」

「飛んだ…」

『飛んだというか跳んでないですか?アレ?」

 

悠長にしていると仁久須とイリヤの背後からレーザーポイントが追ってくる

 

「イリヤ行くよ」

「え?…うぇっ⁉︎ちょっと⁉︎」

 

イリヤの肩を掴んで速攻で魔法陣の上まできて

イリヤを放り投げるように解き放つ

 

「ちょっと⁉︎何すんの⁉︎」

 

投げ出されたことにより空中でぐるぐると回り

三半規管が狂いそうになるが

特訓の成果ですぐに体勢を立て直す

 

『さあさあ、この空がバトルフィールドですよ〜!

敵勢力を排除して制空権を我が物にするのです!』

「な、なんかテンション高いね!」

「そんなこと、どうでもいいから作戦通りに!」

 

仁久須が接近戦で

イリヤが撹乱

美遊がトドメを

とこんな感じな役割である。

 

仁久須が瞬間火力を持っていたら話はもっと変わってくるがこの状態ではどうにもできない。

 

仁久須はキャスターに接近する、

仁久須の腕や脚を見て研究材料をみる目で見た。

魔術師としての性なのか…

 

気持ち悪さを感じながらも接近すると

魔法陣を展開して魔力砲で迎撃してこようとする

 

身体を回転やジグザグに動きながら躱し、

仁久須のリーチに入ったら

まず下から腹部に蹴りを入れる、

強化してかぎ爪が鋭くなってるので蹴られた跡から血を流しながら

上に少しノックバックする。

下に行かれると大量の魔法陣の中で戦わないといけないので何としてでも下には行かせないようにする。

 

特訓中にルビーに名付けなれたウイングブレイドで左脚から肩にかけてまで切り血が吹き出す、空中だから真っ二つにはできないがダメージにはなった。

その勢いでキャスターを蹴り飛ばし距離が離れる

相手も空中戦は得意なのかすぐに立て直しお返しとばかりに魔力砲を放とうとするが

 

「中くらいの…散弾‼︎」

 

イリヤが範囲が広めの散弾を撃ち、キャスターは魔力障壁を張りガードするが動くことはできないみたいだ…

その隙に美遊が近づきクラスガードをサファイアに翳すが…

 

「【ランサー】限定(インク)…」

 

決め手を打とうとするがキャスターが突然消えた…

消滅というよりかはそれは…

 

「消え…」

 

少し距離をとっていた仁久須は見た、美遊の後ろで杖をバットのように振りかぶっている所を

 

「美遊さん⁉︎うしーー」

 

その前にキャスターが美遊を弾き飛ばし地面に叩きつけた…

 

「ミユさん⁉︎」

『今のは…⁉︎』

 

不意打ちにサファイアの物理保護が間に合わず、美遊が負傷してしまった。足も負傷しており立ち上がれなくなっている

 

追い討ちに美遊に向けてレーザーポイントが狙いを定めた。

サファイアの障壁も貫通する砲撃をあんなに受ければ障壁ごと消し飛ぶ

 

即座に助けに行こうとするが先にイリヤが動いていた

では僕がすることは

 

イリヤが美遊を抱き上げ間一髪に集中放火を回避し、

 

仁久須は攻撃の隙に接近し、

蹴りやウイングブレイドでまた応戦する。

 

唯やはり決め手にかける…

 

キャスターは防御や回避に専念しているのか

大したダメージにはなっていない

 

「どいて‼︎ニクス‼︎」

「仁久須は待機!」

「ッ⁉︎了解‼︎」

 

どうするか考えていた所イリヤと美遊が復帰してきた。

唐突に指示を受けてイリヤがキャスターに向けて弾幕を張った

 

ギリギリの所で離脱する無造作な攻撃に見えるがイリヤと美遊に何か策があると信じて、指示通り機を伺うことにする。

 

ひたすらイリヤが弾幕を貼り続けている。

 

「ちょっと…まだ続ける気⁉︎同じ策は通用しないわよ!」

「一時撤退ですわ!戻りなさい3人とも‼︎」

 

地上で戦況が不利と感じた凛さんとルヴィアさんが撤回の指示を出すが僕らは無視しで戦闘を続行する。

 

当初の作戦とは全く違うイリヤが前に飛び出した

 

「イリヤスフィールが前に⁉︎」

「だーっ‼︎あのバカ役割分担くらい守れーッ!

「ニクス‼︎2人を連れ戻しなさい‼︎」

 

イリヤは敵が転移して攻撃を回避してしまうなら、どこにいても当たるような弾幕を張る。極大の散弾を放ち、キャスターの反射平面を利用して自分の弾を反射させて空間に全てに散弾をばら撒いた

 

(範囲の大きすぎる散弾じゃダメージは与えられない…でもこれなら敵の動きが一瞬止まるはず…!その一瞬があれば‼︎)

「弾速最大…狙射(シュート)!!!」

 

美遊の速射を受け、キャスターは落下し、

そこへ仁久須が向かいキャスターの頭を掴み

バク転の要領で顔面を地面に叩きつけてクレーターができた。

 

「あぁ…女性の顔をなんてことを…」

 

即座に離脱し、止めに凛さんとルヴィアさんが宝石を構え

 

Anfang(セット)ー‼︎豪風弾五連」

Zeichen(サイン)ー‼︎爆炎弾七連」

 

「「炎色の荒嵐(ローターシュトゥルム)!!!」

 

巨大な爆炎でキャスターが撃破したと思われ、空の魔法陣が消えていた。

 

「うひゃぁー…壮絶……」

『見てるだけ文句いうだけかと思ったら…

意外と役に立ちましたね』

「でも魔法陣が消えた…ってことは…」

『そうです!我々の勝利ですよ〜‼︎』

「なっ…なにこの恥ずかしい花火⁉︎」

「………」

 

確かに魔法陣も消えたから撃破したと思うけど…

何か…何かがまだ終わってない予感がする

 

「ニクス…?どうしたの?」

「ちょっと行ってくる」

「えっ⁉︎ちょっ」

 

なんの根拠もないだが…

 

爆炎から発生した煙を両翼で吹き飛ばした。

そうするとカードがなかった。

 

「なっ!」

(転移…⁉︎)

(逃げていた)

(まずい…あの魔法陣はー)

 

キャスターが死に体を酷使して遠くで空間ごと焼き払う気で決死の一撃を加えようしていた。

美遊が焦って止めを刺すべく飛び出してしまった。

 

(だめ…それじゃ……そうだ‼︎)

 

美遊は間に合わないと悟ったが迎撃も脱出もできない距離にいた。

せめてイリヤが脱出をと後ろを見たら、

イリヤが美遊に向けて魔力砲を放っていた。

 

「乗って‼︎」

 

魔力砲に乗る…そうか!

 

美遊はイリヤの意思を汲み取り、それに乗った。

魔力を足場にした時の要領で魔力砲に乗り高速でキャスターまで向かう

 

「クラスカード【ランサー】限定展開(インクルード)…」

 

サファイアにランサーのカードを翳し

ゲイ・ボルクを召喚しキャスターの心臓を貫き

今度こそ、撃破した。

 

イリヤと仁久須は美遊が心配になり一緒に迎えに行った。

 

「ミユさん!大丈夫〜?」

「無事!」

 

行くと美遊とサファイアの空気が重かった。

 

 

「なんでもない…行こう、空間の崩落前に」

「あれ?そういえばなんか遅いね?

前はこのぐらいにヒビとか地割れとか起きてたのに…」

 

嫌な汗をものすごくかいている、鼓動もとても早く

さっきよりもやな予感がする

何かが警報を鳴らしている

 

〔すぐにこの場から逃げろと〕

 

「…えっ…ど…どういうこと?ルビー…」

『最悪の事態です』

「あり得るの?そんなこと…!」

 

凛さんとルヴィアさんが新たに現れた敵によって切り倒されていた。

その敵は黒く禍々しい剣を持った騎士であった

 



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漆黒の騎士王

まずい、突然の襲撃により凛さんとルヴィアさんが切り倒されて血を流している。

流血もあるが敵との距離が近すぎる

 

そしてあの敵、絶対的な強者感を醸し出している。

今の仁久須ではとてもだが敵わないだろう

 

じゃあ、なんだ。それ程の敵を

イリヤと美遊さんが相手をするっていうのか…

 

魔法少女と化した2人でも勝てるとは思えない。

 

なら

 

 

僕がやるしかない!

 

 

 

覚悟を決めて黒騎士に向かっていく。

後ろでイリヤと美遊さんの静止の声が聞こえるが

もう敵に存在が発見されている。やめる事はできない。

 

敵は黒い霧のようなものを剣に纏わせて振り抜く

 

黒い霧のようなものは刃となり、仁久須に向けて放ってきた。

 

やばいと感じて咄嗟に横に跳び、回避する。

すると地面が豪快に切れている。

 

受けるより回避の方が絶対良いと判断する。

だが行動に起こす前に敵が剣を振り上げながら突進してきた。

 

想定よりも圧倒的に速かったため

回避は間に合わないと判断し

両翼をクロスさせて受け止めるが

翼がバキバキとヒビが入り激痛が走る

剣で押し潰すように力を入れ仁久須の身体を地面にどんどん沈ませる

 

このままでは不味いと感じ敵の剣を地面へ受け流し

その勢いで剣が地面に埋まる、

流れと隙をつき右脚で回し蹴りを横っ腹に入れようとするが敵が馬鹿力で剣を強引に振り抜き右脚を切り飛ばされた。

 

遠くから悲鳴が聞こえる

 

脚を切断された血が大量に垂れ流れる、鈍痛に襲われる…

そんな事関係ない、どうせ生えてくる、再生する。

 

切断されたことにより、貧血によりバランスが崩れ横に倒れてしまう。

敵が追い討ちをかけるように剣を振りかざそう攻撃してきた。

咄嗟に転がって回避でき…ず左の翼の半分を切断された。

 

意地で起き上がって切断された脚で突き刺そうとするが、

腹部を黒い剣が突き刺さる。

 

ゴボリと吐血するがちょっといいや…もう剣は使えないだろう

 

ひび割れていた右翼は再生を終え、まともに使えるようになった

右翼を再強化し、左翼が無くなったことにより、魔力が集中してさらに鋭くなる

敵の左肩から強引に刃を入れ左腕を切断した。

 

敵の言葉にならない獣のような悲鳴を上げながら片手で仁久須の腹部を貫通していた剣を振り抜き地面に叩きつける。

勢いを殺しきれずゴロゴロと転がり、なにかの前に飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いというよりも処刑のような残酷なものを見た

 

ニクスがあの敵に挑んだときほんの少し希望を抱いた。

もしかしたらニクスがライダーの時みたいに敵を倒すと思っていた。

でも実際は手も足もでずにどんどん傷つけられる。

 

四肢の二つがもがれ、お腹にあの黒い剣が貫通する。

 

唯それでもニクスは諦めていなかった。

血を吐き・流し、片翼になった翼を強引に敵に振り下ろし

敵の腕を切断した。

 

でもその圧倒的な暴力の塊には敵わないかのように剣を振り抜き叩きつけられた。

こちらに転がってきた。

 

「うぐッ…仁久須さ…ん」

『辛うじて生命反応はあります、ですが…』

「え…」

 

その悲惨な様子に美遊が口を押させながら安否を確認する

 

「カハッ…ウグッ…まだ、なのか…」

 

敵は片腕を失い、血を流してかなりの負傷しているが

それでもまだ動けるらしい。

 

『動いてはダメです!今生きていることが奇跡みたいなもんなんですから!』

「もうやめてください!

このままじゃあなたは死んでしまいます‼︎」

 

フラフラになりながら、血だらけになって片足で立ち上がろうとしている。

仁久須はまだ戦うとしている。

 

やっと傷口から炎が出始めたがとても戦える状態ではない。

 

敵はこっちに近づいてくる…恨みをこもった目で

 

殺される…変身していてもあれほどの相手には敵わない。

 

殺される…わたしもミユさんも。

 

殺される…倒れているリンさんもルヴィアさんも

 

殺される…瀕死の身体のニクス、これ以上攻撃されたら死んでしまう

 

殺される?…なんでニクスが…

 

いやだ…そんなの…

 

「いやだ…」

 

ニクスが死んでしまう…その事による恐怖で…

わたしの中でかちりと何かが外れる音がした。

 

何が起きたのかよくわからなかった。

ただニクスが殺されるのが怖くて…悲しくて…どうしようもなくて…

 

ニクスを失いたくない…これ以上傷つけさせない。

その思考しか今のわたしにはなかった。

 

そして…わたしの記憶はここで途切れる。

 

 

 

 

 

 

 

「な…なに…?何が起きてるの…」

 

イリヤから魔力の嵐が、膨大な魔力が噴出している。

美遊は転身している為、風圧には問題なく耐える事はできる

だがまだ再生途中の仁久須にはそれもダメージになってしまう。

美遊は仁久須を庇うように障壁を展開する

 

(タオ)さなきゃ…」

「えっ…」

 

(タオ)さなきゃ」

(タオ)さなきゃ」

(タオ)さなきゃ」

(タオ)さなきゃ」

(タオ)さなきゃ」

 

イリヤは壊れたラジカセのように言葉を唱え出した

 

どうやって?

 

「どうやって…?手段(シュダン)…?方法(ホウホウ)…?(チカラ)…?」

 

ああーーそういえば

 

(チカラ)ならここにあった」

『イリヤさん…一体何を…』

 

イリヤはポケットからアーチャーのクラスカードを取り出し、足元に謎の魔法陣を浮かべる。

 

夢幻召喚(インストール)

 

今までクラスカードの使用方法は限定展開(インクルード)による各カードに設定された英雄の宝具を一瞬だけ具現化する事だけ。

だが今イリヤが行った事は自らを英霊と化している。

 

意識があるそれぞれは驚愕している。

カードの新たな使用方法やその手段などを

 

唯先程の膨大な魔力放出と英霊化によって

致命傷を受けた敵は脅威と認識し宝具を使おうとする。

 

「だめ‼︎逃げてイリヤスフィール‼︎」

『イリヤさん⁉︎不味いですアレは宝具を使用しようと…』

投影(トレース) 開始(オン)

 

美遊とルビーの声に反応せず

短い詠唱と共に右手に魔力を作り出し

敵の持つ剣とは正反対のような美しい聖剣を創り出した

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!」

 

正反対の剣から放たれる宝具同士のぶつかり合いは

敵の負傷や黒化による型落ちなどといった要因が重なり

多少の拮抗はあったが敵の宝具ごと敵を消し飛ばし撃破した。

 

イリヤにはこの時の記憶はなく、それを目撃したのは美遊と仁久須、ルビーとサファイアだけ、この場で何が起こったのか…正しく理解している者はいない。

だが…今回は誰一人死亡者を出す事なく生き延びた。

長い夜は終わった。

今は…それだけでいい。

 

イリヤの中でカチンと何かが施錠された。

 



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休息の時

部分獣化の設定を

手足や体の一部を本来の自分に変化させる→×
手足や体の一部を過去の自分に再生させる→◯

に変更しました。


左腕と右脚などの身体の欠損は全て再生が終えた、だが

 

ここまでの大量の血液の損失は経験がなく

血液の再生がうまくいっていない

体感的に半日ほどで血液の再生が滞りなく行われるだろう

 

まあそんな事で、貧血でまともに動けないはずなのにいつもの生活を演じようとするが、リビングに行く過程で階段から落ちた。

ただその時階段の近くにいたリズに受け止めてもらった為

特に怪我はなかったが貧血による顔面蒼白や体調がばれ強制的に学校を休まざる終えなくなった。

 

「今日は絶対安静です。先程のように階段から落ちられても困りますので、イリヤさんと一緒に学校には連絡を入れておきます」

「……わかったよ…イリヤは大丈夫なの?」

 

イリヤも熱が出て欠席である。

 

「熱はありますが、他の症状は見られません。

それほど心配はいりませんよ」

「よかった…」

 

昨日の謎の力が影響で身体に異常が生じているのではと心配したが問題ないようだ。

 

「ではゆっくりお休みください」

 

セラはそれ以上何も言わずにいつも通りに部屋を後にした。

 

おそらく二人揃って体調不良に何か感じるところがあるだろうが、聞いてほしくない様子に尋問は免れている…

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだったの?イリヤとニクスは」

「…イリヤさんはほぼ間違いなく封印が一時的に解けた形跡があったわ。10年間蓄積されてきた魔力の一部が開放されたとみて間違いないでしょう。今の発熱はその反動です。ですが…」

「ニクスの貧血はわからない?

受け止めた時相当軽かったよ」

「まあそうですね。おそらく流血によるものでしょうが傷跡は見たところありません。

ですが問題は封印が解けたのと貧血の原因です。

あの封印は死の瀬戸際とかそういう状況にならない限り外れる事はないですし、流血が起きるような出来事が発生したと言うことです。ああ、もしかしたらイリヤさんとニクスは厄介な事件に巻き込まれているのでは……!」

 

セラの考察は正解でこの事件はかなり複雑化しているのである

 

「考えすぎだってー巨大蚊に襲われて血を吸われて、危険感じて封印解除ーとかそんなんじゃないの?映画で見るよそういうの」

「それはそれで問題ですっ!っていうか最近のあの2人わたしに何か隠し事してるような気がするんですけどっ!!!」

 

反抗期⁉︎など叫び散らかしている

 

 

 

 

 

 

「暇だ…」

「暇だねー…」

 

 

午前中で血の再生はほぼ完了していつもの調子を取り戻した。

 

そして寂しくなったのかイリヤが部屋に入ってきてベットに潜り込んできた。

この際暇だしということで、一緒にベットで寝転がりながら話をしていたが数時間しか暇を潰せなかった。

 

「0対1対2…か」

「ん?何が?」

 

イリヤと仁久須と美遊の戦歴を気にしているのである。

 

昨日のセイバーはイリヤが倒しているが当の本人はその時の記憶がないらしい。サファイア達が誰にも言わない方がいいとのことなのでそういう事になった

 

「ミユさん…今ごろ何してるのかな…」

 

確かに美遊さんもキャスター戦で疲れているだろうけど…

学校行ってるのかな?

 

『では直接聞いてみましょう!』

「直接聞いてみるって…?」

「えー……」

 

【ジャキキン‼︎】という音を立てながらルビーが変形した。

 

「っうわ!なにその形態⁉︎」

『ルビーちゃんの24の秘密機能(シークレットデバイス)のひとつ、テレフォンモードです』

「なんでもできそう…」

『なんでもはできません。できることだけです』

 

ルビーがその羽を器用に使って

サムズアップしてドヤってきた…うざい

 

ルビーがピピピピと音を立ててサファイアに受信を計る

 

『もしも〜しサファイアちゃ〜ん?起きてますか〜?』

『どうしたの姉さん?』

「おおっ繋がった?」

「着拒はされてないんだね」

 

サファイアの近くにいるであろう人の声が聞こえる

 

〔その声ってイリヤスフィールと仁久須?〕

「ど…ども、いきなりごめんね」

〔何か用事?〕

「あ…ううん。用ってわけじゃないけど…今なにしてるのかなーって…」

〔今は家にいる。ルヴィアさんが今日は休養をとりなさいって…〕

「あっそんななんだ、僕たちと同じだね。

何もすることなくなっちゃって、暇になっちゃて…」

〔そう…2人とも身体はなんともないの?〕

「うん、わたしは熱は出たけど今はもう平気だし、ニクスも平気そうだよ」

〔そう……〕

 

「「うん………」」

 

いや休んでると特に話すことないし引き出しも何もない…

 

会話が…死んだ

 

『ああもうじれったいですねー!なにを不器用な会話してるんですか!』

「そ、そう言われても…!」

「いきなりだったし…会話の種になるものでもあれば別だけど…」 

『では気分転換を兼ねてテレビ電話でもしましょうか!』

 

ガチョンと音を立てながらカメラのレンズようなものが出てきた

 

「またなんか出た⁉︎」

『プロジェクターです。サファイアちゃんが今見ているものをリアルタイムで映せます』

「変に多機能だね…」

 

ルビーが壁に向き

 

『ちょうど白い壁がありますし、ここに映しましょうか』

〔え…テレビ電話⁉︎あっちょっと何を…〕

『いきますよー』

〔待っ…〕

 

壁に映し出されたのは画面いっぱいにメイド服を着ている美遊さんでした。

 

「わぁお、メイドさんだ〜」

「メ、メイド服〜ッ⁉︎」

『あらあらまあまあ…!なんとも良いご趣味をおもちのようで』

 

イリヤとルビーは美遊のメイド姿に興奮している。

美遊は赤面して恥じらっている。

その様子がイリヤにとってドスストライクだったらしく、ヘンなスイッチを入れた。

今すぐ家に来るように興奮しながら命令(お願い)する

その図が仁久須にとってツボだったのかヒィヒィ笑っていた。

 

〔……わかった、もう一着そっちに持っていく〕

「ヘ…?」

〔逃さないでね、イリヤスフィール。きっと似合うよ〕

 

まずい…美遊さんの怒りを買ってしまった…

物凄い笑顔だった

 

よし、逃げよう!

 

「ニクス…ここにスティ…」

 

弟は暴走した姉には無力なのだ…それとだけ言っておこう…

 

それから美遊さんがきて

イリヤと美遊によってお着替えさせられた

 

「よしよーし2人とも!【ご主人様】って言ってみて!ハァハァ

「いや…その…イリヤ…」

「え、普通は【お嬢様】じゃ…」

「いいから!はやく!」

「「ごっ主人様ーッ⁉︎」」

 

そこからはご主人様(イリヤ)の独壇場・やりたい放題で興奮していた。

 

まあなんやかんやあったが3人はちゃんと友達になれたとのこと

 



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不意打ちの翁

「なにもいない?」

「どういうことですの?

