女性好きのド変態がRX団に入団したようです (鈴木颯手)
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女性好きのド変態がRX団に入団したようです

「諸君。私は女性が好きだ

諸君、私は女性が好きだ

諸君、私は女性が大好きだ

ペドが好きだ

ロリが好きだ

ティーンエイジャーが好きだ

ローティーンが好きだ

ミドルティーンが好きだ

ハイティーンが好きだ

人妻が好きだ

熟女が好きだ

顔が、首が、胸が、腕が、指が

腹が、背中が、腰が、尻が、足が

この地上に存在するありとあらゆる美しい女性が大好きだ

学校帰りの女子高生が話ながら歩いているのを見るのが好きだ

突然の突風でスカートがめくりあがり顔を真っ赤にした時など心がおどる

女性が操る自転車から覗く生足を見るのが好きだ

悲鳴を上げて痴漢の股間を蹴り上げるOLを見た時など胸がすくような気持だった

集団下校する女子小学生の後をつけて後方から視姦するのが好きだ

迷子になった子供を親を探すフリをして路地裏に連れ込み頬ずりをした時など感動すら覚えた

フェミニストの活動家をレ〇プしながら動画にとってネットに晒した時などはたまらない

泣き叫ぶ母娘を私の振り下ろした手のひらと共に張りのある音を上げる赤くなった尻など最高だ

哀れな婦警が手錠と警棒で健気にも抵抗してきたのを私の力で破壊し全裸にした時など絶頂すら覚える

変態女に滅茶苦茶にされるのが好きだ

必死に守る筈だった貞操が蹂躙され前も後ろも奪われた時はとてもとても悲しいものだ

様々な女性にドン引きされて軽蔑されるのが好きだ

婦警に追い回されて害虫の様に地べたをはい回るのは屈辱の極みだ

諸君。私は女性を、受け入れてくれる女性を望んでいる

諸君、私に付き従う最高の同士(年齢=彼女いない歴)諸君

君たちは一体何を望んでいる?未知なる恋愛を望むか?情け容赦のない糞のような現実を望むか?

あらゆる恥辱の限りを尽くし 相手の尊厳を殺す最高の強姦を望むか?

強姦(レ〇プ)!!』『強姦(レ〇プ)!!』

「よろしい

ならば強姦(レ〇プ)

我々は満身の力を込めて貫かんとする肉棒だ

だがこの一度として本番で使われてこなかった息子に

ただの強姦ではもはや足りない!

乱交を!!一心不乱の乱交を!!

 

 

 

……そう言う訳で入団希望します」

 

「帰ってください」

 

 

とあるゴミの山の中にある秘密結社【RX(赤いペケ)団】のアジトにて一人の男が入団を希望していた。そして上記の長々としたセリフは入団希望者の男となぜか彼についてきたモヒカン肩パットをした世紀末風の男四人によって行われた自己PRであった。

 そんな彼の自己PRをばっさりと切り捨てて帰宅を進めるのはこのRX団のボスであった。隣には絶対零度の視線を男に向ける秘書サンと女幹部ブラックジェネラルがいた。

 

「馬鹿な……、私自慢の少佐の演説が通じないだと……?」

「まずその自己PRでよく入団できると思ったな」

 

 男の驚きの表情をボスはドン引きの視線で見る。それと同時にボスはこの男に関する情報を調べなかったことを後悔した。

 数日前に入団を希望してきたこの男。男はエントリーシートを持参してきていた為それを見たボスは即採用をしようとした。そこには様々な資格を持っている事や身体能力の高さ、ボスや秘書サンの様に特殊能力を持っている事などがあったが彼が億万長者というのに惹かれていた。なにせこのRX団は資金が乏しくボス自らバイトをして資金集めしているくらいなのだから。そんなわけで億万長者の彼に入ってもらえば資金面で苦しい思いはしなくて済むかもと考えたのだ。

しかし、それを止めたのは秘書サンだった。彼女は男に対して異様な悪寒を感じたので一度面接を行う事を提案したのだ。

 そして、行われた面接で男はドン引きレベルの自己PRを行ったのだ。これにはさすがのボスも即答で入団拒否をするくらいだった。

 

「そもそもうち(RX団)はそんな異常者の組織じゃないよ?レ〇プなんていう非人道的行為は行わないよ」

「馬鹿な……!?メカ山組に聞いたら「それならRX団がおすすめだぞ」って紹介されたからてっきり……」

「(アイツこっちに押し付けやがったな……!)そう言う訳なので帰ってくれますか?」

 

 親指を立てて「ガンバ!」と言っている同じヴィランリーグに所属するメカ山組の組長メカ山重三の姿が思い浮かびイラっと来るボスはそれを一切面に出すことなく再度通告する。

しかし、男は諦めなかった。

 

「いいえ!私はこのRX団を気に入りました!是非とも入団させて欲しいです!」

「……因みにどこを気に入ったの?」

「それは勿論美人秘書と爆乳女幹部「全っ力で入団拒否をします!」そこを何とか!」

 

 縋りつく男を必死に引きはがそうとするボス。若干涙目の男はこうなったらと最終手段を用いる事にした。

 

「……分かりました。入団を受け入れてくれたら上げようと思っていた世界に四点しかないヴィランのフィギアがあったのですが廃棄s「今日からよろしく頼むよ!」」

 

 後方に待機する世紀末な人から一つの箱を受け取りボスの前に見せた男。それは世界に四点しかない存在しない超レアなヴィランのフィギアだった。絶対に手に入らないと思っていたフィギアにボスは呆気なく飛びついた。勿論それを秘書サンが許すはずがなかった。何せ今回の面接は彼女が言い出したことで予感通りの危険人物だったのだから。秘書サンはフィギアに飛びつくボスに自らの能力である爆破の能力を発動しようとしたがその前に男が差し出した物により停止した。

 

「これは貴方へのプレゼントです。一つ5000円はする日に100個限定のマスタープリンです」

「……」

 

 秘書サンはそれを受け取ると早速食べ始め笑みを浮かべた。そして食べ終えたタイミングを見計らって男が話し始めた。

 

「そのプリンを作っている店は実はうちの会社の傘下でね。多少融通を効かせて手に入れるこt「ボス!この方は組織に欠かせない人材です!」」

 

 男の言葉を遮り良い笑顔でボスに詰め寄る秘書サン。

 ここに一人のド変態がRX団への入団が決定した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……因みに一緒にいたはずのブラックジェネラルは男の話が始まった段階で眠っていたため気付いた時には男が入団した後だった。

 




プロフィール
(名前決めてない)
年齢:20代前半?
身長:175㎝
能力:???
趣味:金稼ぎ、視姦
好き:女性(美に傾いている人物に限る)
嫌い:オカマ

人物メモ
超の付くド変態だが高スペックなうえに見た目は普通に良いうえに億万長者という人生の勝ち組。女性が好きで「悪の組織なら女性にいろいろな事が出来るのでは!?」と考え(なぜか)メカ山組に入団しようとするが危険を察知したメカ山重三によってRX団を紹介される。そこであった秘書サンとブラックジェネラルという超弩級の美女を見て入団を決める。
 入団を確実なものにするために僅か数日でボスと秘書サンの好みを調べ上げそれに見合ったプレゼントを持ってきた。入団後は資金面を管理する幹部になった。
 因みに世紀末風の男たちは彼が経営する会社の広報部の人間である。


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第二話「RX団のとある日々」

ワイ「くっ!TS〇T〇Y〇にもB〇〇K 〇FFにも5巻が置いてないなんて……!後は最後の××書店が頼りだ!」

残念幹部ブラックジェネラルさん6巻
残念幹部ブラックジェネラルさん7巻

ワイ「……」

そう言う訳で4巻までしか持ってないです


-1-

RX団に入団した“男”は入団初日に幹部に任命された。そして更に経理部門(1人)の部門長となった。

そんな“男”は入団した翌日にRX団の団員全てを招集した。

 

「今日は私の招集に応じていただきありがとうございます。先ずはこの場を借りて挨拶を。この度このRX団に入団した“男”と申します。RX団の経理部門を担当させていただきます」

 

 そう言って頭を下げる“男”だがそもそもこの場には7人しかいない。“男”を面接したボス、秘書サン、ブラックジェネラル(寝てた)のほかに戦闘員の1号、2号、3号しかいない。つまり初めて顔を合わすのはこの戦闘員トリオのみという事になる。

 因みに“男”は顔の上半分を覆う仮面をつけている。流石に億万長者で企業を経営する身としては身バレは避けたかったのだ。

 

「俺たちより後に入ったのに幹部……」

「マジかよ……」

「しかも仮面越しでも分かるイケメン……」

 

 精神的ダメージを受けるトリオだがさすがに“男”はこれ以上構ってられないと本題に入る。

 

「では今日招集した理由を話します。先ず、RX団は悪の秘密結社という割にしょぼすぎます」

「ぐほぉ!」

 

 “男”の辛辣な言葉にボスはダメージを受ける。しかし、正論であるため誰も否定しないし出来ない。そんな訳で現在進行形で企業を経営する“男”がズバズバと話し始める。

 

「たった6人しかいない上に資金面は最悪。RX団の資金など完全にありませんでした。加えて出費は高いです。限定フィギアの購入、日に一度のペースで行われるプリンの購入。まぁ、プリンに関しては良いでしょう。精々5000円以内です。ですがフィギアはいただけません。月に5、6万はかかっています。これでは団員を増やすことは出来ませんし強力な兵器の使用など出来ません」

「……」

 

 撃沈するボス。それを他の人たちは「うわぁ」と言った感じで見ているが誰も擁護も慰めもしない。資金に苦しんでいるのにそんなものを買っているボスが悪いと内心思っていたから。

 

「私のポケットマネーを使えばこのくらいは問題ないかもしれませんがそうなれば私がここのボスになった方が手っ取り早いですし流石にボスが哀れなのでそれはやめときます。というか秘書サンとかそうなったら辞めそうなのでやりません」

