取り敢えず、生き抜きますか (カイト改)
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一話
これを読んで下さる貴方の有意義な暇潰しになれますように。
ど〜も〜よくある神様転生で転生しました神崎蒼(かんざき そう)と申します。なんかトラックに轢かれそうになってる子供を無事救助して、テンプレ回避してやったぜドヤァってしてたら通り魔に土手っ腹刺されて、そいつをぶちのめして勝利のポーズ!(ヤッターマン感)してたら上から鉄骨が降って来てピタゴラスイッチ的な感じで死にました。
んで、目ぇ覚ましたらどっかの素晴らしい祝福の駄女神がいて、「アンタを転生させるから特典を選びなさい‼︎」って上から目線(神様と人間だから当然?)で言われまして。取り敢えず、ISって言うパワードスーツが飛び回る女尊男卑なヤベー世界って言われたんで、アストレイ・レッドフレームを持って無事転生しました・・・目を覚ましたら5〜6歳のショタになってるわ、訳の分からん研究施設の実験台だわ、マジであの駄目神はいつかどうにかしてブン殴る‼︎っと、話がずれたな。まぁそこから2年ぐらいは我慢して、そこからパワードスーツとして存在してたアストレイをゲットして研究施設をぶっ壊して脱出しました。
『今日の仕事は楽だな〜』
『だな〜なんせガキ2人を攫うだけでいいからな』
そこから7年が経ったんだけど、色々とやらかしてくれたわあの駄女神。そもそもISには女性しか乗れなくて、その技術もビーム兵器がめっちゃ珍しいってか始まりのIS以外は持ってないからどこの国の技術だ⁉︎ってなりました、はい・・・そのISのコアってのが世界に467個しか存在してないらしくて、世界のあっちこっちで出没してるアイツはなんなんだってことで世界的に指名手配されることになりました・・・
『アンタら、ガキ共はまだ寝てんのかい?』
『あ、ボス。はいぐっすりねてますよ』
『そいつらはドクターシノノノとブリュンヒルデの妹だ逃すんじゃないよ!』
『り、了解です!でもその2人の妹ってことは俺達は大丈夫なんですかい?』
『雇い主からISに対抗できる兵器ってのを借りてるからね、心配することはないよ!』
『『了解です!』』
ほーん、ISに対抗できる兵器か・・・どんなんだろ?もうちょっと様子をみるか。
あ、指名手配されたことによって俺は世界各地に拠点を作って飛び回りながらアストレイ用の装備を造ったり、違法施設をぶっ潰したりしてきてて、たまたまドイツの廃工場に擬装した拠点にヴォワチュール・リュミエールを搭載した換装ユニットを取りに来たら、なんか誘拐現場に遭遇したとです。どうしよう、これ・・・
『なるほどな〜どうりでボスが上機嫌なわけだ』
『壊れない程度だったら遊んでいいって話だしな』
む、ちょっとやばいかもしれん。前世で国民を守る国家公務員な仕事をしてた身としては見過ごせんな。ちなみに今はアストレイ・ゴールドフレーム天ミナをモチーフとしたユニット、ステルスフレームのミラージュコロイド・ステルスで透明化してこいつらの会話を堂々と聞いてる訳なのです。ってかこれ音は消せないから動くに動けんのです。
『お、起きたな!どっちがいい?』
『そうだな・・・俺はこっちのサムライガールかな』
『りょーかい!』
おぅふ・・・とうとう恐れてた事態が・・・最悪この2人には黙ってもらうか・・・こういうのをぶっ殺すのに抵抗とかはもうないけど、今持ってる武装が実弾ばっかだからTHE☆スプラッタ確定だからな〜下手にこの2人にトラウマを植え付けるわけにもいかんしな・・・あ、投げればいいのか。
ではでは〜秒殺クッキング開始〜
まず、アホ2人の首根っこを掴んで持ち上げます。
『な、なんだ⁉︎誰かに捕まれてる⁉︎』
『なんなんだ一体⁉︎』
「「ヒッ⁉︎」」
暴れる2人の首を握り潰さないように気をつけながら、海の見える窓へと向きます。この時、目を覚ましたら唐突の怪奇現象に涙目になって抱き合っている美少女2人に思わずステルスを切りそうになりますが、情報が漏れると面倒なので我慢しましょう。
さ〜て、準備が整ったので思いっきり腕を振りかぶり、地面にクレーターを作りながら踏み込み、ご唱和ください!せ〜の、
星に、なぁれぇええええっ‼︎
『『ギャァァァアアアアアアッ⁉︎⁉︎』』
さて、あとはどっかに行った女ボスをしばいて終わりですね。えっと、レーダーに反応はっと・・・
「あ、あの!」
ん?なんでこっちをみて・・・あ、音は消せないってさっき自分で言ってたじゃん・・・
「お、おい一夏、大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ箒。だって私達のこと助けてくれたもん」
いや、そんだけで大丈夫とはならんと思うんですが・・・
「どなたかは知りませんが助けてくれてありがとうございます!姿を見せないってことは何か事情があるんですよね?誰にも言わないので安心して下さい!ほら、箒も!」
「えっと、その、ありがとうございます」
おおう、そんな深々と頭を下げられるとなんか居心地が悪いんだが・・・っていうかこの一夏って呼ばれてる子、なんとなくだけど小説とかだったら絶対主人公だろ。なんか、こう、無条件でこっちのことを信じてくれて、悪意を持って近づいてもこっちが罪悪感で死にたくなる系の。
う〜ん、このまま放置すんのもなんか嫌だし、ちょっとばかりお節介でもかけますかね。IS作った人と世界最強の妹だったらこんなこともあるだろうしな。えっと、ボイスチェンジャー起動っと。
『一夏さんと箒さんでしたか?』
「は、はい!織斑一夏です!」
『手を出しなさい』
「えっと、これは?」
『発信機です。もしまたこのようなことがあって、すぐに救助が望めない時に押しなさい。私が駆けつけましょう。唯の気まぐれです、信じる信じないも自由です』
「ありがとうございます!」
うわ〜この疑いのない守りたくなるこの笑顔。前世では出会わなかったタイプの人間だなぁ・・・ん?広域レーダーに反応、高速で接近する熱源体1つが接近中・・・ふむ、もしかしなくてもしのののの博士か世界最強だろうな。えっと、ネットからの情報・・・
"織斑千冬、決勝にて相手を瞬殺した後、ドイツ軍からの情報で妹の救出に急行‼︎"
・・・いや、軍と一緒に救出に来いよ・・・人質に取られたらどうすんだよ・・・まぁ、結果オーライでいいか。
『ブリュンヒルデが貴女達の救助に向かって来ているようです。』
「本当ですか⁉︎お姉ちゃんが‼︎」
「ちなみに大会はどうなったんですか?」
『ブリュンヒルデが対戦相手を瞬殺したようですね。対戦が始まった直後に貴女達が誘拐された情報が伝わったようです』
「そうなんですか・・・」
う〜ん、なんか作為的なもんを感じるなぁ。あ、YA☆RA☆KA☆SI☆TA
『おい、お前ら、食べもん買って来たぞって、はあっ⁉︎』
女ボスが普通にドアから参戦、か〜ら〜の〜
「無事か、一夏、箒ぃ‼︎」
世界最強が壁をぶち破ってダイナミック参戦!
って、大乱闘が始まるかと思えば、女ボスさん秒殺かよ・・・ていうかいきてる?頭ブン殴られてゴギッっていうか、ボキッ、みたいな人から鳴っちゃいけないような音がしましたけど?
ーー生命反応あり
あ、よかった生きてた。さて、解決したっぽいし逃げるとしますかな。ユニットは後でまた取りに来ればいいし。にしても俺、こんな馬鹿でかいコンテナ置いてたっけ?
「お前の雇い主は誰だ!」
『言うわけないだろ!来い‼︎』
うわ〜女ボスさんなんか不穏なこと言って気絶させられたぞおい・・・
ーーコンテナ内部より熱源体を感知・数4
わぉ、もしかして俺フラグ建ててた?コンテナをぶっ壊して現れたのは・・・
『なんでやねん』
どーしてSEEDのストライク以外のGATーX4機が出てくるんですかねぇ⁉︎俺がこの世界に転生した影響ですか⁉︎
「ッ⁉︎一夏、箒、私から離れるなよ‼︎」
ふむ・・・流石に2人を庇いながらは世界最強と言えど戦えんか。しゃーないなーもー
10秒後にミラージュコロイド・ステルスを停止、主ジェネレーターを待機から戦闘へ出力上昇、各武装の安全装置解除、サブジェネレーターはステルスからミラージュコロイド・ディテクターへ切り替え・・・完了。
さて、戦闘開始だ。
ーーーーーーside out
『ブリュンヒルデ、2人を連れてここから逃げなさい!』
「なっ⁉︎」
織斑千冬が振り向くと、ちょうど何もなかった筈の場所から滲み出るようにして赤いフレームをベースに白と黒の装甲と右腕と背中の釣り針を鏡合わせにしたかのような武装が特徴的な全身装甲型のIS?が現れた。世界各地からの報告とは見た目が少し違うが、関節部分が赤いことや、頭部の特徴的なV字の角などから《スカイゲイザー》であることがわかる。(ちなみにこの名前は、各地で見られた時に空を見上げていることが多かったためである)
「何が目的だ⁉︎」
『問答をしている場合ですか?コイツらとは個人的に因縁があるだけです』
「・・・任せるぞ」
『貴方達の追跡くら逃れ続けているのは伊達ではありませんよ』
織斑千冬は2人を脇に抱えて飛び去った。織斑一夏が何やら叫んでいたようだがすでに戦闘を開始していたため、聞こえることはなかった。
『さぁって、生命反応なし、ハンドガンによる損傷が認められないことからPS装甲は搭載していると仮定、現在使用可能武装・・・トリケロス改弍、トツカノツルギ、マガノイクタチ、マガノシラホコ、イーゲルシュテルン、グラップシールド、ハンドガン一丁か〜、ビーム兵器を一個ぐらいは積んどくべきだったかな〜?か、ウイングソー』
四方から飛んでくるビームやらランサーダートやらインパルス砲やらを余裕で避けながら分析を行う蒼。PS(フェイズシフト)装甲とは一定の電圧の電流を流す事によって相転移する特殊な金属でできた装甲である。ぶっちゃけると、実体系の攻撃で損傷しないめっちゃエネルギーを食う便利装甲であると思っておいて欲しい。ちなみにアストレイは発泡金属という"当たらなければどうと言うことはない!"を地で行く軽量装甲を採用している。
『まぁ、どこぞの公式チートと違ってフレームは普通だからやりようはあるか』
そう呟くと、動きが変わる。回避に専念していたのから、腰部横のレイピア型の実体剣であるトツカノツルギを抜刀、ビームサーベルを発振して突っ込んできたデュエル頭部のメインセンサーに突き刺し、そのまま頭をもぎ取る。
『まずは1つ』
そのまま右腕のトリケロス改弍から電磁加速し、装甲の貫徹に特化したランサーダートを首に撃ち込み、内側から真っ二つにして撃破。続いて両肩のミサイルポッドを開いたバスターに対してもランサーダートを発射、誘爆させて両腕を失ったところにトツカノツルギを突っ込み、そのまま胸部へ振り抜いて破壊。
『二つ』
ーーミラージュコロイド・ディテクターより、8時の方向距離3
全てのセンサーから消えるトンデモ技術を使用したブリッツを見つけることができるこれまたトンデモ技術で探知すると、トリケロス改弍に収納されていたハンドガンで射撃を行えば、頭部と胸部を撃ちぬかれたブリッツが現れる。
『三つ・・・って、あれ?イージスはどこ行った?』
周辺を探索するが、どこにもいない。ちなみに、イージスは同時期に開発された5機のGATーXシリーズの中で唯一の変形機構を持っており、その姿は今までの可変モビルスーツとは一線を画する異様さを持つ。
『どこぞの勇者王みたいに壊れながら変形してたとか?』
と言いながら、探索を続けるが反応はなく蒼は諦めた。ちなみに彼らの言う勇者王は、勇気という言葉で大抵のことはなんとかなる敵を光に変える胸にライオンの頭が付いたスーパーロボットの事である。
『さて、逃げるとしますかね。主ジェネレーター待機へサブをステルスへ切り替え・・・あの姉妹を覗いてから帰るかな』
と、極力駆動音を消しながら廃工場の外へと歩いていく。
所変わってこちらは脱出した織斑千冬たち。その周囲にはようやく追いついたドイツ軍が展開しており、織斑千冬は軍人の1人と話をしていた。
「では、今廃工場の中にはもうスカイゲイザーはいないと?」
『はい。ここからの探査のみですが、各種のセンサーにはスカイゲイザーに倒された3機の反応以外は検知されていません』
「そうか・・・ありがとう」
3機、という言葉にどことなく違和感を覚えながらも織斑千冬は未だに廃工場を眺めている2人の下へ向かった。
「あ、お姉ちゃん」
「軍人達曰くスカイゲイザーは既にどこかへと去ったのではないかとの話だったよ」
「そっか〜ちゃんとお礼を言いたかったな〜」
「まぁ、いつか偶然会えるかも知れんしな」
「うん!」
織斑一夏が輝くような笑顔を浮かべ、それを見た織斑千冬と篠ノ之箒がようやく表情を緩めた時、唐突に先程聞いたマシンボイスが響いた。
『織斑千冬!2人を守りなさい‼︎』
「ッ⁉︎」
声に反応した織斑千冬は瞬時にIS<暮桜>を展開し、2人に覆い被さるようにして抱き締めた。
ーーチッ!今からじゃ主ジェネは間に合わんか、トリケロス改弍をパージ、サブと左腕を直結、サブを強制最大出力へ!
ーー危険❗️サブジェネレーター及び左腕部に重大なエラー発生の可能性大、両ユニットの制御が不能になり、爆発の危険性あり❗️
ーーやかましい!元はと言えば、俺が原因の可能性があるし、女の子3人を助ける代償が腕一本なら安いもんだろ!