敵はいないしカードもない…

もぬけのカラというやつですわね…」

 

カード集めの為に林の中で接界(ジャンプ)してきたはいいけど

そこには、静かさ溢れた林の中で待ち構えているであろう敵の姿がなかった。そして今回のフィールドは狭く、天井も低くなっていた。

 

「場所を間違えたとか?」

「まさか…それはないわ。

もともと鏡面界は単なる世界の境界…

空間的には存在しないものなの。

それがこうして存在している以上

必ずどこかに原因(カード)があるはずだわ」

「なるほどね、じゃあキャスターの時のように

待ち伏せされてるかもしれない?」

「…そうね、その可能性が高いわ。油断しないで周りをよく見て」

 

全員は四方を警戒しながら歩くが

生い茂る木々により視界を遮っているので

索敵効果は薄い

 

「歩いて探すしかないかな…」

『んーむ、なんとも地味な…』

 

飛行して探索するとかあるかもしれないが

敵が潜伏している事が分かっている状況で

視界の開けたところに立つなど、

狙撃してくれと言っているようなものである

 

『もっとこう、魔法少女らしく。ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に変えるくらいのリリカルな探索法をですね』

「それは探索じゃなくて破壊だよ…」

 

ルビーは魔法少女というものをなんだと思っているのか時々不思議に思う。

モワッとくるような鈍い危機感を覚えた。

 

「?どうしたのニクス」

「…なんか…」

 

感とは言っても危険・安全ぐらいの単純な事とその強弱しかわからない。

ので何が起こるとかよくわからないのである。

説明が出来なかったので

 

「う〜ん…特に何かがあったわけじゃないんだけど…」

「よくわかんないけど。行こうよ置いてかれちゃうよ?」

 

少し遅れていたらしく、凛さん達の後を追う。

 

不意にイリヤの見た。

そして仁久須の視界の端から

小さな黒い物体がイリヤの首、目掛けて飛んできた

 

「イリヤ⁉︎チッ!」

「え……」

 

反射的に翼でイリヤを庇うことで

イリヤにはその攻撃は届かなかった。

そうイリヤには

 

「ニクス…それ…わたしを…」

 

泣きそうな声で心配してくる

 

「大丈夫だよイリヤ」

 

翼に刺さった短剣の持ち手を咥えて引き抜く

血は流れるがいずれ再生する。これぐらい放置でいい

 

「奇襲⁉︎」

「チッ!敵の位置は不明…!」

「方陣を組むわ!全方位を警戒!」

 

異変に気づいた3人が駆け寄って状況を把握し

全員で背中合わせに警戒、死角をなくしてどんな角度からの攻撃にも対処できる陣形を作った…

 

「不意打ちとはナメた真似をしてくれますわね!」

「攻撃されるまで全く気配を感じなかったわ!その上で完全に急所狙い…!気を抜かないで!ヘタすれば即死よ!」

 

(死…)

 

ただその陣形は無意味だった

姿に違いはあれど全身黒タイツの覆面を人が大量に現れ僕たちの周りを包囲されいた。

 

「嘘でしょう…⁉︎完全に包囲されてますわ‼︎」

「なんてインチキ…!英霊の軍勢なんて敵いっこないわよ!」

 

敵はそれぞれの得物を構える

 

まずい…仕留める気だ…

 

「包囲を突破するわ‼︎火力を一点集中!!!

全員立ち止まらないで!的にされるわよ」

「「はい!」」

 

 

イリヤ達は撤退しようと駆け出す

それに続くように仁久須も走り出したが数歩で

唐突に倦怠感や身体の痺れの際で倒れて動けなくなってしまった

十中八九原因は…

 

「ニクス⁉︎……ダメ‼︎」

 

 

 

 

 

凛さん達と撤退の為に走り出したら、すぐに何かが倒れる音がした。

振り返るとニクスが倒れていた。

何かが原因で倒れてしまったんだと思う…

ううん、わたしを庇った時に受けた攻撃のせいだ…

 

この時イリヤは思い出した…

ライダー戦の時仁久須を見捨てそうになったことを…

あの時は死に関してそこまで実感なかった…

だが今は違う、死に関して実感を持ってしまっている。

そして今度こそ見捨てたくないという意思で

イリヤは仁久須の元に駆け寄って抱き抱えて逃げようとする。

 

唯その隙を狙わない暗殺者はいない。

イリヤと仁久須に一斉に投擲される短剣

 

ただ一つ最初の一手で遅れをとった。

 

たったそれだけで死んじゃう

 

わたしもニクスも

 

どうすれば…どうすればよかったのかな…

 

あれ?

そういえばルビーがなんか言ってなかったっけ…?

 

『ド派手に魔力砲をぶっ放しまくって一面焦土に…』

 

そっか…それなら簡単だ

 

カチンとまたわたしの中で外れる音がした

 

 

 

 

そしてイリヤの身体から光が溢れて

 

 

イリヤの中の魔力が爆発した

その爆発の威力で投擲された短剣はおろか敵、諸共消滅させカードになった。

周りはイリヤを中心にクレーターが出来ている。

美遊が咄嗟に障壁を張ったお陰で遠坂凛達は負傷はしたが命には支障はなかった。

 

でも

 

そんな威力の爆発を至近距離でまともに受けた人がいる。

仁久須だ。

ルビーの障壁により多少威力は軽減されているだろう、

イリヤの周りだけ、周りと比べて地面が残っている。

だが仁久須は生身の身体である。

いくら身体の一部を不死鳥の身体にしたとしても

生物として英霊に比べたら脆いのだ…

 

「ニクス…なに寝てるの…ねぇ…ねぇ…起きてよ…」

 

イリヤは目を覚まさずイリヤの腕に力なく寄りかかっている仁久須を揺らして起こそうとしている。

 

『…イリヤさん…』

 

ルビーはそれ以上かける言葉がなかった。

ルビーはわかっていたのだ。

いやルビーに限らずその場のみんなはわかっていた。

イリヤだって仁久須に何が起きたかはわかっている。

でもイリヤは受け入れる事ができない、認識を拒否していた。

 

そして…仁久須の身体が

 

ファサ

 

と音を立てて灰になった。

 



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後悔・絶望

感想・お気に入り登録、ありがとうございます!


「あぅ……あ………あ……」

 

イリヤはあまりのことで声がまともに出せなかった。

過呼吸にもなっている

 

ニクスが灰になった。

 

わたしが殺した…

 

大好きな弟を助けてようとした結果トドメを刺した

 

「ウ"ッ…ッ⁉︎」

 

ストレスで胃の中の物が上がってきたが飛びのいた

 

【水などで濡らされると蘇生できないね】

 

これを不意に思い出してなんとか回避した

 

そして…灰から小さな炎が出始め徐々に大きくなり

子供1人分ほどの大きさになった。

 

炎が消えると仁久須の姿が現れた。

 

「うう…」

 

ふらっと頭を片手で抑える

本生初めての蘇生により意識・感覚が混乱している

 

イリヤは無事に生き返って安堵する

そしてようやく全てを思い出す

 

「あぁ…わたしが…わたしが…」

 

仁久須も感覚・意識を安定させた。

イリヤが罪悪感に苦しんでいるのは理解した。

 

「なん…なんなの?

どうしてわたしがこんなこと…

敵も…

ミユたちまで巻き込んで…

ニクスを殺して…もう…もう…」

 

仁久須は何か言葉をかけることができない。

仁久須は全く怒っておらず恨んですらいない。

だが仁久須がどんな言葉をかけてもイリヤは自分を責めてしまう

 

自分にはイリヤに何かをしてあげることができない

胸を締め付ける感覚に襲われた。

 

わたしがセイバーを倒すとき周りのことを考えずに攻撃していた。

ニクスはその時瀕死の重傷だった。

その状態で負担をかけさせて…

もしミユが守っていなかったら?

 

わたしは既に2回殺されかけて…

ニクスを2回殺している…

 

わたしの知らない力で

 

もうそこで何もかも耐えられず

美遊の静止の声を無視して逃げ出した

 

 

離界(ジャンプ)をして林の中を駆け出す。

 

『イリヤさん落ち着いてください!』

「もういや!帰る…帰るの!」

 

わたしは…普通の人間なのに…

ステッキに騙されてちょっといい気になって

魔法少女をやっただけ…

 

なのに…そのはずなのに…

わたしがわたしじゃなくなるような感覚に怖くなって

 

 

(カエ)らなきゃ…(カエ)らなきゃ…はやく…家に(カエ)らなきゃ…はやく、もっとはやく‼︎」

 

イリヤは家に帰ろうと一心不乱に走っていたが

とにかく速く帰りたいという()()で冬木市上空まで転移した

 

『上空…⁉︎まさか転移を⁉︎こんな距離を一度に…‼︎』

「あった…!」

 

イリヤは自宅を見つけて玄関までもう一度、転移した

 

「イリヤさん⁉︎どうしたんですか…こんな時間になにをーー」

「セラ…わたし…わたしは…」

 

イリヤは泣きながらセラの胸に飛び込んだ

セラは何かを察してイリヤを受け入れて抱きしめる

 

 




【蘇生】
肉体のダメージが許容量を超え死亡した時
灰と化してそこから炎が出て再生する。

灰状態の時、無防備であり。
蘇生直後は意識にラグが発生するが回数を重ねる毎に時間は短縮される。
唯、時間が0になる事は決してない。

その灰が濡れた場合蘇生は不可能。


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戦線離脱

蘇生に付いての解説を書き忘れていたので
前回の後書きに追加しました。


翌朝

起きて部屋から出るとイリヤも同時に出てきた。

イリヤは仁久須の姿を見ると

ビクッと怯えたように恐る恐る見て

 

「…大丈夫、な、の?」

「うん、気にしなくていいよ」

 

イリヤは震えた声で安否を聞き仁久須が答える。

俯いて無言になる。

 

朝食や支度をしてイリヤと一緒に登校した。

普段は会話しながら登校していたが

今日は会話どころか少し距離ができて重々しい雰囲気である

 

誰が悪いとか、はないと凛さん達もイリヤを責めてはいなかった。

唯イリヤだけは違った。自分を責めている。

 

 

 

だが…僕は…イリヤに…何も…

 

 

学校に着き、教室までやってきた

 

「ぅオーッスイリヤ‼︎本日はご機嫌ハウアーユー‼︎」

「おはよう…タツコ…雲が綺麗ね…」

 

タツコがいつも通りテンション高くイリヤに挨拶?をする

イリヤはなんとか頑張って返事をするが塩対応になってしまう

 

「なんだよ〜元気ねーなぁ!

朝からそんなんじゃ放課後までもたねーぞ!

なぁ、美遊?」

「うるさい、少し静かにして」

 

美優にも話しかけるが冷たい対応をされた

 

「ちくしょ〜ニクス〜俺に優しくしてくれ〜」

「……ごめんね」

 

龍子は仁久須に優しさを求めたが

優しさの込められた拒絶にトドメを刺された

 

 

他のクラスメイトは異様な雰囲気に困惑して

もつれやら痴情やら考察をしている

 

イリヤはため息を吐くなどをして罪悪感に見舞われている

 

美遊は本を読みながら色々と考察をし

 

仁久須は…

 

 

 

 

放課後になり

 

 

 

イリヤは先に帰ってしまった為

仁久須は1人で帰ろうとしていたが

下駄箱あたりで美遊にあったことで一緒に帰る事になった

 

「仁久須は本当になんともないの?」

「んー蘇生したことで色々とリセットされたね。大丈夫だよ」

 

美遊が心配してくる

 

『蘇生を初めて目の当たりにしましたが本当に破格の性能ですね』

 

まともに勝ち目のない敵とかには蘇生しても

リスキルされるだけだからそうとも言わないけど

 

 

しばらく歩くとイリヤと凛さんが何かを話していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カード集めなんてもうしたくない

 

どんなに言い繕っても結局は命のやり取り

 

魔法とかクラスカードとか現実とは

かけ離れたファンタジー感で何も覚悟とか

そういうのはなかった。

 

だけど昨夜、現実を思い知らされた。

 

わたしのせいでニクスが敵の攻撃を受けて

わたしが余計な事をしたせいで殺した。

もしニクスが不死の存在じゃなければと思うとゾッとしてまう。

本当に取り返しがつかなくなるところだった。

 

自分は唯ステッキを使えるだけの普通の人間

でも自分があんな爆弾のような存在と考えると…

 

怖かった。

 

また自分が意図せず人を傷つけてしまう…

大切な人を……殺めてしまう…

 

そう考えると自分自身が怖く、そして信じたくなかった。

 

ルビーに相談したら、否定的な言葉は出ずに肯定してくれた。

 

でも一様筋だけは通しておこうと言う事でリンさんの所までやってきた。

 

「ーー昨夜は急に逃げ出したかと思えば…それはなに?」

「辞表です」

 

竹の先端の切れ目に【退魔法少女願い】と書いた封筒を付けて、差し出した。

 

「ま…こうなるとは思ってたけど…」

(流石にこれは弟を頼らなかったのね…

いや、頼れなかったが正しいのかしら…)

 

遠坂凛は何もツッコまずに受け取る

 

「その…最初…正直…興味本位っていうか

…面白半分だったの」

 

難しい事は全部ニクスに押し付けちゃって何も分かっていなかった。

そしてニクスの足を引っ張って…

 

「でも…考えが甘かったって思い知った」

 

わたしが命がけの戦いをする覚悟も理由も…ありもしなかった

 

「もう戦うのは…イヤです。

これ以上カード回収のお手伝いをすることは

…できません」

「……怖かった?」

 

リンさんは呆れるようではなく

 

「別に恥ずかしいことじゃないわ。

カード回収(あんなこと)、普通は誰でも怖いことなんだから」

「……うん

 

怒るようでもなく…

優しく諭してくれるようだった。

 

「じゃ、カード回収の件はここまでね」

「え…いいの?」

 

てっきり拒否権がないとかで

強制的に連れてかれると思ってた…

 

「いいも何も、そもそも小学生相手に

戦いの代理をさせること自体、無理な話なんだもの。

感謝こそすれ、これ以上の強要はできないわ」

「ごめんなさい…」

「だから謝る必要ないんだってば」

 

イリヤの中で罪悪感と言うものがいっぱいだった…

 

「さて…もう十分でしょルビー?

お遊びはおしまい。

マスター登録を(わたし)に戻しなさい!」

やなこってす、わたしのマスターはわたしが決めます!

 

ルビーの返事の瞬間に両羽を引きちぎるように引っ張っていた。

その状況に何か反応する気になれない…

 

「ーーまあいいわ、どうせカードは残り一枚よ。

回収が終わったらルビー(あんた)がなんと言おうと

連れて帰るから!

それまでは好きにしなさい!」

『リンさんに言われなくてもそうさせてもらいます〜!』

 

ルビーの所業にリンさんがため息を吐き

 

「正式な契約なんてしてないけど…

一応言っておくわ」

 

それはーー

 

「イリヤスフィール、

あなたとの奴隷契約(サーヴァントけいやく)を解除する」

 

「というわけで…今までお疲れ様、イリヤ。

この関係は今日でおしまいよ」

 

それは契約の(クサリ)を解く言葉

 

「もうあなたは戦わなくていいしわたしの命令も聞かなくていい。

今までの事は忘れて生きなさい。

一般人が魔術の世界について覚えていてもいいことなんてないんだから」

 

これでもう他人同士だとリンさんは言う

 

「全部夢だと思って忘れるといいわ、お互いの為にも」

 

自分で望んだことなのに…どうしてだろう

 

「今までどうもありがとう」

「あ…」

「あなたはあなたの日常に戻りなさい」

 

胸が痛かった…

 

「ま、そういうワケなんだけど…

あなた達はそれでいい?美遊、仁久須」

 

「えっ…」

 

唐突に現れた2人が後ろの方からやってくる

 

「はい」

「うん」

 

あの目…覚悟に満ちた目をしていた…

わたしにはない…

 

「ミ…ミユ」

「問題ありません。

最後のカードはわたしたちで回収します」

「これは僕の唯の自己満足です。させてください」

「そう…」

 

ニクスはああ言ってるけど…

その時一瞬、わたしの方を優しい笑顔で見た

 

まるでそれは…

【イリヤは気にしなくていいよ】というようにしか見えなかった

 

「最初に言ったとおりになったね。」

 

え…

 

「あなたはもう戦わなくていい後は全部…

わたし達が終わらせるから…」

 

 

何も言えず罪悪感と……

 



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決戦の狼煙

4人でビルの屋上に来ている

 

「さあ…覚悟はいいですわね…」

「気合入れていくわよ!」

 

美優と仁久須は無言で頷き、鏡面界に接界(ジャンプ)する

 

今回のフィールドはビルと一回りぐらいの空間ほどで狭い

 

巨体の漢が雄叫びを上げながら登場した。

 

岩のような黒い肌に無造作に伸ばされた髪、

黒い腰巻きのその姿はまさに蛮族の類い

バーサーカーというクラスに相応しい

 

前々回同様かなりの強敵だと感じる

 

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーーー‼︎」

 

先手に突進してくるが凛さん達も飛びのいて回避する。

 

「美遊後ろ、僕前!」

「了解!」

 

短く役割を伝え仁久須はバーサーカーに急降下で向かう

バーサーカーも迎え撃とうと拳を振るうが紙一重で避け

すれ違い様にかぎ爪で

バーサーカーの右の脇腹を切り裂こうする

だか、すり傷程度しか与えられない。

 

すり傷程度でも血は流れている(ダメージは入っている)

繰り返せばいずれは刈り取ることもできる。

そしてトドメは仁久須ではない。

 

背後に回ったがその巨体に似合わぬ素早い動きで

その剛腕を振り抜き仁久須を叩き潰そうとする。

 

鋼のような身体からその剛腕もとても

刃が通らないと直感し

 

ウイングブレイドで受け流すように飛び越え離脱する

受け流したとはいえ翼がバキバキと亀裂が入る。

 

砲射(シュート)‼︎」

 

美遊も遠距離から魔力砲を繰り出す。

だが身体の表面でかき消されたように無効化した

 

鬱陶しいのか狙いを美遊に変え

空中の美遊目掛けて飛び上がり、襲い掛かろうとするが

仁久須が背中を踏みつけるように蹴りを入れ地面に、はたき落とす

 

決定的な隙を作り、美遊がランサーを限定展開(インクルード)

バーサーカーへ真っ逆さまに向かい

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)

 

バーサーカーの胸を、心臓を貫いた。

そして動かなくなった…一時的に

 

バーサーカーがいきなり起き上がり

美遊を吹っ飛ばし壁に叩きつける。

 

「「「美遊⁉︎」」」

 

完全に油断していた、確実に殺った感覚だったのに…

 

 

バーサーカーの身体が赤く輝きながら

傷口から煙を放出しながら

再生をして

立ち上がった…

 

「ありえない…完全に心臓を貫いたはずなのに……

いや……けどそうとしか…」

 

凛さんは冷や汗をかきながら

 

「仁久須と同じ…蘇生能力‼︎」

「いや…原理は違う気がする…」

 

その生態故のではなく…何か…制約のような…

 

 

だが、あの戦闘能力に蘇生まであるとすると

蘇生の弱点を見つけ出すことからやらなくてはならない

 

蘇生持ちを相手にするのは非常に面倒臭い。

 

ここは…

 

「とりあえず撤退よ!あんな相手じゃ勝ち目がない…‼︎」

 

凛さんが短剣で壁を切り裂きビルの内部まで逃げ込む

 

「ビルないまで空間が続いてて助かったわ…

あの図体ならすぐにはここまで入ってこられないはずよ!」

 

バーサーカーがビルの壁・床を殴り壊さながら追いかけてくるが

そのスピードは遅い

おかげでバーサーカーとの距離を離す事はできた

 

「ここでいいわ、サファイア!」

『はい限定次元、反射路形成!』

 

サファイアが魔法陣を展開し、離界(ジャンプ)の為の詠唱をしていた。

美遊の容体を確認する為に美遊の方を見たら、

歯軋りし覚悟を決めたような表情をしていた。

 

とても今から撤退する時の顔じゃない

 

 

 

 

 

 

現世に戻ろうとする直後に美遊が出て行く直後

仁久須も間に合った。

 

「え……?なんで…」

「美遊が諦めてなく、

何かしようとしてるのは顔見たらわかった。

なんか秘策的なものがあるんでしょ?

僕も僕で、やってみるからさ」

「…わかった、本当なら見られるとまずいから…秘密ね?」

 

美遊がセイバーのクラスカードを置くと

足元に謎の魔法陣が展開される。

セイバー戦の時イリヤがやったような

 

「ーー告げる!

汝の身は我に!

汝の剣は我が手に!」

 

バーサーカーが天井を突き破って出現

 

「聖杯のよるべに従うならば応えよ!

誓いを此処に!

我は常世全ての善となる者!

我は常世全て悪を敷く者!

汝 三大の言霊を纏う七天!」

 

少し距離が空いている。

バーサーカーは美遊達を叩き潰そうと突進する

 

「抑止の輪より来たれ天秤の守り手よ!