「……」

「あれ?ボス息してなくね?」

「え?ぼ、ボスぅ!?」

 

 RX団のボスの座さえ奪われかねない現状だと判明したボスはそれが止めとなった。ボスの頭から仮面をかぶった魂がゆっくりと上に上がっていくのが幻視出来るほどだ。

 

「という訳で早速ですが資金面を何とかしましょう」

「何とかすると言ってもどうするのですか?」

 

 秘書サンの言葉に“男”は笑みを浮かべる。その笑みは悪だくみを考えている事が分かる程良い笑顔をしていた。謎の恐怖と悪寒を感じた秘書サンはやっぱり答えないでと言おうとしたが時すでにオスシだった。

 

「それはずばり、ユーチューバーとして稼ぎましょう。幸いRX団には美女が二人います。彼女たちを使っていろいろやれば簡単に稼げますよ」

「はぁ”?」

 

 秘書サンは思わずドスの利いた声で聞き返す。その顔にはふざけんなという感情が込められておりその顔を見た1号が顔を真っ青にしている。しかし、“男”は笑みを浮かべて親指を立てこう言った。

 

「安心しろ!セーラー服、メイド服、バニー、ナース、婦警とありとあらゆる服はそろっている!後は寸法を取ってサイズが合う服を着て視聴者に媚びうr、ブフォ」

 

 “男”は最後まで話すことは出来なかった。“男”の腹に秘書サンの一撃が入ったからだ。それは“男”の鳩尾を綺麗に直撃し“男”に強大なダメージを与え壁に吹き飛ばした。しかし、そこで終わらなかった。痛みで動けない“男”に影が差す。見上げれば顔を真っ赤にしつつ明らかに怒っている様子のブラックジェネラルが指を鳴らして見下ろしていた。

 

「そんな事出来ると思っているの?」

「……出来る出来ないじゃない。俺が見たいから無理やりやr、ゴフォ!」

 

 再び“男”の鳩尾に鋭い一撃が入る。ブラックジェネラルが放った蹴りにより“男”はその場に倒れ気絶した。その様子を見たトリオ達はこう思ったという。

 

「「「(ちょっと見たかったけど言わない方が良いな)」」」

 

結局ユーチューバーになる事はなく“男”から支援という名目でお金を受け取る形で落ち着くこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

-2-

「秘書サン!胸をもまs、テフゥ!」

「断る」

 

 RX団のアジトにて“男”が秘書サンにセクハラをしようとして吹き飛ばされていた。現在アジトには秘書サンと“男”しかいない。ボスはフィギアを求めて外出中でブラックジェネラルと戦闘員トリオは科学者をスカウトしに町に行っているからだ。その為“男”は早速二人きりという状況を利用して秘書サンに近づいていたが尽く回避されていた。それどころか途中からは爆破の能力を使ったり容赦なく攻撃をしたりと遠慮なくボコボコにしていた。しかし、それで諦める“男”ではなく次の手段を取るべく行動を開始した。

 

「ひ、秘書サン。よく考えてくれ」

「何も考える事なんてないですよ」

「ふ、甘いな。俺を誰だと思っているんだ?」

「ド変態」

「っ!そ、即答でそんな罵倒とは……!」

「事実でしょ」

 

 秘書サンの罵倒を聞いてもだえる“男”。その頬は若干染まっており軽く興奮している事がうかがえた。それを間近で見せられる秘書サンの機嫌は崖の如き勢いで下降していた。

 いい加減に鬱陶しく感じ始めた秘書サンは本気でつぶすと心で決めて力を解放しようとしたが“男”が放った事で停止する。

 

「プリン」

「?」

「入団の為の面接時に送ったマスタープリン。実は先ほど店から取り寄せてね。手元にあるんだよ」

「っ!!」

 

 そう言って“男”はマスタープリンをテーブルの上に置く。途端に秘書サンの視線はそのマスタープリンに釘付けになる。その食いつきようを確認した“男”は攻め時と思い一気に畳みかける。

 

「もし胸をもませてくれたならこのプリンを上げよう。無論一回の乳揉みで一マスタープリンで今後も取引をしよう。どうだ?この取引に応じるつもりはあるか?」

「くっ……!」

 

 秘書サンは迷う。こんなド変態に胸を揉まれるなんて物凄く嫌だがそれを凌駕するくらいにはマスタープリンの誘惑が強かった。このマスタープリンを取れば胸を揉まれるが普段はほとんど手に入れる事が出来ないプリンを食べられる。しかし、胸を揉まれるのは嫌だった。

 そんな感じで恥辱を受け入れるか大好物のプリンを我慢するかという究極の二択を選んでいるのを見た“男”は止めの言葉を放つ。

 

「秘書サン。実はもう一個(・・・・)あるんだよ。これは私が食べる分として用意してたけど仕方ない。今日だけ(・・・・)これも追加しよう。あ、明日からはここでマスタープリンを食べるつもりはないから今日しか二つあることはないよ」

「……」

 

 黙る秘書サンはゆっくりと近づきマスタープリンを手に取った。それを見て笑みを浮かべる“男”。合意の上でのセクハラが成立した瞬間だった。

 そしてマスタープリンを頬張り至高の一品を味わっていた秘書サンは“男”の想像以上のテクニックの前に呆気なく陥落した。そしてそれによる精神的なダメージを受けてボスの部屋で不貞腐れて一日を終える事となった。

 

 

 

 

-2/After-

「おーい、秘書サン。いい加減出てきてよ」

「あれ?ボスどうしたんですか?」

 

 “男”と秘書サンの間で取引が成立した日の夜。ボスは自身の部屋の前で立ち尽くしていた。そこを通りかかったブラックジェネラルが何事かと尋ねる。

 

「ああ、ジェネラルさん。じつは秘書サンが部屋に鍵かけて出てきてくれなくて部屋に入れないんだよ」

 

 せっかく買ったフィギアを飾りたいのに、とフィギアの入った箱を見ながらボスは言った。ブラックジェネラルも何故そうなっているのか分からず首をかしげる。

 

「何か嫌な事でもしたんですか?」

「待って、私が何かやらかした前提で話さないで」

 

 結局その日はボスは部屋に入れず会議室に雑魚寝する事となった。因みにボス以外は自分の住居が別にあるためボスは誰もいないくらい会議室にビビる事となる。

 




マスタープリン
“男”が経営する企業の参加の洋菓子店が作り上げた最高のプリン。食べた人を昇天させるという一品で食べた人によってはこれ以外のプリンを食べられなくなるほど。ただしその味を出すために一日100個しか作らない上に材料などの理由から一個5000円とかなり高い。因みに一人一個ではなく一客に一つまでとなっている。
“男”が秘書サンにセクハラをするための取引材料として毎日その洋菓子店から1個貰っている。ただしただで上げる事は絶対にない為秘書サンは何かしらのセクハラを受けないとありつけない状態となっている。

“男”
名前すらないけど一応この作品の主人公。とある企業の経営者であるがセクハラ常習犯である。セクハラの賜物なのかテクニックだけは以上にある。

秘書サン
RX団女性団員の中で最初のセクハラ犠牲者。マスタープリンの為に毎日の様に“男”のセクハラを受ける事となる。秘書サンのへそ出しスーツ?が凄くエロい


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第三話

「ちくしょう!四件も回ったのに何処にも5巻が置いていない!……この〇〇書店になければAm〇z〇nで購入するしか……。頼む!売っていてくれ!」


残念幹部ブラックジェネラルさん1巻~7巻

「おっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

そう言う訳で5巻と6巻を購入しました。秘書サンの泣き顔凄く良いですね!


-1-

「今日からお世話になりまーす。よろしくお願いしまーす」

「ようこそRX団へ!」

 

 この日、ブラックジェネラルがスカウトしてきた科学者サンがRX団のアジトに到着した。今日からこのアジトに住むため彼女の荷物が大量にある。

 歓迎ムードのRX団だが当然“男”も歓迎している。“男”はある場所(・・・・)を凝視したまま話しかける。

 

「RX団にようこそ。幹部の“男”だ。これからよろしく」

「こちらこそよろしくお願いしまーす」

 

 そう言って握手をする二人だが視線は全くかみ合っていない。“男”は相も変わらず科学者サンの胸部を凝視しており近くに来たことで見ることが出来る谷間を食い入るように見ている。一方の科学者サンはぐるぐる眼鏡によりそもそも何処を向いているのかさえ分からなかった。

 ひたすら胸を凝視する“男”に戦闘員トリオとボスは不安そうにコソコソと話す。

 

「(科学者サン視線に気づいていないのか?)」

「(いや、女性ってそういう視線に敏感というし気付いているんじゃないですか?)」

「(それってつまり見られても平気ってこと?)」

「(え?まさか痴女?)」

 

 痴女の言葉に反応した男たちは一斉に科学者サンを見る。一応白衣を着ているがその下はキャミソールのようなラフな格好であった。もし白衣がなければ痴女と言っても過言ではなかったかもしれない。しかし、科学者サンの方を見ている内に痴女疑惑は消えていく。“男”がひたすら凝視しても全く顔色を変えないため単純に無頓着で興味がないんだなという推察が出来た。

 

「……取り敢えず“男”さんの毒牙にかからないことを祈るばかりですね」

「……無理だと思いますよ?」

 

 ボスの祈るような言葉を1号が否定して指をさす。指先の方には“男”がいたが先ほどとは違い真剣な表情で科学者サンを見ている。そして、ボスは嫌な予感に襲われ的中した。

 

「科学者サン」

「ん?なんだい?」

「胸を揉ませてくれ」

「良いよー」

「しゃぁぁぁっ!」

 

 ガッツポーズする“男”と全く動じない科学者サンを見てボスは「ああ、これが運命(さだめ)か」と思考を放棄するのだった。

 