織斑千冬にだけ聞こえてきた男の声は、何かの拍子に繋がったのか目の前にいつのまにか現れたスカイゲイザーから聞こえできているようだった。
背中のユニットから伸びたケーブルは引き絞られた左腕に接続され、時折火花が散っている。その拳の延長線にはどこかへと消えていた前方のアームを展開し、中央のエネルギー砲を晒したイージスが突貫してきていた。スカイゲイザーの左の籠手部分にエネルギーが蓄積していっているのか、徐々に光が強くなっていく。
ーー接触まで・・・3・2・1・今
ーー喰らって果てろ、煌雷拳‼︎
突き出された拳は真っ直ぐにイージスのエネルギー砲の中心をぶち抜き、蓄積したエネルギーを全開放した。次の瞬間、イージスの機体全体に激しい電流が走り、その動きを止めた。そしてスカイゲイザーは背中と左腕の各部から上がる火花と赤熱化しているのを気にした風もなく3人の方へと向き直った。
『・・・皆さん、怪我はありませんか?』
「あぁ、・・・って、大丈夫なのかその、色々と!」
『なんのことでしょう?』
はて?と首を傾げるスカイゲイザーに対し、通信が聞こえていたと、自分の腕を犠牲にしようとしていたことが聞こえていたと、叫ぼうとした織斑千冬はなんのためにスカイゲイザーが惚けているのかに気づいた。
(一夏と箒のためか)
2人が自分達を庇ったことで自身の腕を犠牲にしようとしたと気づかれないようにしているのだと。元のフレームが赤なのでわかりづらいが、湯気が上がっているのがわかる。
『皆さん無事のようで何より。申し訳ないがここで皆さんに捕まる訳にはいかないので、では!』
そう言うと、煙幕をはった。それが消えるとスカイゲイザーはそこにいなかっ。
『あ、1つだけ。私の名前はアストレイです。以後お見知りおきを』
スカイゲイザー、いやアストレイはそれだけ言葉を残した。
この後、織斑一夏、篠ノ之箒の両名は無事に帰宅した。
世界各国では、スカイゲイザーではなく、アストレイと自ら名乗った謎のISを探したが、それまではポツポツとあった報告はパッタリと途絶えた。
そして、物語は2年後へと加速する。
「・・・一夏」
「箒。IS操縦者として頑張ればきっとアストレイさんに会えるよね」
「そうだな。共に頑張ろう!」
「うん!」
2/25に武装名の間違いの指摘をいただき訂正しました。
マガイクノタチ→マガノイクタチ
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ニ話
主人公はシン・アスカの白髪のイメージでおなしゃす
ど〜も〜なんやかんやあって日本の倉持技研ってところに就職しました神崎 蒼です。ドイツの件の時に使い物にならなくなって、とうとう小さく爆発し始めた左腕をグラップシールドで引きちぎって海へ、ピョーン!ってした訳なんですが、左腕引きちぎったのと冷却が追いつかなくて顔と上半身の左側に火傷を負うレベルの熱が予想以上の激痛でして途中で気絶してしまいまして、気づいたら湘南の浜辺に流れついてました。その時に巻紙礼子って人に発見されて、色々とお世話になって最終的には巻紙さんの勤務先の倉持技研に就職させて貰う事になりました。
「お〜い、蒼!簪の嬢ちゃんが来たぞ〜!」
「了解です、おやっさん!」
アストレイを修理しながら、義手を作ったり、ISのシステムの改善案の提案とか色々やってたらいつの間にか代表候補生とやらのISの建造担当者になってました。
「お待たせ、簪さん」
「いえ、急に来てすみません」
「全然構わないよ。ちょうど休憩のタイミングだったからね」
んで、この青髪眼鏡っ娘が件の楯無 簪さんですな。いつもはのほほ〜んとした子が一緒なんだけど、今日は一人のようだな。
「今日はどういったご用件で?」
「あの・・・武装の案を持って来たので見て欲しいです」
「了解!」
ちなみに、この子はオタクである。ヒーローとかそういったものが好きだから話が合うんですよこれが。この子の担当者になったのはそれもあるかも知れんな。
えっと・・・ふむ、6×8、計48発のマルチロックオン仕様のミサイルが主武装の高機動型か。近接武器に薙刀、後は荷電粒子砲2門か・・・うーん
「どう・・・ですか?」
「そうだね・・・発想はいいけど、武装数が心許ないかな〜」
「そう・・・ですか?」
「うん。マルチロックオンはいい発想だけど、これだけだと対処された時に武器が二つしかないのは、圧倒的に火力不足になると思うな」
「例えば、どんなのがいいんですか?」
「そうだね・・・簪さん、お馬火力と内蔵武器にロマンを感じない?」
「その話、詳しくお願いします」
うし、喰いついた!ふはは!原型消滅レベルで魔改造してやるぜ‼︎ZZとサイコザクとフルアーマーガンダムと・・・(もちろん簪さんの意思を優先しますよ?はい)
「あ、マルチロックオンシステムは俺が作っとくから安心してね」
「え⁉︎できるんですか?」
「ふふん、勉強してますから」
「これでいいの?」
「はい!ロマンと実用性を兼ね備えたこの打鉄二式改でお願いします!」
「りょーかい!完成、楽しみにしててね」
「もちろんです!」
めちゃくちゃいい笑顔で帰ってったな〜
いい笑顔といえば、前に言ってたウサ耳巨乳女こと篠ノ之束なんだけど、政府のシステムをクラッキングして戸籍とか擬装したのから辿ってきたのか、俺の所に来たんだわ。なんで自分を追うのか聞いてみたら、アストレイに興味があったそうで。まぁ、俺としてはどうでも良かったんだけど、思わずISで何がしたいのか聞いてしまいまして・・・アストレイは兵器なんだけど、宇宙に行くためのISに必要なの?とか色々言った結果・・・
「やっほー、そーくん」
「どもです」
「むー、さっきの子の時とテンションが違うぞ!束さんもあんな感じで反応して欲しいなぁ〜」
「へいへい」
端的に言ってしまえばまぁ、めちゃくちゃ懐かれました。なんか、ISを兵器として見ない人間は初めてで、世間では天才として敬遠されてたけど普通に接して貰えたこととか、妹とその親友を守ってくれてありがとうとか、泣きながら言ってきて、頑張って慰めたらウサ耳じゃなくて犬耳が見えるレベルで懐かれました。 なんとなく可愛く思えるから別にいいけどね。
皆さんは何が好きですか?私は可愛かったらなんでもありです。
「んで、どうした?宇宙に行くための技術は知る限り伝えたが?」
「むー、何かないと会いに来ちゃダメなの?」
「いや、構わんがな・・・」
「ちゃんと防犯カメラのハッキングはしてあるよ?」
「うん、文句無し!」
「さっすがそーくん!話が分かる〜」
抱きつくのはやめてくれませんかねぇ・・・男としては色々と嬉しいが。あ、コイツまた不摂生な生活してやがんな?目の下の隈がすげぇし、肌もガッサガサになってるし。これはキチンと世話をせねば(唐突の父性)‼︎・・・そこ!ちょっと反応しそうなのを頑張って誤魔化そうとしてるとか言わない‼︎
「んじゃ、行くぞ」
「ほぇ、どこに?」
「俺の家」
「はっ‼︎そーくんもやっと束さんの魅力に気がついてくれたんだね!」
「アンタが可愛いのは知っとるわ。まーた、研究ばっかしてんだろ?今日一日は研究できると思うなよ」
「はーい・・・えへへ、可愛いって言ってくれた・・・」
なんかぶつぶつ言ってるが、静かになったし放置でいいとしますかね。
あ、ちなみにアストレイのことについては、そこら辺の変な工場とかをぶっ潰してたら見つけたパワードスーツって説明してある。まぁ、ISみたいに色々と便利な機能はないから簡単に納得して貰えたわ。出自についても気づいたらどっかの研究施設で、!それまでの記憶がないってことにしてある。さてと、この背中にくっついたまんまのお姫様のお世話を頑張りますかね。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「あ〜、美味しかった〜」
「お粗末様、と言いたいところだが、軽く7-8人前は作ったつもりだったんだが、その細い体のどこにはいるんだ?」
「むふふ〜知りたい?」
「あー、やっぱいいわ」
ふむ、なんやかんやで世界から指名手配されてるコイツがたまに訪ねてくる以外はのほほんと暮らせてるな。あの二人からも救助信号が送られてくることもないし、向こうも平和に暮らしてんのかねぇ?別に元自衛官だから、ある程度なら戦うことが出来るとしても積極的に自分から戦いに行こうとは思わんしな。そもそもアストレイを引っ提げて来たのも駄女神がパワードスーツの飛び交うガンダムみたいな世界だって聞いたからだもんな〜何故かいたGATーXもあれ以来出てきてねぇし、大嘘つきやがったよなあの駄女神。
生きた状態で駄女神をブン殴る方法を目標にしながら平和に生きていこうと思う今日この頃です。
「ねぇーそーくん、一つ相談があるのですが」
「ん?今日の晩飯か、気が早いな」
「ちっが〜う‼︎」
「じゃあなんだ、変な猫撫で声出して」
「えっと、来年の四月から箒ちゃんといっちゃんが国立のIS学園に入学することになりまして・・・」
日本がどこぞの大国に強制されて作った孤島の学園だっけ?あー、有名人の妹さんだからか。纏めて監視できた方が便利だから入学させられたって方が正しいのかね〜
「ちなみに二人ともISに乗るようになれば、もう一回そーくんことアストレイに会えるかも知れないって張り切ってるらしいよ〜」
・・・マジで言ってんのか、それ。
「うわ、そーくんなんか凄い顔になってるよ?」
「例えば?」
「うーん、なんていうか、物凄く格好良く女の子を助けて、名乗る程の者じゃありません。って言った次の日に実は同じ職場で働いてたことが発覚した、みたいな?」
「まぁ、そんなところか。」
端的に言えば、一生顔を合わせたくないのですが。あ、でも向こうは俺だって知らないし、コイツに黙って貰えればいいのか?いや、まてぇい!なんか俺がIS学園に行くことになってる気がするんだが?一応話は聞くか。
「えっとね、箒ちゃんといっちゃんを守ってあげて欲しいの」
「守る?お前と世界最強が居れば大丈夫なはずだろ?」
「・・・聞いてくれる?」
ーーーーーーー
「・・・マジで?」
「うん・・・」
話によると、織斑一夏には一つ上の兄がいるらしいんだが、所謂天才という奴らしい。なんでもそつなくこなし、人当たりもいい。だが、何かと織斑一夏を目の敵にしているらしい。自らの手で攻撃することはなく、周りの人間をうまくけしかけていじめを行なっているそうな。
「篠ノ之箒の他に味方になれるようなのはいないのか?」
「中国人の子がいたんだけど家庭の都合で帰っちゃってて、束さんがぶっ殺そうとしたら私は大丈夫だからって言われちゃったし、ちーちゃんの前では表だったことはしないから頑張って家に帰ろうととはしてるみたいなんだけど、巧妙に隠してるみたいだし、注意しても変わらないみたいで・・・」
「なるほどな・・・」
IS学園に入学すればそもそもそいつに合わなくて良くなるだろうな・・・ん?
「なぁ、ISって女性しか扱えないんだよな?」
「私にもなんでかわからないんだけどね」
「ってことは・・・」
「あれ?そーくんテレビ見てないの?知ってるから話を進めてるとばかり・・・」
「国立だろうが、狙われるだろうから俺に護衛をしてほしいんだと思ってた・・・ってか、こんな話を切り出した時点で察するべきだったな」
「そうだ、そうだ!反省しろ〜」
「・・・あ?」
「ごめんちゃい」
面倒くせぇな〜その・・・ゴミ君が生徒として居るなら織斑千冬が庇えば逆にいじめの原因になると・・・ってか、肉親から嫌がらせを受け続けてよくあんな優しい子に育ったな。俺は壊れたのに。
あ・・・
「俺が超長距離からドタマブチ抜いたら万事解決?」
「でも、それだとレーダーに引っかからずに狙撃できる技術を持ってる所なんて限られてるからすぐにそー君ことアストレイに行き着くと思うよ?」
むぅ・・・しゃーないか・・・
「わーったよ。行ってやるよIS学園によ」
「ほんと⁉︎ありがとうそーくん‼︎お礼は私のsy・・・」
「最後まで言わせんぞ!取り敢えず、アストレイの擬装とかするから手伝ってくれ」
「まっかせて‼︎」
平和に生きていこうとか、決意した矢先にトラブルが転がりこんでくるとは・・・絶対あの駄女神俺のこと嫌いだろ・・・
気を取り直して、アストレイの擬装をどうしようかね〜マーズジャケットを基点にするかな。見た目ザフト系モビルスーツだし、後は実体弾系で固めておいときゃそうそうバレることはないだろ。あ、ISのPICも要るな。アストレイは基本スラスターで無理矢理空に飛ばしてるわけだし、あんまISの技術は使いたくないけど、俺のちっちぇプライドで他の人間を危険な目に合わせたくないしな。
「あ、世間にもう一人の男性操縦者ってことで発表するからそのつもりでね〜」
「うっそだろお前・・・」
ーーーーーーside out
『二人目の男性IS操縦者が篠ノ之束博士によって発表されました‼︎」
興奮したようにテレビに向かって叫ぶアナウンサーの後ろには、スーツといういつになく真面目な格好の篠ノ之束と同じくスーツ姿の顔の右半分に火傷の痕がある青年こと神崎 蒼が記者会見に臨んでいた。
「ぶっ⁉︎」
「だ、大丈夫お姉ちゃん⁉︎」
織斑家にてビール片手にテレビを見ていた織斑千冬はそのビールを吹き出した。突然のことにオロオロする織斑一夏を尻目に携帯をとりだした。
『はい、「どういうことだ束‼︎」・・・うわぉ、大迫力!』
「む?誰だ貴様・・・」
開口一番、馬鹿デカイ声で怒鳴りつけたのだが、返ってきたのは男の声だった。しかも微妙に聞いたことのある声だ、具体的には2年前。
『あ、どうも〜おそらく今全国に放送されているであろう記者会見に映ってます、アストレイこと神崎蒼です』
「なぜ貴様が束と一緒に居る?」
『二年前のあの事件のあと、捕まりましてね。アストレイのことを根掘り葉掘り聞かれまして、いつの間にかめちゃくちゃ懐かれました。あ、ちなみに彼女は今アストレイの擬装開発でてんやわんやしてますね』
「そうか・・・」
取り敢えず冷静な声音で返事をしてみたが、織斑千冬の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。
(待て待て!アストレイが男だったのは知っていたが、束が興味を持って、しかも懐いた⁉︎人嫌いかつ特に男嫌いなあの⁉︎明日世界が終わるんじゃないか・・・って、今はそうじゃなくて!アストレイの擬装と言っていたが、IS学園に入学するつもりか?そうでなければ発表などしないか・・・じゃあなんのために?)