夢幻召喚(インストール)!!!」

 

美遊は美しく光り輝く聖剣を持ち

西洋風の鎧を装備した姿になった。

 

 

美遊はバーサーカーを迎え撃とうと聖剣を構えるが

 

少し離れた横から赤く光り輝く熱線が放たれ

バーサーカーの上半身が消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 

美遊が詠唱を始めたので僕も準備をしよう

身体全てを過去の自分に戻す準備だ

 

身体の負担やまだ戻す時の感覚など慣れる必要があったが

度重なる再生や蘇生により大体の感覚は掴んだ。

だが確実に人間状態に戻れる保証はない。

 

でも友達が、美遊が覚悟決めている

きっとイリヤも立ち上がる

 

ならばやってやろう、存在全てを賭けて

 

「神代ーー回帰」

 

美遊から離れて再生が完了した翼を大きく広げて

翼の炎を身体に炎の渦のように纏わせる

 

「過去ーー再生」

 

炎の渦が大きくなり、渦の回転も速くなり

 

そして炎の渦が発散しその姿を露わにした。

 

迫り来るバーサーカー(外敵)に向けて

 

クチバシ、喉に炎をチャージする。

 

クチバシから炎が漏れている。

 

まだフルチャージではないが

今のバーサーカーには充分と直感し

 

背筋を仰け反らせ、火炎ブレスを放った

 

バーサーカー目掛けて放たれた熱線は命中

バーサーカーの上半身が熱線により蒸発した

 

 

 

 

 

 

 

美遊は息を呑み、その姿に見惚れてしまった。

 

夢幻召喚(インストール)に意識を集中していた為

仁久須が何をしていたかは、わからなかった。

おそらく今まで身体の一部を不死鳥の身体に再生しているものを全身にしているのだろう。

 

2メートル程の体格でバーサーカーに比べたら少し細身ではあるが決して弱々しさを感じさせない。

真紅に燃え盛る羽に覆われた羽毛に長い黄金の尾羽とクチバシを持ち、金色の中に黒目を持つ瞳や猛禽類のような脚・かぎ爪を持った不死鳥の姿。

 

その姿はまさに神秘の塊、幻想種に相応しい姿である。

 

バーサーカーのような力強さ・武神としての格ではなく

身体の周りに火の粉を蛍の光のように漂わせる

その神秘的なまでの美しさに、より神性を感じる。

古代の人間が不死鳥を神の使いと呼んだのも納得がいった。

 

静かに獲物を見据える瞳で

残った下半身を赤く輝かせて徐々に身体を再生させ

蘇生しようとしているバーサーカーを睨み

 

「来い、人間」

 

コンクリートを踏みしめるように足踏みをし

威嚇するように翼を広げ

 

「お前の不死に付き合ってやる」

 

 

 




【完全獣化】
身体の全てを過去の自分へ再生する
部分獣化より身体能力も上昇するが、再生能力が異常なまでに上昇する。
部分獣化と蘇生によって人間状態の再生能力は段々過去の性能に戻りつつあるのだが完全獣化により一気に近づく。

《ステータス的なやつ》(宝具以外)

[筋力A]
[耐久C]
[俊敏A++]
[魔力B+]
[幸運D]

まだまだ幼体であるのだが現在成長不可

《外見》
身体:2M
体重:不明(見た目よりも軽い)

ウ◯トラマンのリ◯ラを翼と羽毛を燃やして
黄金の尾羽にしたイメージです。
漂わせてる火の粉は完全獣化前の炎の渦の残り香的なものなので
いずれ消えます。

戦闘時以外では身体の炎は収まり
真紅の羽で身体を覆う猛禽類のような姿になる。

《詠唱》

神代ーー回帰
過去ーー再生

理由:なんかかっこいいから(作者が)


【火炎ブレス】※完全獣化時のみ使用可能
威力[A〜A++]

保有する攻撃手段で瞬間火力が2番目に高い
体内の火炎袋から流れる炎をクチバシや喉に溜め、圧縮した炎を熱線にして外敵に放ち、焼き尽くす
チャージした量や質により威力が変動する




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復帰の兆し

イリヤは気分転換も兼ねてお風呂に入っている

 

「…はぁ〜、何やってんだろ…わたし…」

 

夜にニクスが家を出て行く音を部屋から聞いているだけな

自分が心底嫌いになる

 

「……」

 

無言になりシーンとした雰囲気が流れる

 

「イリヤ〜?どこー?こっちー?」

 

久しぶりに聞く声が聞こえた。

こっちに向かってくーー

 

「イヤッホゥイリヤちゃーん!

お ひ さー‼︎」

 

「マ…ママ⁉︎

「うん!ただいまイリヤ♪」

 

海外で仕事をしてしていた筈の

アイリスフィール・フォン・アインツベルンこと

イリヤや仁久須の母親がお風呂に突撃してきた

そして服をポンポンと脱ぎ捨てて一緒にお風呂に入ってきた

 

「どうして…一緒に…」

 

「長旅で疲れちゃったんだもん。

こうすればすぐにお風呂に入れるし

可愛い愛娘ともスキンシップも取れるし、

一石二鳥でしょ?」

 

ママはわたしを抱くようにして一緒に湯船に浸かっている

 

「あら何これ?お風呂で、おもちゃ?

イリヤもまだまだ子供ね〜」

「ふぇ?…そ、そうかな?」

 

物と化しているルビーを摘んで茶々を入れられ

イリヤはルビーをひったくってお湯に沈め、隠す

 

「と、ところでママ。

ずいぶん急な帰宅だねママ…」

「んんー?

私が急に帰ってきたら

何かまずいことでもあるのかにゃ〜?」

 

ほっぺをウニウニとされる。ちょっと不自然な質問だったかも…

 

「仕事がひと段落ついたから私だけ帰ってきたの。

切嗣はまだ向こうで仕事だから

すぐに戻らなきゃいけないんだけどね?」

「そうなんだ…」

 

パパにも会いたかったな…

 

「だからこうして愛娘の成長もかくにーん!

…じゃなくてスキンシップを…」

「それにしてはちょーと過剰じゃないかな?…これ…」

 

イリヤの胸部装甲をアイリが触診計測をする

 

「ねぇ、私が留守の間なにか変わったことあった?」

「えっ?ううん、別に…」

 

カード回収や魔法のこととか

ママにも言っちゃいけないから…

なんとか誤魔化さないと…

 

「またまた〜!

あったでしょ?

すっご〜く変わったことが!」

 

も、もしかして…バレてる?

 

「ほら、ウチの目の前に建った豪邸!

ちょっと見なかったうちに

あんなのが建っちゃうなんてね〜

一瞬帰り道間違えちゃったかと思ったわ」

「あはは…」

 

そっちか…よかった…

 

「セラから聞いたけど

クラスメイトが住んでるんですってね。

なんて子なの?」

「…ミ…ミユ…」

「ミユちゃんか〜

転校生なんでしょ?

友達にはなれた?」

「……うん」

 

…友達か…ちゃんと…なれてた…のかな……

 

「ねぇ?

イリヤ、そのミユちゃんって…どんな子?」

「どんな…って…えっと…

ミユは…なんて言うか静かな子。

必要なことしか喋らないし…

喋るのがあんまり得意じゃないのかも…」

 

わたしの言葉にママが優しく相槌を打っている

 

「あ、でもね。勉強も運動でもすっごいんだよ!」

 

長距離走で仁久須が勝った時はとっても嬉しいかった…

 

「なんでもできる子なのね」

 

そう、なんだ…なんでもできる…1人でも…

 

「そういえば、さっき外でね、

ニクスにもあったのよ。

それでイリヤちゃんに酷いことをしちゃったって」

「ッ⁉︎違うの‼︎ママ‼︎

ニクスは何も悪くなくて…わたしが……」

 

ニクスは何も悪くない…悪くないの…

 

イリヤは涙を流すのをグッと堪えて

 

「わたしが、ニクスに酷いことして…

ミユにも迷惑かけちゃって…

みんな…3人でやろうって決めたことから

わたしが逃げたときも……

誰も…誰も、わたしも責めないの!

わたしが…悪いのに…」

「それは駄目ね…ニクスも」

 

【なんで⁉︎】言わんばかりアイリの方に振り返ると

とても真剣な表情だった

 

「悪いことをしたら、ちゃんと怒る、ちゃんと叱る。

じゃないとイリヤが何が悪かったのか反省出来ないし、

それだとイリヤはずっとやな気持ちを抱えてしまう。

だから本当にその人事を思うなら

ちゃん怒らなきゃいけないの」

 

罪を犯したのにも関わらず

特に罰もなにもなく許される事は

その者の己の中で罪と決着をつけられないままにされ

良心の呵責に苛まれ続けるという

生き地獄を味合わせるということ

 

これにより狂気に身を委ねた

とある狂人(英霊)が生まれてしまったとか

 

「それでイリヤは叱ってほしくて…

そしてニクスやミユちゃんのことが

心配でしょうがないんでしょ?

そんな顔もしてるわ」

「それは…でも…」

 

わたしなんか行ったところで…

足手纏いでまた傷つけて…また…

 

「何か難しい事をやってるんでしょ?

手伝ってあげればいいだけじゃない。

そんなに……自分の力が怖い?

 

え…なんで、それを…ママが知ってるの?

 

「マ…ママ…?今なんて…」

「…鍵が2度開いてるわね。

10年間も溜めていた魔力のほとんどが空だわ…

随分と盛大に使っちゃったのね。

こんなに早く解けるとは思ってなかった」

「なにを…言ってるの…ママ…?」

 

聞き間違いなのかと思ったけど

つらつらと核心に迫るような発言をして

 

「きっと驚いたのね。

今までの自分(常識)が崩れていくようで…」

 

絶対ママはわたしのあの力について知っている

 

「ママ…知ってるんだよね…?わたしの力のこと…

…だったら教えて!あの力は何なの⁉︎なんでわたしがあんな…」

 

ママに聞けばその答えがわかると思っていた…

 

「さぁ?」

 

唖然とした…完全に知っているはずなのに

ここぞのタイミングですっとぼけた。

 

「あ、あからさまにすっとぼけないでよ!ママ!」

「えーとホラあれよ

それは自分で気づかねば意味がないのだ…

とか【今はまだその時ではない】みたいなっ!」

 

なにそれー⁉︎

 

流石に納得がいかない。

沈んでた雰囲気もどうでも良くなって思うがままに反応した

 

あーもー反論禁止‼︎

「DVッ⁉︎」

 

突然のチョップ(暴力)がイリヤを襲う

 

「とにかく!わたしが言える事はひとつ。

()を恐れているならそれは間違いよ。

力そのものに良いも悪いもないの。

重要なのは使う人…あなたの意思。

あなたにどんな力があろうと恐れる必要はないわ。

それは紛れもなくあなたの一部なんだから。

 

そんなこと言われたって…

 

「そしてね、人間誰しもやらかしちゃう

間違いを起こしちゃう事もあるの。

どんな凄い存在でもね?

重要なのはそのあとどうするか

どう行動するかなの」

 

どう行動しろって…言われても

 

「イリヤちゃんはこのままでいいの?

このまま立ち止まって」

 

でも…またわたしが足引っ張って迷惑かけたら…

 

「そんなに失敗を怖がらなくていいのよ

あなたのやりたいようにやればいいのよ、

イリヤちゃんは本当は何がしたいの?

ミユちゃんやニクスを助けたいでしょ?

叱ってもらいたいんでしょ?

なら助けに行ってあげなさい。

怒られに行きなさい。

大丈夫よ。

イリヤならできるわ

邪魔な恐怖なんてぶっ飛ばしてきなさい」

 

そうだよ…わたし!

後悔だけしてて肝心なことしてない…

ニクスやミユに一度も…

 

「ママ!ちょっと先あがるね!」

 

お風呂からあがる、そして決戦の地に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仁久須が決戦に向かう為に家を出た所まで時は遡る

 

仁久須は家の前に出てイリヤの部屋の方を

見て気分が落ち込んでしまう

その時

 

「……つ〜かま〜えた〜♪」

「ふぁ⁉︎えっ⁉︎」

 

いきなり身体を捕獲され抱擁される。

背中に柔らかい何かを感じる。

 

「えっ…母さん…」

「久しぶり〜♪愛しきママですよ〜♪

あ〜この感触…やっぱり、いいわ〜食べちゃいたい」

 

アイリが仁久須を両手で抱きしめて

自分の頬に仁久須のほっぺに擦り付けている

 

かなり危ない発言をしているアイリだが

本当に危ないのはここからである。

 

「愛息子の発育を確認(とスキンシップ)しちゃうぞ〜」

「ひゃんっ⁉︎」

 

そういい仁久須のニクスをまさぐって触診している。

突然の事でびっくりしてしまう…完全にメスの声だった

 

「あっ…ん"っ……ほんとに!や、めて‼︎」

 

これ以上はこの作品がR18になってしまう。やめてもらいましょう

 

仁久須が真っ赤になりながらアイリの腕を振り解く

 

「はぁ…はぁ…」

「ふふふっ、ごめんなさいね。

ちょっとやり過ぎちゃったわ♪

ちゃんと成長してるわね

 

もう二度とやらないで欲しい…

最後の何か言った気がするけど

聞かないでおこう…寒気がした

 

「で、なんかあったの?」

 

先程の雰囲気と打って変わって

心配している雰囲気である

 

「さっきのニクス、何かとても辛そうだったわよ?」

「……はい…実は…イリヤの前で死にました

…しかも…イリヤの…手で」

「そう…だったのね……」

 

イリヤは自分を責め続けて苦しんでるのに

僕は何も出来ずに何の言葉もない…

 

「いや…僕はなんともないよ…

怪我はないし痛みもないよ」

「………」

「それよりもイリヤが苦しんでるんだ。

僕のせいで…イリヤを悲しませて

…ごめんなさーー」

 

言葉を遮られた。

 

「もうそれ以上言わなくていいわ。

辛かったわよね、苦しかったわよね」

 

向かい合って抱きしめてられている。

慰めるような抱擁力を込められた感じで

 

「そんなこと…ないよ」

「強がらなくていいわ。

ニクスが苦しんでるのかなんて、すぐわかるわよ」

 

違うよ、本当に辛くて苦しいのはイリヤの方だ

僕はただ…

 

否定するが静かに首を横に振る

 

「そんな無理した笑顔されたって

何言ったって、ママはお見通しよ?

我慢しなくていいの

家族なんだから、全てぶちまけちゃいなさい」

 

あぁ…やっぱり…母さんには…勝てないな…

 

いつもはノリだけで動いてるのに…

こういう時はお母さんしちゃうんだもん

 

「僕は…

イリヤが自分の手で家族殺してしまって!

苦しんでるのに!

何も出来なくて!

僕が原因なのに!」

 

生前何度も死を体験していたが

ここまで心が苦しくなった死はなかった

 

あの時のイリヤの表情

 

それ以降のイリヤの挙動

 

全てに胸が苦しくなって

 

 

 

心が辛かった

 

 

 

仁久須は下唇を噛んで我慢するが

押し込んだものが涙となってこぼれ落ち

 

「ねぇママ、僕はどうすればよかったの?

どうすればイリヤが苦しまなくてよくなったの?

どうすれば…どうすれば…」

 

僕はママに抱きつくように顔を埋めボロボロと泣く

 

ママは受け入れるように

ぎゅっと力を込めて抱きしめて

辛いもの吐き出させるように背中を摩ってくれる

 

「あなたはイリヤが背負うべきものを背負いすぎなのよ。

悪い事をしたら叱らなきゃダメよ」

 

「そうじゃないと、イリヤが

いつまでたっても成長できないわ。

ちゃんとイリヤが背負うべきものはイリヤが背負って

手助けする程度に止めるの。

まあそれに甘えるイリヤが1番悪いんだけどね?」

 

「イリヤちゃんの方はママに任せなさい♪

何かやる事があるんでしょう?

何をやっているかは聞かないでおくから」

 

そう言われて目をゴシゴシと擦り

母さんから離れ深呼吸する

 

「うん、ありがとう母さん」

「あれあれ〜?()()じゃあなかったのかな〜?」

 

からかうような目で

手を口に当てながらニヤニヤとしている

 

カァーと顔を赤くして、ポカポカと叩く

 

「ムフフフ、ごめんなさい」

「…ん"〜まったく母さんは…じゃあ行ってきます」

「いってらっしゃい」

 

決意を固めた表情で決戦の地に向かった

 

やっぱり僕は覚悟を決めないとダメな分類かもしれない

 



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決戦の夜明け

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーーー‼︎」

 

蘇生を完了させたバーサーカーが咆哮を飛ばし

怒涛の勢いで突進してくる

 

「キュオーーン‼︎」

 

仁久須も鷹の鳴き声のような咆哮を飛ばして

翼を羽ばたきジェット機のように高速で狩りに向かう

 

「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎ーーー‼︎」

 

バーサーカーがその場に落ちていた崩れた柱を拾い

棍棒を持つような構えで、横に薙ぎ払う

衝突する直前に軌道を変えて背後に回り

バーサーカーの頭を掴み床に何度も叩きつける。

 

バーサーカーが手元にあった仁久須の尾羽を掴み

お返しとばかりに鞭を払うように振り回し

地面に叩きつけ、ラリアットのように殴り壁に沈めた

 

仁久須の腹部はバーサーカーの拳がめり込み、貫通する

 

「グバァ……ググッ!………カアッッ‼︎」

 

もう片方の拳を振り下ろされる前に

苦しむ声をあげながら、攻撃されながらも

溜めていたクチバシの中の炎をこのタイミングで放つ

 

バーサーカーの身体の表面を少しばかり焼き削りながら突き放す

 

先程殺った時とあまり変わらない威力だったはずだが、明らかに効果が薄くなっている

 

耐性獲得付きの蘇生かな?羨ましい奴め。

こっちは蘇生したところで何も変わらないのに…

 

バーサーカーが熱線の勢いに突き放される

幾ら耐性を得たところでその衝撃までは軽減出来なかったようで少しだけ怯みを入れることに成功

 

「ハァァァ!」

 

ずっと気を伺っていた美遊がバーサーカーの背中を聖剣で切り裂く、血をゴボリと吐くがまだ動けるようで背後の美遊を掴もうと腕を回そうとする

 

その前に壁を破壊し即復帰した仁久須が接近し

バーサーカーの喉笛噛みちぎる

完全に両膝ついて停止した

これで3回

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

「…ベッ…まっず

 

美遊はその緊迫感から息切れをしている

仁久須はバーサーカーの血肉を吐き出す

 

『み…美遊様!仁久須様!』

「あ、サファイア?驚いたその状態でも喋れるんだね

仁久須も喋ってたけど」

 

なぜ喋れているのかは自分でもよくわからない

 

『いったい何が起こっているのですか⁉︎

仁久須様のその姿は幻想種そのものです!

美遊様に至ってはその格好や戦闘力は…まるで…』

通行証(カード)を介した英霊の座への間接参照(アクセス)、クラスに応じた英霊の()()()()を写し取り、自身の存在へ上書きする擬似召喚」

「え…?つまり…」

英霊になるそれがカードの本当の力」

 

そうこう話をしている内にメキメキと音を立てながら、蘇生を終わらせようとしている

 

「話はおしまい、敵が起きる」

『3度目の蘇生…!美遊様敵はやはり不死身です!

無限に生き返る相手に勝ち目など…!』

「ううん、この蘇生は無限ではなく有限だよ」

 

蘇生と再生(この分野)に関しては確信持っていえる

 

「でも気をつけてさっきのブレス(攻撃)の効果が薄くなっていた。

おそらく耐性獲得付きだから安易に同じ攻撃はしないで」

『そんな怪物倒しようがありません!