 因みに科学者サンの胸を揉んだ“男”だったが全く反応を見せない科学者サンをみて謎のプライドを砕かれ修行すると言ってそのまま帰宅していった。科学者サンの荷物は残った男たちで運び込む事となった。

 

 

 

 

 

-2-

「そう言えば“男”さんの会社ってなんていう名前なの?」

 

 その日、出撃もなく暇を持て余していたブラックジェネラルが“男”に素朴な疑問を投げかけた。“男”が企業経営者という事は知っていたが何の企業かはまだ聞いていなかったからだ。

 

「あれ?言っていなかったか?マリンフォード社だよ」

「マリンフォード社ねぇ。……マリンフォード社ぁぁぁっ!!??」

 

 企業名を聞いたボスが絶叫の声を上げた。ブラックジェネラルも口をあんぐりと開けて驚いている。他の面々(科学者サンは研究室)も驚きの反応を示し“男”を見る。

 

「マリンフォード社ってあの?超大企業じゃん」

「様々な物を手広く販売する大企業マリンフォード社。百以上の会社を傘下に置くまさに企業の中でトップクラスの勢力を持っている。あまりにも大きすぎて社長すら把握しきれてないと言われているあの?」

「そうだな。あっているぞ」

 

 “男”はあっけらかんとした態度で肯定するがほかの面々はまさかの大企業のトップが目の前にいる事への驚きよりもこんなド変態がトップの会社なのか……、と企業への不信感を抱いていた。

 

「でもいいのか?一応社長なんですよね?ならそっち優先した方が……」

「それが最近仕事がなくてな。幹部が全部やってくれるから会社にいても暇なんだよな」

「えぇ……。それって問題ないの?」

「大丈夫だろ。俺もここまで事業が拡大するなんて思わなかったし」

「そうなのか?」

「ええ、元同級生が幹部を務めているんだけどその内の一人がサークル活動を始めたんだが気づいたら食料品を扱う傘下企業となっていた」

「え」

「それを皮切りに似たような事が多発してな。気づいたら今の状況になっていた」

 

 “男”の説明に更に不安を感じるRX団だが社長が同じ秘密結社に所属しているだけで会社関係者ではないためそれ以上は何も言えなかった。

 

「さて、では早速何時ものの日課を……」

 

 “男”はそう言うと隣に座っているブラックジェネラルの方を向き真剣な表情で見つめる。突然の事に慌てるブラックジェネラルと違い男たちは「あっ」と何かを察したような声を出す。

 そして、男は真剣な表情のままブラックジェネラルの放漫な胸を揉んだ。

 

「……?……!っっっ!!??」

 

 最初こそ何をされたのか分からなかったブラックジェネラルだったが直ぐに顔を真っ赤にして声にならない悲鳴を上げる。そんなブラックジェネラルにお構いなしに“男”は胸を揉んでいく。

 

「ふむ、服の上からでも分かるこの揉み心地。流石は巨乳かんブファ!」

「やめなさい」

 

 “男”が感想を言っている最中にいつの間にか後方に立っていた秘書サンにより“男”は頭を掴まれると同時に爆破される。顔を黒焦げにされた“男”は口から煙を吐きその場に倒れた。若干ピクピク動いているので生きてはいるのが分かる。

 

「……科学者サンにセクハラを抑えられる薬でも作ってもらった方がいいのかもしれないな」

 

 若干遠い目で呟いたその言葉に男たちは心底同意するのだった。

 




マリンフォード社
“男”が経営する超一流企業。傘下企業を含めればなんでも取り扱っている。元々は“男”が大学や高校の同級生や友人と立ち上げた企業だったが友人たちが調子に乗り事業を拡大したら大当たりして規模を拡大。そして同級生の一人がサークルを作ったらそのまま傘下企業にまで成長してしまうほど成功するなど運に恵まれた。基本的に何処も人手不足の為誰でも即採用してから本人の能力に見合った部署や人が足りない所に回される。
“男”があんななのでなるべく面に出さないように友人と同級生が手をまわしているため社長なのに顔も判明していない上にどういう人物なのかも秘匿されている。その為存在しないという説さえ出ている程(本人は知らないし気付いていない)。仕事が来ないのもなるべく社員にも見つからないようにしているためで社長を知っているのは幹部のみとなっている。


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第四話「ねことろーき」

-1-

「RX団の皆さん。お待たせ致しました。試作型怪人第一号がようやっと完成しました!」

 

 この日、科学者サンから招集を受けたRX団の面々は彼女を研究室に来ていた。RX団最初の怪人が完成したからである。これにはボスやブラックジェネラルなどワクワクと言った感じで見ている。“男”も「ようやく悪の組織っぽくなって来たな」と笑みを浮かべているが視線は科学者サンの胸に固定されている。ここに来てもブレない“男”だった。

 

「ではご覧いただきましょう!これぞ!試作型怪猫(・・)一号、ペケくんです!」

 

 姿を現したのは一匹の黒猫だった。どう見てもただの猫にしか見えずこれにはボスやブラックジェネラルだけでなく誰もが疑問の表情をしている。

 

「この猫が、試作型?」

「そうですとも」

 

 ボスが恐る恐る尋ねるが科学者サンはそれに返答する。しかし、ボスはまだ納得のいっていない雰囲気を出しておりそれを見た科学者サンはがため息をつく。

 

「……いいですか?人間に他の生物の要素を付与し、人知を超えた力を発現させた存在。それが怪人!ですが勿論その過程には様々な危険が伴います。何事も先ずは人外実験から!これ常識!」

「お、おう……」

 

 科学者サンの勢いにボスは引き気味に答える。実際言っている事は正しいがやっている事は外道でしかないがそれを突っ込む者はいない。むしろ科学者サンの意見は悪として見れば可笑しいと言えるかもしれない。それを突っ込む者もここにはいないが。

 

「このペケ君は人間の知識と身体能力が付与された、スーパーキャットなのです!」

「人間の知識と、身体能力……!」

 

 ボスの呟きにそれを証明するかのようにタイミングよく猫が直立(・・)した。後ろの二本足でしっかりと立つ姿はまさに人間と変わらないものに見えた。これにはボスや戦闘員トリオなどは驚くが急にやられたため恐怖の感情の方が強かった。

 そんな男たちを無視して猫は周囲を見渡す。

 

「あれ?意外とおとなしいな……」

「ホーレ、こっちこーい」

「……」

 

 大人しいペケくんに1号が手を伸ばす。するとペケくんはその手を見つめた後、唾を吹きかけ土をかけた。まさかの対応に固まるトリオ。それを見ていた科学者サンが補足をする。

 

「能力は付与されても中身は猫のまま。つまり世の中の猫が人間に抱いている気持ちって大体こんなもんよ」

「知りたくなかったわ」

 

 科学者サンの補足に1号が突っ込みを入れる。因みに“男”は怪人には興味あったが猫だち知ってから一気に興味を失い秘書サンとセクハラの交渉を行っていた。

 

「……マスタープリン一個で数十分も行うのは割にあいません。プリンをもっと要求します」

「秘書サン。あくまでこっちがお願いされる側だぞ。俺はマスタープリンを渡す見返り(・・・・・)として胸を揉ませてもらっているのだ。なのにもっと要求するなんて話にならないね」

「元はといえばそちらが先に提案して来た事ではありませんか。初回の様に二個要求します」

「だから却下だ。よって胸揉ませろ」

 

 下品な言い争いをする二人だったがブラックジェネラルと科学者サンが仲裁に入る事で両者は矛を治めた。その時、秘書サンは漸くブラックジェネラルの胸に抱かれている猫に気付き、自分も抱きたいという欲求が生まれた。

 

「あの、私も抱かせていただいても?」

「どうぞどうぞ」

 

 ブラックジェネラルは喜んで渡そうとするが秘書サンの一点を見つめたペケくんが爆弾を投下した。

 

「貧乳イラネ」

 

 まさかの言葉にその場の全員が固まる。特に言われた本人の秘書サンは笑みを浮かべたまま硬直しているが明らかにその笑みには怒りの感情が浮かんでいた。そして、その次に怒っていたのは意外にも“男”だった。こちらはただただ無表情であり偶々“男”の方を見たボスはあまりの恐怖に倒れ込むほどだった。

 

「……そうですね。大事なことを忘れるところでした」

 

 秘書サンはそう言って物が置いてある箱をあさると一つの道具を取り出す。巨大なプライやをガチンと音を植ながら見せつける。

 

「猫を飼うときはまず去勢しないとですよね?」

「申し訳ございませんでした」

 

 本能で恐怖を感じたペケくんは鮮やかな土下座を見せ許しを請う。男たちは秘書サンの行動に自身の股間を抑えて縮こまっている。そんな中ペケくんの頭を誰かが掴み持ち上げた。

 

「おい、クソネコ」

 

 ペケくんを持ち上げた“男”は目を据わらせながら顔を近づけていった。

 

「次秘書サンを貧乳とか馬鹿にして見ろ?二度とそんな口をきけないように舌抜き取って玉を潰してやるからな?分かったか?」

「……もう二度といたしません。許してください」

 

 これ以降ペケくんの尊大な態度は鳴りを潜め“男”と秘書サンがいる前ではいつも大人しくなるのだった。

 

 

 

 

 

-2-

「こんな感じで良いんじゃないでしょうか?」

 

 “男”はそういうと手元の紙、RX団の募集ポスターを皆に見せる。“男”の手書きで書かれたそれは悪の秘密結社らしい雰囲気を出しながらも見やすい工夫がされており目に入ればだれもが一度は目にすると予想できる完成度だった。

 

「うん、これは確かに良いね!」

 

 ボスも満足げに頷く。ヘビメタのライブポスターやその辺の求人広告のようなものにはならずこれなら団員も増えてくれるかもしれないと妄想する。

 