『まぁ、全ての国から独立した場所かつ世界最強がいると言えど、貴女達の妹を狙う存在がどういう手段を使ってくるかなんて予想がつきませんからね〜というわけで、同じ学生という身分であれば一番自然に近くで守ることができるようにとのことです』
「そうか・・・」
『あ、二人にはくれぐれも俺のことは内密にお願いします。アストレイってのがどこからかバレて更に面倒くさいのが増えるのも嫌なので』
「了解した。それと・・・お前、家族は?」
『いや〜気づいたらどっかの研究施設でしてね。そこまでの記憶が一切ないのでなんとも。アストレイもそこら辺の施設をぶっ壊しまくってたら見つけたもんですし。』
「そうか・・・すまんな」
『いえいえ、では入学試験の時にお会いしましょう』
「あぁ」
電話が終わり、ソファーに沈み込む織斑千冬。そこへ何かを察して台所の方へと行っていた織斑一夏が戻ってきた。手には新しいビールの缶とつまみがあった。
「今の、束さん?」
「そうだ。2人目の話をな。束曰くそんなに悪い奴ではないらしい。私達と同じで家族がいないらしくてな。一夏が気に入れば、仲良くしてやってくれ」
「うん、わかった」
そして、思い出したのかぽつりと一言。
「あの時の礼、言い損ねたな・・・」
どこかのホテルにて。
「おい、どういうことだよ⁉︎男性操縦者がもう1人って、原作には無かった筈だろ‼︎」
「そうなんだがな・・・もしかしたら俺達転生者の存在が影響しているのかもな」
「まあ、そいつを殺すタイミングなんてこれからあるだろしな」
「そうだな。俺はお前がハーレムを作れるように外部から協力する」
「んで、俺はお前が欲しい女を送りこむ。しっかし一夏をTSさせてハーレムを作らせないようにしてあわよくば殺そうとするのには恐れいったよ」
「まぁ、原作の主人公だから下手したら百合ハーレムでも作りそうだからな。項羽の憂いは絶っておくもんだろ?このチート能力があればどうとでもなるんだ、2度目の人生を楽しんでやろうぜ」
「おうよ」
なんて話があった。片方は本来原作には存在しなかった織斑一夏の兄こと織斑秋斗。もう1人は打田圭介。神崎蒼がいうところの素晴らしい祝福の駄女神が特に何も考えずに転生させた前世性犯罪者の2人である。原作が始まる前から何かと暗躍しているようで、神崎蒼はこの2人の影響によってこの世界を崩壊させないために転生させられたのである。
・・・それについての説明は本人にはされていないようだが。
「ちゃんと仕事をしてくださいよ先輩!」
「なんで完璧最高女神の私が〜」
「元はと言えば先輩が犯罪者を転生させるからでしょ‼︎」
ペナルティによって大量の仕事の書類の中を泳ぐ駄女神が居るとかいないとか。
「ごめんなさい◼️◼️◼️◼️さん!私達にはもう干渉することが出来ないのでどうか世界のことをお願いします‼︎」
「ん?駄女神に困らされてる女神様の声?」
「どーしたの、そーくん?」
「んにゃ、なんでもない」
オリ主くんの義手に関しては、ありふれの現代兵器無双の彼のをイメージしてください。彼の物と同様、割と殺意高めです。ぱっと見義手とわからないように擬装していますが。
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三話
サバゲーを始めました!銃に関する知識がほぼ皆無なので、こんなんおすすめだよ!って方は是非教えて欲しいです!
ちなみに、M4カービンとM9は持ってます。
ど〜も〜、朝起きて顔にディスティニーみたいな赤い線出来てて真剣にビビった神崎蒼です。寝落ちして、顔に塗装したばっかのアストレイのセンサーパーツが顔に引っ付いてました。めっちゃ顔ピリピリする〜
おやっさん達め、俺が居なくなるからって宴会を開いてくれてさ、最後は泣きながら頑張れよってさ・・・離れ辛くなるようなことはやめてくれんかねぇ。未だに泣きそうだわ。
とまぁ、現実逃避は置いといて周囲を見回してみましょう・・・女の子しかいませんね。視界の端に居る、えっと、・・・は無視するとして、今日はIS学園の入学式なのです!今生徒会長さんがスピーチをしてんだけど、あの綺麗な青の髪の毛、どっかで見たことあんだよな〜あとめっちゃ目が合うんだけど、あの人も男が嫌いな方なのかね〜だとしたらお先真っ暗ですな。
あと、顔に火傷の跡があるからか周りもなんかヒソヒソとうるせぇし、早く入学式終わって。帰ってどっから嗅ぎつけたのかは知らんけど、女性権利団体?とやらがなんか家の前でピーチクパーチクうるせえから"ゼロツービッグバン"ぶちこんでやる。そう言えば、令和入ってからライダーキックとかが一撃必殺じゃなくなったよな〜あっちこっちから蹴りまくってからトドメってスパロボじみてきたよな。ライダーキック?おっしゃ勝つる!っていう風潮はどこ?
アストレイに本来なかったフレームシステムの換装方法もどっちかっていうとゼロワンを参考にして俺が追加したからな〜ちなみにこの世界には、ガンダム以外のスパロボは存在してたりする。
「では、あらかじめ配布してある紙に書いてある教室へ向かって下さい」
あ、やっと終わったか。視線が鬱陶しいしとっとと行くか。
ーー移動中ーー
1ー1はっと・・・お、あったあった。一番乗りだな。
「きゃっ⁉︎」
「おっと」
悲鳴と共に背中に軽い衝撃。振り返ると、入学式の時から大分印象的だった眼鏡の先生だった。簡単に言うと、ドジっ子眼鏡ロリ巨乳ってところか。教員紹介の時も何もないところでつまづいて織斑千冬に倒れかかってたし、見ててハラハラするわ。
「山田先生、大丈夫ですか?」
「は、はい。ありがとうございます。貴方は・・・神崎蒼君ですね、・・・ど、どうして私の名前を知っているんですか⁉︎」
なんで若干怯えた感じで聞いてくるんですかねー?この先生、天然属性も追加する気か?流石に傷つくんですが・・・
「今日の入学式で1年1組の担任として自己紹介されてましたよね?流石に自分の担当をしてくださる先生の顔と名前ぐらいはちゃんと覚えますよ」
「あ・・・そ、そうでしたね!ごめんなさい・・・」
おおう、目に見えて落ち込んでしもた・・・どうしよう・・・
「ま、まぁ勘違いしてしまうこともありますよね!大丈夫ですよ!」
「そう、ですね・・・ありがとうございます!あ、呼ばれていたのを忘れてました!では神崎くん、また後でです‼︎」
「はい、お疲れ様です」
よかった、取り敢えず元気になったっぽいな。うーん、やっぱ顔の傷のせいで印象が悪いのかねぇ・・・気にしてもしょうがないか、俺の席は〜窓際の一番後ろ!よっしゃラッキー♪寝よ。
「オヤスミー」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「起きろ」
「んぐぁっ⁉︎」
頭が割れるぅ⁉︎何事⁉︎敵襲⁉︎
顔を上げると、なんということでしょう。クール系の美女が私を見下ろしているではありませんか。っていうか、その出席簿で殴ったんですか?金属系のなんかかと思ったんですが・・・
「神崎、自己紹介をしてみろ」
「了解」
唐突ぅ⁉︎まぁ、学園生活するのなら必要そうだから考えてあったからいいものをさ・・・なんかこの人に逆らおうって気力が湧かないんだが・・・まぁ、いいか。
立ち上がると、クラスメイト+α×2の視線が。先生もそうですけど、俺を見てもなんも出ませんよ?左腕からワイヤーだのナイフだのお菓子だのはでますが。
「神崎蒼です。多分15歳です。好きな物は甘い物と猫と犬、嫌いな物は辛い物と自己中のドアホです。興味ない人間には反応しないのでそのつもりで。趣味は機械弄り、一応倉持技研で代表候補生のIS建造に携わってました。あ、あと顔の傷についてはほっといてください。まぁ、よろしくです」
しーん、と。なんかしくじった?
「「「きゃあああああっ‼︎‼︎」」」
ッ⁉︎耳がぁっ⁉︎音響兵器か⁉︎
「織斑くんとは違った無表情系イケメン!」
「顔の傷もクールさに拍車をかけてていい!」
「見た感じ細マッチョだけどISの建造ってことは頭もいいの⁉︎」
「眼鏡のイケメンとちょっと熱血系のイケメン・・・腐腐腐、薄い本が厚くなる・・・!」
おおう、なんか背中にゾワッときた〜取り敢えず今のところは受け入れられてるっていう判断でいいのかねぇ・・・あと、表情筋が仕事をしないのは、前世からだ。
ってか、こんなに煩くしてたら、織斑先生がなんらかのアクションを起こしそうなものだが・・・駄目だこりゃ、かんっぜんに諦めの境地って顔になってる。山田先生も苦笑いしてるだけだし、女子校とはこんなものなんだろうか。ってか、山田先生、この爆音の中で苦笑いだけってある意味強者なのか?
「はぁ・・・まぁいい、授業を始めるぞ」
「えっ?校内案内とかはないんですか?」
「案内版をみろ。もしくは教師か先輩に聞け」
わあ、合理的。早速授業か〜束(下の名前で呼ぶようにゴリ押しされた)に教えて貰いながら頑張って覚えたが、どこまで通用するかだな。
ーーーーーーーーーーーー
もう疲れたよパトラッシュ・・・ゴールして、いいよね?
あ、また現実逃避してたわ。取り敢えず一限目を終えて、授業にはまだついていけることはわかったが、精神的疲労が尋常じゃない。もう1人の男が入学前に渡される参考書を間違えて捨てたらしくて、織斑先生にしばかれてたのは関係ないから別にどうでもいいんだけど、差を見せたいのか何なのかめっちゃ当てられたわ。しかも女子生徒からの視線がエグいのなんのって。現在進行形でケンプファー先輩みたいに視線で蜂の巣にされそう・・・どうでもいいけど、蜂がめっちゃ集まってるのとか、巣見ると気持ち悪くなるの俺だけ?
「そーそー、大丈夫?」
「ん?布仏さんか。同じクラスだったんだな」
「うん!そーそー、お菓子持ってない〜?」
久しぶりに顔を見たと思ったらまずそれかい・・・
「ほい」
「やったー!って、今のどこから出てきたの⁉︎」
「気にするな、ただの手品だ」
「うまうま〜」
聞いとらんのかい⁉︎はぁ・・・まぁ、いいか。えっと、こののほほんとした子が布仏本音だ。更織簪さんの幼馴染で、前に言ってたのもこの子だ。なんか、見てるだけでほわほわするわ〜
「ちょ、ちょっと本音!」
「こっち来て!」
「あ〜れ〜?」
あ、女子3人組に回収されてった・・・俺の数少ない癒しが・・・見た目からしてヤベェって判断されたのかな?だとしたら辛いな〜人は見た目が何割とかいうけど、マジでそんな感じですなー、ってかさっきキャーキャー騒いでたのは一部って事だよな?女子の姦しさヤベェな。
「おい、お前!」
どっかで見たライトニングストライカーの立体化をしてみたけど、レンジ120kmって絶対頭おかしいだろ・・・弾頭の問題か?あとレールガンだけじゃ困るから・・・
「無視すんなおらあっ⁉︎いだだだだっ⁉︎⁉︎」
「ん?」
なんか五月蝿いな〜とか思ってて。顔を上げたら織斑・・・の腕を捻りあげてたでござる。右腕で。ふむ、前世からの癖で一定の悪意があるやつがテリトリーに入ると、無意識で身構えるんだが右腕がそれに過剰反応したっぽいな。少しレベルを下げとくかな〜
「すまんな、癖だ」
「いっつ・・・なんなんだテメェは‼︎」
うるさ⁉︎胸ぐらを掴んできたので、左手を右手で取って関節をロックしながら体の外側へ〜すると、勝手に
「ぐあっ⁉︎」
吹っ飛ぶ訳です。手首返しという技ですな。
おおう、元々刺さってた視線の温度が一気に下がったな。女尊男卑の風潮の中で、モンドクロッゾとかいうオリンピック擬きの大会で二連覇した織斑先生はほぼ神様的な扱いで、その弟も容認されてると。その反対に俺はポッと出の馬の骨ってところかな?束が発表してくれたからちったぁ緩和されてるかと思ったが、この様子だとその意味は皆無っぽいな〜
「テメェ!」
「何をしている織斑、席に座れ、チャイムが鳴るぞ」
「チッ」
織斑先生ナイスゥ〜‼︎面倒臭いことこの上ないからありがてぇな。
「そうですね・・・神崎くん、PICの説明をして下さい」
「はい。PIC、正式名称パッシブ・イナーシャル・キャンセラーは・・・」
さっきの授業もそうなんだけど、山田先生俺のことすげー当てるけどわかんないとこが無いか聞かれた時に特に、って答えたから試してる?答えられなかったら織斑先生の出席簿アタックかな。まあ、今のところわかんないとこはないし大丈夫かな。
ーーーーーーーーーー
「ちょっとよろしくて?」
「えっと、何かな?」
「まぁ、なんですのその態度は‼︎」
顔を上げると、金髪チョココロネが織斑一夏に絡んでた。ふむ、事と次第によっては左腕のギミックを発動させる事になりそうだな。ふむふむ・・・姉や兄は有名なのに、妹のお前は誘拐されるとかどういうつもりなん⁉︎と・・・そんなことを言っておるようですな。
うん、ギルティ。誘拐しに来るのをどうやって止めろってんだよ。しかも兄弟関係ないし。
まず、左手の平を展開します。中からレールを引っ張り出して、輪ゴムを引っ掛けます。そんで、特製の超小型の音響爆弾を装填して機構を動かして発射準備完了。耳の近くのところに向けて発射!