撤退してください!態勢を立て直す必要があります!』

 

そのストック全てを打倒すると言わんばかりの表情で聖剣を構える

 

「撤退はしない!全ての力をもって今日ここで戦いを終わらせる‼︎」

 

その言葉とともに仁久須も戦闘態勢に整える

 

 

 

 

 

 

先行で美遊が

バーサーカーの猛攻を掻い潜りながら接近し

聖剣で突きの構えで胸に無理やり突き刺し、剣を捻ることで完全に心臓を破壊する

 

美遊は英霊の力の直感によりこの状況、距離はやばいと認識し即座に飛び退き、距離を取る

 

美遊のいた位置に漆黒の剛腕が突き刺さる

 

心臓を破壊するだけでは致命傷(大ダメージ)にはなるが絶命させる(キルと取る)ことはできなかった

 

ボタボタと吐血がさせながら美遊を睨めつけ、襲いかかる

 

天井に張り付いていた仁久須が上から奇襲しようと飛びかかる

 

バーサーカーが生前培われ研ぎ澄まされた直感の残滓により、奇襲を察知し

ここまでの戦いで建物はかなりボロボロでそこら中に瓦礫があり

その中の先が鋭利な、斬撃性に適した瓦礫を掴み取り、下斜めがら上へ切り上げ、仁久須を斜めに切り裂き真っ二つにする

 

『「仁久須(様)⁉︎」』

 

仁久須の身体が2つに分かれ、撃墜され

血を流しトドメを刺されるてしまうと予感した

 

仁久須の身体は揺らいだ火が元の形を取り戻す様な速度で再生する

 

この状況の仁久須を殺そうとするには些か火力不足

基本的にはもっと圧倒的な火力を用意するか再生力を半減させる能力・水などを用意する必要がある

 

斬られた時の勢いに乗り、身体が横に回転させ翼を強化し

コマの様にバーサーカーをズタズタに切り裂く

 

バーサーカーの目に光がなくなる

 

 

 

これだけやってもまだまだ争いは終わらないのだ

 

 

 

瓦礫で押し潰す

かぎ爪で頭を引き抜く

口内に聖剣ねじ込む

聖剣の光で消しとばす

 

他にも色々やったがもう品切れでそろそろ付き合いきれなくなってきた…想像以上にタフすぎる

 

美遊は宝具の発動によって魔力切れとなり夢幻召喚(インストール)が解けて、疲労で地面に倒れ込んでしまう

 

仁久須は多少傷がついていたがすぐに無くなる。

宝具発動によってできた大穴を警戒する

 

バーサーカーがそこから這い上がってくる

すぐそばにあったサファイアを掴んでしまい

美遊は事実上戦闘不可になる

 

仁久須が接近し蹴りをその身にに叩き込もうする

 

もう耐性を付けられすぎて効果はないだろうが

蹴り落とすことはできるかもしれないと行動するしかし

 

バーサーカーは仁久須の動きの癖に慣れて見切られて脚を掴み

自分へ引き寄せ仁久須の首をその剛腕と筋肉の塊の様な胸板でロックして圧迫する

 

「クェ…」

 

首を絞められた鶏の様な間抜けな声を出すが

この状況はかなり詰んでいる

 

美遊はサファイアを差し押さえられて戦闘不能

仁久須は身体の炎でバーサーカーを焼こうとするが

これまでの戦闘により仁久須の攻撃手段のほぼ完全耐性に近いほどにまでになっている

 

火炎ブレスには溜め(チャージ)が必要でありバーサーカーの猛攻から隙がなくあの2回しか使用できていない、まだ通用はする。

しかし首を絞められているので火を圧縮できても吐き出すことができない。

無理やり溜めて火炎袋に逆流させて自爆するという戦法は効くだろう

 

ただその場合、微妙に近い美遊を確実に巻き添えにしてしまう

 

美遊が離れようにも魔力切れでまともに動けない

 

「仁久須‼︎」

「カュ…カュ…」

 

逃げてと言いたくても声帯を震わせるだけの空気がそこにはなく

枯れた様な声した出てこない

 

(ま…まずい…い…しき…が…)

 

酸欠(スリップダメージ)を再生することは困難である

 

激闘の末、ここでバーサーカーが仁久須にウィークポイントを突いてきたのである

 

口から泡を吹き始め

意識が視界が暗く狭まり、両翼と両脚の感覚が薄れていく

どんどん死に近づいてくる

 

「う…クッ!……何か…何かないの!」

 

ここまでやったのに…

 

こんなところで…

 

諦めるなんて、あり得ない!

死んじゃっても生き返るのはわかってる。

 

でも嫌だ。死んでほしくなんてない

理屈では問題なくても感情がそれを否定する、抗おうとする

 

歯をくいしばって

なんとかして突破口を考えるが出てこない

 

無念・悔しさを感じながら見てる事しかできないことに絶望していた

 

その時、白い斬撃がバーサーカーの背中を切り裂いた

 

「わたしの弟を…放しなさい‼︎」

 

不意打ちで背中に斬撃を喰らったことにより怯み腕の拘束が緩んだ

 

仁久須はその隙に拘束から抜け出した

 

「リンさん!()()()よ!」

 

イリヤがそう叫ぶと

 

Anfang(セット)

Zeichen(サイン)

 

「「獣縛の六枷(グレイプニル)!!!」」

 

遠坂凛とルヴィアは手にした宝石をバーサーカーに投げつけ

帯状の縄を展開し動きを封じる

 

瞬間契約(テンカウント)レベルの魔術なら通用しますわ!」

「あはははは‼︎大赤字だわよ!コンチクショー‼︎」

 

冷静に効果を見る人とその費用にヤケクソになる人

 

「ゲホッ…ゲホッ」

「……ニクスだよね…?」

 

呼吸ができる様になり新鮮な空気を吸っている仁久須に声を震えながらイリヤは聞く

 

もう完全に人間の身体ではなっているが面影はある。

だだ確証はなかったので恐る恐る聞いたのである

 

「そうだよ…」

「無事でよがっだ〜」

 

イリヤが泣きながら震えた声で安堵する

本当なら抱きつきたいけど、今の身長差できないが

 

「ふぇ…」

 

仁久須が覗き込む様に頭を下げてクチバシや頬をイリヤの顔に優しくスリスリする

 

「ごめんね、心配だったよね?」

「ううん、大丈夫だよ。ニクスなら大丈夫だった信じてだもん」

 

仁久須の頭部を撫でながら羽ざわりに心が落ち着き、深呼吸をする

 

「わたしこそ…後で…その……ぶへぇ⁉︎」 

 

仁久須は迷って末、クチバシでイリヤの頭を突いた。

転身したイリヤの耐えうる限界のラインの威力により

頭を押さえて涙目になる

 

「うん、これでおあいこってことで」

「ううぅ〜〜…イダイよぅ」

 

突いた所を翼で撫でてあげて痛みを和らげてあげる

 

美遊達は動物と少女の微笑ましい感じを暖かい目で見ていたけど、

そろそろバーサーカーの拘束が解けてしまう

 

「そろそろいいかしら?

バーサーカーが動けない間にトドメ刺さなきゃいけないのよ」

「そそそ、そうだよね⁉︎…ふぅ……よしっ」

 

サファイアを回収した美遊が駆け寄ってくる

 

「2人とも…どうすーー」

「ごめんなさい」

 

美遊と仁久須に向き合う

 

「え…?」

「む?」

 

「わたしーーバカだった何の覚悟もないままただ言われるままに戦ってた。

戦っても…どこか他人事だったんだ。

こんなウソみたいな戦いは現実じゃないって…なのに…

その【ウソみたいな力】が自分にもあるってわかって…

急に…全部が怖くなって…!

でも…本当に馬鹿だったのは逃げ出したこと!

後悔だけしててその後何もしない、友達と家族を見捨てたままじゃ!前になんて進めないから…ッ‼︎」

 

サファイヤとルビーが引き寄せられ、共振する

 

「これは…」

「うん、出来るよ、三人なら」

「「並行限定展開(パラレル・インクルード)‼︎」」

 

美遊とイリヤはセイバーのカードを限定展開(インクルード)する

仁久須は2人の背後に回り、炎をチャージする

 

「うん、終わらせよう…そして」

 

クチバシから炎が溢れ、

周辺に無数の聖剣を出現させる

 

 

「前に」

 

まるで闇に煉獄の太陽が現れたような光景

 

「進もう‼︎」

 

クチバシを赤く発光させ

黄金に光輝く聖剣を構え

 

「「灼熱の万華鏡(burning kaleidoscope)」」

 

振り下ろされる聖剣・無数に鎮座する聖剣から放たれる光線

紅く光り輝くクチバシから放たれる灼熱の熱線

 

それらが合わさり森羅万象をも消し去る勢いの光・奇跡の一撃になった

 

「⬛︎⬛︎⬛︎ーー」

 

バーサーカーは咆哮を上げきる前にその業火の一撃により蒸発した

 

 

そして見事

僕らは長きにわたる激闘の末、勝利を収めた

 

 

 

 

「お……終わったぁ……」

「やっっっと!終わった…!」

 

バーサーカーのカードを回収し

戦闘終了したと同時にみんなはへたり込む

 

流石の仁久須も精神的どっと疲れたので身体の炎が消え、翼をだらりとたらしうつ伏せのような体勢になる。

そして完全獣化を解こうとするとルビーが待ったをかけた

 

『ちょ〜〜っと待ってくださいよ〜イリヤさんだけなんてずるいじゃないですか〜〜』

「……何が?」

 

こんな疲れているとき…と言わんばかり聞く

 

ルビーに生えている翼を器用にチッチッチッと指を振る。

何かランダムで技を出してきそうな予感がしてしまう

 

『イリヤさんだけニクスさんの羽毛を堪能するなんてこのルビーちゃんが許しませんよ〜』

 

そう言ってルビーは仁久須のまだ未発達だが

それでもモフモフとしてそうな鳩胸に飛び込んだ

 

『ウホォ〜〜スゲェェ〜〜』

 

語彙が崩壊しモフモフを堪能しているルビーに対してため息を漏らす

 

そして

 

「へぇ〜そんなに…

その形態について色々と知りたい所だけど…えい♪」

「なんてお美しい是非ペッt…ゴホン、まああれですわ。

貴族たるもの品質を見極める能力は長けています。

あなたのそれを見極めて差し上げますわ!」

『……失礼します』

「じゃあわたしも…本当はちょっと羨ましかった

 

ルビーに続き、凛さんやルヴィアさん、美遊にサファイヤまで触り始めた…

 

「あ、あ、あ、あぁ…うぅ〜」

 

イリヤはその光景にアワアワと困惑しているのと自分がモフるスペースが残されていなく出遅れてしまった。

 

みんな戦いの疲れを一時的に忘れているようで幸せそうにしている

ルヴィアさんに至っては「この羽でベットを作ればさぞ寝心地がいいのでしょうか」とか言い出し、美遊は匂いまで吸い出した。

 

「いやッ!やめてよ⁉︎くすぐったいよ!」

 

くすぐったさとなんとも言えなさに耐えかねて起き上がり少し離れる

 

猫吸いをされる猫の気持ちがわかったような気がする

精神を集中させ、身体を炎の渦に纏わせ段々小さくなって

元の人の形に戻った

 

「ちゃんと…元通り…だよね?」

 

身体を見回し確認するが特に変わった様子はない

 

「え〜!もう戻っちゃうの〜!わたしもモフってないのに⁉︎」

 

もう一回やってと駄々をこね始めるイリヤと少し残念そうにするみんな

 

「まあなに、イリヤ、美遊、仁久須…勝手に巻き込んでおいてなんだけど…あなたたちがいてくれてよかった」

「わたくしたちだけでは、恐らく勝てなかったでしょう」

「最後まで戦ってくれて…ありがとう」

「わたしからも御礼を言わせて頂きますわ」

 

面と向かってお礼の言葉を送られた3人は少し照れてしまっている

 

「それじゃ、このカードはわたしが倫敦(ロンドン)に……ん?」

 

凛さんが持っていたカードをヒョイっと持ってかれた

 

「オーホッホッホッ‼︎最後の最後に油断しましたわね!

ご安心なさい!カードはすべてわたくしが大師父の元へ届けて差し上げますわーっ!」

 

ルヴィアさんがカードを引ったくって怪盗の如くヘリの梯子に捕まり飛び去ろうとしていた

 

んなああああああッ⁉︎

ちょ、ちょっとあんた!手柄、独り占めする気かゴラァ‼︎」

 

そのままルヴィアさんは逃走して、凛さんが魔術をフルで使う追いかけっこへと発展した

 

その様子をポカーンと眺めた後3人は仲良く帰宅した

 

 

 




おまけ(特に内容と関係ないで、読まなくても大丈夫です)

「ん"ん"…ふぁ〜ッと、なんか今日はすごーくよく寝れた…」

あの激闘の夜が終わり、またいつも通りの朝が来た…はずだった

「あれ?…なんか…布団に違和感が…」

イリヤが寝ているベットの中にもう一つ膨らみがあった。
なんだろうと思って布団を捲ってみたら、そこにはパジャマ姿の仁久須がいた

「ふぇ…?ユ、ユメかな?これ…」

目をごしごしと擦るが確かに存在する…
状況把握がいまいち出来ていなく嬉しさよりも困惑している

一緒に寝るのが嫌とかじゃないよ⁉︎決して!
うん!むしろ大歓迎だよ!

でも唐突すぎて、とてもびっくり

「ン…離れちゃ……ヤ…」

動揺で少し離れてしまっていたのか、寝ている仁久須がモゾモゾと動きイリヤにピッタリとくっつく

仁久須は完全獣化の影響で過去のずっと独りで過ごしていた頃を思い出し人肌が恋しくなっていた。
もちろん昨日1日イリヤとまともに接することができなくて寂しかったのもあるが…

でもイリヤからすると唯甘えたいモードになってる仁久須が目の前でしかも自分に甘えてる…その状況に

「はぅぅぅ〜〜
うんうん、ずっとず〜〜っと一緒だよ?」

キュンキュンしてイリヤのゲージがMAXになり
へんなスイッチが入ったのである

「ハァハァ…いいよね…姉の布団に潜り込んだんだもん…ちょっとぐらい…」

息を荒くさせ、手をワキワキとし恍惚な表情を浮かべる…その姿はさながら捕食者である

「ガチャ…イリヤ…起きろよ。学校遅刻すーー」
「ヒャイ⁉︎お、お兄ちゃん…ちがうよ…違うからね⁉︎」
「あ〜〜いや…お前ら…えっと…ごゆっくり…」

お兄ちゃんが部屋のドアを閉め、リビングに戻っていく
この後、誤解を解くのに凄く大変だった…

まだ何もしてないもん…無実だもん


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2wei
ドリームパニック


「…リヤ」

 

ん…誰かがわたしの名前を呼んでいる

 

「…イリヤ」

 

あ、ニクスだ〜

 

「起きて、遅刻するよ」

「んーー………ニク…シュ…?」

 

起こしに来てくれたんだ…えらいな〜ごほうびあげちゃう

 

「えへへ…」

「え…だ、だめ…イリヤ…」

 

イリヤがネムネムで頭ふわふわさせながら仁久須の首に手を回す

 

ムフフ、顔真っ赤にさせて…

やっぱ可愛いな〜女の子みたいな反応しちゃって

 

髪とかも一つにまとめないで下せばいいのに…

女の子みたいにしたら可愛いと思うよ?

まあそのままでも可愛いけどね

 

朝ごはん前に…

 

「いただきま〜す」

 

ちゅっ

 

「〜〜〜〜ッ‼︎」

「ん……?」

 

なんか…よく聞いてみれば,声がちがう…ような…

 

「あ…う…あ…イ…イリ…」

「?????」

 

え……ミ…ユ?

まさか…ひょっとして…今…ミユに…

 

「ホびゃあああーーッ‼︎⁉︎」

 

家中にイリヤの絶叫が鳴り響いた

 

「おお…朝から乙女のスクリーム」

「美優さん、どんな起こし方をしたのかしら…」

「……投げた…とか?」

「いえ、そんな事する方では…ないですよね?」

 

セラは美優との関わりが深いわけではないから自信なさげで否定するけど…ワンチャンやるかもしれない…

 

「やばいよ‼︎やばいよ‼︎遅刻しちゃうよ〜‼︎」

 

ドタドタとイリヤが急いで降りてくる…まるで銀のなだれである

 

「あー…えっと…ニクスちょっと待って‼︎今終わらせるから‼︎」

「はいはい…急がないと遅刻するよ」

 

すでに身支度を終わらせていた仁久須が催促し、

イリヤは焦りながら身支度を始める

 

 

 

 

「いってきまーす‼︎」

 

身支度を急いで終わらせて玄関を飛び出す3人

 

「はーうっかりしてた。今日ってわたしとミユが日直だったんだよね」

「うん、だから一緒に登校しようって約束して…」

「そんな日に限って寝坊とはなんたる不覚…それにしてもお兄ちゃんはここ最近朝練だとかで先、行っちゃうし!ニクスは焦らすし!全く薄情者しかいない!」

「いや、待っててもらえるだけ優しいと思う」

 

うう…そんな正論、朝早く言われなくないよぅ

 

「このままじゃ遅刻だよね…」

「もう確定だから歩いて良くない?」

 

もう手遅れなのだ…疲れながら遅刻するんだったら歩いて遅刻しよう

 

「ダメだよ!そんなの…うーん…よーし、ルビー!」

『はいはーい。いっちょいきますかー?』

 

イリヤはルビーに呼びかけて、美優も

 

『仕方がありません。美優様わたしたちも…』

「周りに人はいない。今のうちだね」

 

 

『『コンパクトフルオープン‼︎鏡界回廊最大展開‼︎』』

 

Die Spieglform word fertig zum!(鏡像転送準備完了)

 

Offnunug des Kaleidoskopsgatter (万華鏡回路開放)

 

サファイヤとルビーが詠唱をして魔法少女に転身した

 

「走っても間に合わないならー」

 

イリヤと美優は空へ飛んだ

 

「空から行こう!」

 

魔法少女プラズマイリヤ&ミユ二期バージョン 推参!

 

二期ってなんだろう…?

あ、服変わってる…というか

 

「ニクスも行こうよ〜!置いていっちゃうよ〜」

「あはは…わかった」

 

僕も行こうか悩んでいたけど置いて行かれるのはなんだか癪だから行こうかな?

 

部分獣化させニクスも空へ羽ばたく

 

「仁久須も姿変わったね」

「ん?あ、ホントだ。しっぽ付いてる」

 

仁久須の姿が変わっているとは言っても尾羽が付いたぐらい

 

「確かに変わったけど、そんなにはーーうおっと」

 

イリヤが突進してきたので咄嗟に回避する

 

「フゥー…しっぽ…もふもふ…しっぽ…フゥー」

 

ふさふさとしている尾羽にロックオンして手をワキワキとさせている

 

(こっわ⁉︎)

 

狩人のような目で、もふもふに囚われた人のイリヤ(魔の手)から必死に回避する

 

「くっ…やっぱり空中だと敵わない…なら!ミユ!一緒に!」

「うん、イリヤ。一緒に触ろう」

 

美優も参戦されるとちょっとまずい。

 

「じ、じゃあ先行ってるよ?」

 

そう言って豪速球に学校へ向かう

 

「うわっと、はっや⁉︎」

「流石、わかってたけど速さじゃ敵わない」

 

仁久須が起こした暴風に煽られるが体勢をすぐに立て直し

 

「こなくそ〜絶対モフる!」

「絶対逃がさない」

 

空中においての速さには絶望的なまでの差があるが少女たちは諦めず、逆に火がつき、闘志を燃やし共に目標へ向かうのだ

 

『あの……友情と欲望を育むのはいいんですけど…』

『イリヤ様、美優様予鈴まであと200秒です。お急ぎになられた方が…』

 

「「あ…そういえば」」

 

転身した理由を忘れていた…

 

思い出した2人も急いで学校へ向かうのであった

 

 



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波乱の幕開け

「海行こうぜ!うみーーッ‼︎‼︎」

 

結局仁久須には逃げられ、ギリッギリに学校に到着させイリヤ達は普通に授業を受け、放課後までちょっと前ぐらいに

 

クラスメイトのタツコの唐突な遊びの誘いを受ける

 

「ん?何の話?」

「夏休みの予定だよ。まだ6月だってのに、こいつテンション上がだちゃってさー」

 

同じくクラスメイトのスズカは若干苦笑いで解説を入れてくれて、どういう話かは理解したようだ

 

でも一ヶ月以上先のイベントにはしゃぐって…

 

「海?海に行って何をするの?」

「何って泳ぐに決まってんだろうが!

あ スク水は禁止な!各自最高にエロい水着持参で!うっひゃあああ‼︎

「おちつけ」

 

テンションがオーバーフローし叫び散らかしたタツコをナナキがアッパーで制圧した。割といつもの事である

 

「ミユ…もしかして海行ったことないとか?」

 

美遊はコクリと頷き、そこに畳み掛けるようにミミとスズカが外堀を埋めにかかる…

 

「じゃあ一緒に行こうよ美遊さん!」

「え」

「あんたの事だから泳ぎも速いんだろ?せっかく海が近いんだし、行かなきゃ損だよ!」

「あ…イ…イリヤが、行くなら…」

 

唐突にコミニケーションという災害に見舞われ、イリヤに救助を求める

 

「うん!みんなで行こうね」

 

美遊に退路はなかった

 

「ニクスも……あれ?」

 

前の席にいたはずの仁久須がいつの間にかいなくなっていた

 

「消えたな」

「消えたね」

 

そういえば泳げなかったけ…

 

流石に泳げないのに無理矢理行かせるのはちょっとかわいーー

 

 

 

『各自最高にエロい水着持参で!』

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

いや、そうだよね!

うん、だってプールの授業とかあるもん

うんうん、泳げないと補修とか受けなきゃいけなくなっちゃうもん

 

よし、泳げるように練習しなきゃね

 

「イ、イリヤちゃん…どうしたの?そんな急に真剣な顔して」

「いや!ミミ!別に!そんな下心とか!全くないから!」

「何…言ってるの?」

 

 

 

 

 

 

放課後になり、みんなで下校している

 

「い〜こ〜う〜よ〜」

「うん、楽しんできてね♪」

 

ちゃんと後で仁久須を捕獲して説得を試みている

 

「うん、ちゃんと練習付き合うよ!」

「うん、頑張って♪」

 

僕は獣化状態の時は水に弱いが人間状態の時は水には弱くない。

だだ少し、ほんの少しだけ苦手意識があるだけである

 

「そもそも、別に泳げないわけじゃないもん。ちょっと息継ぎと目が開けられないだけだもん」

「それを泳げないっていうんじゃ…」

「苦手な事も練習すれば絶対克服できるぜ!」

 

美遊とタツコの他にもミミやスズカ達も参戦してくれている

 

その時

 

グォオオオオオ

 

仁久須達の目の前にリムジンが止まり

 

「ヘっ」

「あっ」

「えっ」

 

開かれたドアから手が伸びてきて

 

「……ゆっ…誘拐だーーッ‼︎⁉︎

「なんだ⁉︎へんたいふしんしゃの仕業か⁉︎」

「いや…待て、あのリムジン確か…」

 

仁久須達三人を引きずり込み、走り去っていった

 

 

「あ…リンさん!ルヴィアさん!…の車?