「早速これを印刷して町中に「待ってください」え?」

「これはまだ完成していません。大事なことを書いていないのですから」

「だ、大事な事?」

 

 ボスは一体何なんだ?と思いつつ女性に関する事か?とか予想をたてる。そして“男”は真剣な表情でこう言った。

 

「日給を書いていません」

「……ふぇ?」

「だから日給です」

「え?なんで」

 

 まさかの言葉に困惑するボス。だが“男”はそのまま答える。

 

「まさかただで入団させる訳ではないですよね?そんなのブラック企業も真っ青ですよ?」

「いや、だってうち会社じゃないし……」

「この辺の事はきちんと決めて置き予め対応して行いと労基に訴えられますよ?そうなればそれだけでイメージは悪くなり最悪経営が立ちいかなくなります」

「まって、別にそんな生生しい話はどうでもいいんだよ」

「よくありません!私だって経営の第一戦にいた頃は苦労したんですよ?隙を見せれば労基に訴えるのを得意とする奴がいて手が出せないように最善を尽くすので倒れかけたのですから」

「だから態々言わなくていいって。そもそも日給出せるほどうちに余裕ないし」

 

 現状、“男”のポケットマネーでRX団は回っているようなものだった。もし“男”がいなくなれば資金面的に呆気なく破産するだろう。それだけ今のRX団は“男”の金に依存していた。その為給金を払う事など出来なかったのだ。

 それは資金面を管理する“男”が良く分かっていた事なので言葉に詰まる。……やがいて息を吐く諦めたように話し始めた。

 

「……わかりました。給金に関しては書かずにこのまま印刷しますね」

「う、うん。よろしくね」

 

 そう言ってボスは印刷するために近所のコンビニに向かう“男”を見送る。その背中を見ながら心の中で呟いた。

 

「(アイツあんな性格だけどきちんと経営者としてやることはやっていたんだな。というか労基ってそんなに怖いのか……)」

 

 意外と知らない部分を思わぬ形で知る事となったボスはなるべく気を付けようと心に誓うのだった。

 



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第五話「ヒーロー対ヴィラン・ぱーとわん」

5巻見たけど秘書さん可愛すぎない?泣き顔が凄く可愛かった……
それと今更だけどブレイブマンが漸く登場します


「お前ら……、本当に懲りないな」

 

 とある町にある竜栄公園。ここはRX団の女幹部ブラックジェネラルと正義のヒーロー、ブレイブマンとの間で攻防が行われている舞台である。……基本的にブラックジェネラルがブレイブマンに(性的に)迫り毎度突っぱねられて終わるという事が繰り返されているだけだったが。

 そして今日も同じように両者は対峙していた。……ブレイブマンは若干疲れ気味ではあったが。しかし、今日は少しだけ雰囲気が違っていた。

 

「フフフ、今日の我々は一味違うのよ!」

「それ、毎回言っていないか?」

 

 自信満々のブラックジェネラルにブレイブマンが突っ込む。いい加減諦めてくれと思いつつ相手の出方を伺うブレイブマン。さっさと倒して撤退させない当たり彼の性格が現れていた。

 

「今回は本当に特別。スペシャルゲストを呼んでいるのだから!」

「何?」

 

 スペシャルゲスト。それはつまり場合によっては凶悪な相手が出てくる可能性もあった。ブレイブマンは警戒するが何処からともなく煙が立ち込め始める。

 

「これh「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」……は?」

 

 どこかの大魔王が言いそうな言葉と共に登場したのは顔の上半分を仮面で隠した一人の男。二十代程度の若々しい体と顔を隠していても分かる美形を持ったその男の独特の登場にブレイブマンは一瞬困惑する。

 

「ふっふっふっ、よく聞くがいい!我はRX団の幹部“男”!何時もはRX団の金を握って好きh、RX団の為に行動しているが今日は遥々前線まで来てやったのだ!」

「今好き放題って言わなかった?」

「何をやっているんだ……?」

 

 “男”が言いかけた言葉にトリオが反応するが元々RX団の資金の大半が“男”が持ってきて金であるため反応がし辛かった。とは言えブレイブマンからすればそんな事よりも幹部がもう一人増えた事を警戒した。

 

「なっ!幹部だと!?」

「おっぱい魔人のジェネラルちゃんの頼みだ。例え資金運営の途中で呼ばれたからめんどくさくてボスの給料を全カットしても優先するべき事柄だ!」

「というかなんで幹部がボスに給金払っているんだよ」

「純粋な金銭だけで俺らより上だからでしょ」

 

 ボスへの飛び火を同情しつつトリオは疑問に思った。そもそも“男”が戦闘できるのか分からなかったからだ。今まで“男”がしてきたことは資金提供とセクハラのみだ。一回も“男”が戦闘している姿を確認したことはない。……セクハラをするたびに秘書サンの爆破を食らっているため防御面で弱いという事はないというのが三人の共通認識だったが。

 

「……」

 

 一方のブレイブマンは「ああ、こいつも変態(同類)か」とブラックジェネラルと同じ残念さを感じ取り一気にやる気を失う。そんな事に気付かない“男”は腰から下げた剣を抜き取った。

 

「ふっふっふっ、そう言う訳だ。ブレイブマン、貴様はここで終わりだ」

「剣か……」

 

 ブレイブマンは剣を持った“男”を警戒する。剣は金や装飾品が過度にならない程度に付いた剣であるがそこで疑問に思いそれを口にした。

 

「……その剣は何処で手に入れたんだ?」

「それは勿論Am〇z〇nさ」

「玩具じゃねーか」

 

 まさかの玩具の剣で戦おうとする“男”にブレイブマンはすかさず突っ込みを入れる。RX団はこんなのしかいないのか?と嘆きつつもうめんどくさいからさっさとケリを付けようと一気に踏み込み“男”に接近する。そしてその自慢の拳を“男”の顔面に向けて放つ。

しかし、

 

「なっ!?」

「ふっふっふっ、甘く見過ぎだぞ」

 

 なんと“男”は玩具と思われた剣でブレイブマンの一撃を防いでいた。ブレイブマンの拳には鋼鉄の堅さが剣から伝わってきてそれがこの剣を本物であると認識させた。

 ブレイブマンは一旦距離を取り警戒する。“男”も剣を構えなおして体制を整える。

 

「……まさか本物だったとは。Am〇z〇nはなんて言う物を売っているんだ……」

「いや、これは貴様の言った通り玩具の剣だ。だがこれに俺の能力を使う事で本物と変わらない力を得ているのさ」

 

 そういうと“男”は刀身部分に触れる。すると剣は黄金の輝きを放ち始めた。それを見てブレイブマンは一気に警戒する。自身の勘があれはやばいと言っているのだ。

 

「行くぞ!騎士王ってエロ可愛い(エクス・カリバー)!!」

「おわぁぁぁっ!!??」

「何つーもんを公園で放ってんだよ!」

 

 “男”が剣を振ると同時に現れた黄金の輝きの放つビームをブレイブマンは紙一重で避ける。ビームは上空に打ち上げられ僅かにあった上空の雲を全て吹き飛ばしていった。あまりの威力に余波だけで吹き飛ばされたトリオ達は“男”に非難の声を上げる。因みにブラックジェネラルはこの一撃で公園の遊具に頭をぶつけて気絶している。

 

「もう一度行くぞ!JKのスカートめくりたい(エクス・カリバー)!!女性の胸を揉みたい(エクス・カリバー)!!!とりあえず男死ね(エクス・カリバー)!!!」

「欲望駄々洩れじゃねーか」

「というか連呼して大丈夫なのか?」

「さぁ……?」

 

 ブレイブマンに攻撃を連発する“男”にトリオは困惑するがこれまでの中でブレイブマンを追い詰めているのも事実。ブレイブマンは避けるのに必死で攻撃をする様子はなかった。

 

「ふっふっふっ、どうだブレイブマン!これこそが我が能力で力を得た貧乳騎士王の力!あのアホ毛が使っていた力を付与されたこの剣に勝てるかな?」

「お前結構酷い事言っている自覚あるか?」

 

 ブレイブマンは本人が聞いたら激怒しそうなことを言う“男”にあれたように突っ込みを入れるのだった。

 

「さぁ!決着は第六話でつけようじゃないか!」

「メタ発言!?」

 




“男”の能力
【自分の願いをそのまま実現する】
能力は名前の通り。千円欲しいと願いながら能力を使えば無から生成されたり千円を拾ったりお小遣いでもらえたりできる。この能力を使えば何でも出来るのだが本人は基本的にくだらない事でしかこの能力を使わないため有効に使われているとは言い難い。

以下、“男”が能力を使用した大まかな出来事
『女子高の前で見つからないように隠れながら登校時を狙い突風を発生させて集団スカートめくりを行う』
『女性(美女)に乱暴しようとしていた男たちの服を消し去ってからの去勢』
『美女との遭遇の確立をアップ』
『秘書サン、ブラックジェネラル、科学者サンのスリーサイズの入手』
『Am〇z〇nで買った玩具の剣をエクスカリバーにした』


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第六話「ヒーロー対ヴィラン・ぱーとつー」

俺「意外とジェネラルちゃんへの票が伸びている……。ブレイブマンとの絡みを消すのはまずいしどうしよう……ん?」

残念幹部ブラックジェネラルさん6巻第八十九話

俺「これだ!」

6巻まで話続いたら多分そうなります。個人的にあの三人ならジェネツーが良いかな。


ぜんかいのあらすじ

「ブラックジェネラルによって(はんば強制的に)出撃させられた“男”!“男”は自らの能力を使い玩具の剣を約束された聖剣に変貌させた!そして聖剣から放たれるビームを連発しヒーロー、ブレイブマンを追い詰めるのだった!」

「誰に話してんだ……?」

「いや、なんか言わないといけないように感じて」

 

 1号の言葉に2号が困惑しながら突っ込む。

 そんな事が行われているとき、“男”とブレイブマンの戦闘は更に激戦となっていた。

 