「ッ⁉︎」
「だ、大丈夫ですか⁉︎」
「な、なんでもありませんわ・・・覚えておきなさい!」
なんとも漂う小物臭。残弾あと何個だっけな?ちなみに今のは音によって聞いた者の気分を悪くさせる便利グッズで、イメージとしては戦う実業家でアイアンな男の一作目のアレを弱体化させたものって考えて貰えばいいかな。それをちょっと威力を弱めて指向性を持たせたものかな。まぁ、こんな感じで織斑一夏と篠ノ之箒を陰から見守るんかな。
ーーーーーーーーーーーーーー
「ちょっと、ふざけないで下さいまし‼︎」
3限目〜織斑先生の授業なんだけど、クラス代表っていう面倒くさそうなやつを決めなきゃいけないって言い出して、織斑兄と織斑一夏と俺が推薦されてそれで代表候補生の自分が推薦されないのはおかしい!とか金髪チョココロネが喚き散らしている状態ですな。それに対して織斑兄が喧嘩を売っていくスタイルと。よろしい、ならば決闘だ!ってなんかあのチョココロネ色々と頭終わってんなぁ。
「では、それでいいか?織斑妹と神崎は」
「は、はい。私は・・・構わないです」
うっそぉ・・・俺と織斑一夏は関係なくない?休み時間に問いたださないとな。つーか、織斑と俺(便宜上)はISに関してはど素人だろ?なんで代表候補生と戦わせようとするかな?よくわからんな・・・
「決まりだな。あぁ。昼休みに神崎と織斑妹は私の所へ来い」
「わかりました」
「了解」
装備の構成考えるか・・・
ーーーーーーーside out
「織斑先生、神崎と織斑です」
「来たか」
昼休み、呼び出された2人は職員室に来ていた。そして、その近くには地味に篠ノ之箒が待機していたりする。織斑先生は2人を伴って生徒指導室へと向かった。神崎が扉を閉めると、織斑先生の雰囲気が変わった。
「ごめんな一夏、あの時庇ってやれなくて」
「ううん、しょうがないよ。あれで私を庇ってたら依怙贔屓とか言われちゃうもんね」
「一夏ぁ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
抱き合う2人。お忘れだろうか?百合の花が咲き誇りそうなこの状況下で居心地が死ぬほど悪そうな男がいることを。取り敢えずこの空間から抜け出そうとするが、気付かれた。
「おい、神崎。どこへ行く?」
「・・・30分程したら戻ってきますんで」
「いや、すまんな。本題に入ろう」
こほん、と咳払いをする織斑千冬。織斑一夏?神崎がいることを思い出して真っ赤になって縮こまっている。
「単刀直入に言うとだな・・・一夏に戦闘を教えてほしいのだ」
「マジですか?」
「あぁ。私と引き分ける程度の実力があれば容易いだろう?」
「お姉ちゃんと引き分け・・・えっ、お姉ちゃんと引き分けたんですか⁉︎」
「まぁ、はい」
戦闘を教えてほしいと言われても変わらなかった神崎の表情が驚いた織斑一夏の顔が近づいた事により引き攣る。ある意味快挙だったりする。
懐からSEEDサイズの青ハロを取り出して、机の上に置いて操作をすると壁に動画が投影される。無駄に高性能だったり、織斑一夏が目をキラッキラさせているが、取り敢えずスルーして動画を再生する。
「うっそぉ・・・」
それは、神崎?が織斑千冬とほぼ互角に戦っている映像だった。織斑千冬の纏うIS"打鉄"が高速で一つ目の黒と青のごつい全身装甲タイプのISに突撃して行くが、それは冷静に捌かれていく。アサルトライフルと近接ブレードで全方位から織斑千冬が攻撃を仕掛けるが、神崎はほぼその場を動かずに銃剣付きのアサルトライフルでカウンターを行っていく。
「と、まぁこれが神崎との入学試験だな」
「ほぇ〜。え、でも、神崎さんもオルコットさんに決闘を申し込まれてましたよね?」
「まぁ、俺に関しては少々特殊な事情があってな。たかが一週間やそこらで戦闘技術が落ちるようなヤワな鍛えかたはしていないから大丈夫だ」
さっきは驚いたような発言をしていたが、実は初めて織斑千冬と邂逅した時に束と2人に頼み込まれていたりする。
「そうなんだ・・・わかった!神崎さん、お願いします‼︎」
「了解した。明日の放課後から始めるのでそのつもりで」
「うん!」
「一夏、神崎にこれからのこととかを話す必要があるから先に戻っていてくれ」
「うん、わかった!」
るんるん♪っといった感じで部屋を出て行く織斑一夏を見送り、織斑千冬へと向き直る。
「取り敢えず、一夏の性格上自分から積極的に攻撃するタイプではないのでな、お前はどうする?」
「取り敢えず、重装甲化と射撃系メインに打鉄を改造しようかと。どちらかというと後方支援特化で」
「わかった。しかし、大丈夫なのか?自分の準備もあると思うのだが」
「織斑さんにも言いましたが、短期間で技術が落ちるような人生は送っていませんので」
用件が終わったのか、早速帰ろうとする神崎。その背中に織斑千冬が抱き着いた。
「・・・」
彫像並みに固まる神崎。あいも変わらず表情筋は仕事を放棄してどっかに行っているが、心の中はいきなり戦争に放り込まれた新兵並みにワニワニパニック状態だが、あまりにも見苦しいので置いておこう。
「むぅ、やはり何の反応もなしか」
「・・・どういうつもりで?」
「いやな・・・2年前のお礼も何も出来ず、お前も何も要求して来ないからな。なんというか、八つ当たりだ」
「いい迷惑だ・・・始めて顔を合わせた時にも言ったが、たまたま居たから気紛れで動いただけだから助っ人が入ってラッキーぐらいのノリでいいと言ったぞ」
「それでも、私の気がすまん」
「俺に気をつかう位なら織斑さんの状況がこれ以上悪化しないように見てあげた方がいい。あと・・・貴方は貴方自身が思う以上に魅力的な女性だ。こういうことは好きな人にでもするといい」
「なっ・・・」
驚きで腕の力が緩んだ隙にスルッと抜け出すと、神崎は少し早歩きで教室へと戻っていった。若干前屈みになっているのは生徒が廊下に居なかったため織斑千冬だけが気付けたのだが、いきなり抱きつかれて慌てる姿が見れたらいいな〜位のノリで抱き着いたら予想外の反撃を喰らって真っ赤になって悶えている状態では土台無理な話だった。
「べ、別に動揺してなんかいないぞ!そ、そうだ、アイツは一夏と箒の命の恩人なだけであって、み、魅力的とか言われて嬉しいとか思ってなんかないぞ⁉︎」
誰に向けた言い訳なのか、ブツブツと呟いているが、一つだけ。
その生い立ちのせいで恋愛面においてめちゃくちゃ素人である、とだけ言っておこう。
「本当に本当だぞ‼︎」
一方るんるんで帰った織斑一夏は篠ノ之箒に縋り付いていた。
「箒〜、どうしよう、男の人怖いのにお姉ちゃんに迷惑かけなくて済むって、オッケーしちゃったよ〜」
「えっと、まぁ、私も千冬さんも居るんだから滅多なことはしないハズ・・・だ」
「うぅ〜」
篠ノ之箒よ、神崎の名誉のためにも断言してあげて欲しい。ちなみに、神崎はISを自分好みに改造できる事にしか考えが行ってなかったりする。
無表情眼鏡男ってなんか怖くないですか?
同級生にマジでいたので参考にさせてもらいました。社会人になった今でも仲良くて、サバゲーを始めたのも彼の影響です。
銃については、実物も欲しいですし、この作品でも出せたらいいなと思ってます。
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四話
おのれ、人の休日を潰してくれよって・・・
ってな感じで投稿です。
ど〜も〜、織斑弟に絡まれまくってそろそろ無駄にイケメンな顔面にリボルビングバンカーを打ち込みたい神崎蒼です。なんか、アイツの差金なのか必然なのか一部の人間を除いて俺についてあることないこと訳の分からん噂が流れててめちゃくちゃ居心地悪いでござる。針の筵を体感すること2時間・・・やっと授業が終わった‼︎これで帰れる‼︎ん、メールだ・・・おやっさんからか。
[もう1人の男のせいで簪の嬢ちゃんのISの建造を停止して、男のISを作れって国から圧力がかかりやがった。嬢ちゃんはISを後は自力で作り上げるつもりらしい。なんとか手伝ってやってくれ。
そのボケと戦うことがあったら徹底的に頼む。by簪の嬢ちゃん親衛隊]
うわ〜マジか。親衛隊があったことも驚きだけど、こりゃ皆さん纏めてブチ切れてんなぁ。面と向かって罵倒することはあるけど、あの人達はいない人間に対してとやかく言うタイプじゃないからな〜織斑弟のISなんざ作りたくないけど、プロとしてそんなことはできないからまたヤケ酒をしてそうだ。
取り敢えず、彼女が行くとしたら整備室ってところか。織斑先生から打鉄受領してそのまんま行くかな。
「あ!神崎くんはまだここにいましたか」
「山田先生?どうかされましたか?」
「あのですね・・・神崎くんの住む場所が決まりました」
「は?」
説明に来たムカつくオバハンがなんかグダグダ喋ってたし、織斑先生曰く部屋を準備するのに時間が〜とか言ってた気がするが・・・ん?"の住む"場所?
「えっと、ここ、です」
いや、ほったて小屋やないか〜い⁉︎つ〜かなんで山田先生が落ち込んではるの?関係ないと思うんだが・・・
「あの、どうされました?」
「・・・聞いてくれますか?」
山田先生が話してくれたのは、正直俺は織斑先生とか布仏さんとか以外からは嫌われてるらしくて、寮に入れるのは大反対、男のくせに千冬様と引き分けた⁉︎冗談は酔っ払いだけにしろ、むしろ男なんて研究施設でモルモットになっていればいい、とかなんとかめちゃくちゃ言われてるそうな。
取り敢えず、織斑弟が何も言われてないことに普通に殺意が湧くな。顔面にエリアルコンボ(フェイクフレームバージョン)を折りを見てぶち込んでくれよう。
それは置いといて、にしても。
「山田先生が落ち込む理由にはならないのでは?」
「その・・・織斑先生以外は神崎くんのことを悪く言っていて、私も神崎くんのことをよく知らないのに変に怖がってしまって・・・」
「でも今は噂に流されずに一応俺をちゃんと見てくれてるんですよね?なら、そこらへんの有象無象になにかを言われても気にしないので安心してください」
「ですが、神崎くんだけこんなところなんて・・・」
「あー・・・」
織斑先生にしか言ってなかったけどこの先生なら言って良さげかな?変に噂を流すとかどっかにリークとかしなさそうだし、まぁバレたとしても潰せるからいいか。
「個人的にはこっちの方が好都合なんですよ」
「え?」
「"ノア"擬装限定解除、"ロト、ヒルドルブ"起動しろ」
「・・・」
見た感じ何もないところから現れたのが、大型多目的自走式コンテナユニット"ノア"とあんま馴染みがないかな?MSイグルーに登場するグリーンのモビルタンク"ヒルドルブ"とガンダムUCにて活躍した茶色の小型可変モビルスーツ"ロト"だ。拠点を作れなかった時期に造ったもので、ノアに関してはコイツがあれば生活とアストレイの整備ができる。あとは支援ユニットかな。
え?なんでバクゥとかじゃないのかって?ただの好みですが何か問題でも?
あ、山田先生気絶してら・・・どうしようか・・・お、都合良くベンチを発見!起きるのを待ちますかな。
ーーーーーー
「はっ⁉︎」
「あ、起きました?」
跳ね起きて自分の体をキョロキョロと・・・立派な物をお持ちですが、流石に気絶した人を襲おうとかいう考えはないのです。まぁ、口には出さんけど。今の状況としては、取り敢えずベンチに寝かせて俺の上着を掛けて俺自身は少し離れた所でハロのシステムを弄ってた。多分だけど山田先生、男性恐怖症入ってるよな〜下手な事したら赤い刑事なライダー2人を呼ばれるな。刑務所まで一走り付き合わされてから絶望が俺のゴールにされる。そんでからの研究施設で一生モルモットルート確定と。
・・・世知辛。
「まあ、色々な事情があって寮の部屋よりかはこちらの方が都合がいいんです」
「そうだったんですね・・・この機械は、組織から逃げながら1人で作り上げたんですよね?」
「そう、ですね」
あっぶね〜適当に作ったカバーストーリーだったから自分の設定を忘れてたわ。そんな重い話じゃないから暗い顔をしないで欲しいんですが。チッ、もうちょい軽いストーリーを考えるべきだったか、でここまでやんなきゃいけない理由も軽いのってなんかあんのかなぁ・・・
「神崎くん?」
「あ、いえ、なんでもないです」
本当になんでもないからそんな泣きそうな目で見ないでください〜!罪悪感が凄いんじゃ❗️
「あ、織斑先生に神崎くんの案内をしたら来るように言われてたんでした!すみません、失礼します‼︎」
「あ、はい」
う〜ん、なんか要らん勘違いが加速してる気がする?まぁ取り敢えず放置だな。簪さんの所に行きますかな。
ーーーーーーーー
「・・・神崎さんが居てくれたら・・・」
「ん、呼んだかな?」
「わひゃあっ⁉︎」
「おお、すまんすまん」
整備室に顔を出したら名前を呼ばれた気がしたから返事をしてみたら、めっちゃびっくりされたでござる。持ってたスパナをお手玉しながら突っ込んできたので胸でキャッチと。「はわわ・・・」って感じどんどん顔が赤くなっていく簪さんが可愛いな〜とか、柔らかいしいい匂いすんなぁ〜とか現実逃避してたら背筋が凍るような殺気がガンガン飛んでくるんですけど。簪さんはパニックになりつつも全然離れようとしないし。カオス、ですな。
「はい、周りから見たら付き合ってるようにしか見えないから離れましょうか?」
「え・・・」
そんな涙目+上目使いでこっち見ないで貰っていいですかねぇ⁉︎色々と辛いからやめてぇ‼︎なに?どっかで知らん内にフラグが立ったん⁉︎それともお兄ちゃん的な⁉︎どっちにしろ理性がヤベーイでアンコントロールスイッチ、オン!しそうなんですけど⁉︎あと背中に感じる視線がそろそろ物理的な能力を持ちそうですぞ。
「打鉄弐式でしょ、まずは」
「あ・・・そうでした」
やっと現実に帰ってきたか。あんま追求するとそろそろ視線の主から物理的に何か飛んで来そう出しやめておこう。私は空気が読める男なのです!
「どうして、ここに?」
「ん?あぁ、おやっさん達に簪さんのことをよろしく頼まれたのと、織斑先生から織斑一夏のISを作るように頼まれてね。一週間で打鉄を魔改造しなければならん訳でございますよ」
「そうなんですか・・・」
「そんなわけで9時以降はここにいるから相談があったらいつでも聞くし、無論手伝うからなんでも言って下さいな」
「うん!」
う〜ん、守りたい、この笑顔。つか、なんか幼児退行してね?そういやお姉さんと仲悪いって言ってたな・・・仲が良さげなのがのほほんさんぐらいしか見てないから、もしかしたら寂しいのかもしれんな・・・これも全部、無能なままでいなさいとかアホな事を言ったお姉さんってのが悪いんだ‼︎
ふぅ、びーくーる、びーくーるっと。さて、織斑一夏用のISだが、どうするかな?取り敢えずサブアーム二本にシールドくっつけて、シールドビットをパクって付けるか。サブアーム関係と火器のトリガーはハロに制御させるとして、織斑一夏にはある程度の回避と空の飛び方を覚えてもらうか。それなら一週間だけだったとしてもなんとかなるか。うー、アサルトライフルと・・・何がいいのかねぇ。本人に聞くか。
「あの、神崎さん」
「はいよ?」
「蒼さんって呼んでいいですか?その、わ、私も簪って呼び捨てにして欲しいです!」
いや、唐突⁉︎なんか携帯見てんな〜とかは思ってたけど何があった?
「構いませんが、そうすると口調砕けますが大丈夫ですか?」
「は、はい‼︎ふ、不束者ですが・・・」
「使い方が違う気がするが、まぁいい。これでいいか、簪?」
「はい‼︎・・・えへへ、重吾さんの言う通りだった」
おやっさ〜ん、簪に何吹き込みましたのん?なんか嬉しそうだからなんとも言えないけどやな予感がするよ⁉︎
・・・考えてもどうしようもないし、置いとこ。
取り敢えず要るもんはノアに送信して造っとくか。ちなみにノアにはageビルダー的なもんを作って乗っけてあったりする。材料さえあれば大概なんでも作れるのです!