「急で悪いけど…任務(しごと)よ」

 

任務内容として、地脈の乱れの原因であるカードを全て回収してもいまだに回復してないらしく

地脈の乱れを調整する為の打開策にルビーとサファイアの無限の魔力供給を利用し高圧縮魔力を地脈に注入し拡張することらしい

 

 

「うーん…結局のところ私たちの権力関係は変わってないんだね」

『イリヤさんもリンさんの言うことなんて聞かなくていいんですよー?』

ルビー(あんた)がわたしの言うこと聞けば全部解決するのよ!」

「あはは…」

 

まあ…この騒動の元凶がルビーなら…その騒動を持ち込んだのがリンさんとルヴィアさんなんだよねー…いつも喧嘩ばかりなんだけど、いざとなった時の判断力とかなんだかんだ頼りになってかっこいい…

 

そう考えていたら一瞬で2人の姿が視界から消えた

 

「「底なし沼だー‼︎‼︎」」

 

「なんでこんなところに致死性のトラップがーー⁉︎

沈むっ!沈むーっ‼︎」

「だっ大丈夫ですかルヴィアさん!」

「あだだだだだだだ⁉︎なんで髪を引っ張るんですの美遊ーーッ‼︎⁉︎」

 

 

どんどん底なし沼に沈んでいくルヴィアの様子に美遊が焦りルヴィアの髪を引っ張り引きずり出そうとするが筋力が足りないのかうまくいかない

 

「どどどどどど、どうしよう⁉︎」

「わかった、任せて」

 

すでに部分獣化をしていた仁久須の手(脚)により救出された

 

 

思わぬ出来事もあったが大空洞にたどり着いた

そして…ここで、さらに思わぬ出来事が起こるとは…

 

「うわー…すごい大空洞…こんなところがあったんだねー」

「洞窟だけあってひんやりしてるね」

 

滅多に見られない光景に感心する

 

「道中危うくしにかけたわ…」

『開幕早々最高におマヌケなデッドエンドでしたねー』

「うぅ…(ワタクシ)の縦ロールがゆるふわカールに…」

『愛され系ですね』

「すみません…」

 

泥で汚れてしまったり、髪型が変わった人達がいるがこれから重要な任務に入る

 

「やれやれ…ちゃっちゃと終わらせて帰るわよ」

 

遠坂凛がヴァイオリンケースののようなバックから巨大なネギのようなものを地面に突き刺し、ルヴィアが魔法陣を描き、イリヤと美遊がステッキを構え魔力を注ぐ

 

「充填率20…40…」

「いけるわ…出力そのまま維持!」

 

やる事がない仁久須はジッとその光景を見ている

 

「60…75…90…100…110…115…!…120!」

Offnen(開放)‼︎」

 

充填され凝縮された魔力が地脈に注がれ地鳴りがしたがすぐに収まる

 

「…これで終わり?」

「ふぅ…一応はね。効果の程はまた改めて観測しなきゃいけないけど…」

 

仁久須がずっと黙って真剣な表情で地面に刺さった地雷針を見ている

不思議に思ったイリヤが声をかけようとすると

 

「ー⁉︎なんかくる‼︎」

「え…ちょっと待ってこれは…!」

 

仁久須の言葉の直後、地面がせり上がり魔力が溢れて出した

 

「ノックバック⁉︎うそ…出力は十分だったはずよ⁉︎」

「まずい…来ますわ‼︎」

 

「「逆流……ッ‼︎」」

 

溢れ出した魔力の勢いは大空洞の天井を崩してしまった

 

やばい…なんか嫌な予感がすると思っていたけど…ここまでの事が起こるなんて…

完全獣化すれば瓦礫程度、吹き飛ばせるがもう間に合わない

 

 

 

 

 

 

どうしようもない危機に直面した時

 

それはスイッチみたいに切り替わる

 

これで4度目で

 

わたしにはどうすればいいかがわかってしまう

 

「クラスカード【アーチャー】夢幻召喚(インストール)!!!」

 

イリヤが赤い外套に黒のインナーの姿に変わり、紫に輝く4つの花びらのようなものを出現させた

 

「光の盾……⁉︎」

「イリヤ…!」

 

イリヤが出現させたであろう花びらは落石を押し留めていた。

だだイリヤは片手を出して花びらを維持する事、それ以外の行動が取れないようで、このままでは押し潰されてしまう

 

「神代ーー回帰」

 

「過去ーー再生」

 

イリヤが稼いでくれている時間は無駄にはしない。

すぐに完全獣化しくちばしに炎を溜め

 

花びらが消えると同時に熱線で落石を吹き飛ばす

 

煙がその場の全員に立ち込める

 

即座に完全獣化を解いてイリヤに駆け寄る

 

さっき突然倒れた所を見ていたから心配している 

 

「大丈夫⁉︎イリ…ヤ?」

 

見たところ怪我は無さそうだ。

うん、問題無さそう

 

そしていつものピンクを基調とした魔法少女の衣装を着たイリヤとさっきの赤い外套に黒のインナーの姿で褐色肌のイリヤがいた。

うん、問題ありだ

 

「「え……?」」

 

 

2名のイリヤはハモり、お互いを見る

 

そして褐色イリヤの方が真っ先に動き、素早い動きで大空洞の出口には行ってしまった

 

想定外な異常事態に誰もが硬直していた。

 

 

 



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不運の嵐

「うむむむ」

 

イリヤは歯磨きをしながら唸り声をあげている。

その原因は…

 

〔今日の運勢最下位は…ごめんなさい、かに座のあなた!〕

〔何をやってもうまくいかないかも?用事がなければなるべく家から出ない方が吉!ラッキーカラーは(スカイブルー)!ラッキーアイテムは…〕

 

イリヤはかに座でランキング的に最下位になっている為ご機嫌斜めなのだ

 

 

 

 

 

イリヤと仁久須は一緒に登校している。

いつもはルビーはイリヤの髪の中に隠れているのだが気分的に外に出ている。

人目につく可能性とかあるけど…まあなんとかなるでしょ

 

「なんて言うかさー…聞いてもないのに朝から〔あなたは最下位です〕とか失礼すぎない?」

『そもそも運勢に順位付けている時点でアレなんですがー』

「まあ別の番組とかで結果違うから話半分ぐらいでいいと思うよ」

 

朝の占いの結果にまだ機嫌が悪くプンプンになっている

 

「それでも気になっちゃうよ。そういえばニクスはどうだった?」

「確か……10位ぐらいで他人の不幸に巻き込まれてるとかそんな感じだった気がする?」

 

僕はそんなに聞いてなかったから記憶朧げなんだけど

 

「ん〜10位か〜なんとも反応しづらい」

『てかそれ実質最下位じゃ、ありませんか?』

「え?そうなの?」

 

仁久須の占いの結果に微妙な反応を示したがルビー的には違うらしい

 

『だってそうじゃないですか。他人の不幸の身代わりになっちゃうなんで最悪じゃないですか。まあ、あんな占いなんて信じる必要ありませんよ。イリヤさんと仁久須さんにはもっといい神託を授けましょう』

 

 

うーん、なんかやな予感しかしないな…てかほんと多機能だね

 

「おっ来ました、来ました。…頭上注意』

「あたっ⁉︎」

 

その瞬間、突然強風が仰ぎ仁久須の頭に植木鉢が落ちてきた

 

「絶対そんな軽い痛みじゃなかったよね⁉︎よしよし痛かったね〜」

 

イリヤは土まみれになっている仁久須の頭を中心に払ってあげている

 

(ほんっと髪サラサラだな〜わたしよりもサラサラかも…なんか悔しい)

 

なんか最後睨まれながらあらかた土を取り終わり

 

「てか!そもそもどこから落ちてきたの⁉︎」

『むむむ…?これは所謂ファフロッキーズ現象?』

 

ルビーが専門用語を使うが2人は理解できずにまた何か起こるかもと駆け足になる

 

「やめてよルビー!なんか怖い!またイタズラ仕込んだんじゃないのー⁉︎」

『いえいえまさかー

あ、次の予報出ましたよー

えっと…飛び出し注意』

 

ゴッ!

 

またルビーが予報を出した瞬間、地震が発生し無人ダンプが仁久須に突っ込んだ。

 

「はわあああ、どうしよう⁉︎これ絶対やばいよ⁉︎」

『えっと…はい生体反応ありです。大丈夫です生きてます!』

 

でもなんか既視感があるようなないような…

 

そう少し頭を捻りながら考えていたら

仁久須を押しつぶしていたダンプがきた道まで吹っ飛んでいった

 

「もう!痛い!」

 

仁久須が片足だけを部分獣化させダンプを蹴り飛ばした

 

「大丈夫…じゃないよね!えっと病院に…てかこの場合救急車だよね!うんわかった!」

 

血だらけで確実に重傷を負っている仁久須に動揺しているが、以前より速く炎が出てきて傷は治った。

 

制服はボロボロだけど…ちょっとえっち

 

ってそんなこと考えてる場合じゃない!

 

「ん?まだだと思ってたけど、なんか速いね」

「うん!無事でよかったけど、なんかやばいよ!これ!」

「とりあえずこの場から逃げようか」

 

イリヤと一緒に走り出すとまたルビーが

 

『あ、また予報です』

「ちょっとやめてよもー‼︎」

 

またルビーが予報を書いた紙を出している。ルビーが全部仕込んだって言われた方がまだ信じられるが違うらしい

 

『猛犬注意』

 

よだれ垂らした犬複数が仁久須目掛けて襲いかかっていた

 

喰うぞ

 

流石にイラついたのか仁久須が本気で睨み出した

周りにいた野鳥も飛び去るほどの

 

「わんちゃん食べちゃダメだよ⁉︎ほら逃げるよ!」

 

仁久須は殺る気満々だったがイリヤに静止され手を引かれて渋々逃げる

 

そのあと幾度も不安に見舞われる

 

 

 

「……どうして……」

 

 

 

 

 

 

 

悲惨な目にあいながら学校へ着いたときには2人ともずぶ濡れボロボロだった。

 

「ミ…ミユ…」

「あ…美遊…」

「イ、イリヤ⁉︎仁久須⁉︎何があったの⁉︎」

 

2人の様子に困惑し声を上げる

 

「おはよう…そして…ぐっばい」

 

イリヤはパタリ倒れ込もうとするが隣にいる仁久須が受け止める

 

「と、とりあえず。2人とも保健室に行こう。イリヤは私が運ぶよ」

「う、うん。ちょっとしんどいかも」

 

少しふらっとなりながらイリヤを美遊に譲渡する

 

ちょっとイリヤを抱えた時嬉しそうにしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーー大した怪我はないわ。擦り傷程度…つまらないわね。次来る時は半死半生の怪我をしてきなさい」

「ははぁ」

 

保健の先生というか人として問題がありそうな事を言い放ったのはこの小学校の保健室の保健医、カレン・オルテンシアという

 

「あなたは大丈夫なのね。その子と同じ、それ以上の目にあったようになのに傷一つないなんて」

「まあ…身体が丈夫なんじゃないのかな…?」

 

この人は苦手だ、なんか見透かされたような感じで…

 

「丈夫…ね。まあいいわ、気分が悪いようならしばらく横になるといいわ」

 

そう言ってカレン先生はカーテンを閉めてどこかに行った

 

「…バレてないよね…」

「どうだろう…でも、そうだとしても無害だと思う」

 

緊張してしまって変な汗をかいてしまった

 

「仁久須は本当に大丈夫なの?」

「まあ、このぐらいじゃ死なないから大丈夫だよ」

「そういう事じゃないだけど…無理だけはしないで、心配するから」

「り、了解です」

 

冷静に説教されているようで恐縮してしまう。

 

「イリヤ…身体は大丈夫なの?」

「うん、平気だよ。傷はどってことないよ」

「うん…あそっちじゃなくて…昨日のこと。あれから体調に変化はない?」

「あ〜」

 

イリヤ増殖システム…ちゃんと運営に報告しなくちゃいけない事件

 

「なんだったのかねぇ、あれ…幻覚とかじゃないよね」

「集団幻覚とか魔術があるぐらいだから全然あり得るけど…」

「現地点では情報が全く足りなくてちょっと判断できない。姿はイリヤそのものだったけど…中身が何なのか…」

 

みんなが呆然としている内に逃走してしまったから何もわからない。会話が可能なのかも何もかもが

 

「心あたりはない?あの黒いイリヤの…」

「ないない、あるわけないよー」

「僕も特に外見ぐらいしか……露出が激しいとか?」

 

イリヤがガバッと起き上がり仁久須の両方を掴み

 

「いやー⁉︎忘れてー!あんな姿!」 

『確かにセンシティブ感は醸し出してましたね、イリヤさんと違って』

「そ、そんなことないもん!わたしだってちゃんとやれば!ね!2人とも!」

「「……そうだね」」

 

イリヤは仁久須をグラグラと揺らし、ルビーに訴える

美遊と仁久須は苦笑いしていた

 

『まーなんにせよ早くなんとかすべきですねー。正体がどうあれ、イリヤさんと全く同じ顔のコスプレ少女が野に放たれたわけですから』

「ほんとだよ!誰かに見られたらぜったい誤解されるー!」

 

イリヤが顔を枕に埋め悶えてる

そんなに他人に興味あるものなのかと頭をコテンと傾ける

するとイリヤがチラッと見て

 

「……仁久須は…ああいう格好好き?」

「?…まあ嫌いではない、と思う?」

 

起き上がりぶつぶつと何かを言い始める

 

とりあえず何が行動に起こそうと立ち上がろうとすると座っていた椅子の足が折れ、バランスを崩してしまいそこへ

 

 

ドスンッ!!!

 

窓から突き抜けてきたサッカーボールが仁久須の後頭部に直撃しイリヤが寝ていたベットに顔を埋める

 

「もう!なんなーー」

 

パァン!!

 

顔を上げた時タイミングよく跳ね返ってきたサッカーボールが顔面に当たり破裂する。

 

「に、ニクス…」

「に、仁久須…」

 

ピタ◯ラスイッチの様な現象を目の当たりにして哀れみながら心配し声をかけようとすると

 

「……ボウボウチバベル(もうおうちかえる)‼︎」

 

うん、言いたいことはわかるよ…よくここまで頑張ったね

 



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襲撃者

やり過ぎた気がしますが許してくださいOrZ


「2人まで早退することなかったのに」

「そんなまた何かあったら大変だよ!」

「うん、心配だから…何よりも普通教育の義務なんかよりイリヤと仁久須の方が大事」

 

「そ、そうだね…たまにミユの気持ちが重いよ

(友情ってこんな重たかったっけ?) 

 

 

美遊がキリッと真面目に語る様にイリヤは若干引き気味で、仁久須は友情とは何かと考え始めた。

 

ふと上を見上げると電柱の上でこちらに弓を構える狙撃手を発見した

 

「イリヤ!美遊!危ない‼︎」

 

「きゃっ⁉︎」

 

咄嗟に駆け出し片腕を翼にかえウイングブレイドで矢を真っ二つ切り裂く

 

「なっ…なになに⁉︎」

「矢…狙撃された」

 

真っ二つにされた矢を見て驚く

 

「ほんと…逃げ足だけは速いわね、イリヤ!」

 

狙撃手が電柱から降りてきた。

その正体は昨日の褐色イリヤだった

 

「でっ…でたーー!!

『しゃべりましたよ、この黒いの!!』

(人格がある…⁉︎黒化英霊とは違う…)

 

一様喋るだけの知能はあるようだ

 

なぜ狙撃手が地の利を捨てこちら側にきたのかわからず警戒していると

褐色イリヤが仁久須に駆け寄ってきた

 

何故か仁久須を心底心配するような表情に攻撃・迎撃するか迷ってしまった。

そして仁久須の全身をくまなくチェックし始める。

 

「……あぁ、よかった。

ごめんなさい…ニクスを狙ったわけじゃないの、生きててくれてありがとう…」

 

謝罪の後無事な様子に安堵しており、仁久須を抱きしめてきた

 

「はッ⁉︎」

 

「はぁぁ…これがニクスの温もり、最高……」

「ん"、くすぐったい」

 

抱きしめられながら撫でられてくすぐったそうにしていおり、離れようとするとさらにホールドされ

 

「だ〜め♪逃がさないわよ。せっかく触れ合えるんだから、ニクスも()()()()()の触りたいところ触っても、い、い、わ、よ♡」

 

「「なッ⁉︎」」

「ふぇ?」

 

それぞれ、その発言に驚きや怒りを抱く

 

「ちょっと⁉︎なに勝手に、人の弟を撫でくりまわしてくれてんの⁉︎ていうか、ニクスはわたしがお姉ちゃんだもーー」

「うるさい」

 

イリヤが騒ぎ立てると褐色イリヤは白い短剣を投擲した。

 

イリヤは寸前のところでしゃがみ回避に成功した。

ただいきなり出来事にガクガクに震える

 

「むぅ…また避けた。やっぱり直感と幸運ランクが無駄に高いわね〜

それで幸運が低いニクスに引き寄せられたのかも…いやそれにしては…」

 

顎に片手を添えて考え出すがそれよりも彼女にはやらねばならない使命がある

 

「ごめんね。お姉ちゃん、邪魔者殺さなきゃいけないから、ちょっと待っててね?」

 

ずっと片腕で姫さまの如く抱えられ方をしていた仁久須を離しイリヤと向き合い

 

「じゃ、早速…殺すわね」

「ル…ルビー‼︎」

 

イリヤと美遊は転身して、空へ逃げる

 

ずっと自分を殺す目的で行われていたと思っていた事、そして謎の姉発言やその行動などのいきなりの情報量に少しの間呆然していた

 

「ッ!こんな事してる場合じゃない!」

 

我に帰り部分獣化させ仁久須はイリヤたちが向かった方向へ羽ばたく

 

すぐにイリヤたちに追いつくがこのままでは褐色イリヤに追いつかれそうと思い、高速で近づきイリヤと美遊を鷲掴みして猛スピードで逃げる

 

「うひゃぁぁ、ちょっと止まってぇぇぇ‼︎」

 

以前のような滑空フライトとは違ってスピードに重視をした飛行で風圧により負担がかかってしまう。

かなり距離を離したのとイリヤたちが限界そうなので郊外の林の辺りで一度降りる

 

「うう…ちょっと酔ったぁ…」

「目が…」

 

イリヤと美遊の状態に

申し訳なさを感じながらこれからどうするか相談しようとする

 

だが

 

「わかってはいたけど、スピードじゃ敵わないわね」

 

茂みの方から褐色イリヤが出現した

 

先回りされた⁉︎いやそれでも速すぎる!

 

「黙ってやられるわけにはいかないから…ちょっと痛い目見ても恨まないでよね!」

 

復帰したイリヤがルビーを構えて

 

砲射(フォイア)‼︎」

 

いつものように撃ち出すつもりだったが、何故か威力が下がっており、簡単に弾かれている

 

『ちょっと手加減しすぎですよイリヤさん!もっと本気で撃ってください!』

「もっ…もう一度…!全力砲射(フォイア)

 

もう一度放つがやっぱり以前よりも威力が下がっていた。

 

黒化英霊とは違って知性があり生き物、人間としてみているため躊躇っているのかとも思ったけど…

 

「なんでー⁉︎」

『なんかイリヤさんの出力が激減しています‼︎めちゃ弱くなってますよー‼︎』

 

この焦りようではそんな感じではなく本当に弱体化しているみたい

 

「ぷっ…あははははは!

そう…弱くなってるんだイリヤ、当然よね。だって()()()()()()()()()んだもの」

 

褐色イリヤが笑い出し、意味深なことを言い始めた

 

この現象について何か知っているの?

 

「本当はこんなこと、ニクスには見せたくないけど…仕方ないわ」

 

褐色イリヤは黒と白の短剣を出現させ、イリヤに襲いかかる

 

弓も扱えて白兵戦も可能ってかなりやっかいだけど

 

イリヤの前に出てその双短剣を受け止める。

鍔迫り合いのよう形である

 

(本気なら脚とかいつもの容赦のない攻撃とかあるでしょうに…ふふっ可愛い。まぁ丁度よかったそろそろ()()()()()()()()()()()()()

 

するとパッと短剣を離した。

いきなりの事で勢い余って前のめりに倒れそうになるのだが…

 

待ってましたと言わんばり両腕を広げ、首に両腕を回し

 

「何をーー」

 

それ以上言葉を出せなかった。口を塞がれたのである…文字通り

 

「んん?」

「なっ⁉︎」

 

「…………ん"ッッ⁉︎」

 

一瞬何をされているのか理解が出来ず反応出来なかったが何をされているのかわかった

 

「ん"ん"ん"っ…⁉︎」

 

舌を入れられて、逃げられないように腰に手を回され、脚を絡めて

 

常に地面につかないぐらいに垂れ下がっている尾羽がピーンと立ち、涙目になってイヤイヤと訴える。

 

ただやめてもらえるどころか、その反応が褐色イリヤのナニかを掻き立ててしまった。

高まってきているが一応目的である魔力供給(補給)を行おうと唾液を通して魔力を吸収すると

 

「ッ⁉︎…なに…これ…うっま」

 

蘇生や時間にまで干渉するほど上質な魔力を味わい、今までの愛でるようなものから貪るものに変わる

 

仁久須の段々抵抗力がなくなり、尾羽が力なく垂れ下がり地面にへたり込む

 

「んっ…ふぅ……あ…ごめんなさい…流石にやり過ぎたわ」

「ふにゃ〜」

 

仁久須をパッと開放しすると脚に力が入らなくなり地面にへたり込む

 

流石にやばいかと思い、こっそり解析するが魔力欠乏にはなっておらず、すでに7割ほど再生しており安心した。

 

「ニクス‼︎しっかりしてニクス‼︎」

いふぃひゃ?(イリヤ?)