「おらぁっ!」

「フンッ!」

 

 ブレイブマンの一撃を“男”が剣を用いて防ぐ。そしてそのまま少し下がり大上段からの振り下ろしを行う。ブレイブマンはそれを後方に下がる事で避けるが、

 

ロリでも美少女でも美女でもイケる(エクス・カリバー)!!」

 

 “男”がすぐさまビーム攻撃を行ってくる。ブレイブマンは間一髪で避けるが明らかに彼の方が不利であった。

 

「くっ!まさかここまで手強いとは……!」

「当たり前だろう?女性のおっぱいを無事に揉むにはこのくらいの身体能力は必須だぞ?」

「なんですぐに揉もうとするんだ!?」

「馬鹿野郎!あの柔らかくも暖かいあれこそ全男の桃源郷だ!故に私はそれを手に入れるためにあらゆる努力を欠かさない!」

「……金持ちなんだから普通に出来そうな気がするんだけどなぁ」

「それ言ったらお終いでしょ」

 

 戦闘中にも関わらず平常運転の“男”にトリオ達はため息をつく。

 

「だが、そろそろこの戦闘も終わりにしよう。これ以上やったらこの作品の趣旨に合わないからな」

「唐突のメタ発言!?」

「原作もそうだけどこの世界にガチの戦闘なんていらねぇんだよぉ!」

「だからメタ発言をやめろぉ!」

 

 “男”は剣に力を込めていく。それにより大気は揺れブレイブマンの頬をチリチリと何かに刺される感覚に陥る。それを受けて相手が本気で来ると察する。

 

「ふっふっふっ、これでお終いだ!行くぞ!これが私の全力全開!」

「白い悪魔か?」

「かなぁ?」

リリなのはセイン推し(エクス・カリバー)!!」

 

 極太のビームがブレイブマンを包み込む。それと同時に爆発が周囲に広がる。その威力にトリオ達は再び地面を転がる。“男”もその爆風に身をかがめてその場で耐えていた。

 

「ふ、これだけの威力なら流石のブレイブマンも……」

「私がどうかしたか?」

「……ゑ?」

 

 後ろから聞こえてきた声に“男”は変な声を出して振り返る。そこには仁王立ちして“男”を見下ろすブレイブマンの姿があった。それを見た“男”はダラダラと汗を流しながら剣を振り上げるがブレイブマンはそれを難なく掴み、取り上げた。

 

「な、なんであの一撃を……」

「あたる前に避けただけだが?」

 

 さも簡単な事の様に言ってのけるが常人では避ける事は出来ない一撃だった。それを難なくよけきるところにブレイブマンの実力を伺う事が出来た。それを察した“男”は逃げようと背を向けて走り出したがその隙をヒーローが見逃すはずがなかった。

 

「必殺!ブレイブゲイザー!」

「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!???」

 

 ブレイブマンの必殺技を背中前面で受けた“男”は呆気なく吹き飛ばされた。上空高く飛び上がりそのままお星さまとなる“男”。

 

 こうしてRX団の団員としての初戦闘は“男”の敗北という形で幕を閉じる事となった。

 

 

 

 

-After T-

1号「……なぁ」

2号「どうした?」

1号「今回俺ら何もしてなくない?」

3号「何もしてないのは何時もの事でしょ。というか何ならこの会話、俺の今話最初の言葉だぜ?」

1号「あらすじ言えただけマシだったのか……」

2号「それよりも一番ひどいのは気絶扱いにされて一回も登場しなかったジェネラル様じゃないか?」

1、3号「あー、確かに」

 

ブラックジェネラルさんはトリオがしっかり回収しました。

 

 

 

-After B-

「……厄介な敵だったな」

 

 ブレイブマンは誰もいなくなった公園にて呟いた。今回は何事もなく撃退できたが所々危ない局面があった。一歩間違えれば状況は逆だったかもしれないとブレイブマンは思う。同時に今の実力では不十分という事も今回の戦闘で判明した。

 

「……もっと、強くならなければ」

「あのー、すみません」

 

 ブレイブマンが決意を固めていると後ろから声をかけられる。後ろを振り返れば険しい表情をした警察官が二人いた。そのうち一人の警察がブレイブマンに話し始める。

 

「何やら公園で暴れている人がいると通報があり駆け付けたのですがこれはどういうことですか?」

 

 その言葉にブレイブマンは周りを見る。周囲は公園というよりも廃墟に近く地面は穴だらけ、木々はへし折れ、遊具は残骸と化していた。そして、そんな状況の公園に一人立っているブレイブマン。状況を察したブレイブマンの肩に警察官の手が置かれた。

 

「……署まで、ご同行願えますか?」

「……はい」

 

 ヴィランとの戦闘で発生したと判明するまでブレイブマンは警察署内に止め置かれる事となるのだった。

 

 

 

-After M-

「畜生……」

 

 ブレイブマンによりお星さまとなった“男”は自らの能力を生かして町に戻ってきていた。しかし、背中にはブレイブマンの攻撃で受けた傷が残っており見るだけで痛みを感じさせる程だった。

 ……自分の能力で直すという発想が思い浮かばない辺り彼の残念さが滲み出ていた。

 

「えっと……、病院の場所は……ん?」

 

 その時、“男”の前を一人の女性が通り過ぎる。明らかに重傷の“男”に気付かないくらい没頭しており彼女の手には一枚の紙が握られていた。それは、“男”監修の元作成されたRX団の団員募集のチラシだった。そして彼女の表情は興味がある様子でじっとみていた。

 それを見た“男”は考える。団員を増やすチャンスであると。見るとその女性はスタイルも良い若い美女だ。彼女がRX団に加われば花が増えて“男”の目の保養(+セクハラの対象)になると考え“男”は声をかける。

 

「そこの君!RX団に興味があるのか!?」

「……え?誰ですか?」

 




“男”が誘った女性はいったいだれなんだー(棒
基本的にオリ主以外でオリキャラを出すのは控えるつもりです(多分“男”の会社関係者くらいかな)



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第七話

-1-

「……で?なんでGGちゃんは部屋の隅で落ち込んでいるんだ?」

 

 “男”は会議室の部屋の隅でふさぎ込んでいるGGちゃんを見ながら訪ねる。GGちゃんとは“男”がブレイブマンによってお星さまにされた日に出会った女性で怪人に興味があったのでRX団に勧誘したのだ。そして見事怪人になり今日はその初出撃だったと聞いていた。“男”は勧誘後に企業の方に缶詰めだった為何が起きたのか分かっていなかった。

 

「あー、GGちゃんはですね……」

「ふむふむ……。成程、それは大変だったな」

 

 GGちゃんの初戦闘の結果を2号から聞き同情する“男”。流石にゴキブリの怪人にされた上にパンツ諸出しになるとは思わなかった“男”はなんて声をかければいいのか分からず遠めに見る。流石にここでセクハラをする気にはなれなかった。

 

「えっと……。GGちゃん?」

「……何でござるか?」

「そ、そんなに落ち込んでないでプリン食べない?このプリン凄く美味しいよ?」

 

 声すら沈み込んでいるGGちゃんに“男”は秘書サンの為に持ってきたマスタープリンを差し出す。後で秘書サンには怒られるだろうが訳を話せば許してくれるだろうと考えながらGGちゃんの機嫌を取る。同じように2号もGGちゃんをなだめるのを手伝う。因みに1号と3号、ブラックジェネラルは既に帰宅している上にボスと秘書サンは外出中であった。

 

「……いらないでござる」

「そんなこと言わないでさ。これ一日100個しか作られない高級プリンなんだよ?食べれば元気も出るよ」

「そうだよ。このプリンいつも“男”さんが頑張って入手しているんだよ」

 

2号の支援を受けながら必死にご機嫌を取る“男”。その姿に何時ものセクハラをする変態の姿はなく迷子の子供と共に不器用ながら必死に親を探すおっさんにしか見えなかった。

 結局GGちゃんが(表面上)回復するまでに一時間以上の時間が掛かった。“男”と2号は満面の笑みでプリンを頬張るGGちゃんを見て任務達成と安堵の息をついた。

 余談だがこの件以降2号と“男”の仲は良くなっていった。そして怒り心頭の秘書サンに必死に事情を説明しながら土下座をする“男”の姿があったとかなかったとか。この日の翌日、秘書サンは満面の笑みを浮かべながらGGちゃんと一緒にマスタープリンを2つ(・・)食べる姿が目撃されたという。

 

 

 

-2-

「はぁ?サンプルを持ってこい?」

 

 ある日、“男”がアジトで1号とチェスをしていると科学者サンがやってきた。そして言った言葉は「怪人にするのにサンプル必要だから取ってきて」といきなり言われたのである。流石にいきなりすぎると反論すぎるが科学者サンはアジト周辺にサンプル少なすぎて怪人の研究が進まないと言ってきた。

 

「そう言う訳だからなんか珍しい動物でも虫でも植物でも持ってきてよ」

「いや、今1月……」

 

 こんな寒い時期に虫なんている訳ないじゃんと暗にいうが科学者サンには通じず“男”と1号は虫取りアミと籠を持たされてアジトを追い出された。ご丁寧に持ってくるまで入れないとばかりに鍵をかけられる始末。アミと籠を手に持って固まる“男”と1号。

 暫くそうしていたがやがて“男”が口を開いた。

 

「……ペットショップに、行こうか」

「そうですね」

 

 この後犬と猫を一匹ずつ連れて行ったら「もっと」と再び追い出された。結局その日一日中を使って大量のサンプルを手に入れる事に成功した。

 因みにその大半は数回の研究で全てなくなり数日後に起きる豆まきの際に1号がひどい目に合う事になる。

 

「なんで俺がこんな目に……」

「諦めろ。下っ端戦闘員の宿命だ」

 

 真っ黒に焦げて全身の痛みで震える1号に“男”はそう言ったとか言わなかったとか。

 