アストレイの武装プランも出来たし、換装しますか。
「ロト、ハロ、ハンガーと武装とマーズ持ってきてー」
目ぇ、キラキラしてる簪は置いとくか。ISと違って量子化とかできないから輸送がめんどいのなんのって、輸送用のアメンボ(age)擬きも造ったんだが、いかんせんデカイんだよな〜鉄の男さんのマークな42みたいに分割して飛んで来るのも作ったけど、内蔵火器が装備できないとか、展開してる間は動き辛いとか、その他色々問題だらけなのです。取り敢えずパワードレッドに採用できたけど、両肩に追加でジェネレーターを装備してるからこそできる荒技でして、どうにかならんもんかねぇ。
「おぉ〜」
「あんま近くだと危ないぞー」
「・・・」
聞いてねぇな。俺が気をつけときゃまぁ、大丈夫か。
アサルトライフル一丁と、グロックC17とリボルランチャー2門と日本刀二振りとアサルトナイフ二本と。両肩の装甲内部にライフル用の予備弾倉と給弾用のサブアーム二本を装備。膝の装甲内にグレラン積んで完成!あ、あの織斑弟用に弾は粘着榴弾にしとこ。
「これが蒼さんのIS・・・」
「実際の所は全然違うんだけどな。だいたい知ってるとは思うけど、これはISに対抗するためのパワードスーツだから、色々と面倒な所もあるんだぜ?」
格納場所とか、装着後の起動シークエンスとか。まぁ、それしないと内蔵火器とか暴発したらまた腕とかなくなるしね。頭のイーゲルシュテルンとかになったら即死しかねないし。
「あ"っ」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
普通の戦闘ならどうとでもなるけど、シールドエネルギーとかどうすっかなぁ・・・こっちはエネルギー切れとかないしなぁ、バッテリー製のバリア発生装置作って攻撃喰らう度に減るようにするか?ブースターは推進剤使ってるからどうにもならんのは織斑先生に相談してみるか。
はぁ、面倒くせぇ。
「簪、俺は織斑先生にちょっと話があるから先に上がるな。」
「うん、わかった」
「クラス代表戦には間に合うようには手伝うから夜遅くまで頑張るなよ?」
「わかってます」
「ならよし」
さて、織斑先生はどこにいるかな〜お、のほほんさんを発見!
・・・知らなさそうだけど、ダメ元で聞いてみるか。
「おう、のほほんさん。織斑先生がどこに居るか知ってるか?」
「織斑先生ならいっちーの部屋に行ったよー?」
oh・・・場所分からんかつ、下手に1人で歩き周ったら逝ッテイーヨ!だな確実に。気は進まんが。
「のほほんさん、そこまで案内を頼めるか?」
「いいよー、はい!」
手を出してはい、とは?俺の知らない言語か?まさか、まだ俺が知らないだけで、この世界には何か特殊なコミュニケーション能力が存在するのか⁉︎やばい、この世界の人間じゃないってバレ・・・
「おんぶー」
なさそうだな。ってか、
「その年でおんぶか?」
「むー、案内してあげないよ?」
「はぁ・・・了解した」
にこにこののほほんさんをおんぶして・・・あ、これはエグい。
「・・・やっぱ降りろ」
「えーなんでー?」
無自覚か?コイツ着痩せするんだなー的な感触がが・・・
「そーそー?」
「なんでもない」
こんな所で理性パイセンの耐久力を試す羽目になるとは思わなかった・・・常時削られていくこの状況でどれぐらい保つのか・・・
まぁ、俺が我慢したら万事解決だよな。
周りからの視線になんて負けない!
「ねぇ、あれって・・・」
「うわ、早速手を出したのかしら?」
「ふん、千冬様の弟と違って寮にも入れて貰えないクズが」
・・・もう我慢出来なさそうだよ(即堕ち2コマ風)
いや、俺についてなら聞き流せるんだけど、のほほんさんのことも貶してるんだよなぁ・・・試作段階のローエングリンランチャーの的になってもらおうかな?命の保障はせんが。
「ここだよ〜織斑先生は寮長で〜いっちーとしののんはその隣〜私とかんちゃんはその反対側〜」
「なんの役にも立たん情報をどうも」
「いえいえ〜」
いや、皮肉を言ったんだがな。分かってなさそうだな。のほほんさんは俺の背中から飛び降りると、そのまんまふらふらと部屋に入っていった。
自由か。
取り敢えず寮長室をノックしようと右手を挙げたタイミングでドアがいきなり外開きで開いた。
「もう、お姉ちゃんのシスコン!」
「あ・・・」
ーーーーーーーーーside out
織斑一夏の声と共に蹴破る勢いで開かれたドアは今まさにノックしようとしていた神崎の左手に直撃、凄まじい音共にドアを右腕が貫通した。
「っ⁉︎」
珍しく焦った表情で左腕を引き抜こうとするが、何故か抜けない。諦めて顔を上げると、織斑一夏の風呂上がりなのか水の滴る黒髪とタオル以外隠す物がない僅かに上気した体と鉢合わせた。
・・・控えめに言ってだいぶエッちぃ格好である。
固まる2人。その後ろから声がした。
「一夏〜私がシスコンなのは、今に始まったことじゃないだろ?」
クール系美女の看板を銀河の果てまでぶん投げて、想像し辛い発言をかましながら現れたのは織斑一夏と違って隠す物を何も持たずに全開な織斑千冬だった。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
凍る空気。そんな状況を打開したのは、ハロだった。
『ギルティ、ギルティ!』
ダブルオーの整備用ユニットの頭に接続された青ハロはそんな音声を流しながら、脚部に搭載されたローラーで神崎へ突撃。
悲鳴すら上げられずにドアごと吹っ飛ばされた神崎の左腕からドアを外して飛び出てきたアームやらなんやらが一瞬で修復。
メインアームからワイヤークローが飛び出して神崎の肩を掴み、どこかへ引きずっていった。
一瞬の早技で悲鳴をあげることなく呆然としていた2人の前に白ハロとピンクハロが転がってきた。白ハロの目が光り、ホロディスプレイが現れテキストが打ち込まれていく。
『主の無礼、誠に申し訳ございませんでした。先程までの記憶は物理的に消去しておきますのでご安心ください。』
「え、えっと君は?」
『申し遅れました。私達は独立型多目的サポートロボット、通称ハロです。貴方達のサポートをするために主によって新規で開発されたユニットです。』
「そ、そっか。取り敢えず中に入ろっか」
『失礼します』
裸にタオル装備な美少女と白とピンクの丸い物体が会話をしているというアホみたいな状況をようやく自覚したのか部屋の中へと誘う。転がって中にハロが入ると、赤い顔の織斑千冬がまだ立っている。
「お姉ちゃん?・・・立ったまんま気絶しちゃってる・・・」
『ピンクがベッドへと運んでおきます。』
「うん、お願いね」
そんな会話をしている後ろでピンクハロの4つの円形部位が展開、アームと足になり、見た目に合わない出力で織斑千冬を連れていった。気絶する大人が多くないかこの世界。
一方織斑一夏と白ハロは机を間に挟んで会話?をしている。
『まず、私達は主に作られましたが完全に独立したユニットとなっているので、盗聴・盗撮・その他プライバシーが侵害されるようなことがない事を前提に何か質問はありますか?』
「うーん、じゃあ私達のサポートって言ってたけど、それはISに関してだけなの?」
『家事からISの整備まで、大概のことはできます。が、あまりに私達に頼り切りになる場合はお尻を引っ叩かせていただきます。』
「あはは、了解しました。これからよろしくね。シロちゃん」
『シロ、とは?』
「うん、貴方の名前。ハロって言うのはいっぱいあるんでしょう?だから。」
『・・・了解しました。私の名前はシロです。改めてよろしくお願いします』
和む光景ではあるが、このハロは一体一体がユニットを装備すれば単独でISさえも退けることのできるチートスペックを誇っていたりする。しかも、独立しているので自分の作った者に対しても情け容赦無かったりする。
『ハヤク、ワスレロ!』
「ちょっ、待っ、ぎゃああああああっ⁉︎⁉︎」
明日神崎は生きているのだろうか・・・
今日はここで終わりです!
皆さんはロボット系で好きな武装とかありますか?
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五話
コロナのせいでゴールデンウィーク消滅して、おのれディケイドおおおおおお!!!ってなってから不貞腐れてモンハンで狩猟本能覚醒!アーアアーってしてたら遅れました。
消滅の決定をした上司は初っ端から濃厚接触疑いで働いてません。
バキバキ、ボーン!していいですかね?
そんな訳で投稿はバラバラになりそうです。
どーもー、昨日本能との戦いを制した後の記憶が全くない神崎蒼です。思い出そうとする度に頭痛が走るんだけど、ハロとかのログを見ても一切の記録が残ってなくて割と怖いでござる。織斑先生は目が合うとものすごい勢いで顔を逸らすし、織斑一夏は露骨に俺を避けてるし・・・なんかラッキースケベでもやらかした?けど、そんなことしてたら織斑先生&どっかから見てる天災(誤字ではない)から制裁喰らって命はないだろうな〜
取り敢えず、俺がなんかやらかしたのは確実だろうし普通に接して貰えるまで静かにしていようか。
「あの、神崎さん」
「・・・はい?」
えっと、早速織斑一夏がきたんだが。足元には白ハロ・・・俺渡したっけ?いや、独立稼働型だから勝手に行ったのか。
「シロちゃんと話し合って自分が得意なことと希望を書き出してみました。これを参考にして作って欲しいです」
「分かりました」
ルーズリーフを受け取って流し読みっと。ふむ、防御力重視の射撃特化型ね〜。両肩にシールドをくっつけて背中にキャノンか。俺がある程度考えてたのと似通ってるからいけるな。
「放課後の予定は?無ければアリーナで練習を始めていきたいと思うのですが。」
「は、はい、それで構いません。でも・・・」
「基本的な飛行と機動ぐらいしかやらないので安心して下さい」
「わかりました」
ふぅ、口調変えて喋んのは疲れるな。
さて、今日も今日とて針の筵タイムな1日の始まりでございます。
ーーーーさぁ、(時間を)振り切るぜーーーー
「では、借りてきた打鉄で早速練習していきましょうか」
「はい」
さーて、篠ノ之箒の視線が突き刺さるなか、特訓の開始でございます。居心地わっる。メニューとしては、歩くのと浮かぶことだな今日は。
一個一個説明してくのも面倒いのでダイジェストで行ってみよー
〜歩行の場合〜
「はい、歩いてみましょう」
「えっと、歩く、歩く・・・」
「普段はそんなことを意識して歩いてはいないでしょう?ISは手足の延長です。いつも通り目的地まで行くだけでいいんですよ」
「そうなんですか?えっと・・・おぉ〜」
「ふむふむ・・・」
〜飛行の場合〜
「ど、どうすれば⁉︎」
「背中に翼があると考えましょうか。白ハロ頼めるか?」
『リョウカイ、リョウカイ!』
「あのハロ、とやらは喋ると片言なのだな」
「翼があること〜♪」
「マスターすんの早くね?」
「・・・背中に翼・・・」
とまぁ、めっちゃ楽しそうに空を舞っているでございます。こんだけできれば明日には戦闘用の機動ができそうだな。
ってか、さっきまで木刀持って俺のこと睨んでた篠ノ之箒がいつの間にかメモとっててびっくりした。織斑一夏を守るために動いてるってかんじだからどうにか強くなろうとしてんのかねぇ・・・俺の特訓方法は昭和ライダーのアレかハートマン軍曹式しか知らんからな・・・教えるのが上手そうなら山田先生の所に一回行ってみるか。
「さて、今日はこれが普通にできるようにしましょうか」
「はい!」
ん?なんかピットの方が騒がしいな・・・
「お二人とも、ちょっと用事が出来たのでケガだけないように気をつけて練習していてください」
「わかりました!」
「・・・本当はどうなのだ?」
「・・・ピットの方が少し騒がしいのでね。わざわざ織斑一夏さんに心配をかけることを言う必要はないでしょう」
「・・・そうか」
あ、もしかしてこれも何かの策略か何かだと疑われてる?まぁいっか。
「俺は織斑千冬の弟で織斑秋斗だぞ⁉︎なんでお前があの愚妹を庇って主人公の俺の邪魔をしてんだよ⁉︎」
「はぁ?貴方が何者であろうが、人が努力をしているのを邪魔しようとする人間はこのセシリア・オルコットが許しませんわ!」
・・・えっと、俺の想像してた状況と違う・・・弟くんがISの自慢のためにそろそろ来るかなぁ、とは思ってたけど。ついでに織斑一夏の批判を緩和する踏み台にしようかとは思ってたけど!根っからのIS至上主義&織斑先生の妄信者だと思ってたセシリア・オルコットが織斑一夏を庇ってるのは想定外ですわ・・・
はぁ、面倒くせぇ。
「チッ、今日は帰ってやるよ!」
「二度と来なくていいですわ」
うわぁ、テンプレみたいなセリフまわしだな。織斑一夏には頑張ってもらって弟くんをしばき回していただくとしよう。
「セシリア・オルコット」
「ピッ⁉︎ななななな、なんですの⁉︎」
「可愛い悲鳴だな、おい。良いのか?天下の弟くんに逆らうとロクなことがなさそうだが」
「か、かわっ⁉︎・・・コホン、別に孤立しようと私はかまいませんわ。ですが、織斑一夏さんには失礼なことを言ってしまいましたわ・・・」
「まぁ、アドバイスのついでになんなりすればいいさ」
「そう、ですわね。感謝いたしますわ」
「なんのことだか」
うし、お節介終わり!戻るとしましょうかな。・・・はやとちりでやらかしてもうてるからなんかお詫び考えとかないとな。