 

頬を赤らめ呂律が回っておらず、ふにゃふにゃになっている

 

「よくも…貴様…わたしと同じ顔で…そんなこと…」

 

プルプルと身体を震わせて

 

「わたしがこうする筈だったのにー‼︎‼︎」

 

(やっぱり、そういう怒りだよね。イリヤ…)

 

激情し魔力砲射を放つ。

だが跳ね返られて自分の魔力弾を喰らう

動けない仁久須を安全な所に運ぶ為に美遊が一旦運ぶ

 

『無理ですよイリヤさん!出力は以前の3分の1以下まで低下してます!心中お察ししますがここは引きましょう!』

「うぅっ…ちくしょう、あの剣なんか腹立つわ!」

 

煙の中から褐色イリヤが奇襲してきて双短剣で斬りかかるが咄嗟にルビーでガードする

 

(こ…こわっ‼︎剣って間近で見るとすっごい怖い!

刃が目の前に…‼︎刃…?)

 

魔力弾を放ち再度仕切り直しで

 

砲射(フォイア)‼︎」

「むっ…」

 

双短剣をクロスさせガードし防ぐ

 

「抵抗しても苦しくなるだけよ?大人しくしてれば優しく殺してあげるのに!」

 

違う砲撃じゃダメなんだ。魔力の塊を飛ばすんじゃなくて…セイバーがやってたような…薄く、鋭く、刃のように!

 

「これは…!まずいかも…」

 

水流カッターのような薄く細い刃を放つ

 

またもや煙が立ち込み、イリヤはステッキを構えて警戒していると褐色イリヤが出てきた…特に身体への外傷(ダメージ)はなさそうだが…

 

「いったぁー……やるじゃないイリヤ、ちょっと予想外だわ」

裸ッ⁉︎っていうか斬れたの服だけ⁉︎」

『でも、なんか効いてますよ‼︎』

「ん"ん"…ッ!イリヤは!……ヒャっ⁉︎」

 

仁久須の意識が戻るとそこには衣服の大半が破れた褐色イリヤがいた

顔を真っ赤にさせ、目を隠し、背を向ける

 

「ムフフ〜見たかったらもっとみていいのよ〜?」

「変なこと言ってないで服着て!」

 

褐色イリヤがチラチラと破れた服を広げ、身体を見せようとしている

 

「んーでも、そうね。これじゃちょっと戦えないわね、残念。今日はイリヤの頑張りに免じて見逃してあげるわ。いい思いもしちゃったし♪」

「ガルルル……なにをいってーー」

 

イリヤが威嚇をしていると

 

「でも気を抜いちゃだめよ?油断してたら殺しちゃうからね、お姉ちゃん♪あ、それとニクスもそんなに無防備でいると身近にいる狼に食べられちゃうわよ♪」

 

「なっ⁉︎」

 

「じゃーねー」

 

大空洞の時と同様に素早く逃げていく。色々と爆弾投下していって

 

「そ、その顔で裸で街に出るなーー‼︎それとニクスにへんな事吹き込むなーー‼︎」

 

 



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捕獲クエスト

「いやぁーーっ⁉︎なんでーー⁉︎おろしてーー‼︎」

 

イリヤは蓑虫のように吊るされて、ぶらんぶらんと暴れている

 

「ふっ…完璧ね!」

『そうでしょうか…』

 

遠坂凛たちは近くの茂みから潜んでいる

 

なぜこんな不思議なことをしているのか

 

それは……

 

 

 

 

「というわけで…作戦会議よ!」

 

 

数時間前のルヴィアの豪邸で作戦会議をする。しかし

 

 

「美遊も紅茶の淹れ方がわかってきたようですわね。今日のはなかなかですわ」

「ありがとうございます」

「僕ってそんなに無防備なのかな?」

「…さ、さあ?わたしもヨクワカラナイヨ?」

 

遠坂凛(司会進行)をガン無視して各々好き勝手にしている

 

ルヴィアは美遊の紅茶の品評しその評価を聞く美遊

ルビーとイリヤは遠坂凛のメイド服姿への解説

そしてニクスは褐色イリヤに言われたことについて考える

 

『身近の狼に食べられちゃうわよ♪』

 

身近の狼…狼…そういえば昔、母さんがイリヤに…

 

『ちゃんと気をつけるのよ?男の子はみんな狼なんだから?』

『え、ママ。じゃあ、ニクスと()()()()()も狼なの?』

『ん〜〜そうねーニクスはまだかもしれないけど…シロウは、どうかしらね?』

 

過去の記憶が木霊する

 

『お兄ちゃんも狼なの?』

『シロウは、どうかしらね?』

 

まさか……狼って、兄さーー

 

バンバン!

 

「ちゃんと聞けー!」

「ッ!びっくりした…」

 

凛さんが教卓を叩く音で肩がビクッとなり、思考がかき消された

 

「悠長に構えてられないわよルヴィア!一般人(イリヤたち)を巻き込んだことは教会には報告してないのに、さらにこんな異常事態…バレたらただじゃ済まないわ!」

「……わかってますわ」

 

ルヴィアさんも真面目な表情になり、やっと会議が始まる

 

「で、差し当たっての問題は黒イリヤの目的がイリヤの命…でも危機的状況なのに当のイリヤは弱体化してる……と」

「う〜〜〜…」

「身体的な異常は一切なくて、ただ魔力容量と出力が下がるなんて…」

 

黒イリヤの出現と関係ある…と見るのが自然ね。イリヤたちとの戦闘時に何か知ってるような素振りだったらしいし…やっぱりこの子にも何かある?仁久須とは違って本人も知らない何かが…

 

まじまじと自分の手をみているイリヤを見ながら考察を繰り広げる

 

いやーー今は情報が足りなすぎるわ、ここは…

 

「作戦を決めましょう。現状の情報だけで考えも答えは出ないわ。かといって事態の放置・引き伸ばしも無意味よ。イリヤの命が狙われている以上やることはひとつ……黒イリヤを捕獲する!

 

一同、これには納得する

 

「それじゃあ、あれだね。

みんなでアイツをボコボコにして弱らせて、罠に嵌めて麻酔玉で捕獲するんだね!」

「イリヤ…多分それ、違う…」

 

何をいってるのかしら…この子は

 

「情報の少ないけどヤツの目的はわかってるわ!」

 

イリヤをみてその作戦を宣言する

 

 

 

 

「で……これが作戦って…」

 

囮になって吊るされているイリヤは暴れ疲れてガックリとしている

 

「ヤツの狙いがイリヤならたとえ罠とわかってても無視出来ないはず。あと二重トラップという意味で豪華な料理を…」

 

いや、餌で釣るって、虫捕まえるんじゃないんだから…それは…

 

自信満々の2人を横目に不安に感じていると枝を踏む音がした。

その方向を視線を向けると褐色イリヤのご登場

 

ほっ…ほんとにきたーッ⁉︎

 

褐色イリヤは蛇行しながらイリヤに眼を離さずに徐々に近づく

 

 

「バカ!黙ってたら怪しいでしょ!もっと餌らしく抵抗する素振りとか…」

「そうですわ!少しは誘惑や動揺を誘ってごさんなさい!」

 

特に何のアクションも起こさない2人に遠坂凛とルヴィアは指向性メガホンで指示をする

 

イリヤが冷や汗を垂らし硬直してしまっているけど…

もしかしたら…これは…いけるのでは…?

 

 

「んー、なんかあからさまに罠すぎてリアクション取りづらいわー」

「「ちいぃっバレたか‼︎」」

「「当然です!(だよ!)」」

 

やっぱりダメでした…

 

「まぁいっか。いじらしく台本考えてたんでしょう?

乗ってあげるわ!」

 

罠ではあるのだがイリヤ殺害の絶好の機会である事には変わりないということなので武器を手にし襲い掛かろうとする

 

来たーー(フィーッシュ)‼︎捕縛対象切り替え‼︎」

 

凛さんは帯で一本釣りをする。

イリヤを拘束していた帯がイリヤを解放し、褐色イリヤを蛇が絡みつくように拘束する。

 

ただそれだけで済むような相手ではない。

あっさりと短剣で切り裂いて無力化してしまう

 

Zeichen(サイン)ー!見えざる(ファオストデア)鉛鎖の楔(シュヴェーアクラフト)

 

ルヴィアがつかさず詠唱をし拘束系の魔術を起動

褐色イリヤの足元に魔法陣が浮かび上がり、押しつぶすように重力がのしかかる。

地面に手足をつく体勢になり、動きの妨害はできてるようだが…

 

「重力系の捕縛陣ね…でもバーサーカーの時のに比べたら、随分と……(ランク)が落ちるわ!」

 

無理矢理右手を動かし、魔力の球を創り地面へ叩きつけ、地面の破壊し魔法陣を無力化した。

 

「地面ごと魔法陣を…」

「イリヤ!」

「とりあえず今の全力の…散弾‼︎

 

上空から散弾を褐色イリヤの周りに放ち土煙を舞い上がらせる。

 

「ふむ、散弾で煙幕か〜ということは当然……」

 

 

煙幕により視界が阻まれていたはずの褐色イリヤは背後からの美遊の不意打ちを読み避ける

 

「不意打ちに、破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)ね…さすが美遊。いきなりウィークポイント突いてくるなんて」

「くっ」

 

美遊の奇襲を躱し、その手を掴み関心する褐色イリヤ。

美遊はすぐにキャスターの限定展開(インクルード)を解除し後方へ飛び退く

 

「なんなんですのこの対応力は⁉︎」

「ムカつくぐらい完璧に対処されたわね」

 

黒化英霊とは違い、まるでこちらの手を読まれている気味悪さを一同感じている

 

ただイリヤに関しては少し異なるようだ

 

昨日からずっと続いているこの感覚・違和感は……わたしと同じ顔の敵が襲ってくる…これってやっぱり…

 

「すっごいキモい!」

「キモいとはなんだー‼︎」

「びゃーッ⁉︎」

 

イリヤの感想に対して、褐色イリヤはブチギレて短剣を投げるがイリヤの側にいた仁久須が短剣を叩き斬る

 

「あ、ありがとう」

「なによ…イリヤなんて守る価値なんてないのに…」

 

罪悪感というか何というかよくわからない感情により戦いに積極的にはなれずイリヤの護衛に回っている。

 

すると、褐色イリヤの前に遠坂凛とルヴィアが立ち塞がりそれぞれ短剣や宝石を構える。が…

 

「外野はちょっと、引っ込んでて!」

 

走りながら先程切り裂いた拘束帯を再利用し凛さん達をあっさり拘束してしまった。

 

「えー!速攻やられてるじゃん!」

『相変わらず使えない人たちですねぇ』

 

「なら…速射(シュート)‼︎」

 

イリヤから近づけさせない為に美遊が連射するが駆け抜けながら避けられる

 

「んー、遠距離戦(うちあい)は望むところなんだけど…弓じゃ手加減できないから」

 

褐色イリヤは駆け抜けるのをやめ

 

投影(トレース)偽・射殺す百頭(フェイクナインライブス)

 

「とりあえず…ごり押しーー」

 

その岩を切り抜いたような斧剣を盾とし美遊に突っ込もうとすると斧剣がへし折れたのだ。原因は低空飛行で接近した仁久須が踵おとしでへし折ったのである。

 

贋作とはいえ宝具を破壊された衝撃は斧剣から伝わり体勢が崩れる。隙を逃さずに仁久須は褐色イリヤの両腕を両脚で掴み押し倒す。

褐色イリヤは地面に大の字に抑え付けられる

 

「あ、やば…え?」

「お願い……捕まって…」

 

強靭な脚に拘束され、身の危険を感じたが仁久須を見ると泣きそうな顔で震えた声でお願いされた。

 

短剣を創り出し投擲。魔力の塊をぶつける。脱出する手段はあるけど…

 

 

「はぁ…わかったわ、悔しいけど降参するわ」

 

そんな顔されたら…戦えないじゃない

 

「ほ、本当なの?」

「ええ、本当よ、降参するわ。ほら凛、ルヴィア、さっさと拘束したら?」

 

捕縛帯から脱出した凛さん達が縛り上げられそうな長さの帯を持って近づく

 

「そうね……でも何か企んでるかもしれないから仁久須、まだ離しちゃダメよ」

「そんなに警戒しなくていいわよ。まあやりようは幾らでもあるけど、そんなことしてないでしょ?……ムフっ押し倒されてるっていうのもなんかいいわね」

「ほぉ〜ん」

「へー」

 

背後から2つほど黒い視線と凍りつくような声により背筋が凍るような悪寒がし、離そうと思うが

 

「まだダメよ。あともうちょっとだから」

「我慢しなさいな」

「は、早くしてよ〜」

 

それから拘束が完了するまでこの味方陣営からの精神攻撃は続いた

 

 

 

 




投影品の斧剣ってどれくらいの強度なんだろう


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尋問タイム

「さて…それじゃあ、尋問を始めましょうか」

「……この扱いはあんまりじゃない?抗魔布の拘束帯まで持ち出して…」

 

現在、ルヴィアの豪邸の地下倉庫で褐色イリヤを魔力を封じる布で十字架に厳重に縛り付けられている。

 

「まったく、ここまでしなくても危害を加えたりしないわよ。イリヤ以外には

「それが問題なんでしょーッ⁉︎」

 

イリヤが激情して机を叩き叫ぶ。まあ無理もない。命を狙われて心中穏やかにしろと言う方がおかしいのだ。

 

「残念だけど、貴女には弁護士を呼ぶ権利も黙秘する権利もないわ。わからないことだらけなの……全部答えてもらうわよ」

「全部…ねぇ」

 

そろそろ本格的に尋問が始まる

 

「まずは、そうね。貴方の名前を教えてもらおうかしら?」

「名前?イリヤだけど、イリヤスフィール・フォンアインツベルン」

 

凛さんの言葉に褐色イリヤはさも当然な事を言うように答える。

イリヤが不機嫌になるので頭を撫でて落ち着かせる。これをするとイリヤは結構な確率で落ち着きを取り戻す。

 

「……ちなみに嘘をつく権利も認めていないわよ?」

「心外ね。嘘なんかついてないわよ」

「どうだか…」

 

まだ真偽を判断できるほどの情報がないので、まずは疑いながら慎重に進めるつもりである

 

「貴方の目的はなんなの?」

「まあイリヤを殺すことかな〜」

「なら、自分の首でも締めればいいじゃない」

「わたしじゃなくてあっちのイリヤだってば」

 

このままではどちらのイリヤかわかりづらく面倒くさくなってきた。

 

「ああもう!どっちもイリヤじゃややこしい!えーと黒…クロ!黒いイリヤだからクロでいいわ」

「わたしは猫か…」

 

褐色イリヤはクロと雑に命名されました。

 

「…でイリヤを殺そうとする理由はなに?まさかオリジナルを消してわたしが本物になってやるーとか、そんな陳腐な話じゃないでしょうね」

「あれ、よくわかったわね。まぁおおむねそんな感じ」

 

ドッペルゲンガー的な感じだろうかでもおおむねということはそれだけではないという事なのか…

 

「…貴方は何者なの?」

「核心部分?んー…ネタバレはまだちょっと早いんじゃないかなぁ〜」

 

真偽はどうであれ、ここで初めての誤魔化し、正体(この部分)がラインだったようだ

 

「……もういいわ」

 

まあ尋問、初日だ。今日はこの辺りで尋問は一旦お開きである。

 

「あら、全部聞き出すんじゃなかったの?」

「聞き出すわよ、いずれね。でもその前に…イリヤに関する抑止力を作っておきましょうか」

 

するとルヴィアは何かを察してイリヤを羽交い締めにした。

 

「え?なに?ちょっ…えっ」

 

凛さんが結構な大きさの注射器を手にしてイリヤに近づく、何をされるか察したけど唐突な出来事に困惑しながら恐怖する。

 

「いっ…いあーーーーーッッ⁉︎」

 

地下倉庫でイリヤの悲鳴が響いた。

 

「ひ、ひどい」

「ちょっと血を抜いただけよ。大げさね」

 

献血させられた腕を押さえてて涙を浮かべるイリヤを横目にいくつかの宝石が入ったシャーレにイリヤの血を入れる。

 

「…何をする気?」

「言ったでしょ?抑止力よ」

 

凛さんが右手の人差し指にイリヤの血を塗り、クロに近づき、露出した腹部のに地図記号のようなものを描く。魔導書を片手にイリヤの血を床に垂らしながら詠唱を行う。

 

ルヴィアさんがイリヤをクロの前まで連れて行き、腹部の模様に手を当てさせる。

すると模様がより一層輝き魔法陣が浮かび上がる。

 

「何?なに⁉︎なにをさせられてるのー⁉︎」

 

遠坂凛とルヴィア以外何をしているかわからずただ事の様子を見守ってると、やがて光が収まると辺りは何か変わった様子はない。

 

「人体血印…呪術⁉︎何をしたの⁉︎」

 

クロが何をしたのか聞くが、無視をし凛さんがイリヤを手招き

 

「なにを…あだっ⁉︎」

「あだっ⁉︎」

 

突然のゲンコツ(暴力)がイリヤを襲う。するとクロも同じ反応で悲鳴をあげる

 

「いややややや⁉︎」

「いだだだだだだ⁉︎」

「ちょっと凛さん⁉︎何してんの⁉︎」

 

意味もなくイリヤを痛めつけいるように見えた為、仁久須がイリヤを遠坂凛から離し、背中で隠すように抱き頭を撫でる

 

「「ゔゔ〜いだいよ〜」」

「よしよ〜し痛かったね〜クロも痛かったね〜」

 

イリヤは涙目で仁久須の小さな胸板に顔を埋めスリスリとする。

クロも涙目で見ていたので背伸びして頭を撫でてあげる。

 

なんか胸がスースーするな…

 

「まあこの通り痛覚共有よ。ただし一方的な…ね!主人(マスター)が感じた肉体的な痛みをそのまま奴隷(サーヴァント)に伝え、主人(マスター)が死ねばその【死】すら伝える。けどその逆はない。シンプルで…それ故に強固な呪いよ」

「くっ……やってくれたわね…」

 

クロがイリヤを攻撃した場合その損傷(ダメージ)はクロにも返ってくるカウンター。

そしてクロが受けた損傷(ダメージ)はイリヤには返ってこない

 

これでイリヤはクロに対して完全有利を取れたことになる。それどころかクロは一切手出しできなくなったのだ。

 

「そう…つまり貴方は……イリヤスフィールの肉奴隷ということですわ‼︎」

 

ルヴィアはクロに向かってドンと指を指し決める。

 

ただこのトンデモ発言に一同シーンと静まり返り

 

「いや…それ違う」

「…イリヤの非常食?」

「ニクス…それもちがうよ、わたし人なんて食べないからね?」

 

仁久須もちょっとずれた解釈をする。

 

 

 

 

 

 

もう時間的に遅いということでイリヤと仁久須は帰宅する事となり、とりあえずクロのことは遠坂凛達に任せることになった。

 

クロ(あいつ)はこのまま地下倉庫に監禁しておくわ。とりあえず痛覚共有(これで)イリヤが襲われることはないと思う。とは言っても絶対ではないから…気を抜かないでね。今日のところは一緒に過ごしなさい」

「……よし!」

 

まあクロは英霊の力を自在に扱うのだ。万が一がありうるしね、一応気を抜かないようにしなくてはと仁久須は気合を入れる

 

「念のためランサーのカードを預けておくわ。もしもの時はそいつで遠慮なく貫いてやりなさい。ブスッと」

「わーお、ばいおれんす〜」

 

イリヤ自身が自衛出来る出来ないとでは全然違うのでありがたく受け取る

 

「はぁ……結局アイツが何なのかわからないままかぁ……」

『ややこしい存在でしたね〜イリヤさんへの殺意も何か壮大な目的があるかもしれませんね』

「壮大な目的……」

 

イリヤを殺して得る何か……もしかして居場所が欲しかったとか?

 

3人で考えながら玄関の扉を開けると…

 

「お帰りなさい、ニクス♪」

 

『「「え…?」」』

 

そこには監禁生活を送っている筈のクロ囚人がいた…

 

「わたしにするぅ?わたしにするぅ?それともぉ…わ、たーー」

 

脱獄囚人(クロ)が変なこと言いそうだったので玄関のドアをそっ閉じする。

 

仁久須とイリヤは目を擦ったり、ほっぺをつねったりして夢ではないことを確認して再度ドアを開ける

 

「お帰りさない♪わたしにーー」

 

またそっ閉じする。そして再度夢確認してまた開ける

 

「お帰えーー」

 

またまたそっ閉じすーー

 

「させないわよ!何回もやらせないでよ!ちょっと楽しんでるでしょ⁉︎」

 

少し赤くし息を荒げながら玄関のドアを掴み、強引に開ける

 

まだ怒涛の一日は続くようだ

 



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かき乱され始まる日常

何であれ監禁していた筈のクロがいる

 

「何でいるの⁉︎早速脱走⁉︎警備ゆるすぎ‼︎」

「クロ…なにしにきたの?」

 

あんな厳重そうだったのに!ハリボテなんじゃないの⁉︎

 

「ん〜?ニクスに会いたいから出てきただけよ♪」

 

妖艶に笑い仁久須を見ているが、ジト目で信用してない風だったので、証明するために仁久須の手を握りリビングの方へ連れてってしまった

 

「んなっ⁉︎…何アイツ‼︎」

 

ニクスをそんな目で見るなんて!許せない!