 

 

 

 

-3-

「どうしたものか……」

 

 “男”は悩んでいた。素晴らしい美女がいるRX団に入団したは良いがやりたい事は全くできていない。最近は秘書サンが様々な手段を用いてセクハラを回避しつつプリンをゲットしようとして来るので“男”が満足する程出来ていなかった。更に新たに加入した科学者サンっは全く反応しないしGGちゃんはそう言う事をすると泣かれるため手が出せないでいた。

特に科学者サンは最近は下手に近づけばよく分からない薬の実験のために不味い薬を飲まされるため迂闊に近づけないでいた。その様な事が重なり“男”は欲求不満となっていた。ブラックジェネラル?ブレイブマンという思い人もいる上に彼女に手を出すと秘書サンからの制裁があるため頻度は少なめになっている。

 

「一体どうすれば……、そうだ!」

 

 “男”は思いつく。自分がいるのはヴィラン側である。ならばそれに見合う行動をしてもいいのではないか!と“男”は早速実行に移した。

 

「ボス!ちょっと出撃してきます!」

「出撃?うん気を付けてねー」

 

 フィギアを眺めていたボスに“男”は許可をもらうと意気揚々と出撃した。そうして町に繰り出した“男”は早速物色を開始する。

 “男”は欲求不満だがだからといって誰にでも手を出すわけではない。“男”が求めるのは美女や美少女といった見た目の良い女性たちだ。それでいて男と付き合ってはいない上にセクハラをした時に良い反応をしてくれそうな気が弱そうな女性をターゲットにする。中には性格と見た目が一致していない人物もいるがそう言った人物は雰囲気で分かるため特に問題にしていなかった。

 

「……む?あれは……」

 

 “男”の視界に入ったのはベンチに座って大判焼きを食べている女性。デカい胸をさらしで巻いただけという何とも目のやり場に困る服装をした女性は“男”も知っている人物だった。

 

「っ!まさかヒーローのトップ三人のうちの一人、インパクトと出会うとは……!」

 

 その名の通り衝撃波を操るヒーローで厄介な相手であった。だが同時に“男”は凶悪な笑みを浮かべた。「獲物ミッケ」と呟くとインパクトに近寄る。気を抜かないように気を付けつつ自然な足取りで近づく。そして彼女の近くに来た時にわざとらしくマスタープリンを見せる。

 

「っ!!!!!!」

 

 それに気づいたインパクトはプリンを凝視する。「ロックオン完了」と心の中で呟き少しづつ彼女から離れていく。するとふらふらと後を追いかけてくる。秘書サンと同じベクトルの彼女を釣る事など“男”にとっては簡単だった。

 そして裏路地に入り入り組んだ道を進んで表からは見えない位置にやって来る。当然の様についてきたインパクトは“男”が止まった事でようやく自分がどこにいるのかに気付きハッとする。

 

「っ!!??ッ!!??」

「ふっふっふっ、まさか実力派ヒーローをこれで釣れるとは思わなかったな」

 

 “男”はそう言うとマスタープリンを取り出す。それだけでインパクトはそれにつられると同時に空腹で腹から音を出す。これならいける!と“男”は取引を始める。

 

「インパクト、どうだ?取引をしないか?内容は単純だ。お前の体を好きにしていい代わりに君の望む物、この場合は食べ物かな?それを用意しよう。勿論全てうまいし何より量も多いぞ?」

「乗った」

 

 ここにヴィランと取引をした一人のヒーローが誕生した。これ以降“男”は秘書サンに過剰なセクハラをしなくなるがいつも活き活きするようになった。そしてとあるヒーロー(・・・・・・・)も毎日町に繰り出すようになりその度満足げな笑みを浮かべて戻って来るようになったという。同僚たちは彼女の行動に疑問を持ちつつ何かいい店でも知ったのかなとそれ以上気にしなかった。

 




インパクトって喋ってなかったですよね?
それとGGちゃんの初戦闘は書きませんでした。流石に二次創作でもお尻丸出しは可愛そうだったので(というか書いてたら進まない気がした)。そんな訳で豆まきのカットです


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第八話「バレンタインとお仕事」

バレンタインなんてなくなれば良いと思う


-1-

「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

「(うるせぇ……)」

 

 RX団のアジトにて“男”の絶叫が響いた。そして近くにいたボスはその声に耳を半分やられつつ心の中で呟いた。

 今日はバレンタインでありリア充による憎むべき行事である。町では女子が好きな男子にチョコを配り貰えた者は喜び、期待していたのに貰えなかった非リア充(なかま)は血の涙を流している。そんな中で“男”は秘書サンからチョコ(勿論義理)を貰えていた。“男”はそれを受け取ると前述の雄たけびを上げたのだ。とは言えそのチョコは明らかに手抜きであった。何せGh〇n〇の板チョコをそのまま手渡ししたのだから。バレンタイン用のチョコを作っていたら板チョコが余ったから隣に住んでいる作者に上げると言ってきた従姉並みの雑さである。

 

「そんなに嬉しいのか?」

「当たり前だろ!?最後に貰えたのなんて大学一年の時に付き合っていた彼女が最後だったんだぞ……!それから早数年!久しぶりのチョコだぁ!」

「結構最近まで貰ってんじゃねーか」

 

 “男”の言葉にボスが突っ込みを入れた。因みに“男”は顔の良さから学生時代はモテていたが変態の部分が露見するとあっという間に異性どころか同性の友人もいなくなっていた。唯一残ったのは今“男”の会社で働く者のみだ。

 

「秘書サンありがとう!義理でも嬉しいよ!」

「あ、義理っていうのは理解しているんですね」

「当たり前でしょ?こんなやつに本命のチョコ渡す奴がいる訳ないじゃん」

「(自分で言うのか……)」

 

 ボスは“男”の「何当たり前のことを言っているんですか?」と言っている真顔にイラっとくる。何故分かっていながら変態行動を取り続けるのかと思ったがこういうやつだしな、と一人納得して思考を切り上げる。何時までも“男”の事で書で考えていたくはなかったからだ。

 

「よし!次は科学者サンの所に行くか!それではボス!秘書サン!」

 

 そう言って“男”は出ていき会議室にはボスと秘書サンが残された。因みにブラックジェネラルとトリオ達は出撃している。今頃切りチョコをトリオに配り悲しい過去を背負った野良怪人にチョコを奪われているだろう。

 

「全く、あの調子だとジェネラルさんにも貰おうとするだろうなー」

「……ボス」

 

 呆れたように“男”が出て行った扉を見ていると少し顔を赤くした秘書サンがボスに話しかける。両腕を後ろで組み少しもじもじとした様子の秘書サンにボスはドキリとする。

 そして秘書サンが両腕を前に持ってくる。そこには先ほど“男”に上げたチョコとは違い小袋に入っているチョコがあった。

 

「ボスにもあげます。……も、勿論義理ですよ」

「あ、ありがとう……」

 

 顔を赤くした秘書サンからチョコを受け取るボスは少し照れくさそうに感謝の言葉を零す。暫くそのまま固まる両者であったがやがて秘書サンが慌てたように言葉を出す。

 

「で、ではボス!私は今日は上がります!」

「う、うん!お疲れ様」

 

 まるでバイト終わりのような事を言いながら部屋を出ていく秘書サン。一人残されたボスは秘書サンが出て行った扉を見てから手元のチョコに目を向けると中身を見る。そこには星形に模られたチョコが三つ入ってあった。バニラ、チョコ、ストロベリーの三つのチョコを食べながらボスはにやける顔を見られまいと仮面を抑えながら秘書サンが作ってくれたチョコをじっくりと味わって食べていくのだった。

 

 

 

-1After-

「科学者サン!チョコ頂戴!」

「ん?“男”くんか?丁度良かった。これを食べてくれ」

 

 科学者サンの部屋に突入した“男”は一つのチョコを手渡された。

 

「……これは?」

「食べてからのお楽しみだよ」

「いや、これどう見てもやばい奴……」

 

 先ほどまでの勢いは消え失せ“男”は手渡されたチョコを見ながら顔を真っ青にする。何せチョコは明らかに可笑しかった。紫とも緑ともとれる色をし“男”の手の平野上で何やらグニグニと動いており今にも何かが誕生しそうな雰囲気を醸し出していたのだから。

 

「大丈夫大丈夫。人体に影響が出ない、と思う成分を盛り込んであるから」

「と思う、と言っている時点で信用できないのですが?」

「まぁ、安全かは君の様子を見て決めるから早く食べて」

「それって私で人体実験するってことですよね!?そんなの言われて食べる訳ないじゃないですか!?」

「大丈夫大丈夫」

 

 結局“男”は科学者サンに押し切られそのチョコを食べる事となった。この後一週間の間下痢と腹痛に悩まされる事になりアジトはいつもより静かになったという。

 

 

 

 

 

 

-2-

「さぁ!ペケくん!準備はいいか!?」

「おう!」

 

 “男”は現在、ペケくんと共に町に繰り出していた。因みにこの二人が一緒に行動するのはまずない。理由に初対面時の脅しがありあれ以来ペケくんは“男”にトラウマを持っていたのだ。その為これまでは“男”の近くには絶対に近寄らず“男”がアジトにいる間は外に出ていたりしていた。

 ではなぜ二人が一緒に行動しているのかというとペケくんに課せられた労働が原因であった。RX団の資金面は基本的に“男”が行っているがそれまでは秘書サンが一手に行っていた。というより無駄遣いを頻繁にするボスや一般隊員のトリオに任せる訳にはいかない上にブラックジェネラルは基本的に出撃組な上にRX団きっての問題児とされていた(今は断然“男”の方が上)。その為必然的に秘書サンの担当に落ち着いていたのだ。そんな彼女は今でも資金運用に関して“男”と話す時がある。