「お〜、いっちーが飛んでる〜」
「だ、大丈夫なのかな?神崎さんはいないみたいだけど・・・」
「わ、私達襲われたりしないかな?」
「大丈夫だろう、多分、きっと、・・・おそらく」
うーん、そこははっきり否定して欲しかったよ篠ノ之箒‼︎ってか、なんか増えてる⁉︎あー、聞いてなかったことにしよう。タブレットを出してっと。
「なにか希望などはありますか?専用機に採用するようにしますが・・・おや、皆さんどうされました?」
「あ、そーそー!」
「か、か、か、神崎くんっ⁉︎」
「ひぃっ⁉︎ごめんなさい、貧相な私なんて美味しくないから食べないで‼︎」
「む、遅かったな」
わーい、予想通りの反応で草生えるわー(泣)篠ノ之箒の反応に安心感を覚える俺は末期なのかも知れんなあ。ってか、織斑一夏は割と上を飛んでるから聞こえてないっぽいな。インカムは・・・あったあった。
「織斑さん、なにか操作に不便はありませんか?」
『わひゃい⁉︎あ、はい。えっと、なんか左右のバランスが変な気がします』
「了解です」
ふむ、利き手とかの方に重心が寄るのを考慮したスラスターの出力設定にしてあるのを変と申すか。綺麗な姿勢?ってところか。打鉄のシステムに介入、今の姿勢制御のデータとクセを解析、データを基にスラスターの出力設定を変更・・・完了っと。
「設定を変えて見ました。少し、試してみてください」
『わかりました!』
「「「「おお〜」」」」
「なんですか?」
なんすかその不思議なものを見る目は。
「あのね、そーそー。ISをその人に合わせて調整するってすごく時間がかかるんだよ〜?」
「・・・そうなのか?」
「・・・何故私に聞く・・・あまり知らないが、最適化(フッティング)は一時間は最短でもかかる、ときいたことがあるな」
「なーるへそ」
束もできるし、普通のことだと思ってたわ〜はぁ、色々と気にした方が良さげなことが多いな。面倒くさいことこの上ねぇなこれ。
『あ、神崎さん』
「なにか?」
『その、戦闘訓練ってもうやるんですか?』
「明日から開始します。まぁ、篠ノ之さんには打鉄を纏っていただくので2人だけになるということはないので安心して下さい」
「そ、そうですか・・・』
あと1時間ってところか。動作例的なもんでも披露するとしますかね。
「ハロ、マーズ持ってきてくれ。織斑さん、一度降りてきてください。取り敢えず最終目標を見せようと思うので」
『わかりました!』
ハンガーユニットを引き連れてきたハロに群がる女子を尻目にハンガーユニットの中へとはいる。
「装着開始」
ハンガー内の壁が割れてフレームやら装甲やらを持ったアームが伸びてくる。まぁ、本来なら中に入って装着とかまわりくどいことをせずにアイアンで戦う実業家みたいな装着シークエンスができたんだけど、アストレイを一度纏ってからその上にマーズユニットを被せるからどう頑張ってもバレるんだよなぁ・・・はあ、システムチェック開始。
ーー主ジェネレーター・サブジェネレーター起動
・・・正常に作動、待機出力で安定
ーー各部センサー起動
・・・異常無し
ーー各部パワーアシスト起動
・・・エネルギー供給正常、出力正常
ーーFCS(射撃統制システム)起動
・・・異常無し。
頭部イーゲルシュテルン×2
アサルトライフル×1
ハンドガン×1
リボルランチャー×2
膝部グレネードランチャー×2
接続完了、電子ロック及び物理ロック正常に作動。
ーー各部スラスターユニット、PIC起動
・・・圧力異常無し。可動の問題無し。正常に作動中。
ーーエネルギーシールド起動
・・・発生に問題無し。増加コンデンサー異常無し。
ーー右腕部思考連動システムに接続
・・・同期完了。タイムラグ0.1秒以内で安定
ーーマーズユニットとシステム同期
・・・完了、異常なし
・・・システムオールグリーン
ハンガーユニットが展開、カタパルトだのなんだのが展開して射出される寸前で動きがとまる。さて、今回は何かな?システムに設定した記憶はないんだが何故か頭が空を見上げる状態で固定されて、問いかけに対して返答しない限り絶対に動かなくなるんだよなぁ。緊急の時はないんだけど、訳分からん。
『目覚めろ』
「その魂」
ふむ、今回は仮面ライダーアギトのキャッチか。色んな名言やら決め台詞やらが出てくるから割と面白いから構わんがちょっと怖いんだよなぁ。
「それがそーそーのISなの?」
「おう、全身装甲型第二世代機、マーズだ」
「ヒトツメ・・・ネトラレースリィー?」
「な、何を言っているのだ一夏⁉︎」
なんで織斑一夏がビルドダイバーズ リッラァーィズ‼︎のネタを知ってるんですか?しかもこれはモノアイであってヒトツメではないんですが?ドートレスとかデスアーミーとか、割とマイナーな気がする機体が出てきて面白かったですまる。チャンピオンが別のゲームを始めたのには引いたな〜人って極まると明後日の方向に向かって行くもんなのかな?ファイターズの3代目なメイジンもそんな感じだったし。
・・・話を戻すか。宇宙で戦っていたMSの真髄、見せてやろう‼︎(そんな大層なことはできん)ロトに射撃させて、ハロには説明を兼ねて下がってもらうようにしとくか。
ーーPIC起動、スラスター圧力正常。
さぁ、行くか。何回やっても怖いよな〜
ーーーーーーーSIDE OUTーーーーー
「「「「ほえ〜」」」」
「ほぁ〜」
開いた口が塞がらない、というのはこういうことだ!的な感じで全員が似たような顔になっている。5人のタイプが違う美少女たちが口を開けている様はアホ面を通り越して可愛いさすら感じさせる。それを成したのはマーズことアストレイを纏った神崎だった。
『ソウ!ソウ!ジツダン、ジツダン!』
「流石に流れ弾とか危ないからなしだな。つか、回避運動見せるだけだろ?」
「・・・これ、参考にしなきゃいけないのかな?」
「・・・明らかに人がしてはいけない動きをしてる気がするのだが」
「・・・そーそー、すごいね!」
「本音、すごいで済ませられる次元じゃないでしょ・・・」
「「うんうん」」
余裕そのもの、といった口振りでハロと雑談をしながら宙を舞う神崎目掛けてロトから発射されるのは無数のミサイルとマシンキャノンからの模擬弾。その噴煙が視界のほぼ全てを占める中、その全てを舞うように避けていっている。
スラスターによる回避、足を振り上げて上下反転、逆さまの状態のままスラスターによる機動、ISの世界大会であるモンド・クロッゾですら見られないような特殊なものがかれこれ30分ほど続いている。
「とまぁ、織斑さん、これを見てどう思いました?」
「えっと・・・なんていうか、変、でした」
「それはよかった」
「む・・・一夏から離れてもらおうか」
すらっ、とどこからともなく取り出した木刀を神崎に向ける篠ノ之箒。事情をよく分かっていなさそうな本音を除いて織斑一夏たちも一歩引いている。
「・・・言い方が悪かったですけど、その反応は傷つきます。ドMじゃねーんで」
「じゃあ、どうだと言うのだ?」
「色々と公開されてる映像をみると、ISって基本的にスラスターで移動じゃないですか。んでもって絶対地面に足が向いてるでしょ?地に足つけてる訳じゃないから・・・っていう感じでセオリーを無視してみました」
「「「「・・・・」」」」
またもドン引きされる神崎。古今東西、培われてきたものをスルーするのは難しいというか、普通は考えつかないものである。神崎はことも無げに言っているが、トンデモである。
「別に難しいことでもないんで。ISに長く乗っている人よりかはやりやすいはずですよ」
「や、やってみます!あ、あと・・・」
「なんでしょう?」
「神崎さんって敬語慣れてないですよね?いつもと同じ口調で大丈夫ですよ」
「バレてーら・・・」
ガクっと肩が落ちる。モノアイでなかなかにゴツい機体が肩を落としているのはなかなかにコミカルであった。
ーーーー1時間後ーーー
「そんじゃ、今日はこれにて終わり!ちゃんと汗流してしっかり寝ろよ〜」
「「「「「はーい」」」」」
汗を拭きながら、自身の宿舎へと戻る神崎。普段は急な来客があっても大丈夫なようにプレハブのほうに寝泊まりしている。当然誰もいないはずなのだが・・・
「・・・人の気配?」
ぼそっと呟く神崎。篠ノ之束も勝手に入るぐらいはしてそうだが、彼女の場合は何かしらの痕跡がある。例えば、人参型のロケットが刺さった跡とか。
相当奇抜なもので無い限り、改造オッケーな制服の中から拳銃を取り出して左手に。強度の高い右腕を簡易的な盾とすると同時に日本のロボットアニメで初めて人が搭乗するマジンガーなZのアイアンなカッターでカウンターが出来るように構える。
「・・・はあ、いい加減にしてくれ・・・」
消え入りそうな声でぼそっと呟くと大きく深呼吸、ゆっくりとドアを開く。
「お帰りなさい!ご飯にする?お風呂に、きゃっ⁉︎」
「動くな。何処からの回し者だ?直ぐに答えたら楽に殺してやるよ」
「あらー、直ぐに答えなかったらどうされちゃうのかしら?」
「・・・安心しろ、エロ同人みたいなことにはならんからな。世界の拷問をフルコースでご馳走してやるだけだ」
「「・・・」」
言葉だけで見れば緊張感漂う映画のワンシーンのような状態だが、脅している神崎はともかく、相手は裸エプロン?な青髪美少女である。どっちかといえば、見せられないよ!的なビデオ状態だ。
今まで様々なラノベや二次小説を読んできた諸君ならこの後の展開など容易に想像できるであろう。
「・・・えっと、お、お邪魔しました・・・」
織斑一夏の登場である。
ちょうど神崎の影になって見えなくなっていたようで拳銃やアイアンなカッターは見えていない様子だ。
神崎は勘違いされたままだと何かと面倒臭いと考えたのか、馬鹿でかいため息を吐いて拳銃とカッターを収納してドアを閉めようとする織斑一夏に声をかけた。
「あー、織斑。ちょっと戻ってきてくれ。この女に見覚えあるか?」
「え?えっと、生徒会長さんだったと思うんですけど・・・」
「・・・あぁ」
考えること5秒程。そういや入学式でめっちゃ睨んできたなコイツ・・・と虚空を見る神崎。取り敢えず生徒会長を解放した。
「生徒会長さんについては後でで。織斑さんはどう言ったご用件で?」
「あ、はい。山田先生が話があるって探してましたよ?」
「そうか。・・・何がしたいのか興味はないが、俺がここに戻るまでに消えとけ痴女が」
「っ!そんなこと!」
「あ"?じゃあ美人局かなんかか?ま、どーでもいいわ。役割がなけりゃこんな所にいる必要はないしな」
学校や訓練中には見せなかった冷たい雰囲気を纏う神崎。少なからず交流のあった織斑一夏は戸惑いを隠せず、何処か食えない笑みを浮かべていた生徒会長をいつの間にか真剣な表情になっていた。普通に生活していれば感じることのない圧力、言葉にできない恐怖を感じて怯える表情になった織斑一夏を見て神崎の表情も変わった。首を捻ってエゲツない音をさせると雰囲気が霧散した。
「・・・はぁ、申し訳ない。個人的なことでイライラしてた。生徒会長、アンタの要件は大体わかるが必要ない。が、敵対するつもりはないから安心しろ。織斑さんも悪かったな、八つ当たりして。なんのかんの言われる前に部屋に戻りな」
それだけ言うと神崎は部屋を出て行った。
ぽつん、と放置された2人は顔を見合わせると同時に頭を下げた。
「はじめまして、織斑一夏です」
「はじめまして、IS学園の生徒会長で更識楯無よ。よろしくね織斑さん」
「はい!あの・・・」
「わかってるわ、彼の最後の言葉よね?」
こくん、と頷いた織斑一夏に生徒会長は話し出した。
長くなるので要約しよう。
色々な研究機関が・・・
ISに乗れる男が2人も現れたぞ!
↓
1人は織斑千冬の弟?なら手は出せんな・・・
↓
もう1人は国籍なし、親なしのないない尽くしらしいぞ!
↓
なら誘拐して研究材料にしても構わんのだろう?
といった状態らしい。そして似たような思考回路で世界各国も狙っており、色仕掛けやらなんやらの日々。おまけに女尊男卑な生徒達から毎日のように嫌がらせをされているらしい。
「そんな!でも、よく一緒にいる私達は?」
「自分にだけヘイトが向くように動いてるみたいよ。おそらくその役割っていうのが関係してるんだと思うけど、何か聞いてないかしら?」
「いえ、何も・・・」
「そう・・・」
取り敢えず用が無くなった2人はプレハブを出て行った。
「チッ、もう刀奈にアイツが接触してんのか・・・簪も本音もアイツよりってことか。なら一夏と一緒に殺すか?そこを俺が慰めれば堕ちるよな!」
出て行った2人を見送りつつゴミみたいなことを言っているゴミ。なんやかんや自分に擦り寄ってきた女子生徒たちを使って神崎に嫌がらせをしていたが、目に見えた効果が無く何かしらの弱点を探しにきたようだ。自分と違い、プレハブに住んでいることに優越感を感じていたようだが2人を見て無駄にイケメンな顔を歪めた。
「前にイージスとかが落とされてから改良したコイツらなら楽に殺せるだろうしな」
ゴミはディスプレイに映った3機を見て笑う。
・・・気色悪いのでパワードレッドの拳を叩き込んでは駄目だろうか?
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六話
コロナのセンターに派遣されて毎日朝から晩まで仕事仕事・・・
マジでコロナ滅んでくれませんかねぇ・・・?