何よりクロがニクスを連れ去る時、わたしの方にチラッと勝ち誇った顔をしたのが腹立つ‼︎

 

急いでイリヤもリビングに突撃しに行こうとするが、ルビーが待ったをかける。

 

『今、リビングには士郎さんがいます。今イリヤさんが行ってしまえば、イリヤさんが2人いるとなり色々と面倒臭い事態になります』

「ぐぬぬぬぬ………じゃあ、どうすれば…」

 

入ることの出来ないのでバレないように覗き見ると、そこには…

 

「もう、姉に意地悪するなんて…悪い子だわ〜」

「ちょっと…クロやめて…あひゃっ」

 

ニクスをソファへ押し倒してあいつがくすぐり始めていた。

片手でニクスの両手を頭の上で固定して抵抗できないようにして…

 

「やめて…ごめんなひゃい…ゆるひへぇ…」

 

しばらくしてニクスがくすぐりにより息が吸えず真っ赤になって息を荒くして許しを乞う。

ちょうどあいつの耳に熱い吐息が入って……ハイッテ…

 

『あの〜イリヤさん?ずっと無言で凝視してるの怖いんですけど…なんか言ってくれません?』

「あれはイケナイよ」

 

ていうかお兄ちゃん!すぐ横のソファで豆の皮なんて、むいてないで止めてよ⁉︎

 

「じゃあ…ニクスはどんな女の子が好きなの?」

「…?」

「おいおい。仁久須だって年頃なんだから、流石にやめてやれよ…」

 

やっと変態(あいつ)の所業にお兄ちゃんがストップをかけた。

頑張って!お兄ちゃん‼︎仁久須を魔の手から守って!

 

「あら?でもね〜お兄ちゃん、ニクスだって喜んでるじゃない♪」

「ん?…そうなのか?なら、いいのか…?」

 

あぁもう!言いくるめられないでよ!

 

『ははぁ…そういうことでしたか。クロさんの壮大な目的はズバリ仁久須さんですね』

「……ニクスが目的」

「そのために本物のイリヤさんは邪魔だったんですね〜けど手出しできなくなったから今度から積極的に接触する策に出たと」

「さ、最悪!最低最悪の敵だわ…っ‼︎」

 

ニクスに対して妙に好意的だったのはそういうことだったのか!

 

『いやはや…うーん…ですがこれはイリヤさんが望んでいたことじゃないんですか?』

「は⁉︎何を…」

『イリヤさんが姉弟の枠を壊して、それ以上の関係になって気持ちをぶつけたいっていうのをクロさんはそれを着実に実行しているように見えますよ?』

 

くっ、たしかにちょっと羞恥心でヘタレでしまう事は多い……とても認めたくないけど、今までクロがやっていた事はわたしの願望でもあった。

 

クロは恥ずかしさでやめてしまう事はしてない。好意を伝えて行動に起こしてる……でもそれじゃクロの方が本物でわたしが偽物みたいじゃない‼︎そんなの…絶対に認めない‼︎

 

「だとしても……許せるわけないでしょうが‼︎」

 

わたしにはクロの所業を止める手段がある!

 

イリヤは左手を振り上げて、思いっきり振り下ろした。

近くにいるルビーにではなく自分自身に、頬に、パァンといい音が鳴り響く。

 

「ひぶっ⁉︎」

 

やりたい放題に仁久須を背中から抱きつきこねくり回していたクロが唐突の左頬からの衝撃(不意打ち)を悲鳴を上げながら痛みに悶える

 

「イリヤ?どうした?」

「どど、どうしたの?いきなり…」

 

2人が突然の悲鳴に動揺しながら心配する。

 

「だっ…大丈ぶあっ!あっ、ぷっ、らっ

 

そこから怒涛の痛みによる連撃を受け、床に転がり回る

 

 

被害者であり加害者であるイリヤは…

 

 

「いっ……いだいぃぃ…!て"も"、ごれであいづは止ベられてるばず…」

『あぁ〜自分で自分をマジビンタなんて…イリヤさんってばなんて面白健気なんでしょう…!』

 

両方の頬を真っ赤に腫らし床に涙目で、うずくまっている。

 

 

「くっ…なら最後にせめて…!」

 

クロが最後の意地で立ち上がり仁久須に飛びかかる。

 

「ニクス〜〜キスぅ〜!」

「なっ…バリア!」

 

手をクロスしてガードしようとしているが、そんな貧相な守りでは自分の貞操も(自分の何も)守れやしない。

 

「させるかァァーーー!」

 

壁の角に足の小指を勢いよく蹴りつけた。

その直後

 

「イリヤ、仁久須!無事⁉︎」

「たった今、クロが脱走を……‼︎」

 

遠坂凛とルヴィア、美遊の3人が突撃して来た。

真っ先に目に入ったのが…

 

「……っ!………!っっっ‼︎」

 

足の小指を押さえながら倒れ、声も出せないほど悶絶しているイリヤだった。

 

「どうしたの⁉︎クロに何か…」

『いえ、違います!それよりクロさんを!リビングにいます!今なら動けないはずですよ!」

 

「ハッ!そうだわ!」

「行きますよ!」

 

ダウン中のイリヤを飛び越えて遠坂凛とルヴィアはリビングへ突撃する

 

「クロ!」

「観念なさい!逃しはーー」

 

 

2人が目撃して驚いたのはクロじゃなく…

 

「衛宮くん…?」

士郎(シェロ)…?」

 

この反応で兄さんとは初めましてではないと思うけど……これは、ライバル追加(増えた)のかな?

 

「ごめんね衛宮くん‼︎イリヤちょっと借りていくわ‼︎」

「あっ…」

「ごめんあそばせ〜!オホホホ〜」

 

空中ダウン中のクロを担ぎ、雑な誤魔化しをしながら去ってゆく。

彼女らの奇行に困惑しながらも士郎は追いかけるがそこには

 

「おい、遠坂⁉︎…あ、あれ?イリヤ?」

「……そ、そうだね、いるねイリヤ」

 

仁久須もひょこっと顔を出しながら確認するとイリヤと美遊が玄関のドアを押さえていた。

 

多分間に合ったんだね

 

「なななな、なによくわかんない事言ってるのかな⁉︎」

「あ、うん。ごめんね変なこと言って……」

 

流石の兄さんでも怪しむだろう…どう誤魔化せば…

 

「ワケがわからないが、何にもないならまあいいか」

 

ナイス鈍感!それで済ませちゃうなんてやっぱり才能だね!

 

「えっと、君はイリヤと仁久須の友達かな?」

 

兄さんが美遊に話かけて

それまで美遊は兄さんに背を向けていたが、振り返り

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん…?」

 

 

 

 

おっと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜なんか色々起こりすぎてわかんにゃい…」

「う、うん。お疲れ様イリヤ」

「ふにゃ〜〜」

 

仁久須が膝枕して腫れた頬を冷やしてあげている。

 

「んーむ…ニクスは…あの時のミユ、どう思った?」

「そうだね…」

 

はじめましての筈の美遊が兄さんを【お兄ちゃん】と呼び、兄さんの胸に飛び込んだ。奇行に対しての疑問もあるけど、それよりも

 

「兄さんを見る目がなんか悲しそうに見えた…の、かな?」

「そうだね。ミユとお兄ちゃんに何かあったのかな?ミユのお兄ちゃんと私たちのお兄ちゃんは似ていたらしいし」

 

「「うーん……」」

 

何か考察しようにも情報が足りない…というかなんもない

そういえば僕らは美遊のこと何も知らないんだ。

 

「考えてもしょうがないから、今日はもう寝よっか?」

「うん!」

「……あれ?イリヤ?」

 

 

イリヤが自分の部屋に行かず、仁久須のベットに入った。

 

「なんで自分の巣に戻らないの?」

「巣って……ほら、リンさんに今日は一緒に過ごせって言われました。なら一緒に寝るべきです!」

 

ふむふむ、なるほど

言いたいことはわかった…何故に敬語?

 

「私、ここから、出ないもん」

 

布団に籠り、完全に居座る体勢になった

 

「わかった、わかった。じゃ、少しそっちによって」

 

横で寝るためにスペースをわけてもらった…僕のベット(領域)なんだけどなぁ〜

 

「えへへ〜ちょっと久しぶりだね一緒に寝るの♪」

「あー確かに、前は結構寝てたと思うけど…気づいたら別々に寝てたね」

「だって、ちょっと恥ずかしく…」

「zzzz…」

 

いや⁉︎早すぎでしょ⁉︎

まあニクスも今日大変だったもんね。クルマに轢かれたり、植木鉢が頭から落ちてきたり、クロ(アイツ)にベタベタ触られたり…クロ(アイツ)にキ、キ、キスされたり………

 

「今日いっぱい穢されちゃったもんね…」

 

元々仁久須と近かったがピッタリくっつき、抱きつく。若干イリヤの方が身長は高いので抱き締める形になる。

 

仁久須の身体を触ってみるとがまだまだ幼い身体でもちゃんと筋肉がついており、ちゃんと男の子の身体であると実感できる

 

「////」

 

赤面してもしばらく触っており、お次は…

 

()()()まだだったよね」

 

仁久須の顔へ近づき…重ね…

 

ふわふわ〜っと頭が思考がうまく働かなくってきている

 

「もっとしゅる〜もっと〜」

 

 

 

 

 

「…リヤ!イリヤ!」

「ムニャムニャ…ニクチュウ〜」

 

身体を揺さぶれてて目覚め出す

 

「起きて!朝だよ!」

「ハッ!……夢?……どこから⁉︎」

 

朝から涙目になっているイリヤを見て

 

「どうしたの?何か怖い夢でもみた?」

「怖い夢っていうか…その…………か、顔洗ってきます!」

 

イリヤが逃げるように走って洗面所に行ってしまった

 

「………?」

 

無意識に口を擦りながら見届ける

 

 

 

 

 

先に兄さんは行ってしまっているので2人で学校に行く。

 

「「いってさまーー」」

「ごきげんよう、シェロ。家が向かいだなんて、これも運命!今日からは是非もなく、わたくしと一緒の車で…

 

ルヴィアさんが華やかな笑顔で背景に薔薇の花が咲きそうな雰囲気で手を差し伸べていた。レットカーペットまで引いて…すごいな〜

 

 

「……あら?」

「お兄ちゃんならとっくに朝練に行ったよ…」

「これがルビー情報()の外面モードなんだ…」

『いえいえ、こんなもんじゃないですよ?もっと上手に外っ面はめてますよ?』

 

ここんとこ毎日だからね、そして暫くは朝練に行くだろうし一緒に車登校は先の未来だね……誘えたらだけど

 

「くうっ!相変わらずのナチュラルスルー!」

 

やはりあの鈍感は猛威を奮っているのだろう

 

「まぁいいですわ…せっかくですし、あなた達だけでも送りましょうか」

「え?」

 

車での登校により楽ができる。

 

何も問題はない、空気が重くはならない。奇行が起きた次の日でも涼しく楽しく、気まずくはならないだろう。

 

「「「「………」」」」

『なんでしょう、この微妙な空気』

『姉さん静かに…刺激はしてはいけないわ』

 

なっちゃった☆

 

「昨日は…」

「は、はいッ⁉︎」

「ん?」

 

気まずい空気の中、美遊から話を始めてくれた

 

「驚かせて、ごめんなさい。もう…大丈夫だから」

 

大丈夫と言いながら何かを耐えているような様子に感じた。でもそこについて聞くことができずにいた。イリヤが頑張った話題を振ろうとする

 

「そ、そんな謝るようなことは何も…ミユのお兄ちゃんと勘違いしちゃったんだよね?ミユにもお兄ちゃんがいたなんてちょっと意外ーあはは…ハハ」

 

助けをまとめるような視線を仁久須に向けるが困ってしまう。完全に美遊の触れて欲しくないラインであり、それを上手く避けながら話題を振るほどの話術はなく黙ってしまった

 

「イリヤスフィール、仁久須。誰にでも踏み込まれたくない領域というものがあるわ。過去がどうであれ今は美遊・エーデルフェルト…わたくし達にとってはそれで十分なはずでしょう?」

「そう…だね」

「たしかに…」

 

どう言っても人外である僕を拒絶せずに仲間・友達として受け入れてもらったんだ。たかが他人の兄に抱きついたぐらいどうってことない。美遊は美遊だ。

 

「そう、それに………あなた達の兄も士郎・エーデルフェルトになるかもしれませんし」

「「「は?」」」

 

なんか凄いことを宣言し始めましたよ、この人。

 

「ああ、そうなればあなた達とも、姉妹に姉弟ということになりますわ。そうね今日からわたくしをお姉様と呼んでもよくてよ!」

 

わたしにとってもミユはミユ…それでいいんだ。ミユが話したくないなら今、無理矢理に聞き出す必要はない。きっといつか打ち明けてくれるよ。その日をゆっくり待とう。なんだか少し寂しけど

 

イリヤは明後日の方向を向き、スルースキルを覚えた

 

「なんですの?この小汚いノートは」

 

ニクスはランドセルから少し古びたノートを取り出してルヴィアさんに渡した

 

「兄さんの生態ノートです。使うも使わないもルヴィアさん次第です」

「まあ⁉︎なんて出来た弟ですの⁉︎大切に保管させて頂きますわ!」

 

これを最初に作ってβ版を渡そうとした相手にはすでに熟知しており、むしろ優しく事細かで引くほど深く指摘され書き直し完全版にされるという恐怖体験を味わったのはまた別のお話

 

 

そしてイリヤ達に待ち受ける騒動はこの場の誰も知る由もないのであった



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鳥は意外と嫉妬深い

学校に着き、教室に入ればいつもの日常が始まる

 

「「「イリヤァァァッ!!!」」」

「はい?」

「む?」

 

……事はなく

教室に踏み入れた瞬間に龍子、那奈亀、雀花の3人が抗議の3連バーストをぶっ放す

 

「てめこら、どういうアレだオアーッ⁉︎」

「イリヤってそっちの趣味もあるの⁉︎」

「あんたの性癖は自由だけど人を巻き込まないでくれる⁉︎」

 

次々と抗議の声が上がるが見覚えのないことであり、混乱している

 

「なに⁉︎なんの話⁉︎わたし、なんかしたっけ⁉︎」

 

訳もわからず慌てながら聞く

すると

 

「「「なんか……だと……」」」

 

ゴゴゴゴゴゴ……と仰々しいオーラを出す

 

 

「「「人に無理やりチューしといてずっとボケてんじゃねぇーーッ‼︎」」」

「はーーーっ!!?」

 

唐突にキス魔の冤罪をふっかけられ物凄く驚く。

 

「……そんな事したの?…イリヤ…」

 

仁久須は冷ややかなで割とガチトーンな声でイリヤに詰め寄り始めた

 

「いやいやいやいや⁉︎そんな事してないよ⁉︎本当だよ⁉︎ずっと一緒にいたでしょ⁉︎それにタツコたちとはしないよ…

「……確かに…」

 

一緒に登校しており、イリヤが僕や美遊から離れた時はなかったはず…つまりイリヤにはちゃんとアリバイがある

 

「そうだよ!わたし今来たばっかで…」

「イリヤちゃん?」

 

彼女ら3人への対応に駆られ背後から藤村先生が来ていた事に気づかなかった。

生徒同士のトラブルに先生という大人に介入してもらう事によって解決させようと思ったが、何故かはたはたと涙を流し悲壮感漂わせていた……まさか…

 

「わたし…ファーストキスだったの…責任とってくれる?」

「せんせええええッ‼︎⁉︎」

「なんと!」

 

やっぱり先生も、この謎のキス現象に巻き込まれていたんだ!

 

「おのれイリヤ‼︎」

「喪女のファーストキスまで奪うとはなんたるキス魔‼︎」

「喪女いうな‼︎」

 

もう状況がぐっちゃぐちゃである。

混沌とした現場に耐えられなくなってきたので

 

「逃がすな‼︎追えーッ‼︎」

「ひーっ‼︎逃げるよニクス!」

 

何かとてつもなくやな予感がしてニクスの手を握って一緒に逃げ出した。

 

「身内の不始末だー!お前も払えー!」

「そうだ!からだで払えー‼︎」

「受け最強の力を見せてみろー!」

 

「ほらッ!やっぱり〜〜〜⁉︎」

 

受けって僕、カウンター技とかないよ⁉︎

 

「行って、2人とも。ここはわたしが食い止める」

「「ミユ(美遊)…」」

 

美遊がイリヤと仁久須を追いかける追跡者の前に立ち塞がる。箒を棍を構えるように持ち戦慄しながら迎え撃つ。

 

「上等だー‼︎」

「めいんでっしゅにしてやんぜ〜」

 

「「「「うおらーっ!」」」」

 

暴走した同級生と担任(猛獣)を相手取る美遊の覚悟・勇気を無駄にしないように走る。

成り行きで屋上まで来てイリヤは一度止まり息を整えがてらに真犯人を考察・推理する。

 

「ね…ねぇ…このちゅー騒ぎってもしかして…」

「多分…」

『まあ昨日の今日ですしあり得ますね。恐らく、また誰かしら…」

 

屋上の物陰から声がする。

美々に迫り囁くクロを発見した

 

「イ…イリヤちゃん…どうしたの?なんか怖いよ…」

「ふふ…でも逃げないのね、ミミは」

 

やっぱりクロ(こいつ)かーーッ!!!

いったい何が目的なのよアイツはーーッ!!!

 

「んっ…んんッ……‼︎」

 

そうこうしている内にキスを許してしまう

 

「なにしてんのよーッ⁉︎」

「美々が倒れて⁉︎」

 

ふらふらと気絶する美々を支える

 

「大丈夫よ、急な魔力低下によるショック症状よ。直ぐに治るわ」

「魔力低下…?」

『ははーん、なるほど。単なるキス魔かと思ってましたが魔力を吸い取ってたんですね?』

「そういう事、昨日の戦闘でちょっと使いすぎちゃっからね。補給してたの。でもやっぱり一般人じゃ何人吸ってもあんまりたまらないしあんまり美味しくないのよね〜〜ねぇ?ニク…あれ?」

 

クロがチラチラっと仁久須を見ると腕を組んでジト目の冷たい視線で佇んでいた

 

「へー誰でもよかったんだー」

「あ、え」

「いいよ?別に僕には関係ないから」

「え、え⁉︎ちょっちょっとなんか思ってた反応と違うんだけど⁉︎」

 

不機嫌になっているニクスにクロ(あいつ)は取り繕うように必死に言い訳(事情説明)をしている。

…角を出す時があるんだよね……嫉妬するニクスも可愛いけど…なんか複雑……フン!

 

「ルヴィアさんの家に戻って!これ以上私の日常を壊さないで!」

「……与えられた日常を甘受してるだけのくせに、悪い事は全部わたしのせい、わかりやすくていいわね」

 

言ってもわからないなら…とイリヤが転身しランサーのクラスカードを取り出してルビーに当てる

 

「イリヤ!それはだめ!落ち着いて!クラスカード(それ)しまって!」

『そうです!コレは手加減できないガチ宝具ですよ!』

「いいわ試してみたら?…それがあなたの望みなら」

「クロも煽らないで!」

 

仁久須がクロを守るような発言に苛立ってしまう。

イリヤが限定展開(インクルード)を唱えようとする。

クロも投影の詠唱をしようとする。

仁久須も割って入って部分獣化しようと手足に炎を纏わせる。

 

一触即発の戦闘前であった。その時

 

屋上の扉が勢いよう開いて、美遊、龍子、那奈亀、雀花、ゼロ距離で床と顔面との濃厚接触している藤村先生が飛び出てきた。

 

「「「イリ…………ヤ……?」」」

 

「なんだそのかっこー⁉︎」

「コスプレ⁉︎学校で⁉︎そんなステキな趣味が…‼︎」

「え、て言うかイリヤが2人…⁉︎」

 

怒涛に感想を叫ぶ。咄嗟に仁久須とクロは変身と投影を中断するが事前に転身していたイリヤは魔法少女化しており、その姿をバッチリ見られてしまった。

 

「あ…ああ…ああああああ‼︎」

 

友バレをきっかけにイリヤの処理能力が限界突破してしまった

 

「ご、ごめんイリヤ…抑えきれなかった」

 

よく見ると、そこらかしこに埃・擦り傷だらけだった(熾烈な争いの後があった)

この人数をここまで1人で抑えてたとは…美遊…恐ろしい子

 

「がばっ!イリヤちゃんが2人もいる訳ないわ!どっちかが別人…部外者でしょう⁉︎どういうことか説明しなさい!そしてわたしにキスした方は謝罪と賠償をー‼︎」

 

藤村先生が先生らしい事を!………先生らしい?