 経営者というせいかこういう面は真面目になる“男”は「資金すべてを一人で管理するのはいろいろと問題がある」として秘書サンにも手伝ってもらっていたのだ。そしてRX団は“男”の支援があるとはいえ資金面で余裕があるわけではない。ボスですらバイトを掛け持ちして資金を得ようとしているがペケくんだけは猫という事でまともな仕事がなかった。

 それを問題視した秘書サンによって働く様に言われるが猫という事でバイトは出来ない。雑用をやろうにもアジトの周囲はゴミの山であるため掃除の意味がない。肩もみなどのマッサージは生産性がなく出来ない。つまり役に立たないマスコット的な存在でしかなかったのだ。

 そこで“男”は自らの仕事を手伝わせることにしたのだ。何も出来ないペケくんはこれに飛びつき二人は早速町に出ていたのだ。

 

「……で?オイラは何をすればいいんだ?」

「なに、簡単な事だよ」

 

 ベンチに座りペケくんは普通の猫の様にしながら“男”に聞く。手伝うと言ったがそもそも“男”が資金運用以外で何をしているのか分からなかったからだ。

 

「私たちのやる事はこうして人を見る事だよ」

「……さぼりか?」

「ンなわけあるかい。野良怪人を見つけたり怪人化に興味がある人を探すんだよ」

 

 現在RX団にはGGちゃんを除けばペケくんくらいしか怪人はいない。そのペケくんですら試作型であるため戦闘力はない。つまり現状GGちゃんしかいなかった。そこで“男”はこうして町に出ては怪人化に興味がある人を探していたのだ。

 

「でもどうやって見つけるんだ?チラシでも配るのか?」

「ああ、それは前にジェネラルちゃんがやって警察に職質されたらしい。だからやらない」

「えぇ……」

 

 まさかの職質にペケくんは何も言えなくなる。と同時にこんな街中で呼びかければ職質もされるかと納得する。ではどうやって見つけるのかと言えば簡単だった。

 

「見つける方法はまず覇気がないというか今の自分に満足してないような奴だな」

「分かりづれーよ」

「そうか?結構簡単だぞ?例えば……」

 

 “男”はそう言って立ち上がる。そしてある人物の下に向かう。そしてその人物に声をかけた。

 

「ちょっとすいません。お時間宜しいですか?」

「え?僕ですか?」

 

 “男”が声をかけたのは細い体をした人だった。そして明らかに落ち込んでいるように見えるその人物は突然声をかけられた事で困惑していた。

 

「私実は怪人になりたい人を募集してまして」

「怪人……。つまり貴方は悪の人だと?」

「まぁ、そう言う事になりますね。で?どうですか?興味、ありませんか?」

「……」

 

 “男”の言葉にその人物は悩んでいる。“男”は一気に畳みかけるのが吉と判断し更に言葉を放つ。

 

「当ててみましょうか?あなたは自分の姿、おそらく肉体的な面でコンプレックスを持っている」

「!?」

「それをどうやって変えていいのか分からない。そんなところじゃないですか?」

「す、すごい……。そうです。僕はもっと力が欲しいんです!ですが、どうしても筋肉がつかなくて……」

「それなら丁度良かった。実は最近ライオンのサンプルを手に入れたんですよ。つまり今なら獅子の怪人になれるという事です」

「……ライオン」

「そうです。百獣の王であり名前を聞いただけで凄いパワーを持っていると認識されるあのライオンです。うちの博士は腕がいいです。きっとあなたが満足できる力を与えてくれると思いますよ?」

「……受けます。是非!お願いします!」

「ありがとうございます。では明日の14時にここでお待ちしています」

 

 “男”はそう言うと一枚のチラシを渡す。チラシには怪人化の募集とアジトの地図と住所が書かれていた。その人物との取引を終えた“男”はベンチで一部始終を見ていたペケくんの元に戻った。

 

「な?簡単だったろ?」

「ごめんなさい。オイラには無理です」

 

 “男”の人間観察力にペケくんはギブアップを宣言するのだった。

 




ペケくんはこの後トリオの元に預けられマスコットとしての地位を盤石にします(つまり原作通りジェネラルさんに嫉妬される事に)。科学者サンの実験に関してはバレンタインで“男”に代わりに受けてもらいました


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第九話

-1-

さあ、今日こそRX団の恐ろしさを思い知らせて……

「ん?なんて?いや、声こもり過ぎだろ。全然聞き取れん」

 

 何時もの竜栄公園にてブラックジェネラルとブレイブマンは対峙していた。ここまでは何時もの光景だが今日は少し違っていた。ブラックジェネラルはマスクを着けていたのだ。そしてそれにより声が聞き取りづらく思わず聞き返してしまうブレイブマン。そこで今の季節と照らし合わせて彼女が何故マスクを着けていたのかを察する。

 

「……花粉症か」

「……つらぽよ……」

 

 ブレイブマンの言葉にブラックジェネラルは落ち込んで呟く。彼女にとってこの時期は一番憂鬱な時期だった。とは言え聞き取り辛いという事で仕方なくマスクを外しもう一度言う。

 

「さあ、今日ごそ我々の恐ろしあを思び知らっぶしぃ

「もう帰れよ」

 

 濁声、鼻づまり、そしてくしゃみによる三連コンボを決めて決め台詞を台無しにするブラックジェネラル。これにはブレイブマンも帰れと突っ込むがヒーローとしては捕まえないとまずいはずなのにそんな事はこれっぽちも考えついていない。

 

「ふっふっふっ、情けないぞブラックジェネラル」

「っ!その声は!?」

 

 そこへ突然聞こえてきた声にブレイブマンの警戒は一気に上がる。何せこの声の主とは一度しかあっていないがその一回で(この作品に有るまじき)死闘を繰り広げたのだから。そしてその声の主、“男”が滑り台の上に現れた。

 

「フ“レ”イ“フ”マ“ン”!今日ごそげっぢゃくをづげようじゃないがっぐしぃ!

「お前もか」

 

 “男”はブラックジェネラル以上に悲惨な状況で現れた。涙目に鼻水、くしゃみと顔を台無しにして登場した“男”にブレイブマンはドン引きする。そして滑り台の上から飛び降りた“男”はブレイブマンの対峙する。

 

「ご、ごのぐらいな“んの問題もな”いぃっきしぃ!

「せめてマスクをしろ」

 

 くしゃみを周囲にまき散らす“男”にブレイブマンは突っ込みを入れる。何とも言えない空気になるがその間にも“男”とブラックジェネラルはくしゃみを連発する。

 

「ぐそっ!ごれじゃただがいにな“んねぇべぇ!」

「何故訛った」

「仕方ないから今日は引きましょう……。でも!このまま何もせずに手ぶらで帰るわけにはいかないわ!幹部として!」

「だいだいいつも帰るときは手ぶらだろ。そして隣の重傷者は唾と鼻水を辺りにまき散らしているぞ」

「ぶえっぐじょい!ご、ごのぐらいなんども……ぶしゃぁぁっ!

「会話すら無理そうだな」

 

 “男”の様子にブレイブマンは無視することを決めた。これ以上付き合ってもいいことはないと判断したのだ。そもそもRX団とのやり取り自体がいい事ではないのだが。

 

「という訳でブレイブマンの好みの女性を聞いてから帰ろうと思うわ!」

「……」

 

 一体それが何の役に立つのか疑問だがブレイブマンは回答を拒否する。するとブラックジェネラルがしつこく聞いてくるため仕方なく言った言葉に周囲は固まる。

 

「……強いて言うなら大和撫子?」

「……」

 

 その言葉にトリオ達は「あー、駄目だこりゃ」とブラックジェネラルに同情する。明らかに大和撫子とは正反対の位置にいるのだから。そしてその事を知ったブラックジェネラルもショックのあまり自殺用の縄を買ってくるように頼むほどだった。

 その後、すぐに復帰したブラックジェネラルが迫るが公園にあった杉の木を叩き花粉をまき散らすことでブラックジェネラルを苦しめた。

 

ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!????

「あっ」

 

 そして休んでいた“男”もその巻き添えを食らい大量の花粉を吸いこむ事となった。“男”は花粉が収まるまでアジトか自宅に引きこもるようになるのだった。

 

 

 

 

 

-2-

「仮面ソルジャーね。最近随分と活躍しているみたいじゃないか」

 

 RX団のアジトの会議室にて“男”は新聞を眺めていた。RX団が購入している団共有の新聞である。その新聞の一面には堂々と新人ヒーロー仮面ソルジャーの活躍について記事が書かれていた。

 それを見た“男”は面白くなさそうに呟く。悪側の人間としてはヒーローの活躍はあまり面白くないものだからだ。とは言え“男”は後方担当だ。戦えなくはないがどちらかというと後方で行動する方が十分な成果を出せていた。実際怪人になったGGちゃんと勧誘に成功して見事ライオンの怪人になった黒獅子くんを連れてきて資金面でも大きな支援を行っている。更に最近ではどこから仕入れているのかヒーロー連盟の詳細な情報(・・・・・・・・・・・・)を持ってきていたりする。

 

「仮面ソルジャーは実力も高いしこのまま活躍をつづける様なら何時の日かうちとも先頭する事になるかもしれないな」

「そうなった場合団員が捕縛されるかもしれないですね」

 

 同じく会議室でまったりしているボスに“男”は同意する。仮面ソルジャーはRX団が活動している町とは別の街を担当しているが何らかの理由でこの町に来る事だって考えられた。もし遭遇した場合などの対策をたてて置いた方が良いのかもしれないと思いつつ手元の団子に手を伸ばす。とある着物の女性(・・・・・・・・)に教えてもらった店で売っている物で“男”も満足する出来の一品だった。

 

「黒獅子くん、大丈夫かな?今日が初出撃だし」

「どうでしょうね。まさかあそこまで気弱だと思いませんでしたし」

 

 “男”とボスは出撃中の黒獅子くんの心配をする。彼は“男”の勧誘でライオンの怪人となったが性格は気弱だったこともありいまいち怪人というには物足りない状況だった。それでも彼の怪力はかなりすさまじいので肉体面では十分な成果が出ていた。因みにもう一人の怪人であるGGちゃんは最近大学の課題に追われていて最近はアジトにすら顔を見せられていなかった。まさか単位を落としてでも来いとは言えないので落ち着くまで来なくて大丈夫だよとボスは伝えていた。

 その時、ふと時計を見た“男”は立ち上がった。

 

「ボス、すいませんが今日はこれで失礼します」

「ん?今日は随分と早いね。何か用事でもあるの?」

「ええ、今日は知り合い(・・・・)と食事に行く予定なので」

「そっか。分かったお疲れ~」

「はい、お疲れさまでした」

 

 バイトの上りの時のような雰囲気を出しながら“男”はアジトを出て行った。そしてそのまま大食い甘党のヒーロー(・・・・・・・・・・)と合流。食事をおごる代わりに最近行うようになったヒーロー連盟の情報を得る事に成功するのだった。

 




これでようやく2巻の三分の一まで言ったかな?