「・・・またか。暇なのか?わざわざ朝早くに来てるのより早く下駄箱に剃刀って、何がしたいの?毎回毎回毎回毎回置いてあるけどタダじゃないよな?休み時間もわざわざ教室にきてピーチクパーチクと・・・あの無駄にイケメンな顔面にオオトリ版のフルバースト叩き込んでやろうか?3年もたまにいるしハーレムってか?羨ましいとか微塵も思わんが気色悪いわー。俺が織斑一夏達に手ェ出したってマジで言ってんのか?んなことしたら世界最強と最狂にぶっ殺されてるわ!・・・あ"〜イライラするわー」
本格的に暗殺を・・・おっと、闇が全開になってた。
どーもー、教室に忘れもんして早めに来たらいつも通り剃刀が入っててなんか色々な感情を超越しそうな神崎蒼です。取り敢えず首を鳴らしてリセットォ・・・うし、剃刀はバラして刃の部分だけ左腕の中に装填っと。なんやかんやで甘いもん食べれてねぇし、作るか〜確かストックは・・・
「あ、そーそー!」
「ん、のほほんさんか。珍しく朝早いな?」
「うん!かんちゃんがね〜夜更かしするとそーそーに怒られるから朝早起きしてISを作るんだ!だって〜」
「そうなのか」
ふむ、姉に劣等感を感じて無茶しまくってた頃に比べたら変わったな〜酷い時には三徹とかやって俺とおやっさんsで全力説教したしな。そういや姉って確か生徒会長だっけ?まぁ、あの子はあの子だし気にする必要は無いかな。
「まぁ、無理はすんなよ。俺は織斑さんのISをとっとと完成させるよ」
「うん、頑張ってねそーそー!」
「おう」
はぁ・・・束から織斑一夏、篠ノ之箒、織斑千冬の事を頼まれてなかったら織斑秋斗を暗殺して雲隠れしてたぞ。想定はしてたけど延々と集中砲火を喰らわされ続けんのはやっぱメンタルに来るわなぁ・・・
諦めよう。
ノアに戻りまして・・・ビルダーからパーツの完成報告があったから組み立てに入るか。
スピードよりは小回りを意識してアポジモーターを増設、ISは兵装以外は全部同じエネルギーに依存してるからな〜小型のプロペラントタンク増設しとこ。確か、白と赤がいいんだっけか?・・・絶対アストレイ意識してんだろ・・・まぁバレなきゃいいとしますか。
武装は、背中にアーム展開式のキャノン2門とアサルトライフル2丁と近接用ブレードの基本的なもんだな。素人がマガジン交換が出来るとは思えんしOSの方に組み込んでガイドを出すようにするか。こういうのはF91から学んだりしたけど、コンピュータの補助ってマジでありがたいわー相手の行動とかをインプットしとけばシュミレーションとかで練習しまくれるし本当にお世話になってますわ。
あ、ちなみに背中のキャノンはウィンダムのマルチランチャーパックの核撃てないverを参考にしてる。いやー高速戦闘とかを考えなくていいお陰で空気抵抗とかガン無視した装備が可能だからいいよな〜ちなみに換装可能だったり。ストライクのも作ってあったりするけど、前にGAT-Xシリーズ出てきてるからストライクがいない確証なんてないから俺が黒幕とか疑われないようにしないといけないからお蔵入りの可能性が高いんだなこれが。
・・・話を戻そう。シールドビットを装備するか考えてたけど、普及してないのがあるのはまずいから却下で、サブアームを両肩に接続してその先にシールド装備で完了ですな。どーでもいいけど、なんでISって内蔵武装ないんかねぇ。
うし、終わり、完成‼︎朝ごはん食べ行きますかな。
「あ、おはようございます」
「か、神崎か・・・」
わー、なんか気不味っ‼︎取り敢えずやらかしたのは分かるから謝って気にするなとは言われたけどな・・・
「そ、そうだ、一夏のISはどうなっている?」
「完成はしました。今日の放課後に乗って貰って調整して終わりですかね」
「・・・本当か?」
「そうですが?」
なんかぶつぶつ言ってるけど、普通じゃね?おやっさん達だったら二機分くらいなら気づいたら終わってるしなぁ、遅い方だと思うが。
「そう言えば、束と連絡をとってあげて下さい。ちーちゃんが返信してくれないーって騒いでるんで」
「む、束が?」
驚くことか?顔合わせに来た時も大分ベタベタしてた(一方的に)から特になんも無いと思うけどな〜
「おばちゃん!日替わり定食大盛りで‼︎」
「はいよ!今日は焼き鯖だよ!」
「よっしゃ」
「アンタ、大丈夫か。いつも以上に顔が死んでるよ?」
「・・・コイツの表情が分かるんですか?」
「うん?コイツは表情筋が死んでるけど、感情は多分人一倍豊かだからねぇ。コイツ以上にわかりやすいヤツは今のところ見てないね」
「そう、ですか」
・・・わかりやすいって、褒められてんのかこれ?違うか。
気づいたら織斑先生が正面に座ってた件について・・・そろそろ盲信者に刺されそうな気がするんだが。
「そのISやマーズについての知識と技術はどうしたんだ?」
「あぁ、それに関しては実験の日々のなかで頑張って(自力で)勉強したからです。記憶がなくても、当時の状況が明らかにおかしいのは分かってたんで、逃げ出した時に困らないように、ですね」
超、頑張ったでこざるよ。アストレイを望んだけど、整備の知識とかなかったからISの取説見つけてそれを参考にして実地で練習しまくってようやく今の状態に持ってこれたわけですし。おやっさん達の所で技術を磨いて・・・死にたくないから現在進化形で必死ですわ。意外とスパロボを敵としてシュミレーションとかやるとめちゃくちゃ糧になるぜ。
・・・一撃必殺の拳が、無限に追いかけてくる拳が飛んでくる・・・鬼早くて全然追いつけなくて一方的に可変戦闘機にボコられ続ける・・・こっちの攻撃が当たってるはずなのに全然効いてない・・・やめて!惑星レベルのハンマーは死ぬ‼︎俺達が地獄?因果律を弄る?チートじゃん‼︎カエレ‼︎・・・あ"あ"最弱の攻撃のハズなのに地形が変わっていく〜
「おい、神崎‼︎」
「・・・はい?」
「大丈夫か?どんどん目から光が消えていったが・・・」
「あぁ、大丈夫です。ちょっとしたトラウマを思い出しただけなんで」
「と、トラウマ・・・」
ん?なんかまずい事聞いたって顔してるけど、またなんかやった?まぁいっか。
勇者とかには辛勝できるようになったけど、勇者王とかバルキリーヤーとか、カイザーシリーズには全然勝てないでござる。ハエーイ ツエーイだからなー。ローエングリンランチャーとかなら割とダメージ与えれるけど、取り回しとかチャージとかでそもそも当たらないっていう・・・よくあのあしゅらな男爵とか筆頭にあの人達を追い詰めるとかできたよな。
「では、色々頼んで悪いが、頑張ってくれ」
「ありがとうございます。あ、今日は第三アリーナでやってるんで見に来てあげて下さい」
「あぁ」
さて、とっとと飯食って逃げるとしますかな。視線でメンタル的なHPがゼロになりそう。
\ドカン/・・・コンテニュー、ヴェハハハッ!ワタシハッフメツダァッ!
ーーーーなんやかんやで時を飛ばそうーーー
「あったか、ねむ・・・」
周りからの視線は変わらず、居心地悪くて休み時間の度にあちこち歩き回った結果誰にも見られず日向ぼっこできるベストプレイスを見つけたのである!ちょうどお昼時だけ日光が当たる場所で、日差しとまだ暖まりきってないコンクリとの温度差が気持ちええんじゃ〜
さてと、
「なぜいる?」
「そーそーの後を追いかけて来たの〜」
「顔色が悪かった気がしたから・・・」
「そっか」
ハロの口の中からマットを引きずり出して二人にシュー!ふぅ、そろそろ眠気が限界だわ。
「んじゃ、時間になったら勝手に起きるからどうとでもしてくれ・・・」
「うん、おやすみそーそー」
「おやすみなさい」
ーーーside outーーー
「・・・ねぇ、本音」
「・・・なに?かんちゃん」
「なんかさ、蒼さんって不思議な人だよね」
「そうだね〜私がマイペースでも全然怒らないし〜」
そうじゃないんだけど・・・と苦笑する簪。2人は寝ている神崎を間に挟んでそんなことを話していた。二人にとって神崎は不思議、としか言いようのない人物である。
簪にとっては、恩人であり同士であり、今までに関わったことのないタイプの人間であった。姉との確執で自分でも嫌な子になっていると自覚はあったが変えられなかった。今は親戚のおじさんのように接してくれている倉持技研のおじさん達にも嫌な態度をとってしまっていた中、その間に入ってくれていたのが神崎だった。卑屈になっていた自分に根気よく話をしてくれて、今のように人を頼ることができるようになれた。・・・原因となった姉とは話をできていないが。とにかく、彼は簪にとって、特別な人である。
本音にとって神崎は優しい人、である。いたずらには怒るが、たまたま失敗してしまったことなどは絶対に怒る事をしなかった。周りと比べて自分が鈍臭いことに自覚があり、色んな人に怒られてきたが怒らないのは簪と神崎だけだった。常に周りを見ていて誰かのために行動できる優しい人だ。
「そーそーって、寝てる時はちょっと可愛いよね〜」
「うん、わかる」
さらっさらな白髪を撫でながらいつもの無表情がほんの少しだけ崩れた寝顔を見て微笑む2人。無表情がデフォルトで顔には大きな傷、なのに口調は割と明るいという違和感以外何も感じられないような男だが、とにかく自分の為と言いながら困っているのを見るとどうにかしようとしてくれる優しさを持っている。だからこそ・・・
「かんちゃん、そーそーのことどう思う?」
「どうって?」
「私はね〜そーそーの事好きだよ。」
「・・・えっ?」
突然放り込まれた爆弾に動揺が隠せない簪。神崎のことはなんとなくお兄ちゃんのような感覚でいたが、本音の言葉を聞いて何故か動揺してしまった。
「かんちゃん?」
「そ、そっか。でも、どうして?」
「えっとねー、そーそーはねすっごく優しいの。私達に迷惑がかからないようにって色んなことをしてくれてたんだよ?」
「え?」
ちなみに、神崎は自身に関わる織斑弟以外に嫌がらせのターゲットが向かないように誰にも気づかれないように動いていたのである。・・・何故か本音にはバレていたようだが。神崎達一年生が入学したのは5日前なのにこの状態なのは、割と世間の歪みがここにも現れているのだろう。
「かんちゃんは?」
「私は・・・わかんない。なんか、お兄ちゃんみたいだなって思うけど・・・」
「そっか〜」
ぽけ〜と呟く本音。ちなみに髪を撫でていた2人の手は止まっていない。
「・・・何をしているのだお前らは」
「お、織斑先生⁉︎」
「ほぇぇ〜っ⁉︎」
そこに現れたのはピンクハロを連れたちょっと不機嫌そうな織斑千冬である。一夏のISについて話を聞こうとしたのだが、いなかったためにあちこちを探していたのだが三人の状態を見て何故か不機嫌になっていた。
「・・・授業には遅れるなよ」
「「はい!」」
敬礼しそうな勢いで立ち上がる2人を見て、ちょっと罪悪感を感じたのかバツが悪そうにする織斑千冬はピンクハロに足を小突かれながらどこかへと去っていった。
・・・一方その頃・・・
『ほう、簪、本音、千冬はあの男に傾いていると?』
「あぁ、そうだよ。刀奈も接触しに行ってたし、暗殺は難しいんじゃないか?」
『ふむ、ガンダム4機を相手にして損傷はバックパックと右腕だけか・・・三機に追加してストライクダガーも何機か追加しておこう』
「は?なんでだよ」
『はぁ〜自分で考えろ』
その後、何やら話をしたあと電話を終えたようだ。織斑秋斗は何やら呟きながら校舎へと向かっていった。
「大丈夫だ、俺はオリ主なんだ、何があっても最終的には全員俺の所へ来るんだ、取り敢えずコーディネーターの能力でセシリアとの戦闘は余裕だから、落としたモブ女共で遊ぶかな」
ちなみに、ストライクダガーとはGATーX105ストライクを一般ピーポーが乗れるように色々とスペックダウンした量産機の名称である。
ついでに豆知識を一つ、SEEDシリーズにおいてガンダムという名前はOS(制御コンピュータ)のことであり、これらの機動兵器のことを〜"ガンダム"と呼称されたのは本編では一度もなかったりする。
「どうしたというのだ、私は・・・!」
またまた場所が変わって電子タブレットを女性というか、人が出しちゃいけない握力で握る美人教師が1人・・・ちっふーこと(今の所誰も呼んでない)織斑千冬である。その姿はどんなアホでも不機嫌であるのが分かる程のオーラらしき何かが出ている。普段は体育座りで体を限界まで丸め、近づいただけで即座に反応し身構える蒼が簪と本音に寝顔を見せるまでに心を開いていると分かり、がっつり嫉妬しているのである。
「あれ、お姉ちゃんどうしたの?」
「む、一夏と箒か・・・」
「どうしたんですか、千冬さん。行く先々で生徒が今日は千冬さんがえっと、なんていうか、女の子の日だってウワサになってたんですが・・・」
「なんの話だ?」
パタパタと織斑千冬を見つけて駆けてくる2人を見て少しだけ余裕を取り戻したようだ。が、本人にその自覚はなかったようだ。以前にも言った気がするが、織斑千冬は肩書きやらなんやらのせいでまともな恋愛をしてきてないのである。
「う〜ん、まぁいっか。布仏さんと更識さん?を見てないかな、神崎さんと一緒にいるって聞いたんだけど・・・」
「・・・あぁ、その3人なら中央の広場の奥にいたぞ。・・・用事を思い出した。でわな。」
3人の名前が出た途端に機嫌が急降下、またまた不貞腐れた様子で歩いて行った。・・・たまたま進行方向にいた生徒たちをビビらせながら。
そして、言われた場所にたどり着いた2人が見たのは・・・
「「え?」」
「やめろ・・・こっちに、来るな・・・‼︎」
「蒼さん⁉︎」
「そーそー⁉︎」
2人に挟まれ、魘されている神崎だった。
取り敢えず戦闘シーンを勉強中です。
次はいつ投稿できるやら・・・
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七話
頑張って投稿していきます❗️
どーもー、織斑千冬と話してて、シュミレーションで難易度設定ミスってトラウマ作ったことを思い出したせいかフラッシュバックして跳ね起きたら簪と本音に泣きそうな顔で抱きつかれて、織斑と篠ノ之さんからなんとも言えない視線をいただきました。神崎蒼です。
一つだけ・・・どうしてああなった?しかも織斑千冬もなんか不機嫌だし・・・・
・・・なんか勘違いが加速してる気がするけど頑張ってスルーしよう、うん。
さて、今日はクラスの代表を決める日でございます!頑張りましたわ〜結果が出ないとなんとも言えないけど、射撃技術と射撃、ビットに対する回避術は伝授したから、織斑弟には勝てるかなー?まぁ、セシリア・オルコットには流石に勝てないだろうけどなー。ちょくちょくアリーナ使って色々やってたみたいだし、こうなってくるとますます初日の態度が良くわかんねぇよな〜練習してる時に織斑弟を邪魔してたのもそうだし・・・やっぱわからんな。
初戦は織斑一夏vsセシリア・オルコットだし、データ収集ついでに調べてみるかな〜背景とかなんか色々あったりして・・・
「神崎さん」
「ん、どうした?」
「一週間ありがとうございました!頑張ってきます!」
「おう、まぁ勝とうとしなくていい。そもそも国の代表候補生と戦わせるっていう前提条件からして間違ってんだ、自分の満足できる戦いをして来い」
「はいっ!」
うーん、輝く笑顔ってああいうのを言うんだろうな。ちなみに絶対にここに居そうで何故かいない織斑千冬は公平さを保つために他の生徒達と一緒に観客席に座ってたりする。俺?機体の最終調整でここに居る。機体トラブルで負けましたとか自分に黄金の惑星クラッシャーぶち込まなきゃならなくなるわ。