 

「アビブバババ…ニクスー!ミユー!どぼすれば…どぼすれば…!」

「サファイア!記憶消去の魔術とか…」

『できなくもないですがあまりオススメは…』

「じゃあ、僕が頭に強い衝撃で!」

『それはもっとオススメできません…』

 

混沌と化した現場をなんとか打破しようと模索するが上手くいかない。

そんな彼女らをみかねたクロが咳払いをし、切り口を入れる

 

「皆さん、お騒がせしてごめんなさい。わたしはクロエ・フォン・アインツベルン。イリヤの従妹です。来週から転校してくる予定なのでその下見に…と思ったんですが、ちょっと挨拶が日本じゃ過激だったみたい。みんなごめんね?」

 

なんという…臨機応変力…強い…

お口パクパクしている人とは大違いだった

 

 

 



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仁義なき戦い

長らくお待ちしていた方々、申し訳ありませんでした!
おそらく、また更新が遅れてしまいますが
「そういえば、こんなのあったな〜」
程度に覚えてもらえてたら幸いです。


「どーゆーことっ‼︎」

 

放課後になり、イリヤと美遊、仁久須はクロが監禁されている筈のルヴィア邸に向かった。

 

「なんでちゃんと閉じ込めておかなかったの⁉︎おかげでわたしの学校生活がめちゃくちゃにー⁉︎」

「イ…イリヤ、冷静に…」

「一旦落ち着きなしゃい」

 

二度も脱獄を許し、それにより日常生活をめちゃくちゃにされているイリヤはとてもご立腹な様子である。

落ち着かせる為に頭を撫でて鎮静させようとする

 

「な、なんなんですの?」

 

帰宅したばかりのルヴィアさんはいまいち状況が理解できず困惑している。色々と落ち着かせているイリヤの代わりに美遊が状況説明をする

 

「今日…クロが学校に現れたんです。それで問題を起こして来週転校してくるとまで…」

「あ、あと…わたしの友達に片っ端から、ちゅ…ちゅー!」

「あと従妹とも名乗ったよ」

 

説明を受けて大まかな状況把握をしため息をつく

 

「地下の倉庫の物理的・魔術的施錠は完璧でしたわ。それこそ並大抵の幻想種では破ることができないくらいに」

「ならどうして!」

「わたくしが知りたいですわ。これほど厳重な檻に閉じ込めても、あの子はそれを容易く破る。いったいどうやって…」

 

確かに特に破壊などされた形跡はなく、強引な突破のされ方はしていないようだった。なんらかの方法で警備な壁などをすり抜けたとしか考えられない。そしてその手段がわからないから、対処のしようがないとのことだった。

 

「そもそも監禁なんて、する必要がないんじゃない?」

 

唐突に声をかけられる。

振り返ると、ついさっきまでそのにはいなかったクロが桃を食べながら優雅にくつろいでいた

 

「どうしてわざわざ閉じ込めようとするのかしら?もう、わたしは呪いのせいでイリヤには手出しできないし、誰かに害意があるわけだもないわ」

 

意図的に加害を加えようとした対象はイリヤだけであり、痛覚共有が存在している以上殺傷事件にはならないとも言える

 

「わたしはただ普通の生活がしてみたいだけ、10歳の女の子として普通に学校に通う…そのくらいは叶えてくれてくれてもいいんじゃない?」

「……」

 

クロが真剣で悲しそうに感じてしまい要求を受け入れてもいいんじゃないかと仁久須はクロ側に傾き始めた

 

「フガフガ…おのれこやつめ、戯言を弄するか!」

「イリヤ語調がヘン!」

 

イリヤからしたらそんなの関係なく納得など到底できない様子

 

「ルヴィアさん…駄目かな…?」

「え!ニクス⁉︎」

「…そうですわね」

「ちゃんとお世話するから…」

「んーわたしはペットなのかしら?………むふっ、いいかも」

 

仁久須が真面目に人としてちょっとおかしいな交渉の仕方し、クロは若干困惑しながらも照れる

 

「……まぁ良いでしょう」

 

目を閉じてクロの要求(それを)承諾した

 

「え、ちょっと、ルヴィアさんまで⁉︎」

 

慌てるイリヤを無視して話を進めだす

 

「許可なく屋敷を出ないこと、他人に危害を加えないことあくまでイリヤの従妹として振る舞うこと約束できるかしら?」

「ええ、もちろん。それで学校に行けるなら」

 

ルヴィアさんが執事さんに命令を出している。これで穏便にことを済ませられるかもしれないと安堵する。

ただイリヤはやっぱり納得し難い様子である

 

「ちょ、ちょっとわたしはイヤだからね⁉︎絶対問題起こすだろうしなんかボロも出すよきっとー‼︎」

仁久須(男性)だけでは何かと難しいでしょうから、貴女たち3人でなんとかフォローなさい」

「えー‼︎なんでー‼︎わたしもー⁉︎」

 

 

 

 

 

 

翌週、ちゃんと制服を着て、ランドセルをせよって転校してきました。

 

「クロエ・フォン・アインツベルンです。クロって呼んでね♪」

 

そして、やっぱりイリヤたちと同じクラスである

 

「イリヤちゃん達の従妹なのです…みんな仲よくしてあげててね…ちなみに、私の初めての人なの…」

「タイガー何言ってんだ⁉︎」

 

紹介文にわけわからん事を追加してクラス中に突っ込まれる

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

「うんうん、よかったね」

 

イリヤは頭の抱えて軽く絶叫している

仁久須はちゃんと?転校できたことにニコニコしている

クロは仁久須に向けてウインクをして、頭に?を浮かべながら返答に手を振られる。

 

 

「あ、席はいちばん後ろの美遊ちゃんの隣ね」

「は〜い」

 

指示された美遊の隣の席に向かい、席につく

 

「今日からよろしくねーミユちゃん♡」

 

さも初めましてっぽい挨拶をするクロに対して美遊はどう返答すればわからず無言になってしまった……

 

 

 

 

次の時間

 

体育の為、皆が着替えを済ませて校庭に向かうと

 

「よーう、クロちゃん。ちょーっとツラ貸してくれんかいのぅ?」

 

龍子、雀花、那奈亀の3人が仰々しい様子でクロに詰め寄る。

 

何が起こるかまだわからないけど、喧嘩ならないか心配になっている

 

「え〜なに?イジメ〜?」

「いじめじゃねー!!尊厳をかけた果たし合いだ‼︎」

「忘れたとは言わせないよ!」

「俺たちの唇を根こそぎ奪いやがって!」

 

3人の要求はクロに以前のキス魔事件のケジメをつけろということだった。

 

しかし無理矢理、小指切るなど残酷なことではなく……

 

「何かと思えばドッジボールか……」

 

そこは年相応に平和的?な方法での解決であった

 

「ルールは簡単!一回勝負に、負けた方は勝った方の舎弟になること‼︎公序良俗に反しない限り、命令には絶対服従‼︎アーユーオーケイ⁉︎」

「舎弟ねぇ……何を命令するつもりなの?」

 

クロが興味あり気に質問すると

 

「給食のプリンよこせ!」

「宿題写させて」

「夏コミでファンネルになって」

 

意外と私欲のこもった要求だった。

 

「ま、いいんじゃない?それじゃわたしが勝ったら…全員一日一回キスさせて」

「「「んなあぁッ!!?」」」

「………」

 

動揺してたじろぐ3人とジト目で冷ややかな視線を浴びせる者

そして悶えてる者がいる

 

「はぁ……あれ?ニクスは?」

「うーん…特にないから後で」

 

仁久須は初ちゅー奪われまし隊のメンバーに+αとして入れられたのである。パワーバランス的に入ってもいいかな?的ない感覚のようだった

 

「くっ……!良俗に反しまくってる気がするが…よかろう!穂群原小(ホムショー)とは俺たちのことだー‼︎簡単に勝てると思うなよ‼︎」

 

威勢も気合も十分なようだ

 

「……おまけが本物って面白いわね

それで白虎は?」

 

 

クロの指摘に、はっと気付いた時、現れた

 

「虎を……御所望かい?」

 

静かなる声と共に乱入してきたのは…

 

「初ちゅー奪われまし隊、隊員NO.4‼︎藤村大河参戦するわよコンチクショウー‼︎」

 

環境不安定で乱入により藤村先生の参戦

破茶滅茶な茶番劇にうんざりし始めた頃、ようやく始まった

 

「それじゃあ試合開始!ボールはクロ組からです」

 

審判役に美々になってくれて開始された。

人数差によって先攻はクロ組からである

 

「ふん。本来ならこの程度の人数差だったら先攻は譲ってもいいのだけど、油断できない人がいるからね」

 

ボールをバンバンと地面にドリブルしながら気合を入れる

 

「手加減しないわよ!」

 

昂ってきているクロとは違ってイリヤはかなりやる気のかけらもなく、その温度差でグッピーに死傷者が出る。その証拠に大河先生が顔面ショットを受けた後の反撃の弾にあっさりと当たってしまった。

 

はぁ…早くおわんないかなぁ〜〜

ただ普通の生活がしてみたいって…なら別にわたしと同じ学校じゃなくてもいいじゃない……

 

「どうしてわざわざ…まあ…どうせニクス目的だろうけど…」

『乗っ取られますよ〜?』

「いっいたの…ルビー⁉︎」

 

いつのまにかイリヤの髪に隠れていたルビーを慌てて皆から見えないように隠す

 

「やる気がないのは危ないですよ〜?生活が侵食されているどろか…仁久須さん取られますよ?」

「なッ⁉︎なんで⁉︎なんでそうなるの⁉︎」

「ほら、見てください。あれを」

 

ルビーが試合を見るように誘導すると、クロと仁久須がバンバンとボールを投げ合っている

 

なんか…楽しそう…

 

『そしてですね…クロさんがこの勝負に勝ったら…』

 

ここまで言われてわたしは理解した…というか思い出した

冷や汗をかきながら悪寒が襲う

 

「ままままま、まあ?ニクスだって運動できるし⁉︎きっと……!」

 

ルビーとの会話に気を取られて

いつの間にか、あっち陣営が仁久須と龍子だけになっている。

その代わりにクロ陣営はクロ1人である……だが戦況的にはクロの方が有利だろう

 

仁久須は高速戦闘を可能にするほどの反射神経・視力と獣化してなくても人間としては中々の身体能力は持っているが、高速で飛んでくるボールを正確に掴むほどの精密な作業ができるほど手先が器用ではなく結構危なげにキャッチしている

 

それに対してクロは飛んでくるボールを危なげなくキャッチしながら仁久須の投げる方や身体の動かし方などを冷静に観察して癖を見極め始めてきている。ストレートよりもカーブなどの変化球が苦手だと気づき変化球で攻め始めた。結構ガチで勝ちにきている

 

変化球などのいやらしい球が多くなって徐々にイライラしていた仁久須

 

「あら?随分と余裕がないようね、降参してもいいのよ?

ちゃんと可愛がってあ、げ…るから!」

「……ふん‼︎」

 

飛んできた球を脚で器用にキャッチして地面に押さえてつける。

 

「なっ⁉︎ちょっとそれ、ずるいわよ!」

「ふん、どうじゃ‼︎」

 

ニクスはご満悦な様子でドヤ顔しちゃって…なんか、あのほっぺ抓りたい

 

「じゃ、これからは僕のーー」

 

ピーーー

 

「仁久須君アウトー!外野に回ってください」

 

笛の音が鳴り響いた。全員固まっている

 

「え?なんで……」

「ちゃんとキャッチしなきゃ駄目だよ?」

「「「「「あ……」」」」

 

自信満々だった自分の策によってあっさりと脱落してしまったようだ

 

「ふふっお間抜けさんめ〜調子に乗りきれなくて残念ね〜」

「う"う"…なんで…うまくいかないの…」

 

完全に勝ち誇った顔のクロと羞恥心・悔しさを噛み締めている仁久須

 

「よし、一番の不安要素はいなくなったわ!これで勝てる‼︎」

 

あとは龍子が残るだけなのだが、あうあうと涙目で震えてほぼ戦意喪失しており、明らかに決着はついていると思われた

 

「うおおちきしょー!やってやらぁー‼︎嶽間沢死すともーー」

 

やけくそになって立ち向かおうとする龍子の前に現れた者

 

「選手交代!タツコに代わってわたしが戦うわ!」

 

イリヤが龍子の代わりに参戦した

 

龍子はもちろん、クロも異論はないらしい

 

「あら?やる気なったのね。まあ、いいわ奴隷(舎弟)が増えるだけだもの」

 

意外そうにはしていても優位性は保たれていると思っているらしい。

絶対に吠えずらかかせてやる!

 

「一対一の一球勝負よ!わたしが負けたら好きにすればいいわ。でもあなたが負けたら…学校を出てってもらう‼︎」

 

先程まではまだ遊びの範囲内と言えるが少々冗談の域を超えている

 

「あーあ…なんかうまいこと乗せられちゃった気がするけど…自分の日常・大切なものは…自分で守らなきゃ‼︎」

 

イリヤがストレートでボールを投げると想像以上の速度で飛んでいった。

クロは驚きながらもなんとかキャッチできた。

 

「卑怯とか言わないでよね。もともとあなた自身が反則みたいなものなんだから」

 

イリヤ頭に特徴的な髪ゴムがあった。衣装替えなしの転身を行い、姿を変えずに魔法少女としての能力を引き出している。今は全魔力を身体強化に回してクロに対抗している

 

「いいわ、それならこっちも遠慮なく全力で…ぶっ飛ばしてあげる!」

 

クロが全身を使って高速でボールを投げる。イリヤもキャッチしてそれを投げ返す。それを交互に繰り返すと立派な殺戮空間(キリングゾーン)の出来上がりである

 

互いに言い合いをしながら投げ合いを続けていると

 

「あんたなんか…わたしの偽物の癖に‼︎」

「…………偽物……ね」

 

イリヤの発言によりクロの少々のラインを超え、雰囲気が変わる

 

「それは…どっち…かしら…ね‼︎」

 

イリヤが投げたボールを殴って跳ね返すことで反動とパンチの威力によりイリヤの反応が間に合わない速度で飛んでいき顔面に当たってしまった

 

「ぽぎゃっ…‼︎」

「忘れ…てたわ……」

 

イリヤが気絶し、痛覚共有によってクロも気絶し相打ちとなり、勝負はあやふやになった。

 



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決別

長らくお待たせしまい申し訳ありませんでした!
これほどの期間を空けるとは思ってませんでした!


………次回は…毎度の事ですが…未定というとこで


イリヤと新技の開発?のついでに自分が意外と不器用だったのだと感じた為家の裏で特訓をしていた

しかし……

 

「お風呂が壊れちゃったから、お借りしたく参上仕ったわけなのですが…」

「「……ははぁ」」

 

イリヤと仁久須が手元を狂わせて愚かにも給湯器を破壊してお湯が使えなくなってしまったのである

 

「もちろん構いません!シェ…イリヤの家族なら私の家族も同然。私の方からご招待したいと思っていたところですわ‼︎」

 

ルヴィアさんにとっては棚ぼた案件で上機嫌に出迎えてくれた

そしてイリヤ達は美遊含めて浴場に行き、僕と兄さんはオーギュストさんに連れてられて使用人用の浴場に案内してもらった。……兄さんの肩を鷲掴みながら…

 

その後仁久須がオーギュストに対して士郎に乱暴しないでと怒られたので仁久須には悟られないように圧力を与えていた。どうやら仁久須に対しては甘いのかも知れない。初対面で主人であるルヴィアの命を文字通り身を挺して守ったりしていたからかもしれない。

 

 

 

 

 

 

お風呂から上がった後待っているとしばらくしてイリヤと美遊、凛さんとルヴィアさんが上がってきた。しかし何故かイリヤが目に見えてイライラとしていた。

 

「ねぇー⁉︎アイツが逃げたんだけどー⁉︎」

「……え、え?あいつって…?」

 

イリヤが仁久須にガシッと掴みかかり、ぐらぐらと揺らしながら絶叫のように訴えかける……余りに情報が少な過ぎてよくわからなかったが落ち着いた…というよりも悲しそうにした美遊達によってクロが逃走したことを伝えられた。

 

浴場でクロがおり、丁度いいから今後の活動方針なるものを決めようとした。そこで問題が発生したのだ。

 

最初にアーチャーのクラスカードが消失したことについて話し合いが始まった。それはイリヤがアーチャーのクラスカードを使用し変身した時を境に消失している。凛とルヴィアは全カードを協会に持ち帰ること、この目的が果たされれば他のことは特に構わないとのことである。そしてこの件の収拾の形をイリヤに委ねた。望み(それ)を境にクロが激怒した。

 

「イリヤは何を言ったの?」

「ただ元の生活に戻りたいって言ったら…突然…」

 

元の生活に戻りたい……それがクロにとって許せなかったというらしい。他人に危害を加えない・許可なく屋敷を出ないことを破ってしまった。それにより普通の生活…普通に学校に通うことを放棄してしまってまでの行動を起こしてしまった。

 

クロにとって学校生活はとても楽しそうであった。ドッチボール中にイリヤに言われた、偽物という言葉でも少々のやり返しはあったけど、どうにか飲み込んでいた。それほどまでに守っていた約束も今回は我慢出来なかったらしい。クロにはこの言葉がそこまでの意味があったらしい

 

「あーもー‼︎振り出しに戻ってもう一回捕まえなきゃいけないのー⁉︎」

……元の生活

 

元の生活に戻るでクロが怒る……元…前の…生活……あれ?それって…その中に………いや!イリヤはそんなじゃ……!探さなきゃ……ちゃんと話をしなきゃいけない…

 

そして何か怖かった………家族を失うような予感がして……

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、いつも通り学校へ登校する。

 

「やっぱりアイツ…学校には来ないかー……」

 

クロは欠席しており、イリヤはクロがまた何処かで襲撃の機会を伺っていると思い壁に張り付き警戒している。痛覚共有(優位性)があるとはいえ怖いものは怖いのだろう

 

「アイツほんっと勝手だし何考えるかわからないわ!……あれ?どうしたの?ニクス?」

 

アイツの事を考えていたけど、よくわかんなくてイライラしちゃってたら、ニクスがぼーと眠そうにしていた。そして昨日の夜から少し様子がおかしかったような気してたけど……

 

 

イリヤがそんな事を考えていると、ランドセルが美遊に唐突に投擲されとてもびっくりしてその思考が掻き消された

 

「うみ"ー‼︎」

 

龍子が夏休みが訪れないことについて発作を起こし暴れることもあったがそれをイリヤが鎮圧させたり、夏休み初日にイリヤの誕生日会の話になったり、それ以降は特に変わった事はなく放課後になり家に帰ることになった……美遊を除いて

 

 

 

 

 

 

クロから呼び出しの手紙を応じて1人で街を抜け、林を切り抜けて向かうとそこには一面に海が見えた

 

「……そっか…海…本当に近かったんだね」

『美遊様…?』

「まるで初めて海を見たような反応ね。ミユ」

 

サファイアは今まで黙っていたが、美遊の行動と言動に疑問を持ち、訪ねようとした時ある者の登場につき遮られた

 

「こんにちはちゃんとひとりで来てくれたのね。嬉しいわ」

「……呼び出しに応じただけ、用件は?」

 

短く返答して下駄箱に入っていたクロからの手紙を見せ話を進めようとする

 

「まず、わたしの話を聞いてくれるだなんて、やっぱりミユとニクスは優しいわね。ニクスなんて、一晩中飛び回ってわたしを探してくれて…最初はリンたちに命令されてやってるのかと思ったけどあんな顔しながらずっと探してて最後涙を流しながら帰っていったのよ……あの子は……リンたちとは全く違うわ」

 

クロは悲しそうにも嬉しいそうにもしていた…ちゃんと想ってもらえているということに

しかしそれだと疑問が生まれる

 

「じゃあなんで、わたしを呼び出したの?…仁久須じゃなくて…」

「う〜ん、そうね………ま、それは座って話しましょ?」

 

美遊はクロにいきなり背後に回られて、そこら一帯には無かった筈の椅子に座らせられたのだ。慌てて飛び退き距離を取る。

 

「あら、そんなに警戒しなくてもいいのにね?」

 

美遊の反応を若干からかうように話していると足元に転がっている椅子が透明になって消えた

 

「ミユを選んだ理由ね……」

 

美遊がクロが何をしたことついて考察・思考すると仮説を立ててそれを口にしてしまう

 

「転移と……投影…?」

「ふ〜ん…やっぱりミユは一般人じゃなくて魔術側(こっち側)の人間だったのね。ルヴィアたちと出会う前から」

「ッ‼︎」

 

美遊は自分の失言によって早々に自分が追い詰められている事に驚愕するのと同時により一層警戒心を高める。

 

「ならきっと分かり合えるわ。わたしとミユは敵対する理由もないでしょう?」

 

美遊は発言について気をつけて、言葉を考える

 

「…だから私を呼び出したの?仁久須だったら味方になってくれるんじゃないの?」

「そうね、最初はニクスを呼ぼうと思ってたんだけど、それはイリヤか私(どっちか)を選ばせるような板挟みにさせて、とても悩ませて苦しませちゃうわ。それに魔術の世界には入ってはいるけど魔術に関しては全く知らないわ。その存在故に勝手に魔術の世界に入れられている(カテゴライズしている)だけよ。」

 

簡単な認識阻害の魔術でも騙す事ができたしね?などと言っているが、クロだって本当は仁久須に味方になって欲しい筈だ。だがそれが出来ないのは仁久須にはあまり苦しんで欲しくないからなのだろう。そしてクロに加担するという事はアーチャーのクラスカードを奪うようなもの、完全に教会に盾突く事である。敵対者に関して詮索しない筈もなく仁久須の事を知れば捕獲して即解剖・研究材料行きである。そんな事が当たり前のように起こる狂気と根源への探究心渦巻く、普通の倫理観などは一切ないような世界である。

 

「……もう一つだけ答えて」

 

もう完全に察しはついているけど、ちゃんと聞いておかなければならない

 

「あなたはまだイリヤを殺そうとしてるの?イリヤと共存はできないの?」

「共存ね……それは無理なんじゃない?」

 

答えは見えていた、だから事前にサファイアを手にしていた。即座に転身してクロに狙いを定めて魔力砲を放ち、土煙をあげる

 

「も〜…イリヤもミユも短期すぎるわねお風呂の時も思ってたけど」

「あなたが言う通りわたし達には戦う理由はないかもしれない……でもあなたがイリヤの敵になるのならわたしはそれを排除する!」

 

その言葉がまた、戦いの火蓋を切って落とされるのを促進させた

 



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