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第十話「花より団子」

漫画見るたびに思う事だけどGGちゃんの言葉が少しブレていないかなと思う。「拙者」といったり「私」といったり……。多分怪人としての役作りかなと予想しているけど


「えー、我がRX団も着々と戦力を拡大しております。これもひとえに団員皆さんの努力の賜物です。という訳で本日は慰労という意味も込めまして日々の戦いを忘れて存分にお花見を楽しみましょう。では乾杯!」

「「「「「「「「かんぱーい(乾杯)!」」」」」」」」

 

 格式ばったボスの挨拶も終わりそれぞれが手に持ったコップを掲げて乾杯を取る。今日は珍しく全員が集まっての花見だったのだが……。

 

「まあ、花なんかねーけどな!」

 

 ボスの言葉通りここはRX団のアジトの会議室。アジとの共有スペースの中では最も広いこの空間を用いて花見をしていたのだ。しかし、花はクリップボードに書かれた桜の木だけだった。

 無論これには訳があった。

 

「こういう時悪の秘密結社って辛いよね。流石に今話題の新人ヒーローを倒しちゃった組織が市民に交じってお花見するわけにいかないしね……」

「ボスとかトリオとかはマスク外せばいいかもしれないがジェネラルちゃんとかGGちゃんとか黒獅子くんとかは、ねぇ」

 

 ボスの残念そうな声に“男”が言う。新聞にも掲載される程注目が高まっていた新人ヒーロー、仮面ソルジャーは初出撃の黒獅子くんに一撃でやられ病院送りになったのだ。その結果RX団の危険度は上がりそれと対峙しているブレイブマンの評価も上がる事となった。とは言え時期は花見前だったこともありこうして気軽に花見に行くことが出来なくなったのだ。

 

「あの、なんか……。ホントすみません……」

「あー、いいのいいの。黒獅子くんはむしろお手柄だったよ」

「そうだぞ。どっかの誰かさんは毎回ヒーローのケツ追っかけてぶっ飛ばされているからな」

「あれ?それって私の事?」

「お前以外に誰がいんだよ」

 

 納得いかないと不満そうなブラックジェネラルに“男”は突っ込む。いつもいつも出撃してはブレイブマンによって倒されるのがお約束となりつつある。最近では“男”の会社でも「自分のファンに攻撃するヒーローがいるらしい」と事実とは言い難いが否定できない噂が流れ始めるほどだ。“男”は否定内容がない為訂正する気は無いが。

 

「黒獅子のおかげでRX団の知名度はうなぎ上りだよ」

「秘密結社が知名度を上げていいんですかね?」

「秘密結社はロマンです」

 

 その様な会話がされつつ花見が進むがここで“男”は気づく。自分の隣の隣の隣、一番左端に座るGGちゃんが暗かった。隣に座る2号とその隣の1号まで暗くなるほどだ。

 その様子に気付いたボスがGGちゃんに尋ねる。

 

「ど、どうしたのGGちゃん。悩み事?」

「……いえ。そう言う訳ではないです」

「一体どうしたんだ?季節外れの寒波ってくらい寒くなってきているんだけど……」

「……黒獅子殿はカッコいいですよね」

「……うん?う、うん……」

「ライオンの怪人という時点で完成されていますし、それに“黒い”っていうのもポイント高いですよね……」

 

 淡々と話すGGちゃんに何となく察する“男”。それと同時に何故自分の話題が?と分からない様子で困惑する黒獅子くん。

 

「こう、いかにも強い怪人っぽいビジュアルといいますか……」

「……そ、そうかもね」

「拙者のイメージカラーも、そういや“黒”なんですよね……。被っちゃいましたね、アハハ……ハハ……」

 

 そこまで言うとGGちゃんは一旦言葉を途切る。そして次に出てきた言葉に雰囲気は更に暗くなった。

 

「まぁ、そちらはライオンでこちらはゴキブリなんですけどね」

「(Oh……)」

「しかも初陣で結果を残してて……。凄いっスわ黒獅子殿。話題のヒーローをワンパンKOとかぱないすわ」

「い、いえ、あれはまぐれでしたし……」

 

 黒獅子くんがそう言うがこの場に置いては最悪の手だった。とは言え彼はGGちゃんの初陣を知らないため仕方がなかったのかもしれない。

 

「それに引き換え、拙者の初戦ときたら……。駆けずり回るしか能がないうえに自ら尻を晒して泣きながら逃亡という醜態っぷり」

「「「「「「「「…………」」」」」」」」

「ふふ……、まさしくゴキブリの如き有様でござるなぁ。虫けらで御座候なぁ……」

「(思ったより深い闇を抱えてたよこの娘……)」

「(一瞬で部屋中の温度が下がったぞ……)」

「(誰かなんとかしてくれ……)」

 

 まるでお通夜の如き静けさと雰囲気の暗さを感じながら誰も何も言えなかった。それだけ彼女の初出撃は酷かったのだ。それと同時にこれ以上機嫌を下げるのは避けたかった。

 

「だ、大丈夫!安心しなさいGGちゃん」

 

 そこへ救世主が現れた。彼女の反対側に座っていたブラックジェネラルが声をかけたのだ。しかし、声をかけたのはあの(・・)ブラックジェネラルである。“男”を含め全員が何かやらかすと感じていた。そして、それは当たってしまう。

 

「なんてったってアナタは!安産型なんだからみぱすっ!!」

 

 フォローにすらなっていない、“男”並みのセクハラ発言をしたブラックジェネラルのお腹に秘書サンの拳と爆破がめり込む。見なくても分かる程激怒した秘書サンが蹲るブラックジェネラルを見下ろしている。

 

「それは止めなさい。それはやめなさい」

「ジェネラルちゃん。私だって時と場合、相手を考えているんだよ?」

「ごめんなさい……。ごめんなさい……」

 

 秘書サンと“男”にブラックジェネラルが必死に謝る。“男”だってそちら方面に体勢なさ過ぎて手を出せばガチ泣きされそうなGGちゃんには手を出していない。秘書サンに関しても彼女にも利があり、且つ限界を超えないラインを見計らって行っている。ブラックジェネラル?彼女に遠慮なんて必要ねぇべ。

そんな彼女たちをしり目に黒獅子くんが意を決したように話し始める。

 

「GGさん。落ち込まないでください」

「黒獅子殿……」

「自分が今、怪人として活動できているのも全ては最初に“人体改造”を成功させたという実績を作ってくださったGGさんのおかげですから!」

「確かにそうだな。私が黒獅子くんを誘った時もその話をして安全面をきちんと説明できたおかげだしな。GGちゃんの功績はすさまじいぞ」

 

 黒獅子のフォローに“男”が補足して言う。多分科学者サンなら順番が逆だったとしても普通に成功させていただろうと“男”は思っていたが今言えば確実にGGちゃんへの止めとなるため言わない。セクハラ大好きド変態だとしても空気を読むくらいはできるのだ。

 

「それに昆虫とかの運動能力ってすさまじいんですよ!それを使いこなすGGさんはすごい怪人なんです!だから自身を持ってください!」

「そ、そうでござるかな……」

 

 昆虫だから嫌というよりはゴキブリだから嫌なんだと思うが本人は立ち直りつつあるため誰も突っ込まない。せっかくその気になっているGGちゃんの気分を落とす必要はないからだ。

 しかし、その時部屋全体にパーンという音が響く。黒獅子くんの後ろでペケくんが地面をたたいたのだ。大きな音がしたため自然と全員がそちらを向く。そしてペケくんの手の下から出てきたのはぺちゃんこになったゴキブリだった。その場の誰もが「やばいっ!」と感じたが時すでにお寿司だった。

 

「ハッ!クソ虫が!のろいわザコが!」

「……」

 

 一瞬でGGちゃんの顔から表情が抜け落ちる。そしてそのままテーブルに突っ伏して先ほど以上に落ち込む。ジェットコースターの如き下落に黒獅子くんやボスが「ああああ!」と悲鳴を上げている。そんな雰囲気を作り出した元凶、ペケくんはやってやったと言った雰囲気を出したが瞬間彼の頭を“男”が掴んだ。

 

く そ ね こ。お前、一体何をやってんだ?

「……」

 

 頭をアイアンクローで締め上げられながら聞こえてくる声にペケくんは死を悟った。そして恐怖のあまり下の方から何かが流れる音がする。ペケくんがとる行動は決まっていた。

 

「……すいませんでした。もう二度としません。許してください」

はぁ?

 

 ペケくんの願いむなしく“男”によってボコボコにされていく一匹の自業自得な猫。彼を庇ってくれる者はおらず全員が2号の励ましの言葉で顔を赤くするGGちゃんを見て安堵の息をつくのだった。

 




話進まないし“男”が本格的に変態行動を最近取れてない……。次回は暴走させたい


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