「一夏・・・」
「箒、頑張るね!」
「あぁ、勝て!と言いたいところだが、神崎が言っていたことが的を射ている。だから、頑張って来い!」
「うん!神崎さんが作ってくれた〈桜花〉・・・織斑一夏、行きます‼︎」
さて、こっちもこっちで準備しますかな。
ーーーSide outーーー
カタパルトによって打ち出された織斑一夏は足のスラスターを使ってその場に静止した。
それを見ていたセシリア・オルコットは何処か満足そうに頷いている。
「まずは、この一週間お疲れ様と言っておきましょうか」
「え?あ、はい、ありがとうございます!」
どうも素直に返されるとは思っていなかったのか、ほんの数秒間だけ固まるセシリア・オルコット。だが、直ぐに立て直すと通信を切り替えた。
『・・・先日は申し訳ありませんでした!』
『うえっ⁉︎ど、どうしたんですか、急に⁉︎』
『・・・なんというか・・・物凄く緊張しておりまして、どうしていいのか分からず、止まらなくなってしまい・・・』
『そっか、だから最初だけいっぱい言ってきてから来なくなったんだね』
『そういうことですわ・・・』
『・・・私は正直、秋斗に言われたから言いにきたんだと思ってた。今回は、許すよ。けど、もうちょっと言動は考えた方がいいと思うな』
『!ありがとうございます。ご忠告痛み入りますわ・・・では』
『そうだね、始めよっか』
「さぁ、踊りなさい!わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で‼︎」
「織斑一夏、日本舞踊で行きます!」
いや、そうじゃないだろう・・・という誰かの呟きを置き去りに2人は動きだす。
初っ端から蒼直伝の作戦に従って織斑一夏は手にしたアサルトライフルをぶっ放しながら、下へと落ちた。
「なっ⁉︎」
驚きの声を上げながらも、手にした長大なレーザーライフルを構えて射撃を行うが、サブアームに接続されたシールドがレーザーを阻む。それに対して織斑一夏のライフル射撃は面白いように当たっていく。
「努力していたのは知っていましたが、成長しすぎでは⁉︎」
「鍛えてますから‼︎」
ちなみに織斑一夏に銃口補正や自動防御についてはまだ話していない。蒼がストレスかかりまくってイライラしていて忘れていたとかそんなことはないハズなのである。
彼女の性格と話を聞いて考えたサポートシステムなのだが、基本的にISは既存の戦闘機のロックオンシステム同様相手から照射されるレーダーを探知することが出来、銃口などから攻撃などを予測してディスプレイに投影できるヤベーイなシステムである。射撃なら弾の飛んでくる方向が線となって見えるが、近接戦闘の場合であればシャイニンメガインパクト‼︎的な状態になったりする。戦闘データが溜まっていないのでもう少し時間がかかるが。
「うりゃあー‼︎」
「きゃあっ⁉︎」
アサルトライフルと同時に背中のマルチランチャーをぶっ放していく織斑一夏。に対してま〜だ油断していたのかガンガン喰らっていくセシリア・オルコット。ようやく本気を出したのか、プラットホームから四機の大型ビット〈ブルー・ティアーズ〉を展開、攻撃を開始する。
「はぇ〜、一夏さん本当に頑張ったみたいですね〜」
「まぁ、乗り始めて一週間でこれは相当なものだろうな」
場所は変わって観客席。織斑千冬と山田麻耶が感嘆の声をあげていた。
「放課後に私の所に質問をしに来たり、アリーナでISの練習をしっかりしていたみたいですから、その賜物って言うんですかね〜」
「・・・私には全然来てくれなかったがな」
「ま、まぁ、お姉ちゃんにカッコいい所を見せるんだ!って張り切ってたみたいですからね」
「そうか・・・ふふん♪」
山田麻耶に嫉妬からの上機嫌、機嫌がジェットコースターばりに上下していたようだが、取り敢えず上機嫌に留まったようである。
2人がそんな話をしている間に状況は進んでいく。神崎お手製の銃口補正プログラムと防御システム、そして織斑一夏自身の姿勢制御能力の高さもあってセシリア・オルコットに対して優勢を保っていたのだがよく考えると、セシリア・オルコットはまだ手にしたレーザーライフルしか使っていなかったのである。そこから代名詞である四機のレーザービットで攻撃を開始されれば、状況はまた変わっていく。
「これは、ちょっと、きっついな〜」
「いやいや!仮にも私は代表候補生なのですわよ⁉︎その私とほぼ互角ってなんなんですの⁉︎本当にISに乗って一週間なんですの⁉︎」
お〜い、お嬢様キャラどっか行ってんぞ?的なツッコミを入れたくなるレベルで動揺しているセシリア・オルコット。ちなみにこの試合の事を聞きつけて観客席で見ている他の組やら先輩方も概ねオルコットと同じ感想を持ってたりする。
「エネルギー残量200か・・・これで最後かな」
「私もこれで決めて差し上げます!」
織斑一夏はシールドを全面に掲げて突撃する体勢へ、セシリア・オルコットはその場に留まりビットを展開して待ち構える体勢に移行した。
果たして、結果は、
『ーーー!シールドエネルギー残量0!勝者、セシリア・オルコット‼︎』
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まぁ、その、なんだ。が、頑張ったな、一夏」
「ほうぎぃ〜〜わだし、できれば勝ちたかったよ〜」
「ん、あっ、ちょっ、どこを触って、あんっ」
ピットにて、号泣する織斑一夏が篠ノ之箒の割とデカめなメロンに顔を埋めているという状況。
織斑一夏、泣く。篠ノ之箒、喘ぐ。クラスメイト、鼻血を流しながら拝む。教師の2人戸惑う。カオス極まれり!である。
「ほうき〜!」
「わ、わかったから一回、離して!あんっ!」
『ライフル初弾装填よし、安全装置よし、リボルランチャーよし、ブレード2本よし、戦闘準備完了っと』
「蒼さん、あの男に負けないで下さいね?」
『俺の事が世間に報道された時、経歴とかも大々的にやってたから知ってるでしょ?』
「でもね〜?あの人すっごい自信満々だったんだよ〜?」
『ふむ・・・まぁ、織斑一夏と違ってこの一週間何もしてなかった奴がなんでそんな自信があるのか興味すらないが、警戒はしときますかな。ありがとうな』
礼を言われて嬉しかったのか2人ともすっ、と頭を差し出すがアストレイはISのように自由に脱着できる訳ではないので不満そうな彼女らの前でヒラヒラと手を振った。
『これのことは分かってんだろ?試合パパッと終わらせて戻ってくるから待ってろ』
「うん、いってらっしゃい」
「頑張ってね、そーそー」
『はいよ』
リニアカタパルトに脚部を固定、アストレイ(マーズジャケット)の各部スラスターに火が灯る。
《リニアボルテージ規定値まで上昇、射出タイミングを神崎 蒼に譲渡します》
『りょーかい!マーズは神崎 蒼で行きます!』
声と共に発進、ある程度進んでから指定された位置に足を後方に振り上げて一回転、綺麗に静止した。観客席の一部から何やらざわめきが聞こえるが、それも蒼への罵詈雑言に掻き消された。
『何あれ?今時全身装甲型なんて使ってんのアイツ?』『てゆーか、なんで二番目如きがISを持ってんの?』『どうせ、余ったパーツの寄せ集めじゃない?』『あはは!うけるー』
なんというか、悪意そのものである。そりゃどこぞのアルティメット改めデビルな細胞やらアークな人工知能が人類滅亡を選択してもしょうがない気がするものである。そして、彼女らの考えも完全に間違いではないのであろう。人間とは、他人を見下すのが得意であるから仕方がないのかもしれない。
・・・かと言って、その悪意に晒されている当人がそんな事を悟れるなど、よっぽどのことがない限りあり得ないが。
『・・・・・・・・ちなみに、指定した人物以外を皆殺しにするのってどれぐらいかかりそう?』
ーー約2時間程度。アプルホール、ロト、ヒルドルブを使用した場合は1時間以内。
『・・・そっかぁ・・・まぁ、約束あるし、関わっちまったからしゃーないとしますかな。にしても遅いなぁ』
恐ろしい事を言っているが、今のところそのつもりはない。
『まだかなぁ、』
右手がえぐい音を立てながら握って開いてを繰り返しているがそんなつもりはないはず、である。・・・多分、きっと。
「待たせたなぁ‼︎」
無駄にカッコつけて反対側のピットから飛び出してきた自称主人公。待たせていた事について特に申し訳ないとかいう感情はないらしい。そして、彼の纏うISどこからどう見てもディアクティブ状態のエールストライクなのである。というか、MS男子?化したらこんな感じになるかな?といった風情である。ちなみに私はバンシィのが好きだ。
『双方揃いましたので、戦闘を開始します。・・・3、2、1!開始‼︎』
「行っくぜぇ‼︎」
と、勢いよく飛び出してくるストライク(笑)手にはマシンガンとナイフを装備しているが、マシンガンではなくナイフを振り翳して突進してくる。
『・・・俺は、馬鹿にされているのか?』
ぼそっと一言、持ち上げようとしていた右手のライフルを下げてストライク(仮)に正対する。すると、何を勘違いしたのか織斑弟はドヤ顔になる。
「はっ!反応できてねぇみたいだなぁ!そのまんまやられろぉっ‼︎」
何をどう勘違いしたのかそんなことを宣いつつ、突撃してくる。先程の2人の機体よりもスピードはあるが、技術も何もない真っ直ぐ一直線である。それでなんとかなるのはアホみたいな装甲を持つスーパーロボットぐらいである。
つまり、大きくなる的ということだ。
『リボルランチャー、初弾装填、安全装置解除、右の後五秒後に左を手動照準で射撃、開始!』
背中のレッドフレームのΗユニットを改造したバックパックの上部が迫り出して両肩に接続、射撃準備を完了する。次の瞬間、
轟音。
発射された直径81ミリの特殊な徹甲榴弾がその顔面に直撃した。
・・・本来、徹甲榴弾というものは装甲などに突き刺さってから爆発する対戦車兵器として使用されているのだが流石にパワードスーツに対してそんな物を使ってしまえば汚ねぇ花火が大量生産される事になるので、爆発した際の衝撃波のみを伝えて操縦者にダメージを与える、しかも装甲がなくてもISに使われているエネルギーシールドにも貼り付く織斑秋斗に使用するためだけに作り、今のところ今後使う予定のないものだ。
「てめぇ、やりやがっ⁉︎」
砲弾内にある時限信管が発動、計算された炸薬が余す事なく全ての衝撃波をその身体に叩き込む。悲鳴すら上げられずにアリーナの壁に叩き付けられる織斑秋斗。すぐさま左の砲門を照準、射撃してちょうど鳩尾の辺りに直撃する。
「かはっ⁉︎」
ちなみに同時にリボルランチャーのシリンダー部分が回転して次弾の装填が完了、すぐさま射撃が可能な状態になっている。
「てめぇ、男の癖に銃なんか使ってんじゃねぇぞ!こんの、卑怯者がぁっ‼︎」
「そうよ!この卑怯者!」「とっとと研究所でモルモットにでもされてなさいよ!」「早く死んじゃえばいいのに‼︎」
織斑秋斗の叫びに呼応するように飛んでくる罵詈雑言の数々。
ーー
「なんで、みんな神崎さんにこんな・・・」
「・・・蒼さんは、後ろ盾がなくて2人目だから」
「楯無の言う通りだな。あの馬鹿者にはブリュンヒルデの弟という肩書きがあるから、ちやほやされて調子に乗ってるんだろう」
「わかってるけど、なんでっ!」
場所は変わって織斑一夏のピットにて。
簪、本音、篠ノ之、織斑は設置されているモニターで神崎の戦闘を見ていたのだが、当然音声も入ってくる。それを聞いて動揺を隠せない織斑一夏に対して3人は余り表情を変えていなかった。
薄々ながらも、蒼を取り巻く状況を理解できる3人だが織斑一夏は理解できないようだ。
「箒は分かんないけど、2人は神崎さんと仲良かったよね?2人共お、怒らないの?」
「私たちが怒っても意味がない。それに、今の蒼さんはめちゃくちゃ怒ってる」
「え・・・?」
「そーそーはね〜、ものすっごい怒るとね〜首がずっと右に傾くんだよ〜」
「む?言われてみれば・・・」
マーズジャケットの構造上、頭部の可動範囲はほぼ死んでしまっていると言えるが明らかに頭が傾いているのが見える。
そして、滞空しているだけだった神崎が右手のアサルトライフルを向ける。
そこからは、圧倒的、としか言いようのない状況だった。
2門のリボルランチャーからの時間差射撃によって絶え間なく衝撃を叩きこまれ、声を上げようとすれば喉元にアサルトライフルの弾が直撃する。途中でPS装甲が起動したのか色が変わったりしたが、特に何かを出来る訳でもなくシールドエネルギーがゼロになった。
「クソ、なんなんだよお前は!原作に出てこないモブキャラの癖に!踏み台なら踏み台らしく無様に負けてろよ!ストライカーで勝てねぇってどういう事だよ・・・」
織斑弟が何やら叫んでいたり観客席もブーブーうるさかったりするが、取り敢えず全部スルーしてピットへと戻る。
「蒼さん・・・」「そーそー?」
「ん、大丈夫。ちょっとやりたいことが有るから30分ぐらい外にいてもらっていいか?」
「・・・わかりました」
心配そうな二人を外に出し、アストレイを分離してハンガーへと戻していく。
「にしても、目立った実力がないのにも関わらず突撃してくる、自分を主人公と呼ぶ、織斑一夏をやたらと目の敵にする、そして、ストライクを知っている・・・もしや、他に転生者がいて洗脳でもしているのか?であれば行動に説明がつくな」
微妙に合っているようで全然違うことに至った蒼。言葉と共に複数のディスプレイがポップアップし、高速で映像が流れていく。右の幾つかは監視カメラの映像、中央は織斑弟個人の銀行のカネの流れ、左の幾つかは織斑弟の持つネットに繋ぐことの出来る電子機器一切合切の通信履歴が流れていく。
少し時間がかかるようなので敢えて言っておくが、これらは全て犯罪です。別の世界線ではミサイルの発射システムをハッキングして日本に飛ばした理性がアンコントロールスイッチが常時押しっぱなしな兎さんが居たりするが、良い子も悪い子も真似しないように!
「うぅむ、これといって怪しい物はなし、か。強いて言うなら年の離れた打田圭介ってのが気になるが、普通にゲーセンに行ってるぐらいだから悪友ってところか」
ふむ、と納得したタイミングで外から来客を知らせるチャイムが鳴った。先程の二人かと扉を開けた瞬間にその胸に飛び込んできたのは織斑一夏だった。
「ぞゔざ〜ん‼︎」
「グフっ⁉︎・・・何事?」
クリティカルヒットを喰らいつつもしっかりと受け止めた蒼はその後ろにいた篠ノ之箒に目を向けた。
「まぁ、有り体に言ってしまえば、お前の置かれている状況を良く理解できておらず、先程の愚か者との試合でようやく知ったといった所だな」
「にゃるほど〜・・・え、何でこの子が責任感じてんの?」
「さぁ?見返りもなしにISを作って貰ったり、技術や勉強を教えてくれた人間に恩義を感じない馬鹿者なのだろうか、一夏は?」
「あー、申し訳ない」
取り敢えずとっとと一夏を慰めんかぁ!と視線が飛んできそうなので、右手でその背中を抱き、安心させるために頭を撫で始めた。
視線といえば、簪と本音のジト目も突き刺さっている。その後ろからは上手く感情を制御しきれていないのかよく分からない視線も一つほど。
この訳の分からない状況は、次の試合をどうするのかを聞きに来たセシリア・オルコットがアホな声を上げるまで続いた。
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